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巨大ゆっくりの饗宴(前編)の続き 『うぅ~?!』 「ん~・・・改めて見ると本当に不細工ねぇ?」 目を覚ました、というよりも彼女が去ったのを確認してから動いた私の目の前には巨大なれみりゃザウルス。 聞くところによればティガれみりゃというらしい、が私の結界を壊そうと必死に腕を振り回していた。 もちろん、この結界が饅頭風情の惰弱な攻撃でどうにかなるはずもない。 『う゛~~~~~!おぜうさまはぶざいぐじゃないど~!!』 「そうなの、それはごめんなさい。今度から醜悪な豚まんと呼ぶわ」 『でびりゃは・・・ぶだばんじゃないんだど~~~~~~~!!?』 どうしてこうも安い挑発に簡単に乗るのかしら? 涙目になりながらも執拗に右手に握られた扇の先に展開されている結界にパンチだか引っかきだかを繰り出している。 何度も何度も結界を殴り続けているうちに気がつけばティガれみりゃの手はボロボロになっていた。 『う゛、う゛~・・・でびりゃのえれがんとのおででがいだいどぉ~・・・』 「あら、本当にボロボロね?まるで野生の豚みたいだわ」 『ぶだっでいうな゛~~~~~~!?』 再び始まる猛攻。といっても、一撃たりとも結界を破って私に届くことはないのだけれど。 それでもボロボロになった両手から肉汁や中身を撒き散らしながら、延々と腕を振り回す。 ゆっくりにしては見上げた闘志かもしれない。 『う゛~!でびぃはもう゛ぶださんはいや゛なんだどぉ~!!?』 「・・・・・・“もう”?」 『どうぢであだらないんだどぉ~!?う゛~~~~~~!!』 なるほど。彼女を突き動かしているのは私に対する怒りでも、おぜう様としての矜持でもないらしい。 とめどなく双眸から溢れ出す涙と、本人は自覚さえしていないであろう、肉汁の混じった涎。 力みすぎたせいで口内を噛んでしまったにもかかわらず、そのことに気付いていない。 『う゛う゛う゛~~~~~~~~~~~~~っ!!?』 「れみりゃ、もうお止めなさい」 『うあ゛~~~~!いだい゛いだいはいや゛なんだどぉ~~~~!?』 恐怖のあまりにティガれみりゃは錯乱状態に陥ってしまっていた。 彼女の視界には私も、私の後ろで傷を癒しているドスまりさも映っていないのだろう。 今、彼女の見ているものは、脳裏に焼きついた恐怖。 「・・・仕方ないわね」 話を聞ける状態にないティガれみりゃにため息をつきつつ右手を下ろし、代わりに左手を突き出す。 しかし、れみりゃは私の動作に気付くことなく巨大な腕を私にめがけて振り下ろした。 警戒心がない、というよりも警戒する余裕すらないと言うべきだろうか。 守りの構えから反撃の構えに転じたことも知らずに、私めがけて渾身の一撃が放った。 『うあ゛ーーーーーーーっ!!』 「四重結界」 その一撃を受け止めるべく、再び結界を展開する。 さっきまでの結界とは比較にならない強度に加え、接触した相手に破壊をもたらす結界を。 高速で回転する4枚の薄い光の壁は思い切り良く突っ込んできたれみりゃの腕を瞬く間ずたずたに引き裂く。 そして、彼女が異常に気付いたころには右手をごっそりと失っていた。 『う゛・・・う゛あ゛・・・れ、れびりゃのおででがーーーーー!?』 「参ったわ、これはこれで話になりそうにない・・・」 仕方がない、そう心の中で呟いてかられみりゃの大きな顔の前まで飛んで行き、彼女に話しかける。 錯乱しているせいで全くと言っていいほど会話にならなかったが、スキマから取り出した標識で2,3発叩いたら落ち着いた。 『う゛ー・・・れみりゃはぶだざんななんがじゃ・・・』 「分かったわ。ごめんなさいね、豚なんて言って」 『うぅ?』 突然の態度の変化に少し戸惑うティガれみりゃ。 少しの間、不思議なものを見るような目で首をかしげながら私を見ていたかと思うと、急に満面の笑みを浮かべる。 何となく、にぱぁ~♪という効果音と後光が見えたような気がしなくもないが、多分気のせいだろう。 『わかればいいんだどぉ~♪』 「ところで、エレガントなおぜう様に訊きたいのだけれど・・・」 『なんだどぉ~?』 ようやく機嫌を直したれみりゃは重そうな顔に両手を添えてお尻を振りながら私を見つめている。 どうやら褒められたのが相当嬉しかったらしく、照れて顔が真っ赤になっている。 恐らく、育った場所で罵られ酷い目に遭うばかりで、褒められることに慣れていなかったのだろう。 「貴女達の主人について教えてもらえないかしら?」 『う~・・・おねえさんはいいひとだけど、それはむりなんだどぉ~・・・』 「どうして?」 出来るだけ警戒されないように笑顔を絶やさずに、そう尋ねた。 両手は腰の高さまで下ろされ、手のひらをれみりゃに向けて、ペットに対して「さあ、おいで」と言う時のような格好をしている。 もちろん、スキマを出すこともせずに霊力や妖力も抑えて、可能な限り無防備を装った。 『だって・・・そんなこといったら、ゆっくりできないんだどぉ~・・・』 「あら?そんなこと気にしなくてもいいのに」 『い、いやだどぉ・・・お、おぢおぎは、ずごぐごわいんだどぉ・・・』 目に見えて怯えるティガれみりゃの体はぶるぶると震えている。 いささか鬱陶しい顔立ちのナマモノとは言え、同情を誘うには十分すぎる仕草だろう、このサイズでなければ。 「大丈夫よ、私が守ってあげるわ」 『うぅ?・・・ほんとうに?』 「ええ、本当よ。それに、私の知り合いには私よりも強い人だっているわ」 だから、あなたは何も恐れなくて良いのよ? すっ、とれみりゃの額に手の届く距離まで近寄った私はそう囁くと、彼女の頬を撫でる。 泣きじゃくっていたせいで少し脂っこいが、弾力があってさわり心地は決して悪くなかった。 『うぅ・・・だっだら、おしえてあげるどぉ~♪』 「ふふ、ありがとう」 『へんなおにーさんたちだどぅ~♪』 「・・・・・・飛光虫ネスト」 それじゃ何の役にも立たないでしょうが。 そんなツッコミより早く、私は彼女の巨体めがけて無数の未確認飛行物体を射出していた。 まったく、何のためにこんな肉まんに優しくしたのかわかったものじゃない。 『うぎゃーーーー!?なにずるんだどーーー!?』 私の背後に連続して出現する無数のスキマから、何発も何発も謎の飛行物体が放たれ、ティガれみりゃの巨体を穿つ。 まずは動きを封じるために脚を。ついでに不可抗力で尾を穴だらけにしてゆく。 やがて、自重を支えられなくなった脚は崩れ、支えを失った胴体は地へと沈んだ。 『やべるんだどーーーー!でびりゃは、やざじいおねーざんがずぎだどぉおーーー!?』 もはや歩くことも敵わないほどにボロボロで、もはや健常な四肢は左手しか残っていない有様。 それでもティガれみりゃ身をよじり、両腕をばたつかせて飛行虫の大群から逃れようと必死にもがく。 しかし、その抵抗は何の意味もなさなかった。 『う゛ぅ・・・ほどぢで・・・』 やがて、その胴体すらも蜂の巣にされてしまったティガれみりゃは顔だけになっていた。 それでもここが本体のようなものである彼女は決して死なない。 しかし、今の彼女に自力でこの状況を打開する手段は残されておらず、もはやただ大きいだけの肉まん。 「ふぅ・・・まりさ?」 『なあに、お姉さん?』 一仕事終えた私は、私がティガれみりゃの相手をしている間に傷の大半を癒したドスまりさに声をかける。 その声に反応した彼女は急いで傍までぼいんぼいんと跳ねて来ると、場違いな気の抜けた笑みを浮かべた。 「れみりゃはもう大丈夫・・・ゆっかりん達を探しにいくわよ」 『ゆっくり理解したよ!』 私とドスまりさは木々を掻き分けながら、何か大きな気配のするほうへと急いだ。 「こ・・・これは?!」 ようやくゆっかりん達を発見した時、なんだか面白いことになっていた。 その場に居合わせたのはきめら丸に、ゆっかりん、気色の悪い巨大ありす。それと申し訳程度にれいむ。 その撃ち3匹が巨大種であり、ありすに至っては触手まで搭載したオリジナルに見せたら昏倒しそうな風体をしている。 しかし、驚くべきことに巨大な3匹を差し置いて場の主役になっていたのは無理矢理連れてきた例の娘だった。 『ゆゆっ!なんだか凄くゆっくり出来る感じがするよ!』 『なんというゆ力・・・おお、怖い怖い』 きめら丸と触手ありすが現在対峙しているのは妖怪でもなんでもない、間違いなく普通の人間。 ただ一点、何故か未知のオーラを放出していて、そのオーラが10mを超える超巨大ドスまりさの形になっていることを除けば。 そして、そのドスまりさがありすの触手による一撃をことごとく阻んでいることを除いては。 『ゆゆっ!どうして、ありすのぺにぺにがとどかないの!?』 『ゆっくり光線・・・いや、それ以上の力・・・!?』 「あえて名付けるなら“ゆっくり結界”ね」 名付ける必要は特にないのだけれど、名前があったほうが便利でしょう? とにかく、ゆっくり結界を纏った彼女の前に触手ありすは手も足もぺにぺにも出ない。 対する彼女はゆっくりとれいむをゆっかりんの傍に下ろすと、余裕の表情で触手ありすと向かい合う。 『ゆぅうぅぅ!はやぐごごがらででぎなざいよ、いながもの!?』 「いや、そう言われて出て行く馬鹿はいないでしょ?」 『でてきたらありすのぺにぺにでそっちのおおきのといっしょにすっきりさせてあげるわよ!』 おおきいの、は言うまでも無くゆっかりんのことだろう。 彼女とすっきりーするときのことを想像しているのか緩みきった見るに堪えない笑みを浮かべている。 “彼女”に見せたら本当に発狂してしまうんじゃないかと思えるほどに見苦しい表情だ。 「大きいの?ゆっかりんのことか・・・」 『そうよ!いなかもののおねーさんもとくべつにあり・・・』 「ゆっかりんのことかあああああああああああ!!」 どこぞの超野菜星人みたいなことを叫びながら、彼女は触手ありすを睨みつけた。 と同時に、触手ありすめがけて全力疾走。彼女にあわせて移動するゆっくり結界を利用して近くの樹木に触手ありすを叩きつけた。 彼女と一緒に中にいるゆっかりんとれいむも結界に移動に引きずられ、転げまわっている。 『ゆぎぃ!?』 「これは、ゆっかりんの触り心地抜群のほっぺたの分・・・!」 一瞬、バトル漫画チックにキャラが変わっていると思ったけどそんなことは無かった。 ゆっかりんの頬じゃなくて本人を心配してあげなさい。 と内心で突っ込んでいるうちに、今度は触手ありすに向かって右手を突き出す。 すると、ドスまりさの形をした結界が全身を使って柔らかそうな右頬を叩きつけた。 『ゆべしっ!?』 「これは・・・いきなりこんなところに連れてこられた私の分・・・!」 それ、ただの八つ当たり。 しかし、よっぽど根に持っていたらしい。更に問答無用で結界を叩きつけた。 右、左、右、左、右、左、右、左・・・と執拗に殴打を繰り返す。 「これは、脚の疲労感の分・・・!これは、さっき食べた茸が苦かった分・・・!」 『ゆびぃ!?ありずっ!?ぞんなのっ!?ぢらなっ!?』 気がつけば、もはや八つ当たりですらなくなっていた。 昨日目玉焼きが焦げた、節分の時にペットのゆっくりすいかが泣き叫んだせいで怒られた・・・ もはや腹いせ同然のやり場のない怒りを容赦なく触手ありすに叩きつける。 やや気の毒な気もするけど、面白そうだから放っておこう。 『ゆ゛っ・・・やべで、やべでぐだざいいいいいい!あやばりまず!あやばりまずうううううう!?』 「だが断る」 その言葉は相手の提案が自分にとって有利なものである時に使ってこそよ? それはさて置き、再開される理不尽な暴力。 結界ドスの頬でありすを叩き、跳躍して結界の顎で踏みつけ、体当たりをして弾き飛ばす。 『ゆびょ!?あ、ありずの・・・べにべにがぁ・・・!』 執拗な攻撃に耐えかねた触手ありすの触手、もといぺにぺにが1本もげた。 触手ありすは力なく地に落ちたぺにぺにへと這って行こうとするが、彼女の容赦ない攻撃のせいでそれすらも叶わない。 そうこうしている内に1本また1本と触手ありすのぺにぺにが引き千切られ、本体から離れてゆく。 『やべでええええええええ!?あ、あでぃずのどがいはなべにべにがあああああああ!?』 『おでがいでず!ぼうやべでぐだざいいいいいいいいい!?』 「やだ」 『ぞんなああああああああああ!?ごんなのどがいはじゃないわ゛あ゛あ゛ああああああ!?』 数分後、触手ありすのぺにぺにはもはや見る影も無くもがれ、今やただの大きいだけのありす種と化していた。 自分のアイデンティティを奪われた彼女は焦点の定まらない目であらぬ方向を見つめながら、『ゆひっ、ゆひぃ』と気味の悪い笑みを浮かべている。 これで、残るはきめら丸ただ一匹。 『ねえ、お姉さん?』 「なにかしら?」 『加勢しなくていいの?』 「危なくなってからで十分でしょ?」 『まりさはどうしたら良いの?』 「邪魔になるだけだから観戦してなさい」 『ゆっくり理解したよ!』 「でも、そうね・・・思いっきり戦えるようにはしてあげても良いかしら?」 ゆっくり結界の中にスキマを発生させ、ゆっかりんとゆっくりれいむをドスまりさの傍に呼び寄せた。 『まさかありすが敗れるとは・・・何者ですか、貴女は?』 「私は・・・やる気のないお姉さんが手前勝手な怒りによって目覚めた・・・・・・ん~、ドスお姉さんよ!!」 『今考えましたね?おお、適当適当』 ニヒルな笑みを浮かべつつ首を振るきめら丸。 一見するときめぇ丸種特有の人を馬鹿に仕切った態度にしか見えないが、彼女には全く油断がなかった。 四肢でがっちりと地を掴み、翼を広げ、僅かに身をかがめて角を突き出し、尾を持ち上げるその姿は間違いなく臨戦体勢。 対するドスお姉さん(仮)もゆっくり結界を展開したまま、じっときめら丸を睨みつけている。 「うりゃ!」 『おお、遅い遅い』 先に動いたのはドスお姉さん(仮)だった。 しかし、きめら丸は大きな翼を羽ばたかせて空へと飛び上がり、いとも容易くそれを凌いだ。 ゆっくり結界は10mを超える巨大なものだが、きめら丸はるか上空。 とてもじゃないがゆっくり結界による攻撃は届きそうにない。 『ここなら一応安全なようです・・・ね?』 一旦その場にとどまり、地に這いつくばっている私たちの様子を確認しようと下を向くきめら丸。 淡く輝く金色のオーラはいつの間にか消えていて、代わりに一点に収束された光がまばゆく輝いている。 その閃光の正体を知る彼女の瞳は驚愕によって見開かれた。 『こ、これは・・・!?』 『ゆゆっ!すごい!ドスパークだよ!』 ドスパーク。それは本来ドスまりさのみが使える必殺技。 あるキノコを食べる必要があったり、使用回数があったりとその性能には個体差があれど、いずれもゆっくりの希望。 襲い来る獣を焼き払い、時には人間さえも恫喝せしめるその力を人間が行使した。 それも、出力は10m超級のドスまりさが放つドスパークとほぼ同じ。 「発射口が小さい分射程と威力が随分増しているみたいだけど」 『しかしそれでは素早い標的には当たりませんよ?おお、無駄撃ち無駄撃ち』 そこにいたのは数瞬前まで上空にいたはずのきめら丸。 巨体を得てなお衰えることを知らない俊足を以って、一瞬にしてあの距離を詰めてきたらしい。 おお、速い速い。 などとやっている間にもきめら丸はドスお姉さん(仮)めがけて突進する。 「はい、隙あり」 『なん・・・ですと・・・?!』 2発目のドスパークが、それも今度は右手の掌から、ただ撃つのではなく薙ぎ払うように放たれた。 なるほど、これなら簡単にはかわせないだろう。少なくとも空を飛べる相手でなければ文字通り必殺の攻撃だ。 そう、空さえ飛べなければ。 『おお、怖い怖い』 手からドスパークを発射できたことも驚きだが、きめら丸の想像を絶する機動力は驚嘆に値する。 もっとも、流石にかわしきれなかったらしく、きめら丸の一部が転がっているが。 彼女の中身は黒糖饅頭のようで、その破片からは甘い匂いが立ち込めている。 『おや、前足を落としてしまったようですね?おお、痛い痛い』 「また空に逃げたか・・・もうそろそろ体力がもたないんだけどなぁ・・・」 『どうやらお互い限界のようなので、そろそろ逃げさせてもらいますよ』 そう言い残すと、翼を羽ばたかせて夜空の彼方へと飛び去っていった。 直後、ドスお姉さん(仮)は地面に突っ伏した。どうやらわりと真剣に体力の限界だったらしい。 『ゆゆっ!お姉さん、あのお姉さんを助けないと!』 「そうね・・・貴女に任せるわ」 そう言い終えるが早いか、私はスキマに潜り込んできめら丸の後を追った。 『まさか人間がドスパークを撃つとは…』 「おお、怖い怖い?」 声をかけられてようやく、背中の重みを認識したきめら丸は振り返った。 そして、彼女にしてみればいつの間にかそこに腰掛けている私を見て、驚愕する。 『・・・おお、いつの間に?!』 「知らなかったの?Phボスからは逃げられない」 実際はPhに限ったことではないけれど。 再びスキマに潜り込んできめら丸の尾による先制攻撃をかわし、今度は彼女の眼前に姿を現す。 空を歩く姿を目の当たりにして私が人外の何かであることを理解したらしく、『おお、怖い怖い』と激しく首を振った。 「今、貴女の前には逃げられない敵が立ちはだかっている」 『おお、大魔王大魔王・・・』 「もちろん、何の意味もなく立ちはだかっているわけじゃないわ」 『そう仰られても、私には貴女にお教えすることなどありませんよ』 シェイクを止め、先ほど見せた臨戦態勢(空中Ver.)になるきめら丸。 「だったら、私にも貴女を生かして帰す道理は・・・あら?」 しかし、きめら丸は私に突撃を仕掛けず、急降下して戦線離脱を図った。 どうやら自分の実力では絶対に勝てない相手であることも把握しているらしい。 本当に優秀な個体だ。 「もっとも・・・絶対に逃げられないことも把握しておくべきだったわね」 巨大ゆっくりの饗宴(後編)?
