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『ゴルフ場でゆっくりと』 21KB 虐待 不運 番い 子ゆ 自然界 現代 虐待人間 独自設定 21作目です。わいは鬼威惨や! ※ゆっくりに関する独自の言葉がいくつか出てきます ※作中に出てくる人物の行動はマナー的に推奨されません 「ゴルフ場でゆっくりと」 ゆっくりたちの朝はわりと遅い。 日が昇る前からせっせと鳥が鳴き、野良猫が生ゴミを虎視眈々と狙う中、 人々は、朝の短い時間を割と忙しく過ごしている。 「朝」と「忙しさ」は非常に縁が深く、「朝は忙しい」というのは人々の中ではもう定番なのだが、 一方でゆっくりたちは毎日、その時間は巣の中でゆっくりと眠っている。 ゆっくりは、本能的にゆっくりできないことをとても嫌うので、 朝の早い時間にせかせかするようなゆっくりは ゆっくりできないゆっくりとして仲間から敬遠されてしまう。 そのため朝ゆっくり(朝ゆっくり眠ること)はゆっくりたちにとって、とても重要なステータスなのだ。 この日はちょうど祝日、人々は貴重な休みの朝をゆったりと過ごす。 毎日が休日のようなゆっくりは、いつものように朝ゆっくりを堪能する。 午前10時を回ったころ、山の斜面にあるゆっくりの巣の中から 目を覚ました子ゆっくりたちの鳴き声が聞こえてきた。 「ゆゆん、おめめしゅっきりーーーー!!」 「れいみゅいっぱいしゅーやしゅーやしちゃよ」 「まりちゃはきょうもいっぱいゆっくちしゅりゅんだじぇ!!」 「おちびちゃんたちおそとにでてきてね」 一家は巣の中から出て、恒例の体操を始める。 「いちにー」 「ゆんゆん」 「にーにー」 「ゆんゆん」 「もっとおげんきに!」 「ゆん!ゆん!」 「おさげをぴこぴこ」 「ゆんゆんゆん」 「のーびのーびみーんなーで」 「ゆん!ゆん!ゆん!」 「おちびちゃんたちすっきりできたかなぁーー?」 「「「しゅっきりーーーー!!」」」 親れいむ、親まりさ、子ゆっくり8匹、計10匹の家族は 体操を終えてすっきりしたところで、ぞろぞろと巣の中に戻っていった。 「ゆゆ、のーびのーびしちゃらおにゃきゃがしゅいちゃよ」 「「「おにゃきゃしゅいちゃーーーーーー!!」」」 「さあおちびちゃんたちみんなでごはんさんをいっしょにむしゃむしゃしようね」 「「「ゆっくちーーーーー」」」 「あさごはんしゃん!!」 「ごはんさんはたべきれないくらいあるからみんなでなかよくむーしゃむーしゃするんだぜ」 「ゆわーーーい」 「ごはんしゃんいっぱいたべりゅよ!!」 「むーちゃむーちゃ、しあわしぇーーーー!!」 一家は遅めの朝食を取り始める。 人間の世界でいうと、夜型の生活スタイルに近いのだが、 ゆっくりたちにとっては、これが最も理想的な朝の過ごし方らしい。 「ゆぷぅ、おにゃきゃいっぱいだよ~」 「おにゃきゃいっぱいになったからしゅーやしゅーやしゅりゅよ」 食事を終えると、子ゆっくりたちは小一時間ほど二度寝をする。 子ゆっくりたちが大人しく寝ている間に、親ゆっくりは朝の狩りに出かける。 そして親ゆっくりが狩りから帰ってきた後、今度は一家揃ってお散歩に出かける。 「ゆっくりおさんぽだよ!!」 このゆっくり一家は、この場所に移り住んできてまだ間がないため、 毎日のお散歩でいろいろな場所を歩き回っている。 そして今まで散歩中に、餌場や水場など生活に必要な場所をいくつも発見している。 この日ゆっくり一家は、辺り一面が芝生に覆われた場所を発見することができた。 そこは、人工的に芝生が植えられたゴルフ場であった。 「ここはじめんがとてもふかふかさんでゆっくりできるよ!!」 そこをゴルフ場とは認識していないものの ゆっくり一家は、芝生のたくさん生えたゴルフ場でゆっくりとすることにした。 「ゆっくちーー!れいみゅはこ~りょこ~りょしゅるよ!!」 「ゆゆっ、まりちゃもいっしょにこ~りょこ~りょしゅりゅじぇ!!」 「ゆゆ!きょうしょうだよ!!」 「ゆふふ、れいむがいちばんはやいよ」 「ゆっふん、まりさのほうがはやいんだぜ!!」 「ゆ・・・まっちぇよぉおお~~れいみゅをおいていかにゃいでにぇ!!」 ゆっくり一家は芝生の上でころころ競争を始めた。 快調な出足を見せた親まりさ 一方で、姉妹でも一番下の子れいむが一匹、出遅れてその場に取り残されてしまった。 「ゆわあああん、れいみゅはひちょりぼっちだよぉおおおお!!!」 子れいむの泣き声を聞いたゆっくり一家は、ふと後ろを振り返る。 「ゆ!?なかないでねおちびちゃん、おかーさんがいっしょにゆっくりしてあげるよ」 「まったくしょうがないんだぜ。おちびちゃんにはやくなるこつをおしえてあげるんだぜ」 「まりちゃもいっしょにゆっくちしてあげりゅよ!!」 「ゆゆっ、みんにゃといっしょなられいみゅさびちくにゃいよ!!」 「そうだよおちびちゃん、みんなでいっしょにゆっくりしようね!!」 心地よい午後の風がそよそよと流れる。 気温はゆっくりたちにとって適温で、直射日光が適度にゆっくりたちの体を温めてくれる。 底部に優しく触れる芝生は、ゆっくちたちにとって本当に心地が良いらしく、 とてもゆっくりできる環境がゆっくりたちを至福の世界へ誘う。 「ゆう、にゃんだきゃとてもねむたくにゃってきたよ・・・」 眠気がピークに達したゆっくり一家は、みんないっしょに芝生の上でお昼寝することにした。 「む~にゃむ~にゃ」 「ゆっくち・・・・す~やす~や」 「すぴーっ、ゆゆっ、すぴーっ、ゆゆっ」 不安や心配事とは全く無縁のゆっくりたち、みんな芝生の上で気持ちよさそうに眠っている。 空は雲ひとつない青空 鳥の黒い影が青いキャンパスを飛び交う 地面には青々とした芝生が生い茂り 山の高嶺から見降ろすと まるで緑の綺麗な空に黒い星がポツリポツリと浮かんでいるよう その黒い星は赤く光ったり黄色く光ったりしてコントラストを作り 緑の空を、汚くよごしている ゆっくり一家が昼寝を始めてから30分後、事件は起きた。 「ゆっ、しーしーがしちゃいよ」 尿意を催した一番下の子れいむが目を覚ました。 「そりょ~り、そりょ~りゆべっ、ゆっ、ゆぴーーーたすけちぇえええ!!!」 子ゆっくりの悲鳴で2匹の親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆ!おちびちゃんのゆっくりできないこえがするよ。おちびちゃんはどこにいるの?」 「たすけちぇえええきょっちだよおおおおお」 「あっちのほうだぜ」 親れいむと親まりさは、声のする方向へ急ぎ足で向かっていく。 他の子ゆっくりたちは、姉妹の悲鳴が聞こえてもまだ昼寝を続けている。 「たすけちぇえええ」 「ゆんしょ、ゆんしょ、ゆゆっ、このあなさんからきこえてくるよ!!」 助けを求める子ゆっくりは、グリーン上のカップの中にいた。 カップの穴は直径、深さともに10cmほど、カップの中心には旗が立っていて、 子ゆっくりはちょうど旗とカップの隙間に挟まっていた。 子ゆっくりはカップの中で泣きながら、必死にのーびのーびを繰り返しているのだが、 子ゆっくりのゆん力(ゆっくりしたいという望みから出る底力)では外に出ることができないようだ。 「いまたすけてあげるんだぜ」 子ゆっくりを助けようと、親まりさは自ゆんの頭についたおさげを穴の中に垂らす。 穴の中にいる子ゆっくりは、上から垂らされたおさげにしがみつこうと口をパクパク動かす。 しかし残念ながら、まりさのおさげは子ゆっくりのところまで届かないようだ。 「ゆっくちできにゃいよおおおおお」 「おちびちゃんがんばってね。あとすこしだよ!!」 「ゆうう、なにかほかにいいほうほうが・・・ゆゆっあんなところにきのえださんがあるんだぜ」 「れいむはきのえださんをとってくるよ!!」 親れいむはグリーンから離れて木の枝と呼ぶ物体に近づき、それを口にくわえて運ぼうとする。 「ゆんしょゆんしょ・・・ゆっ、うごかないよ」 「ゆっくちしちゃいよぉおおおおお!!!!」 「おちびちゃんあとすこしだよ、あとすこしでたすかるからね。れいむはやくするんだぜ」 「うごけぇええええ・・・ゆぅゆぅ・・・・どぼぢでえ゛だざんはうごいでぐれ゛な゛いのお゛お゛お゛お゛」 親れいむが運ぼうとしている物はOBの杭だった。 地面にしっかりと埋まっているので、一匹のゆっくりが引っ張った程度ではびくともしない。 それにOBの杭は大きすぎて、子ゆっくりを助けるには見当違い、ということがれいむには分からない。 遠くから見ると、OBの杭が枝ほどの大きさに見えたので、 OBの杭は枝ほどの大きさだ、という先入観がれいむの頭の中を支配しているのだ。 「れいむはやくするんだぜ!!!・・ゆゆ!?あっちにもえださんがあるんだぜ」 れいむのいる反対方向に、まりさは別の枝のようなものを発見した。 「まりさがあれをとってくるんだぜ」 「おきゃーしゃんいきゃにゃいで。れいみゅひちょりぼっちだよぉおおおおお」 目的の物に向かってぴょんぴょんと跳ねていく親まりさ、 気が付くとツルツルした芝は少し深くなり、道も下り坂になってきている。 「ゆん、ゆん、ゆん、ゆゆ?こーろこーろするんだぜ」 「ゆゆ?まりさどこにいったの??」 「おきゃーしゃーーーーん」 下り坂はますます急になり、親まりさは前のめりになって転がり始める。 「こーろこーろゆぶっ、・・・・ゆゆ、ゆぺ、ゆぺっなんだかさらさらするんだぜ」 親まりさは、グリーン傍にあるバンカーに落ちてしまったようだ。 「えださんはどこいったんだぜ?ゆゆ、あんなところにあるんだぜ」 親まりさが枝と呼ぶものは、バンカーの砂を平らにする長さ2mほどのトンボだった。 その肝心のトンボはバンカーの外に置いてある。 やはりゆっくりは餡子脳、2匹とも全く見当違いな物を持っていこうとしている。 トンボを持っていこうとするにも、とりあえず親まりさはバンカーから外に出なければならない。しかし、 「ゆっ、ゆっ、ゆ?」 バンカーの縁はあり地獄の巣のようになっていて 親まりさが外に出ようとすると砂が崩れて、再びバンカーの中へ戻されてしまう。 コロコロ 「ゆぺっ、ゆぺっ、ゆうううんおそとにでられないんだぜ」 するとそこへ、まりさを探していたれいむが姿を現した。 「ゆゆ、まりさをみつけたよ・・ゆ、こーろこーろするよ!!」 コロコロ、ドスン 「ゆぺっ、すながおめめにはいったよぉおおおおお」 親ゆっくりは2匹揃ってバンカーにはまってしまった。 「れいむそんなことよりここからでておちびちゃんをたすけるんだぜ」 「ゆああああんおめめがいちゃくてみえないよぉおおおおおお」 「しかたないんだぜ。まりさがおめめをぺーろぺーろしてあげるんだぜ」 砂のついた舌で、れいむの目を舐め始めるまりさ。 「ゆ、ゆ、ゆ!?よけいにおめめがいちゃいよぉおおおおおおお!!」 「わがままいうなだぜ。それよりおちびちゃんをたすけないといけないんだぜ」 「・・・ゆ?おきゃーしゃんちゃちのおこえがしゅるよ」 「おきゃーしゃんはどこにいりゅの?」 近くで眠っていた子ゆっくり全ゆんが目を覚ました。 「ゆ!?おちびちゃんはこっちにきちゃだめなんだぜ!!!」 「ゆゆ!おきゃーしゃんちゃちあしょんでりゅみちゃいだよ」 「まりちゃもいっしょにあしょぶんだじぇ!!!」 「ゆわーーーいこーりょこーりょしゅるよ!!」 7匹の子ゆっくりが、親ゆっくりのいるバンカーの中へ転がりこんでいった。 「こーりょこーりょゆべ、いちゃいよぉおおおおおおしゅにゃがおめめにはいちゃよぉおおおおお」 「ゆぶ、おくちがむじゅむじゅしゅるよ」 「きょきょはにゃんだかゆっくちできにゃいにょじぇ」 「ゆぴーーーーおきゃーしゃんはやくたすけちぇええええええ」 「おちびちゃんたちおちつくんだぜ」 「おめめがいちゃいよぉおおおお」 「れいむもとにかくおちつくんだぜ」 ゆっくり一家はもう大パニックである。 ゆっくりできないストレスからわんわん泣き始める子ゆっくりたち、 その泣き声につられるように、目に砂が入ったれいむも大声で泣き始める。 まりさは何とかこの状況を打開しようと試みるも、バンカーの外へ出ることができないでいた。 それから数分後、ふぁーーーという変な声と共に、ゆっくり一家のいるバンカーに何かが飛んできた。 