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少女、その想い アパートのに寄りかかるように金髪の少女が佇んでいた。 その少女、フェイト=T=ハラオウンを今構成しているのは、戸惑いと混乱、この言葉だけだ。 虚数空間に落ち、死亡したと思っていた母が生きていた、それは嬉しい。どうやって生き延びたのかは分からないが、素直に喜べた。 だが、何故殺し合いなど、あの母が冗談など言わないことは誰よりもよく知っている。 それに、母に歯向かい首輪を爆破……殺された人についても考えるべき点は多い。 アリサという自分の親友と同じ名前の少女、それに応えていたなのはと――自分と同じ名前、同じ声の女性。 名簿を見てみれば確かに自分の名前が二つある。 気になるのはなのはとはやての名前も二つあるということだが、こちらは今一わからない。 「この人も、母さんって言っていた……」 どういう事なのか、一つだけ思い当たることがあった。 「母さん、また、同じ事を……?」 アリシアのクローンとして生み出された自分、 ならば、他にも自分と似た人間がいてもおかしくはない。 そしてそれは、自分はもう母にとっていらない存在であるということ。 「っ……」 一度はなのは達の支えもあって立ち直った、いや、母が死んだ以上立ち直るしかなかった。 新しい家族を得た自分を、母はどう思っているのだろうか? 「……違う、そうじゃない」 答えなどわかっている「何とも思っていない」のだ。 そんなことはずっと前から、それこそジュエルシードを集めている頃から知っていたことのはずだ。 だが、それでもこの事実は心を傷つけていく。 「なのは……クロノ、お兄ちゃん……」 違う、ダメだ、震えて助けを待っているだけでは何にもならない。 頭では理解している、もう一度話さなくてはならないと、今度こそ母の過ちを止めなければならないと。 だが、足が震える、心が恐怖する、また拒絶されるのではないかと脳が逃げようとする。 「……あっ」 気づけばその場に座り込んでしまっていた。 ダメだ、立ち上がれ――立ったところで何もできやしない。 こんな殺し合い、止めないと――無理だよ、私に母さんに逆らう勇気なんてない。 違う、今度こそ止めないといけないんだ――私一人でそんなことできる訳がない。 でも、このままじゃ、なのは達も――デバイスもない自分がいたって、足手まといになるだけじゃない。 別の自分が、弱い自分が動こうとする体を止める――本当に動こうと思ってるの? 「違う! 動かないと、動かなきゃダメなんだ!」 「あの……大丈夫?」 「え?」 アパートの一室でデイバックを調べながら少女、早乙女レイは考える。 自分はマルタンを正気に戻そうと、十代やなのは達と共に対峙していたはずだった。 背後からはデュエルゾンビと化したフェイトたちが迫り、絶体絶命の状態……のはずが次の瞬間にはあの殺戮劇だ。 「っ……」 人の首が吹き飛ぶ凄惨な光景を思い出し、思わず口元を押さえる 誰かが死ぬ瞬間を見ることなど初めてだ、デュエルゾンビ達と化した者の何人かは死んでゾンビとなったらしいが、その瞬間を見ていないのなら同じこと。 吐き気を必死で堪える、こんなことで無駄に体力を使うわけにはいかない。 なにしろ――これから人を殺すのだから。 「十代様、待ってて……!」 レイとてまだ幼い少女だ、こんな殺し合いを本気で乗る人がいるとは思えない。 だが――自分は知っている、殺し合いをする、しないといった思考など超えてしまっている者がいることを。 フェイト、エリオ、万丈目。 この三人はデュエルゾンビと化し、ただ戦いを求めるだけの存在となっている。 そして三人に襲われた者も、やらなければやられると思い殺し合いに乗ってしまいかねない。 なのは達は心配するまでもないし、明日香はあれで割り切れる部分がある、命の危険に見舞われたら身を守ることを優先するだろう。 だが十代は違う、彼はきっと限界ギリギリまで相手を正気に戻すことを優先する。 けれど、その限界は自分達が思っているより遥かに早いのだ、それはあの少女が殺されたことで理解した。 このまま彼が誰か殺し合いに乗った者と出会ったら、間違いなく殺されてしまうだろう。 「そうなる前に……」 殺し合いに乗った人間を自分が殺す、そうするしかない。 人を殺すなど、やりたくもないし考えたくも無い、 だが、それ以上に十代が殺されるという事を恐れていた。 そうだ、何も罪の無い人まで殺すわけではない、殺人鬼を、犯罪者を殺すんだ、罪を感じる必要はない。 何度も言い聞かせるように呟き、銃を持って部屋を出る。 「あ、そういえば……」 名簿になのはやフェイトの名前が二つあることを思い出す。 それに最初の部屋、あの時殺された彼女と話していた「フェイト」は正気だったように思える。 「同姓同名の人? でも、声まで似てるなんて……」 考えてはみるが、いくら頭を悩ませても答えが出てこない。 「……会ってみれば、わかるよね」 危険だが、それしか方法はないだろう。 再び歩き始めるが、すぐに誰かがいることに気づき慌てて物陰に隠れる。 そっと様子を窺うが、何やら悩んでいる……というより怯えているようでこちらに気づく気配はない。 見れば自分より年下のようだ、どこかで見たような雰囲気を感じるが、あの様子では人殺しなどまずしないだろう。 とりあえず接触してみようと近づこうとした瞬間、その少女は叫びだした。 「違う! 動かないと、動かなきゃダメなんだ!」 「あの……大丈夫?」 「え?」 話しかけるとようやくこちらに気づいたようで顔を上げる、 と先ほどの独り言と言うには大きすぎる叫びを聞かれたことに気づいたのだろう、頬が朱く染まる。 「あ、その、えと、私……」 「――っ!? 私は早乙女レイ、貴方は……もしかして、フェイト、さん……?」 「え!? どうして、私の事を……」 声を聞いてもしやと思ったが、まさか本当に予想通りだっただったとは。 しかしそうなるとどう言う事なのか、目の前の少女は子供の頃のフェイトとでも言うのか? 確かにそれなら正気なのは当然だが……異世界というのは知っているが、魔法は時間まで遡ることが可能なのだろうか。 「あの……?」 「あ……ご、ごめん、ちょっと考え事を」 さて、どうするべきか。 魔法についてはよく知らない、本当に時間に関する魔法があるかもしれない。 ならばこの少女は過去のフェイトということになりえる、 そうすると自分の知っているフェイトについてどう説明するべきか、未来のあなたは殺人鬼になってるから殺します。とでも言えと? 「フェイトさ……ちゃん、殺し合いには乗ってないんだよね、どうするか、決めてる?」 ――言える訳がないだろう。 こんな子供に、そんな残酷なことを伝えられるほどレイは強くない。 出来る限り知られないようにしたかった。 「……いえ、なのは達……友達と合流したいですけど」 「そっか……」 友達の名前がなのは、ますます過去のフェイトである可能性が高まってきた。 しかしどうする、自分と一緒にいてはいずれデュエルゾンビと化したフェイトと出会うことになりかねない。 だからといって、自分よりも幼い子を一人置いておくのも気が引ける。 ……まあ、魔法が使えるのだったら自分よりずっと強いのだろうけど。 「……さて、どうしようかな」 【一日目 深夜】 【現在地 G‐4/アパート前】 【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA s】 【状態】健康、不安、戸惑い、混乱 【装備】無し 【道具】支給品一式、 不明支給品1~3(デバイスは無い) 【思考】 基本:なのは達との合流 1、レイと会話 2、殺し合いを止める 3、プレシアともう一度話したい……けど 【備考】 ※魔法少女リリカルなのはA sサウンドステージ3以降の参戦です。 ※もう一人のフェイトを、自分と同じアリシアのクローン体だと思っています。 ※なのはとはやても一人はクローンなのではと思っています。 【早乙女レイ@リリカル遊戯王GX】 【状態】健康 【装備】SIG P220(9/9)@リリカル・パニック 【道具】支給品一式、不明支給品1~2 【思考】 基本:十代を守る 1、連れて行くべき、かなぁ 2、殺し合いに乗っている者を殺害する 3、フェイト(StS)、エリオ、万丈目を強く警戒 【備考】 ※リリカル遊戯王GX10話から参戦です。 ※フェイト(A s)が過去から来たフェイトだと思っています。 ※フェイト(StS)、エリオ、万丈目がデュエルゾンビになっていると思っています。 【デュエルゾンビについて】 ユベルの力によってただひたすら戦いを求めるのみの存在 会話、だまし討ちなど多少の思考能力はある模様 このロワ内ではまず出ません。 Railway Track 本編時間順 CROSS CHANNEL Railway Track 本編投下順 CROSS CHANNEL それは最悪の始まりなの フェイト・T・ハラオウン(A s) - GAME START! 早乙女レイ -
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魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission10『セカンドアラート』" ――新暦七十五年 五月十三日 十二時三分 聖王教会本部―― 三百年以上の歴史を誇る次元世界最大の宗教『聖王教』 古代ベルカ時代に聖王によって作られたこの宗教は、ベルカ人だけではなくミッド人の信者も数多い。 風光明媚な各地の教会は観光名所としても名高く、その中でも一番有名なのは、やはりミッドチルダ北部にある総本山だろう。 ビルのような無機質な建物とは違い、教会本部の大聖堂はその建物自体が芸術といえるほどの豪華さを誇っている。 様々な装飾を施された柱や壁。天井にはめ込まれたステンドグラスは、陽光を浴びて光り輝き聖堂内に神秘的な雰囲気を作り出している。 所々に飾られた彫刻や絵画は単なる芸術品ではなく、名高い偉人達が聖王の偉業や伝説をモチーフにして作った宗教的価値の高い作品達だった。 聖王教会教会騎士兼時空管理局理事官カリム・グラシア少将は、聖堂の一画にある事務室で書類の作成に勤しんでいた。 書類の内容は『アンノウン』対策本部へ送るための報告書だった。 『アンノウン』の出現から二ヶ月以上。被害の拡大に伴い管理局の危機感も本局、地上本部ともに高まり続け、 最初は本局のみの小規模組織だった対策本部も今や本局と地上本部の合同組織となり、三千人以上のメンバーを有するほどになっている。 リンディを始めとする『クラウディア事件』の面々も加わり、ラルゴ元帥の計らいで旧式だが数隻の戦闘艦を所持できるようになった。 カリムも聖王教会代表として協力しており、被害の集計や報告書の作成など裏方の仕事を淡々とこなしている。 だが、彼女がどれだけ貢献しようとも、事は一向に良くならないのが現状だった。 この事件に対して今後どうすべきかについて、本局と地上本部の意見がまったく一致しないのだ。 地上本部が意見を述べれば本局が横槍を入れ、本局が意見を述べれば地上本部が反論を。 メンバーの多くが己の面子や利益を最優先とし、いつのまにか、考えていることは相手の足を引っ張ることばかりになっている。 対策組織がこんなていたらくでは、被害者達も草葉の陰で号泣していることだろう。 それでも『アンノウン』の跳梁だけは何としても阻止しなければならない。 それが今の彼女の勤めであると同じに、亡くなった弟や被害者への最大の供養であるとも思っていたからだ。 「騎士カリム、騎士はやてがいらっしゃいました」 傍らに映し出されたホロスクリーン。来客を告げたのは、教会騎士シャッハ・ヌエラ。 紫の髪を短く切り揃えた彼女は、カリムの友人であり、教会騎士団内でも上位に位置する実力者でもある。 「早かったわね。私の部屋に来てもらってちょうだい」 そう答えると、シャッハに茶菓子の用意をお願いすると、カリムは書類の出来を確認してペンを置いた。 ほどなくして、修道士に案内されて客人が部屋にやってきた。 やってきたのは砂漠民のようなローブを着た人物だった。フードを被っているので顔はわからない。 客人がフードをはねあげた。 その下から現われたのは、見るからに純朴な女性の姿。 薄茶色のショートカットが唯一の特徴である女性らしい柔和な容貌。 着ているものがブレザーなどの制服だったらそのまま女子校生として通用しそうな雰囲気だ。 「カリム、久しぶりや」 彼女の名は八神はやて二等陸佐。古代遺失物管理部機動六課の部隊長である。 ―― 「ごめんなぁ、すっかりご無沙汰してもうて」 カリムの事務室には客人をもてなすためのスペースも用意されている。 ローブを脱いだはやてはそこに案内され、シャッハが用意してくれた紅茶を飲みながらカリムに笑いかけた。 はやては二等陸佐でカリムは少将。 本当はタメ口をきくことなど許されない関係だが、カリムははやての古い友人であり気心が知れている。 なので、他人の目が無いところでは、互いにただの友人として接することが出来ていた。 「気にしないで、部隊の方は順調みたいね」 「うん、カリムのおかげや」 はやては頷いた。 機動六課を設立する際、カリムは後見人の一人として部隊運営に少なからず協力していた。 残りの後見人は本局総務統括官のリンディ・ハラオウンと人事部のレティ・ロウラン。 それに加えて本局の重鎮『三提督』も非公式であるが設立を認めていた。 彼等の助けもあって、はやては部隊を構成するための人材集めに集中することができたのだ。 と、言っても新人以外で集まったのは、はやての身内や友人ばかりだが、それでも高い能力を持った実力者であることには変わりない。 部隊設立の理由はロストロギア災害への対策と迅速な行動が可能な少数精鋭部隊の実験例。『表向き』ではそうなっていた。 「私のおかげか。そういうことにしとくと、何かとお願いしやすいかな?」 カリムは中身の無くなったカップを静かに置いた。 「なんや、今日会って話すんはお願い方面か?」 今までの柔和な雰囲気から一転、真顔に戻ったカリムはホロスクリーンを呼び出しコンソールを操作した。 カリムがはやてを呼んだのは、彼女と茶会がしたかったためではない。相談したいことがあったからだ。 ヘタをすれば、次元世界全体に関わるほどの問題についての相談が。 照明が落とされ、二人の周囲に大小様々なホロスクリーンが浮かび上がる。 そこに写っていたのは、黒い巨大蟻の姿だった。 「なんやこれ? 蟻さん? にしてはちょっと大きすぎるような……」 「新種の生物よ。『アンノウン』の出現とほぼ同時期に次元世界各地で発見されたの。 詳しい生態はまだ不明だけど、調査に行った局員が何度が被害を受けているわ。 ロッサの調査団を皆殺しにしたのも、こいつらよ」 「ロッサを! せやけど、おかしいやん。そんな生き物のことわたし今まで聞いたこともなかった」 「巣に近付かなければ襲ってこないからそれほど重要視されてなかったの。 手を出さなきゃ害のない生き物よりも船を襲う『アンノウン』の方が危険だって考える人の方が多かったしね。 次元世界によっては別種の巨大生物も目撃されてるわ。赤い蟻だったり蜘蛛だったり。 ミッドチルダでは、南の火山地帯で四十メートルクラスの生物の影が数匹観測されたり、 中央の海溝ではもっと大きな四足の人工物の存在が確認されてる。 二つとも場所が場所だからまだ回収作業もちゃんとした調査もされてないけど……それと、これを見て」 ホロスクリーンの映像が切り替わる。 今度の映像は銀色の巨大ロボットだった。 頭部のない丸っこい上半身と背骨を剥き出しにしたような形の下半身。 そこから伸びる手足は異常に細長く、少し歩いただけで倒れてしまいそうだ。 右手首は指のない突起状。左手首はアサルトライフルのような形になっており、それらの存在がこのロボットが兵器であることを示している。 それにしても、見るからにがりがりで頼りないロボットだ。 無駄な贅肉はおろか、必要な筋肉すら削ぎ落としてしまったようにも思える。 並の陸士の砲撃を食らっただけで簡単に壊れてしまいそうだ。 ロボットの映像をじっと見つめながらはやてはそう思っていた。 「これは……?」 「昨日ミッドチルダの西部で発見されたロボット。詳しい性能はまだ不明だけど、大きさはちょっとしたビルくらいはあるそうよ」 「それで、今このロボットはどうなってん?」 「今日明日中に地上本部の研究施設へ列車で輸送されることになってるわ。転送魔法を使えば危険はないんだけど……」 「陸で転送使える人はあんまりおらへんからなぁ」 はやての呟きにカリムは頷いて答えた。 事実、少ない予算と戦力をやりくりしている陸上本部には転送魔法を使える魔導師はほとんどいない。 その一握りですら本局がスカウトしていくため、陸は本局以上の人手不足に陥っているのが現状だ。 なので、陸上本部は本局なら転送魔法ですませるような輸送でも、列車や陸路などといった旧来の方法を使うしかないのだ。 「近頃は船舶の被害は出なくなったし、『アンノウン』の目撃情報も段々減っていってるわ。 巨大生物だって、このごろは巣からまったく出ようとしなくなってるし、巣によっては一匹残らず消え去ったところもある。 