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※0962の続きです。スレがヤバイほど考えていたネタを消化していったんで明日テストだけど書きました。 ※テストなのにどうすんだよ俺…… 「ここで、ゆっくりしていくといいよ」 ゆっくりまりさに案内した小屋は大体一畳半ぐらいの広さだ。 小屋の中央に円形の台座があって、壁にはロール状に巻いた紙をつけた仕掛けがあって、引っ張ると紙が出てくる。 人間では少し狭いと感じるかもしれないが、ゆっくりには充分な広さだった。 「きにいったよ おにいさん! きょうからここがまりさのおうちだね!」 ゆっくりできる場所とわかれば、自分の土地として扱う。 緩い脳味噌特有の「おうち宣言」だ。 これだけで殺したくもなるが、せっかくいいお仕置きを思いついたのだから我慢した。 「好きなだけゆっくりするといいよ。まずケガを治そうか?」 「ゆっくりしていくね! おにーさんはやくまりさをなおしてね! まりさはここでゆっくりするよ!」 ゆっくりできると信じてる糞饅頭を絶望のどん底に叩き込めると思うと、自然と顔がにやける。いかんいかん。 ニヤけた顔を見られないように、お仕置きの準備のために家まで戻った。 それからゆっくりまりさは、心ゆくまでゆっくりできた。 案内されたお家で、ゆっくり待っていると、おじさんが戻ってきてケガの治療をしてくれた。 治療のあと、「汚れているからキレイにしてあげる」と言って、井戸の水で洗ってくれた。 井戸に行く途中、れいむが居たところを見ると、棒切れと少しの餡子が残ってるだけで、れいむが居なくなったのを、不思議に思ったが、 体を洗ってもらってすっきりすると、そんなこともすぐに忘れた。 ご飯を自分で採ってこなくても、おじさんがご飯をくれた。大体は野菜で、たまにお菓子もくれた。 野菜とは別にケシの実もくれた。野菜のほうが美味しいけど、何でかケシの実をたくさん食べたかった。 外には出してくれなかったけど、ご飯の後におじさんが遊んでくれた。 背中を突付いたり、ほっぺをひっぱたりして、いやだったけど、ケシの実を食べた後だからか、すごくゆっくりできた。 あるとき、おじさんがケシの実を持ってこなかった。 「足りなくなったから、少しの間、ゆっくり我慢してね」 言われて、おじさんの足にぶつかったりしたが、お菓子をくれたのでガマンした。 お菓子は美味しかったけど、なんだかゆっくりできなかった。 ケシの実が食べられない日が何日が続いた。 最初はガマンしたけど、だんだんゆっくりできない感じがしてきた。 おじさんが何日か分のご飯を置いていったけど、なんだが食べたくなかった。 無性にイライラして、跳ねたり、壁にぶつかったり、壁の紙を引き千切ったりした。 ゆっくりできているハズなのに、ちっともゆっくりできなかった。 何をしていても、ケシの実のことばかり考えていた。 ゆっくりできずに暴れているときおじさんがケシの実を持ってきた。 「はやくケシのみちょうだい! ゆっくりしてないではやくたべさせてね!」 ケシの実を食べると、すごくゆっくりできた。 久しぶりにゆっくりできた気がして、おじさんと遊びもしないで、ゆっくりお昼寝した。 ゆっくりまりさを捕まえてから、いくつか実験してみた。 ケガのところを、カラシを練りこんだ小麦粉で塞ぎ、塩水で体を洗ってみた。 ゆっくりには耐えられない痛みが発生するハズだが、反応は無い。 ケシの実を食べさせた後、背中を熱した鉄串で刺したり、頬を洗濯バサミで挟んだりしたが、反応は随分薄かった。 痛覚、触覚が随分マヒしているようだ。 次の実験はとても楽しかった。 エサからケシの実を抜いてみた。禁断症状の具合を調べる。 伝えた時、かなりご不満のようだったが、菓子をやったら、渋々諦めていた。ちなみにお菓子はワサビ入りだ。 様子を見るために加工場で買った監視カメラで、観察してみた。 最初はワサビ入りの菓子を食べて、静かにしていたが、次第に様子が変わってきた。 「ゆひぃっ!!? なんがゆっぐりでぎないぉぉぉぉっ!!?」 禁断症状が出てきたようだ。定期的にケシを与えていたので、初めて起こる禁断症状だ。 しきりに飛び跳ねたり、壁にぶつかったりしだした。 ゆっくりのくせにゆっくりしていない。いや、できないのか。その様子を見て大爆笑した。 用意したエサもブチまけ、壁の紙を引き千切ってるから、小屋の中は酷く荒らてしまった。 「ゆ゙ぎゅ゙゙いいいぃぃぃぃっ!!? ぴゃぶっ!? ゆっぐヒじドいっ!!?だびゅ!!」 何度も何度も壁にぶつかったりしてるから、皮が破れ、餡子が漏れている。ゆっくりまりさは気付いていないようだが。 これ以上暴れて死なれてもツマラナイので、ケシの実を与えた。三日ぶりのケシの実だ。 監視していたので、オレはゆっくりまりさの様子を知っていたが、ゆっくりまりさにとって三日ぶりの対面である。 今のゆっくりに時間の感覚があるとは思えないが。 「やぁゆっくりしてたか?」 「お゙ビびゃん~~~~~!!? ドぼじでぇぇ!? ゆ゙っぎゅびヅぎでぃよ゙ぼぉぉぉっ!!?」 監視カメラで様子を見ていたが、生で見ると一段と酷く感じになっていた。 目が窪んでゲッソリとした感じになっている。皮か餡子が腐り始めたのか異臭までする。水分も取っていないからガサガサしていた。 「い゙だびぃぅ゙いっぃぃぃ!! ゆ゙っギひざじでぇぇ!!?」 痛覚も戻っているようだ。そろそろだな。 「ほらケシの実だ」 ケシの実といった瞬間、ゆっくりらしからぬ速度で反応した。 「ケフィっ!? ケフィアっ!!? ケフィのみ!! ぢょびゃいぃぃぃx!!!」 涎や、よく分からない汁を撒き散らして、足に擦り寄ってきた。 あまりのおぞましさに、少し遠くにケシの実を投げつけた。 「ゆ゙ブヒぃぃぃぃぃ!! ゲブ゙ィぃぃぃぃぃぃっ!!」 床に落ちたケシの実を飛び掛って食いついた。 「びょ゙゙めっ!! め゙っぢゃぶめ!!」ものの数秒で食い尽くしやがった。 「ゆっくりすっきりー!」 ケシを食べ終えたゆっくりまりさは急に叫んだと思ったら、眠りだした。 気持ち悪い、安らかな寝顔だった。 寝ている間にケガを補修した。普通の小麦粉でだ。 そろそろ頃合だろう。 これ以上時間をかけて精神が壊れてもつまらん。 実験は辞めて、お仕置きに入るとしよう。 「さぁお仕置きの時間だよベイビー」 次の日はケガも治っていた。 「ゆっくりー! おじさんゆっくりしていってね!」 ケシの実を与えたお陰で、精神も安定しているようだ。 「おじさんごはんちょうだい! ケシのみももってきてね!」 この数日ですっかりオレを信頼し、今日もエサを貰えると思っているようだ。残念。もうエサは必要ないんだなぁ。 「もうエサはないよン」 ものごっつい満面の笑顔を浮かべた。 「ゆゆ!!? ふざけないでねじじい! ゆっくりしてないではやくごはんもってきてね!」 じじいだってよ。おおウザいウザい。随分尊大な態度になったもんだなぁ。このドマンジュウ。最初は媚びへつらってお兄さんお兄さん呼んでたのに。 「ばかなじじいはいらないよ! まりさのおうちからゆっくりでてってね!!」 「いまならごはんもってきたらゆるしてあげるよ!」 「何勘違いしてんだこの糞饅頭? ここはお前の家じゃないし、もうエサはやらないよん♪」 さっきオレも阿片を使ってきた。こいつに使ったヤツの数倍の濃度だ。今の俺テンションめちゃくちゃ高ぇ!! 「残念でした! あなた騙されちゃったの!!」 どこぞのアニメキャラの顔をして、ゆっくりまりさの帽子を奪った。 「ゆゆっ!!?」 帽子を掴んで、小屋の中央のオブジェの蓋をずらす。穴が開いていて、覗くと、コンクリ状の地面が見えた。小屋の地下は空洞になっているのだ。 「まりさのぼうしかえしてぇぇぇぇっ!!?」 帽子を奪い返そうと体当たりしてきた。止まって見えるので、避ける。 「う~☆ こんなばっちぃぼうじいらないど~♪ ぽ~い♪」 ゆっくりれみりゃのマネをして、帽子を穴に捨てた。阿片のお陰で顔も似ていたと思う。 「ま゙り゙ざの゙ぼゔ゙じぃぃぃぃっ!!? ゆ゙ぎゅっ!!?」 飛び跳ねて、ゆっくりまりさは穴に飛び込んだ。しかしギリギリ入らない大きさだったため、ゆっくりまりさは穴の淵に引っかかってしまった。 ゆっくりにとって、頭の飾りは命よりも大切なものらしいから、何があってもとりかえそうとする。個のアイデンティティーらしい。 「ゆぎゅゅぅぅぅぅぅ!!!!」 「う~♪ う~♪ おれ☆う~♪」 穴にハマっているゆっくりまりさを、れみりゃダンスをしながら眺めてた。テンション高くてマジ楽しい。 「お、おじさん! みてないでまりさをたすけてね! ぼうしもかえして!」 『じじい』から『おじさん』にランクアップ。まだ足りない。 「う~♪ てつだってあげるど~♪…………メメタァ!!」 カエルを潰さない程度の能力で、穴に押し込んでやった。これが『仙道』だ!! 「ゆ゙゙゙ぎぃぃぃぃ……ゅ゙ぷっ!!?」 ラバーカップを引っこ抜いたような音をだして、ゆっくりまりさは落っこちた。底に落ちていた帽子がクッションになって、ケガはしなかったようだ。 「ゆゆ!! くそじじいとはゆっくりできないよ! まりさをたすけたらでていってね!」 素早く帽子を被って、穴の底から見上げて怒っていた。助けを求めながらなお尊大な態度。故にゆっくり。最低の害獣。 「ハハ! ごめんよ、いま助けるからね。その前にご飯を食べてゆっくりしないかい?」 れみりゃ顔から一転、素の顔に戻した。ナイス顔芸。もちろん助ける気もエサをやるつもりもない。 「ゆ! ゆっくりまってるから ごはんちょうだいね!」 落とされたことも忘れて、能天気な笑顔になった。もうエサは必要ないという言葉を忘れたのかねぇ? オレはおもむろにパンツとズボーンをおろした。 さて。もうお気づきの方もいるだろう。 中央のオブジェ。壁にあるロール状の紙。そう。この小屋は便所だ。 中央のオブジェ――便器は妙な形をしているが、なかなかにキレイだ。 ナイスガイの俺は、トイレの汚いのだけはガマンならんタチだからな。 スポッと尻を便器に乗せた。穴が塞がったので、光が届かなくなった地下は当然真っ暗になる。 「ゆ!!? くらくなったよ!!?」 急に暗くなって慌てたゆっくりまりさが飛び跳ねる。このトイレはインドでも珍しい方式をとったものだが、設計ミスのせいで、底が浅くなっているので、 飛び跳ねると、ゆっくりが顔を出してくるのだ。 今は俺の尻があるので、まりさの帽子があたって肛門を刺激する。ぬふぅ…… これからゆっくりまりさに起こることを考えると興奮する。やべぇ勃起してきた。 阿片で腹も緩くなってしたし、肛門も刺激されているので、限界は早くきた。 「……うっほぅぅっぅぅ!!! だすぞぉぉっぉお!!」 ブチャベチョッッヂュビョ! ブビュビュビュビュ!! プピ 「ゆ!? ぎィにゃああああ!!?」 ケツ穴の真下に居たゆっくりまりさは、俺の下痢便の直撃を食らう。 噂の『うんこまりさ』の誕生というわけだ。 「ぐざい゙よ゙ぉぉぉぉっ!! どうじでぇぇぇぇ!!?」 まだ座っているので、ゆっくりを見ることはできないが、どうなったかは想像はつく。 しかし暗闇の中、いきなり汚物が降りかかってきた、ゆっくりまりさは何が起こったのかまだ分からないでいた。 ケツを拭くために尻をあげる。それで、便器に光が差し込み、まりさは自分に降りかかったモノを確認することができた。 「ゆううぅぅぅぅぅっ!!??」 おっと。とうもろこしが。 半端に消化しかけた排泄物を見て、まりさはやっと何が起こったのか、わかった。 「ぐざいよぉぉぉぉっ!!? ど゙ゔじでごんな゙ごとずる゙の゙ぉぉぉぉっ!!?」 「それがごはんだよ! ゆっくりりかいしてね!」 ゆっくりの声マネをしながら、ゆっくりが喋る言葉で俺がかなりムカついた言葉をやってみた。確かにムカつくわ。 さて。こうして糞まみれのうんこまりさをつくったワケだがこれからどうするか? このまま此処で飼って、バキュームカーにするのもいいし、ウォシュレット代わりにケツ舐めさせるのもいいかな? 発情したありすを入れて、糞まみれでやりまくるっていうのはどうだろう。 期待に胸が膨らんでくる。やべぇ勃起してきた。ケツ拭かなきゃ。 こうして僕の、ゆっくり虐待はくそみそな結果に終わったのでした。 終わり。 ※ごめんなさい。終わりません。二部構成で終わらせようと思いましたが、纏めきれませんでした。 ※後編でかならずオチをつけるので、ゆるしてください。 ※テストさえなければ、じっくり書けたのに……あとたぶん修正します。 ※めっちゃスレでポルナレフの便所ネタ言われて、前から考えていたのでコレはアカン!と思って、急いで雑に書きました。 ※ゆっくりしていたからテストやばいよ! このSSに感想を付ける
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夢の跡 秋冬期の間、厳しい寒さに襲われる幻想郷。 「ざむいどぉぉぉぉ……うう~、おぜうさまはさむいのいやだどぅ~」 それは、他種から恐れられ、ゆっくり食物連鎖の頂点に位置するれみりゃ種とて例外ではない。 「あったかいべっどがほしいど~!さくやー!さくやー!」 この若いれみりゃは、今までたった一匹で気ままに暮らしてきた。家族や従者や仲間はいなかった。 れみりゃにとってこれが初めての冬となるのだが、その肉饅に刻まれた越冬に関する記憶はというと、 ”さむくなったらさくやにめいじてだんろにひをいれさせるんだっどぅ~” ”しろいのふってきたらこーまかんからでないでゆっくりすごすどぅ~” まったく役立たずの代物だった。 冬が近づき、困窮したれみりゃは森を出て人間の里を目指した。 「さくやがぐずぐずしてるからいけないんだっどぅー! しかたがないから、おぜうさまをうやまうにんげんにたすけさせてあげるどぅ!」 うっうーうあうあ☆とご機嫌で進むおぜうさま(自称)だった。 「うう?」 まだ人里からはかなり離れたところ、森の中にぽっかりと開けた広場で、 れみりゃはとても素晴らしい”こーまかん”を見つけた。 周囲に高い竹垣を巡らせ、その中心に立派なお屋敷が立っているのだ。 「すっごいどぅ~!!おぜうさまにふさわしいおやしきだっどぅ~!!」 れみりゃは喜び勇んでその建物に走り寄った。 「うっうー☆おぜうさまだっどぅー☆あけるどぅ~!!」 ちなみにこの時れみりゃの脳内では、 こーまかん→おぜうさま☆のおなり!→もんばんのおでむかえ→さくやのぷっでぃん!→えれがんとなひととき という、まったくありえない妄想が渦を巻いている。 「もんばんはなにしてるどー!おぜうさまをまたせるなんてふとどきだっどぅ~! たーべちゃーうどー!!」 吹き募る風の冷たさに震えながら、だみ声を張り上げるれみりゃ。 やがてその声を聞いて、竹垣の一部、格子戸になっている部分が開いた。 現れたのは人間だった。 「ちくしょう冷える……なんだ、ゆっくりか。わざわざ歩かせやがって」 「はやくあけるどー! こーまかんのもんばんは、さむくてもおそとでたいきだっどぅ~!! おぜうさまをうやうやしくでむかえるぎむがあるどぅ~☆」 もちろん人間は安易に格子戸を開けたりはしない。 「うるさい、帰れ」 「なんでだどーーー!!??おぜうさまをはやくおやしきにいれるどー!!」 * * * * ゆっくり飼育畜舎『紅魔館』。 それは要するに、ゆっくり達をゆっくりさせるための家畜小屋、 ゆっくりの言葉で言えばゆっくりぷれいすのことだ。 愛好家が自分の所有するゆっくりをゆっくりさせるための商品として、 他のゆっくり関連商品とともになかなかの人気を誇っている。 俺は今、その新商品の試用のためにここに住まわされて三日になる。 この”紅魔館”、外見はとても美しい。軽石を着色して模造した赤煉瓦としっかりとした建材で出来ていて、 今までの畜舎とは比べ物にならないほど立派だ。 しかし、 「うおお……寒い……寒い……」 所詮はゆっくり用の簡素な建築物である。飼い主の視線がきちんと通るように設計されているため、 風通しが良すぎて冬はとても寒い。野ざらしよりは遙かにましだが、人間の住む場所ではない。 「なんで俺がこんな思いをせにゃならんのだ…」 * * * * 締め出されたれみりゃは、全く的外れな怒りに燃えた。 「ううー!くーでたーだどー!? おぜうさまをはいせきするつもりだどー!?ゆるさないっどぅ!!」 怒りにまかせて、竹垣に突進するれみりゃ。 「うあうあ!!うー☆」 ざく。 「うぎゃあああああ!!!???」 竹垣に仕込まれた、斜切り竹がれみりゃの表皮を切り刻む。 「いだいどおおお!!!いだいどおおお!!!」 転げまわるれみりゃ。 それから三度ほど竹垣に撃退された後、飛行して竹垣を乗り越えればいいということにれみりゃは気づいた。 「うっうー☆おぜうさまはえれがんとにはばたくどぅー!! いっくどぅぅぅ☆」 しかし竹垣は高い。”紅魔館”を「何から」撃退するために作られたのか?それを考えれば当然だった。 「うー…うー…… もーだめだどぅぅぅぅ!!」 ぼてん。力を使い果たして、もといた地面に落ちるれみりゃ。 「うー!うー!」 ぼてん。 「うぅぅぅぅ!!!!!」 ぼてん。ごろごろごろ…… 「どーじてだめなんだどぅぅぅ!!!!」 これも何度挑戦しても駄目だったので、そのうちれみりゃは疲れて眠ってしまった。 * * * * 「あう……?」 太陽がまぶしくてれみりゃは目を醒ました。いつもそうだ。快適でない野外での睡眠はすぐに妨げられる。 「う……う……」 目の前には竹垣と立派な住居。自分が入ることの出来ない、自分の城。 「れみりゃの……こーまかん……」 身寄りがなく、家を持たないれみりゃはずっとみじめだった。 それが”みじめさ”と気づくことさえ無いまま、れみりゃはその感情にさいなまれてきた。 ”自分の紅魔館”と思えるその建物を目にした今では、その感情は今までよりもずっと強くれみりゃを傷付ける。 「うわああああああんんんんん!!!! ざくやーーーーー!!!ざくやーーーーーー!!!」 れみりゃは泣いた。泣いて、いつもと同じように手を差し伸べるものもないまま泣き止んだあと、 れみりゃの胸にはある決心が芽生えていた。 「ううう……このおぜうさまが、じきじきにこーまかんをとりもどしてやるどぅ……! おぜうさまは、つよいんだっどぅ……!!」 れみりゃは断腸の思いで紅魔館の敷地――森の広場から離れた。 向かった先は、ゆっくりの住む森の奥深くだった。腹が減っては戦はできぬ、というわけだ。 「ぎゃおー☆たーべちゃーうどぉー☆」 「やめてね!!ゆっぐりざぜてね!!」 「だめだどぅ♪おぜうさまのえいようになって、こーまかんふっこーのいしずえとなるんだどぅ♪」 逃げるゆっくりを捕らえ、むしゃむしゃと食べるれみりゃ。少しだけ元気が戻ってきた。 「むきゅん!!ぱちゅはしにたくないわ!なんでもするからゆっくりたすけてね!!」 「やっだどぅ~☆むらさきのはめずらし~んだどぅ☆でざーとにするどぅ♪」 他のゆっくりよりも緩慢な動作で跳ねるぱちゅりぃ種を、とどめをささずに追い回すれみりゃ。 「ぎゃお~♪ぎゃお~♪」 「むきゅん!むきゅん!」 その時ふと、名案がれみりゃの頭をよぎった。 「うあ☆いいことかんがえたどぅ☆ おぜうさまはぱっちぇをとくべつにゆるしてあげるどぅ!」 ぱちゅりぃをつまみあげる。 「む、むきゅ?」 「こーまかんをとりもどすのをてつだってほしいんだどぅ!」 れみりゃと、れみりゃの参謀となったぱちゅりぃはさらに森の奥へと進んだ。 善良そうなれいむやちぇんの群れを見つけては、れみりゃの力を後ろ盾に仲間に引き入れる。 ぱちゅりぃ曰く、「すてごまはいくらあってもこまらないのよ、むきゅ!」らしい。 三日のうちに、総勢十二体もの群れとなった。 「あのぶれいものに、めにものみせてくれるどぅ!!」 れみりゃの瞳には光が輝いていた。今までのように一人ではない、その暖かさも嬉しかった。 