約 738,045 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/106.html
第3話 ゆっくりたちの、実にゆっくりとした一週間 一日目 天高い秋晴れの空が広がっていた。 小春日和の朗らかな日差しを受けて、二匹のゆっくりたちは今日も元気に跳ねまわる。 ゆっくりまりさに誘われて、ゆっくりれいむは追うように魔法の森へ。 今は二匹連なって仲間睦まじく秋空を飛ぶトンボを、わき目もふらず追いかけっこ。 しっとりと濡れた露草の藪を踏み越えて、たどり着いたのは森の奥の開けた野原だった。 流れ込む肌寒い秋風は、トンボの細い体を宙へ高く吹き上げる。 「ゆー! ゆっくりしていってね!」 ゆっくり二匹の願いもむなしく、トンボは風をとらえて青く高く秋の空へ。 ぴょんぴょんと口を開いて飛び上がる二匹。だが届くわけもない。 トンボを見送るゆっくりまりさはしょげ返った表情。 口寂しいのか、茂みのクコの実をむしゃむしゃとほおばる。 そして、ぷくうと膨れ面。 「おなか空いたよ、おうちかえる!」 ゆっくりまりさの見つめる東の空は深く青みがかり、黄昏の近さを思い出させる。そろそろ暖かなねぐらに替える頃。 けれど、ゆっくりれいむは承知しない。 「まだちょっと早いから、ゆっくりしていこうね!」 遊び足りないと飛び跳ねながら訴ってくる。 まりさの傍へすりよって、その帽子のあたりにすりすりとほっぺをすりつけた。 この上ない友愛の仕草に、とろんと赤みがかるまりさの表情。 「ゆ……ゆっくりする……」 たやすく屈するまりさだった。 こうして始まった、今日最後の遊び場は生い茂るススキの野原。 人の姿も隠れそうなその場所で遊ぶ種目は決まっていた。 そう、かくれんぼ。 「ゆっくり30秒数えてね!」 目をぎゅっと瞑るまりさに声をかけて、ススキに身を沈めこむゆっくりれいむだが。 「みつけた!!!」 あっさりと見つけ出すゆっくりまりさ。 「?」 きょとんとした表情で不思議を表現するれいむにまりさはフと不適な笑い。 隠れる一帯のススキが押し倒されて道となっていることを、まりさは教えようとはしなかった。 鬼が交代となり、今度はれいむが探し回る番。 しかし、れいむの失敗を目のあたりにしたためか、まりさは中々見つからない。 ススキの下、藪の中、木陰。目に入るところを探し回ってもどこにも見当たらなかった。 「まりさ、どこー?」 太陽が山々に姿を隠し、暗がりが降り始めて、急に心細さに襲われるゆっくりれいむ。 日が完全に沈めば、野犬の群れに出くわしかねない。 「ゆっくりしないで、でてきてね!」 ほとんど涙目で森を走り回る。 「れいむ、こうさん?」 すると、意外なところからまりさの声が聞こえてきた。 そこは荒れ果てた家屋。魔法の森に暮らす数人のモノ者好きがいるらしいが、この廃屋は誰かのかつての住処なのだろうか。 廃屋の庭は伸び放題の藪になっており、その草むらから石積みブロックで囲った建造物がにょっきり顔を覗かせていた。 幅は1メートルぐらいだろうか。人が建てたらしい、しっかりとした枠組み。その傍らに一本の柱がのびて、吊り下げられていたのは錆びた滑車。だが、繋がれていただろう綱はすでに朽ち果てて残骸が絡みつくのみだった。近くに底の抜けた大きな桶が転がっているのが目に入るが、ゆっくりたちには木っ端にしか見えない。 そんな残骸よりもゆっくりれいむの興味を占めていたのは、建造物の上で得意げにふんぞり返るゆっくりまりさ。 建造物の上に渡された粗末な板の上から、まりさはニヤと不敵な表情で笑いかけてくる。 「ここを知っているのは、わたしたちだけだよ!」 その言葉に、れいむは素敵な遊び場を見つけ出したことに気づいた。 朽ちた廃屋を恐る恐る探る二匹。ソファの一つでも残っていたら、その上でとびはねて埃を払い、新たなゆっくりスペースにできるかもしれない。 そこはきっと優雅なゆっくりの一時。自分たちだけのゆっくり城。 「うっとりー!」 あらぬ方向へ躍りだした夢に、ゆっくりれいむの表情も緩みがち。 「れいむ! 明日から、ここを探検しようね!」 まりさの言葉を、喜色満面で受け止める。 「うん、やくそくだよ!」 胸躍らせるわくわくに、いてもたってもいられない。 明日からの大冒険に弾む心のまま、れいむはまりさへと弾み寄る。 大きくジャンプ。まりさの元へと飛びのった。 まりさも身を摺り寄せて親友に応える。 「ゆゆゆ……」 「ゆっゆっゆ!」 とろけそうな嬌声で、二匹は芯からの喜びを訴えあう。でも、まだ足りない。この嬉しさをあらわすには、アレしかなかった。 ゆっくり二匹は狭い板の上で、身をかがめる。 引き伸ばされたゴムがはじけるように、この日一番の見事な跳躍。 「ゆっくりしていってね!」 その頂点で放たれたのは、黄昏の秋空に響き渡るゆっくり二匹の美しい唱和だった。 陶酔の表情のまま、二匹は同時に板の上へ落下していく。 どすんと、景気のいい音をたてて板で弾むゆっくりの全身。 途端に体の下で鳴った、くぐもった音。 なんだろう。顔を見合わようとするゆっくり二匹。 だが、視線が合う間もあらばこそ、お互いの顔が大きくぶれだした。 「ゆっ!?」 めきという乾いた音が、へし折られる木の音だと気づいたときにはもう遅い。 二匹は板の下に急激に落ちこんでいく。 ぞわりと総毛立つ感覚。 次の瞬間、慣性に捕らわれた二匹の体は真っさかさまに下へ。 一瞬、見下ろした二匹の目の前には、どこまでも広がる何も無い暗闇。 まりさがのっていた建築物は、塞がれることなく板一枚で封印されていた古井戸だった。 二匹が弾んでへしおったのは、まさにその封印の板。 突き破った二匹の落下を受け止めるものはなにもない。 「ゆ、ゆっくりー!」 遠ざかる絶叫も井戸に吸い込まれて、すぐに何も聞こえなくなる。 後に残されたのは静寂。 やがて太陽はすでに山間に没して、秋の寒々とした夜気が漂いだす。 一斉に鳴き始めるコオロギの声。 何事も無かったかのように深まり行く秋の夕暮れだった。 二日目 「ゆっくり! ゆっくりしていってね!」 必死の呼びかけが、何度もゆっくりれいむを揺さぶった。 ゆっくりまりさのやけに近くからの呼び声。 ようやく目を覚ましつつある、寝ぼけ眼のれいむ。でも、まだ夜中なんだから眠らせて欲しい。 ここは見渡す限りの暗がり。 もっとゆっくりすればいいのに。 「ゆ……? ゆゆゆっ!?」 そんな思いをまりさに伝えようとして、ようやく自分の片頬を圧迫する固い感覚に気づいた。 もう片方の頬に押し付けられていたのは柔らかい感覚。 耳の近くでまりさの息遣いがして、その感触がまりさであることを確信する。 お互いのほっぺたがぴったりくっついてその体温の暖かさが心地いいのだけど、この暗がりはじめじめと蒸していて、べっとりとはりつく感触。ちょっとだけ離れたい。 でも、できなかった。前にも後ろにも動けなかい。跳び上がることも、押し付けられたまりさの圧力に遮られてしまう。 「ゆっくり離れてね!」 ゆっくりれいむのお願いに、ゆっくりまりさの体がわずかに震えた。 「動けない……!」 震えて、泣きそうな声。 どうしたのだろう。悲しそうなまりさを慰めたい。 でも、自分も身動き一つできず、ただ視線だけを走らせる。 れいむの周囲は相変わらずの暗闇だったが、闇に目が慣れてきたのか暗がりにぼうと浮き上がるまりさらしき輪郭。だが、自分を押さえつける石の感触の正体がつかめない。 ようやく視界に変化があったのは、視線を真上に向けたとき。 くっきりと、丸く切り取られた青空がはるか遠くに見えた。 太陽はまだ低いのか光が差し込むことはなく、ただ入り口付近の朧に眩しい。 れいむは、自分がどんなところにいるのかようやく悟った。 井戸という知識はゆっくりにはない。深い穴の途中にひっかかって身動きできない状況を、絶望という言葉で理解できただけだ。同じ方向を見て、ほっぺたをあわせている自分とまりさ。その両側はがっしりとした石積みが押さえ込んで身動きできない。 いや、それは幸運なことだろう。壁につっかえなければ、井戸の底へまっさかさまに落ちていくだけだ。 けれど、石積みの壁は古びているのか、ゆっくりたちが身じろぐとぽろぽろと壁面がこすれて下に落ちていく。 わずかな間に続いて、真下から響いてくる水の音。 「ゆゆゆゆ!」 ゆっくり二匹を恐怖に至らしめたのは、穴のさらなる深さよりも水で満たされているだろう、その奥底だった。 水溜りや少しの雨なら、はしゃいで遊びまわることもできるゆっくり。 だが、長時間全身が水につかれば、皮がぶよぶよにふやけて、やがては中身を水中に吐き散らすはめになる。 だから、雨の日は巣穴で家族とゆっくり過ごすのがゆっくりたちの常識だった。 今は二匹がぴったりと穴につっかえているからいいが、もし外れて水中に落ちた場合、待っているのは緩慢な死、腐敗。 「ゆーっ!」 一際高いゆっくりれいむの泣き声。 だが、果たしてこの井戸から外に届いたかどうか。 井戸の中は雫の落ちるほどが響き渡るほどの、閉ざされた静寂。望みは薄かった。 れいむの絶望が恐怖に変わる。 「いや! いやいやいやいや!」 「おちついて、ゆっくりしてね!」 取り乱したれいむに、ゆっくりまりさの声が届かない。 「ゆっくりしないと落ちるううう!」 とうとう、まりさも涙声。 その切羽詰った叫びとともに、れいむの壁に面した頬が、ずりと壁面を擦った。 ほんのわずかながらも、強烈に肌がざわつく落下の感覚。 「ゆ!」 もはや、身じろぎもできないれいむ。 「ね゛っ。ゆ゛っぐり゛じよう!」 まりさの懇願混じりの声に頷くこともできなかった。 穴の中央付近でひっかかっているこの均衡が、容易く壊れることをようやく理解する。 二匹は、ほぼ平行につっかえているが、実感まりさの方が下がり気味だった。 ただ、壊れかけた石壁が一箇所飛び出して、ゆっくりまりさの顎にぎっちりくいこんでいる。 そこをとっかりに二匹は横からの圧力で落下を免れていた。ごくわずかな幸運。 それでも、ほんの一時だけ死に猶予を与えているだけにしか思えなくて、ゆっくりれいむの喉を悲しみが突き上げる。 「ゆっ、ゆっ……!」 ゆっくりまりさも泣いていた。しゃくりあげることすら許されない、この絶望に。 どれほど悲嘆に暮れていただろう。 れいむは周囲が明るく照らし出されていることに気がついた。 日差しが高くなり、井戸の上空から一直線に差し込む光。 湿って凍えたゆっくり二匹をぽっかぽかに包み込む。 「暖かいね」 「うん」 れいむの呟きに、短いまりさの返事。 「気持ちいいね」 「うん」 相変わらずのまりさの短い返事。でもゆっくりと言葉を交わせたことがれいむは嬉しかった。 ほかほかの日向にほっこりと表情を和らげる二匹。太陽が隠れるまで半刻を要さないだろうが、一時のゆっくりを存分に味わう。 光に照らし出されて周囲の様子が明らかになり、二匹は少しだけ落ち着きを取り戻していた。 概ね、予想通りの井戸の光景。忘れ去られた井戸の中で、ほっぺをひしゃげてよりそう二匹の姿はひどくユーモラス。二匹がへばりつく石積みの壁には、ところどころ穴があいて、広がる光の領域に慌てて逃げこむ蟻やムカデ、イモリの姿があった。 れいむがその壁に向けて精一杯舌をのばす。舌に張り付く数匹の蟻んこたち。 ぺろっと飲み込んで、むーしゃむーしゃと咀嚼する。あんまり幸せな味ではなかったが、食べることができたという事実がれいむにわずかな希望を与えた。 このまま、しのいで張り付いていれば誰か井戸を覗き込む人が現れるかもしれない。そうだ、森に行こうと誘ったのはまりさ。誰かに行き先を教えていれば、家族のゆっくりや仲間が探しにきてくれるかもしれない。言っていなくても、まりさの行動範囲に魔法の森は必ず含まれる。探す目的地の一つとなるだろう。 見つけてもらえば、また存分に太陽の下でゆっくりできる! 「まりさ、あのね!」 その思い付きがもたらした希望、喜びを、ほかならぬまりさと分け合いたかった。 だが、まりさは先ほどまでの日向ぼっこの表情が一変し、またじんわりと涙を流していた。唇をかみ締め、ひっくひっくとえづく。 「まりさ、どうしたの?」 「ゆっ、ゆっぐり゛痛ぐなっでぎだ!」 二匹の重みを受ける石壁のでっぱり。そこに接したまりさの顎にうっすらと走る一筋の線。石壁に擦ってできたわずかな切り傷。 まりさの顔の影になって見えないれいむに、にわかに募る不安。 「だいじょうぶ!」 「……うん、ゆっくりしていれば治る」 実際、日向でのんびりしていれば、一日で薄皮がはって消えるだけの傷。 まりさは気丈な言葉でれいむを安心させてくれる。 それでも、自分たちを助けるために負ったその傷を、なめて労わってあげられないのがれいむには悔しい。 だから、せめて心を労わりたい。 「ここを知っている誰かがきっときてくれるよ、ゆっくり頑張ろうね!」 きっと、森に遊びに言ったことを知った誰かが気づいてくれるよ! そんな、言葉にするのももどかしい想いを口にする。 まりさはどんな表情をしたのだろう。 れいむと同じく希望の取り戻した笑顔を浮かべたのだろうか。 だが、わからない。 ほとんど次の瞬間、井戸は暗闇に沈んでしまっていた。 目蓋に残った光の斑点は、井戸から引き上げていった陽光の残滓。 あまりにも短い日差しの終わりに、わかっていながらもれいむは打ちのめされる。 黙り込んでしまったゆっくり二匹。 「ここを見つけたせいで……ごめんね」 沈黙を破ったのは闇のなかからの、か細いまりさの声。 泣きすがる、哀れみを乞う響き。 れいむは、親友のそんな声を聞きたくなかった。 心が滅入って、ついつい尻馬にのって相手を責めたくなる気持ちを跳ね除けるように叫んでいた。 「違うよ! れいむがもっと遊ぼうといわなければよかったんだよ!」 だが、空元気も、傷を舐めあうことも二人に救いをもたらさない。 それ以上何を言えばいいのかわからず、上を見上げた。 いつか現れるかもしれない仲間の姿を見逃さないよう、ひたすらに空を見ていた。 日暮れの早まる秋の空。 色合いが朱に染まる夕焼け、数刻もしないうちに夜が訪れる。 井戸の中は、すでに光一つない宵闇。 もう、ゆっくりたちが出歩ける時間ではない。 どこから落ちる水滴の音と、カサカサとはいまわる虫たちの音だけが異様に響きわたる。 「ここから出して」 「おうちかえる」 ぽつりと時折こぼれる二匹の呟き。 だが、やがてそのささやかな願いを飲み込むのは圧倒的な暗闇。 嗚咽すらも押しつぶすような静寂に二匹の存在は沈み込む。 三日目 ゆっくりれいむは家族の夢を見ていた。 藪の奥の横穴にひっそりとある暖かな我が家。 姉妹れいむたちと押し合いへし合いして遊んでいると、お母さんれいむが登場。下膨れたした顔で、「ゆっ! ゆっ!」と娘たちを叱る。 渋々寝床に入るゆっくりれいむたち。でも、少しでお母さんれいむの傍に近寄れるように動き出して、再び始まる大騒動。 結局、お母さんれいむにぴったりと全員がよりそって、ぽかぽかの体温を感じながらゆっくりと眠りについた。 ゆっくりお母さんはぷっくり膨らんだほっぺを娘たちに押し当てたまま「ゆー! ゆ-!」といつもの子守唄。娘たちを優しく眠りに導いてくれる。 絶対的な安堵を与えてくれる母親の懐。ゆっくりれいむはただ幸せな夢を見ていればいい。よだれをたらしつつ、存分にまどろみを貪る。 これ以上ゆっくりしようがないほどにゆったりとした心。 幸福に包まれて、れいむは気ままに明日を思う。 明日、目が覚めたら何をして遊ぼうかな。 最近、ゆっくりまりさとばっかり遊んでいたからたまには他の皆も入れて一日中ゆっくりするのもいいかもしれない。 あれこれ考えながら眠りへと落ちていくれいむ。 さあ、次に目を覚ませばいつもの楽しい毎日の始まりだ…… 期待に心を弾ませて目を覚まそうとするゆっくりれいむ。 だが、れいむが感じたのは、ほっぺたをぽつりと濡らす雫だった。 「冷たいよ!」 姉妹か誰かの悪戯かと、寝ぼけ眼で不満を口にした。 だが、顔全体に降り続く雫が急速にゆっくりれいむの眠気を奪い去っていく。 それは、芯まで凍えそうな秋雨だった。 現実を思い知らされる井戸の暗闇。 上を見上げれば、丸く切り取られた空はうんざりするほどに暗い雲の色。 もっとゆっくり夢をみていたかった。恨めしげに天を睨むが、れいむの髪やほっぺを叩くような雨足は弱まることはなかった。石壁からはひっきりなしに伝い落ちる雨だれ。 いつ止むとも知れないどんよりとした空模様だった。 そんな天気を眺めていたれいむは、ふと感じた違和感に小首を傾げる。 井戸の出口まで、少し遠くなったような? 「起きたなら、ふんばってね!」 必死なまりさの声に、違和感の正体に気づく。 濡れてグズグズに緩んだ頬。壁面との抵抗が極端に弱まっていた。 わずかながら、ずり落ちつつある二匹のゆっくり。 「ゆ、ゆっくり!」 青ざめてぎゅっと頬をよせると落下は一端停止する。まだ、さしたる力を込めずともふんばることはできそうだ。 だが、力を完全に抜くとすぐさま底へ落ち込みそう。 数秒足りとも力を緩められない。24時間中続く、無慈悲な義務がここに生まれた。 もはや、さきほどまでのように無防備に寝入ることはできない。 「ああああ! ゆっくりでぎないよお!!!」 ゆっくりまりさの叫びは、今のれいむの悲嘆そのものだった。 二匹、力が弱まらないようにぎゅっと口結んでふんばって、それでもぽろぽろと涙があふれてくる。 だが、これはいつまでも続く地獄ではないと、れいむは信じたい。 昨日から抱いている希望、探しにきてくれる友人や家族のことがれいむの脳裏に浮かぶ。 「まりさ、がんばろうね!」 今頃、お母さんれいむや他のゆっくりまりさたちがこの雨の中を探し回っているのだろう。 この井戸のあるあばら家は魔法の森のほど近く。 うまくいけば一日もたたず探索範囲に入る。 問題は、それまでの数日を耐えられるかどうか。 「だから、もう少しがんばろうね!」 まりさを落ち着かせるための笑顔向けて、れいむの健気な呼びかけ。 だが、まりさの表情はますますクシャクシャの泣き顔になっていく。 「ひっく……っ、がんばっても……どうせ、誰もきてくれないよおおお!」 突然の嗚咽交じりの絶叫に、びくんと震えるれいむの全身。 単なる弱音ではなく、確信をもったまりさの口調にれいむの顔から笑顔が引けていく。 変わってれいむの顔に張り付いたのは不審。 「どうして、そんなことをいうの?」 「だって……」 応えるまりさの顔は、もう雨と涙でどろどろだった。 「だって、皆には霧の湖で遊ぶと言ったんだもん!!!」 「ゆ?」 れいむの脳みそはまりさの言葉を理解しきれず、硬直する。 わかっっていたのは、霧の湖はこことはまるで反対側にあることだけ。 その意味がじんわりとれいむに染み入ってくる。 ガクガク震えだす全身。 どんどん強くなっていく。 止まらない。 体を震わしながらこみ上げてくるのは、得体の知れないふつふつとした感情。怒りか悲しみかもはや形をもたないままに沸点を超えた。 「まっ!! ま゛り゛ざあああ、なんでなの! なんでえええ!!!」 困惑、怒り、やるせなさ、感情のにごりが煮えたぎるれいむの狂乱だった。 「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめ゛んな゛ざいいいいいいい!」 わんわんと声をあげて、しゃくりあげながら謝罪を繰り返すまりさ。 昨日までのれいむなら、親友のそんな様子を見ればそっとよりそって泣き止むのを待っていただろう。 だが、もはやれいむは容赦しない。 「はやく説明してね!!!」 激しい詰問に、ひぃと息を飲むゆっくりまりさ。 「ゆっくりパチュリーやゆっくりアリスたちに邪魔されずに、れいむと一緒に遊びたかったのおお!!!」 その言葉に、れいむはいっつもまりさにくっついて離れない二匹のことを思い出す。 まりさと遊んでいると、ゆっくりパチュリーがどこからともなく這い出して、二人の後をゆっくりとついてくる。そうなれば、弾むように力一杯遊ぶことはできない。パチュリーを中心にして静かに過ごすゆっくり。 ゆっくりアリスはもっと扱いが難しい種。普段は遊びに誘っても嫌がって一緒に遊びにはいかない。だけど、諦めて他のゆっくりと遊んでいると木陰からじっとりと見つめてきて、もう一度誘わない限り一日中続くのだ。結局、お願いして一緒に遊んでもらうことになる。 だが、れいむとまりさは知らなかった。ゆっくりアリスが本当に問題行動を起こす発情期のことを。 発情期を迎えたゆっくりアリスは、無理やりゆっくりまりさと交尾しようと森や平原などいたるところを徘徊し、見つけるなり集団で襲い掛かってくる。お母さんれいむのように成熟しきった個体同士なら普通に交配する限り、時間はかかるが何度でも子を生める。だが、まだ青いゆっくりまりさにとって、無理やりの交尾は極めて危険だった。ある程度の子供が生えるものの、母体のゆっくりまりさはショックのあまりに白目をむいてそのまま朽ち果ててしまう。 凄惨を極めたのが、ゆっくりアリスの群れ全体が発情した三年前。ゆっくりまりさの集落がいくつも全滅して、やがて一斉に生まれてきた子供たちがゆっくりまりさの生息数大爆発を招くことになる。野草や昆虫たちを手当たり次第に 食い尽くすゆっくりまりさたち。ゆっくりまりさと交配しやすい種であるゆっくりれいむも数を増やして、生態系の破壊は広がっていった。その処理策として設立されたのが、ゆっくり加工所だった。 もちろん、ゆっくりたちはそんな事実は知る由も無いが、ゆっくりアリスのどこかただならぬ雰囲気は薄々と察してはいた。 結局、なぜかウマの合うゆっくりまりさとゆっくりれいむで遊ぶのが一番楽しいのだ。 でも、だからといって親友のついた取り返しのつかない嘘を許せすことができない。 大きく膨らんだ希望が、そのまま絶望の重みとなった憤り。 その熱い塊をぶつける対象を目前に見つけて、怒りが爆ぜた。 「嘘つきまりさなんて大っ嫌い!」 憤怒が、井戸の中でぐわんぐわんと鮮烈に反響していた。 「ごめ゛んな゛ざい、ごめ゛んな゛ざい、ごめ゛んな゛ざい……」 念仏のように繰り返すまりさの態度。だが、その惨めさがますますれいむの熱を吹き上げさせる。 後どれだけの時間をここですごせばいいのか。 いや、もはや助けられることすら望み薄だろう。このまま家族にも知られることなく、干乾びて朽ち果てていくゆっくりたち。げっそりと痩せて、やがては水の中へすべり落ちる。 そうなれば運命は決まっていた。ゆっくりたちの皮は水に弱い。ぐにゃぐにゃに膨らんで、皮はいずれ破れるだろう。 まず、中身が水や外気にさらされる。やがてはじまるのは腐敗。自分の体が耐え難い異臭を放ち、中から朽ち果てていく長い長い悪夢。早く意識が途絶えることをひたすらに願いながら、ゆらゆらと汚水を漂う。 おぞましい想像に、れいむの体がぞわりと悪寒に震えた。 れいむはそんな未来など、井戸に落下してから一度たりとも考えたことはなかった。 探し回ってこの家をみつける仲間のゆっくりたち。近づくとかすかなゆっくりの声が聞こえてきて、覗き込んだ先にあったのは仲間の窮地。慌てて集まる沢山のゆっくりたち。探し出されてきた長いロープが井戸にたらされ、中の二匹が ロープを噛みしめるなり一気にひっぱりだされる。外に出られたら、すぐにうち帰ってお母さんれいむを安心させよう。 それが、数分前までれいむが夢想していた未来。もう、消え失せてしまった未来絵図。 それもこれも、このまりさのせいだ。こいつが馬鹿なことを言ったばかりに全部終わってしまった。 こいつのせいで……死ぬ。 「い゛や゛だあっ! ま゛り゛ざのぜいで、じにだぐないいい!」 もうれいむは止まらない。 「ま゛り゛ざの、ばがああっ! ま゛り゛ざだげ、じね!」 「ゆっ! ゆ゛う゛う゛うううううっ!!!」 断末魔のような悲鳴を上げるまりさを黙らせようとするかのように、れいむはぐいぐいとまりさを壁に押し付ける。 「泣いてないで、落ちないようにしてね!」 れいむの棘のこもった言葉に従って、律儀に押し返すまりさ。 もう、何も喋らない二匹。 ゆっくりと、もう泣きたくなるぐらいにゆっくりと時間は過ぎていく。 井戸の中を、妖怪の山から吹き降りてきた風が入り込み、濡れた体をぞくりと振るわせた。 寒い。 隣のまりさの体温がなければ、野宿すら耐えられない季節になりつつあった。 鼻をすすりながら、懸命に押してくるまりさの暖かな全身。 それだけがれいむに温もりを与えてくれた。 だが、耳朶に届くのは嗚咽交じりの侘び。 「ごめ゛んな゛ざあああい……」 泣きすがり、許しを乞う陰鬱な声。 井戸の底とで命を預けあうまりさが繰り返す哀願に、すううと冷えていくれいむの心。 まるで、自分のほうが取り返しのつかないことをしてしまったような痛みが胸を刺す。 今はまりさだけが頼りなのに。 自分と同じ苦しみを背負う相手を一方的に責めて、自分は何がしたかったのだろう。 もう何もかも嫌になる。 「だれかぁ……はやくたすけてえ……」 見上げる井戸の上。 黒ずんだ雨雲に占められた、あいかわらずの代わり映えのない空とその向こうにいるかも知れない神様に、ゆっくりれいむはひたすら祈っていた。 だが、畜生に神はいない。 井戸を覗き込む人影どころか、厚い雲に隠れたまま太陽すら姿を見せないまま、いつしか空は夜の色に沈む。 救いは、ようやく雨足を弱めつつある丸一日降り続いていた雨。 打ちつける雨の粒も、今は優しく降りしきる霧雨だった。 だが、代わって二匹を苛むのは夜半の冷え込みの厳しさ。もはや冬の始まりと大差がない。 「ゆゆゆ……」 れいむの舌の根も凍えて言葉を吐き出せない。 もうじき初霜がおりてもおかしくない秋の日暮れだった。 凍えた体は力が上手く入らない。希望なき奮闘にも関わらず、二匹は少しずつ、井戸の底へと近づいていく。 その都度、腐ったような水の匂いが濃くなって、れいむの喉にまとわりつく。 ぶわあんと、反響するカトンボの羽音がひどく耳障り。 水際に近寄るほど濃厚に漂いはじめる死の気配。 「……い」 れいむの耳がまりさの呟きを拾う。 また「ごめんなさい」だろうか。 朦朧とした口ぶりで繰り返すその言葉に、れいむに湧き上がるのは逆に罪悪感。 「もういいから、謝らないでね!」 精一杯の優しさをこめて呼びかける。 だが、反応は予想外のものだった。 「違うのおお」 それは、半泣きのまりさのうめき。 「かゆいの、かゆいの、すっごくかゆいの……」 しみこんだ水分を枯れ果てるまで流すかのように、だらだらとこぼれ落ちる涙。 余程の痒み襲われているのか、ぶるぶると痙攣のように震えだした。 「傷が、顎のあたりが痒いいい! ジクジク、かゆいいいいい!!!」 みっともなく、幼子のように泣き叫ぶまりさ。 恐らく、患部は最初に井戸を落下したときにおった顎付近の傷。 れいむからはまりさの顔越しの位置になって、傷の様子はわからない。闇の中、懸命に舌を伸ばしている様子のまりさも、患部にまで舌がのびずもどかしい模様。よほど痒いのだろう、なおも舌を伸ばして時折えづく。 「き、きっと傷がカサブタになろうとしているんだよ。痒いけど、我慢だよ!」 少しでも前向きな言葉を口にして、まりさの気を紛らわそうとする。 けれども、まりさを襲う痒みは尋常ではないようだ。 「痒いよう、痒いよう……」 繰り返すまりさの嗚咽を聞きながら、三日目の夜はふけていく。 眠って底に滑落しないよう、唇をぎゅっとかみ締めるだけの夜は、ひたすらに長い。 中編