対策本部では状況を楽観視する人もいるけど……私は不安なの。もう船を集める必要もなくなって、偵察もしなくなったってことは……」 はやては顎に手を当て、数秒間だけ考え込んだ。 そして、とある結論に辿りついた途端、はやては顔をさっと青ざめ慄然とした。 「まさか……攻撃開始が近いってことか?」 「今はまだ断言出来ないわ。そうなるっていう決定的な証拠はまだなにもない。けど……だからこそ会って話しておきたかったの。 これから何が起ころうとしているのか、どう動くべきか。まだ対応が間に合いそうな今のうちに。 対処を失敗するわけにはいかない。もう、ロッサやクロノ提督みたいなことは、ごめんだもの」 それっきりカリムは押し黙ってしまった 何かに耐えるように俯いて、瞼を閉じて唇を噛み締めている。 おそらく、死んだ弟のことを思い出しているのだろう。 ロッサの遺体は欠片も戻ってはこなかった。 彼の体はバラバラに引き裂かれ、ただの肉片となって洞窟中に散らばっていた。 その肉片を全部かき集めても一つの体にはならなかったらしい。半分以上がロッサを食らった蟻の腹に納まってしまったのだ。 僅かに残ったロッサの遺体も、その後の襲撃で次元の海に消えてしまった。 クロノも同じようなものだ。 次元艦艇の爆発は何千度という熱と猛烈な爆風を生む。 クロノの体は骨の髄までドロドロに溶かされ、欠片も残らなかったに違いない。 葬式のときは、遺体の代わりに予備の制服が棺の中に入れられた。 葬式にはクロノを慕う部下や友人達が集まり、はやても家族と一緒に式に参列した。 エイミィは泣きじゃくる子供達を励まし、リンディは一切の感情を殺したように機械的に喪主を務めていた。 そうしていなければ、リンディは子供を失った悲しみと怒りに耐えられなかったのだろう。 クロノの義妹でありはやての親友でもあるフェイト・T・ハラオウンはなんでもない様子だったが、翌日会ったときには両目を真っ赤に腫らしていた はやては彼女等の気持ちがほんの少しだけわかるような気がした。 なぜならはやても家族を失った経験があるからだ。しかも、自身の目の前で。 『彼女』と過ごした時間は確かに短かったし血の繋がりもない。 だけどはやてにとって『彼女』は大事な家族だった。 はやてや皆のために自身の消滅を決めた『彼女』 助けられなかった、止められなかった、幸せすると決意したのに出来なかった弱い自分。 まさに、世界はこんなはずじゃなかったことばかりだ。 (せやけど……) はやては表情を引き締めて、コンソールを操作してホロスクリーンを消した。 「はやて……?」 怪訝な顔をするカリムにはやては「まあ、なにがあってもきっと大丈夫」と言いきった。 「カリムが力を貸してくれたおかげで、部隊はもう何時でも動かせる。 即戦力の隊長達はもちろん、新人フォワード達も実戦可能。予想外の緊急事態にもちゃんと対応できる下地ができてる。 そやから、大丈夫! ロッサの仇もクロノ君の仇も、みんなわたしが取ったるよ」 はやての脳裏に浮かんでいるのは機動六課の堂々たる面々のことだった。 エースオブエースと呼ばれる『スターズ分隊』隊長高町なのはと『ライトニング分隊』のフェイトはまさに六課の主砲。 副隊長である『ヴォルケンリッター』は、はやての家族であると同時に凄腕の騎士達でもある。 指揮官を身内で固めることに批判があるのも事実だが、それでも彼女等が優秀な戦士であることに変わりない。 フォワードの新人四人はまだ頼りないものの、鍛えていけば隊長陣に匹敵するほどの猛者になるはずだ。 前線部隊を補佐する役目が後方支援専門の部隊『ロングアーチ』 これらにSSランクの自分が加われば、どんな敵が相手でも負けることなどあるものか! (そうや、何があっても大丈夫。わたし自身もつよなったし、力を貸してくれる皆もおる。 『闇の書』の時とは違う。あんな悲しみとか後悔なんてもううんざりや。 今度こそ、わたしは助けられる側から助ける側になるんや) 身につけた強さは自信の源となり、自信が産み出す勇気は勝利と栄光への道しるべとなる。 しかし、時として強すぎる自信は過信へと姿を変え、勇気は蛮勇へと変化する。 それらが導く先は、輝かしき勝利ではなく、泥にまみれた無残な敗北である。 八神はやてと機動六課。彼女達が進む道は栄光へのロードか、それとも…… 一方その頃―― 「冗談ではない! そんなことできるわけないだろう!」 スカリエッティのアジトでも似たようなやり取りが行われていた。 戻る 目次へ 次へ
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フェイトは思う。 出来る事なら、普通の女の娘として暮らしたかったと。 世界中にたった一人しか居ない、誰よりも大切な母親と、ここまで自分を育ててくれた恩師。 それから、幼い頃から苦楽を共にした、姉妹同然の使い魔と――本物の姉妹である、姉と。 皆が揃って、平和な毎日を送れて居たなら、どんなに幸せだっただろう。 自分の意思で空を飛んで、使い魔と共に魔法の訓練に励んで、それが終わったら、美味しい料理を作って待ってくれている母親。 一緒に食卓を囲む家族が居て、家族皆で笑い合える、幸せな生活。 だけど、それを叶える事は未来永劫不可能であった。 姉は……アリシアは、生まれる前に死んでしまった。 それが原因で母も狂い……虚数空間へと消えてしまった。 育ての親である師は姿を消して、残っているのは使い魔だけ。 だが、それでも今の日々が辛いなんて思った事は無かった。 何故なら、自分の事を大切に思ってくれる友達が、一緒に居るからだ。 だからフェイトは、過去の辛い境遇にも耐えられる。 だけど……もし、死んだと思っていた母が、生きて居たとしたら。 生きて居た母が、またしても悪事に手を染めようとしていたなら。 自分は、最後に残った娘として、一体何をしてあげられるだろう。 “どうすれば、母さんを救えるのだろう” EPISODE.21 母子 次元空間航行艦船アースラ、会議室―――11 02 a.m. 未確認生命体第42号の撃破から、既に一日が経過していた。 今回の議題は他でも無い、昨日クウガが撃破した42号について、だ。 それぞれがテーブルに向かい合わせに座るという形は、既に何度と無く見なれた光景だった。 「――で、この傀儡兵についてだが」 と、話を続けるのはクロノ・ハラオウン。 クロノは神妙な面持ちで、言葉を続ける。 「前回の戦闘で破壊された傀儡兵の残骸を調べてみたところ」 フェイトが僅かに俯いた。 その様をちらりと横目で見たクロノが、その先を告げる事を一瞬躊躇ったかのように見えた。 きっとそれは、見間違いでは無かったのだろう。 「プレシア・テスタロッサが時の庭園で使用していた物と、完全に一致した」 声のトーンを落として、結論が述べられた。 結論を聞いたフェイトは何も言わずに、その表情を曇らせた。 予想通り、というか、やっぱりか、というか。そんな表情であった。 一方で、未だ状況を飲み込めて居ない者が一人。 雄介が、神妙な空気を破る様に、声を発した。 「あの~……時の庭園とか、傀儡兵って、何なんですかね……? 戦ってみた感じ、何かロボットっていうか、人形みたいな印象でしたけど」 雄介はまだ、プレシアに関する事実を知らない。 必要が無ければ、フェイトのトラウマとも言えるこの話をしないのは、当然と言えた。 さて、そんな雄介に、「私が説明します」とフェイト。 十数分の説明の後に、雄介は事のあらましを大体ではあったが、理解した。 プレシアには、アリシアという娘が居た事。アリシアは不幸な事故で死んでしまった事。 その代わりに生み出されたのが、フェイトである事。そして、そんなフェイトを、プレシアは愛さなかった事。 それがきっかけで起こった、なのは達が魔法と出会う事になった事件――PT事件。 以上の話を全て聞き終えた雄介は、言葉を失った。 「でもね、五代さん。勘違いしないで欲しいの。 彼女は……プレシアは、本当は優しいお母さんだったと思うの」 「はい……俺もそう思います」 苦々しげに告げるリンディの言葉を、雄介は肯定した。 きっとプレシアは、本当は優しい母親だったんだと思う。 だから狂おしいまでに一人娘を愛して……愛が故に、本当に狂ってしまった。 だけど……娘への愛の為にそんな事件を起こしてしまった事は、本当に悲しい事だと思う。 そしてもしも、そのプレシアが生きて居て、未確認事件と何らかの関連性も持っているのなら……。 「もしもプレシアが未確認事件の黒幕だったなら……極刑は免れないだろうな」 「……次元犯罪だけでなく、大量虐殺の罪まで付いちゃう訳だからね……」 「でも、まだプレシアさんが黒幕だって決まった訳じゃないんですよ……ね?」 神妙な面持ちで告げるエイミィに、質問するのは雄介。 そうだ。まだプレシア本人が、自分の意思で未確認と関わっているとは限らない。 プレシアがかつて使っていた“道具”が現れたからと言って、それが直接プレシアが黒幕という結果に繋がるとは限らないのだから。 「まあ、その件については一旦保留にしましょう。現状では憶測の域を出ませんから」とリンディ。 そうですね、と言いながら、表情を切り替えるフェイト。 本当の意味で本心から気持ちを切り替える事はまだ出来ないだろうが…… それでも、今は伝えねばならない事がある。 「42号が言ってたんです。アリサの持ってる“バックルのかけら”を返せ……って」 「バックルのかけら……?」 「うん、それを返せば命だけは助けてくれるって…… その時は、42号の口車に乗せられちゃいけないと思って耳を貸さなかったけど」 それに、42号の言葉はフェイトの心をも抉るようなものだった。 そんな言葉を深く考えて聞こうと思わないのも仕方の無い事と言える。 だけど、翌々考えてみれば42号は重要なヒントを教えてくれていたのだ。 「バックルのかけら……ね」 「あのー……それについては心当たりがあるんです」 「心当たり?」 「あ、はい。前にも言ったと思うんですけど、クウガと未確認の身体って、ほとんど同じらしいんですよね。 未確認にも俺のアマダムと同じような霊石があって、多分42号が言ってたのはそれの事じゃないかと思うんです」 察しのいいクロノは、その説明だけで雄介の言わんとする事を理解した。 クウガとしての雄介の身体の中枢を担っているのは、腹部のアマダムだ。 それがベルトとして顕在し、そこから全身へと神経状の組織が繋がっている。 「つまり、クウガのベルトと同じようなベルトが未確認にもあって、その欠片を42号が求めて居た……と、そういう事か」 果たして、その通りであった。 42号は何らかの未確認生命体が本来身に付けて居たバックルの欠片を求めて居た。 そして、それを所有しているのがアリサ……という可能性が高い。 だけど、これに関してもアリサ本人に確認を取らない事には何とも言えない。故に、現状で話せるのはここまでだ。 この事に関しては、後ほどアリサから話を聞くという事で、話がまとまった。 次の話題を出したのは、雄介であった。 伝えなければならない事が、最後に一つだけ残っているのだ。 一同に説明したのは「未確認に、電撃攻撃は御法度」という事。 どういう事かと尋ねる一同に、雄介は説明を続ける。 「クウガがビリビリ……金の力でパワーアップするって事は前にも話したと思うんですけど、 それと同じように、身体が殆ど同じ未確認もやっぱりパワーアップしちゃうんですよね」 非常に解りやすい説明であった。 電撃でパワーアップする未確認に対して、電撃による攻撃は無意味。 現に45号が金の力に力に目覚めつつあった事も併せて説明する。 だけど、その為に42号との戦いでフェイト達を退かせた、とは言わない。 フェイト達とは、決して短くはない時間を共に過ごしたのだ。 戦いの場で「電気の力は役立たずだから下ってくれ」だなんて、遠回しにも言える訳が無かった。 されど、そこまで説明してしまえば、やはり遠回しに一つの結論が導き出されてしまう。 「つまり……私は戦っちゃいけないって事、だね」 只でさえ沈んでいたフェイトが、苦々しげに呟いた。 この事件には母親が絡んでいるかもしれない。だけど、自分が戦う事は許されない。 誰よりも真相を知りたい筈のフェイトが、未確認との戦闘においては事実上“役立たず”。 そんな事実を突き付けられたフェイトの心中はやはり、穏やかでは無かった。 だが、そんな空気を破るのは五代雄介だ。 「ううん……フェイトちゃんだけじゃない。出来れば俺は、なのはちゃんにもクロノくんにも、未確認とは戦って欲しくないんだ」 「五代さん……僕達の身を案じてくれるのは嬉しいが、そんな心配は――」 「クロノ君、未確認には42号や45号とは比べ物にならない程、強くて、惨い奴が居るんだ」 雄介にしては珍しく、相手の言葉を遮って言葉を続けた。 46号や、0号。もしもあんな奴らが出てきたら、なのはちゃん達には絶対に前線に立たせる訳には行かない。 たった一つしかない命を、こんな下らない戦いで散らして欲しくはないのだ。 それを伝える雄介の表情も、ただならぬ神妙さを帯びて居た。 「そんな奴らが出てきたら、もしかしたら怪我じゃ済まなくなるかも知れない。」 「でも……、それは五代さんだって――」 「俺は大丈夫だよ。だって俺は、クウガだから」 今度はなのはの言葉を遮って、雄介が言った。 雄介の言葉には、どういう訳か安心してしまう妙な気迫があった。 なのはやクロノはまだ何か言おうとしていたようだが、今度はそれをリンディが遮る。 「解りました……今後未確認生命体との戦闘で、魔道師組が前線に出ることを禁じます」 「ありがとうございます、リンディ艦長」 果たして、リンディの艦長としての判断は正しいものと言える。 何も魔道師組に出来るのは、戦闘だけではない。42号との戦いの様に、どうしたって魔道師のサポートが必要になる時もある。 今後はそういった局面でのサポートに重きを置いて、未確認事件の解決に挑む。 そして何よりも、大きな理由がもう一つ。 本局からの辞令が下れば、リンディは艦長を引退する事になっている。 皆にはまだ言っていないが、既に艦長引退の旨は本局に伝えているのだ。 しかし、引退まであと僅かという時に未確認事件が起こってしまった。 あと僅かの間だけでも、自分は艦長を務めねばならない。だからこそ尚更、最後まで誰にも命を落として欲しくは無いのだ。 当然、クウガとして戦う雄介が危機に陥れば手段を選ばずに救出するつもりだし、死人を出すつもりは無い。 それを踏まえた上での判断であった。 ◆ 42号が起こした小学生連続殺人事件から、既に一週間が経過していた。 未だに世間は42号の連続殺人事件の話題で持ちきりで、ワイドショーでは毎日の様に報道されていた。 それを見る度に胸を痛める事になるのは、仕方の無い事だったし、それはもうどうにもならない。 雄介やなのは達に出来るのは、今後こんな被害を出さない様に、もっと早く行動に出る事くらいだ。 この事件に係わった皆が皆、そんな決意を固めて、束の間の平和を享受していたある日の事。 「フェイト……?」 ハラオウン一家が暮らす部屋のリビング、その食卓での出来事。 声を掛けたのは、穏やかな面持で昼食を口へと運ぶリンディ。 声を掛けられたのは、リンディと向かい合って座るフェイト。 他には誰も居ない、二人きりの昼下がりであった。 「どうかしたの、母さん?」 「大した用事じゃないんだけど、少し話がしたくて」 くすっ、と笑うリンディに、フェイトも釣られて笑みを浮かべた。 42号が起こした社会的混乱は相当な物で、未だに臨時休校は続いていた。 だからフェイトが家に居て、クロノは何らかの用事で本局に向かっている。 母親と娘が二人きりになれるのは、本当に久しぶりなのであった。 「やっぱりプレシアさんの事、気になるわよね」 「え……いきなり何を……」 「最近の貴女、少し元気が無かったから」 「ううん、そんな事ないよ。私は今でも十分幸せだし……」 今の家庭が幸せだと、フェイトは微笑みを浮かべた。恐らくそれは本当の事だろう。 だけど、だからこそフェイトは気を使って、プレシアの話題を出そうとしない。 母親として接するリンディが居ながら、前の母親の話をする事はリンディに失礼だ、なんて思っているのだろう。 心優しいフェイトであるからして、仮にも母親を勤めるリンディには、それが手に取る様に解るのであった。 「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど……無理はして欲しくないわ」 「だから、私、無理だなんて……」 「生き別れになった本当のお母さんが、もしかしたら生きて居るかも知れない…… もしも私がフェイトの立場だったら、きっと夜も眠れないくらい気になると思うんだけど」 フェイトの、食器を動かす手が止まった。 果たして、リンディの言った事は正解であった。 ここ数日というもの、フェイトはろくに寝付けていない。 「もしフェイトがそうやって悩んでいるのなら、母親としてはとても心配なの」 「……ごめん、なさい」 居心地悪そうに、フェイトが呟いた。 苦笑いと一緒に溜息を漏らして、リンディが続ける。 「いい、フェイト? どんな理由があれ、私は貴女の母親で、貴女は私の娘なの。 