それからさらに一週間、ぱちゅりぃの要望どおりの軍勢を整えたれみりゃは、再びあの広場へと進路をとった。 「れみりゃのこーまかんはぁ、こーんなにひろくってぇ~、ほかのゆっくりのおうちより、 なんばいもなんばいもすてきなんだっどぅ~☆」 「むきゅ!それはたのしみね!」 「ゆっくりできるよ!」 「ごーじゃすなんだねわかるよー!」 れみりゃはゆっくり達にに請け合う。 「こーまかんをとりもどして、みんなでえれがんとにすごすんだっどぅ~!!」 「むっきゅん!」 「ゆゆー!」 「わかるよー!」 いつか一人で歩いた道を、今度はたくさんの仲間と歩く。 ぱちゅりぃの作戦と、充分な人員。そしてれみりゃのかりすま☆で紅魔館を奪回するという希望が、 れみりゃの足を速めた。もうすぐそこは森の広場だ。れみりゃは群れを率いて、一番にその場所へと到達した。 肉饅の記憶にも、いまだ鮮明に残るその場所。 「うあ?」 その場所には、なにもなかった。ただ、竹垣の残骸と思しき木や竹の屑がまばらに散らばり、 紅魔館のあった場所とおなじ広さの空き地が広がるばかりだった。 「お、お、お、おかしいどぅ………」 この数日のうちに、れみりゃが憧れ、また、自分の住居と勝手に思い込んだ紅魔館は、 実はすでに試用段階を終えて取り崩され、ばらばらの資材となって村の専門店へと送られていたのだ。 「こーまかんが、なくなっちゃったどぅ~!!!!」 れみりゃは混乱した。 「む、むきゅー!もっとくわしくせつめいして!!」 後からきたぱちゅりぃも、れみりゃの言う事を完全に理解することができず、途方に暮れる。 「どういうこと!?れいむにゆっくりせつめいしてね!?」 「わからないよー!?わからないよー!?」 「こーまかんがあったのに、なくなっちゃったんだどぅぅぅぅぅ!!!!」 まったく要領を得ないれみりゃの説明と、なにもない広場。 ゆっくり達も、ゆっくりなりに状況を覚り始める。 「れいむをだましたね!!ゆっくりできないれみりゃとはいっしょにいられないよ!!おうちかえる!!」 「うそつきなんだねわかるよー」 「ちがうんだどぅ!!ちがうんだどぅぅぅぅ!!! ほんとにあったんだどぅぅぅぅ!!??れみりゃのこーまかんんんんん!!!!!」 太陽の下、森の広場でれみりゃは眠る。 あるものは去り、あるものは激昂したれみりゃに叩き潰された、悲しい夢の跡は静寂に包まれている。 吹き抜ける冬の先触れはまた一段と厳しさを増したようだ。 ぱちゅりぃはれみりゃの寝顔を見守っていた。 「なにがなんだかわからないけど、とんだむだぼねだったわ、むきゅ」 その”なんだかわからないこと”のおかげで、れみりゃに食べられるはずのところを救われた自分がいて、 すべてを失ったれみりゃがいる。 それは自分にとっては大変な幸運であるはずなのに、なぜか、とても悲しかった。 ”なんだかわからないこと”。 それは、いつも空の上から自分たちを見ていて、好きなときに自分たちからすべてを奪っていくのだ。 「それじゃ、わたしもにげるわね。 たすけてくれてありがと、れみぃ。さよなら。げんきでね」 ぱちゅりぃはれみりゃを起こさないように小声で呟くと、冬を越すためのおうちを探して何処かへと跳ねていった。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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「いっけーゆっくり橙!しっぽアタックよ!」 「わかるよー」 「ゆっ、いたいよ!ゆっくりやめてね!」 ネコマタ妖怪の指示を受けてゆっくりちぇんがゆっくりれいむに飛び掛りクルリターンして尻尾を叩き付けた。 「よーしその調子でやっちゃえー!」 「わかるよー、このままいけばかてるよー」 「ゆぐっ、もうやめて…」 バシバシと尻尾を叩きつけられて弱っていくゆっくりれいむに後ろから氷精が声を荒げて言った。 「ちょっとーちゃんとやりなさいよー! でないとこっちのゆっくりまりさをガシャーンとやっちゃうからね!」 「ゆ!」 氷精の言葉を聴いてゆっくりれいむがはっとした表情をした。 氷精の手には完全に氷付けにされた親友のゆっくりまりさが握られていた。 湖の近くで二匹でゆっくり遊んでいたところをこの氷精に捕まえられてゆっくり同士で殺し合いをさせられているのだ。 「どうじで…どうじでこんなことに…」 「わかるよー!わたしがかてるよー!」 頭に何度も尻尾を叩きつけられ、皮を裂かれながられいむは俯いて涙を流した。 「れいむは…れいむはゆっくりしたかっただけなのにぃー!!!」 れいむの、心の底からの叫びであった。 その叫びと共にれいむは頭に叩きつけられようとするだった尻尾に噛み付き思い切り引きちぎった。 「ぎゃああああああああああああ!?」 「ゆっぐりごべんね゛ええええええええ!!!」 引き千切った尻尾を吐き出すと今度はさっきまでの優勢が一瞬で消え混乱の最中にあるゆっくりちぇんの耳に噛み付いた。 「わからない!わからないよおおおおおお!!!!」 「ああああ!わ、わからなかったら人に聞くのよゆっくり橙!」 「わからないいいいいい!どうすればいいのおおおおおおおお!?」 「えーっと、どうしよう」 ゆっくり、トレーナー共に激しく混乱するネコマタ陣営。 「ごべんね゛ええ!ゆっくり…死んでね!」 「あ゛に゛ゃあああああ!!!」 遂に耳も食いちぎられ、れいむはそこに口を付けると力いっぱい中の餡子を吸った。 「ずっずぢゅううううう!ずぼっぉ!ずっちゅううう!」 「わからないいいいいい!なにもわからないよおおおおおお!!!」 「ゆ、ゆっくりちぇえええええん!」 こうなればもう捕食する側と捕食される側に分かれた一方的な狩りであった。 「やっぱりあたいったら最強ね!」 餡子を半分ほど吸われ完全に動かなくなったゆっくりちぇんを見て勝ち誇る氷精。 その足元には暗いものを宿した目で必死にすがりつくれいむが居た。 「はやく、はやくまりさを元に戻してね!」 「わかってるってば、そらっ!」 ガシャン 「あ」 「ま゛り゛さ゛あああああああああ!!!」 凍らせたゆっくりを元に戻すのは高等技術なのである。 れいむは同属殺しまでしたにも関わらず結局親友を救えなかったことに絶望して 白目を剥いて餡子を吐いて果てた。 「うにゃー、また負けたー…」 「ま、あたいに勝とうなんて三光年早いのよ」 「古典的なネタにわざわざ突っ込むのも何なんだが光年は距離だ」 さて、今の戦いは何かと言うと最近人里の子ども達の間で流行り出したゆっくりバトルという遊びなのだ。 子どもがトレーナーとなってその辺で捕まえてきたゆっくりに指示を出して戦わせる遊びなのだそうだ。 ゆっくり側には指示に従う謂れは無いので如何にゆっくりを指示に従わせてモチベーションをあげて戦わせるのかが重要な勝負の鍵になってくるらしい。 ゆっくりを闘わせる賭博が人里にて行われているのだがそれを子ども達が真似し出したのだろうと思う。 だが紫様曰く『あれが半端な形で幻想入りしちゃったみたいね 本格的にこちらに境界を越えて入ってくるのは少し先かしら、まだまだ現役ですものね』とのことだ。 紫様のおっしゃることは中々意味がわからない。 「うーん、餡子吸わせちゃったからあんまりおいしくないわね 大ちゃんこれあげるよ、あたいこっちの氷ゆっくり食べるから」 「え、うんありがとうチルノちゃん」 ちなみに負けたゆっくりは勝者がおいしく頂くようだ。 食べかけの上にほとんど餡子の残っていない饅頭を渡されて緑髪の妖精は愛想笑いを浮かべた。 「藍さま~全然勝てないよ~」 「うーん、とにかくもっと精進することだな」 今私の尻尾に腰掛けてゆっくりを食べているのが氷精のチルノ。 そのチルノからゆっくりを貰った緑髪の妖精が大妖精、名前はよく知らないので割愛。 そしてしっぽに包まって泣き言を言っているのが妖怪の式をやっている私の式である橙だ。 「へっへーんだ、あんたがいくら頑張ったってあたいには勝てないよ だってあたいが最強だもん!」 「うにゃー!腹が立つー!」 橙が尻尾のなかでじたんだを踏む代わりにじたばたともがいた。 このくらいで怒っているようではまだまだ修行が足りないかなとも思うが 友達と遊んでいる時に小言を言うのもなんだし尻尾の中で動かれるのが軽くくすぐったくて心地よいので放置する。 「くやしいー!藍さまー!敵をとってー!」 そうやって私を頼っているようでは修行が足りないと言わざるを得ない。 小言を言うのもなんだがせめて自分でなんとかするように言わないといけないか。 大体子ども同士の遊びに保護者がでしゃばるのは流石に大人気ない。 「橙、人に頼ってばかりいずに自分で」 「馬鹿ねー、そんな油揚げにごはん詰めたの食べるのが生きがいの妖怪の下っ端狐に頼ったってあたいに勝てるわけないでしょ! なんたってあたいは最きょ」 「よかろう受けて立とう」 「やったー!藍さま頑張って!」 私はすっと立ち上がると氷精の宣戦布告を受けた。 橙が万歳して歓声を上げる。 「えーと、あのぉ子どもの遊びに大人が出てくるのは流石に大人気ないんじゃ…」 大妖精が控えめに抗議をしてきた。 「私はゆっくりバトルに関しては全くの素人だ 経験的にはそちらの氷精が圧倒的に有利、だから私も一週間時間を貰いたい その間にゆっくりを調教してここに持ってきてそちらのゆっくりと戦わせる それなら充分対等な勝負になるはずだ」 「えー、でも…」 「上等じゃない!受けて立ってやるわ!」 「うむ、それでは一週間後に会おう」 おいなりさんを馬鹿にした奴は例え子どもと言えど許すわけにはいかん。 一週間後徹底的に叩き潰してくれる。 「とは言ったものの」 マヨヒガに戻り、勢いで勝負を受けてしまったもののノウもハウも無い状態からゆっくりを調教して戦わせるというのは中々難しい。 やはり受けるべきではなかったか、いやしかし油揚げの中に入れるものを酢飯ではなくごはんと言うような輩を許すわけにはいかん。 さてどうしたものかと頭を悩ませているとぴょこんぴょこんと橙がこちらに走り寄ってきた。 「藍さまー、どうやってチルノちゃんのゆっくりに勝つか決めた?」 「いや、どうしたらいいか皆目見当もつかない どういうゆっくりを捕まえればいいのかわからないしどうやればゆっくりを戦わせられるのかもまだわからないし あの子のゆっくりも息絶えてたからまた別のゆっくりで来るだろうから対策の立てようもない、はっきり言って八方塞だよ」 そういって私はハァ、とため息をついた。 「藍さま、そういうときはね」 私が何もわからないと聞いて橙が何やら嬉しそうな笑みを浮かべる。 「ん?どうした橙」 「藍さまが私に言ったことだよ」 「あ、なるほど」 私はぽん、と手を打った。 『わからなかったら人に聞く!』 二人の声が重なった。 経験者がすぐ近くに居ることをすっかり忘れていた。 「それでは橙先生、ゆっくりをどう戦わせればいいのか教えてくれるかな?」 「ふにゃ、先生なんてなんだか照れる うーんとねまずは…」 それから橙先生によるゆっくりについての講義が始まった。 まずゆっくりを戦わせる方法はいくつかあること。 ゆっくりは三大欲求に弱いのでそれを餌に戦わせる方法。 これはどんなゆっくりにも通用する、特に食べ物をちらつかせるのがオーソドックスだ。 おなかを空かせておくことでさらに効果は上がるがその分体力が低下するので難しい。 性的欲求不満にさせる方法は戦闘に集中しづらく戦闘中に交尾しようとしてしまうこともあって難しい。 しかしゆっくりアリス種はこの方法で戦わせるとかなりの強さを誇るらしい。 ただ子どもがゆっくりアリスを捕まえて、育てるのは中々難しいので中々出てこないらしい。 睡眠不足にしておく方法は徹夜ハイとうまくタイミングが合えば悪くない戦法だがやはりこれも体力の低下が懸念される。 次に情に訴える方法。 所謂人質による脅しである程度知性の育ったゆっくりは意外と情に厚くこの方法は中々有効なようだ。 橙を下したチルノのゆっくりもこの方法で戦わさせられていたようだ。 他にも母ゆっくりに対して子ゆっくりを人質に取るなどといった戦法もあるようだ。 次に恐怖に物を言わせる方法。 所謂体に覚えさせるという方法なのだが 普通に教えられればいいのだがゆっくりの知性だとどうしても肉体的精神的苦痛を必要とする。 これは調教がきっかりはまればかなりの戦闘意欲が期待出来、他にも戦闘技術を教えこみやすく強力だが 常にやりすぎてストレスや肉体的損傷で死亡する可能性が付きまとい、恐怖の余り錯乱状態に陥る可能性もある。 次に純粋な戦闘種を戦わせる方法でこれを使えばほぼ勝ちは決まったようなものだが これはゆっくりれみりゃなどの戦闘種は子どもの手には手に入りづらく 大人の財力に物を言わせて買うのも大人気ないので除外する。 最後に純粋にゆっくりと友情を結んで戦ってもらう方法。 この方法は食べ物などで釣りつつ少しずつ信頼関係を培う必要があり今回の二週間という制限時間の中では難しいだろう。 次にゆっくりの種類について まず基本となるのがれいむ種とまりさ種 オーソドックスな種類で強さはどちらも似たり寄ったりだが 戦闘意欲に関してはまりさの方が高いらしいが基本スペックはれいむの方が若干強く 特に母れいむの強さは一目置かれているようだ。 自分の手でれいむに子どもを作らせてそれを人質にする場合もあるとか。 それからゆっくりみょん れいむ種より若干強いらしいが、語彙が極端に少ないので意思の疎通が難しい。 モデルとちがって刀は使わないらしい。 そしてゆっくりちぇん 指示に従わせやすいらしいが戦闘力に関しては若干他の種に劣る。 マタタビを使えば簡単に従わせられるらしい。 他にもアリス種やみすちー種など色々な種類が居るが主に使われているのはこの四種のようだ。 「ふむ、かなり勉強になったよ」 「でも私もチルノちゃんには全然勝てないから勝つためにどうすればいいのかまではわからないの… あんまり役に立てなくてごめんね藍さま」 「いや、作戦を考える取っ掛かりができただけでも大きな前進だよ ありがとう橙」 「ふにゃっ、えへへぇ…!」 私は橙の頭を帽子越しにそっと撫でた。 私は縁側に座りおいなりさんをお茶請けにお茶を飲みながら思索にふけった。 「まずどのゆっくりをどういう方針で戦わせるか考えないとな」 恐らくこの四種の内のどれかから選んで戦うことになるだろう。 相手がどんなゆっくりを出してくるかわからない以上なるべく臨機応変に戦えるゆっくりがいいのだが。 時間が余りないことを考えれば意思の疎通が難しいみょん種は除外した方がいいだろうか。 母れいむを子どもを人質に戦わせる方法が一番ストレートでやりやすそうだがゆっくり一家は中々見つけるのが難しい。 適齢期のれいむならすぐに見つかるだろうが交尾させてから死亡されると時間的にあまり後が無い。 それに無理やり作らされた子どもが人質としてどこまで通じるかどうか。 「なるほど、これはなかなか難しいな」 子どもの遊びというのは意外と奥が深い、参った参ったと頭を抱えた。 「テンコー!」 「ん?」 縁側に九本の尻尾を付けたゆっくりがこちらを見ていた。 「テンコー!」 「テンコー…ゆっくり天弧といったところか」 そのゆっくりは九本の尻尾に私に似た狐耳を付けて、帽子をかぶったゆっくりだった。 「ちがうよ!ゆっくりてんこは最近出てきたにせものだよ! らんはゆっくりてんこーだよ!にせものはゆっくりしね!」 「うわぁ」 ゆっくりは今確かにらんと言った。 よりによって私の姿を模したゆっくりまで現れるとは、紫様や橙の姿を模したものだけでも割と苦手だというのになんということだ。 それにしても一人称はらんなのに名前はゆっくりてんこーとはどういうことだ。 らんはどこから来たのだ、どちらで呼べばいいのかよくわからない。 「えーっと、ゆっくりてんこーと言ったか」 「らんでいいよ!」 自分の名前で呼ぶのが嫌だからわざわざ長いほうを選んだというのにこの饅頭頭ときたら、空気を読んでくれ。 「それじゃあらん、一体ここに何をしにきたのか教えてもらってもいいかな?」 「いいにおいがしたからゆっくり来たよ!それゆっくりらんに頂戴ね!」 よりによって私のおいなりさんを狙ってきたとは、運の無い奴だ。 「他の食べ物なら分けてやらんことも無いがこれは駄目だ」 最後通告である、これを断ればこいつはもう二度とおいなりさんを拝むことは無い。 「いやああああああ!それたべたい!それたべたい!」 そう言って私のおいなりさんに向かってぴょんぴょんとジャンプを始めた。 仕方ない、殺すか。 「ぞれ゛え゛え゛え゛え゛!!!ぞれ゛だべだいどお゛お゛お゛!!! おでがい゛!いっごだげ!いっごだげえええええ!!!」 「……」 なんというおいなりさんへの執着心であろうか。 その切ないまでにおいなりさんへ想い焦がれる姿をみて私はふと気づいた。 おいなりさんを馬鹿にしたものを倒すのはおいなりさんを愛するものでなくてはならないということに。 「…いいだろう」 私はおいなりさんを半分に千切り半分は自分の口に、半分はゆっくりてんこーに渡した。 ゆっくりてんこーは夢中でそのおいなりさんを貪った。 「うっめええええええ!めっちゃうっめえええええええ!!!! こんなおいしいものたべたことないよおおおおおおおお!!!」 てんこーはべちゃべちゃ言いながらひたすら初めてのおいなりさんの味をかみ締めていた。 「もっと!これもっとちょうだい!ねえ!」 てんこーは私においなりさんを要求して体当たりを繰り返した。 ――重い おいなりさんを想って繰り出す体当たりとはここまで重いものなのか。 私はすっと立ち上がったがまだ足に対して体当たりを繰り返している。 「おいなりさんが食べたければ私の言うことを聞いてもらおう …どうしても倒さなければならない相手がいるんだ」 「ゆ!ゆっくりわかったよ!すぐゆっくりやっつけにいくよ!だからはやくおいなりさん持ってきてね!」 もう倒しに行く気満々でいる。 「ふっ、頼もしい奴だ、だが今日はもう遅い ゆっくり眠って英気を養うといい」 「ゆっくりやすむから明日はちゃんとおいなりさんよういしてね!」 よし、少々もったいないがおいなりさんを餌に明日からビシバシ鍛えよう。 「きょうからゆっくりしようね!」 次の日、小鳥の囀りと差し込んでくる朝日、そしてゆっくりてんこーの泣き声で目を覚ました。 「ん…ああおはよう」 とりあえず寝床から出て今は紫様が冬眠時期なので橙と私の分だけ朝ごはんを作り その中から油揚げを一枚、ゆっくりの方にほうってやるとピラニア並の獰猛さで噛み付いていて少し驚く。 その後私が食べようとしていた厚揚げに飛び掛って来たのでその跳躍力に感心しつつ尻尾を一本引きちぎって壁の方に投げつけた。 私はテーブルマナーには厳しいのだ。 それはそれとして千切った尻尾をよく見るとおいなりさんだった。 食べてみると油抜きが充分ではないのか油くさくてしつこい。 体が鈍っているのかもしれない、もっと運動させる必要があるようだ。 とりあえず体を動かさせ、同時にてんこーの身体能力を見るために散歩をしつつ手ごろな野生のゆっくりを探す。 10分ほど歩くともう息を切らせて「も、もっとゆっくりしようね!」などとほざいたので ここで甘やかしては強くなれないと思い蹴り転がしながら進むとすぐに 「じぶんであるぎまずう゛う゛う゛!」と目から涙を流し口からは餡子を吐きながら懇願してきたので 「ちゃんと歩かなくちゃだめだぞ」と言って歩かせる。 そのまま歩き続けているとゆっくりれいむの一家と遭遇した。 捕まえて決戦用に育てることも考えたが今はこのてんこーが居るので予定通りてんこーの強さを見るために 子ゆっくりを二匹取り上げ、その内一匹を捻り潰して残り一匹を返してほしくばてんこーと戦えと挑発すると 涙ながらに母ゆっくりが襲い掛かってきた。 勝ったらおいなりさんとてんこーを激励したものの母ゆっくりは強く、てんこーは防戦一方となった。 母ゆっくりが上に乗っかりそのまま押しつぶそうとしたのでこれは危ないと手に持っていた子ゆっくりを 母ゆっくりがよく見えるよう握りつぶして餡子を顔の辺りに投げつけてやった。 