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4603.html
「れいむのあかちゃんが生まれるよ!ゆっくり産まれてきてね!!」 「ゆゆ~ん!まりさとれいむのあかちゃん凄くゆっくりしてるね!」 実ゆっくりが震える。 ついに出産の時が来たのだ。 「生まれるよ!れいむの可愛い赤ちゃんがうまれるよ!」 「まりさの赤ちゃん!ゆっくりしてね!」 ポト。 最初に茎から落ちたのはれいむ種の赤ゆっくりだった。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」 パチっと目を開き大きな声で第一声を上げる赤れいむ。 そのゆっくりした姿に親れいむと親まりさは感動した。 「ゆゅーん!!れーみゅ ゆっくちうまりぇちぇ しゅごーくゆっきゅりしてるよ!」 楽しそうに跳ねる赤れいむ。 産まれてきた喜びを全身で表現しているのだ。 「ゆっくちちたら うんうんしゅるよ!ちゅっきりちゅるよ!」 ブリブリ。 ビチビチ。 ブショワー。 赤れいむからこんもりと山のように餡子が垂れる。 ついでに砂糖水も噴き出す。 「ゆがああああああ!?れいむのおチビちゃんが餡子を出しちゃったよ!?」 「餡子が出るとゆっくりできなくなるよ!おチビちゃんゆっくりしていってね!!」 その行動に親れいむと親まりさは大慌てになる。 しかし当の赤れいむは全く気にしていなかった。 「ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅっきりいいいいい!!!!もっちょ うんうんと ちーちーちて ちゅっきりちて ゆっきゅりだよ!!!」 ブリブリブリブリ………。 ブショー。 赤れいむは更に糞と尿をひねり出す。 「ゆあああ!!れいむの貴重なおチビちゃんがあああああ!!!」 「どぼじでぞんなごどじでるのおおおお!?」 「ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっきりいいいい!!!」 ブリブリとシーシーは止まらない。 ついに赤れいむは皮だけになってしまった。 「もっちょ…………ちゅっき…り……ちちゃかっ………た……………」 それが赤れいむの最期の言葉だった。 その後生まれてきた赤ゆっくり達もみな糞尿を撒き散らして死んでいった。 「どぼじでれいむのおチビちゃんがああああ!!!?」 「なんでゆっぐりじでぐれないのおおおお!?」 皮だけになった10匹の赤ゆっくりを見ながら2匹の親ゆっくりは絶望した。 だが絶望はこの2匹で終わることはなかった。 世界中のゆっくりがその日を境に究極の進化を遂げたのだ。 汚物ゆっくりとしての最終進化だ。 産まれた瞬間から糞尿を撒き散らす究極の生命。 それから間もなくゆっくり種は絶滅した。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/802.html
注意 自分設定があります。 赤ゆっくりがでてきます。 すっきりできないまま、終わるかもしれません。 「「「ゆっきゅりちていってね!」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ここはとあるゆっくりの群れ。 たった今、生まれたばかりのゆっくりが目をキラキラを輝かせながら親たちに向かって、お決まりの挨拶をする。 親たちもまた、お決まりの挨拶を返し、その後は頬を擦り合わせて親愛の情を示すのだ。 平凡かもしれないが、とてもゆっくりした親子たちであった。 子供たちは初めて見る『おそと』に興味津々であった。 あるもの全てがとても綺麗なものとして感じられる。 木々の緑、風の流れ、太陽の暖かな光、どれもこれも当たり前のものだが、全て素晴らしいものとして感じている。 この時の感情をゆっくり風に言い表すならば、『とってもゆっくりしている』であろう。 大人になってからでは目を向けないものだが、生まれたてのゆっくりだからこそ分かるのだ。 やがて子供たちは自分を生んでくれた親の元へと集まり、家族であることを確認する。 彼らはとても、とてもゆっくりしていた。 「へぇ、いっぱいゆっくりがいるなぁ」 「ゆっ!?」 人間の、どこか呑気そうな声が聞こえてきた。 ゆっくりは慌てて周囲を確認する。ゆっくりにとって、人間とは『ゆっくりできないもの』として分類されているからだ。 すぐさま、一匹のゆっくりが茂みから顔だけ覗かせている人間を見つける。 それは若い男であった。大きなリュックを背負って、物珍しそうにゆっくりたちを眺めている。 いきなり襲って来ないことに安堵したのか、ゆっくりたちはその場に留まって人間を威嚇する。 「ゆうぅぅぅ! にんげんさんはあっちにいってね! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 ぷくぅ、とゆっくりれいむは頬を膨らませて、身体を大きく見せる。 この動作は他の動物に対しても威嚇の効果はあまり持たないが、ゆっくり的には真剣である。 本気で相手を驚かせられると思っているのだ。 勿論、人間相手ではまったく威嚇の効果は見込めないが。 「いやいや、ごめんごめん。ゆっくりできないことはしないから、安心してくれよ」 笑顔のまま、男は両手を挙げて敵意の無いことを示す。 それでも、ゆっくりたちの威嚇の構えが解けないので、背中のリュックからあるものを取り出した。 「それじゃ、お近づきのしるしということで、これをあげるね」 それは山の中で採っていたキノコであった。 ここで、ゆっくりに人間の食べ物を渡すほど、男は知識不足なわけでもない。 人間の食べ物に舌が慣れてしまったら、大抵はろくなことにならないからだ。 「ゆゆゆ!? きのこさんだね! みんなはちょっとまってね!」 集団の中心ゆっくりと思しきゆっくりれいむが、まずは毒見をしてみる。先ほどの頬を膨らませたゆっくりれいむである。 むーしゃむーしゃ、と食べてみても、おいしいだけで毒はないようだ。 「きのこさん、おいしいよ! もっとちょうだいね!」 「はい、どうぞ」 ゆっくりにも食べやすいように、ある程度ばらばらにして地面にばらまく。 親ゆっくりたちはわっ、とそのキノコに群がって食べ始める。 出産直後であったために、とてもお腹が空いていたのだ。 「うめぇ! まじうめぇ!」「まじぱねぇ!」 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 凄まじい勢いでキノコを食べていくゆっくりたち。その様子を男は笑顔で眺めている。 一方、子供のゆっくりらはまだキノコのような固形物を食べることはできないため、食べ終わるまで待たされている。 子供であるため、食べ物という概念を完全には理解できていないが、おいしそうであることはなんとなく分かる。 いいなー、というような視線で親達を眺めている。 男はそれを不憫に思ったのか、そちらへと話しかけた。 「君たちは可愛い赤ゆっくりだね。お持ち帰りをしたいくらいだよ!」 突然、人間に話しかけられた子供たちは「ゆゆ!?」と驚いて親たちの背中に隠れる 親れいむの方もぶくーっと膨らんで、再度の威嚇行動を取る。 「れいむのかわいいあかちゃんをもっていかないでね! ぷんぷん!」 「おかーしゃーん、がんばれー!」 「本当に持って行くつもりはないよ? そのぐらい、赤ゆっくりが可愛いってことさ!」 男の言葉に少しは気を許したのか、親れいむはぷひゅるる~、と頬から空気を抜く。 勿論、それにつけこんだ催促も忘れない。 「ゆっ! いくられいむのあかちゃんにめろめろになったからって、へんなこといわないでね! あと、きのこさんをもっとちょうだいね!」 随分と偉そうではあるが、親れいむは他の者を相手にする時、『下手に出たら負け』と思っている。 常に堂々としていることで、相手を圧倒しようというわけだ。これは同じゆっくり相手には通じる場合もある方法である。 場合によっては野生動物にも効くかもしれない。声に驚くこともあるからだ。 勿論、人間にはまったく効果はないが、男には人語を解してる、と感じられてむしろ好意的にすら思っていた。 男は普通の『良い人』であり、極端な嗜好の持ち主ではない。 ゆっくりによってもたらされた被害に眉をひそめることはあっても、潰そうとは思わない性格であった。 はいはい、と頷くと、男は再びきのこをばらまく。 ゆっくりたちもこの人間は敵ではない、と判断したのか、きのこを食べながら思い思いにゆっくりし始めた。 しばらくの間、男は触れるでもなく、ただひたすらに子供のゆっくりを眺めているだけであった 「いや、ホントに可愛いな~赤ゆっくりは」 ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、何度目かになるその台詞を言う。 そこで、ようやくゆっくりたちは疑問を持った。 「ゆ? あかゆっくりってなに? れいむのあかちゃんはれいむだよ!」 親れいむがややこしいことを言う。 ちなみに、ゆっくりに個体名というのは存在しない。あるのは『れいむ』や『まりさ』などといった種族名のみである。 それでは相手のことを呼び合えずに不便に思われるかもしれないが、ゆっくりは飾りによって相手を識別している。 どんなに美しいとされるゆっくりでも飾りがなければ、ゆっくりできないゆっくりと思われる。 家族であっても、飾りのないゆっくりは排斥しようとするのだ。 飾りは取れやすい、という欠点はあるが、相手を識別するのに最も必要なものである。 加えて、ゆっくりは親しい相手のことは微妙なニュアンスで呼び分けてもいるらしい。 余談ではあるが、人間がそれぞれ違う名前を持っている、というのはゆっくりにはよく理解できないことなのだ。 だから、人間を『にんげんさん』や『おにいさん』などといって一括りにしようとする。 もしかすると、人間には飾りがないのでゆっくりしていないと思っている可能性もある。 飾りがないゆっくりとは、人間で言えば名前のない人間と例えれば、少しは理解できるかもしれない。 「ああ、赤ゆっくりっていうのはね、赤ちゃんのゆっくりのことだよ。 可愛い赤ちゃんの赤を取って、赤ゆっくり」 男は親れいむを見ながら、丁寧に説明する。 その説明に親れいむも納得の表情を浮かべて頷く。 「ゆ! あかちゃんのことだったんだね! そうだよ! れいむのあかちゃんはかわいいもんね!」 元々、大きかった声をさらに張り上げて親れいむは胸、もとい顎を張る。 男は頬を綻ばせながら、ゆっくりの様子を見ている。 「皆が『れいむ』じゃ、ちょっと呼びにくいもんね。赤ちゃんのことぐらいはそう呼んでみたいんだよ」 男は人間なので、ゆっくりの区別は大きさの大小などでしか区別ができないため、一つそんな提案をしてみる。 親れいむはというと、その提案に乗り気であった。 「ゆゆゆ! おにいさん、あたまいいね! ゆっくりよんでいいよ!」 男は褒められはしたが、流石に苦笑いで返す。 しかし、許可は出たので思う存分、呼ぶこととした。 「それじゃ、赤ゆっくり可愛いな~。ウチでも飼いたいなぁ。でもなぁ……」 わずかに陰鬱な表情になりながらも、触れずに愛でる男。 猫好きなのに猫アレルギー持ちのような可愛がり方である。 親れいむはそんな男の様子を見ていて、なんとなくうずうずし始めていた。 先ほどから男の言葉が気になって仕方ないのだ。 赤ゆっくり。赤ちゃんを指し示す言葉である上に、ゆっくりという言葉が入っていれば気にならないわけがない。 つまるところ、自分も言ってみたいのだ。 「ゆっ、ゆっ! おにいさんだけにはあかちゃんをまかせておけないよ! れいむもよぶよ!」 すぐに我慢の限界が訪れ、よく分からない論理を展開しながらも親れいむが自分の子供に近寄る。 「ゆ~♪ れいむのあかゆっくり~♪ とってもかわいいんだよ~♪」 「「「ゆ~」」」 赤ちゃんゆっくりとは親れいむなりのアレンジだろうか。 子守唄のようなものを歌いながら、己の子供を頬ずりをする親れいむ。 頬ずりをされている赤ゆっくりはなんだか妙な表情をしている。親が重いのかもしれない。 そして、周囲にいたゆっくりもその光景を見て、ゆっくりしたくなってきた。 「ゆっ、ゆっ! まりさのあかゆっくりもゆっくりするよ!」 「あかゆっくりちゃんって、とってもとかいてきなかんじね!」 「ゆ! あかちゃんゆっくりかわいいな~♪」 などと、自分の子供とゆっくりし始めた。 各々がゆっくりしている状況を見て、男はゆっくりしているのを邪魔していけない、と感じた。 人間がゆっくりと関わっても、ゆっくり側に良いことはあまり起きないからだ。 そういう意味で男は少し関わりすぎた。 「それじゃ、僕はここで失礼するよ。後は皆でゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 こうして、男とゆっくりたちは別れた。 できればもう一度会いたいな、などと考えながら、男は家路に着いたのであった。 男と出会ってから一週間程が過ぎた。 その間、親れいむたちは酷い目に会うこともなく、毎日を過ごしていた。 食べ物がちょっと少なかったり、木にぶつかったりなど、些細な不幸はある。 しかし、それを補って余りあるほど自分の赤ゆっくりは可愛いし、皆と一緒にいられるのもとても幸せである。 みんなゆっくりしている、はずであった。 なんだかあかちゃんゆっくりのようすがへんだ、と何となく親れいむは思っていた。 言葉ではうまく説明できないが、妙な違和感を親れいむは持っていた。 赤れいむに元気がないわけではない。むしろ、普通に甘えてきたりもする。 呼べば返事もちゃんとする。多少の偏食はあっても、さして重要視すべきことでもない。 だが、何か変だった。 「ゆ~? よくわからないよ? でも、ゆっくりできないからいいや!」 親れいむは考えることを放棄した。元来、ゆっくりとは考えることを常とするモノではない。 刹那的に日々を過ごしていく奇怪な動く饅頭である。 ともあれ、親れいむは先ほどまでの考えをすっかり忘れて、我が子に頬ずりをする。 「す~り、す~り♪ れいむのあかゆっくり、ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっきゅり~♪」 赤ゆっくりもそれに応じて、頬ずりをする。とても仲が良い関係であった。 さらに幾日か過ぎた。 何度かの不幸はあったが、親れいむたちはゆっくりしている。 しかし、なんとなく違和感が残ったままであった。 「「ゆっくりしていってね!」」 仲間同士で言い合う中でも、何か釈然としないものがあった。 誰もがなんとはなしに分かっているはずなのに、分からない。 そんな状態が長く続き、親たちはどこかゆっくりできなかった。 そんな中でも赤ゆっくりたちはいつもどおりにゆっくりしていたが。 ある日、親れいむは仲の良いゆっくりまりさに思い切って相談してみることにした。 自分の考えすぎかもしれないが、ずっと心の底からゆっくりできていないのだ。 これではストレスが溜まって仕方ない。 親れいむは親まりさを人気ならぬゆっくり気のない場所に呼び出して、問いかけた 「ゆぅ……まりさはゆっくりできてる?」 「ゆっくり、できてるよ! どうしてそんなこときくの?」 「ゆっ……!」 まりさの言葉の間、『ゆっくり』の部分にわずかな躊躇いがあることを親れいむは見逃さなかった。 もしかするとまりさもゆっくりできていないのではないか、と親れいむは感じたのだ。 「まりさ、ほんとうにゆっくりできてる?」 「ゆ……ゆっくりできてるよ?」 「ほんとうに?」 「ゆ、ゆぅ……」 親れいむに何度も問いかけられることによって、まりさも徐々にゆっくりできなくなっていく。 心の中にあったわずかな疑念が段々と大きくなっていくのが分かる。 「……まりさも、すこしゆっくりできてないよ……」 注意して見れば、まりさの身体は葉っぱなどによってできた擦り傷がいくつかある。 親れいむにもあるが、自分の赤ゆっくりのために食べ物を取って来る時にできた傷である。 子育てとは大変なものである。 だが、ゆっくりできない問題とはまさしくそこにあった。 「まりさのあかゆっくりが、へんなんだよ……」 まりさが沈痛な面持ちで語りだす。 そこには隠し切れない苛立ちも含まれていた。 「もうずっと、ごはんをあげてるのにぜんぜんゆっくりしてないんだよ…… まりさががんばってるのに、ぜんぜんてつだってくれないし、もっと、ちゃんとしてほしいよ……」 まりさが愚痴を言うように呟き続ける。 親れいむにはまりさの辛い気持ちはよく伝わったが、何が起こっているのかはよく分かっていなかった。 出した結論は、 「やっぱり、まりさもゆっくりできてないんだね!」 だった。原因は未だ不明だが、その推測は当たっていた。 そして、このゆっくりできない状態は群れ全体へと波及していくのであった。 さらに数日。そこで繰り広げられている光景は酷いものであった。 「ゆっくりできないあかゆっくりは、どっかいってね!」 「「まま~! どおぢでそんにゃこどいうの~!?」」 「こんなあかゆっくりちゃんはとかいはじゃないわ!」 「「ときゃいはってな~に?」」 「あかちゃんゆっくりなんて、もういらないよ!」 「「おかーしゃーん!?」」 親であったはずのゆっくりたちが己の子を罵っている姿がそこにはあった。 その中には、あの親れいむの姿もある。 「どおして、れいむのあかゆっくりはおおきくならないのぉぉぉおお!?」 「「「おか~しゃん、おこらないでね!? おこらないでね!?」」」 親から受ける圧力に、赤ゆっくりはとてもゆっくりできていなかった。 どうして親たちが怒っているのかも理解できない。 しかし、言われも無い迫害を受けているとは言いがたい状態でもあった。 親れいむの言葉は真実である。 赤ゆっくりたちは男と会った時と比べても、ほとんど成長していないのだ。 いや、全く成長していないと言い切ってしまってもいいかもしれない。 「ほんとうに、れいむのあかゆっくりはじゃまだよ! ゆっくりできないよ!」 「「「どうちてしょんなこというのぉぉぉぉぉ!!??」」」 親れいむは可愛がっていたことも忘れて、赤ゆっくりを罵る。 赤ゆっくりが生まれてから、ずっと食べ物を与え続けているにも関わらず、まったく大きくならない。 それが、親れいむには不気味に映り、またゆっくりできないように思えたのだ。 赤ゆっくりは赤ん坊であるために食べ物を自力で食べられず、親が噛み砕いたものなどを食べる。 一般に言われている限りでは数週間もあれば、赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長する。 子ゆっくりともなれば、親が噛み砕いたものを食べる必要はなく、それなりに固形物を食べられるようにもなる。 また、身体にも弾力性が出てきて、赤ゆっくりと比べてはるかに死ににくくなる。 赤ゆっくりを育てるというのは神経を使うものなのだ。 それが一向に成長しないともなれば、余計にイラつくのも無理はない。 「もうへんなあかゆっくりなんてそだてないよ! さっさときえてね!」 「「「おか~しゃ~~ん!!!」」」 親れいむの最後通牒によって、親子間に決定的な溝ができた。 かえってきて、と泣く子を無視して、れいむは自分の食べ物を探しに行く。 見れば、周囲の親ゆっくりたちも一様に我が子を見捨てて、思い思いに行動し始めている。 「ゆ~♪ これでようやくゆっくりできるよ! ゆ~♪ ゆ~♪」 れいむは意気揚々と跳ねていく。 その頭の中は己の願望で一杯であった。 「まずはあたらしいおうちをみつけないとね! れいむのかわいいかわいいあかゆっくりがいっぱいほしいよ! ちゃんとおおきくなるあかゆっくりがほしいね!」 この家族は何か特別なゆっくりではなかった。そこらに存在している一般的なゆっくりでしかない。 それは群れのゆっくりも同じである。では、何故今回のようなことが起こったのか。 それは、『あかゆっくり』という言葉によるものであった。 群れの子供たちは己の名前ではなく、明らかに『あかゆっくり』などと呼ばれることが多かった。 本来、ゆっくりは人間が気づき得ない微妙なニュアンスの差異で他の個体を呼び分けている。 それによって、己の自我を確立し、他の個体とはわずかに違った精神構造を持つ。 それが『あかゆっくり』と一括りにされることで乱れてしまったのだ。 最初に自我を確立させるべき相手から、名前を呼ばれないことで奇妙な変化が起こっていた。 子供たちは自分のことを『あかゆっくり』であると思い込み、そうであろうとする意思が働いていた。 『あかゆっくり』であるから、大きくならない 『あかゆっくり』であるから、固形物を食べられない。 『あかゆっくり』であるから、身体が柔らかい。 『あかゆっくり』であるから、うまく喋れない。 『あかゆっくり』であるから、ものが良く分からない。 『あかゆっくり』であるから、『あかゆっくり』でなくてはいけないのだ。 つまり、『あかゆっくり』と呼ばれ続けることで精神と身体が赤ゆっくりの状態で固定されているのだ。 餡子の遺伝によって、親が思う『あかゆっくりとはこうあるべき』という形が子にまで伝わっていたのだ。 この状態は自分の子供を『あかゆっくり』と呼び続ける限り、変わらないのだろう けれども、れいむたちは今後もそう呼び続ける。 「れいむのあかゆっくり」と括ることで、通常よりも「この子供は自分のモノである」と印象付けることが可能だからだ。 何に印象付けるのか。勿論、自分と周囲に対してである。 いわば、自分が如何にゆっくりしているのかを証明するアイテムが『あかゆっくり』となっているのだ。 恐らく、ゆっくりたちは何故自分たちが子供のことを『あかゆっくり』と呼びたいのかは理解してはいないだろう。 そう呼んだらゆっくりできる気がする、そんな程度の理由しか思っていないのかもしれない。 ゆっくりたちは、どの個体も皆ゆっくりしていたい。 自分がどれくらいゆっくりできているかの指標として、『あかゆっくり』が必要とされたのだ。 『自分はこんなにもゆっくりしているものを持っている。だから、自分はとてもゆっくりしているのだ』 要約すれば、こういう理屈になるはずであった。 しかし、現実に赤ゆっくりは生きている。 れいむはその弱々しい個体を生かし続けるのが苦痛となったために捨ててしまったのだ。 赤ゆっくりがいる家族は、見た目とは裏腹にゆっくりできることが少ないからだ。 れいむはこれからもさらなるゆっくりを得るために、『あかゆっくり』を産んでは捨てていくのだろう。 多分、死ぬまで。 「ゆっくりしていってね! れいむのあかゆっくり!」 「ゆっきゅりしていってね!」 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2402.html
