約 632,103 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/424.html
注意! 虐待お兄さんが幻想郷で原作ゲームをプレイしています。 原作ネタあり。 嘔吐表現あり。 ふらん贔屓ぎみ。 俺設定ちょいとあり。 あまり直接的ではないけど性的表現あり 某SSより、「だめりゃ」という呼び方をお借りしております。 「だめりゃ」という呼び方を考えた方にこの場を利用して感謝します。 俺はれみりゃ種のゆっくり(体付き)を飼っている。 こいつはいじめる理由を作るためにわがままに育ててやっている。 もしれみりゃがプリンくれといえばきちんとやる。 ダンスを見ろといえばきちんと見てやる。 そんな感じで甘やかす。 それを一ヵ月ほどそんな生活をすればわがままなうざりゃになる。 次はいじめだ。 一度きりの楽しみを味わいたい時は殺しちゃうし、 長く楽しみたい時はじっくりといじめる。 いろいろある。 死んだらまた飼い、死んだらまた飼いを繰り返す。 まあそんなことはどうでもいいが、こういう風にわがままにすると大変な事になる。 それはある日。 俺は東方文花帖をプレイしていた。 どうしてもクリアできないシーンをクリアするべく努力していた。 そしてあと一枚、と言う所でうざりゃがドアをあけ、部屋に入ってきた。 「れみ☆りゃ☆う〜☆ぷっでぃ〜んくれどぉ〜♪」 そこで俺の中で何かが崩れた。 ピチューン! あっ、やべぇ、被弾した! バッチーン!! れみりゃを力いっぱいぶった。 顔がぶっつぶれててブサイクだ。元からだけど。 「いだいどぉ〜!ざぐやにいいつけるどぉ〜!!ざぐやー!ざぐやー!!」 ほらこうなると思った。 「お前のそういうところが嫌いなんだよ!!なんならまたやられたいか?」 「ぶー!ぶー!どぼちでぞんなごどいうんだどぉおおお!ぶだだいでー!!えびりゃをぶだだいでー!!!」 うっわきも。 バッチーン!! 「ぶだだいでっでいっだのにー!!!!」 「れみりゃ。それはお前がプリンくださいって言えないからだ。」 「ぷっd バッチーン!!! 顔が本格的にやばくなってきた。うっわ、何これw 「おでがいだがらえびりゃでぃぶっでんぐれー!!!」 さっきまでは軽いいじめだったからレベルを上げようか。 肉まんの頭を掴み、ぶんぶん振り回して床に投げつける。 名付けて、鬼神「飛翔豚うざりゃ」!! マヨヒガの黒猫さんごめんなさい。 さあ、実際に実行しようかな。 頭をぐいっと掴んだ。 「いぎゃあああああい!!えびりゃのぶりぢーなあだまがあああああああ!!!!」 そしてぐるぐる振り回す。 「やべでえええええ!!!ぎぼぢわるいいいいいいいい!!!」 そして床へグシャッ! 「もうゆるじでぐだざいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」 まだまだ! 次は家にあったダンボールを山田が持ってた棒みたいなのの形に切り、 口の奥に突っ込む。 「えいっ!」 「ぐふぇっ!いだいでずううううううう!!!やべでよおおおおおおお!!!」 「やべてじゃなくてやめてくださいだろうがこの身のほど知らずが!」 「うぐっ!はぎだじぞうなのおおおおお!おげぇえええええっ」 なんか吐き出した。 幸い、古い肉だったので、人間のほど酷い匂いはしない。 次はそれに顔を押し付ける。 「おら!飲めよ!!てめえが吐き出したんだろうが!!きれいにしやがれ!!!」 「いぎゃだぼおおおお!」 此処は幻想郷だ。日本語を喋れ。 「舐めろ!!ほらほら!」 「だべだぐだいどぉおおっ!!!」 ぐしゃっ!! 顔を確認すると、肉と涙と涎でぐっちょぐちょになっている。 「いだいでずぅ!!だべでぎれいにじばずどでやべてぐだざいいいい!!」 5分後… 「おせぇよこの肉まん!」 バシンッ!! れみりゃの尻を叩く。 「いだいでずぅっ!!いぞぎまずがらだだがないでぐだざいいいいいいいい!」 1分後… 「まだ終わらねぇのか?このウスノロだめりゃ!」 バシンッ!! 「いだいぃっ!おばりばじだぁっ!!!」 「おせぇんだよだめりゃ!!」 ビリッ だめりゃの服が破れた。紙みたいだ。 「えびりゃのぶりぢーなおべべがあああああ!」 ばばくさい服をぶりぢーとかセンスなさすぎ。 そしてまだ喋るか。 よし!鬼神「飛翔豚うざりゃ」の刑だ! 今度は帽子を剥ぎ取った。 「えびりゃのぎゅーどなおぼーじがああああああああ!!!!!」 髪を掴む。 「えびりゃのらぶでぃーなへあーがあああああっ!!!!!!!!」 床へ激突。 「…………うぐっ!いだいどぉー!」 さるのちゃんよりバカだなぁwwww まあ今日はこの程度にして置くか。 次の日。 「やあおはよう。調子はどうだい?ウスノロだめりゃちゃん。」 「うすのろだめりゃじゃないどぉー!!さくやにいいつけるどぉー!さくやー!!!」 泣き出した。俺何かした? 「うずのどだめりゃっでいっだー!!!ざぐやー!」 「うるせぇな!!」 バシィン! いい音がした。 「うわああああああああああああああん!!!!!!!!!!」 うわ、うるっさいなw 「ふらーん。おいしいおいしい肉まんがあるぞー!!」 ガチャ 「………たべる」 そうだ。昨日からウスノロだめりゃを閉じ込めてる部屋のドアの近くにふらん(体付き)を待機させておいたんだ。 ブチッ 「う゛ああああああああっ!えびりゃのがわいいおばねがああああああ!!!」 「はいよ、ふらん。」 「…………うすのろだめりゃまずい」 「そう。ならいい。口直しに水やるよ。」 あれ?ウスノロだめりゃが…? がわいいおばねが再生してる…? そういえば何か聞いた事があるぞ。 うざりゃ種は身体を再生できると。 コレなら死なない程度に引き千切れば死ぬ事が出来ない苦しみを味わわせることができるし、 ふらんの餌にも困らなくて済む。 一石二鳥だ。わーい。 まあそんな事はどーでもいいや。 「さぁ、可愛い可愛いゴミクズのウスノロだめりゃちゃん。」 「もうゆるじでぼじいどぉー…のうざづだんずおどるがらぁ…」 「はぁ?そんなもの見て何になるっていうんだどぉ?w」 おちょくってみた。 「いいがらざっざどみるどぉ!!!」 ブチッ 「えびりゃのぎゅーどなおででがああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 「ほい、ふらん」 「…………うすのろだめりゃおいしい」 「そうか。これからは羽は食わせない。」 そして俺はふらんと一緒にウスノロだめりゃの再生を待つ。 「よし、再生したし、ふらん、かかれ!」 「ゆっくりしね!」 ふらんはウスノロだめりゃに襲い掛かった。 「うぎゃああああああああ!!ぶらんぎゃめでぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」 しばらくすると、ウスノロだめりゃの頭から何かがはえてきた。 そしてれみりゃ(頭のみ)数匹がそれにくっついている。 そしてもう少し経つと、それらが落ちてきた。 「うー♪」 「れみ☆りゃ☆うー☆」 正直、ガキのみは愛らしく思えた。 ちゃんとしたれみりゃの子だったら素直に可愛く思えたのに、 あのウスノロだめりゃから生まれたガキだから。 可愛らしさに混じって憎らしさがある。 踏み潰したい。 そう思ったときはもう終わっている。 「いぎゃあああああああああああ!!!!えびりゃのぎゅーどなあがぢゃんがあああああああ!!!!!」 「うるせぇよ」 グシャ 完全に喋らなくなった。 死んだな。 「ふらん、全て食っていいぞ。」 さて俺はまた新しいれみりゃを買いに行くかな。 新しいいじめをするために。 Fin. どうでもいいあとがき。 今回初めてSSを書いてみました。 私はゆっくり全般見ててムカつくのですが、特にれみりゃ種ですね。 れみりゃ種は我侭だし悩殺ダンスが何だかー…で見ててムカムカしますね。 まあそういうのは個人の自由ですがね。 ではまたSSを書く機会があったらお会いしましょう。 by.肉まん屋
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/353.html
自分は叔父に呼ばれ彼の家に行くことになった。溜息が漏れる 正直叔父の事は好きではない。人間的に彼が嫌いと言うわけではない。多少変人な所を除けばいい人だ。 腕を組んで考え込んでるうちに叔父の集落に着いた。 叔父の家は四方を生け垣に囲まれて大きな邸宅と蔵を何個も建ててるこの集落でも一番大きさだ。 何でも製菓業でひと山あてたとかで羽振りがいいらしい。なんとかの加工場に出資してるとか… 家の前で掃き掃除をしている下女を捕まえて用件を伝える。母屋の中で待つように言われたので 屋敷の中に案内された。客間に通され待ってる間は適当に出された茶を啜りながら調度品を眺めていた そうしていると勢いよく襖が開けられ威勢のいい声をあげて叔父が入ってきた 「よっ、待ってたぞ坊!最近会っとらんかったなぁ!本家の様子はどうだ? お前にコレとかできたか?そうだ、分家のバァさんまだくたばっておらんか?」 叔父は次から次へと話を変えるので何を言ってるか理解するのに時間がかかる これも叔父が変人と言われる由縁の一つであるが、こんなの可愛いものである 「そうそうお前に実は見せたいもんがあってな!オイ!だれか書斎からすぐにアレもってこいアレ!」 しばらくすると使用人の一人が小走りでこちらへ来る音が聞こえた。部屋に入る使用人が両手でようやく 抱えられるほどのかなり大きな本を持って入ってきた 「今日お前を呼んだのはなコイツを見せる為なんだ」 自分は天を仰ぎ露骨に表情を歪めて見せた。叔父は全く意に介してないが.... 叔父が変人と言われる最大の理由は蒐集家…ただの壺とかならまだ良いだろう 彼が集めるのは処刑道具やら曰くつきの異国風の恐ろしげな絵やら、誰も飾っておきたくないような物を集めるのが好きなのだ。 子供の頃叔父に女性が火に焼かれて苦悶の表情に顔を歪めてる絵を見せられて未だにトラウマとなっている 「安心せい坊、こいつはお前でも気にいると思うぞ」 そういって持ってきた書物を開いてみせた。 「どうだ凄いだろ!」 のぞいてみると....何ととんでもない物がそこにあった! 思わず叫び声をあげて飛びのいてしまった 肌色のひらべったい布みたいなものが本に透明な膜を被せられて張り付いていた。 数か所に大小の穴がついていた。何か見覚えがある... これは....の顔面の皮だ。つまりデスマスクと言うやつだ 「ハーッハッハ驚おきおったな。よく見てみな、ホレ」 叔父が促すので恐る恐るのぞく,,,,しかしよく見たら人のデスマスクではない。 有るべきはずの人間の鼻の穴がないし、それに人間にしては顔の造りがおかしい。それに間近で見ると人の皮ではない 「こいつはゆっくりのツラの皮だ。本当の人間の物なんぞいくらワシでも集めるのは無理だからなハッハッハ!」 確かにこれはゆっくりの皮だ。ご丁寧にリボンもそえてあり、それがゆっくり霊夢の物であることがわかった 「コイツはゆっくりの加工場で死んだ奴の皮を譲ってもらった奴だ。なかなか迫力があるだろ」 パッとみれば本当に人の皮かと思える程だ。その皮には目を見開いていて死に際の苦悶の表情がたたえられており今にも喋りだしそうな迫力だった 「こいつは生きたまま中身の餡を抜かれて死んだ奴の顔だ。まぁこいつはほんの序の口だ。こいつなんてどうだ」 ページをめくるとそこにはさらにおぞましい様子の物があった 最初はは判別がつかなかったが、しばらく見てると顔面が異様に歪んでおりまるで別の生き物様に見える 「これはプレス機に潰されたもんだ。中々良い顔してるだろ」 他には小さな潰れた子供の皮の横に目の部分だけがふやけた苦悶の表情を浮かべたゆっくり魔理沙の顔 とても信じられないと言った表情で泣き叫んでいる時の様子のゆっくりれみりゃの顔 ページを一面に広がっている物は水を吸って広がったゆっくりパチュリーの顔だ どこかだらしない表情を浮かべてているのは発情中のゆっくりアリスを殺した物 初めのうちは嫌悪感を持っていたのに、この世の物と思えない顔をしているゆっくりの表情に自分の意識が吸い込まれるような感覚がした ページを開きながら、デスマスクの解説をする叔父の語りはヒートアップしている。 そうこうしてる内に日が暮れるまでそれを自分は見ていた 「おや!もう夕方か。そろそろ帰らんと危ないな。いやぁ~スマンスマンついつい語りん込んでし回ったワイ。もう遅いし今日は泊まってくか?」 自分にも稼業があるので休むわけにはいかない叔父に丁重に断って帰る事にした。それに歩いて行っても暗くなるまでには帰れるはずだ。 帰り道に何で残酷なものが苦手な自分がこんな時間になるまで見れたのか不思議に思った。 そういえば昔男なのに押し花に嵌まってた事があったのを思い出した 押し花は作ってってしまえばその美しさは永くに残る 同じ花でも一つ一つが別々の美しさを持っていた。 ゆっくりも死に際によってみせる表情は様々だ。 今まで厄介者として潰していたが、できるだけ苦しませて死なせたらどんな表情を遺すだろう... そう考えると居ても立っても居られなくなった。そうだうちの家の周りに野生のが何匹かいたな....