そして「れ゛い゛む゛のあがぢゃん゛ん゛んん゛んん!!!」と絶叫してコテン、と転がって逆さまになった隙にてんこーが逆に 母ゆっくりの上に圧し掛かってそのまま餡子が完全に出来るまで踏みつけ続けて事なきを得た。 体力はまだまだだが与えたチャンスを物にするくらいのことは出来るようだ。 てんこーは「はやくおいなりさん頂戴ね!ゆっくりしてるとおこるよ!」などと調子にのったことをぬかしたので 「ごはんの時間まで待ちなさい」と言ってからサッカーボールの様にドリブルしてそのまま家に帰った。 それからお昼ごはんにしたがてんこーは餡子を吐き続けていたので橙と二人だけで食卓を囲んだ。 午後は雑務を片付け晩御飯時にてんこーにはおいなりさんを一つ与えた。 ふと、もともと尻尾としておいなりさんが生えていたところにおいなりさんをくっつけたらどうなるのか気になって もう一つおいなりさんを取って朝千切った傷口の辺りにくっつけて押さえておくと 五分ほどでてんこー自身で動かせるようになっていた。 だいぶ疲れたのでその日はそのまま橙と一緒にお風呂に入ってから床に就いた。 てんこーはとりあえず箱詰にして棚にしまっておいた。 三日目、四日目、五日目もそんな感じで過ぎていき六日目 「らんってよんでね!らんってよんでね!」などとうるさかったので尻尾を引き千切ったり 「おいなりさんがたりないよ!もっとちょうだいね!」とほざいたので尻尾を引き千切ったり あの後母ゆっくりと再び出会うことはなかったものの普通のゆっくり相手ならばてんこーは危うげなく勝てる程度には戦えるようになっていた。 こちらの指示にもしっかりと応えているし戦意もおいなりさんを餌にすれば充分。 尻尾のおいなりさんの味も充分に引き締まっておいしくなっており最初に出会った時とは違う、そう確信できる。 あまりにおいしいのでついつい残り二本まで尻尾を食べてしまった。 4本目を食べた辺りで目に光がなくなってきたのでそろそろやめなくてはと思ったのだがやめられないとまらない。 寝る前に尻尾を付け足しておき、決戦の日に備えた。 そして運命の日。 「逃げずに来たことはほめてあげるよ」 「子ども相手に誰が逃げる大人は居ないさ」 「へっへーんだ、そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちだよ! あたいは超レアなゆっくりを見つけたから絶対に負けないよ!」 「希少さなら私のゆっくりとて負けては居ないさ 来い、てんこー!」 「テンコー!」 九本の尻尾を器用に使っててんこーが大きくジャンプして私の横に着地した。 「そんな奴あたいのゆっくりでけちょんけちょんにしてやるわ! 来な、てんこ!」 「お前らは一級ゆっくりのてんこの足元にも及ばない貧弱ゆっくり そのゆっくりが一級ゆっくりのてんこの名前を騙ることでてんこの怒りが有頂天になった この怒りはしばらくおさまる事を知らない」 チルノの後ろから悠然とした態度でゆっくりと歩みを進めて出てきたのはゆっくりてんこだ。 一級ゆっくりを名乗るその戦闘力は伊達ではなくゆっくりれいむやまりさを寄せ付けない強さを誇るのだが 相当な希少種で普通子どもの手に捕まえられることは無いゆっくりなのだが。 「あ、私がチルノちゃんと一緒に頑張って探して来たんです 大人の人が出てくるんだからちょっとくらい手を貸してあげてもいいですよね」 大妖精、恐ろしい子――…! 「藍さま、あのゆっくり強いよ…!」 「大丈夫、心配要らないよ橙 もちろん構わないわ大妖精」 「ゆ!てんこーはらんが元祖だよ!偽者はゆっくり死ね!」 「てんこは私の方が初出なのは確定的に明らか だというのに勝手に名乗るとは…汚いさすがてんこー汚い」 きしくも真てんこ決定戦の様相になりバチバチと火花を飛ばす二匹のゆっくり。 戦意はお互いに充分、ならば勝負を分けるのは個体の能力と戦術、そしてトレーナーとゆっくりの信頼関係だ。 「それじゃ、私が審判やるから」 そう言って前に出てきたのは緑髪で少年風のいでたちの少女、リグル・ナイトバグだった。 「永夜の異変の時に会った蛍の妖怪か、フェアなジャッジを期待するわ」 「頼まれたからにはしっかりやるよ えーっとそろそろ始めちゃっていい?」 「無論、いつでも大丈夫だ」 「はやくしなさいよ!あたいがこてんぱんにのしてやるんだから!」 「チルノちゃん、戦うのはゆっくりだよ」 「藍さまー!頑張ってー!!」 全員の合意を確認し、リグルはそれじゃあと腕を挙げた。 「ゆっくりバトル…スタート!」 その言葉を聞くと同時に相手に飛び掛る二匹のゆっくり。 「ゆぅぅぅっ!偽者を倒してらんはゆっくりおいなりさんをたべるんだからはやくゆっくり死んでね!」 「同じ時代を生きただけの事はあるな、だがその程度ではゆっくりてんこに淘汰されるのが目に見えている」 「てんこー!がんばれー!」 「てんこちゃん、しっかりー」 二匹ががっちりと組合全力で押し合うがお互いにびくともしない。 てんこの方は表情ひとつ変えないがそれは個体の特性らしいので個体能力はほぼ互角と見ていいようだ。 「よし、力比べはもういい!離れろてんこー!」 「テンコー!」 「!逃げる気!?」 「ほう、経験が生きたな」 てんこーがカカっとバックステップし、一気に二匹の距離が離れる。 「てんこー、アルティメットブディストだ!」 「ゆっくりまわるよ!」 私の指示を聞くやいなやてんこーが回転しぶんぶんと尻尾を振り回す。 その姿を目を細めて警戒するゆっくりてんこ。 「虚仮脅しだよ!そんなの気にせずやっちゃえてんこ!」 「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」 「むっきー!誰に向かって言ってるのよ!」 「チルノちゃん落ち着いて!」 てんこーは回転しつつ器用にもそのまま体当たりを繰り出した。 敵も横に跳んで避けようとするも尻尾を完全に避けきれないゆっくりてんこにべしべしと当ててダメージを与えていった。 「よし、そのまま攻めるんだてんこー!」 「もっとゆっくりまわるよ!」 敵がこちらの出方を伺っている今がチャンス、私はさらに攻める様指示を出し てんこーもそれに応えて強烈な尻尾攻撃を繰り出していく。 ゆっくりにとって高速で振り回されるおいなりさん九個のパワーはかなり脅威となる。 私がこの一週間でてんこーに覚えさせた唯一の技である。 まあ技といっても回るだけなのでそれほど教え込むのは難しくなかった。 「お前それで良いのか?」 再び距離を取ってこちらの攻撃を見ていたゆっくりてんこがこちらに声をかけてきた。 まさかもうこの技の弱点に気がついたというのか、敵ながら恐るべきゆっくりである。 「偽者は話しかけないではやく死んでね!」 「お前要石でボコるわ…」 そういうとゆっくりてんこはその場に落ちている石を口に含むとてんこーの顔に向かってぺっ!と吐き出した。 「ゆ!?いたい!いたい!」 「ちょっと!石使うなんて卑怯だよ!」 橙が審判のリグルに抗議しに駆け寄った。 「どうなんですか、別に武器を隠し持っていたわけじゃないし構わないと思いますけど…」 それに続いて大妖精がすぐさまフォローに走る。 「うーん、その辺に落ちてるものだからセーフで」 「ええー!そんな~!」 橙の審判への抗議は失敗に終わった。 「耐えろてんこー!」 次々と小石がてんこーの顔にぶつかり、顔の皮が少し破れてちらりと中身を見せた。 「自由自在の破壊力ばつ牛ンの要石を決めれるばもうてんこーは早くもは終了ですね」 止めとばかりにゆっくりてんこが少し大きめの小石を口に含んでてんこーに狙いを付け発射した。 その一撃を待っていたのだ。 「てんこー!逆回転!」 「ゆ!さらにゆっくりまわるよ!」 てんこーが即座に逆回転し、飛んで来た小石を尻尾ではじき返してゆっくりてんこに直撃させた。 こんなこともあろうかと仕込んでおいた奥の手である。 「やったー!藍さますごい!」 「ああ!何やってんのよこの馬鹿!ちゃんと避けなさいよ!」 「これあてたの絶対てんこーだろ・・汚いなさすがてんこーきたない」 ゆっくりてんこの顔の皮がむけて辺りに桃の香りが漂ってくる。 「そのまま攻めまくれ!」 「テンコー!」 「お前天地開闢プレスでボコるは…」 私と橙が完全に勝利を確信した瞬間、予想外の事態が起きた。 ゆっくりてんこがジャンプをして空中から小石を吐き出して来たのだ。 上からの攻撃では尻尾で跳ね返すことも出来ないではないか。 それにしてもゆっくりにはあるまじきなんという跳躍力と滞空時間であろうか。 「くっ、天人を模したのは伊達ではないということか…!」 私は歯噛みをして拳を握り締めた。 「やっぱりあたいったら最強ね!」 「いだいいだいいだいいいいいいいいいい!!!!ごべんなざいも゛う゛やべでええええええええ!!!」 「てんこの名前にしがみついた結果がこれ一足早く言うべきだったな?てんこー調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」 勝ち誇るてんこ陣営、完全に戦意喪失したてんこー。 「ここまでか…」 私は地に膝をついた。 「あっがががががががががががががが!!!」 「もはやてんこの勝利は確定的に明らか やはりてんことてんこーの信頼度は違いすぎた」 その時、信じられないことが起こった。 「ス ッ パ ッ テ ン コ ー ! ! ! !」 小石に曝されるままだったてんこーが叫び なんと尻尾が外れゆっくりの命より大事と言われる頭飾りを脱ぎ去ったのだ。 「ゲェー!スッパテンコーですってー!?」 「知っているの、リグルさん!?」 「いや知らないけど」 リアクションをキン肉マンか男塾かどちらかに統一してほしい。 「お前ら目の前でスッパされる奴の気持ち考えたことありますか? マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで止めてもらえませんかねえ・・?」 ゆっくりの命より大事な飾りを捨て去ったことに対して嫌悪感をあらわにしてゆっくりてんこがてんこーを睨み付けた。 「もうゆっくりなんてしてられるか!」 てんこーが一瞬にして視界から消失した。 私は思わず立ち上がる。 「な!?」 「てんこーちゃんが消えた!?」 「な、何よ!逃げるつもり!?」 チルノと橙が驚愕の声を上げる。 「いいえ違います、あれを!」 大妖精が指刺した先には高速で動く何かに切り裂かれていくゆっくりてんこが居た。 「てんこの命がダメージでマッハなんだが」 「まさか…てんこー!?」 てんこーがゆっくりてんこの周りで現れては消え、現れてはまた消える。 そう、てんこーが視認できないほどの超高速で体当たりをしてゆっくりてんこをずたずたにしているのだ。 いや実はみんな突然のことで面食らっただけで普通に目で追えるスピードなのだがそれでもゆっくりとは思えないほど素早い。 「こ、これはまさにプリンセスてんこー -Illusion-」!!」 お前は何ギリギリ過ぎることを言っているんだこの虫けら。 「てんこーちゃんいっけー!」 「ああああああどうしよう大ちゃん!?」 「これはもうあきらめた方がいいと思うな」 呆気に取られる私を尻目に橙がてんこーに声援を送りチルノは狼狽し大妖精はひたすら冷静に戦況を分析した。 「よ、よし、止めだてんこー!!」 「スッパー!!!」 てんこーが真正面からズタズタに切り裂かれたてんこに襲い掛かった。 「想像を絶する痛みがてんこを襲った」 強烈な体当たりを喰らって遂にゆっくりてんこは桃風味の餡子を撒き散らして弾けとんだ。 「最強のあたいがぁ~~!!!」 「元気出して、チルノちゃんはよく頑張ったよ」 「やったね藍さま!てんこーちゃん!」 チルノが頭を抱えて絶叫しているのを尻目に橙が私に駆け寄ってくる。 「ああ、だが危ないところだった、よく頑張ったなてんこー …てんこー?」 橙を抱き寄せてにおいを嗅ぎながらてんこーを呼んだのだが返事がない。 「おい、どうしたてんこー、帰ったらおいなりさんを…」 私は橙と一緒にてんこーの様子を見に歩み寄った。 「死んでる…」 尻尾を自ら引き千切り、頭飾りを捨て去ったてんこーは出産に耐えられなかったゆっくりのように白目を剥いて果てていた。 違いは黒ずむのではなく真っ白になっていたことくらいか。 「結局スッパってなんだったんだろうね」 私の尻尾に腰掛けててんこーの形見のおいなりさんを食べながら橙が私に問いかけた。 「うーん、恐らく死に直面したストレスから来た一種の逃避行動だったんだろう」 私はそう言って空を見上げててんこーとの一週間を思い出していた。 中々いい息抜きになったし悪くない一週間だった。 ただ惜しむべくは最後にもう一度てんこーにおいなりさんを食べさせてやりたかった。 「どっちも死んだんだから引き分けよね!やっぱりあたいって最強!」 「ええー何よそれ、ちゃんと負けを認めなきゃだめだよ」 「審判としては時間差から考えててんこーの勝ちを宣言させてもらうわ」 「チルノちゃんがそれでいいんだったらまあそれでいいんじゃないかな」 四人は私の尻尾に腰掛けながら今回の勝負に関して思い思いの意見を述べ合っていた。 「それにしてもおいなりさんって意外とおいしいわね 油揚げにご飯つめるなんて変なのって馬鹿にしてたけど」 チルノがてんこーの尻尾をむしゃむしゃ頬張りながら言った。 食べながら言ったので私の尻尾にご飯粒がついたが気分がいいから許してやろう。 「それさえわかってくれればもう私から言うことは何もないよ まあ好き嫌いせずに色々食べてみるといいわ」 それにしてもてんこー、最初に食べた時はあんなにしつこかったのに本当においしくなった。 ちなみにさっき拾ってきた帽子は生姜で出来ていた。 子ども達は要らないというので私だけおいなりさんの付け合せにいただくことにしたのだ。 それは幻想郷のこの青空のように清清しい味のおいなりさんだった。 Fin
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※ハコマニア再び。しゃべらせます。 【観察キット】 「今回もまぁ、悪くない出来だ」 ここは川のほとりの一軒家、俺こと虐待お兄さんの家である。 「予想できる限りのアクシデントへの対策も、大丈夫」 川のほとりにあるのは、水車による《ハコ》の動力確保のため。 「この日のために、れみりゃもしつけた」 「うー☆」 「よーし、いい子だ」 ほかの家から離れているのは、ゆっくりの悲鳴が近所迷惑にならないように。 「それじゃ、趣味の仕事といきましょうか」 「まりさをここからだしてね!」 「いまならゆるしてあげるよ!あとおいしいおかしをもってきてね!」 「もってきてね!」 「ゆっくりしていってね!」 捕獲用《ハコ》には、成体のれいむとまりさ、子が…多いな。 数えるのもおっくうだ。ざっと20はいるかいないかだろう。 まぁ数が多いのは、今回の《ハコ》にはいいのかもしれない。 「おぅお前ら」 調子のいいゆっくりに、威圧するように話しかける。 「おじさん!ゆっくりさせてね!」 「ゆっくりできるひと?」 「れいむ!このおじさんはゆっくりできないひとだよ!」 こうも数が多いとうるさくてしょうがない。悲鳴はいいが喧騒は嫌いだ。 俺は物陰で居眠りしていたれみりゃを呼ぶ。 「れみりゃー、おいでー」 「うー…?うー!」 俺の声と分かるや否や、いい速度で飛んでくる。 虐待が専門の俺に、しつけはかなり大変だった。 「れみりゃだー!」 「ゆっくりできないよ!」 「だずげでー!」 しっかり怯えてくれている。まず条件として充分。 「こっから出たいんだろ?今出してやるよ」 れみりゃを捕獲《ハコ》の上で飛び回らせつつ、蓋に手を掛ける。 「いやああああぁぁぁぁ!!!」 「ごわいいいいいぃぃぃぃ!!!」 「おじさん!ゆっくりやめてね!」 俺は《ハコ》に手をかけ、ゆっくりと持ち上げる。 さすがに20匹前後となるとそこそこ重い。《ハコ》の重さもきつい。 その《ハコ》の周りを、終始れみりゃが飛び回る。 「ごわいっ!ごわいよおおおぉぉぉ!」 「おがあざあああぁぁぁん!」 しかしまぁ本題はそこじゃない。今回の《ハコ》へと、ゆっくりたちを移す。 れみりゃを離し、蓋を開け、ドサドサと《ハコ》の中へと落とす。 「ゆぶっ!」 「びゅっ!」 「いたいよ!ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないばかなおにいさんはどっかいってね!」 全員入ったところで、《ハコ》の蓋を閉め、数歩下がる。 今回の《ハコ》は、いわば観察用の《ハコ》だ。 壁一面を改造し、幅ゆっくり1匹強、深さと幅が壁一面の《ハコ》である。 《ハコ》には8割ほど、少し固めの土が盛られている。 部屋側に向いている《ハコ》には半透膜、こっちからのみ見える膜を張ってある。 そして今回のためにわざわざ飼いならしたれいみりゃ。 身の危険がなければ、あいつらは巣を作ろうとすら思わないだろう。 そう、「巣を作らせるための《ハコ》」だ。 れみりゃを手元に呼び戻す。 今ゆっくりたちには、壁と土と仲間達しか見えていない。 「こんなとこじゃゆっくりできないよ!ゆっくりすをすくろうね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「みんなでゆっくりできるすをつくるよ!」 なんだ、見せるだけでよかったのか。なら飼いならさなくてもよかったな。 だがまぁ、ゆっくり相手への恐怖、ってのは大事だ。 しつけの甲斐あって、れみりゃは大根をかじりながらおとなしくしている。 もちろんゆっくりも食うぞ。 ゆっくり達は、巣づくりを開始したようだ。 一体顔面だけでどう巣穴を掘るのか気になっていたんだが… 土に混ざった石を加え、ザリザリと削っている。おぉ、意外に賢い。 親れいむ、まりさが率先して穴を掘り、子れいむまりさ達が土を外に出す。 土を体全体で押し出すようにしていて、それと同時に巣穴を固めている。 始まってそんなに立たずして、大本っぽい1本の巣穴が完成していた。 …意外と、いい生態系してるじゃねぇか。 まずはちょっかい程度。 巣穴のまわりに積まれている土を、軽く巣の中に払ってやる。 といっても、巣が壊滅しない程度にだ。まだ本気虐待タイムには早い。 「れみりゃ、頼む」 「うっうー☆」 れみりゃの鳴き声を聞いて怯えるゆっくり達。巣を作る手(?)が早まる。 れみりゃは巣の入り口に立ち、足で周りの土を蹴落とした。 始めは、ぱらぱらとこぼれる程度。 「ゆー?」 「たぶんやわらかいんだよ!もっとしっかりさせようね!」 「ゆっくりできるすをつくろうね!」 子供達は気にせず、土を上へ上へと追いやる。 れみりゃがいることを知っているので、外に出すのではないようだ。 巣の上のほうにある、ちょっとした空間めがけて登っている。 こぼれる程度の土が、小さな土砂崩れのレベルに発展する。 「ゆ”ー!つちがおちてきたよ!」 「ゆっくりにげるよ!」 土を押していたれいむ、まりさ達はあわてて下へ駆け下りる。 だが土に追いつかれ、コロコロと転がったり、半分土に埋まったりしていった。 「ぃゆ”っ!」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 土もたいした量じゃないので、半分埋まった子もすぐに自力で抜け出した。 どういう反応を見せるか気になっていたのだが、そんなに面白くない。 「よくあることだよ!しっかりつちをおさえていってね!」 「あぶないとおもったらもどってきてね!」 「ゆっくりわかったよ!」 「すのためにがんばるよ!ゆっくりしていってね!」 …なるほど、自然にはよくあることか。 「ゆー!ゆっくりー!」 「ゆぅー!」 さっきのプチ土砂崩れに、空洞で土をもっていたれいむ達が埋もれていた。 少し頭を出す程度で、身動きは取れないらしい。 顔が上を向いているのはラッキーだろうか。