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原語 up 和訳 動名詞 上昇、増加、増、加増、増大、増量、向上、進歩、飛躍、成長、上達、強化、増強、改善、改良、昂進、膨脹、昂騰、伸長 動詞 上がる、上げる、増える、増やす、増す、嵩む、昇る、高まる、脹らむ、脹れる、伸びる、良くする、強める、強くする 接辞 ~上げ 漢字一字 増、加、上、昇、登、昂、騰、脹、伸、陞 やまとことば ます(增)、あぐ(上)、あげる(上)、たかむ(高)、かずそふ(數添) 備考欄 辞書 説明 廣辭林新訂版 (無記載) 新訂大言海 (無記載) 角川国語辞典新版 名 ①アップ-スタイルの略。婦人の髪形の一つ。後ろの髪をかき上げて首すじを現わすもの。②他サ変 クローズアップ。(クローズアップ:名・他サ変 ①〔映〕大写し。②大きくとりあげること。) 大英和辭典 〔動〕Ⅰ.†〔他〕[一]上ゲル.[二]目ニ留マラセル.Ⅱ.〔自〕〘俗,方〙立ツ,立チ上〔アガ〕ル. 正称 アップロード クローズアップ 直訳音写語は「上昇」か。 又、英語に「up」を「上昇」の意として使うことは一般的でなく、カタカナ語用法は最早、誤用である。upは「上」の意であって上昇のことではないし、英語においては補助動詞的な言葉である。downも同様。 よく見かける「何とかアップ」は接辞のようにも思えますが英語において"-up"という接辞はありません。 つまり「何々が上がる」という意味になります(「何とかアップ」は熟語ではなく文です)。「レベルアップ」であれば「等級が上がる」や「格上げ」、「等級上昇」という風になります。 ただしステップアップやパワーアップなどは英語辞書に単語として収録されています。 カタカナ語としては接辞的に用いられているため、接辞欄に言葉を添えておきます。 報道番組などでも見るがかつては「 増 (ぞう)」の一字で表した。 同義等式 原語単位 up=上へ カタカナ語単位 アップ=増える カタカナ語の類義語 ブースト 附箋:U ア 英語
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ひっきぃ/2005年08月12日/ひっきぃ約束をする #blognavi
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【商品名】 とっかえひっかえヘンリー八世 【種類】 R元服商品 【詳細】 英国の元総長・ヘンリー八世をモデルとしたR元服のエロゲ。 妻であるキャサリン王妃が病弱で子供を産めず、妻を次々に変えていったことが元ネタか。
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霧散 「何なんだよこれ…」 少年―――須田恭也は立ちすくんでいた。 当初、夏休みの暇つぶしを兼ねてネット上で話題になっていた村に行って、帰るつもりだったのだが訳の分からない儀式を見た。 そのすぐ後、よく分からないけど発砲しながら追ってくる警官を引いちゃったんだ。 だけど、なんでかわかんないけど、その警官に自分の胸撃たれて死んだと思えば女の人に助けてもらえてて教会に行った。 幻視とかいう訳のわかんない力のことも教えて貰ってさ。 教会に着いてすぐに何か声が聞こえたんだ。んで俺はその声の主を捜すために出たんだけど……。 深い霧の中を奴らに見つからずに抜け出たと思ったら、いきなり風景が変わってたんだ。 俺の目の前にあるのは遊園地。なんで村にこんなのがあるのか分かんないけど、怖いよな。 不安になって来た道を歩いてみたけど山すら見つけることも出来ない。何やら病院やホテルがあるってことは村じゃなくて都市…なんだよな此拠。 「分けわかんね…」 その場に座って愚痴を言う。 胸を見れば穴空いてたのが塞がっちゃってるし。 幻視とやらは自分の近くにいる誰かさんの視点を見ることが出来るし。 しまいにゃ、村から都市にやって来ちゃって 「俺、夢でも見てんのかなあ…」 やることもないので、ボケーッとしていると何か音が聞こえた気がした。 それに過敏に反応して、まるでゴキブリのように暗い物陰へと隠れる。 「えと…えと…幻視しないと」 奴らに見つかったらマズイ。命に関わることなだけに慣れない、普通じゃない行動でもやらなきゃダメなんだ。 目を閉じて呼吸を整える。すると視界は闇から砂嵐へと移行した。 (どっちだ…どっちにいる?) ザザ…ザァー…… 視界は砂嵐から何も変化なし。 (気のせいだったのかな…) 幻視を長時間してると精神的に疲れる。そろそろ解くか、と恭也が諦めたときにソレは映った。 (…?) 砂嵐が真っ暗闇に、ノイズは吐息に変化した。 {ハア…アア……ア……} 近くで聞こえるのは何かを引こずる音だろうか。カラカラカラ…… 高い金属を引きずる音が聞こえる。 (あいつらか!?) 恭也は幻視を解き、視界を確認した方向―――霧の中へと目を向ける。 何も見えない…。 (気のせい、違う!幻視は出来た!だけど…) 何故その視界には景色が見えなかったのか。やはり気のせいだったのではないか。自分の放り出された世界が異常だったわけで幻視なんてもの有り得ないから。 不意にまた、音が聞こえた。 ラ……カラ………カラ…カラカラ…… カタカタと恭也の体は小刻みに震え出す。幻視による情報は本当だったのだ。 (どうして何も視界に映らない!?) 音のする方向へ意識を向けて再度幻視を行う。音は聞こえる。だが景色は以前として闇である。 (どういうことだよ!?なんでだ!?) 困惑する恭也の視界にソレは映りはじめた。 始めはうっすらとした影。 次にハッキリと影は人の形を成していく。 そして―――恭也は何故ソレの視界に何も映らなかったのか知り、戦慄した。 (顔が………ない) 白いナース服だったのだろうか。ソレは赤黒く汚れた白い服を着ていた。 ソレはガクガクと奇妙な動きをしながら潰れた顔を向けて、真っすぐと確実に鉄パイプを引擦ってこちらへと向かってきた。 カラカラ…ガラガラガラ!!!! あいつらのような恐怖とは別のハッキリ人間ではない、と認識出来、それが自分に対し向かってくる恐怖に恭也は動けなかった。 目の前で鉄パイプが薙ぎ払うように視界の端から迫ってくる。それは頭を狙って一直線。 未だ恭也は動かない。動けない。顔は恐怖で歪んでしまっている。歯の根が合わない。カタカタと体の震えも止まらない。 オシマイだ――― そう認識した。 途端に体を支える力がなくなり、ペタンと地面へ座り込む。 間一髪。その鉄パイプは軌道が変わることなく壁に激突した。 ガアァァアァァァン!!! ビクッと恭也の体が大きく跳ねた。 それを期に体の震えも収まり、茫然自失としていた意思もクリアになっていく。自分の置かれている状況、相手の状態、全てを把握した上で自分の行動を決める。 (逃げなきゃ…それしかやれる事はない!) 須田恭也という少年は好奇心旺盛で感情表現豊かだ。今回は非現実的な事態に休む暇なく直面し続けたため、本来の彼ではなかったと言っても良い。 本来の彼は持ち前の行動力と危機回避能力で幾度となく屍人達により作られた窮地を乗り越えていった。 まあ、それらは別次元の彼のことなので多少、この霧の街に放り出された彼とは違うだろうが根本的には同じだ。 「ハッ…ハッ……ハアッ……」 どのくらい走ったのだろう。肩で息をしながら、恭也は幻視する。 見えたのは………砂嵐 聞こえるは………ノイズ 「助かっ、た…」 言って、視線を上へ上へと上げていく。霧で覆われてハッキリとした建物の形や大きさは分からないが、それでもかなりの広さだろう。 「POLICE…ST…警察署?」 単語がすぐに出てきたのは日頃の勉強の成果でも何でもないことに彼は気付かない。それがこの世界のルールだということにも。 大き目なドアの前に立ち、その取っ手に手を掛ける。だが開くことがなかなか出来ない。 恭也は思い出していた。怪異に巻き込まれてすぐ警官に襲われたことを。 彼がドアを開けることを躊躇ってしまう原因を。 「大丈夫…大丈夫だ」 奴らと同じ警官がいたとしても、マトモな警官もいるはずだ。恭也は意を決してドアを開いた。 To be continued... 【D-2警察署玄関/一日目夕刻】 【須田恭也@SIREN】 [状態]強い疲労 [装備]無し [道具]懐中電灯 [思考・状況] 基本行動指針:危険、戦闘回避。武器になる物を持てば大胆な行動もする。 1.安全な場所の早期発見且つ、状況把握 2.他に誰かいないか捜す back 目次へ next 惑う子羊 時系列順・目次 Retry? 序章 サイレント・シンドローム 投下順・目次 邂逅 back キャラ追跡表 next ― 須田恭也 霧笛
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.------------------------------ 第13話 「やっと拷問道具出せました。長々と焦らしてこんなんでスマソ」 「じゃあ、お仕置きだ。」 俺は朝美から浣腸器を受け取る。朝美はそのまま移動し小波を押さえつけた。 小波「ご主人様…な、何を…」 小波は細かく震えている。 俺は小波の肛門に浣腸器の嘴口を押し付けると、一リットルの牛乳浣腸を流し込んだ。 チュウウウウウ… 小波「……くっ…」 すべて流し込むと、彼女の尻肉を左右に割り… 小波「ひっ…!」 『つづきをヨロシク』を吹き付けたイチモツを、肛門に突っ込んだ。 小波「ああっ!」 更に俺は手を伸ばし、後ろから小波の乳を握った。 小波「うあああぅ! やめて、やめてェェェェ!」 かまわず俺は乳を握り締め、そのまま腰をピストンさせる。 ブビュウーーーーーーッ!! 小波「ああぁぁっ! はああぁぁぁっ!!」 高い声と共に、勢いよく母乳が絞り出された。 小笹「…っ!?」 朝美「……すご…」 俺は手にも「つづきをヨロシク」をつけると、小波の胸をゆっくりと揉みだした。 小波「はあぁぁぁぁぅっ…」 「クククク…小笹、お前はさっきコイツの胸がでかくなったとか言っていたな?」 俺は手に力を入れる。 ビュウウゥーーッ! 小波「はうぅぅぅぅぅ!!」 再び小波の乳から母乳が射出される。 「それは正解だよ。コイツに、ある合成した薬品を飲ませてね… 一時的に母乳が出るようにしたんだよ。だから、絞らないと張ってしまうわけさ。」 といいつつ、手を引き抜き、後は「つづきをヨロシク」に任せる。 ビュウッ!ビュッ! 小波「はぁぁうっ!」 フフ、さすがは『宇宙完全大百科端末機』。あんな薬品の作り方すらも調べるのはたやすい。 パンパンパンパン! さらに俺は小波に腰を打ち付ける。 小波「あっ! あっ! あんっ!!」 イチモツを引き抜き、『つづきをヨロシク』にまかせる。 「じゃあ、そのまま悶えといて。気が向いたらなんとかするから。」 小波「あひいぃぃーーーっ!」 小波は喘ぎ声だけを出し続ける。許しを求めても無駄だとわかっているのか、それともあまり の気持ちよさに聞こえていないのか。 「さて……」 俺は小笹と陰のほうへ体を向けた。 「……ってあれーーーーーっ!!」 そこには気絶した朝美だけがいた。 「こら朝美! 陰はどうした!」 俺は朝美にタイムふろしきをかけて起こすと、即座に問いただした。 朝美「…は、はい。確かご主人様が小波に覆いかぶさっているときに、陰が私に何かして…」 チッ!さっき目を放した隙に小笹をさらって逃げたか! しかし逃がさんぞ! バタン! クイッ… 俺が急いでドアを開けると、ロープか何かに引っかかったような感触があった。 ガラガラガラ… 「うわっ!」 ドアを出た俺の頭上に金属の塊が振ってきた。おそらくグロウ一号の残骸から持ってきたのだ ろう。あれに当たれば大怪我間違いなしだ! しかし… フワッ… 突如うしろから現れた改造版『まもり紙』がそれらから俺を救ってくれた。 …かなり穴があいてしまった。あとで復元光線でもかけよう。 今のショックで少し冷静になった俺は『衛星テレビ』で二人の行方を追い、罠がないか探れな いかと思い『コノ道トーリャンセチャート』を取り出した。陰は現在小笹を肩に背負い、基地 の外に出ようとし、『かべがみ秘密基地』の扉に手をかけたところだった。 