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4678.html
(前編から) 「きゃっ!?」 メイド長のナイフを引き抜き、門番を縛っている縄を切る。 支える物を失った門番は、重力に引かれて地面に落ちた。 「………!? あ、ありがとう…」 門番が落ち着くのを待ってから話を切り出した。 「……………」 「な、何よ…?」 「………っ!!!」 「えっ、えっ、え…っ!!?」 俺の姿が突然消えて門番はうろたえている。 俺がどこに姿を消したのかと言うと…。 門番の足元だ。 「頼む、俺を弟子にしてくれっ!!」 「えええええええええっ!!?」 「え~と…、つまり私の技を教えて欲しいのね?」 「ああ、頼む!」 「そもそも、何でドスまりさに勝ちたいの?」 「……………。 あいつは俺が倒さなきゃいけない…、気がする。 だが、今のままでは勝てないんだ…」 「ふ~ん? 何があったのか知らないけど、随分真剣なのね」 「奴を倒す為には、今までの様に唯殴りかかるだけじゃ駄目だ。 あんたの動きとよく似た、奴の舌を使った拘束を回避しないと…!」 「でも私はドスまりさと戦った事なんて無いわよ?」 「だが、あんたの動きの流れがドスのそれと同じだったぞ?」 「変ねぇ…。 れみりゃとだったらよく戦うんだけど…」 「………! それだ、それだよ!」 「えっ、何!?」 「自分なりに敗因を考えていたんだが、どうやら奴の動きのリズムに何かあるらしい。 恐らく奴のゆっくりとした動きのテンポに合わせられなくて捕まれていたんだよ!」 「それと私にどんな関係が?」 「俺はゆっくり相手に格闘する事は無いが、あんたは頻繁にれみりゃを虐めてないか? あんたにはゆっくりのゆっくりとした動きが身に付いているんだ!」 「失礼ね! あれは“虐め”じゃなくて“可愛がり”よ!」 「ともかく、あんたと戦う事で、あんたの技と奴等のテンポを会得したい! 頼む、俺に出来る事なら何でもするから、俺と戦ってくれ!」 「そこまで言うなら…。 でも、報酬は高くつくわよ?」 「任せろ、何だったら彼女に強引に買わされた宝石とか鞄を質に入れても良い!」 「それはどうかと思うけど…」 どんな条件を提示するか門番は考え込む。 「……………! そうね、あなた加工所職員だったわよね?」 「ああ。 何だ、徳用甘味セットでも持って来ようか?」 「そうじゃなくて、ゆっくりが欲しいのよ」 「ゆっくりが? どんな種類のゆっくりだ? レアな種類でも探して持ってくるぞ!」 「じゃあ、ゆっくりさくやをお願いするわ」 「さくや種を?」 「見ての通り、ここ紅魔館には胴付きゆっくりれみりゃが住み着いているわ。 咲夜さんがどこからか連れてきた一匹が、繁殖したり仲間を呼んだものなんだけど、 残念ながら付き人(ゆっくり)がいないの。 折角“おぜうさま”として生まれたんだから、“めいど”も用意してあげたいのよ」 「……………」 何となく、門番の真意は別にある様な気がした。 まさかとは思うが、メイド長に怒られた鬱憤を、さくや種で晴らそうと言うのでは…。 「分かった。 加工所で余っている奴がいないか調べてくる。 もしいなかったら捕まえてくる事になるがそれでも構わないか?」 「それで良いわよ」 「よし、交渉成立だな」 「…で、いつから特訓を始めるの? 今からでも良いけど、 人間のあなたがいつまでも紅魔館の近くにいるのはお勧め出来ないわよ?」 「もう日が暮れてしまうし、今日は帰る事にするよ。 まず加工所に戻ったら在庫を確認して、それから報告に来るから、その時からで頼む」 「分かったわ。 なるべく元気の良い奴を選んでね」 俺達はお互いの予定を調整し、門の前で別れた。 心なしか足取りも軽くなった気がする。 空になった運搬用の台車を引きながら俺は加工所へと急いだ。 「ん? 今、箱が動いた様な…?」 空箱の中に何か入っていたのだろうか? 道の起伏で揺れただけだろうと判断して、俺は忘れる事にした。 俺が加工所に帰り着いた時、辺りは夜になっていた。 当然加工所の営業は既に終了しており、流石に彼女も帰っているだろう。 俺は倉庫に台車を戻す為に、受付の警備員に帰還を報告する。 「遠くまで配達ご苦労様でした。 警備室で鍵を管理していますので、付いて来てもらえますか」 「分かりました」 話しながら、俺は以前忍び込んだ時に出会った相手だと気付いた。 以前の泥棒騒ぎで加工所の警備体制が強化され、 今は常に二人一組で警備員を配置している。 よく見れば、受付に残る方も以前警備室で出会っていた。 「以前の泥棒騒ぎ、大変でしたでしょうね」 「そうですねぇ…。 でも、お恥ずかしながら、僕は居眠りしていたみたいで…。 泥棒の仕業という事になってお咎めは無かったんですが、 大事な本もその騒ぎでどこかにいってしまったんですよね…」 「そうですか…。 それは災難でしたね」 「まぁ、居眠りの罰として諦めるしかないんでしょうね…」 受付に残った奴が持ってるんじゃないかと思いながら、 俺は警備員に付いて行った。 犯人は俺なので何となく気が咎める。 警備員に倉庫の扉を開けてもらい、台車を空箱ごと適当に放り込む。 整理等の細かい作業は明日出勤してからやれば良いだろう。 「それじゃあ俺は帰りますね。 ご苦労様でした」 「お気をつけて」 俺は疲れた体を休める為に一路自宅へと向かった…。 一夜明けて…。 俺は目の前の光景に頭を悩ませていた。 「な、何があったんだっ!!?」 朝少し早めに出勤した俺は、昨日の後始末の為に真っ先に倉庫に向かった。 台車等の道具を保管する倉庫の為、元々大した物は置いていないのだが、 それでも積んである物を崩せば酷い事になる。 そして、それを招いたであろう容疑者が俺の足元で騒いでいる。 「うあ~、おなかすいたどぅ~! はやくぷっでぃんをもってくるんだどぉ~!!」 「な、何でこんな所に胴付きれみりゃがいるんだ!?」 確かにここは加工所だから、逃げ出した奴が紛れ込んだのかもしれないが、 閉鎖状態だった倉庫に忍び込む事は不可能に近い。 第一昨日台車を戻した時には何もいなかった筈だが…? とりあえず、このれみりゃから情報を聞きだすとしよう。 泣き叫んでばかりで埒が明かないので、廃棄予定の不良品を与えて黙らせる。 「あまあまおいしいどぅ~! でもれみりゃはぷっでぃんがたべたいどぅ~!」 「質問に答えたら、考えてやらなくも無いぞ」 「う~、やくそくだどぅ~! ぷっでぃん、ぷっでぃんだどぅ~! れみりゃはこうまかんのおぜうさまだから、 うそついたりしたらさくやがだまってないどぅ~!」 何と言うか、この上なくウザイ。 その上とても読み難い。 漢字表記だけどひらがなで喋っている事にしようかと思うくらい難解である。 ついつい潰したくなってしまうが、情報の為にここは我慢だ。 「それで、お前は何でこんな所にいるんだ?」 「う~、わかんないんだどぅ~! おしえてほしいんだどぉ~」 まさかの質問返し! 聞きたいのはこっちの方だ! 「じゃあ、お前はどこから来たんだ?」 「れみりゃは“こうまかん”にすんでるんだどぉ~」 「………?」 何となく引っ掛かる話だ。 れみりゃ種は自らの住処を“こうまかん”と呼ぶのだ。 こいつも自分の巣の事を言っているのかもしれない。 「なぁ、お前の巣はどこにあるんだ?」 「“す”じゃないんだどぉ~! “こうまかん”だどぉ~!!」 「分かった、分かった! …で、その“こうまかん”とやらはどこにあるんだ?」 「おっきなみずうみのなかのしまにあるんだどぉ~!」 それはまた、ご大層な場所に作ったものだ。 これによって、こいつが加工所から逃げ出したものではなくなった。 「まっかなおやしきで、まっかなみちがあるんだどぅ~!」 「ふぅん…、ゆっくりのくせに中々立派な巣だな」 少し…、いやかなりセンスを疑うがな。 「やしきには、さくやもいるんだどぅ~!」 「ふむふむ、それは良い事を聞いた」 そいつを捕まえれば、門番への手土産に丁度良いだろう。 「ほかにもれみりあやめいりんもいるんだどぉ~!」 同種やめーりん種まで一緒に住んでいるのか。 意外と大きな巣なのかもしれないな…。 「良く分かった。 じゃあお前は、そこからどうやってここまで来たんだ?」 「わかんないんだぉ~! きがついたらここにいたんだどぉ~! ここはくらくてせまくてつめたくてしめっててちらかっててほこりっぽいんだどぉ~! うぁ~~~ん、ざぐやぁあ~~~!!」 「あぁ、もう! 響いて煩いから静かにしてろっ!!」 散らかっていて埃っぽいのはこいつのせいもあると思うのだが…。 「なら聞くが、お前はここに来る前は何をしていたんだ?」 「う~? う~! たしかめいりんとけんかしていたんだどぉ~!」 喧嘩? すると仲間割れでもして逃げて来たのか? 「れみりゃはぐんぐにるでめいりんをつきさそうとしたんだどぉ~! でも、めいりんはぐんぐにるにあたってくれなかったんだどぉ~!」 「そりゃまぁ、幾らゆっくりでも自分から刺さりに行く馬鹿はいないだろうな」 しかしまぁ何だ…、“当たってくれない”とは凄い言い様だな…。 「れみりゃはがんばったんだけど、つかれてしまったんだどぉ~! それできにぶつかってめいよのふしょうをおったんだどぉ~!」 「そうか、良く頑張ったな」 一般的にそういうのを自爆と呼ぶ。 「めからほしがでたんだどぉ~! それでじめんにたおれこんでしまったんだどぉ~!」 「よっぽど打ち所が悪かったんだな」 そんなので、よく今まで生き残れてきたものだ。 「きがついたらゆうがただったんだどぉ~! おなかがすいていたからごはんをさがしたんだどぉ~! そしたらちかくからいいにおいがただよってきたんだどぉ~! れみりゃはそのにおいのするはこにはいったんだぉ~! はこにはあまあまがはいっていたどぉ~! おなかいっぱいたべたら、なんだかねむくなってきて、 そのままはこのなかでねむってしまったんだどぉ~!」 「………? ちょっと待てよ…?」 「ぐっすりねむって、めがさめたらここにいたんだどぉ~!」 「おい…、それって…!?」 「さみしくてこころぼそかったから、ついあばれてしまったんだどぉ~!」 最悪のシナリオが展開している! 「ま…、まさか俺なのか…? この惨状の原因は…!」 「おれ~、さんじょう~? いったいなんのことだどぉ~?」 「と…、とりあえず、こいつは檻にでも入れて、誰かにばれる前にここを片付けて…」 予想外の自体に、俺はどう対処するべきか迷っていた。 もしこれが彼女にでも見つかったら、俺の人生がクライマックスだ! だが、運の悪いことにそこへ…。 「ちょっと! 何よ、これっ!?」 「ひぃいっ!!」 最悪の相手に見つかってしまった。 色々事情があったとはいえ、俺の帰りが遅くなった事と、 帰って来てから直ぐに会いに行かなかった事にも腹を立てている様だ。 「いつまで経っても顔を見せないから、何処にいるのかと探してみれば…!」 「ゆ、許してくれ! 直ぐ終わらせて会いに行くつもりだったんだ!」 「こんな所に胴付きれみりゃを連れ込んで、一体何をするつもりだったの!!?」 「そっちかよ!!?」 とんでもない誤解をされていた! 「うあ~! れみりゃ(のふくがほこりで)よごれたどぉ~!」 「なっ、何ですってぇええええええ!!?」 「お前も自体をややこしくする様な事を言うなぁあああああっ!!」 完全に彼女の怒りのメーターが振り切れた様だ! もし、感情を目視できたとしたら、真っ赤な背景に“怒”と表示されているだろう! 「このHENTAI野朗ぉおおおおっ!!!」 「ちょっ!? くっ、苦しいっ!!」 今にもオーバーヒートしそうな位怒っている! 彼女が鳥の翼の様に両手を広げたかと思うと、俺の首を絞め始めた! 「ぐぉっ!? ………っ!!」 「このまま永遠にゆっくりしなさいっ!!!」 「お…、落ち…着け…っ! こい…つは…、プレ…ゼント…だ…っ!!」 「プレゼントッ!?」 咄嗟の思い付きだったが、彼女は思い止まってくれた。 首締めから開放されて、俺は思いっきり空気を吸い込む。 「げほっ、ごほっ! はぁっ! はぁはぁはぁ…っ!!」 「どういう事か説明しなさい! 最期のチャンスよ!! 口から出任せだったら、それが辞世の言葉になるわよ!」 まさにその通りなのだが、“最期”と言われて必死に酸素の行き届かない頭で考える。 「そいつは紅魔館に住んでいたれみりゃだ! キメラ丸の脱走で実験が中断したから、代わりにこいつを貰ってきたんだ! 胴付きは突然変異みたいなものじゃないか!」 「えっ、ええっ!? そうっだったの!!? わ、私はてっきり、あなたがHENTAIだったんだと…」 「そんな訳あるか!」 「そ、そうよね…。 私はあなたの恋人なんだし…」 「だったら少しは俺の事を信用してください…」 何とか誤解を解けた様だ。 「でも…、私の為に紅魔館から貰ってきてくれるなんて…」 「少しでも慰めてやりたくてな…」 柄にも無く顔を真っ赤にして照れたりしている。 ちょっと(かなり?)厳しいけど、こういうところが可愛いんだよな…。 「でも、一つだけ間違ってるわよ。 胴付きは突然変異の一種だけど、分類は進化に近いの。 勿論最初の個体は突然変異で生まれたんでしょうけど、 より優れた能力を獲得した、ゆっくりの新たな種族として扱うべきだわ。 まだまだ勉強不足の様ね…」 「精進します…」 こういうところが無ければ良いんだけどなぁ…。 彼女との一悶着が終わったので、 それまで彼女の希薄に気圧されて黙っていたれみりゃが再び騒ぎ出した。 「うぁ~! れみりゃはおなかがすいたんだどぉ~! ちゃんとしつもんにこたえたんだから、やくそくのぷっでぃんをよこすんだどぉ~!」 「何? そんな事を約束してたの?」 「うぁ~! ぷっでぃん、ぷっでぃん、ぷっでぃん~!!」 「おい、自称こーまかんのおぜうさま!」 「うぁ?」 「俺は“考えてやる”とは言ったが、一言も“食べさせてやる”とは言ってない」 「うっ、うぁあああああああああ! ぷっでぃいいいいいん!!」 「響いて煩いから静かにしなさい」 「うあっ!!?」 彼女の鋭いボディーブローでれみりゃは一撃で静まり返る。 もしかすると、彼女が加工所最強なのかもしれない…。 「さて、大事なあなたからのプレゼントだし、しっかり研究しないとね」 「あー、そいつに関してちょっと条件があってな…。 実はゆっくりさくや種と交換するって約束なんだ。 もし研究用の奴が余ってたら、一匹分けて欲しいんだけど…」 「大方そんな事だろうと思ってたわ…。 紅魔館のメイド長が主人以上に大事にしているって聞いた事あるもの。 ちょうど繁殖用に何体か届いたから、そこから持って行って」 「助かったよ。 もしいなかった、野山を探し回る羽目になってところだった」 「もう少し計画的に話を進めなさいよね…」 倉庫の片付けを終えてから、れみりゃを連れて彼女の研究室に向かう。 彼女は早速れみりゃの研究に取り掛かると言って、奥に引っ込んでしまった。 話し相手がいなくなってしまい、どうしたものかと考えていると、 貝殻まりさが話しかけてきた。 「ゆっ! おにいさん、おかえりなさい!」 「よぉ、貝殻まりさ。 元気にしてたか?」 以前の泥棒騒ぎ以来、こいつはずっと水槽の中にいる。 溺れたり溶けたりしてはいないが、水を吸って膨らんでいる。 暫くぶりに見たが、今では水槽の3割はこいつの体で占められているではないか。 「おにいさん、おでかけしてたっておねえさんにきいたんだけど、 いったいどこにいっていたの?」 「ああ、ちょっと紅魔館に配達にな…」 「こーまかん? なにそれ? ゆっくりおしえてほしいよ!」 「えーっと…、紅魔館ってのはな…。 大きなお邸…、いや…、お前ら風に言うと巣だ」 「ゆ! とってもおおきなすなんだね! そこにはだれがすんでいるの?」 「邸…、巣の主人はレミリアという妖怪だ」 「ゆっ!? れみりゃはゆっくりできないよ!!」 「落ち着け、ゆっくりれみりゃ種じゃない。 吸血鬼のレミリア=スカーレットだ。 …と言っても理解できないだろうから、そう思ってても良いぞ。 お前らがれみりゃを恐れる気持ち…、俺も似た様な状況でゆっくり理解したからな…」 「ゆぅう…? れみりゃだけどれみりゃじゃないの…? むずかしくてりかいできないけど、おにいさんもこわいおもいをしたんだね…」 「ああ、思い出すのも嫌な位のな…」 「ほかにはだれかすんでいないの?」 「多くのメイド達や居眠り門番娘に瀟洒なメイド長、病弱そうな少女もいたな…。 他にも誰かいそうな気がしたが…、よく分からん」 「いっぱいすんでいるんだね! とってもたのしそうだよ! そのひとたちはおにいさんなの? それともおねえさん?」 「俺が会った限りでは全員女性だったな…。 よくよく考えてみれば、結構凄い所に配達に行っていたんだな…」 その“凄い”には、一部を除いて妖怪だらけという事も含まれる。 今考えても、あんな恐ろしい所からよく生きて帰って来れたものだ…。 尤も、そこに戻って武術を習おうとしているのだから、 冷静になって考えると少し後悔している。 「おにいさん、せっかくかえってきたんだから、まりさとゆっくりあそんでね!」 「いや、悪いがそんな暇は無い。 俺はこれからまた紅魔館に戻らなければならないんだ。 悪いがまた暫く帰ってこないから、彼女にでも遊んでもらえ」 「ちょっとざんねんだよ! でもまりさはゆっくりまってるよ! かえってきたらまりさとゆっくりあそんでね!」 「ああ、考えておいてやる」 適当にあしらってその場を去る。 早く門番に技を教えてもらいに行かねば…。 