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前へ アカネが最初に出してきたポケモンはピッピ。 自称「かわいいポケモン使い」の名に違わず、妖精ポケモンを使ってきた。 「よし、行け!」 対して、のび太の一番手は新たな仲間のカラカラであった。 どうやら前の持ち主は相当な使い手であったらしい。 昨日の午後辺り、新しい主人への怯えが取れ始めたカラカラはまさに一騎当千の活躍を見せていた。 ちなみに、バトルが大好きだったウパーは少し寂しそうだったが、諦めてトゲピーの相手をしていた。 もちろんウパーを使わなかったわけではないが。 「よし、バトル開始やでぇ!」 ジムリーダー自ら開始宣言を行い、バトルが始まった。 カラカラを見据え、アカネはにんまりとした表情でピッピにこう指示する。 「マジカルリーフ!」 まさかのマジカルリーフ。全く予想もしなかった事態だ。 マーブル色の妖しい光を放つ葉がカラカラへと次々に降り注ぐ。 意表を突かれて慌てるのび太もホネこんぼうを指示するが、ピッピはぐらつかない。 カラカラはマジカルリーフをあと1発耐えるか耐えないかといったところだろう。 現在手持ちで最高レベルなのはウパーだが、マジカルリーフ持ちにウパーをぶつけるなどご法度だ。 草技を受けてウパーが苦しがる様子はコガネへ来る途中で見たが、もう見たくはない。 ウパーが出せないとなると……このままでは………… そうしている間にもホネこんぼうとマジカルリーフの打ち合いは続いている。 カラカラは2発目のマジカルリーフさえもギリギリで耐え、葉の間をかいくぐってこちらもピッピに2発目の殴打を食らわせた。 しかし、次を耐えることは不可能だ。それくらい、傷だらけで立っているカラカラを見ればのび太にだって分かる。 もう仕方がない。のび太は意を決した。アイツを使うしかないのだ。 もう一度ホネこんぼうを使うこと叶わず、マジカルリーフを浴びて倒れたカラカラをのび太は目を伏せながらボールに戻す。 お前はよく戦ってくれたよ、ありがとう…… だからこそ、負けられない。天は味方してくれるだろうか。 「行けっ! トゲピー!!」 「うわっ、トゲピーやんかあ! ジョウト地方にはおらんやっちゃでぇ~!? かわいいなぁ……」 アカネの言葉を聞きながら、のび太は唇を引いた。対ピッピ、ここが正念場だ。負けられない。 一応ウパーの力を借りながらトゲピーのレベル上げを行ってはいたが、正直言うとここは運が必要だ。 バトルの様子を固唾を呑んで見守るしずかも、事態の深刻さを感じ取っていた。 のび太からものすごい集中力を感じる。自分の好きなことをしているときの、あの集中力だ。 普段なら声のひとつもかけるところが、気迫に圧されて口が開かない。 これが、のび太。これがポケモンへの愛情。しずかはそれを目の当たりにすることになった。 そんな挑戦者たちの状況をよそに、アカネが再び口を開いた。 「……せやけど、勝負は勝負やで。相手がトゲピーかてうちはジムリーダーや。 ピッピ、眠らせるでぇ! うたう!」 アカネの指示に従い、ピッピは目を閉じ、歌い始めた。なんとも奇妙な歌声がジム内に響く。 「天使のキッス!」 歌声の催眠作用などどこ吹く風、トゲピーは無邪気に歌い手の許へと跳ねていくと、その頬へ口付けした。 突然の出来事、そしてキスに込められた魔力でピッピは混乱してしまった。 ピッピの体力は既にレッドゾーン、自分を攻撃すればそのまま自滅だ。 「あ~、しまった……最後、バクチに出るしかなさそうやな! ピッピ、ゆびをふる!」 アカネが額を押さえながらも最後の指示を出す。 のび太もトゲピーにゆびをふるを指示した。何しろこちらには攻撃できそうな技がこれしかないのである。 チッチッチッ…… 二匹のポケモンが同時に指を振る。どうやらピッピは混乱の影響なく安全に技が出せたようである。 ここからは何が起きるか誰にも分からない。 しずかがつばを呑む音が聞こえた。そして一瞬の沈黙…… 次の瞬間、バトルステージ全体にものすごい衝撃が加わった。 いったい何がおきたのか。 赤い玉と白い玉がぶつかった―――少なくとものび太にはそう見えた。 やがて、赤い玉―――ピッピが地面に倒れ伏し、その後方で魂が抜かれたように尻餅をついているのは白い針玉、のび太のトゲピーである。 「良かったあ~……あんなに運の悪いぼくが……」 あまりの状況に動けなくなっているトゲピーを直接のび太は抱きかかえに行ったあと、ゆっくりとボールに戻した。 アカネも同様に気を失ったピッピを撫で、声をかけてボールに戻す。彼女の口の端は少しゆがんでいた。 ピッピの出した技は「きあいパンチ」、トゲピーの出した技は「しんそく」であった。 きあいパンチを出す際に高まる気合いとしんそくを使う際の高速の空気の流れが先ほどのような状況を作り出したのだろう。 トゲピーはその幼さゆえにたいていの技を食らえば即戦闘不能であったに違いない。 それでいて出た技は相手に対して確実に先手を取るしんそくであった。 どうやらのび太には幸運の女神が舞い降りたようである。 ちなみに、奇しくもトゲピーの特性は「てんのめぐみ」であった。 のび太はトゲピーを戻し、バトルは仕切りなおしとなる。 「つ、次は負けへんからええもん! ……ミルタンク、出番や!」 ゲームでは誰もがトラウマになったというアカネのトレードマーク、恐怖のポケモンが出現した。 プレイしていないのび太はそんなこと知る由もないが、目には目を、切り札には切り札を、だ。 のび太は腰のモンスターボールに手をかける。 「ウパー、負けるなよ!」 「のび太さん!」 先ほどのバトルの緊張感で震えていたはずのしずかがこちらへ駆け寄ってきた。 「ちょっと耳貸して!」 のび太は首を傾げたがしずかのあまりの剣幕に素直に指示にしたがった。 アカネはそれを見ながらも意に介さない様子でミルタンクがくるくる踊っているのをみて笑っている。相当な余裕だ。 5分後。 「で、もうええんか?」 二人の内緒話が終わったのを見届けると首の間接を鳴らしながらアカネが言う。 のび太はむっとした表情でこう返答した。 「うん、絶対に勝ってやる!」 「勝てるもんなら勝ってみい! ほな行くで!」 「ミルタンク! メロメロや!」 メロメロ……しずちゃんの言ったとおりだ。アカネは♂ポケモンに対して初手で必ずメロメロを使ってくる。 そしてウパーの性別は♂、ミルタンクから発せられる独特の魅力にウパーはフラフラと頭を振っている。 これがメロメロ状態だ。 ウパーはのび太のマッドショットの指示を受け付けることが出来ず、そのままミルタンクの攻撃がめぐってきた。 「まるくなる!」 ミルタンクが体を丸め、その防御力を上昇させる。 (どうしよう……このままじゃあしずちゃんと一緒……) しずかはアカネが先ほど自分が負かした様子を事細かに話してくれた。 メロメロで相手の攻撃回数を減らし、確実にまるくなるをしたところでミルクのみ、こうして仕込み段階で減らされた体力を回復。 そして威力2倍のころがるで相手の手持ち全てを一気に叩き潰す。 しずかは攻略法を見出せないままでいたが、最後の一言がのび太に勇気を与えてくれた。 「のび太さん、さっきのバトルを見てて思ったわ。 あなたならやれるはずよ。弱点を見つけられると思うわ……」 本当に弱点など存在するのだろうか……? しかし、見つけられるかどうかに勝負がかかっているだろう。 しずちゃんが見ているし、あんなことまで言ってくれたんだから負けられない。 幸い百貨店でミックスオレを買いだめしておいたおかげで、回復は十分に行える。 のび太の決意に同調するかのようにウパーはメロメロ状態を振り払って今度こそマッドショットを命中させた。 幸運にも急所に当たったにもかかわらず、空しくもそのダメージはミルクのみで回復されてしまう。 アカネの顔が徐々ににやけてくるのが分かる。本当に恐ろしいのはここからだ、といわんばかりに。 メロメロ状態で左右にふらついているウパー目掛けてミルタンクが攻撃態勢をとった。 「ミルタンク、行くでぇ! ころがるや!!」 ついに出た! ピンクと黒のツートンカラー、巨大な車輪と化したミルタンクがウパーを襲う。 しかしまだまだダメージは小さい。ウパーはほぼ無傷で立ち上がった。 ころがるは岩タイプの技。タイプ不一致で効果イマイチとあればダメージの小ささは当然である。 起き上がりざまに打ったマッドショットは見事にミルタンクに命中し、体力をわずかに削った。 「おお、なかなか打たれづよいんやな、あんたのウパー。まあ、ここからはそんなことも言っとれへんけどな! ミルタンク! そのままころがり続けるんや!」 しかし、ミルタンクはぬかるみに嵌まって動きが鈍っている。そこに今度はどろばくだんが飛んできた。 ……ぬかるみ? 「しまった! マッドショットや! アレで素早さが下がったんやな! 追加効果……忘れとったわ。 まあ構へん、そのままころがる!」 このままころがるを受け続ければ確実に負ける。ウパーとの約束を破ってしまう。 しかし、追加効果といえば……そうか、それが弱点だ! 逆上がりは苦手だけど、ひらめきに関しては天才的なのび太の頭脳がミルタンクの弱点を見定めた。 しずちゃんの二の舞にはならなくて済みそうだ。 