約 228,660 件
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/535.html
~一部 こなた~ 11月17日 今日はかがみが学校を欠席した。 昨日からメールをいくら送っても返事がない。ちょっと心配だと思う。 それで私はかがみのお見舞いに行くことにしたわけだよ。 かがみが私の家でよく読んでいた漫画。その新刊が昨日発売されていた。 せっかくなのでこれをかがみのお見舞いの品にしようと思う。 文句無いよね。 もう暦の上では冬なわけで、すっかり暗くなっちゃったよ。 私はいつもかがみと 二人 で帰ってた。 学校でのお昼ごはんには、私はいつも C組に行っては、みさきちや峰岸さん それからかがみと一緒にお弁当を食べている。 かがみとはそんな仲なんだよ。 神社の鳥居が見えてくる。ここがかがみんの住む家。 かがみは 三人姉妹の末っ子 だった。 そしてお母さんはとても若い……。ムフフ。 玄関の引き戸を開けて、こんにちはと大きな声で挨拶をする。 すると、案の定とても若いお母さんが駆けつけてくれた。 「あら、こなたちゃんいらっしゃい。ごめんね、かがみ風邪引いちゃったみたいで……。」 「ああ、いえいえ。ちょっとお見舞いに来たんですけど、かがみ大丈夫ですか?」 「あら、わるいわね。かがみー!こなたちゃんがお見舞いに来てくれたわよ!寝てるのかしら?」 「ああ、おばさん。そんな起こさなくてもいいですよっ。」 「ごめんね。部屋に上がってね。」 「あ、はい。お邪魔しまーす……。」 私は二階のかがみの部屋に入ったんだけど、中には誰もいなかった。 照明だけがこうこうと部屋を照らしている。 おかしいな。 ひょっとしてトイレかも知れない。ちょっとここで待ってみようかな? ベッドの下に隠れて五分たった……。かがみはまだ来ない。あれぇ?遅いなぁ。 まったく、どうしたんだろう。 不安になりながらベッドから這い出ると、なんとなく窓から外を覗いてみた。 そこからはちょうど本堂の正面が見える位置だった。 本堂へと上る石段の二段目、何かキラリと光るものが見えた。 かがみはそこに座っていた。 「かがみっ!」 私はそこへ速攻で駆け出した。 かがみも私に気付いたみたいだ。 「こ、こなた?どうしてこんなところに!?」 「どうしてってひどいなぁ。今日はちょっと宿題が多くて……。」 「今すぐ、帰れ!」 「まぁまぁ。風邪なんだって?こんな寒いところにいて大丈夫なの?」 「……心配してくれてありがとう。」 かがみは無表情にそう言うと、視線を手に持つ物に落とした。 暗くてよく見えなかったけど、次第に目が暗さに慣れてくると、それが何なのかが見えてきた。 かがみが持っているものは、かがみの部屋から見えた光の正体。円形の鏡。 しかも額縁も取っ手もない、本当に鏡の部分のみだ。 多分これはご神体なんじゃないかな? それをかがみに聞いてみようとするより早く、かがみが喋りだした。 「私にはね、つかさって言う双子の妹がいたの。」 私の全く知らない名前。妹? かがみは末っ子だって思ってた。別の高校にでも通ってるんだろうか? 「え?つかさ?」 「そう。双子って言っても二卵性双生児でね、そんなに私には似てないわ。」 「へぇ、双子がいたなんて知らなかったよ、会ってみたいな!。」 「ごめん。それは無理なの。ガンになっちゃってね、今日がつかさの命日なの。」 「あ……。私こそ、ごめん……。」 「いいの。つかさの事を話したのは今日が始めてだし。」 ずっと鏡を見つめていたかがみが、やっと私を見て微笑んでくれた。 でも、なんとなく寂しそうな目。これがかがみにとって重要な告白であることは、痛いほどによくわかった。 「つかさはね、ここの世界には存在しなかったから。」 ~二部 かがみ~ こなたがかわいらしく、ぽかんと口を開けている。 これから、こなたがどんな反応をするのかわからないけれど、私の話せる限りの全て話してしまおう。 そしてこれで全てをおしまいにしようと思う。 「ねぇかがみ。どういうことなの?」 「なにから話せばいいんだろう……。」 ――私にとって、つかさは掛け替えのない、とても大事な妹だった。 私と違ってね、つかさはとっても素直なの。だからかな?私がつかさを守っていかないと、つかさ、ドジばっかりしちゃうのよ。 だから、私が守るの。 それでね、つかさが言うの「ありがとう、お姉ちゃん」って。 そんなことを続けていると、私にとってもつかさが必要になってきていた。 あの、晴れやかなつかさの笑顔を、私は今でも心から望んでいる。 ……それなのに、あの笑顔を二度と見ることができなくなってしまった。守れなかった。 つかさがガンだとわかったのが、今年の春だった―― 「ちょっと待って、かがみ。つかさちゃんは今年まで生きてたの?じゃあ命日って……。」 「ちゃんは付けなくていいの。つかさって呼んであげて?あんたはいつもそう呼んでいたから。」 「え?う、うん。もう訳がわかんないよ……。」 「ちゃんと話すわ。今日がつかさの命日。そう、今日この日、つかさが死んじゃったのよ。」 「え?そんな、でも……。かがみのお母さんにとって家族が、その、つかさが今日死んじゃったって言うのに、おばさんケロっとしてたよ?」 「そうよ。お母さんはつかさの事を知らないの。……続きを話してもいい?きっと分かってもらえるから。」 「わかったよかがみ。だまって聞くことにするよ。」 「ありがとう、こなた。」 ――ガンは肺で見つかった。激しくせきをするつかさを、私が医者につれて行ったのだ。 その時すでにガンは全身に転移していた。もう、手遅れだった。 余命は、半年。 私はほとんど毎日、つかさに会いに行っていた。 毎日、毎日つかさの姿を見ていると、毎日、毎日抗ガン剤の影響で痩せていくのがわかる。 こんな様子をうかがっていた私もまた、徐々に痩せていった。 家にいても落ち着く事はない。 私は何もできない。それが無性に悔しかった。 だから、私は神様に祈った。 何という偶然か、私の家は神社なのだ。 本堂に祭られているこの鏡に、私は手を叩き続けた。 そして。 11月17日。 今日。 つかさは死んでしまった……。 つかさの入院する病院から私は走り去った。いや、逃げた。 私は街頭が照らす夜道を逃げていた。 そしていつの間やら私は本堂の前で立っていた。 私がにらんだのは、奉られているこの鏡。 本堂は夜で暗くなっていて、その中で鏡は不気味に光を反射してキラリと輝いた。 「どうしてつかさを救わなかったのよ!あれだけ祈ったのにっ!あんなに心を込めたのに!」 私は鏡を無造作に持ち上げた。 「神様なんて嫌いよ!」 そして床に叩き付けた。 砕けていく鏡が、ゆっくりと散っていく……。 ここから、私の旅が始まる。 ~三部 かがみ~ 鏡は木っ端微塵に砕け散り、そして、世界が歪んだような気がした……。 18年前の7月7日、私が誕生する。 そして幼稚園、小学校、中学校へと時間と共に成長してゆく。 様々な経験をして、様々な人たちに出会った。 高校三年生の11月17日。 この日、私は全てを思い出したのだった。 なんと、私は人生をまた一からやり直していた。それをこの日、気が付いた。 なんと、私は二度も成長をしていた。それをこの日、気が付いた。 混乱する頭を押さえ込み、よれよれとその日も学校へ向かった。 こなたがいる。日下部がいる。ゆたかちゃんがいる。 しかし……。 みゆきがいない。峰岸がいない。みなみちゃんがいない。 そして、つかさがいなかった。 昨日まで、私はそのことを全く気にしていなかった。 いや、今いない人たちの存在を忘れていた。いや、それとも知らなかった? 今日も いつも通り日下部とこなたと一緒 に昼食をとる。 今の私は料理が得意だ。 お母さんの手伝いをしていたから。 多分、つかさがいないから……。 だから自前の弁当とは思えないほどおいしいこの弁当を食べる。 この弁当を食べるのはいつものことだが、今日に限っては不思議な味がした。 「ねえ、こなた。高良みゆきって知ってる?」 「高良みゆきさん?むぅ、知らないな……。」 「そう……。ねえ、日下部。峰岸って知ってる?」 「峰岸?ああ、うちの近所にそんな苗字の人がいたなあ。」 「本当!?」 「ああ、今、高校二年の坊主がいるぜ。それがどうかしたのか?」 