小笹「痛い…痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!」 陰「ごめん、今は我慢して! とりあえず今は逃げなきゃ!」 ヤバイ!あそこから出たら表沙汰になる! 俺は即座に時間を止め、二人をすぐにとある部屋に連れ戻し、陰の手足をロープで縛った。 時間を止めれば罠も無効化できたわけだから…コノ道トーリャンセチャートは必要なかったか… 時間を動かす。 陰「…っ! クソ…」 小笹「ひぃ…ひぃ…」 陰が忌々しそうに舌を鳴らす。小笹のやけに荒い息の原因は… どうやら陰に連れ出された際、『こらしめリング(面倒なのでこう呼ばせてもらおう)』が発動 し、俺に捕まったことにより小笹への「こらしめ」が終わったかららしい。 「さて、陰。ここが何の部屋かわかるか?」 俺は傍らにある機械に手を触れながら尋ねる。 陰「…っ!」 わかったようだ。当然だ。ここは… 「そう。お前が生まれた部屋だ。そして…」 俺は傍らの機械のボタンを押した。 陰「ぐ…があァァぁぁァぁっ!!」 陰が苦しみだした。 小笹「……かげ? 陰! あなた一体何を!!」 俺の手元にある機械、それは『クローン培養機』。 そして今押したボタンは改造で新たに取り付けた『特定の創造物に傷みを与えるボタン』だ。 手を離し、その隣のボタンの上に手を乗せる。 「陰。まさかお前がこんな暴挙に出るとはな。だが、俺はお前という愛着ある人材が惜しい。」 陰「ハァ…ハァ…」 俺は陰を見下ろし、なるべく恐怖感やら威圧感を与えるようにする。 「だから、チャンスをやる。今ここで再び俺に忠誠を誓い、決して俺には逆らわず、俺の命令 あらば、その通りに動く人形となればお前を生かしてやろう。」 陰「………話に、乗ると、思うか?」 荒い息を着きながら、俺を睨む陰。 まったく、少し前まで俺の従順なしもべだったのに…恋とは凄まじいものだ… 俺は口を開く。 「乗るさ。ここでお前がいなくなったら………」 小笹に視線を向けると、陰はハッとした表情(?)になった。 「…そいつはお前によって、多少なりとも精神的に救われていたはずだ。お前もそいつが心配 でたまらないはず。お前が小笹を好いていたことはわかっている。故に…」 再び目線を陰に戻す。 「お前はそいつを残して消えるような真似はしたくないはずだ。」 俺は顔を陰の近くに近づけ、小笹に聞こえないように耳元でささやく。 「それに…俺の言うことを聞けば小笹の奴をやろう、といったらどうかな?」 陰「なっ!?」 ク、ク、ク…… まあ、そりゃ驚くだろうな。 「気まぐれだよ。で、どうだ? 気が変わらないうちに言うことを聞いたほうが利口だと思うが。」 俺は『痛みを与えるボタン』の隣のボタンに手を触れた。 「ああ、これは『痛みと共にお前を若返らせるボタン』だから。赤ん坊よりも小さくなって消 えたくなかったら、言うことを聞いたほうがいいぞ。」 陰は数秒小笹のほうを見ると…ふたたび俺の方へ向き直り、ひざまずいた。 陰「失礼いたしました。私、裏房陰は再び主の忠実なしもべとして生きることをここに誓います。」 「うむ。」 小笹は驚いた顔をしている。まあ、ここから逃がそうとしてくれたぐらいだから、この変わり 身には驚いて当然かな。耳元でささやいたことは聞こえてないはずだし。 俺は陰へ命令を下した。 「じゃあ、早速命ずる……小笹を、犯せ。」 陰「!……………はい。」 陰は小笹の下へ歩き出す。 小笹「か、陰…何、を…」 陰は走り、一瞬で小笹を組み伏せる。 小笹「きゃあっ! ヤメ…やめて、陰! お願い!」 俺は『着せ替えカメラ』に『荒縄を描いたカード』を入れ、小笹を縛り上げ、もしもボックス で出した『ほんもの図鑑 魔女狩り拷問器具編』を取り出し、 「ああ陰、この中から一つ、何か使え。」 と言った。 陰は図鑑に目を通し…固まった。 陰「… …… ……… …………」 「はよせい」 陰「……じゃあ、これでいいです。」 そう言って、陰が選んだ拷問器具『洋梨』だった。 俺は早速それを取り出す。 小笹「ひっ! そ、それは一体…」 「ああ、おい陰、突っ込む前にちゃんと自分のモノで貫いてやんな。そいつ、初めてみたいだぜ。」 陰「え…そう、なんですか。」 そう言うと、小笹の股間をまじまじと見つめ……おそるおそる、指で広げる。 小笹「やめて…そんなことされたら…」 陰「……何か、不都合があるのですか?」 小笹「そんなことされたら…」 「大丈夫、能力をなくしても元に戻せるから。」 小笹「えっ?」 陰は何の事かわかっていないようだったのでついでにちょっと解説してあげた。 この能力者たちの能力の秘密は「乙女の……(以下自主規制)」らしい。小波から聞いた。 だが、俺は小波を襲った際、既に「タイムふろしき」や「復元光線」で元に戻せば大丈夫、という実験を済ませていた。 小笹「そんな…」 「だから気にすることはない。思う存分ヤりなさい。」 陰「はあ…」 だが、陰の動きがどこかぎこちない。 ああ、そうか。 「ああ、ごめんごめん。見られてたら気分も萎えるよね。」 小笹「そういう問題じゃないでしょうっ!!」 俺は部屋の隅にビデオカメラをセットしつつ、言った。 「そうそう、その拷問器具は『洋梨』といってね。形が洋梨に似ていることからそう呼ばれる。 女のアソコとケツに突っ込んで、中のネジを回すと器具が広がって、ケツとアソコを広げて 使い物にならなくするという恐ろしい拷問器具だ。」 小笹「ひっ…」 まあ、多少知識に間違いはあるかもしれないが大体合ってる筈だ。 「陰、突っ込んでおあげなさい。」 小笹「嫌…ヤメテェェェ!!」 陰は洋梨に自分の唾液を垂らし…ゆっくりと泣き叫ぶ小笹の尻に突き刺した。 小笹「ぎゃああぁぁぁぁぁっ!! あああぁぁぁぁっ! ああああぁぁっぁぁぁっ!!」 まだ広げていないのに凄い悲鳴だ。 「そうそう、あの八房陽と同じ力を持つ水について説明しておこう。」 小笹「いらないぃぃ! いらないから、もうお家に帰してぇぇぇぇぇ!!」 許してやる気は毛頭無い。 陰は小笹の股間を舐め始めた。自分のモノを入れる気か、それとも洋梨か。 「俺は八房の能力の秘密はその体にあると考えた。ここまではごく普通の考え方だろう。 だから、俺は八房の体液と同じものを作り、実験した。 ………お前でな。」 小笹「……グシュ…ど…どういうことっ…」 「おや、言葉が乱れてるな…状況が状況だけに当然か。 なぜ八房とキスした女性は能力を向上させるか。それは奴の唾液が少量女の体に入るからではないか、と俺は考えた。 そこで八房のクローンを作り、そいつの唾液、血液、汗、そして精液を五倍に薄めた!!」 小笹「………ま、まさか…」 ニタァァ… 「そう、お前が飲んだのはそれなんだよ!」 小笹「イ…イヤァァァァァァァッ!!」 「嫌だいやだといっても過ぎたことは変わらん。ン…?」 見ると、陰は自分の先端を小笹の股間に触れさせているだけで、それ以上は進まない。 …そうだ! 「そうそう、今、クローンて言ったよな。実は八房のクローンな…お前の前にいるんだよ。」 言うが早いか、俺は陰の顔にかかっている袋を剥ぎ取った!! 小笹「イヤァァァ! 嫌ァァァァ!!」 それは、八房陽にそっくりな顔であった。 相違点といえば、大きな傷があることである。 オリジナルと同じ顔であることを嫌った陰が自分でつけたものだ。 「ほら、もっとよく見てやったらどうだ?」 陰「主!!」 陰が叫んだ。 小笹「ウェーーン…うぇぇぇぇーん……」 陰「彼女を襲うのは私の仕事のはずです。監視は出来ているのですから…あまりいじめないであげてください。」 ……んなこと言ってもなー…俺はお前が小笹を襲ってるところが見たいんだし… あ、そーだ。 「小笹、陰はオリジナルである陽の事が嫌いでね。奴の話をするととても怒るんだ。」 小笹「…ひぐっ…ぐしっ…だ、だあら…なんらって言うの…」 「じゃあ、俺は部屋から出て行くよ。」 と言いつつ、四次元ポケットの中に手を突っ込み、その中で『ハリ千本バッジ』を握り… 「そうそう、この間陽を襲った時のこと、詳しく話してやれよ。」 と言い、去っていった。 『ノーマス!!』 小笹「ひぐっ…わ、私は、ぁ…き、昨日…あぁ…イヤ… い、犬坂小波を超える能力欲しさにぃ…や、八房陽を、さらって、保健室で、服を脱いで…」 陰「…おあぁぁぁ!!」 ズン! ブチィッ!! 小笹「っああぁぁぁぁーーーっ! やっ…つふさようをぉ…っ! ゆ…誘惑しましたぁ…! 嫌あぁぁぁぁーーーーっ!!」 陰「オおおあああぁーーっ!!」 小笹「ヒィィィィィッ! 痛い! 痛いぃぃぃーーーーー………」 ギリギリギリギリ…(←ネジをまわす音) 小笹「んっぎゃーーーーーーーーっ……」 「じゃあねーっ。『復元光線』はここにおいて行くからー。」 しかし陰、理性飛んじゃった? 獣のような叫び声しかしてないぞ… ガチャ… 朝美「あははははは!」 パーン! パーン! 小波「はぁ~…へぁぁ~…はへ~…」 元の部屋に戻ると、朝美が小波の尻を叩き、小波が焦点の合わない目をして喘ぎ声を上げていた。 やっべぇ、やりすぎたかも…って、朝美何してる!? 俺は急いで小波に駆け寄り、『つづきをヨロシク』を消し、噴出しそうなケツ穴に指を突っ込み栓をした。 「朝美…お前、何してんだ?」 朝美「……う…」 朝美は手を止め、目をそらす。 俺は朝美の髪を掴み、 朝美「あうっ!」 こっちへ顔を向かせる。 「答えろ。」 朝美「はい…小波のお尻を叩いてました…」 「俺はそういう命令をした覚えはないが?」 朝美「はい…」 …また嫉妬か…大事には至ってないが… 「大事に至るようなことだけはするなよ。で、何かあったか?」 朝美「あ、はい…見てください。」 朝美はまず足元を指差した。そこには… 朝美「小波が止まることなく噴出すので、雑巾がもう使い物になりません。」 数枚の雑巾とバケツが置いてあった。バケツの中にたっぷりとある液体は…小波の体液なのだろう。 朝美「次に、朝美の腋毛がすべて抜け落ちてしまいました。」 朝美は両腕を上げ、自分のワキを俺に見せた。…脱毛剤はワキだけじゃなかったから… 「……尻のほうも見せてみろ。」 朝美「? ……はい。」 俺に尻を向け、自ら尻肉を広げる。 「フフ…」 朝美「ど、どうしました、ご主人様?」 俺は朝美の肛門の周りをさすり… 「こら、嘘をつくな。ワキだけじゃなくて、ケツ毛も抜け落ちてるじゃないか。」 朝美「…えっ?」 ずぶっ 朝美「あんっ! また…」 開いたほうの指を突っ込んだ。 朝美「ごめんなさい…気が付きませんでした…」 「で、他に何かあったか?」 ……この地下室ではなにもあるわけもないが。 朝美「あ、はい。」 あるんかいっ! 朝美「ほら、見てください。」 と言うと、小波の尻を叩く。 パーン! 小波「ひっ!」 プシャァッ! 小波が股間から汁を噴き出した。 朝美「ほら、小波が叩かれながら感じるようになったんです。」 小波「ひぃ~…ひぃ~…」 なんと…朝美が性感を開発できるようになるとは… 「……やっぱお前、最高だよ…」 朝美「へへ…」 頭をなでてやると、嬉しそうに、俺の胸に体を摺り寄せた。 さて、そろそろ次の段階に映るか… 「朝美、俺の代わりに小波のケツに指で栓をしてくれ。お前の尻からは指を抜かないが。」 朝美「はい。」 ズボッ… 俺の代わりに朝美が小波の肛門に指を入れる。 入れ替える際、少しケツ穴から入れた牛乳がこぼれてしまったが…まあいい。 「じゃあ、毛の抜けたところを拭いてやるよ。」 朝美「ありがとうございます、ご主人様…」 俺は蒸しタオルで朝美の尻と脇を拭いた。 尻を拭いている間、朝美は嬉しそうに突き刺した指を動かしていた。 ずんっ…ぐいっ…くんっ… 小波「あう~…はう~…ひうぅ~……」 それが終わると、小波に人間リモコンを使い、乳汁と愛液と漏らした小便を強制的に体内に巻き戻させた。 小波「ひぁ…あ……ぶぐ…」 小波はすっかり白目をむき、見ているだけでは意識があるのかどうかわからない。 巻き戻したせいで許容量がやばいのか、放っておくと何もしなくても乳汁を噴出すようになっ たので、糸を取り出して乳首を縛った。命令違反をしているわけではないのでリングは締まら ないしな。小便も漏れないようにテープを貼って栓をする。 