約 738,030 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1371.html
「ホホホホ....よくぞいらっしゃいました。さて今日はどんなご用件で?ああ?猟ゆっくりをご覧になりたいと承知しました。ではこちらへ」 私はある興味深い話を聞いて里にほど近い廃農場を改築してできたゆっくりの養成所に来ていた。 「ここ最近ゆっくりの駆除数は多くなってますが、ゆっくり全体で見れば統計上減るどころかむしろ増えてるのが現状です なにしろあれはゴキb・・・失礼雑草のようなものですからねホホホホ...それはともかく減らないのは駆除の仕方に問題があるからなのです。 臭いものは元から断つのが一番。巣を見つけてコロニーごと叩きつぶすのが最も効果的と言うわけですなホホホホ.... しかし人間では隠れたゆっくりの巣を見つけるのは難しい。そこでわたくしめはゆっくりにやらせてみればと思いついたのです つまりはコペルニクス的思考転換と・・・オホン、まぁ毒を以て毒を制すと言う訳ですな」 歩きながらの男の説明終わったあたりでガラスの向こうに厩舎らしき場所にいくつもの鉄柵の囲いがいくつもある場所にきた 「ここは未来の生まれたばかりの猟ゆっくりの卵たちを育てる場所でございます。猟ゆっくりというのは若いうちから育てないといけません。 ま、当然ですな…躯が大きくなると態度も大きくなって育てるのも難しいですからなホホホホ....」 一つ囲いの中には大体5~6匹のちびゆっくり達が居る。まだビー玉大から野球ボール程の大きさの様々の子ゆっくりが飼育されている 「ゆっ!」 「ゆ~ゆゆ~♪」 まだまだ子供なのでどれも元気に跳ねまわったり、歌ったり、仲間同士で追いかけっこっしたり藁の上で飛び跳ねたりして遊んでいる。 「猟ゆっくりと言うのは全てのゆっくりがなれるものでは有りません。ここは適性があるかどうかを調べる場でもあるのです。おや… そろそろ時間の様ですな」 案内をしている男がそう言うと厩舎内のベルが鳴り始めた。すると周囲のゆっくり達が急に騒ぎ始めゆっくり達の大合唱が始まった 「ゆ!ゴハン~!」 「おなかしゅいたよ!はやくれいむにごはんをちょうだいね!」 白衣を着た男達がバケツを抱えてやってきた。男たちは囲いの前に立つと餌をエサ入れに流し込む。よく観察してみると小さいゆっくりの 囲いには大量の餌を入れているが、比較的育っている子ゆっくりの方にはその半分かそれ以下しか入れていない。明らかに囲いの中の ゆっくり達の十分の量なエサではない。どういう訳か尋ねてみる 「ホホホ...よくぞお気づきになられました。これも適性を図るプロセスの一つなのです。まぁこちらをご覧ください」 私は案内役に促され今白衣の男が給餌している一つの囲いを覗く。中では3匹の子ゆっくりれいむと2匹のゆっくりまりさ達がエサ台の前に集まっていた。 「ゆ!きょうはきのうよりごはんがすくないよ!おじさんごはんもっとちょうだい!」 一匹の子れいむが声を上げる。しかし白衣の男は次の囲いの給餌に行って既に居ない 5匹はゆーゆーと不満の声を上げていたが 「だいじょうぶだよ。わければみんなたべれるよ」 と5匹の中で2番目に大きいれいむが提案する 「みんなでいっちょでたべればおいちいよ!」 「そうだね!」 と嬉しそうに飛び跳ねながら口々に声を上げる3匹のれいむとまりさ 「そんなのぜったいやだよ!おっきなまりさはわけたらまんぞくできないよ。」 一番大きいまりさが異を唱えた 「ねんちょうしゃのいうことはぜったいだよ!」 それに3番目に大きいれいむが一番大きいまりさの横で援護する。こいつはどうも一番大きい奴の側らしい 「でもみんなでわけないとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!」 口ぐちと非難をあげる3匹 「ちっちゃいくせなまいきだよ!まりさをうやまわないれいむはしね!」 そう言うとガキ大将は他の3匹を跳ね飛ばす。 「ゆぎゃっ!」 「い゛た゛い゛よぉぉぉ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ」 3匹と言えど体格差ではまりさには足元に及ばず成す術もない 「おねえちゃんのいうこときけないけっかがそれだよ!」 と言ってガキ大将の側についてた腰ぎんちゃくのれいむが跳ね飛ばされて動けないゆっくり達の傍で芥悪態を付く 結局餌はガキ大将まりさが総取りし、そのおこぼれを腰ぎんちゃくのれいむが食べていた 「ハフッハフッ!めっちゃうめ!」 「しあわせ~♪」 「おなかすいたよぉ~…」 「ずるいよぉ~…」 「ゅぅ…」 残る3匹はおこぼれすら貰えずその様子を見て愚痴ることしかできなかった。しかし空腹に耐えられず敷いてある稲藁を力なく 食み始めた 「さてお客様ここで一つクイズです。この5匹の中猟ゆっくりの適性があるのはどれだと思いますか?」 私はおそらく一番大きいゆっくりまりさでないかと答えた 「なるほど…ホホホ、それでは選別を行いますのでしばしお待ちください」 案内役はジェスチャーで指示を出すと、一人の白衣の男が今みていたゆっくり達の囲いにやってきた。 「ゆ?おじさんこんどはでざーと?はやくだしてね!」 ガキ大将まりさは開口一番生意気な口を叩く。白衣の男は何かを取り出す 「じらさないでまりさのためにはやくちょうだいね!」 白衣の男は表情一つ変えず何かをまりさの口に素早く突き出す そばで大きな口を開けて餌をねだる口には餌の代わりに尖った鋭い棒が刺さる 「げぶぁッ!」 後頭部に突如風穴を開けられるガキ大将まりさ 「どぉぼでぃでぇぎょんぼどずるのぉ...」 ガキ大将まりさにさした棒を引き抜き何度も突くのが繰り返される 「ゆ゛…ふ゛り…たか…よ」 何かを言い残し息絶えるガキ大将まりさ 「ざまぁだね!」 「いじわるなまりさしんでね!」 それを見たガキ大将に跳ね飛ばされてた3匹のゆっくりは嬉々として飛び跳ねる 「ホホホホ....お客様残念ですが不正解です。あのゆっくりまりさは体格や強さなどは申し分ありませんが、猟ゆっくりに求められるのは、 他の猟ゆっくりとの協調性と主人への忠誠心。 ゆっくり狩りというのはゆっくりの集団を追い込み仕留めるのを目的しております。 単独では難しいので普通はチームを組むのが基本です、お山の大将など必要ありません。強さなどは二の次…そんなものは訓練次第でどうでもなります。無論同族食いする様なのはNGですぞ。例えば10匹の群れを追うのに1匹に食いついて9匹を逃すようなのを猟ゆっくりとは言えませんからねホホホホ....。 それと人を小馬鹿にするようなことを堂々と言うゆっくりが主人の言う事など聞くはずありませんからねぇ。当然ダメ おっと何時までもここで時間を取ってたら昼になってしまいますな。それでは次に参りましょう、ホホホホ....」 案内役は私を次の部屋へ案内する。次は猟ゆっくりに選ばれた奴らが野生のゆっくりの巣の追跡や集団を追い込む 訓練が見れるらしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1936.html
前 いくらかのゆっくりを捕獲した少女は、家に戻り、自室にこもる。八畳ほどの空間、ベッドと本棚とクロゼッ トとサンドバッグ以外には、さして注目すべきものもなく。 シンプルもシンプル、といった様相の屋内にて、少女はプラスティックケースを解放し、そこからゆっくりを 取り出した。餡子で床が汚れぬよう、事前に新聞紙は敷いてある。 釣果ならぬゆっくり果は上々。成体れいむに成体まりさが一匹ずつ、あとは適当に、子ゆっくりと赤ゆっくり の詰め合わせだ。 少女に解放されたゆっくりたちは、窮屈な場所から解放されたことにより、実に幸せそうな表情を見せる。 「ゆ゛っ……!? ここ、どこ」 「おかーしゃん、ここ、とってもひりょいよ!」 「そうだね! ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするよ!」 「ゆゆっ? おねーさん、どこからはいってきたの? ここはれいむたちのおうちだよ!」 「おねーさんはじゃまだからどっかいってね! れいむのこたちをじゃましないでね!」 「ちないでね!」 さてもさても、恐るべきは餡子脳。先程、その他でもないおねーさんに閉じ込められたのにもかかわらず、整 理された屋内を見て、ゆっくりプレイス宣言。もうここまで救いようがないと、少女もさすがに溜息のひとつや ふたつは吐き出さざるを得ない。 とりあえず、とっとと作業をすますか、と少女は思い、黒髪を後ろで縛ってまとめ、部屋の中心部に腰を下ろ す。ゆっくりたちが騒ぎ立てるが無視を決め込み、とりあえず一番大きいゆっくりれいむをひっつかみ、手元に 寄せていく。 来週の課題のために、少女は腕を振るった。 「ゆゆ? おねーさん、やめてね!」 「おかーしゃんをはなちてね!」 「ええっと、こうかなあ? ……ん、こんな感じかね」 「ゆぐい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!?」 「やめてね! れいむをいじめないでね! ……や゛め゛でね゛っ!!」 「でい゛ぶう゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!?」 「お゛がーじゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!?」 「よし、ここで、こうして、と。ああ、ついでにこっちも」 「ぎびょえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!?」 「ばり゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 「やびぇ゛びぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ 「おがあ゛あ゛じゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「あ、ちょっと失敗しちゃった。やっちゃったぜ!」 「ぎぴい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 「もっと……ゆっくぢ、ぢだがっだ……」 「ぐぞばばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ごろ゛じでや゛る゛ぅ゛!」 「じね゛……ゆ゛っぐじじね゛ぇ゛……!」 「さて、あとは洗浄洗浄」 しばしの時を経て、少女は作業を終えた。 もう、ゆっくりたちの声は聞こえない。あの、不快なゆーゆーという声は聞こえない。 来週の課題をどうするか、楽しみにしつつ、少女は作業の果てに得たものをかばんにしまい、ゆっくりとベッ ドに向かっていった。 一週間後。 少女は肩から大きなかばんをひっさげ、いつものように電車に乗り、いつものように慣れた道を歩き、予備校 へと向かう。都会の喧騒はもう慣れたものであるが、今日は課題を色々とためしたいので、気分が浮ついてしま い、車のクラクションも気にならぬほど。 横断歩道を渡り、やたら安いラーメン屋を右手に、少女はひとつのビルの前で立ち止まった。それなりに汚れ の目立つ、どこにでもありそうな建造物である。 気合を入れ、少女はビルの中に進み、階段を上ってひとつの部屋の中に入っていった。 そこは、学校の教室ほどの大きさの空間。ただ、教室と違うところは、机はなく、椅子は背もたれのない簡易 型のそれが、部屋のすみにうず高く積まれている、という点であろうか。 人の数は、まばら。それぞれ、イーゼルを組み立てたり、鉛筆を削ったりと、自分の作業に没頭し、少女が部 屋に入ったことなどどこ吹く風。 部屋の右側と左側には、リンゴやら空き瓶やらを詰んだものが鎮座している。言うまでもなく、今日の課題の モチーフだ。 この日の課題は、コラージュのみで絵を描け、というものだ。 いわゆる、コラージュアート課題である。 材料は自分でもってくる。ただしあまりにもやばいものは駄目。大抵は、雑誌や新聞紙の切り抜きなどを用い て、巧みにそれを貼り合わせ、ひとつの絵にしていく。なかには、ビーズのようなものを使う者もいると少女は 聞いたが、成功例はとんと聞いたことがない。 今日の課題は、ただ鉛筆だけを使ってデッサンするわけではないので、いくぶんか新鮮な気分になって絵を作 ることが出来るのが強みだった。 モチーフからやや離れた場所に少女は陣取り、かばんを置いて材料を取り出す。 クレヨンや絵の具。 雑誌にハサミ。 のりにテープ。 そして。 ゆっくりの皮。 「ゆっへっへっへっへ、さすがに皆、これは使うまいて」 ゲスまりさのような笑い声を小さく漏らし、少女は唇をゆがめた。 真っ白なデスマスクは、綺麗に洗浄されており、ゆがんだその形状と目や口の穴ぼこ具合は、さながらムンク の描いた名画『叫び』を想起させるキモさである。 とはいえ、そのデスマスクを作ったのは他でもない少女なのだから、不快感に眉をひそめることもない。 遊び心で作った、コラージュ用ゆっくりの皮。しかし、世界には羊皮紙なるものがあるのだから、ゆっくりで それを代用するのもいいのではないか? という、少女のへんてこ理論により、それは作り上げられた。 羊皮紙ならぬゆっくり皮紙。ぶよぶよとした感触が、適度に気持ち悪くて素敵であった。 少女はそのゆっくりの皮をかばんにしまう。 開始まで少し時間があるので、少女はお手洗いに行くことにした。ぼさぼさの黒髪が、どんな具合にへなって いるかを確認したかった、というのもある。 教室を出て、手洗いに行く。 が、扉を開けた瞬間、誰かにぶつかったらしく、少女は衝撃を感じた。少女の方は多少後退する程度ですんだ ものの、相手側はしりもちをついてしまっている。 悪いことをしたな、と思いつつ手を伸ばし、そこで少女はかたまった。 「あ……お嬢。ごめんね、怪我とかない?」 