困ってる事とか、相談したい事とか、遠慮せずに話してくれないと、私はとっても心配してしまうの」 「でも……プレシア母さんだって本当に生きているのか解らないし、今はどうしようもないから……」 「だからって、一人で抱え込んでちゃ余計に寂しくなるだけよ?」 果たして、リンディの言う事は正しかった。 事実として、フェイトの悩みは誰にも相談出来る筈も無い。 それと言うのも、誰かに心配をかけたくないというフェイトの優しさからのもの。 だからリンディも、その優しさを責めるつもりはない。娘を心配する母親の面持ちで、フェイトを見詰めた。 そんなリンディに多少心を許したのか、フェイトが苦々しげに口を開いた。 「プレシア母さんも気になるけど……私はもう、戦闘でも役に立たないし…… そう考えたら、何だか苦しくなって……母さんを助けたいのに、何も出来なくって」 「フェイト……」 助ける、というのは恐らく精神的な面で、という事だろう。 もしもプレシアが生きているのなら、今度こそその心の闇から救い出したい。そう考えているのだろう。 「何も出来ないなんて、とんでもないわ。貴女は優秀な魔道師で、貴女にしか出来ない仕事だってあるわ」 「私にしか出来ない仕事……?」 「ええ……魔道師として、アルフやなのはさん達と一緒に五代さんのサポートをしたり、それに――」 「それに……?」 一旦言葉を止めた。 それから、意を決した様に告げる。 「それに……もしもプレシアさんが生きていたら、もう一度彼女と対話が出来るのはきっと、貴女だけよ」 「私に、出来るかな……」 「出来るわ。きっと、貴女なら」 「でも、プレシア母さんは私を愛してないから……私は、アリシアじゃないから……」 「フェイト……」 それから、リンディはおもむろに立ち上がった。 テーブルを挟んで向かい側に座るフェイトの右隣へと歩み寄った。 脅える様な瞳で、何事かと見上げるフェイト。リンディは黙ったまま、その腕を伸ばした。 「――ッ!?」 フェイトの、声にならない呻き声が漏れた。 リンディが、その腕に、その胸に、フェイトの頭を抱いたのだ。 豊満な胸に頭を埋め、ぎゅっと強く抱き締める。 「確かに貴女はアリシアじゃない……ううん、アリシアである必要なんかないのよ。貴女はフェイトなんだから」 「でも……、私はアリシアじゃないから、プレシア母さんに愛されなかった……私は嫌われてるから……」 「貴女は嫌われてなんかいないわ。現に私は貴女を愛しているもの。世界中の皆が貴女を嫌っても、私は貴女を愛し続けるわ。 私の娘のフェイト。この世界にたった一人しか居ない、大切な大切な私の娘のフェイト・T・ハラオウン」 「リンディ……母、さん……」 震える声で、母の名を呼んだ。 大きな腕に抱かれながら、フェイトは小刻みに震えて居た。 気付けばフェイトの瞳からは、ぽろぽろと涙が零れ落ちていた。 「プレシア母さんも……昔はこうして抱いてくれた…… 家事を手伝って、褒めて貰った時……一緒にピクニックに行った時……何かあれば、いつだって優しく抱き締めてくれた…… ……でもそれは、本当は私の記憶じゃなくて、アリシアの記憶で……ひっく」 「ごめんなさいね、フェイト……昔の事、思い出させちゃったかしら」 困ったような表情を浮かべて、リンディはそっとフェイトの頭をかき抱いた。 だけど、フェイトの涙は止まらない。優しく撫でれば撫でる程、涙はぽろぽろと流れ続ける。 一拍の間を置いてから、フェイトが震える声で言った。 「ごめんなさい……リンディ母さんは、悪くないから…… だから、出来れば……もう暫くこのまま……」 リンディは、慈愛に満ちた笑みを浮かべて、フェイトを強く抱いた。 思えば、フェイトが涙を流す姿を直接見たのは初めてではなかろうか。 周囲に心配を掛けまいと、フェイトはいつだって自分の心の中にしまい込んできた。 悲しみや、寂しさを、ずっとしまい込んで来た、閉ざされたままの心の扉。 そんな心の扉を開ける為の鍵になったのが、リンディであった。 「ええ……泣きたいときは、泣けばいいのよ。いつも強がってばかりじゃ、誰だって身が持たなくなるわ」 「私……なのはやはやてに、心配をかけたくなかったから……」 「なのはさんもはやてさんも、それを迷惑だなんて思わないわ。あの子達は真剣にフェイトの話を聞いてくれる それは、フェイト自身が一番良く解っている筈よ。違って?」 何も違いはしない。 なのはもはやても、クロノやアルフだって、フェイトの事を本気で心配してくれる。 親友が悩んでいるとあらば、なのはなんかは他をほっぽり出してでも話をしようとするだろう。 はやて達だって同じだ。やり方は違えど、フェイトを思う心はなのはと何も変わらない。 フェイト自身もそれを理解しているからこそ、答える事が出来なかった。 「いい、フェイト? 絶対に諦めちゃ駄目よ。もしもプレシアさんが生きていたなら、もう一度ちゃんと話をするの。 今の貴女なら、今度はきっと大丈夫。きっと、プレシアさんを助けられる。ううん……絶対にプレシアさんを救い出せる。私はそう思うわ」 力強い眼差しで、リンディはそう告げた。 気付けばフェイトは、心の中に温かい何かが満ち満ちているような感覚を覚えていた。 こうしてリンディに抱き締められて、力強い眼差しでこう言われれば、頑張ろうと思えてくるのだ。 プレシアが生きている保証は何処にも無いが……もしも生きているのなら、もう一度話をしよう。 一度は諦めた筈なのに、不思議なものだな、とフェイトは思った。 「アースラ艦長として一緒に居られる時間はあと少ししかないけれど…… それでも私は、貴女の母親として、貴女を信じて応援し続けるから……だから、絶対に諦めないで」 「え……え? アースラ艦長としてって……どういう……」 「あ、ああ……まだ言って無かったわね」 胸から頭を持ち上げ、そっと見上げれば、リンディは気まずそうに苦笑いを浮かべて居た。 それからややあって、フェイトはリンディから事のあらましを聞いた。 聞けばリンディは、元々艦長を引退するつもりだったらしい。 未確認事件が始まる少し前に、本局にその旨を伝えていた事。 アースラ次艦長として、クロノを推薦しておいた事。 そして、今日はクロノが新艦長就任に関する案件で本局に赴いている事。 この話はまだ必要最低限の人員……クロノとエイミィにしか知らされておらず、他は誰も知らない事。 全ての話を聞き終えて、フェイトは何処か感慨深い思いに駆られた。 「じゃあ、母さんと一緒に仕事が出来るのは、あと少しだけなんだ……」 「そういう事に、なっちゃうわね……でも、あなた達の母親って事に変わりは無いから、安心してね?」 「あ、そっか……リンディ母さん、専業主婦になっちゃうんだ……」 艦長を辞めるという事は、つまりはそういう事だ。 正確には本局の仕事も少なからずあるだろうし、専業主婦という訳ではないのだが……。 だけど、炊事洗濯などの家事に専念するリンディを想像すれば、どういう訳か可笑しくなってくる。 気付けばフェイトはくすりと笑っていた。 「そうね、それにこれからはもっとフェイトと一緒に居られるわ。貴女だって本当ならもっと母親に甘えていたい年頃でしょうし」 「もう、母さんったら……」 悪戯っぽく笑うリンディに、フェイトは僅かに頬を赤らめた。 リンディの言う通り、フェイトはまだ10歳で、小学4年生の女の子。 普通ならまだ親に甘えている年齢だし、フェイトの様な人格の人間の方が珍しいのだ。 暫しの談笑を続けた後に、フェイトが口を開いた。 「あの、リンディ母さん……」 「ん? 何かしら、フェイト?」 「私、母さんに愛してるって言われて、凄く嬉しかった…… これからもリンディ母さんと一緒にいられるなら、私は本当に、本当に嬉しい……」 少しばかり恥ずかしそうに、顔を俯かせる。 伝えなければならない事がある。言わなければならない事がある。 恥ずかしくても、照れくさくても、自分はそれをリンディに伝えなければならない。 だからフェイトは意を決して……心からの声を絞り出した。 「あの、だから……その…… 私のお母さんになってくれて――本当に、ありがとう」 何処までも幸せそうな、年相応の少女の笑顔が、そこに輝いていた。 戻る 目次へ 次へ
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時空管理局本部 「アラヤ、蒼崎、27祖、ロードヴァンパイア、バチカン埋葬機関、王立国教騎士団、魔術協会・・・そして真祖。」 モニターを眺める二人の提督レティ・ホワイトR・・・じゃなくてロウランとリンディ・ハラオウン、第97管理外世界に存在する。 魔法的存在などの映像だ。 「あの世界に魔法技術が?」 「ええ、そうよリンディあの世界の魔法は裏に潜ったけど細々と続いているわ・・・そのおかげであの世界に派遣した 管理局の武装隊や魔道士が次々と討ち取られていったわ。」 「そんなにすごいのですか?」 驚いたリンディはレティに問う。 「ええ、其の通りよ・・・特に酷い例はこれ。」 レティがモニターを操作すると初老と思しき男が移っていた、その周りには彼によって倒されたと思われる多数の職員がいた。 リンディはその顔に見覚えがあった。 「死徒27祖第4位キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ、通称「魔道元帥」。」 それにはっとするリンディ、以前あるロストロギア回収に向かった際にリンディは彼と遭遇したことがあったのだ、しかし其の時は何もなく、 危機に陥った自分を助けたのだ。 「独自で世界移動する魔法道具を所持、数多くの世界で管理局と衝突したわ、その理由はなんだと思うリンディ?」 レティの問いにリンディはその問いを思い浮かぶ事はできない、それにレティは皮肉めいた口調でその答えを言った。 「『気に入らない』のだと。」 「は?」 文字通り口をアングリとするリンディ、そらそうだ管理局を襲うのは明確的な敵対意識をもって襲い掛かる(例えば自分達の利益保護、もしくはテリトリーに踏み入った侵入者に対する防衛)のが恒例だが「気に入らない」という 理由で管理局を襲い掛かる人なんて初めて聞いたのだ。 「しかし、これは初めて聞きました・・・これだけのする人物が何故手配されないか・・・。」 「本来なら彼は間違いなくブラックリストに載る存在だけどねぇ、いるのよ・・・彼をリストに載せない為に働きをかけている連中が。」 レティは困った顔で言ってそれらの連中と呼ばれる人達を挙げる。其の答えにリンディは呆然とする。確かに彼を擁護する人は極めて少ない、 しかしそれらの人々は・・・ 「ぜ、全員エースクラスや教導団や果ては将官クラスまで・・・どうなっているの!」 「彼は世界を渡るたびに弟子を取っているわ、大体は過酷な試練で廃人になるけどそれらの試練を乗り越えた人達が管理局に入局する事があるわ、 そして入局した人達は多方面で多大な戦果をあげているから、そういった連中の意向を無視するわけにはいかないし。」 両手を広げ処置無しのジェスチャーをするレティ、そしてモニターを操作し一人の女性を移す、その女性はリンディですら感嘆するほどの美人なのだ。 「アルクェイド・ブリュンスタッド、さっきの述べた死徒と正反対の存在真祖とよばれる吸血鬼・・・保持スキルは「空想具現化」上層部が目を付けている、 上手くいけばその能力をこちらの利に回す事が出来るとね。」 「そうですか・・・しかし・・・。」 リンディにしても嫌な任務だった、別段敵対もなにもしていない女性に対して勝手な理由を付けて拘束しなければならないのか、それを察知したのかレティは言う。 「貴方の気持ちはよくわかるわ・・・だけどこれも仕事・・・例え納得がいかなくても私たちは管理局の職員。」 「ええ・・・。」 「場合によってはなのはさんも出動待機させといて。」 「了解しました。」 レティとリンディは知る由もなかった、管理局が極秘裏に着目していた地球において科学が発展する事によって その存在を失った者達や魔法などが最後の楽園を築きあげ生活をしている場所に対する制圧作戦を・・・ そして二人とも知る由もなかったアルクェイド・ブリュンスタッドがどんな存在なのか。 真祖海鳴に行くの巻(多分中かな?) ―――海鳴 「ここの名所どこにあるのか教えてくれない?」 すごく美人だ、金髪のショートにルビーを髣髴とさせる紅い目、そしてモデルと思えるほどのスタイルそれを引き立たせるシンプルな服装 ・・・溜息がでそうだ。高町なのはは声を掛けた主に対してそう思った・・・がその問いを答えようとした。 「う~~~んと、あ、翠屋っていうとっても美味しい喫茶店があるのですがどうでしょうか?」 そうすると女性は少し考え込むと 「あ、そうね・・・朝ごはんそんなに食べなかったし、丁度お腹が空いたわ。うん、どこにあるのか教えて。」 大人なのに子供と髣髴させる笑顔で答えた。それに一瞬見とれるなのはだが 「あの、駅前にあるので一緒に行きませんか?」 すぐに答えた。 「それじゃ行こうか。」 二人は感じていた相手がただの人ではないということが (でもこの人から強い力を感じる・・・魔法?いや違うけど何か純粋な力・・・昨日感じたあの力?) (この子・・・全身から強い魔力を感じるわ・・・魔法使い?いや違う此の世界の魔法使いが増えたとは聞いたことはないわ。) (ま、いいか。) いいのか? 「あ、あの私は高町なのは・・・なのはって呼んでください、お姉さんの名前も知りたいな。」 「私の名前はアルクェイド・ブリュンスタッド、アルクって呼んでも良いわよ、なのはちゃん。」 そして二人は翠屋に到着する間にも色々と話をした、どこから来たのか?とか日ごろはどんな暮らしをしているのか 極めて他愛ない会話だった、そして翠屋に到着する二人 「ただいま~お父さん、ちゃんと買い物行ってきたよ。」 「あ、なのはお帰りなさい。」 だが声を掛けたなのはの父、士郎はなのはと一緒に入ってきた女性に平静を装っているものの内心仰天した。 (し、真祖の姫君!まさかねぇ) そう思ったのが束の間。 「あ、この人アルクェイドさんって言ってさっき知りあったのだけど・・・。」 (嘘~~ん) その道の仕事をしていた高町士郎・・・かつて護衛対象を巡ってあの七夜黄理やナルバレックとガチで殺りあった事もあり一応は埋葬機関、 死徒や真祖の事は知っているのだ。まぁそれをおくびに出さずに「いらっしゃいませ~」といいメニュー表をアルクェイドに渡しなのはに 接客するように言った。 「へぇ~結構いい店じゃない、それに感心するわ、小さな子供でもしっかりと自分の店を紹介して仕事するなんて。」 アルクェイドの店の印象とそして自分が褒められたことにより機嫌がよくなるなのは。そしてなのははこの店自慢のメニューを言う。 「アルクさん、カレーはどうですか?ただのカレーじゃなくて一から仕込んだ自慢のメニューなんですけど・・・。」 それに対してアルクェイドは一瞬にして断った。 「そのカレーは尻が大きいシスターに薦めたほうがいいわよ。」 「え?誰ですかそれ、アルクさんのお友達ですか?」 「まぁそういう(殺しあう)仲ね・・・う~んじゃAランチにアイスティーにデザートはショートケーキあ、大蒜は省いといて。」 「ありがとうございます。」 ―――デリー 「ブエックション!!」 「どうしたのシエル、風邪でもひいた?」 「いいえ、メレム私は健康そのものです、というわけでカレー特盛を10人分。」 「・・・アンタどこまで喰うの。」 「経費は全部ナルバレックに押し付けているので大丈夫です。」 「おいおい。」 ランチタイムを過ぎた辺りなのか翠屋はあまり人がいないのかアルクェイドはなのはと一緒に話していた、そして・・・ 「アルクさん・・・。」 「ん?どうしたのなのはちゃん急に真顔になって?」 「友達になれますか?」 アルクェイドは二つ返事で答えた。 「うんいいわよ。」 「本当?ありがとうございます。」 ―――八神の家 「あれ?ここは二階の部屋?おかしいなぁ私はさっきリビングにいたはずやけど・・・。」 はやては自分が置かれている状況は分からなかった、がどうやら下がなにやら騒がしいそしてはやては耳を疑った、 其の声は事故で死んだはずの父や母そして・・・ はやては衝動的に車椅子から飛び出した、こけると思ったが足はしっかりと地に着いていた。 「え?何で・・・まぁええや。」 はやては階段を降りリビングに降りるそこには・・・ 「はやて(ちゃん)」 と7人と1匹の自分の呼ぶ声があった・・・死んだはずの父はシグナムと将棋を打っている、リィンⅡはそれを見ている、 死んだはずの母はシャマルに料理を教えながら食事前にアイスを食べようとするヴィータを注意する、ザフィーラは居間に寝そべっている、そして・・・ 「はやて。」 「リィン?」 目の前には病魔に身を蝕まれる自分の身を案じ消える事を決意し消えてった闇の書の意思リーンフォースがいた。 「な、なんで?リィン?」 はやての問いにリィンは不思議そうに答える。 「なんでといいましても私たちは家族じゃありませんか。」 リィンは微笑みながらはやての頭を撫でる。 「あ、ずりぃぞリィン、私だってはやての頭なでるぞ。」 「私も撫でるですぅ~。」 それを見たヴィータとリィンⅡもはやてに駆け寄るとはやての頭を撫でる。 「こらこらヴィータちゃん、リィンⅡちゃんはやてが迷惑しているでしょ。もうすぐ御飯だからお皿を並べて。」 