小波「………が…」 「さて、小波をトイレに連れて行ってあげなくちゃ。」 朝美「…田んぼのそばの奴隷専用便所の事ですか?」 俺は鏡の世界に置いてきた生ごみ処理機を思い出した。 「ああ、面倒だから…(時間を止め)…(元に戻す)…コレでいいや。」 そこには、時間を止めた隙に用意した『おまると生ごみ処理機を合成したもの』があった。 ニタァ~… 朝美は凶悪な笑みを浮かべた。 「まったく、マゾの癖に楽しそうな顔しやがって…」 朝美「あぁん、だって…ご主人様が他の女をいじめてるのを見ると、スッとするんです。」 ………この嫉妬心を有効利用できればなぁ… 「小波、ほれ立て。」 俺はグイッと小波の腕を引っ張るが… 小波「………ひぃ…」 腰が抜けたのか、声が聞こえないのか…立ち上がることが出来ないようだ。 「……朝美。こいつを運ぶから、手伝え。」 朝美「はーい。」 朝美と二人で小波を持ち上げ、カエルのように両足を広げた姿勢でおまるの上に乗せた。 無論、小波の尻は朝美の手で塞いだままである。 小波「……ひ…!……かは……」 持ち上げる際、体重がかかり、指がより深く食い込んでしまったが、支障はなかった。 そして四方八方あらゆるところへカメラを仕掛け、万全の撮影体制をとる。 「……苦しそうだね…今から出させてあげる…」 俺はポケットから『ダイリガム』を取り出すと、朝美に渡し、使い方の説明をした。 「それは噛むと自分の言葉をつけた相手に言わせる不思議なガムだ。 それを使って、小波に恥ずかしい台詞を言わせなさい。 そうしたら、指を抜いてこいつの痴態を一緒に診て楽しもうじゃないか…」 朝美「はい…いっぱい、いやらしい言葉を言わせます…」 そう言うと、朝美はダイリガムを噛んだ。何事か呟き、ガムを小波の首筋に貼り付ける。 しばらくすると、小波の口から恥ずかしい言葉が紡がれる。 小波「…ご主人様…どうかこの、垂れ流して気持ちよくなる全身性器のバカな変態奴隷に…母 乳と、オシッコと、うんこ垂れ流させてください………」 ズボッ!(←朝美が指を抜いた音) ベリッ!(←尿道を塞いでいたテープをはがした音) パッ…(←次いで乳首を締めていた糸を外した音) 小波「ひぃいいいぃあああああぃーーーーーーーっ!! ひいっ! ひあっ! あぁうううぅ ぅぅーーーーーーーっ! あぁぅーーーーーー! ぎいぃいぃいい~~~~~~っ!」 ブバァーーーーーーッ ベシャシャーーーーッ ビュウゥーーーーッ ジョババババ… 朝美「あはははっ! 見てくださいご主人様、体中から垂れ流して、とっても気持ちよさそーーーっ!」 「そうだね、白目剥いて涙と鼻水と母乳と愛液と小便と糞を垂れ流して、馬鹿みたいだね。」 小波「ぎゃひぃーーーーっ! ぎぼぢいいのぉーーーーっ!」 叫ぶが早いか小波は自ら胸を搾り始めた。 ギュッ、ギュッ… ビュウーーーーーーッ… 朝美「…ご主人様、聞きました?」 「ああ。気持ちいいって言ってたな。だが…」 俺は小波に近づき、腕を掴んだ。 小波「あーっ! させてぇーっ!」 「こら、胸は搾るな。それ以外はいいがな。搾って欲しかったら、大声で『私のこの恥ずかし い胸を牛のように搾って下さい』と言え。それが出来ないなら、両腕を後ろ手に縛…。」 小波「私の恥ずかしい胸を搾って下さいーーーッ!! はやくーーーーーっ!」 ………理性が完全に吹っ飛んだか。 俺が手を離すと、小波はすぐに股間を激しくいじり始めた。 俺は用意しておいた搾乳機を取り出すと、小波の胸に付けた。 小波「ひいっ……」 小波の目が見慣れぬものへの恐怖に染まる。 だが俺は即座にスイッチを入れる。 ウィイイイイイ… ビュウウゥーーーーッ…… 小波の乳首から母乳が吸いだされ、どんどん吸い出されていく。 小波「ああああぁぁーーーっ! 気持ちいいーーーっ! オッパイさいこーーーーっ…」 朝美「あははは…馬っ鹿みたーい。こんな牛みたいに搾られて感じてるなんて、さっ!」 パーン! 小波「ひゃううっ!」 プシュッ… 朝美が尻を叩くと、小波の股間から汁がほとばしる。 小波「ひうううぅ…ふあぅぅ……」 朝美「ご主人様もどうですか?」 「よし、俺もやってみるか。」 パーン! 小波「ひゃあーっ!」 朝美「そーれっ!」 パーン! 小波「ひゃうーっ!」 「よっと。」 パーン! 小波「ひいーっ!」 … …… ……… 「よし、そろそろやめるか。」 もう母乳も出なくなった。俺は搾乳機のスイッチを切る。 朝美「はい…」 朝美に搾乳機を外させる。 キュポ… 余ったわずかな乳液が、ドロリとおまるへ落ちた。 頬を叩き、小波の意識を覚醒させる。 パンパン! 小波「…あ…う…」 コンコン… ?「入ります。」 そこへ、陰が小笹を連れて入ってきた。グッドタイミングだ。 「おう、入れ。」 陰「はっ…」 陰は小笹に首輪をつけ、紐をひいて入ってきた。らしくない構図だが、どうやらあれで俺に対 して所有権を主張しているつもりらしい。 「…いいところに来たな。」 陰「…そうですか? お邪魔なようですが…」 小笹「………っ! 犬坂小波っ!」 小笹はぐったりしている小波に駆け寄ろうとして…陰に止められた。 小笹「陰、なんで…」 陰「今、下手なことをしては…」 小笹「くっ…」 「で、何の用?」 陰「まずは、これを返しに。」 と言い、置いてきた復元光線を差し出した。 俺はそれを受け取る。 「ご苦労。他には?」 陰「…彼女を支配している道具がありますね? それを渡していただきたい。」 「ああ…」 ピピピピ… 突如、俺の時計が鳴った。アラームをセットしてあったのだ。 「ん? ……ああ、もう九時か。」 俺はデカイ鏡を用意し、小波の前に置いた。 小波の顔が歪む。 小波「…あ…ああ…ああぁ~……もう…許して…」 「……体が辛いだろう? だからそのまま座ってやりなよ…」 小波の手が胸と股間に伸びていく。 小波「ああぁあ~……ひううぅ…」 グチュ…ぐちゃぁっ… 小波「あっ…あんっ…ああーーーっ! ひいーー死んじゃうーーっ!」 朝美「あれだけやってまだ足りないの?」 小波「違う…違うの…違うのぉーっ……」 陰「主! 私の命を掴んでいるのですから、出し惜しむことないでしょう!」 「あーうるさい。 もうしばらくしたらそいつを返すからそれまで好きなようにしてろ!」 俺は『ハリ千本バッジ』を取り出し、陰に放り投げた。 陰はそれを受け取ると、小笹を連れて部屋を出て行った。 小波「あぁーっ!」 カクッ… 小波はイき、意識を失った。 「…じゃ、外してやるか…」 俺は小波の腕から『タイマー』を外してやった。 朝美「ご主人様、それ、何ですか?」 「中に入っている予定を必ず行う、秘密の道具さ。」 中には、『毎晩九時、鏡の前でオナニーする』という命令が入っていた。 次話に進む 戻る 小説保管庫に戻る
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「流石はルーク、あのマスクドライダーを四機も相手にしてもこれほど有利に戦えるとは……」 ZECTの生み出した四機のマスクドライダーシステムを用いている資格者と、ライオンファンガイアの姿を現したルークが戦っている川辺の影で、一人の男が冷たい視線でその様子を眺めている。 ルークと同じくチェックメイト・フォーの称号を与えられた男、ビショップはキングに与えられた任務によって、再びこの平行世界ミッドチルダに訪れていた。指令はただ一つ、ルークの監視。 協定を結んだネイティブと共にミッドチルダに存在する複数の技術を用いて肉体を復元させ、再生後の能力確認をしてみたがその力は予想を遙かに上回っていた。クロックアップした存在の探知は勿論のこと、以前と比べ威力が格段に飛躍した爆弾攻撃及び腕力、マスクドライダーの必殺攻撃を受けてもなお立ち上がる肉体の耐久力。 それらの要因が重なってか、高い戦闘能力を誇るマスクドライダー複数を相手にしても互角、或いは有利に戦っている。このままの調子で行けばネイティブから与えられたケタロスのライダーシステムを使わなくとも、その身体能力だけで勝利を収められるだろう。 しかし、油断は出来ない。数の面で勝っている相手はそれなりに統率力の取れた戦い方を取り、ルークを翻弄している。いくらルークが以前の戦闘力を上回るとはいえ、万が一という可能性も否定出来ない。 それに長引けばあの忌々しい時空管理局がその技術力で異変を察知し、魔導師を送り込むかもしれない。 「呪文を使えば穴を一つ……いや、二つは開けられるか」 ビショップは眼鏡を軽く押し上げながら、一人ぽつりと呟く。彼はその冷たい目で、サソードとパンチホッパーを見つめた。 あの二人はその仮面の下に怪物が眠っている。それを目覚めさせれば戦況は一気に変わり、崩落へと繋がるだろう。 彼は右手を戦場へと向けると、その掌には紋章が浮かび上がる。それは偉大なるキングより与えられたチェックメイト・フォーのビショップたる証。 するとビショップの双眼が禍々しい紺碧の色に輝き、彼の足下に漆黒の方陣が描かれていく。それはミッドチルダに存在するミッドチルダ式、近代ベルカ式、古代ベルカ式による魔法を用いるときに発生されるいずれの魔法陣とも異なる物だった。 やがてビショップの周囲を覆う大気が暗黒により歪み、魔法陣の輝きが増す。 「封印された冥府の亡者よ、我に力を――」 ビショップは唇を動かす。それは人間の言葉でも、人間が喉から放つ音でもなかった。 それはファンガイア一族に古来より伝わる呪文の詠唱に必要な古代ファンガイア言語。この世界のあらゆる魔術体系と異なるその魔法は、ビショップを含む限られたファンガイアしか使うことを許されない。 「我が下に集いし冥府の大気、そして亡者の魂よ――愚者の身体に眠りし魔獣の血を覚ませ。愚劣たる人間の皮を打ち破る魔獣よ、四つの星に抗う愚か者を滅ぼさん――」 両腕を天に高々と掲げながら空を見つめると、瞳の歪みがより一層増していく。 するとビショップの目前に浮かび上がった紋章に、辺りを覆う暗黒の大気が一ヶ所に集中した。集まった闇は形を作り、球体へと変えていく。 「我は汝らに新たなる力を与える……その代償とし、汝らは我らが忌み嫌う愚者を滅ぼせ。漆黒よ、我の傀儡に力を――」 その言葉を終えると、漆黒は自らの意志を持ったかのように尾を引きながら素早く走る。 闇は戦場となった川辺の上空へと飛ぶと、瞬時にその形を崩落させた―― 「GYAッ!」 咆吼と共に放たれたライオンファンガイアの拳はザビーの頬に食い込み、彼の身体を乱暴に吹き飛ばした。 その身体は勢いよく地面に叩き付けられ、数度転がる。その一方でキックホッパー達はライオンファンガイアにそれぞれ異なる三つの攻撃を加えるが、どれを受けたところでライオンファンガイアは揺らぎもしない。 彼は再び立ち上がり、ライオンファンガイアを見据える。先程から何度あの屈強な身体を殴りつけたか、何度向こうの攻撃を避けたか、何度攻撃を受けたかはもう分からない。しかしそれでも相手が倒れる気配は一向に見られず、彼の中で次第に焦燥が強くなっていた。 だがいくら倒れようと戦わなければならない。その思いを胸に抱えながら彼は再び歩を進めようとした。 その途端、ザビーの脇に一筋の闇が走る。軌道を描きながら走るそれは上空へと上がり、破裂した。次に彼が認識したのは漆黒。形を崩した闇は周囲を包み、辺りを暗くしていく。しかしそれはほんの一瞬で、瞬時に辺りは光を取り戻す。 一体今のは何だったのかと、ザビーは上空を見上げながら呆然と立ちすくんでしまう。しかし瞬時に気を取り直し、ライオンファンガイアに視線を向けようとした。 ――ドサリ。 突如、何かが倒れるような音が二度も耳に入る。見ると、そこにはサソードとパンチホッパーがまるで全ての力を無くしかのように地面に横たわっていた。そしてその直後、彼らからは身を守るヒヒイロノカネで構成された鎧がパラパラと崩れるかのように消滅し、それぞれの変身ツールからはゼクターが不調を訴えるかのように離れていった。 「影山さんに、神代さん……?」 ぽつりとザビーは呟く。 一瞬、過度のダメージによる変身解除かと思ったがそれ程の攻撃を受けたとは思えない。いくら目の前の怪物があれほどの強さを持つからと言って、致命傷は負ってないはず。 疑問を抱きながらも彼は二人の下に駆け寄ろうとした途端、彼らの身体がぴくりと微かに動く。 