「ん……、なんでもないの。」 「変なやつだな。なあ、それよりちびっ子さあ……」 やっぱり誰も知らない……。きっと存在していないから。 私だって昨日までつかさの存在を忘れていたのだから。 そして、家に帰ると、再び本堂へと向かう。 鏡を持ち上げると、叩き割った。 世界が歪んだ気がした……。 また私は何もかもを忘れて、成長してゆき11月17日になると、また全てを思い出す。 みゆきがいる。こなたがいる。日下部も、峰岸もいる。 でもゆたかちゃんも、みなみちゃんもいない。 そしてまたも、つかさがいなかった。 いつものようにこなたと合流して 二人で 登校する。 こなたはおじさんと喧嘩していた。 「あんた、まだ仲直りしてなかったの?」 「仲直りなんて、お父さんの方からしてこない限り、絶対しないつもりだから!」 「こなた……。おじさん、絶対に悲しんでると思うわよ?」 「む。だったらお父さんの方から謝ればいいんだよ。」 「はあ、全く……。」 学校で私はみゆきに質問してみた。 前回はいなかったがここにはいる。 「ねえみゆき。タイムスリップって知ってる?ちょっと小説を読んでて思ったんだけど……。」 「タイムスリップですか?そうですね。いろいろと説があるようですけど……。ちょっと、一言では説明できませんね。」 「そうねぇ。例えば、全く同じスタートの仕方をした二つの世界があっても、時間がたつと二つの世界は違う結果に変わっちゃうのかな?」 「と、言いますと……。」 少し説明が悪かったかもしれない。 言い方を変えてもう一度質問をしてみた。 「小説の中ではね?ある少女がある日突然、生まれた時からもう一度人生をやり直すの。だけどそのことを本人は何も知らないの。 それで一度目の人生と、二度目の人生。その二つは似てるんだけど、少しだけ違う。どうして違うのかな?」 みゆきはしばらく考えた後、こう答えた。 「量子論の概念の中に、不確定性原理というものがあります。」 「え?量子論?」 「不確定性原理というのは、誰かが観測しない限り、あらゆる可能性の重ね合わせの状態にある、というものです。」 話が大きくなってきた……。 「ちょっと怖い話なんですけれど、シュレーディンガーの猫というものがあります。 例えば箱の中に猫がいます。一緒に箱の中には毒薬と、毒薬を散布する機械が入っています。 その機械がいつ動いて、毒薬を散布するかは誰にもわかりません。 ですから、箱を開けて猫を確認しなければ、猫が生きているのか死んでいるのかを確認することができないんです。 さて、一時間後に箱を開いた時、猫は生きているでしょうか?死んでしまっているでしょうか?」 「そんなのわかる訳ないじゃない……。」 「そうですね。観測するまではわかりません。 箱を開けた瞬間に、どちらかの可能性は消えてしまい、どちらかの可能性が実在化する……。 考え方を変えると、箱を開かない限り、猫は生きている可能性と死んでいる可能性の二つを持っている。 そして箱を開いた瞬間に、どちらかの可能性だけを観測者が観測する。 量子論では、観測をしない限り可能性しかわからず、観測した瞬間ひとつの可能性だけが実在化し、他の全ての可能性は消えてしまう。 かがみさんの言う少女の場合、少女が生まれたというだけで、自分を生んだお母さんがいるという観測結果になります。 何故ならお母さんがいない限り少女は生まれませんから。 それと同様に、少女が生まれるという事実は、お父さんもまた存在するという観測結果です。 きっと少女が生まれるより前の世界は、二つの人生とも同じはずです。」 確かにそうだ。お母さんもお父さんも、お姉ちゃんたちも今のところ確実に存在する。 そして私よりも誕生日の早いこなたも、みゆきの言うように確実に存在している。 日下部は私が生まれる直後に誕生する。 みゆきの言うように、私の生まれるより前の世界が確定しているのならば、そのままの勢いで日下部も生まれてもおかしくはなさそうだ。 みゆきは更に話を続けた。 「しかし、少女が生まれた後の世界は不確定で、あらゆる可能性は観測しない限り確定しません。 ですから、少女の生まれた後の世界は予測不可能なんです。 たとえ、少女が過去に同じ世界に生まれてきて、その世界の時代の流れを観測してきたとしても、 それと同じ時代の流れが別の世界で繰り返されるとは限りません。」 そうか、だから私の生まれるより後に生まれてくるはずの、みゆき、峰岸、ゆたかちゃん、みなみちゃん。 そしてつかさたちが存在するかどうかは、観測するまで確定していないらしい。 そして私はみんなが存在しない可能性を観測したのだ。 今夜もまた、鏡を叩き付けた。 今度はつかさが存在する世界を観測できる事を願って……。 しかし、つかさにはいつまでたっても会えなかった……。 その度に私はこの鏡を叩き割る。それを幾度となく繰り返した。 そして11月17日になる度に、つかさの事を、旅の始まりのあの夜の事を思い出すのだ。 私はたくさんの世界の可能性を観測した。 こなたが稜桜学園に入学しないという場合もあったし、ゆたかちゃんが病弱ではないという場合もあった。 その全ての世界では、人々はそれぞれの人生を歩んでいた。 私もまた、そういった人生を歩む人間の一人だった。 ある時は、スポーツに明け暮れる毎日を送ったり、ある時はこなたと一緒にネトゲーを楽しむ毎日を送った。 新しい友達を作り、今までに経験したことのないような人生を歩むこともある。 時々は苦しい時もあったけど、確かにそれぞれの人生を、私はしっかりと楽しんでいた。 それでも11月17日に鏡を割った。 人生は鏡のように砕けた。 それを何度繰り返したのだろう……? タイムスリップできることはチャンスだと思っていた。 でもひょっとするとこれは、鏡を割ったことの祟りなのかもしれない。 つかさには未だに会うことが出来ない。 双子の妹が存在できる可能性は、実は非常に少ないのかも知れない……。 気がつくと、私の人生は11月17日の一日間に限って、何百年の年月をあゆんでいた。 すでに私の記憶に残るつかさのイメージは、本当のつかさとは食い違っているのかもしれない。 最早、つかさのかわいい顔や、やさしいあの声を、ほとんど思い出すことがすでに出来ないのだ。 それなのにこの旅を続けなくてはいけないのは、何故なのだろう? 今まで築いてきた人生を、ゼロに戻してまでも、この旅をしなくてはいけないのだろうか―― そして今に至る。 ~四部 こなた~ みゆき、みなみ、そしてつかさ……。私の知らない名前ばかりだ。 正直、かがみのは話は信じられなかった。 まさか、漫画やアニメみたいな出来事が、私の目の前で起こっているなんて……。 んー、でも、かがみの目を見る限り、嘘をついてるようには思えん。 ここにいるかがみは、確かに今までのかがみとは少し違う気がする。 本人の言っていた様に、たくさんの時間を経験したかのような、落ち着きというか貫禄があった。 こなた、びっくりだ! でも、かがみも18歳以上を経験したことがない。 やっぱり、大人とは少し違う、独特な雰囲気。これが、かがみらしさなのかも知れないね。 「それでかがみは、今度もこの鏡を割るの?」 「わからない……。」 「もし、この鏡を割らなかったら、かがみはどうなるの?」 「それもわからない……。でもきっと11月17日を越えれば、全部忘れるんじゃないかと思うの。」 「もし、この鏡を割ると、私から見たかがみはどうなるの?」 「それも……、わからない……。きっと、あんたから見れば、私は元に戻るんじゃないかな?」 「そっか……。」 「どちらにしても、あんたから見て私は変わらないのかもしれないわね。」 かがみがどっちの行動をとっても、私にとっては関係ない……。 関係ないなんて事はないはずだ。 つかさの亡霊を選ぶか、私と過ごしたこの世界を選ぶか……。 もし、この世界を選ばなかったとしたならば、私は裏切られたと言うことになってしまう! いや違う、この考えは自分よがりな考え方だよ。 本当にかがみの事を考えるなら、どっちがいいんだろう? そう考え事をしていると、かがみが口を開いた。 「私、やっぱりこの鏡は割らない!」 「え、本当!?」 しまった。笑顔で答えちゃったよ。 これじゃあ、かがみは後ろめたくて鏡を割れない。 かがみが私の顔を見て笑った。