約 632,104 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1859.html
『適者生存』 温かな春の陽射しの下、 色とりどりに咲き乱れる花畑があった。 風に揺られて、花びらと蝶の舞う一帯。 そこで、楽しさを全身で表現して、よたよただばだば踊る者達がいる。 胴体付きの、ゆっくりれみりゃ達だ。 「「「うっうー♪ うぁうぁー♪」」」 花畑のステージで、思い思いに踊って歌うれみりゃ達。 その周りで、一回り小さい胴体付きれみりゃ達が草花の絨毯に座って喝采を送っていた。 「まんまぁー、きれぇーきれぇーだどぉー♪」 「とぉーってもえれがんとだどぉー♪」 れみりゃ達は、数組の親子からなる群れだった。 今は、親にあたるれみりゃ達が、 子供達に"のうさつ☆だんす"や"うぁうぁ☆だんす"を教えているところだ。 親れみりゃ達は充実した笑みを浮かべて踊りを止め、 ふくよかな手で拍手を送るギャラリー達に、誇らしげに胸を張る。 「うー♪ あかちゃんたちぃーありがとぅだどぉー♪」 「まんまぁーはかりしゅま☆おぜうさまだから、これくらいあっさめしまえなんだどぉ♪」 そうして、親れみりゃ達は、ワクワク体を揺らす子供達を立たせ、ダンスを教えていく。 お手々を閉じて、開いて、ぐるぐる回して、お尻をフリフリ揺らして、はいウィンク。 そして、最後はおぜうさまだけに許される"かりしゅま☆ポーズ"で決めだ。 「「「れみ☆りゃ☆うー☆にぱぁー♪」」」 決まった。 そこにいる全てのれみりゃ達がそう感じていた。 渾身のポーズに、れみりゃ達は「うっうー♪」と一同に喜びを露わにする。 心が満たされれば、次はお腹が満たされる番だ。 親れみりゃ達は、花畑に咲く大輪の花をもぎ取って、優先的に子れみりゃ達に渡していく。 やがて、親れみりゃにまで花が行き渡ったところで、 れみりゃ達はフカフカの緑をソファーにして、杯に見立てた花で乾杯をする。 「えれがんとなでぃなーにするどぉー♪」 「うーうー♪」 "えれがんと"な食前の挨拶を終え、 れみりゃ達は、花の付け根に口をつけ、ちゅーちゅー吸い出した。 「う~~ちゅぶちゅぶ☆」 「ちゅ~ぶぅ☆ちゅ~ぶぅ」 ちゅーちゅー。 ちゅーちゅー。 れみりゃ達は、花の蜜を吸っていく。 「うーうー♪ あまあまー♪」 「うぁうぁー☆おはなさんおいしぃーどぉー♪」 蜜を吸い終え、まるっこい掌で両頬をおさえる、れみりゃ達。 1輪吸い終えると、また次の花へ。 赤い花、青い花、黄色い花。れみりゃ達は花を千切っては、その蜜を吸い上げていく。 れみりゃ達の顔は、一様に幸せに満ちていた。 そこに一切の不満や疑いは無い。 とはいえ、この花畑に咲いている花は、全てごく普通の花だ。 蜜の量は少なく、人間のお菓子や餡子の甘みとは比較にならない。 にも関わらず、れみりゃ達は満足していた。 「う~~♪ ごちそうさまだどぉ~~♪」 やがて、お腹いっぱいになったれみりゃ達は、どさっと体を倒してゴロゴロひなたぼっこを始める。 とりわけ、さっきまで盛んに踊っていた親れみりゃ達は、温かな日光を毛布にして、うつらうつらし始めた。 一方、遊び盛りの子れみりゃ達は、ひなたぼっこをそこそこに切り上げ、起きあがる。 「まんまぁー、れみぃーおさんぽいきたいどぉ☆」 「う~~ぽかぽかだどぉ~~~♪ むにゃ~~さくやぁ~~~♪」 親れみりゃを催促する子れみりゃ達。 けれど、親れみりゃ達は既に幸せな夢の中にいた。 「うー? まんまぁーたちおやすみだどぉー」 「れみぃーのまんまぁは、おねむしててもえれがんとだどぉー♪」 仕方なく、子れみりゃ達は自分達だけで探検を始める。 それは、ちょっぴりドキドキ刺激的で、まだ幼いれみりゃ達には大変魅力的なものに思えた。 子れみりゃ達は知らなかったのだ。 自分達れみりゃ種が置かれている状況を。 故に、子れみりゃ達は、探検するうちに見つけた"ソレ"に対しても無警戒だった。 「うぁ?」 「どぉーしたんだどぉ?」 「なんだかへんなのがいるどぉー♪」 先頭を行く子れみりゃが足を止め、視線の先にいる"ソレ"を見て首を傾げた。 後ろの子れみりゃ達もまた、不思議がりながらも、無邪気な余裕を露わにする。 「ほんとだどぉー☆れみぃーたちとちがって、ぶちゃいくだどぉー♪」 「おあたまぴっかーん☆だどぉ! だんすのおれいに、まんまぁたちにアレぷれぜんとするどぉ!」 「うっうー♪ ぐっどあいであだどぉー☆きっとまんまぁたちよろこぶどぉー♪」 「「「れみぃーたちってば、やっぱりかわいくておりこうさんだどぉー♪」」」 自画自賛を繰り返し、子れみりゃ達は"ソレ"を捕まえることに決めた。 それが、どれほど危険な行為かも知らずに……。 * * * "まんまぁー!!" 静かな森からか弱い叫びがこだまし、夕焼けの花畑に届くのに、そう時間はかからなかった。 「う、うぁ!?」 遠くから聞こえてきた愛する子供たちの声に、ハタッと目を覚ます、親れみりゃ達。 親れみりゃ達は、キョロキョロあたりを見回して、額に一筋の肉汁の汗を浮かべた。 「う~~? あかちゃ~~ん?」 「どぉーしたんだどぉ?」 「うぁ、あかちゃんたちいないどぉ!?」 徐々に状況を理解していき、慌てふためく親れみりゃ達。 じたばたどたばた。 あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。 親れみりゃ達は愛する子供達を探すが、取り乱すばかりで何も出来ない。 と、その時、再び子供達の声が響いた。 その声は、花畑に隣接する森の奥から聞こえてきた。 "まんまぁー、こっちくるどぉー!!" 「うっ! あかちゃんたちのおこえだどぉー!!」 「ほんとだどぉー♪ あのかぁーわいいおこえはまちがいないどぉー♪」 親れみりゃ達はその声を頼りに、森の中へと走っていく。 トテトテ、だばだば。 その走る姿は、人間からすれば巫山戯ているようにも見えるが、れみりゃ達からすれば必死の全力疾走だ。 ふくよかなお手々やあんよに擦り傷ができようと、 おべべが泥でよごれようと、親れみりゃ達は厭わなかった。 それは親としての情愛、さらにれみりゃ種の種としての生存本能が働いたからこそ出せる火事場の力でもあった。 「う~~~っ! あかぢゃーん! まっででねぇ−ん♪」 「いま、まんまぁーがいくどぉー! もぉーあんしんだどぉー♪」 そうして、がさごそ茂みを抜ける親れみりゃ達。 彼女らは、そこで愛する子供達と再開するのだが……。 「うーっ♪ まんまぁーだどぉー♪」 「ほんとだどぉー♪ やっぱりしゅやくはおくれてくるもんなんだどぉー♪」 「たよりになるどぉー♪ えれがんとでかりしゅま☆なれでぃーだどぉー♪」 子れみりゃ達は、確かにそこにいた。 そして、駆けつけた親達を見て、一様に目を輝かせた。 が、感動の対面……というわけにはいかなかった。 喜色満面の子れみりゃ達の一方で、親れみりゃ達は絶句して固まってしまっていた。 親れみりゃ達が見た光景。 それは、子れみりゃ達が数匹の"ソレ"によって捕まってしまっているところだった。 愛する子ども達は、"ソレ"の長い舌に体を巻き取られ、かろうじて顔だけが露出していた。 「う~~♪ しんだどぉー☆おまえらしんじゃったどぉー♪」 「れみぃーたちをいじめたこと、こうかいするがいいどぉー♪」 「まんまぁー♪ はやくこいつらやっつけちゃうんだどぉー♪」 自分たちを捕まえて離さない"ソレ"に対し、悪態をつく子れみりゃ達。 意気揚々な子れみりゃ達に疑いはなかった。 こーまかんのおぜうさまたる自分たちに害をなす者などいるはずがないと、そんなことが許されるはずがないと。 だから、自分たちに無礼を働いた"こいつら"は、間もなく尊敬する"まんまぁー"達にやっつけられて当然だと。 しかし、現実は子れみりゃ達が思うほど甘くはない。 親れみりゃ達は、子ども達の期待になかなか応えようとしない。 それどころか、ガタガタと体を震えさせるのが精一杯だった。 「う~? まんまぁー?」 「お、お、お……」 親れみりゃ達がようやく絞り出し、発した行動……それは恐怖に染まった絶叫だった。 「「「お、お、お、おまんじゅうだどぉぉぉーーー!!!!」」」 うわぁぁー!と目を見開き、パニックに陥る親れみりゃ達。 そこに、先ほどまでの平和で楽しかった面影も、かりしゅまでえれがんとな様も無い。 圧倒的な恐怖と絶望を前にして、そんなことを気にする余裕はどこにも無い。 "おまんじゅう" 親れみりゃ達が口にし、子れみりゃ達を舌で捕らえているもの……それは、ゆっくりれいむの親子だった。 ただし、その大きさは尋常ではなく、親と思われる1匹がざっと3メートル、 その両脇にいる子供らしきものでさえ、2メートル近くはある。 親で1メートルたらず、子どもで50センチほどのれみりゃ達では、どうしようも無い質量の差。 現に、れいむ親子達は、巨大な体躯についた目と口でニヨニヨ余裕の微笑みを浮かべ、愚かなれみりゃ達を嘲っていた。 "うぁぁぁーーん! ざぐやぁぁぁーーーごあいのがいるぅぅーーーー!!" 数匹の親れみりゃが恐怖に負け、子どもを見捨てて逃げ去ろうとする。 だが、回れ右をして走り出したすぐ先に、大きな黒い影が現れ、その進路を塞いでしまう。 「ぶっぎゃあ!」 目の前に突如現れた壁に顔から突っ込んでしまう親れみりゃ。 ボヨンとした弾力にはじき返され、その親れみりゃは尻餅をついてしまう。 "ぅ~~っ、ぅ~~~っ"と嗚咽を漏らし、赤くヒリヒリする顔を押さえて涙する親れみりゃ。 その前で、巨体がドスンと跳ねて地面を揺らした。 そこには、やはり3メートルサイズのゆっくりれいむがいた。 「う、うぁ、うぁあ……」 さらに、茂みの中からは次々と巨大なゆっくり達が姿を現していく。 れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん……そのいずれもが、2〜3メートルの巨体を揺らす。 れみりゃ達は、今やこの巨大ゆっくり達に完全に包囲されてしまっていた。 『ぶたまんがにげられるわけないでしょ? ばかなの? しぬの?』 巨大なれいむがそう言うや否や、巨大ゆっくり達は全てのれみりゃを舌で捕らえ、口の中に閉じこめる。 そうして、巨大ゆっくり達は自分たちのコロニーへと跳ねていく。 この巨大ゆっくり達にとって、れみりゃ種は貴重な食料源だった。 だからこそ、この場で食べあさってしまうようなことはしない。 ある者にとってはより効率的で、ある者にとってはより残酷な手順を、この巨大ゆっくり達は知っていた。 "まんまぁーーー!" "あがじゃんーーー!" "やだぁーーごぁいどぉーーー!" "ざぐやぁーーだじゅげでぇーー!"" 暗い口の中に閉じこめられながら、れみりゃ達はあらん限り泣き叫んだ。 特に、親れみりゃ達は、こらから起こるだろう事態を見聞きしていたため、より悲痛な叫びと絶望をあらわにした。 やがて、泣き叫ぶ力も無くなった頃、れみりゃ達はペッペッと巨大ゆっくりから吐き出された。 そこは、巨大ゆっくり達のコロニーのはずれに作られた"のうじょう"だった。 固い地面の上に吐き出され、痛みで叫ぶ者。 久しぶりの親子の対面に、抱き合いながら号泣する者。 れみりゃ達にとっては、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。 しかし、そんな叫びを涼しく受け流して、1匹の巨大ゆっくりちぇんが、口を開いた。 『みんな"ようとんじょう"いきなんだよー、わかるよぉー』 養豚場。 ちぇんが口にしたその場所には、既にたくさんのれみりゃ達がいた。 だが、そこからは「うーうー♪」も「うぁうぁ♪」も聞こえてこない。 "ぶぅーぶぅー" その場所から聞こえてくるのは、そんな鳴き声だけだ。 この場所は、巨大ゆっくり達が自分達群れのために共同で、れみりゃを"飼って"いる場所だった。 人間であるならば目をそむけたくなるほどの劣悪な環境に、大人も子どもも関係なく、れみりゃ達は押し込められていた。 そこでれみりゃ達は、ゆっくりとはほど遠い、悲惨な家畜としての日々を強制されていた。 『むきゅー! ふらんまかせたわよ!』 新たに連れてきた親子れみりゃ達を"養豚場"に放り込んで、1匹の巨大ぱちゅりーが"養豚場"の管理者を呼ぶ。 間もなく、全身薄汚れて傷だらけのゆっくりフラン達が数匹やってくる。 フラン達は、この"養豚場"の管理を任されていた。 「……うー、わかりましたぁ」 本来、最強のハンターであるはずのフラン達。 そのフラン達もまた、巨大ゆっくりの言いなりになっていた。 管理者といえば聞こえはいいが、結局のところこのフラン達もまた巨大ゆっくり達の奴隷であった。 食糧の飼育に、危険で汚い重労働、あるいはストレス発散のすっきり相手として、フラン達もまた悲惨な状況下でこき使われていた。 「ふらんー! おねがいだどぉー! せべでぇあがぢゃんだけでもぉー!!」 「おねがいじまずぅーー! れみりゃをいじめないでぐだざいぃーー!!」 「……ゆっくり……しね」 泣き叫ぶれみりゃの顔を殴ったり、抓ったり、死なない程度に痛めつけておとなしくさせてから、 フラン達は新しく連れてこられたれみりゃ達を養豚場の奥へ連れ込んでいく。 そこでれみりゃ達を待つのは、家畜として無理矢理繁殖させられ、 育ったならあの恐る巨大べきゆっくり達に食糧として食われる無限地獄だ。 "ぶひぃ~~! ぶひぃ~~!" "はいぃぃーっ、でびりゃはぶちゃいくなぶだまんでずぅー!" "きょうもでびりゃのあがじゃんたべでぐれでありがどぉーごじゃいまずぅー!" 一昨日は友達が食われた。 昨日は実の子どもが食われた。 今日は子ども増やすために無理矢理すっきりさせられた。 明日は自分が食われるらしい。 いつまでも終わらぬ地獄。 巨大ゆっくりやフラン達が眠った夜遅くに、 れみりゃ達は、あらん限りの声で天に叫ぶのが日課になっていた。 「「「ごーまがんのおぜうざまがどぉーじでごんなべにぃーー!!?」」」 * * * どうしてこのような事態になったのか。 事の起こりは数年前にまで遡る。 幻想郷に"ゆっくり"と呼ばれる不思議生命体が現れ始めた頃。 れみりゃ種は胴体の無いものが殆どで、胴体を持っているものは希少種中の希少種と呼ばれていた。 だが、それからしばらくして、そのバランスに変化が起こる。 胴体と四肢を持ったれみりゃの数が増えていき、いつしか胴体の無いものの方が珍しくなっていく。 胴体を持つことでれみりゃ種は飛行能力や敏捷性、捕食種としての感覚を著しく衰えさせた。 しかし、そういったデメリットを差し引いても、当時のれみりゃ達は胴体付きに姿を変えていった。 どんなに不器用でも四肢を持っているメリットは大きい。 また、体が有ればより"えれがんと"なダンスを踊れるし、紅魔館の主に近づくことで一部の人間からの寵愛も受けられる。 既に捕食者として通常種に対して明確なアドバンテージを得ていたれみりゃ種は、 外敵への対処や自然環境を生き抜くためではなく、例え身体能力を劣化させてでも"よりゆっくりするための"進化を選んだのだ。 一方で、れみりゃ達が一つの進化の選択を行うのに対して、通常種達はまた別の進化を模索していた。 れいむ種やまりさ種などに代表される通常種。 彼らは、自然環境に生きるにあたって、あまりにも脆弱で非力だった。 故に、少しでもゆっくりするための可能性として、通常種は一つの定向進化を始めた。 それは、他の動物たちでもまま見られる傾向……すなわち種の個体の大型化であった。 初めは"ドスまりさ"に代表される一部の変異体のみだった大型化。 やがてそれは、通常種全体に見られるようになっていく。 代を重ねるごとにサイズを一回り大きくさせる通常種達。 通常種の世代交代のサイクルの早さもあって、その巨大化は他の生物では考えられぬ早さで行われていった。 そして、2メートルオーバーの成体ゆっくりが当たり前になった頃、通常種達は明確な事実に気付くことになる。 自分達が既に食物連鎖のヒエラルキーにおいて最下層にはいないことに。 さらにこの頃、既に全てが胴体付きになっていたれみりゃ種は、 ゆっくりする事を追い求めた結果、羽を完全にお飾りのものにまで退化させ、空を飛ぶこともできなくなっていた。 ここにきて、捕食する者・される者の関係は、完全に逆転したのだ。 れみりゃ種や、同じく巨大化の道を選ばなかった捕食種達は、巨大通常種に次々蹂躙され、そのエサとなっていった。 一方で、巨大ゆっくりの中には、己の力を過信し、捕食種以外に戦いを挑むものもいた。 だが、人間の知恵と技術には到底かなわず、中型以上の野生動物の牙や爪に対して饅頭の体はあまりに無力だった。 故に、巨大ゆっくり達のターゲットは、次第にれみりゃ種やふらん種に固定されることになる。 一時期"希少種"であることを忘れさせるほど大繁殖した、れみりゃ種・ふらん種だったが、 巨大ゆっくりに狩られて次々に数を減らしていき、ついには絶滅寸前にまで追いやられてしまった。 短期間でそこまで追い込まれてしまったのには、胴体付きの種が、通常種に比べて繁殖力が低いのも起因した。 このままではエサが無くなってしまう……そう考えた巨大ゆっくり達は、 自らのコロニーに農場を作り、生き残ったれみりゃ種・ふらん種をかたっぱしから捕獲して閉じこめた。 そしてそこで、自分達の都合の良い家畜や奴隷として、調整生産することにしたのだ。 この進化と生存競争の課程が、現在れみりゃ種に起こっている悲劇の理由だった……。 * * * れみりゃ達の叫びが、巨大ゆっくりに届くことはない。 巨大ゆっくりのコロニーの一画、れいむとまりさの番からなる家族では、今日もいつも通りの夕食が始まろうとしてた。 『おちびちゃんたち、ゆっくりごはんのじかんだよ』 『『『はぁ~~~い』』』 巨大れいむに呼ばれて、子ども達が集まってくる。 子どもとはいえ、そのサイズは成人男性よりもよほど大きい。 家族ですごす一家団欒のひととき。 今宵のメインディッシュは、鮮度の良い子豚だった。 「「「まんまぁーーー!! ざぐやぁぁーーーー!!」」」 号泣するのは、痛めつけられ動くことの出来なくなった子れみりゃ達。 れいむとまりさは、子ども達にれみりゃの食べ方を教えていく。 『おちびちゃんたち、まずはきたないから皮をむこうね』 『ほらこうするんだよ、べぇ~りべぇ~り、ぺっぺっ』 れいむとまりさは、舌を使って子れみりゃのおべべを剥ぎ取っていく。 子ども達もそれを真似するが、まだ不器用で、ついつい力を入れすぎて子れみりゃの皮膚ごと剥ぎ取ってしまう。 「ぶっぎゃぁーー! いだいーー!!」 「れみりゃのおべべがぁーー! おぼうじがぁぁーー!!」 「それきちゃなくないどぉーー! まんまぁーからもらっただいじだいじだどぉーー!!」 「ぎゃぼぉーー! ぎゃぼぉーーー! たべちゃうぞぉーーー! だべちゃうどぉーーーー!!」 「おねがいじまずぅーーおばんじゅうざまぁーー! えびりゃをだべないでぐだじゃいぃぃーー!!」 『きたない皮をむいたら、次はこうするんだよ』 「うわぁぁぁーーー!!! まんまぁーーーーー!!!!!!」 れいむは舌で子れみりゃを1匹巻き取りそれを丸ごと口の中へ運ぶ。 そして、その質量を活かして咀嚼をはじめた。 『『『ゆぅ~~♪ むーしゃむーしゃ♪』』』 親れいむに続き、番のまりさや子ども達も、子れみりゃを丸呑みにして噛み砕いていく。 ばりばりむしゃむしゃ。 ばきばきごっくん。 不愉快な音は、れいむ達には聞こえない。 感じるのは満たされる空腹感と、口の中に広がる肉汁の美味だけた。 『ゆっくりごちそうさまだよ』 『おいちかったねぇー♪』 子れみりゃを全てたいらげ、れいむ一家は幸せを満喫する。 『でも、ぶたはちょっとあきちゃったよ……』 『ゆっ、そうだね、それじゃこんどはあんまんをたべようね』 『ゆぅーーん! あんまんはあまくて、とってもゆっくりできるよ♪』 明日はれみりゃを食べようか、それともフランを食べようか。 あるいは、久しぶりにゆゆこや、きめぇ丸を食べるのも良いかもしれない。 かつての通常種では考えられなかっただろう食の悩みと、選択肢。 これからもいつまでも、ずっとゆっくりした日々が続くに決まっている。 この巨大ゆっくりの一家には、薔薇色の未来しか見えなかった。 だから、子どもの1匹がふと違和感を口にしても、さしたる危機を覚えることは無かった。 『……ゆぅ? おかーさん、なにかきこえるよ?』 『ゆー?』 外の音に注意を傾ける、親れいむと親まりさ。 すると、確かに外が騒がしいようだ。 『ようすをみてくるよ、みんなはゆっくりここでまっててね!』 親まりさはそう言うと、一人で巣から出て行く。 他の家族も、巣の入り口付近に立って、勇敢な親まりさの様子を眺めている。 親まりさは、どっすんどっすん跳ねて、開けた場所に出て周囲を見回した。 『ゆっ、なにかとんでるよ!?』 まりさは、コロニーの上空、ほの暗い薄暮の空を飛ぶ"何か"を見つけた。 一方、その"何か"も、まりさを見つけたらしく、まりさめがけて降下してくる。 まりさは、それを大きくてゆっくりしている自分に対する挑戦と受け取った。 『みのほどしらずだね! まりさがやっつけてあげるよ!』 ドッスンと跳ねるまりさ。 しかし、降下してきたそれは、まりさの体当たりを軽々よけると、まりさの左右に散っていた。 『ゆっ!?』 体当たりを避けられながらも、まりさは"何か"の正体をかいま見た。 それは、自分よりずっと小さい、空を飛ぶ生き物の群れだった。 まだ、自分たちに逆らう愚か者がいたとは……。 まりさは、その小さい飛行生物を倒すべく体の向きを変えようとして……違和感に気付いた。 自分が振り向いた時、そこには既に小さな飛行生物はいなかった。 飛行生物はすばしっこく、常にまりさの死角へとまわり込む。 『ゆぅー! まりさとたたかってね! にげまわるなんてひきょうもののすることだよ!』 まりさは叫ぶが、飛行生物がそれを気にとめることはない。 それどころか、飛行生物達はノロマで鈍重なまりさを、まるで嘲るように、からかうように周囲を旋回する。 いいように翻弄され、次第に息を荒げていくまりさ。 さらに、飛行生物はまりさの死角から、チクチク攻撃をしかけ始める。 何かをついばむような、突き刺すような痛みが、まりさの後頭部や側頭部に繰り返される。 『ゆぎぎ! やめてね! ゆっくりまりさにやられてね!』 1回1回の攻撃は、そこまででは無かったが、集団でそれを繰り返されれば、巨大なまりさといえどたまらない。 さらに、まりさの攻撃能力を見極めた飛行生物は、それまでのヒットアンドアウェイではなく、本格的な攻撃を開始した。 髪の中、帽子の中に潜り込まれ、さらに噛みつきようのない、目の周りや頬にまでその攻撃は及ぶ。 ここに来て、まりさは久しく忘れていた感情を呼び起こす。 それは、生命の危機に対する、恐怖だった。 『ゆ、ゆげっ! や、やめてぇー!!』 とうとう、まりさは悲痛な叫びを上げる。 それと同時に、飛行生物の群れは暗い影の塊となって、まりさを覆った。 その光景を、番の巨大れいむは家の出入り口でじっと見つめていた。 れいむには全く想像できないでいた、大きくて強い自分たちに害がなされることなどあるはずがないと。 『ま、まりさ……?』 黒い影に覆われたまりさに、声をかけるれいむ。 次の瞬間、黒い影が散開して、まりさの姿が露わになった。 ……ただし、そのまりさは、既にれいむの知る姿とは大きくかけはなれていた。 『ま、まりざぁぁーーー!?』 絶叫する、れいむ。 視線の先のまりさは、体内のあんこを急激に失い、既に事切れていた。 体中に無数の穴が開き、そこから今なおビュッビュッとあんこが漏れている。 そのショッキングな光景に、身を固まらせるれいむ。 呆然とするれいむを現実に戻したのは、子ども達の助けを求める声だった。 『ゆ、ゆぇ~~ん! おかぁ~しゃ~~ん!』 『ゆゆっ? おちびちゃんどーしたの!?』 ハッとして後ろを振り向く、れいむ。 そこには、先ほどまでまりさを覆っていた影に覆われる、我が子達がいた。 