だがまぁ、もたないだろう。 むしろもたせない。れみりゃ、頼んだ。 「うー☆うー☆」 泥んこ遊びが楽しくなったのか、指示があるやいなや調子に乗り出すれみりゃ。 まぁ、この程度なら計画に支障は出ない。好きにやらせてやろう。 れみりゃに、ゆっくりが生き埋めになった空洞の場所を教える。 ちょうど他の巣穴と軸の被っていない、いい空間だ。 「いいぞ、跳ねろ」 「うーっ!うーっ!」 ドンッ、ドンッ、と巣全体に振動が伝わる。 れみりゃの声と未知の衝撃に困惑する巣の中のゆっくり達。 子供達は一目散に親の元へ駆け寄り、一家固まって無事を祈っている。 やがて、振動が止んだ。 安心安全を確認したのち、ゆっくり一家は巣作りを再開する。 先ほどの空洞は、潰れてなくなっていた。 そこからゆっくりの声もしない。 「よーしよくやった、戻っておいで」「うぁー!」 「足拭けよ」「うー☆」 いいれみりゃだ。まったく、これ以降も頑張ってもらおう。 れみりゃの声がすっかりしなくなったのをいいことに、巣作りは熱を上げる。 数が多いせいか、子供が2,3いなくなったことにも気づかないらしい。 親失格だな。まぁ人里を襲う時点でアウトだがな。 穴を掘り、土を運び、壁を固め、それを延々繰り返す。 …日が暮れる頃には、立派な巣が出来上がっていた。 始めに親が掘った一本の穴を元に、派生するように小さな部屋がいくつか。 幅のせいで1箇所にまとまれないのか、部屋の数はだいぶ多い。 穴掘りをやめたあたり、ここらで完成なのだろう。 「かんせいしたよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 巣穴に響き渡る完成コール。わざわざありがたいこった。 「すもできたし、ごはんをさがしにいくよ!」 「おっきなこどもたちもてつだってね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「いっぱいえさをあつめるよ!」 「いってらっしゃい!きをつけてね!」 「きをつけてね!」 餌か。直接的な虐待《ハコ》ばかりで考えてもなかった。 まぁ適当に餡子でも与えておけばいいだろうよ。 「れみりゃ、おやつ《バコ》もってきてくれ」 「うぅー☆」 とてとてと歩いて《ハコ》を取りにいくれみりゃ。気分らしい。 持ってきてもらった《ハコ》には、すでに絶命した子ゆっくり達。 虐待前に絶望を与えるため、あとは自分の甘味のために用意してあるものだ。 「数も多いからな…、適当に潰して投げてくれ」 「うぁ!」 「終わったら2つまで食べていいぞ」 「うー☆」 れみりゃはハコからい匹ずつ取り出すと、両手で押しつぶしていった。 変形する饅頭。そこに悲鳴はない。 れみりゃは潰しては巣の《ハコ》に投げを繰り返していった。 子供も多いし、この程度で充分だろう。 「よくやった。ほれ」 「うぁ!うっぅー☆」餡子で口を汚しながら笑う。「口拭けよ」「うー☆」 巣穴から出たゆっくり達は、その餡子の山を見て歓喜した。 「ゆっ!あまいのがいっぱいあるよ!ゆっくりできるね!」 「みんなではこんでゆっくりしようね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 潰しただけだから皮とか飾りとかも多少残っているんだが、気にならないようだ。 なかなか殺生なものである。 「毒でも混ぜとけばよかったか…。次はそうしよう」 観察と発見こそ、新たな虐待へのステップである。 ゆっくり達は食べないように餡子をくわえ、頭に載せ、巣へ戻っていった。 巣の中では、きゃいきゃいと食事を楽しむ姿がうかがえる。 キセルをふかし一服。れみりゃは煙たがって逃げてしまった。 さて、一通り観察は済んだ。ここからがお楽しみ虐待タイムである。 「巣潰しは、威力こそあるものの虐待としてはつまらなさすぎる」 れみりゃが潰した巣穴は、あたかもそうであったかのようになくなっている。 それに家族のゆっくりが気づいていない。いろいろと虐待としてはぬるい。 「水牢…か。土に大丈夫かね」 水牢、単純に水に浸ける虐待である。 ゆっくりすることが許されず、皮もふやける、虐待としてはシンプルなものだ。 だが今回は《ハコ》そのものではなく、巣である。 水を吸って崩れたりしなければいいのだが。 まぁそれも一興か。そういや大雨と変わらんな。 せっかくの虐待だ。一握りの「悪意」を。 ゆっくり達は全員巣の中。おk。 入り口となっている穴に、目の細かい金網を張る。脱出防止だ。 しっかりと土とその他で固定。軽く引っ張ってみるがそう動きはしない。 かまどのほうでは湯も沸いたようだ。準備は万全。 湯のみに煎茶、ティーカップにさました紅茶を入れて、優雅なティータイム。 「うぁー☆」「待て待て、最後に一仕事だ」「うー☆」 れみりゃを鳴かせながら飛び回らせ、外にれみりゃがいるのを教えてやる。 「ゆっ!れみりゃのなきごえがするよ!」 「すのなかならだいじょうぶだよ!ゆっくりしていってね!」 その安心を打ち砕く。これぞ虐待道。 巣の入り口の金網から、残ったお湯をちろちろと流しいれる。 「ゆぅ?」 子ゆっくりが異変に気づいたようだ。水が流れてきている。 「おかーさん!おみずがはいってきてるよ!」 「ゆっ!たぶんあめがふってきたんだね!いりぐちをふさぎにいくよ!」 「ゆっくりわかったよ!」 「れみりゃにきをつけてね!」 この程度の量ではゆっくり達につく頃には土に吸われ、熱も奪われているようだ。 親れいむと数匹の子ゆっくり達が、巣穴の入り口めがけて上がってくる。 ほどよい高さまで上がったところで、少し勢いよくお湯を流す。 「あぢゅっ!このあめあついよおかーさん!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっ、あめがあついなんておかしいよ!みんなはうしろにいてね!」 先頭が子ゆっくりから親れいむに代わる。 れいむは穴の真下にたどり着くと、なにごとかと上を見上げた。 ここぞとばかりにお湯を流す。 「ゅあ”じゅっ!」 顔面クリーンヒット。煮えたぎるお湯はさぞかし辛かろう。 「ぅあ”っ、あづっ!」 熱さに苦しみながらも、子供達を危険に晒すまいと必死に耐える。 非情かと思ってたがそうでもないじゃないか。 追撃をかける。少し多め、軽く押し流す程度だ。 「ゆ”う”う”う”う”ぅぅぅぅっ!!」 目と口を閉じて、必死に子供達に浴びせまいと頑張っている。 だが、お湯の量はそんなもんじゃない。れいむが全身に浴びつつ、後ろへ流れる。 「あ”ぢゅい!」 「ごのあめあぢゅいよ!ゆっぐりでぎないよ!」 危険と分かるや否や、親を放置して一目散に巣の底まで逃げ出す子ゆっくり。 親れいむは気づいてか気づかずか、必死にお湯を耐え続けている。 お湯を浴びた顔面は真っ赤になっていた。赤くなるのか。 次のステップだ。一旦お湯を止める。 「ゆうううぅぅぅ…」 親れいむは土に顔をうずめている。きっと土が冷たいのだろう。 子ゆっくり達は巣の上で起きたことを報告している。 「おそらからあついあめがふってきたんだよ!」 「あめはあつくないよ!うそをつかないでね!ゆっくりできないよ!」 「うそじゃないよ!おかあさんがたいへんなんだよ!」 「ゆっ!?れいむが!?」 それを聞いた親まりさが一目散に巣穴の入り口めがけて駆け上がる。 「れいむ!れいむっ!」 「ゆ”ぅぅ、まりざ?」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆっ…くりしてい…ってね」 返答できるレベルのやけどらしい。まぁその程度のお湯だしな。 特に何かできるわけでもなく、れいむをいたわるまりさ。 …お次はちょっときっついぜ。 お湯を、半分ほど残して残りを注ぐ。 「ゆ”う”う”う”ぅぅぅっ!!」 「あじゃああああぁぁぁぁ!!!」 親ゆっくりにたたきつけられる熱い濁流。 今度は防ぐとかせき止めるとかそんなちゃちな量じゃない。 量にして巣の半分を浸水させる量のお湯を、一気に注ぎきる。 当然、ゆっくり2匹でこの流れをせき止めることも出来ない。 「あじゅっ、あぶっ、むぅううぅぅぅぅ!!」 「ゆぶぶっ、ゆっぶ、ゆぅー!」 耐え難い熱と共に、親ゆっくりが巣の底へ流される。 ってか溺れてないかこいつら?溺死しないんじゃなかったっけ? やがてお湯が巣の底、子ゆっくり達にまでたどり着く。 「ゆぅ?」 「なんかみずのおとがするよ!」 何かと思って巣の先を眺めていたら、突然泥水が流れ込んできた。 泥水の先頭には、親ゆっくりが2匹。 「おかーさん!おとーさん!」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆ”っ、ここはあぶないよ!ゆっくりしないでにげてね!」 「ここじゃゆっくりであづっ!!!」 お湯が、親ゆっくりを飲み込み、子ゆっくりに襲い掛かる。 「あじゅううううぅぅぅぅ!!!」 「ゆ”っ!ゆ”ぅっ!」 「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁ!!」 量の多いお湯はそう熱量を奪われない。 巣のそこまでアツアツをお届けってわけだ。 「あじゅいっ!あじゅいいいぃぃ!!」 「ゆっぐりでぎないいぃぃ!!」 悲鳴に包まれる巣。すでに動かないゆっくりも何匹かいるようだ。 子供じゃまだ弱い、ってか。虐待しがいがないな。 「みん…な!あわてないでゆっくりきいてね!」 お、親まりさ。れいむに比べれば軽症なだけあって、まだ動けるようだ。 「あついあめがこないところにすをつくるよ!ゆっくりてつだってね!」 「ゆゆっ!みんなでゆっくりしようね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!あっつっ!!!」」」 熱さに絶え絶えになりながら、熱い湯を踏みしめながら、巣の上を目指す。 動かなくなったゆっくりたちは置いていったようだ。 まず高い位置の横穴に避難して、それから横穴を掘り進めるらしい。 なるほどこれなら下に湯がたまり、ゆっくり達の方には流れてこない。 親まりさの指示に従って、比較的元気な子ゆっくりたちが掘り進める。 「れいむ、だいじょうぶ?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり…していってね…」 れいむの火傷跡を舐めるまりさ。土が付いていようがおかまいなしだ。 巣を作るだけあってか、仲間愛は強いのだろうか。 初めのやつといい、湯に巻き込まれたやつといい、一体どっちなんだ。 巣穴がガンガン掘られていく。 横穴も、完成時の巣の半分ほどにまで大きくなっていた。 「これでゆっくりできるね!」 「あついあめもこわくないよ!」 怖くない。だとさ。それで済ませるお兄さんじゃないさ。 お湯も、再び沸きあがったようだし。 「う”ぁ!あづい!」「…やっぱ熱い紅茶はダメか」「う”ー」 再び沸いたお湯でお茶を淹れなおす。れみりゃは熱いのはダメらしい。 煎茶にせんべい、紅茶にクッキー、なんて万全な準備だろうか。 「れみりゃ、それじゃ頼んだぞ」 「ぅー…」 熱い紅茶が不満だったのか、しぶしぶ動き出す。 両手でしっかり鍋の取っ手を持ち、巣穴めがけて飛んでいく。 最後に限って、俺の湯量調整は必要ない。 完膚なきまでに、苦しませるだけ。 「いいか?」「うー」「元気出せ、砂糖1つやるから」「うー☆」 れみりゃの調子も出たところで、最後の仕上げを開始する。 「それじゃ、全部流し込め」 「うぁー☆」 早く砂糖が欲しいのか、おもいっきりぶちまけるれみりゃ。 まぁ巣にも入ってるし、大丈夫だろう。 ゆっくり家族の目の前に、滝のように落ちていくお湯。 「ここならあついあめはこないよ!ゆっくりできるね!」 「みんなでゆっくりしようね!」 今は、まだ来ないだろうよ。どんどんとお湯が巣へ流れ込んでいく。 当然、行き場を失ったお湯は水位をあげる。壁越しに熱気が伝わる。 「ねんのためにあなをふさぐよ!みんなてつだってね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「だいじなすのためにがんばるよ!」 なんと、それをされては湯が届かない。それだけは防がねば。 …と思ったが、その心配はないようだ。 水位は上がるところまであがり、横穴へお湯が流れ出す。 入り口に積まれ始めた土ごと、お湯が横穴を侵略する。 「ゆぅっ、あめがはいってきあじゃっ!?」 「これじゃゆっくりできないよ!いそいであなをふさごうね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 だがもう遅い。餡子脳を悔やめ。 どんどんと、ゆっくりを押し流すほどにお湯が入ってくる。 「ゆー!?ゅあっづっ!!」 「あじゅいあじゅいあじゅいあじゅい!!」 湯はゆっくり達を半分浸けるほどまで侵食している。 お湯から逃げるように飛び跳ね、そのしぶきが仲間に飛び散る。 それを全員がやっているものだから、みんながみんな必死だった。 「あじゅーいー!?」 「ゆっぐりでぎないいぃぃ!!」 もうどうしていいのかわからず、ひたすら熱湯の餌食となるゆっくり達。 お湯はまだ流れている。そろそろ子ゆっくりが浸水するだろう。 「あぶっ、あじゅ、ばじゅい…!!」 「ゆっぐ、ゆぐ、ゆ”…ゆ”ぅ!」 「う”ぅ、ゆっぐぃじだがあづっ!!!」 やがて、巣全域が水没した。 キセルで一服。 「…終わったか」 れみりゃは物陰で角砂糖をかじっている。 ゆっくりの巣は、ものの見事に水没している。 あれだけ大量の湯を流し込んでも、巣が崩れることはない。 巣のあちこち、吹き溜まり的な場所に動かない子ゆっくりが転々としている。 みんなゆでだこのように真っ赤だ。表情も悪くない。 こういう景色を見ると、虐待した甲斐があるってもんだ。 せんべいを齧ろうとすると、わずかに巣の中で動きがあった。 「…お?」 見ると、子れいむが1匹、生きている。 必死に目を瞑り、体を真っ赤にしながらも、動いている。 するとそのゆっくり、なんとぷくーっと頬を膨らました。 「呼吸も出来ないのになぜ膨らませられる…」 つくづく理不尽な生き物だった。 その浮力に任せて、巣からの脱出を試みているようだ。 みるみるうちに子れいむは浮上していく。 壁に当たるたびに火傷が痛むらしく、口が開きそうになるのを耐えている。 そして子ゆっくりは、巣の入り口へとたどり着いた。 金網で封をした、その入り口に。 「ゅあ”ばっ!?」 当然、金網も湯を浴びているわけで、充分に熱い。 それに触れれば、普通に辛いだろう。 子れいむは金網に負け口を開き、巣の底へ沈んでいった。 「…これで、ほんとに終了かな」 観察《ハコ》での虐待は終了した。 成果としては…よくわからん生態系を見せ付けられた。 子を大事にしたと思いきや見捨て、 溺死したと思ったら浮いてきて、 正直、今回の観察結果をどう生かすべきか、まだ考え付かない。 とりあえず、今回の結果を他の村のお兄さん達に報告してみよう。 なにかいい案が浮かぶかもしれない。 片付けのことを考えながら、俺は一旦部屋を後にした。 【あとがき】 どもっす、タカアキです。 蟻の巣観察キット的なアレを思い浮かべてくれれば幸いです。 絵ヅラで思いついて、文に立ち上げたんだが、いまいち虐待がつまらない。 というわけでお兄さん方、なんか考えてくれ。 このSSに感想を付ける
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レミリアの気まぐれ パチュリー編 私の名前はパチュリー・ノーレッジ この紅魔館の客人と言ったところかしら 私は今、永遠亭の薬師とは別にゆっくりの研究をしているわ 今気になっているのは門番メイドからの目撃情報にあった ゆっくりさくやなる個体、個体数が少ないのか見た試しがない せっかく目撃情報が入ったのだから小悪魔にゆっくりさくやの捕獲を依頼する 「小悪魔、いる?」 「はい、パチュリー様」 小悪魔、私が居着いている図書館の司書よ、基本的に無茶じゃない命令は聞いてくれる 「ゆっくりさくやを捕獲してきてくれないかしら」 「え?ゆっくりさくやですか?」 小悪魔も初めて聞くようだ 「ええ、門番メイドからの目撃情報も入っているわ」 「そうですか、一応一匹でよろしいでしょうか?」 「できれば家族付きが好ましいわね、その方がより情報を得られると思うわ」 「わかりました、今すぐ取ってきます!」 「後、面倒なら他人を頼っても良いわ、私だったらそうするし」 さて…小悪魔は部屋を去った、本でも読んで待っていようか…… 私は適当な本棚を探し、一冊の本を手に取る 「ゆっくりの飼い方…ね……」 その時、私は隣の本が一冊落ちてくるのに気がつかなかった 「こいつでも読んでおきッ?!……」 足を痛みが襲う、何があったの? よく見ると分厚い本が私の足に直撃している 「なるほどね……ッ!…」 事態を理解した瞬間に足の痛みが大きくなってくる 「パチュリー様、お嬢様が直々にって…保冷剤持ってきます!」 結局小悪魔が早々に冷蔵庫から保冷剤を持ってきてくれたので痛みはすぐに治まりそうだ 「それで小悪魔、レミィが気まぐれでも起こしたの?」 「はい、お嬢様が咲夜さんと一緒にゆっくりを捕まえに行きました」 「ゆっくりさくやは?」 「勿論伝えました」 これで労せずゆっくりさくやの生態観察が出来ると言うもの 私と小悪魔はあの何を思ったのかあのスキマ妖怪が持ってきた四角い箱で遊んでいた これでレミィの反応が見たかったのだろう けど残念だったわね、このオーバーテクノロジーな四角い箱は私が貰ったわ 「作戦を説明する、雇い主はいつものGA」 やがてレミィがゆっくりを咲夜に持たせて帰ってくる 私は小悪魔に迎えにいくように伝え、四角い箱に入っていた面白い何かの情報を保存し始める 「……どうせだしもうちょっと機体の調整をしてから……」 「パチュリー様、ゆっくりさくやは実在したようですよ、捕獲に成功したようです!」 小悪魔が帰ってくるなり嬉々とした表情で語りだす 「小悪魔、ちょっと機体の調整をしてから向かうわ、この部品も捨てがたい……」 機体の調整を終えた私はレミィがゆっくりを飼っているという二階の空き部屋に向かった ドアを開けると中にはレミィと咲夜、それにゆっくり達がいた 「小悪魔から話は聞いたわ、ゆっくりさくや、本当にいたみたいじゃない」 「ええ、確かに見つけたわ、ゆっくりさくやの生態観察を頼めないかしら」 「もちろん、そのために来たような物だけどね」 どれどれ……部屋にいるゆっくりは…… ゆっくりれみりゃ モデル レミィ 比較的やんちゃな種類 体つきが確認されているがこの個体は頭だけのようね ゆっくりぱちゅりー モデル 私 比較的物わかりの良い種類、実は小悪魔も飼っているみたいね…… ゆっくりさくや モデル 咲夜 あまりわかっていることはないわ レミィから聞いた話によるとどこからともなくプリンを出すそうだけど…… ゆっくりふらん モデル 妹様 比較的凶暴な種類 でも育て方によれば心優しい性格にできるのも確認済み まだ子供みたいだから矯正も可能ね ちなみに子供はテニスボール程度の大きさ 大人はバスケットボール程度ね、この二つは何に使われるのかはいろいろ模索して見ているけど ゆっくりめーりん モデル 美鈴 比較的心優しい種類 ゆっくりの中では体力の多い部類になるわね とりあえず私はゆっくりぱちゅりーと接触することにした 群れの情報収集なら話の通じやすいぱちゅりーがやりやすい 「むきゅ…あなたもわたしのかいぬしのなかま?」 「そういうことよ、あなた達を育てる上で気をつけることはあるかしら?」 そうすると私はぱちゅりーから興味深い情報を入手することができた 「えさはさくやとめーりんにあげてくれればいいわ」 「それはどういうこと?」 