しまった、私の反応の様子を確かめたのか? 「こなたの顔を見てたら、割る気なんてなくなったわ。」 「いや、そんなかがみ。もっとよく考えた方がいいんじゃない?」 「いいのよ。私はをう決めたの。たとえここじゃなくても、いつか別の世界で決めてただろうから。」 「……わかったよ、かがみ様っ。……なんていうか、この世界を選んでくれてうれしいよ。」 「こなた……。」 それから日付が変わるまで、私はかがみの思い出話を聞いていた。 この思い出話の内容は、もうすぐかがみの記憶から永遠に消えてしまう。 だから、私はかがみの話の一字一句の全てを、忘れないようにずっと覚えておこうと思った。 ただ、こんな話をしていても陰気になっていってしまう。 それで時々冗談を言ったり、かがみをからかったり、突っ込みを入れられたりしながら、楽しい時間をすごした。 そして、午前0時が近づいくる。 「こなた、絶対に忘れないでよ!」 「はいはい、わかったからかがみん。ちゃんと覚えておくってば……。」 「頼むわよ。……。」 「もうすぐだね。」 「こなた。最後に言いたい事があるの。」 「おお、いい感じにフラグが立ったみたいだ!」 「ちょっと、まじめに聞きなさいよ。……。私、こなたの事、好きだった。どんな世界でもこなたとならうまくやれた。」 「うん、私も好きだよ。」 午前0時が過ぎ、携帯の電子音がそれを伝えた。 同時にかがみがきょろきょろとしだす。 「あら?こなた?あ、あれ?なんで私がここにいるんだっけ?」 「なんでもないよ。」 「え?あれ?この鏡ってご神体じゃいの。」 暴れるかがみをなんとか家に帰し、持ってきた新刊を渡すと、私も家に帰ることにした。 帰る途中、星が出ているのが見えた。 オリオンの足元のあたりに青白く輝くシリウス。そこまでは光の速さで8.6年かかる。 私は8.6年前の星を観測している。 今、シリウスがどのような状態になっているのか、それは観測するまでは不確定だ。 8.6年後にシリウスを見た時、私はどのようなシリウスの姿を見ることが出来るだろう。 人生は無限に広がる可能性の中にあり、観測するまで確立でしか予測はできない。 まるで人生は旅だ。 「かがみ、つかさの事は忘れないよ。」 私は夜道を帰っていった。 ~五部 つかさ~ 11月17日 いつもの様な朝を迎えると思っていた。 「つかさ?つかさ?ねえつかさなの?」 「ふぇ?お姉ちゃん?おはよ~~。」 「ああ、つかさ。会えた。やっと会えた。うあ~~ん……」 「あれ?お姉ちゃんどうしたの?泣かないで……」 突然泣いてしまったお姉ちゃん。 何も答えないまま私に抱きついてきて。 「お姉ちゃん、苦しいよ。変なお姉ちゃん。これじゃあ、私の立場とあべこべだよぉ。」 「う、う……。会いたかったよ……。祟りが解けたの?もう、なんでもいいや、う、ぐすん。」 私はそっと、お姉ちゃんをなでてあげた。 なんだか私まで泣けてきちゃう。どうしてだろう?すごく懐かしい感じがする。 涙が止まらないよ……。 ~六部 みゆき~ 私はこなたさんと一緒に、つかささんのお見舞いに来ていました。 つかささんは 三人姉妹の末っ子 で、いつもこなたさんと一緒に 三人で食事をする 仲です。 つかささんは、つかささんの家の神社の本堂の前に座っています。 なぜでしょう?つかささんは鏡を抱くように持っています。 つかささんはゆっくりと話し出しました。 「私にはね、かがみっていう双子のお姉ちゃんがいたの……。」 ・・・
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1007.html
こなた「ただいまー。あー、暑いね、今日は……」 そうじろう「おぅ、おかえりこなた。もうすぐアニメが始まるぞお!」 こなた「OK!わかってるって。まあ、その前にお茶だね」 グビグビ…… ――――― こなた「予告である程度予測できてたけど、やっぱり原作とストーリーが違って来たね~」 そうじろう「う~ん、そうだな。やっぱりオリジナルに沿ったストーリーの方が、違和感なく視られるよなぁ」 こなた「そう?未知のストーリーだから、逆にわくわくするけど~?」 そうじろう「そうか……、ところでゆーちゃんがまだ帰って来てないよな?」 こなた「そだね。どうしたんだろう……。まあとにかく夕食作っちゃお~」 ――――― こなた「お父さん、夕食出来たよ~」 そうじろう「今日も美味そうなチキンカレーだ!」 こなた「ゆーちゃんの分はとって置くからね~」 こなた/そうじろう「さて、いっただっきまーす!」 ――――― こなた「お風呂空いたよ~」 そうじろう「ん~、じゃあ入るかな……」 こなた「もう8時か……、どうしたんだだろうゆーちゃん……」 プ、プルルルルルル、プルルルルルル…… ガチャ こなた「はい泉ですけど~」 こなた「あ、岩崎さんの……。……はい、……はい、……いえ、みなみちゃんはうちには来ていませんけれど……」 こなた「……はい、……え?みなみちゃんがまだ帰らない?……はい、……実はゆー、いえ、小早川もまだ帰っていないんです」 こなた「…………わかりました、心当たりのある友人に電話してみます。……はい、……いえ、こちらこそ、では失礼します……」 ガチャ こなた「………………」 こなた「え!?これって二人が行方不明って言うこと!?」 こなた「みんなに電話してみたけど、いないのはゆーちゃんとみなみちゃんだけ……?それに、みんな二人がどこにいったか知らないし……」 そうじろう「とにかく、捜しに行くぞ!」 こなた「うん!」 ――――― そうじろう「こなた!」 こなた「お父さん、いた!?」 そうじろう「いや、いなかった。そっちは?」 こなた「こっちもダメ……」 かがみ「こなた!」 つかさ「こなちゃん!」 こなた「かがみ!?つかさ!?」 みゆき「私もいますよ!二人がいないって聞いて、黙ってなんかいられません!」 ひより「私もっスよ!」 パティ「トーゼン、私もデース!」 こなた「みんな……ありがとう!」 かがみ「ところでこなた、ゆたかちゃんのケータイに連絡したの?」 こなた「は!忘れてた!」 つかさ「こなちゃん!」 みゆき「みなみさんには掛かりませんでした……」 こなた「じゃあ、ゆーちゃんだけが頼りか……」 プルルルル…… こなた「ゆーちゃん……お願いだから出て……!!」 プルルルルルルル ガチャ こなた「繋がった! もしもし、ゆーちゃん!?」 ???「――――」 こなた「ゆーちゃん? おーい! 聞こえてるー!?」 ???「――――」 かがみ「どうしたの?」 こなた「それが……繋がってるんだけど応答が――」 ???「――けて」 こなた「――っ! ゆーちゃん!?」 ゆたか「――タス――ケテ」 ブツッ こなた「ゆーちゃん!? ゆーちゃん!!」 つかさ「こなちゃん、ゆたかちゃんは……」 こなた「……ダメだ、電話が切れた」 ひより「えぇ!?それじゃあ……!」 かがみ「誘拐の可能性も捨てきれないわね……」 パティ「ハンニンが気付いテ切ったってことデスネ?」 こなた「上手く聞き取れなかったけど……ゆーちゃんは間違いなく『助けて』って言ってた」 みゆき「これは……私達が想像していた以上に、事態は深刻かもしれませんね」 そうじろう「そ、そういえばこなた。GPSを使えばゆーちゃんのケータイがある場所がわかるんじゃないか?」 こなた「お父さん、ナイス!えっと……」 ピ、ピ こなた「……よし、出た。場所は……学校?」 かがみ「え!?」 つかさ「お姉ちゃん、どうしたの?」 かがみ「……そうよ……帰ってきてないじゃない……。どうして、早く気が付かなかったのよ……?」 みゆき「か、かがみさん?」 かがみ「学校に日下部と峰岸を向かわせたの!もしかしたら、二人も危ない目にあってるかも!!」 ななこは焼却炉の蓋を開け、足下の黒いゴミ袋をその中に放り込んだ。 「くはっ!さすがに2人分は堪えるわ」 2人分、2つのゴミ袋はいつも各クラスから運ばれる様な紙屑等ではなかった。 もっと重々しく、もっと生々しく、もっと禍々しく、そして最も狂々しいモノ。 ななこはポケットからライターと紙屑を取り出し、火を付ける。 「うわっち!」 すかさず炉に投げ込むと、火は袋に触れ、溶かし、次第に中の姿をあらわにした。 