「そこまでやわな体はしていないわ」 少女の眼前でうずくまるは、金色の髪を流した、幼子そのものといった体躯の女性。深紅のスカートが目にま ぶしいが、かといって毒々しい印象は微塵もなく。人形のように整ったその顔立ちと相まって、とかくとかく目 立つ、そんな童女。 幼子の姿を見ながら、少女は心の中で嘆息した。 いつも何かしら赤い衣服をまとい、淑女めいた態度で相手と接する、幼い体躯の女性。そんな彼女と知り合っ た人間は、皆、彼女のことを『お嬢』と呼ぶ。あだ名にしてはひねりがない。しかし妙に似合っているのだから たちが悪い。 かくいう黒髪ぼさぼさ少女も、この『お嬢』と知り合いであった。予備校で言葉を交わして以来、とりあえず は友人のスタンスで接し続けている。俗に言う、美術仲間、といったところか。 が。 「大丈夫? 立てる?」 「……先輩」 「ん?」 「抱っこして頂戴」 またか、と少女は苦笑した。 お嬢は、少女にだけやたら甘えてくる。先輩、などと呼んでいるのにもかかわらず、よくよく少女に命令を出 す。しかも、さも当然といったかのように。 それでも少女は、お嬢を嫌うことはない。『そういうものだ』と分かっているからこその関係である。 黒髪を揺らし、少女は、お嬢の小さな体を抱きかかえる。ほんのり香る、薔薇のように甘い匂いは、ゆっくり の餡子臭を打ち消してくれるような気がした。 「ゆっへっへ、今日のコラージュは、私が勝ってみせるんだぜ!」 「あら、それは楽しみなのだわ」 「へっ! ほえづらかかせてやるぜ!」 「ほえづらをかくのは先輩の方なのだわ」 やたら微笑ましい会話をしつつ、ふたりはモチーフのある部屋へと入っていく。 「……あれ? 私、なんで教室を出たんだっけ?」 「無粋ね、先輩は」 空を夕闇が支配している。 都会特有の喧騒は止むことがないが、昼時にあるような活気は感じられない。それは、ノスタルジックですら ある橙色の光が、町や人々を覆っているがゆえか。行き交う車の数も、行き交う人間の数も、ほとんど変化がな いというのに、どこか寂寥感すら漂ってくる。 夕刻に彩られたその都会のなか、ひとつのビルから黒髪の女性が躍り出た。その整った顔は渋い色に染まり、 放っておけばくしゃにくしゃになりそうだ、と予見すら出来るほど。 「あー……、やべぇわ、これ。普通にショック」 少女は、盛大な溜息をついた。 ゆっくりの皮をコラージュアートに使う。そのアイディアまでは良かったのかもしれないが、それを皆が考え ぬ、といういわれはどこにもない。 ある意味では、案の定、というべきであろうか。少女以外にも、ゆっくりの皮を用いて、コラージュアートを 作り上げた者がいた。それが他でもない、あのお嬢である。 少女の作り上げたコラージュアートは、それなりの出来と言って良かったろう。苦悶の表情に染めたゆっくり の皮を用いることにより、不可思議な変化を見せるしわを絵画の上に乗せ、えもいわれぬ不安定性と、そこはか とない珍奇なる威圧感を醸し出せた。これは成功と言って差し支えないであろう。 が、少女のその目論見もむなしく、お嬢の作品は少女の上を言っていた。きちんと洗い流されたゆっくりの皮 を用いたうえに、的確な構成方法によって「もっと……ゆっくりしたかった……」と言葉が聞こえてきそうなほ どに生々しい感触を、ひとつの紙の上で見事表現させるに至ったのである。 美術の予備校は、学校のテストと同じく、その順位を残酷なまでにしっかりと表示する。絵を描く時間が終わ れば、次は講評の時間となる。出来の良い者の作品から並べ立て、きちんと順位を決め、上位の者からしっかり と評価するのが基本であるのだ。 そういう順位づけがあり、少女はお嬢に負けた。勝負の界隈において、敗北は明確な印となってあらわれる。 「まけたー……」 口に出してみれば、悔しさが湧き出てくる。どんな人間とて、負けるのは嫌である。それは絶対不変の真理だ。 敗北を希求する閣下もいるが、あれって結局自己満足と自己欺瞞と自己顕示欲で構成されている、あさましき意 図のうえでの発言でしかなくね? などと少女が思う暇もあらばこそ、やにわに響く車の稼働音。 結局、上にいる者は上にいるのである。先輩だの後輩だの、ゆっくりだの人間だの、そういう枠組みは関係が ない。某轟竜のようにに、頭がエターナルあーぱーでも、力が強ければどうにかなってしまう。それは、この、 都会という社会空間の中においても例外ではなく。 とはいえ、実際に力の差を見せられると、もうどうにもこうにも、という気持ちが強い。しかも、少女の心を 悩ますのは、あのお嬢に負けたという事実であろうか。憎からず思っている相手に力の差を見せつけられるのは、 なんというか、非常に評価を下しづらいのである。 とはいえども、清々しい気持ちも、それなりにはあるわけで。 少年漫画的な敗北者感情を抱えたまま、少女は予備校のそばにある自動販売機から、缶コーヒーを購入し、そ れをちびちびと飲んでいた。 色褪せたブラウススーツと黒髪が、夕闇の空に彩られ、不可思議な旋律を描き出す。人の波が絶えぬ場におい て、少女は久方ぶりにゆっくりとしていた。 と、そこで。 「そんなに落ち込んでいるなんて、らしくないわね」 「……あー、お嬢? どーせ私なんてよ……」 お嬢、参上。 金色の髪と超然とした態度と、深紅のロングスカートを見せ、野暮ったい予備校から出たのにもかかわらず、 その姿はハイソサエティもハイソサエティといったところ。 「地獄に堕ちるのはまだ早いのだわ。というより、演技をおやめなさいな」 「……ちっ、ばれたか」 ぶすっとした様子で少女が言い、ガードレールに腰かければ、当の金髪童女は微笑みひとつで返した。何の邪 気もてらいもないその笑みは、とかいは(笑)のそれとは比べるのもおこがましいほどで、少女は自然、頬を薄 紅色に染めていた。 「いいじゃない。先々週、私はあなたに負けたのだし」 「いんやー……そういう問題じゃなくてさー。自信満々だった素材が、実は他の人も考えていたうえに、自分よ り上手に使えてましたー! なんて言われると、へこむじゃん」 「ふふ、そうかもしれないわね。……でも、今回、私は運だけで勝ちを拾った気がするのだわ」 「慰めはよせよう。……もうライダージャンプしてライダーキックすゆ。アンカージャッキくれ」 ぶつぶつと遠くを見据えて腐る少女。 そんな黒髪やさぐれ女に、当のお嬢は、やにわに飛び込みぎゅっと抱きつく。 「お……お嬢?」 「もう……。本当に、手がかかる子ね、あなたは。落ち込まないで、下を向かないで。あなたの描き出す曲線が、 あなたの五指が紡ぎ出す色彩が、すべて、すべて、美に繋がっているのだから」 「うぅ……」 「頑張って。月並な言葉だけれど……。でも、腐ったあなたを、見たくないの」 「その、お嬢……」 「素敵な線を描くあなたが好き。ひたむきに頑張るあなたが好き。決して屈しないあなたが好き。……そんなあ なただからこそ、私は、あなたを買っているのだわ。……ここで、折れるの?」 挑発的に目を細められて放たれたお嬢の言に、少女はしどろもどろになりつつも、首を横に振ることで答えた。 「そう、その意気なのだわ。天の道を行くのだわ」 「なぁんか上手に丸め込まれた気がするけど……ま、いいか。頑張らなくちゃね。ゆっくり程度に心動かされる なんて、ワシもまだまだじゃ。くやしいのう、くやしいのう」 「すぐネタに走る性格はどうかと思うのだわ……」 黒髪を撫でながら、妙な顔つきで嘘涙を流す少女。そんな姿をあきれながら白眼視するお嬢。都会の喧騒には 似つかわしくない、不器用であるけれどもあたたかな、どこか甘酸っぱく、青い匂いのするその光景。まさしく それは友情形成の瞬間にも似た光景で、美しい沈黙が周囲を、 「ゆゆ? おねーさんたち、ゆっくりできるひと?」 支配しなかった。 もしもこの場に第三者がいたのならば、空気嫁、と言ったことであろう。汚いビルの前で、黒髪の女性と金髪 童女が、不器用なやりとりをしているそのさまは、誰しもが打ち破れぬ領域のそれである。しかし、そんな空間 をも破るゆっくりは、もう、ノットエアリードとかそういう領域の話ではない。 少女とお嬢のそばに寄ってきたのは、バスケットボールほどの大きさをほこる、ゆっくりれいむだった。憎た らしい声といい、ウザったい顔といい、実に殴り飛ばしたくなる要素を備えている。 とはいえ、所詮、害獣。女の子ふたりは見向きもせず。 「ね、先輩。つらかったら、力になるのだわ。だから、折れないで」 「う、うん。……あひゃひゃ、髪、くすぐったいよ」 「触ってもいいのだわ」 「ふえ?」 「おねーさんたちはゆっくりできるひと?」 「レディが髪を触らせるのは、心を許した相手だけよ。光栄に思いなさい、先輩」 「あはは、じゃ、遠慮なく。……あ、いいなぁ、本当に髪、さらさらしてる。わ、いい匂い」 「も、もうちょっと優しく触るのだわ」 「あ、ごめんね。私、がさつだから……って、こりゃ言い訳だな。ごめんね、本当に」 「ゆっくりできないの? ゆっくりできないおねーさんは、ゆっくりしね!」 「あなたの指は繊細。だから、心だって、そう。がさつなんて言わないで……」 「またまたご冗談を」 「……ばか、鈍感」 「何か言った?」 「何も言ってないのだわ」 「ゆぅぅぅ! どぼぢでぎがな゛い゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?」 少女ふたりがじゃれあうなか、空気読めない糞饅頭は、ぽよんぽよんと体当たりをくり返す。そのたびに、少 女の髪が揺らめき揺らめき、されど女子ふたりは知らん顔を決め込む。 「ゆっ! いまはゆっくりできないきぶんなんだね! ゆっくりさせるね!」 「れいむはおうたがじょうずだよ! れいむのびせいをきいて、ゆっくりしていってね!」 「ゆ~♪ ゆゆゆ~♪ ゆっゆゆ~♪」 好き勝手に自分を賞賛し、好き勝手に耳障りな音を垂れ流すゆっくりれいむ。 これに無視を決め込める人間は、そうそういまい。無論、それはれいむが注目されたくてやっていることなの だから、ウザさが増すのはしょうがない話なのかもしれないが。どんなに善意をもって相手に接したとしても、 それで相手が気にいってくれる道理など、寸毫微塵たりともない。 それは、ゆっくりと人間の間にも当てはまるわけで。異文化コミュニケーションは、本当に大変なのである。 マゼランだって、海峡みつけたあとに現地民とバトルしてぶっ殺されたんだから。 「やっかましいわ!」 「うるさいのだわ!」 ゆっくりれいむに降りかかる、それは見事なダブルヤクザキック。そんな攻撃をあっさり出来る、そんな少女 とお嬢は素敵。何故なら、彼女らもまた特別な存在だからです。 「ゆげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 きりもみ回転しながら、餡子をまき散らして吹き飛ぶれいむ。宙を飛んだかと思えば、しかし近くに設置され てあるガードレールにぶつかり、顔がひしゃげる。次いで、作用反作用の法則にしたがって、跳ね返されるよう にれいむは吹き飛び宙を浮き、重力の法則にしたがって落下。 都会の汚い道の上、丁度、吐き捨てられたガムがある場所に、顔面から突っ込み、れいむは痛みのあまりにの たうちまわる。 とはいえ、ここは都会。誰もゆっくりなんぞ気にも留めない。 邪魔なゆっくりを片付けて、少女とお嬢は、ふん、と鼻息ひとつ。 それからきびすを返し、ふたりして駅の方へと向かって歩いていく。 「いい蹴りなのだわ、先輩」 「あなたもね、お嬢」 ゆっくり、ゆっくりと駅に向かってふたりは歩く。夕暮れの道を、淡い色彩の影が染め上げる。 「先輩」 「なぁに?」 「手を、繋いで頂戴」 「うん、いいよ」 大きなかばんをひっさげて、少女と童女は歩き出す。その時、ふわり、と童女は艶めいた笑みを浮かべた。 「……ふふ」 「どうしたの?」 「なんでもないのだわ」 夕暮れ時の帰り道。女子ふたりは、遠い遠い空を見据えて、ゆっくりと歩きだした。 「い゛だい゛よ゛ぉ゛……ぐる゛ぢい゛よ゛ぉ゛……」 感動的なフィナーレ光景を壊すは、無論のこと、ズタボロのゆっくりれいむ。餡子を口の端から流し、苦悶の 表情を浮かべ、ゆーゆーと泣き声を漏らしている。 しかし、誰も気に留めない。携帯電話片手のサラリーマンが、れいむに気付かぬままに歩を進め、うずくまる れいむを蹴り飛ばす。 「ゆぎい゛っ!!?」 ころりころころ転がって、路地裏へと着地するれいむ。れいむの体はボロボロだった。だが誰も謝らない。そ れは当然の話である。所詮、害獣。情けをかける道理など、針の先ほども存在しない。 と、その瞬間、路地裏に降り立つ人物、ひとり。 長身痩躯の温和そうな男性だった。黒いシャツをまとい、簡素ないでたちで、れいむを視界の端におさめなが ら、あらぬ方向を向いている。 「ゆぅ……おにぃさん、たすけ……」 「やあ! 僕は虐待お兄さん! みんな元気かな?」 助けを求めるれいむの声には耳も貸さず、誰もいない空間に向かって大声で話しかける男。傍目に見ても見な くても、普通に奇妙で怖い。 「ふふふ、あの女の子たち、可愛い顔をしてなかなかの蹴りを放つね! ゆっくりを殺さず、しかし苦痛を与え る強さの蹴りを放つのは、そこそこ難しいんだ! 鍛えれば、虐待お姉さんになれるかもしれないね! でも、今は美術の勉強をしているようだし、ゆっくりごときに人生を浪費しちゃ駄目だよね! ゆっくりをい じめるのは、やっぱり専門職の僕! 餅は餅屋だよね!」 温厚そうな顔のままに、壁に向かって話しかける虐待お兄さん。道を行く人々は、かなりひいているが、当の 本人は全く気にしない。 「え? さっきから見ていたのなら、どうして女の子たちの間に入って、ゆっくりを排除しなかったのかって?」 「おにぃ、ざぁん゛……。だずげでぇ……」 「いや、あそこで僕が出たのなら、僕は空気読めない子だったからね。女の子同士の、ちょっと不器用な友情風 景を壊すほどに、僕は野暮じゃないのさ!」 「ゆっくりでぎな゛ぃ゛……」 「それにしても、ゆっくりとは本当に面白いよね! 食べてよし、虐げてよし、団結力や絆を高めるための道具 にすらなり得るんだよ? 