あいつの技と動きを見につければ、俺はあのドスを倒す事が出来る。 その事を考えると、自然と笑みが浮かんでしまう。 俺は職員から門番との約束の繁殖用のさくやを受け取り、再び紅魔館へと向かった。 「あら? 彼はどこに行ったの?」 「おにいさんはこーまかんにいったよ!」 「ふーん…、随分慌しい出発ね」 「おにいさん、しばらくかえってこないっていってたよ!」 「あら、私にはそんな事一言も…?」 「それでね! まりさ、おにいさんにゆっくりおしえてもらったよ! こーまかんっておねえさんがいっぱいいるんだって!」 「へ…、へぇ…」 「おにいさん、なんだかうれしそうにしていたよ! よっぽどかわいいおねいさんたちなんだね!」 「そう…、なの…?」 「まりさ、ゆっくりりかいしたよ! こーまかんは“おんなのその”なんだね! おにいさんはおんなのひとたちにあいにいったんだね!」 「……………」 「まりさもいろんなゆっくりとゆっくりしたいよ! おにいさんばっかりずるいよね!」 「ええ、そうね…。 とってもずるいわね…。 ずるい子にはお仕置きが必要よね…!」 「ゆ? おねえさん、どうしたの?」 「うふふ…、何でもないわ…よ?」 加工所に戦慄が走る! この日、加工所のゆっくりは何かに怯えてゆっくり出来ない一日を過ごした…。 ~おまけ~ お兄さんが紅魔館に配達に行っている時のお話です。 その頃、お姉さんは加工所で何をしていたのでしょうか…? 「主任、遺伝子分析の結果が出ました」 「ご苦労様。 そこに置いておいてもらえる?」 実験対象のキメラ丸に逃げられてしまい、お姉さんはちょっとイライラしています。 我らが主役のお兄さんにしか辛く当たらない事に決めていますが、 やはり滲み出る怒りのオーラは隠し切れず、近づく者に恐怖を与えます。 怯えた研究員は、報告書を置くと振り返りもせずに出て行きました。 「何も逃げなくても良いじゃない…!」 その言葉の対象は、果たしてキメラ丸なのか、研究員なのか…? 「それで、どんな結果が出たのかしら…?」 お姉さんは報告書の隅から隅までじっくりと目を通します。 報告書には前回キメラ丸から採取した組織片の遺伝子の分析結果が載っています。 この世の物とは思えない奇怪な姿をした生物の遺伝子とは一体…!? 「何これ…!?」 最後まで目を通してから、一度深呼吸します。 少し気持ちを落ち着けたら…。 「ちょっと!! こっちに来て詳しく説明しなさい!!!」 少しも落ち着いていませんでした。 突然の怒声に慌てて研究室に飛び込んでくる研究員。 可哀想に、一息吐こうと入れたお茶を溢してしまった様です。 「あのね、誰が蛇や鹿の遺伝子の分析をしろと言ったの!? 私が頼んだのはキメラ丸の遺伝子の分析よ!?」 「い、いえ…、それがですね…」 「何!? 口答えするつもり!?」 「そ、そんな事は…」 「まさか、こう主張するんじゃないでしょうね? “キメラ丸の顔面以外の部分は全て別の生物の一部でした”とか!?」 「そ、その通りなんですぅううう!!」 頭を手で覆って縮こまる研究員、よく見れば小さく震えている。 お姉さんはすっと右腕を振りかぶると…。 「ひぃっ!?」 「もういいわ…。 少し考えたい事があるから一人にして…」 研究室の入り口の扉を指差して出て行くように指示をしました。 お姉さんの気が変わらない内に、という風に研究員は出て行ってしまいました。 「通りで、顔面の遺伝子を素に作ったクローンが唯のきめぇ丸になる訳ね…」 お姉さんの気迫に押されて今の今まで黙っていましたが、 机の上にはきめぇ丸の入ったケースが置かれています。 小刻みに左右に高速移動していますが、実は震えているのかも知れません。 「でも、どうやって別種の生物を体にしているのかしら…? 拒否反応は起こらないのかしら…?」 お姉さんはケース内のきめぇ丸を見つめます。 「突然変異や進化では説明がつかない…、自然界ではまず起こり得ない現象…。 とすれば、誰かが或いは何かが、それを可能にした…?」 研究室の一角にある大きな冷凍庫に視線を向ける。 そこにはキメラ丸の組織片が保管されているのです。 「私達が見逃している何か…、もしかするとそこに何か秘密が隠されているかも…」 お姉さんは研究室の奥から、貝殻まりさの水槽を置いてある所まで出て来ました。 「おねえさん、おしごとおつかれさま! けんきゅうがおわったなら、ゆっくりまりさとあそんでね!」 「……………。 ねぇ、まりさはどうしてまりさなのかしら?」 「ゆっ? なぞなぞだね!?」 「そうね…。 なぞなぞ…、かもね」 「ちょっとむずかしいけど、なんとなくりかいしたよ! まりさはまりさにうまれたから、まりさはまりさなんだよ!」 「……………! そうね…、そうかもね…」 「どう!? せいかい!?」 「ええ、恐らくそれが正解の筈よ…」 「ゆっへん! まりさ、おりこうでしょ!?」 「そうね、とってもお利巧さんね。 ご褒美に御菓子を食べさせてあげるわ」 「ゆっ!? あまあまさんをくれるの!?」 「ええ、この餡子をお食べなさい」 「とってもおいしそうだよ! いただきま~す!!」 「全部食べるのよ」 「む~しゃ、む~しゃ! しあわせ~!!」 貝殻まりさが食べ終わるのを確認してから、お姉さんは研究室の奥へと戻った。 小さく息を吐くと、何も入っていない机の上のケースを見つめる。 「まりさに生まれたからまりさ、か…」 ゆっくりが考えたにしては良く出来た答えであるが、 余りにも単純な発想である。 「ある意味では…、それが真実かもね…」 お姉さんは、そう呟くと自嘲気味に小さく笑った。 「本当、嫌になるわね…。 本能に忠実な餡子脳の癖に、時に核心を突く様な事も言う…。 何を考えているのかさっぱり分からないわ…」 ふと、お姉さんの脳裏にある事が浮かんだ。 「そう言えば、昔加工所の研究者に、そんな感じの研究者がいたらしいわね…」 お姉さんは、過去の研究者名簿を取り出し、その人物を探す。 「見つけたわ、この人ね…」 かなり前の研究者で、今は引退して行方も分かっていない。 もしかすると、もう亡くなっているのかも知れない…。 「優れた研究者だったみたいだけど、周囲からは倦厭されていたみたいね。 この人の論文、“ゆっくりと他種の同化に関して”か…。 遺伝子研究には詳しかったみたいだし、一度読んでみようかしら…」 お姉さんは、行き詰った研究の手を休めて、お兄さんの帰りを待つ事にした。 (帰ってきたら、地下倉庫の論文を探させよう…) だが、肝心のお兄さんは中々帰ってこないのでした。 …続く。 【冒頭のお話の主人公の敵は、ゆっくりやまめです。 土蜘蛛が木の上を飛び交うなんてとっても幻想的ですね。 毒キノコ等の毒は幻覚を発症するものではなく、瀕死に陥ったので幻覚が見えました。 お兄さんの経験した出来事ではなく、ある本のお話と言う設定です。 貝殻まりさが非常に礼儀正しかったり賢かったりしますが、 お姉さんの教育的指導の賜物だと御理解下さい。 今回原作キャラも登場し、ますます虐めから離れている感が物凄いです。 本当は“ゆっくりコンポスト”が好みなんですが…】 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4768.html
※何気にシリーズものだったりする ※でも、過去作は見なくても無問題 中学校で教職員やりながら剣道部顧問をやっていると色んなガキ共に出会う 暴力事件を起こす奴もいれば、高校でインターハイ準優勝なんてしてしまう逸材もいた モンスターペアレントの保護者に殴り込みをかけられて辟易した事だってある それはさて置き、目覚まし時計のメアリーにたたき起こされた俺はいつも通り6時半に電車に飛び乗り、7時には学校に到着した 俺がこんなに朝早くから学校に向かうのは剣道部の朝練のためで、もはや日課になっているのでなんら苦痛ではない ここまでは良い。要するにいつも通りの平凡な朝の風景だからな 「うーっ!おじさん、れみぃにけんどうおしえてほしぃどー!」 何故か学校の正門前で物陰に隠れていたゆっくりれみりゃに剣道を教えてほしいと言われた さすがの俺も、こんな経験は初めてだった もちろん、今までにそんな話を聞いた事だってない さて、どうしたものか・・・ 「・・・まあ、いいか。ただし、教わる限りは真剣にやること!いいな?」 「うっうーっ!ゆっくりりかいしたど~♪」 俺の返事を聞いたれみりゃは両手を頬にぴたっとくっ付けるとしなを作る その後、両手を天に掲げると腰を振りながらうーうー歌い始め、一向に道場に向かう気配を見せない 痺れを切らした俺は踊り続けているれみりゃに背を向け、さっさと道場へ急いだ 「うぅ?れみぃのおれいのだんすをみないの~?」 「・・・それ、お礼のつもりだったのか」 やっぱりゆっくりの考えることは良く分からん 「いいか、これが竹刀で、これが防具だ」 「うーっ!そんなことよりはやくおしえてほしいんだど~♪」 「そんなこととか言わないっ!」 防具を放り投げて竹刀を掴んだれみりゃの手を素早く打ち据える すると、れみりゃは「うぎゃ!?」と短く悲鳴を上げて竹刀をぽとりと落とした 「うあ゛あ゛ああ゛あああ!いだいどおおおお!?」 「防具を甘く見るとこうなる。わかったな?」 「いだい゛いいい゛!?ざぐやああああ!ざぐやああああ!?」 「やかましいっ!」 今度は面打ち 軽快な音と衝撃の効果で一瞬泣き止むが、れみりゃは再び泣き顔になる 何となく『となりのト○ロ』のさつきの泣くシーンを髣髴とさせるものがある あれ、映画館で見たときは正直リアルすぎて引いたんだ・・・ 「やかましいっ!!」 「うぎゃん!?う、あ゛うー!いだぃぎゃ!?」 「しゃらっぷ!!」 どうやら全然学習しないらしく、一向に泣き止む気配を見せない 痛みで教えるなんて時代遅れの方法は流石にゆっくり相手でも無理だったか? 「なあ、れみりゃ?」 「うあ゛あああ゛あああ!?いだいいい!ざぐや゛ああああ!?」 「泣き止んでくれないか?」 「ざぐや゛ああああああ!?あのおぢざんがいぢべるどおおおお!?」 「おーい、れみりゃ?」 「お、おばえなんが・・・ざぐやにやっづげあれぢゃえええええ!?」 「無理だ!これ以上は近所迷惑だ!喝っ!」 「うぎょべ!?」 と言う訳で、れみりゃが泣くことすらも叶わなくなるまで叩き続けることにした 教育者として正直どうかとは思ったが、まあ仕方ないだろう 「さて、ようやく泣き止んだ所悪いが早速防具をつけてもらうぞ?」 「うぅ・・・でびりゃのぶりぢーなあだまがぁ・・・」 「・・・・・・話を聞いてるか?」 「は゛、はい゛いぃぃ゛ぃ!?ぎ、ぎぃでまずぅぅぅうぅ!」 どうやら散々引っぱたいたのが効いたらしく、れみりゃは俺の言葉に即座に反応した もっとの、想像を絶する恐怖に震え、双眸からは恐怖のあまりに涙が零れ落ちているが まあ、瑣末なことだろう。気にするほどのことでもない 「さあ、面は超大顔面用!篭手と胴は一番小さいサイズを用意してやったぞ!袴は・・・別にいらんだろ」 「うぅ・・・もうげんどーは・・・」 「今更剣道嫌とか抜かしたら脳天かち割るからな?」 「うぅ・・・ぼーぐをゆっくりづげるどぉ・・・」 「待て待て。流石に初心者が自力で防具を着けられる訳が無いだろう」 と言う訳で、俺が手際良くれみりゃに防具を装着させてやる 何故か凄まじい表情を浮かべたまま大人しくしているのでこの作業が案外楽で助かった 「さて、最後は面だな」 「・・・・・・」 と、れみりゃに面をつけつつ、いきなりゆっくりに関する豆知識を披露したい もっとも、この時点では知らなかったことで、後で朝練にやってきた部長に教えられて初めて知ったことなんだが ゆっくりってさ、全身が嗅覚で、人間よりもずっと敏感らしい で、更に話が逸れてしまって申し訳ないんだが、剣道の防具って物凄く臭いんだよな 剣道を始めたばかりの頃部室に入った瞬間異臭騒ぎで警察呼んで先輩に殴られたことがあるくらい臭い 一体、何であんなに臭いんだろうな 「うあ゛あ゛あ゛あああ゛あああぁあ゛!!?」 そんな訳で、れみりゃは気が狂ったかのように叫びながらぶんぶん竹刀を振り回し始めた しかも、そのまま俺めがけて思いっきり突っ込んでくる 今にして思えば異臭で正気を失ってしまっていたんだろうが、その時俺はれみりゃのやる気の表れだと勘違いしてしまったんだ 「しかしゆっくりしすぎだ!篭手っ!!」 「うあ゛ああ゛あああ゛あああ゛あ゛!?うるざいどおおおおお!?」 「いやあ、お前のが五月蝿い!胴っ!!」 「うっぎゃああああああ!?」 ここでまたゆっくりトリビアで申し訳ないんだが、ゆっくりって全身聴覚でもあるらしい しかも、大きな音で鼓膜もとい皮が破れることはないんだろうが、最悪大きな音で苦痛を感じることもあるとか そして、面に綺麗な打ち込みをもらうと分かると思うが、あの時の音は結構な音量だったりする 俺達人間には分からないんだろうけど、胴や篭手のときも似たような状況になっているんだろうな・・・ 「うあ゛ああ゛ああっあ゛あああ゛あ゛!?」 「だからそんなデタラメな打ち込みじゃ無駄だっての、面っ!!」 つまり、今れみりゃは素人の蛮勇で俺に挑んできているように見えるがその実態はもがき苦しんでいるだけ にもかかわらず、俺がそのことに気づかないので延々と轟音と異臭と苦痛に苛まれる かと言って、痛みに耐え切れずにうずくまろうものならがら空きになった背中に竹刀による一喝が飛んでくる 「竹刀を持っているときにうずくまるな!」 「ぼうやだど・・・うぎゃぴぃっ!?」 「竹刀を放り投げるな!」 こんな調子でれみりゃの初めての剣道体験は件の部長がやってくるまで続いた 「へぇ、あのれみりゃ。お前のペットなのか」 「ペットじゃなくて友達です」 「何にせよ、あのれみりゃはお前に構って欲しくて剣道を教わりに来たんだな」 「みたいです。ちょっと感動しちゃいますよね・・・と言う訳で、れみちゃん!」 彼女は長い白髪を揺らしながら竹刀を手に勢い良く立ち上がると、あのれみりゃに半ば強引に防具を装着し、道場の真ん中へと引きずっていく それから、れみりゃの竹刀を悠々とかわしながら軽く屈伸を済ませ、更に防具を着けると「今度は私が稽古をつけてあげるね!」とれみりゃの面を引っぱたいた ちなみに、彼女は辻斬り属性持ちと恐れられるほどに試合形式になると過激になり、練習内容も恐ろしくハードになる 「うあ゛ああ゛あ゛あっああ゛あ!?」 「遅い!面っ!!寝転がらない!破っ!!竹刀を投げない!篭手っ!!」 「ぼうやだああああ!でびぃ、ごーまがうぎゃっ!?」 「敵前逃亡は死と同義!突っ!!」 分間20回以上もの打ち込みを食らって、よだれや肉汁や涙を撒き散らしつつのた打ち回るれみりゃを眺めながら呟いた 「・・・ご愁傷様」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 2代目が誕生したよ! 『ゆっくりいじめ系2897 ゆっくりボール』の作者さんだよ! 皆、ゆっくり沢山可愛がってあげてね!・・・主に性的な意味で それはさて置き、高校時代剣道部に可愛い先輩が居たんだよ 美人とか格好いいじゃなくて可愛い、ね しかもかなり強い先輩だった 私は勇気を振り絞ってこんなお願いをしてみたんだ・・・ 「先輩!先輩の防具の匂いを嗅がせてください!」 困惑しつつも了承してくれた彼女の防具の匂いは・・・普通に臭かった、んほぉ byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1294.html