溶けて支えをなくした中身の一部がゴロリと炉を転がると、2つの赤い球が、ななこの視界に 飛び込み、ソレの頂点に携わるオレンジの束がまるで炎の川の様に炉の底を彩らせていた。 しかし、本物の炎がそれを払うのに時間はいらなかった。阿鼻叫喚の地獄絵図。 そう思えた現状に、今、声を出せるのはななこだけ。 焼け爛れる生徒を眺め、ななこは呟いた。 「骨の処理もせなあかんねんな…しんど。それにしてもうち、物まねの天才かも知れへんな こなたお姉ちゃん…助けて…そっくりやんw…くひひひひ…」 みさお「な、なあ……あやの……。聞いたか?あやの……、あやの……?」 あやの「……」 みさおがあやのの様子をそっと伺うと、まるで魂が抜けたように、瞬きもせず目の前の様子を眺める幼なじみがいた。 二人は裏庭に生える植木に隠れていた。 世界史の先生が口にするものは、漫画やアニメでは耳にしてもなんとも思わないだろうとは思えるものなのだが、 呟きの様な独り言の様な、或いは呪いの言葉の様なそれは、真の意味で使うその言葉は、二人を恐怖に突き落とし、足をすくませ震え上がらせるほど、恐ろしいものだった。 みさお「あやのぉ……、頼むよ。なんか言ってくれよぉおぉ……。黒井先生がさっきから焼却炉に入れてるもん。ありゃあ何なんだよ~」 あやのは表情も目線も動かさず、ただ口だけを動かして、低くうなる様に言った。 あやの「逃げよう……。それですぐに交番へ行くの……」 みさお「ほ、本当に、黒井先生が……」 あやの「だって、さっき黒井先生が使ってた携帯、きっと泉ちゃんの妹ちゃんのだよ。妹ちゃんの真似してたじゃない」 みさお「……」 黒井先生は燃え盛る炎を見つめ、驚喜の笑顔が淡く照らされている。 今がチャンスかも知れない。 あやの「さ、逃げよう。気付かれないように……」 あやのはみさおの手を握り、引いた。 しかし足がすくんでいたみさおは、足をうまく動かす事が叶わず、足がもつれて転んでしまった。 みさおの体が植木の細い枝に触れ、ガサリと大きな音をたてた。 ななこ「だれや!?」 みさおは地面にへばりつき、直ぐには起き上がれない。 その間にも、黒井先生は二人との距離をじわりじわりと縮めていた。 かがみ「急ぐわよ!みんなが危ないわ!」 こなた「どうか無事でいて。ゆーちゃん……っ」 ななこ「そこにいるのは誰や!?おとなしく出てくるなら悪いことはせぇへん!」 たった今、黒井先生の行為を見たのだ。こんな言葉、だれが信じられるだろう? だが、答えても答えなくても、絶望がすぐ目の前にまでやって来ていた。 ななこ「……だんまりか?まあええわ。それならここごと燃やしてまうから」 万事休すか……! そう思った瞬間だった。 カサッ ななこ「!」 ネコ「……ニャー」 みさお達のいた植木の間から、ネコが現れた。 そのネコはひとしきり黒井先生を見つめたあと、とことことどこかへ歩いていった。 ななこ「……なんやねん、ネコに怒鳴っとったなんて、ベタベタやん」 そのベタベタな出来事に二人は助けられたわけで。 黒井先生は、二人の方とは反対方向に歩いていった。 みさお(今だ、あやの。今のうち……) あやの(え、ええ……って、みさちゃん?) みさお(……た、立てねぇ……) どうやらみさおは腰が抜けてしまったようで、あやのがみさおをおぶって、学校から脱出した。 とにかく、交番へ言って今見たことを話さなければ…… / かがみ「日下部!峰岸!」 みさお「柊、それにお前ら……」 学校から出てすぐ、二人はみんなに合流した。 / ななこ「さてと……」 ガタン! ななこ「な、なんや? 焼却炉から音? まさかな――」 ???「ヴぅぅぅぅぅぅぅ……」 ななこ「な、なんや……冗談やろ?」 その時だった、焼却炉が爆発して中から炎の塊が出てきたのだ。 ななこ「うわっ!?」 ???「キィアァァァァァァァアァァッ!!!!!」 ななこ「ぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!」 / こなた「それって、本当なの……?」 みさお「あぁ……、あれは間違いないぜ……」 みさお達はこなた達に先ほどの出来事を話した。 こなた「そんな……ゆーちゃん……みなみちゃん……」 こなたは力が抜けてその場に崩れ落ちてしまった。 かがみ「こなた!?しっかりして!!」 崩れ落ちたこなたの身体を支える。 何度も身体を揺さ振るが、反応はない。ショックで気を失ってしまったようだ。 周りを見ると、そうじろうも同じく気を失っている。 そんな中、みゆきはポロポロと涙を流しながらも、しっかりと意識を保っていた。さすがは委員長だ。 みゆき「……学校へ、行きましょう……黒井先生から、話を聞かなければ……」 かがみ「ええ。つかさ、田村さん、パトリシアさん。アナタたちはこなたとそうじろうさんをお願い。峰岸は日下部をね」 かがみの言葉を聞いた四人は一斉に頷いた。 全員、今の自分が行っても足手まといになるとわかっていたからだ。 その場は四人に任せ、かがみとみゆきは学校へ駆け出した! / かがみ「校舎裏って言ってたわよね!」 みゆき「はい!」 二人はお互いに確認した後、校舎裏へ走っていく。 そこで二人が見たものは…… みゆきとかがみの目の前では、ななこがこの世とものとは思えない絶叫を上げていた。 高い校舎とグラウンドを挟んだ向こう側にで待っている他のメンバーには、多分この叫びは聞こえはしないだろう。 ななこの両手両足には、真っ赤に燃える四つの赤い炎がまとわりつき、その前には一メートルほどの黒い何かが宙に浮いていた。 ななこ「アァァァァァァァァァァァァァッ!アツイッ!もうやめてくれェェェエ!」 関西弁を忘れ、狂ったように叫ぶななこの様子を、二人には理解できない。 ななこの靴が全て焼け落ちると、その中からはもはや足とは呼ぶことの出来ないものが、炎の中から覗いた。 手も同じ様な有り様で、どちらが手でどちらが足なのかが、区別出来ないものになっていた。 「頼むからヤメテクレッ、ウッ……、岩崎ィ!」 岩崎。 その言葉でみゆきはハッとした。 ななこの目の前に浮かぶ黒い物が、人影の様に見えるではないか。 丁度、手足が無ければあのくらいの大きさなのではないか? そしてななこの手足に絡む炎、よく見ればあれは、主を無くした腕と足ではないか! そう、焼けただれ両手両足のないみなみの胴体は宙に浮きながら、燃え盛るみなみの腕と足をななこの手足に絡みつけているのだ。 みゆきはそれを理解すると、その場に崩れた。 かがみ「どうしたのよ!?みゆき?」 みゆき「ふふふ……、フハハハ……」 みゆき「はあぁぁぁぁぁぁっ!!」 みゆきは突然走りだし、何を思ったのか、かつて実の妹の様に可愛がっていたみなみだった物体に突進した。 みなみ「グゥウアゥオォエアァァッ!?」 かがみ「ちょ! みゆき!!」 みゆきはそのまま抱き着き、みなみを地面に押さえ付けると、笑顔でかがみに振り向き言った。 みゆき「かがみさん、後の事は任せます……」 その言葉にかがみは確信した。 かがみ「まさか……自爆する気!? ダメ……嫌よそんな――」 みゆき「誰かが終わらせなければいけません! これ以上、犠牲が出る前に……そしてそれは私にしか出来ないんです」 かがみ「ダメよ……みゆき!!」 みなみ「ウアォォアァァァッ!!」 みゆき「みなみさん……突然の死に、無念だったでしょうけど……もう大丈夫ですから……。あっちで三人仲良く過ごしましょう……」 かがみ「みゆきぃぃぃぃぃーっ!!」 みゆき「さようならかがみさん、短い間でしたが楽しかったですよ。皆さんにもよろしく伝えてくださいね♪」 みゆきは最後まで笑顔を崩さなかった……そして……。 カッ!! みゆきとみなみは小さな爆発音と共に、この世から消えてしまった……。 かがみ「いや……いやぁぁぁぁぁっ!!」 ななこ「あ……ぁ……」 かがみ「ひっく……」 どれだけの時間、涙を流していただろう。 親友の、突然の死。かがみは、それを簡単に受け容れられるような人間ではない。 ななこ「うぐ……ひ、柊……」 名前を呼ばれ、かがみは気が付いた。今はまだ、泣いている場合ではない。 こんな事態になってしまったのは、『この女』がゆたかとみなみを殺したことがそもそもの原因だ。 かがみ「ねえ……なんでゆたかちゃんと岩崎さんを殺したの……?」 『この女』はもう『先生』と呼ばれる資格などない。 