ゆっくりシャンティー 25KB 虐待-普通 調理 現代 大食いアイドルによる、食用ゆっくりエッセイ いつの頃からか憶えてないけど、あたしのモットーは『人生は一度しかないから、色 んな事をやってみる』だった。いやまぁ、犯罪とか人に迷惑を掛ける事は駄目だろうけ ど。人として。 思えばあたし、色んな事をやったよ。自衛隊にも入ったし、セミプロのコスプレイヤ ーもやった。そして今は……。 『大食いアイドル』って何よ? 本人が『何よ?』って言うのも変だけど、自分で付 けた肩書きじゃないしなぁ。大体、アイドルって言える歳かなぁ? コスプレだって去 年で引退したっていうのに……。 まぁ、大食いタレントってヤツなのよ。そのジャンル自体も微妙だけど。顔の方も、 コスプレイヤーやってたぐらいだから、多少の自信はある。あー、いやいや、自慢じゃ ないから。飽くまで、他の大食い連中と比べて、って話ね。まぁなんとか、テレビに映 ってても大丈夫だよね、ってコト。 そんなワケで、テレビとか雑誌とかで『大食いアイドル』なんて肩書きを付けられち ゃたの。いや、本物のアイドルには悪いと思ってるわよ。あの娘達にしたら、あたしな んてオバサンだろうし。 さて、今日は胃袋を広げに来たんだ。ん? 意味分からないって? えーと……。 一口に大食いタレントって言っても、色んなタイプがいる。人によっては、胃や腸の 柔軟性が高くて、物凄く沢山の食べ物が入るって人もいる。でも、あたしはそういうタ イプじゃない。普段の胃のサイズは、それほど大きくもない。だから、イベントとか試 合の前には暫くの期間、多目に食べるようにして、徐々に胃のサイズを大きくしなきゃ ならないんだ。 普段から大きくしておけばいいと思う人もいるかも知れないけど、そうもいかない。 沢山食べたいのは山々だけど、そんな事をしてたら、あっという間に財布が悲鳴を上げ る。大食いタレントのギャラなんて、たかが知れてるのよ。彼氏に奢ってもらうにして も、破局の原因になる(あ、現在、彼氏募集中。週1ぐらいでデカ盛りを奢ってくれるよ うな人がベター)。 そんなワケで、シーズンオフ(?)は胃を小さく(と言っても、普通の人と比べて小さい かどうかは怪しい)しておいて、必要に応じて大きくしていく、って感じなの。 でね、このアーケード商店街の中の、とあるお店が今日のターゲット。そこで大食い しようって話。 この商店街の最寄り駅は、あたしの自宅の最寄り駅から2駅離れている。普通なら自転 車で来る距離なんだけど、あたしはよく歩いて通う。ま、都会の私鉄の2駅分なんて大し た距離じゃないんだけど、一応、大食いをする以上、カロリー消費の助けにね。あ、カ ロリー計算は数字のまやかしだって事は知ってるし、そもそも気休め程度の運動量だけ どね。 今日行くお店は、駅側からアーケードに入ってちょっと行った所にある、『ゆっくり の王様』ってトコ。店の名前で分かると思うけど、原材料に食用ゆっくりを使ったスイ ーツのお店。 ぶっちゃけ、このお店、有名な割にはそれほど美味しくはない。特段安くもない。内 装もそんなに綺麗じゃない(ソファーなんか、ボロボロに破けてるトコもある)。じゃぁ 何故?って思うわよね? 実は、所謂デカ盛りメニューが多いってトコがポイント。ス イーツ屋なのにね(笑)。ま、スイーツの大食いの練習とかにはもってこいってワケ。 とかなんとか言ってる間に、お店の前に着いた。よく見る光景だけど、店頭には一押 し商品の宣伝ポスターなんかが貼られている。今貼られてるのは『モンふらん』……。 うーん。この商品にはイヤな思い出が……。 これは名前の通りの商品で、アイス化してある子ふらんや赤ふらんが、山のように積 まれてる物。 アイス化って言うと聞こえはいいけど、要は凍死体みたいなもの。いや、それは流石 に聞こえが悪いか(笑)。でもそもそも、人間が食べてるものの殆どは、形態はどうあ れ、動物か植物の死体だし。 死体を食物にする事とそれに対する罪の意識っていうのは、古今東西に有って、それ らは形の変遷は色々と有れど、特に宗教観に大きく反映されてたりする。イスラム教の ハラームなんて有名よね。あれは『穢れているから』と理由を付けてはいるけど、そも そもの起源は、死体を食べることに対する罪の意識とか、寄生虫の危険性の問題から来 ているのよね。 え? なんでそんな事知ってるかって? そりゃまぁ、一応こういう仕事してるんだ からさ、食べ物についてぐらいはある程度の知識が無いとマズいでしょ。 まぁ、それ以前に、食べるだけじゃなくて料理とかも好きだし、大学では『食物文化 論』とか『食物論』とかの単位も取ったし。『チョコレートとマヨネーズの相似と相違 は……』とか『エマルションとサスペンションが……』云々とか。ま、そんな感じの事 をやってたワケよ。 あぁ、話が脱線しちゃった。『モンふらん』の話ね。 これさ、見た目はカラフルで綺麗だし、少しだけならそこそこ美味しいの。ただ、殆 ど全部がふらんで出来てるワケじゃない? いくら食べても餡子味だから、あの量は流 石に飽きるのよ。いや、あたしがそもそも餡子がそれほど得意じゃないってのは有るか も知れないけどね。 前に注文した時は、もったいないから全部食べたけど、流石にキツかったなぁ……。 そもそもあたしは、大食い自体が目的じゃないんだ。美味しいから沢山食べる。その 結果として大食いになる。……ってだけ。だから、いくらデカ盛りでも、飽きるほど単 調な味だったりするとキツい。 あたしも仕事で大食いやる以上は、なんとか克服したいとは思ってはいるんだけど、 こればかりはねぇ……。 ん? さっきこの店の事を『それほど美味しくはない』って言ったじゃないかって? いや、美味しいには美味しいんだけど、お洒落な美食雑誌とかで特集されるレベルまで じゃない……って意味よ。その辺りは察してよ(笑)。 店に入ると、店員が迎えてくれる。流石に店員とはもう顔見知りだ。会釈を交わして から奥に案内され、ソファーに座った。 店は、今では多くなくなった、イートインが出来るケーキショップみたいな感じ。入 り口付近にはテイクアウト用のケーキショウケース。そこから進むと厨房とカウンタ ー。一番奥に客席がある。 なんか、一昔前の駄菓子屋兼お好み焼き屋とかみたいで、結構こういう店は好きだ。 席について間も無く、店員が水とメニューを持ってくる。まぁ、注文する物はもう決 まっているのだけど、一応、メニューを開いて指差しながら言う。 「『ロッキーマゆンテン』を一つ」 「かしこまりました」 店員がうやうやしく頭を垂れてから下がる。 この店はゆっくりスイーツの店だが、メインはケーキだけではなく、他にサンデーや パフェがある。さっき出てきた『モンふらん』はケーキ系だけど、今、あたしが注文し た『ロッキーマゆンテン』はパフェ系。他のデカ盛りメニューもパフェ系が多い。 この店で使われている食用ゆっくりは、成体ゆっくり、子ゆっくり、赤ゆっくり共、 全てが養殖物だ。盛り付けの問題で、サンデーやパフェには子ゆっくりや赤ゆっくりが 使われることが多いそうだ。そりゃそうだ。あの成体の大きさの物が皿の上に載ってい たりするのは、いくらデカ盛りでも邪魔だろう。一方、成体ゆっくりの方はそのまま使 われる事は少なく、加工されて素材やソースとして使われる事が多いとか。 この店はチェーン店なのだが、以前、このチェーンの食用ゆっくりは『野良ゆっくり を捕まえて使っている』という噂が流れた事がある。 結論から言うと、これは嘘だ。そもそも、これだけ養殖の食用ゆっくりが安定供給で きる今現在、野良ゆっくりを捕まえて食用にするコストと手間を考えれば、分かりそう なもんだけど……。 この噂の発端というのは、チェーンのとある店での出来事。この店は大きな駅の地下 街にあったんだけど、そこから地上に伸びる通気ダクトの排気口にはめてあった金網が 何故か外れていて(野良ゆっくりが壊したのかも知れないけど)、そこから店内へと野良 ゆっくりが転げ落ちてきて、店内を叫びながら走り回ったという事件があったのだ。た またまそれを見ていたお客さんが、『野良ゆっくりを使っている』という噂を立ててし まったというワケらしい。 実はこれ、実際にその店でバイトしてた友達から聞いた話。 とかなんとか言ってる間に、 「お待たせしました。『ロッキーマゆンテン』です」 注文したのが出来てきた。 これは何回見てもすごい絵面だ。アイス化されたれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅり ー、ちぇん、みょんの6種類の子ゆっくりや赤ゆっくりをそれぞれ数匹使って、山のよう に盛り付けられている。頂上の赤ありすの口に刺してある花火がパチパチいっているの は若干悪趣味って感じはするけど、まぁ、しょうがない。 「いただきます!」 あたしは手を合わせて言った。コレに限らず、食事の時は必ず『いただきます』を言 うようにしている。声を出しちゃマズいような時でも、心の中では言うようにしてい る。 最近、『いただきます』を言わない人が多いような気がする。そりゃまー、個人の主 義の問題だから他人の事に口出す権利は無いけど、『いただきます』の言葉の意味ぐら いは知っていて欲しい。 『いただきます』って言葉は本来、『自分の命を繋ぐため、あなたの命をいただきま す。あなたの命をいただく事に感謝し、その命を無駄にしません』という、食材となっ た物への感謝の言葉だ。まぁ、今の日本じゃ、命を繋ぐっていう切迫した状況のために 食事をする事はまず無いけど、それでも食材への感謝は必要だと思う。 美味しいから沢山食べるって言ったけど、それも食材への感謝に関係が有る。どうや って食べようと、あるいは、食べないで捨てようと、食材の命を奪っている事に変わり は無い。それだったら、美味しく戴く方が食材への供養になるんじゃないかって思って てね。うん、自己満足だなんてことは分かってる。でも、そうでも思わないと、自分が 他の命を奪って生きている事自体を深く考え出して、切なくなる。 美味しく食べるために、それ以外にも気を使っている事はある。例えば、化粧。あた しは普段からあんまり化粧はしない方だけど、食べ物屋に入る時は特に、スッピンか無 臭の薄化粧で行く事にしてる。 たまーにゴテゴテの化粧してて、クッサくてしょーがない女とかいるのよね。食事っ て五感で楽しむものだから、それを化粧品の匂いで邪魔されるのがイヤ。自分も他の人 の邪魔をしたくないから、化粧には気を使ってる。 普段からそう言ってたお陰で、最近はテレビとか雑誌とかの仕事でも、メイクさんが 気を使ってメイクしてくれる。感謝、感謝! そう言えば、世界には食べ物が充分に無くて飢えている人が沢山いるのに、大食いな んて真似をして恥ずかしくないのか!って、テレビとか雑誌とかの大食いイベントに対 する感想としていただくことが有る。あたしに対する名指しの批判も有る。 確かに、命を繋ぐ量以上の大食いなんて『必要』は無い。それは確かにそうだ。でも 残念ながら、あたしが食べなかったからっていっても、その分が飢餓地帯に回されるっ て事は絶対に無い。世の中はそんなに単純じゃあない。あたしが飢えている人を助けよ うと思っても、それが直接出来るワケでもない。 だったらあたしは、あたしの社会的な役割を果たす事がベストなんじゃないかな、と 思ってる。あたしが大食いイベントに出て、それを見た人が喜んでくれるなら、それで いいんだと思う。それは、いくばくかの経済効果になるだろうし、そういった事が巡り 巡って飢えている人を救う事になるかも知れないから。全く遠い道のりの話だけど、い つの日か、そうなればいいなと思ってる。ただ、食べ物に関する感謝は、飢えている人 達に負けないぐらいしないといけないとは思う。 勿論、違う意見の人達は、あたしの言い分なんか受け入れられないだろうけど、それ は仕方ないし、あたしも分かってる。ただ、あたしがどういう考えを持って大食いと向 き合っているか、それだけは知っていて貰えると嬉しい。 あー、なんか説教臭くなっちゃったわね。あたし自身、説教臭いのは嫌いだから、さ っきの話はスルーしてもらってもオーケー。人によっては、ああいう話ってイラっとす るだろうしね。あたしの悪い癖なんだ。ゴメンね。以下同文。 さて、まずは一口。……ん、美味い。いや、普段言葉に出す時は『美味しい』って言 うけどね(笑)。甘いには甘いんだけど、色んな種類のゆっくりが使われてて中身毎に味 が違うから、味の単調な『モンふらん』に比べると、飽きにくくて量を食べ易い。 同じデカ盛りパフェやサンデーが売りの店の中でも、材料費をケチっているような店 だと、単価の安いれいむやまりさが多く使われている事が多い。そういったヤツは結 局、餡子味しかしないんで、飽きてしまう。変なトコをケチっちゃ駄目っていう良い見 本ね。 パクパクと快調に食べていく。ギャラリーが居ればビックリまなこで眺められる事も 多いけど、今日は今んとこ他に客は居ないし、店員はもう見慣れたもんだ。 『大食いアイドル』のあたしに対する感想は、批難や否定的意見ばかりでもない。具 体的意見は、否定的、肯定的のどちらもありがたいし、応援メッセージを貰うと励みに もなる。 好意的メッセージの中でも多いのは、『食べ方が綺麗ですね』というものだ。これは あたしが意識してやっていることではないけど、言われて嬉しい事には間違いない。多 分、子供の頃の親の躾のお陰だろう。それに関しては、親に感謝してる。 同じ大食いタレントの中でも、食べ方が汚い人もいる。勿論、『大食いタレント』の 第一義は『沢山食べる事』だから、一概に否定はしないし、他人の主義だから、あたし が意見するような問題でもない。 ただ、あたしの主義として、沢山食べるためとか早く食べるために、食べ方の美しさ を犠牲にするつもりはない。それは、あたしなりの美学ってヤツだ。 以前聞いた事がある言葉に、ある論客が言っていた『スポーツというのは美しくなけ ればならぬ。筋肉の塊のようなのが走っているのは言語道断』というものが有る。それ はまた極端な意見だとは思うけど、言いたい事は分かる気がする。目的のためにそれ以 外を切り捨てるのもいいけど、人に見られる事である以上は、醜いよりは美しい方がい いと思うし、そうありたいと思ってる。 実際のところそのお陰で、大食いだけじゃなくて、B級グルメリポートみたいな仕事 も入ってくるようになったから、実益もあるんだけどね。エヘヘ。 ……と、店に他の客が入ってきた。親子連れ、というか母と娘だ。お父さんが会社に 行っている間の久しぶりにお出掛けって風情なのか、娘の方はエラくはしゃいでいる。 近くの席に座ったその親子は、暫くの間、楽しそうにメニューを眺めていた。する と、特に気にしていたワケではないんだけど、あたしの耳にその注文が聞こえた。 「『ゆっくりシャンティー』一つ」 口には出さなかったが、あたしは内心『えっ?』と思った。 『ゆっくりシャンティー』と言えば、この店では『ロッキーマゆンテン』と並び称さ れるデカ盛りメニュー二枚看板の一つだ。その手のマニアからは、『ゆっくりの要塞』 という、ワケの分からない二つ名まで付けられている。 いくら二人とはいえ、母親と娘でそれを食べ切るのは無謀なんじゃないかなー?と、 あたしは思った。 注文品が来るまでの間も、その子のワクワクは止まらないようで、はしゃぎ続けてい た。それはまぁいいし、分かるんだけど……。その内、ソファーに上がって跳ねなが ら、叫び声を上げるようになった。 ここまでくると迷惑だ。が、その親は一向に注意しようとしない。最近、こういう親 が多いんだよなぁ……。たとえ注意したとしても、『ほら、おねえちゃんに怒られちゃ うわよー』とか言ってる事が多い。そーじゃないだろ。他人のせいじゃなくて、自分の 責任を認識させるように注意しろよ!とか思うわけで。 昔はあたしも、見ず知らずの相手に対してマメに注意してたりもした。たまーに徹底 抗戦してくる相手も居るけど、殆どは注意を低姿勢にしさえすれば分かってくれる。 ま、その後に同じ事を繰り返してないとは言えないけどね。 ただ、今のあたしはタレントの端くれだ。大してではないが、それでも顔は知られて いる可能性がある。注意したがために、逆捩じを食らわせられないとも限らない。まし てや、あの親の態度を見るに、その危険性は高い。 他に客が居ないせいもあって、イライラしながらも我慢していたあたしだったが、つ いに耐え切れなくなって注意しようとした時だった。 「お客様、危険ですし、他のお客様のご迷惑となりますので……」 店員が気を利かせてくれたのか、先に注意をしてくれた。 「……ごめんなさい」 幸いな事に、その子は素直におとなしくなった。あぁ、良かった。 でも、親の方はというと、一言も発せず、それどころか店員を睨みつけている。あー もう、こいつは完全に『でいぶ』だ……。 店員はその親の視線を完全に無視しつつお辞儀をすると、下がり際にあたしの方を向 いて目くばせをした。あたしも苦笑しながら会釈を返した。お行儀悪く、フォークをく わえたままだったけど。 さて、人間の言葉を喋るという事を除けば、ゆっくりを食用とする事に対する違和感 の大きな原因の一つは、その生物としての地位にある。 生物学的に同じ生物が、同じ場所において、愛玩用、食用、害獣、益獣の全てに該当 する可能性が有るというのは、かなり珍しいそうだ。ゆっくりは、その珍しい例の一つ なのらしい。つまり、ある人にとっては可愛がるべき存在が、他の人にとっては食べる 物であったり、叩き潰すべきものであったりするというワケ。 ま、急激にその存在が拡大したゆっくりという生物に対して、法律をはじめとした社 会的な共通認識が確立されていないという点が問題なのかも知れないわね。 「ゆ?」 ん? どうやら、『ゆっくりシャンティー』が出来たのかな? 「ゆゆっ?」 『ゆっくりシャンティー』が『ロッキーマゆンテン』とかと大きく違うのは、それに 使われているゆっくりが、まだ生きているって事。ま、勿論、歩き回ったり、跳ね回っ たりは出来ないように処理はされてるけどね。もしそうじゃなかったら、店内が大変な 騒ぎになるわよね……。 「ゆ? ここはどこ? ゆゆっ? なんであんよしゃんうごかにゃいのお?!」 冷凍睡眠状態から戻って徐々に正気を取り戻すにつれ、皿の上に盛られた子ゆっくり や赤ゆっくりが騒ぎ出す。 「お待たせしました。『ゆっくりシャンティー』です」 店員が親子の席にそれを置く。 「ゆっ? ゆっ? にんげんさん、ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 フォークとスプーンを構える女の子を見上げて、ゆっくり達は身の危険を感じたの か、必死になって人間をなだめようとする。ただ勿論、女の子はそんなものにかまうは ずも無く。 「ゆっくりしちぇにぇっ!! ゆぎッ!? いちゃいぃ~っ!! ゆぶッ……」 フォークが刺されて固定された一番手前の赤まりさは、スプーンで切り裂かれて絶命 した。 生きたままのゆっくりを食べるというのも、人によっては抵抗がある事だ。ただ、あ たし個人としては、魚の活け造りとか踊り食いなんかに比べれば全然マシ。それだけゆ っくりの事を『食物』として見ているのかも知れない。 そもそも、魚の活け造りなんていう物が出てくるようなお上品な店に、あたしが自分 から行く事はない。でも、まだあたしがコスプレやってた頃に、とあるプロダクション のお偉いさんが連れてってくれた店で、一度だけ出てきたコトがあった。その時、盛ら れてた魚が突然暴れだしたの。単なる脊髄反射で動いたのかも知れないなんて事は分か ってるけど、真っ当な女の子(!)が見て、喜ぶようなものでもない。驚いたあまりに飛 び退いて涙を流してるあたしを見て、そのお偉いさんは笑ってたな。あの時、『あぁ、 もうこのプロダクションとは関わるまい』と思ったもんだ。 魚の活け造りっていうのは、元々は鮮度というか味を落とさないための調理法だ。そ れなのに、『魚には痛覚は無い』とかいう偽善的理由を後付けしたもんで、調理法自体 のイメージが悪くなっちゃったっていう経緯は有る。 魚にも痛覚が有るっていうのは、何年か前の学術研究報告で見たような気がする。そ もそも、脊髄の有る生物に痛覚が無いと思われてた方が、おかしいと言えばおかしいん だけど。人間で言うところの『感情を興奮させる』痛覚と同じものかどうかは微妙だけ ど、身体の物理的危険を感じるレセプタが発見されたって事は、やっぱり同じようなも のなんだろうね。 そういえば、食用の養殖ゆっくりというのは、出荷前に恐怖や苦痛を与えられるらし い。ゆっくりというのは、ストレスを与えられると甘みや旨みが増すからだそうだ。 これが残酷だと言う人も世の中には居る。その意見はもっともな面もあるけど、食用 生物のこういった処理は、ゆっくりに限った話でもない。 例えばアサリ。アサリを料理する前は、砂を吐かせた後に水から上げておく。こうし ておくとアサリは、エラ呼吸が出来なくなって酸欠状態になる。するとアサリは、体内 に蓄積してあるグリコーゲンを使って生き延びようとし、その時に貝類の旨み成分であ るコハク酸が増えるそうだ。つまり、酸欠にして旨み成分を増すという話。酸欠状態が アサリの苦痛に当たるかどうかは微妙なトコだけど、少なくともアサリにとっては好ま しい環境じゃないわけで、ストレスを掛けて味を向上させるという点では一緒だと思 う。 味以外の面でも、食用生物にストレスを掛ける処理方法は有る。最近多くなってきた 背綿無しのエビ。アレなんかは、背綿(要するに、消化管の中の消化途中の餌と、それと 一緒に飲み込んだ砂)を無くすために、出荷の何日か前から餌を与えなかったりする。こ れなんかは手段と結果の違いは有るけど、エビにストレスを与えてるって点においては 一緒よね。 そもそも人間は、美味しい物を食べるためだったら、いくらでも(あたし個人として は、この言葉が正しいとは思わないけど)『虐待』をしてきた。ガチョウに強制給餌して 脂肪肝を作らせたりとかは、問題として取り上げられる事も有るけど、そんなに極端な 例じゃなくても、考えようによってはいくらでもある。レイヤーやブロイラーを狭い所 に押し込めて飼っているのも似たようなもんだし、さらには、養殖全てが……ってな話 になりかねない。 ま、人間が捕食種である以上、その捕食種と被捕食種の関係が変わらない以上は変わ らないんだろうけどね。いや、変わったらそれはそれで困るけど……。 もっと根本的な話だと、食肉のための屠殺にだって色々と議論は有る。最近、盛んに 言われているのは、『不要な苦痛を与えない人道的な屠殺方法』とかの話。 正直、死んだ人に話なんか聞いた事ないから(当たり前)、何が人道的かなんて分から ないし、死んだら意識自体が存在しなくなるはずだから、その前の苦痛っていうのがど んな意味を持っているのかも分からない。それが分かるというのなら、(多くの場合は 『希望的な』)推測に過ぎない。屠殺銃にせよ、屠殺槌にせよ、電気にせよ、ガスにせ よ、殺す事には変わりない。 それに『人道的』な話をするなら、苦痛だけが問題ってワケでもない。食用に養殖さ れている多くの動物は、充分に育つまでは大事に大事に育てられる。ところがある日、 食品として加工されるため、それまで思ってみたこともない『屠殺』をされるワケだ。 これは人間の感覚だと、『騙された』とか『裏切られた』だよね。 競走馬の屠殺についても聞いたことがある。競走馬というものは、大金を稼ぐ『ダイ ヤモンドの原石』として、それはそれは大事に育てられる。ただ、そういった馬の多く は、レースで十分に稼ぐ事が出来ないままに歳を取り、種馬になる事も出来ず、コスト ばかり掛かるのを嫌がった馬主(こうした馬主の多くにとっては、競走馬は投資対象にし か過ぎない)は屠殺する事を選択する。 それまで大事に育てられてきた競走馬は、全く何も疑う事もなく屠殺場に連れられて くる。屠殺銃が眉間を打ち抜くその瞬間まで。 そうして屠殺された競走馬は、二束三文で食用の馬肉となる。元々食用として育てら れたわけじゃないこの肉は、硬くて美味しくない。食べる方にもあまり喜ばれない。 『他者に支配された生死』の価値を云々するのも馬鹿らしいけど、何て言うか……、 『殺され甲斐が無い』って感じよね。 じゃ、動物じゃなくて植物ならばいいのかっていうと、それも違うと思う。植物だっ て同じ生物だから、その『存在を停止する』、つまり、生命活動を停止する事は、動物 にとっての死と同じ意味のはず。少なくとも、科学が発達した現代では、そういう意味 だろうと思う。健康のために、とか言うのならともかく、屠殺がイヤだから、とか言っ て肉や魚を食べないベジタリアンは、はっきり言って馬鹿か偽善者だと思ってる。あ、 今のはオフレコで。あの手の過激派って怖いのよ……。 これ以上の話は哲学的な問題になっちゃうから、あたしには難しくって良く分かんな いわ。……って、表向きはそういう事にしてある。本当は興味が無いっていうだけだけ どね(笑)。 端的に言うと、『人道的屠殺』っていうのは、屠殺対象に暴れられると危険だからと か、屠殺する側やそれを食べる側の気休めって意味が一番大きい。ま、そう言ってくれ るなら、それが一番すっきりする。誰だって、食事の度に罪の意識にさいなまれたりし たくないだろうからね。食べられる対象の気持ちを考えられるっていうのは、ある意味 人間の特権だろうし。 そういえば昔、『サタデーナイトライブ』のあるコーナーで、『君が殺して、君が切 る! 好みの厚さに切り放題!』とかいう、ステーキハウスのパロディCMをやってたの を見た事がある。当時は『悪趣味だなぁ』ぐらいにしか思ってなかったけど、今考えて みると、物凄く社会派なメッセージが入ってたんだなーとか思う。成長って大事よね。 「ごぷっ! えれえれえれ……」 「えれえれえれ……」 『ゆっくりシャンティー』には、その名前通り、ぱちゅりーが沢山使われている。ぱ ちゅりー種は良く知られている通り、ゆっくりの中では身体的にも精神的にも脆弱だ。 だから、皿の中の他のゆっくりが切られたり食べられたりするだけで嘔吐する事があ る。場合によっては嘔吐だけで死んでしまう。ま、嘔吐っていっても中身は生クリーム だから、食べる方にしてみたら問題無いんだけど。 『ゆっくりシャンティー』のマニアは、まず、ぱちゅりー以外をわざとその目に付く ように食べ、それを見たぱちゅりーがショックで嘔吐する(『チェーンリアクション』と 呼ぶらしい)のを見て楽しむそうだ。なるべく一度に多くのぱちゅりーに嘔吐させず、あ るぱちゅりーが嘔吐したのを見て他のぱちゅりーが嘔吐して……、というように連鎖(汚 い言い方をすれば『貰いゲロ』)する数を競う楽しみ方もあるとか。マニアってのは業が 深いわねぇ。 「れいみゅは、つよいん……、ゆがッ!」 「えれえれえれ……」 「おぼうしさんかえしてね! まりさのすてきな、おぼッ……!」 「えれえれえれえれ……」 「こ、こんなのとかいはじゃ……。もっとゆっ……」 「えれえれえれえれえれ……」 幼いゆえの無垢さによる残酷さか、女の子は嬉々として『ゆっくりシャンティー』を 食べ……、というより潰し続ける。 断末魔を叫ぶゆっくり。断末魔さえ叫べないゆっくり。それを見て吐くゆっくり。皿 の上のゆっくり達にしてみれば、まさに地獄絵図&阿鼻叫喚。 「ありしゅは、こんないなかもッ……!」 「きゃわいいれいみゅを、いじめなッ……?!」 「ちゅぶれりゅぅ! ちゅぶッ……!」 「ゆっくり……、もっちょゆっぐうぅッ……」 「うしょだあぁ~! まりしゃの、かれいなゆんしぇいがはッ……!」 「いちゃいぃ~! これぬいッ……!」 「……」 親子が交互にフォークとスプーンを持っていたが、ゆっくり達の声がしなくなるまで にはそれほど長い時間は掛からなかった。それから程なく親子は席を立ち、会計を済ま せて店を出た。 ふと、その『ゆっくりシャンティー』の皿を覗くと、どうやら半分も食べてなかった みたい。ゆっくりの死屍累々って状態。 なんかイラっとする。あたしはゆっくり愛で派じゃないので、可哀想って感じじゃな いんだけど、それでも、もったいないとは思う。 ただ、もしもお父さんも一緒に来てたら、『もったいないから』ってんで、お父さん が残り全部を食べる羽目になるんだろうなー。そういうのが、子持ちのお父さんが太る 一因だって聞いた事がある。それはそれで可哀想だ。 で、あたしの方はなんとか完食。いやいや、そんなに飽きはこなかったけど、やっぱ り楽に食べ切れる量でもない。それに何と言っても、コレだけの量のアイスだ。体が冷 える。 昔、医者には胃下垂気味だって言われたことはある。そのお陰か太りにくい体質では あるけど、やっぱりこれだけ食べてると太るのは心配。心配なら『大食いアイドル』な んかヤメロっつー話もあるけど。まぁ、体型が維持出来なくなったら、やめる事も考え ようかな。 