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此処はゆりかご内の施設、大きなモニターの前にレザードとスカリエッティは席を置きチェスを嗜んでいた。 彼等の後ろではウーノとクアットロがガジェットに情報を送っており、 大きなモニターにはリニアレールが映し出されていた。 その中でスカリエッティはポーンを動かしレザードに問いかける。 「どうだろ今回の作戦は……うまく行くと思うかね?」 「……まぁ無理でしょう、十中八九あの六課が動くのは間違いないでしょうし」 顎に手を当てながら即答するレザード、六課の事はドゥーエから聞いており、その戦力は常軌を逸しているという。 今度はレザードがポーンを動かし問いかける。 「もっとも…それを見抗して、あのようなメッセージを刻んだのでしょ?」 「フッ…まぁね」 スカリエッティは笑みを浮かべ今度はナイトを動かし答えた。 「今回は宣戦布告の意味も込めているからね、レザード…君もそうなんだろ?」 「まぁ、否定はしませんよ」 眼鏡に手を当て不敵な笑みで答えるとポーンを動かすレザードであった。 リリカルプロファイル 第十二話 布告 現在、なのはと新人達はヴァイス陸曹がパイロットを務めるヘリで事件現場へと向かっていた。 今回の事件の発端はロストロギアであるレリックを運搬していたリニアレールが、 ガジェットに襲われていると報告を受けた為、六課は速やかに現場へと向かう事となったのだ。 ヘリの中では、なのはを筆頭にモニターを使った作戦会議が行われていた。 映像の上空にはガジェットⅡ型が犇めき合い、車両にはガジェットⅠ型が取り付いていた。 ガジェットドローンⅡ型、前翼機の姿をした空戦型のガジェットで、一般の空戦魔導師と変わらない航行速度を持つガジェットである。 話は戻りガジェットⅡ型は、なのは及び現場で合流予定のフェイトによって応戦、 残りの新人達はリニアレールに取り付いたガジェットを撃破しつつ、レリックを回収するという作戦を立てた。 各々が作戦を確認する中、キャロ一人だけが不安を抱いていた。 それは自分の内に存在する能力の事である。 キャロの能力は竜使役と呼ばれる、その名の通り竜を使役する能力で、 わずか六歳で白銀の飛竜を従わせる程の実力を持っていた。 だがキャロの力は周りの人を傷つけるだけだと部族の仲間から言われ続け、部族から追われる形で追放されたのだ。 その後管理局に保護されるのだが、強力な竜の力を制御できないキャロに、管理局も手を拱いていた。 管理局は殲滅戦による投下以外に役に立たないとキャロにレッテルを張ると、 フェイトが保護責任者として名乗り出てキャロを引き取ったのであった。 部族からの追放以降、キャロは自分の力で仲間を傷つけ、全てを殲滅させるのではないかと、恐れを抱き自分の力に目を背けていた。 そんなキャロの不安さを感じ取ったなのはは、そっとキャロの肩に触れ激励を込める。 「キャロの魔法はみんなを守ってあげられる、優しくて強い力なんだから」 その暖かい言葉にキャロは励まされ、みんなの役に立つ為に自分の力と向き合おうと決心するキャロであった。 その間にヘリは現場に到着、ヘリの後方が開くとそれぞれ降下し、作戦は開始した。 暫く経ち、現場から数キロ離れた森の上空、ここでルーテシアは一人モニターを見つめていた。 モニターにはガジェットが次々と落とされている様子が映し出されていた。 その中でモニターの右上にレザードの顔が映し出される。 「首尾はどうです?ルーテシア」 「博士……見ての通り悪い…」 レザードは眼鏡に手を当て当然か…といった表情を醸し出していた。 そしてレザードは第二陣としてルーテシアに不死者召喚を指示すると、ルーテシアは頷き準備を始めた。 ルーテシアは目をつぶり右手を下にかざし五亡星の陣を張ると詠唱を始めた。 「我は悠久の刻の渦中に身を委ねし者…其は我が名を知るがよい…知らぬ者は己が痴れた者と知るべし…… そして刻め…我が名はルーテシア・アルピーノ…其の名は冥王の烙印と化して其に裁可を下すだろう…… 魂の救い与え賜う事を乞うならば…今一度此方へと集うべし……」 長い詠唱の後、森の中に五亡星の陣が現れ陣からは猿の不死者ギボンが十体、 更にルーテシアの左右に五亡星の陣が現れ陣から魚の不死者カーレントフィッシュと、 鳥の不死者バーミンをそれぞれ十体、合計三十体の不死者を召喚させた。 「上出来です、ルーテシア」 「でも博士……下級クラスの不死者でいいの?」 「えぇ充分でしょう」 相手の戦力を、力量を、そして相手に対し宣戦布告を促すには充分だとレザードは内心で呟いた。 そしてルーテシアは不死者達にレリックの回収を命令すると、 カーレントフィッシュは泳ぐように向かい、 バーミンはギボンに向かって急降下すると、ギボンはバーミンの足をつかみ そのままバーミンはギボンを持ち上げ現場へと飛んでいった。 場所は変わり此処は六課の司令部通称ロングアーチ。 中には大きなモニターが幾つかあり、モニターには各前線メンバーがガジェットを叩き落としている映像が映っていた。 はやてはその光景を見ながら、新人達の訓練の成果は充分に出ていると考えていた。 車両に乗り込んだスバル・ティアナは次々にガジェットを撃破しレリックまで後僅かであるし 車両の屋根に残ったキャロは自分の力と向き合い、竜魂召喚を行ってフリードリヒを本来の姿に戻し、更にその力を操っていた。 エリオはキャロの支援魔法を受け大型のガジェットIII型を撃破など数々の戦績を残していた。 なのは、フェイトの両名も次々にガジェットを撃破し、 作戦もそろそろ終わりに差し掛かった頃、急にオペレーターが慌ただしく状況の変化を説明をする。 「レーダーに反応!これは………アンノウン!?数は三十!!」 「なんやて!?何処に向かっとるか分かるか?」 「待って下さい、この方向は……リニアレールの方向です!」 となると十中八九レリックを狙っているガジェットだと考えるが、アンノウンだと言う事は 新たなガジェットの投下という可能性があるとはやては示唆し、早急に前線チームに情報を送るよう指示をした。 一方前線チームはガジェットを全撃破し、レリックの回収も終了していた。 なのはとフェイトは新人達に激励を送っているとロングアーチから連絡が入り、なのはは新人達に連絡を伝えた。 「スターズ1から各隊員へ、今から此処にアンノウンが来るよ、その数は三十、みんな気を引き締めて!」 ロングアーチの話だと新たなガジェットの可能性があると、 そして今此方に来ているアンノウンはレリックを狙っていると説明する。 するとティアナはスバルに注意を促した、今レリックはスバルが持っているからだ。 キャロもエリオもその場で待機し、なのはとフェイトも上空で待機していると、 遠くに影のような物が近づいてくるのが分かった。 各隊員は気を引き締めていると影は大きくなりサーチポイントまで近づくと唖然とした。 その頃ロングアーチにいたはやて部隊長は、アンノウンの映像を見るや否や思わず叫んだ。 「何やねん!何で魚が飛んどんねん!つか、なんで猿が鳥にぶら下がってん!サーカスかぁ!!」 立場を忘れ思わずツッコむはやて、ハッと我に返り一つ咳をすると、はやては分析班にアンノウンの分析を指示した。 一方現場ではメンバーが呆気にとられている内に、魚がリニアレールの窓めがけて突進、窓を突き破り進入した。 それを皮切りに猿が反動を付けて車両の屋根に飛び移り、猿を運んだ鳥はなのは達に向かい襲いかかっていった。 「各隊員!見た目はあれだけど、レリックを狙っているのは間違いないから!各個撃破を!」 なのはの指令に気を取り直し攻撃を仕掛けるメンバーであった。 リニアレール内ではスバルがマッハキャリバーで加速し拳に魔力を乗せ、力一杯魚を殴った。 ナックルダスターと呼ばれる打撃魔法である。 魚はなす統べなく連結扉に叩き付けられ地面に落ちる、しかしすぐに起きあがると、スバルに襲いかかった。 「そんなっ!!」 スバルは困惑していた。何故ならば今の一撃は並の魔導師ならば一撃で気絶する代物、しかも手応えもあったのだ。 それなのに平然と起き上がり何事も無かったかのように襲い掛かる、そんな異様な状況にスバルは畏怖を感じていた。 一方ティアナは障害物を盾に必死に魚と応戦をしていた。 その中、魚は口から泡を六弾ずつ吐き出してくる、ティアナはクロスミラージュで一つずつ丁寧に撃ち落とし、魚本体にも気絶する数の魔力弾を撃ち込んだ。 魔力弾を撃ち込まれた魚は床に落ちるが、すぐさま起き上がり攻撃を仕掛けてくる。 「どうなってるの!?手応えはあったのに!」 クロスミラージュも本来なら気絶する魔力弾を撃ち込んでいると説明するが、現状は全く打破されていなかった。 その中一つの泡が隣の木箱に触れると炸裂し木箱は中身ごと吹き飛んだ。 ティアナは絶句した、こんな物が直撃すれば、いくらバリアジャケットを装着してあったとしても怪我だけでは済まされない。 ティアナは舌打ちをしながら飛んでくる泡を迎撃しながら次の車両へと移動した。 「エリオ君!」 「キャロはフリードと一緒にいて!」 一方、車両の屋根ではエリオが猿と対峙していた。 猿の動きは思いの外鈍く、ソニックムーブを使うほどではなかった。 だが腕力は高く屋根をへこませる程であった。 しかし今のエリオにはとるに足らない相手ではあった。 「ストラーダ!カートリッジロード!」 槍型アームドデバイス、ストラーダがカートリッジを一つ使用すると、エリオの足元に三角の魔法陣が現れる。 エリオは矛先を猿に向けると矛の端から魔力を噴射しロケット弾の如き加速で突撃、 矛先が猿の横隔膜辺りに突き刺さるとそのまま持ち上げ、他の猿の仲間に投げつけた。 エリオの魔法スピーアアングリフは確実に猿を気絶に追い込む一撃を与えていた、だが猿はすぐに起きあがり、エリオに襲いかかる。 「くっそ~またか!もしかして不死身なんじゃないか…」 鼬ごっことも言える攻防戦にエリオは疲れを見せ始めていた。 そんなエリオの上空ではキャロがエリオの身を案じていた。 それと同時に猿を観察していると、何か違和感を感じていた。 その中フリードがキャロに悲しみと恐怖が入り混じった様子で話しかけて来た。 「えっ彼らは死んでるって!?」 フリードによれば猿は生気もなく意識も無い、つまり死体だと説明する。 ならば死体を操ってレリックを回収しようとしている者がいるとキャロは考えた。 だが、そんな人物は本当に存在するだろうか?寧ろこの情報をフェイト達に教えても理解してくれるだろうか。 だが、今の状況ではこれしか判断できないと考えたキャロはフェイトに念話を送った。 一方上空でも、なのはとフェイトは戸惑っていた。 なのははアクセルシューターで、フェイトはハーケンスラッシュで次々と鳥を撃破するが、 地面スレスレで意識を取り戻し、すぐさまなのは達に攻撃を仕掛けてくるのだ。 これでは埒があかないとなのはは愚痴をこぼしている時、フェイトはキャロからの念話を受信する。 (…どうしたの?キャロ) (…フェイトさんにどうしても伝えたいことがあって……) キャロの話に思わず動きを止めるフェイト、その隙をついて鳥は攻撃を仕掛けようとするが、なのはのフォローにより難を逃れた。 「どうしたのフェイトちゃん!動きを止めて!」 「ゴメンなのは、ちょっと動揺して…」 フェイトは気を取り直し、キャロにその内容をロングアーチに伝えるように指示した。 一方ロングアーチではキャロの話に衝撃を受けていた。 「んで何か?アレはゾンビっちゅう訳か?んなホラーじみた話――」 「あながち否定出来ないと思われます」 はやての否定に間髪入れず分析班が割り込んで答えた。 分析班の映像による分析では、アンノウンの肉体は呼吸などの生命活動を行ってない、つまりは死体当然だと説明する。 そしてその肉体をリンカーコアによって維持している可能性があるらしいのだが、 そのリンカーコアは暴走状態になっており、暴走状態によって作成した魔力で肉体の強化をも行っていると語る。 現場の状況、キャロの話、分析班の説明それらは、はやてを納得させるには充分な情報であった。 確かに死んだ肉体では非殺傷設定の攻撃は効くはずがない… 何故ならば魔力に幾らダメージを与え気絶させようとしても死体に意識など元から無いのだからだ。 更にリンカーコアの暴走によって魔力はすぐに回復する為、すぐに行動を開始する事ができる。 ならばアンノウンを撃破するには一つしかない、だが今の新人達に出来るだろうか… はやては不安を持ちつつ前線メンバーに指示を促した。 「えっ!非殺傷設定解除による攻撃!?」 「せや、今んとこあのアンノウンを撃退するにはそれしかあらへん」 はやての指示に新人達は戸惑いを見せていた。 その様子を見たなのはは新人達にこう命令した。 「よし!みんなは前線から離れて、後は私とフェイトちゃんがやるから!」 いくら命令とは言え、いくら相手が死体当然とは言え、 命を奪うような行為はさせたくないとなのはは考え命令を下したが、スバルはその命令に反発する。 「私達なら大丈夫です!」 「でもスバル…」 「確かに本音は嫌です…でも!だからと言って なのはさん達ばかりに重荷を背負って貰う訳にはいきませんから!!」 スバルの言葉に皆が頷く、その光景を見たなのはとフェイトは思わず笑みを浮かべた。 スバル達はきちんと強くなっている、技術面だけじゃない精神面も… そして一番新人達を信じていなかったのは自分じゃないか… そう思うと自分の頭を叩きフェイトと目を合わせ頷くと命令した。 「分かった…スターズ1から各隊員へ!アンノウンを撃破!」 『了解!!!』 なのはの命令に力強く答え、アンノウンとの戦闘を開始した。 リニアレール内、スバルは魚に向かってナックルダスターを放つ。 ナックルダスターは魚の胴体を捉え、 口から血を吐き出し窓に叩きつけた。 辺りにグシャッと肉が潰れる音が響き渡るが、スバルは気にも止めずリボルバーナックルから一つカートリッジを消費すると、 スピナーが回転し拳に衝撃波が集まると振り返り撃ち抜く。 「リボルバーァァァァシュュュュュトォ!!!」 拳が乗った衝撃波は真っ直ぐ突き進み、魚を三匹巻き込んで窓を突き破った。 三匹の内二匹は衝撃波に巻き込まれバラバラとなり、残り一匹は下半身のみを巻き込んで倒れた。 上半身を残した魚は、光の粒子に変わり消滅、窓に叩きつけた魚も同様に消滅した。 スバルは残り一匹に目を向け、拳を握った。 一方ティアナはスバルがナックルダスターで魚を撃破していた頃、魚を一匹撃破していた。 撃破後、魚は警戒した為か一斉に泡を吹きだし、ティアナはダブルモードで迎撃を行っていた。 すると魔力弾が空になりカートリッジもゼロになると、 カートリッジバレルを排出し障害物に身を潜めバレルを交換する。 そしてカートリッジをロードすると足下に円陣が現れ更にティアナの周りにオレンジ色の魔力弾を構築させる。 「クロスファイア……シュートォ!!」 次の瞬間、クロスファイアが魚に襲いかかり頭を吹き飛ばす。 魚は泡で迎撃を行ってみるも、難なく避けられ次々に魚を光の粒子に変えていったのであった。 一方リニアレールの屋根の上では、キャロが猿に対しアルケミックチェーンで動きを止め、フリードに命令する。 「フリード!ブラストレイ!!」 その命令にフリードは雄叫びをあげると、口から紅蓮の炎を放射 炎は猿に直撃すると消し炭になるまで猿の肉体を焼いた。 消し炭となった肉体は光の粒子となって消滅、辺りには肉を焼いた匂いだけが残っていた。 一方エリオはスピーアアングリフでフリードリヒに乗るキャロの所まで跳ぶと、 キャロに先ほど行ったツインブーストをもう一度かけて欲しいと頼むとキャロは快く応じる。 ツインブーストを受けたエリオはカートリッジを消費し、魔力刃で構成された矛先を猿に向けると気合いを込めて叫んだ。 「スタールメッサー!」 エリオは矢の如き加速で突撃し猿の頭を捉えると魔力刃を縦に切り替え腹部まで切り裂き、更に右に振り抜いた。 振り抜いた先には猿が両手を組み振り下ろそうとしているが、 エリオはストラーダの魔力刃で両腕を切り落とし、更に頭を切り落とした。 更にエリオに迫ってくる猿に対し、右払いで攻撃、猿の肉体は上半身と下半身に分かれた。 すると切り裂いた猿から大量の血が吹きだし、それは血の雨となってエリオの頭上に降り注ぐ。 だが猿の肉体が粒子化すると同時に、血も光の粒子に変化し消滅した。 「……ゴメン」 小さく呟くように猿達に謝ると次の標的に目を向けた。 リニアレールの上空、なのはとフェイトはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで撃破していた。 その中ロングアーチから連絡があり、アンノウンを二~三羽捕縛して欲しいと指示を受けた。 どうやら今後の対処のためのサンプルとしてのようだ。 なのは達は了解すると残り四体の内、二体をなのはがレストリクトロックで縛り上げ、 残りの二羽をフェイトがハーケンスラッシュで撃破した。 「…不死者、二体捕縛されたの以外全滅……」 「そうですか…ではルーテシアはもう戻ってきていいですよ」 「いいの?」 これ以上の戦力の投下は無駄だとレザードは判断し、ルーテシアはそれに従いその場を転移した。 レザードはルーテシアとの連絡を切るとチェスに目を向け顎をなでる。 するとスカリエッティが問いかけてきた。 「不死者…捕縛されたみたいだね」 「えぇ…ですが問題ありませんよ、想定の範疇でしすし、所詮はただの捨て駒です」 「…成る程、つまりあれがレザードの宣戦布告と言うわけだね」 「えぇそうです……これでチェックメイトです」 「なにっ!?」 眼鏡に手を当て笑みを浮かべ宣言するレザード。 スカリエッティはチェスの盤をじっくり眺め、挽回出来ないかと探してみるものの結局見つけられず、 お手上げの表情で敗北を認めたスカリエッティであった。 リニアレール事件から一夜開け、今回回収したガジェットの分析待ちをしているフェイトは、 シャーリーと共に先日の戦闘データを纏めていた。 その中で一つ気になる映像を発見した、それはエリオがガジェットIII型を撃破している映像で ガジェットの内部を拡大し解像度を上げると、内部に組み込まれた青い結晶を発見する。 「これは?」 「…間違いない……ジュエルシード」 かつてなのはと対峙し、自分にもっとも関係しているロストロギア。 すると分析班から報告書が届き目を通す。 ガジェットは市販されたパーツを改造したものが殆どであるが、 その中にJ.Sと刻まれたプレートが存在していたという。 フェイトは納得した表情を見せるとシャーリーから端末を借り映像を映し出す。 モニターには白衣を着た紫の髪の男性が映り出していた。 ジェイル・スカリエッティ…生命操作や生命改造、精密機械などを手掛ける科学者で 広域指名手配を受けている次元犯罪者でありフェイトが追っている犯罪者でもあった。 「ガジェット、ロストロギア、J.Sと刻まれたプレート、間違いなくこれは………」 モニターを睨みつける様に見つめフェイトはこう言い放った。 ―――これはスカリエッティの宣戦布告であると――― 前へ 目次へ 次へ