その影……飛行生物の群れは、先ほどのまりさと同様、子ども達の死角にまとわりつき、 攻撃を加えて弱ったところを狙って、あんこを吸い上げていた。 『おかーしゃーん! いたいよぉーー! ゆっぐりできないーー!』 『も、もっどゆっぐり……ぢだがっだよ……』 子どもとはいえ2メートル前後の巨体を持つ、子れいむや子まりさの顔から、あっという間に生気が失われていく。 全身にくまなく無数の穴が空き、そこからは親まりさと同様あんこをもらしていた。 『お、おちびちゃんーー!!』 子ども達の惨状を見て、叫ぶれいむ。 しかし、時はすでに遅く、親れいむの目の前で子ども達は息を引き取ってしまう。 『ゆがぁーー! しねぇーー! ゆっぐりしないでじねぇーー!!』 れいむは、怒りで我を忘れ、飛行生物達に突撃をかける。 しかし、巨大な質量塊となったれいむは、パワーこそ凄まじいが、スピードはお粗末なものだ。 空を飛び回る、敏捷なそれらに体当たりが当たることはなく、れいむだけが体力を消耗していく。 『よぐもぉー! よぐもばでぃざをぉーーー!! おぢびぢゃんだぢをぉーーーー!!』 れいむは、舌をのばして飛行生物を捕らえようとするが、飛行生物の俊敏な動きには舌の動きがついていかない。 それどころか、伸ばした舌にまとわりつかれて、攻撃されてしまう。 『よぐもぉー! よぐもぉー!! ばでぃざをがえぜぇぇーー!! おぢびぢゃんぼぉがえじぇぇぇーーー!!!』 その怒りが通じたか、れいむは口を最大限に開き、目の前をゆく飛行生物の一匹を丸呑みにすることに成功する。 が、それとて飛行生物には通用しなかった。 『ゆ、ゆぎゃぁ!?』 れいむが口の中の飛行生物を咀嚼するよりもはやく、その飛行生物はれいむの体内を攻撃しはじめた。 口の中を飛ばれ、体内の大事なあんこを直接攻撃され、食べられてしまう……その事態に、れいむは恐怖を爆発させる。 『た、たべないでぇー! れいむをなかからたべな』 それが、巨大れいむとその一家に訪れた、幕引きだった……。 そして、それと同様の光景が、巨大ゆっくりのコロニー各所で巻き起こっていた。 『『『ゆぎゃーー! おねがいゆっぐりざぜでぇぇーー!!』』』 ゆっくりできない生命の危機に、巨大ゆっくりのコロニーは大混乱に陥っていた。 次々に巣の中から飛び出してくる、巨大ゆっくり達。 上空を舞う飛行生物達は、その様を見て楽しげに微笑んだ。 そして、その飛行生物達は、独特のリズムで羽をはばたかせ、歌を口ずさむ。 「うーうー♪」 「うっうーうぁうぁー♪」 その歌を聞いて、自分たちを狙い上空を舞う飛行生物達を見上げる、巨大ゆっくり達。 そこいた生物を、巨大ゆっくり達ははるか昔に見たことがある気がした。 50センチほどの顔にニコニコした表情を浮かべ、 その下ぶくれ顔の左右にはコウモリを思わせる羽がついている。 「うー♪ うまうまー♪」 「あまあま☆おいしぃぞぉー♪」 飛行生物の正体……それは、巨大ゆっくりが現れるよりもはるか前に消えたと思われていた、原初の捕食種。 ……胴体無しの"ゆっくりれみりゃ"だった。 あんこの遺伝子に刻み込まれた、遠い記憶を呼び起こす巨大ゆっくり達。 気付くと、巨大ゆっくり達は一様に叫んでいた。刻み込まれた通常種の宿命たる叫びを。 『『『れ、れ、れ、れみりゃだぁぁーーーー!!!』』』 * * * 数年後。 そこには、胴無しれみりゃから逃げ回る小さなゆっくり達がいた。 瞬く間に起きた、胴無しれみりゃ、胴無しフランの復活。 それは、れみりゃ種フラン種が、種として巨大種に対抗するための進化だった。 巨大で鈍重なゆっくり達は、機敏な胴無しれみりゃ達に次々と狩られ、あっという間に姿を消していった。 ゆっくり達は、少しでも生存確率を上げるため、 ちょっとした隙間でも身を隠せる小さな体へと進化していった。 それからさらに数年後。 胴無しれみりゃ達にも変化は起きる。 飛びながらでは入れない小さな隙間にゆっくりが逃げ込むようになり、思うような狩りができなくなったためだ。 その結果、胴無しれみりゃ達は飛行能力を犠牲にして、地面に降り立った。 その四肢で、隙間や洞の奥に逃げ込んだゆっくりを掴みだせるように……。 「ぎゃおー☆たーべちゃうぞー♪ あまあまどもーまつんだどぉー♪」 「うっうー☆まんまぁーはかりのてんさいだどぉー♪」 諸行無常。世界は流転し繰り返す。 おしまい by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/846.html
ゆっくりいじめ、になるのかな? 一部のゆっくりはほぼいじめて無いのでそこは注意 最近俺は機嫌がよかった。 以前ゆっくりに畑をやられないよう考えた罠が安定して効果を発揮していたからである。 畑の周りを柵で囲み、わざと一箇所だけ壊れたように見せかける そしてゆっくりがそこから入ろうとすると底にでかい強化プラスチックの箱をはめ込んだ落とし穴に落ちるのである。 落とし穴はゆっくりを捕獲するためであり、箱は穴を掘って出られないようにするため 実にわかりやすいトラップだが確実にゆっくりの進入を防ぎ、なおかつ加工所に売りさばく副収入もある でかい箱は少し高かったがそれだけの価値があったようだ。 とまあそういうわけで機嫌よく畑仕事をしていた俺だが、ある日珍しいやつが近くを通った 「う~れみりゃだじょ~」 ゆっくりれみりゃ、略してゆみりゃが俺の畑にやってきたのである。しかも体つき ただの顔だけならば適当に打ち落として近くの森に離してやったが(ゆっくりを食べるから)体つきである。 もしかすると紅魔館のやつかもしれない。いや、ぼろぼろの傘持ってる体つきはほぼ確実にあそこのだろう。 あんまりあそこのメイドに嫌われるのは勘弁である。どうしたものかと考えてたらこっちに近づいてきた。 「ぷっでぃ~んたべたいど~♪」 出会い頭にそれかよ。ずっと食べたいなら一生館から出てくるなよ。 心の中で突っ込んでいると柵のスキマからどてどてと入ろうとしてきた。バカだ 「がお~、たべ…ぶぎゃっ!!」 あっという間に落とし穴に落ちてしまった。もちろんあの俺が仕掛けた対ゆっくり用の罠である。 「いだい゛ーーーー!!!!い゛だいーーーーーー!!!!ざぐやーーーー!!!」 すごい声である。鼓膜がやぶれるかと思った。 この声でメイド長が回収しにきてくれないかなと思ったけど、勝手に抜け出したタイプらしい。メイド長は来なかった。 どうしたものだろうか。別に気にせず加工所に持っていってもいいが下手に持っていって変に恨まれるのもアレだ。 それにこいつを助けようものならこいつの相手をしなくてはならない。 自分勝手に「それよりぷっでぃ~ん!もってくるんだどぅ~♪」 とか言われたら正直蹴り飛ばしてつぶしそうだ。 だいぶ太陽も傾いてきたし明日でいいかな。 考えるのもめんどくさくなってきたので家に帰ることにした。 「ゆっ!おじさん、ここはまりさたちのおうちだよ!おいしいものをもってきてゆっくりでていってね!」 帰ってきていきなりこれかよ。テンプレ乙。なんで会ったばかりお前らに食べ物を渡さねばならんのか。 家の中にゆっくりまりさとれいむというありきたりな組み合わせのゆっくり二匹が入っていた。 とはいってもやっぱり罠にかかっているが。 俺は家にも対ゆっくり用の罠を仕掛けていた。まぁこっちも簡単な仕掛けだ。 ゆっくりは人の家を見かけると一通り入れそうな所を探し、見つからない場合はガラスを割って入ろうとする。 ガラスは高価だから何度もひょいひょい割られるのは勘弁である。 そこでわざと一箇所だけ簡単に入れるがゆっくりでは出られない仕掛けのドアを目立つところに作る。 そこに入ると檻で仕切られた簡単な部屋に閉じ込められるわけだ。 「ゆううぅ!!、まりさっ、あがちゃんがもうすぐうまれるよ!」 れいむは妊婦かよ。そんなもの連れて家探すなよ。 そういや加工所がにんっしんっできるゆっくりを高く買い取るっていってたなぁ 「ゆ、たいへんだよっ!!おじさんさっさとおいしいものをもってきてねっ!!れいむにはたべものがひつようだよ!!」 「いや、自分の家なら自分でとってこいよ」 「ゆゆっ、まりさはここからでられないんだよ!!だからひまなおじさんがもってきてねっ!!」 自分の家から出られないっていろいろおかしいし、そもそも俺はこれから自分の飯を作らなきゃならないんだが そこでふとあるネタが思いつく。どうせ勝手に入ってきたゆっくりだ。好きにさせてもらう そう考えると二匹を捕獲し、早速畑に向かった。 「おながずいだぁぁぁっっ!!ざぐやぁぁぁっ!!!」 ゆみりゃの声が響き渡る。が、さすがに叫びすぎたのかさっきよりはおとなしい 「ゆ、れみりゃのこえがするよっ!おじさんさっさとはなしてねっ!」 腕の中にいるまりさが暴れる。もう片方の腕にいるれいむも暴れているがさすがにおなかの子が心配なのかそれほどでもない 「ああ、離してやるよ。それ」 そういうと俺は穴の中へと放り込んだ。 「ゆぶっ、ぶぎゃっ。おじさんなにす…ゆぎゃ~っ!!」 「う~?あまあまおかし~♪」 落ちてきたゆっくりまりさに気づいたゆみりゃがまりさに手を伸ばす。しかしその動きは遅いものでまりさは慌ててそれをかわす。 「う~♪まて~♪」 「またないよっ!!勝手にそこでゆっくりしててねっ!!」 この落とし穴。実は群れが来たときのためにそこそこ広く作ってある。二十匹くらいなら普通に入る位の広さだ。 それに温室育ちのゆみりゃは狩なんぞしたことがないだろう。そんなやつが野生で生き残ったやつを捕まえることもできまい そのため動きの早いまりさならうまくやれば体つきゆみりゃから逃げることも可能なのだ。 「おじさんさっさとここからだしてねっ!このままじゃまりさがたべられるよ!!」 まりさが叫ぶが俺はそれを見下ろしながら答える。 「ああ、助けてやるよ。気が向いたらな」 「なんでぞんなごどいうの~、ゆぐぅうううぅ」 脇に置いたれいむが何かいってるが気にしない。妊娠中なのでまともに動くことも出来ないのだ。 「お前らが勝手に俺の家に入るからだろうが」 「ゆゆっ、あそこはまりさのいえだよっ!!」 ゆみりゃの猛攻をよけながらまりさが叫ぶ。意外と余裕かもしれない。 「まぁ、お前のでもいいさ。ここで死んだらゆっくり貰うから」 「ゆぎっ、あそこはまりさのいえっていってるでしょ!?おじさんば…ゆぎょ!」 おしい、こっちに意識が向いてる間につかまればよかったのに。 ずっと文句言われ続けるのもむかつくのでちょっとやる気出させてみるか。 「まりさにチャンスをあげるよっ!!成功したらゆっくりできる家もあげるしおいしいものもたくさん用意するっ!!」 「ゆゆっ、おじさんそれほんと!」 「ああ、本当だとも。そいつからしばらく逃げ切ったら家もあげるしおいしい物も君達のために準備する」 「ゆゆっ、まりさがんばってっ!!」 「わかったよっ!!がんばってにげきるよっ!!」 れいむの応援をうけ張り切るまりさ。おいしいものがほしいのだろう。 こうしてなんだかよく分からない賭けが始まった。 しかし、しばらくがどれぐらいの時間なのかまったく決めてないのにあっさりうけいれる饅頭達はやっぱりバカだと思う。 もちろんまりさがやられるまでに決まってるとも。 「う~~!!う~!!!、さっさとれみりゃにつかまっで~!!!」 「ば~かば~か、そんなのつかまらないよ~♪」 れみりゃは捕まえようとするがなかなかまりさは捕まらない。なかなか動きの早いまりさだ。きっとゆっくりでも上位だろう。 しかしなかなかおもしろいなこれ。いつ捕まるかでちょっと興奮する。今度小さい子に教えてはやらせよう。 「まりさがんば…いぎっ、ゆぎぎぎっっ!!なにがででぐるーーー!!!」 れいむが苦しみ始める。さっき言ってた子供がでてくるのだろう。 「ゆゆ、れいむどうしたの?おじさんれいむをたすけてねっ!」 「どうしたのってさっき言ってたじゃん。もうすぐ赤ちゃん生まれるって」 この短時間でわすれるなよ。さすが餡子脳。 「ゆゆっ、そうだったよ!!がんばってうんでねっ!!!」 必死に逃げながらまりさはれいむを応援する。きっと頭の中では家族とゆっくりする姿が浮かんでいるに違いない。 れいむは必死に生もうとしてるが、ここであることに気づく。 「ゆう!おじざんごのままだどあがぢゃんがあなにおぢぢゃうよ!!」 そう、いままで穴の中を見ていたのである。そして産道は正面にあるのだ、間違いなく落ちるだろう。 「そうか、がんばって生んでね」 「ぞ、ぞんな。だべだよっ!あがぢゃんがだべだれじゃ、ゆぎぎぃぃぃぃ!!!!」 ぽんっ おお、いい音したなぁ。 れいむの腹から生まれた子供が見事に飛んでいき、ゆみりゃの手前に落ちる。 「ゆっくりして…ゆっ?ゆぎゃぁぁぁぁっっ!!!!!!!」 「あまあま~♪」 ゆみりゃは落ちた子ゆっくりを拾うとあっという間に食べる。うーむ、一口とは豪快ですな。全然お嬢様っぽくない まあ生まれたばかりのゆっくりはうまいし。腹減ってたってのもあるんだろう 「ゆぅぅぅっ!!まりさのあがぢゃんがぁぁぁっっっ!!おじさんなんであがじゃんおどずのぉぉぉっっ!!」 「別にたすけろって頼まれてないし」 「びどいいいいいっっっ!!」 お前らの自分勝手な発想のほうがひどいだろ。なんであんなんで自然界を生きてられるん? 「うーーたりないどーー」 そういうとまたゆみりゃはまりさを襲う。まりさも慌ててにげだす。 「ゆぐぐぅぅぅううううっっ!!!づぎのごがうばでるよ!!!」 「おじざんづぎばだずげでねぇぇぇぇっっ!!」 「分かった。努力はするよ」 たすける気ないけど。 そんなこんなで生まれた三匹の赤ゆっくりは全部ゆみりゃに食べられた。 ちなみに二匹目は二口くらいで、三匹目は少しずつ食べました。 「うーー、おなかいっぱいだどーー」 「ばでぃざどあがぢゃんがーーっ!!!!どうぢでぞんだごどずづのーーー!!!!」 そりゃ捕食種だから当たり前だろ。 れいむは出産の疲れと子供が食べられたショックで動けないみたいだったので透明な箱に入れる。 明日加工所に持っていこ。 「がっでぢばでぃざどあがぢゃんだべづびゅっぐぢばぢんでで!!!」 もはや何いってるかさっぱり分からんがまりさはゆみりゃに体当たりを開始した。 しかしもちろんまったく効かない。立ってるときに体当たりするなら転ばせれたかもしれないが、 今のゆみりゃは座ってゆっくりしている。 「じゃまなんだどーー、いらないものはぽいだどーー」 ぐしゃ あ、つぶれた。さすが捕食種といったところか つぶしたまりさを気に留めることなくゆみりゃはあっという間に寝てしまった。たぶん疲れたんだろ。 俺も疲れたし腹減ったから家に帰るかな。 ゆみりゃは次の日メイド長に回収された。 預かっていたということでお礼をいくらかもらった。 総合的にプラスマイナスゼロといった感じだがあそこの館に好印象を受けたことだし結果オーライといったところだろう。 なんかよく分からない終わり方をしてしまいすみません。 ちなみに自分は今後も特に報告もなくロダに書き捨てていくつもり。他の方の作品を待つまでのひまつぶしにでもどうぞ ただの自己満足の書き捨てなので 過去作品 巨大(ry このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1681.html
黄色い高草が、吹き渡る風に揉まれて散ってゆく。見渡す限り――地平線までの草原。 低木がまばらに立ち、小川の流れる、そこは、何者も存在しない土地だった。 無尽庭園 実際には、北の方角から南西までを、大きく湾曲して流れる広い川で、それ以外の方角を森で仕切られている。出入り口となる境界上には俺の庵があり、その円状の範囲が俺の所有となる。 それでも、小さな村ひとつ分ほどの広さをもつ広大な土地だ。一介の虐待お兄さんに過ぎないこの俺が所有するには本来不釣合いなほどの。 俺は、ゆっくりれいむとまりさのつがいを放った。まだ若く、生気に満ち満ちている。 「さあ、ゆっくりしておいで」 「ゆゆっ!!」 「だぜ!!」 二匹のゆっくりは籠を揺らして飛び出すと、俺の事など振り返りもせずに駆け出した。 黄色い草の中に、ゆっくりたちの踏み荒らした路ができていく。 俺は庵の近くに立てた高見台から、ゆっくり達の後姿を見送った。 「ゆっくりしていってね!!」 * * * * 本能のままに駆け出した二匹は低木の根本で一息つくと、そこに身を落ち着けた。眼前に広がる大自然に向かい、まずまりさが自分のお家宣言をする。 「ここは、まりさたちがみつけたまりさたちのおうちだぜ!!」 ばばーん。決まった。 「こーんなひろーいおうちだなんて、まりさすてきー!!」 「それほどでもあるぜ!ここがまりささまとれいむのゆっくりぷれいすだぜ!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 二匹は身を寄せ合い、”おうた”を歌い始める。 「ゆゆ~ゆゆゆゆゆ~ゆ~ゆ~ゆっゆ~」 「ゆっ!ゆっ!ゆゆゆ~ゆ~ゆ~ゆゆゆーゆゆ~」 何しろ基本的に身勝手なゆっくり二匹。音程も調子も、全く合っていなかった。しかし、お互い気にすることもなく歌い終える。 「すごくゆっくりした!!」 「こんなひろいおうちをもってるゆっくりなんて、このまりさとれいむだけなんだぜ!!」 「まりささいこう~!!」 「あたりまえだぜ!まりさはやりてなんだぜ!!」 満足し、次はごはんたいむだ。虫や小動物がまったく通りかからなかったので、二匹は手近な草に飛びかかった。 しかし、二匹は異変に気づかされることになった。 「ゆゆっ!?」 ぱらぱらぱら。 「むーしゃ、むー……?」 ぱらぱらぱらぱら… 黄色くひょろ長い草は、口に含もうとするとかさかさと崩れ、風に飛ばされていってしまい、ほとんど口には入らない。おかしいと思いながらも悪戦苦闘していた二匹だったが、音を上げるのは時間の問題だった。 「ゆっぐりできないいい~~~!!!」 「おかしいぜー!なんでゆっぐりできないんだぜええーー!?」 次に目をつけたのは、今までもたれかかっていた低木。しかしこれも、恐ろしいほど硬い皮に阻まれ、うまく食することができない。 「ゆぐっ……ゆぐっ……」 「うえええ………」 これでは埒が明かない。他ならぬ食料の問題、結論はすぐに出た。れいむはまりさを振り返り、今までの尊敬のまなざしなど忘れたかのように鋭く睨む。 「こんなたべものじゃぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさのやりてはくちばっかりなの?しぬの? そうじゃないなら、れいむのためにはやくおいしいたべものとってきてね!」 「ゆぐぐぐぐ!!ゆぐううう~!!」 先ほどの大言が仇となり、満足に言い返すこともできないまりさ。ぴょんぴょんとその場で跳ね、身をよじる。 「さっさとしてよ!!れいむがぜんぜんゆっくりできないのはまりさのせいなんだよ!!ぴょんぴょんやめて、ゆっくりなんとかしてよね!!」 「あ、ああ…そうだな…れいむ……ここにいてもしょうがないんだぜ、れいむもいっしょに、ほかのばしょにごはんをさがしにいくんだぜ」 まりさが不機嫌のれいむをなだめすかして移動をはじめる。 しかし、どこまでも続く草、草、草…… 「むしさん、どうぶつさん、どこぉ……」 「だぜ、だぜ、だぜ……」 日が傾き、夕暮れの刻限となっても二匹は移動し続けていた。しかし、辺りにあるのはいつも変わらない、黄色の高草ばかりだった。 「んもおおおおお!!!!これというのもみんなまりさのせいだよ!!ゆっぐりじだいよおおおお!!!!!!」 「まりさはわるくないぜ!!!いけないのはこのゆっくりぷれいすのほうだぜ!!」 奇しくもまりさの言葉は正しい。ここは人間達が農作を放棄した、比類なく痩せた土地。虐待お兄さんが手に入れることができたのもそのためだ。 ゆっくり達にできるのは、味気のない高草をもそもそと長い時間をかけて食することと、硬くて噛み下せない木の枝を舐めることしかないのだ。 「ゆぬぐうううう!!!!」 「いくらたべてもはらいっぱいにならないぜ!!こんなのいやだぜ!!」 「おみずのみたい!!まりさ!!ゆっくりおみずもってきてね!!!」 「そんなのどこにもないんだぜえええ……」 ここは川までは遠い。二匹が水にありつくには、朝露を待たねばならない。 やがて、夜が下りてくる。 まりさが今まで忘れていた、ある事に気づいた。 「れいむ、おうちをつくるんだぜ。そうしないとゆっくりできないんだぜ」 「ゆゆっ!!そうだね!おうちをつくってゆっくりしようね!!」 飢えと乾きにさいなまれながらも、見えた一抹の光明。 おうちさえあれば、いまよりはゆっくりできるのではないか。それどころか、食料や水も手に入るような気がする。 「ゆぅ……さっきはひどいこといってごめんね……まりさはやっぱりすてきな、れいむのまりさだよ……」 「きにすることないぜ!さ、ゆっくりおうちをつくるんだぜ!!」 二匹は元気を取り戻し、おうちづくりの作業を開始する。 しかしそれが完了することのない徒労であることに、餡子頭の二匹はいまだ気づかずにいた。 止んでいた風が、また吹き始めていた。それはすぐに勢いを増し、草の海に波を立てていく。 ざああああああ……… 「ゆゆっ!ゆぐううううう~~~!?」 ほんのちょっとの風が、たった今運んできた一束の草を吹き散らしてしまう。 「まって!まっでえええええええーーーー!!」 必死の形相で、ぴょんこぴょんこと草を追いかける二匹。それが完全にばらばらになってしまっても、跳ねることをやめなかった。餡子頭の考えでは、追いかけていればそのうちつかまえられるはずなのだ。しかしついに力尽き、息が切れてその場にぺしゃんと座り込む。 「やっばりまりざのぜいだよぉ……!!まりざなんがどいっじょになるんじゃながったよぉぉぉぉ……」 「うっさい!!れいむがへたくそだから、くさがとんでっちゃったんだぜ!!こんどはもっとうまくやるんだぜ!!」 仕方なく気を取り直し、ふたたび草をちぎってくわえ、先ほど家と定めたの木の下まで戻る。すでに疲労しきっている二匹は無意識に草を口に含むため、草は少しずつ目減りしていく。さらに、ゆへゆへと息を切らしただらしない口の端からもこぼれてゆく。 そうして苦労の末に集めたほんの少しの草も、 びょおおおおうううう―― 「まっで!!まあっでええええ!!なんでまだな゛い゛の゛お゛っ゛た゛ら゛あ゛あ゛!!!!!ゆ゛う゛う゛う゛う゛お゛お゛!!!!ま゛でっ゛!!ま゛でっ゛ま゛でっ!!ゆ゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!!!」 「ま゛つ゛ん゛だぜえ゛え゛え゛え゛え゛!!!???」 並の知能しか持たない二匹が家作りを諦めるのは、まだまだ先のことである。 びゅおおおおおおおお……… 「か゛ぜさ゛ん゛!!!じゃ゛ま゛じな゛い゛でゆ゛っ゛ぐり゛さ゛せ゛て゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛!!!!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「のどかわいた……おなかすいたんだぜぇぇ……」 「も゛う゛や゛た゛あ゛あ゛あ!!!゛お゛う゛ち゛か゛え゛る゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!!」 ひゅううううううう―――― * * * * がたがたと簡素な庵が揺れる。強まってきた風のせいだ。この土地特有の、いつまでも止むことなく吹き続ける、木枯らしのような風だ。 俺は待っている。 「遅い……」 「れみりゃのあかちゃん、かっわいいどぅ~☆」 「うあ♪うあ♪」 「さすがれみりゃのあかちゃん!!さいこうにぷりってぃ~だどぅ~~!!う~♪」 「(……うぜ)」 暖かく快適な庵の中で、俺はゆっくりれみりゃの親子とともに待機している。 「早くゆっくり達、来ないかなあ……」 いったんおしまい。 