「ごちそうさま」 レジでは店員が、申し訳なさそうな顔をしていた。 「すみませんねぇ、色々と……」 それがさっきの親子連れの客の事を意味している事は、すぐに分かった。 「大変よね。仕事とはいえ」 あたしが眉をひそめながら言うと、店員は苦笑しながら答えた。 「まぁ、そうなんですけどね……。あぁ、お代はいいですよ。さっきの事も有るし、い つも贔屓にしてもらってるし……」 それはマズい。あたしが大食いするのも仕事だけど、店が食べ物を出すのも仕事だ。 ちゃんとした仕事にはちゃんとした見返りが有るべき。それがあたしの主義でもある。 お金を払った方が、内需拡大にもなるしね(笑)。お金が回らないと、景気も良くならな い。 「駄~目。お仕事なんだから、代金は取らないと」 あたしがそう言いながら突き出した代金を、店員は必要以上にかしこまりながら受け 取った。 「おねえさん! かわいいれいむに、あまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!」 店から出た直後のあたしの足元に、どこに隠れていたのか、野良ゆっくりらしき薄汚 れた成体れいむが寄ってきた。 「あー、悪いけど、あんたにやれるようなもんは持ってないわよ」 実際、ゆっくりにやれる餌なんか持ってなかったんだけど、それを聞いたれいむの反 応は予想通りって言うか……。 「つべこべいってないで、さっさとあまあまよこせ! このくそばばあ!」 態度の悪い野良ゆっくりには良くあるタイプの反応だ。自分の要求が通らないと、す ぐに悪態をつき始める。少しは我慢できる生き物なら、人間の反応も違うだろうに。 あたしはため息をつきながら、そのれいむに言った。 「あのさぁ……、あんたみたいなのがこんな所にいたら……」 「ゆ?」 「店が野良ゆっくり使ってると思われそうで迷惑だろッ!」 「ゆべッ!?」 会心のインステップキックを喰らったれいむは、見事に舞い上がり、狙いたがわずア ーケードの隙間から消えていった。漫画やアニメでよく見る、『お空にキラーン』って ヤツだ。 それにしてもいいキックだったなぁ。あたし、高校の時はソフトボール部だったんだ よなー。女子校だったから、後輩にはモテたけど……。サッカー部に入ってれば、全国 行けたかなー。 そんなことを思いながら、あたしは家路についた。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る お話ししたいなぁ -- 2014-08-10 16 13 12 社会の事を良くわかってらっしゃる。 てか、あの親子を虐・・たいと思ったが、問題はない。ゆっくりと同じだからwww -- 2012-08-03 23 29 07 昨日は店頭で山のようにケーキを積み上げて売ってたねw -- 2011-12-25 13 51 39 話の元ネタとなった店の近くにオレの勤務先があるわw あそこのパフェはまさにドカ盛りだよね。 -- 2011-12-24 01 11 37 読みがいはあったけど、文章はちょっと冗長気味に感じたかな。タイトルが「お姉さんの一人語り」的なものだったら、もっとしっくり読めたかも。 -- 2011-10-30 16 13 57 ゲスというより、現実社会によくいるタイプ。 -- 2011-10-27 23 28 50 親子うぜえええ、将来有望な虐待師じゃなくただのゲスだな -- 2011-10-20 12 00 42 話が長い -- 2011-09-10 06 40 48 考えさせられるSSだった。例えば… オレが熊とかライオンに喰われるって状況なったら、生きたまま体の末端部から喰われるんじゃなくて、 一撃で首の骨を折って即死させるとかしてから喰って欲しいって思うもん。 他の動物やゆっくりも、喰われる・殺されるってなったら苦痛の少ない方法で、殺って欲しいって思うんじゃないかな? -- 2010-07-15 23 45 51 この女自己主張強いなwww -- 2010-06-04 22 23 24
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/175.html
ぼくはぼくをわかっちゃいない 13KB ぼくはぼくをわかっちゃいない ※一応続きものです。前作みないとわからないところが 微妙にあります。 ※人間が一瞬死にそうになります。 ※結構エグイことします。汚い表現もあり。 ※駄文、稚拙な表現注意。 それでもよろしい人だけお読みください。 やあ、ぼくは虐待鬼井山! うん、しっくりこない。 会社からの帰り道、独りでに思った。 話を少し戻す。 たび重なるゆっくりの襲撃に 会社の同僚である友人に思いきって相談してみた。 「お前、虐待鬼井山じゃねーの?」 対処法を聞きに行くと、今までどうしてたか聞かれたので今までにゆっくりにした仕打ちを話すと 虐待鬼井山である友人にそう言われてしまった。 「いや、だってあいつらが・・・」 「ま、どっちでもいいけど。それより本題だがそれなら捕食種でも飼えばいい。」 そういって渡してくれたメモには簡単な地図が載っていた。 「何これ?」 「ここにゆっくりの専門店がある。そこ行って店員に聞いてこい。」 僕はお礼を言ってメモをポケットにしまった。 回想終わり。 友人には感謝してるがおかしな点が一つ。 言うまでもない。僕が虐待鬼井山というところだ。 僕は一度として快楽のために殺したことはない。 話し合いが通じる相手ならとっくに解決する悩み。 だが、相手がそれを許さないのだ。 だから仕方なしに暴力を振るう。 だけど今日からは違う! 僕が手を汚すのはもう終わったのである。 捕食種か、前回に会ったときは殺してしまったからなぁ。 ゆっくりを飼うなんて考えもしなかった。 そんなことをぽつぽつと考えていたら家へと着いた。 家のドアを開け、呼吸を整え、玄関のバットを握り、素振りする。 そう、明日から。明日からは違う。 僕はバットを部屋にいる汚物へと振り下ろした。 休日の朝早くに友人に紹介してもらった店に行く。 ベルの付いたドアをくぐると店内に音が響き来客を伝える。 気付いた店員が便宜上の挨拶をしてきた。 辺りを見渡すと、これはすごい。 たくさんのゆっくりがひしめいていた。 ケースに一匹ずつゆっくりが入っており値札が貼ってある。 軽く見学した後、店員に声をかける。 「あのーすみません。」 「はい、なんでしょうか?」 「捕食種が欲しいんですが。」 「捕食種ですか?それは駆除が目的でしょうか?」 「そんなところです。」 「それならふらんがおすすめですね。頭も良く 聞きわけも良いため人気なんですよ。」 「そうなんですか?」 「ええ。実物をごらんになったほうがよろしいかと。 どうぞ、こちらです。」 店員に先導されて店の奥へと足を運ぶ。 「こちらがふらんです。」 みればケースの中で胴の付いたゆっくりふらんが体育座りでこちらを 見上げていた。少し無愛想な顔をしているがおとなしそうでなんだか 可愛げもある。 気にいった僕は値札をみて、うえっ!おかしいだろ桁が一つ違うだろ僕の月収より 二倍も高いじゃないか。 「あの、店員さん?この値段なんだけど・・・」 「こちら、ブリーダーに躾をさせてなおかつ血統書つきでして。 希少種ということもありどうしてもこのお値段に。」 うぐぅ、これは困った。あいにくそんな持ち合わせはない。 困って顔を横に背けるとみすぼらしい・・・たしかれみりゃとか いう胴付きが段ボールでできた箱の中に百円の値札と一緒においてあった。 ばたばたと暴れており頭も悪そうだ。 「あいつも捕食種ですよね?」 「え?ああ、はい。ですがおすすめできませんよ?あれは特に素行が悪く 今日中に処分が決まっておりまして。せいぜい餌として使うのが 関の山といった・・・」 「あれでいいです。」 「はあ、しかし・・・」 「お金もそんなにないので。お願いします。」 「わかりました。ではレジまでどうぞ。」 れみりゃの入った段ボールを抱えるとレジまで先導してくれる。 箱が持ち上がるとれみりゃはぎゃーぎゃー騒ぎだし頭の悪さを露呈している。 レジの奥で店員がなにやら準備していたので待っていたら、 レジ横のワゴンに僕が前に買った本が五十円で売っていた。 馬鹿な!本屋で買った時は千円したんだぞ! 当然といえば当然の内容を思い出していると準備の終わった店員が僕に声をかける。 「餌やれみりゃ本体はどうしましょう?よければ別料金ですがご自宅へお送りしますよ。」 「あ、そのまま連れて帰るんでいいです。」 「ご指南書もございますが、初めてでしたら是非おすすめします。」 「そうですね、それもください。」 「はい、ありがとうございます。お値段しめて千九百円になります。」 なんでれみりゃより高いんだよ・・・。別にいいけど。 会計を済ませ、れみりゃを抱えて家路に着く。 僕に飼われることがわかったれみりゃは大はしゃぎで僕に話しかけてきた。 「う~☆おじさんみどころがあるんだど~。れみりゃをえらんだこと ほめてやるんだど~。いいこいいこしてやるんだど~。」 れみりゃは両手の塞がった僕の頭を肉まん臭い手でわしゃわしゃと撫でくり回す。 更に足をばたばたさせて体のあちこちに痛い痛い。 「れみぃはとってもきげんがいいど~。おまえをとくべつにめしつかいにしてやるんだど~。 かんしゃするんだど~。だからぷっでぃんをけんじょうするんだど~。わかったど~?」 頭をばしばし、足でげしげし。 大丈夫。僕だって場くらい弁える常識くらい持ってるさ。 家に着いてれみりゃを降ろす。 帰ったときにはもう昼だった。 れみりゃは部屋の中心に走っていくと辺りを見渡して、 「ここがれみりゃのこうまかんなのかど~?なんかきたないど~・・・。 でもおぜうさまはしゅくじょだからがまんしてやるんだど~。 かりすまれみ☆りゃ☆うーーー!」 急に踊りだすれみりゃ。無視して本をみる。 ゆっくりの飼い方 本にはそう書いてあった。ページをめくると最初に挨拶なんかが書いてあったので 飛ばして目次をみてみる。すると第一項目にゆっくりとの接し方とあった。 第一章 ゆっくりとの接し方 ゆっくりは甘やかすとどこまでも付け上がり、我儘に育ちます。 厳格な態度で接しましょう。 そこまで読んで本を閉じた。 部屋の中央でいまだ踊り続けるれみりゃに近づく。 僕にれみりゃも気付いたらしく見上げて話しかけてくる。 「う~☆おどりつかれておなかへったんだど~。めしつかいははやく ぷっでぃ~んを「殴るか。」」 拳を固め僕を見上げるれみりゃの顔面を思い切り殴り付ける。 「ぎゃおーーー!!」 顔面の真ん中へと拳がめり込み感触から十分な手ごたえを感じた。 たまらず吹っ飛び尻から地面に落ちたれみりゃにもう一度同じことをする。 「あがーーー!!でみりゃの、でみりゃのぷり『ゴスッ!』あ゛ーーー!!」 壁まで跳ねたれみりゃを寸分違わぬところに狙いを定め更に殴る。 僕がまた腕を振り上げたのをみて顔を隠すように両手で頭を覆い隠ししゃがみこむ。 両手で腕を片方ずつ掴み、万歳した形で立ち上がらせると泣きじゃくる顔に 今度は膝を顔面に打ち込む。 「あ゛ーーー!!い゛だい゛ーーー!い゛だい゛ぃぃぃ!」 思い切りやりすぎたかれみりゃの口からぽろぽろと砂糖菓子の歯が落ちた。 「れみりゃのは・・・れみりゃのぉぉぉ・・・」 落ちた歯を治そうとかき集めるれみりゃのわき腹を蹴り上げる。 「あぐっ!お、おお、オエエエェェェ・・・!!」 またも壁まで転がったれみりゃは壁にぶつかり止まると腹を抱えて体を丸める。 実際には吐いていないが苦しそうに嗚咽をもらし続ける。 「いい?ここは紅魔館でもなければ僕はお前の召使でもない。わかった?」 返事はない。相変わらずゆっくりは僕の話を聞いちゃくれないな。 うずくまるれみりゃを放っておき本の続きを読むべく床から取り上げた。 本を参考にするにれみりゃには次の特徴があることが分かった。 自分をお嬢様だと言い張る。 自分の住む場所を紅魔館と言い張る。 好物はプリン。苦手なのは大体ゆっくりと同義。 困るとさくやに依存する。 踊りが好き。非難されると怒る。 多少の怪我はすぐ再生する。 ゆっくり全般に言えることだが捕食者ゆえのプライドか、ことさら人間を下に見る。 と、まあとりあえずこんな感じだった。 当面の目標はなるべく自分の立場を分からせること。 最終目標は僕に変わり部屋に侵入するゆっくりの抹殺だ。 置き去りにしたれみりゃを見に来ると、痛みが引いたのか 部屋の隅で座っていた。涙の跡が頬に残っていたが。 早速声をかけるべくれみりゃへ近づく。足音に気付いてばっと顔を 上げると手近にあったものを掴み僕に投げてよこした。 「く、くるなぁぁぁ!!おまえなんかもういらない!!ぽいっする!! こんないえもくそじじいもぽいっだ!!きえろぉぉぉ!!」 時計が僕のこめかみに当たり切れた傷口からつーーーっと血が垂れる。 まだわかんないのか。 大股でれみりゃに近づく。もともと狭い家だ。すぐに近づける。 その間、なおも投げ続けてきたが、最初の一発以外当たることはなかった。 隅で震えるれみりゃを帽子ごと髪を掴んで立ち上がらせる。 僕を見上げる顔はもはや恐怖に染まっている。 引きずりだすように前へ放り投げるとれみりゃは顔から地面にうつ伏せに倒れこんだ。 すかさず跨りしきりに動く羽を掴んで力を入れる。 「いだっ!はねさんつかまないで!いだい!いだいのぉぉぉ!」 羽の上部を掴みゆっくりと確実に羽をもぎ取っていく。 ぶちぶちと音を立てて羽がれみりゃから離れていくたびに聞くに絶えない悲鳴が 発せられる。 「ばぁぁぁ!!ばねざんどらないでぇ!!ゆっぐりでぎなぐなっちゃう!!」 残った最後の部分を力を込めて取り去ってやった。 「あ・・・あ・・・」 相当の激痛だったのか涙でぐしゃぐしゃの目でどことも知れない虚空をじっと見つめていた。 顔の前で手を振っても反応を示さないため、一応足だけ紐でくくり先程の部屋の隅に 転がしておいた。腹も減ったし飯にしようか。 腹も膨れたところでレッスンの続きだ。 部屋に入ると先程の映像の焼き直し。 つまり、足を縛られている以外は同じ状況だった。 だが、違ったのはれみりゃの反応の仕方。 さすがに二回もひどい目にあわされ学習したのか顔を伏せるばかりで 反抗する気力はないようだった。 近づいても叫ぶこともせず体をぴくっと反応させるだけに留めていた。 用件を伝えるべく、しゃがんで目線をあわせて話しかけた。 「さて、お前にやって欲しいことは実に簡単。この家に入りこんだゆっくりを 殺して欲しいだけ。それさえしてくれればさっきのようなこともしないし、 ご飯だってちゃんと分けてあげる。わかった?」 「ぁ・・・ぅ・・・」 「どうした?わかんないの?」 答えないれみりゃの頬を平手ではたく。するとたちまち目から涙が決壊し ぼたぼたと砂糖水で自分の服を湿らせながらさっきに負けず劣らずの声で叫びだした。 「う゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!ざぐや゛ぁぁぁ!だずげで!じにだぐない! おぜうさまがぴんちなんだぞぉぉぉ!はやくだずげにごい!!ばかぁぁぁ!!」 自分の悲惨な現実を直視できず、助けにくるはずもないものへと助けを求める。 その滑稽さに自分で引き起こしたことにも関わらず苦笑してしまう。 こうしていても仕方ない。れみりゃの首を掴んで壁に叩きつける。 黙らせるために開いた口へと手を突っ込み少しかき回す。突然入りこんだ異物に驚き 押し黙るが、すぐに吐き気がこみ上げて僕の手を内包したまま吐きだしてしまった。 「オエエエェェェ!!ェェェ・・・あ、あが?」 手を取り出すと目は飛び出さんばかりに開かれてかひゅーかひゅーと焦点の定まらない瞳を彷徨わせながら 肩で息をする。肉と肉汁でべとべとになった手を一瞥し、れみりゃに現実を教えてやる。 「なにを期待しても無駄だよ。さくやは助けに来ないし、僕は優しくなんてしないし、 そもそもお前はお嬢様じゃないよ。みてごらん。肉を吐くお嬢様なんていないだろ? さっきの踊りにしてもそう。品性の欠片もない。まるで お前は・・・そう、ただの豚だ。僕の部屋にくるあの害獣どもを食らって生きる 醜い豚になるんだよ。わかった?」 やがてれみりゃは息を止め、そのまま静かに倒れ伏した。 翌日、目を覚ますと昨日放置していたれみりゃは完全復活を遂げていた。 死なれても困るのでオレンジジュースをかけておいたのだ。 千切れた羽も再生し、今はすやすやと寝込んでいる。 寝ていたままでは意味がないので頭を軽く振って覚醒を促す。 やがてゆっくりと目を覚まし僕を視界に入れ、 恐怖をその顔に最大限映し出した。 「あ・・・う・・・」 がたがたと歯が上と下で音を鳴らし合い、小刻みに震えている。 僕は目を逸らさずにじっと見つめると、 「いいか?僕はこれから仕事へといくからこの家を空ける。 その間、入り込むゆっくりは全て殺せ。なんだったら食べてもいいぞ。 あ~、あとそれから部屋のものには手をかけるな。絶対にだ。 わかった?」 震えるばかりで返事を返さないれみりゃ。念のためもう一度同じことを 繰り返し、時計を見ると時間もぎりぎりだったので震えながら立っているだけの れみりゃを残して家を出た。 会社で友人と話す。 「どうだ?捕食種は買えたか?まさか奮発してふらんなんて買っちゃったか?」 「いやいや、高くてとても買えなかったよ。代わりにれみりゃを買った。」 「ふ~ん。でも調教してあるからそれなりに高かったろ?」 「ううん、廃棄寸前のれみりゃを百円で買った。」 「は?!そんなもんなんの役にも立たないだろ!」 「一応自分で調教したんだけど。」 「あ~。でもな、れみりゃはプロでも手を焼くんだぞ。大丈夫か?」 「多分ね。駄目なら捨てるだけだし。」 「ま、それもそうだな。せいぜい頑張れよ。」 部署の違う彼と別れたのと同時に昼休みが終わったので仕事へと戻った。 軽い足取りで家へと帰る。 れみりゃはちゃんと仕事したかな?今日は来なかったかも。 もし、仕事をサボっていたならまた躾ければいいだけだしね。 家へと辿り着き鍵を開ける。 目に飛び込んできた光景に心底驚いた。 玄関から見える限りでもひどい有様で家具は倒されカーテンはズタズタで テレビは画面に傷が入ってて隣の部屋はと思って襖を開けて入ろう・・・ あれ?足になにか絡まっ 紐? 目の前に 包丁・・・! ドタンッ! 身をよじり肩から床に転んでしこたま打ち付ける。 幸いどこにも怪我はなかったがよくみると尖ったものが 僕の落下地点であった場所にいくつかギラついていた。 襖の横で紐を引っ張っていたれみりゃが拳を固めて僕に近づく。 倒れている僕の頭を何度も何度も殴りつけてくる。 「おまえは!!しね!!れみぃにひどいこと!!するおまえなんて!! しねしねしねしねしねぇぇぇぇぇ!!」 ポカポカと場にそぐわない音が響き続ける中、僕は考える。 れみりゃが?・・・ゆっくり風情が僕を殺そうと? なんだ。そういうことか。 殺す やあ、僕は虐待鬼井山! うん、しっくりくる。 あとがき 反省はしています。後悔もしています。 でも書きたかった。最後がれみりゃらしくなくなってしまったけど。 このシリーズ終わりにしますんで許してつかーさい。 最後に、駄文に付き合ってくださりありがとうございました。 前作 ふたば系ゆっくりいじめ 140 おまえはなにもわかっちゃいない ふたば系ゆっくりいじめ 143 おまえはなにもわかっちゃくれない トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 調教済みですら使えるかどうか五分五分なのに、処分品を買うからwww ↓×4 愛で派ってゆっくりを犬猫と同じと考えてるからだろ? ゆっくりは動物より頭悪い上に、すぐ忘れるから調教が難しい。 更に、弱い癖にプライドは人間以上。ということを本当の意味で理解してないから。 愛で派は本当に同情するよwww -- 2018-03-13 22 58 33 しっくりくるw こっち側にいらっしゃい -- 2016-10-24 11 31 42 生かさず殺さず残虐に! -- 2014-02-12 09 34 23 れみりゃが言うめしつかいってれいむやまりさが言うどれいより大分マシだよな -- 2013-07-25 01 15 40 れみりゃだけでなく、ゆっくり全般に言える事だが、ゆっくりが好きな奴等は 何で此処にいんの? 特に胴付き擁護が大嫌い -- 2012-05-15 07 52 10 とりま1/22のコメも頭が湧いちゃってるみたいだね・・・ -- 2012-01-06 21 28 03 胴付きでゲスとは…いや、それでこそ調教しがいがあるというものだろう? まぁ本気で虐待しようとは思わんけどな。せいぜい飴と鞭。 -- 2011-10-26 19 47 25 れみりゃに対する扱いの変化がよくわかるコメント欄ですね。 ヒャッハー!!クズな豚まんは虐待だぁぁぁぁ!! -- 2011-10-21 17 55 59 目覚めたお兄さんがどう虐待するのか見たかった・・・ -- 2011-03-23 22 06 45 さすが「空飛ぶ不愉快」…イラつくわぁ れみりゃにかりしゅま☆だんすなんか踊られた日にゃ不愉快で不愉快でウオ汚汚汚汚ォォ!!!!ってなるよ。 このれみりゃは最初からゲスだったし、一片の同情の余地も無いな。 7/15のコメンターは頭が湧いてるようだな。なんで命令口調なの?なに人間の義務とか言っちゃってんの?世界は自分とれみりゃのためだけにあるの? -- 2011-01-22 16 25 05 殺すしかないでしょ、うん -- 2010-12-22 03 23 16 れみりゃKOEEEEEE!絶対誰かの仕込だろこれぇぇぇ でもショップに文句言えば安くふらんが買えるかもですねw -- 2010-11-10 13 22 01 我慢してでもふらんにしておけばよかったのに… -- 2010-09-28 20 15 38 意外にれみりゃ人気高いんだなw -- 2010-09-27 01 27 07 れみりゃに罠仕掛けるなんて芸等が出来るわけがない 誰だよそんなの教えた奴ww -- 2010-08-23 23 56 16 れみりゃにカリスマ☆ダンスなんか踊られた日にゃ 可愛くて可愛くてウオォォ雄雄雄雄ォォォ!!!!ってなるよ まりさがウネウネダンスしたら前歯8本蹴り砕くけどね -- 2010-08-10 22 33 55 れみりゃは愛でるものだよ おぜうさま可愛い -- 2010-08-08 15 10 11 ここまで人間に対して凶悪なれみりゃはこのSSが初めてだと思う れみりゃってわがままだけど素直なところがあって憎めないキャラなんだけどね あとこれからお楽しみというところで終了かよ! -- 2010-08-07 23 24 47 愛でるもんとそうでないもんがわかんねえんだよこいつら。 -- 2010-08-06 19 33 23 よくお前らこの話見て「愛でろ」だの言えるなw マジで殺意湧いたぞ俺 -- 2010-07-23 01 14 20
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/668.html
※何の罪も無いゆっくりがナニでアレされます。そういうのが苦手な人は回れ右。 森の中を歩いていると、ゆっくりれいむを見かけた。 その瞬間、勃起したのでとりあえずお決まりの挨拶をしてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!おじさんはゆっくりできるひと?」 主の本能に従ってお約束の返事をするゆっくりれいむ。 おじさんって年ではないのだけれど、そんなことをいちいち気にする性分でもないので軽く聞き流す。 「すごくゆっくりできるひとだよ!だかられいむのおうちにつれていってね!」 「うん!れいむのかぞくといっしょにゆっくりしようね!」 警戒心が無さ過ぎるぜ。しかしそのピュアハートが良いんだな!! というわけで、俺はゆっくりれいむの家族の待つ家へ向かうことになった。 「ただいま、みんな!れいむがゆっくりかえってきたよ!」 「「「「おかえり、おかあさん!れいむたちゆっくりおるすばんしていたよ!」」」」 「おかえり、れいむ!まりさもゆっくりあかちゃんをまもっていたよ!」 そのれいむの家はかつて人間が使っていたと思しき木造の小屋だが、ゆっくりの言えとしては破格の大きさだった。 そこにいたのは子れいむと子まりさが2匹とにんっしん中のゆっくりまりさが1匹。 「ゆ?おじさんはゆっくりできるひと?」 「そうだよ!ゆっくりできるひとだよ!」 そう言うと小屋に備え付けられた棚にあった釘と金槌とベニヤ板で、壊れてしまって押すだけで開いてしまう扉を即座に封印した。 「ゆゆっ?」 何をやっているのかよくわからないらしく、興味津々のゆっくりたち。 そんなゆっくりたちを尻目に作業を終えた俺はすぐさまズボンと下着をずり下ろしていきり勃ったイチモツの封印を解く。 「だから、おじさんとゆっくりシようね!」 そう叫ぶや否や、近くにいた子れいむを掴むとその可愛らしい口に俺の白楼剣を突き立てた! 「んぐっ!?」 「ゆゆっ!おじさん、なにするの!?」 すぐさま抗議する母れいむだったが、口にナニを入れられた子れいむの表情を見せてやるとすぐに黙りこくった。 そりゃそうだろうな。親だったら子どものこんな嬉しそうな表情を見せられたら文句なんて言えなくなる。しょせんゆっくりだし。 「どうだい、れいむ。お兄さんのぺにぺには甘くて美味しいだろう?」 「うん、おいひぃ~。あまあま~♪」 実はこんなこともあろうかと毎朝起きたらMy白楼剣に潤滑剤として蜂蜜を縫っているのだッ!! それはさて置き、その言葉を聞いたとたん、子ゆっくりたちが俺の下に殺到する。 「れいむもあまあまー!」 「「あまあまぺにぺにはまりさのものだぜ!」」 「おいおい、お兄さんのぺにぺには一つしかないんだぜ?」 と、俺が困っているのをお構いなしに子どもたちはぺにぺに争奪戦を始めてしまった。 しかし、こんなことで俺の憩いのひと時が邪魔される訳にはいかない。だから・・・ 「よ~し、しかたない!お兄さんが4匹全員いっぺんに相手してあげるよ!」 そう言うと、一匹の子まりさを空いているほうの手で掴んで、俺の顔に近づけ・・・ 「まりざああああ!!がわいいいよおおおおおおおおおお!!!」 と、アリスっぽく叫びながら子まりさの口に舌をねじ込んでやった。 「ゆ!?」っと驚き、またしても抗議しようとする母れいむにまた、子どもの表情を見せてやる。 「ゆ!・・・あまあまらぜ!」 口の中には飴が入っているので、こっちもあまあまだ。 さらに残りの2匹を足で押さえつけると、要石でも止められそうにない、激しく、荒々しく、それでいて慈愛に満ちた地震を発生させた。 「ゆぎゃ!おじさんなに・・・ゆぅ~ん、ゆっゆっゆ・・・」 「ゆ!?ゆぅぅぅぅぅううぅぅ・・・ゆっゆっゆっゆ・・・」 ゆっくりのそれとは違う、絶妙な緩急と多彩な振動、そして時には焦らしも交えたをテクニックの前に子どもたちはあっという間にヘブン状態! あっという間に子ゆっくりたちは何かよくわからない汁で体中をぬらぬらとてからせ、にちゃにちゃと淫靡な音を小屋中に響き渡らせる。 何度か親ゆっくり2匹が俺にこの行為をやめさせようとしていたが、その度に幸せそうな表情の子どもを見せつけられては押し黙ってしまうだけだった。 「ゆううううううう・・・きもぢいいいいいいい・・・・」 「いぐぅうぅぅぅぅ・・・いっぢゃうううううう・・・!」 「あまあま~、ゆっゆゆぅぅぅぅうう・・・ちゅぱ・・・」 「あまあまだぜ・・・にちゃ、ぷちゅ・・・ゆうううううう・・・」 イチモツと舌を咥えている子ゆっくりたちにも本人があまり意識しない程度に振動を与えているので、すでに発情モード、もうすぐオーガズムに達するだろう。 勿論、俺もナ☆ 続く、はず? ---あとがきっぽい何か--- 今回はゆっくりとせっくる。 多分この後は母ゆっくりを母まりさの前で自分のテクニックの虜にしたり、 口だけじゃ物足りなくなって子どもたちの体に穴を開けたり、 最終的に母まりさの産道を犯したりする予定、のようなそうでないような? byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2226.html