戦術れみりゃ ドスまりさ(弱)が出てきます ほぼ虐待ではないかも 「早く村長を連れてくるんだぜ!!」 ドスまりさは村の入り口近くにいた男に叫んだ。 彼は驚いた。3mはあろうかというドスまりさと、数百匹ものゆっくりの大群がそこにいたのだ。 男は村の役場に駆け込んだ。そして程なくドスまりさの元に村長と4人の人間が現れた。 「私の村にようこそ!私が村長の鬼意だ!ドスとみなさんお集まりで何の御用かな?」 何を言われるかは分かりきっているが、村長は敢えて聞いてみた。 「今日来たのはまりさ達と協定を結んでもらうためなんだぜ!」 ドスまりさはその内容を村長に説明した。村長は「はいはい、テンプレテンプレ」と思いつつも黙って聞いていた。 そして例のごとく 「しっかり見てるんだぜ!」 ドスまりさは適当な木めがけてドススパークを放った。 激しい閃光と轟音の後、そこには黒こげになって朽ちた木が残っていた。 「村にドススパークを撃たれたくなかったら、協定を結ぶんだぜ!!」 「そーだそーだ!!どすのいうとおりだ!!」 「ばかなにんげんさんははやくきょうていをむすんでね!!」 周りのゆっくり共も騒いでいる。 村長は返答した。 「確かに協定をむすべば私がドススパークを食らう事も無いし、ゆっくり共から野菜を持っていかれる事も無くなる。 お前達は食料の安定供給もできるし殺される心配も無くなるな。」 「わかってるなら早く協定を結ぶんだぜ!!」 村長は微笑みながら答えた。 「お断りだ。」 ゆっくり達は耳を疑った。 「な、何をいってるんだz「だからお断りだと言っている」」 「何故お前達ゆっくりの為に食料をくれてやらなければいけないんだ? こっちに貢物するならともかく、食料をよこせと・・・? 挙句に進入してきたゆっくりを殺してはいけないとは馬鹿馬鹿しいにも程がある!! まぁそういう事だから帰った帰った!」 ドスまりさは動揺した。まさかいきなり断られるとは思っていなかった為である。 「ゆぐぐ・・・そんなにドススパークをくらいたいのかだぜ!?」 「今だったら見逃してやろう。さっさと帰れ!!」 先ほど見せたドススパークを人間が恐れなかった事に、ドスまりさは焦った。 しかし 「どすをばかにするゆっくりしないにんげんはしね!!」 「むきゅ~!にんげんともあろうものがどすにさからうなんておろかね!!」 「どす!!こんないなかものなにんげんはころすべきよ!!」 「わかるよー!!にんげんはみなごろしなんだねー!!」 「にんげんはしねちーんぽ!!」 他のゆっくり達は人間と戦う気満々だった。ドスも今更帰るとも言えないし、何より馬鹿にされたのに腹が立っていた。 「みんな分かったぜ!!村の人間をみな殺しにして食べ物を奪ってゆっくりするぜ!!」 ドスまりさも完全にやる気になった。 「その言葉、私達に対する宣戦布告と判断した。」 「今更あやまっても遅いぜ!!ゆっくしりないでさっさと死ぬんだぜ!!」 人間達は冷静だった。 「私達だけでは骨が折れる。だから助っ人を呼ばせて貰おう。」 「「「ゆゆっ!?」」」 村長は深呼吸し、大声で叫んだ。 「でろぉぉぉぉおぉぉおおお!!れみぃぃぃぃぃぃいいいいりゃぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「うっう~☆」 「「「「れ、れみりゃだぁ!!」」」」 何処からとも無くれみりゃが集まってきた。その数15匹。 「「「うっう~☆おにいさんどうしたんだど~?」」」 「私達がこのゆっくり達に襲われて困っているんだ。やっつけたいからおぜうさま達みんなの力を貸して欲しい。 お願いできるかな?」 「「「うっう~☆れみりゃにまかせるんだど~☆」」」 突然のれみりゃの登場に驚いたゆっくり達ではあったが、ドスがいるため恐れ慄くという事は無かった。 「ゆっ!ばかな人間だぜ!!れみりゃが何匹こようとまりさが負けるわけないぜ!!」 「にんげんがばかなれみりゃにたよるなんて、おぉおろかおろか!!」 ドスまりさの言う通りであった。まともに戦えばれみりゃが50匹いたとしても、ドスまりさに勝てるかどうか分からない。 その位の戦力差がドス種と通常種にはあるのだ。 「たしかにドスまりさの言う通りだ。まともにやれば50匹どころか100匹でも勝てるか分からない。 まともにやればの話だが・・・。」 「ガタガタうるさいぜ!!ゆっくりできない人間はしね!!みんないくぜぇぇええ!!」 ゆっくり達は突撃した。 「ゆっくり相手に正々堂々戦うなんて馬鹿らしい。れみりゃぁーーー整列!!」 「「「りょうかいだど!!」」」」 れみりゃ達は縦3列横5列の列を作り、村長の前に並んだ。 「1列目、構え!!」 「うっう~☆」 1列目のれみりゃ達がゆっくり達に背を向けた。と同時にその場にいた人間達はお面のような物を被った。 「くだらない小細工なんてきかないぜぇえぇぇええ!!しねぇぇえええ!!!」 ゆっくりの群れが近づいてきたその瞬間 「れみりゃぁぁあああ・・・撃てェ!!!」 「「「「「うっう~~☆れみりゃーぶーーーー☆」」」」」 1列目のれみりゃ達が同時に屁を放った。 突撃してきたゆっくり達とドスまりさはその屁の直撃を受けてしまった。 「ゆぎゃぁあぁぁぁああ!!ぐざいぃぃぃぃいい!!!!!」 「ゆげぇえええええ!!!」 「うげぇえぇぇぇええ!!エレエレエレ・・・」 ドスまりさ以外のゆっくり達は、あまりの臭さにショック死してしまった。ドスまりさも臭さに悶え苦しんでいる。 群れの前方のゆっくり達は全滅したが、屁の直撃を免れたゆっくり達が次々と突撃してゆく。 「2列目、構え!!」 「うっう~☆」 1列目のれみりゃ達は列の後ろに並び、2列目のれみりゃ達が最前列に並んだ。そして 「れみりゃぁぁあああ・・・撃てェ!!!」 「「「「「うっう~~☆れみりゃーぶーーーー☆」」」」」 「「「「「ゆぎぇぇええあぁぁぁぁああぁぁ!!!」」」」」 「ぐえぇ・・・・」 1発目の屁で悶えていたドスまりさにも2発目が直撃し、ドスまりさは気絶した。 最初と同様に屁を放ったれみりゃは後ろに行き、3列目のれみりゃ達が最前列へ並んだ。 「3列目構え!!」 「うっう~☆」 「れみりゃぁぁあああ・・・撃てェ!!!」 「「「「「うっう~~☆れみりゃーぶーーーー☆」」」」」 「「「「ゆぎゃぁああぁぁぁぁ!!!!」」」」 「「「「ゆげぇぇえぇぇえぇぇぇ!!!!」」」」 「「「「ぐざいぃぃぃぃぃぃぃいい!!!!」」」」 れみりゃの列が一巡した時点で、ゆっくり達の6割が死んだ。 そうなるとゆっくりの中には逃げ出すものも出てくる。 「ゆっくりにげるよ!!!」 「やくにたたないどすのせいでゆっくりできなくなるぜ!!さっさとにげるぜ!!!」 「逃がすか!!れみりゃ、逃げ道を塞ぐんだ!!」 「「りょうかいだど!!」」 「「ゆぎゃぁああぁぁあ!!」」 「「「れみりゃこないでねぇぇえええ!!!」」」 れみりゃ達が退路を塞ぐ。そうするとれみりゃ達と逆に逃げようとする。 さらに逃げてきた方向から他のゆっくりが雪崩れ込む。そうしている内にゆっくり同士で潰しあう。 その結果、ゆっくりの大半が自滅した。 残りのゆっくりは1割にも満たない数になった。それらを人間達とれみりゃ達で潰していった。 ゆっくり達が全滅するのに要した時間は、れみりゃ達を呼んでから10分と経たなかった。 「うぅぅ・・・ん。はっ!!」 ドスまりさは目を覚ました。 ドスまりさは車の荷台に縛り付けられていた。 「お目覚めだな。ドスまりさ」 「人間は殺してやるんだぜぇぇえぇぇえ!!!」 「周りを見てからそんな台詞を言って欲しいものだな・・・」 「ゆっ!?」 ドスまりさは辺りを見渡した。するとそこには山積みにされたゆっくり達の死骸があった。 他には飛び散った餡子や、ゆっくりを貪り食うれみりゃの姿があった。 「こ、これはどういう事なんだぜ?!」 ドスまりさは訪ねた。 「君がぐっすり眠っている間に皆殺しにさせてもらったよ。苦戦するかとも思ったが、10分足らずで全滅したよ。 いくら大勢でも所詮はゆっくりか。」 ドスまりさは信じたくなかった。あれ程いた仲間達が皆殺しにされた事を。 「うそだ!!!まりさの仲間達が死んだなんてうそなんだぜ!!!!!」 「ではあの山積みになっているのは何だ?ゆっくりの形をした饅頭か?」 「ゆがぁああぁぁぁあぁぁぁ!!!」 ドスはキレた。せめて目の前にいる人間だけでも殺そうと思った。 「ごろ゙じでや゙る゙!!!ごろ゙じでや゙る゙ぞぉぉぉ!!!」 「縛り付けられた状態でどうやって私を殺すんだね?」 「ゆぎぃぃぃいい!!ドススパークをぐらえぇぇぇ!!!」 そういってドスまりさはドススパークの元であるスパークキノコを噛み砕こうとした。しかし 「な!なんでキノコがないんだぜぇぇぇぇぇえ?!?!?!」 「探し物はこれかね?」 人間の手に握られていたのはスパークキノコや、ゆっくりオーラ用のキノコだった。 気絶している間に人間がキノコを奪っていたのだ。 「がえぜぇえぇえぇぇぇええ!!!」 「断る!!これはこちらで処分させて貰おう。あぁ・・・霧雨魔法店の魔理沙さんに渡すのもいいか・・・」 「ゆがぁああぁぁぁ!!ごろ゙じでや゙る゙!!ごろ゙じでや゙る゙!!ごろ゙じでや゙る゙!!」 「うるさいな全く・・・。おぜうさま達!こいつを黙らせてくれ!!」 「「「はいだど~☆うっう~~☆れみりゃーぶーーーー☆」」」 「ぐえぇえ・・・・・」 至近距離での屁に、ドスまりさはまたも意識を失った。このドスまりさはそのまま加工所送りとなった。 「おぜうさま達!今日は助かったよ!みんなのおかげで村の平和が保たれたんだ!!ありがとう!!」 そう言って人間達はれみりゃ達を撫で回した。 「うっう~☆こまったときにはおたがいさまだど~~☆きにしないでいいど~☆」 れみりゃ達は褒められた事に気を良くしていた。 「うっう~☆またなにかあったらよんでほしいど☆またねだど~~☆」 れみりゃ達は山へ帰っていった。 れみりゃ種は他のゆっくりに比べ、頭が非常に悪い。しかし頭は悪い分悪知恵を働かせる事無く、 非常に素直な性格をしている。(紅魔館で飼育されているものは除く) そのため、褒めてやったり煽ててやるととても喜ぶのである。 ゆっくりにすら馬鹿にされているれみりゃが、ゆっくりよりずっと強く賢い人間に褒められた時の喜びは相当なものである。 そうして村長をはじめ村人達はれみりゃを手なずけて、ゆっくりの駆除などに利用しているのだ。 「冬を前にして肥料と燃料が大量に手に入るとは思ってもみませんでしたよ。」 「さすがにれみりゃの屁で死んでるから食う気はしないが、それでも役には立つからな。」 「こんな感じならしょっちゅうドスが襲撃に来ないもんかねぇ~」 「それはさすがに・・・まぁでもたまに来る分にはいいですよねぇ。」 ゆっくりの死骸は思わぬ恵みをもたらした。 放屁により死んだゆっくり達なので食用には適さないが、すり潰して畑の肥料にしたり、 乾燥させて燃料にしたり、飾りを死骸から取り除いて畑の周囲に吊るすことで、 ゆっくり避けに使えたりといった具合である。 ドスまりさは村を乗っ取るどころか色々プレゼントをしたのと同じである。仲間達を皆殺しにして。 「ゆぅぅ・・・はっ!!」 「加工所へようこそ!ドスまりさ」 「ゆぎゃぁああああああ!!!!!」 加工所ではドスまりさの悲鳴が響いた。 終 れみりゃ一斉放屁の元ネタというか、最初のイメージはスパ〇ボで見たGビット一斉発射を見てイメージしました。 ただ横1列だとゆっくりの集団には微妙じゃね?という考えにいたり、 長篠の戦で信長勢が行った三段撃ちならいけると考えて、それを採用しました。 Gガンパロネタや、スレで放屁れみりゃAA連発があったので焦って完成させました。 ちなみにfuku3107のれみりゃにアドバイスをした人間は村長です。 ちなみに下のはドスまりさが村長に提示した協定の内容です。 ゆっくりは勝手に人間の家や畑に入ってはいけない 人間は勝手にゆっくりの家やゆっくりプレイスに入ってはいけない。 人間はゆっくりを殺してはいけない。 人間はゆっくりに食料を渡さなければいけない。 人間はゆっくりの冬篭りの為の場を用意しなければいけない。またその際の食料も渡さなければならない。 ゆっくりが捕食種に襲われたら、人間は助けなければならない。 人間はドスをバカにしてはいけない。 その他、ドスの命令に人間は逆らってはいけない。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/37.html
ゆっくり加工場系2 ゆっくり霊夢の生涯 虐 捕 ゆっくり加工場系5 プチゆっくり魔理沙の生涯 虐 制 料 ゆっくり加工場系8 ゆっくりれみりゃの生涯 虐 料 アリス×ゆっくり系5 ゆっくりパチュリーの生涯 虐制共 霊夢×ゆっくり系10 ゆっくり一家の生涯 『博麗神社編』(前編) そ家 霊夢×ゆっくり系11 ゆっくり一家の生涯 『博麗神社編』(後編) 制家料共 ゆっくり加工場系15 ゆっくり魔理沙の生涯『加工編』虐機料 ゆっくりいじめ系251 ゆっくりえーきの生涯(前編)制家 ゆっくりいじめ系252 ゆっくりえーきの生涯(後編)虐性 ゆっくり加工場系22 ゆっくり達の生涯 『加工場脱出編』(前編)虐家機 ゆっくり加工場系23 ゆっくり達の生涯 『加工場脱出編』(中編)虐性機料 ゆっくり加工場系24 ゆっくり達の生涯『加工場脱出編』 (後編)虐環機 ゆっくりいじめ系670 ゆっくり魔理沙の生涯『子育て編』虐捕 ゆっくりいじめ系901 ゆっくりレティの生涯 (前編) ゆっくりいじめ系902 ゆっくりレティの生涯 (後編) ゆっくりいじめ系1165 ゆっくりれみりゃの生涯 『希少種への進化編』 ゆっくりいじめ系1844 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (プロローグ) ゆっくりいじめ系1845 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (前編) ゆっくりいじめ系1846 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (中編) ゆっくりいじめ系1847 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (後編-1) ゆっくりいじめ系1848 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (後編-2) ゆっくりいじめ系1849 ゆっくり達の生涯 『冬篭り編』 (エピローグ) ゆっくりいじめ系2429 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(表)~ ゆっくりいじめ系2430 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(裏-1)~ ゆっくりいじめ系2431 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(裏-2)~ ゆっくりいじめ系2751 ゆっくり達の生涯 『加工場の日常編 プロローグ(A)』虐制家共料無 ゆっくりいじめ系2752 ゆっくり達の生涯『加工場の日常編 プロローグ(B)』虐家希無 ゆっくりいじめ系2753 ゆっくり達の生涯 『加工場の日常編 ライン工程』虐無 ゆっくりいじめ系2986 ゆっくり達の生涯 『加工場の日常編 にくまん工程』
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/811.html
最近つくられたその施設は、甘い香りで満たされていた。 「ようこそ、おいでくださりました」 年配の男が一人、立ち上がって少女を迎え入れる。 その出迎えに、少女は恐縮気味にぺこりと頭を下げた。 「すいません、ご多忙の折に無理をいってしましまして」 「いえいえ、構いませんよ」 営業用の笑顔が男の唇に浮かぶ。 「では早速ですが、先日のお約束どおり、今日はうちの施設についてご案内いたしますね」 「お願いします」 簡潔な了承を得て、男は施設の奥へと少女を伴って歩き出した。 ついていこうとする少女。 ふと、真鍮のプレートが視界に入る。 『ゆっくり加工所』 そこが、少女の目的の場所だった。 「ここが、捕獲した『ゆっくり』の貯蔵庫です」 男が背の高い柵を指差していた。 柵の隙間には、押し付けられて膨らんだ顔が並ぶ。 「ゆゆゆ……」 少女が上から覗くと、中にひしめき合う「ゆっくり霊夢」と「ゆっくり魔理沙」の一群。三十匹はいるだろうか。 これは、最近幻想郷で見かけるようになった奇矯な生き物たち。 発生源や種のあらましもまったく不明だが、よく似た顔の実在人物とは関係がないことと、中身が餡子などでできていることだけは知られていた。 幻想郷の甘いものが好きな庶民にとっては、甘味を手の届きやすい値段に押し下げた恩人たちといっていい。 そのゆっくりたちは押し込められ、柔らかい体をひしゃげながら、視線の定まらない瞳で虚空を眺めていた。 「ゆっくり?」 が、その瞳に少女の姿が映し出されるなり、一斉に騒ぎ出す。 「おねーさん、ここからだして! おなかすいたよ! おうちかえる!」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、柵をぎしぎしと揺らすゆっくりたち。 「ここにいるのは、全て捕獲したものですか?」 「ええ、お客さんの中には天然ものがいいという方もいるので」 少女と男の会話に、ゆっくりの必死の言葉を意に介した様子はない。 「私なんぞは味にうといものですから、繁殖したものと天然ものの違いなんてわからないのですがね」 ハハハと乾いた笑い声を上げる男。 少女も、お愛想の微笑で応じる。 男は冗談が通じたことに一応の満足。 「では、次はその繁殖場面へご案内します」 「はい」 二人、ゆっくりに背を向ける。 「ゆ! ゆっくりしていってよー!!!」 柵をびりびりと震わす声も、扉を閉めるとかすれて消えていった。 「繁殖の成功と効率化は、この事業が成り立つための最大の課題でした」 しみじみと男は呟く。 男と少女の二人が並んで立つのは、背の低い柵の前。 その中には、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が一匹づつ紐で結ばれて転がっている。 「最初に繁殖に成功したのは、この組み合わせです。ですが、問題がありまして」 言うなり、男は無造作に柵に手をつっこむ。 「ゆっ!?」 そのまま、二匹をわしづかみにするなり、手首をぶるぶると小刻みに振るわせ始める。 「ゆー!!! ゆー!!!」 揺すられるがまま、甲高い声を上げ始める二匹。 「ゆー、ゆー、ゆーっ!」 やがて、声がとろんと艶をはらんでいく。 男の手首がさらに激しく蠢動を重ねると、ゆっくりの口がだらしなく開かれ、赤みが濃い色彩を帯び始めた。 「ゆゆゆゆゆゆゆ」 目つきが熱を帯びたところで、男は手を止めた。 「ゆ? ……ゆっくりしていってー!!!」 切なげな声が男の手を追いかけるが、すでに男は少女と向き合っていた。 「こうやって発情させた後、二匹だけにして暗がりに放置しないと繁殖を始めないので、手間がかかる上、数を増やせないという欠点がありました」 「なるほど」 「ですが、ここで繁殖力旺盛なゆっくりアリスという新種を発見したのが事業の転機となりました。今日、ちょうどその繁殖予定日となっています」 男が部屋の奥に視線を投げると、その視線を受けた従業員らしき男が両手にゆっくりを二匹抱えて近づいてくる。 