母の声に従いヴィータもリィン達も夕食の準備をする、そして夕食机をぐるりと取り囲むように8人は座り (ザフィーラは床・・・哀れ)談笑をしながら夕食を取る、現実には起こることは在り得ない事、父も母もリィンも皆笑いあい御飯を食べる、 そしてリィンと一緒にお風呂に入り自分の部屋に戻った。そこには一人の少女がベッドに座っていた。青い髪を結ぶ大きな黒いリボン、 黒いゴスロリ衣装に身を包む不思議な少女だった。だがはやては直感した此の子は・・・ 「レン、貴方が見せてくれたの?」 レンは素直に頷いた、シフォンケーキのお礼という事だろうか。 「ありがとう、確かにこれが私の望み・・・やった・・・でもなぁ~何時までも過去に囚われてはあかんねん、今の私は十分幸せや確かにリィンも父さんも母さんもおらんやけど家族もいるし親友もいる、せやから私は未来を見つめたい。」 「いいの?それで本当に?」 滅多に喋らないレンは不思議そうに話した。 「うん、でもありがとなレン、いい夢みさせてくれて。」 はやてはレンの頭を撫でた、そして眩い光がはやてを包みそして――― 「ん?目ぇ覚めたか。」 はやては目を覚ます、同じく膝上で眠っていたレンも目を覚ました。 「今何時・・・って5時!!!うわぁ・・・今から夕飯の支度しても遅ぅなるなぁ、まぁありあわせの物でなんとかするか。」 そしてはやては夕食を作ると共に、レンに猫まんまを与える。 「これしかないけど我慢しぃや~。」 とレンに言ったが、レンは美味しそうに猫まんまを平らげた。 「レン、お風呂一緒に入るで~。」 はやては意地悪そうな顔をしながらレンを抱き上げた、それにレンは首をフルフルフルと横に降りもがこうとするが。 「ちゃんと体は清潔にせなあかんでぇ。」 といわれ強引に湯船にドボン!・・・ああ、レン哀れ・・・ ―――ホテル 「う~~ん、今日は楽しかったな。」 アルクェイドは今日を振り返りながら呟いた、あれからあの「翠屋」という喫茶店でアルクェイドとなのはは話こんでおり、 さらにその友達であるアリサとすずかと言う少女がやって来た事により話は盛り上がり気付くと夕方になっていた。 そしてアルクェイドは明日なのは達が海鳴の名所に連れて行く約束をしたのだ。 「レンは見当たらないけどまぁいいか。」 いいのかおい? 「それにしても・・・。」 不思議よね・・・ほんの数年前はアルクェイドが今のアルクェイドを見たらどう思うのだろう?朱の月がみたらどう思うのだろう ・・・志貴との出会いが自分をここまで変えるなんて・・・だが悪くはなかったむしろぽっかりとあいた何かの穴を埋めることがとても心地よかった。 「でもなのはちゃん・・・あの子は一体なんだろう?協会の子とは到底思えないし、敵意もこれといって感じられなかったし。」 そう思った時である、 (この感覚・・・結界?) 一瞬夜景を彩っていたビルが歪み、星空が雲に覆われたように暗くなった。 (人の気配が消えた・・・それにこれだけの広域結界張ることが出来るなんて一体・・・) 今日出合った少女の顔が一瞬思い浮かぶが否定する。 (これだけの結界張れるとしたら・・・爺や・・・いやあんな回りくどいことはやらない・・・聖杯戦争・・・はこの前終わった ・・・祖は此の地にはいないはず・・・。) そしてもう一人のニート月姫と魔眼殺しですら封じることができなくなった魔眼を抑制する為の薬を作ってもらった その従者である薬師そしてあの胡散臭いスキマ妖怪・・・ (ありえない・・・あんな事をする理由はまずない・・・) 思考するが彼女の答えは簡単だった。 「まぁいいや、地上に降りて調査するか。」 そして彼女はめんどくさいのか最上階のスイートルームから地上に降り立った。そして彼女は何かを感じた。 「魔力反応?」 彼女は反応する場所に向かった、場所は公園の広場そして彼女が見たもの・・・それは恐竜を髣髴する巨大なトカゲだった。 「竜種?じゃないみたいね・・・かといって誰かの使い魔ではない・・・。」 その大きなトカゲはアルクェイドを確認すると大きな口と開け牙を見せ飛び掛ったがアルクェイドから見れば欠伸が出るほど遅かった、 攻撃をかわすまでも無く爪の一振りで巨大トカゲを切り裂いた。 「呆気ないね。」 そう呟くアルクェイドは真っ二つにしたトカゲに寄った。 「え?宝石になった?」 そのトカゲは青い宝石になった、それを拾い上げるアルクェイド 「何だろこれ?強い魔力を感じるけど・・・。」 そう思いつつ彼女は言った、彼女は感づいていた何者かが自分達を取り囲んでいたことを。 「誰かいるんでしょ、出てきなさい。」 そしてアルクェイドを多数の男が囲んだ、男達の手にはそれぞれ杖が握られていてそれをアルクェイドに向けられていた、 そして隊長格と思える黒尽くめの少年が現れこういった。 「アルクェイド・ブリュンスタッド・・・手に持っているものを大人しく渡せば危害を加えない。」 「お断りね、それを渡しただけで大人しく引き上げるとは思えないし・・・それに貴方達は誰? 魔術協会や埋葬機関の人間ではないようね・・・。」 図星をあてられたのか一瞬詰まる隊長格の少年クロノ・ハラオウン、だが素直に答える。 「僕は時空管理局時空航行艦アースラ所属クロノ・ハラオウン。君の持っているものは捜索指定ロストロギア『ジュエルシード』 それは他人が無闇に保持してはいけないんだ、そしてアルクェイド・ブリュンスタッド・・・少し我々と同行してもらいたい。」 「時空管理局・・・爺やと紫と永琳から聞いたことがあるわ、何でも時空間に色々とちょっかい出す組織と。」 「ちょっかいじゃない!世界のバランスを守る為だ。」 管理局の仕事を誇りにしているクロノにとっては看破できない発言だった。 「まぁいいわ、大方私の能力にでも目を付けているでしょ?」 「分かっているのなら話は早い、我々と来ていただけませんか真祖の姫君?」 「お断りよ・・・そこまでというなら、力ずくでやってみなさい!」 (紫や爺やのいった通りね管理局が祖の能力を着目している事は本当だったのね) 挑発めいた発言をクロノは受け止めそして従来受けていた指令をだす。 (本当は穏健的に済ませたかったのだが。女性一人にここまでとは・・・) だが任務は任務素直に割り切る。 「目標を確保、多少傷を付けてもかまわない!」 隊員達はデバイスをアルクェイドに向け一斉に攻撃を仕掛ける。 ―――アースラ 艦内は緊迫感に包まれていた、第1目標であるジュエルシードはすでの第2目標に確保されていること、そして局員が結界を維持し続け、 武装局員が目標を取り囲んだ。そしてモニターに写る目標を見てエイミィは見とれてしまった。 「うわ、めがっさ綺麗・・。」 「エイミィ、別のキャラが混じっているわよ・・・。」 「にょろ~ん・・・って本当に目標はあれなんですか?」 「ええ、そうよ・・・。」 エイミィは真顔になって目標の解析を行うが、答えは「アウノウン」そうデータが無いのだ・・・。 「大丈夫ですかね?」 「大丈夫よ、少しはクロノを信じ・・・。」 だが解析を続けていたエイミィは仰天する、彼女の魔力反応がいきなり上昇したのだ。 「え?嘘なんなのこれ!」 そしてモニターに移る光景それは・・・ ―――公園 (数はざっと20・・・隊長格を除けば大したことはないが残しておくと後々厄介・・・それじゃまずは外堀から潰す!) 戦闘モードに切り替え瞬時に状況分析する。 (敵の魔術は大したことはない、だが何発も喰らう気はない。) 瞬時に武装局員の前に出ると鳩尾に一発撃ち込み昏倒させる、確かに殺そうと思えばこの公園一体を瞬時に血の海に出来るが、 下手に殺してしまって志貴まで迷惑をかけるのは正直御免である。 (最低、骨の一本や二本は覚悟してもらう、状況判断が出来ていないうちにせめて8,9人は眠ってもらう。) そして判断が出来ない隊員を一人撃ち上げる、クロノはアルクェイドが動き出した事を瞬時に悟り局員に散開するように指示をしたが、 動きは遅かった。そしてアルクェイドは局員をつかみあげるとまだ散開していなく固まっている局員にむけて投げ飛ばした、受身を取れずに局員は5人まとめて吹っ飛ばされた ・・・そしてアルクェイドは状況判断する。 (指揮官は優秀、だが部下は完全にそれについていけない・・・だが局地的に反撃を開始・・・予定が狂った。) クロノにしても正直誤算だった、一つはアルクェイドの速さ、一つはアルクェイドの攻撃力・・・いわゆるデバイスなし大きな魔法は撃てまい、 よしんば撃てたとしても詠唱に時間がかかり其の間に攻撃を加える・・・単純な誤算であった。アルクェイドは死徒を狩るとき何を使ったのかそれを調べられなかった 自分に腹が立った(最も、アルクェイドが活動している時間は3年ぐらいしかなく、詳細なデータを保持しているバチカンや祖は管理局を嫌っていた。) そう魔法を基準にして考えていたのだ、反撃を加えるが呆気なくかわされ彼女の魔力を少しこめた肉弾攻撃で局員は次々と倒れていく、本来なら多少の攻撃を防ぐ事が出来る バリアジャケットもアルクェイドにとっては紙切れに等しかった、そして半数以上が戦闘不能に陥った事を確認するとクロノは指示を出した、局員では相手にならない・・・自分が相手になると。 「ふ~ん、隊長が出ると言うことね。」 「正直君の事を誤解していた・・・本気で行かせてもらう!」 クロノは「スティンガースナイプ」を発動させる・・・誘導性を持った魔法弾がアルクェイドに襲い掛かる。アルクェイドは直撃寸前に空へ飛んだ、これもクロノの考えていたことだ、 「スティンガースナイプ」はあくまで囮にすぎない、狙いは・・・ 「ブレイズキャノン!」 アルクェイドが飛べない以上、空中では機動を変えることは不可能・・・瞬時に計算し必殺の一撃を放つ、その光はアルクェイドを直撃した。 「やったか!」 クロノは思ったが・・・、突然首根っこを掴まれると地面に叩きつけられた。 「やるものね・・・ちょっと本気になっちゃった・・・頑張りなさい、次があるなら期待するわ。」 アルクェイドの服はただの服ではなく魔力を帯びた服でもある、ブレイズキャノンはたしの防御力こそ上回ったものの服の防御力により弱まりアルクェイド本体自体も魔力防御は極めて高く、 表面を焼いただけなのだ。アルクェイドの服は所々焦げており、肌も若干火傷を負っていたが彼女の回復力からしてみれば大したことはなかった、だがクロノはもうひとつ保険をかけていた、 もしブレイズキャノンがスカった時を想定した束縛式魔法「ディレイドバインド」、アルクェイドに多数の鎖が絡みつく・・・ 「子供だと思っていたけど、やるものね、2段重ねのトラップを瞬時に張るなんてだけど・・・。」 アルクェイドが力を加えるとバインドは呆気なく千切れた。 「何!」 「悪いけど、鎖といった類はこっちも慣れているわ!」 結界外から近づく影をまだアルクェイドは知らなかった。 ―――結界 「武装隊が苦戦しているわ、休暇中だけどスクランブルお願いします?」 リンディ提督の要請に従い、高町なのはは結果内にむけて出撃した。そして結界内に入ると目標を確認しレイジングハートを向けた。 アースラから回されたデータを見ると目標はかなり強い事が分かった。 (目標はかなりの魔力反応・・・反応性もかなり高い・・・なら!) 大体の目標を一撃で昏倒させるだけの威力をもたすことが出来る「ディバインバスター」の狙撃モード・・・ロック (まだ目標は気付いていない・・・よし!) 「ディバインバスタァーー!!!」 ピンク色の魔法がアルクェイドに向けて放たれた。 ―――公園 「大人しく引いてくれないかしら?命まで取らないわ。」 アルクェイドの問いにクロノはきっぱりと拒絶する。 「冗談じゃない。」 アルクェイドはクロノの誠実な目を見て感嘆するも、冷めた口調で言った。 「時々貴方達が解らなくなるわ、勝てないって分かっているのに、どうして自分から命を差し出すのかって。」 「まだ負けると決まったわけじゃない!」 クロノはデバイスをアルクェイドに向けるが通信が入る。 「クロノ!」 「エイミィ!」 「なのはちゃんがそっちに向かっている・・・早速ぶっ放すらしいよ!」 「分かった!」 クロノはもう一度「ディレイドバインド」でアルクェイドを拘束し、離脱する、アルクェイドにとって バインドはほんのわずかな時間拘束出来るだけにすぎない。 「何度やったって無駄と言っているのに・・・どうしてこう・・・この反応!」 クロノにとっては時間稼ぎだった・・・そう・・・、それに気付いたアルクェイドは拘束を瞬時に 解くと突然の攻撃を回避する・・・だが離脱するさい左足だけ掠った。 (ダメージ・・・左足・・・修復可・・・完全修復まで121秒・・・動き若干低下・・・) 瞬時にダメージを計測する。 「あれはマスタースパーク?幽香?魔理沙?いや違う!」 そして二人はお互いを視認して驚いた・・・ 「な、なのはちゃん!」 「アルクさん!」 そして海底では何かがうごめいていた 戻る 目次へ 次へ
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クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日 小ネタとして描かれた、とある休日の風景 型月・リリカル両キャラの同クロススレで展開されてきた物語の要素を盛り込んだ 双方キャラの競演 休日―プロローグ 休日―道中編 休日―昼休み編 休日―釣りバトル前編A-休日―釣りバトル前編B 休日―釣りバトル中編A-休日―釣りバトル中編B-休日―釣りバトル中編C 休日―釣りバトル後編A-休日―釣りバトル後編B-休日―釣りバトル後編C-休日―釣りバトル後編D 休日-完結編A-休日-完結編B-休日-完結編C-休日-完結編D 休日-オマケA-休日-オマケB-休日-オマケC
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裏第一回戦:試合場【遊園地】結果 このページではダンゲロスSS3裏トーナメント第一回戦、遊園地の試合結果を公開します。 投票結果 試合SS キャラクター名 得票数 第一回戦【遊園地】SSその1 高島平 四葉 4票 第一回戦【遊園地】SSその2 雨竜院雨弓 4票 第一回戦【遊園地】SSその3 偽名探偵こまね 21票 コメント 高島平四葉 その3と悩んだけど、後先を考えないインフレ描写のインパクトでわずかにこっちが上回りました。その3のルールをついた決着描写や前半のほのぼのもよかったです。その2も途中まで良かったけど、四葉の強化方法にやや唐突感があったかなあ。 最初の狂気に満ちた展開。そして自分自身にモアを行使する四葉ちゃんが良かったです。勝ち進んだらどういう展開にするのか気になるところ。 偽原は死んだwww 雨竜院雨弓 最後までファントムルージュに抗う3人が描かれていて面白かった。 比較的ハッピーな結末も嬉しかった どこを見てもファントム!一般人と達人と世界の敵が同じリングでまともに闘う無茶を通したこのssは素晴らしい。 やはり一番熱い。青キジの歌が流れて来た時に感動してしまった。 偽名探偵こまね 一番本筋にあのクドいのが絡んでなかったからなあ。反則負けは使って欲しかったものではあるし。 その2の壮絶なバトル描写も好きだったけれど、絶望的な戦力差とファントムルージュに負けず、意外な応用で勝ちを拾ったこちらに入れたい。 汚いなさすが探偵きたない アナウンスを消してしまうのは面白いです ファントムルージュの闇に呑まれた遊園地ブロックで、おそらく唯一ファントムを表面的なものでなく真摯に扱っていたところが好印象でした。SSそのものも、遊園地同盟の発足で物語に厚みを生み、それに終わることなく四葉攻略にも利用し、またルールを利用したスマートな雨弓攻略など、非常に美しかったです。 サービス精神に負けた 綺麗な決着というか、見事なルールを突いた探偵らしい勝ち方。 でも雨竜院のおもらしはどの層に訴えているんだろう。 なんて汚く面白い手で勝つんだ! 伏線の仕込み方が超丁寧で、意外性抜群。読者と対戦相手の思考を読み取り、いち早くファントム成分を叩き切ったその判断は見事の一言である。 尿の有無を選択できるユーザーフレンドリーな仕様が助かりました!僕はそっちの趣味はないけど、敬意を表してお化け屋敷だけ漏らしたことにしました。遊園地で楽しく遊ぶ描写を勝利への下準備として活用するプロット構築力は凄いと思います。その1の狂気の沙汰と、その2の熱いバトルも良かったよ! 糞尿汚えな!ファントム四葉とかもう何言ってんのか全くわかんねえな!こまねちゃんマジ汚えな! カワイイヤッター!その1は「黒の黙示録」とかそんなタイトルの文書の一節ですよね…? 完成度はその2のほうが上だが「同盟を結ぶ(仲間を増やしていく)」という選択を彼女がとったことが決め手となった。唯の人である彼女が「世界の敵と対する」ためのそれは必須の条件である―と思っていたし、それも本選中に伏線として提示してあるのでよい感じ。本道と言うスト―リ性を踏まえるとその3が勝っていた。後、遊園地と言う舞台を魅力的に表現していたことにも好感。 ようやくファントムルージュから逃れることが… 事象に派手さはないものの、ファントムルージュの呪縛をほぼ逃れていることが素晴らしい。あの能力の悪魔的な魅惑に抗うとは。 良いゆるふわでした。戦闘パートの探偵らしいギミックもお見事!
