約 632,118 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/868.html
『紅い月に吠える』 赤い満月の夜に、大量に現れたれみりゃとふらん。それらは世界の終わりを告げる悪魔か、世界に救いをもたらす天使か。 予言された"終末の日"は近い…。 「うー♪ うー♪」 「だど、だどぉ♪」 「…」 私は家でゴロゴロしながらテレビを見てゆっくりしていたのですが、気が付いたら目の前に可愛いおちびちゃんたちが遊びに来ていたみたいです。一人は体がついていて、ぶきっちょなダンスを踊っています。かわいいなあ。 …少し目を離しただけなのに、この子たちはさもずっと居たかの様に胸を反らせてそこにいました。 やはり私にとってゆっくりは、未だに謎に包まれた存在のようです。どうやったらそこまで正確に一瞬の隙を付けるのでしょうか。 「うー♪ おねーさんは、ゆっくり出来る人?」 体のついていない、背中に何やら宝石の様な生えたゆっくりが話しかけてきました。何やら私の顔色を伺っているようで、びくびくした様子です。 体が付いたゆっくりも、不安そうな目をしています。 二人のゆっくりには悪いのですが、その様子すら可愛いです。 「…大丈夫ですよ。私はゆっくり出来る人です」 私がそう答えたら二人は安心したのか目をトロンとさせ、すぐに跳ねあがり歓喜の声をあげました。 私は、その様な様子の二人に言いました。 「ふふ。ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 『自己紹介』 「じゃあ、自己紹介でもして貰おうかな。そっちの体のおちびちゃんは、どなたさんですか?」 「うー? れみぃはれみぃだど! こーまかんのおぜうさまなんだど~♪」 体つきのおちびちゃんは何やらちょっとわからない事を喋り、手を頭まで挙げて何やらダンスを始めました。 いちいちもたついている所がなんともかわいいですね。 「うー! そんな説明じゃあ、おねーさんがわかんないよっ! ゆぅ、ふらんはふらん! おねーちゃんと一緒にお外に出たらここに来たんだ、よろしくね!」 きちんと挨拶が出来て、偉いですね。私は、ふらんの頭を撫でてやります。 それにしても、姉妹だったのですか。おねーさんとおねーちゃんの違いが少しわかりにくいですね。 れみぃ? が姉で、ふらんが妹かな。確かに二人とも面影があるように見えますね。 ふらんは嬉しそうに羽をパタパタさせて笑顔を浮かべています。対称にれみぃ? の方は『私もやって!』と言わんばかりに目を吊り上げて体をずいっと私に近付けます。 「はいはい、撫でてあげますよ。お前は、れみぃでいいのですか?」 「うー♪ おぜうさまのれみぃの頭を撫でられるなんて、特別なんだどぉ♪ れみぃはれみぃでいいんだどぉ!」 「違うよ、おねーちゃんはれみりゃでしょ!」 「うー…?? れみぃ、わかんないどーっ!」 「もうっ、しっかりしてよおねーちゃん!」 妹に叱られるお姉さんの図があまりに絵になっていて、思わず笑ってしまいました。 はたから見るとふらんの方がしっかりしていて、お姉さんにみえますね。 「ともかく、れみりゃとふらん! これからよろしくお願いしますね」 「うっうー♪」 「だどぉ♪」 『プリン』 私は今日の家事を全て終わらせ、至急台所の冷蔵庫へ向かいます。何故か? 理由は一つです! 「うふふ…、このキンキンに冷えきったプリン!! 神社に居たときはいつも何だ間だで妨害されて、食べれずじまいでしたが…。 今日こそ! 誰にも邪魔をされずに食べる事が出来るのです!!! れみりゃたちは寝てるよね…、寝てた。タオルケットお腹にかけて仲良く眠ってる。かわいい」 冷蔵庫の前で一人馬鹿みたいな独り言を喋る自分に自己嫌悪しつつ、食器棚からスプーンを取り出してテーブルに座ります。 いざ、プリンオープン! べらあと綺麗に蓋がとれていき、同時にその肌の色を表す至福の時! 親父が脱衣麻雀が好きな理由も頷けますよ! 完全にプリンが肌を表してその均一なる大地を掬おうとした、その時でした! ぐぎゅるるるる~… 「ぬおっ!?」 来た、来ちゃった、来ちゃいましたよ! 3日に一度のお通じが、ああっ! トイレに行きたい! でも、ここでトイレに行ったら一生プリンにありつけないような気がする、ぐぬぬ…! 「やむをえないっ!」 私は泣く泣くその場でのプリンを諦め、隼の如く速さでトイレに駆け込みました。ああ、この瞬間も至福の時だし、どうでもいっか…! 「うー、おねーさんの声がうるさくて起きちゃったどぉ…うー?」 少女便所中… 「さーて、麗しのぷっりっん~っと♪ …ん、無い? な、無い!!? そんな!」 無い、無いんです! 予想はしてたけど、確かにテーブルの上に置いてあったはずのプリンが、スプーンだけ残して颯爽とどこかへ消えてしまいました! 一体何があったと言うのですか! 「…うー? おねーさん、どうしたんだどぉ?」 ふと、寝ていたはずのれみりゃが話し掛けて来ました。 れみりゃは起きたてなら目を擦りながら話し掛けてくるはずなのに、今はそれがないんです。まさか、れみりゃが…? 私は、質問に答えながら注意深く辺りを見回します。 「私のプリンが無いんですよ! せっかく有二屋で買ってきたのに! …あーーーーーーーっ! テーブル下に有るのは、有二屋のプリンのカップ! さてはお前たち、食べましたねぇ~!」 やはり嫌な予想だけは当たるもので、見事テーブルの隅っこに空に置かれているカップを発見しました! 几帳面に、カラメルソースまで無い! これは間違いなくれみりゃたちの犯行ですね、現行犯で逮捕します! 「うっ、うううーっ! ごめんなさいおねーさん! ふりゃんと一緒にあまあましてたのだー!」 「ゆうう、ごめんなさい~!」 「…ふう。まあ、いいですよ。気が付いているんです、私はプリンがどうしても食べられない星の元に産まれて来たんだって。 何をどう工夫しようが、最後には他の人たちの胃袋にプリンは行ってしまうのです」 「お、おねーさん…?」 れみりゃとふらんが何の話をしているんだと言う顔付きで私の顔を覗き込んできたので、私は二人の頬をぷにりと触ながら外に出るための財布と防寒具の準備をします。 「まあ、おやつを一人占めしようとした罰でもありますしね。3人で、パフェでも食べに行きましょうか」 きっと、欲張りすぎたから神様から罰が当たったんです。おいしいものは、皆で共有しないとね。 「う、いいの? やったー!」 「うっうー♪」 二人の笑顔をみると疲れも吹っ飛ぶというものです。さあ、行きましょうか! 私はおちびちゃんたちの手を引き連れて、近くの喫茶店へ向かいました。 『けんか』 「う゛ーっ! う゛ーっ!」 「うー! うー!」 和室でお昼寝をしているはずの二人の部屋がうるさいから様子をみてみると、なんと二人がけんかを始めているではありませんか! まあ、とは言ってもこの時期のけんかというのは大切な事ですからね。二人には悪いですが可愛らしいですし、遠目で眺める事にします。ううん、悶えるなあ。 …よくよく観察していると様子がおかしい事に気が付きました。先程からずっとふらんの方がれみりゃを叩いていて、れみりゃはというとうーうー泣いていて頭を縮こませて耐えている一方では無いですか! 私はたまらず足を踏み出します! 「こら、ふらんっ! やめなさい!」 「う゛、…う゛ー゛っ゛!゛ お゛ね゛ー゛さ゛ん゛!゛!゛!゛」 「うう…、…ぷんっ。おねーちゃんが悪いんだからね、ふらんに意地悪したおねーちゃんが悪いんだいっ!」 「うーん、それでも暴力に訴え出る事はやってはいけない事ですよ、ふらん! …れみりゃ、どうかしたのですか? お前が何かしたのですか?」 「う゛ー、れ゛み゛ぃ゛悪く゛無いも゛ん゛っ!」 れみりゃは嫌々のポーズを体に表してとうとう私の膝の上で泣き出してしまいました…。これは、当人から事情を聞くしかありません。 「ふらん、お前が暴力をふるうということは何かひどい事をされたのでしょう、何をされたのですか?」 「うー、おねーちゃんが、寝ているふらんのほっぺを叩いてきて…、う、う゛え゛え゛え゛ん゛!゛!゛!゛」 すると、ふらんも泣き出してしまい私の胸にうずくまってしまいました。 …大方、寝惚けていたれみりゃが間違いでふらんの頬を叩いてしまい、それにショックを受けたふらんがれみりゃを一方的に押し倒した、という所でしょうね。 私の目下ではやや落ち着いたのでしょう、涙目になりながらも二人が『ばーか!!』とやじを飛ばしあっています。 ああ、子供のけんかというのも可愛らしいなあと新たな発見に感動するのも束の間、私はれみりゃとふらんを向き合わせます。 「ほら、二人ともお互いを見て! 薄々お互いに悪かったって気が付いているのでしょう? 仲直りです」 「…うー」 「…ぷいっ」 中々素直になれないみたいで、二人は目をあわせようとせずそっぽを向いてしまいました。しかし、その様子も次第に変わっていき、最後には二人とも小さな声で『ごめんね』を言いあいました。 仲直り出来て、よかったですね! …それにしても、姉より腕っ節の強い妹かあ。新しい、自分の性癖を発見したような気がします。 『かくれんぼ』 「うー! おねーさん、かくれんぼしようよっ!」 テーブルに座り縫い物をやっている私の膝にふらんが乗っかってきて、かくれんぼをしようと言ってきました。 やることもないし、別にいいですよ。でも、どこでするんですか? 「うっ、もちろんおねーさんの家でだよ! んもー、わかってる癖にいっ」 このこのと嫌に体を押し付けてくるふらんの頬をつねりながら、私は危なくないか考えます。 うーん、家の中でか。二人とも、特にれみりゃ。何か物を壊さないかな? あ、いや。待てよ? ふらんが一人で私を誘いに来たということは、れみりゃは既に隠れてるということですかね…? 「ふらん! れみりゃはもう隠れているのですか?」 「うっうー! その通りさっ! ふらん、じゃんけんで負けて鬼になっちゃって…。おねーさんも誘えば、仕切り直しになるかなって思って!」 なるほど。子供的で可愛らしい考えですね、思わずふらんを抱き締めちゃいます。 それにしても、じゃんけん…? れみりゃは手がついているから分かりますが、果たしてふらんはどうやってじゃんけんを行うのでしょうか? 興味を持ちました。 「ふらん、私とじゃんけんをしませんか? このじゃんけんで負けた方が鬼です」 「うっ、いーよ! さーいしょはグー! じゃんけん!!」 もう始まったのですか! 私は急いでチョキを出しました、するとふらんは 「んー!」 と可愛らしいお口を紡ぎました。そして、『やった、勝ったあ!』と嬉しそうに笑顔を綻ばせてぴょんぴょん床に跳ねました。 なるほど、今のがふらんのじゃんけんなのですね、チョキが半開き、パーが開くといったところでしょう。違いがわかりにくくもめやすいのが難点ですね。 同時に私の鼻の奥が熱くなって、チリチリと舌に鉄の味が広がりました。 …むっちゃかわええ!!! 「うっ、おねーさんが鬼だからふらんの事探してね! じゃあ、あとでね!」 ふらんはそそくさと居間を出ていきどこかに隠れてしまいました。 まあ、この家、そもそもマンション自体一人暮らし用のマンションで広さは1LDKほどしか無いので、すぐに見付かるでしょう。 私は座りっぱなしで重くなった腰をあげ、二人を探しに向かいました。 『かくれんぼ 2』 「8、9、…10! もーいいですか?」 「いいよー!」 「うっうー♪」 私はわりかし小さめの声で二人に呼び掛けたのですが、すぐに返事が返ってきた事から近くにいるんだなと考えました。 家自体が狭いとはいえ、せめてもう少しくらい遠くに行けばいいのに、おバカさんなんだから! まあ、そこがまた堪らなくかわいいのですけどね。 「じゃあ向かいますよ…、あ!」 早速見付けました、おちびちゃんのお姉さんの方です。 れみりゃは居間を出てすぐの和室の押し入れに隠れたつもりなのでしょうが、可愛らしいお尻が丸々出ていて隠れきれていません。 そのお尻すら、私の『あ!』と言った声に反応してもぞもぞと動いている始末です。うーん、かわいい。 押し入れに無理に潜り込んだため、布団もぐちゃぐちゃになっていますし…。あーあ。これは、かくれんぼが終わったら畳み直さないといけませんね。 私はぷりちーなヒップのれみりゃの背中をポンポンと優しく叩きながら、見つけたことを伝えます。 「れみりゃ、みーっけ」 「う? …うー!! 何で見付かっちゃうのー!?」 「そりゃあ、お尻がはみ出るどころか全部出ていては見付かりますよ」 「そんなこと無いもん! れみぃの隠れ家は完璧なんだどぉ…、うー? あっ、お尻が隠れてないどー! 通りでスースーすると思ったど!」 どうやら本人は気が付いていなかったらしく、押し入れに入った布団からもぞもぞと出ると、舌を出してのウィンクを貰ってしまいました。 鼻血もんです、このまま叶う事なられみりゃを抱き締めながら頬を甘噛みしたい欲求に駆られましたが、そうも行きません。 まだかくれんぼは始まったばかりで、ふらんが隠れているからです。 そもそもお前があまりに見付かるのが早すぎたのですよ、れみりゃ! 「うー? ニンゲン誰だって失敗はあるんだど、大切なのはそれを乗り越えて行くことなんだど! うっうー♪」 れみりゃは笑顔で得意気にいつものダンスを踊ります。なんてことのない、手を挙げる動作にすらもたついているのですからかわいい事この上ありません。 私はれみりゃを抱きかかえ頬擦りをしながら和室を出て、様々な場所を探しました。 玄関前、風呂場、それこそ居間のテーブルの下まで…。しかし、とうとうふらんを見付けることはできませんでした。 「ふらん、ふらん~。私の負けです、出てきてくれませんか~?」 「うー、ふりゃん! おねーさんを心配させちゃ駄目なんだどぉ、かくれんぼはおしまいだど!」 かくれんぼが始まってから既に一時間が経過しました。私とれみりゃは家中にふらんを呼び掛けて探しているのですが、一向に現れる気配が見えません。 まさか、外に出ちゃったのかな。事故に遭っていなければいいけど…。 いても立ってもいられなくなった私は近くの公園まで向かおうとれみりゃに呼び掛けようとしたときでした。 れみりゃが、『うー、いたどぉ!!』と大声をあげて私の手を掴みます。そのまま誘導されるがままに先程調べた風呂場にまで連れていかれます。 れみりゃが洗濯機に指を指すので、覗いてみるとそこには隠れている途中に眠くなったのでしょう、すやすやと眠るふらんの姿がありました。 「…全く。人を心配させて」 私は洗濯機に入ったふらんを私の胸に抱えながら和室まで持っていき、座布団とタオルケットを用意して簡易的にベッドを用意してあげます。 れみりゃも『れみぃも寝るどー!』とふらんの隣に元気いっぱいに寝転がったと思いきや、疲れていたのでしょう。すぐに眠りの世界に入っていったみたいです。お腹にタオルケットをかけてやります。 私も、眠くなってきちゃったかな。ぐちゃぐちゃになった押し入れからもう一枚タオルケットと二枚座布団を取り出して、それぞれ私の枕とれみりゃの枕にして頭を乗せてあげます。 おやすみ。ふらん、れみりゃ。二人の額に軽くキスをして、私は眠りにつきました。 『仕事』 「それじゃあ、れみりゃ、ふらん。行ってきますよ」 「うーっ、うーっ!」 「行ってくるんだどぉ♪」 今日は仕事の日です。私の仕事はいわゆる事務系の仕事で、忙しく無い時は自宅待機をしていても良いといった恵まれた職場環境なのですが、今は決算の時期。 猫の手も借りたいくらいに忙しく、こうして仕事に駆り出されて行くことが度々あるのです。 私は玄関までお見舞いに来てくれたおちびちゃんたちに別れを言い、外にへと出ました。 …今日は夕方まで帰ってこれないのですが、お昼ごはん、大丈夫かなあ。 一応チャーハンを炒めて用意したのですが、心配だなあ…。 「…さてと、ふりゃん! おねーさんがいない間、れみぃ達がしっかりして、おねーさんを安心させるんだどぉ!」 「うー♪ でも、何をすればいいの?」 「…うーん。 …うっ! そーだど! れみぃたちで、いつもおねーさんがやってる事をやればいいんだどぉ!」 「…いっぱいありすぎて、わかんないよ」 「うー…。やっぱり、れみぃたちが普段通りでいることが、おねーさんにとって一番良いことなんだどぉ♪」 「もうっ、おねーちゃんったら! それはそれとして、何をして遊ぶの?」 「うーっ! まずは、かくれんぼでもするんだどぉ♪」 「はーちぃ、きゅーう、…十っ! もーいーかいっ?」 「いいんだどぉ!」 「よーし、おねーさん! 一緒に…、いないんだった。おねーちゃんどこかな、あ。 …みっけ」 「うぅー!? なーんでれみぃは、こんなに早くみつかっちゃうんだどぉ!?」 「そりゃ、押し入れにお尻がはみ出てるからねぇ」 「うっ? まーたやらかしたどぉ! れみぃのぷりちーなヒップはとどまることを知らないんだどぉ!」 「…つまんないね」 「…うー」 「…他の遊びしようよっ、トランプとかさあ!」 「うー、いいどぉ! でも、れみぃトランプがどこにあるかわかんないどぉ…」 「ふらんも、わかんない…」 「…うー! お絵描きするのはどうだどぉ?」 「いいね! …でも、ふらんたちだけでやっても、褒めてくれる人がいないもん」 「うー…」 「…おねーさん、早く帰ってこないかなあ」 「…うー」 「…ぐすっ」 「うう、ふりゃん、泣くなどぉ…」 「只今帰りましたっ!」 私は玄関を開け、大声で二人にその旨を伝えます。 二人は大層驚いているようで、少しの間きょとんとしてすぐに『おねーさん!』『仕事は!?』と叫びつつ立っている私の膝に抱きついてきました。 こらこら、かわいいですね。私は抱きついてきた二人を抱き返しながらちょっと意地悪な返事を返します。 「ふふ。おちびちゃんたちは気にしなくてもいいのですよ」 どうもふらん達の様子が気にかかって仕事に熱が入らなかったので、上司の人に無理を言って自宅で作業することになりました! もちろん私は大急ぎで家へと向かい、ふらん達にただいまの挨拶をしたというわけです。 「ともかく、帰ってきたとはいえ私は忙しい身なのですぐに仕事に取り掛かります。しかし、トランプくらいでしたら一緒に出来ますよ」 「うっ、ほんと!? じゃあ、やろうよおねーさんっ!」 「うーっ、うーっ♪」 「はいはい、和室からトランプを持ってくるからちょっと待っていてくださいね」 『雪』 「うー、おねーさん! 雪が降ってるよ!」 「雪なんだど、雪だるまさん作るんだどぉ♪」 「どれどれ、お。本当ですね…。もう三月なのに雪が降るだなんて、珍しいですね」 二人はベランダ越しの窓からサラサラと降っている雪をはしゃぎながら見ています。曇天の空からの贈り物に、二人は大喜びです。 しかし、ここらの地理を考えると降り積もってもすぐに除雪されるか、そもそも地面が濡れていて雪も溶けているので積もる可能性の方が低いです。この雪も、あと数十分したらただの雨に変わり、しまいには晴れていくのでしょう。 二人の肩を落としてがっかりする姿が目に浮かびます。ううん、なんとかしてあげたいなあ。 「…二人とも。残念ですが、この雪は積もらない雪です。恐らく、雪だるまなどを作ることは出来ません」 「う、う!? そんなあ!」 「折角の雪さんなのに!」 「だから、今から外にいきましょう。雪が無くなる前に、少しでも触れておきませんか?」 「…うー!」 「うあうあ♪」 二人は私の提案に手をあげて喜んでいます。ああ、拒否されなくてよかった。 しかし、二人はそのままの薄着で外に出ようとします、こらこら。そのままでは風邪を引いてしまいますよ。 私は暇な時間を使って繕っていた黄色の毛糸のマフラーとてぶくろの防寒具を、それぞれれみりゃとふらんにつけてあげます。 初めてで、本を見ながら作ったので所々ぶきっちょになっています。二人とも、気に入ってくれれば嬉しいのですが。 「…うー♪ あったかいどぉ!」 「ありがとう、おねーさん!」 どうやら、色の好き嫌いもなく気に入ってくれたみたいです。思わずホッと胸を撫で下ろします。 ハンガーにかけてある白のトレンチコートとマフラーをはおい、おちびちゃんたちに長靴を穿かせます。私たちは、玄関から外に出ました。 マンションの通路沿いから見える雪の景色は、脆く儚いものでした。 ☆ マンションのエレベーターを降りて、近くの駐車場にまで来ました。昼の時間帯なら滅多に車が来ませんし、ここなら広く遊べると考えたからです。 「うっ、ちべたい!」 早速雪が額に当たったのか、冷たそうに目を尖らせるれみりゃ。対称に、雪を掴もうと必死に手と体を動かしているふらん。 どちらも思わず頬が無意識にあがり、にやけてしまうくらいにかわいいです。そして、マフラーを落とした時に大切そうに雪をはたいて、また付けてくれる心遣いが嬉しいです。 「ふふ、二人とも。雪はどうですか?」 「うー! 冷たいどぉ!」 「うー…。全然捕まえられなくて、ふらん疲れちゃった」 二人はそれぞれの感想を口にします。どれも素直なもので、思わず顔が綻んでしまいます。 「ふふ。二人とも、素直ですね。…冷え込んできましたし、家に戻りましょうか」 「うー!」 「うー♪」 私は顔が真っ赤なおちびちゃん達の手をてぶくろ越しに握りしめて、マンションのエレベーターに乗るためロビーへと向かって行きました。 『一人暮らし』 「うっうー! おねーさんって、他に家族いないの?」 おちびちゃんのれみりゃが風呂掃除中の私に話し掛けてきたので、私は質問に答えました。 「いや、いますよ。ただ、一人立ちしたので今は一人暮らしですが」 「うー、一人暮らし! 一人暮らしって事は…、いやん」 れみりゃは何を想像したのか、顔を赤らめて身をよじり、手を頬に当ててうっとりとした表情をしています。 全く、大体想像出来ますけどね。 「どうせ、彼氏がどうとかそういう事でしょう? わかってるんですよ」 私は風呂掃除に使っているスポンジをキュッと握り、れみりゃの額に軽い泡を付けてやりました。 「うっ、こしょばゆい!! おねーさん、彼氏とかいないの?」 「そうですね、今はいないです。強いて言えば、お前たちが彼氏ですかね、れみりゃ?」 「う、う? …―うううううううーーーっ!!!? れ、れみぃお外でおダンスしなきゃ! それじゃーねー!」 れみりゃは最初は言葉の意味を理解できなかった様ですが、理解したとたんにちゃぶ台を引っくり返した様に慌てて風呂場を出ていきました。石鹸でつるっと滑るのはご愛敬です。 全く、うぶなやつですね! そこがまた、堪らなくかわいいのですが。 「うー、ふりゃん! れみぃ、おねーさんの…。キャー!!!」 「???」 『プリン れみりゃサイド』 「…う~? ふりゃん、ふりゃん! うー!」 「うー? どうしたの、おねーちゃん…。ふらんまだおねむだよ、ビルゲイツでもいたの?」 「うー! 机の上に! ぷっでぃんがあるどぉー♪」 「ゆう、私には高くて見えないよ…。おねーちゃん、持ち上げてよ!」 「うー! お安いごようだどぉ♪」 「よっと、うっこいしょ! …うー、あった! でも、一個しか無いね」 「うー♪ ふりゃんが、食べるんだどぉ♪」 「うー? おねーちゃんは食べないの?」 「れみぃはおぜうさまだからいつでも食べられるんだど! それに、今はぽんぽんが痛いんだどぉ…」 「ゆう、それなら遠慮無しに貰うよ! はぐはぐ、もにもに…。しあわせ~!」 「うー♪ れみぃも、しあわせだどー!」 「…はあ、おいしかった! カップ、片付けなきゃ! …うーしょっと!」 「うー、ふりゃん何したんだどぉ?」 「プリンの容器を隠したんだい! …あ、おねーさんだ!」 「さーて、麗しのぷっりっん~っと♪ …ん、無い? な、無い!!? そんな!」 「…うー? おねーさん、どうしたんだどぉ?」 「私のプリンが無いんですよ! せっかく有二屋で買ってきたのに! …あーーーーーーーっ! テーブル下に有るのは、有二屋のプリンのカップ! さてはお前たち、食べましたねぇ~!」 「うっ、うううーっ! ごめんなさいおねーさん! ふりゃんと一緒にあまあましてたのだー!」 「ゆうう、ごめんなさい~!」 「…ふう。まあ、いいですよ。気が付いているんです、私はプリンがどうしても食べられない星の元に産まれて来たんだって。 何をどう工夫しようが、最後にはゆっくりたちの胃袋にプリン行くんだって」 「お、おねーさん…?」 「まあ、おやつを一人占めしようとした罰でもありますしね。3人で、パフェでも食べに行きましょうか」 「う、いいの? やったー!」 「うっうー♪」 「…おねーちゃん、ありがと」 「うー? れみぃ、素直に謝っただけだどぉ♪」 『叱られて…』 「こら、二人とも! あれほど洗濯物で遊んじゃいけないと言ったのに、何回言えばわかるんですか!」 「うー…」 「うー…」 ふとインターホンが鳴ったので、干している洗濯物を一先ずベランダに置いて玄関に出向きまたベランダに戻って来たのですが、そこで目にした光景は洗った洗濯物を振り回して遊ぶ肉まん二人でした。 目の前で叱られている二人はうなだれた表情で、しょんぼりしています。 このまま許してしまってもいいかなと思いましたが、この二人は何回も同じ事をしでかしているのです! ここは心を鬼にして、二人にとって死刑にも等しい宣告を下しました。 「全く、一回ならともかく何回も全く同じ事を繰り返すなんて! 今日のおやつは抜きです!」 「「!? うー!?」」 流石にショックだったのでしょう、二人とも目を丸くして驚き、そのままがくりと床に崩れ落ちました。かわいいと思ったのは秘密です。 反省したかなと思うと、今度は頬を膨らませてぶーぶー文句を垂れてきました。 全く、全然反省なんかしないんだから! 「何を言っても駄目です! これが嫌なら、今度から気を付けなさい!」 「…うー! れみぃ悪くないもん! れみぃはこーまかんのおぜうさまだから、何をやっても良いんだどぉー!」 「うー! うー!」 「あ、こら! 待ちなさいっ!」 空気に耐えられなかったのか、二人ともベランダを出てどこかへ行ってしまいました。 「もう、仕方ない子たちなんだから!」 私は文句を垂れながら二人が汚していった洗濯物を籠に入れ、また洗濯機に入れに風呂場へと向かいました。 ☆ ふらんたちは、アテもなく町をただぶらぶらとさ迷って、近くの土手にまでたどり着きました。 土手の向こう岸の太陽さんが皮肉にも町全体を賛美するかの様に真っ赤に照らしていて、ふらんは嫌な気分になりました。 「…うー。」 「…ふんだ。おねーさんが悪いんだもん。れみぃの様なおぜうさまがいるありがたみを、おねーさんは理解していなかったんだど!」 「…悪いのは、私たちだよね」 「…うー」 「…」 「…ううー! れみぃ、おねーさんが謝るまで帰らないど!」 「…ふらんね、最近考えるんだ」 「うー?」 泣きべそをかいているおねーちゃんが、手で涙を拭ってこっちを向いて反応してくれます。 私は、頭の中にある漠然とした恐怖を、おねーちゃんに伝えます。 「私たち、おねーさんに重荷になってる」 「…う~? あうあ、うー?」 「迷惑になってるってことだよっ! 私たちは、いつもおねーさんに依存してばかりで!」 「…うー♪ それなら、おねーさんも求めてるから、いいんだどぉ!」 「そりゃ、今はね! でも、何かある度に素直に謝れなくて逃げてちゃあ、愛想つかれちゃうよっ!」 「…うー? そうかなあ?」 「そうだよっ、もっと現実をみないと!」 「…ふりゃん、なんでそんなに焦ってるのだどぉ? もっとリラックス、リラックスなんだどぉ♪」 「…でもっ!」 私は、頭の中のもやもやとした恐怖の正体をおねーちゃんに伝えます。 「ふらん、みたんだよ! てれびで、私たちの様なゆっくりが捨てられていくのを!」 「…うあー?」 「私たちが捨てられていくのは、なんて事のない、普通のことなんだよっ!?」 「…うっ、うっ、…う゛あ゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛!゛!゛!゛ れ゛み゛ぃ゛、゛も゛っ゛と゛お゛ね゛ー゛さ゛ん゛と゛ゆ゛っ゛く゛り゛し゛た゛い゛ど゛ー゛っ゛!゛」 いつも呑気なおねーちゃんも、流石に事の大きさに気が付いたのかわんわん泣き始めました。 私も玉の様な涙を流しているおねーちゃんを見て、悲しくなって、釣られて声を出して泣いてしまいました。 「あ゛ー゛ん゛あ゛ん゛あ゛ん゛あ゛ん゛!゛!゛!゛」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!゛!゛!゛ …゛う゛ぎ゛い゛!゛」 一通り泣き終わったのか、おねーちゃんは変なしゃっくりをしつつ泣きやんだみたいです。 でも、私はまだ気持ちの整理がつかなくて、どうしても溢れ出る涙を止めることは出来ませんでした。 すると、おねーちゃんが私の頬につたう涙を手で拭ってくれて、頬と頬をすりすりしてくれました。 「う゛ー、ふりゃん。泣いてても始まらないど! おねーさんに、謝りに行くんだど!」 さっきまでとは打って変わって、おねーさんに謝りに行こうとするおねーちゃん。 でも、会わせる顔がないし、何だか恐いよ…。 「うー! 駄目だったらその時! こーまかんのおぜうさまたるもの、立ち止まっちゃいけないんだど! それに、れみぃが悪いのだって、薄々気が付いていたんだどぉ…」 おねーちゃんの言葉の最後が尻つぼみになっていてよく聞こえませんでしたが、おねーちゃんの言うことはもっともです。 謝りに行こう。 おねーさんに、見捨てられる前に。 ☆ 「おねーさん…」 ふと、洗濯機が止まるまで暇なため居間でテレビを見ながらゆっくりしている私に、ふらんとれみりゃが不安そうな表情を浮かべて話しかけてきました。 帰って来てたんだ。私は謝りにきたのかな、と頭の片隅で考えながらその様な様子の二人にどうしたの、と訪ねてみました。 すると二人は、 「おねーさん、れみぃたち、居ない方がいい?」 と、とても悲しそうな瞳をして言いました。 「…そんな、悲しくなる事を言わないでください。どうしてそう思ったのですか?」 私は、言葉を詰まらせている二人を私の両肩にもたれかけさせて、抱き締めます。 「だって、だって…」 「大丈夫、私はあなたたちを追い出したりしませんよ」 私の言葉に安心したのか、今まで暗くぎこちなかった二人は『う゛え゛え゛え゛!゛!゛』と大声を出しながら泣き、そのまま私の体にうずくまるように抱きついてきました。 私は二人を受け入れ、頭を撫でてやります。 「お゛ね゛ー゛さ゛ん゛、こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛い゛!゛!゛ い゛つ゛ま゛て゛も゛一゛緒゛に゛い゛て゛ね゛え゛え゛!゛!゛」 「大丈夫ですよ、そんな大声をださなくても。一緒に、いましょうね」 本当は出すつもり無かったけど、おやつのプリン出してあげようかな。 うずくまる二人のゆっくりに、抱き締めながら優しく頬を撫でてあげました。 …ちなみに、何で二人が急に『居ないほうがいい?』だなんて言い出したかを問い詰めてみたら、どうやら昨日見たドラマに影響されたのだとか。 そのドラマの内容は典型的な不幸物で、ゆっくりが主人公だったがために不安に思ったのでしょうね。 全く、とことんおバカさんなんだから! 私があなたたちを見捨てるなんて、例え永久にプリンを食べられなくなる義務を押し付けられたとしても未来永劫ありえません! …そんな、おバカさんたちだからこそ、もっと愛でたくなる。二人をぎゅっと抱き締めて、幸せというものを再確認できたような気がしました。 『誰?』 「うー! おねーさんは、一体誰なんだいっ!」 洗濯物をベランダに干している私に、ふらんが話しかけてきました。一体、どういうことでしょう。 「どうしたのですか、ふらん? ブランデーでも飲んじゃって酔っ払ったのですか?」 「うー、そうじゃないよ! ふらんはおねーさんの事何一つ知らないから気になったんだ! 緑色の髪の毛だし、変なの!」 「…うーん、変ですか。まあ、他の人にこんな独特の色合いをした髪を持つ人なんて、いないですもんね。でも、私自身はこの髪の毛をステータスだと思っているんですよ?」 私は、苦笑いしながら答えます。 「うぅぅ、ごめんね! 悪口で言ったつもりは無いんだ! おねーさんの事、知りたいな!」 「…ふふ、そうですか。そういえばふらん達に名前を教えていませんでしたっけ。私は―…」 私は洗濯物を降ろし、ふらんを優しく抱えながら答えます。 おわり おまけ 「うー♪ うー♪」 「だど、だどぉ♪」 「…」 私は家でゴロゴロしながらテレビを見てゆっくりしていたのですが、気が付いたら目の前に可愛いおちびちゃんたちが遊びに来ていたみたいです。 一人は体がついていて、ぶきっちょなダンスを踊っています。 …なんだ、こいつらは!!! 「ゆっ、どうしたのおねーさん! そんな情熱的な目線をれみぃに当てて…。惚れちゃった?」 「惚れるか! 何なんですかお前たちはいきなり人の部屋に来て、泥棒ですか!?」 「ゆう、おねーさんったら酷い事言って、ツンデレねぇ~」 何を言っても手玉に取られるだけの様な気がしたので、素直に引き下がってこいつらを観察する事にしました。 遠目からみるこいつらはどこか浮足立っていて、なんだか可愛いです。 「うー? おねーさん、そんなにれみぃの事ばっか見てどうしたんだどぉ?」 「うー、おねーちゃんばっかずるい! ふらんもみてよ!」 しまった、感付かれたかと思いすぐさま視線を反らします。 それにしても『ふらんも見て』、かあ。可愛いなあ! 「うー? おねーさん今度はそっぽ向いて、どおしたんだどぉ? 大丈夫だどぉ?」 するとこいつらはいつの間にか私に近付いてきていて、上目遣いをしながら私の顔を覗きこんでいるでは無いですか! うわあ、可愛い、可愛すぎるっ! ちょっと威力が強すぎますよ! 「うー、おねーさん、元気出すんだどぉ…」 ふと、二人いる内の体が付いている方が不安そうに表情を曇らせながら私に近付いてきて、真ん丸で小さな手をピタリと私の頬に当ててスリスリしてくれました。 私の中の大切な物がガラガラと音を立てて崩れていく様な気がしました。 「うおお、もう我慢できません! 食ーべちゃうぞー!!!」 「ぎゃおー♪ 食ーべられちゃうぞー♪」 「うっうー♪」 end 天狗のメモにあったネタを使わせてもらいました。さっぱり関係なくてすみません。 ありがとうございました。 なんて可愛さだ -- 名無しさん (2009-04-17 00 29 47) なんだこの萌え殺しSSは・・・ 思わずニヤニヤしてしまったぜ・・・ -- 名無しさん (2010-04-09 14 15 20) れみぃとふらんかわええええ! -- 名無しさん (2010-04-09 14 15 56) たまらん・・・ -- 名無しさん (2010-12-01 15 29 05) 緑髪ってことは早苗さん? -- とにかくゆっくり飼いたい (2012-06-09 13 57 20) ふらん超キャワワ #9825; -- 名無しさん (2013-02-15 16 45 27) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/716.html
対戦型ゆっくりゲーム by 十京院 典明 対戦型ゆっくりゲームというのを買ってきた。最近流行っているらしい。 「おーい、れいむー」 俺は家飼いのれいむを部屋に呼びつけ、PCを起動する。 やがてぺたんぺたんと階段を上る音がして、れいむが俺の部屋のドアを開ける。 「ゆゆっおにーさんゆっくりしていってね!」 「あーはいはいゆっくりゆっくり。ゲーム買ってきたんだが、やるだろ?」 「げーむさん!れいむげーむさんするよ!」 このれいむには時々ゲームの相手をさせているので、ゲームパッドぐらいなら操ることができる。 ピコリーン \ゆっくりしていってね/ 「ゆゆ!ぱそこんさんのなかにもれいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」 * * * * 俺はキャラセレ画面で固まった。 「……」 画面には10匹のゆっくりが馬鹿面を晒している。それはいいのだが、 左上から、れいむ、れいむ、れいむ、まりさ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、れみりゃ(胴なし)、れみりゃ(胴あり)。 「おにーさんどうしたの?」 「……れいむ三匹とまりさ二匹の見分けが付かないんだけど」 「ゆゆ!こんなのもわからないなんておにーさんはばかだね! れいむとれいむとれいむとまりさとまりさだよ!」 「仕方ない、マニュアルでも見るか」 俺はマニュアルを広げた。 = = = = マニュアル お買い上げいただきありがとうございます。 本ゲームは、従来の対戦型格闘ゲームとはびみょんに異なったシステムを採用した新感覚ゆっくりゲームです。 勝利条件は自キャラのゆっくりゲージを100%まで溜めることか相手のゆっくりゲージを-100%まで下げることです。 基本動作 A=隙の少ない、ゆっくりする行動をします。 B=隙の少ない、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 C=効果の大きい、ゆっくりする行動をします。 D=効果の大きい、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 ←←=バックステップです。後ろにゆっくり跳ねます。 →→=ダッシュです。前にゆっくり急ぎます。 (コマンド)=さまざまな効果を持つゆっくりむーぶを発動します。いわゆる必殺技です。 特殊なルールを紹介します。 通常種ルール 通常種のゲージは自動で微量ずつ99%まで増加します。 通常種には当たり判定が無く、各種通常技およびゆっくりむーぶ中のみ当たり判定が発生します。 従来の格闘ゲームのように相手を攻め殺すよりは、自キャラをゆっくりさせつつ、 相手をゆっくりさせない戦い方が基本です。 うーぱっく 試合中、うーぱっくが通りかかり様々なアイテムを投下することがあります。 プリンやキノコ、干し草といったゆっくりゲージ増加アイテムから玄翁、ガラス箱といった危険なブツまで種類はさまざま。 なお、ゲームの性質上ゆっくりのリアルスペックとの乖離が見られる場合があります。 あらかじめご了承ください。 キャラ紹介 およびゆっくりむーぶコマンド表 れいむ(れいむA) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりはねるよ! ←→←B or D ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C 『ゆっくりしていってね!』は全ゆっくり中最高のゲージ溜め性能があり、とくにC版は高効率。 移動の遅いれいむ(れいむC)やれみりゃざうるすと距離が離れたなら、 『ゆっくりはねるよ!』→『ゆっくりしていってね!』でゆっくりゲージを溜め切ってしまうこともあるほど。 『ゆっくりはねるよ!』は移動技。Bは後ろ、Dは前へと移動する。れみりゃ(胴無し)から逃げるほど速くはない。 うーぱっくからのアイテム回収や、ゆっくりしていってね!の布石に。 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!』は、わずかながら無敵判定の存在する攻撃技。ダメージもなかなかで、ゲージ上昇有り。 攻撃重視型のみょん、れみりゃ(胴無し)などへの切り返しやカウンターを狙おう。 れいむ(れいむB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆ~♪ゆ~♪ ←/↓\→A or C ゆゆ~♪ 相手の近くで↑\←↓\→B or D 歌の上手なれいむ。『ゆっくりしていってね!』はれいむAの同技に比べてゲージ上昇が少ないものの、二種類の歌技がそれを補う。 『ゆ~♪ゆ~♪』Aは低く、Cは高く飛ぶ飛び道具で、相手に当たると動きを止める。画面端に消える際にもゲージ上昇有り。 『ゆゆ~♪』はいわゆる一回転投げ。歌で相手の動きを止め、相手をゆっくりさせる(わずかに相手のゲージも上昇)とともに 自らのゲージを大幅に上昇させる大技。当たり判定のない状態の通常種をも吸い込むため、常に近接状態で立ち回り 相手をゆっくりさせないことが重要。 れいむ(れいむC) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりうまれるよ! ↓溜め↓ おちびちゃんゆっくりしていってね! ←/↓\→B or D ゆっきゅちちていってにぇ! →←↑ B or D 植物型にんっしん中のれいむ。移動が遅く、特定のキャラには大幅不利ながらもスペックは低くない。 おちびちゃんゲージ(初期値1)の数だけ使える『ゆっくりうまれるよ!』でおちびちゃんを増やしながらゆっくりしよう。 おちびちゃん4匹以上の『ゆっくりしていってね!』には攻撃判定が付属する。 『おちびちゃんゆっくりしていってね!』は赤ゆゲージを溜める技。隙が少ないので暇を見てゲージを補充せよ。 『ゆっきゅちちていってにぇ!』は『ゆっくりしていってね!』の硬直を減少させる専用技。 攻撃判定のあるゆっくりむーぶも移動技も持たないため、攻められると脆く距離を離されても相手に一方的にゆっくりされ終了、 という危険性をも孕む(にんっしん中だけに)テクキャラ。通常技での立ち回りと間合い取りを研究しよう。 まりさ(まりさA) ゆっくりしていってね! A or C連打 むーしゃ、むーしゃ、しあわせー! →\↓/← B or D ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C れいむと同じスタンダードタイプのゆっくり。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!』はうーぱっくから食べ物ゲット時にのみ 使えるゲージ大幅上昇技。移動速度が速く食べ物をゲットしやすいため、狙いどころは多い。 まりさ(まりさB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりしていってね! ↓\→A or C ゆっくりはねるよ! ←→←B or D まりさAよりもさらに移動速度が速いスピード特化型ゆっくり。 二種類の『ゆっくりしていってね!』を持ち、コマンド版は飛び道具。 ワギャ〇イザー、あるいはエコ〇ズAct2風の書き文字が攻撃判定を伴って飛ぶ。発生、速度にすぐれるD版は 相手のゆっくりむーぶを阻止するのに適する。 ありす ゆっくりしていってね! A or C連打 しゃんはーい →↓\A or C ほーらい ←↓/A or C 『しゃんはーい』はカチューシャから人形を生み出し前方に配置。相手を押し返す効果がある。最大8つまで配置可能。 『ほーらい』は高速で跳ねる飛び道具。6/1とらんぷる。 通常種の近くにいるとゲージの自動上昇率が高まるキャラ特性を持つ。しかし近接不得手のシューティングキャラ…… おお、つんでれつんでれ。 ちぇん わかるよー A or C連打 わからないよー 被ダメージ中に←→↓\B or D らんしゃまぁぁぁぁぁ!! ←/↓\→B or D 『わかるよー』はその場でゆっくりする、ゆっくりしていってねタイプのゲージ上昇技。 上昇率は低いものの、ゆっくりしていってねに比べ当たり判定が小さいため特定の飛び道具をかわしつつゆっくりし続けられる。 『わからないよー』は被ダメージモーションをキャンセルして高速離脱する。 『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』はゆっくりらんを召喚。らん存在時は通常技が変化しゲージ上昇率が上がったり性能が変化したりする。 長いコンボをことごとく封殺する『わからないよー』は伝家の宝刀。 しかしながら自身のゲージ溜め能力も高くは無いため過信は禁物。 硬直の大きい『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』を余裕を持って発動する位置取りが重要。 みょん ゆっくりしていってみょん! A or C連打 ちーんぽ! ↓溜め↑A or C でぃーっく! ↓溜め↑B or D 『ちーんぽ!』は黒くてたくましいもの(餡子製の刀)で相手を突き上げる攻撃判定技。ヒット時は黒くてたくましいもので さらに相手を突き上げる追加攻撃が2回まで出せる。 『でぃーっく!』は黒くてたくましいものを振り回す攻撃判定技。当たり判定も大きいので被カウンター注意。 通常技も主に、黒くてたくましいもので行う。 れみりゃ(胴無し) うーうー! A or C連打 たーべちゃーうぞー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ぐんぐにる ↓\→B or D 『たーべちゃーうぞー!』は相手ゆっくりゲージの80%を消し去る大ダメージ技で、当たり判定のない 状態の通常種も捕まえられるが、間合いが狭く発生も遅い。確定状況を作れるかどうかが勝負の分かれ目。 『ぐんぐにる』は槍状の飛び道具。 通常技も弾幕攻撃なので、なぶり殺しと一撃必殺の二段構えで相手をゆっくりさせないよう飛び回れ。 れみりゃ(胴有り) うー! A or C連打 うっうー! ↓\→A or C うあうあ♪ ←→←B or D れみりあうー☆ ←/↓\→A or C たーべちゃーうどー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ざうるす進化 ↓溜め↓ 捕食種ながら、こちらはゲージ上昇重視タイプのゆっくり。 『うっうー!』、『うあうあ♪』、『れみりあうー☆』は連続入力可能。『うあうあ♪』と『れみりあうー☆』には 攻撃判定があり、ゲージを溜めつつ攻撃できる。 『たーべちゃーうどー!』は『たーべちゃーうぞー!』と代わり映えの無い性能だが、各種ゆっくりむーぶでゲージを溜めつつ、 100%阻止に近づいてきた相手に狙えないこともない。 『ざうるす進化』は、文字通りれみりゃざうるすになる。ざうるす時はゲージ上昇速度が飛躍的に上昇するが移動速度が激減。 対れいむCなどに。同一コマンドで元に戻ることもできる。 = = = = 「なるほどねー。 ……それにしてもれいむまりさの顔の違いがわからん……」 れいむはれいむAを、俺はれみりゃ(胴無し)を選んでゲーム開始。 「どぼじででびりゃえらぶのぉぉぉぉぉぉ!!!???」 「このお兄さん、たとえ貴様がゆっくりといえども容赦せん。 それにもともと、ペットショップ使いなもんでね」 * * * * かくしてゲームスタート。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪!」 「ゆゆゆ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕からゆっくりしていってね連呼のれいむ。 ……ああなるほど。 ゆっくりや⑨でもプレイできるように全キャラ連打コマンド持ってるわけね。 「ってやべえ!」 予想以上にゲージの上昇が速い。慌てて弾幕攻撃をするが、すでにれいむのゲージはかなり溜まっている。 少しずつゲージを削るが、通常種ルールの当たり判定消滅とゲージ自動上昇によって開いた差はなかなか縮まらない。 「ゆっぐりじでいっでねっでいっでるでじょぉぉぉどぼじでゆっぐりじないのぉぉぉぉ!!!」 俺は一向に当たる気配のない弾幕攻撃を諦め、れみりゃ持ち前の素早い飛行でれいむに近づく。 「てめーこそ喰らって死ねぇぇぇぇぇぇ!!!『たーべちゃーうぞー!』」 「『ゆっくりはねるよ!』」 すかり。 起死回生の一発は(たぶん暴発した)移動技にかわされ―― 「っ―――!?」 \うぃなー いず れいむ/ 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺は、ゆっくりに負けた男となった。 * * * * 俺はこのゲームを舐めていた。それは認めよう。 俺はれいむの餌を七日分用意して、俺自身の身支度を整えた。 玄関に出た俺をれいむが呼び止める。 「ゆゆゆ!おにーさんどこいくの!?」 「旅に出る。 一週間後に、貴様との再戦を申し込む。それまでこの家には帰らん」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉ!!??おにーさんならとくべつにゆっくりしていっていいよぉぉぉ!?」 「もともと俺の家なんだが。 まあそれはいい。PCは置いていくから、せいぜい腕を……腕はないか。 せいぜいあんよを磨いておけ」 「いやだよ!!おにーざんといっじょにいだいよぉぉぉぉ!!!」 「俺も一週間後にもっと強くなって帰って来る。その時まで首を……首はないか。 あんよを洗って待っていろ」 「ゆゆぅぅぅーーーん!!」 * * * * それから、格ゲー仲間の友人に電話をかけ、メシを作ってやるかわりに一週間の格ゲー強化合宿を取り付けた。 言うまでもないが、飼いれいむに対戦で負けた話をしたらたっぷり三十分ほど笑われた。 こうして、友人との対戦に明け暮れる日々が幕を開けた。 「これぶっちゃけ、無しれみ弱いぞ……詰んでるマッチアップが多すぎる」 友人の指摘はもっともだった。 当初は気にも留めていなかった通常種ルールが、実は馬鹿にならない強さで設定されている。 あの日の初プレイでれいむが見せた、れいむAの高火力な開幕『ゆっくりしていってね!』が ゲームエンドに直結するほどにだ。一度奪われたリードはそうそう奪い返せない。 「うーむ……」 「胴れみはどうよ。俺も使ってないけど」 「そういや試してなかったな」 俺はれみりゃ(胴有り)を選び、友人はれいむA。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪ぃ……」 「やっぱそう思うよな」 「うっうー!」 「うあうあ♪」 「れみりあうー☆」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕『ゆっくりしていってね!に対して、『うあうあ♪』の先端に発生する攻撃判定がぎりぎり届かない。 単発の『うあうあ♪』も試したが、そもそもリーチが短く届かない。 そしてやはり逃げ切られる。 「なぁ……れいむAって強キャラじゃね?」 「まごうことなき強キャラだな……むしろ厨キャラまであるな。んで捕食種弱い」 「このサークル、れみりゃになんか恨みでもあるのか……?」 「マイルド調整の結果じゃねーの……それにしてもれみりゃ弱い」 「だけどさぁ、れいむA使う気ないんだろ?お前の性格からして」 「わかってんじゃねーか」 下手の横好きといわれても、俺は勝つためにキャラ換えしたことは一度も無い。 それは誇れることなんかじゃなく、くだらないこだわりに過ぎないのだがどうしてかキャラ換えできない。 それはきっと、俺そのものと強く癒着してしまっているのだ。 たとえば、ゆっくりがゆっくりを求めずにはいられないのと同じようにそれは当たり前のことなのだ。 「……次、行こうか」 「ああ」 俺はれみりゃを選び、再び対戦を始めた―― そして、またたく間に一週間が過ぎる。 俺は友人に礼を言って、帰途に就く。 「じゃあ、行ってくるぜ」 「頑張れよ」 * * * * 「ゆゆゆ!おにーさんまってたよ!ゆっくりしていってね!」 「だから俺の家だと言うに…… まあいい、勝負だ!れいむ!」 「ゆふふ……れいむはかなりあんよをあげたよ。せいぜいゆっくりしていってね」 「あんよ……?ああ、腕を上げたって事な。 俺だってそうさ。一週間前までのみじめな俺には二度と戻らない」 れいむはれいむA、俺はれみりゃ(胴付き)を選んだ。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 0.60- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは開幕ゆっくりしていってねを放つ。単純だが効果的な戦法だ。対して俺も手を打つ。 ボワン 「ゆゆ?」 ざうるす進化だ。これにより、俺のれみりゃはれいむに負けないゲージ上昇率を得る。 友人との合宿で、れいむAの火力に対抗するべく俺が考え出した、たった一つのソリューション―― 俺達は発想を転換しなければならなかった。 相手を倒すことより、自分がゆっくりすること。 それがこのゲームシステムにおいて、もっとも効率よく勝利条件を満たす手段なのだ。 格闘ゲームの常識に捕らわれていた俺と友人が、使えない技として無意識に除外していたざうるす進化。 それこそが勝利への鍵だったのだ。 4.42- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……」 「うーうー!ぎゃおー!うっうー!」 Cゆっくりしていってねの連打よりも、ざうるすれみりゃと化したれみりゃの技の方がわずかにゲージ上昇率が高い。 その微細な積み重なりは、やがて目に見える値となってゲージに表れる。現在れいむ57%、れみりゃ65%だ。 5.21- 「ゆゆっれみりゃはゆっくりしないでね!ゆっくりするのはれいむだよ!」 ついにれいむが痺れを切らせた。 「『ゆっくりはねるよ!』」 ――予想通りだ。 「『うーうー!もとにもどるどぉ~』」 ボワン こちらへ素早く跳ねてくるれいむのモーションに辛うじて反応し、れみりゃを通常形態へと戻すことに成功する。 ジャンプからのぼでぃぷれすをガードし、続く通常技を頭を抱えてやり過ごす。 「ぷんぷん!もうおこったよ! 『ここはれいむの……」 微妙な状況だ。 ――発生前に潰せるか(↓Aでカウンターを狙える) ――ガード(削られる/ゲージ2%減) ――喰らえば仕切り直し(ゲージ増減れいむ+7%れみりゃ-5%/それより距離が離れるのはまずい/Cゆっくりしていってねで死ぬ) 「……ゆっくりぷれいすだよ!』」 読み違えれば ――潰せる(無理だ) 負ける。 高速で流れる思考とは裏腹に、反射的に指が動いていた。 「――っ!」 俺の親指はAボタンを外してパッドを掴み、れいむのふくれっ面攻撃をガードする。 ――まだ行ける(ゲージはまだリード/進化or↓AB踊りコンボor投げ) 7.33- れいむが小さく一歩退がった。一瞬間が空く。 「うー!うー!」 それは俺のれみりゃのボイスではない。 画面の左上部から飛来する小さな影。その位置はれみりゃよりれいむに近い―― 「うーぱっく!れいむにあまあまちょうだいね!」 その瞬間、なにもかもがスローモーションに見えた。 俺は指を滑らせ←Cを繰り出す。 ←Cは攻撃判定は無く、前方に踏み出しながらゲージを溜める踊り技だ。 もしもれいむが攻撃を繰り出したらカウンターとなってしまう。 しかし俺には確信があった。 ――次に貴様は『ゆっくりはねるよ』と言う れいむは一生懸命にあんよで十字キーを操作している。 間違いない。れいむにとっては複雑な技コマンドを出すために、常時よりも丁寧にあんよを動かしている。 「『ゆっくり……」 ――逃がさん(投げ)(投げ)(投げ) すでに←Cの硬直を利用しコマンドは完成している。 「……はねるよ!』」 ――ここからなら ←Cで踏み出したこの位置からなら、ぎりぎり届く。 しゅばっ 「うー!」 れみりゃの手が伸びて、今まさに後方へと移動しようとしたれいむを捉える。 「ゆゆぅぅぅぅぅーーー!!??」 「つかまえたどぉ~。『たーべちゃーうどぉー!』」 画面がブラックアウトし、れいむの絶叫が響き渡った。 * * * * \うぃなー いず れみりゃー/ 「うっうー!」 「ゆゆん……さすがはおにーさんだよ!」 「いやーれいむこそなかなかだったぞ。レバガチャかと思ったら意外にコマンド正確だったしな」 だからこそキャラ差を読みでカバーすることができたわけでもあるのだが。 「もういっかい!もういっかいだよ!」 「よーし、やろうか」 俺は快く承諾する。 「さぁーて、”リベンジも果たしたことだし”俺もれいむA使っちゃおうかな~」 俺は勝つためにキャラ換えはしないが、その他の理由でキャラ換えすることは結構あるのだ。 「ゆゆっ!まけないよ!れいむがいちばんうまくれいむをつかえるんだよ!」 「俺だって負けないぞー。何せ、六日間もゆっくり練習してきたからな」 俺はこの時のために練習してきたれいむAで、れいむを完膚なきまでに叩きのめした。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりはねる(キャンセル)ぷくー! ゆっくりしていってね!ぷくー!ここはれいむのゆっくりぷれ(キャンセル)ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ(キャンセル)ばかなの?ゆっくりしていってね!ばかなの?しぬの? ゆっくりしていってね!ばかなの?ばかなの?ばかなの?しぬの?ゆっくりしていってね!」 「ゆあああああああ!!!!!おにーざんばっがりずるいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!! でいぶもゆっぐじじだい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 俺は軽快にコンボを継続し、れいむを空中に浮かせ続けながら言ってやった。 「おそらをとんでるみたいだろ?れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!」 END ■ □ ■ □ ちなみにこの二ヶ月後、れいむA、れいむC、ちぇん、みょんに10割コンボが発見され―― 世界は、核の炎に包まれた。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1113.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!萃(逆襲のだめりゃ) 俺設定満載…詳しくは全シリーズを呼んでください 面倒くさい方はゆっくりのたくさん住むゆっくり牧場が舞台とだけ思ってください 前作のときに意見を求めた際の新開発ネタ(ゆっくりフード)を入れたつもりです それでもよければ呼んでください では本文開始です。 最近ゆっくり達の間でこの牧場の持ち主である人間さんの評判が悪くなってきた。 理由は人間さんが大切にしている犬さんへの贔屓だったりご飯への不満だ。 例えば粗相をした時などは犬の場合は文句を言うが軽く叱るだけで丁寧に後始末をするというのに、 ゆっくり達がトイレ以外でうんうんやしーしーの粗相をすれば餌抜きをくらう。 それ以外にも食べ物でも人間さんと同じものを犬さんが食べているのに自分達は違うものを食べている この差はなんだろうか? ゆっくり達の怒りももっともだが、人間が犬の方を可愛がるのも無理もない事ではある。 その犬はもう十数年は生きている老犬であり、青年が成人する前から一緒に暮らしてきたのである。 ゆっくり達が来る何年も前は元気に走り回っていたが、今では一日寝ては食って散歩の生活。 後はもう少ない余生をゆっくりまったりと暮らすのみである。 ある意味ゆっくりよりもゆっくりとした生活をしている それと彼と老犬にはひとつの共通があることも原因だ。 そんなことを知らないゆっくり達にしてみればゆっくりプレイスを犬に優先しているように思えてしょうがない。 それを贔屓と考えるのが新しく仲間になったゆっくりたちの一部。 それとこれまでに自由を謳歌してきたれみりゃ・ふらん達だ。 前者は自然よりも暮らしやすいこの生活に満足してるのでさほど不満を言わない それに比べてれみりゃとふらん達の不満が大きい それまで自分たちにとって『召使い』でしかなかった人間の男が今では『こうまかんの主』になっている。 そして、ゆっくりさくやや自分たちのリーダーである胴体付きゆっくり2人もそれを認めているのだ。 そのためにしぶしぶ人間の男の立場を認めている。 彼女たちにしてもそれまでの自然の厳しさに比べれば今の生活でも充分以上の生活だと思っているからだ。 ちなみに『こうまかん』のゆっくりはメイド長が近隣のれみりゃとふらんとさくやを捕獲したものである。 それとその後に生まれてきた子供たちだけである (この幻想卿ではゆっくり牧場以外にれみりゃ・ふらんはほとんど存在しない設定) 唯一認めてないの胴体付きはゆっくりれみりゃ。駄目なれみりゃ…通称だめりゃだ。 だめりゃだけは自分の立場や状況を理解していないらしく口を開けば昔との違いを文句言う 「こんなのおぜうさまのたべものじゃないんだどぉー。ぽいするんだどぉー」 そういって食べ物を粗末にしては元召使いやれみぃとふらんに怒られる毎日だ。 それまではチキンライスやオムレツやハンバーグなどの献立だった。 それに甘い大皿に盛られたケーキ、プリン、フルーツ、クレープ、チョコパフェなどのデザート それが今では…毎日さくやのプリンとよくわからない硬い粒粒のクッキーと草を固めたペレットだけだ。 ちなみにこのクッキーやペレット状は後にゆっくりフードとよばれる物だ 『これはゆっくりの第一人者と呼ばれるゆっくり博士が外の世界に存在するドッグフードを元に作った食料 ゆっくりに必要な栄養と甘みを含んだゆっくり専用の食料』 という触込みで大量生産されてこの牧場経営の収入源のひとついくのだがそれは別の話である だめりゃにしてみればそれまでのご飯との格差に不満が募るだけだ。 そんな彼女に同調した考えを持ってきたのがふらんやれみりゃ達と新しく入ってきたゆっくりの一部だ。 そして、彼女たちの逆襲は開始された!!! そして、現在…恐るべき反乱が起きてしまった。 なんとゆっくりの一部が宴会を起こして働かなくなってしまったのだ …たいして邪魔にならないというか見学客は面白うそうにゆっくりの宴会を観察していた。 そこにいるのが希少種ということも人気のひとつだったのかもしれない。 だが、仕事が終わっても宴会をし続けるのは問題があるので注意をすることにした。 それに対する答えはこんな感じだった 「れみりゃはクレープいがいのごはんはたべないんだどぉー!」 「「「「うー☆うー★」」」」 「できればゆゆこ様の食料を増やしてほしいみょん」 「こぼね。量が足りない」 「くろまく。もっと食べたい」 「春ですよー」 「ご飯よりもライブ会場がほしいわ」 「ξ・∀・)めるぽ ガッ! 舞台」 「気圧が…」 「らんも油揚げ食べたいこん」(胴無しらん) 「ゆかりん16歳です。認めてください」 …意味のわからん要求もあるが一個一個対応していくかそうしないとこの反乱は終わらないかもしれない だがれみりゃの考えでこんなに大量のゆっくりが文句を言うのだろうかと思わなくもなかった。 「だめりゃ達の食事の改善は認められない」 「なんでだどぉー!! クレープ食べたいんだどぉー」 「「「「うー!?うー!!」」」」 「ゆっくりフードは実験段階なんだ。今はおいしくないかもれないがまんしてくれ」 「「「「うー!?うー!!」」」」 「明日からは一番評価の高かったゆっくりフードにするから期待してくれ」 そういうと私はれみりゃとふらん達に頭を下げた。 ゆっくりフードの試作段階は1ヶ月の間で終了している。 明日からは製品のゆっくりフードの試作を開始する。 それは1ヶ月の間に一番評価の高かった物を利用するつもりだ。 その評価しだいではを人間の里や永遠亭などにも売るつもりでいる。 次の1ヶ月間は答えを出していく期間なので彼女達の請求は断った 次はゆゆことみょんとれてぃの要求かこれは断ったら恐ろしい気がした なぜだか知らないが最近後ろのほうから鋭い捕食の視線を受けているからだ… こいつらは猫や小さな犬くらいなら食べられそうな気がする。 もしかしたら人間も… 餌をやってるとたまーに背後から殺気を感じるときがあるのだ。 そちをらみるとこの二人のうちのどちらかがいたりする…いやマジで…食費よりも命…条件承諾 「みょんの要求は聞こう。ゆゆこの食事量を通常ゆっくりの20人分に増やそう。」 「ありがとうだみょん」 「こぼね! ありがとうこぼね! できれば夜雀を食べたいこぼね」 「あとれてぃの食事量も増やすから心配しないでくれ」 「納得する黒幕」 「おなかすいたよ! はやくたべさせてね!!」 「頼むから、俺は食わないでくれよ…」 そう口の中でボソボソっと独り言をしゃべりながら承諾した リリーに関しては「春ですよ」と返すと満足してくれた。 彼女も寂しいのだろうと私は思い今度からもっとかまってあげようと考えた。 次は、虹川3姉妹の要求か…ライブ会場がほしいのか… 「その要求を呑もう。場所は『はくぎょくろう』近くの野原にライブ会場兼住居をつくろう」 「私たちはいる子だって認めてくれたんだね」 「ξ・∀・)めるぽ ガッ! 舞台げっと!!」 「気圧が…上昇しまくり」 もともと彼女達専用の住居を立てる予定だったので断る必要はなかった。 音がうるさいと『こうまかん』のゆっくり達から苦情が来ていたのだった。 私自身はなかなかの曲だと満足していたのだがゆっくりたちには案外不評だった。 それはともかく彼女たちの新住居を作らなければとおもった。 「らんの意見に関してだが、週末には君達の好物を食事に出したいと思うが…どうだ?」 「らんは油揚げをたまにでも食べれればいいんだこん」 「「「「うー☆うー★」」」」 その答えにらんだけではなくれみりゃとふらん達も納得してくれたようだ 金銭的にはどうにかなるだろうとこの一ヶ月間の成果から想像している。 このゆっくり牧場には人間の里の住人だけではなく様々な妖怪からも注目されている その人気を利用して一気に勝負に出るつもりだ。 まあ、正直ゆっくりフードの売れかた次第ではどうなるかがわからないのだが… そして次のゆっくり…ゆっくりゆかりことゆかりんか 「ゆかりん16歳です。認めてください」 「いや…お前は生後1年って八雲紫様に聞いたよ」 「ゆかりん様、らんと同じ日にうまれたこん」 「…」 ゆかりんとの会話はそれで終わった…何を彼女はしたかったのだろうか? 残るのは愚図ってるあのゆっくりだけか…はあー、またあいつがらみかよ 膝を曲げて、頭を胸に寄せて、頭に手をのせてうずくまっている 。 だめりゃの顔は、涙と鼻水らしきものでぐしゃぐしゃになっているのがわかる。 様々な好物の名前をだしながら愚図り続けているだめりゃに声をかけた 「れみりゃよく聞きなさい。私は週に2回、君たちの好物を出すからそれでどうだい?」 「うっぐ、いやなんだどぉー!! オムライスやハンバーグやエビフライををまいにちたべたいんだどぉー!!」 「どうしても食べたいんだったらこうまかんを出てもらうことになるよ?」 「それもいやなんだどぉー!! でもクレープやチョコパフェやホットケーキをたべたいんだどぉー!」 話を続けても平行線が続く。 どうやられみりゃには意志を曲げるつもりはないらしい 仕方ないからあの手を使うかと思い様子を見ていたゆっくりさくやの一人にに頼みごとをした そして、れみりゃを見ながら周りのようすを観察していた時に1人だけみかけないゆっくりが混ざっているのが見えた 頼みの綱の2人が歩いてくるのを見て私は安堵した…れみぃとふらんの二人だ 「うー、さくやに話し聞いた。お姉さまが迷惑かけた。謝る。ごめんなさい」 「れみりゃはわるいことやってないんだどぉー」 ボカン(ふらんがれみりゃを叩く音) 「やめるんだどぉー!ぼうりょくはんたいだどぉー!」 ボカン(ふらんがれみりゃを叩く音) 「うー、いいからこの人に謝る。それでご飯も我慢する」 ボカン(ふらんがれみりゃを叩く音) 「わかったんどぉー。あやまるんだどぉー。ごめんなさいんだどぉー」 その様子をみていると自然と笑いが出てきた。 他のゆっくり達も同じようだったのか顔に笑みを浮かべた。 「ゆっくりしっていってね!!」の大合唱でその場は終わった そして、れみりゃの逆襲(?)のちにゆっくりの反乱とよばれる戦いは終了をするのだ。 そのあと私は一人のゆっくりにちかづいていった 二本の角が生えたオレンジの長髪の小鬼を模倣したゆっくりの前に私がいた 確か名前はゆっくりすいかだ。この前『こうまかん』を運んだ小鬼さんが置いていったゆっくりだ 「今日のれみりゃたちのストライキはどんな意味があるんだい?」 「ひっく、何を言ってるかわからないよ。お兄さん?」 「とぼけるな。後ろで手を引いていたのはお前だろう?」 ゆっくりすいかはひょうたんの酒を飲みながらこちらに向きを変えた。 大きさは少しちいさめのバレーボールぐらいの大きさだ 「そうさね。あれは彼女たちのさびしさからだろうね」 「どういうことだ?」 「あんたが犬や前からいるゆっくり達に構ってばかりでいただろう?」 言われてみればこの1ヶ月、私はもともとすんでいたゆっくりと遊んでばかりいた気がする。 それが原因だと彼女はいいたのだろうか…宴会をすることによって寂しさを紛らわしたのだと 元になった子鬼は意識といった形を持たない物を集める事も可能であり、 人々が小鬼の周りに集まって宴会をよくやるのはこの能力の影響であると聞いたことがある。 それと霧になってみていたということもあって時折人の心を読んだかのような発言をすると。 「なるほど、いわれてみればその通りだ。私はぱあのゆっくり達と向き合わなかったかもしれない」 「ひっく、さけがなくなってきた」 「だったら君は何をしたかったんだい?すいか…」 「ひっく、それまでしゃべっていないゆっくりとしゃっべてほしかっただけさ?その形式を作ったのさ」 はあ、彼女のいいたい事を一瞬理解できずに混乱をしてしまった。 形式ができたことが何だって言うのだろうか?意味がわからなかった その意味を私は3日後朝に理解するのだ。 「ご主人、油揚げが食べたいてんこ」 「にゃーん、おかかが食べたいんだよー!」 「むきゅー! ごほんをもっといっぱいほしいわ!」 「「絵本さんがよみたいわ」」 「こぁ、ぱちゅりー様のお願いを聞いてください」 「こぁ、えほんがほしいです」 「るーみあはおにいさんとあそびたいのだー!!」 「あたいってばさいきょーね!!」 「ちるのちゃんの願いをかなえてあげてください」 「じゃおお!! じゃお」 「「「じゃお☆じゃお☆」」」 「れみりゃ様のお願いをもっと聞いてあげてください」 そういって付き合いの長いゆっくりたちが宴会を起こしてストライキを開始したのだ 後に第2次ゆっくりの反乱とよばれる戦いである。 私はよしわかったと答えて1人1人の相談に答えていくのであった。 そうしているうちに昔からいたゆっくりと新しいゆっくりへの対応の差は無くなっていった それを見ながら犬がすいかにはなしかけていた 『すいかさん。あんたはご主人とゆっくりが話し合う形式をつくろうとしたんですかい?』 「まあ、そんなとこだね。ひっく」 『幼女の癖にそんな飲んで大丈夫なんですかい?』 「まあ、そんなとこだね。ひっく」 『完全によっぱっらっていやがる。それとあっしの事を庇ってくれた事。感謝しますぜ』 「まあ、そんなとこだね。ひっく」 ゆっくり達は自分が犬への不満があったこと忘れているのはどうしてなのかは想像に任せる そんな会話をよそにゆっくりたちと懸命にゆっくり牧場の話をする青年とゆっくりをみながら犬は眠りについた 自分の主人がこれからも楽しく暮らせる事を願いながら…深い眠りへと落ちていった。 いつものやつ 「いつも酔っ払っているゆっくりすいかゲットだぜ!!」 次回のゆっくり紹介 「緑の髪に触角の生えた男の子みたいな蛍型ゆっくり誰だ?」 なきごえ『私は女の子だ』 「次回も、ゆっくりゲットじゃぞ」 byゆっくり博士 【あとがき】 作者名無しです 今回の内容は簡単に言えばゆっくりの寂しさからの反乱みたいなものです それがすいかの能力によって3日ごとに起きるというのは黄昏ファンの方にはわかる設定です。 すいかがゆっくりの心の光を見せてくれた訳だな、永夜抄もゆっくり書いていってね!!! -- 名無しさん (2009-04-27 01 57 32) 不覚にも最後の場面の老犬と会話しているすいかがかっけえと思ってしまった・・・ -- 名無しさん (2010-04-09 14 06 07) リリーの『春ですよー』と、ゆかりんの『認めてください』に吹いたwwwww -- 名無し (2010-12-07 22 50 27) ・・・なんかもう吹っ切れた☆(すぅーっ)ば!ば!あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・いやはや、すっきりさっぱり!!みんなもストレスためちゃだめだぜ!!!ほらほら!そこのババアも元気だせよ!・・・えっ?・・・スキマなう。 -- 名無しさん (2012-07-28 20 13 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5136.html
初ですがよろしくお願いします。 ゆっくり教材 ここは、現代の都会のとある小学校。今日も授業が始まる。 小学1年生の算数の時間だ。 担任の虐 待子先生がゆっくりがたくさん入った檻を台車で運んで入室する。 「ゆ!にんげんさんがたくさんいるよ!」 「にんげんさんはゆっくりできないんだぜ!」 「むきゅう!つぶれちゃうわ!」 「にゃあ!つぶれちゃうよー!わかるよー!」 「ぢんぽっ!!」 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ちぇん、みょんの5種のゆっくりがいる。ざっと40匹は入るだろうか。 檻の底に入れられていた何匹かのゆっくりは潰れていた。 「今日も勉強をします!じゃあアキラ君。教科書の10ページを読んで!」 「はい!ゆっくりちぇんのあかちゃんを3ひきつぶしました!そのあとにゆっくりまりさのあかちゃんを2ひきつぶしました! あわせてなんびきつぶしたでしょうか!」 「はい!よく読めました!」 先生は黒板に問題を書き写そうとする。 赤ゆの入った透明なパックを用意した。 「にんげんしゃんはゆっきゅりできにゃいよ!」 「はやくきょきょかりゃだしゅんだじぇ!」 赤ゆは騒ぎ出す。 ゴム手袋をはめて、おでこに「白」と書かれた赤れいむを取り出す。 「ゆぅ〜!おしょりゃをとんじぇりゅみたい〜!!」 これから起こることも知らずに、ただ抜かす赤れいむ。 「ちゅぎはまりしゃだじぇ!」「ちょかいはなありしゅよ!」 「みゅきゅう〜!とっちぇもゆっきゅりできるわぁ〜!」 パック内の赤ゆは騒ぐ。 「ゆぅ〜!とってもゆっくりできているあかちゃんだね!」 「たのしいんだねー!わかるよー!」 「とってもとかいはなあかちゃんねぇ〜!」 檻の中のゆっくりも騒ぐ。ただただ耳障りなだけだ。 先生は手に持っていた赤ゆを黒板の前にかざす。 「ゆ?」 少々不思議がる赤れいむ。 「先生黒板に問題書くから皆ちょっと待っててね!」 赤ゆを黒板に押し付ける。 「ゆべぇ!」 押し付けた状態でそのまま横に引きずる。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」 れいむの体が削れ、白い線がくっきりとうつる。 この赤ゆの体はチョークになっている。しかし感覚や顔、姿はそのままの形で。 「あがぢゃんいだがっでるよぉぉぉぉ!!!やべであげでねぇぇぇぇぇ!!!」 「ごんなごどずるにんげんばじねぇぇぇぇ!!!」 「むぎゅ…エレエレエレエレ…」 「がわいぞうだよぉぉぉぉ!!!わがっでねぇぇぇぇぇ!!」 「べにずぅ!べにずぅ!」 檻の中のゆっくり達は必死に止めさせようと泣き叫ぶ。 目から出た砂糖水が床を濡らす。 掃除するとき大変じゃないか。先生はそんなことを思っていた。 「ゆ…ぎぃ…お…ぎゃ…じゃん…」 使われたれいむは白目を剥いて気絶する。 パック内のゆチョークは逃げ出そうとする。 「ばりじゃはあんなぶうになりだぐないんだじぇぇぇぇぇ!!!!」 「むぎゅぅぅぅぅ!!!ゆっぐりじだいわぁぁぁぁぁ!!!!!」 だが、 「「「どぼじでうぎょげないにょぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」」」 このゆチョークは足を焼かれている。だから動けないのだ。 だがしかし。 「だっしゅちゅできちゃよ!わかりゅよ!」 「ちぇん!いっちょにゆっきゅりちゅるんだてぃーんぽ!!」 赤ちぇんと赤みょんが体を転がし逃げ出す。 「みゅきゅ!きょろがればいいのにぇ!」 「はやくでちぇゆっきゅりちゅりゅんだじぇ!」 他のゆチョークも転がって脱出しようとする。 しかし、 「ゆっきゅりおちるよぉぉぉ!?!?」 「てぃむぽぉぉぉぉ!?!?!?」 チョークは教卓の上に置いてあった。この二匹はその教卓の上から落ちてしまった。 パキッ! 床に落ちたみょんとちぇんは粉々に砕け散る。 「ゆ…が…」 「でぃむ…ぼぉっ…」 床に落ちても意識はあったようだ。 「ゆ?なにかおちてきたよ?」 「おまんじゅうさんだよー!わかるよー!」 檻の中のゆっくりは砕け散ったものがちぇんとみょんだということが分かっていない。 砕け散ったのが原因でお飾りも一緒に粉々になってしまったからだ。ゆっくりはお互いの飾りで個体を判断する。 お飾りが無くなった瞬間。消えたと思われたり、変なゆっくりがいるといって殺されてしまうのだ。 「わぎゃら…にゃい…よ…」 「でぃむ…ぼぉ…」 砕けたちぇんとみょんは息絶えてしまった。 「はい!書き終わりました!じゃあ実際にゆっくりを使って計算してみましょう!」 先生は檻の中からゆっくりを二匹取り出す。 「ゆ?おそらをとんでるみたいなんだぜ!」 「とんでるんだねー!わかるよー!」 取り出したまりさとちぇんを教卓の上に置く。 「ゆゆ!あかちゃんなんだぜ!」 「いまたすけてあげるからねー!」 まりさとちぇんは先ほどのれいむを見ていた。恐らくこの子達も先ほどのれいむのようになる。 餡子脳だからすぐ忘れ去ると思っていたが覚えていたようだ。 この子達も助けて、檻の仲間達も助けて、皆でゆっくりしよう。そんなことを考えていた。 「みんな!まりさのおくちのなかにはいるん―」 「はやくはいってねー!いそいで―」 プスッ まりさとちぇんの計画は先生の刺した針で粉々に砕け散った。 「ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!いだいんだぜぇぇぇぇぇぇ!!!」 「らんじゃまぁぁぁぁぁぁ!!!!わがらないよぉぉぉぉぉ!!!」 針を刺された痛みでもがき苦しむまりさとちぇん。 「ゆが…はぁ…はぁ…なんだかへんなんだぜ…?」 「なにかへんなきぶんなんだよー?」 針を刺された数秒後、まりさとちぇんが紅潮し始める。 「ゆ…ゆゆ…こうふんしてきたんだぜ…?」 「す、すっきりしたいんだよー!!」 自分の体をどんどん振動させ、どんどん興奮していく二匹。 そして。 「んほぉぉぉぉぉぉ!!!もうがまんできないんだぜぇぇぇぇぇ!!!!!」 「すっきりさせてねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 急にすっきりを始める二匹。 先生の刺した針には「すっきり促進剤」が塗られていた。 しかも水で薄めることによって、すっきりした後に茎に実る子供の数も調整できる。 「「すっきりー!!!」」 すっきりが終わったようだ。ちぇんの頭から茎が生えてくる。 ゆっくりちぇんが3匹。ゆっくりまりさが2匹だ。 「ゆゆ!あかちゃんなんだぜ!はやくうまれてきてほしいんだぜ!」 「こどもができたんだねー!わかるよー!」 子供が出来たことに喜ぶ二匹。 「きょれでおちょもだちができりゅにぇ!」 「はやきゅおちょもたちとゆっきゅちちたいんだじぇ!」 ゆチョーク共も騒ぐ。 茎の赤ゆは超ハイスピードで育つ。 「もうすぐうまれそうだよー!」 「ゆゆ!?はやいんだぜ!でもいいんだぜ!!」 早く自分の子供とゆっくりしたい。その事で頭がいっぱいだった。 はやくおかあさんやおとうさんとゆっくりしたいよー! ちゃくちできたらあいさつするんだよー! きんちょうするけどがんばるんだぜ! れんしゅうしたからきっとうまくいえるんだぜ! 子供はこれからの期待で胸がいっぱいだった。 プチッ 産み落とされた。赤ちぇんだ。 赤ちぇんは親に向かって挨拶をする。 「ゆっきゅちちちぇいっちぇ―」 ブチッ 「はい!これで1匹目の赤ちぇんを潰しました!次は2匹目!」 産み落とされた赤ちぇんは「ゆっくりしていってね!!!」も言えずに息絶えた。 「ゆが…あ…あああ…」 固まるちぇんとまりさ。 ちぇんは自分の目の前を見下ろす。そこには口から餡子を吐き出し、目も飛び出ているちぇんだったもの。 潰されたのが一瞬過ぎたせいか。ちぇんの口元は笑っていた。 「どぼじでじんじゃっだんだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!?!?!?!?」 子供が死んだショックで錯乱するちぇんとまりさ。 「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 「むっぎゅ…エレエレエレエレ…」 目の前で死んだ赤ちぇんを見て錯乱するゆチョーク。 「どうしたの!?まりさ!!」 「ふたりともゆっくりするんだちーんぽ!!」 檻の中のゆっくり達は状況が飲み込めていないようだ。 ブチッ 2匹目。赤ちぇんだ。 「ゆ!ゆっくりうまれるんだぜ!!」 「こんどはつぶれないよー!!わかるよー!」 どうやら着地のショックで死んだと思っているらしい。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 良かった。無事だった。1匹目の死骸がクッションとなったか。 「ゆ…ゆゆ…ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりうまれたんだよー!わかるよー!!」 無事に生まれたことに喜ぶまりさとちぇん。 「おちょーしゃん!おきゃーしゃん!ちゅーりちゅーりしゅりゅんだよー!」 赤ちぇんは親に近づきすりすりしようとする。 しかし、 先生の手が赤ちぇんの真上にせまる。 ブチッ 「はい!これで2匹目を潰しました!」 「ゆ?いなくなったんだぜ―」 「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!わがらないよぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?!?」 また死んだ。 2匹目のちぇんはとても期待に溢れた目をしていた。 「ゆゆ…おねえさん…もしかして…」 まりさが先生に問いかける。 「うん。2匹ともあたしが殺したよ♪」 先生は明るく話しかける。 「どぼじでぇぇぇ!!わがらないよぉぉぉぉ!!!」 「ばでぃざのあがぢゃんごろずにんげんばじねぇぇぇぇぇ!!!」 先生に向かって暴言を吐くまりさとちぇん。 「コイツ!先生に死ねっていったよ!!!」 生徒が騒ぐ。 「はいはい!皆静かに!それより3匹目が生まれそうだよ!」 「ゆ?」 ちぇんは上を見上げる。 そこには3匹目のちぇんが今にも産み落とされようとしていた。 「あがぢゃん!!うまれないでね!!わがっでね!!!」 3匹目は姉と同じ末路をたどることなど知る由も無かった。いいや、何が起こっているかは赤ん坊の少ない餡子脳で理解できなかったのだ。 プルプルと3匹目のちぇんが震える。 