「ゆゆ?これはいったいなんなのぜ??」 一家がパニックに陥っている中、まりさだけが飛んできたものを冷静に観察していた。 しかしまりさには、白くて丸いそれが何なのか分からなかった。 さらに数分すると人の声が聞こえてきた。 「ったくもうやってらんね。隣のホールに打ち込んだのこれで何回目だろ・・・・ん?」 ゆっくり一家の前にやってきたのは、ゴルフをプレー中のおにいさんだった。 その顔は、あからさまに苛立ちの表情をしている。 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりどもがバンカーにはまってら」 「おにいさんはゆっくりできるにんげんさんなのぜ?」 「いや全然ゆっくりしてねぇよ。」 「ゆ!?ゆっくりしていってね!!おにいさん、まりさたちをたすけてほしいんだぜ!!!」 「れいむはおめめがいたいよ」 「ゆわああんまりちゃもおめめがいちゃいいちゃいだよぉおおお」 「なるほどなるほど」 おにいさんはニヤッと笑みを浮かべた。 「おーーーい、俺ギブアップ!!それからここ最終ホールだから、俺はちょっと寄り道してから帰るわーーー」 「ゆゆ?」 「さてと、おや?あっちにも一匹いるみたいだな。このホールは人がいないようだし」 「そうなんだぜ、あっちのおちびちゃんもたすけてほしいんだぜ」 「あっちに行くことは行くが、ところでなんでてめえに指図されないといけないんだ?」 「ゆ!?」 「まあいい、連れてきてやるからそこで待ってろ」 「ゆ!おにいさんありがとうなんだぜ!!!」 カップの中でぴーぴー泣いている子れいむを拾い上げると、 おにいさんはすぐにゆっくり一家のもとへ戻ってきた。 「ゆゆ、おしょらをとんでりゅみちゃい!!」 「おにいさん、おちびちゃんをたすけてくれてありがとうなんだぜ!!!」 「なぁに、礼には及ばないさ。さて」 おにいさんは子れいむを少し強く握り始める。 「ゆびゃあああああああ」 「ゆっ、おちびちゃんがいたがってるんだぜ。はやくおちびちゃんをはなしてね!!!」 「だからなんでお前に指図されないといけないんだ?」 「ゆ!?」 子れいむを握る感触を存分に楽しむおにいさん。 一方で子れいむは、握られる度に大きな悲鳴をあげている。 「ゆげあああああああああああ」 「はやくやめてあげてね!!」 「いやだ」 「ゆっ、お゛にいさんはどうじでそんなごどする゛の?」 「一回ウィニングボール投げるの真似してみたかったんだよなぁ、そーーーれっ」 おにいさんが投げた子れいむは、見事な放物線を描きながら その先にある池にポチャンと落ちた。 いくら落ちたのが池とはいえ、かなり高いところから落ちたので 着水した瞬間に子れいむは破裂していることだろう。 「おちびちゃんになんてことするのぉおおおおおお」 「なにがあったのまりさ?」 「あのおにいしゃんはゆっくちできにゃいよ」 「ゆっくちにげりゅよ!!」 「ゆゆ?まりちゃをおいていきゃにゃいでにぇ!!」 子ゆっくりたちはバンカーの砂の上をもぞもぞと動き、足をとられながも逃げようとする。 だが、そもそもバンカーから出られないからおにいさんに助けを求めたのだから、 そんなゆっくりたちがおにいさんから逃げられる訳がない。 「さて次は、特に丸っこいコイツがいいな」 「ゆゆ!おしょらをとんでるみたいだじぇ!!」 一番丸々と太った子まりさがバンカーの外に出された。 「ゆ!おちびちゃんがおそとにでられたんだぜ。おにいさんありがとうなんだぜ!!」 「しーーーーっ!ショット前はお静かに」 「ゆゆ?おにいしゃんゆっくちしちぇ」 ビュン 「びゅっ」 「ナイスショット!」 「ゆ?おちびちゃんどこにいったんだぜ?」 ゆっくりたちが認識できないくらいの速さで、子まりさの体は四散した。 お兄さんの握ったクラブのフェース(ボールを打つ部分)には、小さな小麦粉の皮がペタっとくっついていた。 「おちびちゃんは星になったのさ」 散った餡子は無数の黒い塊となり、流星群のように地面へ降り注いでいく。 「ゆ、なにかとんできたよ。ぺーろぺーろ、ゆゆっ、これはあまあまさんだよ!!」 「あまあましゃん?」 「ぺーりょぺーりょ、し、しあわしぇええええ」 子ゆっくりたちは、今まで味わったことの無い至高のあまあまの味に魅了され、 口の中をむずむずさせながらも、砂の上に散在する餡子を夢中で舐め始めた。 「おにいさんがあまあまさんをくれたんだね!おにいさんありがとうなんだぜ」 「本当にどこまでもめでたいやつらだ。さて今度はパットの練習でもしようかな」 バンカーの中にいる子れいむを一匹ひょいっと持ち上げ、グリーンの上に置く。 おにいさんは今度はパターを持ち、ラインを読むフリをする。 「このグリーンは順目だからフックして・・・ああよく知らないけどまあいいや」 「おにいしゃんもっちょあまあましゃんちょうだいにぇ!!」 「よっと」 「ゆびゃ、ゆぴいいいいいちゃいよぉおおおこーりょこーりょしゅりゅよ!いちゃいよぉおおおこーりょこーりょ」 「にぎやかなやつだ。おお、でもいいとこいった。入るか入るか!!ああ惜しい、あと少し左だったか」 ゆっくりなど、グリーン上をどれくらいの速度で転がるか想像もつかないのに おにいさんは一発でその感覚を捉えることができた。 ゆっくりを使ったボールでなら、おにいさんはプロゴルファーを目指せるかもしれない。 ただ、パター以外で打つと簡単にボールが潰れてしまうのが残念な点だ。 「おちびちゃんのひめいがきこえるよ」 「次は親ゆっくりと子ゆっくりのコラボでいくか」 バンカーの中にいる親れいむと子れいむを持ち上げ、 親れいむの頭に木製のティーを刺してから、芝の上に置く。 「ゆぎゃっ、なんだかちくっとしたよ」 そしてティーの上に子れいむを乗せる。 「ゆわーい!れいみゅはおきゃーしゃんにたきゃたきゃいしてもらっちぇるよ!!!」 「ゆぎぎいちゃい。ゆぎゃ、おちびちゃんうごかないでね!!おちびちゃんがうごいたらいたいいたいになるんだよ!!!」 「ゆ?れいみゅはどこもいちゃくにゃいよ?」 「おちびちゃんじゃなくてゆぎゃっ、だからうごかないでっていってるでしょ!!」 「茶番はそのくらいにして、お静かに」 「たきゃいたきゃーーーぶっ」 「ゆげえええええええ」 「あらら、大きくダフッたな。失敗失敗」 おにいさんが振ったドライバーは 子れいむを消滅させ、さらにはティーごと親れいむの顔の一部を吹き飛ばした。 親れいむの顔は、頭から額そして眉間にかけてドライバーの形に沿ってえぐれている。 えぐれた部分からは、体内の中枢餡がちらりと姿を見せている。 「れ、れいむーーーーーー!!」 「ゆがあああああああいちゃあああああああいいいいいいい」 目に砂が入ったときとは比較にならないほどの痛みが親れいむを襲う。 「まあああああありいいいいいざああああああああ」 「れいむしっかりするんだぜ!!まりさがたすけてあげるんだぜ!!」 「いじゃあああああああいいいいいい」 しかしバンカーから抜け出すことのできないまりさには、れいむに対して何をしてあげることもできない。 まりさはただ、苦しみ続けるれいむの姿を見届けるしかなかった。 「無力だな」 「ゆ!?」 「お前は自ゆんの家族を一匹たりとも救うことができない」 「そんなことないよ!れいむはまりさがたすけてあげるんだぜ!!!」 「そうか、じゃあお前に何ができるか見せてもらおう」 バンカーの中にいる4匹、グリーン上のカップ傍にいる1匹、計5匹の子ゆっくりを芝生の上に並べる。 最初は8匹いた子ゆっくりだったが、3匹おにいさんが殺したのであとは5匹しか残っていない。 「ゆ?おにいしゃんあまあましゃんくれりゅにょ?」 「とっととあまあましゃんよこちてにぇ!」 「あまあましゃんくれにゃいとぷきゅーしゅりゅよ!」 「おにーしゃんはゆっくちできにゃいにんげんしゃんだよ、みんなにげりゅよ!!!」 「にゃにいっちぇるのじぇ、おにーしゃんはみんにゃにあまあましゃんをくれりゅんだじぇ」 パターで叩かれた一匹だけは、おにいさんに痛いことをされたのを覚えているようだが、 それ以外の子ゆっくりはあまあまがもらえると期待し、体を伸び縮みさせながらそわそわしている。 「さあ、お前の大事な大事な子ゆっくり。早くしないと減っていくぞ。ひと~つ」 パシュ 「ゆゆ!あまあましゃん!!!」 「あまあましゃんがおしょらからふってきちゃよ!!!」 「あまあましゃんおいちいいい!!!」 「やっぱりおにーしゃんはゆっくちしちぇりゅのじぇ!!」 「まりさのおちびちゃんがあああああああ」 おにいさんは、今度はゆったりとクラブを振ったので 子ゆっくりがクラブに潰されてしまったことを、まりさははっきりと理解できた。 しかし依然として、子ゆっくりたちは空から降るあまあまに夢中になっている。 「おにいさんこれいじょうはやめてね、ゆっくりできないよ!!!」 「やめて欲しいなら力で何とかしてみろよ」 「ゆううう・・・おにいさんゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「むだむだ、俺に説得は通用しない。ふた~つ」 ザシュ 「どうじでおにいさんはゆっくりしないの?もっとゆっくりしてよぉおおおおおお」 最初は強気だったまりさのだぜ口調は、もうすでに哀願の口調になっている。 しかしどんなに口調が変わろうとも、おにいさんの心は動かない。 「またあまあましゃんがふってきちゃよ!!」 「あまあましゃんがいっぱいでとちぇもゆっくちできりゅね!!」 「ゆぷぅ、れいみゅはもうおなきゃいっぱいだよ」 「み~っつ」 「ゆあああああああああああああああ」 ブシュ 「あまあましゃん♪あまあましゃん♪」 「おきゃーしゃんもこっちにきていっしょにあまあましゃんたべようよ」 「どぼぢでお゛に゛いざんはごんな゛ひどい゛ごどずるの゛?」 「なぜって?それは・・・・・・」 「おにいさんはゆっくりはんせいっしてね!!」 「おまえらがゆっくりだからだ」 「ゆ!?」 「よ~っつ」 ゴシュ 「あまあましゃんたべほうだいぢゃよ!!」 「おねがいだからやめてね。まりさたちはただゆっくりしたいだけなんだよ」 「そうかもな」 「そうだよ!!だからこれいじょうまりさたちにひどいことするのはやめてね!!!」 「だが、俺もお前らを虐めてゆっくりしたいだけなんだよ」 「ゆゆ!?それじゃまりさたちはゆっくりできないよ!!」 「別にいいじゃないか。お前らがゆっくりできなくても、「俺」はゆっくりできるんだから」 「どぼぢでぞんな゛ごどいうのぉお゛お゛お゛ま゛りさたちだっていぎでるんだよ!!!」 「お前らが生きてるだと、はは」 「どうじでわらうのぉお゛お゛お゛」 「だっておまえら」 「ゆっくりだっていきてるんだよぉおおおおおおおおお」 「大半がもう死んでるじゃん」 「ゆ!?」 「そしてお前もすぐに死ぬ。はい、いつ~つ」 ボシュ 「さて残りはお前と、放っておいても死ぬあいつだけだ。あ、そういえばさっき、あいつを助けるって言ってたな」 「ゆ!そういえばれいむ!?れいむだいじょうぶ??」 「ば・・・・でぃ・・・・・・・っざ・・・・・・・」 「この状態で助けられるんだろ?お前の力で何とかしてみろよ。 ちなみに言っとくが、俺は物理的にこいつを助けることはできない。どちらにしろ助けようとも思わないが」 おにいさんはまりさの体をひょいっと持ち上げ、重症を負ったれいむの前に置いてやる。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「も・・・・・っど・・・・・・ゆっぐじ・・・・・じだがっだ・・・・・よ」 「ぺーろぺーろ、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「・・・・・・・」 「ゆっくりしていってね!!!れいむはゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってね!!」 まりさの訴えかけも虚しく、れいむはその後何も喋らなくなってしまった。 「やっぱり口先だけだったようだな。