ゆっくり魔理沙より短めの金髪で、赤いヘアバンドが目を引く、珍しいゆっくりだった。 従業員は、柵の中へゆっくりアリスを放り投げる。 「ゆっくりしていってね!!!」 本能なのだろうか。 突如あらわれた同類を見るなり、ゆっくり魔理沙は大きな声でご挨拶。 だが、次の瞬間、表情が固まる。 「まっまっまっ、まりさ!!!」 弾けるように、二匹のゆっくりアリスは魔理沙の元へ。 「ゆ゛っく!?」 定番の台詞も、密着したアリスの頬に邪魔されて満足に動かない。 「ゆ゛っ……ゆ゛っゆゆっ!!!」 それでも懸命に台詞を口にしようと足掻くゆっくり魔理沙の上に、もう一匹のゆっくりアリスが容赦なくのしかかる。 もはや聞こえてくるのは、ゆっくりアリスの荒い息遣いのみ。 ほほをすりあわせて、よだれをこぼしていたアリスも、ぐいぐいと魔理沙を壁際に押さえつけて動けなくする。 壁に押し当てられた魔理沙は、苦しいのかようやく涙がぽろりとこぼれ、間近でその様子を見るはめになったゆっくり霊夢は柵の隅でガタガタと震えだす。 「い゛、い゛や゛あああ」 ゆっくりしていられない、ゆっくり魔理沙の悲鳴。 それも、アリスの声でかき消されていた。 「ゆっくりイってね!!!」 紅潮した声でそろって叫ぶアリスたち。 途端に、ぶるぶると小刻みに震えだした。 「あ、ちょうど繁殖がはじまりましたね」 こともなげに解説をはじめる男。 「もうすぐ、押さえつけられている方が白目を見開いて、裂けそうなほど口を開いた驚愕の表情で固まってしまいます。 そうなると、この個体は徐々に黒ずんで朽ちるのみですが、その頭から蔓のようなものがのび、その先に複数の同種が実ります。ゆっくりアリスの素晴らしい点は、そうなるとすぐに次にゆっくり霊夢で生殖行動を続行することですね」 手馴れた口調で説明を重ねるが、一向に少女の反応はない。 「あ、お嬢さんにはちょっと嫌な光景でしたか。申し訳ありません」 少女の肩が心持ち震えていることに気づいて、男は慌てて謝罪する。 気丈に、少女は微笑んだ。 「いえ、そのことではありません。それに、お願いしたのはこちらですから、お気遣いなく」 男は頭をかきつつ、少女の気遣いに痛み入る。その間にも「ゆっゆっ」と気ぜわしい声が聞こえていた。 「では、こちらはここで切り上げましょう。次は繁殖に成功して増産したゆっくりを使った飼育事業についてご案内します」 異存はない。 「んほおおおおおおおおおおおおお!」 切なげな絶叫が響く部屋を後にする二人だった。 男に案内されたのは、屋外の小屋だった。 いや、二階建ての家屋に等しい大きさでは小屋と言い難い。むき出し木の骨組みと、壁の代わりに金網で覆っただけの粗末なつくりは、小屋そのものではあったが。 男は、ここを厩舎と呼んだ。 「今日は曇り空なので何も覆っていませんが、この生き物は日差しに弱いので、晴天時は上にシートをかぶせています」 そんな説明を聞き流しながら少女が厩舎に近づくと、中から獣のうなり声が聞こえてきた。 「うー! うー!」 奇怪かつ陽気な声に近づいてみれば、ゆっくりの顔の両脇に蝙蝠の翼を生やした、謎の生き物がふわふわと飛んでいる。 「肉まん種の、ゆっくりれみりゃです。ご覧の通りある程度飛べるので、この厩舎は全体を金網で覆っているのですよ」 「ずいぶんと機嫌がよさそうですね」 少女の言葉のとおり、れみりゃは鼻歌が出そうなニコニコ顔で飛び回っている。 「さっき、餌のゆっくり霊夢を与えたからでしょう」 「ゆっくりを?」 「ええ、出荷間近なのでゆっくり霊夢を餌に与えています。味がよくなるとのことで。れみりゃは高級食材などで引く手あまたですから、十分元がとれるといわけです」 なるほど、少女はれみりゃの毛並みの良さの理由がなんとなくわかった。 「大切に育てられているのですね」 「ええ、肉の質を高めるために運動も欠かさずやっています」 男の言葉が合図だったかのように、突然れみりゃが動きを止めた。 れみりゃの視線の先には、れみりゃよりも一回り小さな金髪のゆっくりが一匹。異様さでは類を見ないゆっくりだった。 翼らしきものはあったが、宝石を並べたような代物。瞳は見開いた真紅。 「ゆっくりフランです。」 男にその名を紹介された異種は、れみりゃの周りを満面の笑みで飛び回る。 れみりゃもあどけない笑顔で向き合ってはしゃぎまわっていた。 傍目には、仲睦まじい姉妹かナニカのように見えるのだが。 しかし、それは突然だった。 「ゆっくりしね!!!」 フランの口から拳のようなものが伸び、れみりゃの顔面中央に突きささる。 その拳に顔面をへこまされたれみりゃは呆然と身動き一つしない。 拳がフランの口に戻ってから、ようやくぽろぽろぽろと、とめどなく流れる涙。 「……! ……!!」 口は嗚咽にゆがんで、動転を言葉にする術を知らぬよう。 「うー! うー!」 ただ一匹、フランのみが楽しげに笑っていた。 フランは、再びれみりゃの正面に向きなおる。 「うあー! うあー!」 泣きながら逃げ回るしかないれみりゃ。 「ご覧の通り、なぜかフラン種の方が強いので、フランにはれみりゃを追っかけ回す役をさせています。他にもれみりゃの誘導など、とても助かる存在ですよ」 「牧羊犬みたいなものですか」 少女の言葉に、我が意を得たりといいたげな男の微笑み。 「さて、お次は最後。ゆっくり霊夢、魔理沙からの餡子の回収方法です」 ついにその時がきた。 少女は腕に抱えるそれをぎゅうと抱きしめる。 遠めにもわかる、巨大なゆっくりが部屋の中央の檻に鎮座していた。 その体躯は、高さだけでも少女の背を越していた。 横幅も広く、その重量は計り知れない。 「あれが、巨大種。ゆっくりレティです」 ぷっくりと膨らんだその生物を、男は指差す。 「雑食性ではゆっくりユユコに及びませんが、許容量ではゆっくり一でしょう」 この巨体を前に、男の声は説得力に満ち溢れている。頷くしかない少女。 ゆっくりレティは眠っているのか、目を閉じてくうくうと静かな呼吸音を奏でていた。 遠目には可愛らしいのだが、巨体の異様さは拭いがたい。 「今、先ほどの食料を消化中なのでしょう。そろそろ、お腹が空いて起きる頃です。ちょっとお待ちください」 その言葉を残して、男が部屋から姿を消す。 しばらくして、男はゆっくり霊夢を一匹抱えて戻ってきた。 「おじさん、今日もゆっくりしようね!!!」 その言葉と、黙って抱えられている様子に、ゆっくり霊夢の男への信頼が伺える。 恐らく、その無垢な信頼感は繁殖から育てたゆえだろう。 推察を重ねる少女へ、男は静かに語りかけてきた。 「では始めますよ」 少女の頷きを確認するなり、レティの檻に放り投げられるゆっくり霊夢。 「ゆっ、ゆっくり!?」 遠ざかっていく、ゆっくり霊夢の驚愕の表情。 レティの体躯にあたり、ぽよんとはねて転がる。 同時にのっそりと動き出すレティ。 「ゆゆゆゆゆゆっくりしていってね!!!」 一目散に檻の入り口へ。 しかし。 「早く扉を開けてね!!! 」 すでに男によってロックされた後だった。 地面が揺れる。 ゆっくりレティが飛び跳ねながら近づいてきていた。 「おじさん! ここから出して! もっと、ゆっぐりじだい゛いいいい!!!」 「レティ種は鈍重なので扱いやすいのが利点となります」 扉越しの哀願も、男の穏やかな眼差しを動かすことはできない。 やがて、ゆっくり霊夢の上に差す巨大な影。 レティが、真後ろにいた。 ゆっくり霊夢の顔がくしゃくしゃに歪むのと同時に、開けっ放しのレティの口から分厚い舌がのびる。 霊夢は瞬時に舌に巻き取られた。 「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」 悲しげな絶叫を残して、ぺろんとレティの口の中へ。 少女は見た。 飲み込もうとしたレティの口の中にうごめく、何匹ものゆっくりたちを。 レティのベロに抑えられて身動きもできず、滂沱の涙を流して視線を男に向けている。 「レティ種は、リスのように食べきれない分を頬に貯蔵して蓄える癖があるんです。最長で二週間は保存されていますね」 ゆっくりたちの視線に、男は興味を示さない。少女に自らの事業を説明することの方に傾注している。 「餡子の回収は、レティが熟睡した後に、後ろに穴をあけて搾り出します。定量を絞ったら、塞いでまたゆっくりを与えるのです。秘伝のタレを継ぎ足し、継ぎ足し使っている焼き鳥屋を思い浮かべてください」 言われてみれば、寝床に戻るレティの後頭部に隆起部分が。 「ちなみに、一度レティ種に消化させることで、甘味がまろやかになって質がよくなることと、混ざり合うことでの品質の均一化が図れます。生産者にとって大切なことは、量産性と高品質、そしてその維持です。このシステム構築は、私の ゆっくり業者としての矜持なのですよ」 誇らしげな男の言葉が少女の印象に強く残っていた。 職業人魂。 男の言葉を、少女は強く理解できる。 なぜなら、自分も人形という分野で職人的な魂に触れているからかもしらない。 そう。少女は、アリスだった。 可憐な彼女には場違いなその加工所を後にしたアリスは、夕焼けの空に時間の経過を知る。 「今日はずいぶんと大人しかったわね」 一息ついて、見学の間中、両手に抱えていたソレに今日初めて話しかける。 「それにしても、いいお話が聞けたわ、魔理沙」 アリスの腕の中でぶるぶる震えているその生き物は、正確には魔理沙ではない。 数ヶ月前、魔法の森で捕まえたゆっくり魔理沙だった。 「でも、今から震えてどうするの? 魔理沙をあそこに預けるのは、明日よ」 アリスの真顔に、冗談のニュアンスは欠片もない。 「い゛や゛あ……」 ゆっくり魔理沙からこぼれる弱弱しい悲鳴を聞きつけて、アリスは嬉しげな顔を紅潮させる。 「だって、私があんなに優しくしてあげているのに、あなたは逃げ出そうとするんですもの」 言いながら、息も荒くなる。 「だったら、あそこでゆっくりしていってもらうだけよ」 「い゛や゛だあああ! ゆ゛っぐり、じだくない、じだぐないよおおおお!」 「あらあら、ゆっくりにあるまじき言葉ね」 涙やらなにやらで醜く濁ったゆっくりの言葉を、恍惚の表情でまぜかえすアリス。 「どうしても嫌だというのなら、仕方ないわね。その代わり、わかっているかしら?」 「うん! つねったり、踏んだり、……しても、いいから!」 しゃくりあげながらのゆっくり魔理沙を、アリスは一転して慈母の笑みで見つめる。 ぎゅうと、愛情をこめて抱きしめつつ話しかける。 「そこは『いいんだぜ』にしなさい」 「わっ、わかったぜ!!!」 「ああ、本当に可愛い、魔理沙!」 宵闇が迫る夕べを背景に、一つに重なる影。 何やら、それなりに幸せそうな一人と一匹であった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/512.html
「ゆ~~~~~♪」 うだるような暑さ。 今年の夏も一段と暑い。 形だけの入道雲が山の向こうに見え隠れする、夕立もなかなか訪れないので、暑さは耐え難いものとなっていた。 ゆっくり達も例外ではない。 この暑さでは、文字通りゆっくりするしかないゆっくり達はそれぞれ日陰に隠れてべたーーっとしている。 「れーむーー。あついねーーー!」 「こーゆーときはゆっくりしてよーーね!」 普段の口調からは程遠い、のんびりした口調で互いに会話をするゆっくり霊夢と魔理沙。 特に魔理沙は、黒い帽子の所為で余計に熱いようだ。 「こんにちは!! ゆっくりしていってね!!!」 「「?」」 そんな中、元気よく挨拶をしてくる男。 「おじさん。きょうはまりさたちはここでゆっくりするよ~」 幾らゆっくりと言えども、この暑さの中で元気にゆっくりする気はない。 「だいじょうぶ!! おじさんもこんな暑い中でげんきにゆっくりできないよ!! 冷たいアイスをもってきたんだよ!!」 「ゆゆ!! あいす!!!」 「おじさん!! それってつめたいの?」 冷たいと聞いてゆっくり達は元気よく飛び上がる。 どこにそんな元気が有るのかは知らないが、暑苦しく男の足元に摺りついてくる。 「うん! ちょっとたべてみるかい?」 そう言って、男はアイスキャンディーを二つに折ってそれぞれの前に捨てた。 「むしゃ? ……!! ゆゆ!! おいしー!! おじさんこれおいしーよ!!」 「うっめ!! めっちゃうめーーーーー!!!」 ひんやりと冷たいアイスにがっつく二匹。 「ゆ~~~~♪ しあわせーーーー!!!!」 あっという間に食べ終わった二匹。 余程美味しかったのか、直ぐにおかわりを要求してくる。 「おじさん!! もっともっとちょうだいね!!!」 「はやくまりさたちにもってきてね!!!」 「はいはい! でも僕は大勢のゆっくりに味わってもらいたいんだ。だから沢山ゆっくりを呼んできてね!!」 そうしたら、もっといっぱいアイスをあげるよ。 男の言葉を聞いて、元気よく森の中へと消えていく。 数刻後、そこには溢れんばかりのゆっくりがひしめき合っていた。 その数およそ100匹。 パチュリー・アリス・さくや。 多くの種類のゆっくりが親子、親友の垣根を越えて駆けつけたのだ。 もっとも、全員が暑さでゆっくりしているが。 「おじさん!! みんなつれてきたよ!!!」 「はやくまりさたちにあいすちょうだいね!!!」 先ほどの二匹が、ラフな格好をした男に駆け寄る。 「うん!! それじゃあ皆の分は家にいっぱいあるから、おじさんのお家まで行こうか」 男は集まったゆっくりに声をかけると、全員を加工場の大型冷凍庫へ運んでいった。 「ゆゆ!! すずしいね!!!」 「ゆっくりできるよ!!」 全員をその中へ入れる。 うだるような暑さの中に居たゆっくり達は自分から中へ入って行った。 それを確認して男は厳重に鍵をかけその場を去っていった。 「ゆ~~♪ ゆゆっゆ~♪」 「おかーしゃんじょ~ず~♪」 「とかいはのありすはこんなすずしいへや、よくはいってるよ!!!」 「むっきゅ~♪ かいてき~♪」 「おぜうさま!! おぜうさま!!!」 アイスのことは忘れて冷凍庫の中でくつろぐゆっくり達。 しかし、強力な冷凍庫はガンガンと中に入っている饅頭を冷やしていく。 「ゆ~、ちゅべたい!! つべたいよーーー!!!」 初めに騒ぎ始めたのは赤ちゃん達だった。 それが次第に年長者、大きいモノへと伝染していく。 「!! つめたい!! ゆっくりあけてね!!!」 「おじさん!! まりさたちをたすけてね!!!」 「とかいはのありすはじゃくれーぼーしゃにはいるよ!!!」 「むいきゅーーーー……」 「「ぱちゅりーーー!!!!!!」」 一番最初に息を引き取ったのはゆっくりパチュリーだった。 「ゆーーーー!! ……」 赤ちゃん達がそれに続く。 こうなるとゆっくりどころではない。 大勢の親ゆっくりや力のあるゆっくりが全員で入り口にタックルを仕掛ける。 「こんなのかんたんだよ!!」 「そうだよ!! おじさんはひとりであけられたもんね!!」 「みんなで力をあわせればかんたんにあくよ!!!」 「「「そーれ!!!」」」 しかし、厳重に施錠されたそのドアは、商品になった冷凍団子を取り出すまで開く事が無かった。 一方、紅魔館でも似たような光景が繰り広げられていた。 「さくやーーー!! あづいーーー!!!」 食欲をそそる良いにおいを滴らせているのはゆっくりれみりゃのグループ。 全員が体中から肉汁を滴らせている。 「はいはい! れみりゃさま!! ぷっでぃ~んですよ!!!」 「ぷっでぃ~~んいりゃない!!! ぽいするの!!」 「つめたいのがいいにょ!! しゃくやのばぁ~か!!」 プリンを全て蹴散らして、再度お菓子を要求する。 「そうですね!! それでは、よく冷えたゼリーをお持ちします」 「う~♪ ぜっりぃ~♪」 「「「「ぜっりぃ~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー♪」」」」 全員でポーズを決める。 その度に、顔から肉汁がはじけ飛ぶ。 「かわいいですよ!! れみりゃさま!! すぐおもちしますね!!」 「う~~!! はやぐもっでぎでぇ~♪」 全速力で厨房に入り、人数分のゼリーを作り冷やす。 そして新しい高級な皿に載せる。 ここまで時間を止めて居たので掛かった時間は0分、後は運ぶだけだ。 「あら? さくやさん!! 丁度良かったです」 またしても曲がり角で小悪魔とかち合った咲夜。 聞けば、今回はパチュリーではなく、レミリアが神社に行って巫女に冷たいものでも作って来いと仰っていたとの事。 他ならぬレミリアの命令に逆らう事はできない。 ゼリーを小悪魔に預け、咲夜は急いで神社に飛んでいった。 「うう~~~~おそいじょ~~~♪」 れみりゃはずうずうしくも屋敷内に上がりこんでいた。 一行が歩いた後には汁だまりができている。 「うう~~~!! ぜっりぃ~~~♪」 そんな一行が漸くゼリーを見つけたらしい。 もっている人は違うが、お構いなしに足元に群がる。 「う~♪ はやぐちょ~だい!!」 「れみりゃのぜりだどぉ~♪」 「う~♪ た~べちゃうぞ~♪」 「いいえ♪ これは私とパチュリー様とレミリア様の分ですよ♪」 にこやかな笑みを浮かべて宣言する小悪魔。 しかし、肉まんたちは納得がいかない。 「ちがうのーーー!!! それはれみりゃたちのーーーー!!!」 「れみりゃはこーまかんのおじょーさまだどぉーーー!!!!」 「おまえにゃんkぁざぐやにいいづけでやるーーー!!!」 「はやぐぜっりぃーーーーちょーだい!!!!」 「「「「ぜっりぃーーーーー♪」」」」 「「「「!!!! う゛あ゛あ゛ーーーーーーー!!!!!!」」」」 直後、後方から飛来した多数のグンニグルによってその場で串刺しになるれみりゃ。 その攻撃に、ぜっりぃ~コールよりはましの悲鳴コールが沸き起こる。 「ああああーーー!! ざぐやーーー!!!」 「ざぐやーー、ごわいひどがいるどぉーーー!!!!」 「ぜっりぃ~~~~もっでぎでーーー!!!!」 「うるさい!!」 その悲鳴コールの張本人、レミリア・スカーレットが勢いよく全ての肉まんの四肢をむしり取る。 「うっぎゃーーー!! う!! うぐぐ!!!」 「まったく! うるさいったらありゃしない」 むしり取ったそれを、れみりゃの口に無理去り放り込み終えたレミリアが小悪魔に呟く。 「そうですね。ああ、どうぞ! 美味しいですよこのゼリー♪」 「そう。パチェの所に戻ったら頂くわ。それよりもコイツらどうしようかしら? ちょうど咲夜はいないし」 「うっ!! う!! ……」 「しゃ!! しゃぐやーーー!!」 開かない口で、何とか言葉を発しようとするれみりゃ達。 そんな滑稽な様子を見ながら、レミリアはアレコレ思案する。 「それなら良い方法がありますよ!!」 「? なにかしら?」 「きょうは土曜丑の日です!!」 その日の紅魔館の夕食は、美鈴が腕によりをかけて作った沢山の中華料理が並んだ。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/770.html
