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「悟史くんの病気が治りました!」 その知らせを監督から教えてもらったのは今日の朝だった。 私はいても経ってもいられず、寝ぼけていた頭を活性化させすぐに着替える。 学校なんてどうでもいい。私は診療所に向け走り出した。 入り口ではすでに監督が待っていた。 「詩音さん!待っていましたよ。早くこちらに!」 監督に言われるまでもなく、私は彼の病室まで走った。 部屋は朝日に包まれていた。その朝日の下に…彼は起きていた。 その姿を見たとたん、私の涙腺は弱くなり彼の胸の中で泣いた。 「悟史くん…!悟史くぅん…!ずっと…ずっと待ってたんだよ! 私ね、ちゃんと約束を守ったんだよ…!本当だよ! 沙都子はね、私のことねーねーって呼んでくれる。それにね、それにね…うわぁあぁぁん!」 私は一人でずっと泣き続けていた…。ただ…ただ…嬉しかった。 それから一ヶ月。 私は毎日診療所に通った。その度に悟史くんに今までの一年間何があったかを話し、 悟史くんも日に日に元気になっていって、ついに退院できる日が来た。 もう私は我慢できなかった。この想いを早く聞いて欲しくて…。 その退院の日、私は彼に告白した。 だけれども…返ってきた言葉はあまりにも無惨だった。 「ごめん、詩音…。僕は君の事を仲間だと思ってるけど、恋愛感情としての「好き」 という感情までは持っていないんだ。だから、今まで通り「仲間」として 付き合わせてくれないかな?」 私は夜一人でずっと泣いていた。そんなのって…ないよ。 1年間ずっと待ってたのに、そんなのって…。 一度は、圭ちゃんに揺らぎかけたこともあった。 一度は、死んでしまったんじゃないだろうかと考えたこともあった。 一度は、もう病気が治らないのではないかと恐れたこともあった。 でも…そんな感情すべてを押さえつけ今まで信じて生きてきた。 あの日の約束を果たし、いつ帰ってきてもいいように待っていた。 その結末がこれだなんて…。あまりに惨たらしい…。 「うわぁぁあああああああああぁ!」 私の叫びにも似た泣き声は夜空に吸い込まれていった…。 朝日がまぶしい。どうやら、そのまま寝てしまっていたようだ。 眠たい…。けれども学校には行かなくてはならない。 私は重たい体を無理やり起こし、学校に向かった。 そこに広がるのはいつもの風景。楽しそうに皆笑ってて、 楽しそうに遊んでる。不幸など感じさせない夏の風景。 でも、そんな中で私一人だけが不幸なのだ。私は妙な疎外感を感じるとともに、 妙な嫉妬を持っている自分に苦笑した。 少し驚いたことがある。それは悟史くんの復帰だった。 退院したのだから、学校に行くのは当たり前なのだが それにしても早いと思った。まぁ、監督から色々お世話になってるんだろう。 でも、もう私には関係の無いことだった。 「好き」ではないと言われた瞬間からもう私の中で「仲間」でもなくなった。 そばに居ても居づらいだけだし、悟史くんもそう思うだろう。 休み時間になると、皆が悟史くんに集まる。 どうせ質問攻めに遭ってるんだろう。それは容易く想像ができた。 沙都子は昨日の夜には悟史にあったらしい。 だから今では元の北条家の家で生活している。 もちろん、他の部活メンバーには寝耳に水のことだったらしく…。 クラスのみんなと同じように質問していた。 質問の中身は分かりきっていることで…。 「今までどこにいたのか?」とか「何故いなくなったのか?」といったことだった。 いずれにしても私は全てを知ってるからどうでもいい。 そんな私の様子をあの部活メンバーが気付かないわけがない。 特に圭一は私の変化に敏感に気付いているようだった。 昼休みになると、私は居づらい空気を感じて外で昼ご飯を食べていた。 寂しい…。どうして悟史くんは私を受け入れてくれなかったのだろう、 と今更ながら悲しくなる。 でもよく考えるとそれは分かりやすいものだった。 それは…なにより私との付き合いの短さだった。 私は悟史くんと出会ってからは、魅音のふりをしてちょくちょく悟史くんに会っていた。 だけど、悟史くんにとってはそれはほとんど魅音だったわけで…。 私という存在がいることを知ったのは、私がおもちゃ屋でアリバイ作りのために 詩音だと明かしたときだけ…。 だから私がいきなり好きだと言っても、素直には受け取ってくれないのだろう。 沙都子のことを頼まれたのも。 もしかして「魅音」だったのでは…? そんなはずはない!そんなはずはない!そんなはずは…!そんな…はずは…。 「うぐっ…、悟史くん…私、頼まれたんだよね?頼んだよね?……うぁ…ぁ…!」 そのとき…。誰かがこっちに来るのを感じて、私は涙がでている目をぬぐう。 一体誰だろう。今の時間はみんな揃ってまだ昼食を食べているはずだ。 それを抜かしてきたんだ。きっと私に用なのだろう。 「詩音~、いるのかそこに?」 圭一だった。圭一は私を見つけると私のところにやってきた。 「詩音、そんなところで何やってんだ。みんな心配してたんだぞ。」 「あ…ごめんなさい。そうですよね。すいません。」 私は素直に謝ってその場を抜け出そうとした。だけど、圭一は私の手を掴む。 「あのさ…、頼ってくれていいんだぜ?」 「……………。」 「俺たちは仲間だろ。仲間ってのは無条件で相手のことを信じられるんだぜ。 だから詩音が無理な話をしてもちゃんと信じてやれる。詩音…。俺たちには話せないのか?」 詩音は何か大きな悩みを持っているようだった。そのことには部活メンバー全員が気付いていた。 恐らく悟史の事なんだろうな、と直感的に分かってしまった。 突然の悟史の復帰。そしてそれを一番に喜ぶべき詩音が悲しんでいる。 多分…詩音は悟史に…。 そのとき詩音が重い口を開いて言った。 「振られたんです…。悟史君に…。」 やっぱりか…。予感が的中する。 ポツリ…ポツリ…と詩音の目から大粒の涙がこぼれる。 それから詩音は今までのことを全て話してくれた…。 悟史に惚れた日のことから昨日のことまで…。 全てを話した詩音は俺の足元でうずくまって泣いていた…。 「ありがとうございます…。すべて話したら…ちょっとすっきりしました。」 私は涙をぬぐって、今の自分ができる最高の笑顔で圭一に笑う。 すると…圭一が私にこう言った。 「あのさ・・・振られたのは仕方ないんじゃないか?」 私は自分が責められてるように思えて腹が立った。 「どうしてですか!?私が何かしましたか!?」 「だって、悟史が詩音と「会った」回数が少ないから告白を断られたんだろ? ならさ…」 圭一は一呼吸置いて言った。 今から悟史にアピールすればいいじゃねえか! 「えっ…!?」 「難しいことじゃない。悟史がお前をよく知らなかったから断っただけのこと。 だからお前がもっと「詩音」を見せ付ければいいんだよ!」 「でも!一度断られてるんですよ!そんなのどうせ上手くいくわけが…!」 そういうと圭一は私に怒った。 「どうせなんて言葉を使うんじゃねぇ!どうせって言葉はな…やる前に全ての可能性 を潰してしまう言葉なんだ!だから二度と使うな!それに悟史は詩音のことを 嫌いだって言ったわけじゃねえだろ。だからまだ可能性はあるんだ! その可能性を信じろ!もしもそれが信じられないなら、俺を信じろ!この前原圭一をな!」 その言葉に胸が熱くなる…。 ああ、これが圭一なんだ。この馬鹿で直情的で…信じられないくらいお人よしな男が…。 これこそが…魅音が心奪われた前原圭一なんだ…! 圭一ならどんな問題でも簡単にぶち破ってくれる。そう感じた。 だから…私は圭一の言葉を信じることにした。 ______________________________________ 僕は…詩音とどう接したらいいんだろう? 昨日、詩音の告白を断ってからそのことばかりが頭をよぎる。 詩音は確かに可愛い女の子だ。だけど、よく分からない相手と付き合うなんてできない…。 あれから詩音は僕を意図的に避けているようだった。 理由なんて聞かなくても分かる。 さっき詩音が教室から出て行くときにちらっと見えた泣き顔が頭に浮かぶ…。 「悟史?どうしたのですか?」 梨花ちゃんだった。気付けば、僕はご飯を食べる手を止めてボーっとしていたようだ。 「ごめんごめん、なんでもないよ。」 「詩ぃのことなのですか?」 いきなり核心を突かれ、ギクリとする。その反応でばれたようだった。 「詩ぃと何があったのか教えてはくれないでしょうか?」 そこで気付く。心配していたのは梨花ちゃんだけではなかった。 沙都子にレナ、魅音も身を乗り出して聞いていた。 「悟史?なにがあったのか教えてよ」 「私たちが力になれるのなら話して?」 「詩音さんがおとなしいのはいいことなんですけど…あれはどういうことなんですの?」 話すべきだろうか?よく考えてみる。 相手は自分とは違う女の子たちだ。それならば男の自分が一人で悩むよりも 詩音のことをわかってくれるだろうか? とりあえず話してみよう。話せば楽になるかもしれないし。 だから昨日のことを話した。 その間みんなは真剣に茶化すことなく聞いていた。 僕が話し終えると、まず最初に魅音が口を開いた。 「ひとつ、聞いていい?悟史が居なくなる前にさ、電話くれたよね。 あれって「私」に頼みたかったの?それとも詩音?」 「あれは…。僕もたまに魅音が二人居るんじゃないかと思ってたよ。 だから僕と喧嘩した「魅音」に頼みたかったんだ。」 「そう…。なら詩音のほうなんだね、頼んだのは。ならさ…どうして詩音の告白を断ったの? 真剣な表情で魅音は僕に問いかける。 「どうしてって…、僕はまだ詩音のことをよく知らないから…。」 「嘘だよ」 レナに即答され、ビクっとする。 「知らないはずはないよ。だって悟史くんは詩ぃちゃんから聞いたんだよね? この一年なにがあったのか。聞いてるよね、病室で。」 そういえばそうだ。詩音から色んな話を聞いたっけ。 「その話のなかには、詩ぃちゃんのことも含まれているはずだよ。 なのに悟史くんは嘘をついた。」 それはね…悟史くんが心のどこかで、園崎家をいまだに怖がっているからなんだよ。 「僕が…園崎家を…?」 そんな馬鹿な…とすぐに自分で否定できない…。 「そうだよ。悟史くんは園崎家を怖がっている。だから詩ぃちゃんの告白を断ったんだよね? 園崎家の詩ぃちゃんと付き合えば、何か自分の身に起きるんじゃないかって 思ってるんじゃないかな。」 魅音は苦笑いしつつも、僕に言う。 「もしもそうじゃなくてもさ、詩音はあんたの約束を守ったんだよ!一年も! 退院したばっかりの悟史には分からないかもしれないけど、 信じて待つことがどんなに辛いか知ってる!?分からないでしょ! 詩音はね、ずっと待ってた。沙都子を本当の妹みたいに可愛がって。」 「詩音さんは、私にとっての本当のねーねーでしたわ。 いつもなにかと家に寄ってくれて、病気のときは一晩中そばにいてくださいましたし。 にーにーに頼まれただけなんですのよ!それなのに、詩音さんはいつも可愛がってくれた。 にーにーはあんなに純粋で強い人の告白を断るんですの? …まあ性格はひねくれていますけどね。」 沙都子が笑いながら言う。 「もう、園崎家は怖くなんか無いのですよ。その問題はもう水に流れたのです。 でも悟史が詩ぃのことをどう思おうが悟史の勝手なのです。 あとは悟史の問題。でも…」 梨花ちゃんの雰囲気が変わった気がした。 「梨花…ちゃん…?」 「もしあなたが詩ぃの想いを考えずに自分のことだけを考えて いるのならば…私はあなたを軽蔑する。 だって詩ぃがあなたに恋するのは、いつの世界でも変わらなかったこと。 どの世界でも必ずあなたに恋をし、どの世界でもあなたはいなくなった。 その度に詩ぃは傷つき、時にはその想いが間違った方向に進むこともあった。 でもあなたへの想いが変わることは無かった。 いままでの100年以上、詩ぃはあなたを想っていた。 それなのにあなたはその100年の想いを蔑ろにするというのか! もしそうならば私はあなたを許さない!どうなんだ、答えてみろ北条悟史!!」 涙が、頬を伝う…。 …僕はなんてことを…してしまったんだろう。こんなにまで僕を想ってくれている詩音の 告白を断り、傷つけ、泣かせてしまった。 もう詩音は僕を嫌いになっているかもしれない。 あの時「好きだ」と素直に一言、言えていれば…! 「悟史…。まだ遅くはないのです。今ならまだ間に合いますです。」 「そう……思うかい?」 「そうなのですよ、にぱー☆」 僕は決意を胸に教室を出た。昨日言えなかった言葉を言うために…。 ______________________________________ 「もう大丈夫か、詩音?」 「ええ、ありがとうございました、圭ちゃん☆」 スカートの砂を手で払い落とし、教室に戻ろうとしたとき…。 悟史くんが私のところに走って来た。もう想いは固まっている。 「圭ちゃん……先に戻っておいてくれませんか。」 「そうしたほうがいいみたいだな、がんばれよ詩音!」 圭一は私の肩を軽くたたいて、教室に戻っていった。 ありがとう圭ちゃん……。 私は悟史くんをいつもの教室とは離れた空き部屋につれてきた。 「詩音…昨日はごめん……。」 「もういいんです。そのことは。」 「そうじゃないんだ、僕が謝りたいのは…!」 「えっ……?」 悟史くんの目にはすでに涙が溜まっていた。 あの告白を断ったこと以外に、悟史くんが謝ることがあっただろうか? いくら考えても分からない。 「僕は……嫌な男だよ。詩音のことを考えずに自分のことを優先した。 君と付き合ったら園崎家から何かされるんじゃないかって……恐れてたんだ。」 「どういうことですか…それ。意味がよくわから…。」 「分からなくてもいいんだ!分からなくても……! 君は僕のために爪まで剥いでくれたのに……臆病な僕は自分の身が傷つくのを恐れた。」 恐らく爪のことは魅音から聞いたんだろう。でもそんなことはどうでもよかった。 「昨日言えなかった言葉を……今、ここで言わせてもらえるかな。」 「詩音、君の事が大好きだ。」 視界が急にぼやけてくる。 それは嘘じゃないよね? これは夢じゃないよね? 私の聞き違いとかじゃ……ないんだよね? 「君とつき合わせて欲しい。」 「う…くっ……あ…ひっく…さとしくん…!さとしくぅん…!」 涙がこぼれる。その涙を悟史くんが手でぬぐってくれた。 「返事を聞かせてもらっても……いいかな?」 私は返事の代わりに彼の唇にキスをする。 「これが……私の返事です。」 どちらともなくもう一度キスをする。 くちゅ…くちゅ… 悟史くんの舌が私の口の中を侵す。それに答えようと私も悟史くんの口を舐め回す。 「んちゅ…ん…はぁ…」 私はそのまま机の上に押し倒された。 「いいですよ…。悟史くんが自由にしても…。」 「詩音……。」 悟史くんが私の服のボタンをひとつずつ取っていく。 恥ずかしい。今、私の顔はどんな風にしてるんだろう? 悟史くんが私が身に着けていたものを全て外し終わる。 「すごく綺麗だよ、詩音。」 「や…、あんまり言わないでください…。」 悟史くんの片手が私の胸を揉み、あいている方の胸の乳首をしゃぶる。 「ふあ…あ…ああっ!」 胸を重点的に責められ、敏感に反応するようになっていく。 舌で舐められ、しゃぶられ、噛まれる。 私の身体はすでに快感に支配され、他のなにも考えられなかった。 「あん、あ!…い、いいです!もっと…強くしてください!」 悟史くんは口で乳首を吸いながら、手を下にもっていく。 すでにぐちょぐちょに湿った私の秘部に指が侵入してきて中を掻き回す。 くちゅくちゅくちゅ! 「ああああん!あっ、あっ、あぁん!」 私の身体はそのいやらしい音に反応するように跳ねる。 「ひぃ!あぁっ!あっ!あぁっ!」 そこに追い討ちをかけるように、悟史くんが口で秘部を強く吸い出した。 「ひぅあぁぁあ!ひゃあん!ふああああぁっ!」 頭が真っ白になっていく。限界のようだ。 「だめぇ、イクっ!イっちゃいます!悟史くん!あっ!!あああっ!!!!」 意識が飛びかける。気持ちいい。私の身体は弓なりになって痙攣していた。 「大丈夫かい、詩音?」 こくん、と頷いて悟史くんに返事をする。 「悟史くん、私の処女をもらって……ください。」 悟史くんはチャックをおろして自分のいきり立ったオットセイを取り出す。 あれが…私の中に入るのだろうか?とても入りそうには思えない。 「いいかい、入れるよ?」 「お願いします……。あ、でも最初は痛いらしいので一気にいってください。」 悟史くんが自分のオットセイを私の秘部にあてがう……。 そして、一気に貫いた。 「うああぁぁあああっ!!!」 痛い。とても痛くて、私はしばらく呻いた。 その間悟史くんは私の頭を昔みたいに撫でて、優しく待っていてくれた。 「もう……大丈夫です。もっと突いていいですよ。」 「痛かったらちゃんと言ってね。」 その優しい心遣いが嬉しかった。昨日拒絶されたときは、もう私に優しくは してくれないだろうと思っていた。 「動くよ……。」 悟史くんが腰を振り出す。動きは遅く、私に気遣ってくれてるのが分かった。 「ん…っ!…ぁ!んん!」 少し痛いけどこれぐらい我慢できる。あのガラス越しに会う日々の寂しさと比べれば こんなもの…耐えられる! そうしてるうちに痛みが快感に押しつぶされていった。 ぐちゃ…ぐちゃ…! 「あっ!あっ!!ああっ!!!」 悟史くんも我慢出来なくなってきているのか腰を振るスピードがだんだん早くなる。 「詩音の中、気持ちいいよ。僕のを締め付けてくる…!」 「ああっ!!はあっ!!ひぅ!!あんっ!」 声をうまく聞き取れない。また絶頂が近づいてきているようだ。 悟史くんが突然私の両胸の乳首を引っ張る。 「!!!ひあぁああぁん!!はあぁん!!!」 腰を打ち付けられるたびに反動で乳首も引っ張られ その二重の感覚に壊れそうになる。 「だめです!!ああっ!!!またイきますぅ!!!うあぁあ!!!」 「詩音……!一緒にイクよ……!」 「あっ!!!ああっ!!!ひゃあ!!!あっ!!!んうううう!!!!」 私がイった瞬間、悟史くんも私の膣内で欲望を放つ。 頭が白くなっていく……。 あの時出会わなければ、と思う日もあった。 もう会えないと思う日もあった。 病気が治らないと思う日もあった。 だけど、今の私なら悟史くんに出会えて本当に幸せだと言える。 そういえばオヤシロさまは元は縁結びの神様だったじゃないか。 ありがとう、オヤシロさま。私の夢をかなえてくれて。 そしてありがとう。悟史くん。私と出会ってくれて。 これからもよろしくね、悟史くん。
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圭×梨(梨花への求婚) 前回のあらすじ 「求婚! 求婚!」 「断婚! 断婚!」 「えぇっ!? そんなぁ梨花ちゃんっ!」 「あ、男根の間違いだったわ」 「愛してるっ!」 「ああんっ」 「くぅっ……」 ペニスを左手で撫で回す。濡れた私の性器で何度か擦っていたので、すべりはいい。早すぎず遅すぎず。 緩急、強弱を入れ替えながら、圭一がそのたびに全く違う快感に支配されるように。 じれったいのか気持ちいいのかよく分からない声を上げる圭一。改めて、その裸を見つめた。 当たり前といえば当たり前だけど、私より広い肩幅に無駄のない肉の付き方。どんな運動でも軽々とこな せるのではないだろうか。色も健康的。そして……。 「……っ」 こうやって触ってはいるけれど、実はまだ、ペニスを直に見ることができないでいた。大きさを触覚で 確認しながら、こんな大きいのが私の中に入ったのか、とじんじんする股を見る。いじられて、入れられて、 狂ったように喘いでいた自分を思い出して赤面した。 圭一がそんな私に気づいて何か言おうとしたので、一際強くペニスを握った。 「いだっ!」 「あら、ごめんあそばせ」 「いや、それ沙都子だから……」 「私としている最中だっていうのに沙都子のことを考えるのね圭一は」 「梨花ちゃんのせいじゃん……つあっ、ごめんなさい俺が悪うござんした……」 そう言ってまた苦悶の表情を浮かべて喘ぐ。 その顔に、幼さはもうない。それはつまり、百年以上見続けた中学生の頃の圭一はもういないということ。 時間は確実に経過しているのだから、顔が大人びるのも当然だった。そんな圭一に私が託すのは、私の全て。 いや、もう託したといってもいい。ついさきほど、私の処女は捧げたのだから。 「……んぁ…んん…んむん……ん」 今度は私が上になり唇を交し合う。経験してわかったことだが、下のほうがディープキスはきつい。おまけに 圭一があまりに激しすぎたし。喉に流れてくる唾液が絶え間なくて、何度しゃくりあげただろうか。首を伝って 胸にまで流れて、乳首が刺激されたせいで熱くもなった。 眠たくなりそうなほど単調なリズムで粘膜を弾く音が響く。時々顔を放しては、まっすぐに見つめてくる瞳に 私が映っているのを確認する。 「ん…ふふ……あむ…んぅ」 頭が真っ白になって、そのときの記憶すらうろ覚えになるくらいに激しいのもいいけれど、やっぱり私には、 こうして圭一のことだけを考えながら自分のペースで事を進めていくのが合っているのかもしれない。だから焦れる圭一には悪いと思う。 頭でっかちな思考。百年続けたそれはこれからも変わらないだろう。 そして、私にはない行動力。それを備えているのが圭一。きっと私が惹かれた理由の一つ。 「…ぷはっ…っ梨花ちゃんキス魔だな……」 「…………」 「んんっ!?」 何も返さずキスに戻る。圭一から口を離したときの物足りなさ、名残惜しさに引かれて唾液の橋が形状を失う前に。 子どもみたいだと思った。いや、子どもなのだろう。どこまでも自分が自分でいられるような気がして、それはきっと私の考えるとおり。 ――愛してるからな。 ありがとう。私も愛してる。 だから。ずっとあなたの傍にいさせてください。 「……んんんっ!」 圭一が声、というか漏らした息を荒げる。知らぬ間にキス自体が荒くなっていたのだ。 舌先、頬の内側、それは頭がくらくらするほどに全部圭一の匂いだった。唾液交換をすると かすかに私の匂いも紛れ込む。それを残さず飲み込んでくれる圭一がただただ愛しい。 長い間、自覚がなかったのだろう。私は愛情を求めていた。お母さんとお父さんがいなくて、 動き出した時の中で日々広がりゆく縁の見えない空白。包み込むでも、ぶつけるでも、 その裏返しでもいい。私を愛してくれる存在が欲しかった。そんな人を私は愛せると思っていた。 今まさに、圭一と契りを交わしている。 「……はっ、はぁっ」 身体を起こす。圭一が息切れしながら私を下から見つめて、 「梨花ちゃん…エロい顔してるなぁ……」 なんて勝ち誇ったように言うもんだから。 夏休みが終わり、また暫く圭一と会えなくなることを考えて泣きそうになっていた私は、 別れを惜しむよりいついかなるときでも忘れられないような私との思い出を圭一に植えつけてやろうと思い立ったのだった。 圭一のペニスを見る。 掌で感じた雄雄しさなんて、こうして見てみればなんてことない。大きさや太さのことを言っているのではない。 それはひとえに、今の私の百八十度変わった視点による。天を突く、なんて大仰な表現がひどく滑稽に思えた。 ひくひくと空中を掻く様は、そこに何もないことに慌てふためいている一人では何もできない幼子そのものではないか。 でもその行き場をいやらしく濡れた私のあそこに求めているのなら、それも悪くないわね。 私は圭一に問う。ペニスを指でさすりながら。 「ふふ…他のところも舐めてほしい?」 「えっ、あ……。あ、ああそう……だな。梨花ちゃんの、したいように…してくれよ…」 明らかに下半身を意識した反応。そうさせるのが悪いと思っている気持ちと本能には逆らえない気持ちが混じり合った 複雑な表情を見せる。プラスそれを押し隠そうとしている意図ね。そうして、選択権を私に委ねたのだ。圭一は。 詰ってやろうかとも思ったけれど、まぁいいか。そういう認識、つまり圭一へのアドバンテージさえあればいつだって、 私は余裕綽々の顔でいられるのだから。 ただ、圭一の希望通りにペニスに顔を埋めるのは面白くないので、ふと思いついた別の行為をしてみることにする。 「まったく。何を期待しているのかしら。圭一のここは」 私は股を開いて右脚を圭一の顔に突き出すと、そっと顎に指先を下ろし、正中線をなぞってそのままペニスへと導いていく。 そして、裏筋を指の間で挟み込むようにして擦った。 「私に舐めてほしかったのかしら? 私の舌で。禍々しく浮き出た血管を圧迫して、カリを包んで頬の肉と挟んで、 私の思うように動かせる今だけの性器の中で、慰めてほしかったのかしら? そうして最後には喉奥を精子の行き所として……。 ねぇ、圭一? でも、だめ。そんなの文字通り足蹴にしてあげるから」 「うぁあっ、梨花ちゃん全開っ……」 「ほら、また大きくなった。私の小さい指の隙間ではもう十分にしてあげられないわ」 両足で挟み込んだ。そのまま上下運動を繰り返す。俗に言う足コキ。 「くっ、あっあぁあ……」 圭一が気持ちよさそうに喘ぐ。手とは違って不器用にしか動かせない足。こうすれば気持ちいいだろうと思って、 ただの上下運動に加えた別の力では望みどおりの反応を得られず、逆に探るようにして加えた動きでは至高の反応を得られる。 こうして、自分の一番大切なところを手中(厳密に言えば足中)に収められていて、なおも逆らおうとするのか。圭一のここは。 私は興奮する。 そして私の圭一への嗜虐心は強まっていく。 やがて、快感に対する認識のずれが正されてくると、私は言うのだ。 「ほらっ、こ、ここが気持ちいいんでしょっ……っ」 ずっと股関節に力を込めたままだから、こっちも少し疲れる。そのために投げかける言葉も焦ってとげとげしさを余計に含んでいく。 「びくびくって…、震えてるわよっ……! イっ、イきたいのっ? そうなんでしょうっ?」 「そ、それやばいっ! あ、あぁっ! もう、で、射精るかもっ……!」 圭一がそう言ったのを確認すると、私は足を止めた。 「なっ……」 非難の眼差しを向けてくる。虚ろな瞳の奥にドス黒い感情を読み取ることができた。男の本能といえばいいだろう。 精子のように粘っこい視線が私を絡めとろうとする。圭一の意識上では、すでにもう私に欲望を放っているはずなのだった。 背筋がぞくぞくと奮える。 「はぁぁ……」 その奮えはお尻を伝って私の中心にたどり着く。