それが起こったのはその瞬間だった。 「ガ………アッ……」 「ウ゛……ウ゛………」 「え?」 「オアアア゛アアア゛アッ! ギャアアアア゛ア゛ア゛アアッ!」 「グアアアアアアッ! ギェアギア゛ア゛アアアアアアア!」 突如、影山と剣は口から喉を引き裂かれてしまうほどの絶叫を発した。その顔には黒く染まる血管が浮かび上がっていて、瞳は血のように赤く染まっている。 そのまま彼らは身を悶えさせると、顔面からは止めどないほどの汗が流れていき、それは地面に染み込んでいく。 「どうしたんですか、二人とも!?」 「に、兄さん……俺の中から奴が出てくる……! モンディアルを連れて……ガァッ……!」 「え?」 「早く……逃げるんだ……! ウグッ……!」 苦しげに言葉を出す剣の顔は苦悶に歪んでいた。同じように影山も激痛に苦しむような表情を浮かべており、ザビーは彼らの元に駆け寄ろうとする。しかしその途端、キックホッパーに右肩を掴まれ、足を止めてしまう。 「ここから離れろ」 「何言ってるんですか! 影山さんと神代さんが……」 「離れろと言っている………!」 「ッ!?」 憤怒が込められているようなキックホッパーの声により、ザビーは違和感を覚える。それは普段の彼からは考えられないような態度だった。 矢車という人間はこの世のあらゆる出来事に対して否定的な態度を示し、いつ何時も意気消沈としていた。それはワームとの戦いの時でも例外ではないはずだ。 まるでそれは自分に対する警告のようだった。一体、何に対してそこまで警戒しているのか。 しかし、考案する時間は与えられなかった。突如、彼らの間に銅色の軌道を描きながら小さい何かが割って入る。瞬間、ザビーとキックホッパーの身体に激痛が走り、衝撃によって身体を蹌踉めかせてしまう。 すぐさま体制を立て直し、軌道を追う。その途端、ザビーは自らの目を疑った。 「あ、あれは……!?」 驚愕が混ざった声をザビーは漏らす。 見るとそこにはゼクターと同じように機械で出来たような昆虫が、ライオンファンガイアの周りを漂っていた。自分たちのゼクターと違う点があるとするならば拳大の身体を銅色に輝かせ、ケンタウルスオオカブトの如く力強い角を空に向けていることだ。 突如現れたゼクターの存在に気付いたライオンファンガイアは視線を向けると、体の表面が金色に輝き出す。瞬間、その体は元の長髪の巨漢へと戻っていった。 ゼクターを見つめる男は、その太めの喉を鳴らしていく。 「そうか、お前も戦いたいんだったな……!」 男はゼクターに語りかけるように呟くと研ぎ澄まされた刃のように鋭い目線をこちらに向け、弱者をほんの一瞬で戦慄させるような笑みを浮かべながらゼクターを手中に収める。見ると、男の右手首には黒いブレスレットが巻かれている。その形状はザビーの変身ブレスと非常に酷似していた。 やがて男は手に持つゼクターをブレスレットの窪みに当てながら、言葉を告げた。 「変身!」 『Hensin』 男の言葉に呼応するかのように、銅色のゼクターからは電子音声が鳴り響く。次の瞬間、ゼクターからは粒子が男の屈強な身体を覆うように吹き出されていき、それは装甲として生まれ変わっていく。 右手首から胴体。続くように腹部から足を金属片が包んでいき、最終的に首から頭部が仮面に覆われていった。 『Change Beetle』 全ての過程を終えたことを知らせるかのような人工音声がゼクターから告げられ、複眼は輝きを放つ。 ケンタウルスオオカブトを思わせるような銅色に輝く額に備えられた角。鋭い視線を隠すかのような緑色の複眼。銅色を基調とし、左肩のみに昆虫の角を思わせるような突起が付けられた装甲、腰に巻かれた銀色のベルト。 この場にいるザビーにはその名を知るよしはなかったが、それはマスクドライダーシステムの技術を用いて新しく生み出された戦士。仮面ライダーケタロスの名を持つマスクドライダーへとその男は姿を変えていった。 ケタロスのアーマーに包まれた男を見て、ザビーの仮面の下では驚愕の表情が生まれていた。何故、あのような怪物がマスクドライダーシステムの産物と思われる機械を所有しているのか。 頭の中を駆け巡っていく疑問の答えを考える暇もなく、ケタロスはこちらに詰め寄ってくる。それを見て、警戒するかのようにザビーは構えを取った。しかし対するケタロスはザビーの動きに目もくれることもなく、ベルトの脇を右手で叩く。 「クロックアップ!」 『Clock Up』 電子音声がベルトから鳴り響く瞬間、ケタロスは風となった。それはザビーがよく知るマスクドライダーシステムに搭載された高速移動を可能とさせる機能、クロックアップ。それはケタロスとて搭載されていて当然だった。 次の瞬間、ザビーとキックホッパーの胸部に火花が走りだす。まるで刃物で斬られたかのような痛みを感じた瞬間、無数の斬撃が鎌鼬のように襲いかかる。 体勢を崩した途端、そこに付け入るかのようにアーマーに傷が刻まれていく。火花が飛び散るたびに、ザビーの両眼が自分とキックホッパーの周りを駆ける様な銅色の影を捉えているが、疲労と激痛によって身体がついて行くことが出来なかった。 「アアアァァァァァァァアッ!!」 「グッ……!」 ケタロスの猛攻によるダメージが徐々に蓄積されていき、ザビーは悲鳴に等しい絶叫を上げ、キックホッパーは呻き声を漏らす。それでも攻撃が止むことはなく、ザビーとキックホッパーは全身に傷を負ってしまう。 『Clock Over』 唐突に攻撃が止んだと思うとクロックアップが終わることを知らせる音声が鳴り響き、ケタロスの動きが通常の速さへと戻る。しかしその瞬間、満身創痍であるザビーとキックホッパーはついに限界を迎えてしまい、地面に両膝を付けてしまう。 その様子に全く気に留めることのないケタロスは、自身の身体に視線を配る。 「ほう、これがマスクドライダーの力か………面白い!」 喉を鳴らしながらのケタロスの言葉に、ザビーは痛みに耐えながらも何とか顔を上げる。目の前に立つケタロスの手にはクナイを思わせるような武器が握られていた。あれで散々攻撃を受けたことをザビーは察知するが、それに気を止めている場合ではなかった。 蹌踉めきながらもザビーとキックホッパーは立ち上がる。しかし彼らの身体は異常なまでの負荷が掛かり、ほんの少しの攻撃でも倒れる恐れがあった。対するケタロスは様子から見て体力が有り余っており、加えて装備も持っている。 もはや打つ手がなく、絶体絶命と呼べる状況だった。 「アア゛ア゛ア゛アアギァァァアァア゛ア゛ア゛!」 「ゴォォォアアアア゛ア゛アギィィエァァァ!」 突如、獣の咆吼のような大きな叫び声が耳に入る。それは影山と剣があげたもので、この場にいるライダー達の意識はそちらに向けるのに充分な役割を持っていた。 見ると、二人の全身の皮膚は鮮血を思わせるように赤く染まり、次第に表面がボコボコと形を変えていくように歪んでいく。 「俺がこうなったのも、お前らライダーのせい……!」 「人間が、殺してやる……!」 二人は立ち上がると、この世の全てを憎むような激しい殺意が込められた視線をこちらに向けながら口を開く。それを浴びたザビーの背筋に悪寒が走り、仮面の下で冷や汗を流す。 「俺のことも笑えよ……!」 「殺す……殺す……殺してやる……!」 氷のように冷たい声で一歩、また一歩と足を動かす。彼らが歩を進めるたびに体の表面は歪みが増していき、人の形とはかけ離れていく。 その行為は人間が行う動作とはとても思えず、まるで人の皮を被った別の何かのように見えてしまう。故に、無意識のうちにザビーは僅かに後退ってしまう。 次の瞬間、彼らの目がカッと見開かれる。直後、影山と剣の全身からはそれぞれ緑色と銀色の霧が吹き出していき、その体を覆った。濃霧の中には微かに人型のシルエットが見えるが、それはバキバキと音を立てながら人間のそれから遠ざかる。 「「GYAAAAAAAAAAA!!!!」」 彼らは雲が一つたりとも存在しない青空に向かって盛大に吠える。霧は周囲に吹き飛ばされ、そこから現れた存在を見てザビーは仮面の下で目を見開いた。彼らの外見は、人ではなく異形の――ワームのそれに分類される物だったからだ。 片や影山は、昆虫のサナギを連想させる緑色に彩られた毒々しい醜悪な肉体。空に向かって大きく伸びる角。右腕から生え、鋭く尖る昆虫の爪。それはネイティブと呼ばれるワームの亜種。 片や剣の外見は、瞳も眼球もなく、蠍を思わせるような頭部。西洋の騎士が身に纏う甲冑に近い全身に覆われた銀色の外骨格。右腕に付けられた刃物に近い輝きを放つ巨大なかぎ爪。左腕には同じように光が放たれる盾。ザビーはそれを知らないが、蠍に近い特性を持つスコルピオワームの名が与えられたワーム。 それが意味することはただ一つしかなかった。 「ど、どうして……!?」 ザビーにとって信じることが出来ない光景だった。今まで共に戦ってきた影山瞬と神代剣という男達が人間に危害を加える怪物、ワームだったという事実に。 絶望感に叩き落とされそうになった途端、ワームへと姿を変えた二人は地面を蹴りつけ、キックホッパーを目掛けて前進する。二匹のワームは下から掬い上げるように勢いよく巨大な腕をキックホッパーに振るう。鋭い爪はその身体を守る鎧を抉った。 「ガアッ……!」 瞬く間にヒヒイロノカネで構成された装甲からは火花が吹き出し、キックホッパーは呻き声を漏らしながら体勢を崩してしまう。それに続くかのようにネイティブワームとスコルピオワームは縦横無尽に爪を振るい、鎧に無数の傷を刻んでいく。 通常のキックホッパーならばこの程度の襲撃など瞬時に回避行動を取り、そこから反撃の一撃を加えることが余裕に出来たはずだ。しかし今の彼はケタロスの度重なる攻撃により疲労が蓄積されてしまい、それが戦闘の枷となっていた。 体を動かすにしても傷がキックホッパーの動きを妨げる要因になり、避ける暇も与えて貰えずダメージが貯まる一方で、悪循環に陥っていた。 そしてワーム達は力一杯、キックホッパーの胸板に向けて足を振り上げ、その身体を後方に吹き飛ばす。そのまま自然に重力に引きつけられて、灰色の壁に叩き付けられた。 それが引き金となったのか、自らの限界を告げるかのようにホッパーゼクターがベルトのバックルから離れ、キックホッパーの鎧を構成するヒヒイロノカネが音を立てながら崩壊し、矢車は元の姿に戻った。 「や、矢車さん!」 ネイティブワームとスコルピオワームは背中をコンクリートに寄せる矢車の元にじりじりと詰め寄る最中、ザビーはいてもたってもいられなくなってしまい、彼らの元に駆け寄ろうとする。しかし、その動きは止まってしまう。 唐突に右肩に鋼をぶつけられたかのような衝撃が走り、激痛が広がるのと同時にザビーは蹌踉めいてしまう。彼はその反射速度で瞬時に右を振り向く。見ると、先程まで自分たちを襲っていた銅色のライダーが、その手に持つクナイの様な刃物をまるで拳銃を扱うかのように持ち方を変え、銃口をこちらに向けていた。 ザビーがそれを察知した途端、ケタロスの持つクナイガンの銃口が瞬き、空気を切り裂くような勢いで光弾が放たれる。その直後、身体のあらゆる部分に弾丸がシャワーのように襲いかかり、ザビーは勢いよく吹き飛ばされてしまった。全身を貫かれてしまうかのような衝撃に耐えることなど出来ず、もはや声も出ない。 その視界は宙を舞うことによって回転していき、彼の身体は勢いよく水しぶきを立てながらすぐ近くで流れる川に落下していった。 ザビーの視野が茶色に濁った水に埋まっていく中、その身体は徐々に沈んでいく。普段の彼ならばすぐさま浮かび上がれるだろうが、その体力も残されていない。 戦いに負けた。ぼんやりとその思いが頭に埋まっていく中、ザビーはただ一人流れる水の中を漂い続けていた。 「貴様……!」 コンクリートの壁に後頭部を付ける矢車は、ザビーを沈めた銅色のライダーを睨み付けた。その外見と手に持つ武器ははかつて、幾度となく自分と戦ってきたマスクドライダーシステムの初号機、カブトを彷彿とさせる。しかし仮面に付けられた角の形、鎧の色、戦闘スタイル等微かに異なる点も存在していた。 だがそれよりも脱却すべき問題がある。矢車は再び視線を前に向けた。そこには神代剣の真の姿である禍々しく銀色に彩られた蠍を思わせるワームと、影山瞬のもう一つの姿である巨大な角が特徴的な蛹を彷彿とさせたワームが、こちらに向かって足を進めてくる。 