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魔法少女リリカルなのは外伝・ラクロアの勇者 第三話 月村家 突然であるが、月村家に一人の庭師が現れた。 彼が操る刈り込みハサミは瞬く間に不規則に生えた小枝を平らにし、 彼が操る手バサミは、木から余計な枝を間引きながらも、木が持つ美しさを落とす事無く自然に生かし続け、 彼が振るう貝殻虫用ブラシは瞬く間に枝についた貝殻虫を払い落とす。 その仕事ぶりは素早く、そして繊細にして大胆。彼の手に掛かった草木は生き生きと光合成を行い、 彼の手に掛かった花は、感謝を表すようにその美しさを一層引き立てる。 「♪~~~~♪~~~」 今は花壇に咲き乱れるパンジーに水を与えているその人物こそ、月村家に突如現れた鋼の庭師 名を『月村家の庭師・ガンダム』という。 決して『ラクロアの騎士・ガンダム』ではない。『月村家の庭師・ガンダム』である。 確認のためにもう一度言おう。何?行稼ぎ?シツレイナ。『ラクロアの騎士・ガンダム』ではない。『月村家の庭師・ガンダム』である。 念には念を、もう一度・・・何?これ以上小賢しい真似をするともう読まない?はははははは・・・ゴメンなさいorz 兎にも角にも、彼の仕事っぷりは本物であり、月村家のメイド長でもあり、園芸に関しては少しうるさいノエルにも 「・・・・・・見事です・・・・・・・」 と、言わせるほどのもであった。 そもそも何故『騎士』から『庭師』へとジョブチェンジしたのか? 発端はナイトガンダムの「私にも何が出来る仕事はありませんか?」発言から始まった。 彼は周囲の仲間(スダ・ドアカワールドでの)が認めるほど『ド』が付く真面目人間基、真面目MSである。そのためか、 何もしないで月村家に居候する事に抵抗があったため、無茶は承知で自分にも何か出来ないかと尋ねたのである。 無論忍は「そんなこと気にする必要は無い!無い!!ナッシング!!!」と言おうとし、笑顔で口を開いた。その時、 「それでしたら、庭のお手入れの手伝いをしていただくのはどうでしょうか?」 おそらくは扉越しに聞いていたのだろう。お茶のおかわりを持って来たファリンが『これは名案!!』と 言いたげは表情で呟いた。 いきなりだが、月村家は広い。そりゃあもう広い。当然庭も広い。 庭に関しては、でかい物を測る時に要する一般的な計算方法『東京ドーム?個分』という方法を余裕で使えるほどの広さである。 その証拠に、初めて遊びに来たなのはが迷子になったり(恭也曰く、『・・・・・遭難の名違いでは?』) つい最近訪れたナイトガンダムが笑顔で「素晴しいですね。『森』に囲まれた邸宅とは」と勘違いをするほど広い。 そのため、庭を手入れするのも一苦労所であり、ノエルとファリンの超人真っ青な働きっぷりがなければ、月村家の庭は 本当の『森』になっていたかもしれない。いや、なっていた。絶対に。 (ちなみに、忍も少しでも二人の負担を減らそうと、多数の庭師を雇った事があるのだが、二日も経たずに全員が『やってられっか』 という書置きを残して逃亡してしまうという事態になった) そのため、ファリンとしても、『人手が増えれば助かる』という考えの基で誘ったのだ。 その誘いにナイトガンダムは快く快諾、早速ノエルから軽いレクチャーを受けた後、実戦した結果が冒頭である。 今のガンダムの装備は剣と盾、電磁スピアという通常装備ではなく、刈り込みハサミに手バサミ、貝殻虫用ブラシなどの小物が入ったベルト。 騎士の風格はどこへやら だが、ジョブチェンジしたとはいえ、彼の働きっぷりは『ガンダム』の名に恥じぬ物であり、 その有能ぶりに共感した忍が『月村家専属庭師』の照合を与えるほどであった。 「・・・・・よし、次は枝の間引きをするか・・・・・」 そして今に至る。 だが、勘違いしないでいただきたい。決して彼は『騎士』の誇りを捨てたわけではない。 刈り込みハサミを肩に担ぎながら目標の木に向かうナイトガンダム。 時刻は午後2時過ぎ、日が程よく当たっているため、12月とはいえ、それ程寒さを感じない今日この頃。 時たま、放し飼いにされている猫達が足元を通り過ぎる中 『目標視認・・・・・攻撃開始』 ふと聞こえる電子音。同時に地面から現れた二つの砲台。 それらは間髪入れずに『死ぬ事は無いが、当たれば悶絶間違いなし』なゴム弾を 視認した目標『ナイトガンダム』に向けて発射した。(まぁ、鎧を装着しているので、痛くも痒くも無いが) 本来なら当たる事間違い無しの奇襲。だが、砲台が現れた直後、ナイトガンダムはゴム弾が発射されるより早く上空へとジャンプ。 発射されたゴム弾が地面を削り取ると同時に、ナイトガンダムは上空で刈り込みハサミを振り被り、投げ放った。 勢いをつけて投げられた刈り込みハサミは横回転をしながら真っ直ぐに砲台に向かい突き刺さり、機能を停止する。 残った砲台は、直に目標を上空へと定め、砲身を上げようとうするが、 それより早く落下してきたナイトガンダムの蹴りを喰らい、残った砲台も役目を達する事無く機能を停止した。 このように、庭師の仕事を行なうと同時に、自らの訓練も怠っていない。 そもそもこの『自動追尾攻撃装置』は忍が趣味で作った月村家の防衛装置だったのだが、以前の新聞屋を追っ払って以降、 最近は出番が全く無く、作った忍本人ですら忘れかけていた。 だが、ナイトガンダムという珍脚が現れたため、久しぶりに発動。 庭を散策していた彼に問答無用に襲い掛かったが、モンスターや騎士や魔王と戦っていたナイトガンダムの前では効果が無く、 先ほどのように、難なく全機撃破。 後に事情を説明した後、忍を叱るノエルをたしなめながらも、不要であれば自身の訓練に使いたいと申し出たのだ。 その結果、役目を終えた『自動追尾攻撃装置』は『ナイトガンダム専用自動追尾攻撃訓練装置』という 長ったらしい名前と新機能を与えられ生まれ変わり、その役目を日々存分に果たしていた。 「しかし・・・住む所ばかりか、このような訓練設備を与えてくれる忍殿達には、本当に感謝の言葉も見つからない・・・・」 改めて内心で感謝をしながらも、少しでも恩を返すため仕事を再開しようとするナイトガンダム。その時 「ただいま、ガンダムさん」 ふと、後ろから聞こえた声に自然と振り向くと、そこには学校帰りなのか、制服姿でカバンを持っているこの家の住人、『月村すずか』と 「やっほ~!遊びに来たわよ~!!!」 同じく制服姿でカバンを持っているすずかの友人『アリサ・バニングス』が手を振りながら近づいてきた。 以前にも紹介したが、ナイトガンダムはMS族、ここ地球にはいない種族である。 そのため、当然目立つ存在であるため外に出ることは出来ない。本来なら月村家にいれば問題ないのだが、 さすがに屋敷の中に閉じ込めとくのは可哀想と思った忍達は作戦プランその2『俺はキカイダー作戦』を決行することにした。 これはガンダムを『忍が作ったお手伝いロボ』に仕立てることにより、周囲の目を欺かせるという手段である。 幸い忍の機械好きは周囲に知られているため、それ程怪しまれない事も利点としてあげられる。 (実際、素体が残っていたとはいえ、忍はノエルやファリンを『製作』した実績を持つ『周囲には内密だが』) えっ?「ミッドチルダの様な科学が進んだ世界じゃないんだから、そんなプラン直に駄目になるだろ?」 確かに、ノエルとファリンは見た目から美女メイドさん・美少女メイドさんとして十分通用する。 その点、ナイトガンダムは失礼だが正に未知生物である。外見がロボットに酷似しているとはいえ、確かに無理があるようだが、 そんな読者の皆様にこの言葉を送りたい。 『海鳴市じゃそんなの日常茶飯事だぜ!!!』 さて、話を戻しましょう。 時刻は午後3時過ぎ、遊びに来たアリサはナイトガンダムを誘い、今はすずかの部屋でTVゲームの真っ最中であった。 「だっけど、なのはも付き合い悪いわね~。まぁ、しょうがないか。なのはにも用事があるんだし・・・・そ~らいただだき!!」 「『なのは』というのは・・・・アリサ達の親友ですか?・・・・・・・あっ・・・・負けてしまった・・・・」 「『高町なのは』ちゃん。私達の大事な友達なんだ。もうアリサちゃん。ガンダムさんは初めてなんだから、もうちょっと手加減しないと」 「だめよ!甘やかしちゃ!痛い思いをすれば嫌でも強くなるわ。それとガンダム。敬語なんて使わなくていいわよ」 TV画面に映る『GAME OVER』の文字を見た後、ナイトガンダムは横で座っているアリサの横顔を見る。 「(ほんとうに・・・強い子だ・・・・・)」 心からそう思う。昨日あんな出来事があったにも関わらず、彼女はすずかから聞いた様に自然と周囲に明るさを撒いている。 決して誰にでも真似できる芸当ではあるまい。本来なら塞ぎ込んでも可笑しくは無い筈なのだから。 だか、彼女は明るい声でビシバシとすずかに指示を出したり、自分に『てれびげえむ』という遊びを教えてくれている。 その彼女の心の強さと面倒見の良さ、明るい声でハキハキと支持を出すリーダーシップさが、大人しいすずかを引き付けているのだと思う。 そんなアリサを微笑みながら見つめるすずかは、常に半歩下がり、友を見守という役割がぴったりだと思う。 出会ってからそれ程経ってはいないが『月村すずか』という子は察しがよく、気遣いが細かいため、強気なアリサを止めるのには丁度良いと思う。 それに彼女の微笑には周囲の空気を和ませる不思議な力があった。(昨日の事件でも、解決して尚皆が緊迫した表情をしていたが、彼女の 心から安心した笑みにより、周囲のピリピリした空気も自然と緩和されていった) そんな二人が口にする『高町なのは』という子も、彼女達のような心優しい少女であると、ナイトガンダムはふと思った。 「しょうがないわね~。もっとハンデを付けてあげましょう・・・ん?どうしたのガンダム?」 自分を見つめているナイトガンダムの視線に気が付いたアリサは彼を見据え、首をかしげながら尋ねる。 「いえ・・・・なんでもありませ・・・なんでもないよ。続きをやろうか」 微笑みながら答えたナイトガンダムはコントローラーを持つ手に力をいれ、再びTV画面を見つめる。 「そう?ならいいんだけど・・・・・そういえばさ、ナイトガンダムって忍さんが作ったロボットなんだよね?」 「はい」 「・・・・・・それ、本当?」 先ほどとは違い、怖いほど冷静な声にすずかは固まり、ナイトガンダムは沈黙する。そしてゆっくりと顔をアリサの方に向けると、 目の前にはアリサの真剣な顔、そしてゆっくりと彼女の両腕がナイトガンダムの頬に触れる。そして むにゅ~ 伸ばすように思いっきり引っ張った。 「ほらほらほらほら~白状しなさい!!こんなにやわらかいわけないでしょ~!!!!」 「や・・・やめる・・んだ・・アリ・・ハ・・・」 「なら白状しなさり!!でなきゃもっと引っ張るわよ!!そらそらそら~!!!」 数分後 「なるほどね、じゃあナイトガンダムは『スダ・ドアカワールド』って世界からきたのね」 頬を腫らしているナイトガンダムに変わり、すずかが『スダ・ドアカワールド』の事、MS族の事、事故によりこの世界に来たこと、 ロボットという事にしておけば、ある程度自由が利くから嘘を付いた事などを話した。 すずかが語った真実に、腕を組みながら『ウンウン』と頷くアリサ。 同時に彼女も自分の所にも、流れ星が落ちてきたことを話そうとしたが、 自分の所に落ちてきたのはただの石の固まり。話しても白けるだけと思い直にやめた。 「ですがアリサ、どうして私が・・その『ろぼっと』では無いと思ったんだい?」 引っ張られた頬を撫でながら、ナイトガンダムは唯一疑問に思ったことを口にする。 「それはね・・・・私にも上手く口に出来ないんだけど・・その・・・・温かみがあったから・・・・かな・・・」 「『温かみ』ですか?」 「そ、あの抱きしめられた時にね、人が持つ温かみって言うのかな・・・そんだけよ。さ、続きを始めましょ!」 そう言い、再びコントローラーを持ち、画面を見ようとするアリサ。だが、動かす首を途中で止め、再びガンダムの方を向く。 「・・・でもさ・・・・ガンダムにも・・・・家族とかが・・・・いるんじゃないの?・・・・・寂しくない」 アリサが放った言葉に真っ先に反応したのは、ナイトガンダムではなくすずかだった。 そういえばそうだ。ナイトガンダムは自分の意思に関係なくこの世界に自分と同じ種族がいない世界に来たのだ。 当然家族とも、友達とも、別れを告げずに・・・・・本当だったら錯乱しても可笑しくは無い。 そしてすずかはふと考えてみる。もし自分がナイトガンダムの立場だったらどうだったろうか・・・・・・・ 「(・・・・・いやだ・・・・想像したくない・・・・・)」 正直考えるのも恐ろしい、自分だったら耐えられないだろう。 おそらくそんな気持ちをナイトガンダムは味わってる筈。それなのに、自分は住人が増えた事にただはしゃいで・・・・・・ 「すずか、ありがとう」 ふと近くから聞こえた声に我に返るすずか。すぐ側には微笑んでいるナイトガンダムが立っていた。 「私のことを心配してくれたんだね。でも心配しないで、大丈夫だから」 「でも・・・・私・・・・ガンダムさんの・・・・気持ちも知らないで・・・・・勝手に喜んで・・・・・最低だよ・・・・」 俯きながら声を絞り出すすずかに、ナイトガンダムはそっと彼女の肩に手を置く。 「そんなに自分を責めないで。むしろ見ず知らずの私を保護してくれた貴方達には、とても感謝しているんだ。 正直MS族の私は『見世物』とされていても可笑しくは無いからね。そんな私を温かく迎えてくれた月村家の皆には本当に感謝してる」 安心させるように語り掛けるナイトガンダムに、すずかの顔からも自然と自己嫌悪の念が薄れていく。 「それに・・・・言いそびれたことだけど、私には昔の記憶がないんだ。だから、私に家族がいたのかも分からないし、 離れ離れになった時の辛さも分からない。だけど、私にも心強い仲間達がいた。彼らと別れたのは確かに寂しい。ですがすずか、貴方が気に病む事はないよ」 すずかに語りかけながら、サタンガンダムを倒すために共に旅をした仲間たちのことを思い出す。 だが、ナイトガンダムの心に残るのは寂しさのみであった。サタンガンダムを倒した今となっては、スダ・ドアカワールドにも平和が訪れる。 平和を脅かす敵がいなくなっただけでも、彼の心は安心感に満たされていた。 「それに、今はすずかやアリサ、忍殿達がいるから、寂しい事なんて無いよ。改めて御礼を言わせて欲しい。心配をしてくれて、ありがとう」 PM 19時45分 あの後、アリサに負け続けたガンダムは10回目となる再戦を希望するも、二人とも習い事の時間が来たため断念。 二人が習い事に言った後は、屋敷内に設けられた自分の部屋で地球の文化についての勉強をしていた。 「しかし『カガク』なる機械技術がスバ抜けて進んでいるにも関わらず、魔法は全く無いとは・・・・」 借りた本の中には、魔法に関する物も含まれていたが、全てが立証の無い空想物ばかりであった。 実際『スダ・ドアカワールド』にも機械技術があったが、地球と比べたら比較するのも馬鹿らしくなる程劣っていた。 