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はやての放つ広域殲滅魔法フレースヴェルクが、聖王の揺りかごを守るガジェットの一角を消滅させる。 「なのはちゃん、今や!」 「行くよ。スターズ出動!」 その空隙を縫って、なのはとヴィータが聖王の揺りかごに接近する。 「ラケーテンハンマー!」 ヴィータが高速で回転しながらアイゼンを振り下ろす。聖王の揺りかごの外壁に穴が開いた。 「スバル、ティアナ」 「ウイングロード!」 スバルの作る空色の光の道が、大地から揺りかごへと延びる。ティアナを背負ったスバルと、昌浩を背負った太裳が光の道を上っていく。 「後は頼むで」 総勢六名の突入部隊。作戦が最終段階に入ろうとしていた。 揺りかご内部に入った六人を強烈なAMFが出迎える。 飛行魔法を阻害され、なのはとヴィータの体がふらつく。しかし、すぐに持ち直した。 ここで魔法を使うと、魔力の消耗がいつもより数段激しい。 「予測はしてたけど、やっぱりきついね」 「ああ、ここはスバルが頼りだな」 「はい。任せてください!」 スバルが戦闘機人モードを発動し、瞳が黄色に変わる。 聖王の器と駆動炉は反対方向にある。ここで分散しないといけない。 「行くぞ、昌浩。私らは駆動炉だ」 「うん」 正体不明だが、聖王の器こそ最強の敵だと昌浩の直感が告げている。 駆動炉の破壊は昌浩とヴィータのみ。残りの四人で聖王の器を破壊する手はずになっている。 「なのは、そっちは頼んだぞ」 「うん。ヴィータちゃんも気をつけて」 なのはとヴィータはそれぞれの目標に向けて進んで行った。 通路にはびこるガジェットたちを、なのは、スバル、ティアナは次々と倒していく。 太裳は攻撃力を持たないが、結界能力は十二神将の中で天空に次ぐ。全員の防御を一人で担ってくれるので、なのはたちは攻撃に専念できる。 やがて通路の分岐点に差し掛かった。これはユーノが送ってくれた地図には記載されていなかった。 「時間が惜しい。右の道は私一人で行くから、スバルたちは左の道をお願い」 「一人で行くんですか? 危険過ぎます」 「こら、生意気言わないの。本気になったなのはさんは、まだ二人に負けるつもりはないんだから」 なのはの言葉は真実だった。今のスバルとティアナ二人がかりで互角だろう。本当にエースオブエースの名は伊達ではない。 「ティアナ、お願いね」 「わかりました」 ティアナが真剣な顔で頷き走り出す。スバルと太裳がその後に続く。 スバルたちは巨大な通路を延々と走り続け、辿り着いた先は行き止まりだった。 「外れですか」 「すぐになのはさんを追いかけましょう」 落胆する太裳をスバルが促す。 「そうはいかねぇな」 「危ない!」 太裳がスバルをかばうように前に出る。展開した結界の表面で弾丸が爆ぜる。 三人の前にノーヴェが立ち塞がる。 「タイプゼロセカンド。お前たちはここで潰す」 「太裳さん。ティアナをお願いします」 スバルが前に出る。太裳とティアナは結界の中で、スバルを見守る。 「おもしれぇ。一人で戦おうっていうのか。タイプゼロセカンド」 「私はスバル・ナカジマだ! ウイングロード!」 「エアライナー!」 通路の中に、空色と黄色の光の道が網の目のように交差する。ノーヴェが拳を打ち鳴らし、戦闘が開始された。 六合とシグナムは背中合わせに立っていた。周囲にはガジェットたちがひしめいている。 「六合、私はよく仲間からバトルマニアと言われる」 レヴァンティンが炎をまとい、ガジェットを切り裂く。 六合はシグナムの話に耳を傾けながら、銀槍を振るう。 「確かに命がけの戦いも嫌いではない。いや、好きなんだろうな」 極限状態の緊張感は、これはこれで悪くない。 「だが、私が本当に好きなのは、ただ技を競い合うような……無心でお互いを高め合えるような、そんな戦いなんだ」 「……俺もだ」 六合が口を開く。寡黙な六合が喋るのは珍しいことだった。 「そうか。では、この戦いが終わったら、また手合わせをしよう。り……」 「彩輝(さいき)だ」 かぶせるように六合が言った。 「晴明からもらった俺のもう一つの名だ」 「わかった、彩輝。では、約束だぞ!」 シグナムが心にその名を刻む。二人はどこか楽しげに、まるで優雅に踊るように戦い続けた。 戦闘開始からすでに二時間が経過しようとしていた。 聖王の揺りかごからは、雲霞(うんか)のようにガジェットが湧き出している。 本陣は天空の結界とヴォルテールによって守られているが、攻撃部隊の疲労が濃くなってきていた。 「申し訳ありません。晴明様」 力を使い果たした天后が、晴明に謝る。 「よい。お前はよくやった。しかし、このままでは戦力が足りぬ」 白虎と太陰の限界も近い。負傷したメンバーは、シャマルの回復魔法で命の心配はないが、戦線復帰はとても無理だ。 「私が行きます」 紫色の髪をした少女が立ちあがった。意識を取り戻したルーテシアだ。 「よろしいのですか?」 「うん。あなたたちには、私もアギトもゼストも助けられたから」 「ルーちゃん。お願い」 「ガリュー、頼んだよ」 キャロとエリオが声援を送る。 「うん。任せて!」 期待したよりも力強い返事と、明るい笑顔が応える。 「白天王! 地雷王! ガリュー! インゼクト!」 白き魔人が、黒い甲虫が、四つ目の人型が、小さな虫の群れが、ルーテシアを取り巻く。 全ての召喚獣を従えて、ルーテシアは戦場に舞い戻って行った。 「……ルーちゃん。少し感じ変わった?」 キャロが首を傾げる。もっと大人しい少女だと思っていたのだが。 「昌浩め。後で説教だ」 ルーテシアの変貌の原因に思い当たり、晴明はうめく。 ルーテシアは悲しい影をまとった少女だった。 おそらく昌浩は縛魂の術で洗脳を解く際に、もっと明るくなればいいのにと、心の片隅で思ったのだろう。それがルーテシアの心に潜んでいた明るい部分を全開放してしまったのだ。 縛魂の術は、当面使用禁止にしようと晴明は決めた。 聖王の揺りかごの最深部では、クアットロが不機嫌顔で戦況を眺めていた。 後一押しで勝負が決まるその瞬間に、ルーテシアが参戦したのだ。おかげで敵は勢いづき、まだしばらく持ちこたえそうだ。 「ま、私たちの勝ちは揺るぎませんから、いいですけど」 丸一日戦える生き物など存在しない。ほんの少し生きられる時間が延びただけだ。 「まったく。どうしてこう愚か者ばかりなのかしら」 クアットロは通路で戦うスバルとノーヴェを鼻で笑う。 ガジェットを信用していないのか、あるいは自分の力を過信しているのか、ノーヴェは一人で敵を倒そうとしている。それに応えて、スバルも一人で戦っている。 正々堂々。一対一の決闘。どれもクアットロには理解しがたい概念だ。 戦いなど、いかに自らの手を汚さずに相手を倒すか。それに尽きるではないか。 「本当にお馬鹿さんたち」 クアットロは画面に映るティアナと太裳を指でつつく。 スバルとノーヴェの実力に大差はない。三人がかりならすぐに勝てるだろうに。 「好きにすればいいわ。どうせ死ぬんだから」 ノーヴェが勝てるようなら、それでよし。もし負けてもあの三人の運命は変わらない。 すでに真上の通路にガジェットを大量に配置してある。 ノーヴェ敗北と同時にガジェットたちは床を破壊。大量のがれきがスバルたちの頭上に降り注ぐ。AMFが充満したこの空間で、すべてのがれきを防ぐすべはない。 「無様に負けるくらいなら、華々しい引き分けをプレゼントしてあげる。優しいお姉ちゃんに感謝しなさいね。ノーヴェちゃん」 「クロスファイヤー」 己の策略に酔いしれるクアットロは、突如、冷水を浴びたような衝撃を受ける。振り向くと、クロスミラージュを構えたティアナが立っていた。 「シュート!」 ティアナの放つ弾丸が、クアットロを打ち倒す。 「そんな……どうして……」 画面の向こうのティアナが姿を消す。 「……幻術。私が騙されるなんて……」 「知ってる? 一番騙しやすい人間って、自分を賢いって思ってる人間なんだって」 クアットロの指が無意味に宙をかく。それを最後にクアットロは意識を失った。 ティアナはクロスミラージュに目を落とす。クロスミラージュはところどころショートしていた。 「これ以上の戦闘は無理そうね、クロスミラージュ」 『Sorry』 「いいわ。無理させたのは私だし。ゆっくり休んで」 『Yes, sir』 ティアナが使ったのは、十二神将の隠形と陰陽師の術を参考に改良を加えた幻術だった。持続時間は飛躍的に伸びたのだが、それでも長時間の使用には耐えられなかったらしい。ティアナの戦いはここで終わりだ。 昔のティアナならば、最後まで戦うことにこだわっただろう。しかし、今は仲間を信頼し後を託すことができる。 「頼んだわよ、みんな」 ティアナは祈るように天井を見上げた。 「クアットロ? おい、クアットロ、返事をしろ!」 クアットロとの通信が途絶したことに、ノーヴェは動揺する。 太裳の隣に立っていたティアナの幻影が消える。 「てめえら、騙しやがったな!」 なのはと同時に、ティアナも別行動を取っていた。スバルたちの元に幻影を残し、自分は姿を消して、敵指揮官の一人、クアットロを倒しに行ったのだ。 敵指揮官の居場所は、あらかじめいくつか目星をつけてあった。タヌキ爺の晴明とタヌキ娘のはやてにかかれば、相手の心理を読むことなど造作もない。 「私たちは負けるわけにはいかないんだ!」 スバルの拳とノーヴェの蹴りが激突する。 拳主体と蹴り主体という違いはあっても、お互いに似た能力と装備を持つ二人。ローラーブーツのタイヤが回転し、高速で光の道を走り抜ける。 「お前のISは振動破砕だってな」 ノーヴェがスバルに言った。 相手の体内に振動を送り込み破壊する能力。体内に精密機械を抱える戦闘機人には、特に効果が高い。 「なら、攻撃させなければいい」 ノーヴェのガンナックルから弾丸が吐き出される。スバルとノーヴェの決定的な差。射撃能力だった。 『Protection』 スバルのデバイス、マッハキャリバーが展開したバリアが弾丸を防ぐ。 足の止まったスバルに、ノーヴェが連続で蹴りを繰り出す。 一撃目を受け流し、二撃目を左腕で受け止める。重たい蹴りに腕が痺れる。 「やっぱり旧式だな。私の方が強い」 ノーヴェの挑発に、スバルは歯がみする。一刻も早くなのはの援護に向かいたいのに、こんなところで足止めされるわけにはいかない。 「マッハキャリバー、最速で行くよ」 『All right buddy』 レクチャーを受けただけで試運転もしていないが、やるしかない。 「フルドライブ!」 『Ignition』 「ギア・エクセリオン!」 マッハキャリバーから空色の翼が生え、スバルの体が急加速する。刹那で間合いを詰め、全力のストレートを放つ。 「なっ!」 ノーヴァの顔が驚愕に染まり、左腕の小手が砕ける。 「もう一度!」 左足を軸にターンをする。 『Danger!』 マッハキャリバーからの警告。しかし、一足遅かった。左のローラーブーツがひしゃげ、火花を散らす。 今のマッハキャリバーは戦闘機人モードを想定していない。戦闘機人モードとフルドライブの相乗効果にフレームが耐えられなかったのだ。 制御を失い、スバルが転倒する。それでも止まらず、地面に何度も叩きつけられる。 「はっ。自滅しやがった」 ノーヴェが嘲笑う。 衝撃で頭が朦朧とし、スバルは体を動かせない。 「これで終わりだ!」 ノーヴェのかかとが、スバルの頭めがけて振り下ろされた。 二人の間に太裳が割り込み、結界を張る。ノーヴェの強烈な蹴りが結界を激しく歪める。 「邪魔するな!」 「太……裳さん」 スバルはまだ起き上がれない。情けない姿をノーヴェが罵倒する。 「それでも戦闘機人か! 男に守られるしか能のない非力な旧式が!」 「違います!」 太裳が腹から声を発する。こんなに声を荒げた太裳を見た者はいない。 「スバルさんは守られることができるんです!」 「はっ?」 意味不明な叫びに、ノーヴェは呆気に取られる。 「守ることしかできない私とも、敵を倒すことしかできないあなたとも違う。スバルさんは守ることも、倒すことも、救うこともできる。神でも機械でもない、人間だからです!」 いつだって太裳の目に人間は眩しく映っていた。不器用で間違いを犯すが、様々な可能性を秘めた人間。 いかに強い力と命を持っていても、永遠に変化しない太裳には、それは羨ましいことだった。 「随分かばうな。まさかお前、そいつに惚れてるのか?」 「はい。好きです」 照れもためらいもなく太裳は答えた。 「ええっ!?」 むしろ慌てたのはスバルだった。顔が真っ赤に染まる。 「い、いつから?」 「わかりません。気がついたら好きになっていました」 いつもひたむきでまっすぐなスバル。その明るさが太陽のように、太裳を惹きつけた。 「よければ今度、でえと、とやらをしていただけませんか?」 「ええと……わ、私でよければ」 「いちゃついてんじゃねぇ!」 ノーヴェの蹴りが太裳の結界を破壊する。続けて放たれた上段蹴りが太裳を壁に叩きつける。 「いいぜ。そんなに好きなら、まとめて殺してやる。あの世でデートしやがれ!」 スバルがはね起き、ノーヴェの蹴りを蹴りで相殺する。しかし、その一撃で左足のローラーブーツは完全に使い物にならなくなった。ウイングロードも展開不能だ。 「速さを失ったお前に勝ち目はねぇ!」 ノーヴェがエアライナーを走り、上空に駆け上がる。制空権はノーヴェが支配している。 「とどめだ!」 ノーヴェが高速でエアライナーを下ってくる。スバルには打つ手がない。 「スバルさん」 太裳が痛む体を引きずって、スバルの隣に並ぶ。視線だけで互いの意思を伝える。 リボルバーナックルが回転し、カートリッジをロードする。魔力を右腕に集中させ、スバルはノーヴェめがけて跳ぶ。 ノーヴァはエアライナーの軌道を変え、スバルの真横を狙う。 その時、太裳が結界を張った。スバルの足元に。 「一撃必倒」 太裳の結界を踏み台に、スバルの体がノーヴェに向けて矢のように放たれる。 「しま……」 意表を突かれたノーヴェは反応が遅れる。 「ディバインバスター!」 空色の拳がノーヴェに炸裂した。 ノーヴェを倒し、着地したスバルがよろめく。まだダメージが回復しきっていないらしい。太裳が横から体を支える。 スバルは太裳から顔をなるべく離した。突然告白されて、どんな顔を向ければいいか、わからなかった。 「……だから、いちゃついてんじゃねぇ。私はまだ負けてねぇぞ」 かすれた声を絞り出しながら、ノーヴェが立ち上がる。直撃を受けた両腕は力なく垂れ下がり、膝も笑っている。強がりなのは明白だ。 「あなたの負けです」 「負けてねぇ! 私らは負けられねぇんだ!」 ノーヴェが血を吐くように叫ぶ。 「私は戦闘機人だ。勝たなきゃ、勝ち続けなきゃ、意味がねぇ。それ以外の生き方なんて、出来ねぇんだ!」 叫び続けるノーヴェの姿が、スバルに幼い頃に巻き込まれた空港火災を思い出させた。 あの日、スバルは迷子になり、一人ぼっちで泣いていた。その姿がノーヴェに重なる。 (そっか。あの子も私と同じ迷子なんだ) どっちに行けばいいかわからず、寂しくて苦しくて、泣くことしかできなかった。 あの時、スバルを助けてくれたのは、なのはだった。あんな人になりたくて、スバルはこれまで頑張ってきた。 今度は自分の番だ。 「大丈夫だよ。きっとやり直せる。新しい道が見つかる」 スバルは一歩踏み出す。 「気休め言うな!」 「気休めじゃない。私だって見つけられた」 「私とお前は違う!」 スバルが近づくたびに、ノーヴェは叫びを上げる。 「うん。違う。だって、あんた、私より強いじゃん。だから、きっと大丈夫だよ」 誰かが道を示してくれるまで、スバルは諦めて泣くことしかできなかった。だが、ノーヴェは己の力で道を切り開こうとあがいている。 「あんたの強さがあれば、きっと大丈夫。辛い時、苦しい時には、私も手伝うから。だから、一緒に行こう。ね?」 スバルが優しくノーヴェを抱きしめる。ノーヴェは抵抗しなかった。 「……う、うぁああああああああ!」 堰を切ったようにノーヴェが泣き出した。 「うん。もう大丈夫」 (なのはさん。私、あの日の、なのはさんに少しは近づけたかな?) 夢が少しだけ近づいた実感を、スバルは初めて得ていた。 「スバルさん!」 緊迫した太裳の声。太裳の結界が、光弾を防ぐ。 「何!?」 通路に突然、ガジェットが出現する。カマキリのような姿をした新型だ。光学迷彩で隠れていたらしく、通路はすでに埋め尽くされていた。 「おい、お前ら、退け!」 ノーヴェの指示に、新型ガジェットは反応を示さない。 「くそ。識別機能が壊れたか」 ナンバーズは、ガジェットに攻撃されないよう識別機能がついているのだが、スバルの振動破砕で丸ごと機能停止していた。 「やるしかないってことか」 スバルが苦しげにうめく。戦えるのはスバルだけだ。ウイングロードもローラーブーツもなしで、どこまでいけるか。 「これを使え」 スバルは飛んできた物体を空中でキャッチする。それはノーヴェの左のローラーブーツ、ジェットエッジだった。 「強度はお前のより上だ。多少の無茶には耐えられる」 「あはは。助けるどころか、先に助けられちゃった。あんたって本当に強いね」 さっきまで号泣していたくせに、もう勝気な表情が戻ってきている。 「うん。ありがたく使わせてもらう」 リボルバーナックルは、助けてくれた母の形見だった。左のリボルバーナックルは姉ギンガからの借り物だ。なのはや六課のみんなが作ってくれたマッハキャリバーに、今はノーヴェのジェットエッジ。 みんなに支えられて、スバルは今ここにいる。 「太裳さん。ノーヴェをお願い!」 「任せてください!」 太裳がノーヴェを抱き上げる。 「でも、変な所触ったら、後で殺しますから!」 「ええええ!?」 太裳の情けない声を背に、スバルは走り出した。負ける気はしなかった。 目次へ 次へ