そう思ったかがみは、あえて名前で呼ばないようにした。 その声は、それこそ悪霊と呼ぶにふさわしいほど、底冷えするような声だった。 / こなた「ゆーちゃん!!」 目を覚ましたこなたは、ものすごい勢いで上半身を起こした。 つかさ「あ、やっと起きたよ~」 あやの「大丈夫?泉ちゃん」 こなた「……夢じゃ……なかったのか……」 周りにいる面々を見回して、こなたはガックリと肩を落とした。 ゆたかとみなみが、死んだ。その事実を、どうやって家族に伝えてあげればいいのだろう? こなた「……あれ、かがみとみゆきさんは……?」 嫌な予感がした。 まさか、二人に加えて、かがみ達にもなにか…… かがみ「ここよ」 こなた「かがみ!」 こなた「かがみ、みゆきさんは?」 かがみ「……」 かがみはこなたから目をそらした。 こなた「どうしたの?かがみ……?」 かがみ「みんな……燃えてるわ……」 みさお「どういう事だよ?」 かがみ「だから、全部……燃えてるの……」 みさお「だからどういう事だよ!柊、こっちを向けよ!」 パリン どこからか、ガラスが割れるような音がした。 そこにいるかがみ以外の全員が、その音が聞こえた方向を見た。 校舎からだ。 校舎の窓の中から淡く赤い光が、ぼうっと灯っている。 パティ「It s conflagration!(火事だ!)」 校舎の一階の炎はすぐに火力を増していき、次々と窓を割ってはその度にパリンと音を発していく。 それはまるで鎮魂歌(レクイエム)の様な、悲しげな旋律を作っていた。 こなた「ねえ、かがみ!みゆきさんは!?みゆきさんはどうなったの!?」 かがみ「……黒井ななこが校舎に火を放った」 かがみの発する一言一言が、まるで人事の様で、台本に書かれたセリフをそのまま読んでいるかの様だ。 かがみ「みゆきはそれを止めようとして、死んでしまったのよ」 こなた「アッ……、アッ……、そんな!みゆきさんまでそんな!」 感情のたかぶったこなた以外の誰もが、明らかなかがみの演技を不審に思っていた。 またも気絶してしまったこなたを家に送り届けた帰り道。 つかさ「ねえ、お姉ちゃん。本当のコト、教えて」 かがみ「……やっぱり、普通は気付くわよね。こなた、そこに頭が回らないくらい混乱してたのね……」 空にぽっかり浮かぶ月を見上げ、消防車のサイレンをバックに、かがみは語り始めた。 かがみ「みゆきは……悪霊になった岩崎さんを救うために、自爆する道を選んだのよ」 つかさ「え……!?」 かがみ「私は二人を……いえ、三人を奪った『黒井ななこ』という人物を、ゆたかちゃん達と同じ目にあわせてきた。後悔はしてないわ」 抑揚のない、操り人形のような言葉。つかさは、見たこともない姉の姿に戦慄した。 つかさ「そ、それじゃあ……く、黒井先生はどうして……」 かがみは小さく息をはくと、ついにその質問に答えることはなかった。 そして自分たちの家に着き、扉に手を掛けた時―― かがみはようやく喋り始めた。 かがみ「つかさ。さっき私が言ったことは内緒よ」 つかさ「わ、わかってるよ……」 もとより、そんな恐ろしい出来事を話せるわけがなかった。 数日後、陵桜学園の火事による死者は四人と報道されていた。 火事は放火と見られており、犯人を特定中とのこと。 しかしそれ以降、放火の犯人である柊かがみが捕まることはなかった。 あの事件から数日後、柊かがみはそのまま行方をくらませてしまった。 …彼女が警察に発見されたのは数ヵ月後のことであり、焼け爛れた遺体として見つかったのだという。 あのあと…柊つかさは精神に異常をきたしてしまい病院で治療を受けることとなった。 日下部みさお、峰岸あやのは友人の死を知って数日間泣きはらしたという。 私の従姉である成実ゆいは自らの妹と飲み友達を喪い…暫く食事もまともに出来なかったようだ。 そして私の父…泉そうじろうは体調を崩し…そのまま還らぬ人となった。 そしていつしか時は流れ、この一連の事件のことも忘れ去られようとしている。 それは狂気に満ちていて、どこか哀しくもあって、私たちの心に今も深い傷を残しているのだ。 …柊つかさは姉の遺志を継いで弁護士となる道を選び、日下部みさおと峰岸あやのは大学へ進学した今でも柊かがみの墓参りだけは決して欠かしていないようだ。 …そして私は…埼玉県警に就職が決まった。 だが、同僚にこのことを話しても信じてくれるものはいない。 冗談はよせとか、アニメの見すぎとか言って誰も耳を傾けてくれない。 しかし、私が語るこの事件は全て、紛れもない真実なのだということを改めて認めていただきたい。 それが、失われた私の大切な人たちのためでもあるのだから。 最後に、この本を手にとってくれた読者に、この場を借りて感謝の意を表したいと思う。 『或る一日の惨事』 ―泉こなた 著
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/817.html
☆ご注意☆ 先にID MiYUGto0氏 「悪霊退散☆柊姉妹」およびID ljL1Yvo0氏 「サイバー☆ゆーちゃん」を読んでおくとわかりやすいかもしれません。(作者) こなた「今日の夜食は鶏の唐揚げ~、ラノベ作家は体力が命~♪唐揚げ食べて元気をつけよ~」 ガチャ こなた「……唐揚げが……減っとる……orz」 (ゆたかの部屋) ゆたか「う~、握力の調整が上手く行かないよぅ…」 こなた「ゆーちゃん、唐揚げ知らない?」 ゆたか「唐揚げ?食べてないけど…どうしたの?」 こなた「いや、冷蔵庫の中の唐揚げが減ってるから変だなと思って聞いただけなんだけど…」 (そうじろうの部屋) そうじろう「あ~か~い~あか~ぁい~♪赤い仮面の…」 こなた「ねえお父さん、唐揚げ知らない?」 そうじろう「唐揚げ?食ってないけど…」 こなた「むぅぅぅ…」 そうじろう「な、何だその目は!まさか疑ってるというのか!?お父さんは悲しいぞ~」 こなた「…わかった、わかったからとりあえず泣かないでよ」 (こなたの部屋) こなた「でも、今この家にはお父さんとゆーちゃんしかいないはず…」 カッチ コッチ カッチ コッチ こなた「…あれ?でも待てよ……だとしたらまさか……」 カッチ コッチ カッチ コッチ こなた「…って、唐揚げだけ盗んで帰る物好きもいないか…」 (台所) こなた「待てよ?ここに張り込んでいれば、きっと犯人が見つかる筈…」 ギィィィ こなた「って、冷蔵庫が勝手に開いて…あれ?うっすらとリザー…もとい人影が!」 かなた「あら、こなたじゃない」 こなた「…お母さん、何やってんの?」 かなた「ちょっと美味しそうな唐揚げがあるからつまみ食いしちゃった」 こなた(幽霊でも小腹空くんだ…) ガチャッ こなた「か、かがみ!?…何そのヘンな仮面は…」 かがみ「あんた、やっぱ悪霊じゃん。成仏が妥当だな」 かなた「やめてー!祓わないでー!」 こなた「アクメツ!?…誰かー!侵入者だよぅー!誰かー!」 ゆたか「こなたお姉ちゃんが危ない!」 そうじろう「かなたが危ない!」 つかさ「バル酢ー」 そうじろう「目がぁぁ~!」 こなた「なんかもうgdgdだよぅ、誰かー!!」 訳わからないままオワリ
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1215.html