つづくんだぜ □ ■ □ ■ あとがき 一区切り。とりあえずはこんなところだけれど、最終的にはみんなまとめてゆっくりできなくしてやるぜ!!ヒャア!!虐待だあ!! 読了下さり、ありがとうございました。 虐待BGM:ビリー・ジョエル『NO MAN'S LAND』 過去に書いたSS 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/855.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!3-エピローグ ゆっくりれみりあ(れみりゃ)の捕食種設定ありです。俺設定もありです ティガさん(?)の「うっう~☆うぁうぁ~♪ れみ☆りゃ☆う~~♪」お借りしました ひどいあつかいのゆっくりがいます 一応、完結のつもりです。原作キャラっぽい人とオリキャラがいます それでもよければどうぞよんでください では、駄文開始です。 現在、我が家には動物(?)が7匹いる 長い付き合いの雑種の中型の老犬が1匹 2つのてっぺんがある帽子をかぶり短い手足と狐のような9本の尻尾と耳をはやしたゆっくりらん(胴体付き) 緑色の帽子とネコミミと茶色の髪の毛と2本の尻尾が生えたゆっくりちぇん 紫の髪でピンクのお帽子に月の飾りをつけた頭が良いいが非常に体が弱いぱちゅりー種が大人1、子供2 赤いロングヘアーに黒い小さな悪魔の羽が生えたゆっくり子悪魔、通称こぁ ピンクのスカートと洋服、背中には黒い小さな悪魔のような羽をもつゆっくりれみりゃ(胴体付き) 「うっう~☆うぁうぁ~♪ れみ☆りゃ☆う~~♪」 「にゃんにゃん~☆にゃあにゃあ♪ ちぇん☆ちぇん☆にゅう♪」 「「むきゅっきゅ☆むきゅむきゅ♪ ぱ☆ちゅり☆むきゅ~~♪」」 私の家では3匹のソフトボールぐらいの子ゆっくりと胴体つきの75センチのれみりゃが踊っている。 正直、れみりゃの踊りは可愛くないが尻尾をふりふりおどるちぇんにいやされる。 その横ではバレーボールぐらいの大人達とゆっくりらんが覚えたひらがなで絵本をよんでいる。 ちゃんと読めるようになったら子供たちに読んであげると意気込んでいた。 そんな様子をみながら私は自分の昼食を作っていた。 ゆっくりと犬には朝とオヤツと夜のご飯しか与えないようにしている。 犬を飼う時に習ったのでそれがゆっくりにとって正しいかはわからないが我が家のゆっくり達は昼食を請求しない。 新しくきたれみりゃのれみぃもわがままを言わず素直なのでれみりゃ種のうわさと違うので驚いた。 どうやらぱちぇとこぁに入れ知恵をされたようだが気付かないふりをして誉めてあげた 私は軽い昼食にかけうどんを食べ始めた。 「う~♪ らんちーのじかんだどぉ~♪ めしつかいははやくもってくるんだどぉ~♪」 …そういえばもう1匹のゆっくりがいるのを忘れていた。 そいつは食べ物は食い散らかすわ。 すぐに駄々をこねて泣き喚くわ。 挙句の果てにはれみりゃ以外のゆっくりを食べようとした。 その時に怒り狂ったらんとれみぃにフルボッコにされて犬用のゲージに閉じ込められてしまった。 その夜は一晩中泣いていたが、同情の余地無しと無視した。 ちなみに愛犬は玄関に引いた毛布の上で寝ていた。 れみぃの実の母親で1メートルぐらいのれみりゃ種、通称だめりゃだ。 「昨日、説明したがゆっくりに昼のご飯はあげないと説明しただろ」 「う~♪ らんちーのじかんだどぉ~♪ ぷでぃん♪ぷっでぃん♪」 仕方ないので冷やしたうどんを1本だけゲージの隙間から入れてあげた 「こんなのいらないんだどぉ~♪ ぽいするんだどぉ~♪ 」 うどんを口にいれすらせずに外にふん投げやがった。 食べ物を粗末にするやつにはおやつ抜きだと言ってやろうとした時に服の袖を引っ張られた そちらを見るとれみぃがだめりゃの投げたうどんを持っている 「れみぃがたべるんだどぉー まんまぁーをおこらないんでほしんだどぉー」 「おぜうさまはそんあことしないんだどぉ! あかちゃんやめるんだどぉ!」 「れみぃ、それを食べなくていいよ。あとだめりゃをおこらないから心配するな」 その返事を聞いてだめりゃは召使が自分のの美しさにメロメロになっているに違いない。 そう判断した親れみりゃは犬用ゲージの中で偉そうに胸を張る。 「めしつかい、れみりゃたちにはやくぷっでぃ~んかあまあまをもってくるんだどぉ~♪」 …こいつのこの自信はどこから出てくるんだ。 エレンガントというよりだめなわがままだな勘違いした子供だろう、こいつ。 このままだと周りに悪い影響をおよぼすかもしれない。 午後になったらあそこに連れて行ってやる。 とうとう泣き声をあげて駄々をこね始めただめりゃを尻目に私は午後の予定を考えていた うどんを食べ終えた私は疲れて眠ってているだめりゃを抱えあげるとれみぃと一緒にある場所へ向かった 最近、人間の里にできたゆっくりをあつかう店『ゆっくり屋』だ ドアを開けると中年ぐらいの店主がこちらに声をかけてきた 「いらっしゃいませ。あなたですかお約束のれみりゃですね。それも2匹もありがとうございます」 「いやこの寝ているほうだけです。もう1匹は自分の家で飼うつもりです」 「そうですかわかりました。あとお願いしたいことがあるのですが?」 「なんでしょうか?」 「私の店で扱っていたぱちゅりー種がいなくなってしまったのであなたの家で子供が生まれた時に譲っていただけないでしょうか?」 「…お約束はできませんが。ぱちゅりーとこぁが子供を生んだ時に聞いてみます」 「人気があるのですが体が弱くて扱いが難しいらしくて」 「なるほど」 「子供の件はよろしくおねがいします。あと、あなたゆっくりが好きならブリーダーを目指したらどうですか?」 「ブリーダーですか…」 確かに、私はゆっくりという生物に魅力を感じている。 それに互いに愛情をもって接しているつもりだ。 まんじゅうでありながらさまざま種類がいてそれぞれが面白いゆん生を送っているのだ。 自分の手でゆっくりを繁殖か、やってみてもいいかもしれない。 「…考えておきます」 「そうですか、あなたならうまくいくと思いますよ」 「そのだめ・・・れみりゃはどうするのですか?」 「とりあえず病気や怪我を持ってないかを調べて春ごろから繁殖にまわそうかと思っています」 「そうですかわかりました。」 どうなるかわかっていたが繁殖という言葉に若干の不快感を感じた。 そのことに気付いたのだろう店主がなれですよなれと笑いかけてきた。 「まんまぁー、だめりゃだったけど…ありがとうだどぉー」 「うー……ぷっでぃ~ん、あがじゃんといっしょに、たべたいどぉー……」 と寝言を言っているれみりゃその横顔だけでは可愛く見えた 私は店長が店の裏にある元鶏小屋を改築してれみりゃ用の小屋にするなどの世間話をした そろそろ帰るかとイスから腰をあげるとと紐でつながれただめりゃが目を覚ましたようだ 「う、うぁ? ま、まつんだどぉ~~! れみりゃのあがじゃぁ~~ん!!」 「れみぃ、まんまぁーにお別れの挨拶をしなさい」 「まんまぁー、さよならなんだどぉー」 れみぃにはかわいそうな気もするが仕方ない。 人間の親にも虐待や犯罪、それに育児放棄をして親と別れる子供はいる。 ゆっくりにも似たことがあってもおかしくないと私は思う 「れみぃ、あのお店に行けばまんまぁーには会えると思うからまた会いに行こうな」 「う~・・・」 「そうだ。何か甘いものでも食べていこうか。あそこのカフェであまあま買ってくるからまってなさい」 「う~♪ ゆっくりわかったんだどぉ♪」 私はカフェに入ると今すぐ食べれそうな焼き菓子2個と自宅で食べるプリンを7個買った。 そこには著名な妖怪がいると聞いているが私には関係ないことだった。 れみりゃをみると「さくや♪ さくや♪」と女の人と楽しそうに遊んでいる。 年齢は10~20歳程だろうか、背は高めで銀髪にカチューシャと緑のリボン、白と青のメイド服を着ている。 紅魔館かどこかのメイドさんだろうか? 私がれみぃに近づくと軽く会釈をして飛んでいってしまった。 「今の人と何を話したんだい?」 「れみぃのかみをなでなでしてくれたんだどぉ!」 「そうかそれはよかったね」 これを食べようとれみぃに焼き菓子を渡した。 マドレーヌと呼ばれる焼き菓子はおいしかった。 そういえばもうすぐバレンタインだな。 さっきのメイドさんにチョコレートもらえなたらと妄想していた 少し前に聞いた『ぎりぎり☆ばれんたいん』は名曲だと思いながら帰っていった バレンタインはいろいろとあったが今までで一番楽しめた。 もうすぐ2月も終わるのかと思っていたときにゆっくり屋の店主に呼ばれた。 何事かと思い店に行くとだめりゃを返したいといってきた。 どうしてかと聞くと髪についていたという緑のリボンを見せてきた。 『迷子ふだ 紅魔館 メイド長 十六夜 咲夜』 と書かれているが飼い主の名前だろうか? そういえばれみぃは「さくや、さくや」という気がするが関係あるのだろうか 「ええと、この名前がどうかしたんですか?」 「たぶん、あのれみりゃは紅魔館のメイド長の飼いれみりゃですよ」 「飼い主がわかるのなら返しに行けばいいのでは?」 「とんでもない。紅魔館に向かうなんて命がいくつあっても足りませんよ」 「はあ」 「かといってれみりゃを飼っていたことがばれたらどうなるかわからないし考えたくもない」 「はあ」 「申し訳ないが返却します。返金は結構です。こちらに来てください」 「わかりました」 店の裏口をでると8畳間ぐらいの木製の小屋があり中にはれみりゃが床から2m位の木の板の上で眠っていた。 下では通常種のゆっくり達が暮らしているが深いことは考えないことにした。 「れみりゃ。こっちにおいで」 「うー……ぷっでぃ~ん、たべたいどぉー……うぁ、めしつかいがきたんだどぉ」 「いい物をあげるからこっちに来なさい」 「わかったんだどぉ!」 れみりゃはパタパタと空を飛んで入り口に向かってきた ゆっくり屋の主人はれみりゃを私に渡すとよろしくお願いします。といって店に戻っていった。 私は飼い主がわかって居場所もわかるのだから返しに行こうと軽く考えていた。 紅魔館がどんな場所かも知らずに… 仕事仲間には適当な理由をつけて休む理由を言った。 原子力を利用した実験がどうのと物騒な話をしている気がしたが気のせいだろう。 ここでもらった電気のおかげで暮らしが楽な私には文句を言えないが… 目指す場所は「霧の湖」にある島の畔に建つ洋館…紅魔館 とりあえず、らん・ちぇん・れみぃが一緒に行きたいと言うのでハイキング気分でご飯を用意した。 ぱちぇとこぁは子供が生まれそうだからと断ってきた。 時期的にバレンタインであたりにできた子供のようだ。 子ぱちぇ達も体力的な理由から行くのを断ってきた。 それじゃ出発するかと背中に風呂敷を抱えてだめりゃをぷかぷかと浮かばせながら里を出た 「人間の里にさよならバイバイ♪ 俺はこいつらと旅に出る♪ (うー!・てんこ!・わきゃるよ! ) 」 こうして私はだめりゃを紅魔館に届ける旅に出たのだった 【次回予告】 人間の里を離れて紅魔館を目指す青年!! 旅のお供はゆっくりちぇん・ゆっくりらん・ゆっくりれみりゃとお届け物のだめりゃ 彼らを待ち続ける数々の強敵達(ゆっくり達)!! 「たべていいゆっくりなのかー?」音もなく忍び寄る金髪の宵闇使い 「あたいさいきょー! あたいってばゆっくりね!」 すべてを凍らせる絶対零度の⑨ 「がんばりましょうね! ちるのちゃん」名前のない哀しみを力に変える世話好き 「じゃおおお、じゃおじゃお、じゃおおおん」 鉄壁の体を持ち気を扱う拳法使いの門番 「むきゅ! としょかんには、いれないわ!」火水木金土日月を操る図書館の主 「こぁ! ほんをもっていかないでください!」主に忠誠を誓う図書館の司書 「えれんがんとなおぜうさまーーがふたり!!」赤い液体とナイフを飛ばす瀟洒な従者 手に汗をにぎる戦闘の数々(私やちぇんは味方、?は謎の敵達) 私「行け!! ちぇん、でんこうせっかだ」 ちぇん「わかるよ!!」すばやい動きで相手を翻弄するちぇん ?「ないとばーどなのかー」自分の周りを暗くして攻撃をする敵(原作の技とは関係ありません) 私「行け!! らん、たいあたりだ」 らん「てんこ!!」 体を丸め回転しながら相手にぶつかっていくらん ?「あいしくるふぉーる・いーじー」何故かぶつかってるらんにはあたらない攻撃をする⑨ ?「そのこうげきはちかくだとあたらないわ」声援を送る友 私「相手はねむるを使ってる。横を通るぞ」 ?「じゃお…じゃお…じゃ…」シエスタ中の敵の横を抜ける一行 私「相手は2匹だ。ちぇん、でんこうせっか。らん、たいあたりだ」 ちぇん「わかるよ!!」 らん「てんこ!!」2匹の連携に翻弄される敵 ?「むきゅ、ろいや…ケッホケッホ…ぜんそくが」2匹の攻撃に咳き込む敵の1匹 ?「こぁ、こうさんします」そして、敵2匹との戦いは終わりを告げた 私「行け!! れみぃ・だめりゃ、なきごえとゆうわくだ 」 れみぃ・だめりゃ「「うっう~☆うぁうぁ~♪ れみ☆りゃ☆う~~♪」」2匹の相手を誘惑する攻撃 ?「おぜうさまーーがふたり!!」血を出しながら戦意を失う敵 激しい戦いの後に芽生える友情 「わはー、ともだちーなのか♪」 「あたいたちさいきょー♪ あたいたちってばゆっくりね♪」 「ゆっくりしましょうね♪」 「じゃおーん♪ じゃおじゃお♪ ぱんやお♪(パンヤオとは中国語で友達の意味)」 「むきゅ! あなたたちはとてもゆっくりできるわ♪」 「ほんをもっていかないのですね♪」 「おぜうさまーーがふたり!! おぜうさまーーがふたり!!」 そして、最後に現れる真の強敵!! 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 ありとあらゆるものを破壊する力を持つ悪魔の妹 彼らは過酷な戦いを生き残ることができるのか!! 『次回作 ゆっくりもんすたー!! 紅 -姉は空気-』 近日公開予定 「次回も、ゆっくりゲットじゃぞ」 byゆっくり博士 注意:次回作は予告と全く違う題名や内容になることもありますが気にしないでください。仕様です 私「20代後半でこのノリはきついんっすけど…マジやめてくれませんか…」 【あとがき】 やってしまった。ほぼ丸パクリだぜ。ゆっくりもんすたー!! 元ネタは言わなくてもわかりますよね? 次からはギャグぽっく行くつもりです。シリアスは疲れました。 誰かやらないかな…ゆっくりもんすたー!!もしくは、ぽけっとゆっくり!! 話は戻して、次もかわいいゆっくりゲットだぜ!! 書いたもの かわいいゆっくりゲットだぜ!! 1~3 外伝1 懐かしいですね~。PM…。アニメは小学生時代にはよく見てましたよ。 おっと…次の話が楽しみですな。 -- 通りすがりのゆっくり好き (2009-02-28 20 05 26) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2204.html
この物語は、幻想郷の日常を淡々と描写したものです。過度な期待はしないでください。 原作キャラ崩壊、独自設定、パロディーなどなんでもあり。 良いゆっくりは食べられたゆっくりだけだ。 以上に留意した上でどうぞ。 パティシエールな小悪魔2 幻想郷の霧の湖に浮かぶ紅魔館。 そのキッチンに居るのは、メイド長の十六夜咲夜と小悪魔と呼ばれる少女だ。 今日も紅魔館は平和であり、昼食の片づけが終わってすぐ、ちょっと時間の空いた小悪魔は、レミリアお嬢様の ためのお菓子を作る咲夜さんの手伝いをしていた。 咲夜さんのお菓子作りを見学して、参考にしたいという意図もあったのだ。 今回作るのも、当然のようにカスタードプディングらしい。 「小悪魔はカラメル作りをお願いね」 「はい」 咲夜さんは小悪魔に指示を出す。 咲夜さん自身は、里の加工所から取り寄せた粉末状のゼラチンを、水と一緒に鍋に入れ、コンロで暖めている。 小悪魔もその隣に立つと、鍋に水と砂糖を入れ、かき混ぜながらコンロで暖める。 温まるにつれ、砂糖水から水飴に変化し、更に茶色いカラメルになると芳ばしい香りを放つようになる。 「うーん、いい香りですね」 そんな事を言う小悪魔に、咲夜さんは目でOKの合図を送る。 小悪魔は火から鍋を下ろすと、テーブルに用意してある金属製のカップの中に、カラメルを少量ずつ入れた。 その数15個。 レミリアお嬢様の分にしてはずいぶん多いが、大部分は咲夜さんが部屋で飼っている“ゆっくりゃザウルス”と 中庭の“ゆっくりれみりゃ”と呼ばれる“おぜうさま”達の分だろう。 どちらがメインだか分からないな、と、小悪魔はクスリと笑ってしまうが、幸い咲夜さんには気付かれなかった ようだ。 「♪~」 咲夜さんは、大きなボウルに入れたこれも里の加工所製のカスタードクリームに、鍋の中の溶けたゼラチンを 注ぎ、鼻歌を歌いながら混ぜ合わせている。 そして、ゼラチン入りのカスタードクリームをお玉で掬って、先ほどのカップに入れてゆく。 小悪魔は竹串を使って、カップの中に浮いてきた気泡をぷちぷちと潰していった。 これは出来上がった後の見栄えに影響するのだ。 暫くは二人で気泡潰しを行った。 「後は冷蔵庫で冷やすだけね」 咲夜さんはそう言うと、金属製のカップをトレーに載せたまま冷蔵庫に仕舞う。 冷蔵庫の最上段には、やはり寝ているチルノフがチラッと見えた。 チルノフはゆっくりの亜種だが、体から冷気を放出するため、冷蔵庫の冷却のためによく使われている。 たまに冷蔵庫の中の食材を餌として与えれば、よく働いてくれる。実際は寝ているだけだが。 「流石、手際が良いですね」 感心する小悪魔に、咲夜さんは言った。 「まあ、毎日のように作ってるからかしらね。 お嬢様と違って、あの子達は食欲旺盛だから大変よ?」 あの子達というのは、当然ゆっくりゃの事だろう。 それについて語るときの咲夜さんはニコニコとして、本当に嬉しそうだ。 そうなのだ、以前ゆっくりれみりゃなる不思議生物が現れた当初は色々あったのだが、紆余曲折の末、現在は 咲夜さんが部屋で飼えるのは一匹だけ、後は中庭で放し飼いが数匹だけというお嬢様が決めたルールがある。 紅魔館で飼っているゆっくりれみりゃは、勝手な外出が禁止され、人里に迷惑をかけたり、変なものを食べたり しないように管理されていた。 それは、レミリアお嬢様が気まぐれで肉まんを所望されたりするからであり、中庭でれみりゃが増えすぎた場合 には、美鈴さんが適当に間引いて里の加工所に卸したりするからでもある。 そのおかげで、紅魔館産のゆっくりれみりゃは、希少な上に美味であると人里でも評判であった。 ちょっと話が逸れたが、とにかく咲夜さんは現在、中庭で突然変異として生まれた、緑色の怪獣のきぐるみを 着た様に見える、ゆっくりゃザウルスという珍種に御執心らしい。 片付け終わった小悪魔と咲夜さんは、それぞれの仕事に戻る。 加工所製のカスタードクリームは品質も安定しているので、お菓子作りも簡単に失敗無く出来るようになった。 咲夜さんはメイド長として様々な仕事をこなす多忙の身だ。 お菓子作りだけにそんなに時間は割けないのだろう。 確かに、ゼラチンを混ぜてから冷やして固める製法は、滑らかな舌触りと高い弾力を両立できる。 だが、ゼリーに似てつるっとしたその食感は、とろけるようなクリーム本来の深い味わいとはちょっと違う。 そもそもプディングとは、イングランド地方伝統の、蒸したり焼き固めて作る料理の総称である。 その中身はカスタードに限らず、挽肉や野菜に塩コショウを加えて焼き固めた料理も、プディングと呼ばれる。 そういう意味では、咲夜さんの作るプリンは、本来のカスタードプディングとは別の料理といって良いだろう。 そこで小悪魔は、クリーム・ブリュレに挑戦しようと考えた。 クリーム・ブリュレとは、カスタードクリームを焼き固めたフランス菓子で、要するに焼きプリンの一種だ。 加熱によってカスタードクリーム内の蛋白質を凝固させ、適度に水分を飛ばす。 とろけるように柔らかく、コクのある、本格的な焼きカスタード・プディングを作ってみたくなったのだ。 翌日、メイド長から貰ったエプロンを身に着けると、赤いロングヘアーを後ろでまとめ、リボンで縛る。 ちょっとポニーテールっぽく見えるいでたちで、小悪魔の気分はパティシエールモードに切り替わる。 小悪魔は料理に対してポリシーがある。 それは、なるべく素材本来の風味を生かすこと。 そのためには、新鮮な素材を用意する事と、素材との対話を通じて、その持ち味を見極める事が重要だ。 素材との真剣勝負、それによって調理方法も工夫する必要がある。 料理は半分趣味とはいえ、いや、趣味だからこそ、なるべく妥協せず、丁寧な作業をする事に拘りがあるのだ。 小悪魔は、里の加工所から仕入れた箱から、ゆっくりありすを取り出すと、深めのトレーに移した。 大きさは注文どおり、直径10cm位、数は6個だ。 強制的にゆっくりさせられる箱から開放された最初のありすは、暫くすると目を覚ました。 「ゆっくりしていってね!」 その声で、他のありす達も目を覚ます。 「ゆゆっ!ゆっくりー!」 「とかいはー!」 「ゆっくりしているわ!」 「ゆぅ…ゆぅ…」 まだ寝ぼけているのも居るみたいだが、小悪魔はぱんぱんと手を叩いて言った。 「はーい、注目! ようこそ紅魔館へ。これから皆さんには、ゆっくり美味しいお菓子になってもらいまーす! ちょっと大変かもしれませんけど、頑張ってくださいね」 「なにいってるの?おかしはなるものじゃなくておねえさんがもってくるものよ!」 「きゅうじがかりはとかいはのありすにはやくおかしをもってきてね!」 「おかしをもってくればゆっくりしてあげてもよくってよ!」 「はやくここからだしてね!ゆっくりできないよ!」 「さっさとゆっくりさせてね!」 てんでに自分勝手な事を言い始めるありす。こちらの言う事は半分も理解していないようだ。 まだ加工所の飼育室に居るつもりなのだろう。 加工所生まれのありす達は、所定の大きさになるまで、職員によって手塩にかけられ愛情一杯で育てられる。 思うが侭ゆっくりとしていたありす達は、まさか自分達が食用として育てられていたとは思ってもいない。 牧場から出荷される家畜は、本能的に自分の運命を察して抵抗するというが、この頭の中まで全身クリームの 饅頭達には、そんな危機感は皆無らしい。 まあ、勘違いしたままならそれでも良いか、と小悪魔は考え直す。 いきなりゆっくりさせなくするのではなく、他の方法を試そうと思ったのだ。 「では皆さん、長旅でお疲れでしょうから、お菓子の前に、ゆっくりサウナに入りませんか?」 にっこり笑って提案する小悪魔。 「さうな?」 対してありす達は、げげんな顔で首、というか体全体を傾げる。 「あれ? 皆さん都会派なのに、サウナ風呂をご存知無いんですか? とってもゆっくりしてすっきり出来るし、美容にも良いんですよ?」 「もっ、もちろんしってるわ!」 「さうなぶろはとかいはのありすにぴったりよね!」 「うつくしいありすがさらにうつくしくなっちゃうわ!」 「さすがとかいはのおねえさん、ゆっくりすっきりさせてね!」 「きがきくわね、ゆっくりはやくさうなにいれてね!」 ゆっくりすっきりという単語に食いつくありす。小悪魔はとても分かりやすい反応に思わず苦笑してしまう。 プリンは通常、容器を半分お湯につけて加熱する。いわゆる湯煎で作るのだが、ゆっくりの場合はそれでは 皮が溶けてしまう。そこで小悪魔は、蒸して調理しようと考えた。茶碗蒸しと同じ要領である。 「では皆さん、サウナにご案内しますね」 小悪魔はそう言うと、蒸し器のかごの中にありすを入れていく。 直径30cmほどの蒸しかごは、6個のありすで一杯になった。 「ちょっときついわね」 「とかいてきじゃないわ」 「ちょっと、おさないでよね!」 「ゆっくりしていってよ!」 文句を言い始めるありす達。だが小悪魔はあくまでスマイルだ。 「これは最新式のミストサウナなんですよ。 蒸気の力で汗をかいて、皆さんゆっくりすっきり出来ますよ?」 そう言いながら、蒸し器をコンロの上にセットし、蓋をかぶせた。 