そしていやらしく涎を垂らした。 ぬちゃ…。触るまでもなく理解していたことだけれど、とうに準備はできていた。 圭一の上に跨る。 「一人でイクなんてだめよ、圭一。ちゃんと、こうして……ん…」 膣口にペニスの先を宛がうと、触れてはいけないものに触れてしまったかのように腰が跳ねた。そこまで敏感な膣を これから、奥の奥まで圭一のもので埋めていくのだ。 「ん…ふ、ふぁ…あ…あああぁ…」 時間をかけて腰を下ろしていく。圭一の呻き声が聞こえたが気にする余裕はなかった。 「あっ! あっ、ひぅっ!」 膣壁を押し広げて圭一が昇ってくる。昇り詰めてくるに従って快感が二乗三乗になっていった。圭一の熱さが触れている場所が、 まだ触れていない場所への快感を期待させて、もう止まれない。そうして、一番奥にまで達した。 「あぁあああっ」 同時に、快感も軽く達した。身体が痙攣して膝が圭一のわき腹を何度かつついた。 「はっ、あっ……かはっ…」 「……梨花ちゃん、もしかしてイった?」 「…………」 息切れしながら申し訳なく頷いた。ちらりと圭一の表情を窺うと、今にも私を犯そう襲おうとしていたさっきまでの雰囲気はなかった。 目の前でイってしまったのだからそれも当然かもしれなかった。何となく、負けたような気分。 だから。 「イっ、イってないわよ……っ」 と鋭い視線を飛ばした。 「今痛いほど締め付けられたんですが……」 「けっ、圭一のが大きくなったのよ! ほ、本当に節操のないおちんちんねっ。圭一は遺伝子レベルで、 え、Mに違いないから、い、苛められて悦んだんでしょ」 息をつかず捲し立てた。 「えーと、反論していい?」 「だめよ。そんなことしたらもうしてあげない」 「ぐっ……それは卑怯だぞ」 「そう思うなら黙って私のされたいようにされてなさい」 ゆっくりと腰を動かし始める。ああ、気持ちいい。 ぬちゃり、と艶かしい音を聞きながら私は考える。 どうも、セックスをしているとき私は情緒不安定になりがちなのかもしれない。自分のことで恥ずかしいの だけれど、身体がかなり感じやすいようだ。圭一を苛めようと気を張っても、挿入された瞬間から全てが飛んでしまう。 快感が全ての感覚を支配してどうにもならなくなる。私が私でなくなるような感じなんだけれど、きっとそれも私に違いないのだろう。 ……こういった行為を重ねるうち、圭一が私より優位に立つ場面が増えてくるのかもしれない。 覚悟しておかなければならない、が、それは悔しいことだった。 「うぁぁあ……気持ちいい」 その言葉に私は嬉しくなってさらに腰を振るスピードを早くする。 「はぁっあっはん、ぅあんっ、やぁっ、あぁっ」 圭一が子宮口を突いているのがわかる。一際感じる場所だった。膣壁をえぐられる快感がペニス状の波になって子宮口へと集約される。 そうして体中を駆けていく。胸が疼き始めたので圭一の手をとって握らせる。 「ひぅっ!」 待ちわびたとでもいわんばかりに反応する乳首。圭一の手で圧迫されたせいか、自分の鼓動がより響いて感じられる。 もう、全てが敏感になって何もかも感じずにはいられない。私という生の息吹はたった一人の愛する人との交わりにおいて、 最も激しくなる。女に生まれてよかった、という感情の発露。 そして、もし、このまま中出しされたら、という考えが頭を過ぎった。 「ね、ねぇ、け、あっ、けいいちっ」 「な、なんだ…梨花ちゃん…くぅ」 「このまま、ひゃあっ、膣に出して、ひっ、みない……っ?」 「うぁっ、し、締まるっ! って、え? な、中出しっ?」 「そ、そう、よっ、あんっ、また圭一が大きくなった」 「な、中出しは……って俺じゃなくて梨花ちゃんのが締まってるんだよっ、…ほらまたっ」 腰を止める。何か聞き逃せない言葉があったからだ。 「り、梨花ちゃんっ? う、動いてくれよっ」 「圭一の言い分だと、私が中出しって言葉のたびに反応するいやらしい女みたいじゃないっ」 「えっ? ってまた締まるっ!」 「ち、違うわよっ。圭一のが大きくなってるのよっ」 「いや、そうは言っても……。こればっかりは…、なぁ……、俺が正しいように、思う……のですが……いかがでしょう……?」 喋っている途中から睨みつけたので、圭一の言葉は尻すぼみ&敬語になる。 それにしても、腑に落ちないことを言う。淫語に反応するなんてまるっきり変態じゃない。 そういうのはいつだって圭一の役目であるはずでしょ。これは試してみるしかないわね。 「な、中出しっ」 「へっ?」 「妊娠っ」 「なっ!? って、くっ……、あの、締まってます……」 「っ!? ち、膣内射精っ」 「それ中出しと同じ意味だからっ、あぁっ、でも気持ちいいっ」 「…………」 圭一の反応は嘘には見えない。それだけに、納得できないものがある。このまま淫らな女という烙印を押されてしまうのだろうか。 私は腕を組んで考えるポーズをとる。胸が火照っているのが両腕で感じられた。 「うおっ、ボリュームアップ?」 という圭一の馬鹿みたいな声が聞こえたが無視した。 目を閉じる。思い描くのは、圭一のペニスから飛び出た精液が私の子宮を隙間なく埋めている光景……。 奥にいけばいくほど気持ちいいのだから、最奥への中出しということになれば……。 「ひゃぁっ!?」 「わっ」 急に頭が痺れるような感覚がきて私は嬌声を上げてしまった。 「けっ圭一っ! い、いきなり何するのよっ」 見ると、圭一の指がクリトリスを摘んでいた。 「いや、ひくひく動いて触ってほしそうだったから、つい」 「なっ……! かっ勝手にそういうことしないでよっ」 「ははは。気持ちよかったか?」 「うぐ……んぶ?」 挿入したままの状態で上半身だけを起こした圭一は、私の頭を撫でるようにして引き寄せた後、耳元で優しく囁いた。 「中出しのことなんだけどな、それはやめとこうな?」 そう告げられて、不安になった。今になって拒まれることなんか何もないだろうと思っていたからだ。 「ど、どうして?」 圭一は、そう聞き返す私の心もとない表情を読み取ったようで、軽いキスをしてくる。 顔を離して木漏れ日のような優しい色を携えながら、 「梨花ちゃんとの子どもは欲しいんだけどな。俺たちはまだ学生だ」 と言った。それだけで、圭一が私のことをよく考えてくれているのだということは分かった。けれど、 そんな圭一に私は何が返せるのだろうと考えて、ふと思いついたことを口にしてみる。 「子どもができたら高校を……いたっ」 「そう言うだろうと思ったけど。ちゃんと学校は卒業しないとだめだぞ」 小突かれた額をさする。馬鹿なことを言うなと圭一の目が語っていた。 「友達たくさんいるんだろ。めいっぱい楽しい学校生活を送れよ。九月には文化祭もあるって言ってたよな。 その日は大学サボってでも帰ってくるからさ。一緒に回ろうぜ」 「……うん」 高校は、楽しい。人も出来事も新しいことだらけで。沙都子とも同じクラスだから、二人で楽しいことばかりやってる。 「その代わり、卒業したら否応なしにもらっていくからな。まぁ梨花ちゃんが大学に進みたいっていうなら話は別だけどな」 「ううん。大学はいかない」 「そっか? でももしもやりたいことがあるなら遠慮せず言ってくれよ」 「ありがと。でも圭一と一緒にいたいのよ」 「そうか。……まぁそういうわけで、中出しはまだ早いと思うんだ」 「分かったわ。正式に夫婦になってからってことね」 思わず言ってしまった単語に気後れして恥ずかしくなったが、圭一はそんなことはないようで、先を見据えた目をして満足そうに頷く。 「そうだな。でも、そんなこと言うならゴム持ってこいよって話なんだけどなーはは……」 準備不足……。圭一はそう呟きながら再び倒れる。 「ゴム? そんなの嫌よ。圭一のことが直に感じられなくなるもの」 「……そうか」 「あんっ。……今のは、圭一のが大きくなったのよね……?」 「……間違いないです……」 二人で笑い合った。 「ふぅ、それにしても。圭一ってばまだ余裕ありそうね」 「いやぁ、そうでもないぞ?」 「嬉しいことも言ってもらえたし、サービスしてあげるわ」 そう言うと、足元に放り投げてあったワンピースを手にとった。そしてそれを上から被る。ブラジャーがないので、 胸の先端が分かりやすく浮き出た。なんともいえず、恥ずかしい気分になった。さらに、喉を鳴らし声色調整。 男ほどではないにしろ、女だって声変わりをするのだから、なるべく昔の声へと近づけていくようにする。ん……これだ。 百年間の幼女経験は伊達じゃないわよ。本当に。 「ど、どうなのですか? 圭一?」 少し照れつつ、口をあんぐり開けて呆けたままの圭一に言う。 「ぐはぁっ!」 悶絶して後頭部を叩きつける圭一。効果は覿面のようだった。これで何の反応もないようだったら困ったのは私だけれど、 さすがにそんなことはないようだった。 「どうしたのですか? 圭一」 分かっていながら聞く。また意地悪な気持ちになってきた。 圭一の胸板に擦り合わせるようにして、身体を預ける。自然と、圭一を見るためには上目遣いにならねばならなかった。 さらに、ブラジャーを着けていない胸は、ワンピースの隙間から先端が見えるか見えないかといったところまで露になっているはずだった。 「――っ! りりり梨花ちゃんっ! た、タンマタンマ! やばいってっ! 可愛すぎるっ!」 「照れてしまうのですよ。に、にぱー☆」 「でもその年でにぱー☆はないかもしれない!」 もう何でもかんでも遠慮なく言う圭一だった。ちょっと恥ずかしかった。でもやっぱり、にぱー☆はないわよね。 どれだけの間挿入したままだったのだろう。私は上半身を起こして、再び動き始める。 心なしか圭一のものがさっきより興奮しているように感じられた。 「はぁっ、はっ、はんぅっ」 「うううっ!」 ワンピースの裾を持ち上げて、結合部が圭一に見えるようにする。 「ほら、圭一……。ボクたち繋がっているのですよ……」 「あああっ! エロすぎるっ梨花ちゃんっ。どこでそんな技を!」 ワンピースの端を口に加えて腰の動きをより荒々しく激しいものに変えていく。 「んふ……ふっ、ふぅっ、ふぅんっ!」 快感が頂点に達し始めていた。 「んむっ! んふっ! ふひぃっ!」 子宮を突く刺激の波がだんだんと長いものになっていき、次の突進の刺激と重なり合っていく。悦楽が増幅されていく。じん、じぃん、じーんと 感じていく。慢性的に頭が痺れてしまったような感覚はオーガズムが近いことを教えてくれた。 「っくっ! そ、そろそろやばいっ! で、射精そうだっ!」 「んくっ、んぅううんっ! んぃいいっっくぅううっ!!」 「り、梨花ちゃんっ!」 「んぁぁああっ!」 最後の一突きで達した。圭一のものが抜かれて、ワンピースに精液が飛ばされる。 「ぐぁっ、あぁあっ!」 「はっ、はっ、はぁっ……」 白濁液を全身に浴びせられながら、私はイキ続けていた。顔にも数滴飛んでくる。胸にも大量にかかっていて、乳首の形はもちろん、その色までもが 緑の布越しにはっきりと見えていた。やがて射精が終わると、そこで緊張の糸が切れてしまったかのように私の重心は後ろに倒れていった。 圭一の顔がぼんやりと目の前に映った。 抱きとめられていた。 「はぁっ、梨花ちゃん……大丈夫か……」 ほとんど無意識のうちに、震える顎を下に動かした。キスをしたいと思った。 私の考えていることがわかったのか、圭一は唇を寄せてきた。 「ん……」 短いキスが心地いい。顔を離して私は呟いた。 「気持ちよかった……」 「ああ、俺も気持ちよかった」 「また……しよ……」 「えっ、あ、ああ。梨花ちゃんがいいなら、な」 照れながら笑う圭一。 「ねぇ圭一……。お風呂一緒に入らない……?」 収まってきた絶頂の余韻の中で、気が付けば私はそんなことを口に出していた。 圭一の丸く開かれた目は何だか笑えた。 続く 風呂沸し編
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「こっちだぁああぁぁぁぁ~~!!」 半ば開き直りながら魅音からトランプを一枚引き抜く! そこには俺の求めていた一枚がッ! 「あっ!?あるぇ~?ななな、なんでわかったの?圭ちゃんなら絶対にこっち選ぶと思ったのにぃ~~!」 魅音が顔を真っ赤にして地団太を踏む。絶対に負けはないと思っていたらしい。 「私も圭一さんなら絶対に左のカードを選ぶと思いましたのに、右を選んだのはどうしてですの?」 「まぁ俺も雛見沢に来て長いんだ。魅音の考えてることくらいわかるようになってきたぜ」 「なんか嘘っぽい~」 あぁ嘘だぜ。だが俺が勝ったことには間違いないッ! 「まぁまぁ魅ぃちゃん!今回の勝負は魅ぃちゃんの負けだから、おとなしく罰ゲーム引いて!」 「はいよぉ~」 ふてぶてしく魅音は箱の中から罰ゲームの書かれた紙を取り出す。 「なんて書いてあるのですか、み~?」 「っーーーーーー!?」 魅音の顔が音を立てて赤くなった。 「な、なんて書いてあるの魅ぃちゃん?レナたちにも見せてよ」 「いや、なんでもない!コレは駄目!次のに行こうッ!次ッ!次ッ!」 真っ赤になった魅音は両手をブンブンと振って罰ゲームの内容を見せまいとしている。 魅音が慌てるくらいなのだから、それはとんでもない内容なのだろう。 「内容くらい教えてくださらないと、そんなの納得できませんわ。それに少なくとも敗者にはそのような選択はございませんことよ~?」 そのとき!俺の膝くらいの高さを何かが通り抜けて行った。 それは梨花ちゃんだった。梨花ちゃんが魅音の右手の用紙めがけて飛んでいくッ! CS板でゲイボルグの一枚絵があったからって、今度はサイコクラッシャーか…。 やっぱオヤシロさまの巫女は違ぇなあと感心していると。 「勝者に34回胸を揉まれる」 梨花ちゃんは、その場にいた者の心に直接届くような優しさに満ち溢れてた声で、そう告げた。 教室には二人、なにをするでもなく椅子に座って互いの出方を伺っていた。 (ちょっと~どうしたらいいのよぉ~?圭ちゃんに胸揉まれるって…一体誰が書いたのよ~?) 魅音はなんとなく書いたのは梨花ちゃんじゃないのかと思っていたが、確証がなく悶々としていた。 レナが気を利かせて(?)二人だけにしてくれたのだが、今思うとみんながいてくれたときにしてもらった方がよかったのではないかとも思えてくる。 (あぁ~!!こんなの圭ちゃん以外が勝てば、まったくどうでもいい罰ゲームなのになんでこういうときだけ圭ちゃんは勝つのかなぁ~。絶対おかしな運もってるよぉ~~) (どうしたらいいんだろっ、こういうとき? 1『いいよ、圭ちゃんなら…』 2『胸なんて、なかった』 3『圭ちゃん、気にしないで!おじさんを男だと思って、ドーンと来い!』 …あぁ~!どれも違う気がする!!本当にどうしよう?しかも実際に圭ちゃんに触られたりなんてしたら…ッ!!) 「なぁ、魅音?もうそろそろ帰らないか?」 「ふぇ?でも罰ゲーム…」 「まぁ、あいつらもココを監視してる訳じゃないんだし大丈夫だろ。なんか適当に感想言えばなんとかなるって!」 「でもレナがもし、ちゃんと罰ゲームしなかったら『リアルオヤシロ様ごっこの刑』に処するって…」 「まぁその刑がどんなものかわからないのが怖いが、大丈夫だろ。それとも魅音は俺に胸をこれでもかってほど揉まれたいのかぁ~?」 圭一はわざと手をワキワキと動かして魅音に詰め寄る。 「いやっ!それは…でもいいのかな…?委員長としてちゃんと罰ゲームしないと…会則第…何条だっけ?」 「俺も魅音のそのけしからん乳には前々から興味を持っていたんだが…」 「け、圭ちゃんッ!そんな目でおじさんを見てたのッ!?」 「いや、待てッ、魅音!その嘘…ではないが、違うんだ…」 「圭ちゃんのエッチ…」 「っーーーーー!?だから魅音!今日のところは何もせず帰るって言ってんだから別にエッチとか…」 「今日じゃなかったらするんだ…」 「そ、そんなつもりは…あぁ~わかったよッ!じゃあお望みの通り、今ッ!ココでッ!揉み倒してやるッ!!!」 「ちょ…じょじょじょ、冗談でしょ!?け、圭ちゃぁん!?」 「ぷぷぷ…ははははは!! あぁ冗談だから帰ろうぜ。もう遅いしな」 (えっ!?本当に何もしないんだ…そ、そうなんだ…なんか残念…じゃなくて…よかったなぁ…?) いつもの帰り道。圭ちゃんは普段となんら変わらない会話を続けてる…。 罰ゲームのことは、本当になかったことになっていて…。 「じゃ、また明日な。数学の宿題忘れずにやっとけよ!」 圭ちゃんはそう言って、手を振りながら背中を向けた。 (このままじゃ、本当に何もなかったことになっちゃう!いくら圭ちゃんでも急に胸を触られるのはイヤだけど…でも!) 「な、おい魅音!?な、何してんだよ!?えっ、ちょっ、お、おい!?」 私は圭ちゃんを後ろから抱きしめていた。 (あぁ~~っ!?ななな、何やってんの、私?うぅ~、恥ずかしいけど…でも、この体勢じゃ顔は見られないし…) 「み、魅音…まさかここからバックドロップに発展するんじゃないよな?」 「し~な~いぃ!!!そのぉ…そう! 明日みんなから罰ゲームの感想聞かれたときに『魅音の胸は筋肉ばかりで硬かった~』なんていわれないように…、ね?」 「あっはははっ…。そうだな…はははは…」 「どうしたの?圭ちゃん?前かがみになって?」 「いや…ははは…気にするな…。魅音に投げられないように踏ん張ってるだけだ…ははは…」 「だから投げないってばぁ!」 「そ、そうだよな…っていつまでこうしてるつもりだ?」 「う~ん…もうちょっとこうしてよっかな?圭ちゃん、少し困ってるみたいだしぃ~?」 「あっ!魅音、お前なんかずるいぞ!」 「幸いなことに誰もみてないしね~、もうちょっと圭ちゃんを困らせてみよっかな~?」 「…好きにしろっ!」 「♪」 もっとこうしていたかったけど、遠くで車のエンジン音が聞こえて、どっちからともなく二人は離れた。 (離れようと思ったら、自分でも離れたのに…うふふ♪) 「じゃ、もういいよな?それじゃあな!魅音!」 圭ちゃんは少し前かがみになりながら小走りで帰っていった。なんかカワイイ♪ …。 翌日の放課後。 「圭一くんに魅ぃちゃん!昨日の罰ゲームちゃんとやってくれなかったんだよね?だから二人とも罰ゲームなんだよ、だよ?」 「な、レナ!?なんでそんなことわかるんだよ、オイ!?」 「わっ!バカ、圭ちゃっ…」 「やっぱりちゃんと罰ゲームを履行してなかったのです。オヤシロ様ごっこのコスチュームを公由に用意させた甲斐があったのです。にぱー☆」 「な、なにぃ…!?」 「では、舞台を祭具殿前へと移すのでしてよ~!」 そこで俺と魅音は巫女さんの衣装に変えられて…。魅音はともかく、俺がこの衣装を着るのは神への冒涜なのではないのか? 「大丈夫なのですよ、圭一。オヤシロ様も大爆笑なのです、あぅあぅ」 うぅ…あんな初歩的なミスをこの俺が犯すとは…。悔やんでも悔やみきれねぇぜ…。 それにしてもこの衣装、脇のあたりが開いてて…魅音を横から見ると…よ、横乳が…。脇に絶対領域…。た、たまらん…。 魅音の高校生とは思えない二つのでカメロンの付け根が、今惜しげもなくッ!あぁそれってどんな横乳だよ…。 「け、圭一さんの魅音さんを見る目がいやらしくてよ~」 沙都子が蹴りを入れる。 「け、圭ちゃん!?な、ぁあ?!」 魅音もドコを見られてたか気づいた様で、腕を組んで絶対領域を死守する…。ちぇ。とりあえぜ沙都子を全力で投げ飛ばしておく。 「それじゃあ『リアルオヤシロ様ごっこ』開始なんだよ、だよ?」 俺はレナの説明を聞いて、その通りにセリフをしゃべる。 圭一「かかってこい!!このバケモノがぁああぁあああぁぁ!!!」 魅音「ぎゃあぁああぁぁああぁあぁっぁぁぁ!!!!」 ………。 「なんか全然おもしろくないね?どうしてだろ?どうしてだろ?」 「でも魅ぃは胸を隠して、相当堪えてるようです」 「じゃあこう変更しよっか!」 圭一「かかってこい!!このおっぱいオバケがぁあぁぁああぁぁ!!!」 魅音「うわぁああぁあぁぁぁぁあああぁん!!!!!」 「み、魅音さん、泣いてますわよ?いいんですの?」 沙都子は見てはいけないものを見てしまったような顔で怯えている。 「レナが満足するまでやらせるといいのです。レナはこの前魅ぃに『レナは肩凝らなさそうでいいなぁ…』っていわれたのを相当根にもっていますです」 ……。 雛見沢は今日も平和のようです。 「かかってこい!!この乳だけ女がぁああぁあああぁぁぁああ!!!」 「うっく…うぅ…け、圭ちゃぁああぁあぁあん!!」 終 1『いいよ、圭ちゃんなら…』 「いいよ、圭ちゃんなら…」 (あぁ~!何言ってんの、私ぃ~~!?そんなこと言ったら!言っちゃったらぁ~!) 「はぁっ?お前本気で言ってんのか?魅音!やっぱ嘘~とか言うなら今のうちだぞ!」 「圭ちゃんなら…少しくらいいいから…ね?早く終わらせちゃお?」 魅音は椅子に背をもたれて圭一を上目遣いで眺めている。 そのしぐさがいつもの魅音とは違う、とても艶かしいものに見えた。 「あぁ、わ、わかった…」 圭一は少しためらったあと、魅音の胸に手をのせた。 「ほ、本当にいいのか…?ってここまできといてなんだが…」 「う…うん、早く34回揉んじゃってよ…」 「さ、34回ってのは両手なら17回ずつなのか?それとも両手でも34回なのか?なぁ、そこんとこのルールはどうなってんだよ?」 「別にどっちでもいいから…早くしちゃってよ…」 圭一の思い切りのなさに魅音は少し呆れていた。 でもそれが圭一の良さなんだと嬉しく思う、矛盾する考えも同時に持っていた。 「じゃあ、失礼して…」 「うん…」 圭一は恐る恐る魅音の胸を弄(まさぐ)る。 魅音にはそれがくすぐったいものでしかなかった。 「あっひゃひゃ!く、くすぐったいよ…圭ちゃん!?」 「いや、そう言われたって…」 圭一は律儀にも1、2、3と回数を数えながら胸を揉み続ける。そしてその数が17となった。 「これで両手合わせたら34回だ。文句あるまい!って、なんか俺への罰ゲームみたいにも思えたが…」 「おじさんだって圭ちゃんにこんなにくすぐられるとは思わなかったよ!なはは…」 「別にくすぐったわけじゃないけどな…」 圭一は揉み終わるとすぐに自分の席について、魅音に背を向けた。 「圭ちゃ~ん?なんでおじさんに背を向けるのかな?なんか隠してない?」 「な、なにも隠し事なんてしてなぇよ!俺たち仲間だろッ!?仲間は隠し事なんてッ!?」 「じゃあこの固くなったオットセイ☆さんはなんなのかなぁ~?おじさんにはよくわかんないけどぉ~?」 「はっ!魅音!?お前…ちょっと待て!自分が何握ってるのか…」 圭一は魅音の目を見て椅子から転げ落ちる。 その目は、見るもの全てを射抜いてしまう鷹の目そのものだった…。 「うっ…うわぁあああぁあぁ…!!!」 パコン! 気づけば圭一はとっさに握った分厚い古語辞典で魅音の頭を力いっぱいに殴っていた。 まずい…。これはまずい…。 いきなりのことでびびってしまったとは言え、思いっきり殴ってしまったのはとてもまずい…。 たぶん脳震盪で気絶しているだけだろうが、魅音のことだ…仕返しが怖い。 とりあえず、気が付いたときの最初の一撃が怖い…。 俺はロッカーの中から縄跳びを出して、それで魅音を後ろ手に縛り上げた。 「なんか、さらに怒りそうだが…」 魅音は健やかに寝息を立てている。それと同調するように、その大きな胸が上下に動くッ…。 「っーーーーー!」 どうしてもさっき揉んだ魅音の胸の感触が甦る。 表面的には何も考えてないように振舞っていたが、初めての行為に心臓が口から出てくるのではないかというほどに興奮していた。 もう一度、魅音に触れてみたい…。今なら眠っている…大丈夫だッ! それにまだ17回しか揉んでない。あと17回だけ…。 再び魅音の胸に触れる…。柔らかい…。 ずっとこうしていたい気持ちに駆られる、そんな感触。 そしてもっともっと感じたい…そんな欲望がこみ上げてきて、圭一は魅音のシャツのボタンをパチン、パチンと外し始めた。 シャツの中にはかわいい柄のブラジャーとそこからはみ出さんばかりのものがあった。 「うっ…!」 圭一にも少し罪悪感が現れてきて、本当に触っていいのかという疑問が生じ始めた。 だが、ここで後戻りできるほど圭一は大人ではなかった。 ブラのはずし方はわからないので、ブラの下に手を滑り込ませて魅音の乳房に直に触れるッ! 服の上とは全く違う感触に自制心というものが崩れ落ちる。 そして圭一は17回という免罪符を忘れて、何度も何度も魅音の胸を揉み続けていた。 「んん~~~っ!?け、けけけ圭ちゃん!?ちょっと、あんた何してんの~~~?」 「何って…その…」 魅音が起きることを全く想定してなかった圭一はただただ狼狽する。 「け、圭ちゃんが…こ、こんなこと…し、しかも腕まで縛って…へ、変態ッ!」 「み、魅音…ちょっと待ってくれ…その少し説明が難しいんだが…」 「この状況で何が言えるってぇの!?もぅ、最低ッ!」 「あ、あの魅音…その…こんなときにこういうこと言うのはおかしい気がするけど…でも本当なんだ…俺…」 「今日はもう圭ちゃんの話なんて聞きたくない!」 「俺…こっちにきてから、まだ日が浅いけど、その…魅音のこと、たぶん、ずっと前から好きだったんだ…と思う」 「っーーーーー!?」 「だから…こんなことしちまった…ていうのはズルイってのはわかるんだけど、ただ興味本位でしたとかじゃなくて、魅音が好きで好きでしょうがないからこんなことしちゃったっていうか…」 「わかったから、早くこの縛ってるのほどいてよ」 「あぁ!すまなかった。今ほどくからッ!」 縄跳びをほどき魅音の腕を自由にする。 「ほら、コレで…ッ!?」 ブンっ!! 一瞬何があったのかわからなかった…。急に視界が90°回転したかと思うと頬に少しの痛みが走った。 「圭ちゃん!最低ッ!大ッ嫌い!」 魅音は目に涙を溜めていた。そしてそれが流れだすのを必死に堪えていたようだった。 (最低?大嫌い?俺、ふられたのか?) まさか…?魅音は俺のこと好きだったんじゃないのか? むしろレナも沙都子も梨花ちゃんも…。みんな俺のことを好きだと思っていた。 少なくとも魅音だけには好かれてるって自負があっただけに…なんて情けない…。 俺は大馬鹿野郎だッ!こっちでは女の子にモテモテであわよくばハーレムなんて…考えてた自分が、ものすごく情けない…ッ! いや、そんなことより…大好きだってやっと気づけた魅音にこんなこと言われるなんて…。 俺は泣いていた。嗚咽をもらし、肩を震わせながら…。