出来もしないのに大言を吐くんじゃねぇよ、ほら」 おにいさんは手に持ったアイアンを4、5度れいむに叩きつける。 するとれいむの姿は見るも無残な、ピラピラした皮の破片になってしまった。 「れいむうううううううううう!!!」 「ついでにお前も」 「ゆぎゃ、いだいよぉおおおおおおおお」 「そりゃアイアンで頬を殴ったら痛いだろうな」 「やめてよゆっくりできないよ」 「その言葉は聞き飽きた。もっと別の悲鳴を聞かせてくれ」 「おにいさんゆっくりしてね!!それからまりさをゆっくりさせてね!!」 「だめだこれからお前は死ぬんだ」 「いやじゃあああああゆっくりしたいよおおゆぶっ、うがあああああああああ」 おにいさんの振ったアイアンのフェースは、まりさの左頬から斜め下へ入り、 底面を削って右頬から真横へと抜けていった。 中枢餡は損傷を免れたものの、 シャフト(棒のところ)の部分はまりさの下顎を根こそぎ剥がしていった。 「次はどんな悲鳴を聞かせてくれるんだ?んん?ほら」 「びゅ、びゅえええええええええ」 2度目のアイアンはまりさの顔面に斜めから入り、 左眼球と上顎を真っ二つに裂いた。 「痛いか~?痛いのか~~~??」 「ゆううううううううう」 3、4度目のアイアンはわざと空振りさせ、 5度目のアイアンはまりさの頭の帽子に直撃し、帽子は数mほど前方に飛んでいった。 「さて最後はとっておきだ。この特大ドライバーで盛大に葬ってやろう」 「ゆああああああああああああああああ」 「派手に散れ」 ドシュッ ビルの屋上から地面へスイカを落としたように まりさの餡子は周りに激しく飛び散った。 小さな餡子の粒は、時間差で地面に落下していく。 表面の皮はドライバーのヘッドに絡みつき、 その皮には少量の餡子の残骸がへばりついていた。 ほんの30分前までは、平和に眠るゆっくり一家が10匹ほどこの場所にいたのだが、 この時点でゆっくりの形を留めた物はもう、ゆっくり一家の遺留品である10ヶのお飾りしか残されていない。 ゴルフ場でゆっくりと戯れたおにいさんは できる限り餡子の塊とゆっくりのお飾りを回収して、緑の上の汚れをクリーンにした後、 +10という数字をスコア用紙に書き込んでその場を後にした 鉄籠あき過去の作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/1213.html
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『はんせいしてますごめんなさい』 36KB 虐待 嫉妬 誤解 日常模様 同族殺し 共食い 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 よろしくお願いします ッじめに 善良な個体の虐待です 通常種のみ登場します グロテスクな表現を含みます 以上の点に注意して読まれるようお願いします 1 「おにいざん!!! ごべんばざい!!! おでがいでずがらおうじにいれでぐだざい!!!」 街中の住宅街のとある家の玄関前 一匹のれいむが玄関のドアに向かって必死に呼びかけていた 「もうおにいざんどのやぐぞぐやぶっだりじまぜん! あやばりばず!!! はんぜいじばず!!! だがら、だがらでいぶをもういじどがっでぐだざい! おうじのながにいれでぐばさび!!! おにいいさあああああああああああああああん!!!」 必死の呼びかけが通じたのか、ドアが開き中から一人の中年男性が出てきた れいむは悲痛に歪めていた表情をパァっと明るくして中に入ろうとした 「だれもいれるなんていってねーよ」 男性はそう言うと右足を振りあげてれいむの腹を蹴りつける 「ゆぐぅ!!! ・・・・・・ゆ、ゆゆゆごおお・・・げ、げええええ ・・・・・お・・・おにい・・・・さん?」 完全に油断していたれいむは蹴りをまともに受けてしまい、その場にへたり込んでしまう 苦しそうにうねうねと芋虫のように蠢くれいむ 口からは泡だった泥のような餡子を吐きだしている 「ゆごっ! ゆごごっ・・・! でいぶ・・・あやばっだ・・・のに・・・」 「しらねーよ。 謝ったからなんだってんだよ。 謝ったらそれで全部終わりだとでも思ってんの?」 「でぼぉ・・・でぼおおおおお!」 「でもじゃねーよ。 言い訳してる時点で反省する気ゼロだっていってるようなもんじゃねーかよ」 「ゆ、ゆうううううううううう!!! どぼじでえええええ! どぼじでごんなごどにいいいいい!」 「あーうるせーうるせー。 うぜーからさっさと消えろや」 男性はそう言ってドアを閉めてしまった 後に残されたれいむはただただ泣き続け、そのままそこで一晩明かした 翌日、男性が仕事に出かけに中から出てくると、れいむは一目散に駆け寄って挨拶をした 「おにーさん! ゆっくりいってらっしゃい!」 とびっきりの笑顔で挨拶するれいむ れいむは頑張っていい子にしていればれいむの事を許してくれると考えていたのだ お兄さんはれいむに一目もくれずさっさと行ってしまった だがれいむはあきらめない あきらめてはそこで全てが終わってしまう お兄さんが許してくれるその日まで、頑張り続けるとれいむは心に誓った 「ゆううううう・・・・ おなかがぺーこぺこだよぉ・・・ べーこんごはんさんがたべたいよぉ・・・」 餌を与えられずに庭に放置されたままのれいむは、さっそく空腹に悩まされた 加工所で生まれ、ショップで育ち、外の世界を知る間もなくこの家にやって来たれいむは ゆっくりふーどや人間さんの食べ残しを食べていたので、野生のゆっくりがするような食事はしたことが無かった 背に腹は代えられずいやいやながらも庭にぼうぼうと生い茂った雑草を一口かじってみる 「・・・・・・・・・・・・・・・ゆげえええええええええええええええええええええええ!!!! にがにがでゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 草を咀嚼していくうちに草の汁が口全体に広がってゆき、苦いという感覚がじわじわとしみ込むように舌へ伝わってくる 耐えられずに吐きだしたが舌や歯茎には味の感覚が残っていた お水でうがいをしようにも水の入った皿などどこにも見当たらない れいむは仕方なく、自分の唾液で口の中が満たされるのを待った とてもこんなものは食べられない しかし、お腹はすいてしまう 何か他に食べれるものはないか辺りを見渡してみる どこを見ても草、草、草・・・・・・ れいむはため息をついて後ろにコロンと倒れた なにも考えずに空に浮かぶ雲を見つめる 「・・・これかられいむはどうすればいいの? ・・・おにいさんはゆるしてくれるのかなぁ?」 白い雲に問いかけるように、れいむは頭の中で不安に思っていることを言葉にした その問いかけに答えるものはどこにもいない 空腹に耐えきれなくなったれいむは観念してもう一度草に挑戦する 一口むーしゃむしゃする度に溢れる汁を何とか飲み込んで、また新たに草を口に入れる 何度か戻しそうになったが、草を無理やり飲み込むことで何とか耐えきった 「むーしゃむーしゃ・・・・・しあわせええええ! このランチさんはとってもとかいはだわぁ!」 向かいの家で飼われているありすがしあわせーと叫んでいる それを聞くと大粒の涙がぽろぽろとおめめから流れ落ちてきた 「ゆぐっ・・・・・・ゆぐううううう! どぼじでええええええ・・・ おにいざあああああんんんんん・・・・・」 れいむは怒られた理由が全く分からなかった 普段のように言われたことを守り、きちんとルールを守って生活していた なのに、突然あんよをぺんぺんされ外に放り投げられたのだ 怒られた理由が分からないままのれいむはただただ悲しくて仕方なかった 2 「おにいざん!? はなじをぎいでね!? でいぶをむじじないでね!?」 固く閉ざされたドアに何度も身体を叩きつけて懇願するれいむ 帰って来たお兄さんと話そうとしたが完全に無視されてしまったのだ れいむがどんなに呼びかけても、聞こえてくるのはテレビさんの音ばかり 「どぼじでっ・・・ どぼじでなんにぼいっでぐれないの!? でいぶはずっどいいごにじでだよ!? どぼじで・・・どぼじでえええええええええ!!!」 「・・・るっせえっつってんだろ!!!」 「ゆぎゃん!」 突然開いたドアが顔面に衝突して吹っ飛ぶれいむ 顔は真っ赤になり歯が何本か折れたが、それでもお兄さんが出てきてくれたことがうれしくて笑顔になる 「おにいさんきいてね! れいむはがんばったんだよ! とってもつらかったけどあきらめなかったんだよ!」 「だから、なに?」 「ゆっ・・・ こ、これからももっともっとがんばっておにいさんをゆっくりさせるよ!」 「で? 反省はどうした?」 「・・・ゆぅ? はん・・・せい・・・?」 れいむはぽかんと口を開けたまま固まってしまった 怒られた理由を思い出すことをすっかり忘れていたのだ 「その様子じゃ反省してないみたいだな。 じゃ、そゆことで・・・」 「まっ! まっでね!? でいぶはんぜいじでいいごにじでだよ!?」 「へぇ、じゃあ何をどう反省したか言ってみろよ」 「ゆぅ・・・ それは・・・」 「やっぱり反省してねーじゃねーか。 口だけの反省ならそこらへんのゲスでもできるわ」 「で、でもぉ・・・でもぉ・・・」 「また『でも』か。 まぁいい、それより飯は食ったのか?」 「ゆん!? ごはんさん!? ごはんさんくれるの!?」 ご飯という単語にもみあげを即座に反応させてピコピコ動かすれいむ 目がキラキラと輝いて、涎がたらりと滴り落ちる 「まだやるとはいってねえよ。 そこに草沢山はえてるだろ?」 「ゆん? ・・・くささんはゆっくりできないよ」 「話は最後まで聞け。 そこに生えてる草を全部食べたら飯食わしてやるよ」 「ほ、ほんとにいいいい!? うそじゃない!?」 「本当だ、まぁせいぜい頑張れや」 「ゆわぁい! れいむ、がんばってむーしゃむしゃするよ!」 お兄さんはそう言ってドアを閉めた 「さっそくむーしゃむしゃするよ! くささんはゆっくりれいむにたべられてね!」 草に向かってそう宣言したれいむはおくちを大きく開けて草にかじりついた お口の中いっぱいに広がる青臭い臭いと、じわじわとにじみ出る苦い草 ゆっくりできない臭いと味を我慢して無理やり口の中へと押し込んで行く 「むうううううじゃあああああむうううううじゃあああああああ・・・・・じばばぜえええええええええええええ!!!」 しあわぜーは本当のしあわせーではなく、無理やりひねり出した言葉だった そうでもしないと、ゆっくりできなさすぎて餡子がおかしくなりそうだった 「げええええええっぷ! ゆぅ・・・まだまだたくさんあるよ。 でも、れいむあきらめないよ!」 草を全部飲み込むと、また次の草を引っこ抜いて口の中へと押し込む ようやくお腹がいっぱいになり、次第に眠くなっていくれいむ しかし、ゆっくりできるべっともふかふかもどこを探しても見当たらない 仕方ないので引っこ抜いた草をしいて、縁の下で眠ることにする 「ゆぅぅぅ・・・ はやくおうちのなかでゆっくりすーやすやしたいよぅ・・・」 冷たい地面に敷いた青臭い草の上へ倒れこむように横になるれいむ 口の中には草の苦い味がまだ残っている 「どぼじでおにいさんはあんなにぷんぷんしてるの? れいむはいったいなにをしたの? わからないよ・・・ おにいさんおしえてよ・・・れいむはいったいなんてあやまったらいいの?」 どんなに考えても、れいむは反省すべき理由がわからない 疲れ切ったれいむは考えがまとまらない内に眠ってしまった れいむは夢の中でべーこんごはんさんをおなかいっぱいむーしゃむしゃした 夢の中でお兄さんはいつものお兄さんに戻って、れいむを優しく介抱してくれる お兄さんはれいむにしていたことを謝って、れいむのことを許してくれた (ゆふふふふ・・・ れいむはおこってたけどゆるしてあげるよ・・・ またいっしょにたっくさーんゆっくりしようね・・・・・) そんな幸せな夢は、突然中断された もみあげを引っ張られて無理やり縁の下から引きづり出されたのだ 「ゆ・・・! ゆゆゆゆううううう!? おにいざん!? でいぶになにずるの?!」 混乱したれいむは身体をぐねぐねとうねらせて必死に抵抗した 外はまだ暗く、おひさまは顔を出していない 「まぁ落ち着け。 