蒸し器の中からは、ちょっとくぐもった声が聞こえてくる。 「ゆゆっ、すのなかみたいでおちつくわ!」 「ここでゆっくりすればいいのね?」 「とかいははさいしんのさうなですっきりするのよ!」 「あったかくてきもちいい!」 「んほぉ!」 最新の都会派体験に、ちょっと興奮気味のありすたち。 小悪魔は、「頑張ってくださいね」と小声で言いながら、コンロの下の釜に薪をくべて火の勢いを増してゆく。 前回の失敗から、ありすへ与えるストレスは、なるべくあっさり目にしようと考えていた。 クリーム・ブリュレは容器に入れたまま食べるのが前提なので、柔らかめに、つまり短めに火を通せばすむが、 表面だけが硬くならないよう、中まで火が通るように、加熱時間と温度には、細心の注意を払う必要がある。 「ゆぅーっ、あついわね」 「でもおはだがしっとりしてきたようなきがするわ」 「んほぉぉぉ、きもちいいぃぃ」 暫くすると、シュウシュウと音を立てて蒸気が上がってくる。 小悪魔は水蒸気の量を一定に保つように火加減を調整しながら、中の声に耳を傾ける。 「あづい!あづい!」 「もういい!だして!」 「おねえさん!もうじゅうぶんよ!」 「・・・」 シュウシュウ… 「もうばべでず!あぢぢぢぢ!!」 「おでがいでづ!だじでぐだざいぃぃ!!」 「おでえざん、いじばるじないでぇぇ!!」 「・・」 シュウシュウ… 「じぬ!じんでじばぶぅぅぅぅ!!!」 「だぜ!ごごがらだぜぇぇぇ!!!」 「じね!いぢばるずるばばあはじねぇぇぇ!!!」 「・」 シュウシュウ… がたがたと騒がしかったが、蒸し器の中では身動きするスペースは無い。 そのうち、騒いでいたありす達が、だんだんと静かになってきた。 「なんだが ゆ っ ぐ り じでぎだ…」 「 ゆ っ ぐ り じ で い っ で ね … 」 「 ゆ っ ぐ り … … 」 「 ゆ っ … 」 シュウシュウ… ありす達がゆっくりしてきたのは、体内のカスタードクリームが凝固してきた証拠である。 それによって身動きはおろか、喋ることさえ困難になっているのだ。 「そろそろですね」 その声に耳を傾けていた小悪魔は、そのゆっくり具合を見極めると、蒸し器を火から下ろした。 蓋を開けると、真っ赤に蒸しあがったありす達が、ぶるぶると痙攣しているのが見える。 暫く冷ました後、小悪魔は一個のありすを手に取ると、ナイフで頭頂部をざっくりと水平に切り落とした。 「 ゆ゛べ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」 白目を剥き、ゆっくりとした悲鳴をあげるありす。 口は勿論、全身が思うように動かない状態では、ぶるぶると痙攣するしかないようだ。 切り取られた頭頂部の穴からは、いつものクリーム状ではなく、ナイフにくっ付かずに綺麗に平らな断面に なったカスタード・プディングが見える。 小悪魔は本体の方ではなく、切り離した頭頂部のプディングをスプーンで掬うと味見をしてみる。 「美味しい!」 小悪魔は思わず声を上げる。 硬過ぎず軟らか過ぎず、舌の上でとろけるような、クリームが凝縮された濃厚な味わいだ。 蒸し焼きの加減は、大体狙いどおりの硬さといった所だ。だが、まだ完成ではない。 小悪魔は手早く他の5個の頭頂部も切り取ると、その穴をちょっと引っ張り、容器のふちのように整形する。 6つのカップ入りプリンが出来たが、そのカップはどれもが苦痛の表情を貼り付かせている そこからかすかに聞こえてくるのは、苦悶と怨嗟の声。 「い だ ぃ ぃ ぃ ぃ ぃ 」 「 ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ ゆ゛っ 」 「う゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛」 「ど ぼ じ で ご ん な ご ど ず る の お お お お 」 それには応じず、小悪魔は棚からリキュールのビンを取り出すと、ありすの頭頂部に薄く注いでいく。 アルコール度数と糖度が非常に高い、特製の料理酒だ。 それから小悪魔は、ありす達に語りかけるようにゆっくりと喋り始めた。 「どうして…ですか? 最初から、あなた方には美味しいお菓子になってもらいます、と言ったじゃないですか。 あなた達は生まれたときから、こうなる運命だったのですよ。 加工所で生まれたあなた達は、職員の皆さんの手によって、蝶よ花よと育てられました。 それは、こうして美味しいお菓子となり、食べてくれる人へと幸せを運ぶため。 そうです、あなた達の幸せな記憶は、食べてくれる人たちへと引き継がれ、その人たちを幸せにするのです。 さあ、今こそ思い出して下さい! あなた達は、幸せになってくれる人たちのため、食べられることこそが、 至上の幸せなんです! あなた達は幸せを運ぶ使者、幸福と愛のキューピットなんですよ! 安心してください! あなた達は、私が責任を持って最高に美味しいお菓子にしてみせます! そして、私の愛する人たちと、美味しく頂くことを保証します! あなた達は生まれ変わって、全ての人たちを幸せに出来るんですよ!」 最初は告げられた真実に驚愕していたありす達だが、段々テンションが上がってきて感極まったのか、目尻に 涙を浮かべながら熱く語る小悪魔の姿に、次第に体が動かない苦痛も、頭を切り取られた痛みも忘れ、感動で 涙を流し始めた。 そして、忘れていた古の、封印されていた記憶を思い出してゆく。 そうなのだ。彼女達はカスタードクリーム饅頭。それは、人間に食べられることこそが至上の喜び。 涙を流しながら、ありすたちは原初の言葉を思い出す。 『 さ あ 、 お た べ な さ い ! 』 実際のところそれは、ありす達がストレスで甘くなり過ぎないための、小悪魔の作戦だったかもしれない。 頭にたらされたリキュールによって、酔った上で麻痺した感覚の見せた幻影だったかもしれない。 だが、そんなことはもうどうでも良くなっていた。 ありす達は、この世に生まれてきた意味を見つけたのだ。それは、悟りの境地と言ってよかった。 小悪魔の主、パチュリー・ノーレッジがこの光景を、小悪魔の説教によって解脱する饅頭達を見たならば、 思わず紅茶を噴き出していたかもしれないが、それでもいい、信じるものは救われるのだ。 小悪魔はそのありす達の様子を見ると、細い薪に火をつけ、ありすの上にかざした。 揮発したアルコールに引火し、ありすの頭に青白い炎が上がる。 6頭のありすの頭に火を灯し終えると、小悪魔はその美しい光景にちょっと見とれてしまった。 それはまるで、キャンドルライトを掲げた聖歌隊の行進のようだ。 『 ん ほ お お お お お お お ! ! ! 』 “心頭滅却すれば、火もまた涼し”という諺の通り、トランス状態に陥っているありす達は、苦痛と快感が 入り混じった感覚に、訳も分からず喜びの涙を流す。それはまさにヘブン状態!! だった。 じゅうじゅうと音がするありすの頭頂部は、リキュールの糖分と、表面のカスタードクリームが加熱され、 茶褐色のカラメルへと変化してゆく。 甘く、ちょっぴりほろ苦い、そんな芳ばしい香りが漂ってきたところで火を消すと、後には茶色くカリカリの カラメルが乗った、ゆっくりありすのクリーム・ブリュレが完成した。 「上手に焼けましたー!」 にこにこと天使のような笑みを浮かべて喜ぶ小悪魔の歓声は、ありす達が最後に聞いた祝福の言葉だった。 幸せそうに自分を食べる人間達の暖かい団欒を夢見ながら、永遠の眠りについたその顔は、どれも達成感に溢れ とても誇らしげだった。 小悪魔は誰にともなくつぶやく。 「最後は、どうか幸せな記憶を」 終 by 神父 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/442.html
~ゆっくり一家の生涯『博麗神社編』(前編)』~ ここは幻想郷の東の端の端、外の世界との境界に位置する博麗神社である。 この神社の床下(縁の下)にはゆっくり霊夢の家族が住んでいた。 お母さんゆっくり霊夢(以後お母さん霊夢)1匹に赤ちゃんゆっくり霊夢(以後プチ霊夢)10匹の幻想郷で最もよ く見かけるゆっくり一家だ。 「「む~しゃ♪む~しゃ♪」」 「ゆっくりたべてね!」 お母さん霊夢が巣の外で頬袋にためこんだ食べ物をプチ霊夢達に与えている。 住み始めてからゆっくり一家はある意味とてもゆっくりすることができていた。 神社は幻想郷でも辺境に存在するため天敵であるゆっくり種とも遭遇することはまずなく、民家に無断で侵入し人間 に虐殺されるなんてこともなかった。 また、他のゆっくり種との小競り合いもなかった。神社までたどり着くことができるゆっくりがほとんどいないのだ。 (ここで補足しておくと、神社へ人間の里から行くには、見通しが悪く妖怪に襲われる危険もある獣道を通らなればな らない。神社に通ずる獣道は危険度が高いため、ゆっくりが生き延びて神社にたどり着くことはまずないのだ。) ではなぜこのゆっくり一家が神社の床下に住んでいるかと言うと話は約1ヶ月前まで遡る。 「よぉ霊夢、遊びに来てやったぜ!」 「なによ魔理沙、またお茶とお菓子をたかりにきたの?」 「そう言うなよ、今日はお茶請けの菓子を持ってきたんだぜ?」 魔理沙は手に持っている風呂敷包みを掲げて見せた。 「そう言うことは先に言いなさい、さぁ上がって上がって。」 「それじゃ、遠慮なく上がらせてもらうぜ。」 魔理沙が卓袱台(ちゃぶだい)の前に座ってくつろいでいると霊夢がお茶を運んできた。 「で、お茶請けのお菓子って言うのはなんなの?」 「これだぜ。」 魔理沙は卓袱台の上に風呂敷包みを置き、結びを解いた。そして霊夢はかたまった。 「・・・・・何これ?」 「何って見ればわかるだろ?私の家に忍び込もうとした不届き者を捕まえて持ってきたんだ。」 風呂敷包みの中から現れたのはスヤスヤと眠っているお母さん霊夢1匹とプチ霊夢6匹だった。 「ゆっくりだと言うのは見ればわかるわよ、こんなの食べられるわけな・・・。」 「食べられるぜ?しかもお茶請けにはぴったりだ。」 「え!?」 驚く霊夢を見て魔理沙も驚いた。 「ひょっとしておまえ、ゆっくりが食べられるって知らなかったのか?」 「・・・私を騙してるわけじゃないでしょうね?」 「騙してなんかないって。」 魔理沙は1匹の眠っているプチ霊夢をつかみ、体の半分ほどに一気にかぶりついた。 「ゆ゛う゛ーー!」 あまりの痛みに悲鳴を上げ一瞬で目を覚ますがすぐに絶命するプチ霊夢。 「今悲鳴を上げたわよ!?」 「そりゃあネムリダケから作った薬で眠らせてあるだけだからな、人里じゃ眠っていないゆっくりでもそのまま食べる らしいぞ?ちなみにこのゆっくりはちゃんと洗ってから持ってきたからきれいだぞ。」 とてもおいしそうにプチ霊夢を食べる魔理沙の様子から窺(うかが)うに、まずいということはなさそうだった。 「絶対おいしいって、騙されたと思って食べてみろよ。」 魔理沙の強い推しに負けてプチ霊夢を手に取る霊夢。 霊夢の手の上のプチ霊夢はこれから自分に起こる事など知る由もなく、ただスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。 そして霊夢は目を瞑(つむ)り一気にプチ霊夢にかぶりついた。 「ゆ゛う゛ーー!」 先程と同じように悲鳴を上げ絶命するプチ霊夢。 霊夢の口の中には甘すぎず、そして濃厚な餡子の旨味が広がっていた。 「おいしい!」 「だろ?私も初めは食べれるって事に半信半疑だったがアリスの家に遊びに行ったとき食べさせてもらったんだ。それ 以来、森でキノコを探すついでにゆっくりも捕獲してるんだぜ。」 「へぇ~いいわね、神社周辺じゃゆっくりなんて見かけないわ。」 「森と違って妖怪やら幽霊が神社の周りには多いからな。」 その後、霊夢と魔理沙は何気ない雑談をしながらプチ霊夢達をたいらげた。 「そういえばこのでっかいのも食べられるの?」 子供が目の前ですべて食べられたのに気が付かず、スヤスヤと眠っているお母さん霊夢を突っつきながら霊夢は魔理 沙に尋ねた。 「食べられるには食べられるんだが餡子はパサパサしててまずいらしい。そいつは別の目的で連れてきたんだ。」 「別の目的?」 「毎回ゆっくりを運ぶのも面倒なんでここで繁殖させようと思ってな。そうすれば饅頭食い放題だぜ。」 「な!バカな事言ってるんじゃないわよ。エサ代がバカにならないわ!」 霊夢は立ち上がり卓袱台をドン!と叩き魔理沙に猛抗議した。 「いやいや、お前がわざわざエサをやる必要なんてない。神社の床下にでも住まわせて自分でエサを取らせばいい。」 霊夢は魔理沙の言葉を聞くと再び卓袱台の横に座り魔理沙の説明の続きを聞いた。 「私も家の近くの木の洞にゆっくりの家族を住まわせてるんだ。食べたいときに眠らせてプチゆっくりを捕まるんだ。」 「そんな頻繁に子供が減るんじゃゆっくりもすぐ逃げ出すんじゃないの?」 「それがな、ゆっくりは頭が悪いから少し子供が減ったくらいじゃ気が付かないんだぜ。」 「・・・・・どこまで⑨なの?こいつ。」 まだスヤスヤと眠っているお母さん霊夢の頬を抓(つね)りながら呆れる霊夢であった。 「で、ゆっくりはどうやったら増えるの?」 「もう一匹ゆっくりを用意して発情させて暗い場所に放置すればいいらしい。だがその方法だと時間がかかって面倒な んだ。そこでこの秘密兵器を使うんだ。」 「秘密兵器?」 魔理沙は風呂敷とは別に持ってきた入れ物を開け、中から霧吹きのようなものを取り出した。 「私の目の錯覚かしら?ただの霧吹きにしか見えないのだけれど。」 魔理沙は人差し指を立てチッチッチと言いながら指を振って説明を始めた。 「これは確かに普通の霧吹きだが中に入っている液体が重要なんだ。森で採れる幻覚作用を持つキノコから作った魔法薬 が入っててな、これをゆっくりに吹きかけると興奮しだして勝手に子供を生むんだぜ。」 「また妙なもの作ったわね、いったい何のために作ったのよ?ゆっくりに使うためじゃ無かったんだしょ?」 「いやぁ~アリスに使ったらどんな反応をするか見てみたくてな、試しに実験台としてゆっくりを使ったんだ。そしたら いきなり興奮しだして子供を産んでな、さすがにびっくりしたぜ。」 霊夢は呆れていたが結果的に饅頭の数を増やすことができるようになったのだからとこれ以上突っ込むのはやめた。 「それじゃそろそろはじめようぜ。」 魔理沙はお母さん霊夢を持ち上げると霊夢を誘い庭へ出た。 「子供を生ませる前にやっておかないといけないことがあるんだ。さすがのゆっくりブレインでも目を覚ませば森とは別 の場所にいるのには気が付くからな。初めが肝心なんだ、途中話かけるから適当に返事をしてくれ。」 「えぇわかったわ。」 魔理沙は抱えているお母さん霊夢を離した。当然お母さん霊夢は自由落下を始めドスっと音を立てて地面にぶつかる。 さすがに衝撃が大きかったのかお母さん霊夢は目を覚ました。 「ゆ?ここはどこ?おうちがないよ!れいむのこどももいないよ!」」 混乱してキョロキョロ周囲を見回すお母さん霊夢に後ろから魔理沙は話しかけた。 「お、やっと起きたか。体は大丈夫か?」 お母さん霊夢は振り向いたが少し警戒しているようだった。 「おねえさんだれ?ここはどこなの?れいむのこどもはどこなの?」 警戒するお母さん霊夢の前にかがみこむと魔理沙は話し出した。 「実はなお前達の一家はゆっくりれみりゃの集団に襲われたんだ。たまたま通りかかった私がゆっくりれみりゃを追い払 ったんだが・・・残念ながら子供はすべて食べられてしまったんだ。」 突然の魔理沙の説明に呆然とするお母さん霊夢だったが次第にぶるぶる体を震わせ始めた。 「・・・・・ゆ゛う゛う゛う゛う゛う!!!」 そして次第に目から涙が流れ出し、 「どおじでぇ゛ぇ゛ぇ゛!? どおじでぇ゛ぇ゛ぇ゛!? そんなのれいむはおぼえてないよおぉぉぉ!」 「落ち着くんだ、あまりのショックに覚えてないだけなんだ。」 必死(演技)に魔理沙はお母さん霊夢をなだめようとするが一向に泣き止まない。 「れいむのがわいい、がわ゛い゛いごどもがみんなしんじゃっだなんでうぞだあぁぁぁ!」 「うそじゃないんだ、これを見るんだ。」 魔理沙はスカートのポケットから先ほどお茶請けにおいしくいただいたプチ霊夢達のリボンを取り出して見せた。 「あ゛!あ゛あ゛あ゛!でいぶのがわいいこどもが!こどもがあ゛ぁぁぁ!」 お母さん霊夢は子供達がゆっくりれみりゃに食べられたと信じたようだ。 10分ほど放っておくとお母さん霊夢は次第に泣くのをやめだした。 「どうだ?落ち着いたか?」 「うん、おねえさん、れいむをたすけてくれてありがとう。」 自分の子供を食べた張本人だとは思いもしないお母さん霊夢は魔理沙にお礼を言った。 「あそこにいる巫女にも礼を言った方がいいぞ。お前の怪我を治療してくれたんだ。」 お母さん霊夢は跳ねて進み霊夢の足元で止まり上を見上げた。 「あかいおねえさん、れいむのけがをなおしてくれてありがとう。」 「えぇいいのよ。」 霊夢は適当に返事をした。 泣き止みはしたが、まだショックから立ち直れずに呆然としているお母さん霊夢に魔理沙が話しかける。 「よかったら友達になってくれそうなゆっくりでも紹介してやろうか?」 「ともだち?」 友達という単語に反応しお母さん霊夢は顔を上げた。 「あぁ一緒にゆっくりできる友達だ。」 ゆっくりという単語にお母さん霊夢はさらに反応した。 「ゆっくりともだちをしょうかいしてね!」 すかさず先ほどの魔法薬の入った霧吹きを吹きかける。 「ゆ?」 頭の上に?マークを浮かべるお母さん霊夢であったが、次第に口はだらしなく開かれ、顔は赤みが濃い色彩を帯 び、目はとろんとしだした。 「ま、まりさぁ、れいむもまりさのことがだいすきだよ!」 一匹しかいないのに何かに擦り寄る動作をするお母さん霊夢。しばらくすると興奮しながら体をうねらせる。 「ゆゆゆゆゆ!んほおおおおお!」 大声を上げ口を大きく開けたまま硬直するお母さん霊夢。 しばらくするとお母さん霊夢の頭から緑の芽が顔を出し、ぐんぐんと成長していった。 「な、なに!?私の饅頭生産機に何が起こったの?」 霊夢はお母さん霊夢の状態を見て心配になったのか魔理沙に質問した。 「心配するな、ゆっくりの子供は母親ゆっくりの頭から伸びた蔓に実るんだ。ちなみに成熟していないゆっくりが 子供を生むと黒くなって朽ちてしまうんだ。これくらいでっぷり成長したゆっくりなら大丈夫だがな。」 しばらくすると伸びた茎の先にゆっくり霊夢の赤ちゃんが実りだした。お母さん霊夢の意識はまだ戻っていない が朽ち果ててはいなかった。その様子をまじまじと見ていた霊夢は不思議そうな顔をしていた。 「それにしてもゆっくりっていったいなんなのかしらね?動物のようだけど中身は餡子だけ、子供は植物のように 増える、さらには幻覚を見せたくらいで勝手に興奮して子供を産むだなんてまったくもって理解不能な生物だわ。 生物かどうかも怪しいわね。」 「確かにわけのわからない生物だな、まぁ私からすれば簡単に饅頭が手に入るようになったという事実があれば十 分だがな。」 30分程経つと蔓の先に実ったプチ霊夢達は先ほどおいしくいただいた物と同じくらいのサイズに成長していた。 1匹のプチ霊夢が蔓の先から音も無く切り離され地面に落ち、それに続くかのように他のプチ霊夢も続々と地面 に落ちていった。そして1番初めに地面に落ちたプチ霊夢がむくっと顔を上げた。 「ゆっくりちていってね!」 それが合図であるかのように他のプチ霊夢たちも目を覚まし次々と産声(ゆっくりちていってね!)を上げた。 最後のプチ霊夢が産声を上げるとお母さん霊夢の意識が戻り、蔓も抜け落ちた。 「・・・ゆ!まりさはどこ?」 幻覚を見ている最中の交尾相手であるゆっくり魔理沙を探しているようだった。 「よぉ気が付いたか。ゆっくり魔理沙ならお前が子供とゆっくりできるように去って行ったぜ。」 「ゆ!そうだったの!さすがれいむのおともだちのまりさだね!ともだちおもいだね!」 さすがゆっくりブレイン簡単に信じ込んだようだ。 周りにいる総勢15匹のプチ霊夢はお母さん霊夢に擦り寄ってきた。 「「おかあさん、おかあさん」」 「みんなれいむのたいせつなこどもだよ!こんどはぜったいまもるよ!」 ちなみにお母さん霊夢が魔理沙に捕まったのはお母さん霊夢自身が魔理沙の家に忍び込もうと提案したのが原因 である。自業自得だ。 初めは親子で頬ずりし合っていたが、しばらくするとお母さん霊夢は周囲をキョロキョロ見回しだした。 「いまからゆっくりできるばしょをさがしにいくよ。」 それを聞くと待ってましたとばかりに魔理沙が前に出る。 「それならオススメのゆっくりできる場所があるぜ。」 お母さんれいむの目の色が変わる。 「ゆ!おねえさん、れいむたちをそこにゆっくりあんないして!」 魔理沙は神社の縁側までゆっくり一家を案内した。 「ここだ、ここから建物の床下に入れるんだ、広さは十分なはずだぜ。」 お母さん霊夢はプチ霊夢達をその場へ待機させ巣の下見のため1匹で床下へもぐっていった。 3分ほどすると入っていった場所からお母さん霊夢がにょきっと顔をだした。 「きにいったよ!きょうからここがれいむたちのおうちだよ。」 「「おうち♪おうち♪」」 図々しくも早速自分の家宣言をするゆっくり一家。 一家そろって大喜びだ。そこにすかさず魔理沙が釘をさす。(言葉で釘をさすって意味だからね) 「そうそう、この建物の中には絶対に入っちゃだめだぞ。ゆっくりにとって危険な物がたくさんあるんだ。もし入 ったら二度とゆっくりできなくなるからな。たとえ中からおいしそうな匂いがしたとしてもだ。わかったか?」 「ゆ!ゆっくりできなくなるのはいやだよ!ぜったいなかにははいらないよ!」 お母さん霊夢は魔理沙の言葉を信じたようだ。ゆっくりブレイン+優しいお姉さんの言葉というのが効いたのだ ろう。 「子供達にも言い聞かせるんだぞ、わかったか?お前達が巣にする床下は安全だからゆっくりすればいい。」 お母さん霊夢は頭だけの体でお辞儀をするとプチ霊夢達を連れて床下へもぐっていった。 「意外に聞き分けが良かったわね、あの饅頭生産機。」 ゆっくり一家が床下へ消えると霊夢は話し出した。 「成長したゆっくりは言い聞かせればある程度約束は守るんだ。もし霊夢の居住スペースに入り込んできたら眠ら せて子供をすべて食べるなり料理してしまえばいい。その後母親を別のところへ移してさっき私が見せたような 演技をして恐怖を植えつければいいのさ。」 「わかったわ。それにしてもよくあんな演技ができるわね、ある意味感心するわ。」 「饅頭のためだぜ!」 一通りの作業が終わる頃には日が傾きかけおり、魔理沙は睡眠液と幻覚液の入った霧吹きをそれぞれ霊夢に渡 すとほうきにまたがり家へ戻っていった。 霊夢は念のため饅頭達が進入できないように居住スペースに結界を張った。 次の日、お母さん霊夢は目覚めるとまず初めに子供達の確認をした。 「ひー、ふー、みー。ちゃんとみんないるね!」 成長したゆっくりとは言え所詮ゆっくりブレイン。数は3までしか数えることが出来ない。 現在お母さん霊夢の横で眠っているプチ霊夢の数は14匹。昨夜霊夢が1匹こっそりとさらいおいしくいただい たのだ。もちろんお母さん霊夢は気が付いていない。 「みんな~ゆっくりめをさましてね。」 プチ霊夢達がすべて目を覚ますと巣から出ないように注意した後、エサの調達に出かける。 神社の周囲には昨夜霊夢によって結界が張られていた。お母さんゆっくりが遠くまで行って人間や妖怪に捕まら ないようにするためだ。 もちろんエサがある程度確保できるように神社の境内から少し距離を置いたところに結界は張ってある。 お母さん霊夢はいずれ霊夢たちにおいしく食べられてしまうプチ霊夢達を育てるためにせっせとエサを集めをす るのだった。 こうしてこのゆっくり一家は子供が頻繁に減るものの、その事に気が付かないためある意味とてもゆっくりと過 ごすことが出来たのである。 End(前編) 作成者:ロウ 後編へつづく