ゆっくりの進化 一 後半 31KB 虐待-普通 制裁 愛で 観察 考証 ギャグ パロディ 自業自得 差別・格差 群れ 野良ゆ 赤子・子供 ゲス 捕食種 希少種 幻想郷 人間なし 創作亜種 独自設定 お待たせしました。これで最後です。いろいろアレだよ… ・やっと虐待描写がはいります ・ハーフ、胴つきが大量に出てきます ・独自設定あり ・人によっては気分を害する可能性があります。ご注意を ・話の内容が内容のため続編は評価を見て判断します 今度こそこれでおしまいだよ!! 「ふむ。もう時間か。それでは今日のお勉強の時間は終了とする。 この後各自配られたお弁当を食べた後、この短い針が1を指すまでに外にある畑まで来るように」 「「「「今日もありがとうございました!!」」」」 短い針が12を指す頃、先生お姉さんの授業が終わった。 授業中れいむは何度か先生お姉さんから授業を受けることとなった。 授業は群れに長くいるゆっくりから短いゆっくりへと移行していき、最後にはなかなか理解 できないゆっくりに先輩ゆっくりが横で補佐をしながら授業が進んでいった。 最初”あ”で苦戦していたれいむも終わる頃には”お”まで理解出来ていた。 赤ちゃんからすればかなり上等なほうだ。 これも胴つきの影響だろう。 「ゆ~ん、ちゅきゃれちゃよ」 「どうだった。初めての授業は?」 先生お姉さんが話かけてきた。 「ゆ~んちょね、きょわかっちゃけどたのちかっちゃよ!! でみょね、にゃんできょれぎゃゆっくちできるこちょににゃるにょ?」 「それはな、どれも生きていく事に必要な事だし、学べば学ぶ程ゆっくりだけでなく いろんな生き物ともお友達になれるからだ」 「ゆっくちだけぢゃにゃくてぇ?」 「ああ、とっても怖い人間さんや妖怪とも仲良くできるぞ!!」 「ゆゆ~~ん、ちょてぇもゆっくちできりゅねぇ!!」 「ああそうだとも。だが普通のゆっくり達は皆そんなことも分からずに好き勝手やっていくんだ。 これではだれとも仲良くなれない。れいむ、これから働く事をやってもらうから これから言うことを覚えておくといい」 「にゃにをおぼえちぇほうぎゃいいにょ?」 「簡単な話だ」 先生お姉さんはここで一息入れた 「私達はふつうのゆっくりではない。だからここにいるみんなが仲間だ。家族だ。 家族を殺そうとする奴はだれであろうと容赦はするな。たとえ実の親でもだ」 れいむの生まれたばかりの頭ではこの事はよく理解出来なかった。 だが、この言葉の裏に隠された意味をれいむは間もなく知ることとなった。 その後れいむは先生お姉さんと授業中仲良くなったまりさと一緒に朝に配られたお弁当を食べた。 仲良く喋っていると他の胴つきのゆっくり達が途中から入ってきて気付いたら群れのほぼ半数の ゆっくり達に囲まれておしゃべりをする事になってしまった。 どのゆっくりも礼儀正しく、長お姉さんとの出会いについて熱く語ってくれた。 曰く、親に殺されそうになった所を助けられた。 曰く、親と一緒に迫害され逃げ込んだ先で保護してくれた。 曰く、捨てられ餓死寸前の所を救われた どのゆっくりも幸せな生い立ちではなかった。 では何故お姉さんの群れに入る事を決めたのかと聞くとみな決まって同じ言葉だった。 「どんなドスよりもゆっくりできる気がしたから」 そんなこんなで時は流れ気付いたら1時近くになっており、全員そろって移動することになった。 付いた先には非常に広大な畑が広がっており、すでに胴つきのゆうかが汗をかきながら働いていた。 その時、先生お姉さんから道具を渡された。 スコップとジョウロだ。 「おねえしゃん、きょれは」 「これは働くのに必要な道具だ。とはいっても渡しただけではどうすればいいかわからないな? う~ん…」 「先生」 「ん?」 先生お姉さんが声のする方向を見るとれいむより幾分か背が大きい胴つきゆうかが立っていた。 このゆうかはさっきの授業にも参加していた。 「ゆうかの担当場所が大きすぎるからだれか手を貸してほしいの。知識がないのなら私が教えるわ」 「ふむ…まあまだゆうかの所は土を耕す段階だから一人では確かにきついな。 れいむ」 「ゆん?」 「れいむにはまだ農作がどうこう出来る段階じゃないし、今回はゆうかのお手伝いをしてもらう」 「ゆ…ゆ…ゆゆゆゆゆうきゃのぉぉぉぉぉぉ!!」 「そうだ」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!れいみゅころちゃれるぅぅぅぅ!!たちゅけ「れいむ!!」ゆぴぃ!!」 れいむがゆうかへの本能的な恐怖から怯えていると先生お姉さんが叱咤した。 どうやら怒っているらしく、いつの間にか変身していた。 「私たちは普通のゆっくりではない。それは悲しい事実ではある。だが皆が皆を家族と思っている!! そんな家族が野蛮なゆっくり共と同様に醜い同族殺しを何故すると思う!! 私達はあんな奴らとは違う!!何もかも違うんだ!!」 「ゆ…ゆ…」 「先生、落ち着いて。この子は来たばかりで本能的な記憶がそう言わせているだけよ」 「私達は!!…はぁー、はぁー、うぐ。すまないゆうか、久しぶりに吐き気がする言葉を聞いて 少し自分を見失っていた。」 先生お姉さんは一回深呼吸をすると変身が解けた。 「すまない、れいむ。まだ生まれて間もないお前に言っても傷つけるだけだった。 ゆるしてくれ」 先生お姉さんは頭を下げた。 「ゆゆん…れいみゅがゆうきゃをこわがっちゃるようなこちょちちゃったきゃら れいみゅがわりゅいんぢゃよ。ゆうきゃ、ゆっくちごめんにゃちゃい」 「私は気にしてないからいいわよ」 「ゆん、ありがちょ…」 しばらく気まずい空気が流れたが先生お姉さんがちらりと時計を見てもうすでに五分経っている 事に気付き、声を挙げる 「いかん、もう五分もオーバーしている。みんな!!もう時間なので仕事を始めてほしい 各自、昨日の続きをやってくれ」 皆が先生お姉さんの指示を聞いたのを確認すると、先生お姉さんはれいむに話しかける 「れいむ、さっきもいいかけたがお前はゆうかの手伝いをしてくれ。 やることは単純で簡単だ。もし分からなかったらゆうかに聞いてくれ」 「ゆん…わきゃっちゃよ」 「ではゆうか、頼む。私は高台に上っている」 そういうと先生お姉さんは畑の中央にある見張り台のような所に登って行った。 よく見ると、畑の中央と畑を取り囲むような形で見張り台のようなものがあり、一個一個に 双眼鏡のようなものが備え付けられていた。 「ゆうきゃ、あにょたきゃいにょってにゃに?」 「あれは見張り台よ。言っておくけど群れのみんなを監視するためじゃないわ。 外敵を監視するためよ。」 「ゆ~ん、ぎゃいてきしゃんってにゃに?」 「外敵は…「う~、お前たちさぼらない」またあとで教えるわ」 空から飛んできたゆっくりに声をかけられゆうかは仕事に取りかかるようにいった。 だが、れいむはその空から飛んできたゆっくりを知っていた。 「ゆ?ふらんだ!!ゆっきゅりちていってね!!」 「う~?昨日のれいむ!?ゆっくりしていってね!!」 二匹は意外な形で再開した 「ふりゃんはにゃにちていりゅの?」 「う~、ふらんはここで外敵の監視をしている。ところでれいむは決めた?」 「ゆ~ん、まだわきゃりゃないにょ…」 「う~…一生が決まる選択だからじっくりかんがえる。そんな事よりゆうかがおこっている」 よく見るとゆうがこっちをずっと睨み、早く来いと言わんばかりに顔をふっていた。 「ゆ!?ごめんにゃしゃい!!いまいきゅね!!じゃあねふりゃん!!」 「がんばってね」 れいむはゆうかの所まで行くとゆうかからお説教を貰い、少し涙目になってしまった。 それからゆうかの仕事場まで移動し、ゆうかから仕事の説明が始まった。 「いい?このスコップさんで…こうやって…土さんをゆっくりさせてね」 「ゆゆ…こう?」 そういうと、れいむはスコップを持つとスコップを土にさし、力一杯土を持ち上げ スコップをひっくり返した。 「そうよ、そういう感じでこれだけをやって頂戴」 「ゆ?…ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!」 れいむが驚くのも無理はない。なにせ任された面積が家一軒がまるまる入る程広かったのだ。 「おおすぎるぅぅぅぅぅぅ」 「別に今日中にやれとは言わないわ。私の分なんかこれだけあるのよ」 そういってゆうかが示した敷地は庭付きの豪邸が一軒まるまる入る程の敷地だった。 「だきゃらひりょしゅぎりゅでしょぉぉぉぉぉぉ!!」 「私たちはまだお野菜さんを育てるだけの知識がまだないのよ。肉体労働しか今はできないのよ」 ここでれいむはえ?っという顔をした 「ゆ?おやしゃいしゃん?おやしゃいしゃんはかっちぇに「れいむ!!」ゆぴぃ!!」 今度はゆうかがブチ切れた 「私の前、いえ群れのみんなの前で二度とそんな言葉を言わないで!! お野菜さんが勝手に生えてくる訳ないのよ!!みんなが一生懸命お世話をしてやっとできるのよ!! いいわね!!」 「ゆ…ご、ごめんなさい」 「分かってくれればいいわ…ごめんね、ゆうかは散々そんな言葉を聞いたから我慢できなくなっているのよ うまれたばかりのれいむにはまだまだ知らない事ばっかりだというのに」 「ゆん…いいよ。れいみゅがわるきゃっちゃから…」 「うん、ありがとう。じゃあお願いするわね」 「ゆん、わきゃっちゃよ。れいみゅ、ぎゃんばりゅ!!」 そしてれいむのお仕事がやっと始まった。 生まれたばかりのれいむにはやはりこのお仕事はかなりハードだった。 スコップで土を持ち上げる度に腕が重くなり、体が言うことを効かなくなってきた。 だが先生お姉さんやゆうかを怒らせてしまった罪悪感かられいむは弱音を挙げることなく必死に 土を耕していった。 「ゆんしょ、ゆんしょ」 ゆうかはそんなれいむの様子をしっかり見ていた。 「れいむ、ちょっと一服しましょ」 ゆうかがれいむに話しかけてきた 「ゆん!?でも…」 「頑張りすぎて倒れてもらっても困るわ。私も少し疲れてきたし、みんな疲れたら小休止を入れながら 働いているわ」 「ゆん…にゃらちょっとおやちゅみちゅるねぇ!!」 こうしてれいむは少し休憩することを決めた。 ゆうかの顔には一筋の汗も流れていなかった。 「はい、これ」 ゆうかは腰の袋から白い塊のような物を差し出した 「きょれにゃに?」 「これは氷砂糖よ。とっても甘くておいしいからたべてみなさい」 「む~しゃむ~しゃ。しあわせぇぇぇぇぇぇ」 「ふふふふふ、おいしいからってそんなことしていたらゆっくり出来なくなるわよ」 「ゆがっ!!ほんちょ?」 「そうよ、物を食べながら喋る子はみんなゆっくり出来ない子なのよ。れいむはゆっくり出来ない子?」 れいむはあたふたした顔になった。 「れいみゅはゆっくちできりゅんぢゃよ!!だきゃらちゃんとできりゅよ!!ほら…」 そういうと氷砂糖をもう一個口に含み、もぐもぐと食べだした。 「はい良く出来ました」 「ちょうぜんだよ!!」 れいむは何故か誇らしげに言いました。 それから二匹で水筒の水を飲みさて再開しようかと思ったその時であった カーンカーンカーンカーン!! どこからともなく鐘のような音が聞こえてきた。 「ゆぅぅ、きょんぢょはにゃに?」 「しっ!!」 ゆうかはれいむの口を押さえた。 そして大きい声で先生お姉さんの声が聞こえてきた 『偵察きめぇ丸からの情報、北の森から此方にまっすぐゆっくりの一団が向かってきている!! 数は成体から赤含めて約10!!皆作業を一時中断し北に集結せよ!!繰り返す…』 「にゃに?にゃに?」 「敵よ!!れいむ、私に付いてきて!!」 「ゆ?ゆわぁぁぁぁまってぇぇぇぇぇ」 れいむは何が起こったのか分からないままゆうかの後を付いていくことにした 所変わって森の中 「おとうさん!!おかあさん!!ゆるどらどはまだなんだぜ?」 一家の長女まりさは両親に話しかけていた。 まりさは風の噂で聞いたユル・ド・ラドの話を旅のゆっくりからより詳しく聞き、それを両親に話した所 一家と親友のぱちゅりーとその家族で向かう事になった。 ユル・ド・ラドはいつしかゆっくりの間で噂される幻のゆっくりプレイスで風雨に困る事がない家、 見渡す限りに広がるごちそう、そしてそこに群れるできそこないの下僕のゆっくり共 まりさはその話を真に受けたのだ。 「ゆふふふ、もうちょっとだよ!!おとうさんもたのしみでしょうがないよ!!」 「まりさのおはなしはおかあさんがたびのゆっくりからちゃんときいたからまちがいないよ!! あとちょっとでつくよ!!ほらごらん!!ゆっくりできるものがみえてきたよ!!」 親れいむはどうやら瓦を神殿の一部とみなしたようだ。 まああながち間違いではないが… 「まちがいないわ!!あれはゆるどらどのしんでんよ!!ぱちぇたちはついにながいたびのすえに でんせつのとしをみつけたわ!!」 とぱちゅりーはいうが元々いた群れから1キロ程度の距離しか離れていなかった。 だがそんなことなどお構いなし、ぱちぇ親子はさらにヒートアップしていく 「むきゅ!!ぱちぇのちしきがものがたっているわ!!」 そう言い子パチュリーが近くに転がっていた木の板を髪で器用に拾い上げた それはもう何十年も前には寺の案内をするために使用されていたであろう看板であった 「このじは…ようこそゆっくりのみなさま。わたしたちくずはたくさんのごちそうをよういしました… むきゅむきゅ…どうぞたくさんくずなわたしたいをころし、ゆっくりしてください…とかいているわ!!」 読者の皆さまは分かっているとは思いますが、そんな事はどこにも書かれていません。 正しくは「この先100メートル、○×寺」である。 だがそんなこと知ったこっちゃじゃねえと言わんばかりに他のゆっくり達は騒ぎ立てる 「むきゅ!!すごいわ!!おしえてもいないこんなこだいのもじをかいどくするなんて まちがいなくせかいいちのけんじゅだわ!!」 「むきゅ~…てれるわ!!」 「まりさのおともだちはすごいんだぜ!!」 「ぱちゅりーおねえちゃんちゅごぉぉぉぉぉい!!」 「「「けんじゃ!!けんじゃ!!」」」 もうその場にいたゆっくり達はぱちゅりーを絶賛しまくりだった。 そんな中、長女まりさが近寄ってきた。 「ゆ~ん、ぱちゅりー。ゆるどらどについて、いっぱいどれいどもであそんで、いっぱいごちそうを たべたらぱちゅりーにつたえたいことがあるんだぜ」 「むきゅ~~…わかったわ…。たのしみにまっているわ…」 まりさとぱちゅりーは顔を赤らめ、親達は娘達の成長に顔を笑顔にし、 妹達はなに~?なんなの~?という顔をしていた。 ちょっと空気を変えようかと考えた親まりさが妹達に話をふった。 「ゆ!ところでおちびちゃんたちはどれいたちでどうあそぶのぜ?」 「ゆ!まりしゃはまいにちいっぴきずつころしゅんだぜぇ」 「れいみゅはまいにちあまあまをもってこちゃちぇて、れいむのうんうんをたべさせてあげるよ!!」 「むきゅ!!まりちゃたちははっちょうがひんきょんね!!ぱちぇはやちゃちいきゃらまいにち ぱちぇのありぎゃちゃいおはにゃちをききゃせてやって、”きょうえんりょう”とちて まどうちょをけんじょうちゃちぇるわ!!」 「「ゆわぁぁ!!ぱちぇはちゅぎょいはっちょうをちゅるよ!!」」 わいわいと思い思いに喋る子ゆっくり、赤ゆっくり達。 どれもこれも最高のおもちゃで遊ぶ事を夢見る顔をしていた。 そして歩くことを再開すること1時間後 「ゆ!!みて!!すごくりっぱなおうちさんだよ!!」 「むきゅ!!ぱちぇたちのためにどれいたちがせいれつしてむかえにきているわ!!」 「む…むきゅ、おきゃあしゃん。ぱちぇ、あんなきもちわるいのみてたらきもちわるきゅ なってきたわ…」 「がまんしなさい!!すこししたらみんなごみばこにぽいするわ!!」 「ゆぅぅぅぅぅ!!みてあのおやさいさん!!まるでまりさとぱちゅりーのためにあるようだよ!!」 「あんなにあったらまごのまごまでたべきれないわ!!」 もうこの時点でこの二匹には明るい三世代、いや五世代家族による幸せな日々が浮かんでいた。 「それじゃあみんな!!ゆっく~り!!っででてかんげいされるのぜ!!」 「「「「「「「「「ゆっくりわかったよ!!」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「ゆっく~り!!!!!!!」」」」」」」」」 れいむはゆうかにつられて北の囲いの前までやってきていた。 そこには畑で働いていたゆっくりのほぼすべてが集結していた。 「ゆうきゃ…がいてきしゃんってにゃに?」 ガサガサ!! 「くるわ!!」 ばっ!! 「「「「「「「「「「「ゆっく~り」」」」」」」」」」 森の茂みからゆっくりが一斉に飛び出してきた。 成体3、子4、赤2という構成であることを考えると2つ以上の家族が来たこととなる。 「ゆぅぅぅぅ!!やっとついたよ!!」 「れいむをこんなにあるかせるなんてほんとうにつかえないごみどもだね!! おわびにあまあまもってきてね!!たくさんでいいよ!!」 「むきゅ!!そんなことよりわたしのむすめがおまえたちのきもいわるいすがたをみてはきけを もよおしているわ!!とくにそこのおおきいのははやくしんでね!!」 「「「「「はやくしね♪はやくしね♪」」」」」 好き放題言っているゆっくり家族 一方名指しで早く死ねと言われた先生お姉さんはというと 「…皆、ここは私と何人かで事足りる。他の皆は作業に戻ってくれ。後は私の方で処理する。」 「「「「ゆっくり分かりました!!」」」」 そういうと胴付きの中でも特に長く生きている数体のゆっくり以外はみな作業に戻った。 れいむは何が起こるのか気になってその場に立ち尽くしていた。 ゆうかは早く戻ろうと言おうとしたが先生お姉さんが制止した。 「いや待て、良い機会だ。どう決断を下しても避けては通れぬ道だ。あえて見せておいた方が良い」 一方親まりさは自分の命令に逆らって勝手に返した先生お姉さんに対して激怒していた。 「おい、そこのとくにきもちのわるいごみ!!なにかってにまりささものがいっせんをむしして かえしているんだぜ!!かってなことを「警告する」ゆ?」 先生お姉さんがまりさの会話に割り込む形で喋った。 「お前達は私達の群れ「なにかってに…」うるさい!!…私たちの群れに勝手に入ろうと「だれがかって…」 うるさいといっているのがきこえんのか!!…むれに勝手に入ろうとしている。そのまま元いた 家に帰るなら良し、帰らぬのならそれ相応の代償を支払ってもらう!!」 風が一瞬止まったように感じられた。 だがその緊迫した空気を突然の笑い声が打ち破った 「「「「「「「「「「げらげらげらげらげらげらげらげらげらげら」」」」」」」」」」 「ああおかしいのぜ!!ごみが!!げらげら!!なにかいっているのぜ!!げらげらげらげら!!」 「それそうおうのだいしょうってなに?うんうんでもめのまえでするの?げらげらげらげら!!」 「ごみがなにかいっているわ!!げらげら!!みをわきまえなさい!!」 「「「「ごみがゆっきゅりにちゃかりゃおうとちているよ!!げらげらげらげら!!」 「むきゅむきゅむきゅむきゅ!!ああもうだめ、おなかがよじれそうだわ!!」 ひとしきり笑いたいだけ笑うまりさ一家。 ひとしきり笑いすっきりーした一家は悪態をつきながら散々罵倒をぶちまけまくった 「ごみ」「くず」「いきるかちなし」etc ひとしきり言うとまりさ一家の末っ子まりさが飛び出し、すぐ近くにいた胴つきまりさに 近づいてきた。 「いきりゅかちのにゃいごみはまりちゃちゃまがぽいちてやるんだじぇ!!」 そういうと胴つきまりさに体当たりを仕掛けてきた。 一方の胴つきまりさはまるでゴミをみるような顔でまりさを見続けていた。 「ゆぴぴぴぴ!!きょわい?ちにちゃきゅにゃい?いちゃい?でみょやみぇないよ!! ゆっくちにちゃきゃらっちゃごみはみちぇちめにちぇいちゃいしにゃいとねぇぇぇぇぇ!! げらげらげらげら!!」 「ゆっゆーん、さすがまりさのむすめなんだぜ!!ごみがちょうしにのらないように ちょうきょうしているよ!!」 「れいむのおちびちゃんはとてもゆっくりしているよ!!」 ひたすら自分の娘の行いに称賛のエールを送る両親に応えるかのようにまりさの体当たりは さらに激しくなる。 「ゆっゆっゆっゆ、やちぇがみゃんはよきゅにゃいんだぜぇ!!いみゃにゃりゃいにょちぎょいちちゃら ぜんごろちできゃんべんちてやるんだぜぇ!!」 散々言われて攻撃され続けている胴つきまりさは先生お姉さんの顔をちらっとみた。 先生お姉さんは首を縦に振った。 それを確認すると胴つきまりさは攻撃されてない方の足を上に上げた。 「ゆ?いにょちごいでみょちゅりゅの?じゃんねんでちた~!!ゆっきゅりおちょきゃったきゃら ちけいけっていだよ!!ゆっくちきょうきゃいちてねぇぇぇぇ!!げらげらげらげら!!」 そしてそのまま足を勢いよく下ろした。 「げらげらげらげゆぴぃぃぃぃ!!…」 子まりさの体は胴つきまりさの足に完全に押し潰され、中身の餡子を散乱させていた。 親まりさには何が起こったのか全く分からなかった。 餡子脳が理解することを拒んでいた。 あれ?おちびちゃんがごみのちょうきょうをしてて、それで、あれ? おちびちゃんは?あれ?まっくろいのはなに?あれはゆっくりのなかみだよ…ね… ゆ!うそだ!!うそだ!!あんなにゆっくりしていたおちびちゃんがごみなんかに!? でもあれは…あれは!! 「おちびちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 まりさの餡子脳がようやく理解し、まりさは叫んだ。 そして他の家族にも理解が伝わっていき、残りの家族も叫ぶ 「おちびちゃんがぁぁぁぁっぁぁぁ!!」 「「「「「「「いもうとがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」 ちくしょう!!自分がいながらなんという不始末!!反抗的だったとはいえまさかこのような 暴挙に出るなんて!!許さない!!ゴミ共め!!餡子の1滴も残さない!! 殺してやる!!まりさのおちびちゃんの苦しみの100倍にして返しても事足りない!! 「ごみどもがぁぁぁぁぁぁぁ!!ゆっぐぢぢないでいまずぐじねぇぇぇぇぇぇ!!」 まりさは野を駆ける!!目指すはあのまりさもどきだ!!あの醜い頭から食い破ってやる!! まりさは助走を駆け、一気に跳躍した…だが 「ふん!!」 「ゆぶぅぅぅぅぅぅぅ!!」 先生お姉さんが華麗に蹴りを入れ、まりさは放物線を描き元の場所まで戻った。 「ばりざぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「「「「おどうじゃぁぁぁぁん!!」」」」 「「「まりさぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」 「ゆ…ゆぐぅ…ぐぎぃぃぃぃぃぃぃ!!「最後の警告だ」」 まりさの唸り声に割り込む形で先生お姉さんが語る。 今度はさっきと様子が違い、髪の毛の色が水色から緑色になろうとしていた。 「これでお前達と私たちの格の違いが分かっただろう。今ならただ迷い込んだゆっくりとして このまま見逃そう。後も追わない。だがおとなしく帰れないのなら…」 ここでお姉さんの髪の色が完全に緑色になった。 「生まれてきた事をたっぷり後悔させてやる」 普通のゆっくりならここで並々ならないお姉さんの怒りに怯えそのまま引き返すのだが 怒り狂った一家には感じ取ることが出来なかった。 「ぞんなのでひぎざがるとでもおもっだのぉぉぉぉぉぉ!!」 「ごみどもがじょうじにのるなぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「「「「ゆっぐりぐるじんでじねぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」」 その瞬間、お姉さんの角が完全に生えた。 「お前達、このゴミ共を一匹とて生きてかえすな!!こいつらは一匹残らず畜ゆ場送りだ!!」 「「「「了解しました!!」」」」 子まりさは何が起こったのか分からなかった。 あの後、お父さんやお母さんがいきり立ってあのゴミ共に突っ込んでいった。 まりさはぱちゅりーが怪我をしていないか心配に思い、ぱちゅりーのすぐ横にまで行き、 ぱちゅりーを安全な茂みに移した後、お父さん達に加勢しようとした。 お父さんは群れの中では一番強くて、お母さんも群れのかけっこで一番早いゆっくりだ。 万に一つも負ける要素なんてない!!