「うまれぢゃだめなんだぜ!ごろざれぢゃうんだぜぇぇぇぇ!!!!!」 そんなまりさの言葉にお構いなしに産み落ちようとする赤ちぇん。 「どぼじでゆうごどぎいでぐれないのぉぉぉぉぉ!?!?!?」 プチッ 「あ…ああああああ…」 生まれてしまった。 「ゆ…ゆっきゅりちていっちぇにぇ!わきゃりゅよ!!」 生まれた赤ちぇんは元気に挨拶する。 「あああああ…」 白目を剥いて固まるちぇんとまりさ。 「おきゃーしゃんたちどうちたの?わきゃりゃにゃいよ?」 赤ちぇんは不思議がる。 「そりぇよりちぇんおにゃきゃしゅいたよ!わきゃりゅよ!ぎょはんちょうだいね!」 赤ちぇんはご飯を要求した。 「ぢぇんのおぢびぢゃん!!ばやぐにげでね!!わがっでね!!」 「ばやぐじないどごろざれぢゃうんだぜ!!ばでぃざのあがぢゃん!ゆっぐりじないでにげでね!!」 親達は赤ちぇんに逃げるように言う。しかし。 「なにいっちぇりゅの?ちぇんはぎょはんがほちいんだよ!わきゃりゃにゃいの?」 身の危険より飯。まあ危険が迫っている事をこの赤ちぇんは知らないようだが。 「どぼじでにげないんだぜぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」 「ゆっぐりいうごどをぎいでね!!わがっでね!!!」 涙を流し訴える親達。しかし。 「ぎょはんをくれにゃいおやはゆっきゅりちんでにぇ!ちぇんはぎょはんをじぶんでしゃがしゅよ!」 赤ちぇんは親に暴言を吐き、ご飯を探した。 すると、自分の真下にあまあまがあるではないか。 「ゆぅぅ〜!あみゃあみゃしゃんはゆっきゅりできりゅんだよ!わかりゅよ!!」 赤ちぇんは初めての飯にかぶりつく。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ〜!」 赤ちぇんは食事を満喫する。しかし、 「なにやっでるのぉぉぉぉ!?!?!?ぞればぢぇんのおぢびぢゃんだよぉぉぉぉ!?!?!?」 「ばでぃざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁ!!!!!」 そう。赤ちぇんが食べたものはつぶれた2匹の赤ちぇんだ。 この赤ちぇんにとっては姉と言うことになる。 「にゃにいっちぇりゅの?これはあみゃあみゃしゃんだよ!わきゃりゃないの?びゃかなの?ちぬの?」 役立たずの親をあざ笑う赤ちぇん。ただただ姉達を食べつくす。 「おにゃかいっぴゃいになっちゃよ!ぺーりょぺーりょちて―」 ブチッ 「はいこれで3匹目も潰しましたー!後はまりさを2匹つぶします!」 「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「おねがいでずぅ!ばでぃざのあがぢゃんだけでもゆるじでくだざいぃ!おねがいじまずぅ!!」 3匹目も潰された。おなか一杯に食べて満足そうな顔をしていた。 「はい!じゃあハルカちゃん!今までに何匹ゆっくりを潰したかな?」 「はい!3ひきです!」 「正解!じゃあ後はゆっくりまりさの赤ちゃんを2匹潰します!」 「ゆっくりまりさの赤ちゃんを潰す」という言葉を聞いたとたん、あの親ゆが叫ぶ。 「もうごれいじょうぢぇんのあがぢゃんをづぶざないでねぇぇぇぇぇ!!!!」 「つぶずならばでぃざにずるんだぜぇぇぇぇ!!!ぢぇんどあがぢゃんはだずげでやっでぼじいんだぜぇぇぇぇぇ!!!」 「無駄無駄。あなた達にはなにも出来ないよ☆あ、4匹目と5匹目が一緒に落ちてくる!」 茎についていた2匹のまりさが一度に産み落とされようとしていた。 「ゆっ…ゆっ…うまれでごないで…」 先ほどは早く生まれてほしいと思っていたくせに、今ではまったく逆のことを言っている。まああんなことをされたので仕方なくも無いが。 プチプチッ 産み落とされた。親達はもう諦めていた。しかし、ある名案をちぇんは思いついていた。 産み落とされた瞬間に口の中に赤ちゃんに入ってもらえばいい。その後床下に吐き出して逃げてもらおう。 残酷だけど子供達だけで生きてもらうしかない。こんな不甲斐ない親でごめんね。 「「ゆっきゅりちちぇいっちぇ―」」 「おちびちゃん!ゆっくりしてないではやくおかあさんのおくちのなかにはいってね!」 お決まりの挨拶を遮るようにちぇんは言った。 「ゆ…ゆっきゅりりかいちたよ!!」 親の迫力に何か圧倒されたのかちぇんの口の中に入る赤まりさ。 「ゆぅ〜!ひりょいよぉ〜!」 「とっちぇもゆっきゅりできりゅばしょなんだじぇ〜!」 (赤ちゃん…ごめん―) ベチャッ 「あー、多分赤ちゃんも潰れたよね。」 先生はちぇんごと叩き潰した。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!ぢぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!」 つがいのちぇんの死を悔しがるまりさ。もっともすっきりする前まではまったくの赤の他ゆっくりであった。 どうやらすっきりをした後は強制的に両思いになるそうだ。 ならばれいぱーありすにすっきりさせられても両思いになるかと言われたら違う。 れいぱーの場合はやられる側は望んでいないすっきりなので両思いになれないのだ。 今回の場合は両方同意の上のすっきりなので両思いになれたのだ。 「はい!まりさの赤ちゃんもつぶれました!合計何匹ですか?皆で言おう!せーの!」 「「「「「5ひきです!!!!!」」」」」 「せいか〜い!よく出来ました!」 生徒が正解を答えられたことに喜ぶ先生。手を汚した甲斐があった。 これで不正解だったら檻の中のゆっくりを一匹殺そうと思っていた。 「じねぇぇぇぇぇぇぇ!!!ばでぃざのぢぇんどあがぢゃんをごろじだにんげんばじねぇぇぇぇぇ!!!!」 全てを奪われた怒りを諸悪の根源である先生に向けるまりさ。 「先生!また死ねっていったよ!」 「大丈夫。先生は優しいから赤ちゃんのところへまりさを連れてってあげるの!」 「ゆゆ…?ほんとうなんだぜ?」 先生のまさかの一言に泣き止むまりさ。 「本当本当!」 「じゃあ…つれてってほしいんだぜ!」 「じゃあ目を瞑ってね!」 「ゆっくりりかいしたんだぜ!」 まりさは期待した。大好きなちぇんとあかちゃんに会える。 こんな地獄のような所から抜け出してゆっくり出来る。 そうだ。自分が前いた森の巣に住もう。 ちぇんと…あかちゃんと…一緒に… ベチャ 確かに先生はまりさを連れて行った。ちぇんとあかちゃんの待つ死後の世界へ。 「さあ!じゃあ皆でゆっくりを使ってこのプリントの問題を解いてみてね!」 プリントの問題はひとりひとり違う。同じゆっくりに殺到させないためだ。 問題を見た生徒達はゆっくりを檻から連れて行く。 「ゆゆ!おそらをとんでるみたい!」 「むきゅう〜!」 「たのしいよー!わかるよー!」 「びっぐまらぺにす!」 ゆっくり達は机の上に置かれ、針によって強制的にすっきりして妊娠させられる。 「れ、れいむぅぅぅぅぅ!!!」 「む、むきゅぅぅぅぅん!!!」 「てぃむぽぉぉぉぉぉ!!!」 たくさんの赤ゆが実る。そして即刻産み落とされる。 「ゆ…ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!」 教室のいたる所で赤ゆの産声が上がる。 ベチャ 教室のいたる所で赤ゆが潰される。 「ゆがぁぁぁぁぁぁ!!!」 「むぎゅ…エレエレエレエレ…」 「でいぶのあがぢゃぁぁぁぁぁん!!!!」 「どぼじでなんだぜぇぇぇぇ!?!?」 「でぃむぼぉ!!でぃむぼぉ!!」 教室のいたる所で親ゆの悲鳴が上がる。 逃げ延びた赤ゆも床に落下した衝撃で死ぬ。 親は逃げようにも足を焼かれているため逃げられない。 ゆっくりにとっても、生徒にとっても新たなことを学んだのであった。 算数の時間が終わった。 教室は餡子まみれ。 「うっうー!」 それをゆっくりれみりゃ達が掃除する。無論。食べると言う形で。 「あまあまがたくさんなんだどぉー♪」 「「「れ、れみりゃだ!!!」」」 親ゆは逃げようとするがもちろん逃げられない。 「ゆぎゃぁぁぁぁ!!!あんござんずわないでぇぇぇぇぇ!!!」 「むっぎゅぅ!」 「ぢぇんのじっぼだべないでねぇぇぇぇ!!!!」 「まらぁ!!まらぁ!!!」 親ゆは見事に捕食された。教室もピカピカだ。 「きれいになったどー☆うっうー☆うあうあ☆」 れみりゃ達は喜びのダンスを踊る。 このクラスの次の授業は体育だ。 生徒達の大好きな「ゆっくりドッジボール」の時間だ。 終 作者 雛の5倍速で回転できる人 ――――――――――――――――――――――――――― あとがき どうも。初ssでしたがいかがでしたか? なんか虐待表現使ってればおkみたいな考えでいたのでおかしい所は多々あると思います。 あんまりssばかり書いていられる時間がありませんが出来るだけ書いていきたいです。 よろしくお願いします。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2454.html
かんばんむすめ 書いた人 超伝導ありす このSSは以下の要素を含みます。苦手な方は読むのをお控えください。 ゆっくりを食べるシーンがあります ゆっくりを愛でるシーンがあります 死なないゆっくりがいます 罪のないゆっくりがひどい目に遭います ぬるいじめ 「いらっしゃいませ、なんだどお~♪」 ここは郊外の喫茶店。 門前には、一匹の胴付きゆっくりれみりゃが立っていた。 頭でっかちで、背丈は80cmほど。 首からは『かんばんむすめ』と下手な字が書かれたプレートを下げている。 「ゆっくりカフェでいやされていくんだどう~」 にぱにぱ~。と笑顔を振りまき、お客さんが興味を示すと、れみりゃ必殺の『のうさつだんす』を披露する。 「れみ☆りあ☆うー」 微妙な腰つきとめちゃくちゃな腕の振り。 正直、見ていて感心できるような踊りではないのだが、愛でお兄さんたちには概ね好評だった。 「やきたてコーヒーとパンがじまんのゆっくりゃカフェなんだどお~!」 「じゃ、今日も焼きたてコーヒーをいただいてから仕事に行くよ」 常連の愛でお兄さんが、れみりゃの帽子を撫でてから店に入った。 「いちめいさま、ごあんない~」 客が店に入ると、そこにはエプロンを付けた胴付きのふらん、そして胴付きのぱちゅりーが出迎えた。 「むきゅう~。ぱちゅりぃのとしょかんでゆっくりしてくといいわぁぁ」 「う~。ふらん、ねむいけどがんばる~」 もちろん、カウンターの奥には人間のオーナーがいる。 極低脳で勘違いだらけのぱちゅりーや、情緒不安定でひきこもりがちなふらん、踊ってばかりのれみりゃ。 もしオーナーがないければ、この店でまともなブレックファーストを望むのはムリだっただろう。 しかし、この店はこの三馬鹿トリオを売りにした、ゆっくりカフェの一つなのである。 猫喫茶などと同じノリだ。 「むきゅう?ごちゅうもんはうぃんなーだったかしら?」 「がおー。さーしちゃうぞ~!」 カフェは今日も愛でお兄さんたちの足が途絶えることはなかった。 その日も、カフェは概ね平和だった。 「う~。う~。に、にぱ~」 今日もお外で看板娘をつとめる、れみりゃ。 しかし、今日はれみりゃにとっては不運が重なった。 一つは、オーナーが朝寝坊をしてしまったこと。 一つは、昨日の夜、ぱちゅりーが体調を崩し、代わりに外に出なければならなかったことだ。 このカフェは、遅めの出社をするお兄さんたちに朝食も提供している。 そのため、ちょっとでもオーナーが寝坊をしてしまうと、朝ご飯は後回しになってしまうのだった。 「れみりゃのカフェなんだどう~。おいしいコーヒーたべていってほしいどお!」 それでもれみりゃは頑張っていた。 飼い主であるオーナーの料理の腕は確かであると、巷では評判だった。 看板娘を抜きにしても、少なくともゆっくりが極端に嫌いでなければ、料理を食べに来る客も居る。 「はやく、ごはんたべたいんだどお~。がんばるんだどお~」 毎日の食事は、そのオーナーが愛情を込めて作るのだから、おいしくないはずがない。 寝坊をした時の朝食は、お詫びを込めてスペシャル料理が振る舞われる。 お客さんにちやほやされ、ダンスを披露しては拍手喝采。 暖かい寝床と最高の食事、優しくしてくれる飼い主。 そんな『ごーまかん』を持ったれみりゃは幸せだった。 …昨日までは。 ふと、れみりゃの目の前を、とあるお姉さんが通り過ぎた。 「うあ~!?めちゃくちゃおいしそうなにおいなんだどお!?」 急いでいるのだろう、小走りで通り過ぎたお姉さんが持っていたのは、ほかほかの大判焼き。 その大判焼きは、れみりゃの本能を刺激する匂いを発していたのだ。 それはカフェの近くにある、老舗菓子屋の名物だった。 老舗の大判焼きの餡子には、ゆっくりと苦しめたれいむ種の餡子が使われている。 もちろん、虐待したゆっくりの餡子が使われているというのは企業秘密だ。 ごくごく一般的にはゆっくりの虐待なんてものはイメージが悪い。 それを『昔ながらの味』として売っているのだから、よくある食品偽装である。 「まつんだどお~。それをすこしだけわけでほしいんだどお~」 ともかく、お腹の空いたれみりゃは、匂いに釣られて持ち場を離れてしまった。 いつもなら、「こんなまいずものいらない!」と一蹴してしまうはずの、大判焼き。 しかし、お腹がぺこぺこなれみりゃが、食欲に勝てるはずもない。 しかも間の悪いことに、お姉さんは騒音カット式のイヤホンで音楽を聴いていて、れみりゃには気がつかなかった。 よい子のみんな!危ないから通行中はノイズキャンセリングをオフにしてね! 「まってほしいんだどお。あまあまたべたいんだどおお」 相手は小走り。こちらは腹ぺこでへなへなのれみりゃ。 追いつけるはずもなく、れみりゃは気がつかずに、店からずっと離れてしまっていた。 「う?う~?ここはどこなんだどお?」 気がつけば、見知らぬ住宅地の中。 お姉さんはとっくの昔に視界から消え去っている。 「おなかぺこぺこなんだどお。はやくかえってごはんをたべるんだどお♪」 ごはんの事を考えると、頬のゆるむれみりゃ。 しかし。 「う?うあ?ご~まかんはどこなんだどお!?」 今になって自分の置かれている状況に気がつく。 ここはれみりゃの知らない場所。どちらを向いても同じような家しかない。 それもそのはず、れみりゃは生まれてこのかた、『ごーまかん』たるカフェから離れたことはなかった。 知っているのは、カフェの中と、隣にあるお庭だけ。 「れ、れみりゃはまいごなんかじゃないどお!れでぃはとりみだしたりしたないんだどお!」 自分を言い聞かせるかのように強がり、あっちをウロウロ、こっちをウロウロ。 状況はまったく好転しなかった。 「お。れみりゃじゃねーか」 「うあー。ごーまかんがわからないどお!」 それを見つけたのは、住宅街に住むお兄さんだった。 すでに何人かの人間とすれ違っていたのだが、関わらない方がいいとすべてスルーされてきたのだ。 「ちっ、なんだ。飼いゆっくりのマークがついてやがる…」 お兄さんは忌々しげに舌打ちした。 れみりゃの帽子に燦然と輝く金色の星形バッジ。 これは、そのゆっくりが飼いゆっくりであることを証明するものだ。 現代では害虫扱いのゆっくりでも、飼いゆっくりとなると勝手が違う。 お兄さんは虐待お兄さんだった。 虐待しようと思ったれみりゃが野良ではなかったことに、ひどく落胆する。 (そういや…胴付きのゆっくりカフェがあっちにあるんだっけか…) 「おい、れみりゃ。おまえのごーまかんは、あっちだぞ!」 そう言って、虐待お兄さんが指さしたのは、れみりゃのカフェとは正反対の方角だった。 「うっうっうあうあ。ありがとうなんだどお」 れみりゃは何の疑いもなく、その方向へと体を向けた。 ふらふらと危なげなく飛んでいくその背中を、お兄さんは満足げに眺めていた。 これは虐待ではない。 もっとも、れみりゃの運命は見えたようなものだったが。 れみりゃはしばらく飛んでいたが、住宅街の空き地があるのを見かけると、翼を休めた。 今時珍しいが、その空き地には子供が入れそうな土管が積まれている。 「もうげんかいなんだどお…。あそこでやすむんだどお」 太陽は、もうてっぺんまで登っていた。 このまま日差しに照らされていたら、パサパサのまんじゅうになってしまう。 土管の影で休もうと考えたのだ。 とはいえ、ゆっくりが考えることは同じだった。 土管の中には先客がいたのだ。 中に居たのは、野良のれいむ一家。 親れいむ一匹に子れいむが二匹。 今日は餌にありつけたのだろうか、満ち足りた表情で昼寝をしていた。 「う?あ、あまあまがいるんだどお!!」 野良のれいむ一家の身なりは薄汚れていた。 ゆっくりは本来、きれい好きなナマモノである。 野生のゆっくりであれば、水辺で体を洗ったり仲間同士で嘗め合ったりと、身繕いに余念がない。 しかし、一度都会に出て生活し始めると、そうはいかなくなる。 食事はゴミ漁り。 人間や先住民たちの迫害をくぐり抜けるため、生きていくのに直接関係ない時間は省かねばならなくなる。 おまけに都会の川は広かったり汚れていたり。 いつものれみりゃだったら、こんな汚いものは「ぽい!」している。 が、もはや空腹は今までに感じたことのないレベルに達していた。 「がお~!!た~べ~ちゃ~うぞ~~~!!」 「ゆゆっ!?」 危険なフレーズを聴いた気がして、親れいむは慌てて目を覚ました。 野良生活では危険が付きものだ。 親れいむの反応は早かった。 だが。 「おきゃーしゃあああん…!!」 「おちびちゃん!?」 「うーあまあま!」 その時すでに、れみりゃは子れいむを一匹、むんずと両手で捕まえていて、ちょうど。 「ゆぎゃああああ!!」 捕まえた子ゆっくりの横っ腹を食い破るところだった。 「おぢびじゃんがあああ!!!」 「れいむのいもうどがあああ!!」 「このあまあまはとってもおいしいんだどお!!」 今のれみりゃにお上品なんて言葉はない。 飼いゆっくりとして、食事はこぼさないようにと躾けられてはいたが、今は餡子を盛大にこぼして食べている。 「もっちょ…ゆっぎゅり…し…」 子れいむの口が、れみりゃの口の中に収まっていった。 「これじゃあたりないんだどお!」 両手を餡子で汚しながら、れみりゃは震えていた親子に視線を向けた。 尊い犠牲が、まったくの無駄になってしまうのが、ゆっくりがゆっくりたる所以。 「おちびちゃんにげてええ!!」 「ごわいよおお!!」 思わず身を翻した親れいむの後ろに、子れいむは続かなかった。 いや、続けなかった。 修羅場を抜けた場数の違いか、子れいむは恐怖にすくみ、動くことができなかったのだ。 「まっでね!おぢびじゃんはたべでもおいじぐないよお!?」 「ゆああああ!!」 自らが作った涙の池から、子れいむの体が離れた。 「やっぱりあまあまさんはおいしいんだどおお!!」 子れいむの餡子の味は、れみりゃの五臓六腑(ないけど)に染み渡る。 今のれみりゃは、今までに食べたどんなに豪華な食事よりも餡子の味を堪能していた。 本能が、これこそが本来の食べ物だと、告げていたのだ。 「あ…あ…」 親れいむは、れみりゃから少し離れた場所から惨劇を眺めていた。 涙がとめどなく流れる。 れいむは都会生まれのゆっくりである。 生まれた時からゆっくり出来ない環境に晒され、それでも自分なりにゆっくりを探求してきた。 そして見つけた、自分だけのゆっくり。 ごはん集めがとっても得意で素敵なまりさと出会い、蜜月を経て得た、何物にも代え難い子供たち。 まりさは途中で潰されてしまったが、まりさの遺した子供たちだけは何としても育ててみせる…。 この子たちにも、自分のゆっくりを見つけてほしい…。 母親の切なる願いは、こんな簡単にも霧消してしまった。 「ごべんね!ごべんね、おぢびじゃんだぢ!!」 親れいむは走り始めていた。 自分一匹では、どう足掻いてもれみりゃには勝てない。 今は生き延びよう。 生き延びて、また可愛い赤ちゃんを産むことだけが、食べられた子ゆっくりに対して唯一できる償いだった。 「う~。おなかいっぱいになったんだどお」 一方、れみりゃは子れいむ二匹で十分に満足していた。 土管はほどよく涼しく、眠気を誘うには十分だった。 食べたら寝る。 野生では基本のスタイルである。 しかし、れみりゃは気づくべきだった。 自分は野生のれみりゃではない。 飼いれみりゃであることに。 「あの土管に、最近れいむが住み着いてるんだ」 時刻は小学生の下校時間になっていた。 すぐ近くに隣同士で住んでいる小学生二人が、空き地に入ってくる。 カバンを背負ったままの、学校帰り。 ダイちゃんとシゲちゃん。 二人は幼なじみで、いつも一緒に行動していた。 その二人が、れみりゃの寝ている土管を覗き込んだ。 「あれ。なんだ、れみりゃじゃないか」 「おっかしーな。昨日まではれいむの親子だったんだけど…。ああ!」 ダイちゃんが手を叩く。 「このれみりゃが食べちゃったんだよ。ほら、餡子の後もあるし」 「せっかく久しぶりにゆっくりサッカーができると思ったんだけどなあ」 「いいじゃん。こいつで遊ぼうぜ」 シゲちゃんは「そうだな」と、ニカッと笑い、れみりゃの体を土管から引きずり出した。 「う~?うあ~?なんなんだどお!?」 足を引っ張られ、太陽の光を浴びて、れみりゃは即座に目を覚ました。 れみりゃは人間と同じサイクルで生活しているが、本来れみりゃ種は夜行性なのである。 いつもは鈍感なれみりゃだが、太陽に対する反応はそれなりに早かった。 「うっう~。にぱ~☆」 れみりゃは子供たちに気がついて、あおむけのまま愛想を振り向いた。 「うわ、気持ち悪いな」 「あれ、なんか書いてあるよ?」 子供たちは七文字のミミズ文字を解読しようとする。 「れみりゃは、かんばんむすめなんだどお」 「って、オイ!」 シゲちゃんがれみりゃの腰をけりつける。 「うぎゃああ!なにするんだどお!?」 れみりゃは驚いて立ち上がろうとした。 ダイちゃんは、そのれみりゃの足を引っかけて転倒させる。 今度はうつぶせの状態で倒れた。 「せっかく読もうとしてたのに、答えをバラすんじゃねえよ!」 シゲちゃんはれみりゃの尻を何度も踏みつけた。 最後に靴の先端を背中にたたき込むと、れみりゃのババくさい服にじわりとシミが広がった。 背中の皮が破け、肉汁が漏れだしたのだ。 「いだいんだどお!やめでほしいんだどお!!」 「蹴り飛ばして遊ぶもんだから、看板は!」 れみりゃは何がなんだか分からなかった。 それもそのはず、れみりゃはずっとカフェの看板娘だった。 ごーまかんの中で思う存分ゆっくりして、人間には頭を撫でられるのが普通。 このような謂われのない暴力、しかも、怪我をするような仕打ちを受けたことはなかったのだ。 「れみりゃはかわいいんだどお!ごーまがんのあるじなんだどお!かんばんむすめなんだどお!」 「ほら立ってごらん、にくまん。遊んであげるよ~」 「れみりゃはにくまんじゃないどお!?」 背中の傷口はとっくに塞がっていた。 れみりゃは解放されると起きあがり、二人に向き直って抗議しようとした。 「はい、ここにございますのは墨汁~!!」 「と、筆!」 いつの間にかシゲちゃんは墨汁をしみこませた筆を用意していた。 「はい、すわる!」 「う?」 れみりゃはダイちゃんに上から圧力をかけられて思わず正座した。 「う~?ふきふきしてるれるのお~?」 「そうだったらいいよねえ」 「ま、看板だったら時々書き換えてやらないとな!!」 シゲちゃんは筆でれみりゃの顔に落書きした。 ○とか×を顔に書き込み…。 「意外とコレ、面白くないな」 「本来は罰ゲームとして笑い会うシーンだしね」 ダイちゃんはれみりゃの翼を、おもむろに引きちぎった。 「うぎゃあおおおお!?」 「さっきから声が大きいって!」 「ぶぎゃっ!?」 シゲちゃんは教科書のカドで、れみりゃの口を横から叩いた。 教科書のカドは勢い余ってれみりゃの口元を横一文字に切り裂いてしまう。 「おお、口裂けれみりゃだ」 「気持ち悪いなあ。やっぱりれみりゃは遊ぶのに向かないね。れいむだったら餡子が吹き出るだけだけど」 「中身が肉まんだと、変な感じだよな」 二人はれみりゃに興味を失いつつあった。 そもそもは、ここにいたれいむをボールの代わりに蹴飛ばして遊ぶ予定だったのだ。 胴付きのれみりゃでは、そういうわけにもいかない。 かといって、首をねじり切ってしまえる程、二人は救いようのない悪ガキでもなかった。 「ほ~ら、残ったぼくじゅー!」 シゲちゃんは墨汁をれみりゃに振りかける。 「うぎゃおー!れみりゃのえれがんとなおべべが!おべべが!」 「おべべ、だって(笑)」 「帰ってゲームでもしようぜ」 「だな。ま、このままじゃつまらないから…」 シゲちゃんが取り出したのは、縄跳び。 「な、なにするんだどおお!?れみりゃにそんなしゅみはないんだどお!」 「ここをこーしてこーするの!」 二人は連携プレイで縄跳びをれみりゃの体に巻き付け、キュッと縛り上げた。 「うあー。ほどくんだどお!かえれないんだどお!」 れみりゃは見事に全身を縛り上げられていた。 足と腕を背中へと折り曲げ、ぐるぐる巻いただけ、という荒っぽいものだったが。 おお、しばりしばり。 「さて、帰るか」 二人は荷物をまとめる。 「うあー!だすげで!だずげて!」 「さくやー。かな?」 『…おにいざん!!』 「え?」 思わず振り返った。 二人がれみりゃをいじめたのはこれが初めてはない。 そして同時に、ピンチになれば共生関係にあるゆっくりさくやを呼ぼうとすることも知っていた。 だが、このれみりゃが呼んだのは、お兄さん、だった。 「うっわ!やべ!」 「こいつ、飼いゆっくりだったのか!」 ダイちゃんとシゲちゃんは、今になってれみりゃの帽子に付いているバッジに気がついた。 飼いゆっくりをいじめていけない事は、二人だって知っている。 でもまさか、飼いゆっくりが一人で土管で寝ているとは思わなかったのだ。 元々、れいむをいじめるつもりで、ここへやってきた、という先入観もある。 「ど、どどどどどうしようダイちゃん?」 「と、とにかく落ち着こう、し、しんこきゅー!」 「あ、そうだ!」 シゲちゃんは、れみりゃの帽子を素早く奪い取ると。 「れみりゃのおぼうし~!」 バッジが付いている部分を破り取り、丸めてポッケにしまうシゲちゃん。 そして、帽子を返す。 うつぶせのままのれみりゃは、自分の帽子がどうなったのかは分からない。 もっとも、それどころではなかったが。 「うごけないんだどお!ほどくんだどお!」 「それ、にげろ~!」 二人はそのまま逃走した。 「う~。うあうあ☆にぱ~」 日差しが赤みを帯び始めていた。 しばらく騒いでいたれみりゃだったが、話しかける相手がいないことに気がつき、今度は愛想を振りまき始める。 地面に向かって。 れみりゃは本気で信じていた。 笑っていれば、誰かが助けてくれる。 飼い主が探し出してくれる。 いつものように、頭を撫でてもらえる…。 自分は看板娘なのだ、と。 顔が地面に向きっぱなしである、という事実はすっぽ抜けていたが。 「見つけたよ!」 ふと、聞き覚えのある声が聞こえた。 「う~?」 れみりゃがうつぶせのまま、右へと顔を傾けた。 肉まん脳にインプットされる風景は、90度傾いていて、れみりゃはよく状況がつかめなかった。 れみりゃに近づいてきたのは、先ほど子供を食べられた親れいむを先頭にして、近辺に住む野良ゆっくりが十数匹。 いつもは餌を奪い合う仲だが、共通の敵がいれば手を組むこともある。 しかも相手は手負いのれみりゃ。 無力化出来れば、再生し放題の餌がたくさん食べられる。 そうぱちゅりーに教えられて来た者もいる。 「う~。ゆっくりしていってね~」 「ゆっくりしね!」 返って来た答えは、とてもゆっくりできるものではなかった。 れみりゃはすでに、暴行を受けたことで自分の犯した罪など、とうの昔に忘れていた。 お腹もいっぱいで、睡眠もほどほどに取った。 ここにいるのは、争いを知らない、かんばんむすめだった。 「う?