おまえにプレゼントしてやろうとおもってな」 「ゆぅ!? プレゼントさん!?」 「そうだ、今さっきジョギングしてたらゆっくりが因縁つけてきたんだよ んで、フルボッコにしてぶっ潰してやったんだわ。 それがこいつ等な」 お兄さんはそう言うと、ビニール袋から二体のゆっくりの死体を取り出してれいむの前へ放り投げた 恐らく番であろうまりさ種とれいむ種が一体ずつ 大きく目を見開いて、口をだらしなく広げたまま絶命している 「ゆげええええええええええええ!? なにごでええええええええええええ?!」 「だからプレゼントだって。 これ中身は餡子でできてるんだからお前食えるだろ? お前の為に持って来てやったんだから遠慮しないで食べていいんだぞ」 「ごんなのだべれるわげないでしょおおおおおおおおおおおおお!? ばがなのじぬのおおおおおおお!?」 「はぁ!? 食えないわけねーだろが! それ食い終わるまでここでみてやるから早く食え。 残さず食え」 「だがらむりだっでいっでるでしょ!? れいむのはなじをぎいでね!?」 「食わなかったらもう許してやらねーぞ。 それでもいいのか?」 「ゆぅ!? なんでそうなるの!?」 「反省してるならくえるよなぁ? なぁ? 反省する気ねえのか、こら」 「・・・はん・・・せい」 反省という言葉を出されたとたん黙ってしまうれいむ まるで魔法をかけられたように従順になってしまう 「早くしろ。 じゃねーともう許してやんねーぞ」 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 一撃で踏みぬかれたのか、脳天を潰されてぺしゃんこになった二つの骸 目玉が飛び出て餡子がはみ出だして表情が読み取れないほど激しく損壊している はみ出たその餡子を恐る恐る口に含み、飲み下す 口の中には甘いゆっくりした味が広がってゆく しかし、れいむはまったくゆっくりできない 想像してみてほしい どんなにおいしそうに調理されていたとしても それが人間の肉だと知っていてあなたはそれを食べることができるだろうか 「全部残さずたべろよ。 できるだけ早くな」 お兄さんの声がこんなに恐く感じたのは初めてだった 3 「ゆ、ゆべえ・・・ ゆぎゅううう・・・ ごっくん!」 時刻は昼の十二時をまわり、れいむはようやくゲス番の死体を完食することができた 口の周りにべっとりと餡子をつけたれいむ その顔は大量のカロリーを摂取しているにもかかわらずげっそりとやつれている 「なんで・・・ でいぶが・・・ ごんなべに・・・・」 死臭が体中に染みつき、一秒たりともゆっくりできない お兄さんが打った精神強化剤が無ければとっくに餡子を吐いて永遠にゆっくりしてしまっていただろう 「よし、全部食べたな。 偉いぞ、れいむ」 「ゆぅ!? おにいさん!? れいむをゆるしてくれるの!?」 食べ終わるまでずっとそばにいたお兄さんが漸く口を開いた れいむは期待に腹を膨らませ、もみあげをピコピコさせてお兄さんにすり寄る しかしその淡い期待は一瞬で打ち砕かれた 「はぁ!? 偉いとは褒めたが許してやるとは一言も言ってねーけども」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!? でいぶごんなにがんばっだんだよ!?」 「まぁ、頑張り次第では許してやらんこともねーけどよ。 まだまだ頑張りが足りないってこった」 「これいじょうなにをがんばればいいのおおお!? でいぶはもうげんっがい!なんだよおおおおおお!」 「それだけ喚ければ大丈夫だ、問題ない。 れいむ、お前に新しい課題をくれてやろう」 「あたらしいかだいさん!? まだなにかしなくじゃいげないのおおおおおお!?」 「なに、難しいことじゃねーよ。 家の壁を全部なめなめして綺麗にしろ それができたらお前を許してやる」 「・・・なめなめってぺーろぺろのこと?」 「そうだ、この家の壁の汚れをすべてぺーろぺろして綺麗にするんだ」 「ぞんだごぼでぎるばずないでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「それと引き続き庭の雑草毟りもやれよ。 ある程度綺麗になったらまた飯食わしてやるから」 れいむは途方もない課題に茫然自失になった このれいむにとってあまりに巨大なお家をぺーろぺろで綺麗にしなくてはならないのだ それに草も食べ続けなければならない 「誠意をみせろよ、れいむ」 そう言ってお家の中に入って言ってしまうお兄さん 今日はお兄さんの仕事が休みの日で、本来ならお兄さんと沢山遊んで好きなだけゆっくりできる筈だった それがどうだろう いまのれいむには、ゆっくりのゆのじもない 「ゆぅ・・・ とりあえずくささんをむーしゃむしゃするよ・・・」 それでもれいむはあきらめなかった 与えられた課題を一つ一つクリアすれば、れいむは許されてまたゆっくりした毎日が戻ってくる そんな一筋の希望にすがる様に、れいむは草をむーしゃむしゃしていった それから数日後 れいむは草をある程度食べ終えると壁の清掃へと取りかかった 白く塗られた壁は薄らと塵が被っており、れいむが舌で舐めるとそこだけぴかぴかになった 草と違って極端ににがにがな味がするわけではないが、ゆっくりできる味など当然するはずがない 「ゆっくりぺーろぺろするよ・・・ ぺーろぺろ・・・・・」 少しずつ壁の汚れをなめとっていくれいむ ふと、べーこんごはんさんを食べた後のお皿をぺーろぺろした時のことを思い出した ぺーろぺろする時はいつも幸せだったのに、今しているぺーろぺろはただただ虚しい 「みゃみゃ! みちぇみちぇ! あのれいみゅかべしゃんをぺーりょぺりょしてりゅわ!」 「しっ! みちゃだめよ! あのれいむはちょっとあんこがふじゆうなのよ、かわいそうなのよ」 「どうしちぇ? いにゃかもにょなにょ?」 「そんなこといったらとかいはになれないわよ! さ、もういきましょ。 かえったら、ままがぺーろぺろしてきれいにしてあげるわ」 「ゆん! みゃみゃのぺーろぺろはとっちぇもゆっくちできりゅわぁ!」 野良のありすの親子が通りかかって話しているのが聞こえた れいむは清掃をやめて、その親子をじっと見つめていた れいむは生まれてすぐに親から引き離され、金バッチをつけた他ゆんのありすやれいむに育てられた 育ての親の言うことを素直に聞いていたのでゆっくりショップの人間さんはやさしくしてくれた だから、れいむは人間さんの言うことをきちんと守ればゆっくりできると信じている 野良が庭にやってきても無視してやりすごしたし、一緒に遊ぶようなことはなかった 野良は自分勝手でルールをわきまえないとてもゆっくりしていないもの そういう認識を加工所で刷り込まれたれいむにとって野良とはそういう存在だった だが、ありすの親子はとってもゆっくりしていた その理由をれいむは理解できない 「ゆぅ? もしかしてのらはゆっくりできるの? みんなはれいむにうそをついてたの?」 子ゆっくりのころに去勢されたれいむはぼせい(笑)の形成に至らなかった ぼせい(笑)が存在しないため、おちびちゃんはゆっくりできるという感覚も存在しない そのため、ありすの親子がゆっくりしていたのは、親子が一緒だからではなく野良だからという認識にすり替わる 加工所やショップで言われ続けていた野良はゆっくりできない存在という認識が揺らぎ始めた 極度のストレスと疲労が伴ってれいむの判断能力は劣化していたこともあり、疑念が頭をもたげる 「こんなことなられいむものらになりたいよ。 のらがあんなにゆっくりできるなんてれいむしらなかったよ・・・」 あんよがずーりずりと外の世界へと向かって無意識に動いていく 門を出ればすぐに外の世界へと出て行けるのだ 後少し、もう少しでゆっくりできる・・・ 「なにかんがえてるんだろうね・・・ れいむはおにいさんにせいいさんをみせてゆっくりするんだよ・・・」 お兄さんの存在を思い出して足を止めるれいむ もしここで外の世界に出て行ってしまったら、お兄さんはもう二度と許してくれないだろう もう一度・・・もう一度お兄さんとゆっくりするんだ! れいむは確固たる決意の元、与えられた課題へと取りかかった 「お~頑張ってるじゃねーか。 正直ここまでやるとは思わなかったぞ」 「ゆん! おにいさんじゃましないでね! れいむはがんばってるんだよ! がんばってせいいさんをみせておうちにいれてもらうんだよ!」 「そーかそーかいい心がけだな。 そんなれいむにプレゼントをもってきてやったぞぉ」 「・・・ぷれ・・・ぜんと・・・さん?」 プレゼントという単語に凍りついてしまうれいむ お兄さんが抱えている、がさごそと動く段ボールに視線が釘づけになる 「お、その様子だとプレゼントがなんなのか大体察しがついてるようだな じゃあ早速御開帳といこうか。 今日のプレゼントは元気なおちびちゃんでーす!」 お兄さんはそう言って段ボールをひっくり返して中身をぶちまけた れいむ種とまりさ種が五匹ずつ計十匹の赤ゆっくり達が地面にぼとぼとと落ちてくる 「おとおしゃあああん!? おきゃあしゃああああん!?」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいい! いちゃいよおおおおおおおおおおお!」 「まりしゃのおぼうちかえちちぇえええええええ! ゆんやああああああああああ!」 「どびょじじぇごんにゃごじょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆぅ・・・ いたいのはいやなんだじぇ・・・ こわいんだじぇ・・・」 「もうやじゃあああああ! れいみゅなんにもわるいこちょしちぇないのにいいいいい!」 「かわいいれいみゅがなんでこんにゃめに・・・・」 「おきゃあしゃん・・・・ おとうしゃん・・・・・」 「ゆっ・・・ゆっ・・・」 「ゆんやあああああああああ! ゆんやあああああああああああ!」 「おちびちゃんたち!? ゆっくりしていってね!? ゆっくりゆっくり!」 突然外に放り出された赤ゆっくり達は一斉に泣き出した 中には瀕死の者もおり、れいむはどうしていいか判らず狼狽する そんな光景を見てにっこりとほほ笑むお兄さん 「それ、食え」 「・・・・・ゆ ・・・・・お兄さん? いまなんて?」 「食え。 残さず全部食え」 「これ、ゆっくりだよね? おちびちゃんだよね?」 「だからなんだ。 食え」 「で、できないよ・・・ おちびちゃんなんかむーしゃむしゃしたら・・・」 「できぬともうすか。 いま、できぬともうしたか」 「ゆぅ?」 「食わないならお前はもう許さない。 お前はそこで乾いていけ」 「そ、そんな・・・」 「どうした、はやくしろ」 「ゆう・・・・ れいむは・・・」 泣き叫ぶおちびちゃん達 じっとれいむを見つめるお兄さん ゆっくりの中での最大の禁忌である同族食い そしてもう一つの禁忌、おちびちゃん殺し れいむはその片方を既に犯している もう片方も犯せば、れいむは立派なゲスゆっくりになってしまう 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 れいむの中で、理性よりもお兄さんへの恐怖が勝った 「おちびちゃんはれいむにゆっくりたべられてね。 はーみゅはみゅ」 「ゆぴぃ!? ゆんやああああああああああ! はなしちぇええええええええ!」 れいむは一匹の赤まりさを咥える 咥えられた赤まりさはぶりんぶりんとあんよを左右に振って抵抗している なかなか踏ん切りがつかないのか咥えたまま動かないれいむ そんなれいむにお兄さんはあるものを注射器で注入した 「ゆひぃ!? ほひひはん?へいふひはひひはほ? ・・・はんはははははははふふはっへひはほ?」 注射器のラベルには『コンポストゆっくり用食欲増進剤 精神強化成分配合』と書かれている れいむは頭がぼーっとして身体が熱くなっていくのを感じると同時に今まで感じたことのない空腹感を感じた まるで三日三晩食事を取らなかったような飢え めがぐーるぐるして、舌がピクピクとひきつる 「はなしちぇええええええええ! まりしゃまじゃしにちゃく『ぐちゃ!』