共通の敵を認識すれば、団結力が生まれる、それが人間だよね! でも、ゆっくりを その敵として認識し、攻撃を加えることで友情を深めるなんて……いやあ、僕の求める虐待道は、まだまだ遠い ね! あの女の子たちには一本とられちゃったなあ、あはは!」 「だずげでよ゛ぉ゛ぉ゛!!」 ぺらぺらとしゃべり続けるお兄さんに、れいむの声は全く届いてない。何故なら、彼もまた虐待お兄さんだか らである。ゆっくりとまともに会話しようなんざ、全く考えていない。 「僕はようやくのぼりはじめたばかりだからね……。この果てしなく遠い虐待道をさ……」 「だずげでよ゛ぉ゛ぉ゛! いだいよお゛!」 「社会で生きるのは大変だよね! ゆっくりしている暇なんてないし」 「ぎいでる゛の゛ぉ゛ぉ゛!!?」 「でも、たまにはゆっくりしてみてもいいんじゃないかな? 根を詰めていると疲れちゃうよ!」 「だずげろ゛ぉ゛ぉ゛!! ごの゛ばがぁ゛ぁ゛!!」 「月並な言葉だけれど、みんな、たまにはゆっくりしていってね!」 「ゆ゛っぐりでぎな゛ぃ゛ぃ゛……!」 げふげふと餡子を吐きながら泣き出すれいむ。しかし、お兄さんは全く表情を変えず、つかつかとれいむのも とまで歩いていき、れいむを持ち上げる。 たすけてくれた! とれいむが顔を笑みの色に見せる暇もあらばこそ、まるで弓を引くがごとく振り上げられ る、お兄さんのこぶし。 「でもまあ、こいつらは絶対にゆっくりさせないけれどね! ヒャア! 虐待だぁ!」 「どぼぢでぞん゛……ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!?」 なんだかんだ言って、人間たちは結構ゆっくりを上手にあしらっていた。 社会でもゆっくりの扱いが決まる日は、そう遠くないだろう。めでたし、めでたし。 「ごごじゃゆっぐりでぎないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 (おしまい) 最後は全部かっさらう。それが虐待お兄さん。台詞がウザいのは仕様。 初投稿なのになんでこんな長いんだ……。マジすみません。 塾とか予備校とかにゆっくりをもっていきたい。 サンドバッグにしてストレス解消して、餡子食べて疲労回復。 あれ? ゆっくり、普通に受験生のお供じゃね? by 鮭チップス このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1736.html
「ゆっくりしていってね!!!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!!」 「おにーさんはゆっくりできるひと?できないならでていってね!!!」 「ゆー?きこえないの?ばかなの?しぬの?」 「そんなことよりおなかがすいたよ!!!ゆっくりもってきてね!!!」 「もうおこったよ!!ひっさつのたいあたりをおみまいするよ!!!」 「ゆっ!!!なにしてるの!!!はやくきたないあしをどけてね!!!」 「くるしいよ!!!ふんずけるのはやめてね!!!」 「ゆ~♪ゆゆ~♪おうたもうたえるんだよ!!!かわいいでしょ!!!」 「ゆっ!?くるしくなってきたよ!!!もうやめてね!!!」 「まりさにはこどもがいるんだよ!!!だからもうかえるよ!!!」 「ゆぐっ!?ほんとにやめてね!!!もう・・・なかみが・・・」 「くる・・・し・・・・ゆげぇぇぇ!!!」 「ゆふっ!!・・・ゆふっ!!ゆっくり・・・したけっかが・・・」 昼寝から目覚めるととゆっくりまりさが一匹家に中に入っていた 大方戸締りし忘れたとこから入ってしまったんだろう 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくり寝てたらお前が居たんだけどね 「ゆゆ~?ゆっくりしていってね!!!」 「ゆー?ゆゆー?ゆっくりしてね!ゆっくりしてね!」 「ゆっくりしたいよ!!!ゆっくりさせてね!!!」 ゆー!!ゆー!!ゆっくりくらってね!!!」 嗚呼、鬱陶しい足に纏わりつくな 踏みつけて押さえつけとくか 「ゆっ!!ゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆっ!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆっくりしていってね!!!」 まだまだ元気そうだな もう少し力を入れてみるか どの辺まで耐えられんるんだろうな? 「ゆっくりさせてね!!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆっくりしたいよ!!!おうちかえる!!!」 「ゆっ!?ゆっくりやめてよね!!!ゆっくり・・・でるよ・・・」 お、様子が変ってきたな餡子が集まってるほうが真っ黒に変色してきたな そろそろ来るのかな? 「ゆっ・・くり・・・・ゆげぇぇぇ!!!」 「ゆふっ!!・・・ゆふっ!!ゆっくり・・・したけっかが・・・」 結局何がしたかったんだろうなアレは それにしても床に何か敷いておくんだったな 掃除が面倒になりそうだ ~おわり~ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3133.html
注:いじめ成分が物凄く薄いです 注:ゆっくりが汚いです(うんうんやしーしー描写じゃ無く、精神的な物でも無く) 注:ゆっくりが現代の町で生きる物です 注:お兄さんは虐待鬼意山じゃないです 注:かといって愛で兄いさんでもないです 注:他の人のSSとネタが被ってる気がします 漫画喫茶から帰る途中、月を見ながら歩いている俺の耳に変な音が聞こえた なんだなんだ?と思って音の発信源に近づいてみる暇人な俺 その俺の目の前のゴミ捨て場に、ゆっくりれいむと、ゆっくりまりさが居た 中身が散乱したゴミ袋が周囲に散ばる中で何やらもぞもぞしている ゴミ漁りをしているのだろうか?町のゆっくりがするには珍しくも何とも無い行動ではある……のだが 「じゃまなごみさんはいらないよ!」 「そうだね!たべられないごみさんはゆっくりしないでどっかいってね!」 ………カラス以上にゴミを辺りにぶち撒けまくるなぁ しかも、事ある毎に大声で叫びやがる。今何時だと思ってやがるんだあいつら? 夜中の3時。草木も眠る丑三つ時である。寝てる人に迷惑をかけるな 昼にゴミ捨て場に来ると叩き出されるから、人が寝静まった夜に来る程度には知恵が回るみたいだが… 大声出しちゃ意味無いだろと。まあ、これも、町のゆっくりとしては珍しくもない行動ではある ……ゆっくりを対象とする条例を政府の人には作ってもらいたいものだ。ゆっくりに対してだけ非常に厳しい物を と、そんな事をつらつら考えながらゆっくりを離れた所から見ている俺 折角の連休を、こんな無駄な事に費やして良いのかしらん。家で寝てた方が有意義な気がする 「ゆゆっ!?あまあまさんがいっぱいはいってるよ!あかちゃんたちにももってこうね!」 「すごいねまりさ!おうちにかえってゆっくりたべようね!」 仲が良さそうだしあの二匹は夫婦かな?会話の内容から察するに子供も居るようだ ………うん?普通なら妻の方は巣で子供達の世話をしてるんじゃないのか? 巣を空にするとは子供達が危なくないか? と考えていると、疑問に対する答えが当の本人達から都合よく返ってきた 「ゆぅ……れいむ。おうちのあちびちゃんたちだいじょうぶかなぁ?」 「だいじょうぶだよまりさ!ねむってるかわいいおちびちゃんたちはあぶないめになんてあわないよ!」 …相変わらず謎思考全開だ まあ、ゆっくりの基本形の一つだから不思議ではな……ちょっと待てよ!? よく見るとあいつら……昼間にスーパーの前で物乞いして、バイトにぶん殴られたゆっくり達じゃないか! ゴミ漁りすると人間に殴られるから、昼の間は物乞いをする事にしたんだろうかな? しっかしそれにしても、バイトに箒で殴られて追い払われる時に子供も一緒に居たはずだけどなぁ それに、逃げる途中で子供が数匹車に潰されてたはずなのに……起きてる時は危ないけど寝てる時は平気って、どんな妄想力やねんと 一瞬ツッコミの声が出かけるとは…ゆっくりのボケは凄い物があるな 「そうだね!じゃあゆっくりかえろうねれいむ!」 「うん!わかったよまりさ!」 ん。どうやら巣に帰るらしい まりさの帽子の中にあまあまさん(千歩譲っても俺の目には食い物に見えん)を入れると跳ねて行く ぽいんぽいんと…本当に間が抜けた音を立ててるなぁ 生暖かい目で見ながら尾行しようとすると、唐突にゆっくり夫婦が止まった む?もしかして気付かれたか!?と一瞬体が硬くなった俺 だが、そんな事は無かった 「「ゆっくりかえったよ!!ゆっくりしないではやくゆっくりおきてね!」」 ゆっくり夫婦の一際大きい声。静寂な夜気を引き裂きまくりです 離れてる俺の耳もキーンと鳴るぐらい大きい……とても近所迷惑です 「ゆ……ゆゆ」 「ゆーっ…わかったよおかあさん!」 って!?何か出て来た!? 「ゆゆ…おかーしゃん、おかえりゅなさい…」 「おとうさんもおかえりなさい!」 目の前の自販機の裏から這い出てくる。なにかこぎたないの 昼間見た赤ゆっくりと子ゆっくりの生き残りだろうかね。しかしうすぎたない 赤ゆっくりが物凄く眠たそうにしてるのは、やはり赤ん坊だからか。それにしてもきたねーな つか、ゴミ捨て場からメッチャ近っ!ほんとうにきたないさすがきたない 「おかーしゃん…あまあまさんとってきてくれた?」 「かわいいおちびちゃんのためにとってきたよ!ゆっくりたべてね!」 「ゆー、まりさもゆっくりたべたいよ!」 「いっぱいあるからゆっくりたべてもだいじょうぶだよ!」 「ゆ!?それほんとう!?へぶんじょうたい!」 「「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!!」」」」 …………もしかして、ここが巣なのか? 自販機の裏だから冬になっても安心快適!なのは分かるし ゴミ捨て場が近くにあるから、餌の心配もしないで良いのは分かるけど…… 「朝になったら保健所に連絡しよう……」 そう心の中で固く誓いながら家に帰る俺であった。あー嫌なもん見ちまった <おわり>
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/656.html
※この作品は何もしていないゆっくりがナニでアレされます? やあ、みんな!元気かな? 俺は汚兄さん。またの名をHENTAIお兄さんだ! 最近のゆっくりたちって良く喋るよね? アレはアレで魅力的なんだけど、ああいう娘ばかり相手にしているとたまには喋らない娘としてみたくなるよね? そんなわけで今、俺は風のうわさを頼りに殆ど喋らないゆっくりを探しにやって来たんだ! 「ゆっくりしていってね!」 俺が森の中でそう叫ぶと各所から「ゆっくりしていってね!」という返事が帰ってくる。 更にすかさず「ゆっくりしたい子はこっちに来てね!」と言うとあっという間に17匹ほどのゆっくりが集まる。 「やあ、君たちはゆっくり出来る子かな?」 「「「「「そうだぜ、だからまりさに、プギャ!!」」」」」 「「「「「「そうだよ、だかられいむに、ユゲッ!!」」」」」」 「「「「「「ゆっ!ゆっゆっ!」」」」」 とりあえず、喋ることのできた個体の頭頂部に素早く指で突いて黙らせると、喋れない個体だけがその場で跳ね回っていた。 ただし、俺の喋れる子たちに対する行動を見たせいで少し怯えてしまっていて、中には泣き出す娘までいた。 「はっはっはっ!君たち、怯えることはないよ!お兄さんと一緒にゆっくりしよう!」 「「「「「「ゆ、ゆっくりしていってね!」」」」」」 「そうだね、ゆっくりしようね!」 その言葉を合図に俺はイチモツを覆い隠すもの全てを脱ぎ捨て法というからを破り捨て、蝶の如く自由に羽ばたいた! 正しく描写するならばズボンとパンツを脱いで、いきり勃ったムスコを露出させるとその場に座り込んだ。 「「「「「「ゆっ!?」」」」」」 はじめて見ると思しき人間のモノに喋れない娘たちは一瞬ぎょっとする。 けれで、いつも通り蜂蜜をたんまり練り込んでいるので、甘い匂いにつられて徐々に興味津々と言った表情になり・・・ 「ゆーっ」 やがて好奇心旺盛な1匹のゆっくりまりさが意を決して俺のムスコにしゃぶりついた! 「おおおぅ・・・!?」 やはりゆっくりの口は良い。この感触は何度体験しても挿入した瞬間にイきそうになる。 その行為が人間にとって何を意味するのかなどゆっくりに分かるはずもなく、甘いものを食べられる幸福を満面の笑みで表現しながら必死にしゃぶりついている。 「ゆーっ!!」 すると、その様子を見ていたまりさが今、モノを咥えているまりさを押しのけて、自分が甘いモノを独占しようとし始めた。 「しくじったな・・・」 よくよく考えて見れば、6匹もいるのではイチモツだけではあまりに数が少なすぎる。 しかし、それではお預けを喰らうゆっくりたちが可哀そうだ。 そこで俺は顔と胸と足の裏にズボンのポケットに入っていた蜂蜜を塗りたくった。 「さあ、これで喧嘩しなくて大丈夫だよ!」 僕が最高のスマイルを浮かべるとその意味をゆっくり理解したゆっくりたちは元気良く俺に殺到した。 「ゆーっ♪」 「ゆゆっ!」 「ゆぅ~♪」 一番大きなまりさはさっき強奪したイチモツを相変わらず咥え続けている。 その舌使いはなかなかにテクニカルで、俺のムスコははちきれんばかりに怒張していた。 足の裏を攻めるのは2匹のれいむだ。少しくすぐったいが一生懸命な姿は実に感動的。 胸部に舌を這いずりまわすのはれいむとまりさ。時々乳首を舐められるのだが、そのときの快感は言葉にしがたいものがある。 最後に顔を嘗め回しているのはゆっくりまりさ。舌と全身を巧みに使って俺をしゃぶり倒すその動きは実に官能的なものがある。 6箇所から絶え間なく与えられる快感は想像以上にすさまじく、数分後、俺はオーガズムを味わった。 ---あとがき--- これはゆっくりが喋らないことに何か意味があるのか? byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4760.html