だが、魔法技術に関しては使える者、使えない者がいたが、日常で使われている程一般的であった。 「おそらく、ここの人達には魔力が無いんだろう・・・それを補う意味も込めて、自然と機械技術が発展したんだろう」 夕食の時に一回だけ部屋を出たきり、部屋に篭って本を読みふけるガンダム。 聞こえてくるのは時計が刻む針の音のみ、ただ静かに夜は更けていく 筈だった 何の前触れも無く、突然ナイトガンダムの部屋が暗い色に包まれる。 白い壁紙に囲まれた明るい部屋が、一転してどんよりとした暗い部屋へと姿を変える。 「これは・・・・封鎖結界!!?」 突然の事態に驚きづつも、彼には原因が直に分かった。 相手を発動領域内に閉じ込める結界の一種であり、『スダ・ドアカワールド』で戦ったジオンの魔道師も使っていた術。 「なぜだ・・・・・この世界には魔法は存在しない筈・・・・・いや、先ずはすすか達の安否を・・・」 海鳴市上空 「・・・・・・魔力反応は・・2つ?・・・・・・・」 封鎖結界を展開したヴィータは、狙っていた高魔力を持つ獲物だけではなく、 今まで反応がなった高い魔力を持った獲物も掛かったために、ふと疑問に思う。 「・・・まぁ、良いオマケが釣れたってことだ・・・・二人合わせて、上手くすれば30ページは稼げるな・・・・」 だが、彼女のする事には変わりは無い、高い魔力を持つ二人から魔力をいただく・・・・・はやてのために。 「先ずは大物からだな。行くよ、グラーフアイゼン」『Ja wohl』 自分の相棒の返事を聞いたヴィータは、目的を遂行するために、大物「高町なのは」の元に向かう。 一つの赤い流星が、誰もいない町の上空を翔る。 月村家 「やはり・・・・いないか・・・・」 リビング・キッチン・忍達の部屋(丁重に数回ノックした後入室)を確認したガンダム。 だが、彼が予想した通り、月村家には彼女達どころか普段彼方此方にいる猫すらおらず、不気味に静まり返っていた。 当初、ナイトガンダムは自分が狙われているのではないかと思った。この結界は自分の知識が正しければ 指定した人物、もしくはある条件に該当する人物を発動領域内に閉じこめる効果がある筈。 皆を残して自分がこの場にいるということは、自分を目的としているのか、もしくは自分が『ある条件に該当している』という事である。 前者の場合なら、直にでもこの場を立ち去らなければならないが、 「大きな魔力反応が・・・・・移動している・・・・・」 この封鎖結界が発動してから直に感じた大きな魔力反応。十中八九この結界を張った人物で間違いは無いのだが、 その人物は自分の所には向かわず、もう一つ、別の方向から感じる大きな魔力反応の方へと向かっていた。 「私を狙ったわけではない・・・・だが私は結果内にいる。おそらくこの結界を張った魔道師は『魔力がある者』だけを目標にしたのか。 だが、このままでは・・・・・マズイな」 結界の効果のため、外にいるすずか達には危害は及ばないとはいえ、このままにしておく訳には行かない。 せめて、この結界を張った魔術師に目的などを聞く必要がある。 「ここでジッとしていも始まらない・・・・・行こう」 既に返してもらった剣と盾、電磁スピアを装備し、ナイトガンダムは市街地方面へと向かった。 数十分後 :市街地 「うっ・・・・・あ・・・・・・あ・ああ・・・・・」 封鎖結界により隔離された市街地。 そこに立ち並ぶビルのオフィス内に高町なのははいた。 だが、彼女は既に満身創痍であった。体は彼方此方が痛み、立つ事も出来ない。 自分の愛杖もボロボロであり、今は弱々しく光りを放っているだけ。 「・・・どう・・・・して・・・・」 ゆっくりと自分に近づいてくる襲撃者の少女を霞む目で見据えながら、この数十分間で起きた出来事を思い出す。 何もかもが突然だった。急に発生した封鎖結界、突然襲ってきた鉄鎚を持った女の子。 どうにか話を聞いてもらおうと言葉を投げかけるも、無視され攻められる。 おそらく、威嚇として撃ったディバインバスターが彼女の怒りに火をつけたのだろう。 あの帽子を吹き飛ばした瞬間、彼女の瞳は怒りに満ち溢れ、自分への攻撃も激しくなった。 それからは一方的だった。多少自信があった防御も簡単に打ち砕かれ、ビルの中にあるオフィスまで吹き飛ばされた。 続けて放たれた一撃で、容赦なく壁に叩きつけられ、今に至る。 バリアジャケットのおかげでダメージは抑えられたが、それでも体の彼方此方が痛み、動く事ができない。 これほどの痛みをなのはは今まで経験した事が無かった。だからこそ、自分を痛めつけた相手が近づいてくるたびに 言い様の無い恐怖感が増す。 それでも、恐怖と痛みに耐えながら、なのはは傷ついたレイジングハートを襲撃者に向けた。 「(・・・・こんなので・・・・・終わり・・・・・・やだ・・・・ユーノ君・・・クロノ君・・・・フェイトちゃん!!!)」 「(ちっ・・・・やりすぎたな・・・・)」 内心で舌打ちをしながらも、ヴィータは目的の遂行のため、なのはに向かって歩み続ける。 あの帽子を吹き飛ばされた瞬間、自分は感情的になってしまった。 完璧に相手を『ぶち殺す』勢いで攻撃を仕掛けてしまった。 シグナムが始終自分に冷静になれと言っているが、今回ばかりは素直に認めようと思う。 「(だけど・・・・よかった・・・・ありがとう)」 ヴィータは安心すると同時に、内心でこの魔術師に感謝の言葉を送った。 自分の攻撃を完全ではないとはいえ、防いだ事は癪だが、こいつは死ななかった。 正直下手な魔道師だったら、自分は誓いを破って殺してしまっていたに違いない。 だが、それとこれとは別、こいつは見逃すには欲しい相手だ。もう一撃食らわせた後、魔力をごっそりいただく。 「・・・・・わりいな・・・・・・恨んでくれても・・・・・・・かまわねぇぜ・・・・・・」 痛みに耐えながら、大破した杖を自分に向ける魔道師に言葉を投げかけた後、ヴィータはゆっくりと アイゼンを振り被る・・・・・・・・・・そして ガキィン 振り下ろした瞬間、突如横から飛んできた『何か』により、アイゼンは叩き付けられて、ヴィータの手から離れた。 「なっ!!?」 アイゼンは地面を滑るようにして転がり、その近くには一本の西洋の剣が床に深々と突き刺さる。 突然の襲撃にヴィータは驚きながらも、アイゼンを吹き飛ばした『何か』が飛んできた方向を睨みつける。そこには 「弱い者虐めは・・・・・許さん!!!!」 ヴィータを正面から睨み返すナイトガンダムの姿があった。 「(なんだ・・・・・こいつ・・・・・・)」 睨みつけながらもナイトガンダムの姿を観察するヴィータ。 同時に気付かれないようにゆっくりと後方にさがる。 「(一見小型の傀儡兵に見えなくもねぇが、この世界の技術じゃ作れる筈がない。それじゃあ『ろぼっと』っていう機械人形か? でもあいつからは魔力を感じる、間違いなく生物だ。おそらくオマケとして引っかかったのはこいつだろうな・・・・・・)何だテメェ・・・・管理局か!?」 先ずは敵か味方か確認しなければならない、ほぼ答えは決まっているだろうがヴィータは尋ねてみる。 「管理局?なんだいそれは?むしろこちらが聞きたい、この結界を張ったのは君だね?」 「ああ、そうだよ。だったら何だって言うんだよ?それに管理局じゃねぇんだったら、なんでアタシの邪魔するんだよ?こいつの知り合いか!?」 「いや、この子の事は知らない。だが、勝負が付いて尚、この子を攻撃しようとする君のやり方は間違っている。だから止めた。 もし、またこの子を傷つける様な真似をするんだったら・・・・・」 背中に背負っていた電磁スピアを抜き取り、その切っ先をヴィータに向かって突きつけ 「ラクロアの騎士・ガンダムが相手になる」 はっきりと言い放った。 その姿に、ヴィータは一瞬キョトンとするが、直に獰猛な笑みを浮かべる。そして 「・・・・へっ、どの道おめぇも対象だったんだ。順番が逆になっちまったが・・・・・関係ねぇ!!」 後ろに下がる様にジャンプ、一気にアイゼンが転がっている所まで飛び跳ね、アイゼンを拾う。 そして、ナイトガンダム同様に切っ先を突きつけ、言い放った。 「ああ!!相手になってもらおうか!!この鉄槌の騎士・ヴィータの相手をなぁ!!」 地面を蹴り、ナイトガンダムに向かって突進、グラーフアイゼン手加減無しに叩きつける。 迫り来るその攻撃を、ナイトガンダムは相手の力を見る意味も込め、避けずに盾で防ぐ。 激突した瞬間、発生した衝撃波は、周辺に散らばっているコンクリートの破片や、今だ立ち込ている煙を一気に吹き飛ばす。 「(こいつ・・・・真正面から防ぎやがった・・・・・)」 手加減無しの渾身の一撃、ハンマーフォルムに戻ったとは言え、障壁を使わず、ただの盾で真正面から防がれた事に、 ヴィータは純粋に驚くと同時に、悔しさを露にする。だが、そんな気持ちを表したのも一瞬、 「なろぉ・・・・・・待ってやがれ・・・・その盾たたきわってやらぁあああ!!!!!!」 盾を破壊せんと、腕に更なる力を込めた。 「(くっ・・・・なんて力だ・・・・)」 グラーフアイゼンの攻撃を耐えているナイトガンダムは素直な感想を内心で呟く。 正直、油断をしないで正解だったと思う。見た目はすずかと同じ、もしくは年下にしか見えない少女。 だが、彼女かから発せられる気迫は正に騎士。幾つもの修羅場や戦場を駆け抜けている者だからこそ 発する事が出来る気迫。それを感じた時点で、ナイトガンダムは『手加減』という言葉を捨てた。 目の前にいるのは子供ではない。百戦錬磨の兵だ。 だからこそ、強敵と戦う気持ちで・・・それこそ、サタンガンダムと戦った時の気持ちで戦わないと負ける。 目の前の少女をサタンガンダムと同等の敵と新たに認識したガンダムは、盾を持つ手に力を込めて 「おぉおおおおおお!!!!」 力任せにヴィータを払った。 吹き飛ばされながらも、ヴィータは空中で態勢を整え着地する。同時にグラーフアイゼンを振り被り、 近くにあった机をボールに見立て、 「おりゃあ!!」 ゲートボールで鍛えたスイングで叩きつけた。 叩きつけられた机は形を凹ませながらも、ものすごいスピードでナイトガンダムに迫る。 だが、迫り来る鉄の固まりを目の前にしても、ナイトガンダムは特に表情を変えずに、 盾を装着している左腕で、蚊を払うかのように難なくたたき払った。 正直大した効果を期待していなかったとは言え、あまりにもあっさり払われた事に、内心で舌打ちをするヴィータ。 「(・・・・・強ええな・・・・・あいつみたいな砲撃に特化した奴だったら、懐に入り込んでブチのめせるんだけど・・・・)」 確認の意味を込め、先ほど倒したなのはの方を見る。 苦しそうに自分達の戦いを見ているなのはの姿を確認したヴィータは、反撃は勿論、逃げる事も出来ないと判断し、無視する事に決める。 「(根拠のねぇ予想はしたくはねぇが・・・・こいつは武器からしておそらくシグナムと同じ接近戦を主体としてる・・・・・ カートリッジの無駄使いは出来ねぇ・・・・だけどカートリッジ無しで戦える相手でもねぇ・・・・)」 少しの隙も見逃さないように、互いに互いを睨みつけるように見据える二人。 先ほどとは打って変わり、今聞こえるのはなのはの苦しそうな息遣い。 「(・・・・・距離を取ってシュワルベフリーゲンで牽制、隙が出来たらラケーテンでぶっ叩く。もし無理でも時間が稼げる。 シグナム達が来ればこっちの勝ち・・・・・まぁ、こいつかあの魔道師の仲間でも来たらアタシはピンチ・・・・・賭けだな、こりゃ)」 行なうべき行動を考えたヴィータは即座に行動に出る。 「おりゃあ!!」 何の前触れも無くグラーフアイゼンを振り被り、リノリウムの床に叩きつける。 オフィス全体が響くと同時に、床に積もった塵が再び舞い上がる。 一種の煙幕と化した塵と埃はナイトガンダムに襲いかかり、一瞬だけ彼の視界を奪った。 だがその一瞬の時間だけあれば、ヴィータには十分だった。 「へっ!ここじゃあ狭すぎる!!外に出な!そこで相手してやる!!!」 割れた窓ガラスの向こうから聞こえてくるヴィータの声。 ナイトガンダムも即座に後を追おうとするが、直に方向を窓から倒れているなのはに変え、駆け寄る。 「大丈夫かい・・・・・・少し待ってて」 ナイトガンダムは電磁スピアを背中に掛け、しゃがみ込む。そして有無を言わさずになのはの胸元に手を当て、唯一自分が使える回復魔法を掛ける。 暖かい光りがなのはを包み込み、あれほど体を支配していた痛みが和らいでいく。 「・・・・少しは楽になったかい?だけど申し訳ない。僧侶ガンタンクだったらもっと効果のある回復魔法が使えるのですが・・・・」 「い・・いえいえ!!そんなことありません!!体の痛みが和らぎました!!」 本当に申し訳無さそうに頭を垂れるガンダムに、なのはは必死に弁護する。 「それに・・・助けていただいて・・ありがとうございます・・・・あの・・・・・」 「ああ・・・申し遅れました。私、ラクロアの騎士・ガンダムと申します。」 「ガンダムさんですか。私、高町なのはと言います。あの・・・・・・」 なのはの表情から、自分の正体を聞きたいことは直に分かったが、今はゆっくりと話をする暇は彼には無かった。 「申し訳ありません。なのはさんが色々と私について聞きたいのは分かります。私も貴方に聞きたいことがある。 ですが、今はそんな時間はありません。ですが一つだけ聞かせてください。なぜ、貴方はあの少女に狙われたのですか?」 あの少女は自分がこの結界を張ったと言った。そして『・・・・へっ、どの道おめぇも対象だったんだ。順番が逆になっちまったが・・・・・関係ねぇ!!』 とも言っていた。その情報から、彼女は襲撃者で、高町なのはと自分は襲撃目標だった事が分かった。 だからこそ、狙われたであろうなのはに心当たりが無いか尋ねたのだが、 なのはの口から出たのは、『自分にも分からず、突然狙われた』という答えだった。 「・・・・そうですか」 なのはから聞いた内容に嘘は無いと思う。だが、ナイトガンダムには妙なシコリが残っていた。 「(そうなると、あの少女はただの通り魔と言う事になる。だが・・・あの少女の目からは悪意が感じられない。 むしろ何かを決意した・・・・・いや、今考えるのはやめよう。この子の安全と、結界の解除を優先するべきた)」 今は戦う事に気持ちを切り替えたガンダムはなのはに、ジッとしているように言う当時に、床に刺さっている剣を抜き取り、 右腕に持つ。そして 「・・・・・・・参る!!」 ヴィータが待っているであろう、隔離されたコンクリートジャングルに向かって、ナイトガンダムは飛び出した。 戻る 目次へ 次へ