スコルピオワームとネイティブワームはその巨大な爪を自分に向け、空に向けるように高く掲げる。それを見た矢車は数秒後の自分の未来を察知し、目を細めた。よく考えれば、このまま愛する兄弟達の手にかかって消えるのも悪くないのかもしれない。 彼はあの忘れもしない港の夜のことを回想していた。光を掴む為の旅に出ようとした矢先に無理矢理異形の姿へと変えられてしまった弟。絶望する彼の思いを受け取り、自らの手で葬った。 だがこの異国の地に流れ着いた日、その影山は天道に葬られたと言われる剣と共に自分の隣にいた。弟達と共に生きられるなら例え闇の底でも構わないと決意し、この世界であての無い旅を始めた。 その終わりがこれだ。暗闇の中を空っぽで生きて、空っぽのまま死ぬ。しかし、意外にも惜しいとは思わない。恐怖も後悔もなかった。所詮自分は光を掴み取れない闇の住民、このように惨めな死に方こそが相応しいのだろう。 「ウ゛………グッ………」 「グッ………ギャ………アッ!」 回想の最中、突如として呻き声のような物が耳に入り込み、矢車の意識が起こされた。 「ガァァァッ……グゥア゛ア゛アァア゛ァア゛ア……!」 「ウ゛ッ………ギッ…………ギャアッ………!」 二匹のワームは両腕で頭を抱えながらもがき苦しむかのように後ずさりしていき、叫び声をあげる。やがて彼らは何処へとともなく走り去っていく。程なくして、その姿はすぐそばに生い茂った森の中へと消えていった。 突如として起きた不可解な出来事に矢車は怪訝な表情を浮かべるが、すぐにその瞳は別の敵を睨み付けるのに使われた。その先にはあの銅色のライダーが存在する。 矢車の目線に気付いたのか、ケンタウルスオオカブトを模した鎧に包まれた男は振り向く。そのマスクの下からは先程ライダー達に向けた威圧感が未だに放たれていた。 カブトクナイガンに酷似した形状の武器を手にした銅色のライダーは開いた距離を詰めるように足を進める。対する矢車は何か行動を起こそうとは考えていなかった。今更足掻いたところでどうにもなるとは思えない、どうせ死へと辿り着く時間が数秒だけ延びただけ。 矢車が諦めの境地に入った途端、突如として電子音が鳴り響いた。ライダーの腕から放たれるそれはゼクターに組み込まれた音声とは全く異なり、時計のアラーム音に似ている。 それを合図にするかのように男の腕に巻かれたブレスレットからはゼクターが離れていき、鎧が分解されていく。その下から現れた男は腕時計を巻く左手首を驚愕の表情で見つめていた。 「タイムオーバーか!?」 男は次第にその顔を顰めていく。それは目的を果たせなかった自分に対する憤りが込められていた。しかし人間の姿へと戻った彼は次第に落ち着きを取り戻し、時計から放たれる音を止める。 「………俺は俺に罰を与える!」 自分に言い聞かせるように呟くと、すぐそばで倒れている矢車のことなど忘れきったかのように男は背を向けて足を進める。それに伴うかのように彼の周りを舞うように宙を漂う銅色のゼクターは空の彼方へと飛び去っていく。 矢車はその巨大な背中を消えるまでただ静かに睨んでいた。兄弟達を笑ったあの男をこのまま野放しにしたくはなかったが、戦いで追った傷と疲労により身体が動かない。 この時、矢車自身はそれに気付くことはなかったが彼は唇を強く噛み締めていた。それは闇の中で弟を葬ったあの夜以来の出来事だった。同時に胸の底から遺恨と自己嫌悪の感情が湧き上がり、その空虚な瞳に微かな感情の動きが見える。 「どうせ……俺はこの程度か……」 息を荒げながらも矢車は静かに呟き、ふと空を見上げる。そこにはまるで今の自分とは正反対なくらいに爽やかに蒼く澄み切った空と、穏やかに流れる雲。そして闇に堕ちた自分など簡単に焼き尽くしてしまうくらいに燦々と輝く太陽が存在していた。 恐らく、それらをいくら求めようと決してその下を歩くことなど出来ないのだろう。いや、近づくことすら許されずに手痛いしっぺ返しを食らうのが落ちだ。弟を永遠の暗闇から救えなかった自分に光を掴む資格など無いのだから。 その途端、彼の心の中で疑問が生まれる。そんなことなど分かりきっているのに何故、このような未練に等しい感情を今更になって抱くのか。まるでシャドウの隊長であるザビーを手にして、部下を率いてワームと戦っていた過去の栄光を未だに縋り付いているかのようだった。 様々な感情が交錯する中、矢車の視界は次第に暗くなっていく。もはや意識を保つことなど出来ない。痛みによって併発される高熱を体中に感じながら、矢車の瞳は閉じられていった。 「……はぁ………はぁっ………はぁ……っ……」 川に流されたエリオは水の中で佇む岩に手を付けて、辛うじて起き上がりながら土手に向かって足を進めている。その身体を護っていたザビーの鎧は既に砕け散っており、既に限界を超えてしまったザビーゼクターも彼の手元には存在しない。 どれほどの時間、どれほどの距離を流されたのかはエリオ自身にも分からない。長時間もの間水に浸かっていた所為か、身体の体温は殆ど奪われ、喉が痛み、顔と唇が青白く染まり、視界もぶれて一点に定まらない。 一歩足音を立てるごとに冷えた水に音を立てながら波紋が走る。その身体は服に吸収された水の重さと先程の戦いによる体力の消耗によって満足に動かず、フラフラと糸が切れた凧のように頼りなく揺れていた。 ようやく陸に上がった途端、身体に限界が来たのか糸が切れた人形のようにぐったりと雑草の上に倒れてしまう。土の匂いが鼻腔を刺激しながら、彼は影山と剣のことを考える。 殺意の視線をこちらに向けながら雄叫びをあげた途端、肉体が異形のそれへと変質していた。それは、あの二人の正体がワームということ。 エリオには未だに自身の目を疑っており、その現実を受け入れることができなかった。 ワームという生命体は人間を無差別に襲い、その容姿、記憶を利用するという悪質な存在のはずだ。もしかして今まであの二人は自分のことを騙していたのか。 だとすると、矢車想という男も二人と同じように本当はワームの擬態で、影で自分のことを嘲笑っていた―― その可能性に至った瞬間、彼は心の中で首を横に振る。もしそれならば何故初めて会ったあの夜にフェイトやキャロに擬態したワーム達と一緒に自分を殺さなかったのか。 それに先程の矢車の言葉も気になる。まるであの二人がワームであることを知られることを阻止するかのような口調だった。 エリオは疑問に対する考案を浮かべたが、やがてそれは黒く染まっていく。手元から去っていったザビーゼクターのように彼もまた限界に達していた。 不意に、こちらに向かってくるような足音が聞こえるがもはや顔を上げることも出来ない。 そこからエリオが意識を手放していくのに、それほど長い時間は必要としなかった。 「あらあらあら~! と~っても良い物を見つけましたわ~!」 川岸に生えている雑草の上で濡れた状態で倒れているエリオを女が一人、満面の笑みで見つめていた。 その名はジェイル・スカリエッティにより生み出されたナンバーズNo.4、クアットロ。 彼女はチェックメイト・フォーのルークとの戦いを見ており、川に突き落とされたエリオを追ってこの場所へと辿り着いた。 目的はただ一つ、計画の進行の為。ワームの皮を破った影山瞬と神代剣の二人は体力を消耗しているだろうから、後で大群を送り込んで回収すればいい。 クアットロは青白く染まったエリオの顔を見ると、その唇を歪ませた。 「うふふ………チェックメイト・フォーの方々には後でお礼を言わなくてはいけませんね、このような素敵なプレゼントをして下さるんですもの」 一人でそう呟いた途端、クアットロの身体から光が放たれていき、その身体が静かに変質されていく。 それは、牢獄から解き放たれた彼女が与えられたもう一つの姿。蝸牛を思わせるような風貌、口腔に長く生えた触覚、蝸牛の殻を思わせるような両肩、禍々しい形に発達した筋肉。 コキリアワームの名を持つ異形へと姿を変えたクアットロは目を覚ます気配のないエリオの身体を抱えると、喉を鳴らしながらその場を去っていった。 「可愛い坊や、こんなところで寝てたら風邪をひいてしまいますよ~……素敵なお姉さんと一緒に素敵な場所に行きましょうね~!」 身体が暖かくなっていく。 最初に感じたのはそれだけだった。 続いて体中の痛みが徐々に消えていき、疲労も癒されていく。それに伴うかのように矢車の意識が回復していった。 「くっ………!」 意識が覚醒するのに従って、矢車の瞼が開かれていく。しかしその身体には微かな痛みが残っており、呻き声が漏れてしまう。 彼が目を空けた先に認識したのは光だった。一瞬、それに対して嫌悪感を覚えたがすぐに違和感を覚えていく。 光は自分の体を覆うかのように周囲から降り注ぐが、それは最も避けている太陽の輝きとはまったく別のもので、まるで人工的に作られた光のようだった。 「ほぅ、もう起きたのか! 流石と言うべきだな」 どこからともなく野太い声が耳に入り込んだので、コンクリートに背中を寄せたまま矢車はそちらに振り向く。その途端、矢車は目を見開いた。 自分の目前にいるのは人間と呼ぶには程遠い外観で、むしろ蝙蝠に酷似しており何処かゼクターを彷彿とさせる。 二枚の銀色の翼をパタパタと動かしながら、赤く輝く双璧をこちらに向ける蝙蝠の白く彩られた顔面を矢車はじっと眺めていた。 「おい、何シケた面でジロジロ見てんだよ? 俺は見せ物じゃねえぞ!」 頭一個分の大きさ位の蝙蝠は矢車の視線を不愉快に思ったのか、怒声を上げながら彼に迫る。しかしそれに対する矢車は何の言葉も出さない。 それよりも、身体の痛みが消えていることが今の彼にとって重要なことだった。体の調子を確かめる為に四肢を微かに動かす。ほんの僅かな痛みは感じられるものの、移動する分には何の問題もない。 それならばこんな所で寝ている場合ではない、先程の戦いで弟たちは皆散り散りになってしまった。特にエリオはいくらマスクドライダーシステムに守られているとはいえ、先程の猛攻によりゼクターが多大なダメージを受けているだろう。 判断を下した矢車は立ち上がり、この場を去ろうとするが目前に白い蝙蝠が飛び込んでくる。 「てめえ、何処に行くつもりだ? 命の恩人の俺を無視するとはいい度胸じゃねえか!」 「何……?」 「止さないか、レイキバット」 機械的に口を動かす蝙蝠に対し、矢車が怪訝な表情を浮かべると彼らが出す声とは別の声が聞こえる。振り向くと、コンクリートの影から一人の青年が姿を現す。 整った黒髪、端正な顔たち、その身体を包む純白のコートと仕立ての良さそうな高級感の溢れるスーツ。 矢車と真逆であることを誇示するかのような青年が微笑みを浮かべるように唇を曲げると、彼の感情に微かながらの変化が現れる。 「お久しぶりですね、矢車さん」 「貴様……何故ここにいる?」 「僕のことを覚えてくれているとは光栄です。流石はZECT精鋭部隊シャドウの元隊長と言ったところでしょうか」 僅かながらの驚愕が込められた言葉を矢車は言うと、青年は微笑みを保ったまま口を開いた。矢車は自身の過去を暴かれたことにより若干の嫌悪感を覚えるが、すぐさまその感情は消えていく。 彼はその青年に見覚えがあった。それはZECTからも自分を慕う全ての人間から見捨てられた後、何もかもを失い全てに絶望しきった闇の中でのことだった。ワームも、ZECTも、かつての部下も、この世の全てに対してただ呪うしか出来なかった頃、彼は自分の元に現れた。 当初は青年に対し嫌悪感を抱いていたが、彼は今の自分を生み出すきっかけとなるものを与えた。 「やはりホッパーゼクターは貴方に与えて正解でした、そのゼクターの特性を充分に生かせているのですから。もう一機の方もホッパーの特性を生かせる方に使って頂き、我々としては充分に大助かりですよ」 あの時と同じような口調で、青年は語り続ける。矢車は忘れるはずがなかった、彼は今の自分が生まれたきっかけとなった二機のホッパーゼクターと、ホッパー専用のゼクトバックルを与えた男なのだから。 レイキバットと呼ばれた白い蝙蝠は二枚の羽を用いて青年の傍らを漂う中、矢車は訝しげな表情で涼しげにしている彼の顔を見ていた。 「それで……俺に何の用だ?」 「おっと、そうでした。