しかし、これではウパーに負担が…… そんなのび太をよそに、ぬかるみから脱出したミルタンクはどろばくだんにびくともせずにウパーを襲ってくる。それもさっきより速いスピードで。 攻撃を受けたウパーは少しぐらついた。そしてそのままぼーっとしている。メロメロ状態で動けないのだ。 「ウパー! 大丈夫か!?」 「だんだんウチのペースになってきたでぇ! ころがる!」 ミルタンクの回転はさらに加速している。これを食らえばせっかく見つけた弱点も…… しかし、ミルタンクは大きな音を立ててジムの壁にぶつかり、そこで回転は停止した。 それを見ながらのび太はほくそ笑んだ。 「しゃあないなぁ……でもウチの有利はかわらへんで!」 「……。ウパー、どろばくだん!」 のび太はミルタンクの弱点を手に取るように把握してしまった。 普段ののび太ならばここで調子に乗って態度が一変するところだろう。 しかし、ウパーへ負担を強いることを考えるとそうも言っていられない。 ミルクのみで体力を回復しているミルタンクへどろばくだんを放ち続けるよう、のび太はウパーに指示した。 試合開始から3時間半が経過。バトルが始まったのは午前10時過ぎだったので、お昼はとっくに過ぎていることになる。 バトルステージでは泥まみれ、かつ擦り傷まみれのウパーとミルタンクが息を荒げていた。 試合は文字通り泥仕合となり、お互い決定打を与えられないまま試合が続いてきたのだった。 「もうそろそろ……決着つけても……ええ頃やで……」 初夏のものといっても良いほどの西日が強烈に差し込み、ジム内の気温はかなり高くなっていた。 アカネも立っているのが辛くなっているらしい。のび太は既にへたれ込んでしまっている。 そしてしずかは何もいえないままジムのベンチに腰掛けてバトルを観戦し続けていた。その表情にも疲労がにじみ出ている。 「ミルタンク、ころがるや……!」 しかし、ミルタンクはころがるの体制をとることが出来ない。 「しもた! ころがるまでPP切れ……」 「アカネさん、ぼくの勝ちですよ……」 のび太は作戦を思いついて以来3時間必死で考えていたかっこいいセリフを口にした。 実際は床にへっぴり腰で倒れていてちっともかっこよくはないのだが。 「あなたのミルタンクの弱点は攻撃技がひとつしかないことと…… そしてその攻撃技はタイプ不一致で効果今ひとつ、あたり続けなければ決定力の出ないころがるであることなんです。 ぼくはマッドショットでミルタンクの素早さを下げたあと、さらにどろばくだんで命中率を下げました。 ころがるは3発目くらいまでで終わってしまえばぼくのミックスオレでの回復が間に合います。 メロメロで動けないときもありましたが、それはちょうどよく時間稼ぎになってころがるのPPはさらに減る。 つまりバトルの最初からあなたは自滅への道を歩んでいたというわけですよ! もうミルクのみのPPも尽きているはずです。 ぼくの勝ち、やっと、勝ち……ウパー、トドメのマッドショット!」 ウパーが何とか立ち上がり、猛烈な量の泥をミルタンクへと浴びせかける。 風前の灯となっていたミルタンクの意識もついには飛び……。 「ひんし」状態となった。 「ま、負けた……うっ、うっ……うえーん、ひっぐひっぐ……ひどいよおー! そんなに痛めつけへんでもええやんかぁー!」 アカネはミルタンクを戻すのも忘れて火のついたようにわんわん泣き始めた。 4時間近くに及ぶ戦いのあとにどこにそんな元気があるのか。さすがはダイナマイトプリティギャルである。 しずかはゆっくりと立ち上がり、アカネの元に行くと優しい口調でなだめ始めた。 「勝った……」 一方、のび太は気の抜けたかのように大の字になって倒れていた。 勝利の美酒に酔いしれるどころではない。ただただ疲れ、いつものように昼寝を…… しかし、次の瞬間のび太は突如電流が走ったように跳ね起きた。その視線はウパーに釘付けになっている。 「あ……あ……」 口をぽかんと開けたのび太のようすアカネはしゃっくりあげるのも忘れて同じ方向を見つめた。しずかも同様だ。 ウパーの体が光に包まれている。 そしてその体は光に包まれたまま徐々に大きくなり……尻尾が伸び……手が生え…… おめでとう!ウパーはヌオーに進化した! 「やったー!!」 のび太は知らない間にヌオーに駆け寄っていた。 「よくやってくれたよ、お前は……これからもよろしくね、ヌオー」 ヌオーは鳴き声ひとつでそれに答えた。 そのぬめぬめした肢体をひしと抱きしめたまま、のび太は改めて自らのパートナーとあいさつを交わしたのだった。 ウパーの進化から数時間が経過した。 ここはセンター内、のび太の個室だ。コガネ2日目の日が暮れようとしている。 高層ビル群に隠れて部屋から夕日は見えないのだが。 「やっぱりダメかなぁ……何か他の方法を考えないと……」 そうぼやきながら、黄色いネズミの中から青いタヌキが現れた。……ドラえもんである。 人相書きとなってしまったドラえもんは姿を隠すために今日一日ピカチュウのぬいぐるみを着て行動した。 しかし、明らかに目立ちすぎる上にイタズラ好きの子供がちょっかいを出してくるわ前が見えなくてこけるわそしたら起き上がれないわ散々だった。 早く別の方法を考える必要がある、とドラえもんの頭脳は判断したのだ。 現在、のび太と二人で目下検討中である。 石ころぼうしは? とのび太が提案するが、ドラえもんは首を横に振った。 「ダメなんだ。 この世界では移動に関する道具は使えない、って言ったけどもうちょっといろいろ制限をかけてるんだ。 設定をしたのはぼくだけど……万が一、誰かがポケットを盗んで悪用してもなるべく問題がないようにしてある。 移動に関する道具や石ころぼうしの他には例えばソノウソホント、地球はかいばくだん、悪魔のパスポート、もしもボックス、透明マント…… 悪用されたら取り返しがつかなくなるものは禁止をかけてあるよ。 モーテン星なんかは時間制限があるから身を守るのに使えるよう残してあるけどね」 ドラえもんは長々と説明するが、この制約で困っているのは実は彼自身である。 何とかしなくちゃならない、とドラえもんはうろうろしながら頭をひねっている。 うんうん言い続けるドラえもんに呆れたのび太は散歩と夕食に行くことにした。 アカネによるとこのところコガネシティは治安が悪いらしい。注意しなくてはならない。 そういえばカントーの警察官が応援に来て立ち往生しているんだっけ。 そんなことを考えながらのび太はとりあえず百貨店の屋上で風に当たることにしたのだった。 2時間後、ミートソースで口の端を汚したのび太が部屋に戻ってくると、そこではドラえもんがニヤニヤしながら座っていた。 「やあおかえり! いい方法が思いついたんだよ、協力してくれない?」
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ドラかず のび太のすうじ大冒険 版権キャラ 知識、学習 1,125円税込225.0MB 4・5歳~小学1年生レベルの「数のおけいこ」や「たし算・ひき算」からスタートして、小学2年生の「九九」や小学3年生の「わり算」までを楽しく学習します。 西部を舞台にくり広げる、ドラえもんとのび太の冒険物語! つぎつぎに登場するターゲットをすばやい計算でクリアしよう。 学習レベルは、4・5歳~小学校中学年まで対応。プレイヤーの年齢と習熟度に応じた問題が出るので、楽しみながら計算力アップ! ステージクリアに欠かせない計算ワザをみがく書き取りゲームや手書き入力による本格的学習モードなど、演出も多彩! 学習・教育 アクション キャラクターボイス メーカー 小学館 対応言語 日本語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字) 配信日 2021年2月4日 CERO A 対応ハード Nintendo Switch セーブデータお預かり 対応 対応コントローラー Nintendo Switch Proコントローラー, タッチスクリーン プレイモード x , テーブルモード, 携帯モード プレイ人数 1 人 名前 コメント