ないはずなのに!! 「だずげでぐだざいぃぃぃぃぃぃ!!いのぢだげは!!いのぢだげはぁぁぁぁぁ!!」 「おねがいじまず!!ばむばむにぞれをいでないでぐだざぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!! ばむばむがぁぁぁ!!ばむばむがぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!」 「まりしゃのゆっくちちたはぎゃ…おぼうちしゃんがぁぁぁっぁあ!!」 「ぱちぇの…けんじゃなきゃみぎゃ…にゃいちょきゃっぴゅしゃんぎゃぁ…」 あるものは徹底的に殴られ、あるものは葉を重点的に殴られ、あるものはゴミのように踏まれた。 どのゆっくりも死んではいないがもう二度とゆっくり出来なくなっていた。 「まりさ…まりさ!!」 まりさは家族がもう二度とゆっくり出来なくなっていく様を見てただ呆然としていたが ぱちゅりーの声で現実に帰ってきた。 「まりさ!!にげるわよ!!」 「なにいってるのぱちゅりー!!おとうさんをみごろしにするのぉぉぉぉ!!」 「ちがうわ!!むれにいったんもどってみんなでほうふくにくるのよ!!」 「ゆぅぅぅ…でも、おとうさんが…いもうとたちがぁぁぁぁ…」 「わたしだってつらいわ…けど!!みんなのむねんをはらしたくないの!!」 ぱちゅりーがまくしあげる 「ゆぅ!!そ、そうだよ!!みんなのかたきをとらなくちゃ!!」 「じゃあいますぐもどってみんなをよびにいくわね!!」 「にしのどすにもおうえんをよぼう!!」 「そうね!!ごみどもめ!!めにものみせてあげるわ!!」 「「ゆっゆっゆっゆ「おお、おろかおろか」ゆゆ!?」」 二匹が突然聞こえた声に驚き振り向いた先には、大量の胴つききめぇ丸がいた。 そして目にも止まらぬ速さで二匹を包囲していった。 「逃げられると思ったのですか?」 「おお、愚か愚か」 「「「「「おお、愚か愚か」」」」」 「「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!」」 れいむはその光景をゆうかと一緒にただ見ているだけだった。 「ゆぅ…」 「どうしたのれいむ?」 れいむはその一部始終を見てひたすら暗い顔になっていった。ゆうかは心配そうにれいむに聞く れいむは少し悩んだ顔をしたが重い口を開けた 「れいみゅはぎょみにゃにょ?」 「れいむ?」 「ふつうのゆっくちはみんにゃれいみゅたちをぎょみちょか、いきりゅかちなちとかいうよ… れいみゅちゃちはほんちょうにいきりゅかちにゃんてにゃいにょ?」 「れいむ…」 ゆうかはどう答えれば良いか悩んでいたその時、先生お姉さんがやってきた。 怒りは収まったのかいつもの状態に戻っていた。 「それはここにいるみんなが悩んだ事だ。親や兄弟から散々そんな事を言われ続け、 生きていること認めてもらえないような扱いにここに来た者はみんなそんな事を言うんだ。 だが、私は言ったとは思うがここにいるみんなはそう言われ続けたからものが集まってできた群れだ」 「みんにゃ?」 「そうだ、例外が少しいるがほぼ全員だ。だがそんなものが皆力を合わせて生きている。 だからみんながみんなの顔を覚えている。仲間が一人でも増えたら皆が喜び、誰か一人でも 欠けたら皆がいなくなる事に悲しむ。そんな私達のどこがゴミだと思う? 十分生きる資格がある。ゆっくりなんぞと比べモノにはならない。それだけの価値が!!」 「ゆん、わきゃっちゃよおねえ…ゆんやちぇんちぇい」 「うん?まだ入ると決めたわけではないだろう。お姉さんのままで構わないぞ」 「ゆんや…れいむはきめちゃよ!!」 「そうか、長がよろこぶぞ」 先生お姉さんとゆうかは笑顔で答えた。 そこに網で捕獲されたゆっくり達を持った胴つきみょんがやってきた。 「先生!!全員捕獲出来ました!!」 「うむ!!では畜ゆ場に連れて行ってくれ。あとは何時もと同じように」 「はい!!」 「ちぇんちぇい、ちくゆじょうってなに?」 「ああそうだな。ちと刺激が強いがもう入る気なら避けようがないからな。 みょん!!すまないが中を見せてやってくれ」 「みょん!?本当に良いんですか?」 「おそかれはやかれ中に入る事になるんだ。今見せても問題ないだろう」 「分かりました…」 ゆうかは先に仕事に戻る事にし、畜ゆ場にはみょんとれいむだけで行くことになった。 網の中に入ったゆっくり達はかすれるような声で命乞いをしていた。 「おねがいじまずぅぅぅぅ…もうごみだなんでいいまぜんがらぁぁ……」 「ぱちぇだげはだずげでぐだざいぃぃぃぃ…ばりざはどうなっでもいいがらぁぁぁ…」 「むぎゅぅぅぅ…」 どれもこれもみょんやれいむに媚びているような目で見ていた。 「ねえみょん「同情ならかけないほうが良いよ」ゆぐぅ!?」 「だいぶ前にもそうやって情をかけて離してやったら何をしたと思う? 最悪なことにドスを引き連れて仕返しにきたんだみょん。 あの時はお兄さんやお姉さんがみんなを守りながら戦ったけど何人か犠牲がでたみょん。 それ以来、群れでは侵入して説得…といってもだれも説得をきかずにこいつらみたいな事をするけど そのばで全員殺すか、この」 みょんはとある建物の前で止まった。 建物は日本式の蔵で寺と同様に外見はボロボロであった。 だが、中からゆっくりの者と思われる声が響き渡っていた。 「この畜ゆ場に放り込むかしているよ」 そういうとみょんはダイヤル式の錠を回し、鍵を開け、扉は開けた。 れいむは中の光景を見て、思わず悲鳴をあげそうになった。 そこはゆっくりの行き地獄と言っても過言ではなかった。 ゆっくりが釘で壁に打ち付けられ、管のようなものが二本刺さっていた。 うち一本はなにか臭い箱の中身につながっており、もう一本はただ宙をぶらぶらしていた。 どの個体も瀕死ではあるが死んでいる個体は一体もなく、かすれるような声で助けを求めたいた。 「みょん?…にゃんでこんにゃちょきょろぎゃありゅにょ?」 「ここ?元は野良ゆっくりの収容所だけど先生お姉さんがなにかの役に立てようと考えたのがここで こいつらにみんなからでたゴミや排泄物を食べさせてそれで増えた餡子を取り出して 動物避けにおいたり、畑の肥料にしているんだよ」 「ひりょうってにゃに?」 「肥料は畑さんのごはんさんだみょん」 「しゅぎょいんだね」 れいむはすごく勉強になったような顔をしたがここにいるといやな気分になってくるため みょんに先に戻る事を告げ、先にゆうかの所に戻った。 『皆本日は良く働いた!!これでまたみんなのおいしいご飯がたくさんできるぞ!! 後はそれぞれお家に戻って各自晩御飯までゆっくりしていてくれ!!』 「「「「は~い!!」」」」 夕方頃、あれかられいむとゆうかは休憩なしで働いた。 途中見張り台のふらんが差し入れといってなにか甘いものをくれたりしてくれた。 さすがにその時はいったん手を止めたがあの甘いのはなんだったんだろうか? あとで聞こうかとれいむは考えた。 「ほられいむ。戻るわよ」 「ゆん、わきゃっちゃよ!!」 「これから戻る所を悪いんだがれいむ」 先生お姉さんが話に割り込んできた。 「一緒についてきてもらえないか?長には直接自分の口で言ってもらいたい」 「わきゃっちゃよ!!」 「決断の時…か。私も悩んだ。後悔のないようにね」 「ゆん!!」 先生お姉さんは寺の門の前まで移動し、そこで長を一緒に待つようにいった。 「ねえちぇんちぇい?」 「なんだれいむ?」 「長はどうしてあんなにゆっくりできる気がするの?」 「ふむ、それは私の口からは言えないな。悪いが本人から聞いてくれ。お、噂をすればなんとやらだ」 先生お姉さんは長の姿を確認し、手を振った。 長とお兄さんとお姉さんは応えるように手をふった。むろんれいむもだ。 「は~い、今帰りました。やっぱり我が家はいいわ~」 「俺はあねさんが行く所ならどこだって我が家です!!」 「はいはい、どうどう」 長お姉さんは門の前で先生お姉さんに帰りの挨拶をした。 「長、今日も特に問題なく行きました。途中ゆっくりが10匹程度襲撃してきましたが 契約したきめぇ丸達の行動もあり万事問題なく行きました。」 「はい、分かりました。ですがここ最近ゆっくりの襲撃が多いですね。 もう少し対策を考えた方が良いかしら?」 「それについては俺に考えがあります。近くにあるゆっくりの群れをあるていど掌握し 裏から操作すれば多少は改善できるかと」 「まあ、またれみりゃとふらんにがんばってもらうしかないっしょ今は」 「まあまあ、それは後でじっくり話し合う事にして今は」 「ああそうでしたね」「おお、本日の結果発表!!」 「れいむちゃん。今日一日楽しかった?」 「ゆんとね…ちょってもきょわきゃったけどたのちかったよ!!」 この言葉に一同は先生お姉さんに視線を向けた。 「怖かった?姉さん、またやったんですか?」 「いや、やってはいないぞ。本当だぞ!!群れのみんなに聞いてくれれば分かる」 「ゆん!!ちぇんちぇいはれいみゅにおいおきちてないよ」 「おお、姉さんを先生って呼んでる。これは脈ありだね!!」 「じゃあれいむちゃん。決めた?」 「ゆん!!れいみゅきょきょでみんにゃといっちょにゆっくちちまちゅ!!」 この言葉に四人は笑顔で答えた。 「おお、また一人仲間が増えたぞ!!」 「いえ~い、遊び仲間がまたふえた!!」 「ふふっ、これからも末長く生きていきましょうね」 「教え子が増えるというのはやはりいいものだ」 「さてとれいむちゃん。あなたはこれで私たちの仲間です。なんで改めて自己紹介しますね。 私はこの群れの長をやっている長お姉さんです。長と呼ぶように」 「私はみんなの先生だが参謀も兼ねている。だがみんなは先生と呼んでいるので 参謀と呼ばすに先生と呼ぶように」 「俺はあねさん、つまり長の次の長、つまり副長だ。なんで俺の事は副長と呼ぶように。 まあ面倒だったらお兄さんだけでいいからな?」 「まったくうちの馬鹿なアニキはそんなんじゃ示しがつかないでしょ。アタイは群れの幹部を やっているお姉さんです。といっても幹部をやっている子は他にも何人かいるけどみんな 其々の部署で忙しいから幹部お姉さんと呼んでくれたら通じるから、以降よろしくぅ!!」 「後は、はいコレ」 そういうとお姉さんは懐からバッヂのような物を取り出した 「きょれは?」 「これは群れのゆっくりである事を証明するバッジさんです。これを付けていれば人間さんからは 危害を加えられないから服の一部に必ず付けておいてね」 「ゆん!!わきゃっちゃよ!!」 そういうとれいむはバッジを付けようとするが付け方が分からず 「ゆわぁぁぁぁぁんづげがだがばがらないぃぃぃぃぃぃ!!」 「もうしょうがないなぁ。アタイがつけてやっからおいで」 こうしてれいむは幹部お姉さんに付けてもらった。 寺の中に戻ったれいむはお兄さんにれいむのお部屋を案内してもらった。 「よし、ここがお前のへやだ」 「きょきょ?」 「ああそうだ。れいむ以外にも居候がいるが仲良くな」 れいむは案内された部屋の扉を開けた。 そこにいたのは… 「ゆ?ゆあぁ、れいみゅだ」 「あらほんと、この部屋になったのね」 「う~、ふらんのす~やす~やスペースが。…でもうれしい」 「みょ?さっきのれいむ?」 そこには自分をここに連れてきたフラン。授業の時に一緒になったまりさ。 一緒にお仕事をしたゆうか。一緒に畜ゆ場にいったみょん。 そして後一人 「おいぃぃぃ!!ここでてんこの名前は出てこないのか!! てんこの怒りが有頂天!!」 胴つきてんこがいました。 てんこは今の今まで自分の出番がなかったことに怒り心頭だが、なんだかんだで歓迎してくれた。 その後れいむは夕食時にみんなに紹介され、歓迎のパーティが開かれた。 ゆうかはどこからかギターを取り出し、それに合わせてうどんげが派手な衣装で踊り、 すいかとゆうぎが酔っぱらった勢いで腕相撲をし始めたり、 とにかく凄く楽しかったのは間違いなかった。 かくしてれいむの運命を分ける一日は終わりを告げたのであった。 明日もみんなとゆっくりできるかな?そう思いながられいむは楽しい夢の世界へ旅立ちました。 所変わって長の部屋 「あ~~~~~、飲みすぎちゃったわ」 「まったくお酒弱いのにすいかとゆうぎの酒につきあうからこんなことになるんですよ (よっしゃーあねさんの介抱権ゲットぉぉぉぉぉ)」 「はんせ~してま~す」 「そういって反省したことないんですが(うお~姉さんの息が俺の顔に当たってるぅぅぅぅ)」 「は~い、今度は本気で~す」 「ねえ、あのれいむちゃんを見ているとなぜか昔を思い出さない?」 「昔?…俺とアイツがあねさんにあった時の事とかも含めてですか」 「うん。あのれいむちゃん、昔の私となぜかふいんきが似ているのよ。 せかいの何もかもが明るく照らしてくれると思っていたあのころを。」 「あの天真爛漫というかやさしい性格は確かに昔のあねさんとふいんきが少し似てますね。」 「やっぱり昔の自分とかぶるからかなぁ?他の子達はみんな泣きじゃくったり親を罵倒して どうにか自我を保った状態でくるから」 「さすがにどこのゆっくりにどんなゆっくりが生まれたかを把握する方法なんてありませんから どうしても少し手遅れの状態で来てしまいます」 「もう少しどうすべきか考えるべきね」 「ええ、そう思います」 そこまでいった所で部屋の扉ががらっと開き幹部お姉さんが入ってきた。 「ああぁぁ、アニキ!!またアネキに手を出そうとしてたんでしょ。」 「い、いや俺はそんなことはしようとしてなんか」「問答無用!!」 「みょぉぉぉぉ…」 幹部お姉さんの華麗な蹴りがお兄さんのみぞうちに見事に決まり、お兄さんは失神してしまった。 「まったく油断も隙もないんだから…。じゃあねアネキ、おやすみ」 「はい、おやすみ」 どういって幹部お姉さんは失神したお兄さんを引きずりながら扉を閉めた。 お姉さんは状態が状態だったのでもう寝ようとしたが、 「あ、いけない。お母さんにお祈りしてしてなかった。」 毎日やっている事を忘れていたらしく、飛び起きて部屋のタンスの中からばかでかいヘアバンドを 取り出した。サイズを考えると通常サイズのゆっくりの物よりはるかにでかかった。 「お母さん。今日は仲間が一人増えました。人間さんとの交流も順調です。 どうか天国で私たちを見守っていて下さい。」 長お姉さんはお祈りを済ませるとそのまま布団の中に入って明かりを消した。 二に(続いたら)続く… あとがき 筋書きは出来ていました。それにいろいろ要素を増やしている内にサイズが結構なことに… 後感想にあった「群れの成立の経緯は書いてくれるんですよね」という意見がありましたがそれは 二でやります。気長におまち下さい。 何度も言いますが批判が相次いだ場合続きを上げるかどうか考えます。 一応頭の中で各キャラクターの設定は出来ていますが、書いたら厨二とかいわれそうなんで 現時点では見合せます。 細かいご指摘などは遠慮なくどうぞ。 他に書いた作品 ・ふたば系ゆっくりいじめ 621 ゆっくりとの共存社会 ~ニュースキャスター編~ 序章 ・ふたば系ゆっくりいじめ 914 ゆっくりとの共存社会 ~ニュースキャスター編~ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 種族名を書いてないから分かりにくい。 ・長はありす(親はくいーんありすか?) ・参謀兼先生はけーね ・副長はみょん ・幹部の一人はめーりん?(お飾り無し?) って感じか? ※今さらながら、胴付きの発生率多くね!? -- 2018-01-26 03 03 17 もう6年か.待つのもいいなwwww -- 2016-01-09 12 26 27 ん?先生ってけーね? -- 2013-01-06 13 50 48 >ゆうかはどこからかギターを取り出し、それに合わせてうどんげが派手な衣装で踊り ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー アノノアイノノォオオオォーヤ ラロラロラロリィラロロー ラロラロラロリィラロ ヒィーィジヤロラルリーロロロー♪ -- 2012-08-04 02 20 21 ゆっくりいいいぃぃ ぞくへんさんちょうだいね!たくさっ はっ ちょ、ちょっとでいいよ…ガタガタブルブル -- 2012-07-26 11 03 54 ゆっくりできましたぁあぁぁぁ 悪者ゆっくりをゆ虐するのもいいね -- 2012-02-19 22 52 04 生まれただけで迫害されるって悲しいな‥‥。こういう話も好きです。是非続きを見てみたい。 -- 2012-01-26 19 51 30 ゆ虐じゃないような気がするけど、良いんじゃないかな。ゆっくりできたよ。 -- 2010-11-28 17 27 45
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2304.html
前 次の日、俺は親ゆっくり達のお互いを罵る罵声と、それを止めようとしている姉妹たちの叫び声で目が覚めた。 「なんでまりさがゆっくりねてるの!?れいむとあかちゃんのためにゆっくりしないでみはってくれないなんてひどいよ!!!!!」 「うるさいんだぜ!!まりさはいっしょうけんめいみはってたけどつかれちゃっただけだぜ!!」 話が見えてきたぞ、多分寝ずの番をすると言っていた親まりさがぐっすり眠っているのを朝起きた親れいむが見つけて喧嘩になったんだろう。 三日前まではあんなに仲が良かったのにね、それにしても俺も含めてお前等の子供はまだ赤ちゃんなんだから喧嘩なんて見せちゃダメだろ。 「「おかーしゃんたちゆっくちちてね!!」」 あー止めとけよ、親れいむも親まりさもイラついてるんだからそんなこと言うと。 「ぷんぷん!!!うるさいんだぜ!!!あかちゃんたちはしずかにしてるんだぜ!!!!」 「「ゆゆ!?ゆぅ~‥」」 「あかちゃんたちにどなったね!!!れいむおこったよ!!!!まりさはあかちゃんたちにゆっくりあやまってね!!!」 「みんなとってもうるさいんだぜ!!!!!まりさはおこったんだぜ!!!!」 あーあ、親同士の喧嘩に油注いじゃったよ。 親れいむも親まりさも、お互いのことを睨みあう。 俺の姉妹は可哀想に、眼に涙をためてぷるぷる震えてやがる。 十秒は経っただろうか、親まりさは巣の入口から外に出て行こうとする。 「まりさどこいくの?!れいむとあかちゃんたちにあやまってないよ!!!」 「…うるさいんだぜ!!‥しばらくそとのくうきをすってくるからそのあいだれいむたちははんせいしてるんだぜ!!」 そう言うと親まりさは外に出かけて行った。 「ゆぅえぇぇぇん!!!ゆぇぇぇん!!まりしゃおかーしゃんのばきゃ~!!!」 「ぷきゅぅぅ~!まりしゃおかーしゃんいじわるだよ!!」 「あかちゃんたちないたりおこったりしちゃゆっくりできないよ!!!まりさのことはいいからみんなでゆっくりしようね!!」 泣きだす姉れいむに膨れて怒る妹まりさ、意外な事に親れいむは地団駄を踏んだり、眼の前にいない親まりさの悪口を言うことなくゆっくりしようと言っている。 「まりさはしばらくしたらおいしいものをもってごめんなさいしにくるよ!!それまであかちゃんたちはれいむとゆっくりしようね!!」 だそうだ、親れいむが言うには親まりさは気性こそ荒く乱暴者で喧嘩は今までも沢山してきたが、 遅くとも喧嘩の次の日には、花や綺麗な小石や美味しい虫に木の実といったゆっくりできるものを持って帰ってくるそうだ、ちょっと意外だな。 その後、しばらく俺はお歌の練習という名の酷い虐待を姉妹たちと一緒に受けることになった。 「ゆぅ~♪ゆ!ゆぅぅ♪ゆぅ~ゆぅ~♪」 「「ゆぅ~♪ゆ!ゆぅぅ♪ゆぅ~ゆぅ~♪」」 「ゆーゆ!ゆゆーゆー!」 「まりしゃおねーちゃんちゃんとうたっちぇね!!じょーじゅじゃないよ!!」 「まりしゃとっちぇもへただよ!!ゆっくちまじめにうたっちぇね!!」 体はゆっくりになっても感性は人間のままだったようだ、ゆっくりの歌は生前と同じように聞いていても不快なだけだ。 それを歌えと言われてもうまく歌えるはずがない、俺のへたくそな歌に姉妹たちは耐えられなかったようださっきから俺に向かってうまく歌え、真面目に歌えと言ってくる。 「ゆ~…たしかにちょっとじょうずじゃないね!!でもまりさはれいむとまりさのあかちゃんだよ!!すぐにじょうずになるからゆっくりしてね!!すーりすーり♪」 「ゆ~まりしゃおね~しゃんだけじゅるいよ!!まりしゃもしゅーりしゅーり♪」 「れいむもしゅーりしゅり♪」 「ゆぅ~♪みんなあまえんぼうだね!!すーりすーり♪ゆっくりしてね!!」 俺は母れいむや姉妹に頬擦りされながら、この不快なスキンシップ合戦が早く終わってくれないかなと考えていた。 「とってもすっきりしたいわ!!ありすのあいがほしいゆっくりのおうちはここね!!!」 唐突に巣の入口からそんな声がした、振り向くとそこにはギラギラした血走った眼に、だらしなく開いた口から涎を垂らしているゆっくりありすが一匹いた、絶賛発情状態と言ったところか。 体は親まりさと同じくらいの大きさで親れいむより一回りほど大きい、幸いにも俺の姿は親れいむに隠れて見えていないようだ。 「ゆぅ?みたことにゃいゆっくちだね!!ゆっくちちていってね!!」 「おねーしゃんゆっくちちていってね!!」 「ゆぅ~♪とってもとかいはなあかちゃんにかわいいれいむね!!みんなありすがたっぷりすっきりさせてあげるわ!!」 親れいむの影から出てありすにニコニコ笑いながら挨拶をする馬鹿な姉や妹は放っておいて、俺はありすに見つからないように慎重に物陰に身を隠してこっそり様子をうかがう。 親れいむや姉妹のゆっくりがレイプされるのは面白そうだが、ありすにレイプされるのは御免だからね。 「ぷくくぅぅ!!あかちゃんたちおかーさんのうしろにゆっくりかくれてね!!!ゆっくりせずにいそいでね!!」 「ゆぅ?なんでおかーしゃん?」 「おかーしゃん!!ちゅっきりってなに?」 「いいからゆっくりせずにかくれてね!!ありすはゆっくりできないゆっくりなんだよ!!!」 「はぁはぁ…つんでれなのね!!!れいむかわいいわ!!!ありすとすっきりしましょうねぇぇぇぇ!!!!!」 親れいむはありすに対して体を膨らませながら威嚇するが、ありすはまるで動じていないむしろ興奮して親れいむに突撃していった。 親れいむは突撃してきたありすをゆっくりにしては軽やかともいえるステップでかわして、体当たりを仕掛ける。 「ゆぅぅぅ!!!!ゆっくりでてってね!!!!」 「びゅぅ‥つんでれはかわいいよぉぉぉ!!!!でもすなおなほうがかわいいよぉぉぉぉ!!!!!すっきりさせてすなおにしてあげるからねぇぇぇぇ!!!!!!!」 「やめてね!!れいむはありすとすっきりなんてしたくないよ!!!」 親れいむの渾身の体当たりはありすの情欲を燃え上がらせるだけだった、ゆっくり同士の喧嘩において体格や体重は、単純なテクニックやスピードよりも大きなウエイトを占める要素だ。 体格がありすより一回り小さく、素早く動けるが体重の軽い親れいむは喧嘩はからっきし苦手だった。 つまり親れいむに百戦錬磨のレイパーありすを倒すことなど不可能だった。 ありすは少し口から垂れたカスタードを舌で舐めとると、親れいむに圧し掛かって体を小刻みに振動させながら頬ずりをし始めた。 無論親愛の表しているわけでもなんでもない、親れいむをレイプしているのだ。 「ゆぁぁぁ!!!!!れいむのほっぺもっちもちのつるつるだよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」 「ゆ゛ぅぅぅぅ!!!!!!やめて!!!やめて!!!!!ぎもじわるいよ゛」 「おきゃーしゃんいやがっちぇるよ!!ゆっくちやめてね!!」 「ぷくぅぅ!!おきゃーしゃんをいじめるとれいみゅおこりゅよ!!」 体中から甘ったるい匂いのべとべとした液体をまき散らしながら、嫌がる親れいむに体をこすりつけて涎を垂らしながらぶるぶる震えている様は、こう背筋にゾクッと寒気が走る物がある。 人間だったころはありすのレイプをする姿を見て滑稽だと笑ってみていたが、ゆっくりになった身で改めて見ると恐怖と強い生理的な嫌悪感さえ感じる。 「ゆほほほほぉぉぉぉぉぉ!!!!!!れいむきもちいいよ!!!!んほぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!すっきりぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 「やべでぇぇぇ!!!!!!でいむずっぎりじだくなぁいぃぃ!!!!!!んんんん!!!!!!!ずっぎっりぃぃぃ!!!!!!!!!」 ありすの一方的で激しい愛撫ならぬバイブは、れいむの体力をどんどん奪っていき強制的にすっきりさせ、頭に望まぬ子供を生やすことになった。 親れいむは疲れ切った体から、栄養を頭に生えたありすの子供達に吸収され見る間にやつれていく、ちょっとしたスペクタクルだ。 「ゆぅ…ゆぅぅ‥とってもくるしいよ…ゆぅぅ…まりさぁ…」 「ありすはまだまだすっきりしたりないわ!!!!そこのあかちゃんたちもありすのあいをわけてあげるわ!!!!!!!!」 「ゆぅぅ!!!!ゆっくちやめてね!!!」 「こっちにこないでね!!!!」 親れいむがありすにレイプされるのを震えながら固まって見ていた姉れいむに妹まりさは、自分達をありすが親れいむと同じ目にあわせようとしている事に気づいて必死に逃げようとした。 しかし素早く近づいたありすに圧し掛かられ、二匹仲良く動きを封じられる。 「んほぉぉぉ!!!!ろりっこかわいいよ!!!!!!ありすがはじめてになってあげるよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」 「ゆぇえ…!!くるちいよっ!!ゆっくちどいてね!!!」 「びゅぶ!!!ゆぅ…うぅ~…」 成体のありすに圧し掛かられて、妹まりさも姉れいむも苦しそうだ、特に姉れいむはありすの圧力で口からぼたぼた餡子を吐き出している。 「ゆぅぅぅ!!!!それじゃあいくよぉぉぉ!!!!!!んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 「ぎもぢわりゅいぃぃ!!!!!!おがーしゃんだじゅげでぇっぇぇ!!!!!!」 「びゅえぇ!!ぇぇうぇええ!!!!」 