・・・!」 咥えていた赤まりさを噛み潰したれいむ その光景を見て、他の赤ゆっくり達は一斉に逃げ出した 「なんだかとってもおなかがすいたよ! れいむはたっくさんむーしゃむしゃするよ!」 「こっちにくりゅなあああああああ! このげすうううううううううううう!」 一匹の赤れいむに狙いをつけて飛び跳ねるれいむ すばやく回り込んで赤れいむをもみあげでつまみあげる 「はなしちぇえええええええええ! れいみゅをたべにゃ『げちょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 光悦の表情を浮かべるれいむ 眼下で息を切らしてお腹に体当たりをくり返す赤まりさに気づく 「きょうぢゃいをこりょしちゃげしゅはまりしゃがせいっしゃい!しゅりゅのぜえええええ! ゆっくちしにゃいでしゃっしゃちょ・・・ゆわあああああああ! はなしちぇええええええ! ゆるしちぇええええ『げしょげしょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆわあ、あ、あ、あ、あ・・・・ みんにゃてべられちゃうのじぇ・・・」 「きょわいよおおお・・・ れいみゅもうしんじゃうにょかなぁ・・・」 「ゆうううう・・・ おきゃあしゃん・・・ おちょうしゃん・・・」 「どびょじぢぇ・・・ どびょじぢぇごんにゃめに・・・」 壁の隅にひと塊りになって震える赤まりさと三匹の赤れいむ れいむは大きく広げた口でそれらを被うと、口を閉じて一気に噛み砕いた 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆっ・・・ゆげえええええええ!」 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 「しあわせええええええええええええええ! しあわせええええええええええええええ!」 精神的に追い詰められて餡子を吐く赤まりさと既に瀕死になっていた赤れいむ それらを食べ終え、最後の一匹になった赤まりさににじり寄っていくれいむ 「ゆわぁあわわわ・・・・ まりしゃ・・・おいしくにゃいよ? たべちぇもおいちくにゃいよ? おねがいぢゃかりゃこっちにこにゃいでにぇ? まりしゃとゆっくちしてにぇ?」 「かわいいれいむはむーしゃむしゃするよ!」 「ゆんやあああああああああああ『ぷしゃああああああああ!』あああああああああああ!」 赤まりさの下腹部から、おそろしーしーが勢いよく噴出される がたがたと震える赤まりさを前に、れいむは笑顔で宣言した 「ゆっくりいただきます!」 「やめりょおおおおおおおお! しにちゃくにゃあ『ぎっちょん!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 全ての赤ゆっくりを完食し終えたれいむ そんなれいむにお兄さんはこう言った 「見ろよ、あのれいむゆっくりしてないだろ?」 「あんなにかわいいおちびちゃんをたべちゃうなんて・・・ このゆっくりごろし・・・」 「みゃみゃぁ・・・ ありしゅこわいわぁ・・・」 お兄さんの傍らには、先ほどのありすの親子がいた 4 「おにいさん! おにいさんにもらったぶろっくさんで ありすのおちびちゃんがとってもとかいはなこーでぃねいとをしたのよ!」 「みちぇみちぇ!おにいしゃん! ありしゅがんばっちゃわ!」 「すごいなぁ! ありすもありすのおちびちゃんもとっても都会はだな!」 お家の中からは楽しそうなお兄さんとありす親子の声 れいむはそれを聞くと惨めな気持ちになるので聞かないようにしていたが、嫌でも耳に入ってくる れいむが赤ゆっくりを食い殺したあの後、お兄さんはれいむではなくありすの親子を家に入れた お兄さんは新しくありす種が飼いたくなったのでつれてきたとのこと れいむにとってはあてつけにしか思えなかった 毎日のように聞こえるありす親子の生活音 それを聞くたびにいーらいらするれいむ れいむはただただ耐え続け、今日も壁を綺麗にする 「とってもとかいはならんちさんだわぁ! おにいさんゆっくりありがとう! ほら、とちびちゃんもおれいをいいなさい!」 「おにいしゃん! ゆっくちありがちょー!」 「いいんだぞー! いっぱいたべてゆっくり大きくなってね!」 れいむの大好きなべーこんごはんさんの臭いがする 臭いだけ嗅がされておなかが情けない音を立てた もうここ何日もまともなごはんを食べていないれいむにとっては拷問だ 「ゆうううぅぅぅぅ・・・ れいむのべーこんごはんさん・・・・」 空腹を紛らわすために、その辺に生えていた雑草を毟って口に入れるれいむ もう雑草の味には慣れたがちっともゆっくりできない 「みゃみゃ! ありしゅこーりょこりょすりゅからみちぇちぇにぇ! こーりょこりょ!」 「とってもとかいわなこーろころだわぁ! おにいさんもみてあげてぇ!」 「可愛いなぁありす! もっかいこーろころして見せてくれるか?」 「ゆっくちりかいしちゃわ! こーりょこりょ!」 楽しく遊ぶありす親子とおにいさん 前はれいむがお兄さんを一人占めして一緒に遊んでいた 「おにいしゃんしゅーりしゅりしちぇ! しゅーりしゅり!」 「だめよ、おちびちゃん! おにいさんはいまてれびさんをみてるのよ!」 「いや、かまわんぞ。 ほーらこっち来い、すーりすり」 「ゆわぁい! おにいしゃんのおちぇちぇとっちぇもあっちゃかいわぁ! ありしゅ、おにいしゃんのおちぇちぇだーいしゅき!」 お兄さんの手にすーりすりする赤ありす その手はれいむだけに優しくしてくれる温かい手だった 「ありしゅ、にゃんぢゃかにぇむいわぁ・・・」 「ちょっとおひるねにしましょうか・・・ おちびちゃんゆっくりおやすみなさい」 「ありしゅおにいしゃんとねむねむしちゃいわ・・・」 「ああ、いいぞ。 ありすもこっちに来いよ」 「ええ!? いいの!? おにいさんはほんっとう!にゆっくりしたにんげんさんね!」 「それほどでもあるよ。 さぁ、みんなでゆっくりお昼寝しようか」 「ゆぅ・・・ ありしゅ・・・ おおきくなっちゃらおにいしゃんのおよめしゃんになりゅ・・・ゆぴー」 お兄さんとお昼寝するのはれいむの特権の筈だった 今は別のゆっくりがおにいさんの手の中で眠っている 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ゆっくりしないでかべさんはきれいになってね! ぺーろぺろ!」 れいむは早くお兄さんを取り戻そうと躍起になった しかし、れいむの小さな舌では壁を綺麗にするのには時間がかかりすぎる まだ四分の一も終わっていないのだ 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ぺーろぺr・・・・ゆぐうううううううう!!! なんででいぶがごんなごぢじなぐじゃいげないのおおおおおおおおおおお!? おにいざんあんなにやざじがっだのにいいいいいいいいいいいいいいいい!!! なにがいげながっだの!? なにがわるがっだの!? でいぶはなにぼあやばればいいぼおおおおおおおおおおお?」 壁に額をつけて、ぽろぽろと零れ落ちる涙を見つめるれいむ 奪われてしまったしあわせ 終わらない課題 ゆっくりできない食事 変わってしまったお兄さん 何が問題で、何が悪かったのか れいむにはとうとう答えが分からなかった 永遠と続くと思われた絶望的な生活 だが、そんな日々は突如として終わりを告げる 「おにいしゃんはなしちぇええええええ! みゃみゃあああああああ! どぼしちぇたしゅけちぇくりぇにゃいにょおおおおおおおおおお!?」 「ごめんなばい! おでがいでぶがらおじびじゃんぼばなじでぐばばい!」 「うるせーよこの屑ども。 あんなに可愛がってやったのに恩をあだで返しやがって」 「どぼしちぇこんにゃこちょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおお!? ありしゅなんにもわりゅいこちょしちぇないにょにいいいいいいいいいいい!!!」 「だべえええええええええええええ! ぞんなごどいっじゃだべええええええええ!! おでがいだがらおにいざんにあやばっでええええええええええええええええええ!!」 「はー・・・ どうしようもねえクソ餓鬼だな お前死刑確定だから。 ゆっくり苦しんで死んでいってね」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいい!!! もうやじゃ! おうちかえりゅううううううううううううううう!」 お兄さんにつかまれている赤ありすと、顔をぐしゃぐしゃにして謝り続ける親ありす そんな二匹をお兄さんは汚物でも見るかのように見ていた れいむが外から家の中を覗くとカーペットの上にシミができている どうやら赤ありすが粗相をしてしまったようだ 「おい、れいむ! いるか?でてこい!」 「ゆぅ、れいむはここだよ。 おにいさん」 庭に出てれいむを呼ぶおにいさん れいむは一目散にお兄さんのところへ跳ね寄っていく 「これ、食え」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 「おにいざああああああああああああああん! やべべええええええええええええええ!!!」 さも当然とでも言うかのように言い放ったお兄さん 赤ありすはこのお家に来た日に、れいむがおちびちゃんを食い殺しているのを見ていたので必死に抵抗する 親ありすの方は、泣きながら懇願しつづけていた 「おでがいでずがらおちびじゃんぼごろざないでぐだざいいいいいいいいいいいい!!!」 「言ったよなぁありす。 こいつがトイレで失敗しないようにちゃんと面倒見ろって」 「ありずはじゃんどおじえだわ! でぼじょっどめをはなじだずぎにいいいいいいいいいいいい!」 「阿呆が。 今回だけじゃねーだろーが。 こいつが何回失敗したか覚えてるか?」 「ええっと・・・ いち、にい、たくさん・・・ だぐざんでずうううううううううううう!!!」 「だろぉ? トイレの場所も覚えられないゴミ屑は死んだ方がいいよね! ゆっくりりかいしてね!」 「ぞんだあああああああああああ!!! もういっがいだげじゃんずぼぐばばいいいいいいいい!」 「嫌だよ、何度もチャンスやったのにそれを不意にしたお前が悪い」 「どぼじでえええええええええええええええええええええ!!!」 「ゆんやああああああああああああああ! みゃみゃあああああああああああああああ!」 れいむは呆れた トイレの場所も覚えられないなんて、なんてバカなんだろう れいむが同じくらいの大きさだったころはトイレの場所はおろか数や文字まで覚えさせられていた その程度もできないのにれいむのお家で暮らし、お兄さんを一人いじめしていたなんて・・・ 「おにいさん! はやくそのくずをちょうだいね! れいむはおなかがすいてるんだよ!」 「お、れいむはほんとにいい子だな~! 流石は加工所産だけあるな」 「なにいってりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなああああああああ!」 れいむは子ありすを直ぐにむーしゃむしゃできるように身構えていた 憎きありす親子に自ら制裁をくわえることができるのだ 楽しくないはずがない 「いくぞ~! ほ~れ!」 「ゆぴいいいい! おしょらをとんじぇるみちゃいいいいいいいいいい!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなあああああああ!」 放り投げられた子ありす、踏みつけられて身動きとれない親ありす れいむは落下予測地点に先回りして口を大きく開けた その中に子ありすがすぽりと入り、れいむは思いっきり口を閉じた 「ゆんやああああああ! ありしゅまだしにt『びちぃぐちゃ!』・・・!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 子ありすが絶命しても執拗に噛み砕くれいむ まるで今までため込んできた不満を全てぶつけるかのように・・・ 「しあわせえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「あでぃずのおじびじゃんがあああああああああああああああああああああああ!!!!」 