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前へ 異形の怪物は十の目でスネ夫を睨む。 スネ夫は殺気を感じ、ボールに手をかけるが、 「待って!」 しずかの声が入る。「スネ夫さんは先に行って」 スネ夫は耳を疑い、しずかを見つめる。 「な、何言ってるんだよ、しずちゃん! こんな奴の相手なんか」 「大丈夫、策はあるの」 しずかの台詞は自信に溢れていた。 スネ夫はますます青い顔になる。 (しずちゃんをここに残していいのかな。大丈夫って言ってるし。 ……いや! ぼくだって男だぞ! そんなことできるわけ) ギラリ、と怪物の眼光がスネ夫を射る。 その瞬間、スネ夫は決心した。 「しずちゃん、任せた!」 スネ夫は意気揚々と怪物の股をくぐる。 怪物が奇声をあげ、嘴が伸びるが―― 「てっぺき!」 しずかの繰り出したポケモンが、体を強固して嘴を止める。 怪物に動揺の感が走る。 それはスネ夫も同じだった。 「しずちゃん、そのポケモンは!?」 「ええ、道中で仲間になったの」 しずかの仲間はてっぺきを解く。 象徴的な大きな口――いや、それは角が変形したもの。 それはクチートだ。 「さあ、行って! スネ夫さん」 そう言われるが速いか、スネ夫は階段を駆け上った。 スネ夫は二階に着く。 廊下は小奇麗で、壁の白さが際立つ。 赤い絨毯は高級感を漂わせた。 スネ夫は一先ず呼吸を整える。 (さて、過ぎたことは考えるな。スネツグを探さないと) そう、スネ夫の目的はスネツグの奪還。 実を言うとジャイアンたちより先にスネツグを見つけた場合、 二人で脱出しようと考えていた。 スネ夫はにやりとする。 (一人になれたのは都合がいいや。これなら脱出もより簡単になる) スネ夫は自分の計画に酔いしれながら、通路を進んだ。 ところが、脇の扉から突然、意外な人物が飛び出す。 スネ夫は目を見開いた。 「どういうこと?」 しずかは崩れ落ちる怪物を尻目に、その人物を見た。 その人物はスネ夫と入れ違いに、部屋に入ってきたのだ。 「なに、こいつさ」 その人物は指を鳴らす。 すると、怪物のそばの空気が揺らぎ、ポケモンが姿を現した。 ゴースだ。 「僕のポケモンのさいみんじゅつで眠ってもらったのさ」 「そんなことをきいているんじゃないわ!」 しずかが語調を強める。「あなたがどうしてこっちに来たのかってことよ! 出木杉さん!」 その人物、出木杉は肩を竦める。 「ああ、そんなことか。簡単だよ」 しずかの前に、ぬっとゴースが現れる。 「あなた、約束したわよね。あたしには手を出さないって」 しずかが問いただす。 「安心しろ。ゴースに手なんかないから」 しずかの反論より速く、ゴースのさいみんじゅつ。 しずかはその場に崩れた。 「スネキチじゃないか!」 スネ夫は絶句した。 真っ暗。 体の感覚は無い。 周りには何も見えず、どこが上やら下やら…… 突然、視界が晴れてきた。 ぼんやりと、ゆっくりと、光が広がる。 緑色の――海? 時々泡が視界に入る。 《見えるか……》 言葉が伝わってきた。 言われたのではなく、聞いたのでもなく、ただ伝わってきた。 テレパシーとでも言うのだろうか? 《私の姿が見えるか……》 (……誰だ?) 《私の姿が》 (……誰なんだ!?姿を見せ) 《少し待て》 言葉は短い。 でも、重かった。 一気に心の底に落ちる言葉は、深く、冷たく――それでいて哀れだった。 視野が変わる。 牢獄のようだ。 鉄格子の中は小窓から差し込む光によって何とか見える。 ベッドと、その脇に黄色いポケモン。 ベッドの中には誰かいる。 そう、誰かが。 《……こいつだ》 言葉が静かに伝わってくる。 《少年。ベッドの中のこいつを殺せ》 (な!?……何で!?) 《いいから約束しろ》 (……いやだ) 何故かそう伝えていた。 ベッドの中の誰か。 それは殺してはいけない誰か。 《歯向かうのか?》 (ああ、そうだ) 視界が再びぼやける。 また、緑色の海。 《私の姿が見えるか》 何度かきいた質問だ。 だけど、今度は違う。 姿が見える。緑色の海の中に。 そいつの目は閉じていて、でも意識は恐ろしく鋭く、そして…… 「ジャイアン!!」 スネ夫の声が、ジャイアンの耳を貫く。 ジャイアンは目を白黒させ、辺りを見回した。 「あれ……あいつは?」 「あいつって?」 スネ夫が首を傾げる。 「ほら、緑色の海の中に」 スネ夫は吹き出した。 「ジャイアン、海は青いよ」「いや、だけどさっきまでは」「夢でも見ていたんじゃないの?」 ジャイアンの血液は急流により一気に頭に上る。 「何だと!?このやろ……あれ?」 ジャイアンは何故か動かない自分の体を見た。 縄で縛られている。 「あれ、俺どうして縄なんかに……というか」 ジャイアンはもう一度辺りを見渡し、スネ夫に焦点を合わせた。 「ここどこだ?」 スネ夫は呆れたようにため息を突いた。 「ジャイアン、君こそ行方不明になるまでどこにいたんだい?」 ジャイアンは首を傾げ、そして「あぁ」と思い出した。 ジャイ子と話している最中、後ろから殴られ、気を失った事を。 スネ夫は話し始めた。 いなくなったジャイアン、ジャイ子、スズナ、スネツグ。 フスリの振興が民衆を使い、仲間たちを捕らえ始めたこと。 スネ夫としずか、出木杉とドラえもん、のび太とハヤトに別れ、捜索を始めたこと。 そしてスネ夫がしずかと別れ、スネツグに出会ったこと。 「だからこうしてジャイアンのいる牢屋がわかったんだ」 ジャイアンは押し寄せる情報の大所帯を何とか整理する。 「じゃあ、ここは牢屋ってことか……俺はどうして、誰に襲われたんだ?」 「覚えてないの?」 明らかにスネ夫の期待していない答えを、ジャイアンはする。 「ああ、覚えてない」 スネ夫はがっくりと肩を落とす。 「じゃあ、いったい誰が」 「それは……」 牢屋の入り口で、ガチャリと音がする。 施錠の音が。 ジャイアン、スネ夫は息を呑み、振り向く。 格子の向こうに、スネ夫の弟、スネツグがいた。 「僕さ」 スネツグは口端を上げる。 「どういうことだ?スネツグ」 スネ夫は静かに質問した。 「言ったとおりだよ、兄さん」 スネツグは腹黒い笑みを浮かべ、話し出す。 「僕がジャイアンを気絶させた。 ジャイ子とはもともとグルだった。 だから、ジャイ子がジャイアンの隙を作り、僕が襲った。 詳しくは言えないが、僕らの任務は兄さんらを捕らえることだ。 今頃兄さんの仲間たちも僕らの仲間に追い詰められているだろうね。 まあ兎に角、僕の任務は遂行したんだ。 僕は行くけど、恨んだりとかしないでね。アハハ」 (流石スネ夫の弟、話が長い) ジャイアンがぼんやりそんなことを考えてる間に、 スネツグは鍵を指で回しながら去ろうとした。 「……もういいよ」 スネ夫がぼそっと呟く。 スネツグが振り返る。 「うん?今何かいt――」 スネツグの指先を何かが掠める。 スネツグはハッと指を見る。 「あっ!」 鍵が消えていた。 「……ムウマ」 スネ夫が〔弟より数段高く〕口端を吊り上げる。 ムウマが格子の向こうで、得意そうに鍵を持っていた。 「くそっ、ポケモンを外に残しておいたのか」 スネツグが悪態をつく。 ムウマが鍵を開け、スネ夫が出て行く。 「ふ、たとえ兄さんでも僕は負け」「行け、ドガース!」 スネツグの話を遮って繰り出されたドガースは、 スネツグの愚痴を無視して煙を撒き散らす。 「ゲホッ……だがこんなえんまく、晴れるのを待てばすぐに」 「残念だったな。これはどくガスさ!」 スネ夫はそう吐き捨て、牢屋を向く。 「さ、ジャイアン速く」「させるかぁ!!」 スネツグの声が響き、何かが起動する。 スネ夫の目の前で、何かがせりあがった。 「うぉ!?うぅおおぉぉぉ……」 ジャイアンの叫びがだんだんと小さくなる。 「ジャイアン!?」(何だこの壁。一体どこから飛び出して、飛び出して……) スネ夫ははたと気づく。 「これは、床ごと上がっているのか!」 「その通り!!」スネツグがガスの中から叫ぶ。 「僕が……ゲホ……今押したのはゆ、床を……グホッガバァぁ……ハァハァ 押し上げるス、スイッチだったん、がハァ!……だよ」 「よし、ジャイアンは二階に行ったんだな。急がなきゃ」 実弟の命がけの言葉には耳を貸さず、スネ夫は階段を求めて駆け出した。 「……えんまくと思わせてどくガスを張り、僕を完全に無視するとは…… さすが兄さん。やることがちが……」 スネツグはその場で倒れた。 フスリの郊外―― 「……あ、いたよ」 のび太はエアームドの上から指差す。 一人用のテントが、小高い丘にぽつんと建っていた。 「どうやらあれみたいだな」 のび太の後ろからハヤトが顔を出す。 「やれやれ、町中で民衆に追いかけられて冷や汗かいた」 ハヤトはほっとため息をつく。 「もっと早く気づくべきだったね。『仲間なら、町中にいると捕まってしまう』って」 ‘全くだ’とでも言うようにムックルが一声鳴いた。 やがてエアームドはテントの周囲を旋回しながら降下を 「こごえるかぜ」 突如どこからか指示が聞こえてくる。 「よけろ、エアームド!」 ハヤトは指示したが、冷風は既にエアームドを捕らえていた。 苦しそうな声を上げるエアームド。 速度は急激に落ちていく。 のび太とハヤトはエアームドから飛び降りた。 「もどれ、エアームド!」 エアームドが墜落する寸前、ハヤトはボールに収めた。 「出てきてもらおうか」 ハヤトがテントに向かって言う。 だが 「って!!」 飛んできた氷の塊とハヤトの頭が鈍い音を奏でる。 「バカね。こっちよ」 ハヤトの背後の岩陰から、スズナとユキカブリが現れた。 「っこのやろ」「待ってよ、ハヤト」 いきり立つハヤトをのび太が抑える。 のび太はハヤトの前に出る。 「スズナさん。僕らと一緒に来てくれない?」「どこへ?」 「フスリの振興っていう、大きなビルへ」「なんで?」「え、えーと……」 のび太、ハヤトにバトンタッチ。 「兎に角、お主の連れだった武殿がさらわれたのだ。 フスリの振興にいるかもしれない。だから俺たちは探している。 で、お主について来て、一緒に武殿を探してほしい」 スズナは最初こそ驚いた素振りを見せたものの、無表情を通す。 「だいたい、わかったわ。 でもあたしはいかない」 ハヤトは首を傾げる。「どうしてだ?」 「どうしてもよ。どうせあたしは武とは関係無いんだもの。このまま故郷に帰るわ」 「……いや、関係無いことは無いであろう。 