「ゆっくりれいむ」 俺はめったに見かけない、胴付きのゆっくりれいむを飼っている。 理由は、炊事洗濯掃除等をやらせるためだ。一人暮らしなのでやる人間が自分しかいないのだ。 しかし、家のれいむは物臭なゆっくりらしく、洗濯も掃除も余りしようとしない。 毎日やるように言っても、 やらないので何度か、山の奥に捨てに行こうかと思ったが、 今も一緒に暮らしている。 「さーて、今日は風呂に入るぞ」 俺の言葉ににれいむは、びくっと反応した。 「な・な・ななにいってるのおにいさん、れれ・れれれいむはまだきれいだよ」 いくら風呂が嫌いだからって、 どもりすぎだろう。 「知るか、とにかく一緒に入るぞ」 「いやぁぁぁあ!!、おゆさんはゆっくりできないぃぃぃ!!!」 俺は、嫌がるれいむを引きずりながら風呂場に向かった。 一般人にたまに間違えて覚えている人間がいるが、 ゆっくりの全てが、水に溶けるわけではない。 ゆっくりにとりや、ゆっくりすわこ等は、溶けないどころか、 水中で生活できるし、その方が、生存率が高かったりする。 そして、胴付きゆっくりは、水に溶けにくかったりする。 胴付きゆっくりは、 体の表面に数mm程度の特殊な皮が形成されている。 この特殊な皮が耐水性をもっているらしい、 ちなみに、饅頭が人型でも崩れたりしないのもこの皮の為だとか。 だからと言って、毎日胴付きゆっくりを風呂に入れるのはまずい。 水に溶けないので、問題がないように思えるが、 実は、ゆっくりは体が腐らないように、 防虫防腐効果のある、物質を体の表面に分泌しているのである。 風呂に入ると、この物質も汚れと一緒に流してしまうのだ。 ゆっくりんぴーすとかいうゆっくり愛護団体の研究報告によると、 夏場に毎日、胴付きゆっくりを風呂に入れると、 一月で半身が腐ったゆっくりになるんだとか。 そんなわけで、れいむは風呂が嫌いで、 そんなわけで、俺は、れいむを風呂に入れるのは4日に一度にしている。 「あ~~~~、いいゆだよ~~~、ゆっくりできるよ~~~」 とは言え所詮ゆっくり、 風呂に入ってしまえば風呂嫌いを忘れたように風呂でゆっくりする。 「体は洗ってやったんだから、溶ける前に出ろよ」 俺が、れいむと一緒に風呂に入るのは、 そういう趣味があるからではなく、 れいむがゆっくりしすぎて、溶けるのを防ぐためである。 他意はない。 体を洗い終わった俺も、湯船に入った。 「ゆゆんゆ、ゆんゆんゆん、ゆ!ゆゆ~ん」 れいむはご機嫌そうに歌っている。 「ゆゆんゆ・・・ねえおにいさん、これなんなの?」 れいむは、俺のすね毛を掴みながら聞いてきた。 「これは、すね毛って言って、足を守るためにあるんだぞ」 「ゆ!すねげさんがあるとおにいさんはゆっくりできるんだね!!」 少し違う気もしたが、めんどくさいので、 「そうだぞ~、ゆっくりできるぞ~」 と、答えた。 ゆっくりを飼ってよかったことは、早起きになったことか、 朝5:00には、「ゆっくりおなかがへったよぉ」と、起こしにくるのだ。 どこのお年寄りだ。 今日も、朝早くに起こしに来た。 「おにいさんあさだよ。ゆっくりごはんつくってね」 自分で作れよこんちきしょうとは思うが、 もう一年近く同じよう名やり取りをしているので、諦めている。 「あ~まだ眠い」 働きに出るまで、約3時間ある、その分もう少し寝ていたいが、 飯を作るまで、れいむは起こし続けるし、 飯を作ったら、眠気は覚めていたりする。 なので諦めてさっさと起きる。 「ゆっくりおはようおにいさん」 「ん~おはろ~」 起きるとれいむがいつも通りすぐそばにいた。 いつものように、料理作るわけでもないのに、 エプロンをしている。 エプロンを着る時は、なぜか、いつもの巫女装束を着ない。 「はだかエプロンは、おにいさんがゆっくりできるよ!!」 とか、この間理由を聞いてもないのに言っていた。 俺をゆっくりさせるつもりがあるなら、ぜひもっと家事をしてもらいたい。 「さきに、いってまってるからゆっくりしないでごはんつくってね!」 「・・・あ~い」 冷蔵庫の中には、 パンとか調理しないでも食べれるものはいくらでもあるのに、 何でこいつは、わざわざ俺に朝飯を作らせるのだろうか? 台所のテーブルに行くれいむの後姿を見ながら思う。 それにしても、せっかくの裸エプロンも、 こいつでは、魅力は6割減といったところだろう。 あまり、肉付きが良くない体型だし、 ゆっくりだし、なんか表面がテカテカしてるし、 脚にすね毛がびっしり生えてるし、 すね毛? 「ほわぁぁぁぁ!!!!?!」 「ゆひぃ!?どうしたのおにいさん、わるいゆめでもみたの」 「今!現に!悪夢見てるよ!て言うか! お前がどうしたんだよ!こっちの台詞だよ! 何だよそのもっさりした脚!」 「?・・・!すねげさんのことだね! すねげさんがあるとゆっくりできるから、 きのうのよるにすねげのかみさまにおねがいしたんだよ!」 すね毛の神様がんばりすぎだろ、 俺だって誰かに頼られたりしたら、 張り切ってがんばったりもする事もあるさ。 「ゆゆ~んすねげさんとってもゆっくりしてるよ~」 きっとすね毛の神様も、 頼られて張り切っちゃったんだろうな、 何せ、すね毛だ。 『すね毛を生やしてください』 なんて極レアなオーダー、 きっと神生(?)初だろうよ。 今後あるとも思えない。 ダカラ、 レイムニ スネゲハエテモ シカタナイヨネ? 「なんて言うと思ったかこのやろぉぉぉ!!!!」 ブチブチブチブチィ 「ゆぎゃぁぁ!!」 俺は、れいむのすね毛を掴んでそのまま引きちぎった。 「なにするのぉぉぉ!! すねげさんがないと、おにいさんが「ゆっくりできねぇよ!!なんで俺が胴付れいむに、 すね毛が生えてないとゆっくりできない人間になってんだよ!! どんなHENTAIお兄さんだよ!! 上級者通り越して超級者の位置だよ!」 「おらぁ!ゆっくりできないすね毛はゆっくりしないで消えろぉ!」 ブチブチブチブチィ 「ゆぎゃああああ!ゆっくりできないぃいい!」 「ガムテープだぁぁ!まとめて抜けろぉ!」 ブチブチブチブチィブチィ 「れいむのすねげさんがぁぁぁ!!」 「オラオラオラオラ」 ブチブチブチブチブチブチ 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」 「オラ!」 「ユ!」 「」 「すねげさんがないとゆっくりできないよぉぉぉ」 部屋の隅で、泣き喚くれいむ、 部屋中に飛び散るすね毛、 飛び散って張り付いたすね毛まみれのガムテープ 地獄絵図だ。 と、こんなことしている間に、 もうそろそろ家を出ないと会社に間に合わない時間だ。 「れいむ!俺は会社に行ってくるからな!部屋の掃除くらい頼んだぞ」 朝飯は我慢しよう。食ってたら間に合わない。 あ~、疲れた。 朝飯食ってなかったし、 朝っぱらから暴れたので、いつもよりも疲れた。 「ただいま~」 朝、掃除しろと言ったのを、珍しく実行してくれたらしく。 家の中は片付いていた。 「ゆっ、おにいさん、かえってきたんだね」 居間には、巫女服に着替えたれいむがいた。 もうすね毛は生えていない。 すね毛は・・・ 「おにいさんのおかげでぜんぜんゆっくりできなかったよ。 でも、もう気にしてないよ、もっとゆっくりできる、 ふわふわさんがれいむに生えたんだからね!」 「・・・うん、その『ふわふわ』が何なのか一目みてわかったよ。 ありえねぇよ!何だよそれ! その腋毛?気持ち悪いよ! 生えてきたってレベルじゃねぇよ!もっさりしすぎだよ! 自分の頭ぐらいの大きさの腋毛玉なんて始めて見たよ! もっさりしすぎて、さっきから、 『人類は十進法(以下略)』のポーズしか取れてねえじゃねぇか! 俺が会社行ってる間何してたんだよ!腋毛の神様にお願いでもしたのか!」 「なにいってるのおにいさん?わきげさんはかってにはえて 「こないよ!腋毛は勝手に生えてこないよ、そんなには! こっち来い、そんな腋毛修正してやる!」 「やめておにいさん! そんなことしたらおにいさんがゆっくりできなくなるよ!」 どうやら、こいつは 毛が生える=俺がゆっくりできる という式を、確立したらしい。 証明もしてないのに。 だめだこいつ 早く何とかしないと・・・ ~あ~と~が~き~ 初期のゆっくりっぽいものを 書こうとしてたんだ。 書こうとしただけで終わったけど。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/409.html
「奇形ゆっくり」 雪もだいぶ解けた頃。 草原には、越冬したゆっくりの姿が現れ始める時期だ。 森の中を歩き続ける僕。 僕は、ある条件を満たすゆっくりを探している。 探しているのは、単体のゆっくりではなく、子供を連れたゆっくり一家でもなく、発情したゆっくりありす でもなく、ゆっくりれみりゃなどの捕食種でもない。 僕が探しているのは、お互いを愛し合ったカップルのゆっくりだ。 それも、既に交尾を済ませて妊娠初期の…そう、そのタイミングが一番“いい”。 越冬後の初春になると、冬を生きて越すことができた安心感のためか、それとも家族計画を考えているのか、 多くのゆっくりが交尾を行う。 草原には結構な数のゆっくりが顔を出し始めているから、そろそろだと思うのだが… 「ゆっ!?おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 すれ違うゆっくりには適当に返事を返しておいて、巣のありそうなところを手当たり次第に探していると… 「ゆぅ!!ゆっくりそだっていってね!!」 「ゆっくりいいこになってね!!」 狭い入り口から中を覗くと、ゆっくりれいむとゆっくりまりさのカップルがお互い寄り添っていた。 れいむの頭には3本の蔓が生えている。妊娠初期なのだろう、つぼみは固く閉じていてまだ子ゆっくりの 原型すら出来ていなかった。 ふむ…こいつらは、丁度よさそうだな。よし、こいつらにしよう。 そう決めると僕はこいつらを連れて帰るべく、ゆっくりに声をかけた。 「やぁ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?ゆっくりしていってね!!」 本能に刻まれた言葉を僕に返す2匹のゆっくり。 「お、れいむは妊娠してるのかな?」 「そうだよ!!もうすぐのれいむのあかちゃんがうまれるよ!!」 「まりさのかわいいあかちゃんがうまれるよ!!」 どうやら、ちゃんと望まれて生まれようとしている子供のようだ。 ひとまず安心した。そうでなくてはこれからの計画も、意味がなくなるからだ。 「よし、これから赤ちゃんが生まれる二人のために、すっごくゆっくり出来るところを用意してあげたよ」 「ゆゆっ!?ゆっくりできるところ!?」 「おにーさん!!ゆっくりあんないしてね!!」 これから親になるというのに、この馬鹿っぷりはいかがなものか。 毎度のことだが、こいつらが絶滅しない納得のいく説明がほしい。 「よし!!じゃあお兄さんについてきてね!!」 息が上がらない程度のペースで、家へと続く道を走る僕。 家まではそれほど遠くない。ジョギングのペースで走って10分ほどだ。 だから僕にとっては軽い運動でしかないのだが…どうやら、2匹のゆっくりにとっては違うようだ。 「おにーさん!!もっとゆっくりしていってね!!」 「おいてかないで!!もっとゆっくりあんないしてね!!」 普通のゆっくりなら決してついてこれないペースではないのだが、妊娠しているれいむは頭に生えた蔓が折 れないように注意しながら跳ねなければならない。 「れいむ!!ゆっくりいそいでね!!」 ペースの遅いれいむに付き添うまりさも、同様である。 「そんなにゆっくりしてると、ゆっくり出来るところがなくなっちゃうぞー!!」 「ゆゆーっ!!??いやだよ!!ゆっくりしたいよ!!」 「ゆっくりいくからまっててね!!れいむ!!もっとゆっくりはやくしてね!!」 どんなに急かしても、こいつらは一定のペース以上速くはならない。 これは…何か別の方法を考える必要があるな。 ちょっとばかり考えて、思いついたのは… 「おーい、まりさ!」 「ゆっ!?」 「まりさがれいむを後ろから押して手伝ってあげれば、早くゆっくりできるぞー!」 「ゆゆ!!おにーさん、あたまいいね!!まりさゆっくりてつだうよ!!」 さっきから2匹の様子を見てわかったのだが、れいむは蔓が折れないように注意してペースを落としている のに対し、まりさは単純にれいむに付き添っているだけ。蔓に注意を払っているわけではない。 つまり、まりさはれいむがゆっくりしている理由がわからないのだ。 ゆっくり出来るところがなくなる、という僕の言葉に焦りを感じるとともに、ペースを上げようとしない れいむに苛立ちを感じはじめるまりさ。 だから…後ろから押して手伝ってやれ、という指示にも簡単に従う。 「れいむ!!もっとゆっくりいそいでね!!」 「ゆぎゅううう!!まりさあああああああああやめてよねええええええ゛え゛え゛え゛!!!!!」 ぐいぐいと後ろから押していくまりさ。それでもペースを上げるわけにはいかず、必死に抵抗するれいむ。 だが、身重の体ではまりさを押し返すことは出来ない。 そのまままりさの力に押し負けて、ペースを上げることになってしまった。 「やだあああああああああ!!あがぢゃんできなぐなっぢゃううううううう!!!!」 「れいむ!!はやくゆっくりできるところでゆっくりしようね!!」 まりさはれいむの悲鳴を聞いてないのだろうか? これから生まれる赤ん坊すら気遣わないあたり、やっぱり頭の中が餡子なんだなぁ。 しばらくして、もう少しで家に着くというところに差し掛かると… 「まりざやめでよおおおおおお!!!…ゆぎゅ!?」 まりさに押されてハイペースで跳ねていたれいむが石につまづき、顔面から倒れ伏してしまった。 あ、これはヤバい、と思った。その角度と、そのスピードが。 ボキッ!! 3本の蔓のうち、一番細かった1本が折れてしまったのだ。 「ゆぎゃああああああああ!!!れいむのおおおおおお!!あがぢゃんがああああああああ!!!」 