ティガれみりゃ その3 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 時系列は、ティガれみりゃ1→ティガれみりゃ2→本作、となります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 今回のエピソードには、本家東方のキャラが出演予定です。 口調やキャラなど、壊れ気味かもですが、ご容赦あれ。 すみません、まだ続きます。 また、今回のエピソードは長くなってしまったので、前編後編に分割しました。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 3、誇りをかけた試練(前編) 「ゆぐぅ……もっと…ゆっくりじだがっだ、よ……」 とある山の、とある森。 一匹のゆっくりれいむが、今まさに力尽きようとしていた。 あちこち皮が破け、その傷と口から大量のあんこを吐き出している。 しかし、この森に充満する甘い匂いは、このれいむだけが原因ではなかった。 「みんな……れいむもゆっくり……そっちへいくよ……」 れいむが語りかけた先、 れいむの眼前、左右、背後、 そこには膨大な量のあんこが飛び散り、地面や木に染みを塗りたくっていた。 所々にリボンや帽子の残骸が垣間見えるそれは、大量のゆっくり達の死骸であった。 赤ちゃんから、大人まで、原型をとどめないその数は200を越えていた。 「ゆぅ……くやじぃ、ょ……」 視界がぼやけ、意識が朦朧としていく。 そんな状態でなお、この惨状を生み出した元凶の影が、目に焼き付いて離れない。 耳をすませば、今なおアノ恐ろしい鳴き声と歌が聞こえてくるようだ。 その歌い手の主、たった一体のゆっくりによって、 れいむの家族も、友達も、喧嘩相手も、同じ森に住むまだ見ぬ同胞達も、 みんなみんな殺されてしまったのだ。 圧倒的な力で、抗いようの無い絶望を撒き散らしたそのゆっくりを、れいむは決して許さない。 その憎悪の炎だけが、れいむの命を辛うじてつなぎ止めていた。 ……もっとも、許すも許さないも、どうせ自分はこのまま死んでしまうのだろう。 ゆっくりのあんこ脳であっても、その事実だけはハッキリ認識できた。 「むっきゅーっ! まだ生きてるのね!」 「……ゆ、ぅ?」 聞いたことの無い声だった。 ゆっくりと目を開き、最後の力を振り絞り、声の主を見上げるれいむ。 そこには人間の少女に似たゆっくりが立っていた。 「大丈夫!? しっかりしてね!」 れいむを心配する少女。 よく見れば、少女もまたゆっくりであるようだった。 『ぱちゅりー、どうしたの?』 「むきゅ! まだ生きているれいむがいたのよ、まりさ!」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくり、 即ち胴体付きのゆっくりぱちゅりーの背後から、重たそうに跳ねて近づく巨大なゆっくり。 れいむはそれを知っていた。とっても強くて大きくて優しいゆっくり、ドスまりさだ。 それも一匹ではない。 二匹、三匹、四匹……次々とやってくる。 さらには普通のサイズのまりさやアリス、ちぇんにみょん、 何十匹ものゆっくりが、木々の隙間を跳ねてきた。 「ゆゆゆ?」 わけがわからなくなる、れいむ。 疑問と困惑があんこ脳を支配し、一時的に痛みも恐怖も忘れさせていた。 「むきゅー。もう大丈夫よ、れいむ」 ボロボロのれいむを優しく抱え上げる、ゆっくりぱちゅりー。 「ゆぅ……おねぇさんたち……だれ?」 「むきゅ! よくぞ聞いてくれたわ!」 ゆっくりぱちゅりーは、れいむを抱えたままドスまりさら仲間へ向き直る。 「わたしたちは、ゆっくりフォース!」 「ゆっ!?」 「ティガれみりゃを倒すために集まった、ゆっくりなれじすたんすよ!」 高らかに宣言する、ゆっくりぱちゅりー。 れいむは、力を振り絞って、ゆっくりぱちゅりーに懇願する。 「おねぇーさん、れいむをみんなの仲間にしてね! れいむもティガれみりゃを許せないんだよ!」 口からあんこを吐き出しながら、されど目には炎を宿して叫ぶれいむ。 ティガれみりゃと戦う上で、この傷だらけのれいむがどれほど役に立つかはわからない。 けれど、その気高いゆっくりマインドだけは、ぱちゅりーやドスまりさ達にも痛いほど伝わった。 なぜなら、その場に集まる殆どのゆっくり達が、ティガれみりゃの犠牲者だったから。 故に、そのれいむの申し出を断るゆっくりはいなかった。 ぱちゅりーを筆頭に、数多のゆっくり達が、れいむに歓迎の言葉をかける。 「「「「「ようこそれいむ! ゆっくりしていってね!!」」」」」 * * * 「うっめっ! むっちゃうめぇっ!」 「まんまぁぁぁーーっ!たしゅげでぇぇぇぇっ!!」 「やめでぇぇぇぇっ! れみりゃのあがぢゃんたべないでぇぇぇぇぇっ!!」 通称・ゆっくりフォースが、そのメンバーを増やしていた頃。 とある湖畔で、胴体付きれみりゃの親子が、複数のゆっくり達に襲われていた。 親だと思われるれみりゃが一匹、その子供が4匹。 親れみりゃは四肢をもがれ、地面にころがされている。 四肢の切り口は、強引に食いちぎられ、断面から肉汁があふれている。 その親れみりゃの前で、4匹の子供達はリンチされ、食い散らかされていく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこのにくまん!むっちゃうめぇ!」 「すっごくゆっくりできる味だぜ!」 れみりゃ達を襲っているのは、3匹のまりさ種だった。 それも、もっとも性悪といわれ、専門家達からがゲスまりさと分類される種だ。 「うわぁぁぁぁぁん! しゃくやぁぁぁ! はやぐぎでれみりゃとあぢゃんをたすけるんだどぉぉぉぉ!!」 泣きわめく親れみりゃ。 そんな親れみりゃを、見下すゲスまりさ達。 「おお、おろかおろか」 「うるさいにくまんだぜ!」 「よわいれみりゃは、ゆっくりたべられるんだぜ!」 そう言って、一匹の子れみりゃを丸呑みにして、咀嚼していくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ!!」 「うわぁぁぁぁぁっっ!!」 子れみりゃの断末魔と、親れみりゃの悲痛な叫びが湖畔の森に響き渡る。 「ぎゃおぉぉぉーーーーっ! ぎゃおぉぉぉぉーーーーっ!!」 怒りと悲しみで、ゲスまりさを倒そうと体をジタバタよじる親れみりゃ。 だが、四肢の千切られたその体では、文字通り手も足もでない。 「ったく、うるさいにくまんだぜ!」 ゲスまりさがピョンと跳ね上がり、親れみりゃの顔に体当たりをくらわす。 「ぷぎゃぁぁーーーっ! いたいぃぃぃぃーーーっ!!」 苦痛の叫びを上げ、ボロボロと大泣きする親れみりゃ。 「まんまぁぁぁ! がんばてぇぇぇぇ! こいちゅらやっちけてぇぇぇぇ!」 いじめられる親を見て、これまた泣き出す子れみりゃ。 なんとか助けて貰おうと、親れみりゃを応援する。 「ブサイクなにくまんのぶんざいで、なまいきだぜ!」 「うっぎゃっ!」 気分を害したゲスまりさが、跳ね上がり、子れみりゃを押しつぶす。 「どうだぜ! まいったかだぜ!」 「「「うぎゃ! ぷぎゃ! いだっ! ゆぎぃ!」」」 何度も何度も、子れみりゃ達をプレスしていくゲスまりさ。 間もなく、子れみりゃ達は物言わぬ肉まんの残骸と化してしまった。 「ああああああっ! れみりゃのあがじゃんんんんんっ!!! 目の前で全ての子供を失い、白目を向きながら泣き叫ぶ親れみりゃ。 その脳裏に、子供達と過ごした日々が浮かぶ。 森の中でアリスに襲われ、妊娠した日の戸惑い。 自分の体内で新たな命が育まれていくのを感じた感動。 とっても痛かった出産と、それ以上に可愛い赤ちゃんとの対面。 はじめて「まんまぁ~」と呼んでもらえた時の嬉しさ。 一緒に顔中を汚して食べた、さくやとくせい・ぷっでぃんの甘さ。。 立てるようになった子供達に、れでぃーのたしなみとして歌とダンスを教えた日々。 いままでも、そしてこれからも、自分と赤ちゃんたちには楽しくて素敵な毎日が待っている。 だって、れみりゃたちは、とってもえらくてかわいくてつよい、こーまかんのおぜうさまなのだから! だから、今日だって、メイドの言いつけをやぶってでも、 一緒に遠くまでお散歩に来たのに。 それなのに。 あかちゃん。 なんで。 「……あかちゃーん、あかちゃーん♪ ……とぉーってもかわいいどぉー♪」 親れみりゃは、放心状態となり、空想の中で子供達と遊びだした。 一方、ゲスまりさ達は、そんな親れみりゃの様子を見て、ふざけだす。 「おいおい、せっかくのにくまんをつぶしてどうするんだぜ♪」 「おっと、ついやっちまったんだぜ♪」 「そうだぜ、でも心配はいらないんだぜ♪」 ニヤニヤと笑みをこぼしあうゲスまりさ達。 「……う、う~~~~?」 そのゲスまりさ達の言動に、現実に引き戻され、 不安な気持ちでいっぱいになる親れみりゃ。 「「「だって、にくまんはまだこんなにあるんだぜ!」」」 そう言って、いっせいに親れみりゃに噛みつくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ! やめてぇぇぇ! れみりゃはにくまんじゃないどぉぉぉ!!」 「なに言ってるんだぜ! どうみたってお前はにくまんだぜ!」 「そうだぜ! 肉汁だってこんなにアツアツウマウマなんだぜ!」 「かんねんするんだぜ! このぶさいくなにくまんが!」 「ちがうのぉぉー! れみりゃはぷりてぃーなこーまがんのおぜうさまなのぉっ! にくまんでもぶさいくでもないのぉぉぉ!!!」 「なにいってやがるんだぜ!」 「そうだぜ! このにくまん!」 「おぜうさまにこんな尻尾なんかあるわけないんだぜ!」 そう言って、尻尾にかぶりつくゲスまりさ。 尻尾。 そう、この親れみりゃは、胴体つきは胴体つきでも、 希少種であるゆっくりゃザウルスであった。 しかも、元々ゆっくりゃザウルスであったわけではない。 ついこの間まで、紅魔館に住み着き、メイド達に甘やかされて育った、 ごくごく普通の胴体付きれみりゃであった。 だが、子供を産み、子育てを経ていく間に、れみりゃの体に異変が起こった。 ある朝、起きたらゆっくりゃザウルスになっていたのだ。 ゆっくりゃザウルスとなった親れみりゃを見て、 普通の胴体つきれみりゃである子れみりゃ達は、たいそう感激し、 「まんま、かぁっこいいどぉ~~♪」と、ことあるごとに褒め称えた。 ただでさえ子供達と優しいメイドに囲まれ幸せだったのに、 さらにこんなにも素敵な体になって、いいんだろうか!? しばらくの間、親れみりゃは幸福感でいっぱいになった。 だが、いくつかの誤算が、親れみりゃの幸福に水を差す。 メイド達が、館の外へ出してくれなくなったのだ。 いつもは定期的にお散歩に行けたのに、 今ではどこかへお出かけしようとするたび、 名前を忘れた門番に呼び止められ、連れ戻されてしまうようになった。 自分は、こーまかんのあるじなのに! こんなにかっこよくなった自分を、いろんな人に見せてあげたいのに! そしたらきっと、みんな喜んで、褒め称えて、自分と赤ちゃんにぷっでぃーんをくれるのに! 腹をたてたれみりゃ親子は、たまに館にやってくる、箒にのった少女に頼み込み、 こっそり館の外へ連れ出してもらったのだ。 けれど、そこで二つの誤算があった。 一つは、遠くへ来すぎて、館へ帰れなくなってしまったこと。 そして、もう一つは、このゲスまりさ達にからまれたことだ。 たしかにゲスまりさ達は、いつもれみりゃ親子がエサとして与えられるゆっくりより大きかった。 その体長は、帽子を抜かしても50cm前後はあるだろう。 だが、そこはくさっても捕食種・れみりゃ。 殆どが子供とはいえ、れみりゃ5匹に対して、 少しばかり大きいエサが3匹いたところでものの数ではないと思っていた。 しかし、それが大間違い。 親れみりゃは、ぎゃぉ~~とゲスまりさに襲いかかったが、あっさりよけられ、 逆に3匹のゲスまりさのコンビネーションの前に、なすすべもなく体当たりされ続け、 あっという間に泣き出してしまった。 すると、あんなにも強くて格好良いと思っていた親れみりゃがやられたことで、子れみりゃ達もすっかり意気消沈。 子供達だけで狩りをしたことが無いこともあり、パニック状態に陥ってしまう。 その隙を突かれ、子れみりゃ達も、さして抵抗するでもなくゲスまりさ達のオモチャとなってしまった。 これこそが、館のメイド達がゆっくりゃザウルスを外へ出したがらないかった理由だった。 当のれみりゃ達は、何故か"最高に強そうで格好良い"と感じるのだが、 ゆっくりゃザウルスへの変化はパワーアップでも何でもないのだ。 むしろ、全ての面において弱体化しており、 その戦闘力は、れみりゃ種の中でも最弱と言っても過言ではない。 しかし、なまじ物珍しく、また肉まんとしてもより肉厚が増えて美味しくなっているため、 ゆっくりを愛好する人間達や、れみりゃの味を知っているゆっくり達から、しばしば狙われ命を落としてしまう。 それを知らず、勘違いしたが故に、このれみりゃ親子の悲劇は起きた。 「おねがいやべでぇぇぇぇ! れみりゃをたべぢゃだべぇぇぇぇぇっっ!」 「「「むーしゃむーしゃだぜぇ~♪」」」 泣き叫び哀願する親れみりゃと、構わずれみりゃの尻尾を食べ続けるゲスまりさ達。 親れみりゃにとって、永遠に続くかと思われた生き地獄は、 断続的な地響きと、その後に続く鳴き声……"とってもエレガントでイケている"と 親れみりゃが苦痛を忘れて聴き惚れた歌によって、遮られた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「だれだぜ! じめんをゆらすのをやめるんだぜ!」 「なんだぜ? だれがうたってるんだぜ?」 「だれだぜ? まりさたちのしょくじをじゃまするのは!」 きょろきょろ左右を見回すゲスまりさ達。 しかし、見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 「ゆっ? だれもいないんだぜ?」 「おかしいんだぜ!」 「もういちどかくにんするんだぜ!」 ゲスまりさは警戒を怠らず、3匹がそれぞれ背中を合わせて、死角を無くす。 ゆっくりらしからぬコンビネーションは、この3匹が長年をともにし、 いくつかの修羅場を乗り越えてきたことを示していた。 「……うぅ?」 一方、一時的にとはいえ、解放された親れみりゃもまた、 "エレガントでかっこよくて綺麗な声の"歌の主を、目だけを動かして探す。 『ティ~ガティ~ガティガ♪』 「「「姿をあわらせだぜ!」」」 いらつくゲスまりさ達。 何度みても、そこには異常は確認できない。 見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 ……緑? この緑は葉っぱじゃない。 それによく見ると動いている。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 ゲスまりさ達は、その視界に入っている緑を追って、徐々に顔を上げていく。 同じく、その緑色の存在に気付いた親れみりゃも、つられて瞳を上へ向ける。 そして。 「「「うぶっぼげぇぇぇ!!!」」」 「うーーーーーーっ!!!」 声にならない驚愕の叫びと、まるで神にでも出会ったかの如く感嘆に染まった叫びが、湖畔に重なる。 ゲスまりさと、親れみりゃが見上げた先、 そこには、超巨大ゆっくり・ティガれみりゃの満面のしもぶくれスマイルが広がっていた。 ゲスまりさの視界に入っていた緑色は、ティガれみりゃの足先だったのだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~~♪』 「げぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」 「う~~~~~~~~♪」 ゲスまりさと親れみりゃを見つけ、お得意のダンスを披露するティガれみりゃ。 ゲス達は恐怖で青ざめさせ、親れみりゃは興奮で顔を紅潮させている。 「か、か、か、か……かっこいいどぉーーー!!!」 