少なくとも旅の間は一緒にいたはず。助け合ってもよいではないか。 それとも何か助けにいけない事情でも」 「うるさいわね!!行かないって言ってるんだからそれでいいでしょ!」 スズナに怒鳴られ、ハヤトはカチンとくる。 「ずいぶん冷たいんだな。……やはりこおりタイプのポケモン使いだからか」 「……どういうこと?」 「なに、ひこうタイプのジムで代々伝えられている言葉だ。 『こおりタイプのポケモントレーナーにろくな人間はいない』ってな!」 その言葉にスズナは反応した。 もっとも、ハヤトとは正反対だったが。 「あら、たまたまひこうにこおりがよく効くだけじゃない。言いがかりもいいところね!」 「だが実際そうではないか」ハヤトは食って掛かる。 「初めて会った時だ。貴様、このムックルを思いっきり蔑んでみたな! やはりポケモンを蔑むとはろくなトレーナーのすることじゃ」 「別にどんな目で見ててもいいじゃない! そんなんで人間性判断されたんじゃたまったもんじゃ」 「ほう、じゃあ蔑んだのは認めるんだな!えぇ!」 「雑魚を雑魚として見て何がわるいのよ!!」 「あー!!貴様、ムックルを愚弄したな!!愚弄したな!! もう許さねぇ。ムックルの威厳の仇をとってやる!」 「やってみなさいよ!ひこうタイプごときで!」 ハヤトがボールに手を伸ばしたが、 「ちょ、ちょっと待って!!」 のび太の必死の制止が、二人の間に入る。 「僕らの目的はジャイアンたちを救うことだよ!! 今争っている場合じゃないよ!!」 のび太の叫びで、喧騒はようやくおさまる。 のび太はほっと息をつき、スズナを向く。 「スズナさん。僕らはジャイアンを救わなきゃならない。 そして、それにはあなたの力が必要なんです」 スズナは顔を背けながら頷く。 「わかったわよ。行ってあげる」 のび太は振り返り、ハヤトを向く。 「さ、ハヤト。行くよ。みんなのところへ」 「だが……あの女はムックルを」 呟くハヤトを無視してのび太はハヤトのボールを掴み、エアームドを出す。 「フスリの振興」最上階―― 仮面を被った少年は椅子にもたれ掛かる。 「それで、奴らは?」 少年は気だるそうにモニターに言う。 モニターに映るのはサカキだ。 「現在、しずかという少女一人。 また、スネツグはやられ、ジャイアンは今クリスチーネの所にいます」 「そうか……スネツグめ。やはり年下は信用できねえ。 だが、しずかは捕まったか」 少年はその事実を誇らしそうに思った。 「今でも信じられないよ。 僕の側に出木杉君がついているなんて」 実を言うと、しずかは少年にとって一番やっかいな相手だった。 実力は定かでないが、旅に出た四人の中で知力はずば抜けている。 だが、そのしずかももはや手中に収めた。 出木杉の手によって。 「ところで、マツバの計画はまだか?」 少年は話題をかえる。 「ええ。どうやら急いで充填を終わらせたため不備があるようです」 「ふん。まあしかたあるまい。 ……だが、あれがあれば僕は……ふふ」 少年は狂喜して高笑いした。 少年の思い通りに進んでいる。 ここまでは。 そして、もうすぐ思惑は覆る。 ジャイアンは再び格子の中にいた。 どうやら二階の牢屋に着いたらしい。 初めはポカンとしていたジャイアンも、自分の状況を把握した。 そして、牢屋の前に佇む姿も認識した。 「ジャイ子……」 ジャイアンは力なく呟いた。 ジャイ子はジャイアンを一瞥し、再び目を逸らす。 「おい、ジャイ子!きこえているんだろ!? どうしてこんなことするんだ?」 「お兄ちゃんには関係ないことよ」 ジャイ子は冷たく言い放つ。 「関係ない……そんなことあるもんか!!」 ジャイアンは必死で訴える。「ジャイ子の悩みは俺の悩みだ」 ジャイ子はひどく疲れたようにため息をつく。 「もういいの。お兄ちゃんなんて。 ……アタシはあの方についていくことを決めたの」 「誰だ、あの方って?」 ジャイアンが話を誘いかける。 「ふふ、お兄ちゃんも知っているはずよ」 ジャイ子はゆっくりと顔をあげ、笑みを浮かべながらジャイアンを見る。 一瞬兄妹は見つめ合った。 ジャイ子から、その名が上げられる。 「あの方、そう、アタシの思いの人。 この世界にも来ているのよ。 茂手モテ夫様がね!!」 「……言いやがったな、あの女」 少年はモニターで事を見ていた。 ジャイ子が簡単に乗せられて、話してしまった。 「もうこの仮面も意味はないな」 少年はそう言って仮面を外す。 茂手モテ夫が不服そうに顔を現した。 「ふん。使えない女だ」 モテ夫は舌打ちして仮面を回す。 「サカキ、あとどれくらいで完成する?」 モテ夫の後ろの人物から返事がくる。 「マツバからの連絡はまだです」 「……仕方あるまい。まだ待っておくか」 モテ夫は不満げに言い残す。 ――この時振り返っていれば、モテ夫は不幸を免れたかもしれない―― モテ夫の後ろで、サカキはこっそりとポケモンを出す。 異常なまでに小さいコラッタだ。 サカキはコラッタにメールを〔ほとんどコラッタの背中一面に〕つける。 コラッタは音も無くサカキから飛び降り、部屋を出て行った。 「……誰だっけ?それ」 冗談ではない。ジャイアンは純粋にきいた。 もちろん、ジャイ子は気に食わなかったようだ。 「へえ、覚えてないの」 ジャイ子はそれだけ言うとジャイアンから目をそむけた。 ジャイアンはあわてて言い繕う。 「わ、悪かったよ。ジャイ子。 とにかくそのモテ郎ってのが」「モテ夫よ!」「そうか、その……そいつがお前を」 「黙って!」 ジャイ子は一喝する。 ジャイアンは不意をつかれ、きょとんとするが、すぐに原因がわかる。 階段を駆け上る音が聞こえる。 誰かが上ってくる。階段から。 ジャイ子は立ち上がり、牢屋の前に立つ。 ジャイ子の正面には通路。その先には階段。 この階は非常に単純なつくりだ。 階段から、人物が現れる。 「……ここは、牢屋の階なのかい?」 スネ夫は辺りを見渡しながら言う。 「よくきたわね。お兄ちゃんを救いに」 ジャイ子は仁王立ちしながら言う。 スネ夫は呼吸を落ち着かせ、笑ってみせた。 「ああ、仕方ないさ。仲間だから」 ジャイ子は顔色を変えず、話題を変えた。 「アタシがここにいることに疑問を感じないの?」 「ん?なーに、僕の弟がべらべらと喋ってくれたんでね。 君が僕らの敵だってことも。 そうそう、ついでにわかったこともあるんだ」 「へぇ、どんなことを?」 ジャイ子は試すようにきいてきた。 「推測だけど。旅立ちの日にマスターボールを盗んだのは出木杉とドラえもん。 君やスネツグのボールは偽物だ。 さっき、いったん引き戻してスネツグのボールを確かめたんだ」 スネ夫は『まだどくガスが残っているかもしれない』という恐怖心から息を止めてスネツグの元へ戻った。 だから急いで階段を上ってきたのだ。 「あいつのボールは、本当になんでも無かった。 ただの紫色に塗った空のモンスターボールだった。 おかしかったんだ。ジャイアンを見張るなら如何なる場合でもポケモンを出しておいたほうが効率いい。 なのにスネツグは生身でいた。 なんでか……答えは簡単。ポケモンを持っていないから。 スネツグは誰かに招待されたんだ。 そして君は彼の仲間。君も招待された人物。 きいていいかい?君はポケモンを持っているのか?」 スネ夫は鋭く問う。 「すごい推理ね」 ジャイ子はそれだけ言った。 「でも、ちょっと違う。 アタシは招待客なんかじゃないわ。 ちゃんとあの方におつきして来たのよ。 だから……アタシはもらったの」 ジャイ子はベルトに手を伸ばす。 モンスターボールだ。 「あの方にもらったのよ。 自分のポケモンをね」 ジャイ子は勝機を悟ったように語る。 「さあ、あなたのポケモンはここまで来るのにかなり疲れているはず。 あなたに勝ち目は無いわ」 「さぁて、どうかな」スネ夫ははぐらかす。 「僕がものすごく運がよくて、体力を温存しているかもしれない。 逆に危険なのは君じゃないのかい?ポケモンは一体だけのようだし」 ジャイ子は一瞬歯を食いしばったが、すぐに笑みを浮かべる。 「どうかしら?このポケモンがどれほど強いかわからないわよ」 「この世界はゲームと違ってレベルがわからない。 強さなんてそう簡単にわかるものじゃないよ」 スネ夫の言葉にジャイ子は反論しようとした。 その時だった。 岩が、ジャイ子の肩を掠めて落ちてくる。 瞬時に青ざめるジャイ子。 それはただ、命の危険を感じたからだった。 だが 「ムウマ!!」 スネ夫が目を見開いて叫ぶ。 ジャイ子は振り返り、宙に浮く岩を見た。 岩の少し下には鍵があり、悲鳴と共に落下する。 だんだん岩の下がぼやけ、隠れていたポケモンが姿を現す。 ムウマが弱りきった姿でそこにいた。 ムウマは姿を消していた。 スネ夫がジャイ子と話している間に、こっそり鍵を盗む。 そして鍵を開け、ジャイアンを救出する――はずだった。 「もどれムウマ」 スネ夫がボールにムウマを戻す。 「ステルスロック」 突然天井から声が聞こえてくる。 天井を突き破り、幾つかの菱形岩が床に突き刺さる。 (まずい。ポケモンを交代しにくくなった) スネ夫は舌打ちして天井を見る。 そこには穴が開き、イワークが首を出していた。 「ジャイ子さん、気をつけて下さいよ」 イワークの頭に跨る青年が朗らかに言う。 