久々に心の底からゆっくりを感じたれいむ 絶望の真っ只中に叩きこまれたありす お兄さんはそんな二匹をみて満足そうにほほ笑むとお家の中に入って行った 5 「はやくしてね! れいむはおこってるんだよ!」 怒りの声を上げるれいむ 口には錆びた錆びた釘を咥えている 庭にはれいむのほかにありす、まりさ、ぱちゅりー、ちぇんがいる れいむ以外のゆっくりは総出で家の壁をなめて綺麗にしている 「ごべんなべい! あやばりばずがらゆるじでぐださい!」 「もうへとへとなんだぜええええ! おねがいだからゆっくりさせてほしいのぜええええ!」 「むきゅ・・・エレエレエレ。 もっど・・ゆっぐじ・・・」 「わぎゃらないよおおおおおお! ぱちゅりーしっかりしてねええええええ?!」 ぱちゅりーが中身のクリームを吐きだして、心配そうに駆け寄る一同 れいむはそんなゆっくり達に満面の笑みを浮かべて言い放った 「ぱちゅりーはきょうのごはんさんだよ! れいむがむーしゃむしゃするからね!」 「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 驚愕するゆっくり達を放っておいて、れいむはぱちゅりー近寄ってほっぺをガブリと食いちぎる 「むーしゃむーしゃ・・・・しあわせええええええええええええええ!」 ぱちゅりーを食べたれいむはとてもゆっくりした表情を浮かべた 他のゆっくりは寄り添ってがたがたと震え、恐ろしーしーを漏らす 「なにしてるの!? さっさとかべさんをぺーろぺろしてね! きょうののるまさんをたっせい!するまですーやすやもきんしだからね!」 れいむは咥えた釘を振りかざし、生き残ったゆっくりを仕事へと駆り立てた あれからお兄さんは野良を拾って来て、その野良に何か不都合なことがあるとお庭に放り出した 外に出されたゆっくり達は庭に住んでいるれいむに番や姉妹を食われ、以後奴隷としてれいむの課題を手伝わされている 「よぉ、れいむ。 今日も精が出るな」 「ゆゆ? おにいさん? あたりまえだよ! れいむはがんばってるんだよ!」 「そーかそーか。 で、結局怒られた理由は分かったのか?」 「ゆぅ? りゆうさん? なにそれおいしいの?」 「ふっ・・・そんなもんか。 まあいい、今日でお前のことをゆるしてやるよ」 「ゆーん!? ほんとうなの!? れいむ、もうがんばらなくてもいいの!?」 「ああ、もう頑張らなくていいんだぞ そうなるとそいつらはもういらないよな。 全部食って処分しとけよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「「「どぼじでぞうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 涙を流して嘆く野良達はれいむがにじり寄ると直ぐに身構え戦闘態勢に入った 沢山の野良を食らい体調良好なれいむ 僅かな食事しか与えられず貧弱な身体を酷使してきた野良 結果は比を見るより明らかだ 「いぢゃいいいいいいいい! までぃざにひど『ぶすり』ゆぎゃあああああああああああ!」 両目を刺された後まむまむに釘を突っ込まれたまりさ 「わぎゃらないよおおおお! どぼじでごんな『むしゃり』・・・!」 顔面を容赦なく噛みちぎられて断末魔も上げられず絶命するちぇん 「のろってやるううううう! ごのいながぼの『へしゃり』ごべええええええええええええ!」 身体を抑えつけられて不自然な方向へと無理やりへし折られたありす 「れいむのすーぱーむーしゃむしゃたいむはっじまっるよー☆」 物言わぬ饅頭になった四体の野良に、れいむはドヤ顔で言った 苦労の末に獲得したしあわせーな食事 れいむは夢中でむしゃぶりつき、作業着の人間さんがお兄さんのお家を尋ねてきたことに気づかない 「あ、どーもー! お待たせして申し訳ありませ~ん」 「別にいいんですよ。 あれを引き取ってもらえればいいだけなんで」 「はぁーい。 ではさっそく・・・ うわ!これはひどい・・・」 「もう手がつけられなくてどうしようもないんですよ・・・」 明るい声で挨拶をした作業着の人間さんは、れいむを見て絶句した おいしそうに同族を食べるれいむ 口の周りは餡子やカスタードでべたべた ゆっくりが饅頭とは言え見ていてあまり気持ちの良い物ではない 「ええっと・・・ じゃあ、連れて行きますね・・・」 「はい、助かります。 支払いはクレジットでも大丈夫ですか」 「あっ・・・ はい、大丈夫ですよ。 ちょっと待っててください」 「ゆーん! がんばったれいむへのごほうびさんだよ! むーしゃむーしゃ!」 「おい、れいむ!」 作業着のお兄さんが支払い用の端末を取りに行くとお兄さんはれいむを呼んだ れいむは食事を中断され不機嫌そうに膨れるが、お兄さんに呼ばれたので直ぐに笑顔になってすり寄っていく 「おにいさん! れいむがんばったよ!」 「ああ、頑張ったなれいむ。 そんなことより、れいむ。 今日でお前とはお別れだ」 「ゆーん! おうちにいれ・・・ゆぅ? おわ・・・かれ・・・?」 れいむはお兄さんの言っていることが理解できない お別れという言葉に思考がフリーズする 「そうだ、お前は加工所に連れて行って処分してもらう」 「しょ・・・ぶん・・・?」 「永遠にゆっくりさせるってことだ」 「ゆううううううううううううううう?! なんでえええええええええ!?」 「さあ、なんでだろうな。 そんなことよりれいむ、怒られた理由は分かったか?」 「ゆぅ!? ぞんなのわがらないよ!? でもでいぶがんばっだんだよ!? ぜいいざんをみぜでばんぜいじだんだよ!?」 「だろうな、お前は怒られた理由も分からないで俺に謝罪して反省したわけだ」 「ぞうでず!!! でいぶはおごられだりゆうばわがりばぜん! でぼいっじょうげんべいばんぜいじばじだ! あやばりばじだ! だがらでいぶを『・・・だよ』・・・ゆ?」 「もともと理由なんてなかったんだよ。 お前は俺のと言った通りずっといい子にしてた 勝手にむーしゃむしゃすることも、野良っとすっきりして子供を作ることもしなかった お前はゆっくりにしては聞き分けのいいやつだったよ」 「・・・じゃあ、どぼじで?」 「だから理由なんてないっていっただろ。 まぁ、早い話飽きたんだわ」 「・・・あきたさん?」 「そうだ、だからお前を家の中から閉め出した だけどお前は自分が何か悪いことをして追い出されたと勘違いした。 ただそれだけなんだわ」 「どぼじで・・・? どぼじでなのおおおおおおおおおおお!? でいぶがいいごにじでだらあんばにぼめでぐべばぼびいいいいいいいいいいい!!!」 「この数日間、理由も解らないで必死に反省してるお前を見てて十分楽しめたよ まぁ、お前の言葉を借りて言うならゆっくりできたってとこだな」 「じゃあ! じゃあ!!! でいぶをもういじどがっで『それはできない』どぼじでえええええ?!」 「言ったろ、飽きたって。 もうお前がどうなろうが知ったこっちゃない」 「ゆうううううううううううううううううううううう!!!! なまいぎなぐじをぎいでごべんばばい! ばんぜいじでばぶごべんばばい!!!」 「必死だな、おぃ」 泣いて額を地べたにこすりつけるれいむをニヤニヤと見下ろすお兄さん 「おまたせしました~」 作業着の人間さんが戻ってくるとお兄さんはニヤついた顔をキリっと引き締めた 支払いが済むと作業着の人間さんは透明な箱にれいむを入れた 加工所特性のゆっくり専用防音ケースである 「お゛に゛い゛ざあああああああああああああ『パタン』・・・・」 「じゃあ、お願いしますね」 「はい、でも本当にいいんですか? 銀バッチでとっても懐いてるみたいですけど」 「昔はいい子だったんですよ、でも今は・・・」 そう言って庭に目をやるお兄さん 庭にはれいむが食い散らかした野良の死体が散乱している 「・・・確かにこうなったら手放したくなるのも無理はないですよね」 「すみません、情が湧くといけないので・・・」 「あ、はい。 では、またご利用になる時はよろしくお願いします」 「はい。 ありがとうございました」 「いえいえ。 こちらこそ・・・では」 挨拶を終え、乗って来た軽トラックの荷台にれいむを放り込んで出発する作業着の人間さん お兄さんは無言でそれを見送った 「ばんぜいじでばずごべんばばい! でいぶばわるいごでじば! げずばゆっぐぢでじだ! あやばりばずがらゆるじでぐばばい!! おべがいじばず! だのみばず! ごでがらばごごぼをいべがべでいいごにじばず! だがらッ! だがらああああああ!!!!」 れいむは透明な箱の中で、誰に聞かれることもない謝罪を繰り返していた 終 あとがき 前回『anko2410さくのなかとそと』を投稿させていただいた者です どうやら沢山の方に読んでいただけたようで、大変ありがたいことです にとりあきさんには素敵な挿絵を書いていただき、本当にありがとうございます 皆さまにこの場を借りてお礼を申し上げさせていただきます 今回の作品はいかがでしたでしょうか 感想がございましたら感想板に書き込んでいただけると大変助かります 次回の作品の参考にさせていただきたいと考えているので 遠慮なく思ったことを書いて頂ければ幸いです では
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◇Name ◎ 名無し、ゲスト、Noname ◇Room ◎ 人の集まる場所、ちびちゃと ◇Age ◎ 秘密 ◇Charactor/Color ◎ ランダム ◇Other ◎ 喧嘩師ではない。 ◎ コテハンはまだない。 ◎ 主に雑談。
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『はんせいしてますごめんなさい』 36KB 虐待 嫉妬 誤解 日常模様 同族殺し 共食い 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 よろしくお願いします ッじめに 善良な個体の虐待です 通常種のみ登場します グロテスクな表現を含みます 以上の点に注意して読まれるようお願いします 1 「おにいざん!!! ごべんばざい!!! おでがいでずがらおうじにいれでぐだざい!!!」 街中の住宅街のとある家の玄関前 一匹のれいむが玄関のドアに向かって必死に呼びかけていた 「もうおにいざんどのやぐぞぐやぶっだりじまぜん! あやばりばず!!! はんぜいじばず!!! だがら、だがらでいぶをもういじどがっでぐだざい! おうじのながにいれでぐばさび!!! おにいいさあああああああああああああああん!!!」 必死の呼びかけが通じたのか、ドアが開き中から一人の中年男性が出てきた れいむは悲痛に歪めていた表情をパァっと明るくして中に入ろうとした 「だれもいれるなんていってねーよ」 男性はそう言うと右足を振りあげてれいむの腹を蹴りつける 「ゆぐぅ!!! ・・・・・・ゆ、ゆゆゆごおお・・・げ、げええええ ・・・・・お・・・おにい・・・・さん?」 完全に油断していたれいむは蹴りをまともに受けてしまい、その場にへたり込んでしまう 苦しそうにうねうねと芋虫のように蠢くれいむ 口からは泡だった泥のような餡子を吐きだしている 「ゆごっ! ゆごごっ・・・! でいぶ・・・あやばっだ・・・のに・・・」 「しらねーよ。 謝ったからなんだってんだよ。 謝ったらそれで全部終わりだとでも思ってんの?」 「でぼぉ・・・でぼおおおおお!」 「でもじゃねーよ。 言い訳してる時点で反省する気ゼロだっていってるようなもんじゃねーかよ」 「ゆ、ゆうううううううううう!!! どぼじでえええええ! どぼじでごんなごどにいいいいい!」 「あーうるせーうるせー。 うぜーからさっさと消えろや」 男性はそう言ってドアを閉めてしまった 後に残されたれいむはただただ泣き続け、そのままそこで一晩明かした 翌日、男性が仕事に出かけに中から出てくると、れいむは一目散に駆け寄って挨拶をした 「おにーさん! ゆっくりいってらっしゃい!」 