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/259.html
この作中に登場する饅頭は、バスケットボールくらいの大きさと思ってください。 ここに一人の農業を営む男がいた。 私はゆっくりが大嫌いだ。 あのふてぶてしい表情、平気で住居に侵入する行為、挙句の果てに自分の家と 言い張る。どれをとっても気に入らない。 そのため私は、ゆっくりを見かけたら問答無用で処分することにしている。 そんな私が畑仕事からの帰路、草むらの中から何やら声が聞こえるではないか。 「・・・・していってね!」 「すっきり・・・・ていってね!」 何やら興奮気味な声だ。 さらに近づいてみると、そこに3匹のゆっくり魔理沙と1匹のゆっくりパチュリーが いた。 「ゆっくりしてないでさっさとおわらせてね!」 「おねぇちゃん!はやくぱちゅりーをこっちにまわしてね!」 どうやら姉妹でゆっくりパチュリーを暴行しているようだ。 「う”るさいよ!今いいところなんだからだまっててね!」 「むぎゅ!むきゅんむきゅん・・・・」 そんな行為を私が見逃すはずもなく、畑仕事で使ったクワを片手に走り寄った。 饅頭が生殖するという行為が生意気であり、何より気に入らなかった。 「そこで何してるゴミども」 「ゆ”ゅ!?」 「おじさんだれ?まりさたちはいそがしいからゆっくりどっかいってね!!!」 するとパチュリーをレイプしている魔理沙が絶頂に達しようとしていた。 「いぐよバヂュリー!まりさのごども妊娠しでね”ぇぇぇぇ!」 「む”ぎゅゅゅゅっ」 「ゆ”っ!???」 レイプしていたゆっくり魔理沙の視界がぐるりと舞った。 私のクワで思いっきり頭を刈ったのだ。 魔理沙の顔の上部が地面に落ちるまで他のゆっくりは固まったままであった。 「ゆっゆっゆっゆっゆっ」 顔の上半分がなくなった魔理沙が奇妙な声を上げると、やっと状況が読みこめたらしく 「パチュリーはそこでゆっくりころされてね!」 「おぢさんはそこでゆっくりしていってね!」 と言い放ち、2匹はゆっくりとは思えない速さで逃げていった。 自分の姉が殺されたのに大したやつ等だ・・・。 「ゆっゆっゆっゆっ・・・」 「ぶゅっ!!」 いい加減うるさいので痙攣していた魔理沙を草むらの奥へと蹴り飛ばした。 汚いあんこが草の上へと散らばり甘いにおいが広がった。 そういえば、パチュリーはどうなったか探すと、少し離れた場所にいた。 「キュー・・・キュー・・・キュー・・・・」 と、息も絶え絶えに私から逃げようとしている。 放って置いても時期に死ぬだろうが、私にも情けはある。 「む”ぎゅん!?」 後ろから思い切り蹴り飛ばしてやった。 ゆっくりパチュリーの体は中身を振り撒きながら木へと当たり砕けた。 「良かったな。楽に死ねて」 我ながら大したキック力だ。 「「ゆっくりしんだね!!!」」 「!?」 2匹のゆっくり魔理沙だ。 パチュリーが死んだのを確認しに戻ってきたようだ。 恐らく私が追いかけても逃げ切れると思っているのだろう。 事実そうである。 「ばいばいおじさん!まりさたちは他の場所でゆっくりするからね!」 「おじさんはさっさとおうちに帰ってね!」 と、時折振り返り、人を小ばかにしたようにニヤニヤして逃げていった。 自分達の足跡を残しているも知らずに・・・・ ゆっくり魔理沙たちが通った場所は薄っすら円形の跡がついているのだ。 馬鹿な饅頭だ。 足跡を追っていくと倒れた大木の前で終わっていた。 「ゆっくり~♪まったり~♪」 「ゆ~♪ゆ~♪ゆ~♪」 反吐が出そうな歌が聞こえてきた。 間違いなく中にいる。恐らくこの大木の中を巣にしているのだろう。 入り口は一つだけあり、地面には藁が敷いてある。 ゆっくりには大きすぎる家であった。 やる事はひとつだ。 ズボンから小さな液体の入った箱を取り出した。 この箱は、丈夫についたボタンを押すと火が出るという、河童の作った優れもので ”おいるらいたぁ”というらしい。便利になったものである。 その話はさて置き、早速藁に火を放った。 段々と火は大木へ移りだした。 一方では 「ゆ~♪ゆ~・・・・ゆゅ?なんだか体が乾燥するよ?」 「おかしいね!それにあついよ!」 「「ゆっくりできないね!!!」」 2匹はおかしいと感じ、家の入り口へくると自分のおかれている状況が理解できたようだ。 「ここじゃゆっくりできないよ!はやくおそとへにげようね!」 「あつくてゆっくりできないよ!」 火は思いのほか早く回り、1匹のゆっくり魔理沙の帽子へ引火した。 「あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”!!!!あづいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ゆ”っぐぃでぎな”い”ぃぃぃ!!!」 「ゆ”っぐり”ぃぃぃぃぃぃぃ・・・・」 一匹はそのまま焼け死んでしまったようだ。 私が入り口で待ち構えていると、勢いよくゆっくり魔理沙が飛び出してきた。 「ポーォォォッ!ポォォォォ!ポァッ」 意味のわからない言葉を発し、帽子から蒸気機関車のように煙を出していた。 しばらく私の周りをグルグル狂ったように走っているとゆっくり魔理沙の 帽子は完全に焼け、炭となり、頭は円形に焼けて禿げていた。 おまけに目玉も沸騰し、シロップのようなものが漏れ出していた。 絶命したことを確認し、満足した私は焼けた饅頭をクワに刺し お茶請けとして持ち帰ることにした。 すっかり日は落ち、コウモリが飛んでいることに気がついた。 「もうこんな時間になってしまったのか」 畑仕事から帰ってゆっくり休もうと思っていたのにこの始末だ。 渋々帰宅すると、閉めていた筈の家の扉が開いているではないか。 何事かと家の中へと飛び込むと胴のついたゆっくりがちゃぶ台の上で 踊っているではないか。 「うっ☆うっ~☆うあうあ☆」 私はほっとした。内心、泥棒ではないかと心配していたが、そこには饅頭がいたのだから。 「おいィ?お前そこで何してる?」 すると踊りを踊ったまま 「ぷりちぃなれみりゃがぷりちぃな子にだんすをおしえてるんだどぅ☆」 ぷりちぃな子だと?一匹だけじゃなかったのか。 周りを見渡すと、何かが飛んでいるのがわかった。 胴なしのゆっくりれみりゃだ。 胴なしのれみりゃは頭だけな分、非常に濃厚な味がして 貴重だという話を聞いたことがあった。 これは豪華な夕食になりそうだ。 踊っているれみりゃと子を、逃げられないように縄で結び、台所で 蒸し揚げるための鍋を用意した。 「う”あ~~~!ざく”や”ぁぁぁぁ!う”あ~~~!はな”でぇぇぇぇぇぇ”!」 「う~、う~」 2匹が何か言っているが無視した。 蒸す前に下ごしらえをれみりゃたちにしなくてはならない。 胴つきのれみりゃの縄を解き、頭に載っている帽子を取った。 この帽子はれみりゃの皮膚からできている。 少し硬いが、湯に通せば柔らかくなる。 れみりゃの肉との相性はバツグンであり、餃子のように包む と美味しくいただける。 「う”あああ!れみり”ゃのぷりちぃなぼおぢがえじでぇぇぇぇ」 次にれみりゃの服を剥ぎ取る。この服は味気なくて食べる気が起こらないので うるさいれみりゃの口の中へいれる。こうすることで、上質な肉汁を漏らさせな いようにするのである。鍋へ入れる前に体の汚れを濡れた布で拭き、準備万端である。 そして、体育座りの様に座らせ、そのまま紐で縛り固定し、鍋のへと入れた。 胴なしのれみりゃは羽で飛ぶため、鍋から逃げ出す可能性があるため、もいでおく必要がある。 この羽もまた美味であり、酒との相性もとても良い。例えるなら、するめである。 羽の取れた胴なしは、移動することができないのでそのまま鍋へと入れる。 羽をもがれた痛みと、熱さで苦しむが、その苦しむのがミソである。 ゆっくり種は苦しめれば苦しめるだけ旨みを増すのだ。 「ぅぅぅぅぅう・・・・・・ぅ・・・・」 「う~、ぅ~・・・・・ぅ・・・ぅ」 蓋を閉めたら、5分待つ。 その間に声は聞こえなくなり、絶命する。 5分経ったら、あとは取り出して皿に盛りつけるだけである。 肉を裂くと、中から汁が溢れ出るではないか。 なんとも食欲を啜る光景である。 こうして、豪勢な夕食を終え、眠りについた。 朝起きると何やら表が騒がしい。 「ゆっくりここをあけてね!!!」 「ゆっくりさせない人間は差ね!」 「まりさをころした人間はしね!」 「むきゅーむきゅー」 「まりさをころしたにんげんちーんぽ!」 そうか、昨日焼き魔理沙を表へ放置したままだったのをすっかり忘れていた。 扉を開けると、5匹のゆっくりたちが鬼の形相でこちらを睨み付ける。 「ゆっくりしねぇぇぇぇぇ!」 一匹のゆっくり霊夢が体当たりをすると、それに続いて 他の4匹のゆっくりも体当たりを始める。 ゆっくり霊夢、ゆっくりちんぽ、ゆっくり魔理沙、ゆっくりパチュリー、ゆっくりゆかり、か・・・ たかだか饅頭如きの体当たりなど利くはずもなく、飛んできた饅頭を蹴った。 「ゆ”ぅぅぅぅぅ!?」 ジャストミート 前蹴り気味で蹴ったら、ゆっくり霊夢は空高く蹴り飛ばされた。 10秒くらいして、落ちてきた霊夢は「パァン!」といい音を立てて放射状に 餡子を散らして死んだ。 「「「「でいぶぅぅぅぅぅぅ!!!」」」 残った饅頭は、驚愕した顔で霊夢だったものを見ていた。 ただ一匹を除いて・・・ 「まりさはゆっくりにげるよ!みんなはそこでゆっくりしんでいってね!」 魔理沙種はみんなこうなのか・・・ 「ま”り”ざぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 見捨てられた饅頭は突然の裏切り行為に、ただただ驚くばかりである。 そして、時折振り返りながらこちらへ 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりs」 と言い、逃げて行k・・・ と思ったら先にある川へ落ちたようだ。 前方不注意とはまさにこのことだ。 川は家の傍へと繋がっている為、すぐに確認できた。 「だずけ”でぇぇぇぇぇぇ!!!見てないでさっさとだずけでぇぇぇぇ!!!」 自分が何をしたのかも忘れて仲間に・・・いや、仲間だったものに助けを求めている。 当然 「まりさはさっさと差ね!」 「うらぎりものはちーんぽ!」 「むきゅ!!!」 さっさと市ねと言わんばかりのコールであった。 期待にこたえて私は近くにあった大き目の石をぶつけた。 「ゆ”っくりしたけkk ボッ!!!」 見事に湿った皮を貫通し、ゆっくり魔理沙を沈めた。 「さて、待たせたな」 振り返ると、ゆっくりちんぽが野犬にくわえられ、それを震えてみている2匹がいた。 「こら!!!」 野犬を追い払ったが、ゆっくりちんぽをもっていかれてしまった。 まぁ、どうせ食われるだろう。 残った2匹は、完全に戦意喪失でパチュリーに至っては白目をむいて失神している。 気の毒に思った私は、せめて痛みを知らないで死ねるように頭の上から踏み潰した。 「パチュン!!!!!」 シソのにおいが辺りを包み、少しお腹が鳴った気がした。 そういえば、朝食をまだ食べていないのだ。 ゆっくりたちの相手をして、少し体を動かしたために胃が動いたのだった。 「おい、お前の中身はなんだ?」 ゆっくりゆかり自体あまり見ないので、中身を知らないのだ。 「ゆ!?ゆかりんは加齢臭じゃないよ!少女臭だよ!」 「そんなこと聞いてねぇよ、お前の頭の中は腐ってるのか?」 「ゆかりんは臭くないよ!少女臭だっていってるdビュッ」 「話の通じないやつだ・・・」 あまりのド饅頭さに嫌気が差し、中身を調べるために両手で頭を掴み 引き裂いた。 「うわ!くせぇ!!!本当に腐ってやがる・・・?って、納豆か・・・」 どうやら中身は納豆のようだ。 朝食には丁度いいかな ゆっくりゆかりんをちゃぶ台の上に乗せ、醤油をかけて混ぜ始めた。 「あっががっがが!あっががっがが!」 喋る器もたまには良いな。 「いただきます」 こうして、また畑仕事の一日が始まるのであった。 fin 川へ有機物を捨てることは結果として、水質汚染へとつながるので 絶対にまねしないでください。 ゆっくりを食べるときは装飾品も残さず食べよう! 作中に出てくる男はこんな硬派な男をイメージしてください。 ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、 ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃 ゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人人__/し、_人_入/し、_ `、||i |i i l|, 、_) ',||i }i | ;,〃,, _) ゆっくりは消毒だぁぁぁぁぁぁ!!! .}.|||| | ! l-'~、ミ `) ,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒V^'^Y⌒ .{/゙'、}|||// .i| };;;ミ Y,;- ー、 .i|,];;彡 iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ { く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ ゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__ ゙i }~~ } ';; ;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;'' ,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-'' ;;;;;;;;;;;;;'',,='' ;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';; ;;;;;;;, '';;;-''' ''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/806.html
飼いゆっくりれいむ 27KB ・れいむが死にません。 ・エロくありません。 ・最近れいむいじめがひどかったんで、れいむ愛でモード突入中。 ・仕事の都合もあって製作ペースが戻らないので、まだまだリハビリが必要な感じです。 『飼いゆっくりれいむ』 D.O 我が家は、築100年を軽く超える古風な木造家屋である。 爺さんの若かった頃は農業をしていたとのことなので、蔵もあれば庭もあり、 さらにその周囲は生垣をはさんで小さな林まで広がっている。 外から見れば、歴史の重み、どころか幽霊屋敷の雰囲気漂わせていることだろう。 現在の主である私が手入れを怠っているので、庭はコケと背の高い雑草が生い茂り、生垣も所々穴が開いているからなのだが。 私が子供の頃は、周囲にまだ多くの農家も残っていたが、 十年ほど前に、ゆっくりの大規模な襲撃が起こり、すっかり疲弊してしまったようである。 もう少し山に近い田舎に立ち上がった、のうかりんを使った実験農場計画が始まった頃に多くの農地は売却され、 実験農場が順調な現状を考えると、このあたりも数年後にはのうかりん印の農場になりそうだ。 現在では町、というには空き家が多すぎる、少々寂しい地域となってしまっている。 そんなある日、仕事から帰ってみると、 庭にサッカーボールサイズと、テニスボールサイズの饅頭が一つづつ落ちていた。 日が暮れているので良く見えないが、赤白リボンの奴はたしかれ・・・れ?ゆっくりだ。 「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇっ!」 「・・・・・・。」 家の電灯に照らされてみれば、薄汚れていて何ともゆっくりしていない奴等である。 少なくとも、見ているこちらとしてはゆっくりできない。 親子なのは間違いなさそうだが、親の方は全身余すところ無く、 マジックで唐草模様が描き込まれているあたり、町からやってきたのは間違いないだろう。 「にんげんさん、れいむはしんぐるまざーなんだよ!」 「へぇ・・・。で?」 「かわいそうなれいむたちを、ゆっくりかっていってね!」 「きゃわいくってごめんにぇっ!」 「・・・はぁ。」 なんだか、やり遂げた表情でこちらを見ている。 刈って、狩って、・・・いや、飼っていってね、か? どうやら、こんなにゆっくりしたおちびちゃんなんだから、人間さんも飼ってくれるに違いない、ということらしい。 とりあえずサンダルの裏を、その自信満々の顔面に押し当てて、塀の方に転がしてやることにした。 「ゆべしっ!」 「ゆぴぃぃいい!」 「・・・ペッ!」 噛んでいたガムが母れいむのリボンにジャストミートする。 「・・・・・・飯作ろ。」 別にゆっくりとやらに大した関心はない。 単に、コソコソ隠れているなら可愛げもあるが、ずうずうしさが気に入らなかっただけである。 これまでも野良猫やらなんやら、しょっちゅう仮の宿に使われていたので、 今更ゆっくりが庭に舞い込んだところで気にしない。 糞をばら撒かれないだけ、犬猫よりはありがたいくらいだ。 庭に住みたきゃ勝手に住めばいい。 こちらには当然世話する義務なんぞ無いのだから。 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛・・・・」 「ゆっくりー!」 痛みから回復したれいむ親子の方は、感動に打ち震えていた。 なにせ気がついたら、母れいむのリボンにペタリとついているのは、あの憧れの飼いゆっくりバッジ。 れいむも遠くで見ていたときは気づかなかったが、バッヂがまさか人間さんが口から吐き出されたものだったとは。 まあ、自分達もナワバリ(無意味極まるが)にしーしーでマーキングすることは多いのだから、そういうものなのだろう。 ・・・などと考えながら、リボンにへばりついたガムを、嬉し涙に潤んだ目で眺めていた。 そう、れいむはついに、ゆっくりの中でも最もゆっくりできると言われる、 あの飼いゆっくりにしてもらえたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌朝。 便所から出て縁側を歩いていると、庭の隅に放置していた木箱から、れいむ親子が飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ん?まだいたか。」 朝からうるさい奴らだ。やはり猫の方がましだな。 「ゆーん。おにーさん、れいむたちにあさごはんちょーだいね!」 「ちょーらいにぇっ!」 昨日のゆっくり共が、これから仕事に行くという時に、なんだかずうずうしくゆぅゆぅ鳴いている。 「・・・・・・庭の草でも花でも、自分で適当に食え。」 「ゆゆっ!?おはなしゃん、たべちぇいいにょ?やっちゃー!」 「ゆーん、ごはんさんいっぱいだよ~。」 勝手に住むのはかまわんが、ゆっくりフードたら言うものまで買ってやる気など無い。 というか、ペットでもないのにいちいち飯などやらん。 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 「むーちゃ、むーちゃ。ゆ・・ゆぇーん。」 「どうしたの、おちびちゃん。」 「れいみゅ、こんにゃにむーちゃむーちゃちたの、はじめちぇ。」 れいむ達は、飼い主であるおにーさんの愛情を全身で味わっていた。 なにせ、適当に食え、と言って指差した庭には、 柔らかそうなゆっくりした草、 タンポポやシロツメクサの類の雑草寄りの花、 背の低い木には実や柔らかい葉っぱ、 それに、今は何も成っていないが柿やビワの木も生えており、季節が来たら食卓を飾ってくれることだろう。 当然昆虫やミミズも、その気になれば取り放題だ。 ここは、森の中にあったとしたら、数十匹のゆっくりを余裕をもって支えることができる最上級の狩場であった。 それらが全て、この2匹だけのためのごはんだと言うのである。 「おにぃさぁん、ありがとぉぉぉおおおぉぉ。」 そんなある日、夕食の生ゴミを袋に入れて、裏庭のポリバケツに入れようとしたところ、 ゆっくり共が、よだれを滝の様にたらしながらこちらを見ていた。 ・・・・・・そういえば、今都会では『ゆっくりコンポスト』なるものがはやっていると聞く。 正直言って生ゴミを貯めこむのは嫌だし、こいつらでも使ってみるか。 「・・・食え。」 翌朝、袋の中身がきれいさっぱりなくなっていた。 袋に何かが入っていた形跡すら無い。よだれらしきものでベタベタではあるが。 「ゆっくちちたおやさいしゃんだったにぇっ!」 「おにーさんにありがとうってするんだよ。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 「なるほど。こいつは便利だ。」 それからというもの、あの親子は毎日ポリバケツに放り込むはずだった生ゴミを、おやつだと大喜びで食べている。 生ゴミを放置しすぎて増えていたりぐるとかも減った。 生ゴミがなくなったからか、りぐるも食べているのか・・・ しばらくすると、いちいちこいつ等が『おうち』とやらにしている、庭の隅の木箱まで生ゴミを持っていくのもめんどくさくなってきた。 まずは縁側の下に少し穴を掘り、用済みとなったポリバケツを横倒しにしてはめ込む。 ポリバケツの内側に土をいくらか入れ、周囲の穴との隙間にも土を詰める。正面から見るとパッと見トンネルのような感じだ。 あとはあのゆっくり親子を中に放り込んで、自家製コンポストは完成。 「ゆわーい。きょきょはれいみゅたちのおうちなんだにぇ。」 「ゆっくりー!おにーさん、ありがとう!」 なんかぽいんぽいんと跳ねて喜んでいるが、台所からも食卓からも近いここが、 生ゴミを放り込むのに適していただけだ。 「ん、で、あと何が必要だ?」 「「ゆぅ?」」 なんといっても、使い道ができた以上、もはや野良猫と同等ではない。 金をかけてやるつもりはないが、それなりのメンテナンスはしてやろう。 コンポストとしてある程度長持ちしてくれなければ困るからだ。 「ゆ、ゆぅーん!れいむはみずあびができたらうれしいよ。きたないとゆっくりできないよ。それと・・・」 「それと?」 「おちびちゃんにも、ばっじさんがほしいよ!おちびちゃんもかいゆっくりのばっじさんがほしいよ。」 水浴びか。なるほど、こいつ等が饅頭のくせにカビないのは不思議だったが、やはり不潔にしておくのはよろしくないといったところか。 こっちとしても軒下にサッカーボール大のカビ饅頭があるのは気分が悪い。自分たちで清潔にしてもらおうか。 あとは・・・ん?おちびちゃん・・・にも? ・・・・・・妙に馴れ馴れしいのも合点がいった。まさか飼われているつもりだったとは。 まあ、使い道がある今となっては都合がよくもあったが。 「水は、そうだな。このタライに水を入れといてやる。勝手に使え。」 「ゆっくりー!」 「それと・・・バッジねぇ。ああ、あれでいいか。」 持ってきたのは、私が中学生時代に学生服につけていた、襟章だった。 鈍く銀色に光る襟章、どうせこいつ等がバッジとやらを活用する日は来ないのだから、これで十分だ。 リボンに乱暴にネジ式の襟章を突き刺して固定すると、赤色の中に鈍く光る銀色は、思いのほかしっくりときた。 「ゆわーい!ゆっくちちたばっじしゃんだー!」 「ゆぅぅ、よがっだねぇ、よがっだねぇぇえ、おぢびじゃぁぁああん。」 喜んでもらって何よりである。この調子で雑草むしりと生ゴミ処理を頑張ってもらいたいものだ。 翌日には、縁側下のコンポストの近くに「おといれ」と称してうんうん用の穴も掘っていた。 生活の場に排泄物を置いておくのはやはり嫌なのか。だが、これはこちらとしても都合がよかった。 このうんうんという排泄物については、定期的に土と雑草に混ぜて花壇の肥料にしている。 