──開始。 「ただいま~」 「お帰りなさい。遅かったわね」 「ちょっとゲマズに寄ってきたからね」 こなたの手には、マンガを詰め込んだ袋が握られていた。 「こなた。また、そんなに買ってきて。無駄遣いしちゃ駄目っていってるでしょ」 「お父さんに頼まれてたのもあったからね」 食卓には、夕食が並べられていた。 ごはんに味噌汁におかず。典型的な和食だ。 「そう君。ごはんよ~」 「ほーい」 そうじろうがやってきて、みんなで夕食。 そうじろうが、味噌汁に口をつけて、一瞬固まった。 「そう君、どうしたの?」 「いや、かなたの味噌汁はいつもうまいなぁ、ってな」 こなたは、そうじろうの目に涙が浮かびそうになっているのに気づいたが、あえて何もいわなかった。 「変なそう君」 夕餉は続く。 「そこで、かがみんがさ……」 こなたが高校であったことを話したり、そうじろうと一緒にアニメの話でもりあがったり。 その様子をかなたはにこにこしながら見ている。 ──残り1時間。 夕食が終わり、かなたは食器洗いに取りかかった。 一方、こなたたちは、 「お父さん、格ゲーやろう」 「おう」 二人そろって、仲良くゲームに興じる。 食器洗いを終えたかなたが、ゲームに興じる二人の後ろに立った。 「こなた。勉強しなくてもいいの? もうすぐテストでしょ」 「一夜漬けでなんとかなるから、いいんだよ。お母さんもゲームしようよ」 「9時までよ。9時になったら、ちゃんと勉強しなさい」 「え~、やだよぉ」 「こなた。お母さんのいうこともちゃんと聞いた方がいいぞ」 「うう~、お父さんまで……」 こなたは、しぶしぶかなたの言葉に従った。 ──残り30分。 「えい、えい」 両手で握ったコントローラーを振り回してるいるかなたの姿は、実年齢よりも幼く見えた。 そんなかなたを、そうじろうは目を細めて眺めている。 ゲームの方は、プロゲーマー並のこなたにかなうはずもなく、かなたの連戦連敗だ。 こなたは、部屋の時計をちらっと見た。 8時55分。 ──残り5分。 こなたは、ゲームの手を休めた。 「ねぇ、お母さん」 「なぁに?」 「前から聞きたかったんだけど、お母さんはなんでお父さんと結婚したの? どっから見ても、ダメ親父じゃん」 「こなた、お父さんは悲しいぞ」 「そうね。そう君はこんなだけど、でも……でも、私のことを世界で一番愛してくれるから」 「かなたぁー!」 そうじろうが感激のあまりかなたに抱きついた。 「もう、そう君ったら」 ──残り1分。 まもなくシンデラの魔法が解ける。 こなたは、目をつぶった。 そうじろうが、かなたにありったけの愛の言葉を叫んでいた。まるで、まもなく今生の別れだとでもいうように。 ──10、9、8、7、6、5、4……。 かなたは、そうじろうの尋常ではない様子に戸惑っていた。 ──3、2、1、終了。 暗転── こなたは、ゆっくりと目を開いた。 電極コードがたくさんつながっているヘルメットのようなものを外して、リクライニングチェアのような椅子から上半身を起こす。 現状を再認識する。 自分は、まもなく三十路を終えようとしている独身女。断じて、高校生ではない。 そして、隣を見れば、いくつになってもオタクな父親が、こなたと同じくヘルメットを外していた。 スーパーリアルシミュレーションシステム、略称SRSS。 人間の脳に五感を完全再現するシミュレーション装置だ。 主な需要は、政府や自治体である。 自衛隊が実戦と同等の状況を再現して隊員の訓練に用いていたし、政府高官も危機管理演習に用いていた。市町村の消防隊では、火災状況などを再現して、消火やレスキューの訓練に用いている。 使い方によっては精神病の治療にも有効で、精神病専門の病院にも設置されていた。 ただし、危険な側面もある。 死ぬほどの激痛を脳に再現してやれば、実際にショック死してしまう可能性はきわめて高い。また、仮想世界で飽食してても現実世界では何も食べてないわけで、満腹感で満たしつつ餓死させるといったことも可能だ。 実際、かなり慎重に運用しているはずの自衛隊でも、2、3年に一人ぐらい訓練中の殉職者を出していた。 また、あまりにも多用しすぎると中毒症状を起こすこともある。仮想世界にひたりきって、現実世界に適応できなくなってしまうのだ。 そのため、SRSSの製造、販売、所有、使用には、法的規制がある。特に、民間で用いる場合には、再現する内容には多くの禁止事項が定められおり、使用者は必ず事前に適性検査を受けることになっていた。 とはいえ、規制されればそれをかいくぐろうとする者も当然出てくる。暴力団によるSRSSの違法な製造・所有がはびこっており、警察とのいたちごっこが続いていた。暴力団がSRSSで提供する主なコンテンツは、性風俗だ。生身の人間を用意する必要もなく荒稼ぎできるのだから、暴力団としては笑いが止まらないだろう。 しかし、この手のコンテンツは中毒性が高いため、法律で全面的に禁止されている。 こなたたちが体験したのは、秋葉原のゲームセンターにあるSRSSだった。 1回、2、3時間のゲームで、100万円。大人の遊びというレベルを超えている高級ゲームだった。 「どうだった、お父さん?」 「うーん、やっぱ、違和感あったかな」 「あのお母さんは、お父さんの記憶をもとに再現したはずなんだけどね」 「俺の中のかなたは、あのときのまま止まってるからな。あれから歳をとったかなたというのは、想像もできないよ」 「そんなもんかね」 二人ともさばさばしたものだった。 二人は、SRSSへの適性は極めて高かった。仮想と現実の区別がきっちりつくということだ。 そうでなければ、ディープなオタクを長年続けることなど不可能だ。仮想と現実の区別がつかなくなったオタクがどのような末路をたどっていったかという実例を、二人はあまりにも多く知っていた。 電車で帰路につく。 あの仮想世界とは時差があって、自宅についたときには、まだ夕方だった。 今日の夕食当番は、こなただ。 ごはんと味噌汁。おかずは少なめだった。 仮想世界で食事をしたせいで、あまり空腹を感じてなかったから。 そうじろうが、味噌汁に口をつけて、一瞬固まった。 こなたがニヤリと笑う。 「どう?」 「ああ、完璧だ。完璧にかなたの味だよ、これは」 「よかった。再現度でコンピューターに負けるわけにはいかないからね」 少ない夕食はすぐに終わった。 「お父さん、格ゲーやろう」 「おう」 二人そろって、仲良くゲームに興じる。 それをとがめる者は誰もいない。 二人にとって、それこそが揺るがない現実であった。
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/17.html
未完結の作品 感動系統 鬱・悲劇系統 お笑い・ネタ・ほのぼの・その他系統 その他系統
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1383.html
「ねえねえ、みゆきさん。最近かがみの行動が目に余ると思わない?」 「かがみさんの行動、ですか?」 「そう。昨日の勉強会の時なんかみゆきさんの胸を揉みしだいてたじゃん?変態まるだしってカンジで」 「あれはかがみさん流の挨拶というか、軽い冗談ではないのですか?」 「いや、絶対違うヨ。あの時のかがみの目はケダモノの目だったからネ」 「そうだったのですか。だとしたら、少々困りものですね」 「つかさはどう思う?」 「う~ん……たしかに家では私にべったりだけど、小さい頃からそうだったから……よくわかんないや」 「そうなんだ」 「こなちゃんはどう思ってるの?」 「むー……仲良くしてくれるのは嬉しいんだけどサ、スキンシップがちょっと過剰だよね」 「カジョー?どういうこと?」 「ほら、いつもキスさせろとかなんとか言いながらいろんなところ触ってきたりするじゃん?ね、みゆきさん」 「はい。とてもかがみさんらしい行動だと思いますが」 「そうなんだけどさ、やっぱり人前でってのはやめてほしいんだよね」 「そういえば、最近はところかまわずってカンジだよね」 「でしょ?だからさ、これ以上調子に乗る前に懲らしめておいた方がいいと思うんだ」 「懲らしめる?お姉ちゃんを?」 「うん。ちょっとここらで反省してもらわなきゃダメだと思うんだ」 「しかし、どうやって懲らしめるつもりなんですか?」 「う~ん……問題はそれなんだけど……つかさ、かがみが怖がるような何かって知らない?」 「急にそんなこと言われても、思いつかないよ~」 「そっか。困ったなぁ……どうしたらいいと思う、みゆきさん?」 「悩んでも仕方ありませんし、いっそのこと本人に聞いてみてはどうですか?」 ☆ 「かがみ、ちょっといいかな?」 「んー?どうしたの、こなた?情熱的なキスでもしにきてくれたの?」 「いや、そうじゃなくって、聞きたいことがあるんだけど」 「今日の晩なら空いてるわよ?遠慮せずにいつでも私のベッドにくるといいわ」 「いや、そうでもなくて……かがみってさ、なんか怖いものってある?」 「私の怖いもの?それを聞いてどうするつもりなのよ」 「べ、別になにもしないよ」 「ふーん……ま、いいわ。そうねぇ、私の怖いものっていったら、小さい女の子かしらね。小さい上に可愛いかったりしたら、なお怖いわ」 「へ?そうなの?」 「ええ。