「……ええ、ありがとう。ヒョウタ」 ジャイ子の礼と共に、ヒョウタが降りてくる。 「ヒョウタ?ジムリーダーじゃないのか?」 スネ夫が問う。 ヒョウタは肩を竦め、答える。 「確かに昔はジムリーダーだった。 だが今はロケット団に加わっている」 ヒョウタはそれを示すように、作業着の「R」の紋章を見せた。 「僕らはジャイ子さんの手助けを任された。 だから君のような人間と戦わなくてはならないんだ」 「僕ら?」 スネ夫が眉を顰める。「じゃあ他にも仲間が」 「その通り」 女性の声が聞こえてくる。 スネ夫が辺りを見渡すと、床の異変に気づいた。 「っぅわ!?」 床から蔓が延び、床板を破壊する。 「こんにちは」 中から和服姿の女性とモンジャラが出てくる。 「エリカです」 (……まずいぞ。一気に不利になった) スネ夫は歯噛みした。 (ジャイ子を戦力に含めないにしても二対一。 しかもジムリーダーだ。そこら辺のトレーナーとは違うはず) 「……ぉ、おい、何だ?ジャイ子」 スネ夫の耳にジャイアンの声が届いた。 見るとジャイ子が牢屋の方を向いて何かしている。 「ジャイアン?どうした!?」 スネ夫は叫んだ。 「ワープ装置を起動させるのよ!」 答えたのはジャイ子だ。 「一気に最上階まで送ってあげる」 「お、おいやめろ!!そんな面倒なこと」 スネ夫は駆け寄ろうとしたが、再び落石が起こる。 「ここは通さないよ」 ヒョウタのイワークがスネ夫の前に立ちふさがる。 「ジャイ子!やめろ。何を……おい何か光って――ぎゃああぁぁあぁ!!」 ジャイアンの叫び声が、はたと止まる。 ワープしてしまった。 「さて、アタシも最上階まで行くわ。 あとは任せたわよ。二人とも」 ジャイ子はそういうと、ワープする。 スネ夫は一歩退いた。 (まずいぞ~、これはやば~い) スネ夫は歯噛みしながら二人を見据える。 「悪いけど、任せるって言われちゃったからね」 ヒョウタが軽く言う。 「逃がしはしません」 エリカが告げた。 (ああぁ、どうにかならないか!? 一体どうすれば……どうすれば……どう) 突然破壊音が空間を切り裂く。 その場の三人と二体は壁を見た。 壁が外からの衝撃によって粉々に砕けている。 その衝撃をあたえたのは鋼の怪鳥―― 「エアームド?」 スネ夫の呟き通り、それはエアームドだ。 そして 「それに……のび太とハヤト!?」 エアームドに跨っていたのはのび太とハヤトだった。 「あ、やあスネ夫!」 のび太は朗らかに手を振る。 その時、壁の穴からまた何かが飛んできた。 いや、それは根っこでエアームドと結びついていた。 ユキカブリとスズナだ。 「スズナさん……みんな来たんだ!」 (ひゃっほう!僕ってやっぱついてるうぅぅ!!) スネ夫が高笑いしてる中、空から来た三人は体制を整えた。 次へ
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前へ 最早この学校が、ポケモン消失事件と関わっているのは間違いないだろう。 事件の謎を解く為、のび太たちは意を決してラムパルドの向かった方向へ進む。 そして辿り着いた場所は…… 「ここは……科学室?」 薬品の特異な匂いが微かに漂うそこは、間違いなく科学室であった。 「でも、ラムパルドはどこにもいないねえ……」 たしかに、ラムパルドはここの部屋に入ったはずだ。 しかし、この部屋には怪しい匂いを放つ薬品位しか目に付く物はない。 一体ラムパルドはどこに消えたのだろうか? そんな疑問を男三人が頭に浮かべていたその時だった。 「ねえ、ちょった!」 静香が声をひそめながら足下を指差す。 そこには、鍵穴がついている一つだけ色の違う床があった。 この床なら科学室での授業で見たことがある、この下は収納スペースか何かだと思っていたが、もしや? 静香が口に人差し指を当てて『静かに』という仕草をしながら床を空ける、鍵は開いているようだ。 床を取り外すと、地下へと続く階段が現れた。 おそらく誰も知らないであろうこの下の地下室。 そこに、ポケモン消失事件の真相があるはずだ…… のび太はゴクリと唾を飲む。 そして、まるで地獄へ続いているような禍々しい階段を一歩、また一歩と下りていった…… 地下室では、衝撃的な光景が待ち構えていた。 そこには先程のラムパルドに、エスパータイプのポケモンフーディン、そして…… この日、この学校の警備担当になっている教職員、藤山の姿があった。 この瞬間、だれもが悟った。 ポケモン消失事件の真犯人が、この学校の教師である藤山だったことを。 しかし、自分の教師が犯罪者だったという驚くべき光景を見ても、誰も言葉を発しない、 この部屋に入る前、何があっても声を出さないようにすることは決めていた。 いくら石ころ帽子を被っていても、声を聞かれたらおしまいだからだ。 ……でもこの場合は、声を出さないではなく、『出せない』というべきだろう。 彼らの予想を遥かに上回っていたこの展開に、だれもが腰を抜かしていた。 当の藤山は、教え子が間近で見ていること気付くよしもない。 自分の手持ちであるフーディンの頭を撫で、『よくやった』と微笑みかけている。 その光景を見た4人のうち、頭の回る静香はあることに気付いていた。 ラムパルドは、フーディンの念力で運ばれていた、だから浮いて移動していた、ということだ。 そして、のび太も別の光景を捉えていた。 彼は普段は頼りないが、いざという時に物凄い集中力と観察力を発揮する。 そんな彼の目は見逃していなかった……フーディンに向かって微笑む藤山の口元が、醜くゆがんでいることを…… そして次の瞬間、藤山はフーディンにサイコキネシスを命じた。 サイコキネシスによって空間が歪められ、ラムパルドの体が変形していく…… そして次の瞬間、ラムパルドの首が吹き飛んだ。 藤山は落ちた首を拾い上げると、悪魔のように高笑いをした。 あまりにもグロテスクな光景を目の当たりにし、ラムパルドの飛び散った血を体に浴びた4人の精神的ダメージは、あまりにも大きかった。 のび太たち4人に、数時間前までの勇ましい姿はなかった。 嗚咽を必死に堪えているのび太と静香。 放心状態になり、下半身を少し濡らしているスネ夫。 口をポカンと開け、その場に立ち尽くしているジャイアン。 どの人物も、この世のものとは思えない絶望の表情を浮かべていた。 一方、藤山はラムパルドの首を持ったまま壁にあるスイッチを押す。 すると、奥から巨大なカプセルが現れた。 中にはポケモン……のような物が入っていた。 だが、それはとてもこの世のものとは思えない姿をしていた。 胴体+足、腕、翼、尻尾の4つの部分が、色も構成も違うのだ。 まるで、いろいろのポケモンの部位をつぎはぎして作られたかのように…… しかもこの物体…… 「あ、頭がない……」 のび太が思わず呟いたが、カプセルに目を奪われている藤山は気付かなかったようだ。 そして、藤山は狂ったように独り言を言う。 「後はラムパルドの頭と、フーディンの脳を加えるだけ…… こいつを完成させれば、この世界をぶっ壊すことだってできる! ハハハハハ、アーッハハッハッハ!」 おぞましいその姿を目の当たりにしたのび太が思わず後退する。 その時壁に当たって、ドスンという鈍い音が部屋中に響いた。 さすがの藤山も、これを聞き逃すことはなかった。 「やっぱり誰かいるのか! 出て来い、さもなくばこいつの餌にするぞ!」 その一言を聞いた4人は慌てて逃げ出した。 何とか校舎外まで逃げてきた3人は、一言も喋らずにそれぞれの家へ戻っていった。 ―――翌日、野比家 「のび太君、起き……あれ、起きてたの?」 「……うん。」 パッチリと目を開けているのび太の姿に、ドラえもんは目を丸くしていた。 「昨日は眠れなかったんだ……さっさと学校に行ってくるよ。」 のび太がそう告げるとドラえもんはさらに、満月のように目を丸くした。 世界一寝付きがよいのび太が眠れなかった……明日は嵐が来るかもしれない。 のび太本人から言わせてもらえば、眠れなくて当然である。 昨晩、あんな光景を目の当たりにしたのだから…… 授業は全く頭に入らなかった、頭の中では昨日の光景が何度も繰り返し再生されている。 放課後、ジャイアンとスネ夫がのび太の席まで近づいて来た。 藤山がポケモン消失事件の犯人で、とんでもない怪物を生み出そうとしていることを先生に告げようという相談だった。 先生なら何とかしてくれるかもしれない……その考えに同調したのび太は早速先生の元へ向かう。 だが先生から返ってきたのは残酷な対応だった。 「何を言っているんだお前たちは!藤山先生がそんなことするわけないじゃないか。」 後に優等生である静香も加えてもう一度言ったが、やはり先生の答えは変わらなかった。 4人は裏切られた気分で空き地へ向かう、これからのことを相談するために…… 「このまま放っておいたらこの世界がどうなるかわからねぇ! 一体どうすればいいんだよ!」 苛立つジャイアンの姿を見て、スネ夫は涙ぐみながら言う。 「ジャイアンが、ポケモンを盗もうなんて言わなきゃこんなことに巻き込まれなかったのに!」 「やっぱり、ポケモンを盗んだのは君たちだったのか……」 スネ夫が発言した瞬間、突然1人の少年が空き地に現れた。 少年の名前は出木杉英才という、彼ものび太たちと同期に入学した1人だ。 