なかなか良質なようで、しかも採集の手間も要らないしありがたいものだ。 「ゆーん、おにーさん。おといれのおそうじしてくれてありがとう。」 「うんうんがなくなっちぇ、ゆっくちできりゅよ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こうしてれいむ親子がコンポストとなった数日後、家の庭に最近ご無沙汰だった来客が来た。 「ねこさんだぁぁあああ!ゆっくりできないぃぃぃ!!」 「ゆぴぃぃ、おきゃあしゃんこわいよぉぉ!」 「ん、ああ、トラか。久しぶり。」 生垣の穴から庭に入ってきたのは、近所で気ままな野良生活を送っている猫だ。 こいつに限らず、我が家を通り道にする猫は多い。 「ゆぁぁぁぁ、おにーさぁぁん。ねこさんこわいよぉぉぉぉ。」 「ゆっくちさせちぇぇぇぇ。」 「・・・嫌なら自分でなんとかしろ。」 「「ゆぅぅぅ、ゆっくりできないよぉ。」」 別にサッカーボールサイズの良くわからん物体にじゃれつく様な、酔狂な猫達でもないが、 町生活でトラウマでもあるのか、度重なる猫の襲撃に、れいむ親子は自分達で何とかすることにしたようだ。 数日後から、徐々にだが、目に見えて生垣の穴がふさがり始めた。 「ゆーえす!ゆーえす!」 「おきゃーしゃん、はっぱしゃんもってきちゃよ。」 「じゃあおちびちゃん、このすきまにはっぱさんをおしこんでね。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 生垣や塀の隙間に、小石を詰め、小枝を刺し、上から土を盛って、また葉っぱや枝を詰める。 近くで見るとやはり幼稚園児の工作の域を出るものではないが、遠目には生垣に溶け込んで見えなくも無い。 何重にもゴミを積み上げているので、強度のほうはちょっと蹴りを入れたくらいでは吹っ飛ばないくらいになっていた。 「これでねこさんはいってこれないね!」 「ゆっくちー。」 「にゅぁ~ん・・・ぐるるる。」 ・・・・・・。 「「どぼぢでねござんはいっでるのぉぉぉおお!?」」 「・・・塀の上からだろ。」 まあ一応は通りにくくなったので、特に頻繁にここに来る数匹以外は入ってくることも無くなり、 多少は平穏になったようだ。 それにしても、なんだか最近庭がきれいになってきた気がする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 生垣の穴がれいむによってあらかた埋まった数日後、 久しぶりに友人が家まで遊びに来た。 「ゆゆっ!?おにーさんのおともだち?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ。」 「おー、間知由。お前ゆっくり飼ってたんだな。エラい装飾過剰だけど。」 「いや、飼ってないし、あの唐草模様は来たときからだ。俺の趣味じゃない。」 「ふーん。つってもバッジついてんじゃん。」 「ありゃガムだ。」 「え゛・・・。」 「ああ、みかんの皮は庭のポリバケツに放り込んどいてくれ。」 「え?これってこいつらのおうちだろ?」 「いや。コンポスト。」 「んー。・・・え゛ぇ?」 「ゆわーい、おやつだにぇ!ゆっくちありがちょー。」 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 ついでに、夕食の魚の骨も放り込んでおいた。 「ぽりっ、ぽりぽりぽり・・・ゆっくりー!」 「・・・・・ふーむ。」 「どうした?」 「いや。ゆっくりって、案外飼いやすい生き物なのだろうかと思ってな。」 「ただの饅頭だろ。・・・・・・何だよ、その目は。」 「まったく。世の中にはどんだけ愛情注いでも懐かれない奴もいるってのに。」 「そんなもんかね。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして、庭が放置しっぱなしの幽霊屋敷状態から、見違えるようにきれいになった頃、 れいむ達の平穏な毎日に、突然不幸が舞い降りてきた。 「Zzzzzz・・・。」 「すーや、すーや。」 今日は日曜日。おにーさんも日当たりの良い縁側で昼寝中。 れいむ親子も庭に生えた木の木陰でゆっくりと惰眠をむさぼっていた。 そのとき庭に、普段と違う空気が漂う。 「うー。」 「ゆぅ?・・・すーや、すーや。」 「あまあまー。」 「ゆ・・・すーや、すーや。・・・・・・れみりゃだぁぁぁああああ!!!」 庭に突然飛来したのは、本来夜行性のれみりゃ(胴無し)。 庭のすぐ奥にある林は、昼でも薄暗く、たまに昼でも活動するれみりゃが現れたりする。 しかも、このあたりは農家だったこともあり、害ゆ対策として、れみりゃを大量飼育していた時期もあったので、 最近森の奥でしか見なくなったれみりゃ種もチラホラいたりするのだ。 「おちびちゃん、ゆっくりにげるよ!」 「ゆあーん。れみりゃはゆっくちしちぇにぇ。」 ぽよん、ぽよん、と大急ぎでおうちに飛び込むれいむ親子。 れみりゃは追ってこなかった。どうやら助かったようである。 しかし、一つだけ気がかりがあった。 「ゆぅぅぅ、おきゃーしゃん、れみりゃはゆっくちできにゃいよぉ。」 「ゆ!おちびちゃん。ここはおにーさんがつくってくれたおうちだから、れみりゃなんてはいってこれないよ!」 「ゆっくちー。でみょ・・・。」 「おちびちゃん?」 「おにーしゃん、すーやすーやしてたよ?れみりゃにゆっくちひどいことされてにゃい?」 「ゆゆっ!?」 「そろーり!そろーり!」 おにーさんの無事を確かめるべくおうちから慎重に這い出るれいむ。 見つかったら命はないだけに、そろーりそろーりにも力が入る。 そして、れいむは驚愕の姿を目撃した。 「うー!うー!」 「Zzzzzz・・・・、じゃま・・・」 ・・・・・・れみりゃがおにーさんにじゃれていた。 「ゆぁぁぁああああ!おにーさんがたべられるぅぅぅううう!!!」 「うー?」 「やめてねっ!おにーさんをたべないでねっ!れみりゃはゆっくりどっかいってね!!」 ゆっくりしたおにーさんを助けるべく、れいむはれみりゃに立ち向かう。 しかし、口にくわえた木の枝をどれほど振り回しても、空を舞うれみりゃ相手には届かなかった。 「ゆぅ、ゆぅぅ、どうしてとどかないのぉぉ。」 「うー!あまあまー。がぶり。」 「ゆひぃぃぃぃ、れいむのあんこさんすわないでぇぇぇぇ・・・。」 「おきゃあしゃぁぁあん、ゆっくち、れみりゃはゆっくちしちぇぇぇぇ!」 「お、肉まん。」ぱさり。 「うー!うー!」 といったところで目が覚めたおにーさん。 玉網を使ってあっさりとれみりゃを捕獲したのであった。 それにしても、生ゴミを処理して肥料を作り、 庭の管理までやってくれた挙句、夕食のおかずをおびき寄せてくれるとは、 つくづく使いでのあるコンポストだ。 つい今さっきまでたっぷり飯を食っていたこの肉まん、中身がが詰まっていてうまそうだな。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇぇぇぇ。」 ザックザックザック 薄っぺらくなった方のれいむには、中身を詰めなおしてやることにする。 掘り出したのは、「おといれ」とやらになみなみと貯められた餡子。 こいつを、中身の減ったれいむの口からねじ込んでやることにした。 「ゆ゛っ、ゆぼぉっ!おにーざん、やべでぇ、ゆっぐぢでぎなっ!ゆぼっ!」 「おにーしゃん、やめてあげちぇにぇ!おきゃーしゃんがいやがっちぇるよ。」 無視。餡子は餡子だ。多少土が混ざっているが、中に詰めなおしてやれば問題ないだろう。 「ゆ゛っ、ゆっぐぢしていってね。ゆげぇ。」 「やっちゃー!おきゃーしゃん、げんきになっちゃよ。」 「ゆ、ゆぅぅ・・・おにーさん、ありがとぉ・・・。」 「しゅーり、しゅーり、ちあわちぇー!」 ふむ、消耗してはいるが、まだ当分は使えそうだ。 そして、その夜は多すぎて食べきれなかった肉まんの残りを、コンポストに放り込んでやった。 やはり一人暮らしにあのサイズは無茶な話だな。 「ゆわーい。きょうはごちそうだにぇ!」 「ゆーん。きっといっしょにれみりゃをやっつけたから、ごほうびなんだよ。」 「ゆっくち!ゆっくち!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そんな生活が、しばらく続いたが、 子れいむが成体にまで大きくなった頃、親れいむの方が死んだ。 あとで調べたが、町の野良の寿命は平均一年かどうかと、大分短いらしい。 我が家に来た時には中古のポンコツだったということか。 「お・・・おにーさん。おちびちゃんを、・・・これからもゆっくりさせてあげてね。」 「特になにも変らんよ。」 「おちびちゃん、・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「おかーしゃん、おきゃあしゃぁぁぁあああん!!!すーりすーりしてね、ぺーろぺーろしてねぇぇえええ!!!」 リボンは子れいむの方が欲しがったのでくれてやり、死体のほうはぐちゃぐちゃにすり潰して肥料にした。 花壇の花も元気に育つことだろう。 「おかーさん。おはなさんになったんだね。」 「まあそうとも言えるな。」 「ゆっくりしていってね。おかーさん。」 まあ、そんなことはどうでも良かったのだが、少し問題が生じてきた。 コンポストの、生ごみ処理能力が落ちてしまったのだ。 「ゆぅぅ~。さびしいよぉ。」 「おちびちゃんがほしいよぉ。」 「すーりすーりしたいよぉ。」 どうも孤独な生活と発情期が重なって、ノイローゼ状態になったらしい。 頭数が減ったうえ、どうにも食欲が無い。庭の雑草もまた伸び始めてきた。 これは、新しいゆっくりを取ってくる必要がありそうだな。 その日、夕食の生ゴミをコンポストに放り込みながら、 れいむにつがいを探してやる、と言った時のれいむの喜びようは大変なものだった。 体が溶ける寸前まで水浴びをして、リボンのしわ一つ一つまで丹念にあんよでつぶして伸ばしていく。 コンポスト内の清掃も丹念に行い、 さらに子供が出来た後のために、花やイモ虫、果物の皮などのごちそうから保存食の干し草まで貯めこむ。 にんっしん中のベッドまで葉っぱと草を使って作り終えて、準備万端でその日を迎えた。 約束の日、私はれいむを連れて街を歩き、れいむ的に「すっごくゆっくりしてる」まりさを手に入れた。 この白黒饅頭、帽子にアイロンをかけた形跡もわずかにあり、恐らくバッジを引きちぎったのであろう傷痕も見られる。 飼われていたというなら、それなりの躾もされているのだろう。好都合だ。 「ゆふん!そんなにまりさをかいたかったら、かわせてやってもいいのぜ。」 「ゆっくり!まりさ、ずっとゆっくりしようね!」 「ゆん!なかなかゆっくりしたれいむだから、とくべつにすっきりしてやってもいいのぜ。」 本人も乗り気のようだから都合よい。つがいにしてやることにして、家に連れていった。 「ゆぅ~ん、まりさ。すーり、すーり。」 「ゆへぇぇ!いいからとっととまむまむをむけるのぜぇ!『ぼよぉぉおん!』」 「『ごろんっ』ゆぅ!?もっとゆっくりしてぇ!」 「しったこっちゃないのぜ!まりさのぺにぺにをおみまいしてやるのぜぇ!!」 ずぼぉっ!ずっぽずっぽずっぽずっぽ・・・ 「ゆぁーん、いだいぃぃぃい!らんぼうすぎるよぉ。もっと、ゆっぐりぃ!」 「ゆっふっ!ゆっゆっゆっゆっゆっゆっすっきりぃぃぃいいい!」 「ずっぎりぃぃ。」 とりあえずれいむの腹が膨れてきたので、予定どおりにいったようだ。 「ひどいよまりさ・・・」 「ゆふぅ。ひとしごとおわっておなかがすいたのぜ。にんげんさん、とっととごはんをもってくるんだぜ!」 「その辺のを適当に食え。」 「ゆゆ!?なにいってるのぜ。ゆっくりふーどさんなんて、どこにもないのぜ。」 「草があるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇぇ!くささんはごはんじゃないのぜ! ふーどさんがないならけーきさんでもいいのぜ!はやくもってくるのぜ、くそじじぃ!」 「ゆぅ。なにいってるの?おにーさんにあやまってね。くささんはおいしいよ。むーしゃむーしゃ。」 「ゆぎぃぃぃいい!もういいのぜ!はやくおうちにいれるのぜ!べっどですーやすーやするのぜ!」 「そこに家ならあるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇ!これはごみばこさんなのぜ!くさくてきたないのぜ!」 「ひ、ひどいよまりさ!おにーさんがれいむにくれた、ゆっくりできるおうちだよ! それに、れいむがいっしょうけんめいおそうじしたんだよ!ゆっくりあやまってね!」 「・・・いいよ別に。文句があるなら勝手に出ていけば。」 「ゆふん!まったく、ばかなじじぃとゆっくりしてないごみれいむのほうが、このおうちからでていくのぜ! ゆっくりしたまりささまが、とくべつにこのおうちをつかってやるのぜ!」 「ふーん・・・。れいむ、どうやら一緒に暮らすのは無理そうだが。」 「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくりできないまりさだよぉ。」 とりあえず、私が家から追い出されるのは嫌なので、ゆっくりしたまりささまとやらは、門から丁重に出て行ってもらった。 あれだけ態度がでかいと、野良をやっていくのも大変だろうに、大したものだ。 しかし、ゆっくりと言っても、コンポスト向きのとそうでないのがいるのかもしれない。 黒帽子がダメなのか、飼われていたのがダメなのか、まあ、どうでもいいことだ。 れいむの腹にいるちび共の中に黒帽子がいたら、それもはっきりするだろう。 つがいこそいなくなったものの、孤独を埋めるという当初の目的は達成されたようである。 それから数匹分の食欲を発揮し始めたれいむは、3週間後、無事れいむ種一匹とまりさ種一匹を出産した。 赤ゆっくりが腹から射出される勢いには驚いたが、庭は柔らかい芝生であったのが幸いしたのか、 せっかくれいむが作っていた草のクッションから1m以上離れて着地したものの、つぶれることはなかった。 「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!!」」 「ゆっくりしていってね!ゆぅーん、ぺーろぺーろ、おちびちゃんたちかわいいよぉ。」 これで、コンポストの方は今後も安泰そうだ。 母れいむがチビ共にもバッジが欲しいとか言ってきたので、画鋲のカサの部分をセメダインでくっつけておく。金バッジだ。 これで満足して生ゴミを処理してくれるのだから、安上がりなものだ。 ちなみに、ゆっくりしたまりささまに出て行ってもらってから二日後、門の前にみすぼらしく、 帽子もかぶっていないまりさ種が一匹転がっていた。 「やっばりがっでぐだざぃぃ・・・おねがいじばずぅ。」 とか言っていたが、ゆっくりを飼う趣味などないので、無視しておいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それからしばらくは、コンポストとしても庭の芝生管理としても特に問題はなかった。 ピンポン玉サイズの子供たちでは、成体一匹分の処理能力を補えるかと、多少不安ではあったが、 どうやら、成長中のチビ共の方が食欲は旺盛らしく、生ゴミは毎日順調に処理され、肥料になっていった。 黒帽子の方も特に文句を言わず、生ゴミをムシャムシャ食らい、庭をぽよんぽよんと跳ねまわっている。 やはりあの態度は、育ちが問題だったようだ。 だが、赤ゆっくり達が産まれてから一月ほどたち、そろそろ冬の近づきを肌で感じ始めた頃、 またしてもコンポストの性能が低下してきた。 朝、コンポストの中をのぞいてみると、まだ昨日の生ゴミが残っている。 さらにその奥では、歯をガチガチと鳴らしながら、目の下にクマをつくったれいむ一家がいた。 「お、おおお、おにーさん、おうちがさむいよぉぉぉ・・。ねむれないよぉぉ・・。」 「しゃむくてゆっくちできにゃいぃぃぃ。」 「ごはんしゃんつめちゃいよ。むーちゃ、むーちゃ、しょれなりー。」 コンポストはれいむ達なりにきっちり入口を塞いでいるが、やはり所詮はポリバケツ。 まだ昼間は温かいが、壁一枚隔てた向こうの、夜の寒気を完全に防ぐことはできないようだ。 この時期でこれでは、冬の間はコンポストの機能が完全に停止しかねない。 家に入れるという選択肢はもちろんないが、 本格的にコンポストの改造を行う必要がありそうだ。 その日の昼、れいむ一家に『たからもの』とか言う小石や押し花や、ガムの付いたリボンらしきゴミをコンポストから出させると、 大規模な改装に取り掛かった。 まずは、ポリバケツを掘り出して、横倒しにすると天井になる、壁の一部を四角く切り抜く。 それに、ちょうつがいと留め金をつけて、外から開けるようにした。 ゆっくりは、冬には巣の入り口を密閉するらしいので、生ゴミの投入口をつけてやったわけだ。 次にバケツの入口、つまりゆっくりの出入り口だが、せいぜい直径30cm程度のゆっくりに対しては大きすぎる。 壊れたすのこを材料にして、ドーナツ状の板をつくり、バケツの口に取り付けてやった。 これでゆっくりの出入り口は、必要最低限の大きさになり、 木の枝などで塞ぐ手間も、寒気の吹き込む隙間もぐっと減るはずだ。 あとは、再び縁側の下にポリバケツを埋めなおし、これまではむき出しだった側面にまで土をこんもりと盛っておく。 外から見ると、生ゴミの投入口と、ゆっくりの出入り口だけ穴のあいた、砂場の砂山のような外観となる。 縁側の下なので、雨風で盛り上げた土が崩れる心配は無い。 地下は冬でも暖かいというので、これで断熱は十分だろう。 数十分の作業中、庭で遊ばせていたれいむ一家を呼び寄せた時の反応は、 以前コンポストを、はじめてつくった時以上のものであった。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆわぁぁぁぁああい!すっごくゆっくりしたおうちだよぉぉおおお!」 「ゆっくち!ゆっくちー!れいみゅたち、こんなゆっくちしたおうちにしゅんでいいにょ!?」 「ゆわーい!なかもあっちゃかいよー!ゆっくちー!」 「ふーい、疲れた。あとはこいつでも中に敷いとけ。」 「ゆぅぅぅぅうう!しゅごーい!ゆっくちちたおふとんしゃんだー!」 「おにぃさん、ありがと、う、ゆぇぇぇええん!」 「おきゃーしゃん、ないちぇるにょ?どっかいちゃいにょ?ゆっくちしちぇにぇ。」 「おちびちゃぁぁあん!れいむはうれしくってないてるんだよぉ。ゆっくりー、ゆっくりー!」 近所の農家から頂いてきた干し藁をひと束くれてやっただけだが。 とりあえず、この反応からして、今後はまたコンポストとして元気にやってくれそうだ。 こちらはやることやったので、あとのメンテはこいつ等がかってにやってくれればいい。 かつて母れいむと一緒に野良生活を送っていた頃、れいむには夢があった。 温かくて、雨の心配も、風の恐怖も感じないですむおうち。 毎日お腹いっぱい食べられるだけのごはん。 しかも、そのごはんを手に入れるために、命の危険など感じずにすむゆっくりプレイス。 外敵の心配もないそのゆっくりプレイスで、 ゆっくりしたおちびちゃん達とすーりすーりしたり、のーびのーびしたり、 おうたをうたったり、水浴びですっきりーしながら、毎日ひたすらゆっくりする。 夜になったら、ゆっくりしたおうちに帰り、ふかふかのおふとんの中で、 家族で肌を寄せ合ってすーやすーやする。 たまにはあまあまが食べられたら言うことはない。 これが、れいむのかつて夢見たすべてであった。 そして、今、この場所には、れいむが望んだもの全てがあった。 全てのゆっくりが追い求め、そして見つけることの出来なかった場所、ゆっくりプレイス。 だが、れいむにとってのそれは、人間さんがコンポスト、と呼ぶこの場所に、確かに存在していたのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆっくりー!」 「すーり、すーり、しあわせー。」 「すーり、すーり、・・・ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「ゆふぅん、だめだよまりさぁ。ゆふぅ、ゆふぅーん!」 れいむ親子が初めて我が家のコンポストとなって2年。 結局外部から新たなゆっくりを連れてくる必要はなくなった。 こいつらは、家族以外のゆっくりがいないとなると、姉妹同士でつがいを作り続け、今はすでに4世代目である。 今はこれまた姉妹である、れいむとまりさのつがいがコンポストとして活躍している。 それと、最近は花壇の世話もめんどくさくなったので、街でゲッソリしていたゆうか種も一匹拾って庭に住まわせている。 最初はコンポストの連中が花を勝手に食う、食わないでもめた時期もあったが、 群れでもない以上大した量を食われることもなく、しかも花の肥料がコンポスト産だということもあり、 それなりの折り合いをつけることで落ち着いている。 「「すっきりー!」」 などと思っているところで、また増えるつもりのようだ。 れいむの頭ににょきにょきと生えたツタには赤れいむが3に赤まりさが2。 まあ、構わない。どうせ代替わりが激しいゆっくりである。 うっかり病死などしないうちに子供を作ってもらわなければ余計な手間だ。 それに増えすぎるようなら何個か潰して肥料にするだけ。 庭もすっかり華やかになって、もう幽霊屋敷の頃の面影は残っていない。 「おはよーございます。」 「ああ、農場の。おはよう。」 最近ついにこの辺も、のうかりん農場化が進み始めた。 生垣の向こうから挨拶してきたのうかりんも、そこの従業員である。 「とってもゆっくりした庭ですね。きれい。」 「まあ、ゆうかが一匹でやってるんだがね。」 「うふふ。それは失礼しました。でも、それ以上に・・・あなたの飼われているゆっくり達。」 「?」 「とってもゆっくりしてますね。今までたくさん飼いゆっくりを見ましたけど、一番ゆっくりしてますよ。」 「ふーん。そんなもんかね。」 同じゆっくりである、あののうかりんが言っているなら正しいのだろう。 よくわからんが、この2年間で一つだけ確信したことがある。 こいつらには、コンポストという仕事が向いている、ということだ。 リクのあったゴミ処理場ネタは今度また書きます。 それにしても自分のSS製作ペースがそれほど落ちたわけではないのに、 いつの間にか餡小話のそうとう下に追いやられてたり。 SS増加ペース早っ。 とりあえず、シリーズものについてはそろそろなんか書きます。 町れいむ、レイパー、計画中のペットショップシリーズ リクの消化もまだおわってないなぁ。 挿絵 by街中あき 挿絵 by??? 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 プラス本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 翌年 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ) D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る れいむが死んでるじゃねえか!(老衰でゆっくり大往生) -- 2017-12-22 22 36 05 増えすぎた結果お兄さんに赤ゆっくりを潰されてしまい、怒って家族で家出をするも環境についていけなくて しばらくして戻ってきたら別のゆっくりたちがコンポストとして生活してて結局野良ゆっくりとして生きる展開ありそう -- 2017-05-23 20 19 48 クソまりさの存在以外はぽかぽかや唐草模様は何何の実だ? -- 2016-09-01 18 41 18 心が洗われる作品でした、 短編集みたいで、 ゆっくり読めました。 -- 2015-01-15 12 01 21 なんといういい話・・・ぽかぽかする -- 2014-06-05 17 15 44 かんどー♪ -- 2014-05-30 19 48 40 謙虚なゆっくりれいむだったから生き残れたんだろうな。 必要以上の高望みをしなければいいということか。 -- 2014-03-27 13 29 47 あのまりさ(成体)はやっぱり生き残れなかったのかな(まあ、あんなゲスゆっくりなんてどうでもいいけどね!)。 -- 2013-07-29 12 24 18 ゴムゴムの実w -- 2013-07-06 03 16 12 ひさびさにいい話だ 環境にも優しいなんて…あー、コンポスト欲しくなってきた -- 2013-04-28 23 58 18 るーるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるr -- 2013-03-28 11 42 02 良い話だ、ゆっくりにも何かしらの利用価値があるんだなペット以外に -- 2013-01-19 13 13 05 ゆっくりできすぎててんごくいきそうだよ! -- 2012-10-13 21 44 04 ゆっくりできるいい話だ 唐草模様のゆっくりが悪魔の実に見えるwww -- 2012-09-12 18 24 08 あっさり死んでいった先代たちを通して読むと、感慨深いものがあるな。 いいよね。死の危険が少なくて。 -- 2012-08-19 21 38 21 家にある生態系の循環にゆっくりが組み込まれた 理想の形だなぁ、ご時勢に合ったエコだし。 さらに家庭菜園も被害なく出来たら完璧だな! 唐草レイムは・・・まぁなんだ、プププwwwwww -- 2012-08-11 02 35 24 ゆっくりできる話ですね。 でも、唐草模様きめぇww -- 2012-07-30 16 58 41 今までSSでみたゆっくりまともランキングTOP10には入る -- 2012-07-08 19 10 57 唐草模様きめぇwwwww -- 2012-05-22 09 04 25 高望みせずに、限られた環境で満足できるのも、生存競争には必要な能力だね。 ペットって結局どこまでいっても別の生き物なんだし完全にわかりあうことなんてできない。 だから必要な程度以上は干渉しない、構い過ぎないことが必須なんだと思う。 それはそうと最後の唐草模様きめぇ 噴いた(笑) -- 2012-04-10 21 17 44