こうしている場合ではありません、現ザビー資格者であるエリオ・モンディアルがワームに拉致されたようです」 その言葉によって、矢車の瞼が微かに動く。それは滅多に動くことのない彼の感情を動かすのに十分な威力を持っていた。 それを知ってか知らずか、笑みを浮かべる青年は口を動かし続ける。 「どういう意味だ?」 「そのままの意味です。彼は先程の戦いの後、川に突き落とされた隙を付かれてワームに捕らわれてしまったのです」 「貴様……それを黙ってみていたのか?」 「おいおい、話を最後まで聞きやがれ! 奴はこの世界とは別の世界に逃げやがったんだ、アルハザードへとな!」 矢車が顰めた表情を浮かべた途端、レイキバットは彼の言葉を遮るかのように羽を羽ばたかせながら声を荒げる。 「ワームの奴らはあのガキを利用して何かを企んでやがる。最悪の場合放っておきゃあ影山瞬って野郎と同じ運命を辿るだろうな」 「ッ!?」 レイキバットの言葉を聞いた途端、矢車の身体は全身を強い力で殴られたかのような衝撃が走り、これまでずっと半開きだった両眼が完全に開かれた。 そして、矢車の頭の中に悪夢に等しいあの光景が再度流れ込む。自分たちが最も忌み嫌う異形へと無理矢理変貌させられた弟、全てに絶望した弟の顔、そして――そんな弟を葬った後の感触。肉を、骨を、細胞を――弟の全てを破壊した永劫忘れることの出来ない忌々しい感触を、忘れるはずがなかった。 「それ以上はやめないか、レイキバット………誠に失礼しました、ご無礼をお許し下さい」 滅多に湧き上がらない矢車の感情が爆発されそうになった途端、それを察知したかのように青年がレイキバットを制止させると、軽い謝罪の言葉を投げかける。 気を取り直すかのように青年は話を切り出していく。 「しかし、ワームが彼を使って何かを企んでいる可能性は高いのです……かつての悲劇を繰り返さない為にも貴方の力をお借りしたいのです」 その語り口は矢車の怒りを冷まさせるのに、充分な威力を持っていた。真偽の程は分からないが、確かにエリオはあの銅色のライダーによってすぐそばの川に落とされた。 もしも、どこかに打ち上がっているにしても体力が大いに消耗しているはずだ。その隙をワームに突かれる可能性は充分に高い。 彼は自らの経験によって積み重ねてきた思考を用いて判断を下すと目の前の青年、白峰天斗に顔を向ける。 そして、白峰は口を開いた。 「行きましょう、アルハザードへ――」 前へ 目次へ 次へ
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/一本の白き道 とある右手の番外編(パラレルワールドストーリー) 『チーン』 学生寮のオンボロエレベーターが7階に着いたことを示す音を鳴らし、扉がゴトゴトと音を立てながら開く。 「ホント、メンテしてるのかよ……」 上条さん、毒突いてますなぁ……。 「じゃあ、オレが飯の支度するから、美琴は部屋の片付けをしてくれな」 「う……うん……」 まだちょっと辿々しい美琴さん。 緊張してます。 そりゃそうですよね。ココに入るのは初めてなんですから……。 「あ……アレ?」 「どうしたの?」 「カギが……開かない……」 「えっ!?」 「なんで……?そんなバカな……?」 「どうして?」 「オレだって分かんねぇよ……朝はちゃんと……ダメだ……」 「どうする?」 「管理人のオッサンに言って……アレ?」 「どうしたの?と、当麻……?」 「空いてる?」 「ヘッ!?」 「カギが開いてる……?」 「えっ!?」 「なっ、なんだ!?中からチェーンが……?一体どうなってるんだ?」 「とうま?帰って来たの?」 「「え゛……?」」 「ちょっと待ってなんだよ。……お帰り、とうま……って、……なんで短髪まで居るの?」 「いっ、インデックス?……おっ、オマエ……いつコッチに戻って来たんだよ!?」 「何言ってるの?とうま。私はずっとここに居るんだよ?」 「ハァ?……何言ってんだよ。この前の戦争で、フィアンマに首輪の遠隔操作霊装を使われて、身体に負担がかかり過ぎたからって、イギリスで療養してたじゃねぇかよ?」 「戦争?フィアンマ?首輪?」 「まぁ、別に帰って来たんならそれでも良いけどさ、帰って来るなら帰って来るで、ちゃんと連絡入れろよな」 「何を訳の分からないことを言ってるのかな……とうまは?(ガチガチ……)」 「そりゃ、コッチのセリフだ……あ、美琴。入れよ」 「……」 「第一、なんで短髪と一緒なの!?」 「あのなぁ……この前、イギリスに連絡入れたろう。オレは美琴と付き合うことにしたって……。オマエも納得してくれたじゃねぇか……」 「だ~か~ら~、私はずっと、ここに居るって言ってるんだよ~~~ッ(ガブッ!!!)」 「ぎぃいゃぁぁぁああああああ……久々の噛み付き……これは……懐かしい痛み……じゃなくって……不幸だァ~~~!!!!!」 「……な、何よ……これ……」 「ヘッ!?……あ、美琴……」 『ガジガジガジガジ』 「一体……何なのよッ!?」 「えっ!?……痛ぇっ、はっ。離せよッ。インデックスっ……」 『ガジガジガジガジ』 「さっきまで……あんなに優しくって……笑いかけてくれてたのに……何なのよっ!?コレはっ!!!!」 「「ヘッ!?」」 「一体何がしたいのよっ……アンタはっ!?」 「美琴……?」 「さっきまであんなに優しくって、見たことのない笑顔で笑いかけてくれて……人に一杯期待させといて……。それで何ッ!?コレは一体何なのよっ!?」 「短髪?」 「アンタ、一体何様のつもりなのよっ!?この部屋に居候させて貰ってるみたいだけど……何なのよ、この散らかりようはっ!?」 「うっ……」 「少しくらい片付けたらどうなのよっ!?一緒に住んでるんでしょ?部屋を片付けるとか、掃除するとか、洗濯物を片付けるとか、それくらい出来るでしょうがッ!?」 「うぐッ……」 「どうせ全部やって貰ってるんでしょ?それくらい見たら分かるわよ。全部コイツに依存して、甘えて……それで……それで……恋人って言えると思ってる訳!?」 「あ……あの、……美琴……」 「アンタは黙ってて!!!!!」 「はっ……はヒッ……!?」 「アンタには別に言いたい事があるんだからっ!!!!!」 「ヘッ!?」 「その上、自分の思い通りにならないからって、コイツに噛み付いて!!!アンタ、シスターなんでしょっ!?シスターがそんなコトしててイイ訳!?」 「ううっ……と、とうま……」 「み、美琴……落ち着け……落ち着けよ……なっ……」 「アンタもアンタよっ!!!どうして何にも言わないのよっ!?」 「あ……う……い、イヤ……それは……」 「ただ甘やかしてるだけじゃないっ!?恋人ごっこしてるだけじゃない!!それで一緒に住んでるところを私に見せつけるってどう言うつもりよっ!?」 「なっ……何を言ってるんだよ?」 「何って、今……ココで……アンタとこの銀髪シスターがイチャついてたじゃないっ!?」 「お……オマエには……アレがイチャついてるように見えるのかっ!?」 「だってそうじゃない!!!あんな風に普通に会話して、普通に噛み付かれて……それを受け入れて……今だって、その子を庇ってるじゃないっ!!!」 「別にそう言う訳じゃないよ……」 「さっきまで、あんなに優しかったのに……」 「えっ!?」 「あんなに優しくって、一杯笑いかけてくれて……。今までの毎日がウソのようで……。思わず期待しちゃったわよ……。アンタと一緒に過ごせたら……って……。なのに……なのに……」 「おっ、オイ……美琴ッ」 「何よ……コレは……何なのよっ!?……こんな、何にも出来ない……銀髪シスターとの恋人ごっこを見せつけて……、こんな手の込んだことして……、最初っから……私のことがキライなら……キライならキライだって言えばイイじゃないっ!!!!!」 「待てッ!!美琴ッ!!!!!」 「とうまっ!!待って!!!」 「オマエはここに居ろっ!!ドコにも勝手に行くんじゃねぇぞっ!!!」 「えっ!?」 「オレは美琴を連れ戻してくる。それまでに勝手にどっか行ってやがったら……オマエといえど、ぶっ飛ばすからなっ!!!!!」 「ヒッ……」 「イイなっ!!分かったなっ!!!!!」 「う……うん……」 インデックスさんの返事を聞いた途端、上条さんは美琴さんを追ってダッシュしました。 何か……ヤバイ展開だなぁ……。 困ったなぁ……。 (エレベーターは……まだ1階までは降りてない) (先回りするには……コレしかない……か) 「せいっ!!!」 わ……わ……上条さん、無茶しちゃダメですって。 樹に飛び移って、下に降りるなんて……。 「クッ……よっと……」 え……ぅ、上手い……。 な……何で……? 「っと……ハッ……よしっ!!!!!」 『ダンッ!!!』 ど、どうして……こんなことが……? 「ヘッ……、夢の中の勇者様の修行ってのも、結構役に立つもんだな……」 エエッ!?そ、そんなの……アリですかっ!? 「美琴……居たッ!!……待てよっ!!!美琴ッ!!!!!」 「こ、来ないでよっ!!!……私のことがキライだから、あんなことしたんでしょっ!?」 「何言ってんだよっ!!オマエのことをキライになる訳なんかねぇじゃねぇかっ!!!!!」 「えっ!?」 「ずっと一緒に居るって誓ったじゃねぇか!?一緒に歩いてくって誓ったじゃねぇかよ!?」 「……知らない……」 「何言ってんだよっ!?アレを忘れたって言うのか!?」 「……私……知らない……」 「オレが、オマエの電撃を受け止め損ねて……病院で、オマエがスッゴい素直になってくれて……だから、オレはオマエに『好きだ』って言って……オマエもオレのこと『好きだ』って言ってくれたじゃねぇかよっ!?……アレを……アレを忘れたって言うのかっ!!!!!!」 「し、知らない……私、……そんなこと……知らないッ!!!!!」 「……何だって……?」 「ホント……ホントに知らないの……」 「ば……バカな……そ、そんなバカなっ!?」 「アンタと私は……この数ヶ月……ケンカしかしていない……。出会ったら……『勝負よ』って私が言って……その後は……ビリビリ追いかけっこか……ケンカするか……。そんなことしか……していない……」 「な……何だよ……それ……?」 「なのに……今日のアンタは……、あのメールはまるで、恋人に送ってくるような優しいメールで……。会ったら、優しくって……温かくって……楽しくって……私……私……あんなに嬉しいの……知らない……」 「どうなってんだよ……一体……」 「今日のアンタは、いつものアンタとはまるで別人……。全然違う人みたいだった。でも、それでも……最後は……あのシスターと……」 「あっ……アレは違うッ!!!!!」 「えっ!?」 「オレの部屋にインデックスは居ない。居ないはずだった。確かに以前は一緒に住んでたこともあった。だけどそれは、恋人とかそんな関係じゃなくって……ほとんど家族みたいな関係で……」 「……ウソ……」 「ウソじゃねぇよっ!!!……オマエも見たろう、あの部屋の中を。アレが一緒に歩いて行こうって決めた恋人同士の部屋かよっ!?」 「……あ……」 「アイツは、インデックスはオレにとっちゃ、妹って言うか……娘みたいな存在なんだ。家族みたいなモンだったんだよ」 「えっ……だった?」 「そうだよっ!!!分かってないようだから言うけどさ……今のオレにとっては、オマエと一緒に居ること以上に大事なことなんて無いんだよっ!!!!!」 「……えっ……//////////」 「オマエと……御坂美琴と一緒に歩む。御坂美琴とその周りの世界を御坂美琴と一緒に守る。そして二人で幸せになる。オレは、オレたちはそう誓ったんだよ」 「……そんなこと……(は……恥ずかしい……でも、スッゴい嬉しい……)」 「でも……何で……あの誓いを忘れるなんて……美琴が、あの誓いを忘れるなんて……絶対にあり得ない……」 「……当麻……」 「一体……何が起こってるっていうんだ?」 「ご、ゴメンナサイ……私……私……」 「美琴は悪くないよ……でも……ホントにあの誓いを覚えてないのか?」 「うん……知らない……というより、そんな風に出会ってないの……」 「そ、そんな……じゃあ……一体……ココは……」 どうしよう……どうしよう……どうしよう……どうしよう…… 「ん……アレ?」 「どうしたの?」 「右手がさ……何か……震えてるんだよ……?」 「えっ!?