「やめて…あかちゃん‥いじめ…ないでね…」 18禁レベルの顔で奇声を上げながらぶるぶる震えて粘液をまき散らすありす、粘液まみれになって泣きながらもがいている妹まりさに、体を圧迫されて液状になった餡子を吐きながら白眼を向いている姉れいむ。 そして眼の前でありすに犯し殺されそうになっている娘たちを泣きながら見つめている瀕死の親れいむ、苦しむゆっくりを見るのは最高だ俺はこの為に生きてるんだよ。 こいつ等を見ていると、俺の饅頭で出来た体が餡子の中心からほっこり暖かくなってきて、本当に安らかで穏やかな満ち足りた気分になる、あぁ~これがゆっくりするということなのか。 「んほぉぉぉ!!!!れいむもまりさもぎもぢいよぉぉ!!!!すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 「いやぁぁぁ!!!!ゆっくちできないぃぃ!!!!!ちゅっぎり!!!!!!」 「ぎゅえ!!!…えぇ!!…ぇぇ」 ありすは姉れいむと妹まりさですっきりすると二匹からどいた。 「ゆっくち…ちた‥かった‥よ…」 ありすの退いた後には真っ黒く干からびた姉れいむと、口とありすの圧力で底部が裂けて出来た傷口から餡子を流して絶命した妹まりさしか残っていなかった。 「ゆっくりきもちよかったわ!!ありすはせかいじゅうのゆっくりをすっきりさせてあげなきゃいけないからもういくね!!ありすのあかちゃんをゆっくりしたこにそだててあげてね!!」 ありすは満足そうな顔でそういうと巣の外に出て行った。 清々しいほどのヤリ捨てだな、まぁ頑張ってゆっくり達に可愛い赤ちゃんを授けまくってくれ、応援してるぜ。 「ゆぅぅ…あかちゃん…れいむのあかちゃん…」 親れいむは黒く干からびてしまった姉れいむと妹れいむの死骸の傍に、這って行こうとしてはいるようだが頭の茎に栄養を吸い取られているのでそれも叶わない。 茎に実った四匹の赤ちゃんゆっくりは全員ありすだが目を覚まして体を揺らし始めている、レイプ型出産のゆっくりありすは茎に実った赤ちゃんの成長が早い、そろそろ生まれてくるのだろう。 さてこの親れいむは絶望しきって泣いているが、俺が実の娘がまだ生きていることを知ったらどんなに喜ぶだろうか?やっぱり俺を産んでくれた大事な母親だ、親孝行してやろう。 俺は物陰から飛び出て親れいむに駆け寄ってやる。 「お母さん大丈夫?」 「ゆぅ!?まりさ!!まりさいきてたんだね!!!ゆぅぅ…しんでいったあかちゃんと‥おかあさんのぶんまでゆっくりしてね!!!!!」 親れいむは大粒の涙を流しながら体を震わせている、よほど死ぬ前に俺の生存が確認できたことがうれしかったようだ。 さて感激と安堵の涙を流している親れいむの頭の上の種違いの我が姉妹、ありす達は親れいむの感激の涙とともに茎から落ちた。 「ゆぅぅぅ!ゆっくちちていってね!!」 「ときゃいはなありしゅだよ!おかーしゃんゆっくちちてね!!」 「おねーしゃんゆっくちちてね!!」 「おかーしゃんゆっくちちてるね!!」 地面に落ちるなり俺と母親に挨拶をする妹ありす達、なかなか元気で礼儀の良い子たちじゃないか。 しかし、そんな素直な姉妹達を親れいむは嫌悪と侮蔑に満ちた目で睨みつけていたが、憔悴しきって死相の浮かんだ顔にふと暗い笑みを浮かべて俺を見るとこんなことを言ってきた。 「ゆぅ‥れいむ…ありすはみんな…ゆっくりできないこだよ…だからありすをつぶして…おかあさんに…む~しゃむしゃさせてね」 なるほどありすに奪われた体力はありすで回復しようということか、優しくて純情な赤ちゃんまりさにそんなことを頼むなんて悪い親だな、 第一それだけ衰弱してちゃ赤ありすの四匹食ったとしても、助かる可能性は二~三割だ、それなら普通は子供を助けるよな。 「ゆぅ?む~ちゃむちゃってなに?」 「ぷきゅぅ~!ありちゅはゆっくちしたこだよ!!」 「おかーしゃんおにゃかへったよ!!」 「ここはときゃいはなおうちね!!ゆっくちちゅるよ!!」 「まりさ…ゆっくりしないで…ゆぅぅ…はやくありすたちをつぶしてね」 母れいむは心底この可愛い四姉妹を嫌っているようだ、頭に生えた茎をこの四匹に与えることは絶対にないだろう、それならこの姉妹は何を食べればいいんだ? 硬いものは親が柔らかく噛み砕いたものでなければ食べられないし、目の前の親れいむは息も絶え絶え、親まりさはいつ帰ってくるかもわからない その間この可愛い妹達にお腹を空かせたまま、死んだ親れいむと寂しく過ごせというのか?姉として俺はそんな事は出来ないな。 この姉妹達は確実に親れいむに愛されていない、帰ってきた親まりさに愛してもらえるかどうかは分からないが、この世に生まれおちた瞬間を祝福されず喜ばれない、それはどれほど辛いことだろうか? その上にこの子達はお腹を空かせているのだ、心はともかく、せめてお腹だけでも満たしてやろうじゃないか。 俺は覚悟を決めると親れいむの前に立ち姉妹達に向かって、おもてなしの真心をこめてある宣言をする。 「さぁ、お食べなさい!!」 次の瞬間俺の体は二つに裂けた、不思議と痛みはなくポカポカと体が温かい。 何故唐突に俺の体が二つに裂けたかというと、妹ありす達に向かって、お食べなさい宣言をしたからだ。 お食べなさい宣言とは、ゆっくりが自らの意志で心から相手に食べてほしいと思った時に言うことで自ら命を絶ち、相手に自分を食べてゆっくりしてもらうための行為だ。 無論自己中心的なゆっくりがこの行動をとることは殆ど無く、老いて死期を迎えた飼いゆっくりや、本当に稀にだが越冬中に子供や連れ合いに自らの体を食べさせるためなど、 本当に稀にしかこの行動は起こらない、しかしその分、さぁ、お食べなさいをされてそのゆっくりを食べないことはそのゆっくりに対する最大級の侮辱となるのだ。 「ゆぅ!!!おねーしゃんがふたちゅになったよ!!ありちゅはいただきまちゅちゅるよ!」 「おねーしゃんゆっくちちたんだね!!ありしゅもゆっくちいきるよ!!」 「おたべなしゃいされたらゆっくちいただきましゅするよ!!」 「ありちゅはゆっくちおねーちゃんをたべりゅよ!!!おねーちゃん!!ゆっくちちてね!!!」 妹ありす達は俺の死に目元を潤ませながらも、自分達のために死ぬことを選んだ優しいお姉ちゃんの尊い志を汚さぬように、俺に感謝して俺の皮や餡子を食べ始めた。 まぁ、たった3日しか生きていない身だが、なかなか楽しい饅生を送れた、せいぜい味わってゆっくり食べてくれ。 「ゆゆゆゆゆゆ!!!!!????あかちゃんなにしてるのぉぉぉぉ!!!!!!!!ゆうぇぇぇぇ!!!!ゆっ~あぁぁぁっぁぁっぁああ!!!!!!!!!」 俺の後ろにいる親れいむは絶望の叫び声をあげている、背中に生温かいものがかかるこれは多分液状の餡子だ。 自分の可愛い赤ちゃんが、自ら進んでありすとの間に出来た忌わしい子共達に食われているのだ、そりゃ餡子も吐きたくなるだろうな。 最後に残ったたった一つの希望、まりさとの間に生まれた可愛い子供がゆっくり生きて大きくなる、 そんなささやかな希望さえ打ち砕かれて、口から餡子を吐きながら慟哭する、そんな死ぬ間際の親れいむの顔が見れないのが残念だ。 「むーちゃむちゃ!!とってもゆっくちできるあじだよ!!」 「まりしゃおねーしゃんゆっくちありがとね!!!」 「ありちゅはおねーちゃんをたべて!!ゆっくちちたとかいひゃになるよ!!」 「おねーちゃんはゆっくちできるよ!!ありちゅはきっととかいひゃになるからゆっくちあんちんちてね!!」 さて俺の妹達はというと、目からぽろぽろ涙を流しながらも、ゆっくり俺の餡子を飲み込んでいる。 餡子が減ってきたせいか、眼が霞んで眠気がゆっくり襲ってくる、俺はどうやら本当にこれから死ぬようだ。 それにしてもお食べなさいで死ぬのはこんなにも満ち足りた死なのか、痛みもなくただ温まった体にゆっくりと眠気が降りてきてまるで縁側で日向ぼっこをしながらまどろんでいるような気分だ。 短かったがなかなか楽しい饅生だった、しかし少しだけ心残りがある親まりさの事だ、俺は親まりさが家に帰ってきてこの光景を目の当たりにする所を見る事が出来ないのが悔しい。 家に帰ると番いと可愛いわが子達の苦悶に満ちた形相の死体を見つけるだろう、勿論家族を殺した憎いありすの子供たちも見つける。 どれ程親まりさは苦しむだろう?悲しむだろう? そして何より親まりさは妹ありす達をどうするんだろうか、怒りにまかせて踏みつぶすのか敵の子共とはいえれいむの赤ちゃんでもあると育てるのだろうか? 俺達の死体と妹ありす達を見ながら、苦しみ葛藤する親まりさを死にゆく俺はじっくり観察できないのが実に心残りだ。 さて、本当に俺は死ぬようだ、俺の記念すべきゆっくりとしての饅生一回目が終わる、かなり不純な動機とはいえ俺はこの身を妹達に食べさせた。 つまり自己犠牲の精神でゆっくりを助けたのだ、これであの閻魔様も俺の地獄行きを考え直してくれるといいんだが。 まぁ、今はそんなこと考えても意味はない、せいぜい後二回あるらしいゆっくりとしての生を虐待ゆっくりとして楽しむとするか。 俺は瞼を静かに閉じ、妹ありす達のしあわせ~の声を聞きながら意識を手放した。 「むーしゃ!!むーしゃ!!しあわせー!!」 俺が目を覚ますと、俺の下で砂糖を舐めているゆっくりれいむがいた。 死んだらすぐにゆっくりに転生するのか、なかなか面白いな。 どうやら今度の俺の体はゆっくりれいむらしい、また普通種か…やっぱりゆふらんとかきめぇ丸に生まれたかったんだが仕方ないな。 それにしてもここは台所の様だ、こいつは飼いゆっくりだったのだろうか? しかしそれにしては体が薄汚れている、嫌な予感がする。 「おい、何してるんだ貴様?」 俺の目の前に眉間に青筋の浮いた強面お兄さんがいる、明らかに怒っている。 「ゆゆ!!おにいさんここはれいむのゆっくりプレイスだよ!!!ゆっくりしていってね!!!」 お母様目の前の素敵なパンチパーマの御人を挑発なさるのは止めていただけないでしょうか? 「おうおうおう!!!!人の家荒らしといてなんじゃそりゃ!!!虐待じゃぁぁ!!!!!!!」 こっちにこないでくれ!!!!助けて愛でお兄さん!!!! BYゆっくりな人 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4111.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。虐待は次回から。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※今回は人間が悲惨な目に会う描写があり、気分を深く害される恐れがあります。 一応、今回だけ読み飛ばしてもいいように書いていく予定です。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』4 ずっと俺には疑問だった。 突如として現実世界に現れた不可解な存在、ゆっくり。 こいつらは一体なんなんだ。 中身に詰まっているのは餡子のみ。 他のどの生態系にも類を見ない不可思議な機構で動いている。 小麦粉と甘味でほとんどが構成されたその肉体はひどくもろく、衝撃や苦痛でたやすく餡子を漏らして死ぬ。 なにより不可解なのはその知能だ。 言語を話す、という時点で他の動物とは比較にならないほど知能は高い。 ところがその行動は単細胞生物のそれで、 思考力や学習能力にひどく乏しく、目先のゆっくりしか目に入らず、 野生動物なら最低限あってしかるべきはずの危機管理能力が決定的に欠けている。 おそろしく弱いくせに自信に満ち溢れ、無謀なことばかり繰り返す。 こんな生物は、生態系としては下の下で、 とっくの昔に絶滅していておかしくないはずなのだが、 並はずれた性欲に支えられた繁殖力、ただそれだけを武器に、 ゴキブリ以上のしぶとさで地球にしがみついている。 俺にはわからなかった。 大学で少々生物学をかじった身として、 ゆっくりの生物としての整合性が理解できなかったのだ。 性欲以外のほぼすべての特徴が、生物としてマイナス要素しかない。 なぜ、そんな生き物が生まれてきたのだろうか。 生物に意味などあるはずはない。 しかしどの生物も、進化の過程を経て、 思わず感心してしまうほどの適合力を見せて、自らの生活圏とぴったりと結合している。 しかし、ゆっくりは見たところ、どの生活圏にも結合していない。 森に繁殖すれば、たちまちそこの食物を食べつくしてしまう。 町に住めば、人間どもに追われ、迫害されている。 こいつらはなんのために生きているのだろう。 どんなゆっくりプレイスも、例外なく破綻する。 生まれては死に、繁殖しては滅び、流れるようにあちらこちらをさまよう。 こいつらが生物としてぴったりとはまり、安定していられるのはどういう環境なのだろうか。 「何か月かね?」 「は、はい……三ヶ月ちょっとらしいです」 長浜氏はソファに身を沈めたまま、険しい表情をしていた。 「ゆぅ~ん、おじいちゃんどうしたの?なんだかこわいよ?」 「なんでもないよ。あっちへ行っていなさい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 絨毯の上を跳ねながら、開け放したドアを出ていくゆっくりれいむ。 長浜氏の邸宅。 広い居間でテーブルをはさんで向かい合い、俺は恐縮しきっていた。 俺の隣には由美。 向かい合ったソファの正面には由美の祖父長浜氏が座り、 その隣に由美の両親が座っていた。 俺の返答を聞いたあと、長浜氏は黙ってこちらを見つめていた。 俺はうつむいて冷や汗をたらしながら、つけ慣れないネクタイの位置を直した。 由美の妊娠を知らされたときには、すでに受胎してから二か月半ばを経過していた。 毎日俺の部屋に通っていたはずの由美が、ある時を境に数日間来なくなった。 心配になった俺は電話で連絡した。 すると、由美は震える声で、産婦人科に行ってきたことを告げてきた。 妊娠を知らされ、俺の喉がひりついた。 ゆっくりの世話に追われてこのところすっかりご無沙汰だったが、 ゆっくりをここに迎える直前、すでにご懐妊なさっていたらしい。 どうする。 俺はしばらく悩み、時間をかけて由美と相談し、結論を出した。 「こういう事柄に関しては、君には忍耐力がなかったようだね」 やっとのことで、長浜氏が仏頂面で言った。 俺は恐縮して頭を下げるしかない。 「大切な孫娘なんだよ。たったひとりの……つい先日、成人式を挙げたばかりだ」 「は。はい」 「君はまだ働いていない学生の身分だろう」 「……はい」 「とんだことをしてくれたよね」 「は」 「嫁入り前の、人の娘に……娘というのは君、宝だよ」 「……」 「おじいちゃん」 「黙っていなさい!」 由美が口を挟もうとしたが、長浜氏がぴしゃりと遮った。 これほど険を含んだ長浜氏は初めてだった。 あの礼儀正しい老紳士が、静かに怒っている。 耐えがたい、重苦しい沈黙。 「どうするのかね」 やがて、ぽつりと長浜氏が聞いてきた。 震える手で膝を握りながら、俺は声を絞り出した。 「……由美さんを、僕にください」 「……今、なんと言ったのかね?」 「僕に由美さんをください!必ず幸せに、幸せにしてみせます!!」 俺は叫びながら顔をあげた。 長浜氏は、顔中をくしゃくしゃにして笑っていた。 「いやいやいやいや、さあさあどうぞどうぞ」 「いや、あの、僕は車なんで」 「いやいやいいじゃないか。帰りは送らせるよ、まあどうぞ」 俺の手に持ったグラスに、高そうな酒がどぼどぼと注がれる。 「いやあうん、懐かしいな。私もそうだったんだよ。 圭一くん、私も君といっしょでね、深窓の令嬢を結婚前に孕ませてしまった。 相手方のオヤジさんにはぶん殴られたよ」 「そうでしたか」 長浜氏は浮かれまくっている。 由美の両親はそれほど浮かれる気にはなれないようだったが、ともかく笑顔を作っていた。 「もしも君が逃げ出すようだったら、ただではおかなかったよ、うん。 しかし、これで全て丸く収まりそうだ。君なら大丈夫だろう、うん、ね。 困ったことがあるならいつでも言ってきたまえよ、我々は家族になるんだからね」 「ありがとうございます!」 「本当に、頼んだからね。由美、いい人を見つけたね」 「うん!」 涙を浮かべ、由美が頷いた。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!」 場の雰囲気を察知し、長浜氏の飼っているゆっくり共が嬉しげに絨毯の上で飛び跳ねている。 この時ばかりはゆっくりが可愛く見えた。 しかし多いな。大小さまざま、何十匹いるんだ。 「由美から聞いているよ」 「え?」 「例の、ゆっくりの事だよ。君の家で飼っている」 「あ、はい……」 声のトーンがわずかに沈んだ。思い出すことさえ不快だ。 「ものすごく大変らしいね。床のうんうんを舐めたんだって?」 「あ、いや、まあ……」 そんなことまで耳に届いていたとは。 あの姿だけは見られたくなかったなあ。 「君は今、ゆっくりが好きかね?」 「…………」 「嫌いだろうね。無理もないよ」 「はい……」 長浜氏の声は穏やかだった。 彼は由美に向きなおって言った。 「なあ、由美。もういいだろ。解放してあげなさい」 「……うん。圭一、今まで本当にごめんね」 「圭一君。そもそもは私までがぐるになって君に頼んだことだったが、 これまで本当に、よく由美に付き合ってくれたね。心から感謝しているんだよ。ありがとう」 ストレートに「試していた」と言ってくるわけじゃないが、 やはりあの計画で、俺が試されていたのは確かのようだ。 夫として由美と向き合っていく忍耐力を、俺は証明したのだ。 「ともかく、君たちは近いうちに夫婦になるのだろ?」 「はい、そのつもりです。準備は大変だと思いますけど……」 「もちろん手伝うよ。それでだ、そういう準備もあるし、 もうゆっくりに一日中かかずらっているわけにはいくまい」 「は……そうですね」 「あのゆっくりはこちらで引き取ろう。 もちろん最低限の躾は必要だろうが、責任をもってできるかぎりゆっくりさせるよ」 「あの、私が面倒見るから!」 「どうするつもりだい、由美。これまで通り自由奔放にゆっくりさせるのかい?」 「できれば、そうしたいんだけど」 長浜氏はしかしかぶりを振った。 「もうよしなさい。結果は出ているだろう」 「結果……」 「圭一君。君たちはゆっくり達の言うことをすべて聞いてきた。 すべてゆっくり達の思うままにさせた。そうだね?」 「はい」 「では改めて聞くが、あのゆっくり達は、 他のゆっくりに比べてゆっくりできていたと思うかね?」 俺は少し考え、答えた。 「いいえ」 「子供を殺したんだって?」 「えっ」 自分のことを言われてるのかと思い、一瞬どきりとした。 「れいむとありすがいがみ合い、互いに子供を殺し合ったそうじゃないか」 「あ、はい」 「そして結局、増えすぎた子供たちは間引かれていった」 「……はい」 「まりさ達は他のゆっくりを虐げた。 甘味を与えるたびに、その甘味を家族で奪い合った。 互いに憎み合い、相手の隙を窺い、強者の存在に怯え、強者は反発に苛立つ。 いつ子供たちが殺されるか虐められるかわからず、戦々恐々とする生活。 由美。そんなゆっくり達が、ゆっくりしていると思うのかい?」 由美は眼を伏せた。 「ゆっくりしていなかっただろう?」 「……うん」 「今回のことはいい経験だったな、由美。 ゆっくりという生物は、自分にとって一番いい選択をする判断力が足りていないんだ。 ただ目先の欲求だけで行動し、結局はそのつけが回ってきて面倒事を増やし、苦しむことになる。 ………もしかしたらそれは人間も同じことかもしれないね。程度は大きく違うが」 俺は頷いた。 まあ、ゆっくりと一緒にされたくはないが。 「お前の計画は、ここで終わりにしよう。 今回のことを糧に、改めてゆっくりが本当にゆっくりできる為にはどうすればいいか考え直してみればいい。 あのゆっくり達はこちらで引き取るよ。 もちろん一旦味をしめさせた責任はあるから、できるかぎりは贅沢をさせてやる。 他のゆっくりに悪影響が出るだろうから、個室で飼おう」 「うん。わかった」 由美は頷いた。 「でも、あたしも面倒見てもいいよね」 「うん。好きにしなさい」 好々爺の笑みで、長浜氏は頷いた。 すべて終わった。 運転手のハイヤーに乗せられて長浜氏の邸宅をあとにした今、俺はようやく肩の荷が下りた。 いや、これから結婚や求職もろもろで本当に忙しくなるのだが、 そんなものはあのゆっくり共の相手をすることに比べれば些細なことに思えた。 本当に大変だった。 しかしそれは報われた。 長浜氏は俺を認めてくれ、俺は由美と結婚できることになった。 こうして結果が出てみれば、自分でも驚いたことに、 あのゆっくり達に感謝の念さえ湧きあがってきた。 なにはともあれ、やつらは俺にチャンスをくれたのだ。 「今まで本当にごめんね。大変だったよね」 隣に座る由美が改めて詫びてきた。 「うん。大変だった。すごく」 強がってみせる余裕もなく、俺は正直に苦笑した。 「あんなゲスゆっくりが、本当に可愛いのか?」 俺はここで初めてゲスという言葉を使ったが、由美は否定しなかった。 「うん。おかしいよね」 「どこが可愛いの、あんなの」 「それは、ええと、ゆっくりと人間と同一視してるから可愛くないんだと思う」 「え?」 いつになく真面目な顔をして、由美は言った。 「礼儀とか思いやりとかは、人間のルールだよね。 そういうのがない人は、私も嫌い。 でも、ゆっくりは、人間とは違うルールで生きてる。 ふつうの人間にとっては不愉快かもしれないけど、私は人間とは別物だと思ってるから、腹が立たない。 私ってゆっくりオタクだから、人間の手垢がついてない純粋な子ほど可愛いと思っちゃうんだね」 「そんなもんか」 共感はできなかったが、素直に受け止めることができた。 「でも、今回の失敗でまたわからなくなっちゃった。 ゆっくりのルールって一体なんだろうね。 人間のルールを押しつけたほうが幸せになれるのかな? ゆっくりって、ゆっくりするために生きてるんじゃないの? どうしてなかなか、自分たちでゆっくりできないのかなあ……」 毎日ものすごい数が生まれ、そのほとんどが死んでいくゆっくり。 わざわざ人里に下りてきて、家や畑を荒らしては潰されるゆっくり。 ゲスやレイパーや共食い、同族で殺し合うゆっくり。 ゆっくりとは、一体なんのために生きているのだろうか。 「ゆっ、おそいよ!!ごみくず!!」 由美と一緒に家に戻れば、甲高い挨拶が飛んでくる。 「ぐずぐずしないであまあまをもってきてね!!」 「そのめはなんなの?ばかなの?たちばわかってるの?ばぁーか!!」 「まま、かちくがもどってきたわよ」 「あらそう、どこをほっつきあるいてたのかしら。 そろそろしつけなおしたほうがいいかもしれないわね」 「ゆっくりしないでしね!!げらげらげら!!」 「とっととうんうんをなめるんだぜ!!たっぷりためといてやったんだぜ!!」 子ゆっくり共は成体サイズになり、滑舌もまともになっていた。 改めて眺めると、よくもこんな連中と付き合ってきたものだと思う。 しかし終りが見えた今は、そんな声も耐えて受け流すことができた。 ゆっくり共の罵声を無視し、鞄を放り出して横になる。 無視できることがこんなに有難いとは。 「ゆっ!?ごみくず!!なにゆっくりしてるのぉ!?さっさとおきてせいざしてね!!」 「あまあま!!あまあま!!きいてるのかだぜ!?ゆっくりするんじゃないのぜぇ!!」 「くちをあけるんだぜ!!うんうんをじかにたべさせてやるんだぜ!!」 無視無視。 よじ登ろうとしてきたゆっくり共を適当にあしらって追いやる。 潰してやりたいところだが、こいつらは長浜氏の家に飼われるのだからそうもいかない。 「ぎいでるのがああああああああゆっぐりごろじいいいいいいいいい!!!?」 その言葉にはさすがにどきりとした。 一緒に来ている由美のほうを見る。 しかし由美はそれには触れず、かがみ込んでゆっくり達に言った。 「れいむちゃん、まりさちゃん、ありすちゃん。みんな聞いて。 明日、みんなでお引越ししましょうね」 「ゆっ!?」 「ここではもうゆっくりできないの。 もっとゆっくりできるゆっくりプレイスに連れていってあげる」 ゆっくり共は一瞬きょとんとしてから顔を見合わせ、その後げらげらと笑い合った。 「げらげらげらげら!!ばかがなにかいってるのぜぇ!?」 「ゆっくりプレイスはここなんだぜ!!まりささまがきめたんだぜ!!」 「いいのよ、おねえさん。かちくがむりにあたまをつかわなくてもいいの。 かんがえることはとかいはなありすたちにまかせておきなさいね」 「むのう!!のろま!!ばぁーか!!ろどん!!」 予想できていた反応に、由美は困ったように笑った。 「ね、これからは人間さんの話を聞いて。 今度のゆっくりプレイスでは、人間さんがみんなをゆっくりさせてくれるわ。 でも、人間さんの言うことを聞かなくちゃだめよ」 ぼひゅっ、という音が響く。 ゆっくり共が吹き出したらしい。冗談じゃないという驚き、ちゃんちゃらおかしいという嘲笑の両方だろう。 「ばかなの?しぬの?あたまつかってる? そんなところでゆっくりできるわけないでしょぉぉ!!」 「いーい?にんげんさんはごみくずでのろまな、かとうなせいぶつなの。 ゆっくりがみちびいてあげなきゃいけないの。いうことをきくのはにんげんさんのほう。 わかるかしら?もういちどいってあげましょうか?」 「かわいがってやっていればつけあがるなだぜ!! にんげんのいうことをきくぐらいならゆっくりするんだぜぇ!!」 最後の発言は意味がおかしい。 「勝手よね、私たち。今更しつけようなんて」 「そうだな」 由美に頷いてやる。 虐められているうちは、叩き潰してやりたいと渇望していたものだが、 このゆっくり共もある意味では被害者、もとい被害ゆっくりなのだ。 そう思うとなんだかどうでもよくなった。 ただし、あくまで「ある意味で」という前置きつきでの穿った見方だ。 ガラスを割って侵入してきたこのゲス、追い払ったところで別の人間に潰されるか、 群れの中で孤立して自滅するかだろう。 まあifの仮定なんかしたって無意味だが、こいつらが不幸だなどとは言わせない。 最低限のルールは課されることになるが、これから行くところだって、 死ぬまで存分にゆっくりできる夢のようなゆっくりプレイスだ。 とにかく、明日の昼には迎えが来て、 こいつらは長浜氏の邸宅に移されることになる。 その旨を伝えると、ゆっくり共は俄然騒ぎ出した。 