なかよくするんだどお。うっうっ、にぱー!」 「おぢびじゃんのかたきぃぃぃ!」 「うんぎゃおおおおおお!!?」 空き地にゆっくりたちの怒声と、れみりゃの肉汁が吹き荒れた。 「う…うあ…」 見知らぬ道を、一人歩くれみりゃ。 「れみ、りゃ…かんば…ん…」 長かった夜が明けようとしていた。 れみりゃにはもう、翼はない。 一生懸命書いた、かんばんむすめのプレートもない。 えれがんとなおべべは、見る影もなく、体中は傷だらけだった。 中途半端に塞がった傷口からは、肉汁がにじみ、点滴のようにポタポタと、れみりゃの足跡を残していく。 回復力を超えるダメージに、体中が痛んだ。 それでも、れみりゃは『ごーまかん』に帰りたかった。 なぜなら、れみりゃはごーまかんのあるじだから。 優しい飼い主がまっているから。 楽しい仲間がいるから。 そして、もう一つ…。 奇跡的にも、れみりゃの足は、カフェへと向いていて。 一晩歩き通して、ようやく視界に建物の影が見え始めていた。 れみりゃは無我夢中だった。 どうやって、縄をほどいたかも、包囲を脱したかも覚えてはいない。 でも、もうすぐ。 もうすぐ、れみりゃは帰れる。 ごーまかんに帰れるんだ。 「かえったどお。あるじがかえったどおお…!」 と。 「れみりゃはかんばんむしゅめだじょー!」 「ふりゃんはかわいいんだどお!」 れみりゃの声を、そのまま甲高くしたような声。 かんばんむすめが立つべきその場所には、身長30cmほどの、赤ちゃんれみりゃと、赤ちゃんふらんが立っていたのだ。 小さな台の上に立ち、手を取り合って母親の代役を務めている。 「あがじゃん…。れみりゃの…あがじゃん…!」 れみりゃの瞳に涙が浮かんだ。 苦しみではない、喜びの涙。 れみりゃがごーまかんに帰らなくてはならない、もう一つの理由は、我が子が待っているからだった。 さくや種と同様に、れみりゃ種と共生関係にある、ふらん種。 凶悪な胴無しのふらんと違い、胴付きのふらんは、他の胴付き種と同様、かなりの低脳だったが。 それでも最愛のふらんとともに生み出した子供たちを残して死ぬわけにはいかなかったのだ。 「あがじゃん!まんまがかえってきたどお!さみしいおもいをさせたんだどお!」 「「う~?まんまぁ?」」 れみりゃはようやく、声が届く距離にまでたどり着いた。 今すぐ抱きしめてあげたい。 すりすりしてあげたい。 声を聞き、れみりゃを見上げた赤れみりゃと赤ふらんは、そこで恐ろしいものを見た。 「うあ~!くるんじゃないじょぅ!きちゃないおばけなんだじょう!」 「う~!まんまぁ?まんまはどこぉ?きたにゃいおばちゃんがいるどお!」 「う?」 愛しの我が子たちが、悲鳴を上げて背を向ける。 れみりゃは最初、自分の後ろに何物かがいるのかと思った。 しかし、振り向いても誰もいない。 「まんまだどお!れみりゃはまんまだどお!」 再び我が子に目を戻すと、赤れみりゃと赤ふらんは、台の影で怯えていた。 みれりゃは気がつかなかった。 自分の帽子が、すでになくなっているということに。 帽子を失ったゆっくりは、同属として扱われることはない。 れみりゃがれみりゃで有り続けたとしても、周囲の目はそうはならなかった。 「れみりゃのぼうしが!あがじゃん!しんじるんだどお!れみりゃはまんまなんだどおおおお!!!」 ここまで来たのに。 赤ちゃんのために帰ってきたのに! れみりゃのショックは大きかった。 そして、慟哭した。 思わず心の底からわき起こる情動に、大声で叫んでいた。 「うるさいぞ!」 騒ぎを聞きつけてドアを開けて出てきたのは、カフェのオーナーだった。 「うあ~。れみりゃは~!」 れみりゃの心に光明が差す。 優しい飼い主に救いを求めたれみりゃは。 しかし。 ドゴスっ!! 言葉を言い切れないうちに、顔面にオーナーの本気パンチがめり込んでいた。 「よーし、こわかっただろうね」 顔面が陥没し、倒れたままぴくぴくと痙攣するれみりゃを脇目に、オーナーは赤れみりゃと赤ふらんをすくい上げる。 「おっかないお化けは僕が退治したよ。さあさあ。泣くならふらんおかーさんのところでね」 「「まんまぁ~」」 二匹は泣きながら、ゆっくりの専用出入り口へと飛んでいく。 オーナーはそれを見届けると、ふたたびれみりゃに向き直った。 「悪かったなあ、れみりゃ」 そう言いつつも、オーナーはニヤリと笑い。 「看板は定期的に交換しないといけないんだよ……。そうしないとお客さんが飽きるからね」 オーナーはいまだ痙攣を続けるれみりゃの肉汁を指差に付け、味見した。 「フフッ。これは久しぶりにスーパーデラックスなディナーが出来るかもしれないな」 オーナーは周囲に人がいないのを確認すると、れみりゃを引きずって裏口へと入っていくのだった。 一ヶ月後の朝。 「むきゅ、ここはぱちゅりぃのだいとしょかんよ!へいせつされたカフェでゆっくりしていきなさい!」 そこには、看板娘である胴付きぱちゅりーが立っていた。 「ふう…おなかがすいたわ…。おにいさん、どうしてきょうはねぼうしたのかしら…」 ここは胴付きゆっくりをウリにした、ゆっくりカフェ。 愛でお兄さんに朝食も提供する、癒しの空間。 お腹ペコペコの彼女の目の前を、大きなハンバーガーを片手にした青年が通り過ぎて行く。 この日、ぱちゅりーに降りかかったいくつかの不幸。 それが、お友達のれみりゃが失踪した理由と良く似ていることに、ぱちゅりーが気づくことはない…。 あとがき 最近SS書く時間が無いんです!ってほどでもないですが。 最初から最後までゆっくりをいじめ倒すSSに挑戦して、モチベーション続かないなあ…みたいな状況です。 ちなみに作中でふらん種が共生関係とありますが、あくまで胴付きだけの話です。 れみりゃとぱちゅりーが胴付きになると劣化する設定なんだから、ふらんもそうしないとなあ…。 と、ふと思った次第です。 もしよろしければ、感想をお願いします。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4844.html
※たぶん実験系的な何か ※髄所に実験としておかしいところがある ※あとがきが長い ① 実験内容 狭い水槽の中にいるのは4匹のゆっくり。 1匹は成体のゆっくりれいむ。 他に成体がいないところを見ると彼女がこの巣の主らしい。 残りの3匹は全員赤ゆっくりだった。 1匹はゆっくりまりさで、もう1匹はゆっくりれいむで、最後の1匹はゆっくりありす。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」 この巣の主のかつてのつがいはゆっくりまりさ。 つまり、最後の1匹のゆっくりありすはれいむの本当の子どもではない。 れいむと仲の良い人間が彼女にありすを預けただけである。 「れーみゅ、ゆっくちー!」 「ゆゆっ!ゆっくちちてりゅよ!」 「ゆゆーっ!まりしゃもゆっくちちちゃいよー!」 しかし、3匹の赤ゆっくりの関係は非常に良好でこの家族にこれと言った問題はない。 彼女達は知る由もないことだが、同じ環境の水槽が5つ用意されていた。 いずれも大きさも、家族構成も、かつてのつがいも殆ど同じ。 ただひとつ違う要素があるとすれば、母親であるれいむの育った環境だけだ。 どの水槽もゆっくりの力では脱出できないようになっており、人間から与えられる餌が彼女たちの命綱。 その事はありす種の養育を素直に引き受けている点から、彼女たちもとりあえず理解しているはずだ。 ここまでは用意したゆっくりについて説明してきたが、ここからは実験内容について説明して行きたい。 実験はいたって簡単で、現在定期的に与えている食料をある日から大幅に減らし、その後彼女たちがどのような行動に出るかを観察する。 この実験の目的は幼少期の環境の親ゆっくりへの影響を調べることで、彼女達の性質を評価する際には3つの基準を用いる。 ひとつは合理性。これはより健康な個体に食料を優先して与えるなど、種を残すことを優先した行動を取るとこれが高いと判断する。 二つ目は従順さ。人間から預かったありすをどれだけ優先するかがこれを測る目安になると考えられる。 最後に利己的さ。これは自分の分の食料をどれだけ確保するかや、ありすへの扱いなどがこれを測る要因になるだろう。 ② 実験開始 1つ目の水槽のれいむは過酷な環境で弱い姉妹が次々死んでゆく中で生き延びた個体。 よって、彼女の気質は比較的厳しい自然環境の中で育ったゆっくりに近いものだと考えられる。 ゆゆっ!おにーさん、これじゃぜんぜんたりないよ!」 「「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」」 「ときゃいはじゃないわ!」 「仕方ないんだ。しばらくこの量になるけど、我慢してくれ」 そう言ってれいむ達の言葉には殆ど耳を傾けず、さっさと水槽から離れた。 残されたれいむ達はすぐに抗議するのを諦め、少量の餌を皆で分け合いながら食べた。 内訳はれいむは若干多く、赤ゆっくり達はほぼ等量といったところ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「でも・・・じぇんじぇんたりにゃいよ・・・」 「ゆぅ、ゆっくちできにゃいよぉ・・・」 かつて酷い飢えや恐ろしい外敵の恐怖に怯えながら生きてきたれいむは下手に動かず、余計な消耗を避けている。 が、食べ盛り赤ゆっくり3匹にとって突然の食糧難は相当辛いらしく、口々に不満を漏らしていた。 にもかかわらず、空腹感を忘れるために遊ぼうとするので、れいむはしぶしぶ動いて彼女達を叱りつける。 「おちびちゃんたち!こういうときはゆっくりするのがいちばんだよ!」 「「ゆぅ・・・でもぉ、ぽんぽんがゆっくちできにゃいよ!」」 「それでもゆっくりするんだよ!つぎのごはんさんまでゆっくりがまんしようね!」 母親の言葉をゆっくり理解した3匹は渋々その日は大人しくして過ごす事にした。 そんな彼女達に「おしゃべりはしてもいいよ!」と告げると、れいむはすやすやと寝息を立て始めた。 しかし、実はその日の食事があの1回でお終いだとはこの時のれいむが知る由もなかった。 翌日、早くもごく少量の餌しか貰えなかった彼女達の食料の配分に変化が現れ始める。 今日は母れいむの食料が赤ゆっくり1匹とほぼ等量になっており、一方で赤ゆっくり内の食事の量に明らかな差が見られた。 母れいむにとってその量は明らかない少ないが、意外と上に強い成体ゆっくりなら1ヶ月以上は間違いなく生きられるだろう。 れいむとまりさは母れいむより多いくらいの食料を受け取っていたが、ありすは母れいむよりも若干少ない。 「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」」 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅだけすくないわ・・・」 「ありすはれいむのこどもじゃないんだよ!おにーさんにおねがいしてね!」 れいむが人間から食料を貰うようになったのはありすを預けられるずっと前のこと。 つまり、彼女にとってありすを育てることはお世話になっている人間からの頼みを断れなかったに過ぎないのだ。 よって食糧難、それも人間がもたらしたものとなれば我が子を優先してしまうのはまあ、仕方のないこと。 「とってもゆっくちできちゃよ!」 「まりしゃはれーみゅとしゅーりしゅーりちてあしょぶよ!」 「ゆぅ・・・ぽんぽん、ときゃいはじゃないわ・・・」 結果、ありすと彼女以外の赤ゆっくりの様子にも明らかな差異が出始めた。 まりさとれいむは実験開始前ほど出ないにしてもそれなりに活発に水槽の中で遊びまわっている。 一方、ありすは先日母れいむに言われたとおりにただ何もせずにじっとしているだけだった。 「れーみゅ、しゅーりしゅーり!」 「まりしゃ、とってもゆっくちちてりゅね!」 2匹が楽しそうにはしゃいでいる傍らで・・・。 そんな日々が続く中で、ありすの食料は更に減らされ、やがて一切の食料が与えられなくなった。 それに比例するようにれいむとまりさは成長できるほどではないが、活発に動けるほど食料を得る。 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃわ・・・」 「ゆぅ!?おかーしゃん、ありしゅが!ありしゅがー!?」 「ゆっくちー!ゆっくちちてね、ありしゅー!」 やがて、空腹に耐え切れなくなったありすはずっとゆっくりしてしまった。 翌日以降、れいむ達に与えられる食料は再び大幅に減ることになった。 その量は恐らく昨日までの半分程度。 「おかーしゃん、おなきゃしゅいたよぉー!」 「れーみゅ、ゆっくちちたいよー」 「ゆっくりがまんしてね、おちびちゃん!」 何とか我が子を諌めようとするれいむ。 ありすがいた時のように誰かの食料を減らすと必ず家族の誰かが苦しむことになる。 その状況において、れいむはこれと言った手を打つことも出来ず、涙ながらに空腹を訴える赤ゆっくり達を慰めるばかりだった。 しかし、その翌朝に事件が起きた。 「ゆぅううう!もうがまんできにゃいよ!」 「ゆゆっ!まりしゃ、やめちぇね!れーみゅのごはんだよ、やめちぇね!」 「ゆゆっ!おちびちゃん、ゆっくりやめてあげてね!」 一度「誰かの食料が減れば自分がゆっくり出来る」ことを理解した赤まりさが赤れいむの食料に口をつけた。 その場は何とか母れいむは2匹が喧嘩しないように仲裁したことで収まったが、これが彼女達の食料配分を変えるきっかけとなった。 「ゆぅ・・・?おかーしゃん、れーみゅのごはんがしゅくないよ?」 「それがれいむのぶんだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 この母れいむは過酷な環境を生き抜いてきた個体である。 それゆえ、少しでも多くの食料を得た健康な、なおかつ食料を勝ち取る強さを持ったまりさを優先した。 こうなってしまえば空きっ腹を抱えたれいむとまりさの力は徐々に、しかし確実に開いてゆく。 「やめちぇね、やめちぇね!れーみゅのごはんとりゃないでね!?」 「れーみゅはゆっくちだまっちぇね!」 「ゆぴゅ!?いぢゃい、いぢゃいよおおおおおおお!?」 加えて、開いた力の差を用いて少ない食料までも奪われてしまう始末。 こうして、十分な食料を得たまりさはただ一匹水槽の中でゆっくりを我が物にした。 れいむが力尽き、更に食料を減らされてしまうその日まで。 2つ目の水槽のれいむは良好な環境の中で姉妹が1匹も欠けることなく成長した個体。 これは飼いゆっくり以上に安穏とした環境だと言え、現実にはあまり存在し得ない個性だろう 「ゆゆっ!なんだかごはんさんがすくないよ!?」 「おにーしゃん、まりしゃもっちょほちいよ!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ!」 この水槽の4匹も同様に餌の少なさに不満を漏らした。 こちらでも先ほどと同様にしばらくこの量のままであることを告げると、すぐに水槽から離れる。 それでも4匹は人間の消えて行ったほうに向かって延々と文句を垂れていた。 「れいむ、ゆっくりおこるよ!」 「れーみゅ、ゆっくちちちゃいよ!」 「こりぇじゃゆっくちできにゃいよ!」 などなど、自分勝手な主張を繰り返しながら無駄なエネルギーを消費している。 母れいむの育った環境が恵まれていたばかりに、我慢するとかそういった意識が低いのかもしれない。 やがて、自分達の要求が通らないことを悟った4匹はようやく少量の餌を分け合い、食事を始めた。 ちなみに分配の内訳は子ども達が平等なのは先ほどのれいむと同様だが、母れいむの分がかなり多くなっている。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「でも、じぇんじぇんたりにゃいよ!」 「しょーよ!こんにゃのときゃいはぢゃにゃいわ!」 そして、あっという間に食事を終えた4匹はまた不満を口にする。 体力の温存だとか、そういった考えは保護者であるれいむすらも持ち合わせていないようだ。 温存の必要が微塵もない環境で育ったのだから当然と言えば当然だが。 「ゆぅ、おなかすいたよ・・・」 「「「ゆっくちー」」」 そうして無駄な消耗によって更に強い空腹感を覚えた4匹は歌を歌い始めた。 しかし、歌というのは消費カロリーを表示するカラオケなんてものがある程度には疲れるものである。 結果、これまた当然のように空腹感が強くなった。 その後、ようやく寝ようという結論に至ったれいむ達だったが、空腹感のせいで眠れないと騒いで更に悪循環に陥る。 次の食事までの辛抱となんとか眠りに就いたが、今までなら三食あったはずの食事が一向に来ない事に腹を立て、また騒ぎ出した。 その後のことはもはや言うまでもないだろう。 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅのごはんしゃんしゅくにゃいよ?」 「ありすはれいむのこどもじゃないからしかたないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「むーちゃむーちゃちあわちぇー・・・だけど、たりにゃいよ!」」 翌日、先の水槽と同様に自分の子どもではないありすの食料が真っ先に削られた。 ただし、その食料の行き着く先の大半は子ども達ではなく、れいむのどこにあるのかも良くわからないお腹の中。 ここから先の事態は大体最初の水槽と同じで、そのままありすが衰弱、ずっとゆっくりしてしまう。 「ゆゆっ!またごはんさんがへったよ!?」 「「ゆえーん、おなかしゅいちゃよー」」 が、そこからの対応はずいぶんと異なっていた。 食料をまた減らされたことを把握したれいむは、何故かれいむを贔屓し始めたのだ。 もっとも、自分が一番多くの食料を確保したままではあるが。 「ゆぅうぅぅぅ!どうちて!どうちて、まりしゃはちょっとなの!?」 「まりさはそれでがまんしてね!ゆっくりりかいしてね?」 「やぢゃ、やぢゃあああ!もうがみゃんできないよ!」 そう言って赤まりさは赤れいむの食料を奪い取ろうと彼女に体当たりを仕掛けた。 突然の攻撃に身構えることの出来なかった赤れいむはころんと引っくり返り、その体勢のまま泣きじゃくる。 そんな彼女にわき目も振らず、まりさは赤れいむの食料に口をつけようとした、瞬間・・・ 「ゆーっ!おしょらをとんで、ゆっぴぃ!?」 「れいむにひどいことするこはおしおきだよ!」 母れいむに髪を咥えられて高々と持ち上げられ、硬い水槽の床へと叩きつけられた。 その後もれいむに何かしようとするたびにお仕置きを受けたまりさは心身ともに衰弱し、数日でありすの後を追った。 3つ目の水槽のれいむは産まれたときから1匹で孤独に震えながら大きくなった個体。 ゆっくりにとって生まれた直後からの孤独というのは珍しいものではなく、野生でもありがちなことだ。 が、彼女の反応は先の2匹とは最初から大きく異なっていた。 「さあ、おちびちゃんたち。ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ、でみょ・・・みゃみゃのごはんしゃんが・・・ありしゅ、おにーしゃんに・・・!」 「いいんだよ!おにーさんにわがままいわないでね!れいむのぶんをたべてね!」 この母れいむは人間に不満を訴えることをさせず、なおかつ自分の食料を分け与えるという選択をした。 その上、自分は満足に食べられなかったにも関わらず、子ども達を見守る表情はどこか満足げ。 面白い行動ではあるが、このままでは飢えに強い成体と、それなりに満足している子どもがだらだらと生き延びる展開にしかならない。 実験としてあまり好ましいことではないが、更に餌の量を減らしてみることにした。 「ゆぅ・・・またへっちぇるよ・・・」 「しかたないよ。おちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ・・・おかーしゃん・・・」 少しの間、赤ゆっくり達は母の分まで食べることを渋っていたが、結局3匹で全部平らげた。 しかし、それでも一応の満足すらも得ることは出来なかった。 また、それでも餌を与えれくれる相手に不満をこぼすこともせず、徐々に衰弱してゆく我が子の姿を見せ付けられるという状況に陥る。 この状況を打開する方法は1匹か2匹を切り捨てて、他の赤ゆっくりに多くの食料を与えることだけ。 「ゆぅ・・・こうなったら、おたべなさいをするよ・・・」 あまり賢くないゆっくりとは言え、流石にこの状況の不味さも、唯一の打開策も彼女は理解していた。 それでも、彼女は誰かを見捨てようとはせず、自らの身すらも我が子達に与えようと考える。 流石に「お食べなさい」をやられると実験に支障が出ると判断したので一言「お前が死んだら全員殺処分するよ」とだけ伝えておいた。 4つ目の水槽のれいむは厳しいブリーダーのしつけによって従順に振舞うように訓練された個体。 かと言って人間の役に立てるほどの能力があるわけでもなく、典型的な飼いゆっくりといったところだ。 「ゆゆっ!おかーしゃん、どうちてありしゅだけたくしゃんなの?」 「しょーだよ、じゅるいよ!」 「ありすはにんげんさんのこどもだからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 人間のペットとして、いや奴隷として育てられてきた成果だろうか、彼女は自分の子ども達よりも人間に預かったありすを優先した。 当然、彼女の娘であるれいむとまりさは不満いっぱい。母親に向かってほほを膨らませて怒りをあらわにする。 が、母れいむにとって人間に従順であることはゆっくりの存在意義ですらあるらしく、彼女たちの言葉には一切耳を貸そうとしない。 「どうちて!ありしゅはおかーしゃんのこどみょじゃないんだよ!?」 「しょーだよ!おかーしゃんのこどみょはれーみゅたちだよ!」 「みゃみゃ・・・ありしゅ、こんなにたくしゃんいらにゃいわ」 2匹に剣幕に圧倒されたありすは自分の分を2匹に分け与えるように提案する。 しかし、れいむはありすの提案を拒否すると、自分の子ども達を舌でぴしゃりと打ち据えた。 どうやらわがままに対するお仕置きにつもりらしい。 「ゆえーん、どうぢて!どうぢぢぇぇ!?」 「おちびちゃんたちがわがままをいうからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「でみょ、でみょぉ・・・ゆぴぃっ!?」 その後、2匹が抗議するのを諦め、ようやく食事を取り始めた。 もっとも、ありす以外は全く空腹がしのげず、ありすも精神的に全然ゆっくり出来ない有様だったが。 「ゆゆっ!ありしゅはこっちこにゃいでね!」 「ゆえーん、どうぢぢぇしょんなこというにょおおお!?」 「しょーだよ!ありしゅなんてきりゃいだよ!?」 「そんなこというゆっくりできないこはおしおきだよ!」 先日の出来事がきっかけとなってれいむ・まりさとありすの関係は急速に悪化していた。 食べ盛りの赤ゆっくりにとって食べ物の恨みはそれほどまでに恐ろしいものなのだ。 「だっちぇ、だっぢぇっ!?」 「ゆっぐ・・・れーみゅ、おなかしゅいたよぉー」 「かんけいないよ!ありすはおともだちでしょ!おともだちにひどいことするこはゆっくりできないよ!」 こんなやり取りが繰り返されるのは実はこれで4度目。 険悪になった関係を何とか修復しようとありすが近づくたびにれいむとまりさは彼女を拒絶した。 そのたびに母れいむに叱られる2匹だったが、困ったことに拒絶しなくても結果は同じなのだ。 「ゆっぐぢりがいぢだよ・・・でみょ、れーみゅ・・・ぽんぽんがゆっくぢできにゃいかりゃ・・・あそべだいよぉ・・・」 「まりしゃもだよ・・・」 「ゆゆっ!ありしゅ、みんなとゆっくちあしょびたいよ・・・!」 と、そんなやり取りの後に母れいむが「ありすとあそんであげなさい」と彼女たちを叱りつけてくる。 もちろん、すきっ腹を抱えて一緒に遊んだからといってその日の食料の配分が増えるわけでもない。 結果、れいむとまりさは3日ほどでまとも動けないほどに衰弱し・・・ 「ありすとあそばないこはおしおきだよ!」 「「ゆぐっ・・・もっぢょ、ゆっきゅちちたかったよ・・・」」 ありすと遊ばないことを咎められ、母れいむのお仕置きによって短いゆん生を終えた。 5つ目の水槽のれいむはありすにレイプされて出来た個体で母れいむに忌み嫌われ、虐待(もっと正確に言えばネグレクト)されながら育った。 これも野生のゆっくりとしては決して珍しいパターンではなく、中には特定種を無条件に排除する群れすらあると言われている。 ただし、このれいむは母親以前にレイプされた先祖は少なく、本能的に敵意を覚えるほどにありす種を嫌ってはいない。 「ゆゆっ!?みゃみゃー、ありしゅのごはんだけしゅくないわ?」 「ありすはそれだけだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「「おきゃーしゃん、そんなのかわいしょーだよー!」」 とはいえ、過去の自分の苦労の多くがありす種に起因している以上、やはり彼女を軽んじてしまうようだ。 たとえ人間から預かった相手であろうと・・・いや、人間から預かったありすだからこそということかもしれない。 その考え方は最初の水槽のれいむと同じだが、初日から早々食料を減らす辺りには多少なりとも悪意が感じられる。 ちなみに、自分の取り分はかなり多く、その影響で多めに食料を貰っているれいむとまりさも少量にとどまっていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「でみょ、じぇんじぇんたりにゃいよ」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!」 こんな調子で、大体最初の2つの水槽と同じようにありすが真っ先に力尽きた。 そして、翌日以降。さらに食料を減らされたれいむは・・・ 「おかーしゃん、れーみゅおなきゃしゅいたよぉー・・・」 「まりしゃもむーちゃむーちゃちたいよぉー・・・」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 れいむは親としての責務を放棄した。 虐待を受けて育った者が我が子に虐待をする、あるいは育児放棄するというのは人間も含む多くの動物に見られること。 どうやら、それはゆっくりにとっても例外ではなかったらしい。 もっとも、食料が不足するまでは普通に育てていただけ、幾分かましな方かもしれないが。 ③ 実験結果 最初の水槽で唯一生き残ったのはまりさだった。 れいむと赤まりさだけになった後、れいむは自分の食料をすべてまりさに譲っていた。 今わの際に、自分より彼女を優先した理由をれいむに訊いたところ・・・ 「だーりんがいないからだよ」 とだけ答えると、そのままずっとゆっくりしてしまった。 どうやら、次の世代に子を残すという生物としての本分を最優先したらしい。 そして、自分のつがいが健在ならば自分達とそのつがいが生き延びて子を宿す道を選んだ可能性もある。 このれいむは人間に対する従順さはきわめて低かったものの、決して利己的ではなかった。 きわめて合理的に生物として、親として最善の選択をしたと言えるだろう。 もっとも、彼女のような親に育てられたゆっくりはまりさのように他者を出し抜こうとする、いわゆるゲスになる傾向がありそうだが。 2つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむで、赤ゆっくりは結局全滅してしまった。 苦労知らずで育ったために自制心が育まれなかったのだと考えられる。 ちなみに、赤まりさより赤れいむを優先した理由を問いただしたところ・・・ 「れいむにそっくりのおちびちゃんがゆっくりできないのはゆっくりできないよ!」 