……ホントだ……」 どうしよう……どうしよう……どうしよう……どうしよう…… ヤバい……マズい……ヤバい……マズい…… 「……まさか……」 「どうかしたの?」 「ん?……ああ、まあな……ちょっと心当たりがあってさ……」 ギクッ!!! 「美琴……頼みがあるんだけど……」 「えっ!?……何?」 「超電磁砲(レールガン)を2~3発……この右手にぶち込んでくれないか……それも、とびきり出力(パワー)のあるヤツで……」 ギクッ!!!ギクッ!!! 「エエッ!?何言ってるのよっ……そんなことしたらッ……」 「オレにじゃないよ……この『右手』にぶち込んでくれって言ってるんだよ」 ギクッ!!!ギクッ!!!ギクッ!!! 「それなら……でも……幻想殺し(イマジンブレーカー)がはたらいて……」 「その幻想殺し(イマジンブレーカー)にお仕置きしたいんだよ……多分、今回の事件の張本人だからな……」 ドキィッ!!!!!!!! 「幻想殺し(イマジンブレーカー)が張本人?……何それ?」 「説明は後でするからさ……とにかくやってくれよ」 「イイけど……右手の震えが……すごいよ……ほら」 「……やっぱりな……」 うわぁぁぁぁああああああ……バレた……バレちゃった……どうしよ……どうしよ……どうしよう……。 「……オイ、右手……」 ドキィッ!!!! 「テメエ……何しやがった……オレを何に巻き込ンだンだァ!?」 上条さん、アクセラさんが入ってる……一方通行さんが入ってるぅ~~~~。ガクガク(((( ;゚Д゚)))ブルブル 「今出て来たら許してやってもイイ……だがよ……隠し通そうってンなら、コッチにも考えがあるンだよなァ……」 ヒッ……ひぇぇぇぇえええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!! 「美琴にさ、至近距離からレールガン2~3発ぶっ放して貰っちゃおうかなァ……」 イッ……イヤぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!! 「それとも……雷雲でも呼び出して貰おうか?」 ダラダラダラダラダラダラダラダラ…… 「当麻……右手……汗が……」 「オイッ!!いつまでも隠せると思ったら大間違いだぞっ!!!!!オマエが今回の犯人だってのはネタが割れてんだよっ!!!!!!!」 『ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ!!!ゴメンナサイ!!!!』 「エエッ!?……み、右手が……喋ってるぅ~!?」 「やっと出て来やがったな……コノ野郎……」 『ヒェェェエエ……。お、お願いですから……お願いですから……レールガンの連発だけは……それだけは勘弁して下さいィィ~~~~』 「ンじゃあ、洗い浚い……全部吐くってんだな……」 『はっ……ハイッ!!……全部お話しさせて戴きますんで……どうか……どうか……』 「分かった……だが……ちょっとでも変なウソでごまかそうとしたら……」 『分かってます……分かってますから……ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!!ゴメンナサイ!!!ゴメンナサイ~!!!!……』 ああ……とうとうバレちゃったよォ~……。 許して貰えるかなぁ……。 困ったなぁ……。 ああ……不幸だ……。 『……で、かくかくしかじか……という訳でして……』 「信じられない……幻想殺し(イマジンブレーカー)が喋るなんて……」 「そこかよ……突っ込むところが違うだろ?」 「えっ?……ああ、そうね……エヘッ……」 「『エヘッ』じゃねぇだろ……何か……美琴のイメージが……」 「私も聞きたいことがあるんだよ?」 『ハイ、インデックスさん……何でしょう?』 「幻想殺し(イマジンブレーカー)は一体どの魔術に属するのかな?」 『申し訳ないんですが……魔術には属しません。というより、魔術と一緒にされるのは心外です』 「えっ!?」 『魔術は本来、神の理から外れた力です。私は『神様の力の一部』ですから、根本的に違います。一緒にしないで戴きたいです』 「魔術が神様の理から外れてる?……そんなコトはあり得ないんだよっ!!!」 『そう思っているのはあなた方魔術師だけです。我々から見たら、とんでもない思い違いなのですよ。多分、どれだけ言っても理解はされないでしょうけれど……』 「だって、魔術は神様の力を使っているんだよ?それが神様の理から外れてる訳がないんだよっ!!!」 『あなた方魔術師がその理を自分たちの都合の良いように歪めて……ですよね。自分たちの都合で神様の理を歪めている。それが神様の理から外れていないとどうして言えるのですか?』 「ううっ……」 「じゃあさ、どうして魔術が存在できるわけ?」 『そんなの簡単ですよ、美琴さん』 「えっ!?」 『それが神様の懐の深さ、慈愛の大きさの現れなのです。それに神様の理から外れているのは、別に魔術だけに限ったことではありません。他にも沢山あるんですよ。それらを全て除外してしまったら……この世は存在出来なくなってしまいます』 「「……へェ……」」 「何となく……」 「分かったような……分からないような……」 『宗教的な話になってしまいますが……神の子は、何と説かれたのですか?』 「「「えっ!?」」」 「『神の子』って……イエス・キリストのコトよね?」 「だろうな……この場合……」 「『神の子』が説いたこと……」 『『汝の敵を愛せよ』ですよね』 「「「あっ……」」」 『汝の敵を愛するのに、魔術が必要ですか?相手を傷つけるだけの魔術が必要なのですか?』 「だけど、魔術は神の奇跡を……」 『だから、それを歪めていると言っているのです』 「何か……スゲえこと聞いた気がする……」 「そうよね……」 「うう……」 「でもさ、それと今回のこととは……」 『ギクッ!!!』 「別だよねェ~……」 『ギクッ!!!ギクッ!!!』 インデックスさんが来た時は『しめたッ』と思ったんだけどなぁ……。 「そういうコトだな」 『(ふ、不幸だ……)』 「「「オマエが言うなっ!!!」」」 『(す、スミマセ~ン……)』 「……つまり、この世界は並行世界(パラレルワールド)で、オレにとってはココは別世界って訳か……」 『そうなります……ハイ』 「ココでは、第3次世界大戦も起こっていない。イギリスのクーデターもない。だからオレが学園都市から姿を消した訳でもない……」 「うん……そう……」 「インデックスや、妹達(シスターズ)の事件は起こってるらしいけど……『神の右席』の事件そのものが起こっていない……ということか……」 『多分……この世界の上条さんは、アナタよりもまだ成長していないのでしょうね』 「えっ!?……どういうコトだよ?」 『神様は超えられない試練をお与えになることはありません。今のこの世界の上条さんでは、『神の右席』や『第3次世界大戦』を超えられないと判断されているのだと思います』 「だから、そう言った事件は起きない……ってコトなのか?」 『ハイ、そうなります……』 「たった一人のために、世界の出来事が変わっちゃうなんて……」 『でも、それが世界の成り立ちでもあるんですよ。だから、この世界に必要ない人なんて存在しないんです。皆さんがどう思われるかは別ですけど……』 「「「へェ……」」」 「だったら、今回のことも『神様が与えた試練』ってコトになるのかよ?」 『コトを起こしたのは私たちですけど……、神様がそれを容認なさっているということは……そういうコトになります』 「うーん……」 『ただ、神様が容認なさったということは……アナタなら超えられる試練だと判断されたということになります』 「……へェ……そういう風に考えればいいのか?」 『そうですね。そう考えた方がイイというか……、そう考えることが大事だと思います』 「なるほどなァ……」 「……そうだよね……」 「えっ……美琴……じゃなくって……御坂……だよな……」 「えっ?……ううっ……」 「そんなに寂しそうな顔するなよ……でも、やっぱりオマエはオレにとっちゃ『美琴』じゃないんだよな……」 「ううっ……グスッ……」 「泣くなよ……オイ、右手……どうすんだよ?」 『私に言われましても……』 「……グスッ……ご、ゴメンね……。でも……それだけアナタとの出会いが素晴らしかったんだ……私にとっては……」 「えっ!?」 「それに……コレは私にとっても『試練』なんだよね?」 『ハイ、そうなりますね』 「だったら、私もこの『試練』を超えられるようにならなきゃイケないって事よね?」 『そういうコトですね』 「うん、分かった……」 「……御坂……」 「それに……スゴく素晴らしい想い出を貰えたんだもん……。自分が何をしたかったを教えて貰えた。自分が何を忘れていたかを思い出させて貰えた。大切な『願い』を思い出せた。だったら……それに向かって歩んでいくことが大事……ってコトだよね」 『その通りです』 「私は、この世界の上条当麻と一緒に歩めるようにならなきゃいけないって事なんだ……。コレはそういう事に気付くための『試練』なんだな……」 『美琴さん、多分それが正解だと思いますよ。……ただ、それだけじゃない……とも思います』 「えっ!?……それだけじゃない?」 『アナタだけじゃないってコトですよ。この世界の上条さんにとっても同じく『試練』な訳ですからね』 「そういや、コッチの世界のオレって……ドコに行ってるんだ?」 『もちろん……上条さんが元居た世界ですが……』 「えっ!?……あ……そ、そうか……」 「あの……上条さん……」 「何か……変な感じがするけど……オレのことだよな?」 「ぅ、うん……私も変な感じがするけど……」 「ハハハ……で、何だ?」 「アナタの世界にいるアナタの世界の私のこと、心配じゃないの?」 「そりゃあ、心配だけど……多分、大丈夫だと思う……アイツなら『美琴』なら気が付いてると思うよ」 「何でッ!?……何でそんな風に信じられるの?どうやったらそんな絆が結べるのっ!?」 「一緒に歩むって決めたからな。一緒に幸せになるって誓ったから」 「あ……」 「信じてるって言うと、軽いかも知れないけど……。でもそう、やっぱり信じられるんだよな……大丈夫だって……オレが大丈夫だったようにさ」 「そ、そんな……でも……スゴい……スゴいな……私も……そんな風になりたい……」 「なれるよ。オレがなれたんだからさ」 「そんな……そんなの……無理だよ……」 「今のオレがずっと前から居た訳じゃない。今のオレは『美琴』と一緒に歩いてきたから、そのお陰で成長出来てるんだよ」 「えっ!?」 「その一緒に歩いてきた経験がなかったら、今のオレは無かったんだ。今のオレは居ないんだよな。だからこそ、一緒に歩いてきたからこそ、信じられるんだ」 「一緒に歩いたからこそ……信じられる……」 「御坂美琴に相応しい男になる。って決めたからな。だから、そうなれるようにオレはオレが出来ることをやってるだけだ」 「簡単に言うけど……そんなに簡単に言うけど……」 「やる前に悩んでたって、どうにもならないぜ」 「えっ!?」 「やらなきゃ分からないことがあるんだよ。前に進まなきゃ分からないことがあるんだ」 「……」 「超えたヤツには分かるんだけどな。超えられないヤツには絶対に分からないんだ。超えないと分からないことがあるってコトはさ」 「超えないと……分からない?」 「ああ、そして超えられないヤツに限って、そう言うと『イジメ』だとか、『出来たから言える』とか言うんだよ。でも、ホントは違うんだよな」 「違うって?」 「本当は誰にでも超えられるのさ。そして、後は『やる』か、『やらない』かのどちらかを選択するだけなんだけどな。大体が『やらない』を選んで、その言い訳を並べ立てるのさ」 「でも……超えられるかどうかなんて……」 「さっき、右手が言ったはずだぜ。『神様は超えられない試練を与えられることはない』ってな」 「あっ!!!」 「だから、超えられるんだよ。後は『やる』か『やらない』かだけだ。そのどちらを選ぶかは、全部自分次第なんだよ」 「あ……そうか……」 「目の前にハードルがあったら飛び越えないと気が済まない誰かさんが、何でこんなことに尻込みしているのかは知らないけどな……レベル5になった経験からも分かるはずだぜ」 「うっ……」 「そしてコレは……、そこでイジけてるシスターにも言えることだよな?」 