ゆっくりらしからぬ速さで起き上がって、折れた蔓のもとへ駆け寄るれいむ。 その後を、まりさがゆっくり追いかけた。 れいむは、滝のように涙を流しながら萎えた蔓を見下ろしている。 その後ろのまりさは、ばつの悪そうな顔をしていた。 最初は悲しみの震え…そして、その震えは怒りに変わった。 「ゆぐぐぐぐぐぐぐ!!!!まりざのせいだよ!!まりざがうしろからおしたからだよ!!」 「ゆぎゅ!?まりさはわるくないよ!!れいむがゆっくりしすぎたのがだめなんだよ!!」 へぇ、ゆっくりも夫婦喧嘩するんだぁ。 「あかちゃんがああああああ!!!れいむのあがぢゃんがあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆっ…れ、れいむのせいだよ!れいむがころんだから――― 「はい、そこまで!」 このまま見ていても面白そうだったのだが、殺し合いに発展する気配を感じたので仲裁に入る。 「今のはどっちも悪くないよ。たまたま、その蔓が細すぎたんだ。たぶん折れなかったとしても赤ちゃんは できなかったよ」 「ゆっ!?そうなの!?」 「そうだよ。だから、残りの2本を大事にすれば良いのさ」 「ゆゆ!!わかったよ!!れいむのあかちゃんだいじにするね!!」 「まりさのあかちゃんゆっくりさせてあげるね!!」 あー、⑨でよかった。 2匹の仲直りは済んだので、すぐそこの自分の家に案内する。 玄関から入っていく2匹は、終始寄り添ったまま離れようとしなかった。 2匹を専用の部屋に案内し、準備を済ませると僕も2匹と同じ部屋に向かった。 僕が抱えているのは、最近幻想入りしたという毒入りギョーザと、2リットルペットボトルに入った廃油だ。 「おーい、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしてるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 先に与えておいたお菓子を食べつくして、2匹は文字通りゆっくりしていた。 れいむが妊娠している以上、昔のように跳び回って遊ぶことは出来ない。 2匹にとっても、今までのように跳びはねるより、寄り添いあってゆっくりしてる方が満足できるのだろう。 ギョーザとペットボトルが視界に入るやいなや、跳ね寄ってくる2匹。 「ゆゆ!?それはなに!?」 「ゆっくりできるもの?ゆっくりできるならまりさにちょうだいね!!」 おお、食いついてきた。そうでなくちゃ困る。 「これはね、栄養価の高い食べ物だよ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむに食べてもらおうと思ってね。 これを食べれば、元気でいい子な赤ちゃんがたくさん生まれるよ!」 餡子脳にも理解できるように、説明は怠らない。 すると、期待通りれいむが食いついてきた。もう期待通り過ぎて怖いぐらいだ。 「ゆゆ!!れいむたべるよ!!さっさとそれをゆっくりちょうだいね!!」 「わかったわかった。まりさも食べるか?」 「まりさはいらないよ!!ゆっくりれいむにあげてね!!」 さっきのことを少しは反省しているのだろうか、それとも夫(?)としての自覚が芽生えてきたのか。 僕としてはれいむが食べてくれさえすればかまわないので、ギョーザを適当に床に置いて、大きい器に廃油 を移し替えた。 「むーしゃむーしゃ、しあわ…せ…?」 一口食べて、早速異変に気づいたらしいれいむ。 「おにーさん!!これすっごくまずいよ!!こんなのたべられないよ!! こんなものをたべさせるおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 「わがまま言うなよ。元気な赤ちゃんが生まれなくてもいいのかい?」 「ゆぎゅ……がまんしてたべるよ…!」 赤ちゃんのため、って言っておけば大抵のことは我慢できそうだな、このれいむ。 眉間にしわを寄せて、いかにも不味そうな顔をしながら、ギョーザをちびちびとかじっている。 ダイオキシンとか、タリウムとか、メタミドホスとか、かなりヤバイ代物らしいんだが、体調には変化はな さそうだ。 実は、毒に対してはかなり耐性があるのだろうか? 「れいむ!!ゆっくりがんばってね!!あかちゃんのためにがんばってね!!」 毒入りギョーザを栄養食か何かと勘違いしている2匹。 まりさは、不味そうにギョーザを食べているれいむを応援している。 そのあと、いろいろヤバそうなものが浮いてる廃油にもれいむは口をつけた。 「ゆぎゅ、まずい……でもあかちゃんのためにがんばってのむよ!」 「ゆゆゆ!まりさもてつだってあげるね!!」 何を思ったのか、自らも廃油を飲みだすまりさ。 お前が飲んだら意味ねーだろ(笑) 目の前の不味い飲み物がなくなればいいとでも思っているのだろうか? さすが餡子脳。僕の予想の斜め上を常にキープしている。 そんなこんなで、3日間。 蔓には、少しずつ子ゆっくりの原型らしきものが現れ始める。 僕はすでにその異変に気づいていたのだが、2匹のゆっくりは気づかない。 出産自体初めてなのだろう、こういうものなんだ、と納得しているようだ。 そして。 いろいろヤバいものを体内に取り込んでいったれいむだったが、ついに…その時が来た。 出産のときである。 部屋の真ん中に陣取ったれいむ。 それを少し離れた所から、不安そうに見守るまりさ。 2匹の数週間の愛の結晶、そして僕の“3日間の努力”の結果が…今、目の前にその姿を現そうとしている。 小刻みに震えだしたれいむ。その時が近づいているのだろう。 最初は堪えていた声も、だんだん我慢できなくなってきたらしい。 「ゆ……ゆ…ゆゆゆゆ…!!」 プチッ! ぽとっ 一匹目のゆっくりの誕生である。 「ま、まりさのあがちゃんがうまれたよおおおおお!!!」 「れいむのっ、れいむのがわいいあがちゃんんんんんんんんんん!!!!」 遠くから見守ると決めていたまりさも我慢できなかったらしい。 赤ちゃんが生まれた嬉しさのあまり、すぐに生まれたての赤ん坊のもとへと跳ねてきた。 その時点で、2匹は初めて“異変”に気づいた。 「ゆ゛……ゆ゛ぐり゛……ぢででね゛……!!」 「なんなの!!このごおがしいよ!!!おがしいよおおおお!!??」 「ゆぎゃあああああああああああ!!??へんだよっ!!へんながおだよおおおおお!!!!」 このゆっくりには、口と呼べるものがなかった。 正確には、口のなり損ないのような…上唇と下唇がところどころ途切れながら癒着しているのだ。 だから、言葉を発しようとしても『ゆっくりちていってね!!』とはならない。 プチッ! ぽとっ 二匹目の誕生。れいむ種である。 今度こそまともな子供が生まれてほしい…そう願うれいむとまりさ。 しかし、そんな願いは無残にも打ち砕かれた。 「ゆっくりぃちていってにぇ……ありぇ?うごけないよ?!」 二匹目の赤ちゃんは、言葉は比較的しっかりとしていた。 しかし、この赤ちゃんには致命的な欠陥があった。 饅頭らしい弾力性が殆どなく、中身が液体のようにドロドロしているのである。 簡単に言えば…そう、やわらかすぎるのだ。 これでは、自由に弾力性を利用して跳ね回ることは出来ない …この赤ちゃんは、一生自力では動けないだろう。 「ゆっゆっ!!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 異常に気づいたまりさが赤ん坊を手伝おうとするが、無駄なことだった。 「ゆっ…ゆっ…うぅ、うごけないよおおおおお!!うわああああああんん!!!」 「ゆぅ!!ゆっくりしていってねええええええ!!!」 自力で動けないことに絶望する赤ちゃんゆっくり。 そんな子供を目の前にして、どうしたら良いのか分からず泣き喚くまりさ。 それを遠くから見ているれいむの顔には、疲れの色が見え始めた。 プチッ!! ぽとっ 三匹目。 「ゆっくりちていってね!!…ゆゆっ!?くらいよ!?おかーさんどこおおおお!!??」 駆け寄ったまりさは絶望した。 その赤ちゃんゆっくりには…目がなかったのだ。 「おかーさんはここにいるよ!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?みえないよおおおおお!!まっぎゅらだよおおおおおおおお!! おがーざあああああ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!!!!ゆッぐりじゃぜでよおおおおお゛お゛お゛!!!」 大声で泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくりを宥めようと、まりさが頬を摺り寄せるが… 「ゆぎゃ?!なに!?なにかぶつきゃったよ!?なんなの!?わがらないよおおおおお!! ごわいよおおおおおおおおお!!だじげでよおおおおおおおおおお!!??」 「こ、こわくないよ!!おかーさんだよ!!ゆっくりなかないでね!!!」 どんなに宥めようとしても、赤ちゃんゆっくりは泣き止まない。 そして、四匹目、五匹目…と順番に生まれていく。 生まれつき音の聞こえないもの。 硬すぎて跳ねることのできないもの。 「ぎょぎょぎょ」と気持ち悪い声を発しながら、芋虫のように這うもの。 目を覚ましても蔓から離れられず、終いには頭が破れてしまうもの。 十匹生まれれば十通りの奇形ゆっくりが生まれた。 赤ちゃんゆっくりにならずに、緑色の実のままの状態で落ちたものの方が幸運だろう。 その幸運すら、この一家にはなかった。 さっきまで、生まれてきた子ゆっくりと思う存分ゆっくりすることを思い描いていた親ゆっくり。 皆で草原をお散歩したり、水辺でゆっくりしたり、巣の中で固まって眠ったり… 畑のものを食べたらゆっくりできないよ、と教えてあげたり… いろんなことをしたかった。いろんなゆっくりをしたかった。 でも、それができない。この一家は、できないのだ。 そして、そんな一家を見てると僕は性的興奮に似た絶頂を覚えるのだ。 「さて、と…」 僕は次の準備に取り掛かる。 奇形赤ちゃんゆっくりに囲まれ、未だ泣き止まない親2匹に声をかける。 「やあ、赤ちゃんはかわいいかい?」 「ゆぐっ…へんだよおおおおおお…がわいぐないよおおおおおお……!!」 そりゃあな、僕だって見てて気持ち悪いもん。 でも、自分の赤ちゃんを“かわいくない”なんて言うなんて、困った親だなあ。 「そうかそうか、かわいくないか。じゃあ捨てちゃおう」 そう言って、目のない赤ちゃんゆっくりをピンセットでつまみあげる。 目の見えないゆっくりにとっては、その浮遊感は恐怖にしか繋がらないらしい。 「なに!?へんだよ゛!?ういでるよおおお!!??ごわいよおおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「おにーさんなにするの!?あかちゃんをゆっくりはなしてね!!」 まりさが僕に体当たりしてくるが、さすがゆっくり、全然効果がない。 むしろ、その弾力が気持ちいいくらいだ。 「だってかわいくないんだろう?だったら捨てちゃおうよ!」 「やめでよおおおおおお!!!がわいぐなぐでもまりざのあがぢゃんなのおおおお゛お゛お゛!!」 “かわいくない”ってところは否定しないのかよ(笑) 「かわいくないなら捨てちゃうよ!!ポイ!!」 鼻をかんだティッシュを捨てるように、赤ちゃんゆっくりをゴミ箱に放り込んだ。 ゆうううぅぅぅ、と悲鳴を上げながらゴミ箱の底に落ちていく、盲目ゆっくり。 底に溜めてある熱湯に突っ込んだそいつは… 「ゆぎゃあああああああ、あづいよおおおおおおおお!!!!みえないよおおおおおお゛!!!! ゆっぐりできないよおお゛お゛お゛お゛お゛!!!あがーぢゃんだじげでええええええ!!!!」 そんな悲鳴も、十数秒すると熱湯の中へ消えた。 「さーて、次はどいつにしようかな♪」 「もうやめでよおおおおおお!!!あがぢゃんずでないでええええええ!!!」 「えー、だってかわいくないんだろー?」 「おねがいじまずううううううううううう!!! れいむのあがぢゃんだずげでぐださいいいいいいいいいいい!!!」 子ゆっくりを片っ端から捨てるのも楽しいが、そこまで頼まれたらしょうがない。 僕は妥協案を提示することにした。 「…わかった。じゃあこうしよう!」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせる、親ゆっくり。 しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。 「れいむとまりさが赤ちゃんを一匹だけ選んでね!!その子だけは助けてあげるよ!」 「ゆううううぎゃああああああどおじでえええええええ!!??」 「どおじでそんなごといいうのおおおおおおおおおお!!??」 「選ばないと、全員捨てちゃうよ!!ゆっくりしないで選んでね!!」 「ゆぐっ!?」 選ばないと…子供が全員殺される。 それだけは避けようと、2匹は唯一の生き残りとする赤ちゃんを選ぶべく、辺りを見回す。 「おがーちゃん!!まりしゃをえらんでね!!」 「れいむしゅてられたくないよ!!ほかのこをすててね!!」 「ちにだぐないよおおおお!!おがーぢゃあああああん!!」 喋ることのできるものは、その言葉で親の気を引こうとする。 言葉を発せないものは、その目で親に訴えかける。 精神すらまともでないものは、何が起きているかも感知していない。 「早く選ばないと、全員捨てちゃうよ!!」 「ゆゆっ!!やめてね!!すぐえらぶからね!!」 そして、2匹の親ゆっくりが選んだのは…二匹目に生まれた、動けないゆっくり子れいむだった。 「どおじでええええええ!!??」 「なんでそのごなのおおおおお!!??」 「そのごはうごげないごだよ!?うごげるれいむをえらんでね゛!!」 選ばれなかった子ゆっくりは、たまったものではないだろう。 自由に動けるものは必死に母ゆっくりにすがろうとするが… 「ごめんね!!あのよでずっとゆっくりしてね…!!」 れいむは涙ながらに駆け寄った奇形子ゆっくりを跳ね飛ばした。 