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シレンヤ氏 「ドラなの」 第1章「魔法の世界へ・・・・・・」 前編 第2章「第97管理外世界」 第3章「誕生会」 『ドラなの』第4章「遭遇」 『ドラなの』第5章「脱出」 『ドラなの』第6章「夜天の魔導書」 第7章「夜天歴程」 第8章「いざ、次元空間へ」 クロス元:ドラえもん のび太の新魔界大冒険 最終更新:2012/9/20 「マクロスなのは」 クロス元:マクロスシリーズ(TV版マクロスFメイン) 最終更新:2012/5/5 お知らせ 「ドラなの」の第7章をUP(3月9日) 「マクロスなのは」第29話をUP。(3月27日) 「マクロスなのは」第30話をUP。(5月5日) 「ドラなの」の第8章をUP(9月20日) 長いこと音信不通ですみません。リアルが忙しく遅れました。 マクロスなのは、ドラなの、どちらも頑張ってますので、今しばらくお待ちいただければ幸いです。 「マクロスなのは」第31話をUP。(1月15日) 次回は出来るだけ早くなるよう頑張る! 「ドラなの」 「ドラなの」はマクロス勢はまったく関与はしませんが、当初から「マクロスなのは」の世界観からのスピンオフということを前提において展開を考えてしまっています。 そのためほとんど原作と変わりませんが多少設定改変を内包する形になっています。ご了承ください。 第1章 「魔法の世界へ・・・・・・」 前編 後編 第2章 「第97管理外世界」 本編 第3章 「誕生会」 前編 後編 第4章 「遭遇」 本編 第5章 「脱出」 本編 第6章 「夜天の魔導書」 本編 第7章 「夜天歴程」 本編 第8章 「いざ、次元空間へ」 本編 「ドラなの」のコメント欄はここ 「マクロスなのは」 あらすじ 西暦2060年。 バジュラ達との抗争から一年が経ち、フロンティア船団は順調にバジュラの母星に移民していた。 そんな中、地球で催される「第一次星間戦争終結50周年コンサート」で歌うため、ランカを乗せたアルトのVF-25が地球へとフォールドすることになった。しかし彼らがデフォールドしたのは時空管理局の存在する第1管理世界だった! 〝我々〟の知る第1管理世界とは少し異なった過程を進んだその世界とアルト達の邂逅。それは必然だったのか?そしてなぜ異なった過程を進んでしまったのか!? 大人気「マクロスシリーズ」と「魔法少女リリカルなのはシリーズ」の今までありそうでなかったクロスオーバー、ここに始まります! 注:マクロスF劇場版は本作品の土台たるTV版とは「サヨナラノツバサ」に置いて完全に一線を隔してしまったので、劇場版しか見てない人はTV版もおもしろいのでできれば見てください。 プロローグ~第10話 プロローグ(修正日:9月10日) 第1話 『フォールド事故 たどり着いたのは魔法の世界』(修正日:9月18日) その1 その2 第2話 『襲撃』 (修正日:9月18日) その1 その2 第3話 『設立 機動六課』 (修正日:9月23日) その1 その2 第4話 『模擬戦』 (修正日:9月23日) 本編 第5話 『よみがえる翼』 (修正日:10月1日) その1 その2 第6話 『蒼天の魔弾』 (修正日:10月16日) その1 その2 第7話 『計画』 (修正日:10月26日) その1 その2 第8話 『新たな翼たち』 (修正日:10月26日) 本編 第9話 『失踪』 (修正日:10月26日) 本編 第10話 『預言』 (修正日:10月31日) その1 その2 第11話~第20話 第11話 『地上部隊は誰がために・・・』 (修正日:11月5日) その1 その2 第12話 『演習空域』 (投稿日:11月12日) その1 その2 第13話 『空の守護神』 その1 その2 第14話 『決戦の果てに・・・・・・』 (投稿日:12月27日) その1 その2 第15話 『魔導士とバルキリー』 (投稿日:1月13日) その1 その2 第16話 『大宴会 前編』 (投稿日:2月7日) 本編 第17話 『大宴会 後編』 (投稿日:2月26日) 本編 第18話 『ホテルアグスタ攻防戦 前編』 (投稿日:3月5日) その1 その2 第19話 『ホテルアグスタ攻防戦 後編』 (投稿日:3月28日) 本編 第20話 『過去』 (投稿日:4月14日) 本編 第21話~第30話 第21話 『サジタリウス小隊の出張』 (投稿日:5月20日) 本編 第22話 『ティアナの疑心』 (投稿日:6月13日) 本編 第23話 『ガジェットⅡ型改』 (投稿日:8月17日) 本編 第24話 『教導』 (投稿日:10月17日) 前半 後半 第25話 『先遣隊』 (投稿日:11月12日) 本編 第26話 『メディカル・プライム』 (投稿日:12月11日) 本編 第27話 『大防空戦』 (投稿日:1月18日) 本編 第28話 『撃墜』 (投稿日:3月5日) 本編 第29話 『アイくん』 (投稿日:3月27日) 本編 第30話 『アースラ』 (投稿日:5月5日) 本編 第31話~第40話 第31話 『聖剣』 (投稿日:1月15日) 本編 シレンヤ氏コメントログ シレンヤ氏コメントログ2 感想・応援など、どしどしお書きください! ただいまコメント欄のテスト中~あ~ -- シレンヤ (2010-09-19 13 27 31) (ここにあったコメントはコメントログに移しました) 最初は「の」を外した方が語呂いいかなぁ? 程度の軽い気持ちがいつの間にか定着していたスターライト名無しです。スパロボで毎回ミシェルの眼鏡を割らずにいる身としては早くミシェルとクランにも再会して欲しいものです、はい。 アイくんは随分と立派になって・・・これならブレラさんのルシファーと組んでも最大射程の問題は無いな(続くスパロボ脳)。後、実を言わなくてもアイくんの進化は劇場版の方が好きだったりしますw さて、そろそろミズハスキング、いやクイーンのお出ましでしょうか? ついでに声優さんの本気(一人多役祭り)タイムも。ではまた〜 -- スターライト名無し (2011-11-15 18 22 11) 新・話・キター!! 最後の追伸に背中を押されてコメントしてみました。 アイくん見た時空管理局の反応が楽しみですなぁ。 -- 名無し (2011-11-19 22 59 50) はじめまして。マクロスなのはを(まだ途中までですが)楽しく読まさせていただきました。バルキリーと魔導師の戦法の書き分けがとても面白いです。 ですが、いくつか気になる点がありました。 “12話その2”にある台詞を例にさせていただきます。これらは、ネタバレを覚悟して12話から飛んで第25話だけを読んだところ全く改善されていなかった点です。 また、ページを圧迫してしまい、嫌われることを覚悟した上で容量オーバーのため数回に分けて投稿します。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 12 03) まず1つめ。名称などに関することです。 >『ブレイク(散開)!』 この場合、『散開(ブレイク)!』と日本語を主に添えて、読み方やカタカナ言葉を括弧で閉じるのが一般的ですし、読みやすいとされています。 また、作品を書くのが楽しいなら、HTMLタグを使い、読み方を括弧で閉じるのではなく、漢字の上にルビを振るのも苦ではないはずです。 読者側から考えれば、こちらのほうが圧倒的に読むのが楽です。またこのやり方は、機械の名前なども同様です。 ですが、“MHMM(マイクロハイマニューバミサイル)”のようにアルファベットの略称に対しては、本来の読み方を後に持ってくる方法でも間違いではありません。 また、“バンク(ロールを左右小刻みに行い翼を上下に振ること)”がありますが、詳細をいちいち括弧で閉じるというのは、あまり上手い書き方ではありません。 “ロールを左右小刻みに行い翼を上下に振る機動であるバンク”という文章にすることで上手な文章を演出することが可能です。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 22 47) もしくは、現実世界で使われている専門的な用語は、一切解説を加えないという手も存在します。これは読者を見放したような手法ですが、某戦闘妖精のハードカバーの小説でも平然と使われています。 これは、読者に「この用語、どういう意味なんだろう?」思わせることで批判されることもありますが、文章のテンポを上げることが容易に出来ます。 簡単に言えば、批判に耐えられる図太い神経があるかどうかということですね。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 24 09) >(魔力)素粒子ビーム この場合、“魔力”の部分に括弧をつける必要は感じられません。魔力を照射しているなら、「素粒子ビームのような魔力砲撃(もしくは魔力弾)」と書いたほうがよろしいかと。 それ以上に、これでは、ディバインバスターのような砲撃系魔の直射魔法なのか、アクセルシューターのような誘導弾、もしくは偏差射撃によって放たれた直進する無誘導弾なのかわかりません。 砲撃でミサイルを打ち落とすのは、ミサイルに当たらない面積を考えると魔力の無駄ですし、誘導弾を一斉射するのでは誘導に使う労力が大きすぎます。そして無誘導弾では無数のミサイルに偏差射撃を同時に行える天才が居ることになります。 この場合、発射した人間が、どういった判断のもと、どのような魔法を放ったのかの説明を加えたほうが、圧倒的に読みやすいでしょう。 また“ハイマニューバ誘導弾”のように日英混合になった場合は、“高機動誘導弾”など字数の少ない言語で統一したほうが文章がすっきりします。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 27 15) 2つ目に文体に関することです。 全体的な文章に、句点“。”が多く、読点“、”が少ないように感じます。句点が少ない文章は息が詰まるように感じるためあまり好まれません。 逆に、読点が多く、句点が少ない文章は間延びして見えます。 たとえば、“追うなのははそれを回避しながら打ち返す。”という文章、これは“追うなのはは、それを回避しながら打ち返す。”とすれば格段に読みやすくなります。 読点1つで読みやすさが全然違います。司馬遼太郎は『多くね?』ってぐらい入れていますが、それはそれなりに読みやすいので、少ないよりは多いほうがいいかもしれません。 また会話文が多く地の文による描写が少ないと思えます。そのため、空中戦の機動や登場人物の表情、挙動などがはっきり言って、分かりづらいです。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 30 07) また、地の文章で擬音を再現するのは、幼稚な文章とされるのであまり良い扱いを受けません。 これに限らず、“雷鳴のような爆音”“耳を劈くような不快な音”“二匹の龍のように舞い上がる”などの比喩表現をもっと入れたら文章量も増えるし戦闘描写は鮮やかになるかと思います。 そして、登場人物の心境、言葉として発さない台詞などは、括弧で閉じるのではなく、地の文で替えたほうが上手な文章に見えます。 -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 31 53) 3つ目に設定に関することです。 シレンヤ氏は世界観に独特の改変を加えてあると仰りましたが、 一部、指摘されてから設定を公開するなど、明らかに、調査不足、知識不足による後付設定のように見えます。 本当にただそういう設定だったということもあるでしょうが、自分の間違い、勘違いだった場合、素直に文章を修正するなどしたほうが読者に対する好感度が上がります。(いわゆるドジッ子属性) またそういったことがないように、公式の設定資料集なようなもの購入する。それが無理なら、非公式サイトではありますが、NANOHAwikiのようなサイトで下調べをすることをオススメします。 文章力のない私が指摘するべきことではなく、偉そうに稚拙な長文でグダグダと語ってしまいましたが、気になったので感想に書いてしまいました。 これからもいっそうのご活躍、楽しみにています。 個人的には、「俺の身体は飛べば治るように出来てるんだよ!」と言い切った彼の登場はいつですかね? -- YF-19のガウォークは可愛いと思う名無し (2011-11-27 18 39 28) 今回ものすごい長文にてご指摘いただいた方がいらっしゃったので、とにもかくにも早急に返信しようと駆けつけました! 皆さんのようにおもしろいと言ってくれる。これはもちろんうれしいです。でもあなたのように指摘してくれる。これはちゃんと読んでくれているのがよくわかってもっと嬉しいです! YF-19のガウォークは可愛いと思う名無しさん、あなたの熱意は痛み入ります!ほんとありがとうございます! 最初にぶっちゃけますと、これを書いていた時は高3の受験シーズン真っ只中です。本来これは勉強に手が付かない時に、暇にまかせて書いていた自己満足のための文章です。おかげでマクロスクロニクルがあったマクロスとは違い、ネット環境からも隔絶されていたためなのはは最後に見た数年前1度だけ見たものを記憶を頼りに書いていました。 おかげで勉強のために元の設定を見ずに書いたストックが20話超。あの時点ですでに方向性が定まり修正できませんでした・・・・・・orz その時あった本当の独自設定は管理局の組織設定と、ほとんど覚えていなかったしストーリーに合わせるため気兼ねなく魔法の設定をマクロス世界に準拠、その理由としての謎の真相・・・・・・ぐらいかな?今となっては昔の原稿はなく、ぐっちゃになってよくわかりません。 さて、世界観改変に関する言い訳はここまでにしましょう。 名称などに関すること HTMLタグ・・・・・・・この倉庫において前例もなくそんな便利なものがあるなんて知りませんでした・・・・・・知っていたらやっていたか?と言われれば怪しいものですが、今後はできるならやってみようと思うのでお願いします。 詳細()閉じについて そうですね・・・・・・用語は消すかWikiみたいに*つけて最後に集約したほうがいいのかな?とりあえずそういう方向性でやってみたいと思います。 (魔力)素粒子ビーム これについて後付け設定と言われそうで恐縮ですが、魔力を用いて粒子加速した魔力素をそのまま素粒子として打ち出すという意味で用いております。 この世界に置いて魔力ダメージとは魔力火傷と設定されており、同じ世界観を有するドラなのとともにショックガンの原理となっております。(ドラなの第3章後編参照) 破壊設定の魔力砲撃はさらにこの密度を高めたウォーターカッターと考えていただければ幸いです。 なお、わざわざこんなどうでもよさそうな設定を作って回るのは工学部の性でありまして、既存の考えうる技術でどうやったら実現できるのかを考えてしまうことにあります。 