そんな子が隣にいるって想像するだけで気分が悪くなって倒れてしまいそうになるわね」 「でも、私だってちっちゃいじゃん」 「それはつまり、怖くないギリギリのラインがあんたなのよ。あんたより小さい子だなんて……ああ、怖い怖い。ちょっと保健室にでも行こうかしら」 「へぇー。ふーん。そーなんだー」 「教えてあげたんだから舌ぐらい入れさせなさいよね」 「嫌だよ。なんでキスすることが前提になってるのさ」 ☆ 「おーっす、こなた。遊びに来たわよー」 「こなちゃん、おはよー」 「泉さん、おはようございます」 「やふー。みんなよく来たね、さ、あがってあがって」 「おじゃましまーす」 「さあさあ、私の部屋へどうぞ。ほら、かがみ、早く早く」 「わかったからそう急かすなって」 「あ、そうだ。飲み物とお菓子を持ってこなきゃ。悪いけど、つかさにみゆきさん、手伝ってくれるかな?」 「うん。いいよー」 「はい。わかりました」 「私も手伝おうか?」 「あー、大丈夫。かがみは座ってくつろいでてくれてたらいいから」 「そう?じゃあ、お言葉に甘えようかしら」 「これで泉さんの計画どおり、かがみさんを部屋に独りにすることができましたね」 「こなちゃん、これからどうするの?」 「ふっふっふ。かがみが怖がるあるモノを投入するのだよ」 ☆ 「ひ、柊先輩、おはようございますっ!失礼しますっ!」 「うわっ!?……ゆ、ゆたかちゃん?急に抱きついてきたりしてどうしたの?」 「す、すみません。でも、こうしろってこなたお姉ちゃんに言われたものですから」 「ふーん……なるほどね」 「ほ、本当にすみません」 「……ああ、困ったわね、どうしようかしら。小さくて可愛い女の子がこんなに近くにいるわ。こんな怖いことがあっていいのかしら」 「ひ、柊先輩?」 「ああ、怖い怖い。もしゆたかちゃんを自由にしてしまったらどうなるかわかったもんじゃないわ。だから強く抱きしめておかないと」 「く、苦しいです、先輩」 「ああ、怖い怖い。そんな可愛い声、聞いているだけで気が狂ってしまいそうだわ。だから唇を封じておかないと」 「せ、せんぱ……んむっ……ぷはっ……」 「ああ、怖い怖い。この胸の膨らみの無さが私の不安を加速させ、怖くてたまらなくなるわ。だから目に映らないように手で隠さないと」 「あっ……先輩、そこはっ……んっ……」 「ああ、怖い怖い。――(さすがに自主規制)――だわ。――(やっぱり自主規制)――しないといけないわね」 「ちょおっと待ったぁー!!そこまでっ!さすがにそこまででストップだよ、かがみっ!」 「ちっ、いいところで……何しにきたのよ、こなた?」 「ゆーちゃんを助けに来たんだよ。あの時、小さくて可愛らしい女の子が怖いだなんて言ってたけど……私を騙したんだね、かがみ」 「あ、バレちゃった」 「そりゃ、バレるよ。すごく嬉しそうだったもん……ねえ、かがみ、せめて最後に本当に怖い物がなんなのか教えてほしいんだけど?」 「そうね……やっぱり私はこなたが怖いわ」 「ふぇ?……アッー!!」
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/184.html
今日も無事全ての授業が終了した。 「んー!やっと終わた~」と、伸びをするなた。 そして、すかさず現れる紫髪双尾のお姉ちゃん 「よっ。帰ろう~」柊かがみ。 「やあやあ揃いましたな。さて、本日のこれからの予定なのですが、またカラオケというのは如何でしょう?」 こなたは鞄からカラオケ屋のタダ券を取り出した。 「お父さんに貰ってね。各々、返答はいかに!?」 「またぁ?…ん~、まぁ良いわよ?特に予定とかないしね、ね、つかさ」 「…」 返事がない。まるで(ry 「つかさ?」かがみが覗き込むが 「私、いかない…」その顔、鬼の如く憤怒に満ちていた。 「私、こなちゃんなんかとは絶対いかない!」 そう言ってつかさは教室から出ていってしまった。 「あっ、つかさ…、あんた、ちゃんと謝ったの!?」 「…ま…だ…」 あの日、あの時、あの場所で、こなたが邪魔をしなければ つかさはずっといつまでも…後の歌忘れた。 「もう!はい!これ!早く電話して謝る!」かがみは自分の携帯を取り出し、こなたに促した。 「う…うん」チュルルルル…チュルルルル…ガチャ 『あ、お姉ちゃん?』 「つ、つかさ?あたし、こな」 ガチャ…ツーツーツー。 「かがみん…」 「もう!貸して!……何?繋がらないじゃない?圏外?…着信…拒否?」 ツーツーツー 「もう、こなちゃんの事なんか知らないんだから。いっつも私の邪魔ばかりしてさ!こなちゃんのくせにこなちゃんのくせにこなちゃんのくせに!」 ピッ!叩くようにつかさは電源ボタンを押した。 「どうしよう…拒否にしたらお姉ちゃんと連絡できないや…。そうだ、メールで…う~ん…これで…よし!」 送信→→→受信、ピロリロリん♪ 一方、まだ教室内のこなかが。 「あ、メール…つかさからだ…何何?」 「え?つかさから?何だって?」身を乗り出して覗き見るこなた。 「ちょ!こら、覗くな!!」「…何これ?暗号?全部絵文字じゃん…」 文字、ではなく絵の羅列、それはすでに言葉ではなかった。まさに暗号。 「うわぁ~、凄い怒ってるわ、つかさ。あんた、かなりヤバイわよ」「読めるんだ…かがみん…」 つかさメールの解読、かがみに備わった特殊能力であった。 「とりあえずつかさは家に帰るって。あと二人でカラオケ行ってって…」 「んじゃ、カラオケ、行きますか」「馬鹿!つかさに謝るの!はっきり言ってあんたの立ち位置微妙よ?最悪仲直りできないかもね」 「え゛?そんなに怒ってるの?」「爆発寸前よ!」 かがみは再びつかさに電話したが、つかさがそれに出ることはなかった。 下駄箱につかさの靴はなかった。 「かがみ…あたし、走って探してくるよ…」 こなたの顔がいつになく険しい。 「走ってって…私はどうするのよ?」 「一人でカラオケとか…嘘嘘ごめん。つかさ怒らせちゃったのあたしだしさ かがみは先に帰っててよ…見付かったら連絡するから…」 こなたの顔は少し青ざめていた。 「馬鹿、私もいくわよ、あんたの足には敵わないかもしれないけどね」 「…うん、ごめん、かがみ」「私に謝らないでよ」 二人はダッシュで学校を後にした。 流石こなた、かがみとの差は歴然であった。 快速を続けるこなたと息切れのかがみ、まるで別の生物であった。 「あれ?…ちょ、かがみ」と、遠くのかがみに合図を送るこなた。 「はぁ…はぁ…」かがみは息をするのもやっと、それを受け取れど返せなかった。 こなたの指差す先には、黄色いリボンがひょこひょことうごめいていた。 それがある店に入って行く。 「かがみ、つかさ、ゲーセンに入って行ったよ?」 ようやくこなたに追い付いたかがみ。 「ゲ、ゲーゼン?」 尾行を開始する二人。 つかさはある対戦格ゲーの匡体の前にいた。それにお金を入れるつかさ。 荒々しい技で相手を痛めつけていく、のかと思いや、パターンが読まれ、あっさりKO。 バン!とコントロラーに手を叩き付け、つかさはその場を後にした。 つかさの次なる標的はパンチングマシーン。 人気アニメ「がんばれ元気」仕様で、若者に大人気の台だった。 チャリンと小銭が吸い込まれていく。 殴るやつがひょこっと起き上がり、渾身の力で殴りかかるつかさ。 起きては殴り、起きては殴りの繰り返し…全身全霊を込めた重撃の評価は…平均以下、下の下だった。 はぁ、と息を漏らすつかさ。籠の鞄を持とうとすると、傍らに見知らぬ少年が立っていた。 髪を染め、顔のいたる所ピアスをつけた少年。 少年はつかさの肩に手をかけ、そっとつかさの唇を奪ってしまった。 つかさも嫌がるそぶりを見せず、両手を少年の首に回している。 「ちょっとあんたぁ!!」堪えきれず、かがみが飛び出して行った。 「何やってんのよ!?あんた達!つかさ!あんたね!…あ、あれ?」 二人を引き裂いて初めて気が付いた。 この子、つかさじゃない… 「ごごごごごごめんなさい!」 顔を真っ赤にして謝るかがみ。 けっ!てな感じでつかさ風の女の子と少年は去っていった。 「…こぉなぁたぁ…どう言う事よ…」 「あ、ははははは…人違いだったみたいだね…あははははは」 「もう、大恥かいちゃったじゃない!」 足早にゲーゼンを出た二人。 「いやはや、まさか偽つかさがいたとはね…すびばせんでした」 「まったく!