「わたしとれみりゃ、ふらんはさくやからぷりんをいただくの」 「ぷりんのあじはさくやがどれくらいえいようをとっているかでかわってくるの」 どうやら餌はゆっくりさくやとゆっくりめーりんにあげた方がよさそうね 「なぜ…めーりんにはプリンをあげないの?」 「あくまでもめーりんはさくやについていってるだけなの」 「さくやはめーりんはそだてないの、さらにめーりんのひるねをじゃまするの」 これは面白い情報ね…ちょっとまとめてみるわ ゆっくりさくやは共生関係にあるゆっくりにプリンを提供する(れみりゃ等) ただしゆっくりめーりんは共生関係という訳ではない ゆっくりさくやが食べたものの量、質にプリンの味が左右される そのことからプリンはさくやの体内から出している可能性がある ゆっくりさくやはゆっくりめーりんの昼寝を妨害する ちなみに美鈴も昼寝を咲夜に邪魔されている(まあ本人に非があるけどね) 「面白い情報を教えてくれてありがとうね」 「むきゅ…おねえさん…たのむからわたしたちをゆっくりさせてね……」 「ええ、レミィもそのつもりみたいだし、心配はいらないと思うわ」 プリンがさくやの体内にあるとすると…… 基本的にゆっくりの中身はれいむを例にすると餡子でできている ゆっくりは内蔵などが確認されないのに他の生物みたいな生活をしているのは気になるけど…… さくやもその例にもれないはず、中身を確かめる必要があるわ 早速私は咲夜に協力を呼びかける 「咲夜、協力してほしいわ」 「はい…どうしたんですか?」 「注射器でゆっくりさくやの中身をこっそり採取してほしいの」 「わかりました、結果を楽しみにしていてくださいね!」 そういった瞬間には咲夜は黄色い液体が入った注射器を持っていた 安心して、ゆっくりの生命活動には支障のないレベルよ 「ありがと、早速中身を味見してみるわ」 味見してみた所…ええ、プリンね あったかいからプリンまんと言った所かしら 恐らく指先あたりからこれを出してプリンを作ると言ったところね ふと、面白いことを思いついた私は小悪魔を連れて館の外に向かう 菜園に向かってみると目標はすぐに見つかった、ゆっくりれいむの家族ね… 今まさに菜園に見つけたは良いけど運が良かったわね 私が来なくても一分ごとに見回りがやってくる このようにゆっくりが侵入してもすぐに捕縛されてしまう そのときは門番たちのストレス解消にまわされる訳 何をしているかは知らないけど……普通に愛でていることにしておくわ 私はゆっくりの家族に話しかける ゆっくりれいむが二匹、ゆっくりまりさが二匹、そのうち一匹づつが赤ゆっくりね 多分家族と見て間違いないわ 「なにしているの?」 「ゆ?ここはまりさたちがみつけたんだぜ、おやさいはまりさたちのものなんだぜ!」 「お姉さんはもっとゆっくりできる所を知っているんだけどね……」 「ゆゆっ?もっとゆっくりできるばしょ?れいむたちをゆっくりつれていってね!!!」 こう言ってやればほとんどの生意気なゆっくりはあっという間に釣れるわ まあ私の実験台になるんだけど……ひょっとしたらこの家族は生意気な割には幸せなほうかもね 最近のゆっくりは長年の生活でわかってきたのか相手の実力を見誤ることはなくなって来ている そういう訳で最近ではゆっくりが制裁を受けるというケースはあまり聞かなくなっているわ まあ見誤って生意気な口を聞いている家族がここにいるんだけどね 「小悪魔、一緒にゆっくりを運んで、二階のあの部屋に行くわ」 「はい、パチュリー様、これから何を?」 「ちょっと面白いことよ」 私は小悪魔にゆっくり達を持たせ、二階のあの部屋に向かった ゆっくり達の部屋 私が小悪魔に別のゆっくり達を持たせてきたのを見て レミィは興味深そうにしている 「レミィ、これから実験を始めるわ」 「パチェ、このゆっくり達に被害が出そうだったら咲夜に止めてもらうわ」 「ええ、そのつもりよ」 この後、私達は自らの目を疑うことになる 小悪魔がゆっくり達を降ろす 「ここがまりさたちのあたらしいゆっくりプレイスだね!!!」 「むきゅ…ここはわたしたちのすんでいるところよ、あなたたちのいえじゃないわ」 さっそくぱちゅりーがまりさ達に説得を試みる ぱちゅりー種の特徴として、あらゆる争いを平和的に解決しようと試みる習性があるわ でも…この子達に通用するかしら、通用されると困るのよね…… 「ゆっ!…ここはまりさたちのいえだよ!よそものはゆっくりでていってね!!!」 「いつそうきまったの…これはしょうしょうおきゅうをすえるひつようがありそうね……」 ちょっとあきらめの速い子ね……まあいいわ、さくやの戦術が楽しみね 「れみりゃ…ゆっくりできないこがきたわ……むかえうつわよ……」 「う?……うー!!!」 れみりゃは迎撃の意思を見せるが何かがおかしい、れみりゃの目つきが鋭くなったような気がするわ そう思っていると突然れみりゃが命令する 「いい?めーりん、ふらん、あいつらをかきまわしてね!!!」 「めーりん、とっかんします!!!」 「えぇんとりぃぃぃ!!!」 そう言いつつめーりんとふらんがまりさ達に突っ込む とてもれみりゃとは思えない言動ね……あれが本来のゆっくりれみりゃと言う事なの!? あれが先ほどまで頭悪そうに「うー」と喋っていたゆっくりれみりゃだと言うの!? 「ゆ゛っ!?」 「ゆっくりあたってよ!ゆっくりしてないよ!!!」 めーりんがまりさに勢い良くぶつかり、ふらんがれいむの攻撃をことごとくかわす 「わたしもでるわ、さくや、あいつらのこどもをさらってにげてね!!!」 「りょうかい、ゆっくりにげるね!!!」 そう言うとさくやはゆっくりとは思えないほどの速度で ふらんに夢中なれいむの赤ゆっくりをかすめ取る 「ゆ?おかーちゃん!ゆっくちたちゅけてよー!」 「れいむのあかちゃんをゆっくりかえしてよぉ!」 途端にふらんを無視してさくやを追い始めるれいむ、見事に敵戦力の分断に成功したわね…… 「めーりん、いまよ!!!」 「このぉぉぉぉ!!!」 めーりんが自慢の体力を駆使し、強引にまりさをひっくり返す 「きょうはたいりょうだね!!!」 その上にふらんが乗っかるとまりさは動けなくなってしまった これは実証済み、ひっくり返ったゆっくりは足に当たる箇所に乗っかられると 動けなくなってしまう、まりさは暴れようとするもふらんは全く動じていない これで残った敵戦力はさくやを追いかけてへとへとになっているれいむだけ さくやもれいむがぎりぎり追いつけない速度で逃げている、見る限り体力を温存しているようね 追いついたれみりゃ達がれいむをひっくり返し足に当たる部分に乗っかる 赤ゆっくりもさくやの手中、れみりゃ達の完全勝利ね でも……以前テストした際にはうーうー言いながら乱戦に持ち込んでも 少々手こずった覚えがあるけど今回のれみりゃは他のゆっくりに効果的な指示を与えていたわね…… その結果こちらにはほとんど被害が出ずに相手を無力化させることに成功した このような状態になるにはさくやが群れの中にいることが条件の一つなの? それに相手にも必要以上の怪我をさせなかった、というか相手を捕縛しただけ 面白い考え方を持っているじゃない……ゆっくり調べることにするわ 私が何故こうなったのかを考えているうちにもぱちゅりーが まりさ達を説教している、何だか勝手にれみりゃが捕虜にするとも言っている 負担が増えるのはこっちなのよ?まあこの程度の負担なら痛くも痒くもないけど そんなことは私には関係ない、私は早速図書室にこもり、今までのケースとの比較を始めた 元ネタの明記 四角い箱は某360、中にはACfAが入っている めーりんとふらんが戦闘中に発した台詞はそれぞれ機動戦士ガンダムの0083とIGLOOから -- ありすアリスの人 (2008-10-13 16 21 55) 追伸 ちなみにゆっくりさくやは別の職人が設定だけ考えた物を元に作らせてもらっている -- ありすアリスの人 (2008-10-13 16 26 43) ゆっくりこあくまがいない・・・ -- 名無しさん (2010-11-30 16 30 32) ゆっくりこあは? -- 名無しさん (2011-08-26 14 29 47) アーマードコア@ -- いつものGA (2013-05-30 01 10 54) 名前 コメント
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罪の無いゆっくりがゆっくり出来なくなります ※避妊あ○すさん、オチぱくってすいません ゆっくりれいむをブン殴ろう! ビキィ!! 朝っぱらから某掲示板に張り出された笑顔のゆっくりれいむ画像を見て イキナリ有頂天な怒りが確定的に明らかになった俺は 3日前から家の前の空き地にある土管を住処としている野良でいぶの元まで赴き、 もみあげを掴んで引きずり出した 時は朝の5時、意外と朝の早いゆっくりとはいえまだ寝ている時間だ 何故こんな事をしているか?でいぶに怒りを燃やしていた事も勿論あるが 一番の理由は急にヤツの頬に本気でフックを叩き込んだらどうなるか試してみたくなったのだ この時間なら人もいない… これからの事を考えると頬に邪悪な笑みを浮かべてしまう事を止められない事は確定的にあき 「…ゆ…ゆッ!?人間さん!?どうしてれいむを持ち上げてるの!?」 起きやがった。まぁそりゃ起きるよな ちなみに俺と野良でいぶとの接触はこれが初めてである 饅頭の質問にはこれからお前をブン殴るとテレパシーで返した 「人間さん!ゆっくりおろしてね…?」 人の話を聞かないこの野良でいぶは人間に対して嫌な思い出があるのか 俺の笑顔の中にゆっくり出来ないモノを感じ取ったのか 傲慢な個体が多い野良ゆっくりにしては大人しく、媚びたような笑みをこちらへと向けてくる 野良なだけあって掴んだもみあげがなんかベトベトする、汚いさすが野良でいぶ汚い 俺はでいぶを地面に降ろしてやった 「ゆ、ゆっくりしていってね?」 なんだか可哀想になってブン殴る事を止めた)と思っているのか!? もみあげを掴んだままでも殴る事は出来るが確実に頬をブン殴りたかったのだ と言うわけで2月霜のきらめく朝生まれた夢を叶えるために 俺はオドオドしきったでいぶの前髪を掴み最高の角度で叩き込めるよう持ち上げ、位置を調節した でいぶは俺が遊んでやってると思っているのか「ゆ~♪お空を飛んでるみたい!」等と喜びだした なんという危機感の無さ、ゆっくりはそうでなくては面白くない それにしてもこの台詞は久しぶりに聞いた ?準備は整った 「…ゆ?」 掴んだ左手を掲げ右手に力を込める 正直でいぶは重い、成体にしては小さめのゆっくりだが 5キロぐらいはあるんじゃないだろうか?ちょっとプルプルしちゃう 「~~~~~~~~~!!」 声にならない叫び声を上げ、でいぶは激しく暴れだした(底部をうねうねさせた) これから何をされるか分かったのであろう、可哀想に目には涙があふれている そして俺は朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸い込み 夢を叶えた 出勤する際にまだゆっくりと気絶しているでいぶの姿を見たが あの姿、電車の中でも思い出し笑いしてしまう! 成人男性の有頂天の怒りと好奇心を全て吸収したでいぶの頬には くっきりとした拳の形の窪みが生まれ、 掴んだ前髪は殴られた時の衝撃で全て引きちぎられてしまっていた 前歯を巻き込んで砕けた歯では一生まともな食事は出来ないだろう ただでさえ辛いであろう野良の生活…そして突如失った手も同然の歯…醜い姿… やった俺が言うのもなんだが、でいぶにはそれでも強く生きていって貰いたいと思う だって野良ゆっくりは苦しんでる時の姿が一番、ゆっくり出来るだろ? ~fin~ 作者:古緑
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お兄さんと冷めた肉饅 5KB *初投稿です *ハード虐待(笑) *肉饅の台詞が少ないのは仕様です。各々方の脳内で補完してください *依怙贔屓要素、アリアリ *某コピペの加筆改悪 玄関を開けると、薄汚い胴付き肉饅――ゆっくりれみりゃがいた。 10月半ばの冷たい秋雨が降りしきる中、一時の安息を求めて雨宿りをしていたのだろう。 しかし、運の悪い奴だ。 よりにもよって、虐待趣味を持つ俺の家に辿り着いてしまったのだから。 俺の姿を認識して、逃げようとするれみりゃを問答無用で抱え上げる。 野良ゆっくり故、泥塗れでゴミ臭い。 そんな物を抱えれば、俺の服も泥塗れでゴミ臭くなる。 だが、どうということもない。 そもそも、虐め用ゆっくりを捕まえに出かけるつもりだったので手間が省けた。 それに、激しい虐待を行えば、どのみち服は汚れるのだ。 ただ、これだけは気に食わない。 俺の腕の中で只管に震えるだけの肉饅は、降りしきる小雨に体温を奪われて、すっかり冷え切っていた。 肉まんのくせに冷たいとは許せん。 やるべき事が決まった。 まずは、肉饅らしくしてやらないとな。 『お兄さんと冷めた肉饅』 これ以上玄関先に留まって他人の目に触れるとまずいので、さっさと家の中へと連れ込む。 玄関の鍵を閉めたら、挨拶代わりの虐待だ。 オーソドックスに殴る。手っ取り早くアマぎる。意表をついて胴無しにする。 どれも先人達の編み出した素晴らしい手法であるが、挨拶代わりとしては最善じゃない。 初対面の饅頭に対して行うべき最善手とは即ち。 「うあーーーー!!!!でびりゃのおぼうじがえぢでーーーーー!!!!」 お飾り剥奪。 ゆっくり饅頭共にとって、飾りとはたったひとつの個性であり、命の次に価値有る物。 それを目の前で奪ってやれば、たいていの饅頭共は恐怖と憤怒で、とてつもないストレスを感じてゆっくりできなくなる。 だが、俺の虐待は、それだけでは終わらない。 両腕を天に掲げて、俺の手中にある帽子に向かって必死で跳ねる肉饅。 羽があるのに飛ばないとか馬鹿すぎる。 その肉饅のスカートを鷲?みにして、頭側から引っぺがす。 何が起きたのか理解できずに、『( ゚д゚)ポカーン』な顔になっているが好都合。 その隙に靴とドロワーズも脱がせ、丸裸になった肉饅を足の先から頭の天辺まで視姦する。 ここに至って、肉饅はやっと現状に気づいたようだ。 咄嗟に両腕を胸の前に掲げ、内股気味な構えをとりだした。 目はカッと見開かれ、顔は憤怒のためか真っ赤だ。 確か饅頭共の戦の型の一つ、餡戦(アンチン)とかいったか。 当然、人間様に通用するわけもない。 嫌がる肉饅を再び抱え上げて洗面所へと運送。 我が家の唯一の自慢、全自動洗濯機に先ほど奪った「れみりゃのすてきなおべべ」を放り込む。 野生の生物は、自分の臭いに愛着を持つという。 高性能洗濯機により汚れ一つなくなった己の一張羅を目撃したときの、こいつの間抜け面が目に浮かぶようだ。 服はこれでよし。後はこいつ自身の臭いだ。 風呂場へ連れ込み、全身に満遍なくお湯を浴びせる。 ある程度の浸水を確認できたら、頭髪用洗浄液を頭から浴びせて、わしゃわしゃと揉みこむ。 ほう、どうやらこいつは、髪を触られるのが嫌いなようだ。 先ほどから、目を閉じて「うっ、うー♪」と泣き喚いて嫌悪感を露にしている。 「うっぎゃーーー!!!!」 洗浄液が目に入ったか。 すかさず、シャワーで目に追い討ちをかける。 自分で自分が怖くなるほどの鬼畜っぷりだ。 頭が終わったので次は体だ。 頭髪用とは別の洗浄液を使って洗う。 もちろん、肉饅ごときにスポンジなど使わない。 手洗いで、体の隅々まで洗いつくす。 頭髪のときとは異なり、今度はまた怒っているようだ。 全身を真赤にして、体全体で怒りを表している。 だが、粘膜に触れる度に「うっ……、あ……」と声を漏らし、全身を震わせていることを鑑みると、しっかりと俺を恐怖しているようだ。 まあ、己の決して敵わぬ相手に、いいように弄ばれているのだから当然と言えば当然だ。 さあ、これで体臭は完全に消え去った。 再び全身にお湯をかけた後、タオルで体を擦り、熱風を浴びせて虐める。 体表の水分が完全に枯渇したことを確認したら、洗濯の終わった服を着せてやる。 くっくっく……、思った通り。 完全に自分の臭いが感じられなくなって戸惑ってやがる。 いい気味だ。 そんなことをしている間に、飯時になったのでリビングに移動して餌を与えてやる。 「がえぜーーーーーー!!!! でいぶのおぢびぢゃんかえぜーーーーーー!!!!!!」 今朝、自宅に侵入してきた子連れのアホ饅頭、もとい元子連れのアホ饅頭だ。 もちろん透明な箱に閉じ込めて、目の前で「おちびちゃん」を虐め殺してやった。 生きたまま中枢餡を少しずつ削って、それを自身に食べさせてやるといった作業を繰り返すことで徐々に狂って行く我が子を目の当たりにしたためか、その餡子は吐き気がするほど甘く、とてもじゃないが食べる気になれん。 おまけに、気が振れてしまったのか、さっきからこれ以外の言葉を話さないので虐待にも使えない。 とんだ土饅頭だ。 「うー☆ おまんじゅうたべりゅー♪」 肉饅は、そんなクソ不味い饅頭に文句も言わずに齧り付いて中身を吸い始めた。 「ゆぐ、ぎ、がえ、ぎ、ぎぃゅぜ、やぁがぁぁぁえぎょぅうぅぅぅ……」 元子連れ饅頭の鳴き声が、徐々に小さくなって行く。 余程腹が減っていたのか、バスケットボールほどもある大きさの饅頭が瞬き数回の内にぺらっぺらになった。 安上がりな生ものめ。 さて、食事も与えたし、本格的に虐めてやろうと思っていた矢先に、なんと肉饅が俺に対して攻撃を仕掛けてきたのだ。 胡坐を掻いて座る俺の膝を両腕で掴み、「うー♪ うー♪」言いながら頭を擦りつけてくる。 体当たりのつもりだろうか? 小癪な奴だ。 とてつもなく腹が立ったので、お返しに頭を鷲掴みにして、髪の毛をボサボサにしてやる。 こいつは髪に触られるのを嫌うということは、風呂場の一件で学習済みだ。 案の定、頑なに目を閉じて嫌がっている。 饅頭に比べてプライドの高い肉饅は、精神的に追い詰めて行くのが最善であるという俺の持論は、やはり正しかったようだ。 そんな風に楽しいゆ虐タイムを過ごしていたら、もう23時を回っていたので、さっさと寝ることにする。 早寝早起きは、楽しい虐待ライフの基本だ。 ここで愛でお兄さんならば、肉饅用の寝床でも作ってやるんだろうが、残念ながら俺は虐待お兄さんだ。 故に、そんな面倒なことはしない。 すっかり疲弊して眠そうな肉饅を抱きかかえて寝室へ向かい、そのまま布団へ潜り込む。 うむ、やはり肉饅は温かくないとな。 今夜はぐっすり眠れそうだ。 だが、肉饅よ、貴様は眠れないだろう。 俺という恐ろしい天敵の腕の中で、いつ寝相で潰されるとも知れぬ恐怖を味わって夜を明かすといい。 それじゃ、おやすみ。れみりゃ。 ・おまけ うー……。 おにいさんにぎゅーってされるとカーッてなっちゃうぞぅ。 どきどきしてねむれないどぅ……。 お兄さんの不夜城レッド作戦は、案外うまくいっていた。 あとがき 猛烈に肉饅が食べたくなっての犯行です。 後悔はしていません。 あと、私は好きだから虐める派です。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 流れが霧島龍二さんと同じよu(グシャッ -- 2015-08-01 01 01 01 はぁとふるぎゃくたい -- 2015-01-29 03 22 24 ↓おい早苗さんもいれろよ!!! -- 2014-11-30 22 08 12 れみりゃは滅ぶべき。こんな生ぬるい虐待は駄目だ。精神から肉体までズタズタにして「こんなゴミ肉饅が生まれてすみません」と言わせなきゃ気がすまねぇ!ヒャッハー補食種は全滅だ~!!(フランゆゆこ等含む) -- 2014-11-17 23 58 55 俺の知ってるSSの中では最高ですねもっとたくさんの作品を作ってくれるとありがたいです \最高です( ^ω^ ヽヽヽヽ ) -- 2014-09-09 23 15 03 吐き気がする… 恐ろしい おrrrrrr -- 2013-11-16 13 48 59 うーうー…お兄さんはとっても怖いんだどぅー(棒) -- 2013-05-30 23 12 45 鬼畜だー怖いよー残虐すぎるよー(棒) -- 2013-01-19 22 23 08 こんな虐待見たことねー(棒) -- 2013-01-01 12 43 35 きゃーこわーい(棒) -- 2012-12-16 19 59 08 なんという卑劣極悪な虐待なんだ(棒) おそらく、恥ずかしくなる服を着せて衆人観衆の 中を連れ回すとか、人前で吊り上げる(抱き上げる)とか 人前でぺろぺろ(おやつ)させるとかも するんだろうな、このお兄さんは・・・・ おぉ・・・こわいこわい -- 2012-08-11 14 47 06 真っ青だよ… -- 2012-08-09 16 02 42 なんてこった・・・、この作者の血の色は何色なんだ・・・。 -- 2012-08-07 02 46 30 おお・・・こわいこわい -- 2012-08-02 18 13 41 こんな怖い虐待は 「東の悪魔」と呼ばれた俺ですら初めて見たぜ・・・ -- 2012-07-07 20 16 27 ガクガク•••ブルブル•••。 こんなハードな虐待初めてだ。 怖すぎて眠れなくなったわw -- 2012-05-19 14 10 19 恐ろし過ぎる虐待だ・・・ -- 2012-02-22 09 14 07 れみりゃかわいいな -- 2012-02-21 12 36 25 なんというおぞましい虐待だ‥‥。吐き気がするぜ! とても面白かったです。 -- 2012-01-29 13 55 17 このお兄さんHENTAIじゃんwww?誰か来たみたい・・・? -- 2012-01-29 08 48 31