おかげで思いついた理論を片っ端から導入しようとして友人にテンポが悪いとはねられて飛ばしたりしています。第4話模擬戦中のホログラム機構の説明も実はあの5倍ほどあったりするんです。 身も蓋もない言い方すればだれか本編を代筆してくれるなら技術的な設定だけやってたいというダメ作者です。ごめんなさい。 砲撃でミサイルを撃ち落とす マクロス世界ではファーストからFまで脈々と行われていたことであり、特に違和感はなかったのですが、確かにおかしいですよねw 機械が仲介していると考えるのが無難でしょうか? ハイマニューバ誘導弾 当時マクロスプラスを見て間もなかった僕はこのハイマニューバという語彙に惚れこんでしまいました。それこそ中二病を発病して「ビルトインスタビライザー!」ってなように。 そこで魔力の誘導弾のことを誘導弾と言うし、HMMのミサイルをそのまま誘導弾に変えて「打ちっぱなしで高速機動する魔力誘導弾の名称」として使おうと考えたのですが、そこまで考えが及びませんでした。以後気をつけたいと思います。 何かほかの名前にした方がいいでしょうか? 文体について まったくもってその通りでございます! 擬音も地の文による描写の少なさも、比喩表現もすべては僕の非才と語彙力のなさが招いたものです。すいません。 それに実は戦闘描写が大の苦手です。自衛隊に入ったらどこへ配属されたいか?といわれたら迷わず整備士と答えるような性分が災いしてそういう本を読んだとしても使用されている科学技術方面に目がいってしまうのです。 おかげで試し読みをしてくれる友人からも描写や書き方について毎回毎回ボコスカに叩かれています。なんとかしようとも思っているのですが、いかんせん日々の生活が忙しくロボットを作ったりと多趣味なことも災いして沢山の本を読んで学ぶというあたりまえな行為すらできていません・・・・・・ 今はこんな感じですが、これからは納得していただけるような文が書けるよう努力していきますので、長い目で見ていただければ幸いです。 「俺の身体は飛べば治るように出来てるんだよ!」 彼についてはまだ検討段階ですが、VF-19につてはぜひ出したいと思っているので、ご期待いただければ嬉しく思います。 以上ですが、疑問、質問には全力でお答えする所存ですので、なにかほかに至らない点があればご指摘ください。 順番が前後してしまって申し訳ございませんが、スターライト名無しさん、そして11月19日の名無しさん、コメントありがとうございます。 まずスラーライト名無しさん ミシェル達への応援よろしくお願いします! VF-27は相変わらずゲームでも強いみたいですね(←やったことがないorz)しかし機体の性能が戦力の決定的な差でないことを教(ry 水橋さんは3役みたいですね。言われて調べて始めて知りました。そして巴マミの声優でもあったことも・・・・・・ククク・・・・・・どうしてやろうか・・・・・・ 11月19日の名無しさんへ アイくんは生きる質量兵器ですからね。どうなるか乞うご期待!! あなたや上のスターライト名無しさんのような方のコメントが僕に執筆のやる気を与え、YF-19のガウォークは可愛いと思う名無しさんのような方のコメントで、皆様が快適に読めるよう努力を惜しまない気概をいただいております。今後とも上に書いたような非才の身ですが、よろしくお願い申し上げます。 -- シレンヤ (2011-11-28 00 40 51) いえいえこちらこそ。 ネタだけは浮かぶのに過程と結末が浮かばない自分から見ると割と羨望の限りでして。 -- 11月19日の名無し (2011-11-30 02 02 08) 日本語足りてぬぇー・・・。 活字中毒というか物語中毒に近い自分からするとSSにやる気を与えられる、とでもいいますか。 K.K.I(こまけぇこたぁいいんだよ)精神が根付いてましてよほど酷い矛盾やら誤字でないと指摘はできないのですが、まぁ読んでいますのでよろしくお願いします。 -- 11月19日の名無し (2011-11-30 02 10 01) 11月19日の名無しさんへ お返事ありがとうございます。結末はともかく過程なんて書いていりゃ勝手についてきますよ! 僕も大筋は決まってるけど、過程に詰まった時は自分の書きたかったネタとか先の展開を書いてモチベーション をあげます。するとどうでしょう?不思議と自然に思いつきます。 確かにまったく思いつかなくてその部分を3か月近く放置したこととかありますがw 結構なんとかなるものなので、持ち前のK.K.I精神をもって思いつくならぜひ書いてみてください。楽しいですよ! それに活字中毒、物語中毒大いに結構!それにこんな作品でもあなたにやる気を与えられるならば本望です。 そしてできるなら思いついたそのネタを分けていただけると――――― (なに有望な読者に頼ろうとしてやがる!} o(#゜Д゜)_‐=o)`Д゜)・; {ひでぶ!) ・・・・・・とまぁふふふか者でふが、ほねがいしまふ・・・・・・(痛) -- シレンヤ (2011-12-11 20 47 29) ゲームの発売まで残り僅か、PV2の終盤で腹筋を破壊されておのれd(ryなスターライト名無しです。 それにしても十中八九あの企業の皆さんはルラギラレて死ぬ、ような。二番かじゅうななさいの手の者辺りにズガン。ってな具合に、発言からして「坊やだからさ」フラグですし。 さて、ストーリーはそろそろ折り返し(?)。今更ながら、ブレラさんとアイくんの来るタイミングによってはメガ姉が某ルル山さんよろしく突如現れたイレギュラーの無双にあたふたする光景が見られるのかなぁとw 最後に中の人ネタに反応して貰えたようなので・・・ ヴィヴィ「こんなに体が軽(ry」 フリード(大)「モグモグ(首がマミる音)」 こうですか分かりませんwではまた〜 -- スターライト名無し (2011-12-12 06 08 44) うん…解ってた…解ってたけどアイくんやっぱ出番(まだ)無しかぁぁぁ!! 予告のベルカのとことか読んでそうだったのかとか思ったりしたのもあったんですがね。いやああいう描写があったキャラのお約束とか解ってるんですが…なんともはや。 後トラックの運ちゃんが歌ってた歌が「たのしい甲子園」五巻で榎本マネージャーが歌ってた「私の彼はトラック野郎」?(現在手元に無いためあやふや)だったらいいなとちょっと思ったのは多分自分だけだろう。 -- 11月19日の名無し (2011-12-22 03 50 31) こんにちは。アニマス20、21話でアイマスという作品と千早が大好きになったシレンヤです。 さて、スターライト名無しさん、そして1119の名無しさんコメントありがとうございます! ・スターライト名無しさんへ わかりやすい悪役は必要ですよ~扱いやすいし。フヒヒッ 折り返しか・・・構想的にはもっと長い物語なつもりだったんですけど、大学卒業したら時間大変そうだし、短く改変するかもですね・・・。そのせいで伏線回収しきれなかったらごめんなさいですm(_ _)m ・1119の名無しさんへ アイくんは次回ようやくですが出ますよ。まぁ、そんなことどうでもよくなるような展開が・・・あぁっ、これ以上は! しかしこの悪役、結構重要な役割を持っているようです。 ドヤ顔→ (悪役){へへん!) ・・・むかつく奴ですがお堪えくださいませ。 う~ん「たのしい甲子園」。聞いたことがないのでググってみれば10年近く前の作品だったのですね~ 古本屋にでも行ったついでに読んでみますね~ ではでは~ -- シレンヤ (2012-01-19 00 33 03) き〜みはだれとキスをす〜る〜♪師が師なら弟子も弟子かぁ、そしてトルネードキター!なスターライト名無しです。 物語には憎まれ役が少なからず必要ですからねぇ。・・・ただまあ、某QBといいああいう手合いは途中までドヤ?でも最終的に予想GUYデスって慌てふためくから小物なんだよ(ボソリ← 「折り返し」は原作的な意味なので、内容としては終盤になればなる程一話一話が長くなるとは思います。 ・・・って次回アイくんWithブレラさん登場?キラッ☆フィールドに耐えて多少大物っぽいかもしれなかったね、フラグ建ててるメガ姉が早速ブレイクされてしまうwww -- スターライト名無し (2012-01-19 02 17 46) お久しぶりです。 テスト週間にインターンシップと忙しくて更新が遅れました。次回は早ければ1週間で落とせるかな? まぁ今月以内には落とせそうです。 さて、スターライト名無しさん、いつもコメントありがとうございます。 トルネード、VF-25が喪失する前には出したかったんですよね~ でもついでにアルトまで喪失してしまいました・・・・・・ 次回以降はなのはがバルキリーに乗り込み名実ともに主役となって、ランカやシェリルと百合百合しい展開に(迫真) とまぁ冗談は置いておきましょう。 折り返しとは原作でしたか。まぁ本編は更新頑張りますが、気長にお願いします~ ではでは~ -- シレンヤ (2012-03-05 20 51 38) 姫ェ・・・よしヴァイス、愛と怒りと哀しみの中村スペシャルだ(中の人などいない!) しかしこのパターン、ブレラさんはまたクォーターとでも交通事故るのかしら?なスターライト名無しっす。漫画版や小説版はちゃんと姫がタイマンで決着つけてましたが、というかTV版は何故に交通事故だったのやらw 地味に漫画版のは小説版でオズマ隊長が某社長に取った戦法と同じなので、やっぱり師弟だなぁとお気に入りだったりします。 というか今回一番出番あったのユダくん(今考えた←)の、ような?ではまた〜♪ -- スターライト名無し (2012-03-06 09 48 26) こんにちはです。 本スレの方に2週間ぐらい前に投稿したのですが、そのあとバイトが忙しくてこちらに移すのが遅れました。 スターライト名無しさんいつもどうも! 小説版はともかく漫画版は読んで無かったのですが、そちらでもタイマンだったのですね。また今度読んでみようかな? ユダ主役(?)は試し読みした人にも言われましたwこれから彼はどんどん成長していき、管理局の敵として立ちはだかっていくと思います。 AIのくせにちょっと人間臭いユダくんですが、よろしくお願いします。 -- シレンヤ (2012-03-27 18 52 34) ああ、やっぱりユダくんの認識はそんなでしたかwなスターライト名無しです、この名乗りも定番だなぁ。 おや、アイくんレーダーにフラグの香りが?まさかあの機体の出番……ってアイくん怒りの進撃で大惨事だなぁ……ああ、やっぱりメガ姉じゃダメだったよ。 ユダくん、それはエースパイロットでも使う立派な小細工なんだよ?何はともあれこういう味のあるモブは大好物なのでユダくんの今後に期待ですw よかった、退化した……よし、次の進化では別の分岐に(ry だってそうならないと他の仲間と見分け付かないじゃないですか← -- スターライト名無し (2012-03-28 01 36 46) お待たせ!ようやく30話を送り出すことができました!でも来週までのレポートが!また徹夜だ・・・・・(涙) さて、恒例ですがスターライト名無しさん、いつもニコニコ這い寄っていただき感謝です! (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー! 今回主にアイくんのせいで酷いことになってますが、ほんとに全部彼のせいなのかな?もしかすると――――― でも羽付きアイくんの進化どうしようかな・・・・・・正直劇場版より前に大筋のシナリオは考えてしまっているので、迷いますね。 まぁ、修正といっても微々たるものだと思いますけどね。 では次回、人気投票首位のあの機体が!!お楽しみに~ (^^)ノシ -- シレンヤ (2012-05-05 23 26 01) 一番の予想は小説版でも縁がある特殊部隊用のA型で、次点が一応の指揮官機なS型か短編で乗ったF型、あるいは大穴にイロモノ枠のP型か。流石に元祖カワイコちゃんはあり得そうななさそうな……なんてwktkなスターライト名無しです。EF型はそもそも名前が勝利すべき(ryなので除外で← まあ、被撃墜がある種のステータスなマクロス主人公がそう易々とロストする訳がありませんよね。とはいえ姫は劇場版すら全滅は最早潔いレベルですがw え、来たのってアイくんだけじゃ?まさか……まさか!そういえば某大戦じゃ一体どういう原理か彼らは毎回星もろとも平然と世界の壁越えてたなぁ。また一波乱の予感?ではまた〜 -- スターライト名無し (2012-05-07 21 25 25) ずびまぜん・・・気温の変化に対応できずに体調を崩してしまいました。 おかげで1週間ぐらい更新が遅れそうです・・・気長にお待ちいただければ幸いです。 -- シレンヤ (2012-05-27 15 02 04) 体調不良は本当にきついですよね。 シレンヤさん、しっかり休んで治してください。 -- 枕 (2012-05-31 22 41 33) 私も最近何度かダウンしてますし、春や秋は油断するとすぐに・・・ ゆっくり体調治して下さい、お大事に! -- スターライト名無し (2012-06-03 00 30 08) 楽しみに待ってますよ! -- 名無しさん (2012-11-18 01 43 43) マクロスFのTV版のその後を主軸に展開しているので幅が広がりますね、バジュラとの共生により誕生した「フロンティア防衛隊」はバルキリー、クアドラン、バジュラの混成軍は読んだときに最強じゃんと思わず突っ込んでしまいました。さて30話の話においてアイくんと少女の展開に期待です。救援に来るクォーターのメンバーとバジュラ達の参戦による決戦が見られるのではないか?と期待しています。 -- 名無しさん (2012-12-18 08 06 32) 「1週間遅れるといったな・・・・・・アレは嘘だ!」(爆) こんにちは!!お久しぶりです! 大学のレポートとか死ぬほど忙しくて全く投稿できませんでした!すいません! さて、スターライト名無しさん、枕さん、そして2人の名無しさんコメントありがとうございます! スターライト名無しさん、イロモノ枠のP型VF-19さんがログインしましたよ!本物はどうもデチューン機の更なる デチューン機らしいですが、管理局は伊達じゃない!復活したアルトにさらなる力を与えてくれることでしょう! 枕さん、スターライト名無しさんとともに体調を気遣ってくださり、ありがとうございます!あの後、ぶり返したり治ったりを 1ヶ月ぐらい続けたのは内緒です・・・・・・ そしてお2人の名無しさん、あなた達の期待に答えられるよう、頑張って行きたいと思います! しかしバジュラが無双すぎて介入時期に迷う~(嬉) 以上!次回は試験終了後なので1ヶ月ぐらい後になりますが、皆さんもしまだいらっしゃるなら、今後とも宜しくお願いします! -- シレンヤ (2013-01-15 21 24 30) 思えばバサラの乗ったP型がサウンドシステム対応に魔改造されてたってだけで基本は普通にVF-19だった…と今更なスターライト名無しです。同じピンポイントバリアを使った攻撃でもナイフよりパンチの方が強く思える不思議。 我々は、あなたの帰還を歓迎する...そしてミズハス三号(え)の登場である。 -- スターライト名無し (2013-01-17 18 18 27) VF-19かっこいいですよね。エクスカリバーの活躍に期待してます。 -- 枕 (2013-01-19 22 25 30) 次を待っているのに、一行にアップがないぞ〜。 熱血なファンより -- シンACE (2019-04-20 15 49 57) 令和になる前に是非、続きを読ませて下さい。 すっごく楽しみにしている熱烈なファンより -- シンACE (2019-04-20 15 58 43) 名前 コメント ―――――――――― 次回予告 VF-19という新たな翼を手に入れたアルト 一方、その頃なのはは保護された少女の元へと向かっていた 明かされる少女の正体になのはは・・・・・・ 次回マクロスなのは第32話「ヴィヴィオ」 「この子は危険です!早く見つけないと・・・・・・!!」 ―――――――――― TOPページへ このページの先頭へ
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魔法少女リリカルなのは×諸葛孔明 時の地平線 クロス元:諸葛孔明時の地平線 最終更新:4月26日 序章 第一場 第二場 拍手感想 TOPページへ このページの先頭へ