我慢できなかった…。 …。 何分くらい、そうしていたんだろう? 「あのさ…圭ちゃん?」 「ほっといてくれ…」 「いや、そのさ…泣いてるの?」 「見りゃわかるだろッ!」 「あのさ…なんでまた泣いてるの?」 「好きな子にふられたら、男でもこうなるって俺も初めて知ったよ…」 「あはは…圭ちゃん本気だったの?」 「本気も本気だッ!」 「じゃあ…その…」 「へっ!?」 「許してあげる…私も圭ちゃんのこと大好きだから…」 「へっ!?お前さっき、大嫌いって?」 「それはッ!人が寝てるときにあんなことするからだよ!あんなこといくら好きな人でもされたら恐いんだから!」 そう言って魅音は俺の頬を舐める。 「あは、しょっぱい♪」 その魅音の笑顔を見て、全てがふっとんだ。魅音の意外と華奢な体を思いっきり抱きしめるッ。 …。 「圭ちゃん、さっきからおっぱいばっか触ってる…」 さっきから俺の右手は魅音の左胸にそわせている。なんか落ち着くし…。 「魅音…あのな…」 「何?圭ちゃん?」 「魅音が気を失う前な…お前俺の大事なオットセイ☆にいたずらしただろ?」 「あっ!?あっでもあれは…」 「よく考えたら魅音もチェリーの俺にひどいことをしたと言えないか?よってお仕置きだッ!」 「えっ?でもあれはノーカンでしょお…ってダメ?」 「ダメっ!」 俺は魅音の上着を全て脱がし、ロングスカートも剥いてやった。魅音は下着一枚だけになり、必死に胸と下を隠している。 「圭ちゃんも脱がないと不公平だよぉ…」 「それもそうだな…」 俺もトランクス一枚を残し服を脱ぎ捨てる。 「圭ちゃんは男の子なんだから全部先に脱いでよ…」 「却下だッ!」 俺は魅音を押し倒し、胸に顔を埋める。 暗くてよくわからないが、魅音の大きな胸はとてもいいさわり心地でずっとこうしていたい。 「んもぅ~圭ちゃん。赤ちゃんみたいぃ~!」 確かにこう胸ばかり弄ってると、子供っぽいな…。今度は左手でお尻に触れてみる。 「ひゃっ!?」 「なんだ…魅音!?胸よりお尻の方がいいのかぁ?とんだ変態さんだなぁ~?」 「し、知らないよぉ~。そんなの!」 魅音のお尻に対する反応がいいので、楽しくなって魅音のお尻を楽しむ。 となると、魅音のバックを取りたくなるもんだ。 魅音の体を力ずくで回転させて、その背中を抱きしめるッ! 「あっ…っ!!」 「ふぇ…?っーーーーーー!?」 ずっと失念していたが魅音の体には刺青が彫られているといつか聞いたことがある。 そして俺の目の前には立派な鬼の刺青が確かに…あったッ! 「圭ちゃん…見ちゃった…よね?」 「あ、あぁ…本当にあったんだな?」 「う、うん…。こんなの見たら引いちゃうよね…。私の背中…変だよね…」 …。 重い空気が流れる。俺は魅音がこの刺青を背負わされて、今までにどれくらい辛い思いをしてきたかわからない。 だから、俺には魅音にかけてやる言葉が見つからない…。でもッ! 「ひゃっ!?ちょ!け、けけ、圭ちゃあん!?」 俺は魅音の背中を舐めた。この刺青が俺の舌で消えるなら…そう思って舐め続けた。 「んっ!くぅ!ちょ!圭ちゃん!?それ…ちょっと…マジでやばい…あふぅん…」 「どうしたんだ魅音?情けない声出して?」 「べ、別に何でもないよ!?圭ちゃんこそ!急に背中なんか舐めて変態さんだよぉ!…ひゃう!」 「じゃあ背中舐められてこんなに感じてる魅音はもっと変態さんだなぁ…。」 「圭ちゃんの、ばかぁ…くふんっ!」 魅音の背中を舐め続ける。魅音の性感帯はお尻かと思っていたが背中だったとは…。このエロ頭首様め…。 「圭ちゃぁん…あの…あのさ…」 トロンとした目で魅音が俺を見つめる。 「どうした、魅音…そんな背中舐められるのいいか?」 「!? そ、それはまぁ、…いいって白状するけど…さ。そのね?なんか忘れてないかなって…?」 忘れた?確かにゴムは持ってないけど…畜生、こんなことなら先物取引しておくべきだったぜッ! 「そうじゃなくて、き、……とか」 顔を真っ赤にして魅音が何か言っている。小さい声で聞き取れない。 「だからぁあッ!」 意を決したかのように魅音が顔を近づけて、唇と唇が触れ合った…。 「うむっ!?」 ファーストキスはいちご味なんて言うけど、あれは嘘だ…。現実は、なんというか生々しい。 初めての味覚にポーっとしていると魅音の舌が俺の口の中に入ってきた。 「んっ~?ぅうっ~ん!?」 なんで初めてのキスでこんなことを?いろんなことを考えていると魅音の方から唇を離した。 「はぁ…はぁっ、圭ちゃんのファーストキスげっと~♪」 「おっ!おまっ!お前なんでこんなに上手いんだよ?」 「えっ?だってたくさん練習してきたんだもん…。圭ちゃんとする日に備えて…」 「ってそれで他の男と練習してたら本末転倒だろぉ~?俺はなんなんだよぉ~?」 「えっ?別に男の人と練習したわけじゃなくって…レディコミを参考にしてさ…」 「参考にして?」 「まえ圭ちゃんにもらったお人形で練習してた…」 顔を真っ赤にさせながら、それでも恥ずかしいことを素直にしゃべったコイツが本当にかわいくてしょうがない。 俺は魅音が(俺が?)心行くまでお互いの唇を求め合った。 「ねぇ圭ちゃん…さっきから固~くなったオチンチンがおじさんの太ももに当たってるんだけどぉ~?」 「な、そりゃ。固くもなるわ!てか魅音、お前、オチンチンって…」 「へっ?圭ちゃん、なに恥ずかしがってんの~?もっと言ってみよっか?おじさん、圭ちゃんのオチンチン見てみたいな~♪」 「ば、バカ!見ても何も喜ばしいことなんてないぞ!ってウワっ!」 魅音が俺のトランクスを勢い良く脱がす。マイオットセイはそれにあわせて行儀良くコンニチワをした。 「あはは、圭ちゃんのオチンチン、なんだかカワイイ♪」 「魅音、それけなしてるのか?本気で悔しいぞ…」 「別にただの感想だって!気にしない気にしない!よっと!」 押し倒されて、魅音にのっかかられる。魅音は背を向けているが何かヤバイ気がする…。 「男の子はこういうことすると気持ちいいんでしょ~?」 魅音がペロペロと俺の温室育ちのオットセイを舐め上げるッ!これは…イイ! 「あっ、魅音んっ!これもレディコミの知識なのか? んっ!」 「へぇ~ちはぅよぉ~?コレは…ふぅ…詩音が教えてくれたの!」 「詩音?」 「悟史、だいぶ良くなったけどまだ退院してないでしょ?で、詩音が毎日お見舞いに言ってるのは知ってるよね?」 「あ、あぁ…」 「それでベッドの上の悟史に詩音はいつもこんなことしてるんだって~」 「それって色々問題ないか…なぁ魅音?」 悟史とはまだ一度しか会ったことないからどんな奴かよく知らないけど、あの詩音に言い寄られたら何も言えなさそうな奴だったよなぁ…。 「あとこんなこともするんだってさ~!」 魅音はチロチロとカリを舐めながら、その大きな胸でマイサンを圧死させようとしてきたッ! 「んっ!ちょ…魅音!!」 「圭ちゃんはおっぱい大好きだからこんなのもどぅ~?」 魅音は裏スジのあたりを周りの柔らかさと比べると少しだけ固い乳首で擦りあげてきたッ! 「うわっ、ちょ、魅音…それヤバイ!マジでヤバイ!略してマジヤバっ!!」 大きな快感が脊髄を通り抜けて、俺のオットセイが渾身のエネルギー弾を魅音の口の中に放つッ! 「うぇ…こほっ、んふっ…オホンっ!け、圭ちゃん早い!早すぎるよぉ~?」 「悲しいけど俺、童貞なのよね…」 「そんなこと知ってる~。でもこれって、こんな苦いなんて~。うわ~ん、圭ちゃん、えんがちょ~」 「な…なんてことを…」 「ウソ、ウソ!ちゃんと綺麗にしてあげるよ!」 自分でもびっくりするくらい出していた…。それを健気に舐めている魅音がすごくカワイイ…。 「ねぇ圭ちゃん?なんでこの子もう大きくなってんの~?」 それは魅音が回復系魔法を唱えたからだと思うが…。 それにしても男である俺がこうも、魅音に主導権をとられているのはまずいッ! ここらで一矢報いねばッ! 俺は我慢できずに後ろから魅音を抱きしめた。 「ちょっと~?まだ終わってないよぉ~!そんなに慌てなくても…」 「いや、俺はもう我慢できない!それにこんなにカワイイ魅音が悪いんだぁ~ッ!」 「ケダモノ~!しかも後ろからなんて…」 「魅音も初めてなんだろ?」 「えっ!?う、うん…そりゃもちろんそうだけど…」 「バックはあまり痛くないって言うしさ…」 「えっそ、そうなの…?」 「俺もよく知らんが何かで見たことがある…大丈夫だッ!」 「で、でも…きゃふッ!」 魅音を黙らせるには背中の性感帯を刺激してやればいい。そう、後ろをとった俺は魅音に負けない! さっきはいい様にやられたが、今度は俺の番だッ!そう、これからはずっと俺のターンっ!! 「入れるぞ、魅音っ!」 「ふっーーーーー!?」 俺は勢いよく魅音の中にオットセイをぶち込むッ!熱いッ!なんて熱いんだっ! コレが俺たちの友情の答えか…!なんてよく分からないことを考えながら、俺は腰を上下に動かし続けるッ! 「あ、ちょ、ちょっと待って、け、圭ちゃん!?うん、ほんのちょっと!」 「うるさいっ!」 背中を舐めて、片手で乳首を摘みあげて魅音を黙らせるッ! 「んふっーーーーー!?」 すごい…好きな女とつながっていることがこんなに気持ちいいなんて…。 俺は何ともいえない達成感とともに、魅音の中に思いの丈をぶちまけた…。 …。 「くくっ…ぷぷぷぷ…あははは…」 突然、魅音が笑い始める…。そんなに嬉しかったのだろうか? 「あはっ…くくく…はぁはぁ…もうダメだ…あひゃひゃ!あっははは!あっあひゃひゃひゃひゃ!」 「な、なんだよ魅音!?気持ち悪い笑い声出して…お前にはムードってもんがないのか?」 「へぇ!?だってさ…圭ちゃん。あひゃひゃひゃ、コレ見てみ?」 魅音が指差した先には俺が出したらしい飛沫があった。 「えっ、コレが…?」 「だからね、圭ちゃん?圭ちゃんが私の中に出したと思ったものがここに飛んでるってことは…最初っから入ってなんかなかったんだよ!」 「はっ?」 「おめでとうッ!圭ちゃんはまだ立派な童貞だッ!ぶっひゃひゃひゃッ!!あ~お腹痛い~!!」 「え、あの?…魅音?」 「どうしましたか!前原童貞兵ッ!あっひゃひゃひゃひゃひゃ!」 「っーー!」 「圭ちゃん、今晩のおかず、なんだろね?酢マタ!?ふふふっ…あはは、あひゃひゃひゃひゃひゃ!はぁ~もうダメ!死にそう…」 「俺如キニ…」 「へっ?何、圭ちゃん?」 「祟リ犯サレルナヨ!?」 「っーーーーーーーーーー!!!???」 俺は魅音を再び押し倒す。あぁーもう知らねぇ!もぅ俺キレた!もーぅ、何するかワカンネぇ! 「ちょ…圭ちゃん…冗談だって冗談ッ!あのあの、い、言い過ぎたよ、ゴメン!ねっ!」 俺は何も言わずにそそり立つ肉棒を魅音の秘部にあてがうッ!今度こそは逃さないッ! 「えっ!?圭ちゃん!?マジ…ちょ…タンマタンマ…うぅんーーーー!?」 今度はしっかりと入ったはずだ。魅音の顔が少し歪んだ。 と同時に強引にことに及んだことに対する罪悪感。 「み、魅音…大丈夫か…?」 「大丈夫かって…圭ちゃんがやっといて、そんな言い方ないよ…」 「あっ…ゴメンな…。その…頭に血が上っちゃって…」 「いいよ…。圭ちゃん、そんくらいじゃないといつまでたってもしてくれそうにないし…」 「な、なんだよ、それ?」 「圭ちゃんは、こういうことすごく優柔不断だもん。だからわざと圭ちゃんを怒らせたり、主導権とってみたの…」 「う…」 「私たち、しばらくこういう関係が続きそうだね…。顔色一つ変えずにエッチなことしてくるような圭ちゃんはまだ想像できないな…」 「あはは、俺そんな風に思われてたのか…。でも俺、そんな風に人の顔色伺って、自分のしたいようにしない魅音も好きだぜ…!」 「っーーーー!?」 「うん、カワイイ、カワイイ」 「ちょっとぉ~、圭ちゃんバカにしてるでしょぉ~!って、あふぅん!?」 動くのをやめていた腰をまた動かし始める。だがすぐに絶頂を迎えてしまうッ! 「魅音、出すぞ、んっ~~!」 「ふぇ…?も、もう?」 俺のオットセイは空中で火を吹き、それは魅音の背中にかかった。 「でも、圭ちゃん…ちょっと早すぎ~!」 「う…すまん。それはこれから特訓していくということで…」 「しょうがないなぁ!めでたく童貞を卒業した前原圭一に私、園崎魅音が一生、訓練に付き合ってあげよぅ!」 「ははは…なんだよそれ…。」 そのときした、魅音とのキスはとても甘かった。 …。 「ねぇ圭ちゃん…何か足音聞こえない…?」 ことも終わり、服を着ているときだった。俺たちは着替えを止め、音の出所を伺う。 「や、やばくねぇか…こんなとこ見つかったりなんかしたら…。 「しっ!」 カッカッカッ…ガララッ! 「WAWAWA、忘れ物~♪レナは~豪快にぃ~鞄ごと忘れ物しちゃったんだよぉ~、だょ?」 レナだ!あのバカ!なんでこんなときにッ! 「うぅん?誰かいるのおッ?」 レナの声は確実に俺たちのいるあたりに投げかけられていた。 「にゃ、ニャ~~~♪」 「ば、バカっ!」 よせばいいのに魅音が猫の声まねで答える。しかも全然似ていないッ!こいつは真性のアホだ! なんでこんなやつ、好きになっちゃったんだろう…。 「なぁんだネコさんかぁ~、ビックリした~」 ちょ、バカはあっちにもいた!なんなんだ、ココは? 「そうです。ネコさんです~」 魅音が鼻をつまんで応える…。オイオイッ…。 「ここのネコさんはお話もできるんだねぇ~」 カチャっという音に一瞬遅れて、パッと教室に明かりが灯った。 「って騙されるとでも思ってんのか、このお子ちゃまカップルがぁ~!!」 ビビクゥ! レナさんの怒鳴り声は半端じゃなかった…。 「ねぇ、魅ぃちゃん…さっきおばあちゃんから電話があったよ…?そちらのおうちにうちの魅音はいませんですか~って。早く帰った方がいいと思うな」 「えぇっ!?ま、マジ?じゃっ、じゃあね、圭ちゃんにレナ!また明日~!」 魅音がものすごい勢いで教室を出て行った。 「さぁて圭一くん?何があったか教えてもらおうかな、かな?」 レナさんが…俺に近づいて…来るッ!!! …。 帰り道。とっぷりと夜は更け、かえるの声がうるさい。 その帰り道で俺は罰ゲームからレナが来るまでのことを詳細にゲロっていた。 そのたびにレナは楽しそうに相槌を打っていた。 なんとか友情関係が崩れることはなさそうだ。 「で、結局。圭一君は3回もイっちゃったんだ!?」 「はい、その通りでございます、レナ様」 「しかも一分で…へぇ~すごいね、あはははは」 こうなったらもう笑うしかない。俺とレナは雛見沢の夜道で気持ち悪いくらいに大声で笑いあっていた。 「あっはははははは!ぶわっははははは!」 「ねぇ、圭一君?」 レナの歩みが止まる。 「ん、何だ?」 「早すぎ」 喉が、痒い… 終
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1-1 困惑の急接近 進め(あう♪) 進め(あう♪) われら雛見沢~ぁ ちっちゃい者倶楽部!! 入道雲の空の下、村にセミの合唱と共に、ちいさき者たちの掛け声が流れていた。 「ぜんたぁ~い、気をつけろ。なのです」 込み入った所を抜け、畑の広がる見通しのいい場所に着くと、先頭を行く梨花がくるりと振り返って緩い警戒を呼び掛けてきた。すると皆の歌声がぴたりと止み、それから富田と沙都子の表情が引き締まったものになっていく。 「そしてよーい、ドン☆ なのですー」 「ほほ……! そう来ると思いましたわ!」 そして不意に駆け出す梨花とほぼ同時に、しんがりの沙都子が飛び出し……。 「……えっ? 北じょ、わわっ!」 追い越し様の彼女に、一つ前にいた富田は手をぎゅっと掴まれて――「富田さんは羽入さんの手を。羽入さんは岡村さんの手をお掴みになって!」――「う……うんっ! 羽入っ!」――「あう! がっちりきゃっちなのです。岡村ーぁ、おーてーて~、つーないでぇ~♪」――「はい、羽入ちゃん」 「そして私は…………それっ!」――「みぃ……っ?!」 仲間たちが手に手を繋ぎ合っている最中、沙都子はウエストポーチから取り出したなわとびを梨花に向けて放った。するとグリップが分銅として働き見事、梨花の左腕を捕らえた。 「みぃ。このままじゃボク、沙都子に調教されちゃうのです~☆」 「おーっほっほっほっ! でしたらお望み通り、私が梨花を立派な競走馬に調教してさし上げますわー!」 たぶん沙都子と梨花の「調教」の意味は似て非なるものなのだろうなと、くねくねと悶えながら走る梨花を見ながら富田は思った。 そんな調子で練り歩くちいさな一団に、通りすがりの村人があいさつをして寄越す。その都度、天敵であるレナの情報を聞き、もしくは向こうから教えてきてくれたりした。 話が済むと、村人の股下を這って潜り抜け、そしてレナの居ないと思われる方へと向かう。 雛見沢ちっちゃい者倶楽部と竜宮レナ。 この二つは相容れない関係であり、それは正確に、かつ簡潔に「獲物と捕食者」と言い表せた。とはいえ、捕まったりしても実際はレナといっしょに遊んだり、家でお菓子をご馳走されたりと、実にほのぼのとした関係なのだが。それでも部員もとい子供たちは遊びの天才ゆえに、レナの魔手から真剣に潜り抜けていた。 入部資格は小柄であること。飛び入りも可。 あの部活メンバーの活動とは別物で、雛見沢ちっちゃい者倶楽部(以降『雛クラ』と略)の活動内容は、村のあちこちにある「潜れそうなもの」を、部長を先頭に潜って行くというもの。 普段は月一回。夏休み等、長期の休みには部長の呼び掛けで倶楽部活動が行われる。 部活メンバーに罰ゲームがある様に、雛クラにも似たものがある。それは可愛らしい倶楽部名らしからぬ厳しいものだった。 部長の潜れたものが潜れない場合は退部。 これは創立者にして初代部長である魅音が作ったもので、それは部長といえども適応された。 去年の七月。創立第一日目にして早々と、部長の座がうっかり魅音からちゃっかり梨花へと受け継がれて一年あまり。 現在の部員構成は、現部長の北条沙都子を始め、副部長に富田大樹。古手梨花に岡村傑、そして古手羽入を新たに加えた計五人。 これまでの日々に各人、劇的なできごとがあったり、その身の上に波風とまではいかないまでもさざなみが生じたりもした。 夏休みも二週間が過ぎ、親密な関係になった組は当然、濃密な時間を。まだそうではない、擦れ違う者たちにも兆しが芽生え、想いの波紋を伝えんと、その手を伸ばしたのだった。 「……羽入。ボクと並び順を交換こするのです」 緊張状態に飽きてきた梨花が悪い癖を出し始めた。 「あぅ……。梨花の前は嫌なのです。レナが来たら絶対、突き飛ばす気なのです」 前部長の態度に、現部長は大きな目を細め寛容に微笑んでいた。ならば自分は副部長として一応の義務を果たそうと、富田は眼鏡に手を添え、遠くを見据えた。 「ほほ……。真面目さんがいますわ」 「…………? もしかして、僕のこと?」 沙都子は頷いて、前の三人を見る。 梨花・岡村・羽入の並び順は梨花が下がったことで、ぐだぐだに横へと広がる感が見えていた。 女性陣は頭にそれぞれ、つばの大きな麦わら帽子とサンバイザー。野球少年たちは言わずもがなの野球帽を。手には仲良く、赤に青の水着入れが握られていた。 沙都子から掴まれた手と手はそのまま、富田と沙都子を繋ぎ、ふたりを歩ませていた。 「……前はあのひとたちに任せて……私たちは後ろに気をつけていればよろしいんですのよ」 そう言って沙都子は手を引いて、歩調を緩めだした。 「……骨はちゃんと、拾って上げますのですよ」 「あぅ……梨花がひどいのです……。岡村~ぁ、僕を助けてなのです~」 羽入は綿菓子を思わせる甘く、やわらかな声を上げて岡村の腕にしがみついた。後ろからでもわかるくらい、親友の腕に押し付けられて歪み、大きく形を変える羽入の脇乳に、自然と目が釘付けになっていた。 「……岡村。ボクを敵に回したら……くすくす。どうしてあげようかしら」 岡村の首に、白蛇を思わせる手がしゅるりと巻かれ「がおー」と、そのぽにょぽにょした首筋を甘噛みする。 「り……っ、梨花ちゃんも羽入ちゃんも、仲良くしなくちゃダメだよ……っ」 岡村はどちらの少女に花を持たせるべきか、いつもの様に二人の間で困っていた。 「…………岡村さんが、羨ましいですのね……」 「え……っ?!」 沙都子に突然話しかけられて、富田は顔を引き攣らせた。 「……ずっと、見てましたわよね……」 「っ……?! ごっ……ゴメンッ!」 有無を言わずに謝る。しかし沙都子は聞く耳を持たず、その先を言い放った。 「大きくてやわらかい、羽入さんの胸を」 「ぅ……ぁ……。ごめん…………」 軽蔑のまなざしと妙な言い回しに、富田は縮こまって呻いた。 「今日から僕も、雛クラに入ることになりましたのです。みんなについて行ける様にがんばりたいと思いますのです。あう!」 沙都子の誕生日の翌日。 未だ興奮の覚め遣らぬ雛クラ部員に梨花のきまぐれ招集が掛かり、半ドンの昼下がりの境内にて、羽入の入部式が行われていた。 「……そのたれぱいじゃあ、魅音の二の舞になるのが落ちなのです」 「あううーっ! たっ、垂れてなんかいないのですっ!!」 梨花の毒を含んだ嫌味に、羽入がたぷたぷんっと猛抗議をする。 「ほんと?! 羽入ちゃんっ!」 「あうう――っ?! 岡村の目は節穴なのですか~ぁ――っ!!」 岡村の間の悪い食い付きに、羽入がぶるんったぷんっと猛抗議をする。 「ほらほら富田! 羽入ちゃんのおっぱい、ぶるんぶるんっだよ!」 「そ……そんなの、見ればわかるよ……っ!」 「……いやらしいひとたちですこと……っ!」 「ちょっ?! 北条ーっ?! ごっ……誤解だよ! おっ、岡村も何とか言えよーっ!」 腰の引けた富田も一緒くたにして、沙都子が胸を隠して嘆息する。 「違うよ~沙っちゃん。 僕と富田が言ってるのはねー。羽入ちゃんも、雛クラに入ってくれて良かったねってことなんだよ。ねっ、富田!!」 「うをわっ?! ちょっ、おま……っ! 羽入もやっ……止めれぇ~」 「あうあう♪ あうう♪ あうう♪ あう☆ あう☆」 岡村と、いつの間にか機嫌の直った羽入は富田を巻き込んで、くるくるとはしゃぎだした。 「おほほ。雛クラもいよいよ賑やかに…………えっ、ちょっと?! わ、私もですのぉォォおーッ?!」 哀れ、なかよしトリオを楽しげに眺めていた沙都子も巻き込まれる。 「くすくす。いつもより余計に回って、実に楽しそうなのです」 賽銭箱の前に座り、梨花はひとり、笑壷に入っていた。 「みーみみみみみ。けいちゅ~、けいちゅ~。そしてこれから言うボクの言葉に傾聴してほしいのです」 ひとしきりふざけあった挙句、疲れてへたり込み、てんでんばらばらに倒れている一同。 梨花はその愛しい仲間たちにぱんぱんと手を叩きながら歩み寄る。そのうちの、尻を上げて突っ伏している羽入の尻を引っ叩き、ついでに汚れを掃ってやる。 「これからは沙都子。貴女に雛クラを、引っ張って行って欲しいのです」 そしてもう片方の手を沙都子に差し出して、梨花は滑らかに宣言した。 「でかぱい沙都子が潜れるものなら、岡村とうし女もモーまんたいなのです」 梨花の言う通り、沙都子を先頭とした二人は水を得た魚の如く、とまではいかないまでも選定され、だいぶ楽になった障害物を次々と潜って行った。それでもレナには敵わず、羽入とセットでちょくちょくお持ち帰りされていた。 そんな和やかな時間を、しかし富田は少しだけ心配していた。 羽入が入部してきてから、雛クラの雰囲気が緩んできた。 たかが遊び、されど遊びの雛クラにも真剣に取り組んできた沙都子。 彼女は部長でありながら障害物の選定は梨花、もしくは副部長の自分に任せる様になる。 歯応えが無さ過ぎるからだと沙都子は言って、梨花に申し訳なさげに顔を伏せた。 そんな真面目な性挌ゆえ、沙都子は少し口うるさくなりがちなところがある。それは相手を思ってのことなのだが、はたして羽入が嫌がりはしないかと、富田は子供なりに気を揉んだ。 富田は二人の仲が険悪にならない様にと動いたりしてみた。だが沙都子と羽入はそんな気配は露とも見せず、むしろ梨花が嫉妬するほどの友情を示した。 これからの季節にと、沙都子は自分の麦わら帽子を羽入に贈り、また彼女の服を探しに二人で興宮に行ったり、裏山を案内してあげたり。 今日もその麦わら帽子と、沙都子と買ったという大きめのボーダーのTシャツを羽入は着てきた。他にもその他諸々、二人は仲を深め合っている様子だった。 そんな取り越し苦労も楽しい日々の下地となってきたある日。富田はその日々に自ら水を差してしまう。 若気の至り、というには彼には酷であり無常だと言えた。それでも――しかし――結果として――沙都子は富田と距離を置く様になる。 そうしたのは北条なのに……。なのに何だってまだ僕に、構ってくるんだよ…………ッ! 「あはっ。良かった……。ちゃんと冷えてますわよ」 沙都子が小川で冷やしておいたバナナを、水を切って手渡してきた。その眩しい笑顔に、思わず素直にバナナを受け取ってしまう。 「……僕のことはもういいから、北条は遊んできなよ」 富田はバナナに爪を立て、沙都子を三人の所へと進めた。 雛クラには退屈で危険な、とくに潜るものもない、だだっ広い通りを抜け、五人は休憩がてら、沿道の脇を流れる小川で水遊びをしていくことに。富田はそこで、川底の尖った石か何かで足の裏を切ってしまう。 富田はひとり、土手に歩きかけると沙都子がその肩を支えにくる。ケガの手当てをしてあげますわと、こちらの遠慮を押さえ込んで手際良く、富田の足に包帯が巻かれた。 沙都子はその後も富田のとなりで水の流れに爪先を遊ばせながら、水遊びに興じる三人を見つめていた。 「……今は、いいですわ…………。 それより今度は私が、富田さんの代わりに見張りを務めますわね」 たまには部長らしいことをしませんとねとはにかんで、かざす手でサンバイザーをちょこっと上げて、きょろきょろと見張り番を買って出た。 「……だったら座ってるより立って、見張ってた方がいいよ」 「ぁ……。そう、ですわね…………」 明らかに落胆の色を滲ませ、その夏空を思わせる顔容が曇ると、足の傷が痛んだ。 どういう訳だか、沙都子は自分に好意を寄せてきている様に思える。そう思う度に富田は自嘲で歪め、沙都子の気を無下にしてきた。 夏休みが始まり数日ぶりに会った沙都子はぼうと赤ら顔で。夏だから――少しだけ赤面気味なところ、そこがまた可愛らしく――とにかく、妙にそわそわしていた彼女が気になって理由を聞いてみるも何も話そうとしない。その内にふたりは口論となり…………。 