との回答を得ることが出来た。 子どもの能力ではなく、自分に容姿が似ていること、そういった子どもがゆっくり出来ないのを見ているとなんとなくゆっくり出来ない。 そう言った理由で彼女は赤れいむを優先したらしい。もっとも、その赤れいむも最後には見捨てられることになったのだが。 このれいむは人間に対する従順さも、合理性も低く、きわめて利己的な性質を持っていたといえる。 3つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむだった。 ただし、彼女もまた長期間にわたる絶食生活ですでに虫の息。 結局、彼女は誰を見捨てることも出来ず、子ども達は仲良く衰弱していった。 このれいむの合理性が低いのは言うまでもなく、同時に従順でもなく、利他的とも言い難い。 長い間ひとりで暮らしていたためか、仲間に恨まれることを嫌って非情な選択が出来なかったのだから。 4つ目の水槽の唯一の生存者は赤ありす。 しかし、れいむが姉妹のように育った赤れいむ達を殺す瞬間を目撃した彼女がゆっくり出来たはずもない。 挙句の果てに親代わりのれいむまで自分に食料のすべてを分け与えて餓死してしまったのだ。 この先、彼女はどのような思いを抱えてえ生きていくことになるのかは想像に難くない。 人間に都合のいいように育てられたれいむは従順だが、利己的でないのに合理性もないあまりにも歪な存在だった。 最後の水槽の生存者は言うまでもなく母れいむで、食料を独り占めしたことであの状況下で平然とゆっくりしていた。 しかし、真っ先にありすを見捨てたのが我が子を優先した結果なのか、ありす種憎しでのことなのかが分からない。 少なくともさほど従順ではなく、非常に利己的であることは間違いないだろうが。 ありす種以外の個体にこのれいむの母親をレイプさせるべきだったかもしれない。 ---あとがき--- 1つずつゆっくり視点で丁寧に書いていったほうが良かったな、これ それはさておき、今日で初投下からちょうど1年なのぜ・・・ ---Wiki収録時には省いてください--- と言うことで、他の作者の方に倣って玉男名義での投下作品一覧 ゆっくりいじめ系322 ゆっくりボール 阿求×ゆっくり系8 ゆっくりボール2 ゆっくりいじめ系353 ゆっくりボール3_1~3 ゆっくりいじめ系375 ゆっくりボール4 ゆっくりれみりゃ系いじめ31 ぷっでぃ~ん天国 ゆっくりいじめ系401 びりゃーど その他 ゆっちぇす ゆっくりいじめ系412 必殺コンボ? ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5 ゆっくりいじめ系436 ゆっくりみだら1 ゆっくりいじめ系438 ゆっくりみだら2 ゆっくりいじめ系442 ゆっくりみだら3 ゆっくりいじめ系448 ディスコミュニケーション ゆっくりいじめ系458 ゆっくりみだら4 ゆっくりいじめ系484 鬼意さんVSドス 1~3_2 ゆっくりいじめ系500 ゆっくりみだら5 ゆっくりいじめ系513 ゆさくや1 ゆっくりいじめ系525 ゆさくや2_1 ゆっくりいじめ系526 ゆさくや2_2 ゆっくりいじめ系529 ゆっくりみだら6 ゆっくりいじめ系559 ゆさくや3 ゆっくりいじめ系573 ゆさくや3.5 ゆっくりいじめ系582 淡々とゆっくりを尾行してみた1・2 ゆっくりいじめ系597 虐待おばば ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3 ゆっくりいじめ系607 ゆっくりみだら7 ゆっくりいじめ系620 ゆさくや4 ゆっくりれみりゃ系いじめ42 ゆっくりみだら8 ゆっくりれみりゃ系いじめ43 ゆっくりみだら9 ゆっくりいじめ系650 虐待おばば2 ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 ゆっくりいじめ系684 鬼意裁き ゆっくりいじめ系697 野生のゆっくり ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり ゆっくりいじめ系753 殺されたお兄さん ゆっくりいじめ系760 とうぎじょう ゆっくりいじめ系782 非ゆっくり過敏症 ゆっくりいじめ系814 ゆー園地 ゆっくりいじめ系818 すっきりしたくないありす その他 M ゆっくりいじめ系850 ゆっくり研究2 ゆっくりいじめ系865 二択1・2 ゆっくりいじめ系890 技巧派まりさの誕生_1~2 ゆっくりいじめ系893 虐待おばば3 ゆっくりいじめ系916 ゆー郭 ゆっくりいじめ系921 ゆー郭2 その他 ゆっくりボール乙 ゆっくりれみりゃ系いじめ51 ゆっくりゃへのおしおき ゆっくりいじめ系964 ミニマムゆっくり ゆっくりパチュリー系いじめ3 ぱちゅりー ゆっくりいじめ系993 バレンタインデイ ゆっくりいじめ系995 普通のゆっくり虐め ゆっくりいじめ系1007 見守るドスまりさ ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか ゆっくりいじめ系1139 やねのうえのゆっくり ゆっくりいじめ系1107 ゆくぶつかん ゆっくりいじめ小ネタ172 ほしれいむ ゆっくりいじめ系1193 れいむをまもるもの ゆっくりいじめ系1199 ゆっくりできた日々1 ゆっくりいじめ系1209 ことばのろう ゆっくりいじめ系1218 ゆっくり ゆっくりいじめ系1231 こんにゃゆっくちいりゅかな? ゆっくりいじめ系1240 でーしーえす ゆっくりいじめ系1274 虐兄とドス ゆっくりいじめ系1280 ゆっくりのがっこう ゆっくりいじめ系1291 ありす ゆっくりいじめ系1301 ゆっくりできた日々2 ゆっくりいじめ系1307 ゆーろ ゆっくりいじめ系1342 お食事会 ゆっくりいじめ系1347 まりさのおうち ゆっくりいじめ系1378 かみいじめ ゆっくりいじめ系1409 ルールある虐待_01~03 ゆっくりいじめ系1453 ゲスまりさ調教_01~02 ゆっくりいじめ小ネタ216 うんうん ゆっくりいじめ系1472 うんうん2 ゆっくりいじめ系1484 ゆっくりを退化させよう ゆっくりいじめ系1502 初物お兄さん ゆっくりいじめ系1530 髪の毛で綱引き ゆっくりいじめ系1571 ゆっくり問答 ゆっくりいじめ系1595 ねじこんでみた ゆっくりいじめ小ネタ234 しゃぶれいむ ゆっくりいじめ系1645 れいコン ゆっくりいじめ系1652 ふぐぅ! ゆっくりいじめ系1659 おうち宣言を最大限尊重してあげた ゆっくりいじめ系1902 カッパの住処 ゆっくりいじめ系1906 ぱんちゅりー ゆっくりいじめ系1967 ゆんどら 1・2 ゆっくりいじめ系1974 ゆっくり人間(クロスオーバー作) ゆっくりいじめ系1995 ゆっくりいじめ系2002 新物質 ゆっくりいじめ系2016 げっぺるどんがァーッ! その他 ゆっくりスレ その他 実録!虐待SSの作り方 ゆっくりいじめ系2033 ゆっくり学部虐待科 ゆっくりいじめ系2045 馬鹿なの?寝るの? ゆっくりいじめ系2057 あるレイパーの更正 ゆっくりいじめ系2076 飽きた ゆっくりいじめ系2088 力 ゆっくりいじめ系2124 お帽子 ゆっくりいじめ系2126 せつゆん ゆっくりいじめ系2142 ドスモス ゆっくりいじめ系2164 巨大ゆっくりの饗宴(前中後編) ゆっくりいじめ系2170 ゆれんたいん ゆっくりいじめ系2174 新たなる?ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ340 矢ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ341 ゆっくりになったお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ351 敬いお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ369 ゆっかりクッキング ゆっくりいじめ小ネタ391 ゲスに情けなど不要! ゆっくりいじめ系2198 とあるHumyonの憂鬱 ゆっくりいじめ系2254 100スレ記念1 ~6 ゆっくりいじめ小ネタ405 ふえちゃうぞ! ゆっくりいじめ小ネタ409 うんうんイーター ゆっくりいじめ小ネタ416 めだま ゆっくりいじめ系2349 やさぐれいむ ゆっくりいじめ小ネタ425 うんうんする理由 ゆっくりいじめ系2377 まりさのあい(前後編 ゆっくりいじめ小ネタ428 奇跡の声 ゆっくりいじめ系2406 レイパーの動機 ゆっくりいじめ小ネタ441 虐待おばば4 ゆっくりいじめ小ネタ450 赤ゆの底力 ゆっくりいじめ系2465 どのゆっくりがこのみ? ゆっくりいじめ系2488 あおりぼん ゆっくりいじめ系2493 やさぐれいむ2 ゆっくりいじめ系2509 魔剣ゆギャリア ゆっくりいじめ小ネタ470 えたーなるばーじん ゆっくりいじめ系2523 目が見えない少女 ゆっくりいじめ系2586 まりさと子るーみあ ゆっくりいじめ系2597 飼いゆっくり ゆっくりいじめ系2602 うんうんと4匹 ゆっくりいじめ小ネタ484 コネタ集? ゆっくりいじめ小ネタ489 ゲス家族 ゆっくりいじめ小ネタ492 21かもしれない ゆっくりいじめ系2682 365匹を虐殺してみた1~5 ゆっくりいじめ系2695 副工場長れいむに勝手にパラレル ゆっくりいじめ小ネタ502 ゆっくりしていってね! ゆっくりいじめ系2719 ある愛護団体のお仕事 ゆっくりいじめ小ネタ519 ゆ虐1発ネタ?集 ゆっくりいじめ小ネタ520 コード ゆっくりいじめ小ネタ524 ドス・・・ ゆっくりいじめ系2836 ありす虐待エンドレスシリーズ ゆっくりいじめ小ネタ554 ゆっくりカスタムキット ゆっくりいじめ系2906 ゆっくりが生き残れる理由 ゆっくりいじめ小ネタ557 平凡な虐待 ゆっくりいじめ系2915 ○んぶーぶ○ーど Y ゆっくりいじめ系2918 駄作!! ゆっくりいじめ系2936 死神のいたずら 何この数?馬鹿なの?死ぬの? byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/936.html
前 群れはゆっくりれいむが気づかぬ内に、非常に騒がしくなっていた。 それもそのはず。家の中であっても、外であっても構わずにいきなりゆっくりが破裂しているのだ。 これで恐慌をきたさない方がどうかしている。 「ままー! あちゅい!? あびゅぎ!!」 「ゆぅぅぅぅぅ!? あ゛り゛ずのどがい゛はあがぢゃん! とがいはぎゃぁぁあああ!?」 「ま゛り゛ざ あ゛づい゛よ゛う゛」 「ぱちゅりー! しっかり! しっか「ぶぎゅ!」あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? あぢいいいいぃぃぃぃ!!??」 「おがぁぁぁざぁぁぁんっっっ!!」 「ゆ゛っぐりぃぃぃ!! お゛う゛ぢ に゛が え゛る゛ぅ゛!」 「わがらない! わ゛がら゛な゛い゛よん゛ん゛ん゛っ!?」 「ぢぃぃぃぃんぼうううう!? ぼっぼー!!」 群れのゆっくりたちが思い思いの言葉を吐きながら破裂していく。 身体が小さいゆっくりは「パン」という軽い音で、大きいゆっくりは「バン!」と大きな音で破裂していく。 大小の区別無く、無慈悲に、ひたすらにゆっくりたちが消えていく。 ただし、破裂しているのはゆっくりだけで、他の自然物はまったく破壊されていない。 せいぜい、餡子が飛び散って見た目が黒くなっているだけだ。 「み゛ん゛な゛ぁぁ゛ぁぁ!! どぼじだの゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!!??」 その惨状にゆっくりれいむは悲鳴をあげる。 しかし、ほとんどのゆっくりは悲鳴を聞き遂げることなく、散っていった。 一方、ドクターはその光景を興味深げに眺めていた。 「おぉ~、絶景かな絶景かな。自分の作ったものが、ここまでの効果を発揮するのは感慨深いものがありますねぇ」 腕を組みながらうむうむと頷く。その言葉にゆっくりれいむが反応した。 如何に餡子脳と言えども、その言葉が意味する所は理解できた。 「お゛ね゛え゛ざん゛がごんなごどじだの?」 「え? ええ、はい。直接的にではありませんが、こうなる要因を作ったのはワタシですねぇ」 ゆっくりれいむの餡子脳では所々の意味は分からない。 しかし、ドクターがこの惨状を起こしたことは理解したようだった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛……」 「ん~? どうしましたぁ?」 「ゆ゛っぐりじねぇ!」 言葉と共に繰り出される体当たり。ドクターはそれをまともにくらい、「ふもっ!」と変な声を上げて倒れた。 所詮はゆっくりの攻撃なので大した痛みはなかったが、ドクターにとってはいきなりの行動で驚いていた。 「わー、びっくりした……なんなんですか急に」 のたのたと立ち上って土を掃いながら、ドクターはゆっくりに問いかける。 「いきなり暴力に訴えるなんて、酷いことをするゆっくりですねぇ。 こう見えても虚弱なので、そういうことはやめてほしいもんです」 「お゛ま゛え゛が み゛ん゛あ゛を゛!」 「待ってくださいな。要因を作ったのはワタシですが、こうなったのはアナタがいたため、ですよ?」 「ゆ、ぎ?」 ゆっくりれいむの動きが止まる。言われている意味が分からない。分かってはいけない。 ようやく話を聞く状態になったとドクターは判断し、「んふ」と怪しい笑みを浮かべて説明を始めた。 懐から何やら飴のような物を取り出す。前にゆっくりれいむにあげたものと同じ性質である。 「いいですか? かいつまんでお話しますが、外の世界にはニトロなんちゃらという爆発物があるのです。 それは糖を原料として爆発物に至るのだとか。厳密に言うと色々とあるそうですが、それは置いてといて。 ワタシはこう考えたのです。糖を原料とするなら、餡子を原料としてもいいのではないかとぉ! 上役の人に掛け合ってみたら、『だったらお前がやってみればいいんじゃねえの?』と許可をもらえました。 そこから、語るも涙、作るも苦労の日々を重ねて作り上げたのが、この飴のような物体。 その効果は食したゆっくりを媒介として、それに接触した他の個体に感染して破裂させるというもの。 これの恐ろしさは二次感染した個体が他の個体に触れても、感染してしまうという所なんです! ねずみ算式に増えていく、名づけて『ゆっくりニトロ』です!」 「…………………」 ゆっくりれいむはまったくの話の内容を分かっていなかった。 ゆっくりれみりゃなら頭から蔦でも生えてくるかもしれない。 その様子に気づいたのか、ドクターは照れ笑いを浮かべながら捕捉する。 「あぁ、ちょっと難しすぎましたか。ワタシ、説明が長すぎるってよく言われるんですよねぇ。 えぇと……簡単に言うと、アナタにあげた飴がこの『ゆっくりニトロ』だったんです。 で、アナタに触れたゆっくりは『バン!』ってなっちゃうんですよ」 「ゆ゛!?」 ようやく言われたことの意味を把握出来たが、それでも分からないことがあった。 「れいむがさわってないこも、ばん! ってなってるよ!?」 「それはですねぇ、アナタが触ったゆっくりは既にゆっくりニトロって病気が感染(うつ)ってるんです。 そして、病気が感染ったゆっくりが、他のゆっくりに触るとまた感染っていくんですよ。 こうやって、ねずみさんみたいにいっぱい増えていくという代物なんですねぇ」 嬉々として説明を終える。その顔はとても晴れやかだ。 説明を終えたためか、ゆっくりニトロを懐に仕舞いこむ。 「じゃ、じゃあ、れいむがあかちゃんやまりさにさわったから……?」 「他のゆっくりに触ったなら、すごく簡単に感染りますよ。 まあ、あれですね。要因を作ったのがワタシなら、流行らしたのはアナタ、ということで」 おあいこです、と笑顔で言うドクター。 当然、その論法の穴には気づいているが、それを口に出すことはしない。 ドクター個人としては嘘が嫌いなのだ。 「れ゛い゛む゛のせいじゃな゛いよ! お゛ね゛え゛ざんのせいだよ!」 泣きながら、必死に己の責任を認めようとしないゆっくりれいむ。 論法の穴に気づいているわけではなく、単に自分の責任であることを認めたくないだけだ。 ドクターは笑いながら、ゆっくりれいむを追い詰める。 「でも、助けた時に飴が欲しいって言ったのはアナタじゃないですか」 「ゆぐぅぅぅ……!」 それは餡子脳でも覚えていた。あれだけおいしいものを食べたのは初めてだったので、鮮烈に記憶していたのだ。 助けられて治療を受けていた時、綺麗な飾りとおいしい飴のどちらかをあげると言われた。 その際、一応は長々と講釈を垂れて効能を説明したが、餡子脳で十分の一も理解していなく、話も聞いていなかった。 言うまでも無く、そうなるように仕向けたのはドクターである。 そして、飴もといゆっくりニトロを選んだのはゆっくりれいむ自身であった。 「うろ覚えですが、どこかのちぇん子さんも 『背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道によって罪を背負うべきだ』 って言ってますし、認めちゃったらどうですか?」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ! れ゛い゛む゛のせい゛じゃないいぃぃぃいい!!」 身体を震わせ、叫ぶゆっくりれいむ。その瞳はどこも見ていない。 「そうですか。でも、お友達や赤ちゃんはそうは思っていないみたいですけどねぇ」 ドクターはつい、とゆっくりれいむの背後を指差す。 そこには家族になるかもしれなかったゆっくりまりさと、家族である子ゆっくりたちがいた。 「れいむぅ!」「「「おかーさん!」」」 「ゆっ!? まりさ! みんなでこの……」 ゆっくりれいむはその言葉を最後まで言えなかった。 ゆっくりまりさに思い切り体当たりをされたからだ。 「なにずるの、まりじゃ!?」 「うるさいよ! さっきのおはなしきいてたんだよ! ぜんぶれいむのせいだったんだね!」 「おかーさんのせいでゆっくりできないよー!」 「ゆっくちあっちにいってね!」 「ゆっきゅりちね!」 「どう゛じでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ!?」 ドクターの言葉をゆっくりなりに解釈した結果がこの結論のようだ。 分からない部分も多かったが、餡子脳をフル回転させてゆっくり理解したのだ。 ゆっくりまりさはさらに追い討ちをかける。 「みんながばん! ってなっちゃたのも!」 「ゆぎっ!?」 「からだがあついのも!」 「ゆぐぅぅ!」 「みんなみんな、れいむのせいなんだよ!」 「ゆべぇ!」 最初のダメージが抜けきっていなかったゆっくりれいむは為す術もなく、攻撃をくらっていく。 ゆっくりまりさはまるでヒーローのようだった。 群れにひどい被害を与えた、悪いゆっくりを成敗する。 ゆっくりまりさの心の中はそんな使命感で一杯だった。 悪いことをしたゆっくりを許してはいけないのだ。仲の良いゆっくりれいむであっても、それは例外ではない。 一方で、ゆっくりれいむは不意打ちと仲の良かったゆっくりに攻撃されて、身と心をボロボロにしていく。 「やっちゃえー! そんなやつ、おかーさんじゃないよ!」 「ゆっくちしんでいってね!」 「ゆっきゅり……」 子ゆっくりたちもゆっくりまりさを応援している。既に母親を見捨てているのだ。 子供故の残酷さ、という奴だろう。 その事実もまた、ゆっくりれいむに多大なショックを与えていた。 ゆっくりれいむが動けなくなった所で、ようやくゆっくりまりさは攻撃を止めた。 「……れいむはここからでていってね。あかちゃんたちはまりさがそだてるよ!」 「「「ゆっきゅりしていこうね!」」」 「ま゛り゛じゃ゛ぁ゛ぁぁぁ……れ゛い゛ぶのあがぢゃんま゛っでぇぇぇぇ……!」 「ゆ……まりさはれいむのことはきらいじゃないよ…… でも、わるいことをしたら『せいさい』されなくちゃいけないんだよ!」 子ゆっくりたちを集めて、ゆっくりれいむから距離を置く。 ゆっくりまりさが新しい親になることに、子ゆっくりたちも異議はないようだった。 ゆっくりれいむはそれを見て、皆が遠くへ行ってしまったことを理解した。 もう自分はここにいてはいけないのだ、とゆっくりらしくもなく悟ってしまった。 「み゛ん゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 涙混じりの声に振り向く家族たち。ゆっくりれいむは目から大量の涙を流している。 「れ゛い゛む゛のぜいで、ゆっぐりできなぐなっでごべんなざいぃぃ!!」 だがら゛ぁ! ごれがらも……れ゛い゛む゛のぶんま ゛で、ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛!!!」 「れいむ……」 「でも、でも……! み゛ん゛あ゛とい゛っじょに、ゆっぐり゛じだがっだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛!!」 「「「おかーさん……!」」」 心の底からの叫びがゆっくりたちにも届く。 ゆっくりまりさはゆっくりれいむと過ごしてきた日々を思い出す。 優しかったれいむ、自分が危なかったときに我が身も省みず助けてくれたれいむ。 餡子脳故に多くの場面は回想できなかったが、それでもゆっくりまりさは思い直す。 たとえゆっくりできなくなっても、れいむはれいむなのだと。 しかし、ゆっくりまりさたちは肝心なことを忘れていた。 「れいむぅ! いっしょにゆっくりしていっ『バン!』べ!?」 ゆっくりれいむに言葉をかけようとした所でゆっくりまりさは破裂した。 当然、近くに集まっていた子ゆっくりたちにも餡子が降りかかる。 「びぎゃがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「ぎゃばばばばば!!」 「ゆ゛っぐじ゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 至近距離で熱い餡子を浴びた子ゆっくりたちは、叫びながら『パン』と破裂していった。 運が良いのか悪いのか、一匹だけが半死半生の状態で生き残っている。 しかし、その命の灯火もすぐに消え去った。 「おがあ゛ざん、あづいよぉ……だずげ『パン』じぇ!?」 ゆっくりれいむに助けを求めた子ゆっくりが、その目の前で破裂した。 自分の目の前で、しかも家族が破裂してしまったのを呆然と見ているゆっくりれいむ。 ドクターはその様子を見ながら、特に興味を持つでもなく、補足説明を行う。 「言い忘れてましたけど、運動による過熱と急激な振動によって、ゆっくりニトロの症状は進行しますので。 先ほどみたいなことをすると、簡単に破裂しますよー?」 何も言わずにゆっくりれいむはドクターを見る。その顔から説明を理解できていないと判断。 「えぇと、ゆっくりニトロに感染したゆっくりは、身体が熱くなっていきます。 その熱さが限度を越えた時、破裂してしまうんですねぇ。 または、身体の中の餡子がとても揺れた時などの場合でも破裂します。 先ほどの状況ではアナタを攻撃するために身体を動かした結果、身体の餡子が熱くなりすぎた、ということかも?」 淡々と語りながら、持っているメモに書いていく。これはこれで、貴重な実験資料である。 当然のごとく、ゆっくりれいむは話の内容を欠片も理解していない。 ドクターはそれを分かっているが、自分の考えをまとめるために口に出しているだけだ。 「……しかし、実際に見ての感想ですが、ニトロだとゆっくりがロクに苦痛を感じる暇もなく、死んでしまいますねぇ。 虐待には向かない、かも? 一斉駆除とかには向いてるとは思いますが」 自分の意見を口に出しながら、メモに書いていく。 楽しむでもなく、悲しむでもないドクターの様子を見て、ゆっくりれいむは重い口を開いた。 「どうじで……」 ゆっくりれいむは、もうわけがわからなかった。 何故、どうして、何で、と疑問だけが頭の中を巡っている。 人間は確かに恐ろしい存在だ。頭が良いし、力も強い。そのぐらいのことは分かっている。 だから、この群れの皆は人間となるべく関わろうとせずにゆっくりだけでゆっくりしてきた。 人間に迷惑なんてかけてない。なのに、なんでこんな酷いことをされなければいけないのか。 ゆっくりれいむはそれを明確な言葉には出来ない。だから、それらの思いを一気に吐き出した。 「どう゛じで、ごん゛な゛ごどずるの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!??」 その思いを過不足無く聞き遂げたドクターは「あは♪」と笑って、返答する。 聞かれた質問に答えられねば、ドクターの名に恥じる。 「ゆっくりニトロを作ってみたかったから、ですよ。それを試せるのなら、他のものなんて興味ないんですよ。 ワタシにはアナタたちを虐める趣味はありません。 何故なら、『どうでもいい』から。一匹の個体や群れが、死のうが生きようがどっちでもいいんです。 ワタシはワタシの作ったモノを試してみたいだけ。そして、アナタたちは実験台というわけです。 正直言って、ゆっくりならどれでも良かったので、適当にアナタにしました。都合が良かったし。 唯一の後悔はニトロの感染具合と発症が思ったよりも早かったことですねぇ。 おかげで、感染したゆっくりをあんまり確保出来なかったのが残念です。 おや、どうしましたぁ?」 畳み掛けるように言葉を羅列していくドクター。勿論、ゆっくりれいむが返答出来ないことはお見通しである。 一度に沢山の言葉を浴びせられて返答できるほど、餡子脳の性能は良くない。 ゆっくりれいむは何かを言おうとしているが、口も頭も回らずに「ゆぐぐ……」と唸っている。 「じゃ、行きましょうか」 「ゆ゛ぎ?」 どこへ、と視線で問いかけるゆっくりれいむ。にっこりと笑顔で応えるドクター。 「勿論、ワタシの研究室ですよ。アナタは大切な大切な『実験台』なんですから。 逃がしませんよ離しませんよ。他のニトロ感染個体は皆、破裂しちゃいましたからね。 残ったのはアナタだけ、です。 アナタにはニトロの抑制剤を服用させてあるので、簡単には破裂しません」 簡単には破裂しない、という言葉で自分が死ねないことを悟るゆっくりれいむ。 恐怖よりも絶望が襲う。 「い゛、い゛や゛ぁぁぁぁ!? れ゛い゛む゛もごろじでぇぇ!! ま゛り゛じゃとあ゛がぢゃん゛のどごろ゛にい゛ぐぅぅぅぅ!!」 「ダメですねぇ。さ、ずっと『ゆっくり』させてあげますよ? ワタシなりのやり方で」 淡々と語りかけていく。その目に浮かぶには間違いなく狂気の光。 どこかが狂ってしまっているモノの眼である。 そして、ゆっくりれいむを抱き上げて歩いていく。 「気をつけたほうがいいですよ? 人間は場合によっては妖怪よりも怖いんですから。 特にアナタたちみたいに、どんな風に生きているのか分からない生き物には興味を示します。 どうなっているのかバラバラにして、中まで調べるし、平気で殺したりもします。 ワタシも頼まれて、何匹もバラバラにしたことがありますよ? 最後までそのゆっくりは泣き叫んでましたっけ。 だして、いたい、やめて、おうちにかえる、ゆっくりしたい、とか色々と叫んでましたよ。 こんな酷いことも平気でするのが人間。だから、人間なんて信用しちゃダメ、ですよ? 特にワタシみたいな」 ドクターは耳障りな笑い声をあげながら、山を降りていく。 