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魔法少女リリカルなのは外伝・ラクロアの勇者 第14話 ・本局内一室 本局内に幾つかある応接室。 部屋の明かりは消えており、唯一スタンドの小さな光だけが、この部屋を照らしている。 備え付けられているソファーには、一人の初老の男性がいた。 彼の手にあるのは『八神はやて』に関する事が細かく書かれた報告書。 だが、彼はそれを手に持つだけで目を通そうとはせず、机に置いてある写真立ての中にある写真を見つめていた。 若い男女と幼い男の子。誰が見ても家族の写真。この部屋に彼の事を知らない人物がいたならば、 息子夫婦と孫の写真を見ている老人と見てしまうだろう。 だが違う。写真に写っている男女は部下だった男とその妻、幼い子供は自分の生徒であり、今では立派な執務官。 初老の男性はその写真を見据えながら11年前の出来事、自分の部下を、彼女の夫を、少年の父を失った事件を思い出す。 だがロクな記憶が無い、あの事件で手に入れたのは名声でも手柄でもなかった・・・・後悔、それだけ。 それなのに周囲の皆は無論、夫を失った妻も、父を失った子供も、自分を責めたりはしなかった。 『仕方が無かった』『しょうがなかった』皆口に出すのはそんな言葉ばかり。 いっそ部下殺し、夫を返せ、お父さんを返せと罵ってくれた方がどんなに楽だったか。だが、自分の周りの人間は物分りが良すぎた。 むしろ英雄扱いをされた。プロパガンダとしての意味合いもあったのだろう。 だが、彼には辛かった・・・・辛すぎた。 『何が英雄だ?部下を殺した自分が何が英雄か!!』 「・・・・そろそろか・・・・」 我に返ると同時に時計を見る。おそらく自分の使い魔達が上手くやってくれているだろう。 長きに渡る闇の書を巡る忌まわしい事件ももうすぐ終る。彼女『八神はやて』の永久封印という形で。 幼い、未来のある少女を永遠に封じ込めるという事に、心が痛む事もあった。 だからこそ、悲劇を繰り替えさせてはいけないという薄っぺらい使命感を盾にする事で正当化させ、自らを突き動かしている。 「・・・・それでも・・・・心は痛むな。結局、私はこの痛みを死ぬまで背負わなければならないのか・・・・・」 10年前は悲劇を起こさせないために部下を蒸発させた。そして今回は悲劇を永久に起こさせないため、自分を慕う幼い少女を 氷漬けにしようとしている。 「何も変わらんな・・・・・・後悔だけを残したあの時と」 男は手に持っていただけの報告書に初めて目を通した。まるで、眩しい物を見るかのように目を細め、八神はやての写真を見据える。 ギル・グレアム、闇の書事件に裏から暗躍していた男は、ケジメをつけるかのように、ただじっと、はやての写真を見据えていた。 ・地球 海鳴大学病院から1キロほど離れた高層ビル、二人の仮面の男は事を終えた後、そこで最後の準備を行っていた。 「・・・よし、結界は張れた」 足元に展開していた魔法陣を消し、目視で結界が晴れたことを再確認する。 「デュランダルの用意は?」 「出来ている・・・・問題ない」 待機モードであるカード状態のデュランダルを見せつけ、抜かりがないことを証明する。その直後、 此処からでも聞こえる爆音と共に強力な魔力が、海鳴大学病院屋上を中心に爆発を起こした。 「・・・・空間攻撃魔法か・・・・・持つかな?あの二人?」 「・・・・・暴走開始の瞬間までは持って欲しいな」 今だ空間攻撃『デアボニック・エミッション』の攻撃が続く上空を見つめながら二人は呟く。 今頃、あの空間内ではあの二人の少女が必至になって攻撃に耐えていることだろう。 その調子で攻撃に耐え、時間を稼いでくれれば良い。いくら彼女達でも、今の実力では奴に勝つ事などできないだろうから。 否、勝って貰っては困る。奴には生きたまま、永遠に眠ってもらわなけらばならないのだから。 「まぁ、精々かんばってくれ・・・・未来を担う魔道師達・・・・・っ!?」 そんな、軽い激励の言葉を呟いた直後、彼らの周囲に、突如蒼い光の粒子が囲むように出現する。 その粒子の正体にすぐに気付いた仮面の男達は、即座にその場を離れようとするが、その行動より早く、 彼らの足元にミッド式の魔法陣が出現、其処から生えるように伸びた魔力の戒めが、彼らを拘束した。 「バインドだと・・・・だが、この程度」 「待て!これはただのバインドでは(そう、その通り」 上空から聞こえた声に、二人は揃えて顔を向ける。 「ストラグルバインド・・・・相手を拘束すると同時に、拘束者にかけられた強化魔法を無効化する」 愛杖のS2Uを構えたクロノ・ハラオウンは淡々と効力を説明しながらゆっくりと彼らの前へと降りる。 仮面の男達は脱出しようともがくが、クロノは特に慌てもせずにその光景を見据えた後、S2Uをステッキの様に回転させる。 「あまり使い所の無い魔法だけど、こういう時には役に立つ。変身魔法も強制的に解除するからね」 その言葉が合図だったかのように、二人の仮面の男は、声をあげて苦しみだす。徐々に体が光に包まれ、 体系が男性から女性へと、白い服が黒い服へと変わってゆく。 そして顔を覆っていた仮面が弾ける様に取れ、その素顔をさらす事となった。 足元まで転がってきた仮面に目を向けた後、クロノは変身魔法が解けた二人を再び見据える。 「・・・クロノ・・・・このぉ・・・・」 変身魔法が解けたリーゼロッテは、悔しそうにクロノをにらみつけ 「こんな魔法・・・教えてなかったんだがな・・・・」 同じく変身魔法が解けたリーゼアリアも、内から出る悔しさを抑えるかのように、声を低くし呟いた。 そんな二人の避難を正面から受け止めたクロノは、こみ上げてくる悲しさを拳を握る事で抑え、ゆっくりと答える。 「・・・一人でも精進しろと言ったのは・・・君達だろ?・・アリア・・・ロッテ・・・」 「・・・・全く・・・余計な事を言わなければ良かったよ」 観念したかの様にアリアは溜息をつき、ロッテもまた、軽く首を左右に振る。 「アタシらの負けさクロ助、さぁ、何処へでも連れて行くが良いさ・・・勿論、クロ助がさ」 「私達・・・・元が猫で自由奔放だからね、クロノ並みに強い相手がエスコートしてくれないと、逃げちゃうかもね?」 クロノに正体がバレ、捕縛された事は計算外だった。だが、まだ全てが台無しになったわけではない。 戦闘は未だ続いている。使い魔らしい二人が合流したが、それでも彼女達では奴を止める事は出来ないだろう。 もしクロノが戦闘に参加したのなら勝敗は分からない。だが、彼には自分達を護送する仕事が残っている、不可能だ。 奴が暴走すればこちらのもの。有効手段を用いてる自分達を拘束するほど、クロノも馬鹿ではない筈。 「確かに・・・・僕は君達をグレアム提督の所まで連れて行かなければいけない・・・・・だから答えてくれ。 騎士ガンダムを何処へ連れて行った」 「っ!!父様は関係(ジュ!!」 ロッテは主であるグレアムは無関係だと叫ぼうとした。だが、何かが顔の横を掠めたため、言葉を詰まらせる。 頬に感じる痛み。滴り落ちる血、パラパラと落ちる髪の毛、テニスボール大の丸さにくり貫かれた落下防止のフェンス、 そして、見た事もない冷たい瞳で自分達を見据え、S2Uを構えるクロノ。 「・・・・・悪いけど、無駄口は叩かないでくれ・・・・・管理外世界人への暴行、脅迫、君らは十分罪といえる行為を行っている。 大人しくこちらの質問に答えるのなら、多少考慮してもいいけど・・・・だんまりを通すのなら、君らの主である提督に全てを被ってもらう」 今まで見た事もない表情で自分達を見据えるクロノに、リーゼ姉妹は悔しそうに歯を食いしばり睨みつける。そして 数秒の沈黙の後、リーゼアリアが吐き捨てるように、ナイトガンダムがいる次元世界の座標を言い放った。 「・・・分かったわ・・・・ガンダム君はこちらに任せて」 クロノからの報告を聞いたリンディは通信を切り、一度溜息を吐いた後、背もたれに背を預ける。 今回の事件、裏で行動していたのは『やはり』グレアム提督だった。 予感はしていた。グレアム提督が闇の書事件に悔いを残していた事は以前から知っていた。だからこそ、今回の事件で何かしらの行動を起こすとは思っていた。 案の定、裏でリーゼ姉妹が動いていた・・・・・グレアム提督の差し金で間違いはないだろう。 身内である彼女達なら、エイミィが不審がっていたシステムのクラッキングなども納得できる。 だが、気付くのが遅すぎた。闇の書は完成してしまい、今はなのは達が迎撃を行っている。 彼女達の強さは十分理解してるが今回は相手が悪すぎる。その証拠に映し出されている映像からでも苦戦を強いられているのは目に見えている。 「(このままじゃ暴走して・・・今までの繰り返し・・・・)」 このままではいずれ暴走し、手が付けられなくなる。そうなってしまうと方法は一つ。 周囲の被害を気にせずにアルカンシェルで吹き飛ばすしかない。だが、方法はもう一つ残されている。 唯一の望みは主である八神はやての意識があること、もし呼びかけに応じればまだチャンスはある。 「エイミィ!!ガンダム君の居場所、特定できた!?」 「はい!ですが・・・・思ったより距離があります。それに、戦闘が行われいるようです!!」 キーボードを素早くたたき、なのは達の戦闘が映し出されているメインスクリーンの横に、映像を出現させる。 音声を拾う事はできなかったが、映像は思ったよりの鮮明に映し出されていた。 一面の砂漠に、巨大生物の死骸が多数。中にはリーゼ姉妹が用意したのか傀儡兵と思われる残骸も確認できる。 それらの屍から少しはなれたところにナイトガンダムはいた。 外傷は無さそうだが、鎧は巨大生物の血液で汚れており、傷も幾つか確認でいる。 どれほど戦い続けていたのだろうか?息は荒く、立っている事も辛いのか、時より膝をつき動きを止めている。 それでも、襲い掛かって来る傀儡兵を横一文字に切り裂き、砂の中からでて来た赤竜を電磁スピアで黒焦げにし、どうにか餌食になる事を防いでいた。 このままでは不味いことは誰が見ても分かった。だが、今の自分達に・・・・・助けに向かわせる戦力は無かった。 なのは達は論外、クロノはリーゼ姉妹やクレアム提督の尋問、アースラ所属の武装局員も結界の維持や周囲の災害で手一杯。 それ以前に、あの場所へ行けば必然的に戦いとなる。相手は赤竜や傀儡兵、仮にどうにか局員を割けても、下手したらナイトガンダムの足を引っ張る可能性もある。 「せめて・・・・・クロノやなのはさん達ほどの実力者・・・・・ランクA以上の魔道師がいれば」 そんな虫の良い話があるはずがない。そう思っていた。だが、頭に浮かんだある人物の姿が、その思いを打ち壊した。 「アレックス!!」 自然と椅子から立ち上がり、武装局員に指示を出しているアレックス目掛け、大声で叫ぶ。 「至急連絡を!地上本部へ!!」 「はぁ!!」 もう何十体目かになる傀儡兵を真横に斬り倒す。切り口からスパークが発生しその直後、大爆発。 本来なら盾で爆風をやり過ごすか、斬った瞬間に退避するなど避け方はあるのだが、疲れがピークに達したナイトガンダムには もうそんな余裕すらなかった。爆風に煽られ吹き飛び、砂の大地に叩きつけられる。 「・・・・・・まだ・・・だ・・・・・」 正直、このまま眠りたい。砂の冷たさが眠気を更に誘う。だが、此処で眠る事は死を意味する。あの機械や獣は待ってはくれない。 電磁スピアを杖にし、どうにか立ち上がるが体は正直に反応してしまう。 「・・・・・・う・・・・ぁ・・・・・」 足が自然ともつれ、尻餅をついてしまう。その隙を見逃す敵ではなかった。 一体の傀儡兵が手に持っている巨大な斧を構え突撃、それに対しナイトガンダムは迎撃態勢を取る所か、満足に立ち上がる事も出ない。 「・・・く・・そっ・・・・」 どうにか電磁スピアを杖にし立ち上がる。だが出来たのは其処まで。 先行していた傀儡兵は既にナイトガンダムの脳天目掛けて巨大な斧を振り下ろそうしていた。その時 『Knuckle Duster』 デバイス特有の電子音が突如響き渡る。その直後、ナイトガンダムに攻撃を加えようとした傀儡兵は凄まじい速さの何かと激突。 装甲を凹ませ、大地に自分の一部をばら撒きながら豪快に吹き飛んだ。 「・・・何が・・・一体?」 突然の事態にナイトガンダムは唖然としながらも、傀儡兵にぶつかって来た『者』に目を向ける。 ボディースーツの様な服装、おそらくバリアジャケットだろう。足には以前本で見たローラーブレードという履物の様な物を履いており、 腕には手甲と呼ぶには可笑しい無骨な物を装着している。 魔力で作った道の様なものの上に立っているその人物はゆっくりと顔を向け、間に合った事に安堵していた。 「間に合ったようね」 「ク・・・・クイント殿!?どうして此処へ?」 ナイトガンダムのピンチを救った人物、クイント・ナカジマは何も言わずに、自身が作った光の道『ウィングロード』から降り、駆け寄る。 そして、今すぐにでも倒れそうなナイトガンダムの体を抱え、負傷がないか調べ始めた。 「・・・・・怪我はないみたいね・・・でも、これだけの数をよくもまぁ・・・・」 赤竜と傀儡兵、戦闘能力だけならAランク魔道師とも渡り合える存在。そんな相手が辺りを見渡せば残骸や死骸となって埋め尽くされている。 これを全て一人でやったとなると、彼の実力を凄いと思うと同時に、彼が敵でなくて本当によったと思う。 「・・・・リンディ提督に頼まれてね・・・・・君がピンチだから助けて欲しいって。だから私が所属する陸士部隊が応援と救助にきたってわけ。 今、提督が担当している事件・・・かなり不味いことになってるそうよ」 「・・・・・っ!まさか!(動かないで!」 闇の書になにか動きがあったに違いない、居ても立っても居られなくなる。 咄嗟に起き上がろうとするが、その行動をクイントは無理矢理抑えた。 「落ち着いて、君の強さは十分嫌ってほど分かったけど、こんな満身創痍な状態じゃどうにもならないでしょ?メガーヌ!こっち!!」 クイントより少し遅れてきた陸士部隊っが即座に戦闘を開始する。隊長を思われる槍を持った男性が次々と蹴散らし、 残りは後ろから攻撃で援護する。その中から、クイントの声に反応した紫色の髪の女性が駆け足でこちらへと近づいてくる。 「回復と転送は彼女に任せるわ。私なんかよりエキスパートだからすぐに良くなるわよ。回復が終ったら彼女に現場まで転送してもらって、 此処は私達『ゼスト隊』が抑えるわ!」 到着したメガーヌに、二言三言言葉を交わした後、ガンダムに笑顔でガッツポーズを決めたクイントは、 ウィングロードを展開、戦場へと突き進む。 「さて、騎士ガンダム君ね?事情はクイントから聞いているわ、じっとしてて直ぐに終るから。っとその前に」 思い出し方の様に、メガーヌは不意に右手を肩の高さまで上げる。するとグローブに埋め込まれている水晶が光り、黒い塊を出現させた。 その塊は徐々に大きくなり人の形を形成、成人男性程度の大きさになった直後、爆発。 中から、人の形をしたモンスターが現われた。 「・・・これは・・・モンスター?」 「違うわ。私の自慢の使い魔、ガリューって言うの。見た目は怖いけど優しくて紳士よ。クイントの援護、お願いね」 承知したと言わんばかりに深々と頭を下げた後、踵を返し、砂の大地を蹴る。 ものすごいスピードでクイントの後を追うガリューの姿を確認したメガーヌは、ナイトガンダムの胸に優しく手を載せ、詠唱を唱える。 疲弊していた体がみるみる軽くなる感覚に心地よさを感じながらも、ナイトガンダムは向こうで起こっている出来事に不安を隠せないでいた。 ・海鳴市上空 ユーノとアルフも加わり、実質4対1となった戦い。それぞれがスピード戦、砲撃、拘束など得意分野で一気に攻める。 だが、闇の書の意思は顔色一つ変えず、無言でそれらの攻撃を裁ききり、攻撃を仕掛けてくる。 拘束のため巻きつけたバインドは瞬時に破壊され、左右同時に放った砲撃は完全に防がれる。 そしてカウンターといわんばかりに、自動誘導型高速射撃魔法『ブラッディダガー』がなのは達目掛けて放たれた。 その攻撃を皆が咄嗟にガードし耐え切る。 「ううっ・・・どうにか・・・」 自身を包み混む爆煙から咄嗟に抜け出すなのは。自分は防御が間に合ったため、着弾時に舞い上がった煙にむせただけで済んだ。だが、皆はどうなのだろう? なのはは咄嗟にフェイトやユーノの姿を確認、自分と同じく無傷でいる事に安堵する。 だが、フェイトの顔を見た瞬間、彼女が何か叫んでいた。それが『なのは!上!!』だと理解したその直後、 先ほどの攻撃が再びなのはに襲い掛かった。 レイジングハートが咄嗟にシールドを展開するも間に合わず、数本の赤い鋼の短剣がなのはに突き刺さる。 バリアジャケットの強度のおかげで致命傷は免れたが、彼方此方が裂け、露出した肌からは血がにじみでていた。 「(・・・・・油断・・・した・・・・)」 あの時、自分は仲間の無事だけを気にかけてしまい、敵である相手の行動を見忘れていた。 依然アリサにも言われた事がある『なのははすずかと同じで、私達のことを気にかけすぎて、自分の事をおろそかにしている』と 「はは・・・アリサちゃんの言うとおりだ・・・・・」 それがこの結果、正に自業自得だ。痛みを堪えながも必至に瞑っていた瞳を開ける。 先ず見えたのは無表情の闇の書の意思の顔。何度も言葉を投げかけても、答えるどころか表情一つ変える事がなかった。 その彼女が魔力を纏わせた拳を振り上げ、自分に叩きつけようとしている。 フェイト達が咄嗟に助けに入ろうとするが、再びブラッディダガーの洗礼を受け足止めをされてしまう。 未だにこちらに無表情の顔を向けているとなると、目的は間違いなく自分、あの拳が思い切りたたきつけられる事を考えると嫌な気持ちになる。 「防御を」 咄嗟に右手を翳し、障壁を展開しようとする。だが闇の書の意思は翳されたなのはの腕を掴み、無理矢理横に払う。 握りつぶすかのような力で掴まれる腕に、なのはは苦悶も表情を浮かべるが、 迫り来る拳を見た瞬間、それはすぐに恐怖手と変わる。 「・・・いや・・・・・」 防御の仕様が無い。