うまい具合に僕の足元に転がってきたので、そのままピンセットでつまみあげる。 「ゆぎゃあああああ!!!はなじでよおおおおお!!!」 「ごめんねー。でもお母さん達が、君たちの事かわいくないって言うからさー」 「ゆゆぅ!?れいむかわいいよおおおお!!!かわいいからすてないでねええ゛え゛え゛え゛!!」 そんな叫びも、ゴミ箱の中へ吸い込まれていった。 2匹の親ゆっくりは、自分達が選んだ一匹の子れいむを挟み込んで守っている。 悲しみと絶望に震えながら、唯一生き残るであろう子れいむを、しっかりと守っている。 「はーい、じゃあ君達はゴミ箱行きでーす!恨むならお母さんたちを恨んでくださいねー!」 「いぎゃああああああああああああああああ!!!!」 ぽいぽいとゴミ箱に放りながら、全体に聞こえるように呟く。 「あーあ、お母さんが、あんな毒入りギョーザと食べちゃったから」 「ゆっ!?」 「お母さんが、あんな汚いものを飲んだから、赤ちゃん皆かわいくなくなっちゃったよ!」 「なにをいっでるのおおおおおおおおおお!?」 「お母さんのせいで、皆気持ち悪くて汚い赤ちゃんになっちゃったよ!」 「おかしいよ!!ゆっくりせつめいしてね!!」 「ギョーザと飲み物にはね、危ないものが入ってたんだよ!!本当は食べちゃダメだったんだよ!」 そこまで説明して、やっと理解したらしい。 母体であるれいむは…自ら汚染物質を体内に取り込んだ。 それは子ゆっくりにも蓄積されていき、結果として奇形ゆっくりが生まれた。 やっと。やっと理解したのだ。 親ゆっくりも…そして、子ゆっくりも理解した。 自分がこんな酷い目にあっているのは、母親であるれいむのせいであるということに。 僕は心無い言葉を子ゆっくりに浴びせながら、次々とゴミ箱に放り込んでいく。 「おがーぢゃんのせいだあああああああああ!!!!だずげでええええええ!!!」 「はーい、お母さんがあの子を選んだので、皆あの世行きでーす!」 「おがーぢゃんなんがしんじゃえええええええええ!!!」 「その前に死ぬのはお前らでーす!!あの世でゆっくりしていってね!!」 「おがーだんだじげで!!みでないでだずげでよおおおおおおおお!!!!」 「お母さんはあの子を選んだので、君は助けてもらえません!!ゆっくり死んでね!!」 母ゆっくりを罵倒しながら、ゴミ箱の中へと消えていく子ゆっくりたち。 その言葉の暴力に、れいむとまりさは震えながら耐えている。 「ごめんね!!……あのよでゆっくりしてね…!!」 そして、選ばれた子ゆっくりを除くすべての奇形ゆっくりが…ゴミ箱の中でお汁粉に変わった。 一旦ゴミ箱を片付け、再び部屋に戻ってくる。 親子3匹がいるほうを見ると、どうやら最後の生き残りである子れいむが、両親を罵倒しているらしい。 「おがーぢゃんのせいでじぇんじぇんうごけないよ!!ゆっくりあやまってねええええ゛え゛え゛!!」 本当はすぐに飛び掛って噛り付きたいのだろうが、やわらかすぎて動けないので、それもできない。 その上、2匹の親ゆっくりの返答も酷いものだった。 「お、おかーさんは悪くないよ!!おかーさんはわるいものたべてないよ!!」 「そうだよ!!かわいくうまれてこなかったれいむがわるいんだよ!!」 「ゆぎゅううううう!!?どおじでぞんなごどいうのおおおお゛お゛お゛!!??」 生後10分で親子喧嘩か。すごいもんだな、ゆっくりって。 「はーい、そこまで!」 この前と同じように仲裁に入る。 「いいことを教えてあげるよ。二人の親のどっちかが死んで子れいむの食べ物になれば、子れいむは動ける ようになるよ!」 「ゆぎゅ!?ほ、ほんとうなの!!?」 それは親ゆっくり2匹にとって、衝撃であろう。 どちらかが犠牲にならなければ、目の前の子は一生動けないままゆっくりしなければならない。 親2匹は…どちらが犠牲になるか、選ぶことが出来るだろうか? 「どっちが食べ物になるか、ゆっくりしないで決めてね。ゆっくりしてると、手遅れになるよ!」 「ゆぎゅ!?それじゃれいむがあかちゃんのたべものになってね!!まりさはしにたくないよ!!」 急かされたせいか、焦ったまりさが思わず本音を漏らしてしまった。 となれば、二人の“ジョーカーの押し付け合い”はもう止まらない。 「どうして!?まりさがたべものになればいいよ!!れいむはあかちゃんうんだんだよ!?」 「れいむはあかちゃんうむだけで、ぜんぜんたべものとってこなかったよ!! やくたたずのれいむは、ゆっくりたべものになってね!!」 「おがーぢゃん!!げんがはやめでよおおおおおおおおお!!!!」 これが人間だったら恐ろしい会話だが、ゆっくりの場合だと笑えてくるから不思議だ。 さて…そろそろフィニッシュといこうかな。 「そうか、どっちも食べ物にならないなら…赤ちゃんが死ねばいいよね!!」 そう言って拳を振り上げ… 「やめでえええええええええええええええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「あがぢゃんにげでねええええええええええええ゛え゛え゛え゛!!!」 親2匹の絶叫とともに… グシャッ! 最後の奇形ゆっくりは、ただの潰れた饅頭になった。 「どっちも食べ物になってくれないなら、赤ちゃんは死ぬしかないよね!! だって、動けないままゆっくり生きていけるわけないもんね!!」 2匹は震えている。 「どうしたの?助けたかったの?でも食べ物になるほうを決めなかったよね。 助けたかったのに早く決めなかった二人が悪いんだよ!!」 それを聞いた2匹の、震えが…止まった。 そして… 「がああああああああああああ!!!???れいむのぜいだああああああああ!!!」 「まりざのぜいでじょおおおおおおお!!?まりざがたべものにならないがらああああ!!!」 2匹は、鬼のような形相で責任の押し付け合いを始めた。 「れいむのぜい!!ぜんぶれいぶがわるいの!!!ばかなれいむはゆっくりしね!!」 「ゆぎゅうううううう!!まりざがあがぢゃんだずげながったのがわるいの!!ゆっくりしんでね!!」 「ごろじでやるっ!!おおばがれいむなんがゆっぐりじね!!」 「まぬけなあほまりざは、ゆっぐりあのよであがぢゃんにあやまってね!!」 僕は外に通じるドアを開けておき、2匹を放っておいて自室に戻ることにする。 2匹の騒ぐ音がうるさいので、音楽を大音量で流してくつろぐことにした。 翌日。 2匹がいたはずの部屋を覗いてみると… そこにはゆっくり一匹分の餡子が、部屋を中心として放射状にブチまけられていた。 原形をまったく留めておらず、毛髪や飾りも残っていないので、れいむとまりさのどちらなのかわからない。 僕としては…できれば、れいむのほうに生き残っていてほしい。 あいつがまた子供を作れば、また奇形が生まれるに違いないからだ。 できれば、そうあってほしいな。 だってその方が、ロマンティックだろう? (終) 続く? あとがき 虐待スレ10の 340前後を見て、勢いで書いた! まともに読み返してないので、誤字とかあるかも!! 後悔はしてな・・・・・・いや、半分ぐらい後悔してる! でも、自分が読みたいものが書けたからOK! ゆっくり読んでくれてありがとう!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/791.html
以前大福を作った際余った餡子となんとなく買った生クリームを混ぜたことがある すると意外と美味だった訳だよ。 大体2 5くらいかな?みんなも暇があれば試してみるといい。 凍らせるのもいいぞ、見事なアイスクリームに代わるから。 「「ゆっくりしていってね!!」」 待ってましたと言うように出てきたゆっくりれいむとゆっくりありすと赤ゆっくり4匹。 この組み合わせは珍しいな・・・とそんなのどうでもいい。 問題なのはこいつらが俺の家に勝手に入ってきたことだよ。 人の家に勝手に入り込むなぞ外道め、成敗してくれる 「ゆゆ!おにいさんはだあれ?ゆっくりできるひと?」 れいむは不思議そうな顔でこちらを見つめる。 赤ゆっくりもこちらに気がついたようで徐々に騒ぎ始める。 「ゅゆ!おにいちゃんはゆっくちできりゅひちょ?」 「おにぃちゃんもゆっくちちようね!」 「ゅゅー!」 ぅう・・・五月蝿い。 こいつらの鳴き声を聞いてると頭に血がのぼる。 しかし・・・これはチャンスよ! れいむの中身は餡子!ありすはまぁ・・・カスタードだが・・・いいか。 「よーしそれじゃゆっくりしようか、その前に」 僕は親れいむと親ありすを抱え込む。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「とかいはのありすにしてはひくすぎるけど・・・しかたないからがまんするわね!」 「おかあちゃんだけぢゅるいよ!れいみゅもゆっくちちたい!」 いちいち騒がないで欲しいなぁ・・・これだからゆっくりは・・・ しかし、この親ゆっくりは茶番よ! こんな年老いたようなゆっくりなんぞを食べる気にはなれんね! 「じゃあお母さん達とお兄さんはおかしをつくるから君達はゆっくり待っててね?」 『お菓子』。 この言葉を聴いただけで赤ゆっくりだけでなく親も目を輝かせる。 「おかち!?おにいちゃんはやきゅゆっくちおかちちょうだいね!」 「おかあちゃんがんばっちぇつくっちぇね!」 「ゆゆ!おにいさん!れいむたちにもおかしをちょうだいね!」 「ああ、無事作れたらあげるともさ!」 早く潰したい、その気持ちを今はぐっとこらえて台所へ向かった。 「おにいさん!れいむたちおなかへったよ!ゆっくりおかしをつくってね!」 「とかいはのありすはゆっくりまってあげる」 いやぁ、本当にゆっくりは他人任せだなぁ。 たまには苦労するということを教わるのもいいだろうよ。 「そぉい!!」 ベチャッ。 二匹の断末魔は聞こえることなく、第一作業終了。 餡2:カスタード5の割合でいくから・・・このくらいか。 僕は出来上がったものをリビングへと持っていった。 ※余ったカスタードはあとでスタッフが美味しくいただきました※ 「ゅゆ!おにいちゃんだ!」 「おかちおかちー!!」 俺の姿を確認すると真っ先に飛び出してくる赤ゆっくりたち。 「・・・ゅ?おにいちゃん!おかあちゃんたちはどこ?」 今すぐこれだ、といったら食べてもらえないから適当にスルー。 「さぁみんな!これが今日のおやつだよ!!」 小さなお皿に盛り付けされたクリーム。正直色は微妙だが、味は確か、確認済みだ。 「ゅー!!」 皿を前に出してやると、真っ先に飛びついてくる。 「・・・ゆ!!あまーい!!おいちいよおにいちゃん!!」 「うっめ!これめっちゃうっめ!!!」 「ちゅっきりー!!!」 「ちょかいはのありちゅにちてはまだまだね!!」 よしよし大好評この上なし。 赤ありすの言動に少し腹は立ったけど。 赤ゆっくりたちがある程度食べ終えたところでいざカミングアウト。 「おや?お母さん達が戻ってくるよ!みんなでほめてあげなきゃね!」 「ゆ!?おかあちゃんがつくったんだもんね!ゆっくりほめてあぎぇるよ!」 「「「「ゆっくちほめりゅよ!!」」」」 子供たちも嬉しそうだぜ母さん達よ。 俺は台所から持ってきたさ。 お母さん達の抜け殻をなっ! 「ほーらおかあさんたちも嬉しそうだぞっ☆ゆっくりしていってね!(裏声)」 ・・・あれ? おかしいな、この後家族で和気藹々となる光景が目の前に現れるはずだったのに。 今見えるのは徐々に青ざめていく赤ゆっくりの姿で・・・ 「「「「おがぁ”あ”ぢゃ”ああ”あ”あ”あ”ぁ”ん!!!!」」」」 一気に大量の涙。あれれー? 「おがぁじゃんになんでごどすりゅのぉお!!!」 「おにいぢゃんはゆっぐぢでぎないひどだよ!!ゆっぐぢぢね!!」 「人聞きの悪い!お母さん達を食べたのは君達じゃないか!!ゆっくりしぬのは君達さ!ハハハハハ」 少し壊れてきた。俺がね。 「それに君達は勘違いをしているっ!俺はお母さんを殺したわけじゃない! お母さんは君達においしいおかしをあげるためにしんだのさ! 俺は何もやってないぞ!?無実のお兄さんを虐める君達は悪い子だ! 悪い子には恒例の・・・お仕置きタイム!」 ながーいセリフを言い終えた僕はボウルに赤ゆっくりを放り込む。 「い”やだぁああ!!!ゆっくちちたい!!ゆっくちちたいよぉおお!!!」 「ありちゅはわるくないよおおお!!!どおじでごんなごどするのぉおお!!??」 「おがあぁあぢゃぁあああん!!!だづげでぇええええ!!!」 「やめろー!やめてくれー!しにたくなーい!しにたくなぁああああぁああい!!!」 1匹のれいむが豹変したがまぁいいさ。 赤ゆっくりはれいむ3匹、ありす1匹とカスタードが足りなくなったがそこいらはさっき余ったカスタードで補おう。 「いでよ!ハンドミキサー!スイッチON!」 僕はハンドミキサーのスイッチを入れた。勿論強さはMAXの5。 「びっぶうっぶぶぶぶぶぶおlgじょいびあ!!1」 「gyぐggyぐぐうfllだlだあかがあだ」 「びぇllbぇdぁだぁっぁdkっだぐっがglがあ」 「ゆうびゅあbっびゅゆゆゆゆgっぐちdyぎゅだいあがったよ!!!」 ちゃんとした言葉を話す暇を与えることなく混ざり終わった。 ためしに味見してみる。 「おお!流石赤ゆっくりはとろみが効いてて美味い!美味いぞ!!!」 これは・・・近い内商品化の話を加工所に持ち出す必要があるぞ!! そんな思考が頭をよぎった僕は急いで身支度をはじめた。 勿論、そんな安易な発想で作られた商品は既に発売していたとさ。 「ゆっくりした結果がこれかよ!!」 お兄さんは激怒したとさ。 終 ______________________________________________________ あとがき 知ってる人は少ないとは思いますが前にゆっくり大福を作ろうとした馬鹿です。 その後の体験をゆっくりに持ち込んでみました。 これを書いてる初めありすの中身を生クリームと勘違いして・・・・ 仕方ないのでカスタードでもいけるだろうと無理矢理通した作品です^^; 材料が揃ったので時間が空けばもう一度ゆっくり大福を作ろうかとも考えています。 勿論気まぐれでただの大福だけ作って食べる、なんてことも・・・・むしろそっちのほうが可能性高い。じゅるり。 では、最後まで読んでさった方、本当にありがとうございました! 代表作(?) ゆっくり大福 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2803.html