同時期の生徒で唯一、一度も昇級試験に落ちずに5年生になっている。 おまけに容姿端麗でスポーツも得意、美術や音楽の才もある。 いわば、筋金入りの『天才』である。 そんな彼は見抜いていた、教師ですらわからなかったポケモン窃盗事件の犯人を。 出木杉には何を隠しても無駄だろう、のび太たちは彼に全てを話した……昨夜のことも、だ。 全て聞き終えた出木杉は予想外の言葉を投げかける。 「よし、僕も手伝うよ! 藤山先生をこのまま放っておくのは危険だ!」 昨夜静香と同じような展開を繰り広げたが、昨日以上にのび太は驚かされた。 出木杉はかつて有名なトレーナーで悪の組織とも戦った父の正義感を受けついでいる。 そんな彼がいまの話を聞いて、黙っていられるわけがなかったのだ。 それに彼は父のバトルセンスを受け継いでいる、加わればかなり役に立つだろう とりあえず出木杉の提案で、いろいろなところに助けを求めることにした。 だが警察や軍隊に電話しても、先程の先生のような反応しか返ってこない。 「やっぱり、僕たちだけで戦うしかないのかな……」 諦めたように呟く出木杉に、のび太は言った。 「協力してくれる人、1人心当たりがあるよ!」 その時、ドラえもんはのび太の部屋で好物のドラ焼きを堪能していた。 虫の音一つ聞こえない静かな空間……だがそれは突然崩壊する。 部屋のドアが開き、突然5人の子供たちが入ってきたのだ、驚いたドラえもんはドラ焼きを喉に詰まらせてしまった。 そんな様子など気にとめずのび太は言う。 「ドラえもん、僕たちに協力して欲しいんだ! 頼れるのは君しかいないんだよ。」 のび太はドラえもんに全ての事情を説明した。 話を聞き終えたドラえもんは言う。 「それで最近おかしかったのか……のび太君、君には言いたいことがたくさんある。 でも、今はその藤山という先生を止めるのが先だ。 僕にできることがあるなら何でも協力する、誓うよ!」 めでたく、ドラえもんも仲間に加えることができた。 静香が今日チェックしてきたところ、今日も警備担当は藤山になっているそうだ。 つまり、あのポケモンらしきものが完成するのも今日ということになる。 その時に備え、6人は作戦を立て始めた。 「相手はどんな手を使ってくるかわからない、でも僕には秘策があるんだ。」 出木杉のアイデアを聞いた他の5人は、彼の考えに感心する。 さすがは出木杉、といったところか。 さらにスネ夫が家にある戦闘用道具を持ち出してきてくれることになった。 気合の襷などの強力アイテムもあるらしい、あるのとないのでは大違いだ。 一通りの話し合いを終えたところで、皆はそれぞれの家へ帰ることになった。 「じゃあ今日の12時に、空き地に集合だよ!」 ドラえもんが念を押すように告げる。 ―――決戦の刻は、もうそこまで近づいてきていた。 時は午後11時30分、ドラえもんは押入れから出てのび太を起こしに行く。 だが、のび太は起こすまでもなくすでに目覚めていた。 「あれ、のび太君起きてたの?」 「うん、全然眠れないんだ……」 「そうか……最近いろいろあったもんね。」 ドラえもんが意味深に呟いた。 「じゃあ、行こうか!」 服を着替え、のび太はドラえもんとともに玄関を出る。 のび太とドラえもんが来たとき、空き地にはまだ誰もいなかった。 しばらくして1人、2人と集まり始め、集合時間の5分前ぐらいには全員が集まった。 「スネ夫君、例のものは持ってきた?」 「もちろんさ、こっそり持ち出してきたんだから丁重に扱ってよね。」 出木杉に問われたスネ夫が、持っていた袋の中身を取り出す。 気合の襷、先制の爪、貝殻の鈴……などなど、かなり貴重かつ強力なアイテムである。 「何もなしで戦うのは危険だからね、皆で手分けして使おう。」 出木杉に言われて、みんながアイテムを一つずつ取る。 「じゃああとは今日立てた作戦通りに行こう。 そのためには早く行かなければいかない、急ごう!」 「よっしゃあ、行くぜえ!」 出木杉の言葉を聞いたジャイアンが早速走り出した。 「もう、武さんったら。」 「ハハハ、頼もしいなあ。」 その姿を見て、静香と出木杉が笑いあう。 そんな光景を見て、のび太は軽く舌打ちをした。 出木杉英才と源静香、どちらも優等生である。 勤勉な静香は出木杉によく勉強を教えてもらっている。 また2人は仲がいい、2人で遊んでいる風景をのび太も見たことがある。 仲良しの美少年と美少女……そんな2人は学校でも『ベストカップル」として評判である。 のび太は、そんな出木杉が憎かった。 静香に好意を抱くのび太にとって、出木杉は恋敵だったのだ。 だからこの戦いに出木杉が加わると言ったときも、のび太はあまり嬉しくなかった。 でものび太は気付いていない…… 自分が抱いているのは『憎しみ』ではなく『妬み』そして、『憧れ』であることを。 「静香に近づきたい、仲良くしたい。」 そんな自分の願望を見事に実現してみせている出木杉。 5年生までストレート進級し、頭もよくてバトルの才能もある出木杉。 自分がいつしかそんな出木杉に憧れ、目標としていることにのび太はまだ気付いていない。 「おいのび太、ビビッてんのかぁ?」 いきなり、ジャイアンがのび太の背中をおもいっきり叩いた。 「もー、やめてよジャイアン、僕は全然怖がってなんかいないよ!」 「またまた……ん?」 ジャイアンが驚いて目を見開く。 自身の言うとおり、今ののび太の顔にいつもの怖気づいた様子は見られなかった。 「着いたよ、トキワトレーナーズスクールだ。」 何度も潜り、見慣れてきたはずの校門が、なぜか禍々しい気配を漂わせているように見える。 「じゃあ皆、石ころ帽子を被って!」 ドラえもんの合図で全員が帽子を被る。 その瞬間、急に仲間の気配が消えて自分1人になった気になる。 闇の中孤独に立たされた6人、その心には恐怖という感情が湧き上がっていた。 学校内へ繋がる通り抜けフープ、そこを最初にくぐりぬけたのは以外にものび太だった。 「みんな、早くきてよー!」 校門の向こう側から聞こえる声を聞き、残りの5人はのび太が既に第一関門をクリアしたことを知る。 「のび太が行ったんだ、俺だって!」 ジャイアンがのび太に続いてフープをくぐりぬける。 他の4人も続いて建物内へと入っていく。 「ねえ、はぐれたらいけないから手を繋いで行こうよ。」 スネ夫が提案する、内心ではおそらく孤独が怖くなったのだろう。 他の5人はそれに賛同し、手を握り合って校舎内へと向かった。 他の人物が闘いのことを考えているなか、のび太だけは別のことを考えていた。 自分の右手に握られている丸い手、これは間違いなくドラえもんだろう。 しかし左手を硬く握ってくるこの手は? 小さな手のひら、細い指……間違いない、静香の手だ。 静香と手を繋げる機会が来るなんて……おそらく今自分の顔はにやけていることだろう。 廊下を恐る恐る進んでいると、突然物音が聞こえてきた。 ガタガタと、机が動いている音だ。 発生源は、のび太たちが見慣れた3年生の教室だった。 その音が怖くなったのか、静香は手をさらにキツく握る。 それに合わせて、のび太の顔もますますにやけてくる。 「とりあえず、音の正体を確かめなきゃね。」 ドラえもんが声をひそめて言い、6人は勇気を出して教室へと入る。 中に入った瞬間、ジャイアンが驚いて声を出す。 「ズ、ズル木!」 そこにはクラスメイトの1人、ズル木の姿があった…… ジャイアンたちが驚いているが、もっと驚いているにはズル木の方である。 石ころ帽子を被っている6人の姿をズル木は見ることができない。 つまり、彼の視界には誰も映っていないのだ。 しかし、たしかに今声が聞こえてきた。 それも、何もない空間から、だ…… どういうことだ? 今のは確かにクラスメイト、剛田武の声だった。 しかし、そこには誰もいない。 混乱するズル木の思考が出したのは、とんでもない結論だった。 「まさか、剛田が幽霊になって僕を呪いにきたんじゃ……」 ジャイアンはまだ生きている、だから幽霊になるわけがない。 というかそもそも、幽霊なんて存在するかどうかもわからない。 しかし、ズル木はこの状況をこんな風にしか捉えることができなかった。 そして、いもしない幽霊に対しての恐怖がこみ上げてくる。 「う、うわあああああ! た、助けてえええ!」 下半身を濡らしながら必死に教室を駆け回るズル木。 そんな彼に、いつもの優等生の姿は微塵も見当たらなかった。 「ったく……黙ってろ!」 ジャイアンがズル木の頭をしばいて静まらせる。 「とりあえず、今日ここで起こったことは忘れてもらったほうがいいよね。 ……本人のためにも。」 ドラえもんはポケットから『忘れろ草』を取り出し、ズル木に嗅がせる。 ズル木を保健室まで移動させると、6人は科学室へと向かった。 ―――科学室の地下室 怪しげなカプセルの前に立ち、同じくらい怪しい笑みを浮かべる男が1人。 男の名は藤山、この学校の教師である。 「待て、そこまでだ!」 突然、部屋の中に大声が響き渡った。 声の主は剛田武という彼の教え子だ、他にも4人の教え子がいる。 藤山は一瞬何が起こったのか理解できなかったが、状況を把握すると落ち着きを取り戻した。 「そうか、昨日ここにいたのはお前たちだったのか…… おそらく、ポケモンを盗んだのもそこにいる落ちこぼれ三人なんだろう?」 