「なにいってるのぉおお!?ばかなのぉぉぉぉ!!!」 「まりささまはここにすむんだぜぇぇぇ!!しねぇ!!!しぬんだぜぇぇぇ!!!」 「このかちくはもうだめね! そこのおすにほかのつがいをさがさせましょう」 「おい、なにゆっくりしてるんだぜぇ!! このばかをなんとかするんだぜ!!あのことをいわれてもいいんだぜぇ!!?」 「あのことって?」 由美が聞いてきた。 「全部話すよ。それより、もう出よう。 もう一晩だってこいつらといたくないよ」 俺は由美を近くのファミレスへと誘った。 「おいぃ!!にげるなだぜぇ!!ごみくず!!もどれぇぇ!!」 「ゆっくりごろし!!ゆっくりごろし!!あかちゃんごろしいいいい!!」 結局、俺は子殺しに加担した全てを、ショックを与えないように細部は省いて話した。 俺がゆっくり愛好派ではないことはもともと承知の上だし、 計画が失敗に終わったという結論が出た今、取り繕うこともなかった。 由美は悲しんだが、結局は許してくれたようだ。 「全部、私のせいよね」 「よせよ。みんな悪かったんだ、俺もお前もおじいさんも、もちろんゆっくりも。 後悔したって始まらない。みんなでやり直そうぜ」 「そうね」 あのゲスどもに関しては、俺はもう関わらないけど。 その日は、由美を送り返したあと近くのビジネスホテルに泊まった。 問題は山積みだが、それでもあのゲスのいない生活を考えるだけで心は浮き立った。 翌日から、俺はそれまでの鬱憤を晴らすかのように勉学に打ち込んだ。 もともと勉強好きな俺は、遅れを取り戻すべく、大学でも自宅でも猛烈に並び、 一時落ちていた成績を再び大学トップクラスにまで戻した。 同時に、就職活動も行った。 有名大学で優秀な成績を収める俺にとって、そう難しいことではなかった。 だが、結局は長浜氏の強い勧めで、長浜グループ関連の建築会社に内定が決まった。 コネを使うことになってしまったが、実力的にも不足はない。 在学中に結婚までしてしまった。 長浜氏の願いで、俺が婿養子として迎えられることになった。 由美は一人っ子だし、家柄を考えれば無理もないか。 順風満帆だった。 我ながらなんというシンデレラボーイ。 あの地獄に堪えた報酬は、十分見合ったものだった。 だが、そんな地位や収入などよりも、 俺は何より、由美との結婚生活が楽しみだった。 愛する妻、子供、ピクニックやキャッチボール。 陳腐だが愛にあふれた家庭生活を想像するだけで、俺はすでに幸福の絶頂にいた。 俺は長浜氏の邸宅に一時的に住んでいた。 就職するまでは、という長浜氏の強い勧めだった。 あの人はなんだかんだで、いろいろと強引に勧めてくる。 一人ではしゃいでいる祖父に比べ、 由美の両親のほうは少々ぎこちなかったが、おいおい打ち解けていけるだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「ごはんのじかんになったらあまあまをおねがいね!!」 長浜氏の邸宅には、ゆっくりが大量にいた。 れいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種やみょん種などレアなものも。 正直うざったかったが、あのゲスどもに比べれば天地の差。 これだけしつけが行き届いていれば問題なく付き合っていけそうだ。 問題のゲス共は、ひどいものだった。 ここに連れてこられてすぐに個室に移されたが、 しつけをしようとしても全く言うことを聞かない。 人間は自分たちの奴隷だ、黙って言うことを聞け、あまあまをもってこいの一点張りで、 そればかりか嬉々として嫌がらせをしてくる。 少々強く言うと、ものすごい剣幕で火がついたように暴れまわった。 長浜氏の知人である有名ゆっくりブリーダーに見てもらったが、これはダメだろうとのことだった。 「ここまでつけ上がったゆっくりは、多分もう無理だと思います。 人間をなめているばかりか、明確な悪意を向けてきている。 しつけるにしても、ものすごく強烈なやり方でないと。 もしかしたら死んでしまうかもしれませんよ」 さすがにそこまですることもない、という長浜氏や由美の意見で、 結局このゆっくり共は、郊外に外出する時以外は個室から出さずに寿命まで勝手にやらせることにした。 といっても、こいつらは外出することはあまりないが。 「しかし、よくもまあここまでつけ上がらせましたね。びっくりしました。 ここまでの個体は初めて見たかもしれません。 逆にゆっくりブリーダー向きかもしれませんよ、あなた」 俺はそう言われたが、勘弁してくださいと首を振った。 そんなゲスどもを、由美は相変わらず面倒を見ている。 長浜邸では、家族だけでなく使用人も大勢のゆっくり共の面倒を見ているが、 あのゲスは使用人でさえ関わりたがらず、結果としてほとんど由美が面倒を見ることになった。 結局相変わらず甘やかしているようだ。 「おねえさんはゆっくりしないでおうたをうたってね!!」 「きたないうたなんだぜ!!ゆっくりできないからとっととやめるんだぜぇ!!」 「げらげらげらげら!!」 しかし、ついに別れのときがやってきた。 俺が就職し、なかなか広いアパートに住むことも決まった。 子供が生まれたら、最初は自分たちの家に迎えたい。 そういう俺の希望で、出産の前に引越しの手続きを済ませることになった。 一応、出産前後は由美の母がアパートに通っていろいろ手伝ってくれる。 由美のお腹の子は五か月になっていた。 お腹の膨らみもはっきりとわかる。 俺の宝だ。 引っ越し前日の夜になって、 由美はあのゲス共に別れの挨拶をしてくると言った。 俺は挨拶などする気も起らず、寝室で由美を見送った。 俺はずっと疑問だった。 身体能力や耐久性はあまりに弱いゆっくり。 しかし、その自意識は身の丈をはるかに超え、 危険な場所やより強大な敵に、自分から飛びこんでいく。 その構造は一体なんなのだろう。 生物として、全く理にかなっていない。 何度考えても、生物学的にまったく説明がつかなかった。 ゆっくりとは一体なんなのか? 由美はいつまでも帰ってこなかった。 十二時時を過ぎて深夜になっても、由美は二人の寝室に戻ってこなかった。 由美がゲス共に会いに行ってからすでに三時間。 いくらなんでも別れを惜しみすぎではないのか。 俺は立ち上がり、ゲス共の部屋に向かった。 「由美。俺だ。いるのか?」 ドアをノックしたが、返答はなかった。 しかし気配はあった。 中でわめき声が聞こえている。ゆっくり共が騒いでいるのだ。 いつもの事だった。 しかし、その声に俺はどこかいつもと違う空気を感じた。 なんだ? 俺はドアを開けた。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「んほぉおおおおおおおおすっきりいいーーーーーーーーーっ!!!」 「ゆっくりするなだぜぇ!!さっさとおきるんだぜぇ!!!」 由美と娘はそこにいた。 「ゆっ!!ごみくずがやってきたんだぜ!!」 「ゆゆっ!?いまごろきてもおそいよ!!げらげらげらげら!!」 「んっほぉぉぉぉおおお!!!きもちいいわああああああ!!!」 俺は膝をついた。 言葉が出なかった。 脳が思考を放棄し、体が震えて動かなかった。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 執拗に飛び跳ね、踏みつけていたれいむは、 俺を認めると、そこに乗ったままで罵ってきた。 「くそじじいのあかちゃんはしんだよ!! れいむだっておちびちゃんをころされたんだからね!! ゆっくりりかいしてくるしんでね!!ざまぁ!!」 まりさ共が、由美の体に体当たりを繰り返している。 「まりささまのゆっくりベッドでゆっくりするんじゃないんだぜぇ!! くそどれいにそのふかふかはもったいないのぜ!!おきるんだぜえぇ!!」 由美は動かなかった。 頭をまりさ用の天蓋つきベッドに突っ込んだまま、ぴくりともしなかった。 天蓋は一部の骨組が折れ、由美の頭の下に敷かれている。 「あかちゃんのおはだすべすべよぉぉぉぉぉ!! なんかいでもいけるわあああああんほおおおぉぉぉすっきりいいいいいーーーーっ!!!」 ありす共が粘液にまみれながら絶叫している。 親子五匹のありす共が、それにまとわりついて蠢いていた。 地獄。 無間地獄。 こいつらは。 俺は泣きながら這いずっていった。 震える喉からやっとのことで絞り出したのは、次の問いかけだった。 「どうして」 それは、このゲス共に向けた質問ではなかった。 俺は何に向かって問いかけたのだろうか。 「ゆっ!!ごみくずはばかすぎてあきれるんだぜぇ!! ごみくずのたくらみなんてまりささまはすべておみとおしなんだぜ!? おきのどくなんだぜぇ!!げらげらげらげら!!ふっきんほうかい!!」 まりさが笑っている。 「ゆふぅ~……とかいはなせれぶのありすには、 いなかもののかんがえることなんておみとおしよ」 「ままはおみとおしよ!あてがはずれたわね!!んほっ、んほほぉぉ!!」 「どうしてわかったかおしえてあげましょうか? ありすがまえにすんであげていたゆっくりぷれいすのにんげんは、 はじめはありすにぞっこんで、かいがいしくありすにほうししていたわ。 ありすがいえば、すっきりようのゆっくりをつぎつぎともってきた。 にんげんがあれこれやってくれというから、 やさしいありすはおのぞみのぷれいをみせてあげもしたわ」 このありすの飼い主が、あの技術を教えたのか。 「でも、そのにんげんは、あれほどかわいがってもらったおんもわすれて、 このありすをうらぎった。 にんっしんっしたのよ。 にんっしんっしてこどもがうまれたたとたんに、 そのにんげんはありすをゆっくりぷれいすからほうりだした。 じぶんのこどもにかまけて、 ほんらいのしごと、ありすのどれいのせきむからにげだしたのよ!」 「んほっ、まったくにんげんはいなかもののかとうどうぶつよね! ちゃんとみてないとすぐににげだすんだから!!」 「このおねえさんがにんっしんっしたときから、 ありすにはこうなることはわかっていたわ。 あなたたちにんげんは、こどもができると、まわりがみえなくなる……」 「だからまりささまがまびいてやったんだぜ!!」 まりさが引き継いだ。 「こどもをみてしこうていしするまえに、 まりささまがまよいのたねをつみとってやったんだぜ! ごみくずどもはいままでどおり、つよくてかっこいいまりささまにしんすいして、 まりささまだけにつかえていればいいんだぜ!!」 「あらりょうじだったけど、れいせいになってよくかんがえなさい。 おちついてかんがえればこれがただしいとわかるはずよ。 いなかもののかとうせいぶつでもね!!」 「れいむはおまえにこどもをころされたんだよ!! こどもをころされるくるしみがわかった!?もっとくるしんでね!!げらげら!!」 ゆっくり共は、悪意の塊のような表情を浮かべてせせら笑っていた。 それはひどく醜く、どれほど憎んでも足りなかった。 「こどもはありすにおかされてしんだよ!! くやしい?くやしい?ねぇねぇ、いまどんなきぶん?どんなきぶん?ゆっゆっゆ~♪」 震えて泣きながら、俺はゆっくりと疑問が氷解していくのを感じていた。 「ざまぁ!!ざっまぁぁぁぁ!!くやちぃくやちぃ~~~~~♪」 ああ。 「げらげらげら!!そしてこのかお!!ないてるときがいちばんばかみたいなんだぜぇ!!」 そうか。 「ごみくずはむせびなき~♪れいむたちはいいきぶん~♪ゆっゆ~~ゆゆゆ~♪」 お前たちは。 「このおねえさんひっどいかおよねぇ、みっともないったらありゃしない! とかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!んほおおぉぉすっきりいいーーーーーー!!!」 苦しむために生まれてきたんだな。 由美は死んではいなかった。 しかし、病院で医師に宣せられたことは死と同義だった。 頚椎骨折。 あの部屋で倒れたとき、首の部分がちょうどまりさの天蓋つきベッドを下敷きにして、 その骨組をなしていた木材にぶつかり、頚椎を折っていた。 脊髄を損傷して由美は全身不随となり、意識も失ったまま戻らなかった。 病院のベッドで点滴を受け、なにも映さない目で天井を見つめるだけの生活になった。 子供は女の子だった。 発見したときにはすでに手遅れになっており、 その亡骸は、長浜家の墓に埋葬された。 俺が決めてあった名前が、その墓には彫られた。 長浜氏と俺の意向を受け、 その事件は日本中に大々的に報道された。 その主犯であるあのゲス共は事情聴取を受け、 警察やテレビの取材班に喜々として自分の所業を語り、 その様子は日本中に放映された。 「まずまりささまがあしにまりさしゃいにんぐあたっくをくらわしたんだぜ!!」 「そしたらおねえさんがぶざまにたおれたんだぜ!!おとうさんはつよいんだぜ!!」 「たおれたところにれいむがおなかのうえでぴょんぴょんしたんだよ!! ごみくずのあかちゃんはすぐにでてきたよ!!にんげんさんはもろいね!ぷげら!!」 「あかちゃんのおはだはとってもすべすべもちもちしていてとかいはだったわ。 またもってくるならすっきりしてあげてもいいのよ?」 「おなかすいたあああ!!れいむおうちかえるうううう!!」 それは飼いゆっくりによって人間が殺された日本史上初の事件だった。 日本中がその事実に震撼し、愛護派の多くが認識を改め、虐待派がさらなる気炎をあげた。 その日から、日本中で捨てゆっくりの数が増大し、 同時にむごたらしく殺されたゆっくりの死骸が町に散乱し、市民はその処理に追われた。 だが、殺されるゆっくりに同情する者はいなかった。 日本の法律では、ゆっくりを罰する法は制定されていない。 人を殺し、全身不随に追いやったそのゆっくり共を憎み、処刑を望む声は高かったが、 俺はそのゲス共を手元にとどめた。 長浜氏は憔悴しきってうなだれていた。 俺はあの居間でテーブルをはさんで向かい合い、黙っていた。 居間にゆっくりの姿はない。 長浜氏の邸宅から、ゆっくりの姿は一掃されていた。 すべて加工所に送られていた。 もはやゆっくりの姿を見るのも嫌なのだろう。 先日は、道端で出会った野良ゆっくりにあまあまを要求され、 長浜氏らしからぬ激昂を見せて踵で一息に踏みつぶしていた。 いまではゆっくり愛護会の会長も退いている。 重苦しい沈黙が流れたが、 やがて長浜氏が言った。 「すべて私のせいだ」 孫と同じ事を言う老人が悲しかった。 「ただ一度だけ、一度だけ叱りつけてやればよかった。 強くたしなめれば、あの素直な孫は言うことを聞いてくれ、あんなことはやめたろう。 私がそれをせず甘やかしたために、たった一人の孫娘とひ孫を、君の妻と娘を死なせてしまった」 「お祖父さん」 「私を恨んでくれ」 震える老人はひどく小さく見えた。 「それは僕の言う事です……あなたの孫娘を守れなかったこと、深くお詫びします。 このことは、一生をかけて償うつもりです」 「圭一君」 俺は長浜氏に向かって、毅然として言い放った。 「僕は誰も恨んでいません。 僕の恨みは、あのゲスゆっくり共に全て向けられています」 「君の注文どおり、やつらは元の個室でのうのうと贅沢三昧の日々を送っておるよ」 「そのようですね。ありがとうございます」 「どうするつもりかね?」 「どう、とは」 「やつらをどうするのかね」 「質問で返すことをお許しください。 お祖父さんはどのようにしたいとお思いですか?」 「殺してやりたい!」 テーブルに拳を叩きつけて長浜氏は叫んだ。 「この手で引き裂いてやりたい、踏みつぶしてやりたい!! やつらは、やつらは……私は今まで………今ごろになって………」 すべては遅すぎた。 長浜氏は自分を責めていた。 あの日から眠れた日がどれだけあったろうか。 「僕に任せてくださいませんか」 「……どうするのかね」 「一息に殺したところで、この恨みは晴れるものではないでしょう」 俺はノートを取り出し、長浜氏の前に置いて言った。 「僕は人をやめます。どうぞ軽蔑してください」 俺の顔を見てから、長浜氏はゆっくりとページをめくった。 彼は眼を見開いた。 ノート一冊分にびっしりと書き込まれたそれは、俺の計画書だった。 「これは……」 「あの日から書き続けていました。まだ未完成ですが」 眉をひそめてそのノートを食い入るように見つめていた長浜氏は、 自分の頬を掴みながら呻いて言った。 「……わたしはかまわない。 しかし君は……それでいいのか」 「はい」 「君にはまだまだ先の人生が残っている。 こんなことに……こんなことで……人間を捨てることはない」 「僕はこれから先の人生を、あのゆっくり共に捧げるつもりです」 「私がやる。これは私がやろう。しかし君は」 「これから先、同じ犠牲者を生まないためです。 そしてこれは、ゆっくり達のためでもあります」 「こんなことが?」 俺は頷いた。 狂人と思われようとかまわなかった。 「ゆっくりは苦しむために生まれてきたんですから」 「……それは」 「あの生物がどういう生き物なのか、ようやくわかったんです。 あいつらは弱い。痛みに弱く、耐久性もなく、ひどく簡単に苦しみ、壊れる。 そのくせ悪意や闘争心が強く、強い外敵に向かって無謀な喧嘩を売り、執拗に挑発する。 どこにも根付くことができないくせに、どこにでも入り込む。 そんなゆっくり共が生物として安定している状態は何か、ずっと考えていました。 そしてそれは、苦しんでいる状態でした」 「それは、君……いくらなんでも」 「そう考えれば、すべてにつじつまがあいました。 やつらの行動はすべて、苦しむというただそのことに向けられている。 生まれては死に続け、憎まれ虐げられつづけるゆっくり共は、 そのことですでに生物としての目的を達しているんですよ」 「………」 「僕は残りの一生を、やつらのために捧げます。 今こそ僕は、苦しむために生まれてきたやつらの奴隷になりましょう。 人間のために、ゆっくりのために、お互いの種の安定を目指そうと思います」 「圭一君」 力なくうなだれ、長浜氏は言った。 「君は変わったな」 「変わりました」 俺は答えた。 計画は実行されることになった。 計画には長浜氏が全面的に尽力してくれることになり、 さらに二か月間が準備期間にあてられた。 都心からそう遠くない、しかし奥まった山奥の廃墟が選ばれ、 目的のために改築された。 その間、ゲスどもはあの個室で贅を尽くしていた。 長浜氏や俺の指示に従い、使用人たちは毎日やつらの面倒を見ていた。 実行の日。 今、俺は改築された建物の中で、 大きなテーブルの前に立っている。 テーブルの上には、睡眠薬を食事にまぜられた十三匹のゆっくりが眠っている。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 あの日、俺の部屋に侵入してきたまりさとれいむ。 まりさが外から連れ込んできたありす。 それぞれが50cmのバランスボール大だった。 そしてその子供、子れいむが三匹、子まりさが三匹、子ありすが四匹。 十匹とも30cm大のバスケットボール大。 テーブルを囲むのは、計画の実行に関わる人々。 長浜邸の使用人やゆっくりの研究者たち。 計画のリーダーは俺だ。 俺の計画を、これからこの手で実地に行うことになる。 こいつらのために、持てるすべてを捧げよう。 涎を垂らしながら泥のように眠りこむゆっくり共に向かって、 俺は静かに声をかけてやった。 「ゆっくりしていってね」 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1371.html
「ホホホホ....よくぞいらっしゃいました。さて今日はどんなご用件で?ああ?猟ゆっくりをご覧になりたいと承知しました。ではこちらへ」 私はある興味深い話を聞いて里にほど近い廃農場を改築してできたゆっくりの養成所に来ていた。 「ここ最近ゆっくりの駆除数は多くなってますが、ゆっくり全体で見れば統計上減るどころかむしろ増えてるのが現状です なにしろあれはゴキb・・・失礼雑草のようなものですからねホホホホ...それはともかく減らないのは駆除の仕方に問題があるからなのです。 臭いものは元から断つのが一番。巣を見つけてコロニーごと叩きつぶすのが最も効果的と言うわけですなホホホホ.... しかし人間では隠れたゆっくりの巣を見つけるのは難しい。そこでわたくしめはゆっくりにやらせてみればと思いついたのです つまりはコペルニクス的思考転換と・・・オホン、まぁ毒を以て毒を制すと言う訳ですな」 歩きながらの男の説明終わったあたりでガラスの向こうに厩舎らしき場所にいくつもの鉄柵の囲いがいくつもある場所にきた 「ここは未来の生まれたばかりの猟ゆっくりの卵たちを育てる場所でございます。猟ゆっくりというのは若いうちから育てないといけません。 ま、当然ですな…躯が大きくなると態度も大きくなって育てるのも難しいですからなホホホホ....」 一つ囲いの中には大体5~6匹のちびゆっくり達が居る。まだビー玉大から野球ボール程の大きさの様々の子ゆっくりが飼育されている 「ゆっ!」 「ゆ~ゆゆ~♪」 まだまだ子供なのでどれも元気に跳ねまわったり、歌ったり、仲間同士で追いかけっこっしたり藁の上で飛び跳ねたりして遊んでいる。 「猟ゆっくりと言うのは全てのゆっくりがなれるものでは有りません。ここは適性があるかどうかを調べる場でもあるのです。おや… そろそろ時間の様ですな」 案内をしている男がそう言うと厩舎内のベルが鳴り始めた。すると周囲のゆっくり達が急に騒ぎ始めゆっくり達の大合唱が始まった 「ゆ!ゴハン~!」 「おなかしゅいたよ!はやくれいむにごはんをちょうだいね!」 白衣を着た男達がバケツを抱えてやってきた。男たちは囲いの前に立つと餌をエサ入れに流し込む。よく観察してみると小さいゆっくりの 囲いには大量の餌を入れているが、比較的育っている子ゆっくりの方にはその半分かそれ以下しか入れていない。明らかに囲いの中の ゆっくり達の十分の量なエサではない。どういう訳か尋ねてみる 「ホホホ...よくぞお気づきになられました。これも適性を図るプロセスの一つなのです。まぁこちらをご覧ください」 私は案内役に促され今白衣の男が給餌している一つの囲いを覗く。中では3匹の子ゆっくりれいむと2匹のゆっくりまりさ達がエサ台の前に集まっていた。 「ゆ!きょうはきのうよりごはんがすくないよ!おじさんごはんもっとちょうだい!」 一匹の子れいむが声を上げる。しかし白衣の男は次の囲いの給餌に行って既に居ない 5匹はゆーゆーと不満の声を上げていたが 「だいじょうぶだよ。わければみんなたべれるよ」 と5匹の中で2番目に大きいれいむが提案する 「みんなでいっちょでたべればおいちいよ!」 「そうだね!」 と嬉しそうに飛び跳ねながら口々に声を上げる3匹のれいむとまりさ 「そんなのぜったいやだよ!おっきなまりさはわけたらまんぞくできないよ。」 一番大きいまりさが異を唱えた 「ねんちょうしゃのいうことはぜったいだよ!」 それに3番目に大きいれいむが一番大きいまりさの横で援護する。こいつはどうも一番大きい奴の側らしい 「でもみんなでわけないとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!」 口ぐちと非難をあげる3匹 「ちっちゃいくせなまいきだよ!まりさをうやまわないれいむはしね!」 そう言うとガキ大将は他の3匹を跳ね飛ばす。 「ゆぎゃっ!」 「い゛た゛い゛よぉぉぉ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ」 3匹と言えど体格差ではまりさには足元に及ばず成す術もない 「おねえちゃんのいうこときけないけっかがそれだよ!」 と言ってガキ大将の側についてた腰ぎんちゃくのれいむが跳ね飛ばされて動けないゆっくり達の傍で芥悪態を付く 結局餌はガキ大将まりさが総取りし、そのおこぼれを腰ぎんちゃくのれいむが食べていた 「ハフッハフッ!めっちゃうめ!」 「しあわせ~♪」 「おなかすいたよぉ~…」 「ずるいよぉ~…」 「ゅぅ…」 残る3匹はおこぼれすら貰えずその様子を見て愚痴ることしかできなかった。しかし空腹に耐えられず敷いてある稲藁を力なく 食み始めた 「さてお客様ここで一つクイズです。この5匹の中猟ゆっくりの適性があるのはどれだと思いますか?」 私はおそらく一番大きいゆっくりまりさでないかと答えた 「なるほど…ホホホ、それでは選別を行いますのでしばしお待ちください」 案内役はジェスチャーで指示を出すと、一人の白衣の男が今みていたゆっくり達の囲いにやってきた。 「ゆ?おじさんこんどはでざーと?はやくだしてね!」 ガキ大将まりさは開口一番生意気な口を叩く。白衣の男は何かを取り出す 「じらさないでまりさのためにはやくちょうだいね!」 白衣の男は表情一つ変えず何かをまりさの口に素早く突き出す そばで大きな口を開けて餌をねだる口には餌の代わりに尖った鋭い棒が刺さる 「げぶぁッ!」 後頭部に突如風穴を開けられるガキ大将まりさ 「どぉぼでぃでぇぎょんぼどずるのぉ...」 ガキ大将まりさにさした棒を引き抜き何度も突くのが繰り返される 「ゆ゛…ふ゛り…たか…よ」 何かを言い残し息絶えるガキ大将まりさ 「ざまぁだね!」 「いじわるなまりさしんでね!」 それを見たガキ大将に跳ね飛ばされてた3匹のゆっくりは嬉々として飛び跳ねる 「ホホホホ....お客様残念ですが不正解です。あのゆっくりまりさは体格や強さなどは申し分ありませんが、猟ゆっくりに求められるのは、 他の猟ゆっくりとの協調性と主人への忠誠心。 ゆっくり狩りというのはゆっくりの集団を追い込み仕留めるのを目的しております。 単独では難しいので普通はチームを組むのが基本です、お山の大将など必要ありません。強さなどは二の次…そんなものは訓練次第でどうでもなります。無論同族食いする様なのはNGですぞ。例えば10匹の群れを追うのに1匹に食いついて9匹を逃すようなのを猟ゆっくりとは言えませんからねホホホホ....。 それと人を小馬鹿にするようなことを堂々と言うゆっくりが主人の言う事など聞くはずありませんからねぇ。当然ダメ おっと何時までもここで時間を取ってたら昼になってしまいますな。それでは次に参りましょう、ホホホホ....」 案内役は私を次の部屋へ案内する。次は猟ゆっくりに選ばれた奴らが野生のゆっくりの巣の追跡や集団を追い込む 訓練が見れるらしい このSSに感想を付ける