それ以前にも、自分は沙都子の弱みに付け込んで似た様な、嫌がることをたくさんしてきた。 ゆらりと沙都子が立ち上がり、背を向けて離れて往く。 「っ……。ほうっ……っ」 見ない様にしていたのに、その背中を無意識に――眼――想いが追ってしまい、女々しい声までが喉から出掛かった。 「ほら! あなたたちも早く……って、富田! アンタなに暢気に座ってるのよっ!」 声のする方を見ると梨花と、早く早くと軽トラックの影から岡村と羽入も自分たちを呼んでいるのが見えた。 「……富田さん。立てまして……?」 そう言いながら立ち上がろうとする富田に近寄りまた、沙都子が手を差し伸べてくる。 「……僕はもういいから北条も…………さっさと隠れなよっ!」 「あっ……!」 その手を払い除け、富田は痛めた足を庇って歩いて行く。すると首を後ろから捕まれた。 「いっ?! いたっ! ……ほっ…………北条?! なな……何するんだよ!」 「……あなたは下に、行ってくださいましッ!」 それに手首まで、かなり強い力で捻られ、富田は問答無用で車体の下に押し込まれた。 「あぅ……。何だか、沙都子が恐いのです」 爪先で土を蹴散らかして、岡村の隣にしゃがみ込んだ沙都子に羽入が怯える。 「……沙っちゃん。富田がその……またヘンなコトをしちゃったのかな……?」 それに対して沙都子はとくに、何も答えなかった。なおも何か言おうとする岡村を、富田は金的を入れて黙らせる。苦悶の滲んだ非難とあうあうという声は無視。自業自得だぎゃッ?! 「……あんたはさっきからナニ沙都子を邪険にし・て・い・る・の・よッ!!」 「いだっ?! ちょっ……痛゛い゛! 痛゛だだっ!!」 野球帽を吹き飛ばし、眼鏡が壊されかねない膝の連打が、富田の顔面に打ち込まれだす。ついでにこれは岡村の分と、梨花は細い足首で富田の首を掴み、車体と垂直になる様、乱暴に促してくる。 「や……やめろってば! 何で…………お前だって北条のことあまり好く…………?」 「っ……。…………ふん」――「…………とにかく、古手には……関係ないだろ」 富田は半ばやけくそで叫び、しかし既に言葉をすり替えた。 場を考えてという理由もあったが、途中で梨花が表情を、くちびるを噛んで目を逸らしたから。だからそれ以上――それにその横顔がなぜかひどく切なく映り――梨花を、哀しませたくはなかった。でも……。 自分の、沙都子に対する態度を鑑みれば文句の一つ。それこそまたあの膝の一つでも、出してきそうなものなのに……。 まさかそんなにも梨花は、沙都子と羽入の仲を……。沙都子のことが嫌いになるほど、ふたりの仲を羨んでいるのだろうか。 もしそうだとしたら、さっきの機転はファインプレイだったかもしれなかった。 「富田さん、早く……。体の向きを、変えてくださいまし……」 「……あっ。う、うん」 頭をこっち側に……足は出ない様にと言われ、富田は大人しく従う。 状況がそうさせているのか、声の感じからいって、今の沙都子から不機嫌な気配は見られない。 なんだかんだ言ってもやはり好きになった手前、沙都子に嫌われるのは避けたいのが本音だ。なのに慣れない意地を張って、沙都子と梨花の怒りを買った報いがこれなのだろうか。 沙都子の言う通りにした――から――のに――、梨花の白い足が目の前にきてしまった。しかも約二名の刺す様な視線も感じる。この状況は幸といっていいものか、それとも不幸――はてはフラグ――なのか……。 「…………大根足、なんて思ってたら……」 「――っ?!」 ひとりは無言で見下ろしていたが、もう一人の方は違った。 ……何だか今日は女の子に驚かされてばかりな気がする。隣にいる親友なら「それは富田が悪いんだよ~」とでも宣ってくれそうだ。それはさておいて。 富田は目の前に突き出された膝をまじまじと見る。この足の、どこをどう見たらそう表現できるのだろうか。 白魚の指といい緑の黒髪といい、それらの持ち主に相応しい、綺麗でほっそりとした脚だった。それなのに何だってこんな、車の下になんて潜り込もうとするのか……。仲間たちの様に、車の……。そこで富田は野暮な考えを止めた。 梨花もやっぱり自分たちと同じだと。 オヤシロさまの生まれ変わりだと、大人たちからは大切にされているがひとたび……否。遊びや部活でも、それも最近になってからは猫を被らなくなっていた。むしろそのギャップを楽しんでいる様な…………やっぱり梨花は自分たちよりも少し、大人びた少女らしい。 ならばこちらも楽しむべく、脅しで突き出された膝を退かしつつ、舐める様に見入る。どうやら擦り傷の類は見られなかった。なぜだか少しほっとする。 さきほどの、膝の連打の際に見えた純白の下着。あわよくばと――魔が差して――つい、スカートの中をのごぎゃっ?! 「……富田ももっと足を引っ込めやがれなのです。沙都子」 「ええ…………。わかりましたわ……」 にぱー★ と嗤いながら再び富田の顔面に膝を入れた梨花は奥へと、羽入に引っ張られていく。手はしっかりとスカートを押さえていたりと、このへんのたしなみは持ち合わせているらしい。もっとも、岡村がそこを凝視しているところを見るに、あかんべをしている手の方はスカートがめくれ上がっているのだが。 それを横目に、自分も這って行こうとすると頭を掴まれぐいと、かなりの力で引っ張られた。どことなくその手からは怒りの様なものが感じられた。 今日の自分は女難の相があり、梨花に絡まれる原因の何割かは沙都子のせい、という免罪符の表情で正面に顔を向けると鼻先に、今にもくっつきそうなほどに、沙都子の股間が付き付けられていた。そしてそのまま…………え? ……う、うわっ?! むぎゅ……。 なんと沙都子は、富田の頭に尻でのしかかってきた。 じゃり……がり、がりり……。ぎり、ギ……ジャリ…………。 そして、のしかかる尻がわずかに……沙都子の息遣いで揺れると眼鏡がにじられて、レンズの悲鳴がツルを伝わってきた。 なぜ沙都子がこんなことをしてくるのか……。それは自分を嫌っているからにほかない。でも、これじゃあむしろ……くっ! く、ぁ…………あッ……! 髪の上をすりすり……。不意にうなじをむにゅり……。 後頭部の上を揺れ動く尻に、脳ではなく直接触れている首の、その下の延髄から悦びの信号が出て、その刺激を受けた海パンの中のモノはすでに力強くいきり勃っていた。 しゃべることができないので何とかこちらの意思を伝えようと手を動かすも、うつ伏せでは肩がうまく動いてくれない。それでも無理矢理に動かすと、もがく手がぺちぺちと、となりの人肌を叩きだして、吸い付く肌触りに手が離れたがらない始末。 「ひゃんっ?!」 だからまたかな……と、覚悟を決めていた富田の脇腹にもれなく肘鉄が打ち込まれる顛末。その衝撃で体が跳ねると上から可愛らしい声が。しかしそれもすぐに、憮然とした声音に打って変わる。 「はぁ…………。 富田さんって……梨花とも随分、仲が…………よろしいんですのね……?」 ひとつ溜め息をつき、沙都子は腰を上げくすりと……獲物を捕らえた猫の眼って、見たことありまして……? と、目ではそう問い掛けてきている様に富田には感じた。 「沙っちゃん、しぃー。今そこに、竜宮さんが来てるから、しぃー」 「レナはおしゃべりしてても、僕たちには敏感だから気を付けないとなのです」 「ぁ……。ごめんなさいまし……」 口に人差し指を立てた二人に注意され、俯いた沙都子と目が合う。 「北条……。何でこんなこと、するんだよ」 仰向けになるよう促されていた富田は、眼鏡と息を整えながら沙都子に問い質した。 「…………富田さんはもう……こういうことをしたくは、ありませんの……?」 「こっこっ?! ……こういうこと……って」 耳が、膝の内側でぴったりと塞がれて……視界の端で腰がくねってユラメイて……野球帽が脱がされる。 「……やっぱりシたい、ですわよね……」 「っ……アッ!!」 唐突に、根元から先端へと、富田の硬く反り返っているモノの腹が撫でられた。 「ぁ……っ? 北条……何を……?」 その指先が顔へ……眼鏡を取り上げて沙都子は、自分のシャツの胸元に引っ掛ける。 「……まったく。梨花にまでちょっかいをお出しになるなんて……」 深い胸の谷間で眼鏡が揺れ、微笑む口元からは八重歯が零れていた。 「…………もうお前に……」――そんなことを言われる筋合いなんてないだろ……。 そう続けようとした台詞は沙都子の笑顔に解かれ……そして、微笑みを浮かべてしまう。なのに彼女の微笑は妖しさを深めて、サンバイザーを目深に被り直してそれから……。 「……富田さんのスケベ…………ん……」 「んン……っ?! ウッ、ンンぅーッッ?!」 沙都子は再び、今度は富田の顔面目掛けて腰を下ろしてきた。その拍子にそこの匂いを思い切り吸い込み、だから意識がどこかへ跳びかけた。 洗い立ての洗濯物と、その家庭の匂い。それと、沙都子の香り。 凸と違い、凹である股間からは無粋な臭いなどはせず、その何ともいえない香りに心臓がどくどくと暴れだす。 その手の漫画に、ヒロインの股間に顔を埋め、そこの匂いを嗅いで悦ぶ男の気持ちがこのとき心の底から理解でき、共感できた。しかし…………。 降って沸いた悦びにより、小さくなりはしたが消えてはくれない沙都子への“疑”。 あの日。 心配するあまり、逃げる沙都子を捕まえて押し倒してしまい富田は沙都子にスケベ呼ばわりされた。 二週間前。 罰ゲームをしに、圭一の家から逃げる様に飛び出してきた沙都子。 「うンっ! あふぅ! ふっ……ふう……うふふ……」 苦しくも嬉しげに息を弾ませ、人の顔の上で腰をくねらせて、富田の鼻に股間を擦り付けている。そんな体勢だから顔の上半分は尻からはみ出し、おかげで視界が利いていた。 富田の胸に繊手が置かれ、まさに目と鼻の先で踊るヒップ。 軽トラックの荷台にぶつからぬ様、前屈みから思い切り反らされた背中。 短いながらも汗が、後ろ髪をうなじに張り付かせ、耳にまで散った紅葉。 昔は、いたずらをされると泣いて嫌がっていた沙都子。 今は、慕う男にいなくなった兄を重ねて、笑顔の絶えなくなった沙都子。 それなのに何故、こんなことを……。 そんなこと、決まってるだろ……っ?! 北条はもう…………くっ……そぉおおおおッ!! 「ひあっ……!!」 肉圧の下、富田は強引に大口を開けて、埋れ出た下前歯で股間に噛み付く。するとこりゅっとした歯ごたえに、上から高い声がした。 今のって……もしかしてくっ、クリトリスに……っ?! 「あぷっ!」 驚く富田の視界が再び尻で占められ、その谷間と鼻とがぴったりと隙間なく密着。鼻が尻に押し潰される。 「……そんなところに噛り付くなんて…………はぁ。富田さんも、デリカシーが、ぁー……うふふふ。なって、ませんわねぇ……。だから罰を……喰らいなさいましね」 それから口を磨り潰さんと、大胆な腰遣いでこにゅこにゅと、下半身でのフレンチキスが富田を戒め、罰し始めた。 顔面全体余すところ無く、尻が激しくいざり、にじられる。しばらくして、熱っぽい声が聞こえだし、沙都子は靴底を後頭部の下に入れ、足全体で包み込むとぎゅううう……と、頭を絞め付けてくる。 肩は膝で固められ、十指は繊手に絡め獲られ、形ばかりの抵抗が除々に圧殺されていった。 鼻腔といわず咽喉、気管、肺臓と、色香によって呼吸器が侵され、沙都子で胸がいっぱいになっていく。 確かに息苦しい。だがそれでも、自慰では感じたことのないほどの快楽に浸かって、「苦」は「楽」となり「快」へと変わっていく。 頭はとうに霞み、沙都子への疑問に憤りもここにきて、どうでもよくなってきていた。 「あう……。沙都子の腰遣いがすごくいやらしいのです…………」 「はっ、羽入ちゃん……っ。背中におっぱいが当たってる……っ! それに今は、竜宮さんを見張ってなくっちゃ……」 「…………それは梨花がやってくれていますですから……。だから、岡村の甘い精を僕に…………」 「うわっ! お、おちんちんまでいじられたらで……でちゃうよぅ…………」 どうやら自分たちの姿に、羽入が中てられたらしい。手玉に取られた岡村が嬉しい悲鳴を洩らし始めた。 親友の呟きに、二人の痴態を想像してその上、想いを寄せる少女の尻を顔面に押し付けられるという状況に、虚ろだった意識は次第と固まっていき、それはある形……本能を形作った! 「んん……ッ?! あは、はぁ……。やっとその気に……え、あんっ?! とっ……富田さ、ンあーっ!!」 沙都子の腰を浮かせる為、不意に自分から顔を動かして、その生まれた隙を突く。武器でもあり弱点とも言えるそこに富田が吸い付くと、沙都子が驚いて大きな声で鳴いた。それでも富田は怯まない。 「あっ……あッ! くぅ……ンンッ!! はぁあ! ふあっ……あンッ!!」 吸盤を――胸を吸う様を――イメージし、思い切り香気を吸う。 沙都子の反応の変わり様に味を占め富田は、股間の香りを夢中になって胸いっぱいに取り込む。 「やぁ……。そんなところの臭いをか……あ、アーッ! かっ……か、嗅がないで……」 今更ナニ言ってるんだよ……。 沙都子はなおも何度か訴えてきたが、富田はそのたびに嗤ってやった。 強さの内にある優しさと弱さ。 その弱さに付け込んでもっと、沙都子を泣かせたい。いや、鳴かせたい……。 泣かせた回数ならあの人には負けない。それにこれから自分も、北条の鳴き声を聴きながら、北条と前みたいに……いや。前原さんと北条がしている以上の事を……北条が鳴いて叫ぶくらいのコトをしてやる……っ!! 「ンあーッ! そ……そんな、おっぱいまで……あっ! いっア……っは……ああぁーッ!!」今やふたりの攻守は完全に逆転していた。 富田は弱まった手を掴み返し、手と手を重ねたてのひらで、沙都子の双房を掴む。 前と、それと窄まりへの攻撃に加え、少女という器をはみ出し気味な胸を力を込めてぐにゅぐにゅと弄ぶ。そして肉の頂でつんつん、こにゅこにゅと自己主張してくる乳首を思い切り、ふたりの指でぐ……ぐっ、ぐにゅう……といざり、爪を喰い込ませる。 「んんッ……くぅぅ…………。う、うっ…………くっ、ぁっ……」 恥ずかしいのだろう、洩れ出る声を塞ごうと、何度か手を引かれた。そのたびに肉芽に噛み付いて腰砕けにし、大きく息を吸い込んで……。 「……あふうッ、ふぁ……あ、ああ……あはぁあアアア――ッッ!!」 熱い息を尻の穴に吹き込んで喝を入れた。 「は…………あ……ぁぁ……。はー……あ、ふぁ……」 そうして大人しくなった沙都子を、富田は本格的に味わいだす。 「あう……。富田がすごくてくにしゃんぽいのです…………」 「あう……ぅ! はっ、にゅうちゃ……んんっ!! む、胸までされたらもっ……もう、本当にっ!!」 「…………ちょっとあなたたち。少し、静かにしなさい。ハメ外し過ぎるとマジで、レナに見つかるわよ……?」 梨花の注意に一同が静まる。 確かに。このまたと無い機会をもっと楽しむ為にも、静かにシないと……。 「ふう…………はあ……ぁ。とみ……たさん、何を……? ぇぁ……っ、ふむううぅーッッ!!」富田は、ふたりの手の内の片方を胸から上へと引き剥がし、吐息を感じるところに突き入れた。 「んっ……?! んんうぅッ?! ふぅンむっ……! ん、あー……! いっはっ……やあッ、んむッーゥゥ~ッッ!!」 ふたりの指で口の中を掻き回しだすとすぐに沙都子が激しく呻きだした。そのぐちゅぐちゅという音――悲痛な声――がイマラチオを連想させ、ペニスがどくどくどくっと、痛みを伴わせるほどの武者震いを起こす。そして巣の中の雛の如く、富田の一物は海パンの中からもっともっとと、手の動きを急かした。 胸にあったふたりで一対はシャツの内側に滑り込んで、手の動きでいっしょに揉む様に指示。戸惑う仕草を指をつねり、自らの胸をスク水越しにぐにっぐにゅっとめり込ませて屈服させる。それで素直になった沙都子の股間に、幾度目かのフレンチキスの愛撫を施した。 「……くウッンンッ?! アッ…………あアーッッ! あ……あはっ。い……イイ、ですわぁ……」 あわよくば、とでも思ったのだろう。 富田はそれで、沙都子がどんな声を出してくれるのか、無意識に指を引き、沙都子の口に隙間を作る。すると「イイ」と返ってきたではないか……! でも……。 それは決して「富田大樹は北条沙都子が好き」への答えなどではない。それでも最後に、想いを寄せていた少女の、女の声を自分が引き出した。今はもう、富田にはそれで満足だった。ただそれは、富田の真心だけのこと。無念のすべてを包み、癒すには至らなかった。 本能は無念の欠片を劣情へと変えて、真心に忍び寄る……。 魔獣の如く涎を滴せるそれの胴体が、獣欲になりかけの無念によってより太く猛り、首を伸ばし、開放の出口を求め荒ぶりだす……。 沙都子との魅惑の顔面騎上位という状態が続いた為、富田は酸欠を起こし掛けていた。だから体も頭も楽な方、楽な方へと行きたがってきた。 すなわち、このまま沙都子を貫き、串刺しにする。 今は周りにニンゲンが居るが、この熱が冷めない内に……。それとは別に頭の真ん前で、天使と悪魔の格好をした梨花と羽入が手を繋ぎ、なにやらこちらに囁きかけていた……。 『くすくす……。我慢なんて体に毒よ。さっさと押し倒して、ヤるコトやっちゃいなさいよ。まったく、じれったいわねぇ……』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦しっこなのです~♪ あうー♪♪』 (チョっ……フタリとモ。僕の、沙都子ヘノマ心ヲ聴いテなカッタのカよ! ソレと羽入っ! 僕の沙都子をソンなメで見るナーッ!) 『「僕の沙都子」って……それも二回。キモ。それと沙都子は基本的に私のだから。まったく、図々しいわねぇ……』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦しっこなのです~♪ あうー♪♪』 (そっ、そレハ…………言バノ文ってやつダよ……! それと、イっ回目の「僕の、沙都子」にはちゃんと句点がハイってるだろ。だーかーらー羽入! 沙都子に輪姦しっこユーな!!) 『男のくせに言い訳ばかりして……。何が「僕は鉄壁」よ。鉄壁なのはあそこだけじゃない。まったく、このふにゃチン……!』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦し』――『いいかげん黙れ、この淫魔……!』 羽入のボケに、梨花がツッコミの掌底を入れて、脳内コントにオチが付く。でもこれじゃあ、悪魔の梨花が勝っちゃったってことは……。あと「僕は鉄壁」ってナニ? ついさっきまで悪鬼じみた欲に駆られていたというのに、二人の身勝手な言い分に…………あっ……っ! はたして、富田がソレ等と自分とが同じだったと気付いたのが先か、伸びていた羽入が起き上がったのが先か。 彼女は立ち上がると、富田の頭上のずっと高いところを指し示した。 頭の中の映像はここから現実に切り替わる。 「はっはっ……ッ! ン……ン…………くンっ?! ンっはぁ…………ンっ、ンンッ!」 「……いたっ!!」 軽く達したのか、荷台に額を当て、沙都子が控えめに嬌声をあげた。 「僕の声が……届いてしまったのですか…………?」 肩で息をしている沙都子から目を外し、羽入を見上げる。その表情は目に見えて翳っていた。声色もどこか、普段が普段なのでその差異は大きく目立つ。 「……あれって……。うあ……っ」 口を開くと、未だ荒い息遣いの沙都子の尻に撫でられ、思わず声が上擦る。 「……沙都子は特に、やさしくしてあげないと……あむ、なのですよ。う、んむ……ちゅぴ……」 言っていることはまっとうだが、岡村から搾ったモノを啜りながら言われても……。滅多に見せない憂い顔が台無しだ。それよりも富田は再度、羽入に訊ねるべく口を開きかけた。 「…………おふたりとも、おしゃべりはダメ、でしてよ……」 しかし沙都子のヒッププレスに邪魔をされてしまう。 「これからは富田も、前みたいに『沙都子』って、呼んであげるといいのです。あうあう! ……あう。それはともかく。 狂気、じゃなくて、僕電波での梨花は魔女らしく『ベクトルアロ→』でツッコむのがお約束なのに……。でも、鬼神の僕には効かないのです~」 どきりとすることを言われた。 突然の羽入の言葉にはぐらかされて、言葉を失ってしまった。それでも、やるべきことはやらないと。 羽入とのおしゃべり――内に芽生えた沙都子への不安――想い――少しだけなつかしく、苦い記憶――は、今は置いておく。 富田は、沙都子の芳香を胸いっぱいに吸い込んでぷぅーっと噴き込む。 攻めるでもなくいじわるでもなく、対話への息吹。対して沙都子は小さく声を漏らし、そして背中が美しい弧を描いた。さらに夏空の天辺からの日差しがサンバイザーで弾けて七色にきらめいた。 ……あ、あれっ?! 指が……抜けない? 下からの行為に、沙都子はおもむろに尻をずらし、富田の口を自由にした。そして富田も沙都子の口から完全に指を引き抜こうとしたのだが……。 富田が沙都子の口に指を入れてしばらくが経つと、沙都子はふたりの指を噛んだりしてきた。痛くはあったが富田には甘噛みに感じられ、むしろ心地良いくらいだった。 「…………どう、でふの……? 富田さんもき……気持ひ、イイ……?」 「……くっ、ううゥ!!」 羽入のあの、精液に濡れた顔が目蓋をちらつき、沙都子のこの、明らかに発情した声が耳をくすぐる。そして極み付きの、視界零の顔面騎上位。 扱かれずとも――指先ひとつ、ひと撫でで――いや、何もしなくても――もれなく、親友の後を追えることだろう。 「ほらぁ……気持ひイイって言いまへんほぉ……まぁーた、おくちほ塞ひじゃい、まふあよぉ……? ほらぁ……あはは……。あはははっ!」 ぷちゅっ……くにゅ、くちゅう……っ。こりゅこにゅちゅっ! こちゅっ……こにゅちゅぷ……。 「ぷあっ……うぷっ! さ……さとっ、ぷゅぱあっ!」 柔の断罪ともいうべき猛攻が下され、富田は地上に居ながらに溺れ掛けた。……やっぱり怒ってるよな……。指、噛りついたまんま、ぜんぜん離してくれないし……。 それも一つの謝り方かと、沙都子のなすがままを受け入れても良かったのだが……指が、痛い。もう甘噛みとはいえないくらい、痛い。それにこの痛みは沙都子も感じているはず……。 間隙を突けば、何とかしゃべることはできる。だからちゃんと謝って、この虎鋏じみたトラップを解く。それから精意…………じゃなくって。せ……せい、意……。誠、意……そ、それ! 誠意を見せないと……! 今や上も下もぐちゃぐちゃのぬちゃぬちゃ。 そんなオツムとムスコでは、少し前だったなら誠意も沙都子も何もかもを白く、塗り潰しかねなかった。だけど今は大丈夫、だと思う。さっきの羽入のおかげかもしれない。 富田は口の中から引き抜くのではなく、沙都子の指を庇おうと動いた。しかし噛む力が緩むときを見計らうも、ふたりして同時に仕掛けたらしく、絡み合った指と指は再びひとつに組み合わさってしまう。 「ごめん北条。その……僕が悪かったから本当にごめん。だから、指を噛むのは止めよう……? お前だって、痛いだろ?」 いつも通り、沙都子を苗字で呼んでしまったことを、富田は密かに悔やんだ。それはそうと、沙都子は態度を変えずに、さらに腰の動きを加速させだした。 「あぁ……くっ! あ、あともう少しでもっと……ンンっ! ……ですから富田さんも……い、いっしょに……っ! ンッ……ふぁ……ああッ!」 ふたりの指は沙都子の口の端、葉巻の様に咥えられもう、動かせそうにない。 抜けた口調は戻り、口の中で悩ましく踊っていた舌と指とがさらにさらに熱く戯れだす。 沙都子をこんな風にしたのが圭一だとしても……。それでも今は…………今だけは僕が……ッ!! 「沙都……子ぉお――おオオッ!!」 「……えっ?! きゃんっ!!」 富田は沙都子の首を両足で掴み、そうっと上体を引き寄せた。 沙都子の行為によって次第に富田の体が車体下からずれ出てきて、沙都子もそのまま出るに任せていたらしい。それを富田は、岡村と羽入の位置が自分から幾らか離れていることから気付いた。 「ぁ……。富田さんの……硬くて、それにすごく熱い……ですわ……はぁ……ん。ウっ……ンンッ!! ふあ……はあっ。ぁ…………あふぅ…………」 驚いたのは始めだけだった。沙都子は富田の意図を察し、自然とシックスナインの体位になる。 富田は潰れテントにほおずりと、夏よりも熱い吐息を服越しの股間で感じた。直接喰らいたい悔しさをじゅちゅ……ぢゅちゅうーぅと、滲み出てくる蜜を吸うことで晴らした。 「あう……ふたりとも、もう赤くはないのに…………すごいのです。 そのままふたりとも仲良く、なのですよ♪」 「はあっ……! 羽入ちゃ、あんっ! そっ……こお尻いっ! アっ……あっ、またっ! ……ああーっ。いっ……イクイクう~ゥあ――ッッ!」 「……アンタたちねぇ…………え……?」 また梨花のぼやきが始まる……そのタイミングに、鉄の嘶きが割って入ってきた。 「……うっ、嘘……でイ゛あ゛っ?! ア゛……ッがっがあ゛……っ!!」 雛クラ部員が隠れ蓑にしていた軽トラック。 そのエンジンが三度咳き込み嘯くと、サイドブレーキが落とされ、誰かの悲鳴が削られ、べきりという音がした。 「りっ、梨花ああぁーっ!!」 「羽入ちゃんは離れて……!」 そんな緊迫した仲間たちのすぐ傍で、富田と沙都子はお互いの首に足を絡めて抱き合い、絶頂に体を震わせていた。 リトル・エクステンド 1-2に続く - -