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「行くぜ! 俺の必殺技……パート2!!」 ――Full Charge―― 電王の掛け声に応えるように、チャージされたフリーエネルギーがデンガッシャーの剣先へと収束されて行く。 チャージが完了し、デンガッシャーから離れたオーラソードは、周囲のワームの身体を切り裂きながら飛んで行く。 電王が振るうデンガッシャーに合わせて、空を舞うオーラソードは滑るように飛んで行くが―― 「えぇっ……!?」 『Protection,EX』 その先にいたのは、高町なのはであった。 なのはの危機を察知したレイジングハートは咄嗟にバリアを展開し、オーラソードを弾く。 しかし、直撃を防ぐことには成功したが、それでも衝撃はなのは側にも伝わる。 結果、バリア毎弾かれたなのはの体は、そのまま地面へとたたき付けられることとなった。 「ハイパー……キック!!」 ――Rider Kick―― ハイパーカブトは真っ直ぐに、宙に浮かんだコキリアワームへと真っ直ぐに飛んで行く。 まるで竜巻のようなタキオン粒子を纏ったその脚は、激しい火花を散らせながら、コキリアワームを打ち貫いた。 着地すると同時に、時間は元の流れを取り戻し、展開されたカブトの装甲も元の位置へと戻って行く。 やがて、変身を解除すると同時に意識を失った天道は、過度の疲労からか、その場に倒れ込んだ。 その後、意識を失った天道は、すぐにアースラの医務室へと運び込まれた。 幸い天道のダメージはそれほど重い訳でも無く、すぐに意識を取り戻す事が出来た。 それも起きるや否や、天道の態度は相変わらずの尊大さ。 流石の加賀美もはやても、呆れずにはいられなかったという。 勿論、呆れた反面、天道がいつも通りの態度であることには安心を覚えたが。 「どう? 美味しい?」 「……んー…………」 現在は、はやてがお見舞いついでに作った料理を、天道が食べている最中である。 メニューの内容は“オムライス”。 単純で平凡な料理でありながらも、料理人の実力を見る事が出来る料理だ。 そんなオムライスを、しばらく味わった天道が出した答えは。 「……まぁまぁだな」 「うんうん、まぁまぁかぁ……って! 美味しくないんかい!!」 「……まぁまぁだな」 はやての料理に対する評価は一言のみ。“まぁまぁ”だ。 そんな天道の態度に多少の落胆を覚えたが、なんだかんだで美味しそうに食べてくれている。 まぁ、これはこれでいいのかな?等と考えながら、はやては天道を眺めていた。 ACT.20「FULL FORCE-ACTION」前編 それから数日の日をおいて。 今日も天道は、このアースラ内での生活を強いられていた。 ……と言っても最近は以前程の危険人物扱いでは無く、良太郎並の行動は許されていたが。 良太郎はたまに元の家に戻っているらしいが、まぁそんなことは天道にとってはどうでも良かった。 それよりも天道にとって最も重要なのは、今の自分がこの戦艦内でどう生きていくかだ。 そしてその答えが、天道が今まさに立っている場所にある。 目の前にあるのは、沢山の食材に、まな板、包丁、その他諸々。 そう。ここは厨房だ。アースラの食堂で、皆の料理を作る、厨房だ。 そんな場所に、天道総司は立っていた。 それも、白いエプロンを着けた―――コック姿で。 「よし、では今日も一日。旨い飯を作るぞ!」 「「「はいッ!!」」」 天道の掛け声に、厨房の料理人達は声を揃えた。 すぐに天道は自分の持ち場につき、局員達の昼食の準備を始める。 手慣れた手つきで、冷蔵庫から持って来た新鮮な野菜に包丁を突き立てて行く。 その包丁さばきは見事の一言。 素早く野菜を捌きながらも、決して形を乱すこと無く、常に一定の間隔で綺麗に捌いている。 厨房で料理を作る局員達は、目を輝かせてそんな天道の包丁捌きを見詰めていた。 さて、何故天道が食堂で料理を作っているのかと言うと―――時は数日前へと遡る。 それはある日の事だった。 いつも通りに、クロノに持って来られた料理を完食した天道。 そんな天道が、箸を見つめながら、ぽつりと言った。 「やはり……旨くないわけじゃないが……旨い訳でもないな」 「失礼な。だいたい君はそんな贅沢を言える立場じゃないだろう?」 天道の食べっぷりを黙って見ていたクロノであったが、これには流石に呆れ顔。 クロノも小さなため息を落としながら、むすっと言い返す。 一方で天道は、箸を持ったまま、何かを考えるような姿勢で食器を見詰めるのみ。 「そんなに不満なら、食べなければいいだろう? それか、君が自分で作れば――」 「――それだ」 「へ……?」 「俺をここの厨房へ案内しろ」 「…………」 クロノが言い終えるのを待たずに、天道はすっくと立ち上がった。 困ったクロノは、渋りながらも艦長であるリンディに連絡を入れ、指示を仰いだ。 結果、答えは即座に帰って来た。 「面白そうだから、いいじゃない」 と、これがリンディ・ハラオウン艦長が出した答えであった。 アースラで起こったあらゆる責任を負うべき館長である筈なのに、そんなに軽くていいのかと クロノは突っ込みたくて仕方がなかったが、どうせ自分が何を言っても無駄なのだろうと。 またしてもクロノはため息を落としながら、リンディの思いつきに付き合うことにした。 そういう訳で、早速天道は食堂へと招かれ、自慢の腕前を奮って見せた。 リンディとクロノ、二人分の晩御飯を作ることになった天道は、“味噌汁”、“鯖の味噌煮”、に、白米という非常に単純な料理を作った。 当初はあまりの平凡さに、期待外れだ何だと言っていたが――― 一口食べればそんな考えはすぐに吹き飛んだ。 天道の料理を食べた二人がどんな反応を示したのか。それは最早想像に難くない。 料理も単純ながら、二人の感想も至って単純。「旨い!」の一言。 こうして天道の料理の噂は瞬く間にアースラ内に響き渡り、翌日には厨房で実際に料理を作る立場に。 翌々日には、厨房の料理長のポジションを任せられる程になっていた。 これが、アースラ内での天道の自由な行動を許す大きなきっかけになったのは、まず間違いないだろう。 たった数日ではあったが、天道の料理を食べた人は、明らかに天道に対して好意を抱いていたからだ。 実際、この数日間、アースラの局員達はこの食堂の料理ばかりを好んで食べるようになったと言う。 と言うのも、天道の料理は、食べた者を昇天させてしまう程の美味しさなのだ。 そうなるのも当然と言えば当然だろう。 と、こうして料理長として料理を作る事になり、現在に至る訳である。 天道が野菜を刻んでいると、ふと背後から何者かの気配を感じた。 「止まれ。俺が料理をしている時、その半径1m以内は神の領域だ」 「…………」 背後の気配が止まった。流れる沈黙。 キリのいい所まで作業を終わらせた天道は、ゆっくりと背後へと振り向いた。 「なんだ、クロノか。どうしたんだ?」 天道に話しかけた相手は、他ならぬクロノ・ハラオウンであった。 当初は厨房の料理人にアドバイスでも頼まれたのかと思ったが、相手がクロノなら話は別だ。 一応形だけでも天道はクロノの指示に従っている以上、蔑ろにする訳にも行かない。 天道も警戒心を解き、エプロンを外して応対した。 「何だ。そんないつも通り真剣な顔をして」 「天道……君の処分が決まった。一緒に艦長室まで来てくれるかな。 ……あといつも通り真剣な顔って何だ。」 「気にするな……ようやくか。待ちくたびれたぞ」 クロノはどことなく心外そうに呟くが、天道はお構いなしにエプロンを脱ぎ始める。 考えてみれば、天道がクロノとこんな風に話すようになったのも、ごく最近―― とくに、暴走したカブトを、ザビーが身を呈して救った時からなのだろう。 あれ以来、天道は少しだけクロノという人間を見直したのだ。あくまで少しだけだが。 きちんとエプロンを畳んだ天道は、それをクロノに渡しながら、不敵に微笑んだ。 ◆ それからややあって天道は、クロノに案内され、艦長室の前まで連れられた。 どうやらクロノは艦長室の中まで同席する必要はないらしい。 案内を終えたクロノは、「自分の役目は終えたから仕事に戻る」と、そのまま天道の前から姿を消した。 調度クロノの姿が見えなくなると同時に艦長室のドアは開かれた。 中から、自分を呼ぶリンディ・ハラオウン艦長の声が聞こえる。 声に導かれ、天道は一歩踏み出す―――刹那、室内の予想外の和風さに一瞬とは言え天道は自分の目を疑った。 無理もない。これまで天道は、アースラ内部で機械的な部屋ばかりを見て来たのだ。 それなのに、まさか艦長室がこんなにも庶民的な部屋だと一体誰が想像しただろうか。 と言っても、天道にとって和風の空間というのはかえって落ち着ける空間なのだが。 「どうしたのかしら? 天道さん。この部屋がそんなに意外だった?」 「……ああ。少しはいいセンスをしてるようだな」 「それはどうも」 天道がこの部屋に入った瞬間から既に表情に小さな微笑みを浮かべていたリンディだが、 天道にセンスを褒められた事に気を良くしたのか、リンディはさらに上機嫌そうに微笑み返した。 いや、天道にとってはこんな会話はどうでも良い。 重要なのは、自分に下される処分についてだ。 と言っても、管理局――というよりもネイティブの連中が天道の力を必要としている以上、 天道に実害が及ぶような処分が下されるとは思えないが。 それ故に天道は、自信満々といった雰囲気で、腕を組みながら言った。 「そんな話はどうでもいい。それより、俺に下された処分とやらを聞かせて貰おうか」 「まぁそう慌てないの……処分と言うよりも、ちょっとしたお話があって呼んだだけだから」 「話だと? 言っておくが俺は、管理局に入るつもりは無いぞ」 「ええ、その話なんだけど……」 ばつが悪そうに苦笑しながら、リンディはテーブルのボタンを押した。 同時に、リンディと天道の眼前に、宙に浮かぶモニターが現れる。 天道もいい加減見飽きた技術である為に、今更驚いたりはしない。 モニターに映し出された人物は、天道の顔を見るなり、満面の笑みを浮かべ、画面に身を乗り出した。 「いやぁ~……貴方が天道さんですか! どうやら噂通りの方のようですね!」 「…………」 モニターに映る一人の男。歳は中年程。体格は小太り。 正直言って、どこにでも居そうな普通の男だ。 天道はモニターに映った男に、冷たい視線を送る。 「……どうやら噂通り、クールな方のようですね! いやぁ益々素晴らしい!」 「要件は何だ。わざわざこうして俺を呼び出したんだ。俺に何か言いたい事があるんだろう」 「いやぁ~……本当に素晴らしい、まさに天道さんのおっしゃる通り! 今回は一つ、話したいことがありましてねぇ……」 モニター画面の中で、気のいい笑顔を続けていた男の表情が変わる。 笑顔という点では変わらないが、その中にもどこか真剣な色合いを浮かべたような表情。 天道には、この男がどこか気味悪く感じられた。 「あ、その前に……私はネイティブの根岸と申します。以後お見知りおきを」 「ネイティブだと……?」 「ええ、ですがその件はまたの機会に。時間も無いので、今は天道さんへの処分だけ伝えさせて頂きます」 ネイティブという単語を耳にすると同時に、天道の目付きも変わる。 何せ今最も優先すべき謎なのだから。 天道はちらりとリンディを見やるが、リンディも申し訳なさそうにゆっくりと首を横に振るのみ。 どうやらリンディ提督ですら、ネイティブという言葉についてはあまり知らないらしい。 仕方がない……と、天道はため息混じりにモニターに視線を戻した。 「えー……結論を言わせて貰うと、天道さんにこれといった処分はありません。 そしてリンディ提督とアースラスタッフ一同には、今後は天道さんの指揮下に入って頂きます」 「「な……!?」」 不敵な作り笑顔を全く崩さないままに、根岸が言った。 対照的に、天道とリンディの二人が驚愕に表情を固める。 もちろんリンディにとってそれは不服な事なのだろうが、天道とていきなりこんなことを言われても訳が解らない。 つまりは、自分を管理局に入れるということだろうか? だとすれば、天道はそんな命令に従うつもりは無い。 というよりも、アースラのスタッフを、それほど天道は欲してはいないのだ。 自分一人でも十分戦える以上、本当に味方として信用できるかもわからないような組織を側に置く天道ではない。 と、天道がそんな事を考えていると、横に座っていたリンディが声を張り上げた。 「ちょ、ちょっと待って下さい! それは一体――」 「まぁまぁ落ち着いて! 別にリンディ提督の階級を下げるとか、天道さんを上司 として管理局に招き入れろとか、そんな事を言ってるんじゃありませんよ」 リンディの言葉を遮って、根岸が苦笑気味に続ける。 「リンディ提督以下アースラスタッフ一同には、ただ天道さんの手助けをして欲しいんですよ」 「手助けだと……?」 「ええ、貴方は今まで通り、ワームを倒してくれればいい。 そのために必要であれば、彼女達の力を借りればいいんです」 「……生憎だが、俺にそんな手助けは必要な――」 「まぁまぁまぁ! そう言わずに! あって損するものじゃないでしょう! つまり、貴方は今まで通り、我々は貴方に協力したい……そう言ってるんですよ」 またしても天道が言い終える前に、根岸が割り込んだ。 正直あっさり納得することは出来ないが、現時点では根岸の言い分に、 天道にとって損失になるような事が見受けられないのも事実だ。 もしも向こうから何らかの要求が突き付けられたなら、また話は変わって来るが。 根岸は正直言ってZECTの加賀美総帥や三島と同じくらいに胡散臭い。 だが、根岸が自分の力を必要としていることに恐らく嘘はないのだろう。 ならば、こちらから利用してやるまで。 以上の点を踏まえて、暫く考えた後、天道は結論を出した。 「……いいだろう。ただし、俺の邪魔だけはしない事だな」 「えぇ、はい、それはもちろんです! リンディ提督も、分かってますね……?」 「……わかりました。私たちは今まで通り、仮面ライダーと協力して敵を倒せばいい……ということですね?」 根岸の問いに、リンディは少し表情を曇らせながら、答えた。 まぁ根岸のような胡散臭い男にいきなりこんなことを言われれば誰だってそうなるか、 などと考えながら、天道もリンディの顔を見つめる。 リンディに言わせれば、天道もまた仮面ライダーの一人。 ならば、今まで通り仮面ライダーをサポートすればいいと判断したのだろう。 リンディの答えを聞いた根岸もまた、満足そうな笑顔を浮かべ、大きく頷いた。 こうして、結果的に天道は無罪放免。 それどころか、アースラスタッフという心強い味方を手に入れる事になるのであった。 ◆ 天道が食堂に戻った時には、局員達の朝食も終わり、人影も少なくなってきた所だった。 食堂に見えるのは、サボり癖があるのか仕事が暇なのかは知らないが、のんびりと朝食を食べている数人のみ。 そんな人々も次第に食事を終え、自分の持ち場に戻って行く。 そんな中で、段々と人が居なくなってゆく食堂を見守っていた天道の目に、明らかに不自然な姿をした一人の男が映った。 鋭く尖った二本のツノを持ち、頭から足先まで全身真っ赤っかという異様な姿を持った怪人。 野上良太郎に取り憑いた、赤鬼の姿をモチーフとしたイマジン。 名前は―――モモタロスというらしい。 どうやら初陣の時から、良太郎がイメージしていた桃太郎と、このイマジンのイメージが一致していたらしい。 そんな理由で、いつからかモモタロスと呼ばれるようになったこのイマジン。 本人はそんな名前のセンスに非常に不服そうだが。 良太郎に取り憑いたばかりのモモタロスは、誰とも打ち解けようとはしない。 ただ、たった一人でふて腐れたように食堂の椅子に寝そべっていた。 