もし冷静だったら何か考えが浮かんだかもしれないが、そんな余裕は無い。 バリアジャケットも先ほどの攻撃でダメージを負っている、当たればほぼダイレクトに自分にダメージが来るだろう。 体をこわばらせ目を瞑る。この瞬間に出来ることといえば、この位だった。そして 「ムービー・サーベ!!」 上空から放たれた斬撃波が、なのはを殴ろうとした闇の書の意思に直撃、爆煙に包まれながら落下してゆく。 自分を助けてくれた攻撃に、なのはは呆気にとられながらも斬撃波が放たれたほうへと首を向ける。 否、分かっていた。聞き覚えがある声、そして特有の魔法。それでも確認したかった。 「ガンダムさん!!」 「すまない、遅くなった」 ゆっくりと自分の元へと降りてくるナイトガンダムをなのはは笑顔で迎える。だが、彼の姿を見てその表情は変わってしまった。 こちらへ向かってくるフェイト達もまた彼の姿に言葉を失う。鎧は傷だらけ、マントは何かの染みで汚く汚れている。 誰が見ても無事とはいえない状態だった。 「一体どうしたんだい!?ズタボロじゃないか!?」 「色々とあってね。鎧はこの様だけど、戦闘には支障は無いから大丈夫。優秀な方に回復魔法を施してもらった。 悪いが詳しい話は後にしてくれ。こちらの事情もリンディ殿から聞いている。先ずは」 ゆっくりと顔を下へと向ける。 直に目が合った。無表情に自分を見つめる彼女に。全くダメージを受けていないのだろう。 直撃した肩には外傷はおろか、バリアジャケットに綻びすらない。ただ、自分・・・否、自分達に向けての強い殺気を感じる事は出来た。 「・・・・・アルフとユーノは動きを止めることに専念してくれ。あと、いざという時の回復を頼む」 「うん!」 「あいよ!」 「その隙に私とフェイトが接近戦を仕掛ける。なのはは後方で援護を頼む」 「わかった!」 「はい!」 なのはは後方に下がり、ユーノとアルフは挟み込む様に左右に展開、そしてナイトガンダムとフェイトは武器を構え突撃しようとする。 その光景を見た闇の書の意思はゆっくりと右手を掲げ魔法陣を展開。だが、その色は黒くは無く、なのはと同じ桃色。 そして大気中に漂う魔力が魔法陣の中心へと集まってゆき、徐々に大きな球体へと変わってゆく。 「なっ・・・まさか・・・」 「あれは・・・・」 ナイトガンダム以外の全員が、これから何が起こるのか嫌でも理解した。 なのはの必殺技ともいえる集束砲撃魔法。その威力を身を持って知ってるフェイトは、叫ぶようにアルフにユーノをつれて逃げるように指示、 その後、有無を言わさずナイトガンダムの手を掴み、全速力で退避、途中なのはの腰を抱え、スピードを上げる。 「フェイト!一体どうしたんだ!?」 「あれはなのはの必殺魔法・・・此処にいると危険!」 「でも、こんなに離れなくても」 「至近で直撃を受けたら、どんなに防御しても確実に落とされる、回避距離を取らなきゃ!」 既に肉眼では闇の書の意思は確認出来ず、桃色の球体が微かに見えるだけ、それでもフェイトはスピードを落とさすに距離をあける。 『左方向300ヤード、一般市民がいます』 普段は自分から喋る事がないバルディッシュが無視できない報告をしたのは、距離にして数キロはなれた時だった。 「・・・・・」 普段なら車が行きかう道路、だが結界が張られている今では、車は愚か、人すらない筈の空間。だが、二人の人物が取り残されていた。 月村すずかは両手で通学カバンを抱え、ただ呆然と周りの風景を見ていた。 アリサと町を歩いていた時に起こった出来事。突然、人や車、町の喧騒が一気に無くなりゴーストタウンと化してしまった。 「やっぱり誰もいないよ!急にひとがいなくなっちゃった・・・・辺りは暗くなるし、何か光ってるし一体何が起こってるの!?」 様子を見に行っていたアリサが息を切らせながら近づいてくる。普段は強気な彼女も、この非常識な現状では同様を隠しきれないでいた。 それでも、不安がるすずかを・・・大切な友達を、少しでも安心させようと気を強く持つ。 「(・・・何、あの誘拐に比べたらまだマシよ!!)とりあえず逃げよう!なるべく遠くへ!」 「う・・・うん」 自らに活を入れたアリサは、すずかの手を引き、その場から離れようとする。 口では言ったものの、何処へ逃げて言いのか分からない。不安だけが残る。 だが、彼女は諦めていなかった。ある騎士の存在が彼女の心を折れなくしている。 「それに・・・・・私達にはいるじゃない。強くてカッコいいナイトがさ。きっと助けに来てくれるわ」 それはすずかも同じだった。今自分は言いようの無い不安に支配されている。だが、絶望はしてない。 むしろ彼の事を考えると不安が嘘の様に消えてゆく。きっと助けに来てくれると信じているから・・・・・・自分の家族が。 「うん!ガンダムさんがきっと来てくれる!!信じよ!!アリサちゃん!」 「OK!とにかく先ずは此処から離れましょ!じっとしてても何も始まらないわ!!」 不安が消えたすずかの表情にアリサは笑顔で親指を立てる。そして再びすずかの手を取りその場を後にしようとした時、 近くで何かが降り立ち、砂煙を巻き上げた。 『Distance・・・・70・・・・・60・・・・・50・・・・』 結果内に取り残された一般市民との距離をカウントするバルディッシュ。 そして距離が40を切ったった所で、フェイトはなのはとナイトガンダムを下ろす。 二人とも、アスファルトの道路を豪快に土煙をあげなら滑り降りる。 即座に3人は辺りを見回し、取り残された人物を探す。 結界が張られているため、自分達以外の人間はいない筈。だが、バルディッシュの報告が間違いの筈がない。 「だれか!!いるのなら返事をしてください!!!」 おそらく隠れている可能性もある。だからこそナイトガンダムは呼びかけた。 なのはとフェイトもまた、真似するかのように声を出そうとしたその時、 「・・・その声・・・・・」 「ガンダム・・・さん?」 その声に反応したのか、建物の間の道からアリサとすずかが一度顔を覗かせた後、ゆっくりと出て来た。 「すずか!アリサ!どうして君達が!?」 閉じ込められた人物がアリサとすずかだった事に驚きを隠せない。なのは達もただ唖然としている。 とにかく事情を聞くため、二人の下へ歩み寄ろうとするが、 それより早く二人は泣きそうな顔でナイトガンダムの元まで駆け足で近づき抱きついた。突然ぶつかる様に抱きついてくる二人に倒れそうになるが 咄嗟に踏ん張り、二人を抱きとめた。 怖かったに違いない。突然人が消え、自分達だけが取り残されたのだから。 この位の年頃の少女なら泣き崩れていても可笑しくはない。それなのに、彼女達はこの場所から逃げようと行動をしていた。 それでも怖かった事には違いない。すずかは無論、普段は強気なアリサも、自分にしがみ付き震えていた。 だからこそ、少しでも安心させるために二人の頭を優しく撫でた。 「怖かったんだね・・・・もう大丈夫だ・・・・大丈夫だから」 自然と絶望感が抜けてゆく。ナイトガンダムと出会っただけで不安が一気に吹き飛ぶのを感じる。 「良かった・・・ガンダムさんに会えて・・・・・私達・・どうしたら・・・・・えっ?」 「・・・・・なのは・・・・・フェイト・・・・・」 落ち着いたため、回りを確認する余裕が出来たすずかとアリサは、初めて後ろで自分達を見守るように見つめているなのは達に気付く。 なのはとフェイトもまた、何を言って良いのか言葉を詰まらせる。 沈黙が続く中、最初に啖呵を切ったのは仲良しグループのリーダーだった。 「なのはもフェイトも・・・・・一体どうしたの!?制服なんか来て・・・杖みたいの持って!?フェイトにいたってはコスプレまでして!! 町の人はどうしちゃったの!?あのピンク色の光は何!?知ってるなら教えなさいよ!!」 不安が完全に拭いきれていないのだろう、自然と頭に置かれているナイトガンダムの腕を掴みながら一気に巻くしたてる。 本来だったらそんなアリサの行動を抑える役割をしてるすずかも今回ばかりはとめる様子はなく、答えを聞くためなのは達を見据える。 もう隠し切る事も不可能だと思った二人は、手短に事情だけでも話そうとした・・・・その時。 今まで上空にあったピンク色の球体が近くの地面に落下、それはスターライトブレイカーが発射された事を意味していた。 地面に着弾したスターライトブレイカーは、着弾点を中心に広がり、なのは達目掛けて迫り来る。あまりの巨大な魔力波のため、 立ち並ぶビルは丸ごと桃色の光に飲まれる。それは正に衝撃波ではなく数百メートルの巨大な壁。広域拡散しながらも、威力を落とさずに迫り来る。 その光景にアリサとすずかは再び怯え、ナイトガンダムにしがみ付く。 「フェイトちゃん!アリサちゃん達を!!」 フェイトは即座にカートリッジをロード、ナイトガンダムは一度二人に笑顔を向けると、静かに手を話しゆっくりと後ろに下がる。 その直後、二人を包み込むようにドーム型の障壁が形成される。 それを確認した後、なのはとフェイトも直撃に備え防御魔法を展開、だが、ナイトガンダムは防御をしないどころか、 前へと進み、なのはが張った防御空間から抜け出してしまう。 「ガンダムさん!!どうしたの!?早く中に入って!!」 「・・・・この魔力量からして、完全には防御しきれる可能性は低い。わたしが攻撃魔法で相殺を試みる、 相殺が無理でも、威力を抑える事は出来る筈。その後の防御は二人に任せる!!」 目を閉じ詠唱を開始する。メガーヌという魔術師のおかげで体力は回復できたが、使用した魔力はそうも行かない。 それでもどうにか撃つ事が出来る。自分が習得している中で一番強力な魔法を。 闇の書の意思が放ったスターライトブレイカーは、町を飲み込みながらそれなりのスピードで迫り来る。 桃色の光はあまりに巨大すぎて、目を開いてる事すら難しい。アリサとすずかは抱き合いながら蹲り、 なんはとフェイトは目を細めながらも衝撃に備える。 だが、発射される前に逃げた距離が長かったのが幸いしたのか、 スターライトブレイカーの光が前線にいるナイトガンダムに直撃するまでの距離、約100メートル・・・・・・どうにか詠唱が完了した。 『ソーラ・レイ!!!』 スターライトブレイカーの光をかき消すほど光が、ナイトガンダムから放出される。それは激しい光と激しい熱を発し前面に扇状に広がる。 道路のアスファルトは剥げ落ち、止めてあった車は熱で爆発し燃え盛り、ショウウィンドウのガラスは一斉に割れ、飾ってあった服やマネキンは消し炭となる。 進行方向にある全ての障害物を焦がし、燃やし、吹き飛ばしながら桃色の壁に迫り激突。 衝撃波が町全体を包み込む。広範囲に渡りガラスは砕け、車は吹き飛び、鼓膜が破れるほどの爆音がなのは達を襲った。 「・・・・・やった・・・の・・・・・」 爆音と光が晴れたため、なのははゆっくりと瞳をあける。其処には、膝をつき息を荒くしているナイトガンダム、 焼け焦げた街並み、そして『ソーラ・レイ』の直撃を受けて尚、迫り来るスターライトブレイカーの桃色の光。 「でも・・・以前の様な勢いはなくなってる。威力を抑える事は出来たんだ!ガンダムさん!後は任せて!!」 息を落ち着かせながらも、律義に頷いたナイトガンダムは、バックステップでなのはの後ろに下がり、シールドを構える。その直後、衝撃が皆を襲った。 全員が目を閉じ、歯を食いしばり衝撃に耐える。威力を減少させてもこの衝撃、もし『ソーラ・レイ』での中和がなかったら、 自分達はどうなっていたのだろう・・・・・・・自然とそんな事を考えながら、なのはは衝撃に耐える。後ろにいる皆を守るために。 「・・・・・駄目です!!映像・・・来ません!!!ああもう!!」 悔しさから力の限りコンソールを叩きつけるエイミィ。これほど歯がゆいと思った事は無かった。 皆は現場で頑張っているのに、自分は暢気に座って様子をうかがう事しかできない。 だが、自分が出来ることは嫌でも理解している。だからこそ、今は唯一出来ることをする。 「・・・はやく・・・・・晴れてよ・・・お願いだから・・・」 なぜか取り残されたなのはの友達、彼女達を安全な場所まで転移させ、戦闘での気がかりを無くす事が今自分が出来る唯一の援護。 エイミィは祈った。早く映像が回復する事を、皆の無事を。 時間にして数分、徐々に衝撃がなくなり、眩しさも消えてゆく。 「・・・・・終った・・・・・?」 恐る恐る瞳をゆっくりと開ける。見えたのは結界のせいで不気味に変色した街並み。見る物を圧倒していた桃色の壁は完全に消えていた。 正直ホットした。カートリッジを2発使用して張った『ワイドエリアプロテクション』もあと少しという所で破られそうだったからだ。 「(とにかく、次の攻撃が来る前にアリサちゃん達を安全な場所まで)」 安全を確認するため、張っていたワイドエリアプロテクションを解き、後ろを振り向こうと 「上だ!!!!」 なのは達の真上で浮遊していた多数の鋼の短剣『ブラッディダガー』が雨の様に落下したのは、 なのはが振り向き、ナイトガンダムが叫び、フェイトが咄嗟にアリサ達に再びフィールドを張ったのと、ほぼ同時だった。 防御をする暇などなかった。バリアジャケットは裂け、デバイスや鎧は傷つき、肌から血を滲ませる。 フェイトが咄嗟に張った『ディフェンサープラス』により、アリサとすずかはその洗礼を受けることはなかった。だが、 見ている事しか出来なかった。大切な人が傷ついてゆく姿を。 「なのは!!!フェイト!!!」 「ガンダムさん!!!!」 落下音が聞こえなくなったため、攻撃は止んだのだろう。舞い上がった土ぼこりで前が全く見えない。 皆は無事なのだろうか不安になる。だが、自然と想像してしまう。血だるまとなって倒れているなのは達の姿を。 想像した瞬間、アリサはこみ上げてくる物を抑えるため手で口をふさぐ。背中を摩ってくれるすずかの気遣いがありがたい。 無理矢理深呼吸をし、気を落ち着かせる。未だにフェイトが張ってくれたバリアの様な物のせいで外に出ることはできない。 だからこそ立ち上がり、大声で叫んだ。皆の無事を確認するために。 だが、帰ってくるのは沈黙だけ。それでも呼ぶことをやめない。すると、彼女達の呼びかけに答えたのか、 未だ立ち込める砂煙から人影がうっすらと現われた。それはこちらへと近づき形をはっきりしてゆく。 「なのは!!・・・・えっ、フェイト?」 最初はなのはかフェイトだと思った二人は、顔を合わせて喜んだ。だが、近づく影が徐々に大きくなってゆく事に、喜びから不安に変わる。 そして二人の前に現われたのは、なのはでも、フェイとでも、ナイトガンダムでもなかった。 歳は忍と同じ位だろう、モデルも裸足で逃げ出すほどのスタイルに同姓でも見惚れるほどの容姿、 だが、コスプレとも取れる格好、背中に生えてる黒い羽、そして、人形の様な感情の篭ってない表情。 二人を怯えさせるには十分だった。 「な・・・・なによ!あんた!?」 自然とすずかを庇うように前へと出たアリサは、震える体を無理矢理動かし自分達を見つめている美少女『闇の書の意思』を睨みつける。 だが、闇の書の意思はアリサの問いに答える事無く、ゆっくりと右手を上げ、掌を彼女達に突き出す。 甲高い音を立ててディフェンサープラスが砕けたのはその直後だった。 「あっ・・・・・あっ・・・・」 恐怖に負けてしまったすずかはへたり込んでしまう。アリサはせめてもの抵抗と言わんばかりに通学カバンを投げるが、 闇の書の意思に当たる前に、見えない壁の様なものに当たり、一瞬で墨になってしまう。 情けないが動けない、恐怖で足がガタツク、少しでも気を緩めたら大泣きしてしまう。 だが許す事はできない・・・・おそらくなのは達をあんな目に合わせたのはこの人だろう、せめてもの抵抗と、アリサは睨みつける事をやめない。 そんな彼女の目線を光の無い瞳で受け止めた闇の書の意思は、掌に魔力を溜める。砲撃を撃つ為に。 相手が魔力を持たないただの人間と判断したのだろう、直ぐに収束を止め、何の警告もせずに放った。 容赦の無い殺傷設定、並みの武装局員でも防御無しで喰らえば大怪我、防御魔法所か、 バリアジャケットすら着ていないアリサ達が喰らえば、待っているのは間違いない死。 二人は自然と抱き合い目を瞑る。その直後、直撃し爆発。新たな爆煙が吹き荒れた。 抱き合い、恐怖に震える二人。だが、痛みは一向に訪れなかった。不思議に思い、恐る恐る瞳を開ける。 目にしたのは、ボロボロだが見覚えがあるマント、直ぐに理解した、彼が庇ってくれたと。 嬉しかった、生きててくれて、そして助けてくれて。 「ガンダム!!」 「ガンダムさん!!」 ブラッティダガーの雨を潜り抜けたナイトガンダムが先ず目にしたのは、闇の書の意思が怯えるアリサ達に向かって収束砲を放つ瞬間だった。 咄嗟に、高速移動魔法『ホバー』を使い、すずか達の前へと出だナイトガンダムはシールドでその攻撃を防ぐ。 「彼女達は・・・やらせん!!!!」 そして、間髪いれずに電磁スピアを構え地面を蹴る。雷を纏ったその切っ先は真っ直ぐに闇の書の意思の肩目掛けて突き進む。 だが、肩に触れる寸前に闇の書の意思は電磁スピアを掴み、進行を阻止、 電流が流れているにも関わらず、表情を変えること無くカウンターともいえる攻撃を防ぐ。そして握る手に力を込め、あっさりと電磁スピアを握り砕いた。 だが、チャンスは出来た。自分の愛槍を犠牲にしたこの隙を見逃す事はできない。 砕けた電磁スピアの残骸を無造作に投げる。