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男はすべからく 変 態 である。 私達はこの言葉の意味を知っていた。 理解していた。 ……いや、これはしていなかったということか? そういうことになるのだろうか? 少なくとも、理解しているつもりはあったのだ。 おおむね、まあこういうことだろうな…と。 なぜならそれは彼を知っていたから。 彼を通して、それを知っているつもりだったから。 だからこの言葉の意味。 変化の『変』に擬態の『態』。 別にむずかしくもなんともない。 性的な意味で著しく逸脱しているニンゲン。 そういうふうに解釈していた。 けれどその解釈が甘かった。 その認識も甘かった。 ……甘すぎたのだ。 というかそもそも、私達はわかった気になっていただけなのだ。ほんとは何も知らなかった。 本当の変態とは一体どんなものなのか。 どんな行為を言うのか。……どんな人間なのか。 実際のところはまるでわかってなどいない、ただの子羊。 彼を見てそう思っていただけ。 それもただの勘違い。 自意識過剰もいいところ。 たかが小娘が何を言っているのかと。 この時の私達は、それを痛感させられていた。 この一人の『変態』男によって……。 「はぁはぁはぁはぁ、おうおう、た、たまらねぇ! 最高だぜみんなああぁぁぁぁぁ!!!」 きもち悪い声。 ニンゲンの声。 男の声。 それが私達のすぐ目の前で発せられている。 ……というより、獣が鳴いていると言った方が正しいか。 だってこんなものもうヒトじゃない。 ハァハァハァ。 オウオウオウ。 こんなのまともなニンゲンのものじゃない。 有り得ない。 ……なぜこの獣が、こんな声を出してるかって? なるほど、もっともな質問ね……。 知りたい? ほんとに知りたいの? ほんっとに知りたいのね? 聞きたいんだ……そう。 答えてもいい。 けど後悔しても知らないわよ。 不快になっても責任は取らない。 ……まあそれほどのことでもないのだけど、ね。 男の人にとってはふ~んくらいの出来事。 でも女の子にとってはちょっとショックかも。 というか、きもちわるくなるかもね。 圭一がオナニーしてるの。 私達の前で。 とってもきもちよさそ~に、ね。 これはその声。 オレンジ色の夕日。 夕暮れ時の雛見沢。 放課後の教室。 部活終わりの私達……。 時と舞台はそこ。 演者は一名、見学者は五人。 メンバーは後で紹介するとして……。 「ああ最高だ! み、みんなの前でするオナニーがこんなにイイなんて! さ、さいこー!」 とりあえず演者はこの男、前原圭一。 部活の勝利者でもあり、だからこその演者ね。 そして……。 「も、もっと見て!見てくれみんな! 魅音レナ沙都子梨花ちゃん羽入もっともっとぉ!!」 …………そう。 わざわざ紹介してくれてありがとう。 手間が省けたわ。 今彼が言った人間達が今日の部活の敗者。 二位も六位も関係ない。 みな等しい敗者。 だからこその見学者、ね。 つまり私達はみな圭一に絶対服従なわけ。 逆らえないの。 だから見させられてるの。 彼の自慰行為を。 俺のオナニーを見てくれ!だってさ。 「あああずっとずっとこれがやりたかった! この雛見沢に来てからずっとずっと思ってた!お前達に俺のオナニーを見てもらいたかったんだよおおおぉぉぉぉぉ!!!」 「「「「「………………………」」」」」 静まり返る教室。 横に並んだ五つのイス。 それに座る五人の少女達……。 誰も喋ろうとしない。 誰も話そうとしない。 できない。 獣の声だけが教室に響いていく。 それはそうね。 この状況で口を開けるものなどいはしない。 私もそうだし……。 他の子もこんな状況に直面したことがないだろう。 生まれて初めての経験よね。 仲間である圭一のオナニー。 男の自慰を……『見る』。 こんなもの普通の女の子は経験する機会などない。 恋人がいる子ですら、どうだか……。 まあ罰ゲームだし、しかたないんだけどね。 全ては負けた私達に責任がある。 だから耐えないとね? いくら圭一が……この男が獣になろうとも……。 「うおお、こ、これはたまらん! 魅音レナ沙都子梨花ちゃん羽入のおいしそうでかぁいい身体が俺の目の前にうおおおぉぉぉぉすっげえ興奮するたまんねええぇぇぇぇぇ!!!」 「……………う、く……ちょ……ちょっと……」 ああでも……さすがにきっついみたい。 みんな今にも泣き出しそう。 ……わかる。 恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのよね。 ただでさえ圭一はなんか色々唸ってるし。 自慰を見るのも初めて。 こんな圭一も初めて。 こんな男も……初めて。 おまけにこれは……私達を『オカズ』にしているってことよね? そういうことよね? さっきからチラチラチラチラ、いやらしい目で見ているもの。 私達の身体を……。 魅ぃの胸とか。 レナのふとももとか。 沙都子の唇とか。 私の髪とか。 この子の服とか。 それらをもう舐めるように。 ねぶるように。 いやらしく視姦していた。 ……それはダメだ。 あーそれはダメだわ圭一。 さすがの私もそれは救えない。 そんなことしてたら、この部長さんだって黙っていないわよ? 当然、口を挟んでいく。 「えーとぉ……あ、あのさ圭ちゃ」 「くおおうたまらんたまらん!こんなきもちいいオナニーは初めてだ! おまえらほんとに最高だ最高の仲間達だ!!! ほんと雛見沢に来てよかったぜえええぇぇぇぇぇ!!!」 「い、いやちょっと聞いて……そのね」 「ああほんとに最高マジで最高だぜお前達!どいつもこいつもかぁいくて綺麗でいやらしくてさすが雛見沢を代表する美少女だ!これは最高のオカズだぜうおおおおお!!!」 「えーと…………ん~!!!」 ……さすが部長の魅ぃ。 止めようとしたのね? なんとか声をかけられたみたい。 でも残念、途中でやめちゃうの。 だって圭一、聞いてないものね。 まったく。 それにやっぱり引け目もあるみたい。 そう、部長であるがゆえ止められないの。 だって罰ゲームは絶対だもの。 それは全員が身にしみてわかっていることだものね。 それを部長自らやぶるわけにはいかない。 だから強くは言えないの。 かわいそうな魅ぃ。 でもよくがんばったと思う。 この状況で、よく自慰中の男に声なんてかけられたものだわ。 オヤシロ様も褒めてるわ。 あうあうよく頑張ったのですよ~、パチパチパチ♪ みんなの緊張も少し解けたみたい。 いままでずっと黙っていた子も次々口を開いていく。 「はぅ……す、すご……い……圭一くん……オットセイがおっきい……はぅぅぅ……♪」 顔を赤くするレナ。 恥ずかしいのかしら? まあ無理もないわ。 ショックよね……。 顔を覆いたくなるのもわかる。 目を塞ぎたくなるのもわかるわ。 とってもウブな反応。 ……でもしっかり見てるのよね、この子。 指の隙間からちゃっかり圭一のを覗いてる。 言葉も何かいやらしい。 すごいだとかおっきいだとか……それ、誰かと比べてるの? エッチな子ね。 清純そうにみえて、実は結構『知ってそう』な子。 いやらしいレナ……。 「うぅ……さ、最低……さいてぇ、ですわ……圭一さん……こ、こんな人だったなんて……」 身震いする沙都子。 きもちわるいのかしら? まあ、この年でこれはキツすぎるか……。 そもそもこれが何かもわかってないんじゃないかしら。 悟史はこんなことしないだろうし。 でも本能的に汚らしいものだとは感じるのね。 礼儀正しい?沙都子ならなおさらのこと。 ……おのれ圭一。 よくも私の可愛い沙都子を! 私の天使を! 私の女神をッ!!! いくら罰ゲームとはいえ許せない。 沙都子の無垢な瞳によくもあんなものを……。 後でどんなお仕置きをしてやろうかしら。 おぼえときなさい。 たっぷりイジメてあげるわ。 「みーみー♪ 圭一がオオカミさんになったのですよ~♪ うーうーうー!」 そして余裕な私。 もう超余裕な梨花ちゃま。 さすがオヤシロ様の巫女。 むしろ見たいくらい。 見てやりたいくらいだわ! だって『女』として興味あるもの! ……なんてね。 ほんとは結構恥ずかしいの。 ちょっと強がってみせただけ……。 私だって百年も生きたんだもの、一応知識としては知っている。 これがどんなものか。 けど見るのはこれが初めてだし、ましてやあの圭一のなんて……もう生々しすぎる。 実際すごい光景だし。 あんな激しくシテいいものなんだ……い、痛くないの? ま、まあそれはいいとして、最後の一人ね。 まあこの子は……。 「あぅ……圭一の……あぅあぅ、圭一、圭一の……すごいのです……圭一、圭一の……」 ……もう一人いるのだけど、まあこの子はいいでしょう。 だって絶対『知ってる』もの。 レナの反応に近いものがあるけれど、この子は別格。 もっとすごいことも経験してるはず。 なにやらモノ欲しそうだしね……。 もうヨダレだらだら垂れまくり。 何かブツブツ言ってる。 さすが元人妻ね。 千年振りに『欲しく』なっちゃったのかしら? いやらしい……。 しかもあんたは圭一にベタ惚れだものね。 なおさら咥えたいわけだ。 くすくすくす♪ まあ、見学者はだいたいこんなところね。 人間三人と魔女が一人。 神様が一人。 制そうとしたり、恥ずかしがったり。 嫌がったり、澄まそうとしたり、欲情したり……。 みんなそれぞれ反応はちがうのだけど、共通していることが一つあるの。 気がついた? 『ひいてる』ってこと。 もうねドン引きよ。 この前原圭一という男に。 勘弁してよって。 「はぁはぁはぁ、ああそうだもっと見てくれ! そして俺にひいてくれみんな! こんな最低で最悪な男をもっと軽蔑してくれみんなああぁぁぁぁぁ!!!」 「……………………」 だめだこの男……なんとかしないと! そんな言葉がみんなの頭をよぎったでしょうね。 このどうしようもないスケベ。 救いようのないド変態野郎。 こんなのを仲間だなんて……。 私達に見られてるっていうのに、ひかれてるっていうのに、それに喜んでるって、どうなの? 普通こういうのは、どっちかというと罰ゲームよりじゃない? なんで勝者のごほうびなのよ。 どうりで今日の部活、やたら気合が入ってると思ったわ。 これを企んでいたからなのね。 ねぇ圭一、あんたそれほどまでにこれがシタかったわけ? 他にもっと色々なかったの? 魅音に胸を揉ませてくれとか。 レナにスカートを覗かせてくれとか。 私に股間をナデナデして欲しいとか。 この子に巫女服を脱いで欲しい……とか。 この子、結構いい身体つきしてるわよ? おっぱいも無駄にでかいし、お尻もムッチムチ。 元人妻だからテクニックもすごいだろうし、男のツボも心得てるでしょうね。 くすくすくす♪ あんたがどうしてもって言うなら、抱かせてやってもよかったのに。このおいしそうな神様を。 飼い主の私が許可す……ああうるさいわねあぅあぅ言うなあぅあぅ! 嘘よ嘘、じょーだん! …………え? 一人忘れてるって? 大切な親友を? 何言ってんのよ馬鹿! 沙都子は私の天使なの! 選択肢にいれるわけないじゃない! 圭一みたいなスケベに指一本触れさせないわ! だからかわりにあんたをって話でしょ! 綺麗な金色の髪も! クリっとした瞳も! こんもり膨らんだ胸も! プリっと可愛い尻も! 沙都子の身体は私のものなの! 昨夜だってこの未成熟な身体に私のをさんざん……。 …………話が逸れたわね。 まあそれは置いといて、今は圭一の話ね。 「あああ最高! 最高のオナニーだ! 部活最高! 部活メンバーさいこおおお!!!」 ……圭一はもう大興奮だわ。 息が荒いし顔も赤い……オットセイも元気いっぱい。 よっぽど私達に視られるのがイイのね。 ピクピクしながらどんどん膨れ上がってるわ。 さすがにこれは私も恥ずかしい。 魅ぃもレナも沙都子もこの子も、もう顔が真っ赤。 当然止めさせようとする。 だってもう見てられないもの。 罰ゲームでもこれは無理! 「あ、あのさ圭ちゃん……もうやめない? おじさんさすがにこれはキッツイわ、あははは」 「はぅ、レナも恥ずかしいよぅ……す、すごいとは思うけど、ね? け、圭一くんもうやめよ?」 「い、いますぐやめるべきですわ! に、に~に~が、わたくしのに~に~像がぁぁぁ!!」 彼女達の羞恥の表情。 もう見てられないとばかりに目がウロウロしている。 三人ともね。 魅ぃはちょっと無理してる? ほんとは部長でいるのもつらいはずなのに、頑張ってる。 レナはわりとノリノリ? 恥ずかしいとか言いつつ、じつはもっと見たいんじゃないかしら。 沙都子はもう大ショック! 悔しいけど愛しのに~に~だものね。 そりゃあ止めさせたい。 「何言ってんだよおまえら!こんな最高のオナニーやめられっかよおおおおああその目イイその目もっともっともっとその微妙な目線ちょうだいちょうだいうおおおたまらんっ!」 ……でも圭一はやめない。 やめるわけがない。 むしろそれを快感にかえていく始末。 魅ぃもレナも沙都子ももうドン引き。 それがはからずも彼の言う微妙な目線とやらを作り上げていくの。 「ああそれそれそれ! もっとその目で俺を見てもっと軽蔑してえぇぇ! さあ梨花ちゃんもほらほら! もっと三人みたいに俺を見てくれほらほらほら巫女様ああぁぁぁぁぁ!!!」 「み……みー♪ 圭一はとっても変態さんなのですね。 もう付き合ってられないのです、とっとと失せやがれなのですよこの豚野郎♪ にぱー♪」 「ああああそれそれ最高最高ぉぉぉ!? 幼女巫女さんに罵られたたまらぁぁん!!!」 …………焦った。 いきなり振らないでよ、びっくりするじゃない。 それに言われなくても内心はドン引きなの! もうあんたの顔を見るのも恥ずかしいの! よくも魔女の私をここまで引かせられたものだわ……。 でも……う~ん、見たいような見たくないような。 恥ずかしいけど少し興味もある。 百年も生きてきたけれど、こんな光景一度も見たことないし。 退屈は嫌いだから。 私だって女だし、そ、そりゃあそれなりに……ね。 性的なことに興味がないでもない。 何もそれは私だけでもないと思う。 魅ぃやレナや沙都子だって、少なからずあるだろう。 みんな女の子だしね。 男の子の自慰なんて見る機会無い。 見たいとも……思ってる? まあそれが良いことか悪いことかは別にして、いろんな意味で勉強にはなる。 ほら、あれよあれ……お化け屋敷に似てる。 嫌なことは嫌なんだけど、入ってみたい。 ようは『怖いもの見たさ』ってわけね。 みんなそんな微妙な感じ。 仕草も、表情も……。 そしてそれをこの男はオカズにしていくのよね。 私達を見る目もだんだん露骨になってきたわ……。 「うおお、み、魅音のおっぱいすげえでっけえ……レナのふともももムッチリでうまそうだ……沙都子のその無垢な瞳が、た、たまらん! はぁはぁはぁはぁ!!!」 「ちょ、ちょっと圭ちゃん、おじさんの胸そんなに見ないでよ……マ、マジに怒るよ!」 「け、圭一くん、最低だよぅ……さっきからレナの脚ばっかり見てる……へ、変態」 「ケ、ケダモノですわ! あああに~に~助けてに~に~! に~に~に~に~!!!」 「あああ、そ、それでいいんだ! みんな俺を軽蔑して! もっとこの前原圭一を嫌いになってくれ! そ、その汚物を見るような目がたまらなくイイんだよおおおぉぉぉぉ!!!」 ……これだから始末が悪い。 あんたどれだけ変態なのよ。 ここまでくると尊敬するわ。 もう魅ぃもレナも沙都子も、本気で圭一を軽蔑しそうな勢い。 仲間意識はどこへやら。 特に魅ぃとレナはあんたにベタ惚れだったはず。 それも今はどうなのか……怪しい。 沙都子にしたってそう。 もう愛しのに~に~ではなくなってるかもしれない……。 私ももうこの男をまともに見れないかもしれない。 せっかく結構意識してたのに。 私達の恋愛フラグ、バッキバキにしていくわね……まあ今に始まったことでもないけれど。 ただ見ているだけもつまらないから、これを分析してみることにしようかしら。 彼の性格を。 性格というより、性癖か。 ただスケベとかそういうものではなくて、もっと深く考えてみよう。 まずは私達、『女の子にオナニーを見てもらいたい』という点。 これで一つでてくるわね。 そう、つまりは露出癖。 露出狂? まあどっちでもいいか。 そんな感じの性癖。 ズボンのチャックを開けて、オットセイを見せつけていく。 私達部活メンバー全員に。 それだけでも恥ずかしいことなのに、更にそれをシゴいていく。 自慰をしているのよね…。 普通、そんなことニンゲンにはできないわ。 だから圭一は獣かも。 ケダモノ。 それがたまらんとか言ってるのだから、彼は露出狂。 これは間違いない。 一つ決定。 次にさっき圭一が言った言葉。 『みんな俺を軽蔑してくれ』ってやつ。 これでまた一つ。 これは、被虐性癖。 ちょっと難しいか。 マゾヒズム、マゾヒスト。 もうマゾでいいか。 Mなのよ。 圭一はM。 それも真性のドMね。 だって嫌われたいんだもの、私達に。 普通は好かれたいわよね、人には。 ましてや圭一はこれだけの美少女に囲まれている。 魅ぃやレナとはまだただの友人だけれど、いつか恋人同士になりたいと思ってるだろうし。 でもそんなものすっ飛ばして、逆に女の子に嫌われることを望んでいく男。 軽蔑してって。 これで決まりね。 圭一はドM。 あんたはドMなのよこの豚野郎! 二つ目の性癖決定。 う~ん……あとは何があるだろう。 自慰行為自体は男なら誰でもするらしいし……。 …………え?女の子もするだろうって? し、しないわよそんなこと! 馬鹿じゃないの! ひゃ、百年生きた私だって、こ、こんなのしたこと……ないこともない……けど。 沙都子の寝顔を見ながら、ちょっとだけ下を弄ってみたことはあるけど……あんまりだった。 やっぱり身体は未成熟、それほどきもちよくなかったわね。 ちょっと熱くなったくらい? あ、あんたみたいなエロ神様と一緒にするな! それはあんたがエロエロだから! 普通の女の子は自慰なんてしない! オナニーなんてしないの! 私もしな……。 …………また話が逸れる! なんで私の自慰の話なの! 今は圭一の性癖の話でしょ! あーもうじゃああれはどうあれあれ、マゾのぎゃくぎゃく! サド! サドヒスト! SよS、ドS! は?僕に対するいつもの梨花の態度のことなのですねってやかましいわ! ん……あ、これ結構いいんじゃない? 適当に言っただけだったけど、当たってるわよね? だって圭一は私達に『オナニーを見せつけている』んだもの。 罰ゲームと称して。 魅ぃは内心は恥ずかしがってるだろうし。 レナもたぶん同じ。 沙都子は今にも泣きそう。 一見マゾ的なこの行為にも、女の子を精神的にはずかしめたいという、加虐性癖……。 それも含まれたってわけね、まったくやばい罰ゲームだわ。 つまり圭一はサドヒストでもあった。 マゾヒストでサドヒストの圭一。 ん……矛盾してる? サドマゾって言うのかしら? ……危なすぎるわねこの男。 よく今までみんな無事で……。 いや無事ではないのか? 現に今もこうして被害にあってるし、みんなドン引きだしね…。 それでも、これだけならまだマシだった。 こうしてただ私達の前で自慰をするだけなら。 でも圭一のスケベっぷり。 というか変態っぷりはこれだけに留まらなかったの……。 「はぁはぁはぁ……あぁもうガマンできねぇ! 魅音!レナあぁぁぁっ!!!」 突然奇声を発する圭一。 そしてこちらに近づいてくる。 もちろん自慰を続けたまま、ね? そして言葉どおり、彼は隣合わせに座っているあの二人へと向かっていくの……。 「へ……ちょ、ちょ、ちょ、ちょっ!!! け、圭ちゃんタンマタンマぁぁぁ!!!」 「ふ、ふええぇぇぇ!? 圭一くんストップストップ!ちょ、ちょっと待ってえぇぇぇ!!!」 悲鳴をあげる魅ぃとレナ。 おもわずイスから立ち上がるわ。 そして逃げようとするの。 当然よね。 ペニスをシゴきながら男が近づいてきたんだから、誰だってそうする。 お、犯されるッ!!! きっとそう思ったのね。 女の本能として逃げるはずだわ。 でも圭一はそんな二人を止めるの。 しっかりと自慰は続けたまま、頼みこんでいくの。 「う、動くな! 動かないでくれ魅音レナ! べ、べつに何もしないから! 絶対お前達の身体には触らない! 断言する! だからどうかそのままイスに座っててくれぇぇぇ!!!」 「う……け、圭ちゃん……ちょっと……」 「はぅ……そ、そんなこと言われても、レナ達困っちゃうよぉ……」 その変態的な行動とは裏腹に、意外と紳士にお願いしていく圭一。 困惑する魅ぃとレナ。 ……なんておかしな光景。 ペニスをシゴきながらの男が、女にペコペコと頭を下げてる。 魅ぃとレナは微妙な表情をしていく。 そして二人で顔を見合わせていくの。 ど、どうしよう魅ぃちゃん? ど、どうするって言ったって……。 といった感じかしら。 そしてしばらくそうすると、しかたなく二人はイスに座りなおしていくの。 まあ罰ゲームだし。 それに自分達が何かされるわけでもないと思ったみたい。 少なくとも『身体は』無事! だから魅ぃとレナは、耐えていくことを選んだの。 なんて健気なのかしら……。 自分の前で……自分の顔のすぐそばでの『それ』に、グっと耐えていく……。 「はぁはぁはぁ、ああ魅音とレナすっげえかぁいい……これはたまんねぇぜぇ……」 「ちょ、圭ちゃんあんまり近づけないでって! お、おじさんの顔に、つ、付く付く!」 「圭一くんの……あぁすごい、すごいよぉ……レナのお顔のすぐそばで……はぅぅぅ……」 興奮していく圭一。 手の動きもますます速まっていくわ。 もう遠慮なくシゴいていくの。 それに魅ぃとレナは悲鳴をあげていく。 鳴いていくの。 だってこんなの異常だものね。 二人の顔のすぐそば。 すぐそこにあるんだから。 圭一のビキビキのオットセイが。 ちょっと腰を突き出されれば、もう顔に接してしまう。 それくらいほんと目の前に、ある。 女の子の顔のすぐそばで、自慰をしていく圭一。 これは彼にはたまらないのでしょうね。 もっとも二人にはとんだ災難だけど、ね。 これには部長の魅ぃもうろたえざるをえない。 「ほらほらほらどうだ魅音! おまえの顔のすぐそばに俺のオットセイがあるぜ! あー付いちまう付いちまう、魅音の顔に先っぽが付いちまいそうだたまらんぜー!!!」 「ちょ、ちょっと圭ちゃ……こ、これはさすがにあたしも……や、やめてって……」 「何言ってんだ!これは罰ゲームなんだぞ! ほらもっと見ろみろ俺のをほらあぁぁ!!」 「ひ!? や、やめてって……やめてよ圭ちゃん……う……」 どんどん腰を突き出していく圭一。 もうやりたい放題だ。 セクハラどころじゃない……。 魅ぃはそれをなんとか見ないようにとあちらこちらに視線を反らす。 けど圭一は逃さない。 魅ぃが左を見ればそっちに。 右に逃げればそちらに。 オットセイを移動させていくの。 あ……あ~付いちゃう付いちゃう。 火照った顔にいまにも圭一のが付いちゃうそう……。 なんてかわいそうな魅ぃ。 同じ雛見沢御三家の人間として同情する。 助けはしないけど。 一人称もあたしになって、すっかり乙女モードで弱っている。 根は純情だものね。 でもね魅ぃ、それじゃあ余計に圭一を興奮させるだけよ? こういうのは大好物だものね。 ああほらほら、言わんこっちゃない。 圭一は更にオットセイをヒクつかせていく……。 「はぁはぁ!あああ最高だ!!! 魅音の目の前で!そのかぁいい顔の目の前でペニスをシゴけるなんて! 俺は生まれてきてよかったぜえええぇぇぇぇぇ!!!」 「!? な、なに、かぁいいだなんて言ったって何もでないよ……け、圭ちゃんのバカ!」 ……いや魅ぃ、嬉しいのバレバレだから。 フラグまた立った? さすが圭一……。 計算でやってるなら大したものだけど、たぶんちがうわね。 夢中でつい口に出た感じか。 そして圭一はまだ止まらない。 今度は魅ぃの隣に座っているレナにまで毒牙を向ける。 オットセイをクククっと横に移動させていき、もう一人のかぁいい女の子。 鉈女ね。 レナの顔の目の前でまたそれをシゴいていく。 もう遠慮なんて微塵もしないのね……。 「ああほらほらレナも! 魅音みたいに俺のをもっとしっかり見るんだほらほらほら!!!」 「や、ちょ、ちょっと圭一くん、レナ恥ずかしいよぅ……そ、そんなに近づけないで……」 「何言ってんだ!レナはかぁいいもの大好きだろうが! 俺のオットセイはどうだかぁいいだろう? ほらほらこんにちわ♪って言ってる、レナちゃんこんにちわ♪ってかぁいくお辞儀してる!」 「い、いや、さすがのレナもそれはちょっと……はぅぅ、そんなピクピクさせないでよぉ……」 レナの顔のすぐ横で、ピョコンピョコンとお辞儀していくオットセイ。 ピョコ、ピョコ、ピョコン。 ……やりすぎ。 それはやりすぎでしょう圭一。 俺のオットセイはかぁいいだろうって。 しかもお辞儀と称して、オットセイを上下に動かすとか……そ、そんなこと、できるんだ? たしかに、た、たしかに『こんにちわ』って言ってるように見えないこともない……け、けど。 や、やめて、なんかおなか痛くなってきた。 笑っちゃダメ笑っちゃダメ、こ、堪えろ私……。 レナは本気で嫌がってるのよ。 ここで笑ったりしたら不謹慎。 私まで変態扱いになる。 …………あんたはなにゲラゲラ笑ってるのよ。 そんなにおかしい? が、我慢しなさい。 圭一のオットセイが!オットセイがかぁいくこんにちは!こんにちは!なのです梨花! じゃないわよ、ば、ばーか。 そんなの見ればわかるから、ゆ、指とか差すな……。 だ、だからやめてって言って……う、うつるから、うつるからやめっ、てぇ……。 「ほーらほらレナ、羽入も梨花ちゃんもあんなに喜んでるぜ! だからおまえももっと喜べ喜べ!どうだ俺のオットセイはかぁいいだろうほ~らほらほら!!!」 「圭一く……み、魅ぃちゃん助けてよぉぉぉ圭一くんを止めてぇぇぇ!?」 「ん……ちょ、ちょっと圭ちゃ……レナ嫌がってる……や、やめな、よ……く、くくく!」 「け、圭一さ……それってどうなってるんですの? な、なんで動いて……ん、んふ!」 ……よく見ると魅ぃと沙都子まで笑いを堪えていた。 魅ぃはともかく、あの沙都子まで!? さっきまであんなに圭一のを嫌悪していたというのに、今はちょっとかぁいい小動物扱い! 私でさえ彼女の笑ったとこなんて滅多に見たことがないのに……なにそれ、ずるい! この男は簡単にそれを引き出した。 あっさりと。 あの海綿体の動きだけで!? というかさっきまであんなドン引きの空気だったのに、なにこの和やかほんわかムード。 有り得ない。 フラグがまた立った。 それも全員いっぺんに。 ビンビンに。 前原圭一……なんて恐ろしい子! さっきまであれだけ軽蔑されていたのに……。 ……さすがね。 さすがだわ圭一。 魅ぃとレナと羽入が惚れるだけのことはある。わかる。 私と沙都子もあぶない。 もう少し大人になったら惚れてしまうかもしれない。 この変態に。 まずい……まずいまずいまずい。 まずいフラグが立ってる。 このままじゃ全員……。 おさわり会 ~はーれむ?~に続く -