傍らに置かれたコーヒーは既に冷めている様子で、どうやらモモタロスは長時間ここでダラけていたのだろうという事が伺えた。 ◆ 良太郎や他の局員達にいつの間にやらモモタロスと名付けられたこのイマジンは、 何をするでもなく、ただぼーっと天井を眺めていた。 モモタロスは今、非常に苛立っていた。 良太郎という特異点の少年に取り憑いてしまった事に関しては、今はそれほど悔やんではいない。 寧ろ、イマジンとして過去を侵略するよりも、正義のヒーロー電王として、侵略者を倒す方が、段違いにカッコイイ。 元々派手にカッコよく戦いたかった彼にとっては、電王として戦えるという事はプラスなのだ。 1番の問題はその後。電王としての戦いの中で、自分の最高にカッコイイ―筈の―必殺技を、なのはにぶつけてしまった事だ。 勿論、彼に言わせればあんな邪魔なところにいたなのはが悪いのだ。 だが、それでいいのかという疑問が、彼の心を苛む。 なのはが悪いと決め付けて逃げる事は確かに簡単だが、それは本当にカッコイイのか? 小さな子供を傷付けて、自分は平然と罪から逃れようとする。 そんな形が、本当に彼が望んだ物なのか? 答えは、Noだ。 今の自分が最高にカッコ悪いという事は、彼自身が1番理解しているのだ。 だが、だからと言って不器用な彼に、今更素直に頭を下げるなど、出来る筈もない。 だからこそむしゃくしゃと悩んでいるのだ。 良太郎には口を利いて貰えなくなり、何処か責められている気がしてなのは達に顔を合わせる事も出来ない。 「畜生……良太郎の奴、人を悪者みたいな目で見がって……」 天井を見詰めたまま、小さな声で呟いた。 寂しさや虚しさといった感情が嫌と言う程に込められた声。 それは、周囲の者が見ているだけでも、何処か可哀相に思えてくる程だった。 ややあって、うじうじと寝転んでいた彼の視界に、一人の男が入った。 自分を見下ろすその顔には、確かな見覚えがある。 天然パーマに、嫌に落ち着き払ったいけ好かない野郎――天道総司だ。 何か言いたい事でもあるのか、天道はただ自分を見下して気味悪く立っていた。 「……なんだよ?」 「ここは寝る所じゃない。飯を食わないのなら出て行け」 「っるせぇな! 言われなくても出てってやるよ!」 言われた途端に腹が立った。 すぐに立ち上がったモモタロスは、天道に背を向けて、ズカズカと歩いて行く。 別に行く宛てはないが、今ここにいることが胸糞悪い。だから出て行く。 そう考え、食堂を出ようとするが――― 「待て」 「……あ?」 「お前、顔が赤いぞ」 「な……!? べ、別に赤くなんてねぇよ!?」 食堂のドア付近で振り向くと、何やらトレイに食器を乗せながら、天道が言った。 顔が赤い。この一言で、何故か心の中身を見透かされたような気がしたモモタロスは、少し焦ったようにそれを否定する。 いや、元々モモタロスは顔が赤い訳だが。 と、モモタロス本人も、ややあってその事実に気付いた。 「って……俺の顔は元々赤いだろうが!!」 モモタロスが怒鳴るが、天道は耳を傾ける様子も無く、マイペースに作業を続ける。 トレイに乗っているのは、魚と白いご飯。 それをテーブルに置いた天道は、モモタロスに視線を送った。 「お前、今日は何も食べてないだろう」 「別にちょっとくらい食わなくたって死にはしねぇよ」 「いいから食べろ。腹が減っていては、余計に苛々するだけだ」 天道の言葉に、モモタロスは誰が食うもんかとそっぽを向くが―― 刹那、モモタロスの腹がぐうと音を鳴らした。 そういえば、昨日の夜からろくに何も食べていなかったなぁと。 そんな状態で天道の作った料理を見てしまって、腹が減らない訳が無かった。 ご飯からは白い湯気が立ち上り、味噌に漬けられた魚は美味しそうな香りを醸し出す。 気付けばモモタロスは、渋々ながら天道が誘導するテーブルの席に着席していた。 あくまで渋々ながらだ。別に食べたい訳じゃないからな! と心の中で繰り返しながら。 「……礼なんて言わねぇからな」 「いいから黙って食べろ」 「チッ……相変わらずいけ好かねぇ野郎だぜ……」 言いながら、天道が作った「鯖の味噌煮」という料理を箸で口に運ぶ。 口に入った鯖を、歯で噛み砕いた瞬間――― モモタロスの目はかっと開かれ、口元が緩んだ。 「どうだ?」 「ッ……うっめぇぇぇぇぇええええええぇ!!!」 天道な問い掛けに答えながらも、残った鯖味噌と白米を、ガツガツと頬張る。 美味い。美味過ぎる、と。 あまりの美味しさに、初めての料理を次々と飲み込んで行く。 モモタロスがそんなペースで食事を続けると、鯖味噌も白米もあっという間に無くなっていた。 完食したモモタロスは心底幸せそうな表情で腹を叩きながら、椅子の背に体重を預けた。 ややあって、ふと天道を見てみると、天道はやけに自信ありげな表情で、人差し指を天井に向けていた。 「おばあちゃんが言ってた……料理とは常に人を幸せにするべきものだ……ってな。 どうだ。少しは気持ちが楽になったか?」 「へっ、別にメシ食ったくらいで変わるかよ」 天道に顔を背け、腕を組んで答える。 確かに言われてみれば、料理を食べている間はまるですべて忘れたように幸せな気持ちだった気がする。 気はするが、素直になれないモモタロスは、改めて美味しい等とは絶対に言う気は無い。 第一、そんな気がするだけでは意味が無いのだ。 問題は良太郎やなのは達にこれからどう顔向けすればいいのか。 例え一時的に気持ちが切り替わろうが、根本的な問題を解決しない事には何も変わらないのだ。 そんなモモタロスの懸念を知ってかしらずか、天道がぽつりと呟いた。 「そうか。ならば自分はどうしたいのか……まずはそこから考え直すんだな」 「あ? 俺がどうしたいかだ?」 「変な言い訳を考えずに、素直になることも時には必要という事だ」 言いながら、天道は食器の乗ったトレイを厨房へと運んで行く。 何が言いたいんだよと言い返したかったが、どうせ天道はそこまでは教えてはくれないだろう。 自分で考えろ、と。恐らくはその一言で済まされてしまう。 ならばわざわざ自分から悔しい思いをしに行く事も無い。 それ故に、モモタロスは、一人で考える事にした。 「あぁ……さっきのメシ上手かったなぁ」 と、その前にぽつりと一言。 結局、すぐには難しい考え事には入れないモモタロスであった。 しかしもしかすると、モモタロスがこうして少しは前向きに思考出来るようになった原因は、天道の料理にあるのかも知れない。 と言っても、それは誰にも――おそらくモモタロス自身にもわからないことだろうが。
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紅蓮寺工藤 ■キャラクター名:紅蓮寺工藤 ■キャラクター名読み:ぐれんじ・くどう ■性別:女性 応援画像1|2 キャラクター設定 ネット上で公開されている小説「アンノウンエージェント」の登場人物が 作者の魔人能力によって実体化した存在。名前が風変わりなのもそのため。 主人公ではなく、話によって敵だったり味方だったりというサブキャラの一人である。 設定上は二十代の女性。花柄のワンピースにロングコートという 女性らしい服装だが髪はボサボサで清潔感はあまりない。そして、どこか頭がおかしい。 弾のない拳銃(本物)を常に手で弄んでおり、考え事をする時は自分のこめかみに 銃口を押し付けてリボルバーをギャラギャラと回す癖がある。 焦点の定まらない眼で独り言を呟く。「ヒヒヒ」と笑う。一人称は「おれ」。 実際狂気的だが頭の回転は恐ろしいほど良く、小説内ではその策略・謀略で 主人公を時には助け、時には陥れた。 体力、スピードはそこそこだが腕力は乏しい。頑強な肉体とは言い難いが、作中では 暴力を受けながら笑い続ける描写があり、痛みを感じていないのではと思われるほどタフ。 爆発物を扱う描写が散見されるため、おそらくその手の知識に詳しい。 粉末火薬を常に一定量携帯している。 「自分が小説の登場人物である事」「実体化されたこの世界もSSの中である事」を 作者から受けた魔人能力により理解している。 趣味はマスターベーション。野外でもおかまいなし。 一人でするのが好きらしく、強姦目的で襲ってきた男を爆殺した事もある。 『アンノウンエージェント』 ネット上で連載されているライトノベル。作者のHPで無料で閲覧できる。 現在の世紀末状態から復興した近未来での私立探偵「エンドウ」の活躍を描く。 現行の最新は56話。ちなみに工藤の人気はあまり高くない。 ※「この世界の」ネット小説で実在はしない。版権キャラではない。 特殊能力:『創作の祭典(フィクション・ファンクション)』 他者が工藤と関わりを持った時点で自動発動する。 対象者に雷が落ち、瞬間、唐突に「自分が物語の登場人物であること」を理解する能力。 能力後は書き手の存在を認識でき、これがダンゲロスSS3というキャンペーンのSS である事、キャンペーンのルールや現在の文字数、投票で勝てば正史になる事など、 おおよそ作者が知りうる事は知る事ができると思ってよい。 工藤自身の能力ではなく、彼女に付与されているパッシブカウンター能力である。 工藤も既にこの能力下にあり、上記の事実を認識している。 効果時間は「工藤の関係者である間」。 たとえば「対戦相手」になった瞬間に雷が落ちるが、試合が終われば効果は消える。 戦いの中で対戦相手以上の関係(好敵手とか)になってしまった場合は効果が続く。 このキャラクターを彩る物語 プロローグSS 投稿した幕間 【アンナウンスンー】【第一回戦前幕間】 登場する幕間 鎌瀬戌幕間SS【第二回戦前幕間】 姫将軍と偽名探偵のファントムルージュ感想戦【第二回戦前幕間】 逆襲の『ドキドキ!光素ときららの試合場下見ツアー!』【第二回戦前幕間】 ギムレットにはまだ早い【準決勝戦前幕間】 事前準備【準決勝戦前幕間】 黄樺地セニオエピローグ:世界の合言葉はチャラ男【エキシビジョン以降幕間】 倉敷 椋鳥 前のキャラクター|次のキャラクター 黒田武志
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魔法死神リリカルBLEACH クロス元:BLEACH 最終更新:09/05/29 Episode 1 『Death&Magical girl』 Episode 2 『The indication』 Episode 3 『Crossing World』 Episode 4 『Actors gather』 Episode 5 『The Advancement』 Episode 6 『Certain holiday of six mobile divisions』 Episode 7 『The world that intersects again』 コメント欄です 感想やメッセージ等何でも良いので気軽にどうぞ 原作のブリ―チ破面編も佳境になりました。小説のほうも早く続きをみたいです。改めて思います。今ミッドチルダにいるブリ―チ勢とリリカル勢の力の差があります。スカ派にはウルキオラがいます。ウルキオラいるだけで圧倒的てかんじがします。他の破面もでるのか気になります。早く続きがみたいです。 -- 名無し (2009-12-11 19 30 20) 早く続きを? -- 黒 (2009-12-18 21 42 24) 早く続きが読みたいです -- telephone (2010-01-07 11 30 42) いつになったら続きが読めるんだろう -- 司 (2010-01-17 01 13 33) 09/05/29から途切れていますね、作者に何かあったのか?その前に作者って何者実際何しているんだろう -- カイト (2010-01-21 22 29 26) この流れは…放置か…orz -- タク (2010-01-23 12 21 02) 続きが気になるなぁ -- 名無しさん (2010-02-17 23 53 02) なのはとBLEACHのクロス、結構人気ある?まぁ、自分もなのはとBLEACHは大好きだから早く読みたいけど。 -- 名無しさん (2010-02-19 11 04 51) 日番谷とヴィータの勝負の続きがきになる・・・更新がんばってほしいなぁ -- 名無しさん (2010-03-14 23 20 33) あ -- あ (2010-04-01 18 20 12) 続きを期待しています。 -- 名無しさん (2010-04-02 00 14 04) この先の続きが気になる。個人的にはエクシードモードのなのはと刀剣開放第二階層のウルキオラとの戦闘が見てみたいかも -- 名無しさん (2010-06-05 00 12 58) これはいいですね。続きが気になる所です(^^) -- nanasisann (2010-07-16 12 19 19) 更新はまだなのでしょうか・・・ -- teleohone (2010-10-10 19 36 32) 見たい見たい、ジュード -- 名無しさん (2011-10-03 03 16 14) 一体どうなるのか気になります。早く続きが読みたい? -- オメガ (2011-11-28 10 47 52) 更新期待して2年・・・ -- telephone (2012-01-25 16 23 21) 続きが気になる。だけど、ブリーチの圧倒的勝利しか想像できない -- おれ (2012-12-18 16 00 02) 続きの更新お願いします -- 櫂 (2013-01-29 10 51 19) なにかコメントしてください。 もしくは更新をお願いします。 -- 櫂 (2013-01-29 22 16 57) 更新切なく頼みます(´;ω;`) -- 名無しさん (2013-02-19 23 23 01) つづきお願いします゚(゚´Д`゚)゚ -- 名無しさん (2013-02-21 19 56 21) BLEACHもなのはもすきだっ -- ほのボン (2013-02-21 19 57 07) なんか二次創作ってどれも未完結な作品が多く中途半端ですね。途中で放置するぐらいならさっさと削除するか、最初から投稿しないでほしいものです! -- 名無し (2013-03-16 17 12 10) とにかくつづきが見たいです゚(゚´Д`゚)゚ -- tasha (2013-03-17 00 04 32) mitaiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii -- oiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii (2013-05-07 22 38 42) 今更読んで思ったんだけど2話だけ海鳴が鳴海ってなってるのには何か意味が? -- 名無しさん (2013-07-27 23 00 49) 続き -- 名無し (2013-10-31 21 33 10) 更新する気が無いなら削除して下さい!ウザイです。 -- 名無しさん (2013-12-11 23 00 25) 続き書いてくださいお願いします -- 名無しさん (2020-09-03 19 46 25) 名前 コメント TOPページへ このページの先頭へ