あまりにも幼稚な攻撃に、闇の書の意思は防御魔法を発動させず、手で払う事で防ぐ。 ナイトガンダムはこの瞬間を狙っていた。彼女の右手は今だ砕けた電磁スピアの切っ先を握っており、左腕はその残骸を払ったため、横に伸びている。 時間にしてわすか数秒、だが、至近距離で体を攻撃できる唯一のチャンス。 「破廉恥だが、気にはしてられない!!!」 右手を伸ばし、掌を闇の書の意思の胸に押し付ける、やわらかい感触が手に伝わるが、今はそんなことどうでも良い。 闇の書の意思は、電磁スピアの破片を持ったまま殴りかかろうとするが、攻撃はわずかばかりナイトガンダムの方が早かった。 「ムービ・ガン!!」 零距離から光の弾丸を放つ魔法「ムービ・ガン」を放った。零距離から放ったため、反動でナイトガンダムは吹き飛ぶ。だが、 防ぎようの無い零距離での直撃を受けた闇の書の意思はその数十倍の勢いで吹き飛び、ビルに激突、 ソーラ・レイの光により、脆くなっていたビルはその衝撃で崩落、激しい音を立てながら倒壊し、彼女を生埋めにした。 だが、零距離からの攻撃は使用したナイトガンダムにもダメージを与えた。痛みに顔を顰め、腕を押さえながら蹲る、だが、そんな事をする暇は無い。 「ぐあぁぁ・・・・エ・・・・エイミィ殿!!今です!!転送を!!!」 煙が立ち込める腕を振りながら、様子を伺っているであろうエイミィに大声で伝える。 その言葉が伝わったのか、アリサとすずかの足元に転送魔法陣が展開、驚く間も無く、二人はその場から姿を消した。 「・・・よかった・・・・これで・・・」 二人が無事転送した事に心からほっとする。だがその直後、生埋めになっていた闇の書の意思がビルの瓦礫を吹き飛ばしながら表れ、 即座にナイトガンダム目掛けて砲撃を放った。 二人の転送を確認してたため、背を向けていたナイトガンダムは気付くのが遅れ、振り向いた時には盾を構える暇など無いほど迫っていた。 後悔する暇も、目を瞑る暇もない。だが、その攻撃があたる事は無かった。 『Sonic Move』 聞きなれた電子音と共に、体が引っ張られる感覚、気づいた時には自分に向かった放たれた収束砲はビルに直撃しており、 その直撃を受けるはずだった自分は手を取られ、空中に浮いていた 「良かった・・・間に合った・・・・ごめん、少し、気絶していた」 普段のバリアジャケットよりさらに薄い格好。『ソニックフォーム』に身を包んだフェイトは、間に合った事に心から安堵する。そして 『Restrict Lock』 リアクターパージにより、バリアジャケットの上着をなくしたなのはが、近くのビルの屋上から、闇の書の意思目掛けて拘束魔法レストリクトロックを施した。 本来なら一度で済む拘束を3重に賭けて施す。それに続けてフェイトもライトニングバインドを施し、動きを封じた。 「・・・・・これで・・・・・お話しできるね・・・・」 拘束された闇の書の意思に言葉を投げかけるなのは、だが、闇の書の意思は何も答えず、バインドの解除に取り掛かる。 「御願い!止まって!!ヴィータちゃん達を傷つけたのは私達じゃないんです!!!」 彼女は答えない、ただバインドを黙々と解除して行く。 「君は・・・・はやての言葉に耳をかたむけたのか!!はやてがこんな事を本気で望んでいると思っているのか!!」 彼女は答えない、残りのバインドを解除し、自由を手にする。 それでもなのは達は言葉を投げかけた、思いを込めて必至に。だが、その返答は言葉ではなく、 なのは達を囲むブラッティダガーという攻撃だった。 フェイトは咄嗟になのはとナイトガンダムの手を掴み上空へと退避、そして バルディッシュを構え、両手足のソニックセイルを羽ばたかせる。一撃を見舞うために 「こ・・・の・・・・・・駄々っ子!!!・・・・・言う事を・・・・・聞けぇ!!!!」 猛スピードで一直線に闇の書の意思へと迫り、バルデッシュを振り下ろす。続くようにナイトガンダムも突撃、少し遅れて剣を振り下ろした。 だが、二人の同時攻撃も、彼女が張ったシールドに阻まれ、甲高い音を立てるだけでおわってしまう。その直後 「えっ・・・・?」 「なん・・・だ・・?」 とてつもない無力感が二人を襲う。体は光に包まれ、徐々に薄くなってゆく。 「フェイトちゃん!!ガンダムさん!!!」 なのはの叫び声も二人には殆ど聞こえない、そして 『ABSORPTION』 デバイス特有の電子音の後、二人は完全に消えてしまった。 ・???? 「・・・・・ん・・・・・・」 今までに感じた事もない眠気がはやてを襲う、此処は何処なのか、自分はどうしたのか、そんな事どうでもよくなる程の心地よい眠気。 だが、うっすらと明けた瞳から見える人影がその眠気を無理矢理抑えた。 黒い服を着た同姓が見ても見ほれるほどの銀髪の美人、誰もが一度見れば忘れる事は無いだろう。 「(・・・・・だれやったっけ・・・・・・会った事ある様な・・・・・無い様な・・・・)」 眠いがやはり気になってしまう。声をかけようとしてみるが、体を眠気が支配しているため、口が重くて喋る事もできない。 だが、彼女の言葉を聞く事は出来た。優しい、澄んだ声 「・・・わが主・・・・・貴方の夢は・・・・私が全てかなえます・・・・・」 「私の・・・・・・夢・・・・・」 闇の書の意思はゆっくりと近づき、はやての頬を両手で優しく触る。 人とは思えない冷たい手、だがそれでもはやての眠気は覚める事は無かった。ただ、身を任せるだけ。 そんなはやての態度に何を感じたのか、闇の書の意思は一度微笑んだあと、頬から手を離し 「ですから・・・・主・・・・・」 その手をはやての首へと持っていき 「死んでください」 微笑みながら、ゆっくりと首を絞め始めた。
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魔法少女リリカルなのはStrikerS-選ばれしジェダイ- クロス元:スター・ウォーズ プロローグ エピソード1 エピソード2 上へ
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ある管理地域においてロストロギア「インターネサイン」が稼動、そして事態を憂慮した時空管理局はクロノ・ハウライオン、 ユーノ・スクライアの2名の魔道士を派遣するも、稼動の半年後に突如起きた企業連合組織「アライアンス」、ジャック・O率いる レイヴン集団「バーテックス」との戦争に巻き込まれ負傷(外傷こそはないものの実は・・・)、その代役に高町なのは、フェイト・ハウライオン の両名を派遣することになる、そして「アライアンス」と「バーテックス」の戦争が双方の主力であるレイヴンの大半が死亡、ほぼ終結に向かい、 そしてジャック・Oの真意を知らずに彼女達はインターネサインが存在するサークシティー地下へと潜入する。 「何で人類の危機なのに戦争が起きるのかな?」 任務を聞きそう呟くなのは、嘆くも任務は任務と割り切りサークシティーに潜入し、ダクトを伝って地下に降りたとうとしていた、 途中でエイミィから通信が入る。 「気をつけて!ダクトの出口先で戦闘が起きている・・・この反応は、アーマードコアと全く不明の高エネルギー反応。」 アーマードコア、この世界における最強と呼ばれる人型兵器、それを駆る傭兵の事を人々は畏怖と敬意をこめて「レイヴン」と呼ぶ、 だがレイヴンもインターネサイン起動と共に大挙して現れた特攻兵器により大部分が死に、そしてアライアンスとバーテックスの戦争で常に 最前線において戦い続け次々と死んでいった。そしてダクトを飛びぬけ出口に到達した時・・・その戦いは終わりを告げようとしていた、 両者の相打ちとなっていた、ACと思われる青い機動兵器は、全く異質の機動兵器、機体はそのACと同じ色であるが形は全く違い、印象に残るのは 両腕の巨大と言ってもいい青いブレードである。そのブレードはACを貫いており、一方のACも左腕に装着されたレーザーブレードを突き刺していた、 そしてACのコア部分が開くとパイロットと思しき男が落ちる、なのははそれを慌てて受け止める。男の体は機動兵器との戦闘で深く傷つき、 もう息絶えようとしていた。 「だ、大丈夫ですか?」 「うう・・・子供?・・・何故子供がこんな所に?」 絶え絶えな声ながらもなのは達を見た男は問う。 「私たちはインターネサインの破壊にきました・・・。」 「・・・インター・・・ネサインはもうじき破壊・・・される・・・あいつが・・・あいつがやって・・・くれる・・・本当のドミナン・・・こぼぉ。」 「!!!!!」 男は息絶えた、その男の名前はエヴァンジェ、あるレイヴンと戦い自分の敗北を認め、大破したオラクルを駆り、 パルヴァライザーと相打ちになった、だが彼女達はそのようなことを知る由も無い。 だが彼女達は男の目を閉じ、素直に黙祷をささげた、悲しそうな顔をするなのはの肩に手をかけフェイトは 「いこう、なのは。」 と促す、が突然機能停止したパルヴァライザーが動きだした、なのは達を敵と認めたのかレーザー攻撃を行う、 それを回避して二人は得意の魔法を撃つ 「ディバインバスター!」 「サンダーブレイド!ファイア!」 二人の攻撃を受け、オラクルとの戦いの損傷の為か、パルヴァライザーは呆気なく炎に包まれ爆発する (しかし彼女達がやった事が後にとんでもないことを引き起こすのだが。) そして何もない空間を進む二人だがエイミィから通信が入る 「インターネサイン、機能停止された?」 インターネサインの中枢に何者かが侵入し破壊したということだ、確認の為に中枢に入る二人、そこで眼にしたのは 恐らく破壊されたと思われるインターネサインの中枢と二機のAC・・・1機は紫色の機体に二丁の銃らしき武装を持っているAC、 もう一機は銀と紺色で左手には先ほどのACが装備されていたブレードと同じ者が装備され、右手には機体サイズには不釣合いな巨大な銃を装備している。 「・・・そうか、ジャックも大老も・・・、エヴァンジェも恐らく・・・。」 「残るはお前と私の二人だけか・・・。」 「そうだな・・・。」 「なら残るは。」 紫のACの右手から加速された弾が撃ち出される。 「ッッッ!!ジナイーダ何をする!」 「私達の存在意義・・・それを何を意味するのか!姉・・アグラーヤ、ジノーヴィー、 エヴァンジェを倒したお前を倒し、最強となることでわかる気がする。」 「クッ!なら、いくぞ!」 二人にとってその戦いは止めれるものではなった、双方とも腕は拮抗しており、 最小の回避で攻撃をかわし、未来位置を瞬時に把握し反撃を行う・・・そして・・・ 銀と紺が起死回生を図ったブレード攻撃が紫のACをなぎ払った、地に膝を着く紫のAC 「・・・私はただひたすらに強くあろうとした、そこに私が生きる理由があったから・・・やっと追い続けたものに手が届いた気がする・・・『レイヴン』・・・その称号は・・・お前にこそ相応しい・・・。」 爆発する紫のAC、ただ見ている事しか出来ない二人に声がかかる。 「・・・君たちの御覧の通り、インターネサインは破壊した・・・『時空管理局』の魔法使いさん。」 銀と紺のACのコックピットから出てきた男はなのは達を見据える、警戒するなのは達だがそれを察知しているのか 「別に君たちに危害を加えるわけじゃない、安心しろ。」 となのは達に微笑む・・・ そして1時間後 なのは達はレイヴンに連れられて、彼の家にお邪魔することになっていた、何でも転移装置が故障したとか何とかで彼の家で時間を潰すことになった。 「子供の口に合うかわからんが、ほれ。」 男、リャノンと名乗るレイヴンがなのは達に紅茶を渡す、それを受け取るとなのはは問う 「どうして私たちのことを知っているんですか?」 「ああ、ジャックから話を聞いたんだ、以前企業が発掘した古代兵器が管理局の魔法使いに潰されたって・・・それに・・・聞いて見たいんだ、君達が戦う理由が、年端もいかない小さな君たちがどうして戦うのか?」 リャノンは真顔でなのは達に問う 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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「――どうも、私の連れが知らぬ事とはいえ、なのはさんのお知り合いの方に、大変な粗相を……」 クロは慇懃に頭を下げ、ヤンに謝罪した。 「いや、あの状況なら、そのような誤解を受けても仕様がないだろうし」 「でも……」 「クロさん」 「はい」 「過ぎたことさ、水に流そう。それに」 ヤンは目の前で棺桶を担いで佇むクロ、ヴィヴィオときゃいきゃいとはしゃいでいるニジュクとサンジュ、そして、 「てるてる坊主、てるぼうず……」 また簀巻きにされて枝に吊されているセンを見て、 「君たちのこれからを、考えなくてはね」 そう言った。 「ヤンさん……」 「私も、別次元からの転移組なんでね」 「ッ! そうでしたか……」 「とは言え、事情はかなり違っているのだけど」 ヤンは苦笑して、後頭部を掻き回す。 「でも、気持ちは解らなくもないんだ」 「……恐れ入ります」 そして、ヤンはなのはに顔を向けると、 「と言うことで、なのは、彼らのことをほんの二、三日、君の家であずかってもらえないかな」 唐突な、お願いだった。 「……えッ、でも」 「君の言いたいことも、もちろん解る。けどね」 ヤンが言葉を続けようとした時、 「ねぇママ、見て見て♪」 ヴィヴィオが嬉しそうに駆けてきます。 「ヴィヴィオ、今大事なおはな、し、……えええッッッ!!!」 娘の姿に素っ頓狂な声を上げたなのは。 「ちょっと、何て……」 言葉が続かない。 「おおッ、これはまた……」 苦笑しつつ、やはり驚きを隠せないヤン。 それもそうです。今のヴィヴィオは色とりどりのまだら模様。全くサイケデリックな現代アートそのもの。 クロ以外の大人が絶句するのを横目に、ヴィヴィオはニコニコ顔。 「えっとね、ニジュクとサンジュ、すごいんだよ。色んなお花や木から色を分けてもらってね、ヴィヴィオに着けてくれたんだよ♪」 「へえ、綺麗なものだね」 平然とした口調で、しかし微笑みながらクロは言いました。 「えへへ」 ヴィヴィオは得意顔です。 「あの子達は、指先から色々なものの色を吸い上げて、それを他のものに移し替えることが出来るんですよ」 事もなさげに、クロはなのはとヤンに説明した。 「大丈夫、タオルで拭いたり、服を絞ったりすれば簡単に落ちますから」 「それって、魔法、ですか?」 なのはの問いかけに、 「さあ、どうなんでしょうね……」 また、あの双子に駆け寄ろうとしているヴィヴィオを見ながら、クロは言った。 「成る程、これでは尚更、無条件で管理局の保護を受けさせられないな」 ヤンは言った。 「提督?」 「なのはも見ただろう、あの子達のあの能力」 「はい」 「クロさん、あの子達には、まだ」 「ええ、まあ、まだいくつか力が」 「だそうだよ、なのは」 些か厳しい表情になる、ヤン。 「私は、あの子達を、魔導研究の材料として、供するようなマネはしたくない」 「提督……」 「あの子達は、生きているんだ。解るね」 「……はい」 「それでなくとも、彼らはこちらに来て日が浅いなんてものじゃなく、あまりに突然来訪したんだ。心の整理が必要だ。だから」 また、三人のきゃいきゃいとはしゃぐ様子を見て、いつもの柔和な顔に戻り、 「私の我が儘、聞いてくれないかな」 ヤンは言った。 「少なくとも、彼らが最も心を開ける存在は、現時点では君たち以外にいないのだからね」 その言葉に、なのははクロを見る。 顔は平然としていたが、その眼は、一抹の不安を隠しきれない様子だった。 「――了解しました、ヤン提督」 「なのはさん?」 「そうか。すまない」 「いえ、提督の仰ることも理解できますし、それに」 三人のはしゃぐ子供達を見て、 「あの子達を一緒になって捜した仲ですし」 「なのはさん……」 なのはは、クロに無言で頷いた。 「解った。では、君には彼らのことを宜しく頼むとして、後の書類やら交渉やらは私の方でやっておくよ」 「えっ、でも」 「いや、これは飽くまでも私の我が儘なのだから、そう言った一切の面倒な事は、 私がやるのが礼儀だよ。違うかい、なのは?」 と言いつつヤンは、 「でも、実際の所、面倒くさいけどね」 肩をすくめて笑った。 その様子に、 「もうッ、提督ったら」 「全く……」 二人はくすくすと笑った。 そんな三人の間を、優しく風が吹き抜ける。 「さて、人を待たせてるのでね、そろそろ私は行くよ」 「ヤンさん」 「なんだい、クロさん」 「本当に何から何まで、ありがとうございます」 頭を下げるクロ。そこには慇懃さはなく、真摯さのみがあった。 「困った時はお互い様さ、それじゃあ」 そう言って背を向け、ヤンは歩き出した。 そして、二人に聞こえるように、独り言。 「全くね。本当だったら、本日の休暇は無限書庫で、久々に優雅に読書を嗜むはずだったんだ」 ベージュのスラックスのポケットに手を入れて、歩く。 「そうしたらね、今駐車場で待っている奴が、『最高のブーメランが出来たから見てくれ』と来たもんだ」 子供達に向かって、歩く。 「そして、無理矢理私は、ここに連れてこられた」 ニジュクとサンジュの目の前で足を止め、空を見上げる。 その場にいた者達は、つられて見上げた。 ぽつりぽつりと雲の浮かぶ蒼空を、一筋の飛行機雲が切り裂いていた。かすかにキーンと音を立てながら。 