とびっきりの笑顔で挨拶するれいむ れいむは頑張っていい子にしていればれいむの事を許してくれると考えていたのだ お兄さんはれいむに一目もくれずさっさと行ってしまった だがれいむはあきらめない あきらめてはそこで全てが終わってしまう お兄さんが許してくれるその日まで、頑張り続けるとれいむは心に誓った 「ゆううううう・・・・ おなかがぺーこぺこだよぉ・・・ べーこんごはんさんがたべたいよぉ・・・」 餌を与えられずに庭に放置されたままのれいむは、さっそく空腹に悩まされた 加工所で生まれ、ショップで育ち、外の世界を知る間もなくこの家にやって来たれいむは ゆっくりふーどや人間さんの食べ残しを食べていたので、野生のゆっくりがするような食事はしたことが無かった 背に腹は代えられずいやいやながらも庭にぼうぼうと生い茂った雑草を一口かじってみる 「・・・・・・・・・・・・・・・ゆげえええええええええええええええええええええええ!!!! にがにがでゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 草を咀嚼していくうちに草の汁が口全体に広がってゆき、苦いという感覚がじわじわとしみ込むように舌へ伝わってくる 耐えられずに吐きだしたが舌や歯茎には味の感覚が残っていた お水でうがいをしようにも水の入った皿などどこにも見当たらない れいむは仕方なく、自分の唾液で口の中が満たされるのを待った とてもこんなものは食べられない しかし、お腹はすいてしまう 何か他に食べれるものはないか辺りを見渡してみる どこを見ても草、草、草・・・・・・ れいむはため息をついて後ろにコロンと倒れた なにも考えずに空に浮かぶ雲を見つめる 「・・・これかられいむはどうすればいいの? ・・・おにいさんはゆるしてくれるのかなぁ?」 白い雲に問いかけるように、れいむは頭の中で不安に思っていることを言葉にした その問いかけに答えるものはどこにもいない 空腹に耐えきれなくなったれいむは観念してもう一度草に挑戦する 一口むーしゃむしゃする度に溢れる汁を何とか飲み込んで、また新たに草を口に入れる 何度か戻しそうになったが、草を無理やり飲み込むことで何とか耐えきった 「むーしゃむーしゃ・・・・・しあわせええええ! このランチさんはとってもとかいはだわぁ!」 向かいの家で飼われているありすがしあわせーと叫んでいる それを聞くと大粒の涙がぽろぽろとおめめから流れ落ちてきた 「ゆぐっ・・・・・・ゆぐううううう! どぼじでええええええ・・・ おにいざあああああんんんんん・・・・・」 れいむは怒られた理由が全く分からなかった 普段のように言われたことを守り、きちんとルールを守って生活していた なのに、突然あんよをぺんぺんされ外に放り投げられたのだ 怒られた理由が分からないままのれいむはただただ悲しくて仕方なかった 2 「おにいざん!? はなじをぎいでね!? でいぶをむじじないでね!?」 固く閉ざされたドアに何度も身体を叩きつけて懇願するれいむ 帰って来たお兄さんと話そうとしたが完全に無視されてしまったのだ れいむがどんなに呼びかけても、聞こえてくるのはテレビさんの音ばかり 「どぼじでっ・・・ どぼじでなんにぼいっでぐれないの!? でいぶはずっどいいごにじでだよ!? どぼじで・・・どぼじでえええええええええ!!!」 「・・・るっせえっつってんだろ!!!」 「ゆぎゃん!」 突然開いたドアが顔面に衝突して吹っ飛ぶれいむ 顔は真っ赤になり歯が何本か折れたが、それでもお兄さんが出てきてくれたことがうれしくて笑顔になる 「おにいさんきいてね! れいむはがんばったんだよ! とってもつらかったけどあきらめなかったんだよ!」 「だから、なに?」 「ゆっ・・・ こ、これからももっともっとがんばっておにいさんをゆっくりさせるよ!」 「で? 反省はどうした?」 「・・・ゆぅ? はん・・・せい・・・?」 れいむはぽかんと口を開けたまま固まってしまった 怒られた理由を思い出すことをすっかり忘れていたのだ 「その様子じゃ反省してないみたいだな。 じゃ、そゆことで・・・」 「まっ! まっでね!? でいぶはんぜいじでいいごにじでだよ!?」 「へぇ、じゃあ何をどう反省したか言ってみろよ」 「ゆぅ・・・ それは・・・」 「やっぱり反省してねーじゃねーか。 口だけの反省ならそこらへんのゲスでもできるわ」 「で、でもぉ・・・でもぉ・・・」 「また『でも』か。 まぁいい、それより飯は食ったのか?」 「ゆん!? ごはんさん!? ごはんさんくれるの!?」 ご飯という単語にもみあげを即座に反応させてピコピコ動かすれいむ 目がキラキラと輝いて、涎がたらりと滴り落ちる 「まだやるとはいってねえよ。 そこに草沢山はえてるだろ?」 「ゆん? ・・・くささんはゆっくりできないよ」 「話は最後まで聞け。 そこに生えてる草を全部食べたら飯食わしてやるよ」 「ほ、ほんとにいいいい!? うそじゃない!?」 「本当だ、まぁせいぜい頑張れや」 「ゆわぁい! れいむ、がんばってむーしゃむしゃするよ!」 お兄さんはそう言ってドアを閉めた 「さっそくむーしゃむしゃするよ! くささんはゆっくりれいむにたべられてね!」 草に向かってそう宣言したれいむはおくちを大きく開けて草にかじりついた お口の中いっぱいに広がる青臭い臭いと、じわじわとにじみ出る苦い草 ゆっくりできない臭いと味を我慢して無理やり口の中へと押し込んで行く 「むうううううじゃあああああむうううううじゃあああああああ・・・・・じばばぜえええええええええええええ!!!」 しあわぜーは本当のしあわせーではなく、無理やりひねり出した言葉だった そうでもしないと、ゆっくりできなさすぎて餡子がおかしくなりそうだった 「げええええええっぷ! ゆぅ・・・まだまだたくさんあるよ。 でも、れいむあきらめないよ!」 草を全部飲み込むと、また次の草を引っこ抜いて口の中へと押し込む ようやくお腹がいっぱいになり、次第に眠くなっていくれいむ しかし、ゆっくりできるべっともふかふかもどこを探しても見当たらない 仕方ないので引っこ抜いた草をしいて、縁の下で眠ることにする 「ゆぅぅぅ・・・ はやくおうちのなかでゆっくりすーやすやしたいよぅ・・・」 冷たい地面に敷いた青臭い草の上へ倒れこむように横になるれいむ 口の中には草の苦い味がまだ残っている 「どぼじでおにいさんはあんなにぷんぷんしてるの? れいむはいったいなにをしたの? わからないよ・・・ おにいさんおしえてよ・・・れいむはいったいなんてあやまったらいいの?」 どんなに考えても、れいむは反省すべき理由がわからない 疲れ切ったれいむは考えがまとまらない内に眠ってしまった れいむは夢の中でべーこんごはんさんをおなかいっぱいむーしゃむしゃした 夢の中でお兄さんはいつものお兄さんに戻って、れいむを優しく介抱してくれる お兄さんはれいむにしていたことを謝って、れいむのことを許してくれた (ゆふふふふ・・・ れいむはおこってたけどゆるしてあげるよ・・・ またいっしょにたっくさーんゆっくりしようね・・・・・) そんな幸せな夢は、突然中断された もみあげを引っ張られて無理やり縁の下から引きづり出されたのだ 「ゆ・・・! ゆゆゆゆううううう!? おにいざん!? でいぶになにずるの?!」 混乱したれいむは身体をぐねぐねとうねらせて必死に抵抗した 外はまだ暗く、おひさまは顔を出していない 「まぁ落ち着け。 おまえにプレゼントしてやろうとおもってな」 「ゆぅ!? プレゼントさん!?」 「そうだ、今さっきジョギングしてたらゆっくりが因縁つけてきたんだよ んで、フルボッコにしてぶっ潰してやったんだわ。 それがこいつ等な」 お兄さんはそう言うと、ビニール袋から二体のゆっくりの死体を取り出してれいむの前へ放り投げた 恐らく番であろうまりさ種とれいむ種が一体ずつ 大きく目を見開いて、口をだらしなく広げたまま絶命している 「ゆげええええええええええええ!? なにごでええええええええええええ?!」 「だからプレゼントだって。 これ中身は餡子でできてるんだからお前食えるだろ? お前の為に持って来てやったんだから遠慮しないで食べていいんだぞ」 「ごんなのだべれるわげないでしょおおおおおおおおおおおおお!? ばがなのじぬのおおおおおおお!?」 「はぁ!? 食えないわけねーだろが! それ食い終わるまでここでみてやるから早く食え。 残さず食え」 「だがらむりだっでいっでるでしょ!? れいむのはなじをぎいでね!?」 「食わなかったらもう許してやらねーぞ。 それでもいいのか?」 「ゆぅ!? なんでそうなるの!?」 「反省してるならくえるよなぁ? なぁ? 反省する気ねえのか、こら」 「・・・はん・・・せい」 反省という言葉を出されたとたん黙ってしまうれいむ まるで魔法をかけられたように従順になってしまう 「早くしろ。 じゃねーともう許してやんねーぞ」 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 一撃で踏みぬかれたのか、脳天を潰されてぺしゃんこになった二つの骸 目玉が飛び出て餡子がはみ出だして表情が読み取れないほど激しく損壊している はみ出たその餡子を恐る恐る口に含み、飲み下す 口の中には甘いゆっくりした味が広がってゆく しかし、れいむはまったくゆっくりできない 想像してみてほしい どんなにおいしそうに調理されていたとしても それが人間の肉だと知っていてあなたはそれを食べることができるだろうか 「全部残さずたべろよ。 できるだけ早くな」 お兄さんの声がこんなに恐く感じたのは初めてだった 3 「ゆ、ゆべえ・・・ ゆぎゅううう・・・ ごっくん!」 時刻は昼の十二時をまわり、れいむはようやくゲス番の死体を完食することができた 口の周りにべっとりと餡子をつけたれいむ その顔は大量のカロリーを摂取しているにもかかわらずげっそりとやつれている 「なんで・・・ でいぶが・・・ ごんなべに・・・・」 死臭が体中に染みつき、一秒たりともゆっくりできない お兄さんが打った精神強化剤が無ければとっくに餡子を吐いて永遠にゆっくりしてしまっていただろう 「よし、全部食べたな。 偉いぞ、れいむ」 「ゆぅ!? おにいさん!? れいむをゆるしてくれるの!?」 食べ終わるまでずっとそばにいたお兄さんが漸く口を開いた れいむは期待に腹を膨らませ、もみあげをピコピコさせてお兄さんにすり寄る しかしその淡い期待は一瞬で打ち砕かれた 「はぁ!? 偉いとは褒めたが許してやるとは一言も言ってねーけども」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!? でいぶごんなにがんばっだんだよ!?」 「まぁ、頑張り次第では許してやらんこともねーけどよ。 まだまだ頑張りが足りないってこった」 「これいじょうなにをがんばればいいのおおお!? でいぶはもうげんっがい!なんだよおおおおおお!」 「それだけ喚ければ大丈夫だ、問題ない。 れいむ、お前に新しい課題をくれてやろう」 「あたらしいかだいさん!? まだなにかしなくじゃいげないのおおおおおお!?」 「なに、難しいことじゃねーよ。 家の壁を全部なめなめして綺麗にしろ それができたらお前を許してやる」 「・・・なめなめってぺーろぺろのこと?」 「そうだ、この家の壁の汚れをすべてぺーろぺろして綺麗にするんだ」 「ぞんだごぼでぎるばずないでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「それと引き続き庭の雑草毟りもやれよ。 