交通安全ゆっくり 罪の無いゆっくりが死にます 道具として利用するだけで、プレイとしての虐待は薄めです 自動車が出てきます。時代背景・世界観は適当に想像してください その日は残業で疲れていたのもしれない。 早く帰ってゆっくりしたい。そんな気持ちが自然とアクセルを強く踏ませた。 具体的には何時からかわからない。しかし私は眠ってしまっていたのだろう。 その事に気づいたのは、もうどうにも成らない速度で急カーブに突っ込む直前であった。 「し、しまった・・・うわー!!」 「ぐっ!ぐるなあぁぁぁ!!」 「こっちこないでね!あっちにいってね!」 「はやすぎるよぉぉぉー!!ゆっくりしてよぉぉぉー!!」 「ゆぎゃぁあぁぁっぁ!!」 「いっ、いだ・・・ゆべしっ!!」 「ぶぺっ・・・パーン!ぶち!ブチ!ブチ!ぷち!プチ!プチィ!」 「ぷち・・・ぷち・・・」 「・・・!?生きてる・・・助かったのか?」 「ゆっ・・・ゆぐ・・・ぢ、ぢにだぐ・・・」 「だずげ・・・あんごばぼでづ・・・」 「ゆっぐりぢだげっががごでd・・・」 「危なかった!ゆっくりが無かったら即死だった」 ★開発秘話★ 時は暫く遡る。 近年急速に普及した自動車により流通や遠距離の交通手段が劇的に進歩を遂げた一方、 自動車による交通事故の増加が深刻な社会問題となっていた。 既存の交通手段とは異なる新しい乗り物に対応する為、新しい安全対策が必要となった。 道路の整備や交通規則の制定が急務とされたが、問題となるのはその規模である。 短期間で効果的な対策を施すには膨大な予算と人的労力が必要となる事は明白であった。 安価にて、短期間に構築可能で、耐久性・安全性に優れ、効果的な安全対策器具の開発。 これら困難な課題に対して開発者は日々頭を悩めていた。 そこで開発者が注目したのが「ゆっくり」である。 大量に発生し、減らしても直ぐに復活する繁殖力を持つこの不思議な物体の有効活用方が 無い物かと日頃より様々な研究がなされていた。 このゆっくりを利用して交通安全に有効な対策を打ちだせれば、余っているゆっくりの 資源有効利用と人命保護が同時に可能となり、大幅な予算の節約が出来る。 しかし、その開発は決して平坦な道のりであった訳ではない。 ここでは開発者が苦心の末に生み出した交通安全ゆっくりの秘密に迫ってみよう。 ★ガードレールゆっくりの秘密★ 最初に開発されたのが、ガードレールゆっくりである。 当初は金属製のガードレールが試作されたが、加工が難しく大量生産が困難である事と 金属では衝突時に危険と言う事でゆっくりを原料に使用するプランが浮上した。 制作方法は、特殊な薬品で防水加工を施したゆっくり同士をワイヤーでしっかり固定し、 ネット状に展開して金属の支柱に固定するのだ。 ゆっくりが緩衝材となり、衝撃を吸収する事と、完全には固定されていないので 変形して柔軟に衝撃を吸収できるのが利点である。 まず、ゆっくりの柔らかさを利用して、衝突安全性を向上させる狙いがある。 車が接近すると、衝突の恐怖でゆっくりが硬くなり汗をかく。 恐怖で硬くなったゆっくりが、衝撃を周囲のゆっくりへ伝える事で、 点ではなく全体へエネルギーを分散する事が可能と成る。 また、表面が汗で滑る事で衝突のショックを分散しつつ、ネットが変形して包み込む。 衝突の痛みでゆっくりの固形化が解除され、外圧が限界に達すると変形が始まり、 車と乗員のダメージを受け流す。 衝突の衝撃で内臓餡子が急激に撹拌され、運動エネルギーを吸収しつつ 熱エネルギーに変換する。 最後は破裂し、エネルギーを放出する事で衝撃を緩和する。 ガードレールと言うよりはタイヤバリアの機能も兼ねている。 しかし材質に使用されているゆっくりの性質が衝突時の恐怖で変化する為、 進入角が浅い場合などは硬質化して汗で滑って跳ね返すなど、 状況に応じてガードレールとタイヤバリアの両方の性質を持っていると言える。 ★エアバックゆっくりの秘密★ 次に、乗員保護の観点から車に搭載するエアバックゆっくりを見てみよう。 最近の車には殆ど、このエアバックゆっくりが搭載されている。 これは赤ちゃんサイズのゆっくりがハンドルに内蔵されているのである。 衝突の衝撃や、急激なブレーキを検知すると、特殊な薬品が注入される。 この薬品はゆっくりの時間を加速し、ゆっくり出来なくし、急激に成長させる。 活性化され急激に成長する餡子脳は一時的にその働きを高める事になり ゆっくりにとっては周囲の時間が非常にゆっくりして見えると言う。 無論、実際の時間では1秒にもみたない一瞬であり、その感情や思考を 周囲の者が認識する事は出来ない。 急激に成長したゆっくりは、ハンドルを突き破り、外に飛び出す。 急成長の副作用で、内部の構造はスポンジの用にスカスカであるが、 この構造により乗員の衝突時のショックを吸収する事が可能である。 衝突時に内部の細かい気泡の様な空間が弾けて潰れる事でクッションとなり、 ドライバーを優しく受け止める事ができる。 万一はじけ飛んで口に入っても、そのまま食べられるほど安全な素材で出来ている。 緊急時には非常食として食べる事も可能だが、 長期間ハンドル内で熟成している為、食用には向かない。 ★ゆっくり達の一生とその働き★ -ガードゆっくり編- 「ゆっくりしていってね・・・」 「ゆっくりがんばろうね」 まりさとれいむの姉妹は、消えそうになる元気を振り絞って家族に呼びかけた。 このまりさとれいむ以外の姉妹と両親は、家族全員生きてはいるが・・・動けないのだ。 ある日、森でゆっくりしていた一家の元に人間がやってきて捕まってしまった。 「ゆぐぐう・・・なんでうごげないの・・・!?」 「いだい・・・ゆっぐりぢだい・・・」 変な薬を飲まされて、体に紐を結ばれて動けなくされて、 一家まとめて縛られた状態で杭に繋がれていた。 まりさとれいむも捕まったのだが、この2匹だけは人間が許してくれて逃がして貰った。 しかし、他の家族を置いて逃げる訳にも行かない。 人間が立ち去ってからは、何度も家族を逃がそうと紐を引っ張ったり、 杭を抜こうと努力したが如何にも成らなかった。 周囲には、同じ様な境遇なのだろうか?ゆっくりの一家が同様に繋がれており、 同じく数匹の子ゆっくりが家族を心配して寄り添っている。 れいむとまりさは、もう直ぐ巣立ちが出来る頃と言えるまで成長しており、 親と一緒に狩が出来るほどであった。 下の姉妹は、子ゆっくりのれいむとまりさ、赤ちゃんれいむとまりさなど まだ小さい。子が大きくなって一緒に餌を採れる様になった為、両親がすっきりして 新しい赤ちゃんを産んで家族を増やしたのだ。 「おながずいだよお・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆっくり待っててね!ご飯取ってくるからね!!」 家族の救出が困難である事を理解したれいむとまりさは、必死で餌を集めた。 両親はともかく、赤ちゃんなどは餌を運ばないと長くは持たないだろう。 しかし、両親と自分達で餌を大量に取れるから産んで増やした家族である。 幾らもう直ぐ独り立ち出来るまでに成長していても、たった二匹で家族分の 餌を運ぶ事は容易ではない。 雨が降って来た時は流石に焦ったし、もうダメだと思って泣き叫んだ。 赤ちゃんゆっくり達は何が起こったのか理解して無いし、姉妹の仲には狂乱して 泣き叫ぶ物も居たが、両親だけは覚悟を決めて、動けるれいむとまりさだけでも 逃げる様に言い聞かせた。 「ゆっぐりしないで逃げてね!!」 「いやだぁぁぁ!おがあざんとずっとゆっぐりぢたいぃぃぃ!」 「わがまま言わないでね!!さっさと行ってね!みんなの分までゆっくりしてね!!」 家族と離れるのは嫌だと泣いたが、両親に怒鳴りつけられて雨から逃れる為に 木の下まで走っていった。 家族が溶ける様は見たくは無かったが、しかし遠くまで離れる事も出来ず、 近場の木の下から家族を見つめ、雨が止むのを祈り続けた。 「はやくやんでね!ゆっくりしないであめさんとまってね!」 「ゆっくり、ゆっくり・・・」 見ると周りには同じ様に家族を心配するゆっくりが何匹も居る。 自分達の不幸を呪い、互いに涙した。 その涙で自分が溶けるのでは無いかと思うほど泣いた。 ところが雨は降り止まず、しかし家族も溶けはしない。 ゆっくり達は知らないが、雨に濡れても溶けない特殊な薬品で加工されている為である。 「ゆっぐり助かったね!」 「よかったね!ゆっくり出来るね!」 雨が上がり、家族はお互いの無事を喜び合ったが、 だがコレは更なる地獄の始まりでもあった。 動けない、助ける事も叶わない、しかし雨で死んだりしない、見捨てる事も出来ない。 命が奪われる当面の危機は去ったが、ゆっくりとした飢えと言う死は近付いてくる。 もう助からない事が確定的であれば、あるいはあの雨で死んでいれば、 まりさとれいむは新しい人生を踏み出せたかもしれない。 しかし目の前で苦しむ家族を見てまりさとれいむは、 家族を見捨てられないと言う鎖で縛られていた。 「ゆぅ・・・もうダメだよ・・・もう動けないよぉ・・・」 「がんばるんだぜ!おかあさん達と妹たちはもっと苦しんだぜ・・・」 一日中餌を集める作業。しかも自分達の餌であれば、採って直ぐ食べる事も出来るが、 動けない家族の分となると取った地点からココまで運ばねば成らない。 餌集めと運搬の重労働。食べ盛りの赤ちゃんが居る為、餌の確保ノルマは 日増しに厳しく成っていく。 十分な量を確保出来ない分は、自分の餌や両親が我慢して子に譲っていた。 「ゆっくり・・・こんなご飯じゃたりにゃいよ」 「はねてあそびちゃいよ・・・ちょうちょさんがほしいよぉ」 両親は子の頑張りを見て、また不自由に成った自分達の赤ちゃん達の為にと考える事で 忍耐が出来た。しかし赤ちゃんゆっくりは違う。 生まれてからずっと家族に愛されて幸せだったのに突然襲った不幸。 ゆっくり出来ない日々。何の為に生まれて、何の為に生きているのか。 両親が賢かった為、赤ゆっくりは姉達の苦労が分からぬほど愚かではなかったが、 心は荒んで行き、生きる事に意欲を見せなくなっていく。 「ゆいっ、ゆ、ゆっくりぃ、ゆっくり・・・」 「ゆへへへ・・・ゆゆーん♪ ゆへひゃー・・・」 やがて赤ちゃんゆっくりはとても幸せな顔で毎日を過ごすようになった。 完全に現実から意識を切り離して楽しい世界へ行く事にしたのだ。 この赤ちゃんゆっくり達は幸せだろう。 両親と姉達に愛されて、楽しい夢を見ながら大切に育てられるのだから。 だが、その夢さえも長くは続かなかった。 「ゆぅ・・・眠いのに煩いよ!しずかにしてね!!」 「ゆっ!夜なのにまぶしいよ?」 「なにかコッチに来るよ?ゆゆ!コッチに来るよ!?!?」 「ぶつかるよ!ゆっぐりにげるよ・・・ゆぎゅっ!なんで動けないのぉぉぉ!!??」 「ごっじぐるなぁ! ゆっぐりごっじぐるなぁあぁぁぁぁ!!」 「こわいよぉぉ!まだじにだぐないよぉ!!」 「おがあざーん!だずげでー!だずけでくだざいぃぃぃ!!」 「い、いだい!・・・ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「つぶれる・・・れいむのあんごが・・・」 「みえないぃぃぃ!まりざ!?まりざどごぉ!?」 「れいむ?赤ちゃん達?どうじでへんじじでぐれないの???」 余談だが、動けないゆっくりは余分なエネルギーを損失しない為、最低限の水分が 雨で補給できれば、交換耐久年数の3年は無補給で生存する事が確認されている。 子供を数匹逃がして希望を残した方が、捕らわれたゆっくり達の肌の張りが良く 生きの良い状態で長期運用できるそうだ。 家族を助ける為と信じて不要な餌を運び、人間の安全の為にガードレールの品質保全に 日々努力する彼等の姿は非常に心打たれる物がある。 我々も自らを戒め、安全には十分気を配るよう心がけたい物である。 ★ゆっくり達の一生とその働き★ -エアバックゆっくり編- 「ゆっくりしていっちぇね!」 ココは何処だろう?真っ暗で何も見えない。 お母さんは?兄弟達は?何で誰も居ないの? あぁそうか。勘違いしたんだ。生まれた夢を見たんだろう。 まだお母さんのお腹の中だ。早く生まれたいなぁ~ 生まれたら一番にお母さんに「ゆっくりしていってね」って言おう。 ちゃんと言えるかな?楽しみだなぁ。 「おかあちゃんのこえがききょえにゃいよ?」 おかしい。お母さんの声は聞こえるはずだ。 少し前までは聞こえていた。自分に話しかけてくれていた。 自分が動くとお母さんは喜んで、ゆっくり生まれてきてねと言ってくれた。 もう直ぐ生まれる筈だった。生まれてお母さんに挨拶をして・・・ 「ゆ?れいみゅはうまりぇたにょににゃんで??」 やっぱりおかしい。いよいよ生まれるのだと自分でも分かった。 やっぱり生まれた筈だ。ココは自分の知ってるお母さんのお腹の中とは違う。 「ここがおそとにゃの?」 真っ暗だ。こんな世界がお外なのか?自分を産んでくれたお母さんは何処だろう? なんだが記憶があやふやだ。 生まれたとおもって、目覚めて、気が付いたら真っ暗で・・・ 「ゆぐっ!?ふりゅえるよ!ゆっぐりちちぇね!!」 突然振動が始まった。全身を無理やり振動させられる。 なんだかとってもゆっくり出来るような、でもとても怖いような。 このまま振動をつづけてゆっくりすると、ずっとゆっくり出来なくなりそうな 本能の奥底に刻まれた恐怖を覚える。 「やみぇてね!れいむまだしっきりちちゃくにゃいよ!!」 意識が混乱する。知らない単語が自然と口から出てきた。 だんだん思考が定まらなくなって行く。 このままでは自分が壊れてしまうと感じたその時。 「ゆぎゃ~ん!ま、みゃわりゅよ!!」 突然世界がぐるぐる回り始めた。 上右下左上右下左。真っ暗な世界で上下左右の感覚だけがめぐるましく変化する。 「も、みょう・・・やみぇちぇ・・・ゆべっ!!」 