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/601.html
※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、 ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。 ※また、俺設定がありますので注意してください。 まりさ達が人間の子供に虐められ、大男に助けられた日から3日経った。その日はまりさ達がピクニックに行った日と同じように、 とてもいい天気だった。小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、 お日様に当たって輝く木々の緑。 けれどもゆっくり達は決して木の中の自分の家から出ようとはしなかった。あの日と同じ絶好のゆっくり日和にもかかわらずだ。 いや、あの日と同じものがもうひとつあった。 「お~い、いたか?」 「いや、いねぇ。しっかしあいつらどうしたのかな。もういなくなって3日になるぞ」 人間達の声である。そう、人間達がゆっくり達の住処がある森をうろうろと歩き回っている。 いつもゆっくりを苛めてきた子供たちではない。子供なんかよりずっと強くて賢い、大人だった。何かを探している。 「そういやこのあたりってゆっくりが住んでいるよな。まさかゆっくりに食われたとか・・・。」 「それはないだろ。いくらあいつらが子供だからといってゆっくりに食われるわけねえよ。っていうか、 ゆっくりっていったい何を食っているのかねぇ。」 「そういえばそのゆっくり達の姿が見えないな。いつもなら一匹か二匹くらいは出くわすのに。すぐに逃げられるけどな。 あれってなんでだ。」 「人間が怖いんだろ。子供達の間でゆっくりをいじめるのが流行っているっていうからな。 まして、今日みたいにその人間の大人が大人数でいれば、万が一にも見かけることもあるまい。今頃巣で引きこもっているだろうよ。」 「ばちが当たったんすかねぇ。やっぱり弱いものいじめなんてするもんじゃないっすね、」 「ほんと。あいつらが戻ってきたら、いけないことだって教えてあげないと。俺達だって蛙や虫を殺したとき、 親に叱られて躾けられてきたことですし。」 「とりあえず今日は日が暮れてきたからこれまでにして、また明日探そう。夜になるとこの森でも妖怪が出てきて危ない。 ミイラ取りがミイラになったら笑えん。まったくあのガキ共心配かけやがって・・・・・。」 ざっ、ざっと人間達は去っていく。それから更に2日間、人間達は日の出の時間と共にやってきて、日が落ちると共に帰っていく。 行方不明となった子供達を捜すためである。ゆっくり達はそんな彼らの気も知らず自分の巣で怯えて篭っていた。 その日からゆっくり達は人間はゆっくりを捕まえて食べるために来たのではないか、 ひどいことをするのではないかと思って隠れ住むようになった。 外では今もぽかぽかとお日様が出ている、けれども巣の中から出てこれない。 ゆっくり達は、お日様の下でゆっくりできなくなってしまった。 ゆっくり達のエネルギーは太陽の光。 体内に餡子が詰まっており、体内に消化器がないためである。その他の内臓もないのだが、気にしてはいけない。 とにかく、お日様の下でゆっくりすれば生きていける。 しかし、ゆっくりするというとおり、長時間太陽の光に当たっていなければならない。 ゆっくりは本来光合成に必要な葉緑体がほとんど存在しない上、バスケットボールほどの大きさという、 光合成で栄養をいきわたらせるのが難しいほど巨体であるためだった 「む・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ゆっくりしちゃだめよ!」 「にんげんたちがかえったよ!そとにはだれもいないよ!」 「まりさ!ありす!れみりゃ!ゆっくりしないでぱちゅりーをおそとにはこぶよ!」 「う~~!」 日が落ちると共に帰る人間達。人間が帰った後、完全に日が落ちるまでの間しかゆっくり達は日の光をあびることができない。 たった2日間光に全く当たらなかっただけでも、栄養失調でゆっくり達は弱りきっていた。 特に体の弱いぱちゅりーはあと一日も持たないだろう。鳴くことさえ十分にできなくなっていた。 一刻の猶予もない。まりさは後悔した。迷っていた自分が馬鹿だった。このままではぱちゅりーが死んでしまう。 まりさはゆっくりしないで覚悟を決める。これからまりさが悪者になって、 それをみんなが退治する。そうすれば、みんながいいゆっくりだということが人間にもわかってもらえる。 みんなが巣の中から出てこれて、お日様の下でゆっくりすることができる。みんなの命を助けるためだった。 まりさはあの大きなおじさんのことを思い出す。鬼のようだったけど、とても優しかった。 人間の中にもああやって怖そうなのに本当はいい人もいた。 まりさは青鬼になる。まりさはわるいゆっくりにならなきゃいけない。 人間ならば他にもっといい方法を考えられたかもしれない。しかしこの切迫した状況の中ではゆっくりにはこれ以外思いつかなかった。 その日の夜、まりさはれいむと一緒に巣の中で寄り添っていた。はたから見ればとてもゆっくりとした雰囲気を放っていた。 しかし二匹は太陽の下でゆっくりできていない。れいむのほっぺたはかさっと乾燥していた。 「まりさ・・・・ゆっくりできないね・・・・・ゆっくりしたいね・・・・・・・・・・・」 れいむはまりさにつぶやく。さんさんと輝きを放つ太陽の下でゆっくりと生きてこれた3日前を思いながら。 「れいむ・・・だいじょうぶだよ・・・・・もうすぐゆっくりできるよ・・・・・・・・・」 まりさはれいむに対して答える。その言葉の意味がわからないれいむはきょとんと固まった。 しかし目を伏せるとそうだったらいいねとため息を漏らし、眠りについた。 まりさは、大好きな友達と最後の時間をゆっくり過ごした。時間がゆっくりではなく、止まってしまえばいいと思った。。 このとき青鬼が何で赤鬼といられないかまりさはわかった。青鬼は赤鬼のためとはいえ悪いことをした。 だから、みんなと一緒にいたらいけない。 「れいむ・・・・・まりさはこれからにんげんのとこにいってくるね・・・・・・・・ まりさがにんげんをやっつけるからね・・・・・・・・・・・・・」 れいむは夢の中でまりさの声を聞いた。しかし気のせいだと思ってそのまま眠り続ける。 次の日れいむが目を覚ましたとき、まりさの姿はどこにもなかった。 「ゆっくりたべるよ!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりできないおじさんたちはゆっくりしね!!」 次の日、まりさは人里にて畑を荒らしまわっていた。大根を掘り返して捨てる。店先の商品に体当たりをしてまき散らかす。 どろで汚れた体で人の家に上がりこむ。まりさは悪行の限りを尽くしていた。 しかしそんなまりさの悪行も人間から見ればたかが知れていた。体内が餡子のゆっくりは食べ物を消化できない。 そのために光合成で栄養をとっているので、大根を掘り返しても食べられない。体当たりをしてもただ散らかるだけで何も壊れない。 汚れた体であがりこんでも、玄関先までだった。 その程度でも人間達が今まで無害だと思い、関わり合いを持たなかった生き物がこのような行為に及んだとき、 とる行動はひとつであった。駆除である。 「くそっ、どこに逃げやがった!」 「たかがゆっくり一匹だろ!はやくつかまえらんねぇのか!」 「そうは言ってもあいつ全然ゆっくりしていねぇんだよ。ゆっくりってあんなに早く動けたのか・・・・・」 「おじさんたちのば~か!ゆっくりしすぎだよ!」 「むこうに行ったぞ!追え!」 まりさは逃げる。ひたすら逃げる。この3日間殆ど栄養を得られなかった体で逃げ続ける。 跳ぶたびに息が切れる。着地のたびに餡子を吐き出しそうになる。体当たりのたびに意識を失いそうになる。 人間とゆっくりの体力差は致命的だ。まして、向こうは村中で襲い掛かってくる。 だが、今つかまるわけには行かなかった。今つかまったらまりさはただの悪いゆっくり。 みんなを助けるためにはそれだけじゃ駄目だった。 そう、ゆっくり達が助かるには、青鬼は人間で退治されることは許されない。 青鬼を退治するのは 「まりさやめてね!どうしてこんなことするの!まりさわるいゆっくりになっちゃたの!」 赤鬼が来た。れいむだ。まりさの言葉から人間の里に来ていると判断したのだろう。 まりさを止めようと決意をしてきてみたら、里中が荒らされていた。 れいむは目に涙を浮かべ、信じられないものを見ているような顔をしていた。 その後にはありす、れみりゃが控えている。二匹ともれいむと同じような顔をして固まっていた。 「そうだよ!まりさほんとうはわるいこだったんだよ!おばかなれいむはゆっくりしんでね!」 まりさは何も悪びれたところがないように振舞う。その顔はふてぶてしく、見るものは小ばかにされている印象を受ける。 片側の唇を吊り上げて笑うと 「ありすもれみりゃもゆっくりきえてね!おうたがへたなありす!こわがりなれみりゃ!みんなあそんでもつまんないよ!」 「まりさぁ!うそよ!あなたはそんなこといわないわよ!なにがあったの!?おしえてよぉ!」 「う~~~~~~~~!」 二匹とも大粒の涙を流してまりさに問い詰める。怒りでも憎しみでもなく、豹変してしまった友達に対する思いやりゆえの行動だった。 まりさは悲しかった。大好きな友達達を傷つけなければいけないことを。 まりさはうれしかった。あんなひどいことを言っても自分の事を考えてくれる友達を持ったことを。 だが、それでは駄目だった。赤鬼と青鬼が仲良くしたら、人間に退治される。 人間達が追いついてきた。このままだとれいむたちも一緒に捕まってしまうだろう。 青鬼は容赦してはいけない。まりさは空気を大きく吸い込んで、倍の体積まで膨らむと、 吐き出される空気によって吹き飛ばされるほどの怒声で叫んだ。 「ゆっぐりじねぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!!!」 まりさは狂ったように吼えた。そのたった一声で口が裂けるほど大きく開き、のどが鈍い音と共につぶれた。 怯んだれいむ達にまりさは突っ込むと、れみりゃに向かって体当たりをした。まりさの体から餡子がこぼれた 「うぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~~~!!」 れみりゃは泣き叫び、飛ぼうとする。しかしまりさは逃がさない。羽を口で押さえつけてぼんぼん跳ねる。 「れみりゃぁぁ!」 ありすがれみりゃを助けようとまりさに突っ込む。ありすはまりさに体当たりをしてどかすと、 羽をもがれたれみりゃをかばうように立ちふさがった。まりさはすぐにありすを血走った目でにらみつけ、今度はありすを襲う。 まりさはハァハァと息を切らせてありすの上に乗ると、頬をくっつけた。無理矢理交尾するようだった。 「ひぺぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇっ!!」 奇声を発し、髪を振りみだすありす。いつもの優雅な姿はどこにもない。 いつも突っかかっていたライバル。とっても歌がうまい友達。そして嫌いじゃなかった女の子。それが今ありすを一方的に蹂躙していた。 「だずげで゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛れいむぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」 まりさは口によだれを滴らせただらしない表情でれいむを見る。ゆっゆっと小刻みに震える。 「つぎはれいむとすっきりするね・・・・・・。れいむのつぎはぱちゅりーがいいな・・・・・・・・・・」 そこには、れいむが昨日の夜寄り添った友達はどこにもいなかった。 バシイィィィン! 音がした。柔らかいものと柔らかいものがはじけあったときに聞こえる音。 まりさの前にれいむがいた。口からは餡子がこぼれている。 その目は子供に虐められたときのようにまりさを気遣った目とは同じものとは思えない。 ガラスでも入っているかのような無機質な目であった。 れいむは何も言わない。もう二度とまりさとは話すことがないようであった。 「・・・・・まりさはね・・・・・・・・・・・・・ れいむなんてさいしょからおともだちだっておもったことないよ・・・・・・・・・・。ゆぎぃぃ!」 バシイィィィン! 再び聞こえるあの音。まりさは5メートル先に吹き飛ばされていた。 「・・・・れ・・・いむのへな・・・・ちょ・こ・・・・・・・・」 ゆらりと、ぼろぼろになっても起き上がり、れいむに向かっていくまりさ。裂けた口からはちらりと固まった餡子が見える。 外にある液体状の餡子は床に広がっていた。 バシイィィィン! ガシッ! まりさは壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられた。体がべシャリと広がり、固まった餡子が少し零れた。 「ゆ・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・ぉ・・・・・・・ わ・・・・・・・・・・・・・・・・・い・・・だ・・・・・・・・・ぃ・・・・・・む・」 人間達はただみていることしかできなかった。目の前で、自分達が追っていたゆっくりが、 他のゆっくりに一方的に叩きつけられていた。同種でも、あれほどまでに一方的な力の差は有るのか。 それに、なぜ仲間割れをしている。 バシイィィィン! バシイィィィン! バシイィィィン! ゆるやかに勝負は決した。まりさはずりずりと森の中へと逃げ去っていく。 ゆっくり達は友達が死んだときのような顔をして、まりさを見送った。 最も、ゆっくり達の表情は人間からは見えなかったが。 「みんなもうだいじょうぶだよ!!」 れいむはれみりゃとありすのいる方向に笑いかける。れいむの表情は人間達にも見えた。 終止無言だった先ほどとは対照的に明るすぎる声で二匹へと呼びかける。れいむの声は人間達にも聞こえた。 事情を知らない人間達とは違い、ゆっくりたちにとっては直視できないような悲しい笑顔と聞くに堪えない声だった。 人間達は呆気にとられて、かつての目的だった悪さをするゆっくりを捕まえることができなかった。 誰もが目の前の光景に説明がつかなかった。 いつもは姿さえも見せないゆっくりが、なぜこのようなことを。 そのとき、村の若者が一言漏らす 「あいつら、ひょっとして俺達を助けに来たのか・・・・・・・・・」 それを合図に沸きあがる歓声。響く笑い声。 ゆっくり達を抱き上げる人々。 突然の歓迎に身を固まらせるれみりゃとありす 人間達はこの時新しい友人の出現に感謝した。 れいむはまりさの変貌が信じられなかった。 れいむが危ないとき、助けてくれたまりさ。どんな危ないときも、 いつもみんなの事を考えていた。みんなのことを・・・・・・・・。 みんな・・・・・・・・・・・。 れいむの頭のなかのパズルにピースがはまる。 れいむは今ようやく理解した。答えを出すのが遅すぎた。 そう、まりさはゆっくりと人間が仲良くなれるためにわざと悪者になった。 それを知ったとき、れいむは涙を流した。 みんなのために命を懸けた友達に感謝しながら。 友達の事を信じ切れなかった自分を恥じながら。 赤いリボンを風になびかせて ゆっくりまりさとゆっくりれいむ おしまい そのとき、一人の男が水をさすようにつぶやいた 「 、 向かって るから、 じゃないか」 あたりが静まり返った next ゆっくりまりさと泣いた赤鬼 著 抹茶アイス このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/183.html
ずっと考えていた。 ゆっくりフラン、ゆっくりれみりゃを繁殖させるにはどうしたらいいのだろう? 事の発端はこうだ。 俺はゆっくりが大好きで、家でゆっくりれいむ、魔理沙たちにゆっくりアリスをけしかけて繁殖しては、食べたりつねったり沈めたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりしていた。 俺の行動一つで表情が極端に変わり絶叫するゆっくりが可愛くて仕方なかった。 とくにお気に入りなのがゆっくりれみりゃことゆっくりゃだ。しかしこのゆっくりゃは紅魔館付近でないと見つけられない貴重種。命がけで紅魔館に侵入し手に入れたこの一匹が、俺のそばにいる唯一のゆっくりゃだった。 「うー! うー!」 もちろん大事にしている。 他のゆっくり以上に、千切って食べたりつねったり沈めてみたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりして可愛がった。比率でいうと、他のゆっくりが1ならゆっくりゃは10だろう。とくにいくら千切っても再生してくる肉まんの生地は最高だ。 「も゛うやめでー!!」 ああ、可愛いな泣き顔。 そんな風にゆっくり達を可愛がりながら過ごしていたある日。 発情したゆっくりアリスがゆっくりゃに襲いかかっていた。 「れっ、れっ、れみりゃっ!」 「お゛、お゛う゛ち゛か゛え゛し゛て゛ー!」 思わず、手荷物を床に落としてしまう。 普通なら襲われてもゆっくりゃは飛び立ち、そのまま返り討ちだろう。 しかし今のゆっくりゃには羽がなかった。正確にいうと昨日俺が千切ってまだ再生しきっていなかった。 飛べないゆっくりゃはただのゆっくり肉まんだ。不意を突かれたらどうしようもない。 なんでだ……なんでゆっくりアリスがここにいるんだ……ちゃんとドアに鍵を閉めて隔離しておいた筈だぞ……。 「ゆ、ゆっくり! ゆっくりぃぃぃっ!」 「い゙い゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!」 呆然とする俺の前で痙攣するゆっくりアリス。普段の声からは想像できない絶叫を上げるゆっくりゃ。ゆっくりゃは絶叫も可愛いな……。 とりあえず落ち着こうと、痙攣してゆっくりしているアリスを鷲づかみで持ち上げ、そのまま串に刺し、火で炙ることにした。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! あ゙づい゙よ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」 やっぱり冷静になるには甘味が一番だよな。 甘露、甘露。美味しかった。 どうにか冷静には慣れたが、現実の重さが俺を押しつぶそうとする。 ゆっくりゃは目を見開き、口を開いたままぴくりとも動かない。絶叫を上げたまま逝ってしまっていた。 ああ、ゆっくりゃ……俺の唯一のゆっくりゃが……。 また紅魔館に侵入するしかないのか……。 がっくりと項垂れながら動かないゆっくりゃに手を伸ばす。 あらためてゆっくりゃを見ようとそのまま持ち上げた時、ふと疑問が浮かび上がった。 「……なんで茎が生えないんだ?」 普通ゆっくりは、繁殖が終わると母体の体から茎が生えてきて、そこへ実をつけるように赤ん坊のゆっくりが生まれてくるものだ。少なくとも家で試したゆっくりはそうだった。 しかしれみちゃの体には茎なんて生えてくる様子がまるでない。仮にも繁殖行為だったのだから、何か生えてきてもおかしくない筈だ。 「……」 ゆっくりれみりゃは希少種だ。他のゆっくりに比べて非常に数が少ない。 それはもしや、繁殖方法が特別だから……? 湧き出てきた疑問をきっかけに、俺の頭は回転し始める。 頭へ栄養をまわそうと、手に持っていたゆっくりゃを丸呑しながら、俺は考えを巡らせていった。肉まん美味しいです。 夜も耽り、辺りが真っ暗になった頃。 草むらで音が立たないように忍び足で進みながら、俺は紅魔館の庭を歩いていた。 結局いくら考えても実際に試さないと埒が明かないものだ。まずは色々試してみよう。 ちなみに探しているのはゆっくりゃともう一匹、ゆっくりフランことゆフランだ。 下手にゆっくりゃで実験し、またすぐにゆっくりゃを失うのは困る。まずはゆフランで実験し、それからゆっくりゃだ。 二匹を捕まえるのは一見大変に思えるが、実はゆっくりゃを捕まえたらゆフランは釣られて出てくるのだ。前回ゆっくりゃを捕まえた時がそうだった。あの時はせっかく捕まえたゆっくりゃを食われそうで焦ったが、おかげでゆフランの対処法はわかっている。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば話は早いんだが……。 「うー! うー!」 ……噂をすればなんとやら。 声に反応して振り向くと、にこやかに笑っているゆっくりゃがいた。口にあんこがついているので餌にありつけたばかりだったのだろう。 それにしても……可愛いな。 満腹そうな顔が可愛くて思わず蹴り飛ばしたくなる衝動を必死で堪えた。さすがにこれまでの苦労を一蹴りで水の泡にするわけにはいかない。 俺は忍び足を止めて、そのまま自然にゆっくりゃへと近づいていった。 「う?」 こっちへ顔を向けるゆっくりゃ。 近づいてくる俺に気がつくと、嬉しそうに近づいてきた。 「がぁおー。たーべちゃ~うぞ~!」 他のゆっくり達ならこの言葉に恐怖するだろうが、俺からするとまたじゃれついてきたなと思う程度だ。 紅魔館のゆっくりゃは可愛がられた結果、人慣れしすぎたのか、人を見つけるとそのまま無防備に近づいてくるのだ。