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6月に入ったばかりだというのに雛見沢分校の校庭には暑気の陽炎が、地上から立ち昇る妖精のように、あらゆる残像を歪ませながら漂っていた。 生徒たちは誰もがあまりの暑さに不平を言いながら、首筋に噴きでる汗をぬぐいつつ、帰り道を急いでいる。それらは日常の出来事の一つで、ごく平均的な風景にすぎない。 けれども保健室にだけは、異様な空気が張りつめていた。 その部屋にいるのは、唯一の教師である知恵留美子と、都会から転校してきて間もない前原圭一である。 二人は教師と生徒という立場で向かい合っているわりには、交わされる内容が緊迫したものだった。いや、それが病院の診察室で、経験豊かな男性医師と思春期にさしかかった少年であったなら、ありふれた診察風景だったかもしれない。 分校には、保健室はあるが保健の先生はいない。ちょっとした怪我なら、生徒達が自分で絆創膏を貼ったり、留美子が消毒してあげたりするのだ。 留美子は一応保健の先生も兼任しているだけに、生徒の体の悩みなども聞いてあげたりする事もあるのだが、実際そういうことは滅多にない。 まして性の悩みをあけすけに相談してくる生徒など、今までに一人もいなかった。 それだけに、圭一の相談に戸惑いを覚え、思わず声がうわずってしまった…。 「それで、そのう……」 圭一に動揺を悟られまいと、留美子はできるだけ平静を装ったものの、いつものように言葉がスムーズにロをついて出なかった。大きく唾を呑みこむ、その音にさえ気をつかった。 「…せ…精子が出なくなったというのは、いつ頃からなの?」 圭一の顔を見ないようにして、メモを取るふりをした。 「転校してきて、少したってからです。一ヶ月ぐらい前かな」 「それまでは、ちゃ、ちゃんと出ていたわけね?」 「はい」 「でも、どうやってわかったの?」 その質問をしてから留美子は、それがいかに少年の性の核心に踏みこんでしまうかに気づいてあわてた。 「オナニーをしても、出ないんです。前は出たのに……」 留美子は体内の血がざわめくのを感じた。オナニーという言葉さえ、留美子には刺激的であった。 空咳をした。それさえも喉に引っかかって、いかに自分が狼狽しているかをあからさまに露呈してしまっている。 「おれ、中学生になってからオナニーを覚えたんだけど、そのときから精液はいっぱい出ました。それからずっと、今年の春前までは普通だったんだけど……」 留美子にとってはハラハラする内容の相談であったが、この年頃の少年には切実なことなのかもしれない。 「先生、おれ、どうしたらいいんでしょう。勉強も手につかないんです。診察してください。お願いします」 相手が都会っ子で秀才なだけに、適当な問診では済みそうになかった。 「そうねえ…ともかく、診察してみて、先生にわからないようなら、病院に行って貰うしかないけど…」 たたみかけるような圭一の気迫にたじろぎながら、留美子は言った。そのあとでまた、ほぞを噛んだ。 この場合、診察というのは、聴診器を当てたり脈を測るのではない。男子の股間を診るということだ。 留美子が次の言葉を探しているうちに、圭一は後ろを向いて、その場でズボンを脱ぎはじめた。 留美子は男の下半身をさらした姿を見たことがない。 今さら、待ちなさいとも言えない。留美子はただハラハラしなが圭一の後ろ姿を眺めていた。 トランクスも脱いだ圭一が、真っ赤に緊張した顔を振り向けた。下半身は片手で覆われている。 圭一は立ったままだった。そのほうが、診察には都合がいいと思っていた。 圭一は、留美子がどぎまぎする姿を見ながら、自分の無謀な行動にすっかり酔っていた。美しい担任の因った顔や、恥ずかしそうな態度が、彼の興奮をいやがうえにも高めていった。 「先生、診察してください」 圭一は体ごと振りかえり、股間から手を離した。すべてをさらけだして、女教師に近づいた。 一メートルと離れていないところで、うなだれている少年の陰茎を、留美子は初めてまともに見た。それは、大人と変わりないほビ生えそろった恥毛のなかに、ひっそりと埋もれていた。 「私は、医師じゃないから…」 言いわけがましいと思いながらも、そう言わずにはいられない。そして机の引き出しから出した、薄いゴム手袋をはめた。じかに触るなど、とてもできそうになかった。 (あっ……) 再び少年の股間を見つめた留美子は、心のなかで小さく叫んだ。目の前の縮んだ陰茎に、ある種の変化が起きようとしていたのだ。 初めて男性器に接する興奮から、自分の目に幻覚症状でも起きたかと思ったが、そうではなかった。陰毛のなかに遠慮がちに埋もれていたものは、周囲の黒々とした恥毛を静かに押しのけるようにして膨らみかけていた。 「先生、ちゃんと診察してください」 「………」 自分でも不思議だった。無意識のうちに、手袋をはめた右手が伸び、怒張しつつある肉の柱をつまんでいた。 肉柱には、柔らかさと硬さが同居していた。つまり…半勃起状態になっていたのだ。 肉の柱は留美子の指先でとらえられると、それを待っていたかのように一気に膨張した。 「あぁ、駄目よ…」 留美子の口から飛びだした言葉は、およそ教師としてはふさわしくないものだった。 ベテランの教師ならば、一笑に付して、その場を切り抜けたに違いない。けれども男の性の悩みを受けることなど初めての留美子は、なすすべもなく、ただ呆然と、目の前で起きている信じ難い光景を凝視するばかりだった。 「先生、は、早く診察して……」 実は圭一が、こんな相談をもちかけたのは、実は仲間たちとのゲームで最下位になったためのバツゲームであった。-知恵先生に性の悩みを相談!- 圭一には性の悩みなんてものはなかったが、いっそ思いっきり恥ずかしい悩みをデッチあげて、知恵先生の狼狽する様子を後で仲間に教えてり、湧かせてやろうと思ったのである。 ひょっとして 「なんの真似です」 と一喝されるか、相談した段階で専門医に紹介されるのがオチかもしれないな、と考えていたのに、先生は 「診察する」 と言ってくれたのだ。 この段階で圭一は、オナニーの対象としてずっと思い描いてきた担任教師に自分のペニスを掴ませるという願望を、現実のものとすることに決めたのである。圭一は、勉強にも長じていたが、何事にも機敏に即応する、要領のよさと、口先の魔術師とまで呼ばれる奇妙な誘導力も持ち合わせていた。 今の圭一は、自分の勃起したペニスを見せつけることで興奮していた。うろたえている留美子の、驚愕と興奮と混乱に彩られた表情は、何ものにも代え難い心地よさを圭一の脳髄に送りつけ、刺激してやまなかった。被虐的な歓びを、圭一は生まれて初めて味わった。これまで秀才と言われつづけてきた圭一にとって、今経験している羞恥は、大いなる興奮と歓喜をもたらしてくれるものだった。 若いペニスは、あるじの内心の爆発しそうな喜びを忠実に表わしていた。潤んだような留美子の視線を注がれ、ペニスは天を突く勢いでますます膨らんだ。仮性包茎だった一物も、中身の膨張に堪えきれず、亀頭が完全に剥けきっていた。張ちきれそうに突っ張った表皮の端が痛くてたまらない。しかしそれさえも今は快感に変わろうとしている。 圭一は、留美子に握られているペニスヘ視線を落とした。薄いゴム手袋をしているが、素手でじかに触られているのと同じ感触だ。 繊細で、これ以上女を意識させる指は他にない。単にペニスに触られているということにさえ、圭一は人生の歓びを実感せずにはいられなかった。 「せ、先生……なんだか、おれ、変なんです……切なくて……あっ、ああっ……」 圭一が催促するように腰を振った。それは男と女の歓びを迎える直前の、やむにやまれぬ行為によく似ていた。 留美子はうろたえた。男が歓びの頂点に達する瞬間がどんなものであるか、見当がつかない。 「もしかすると……出るかもしれません…ああっ、先生…擦ってください…で、出そうだ…ずっと出なかったのに……出るかも…先生、は、早くしてっ…」 圭一の切羽詰まった声にうながされ、そうするのが教師としての義務であるかのように留美子は指先でつまんでいた肉の帆柱を、今度は五本の指でしっかりと握り直した。そして、まるで咄嗟に思いついたように、肉柱を握った手を動かしはじめた。 圭一は、あまりの興奮と快感に体がふらつくのをこらえ、両手を留美子の肩に置いて我が身を支えた。 留美子は男の勃起をまともに見た。 少年の体に似つかわしくない、ふてぶてしい肉棒が、毒々しいまでに血管を浮きあがらせていなないた。(あ、いやっ…) その時、留美子にとって、思いがけないことが起こった。下腹部の秘められた部分を、稲妻に打たれたような衝撃が走ったかと思うと、肉片が小刻みに震え、明らかにそれとわかる生温かい溶液が湧きだして、パンティに流れだしたのである。 予期しない自分の女性に驚き、圭一に知られたわけでもないのに赤面した。 (私いったい、何をしているの…) そんな疑問は、今となっては全く意味をなさないことがよくわかっていた。 肩に置かれた少年の手に、カが加わった。同時に、せわしない息遣いが一段と速まった。 何が起こるか、留美子にもわかっていた。しかし、圭一の言っているのが真実であるかどうかは、結果を見ないことには判断がつきかねた。勃起しても精通しないという問題に見識を持っていないからだ。陰茎をしごき続けながら、疑問が頭をよぎる。 (本当に精液が出ないの…?) こんなに逞しく勃起し、脈動していながら、精液が出ないとは信じられない。しかし結果を見なくては断定はできない。 「あ-っ、先生ー…」 気張った声をしぽりあげた圭一が、全身を一枚岩のように硬直させて突っ張った。 圭一は、ペニスをしごいている留美子の手に自分の手を重ね、無理矢理にグラインドのスピードをアップさせた。逆らう暇もない。 直後に留美子は、留美子は肉茎が、てのひらのなかで力いっぱい跳ねるのを実感した。避ける暇はなかった。 速射砲から放たれた弾丸のように、白い塊りが顔面を直撃した。一瞬のうちに、脳髄を錯乱させるような濃密な匂いが鼻腔に入りこんだ。続いて噴出するスペルマが、段々と勢いを失いながら、ワンピースの胸元、腹に降り注ぐ。 少年の五体が小気味よく痙攣した。肉棒から放たれた精液の量は、留美子の想像をはるかに超える多さであった。 射精を終えて数秒ほど経って、ようやく圭一は手の動きを止め、留美子の手を自由にした。 「先生、顔に…」 圭一に声をかけられるまで、留美子は縮んでゆく少年の肉茎を握ったまま、ただ呆然としていた。 顔にかかった精液が、たれて口元に流れこもうとしているのに気付いてハッとなる。 あわてて白濁の液をガーゼで拭き取っている間に、圭一はさっさと身支度を整えていた。 「先生、ありがとう。先生にしてもらったら大丈夫でした。これで勉強に専念できます。本当にありがとうございました」 そう言い残して、圭一はそそくさと保健室を出ていってしまった。 少年の行動が、あまりに呆気なかっただけに、かえって留美子の心に負担として残ることとなった。 ひとけのない保健室に、薬品の匂いに混じって、男の匂いが漂っていることに留美子は気づいた。 窓を開け放つ。暑気が押し寄せてきた。 外気を胸いっぱいに吸いこんだ。しかし男の匂いは消えるどころか、いっそう胸の奥深くに入りこんだようだった。 留美子は激しく頭を振り、たった今起こった衝撃的な事態を頭から払いのけようとした。 しかし、自分のとった行為を忘れようとすればするほど、てのひらで跳ねていた少年の力強い躍動が、再び生々しく思い出された。股間のヒンヤリとした感触に気付く。 留美子はあわててトイレに駆け込んだ。 -了-
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ここのところ、詩音は不機嫌であった。原因は彼女の双子の姉魅音。 魅音は念願叶って想い人の圭一と結ばれ、愛し合うに至っていた。 仲のいい姉妹はお互いの近況報告をかかさずしており、つまり詩音は魅音の惚気話に毎度付き合わされることとなったのだ。愛し合うという事は当然身体の関係もあるのだが、その内容に至ってまで魅音は詩音に逐一報告をしていた。 一方の詩音は想い人の悟史が目を覚まし順調に回復してるにもかかわらず、二人の関係に友人以上の進展はなかった。自分より幼かったはずの姉に先を越されたことや、自分だけが身体の悦びを感じられないことに焦燥感は募り、もはや欲求は爆発寸前であった。 一人では得られない快楽を味わいたい、しかし入院中の悟史に突然そんな我侭は言えるはずもない。 そんな彼女が目に付けたのはいつも無条件に自分の我侭を聞いてくれ、誰よりも信頼の置ける忠臣、葛西であった。 恋人でもない男性に性的な要求をするなんて、他の女の子同様詩音にも、おいそれとできることではない。 普通の相手なら確実にできない。しかし葛西なら・・・ いまさら恥ずかしがるような間柄ではないのではないか?別にいつもの我侭の延長に他ならないのではないか? そうだこれはあくまでも、いつもの我侭と同様のもの。ごく自然に頼んでみればよいのだ。 そう解釈した詩音は行動に踏み切ることを決心した。 葛西に用意してもらった夕食に舌鼓を打った後、葛西が食器の後片付けを終わらせた頃を見計らって詩音はそれを申し入れる。 「葛西ぃ、暇?ちょっとマッサージしてくれません?」 「マッサージですか、構いませんよ」 「じゃあお願いです。道具なんかも用意してあるんで私の部屋でよろしく」 マッサージ、そう、マッサージなのだ。ただほぐしてもらう部位がちょっと特殊なだけなのだ。 多少の後ろめたさが残るのか、そうやって何度も自分に問題ないと言い聞かせながら、詩音は自室へと向かった。 「えー、葛西。今日はこんな道具とか使ってもらおうと思ってるんですよ」 「・・・」 お察しの通り、詩音が取り出した道具とは俗に言う、大人のおもちゃと言うやつだ。 知り合いの伝で入手したものや、いやがらせで葛西自身に買いに行かせたものなどの数点でほとんどが未使用のままであった。 「詩音さん、悪ふざけはやめていただけますか」 「あっはは、いやー冗談で言ってるわけじゃないんだけどな。ちょっと、ホントにそっちのマッサージをしてもらいたい気分で」 はぁー、と葛西は深くため息をついた。 「詩音さん、冗談でも男性に対して言うような発言ではありませんよ。年頃の女性なんですからそろそろ発言には気をつけていただかないと・・・」 「だから冗談じゃないんだってば。葛西、最近お姉と圭ちゃんが付き合いだしたのは知ってますよね?」 「ええ、伺っていますよ」 「そこなんです、お姉はもう女になりました。圭ちゃんに悦ばせてもらって幸せいっぱいなんです。そんな話ばかり毎度聞かさる私の身にもなってよ。つまり私だって溜まってるんです」 「しかし詩音さんには悟史さんがいるじゃありませんか、そうゆうことは彼に頼むのが道理ではありませんか?」 「さ、悟史君とは・・・まだそうゆう関係じゃないし・・・そ、それにまだ体調的に当分無理だって。悟史君にはしてほしいけど私そんなに待てません。私だって気持ちよくなりたいんです。ねぇ葛西、お願いします」 「し、しかし」 「なにも葛西とセックスしようって言ってるわけじゃないんですよ。 ちょっとソコをマッサージして欲しいだけだから。ねっ?いいでしょ葛西」 葛西としては幼少の頃から娘のように思ってきた詩音に性的接触を行うなど、到底考えられることではなかった。 しかし詩音にこのように頼まれては断れないのも事実であった。 「・・・分かりました、あくまでマッサージなんですね」 「わぁ、やっぱり葛西は話の分かる男です」 詩音は満面の笑みを浮かべると、いそいそとベッドに横になった。 「どういった感じがよろしいでしょうか?」 「んー、まぁおまかせするけど・・・道具だけじゃなく手とかも使ってもらえるとうれしいかな」 やれやれ、このお姫様には敵わない。 葛西は苦笑しながら詩音の短いスカートに手をかけた。タイトなものだったので捲り上げずに脱がすことにした。 中学生にしては少々大人びたレースの付いた下着が露わになる。 「あ、あはは。葛西になんて昔はお風呂に入れてもらってたくらいなのに、やっぱりちょっと恥ずかしいですね」 先刻までの威勢のよさはどこへやら、下着姿を見られただけで詩音の顔は真っ赤に染まっていた。 身体もこわばり、緊張していることが見て取れた。 「止めますか?」 「う、ううん、大丈夫。続けてください」 葛西の手が下着の上からその部分にそっと添えられる。触れられるのも初めてなのだろう、それだけで詩音はピクリと反応する。そこから柔らかいふくらみをそっと包みこむと、ゆっくりと上下に動かしてゆく。 詩音はまっすぐ天井を見つめながら大きく深呼吸をするように呼吸をしていた。 次に葛西は指を立て、くすぐるように恥丘に這わせた。 「んんっ、ん。や、やっぱり自分で触るのとは全然違う感覚」 「初めて触れられた感想はどうです?」 「ありゃ、そうゆうこと聞きますか。まぁその、こそばゆいけど気持ちいいです」 「そうですか、ではこれは?」 そう言って、恥丘の割れ目に眠る蕾を指の腹でそっと弾く。 「ひゃぅっ!・・・へ、へへ変な声出しちゃったじゃない!もう」 「ははは、かわいい声でしたよ」 詩音は恥丘を撫でられているときとはまるで違う感触を感じた。頭まで突き抜けるような快楽の波。 もっとそこに触れて欲しい、そう思ったところで次の刺激が訪れた。 「あっ、ん、んぅ・・・」 ぐりぐりと蕾を攻め続けるとそれはすぐに硬く主張をし始めた。 女の子の中でも割と大きい方なのだろう。十分に快感を感じとったソレは下着の上からでも突起が分かるほどであった。さらにその突起より下の方ではじんわりと染みが広がりだしていた。 「これ以上は下着が汚れてしまいます。外しても構いませんか?まぁすでに手遅れではありますが・・・」 暗に濡れていることを指摘され、詩音は再び顔を赤く染めた。 葛西が詩音の返事を待たずに下着を取り外すと、そこには葛西がかつて目にした幼少の頃の姿とはまるで違う、大人の女の艶めかしい、それでいて清らかな景色が広がっていた。葛西もつい、そこに見入ってしまっていた。 「か、葛西?ひょっとして見とれちゃってたりする?あはは、私も成長したでしょ?ずいぶん女らしくなったと思うんだけどねぇ」 恥ずかしさを隠したくて軽口を叩いたのだろうが、立てられた足が所在無くゆらゆらと動き回っていて、恥じらいを感じさせた。 「ええ、とてもきれいですよ。悟史さんにもきっと喜んでもらえるでしょう」 「う、あ、ありがとです」 「さて、ではちょっとコレでも使ってみましょうか?」 そういって葛西が取り出したのは電池式のバイブレーター。 楕円形の小さなものではあるが、スイッチを入れると大きな音で震えだし、振動強度はかなり強いように見える。 振動させたソレを、次の快楽を待ちわびているかのようにヒク付いている秘芯にあてがう。 「わっ、あっ、ああああぁぁっ。あっ、ちょっ、ダメっ!それ、強すぎっ!」 ソレが秘芯を揺らした瞬間、詩音は身体をバタつかせて激しく抵抗した。 予想以上の強い反応を示したので、すぐにそこから離し、スイッチを切る。 「いつも使われているのではないのですか?」 「はぁっ・・・、使ったりもするけど、いつもはその、服の上からだし」 さほど強い刺激を与える自慰行為は行わないのだろう。 普段さんざ生意気を言って、こんな年不相応なアダルトグッズまでそろえて、男に性的な要求までしてきた詩音が服の上から微かに擦るだけの自慰で満足していたことを知り、葛西は思わず笑みをこぼした。 「な、なに笑ってるんですか。葛西、馬鹿にしてる?」 「いえ、いえ、安心しただけですよ。強い刺激は慣れてないようですし、こちらの方がいいですかね?」 「え?何、かさ・・ぃんっ」 葛西は詩音の両の腿を抱き、間に顔を埋めると、そっと秘芯に舌を這わせた。 「ふぁ、ちょっ、葛西そんなことまでするの?んぅ・・・はぁっ、き、汚いですよそんな、ところっ」 秘芯全体を舌で包み込んだり、先端をつついたり、小刻みに揺らしたり、お気に入りのキャンディを味わうようにして詩音のソコをゆったりと愛撫した。 ねっとりした舌の感触、熱い吐息、いまだかつてない快感に詩音は身体を震えさせ、また他人の、それもよく見知った男性の顔が自分の股ぐらに埋もれているという事実がよりいっそう感覚を高ぶらせた。 「んっ、感じてくれてますか詩音さん?」 「きょ、今日の葛西は意地悪です、ぅんっ、あっ、でもっ、なんだかすごくイイです・・・ 感じます。さすがっ、上手ですね葛西」 「お褒めに預かり光栄です。そろそろイキますか?詩音さん」 葛西は舌の動きを早め、さらに根元の方は指を使って、先ほどまでより強く攻めたてた。 「ふっぅ、んっ、んっ、んんんっーー!!!」 ビクンと秘芯が跳ね、愛液を零しながら詩音は果てた。 「はぁっ、はぁー。イっちゃったってやつですね。なんだかすごい脱力感」 「そのままお眠りになられても結構ですよ、処理はちゃんとしますから」 そういいながら詩音から零れる液体を指ですくって見せる。 「あぁ、拭いてくれるんですか?昔トイレの後・・・はさすがに拭いてもらったことないですよねぇ」 「こうゆうのは舐めとるって方法もあるんですよ」 「え?あっ・・・」 葛西は再びソコに顔を近づけ、先ほど攻めていたより下の濡れ傍る部位を舐めあげた。 いまだ溢れ続ける液を吸い取り、痕跡を消してゆく。 「キレイになりました。下着は新しいのを出しますね」 「あ、ありがとう」 葛西は下着を取り出すべく立ちあがろうとしたが、服のすそをつかまれ阻まれる。 「で、でもそんなことをされたら、そっちの奥の方も触れて欲しくなっちゃいます・・・。」 名残惜しそうな表情で俯きがちにつぶやいたその台詞は通常男にとってとても魅力的な申し出である。 しかしこの場合においては葛西に、詩音をなだめなければならないと言うやっかいな仕事が増えたことを意味していた。 「奥って・・・、中ですか?」 「そうです」 「・・・詩音さん、ここまでのことでもすでに限度の越えたことをしています。それは分かりますよね?」 「・・・」 「もちろんこれは結局断らなかった私に責任がありますが。今までのことは詩音さんが望めばなかったことにもできます。ですが中はそうは行きません。貴女も子供ではないんですから分かってると思いますが女性の初めてってのは一回しかないんです。元には戻らないし、目に見てわかるんです。それは好きな方のために取っておくのが道理ってもんです」 「それは、分かってるって。ちょっと前までは私もそう思ってたし、初めては絶対悟史君にもらって欲しいって。でも、最近私気づいたんです。おそらく悟史君には性の知識は皆無です。処女とそうじゃない人の違いなんか分からないだろうし、セックスのやり方を知ってるのかも怪しいです」 「そんなことはないでしょう。彼も年頃の男性ですし、詩音さんの前でそういった態度を見せないだけでは?」 「いえ、それがですね、私最近診療所で悟史君の洗濯くらいは手伝うんですよ。下着なんかも洗って畳んだりしてあげるんだけど・・・その下着にですね結構よく付いてるんですよ、その、精液ってやつが」 「・・・つまり、夢精をしていると」 「そうゆうことなんでしょうね、ティッシュは傍にあるんですから起きている時じゃないでしょうそれも結構べっとりですよ?頻繁に、あんな量夢精で出しちゃうなんて・・・」 「自慰をしていない」 「多分知らないんじゃないかな、オナニーなんて」 「そうでしたか」 「そんな悟史君とですよ、仮に告白が成功して、いずれそうゆうことをしようってことになっても私がリードしてあげなきゃだめなんですよ?」 「それで、慣れておきたいと思ったわけですか?」 「うん、それもあります。私も知らなきゃ教えてあげられないし・・・でもそれだけじゃなくて、私悟史君のことは大好きだし信頼はしてるけど、そんな訳だからそっちの方では全然頼れないんですよ。・・・私だって始めては怖いんです、不安なんです。だから初めては頼れる人にして欲しいんですよ」 葛西は考えた。女性には最初はひどい痛みが伴うものだし、不安を感じるのも当然だ。 だからこそ好きな人と、と思うのであるが、確かに若いうちは男性の知識不足や経験不足で必要以上の痛みを与えられたり望まぬ行為を強いられたりと、大好きな相手との初体験が最悪な思い出になるケースも少なくない。 詩音の言うことももっともである。 「私葛西のことは一番信頼してるから、葛西なら安心なんです」 今ここで自分が貫通式をすれば、若造がするより全然痛みも少なくしてあげれるだろう。 今度詩音が大好きな相手とする初めての経験を痛みもなく気持ちいいだけの幸せの時間にしてあげられるだろう。 そんな風に詩音の言い分を肯定的に考えてしまっている自分に気付き、葛西は苦笑した。もう完全に詩音のペースだ。ひとたびコレにはまってしまったらもう逃れられないのだ。 「後悔しませんか?」 「大丈夫」 「痛みが伴いますよ?」 「葛西なら他の人がやるより痛くしないと信じてます」 それ以上聞くことはしなかった。 視線を詩音の秘所に戻し、そっと触れてみると先ほどキレイにしたはずのそこはもう湿り気を帯びていた。 準備はもう十分である。硬く閉じられる秘裂を探り当て、そっと小指を挿し込む。 「ぅ、ん・・・」 小指一本の圧力でも、何物の進入も許したことのないソコはかすかな悲鳴をあげる。 指は負担をかけないようゆっくりと進入しまた後退し、痛がる子を慰めるように甘い快楽を与える。 詩音は持続的な鈍い痛みを感じながらも、徐々にそれが快楽のパルスにかき消されていくのを感じていた。 しかしこれではまだ足りない。最終的には悟史の肉棒をやすやすと咥えられるほどにしなければならないのだ。葛西は小指の動きに幅を持たせ、入り口をほぐすようにして拡げていった。 「いっ、ぅう」 痛みも増すのだろう、詩音の顔が苦痛に歪む。痛みを紛らわせようと葛西は空いている左手で陰核への刺激を加えた。 「痛みが酷いようでしたらおっしゃってください。無理することはありません」 「ふっ、ぅ、が、我慢できる痛みですっ。痛気持ちいいってゆうか・・・ぁ、 気持ちイほうが勝ってるかな。もっと・・・もっと触れて」 「承知しました」 指の動きを早める、一度抜き出し、間髪いれずに人指し指に差し替える、内壁を引っかくような動作を加える。 葛西の指が自分の中で暴れ、掻き回されるのを感じ、詩音は身体を火照らせた。 指の動きが激しくなるにつれ快い感覚も増してゆく。 「んぅ、はぁ、イイっ、これ、イイ・・・って、はれ?」 これから絶頂に上り詰めようというところで突然指が引き抜かれる。 「や、やめちゃうの?」 「せっかくよくなったところですみません、ですが今が一番いいタイミングかと思いまして」 葛西は詩音の用意した道具類の中から、男性器を模したシリコン製の性具――いわゆるディルドを取り出した。 