目をキラキラと輝かせる親れみりゃ。 自分がゆっくりゃザウルスになった時も、鏡を見ては惚れ惚れしたものだが、 いま目の前に立っているれみりゃは、そんな自分から見ても格が違う! 「ま、まさに、かりしゅまだどぉ~~~♪」 ゲスまりさ達に虐められ、子供を目の前で失い、絶望のさなかにあった親れみりゃにとって、 このティガれみりゃの存在は鮮烈だった。 これこそ、自分達れみりゃが目指すべき姿! れみりゃ達の救世主! れみりゃの完成系! れみりゃの最終兵器! れみりゃを終わらせたれみりゃ! 「れみりゃが歩いたばしょなど、このれみりゃはすでに2000年前につうかしてるんだどぉ~~♪」 ……と、錯乱するほどに、親れみりゃは感動を覚えていた。 一方、ゲスまりさ達といえば、 口をパクパクさせたまま動けずにいた。 あまりにも違いすぎる大きさは、それだけで相手の戦意と思考を喪失させる。 まして、こざかしくもこれまで何度かの修羅場を切り抜けてきたゲスまりさ達だったからこそ、 いま目の前にいる巨大なゆっくりが、いかに絶望的な存在かを本能的に察してしまっていた。 本能的な恐怖が体を萎縮させ、ゲスまりさの体を、こおりつかせて動けない状態にさせていた。 『うっ~う~♪ れみりゃとおんなじれみりゃがいるどぉ~♪』 「うーうー♪」 ティガれみりゃに呼ばれたことが嬉しくて、うれしそうに反応する親れみりゃ。 立ち上がり、一緒に踊ろうとして…… 「うっぎゃぁぁっ!」 体の無い部分を動かそうとして痛みがよみがえり、 四肢と尻尾を食べられてしまっていたことを、嫌でも思い出す。 『う~~~?』 そんな親れみりゃの様子を不思議そうに眺めるティガれみりゃ。 やがて、肉餡の脳が、的はずれな答えを導き出す。 『わかったどぉ~♪ おなかがすいてうごけないんだどぉ~♪』 ティガれみりゃは言うや否や、 足下でかたまっているまんじゅうを一つつまみ上げる。 「た、たすけるんだぜ!」 「し、しらないんだぜ、まりさは無関係なんだぜ…」 「そうだぜ、それにきっとそのまりさが一番おいしいんだぜ…」 「ど、どぉじでぞんなごどぉいうんだぜぇぇぇぇっ!!!??」 ゲスまりさは、いかにもゲスらしく、自分のためだけに仲間を売り払おうとする。 『うーー、うるちゃいおまんじゅうだどぉーー』 ティガれみりゃは、つまみ上げたゲスまりさに、少しだけ力を込める。 『うるちゃいと、つかれたれみりゃがたべられないんだどぉー! しずかにしないとたーべちゃうぞー♪』 「ぷぎょげっ!」 ティガれみりゃの指に込められた力に耐えきれず、瞬時にパァーンと弾けるゲスまりさ。 ちょっとしかるだけのつもりでも、ティガれみりゃの力は、普通のゆっくりにとっては致命的な威力となってしまう。 『う~~~♪ れみりゃしっぱいしちゃったどぉ~~♪』 てへっ♪と舌を出しておどけるティガれみりゃ。 「や、やめるんだぜ~~~~!」 二匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 『しぃぃ~~~~だどぉ♪』 ティガれみりゃは、おとなしくするよう告げるが、 生命の危機にさらされた生物が、それでおとなしくなるわけもなく。 「はんすんだぜ! このでかにくまん! まりさよりあっちのまりさの方がおいしいんだぜ!」 「やぁべろぉぉぉ! ぞんなごどいうなぁぁぁぁ!」 『う~、おまんじゅうのくせにれみりゃのいうこときかないなんて、なまいきだどぉ』 いつまでたっても静かにならないゲスまりさ達に、 ティガれみりゃは、ぷくぅ~と頬を膨らませる。 「ぎょえぇ!」 無意識的につい力がこもってしまったのか、ゲスまりさがパァーンと弾け飛ぶ。 『うーーーっ! どぉーしてうまくいかないんだどぉー!』 いらつき、3匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 「や、やめてほしいでございますだぜ…」 卑屈に下手に出るゲスまりさ。 一方、ティガれみりゃはゲスまりさの言葉など聞かず、 ポケットに手を入れガサゴソと動かした後、そのまま空の手を取りだした。 『うっう~~~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるを、忘れてきちゃったどぉ~~♪』 "れみりゃのおっちょこちょいさん♪"とでも言いたげに、 自分の頭を軽く叩き、頬を赤く染めるティガれみりゃ。 ちなみに、"すぴあざぐんぐにる"とは、 ティガれみりゃがポケットの中にしまって持ち歩き、 ゆっくりを狩る時に愛用する、立ち枯れた木のことだ。 ティガれみりゃは、その木の枝にゆっくり達を突き刺して、 "とくせいゆっくりだんご"を作って食べる習性があった。 「ま、まりさにひどいことすると、ドゲスたちがだまってないんだぜ、わかったらさっさと……」 ゲスまりさは、相変わらずティガれみりゃに自分を見逃すよう説得を続けていた。 しかし、ティガれみりゃ相手にそんな交渉は意味も無く、 「ゆべしっ!」 次の瞬間、押しつぶされて体を四散させていた。 『う? またやっちゃったどぉ♪』 しかたない、それじゃ次のおまんじゅうで……。 ティガれみりゃは足下をみるが、そこには既にゲスまりさはいない。 それはそうだ。 3匹のゲスまりさは、他ならぬティガれみりゃによって殺されたのだから。 『う~~~! これじゃ、れみりゃにごはんをあげられないどぉ~~~!』 鼻の上のあたりを真っ赤にしてジタバタするティガれみりゃ。 『しゃくやーー! はやくれみりゃたちにぷっでぃんもってきてぇーー!』 と、お決まりに、いもしない従者の名前を呼ぶが、当然誰かがくるはずもない。 『うー……』 しかたなく、短い手と膝をつき、顔をよせて、 小さな親れみりゃに話しかけるティガれみりゃ。 『うー、ごめんだどぉ。おまんじゅうなくなっちゃたんだどぉー』 ティガれみりゃは詫びるが、 それに対して親れみりゃの方は全く気にする素振りもない。 それどころか、自分達をいじめたあの3匹のゲスまりさを、 まったく寄せ付けず倒してしまった強さに、ただただ感動していた。 「うーうー♪ れみりゃは気にしないどぉー♪ それより助けてくれてありがとうだどぉー♪」 『う~~? いいのぉー?』 ティガれみりゃからすれば、別に助けたつもりもなかったので、 ただただ自分のミスを許してくれて、おまけに何故か御礼を言われたことに気分を良くする。 『うー♪ ちっちゃなれみりゃは優しい良い子だどぉ♪ れみりゃは、れみりゃにごほうびをあげたいどぉー♪』 「うっ? ごほーび?」 『そうだどぉ♪ なんでも言ってねぇ~♪』 うっふんとウィンクし、 うんしょ、うんしょと立ち上がるティガれみりゃ。 「……うぅー」 親れみりゃは考える。 そして、自分の置かれた立場を思い出した。 迷子になってしまったこと、子供を失ってしまったこと。 次々に悲しみがよみがえってきて、自然と涙が流れてくる。 『うーっ! どぉーしたんだどぉ?』 「うーーー! うーーー! うーーー!」 『う~~、れみりゃに泣かれると、なんだかれみりゃもかなしくなるどぉ~~』 困ったような笑顔のまま、ティガれみりゃは目尻にうっすら涙を浮かべる。 「……う~、れみりゃ、おうちにかえりだいどぉ」 嗚咽をすすりながら、親れみりゃは口を開く。 そう、おうちへ帰ろう。 そして、ぷっでぃんを食べて、さくやに慰めてもらって、ふかふかのベッドで眠ろう。 親れみりゃは、それだけを強く願い始める。 『う~~♪ わかったどぉ~~♪』 「うっ?」 『れみりゃがいっしょにおうちを探してあげるどぉ♪』 ティガれみりゃは、潰さないよう、優しく手の平の上に親れみりゃを乗せ、 自分の顔の前へ持ってくる。 至近距離で互いの顔をじっと見つめ合う、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『う~~♪ ちっちゃいれみりゃだどぉ~~♪』 「う~~♪ おっきぃれみりゃだどぉ~~♪」 自然と笑顔になる、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『うっうー♪ ちっちゃいれみりゃもかわいいどぉー♪』 「うっうー♪ おっきぃれみりゃもかっこいいどぉー♪」 互いを褒め合い、たたえ合う2人(?) ティガれみりゃは、親れみりゃを自分の頭の上に乗せる。 「う~! すっごい高いどぉー! 風がきもちいいどぉー♪」 痛みも忘れ、喜ぶ親れみりゃ。 実際、既に手足はだいぶ再生しており、 ふりおとされないようティガれみりゃの頭にしがみつくくらいのことはできるようになっていた。 最弱といえど捕食種れみりゃ。ゆっくりゃザウルスとなっても再生力は健在である。 『うー、それじゃいっくどぉー♪』 「うーっ♪」 よったよったのしのし。 よったよったどったどった。 頭の上にゆっくりゃザウルスを乗せて、 ティガれみりゃは湖に背を向けて、森を進んでいく。 ……紅魔館は、湖の対岸にあるのだが、 そんなことはティガれみりゃも親れみりゃも知らなかった。 2人はそろって楽しげに、うぁうぁダンスのリズムを取り始める。 『「うーうーうぁうぁ♪ うーうーうぁうぁ♪」』 楽しげに歌って踊るうち、親れみりゃは、 自分の中に芽生えつつあった嫌な疑問を払拭しはじめていた。 疑問。 それは、あのゲスまりさ達がたびたび口にした内容。 "れみりゃ達はおぜうさまではなく、たべられちゃうにくまんなの?"という不安。 けれど、そんなのは気のせいだ。 あのいじわるなゆっくり達がウソをついたに決まっている。 (だって、こんなにも可愛くて強いティガれみりゃが、にくまんなわけないもん!) 親れみりゃは、強く確信し、ティガれみりゃにあわせて快心のリズムを刻んでいく。 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 にぱぁ~のタイミングでティガれみりゃと親れみりゃは、 その下ぶくれスマイルを最高に輝かせた。 あまりにも歌も踊りも素敵だったから、気持ちよくて楽しかったから、 だから2人は気付かなかった。 ティガれみりゃの進む先、空中を浮遊する1人の少女の姿を。 人とも妖怪とも違う、もっと強くもっと恐ろしい、幻想郷からは本来姿を消した存在。 甘ったるい桃ばかりに飽きて、塩からいツマミを探していたその"鬼"の存在に。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ4・誇りをかけた試練(後編)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第三回です。 すみません、ちょっと長くなってしまったので前編後編わけました。 ……というか、風邪をこじらせてしまいまして、 そろそろ意識が朦朧としてきたので、とりあえずここで区切らせていただきます。 (ほんとはこの先が書きたくて、このエピソード作ったのにorz) それと、本当にどうでも良いことではあるんですが、 そろそろモンハンが元ネタのタイトルが尽きてきました……。 byティガれみりゃの人 ============================ 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1001.html
※人間、妖怪等は出てきません ※交尾シーンがあります ※俺設定あります ゆっくりを構成する比較的単純な構造の餡子遺伝子。 複雑な結びつきもなく、親から子、子から孫へと受け継がれるほとんど同一のもの。 だが今ここに、何万何億分の一の確率でそれが突然変異した。 「ゆ~♪ ゆっくりしていってね~♪」 一匹のゆっくりれいむが巣の中で歌を歌っていた。 その頭からは蔦が生え、子供の実が八個生っている。 どれもこれもが震え、もうすぐ生まれ落ちそうだ。 「ゆゆ~♪ ゆっくりしたあかちゃんがうまれてね~♪」 やがてその内の一つ、一番大きな実がポトリと蔦から落ちた。 母となったれいむは期待に満ちた眼差しでその子供を見つめる。 大きな帽子と美しい金色の髪。長女としてうまれたその子はまりさ種だった。 しばらくぷるぷると震えたのち、赤ちゃんまりさが大きな目をパッチリと開けた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 母れいむは喜ぶと同時にとても驚いた。 何故なら、その赤ちゃんの活舌がとても良かったからだ。 だがその驚きも、初めての自分の子供を前にした喜びでは些細なことだった。 母れいむは満面の笑みで赤ちゃんまりさに言う。 「ゆ! れいむがまりさのおかあさんだよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆー! おかーさん、ゆっくりしていってね!」 母と子供はお互いの頬を擦り合わせた。 人間でいえば抱擁にあたるその行為は、二匹の心に安らぎを与える。 「もうちゃんとしゃべれるなんて! まりさはとってもかしこいこだね!」 このまりさこそ、餡子遺伝子の突然変異によって生まれたゆっくりだった。 既に体が普通の赤ちゃんゆっくりより若干大きく、活舌も良い。 悪い言い方をすれば奇形、良い言い方をすれば進化したゆっくりである。 まりさが生まれたのを皮切りに、次々と子供達が蔦から落ちていった。 長女まりさを除けば、赤ちゃんゆっくりは全部で七匹。れいむ種が三匹にまりさ種が四匹だった。 まりさは母親と共に、生まれた自分の妹達に祝福の挨拶をした。 「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」」」」 それから一週間、まりさは他の子供達と共にすくすくと育っていた。育ちすぎだといってもいいだろう。 その能力の高さから、ある時は母親と一緒に食べ物を探しに出かけたり、またある時はまだ幼い他の姉妹たちをなだめたりしていた。 母から聞いたところ、もう片方の親であったまりさは"れみりゃ"というゆっくりに食べられてしまったらしい。 だけどもまりさは悲しくなかった。お母さんれいむがもう片方の親の分まで自分達を愛してくれていると感じていたから。 そして、そんな家族に転機が訪れる。 ある晴れた日のことだった。一家は巣の近くの草原でゆっくりしていた。 お昼ご飯を食べ終え、元気に草の上を駆けまわるもの、母親に寄り添って昼寝をするもの等様々である。 母れいむとまりさもその様子を微笑んで見ながらゆっくりしている。 まりさは既に大人ほどの大きさになっていた。とは言ってもまだ母よりは小さい。 それでもその落ち着いた雰囲気は姉妹や同年代のゆっくりとは比べ物にはならない。 怒ると怖いけれど誰よりも自分達子供のことを一番に考えてくれるとっても優しい母。 まだまだ幼いけれど元気と明るさでは誰にも負けない妹たち。 皆に囲まれてまりさは幸せだった。 だがその幸福な時間が突如終わりを告げる。 「う~! た~べちゃうどぉ~!」 突然聞こえた声。それに真っ先に反応したのは母れいむだった。 「…!! みんな、ゆっくりしないであつまってね!」 ゆっくりとは思えない機敏さで子供の前に立つ母れいむ。まりさも野原で遊んでいる妹達を集める。 子供達は母れいむとまりさの後ろに隠れる形となった。 そんな一家の前には、婆臭い帽子を被った人間の子供のようなゆっくりが空を飛んでいる。 まりさは以前母から聞いた言葉を思い出した。 れみりゃ。それは自分たちを食べる非常に恐ろしいゆっくりらしい。 まりさのもう一人の母親であるまりさもれみりゃに食べられたと聞いた。 そして今目の前にいるこいつこそがそれなのだろうと判断した。 「れみりゃはおなかがすいてるんだどぉ~☆」 両腕を天に掲げながら、れみりゃはゆっくりとれいむ一家に近づいていく。 知能はゆっくりの中でも1、2位を争う低さなのにその生まれ持った力によって捕食種となっているゆっくりれみりゃ。 あまり知恵も力もない普通のゆっくりにとっての天敵である。 しかも体付きの希少種ともなればゆれいむやゆまりさでは到底敵わない。 「う~♪ おいしそうだどぉ~♪」 徐々に迫ってくるれみりゃにまりさ以外の子供達は怯え震えている。 母れいむに緊張が走った。駄目だ、このままでは皆やられてしまう。 とその時、まりさがれみりゃに突撃した。 「おかあさん、みんなをつれてかえってね!」 それは一か八かの賭け。自分がれみりゃの気を逸らしているうちに皆は逃げることができる。 いや、もしかしたら自分ならこいつを倒せるかもしれない。 しかし、その希望は無残にも打ち砕かれた。 「と~ったど~!」 「ゆっ!?」 がちっと両手で捕まえられるまりさ。 逃げようと暴れるが、その手はびくともしない。 むしろもがけばもがくほどれみりゃの指が皮に食い込み、まりさに痛みをもたらす。 「う~! いただきま~~すだどぉ~♪」 れみりゃが口を大きく開いた。その中には何本もの鋭い牙がギラギラと輝いている。 迫りくる絶望。自分の力では絶対にのがれることの出来ない死。 今になってまりさは自分の軽率な行動を悔やんだ。少しでも勝てると思った自分は馬鹿だった、と。 大きく口をあけたれみりゃが近づいてくる恐怖からまりさは目を閉じ、命の終わりを覚悟したその時。 「れいむのこどもをはなしてねっ!」 どんっ、という音と共にまりさの体に自由が戻る。 一瞬宙に浮かぶ感覚とその後に来る衝撃。れみりゃの手から解放され、地面に落下したのだった。 目を開けて状況を確認するまりさ。 彼女の視界には不満そうな顔をしたれみりゃとそれに立ち向かう母の姿が映った。 