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば、後は近づいていってそのまま手で捕まえてしまえばいい。 「うー! うー!」 知らない人の手で掴まれているのに、遊んでくれると思っているのか喜び始めるゆっくりゃ。 さて、あとは……。 がさがさっと、木の枝が揺れる音がした。 「うあ!」 腕の中のゆっくりゃが声を上げる。近づいてきているモノがなんなのか、本能的に理解しているのだろう。 ゆフランはゆっくりゃに気がつくと飛び立ち、そのまま一直線にこちらへと向かってくる。その際に羽が木の枝に当たって音がするので、どこから鳴ったかさえしっかり聞いていれば飛んでくる方向は分かるのだ。 ギョロりとした目をゆっくりゃに向けて、勢いよく正面から突っ込んでくるゆフラン。 「うあ! うあ!」 だから、こうして勢いよく近づいて来た所を── 「ゆっくりしね!!!」 「断る」 撃退すればいい。 俺のかかと落としをまともに喰らい、ゆフランは地面にめり込んだ。 後頭部にはくっきりとかかとの跡が残っている。 あ、拙い、微妙に餡が出た。ちょっと強くしすぎたか……。 ゆフランの回復力を信じて、痙攣したままのゆフランを持ち上げ、持ってきたかごの中に放り込んだ。 「うー! うー!」 痙攣するゆフランを見ながらはしゃぐゆっくりゃ。はしゃぐのは良いけど、あまり暴れられると羽が体に当たって……。 「ぎゃおー!」 ……ん? ゆフランの入っているかごに向かって叫ぶゆっくりゃ。これは……? 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 ……。 ……もしかして勝ち誇ってるのか、これは? ゆっくりゃは何もしてないのに? 「ぎゃおー!」 叫んでいる意図に気づいた瞬間、反射的にゆっくりゃの顔に拳をぶち込んだ。 ……あ。し、しまった。つい勝ち誇ってる顔を泣き顔にしたくて……。 「う……」 ヤバイ、可愛い! じゃなくて! 「うわああああ!」 大声で泣き始めるゆっくりゃ。この声でまたゆフランが近づいてくる筈だが、泣き声が大きすぎて枝の音が聞こえない。不意を突かれたらそのままゆっくりゃを食べられてしまう。自分で自分の身を危険にしてどうするんだこの愛玩饅頭! ええぃ! 落ち着けおれ! こういう時こそこれだ! 俺は懐からホッチキスを取り出し、ゆっくりゃの口を塞いだ。 「……! ……!」 愛くるしい顔になったねっ! 途端、四方八方から聞こえてくる物音。 多いし! そんなにいらないのに! ……ええぃ、やったらーーっ! 泣き顔のゆっくりゃを脇に抱え、俺は飛んでくるゆフラン達と対峙した。 数時間後。 ようやく家に帰ってきたと腰を下ろす俺、同時に地面へ置かれたかごの中にはゆフラン達がぎっしりと詰まっている。元々少なめに考えていたので明らかに許容量を超えているが、全員がぐったりしているので無理矢理詰め込む事ができた。 ゆっくりの中で危険な種とはいえ結局は饅頭、押したら潰れるものだ。 「うー? うー?」 突然、紅魔館から別の場所に連れてこられ、不安そうにゆっくりゃが声を上げている。 ……さすがにここで泣かたり、暴れられるのは困るので。 俺は大きく息を吸った。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ!」 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしようよっ!」 俺の声に反応して、隠れていたゆっくりれいむが3匹出てきた。普段は帰ってきたら何匹かは近づいてくるのだけど、今日は連れてきたゆっくりがゆっくりなので隠れていたのだろう。それでも声に反応するのがやっぱりゆっくりだが。 あ、1匹親れいむだ。あれは食い出があるぞーっ。 途端、ゆっくりゃの表情は輝き、れいむ達の表情は凍り付いた。 「がぁおー! たべちゃうぞー!」 「やーっ!」 「ゆっくり出ていってねっ!」 逃げるれいむに追いかけるゆっくりゃ。今の内にドアに鍵をかけて……と。 さて、それじゃ早速試してみるか。 俺はかごから一匹ゆフランを取り出す。丸い顔が変形し四角くなっていた。これはこれで可愛いな。 とりあえず手でこねるように形を丸くしてみた。 「ぁ゙っ、ぁ゙ぁ゙っ」 あれ? なんだ、意識あったのか。てっきりまだ戻ってないと思っていたんだが。 それじゃ回復を待つ必要はないな。 俺は両手で羽を持ち、そのまま思い切り毟り取った。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!」 途端、普段から見開いた目をより見開き、さっきとは比べものにならない大きさの声を上げるゆフラン。 初めてゆフランの絶叫を聞いたけど……これはこれで甘美だなぁ。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! ざぐや゙ー! どごー!」 泣き叫ぶゆフランに、俺は魔法の言葉をかけてみた。 「これからたくさんゆっくりのいる場所に行くんだけど、来るかい?」 「……うー?」 興味深そうにこっちを見る。いいなぁこの変わり身の早さ。これからゆっくりは可愛い。 「ゆフランのためにたくさんのゆっくりを用意しておいたんだ、食べにいかないかい?」 「……う~♪」 泣いた饅頭がもう笑った。あとはこっちのものだ。 「それじゃ連れて行ってあげるよ」 そのままゆフランを抱えて、移動する俺。「うー♪ ゆっくりしね!」とはぎゃぐゆフラン。その目はもういつもの通り瞳孔が開き、赤く輝いている。 やがてドアの前へ来ると、鍵を開け、ゆフランを中へと入れた。 気配が分かるのか、入った瞬間からゆフランは視線をあちこち移している。 「みんな怯えて隠れているかもしれないけど、ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしね!」 飛び跳ねるゆフランにそう声をかけ、俺はドアを閉め、また鍵をかけ直した。ドアには窓がついているので開けなくても中の様子は伺える。 ゆフランは相変わらず、楽しそうにあちこち見ながら飛び跳ねていた。毟り取った羽はまだ回復していないが、背中についた跡はもう消えてしまいつつある。 実際、この部屋にはゆフランの期待通りゆっくりが大量にいた。ゆフランのお腹をいっぱいにするなら充分な量だろう。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「うー♪ ゆっくりしね!」 「フっ、フっ、フっ、フランっ!」 ただ俺は、今まで発情したゆっくりアリス10匹に勝ったゆっくりを知らない。 襲いかかってくるアリスに噛みつくゆフラン。その瞬間、残りの9匹に押しつぶされた。 「ゆっ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆっ!!」 「ゆっくり゛ぃぃぃぃっ!」 悶絶するゆフラン。おおっ、ゆフランってこんな顔で悶絶するのな。いつかゆっくりゃと一緒に悶絶させたいものだ。 どうにか振り解こうと抵抗するが、1匹を振り解いてもすぐに別の1匹が襲いかかり、かまわず交尾を続けていく。 次第にゆフランの動きは止まり、だだ悲鳴だけが響くようになっていった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛ぅ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛り゛ぃぃし゛ぎね゛ぇえ゛え゛っ!」 ……そろそろ終わりそうだな。 「うー♪」 聞き覚えのある声に振り向くと、いつの間にかゆっくりゃがそこにいた。 口に大量のあんこをつけて。 「……美味かったか?」 「うーうー♪」 顔面を蹴り飛ばす。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」 やっぱり満足顔からの泣き顔が特に可愛いな。 結果として。 ゆフランには茎が生えてきた。 しかし生まれたのは1匹だけだった。 その1匹は、今、俺の手の中で遊んでいる。生まれたてで小さく、言葉も親ゆフランの「ゆっくりしね!」は言えず、ただただ「うー♪」と呻くだけだ。このまま丸呑みしたいな……。 しかし試しにと子供を持っていた親れいむに子ゆフランを預けた所、そのゆっくりれいむを子も含めて全部平らげてしまったので、小さいながらもやっぱりゆフランは違うというのを思い知らされた。 ここで問題なのは、子ゆフランを生んで親ゆフランは絶命してしまった事だ。以前、ゆっくりアリスに襲われたゆっくりゃのように朽ち果て、死んでいってしまった。 せっかく繁殖したのに一人の親で1匹では意味がない。そもそも他のゆっくりはだいたい4匹は繁殖していたのに、ゆフランだけ1匹なのはおかしいだろう。 一応、ゆっくりアリス以外のゆっくりも発情させて試してみたが、ほとんどの場合は子供は生まれず、ゆフランは最初のゆっくりゃのように絶叫したまま死んでしまった。 やっぱり繁殖の仕方が違うんだろうか……? そうして俺が悩んでいると、れいむが必死の形相でこっちに向かって来ていた。 「ゆっくりやめてね! ゆっくりさせてね!」 その後を追うように、ゆっくりゃが飛びながら追いかけている。 「がぁおー!」 ますます顔が涙で濡れるれいむ。しかし突然、目を輝かせて叫んだ。 「ゆっくり助けて! おじさんゆっくりさせて!」 どうやられいむは、俺に希望を求めたらしい。 「……」 そのまま足下へ駆け寄ってくるれいむ。このまま俺の後ろにでも隠れようと思っているのだろう。 ふむ……。 れいむをゆっくりゃに向けて蹴り飛ばした。 「ゆ゛っ!」 空を飛ぶれいむ。飛んでいく先では、口を大きく開き、ゆっくりゃがしっかりと待ちかまえていた。 「たーべじゃーうぞー!」 「ゆ゛っぐり゛ぃぃぃぃっ!」 にこやかにれいむを食べていくゆっくりゃ、凄く嬉しそうだ。 泣き顔もいいけど、たまには笑顔もね。……なんてな。 もちろんこれには事情があった。 この食べられているれいむ、実は隔離していたれいむと魔理沙が勝手に発情して作ってしまった子供なのだ。家の部屋にも限りがあるので繁殖する時もいろいろ考えて数を増やしているのに、勝手に増えたりすれば住めるスペースがなくなってしまう。 とりあえず親れいむと魔理沙はまだ生き残っているゆフランに食べてもらい、そして今、残りの子供達をこうしてゆっくりゃに食べてもらっていたのだ。 「んまんま♪ んまんま♪」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!」 しかしいきなり部屋を覗いたら子供が増えていたのはびっくりした。俺の手で無理矢理揺らして発情させない限り交尾なんて滅多に行わないので油断していた。やれやれ。今度からはもうちょっと気をつけないとなぁ。 「んまーーーっ♪」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛さ゛せ゛て゛ぇぇっ!!」 ……。 ……ん? そういえば……。 食事を済ませ、その辺りを楽しそうに飛び回るゆっくりゃ。その楽しげな様子に思わずバレーボールのようにたたき落としたくなるが、今の俺にはそれ以上に浮かんだ疑問が頭の中をしめていた。 ゆっくりゃって……。 「うー♪ ……う?」 もしかして、発情するのか? 気づけば、両手でしっかりとれみちゃを捕まえていた。 法悦とした様子だった。 「う゛っ……う゛っ」 どちらかといえば幼さの残るあどけない表情なゆっくりゃが、今はゆっくりアリスもびっくりなほど欲情した顔つきをしている。頬は赤くなり、口からはいつものあんこじゃなくよだれのような何かを垂らしていた。なんなんだこれ? 肉汁か? 自分の考えがあっていた事を喜びたい。……しかし疲れた腕はそれを許さず、ただ痙攣しているゆっくりゃをゆっくりと運ぶだけだった。 あれからゆっくりゃを抱え揺さぶり続けると確かに発情はした。しかし3時間振動させ続けてようやくだ。 他の種と違い、ゆっくりゃは性欲が薄いのか、軽く振動させただけではまるで反応はなく、暴れるゆっくりゃを押さえながら振動させ続けた結果、ようやく発情してくれた。おかげで腕は棒の用だが、必死で暴れるゆっくりゃがだんだん法悦としていく様子は俺の心に潤いを与えるには充分だ。 今のゆっくりゃはイキそうなところで揺らすのを止められ、触れたら暴発しそうなぐらいの興奮状態になっている。これから後の事がなければこのまま弄り回したいところだが、それは後に取っておこう。 もちろんこれから試すのは繁殖だ。しかし今までゆっくりアリスに襲わせて駄目だったものが、ゆっくりアリスを襲ってどうにかなるとは思えない。 ここはちょっと危険だが、賭けてみよう! ゆっくりゃをその部屋へ放つ。その部屋にはれいむのリボンや魔理沙の帽子や、ゆっくりアリスの食べカスが落ちている。 「……うー? ゆっくりしね!」 そこはゆフランの部屋だった。 無謀だと自分でも思う。 普通ならゆっくりゃはゆフランに食われて終わりだろう。そうなったらとてもとても悲しい気分になりながらゆフランを殴って泣き叫ばし、そのまま食べて落ち着こうと思うが、しかし発情したゆっくりゃならどうにかしてくれると、俺はどこかで期待していた。 「ゆっくりしね!」 大好物の登場に、ゆフランは赤い目をギロりと光らせながら近づいていく。 ゆっくりゃはピクリとも動かない。俺がまるで予想していなかった状況だ。睨まれた恐怖で竦んでしまったのだろうか? 口を開けて、食べる準備は万全なゆフラン。 そこで初めて、ゆっくりゃが動きをみせた。 「う゛……」 「う?」 まるで声も上げなかったゆっくりゃを不思議に思っていたのか、ゆっくりゃの上げた声にゆフランが反応する。 ゆっくりゃが続けて声にした。 「う゛……う゛ま゛せ゛て゛っ」 「ううっ!」 その時、始めてゆフランがゆっくりゃに対してたじろいだ。おおっ! スゲェ! 「う゛ま゛せ゛て゛ぇぇぇっ!」 「うーっ!!」 いつもと違う様子に慌てて逃げ出すゆフラン、それを上回る速度で追いかけていくゆっくりゃ。 その時によく見えたゆっくりゃの表情は、まるでゆフランのように目を見開き、赤く光っていた。 次第に追いつかれ、ゆフランはゆっくりゃに後ろから組み付かれた。 「ゆ、ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 「う゛う゛う゛う゛っ!」 「ゆ゛っく゛り゛し゛ね゛ぇぇぇっ!」 どんどんゆっくりゃの体が激しく振動していく。 お互い、ゆっくりアリスに犯された時のように絶叫しながら、果てていった。 ドアの向こうで様子を見続ける。これが成功なら、後はゆフランに茎が生えて赤ん坊達が生まれてくる筈だ。 高まる期待。そんな俺の気持ちに合わせるかのように、ゆフランから茎が伸びてきた。 「きたきたきたきたぁーーーっ!」 思わずドアを開けて中に入る。 「うー♪ すっきり」 さっきまでゆフランのように変貌していたゆっくりゃは、何もなかったかのようにいつも通りの表情に戻っていた。 「う゛ー……う゛ー……」 「おぉっ! ゆフランも生きてる!」 今まで一度も生き残らなかったゆフランが生き残っている。俺は期待を一気に膨らませていった。この茎からたくさんの子ゆっくりゃが……!! そうして生まれてきた子供は。 ある意味、俺の期待を半分裏切ってくれた。 疲れた体を引きずりながら、部屋へと入っていく。 「あ、おじさん!」 「おかえり! おかえり!」 「ゆっくりしていってね!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 一気にわき上がるれいむの声。大量にいるゆっくりが一度に喋るから、後半はもうなんと言っているのか聞き取れない。 ここは俺がれいむを繁殖させていた部屋だが、他の部屋には移さずここでひたすら繁殖させていたために、気づけばどこを見てもゆっくりの顔があるぐらいぎゅうぎゅう詰めの状態になっていた。 「おじさん狭いよ、外に出してよ!」 「ゆっくりドアを開けてね!!」 ゆっくりしていってね!と言って間もなく、そんな要求をしてくるれいむ達。いつも餌を持ってきている俺に対しても、相変わらずの傍若無人っぷりだ。 「そうだな……今日はその事でいい報告をしに来たんだ」 「ゆ?」 「今日からは外に出て遊んでもいいぞ」 「ゆっ!」 れいむ達から驚きの声が上がる。無理もないだろう、今の今まで何があっても外には出るなと言い続けてきたのに、いきなり外に出てもいいと言われてたのだから。 「本当に? ゆっくりしてもいいの?」 「ああ、本当さ。外でゆっくりしてもいいんだよ」 「ゆっくり外に出るね!」 ゆっくり達が外に出られるようにと、まず仕切りになっていたシャッターの鍵を開け始める俺。こいつら全員を移動させるには、ここを開けるのが一番だろう。 「おじさん、ゆっくりいそいでね!」 「おそとであそんでね!」 「おじさん大好き! 早くあけてね!」 「分かった分かった」 鍵を開け、そのまま両手でしっかりとシャッターを掴む。 「それじゃ開けるぞー」 「早くゆっくりしてねっ!!」 「おそとであそばせてねっ!!」 「ゆっくりしないでねっ!!」 俺は渾身の力を込めて、シャッターを一番上まで開けた。 勢いよく飛び出していくれいむ達。 そして、ほとんどのれいむは硬直して動けなくなった。 「うー! うー!」 「ゆっくりしね!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 シャッターの向こうでは大量のゆっくりゆフランとゆっくりゃが待ちかまえていた。 「そいつらの向こう側に外へ出るドアがあるから、みんな頑張ろうー」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 いち早く反応した親れいむの絶叫を合図に、大混乱が始まった。 食べられ襲われ逃げまどい追いつかれる中で、俺は一人ドアを開けて部屋を出た。 廊下には机と椅子を用意してあり、座ったまま部屋の中を覗くための窓も ある。 この日のために用意した部屋での光景は、俺の気持ちを高ぶらせるには充分な光景だった。 子れいむはゆフランとゆっくりゃ、そして身内である筈のれいむからも噛みつかれあっという間にいなくなっていた。普通のれいむも食べていたのは、混乱の中で側にいたからとりあえず食ったのだろう。食べたれいむは笑顔のまま口を動かしている。あ、ゆフランに噛みつかれた。あはは、絶叫してるや。 親れいむは必死に子供たちを守ろうとするが、それが仇となって集中砲火を浴び、もはや中身の餡もほとんどない状態で床に倒れ、痙攣を繰り返していた。10匹を超えるゆっくりゃとゆフランに襲われてるなんてここでしか味わえないだろう。貴重な体験だったね。 そんな親れいむを見て子れいむが「お゛があ゛ざん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」と泣き叫んでいるがまるで反応はない。子れいむはそのまま泣き叫び、近くに来たゆっくりゃに食べられていった。 あの時、ゆフランの茎から生まれてきた赤ちゃんは4匹、ゆフランとゆっくりゃで2匹ずつの子供が生まれていた。 てっきり襲ったゆっくりゃの子供だけ生まれてくると思ったので最初はびっくりしたが、どうやらゆフランとゆっくりゃの組み合わせだとお互いの子供が生まれるらしく、ゆフランを欲情させてゆっくりゃを襲わせても、場所や時間を変えてみても変わらずお互いの子供が生まれてきた。 だがそれよりも、ゆフランもゆっくりゃも死ぬことなく繁殖を繰り返す事ができたのが大きかった。何度も何度も発情させて無事に生まれてくるのを確認した時、俺は喜びのあまり思わず生まれてきた赤ちゃんを全員そのまま食べてしまったぐらいだ。あんまんと肉まん美味しいです。 それにしても、この2匹が希少種になった理由もよくわかった。ただでさえ相手が少ないのに、ゆフランはさらにゆっくりゃを襲って食べてしまう。繁殖できる相手なのにお構いなしなのだ。これでは数は増えないだろう。 「あ゛あ゛あ゛あ゛っ! ゆ゛っぐり゛がま゛な゛い゛で!」 「うー♪」 部屋の中では子ゆフランが自分より大きなれいむを少しずつ食べて食べて消化していく。噛みつかれたれいむは、まるでシロアリに犯された柱のように徐々に削られ、穴が開いている。全部食べられるのも時間の問題だ。 そんな子ゆフランの横で、ゆっくりゃの側を離れずについていくゆっくりがいた。体は普通の大きさだが、他のゆっくり達が絶叫している中で、ひたすら楽しそうに笑っている。 それこそが子ゆっくりゃだった。 子ゆっくりゃは、他のゆっくりを食べるゆっくりゃの子供とは思えないぐらいに弱かった。 生まれたての割に体は大きいのだが、そのくせ子ゆっくりゃは赤ちゃんれいむにさえ勝てないぐらい弱いのだ。 それなのに目立つ体格なので他のゆっくりたちから狙われやすい。 生まれてから長い間、ゆっくりゃは子供の側から離れない事が多かった。まだ子供には自分を守れる力がないと分かっていてしっかり守っていたのだろう。 しかしそんな子ゆっくりゃは、こういう場所では足を引っ張る役目にしかならない。 「ゆっくりしねっ!!」 「う゛ーーーっ!」 守っていた親ゆっくりゃはゆフランに食い殺されてしまった。 そのまま子ゆっくりゃに近づいていくゆフラン。 「うー♪ うー♪」 しかし子ゆっくりゃはまるで状況を分かっていない。まるで遊んで欲しそうに手を伸ばして笑顔を向けようとする。それを見てゆフランの口が楽しそうにつり上がった。 結局、子れいむが危険だとようやく理解したのは、ゆフランに噛みつかれて餡を吸い出された瞬間だった。 「あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!」 叫んでみたものの抵抗らしい抵抗なんて出来はしない。そのまま吸い続けられ、全ての餡を全て吸い尽くされた。 まさか、ゆっくりゃの子供があんなに無力な存在だったなんて……素敵すぎる。 長い日をかけて準備してきたこの宴もそろそろ終わりが近づいてきた。やはり生き残っているほとんどはゆフランだが、れいむも僅かに生き残っている。 「ゆ……ゆ゛っく゛り゛ー! ゆ゛っく゛り゛し゛て゛ね゛ー!!」 部屋の隅に縮こまってガタガタと震えているが、もうお腹いっぱいになったのだろう。ゆフランもゆっくりゃも反応しなくなっている。 ゆっくりの色々な顔を見たくてやってみたこの宴だったが、俺的には大成功だった。あんな愛くるしい顔で絶叫されたり絶望に打ち震えたり恐怖に怯えたり嬉しそうにはしゃぎ回られる姿を大量に見られて俺はもうゲップが出そうだ。 「うー♪ うー♪」 「ん?」 向こうからとたとたと、ゆっくりゃが歩いてきた。他のゆっくりゃと違い、饅頭から体が生えており、羽より足を使って移動することが多くなったゆっくりゃだ。 このゆっくりゃは一番長生きしているゆっくりゃだ、どうもゆっくりゃは他のゆっくりとは違い徐々に成長して、立派な体が生えてくるらしい。このままさらに長生きさせたらどうなるんだろうな? ゆっくりゃは俺の周りを走り回っている。どうやら駆けっこをして楽しんでいるようだ。 足を引っかけて転がしてみた。 「えぐっ! ……うぅーっ」 涙目になるが、涙は流れない。こうやって何度も転けさせたせいでちょっと慣れたのだろう。凄い我慢している。 ゆっくりゃが泣くのを必死で耐えるなんて……。 そんな新しい反応で、俺をまた喜ばせてくれるのかい! 嬉しさのあまり身を悶えさせながら、俺はゆっくりゃの頬を引っぱたいた。 「うぅ、う゛あ゛ーーーーー!!」 泣き声が俺の全身を燻る。 ……今度はどうやってゆっくり達を愛そうかな? 明日のゆっくりに楽しみが止まらない俺だった。 by 762 選択肢 投票 しあわせー! (37) それなりー (9) つぎにきたいするよ! (7) 名前 コメント すべてのコメントを見る