今度は何者かに殴りつけられた様な衝撃を全身で受ける。 何か大きな音が鳴っているが、今はそんな事を気にする余裕も無い。 生まれて始めての痛みに、意識をかき回され悶え苦しむ。 気が付くと、真っ暗な空間で自分一人だけがただ静かに居る 元の何も無い状態に戻っていた。 またあの苦痛が何時始まるのかと思うと、全然ゆっくり出来なかった。 それからは毎日が苦痛の日々だった。 「さむい・・・さみゅいよぅ・・・」 「ゆぅ・・・どうしてだりぇもおへんじちてくりぇないの?」 「ゆゆ!?あちゅくにゃってきちゃよ!ゆっくりできないよ!」 「もうやだ!おうちかえりゅ~!!」 そんな日々が唐突に終わる。 突然、今まで感じた事の無い程の衝撃を感じたかと思うと、 目の前が明るく開けた!! 「ゆ?おそとのせかいがみえる?れいみゅうまれるの!?」 やっぱり生まれたのは気のせいだったんだ。 体に激痛が走って締め付けられるけど、 生まれる時にお母さんから出る為の苦しみなのだろう。 随分ゆっくり出来なかったけど、生まれたらお母さんに挨拶しよう。 上手に「ゆっくりしていってね」って言えるかな? お母さん喜んでくれるかな? お母さんのお腹の中で、凄く怖い夢をみて寂しくて泣いちゃった事を話そう。 沢山沢山すりすりして慰めて貰うんだ。今までの分もイッパイ甘えて、 これからお母さんとずっとずっとゆっくりしよう。 「ゆ~おちょりゃをとんでりゅみちゃい!!」 外に押し出される感覚があり、次の感じたのは空中に浮遊する様な錯覚。 暗闇から明るい世界へ飛び出た為にその様に感じたのだろう。 事実、背中を固定されている感覚がある。 生まれて飛び出た衝撃で飛んで行って怪我しないように、 多分お母さんがお口で支えてくれているのだろう。 「ゆ?めのみゃえににんげんさんがいるよ?」 親から受け継いだ知識で知っている。あれは人間だ。 どうして自分が生まれる時に目の前に人間が居るのだろう? この人間さんがおかあさん?そんな筈は無い。 自分が今生まれるのに、目の前に居るはずが無い。 じゃあ、お父さん?・・・あっ!そうか!!おかあさんは人間さんと住んでるんだ! だったらちゃんと挨拶しなくちゃ。 「ゆっくりちちぇいってにぇ!!」 やった、何度も練習した甲斐があった。キチンと言えた筈だ。 お母さんもコレで鼻が高いだろう。 自慢の赤ちゃんだと喜んでスリスリしてくれるに違いない。 「ゆぅ?にゃんでにんげんさんうごきゃないの?」 おかしい。目の前の人間は全然動く気配が無い。 それだけじゃない。自分も動けない。背中を固定されて身動きが取れない。 「おかあさん!もうだいじょうびゅだよ!はなちてね!れいむうごきたいよ!!」 必死に後ろに居る筈の母に、放して貰おうと伝えるが、まったく返事が無い。 「ゆゆっ!!れいみゅおおききゅなりゅよ!!」 今度は体が膨らんでいく感覚が襲ってきた。 生まれるまで時間が掛かった分、お腹の中で我慢していたので、 一気に成長が始まったのだろうか?きっとそうだ!れいむは大きくなるんだ!! 「ゆぅ?にんげんさん、こっちにくりゅの?」 なんだか人間さんが近づいてくる気がした。動かないと思っていたが、 本当にゆっくりした速度で近付いてくる。きっとれいむが可愛いから スリスリしたくなったに違いない!! 「ゆぎゅっ!な、にゃんだが、かりゃだがあじゅぐなっでぎだよ!?」 急激な成長で体が熱を持っている。それだけではない。 徐々に体内の餡子が掻き回されて、煮立つようにボコボコと気泡が溢れていき、 皮が引き伸ばされ、激しい吐き気に襲われる。 「ゆげっ、にゃ、にゃんにゃのこりぇ・・・れいむどうなってりゅの?」 スポンジの様に膨らんで穴だらけになった餡子脳では、 最早正常な思考は出来なくなりつつあった。 しかし目の前の人間が、さっきよりも近くに来ていて、 このままでは自分にぶつかる事だけは判っていた。 「こきゃいで、にんげんさん!れいみゅおかしいよ!かりゃだがいちゃいよ!」 「ぶちゅかりゅよ!こにゃいで!いちゃいの!こにゃいでったりゃ!!」 「いー!だー!いぃぃぃー!!ちゅぶれりゅ!!れいみゅのおきゃおがぁぁ!」 「やめでぇ!!おちゃないでぇ!!れいみゅほんちょうにちゅびゅりぇちゃう!!」 「やぶりぇりゅ!れいみょのおきゃおが!!それいじょうおちちゃらやびゅりぇ・・・」 「ゆびっ!ゆべべびゃ・・・じにちゃく・・・れいみゅせっきゃくうまれちゃにょに」 「じにゅ・・・じにたく・・・じ?じぬにょに?・・・じ・・・」 「じにゃにゃい?まだじにゃにゃい!?にゃんでじにゃにゃいの?」 「ぢぬにょがにゃがい・・・しぬのがながいよぉぉぉぉ!!」 「じにたくにゃいげど・・・じなにゃにゃいのもいやぁあぁぁぁ!!」 「いだいのぉ・・・もういやなのぉ・・・」 「あんごさんがでてりゅのに・・・まだいぎれる・・・まだいぎてりゅの・・・」 喋れなくなってもれいむはまだ生きていた。 れいむが経験した時間はココまでで0.9秒程度である。 しかし、投薬により成長と思考を加速させられたれいむにとっての時間は 赤ちゃんゆっくりが成体ゆっくりに成長する程の時間的感覚がある。 れいむが完全に潰れて生体機能を停止するまでは残り2秒程しかない。 一瞬の油断が大事故を引き起こす事もある。 我々もこのれいむを見習って、ハンドルを握る際には一瞬も気を抜く事無く 人生の時間を大事にしたいものである。 ★輝ける未来へ★ 技術の進歩に伴い、交通事情はめぐるましく変化し、 安全管理もそれに対応する事が求められている。 ゆっくりを利用した交通安全対策製品は日進月歩でありまだまだ研究段階である。 これからも様々な新製品が開発されて人命保護に役立つだろう。 作者当てシリーズ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11995/1227272050/ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/637.html
「じゃあ、そのおまんじゅうは食べられるの?」 「ええ、結構美味しいんですよ」 闇の妖怪ルーミアと、パチュリーの従者である名も無き小悪魔。 あまり接点のなさそうな2人だが、仲は良いらしく、楽しげに話していた。 「ゆっくりかー……お腹空いたから、一匹食べてみたいな」 「どこにでもいるから探してみるといいですよ。見つけたら、軽く洗ってからいただくのがオススメです。焼いていただくと、とても良い香りがして素敵ですね」 「焼いたおまんじゅう……美味しそうだなー」 ルーミアがよだれを垂らしそうな声色で呟くと、タイミング良く腹がきゅるるるる、と鳴る。 「あ、あのさ小悪魔! それで、そのおまんじゅうが沢山いるところってどこなの?」 「どこにでもいますよ。ちょっと周りを見渡したら、10匹や20匹はすぐ見つかります」 明らかに話を切り替えようとしているルーミア。その顔は、微妙に赤く染まっている。 小悪魔は、内心妹の様に思っている可愛らしい友人に、ニコニコと笑いながら教えてやった。 「じゃ、じゃあ探してみるね! ありがとう小悪魔!」 ばいばーい、と手を振るが、すぐに周りを真っ暗にしてしまったので何をしているか分からない。 だが、そんな事はおかまいなしに小悪魔も笑顔で手を振り、図書館へと戻っていった。 『ルーミアとゆっくり』 「ゆっくり~♪ ゆっゆっゆっくり~♪」 「「「ゆっきゅり~♪ ゆゆゆゆゆっきゅり~♪」」」 ゆっくりれいむの親子が楽しそうに飛び跳ねている。 風がさらさらと草を揺らし、暑すぎない程度に太陽が輝いている、そんな最高のゆっくりデイ。 親子は、今この時がずっと続いて欲しいと思いながらゆっくりとすごしていた。 だが、幸せな時は永久に続くものではない。 「ゆゆ? おかーしゃん、ゆっきゅりへんなのがきゅるよー」 「おかーしゃん、あれなーに?」 一匹の子れいむが何かを見つけたらしく、怖そうに親れいむにくっつきつつ訴える。 親れいむが視線の先を見ると、何やら真っ黒くて丸い物体がふらふらしながら動いていた。 「ゆっ? おかーさんもわからないよ!」 「まっきゅろだね」 「きょれなんだろー?」 「ゆうー……みんなきをつけてね、ちかづいたらだめだよ」 きゃいきゃいと、オバケ屋敷の幽霊でも見ているかの様に怖がりつつも楽しそうに騒ぐ子れいむ達。 親れいむは、そんな子れいむ達をたしなめつつ、黒い物体が何なのか見極める様な厳しい顔で見つめている。 「ゆっ? ちかづいてきゅるよ!」 黒い物体が段々と自分達の所に近づいてきていると分かったゆっくり家族は、流石に緊張した。 「きょないでよ! ゆっきゅりあっちいってね!」 「ゆっ! ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ! ゆっくりどっかいってね!」 気味が悪そうに親の近くに集合する子供、体を大きく膨らませて子供を自分の後ろに隠す親。 ゆっくり親子は、奇妙な黒い物体の真正面に立ちはだかり「どっかいってね!」「こっちこないでね!」などと言いはじめた。 黒い物体は、そんな必死なゆっくり達をあざ笑う様にどんどん近づいてくる。 「ぎゅううううう! ぎょないでよおぉぉぉ!」 「ゆっぎゅりあっぢいぎぇえええぇぇぇぇぇ!」 「さっさとべつのところにいってね! ゆっくりしね!」 どんどん近づいてくる黒い物体。ゆっくり達は、もう声も出ないほど震え上がり、腰でも抜かしたのか一歩も動けないでいる。 ゆっくり親子が、黒い物体に立ちふさがった事自体が間違いであると気付いたのは、闇の中に閉じ込められてからだった。 「「「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!! ぐらいよおおおぉぉぉ! ごわいよおおおぉぉぉ!」」」 暗闇の中にいる恐怖。いつどこから何が襲ってくるか分からない。 「ゆぎゅ!?」 ぶちゃっとアンコが飛び散る音と温かい何かが頬に張り付く感触。どのゆっくりかは分からないが、一匹殺されたらしい。 もしかしたら、この闇の中にゆっくりれみりゃやゆっくりフランなどの捕食種がいるのかもしれない……ゆっくり親子は、あまりの恐怖から意識を失った。 さらさらと草の揺れる音で、親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆー、ゆー……ゆっくりしていってね!」 起き抜けで、即座にいつもの鳴き声をあげるのは、生物的な習性だろうか。 「みんな、ゆっくりおきたよ。きょうは、なにをしてあそぼうかなぁ、あかちゃんも……??」 なぜ眠っていたか忘れていたらしく、寝ぼけ眼で周囲に語りかけていた親ゆっくりだったが、思い出した途端、素早く辺りを見始めた。 すでに辺りは真っ暗になっており、いつ捕食種が現れてもおかしくない。 親ゆっくりは、せめて一人だけでもと祈る様な気持ちで声を張り上げた。 「どご!? どごにいるの!? れ”い”む”のあがぢゃあ”あ”あ”ぁぁぁぁぁんんん!!!」 「ゆぎゅ……おかーしゃん、いるよー」 ノドが張り裂けるかの様な悲痛な叫びに答えて、一匹の子ゆっくりがぴょんぴょん飛び上がった。 「みんな……みんな……ぶじだっだのぉ!?」 「「「ゆっきゅりげんきだよー!!!」」」 良く見ると、全員いるらしい。 先ほどやられた子も含めて何匹かいなくなっているのかもしれないが、それでも無事な子ゆっくりはまだまだいる。 更に、ぴょんぴょんと飛び跳ねる子ゆっくり達に外傷はほとんどない。 一匹若干元気がないが、そのゆっくりの傷すら、小石にぶつかった程度の軽い傷だ。 命に別状はないし、数時間ゆっくりしていたらすぐに治るだろう。 ――これで、またみんなでいっしょにゆっくりできるよ。 親ゆっくりは、心の底から安堵し、大きく息をついた。 「もうくらいから、ゆっくりおうちにかえろうね!」 「「「おうちでゆっきゅりしようね!」」」 笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねるゆっくり一家。 後ろから今の騒ぎを聞きつけたゆっくりフランが追いかけている事に気付いたのは、もう絶対に逃げられなくなった後の事だった。 「お腹すいたなー」 ルーミアは、いつもの様に自分の周りを闇で覆い、食べ物を探してふらふらと飛び回っていた。 しばらく何も食べていないらしく、お腹から可愛らしく「くきゅるるる」などと聞こえてくる。 その音をきっかけとして、少し休む事にしたらしい。 闇を出すのとは違い、飛ぶためには栄養が必要だ。 「休憩休憩。ふぅ」 のんびりと地面に降り立ち、原っぱに座った。 上品に座っているその姿は、良家のお嬢様に見える。……姿を見るためには、闇の中で目が見える必要があるが。 「そういえば、さっきのは何だったんだろう?」 可愛らしく小首をかしげて、妙な声の事を思い出す。 ふらふらと飛んでいたら「ゆぎゃあ」とか何とか聞こえてきた。 それほど時間を開けずに「ゆぎゅっ!?」という声と、甘いニオイが鼻を刺激したのだが、どこから聞こえたのか、甘いニオイはどこから漂っているのか分からず、結局そのまま通り過ぎた記憶。 「あれは食べられるものだったのかなー?」 そうだったら惜しい事をした。 ルーミアは、憮然とした表情でバタバタと足を動かして、先ほど見逃した食事の事を悔やんだ。 少しの間足をバタバタさせてから、ルーミアは気を取り直した。 ――ご飯は他にもあるし、もうすぐ暗くなるから、何か食べるものが見つかるかもしれないもんね。 周りの闇を解くと、既に日は落ち、暗くなっている。 「休憩おしまい。ご飯はどこかな~?」 のんびりと飛びながら食事を探すルーミアの目に、口元を黒く汚したゆっくりフランが見えた。 「こんばんは。あなたは食べてもいいおまんじゅう?」 感想で東方キャラを希望されて書いた。せっかくなので精神的いじめをやってみようと思ったらこうなった。今は次のSSを考えている。 なお、私は全ての東方シリーズはプレイしていないため、人称や設定など間違っている部分もあるかもしれません。 不快に感じた方は、ご容赦下さい。 by319 このSSに感想を付ける