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ゆっくりれいぱー 15KB れいぱー 人間なし 独自設定 初投稿 注意書き、自分設定があります。 れいぱーが出ます。 何もしていないゆっくりが死にます。 虐待はしてないかもしれません 「「「んほおおおぉぉぉぉおお!!!! とってもかわいいわあぁぁぁ!!!!」」」 複数のれいぱーありすの雄たけびが周囲に響き渡る。 とあるゆっくりの群れは、突然襲撃してきたれいぱーありすの集団に為すすべもなく蹂躙されていた。 群れにいるゆっくりは、大半がれいぱーの餌食となっている。 「やべでええぇぇぇぇ!!」 「きぼぢわるいぃぃぃぃいいいい!!」 「わ゛か゛ら゛な゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!??」 「むぎゅ~~~~~~~~!!??」 「つんでれでかわいいわねぇぇ!!」 「もっときもちよくなりましょぉぉねぇぇ!!」 「わかるわぁぁぁぁ!!」 「イイ! イイわぁあああああ!!」 沢山のゆっくりが、それぞれの悲鳴をあげて犯されていく。 茎に餡子を吸い上げられて死んでいくゆっくり。 無理な姿勢での交尾によって皮が破れてしまったゆっくり。 我が子を目の前で犯されて精神が壊れかけているゆっくり。 それぞれの惨状が、そこにはあった。 しかし、何事にも例外と言うものは存在する。 中にはれいぱーの魔の手から逃れたゆっくりもいたのだ。 ゆっくりありすである。 れいぱーと同種であるが故に、大した興味を示されなかったのだ れいぱーがゆっくりありすを襲う場合というのは、よほど満たされていない時ぐらいである。 ありすは必死で駆けていた。 近くの群へとれいぱーの襲来を知らせるべく、駆けていた。 ありすは己の性欲を定期的に発散させていたので、れいぱーとはならなかった。 群れのゆっくりもありすとれいぱーとは、ちゃんと区別してくれていた。 あのれいぱーの集団が来るまでは。 ありすは自分に自信が持てなくなっていた れいぱーと自分が違うものだ、などと最早言えるわけもない。 目の前で犯されていった仲間たちの顔が頭から離れない。 れいぱーたちはありすに興味を示さず、適当に痛めつけて放っておかれた。 邪魔をしなければどうでもいい、とでも言わんばかりであった。 それと同時に仲間であるようにすら見られていた 実際に、 「かまととぶっちゃって! どうせあなたもれいぱーなんでしょ?」 と同意を求めるように言われたのだ。 ありすには我慢ならなかった。おまえらとは違う! と声を大にして言いたかった。 その一念が死に掛けた身体を動かしていた。 そう、ありすの体は所々の皮が破れてクリームも漏れている。 瀕死に近い状態であっても、ありすは必死で身体を動かしていた。 他のゆっくりへと、その危機を伝えるために。 しかし、とありすは考える。 危機を伝えてどうしようというのか。 あの恐ろしいれいぱーの集団にどうやって対抗できるというのか。 そこまで考えてから、ありすは笑みを浮かべた。 そうだそうだそうだ。良い考えがある。とても良い考えだ。 「これ」ならば、ゆっくりでもできる。ゆっくりならばできる。 れいぱーなどゆっくりできなくしてやる。ずっとだ。 ありすは死にぞこないの身体で、狂ったように笑っていた。 「んふふふふ! つぎはどうしましょうか!」 「むこうにいっぱい、かわいいゆっくりがいるらしいわ!」 「はやくいきましょうねぇ!」 れいぱーたちは先程よりは少し落ち着いていたが、満たされない性欲によって今だに「すっきりー!」する相手を求めていた。 次なる目標は、逃がしたありすが向かった先である。 怪我をしたありすは他のゆっくりに助けを求めにいくだろう。 そうでなくとも、怪我そのものを治さなければいけない。 そのために別の群れへと駆け込むだろうと、れいぱーたちは算段をつけていた。 れいぱーたちも性欲にまみれていても、馬鹿ではない。このためにありすを泳がせておいたのだ。 目論見がまんまと成功して、「フヒヒ!」という笑いが止まらないれいぱーであった。 やがて、れいぱーの集団はゆっくりの群れがあるらしき場所に辿り着いた。 れいぱーたちの興奮度合いが即座に上昇する。準備は万端である。 「ゆべっ!」 一匹のれいぱーが突然転んだ。周りのれいぱーは何事か、と注視すると、そこには底部をクリームまみれにしたれいぱーがいた。 「ゆふふ! そんなにあせってどうしたの?」 「もうぬれぬれね!」 口々に転んだれいぱーを囃し立てる。冷やかし半分、侮蔑半分といった具合である。 「ゆゆ!? ち、ちがうわよっ! 落ちてたくりーむでころんだのよ! これはありすのくりーむじゃないわ!」 転んだれいぱーは慌てて弁解する。 まだ「すっきりー」が始めてもいないのに、大量のくりーむを出しては沽券に関わる。 他のれいぱーも確認してみると、確かにそれは交尾する際に出るくりーむとは量が違った。 交尾の際に出るくりーむは、もっと液体に近い。しかしこれは、どろりとした感触がある。 どちらかといえば、ゆっくりありすの中身に近い粘度である。 何故そんなものがあるのか、れいぱーには分からなかったが、すぐにどうでもいいことは忘れてしまった。 れいぱーたちは何するものぞ、と他のゆっくりがいるであろう場所へと進んでいった。 木々を抜けると、いくらか開けた場所があった。 地面にはいくつかの穴が開いていて、どうやらここがゆっくりの居住地だとれいぱーたちは当たりをつけた。 しかし、周囲を見渡せどゆっくりの姿は無い。 「まわりをみてくるわね!」 一匹のれいぱーがそう言うと、ぴょんぴょんと別の方向へ跳ねていく。一足先に獲物を探そうという魂胆なのだろう。 それを見た他のれいぱーもまた、我先にと獲物を探しに行くのであった。 中にはその場に留まるものもいた。 「「「ゆふふ……ほんとのとかいはなら、えものはまつのがじょうしきよ?」」」 家にこっそりと隠れているのはいないだろうか、と考えたれいぱー達である 残ったれいぱー達は息を潜めて、誰もいなくなったように装う。 れいぱーは獲物を犯すためならば、一定の我慢もできるのだ。 案の定、息を潜めてから少したつと一匹のゆっくまりさが巣穴らしき所から這い出てきた。 「ゆ!? ど、どうして……?」 「「「「んほおおおぉぉぉぉぉお!! まりさぁぁぁぁ!! すっきりしましょうねぇぇぇぇえええ!!!」」」」 待機状態から一瞬にして発情状態まで達し、大地を駆けていく。 こうなると、位置取りなどは早い者勝ちだ。相手が仲間であろうと関係ない。 己が最も「すっきりー」できる場所を求めるのがれいぱーというものだからだ。 「ゆ!? ゆっくりまって……」 目の前のゆっくりが新たな行動を起こす前に集団で逃げられないように取り囲む。 そこから、ぎゅうぎゅうと押し包むように交尾をするのが、このれいぱーたちのやり口である この方法であれば、最低でも四方を取り囲む四匹には快感が行き渡り、八方で囲んでもそれなりに快感は得られる。 れいぱー的理想としては身動きできない相手を一対一で犯すのが良かったが、数には限度がある。 今回もれいぱー四匹に対して、相手はまりさ一匹である。 先程の群れを犯しつくしたのと同じように、即座にまりさを囲み、素早く身体を密着させた。 「とかいはなあいをうけとめてねぇぇぇぇ!!」 「すっきりしましょうぅぅぅ!!」 「きもちいいわぁぁぁぁ!!」 「かわいいわぁ! とってもかわいいねぇぇぇ!!」 「ゆぎゅ! やめ、やめてねぇ!? すっきりしたくないぃぃぃぃ!?」 まりさはありすに四方を固められて、全く身動きが取れなくなる。 そこまで圧迫を受けても、ゆっくりの身体は妙に柔らかいために潰れきることはない。 縦に伸ばされた身体でれいぱーの猛攻に晒される。 「ゆうぅぅううぅぅ!!?? やべでぇぇぇぇぇぇ!!??」 まりさの心は嫌悪感で一杯だった。 昨日まではとってもゆっくりした毎日を過ごしていた。 大好きなれいむがいて、優しいお母さんもいる。 ご飯もたくさんあって、困ることなんて何も無かった。 おうちに戻ってきたのは忘れ物をしてしまったからだ。 危ない、と言われたけれどすぐに取ってくれば大丈夫だ、と思った。 おうちに戻った時、ちょうどれいぱー達がやって来てしまった。 その忘れ物もたった今、れいぱーに踏まれてどこかへいってしまった。 今の自分にゆっくりなんてどこにもない。 汚いどろどろしたものに押し潰されて、気持ち悪い言葉を投げつけられている。 まりさはわけが分からなかった。どうして、こんなにゆっくりできていないんだろう。 ありすが教えに来てくれて、皆で逃げようって言って、ありすが何か言って、皆は、待ってるって、 そこまで思い出してから、はっとまりさは我に返る。 そうだ、あの時に教えられたはずだった。れいぱーへの対処法を。 「――――――――!」 「ゆっ……?」 まりさが何か叫ぶのが聞こえた。 れいぱーには良く聞き取れなかったが、それは大事なことであるような気がした。 それでも身体は快楽を求めて「すっきり−」を得ようと、さらに身体を突き動かそうとした。 ぐちゃり 「「「「……ゆ?」」」」 奇妙な感触にれいぱー達は疑問符を浮かべる。まったくすっきりできない感触が身体に残った。 まりさから身体を離してみれば、そこには皮と餡子だけが散っていた。 「「「「……どおしてつぶれちゃってるのぉおおぉぉおお!!??」」」」 理解できない事態を前に、れいぱーと言えども恐れを抱いた。 しかし、その目はまりさの遺体から離れない。 まるで魅入られたように釘付けである。 「ゆ……」 「ゆあ……」 「ゆぐぐ……」 れいぱーたちは歯を食いしばり、目を見開いて、何かを耐えている。 口の隙間から押し込みきれない呻きが漏れ出る。 「「「「ぎぎぎ……! ゆっくりぃ!」」」」 れいぱー達は一斉にまりさの亡骸へと猛烈な勢いで突っ込んでいった。 その様はまるで魔法にでも操られたかのようであった。 その奇妙な光景は各所で見られた。 犯されそうになったゆっくりが何かを言っては死んでいく状態がいくつもあった。 れいぱーはその死骸で身体を黒く汚しながら、それでも獲物を探し回った。 その度に目の前でゆっくりに死なれては叫び声をあげていた。 『どうしてこんなことに』 これは今現在における、れいぱー達の共通した認識であった。 別の方向へと向かっていたれいぱーは、物陰で何かが動いているの発見した。 ゆっくりれいむである。 れいぱーの方へと後頭部を向けているが、どうやら隠れているつもりらしい。 そして、そんなものを見せられて満足できるれいぱーではなかった。 「れいむぅぅぅ!! すっきりしていってねぇぇええ!!」 「ゆっ!? ゆっくりこっちにこないでね、こないでね!?」 れいむは逃げようとするが、れいぱーの圧倒的な身体能力によってあっさりと追いつかれた。 そのまま上かられいむを押さえつけ、絶対優位な姿勢を取る。 「んほおおおおおお!!」 「ゆぎゅううううう!?」 ぬちゃりぬちゃりと気持ちの悪い音を立てながら、れいむをれいぷしていく。 どんどん高ぶっていくありす。泣き叫ぶれいむ。 れいぱーにとっては当たり前の光景であるが、他のゆっくりにとっては悲惨であり凄惨な光景であった。 このれいぱーは軽い欲求不満になっていた。運が悪いのか、まったくゆっくりが見当たらなかったのだ。 今度こそは、とれいぱーは思った。もう少しで「すっきり」できる。 これならば、思う存分「すっきりー」できるはずであった。 れいぱーの焦りと性への欲求が、れいむへの締め付けをほんのわずかに緩めさせた。 れいむはその隙を見逃さなかった。 地面に押し付けられていた身体を少しだけずらして、辛うじて喋る隙間を開いた。 れいぱーがそれに気づくのに遅れてしまった。 れいむが、『それ』を口にした。 「――――――――!!」 一瞬でれいむは絶命した。痛さを訴える間もなく、簡単に死んだ。 同時にれいぱーの身体を支えていたものがなくなって、地面に顔を打ち付ける。 「ぶべっ!?」 その様子はとても無様であった。まるで「とかいは」ではない。 そのことはれいぱー自身が一番理解していた。 例えれいぱーであっても。とかいはであらねばならないのだ。 「ゆ、ゆぐぐぐ……」 痛みに耐えながら起き上がる。そして、れいむの方を見る。 「ゆっ……!?」 その顔にはある感情が浮かんでいた。恐怖である。 れいぱーは怯えていた。見たくない、とその表情は語っていた。 しかし、それと同時に見なければならないという強迫観念が厳然とれいぱーの中には存在した。 「ゆ、ゆぅぅぅ……!」 見てはいけない。見てはいけない、と経験は告げている。 だが本能は見なければならない、と言っている。 れいぱーは見た。見てしまった。 そこにあったのは二つに割れたゆっくりれいむ。 断面からは黒い餡子が見える。 れいぱーの頭の中でれいむが死の間際に発した言葉が響く。鳴り止まない警鐘のように。 ―――さあ、おたべなさい! が。 ここで、一つ別の話が入る。 ゆっくりの餡子には、そのゆっくりが今まで生きてきた記憶が宿っているという。 そして、時には餡子を吐き出したりするなどの行動をとって、「嫌な記憶」を忘れようとする。 目の前で仲間が死んでしまった時。子供が凄惨な最後を遂げてしまった時。 これらのような『精神的に耐えられない状態』に陥った時、ゆっくりは餡子を吐き出して少しでもゆっくりしようとする。 嫌なことは忘れてしまえばゆっくりできる、というゆっくりなりの本能なのだろうか。 とにもかくにも、それがゆっくりなりのある種の自衛行動である。 ちなみに一部のゆっくりが取る「うんうん」などの行動はそれに当たる。 「うんうん」は人間から見たら、ただの餡子に過ぎないがゆっくりから見れば嫌なモノの塊に見えるのだろう。 そして、そういったゆっくりは大概が口汚く罵るなどの特徴、所謂ゲス的な特徴が多く見られる。 そのことから「嫌な記憶」以外に警戒心などの記憶も捨てているのではないか、と言われることもある。 「嫌な記憶」は餡子を捨てて、忘れてしまう。 それがゆっくりの持つ本能の一つである。 ならば、「嫌な記憶」を持ったまま、餡子を捨てていなかったらどうなるのか。 その一つの答えがここにあった。 「ゆ、ゆぎぃぃぃいぃぃいぃ!!」 二つになったれいむの身体へと突っ込むれいぱー。 そのまま、れいむの死骸を貪り食う。泣きながら、それでも食う。 食わなければいけないのだ。食わなければ二度とゆっくりできない。そんな気がしてならないのだ。 「ゆ……」 ある程度の量を食べた所でれいぱーの動きが止まる。 満腹になったのではない。 行き当たってしまったのだ。「嫌な記憶」と。 「嫌な記憶」とは、すなわち犯された記憶。 ついさっき、れいぱーからされた、酷い仕打ち。 「ゆ゛べぇ゛あ゛がいいいぃいいああああ!!??」 れいぱーには本来有り得ないはずの、別のゆっくりによってれいぷされた感覚が頭の中を駆け巡る。 ぼろぼろになるまで打ち付けられる痛み。 ぬちゃり、という気色悪い粘着質な感触。 酷いことをされているという恐怖。 れいぱーなんかに犯されているという屈辱。 大切な友達であったまりさに対する申し訳ない気持ち。 これらは勿論、れいぱーの記憶ではなく、れいむの記憶であった。 しかし、当のれいぱーからしてみれば、『れいむの記憶である』というのはただの言葉でしかなく、 本当に自分が犯されている感覚や記憶しか思い浮かばない。 「嫌な記憶」がまるまる引き継がれたのだ。 「ゆ、ゆべえええええぇぇぇ!!」 れいぱーも口からクリームを吐いて、「嫌な記憶」を出そうとする。 しかし、まだれいむの餡子は残っている。それらを全て食べた後に吐き出さない限りは無駄である。 吐き出しても、新たに「嫌な記憶」を補充してしまっては意味が無い。 「ゆっぐりできないぃぃぃいい!!」 れいぱーの悲痛とすら言える叫び声が辺りに響き渡るが、誰も助けにも来ない。 他のれいぱーは同じような目に会って、同じような苦しみを味わっている。 何より、このれいぱーがこのれいむの残骸を『食べなければ』ならない。 それが出来なければ、れいぱーはゆっくりを名乗る資格を失ってしまうからだ。 「さあ、おたべなさい!」とはゆっくりがその一生に一度だけできるものである。 それを行なうためには、ただその言葉を唱えれば二つに割れる、とするものから、 真に相手のことを思った時にのみ二つに割れる、と諸説ある。 この場合は実は後者に当たる。 これら死んでいったゆっくり達は、真に相手のことを思っていた。 殺したいほどに。 負の意識によって「さあ、おたべなさい!」を成立させたのだ。 こうしてゆっくりれいぱー達は己が欲に従えば従うほどに苦しみを味わうこととなった。 取れる道は二つ。 ゆっくりでなくなるか、酷い苦しみを味わっていくか。 どちらにしても因果応報。れいぱーは今まで犯してきた所業を、文字通りその身で味わう羽目になった。 れいぱーへの対抗手段。 これは生き残ったゆっくりを通して、他のゆっくりへと伝わっていった。 今までは、れいぱーと言えば通常のゆっくりを凌駕する身体機能を持ち、 貪欲なまでの性への執着によって、狙った獲物を逃がさないとされていた。 ゆっくりが恐怖する対象の一つであった。 しかし、これを境にれいぱーへの認識が変化していく。 その身を犠牲にすれば、犠牲になった分のれいぱーに深刻なダメージを与えられるようになったのだ。 これと同時にゆっくりれいぱーもまた、その数を大幅に減らしていった。 れいぱーと言えども犯された記憶に苛まれることは、大きなトラウマとなったからだ。 他のゆっくりを犯そうとした時、『犯された記憶』が勝手に蘇り、何も出来なくなる。 例え中身を吐き出してそれらの記憶を忘れようとしても、同じことをすれば餡子の奥底にまで刻まれたトラウマが復活する。 その繰り返しに耐えられず、壊れてしまうれいぱーすらいた。 『犯された記憶』を持つれいぱーは挙動不審となる。 これはゆっくりれいぱーとゆっくりありすを区別する上で役に立った。 通常のゆっくりありすはゆっくりしており、れいぱーはゆっくりしていない。 ゆっくり的にこれほど簡単な見分ける術は存在しなかった。 また、この対抗手段は他のゆっくりを犯そうとするゲスゆっくりに対しても効果を発揮した。 それらのゆっくりが他のゆっくりを犯そうとしても、ゆっくりの体型では口を閉じさせることは難しい。 そこまでするぐらいであれば、むしろ即座に殺したほうが楽に終わる。 ゲスならばそれで良いのかもしれないが、己が快楽を常とするれいぱーではそうもいかない。 れいぱーにとっては死活問題であり、これを機にれいぱーでなくなるものも少なくなかった。 それでもまだ、れいぱーであることを止めないものもいる。 そんなゆっくりれいぱーに対して、他のゆっくりは覚悟を決めてこう言うのだ。 まるで魔法の呪文を唱える様に。 「さあ、お食べなさい!」 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る でもれいぱーを倒してないよね。 感情のあるお食べなさいを言う←レイプ中ってそこまで冷静になれない。特にゆっくりは。 ↓×1 負の感情ですら愛を感じるとは病んでいる、いや弩Mかww -- 2018-01-11 13 31 15 ↓×8 報われてねえwwww -- 2016-01-11 21 06 38 野良ゆっくりが初めてかっこよくかんじた。 -- 2013-06-01 08 16 37 お食べなさいの解釈だったり、理由付けが上手だわ 真に相手の事を思いやる(※ただし、負の意味で)とかすんごい納得した -- 2012-08-16 08 15 27 コロンブスの卵とはこのことか。その手があったか。盲点だったなあ。 うん、実にうまい使い方だと感心する。 凄いわ。 -- 2012-06-09 21 17 59 面白い設定だな。お食べなさいをこう使うとは… ゆっくりできたよー! -- 2010-10-13 20 49 26 さあ、お犯りなさい! -- 2010-06-25 01 57 44 んほぉぉぉぉ!!!! すっきりー!!!! ふう… -- 2010-06-24 01 03 18 ↑吹いたw -- 2010-06-17 07 57 04 んほおおおおおおっ!!!!ありすのとかいはなあいにいのちをかけてうけとめるなんてとかいはねえええっ!!!そんなところも嫌いじゃないわあああっ!!! -- 2010-05-13 19 20 10 面白い。設定もきちんとしてるし、納得できるし、れいぱーに簡単に制裁を加えられている すっきりできた -- 2010-03-09 13 45 33