ゆっくりれいむは、じたばたと暴れて逃れようとするが脱出することは適わない。 最早、このゆっくりれいむは二度とゆっくりできないだろう。 後に残ったのは、無残に餡子が飛び散った『ゆっくりプレイス』だけだった。 後書き AAでゆっくりゃの頭が破裂してるのを見て、何となく思いついたネタ。 東方キャラを出そうとしたけど、やけに書きづらかったんでオリジナルのキャラを出してしまった。 ニトロなんちゃらに関しては、知識があるわけでもないので化学的にはスルーしてください。 無駄にドクター(仮)のデータでも書いてみる。 加工場とは別にゆっくりの研究などをしている人。 どちらかというと、人間よりも妖怪、特に河童や天狗に近い立ち位置。 基本的には腰が低くて、変な口調。文中に「-(伸ばす棒)」や「ねぇ」などの言葉を多用する。 というか舌足らずっぽい。でも、なんとなく小悪魔っぽくなってしまった気もする。 幼児体型。 ゆっくりニトロの解説 ゆっくりに服用させることで、ゆっくりの中の餡子が熱を持って、終いには破裂させる。 感染力が異常に高いが、当然ゆっくり以外には感染しない。 感染方法は接触・交尾・体液交換(唾液)などによる。 餡子全てにニトロが感染しきると破裂する。餡子を侵食するウィルス的存在か。 2~4日で発症。 第一段階 最初にニトロに感染した個体から、群れのゆっくりに接触感染していく 第二段階 中の餡子が熱を持ち、ゆっくりたちが自覚出来るほどに熱さによって動きが鈍くなる。 第三段階 子供などの身体の大きくないゆっくりにニトロが行き渡っていく。熱さで動けなくなる。 第四段階 ニトロが全身行き渡った瞬間にゆっくりは破裂する。 その際、餡子の温度が一気に上昇し、表面の皮や髪、飾りを燃やし尽くして、周囲に餡子が飛び散る。 破裂する時、瞬間的にだがゆっくりへ絶大な痛みをもたらす。 ただし、その一秒後には痛みを感じる身体そのものがなくなっている。 注意事項 破裂した餡子は外気に触れると急速に冷えていくので、火災の心配などはない。 しかし、至近距離で破裂した餡子を浴びると、まだ熱を持っている状態なのでとても熱い。 ニトロに感染した個体が激しく動き回ったりすると、運動で発生した熱と振動で、ニトロが全身に行き渡る。 ゆっくりしていれば、少しは症状を遅らせることはできる。 現状では試作品なので飴のような形にしてある。 一応はドクターが抑制剤と解毒薬を持っている。 これらのネタを使いたい人は好きに使ってね! 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人 ここから先はちょっとしたおまけ 「ゆー……ゆっきゅりしていってね……?」 一匹の子ゆっくりれいむが目を覚ます。連れて行かれたゆっくりれいむの子供である。 さっきまで外がうるさかった。眠っていても『ばん』という変な音で何度か目を覚ますこともあった。 結局、親ゆっくりれいむもいない状態が寂しくて怖かったので、そのまま眠ってしまっていたのだ。 それが今ではすっかり静かになっていることが不思議でしょうがなかった。 相変わらず、身体が熱くてゆっくりできない感じではあったが、流石に不安になってきた。 「みんなー、どこー?」 家から這いずり出て探してみるも、誰の姿も見当たらない。 何か黒いものが周囲に飛び散っているだけで、どんな声も聞こえはしない。 その黒いものがゆっくりの大事な中身であることは、このゆっくりは親からまだ教えられていない。 だから、特に恐怖も感じずに餡子の中を這って行く。 「ゆっきゅりしていこうよぅ……」 餡子に対する恐怖はなくとも、家族や仲間がいないことに対する恐怖はあった。 びくびくと怯えながら、周囲を見渡す。 しかし、誰もいない上に、ゆっくりの声すら聞こえてこない。 「ゆっきゅりー……」 寂しさと恐ろしさで泣きそうになるゆっくりれいむ。 その時であった。 「ゆっくりしていってね!」 「! ゆ、ゆっきゅりしていってにぇ!」 ゆっくりれいむは突然、声をかけられたことに驚き、口が回っていないまま返事をする。 そこにいたのはゆっくりまりさ。しかも、何匹もいる集団である。 どうやら、ゆっくりプレイスを求めて放浪していた群れのようだ。 「ゆっ! ここはゆっくりできるところ?」 「ゆっきゅりできるよ! でも、でも、おかーさんが……」 「ゆゆ!? どーしたの!?」 何があったのか、ゆっくりまりさは子れいむに問いかけた。 思わぬ所で同族と会えた子れいむは家族や仲間たちがいなくなったことを話す。 涙混じりに語る子れいむの姿に、ゆっくりまりさは深く同情するのであった。 「ゆっ! まりさ、ここはだれもいない……あかちゃんだー!」 「ゆみゅ!」 一匹のゆっくりれいむがゆっくりまりさへと報告に来るが、子れいむの姿を見て身体を擦り付ける。 勿論、発情したわけではなく、親愛の証としてである。 「れいむ、このこのおかあさんがいなくなっちゃったんだよ! みんなでゆっくりさがしてきてね!」 「ゆっくりりかいしたよ! みんなー!」 統率が取れている群れらしく、れいむの呼びかけに何匹ものゆっくりが集まってくる。 中には勢い良く向かってきたゆっくりがゆっくりれいむにぶつかったりもした。 幸い大事にも至らず、他のゆっくりがぶつかったところを舐めたりして慰める。 それらのゆっくりは簡単に事情を説明されると、すぐに各々の判断で周囲に散っていった。 「れいむもいってくるよ! あかちゃんはゆっくりまっててね!」 「ゆっきゅりありがとう!」 ゆっくりれいむはこの場所に来る途中にあった、他のゆっくりの群れへ探しにいった。 子れいむはその姿にとても感動した。 会って間もない自分のために、皆が頑張ってくれているのだ。 そのことが嬉しくてたまらなくて、自分もあんな風になりたいと思うのであった。 「だいじょうぶだよ! みんなでさがせば、きっとみつかるよ!」 「そうだね! ゆっきゅりまとーね!」 残った二匹は身体を寄せ合って、暖かな日差しの中でゆっくり待つ。 その姿はまるで親子のようだった。 「「ゆっくりしていってね!」」 パン、という破裂音がゆっくりプレイスに響き渡った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1754.html
僕はこうして~の登場人物が登場 【登場人物】 息子:きめぇ丸と人間のハーフ。よくゆっくりに同族として扱われる。理想の父親像はクッキングパパ 父:息子の父。去年のゆっくりレイプ、ベストレイピスト賞の受賞者。理想の父親像は野原ひろし ボブ:ゆっくりレイプが趣味の黒人。ゆっくり分を持つ息子もレイプ対象になっている。理想の父親像はジョンQ 『ニュースです。今朝未明、ゆー物園に輸送中のドスまりさを載せたトラックが山中で横転するという事故が発生しました。 幸い運転手らに怪我はありませんでしたが、ドスまりさは檻から脱走。警察は近隣を捜索しましたが見つからず。先程捜索の打ち切りが公表されました』 「ドス狩りじゃああああああああああああああああああああああ!!」 「ドスガリジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 ハイテンションな父と黒人 「・・・・・」 その二人とは反対にローテンションな息子 三人がいるのはニュースで報道された山 自分達が住んでいる町からバスと電車で一時間ほどの距離にある 「滅多にお目にかかれないドスをレイプできると思うだけで、父さんの股間のサイバトロン戦士はトランスフォーム寸前です」 初っ端から下ネタ全開の父 「エンドリアーン!!」 握り拳を天高く突き上げてやる気の様をみせるボブ 「・・・・」 この二人とこれから行動を共にしなければならないと考えると、この時点で彼の不安は最高値に達していた 「ボブ、父さん」 「なんだ?」 「hi?」 「目的忘れてない?」 ~~~~~~~~以下、今日の朝の出来事~~~~~~~~ 親子の家に会長が尋ねてきた。飼っているきもんげとゆっくりてんこを連れて 「ゆっくりを使って違法に儲ける企業があったんですわ」 客間に通し最初に口を開いたのは、会長ではなくきもんげの方だった 「そのやり口がひっっじょ~~に胸糞悪いもんでしてな」 「まさか襲撃したんじゃ・・・」 会長の実家の職業を思い出し、息子は口を挟む 「ちゃうちゃう。もっと穏便な方法でっせ」 きもんげは手を顔の前でパタパタと振った 「その企業の株を多めに買って、ちょびっと空売りしただけや」 (十分やくざじゃないか) 経済のことはよくわからないが、それがうしろめたい方法だということは何となくわかった そこから先は会長が話し出した 「そしてその会社が潰れて不渡りを出した折に、大量のゆっくりも流れたんです。もちろんすべて私たちが引き取りました」 それこそが目的だった 「結構な数でしょうに?」 父はゆっくり達を受け入れる場所に対しての心配をする 「実家で所有している山がありまして、広いんですが長年使い道に困っていたんです。そこを使おうと思います、滅多に人も入りませんし」 「なら大丈夫そうですね」 「ただ一つ問題が」 会長の表情が若干暗くなるのを見て、父は眉を寄せる 「問題?」 「はい、先生が仰られた通りかなりの数です。人の手では管理が難しいとのことで、今のままですと・・・」 「つまり、そのゆっくり達を一つの群れとしてまとめる必要があると?」 「そうです。そのためにはドスが必要になります」 烏合の衆であるゆっくり達を統率するのにはドスの存在が一番手っ取り早いし確実である 「先生ならアテがあるのではと思いまして、今回お伺いした所存でございます」 そう言われた父は困った顔をして腕を組む。ゆっくりレイプの業界にかなり精通している父だが、ドスの物件はなかなか無いのが現状だった そんな折、丁度ドスまりさの一報が舞い込んできた ~~~~~~~~以上、今日の朝の出来事~~~~~~~~ 三人の目的はドスまりさの発見・勧誘だった ちなみにボブは父が声をかけて参加することになった なお、彼ら以外にもこの山には同好会の会員が捜索にあたっている 「でも。どうやって探そう?」 「良いものがある」 「何?」 父はザックを開けた 「テレテレッテレー♪ ゆ゛っく゛り゛は゛っけ゛ん゛き゛~~♪」 超だみ声の父が取り出したのはマイクが先端に繋がった小型ゲーム機のような機械 「カッチョイイ!! ドウヤッテツカウノ レプエモン?」 「そ゛れ゛は゛ね゛ほ゛ふ゛太゛く゛ん」 「なんだよボブ太って」 「ま゛す゛こ゛のマ゛イ゛ク゛・・・・・ごほっごほっ!! 無理、この声ムリ。ノブヨボイス無理」 「わかったから普通に喋って」 喉を鳴らして父は説明を再開する 「この機械の先の部分は臭いを検知する機能がある。空気中に漂うゆっくり特有の甘ったるい臭いを微量でも感知すると反応するようになっている」 「ソイツハスゲーゼ」 「でも、それじゃあ仮に機械が反応したとしても、ドスかどうかわからないんじゃない?」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 息子の発言の二人は数秒黙る 「なんで毎回毎回盛り下がる発言するかなお前は?」 「クウキヨモーゼ。ナ?」 (なんで僕が責められるんだろう・・・) 三人の探索は続く 「進め↑~~すっ進め↓~~~~クリ~~フハンガ↑~♪」 「ボウケ↑ーンタァ~~イ↓♪」 (歌のチョイス古いなぁ) 下らないやりとりをしながら進む一行 「タイチョウ!! ホクコウガアリマス!」 父に向かい踵を60°に揃えビシリと規範ある敬礼の姿勢をとるボブ 「なんだボブ隊員!」 「ユックリノ スヲハッケンシマシタ!!」 山道から離れた木の下の虚穴を指差す 「でかした! 家に来て妻をファックしても…」 「よくないから」 すかさず声を被せた 「そんなのに構ってないで。さっさとドス探そうよ・・・・って」 すでに二人の背中は遠く、薄暗い木々の生い茂る中へと向かっている 「行っちゃったよ」 後を追おうと茂みに入ろうとした瞬間 「 ? 」 右手の肘に違和感を感じた 服が木に引っかかったのかと思い右肘を見る 「う~~?」 何時の間にそこに居たのか、満面の笑みのゆっくりれみりゃ(胴つき)が彼の肘の部分を握っていた 虚穴の中にはれいむとまりさ夫婦とその子供達 「たべものをとってくるから、みんないいこにしててね!」 「がんばってねまりさ」 「「いってらっしゃいおとーしゃん!」」 愛する伴侶と子供がまりさを見送る 「ゆっくりりかいしたよ!!」 今日もまりさは家族を養うために、今日も狩りに出むく そのまりさが穴からピョンと飛び出た瞬間 「げっとぉぉぉぉぉぉ!!」 「ゆゆゆっ!!?」 すさまじい砂埃を立ててヘッドスライディングしてきた父にあっさり捕獲された 「ゆっくりできないからはなすのぜ!!」 「秘技“アクメ地獄”」 まるでイソギンチャクのようにウネる父の指が、まりさの体を舐めるように這い回る 「ゆ。くすぐったいよ! ゆっくりやめ・・・・ゆぎゅっ!!」 まりさの体が腕の中で大きく跳ねた 「まだまだぁ!」 父の手は止まらない 時に乱暴に、時に繊細に。指はまりさを撫で上げる 「うぐっ!! っあぁ! も、もぅ。やめぇ・・ゆがっ!!」 指が触れる度に、まりさは声を上げ小刻みに体を振るわせる 澱みなく流れる渓流のように 「ひぎっ!」 一流の指揮者が振るうタクトのように 「ゆげぇっ!!」 その無駄の一切無いきめ細かな動きはまさに芸術だった 「oh……God Finger」 その指使いに只々ボブは感嘆の意を示した ようやく解放されたまりさ 「よし準備運動、終わり」 「アレガジュンビウンドウダト・・・」 父の底知れなさにゴクリと唾を飲み込む 「ま゛りざああああああああ!!」 叫び気を聞き、れいむが巣から飛び出してきた 「ま゛りざにな゛に゛をしたあああああああああああ!!」 夫をこんな目に合わせた人間二人を睨む 「校長先生の朝礼が長かったせいで・・・」 顔に手を当てて俯く 「そんなわけないでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!・・・・ゆ?」 叫ぶれいむは自身の体が浮いているのに気付いた 「おそらをとんで・・・・」 「ソクレイプ!」 「待つんだボブ!」 「what?」 手を前に出して黒人に制止をかける 「ドスに出す分が減ってしまうぞ」 相手はドス、万全な状態でなければ務まらない その為には我慢する必要があった。ここでの目的はウォーミングアップだとボブは知る 「ワカリマシタ」 「ぶべっ」 れいむを持つ手が緩んだことで、れいむは顔から地面に激突した 「しかしなんだろうこの気持ち・・・・AVの汁男優って毎日こんな気分なのか?」 「ツライ ショクギョウデスネ」 切ない気持ちになった 「おいおい。羨ましすぎるだろ」 「どこが?」 ウォーミングアップを済ませ、戻ってきた父は息子の状況を見て、奥歯に力を入れた 「ゆっくりしてくんだぞ~~♪」 「にぱ~~☆」 「とくべつにれみりゃのしつじにしてやってもいいんだどぉ~~」 「うーーうーー♪」 座り込む彼にゆっくりれみりゃがまとわり付いていた 両手にはそれぞれ胴付きがしがみつき、膝にも一匹、体を密着させ 頭には胴なしが一匹、上機嫌で乗っかっている ゆっくりに好かれ易い体質の彼だから起こる事態である 「いいなあ~~父さんもそうなふうにくっつかれたい。写メっとこ」 「見てないで助けてよ、これ結構重いんだから」 羨望の眼差しを向け、携帯電話のカメラのシャッターを執拗に切る 「よし。後でこれふーちゃんに見せよう」 「あ、コラッ!!」 「む、バックアップにと自宅のPCに送信しようと思ったがここは圏外か。まあ良い、次はムービーだ」 携帯のモードを動画に切り替えることで、画面に臨場感が加わった 父は二度三度、喉に手を当てて咳払いをする 「テレビの前の皆様はお気づきだろうか?」 「なにそのどっかで聞いたことのあるナレーションは?」 「今、一人の黒人が木に擬態していることに」 「はぁ?」 重量を感じる頭を後に向けると、ボブが両手を広げて立っていた。かなりの威圧感である 「次の瞬間」 「「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」 ボブの長身が彼と彼をとりまくれみりゃに覆いかぶさった れみりゃ達はいっせいに叫ぶ だが黒人の狙いはれみりゃではなかった 「ちょっ! ボブ止め…耳噛むな!! 舌を這わすな!! 服に手を入れるなッ!!」 まとわりつくれみりゃが壁になり死角を作ったことで、父にはボブがれみりゃを性的に弄り、そのとばっちりが息子にも伝わっているようにしか見えなかった 「残酷に思えるかもしれないが、これもサバンナの掟なのである」 「どう見てもボブのエゴだろ!! ぅひゃぁ!! 」 れみりゃ達は最初こそ驚いたものの、何の被害もこうむっていないので今の姿勢のまま大人しくしていた 「ォゥ、グッドスメル」 「やめろおおおおおおおオオオ!!」 未知の感触に背筋を凍らせ、どうすることも出来ないこの状況 「と、ここでネタばらし。これには息子も苦笑い」 「もうそのナレーションいいから・・・・・・・ホントに。全然つながってないし」 「3ヵ月後、そこには元気に走り回るボブの姿が」 「もう良いっつってるだろッッ!!!!」 「こっちだど~~」 れみりゃに『ドスを見てないか?』と尋ねるとあっさりと情報が手に入った 羽ばたく4匹のれみりゃを先頭に、彼、父、首が45°曲がったボブの順に後に続く もちろんボブの首が曲がっているのは息子の制裁を受けたからである 案内された場所は谷の裾付近 「うーうー」 胴なしれみりゃが示した方角、絶壁となっている箇所に大きな窪みがあった 「確かに、あの広さならドスでも隠れられるな」 れみりゃの話の信憑性がかなり高まった 「父さん、ボブ。言っとくけどドスに手を出したら駄目だからね」 「ショッペーコトイウナヨ!!」 「おいおい。父さんに死ねってことか?」 「・・・・・」 やかましい二人を無視して窪みを覗き込む 「あれ?」 そこには何もなかった 少しだけ奥行きのある洞窟がぽっかりと口を開けているだけ 「移動したのかな?」 その時、父の携帯電話が鳴った 「30分くらい前のメールだ」 山の中で届かなかった電波が木々の開けた場所に移動したため、ようやく受信できた ディスプレイを見ると冒頭の文が目に飛び込んできた 『ドスが見つかりました』 「なんのためにあそこで禁欲したんだ・・・」 「ソリャネーヨ フジコチャン!!」 大袈裟なほどに落胆の素振りをする二人 「見つかったんだから。帰ろうよ」 息子が踵を返した時 「もうれみりゃで全然良い」 「ガマンガ マックス」 「は?」 ボブと父は荷物を下ろし、その場で準備運動を始めた 「これより“蝕”もびっくりなほど、ネッチョネチョの乱交したいと思います。 なお、ゴットハンドは出てきませんが。鷹はちゃんと光臨します・・・・まあ鷹といっても指使いの方なんですけどね」 贄はもちろんれみりゃ達である 「僕、先に帰るね」 「本当はお前も参加したいんじゃないのか?」 「全っ然」 「ふっふっふ。それはどうかな?」 「何が言いたいの?」 意味深に笑う父 「お前の中に眠るレイプ衝動が…」 「そんなの無いから。夕飯前には帰ってきてよ、じゃあね」 あっさりと会話を切られる 「あ。おい!」 れみりゃの群れと変質者を残し、彼は下山した 「なあボブ」 「ハイ」 「ルークに拒絶されたダースベイダーって、多分こんな気持ちだったんだと思う」 「シンチュウ オサッシシマス」 「ありがとう・・・・・・・だが今は、ゆっくりレイプ!!」 「マッテマシタ!」 それとこれとは話は別だといわんばかりにテンションを上げる 餓えた野獣のような、否、野獣の目が4匹のれみりゃを捉える 「う・・・・うーー!?」 「なんなんだどー!!」 「アーマーテイクオフッ!!」 「ナドレッ!!」 服をパージする二人 「ぐ、ぐるなああああああああああああああああああああ!!」 「ざくや゛ーーーーごあいびとがいる゛ううううううううう!!」 山の一部にれみりゃの叫び声が木霊した その日の夜 結局、彼は同居しているゆっくりふらんと夕飯を済ませた 父はまだ帰ってきていない 「ふーちゃん?」 風呂上り、頭にタオルを巻きリビングに戻るとソファで眠るゆっくりふらんを見つけた ふらんは胎児のように丸まり、穏やかな寝息を立てている 点けっ放しになっていたテレビから自分に関わりのあったニュースが流れた 『今朝、捜索を打ち切ったドスまりさですが。その後発見されて保健所に輸送されました』 (あれ?) その報道で引っかかる物を感じた (なんで保健所なんだ?) 保健所に送られれば、数日中には当初の予定通りゆー物園に送られることになる それではドスを群れに招くことが出来ない 同好会の根回しする力がいくら強大でも、行政で正式決定していることを覆せるとは到底思えない ドスを捕獲したなら、秘密裏に持ち去るはずである (捕まえたのは同好会じゃない? それとも何か考えがあって? 計画の変更?) 彼の中で想像できる様々な憶測を連ねる が、 「まあいいか」 自分には関係の無いことだと、そこで考えるのをやめた ソファに眠るふらんに再び目を向ける 「ここじゃ風邪ひいちゃうな」 依然、無防備な姿で眠っている 「父さんがいなくて本当に良かった」 自分が目を離した隙に何をしでかすかわかったものではない 「何がレイプ衝動だよ、馬鹿馬鹿しい」 山で別れる際に父が言ったことを思いだし、一蹴する そして彼女をベッドに移すために抱きかかえようと手を伸ばした瞬間 ―――れいぷしちゃいなよ 「へ?」 自分では無い誰かの『声』がした 周囲を見回すが誰もいない テレビの音声でも無い ―――すきなんでしょ、そのこのこと? 声は彼に話しかける まるで耳元で囁かれているような奇妙な感覚 人のものとは明らかに『何か』が違う、声 今まで一度も聞いたことの無い、不思議なトーンが頭の中を無遠慮にノックする ―――したいって、おもってるんでしょ? 「おもってない」 声の正体が良く分らないまま、彼は言葉を返した ―――いいや、おもってる。むぼうびなねがお、すかーとからのびるきれいなあし、こぶりなからだつき。おかしたくてうずうずしてる 「ふーちゃんをいちどもそんなめでみたことなんてない。ぼくは、とうさんとはちがう」 ―――おなじさ。いや、それいじょうのいつざいかも 「いいかげんにして」 ―――じぶんにしょうじきになりなよ。ねぇ、ほんとうはきづいてるんでしょ? がまんしてるんでしょ? 「うるさい」 ―――わかげのいたりで、きっとふーちゃんもゆるしてくれるさ。さぁゆうきをだして 「だまれ」 ―――こうどうのこんていに“あい”があるなら、だれもきみをとがめることなんて・・・ 「喋るな!!」 テーブルの上にあったリモコンを掴み、思いっきり背後に投げつけた ―――いでっ! それがカーテンの裏に隠れていた父に命中した カーテンから出て、痛そうに額をさする 「お前にwiiリモコンは一生触らせん!」 憤慨する父などお構いなしに息子は父に掴みかかる 「あの声は父さんだよね?」 尋ねられた父は持っていた機械(一見すると拡声器のような形状)のマイク部分を口に当てる ―――そう。でゅぇっす 機械を通して声が聞こえた 「何ソレ?」 「山で拾った。なんかゆっくりにしか聞こえない周波数の音が出せるみたいだ。お前にも聞こえるかと思って試したんだが・・・」 モスキート音ならぬ、ゆっくり音が出せる装置 調べた所、父が持っているゆっくり発見器を作ったのと同じメーカーらしい 「試し方が悪趣味すぎるよ。本気で怒りそうになった」 「じゃあさっさとふーちゃんをレイプしなさい」 「話聞いてた?」 一発くらいいいかなと思い。拳を高く上げる 「そうそう、一つ情報が。ドスまりさについてなんだが」 彼の拳が止まった 「ドスまりさは今、保健所にいる」 「それは知ってる」 「捕まえたのは同好会の人間じゃない」 「やっぱり。じゃあ誰が?」 「地元の学生だそうだ」 「は?」 思わず挙げていた拳を下ろした 「名前まではわからないが男子高校生と女子中学生の兄妹、そして女子高生の三人組だそうだ。案外、お前の知り合いだったりしてな」 「いやいや。そこまで世間は狭くないよ」 「そういえば、そろそろ保健所にふーちゃんの飼いゆっくりの手続きの更新に行かないといけないな」 「じゃあ明日の午前中に行ってくるよ」 「ついでにドスの様子も見れたら見てきてくれ」 「えーー」 その父の何気ない一言が彼を厄介事へと誘う第一歩だった 続く present by ゆっくりレイパー? このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2637.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 1262 豆れみりゃとこうまかん/コメントログ」 面白かった -- 2010-06-21 03 41 39 あああぁぁぁ…可愛いれみりゃ達があぁぁぁ… -- 2010-07-12 03 24 58 いや全然可愛くなかったから。特に最後のほう。 -- 2010-08-16 13 08 22 これは面白い! -- 2010-12-30 05 18 59 食い物を粗末にするからだwww -- 2011-07-03 10 36 03 れみゃ虐は一方的に暴力を加えられてるシチュが好きなんだが、燃やしただけじゃなぁ・・・ -- 2011-07-14 21 14 01 いや、十分一方的だろw火に焼かれるという原型も残らない最期。そしてさくやどこいった? -- 2012-02-20 19 42 36 おまけ。読んだらいた。早とちりスマソ -- 2012-02-20 19 44 55 なかなか。 -- 2012-04-12 17 00 43 れみりゃは実に滑稽だなww -- 2013-01-18 21 28 52 火災が起きてからのれみりゃの遊戯室でのビート、シャウト、ブレイクダンスの表現でわろたwwww -- 2015-11-18 13 10 34 ゲス発言がちらほらと、カリスマドコイッタw 餡統が元々悪いな~ ユクドナルドの在庫か? この火事ってシルバ○アハウスの焼却処分中? -- 2018-01-15 10 18 52
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2749.html