藤山がのび太、スネ夫、ジャイアンの三人を指差して嘲笑う。 「このやろ・・・「待って」 藤山に向かっていこうとするジャイアンを出木杉が止める。 「……それにしても君たちはラッキーだよ、こんな瞬間に立ち会えるなんてね。」 藤山は不気味な笑顔を浮かべて言う。 「見せてあげよう、私のポケモンを!」 藤山が壁のスイッチを押すと、奥にあったカプセルが開き、中のポケモンがでてきた。 「鉄をも砕くラムパルドの頭! どんな敵も絞め殺すハッサムの腕! バンギラスのダイアモンドの如き強度を持つ胴体と、大地を揺るがす強靭な脚! 鋼のように硬いボスゴドラの尻尾! 目にも止まらぬスピードで空を翔るプテラの翼! そしてコンピューターを軽く凌駕するフーディンの頭脳! ミュウから作られた伝説のポケモンはミュウツー…… なら私が生み出したこの最強のポケモンは、『フジツー』だ!」 藤山の言葉を聞いた静香が呟く。 「この人、完全にイカれてる……」 「みんな、作戦通り行くよ!」 出木杉の合図とともに、5人はモンスターボールをフィールドに投げた。 のび太は昼間、出木杉が言っていたことを思い出す。 『どんなに強いポケモンだろうと、生まれた時は必ず『レベル1』なんだ。 だからそのポケモンがレベルを上げて強くなる前…… つまり、生まれたばかりのときに速攻で倒してしまえばいいのさ。』 かなり単純だが、言っていることはもっともである。 いくら強いポケモンの強い箇所を組み合わせて出来たポケモンでも、レベル1なら大したことはない。 今こそが、フジツーを倒せる最初で最後のチャンスなのだ。 「行くぜヒトカゲ、体当たりだ!」 ジャイアンの命令を聞いたヒトカゲはフジツーの前へ向かう。 だがヒトカゲはフジツーの前に立つと、攻撃をやめてしまった。 援護に向かったスネ夫のミズゴロウ同じ状態になる。 「ど、どうなってるんだ?」 ジャイアンが不思議に思っている間にヒトカゲとミズゴロウはやられてしまった。 「これでレベルは6、まあヒトカゲにたとえてやるとレベル30くらいかな、ハハハハハ!」 藤山が勝利を確信したかのように笑い出した。 「な、何が起こってるの? スボミー、吸い取るよ!」 主人である静香の命令にスボミーは答えない。 それを見た出木杉が驚きながら言う。 「そんな、まるでポケモンが操られてるみたいだ……ん、操る? まさか!」 「そのまさかだよ、私はポケモンを洗脳することが出来るのさ。」 藤山の一言を聞いた瞬間、少年たちの頭から『希望』の2文字は消えてしまった。 洗脳されたポケモンは、敵の思うように動かされる。 たとえ伝説のポケモンでも、洗脳されてしまえば勝ち目はないのだ。 あまりにも強大な敵の力……その前に落胆する少年たちの1人、出木杉英才が問う。 「ポケモンの合成、そして洗脳…… どちらも普通の知識だけでは不可能なハズ…… まさかあなた、『遺伝子学』の研究を?」 「その通りだよ、やっぱり君は察しがいいねえ」 藤山が笑う、少年たちが驚く。 遺伝子学、とは名前の通りポケモンの遺伝子に関する学問である。 数年前まで、たくさんの学者がポケモンの遺伝子について研究を深めていた。 だがある日、いきなりその研究が止められることになる…… ……グレン島に、遺伝子学について研究していた『フジ』という学者がいた。 彼は幻のポケモン、ミュウの遺伝子からミュウツーというポケモンを作り出した。 ミュウツーの力は凄かった……いや、凄すぎたというべきか。 ミュウツーはフジ博士の屋敷を破壊して脱走、フジ博士の生死はいまだ不明だ。 このようなことを二度と繰り返させないために、ポケモン学会は『遺伝子学』の研究を禁止したのだった。 「遺伝子学は国によって禁止され、今ではほとんどその知識が残されていないはず…… なのに、どうしてあなたはポケモンを洗脳出来るほどの知識を持っているんですか?」 出木杉の問いに対して、藤山は衝撃的な答えを出した。 「なぜ私がこんなに遺伝子学について詳しいのか……単純なことだよ 『藤山』という現在の名前は偽名、私の本名は『藤 理科雄』 かつてミュウツーを生み出したフジ博士とは、私のことさ!」 数年前『消えた』はずのフジ博士が目の前にいる…… そして、かつてミュウツーを作り出したように、今度はフジツーを作り出した。 それを知った少年たちは、宝くじで3億円を当てたような驚きを見せた。 「さて、正体を教えたからには生きて返す訳にはいかないなあ…… フジツー、スボミーに火炎放射だ!」 静香のスボミーは一撃で倒された、残りはのび太のコイキングと出木杉のムクバードだけである。 「ムクバード、翼で打つだ!」 「コイキング、体当たり!」 2人が必死で命じても、洗脳された2匹にその命令は届かない。 「藤山、いやフジの手元にあるリモコンのような機械…… おそらくあそこからポケモンを洗脳する電波的なものが出ているんだろう あれを奪うか壊すかすれば、洗脳が止められるかもしれない!」 出木杉がフジの手に握られている機械を見ながら呟く。 その呟きを聞き取ったフジが答える。 「その通り! でもフジツーがいる限り、お前たちはこれに触ることもでき…… 「それはどうかな?」 突然、フジの手元にある機械が奪い取られた……何もないはずの空間から。 「お前の最大の誤算は、6人目の存在に気付かなかったことだ!」 石ころ帽子を脱いだドラえもんが勝ち誇ったように言う。 その姿を見た出木杉とのび太が叫ぶ。 「「さあ、反撃開始だ!」」 突然現れたドラえもんに驚きながらも、フジの顔にはまだ余裕が残されていた。 「その機械は私しか扱えない、よって君がフジツーを洗脳することは不可能だ そしてそのムクバードでは今のフジツーに勝つことは出来ない! コイキングなど論外だ! どう足掻いても、君たちが私に勝つことは出来ない!」 その通りである、今のフジツーならムクバードなど1発で倒すことが出来るだろう。 だが、少年たちはまだ諦めてはいない。 「まずはそこの雑魚から消してやろう、踏み付けだ!」 もとはバンギラスのものだった巨大な足がコイキングを踏み潰した。 「ハハハハハ! これで残りは後いっ……ぴ、き? え……そ、そんな馬鹿な!」 フジが驚いたのも無理はないだろう、コイキングの体力がまだ残っていたのだから。 「スネ夫から授かった気合の襷のおかげだ! さあ、今度はこっちの番だ! コイキング、がむしゃら!」 気合の襷で体力を限界まで減らしてがむしゃら、もっとも基本的な連携技の一つである。 のび太が勝ちを確信した笑みを浮かべる。 「これで敵の体力も残り1だ……出木杉、後は任せたよ」 「ああ! ムクバード、電光石火だ!」 フジツーの残り体力をムクバードが削る。 体力が無くなったフジツーは瀕死状態になり、後ろ向きに倒れる。 ……藤理科雄を下敷きにして、だ。 数分後、のび太たちの通報で警察が駆けつけ、奇跡的に生存していた藤理科雄を逮捕した。 こうして、ポケモン消失事件はめでたく幕を閉じたのであった。 ―――今、のび太たち5人は職員室で先生と向かい合っている。 あの後、ポケモン消失事件はポケモン学会によって隠匿された。 藤理科雄の生存、ポケモンを洗脳する技術などの真実を公表すれば、必ずそのことを研究しようとする輩が現れる…… だから、この事件は闇に葬っておこうと判断されたのだ。 この事件のことを知っているのはポケモン学会を始めとする国の機関の一部の人間、現場に駆けつけた警察、トキワトレーナーズスクールの教員、そしてのび太たちだけだ。 危険極まりないフジツーは学会の手によって処分され、藤理科雄は死刑となった。 遺伝子についてあまりにも多くを知っている彼を生かしておくのは危険、そう判断されたのだ。 死刑直前、彼はこう言ったという。 『私を殺しても、必ず第二、第三の私が現れる…… その人物はこの世に破滅をもたらす、お前たち人間がそれを止めることはできない!』 一方、見事にフジ博士の野望を止めたのび太たちはというと…… 静香との約束通り、先生にポケモンを盗んだことを報告することになった。 教員たちはのび太たちが事件を解決したことは知っているが、そのうちの3人がポケモンを盗んだことはまだ知らない。 のび太が恐る恐る、先生に真実を告げ、頭を下げる。 それと同時に、ジャイアンとスネ夫も一緒に頭を下げた。 先生は一瞬困惑した表情を浮かべたが、すぐにいつもの怒りの表情を見せた。 「ばっかもーん! お前たちは自分が何をしたのかわかっているのか!」 静香と出木杉が必死でなだめるが、先生の怒りは止まらない。 3人はこの時、『退学』を覚悟した。 数分後、落ち着きを取り戻した先生は校長室へ向かった。 しばらくして職員室へ戻って来た先生は、のび太たちに冷静に話しかけた。 「先程校長先生と、君たち3人の処分について話してきた 何度も言うが、ポケモンを盗んだという君たちの行為は許されないことだ だが、藤理科雄を捕まえた点は評価しなければいけない…… 我々は彼の身近にいながら、彼のやっていることに気付くことができなかった それに、私は君たちが相談してきたにも関わらず、君たちより奴の方を信じてしまった そのせいで君たちは大人の協力を得れず、自分たちだけでフジと勝負することになった そして見事、彼に勝った……そこで、だ」 先生が一度会話を切る。 