何本かあったが、一番柔らかいものを選んだ。 「あぁ、ついに入っちゃうのか」 横目でちらりとそれを見た。 その太さで大事なところをこじ開けられることに詩音は若干の恐怖を覚えたが、彼女の中はそれを欲してひどく疼いていた。堅く目を瞑り、痛みに備える。 「力を抜いてください、詩音さん」 入り口にあてがわれる。小さな口が押し広げられる、詩音は痛みに襲われ声を漏らす。 内壁の抵抗に逆らいそれは奥へ進む。深いところまで到達し、進攻は止められる。 血は出なかった。 「うくぅ・・・は、入った?」 「ええ、根元までしっかりと咥えられてますよ。見てみますか?」 そう言って葛西は詩音の両足を持ち上げ腰を浮かせる。 「わ、わ、ホントに入っちゃってる。なんだかめちゃめちゃ恥ずかしいデス・・・」 「痛みは大丈夫ですか?」 「ええ、入る瞬間は痛かったけど、入ってしまえば全然」 「馴染むまでちょっとそのままにしておきましょう。お茶を入れてきますね」 「え?ちょっ、女の子この状態で放置?ちょっと、かさいー!」 詩音の抗議の声を聞き流し葛西は台所へと消えた。 「お待たせしました、詩音さん」 カップを載せた盆を手に葛西は寝室へ戻った。 「遅い!ってゆうか行っちゃうとかありえないし。ひょっとして葛西っていつもエッチの最中に女の子ほったらかしたりするの!?」 「ははは、そういうわけでは」 小さなテーブルに盆を置き、ティーカップを自分の手元へ、蓋付きでストローの挿さったマグカップを詩音に手渡す。 「ぬるめに淹れました」 「あ、どうもです。まぁ確かに喉は乾いていたところだけど」 寝たままの状態でストローに口をのばす。葛西もカップを傾け、二人はほっと一息ついた。 「お茶請けのクッキーもどうぞ。破片をベッドにこぼさぬよう注意してください」 「一口でほうっちゃうから。ん、おいしいですねコレ」 「穀倉の駅前の店のものです」 「あーあの喫茶店、一度入ったことありますよねー・・・って、なんでこんなくつろいでるんですか私たち。おかしくないですか?この状況。私下半身丸出しですよ?こんなぶっといのアソコに突っ込まれたままだし。比べて葛西は一切乱れのないスーツ姿だし。なに優雅にお茶してるのさ!ってゆうか口に出したらかえって恥ずかしくなったし!」 くくく、と葛西はこらえきれずにふきだす。 「な!また笑って!」 「い、いえすみません、くく。確かにこの状況でお茶を楽しむ男女はあまりいないかもしれませんが、詩音さんも初めて犯された娘の態度じゃありませんよ。あまりに普段と変わらないので、くくく、可笑しくて・・・」 「も、もう。葛西だからですよ。されてるのが葛西にだから、なんか緊張しないんです。 痛くなくしてくれましたし、恐怖もほとんど感じませんでした」 「それでは私はお役に立てましたか?」 「ええ、ま、そりゃ。感謝してます」 「ふふ、ではそろそろ最後の仕上げに入りましょうか」 仕上げとは当然、その詩音に挿さったままの情欲棒で詩音を絶頂へと導くことである。 先ほどから詩音のソコは中途半端な刺激により疼いたままであった。葛西はカップを置き、腰を上げる。 「あ、あれ?ちょっと葛西!」 突然、詩音が驚きの声を上げる。 「どうかしましたか?」 「か、葛西のそ、そこ。なんかすごく張ってるみたいなんですけど・・・」 葛西は視線を下に落とし、自らの身体に起きた変化を目の当たりにする。 言われるまで気付かなかった。詩音のわがままに付き合いしぶしぶやっているものだと、特に色欲はないと、そう思い込んでいた。いつごろからだろうか?いやもしかしたら最初からかもしれない。 目の前の少女の裸身に、痴態に、自分は欲情していたのだと、葛西はこのとき初めて気付いた。 「あっ、も、申し訳ありません。見苦しいものを」 葛西は慌てていた。歴戦の極道人ともあろう葛西にもこの事態はあまりに不測であった。 「詩音さんに対しこのような情を抱くなどあってはならないことです。お望みとあらば後日ケジメを取らせて頂きます」 「えっ、い、いや別に気にしてないから私。その、葛西も男だったってだけですよ。さっきからあんまり涼しい顔してるもんだから私の身体なんかまるっきし興味もないのかと思ってました。ずっとそのままだったら私自信なくしたかもよ?そんなに魅力のない身体なのかって、ははは」 「そんな訳ありません。これは自身の言い訳に聞こえるでしょうが、詩音さんのこの身体を前にして欲情しない男などいませんよ」 「あ、はは。それ今の葛西が言うとすごい説得力あります。・・・あの、私の方こそごめんなさい、私ばかり気持ちよくしてもらっちゃって。葛西のこと全く考えてませんでした。 こんなに、我慢させちゃってたんですね」 そっと、葛西の隆起した部分に触れる。いとおしむようにそれを撫でた。 「い、いけません触れたりしては・・・詩音さんが気に病むことではありません。これは私の精神力不足ゆえですから」 「でもいつも我侭ばかり言って葛西には迷惑かけてますよね、私」 「自覚があるのでしたら今後は慎んで頂きたいのですが・・・」 「うーん、多分慎まないけどね」 即答に落胆の色を見せつつも詩音らしいと葛西は思う。 うやうやしい会話に気を取られている間に詩音の指はジッパーを引き下ろし、硬く反り立ったものを取り出していた。 「ねぇ葛西。これ、私に挿入れてもいいですよ?」 「し、詩音さん!それはなりませんよ!」 冗談とは取れなかった。現に今葛西のものは詩音に握られ、手淫とまではいかないものの惚けそうになるような快楽を与えられているのだから。 あと30も若い青二才であったならすでに詩音に覆いかぶさっていることだろう。 「だって、治まらないじゃないコレ。私のせいだし・・・」 「あとでトイレにでもいって何とかできますから」 「私はシてもらって葛西にだけ一人でさせるなんて、ヒドい女みたいじゃないですか。そんなの申し訳なさすぎですよ」 いつもは自分の迷惑だの、身の危険だのをまるで考えやしないのに、なぜこんなときばかり自分を気遣うのだろうか、優しさを見せるタイミングが悪すぎる。 葛西は心の中で悪態をつく。 「それに私もどうせならこんな無機質な棒じゃなくて、葛西のあったかいやつでシてもらう方がうれしいです。どうせ二人とも気持ちよくならなくちゃ治まらないなら一緒にやっちゃった方が効率いいって。だから葛西の・・・ください」 ああぁ、そんな男殺しな台詞をはかないで欲しい。もっともらしい理由をつけて心を揺さぶらないで欲しい。自身の中の眠っていた欲望が目を覚ましてしまう! 葛西本日3度目の心の葛藤が始まった。 葛西とて男だ。若くて可愛い女の子を目の前にしヤリたいかヤリたくないかと聞かれればヤリたいに決まっている。 ましてや目の前の少女は、葛西が生涯想いを寄せ続ける女性に生き写しである。想い人とは結局なすことのできなかった交わりの夢を、この少女にその面影をのせて果たしたい。そんな想いが頭をよぎる。 しかし、駄目だ。自分は彼女に忠誠を誓った。彼女の娘を信頼によって任されているのだ。彼女だけでない彼、父親にだってそうだ。お前ならと、絶対の信頼を受けているのだ。それを踏みにじるような真似はできない。葛西は首を横に振る。 「お母さんたちに義理立てしてます?気にすることないですよ。私とシたからって裏切ったことになんかならないです。だって私葛西に傷つけられてなんかいませんし、私の我侭聞いて良くしてくれてるだけじゃないですか。葛西は私にとって体の一部みたいなもんなんです。だから私、葛西にだったら何されても平気なんです」 天真爛漫な微笑みに魅せられ、葛西は眩暈をしそうになるのを感じた。 そうか、誰かの面影を重ねてのことではない、自分は目の前のこの少女それ自身を欲しているのだ。そう気付いた。 「ね?葛西、私葛西とシたいです」 わが子のように思ってきた。立場上厳しく叱ることはできなかったが我侭を聞くのは苦ではなかった。 親にも言えないようなことも打ち明けられた、親子より多くの時間を共に過ごした、親子よりも強い絆を感じていた。 それでもどうしても手に入らない血の繋がり、その溝を埋めるために身体を求め合うのはもしかしたら至極当然のことなのかもしれない。 「詩音さん・・・」 もう心は決まっていた。葛西は横たわる詩音の足元に跪き、彼女を侵す禍々しい性具を抜き取る。 それは詩音の蜜を絡めとって妖しい光を放っていた。葛西は自身の肉棒に儀棒を擦りつけ、蜜を奪い取った。にちゃにちゃと卑猥な音を立てながら葛西の大事なものが自身の体液によって汚されていく、詩音にはその光景がひどく官能的に思えた。 用済みになった玩具を投げ捨て、葛西は詩音に跨った。 至近距離で互いの荒い吐息が感じられる。詩音の額に軽いキスを落とすと、葛西は詩音の中へ侵入した。 「ふっ・・・、ぅん」 まだ若干の痛みは感じるものの、詩音の秘所は快く葛西のソレを受け入れた。 肉壁に包めれた葛西はさらに膨張し、肉棒に押し広げられた詩音はさらにキツク締め付ける。 詩音はその中を熱いもので満たされる感覚に酔いしれた。 「か、葛西が私の中に入ってます。私今、葛西と一つになってるんですね」 「詩音さん、実況するおつもりですか?」 「あ、はは。ちょっと言ってみたかったんです。誰かと一つになれるっていうのが、なんだかうれしくて」 顔を紅潮させ、はにかんだ笑顔で詩音はそう言った。 「動いていいですよ」 言葉を受けて葛西は動き出した。ゆっくりと、葛西のその男性自身の存在を詩音の身体に伝えるように。初めてでまだ狭いそこだが、愛液に助けられ葛西のものは滑らかに行き来することができた。 「詩音さんの中、とても心地いいですよ」 「んぅ、葛西のもっ、熱くてすごくいい気持ちです」 数え切れないほど行ってきた行為なはずなのに葛西の男根は痛いぐらいに張り詰め、強い刺激を与えられていた。 このままでは長く持たない、そう感じた。 このまま刺激を強めて上り詰めたくなるのをぐっとこらえ、葛西は気を紛らわすことを考える。 ちょうど自分の目線の下にはいつのまにか大きく成長した詩音の乳房。 服を脱がそうと捲り上げると詩音は自ら腕を上げて背中を浮かせた。一気に抜き取り下着もすばやく取り外す。 たわわに実った二つの果実が目下に晒される。腰の動きに合わせ揺れ動くそれを葛西は両の手で鷲掴みにした。 キメ細かい肌の感触はとても滑らかで、強く握ればつぶれてしまいそうに柔らかだった。加減した強さ短いスパンでそれを揉む、揉む、揉む。優しく激しく揉みしだかれ、詩音はその甘美な感覚に酔いしれた。 「はぁ、ん。葛西、葛西も・・・脱いでよ」 思えば葛西は着衣のままイチモツだけが外に出されている状態であった。特に自分が脱ぐ必要はないかと思っていてたが、詩音の要望とあらば葛西はそれに従う。詩音への愛撫を途切れさせないように、片手で器用に脱いでいった。 葛西がすべてを脱ぎ終わり、互いに一糸纏わぬ姿となると詩音は葛西の背中に手を回し、彼を強く引き寄せた。 互いの肌が触れ合う、互いの鼓動が伝わる。あれほど身近にいたが、こんなに互いの存在を感じられることは初めてだった。 「ん、か、さい。葛西ぃぃ・・・」 「詩音さん」 胸の鼓動が高まる、それと同時に下半身に感じる感覚も強まっていく。葛西は腰の動きを早めた、熱いその中をさらに熱く、激しく突き上げる。絶頂は間近だ。 詩音もまた中を激しくかき回され、快感に頭を支配されていた。肉棒が行き来するたびに上り詰めてゆく。 肉棒の往来が一段と激しくなる。 「詩音さんっ、詩音さん・・・っ」 「あうっ、なんか、なんか来ます!あっ、あっ、あっ、あぁっぁぁあぁぁぁ!!!」 詩音の絶頂を見届けると、葛西は勢いよく肉棒を抜き出す。 その瞬間葛西も最高潮に到達し、激しく白濁液を飛び散らした。 初めて中での絶頂を迎え、恍惚とした表情のまま横たわる詩音。 葛西は詩音の身体の自分の体液によって汚してしまった部分と、詩音自らの体液に塗れた部位をきれいにふき取り、 寝巻きに着替えさせようと、新しい下着を足にかけた。 「あ、待って。今日は私このままで寝たいです」 「風邪をひかれてしまいますよ。まだ夏とはいえ夜は冷え込みます」 「ぇと、葛西があっためてくれれば・・・今日はその、一緒に寝てくれませんか?一人でねるの、イヤです・・・」 今日はいつになく甘えん坊だ、葛西は思った。わがままなのはいつものことだが、そうやって素直に甘えてくる詩音を見るのは珍しく愛おしく感じられる。こうゆう態度を取られては、つい甘やかさずにはいられなくなるのだ。 親バカ・・・みたいなものだろう。 「詩音さん、子供に戻ってしまいましたか?」 「だって、葛西が今日は優しいから」 仕方がないですね、そう言ってため息を漏らしながら布団に潜り込む葛西の顔は見事に綻んでいた。ぬいぐるみに抱きつくように葛西に寄り添う。 「葛西、今日はいっぱい我侭聞いてもらってありがとうです」 「礼には及びません、最後は結局私の自己満足を兼ねてしまいましたし」 「あはは、じゃあおあいこってことでいいか」 詩音は満足げに微笑む。 「葛西・・・また、たまにはしましょうね」 “今回のは互いの過失です。こんなことはこれっきりにしなくてはなりません。” そう、言おうと思った。 しかし無意識に葛西の口をついて出てきた言葉は・・・ 「・・・詩音さんが望むなら、いつでもお引き受けしますよ」 FIN
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鷹野×富竹。 軽い拘束+滅菌前提世界+馬。 すがるものが欲しかった。 誰かの肌に触れて、冷え切った心を温めて欲しかった。 「た、鷹野さん?」 「なあに?」 診療所での会議の後、暗くて危ないからと理由をつけてジロウさんを興宮まで送った。 「な、なにって…、あの、当たって。」 彼が今回泊まっている部屋は以前よりも安っぽい感じだった。 少しでも予算を節約しようという、涙ぐましい妥協の結果だろうか? 研究は今年で終わるのに。私が、終わらせるのに。 「当たってる、ってなにが?」 向かい合わせに抱きついて、乳房を擦りつけるように体を動かす。 ああ、ジロウさんの体はとても温かい。 「こ、こういう冗談は駄目だよ。僕だからよかったけど、他の男だったら…!」 うるさい口は黙らせる。唇で塞いで黙らせる。 さすがに開いて受け入れてはくれなかった。唇を甘噛みして、舌で輪郭をなぞる。 「…ジロウさん? 息はしてもいいのよ?」 言われたから、というわけではないのだろうけど、唇を解放してあげるとせっぱ詰まった 呼吸をしていた。 「冗談なんかじゃないわ。大丈夫、村の人は皆、私たちはこういう関係だって思ってるから。」 「それはそうだけど。実際には僕たちは、そういう関係じゃない。」 「じゃあ、今からそういう関係になればいいじゃない。」 体を少しずらして、ジロウさんの足の間に太ももを割り込ませる。固い感触。 「ジロウさんの体は、私が欲しいって言ってるわよ?」 太ももを動かして刺激すると、布越しにもそれを分かるほど彼の分身は硬度を増した。 「ジロウさんの心は、私が欲しくないの?」 「そんなこと、ない、よ。……でも、どうして急に。」 「急に欲しくなったの。それと、ご褒美。」 「ごほうび?」 来週、私のために*んでくれるから、そのご褒美。 「頑張って予算、とってきてくれたから。」 「いや、結局は削られてるし…鷹野さんはこんなことしなくてもいいんだよ。」 「……私とするのは、そんなに嫌?」 体を引く。 どちらかといえば気温は高い夜なのに、彼から離れたとたんに寒いと感じた。 「じゃあいいわ。狗の誰かに慰めてもらうから。」 この寒さを紛らわせてくれるのなら、相手は人食い鬼だって構わなかった。 「鷹野さん!」 部屋を出て行こうとすると、強く腕を引っ張られた。 「……東京で、何があったんだい?」 「…秘密よ。抱くなら、黙って抱いて。抱かないなら、帰して。」 ジロウさんは何も言わずに私を抱きしめてくれた。苦しいぐらいにきつく。 「鷹野さん……鷹野さん…鷹野さん、鷹野さん!」 「…美代、よ?」 「みよ、さん。」 ぎこちなく呼ぶ名前は「三四」なのか「美代」なのかは分からない。 どちらでもいい。今この場にいる私は「ジロウさんのみよ」には違いないのだから。 リボンを引っ張ろうとする手を押しとどめる。 「ほどけないわ。これ、ボタンなの。」 スナップ式のそれを外して見せると、ジロウさんは少し恥ずかしそうにしていた。 「シャワー、借りるわね。」 ▼ タオルを体に巻き付けたて浴室から戻る。 ベッドに座っていたジロウさんは一瞬こちらを見て、あわてて顔を伏せた。 「あ、じゃあ僕も。」 立ち上がろうとするの彼に抱きついて押し倒す。 「いいわよ、そのままで。」 あまり猶予を与えたくない。浴室で考え直しをして、やっぱり中止、なんて嫌だ。 …変な私。断られたら、宣言したように別の男のところに行けばいいだけなのに。 他の男よりもジロウさんがいいと感じるのは、彼に恋をしているということだろうか? 違う、と思う。 私は恋をしたことはないけれど、愛がどんなものなのかは知っている。 それはとても尊い物だ。 相手の為になら、人生をまるごと投げ出してもかまわないと思えるほどのものだ。 私はどんな状況に陥っても祖父を*したりはしなかっただろう。 だけどジロウさんは*す。それがずっと昔から決まっていたことのように。 …だから、私はきっとジロウさんのことを好きじゃない。 体はお湯で温まっているのに、触れるとやっぱり、ジロウさんは温かい。 くっついていると気持ちがいい。 「鷹…みよさんは、どうして欲しい?」 「キス。」 ねだると即座に与えられた。 「ん…。」 触れて、甘噛みされて、舐められて。…ああ、私がしたのをそっくり返してくれてるのね。 積極的に舌を差し入れる。彼は一瞬とまどったようだったけど、すぐに応えてくれた。 「んんっ、くちゅ、ふぁ、ん…。」 十分に堪能してから口を離した。 ……唇にジロウさんの視線を感じる。 「まだしたい?」 上目遣いで様子をうかがいながら、挑発するように、指先で唇をなでてみせた。 「えっと…みよさんがいいなら。」 「くすくす。」 ジロウさんは犬に似ている。躾の行き届いた、大人しい大型犬。 主人さえ噛み殺しそうな雰囲気を持つ狗たちに囲まれていると、ジロウさんと過ごす 時間は唯一リラックスしていられたときだったのかもしれない。 …ああ、二人の思い出は、もう過去形なのね。 「ちゅ、ぴちゃ…。」 部屋が狭いせいか、唾液のたてる音が淫猥に響く。 ベッドの上を探り、大人しく伏せをしている手を探り当てた。捕まえて、私の胸へ誘導する。 うっすらと目を開いてみた。 ジロウさんは目を固く閉じていて、緊張している表情だ。 胸に当てた彼の手は、指先一つ動かない。…だめなら、触らせたりしないのに。 ジロウさんの手を乳房に当てた上から揉んで、彼の手のひらに感触を伝える。 彼は、綿毛のタンポポに触れるように、遠慮がちに手を動かし始めた。 可愛い。 男性に対してそんな感情を抱いたのは初めてだった。 私のおなかの下で自己主張している彼まで愛しく思える。 すっかりお留守になっていた口から顔を離す。 「タオル、外して。」 「うん。」 直に触れる段階になると、彼はますます気弱で、なんだか焦らされているみたいだった。 「ジロウさん、そんなんじゃくすぐったいわ。もっと強くお願い。」 「ご、ごめん。…これで大丈夫?」 「ん…もっと強くしても平気。」 ジロウさんのシャツをたくし上げる。 ちゃりちゃりというドッグタグの音が、彼と私の任務を思い出させた。 …忘れよう、今だけは。 「ジロウさんのおなか、ぷにぷにね。」 なで回す。うめき声が返ってきた。 「…こんなことになるなら、減量しとくんだったよ。」 「適正範囲内だから、医者としてはおすすめしないわね。下手に減らすと体力も落ちるし。」 ベルトを外し、ジッパーを下ろす。下着の中に手を差し入れて…。 「…みよさん?」 ………。 オーケー、クールになるのよ鷹野三四。 「脱がせるから、腰、上げてくれる?」 「あ、うん。」 ………。 正直なところ、私は周囲が思っているほど男性経験が豊富なわけではない。 なので、平均的な男性サイズというものは明言できない。 だが、これは、あまりにも。 (これはなに? こんなの想定外よ! ジロウさんの前世は馬? 馬なのねっ?) 「落ち着くのよ、ジロウさん。」 「え?」 「少し確認したいことがあるんだけど、いいかしら?」 「いい、けど…。」 ジロウさんは不安そうにしている。大丈夫、私も不安よ。 …っていうか、こんなの入るの? 「ジロウさんは、体力や持久力に自信があるほうかしら?」 「あ、ああ。東京では毎日5キロは走ってるし。」 照れたように笑うジロウさん。 「生徒からは、機関車なんてあだ名されてるよ。」 世 界 ガ 反 転 ス ル 。 駄目。駄目駄目駄目駄目! このままいったら、明日は絶対、腰が立たない。 終末作戦に向けて忙しいっていうのに、一日つぶすなんてできない! 考えるのよ、考えなさい、鷹野三四! 「…あの、ジロウさんには言ってなかったけど、私、じつはSなの。」 とりあえず拘束プレイに持ち込めば勝算はある。 「あ、それは知ってた。」 「なんで!」 無駄にブラフはってるけど、私は全くノーマルよ? どうして簡単に納得するのよ! 「な、なんでって言われても…。」 い、いや、これはむしろ好都合。…心外だけど。 「…まあ、いいわ。縛らせてもらってもいいかしら?」 彼は素直に両手を差し出した。 当然ながら、一般宿泊施設のベッドに拘束具などついているはずがない。 タオルとベルトで手首を縛ったけど、頼りない印象はぬぐいきれなかった。 …なんだか、ごそごそしてたらゆるんで外れてしまいそう。 「診療所のベッドなら、しっかりした手錠がついてるんだけど…。」 地下室には、L5患者に対応できるパーフェクトな物がある。 「えっと…そ、それは、本格的だね。」 私の趣味だと思って合わせてくれようとしているのか、ジロウさんは前向きだった。 「くすくす。そんなに恐がらなくても、痛くはしないわよ?」 ジロウさんの顔の上に胸がくるように覆い被さる。 「口でして。…そう、そんな風に。」 舌と唇とでむにむにと刺激される。歯が当たらないように気遣ってくれているあたり、 彼にとって私は壊れ物らしい。 頭を抱くように腕を回して、ジロウさんの髪の毛に指を絡めた。 腰を浮かせて、開いている方の手を私自身に沿わせる。 「んっ…あ。」 思ったよりも濡れていたそこを指でかき回す。 ぐちゅぐちゅといういやらしい音に、ジロウさんがとまどった目で私を見上げた。 「…みよさん? 今、自分で…?」 「あら、言葉責め?」 「そ、そんなつもりじゃないよ。」 情けない顔が可愛くて、私は彼の額にキスを落とした。 「ただ、これ、解いてくれたらなって…。」 「駄目。」 即答する。 「みよさーん。」 「くすくす。」 エサの入ったお皿の前でお預けをさせられている犬みたい。 顔中にキスを落とした。 「解くのは駄目だけど、私だけ気持ちいいのも不公平よね。」 四つんばいで後ずさりして、私をジロウさんに押し当てる。 「うっ。」 「ん…。」 腰を上下させて、彼の側面を私でぬるぬるにする。 「…ジロウさんの熱い。」 「君のせいだよ。」 「光栄ね。」 腰を離すと、彼は名残惜しそうな声を上げた。 「待ってて、バッグに入れてあるの。」 化粧ポーチに入れてあったそれを手に、ベッドに戻る。 (ゴム製だから、多少は伸びると思うけど…) 開封し、ジロウさんの先端にあてがう。 記憶を頼りに……下まで引っぱって被せて…。 「ジロウさん? 大丈夫?」 「……あ? う、うん。大丈夫だよ、ちょっときついけど…。」 口ではそう言っていたが、眼鏡の奥で彼の目はこう言っていた。 『そういうプレイなんだね? 僕、頑張るよ』 (ち、違うのーーー!!) そういうプレイじゃないから! 頑張らなくていいから! 「ふー……。」 ジロウさんから外し、それはゴミ箱に投げ捨てた。 「みよさん?」 「あー…思ったより痛そうだから、やめておくわ。」 どうして避妊具にあんなに豊富なサイズ展開があるのかを、初めて理解した。 LとかLLって、見栄やネタで買うものじゃなくて実用品だったのね…。 私はジロウさんの上にまたがって、手で角度を修正しながら腰を落とした。 「駄目だ!」 予想もしなかった激しい制止の声がかかる。 「…どうしたの? 私もあなたも予防接種済みだから、感染の心配はないわよ?」 半分は嘘で、半分は本当。 予防注射は偽物だった。だけど、既に空気感染したジロウさんと、研究過程で感染済みの 私との間では、もう感染は起こらない。 「そうじゃなくて、中に出してしまったら…。」 ああ。 「大丈夫、今日は安全日。…動かないでね。」 ゆっくりと腰を沈めていく。 途中までしか入らないのではないかと危惧したが、なんとか根本まで受け入れることができた。 「…みよさんの中、すごく狭い。」 「普通よ。規格外はジロウさんの方。」 円を描くように小さく腰を回してなじませる。 と、軽く突き上げられた。 「ひゃっ…ジロウさん?」 にらみつける。 「動かないで、って言ったのに…。」 「ご、ごめん。わざとじゃないんだ。」 「…いいわ、信じてあげる。」 ジロウさんの胸に手をついて、体を上下に動かし始めた。 「ん、はぁ、私の中、ジロウさんでいっぱい。」 「みよさん…っ。」 私の下で、ジロウさんが身じろぎする程度のささやかさで腰を動かしていた。 それはたぶん本能的なものだったから、責めないでおこう。 「みよさん…手、解いて。」 「…駄目、んっ。」 「くっ……君のこと、抱きしめたい。」 「……。」 それはとても魅惑的な申し出だった。 ジロウさんを受け入れながら、その温かな腕に抱かれるのは、とても気持ちいいだろう。 「……駄目。」 締め付けて、搾り取るように腰を引き上げた。 私の中でジロウさんがどくりと爆ぜる。 「う…あ……。」 固さが失われないうちに、再び根本まで飲み込む。 「は、ふぅ。……良かった? 今の。」 うっすらと汗の浮いた額をなでて、そのまま指で髪をすいた。 「ん…。……分かってるんだろ? 聞かないでくれよ。」 少しふてくされた様子で答えた。 「くすくす。ジロウさんの口から聞いてみたかったの。」 私の中のジロウさんは力が抜けてすっかり大人しくなっていた。 深くつながったまま、体内のジロウさんを締め付ける。 