「でも」 そして、双子の前にしゃがみ込み、 「君たちと出会えたこと、それには感謝しないといけないね」 微笑んで二人の頭を優しくなでた。 「おいちゃ、いっちゃうの」 「おじちゃん、もうあえないの」 二人とも、寂しそうです。 「うん、私も色々と忙しくてね」 ヤン提督も、寂しそう。 「でも、君たちが元気に、良い子にしていれば、会えるかも知れない」 「ほんとに?」 「ああ」 「ほんとうに?」 「もちろん」 提督は二人の頭をまたなでました。 「『魔術師』のおじさん……」 いつの間にか、ヴィヴィオも傍にいました。 その頭も、提督は優しくなでます。 「おじさんの歴史のお話、とても面白いから、今日も聞きたかったのに……」 「ごめん、それはまた今度だ」 そして、 「でも、その時は名前で呼んでもらえると、嬉しいかな」 そう言って、また歩き出しました。 「おいちゃ、ばいばい」 「おじちゃん、またね」 「おじさん、絶対だよ」 三人に振り向いて、ヤン提督は手を振り、そして、森の中に消えていきました。 「いい人ですね」 「管理局でも、あの人を悪く言う人は少ないですよ」 「でも……」 何か言いかけて、クロは頭を振った。 「いえ、何でもないです」 「クロさん?」 「それより、なのはさん」 「はい」 「本当に、お世話になっても、良いのでしょうか……?」 遠慮がちに、クロは尋ねる。 「何しろ、私たちは……」 「はい、そこまで」 何かを言いかけたクロを、手でなのはは制す。 「なのはさん?」 「確かに、ヤン提督のお願いだから、ッていうのもあります」 「はぁ……」 「でもね」 なのはは、まだきゃいきゃいと転げ回っている子供達を見た。 「せっかく、出会ったんですから。運命のいたずらかも知れないけど、私達、出会えたんですから」 そして、クロをまじまじと見つめ、 「もっと、お互いのこと、知りたくないですか」 そんななのはを、ただ無言で見つめるクロ。 「だから、お世話させて下さい」 にっこりと微笑んだなのは。 「これは、提督の我が儘でもあるけど、私の我が儘でもあります、えへへ」 屈託のない、笑顔。 嗚呼、とクロは思った。 この人になら、と思った。 そして、 「こちらこそ、申し訳ありませんが、宜しく、お世話になります」 深々と、頭を下げたのだった。 かくして、二つの世界は交わった。 しかし、何時かは別れの時が来ます。 だが、それが何時来るのかは、誰も未だ知らず。 だが、それが旅を続けるということです。 であるなら、彼らの別れは如何なる物になるのか。 だから私は、この一期一会は、きっと、幸せなものになると信じたいのです。 『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』 第一章・了 「あのう、……俺、何時までてるてる坊主やらなきゃいけない訳? て言うか、俺、ここでもこんな扱い?」 まあ、当然じゃないですか? 戻る 目次へ 次へ
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~おまけ~ 此処はあらゆる時間・次元・事象を超越した世界セラフィックゲート。 そして此処に一つの犬小屋が存在する、これはあらゆる次元の中で起こりえる一つの可能性が詰まった小屋である。 だが決して…興味本位で覗くこと無かれ…… 「特訓成果、クロスシフトC!行くよスバル!」 「おうっ!!」 スバルはカートリッジを消費すると、対象であるなのはに向けウィングロードを延ばし滑走、 しかしなのはは牽制にアクセルシューターを撃ち抜くが、 スバルは臆することなく突っ込むと、なのははシールドでスバルに応戦する。 すると遠くで構えていたティアナの姿が消え本物のティアナは、なのはの頭上に延びるウィングロードを走っていた。 そしてなのはの頭上まで上ると、クロスミラージュをダガーモードに変え飛び降りる。 「一撃必殺!てやぁぁぁ!!」 「…レイジングハート…モードリリース……」 次の瞬間、ティアナの一撃により周りは煙に覆われ、それが晴れると其処には…… 右手で犬ティアナの攻撃を受け止め、左手で犬スバルの攻撃を受け止める犬なのはの姿があった。 そして犬なのはの右手は赤く汚れていた……犬なのはの足下にオムライスと蓋の開いたケチャップが置いてあるのは気のせいであろう… 「おかしいな?どうしちゃったのかな?模擬戦は遊びじゃないんだよ? 練習だけ聞いてる振りして本番でこんな危険な事したら、練習の意味無いじゃない?」 そう言って犬ティアナをつぶらな瞳で見上げる犬なのは、 そのチワワのような瞳に罪悪感を感じるも振り切るようにダガーモードを解除し 後方に延びるウィングロードに飛び移ると、デバイスを構え自分の胸の内を叫ぶ犬ティアナ。 「私はもう無くしたくないから!失いたくないから!!」 その魂の叫びともとれる言葉を見上げる形で聞く犬スバルと、オムライスを左手に持ち食べながら聞く犬なのは。 余程腹を空かしていたのだろう…見る見るうちに減っていっている。 「だから!!強くなりたいんです!!!」 「…ふほし…あはまひや……ひょっほまっへ」 そう言うと急いでオムライスを片付けに入る犬なのは、するとのどを詰まらせたらしくウィングロードを苦しそうに叩いていると、 何処からともなく犬スバルが水を持ち出し犬なのはに飲ませる。 「大丈夫ですか?!」 「あっありがとうね、やっぱり凡人と違って気が利くわ……ってそうじゃなくて次の台詞は、え~~~~っと あっ!思い出した!ゴホンッ………少し頭冷やそうか?」 そう呟くように言葉を口にすると右手で犬ティアナを差す犬なのは………何故か手にはスプーンが握られているが… しかし犬ティアナはそのプレッシャーに負けじまいと叫びあげる。 「うぁぁぁあああああ!!パンツめくれッ!!!」 「了解!ティア!!」 「えっ!?」 突然の犬スバルの応答に犬なのはは目を向けると両手を嫌らしい手つきで動かす犬スバル その目は黄色く輝いており、本気であることを指し示していた。 その動きに犬なのはは後ずさりすると、犬スバルは近寄り更に一歩下がると一歩近づく。 そして犬なのはは走り出すと犬スバルは追い掛け、とうとうそのスカートに手が届いてしまう。 しかしスカートを下ろさせまいと必死に抵抗する犬なのは、 そんなやりとりをしながら二匹はウィングロードの上をぐるぐると走り回り続けていた。 その光景を見下ろす形で見つめる犬ティアナは優越感からか犬スバルを煽り、更に踊りまで踊っている。 「ちょっ?!ちょっと!は~な~し~てぇ~!」 「放しません!命令だから放しませ~ん!何色ですか!つうか中身どうなっているんですか!!!」 「行け行けぇ!めくれ~♪めくれ~♪パンツ~め~く~れ~♪」 そんなやりとりが続く中で思っていたよりノリノリな犬なのは、そして犬スバルを連れて走り回っていると何かに激突し転がり倒れる。 一体何にぶつかったのか起き上がり見上げてみると、其処には冷たい目線で指を鳴らす見つめるスバルの姿があった。 一方犬ティアナの所にもティアナが姿を表しており、その氷のような目線に思わず漏らす犬ティアナ。 「ティア、コイツ等……」 「うん、やっちゃっていいでしょう」 ティアナの一言を聞いた犬スバルと犬なのはは逃げ出すが、 スバルは戦闘機人モードとギアエクセリオンを起動させ、あっと言う間に二匹に追い付き、 ティアナは犬ティアナの額に銃口を向けるとファントムブレイザーを撃ち抜いた。 そしてスバル達はその場を去ると、現場にはこんがり焼けた犬三匹の丸焼きが転がっているのであった……… 目次へ
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タカタカタ、タカタカター♪ 家族の帰りを心配するはやての為に、コンビニに行くついでに探してくると慣れない優しさで 外出した黒龍。 だが、その途中怪しい気配を放つ結界を見つけた。シグナム達の気配を感じ取りその結界に 突入するがその途中妖しい集団が襲ってくる。一瞬で打ち倒しビルに駆け上がった瞬間彼の目に 武器を突きつけられたシャマルの姿が在った。 そのシャマルの窮地に、自らの心を抑えきれなくなった黒龍は拳を振るいクロノを吹き飛ばす。 そしてクロノに向かい、龍の怒号の如き怒りの宣告をする黒龍であった。 戦いの場に黒き龍が舞い戻った瞬間であった。 情に目覚めし黒き龍第3話「聖衣装着、復活の暗黒聖闘士」 「こ……黒龍?」 呆然と、黒龍に向かって私は呟いた。 ありえない場所で、ありえない事が起きている。 管理局の執務官に後ろを捕らえられた私を救ったのは、ここに居てはいけないはずの黒竜。 彼は一体何をしたの? 魔力を持たない彼が、誰にも気づかれる事無くこの場に居るなんて不可能なのに。 その思いが表情に出たのだろうか、黒龍が振り向いた。 「シャマル、今は何も聞かない。その前にやらなければいけない事があるからな」 そう言うと彼は、何も無い空間に視線を合わせた。 何時の間にか拳が横にかざされている。そして、凄まじい音と共に何かが弾き飛ばされて壁に激突した。 「こそこそと隠れてる羽虫が。気配を隠そうとするのなら、完全に闇と同化するぐらいしてみせろ」 激突音がする方を見ると、そこには仮面をつけた男が壁にめり込んでいた。 私が……、サポートを得意とする私が全く気がつかなかった相手を見つけ出すなんて、本当に黒龍に魔力は無いのだろうか。 私が心の中で考えてる間に、仮面の男は早々と転移していく。私達が抜け出せない結界内で転移するほどの相手に 有無を言わさない一撃、黒龍は一体どういう存在なの? 「シャマル避けろ!」 更なる思考の淵に沈もうとする私に、黒龍が警告を告げる。 慌てて横に飛ぶと、立っていた場所を通りすぎる砲撃魔法。 危なかった、全くの無防備状態であのクラスの砲撃に当たっていたらそれでアウトだった。 危うく回避した私の前に、守るように立つ黒龍。振り向きもせず、私に言葉をかける。 「シャマル……、確かアイスは抹茶が好みだったな」 そうそう、私はあの抹茶の渋味が良いのよねって、この緊迫した雰囲気の中突然言われてしまい思わず乗りかけて しまう。 「アイスを買いに行くという名目で出て来たのでな、一応確認という事だ」 そう言った瞬間私は気づかないうちに黒龍に抱きかかえられ、隣のビルの屋上に移動していた。 「シャマル、この小僧は私が相手をしよう、下がっていてくれ」 「無茶言わないの、空を飛ぶ相手にどう戦うの? さっきみたいに行かないわよ」 そうだ、黒龍は肉体的には凄いのかもしれないが魔法は全く使えない。上空から遠距離攻撃されれば それだけで終わってしまうのだ。 だが、そんな私の不安を吹き飛ばすように黒龍は優しく微笑んだのだ。 「何、私にはシャマル達のような魔力はないが、それを補う物がある」 そう言うと、先ほどの執務官の方を向き戦意を張り巡らせ告げるのであった。 「小僧、お前は知るだろう。人に知られずに存在した伝説の存在を」 同時刻、八神家 「はぁ~、黒龍はもうすぐ帰ってくると思うけど……一人はいややなぁ」 はやては一人になってしまったリビングで頬杖をつきながら帰りを待っていた。 「うぅ、アカン少し冷えてしまったわ、トイレ、トイレ」 体が冷えたのか、トイレに向かおうと黒竜の部屋を通りすぎようとしたとき、扉の隙間から漏れる黒い光。 「なんや? ひょっとして泥棒なんか」 心配になったはやてが、意を決して扉を開け覗きこんだ瞬間黒い閃光がはやての目を眩ませた。 「ちょ、ちょう何が起こったんや!」 驚いたはやてが眩しさから立ち直り、目にしたのは触っても開ける所がなかった黒龍の箱が開かれていたのと 粉々になっている窓ガラスであった。 「あ、……ちょい漏れてもうた」 どうやら、刺激が少々強かったらしい。 結界内に満ちる強烈な何か、その何かを感じ取り戦っていたシグナム達も一斉に黒龍が立っているビルに目を向ける そこには一切の星が無い、闇空を塗り固めたような光沢が無い漆黒の竜のオブジェが浮んでいた。 黒龍はコートを脱ぎ捨てると、驚いているシャマルに投げ渡す。 慌てて受け取るシャマルに苦笑いすると、真面目な表情に戻り告げた。 「直ぐに片がつく、少しの間持っていてくれ」 意を決し、黒龍は天に届けとばかりに叫ぶ。 「聖衣(クロス)よ!」 黒龍が叫ぶと同時に、無数のパーツに分解し変形展開され聖衣は黒龍に降り注ぐ。 レフトニー! ライトニー! 動きを重視するように、両膝のみをガードする膝当て。 バックル! 模様と彫刻が施されたバックル。 レフトアーム! ライトアーム! 台座が縮小し盾となり装着された左腕と、シンプルな手甲の左右非対称の両腕。 チェスト! ブレスト! ショルダー! 重厚な厚みを感じさせる両肩と、それに飾られる龍の腕。 ヘッドギア! 首が二つに分かれバンドが伸び、分かれた首が耳当てに変化する。 次々と装着されていくのを誰も彼もが、ただ黙ってみている事しか出来なかった。 一つ、一つ装着されていく度に、高まる何かに心が恐れを抱いたのだ。 「此処にドラゴンの暗黒聖衣(ブラッククロス)装着完了」 漆黒の長髪が、体から発せられる小宇宙(コスモ)によってうねり荒れ狂う。 「時間がない、さっさと片付けさせてもらおうか」 構えを取ると、クロノに向かって不敵に微笑み、そして黒龍はクロノに突撃した。 次の瞬間、周りの人間が見たものは間合いを零にした黒龍の拳とクロノが張ったシールドが火花を散らす 光景であった。 「ほう、この程度のスピードには対応できるか、先ほどの集団とは少しは違うようだな」 「お前か、武装隊を倒したというのか!」 余裕の表情で僅かばかりの賛辞を告げる黒龍と違い、クロノは搾り出すような声で答える。 (早い、フェイト以上の速度で動いてくるなんて反則も良い所だ) 次の対応を考えるために、シールドをバーストさせる用意をしていたクロノの考えを読んだかのように黒龍は反動を利用して 屋上に着地する。 この行動に、一つの疑問を感じたクロノは念話を使いアースラと連絡を取る。 (エイミィ、あの男から魔力は感じられたか?) その問いに、エイミィは信じられないという風に声を震わせながら答えた。 (……冗談じゃないから真面目に聞いてね、一切の魔力を感じないのよあの動きにもあの鎧にも) この返事に、疑問は確信に変わる。 (どうやら向こうは魔力を持たないか、もしくは著しく低く空を飛べないようだ。どんなに早くてもそれならやり方なんて幾らでもある!) 急上昇し、間合いを広げるクロノ、そして屋上にいる黒龍に向かって己の最大の攻撃を叩きつけた。 「いくぞ! スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!」 無数の光り輝く剣が、黒竜に唸りを上げ豪雨の如く降り注ぐ。 「黒龍!」 シャマルの悲痛な叫びが上がるなか、シグナム達も動こうとするがそれはなのは達によって阻まれていた。 その衝撃による粉塵が舞う中、クロノは構えを解かなかった。 (あの男のスピードならある程度は回避されたはず、だがかなりのダメージは確実に与えたはずだ) 煙の向こうにいるはずの黒龍の姿を捕らえんと、目を凝らし意識を集中する。 (煙が晴れて向こうの姿が見えた瞬間、ブレイズキャノンで王手だ) しかし、クロノの予想は大いに外れる事になる、なぜならば 「威力は高いが、悲しいかな遅すぎる」 黒龍は既に、クロノの遥か頭上に跳躍していたのだ! 「バカな、あの一瞬に頭上に移動だなんて」 驚愕するクロノに対し、黒龍は空気を蹴り急速落下の勢いのまま踵を振り下ろした。 「おまえ達の常識で、聖闘士(セイント)を測かろうとするのが間違っているのだ!」 重い一撃がクロノを打ち据える、凄まじい衝撃がBJを貫いて脳を勢い良くゆらす。 勢い良く揺らされた為に、意識を失いかけ地面に落下しかけるがあわやという瞬間に辛うじて意識を取り戻し 急制動かける、そして踵落としの勢いのままこちらを追撃する黒龍に反撃のスティンガースナイプを打ち放ち自 らもS2Uを構え急上昇を開始した。 「オォオオオオオ!」 らしくない雄たけびをあげ全速力で突撃するクロノ、それに対し黒龍は、左手の盾でスティンガースナイプを打ち払うと 人を指差すような奇妙な構えを取って迎え撃つ。 (くそ、魔力を感じないからって甘く見すぎた、遠距離がダメなら近づいて直接魔法を叩き込む!) 唸りを上げて黒龍の指とクロノのS2Uが激突する、クロノはこの瞬間に己の全てを篭めたブレイクインパルスを 発動させた。 空中で静止する両者、周りが固唾を飲み決着を見守るそして…… 黒龍の指とぶつかり合っていたS2Uが、澄んだ音を発て砕け散り全身から血を噴出しながらクロノは崩れ落ちた。 地面に顔面から落下するクロノ、ビクビクと体が痙攣し、地面には血溜まりを作り上げる。 その状況に、悲鳴を上げ近づこうとするなのは達であったが、それを止めるかのように着地した黒龍がクロノの 頭に足を添える。その行動に動きを止めるなのは達、動きが止ったことを確認すると黒龍はこの場にいる全員に聞こえる ように残酷な言葉を放つ。 「この結界を解いてもらおうか、解かないというのならばこの小僧の頭を砕く」 それを証明するかのように、冷たい眼差しをクロノに向け黒龍は足に僅かに力を篭めた。 [[戻る 情に目覚めし黒き龍2話]] [[目次へ 情に目覚めし黒き龍氏]] [[次へ 情に目覚めし黒き龍4話]]