外道饅頭 皆さんはイヌガミをご存知だろうか? イヌガミとは犬を頭だけ出した状態で地中に埋め、その目と鼻の先に食べ物を山のように積み飢えさせていく事から始まる。 やがて手も足も出ない犬の飢えが絶頂に達した頃、一思いにその首を刎ねるのだ。 そうして出来上がった生首、その瞳は憎悪と渇望にまみれ言葉に出来ぬ程の闇を宿すと言う。 だがこれだけで終わらない。 更にこの生首を人が頻繁に通る四辻に埋めて、多くの人にその頭上を歩ませるのだ。 肉も朽ちる頃、ようやく掘り出されたそれは、崇り祭られイヌガミを宿す呪物と成る。 このイヌガミ、術者に莫大なる富を与える反面、時に厄災を呼び起こし一族全員を崇り殺すことまであると言う。 また一度イヌガミが憑いた家は末代にまで憑いて廻り、その家系と関係を持った他所にまで伝染することから孤立することも多い。 そのおぞましさ、業の深さから人はこれを道をはずれた行い、外道と呼ぶ。 そうして俺は図書館を後にする。 外道だろうが畜生だろうが幸福になれるならなってみたいものである。 とは言えワンコの首ちょんぱを出来る程、俺の肝は太くない。祟りだって怖い。 地道に全うな道を歩むのが身の丈に合っているというものだろう。 そんなこんなを考えていると、ふと絹を裂くような悲鳴が聞こえた。 「いぢゃあああああああああああ!!!」 声の主はゆっくりれいむ、何ともゆっくりしてない声である。 とはいえ、その頭には2本の牙が深々と突き刺さり、今尚ちゅるちゅると中身を吸われている最中であるから無理もない。 「う~う~♪」 一方のゆっくりれみりゃはニコニコと笑顔満面、れいむの餡子に舌鼓を打っている。 「もっど・・・ゆっぐり・・・じだ・・が・・だ・・・」 やがてれいむはペラペラになり、遂には何も喋らなくなった。 れみりゃは小さくゲップをすると、腕の甲でゴシゴシと口元を拭っている。 「こんにちわ」 「うー? こんにちわだどぉー♪」 俺はれみりゃに声を掛ける、不幸にもある思い付きをしてしまったからである。 「ごごがらだじでぇーーー!!」 地面からモグラの様に首だけを出すれみりゃ、その眼前にはお菓子が山のように積まれている。 「どうしたんですかお嬢様、おやつはお気に召しませんでしたか?」 「おがじ!! おがじいいぃぃぃ!!」 れみりゃは饅頭とは言え人の形をしているし、言語を操るほどの知能もある。 儀式の代替に用いたものの、考え方によっては犬よりも向いているかもしれない。 パタパタと団扇で風と香りを送る。 「うぅ、うううぅぅぅぅぅ!!!」 歯を食いしばって必死に耐えている、お嬢様のプライドと言うやつだろうか。 その姿が余りに健気だったので、もう少しばかりサービスしてやることにする。 「そうだお嬢様、よろしければ私めがお食事をお運びしましょう。」 そういって手元のプリンを匙ですくう。 「うー!! ぷでぃん、ぷっでぃ~ん♪」 手の平を返したように満面の笑顔を咲かせるれみりゃ。 すっと伸ばした匙を上下させる。プリンは目の前ではプルプルと躍り、鼻の前では甘いバニラの香りを漂わせる。 「あー・・・♪」 耐え切れずに雛鳥のように口を開く、その口内は燃えるように真っ赤である。 パク 「あ・・・? あ、ああ、ああああああああああ!!!??」 うん、旨い。 取り立てて好きと言う訳ではないが偶に食べるとどうしてこんなにも美味しいのだろうか。 口を動かす俺の前でれみりゃは大粒の雫を目元に浮かべる。 そんな様子を傍目に、黙々と匙を動かしていく。 やがて匙が底を打つようになったところで、おもむろに器をれみりゃの眼前に置く。 カラカラと匙が転がる音がやけに響く。 「うぅ・・・う!? れみりゃのぷっでぃーん!!!!!」 遂に耐え切れなくなったのか、ボロボロと涙をこぼし始める。 チンチンと匙で空の器を叩く。その音は澄んだ空に吸い込まれていった。 翌日 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~!!」」」 「だべるなああぁぁぁ、れみりゃのぷっでぃーんだべるなああぁぁぁぁ!!!」 お菓子の山に群がる饅頭、涙を流しながら幸せ幸せと食い散らかしている。 そうして小一時間もする頃には山のようにあったお菓子も、汚らしい食いカスを残すばかりとなった。 「げっぷ・・・。ゆふーん、とってもゆっくりしてるね!!」 「「「ゆっくりしてるね!!」」」 れみりゃのことなど何のその、たらふく食べたゆっくり達は思い思いにくつろぎはじめた。 イヌガミはその怨念が大きいほど強力な呪術となるらしい。 そこでよりその思いを掻き立てるため、ゆっくり達をけしかけることにする。 「やぁおはよう、ゆっくりしてるかい?」 「「「ゆっくりしてるよ!!」」」 一斉に振り返り元気な返事を返してくれる。中々素直だ。 「ねぇみんな、あそこにれみりゃが居るだろう。怖くないのかい?」 「あのれみりゃはうごけないからだいじょうぶだよ! おにいさんもゆっくりしていってね!」 視線の先ではれみりゃが歯軋りをしながらうーうーと唸り声を上げている。いい感じだ。 「そっかそっか。ところでお兄さん面白い遊びを考えたんだけど・・・」 「いだいいだいいいいいぃぃぃ!!!」 「ゆっへん!!まりさはむれいちばんのゆっくりなんだよ!!」 「「「ゆんちょ!! ゆんちょ!!」」」 「おちびちゃんたちかっこいいよ!! さすがれいむのおちびちゃんたちだね!!」 俺の考えた遊び、それはれみりゃを虐めるというシンプルなものであった。 尤も迂闊に近づくと齧りつかれてしまう。そこでゆっくり達に石や棒を使うという入れ知恵をしてやる。 後は放っておくだけで行為はどんどんエスカレートしていき、ストレスも雪だるま式に積もっていくわけだ。 最初の頃は憎まれ口を叩いていたものの、今ではもう泣き言しか出てこない。 「うわああぁぁぁざぐやああああぁぁぁぁ!!!」 れみりゃの再生力なら死ぬことは無いだろう。 そうして2日目は過ぎていった。 更に翌日 「・・・・・・・・・」 何やら口を動かしボソボソと呻いているが聞き取れない。 目元は大きく腫れあがり、クマも墨を流したようにどす黒くなっている。 頬を伝う白い筋は涙のあとだろうか。 髪もボサボサに乱れ、顔中の至る所で痣やミミズ腫れが見られる。 燃費の悪いゆっくりの体では丸2日の絶食は堪えるのだろう、傷の回復もままならないようだ。 台所に戻り包丁を手にする。そろそろ頃合だろう。 ジャリジャリと土を踏み鳴らしれみりゃの背後に回る。 こいつには俺がどのように見えているのだろうか。 そうして鈍く光る刃を白い首筋に宛がう。 大きく息を吸う、そうして一気に刃を引いた。 「おごごごごごごごごgggggg」 斬り損じた。傷は首の中程で止まってしまった。 饅頭と高をくくっていたが、地面と密接していたためか上手く刃が入らなかったらしい。 口からは泡を吹き出し、首からは何やらヒューヒューと気の抜ける音を立てている。 仕方がないので刃先で突く様にして少しづつ削り崩していく。 一突き一突きする度にビクビクと震え、辺り一体に肉汁の香りが充満する。 そうして包丁を握る手が油でぬるぬるになる頃、ようやくにして首を落とすことが出来た。 「ざ、ざぐ、や・・・」 れみりゃはまだ生きていた。 おぼつかないが確実に意味を成す言葉を紡いでいる。意識もあるのだろう。 今更ながら可哀想という気持ちが沸いて来たが、ここまでやっておいて投げ出すことも出来ない。 喚く生首を手にし、一路畑道へと向かった。 『・・・・・!!・・・・・!?』 畑のど真ん中の畦道。その交わるところは色が変わり、耳を澄ますとそこからは虫の声のようなものが聞こえていた。 翌日 まだ声は聞こえる。 三日後 まだだ、まだ聞こえる。 一週間後 まだ、まだ聞こえる。 この日、男は遂に耐え切れなくなり地面を掘り返していた。 一堀一堀進む度、聞こえる声はどんどん大きくなっていく。 そうして掘り終えたそこにあったのは薄汚れた帽子だけであった。 話によればこの遺物を呪物として祀りあげることにより術は完成するという。 とはいえ、もう男にはそんな気力は無い。一日一日と熱は冷めていき、もはや残るは後悔の念だけである。 残った帽子のやり場に手を焼いていると、ふいに声を掛けられた。 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりれいむ。こちらとは対照的に何とも幸せそうな顔をしている。 「おにいさん、きょうはおかしないの?」 はて、どうやら以前れみりゃのお菓子を横取りしていた連中の1匹らしい。 そこで男はふと思いつく。ゆっくりのことはゆっくりに。 「れいむ、いい物をあげようか?」 「ゆゆ! いいものってなぁに?」 涎を垂らすれいむに手を伸ばす。その中に握られているのはあの帽子。 「ゆびぃ!? おにいさん、これゆっくりできないよ!!」 思わず後ずさるれいむ。 だが男はなだめる様に言葉を続けていく。 「まぁ待てって。れみりゃの帽子を持っているとれいむは強いって他のゆっくり達から大人気間違いなしだぞ?」 「ゆ・・・・・?」 「おまけにこの帽子は特別せいでね。大事に大事にすると幸せーになれるんだ」 「ゆゆ!!」 「と、言うわけで大事にしろよ。」 「ゆっくりわかったよ!! おにいさん、ありがとう!!」 れいむは帽子を咥えるとペタペタと跳ねて行った。 都合よく厄介払いの出来た男はホッと一息ついた。心なし肩の荷も降りたような気がする。 そうして男は足取りも軽く家路へとついた。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆくっりしてっ!? れいむなにもってるの!!?」 我が家へ帰って最初に放たれたのは驚嘆の音、まりさは訝しげにれいむを見つめる。 「ゆっふっふーん・・・これだよ!!」 「ゆゆゆっ!!?」 ぺっと吐き出されたれみりゃの帽子、思わずまりさは言葉を失う。 「ど、どうじだのごれええぇぇぇ!!?」 「ゆ? ゆー・・・れ、れいむがれみりゃをやっつけたんだよ!!」 「ゆっぐいー!!!??」 れいむは見栄を張った。 「さっすがまりさのれいむだよ!! とってもゆっくりしてるよー!!」 「ゆ・・・ゆっへん!!」 えへんぷりとアゴを反らす。 パートナーの尊敬の眼差し、その日2匹は久々のすっきりをした。 「うーうー」 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 れいむの周りを何やら黒い影が動き回っている。 「ゆぅ? あなたはだぁれ?」 「うーうー」 黒い影は答えない。ただひたすらウロウロしているだけである。 「ゆぅぅぅ、ゆっくりしてよー!!」 「うーうー」 遂には怒鳴りだすれいむ、だが黒い影の様子は変わらない。 やがてれいむが怒り疲れた頃、黒い影はピタリとその眼前で歩みを止めた。 「ゆ!! やっとわかってくれたんだね!!」 「うー」 影は一声上げると霧散するようにその姿を消した。 その声はまるで戸惑っているようだった。 「ゆ・・・ゆっふーん!!」 「おはようれいむ、きょうもいちにち」 「「ゆっくりしていってね!!」」 朝というにはやや遅い時間帯、のどかな挨拶で2匹の一日はゆっくりと幕を上げる。 だが今日はいつもと何かが違った。何か違和感を感じるのだ。 「ゆー・・・? まりさ、なにかへんだよ?」 「ゆぐぅ・・・ なんだかまりさ、あたまがおもいんだよ」 いつも元気なまりさ、それが今日はどことなく力ない。 れいむが心配してまりさに歩み寄る。そしてその目にあるものが映った。 「ゆ!!? まりさのあたまに あかちゃんがはえてるよ!!」 「ゆゆゆゆゆ!!!??」 重い頭、その正体はタワワに実った赤ちゃんであった。 帽子のツバが影となり気付くのが遅れてしまったのだ。 「ゆゆぅ・・・れいむたちのあかちゃん、とっとてもゆっくりしてるよぉ・・・」 「ゆふぅーん・・・」 2匹揃ってうっとりー、思わず涙も零れ落ちる。 その日から2匹の子育てが始まった。 「ゆんゆっゆ~ん♪」 身重のまりさに留守を任せ、せっせと木の実拾いに打ち明けるれいむ。 幸せの絶頂、れいむは木の実を集めることすら楽しくて仕方なった。 そんなおり 「おう、こんちは」 頭上を見上げるとそこに居たのは昨日の男。そう、れいむに帽子を与えた男であった。 「おにいさんこんにちは!! ゆっくりしていってね!!」 元気よく挨拶を返すれいむ。挨拶を受け終え男は懐に手を入れる。 そうして引き出された握り拳をれいむの眼前に伸ばす。 「ほら、これをやろう」 「ゆ?」 開かれた手の平に乗っていたのは飴玉、透き通った琥珀色が何とも美しい。 「これはとっても甘くてゆっくり出来るんだ。美味しいから食べてみ」 「ゆっくりわかったよ!! ぺーろぺーろ、 し、しあわせー!!!」 だくだくと涙を流す。気に入ったようだ。 そうして1人と1匹は話し始める。 愛しのまりさがにんっしんっしたこと、赤ちゃんは皆とてもゆっくりしていること。 気付けば太陽が大きく傾く時間になっていた。 「それじゃあ れいむはもうかえるね。おにいさん、あまあま ありがとう!!」 「ああ、気をつけて帰れよ」 最後にもう数個の飴玉を受け取り、まるでリスのように頬を膨らまし帰路を目指す。 そうして振り返った背中に男の声が掛かった。 「そうだ。昨日渡した帽子、くれぐれも大事にしろよー!」 そういえばそんなものもあったな。今日これだけ幸せなのも、きっとあの帽子のおかげだろう。 れいむは一度礼を返し、今度こそ帰路へと着いたのだった。 「ぺーろぺーろ、しあわせー・・・!!」 まりさはぺろぺろと飴玉を舐めている、その目からは相も変わらずだくだくと涙が流れる。 そんな様を尻目に、れいむは神妙な面持ちで帽子の前に座る。 (ぼうしさん、ぼうしさん。れいむたちをゆっくりさせてくれてありがとう!!) 心の中で感謝を述べる。すると風も無くふらふらと帽子が揺れ動いた。 「ゆ?」 瞬間、帽子の下から真っ黒なネズミが顔を覗かせた。 「ねずみさん、ゆっくりしていってね!!」 「ぅー」 「れいむ、どうかしたの?」 「まりさ、みてみて!! ねずみさんだよ!!・・・ゆ?」 振り返った時、そこにネズミの姿はもうなかった。 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 「うーうー」 黒い影は今日も忙しなく動き回る。 「・・・・・・・・」 「うーうー」 あっちへよたよた、そっちへよたよた。 何を考えているのか解からない。 「ゆ?」 「うー」 最後に昨日と同じよう眼前に訪れたかと思うと、やはり同じように一声鳴いて消えた。 今日の声はなんだか嬉しそうだった。 「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!」」」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「まりさぁ、このこたちとってもっゆくりしてるよぉ!!」 「こんなぷりちーなあかちゃんみたことないよ!!」 きゃっきゃと歓声をあげる一家、絵にした様な幸福がそこにはあった。 「ゆんゆんゆっくり~♪」 「おっす」 今日もれいむは男と話す。 もっぱら、今日は可愛い可愛い赤ちゃんの話題で持ちきりなのだが。 ゆっくりしてない喋り方を見ると、本当に可愛くて仕方ないのだろう。 目に入れても痛くないとはこんな感じなんだろうか? そうしてまたお菓子を貰い、れいむはぽよぽよと我が家を目指す。 (ぼうしさん、ぼうしさん。れいむたちのあかちゃん、とってもゆっくりしてるよ!!) そうして一日の終わりに帽子に語りかける。すると昨日と同じように帽子が動き出す。 「ぅー」 「ゆ!! ゆっくりしていってね!!」 ネズミである。 「ぅー」 「「「ぅーぅー」」」 「ゆゆゆ!!?」 次から次へと出てくるネズミ、一様にヒクヒク鼻を動かし辺りを探っているようだ。 「おとーしゃん、しょのきょちゃちぢゃぁれ?」 「おちびちゃん、このこたちはねずみさんっていうんだよ!! まりさー!!」 今日こそは可愛いネズミさんを見てゆっくりして貰おう。 だがれいむがまりさを呼び連れて戻る頃、やはりネズミ達は1匹残らず居なくなっていた。 「うーうー」 「ゆっくりしていってね!!」 相変わらず影は落ち着きがない。だがもう馴れた事だ。 「うーうー」 馴れてしまえばコレはコレで中々可愛いじゃないか。そんな事を考えていると 「「「うーうー」」」 「ゆゆっ!!?」 影の数が多い。余りの多さに目を回しそうである。 「ゆゆゆゆっくりしてね!! ゆっくりしてよー!!?」 「「「うーうー」」」 影達が動くたびにザザザと不快な音が立つ。 やがていつもの様に眼前で静止する。 「ゆは、ゆは、やっと・・・ゆっくり・・・できるよ・・・」 「「「うーうー」」」 そうしてまた影達は一声残して消えていく。今日の声は何だか楽しそうだった。 それからも、れいむ達は毎日が幸せだった。 お兄さんは変わらず優しく、美味しいお菓子を与えてくれる。 れいむはれみりゃをやっつけた実力と、何だかゆっくりしている雰囲気を買われ群れのリーダーになった。 子供達は順調に大きくなり、引き手数多の美しいゆっくりに育った。 まりさも相変わらずゆっくりしている。子供が大きくなった今では、またすっきりしようかなんて可愛いことを言っている。 一日一日が楽しく、幸せで、ただただ流れるように時間が過ぎていった。 「ゆふー・・・いままでおせわになりました!!」 「むこうへいってもゆっくりしていってね!!」 すーりすーりと頬ずりをする3匹。 今日は可愛い末娘の門出の日である。互いに親愛の情を示しあうと、やがてかつての子ゆっくりはぴょんぴょんと歩き出した。 その姿が見えなくなると、残された両親はふっと短いため息をつく。 「みんないっちゃったね」 「なんだかひろくなっちゃったね」 背後にはかつて賑やかだった我が家、今では住人もれいむとまりさだけになってしまった。 ガラガラの部屋を見回す。荷物も整理しないといけないな。 そんな感傷に浸っていると、ついっとあるものに目が留まった。 帽子である。 ホコリまみれになり薄汚れてしまった帽子、最後に祈りを捧げたのは何時のことであっただろうか。 れいむはおもむろに帽子の端を咥えると、ぺっと巣の外に吐き捨てた。 幸せに溺れきったれいむには、もはやそれは只のボロキレにしか映らなかった。 刹那、脳裏をネズミの姿がよぎった。 ネズミはまるで怒っているような、泣いているような、なんとも複雑な表情を浮かべていた。 「うーうー」 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 れいむの前では黒い影がふらふらと揺れている。 そういえばこの子に会うのも久しぶりだ。 「うーうー」 「ゆ? どうしたの?」 影は今までと違い行儀良く座ると、何やらうーうーとれいむに呼びかける。 「うーうー」 「ゆうぅ・・・なにいってるかわからないよ!!」 必死に何かを伝えようとしているのだが、れいむにはその意図するところが掴めない。 「うーうー」 「うるさいよ!! しずかにしてね!!」 痺れを切らしぼむっと体当たりを食らわせる。 影は二転三転しようやく止まると、もう何も言わず静かに消えていった。 「ゆふぁ・・・ゆっくりおはよう!!」 「おはよう!! きょうもゆっくりしようね!!」 そうして2匹の一日が始まる。 いつもと変わらぬ静かな朝、本当に静かだった。 「それじゃあまりさ、ごはんとりにいこう!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 ゆんゆんと巣を後にする2匹、今日も一日ゆっくり出来そうと心を躍らせる。 そんなおり 「れいむ、たいへんよ!! 」 突如として呼び止められる。視線の先ではありすがぜーぜーと息を切らしている。 「どうしたのありす?」 「いいからはやくきて!! あなたのこがたいへんなの!!」 ありすに案内されてやってきたのは昨日末娘が嫁いだまりさの家だった。 そこで目にしたの無残にも全身を食いちぎられ、今にも力尽きそうな我が子の姿だった。 「おちびちゃん!!? どうしたの!!?」 「お・・・おかー・・・さ・・・」 「しっかりしてね!! しっかりしてね!!?」 「もっと・・・ゆっくり・・・」 そうして子れいむは静かに目を閉じた。 結局つがいのまりさとその両親姉妹含め、一家全員が惨殺されていた。 「ゆ・・・だれかいるの?」 『うーうー』 姿は見えないが声は聞こえる。 「ゆっくりでてきてよ、ゆっくりでてきてよー!!」 『うーうー』 「ゆぅ・・・ゆっくりおはよう・・・」 「おはよう、れいむ・・・」 昨日の今日では流石に元気が出ない。重苦しい空気の中、2匹は手短に朝の挨拶をすませる。 だがいつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。 「・・・ゆっふ!! まりさ、あのこのぶんまでゆっくりしようね!!」 「そうだね!! これからはゆっくりしようね!!」 無理矢理に自身を鼓舞する。これがあの子に出来るせめてもの手向けと信じて。 だがそんな思いもあえなく崩れ去ることとなる。 「れいむ!! 大変なの!! またあなたのこが・・・」 「ゆぐ!!!??」 駆けつけた先では昨日と同じように、愛しの我が子が力なく横たわっていた。 懸命の呼びかけにも返事は無い。 惨状は昨日と同じ、赤ちゃんまで残さず皆殺し。 まるで写真の焼き増しのような悲劇は、れいむの心をぎゅうぎゅうと締め上げた。 同時に、この一連の事件は群れのゆっくり達に暗い思いを芽生えさせていた。 どこからか笑い声が聞こえた。 「ゆっくりしていってね・・・」 『『うーうー』』 相変わらず姿は見えない。だが昨日より声の数が増えている気がする。 「ゆー・・・」 『『うーうー』』 「おはよう・・・」 「ゆぅ・・・」 もう口を開くことすら億劫である。朝が来るのが怖い。 もそもそと2匹が遅い朝食を摂っていると、願わない客が訪れる。 「れいむ・・・」 「・・・・・」 もはや返事すら返さない。 れいむは静かに食事を止めると、まりさを促すようにし玄関をくぐった。 「・・・・・ゆぅ」 時間が止まって同じところを繰り返しているような錯覚に落ちる。 ただ現実として存在するのは目の前に倒れているのは昨日とは違う子で、昨日倒れた子はもう居ないという事実。 もはやも涙も悲鳴も枯れ果て、乾いた溜息を吐き出すことが限界だった。 「・・・れいむのせいだ」 「・・・ゆ?」 「れいむたちのせいで ぱちゅりーのいっかは ころされたのよ!!」 声を上げたのはありす、今日殺されたぱちゅりーの親友だった。 「きのうのれいむも そのまえのまりさもそう!! あなたたちがふこうをよぶのよ!!」 「ゆぐっ!!!」 この時群れを取り巻く疑いの芽は、ついに確信へと変わった。 どっと沸き立つ罵詈雑言、言葉の一つ一つがれいむの胸を大きく抉る。 だがれいむは何も言い返せなかった。れいむの中にもその疑惑は消せずに存在していたからだ。 「ゆっくりしねぇ!!」 「このむれからでていけぇ!!」 言葉はやがて石つぶてとなり、れいむ達の体を激しく打つ。 2匹は痛む体を引きずって、命からがら家へと逃げ帰った。 その晩、残す娘達も泣きながら帰って来た。その体は痛々しい傷にまみれていた。 「なかないでね・・・ぺーろぺーろ・・・」 「ゆぐ・・・ひぐ・・・」 互いに傷を舐めあい、寄り添って眠る。 久しぶりの顔合わせであったが、ちっとも楽しい気持ちになれなかった。 『『『うーうー』』』 れいむは何も喋らない。 『『『うーうー』』』 れいむは何も映さない。 『『『うーうー』』』 ああ、この耳が聞こえなくなればどれ程気持ちが楽だろう。 「おはよう・・・」 「おはよう・・・」 「「「おはよう・・・」」」 作業の様に挨拶を済ます。 そうして互いの顔を見回し、れいむはあることに気付いた。 「ゆ・・・ゆゆ!? きょうはだれも いなくなってないよ!!?」 「ほんとだ!! みんないるね!!?」 「「「ゆっくりここにいるよ!!!」」」 れいむは数日ぶりに心の底から笑うことが出来た。 あの事件はれいむ達のせいじゃなかったんだ。 その証拠にこうして皆ゆっくりしているではないか!! そう心を躍らせている時分のこと、ドスドスと戸口を打つ音がする。 「れいむ・・・」 「ありすみて!! れいむたちはみんなぶじだよ!! やっぱりあれはれいむたちのせいじゃ・・・」 「きて」 必死に捲くし立てるれいむを一瞥するとありすは短く、だがはっきりと切り捨てた。 「・・・・・なんで?」 そこにあったのはゆっくり一家の惨殺死体。その一家は昨日れいむの子供を追い出した一家だった。 「れいむたちのせいじゃないよ!! きのうはいっしょにいなかったもん!!」 「よらないで!! ・・・あなたたちにかかわると みんなふこうになるの」 「そんな!! そんなのって」 「うるさい!!・・・わかったらもうかえってちょうだい」 れいむは言葉を飲み込んで背を向けた。 石は飛んで来なかったが刺すような視線が痛かった。 やはり笑い声は聞こえていた。 その日も夢を見た。 代わり映えのしない内容だった。 そうして朝は来る。望まなくても時は流れるのだ。 もはや挨拶もなく、もそもそと食べ物を飲み込んでいく。味はよくわからなかった。 そうして食事を終え皆で狩りに出る。 擦れ違うゆっくり達は目も合わさず道を譲る。 遠くの方で声が聞こえた。 また誰か死んだのだろうか。 そうして日が暮れ食事を摂り寄り添いあって眠る。 その日も夢を見た。 夢では無くこちらが現実なのかもしれない。 朝。 食事を取り機械的な一日が始まる。 ゆっくりが減った。また死んだのか。 或いは群れを離れて行ったのかもしれない。 どうでもよかった。 夜はいい。 何も考えないで過ぎてゆく。 ただやはり耳は邪魔だと思う。 朝。 食事を取りに外に出る。 そこにはゆっくりの姿は無かった。 静かになって良かった。 この日は懐かしい夢を見た。 赤ちゃんが生まれた時のこと。 群れのリーダーに選ばれたこと。 初めて孫が出来た時のこと。 そして最後に黒い影が笑っていた。 朝。 れいむの瞳からは二筋の雫が流れていた。 今日も食事を摂り何をするでもなく時間を過ごす。 それはいつまでも続くはずだった。 「ゆぎゃあああああぁぁぁ!!!??」 突如としてまりさの悲鳴が響く。 何事かと振り返るとその体には黒山のようにネズミ達が群がっていた。 「やめてねネズミさん!! ゆっくりまりさをたべないでね!!」 「れいむなにいっでるのおおお!!? へんなごどいっでないでだずげでよおおぉぉぉ!!!」 れいむの呼びかけも虚しく徐々に解体されていくまりさ。5分もする頃には帽子だけを残し綺麗に消えてしまっていた。 「ゆ・・・ゆわあああああああああ!!!」 れいむは走った、決して振り返る事無くただガムシャラに走った。 家に駆け込むと扉を固く閉じ、ただ静かに涙した。 そうしてうつむいて咽いでいるとあるものに気付いた。それは床に打ち捨てられた子供達の髪飾りだった。 その夜、影達はれいむを囲うように整列していた。 ブスブスと燃えるような音を立てて影が剥がれていく。れいむは静かにそれを見つめていた。 そうして現れたのまりさだった。元気な頃のあの笑顔でれいむを見つめている。 隣には末娘のちびちゃん。屈託の無いその微笑みが胸に刺さる。 そうして次々と姿を見せるのは亡くなったはずのゆっくり達。 皆が皆、温かい笑みを浮かべてれいむを歓迎している。 やはりそうだ。あれは悪い夢だったのだ。 ようやく私は悪夢から目を覚ますことが出来たのだ。 「みんな!! ゆっくりしていってね!!」 れいむの呼びかけに答えようとゆっくり達は大きく口を開く。 その瞬間、口の中から数え切れない程の何かが飛び出しれいむの体に齧りついた。 「ゆっぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!???」 飛び出したものの正体、それは真っ黒なネズミだった。 餡子で染めたような真っ黒な体に、まるで吸血鬼のような牙と真っ赤な瞳。 それがれいむに覆いかぶさり容赦なくその体に牙を立てていく。 「やめで!! やめでぐだざいいいぃぃぃぃ!!!」 必死の懇願も虚しく黒い塊に飲み込まれていく。 そうしてれいむを散々いたぶったネズミ達は最後の仕上げに入る。 「あぢゅぢゅ!!? あぢゅいいいいいいいぃぃぃ!!!」 ぢゅるぢゅるとれいむの体に何かを注ぎ込んでいく。まるで餡子が溶けるようだった。 次第にその体は膨らんでいき、やがて倍程の大きさになる頃にはその皮はパンパンに張っていた。 「ゆっぐりゆるじ、おぼぶ!!? おごごごごごごggggggg」 白目を剥き出しにし、ビクビクと痙攣しながら泡を噴水のように吹き上げるれいむ。 「うーうー」 そうして噴水の中から這い出してきたの真っ黒な体のネズミだった。 朝。 眩しい日差しが一日の始まりを告げる。 鳥達のさえずりは澄んだ風に乗り、緑色の森中に響き渡る。 そこには誰も居なかった。 「そういや最近あいつら見ないな。引越しでもしたんかね?」 首を傾げる男の前には空っぽの巣穴が広がっていた。 その奥にはボロボロの帽子が横たわっていた。 うーうー どこからかネズミの泣き声が聞こえた。 終わり 作者当てシリーズ* このSSに感想を付ける