…あ」 出た先でかがみはある視線に気が付いた。 隣の書店の袋を抱えた女の子がこっちを見ている。 「お姉ちゃん?…あっ…」視線を反らす女の子。 この声、この顔。間違いない。 「つかさぁ、良かったぁ、見付かって…。探したんだよ?」 ぐわし!と、つかさの肩を抱くかがみ。 「え?カラオケ行ったんじゃないの…?」 「つかさ置いて行くわけないでしょ!?それに」 突き刺さるかがみの視線。 言葉はないが、電波は伝わる。 『コナタ ツカサ ニ アヤマレ』受信完了。 こなたはつかさに歩み寄るが、つかさの視線は下にあった。 「つかさ…」つかさは答えない。 「つかさ、あの時はごめん。調子に乗りすぎたよ。 あたしすぐ暴走しちゃうからさ…あの時もつかさを応援してたつもりだったんだけど なんか、自分の事しか考えてなかった…かも…ごめん。て、いつもだよね。…ごめん、つかさ」 無言のつかさ。 「こいつも悪気があったわけじゃないんだし…つかさ、許してあげてよ」 かがみの助け船。 「…」変わらず無言、でも表情が次第に変わっていく。 「うん…うん!その変わり…」 ついに和解。その変わり、つかさはある条件を出してきた。 これからみんなでカラオケに行く事+こなた自重しる。 「よぉし。今日は宇宙刑事ギャバン、歌っちゃうぞ~」 「あはははは…はは(こなちゃん…わかってくれたのかな…)」 ー繋がった?心ー完ー
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/32.html
その日、昼下がりにうたた寝したつかさの夢の中で、女神(なぜかみゆきの姿)は淡々と告げたのだった。 「つかささんの余命は、常人の数百倍の早さでどんどん減っていて、もう残りわずかしかないのです」 「ど、どうして? 女神さん、教えて! 何が原因で私の余命が減るの!?」 「こなたさんとかがみさんのボケとツッコミが成立するたびに、つかささんの余命は減ってしまうのですよ~」 「…………」 学校の廊下を歩いているこなたとかがみ。 「かがみんは、デジキャラットのうさだに似てるよネ」 「そ、そう?……雰囲気とか、紫ツインテールとか?」 「ウサギつながりだよ。かがみんは、寂しんぼさんのウサギだし」 「そんなんで似てる扱いなら、アンタのゆるさはデジコだろ!」 言いつつかがみが教室の扉を開こうとした途端、まるでガス爆発でも起きたように扉が吹っ飛ぶ。 「うひゃああッ!?」 二人は驚いて後ろに転倒する。転倒しながらも、片脚を高く蹴り上げたつかさが飛び出してくるのを確かに見た。 「なななな、なになにっ!?」 散乱する扉の破片。回転しながら着地するつかさ。リノリウムの床から靴底の焦げる匂いが立ちのぼる中、ゆらり、とつかさが佇立する。 「つ……つかさ?」 呆然としたかがみが、怖ず怖ずと最愛の妹の名前を呼んだ。それを受けて微笑むはずのつかさの顔は不自然なほど陰になって、双眸の位置にぎらついた光が燈っていた。 さすがのこなたも何かおかしいと気付いて、シリアスな顔でつぶやくが、 「おお!?……なにこの、穏やかな心を持ちながら怒りで目覚めたっぽい殺意の波動?」 「他人事のようにネタ混ぜた解説してる場合かっ!」 すかさずかがみが叫ぶ。 ゴゴゴゴ、という圧迫音を背負いながら、つかさは弱々しく、こふっ、と咳をする。 ぱたぱたっ、と粘性の高い血が、彼女の小さな口から飛び散った。 ぎり、と歯を噛み締めながらつかさは、喉の奥で何かをつぶやいた。 「つ、つかさ?……もしかして、死兆星が見えてる? 症状がトキに似ているよ」 「なんでアンタは、いまどきの高校生には分からない例えをするかなっ!?……てか、つかさってば、どうしたのっ? つかさっ? つかさ!!」 終
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/269.html
「つかさ~アンタまだ、 遊〇王なんてやってるの?いい加減卒業しなさい。」 「ムウ…お姉ちゃんだって 沢山カードみたいなの 持ってるよね??」 「ハァ?何のカードよ?」 「こなちゃんの写真ww いい加減破ってもいい?」 「ダメ!!スク水こなたは激レアカードなんだから! あぁっ!!メイド服は 神のカードなのよ!?」 「こいつ、人間としての LP0だわ‥‥‥‥」 か「オイ、ジィさん!! そのパンチラこなたを このトランク全部の みwikiのカードと 交換してくれないか!!」 そ「ほっほっ、ダメ~!」 か「ちぃ、このジジイ このカードの価値を 分かっていやがる!! …私でも当然みwikiなんかと交換しない‥‥‥。」 か「ねぇ、ゆたかちゃん。そのカードよく見せて くれないかな?」 ゆ「やだwwお前に渡したらカラーコピーしたのに すり替えられる。」
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/244.html
秋葉原って広いな……こなたお姉ちゃんのバイト先に行こうと思ったら…… 迷子になっちゃった…… お姉ちゃんの地図全然わからないよ……もっとしっかり描いてほしいな。 ダメダメ!私がしっかりしなくちゃ!一人で行かなきゃ!子供じゃないんだからね。 秋葉原の町並みはすごい。あちこちにこなたお姉ちゃんの読むようなマンガのキャラが描いてある。中にはちょっと恥ずかしいのも混じってるけど…… いろんな意味で目移りする町を歩いてもう一時間。さっぱりバイト先はわからない……電話はバイト中のこなたお姉ちゃんに迷惑だし、自力で探さなきゃ。 ……道を聞くのは自力の内に入るよね? 「あの……すいません……」 近くにいたちょっと太ったおじさんに声をかけてみた。 これがいけなかった。 声をかけた中年のおじさんの目が、私を見た途端に変わった。 分厚い眼鏡のレンズの奥の双眼が見開かれた。半開きの口は口角をつり上げ不敵ににやついている。 「あ……ごめんなさい……」 逃げろ。私の中の本能がビシビシ告げてくる。 危険だ。 一歩足を引いたその時だった。 私の右手首を男の油ぎった手が掴んだ。 伝える対応が、近づく顔から発する吐息が野獣のような目が、すべてが気持ち悪い。 「離してっ!」 鞄を振り回して必死に抵抗しても私と男の力の差は埋まらない。 !、男に鞄が当たった。男が怯んで力が緩まった。 袖を引かれてジャケットの袖が肩からもげた。でも逃げられた…… 私の心臓は酷使されて悲鳴を上げている。わき腹や肺も限界に近い。 でも、逃げきれた。 なんとかたどり着いた駅のトイレでおもいっきり吐く。もうあんな経験はしたくない。 トイレの個室の鍵を閉めてガタガタ震えることしか出来ない…… 私は弱い。足が震えて立ち上がれない。子供じゃない?これじゃ子供と一緒じゃない。 震える手で携帯を握り、電話帳を開いて最初に表示された番号に電話をかけた。 ただ、不安でしょうがなかったから。情けない自分を叱って欲しかったから。 みなみちゃんにかけるはずだった電話は田村さんの番号につながってしまった。 みなみちゃんに心配かけたくないからって田村さんにかけるなんてひどいな……私。 『どうしたの-?』 電話から田村さんの明るいけど落ち着いた声が聞こえた。 「ねえ、田村さんってなんで私達に近づくの?マンガのネタになるから?」 最低だ。やつあたりでしかない。しかも友達への言葉の暴力。最低だ。 でも、私の口は止まらない。 「私達をマンガのネタとしてしか見てないの?」 言ってしまった。 最も言ってはいけない単語を。 田村さんは応えない。 沈黙が個室に広がる。携帯からは田村さんの声はなく、ゲームのBGMが遠く聞こえるだけだった。 『………なんかヤなことあったの?』 悲嘆の台詞でもなく、弁明でもなく、ただ私を気づかう言葉だった。 「……ひっぐ……」 私の目からは涙が溢れていた。こらえることもできずに頬を伝ってスカートの上にぽつぽつと落ちる。 『ヤなことがあった時は信頼できる人に相談しようよ?私で良かったらいつでも相手になるからね』 ありきたりな台詞が深く染み渡る。ありきたりだからこそ、心に染み込む。 一人じゃないことを思い出せた。 ありがとう。田村さん。 明日から、いや今からはひよりちゃんと呼ぼう。いつまでも名字で呼ぶのはおかしいよね。 『おはよう、ひよりちゃん!』 おしまい