「っ! ……みよさん…このまま、続ける気かい?」 「それは、ジロウさん次第ね。」 体は動かさずに、ジロウさんを包んでいる場所だけに力を入れる。 「……くすくす。コレは、続けてもいいっていうお返事?」 私の中で、それは存在感を取り戻しつつあった。 「…さあね。」 彼を納めた下腹部をなでる。 「あら? こっちのジロウさんはとっても素直なのに。」 「外してくれたら、僕も素直になるかもしれないよ?」 ジロウさんが拘束された手を振ってアピールした。 「駄目。」 「抱きしめさせては、くれないのかい?」 「……駄目。」 抱きしめられたら流されてしまいそうだから、駄目。 二回目はねっとりと腰を使う。 「ん…。」 快楽に耐えている表情は苦痛に耐えているようにも見えて、私は少し気が引けた。 「出したかったら、我慢しなくていいのよ?」 首筋に顔を埋め、頸動脈のラインを舐め上げる。 シャツの下に手を入れて乳首を探す。 「無理はよくないわ。」 耳元にささやきかける。 「別に、無理なんて、してないさ…。」 「…意地っ張り。」 拒まれるのではないかと思いながら唇にキスする。ジロウさんに舌ごと食べられた。 「んっ? あ…。」 正直それは不意打ちで、少しだけ…。 「…良かった? 今の。」 からかうように言われて、ほほが熱くなった。 「う……ジ、ジロウさんのくせに生意気よ。」 思わずムキになってしまう。 そうしたら、ジロウさんは少し笑って、それから泣きそうな目になった。 「君のこと、抱きしめたいのに…。」 ……ジロウさんは本当に生意気だ。 ▼ 行為は私主導で進み、最終的にジロウさんをダウンさせることに成功した。 「お疲れ様。」 ぐったりとした彼の両手を拘束から解放する。 ジロウさんはふらふらと両腕を上げて、私の背中に回した。 「え、ちょっ、重っ…。」 耐えきれずに、ジロウさんの胸の上に落下する。 ジロウさんが苦しそうにうめいた。 「大丈夫?」 そんなに体重はないつもりだけど、勢いがついていたし、彼も疲れてるし…。 「大丈夫。…ずっとこうしたかったんだ。」 ぎゅっと抱きしめられている。 「うん…。」 直に触れる肌が温かい。急にまぶたが重くなる。 「…あの、みよさん。」 「…ん?」 …だめ、明日は野村さんから電話があるかもしれないし、雛見沢に帰らないと…。 「今更なんだけど…安全日って、生理周期が乱れたらずれるんじゃなかったっけ?」 「大丈夫。前から不順だったから、ピル飲んでるの。」 「そうなんだ…。」 なんだかがっかりしたような声だった。 「残念そうね、孕ませたかった?」 「…うん。」 「くすくす。責任取らせるわよ?」 「とりたい。」 「……え?」 顔を上げようとしたけど、ジロウさんはますます強く抱きしめてきて、身動きがとれない。 「君がいて、僕がいて。富竹みよでも鷹野ジロウでも、そこが東京でも雛見沢でも、 生まれるのが息子でも娘でも、どんな未来でも僕は幸せになれる。君も幸せにしてみせる。」 「……嬉しい、わ。でも。」 声が詰まった。 「私たちに未来はないの。ごめんなさい。」 涙がこぼれる。壊れたように涙が止まらない。 ぽたぽた落ちて、ジロウさんの胸を濡らしていく。 「み…鷹野さん、鷹野さんは泣かなくていいよ。ごめん、僕が悪い。」 「いいえ、っく、ジロウさんは、何も悪くない。好きよ? ジロウさんのこと好き。」 嘘つき。*すくせに。 ……。 殺したくない! 頭の中で、全力で可能性を探す。 富竹二尉を生き残せることができないか、脳が焼き切れそうな切実さで思考する。 ……無理だ。 鷹野三佐と富竹二尉の死亡は決定している。 滅菌作戦が実行されたあと、おそらく私は殺されるだろう。自分の命も守れない私が、 ジロウさんの命を守ることなんてできない。 唯一の抜け道は、終末作戦を中止することだけだ。 …それはできない。 おじいちゃんの研究をゼロに戻してしまった私は、せめてこの手で雛見沢を滅ぼして 症候群を永遠の存在に昇格させなければならない。償わなければならない。 「鷹野さん、泣かないで。」 ジロウさんが途方に暮れた声で、ごめん、と繰り返す。 「違うの、違うのよ。ジロウさんは、何も…。」 ゆるんだ腕から抜け出して、上体を起こした。 ジロウさんの温かい首に両手を添える。 彼の未来は、5年目の祟りの生贄として私に殺されるか、雛見沢を裏切って私と一緒に 暗殺されるか、そのどちらかしかない。 誰かに殺させるくらいなら、私は…。 「…ごめんなさい。私はたぶん、あなたのことを愛してないの。」 そうやって傷つけた私を、彼はそれでも抱きしめてくれた。 彼の腕は変わらず優しく温かで、私は子供のように激しく泣きじゃくった。 「鷹野さんは悪くない、悪くないから。」 この期に及んで、彼の言葉に幸福を見いだしている。 悪くないと言ってくれることに、苦しくなるほどの安らぎを感じている。 彼が許してくれているのは、私が彼を愛さなかったことだ。 私が彼を殺すことじゃない。 真実を知れば、いくらジロウさんだって許してはくれないだろう。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。」 誰にも届かない謝罪を繰り返す。 私は誰からも許されない。 …6月19日が永遠に来なければいい。 生きていても死んでいても、綿流しの夜に私の世界は終わるのだ。 <終>
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血を噴出して崩れる男を前にして、知恵はじっと佇んでいる。その手に血塗れのナイフを握りしめ、まるで凶行の余韻を楽しむかのように、かすかに震えている。 はぁっ、と恍惚の吐息を漏らす彼女は、今しがた自らの取った凶行を思い起こして凄惨な笑みを浮かべるのだった。 時は数刻ほど前に遡る……。 「こんにちはぁ……北条さん、いらっしゃいませんか……!」 「なんじゃいね、おどれは。やかましか、とっとと失せぇ!!」 豪邸とは言えないまでも、そこそこの大きさをもった古風な造りの家の玄関で押し問答をする影が二つ。その片方は、雛見沢分校の教師である知恵留美子と、もう片方はつい最近雛見沢へ帰ってきたという、北条沙都子の親権者を名乗る北条鉄平。 知恵がこの日、北条家自宅に訪問していたのは、大事な生徒である沙都子が、この鉄平に虐待を受けているという情報を確かめるため、北条家へ向かった。 確かめるといっても知恵も実際のところは、鉄平の帰宅と時を同じくして沙都子は不登校気味になったし、特に親しい友人たちが、沙都子を救うために鉄平を殺害するなどと物騒な事を騒ぎ立てていたぐらいだから、間違いないであろうという予測は十分にたてていた。 しかし、日本は法治国家である。確たる証拠なしに闇雲な訴えを起こすわけには行かないのだ……そういう信念の元に、知恵は勇気を持って北条家へと向かった……はずだった。 しかし。 目の前に出てきた男、北条鉄平は、知恵の想像を超えて嫌な印象を与えてきた。それどころか、彼女がこの世で最も嫌悪する条件をいくつも兼ね備えているような人物であった。 知恵は、その姿を見て震えた……それは、柄の悪い男に大声でまくし立てられる事に対する恐怖からではなく、彼女の価値観ではとても認める事のできない、醜悪な物体に対する憎悪の念が起こす震えである。 知恵は鉄平と相対するまでは、一個の良識ある大人として、そして生徒を導くべき教師としての使命感から、あくまで法治国家である日本の憲法と法律のルールに乗っ取って、この問題を解決するつもりでいた。 だが、鉄平と一つ言葉を交わすごとに、ぷつり、ぷつり、と張り詰めていた良識の袋を締める緒が千切れていく。 そもそも、沙都子の問題は雛見沢分校赴任当初からの課題だった。どうも沙都子は鉄平に限らず実の母親も含めて親類と徹底的にソリが合わないかったらしく、常に知恵を悩ませてきた最も大きな問題だったのだ。 それでも沙都子は唯一慕った兄の失踪をきっかけに、人としての回復と成長を迎えていたはずだった。 だから、時が和らげてくれた傷を、今更に蒸し返してくれた存在……つまり鉄平には、圭一たちよりも遥かに恨みの感情を持っていたのだ。 知恵はあくまで、良識ある大人として感情的な振る舞いしまいとしていただけで、もし自制心がなければ真っ先に自身で鉄平を殺害しに行っていただろう。 だが、鉄平と一つ言葉を交わすごとに、ぷつり、ぷつり、とその良識の袋を締める緒が千切れていく……。それでも知恵は良識を止めようと抵抗を試みる。 「私、雛見沢分校教論の知恵と申します……沙都子さんはいらっしゃいますか。今日、彼女が学校をお休みしましたけれど、連絡がなかったもので何かあったのかと思いお伺いさせていただきました。プリントとかをお渡ししたいので、少しだけ、お話をさせていただけませんか?」 「あぁん、ガッコのセンセぇ……?」 いかにも、気に食わないといった風に語尾を上げて威嚇するような声を出す鉄平。知恵は食い下がるが、その反抗に激昂した鉄平は口汚い罵りを次々と知恵に浴びせていく。 「すったらん……沙都子のやつは風邪で熱ぅ出しとるん! それくらい知っとけアホが!」 (嘘だ) 「……うんうん唸っとるんね! それを会わせられるかいボケ!」 (なら、朝に連絡を入れればいいでしょう) 「それにわしは忙しいんよ、木っ端役人の相手しとる暇はないんね!」 (忙しい? 仕事もロクにできない男のくせに) 「ったく、こんダラズが! つまらん事に手間ぁかけさせよって……!」 (つまらない、ですって?) 「おぉ! ぼさっとしてぇ聞いとんのかぁ、おぁぁ!?」 (…………) そして鉄平の口から再びダラズの言葉が飛び出た時、最後の緒がプツン、と途切れる音が聞こえた気がした。それまで押し止めていた良識はざらざらと溢れ出、代わりに悪意が彼女の意識を支配していく。 知恵は連日の沙都子の問題で緊張状態に陥っていた精神が、逆に異様なまでにおだやかなものへと転じていくのを感じながら、しかし、ふつふつと黒い欲望の火が爆ぜていく感覚を覚える。 殺してしまえ、それが一番の望みだろう? と、悪意がささやく。 普段の知恵なら何を恐ろしい事を、と一蹴するはず思考が、今は不思議と心地がよい……それどころか、汚いごみを掃除するのと同じように、鉄平というごみを血みどろにしてゆく想像上の自分がとても魅力的に見える。 (ああ、そうか。簡単な事……コレは人間じゃない……。そうだ、そうだ。北条家というのは、ごみ扱いだったじゃないか……村人だけじゃなくて、私の理想も邪魔してくれる、粗大ごみ。 ……何を今まで遠慮していのだろう。ごみなんだから、どのようにしても構わない。目障りなら、殺してしまうのが良い) 歪む思考が知恵の精神を掌握する。とどまっていた良識は全て押し流され、それを抱えていた部分すらも総動員して鉄平を殺害するための手段が計算されて、次々と浮かんでは消えていく。 だが、どうやっても体力で勝る男を力ずくで殺すには無理がある……油断を誘わないとならない。なぜか、いらいらして妙な痒みが走る首筋を掻き毟ると、ふと一つのアイデアが頭に浮かびあがる。 (そうだ、このスケベそうな男なら) 色仕掛けがいい。電球がついたという表現が一番合うであろう、彼女のひらめきだった。 それは間違いない選択といえた。基本的に男は色魔であり美しい女の誘惑には弱いものだ。そして幸い、というべきかどうかは解らないが、知恵は容姿については自信があった。 うまく迫れば、この程度の男なら簡単に落ちてくれるだろう……気があるそぶりを見せて、寝技でも使えば隙が生まれるはずだ、と彼女は企む。 そうと決まれば話は早い……知恵は瞳の奥に黒い火を宿すと、わずかに頭を下げて表情を作って、再び鉄平の視線へと顔をさらす。それでも他人の心の機敏など髪の毛一本ほどにも介さない、この男にはまったく感づかれなかったようだ。 知恵は純白のワンピースのネックに手を掛けて、ぐいっとずり下げると、あいも変わらずわめき散らす鉄平に向かって、 「もちろん……タダで上がらせろ、なんて言いませんよ」 と、豊かな胸の谷間を見せて鉄平ににじり寄る。 「わからんダラズやなぁ……! ん……ほ、ほぉぉ?」 するとやはり、下半身と脳が直結している様な男なのだろう。色のある仕草を見せた途端、その態度が豹変する。知恵はしてやったりとばかりに微笑むと鉄平に、どうですか? と問う。 「ん……まぁ、センセがそこまで言うんなら、しゃあないわなぁ……せやけど、実は沙都子の奴は今、いないんね。買いも……ちゃう、診療所や。さっき診療所へ連れてったん。藪医者めが時間かかる抜かしよってん、一回帰ってきたんね」 さきほどまであんなに拒絶していたくせに、若いオンナを家にあげるなら悪くないとばかりに、見え見えどころか先ほどの証言と矛盾している嘘をつらつらと並べ立てる鉄平を見て知恵は、なおさらにこの男は消すべきだ、と黒い火をまた燃え上がらせる。 しかしここで感情的になってはならない。目的は一刻も早く鉄平をこの世から消し去る事なのだから。ゆえに彼女はそんな事を考える表情などは一切現さず、それどころか微笑すら浮かべて鉄平に擦り寄っていくと、その論調に合わせてしらっと言いはなつ。 「そうですか……お迎えにいくまで、中で待たせてもらってもよろしいでしょうか?」 勘の良い……いや、勘が良くなくとも常識的な人間なら、知恵の言う事に矛盾を感じるはずだろう。沙都子に用事があるなら、直接診療所へ出向けば良い話なのだから。 だが、知恵に擦り寄られて鼻の下を伸ばしている鉄平は、そんな破綻した論理すらも欲望を満たしたいがため、自分の有利な様に解釈していく。 「おぉおぉ、わしも今帰ったばかりなんね、まぁだ時間もかかりよるわなぁ……そいで良ければ待っとれ」 「では、お言葉に甘えて……」 にやにやとしている鉄平を連れ立って、知恵は北条家へと足を踏み入れた。広い家ではあるが、どうやら沙都子が居ないのは事実の様だった……といっても、診療所へ連れて行ったというのは嘘だろう。さきほど言いかけた通り、幼い彼女を使い走りにしているに違いなかった。 そして鉄平に誘われて居間へ案内される間、知恵は後の展開をだいたい、あらすじ立てていた。内容としては、こうだ。 鉄平の目的は、あわよくばうまい事して知恵の肢体を貪ってやろう、という事に違いない。そうであるなら、こちらがその企みに乗じてやればいい……とはいえ、あまりに明け透けでは、さしもの鉄平にも怪しまれる恐れがある。 そこでまずは、適当に沙都子の事を気にかけるふりをして、会話を成り立たせていく……そうこうしている内に、会話のベクトルを自分の方に向けさせて旦那なり、彼氏なりと死別したとか、失恋したとかで傷心している最中だと伝えるのだ。 もちろんハッタリに過ぎないが、そう言う事で鉄平の「あわよくば」という目論見を加速させてやるのだ。雛見沢唯一の教師として、それなりに名前が知られてしまっているので、旦那よりは彼氏の方が信憑性があっていいだろう。 ここまで行ったら後は、実は男日照りしている……とでも言えば、獣欲を最大に刺激できるはずだった。まるで四流、五流のピンク映画じみたお粗末な筋立てだが、この男相手のお膳立てとしては、それでも十分だ。話が佳境に入る頃には沙都子の事などはすっかり忘れて、自分に掛かりきりになっているはずだ。 しかし後はこちらも多少の損害を被らねばならない。この醜悪な生き物と同じ空間にいるだけでも吐き気がするのに、それに抱かれようとするのは相当に勇気のいる事だった……しかし、そうすれば最大の油断を生み出す事ができる。どんな生き物も情事の最中ほど無防備になる時間は無いのだから。 そして、頃合を見計らって…… 殺す。 「んっんんっんぅっ……」 汚く散らかされた居間に、これまた掃除もせずに敷かれたままの布団の上で知恵は産まれたままの姿となり、同じく裸一貫になった鉄平の上に乗った形で、そのやや肥えた体に赤い舌をつつつ、と走らせる。下腹部から胸にかけて丁寧に舐め回しながら、空いた手は大きく反り返ったペニスの根元にぶら下がる睾丸をやわやわと揉みしだいていた。 対する鉄平はあまり経験豊富では無い知恵の初々しさが新鮮なのか、女教師と寝るというシチュエーションに燃えるのか、はたまたその両方か……ともかく女を抱く事だけは慣れきった彼にしては、いつになく興奮した様子だった。 結局、鉄平は知恵の怪しげな誘いにまんまと乗ってくれた。ちょっと頬を紅潮させて、しな垂れかかってやっただけで、もうその気なのだ。知恵はなるほど、男を手玉に取りたがる女の気持ちも解らなくもないな、と思ったが、相手が鉄平ではその楽しみも激減だ。 そして切なげな目で鉄平を見つめるふりをしながら、さきほど目をつけておいた凶器になりそうな物をちらりと見やる。 (果物ナイフ……か。ふ、ふ、ふ……) 恐らくは、リンゴでも沙都子に剥かせたのだろう、赤い皮がそこかしこに散らばっていた。 ともかくは、殺傷能力に秀でた凶器が手の届く範囲に置いてあったわけだ。まさしくおあつらえ向きだと言える。後は、なんとかして鉄平の油断を誘って、これで首を掻き切ってやればいいだけだ。 (それまでは、かりそめの馴れ合いを演じるのも悪くはないわ) 知恵は心でほくそ笑むと、改めて鉄平に媚びを売るかのような表情を浮かべて甘い声をあげる。 「んんぅ……鉄平さん、逞しいんですね。特に、ココとかぁ」 「おおぅ。わしのソレに満足せん女はおらんねぇ。えっへっへ……」 「私も、満足させてくださるのかしら。ふふふ……サービスしますね」 ちゅぷっと舌を放して上体を反らすと、そのまま鉄平の下半身へと頭をスライドさせる。すると目の前に、確かに逞しいといえるペニスが激しい自己主張をしながら知恵を挑発していた。洗っていないのか、異様な臭いが鼻につく。 知恵は、これをナイフで切断したらどうなるだろう……とおぞましい妄想をしながら生ぬるい息を吐きかけて、亀頭をぬちゃぬちゃとねぶりまわすと適当に、唾液に塗れたところで口を大きく開いて、いきり立つペニスを飲み込んでいく。 「うぅん……あむ、むむ、むう」 「うぉ……おぉぅ……せ、センセ、清純そうな顔して激しいねぇ……前の彼氏にもこんな事しとったんね?」 ムードもへったくれもない鉄平の言葉に、知恵は内心で毒づきながらストロークを加速させる。そもそも鉄平が雛見沢にやってきたということは、噂の愛人に捨てられでもしたのだろう。それならどうせ、溜まっているのだろうから、さっさと一発出させて大人しくさせてやろう、と目論む。 案の定、鉄平は知恵が少し激しく愛してやると、あっけなく精をその口の中へ放った。断りなしにいきなりだったので、少しむせたが吐き出さずに全て飲み込んでやる。 (どうせあと少しで消える命だから、せめてもの情けにくだらない征服欲を満たしてあげる。ふふふ……) 鉄平も若くはないので、さすがに一発放った直後に再び襲いかかってくる様な事はなかった。こうなれば、若い知恵の方にイニシアチブがあった。鉄平を休ませるつもりもない彼女は、今度はその大きな乳房で萎えた鉄平のペニスを挟み込むと、無理やり奮い立たせようと擦り上げる。 「まだ休むには早いですよ……ほぉら、勃たせてください。私、もう濡れちゃってるんですからぁ……」 にゅるにゅると胸を臭い液まみれにして、鉄平のペニスをマッサージし続ける。それは効を成して、誘惑の言葉と共に若い肌で優しく愛撫されるたびに、ペニスは硬度を取り戻していく。胸の中で再び熱をもっていくのを確認すると、知恵はわざといやらしい笑みを浮かべて鉄平に口付けするとペニスを数度しごくと、 「素敵……ふふ、もう我慢できません。入れさせてもらいますね」 と、赤くした顔で言いながら腰をペニスの上に持ってくると、ゆっくりと高度を下げていく……。やがて、知恵の秘裂にあてがわれたペニスが、ずぶりとその中へと飲み込まれていった。 先ほどまでの威勢はどこへやら、鉄平はうぅ、と呻くと与えられる快楽に身を任せて腰を振り始める。それに気をよくした知恵は、鉄平の上で激しく上下しながら言葉で彼を責めていく。 「うふうふ、意外に可愛いんですね鉄平さん」 「こ、こんダラズが……ガキでないんじゃ、猿みたいにすりゃええってもんじゃ、ないんね」 「私、鉄平さんみたいに経験豊富じゃ無いんです。全部吸い取とるまで、止めませんよ……ふふふ」 「かーっ……しばらく来ない内に、とんだ淫乱教師がおったもんね」 「うふふふふ……」 部屋にまとわりつく六月らしい湿気った空気をさらにじめじめとさせて、知恵は組み敷いた鉄平を思うがままに貪っていく。 知恵は鉄平という、ろくでなしのごみを弄ぶ感覚が楽しくて仕方が無かった……こんなに浅ましい欲望が自身の内に潜んでいたのか、と驚きながらも、後に待つ血の祭りに胸を高鳴らせ、あられもない声をあげてよがり狂う。 「あんっ、あひっ、ひいっ、うぅっ」 「くっウウ……センセ、ちょい待っ」 「ンンっ……! うふうふふ……だぁめ。止めてあげないあげません。さぁ出しなさい、欲にまみれた汚い液をいっぱい……」 「だ、だめじゃ……うぐっ、出る」 何かに憑かれたかのように、ひたすら腰を振りたくる知恵に、いよいよ根を上げ始めた鉄平が二回目の射精感を覚える。さすがに子供はまずいと思って知恵を除けようとするが、しかし彼女の細い体からは想像もできない怪力で押さえつけられてしまう。その間もなお知恵は尻を何度も鉄平に押し付けて、彼の体液を貪ろうとする。 この時、知恵の脳裏には恐ろしい想像が映写されていた。 (この男の子供を引裂いてやるのも面白い) そんな知恵の黒い欲望などつゆ知らず、ついに堪え切れなくなった鉄平は知恵の中に勢い良く子種を噴出し始めた。知恵は熱いモノが下腹部に流れ込んでくるのを感じて、大嫌いな汚物にまみれる妙なおぞましさから来る恍惚感を味わいながら絶頂を迎える。 「あ、あぁ、あぅぅぅぅっ……!」 そして知恵はびくんと震えて鉄平の上で仰け反ると、そのままの姿勢でわずかの硬直の後、鉄平の胸へと倒れ伏せる。はぁはぁと荒い息をして獣の様な結合の余韻に浸る……。 だが、意識をやってしまっている訳ではない。この後に、最高のメインディッシュが待っているのだから……知恵は同じように荒く息をしている鉄平の首に左腕を絡ませて、ひそかに頭を動かせない様にすると、さっと残った腕を翻して、目をつけておいた果物ナイフを手に取る。 その間も鉄平が目を逸らさない様に、妖しく微笑みながらキスをねだると、激しく舌を絡ませてその意識をかく乱する。鉄平は自分に危機が迫っている事など、一辺のかけらほどにも想像していないことだろう。 知恵はそして、音も無しにナイフを鉄平の首筋へと近づけていく……。そしてちゅぷんと唇を離すと、別れの言葉を口にする。 「ンっ……うふ、とっても……気持ちよかったですよ」 「そ、そうじゃろう……」 「えぇ…………ゴミにしては」 その呟きと共に、右腕がぐわっと動いてナイフが鉄平の首へと突き刺さった。 突然の知恵の豹変に何が起こったのかも解らずに、遅れて走る首への激痛に鉄平は鶏をシメたかの様な、奇怪な絶叫をあげて暴れようとするが、知恵は落ち着いて刺さったナイフをそのままぐるりとねじ回すと、力ずくで真横に引裂いていく。 手の平に硬い肉を調理する時の様な、ぐりぐりとした感触がはしる。 鉄平の絶叫は、すぐに動脈が切断された喉からごぼごぼと吐き出される真っ赤な血へと変わり、布団の上を鮮血に染めていく。むわっと吐き気を催す鉄分の悪臭が辺りに広がり、知恵もまたその返り血を裸身に浴びるが、それでも臆すること無く念入りに首を切断していく……。 「ひゅひゅ、ひゅひひ、ひひ……」 知恵はしかし、やはり大量の血を浴びて錯乱したのか、空気が漏れる音のような、奇妙な笑い方をする。もしもその表情を普段の知恵を知る他人が見れば悪鬼の様なそれに恐れおののいた事だろう。 血走った眼つきでナイフをかき回す。結局、血と油に邪魔をされてナイフが完全に首を切断するまではいかなかったが、彼女の満足のいくまで首の肉が裂かれていく頃には、鉄平は痙攣するだけの肉塊と化していた。 ひとしきり首を切り開くと、知恵は鉄平の死亡を確認する。そして、生暖かい血でぬるぬるになった手で、先ほどからずうっと痒みの走る自身の首筋を掻きながら、おもむろに立ち上がって鉄平の骸を見下ろす。すると、 「これも、もう要りませんね」 そういって、足で先ほどまで自分を貫いていた鉄平のペニスを踏み下ろしてしまう。ペニスが破裂して潰れる、ぐちゃりとした嫌な感触を確かめると満足げに頷いて、数歩引き下がった。 血を噴出して崩れる鉄平を前にして、知恵はじっと佇んでいる。その手に血塗れのナイフを握りしめ、まるで凶行の余韻を楽しむかのように、かすかに震えている。 はぁっ、と恍惚の吐息を漏らす彼女は、今しがた自らの取った凶行を思い起こして凄惨な笑みを浮かべるのだった。 しかし…… その後ろから、がしゃがしゃと騒々しい音が知恵の耳に入った。はっと振り向いた先には、 「ぃぃぃ……ひぃぃぃい……!!」 「あぁら、北条さん……」 いつの間にか、腰を抜かしたのかその場にへたり込んで動けない沙都子が居た。見れば、左右に大きなスーパーのビニール袋から、様々な商品がぶちまけられていた。先ほどの音の正体は、これだろう。 恐怖に失禁している沙都子を見つめる知恵の思考がぐるぐると渦巻く。 (鉄平は殺したけど、この子は殺していない。この子は北条さんで、北条さんは鉄平。北条さんは村の仇で、ごみみたいなもの。だから殺しちゃって構わないし、むしろ殺してしまうべきなのに、そういえばまだこの子は生きている……何故? だめだ、早く殺してしまわなければ。早く。早く。早く……) すでに思考回路の論理がおかしくなっている知恵が、殺害の現場を見られた事よりも新たな標的を見つけた事に気が猛り、そのまま猛禽類の様な目で沙都子を捕らえて、しかし口だけは笑ったまま彼女へ近づいていく。 沙都子が恐怖のあまりに泣き叫ぶが、知恵は無言でその細い首にゆっくりと血塗れの手をかけていった……。 END
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羽入(はにゅう) 色々な話が出ている。 すいませんが真実は管理者も知りません。 オヤシロ様、梨花の親、梨花の先祖などなど色々な逸話が出ている。 嫌いな食べ物はキムチとワインで、 その二つが好きな梨花に飲まれ喰われ気持ち悪くなることも少々。 口癖は「あぅあぅ」。 祭囃し編では見事実体化。 圭一たち部活メンバーと共に暮らしている。