「う~、れみりゃのしょくじをじゃまするんじゃないどぉ~~!!」 ぷりぷりと怒るれみりゃは駄々っ子のように手を振り回す。どう見ても何も考えていない、からっぽの頭にふさわしい攻撃。 だがその力はゆっくりにとっては馬鹿に出来ない。 例え成長しきった大人ゆっくりでもその一撃をくらえばしばらくは動けなくなるだろう。 それを母れいむは避け続け、れみりゃの隙をついて体当たりをしかける。 「う゛~~!! いたいどぉ~~!!」 呑気な声色からは攻撃が効いているのかいないのかさっぱりわからない。 とはいえ全く効果がないわけではないようで、徐々にれみりゃの手の動きが遅くなっていた。 まりさは妹達と合流し、母れいむとれみりゃの攻防を見守る。 「がんばれおかーしゃん!」 「そんなやつ、やっちゅけちゃえ!」 赤ちゃんゆっくり達は次々に母を応援し始めた。 お母さんが守ってくれるから大丈夫だ、という考えがあるのかその顔には安堵の色が浮かんでいる。 しかし、先ほどれみりゃに捕まっていたまりさは嫌な予感がした。 いくら母が強いといえどあの怪物のような力に勝てるのだろうか。 そして予感は的中することになる。 今までなんとか避けていたれみりゃの拳が母れいむにクリーンヒットしたのだ。 ゆ゛ぐっ! という呻き声と共に地面へと崩れる母れいむ。その口からは餡子が漏れていた。 「う~♪ れみりゃはつよいんだどぉ~~♪ れみ、りゃ、うー☆ きらっ☆」 くるくると頭の悪さ100%な踊りを踊るれみりゃ。その落書きのような顔には無邪気な笑顔が浮かんでいる。 一方、地面に倒れたままの母れいむは既に虫の息である。 たった一撃、されど一撃。これが捕食種と被捕食種の力の差だった。 「ゆ゛ゆ゛っ…ゆ゛っ…」 ほとんど焦点の定まっていない目で母れいむは子供達の方を見る。 まりさと母れいむは目が合い、無言での意思疎通をした。 (まりさ、みんなをつれてにげてね!) 「う~、ぷりちーにおどったどぉ~♪ じゃあそろそろたべるどぉ~♪」 踊り終わったれみりゃが母れいむを掴み上げる。 それと同時にまりさは姉妹を連れて逃げ出した。姉妹を口に含み、まりさは駆ける。 後方から母の断末魔が聞こえてくるが、それでも走り続ける。涙が風に乗って流れて消えた。 体力の限界まで走り続けた結果、辺りは薄暗くなっていた。 ここまでくれば大丈夫だろうとまりさは口を開く。 「ゆっ!? ここはどこ?」 「おそらがくらいよ! いつのまによるになっちゃったの?」 「おねーちゃん、おかーしゃんはどこにいっちゃの?」 わけがわからず混乱している姉妹たちにまりさは数時間前の出来事を説明する。 母親は自分の身を犠牲にして子供達を守ったこと、そしてまりさが皆を連れて逃げだしたこと。 「うしょだぁぁぁぁぁ!! おかーしゃんがじんじゃうわけにゃいよぉぉーーー!!」 「びええぇぇぇぇぇぇ!! おかーしゃあああああああん!!」 「おねーちゃんのばかーー! どうしておかーしゃんをたすけなかったのぉぉ!!!」 「ごのうそつぎ! おねーぢゃんのうそづき!」 口々に泣き叫ぶ姉妹たち。中には自分たちの命を救ったまりさを罵倒する者もいる。 だがまりさは反論できない。 姉妹たちは幼く、そして何より自分の軽率な行動によって母親は死んでしまったとまりさは感じていたからだ。 あの時もっと慎重にしていれば皆助かっていたかもしれない。そう思うとまりさの心は暗くなる。 しかも無我夢中で走り続けたせいか、辺りを見回してもここがどこだかさっぱりわからない。 おうちに帰れないし、食べ物もない。赤ちゃん達はまだ泣きやむ気配もない。 その時、まりさ達に声をかけたゆっくりがいた。 「あら? あなたたちどうしたの?」 それはゆっくりありすだった。 とても美しい金色の髪を持ち、その頭には可愛いカチューシャが付いている。 彼女はまりさの妹達の鳴き声を聞きつけてやってきたのだった。 「ゆ…じつはおうちにかえれなくなっちゃって…」 まりさがそう言うと、ありすはにこにこと笑顔を浮かべて提案した。 「じゃあこんやはありすのおうちにこない? あかちゃんたちもつかれてるみたいだし」 「ゆー、いいの?」 「えぇ、もちろん! たべものもたくさんあるわよ!」 にっこりと微笑むありす。その笑みに悪意は全く感じられない。 このゆっくりは大丈夫だ、とまりさは判断した。 ならお言葉に甘えさせてもらおう。 「ゆー、ごめんね。じゃあこんやだけおせわになるよ!」 「ふふっ、きにしないで。おうちはこっちよ、ゆっくりついてきてね!」 ありすが森の奥へと進み、まりさ達姉妹も続いた。 しばらく歩いて巣の場所に着くと、ありすは入り口を覆っていた葉や枝を除け、まりさ達をその中へ招いた。 「ここがありすのとかいはなおうちよ!」 中はゆっくりにとってはとても大きかった。 まりさ達姉妹が全員入ってもまだまだ余裕のある、ありす一人暮らしには広すぎるような巣だ。 「ゆー! しゅっごくおっきぃー!」 「れいみゅたちのおうちよりひりょいね!」 「ゆ! こっちにきりぇいなもにょがいっぱいありゆよ!」 赤ちゃん達はこれまで見たことないような大きさの巣と数々の美しい装飾品に興奮している。 ぴょんぴょん跳ねまわる妹達を見て、まりさは慌てて声をかけた。 「みんな! あまりはしゃいじゃだめだよ! ありすにめいわくだよ!」 それをまりさの横で聞いたありすは、微笑んだまま優しく言う。 「あら、べつにいいのよまりさ。あかちゃんはげんきにうごきまわるのがしごとなんだもの!」 「そ…そう? ごめんね」 まりさは思った。ありすはなんて心の広いゆっくりなのだろうと。 見た目も美しく、性格も優しい。まりさにはありすがまるで女神のように思えた。 「さて、みんなおなかすいてるでしょ? ゆっくりあつまってね!」 その言葉に今まで飛び跳ねていた赤ちゃんゆっくり達は我先にとありすの元へと集まって来た。 「おなかしゅいたよー!」 「ありしゅおねーしゃん! おいしいたべものちょーだい!」 「えぇ、こっちへいらっしゃい!」 ありすは巣の奥へと皆を案内した。 そこにあるのは美味しそうな木の実や昆虫、美しい花やキノコ等の食料の数々。 それを見た赤ちゃん達はだらだらと涎を垂れた。 「ゆー! とっちぇもおいちしょー!」 「みんな! えんりょせずにたべてね!」 ありすが言い終わるや否や、赤ちゃん達は一斉にご飯を食べ始めた。 「いただきまーちゅ!」 「むーちゃむーちゃ、しあわしぇー!」 「とってもおいちーよー♪」 無我夢中で食事をする赤ちゃんを見て、ありすは幸せそうに微笑んでいる。 と、そこで一番大きな姉まりさがずっと食べ始めないのを疑問に思った。 「どうしたの? おなかでもいたいのかしら?」 「ううん、そんなことないよ。あのね、ありす。ほんとうにありがとう! ありすのようなゆっくりにであえてよかったよ!」 その言葉に一瞬ありすは驚いた顔になるが、すぐに恥ずかしそうな笑みを浮かべた。 「ふふっ、ありがとう。さあ、わたしたちもごはんをたべましょう。そしてきょうはゆっくりやすむといいわ!」 まりさは頷き、ありすと一緒にご飯を食べ始める。 ずっと走って体力を消耗したせいか、今までで一番美味しいご飯だとまりさは感じた。 夕飯を食べ終えると、赤ちゃん達はありすやまりさと楽しく遊んでから眠った。 まりさもそれから程なくして眠り始めた。 どれぐらい眠っただろうか。 深夜、まりさは聞こえてきた奇妙な音で目を覚ました。 「んほ……ちっこ…まり…かわい……」 「やべ…どお………きぼぢわりゅ……」 何の音だろうと思い、目覚めたまりさが見た光景は――。 「んほおぉぉぉぉ!! そろそろイきそうよおぉぉぉぉ!!」 「い゛や゛あぁぁぁぁぁぁ!!」 ありすが頬を赤く染め、涎を垂らしながら妹まりさに頬擦りしていた。 いや、頬擦りではない。これは交尾だとまりさは本能で理解した。 ありすは目を血走らせ、荒い息を吐きながら素早く何度も頬を上下させる。 赤ちゃんまりさはありすに押さえ込まれ、身動きできずにただ泣き叫ぶしかなかった。 やがて頬を動かすスピードが一層早まり、ありすは恍惚の表情を浮かべる。 「ハァハァ…んほおぉぉぉ!! イグうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「びやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 長い断末魔を響かせて、赤ちゃんまりさは白目を剥き、口から餡子を洩らす。 直後、その頭から小さな蔦ば生えるがすぐに枯れた。 そしてそれと同時に赤ちゃんまりさの体が黒ずんで朽ちてゆく。 「ハァ…ハァ…すっきりー♪」 行為を終えたありすは気持ちよさそうに声を上げた。たがその目は未だに充血し、息も落ち着かない。 それを見ていたまりさは一連の出来事が信じられなかった。 というより一体何が起こったのか頭が処理できないでいる。 ありすが妹と交尾した? 何故? 妹は死んだ? あれはありすなのか? 様々な思いがまりさの中で渦巻き、混沌としてゆく。 ふと見ると、今朽ち果てた妹の他にももう一匹、妹れいむの死体がありすの足元に転がっているのを発見した。 こちらも同じように体が黒ずんで死んでいる。 それを見たまりさは思わず小さな悲鳴を上げた。 「ヒッ…!?」 「あら…まりさ、おきちゃったのね…」 と、そこでありすはまりさが目覚めていることに気づいた。 欲望でギラギラ輝かせた目はまるで捕食種が獲物を狩る時のようである。 未だ混乱の収まらないまりさに、ありすは勢いよく跳びかかった。 「ま゛り゛ざあああぁぁぁぁ!! すっぎりじましよおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 どっしりとありすはまりさにのしかかり、その体を押さえつける。 餡子遺伝子の異変により進化したまりさは、普通のゆっくりより力が強い。 体は一回りほど小さいが、並みの大人ゆっくり相手なら喧嘩をしても勝てるほどである。 だから今自分にのしかかっているありすもはねのけようと思った。 しかし、いくら力を入れてもありすにそれ以上の力で押さえつけられ、体が動かない。 「んふふぅぅぅ!! そんな゛にからだをくねらせでええぇぇぇ! さぞっでるの゛ね゛ええぇぇぇぇぇ!!」 元々ぱちゅりー種以外の通常種のゆっくりにそれほど身体能力に差はない。 一般的にまりさ種が強いといわれているがそれも大体思い込みによるものである。 だがありすだけは違う。 確かに普段は他のゆっくりと似たような運動能力である。 しかし、発情時のありすはリミッターが外れ、身体能力が飛躍的に向上するのだ。 それはこのありすも例外ではない。 「ありす! どうしちゃったの!? やさしいありすにもどってよ!」 押さえつけられたまりさは眠る前までのありすを思い出し、呼びかけるがありすは全く聞いていない。 目を血走らせ、涎をぼたぼた垂れ流しながら息を荒げている。 その顔に先程までの美しく優しいありすの面影は全く無かった。 元々このありすはこっちの方が本性なのだが、当然まりさはそんな事は知らない。 優しいお姉さんのふりをし、ゆっくり達を巣へと招いてじっくりと犯す。 それがこのありすの趣味だった。 ちなみに、この巣も本来の持ち主であったゆっくり一家を犯し殺して奪ったものである。 「さあ、まり゛さ! いっしょに゛ずっきりじましょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ありすがまりさの頬をねっちょりと舐めた。 「や、やめてね!」 何とかありすから逃れようと体を動かすが、強い力で抑えつけられていて身動きが出来ない。 そんなまりさの様子を、発情したありすは息を荒げながら見ていた。 「うふふふふふ、まりさとぉぉってもかわいいわああぁぁぁ! いまきもちよくしてあげるからね゛ええぇぇぇぇ!!」 べろりと再びまりさの頬をありすは舐める。 ぬめぬめした感触がたまらなく気持ち悪い。だがありすはそんなまりさなどお構いなしに舌を這わせ続ける。 しばらくすると、ありすの舌が頬から唇へと移動し始めた。 「…!! や、やめっ!」 まりさが思わず口を開いた瞬間、ありすはその口内に舌を挿入した。 そのままありすは舌同士を絡ませ、自らの唾液をまりさの中へと送り込む。 ねっとりと口から口へ移動する唾液。 まりさは強烈な吐き気を催し、何とか逃れようとするがありすの力は強く、相変わらず身動きすらできない。 抵抗することもできず、まりさはありすの愛撫を受け入れることしかできなかった。 巣の中にぴちゃぴちゃという音が響く。 ありすの舌はまりさの口内を余すところなく舐めていく。 しばらくの後、ありすは自分の唇をまりさのそれから離した。 見ると、まりさの目には涙が浮かんでいる。 「ぷはぁ…もしかしてふぁーすとちゅっちゅだったのかしらぁぁ? じゃあやさしくしてあげないとねぇぇぇ!!」 そう言ってありすは自分の頬をまりさのそれと擦り合わせ始めた。 最初はただ単に擦っていただけだったが、次第にありすの頬から体液がじわじわと滲みだす。 それが潤滑油となり、ねちゃねちゃと音を立てて頬擦りは性行為へと変化した。 悪寒。自分の体が汚される感覚がまりさの中を駆け巡る。 「んふふ、どうまり゛ざああぁぁ! きも゛ちいいでしよぉぉぉぉぉぉ!!」 ありすが相変わらず血走った眼で何度も何度も頬を上下させながら聞いた。 息使いは今まで以上に激しくなり、恍惚の表情が浮かべている。 だがまりさは気持ちいいとは到底思えない。むしろとても気持ち悪かった。 「はなしてっ! ぜんぜんきもちよくなんかないよ!」 「んもおおぉぉぉぉ! まりさってばつんでれなんだから゛ああぁぁぁぁぁ!!」 まりさの抗議もありすは聞く耳持たずである。 何度も何度も体をくねらせて頬を擦りつけ、たまに頬で頬を叩く。 どんどんとそのスピードは速くなっていき、ありすの瞳もとろとろになっていった。 だがまりさは相変わらず気持ち悪いだけである。 猛烈な吐き気を我慢し、必死に耐えていると、ありすは今までで一番素早く頬を上下させた。 「んほおおおおぉぉぉぉ!! イぐううぅぅぅぅぅぅぅ!!」 絶頂に達する直前、ありすの体から全ての力が抜けた。そしてまりさはその隙を見逃さない。 自分を押さえつける力が無くなった瞬間、全力を込めてありすを跳ね飛ばした。 無防備だったありすの体は大きく宙へと舞い上がる。 「うぐっ! ぐべぇっ!?」 自分の身に何が起きたのかわからず、ありすは事態に対処できずにそのまま仰向けに地面へと落下した。 床に叩きつけられ、その衝撃で口からカスタードを吐きだす。 まりさはありすに飛び乗り、体重を乗せてとび跳ねた。 どすんどすんと音がする度にありすの体が潰れ、口からカスタードが勢いよく嘔吐される。 「ゆべっ! ご、ごめんなざいぎぃっ! ま゛、まりう゛ぶぇっ! ゆ、ゆるじで…」 だがまりさは一心不乱にありすの体を踏み潰していく。 踏みつけるたびにありすはカスタードを吐き、体の破れた部分からも漏れる。 「ぷぎゃっ! ご、ごんなの…ぶべっ! ど、どがいはじゃ、げぼっ! な゛いわ゛…!」 しばらく踏み続け、まりさが気付いた時にはありすはただのカスタードの塊となっていた。 ハァハァと息を荒げ、まりさはかつてありすだった物を見つめながら、ごめんねと心の中で謝った。 まりさは眠る前の記憶を思い出す。 全く知らない土地で、とても親切にしてくれたありす。 美味しい食べ物も沢山貰ったし、赤ちゃん達とも遊んでくれた優しいお姉さん。 それがどうしてこんなことになったのか。 中身が飛び散ったありすの死体と黒く朽ち果てた二匹の妹を見てまりさは涙を流した。 翌朝。 まりさは妹達が目を覚ます前に口に含み、ありすの巣から出た。 昨夜の出来事から、まりさの気持ちは沈んでいた。 しばらく進んだところで妹たちが目覚めたので口の外に出す。 「ゆー? ここどこぉー?」 「ありしゅおねーちゃんはー?」 辺りを見回し、不思議そうにしている姉妹たちにまりさは優しく言った。 「ありすおねーちゃんはとおくにいっちゃったの。あかちゃんたちによろしくっていってたよ」 それを聞いた赤ちゃんゆっくり達は不満の声を上げたが、しばらくすると大人しくなった。 どうやら姉妹が二匹減っていることにも気づいていないようだ。 ありすのことは覚えているのに、おかしな話である。 赤ちゃん達の中では食べ物をくれた優しいお姉さん>姉妹であるらしい。 これからどうしようとまりさは考えた。 行くあてもないし、かと言っておうちへの帰り道もわからない。 今は自分達がゆっくりできる場所は無い。 そこで妹達にも聞いてみたところ、次のような答えが返って来た。 「ゆ! じゃあれいみゅたちのゆっくちぷれいしゅをみちゅけようよ!」 まりさもそれしかないな、と思う。 簡単な事だった。無いのなら見つければいい。 「ゆ! じゃあみんな! これからまりさたちのゆっくりぷれいすをさがしにいこうね!」 「「「「「ゆー!」」」」」 まりさは元気を絞り出し、妹達に言う。 こうしてまりさ姉妹のゆっくりプレイス探しの旅が始まった。 続きへ あとがき お兄さんの出ないSSを書こうと思った結果がこれだよ! ゆっくりのみというのも中々難しいですね。 遅筆ですが、これから頑張って完結させたいと思います。 あと、作品も結構溜まって来たので生意気にも作者名をつけたいと思います。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 ゆっくりれいむの悪夢 by.ダイナマイト横町 このSSに感想を付ける