のび太たち3人が息をのむ。 「ポケモンを持つことが許されるのは4年生以上、だからお前たちを4年生に進級させることになった! お前たちにはそれだけの実力がある、そう判断されたのだ」 退学を間逃れたどこらか、まさかの4年生への進級…… それを聞いた3人は一瞬凍りつき、次の瞬間―― 「やったー!」 と子供らしくはしゃぎ回った。 一応、今進級すると他の生徒が不審に思うので進級は今年度末ということになった。 だが、合格は内定したので、試験に苦しむ必要もなくなったのだ。 のび太はこの一日の学校生活を上機嫌で凄し、鼻歌を吹きながら家へと向かった。 家に帰ると、のび太は駆け足で自分の部屋へと向かう。 そして部屋の中にいるドラえもんに、興奮しながら今朝のことを話した。 だが、それを聞いたドラえもんの返事はそっけないものだった。 「そう、それはよかったね」 その顔は、どこか寂しそうにも見えた。 「ねえ、どうしたのドラえもん? もっと喜んでよ!」 興奮するのび太、だが次のドラえもんの一言で彼は急激に静まることになる。 「のび太君……僕、未来に帰ることになったんだ」 あまりにも突然なドラえもんの発言にのび太は驚く。 「そ、それってどういう… 「あのね、のび太君……」 ドラえもんが口を挟まさまいという態度をとる。 「僕の仕事は、君を一人前の人間に育てることだった……でも君はもう、立派に成長していたんだ…… ポケモン消失事件を見事に解決したし、今度は4年生になる もう、僕の役目は終わったんだ! だから、僕は未来に帰らなきゃならない……」 ドラえもんの目には涙が浮かんでいた。 一番つらいのはドラえもんなんだ……その彼が決めたんだから、止めるわけにはいかない! そう決心したのび太は、彼が未来へ帰って行くのを黙って見送った。 数分後、部屋に1人残されたのび太はひたすら泣きつづけていた。 ―――これがまだ、後にトキワ英雄伝説として語り継がれる七年後の出来事の序章に過ぎなかったことなど、この時の彼には知る由も無かった。 ――――――トキワ英雄伝説 プロローグ完―――――― 次へ
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5ページ目 のび太パパ「本当に行くのか?」 のび太ママ「ええ。怖いから」 ドラえもん「パパは?本当にいいの?」 のび太パパ「あぁ。俺はのび太を信じる」 ドラえもん「気をつけて」 のび太ママ「昨夜は最高だったわ」 のび太パパ「あぁ」 ドラえもん「?」 次へ トップへ
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とある砂漠。 男「あれは確か、2回目の航海の時だった。私は1人取り残され、島の奥深く迷い込んでしまった…… こ、これは! ダイヤだ。ルビーに、サファイア。エメラルド…… しかし、この谷を抜け出せなかったら、宝石などいくら持っていても意味がない。私は何度もこの崖を登ろうとしたが、無理だった…… どこかに出口はないかと、何日も歩き回ったが、もう腹ペコで動く力もない。このままここで死んでしまうのか?」 その様子をドラえもんとのび太が見ていた。 のび太「シンドバッドがかわいそう…… ねぇ、無事に助かるかな?」 ドラえもん「ふぁーっ…… わかってるくせに。いったい何回見たら気が済むのさ?」 のび太「それを言っちゃあおしまいだよ。気分壊すな、もう……」 すると空から肉が降ってくる。 シンドバッド「ああっ、肉だ! 天から肉が降ってきた。神のお恵みだ……」 そこへ巨大な鳥が現れ、肉を持ち去って行った。 のび太「すごい鳥だね!」 ドラえもん「何回見ても迫力がある!」 のび太「でしょ?」 シンドバッド「ああっ。髪も見放したもうたか……」 盗賊たちが石を鳥にぶつけ、宝石のついた肉を落とさせる。 盗賊たち「宝石だ!」「いっぱいついてるぞ」「ルビー、ダイヤ、サファイア!」「こりゃ大儲けだぞ!」 シンドバッド「そうか! 谷底の宝石を取るために、肉を投げ込んで鳥に取らせる。これは谷を出られるかもしれないぞ!」 のび太「よくそこに気がついたな。ねぇドラえもん!」 しかし、ドラえもんは眠っていた。 のび太「あっ? ったく……」 再び肉が降ってくる。 シンドバッドはそれを自分の体にくくる。 のび太「急げ! すぐ大鳥が来るぞ! ほらきた!」 大鳥が現れ、肉をシンドバッドと一緒に掴んで飛び去る。 のび太「わーい! やったぁ、やったぁ! シンドバッドは無事に帰れることになった……」 ドラえもん「よかった×2。さぁ、僕らも帰ろう……」 のび太「ねぇ、もう1回見てこうよ」 ドラえもん「いい加減にしてよ。今度で3回目だよ? 付き合いきれないよ。ったく!」 のび太「そうだ。これ、しずかちゃんのお土産にしよう! ねぇ、これ1つ拾ってってもいいでしょ?」 ドラえもん「ダメ!! ただ見るだけの世界なんだから!」 のび太「わかってるよ。冗談、冗談……」 ドラえもん「いや、君ならやりかねない……」 こうして2人は元の世界に帰ってきた。 のび太「ああっ、面白かった。また見よう! ねぇドラえもん」 ドラえもん「はい……」 のび太「次どれにしようかな?」 ドラえもん「もう僕ダメ……」 ドラえもん「ええっ? そりゃないよ。ドラえもん! ドラえもんってば。ドラえもーーん!!」 ドラえもんのび太のドラビアンナイト
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6ページ目 ~スネオ家~ スネオ「ウハハ、通報し過ぎwジャイアン涙目ww」 ドラえもん「あのー、スネオくん僕らは?」 スネオ「僕らであのにっくきジャイアンに仕返しをするんだよ、そしてのび太の身の安全を守るんだよ」 しずか「うわ~、wiki重いわ~」 ドラえもん「僕も通報すべきだね」 スネオ「あれ、のび太は?」 ドラえもん「のび太く~ん、何処~?」 しずか「のび太さんまさか外なの?」 出来杉「ケータイが繋がらない・・・!」 スネオ「これは……マズいかも」 ジャイアン「確かにこれはもうやられた可能性が……」 スネオ「」 次へ トップへ
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10ページ目 しずか「いや、痛い。痛いっ」 のび太「あぁ気持ちいい。しずかちゃんの中気持ちいい」パンパン しずか「いゃぁぁぁぉっ」 のび太「う、出すよ?これで五発目だ」トピゅん しずか「あ、いや、あがぁぁぁぁ」 のび太「ふう。腰が止まらないよ」パンパンパンパン しずか「のび太さんのエッチ!」ぱしん! のび太「このアマ殴りやがった!おらっ!」 しずか「うぐっ、げほげほ」 のび太は喉に自分の一物を突き刺した。 しずか「げぼっ」 のび太「うわ、吐きやがった汚い」 ドラえもん「のび太ーーーー!」ばたっ ドラえもんが入ってきた。後ろには口をポカンと開けたジャイアンが。 のび太「よお、そっちからきてくれるとはな」 しずか「助けてドラえもん」 のび太「うるせえなこのアマ!また入れるぜ?」メキメキ しずか「ぎゃぁぉぉごこわめよわさ!!!」 次へ トップへ
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8ページ目 のび太「・・・いない。逃げたか」 ドラえもん「気づいてないね」 のび太ママ「ええ。さすがドラちゃんの道具ね」 のび太「ちっ、また振り出しか」 ドラえもん「よしっ」 のび太「なんてね。いるんだろ?二人とも。透明マントかな?それとも石ころ帽子?」 のび太ママ「気づいてる!?」 ドラえもん「大丈夫!姿は見えてないから!今のうち逃げよう!」 のび太「これを振り回そう!」ブンブン ドラえもん「!?大量のナイフを括り付けた輪っかだ!」 のび太ママ「当たる!当たるわ!」 のび太「ひゃは!」ブンブン のび太ママ「ぐぎゃっ」ぶしゅーーーー のび太ママの首をかっ切った。 ドラえもん「ママーーーー」 のび太「ん?血が付いてる。あはは、いるね。」 のび太ママ「はや、く、にげ、て」ピクピク ドラえもん「くそ、くそ。ママの死は無駄にはしない!」スタタタ のび太ママ「よ、ろしく、ねドラえもん」ばたり のび太「もういないかな?」ブンブン 次へ トップへ
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6ページ目 ジャイアン「なんだのび太」 のび太「さっきはよくも僕を殴ったな?」 ジャイアン「ふん!クソーセージなんかみせるからだろ?」 のび太「く、まぁたしかにクソだね」 ジャイアン「まぁ上がれよ。スネ夫で遊ぼうぜ」 のび太「OK」 スネ夫「の、のび太」 のび太「虫の息じゃん。ジャイアンなにしたの?」 ジャイアン「ケツの穴やってたら壊れたみたいだ。まぁ口は使えるぜ?」 のび太「どれどれ。うほっ!いい口!」 スネ夫「げぼっげぼっ」 五時間後 のび太「ふう。もう満足だから帰るね」 ジャイアン「おぅ!スネ夫も壊れたから帰してやるよ」 スネ夫「・・・」 ジャイアン「スネ夫?まさか、」 スネ夫「・・・」 ジャイアン「死んでる?く、のび太め!俺の心の友を!」 次へ トップへ