「……何で、そこで私に振るのかな?」 「今日、御坂から結構キツいことを言われたみたいだけどな……アレって、ほとんどその通りだと思うぜ」 「エエッ!?」 「オマエはその頭の中に10万3千冊の魔道書を蓄えてる訳だけど……じゃあ、それをどうするってコトを考えたことがあるのか?」 「えっ!?」 「闇坂のオッサンの時にオマエ言ったよな。『こんな薄汚れた魔道書に頼っちゃいけないんだよっ』ってさ」 「あ……うん……」 「その薄汚れた魔道書をお前自身がどうするのかを、お前自身が考えなきゃいけないんじゃないのか?」 「ううっ……」 「その事から目を逸らしてる毎日を送ってちゃ、ダメなんじゃないのか?」 「そ、そんなコト言われたって……どうしたらいいか……分からないんだよ……」 「だから、それを探すことを『やる』しかないんじゃねぇの?それがインデックスに与えられた『試練』なんじゃねぇの?」 「私に与えられた……『試練』?」 「そうだよ。それをオマエはオマエ自身で考えなきゃいけないんだよ。だって『完全記憶能力』を持っているオマエでなきゃ、それは解決出来ないことなんだと思うからさ」 『上条さんの仰る通りですね。アナタが『完全記憶能力』を宿している意味をアナタは考える必要があるのだと思いますね』 「『完全記憶能力』を持っている意味……?」 『そうです。そして……それはアナタでなければ見つけられない。アナタ自身が解決しなければならない、アナタ自身の問題なのですから』 「私自身の問題……」 「それにしてもさ……オイ、右手……」 『あ……ハイ……』 「何となくだけど……上手く誤魔化そうとしてねぇか……オマエ?」 『えっ!?……イヤ……そ、そんなことは……』 「まあ、こうやってみんなでこの事態がどうしてこうなったかも分かったし、コレから進むべき道もボンヤリと見えてきたんだから……イイんだけどな……」 『あ……ハイ……』 「オレにとっての一番の問題は……オレはちゃんと元の世界に戻れるんだろうな?」 『あ……その件に関しては……大丈夫です』 「えっ!?そうなの?」 『今日、入れ替わった時間から24時間後に、またもう一度入れ替わりが起こります。それ以前には無理ですけど……』 「じゃあ、明日の9時頃には俺は元の世界に戻れるって訳だな?」 『ハイ……そうなります……』 「ハァ……良かったァ~……もしかしたら、ずっとコッチで過ごさなきゃならないのかと思っててさぁ……それだけが不安だったんだよな……」 『申し訳ありません。私たちの勝手で、こんなことをしてしまって……』 「その件に関しちゃあキッチリ落とし前付けて貰わないとな……」 『あ……あのう……一体、どうすれば……?』 「それはオマエに与えられた『試練』なんだろう?」 『あ……』 「「「プッ……、アハハハハハハ」」」 『う~~~~~~~~~~~ッ……』 「それじゃあ、私は帰ります」 「んじゃ、送っていくよ。インデックスは留守番な」 「分かったんだよ。とうま」 「え……でも……」 「遠慮すんなって。それに……変なことに巻き込んじまったお詫びも兼ねてるんだしさ……」 「ハイ……じゃあ、遠慮なく……」 「じゃあな、インデックス。帰ったらメシ作ってやるからな」 「うん、待ってるから早く帰ってきて欲しいんだよ……お腹減った……」 「んじゃ……行くか?……御坂」 「あ……ハイ……」 「スルーしないで欲しいかもっ!!!(やっぱり後で噛み付いてやる……ガチガチ)」 『あ、あのう……私ちょっと、神様から呼び出されたみたいで……しばらく外しますんで……一応力は残しておきますから……大丈夫だとは思うのですが……』 「へェ……神様からの呼び出し……ねぇ……。怒られんじゃねぇの?」 『ヒッ!?……おっ、脅かさないで下さいよォ~……』 「まぁ、それだけのことをしたってコトだろう?」 『あ……ハイ……本当に申し訳ありませんでした……じゃあ、ちょっと行って来ます……』 「ああ……ハァ……しかしなぁ……ホントに散々だったなぁ……」 「フフッ……そうですね……あ、あの……上条さん?」 「ん?……どうした?」 「お願いがあるんですけど……」 「なんだ?言ってみろよ」 「(モジモジ)」 「???」 「あ、……あの……」 「ああ……」 「あの……」 「うん?」 「あっ!……あのッ!!」 「ああ」 「いっ、今だけでイイんですっ!!……もう一度だけ……『美琴』って……呼んで貰えませんか……?」 「……」 「今だけで、一度だけでもイイから……お願い……『美琴』って……呼んで……欲しいの……アナタに……」 「……」 「上条さん……?」 「……ゴメン……それは出来ないよ。……というか、しちゃいけないことだと思う……」 「えっ!?……あ……」 「御坂はこの世界のオレと、そういう関係を結んでいかなきゃいけないんだと思う……。……だから、ココでオレが御坂をそう呼ぶのは……やっちゃいけないコトだよ。確証はないけど……そんな気がする」 「……ハイ……」 「ホントは呼んでやりたい……んだけどな……。それをしたら、元の世界に戻った時に、アイツに『美琴』に怒られそうでさ……」 「……上条さん……それって……惚気……ですか?」 「そっ、そんなんじゃねぇよっ!!!」 「プッ……フフフッ……」 「……プッ……アハハハハハハ……」 「……じゃぁ……ココで……イイです……」 「そうか?……もうちょっとあるけど……」 「大丈夫ですから……。……本当にありがとうございました。とても楽しかったです」 「そうか?お礼を言われるようなことは何にもしてないんだけどな……」 「ううん。大切なものをいっぱい、いっぱい……教えて……貰った……から……」 「そっか……」 「あ……あの……」 「何だ?」 「最後に……もう一つだけ……お願いがあるんですけど……」 「ん~……名前呼び以外なら……」 「あの……アイツが……この世界の上条当麻が帰って来た時の……予行演習を……させて……欲しいな……って」 「ヘッ!?」 「アイツに……と、当麻に……素直に想いを伝える……予行演習が出来たら……って……」 「それくらいなら……イイかな?」 「ホントにっ!?」 「……ああ、イイぜ……」 「じゃ……じゃあ……」 「ああ……」 「ゎ……私……私は……私はっ!!……私は、アナタが好きッ!!!アナタが好きですッ!!!!……上条当麻さんが大好きですっ!!!!!」 「ああ……オレも御坂が好きだぜ」 「う……ううっ……うっ……。……あっ……ありがとうございましたっ!!!」 「あっ……御坂……」 オレが御坂を呼び止めようと思った時には、アイツは寮の方に向かって駆け出していった後だった。 オレはその背中に向かって…… 「ガンバレよ、御坂……美琴……」 と言って、インデックスの待つ寮に足を向けた。 「学校も休みだし、帰るとしたら……ココだよな……」 そう言ってオレは、いつもの自販機のある公園に立っていた。 インデックスは見送りに来ると行ったが、丁重にお断りをした。 昨夜、御坂を送った後インデックスとも話をしたが、どうやらイギリスに帰って、もう一度一から魔術の勉強をするつもりらしい。 コッチの世界の上条当麻はどう思うかな? そんなコトがふと頭を過ぎったが……すぐに消えていった。 『ココを選ぶなんて……上条さんらしいと言うか……』 「まあな……トコロで、オマエ。昨夜はどうだったんだよ?」 『あ……アハハ……ハア……、神様からは……かなり……ハイ……』 「でさ、コレからもこんな風に出てこれる訳?」 『そ、それは……さすがに……』 「そりゃそうだろうな……何処かの魔術師と対戦してる時に喋られたんじゃぁ……コッチがおかしくなっちまう」 『わ、私としては、そういうのは出来るだけ避けて戴きたいんですけど……』 「だけど、オマエの本来の役目は……」 『それを昨夜、神様からこっぴどく言われまして……アハハ……だから、しばらくはこうやってお話しすることも禁止になりましたし……今の意識も少しの間、休眠して『力』のみの存在に……』 「そっか……ま、しゃーねーな……ちょっと可哀相な気もするけど……」 『そんな……あ……そろそろ時間ですよ……』 「おっ……来た来た……」 (二度目だけど……何度やられても……あんまり気持ちの良いもんじゃねぇな……) 「ん?……元に戻れたのか?」 「お帰り……当麻」 「あ……アレッ!?……美琴?」 「そっちも大変だったんじゃない?」 「ああ、ソコソコな……オマエこそ、どうだったんだよ?」 「うん……、それなりにね……」 「そっか……しかし……お騒がせな右手だぜ……まったく」 「ホントよ……お泊まり……一日損しちゃった……」 「あ……そうか……そうなるのか……」 「ね……今夜は……イイでしょ?」 「ああ、オレも一緒に居たい気分なんだよな……」 「エヘッ……嬉しい……」 「ただいま……美琴」 「うんっ!!!!!お帰りッ!!!!!……チュッ♪」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/一本の白き道
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967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/24(火) 16 39 33.12 ID S7/cNIAO 【昨日のVipの残り】 消すのもなんだからちょっといじってUPするぜ。スレ違いかも知れないけど許して 戦隊基地周辺 ピンク「やぁああ!」バシッ 部下E「ぐはっ!あざす!」 イエロー「待て!逃げるな!」タタタ… 部下D「あんたは嫌だ!次は俺の番…」 部下B「行くぞ!おっぱ…ピンク!」ダダダ… 部下D「あ!こらテメェ!!」 部下A「…ふぁ~あ…」 部下C「…暇だなぁ…順番まだぁ?」 怪人「おまえら真面目に戦え!!」 グリーン「…よそ見なんかしていいの…?」 怪人「くそっ!」ガチン! 女幹部「そうですよ!我々の目的を忘れたんですか!?」 部下A「だってぇ…」 女幹部「だってじゃありませんよ!」 部下B「でもぉ…どうせな『[ピーーー]やぁあ!!』グッシャア! 部下B「らがぁああ!」ずざざ… レッド「ふっ…他愛のない…」 女幹部「ひっ…」 部下A「な、なにぃ!?」 968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/24(火) 16 41 28.57 ID S7/cNIAO 【昨日のVipの残り】② レッド「………」ざっ…ざっ… 女幹部「こ、こないで…うぅ…」 部下A「い、いや…ほ、僕は別に…ご、ごめんなさい!助けてください!お願いします!」 怪人「女幹部様ぁ!!くそ!どけ!」 グリーン「…嫌。…あなた馬鹿…?」 怪人「おのれ!」ガキーン! レッド「ふんっ!」グッシャア! 部下A「ぐへあ!!」 レッド「…次は…お前だな?」 女幹部「う…うぅ…うえーん!!」 レッド「え?いや…ちょっと…」 女幹部「もうやだぁ!もうやだぁ!いつも…いつもこんなのばっかり…うぅ…」 969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2009/02/24(火) 16 43 13.77 ID S7/cNIAO 【昨日のVipの残り】③ レッド「…ま、まて…別に俺達は…」 女幹部「…ぐす…もうやだぁ!!」 レッド「な、泣くなよ?なぁ?何もしないってば!」 女幹部「…ひっく…うぇええん!」 レッド「あーもう…泣くなって…」 女幹部「…ひっく…うぇ…」 レッド「…はぁ…仕方ない…撤収!」 ピンク「え?は、はい」 グリーン「…甘い…」 イエロー「えー!?なんで?…ちぇ」 怪人「あ、あれ?」 女幹部「…うぅ…もうこんな仕事やめるぅ…」 部下達「「「………(…もっと早く帰ってよ…)」」」←屍 とりあえずこれを書こうとしらた落ちてた…パラレルもどきでここに書いてみるぜ 元ネタ? 戦隊ピンク「誰も見てないよね・・・」 ttp //takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1235380691/