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前置き ゆっくりのセリフに読みやすくなる程度に度漢字を使用しております 大きさ補足[赤ゆ=ビックリボール 通常種=ソフトボール ドス=バスケットボール 小型種=野球ボール 巨大種=バランスボール] 作:メトロイドマホロイド 「長ぁ、今度はれいむのちびちゃんが帰ってきてないよ!」 「みょ!? あれほど遊ぶときは大人が近くで見張ってろって、言ったのに何してるみょん!」 長みょんがまとめる群れでは、ここ最近子供の失踪が頻発していた この群れの総数は300を超える大所帯である、そのため過去に何度か迷子の捜索もしたことがあった だから最初は長みょんも、この連続失踪の最初のうちは子供の迷子だと思っていた しかし毎日と言ってもいいほどのペースで子供がいなくなる 最初の失踪から1ヶ月、知能の高いぱちゅりーでなくてもおかしいことに気づくゆっくりは多くなっていた 「れいむのちびちゃんどこ行ったのー!!」 森にゆっくりの大声が響く 100匹近いゆっくりが、子供が居なくなるたびに詮索をしているのに、今まで一度も子供が発見されたことはなかった 「ゆぅ、どうせ見つからないんだしもう寝ようよぉ」 「まりさも眠たいよぉ・・・」 数匹のゆっくりが早く帰って寝たいとつぶやく、探索を行うようになって1ヶ月、ほぼ毎日の徹夜である そのせいで日中に行う狩りの時間帯を睡眠に回しているため、満足に食事もできてないゆっくりは多い それにゆっくりにとって夜とは危険が多い時間帯でもあるのだ 「れみりゃだぁああああ!!!!」 「やべでぇ! だべないでー!」 「うっーうっー、ご飯がいっぱいだどー」 「ふっー! ゆっくりはふらんに食べらとけぇ!!!」 群れに突然悲鳴があがる れみりゃと胴付きふらんが狩りを開始したのだ 「みょ、みょん!? やばいみょん! れみりゃとふらんの狩りの時間になってたみょん!」 れみりゃとふらんは夜行性だが、活動開始時間は日が落ちて数時間後と遅い 夜行性といえど、ゆっくりであるが故にゆっくりした時間が必要なのだ 長みょんもその事を把握していた しかし、毎日の子供の失踪と、それを防げない自分の不甲斐なさが焦りを生み、このことを失念させていた 「みんな家に戻るみょん!」 「ゆっくりしてないで逃げるよ!」 「ばでぃざぁああああ、だずげでぇ!!!!」 「いぎゃああああ!!!! でいぶをだべないべぇえええ!!!」 すぐに家に帰れと指示をだすが時すでに遅し、3匹のれいむが捕まってしまった みょんは通常種最強と呼ばれる戦闘能力を持つ、しかし長と呼ばれる実力を持っていたとしても捕食種に勝てるものではない しかも、ふらんは胴付きである、空を飛ぶうえに手足があるという戦闘能力は、みょんと言えど簡単に返り討ちにあってしまう 「ゆぎぃ!!!!!」 「ゆがががががががががががが」 れみりゃが噛み付いたれいむが断末魔をあげる 中身の餡子を吸い出すれみりゃの食事方法は、ゆっくりをすぐさま死へと誘った それに対し、ふらんはの食事方法は丸かじり 自分が食べられる感覚に声を荒げながら、ふらんの右手に捕まったれいむは息を引き取った 「やべでね、でいぶはおいじぐないがらたべ、ゆべぇ!?」 食べないで、そう懇願するれいむの口に空いた右手を入れ、ふらんは中の餡子をこねくり回していた 「ゆばばばばばあば、しゃべ・・・ひゃべで・・・」 れいむは涙を滝のように流しながら止めてと懇願する しかしその願いは届くはずもなく、れいむは死を迎えた 「ゆべっ」 「ふー、ハニーたべるんだぞー」 「うっーうっー、ダーリンの手料理美味しいどー」 料理、と言ってもゆっくりの中身の餡子をこねくり回し柔らかくしただけだ 捕食種はゆっくりを美味しくする方法を知っている事もあり、その事かられみりゃとふらんは少し変わった習性がある それはゆっくりを苦しめて味を向上させるという習性だ その方法は多種多様で、今回のように直接痛みを与えることや、家に監禁して家族を目の前で食べるなど、精神的に苦痛を与える場合もある そしてこの事をこの2種の間では手料理と呼ばれる 「れみりゃは先に帰って子供達にふらんの手料理をあげておくんだぞ」 「うー、わかったどー」 二人でディナーを楽しんだ後、れみりゃはふらんが作った手料理を咥えて巣に戻っていった 「ふらんはもうひと仕事するぞー」 「ゆ"!?」 狩りを再開しようとするふらんの目に、5匹のまりさとありすが目に入った この残っていたゆっくりは、食べられたれいむの家族である せめて遺品だけでも回収しようと、木陰から見守っていたのだ ここならふらんから見えない、そう思って隠れていたが、通常種と夜行性のふらんの夜目は見える範囲が違った ふらんから見ればこの5匹は頭も尻も隠していない状態である 「ふらんにゆっくりたべられろぉ!!!!」 「「「「「なんでばれたのぉ!? こっちにこないでぇ!?!!」」」」」 結局、1匹のまりさと2匹のありすが捕まり、ふらんの家に連れて行かれた 次の日の夜 今日も子供のありすが、日が落ちたというのに帰ってこなかった 探索に向かおうと、長みょんは群れの大人を集めたが、子を失った親以外は探索に行かないと言い張った 「れいむの子供がいなくなってないのに、何で他の子を探さないと行けないの」 「まりさは狩りで疲れてるんだよ。だから早く寝ないといけないんだよ」 「夜遅くまで起きてると肌が荒れてしまうわ。そんなの都会派には許されないってわかるでしょ?」 群れのゆっくりには限界がきていた ほぼ毎日の徹夜、日中にゆっくりできない事、捕食種への恐怖、そして昨晩の胴付きふらんの来襲 長みょんは群れのゆっくりを説得したが、子を失った親ゆっくり以外はけっきょく探索に行こうとしなかった そして今晩も消えた子供は見つからなかった ここは長みょんの群れから少し離れた崖の下にある洞窟 そこに2匹のゆっくりが暮らしていた 「今日のご飯は、ぱちゅりーの大好物の餡子のクリーム添えよ」 「むきゅ〜ん、ぱちゅりーの好みを把握しているなんて、さすがとかいはね!」 「あたりまえじゃないの、だって優秀なぱちゅりーの夫なのよ」 「そんなこと言われると照れちゃうわ、むきゅー」 ありすとぱちゅりーは、外からは見つけることが困難なこの洞窟に居を構えた 「「むーしゃむーしゃ、しあわせー」」 「さすがありすの愛妻料理ね、人間が作ってた料理に匹敵するほどだわ!」 ぱちゅりーの言葉、それは二匹が人間に飼われていた飼いゆっくりであったためだ ありすは生れ落ちたときからの飼いゆっくりだった 美味しい食事、温かい毛布、ゆっくりできる遊具、とかいはなゆっくりハウス 愛でと呼ばれる飼い主に飼われていた、ありすは幸せだった 文句があるとしたら "人間の躾" 程度 でも、その躾を守れば褒めてくれた、美味しいお菓子をくれた しかし成長したありすに思春期が訪れた 「ありすも家族がほしいわ・・・」 生まれて家の外に出してもらったこともなく、家のなかでゆっくりする日々 テレビとよばれる物の中にだけでしか、自分以外のゆっくりを見たこともなかった ありすは、ドラマに出てくるゆっくりの家族が羨ましかった そのドラマは人間の家族とゆっくりの家族を描いた大河ドラマ 『おきゃーしゃんの、しゅーりしゅーりとってみょきみょちいいよ!』 『おとーさんおかーさん喧嘩しないでー!』 『・・・ゆ? 高楽さんの家のれいむが、まりさの本当のおかーさん?』 『おかーさんは本当のおかーさんじゃないかもしれないけど、まりさのおかーさんだよ!』 どんな苦難も家族の絆で乗り越える姿にありすは憧れた それは物語の主人公になりたいという思いではなく、家族が欲しいという願いからだった 飼い主がぱちゅりーを連れてきたのはそんな時だった 「今日から一緒に住むことになったぱちゅりーだ」 「むきゅ〜、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの結婚相手がほしいと、飼い主が知り合いから結婚相手を貰い受けたそうだ ぱちゅりーは博識だった、しかしそれを鼻にかけることもなく、とても礼儀正しかった 気が合った二人はすぐに仲良くなり、夫婦となるまでさほど時間がかからなかった 数週間後、二匹には子供ができていた ありすが3匹にぱちゅりーが1匹 赤ん坊が、ちびと呼ばれるぐらいに成長してきた時、またもや突然1匹のゆっくりがつれてこられた 「ゆっきゅりしちぇいってね!」 「「ゆっきゅりしちぇいってね!」」 それは赤ん坊のれいむだった 初めての友達に子供達はすぐ仲良くなり本当の兄弟のようにすごした 赤れいむが連れてこられて来た理由は 「道端で倒れてたから、子供達の遊び相手につれて来た」 「れみりゃにおしょわれちゃんだよ!」 れみりゃに襲われたが、親が赤れいむを逃がしたらしい それを飼い主が拾ってきたというわけだ 「ゆっくり理解したわ!」 ありすとぱちゅりーもそれを理解し、赤れいむを家族として向かいいれた そしてそれは赤れいむが着てから1ヶ月ほどたった日であった 飼い主が帰ってきた目に飛び込んできた物、それはバラバラになったお気に入りの茶碗だった 壊した犯人はあの赤れいむだった 「ゆびぃいいいい!? いちゃいよぉおお!!!」 赤れいむは壊した言い訳を言う暇もなく、お仕置きを受けていた 台に赤れいむを固定し、定規を弾き、足を何度も叩くお仕置き 足はゆっくりにとって生活の全てだ、それは移動だけではない ご飯を食べる時に前かがみになるには足を使う、自分からすりすりするにも、この足では上下運動ができない 足、それを失ったゆっくりは口と目を動かすこととしかできなくなるのだ 「やめちぇぇえええ!!!! はんちぇいしましちゃからぁぁぁあああ!!」 「じゃあ何でお茶碗を触ったか聞こうか?」 「き、綺麗だったから、れいむはがまんできにゃかったんだよ! 宝物にしちゃかったんだよ!」 「人間の物にあたったらいけないって言ってたよね? もしあたったらお仕置きするって言ってたよね?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 「また何か壊したらもっと痛いお仕置きするからね、わかった?」 「わかっちゃよ・・・」 お仕置きが終わって赤れいむは部屋に戻される、飼い主はありす達に連帯責任として3日間ご飯抜きを言いつけた 「ゆゆ!ありちゅ、しょんにゃにがみゃんできにゃいよ!」 子供達は抗議をした、しかし決定したことは変えないと言い返される 「あー、でも子供のぱちゅりーは3日食事抜くと死んじゃうかもしれないから栄養剤を食べさせてあげるよ」 それから3日後、なるべく動かないで体力を温存していた、それでも3日という食事抜きは長い 栄養剤を食べた子ぱちゅりー以外は全員げっそりしていた 「今日はご飯貰えるからね、ちびちゃん達はゆっくりお利口にしててね」 「「ゆっきゅりりきゃいしたよ!」」 久々に食事が貰えると聞いて子供たちは元気が戻ったのか、全員遊具ではしゃぎはじめた 「ゆっくりした子達でよかったねぱちゅりー」 「そうね・・・」 ぱちゅりーはぐったりしている、元々体の弱い種族だ、栄養が行き届いてる飼いゆっくりと言え、3日の食事抜きの負担は大きい 「元気を出してぱちゅりー、子供達もきっと言いつけを守らないことは悪い事だって理解してくれてるわ」 子供達も今回のことで言うことを聞かないとお仕置きがあることを理解しただろう これでもっと良い子になってくれる しかしありすとぱちゅりーの思いは最悪な形で壊れることになった 「みゃみゃーたしゅけてー!」 「ここきゃらだしちぇぇ!!」 「お兄さん子供達を出してあげて!」 「子供たちは悪ふざけをしただけなのよ、ゆっくり理解してね」 子供達が箱の中に閉じ込められている理由 それは10分前の出来事が原因だった 「3日間食事抜いたからな、ちょっと豪華にしてあげるか」 お仕置きとはいえ3日もご飯抜きにしたのだ 飼い主もこれに懲りただろうと、ちょっとだけ豪華なゆっくりフードとオレンジジュースを用意して部屋に入った 「お前達ゆっくり反省できたかな? 反省できた子には美味しい・・・」 「ばかな飼い主はゆっきゅりしにぇ!」 「え?」 パコン、そんな音と共に飼い主の足に何かがぶつかった それはスィーカー 上に乗り、前のボタンを踏めば前に、後ろのボタンを踏めば後ろに進む メジャーなゆっくり玩具の1つである その上にはありすの子供達と赤れいむが乗っていた 「おにーしゃんいたかった? れいみゅも、おしおきいたきゃったんだよ!」 「そうだよ! ありしゅの、とみょだちを、いじめりゅばかにゃ飼い主はゆっきゅりりきゃいしてね!」 「むきゅん! ばかな、かいにゅしは、いちゃくてうごけにゃいらしいわ! ぱちゅりーたちの勝利ね!!」 「「ゆっゆおー!」」 動かない飼い主を見て勝利を確信した子供たちは勝どきを上げている この作戦の発案者は言うまでもない、子ぱちゅりーだ 子供たちはお仕置きという物を理解していなかった、だから飼い主が友達をいじめたと勘違いしたのだ だから報復しよう、子ぱちゅりーは姉妹と赤れいむにそう言った 言葉を覚え始めた子ぱちゅりーは、覚えた難しい言葉が使い、ありすとれいむに報復を提案した 難しい言葉を使う子ぱちゅりーの言葉、子供たちはそれを凄いと褒め誰も疑わなかった その報復の方法はスィーカーで突撃すること 子ありすが生まれたての時に、スィーカーに誤って轢かれ、大怪我をした事を子ぱちゅりーは憶えていたのだ しかしそれは外皮の弱い赤ゆっくりの場合の話だ 「ちびちゃん達なにしてるのぉ!!!」 ありすは慌ててちび達をスィーカーから下ろし飼い主に謝らせようとする 「あやみゃるひつようにゃんてないよ! これはほうふきゅなんだよ!」 子供達は悪びれている様子がまったくなかった 自分は人間に勝ったんだ、自分は人間より強いのだ、自分より弱い相手に謝罪なんてする必要がない そんな状態の子供達はありすの言葉をまったく聞こうとしてなかった 「お兄さんゆっくり聞いてね! 子供達はちょっとおふざけがすぎただけなのよ・・・お兄さん?」 そこでありすは飼い主の異変に気づいた じっとありす達を見る目の異様な冷たさ それは、ありす達に完全に興味を失くし落胆した目だった そして何も言わずお兄さんは、子供達を掴みあげると箱の中、電子レンジの中に放り込んだ その後、電子レンジの前にありすとぱちゅりーをお兄さんは連れてきた 自分の子供の死に様を見せるために 「お願いします、子供たちを許してあげてください!」 「死ね」 冷たい言葉 優しい飼い主からはじめて聞く単語 どおしてそんな事を言うの? そんな問答をする暇もなく子供達の悲鳴が聞こえてきた 「ゆびぃいいいいいいいい!!?!??」 「が"が"が"が"が"が"が"が"」 「いじゃいよぉおおおおお!!!!」 電子レンジの中をみると、子供達が絶叫をあげながら苦しんでいた 助けようと電子レンジに体当たりをするがびくともしない 針で突付かれても、火で焼かれてもいないのになんで? その時、ありすはお兄さんに見せられた虐待テレビのことを思いだしていた それには、針を刺されるゆっくり、火で炙られ足を焼かれたゆっくり、飾りを壊されたゆっくり ゆっくりできない光景がそこにはあった 悪いことをしたらこれと同じ事をする、それがお仕置きだ、そう教えられた それが今まで良い子にしていた、お仕置きされたことの無いありすの知るお仕置きでもあった しかし目の前のこの箱は一体なんなんだ 子供たちは中に居るだけ なのに苦しんでいる ありすの理解の範疇を超えていた 「ゆ”っ!?」 ポンッ ポップコーンが弾けた様な音と共に、子ぱちゅりーの目が破裂する 「む、むきゅー!?」 「ばじゅでぃいいいいいいい!!!!!」 子ぱちゅりーの目が弾けたのを皮切りに、他の子達にも変化が現れた 「ゆべぇ・・・・」 長女のありすの体中からは、ドロリと餡子を吐き出し 「ゆびぃっ」 次女のありすは上半身が溶け、醜く歪み 「ゆびぃ!?」 三女のありすは子ぱちゅりーと同様に、量目がが破裂し 「ゆ”っ!?」 子れいむは、バラバラに四散した 「むびゅ・・・・」 「あ、あでぃしゅ!ばじゅでぃい!」 ぱちゅりーはその光景に耐えれきれずに気絶 ありすは、この世の物を見ているとは思えない形相で、レンジの中の子の有様を見ながら気絶した 「ゆ、ゆ!? ありす!?ぱちゅりー!?れいむ!?」 気がついたありすが、子供とその親友の名を呼ぶ きっとあれは夢だったんだ、そうに違いない しかしそれは、夢でなくは現実であった 「い”ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”!!??」 起きたありすの目の前にあったモノ それは物になった子供たちの姿だった 「ごべんで・・・ごべんべ・・・・」 謝りながら子にぺろぺろを施す こんなことをしても子供は生き返らない、その事をわかっていてもやらずにはいられなかった 数分後、ありすは落ち着きまわりを見渡す 近くにぱちゅりーがすごい形相でまだ気絶したいた それ以外は見たことの無い場所、でもその場所を何と言うかありすは知っていた ここが森という場所だということ、そして理解した、自分達が捨てられた事を 中編へ続く Q.おかしいことに気づくまで1ヶ月っておそくね? A.自分以外にあんまり興味のない餡子脳だとこれぐらいかなと 前の作品 「ゲスG誕生!」 「猟奇的に伺が。」 「ゆっくり実験所」 「ゆっくりの加工所?」 「きめぇ丸から愛を込めて」未完 「十虐十殺」