ある程度綺麗になったらまた飯食わしてやるから」 れいむは途方もない課題に茫然自失になった このれいむにとってあまりに巨大なお家をぺーろぺろで綺麗にしなくてはならないのだ それに草も食べ続けなければならない 「誠意をみせろよ、れいむ」 そう言ってお家の中に入って言ってしまうお兄さん 今日はお兄さんの仕事が休みの日で、本来ならお兄さんと沢山遊んで好きなだけゆっくりできる筈だった それがどうだろう いまのれいむには、ゆっくりのゆのじもない 「ゆぅ・・・ とりあえずくささんをむーしゃむしゃするよ・・・」 それでもれいむはあきらめなかった 与えられた課題を一つ一つクリアすれば、れいむは許されてまたゆっくりした毎日が戻ってくる そんな一筋の希望にすがる様に、れいむは草をむーしゃむしゃしていった それから数日後 れいむは草をある程度食べ終えると壁の清掃へと取りかかった 白く塗られた壁は薄らと塵が被っており、れいむが舌で舐めるとそこだけぴかぴかになった 草と違って極端ににがにがな味がするわけではないが、ゆっくりできる味など当然するはずがない 「ゆっくりぺーろぺろするよ・・・ ぺーろぺろ・・・・・」 少しずつ壁の汚れをなめとっていくれいむ ふと、べーこんごはんさんを食べた後のお皿をぺーろぺろした時のことを思い出した ぺーろぺろする時はいつも幸せだったのに、今しているぺーろぺろはただただ虚しい 「みゃみゃ! みちぇみちぇ! あのれいみゅかべしゃんをぺーりょぺりょしてりゅわ!」 「しっ! みちゃだめよ! あのれいむはちょっとあんこがふじゆうなのよ、かわいそうなのよ」 「どうしちぇ? いにゃかもにょなにょ?」 「そんなこといったらとかいはになれないわよ! さ、もういきましょ。 かえったら、ままがぺーろぺろしてきれいにしてあげるわ」 「ゆん! みゃみゃのぺーろぺろはとっちぇもゆっくちできりゅわぁ!」 野良のありすの親子が通りかかって話しているのが聞こえた れいむは清掃をやめて、その親子をじっと見つめていた れいむは生まれてすぐに親から引き離され、金バッチをつけた他ゆんのありすやれいむに育てられた 育ての親の言うことを素直に聞いていたのでゆっくりショップの人間さんはやさしくしてくれた だから、れいむは人間さんの言うことをきちんと守ればゆっくりできると信じている 野良が庭にやってきても無視してやりすごしたし、一緒に遊ぶようなことはなかった 野良は自分勝手でルールをわきまえないとてもゆっくりしていないもの そういう認識を加工所で刷り込まれたれいむにとって野良とはそういう存在だった だが、ありすの親子はとってもゆっくりしていた その理由をれいむは理解できない 「ゆぅ? もしかしてのらはゆっくりできるの? みんなはれいむにうそをついてたの?」 子ゆっくりのころに去勢されたれいむはぼせい(笑)の形成に至らなかった ぼせい(笑)が存在しないため、おちびちゃんはゆっくりできるという感覚も存在しない そのため、ありすの親子がゆっくりしていたのは、親子が一緒だからではなく野良だからという認識にすり替わる 加工所やショップで言われ続けていた野良はゆっくりできない存在という認識が揺らぎ始めた 極度のストレスと疲労が伴ってれいむの判断能力は劣化していたこともあり、疑念が頭をもたげる 「こんなことなられいむものらになりたいよ。 のらがあんなにゆっくりできるなんてれいむしらなかったよ・・・」 あんよがずーりずりと外の世界へと向かって無意識に動いていく 門を出ればすぐに外の世界へと出て行けるのだ 後少し、もう少しでゆっくりできる・・・ 「なにかんがえてるんだろうね・・・ れいむはおにいさんにせいいさんをみせてゆっくりするんだよ・・・」 お兄さんの存在を思い出して足を止めるれいむ もしここで外の世界に出て行ってしまったら、お兄さんはもう二度と許してくれないだろう もう一度・・・もう一度お兄さんとゆっくりするんだ! れいむは確固たる決意の元、与えられた課題へと取りかかった 「お~頑張ってるじゃねーか。 正直ここまでやるとは思わなかったぞ」 「ゆん! おにいさんじゃましないでね! れいむはがんばってるんだよ! がんばってせいいさんをみせておうちにいれてもらうんだよ!」 「そーかそーかいい心がけだな。 そんなれいむにプレゼントをもってきてやったぞぉ」 「・・・ぷれ・・・ぜんと・・・さん?」 プレゼントという単語に凍りついてしまうれいむ お兄さんが抱えている、がさごそと動く段ボールに視線が釘づけになる 「お、その様子だとプレゼントがなんなのか大体察しがついてるようだな じゃあ早速御開帳といこうか。 今日のプレゼントは元気なおちびちゃんでーす!」 お兄さんはそう言って段ボールをひっくり返して中身をぶちまけた れいむ種とまりさ種が五匹ずつ計十匹の赤ゆっくり達が地面にぼとぼとと落ちてくる 「おとおしゃあああん!? おきゃあしゃああああん!?」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいい! いちゃいよおおおおおおおおおおお!」 「まりしゃのおぼうちかえちちぇえええええええ! ゆんやああああああああああ!」 「どびょじじぇごんにゃごじょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆぅ・・・ いたいのはいやなんだじぇ・・・ こわいんだじぇ・・・」 「もうやじゃあああああ! れいみゅなんにもわるいこちょしちぇないのにいいいいい!」 「かわいいれいみゅがなんでこんにゃめに・・・・」 「おきゃあしゃん・・・・ おとうしゃん・・・・・」 「ゆっ・・・ゆっ・・・」 「ゆんやあああああああああ! ゆんやあああああああああああ!」 「おちびちゃんたち!? ゆっくりしていってね!? ゆっくりゆっくり!」 突然外に放り出された赤ゆっくり達は一斉に泣き出した 中には瀕死の者もおり、れいむはどうしていいか判らず狼狽する そんな光景を見てにっこりとほほ笑むお兄さん 「それ、食え」 「・・・・・ゆ ・・・・・お兄さん? いまなんて?」 「食え。 残さず全部食え」 「これ、ゆっくりだよね? おちびちゃんだよね?」 「だからなんだ。 食え」 「で、できないよ・・・ おちびちゃんなんかむーしゃむしゃしたら・・・」 「できぬともうすか。 いま、できぬともうしたか」 「ゆぅ?」 「食わないならお前はもう許さない。 お前はそこで乾いていけ」 「そ、そんな・・・」 「どうした、はやくしろ」 「ゆう・・・・ れいむは・・・」 泣き叫ぶおちびちゃん達 じっとれいむを見つめるお兄さん ゆっくりの中での最大の禁忌である同族食い そしてもう一つの禁忌、おちびちゃん殺し れいむはその片方を既に犯している もう片方も犯せば、れいむは立派なゲスゆっくりになってしまう 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 れいむの中で、理性よりもお兄さんへの恐怖が勝った 「おちびちゃんはれいむにゆっくりたべられてね。 はーみゅはみゅ」 「ゆぴぃ!? ゆんやああああああああああ! はなしちぇええええええええ!」 れいむは一匹の赤まりさを咥える 咥えられた赤まりさはぶりんぶりんとあんよを左右に振って抵抗している なかなか踏ん切りがつかないのか咥えたまま動かないれいむ そんなれいむにお兄さんはあるものを注射器で注入した 「ゆひぃ!? ほひひはん?へいふひはひひはほ? ・・・はんはははははははふふはっへひはほ?」 注射器のラベルには『コンポストゆっくり用食欲増進剤 精神強化成分配合』と書かれている れいむは頭がぼーっとして身体が熱くなっていくのを感じると同時に今まで感じたことのない空腹感を感じた まるで三日三晩食事を取らなかったような飢え めがぐーるぐるして、舌がピクピクとひきつる 「はなしちぇええええええええ! まりしゃまじゃしにちゃく『ぐちゃ!』・・・!」 咥えていた赤まりさを噛み潰したれいむ その光景を見て、他の赤ゆっくり達は一斉に逃げ出した 「なんだかとってもおなかがすいたよ! れいむはたっくさんむーしゃむしゃするよ!」 「こっちにくりゅなあああああああ! このげすうううううううううううう!」 一匹の赤れいむに狙いをつけて飛び跳ねるれいむ すばやく回り込んで赤れいむをもみあげでつまみあげる 「はなしちぇえええええええええ! れいみゅをたべにゃ『げちょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 光悦の表情を浮かべるれいむ 眼下で息を切らしてお腹に体当たりをくり返す赤まりさに気づく 「きょうぢゃいをこりょしちゃげしゅはまりしゃがせいっしゃい!しゅりゅのぜえええええ! ゆっくちしにゃいでしゃっしゃちょ・・・ゆわあああああああ! はなしちぇええええええ! ゆるしちぇええええ『げしょげしょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆわあ、あ、あ、あ、あ・・・・ みんにゃてべられちゃうのじぇ・・・」 「きょわいよおおお・・・ れいみゅもうしんじゃうにょかなぁ・・・」 「ゆうううう・・・ おきゃあしゃん・・・ おちょうしゃん・・・」 「どびょじぢぇ・・・ どびょじぢぇごんにゃめに・・・」 壁の隅にひと塊りになって震える赤まりさと三匹の赤れいむ れいむは大きく広げた口でそれらを被うと、口を閉じて一気に噛み砕いた 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆっ・・・ゆげえええええええ!」 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 「しあわせええええええええええええええ! しあわせええええええええええええええ!」 精神的に追い詰められて餡子を吐く赤まりさと既に瀕死になっていた赤れいむ それらを食べ終え、最後の一匹になった赤まりさににじり寄っていくれいむ 「ゆわぁあわわわ・・・・ まりしゃ・・・おいしくにゃいよ? たべちぇもおいちくにゃいよ? おねがいぢゃかりゃこっちにこにゃいでにぇ? まりしゃとゆっくちしてにぇ?」 「かわいいれいむはむーしゃむしゃするよ!」 「ゆんやあああああああああああ『ぷしゃああああああああ!』あああああああああああ!」 赤まりさの下腹部から、おそろしーしーが勢いよく噴出される がたがたと震える赤まりさを前に、れいむは笑顔で宣言した 「ゆっくりいただきます!」 「やめりょおおおおおおおお! しにちゃくにゃあ『ぎっちょん!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 全ての赤ゆっくりを完食し終えたれいむ そんなれいむにお兄さんはこう言った 「見ろよ、あのれいむゆっくりしてないだろ?」 「あんなにかわいいおちびちゃんをたべちゃうなんて・・・ このゆっくりごろし・・・」 「みゃみゃぁ・・・ ありしゅこわいわぁ・・・」 お兄さんの傍らには、先ほどのありすの親子がいた 4 「おにいさん! おにいさんにもらったぶろっくさんで ありすのおちびちゃんがとってもとかいはなこーでぃねいとをしたのよ!」 「みちぇみちぇ!おにいしゃん! ありしゅがんばっちゃわ!」 「すごいなぁ! ありすもありすのおちびちゃんもとっても都会はだな!」 お家の中からは楽しそうなお兄さんとありす親子の声 れいむはそれを聞くと惨めな気持ちになるので聞かないようにしていたが、嫌でも耳に入ってくる れいむが赤ゆっくりを食い殺したあの後、お兄さんはれいむではなくありすの親子を家に入れた お兄さんは新しくありす種が飼いたくなったのでつれてきたとのこと れいむにとってはあてつけにしか思えなかった 毎日のように聞こえるありす親子の生活音 それを聞くたびにいーらいらするれいむ れいむはただただ耐え続け、今日も壁を綺麗にする 「とってもとかいはならんちさんだわぁ! おにいさんゆっくりありがとう! ほら、とちびちゃんもおれいをいいなさい!」 「おにいしゃん! ゆっくちありがちょー!」 「いいんだぞー! いっぱいたべてゆっくり大きくなってね!」 れいむの大好きなべーこんごはんさんの臭いがする 臭いだけ嗅がされておなかが情けない音を立てた もうここ何日もまともなごはんを食べていないれいむにとっては拷問だ 「ゆうううぅぅぅぅ・・・ れいむのべーこんごはんさん・・・・」 空腹を紛らわすために、その辺に生えていた雑草を毟って口に入れるれいむ もう雑草の味には慣れたがちっともゆっくりできない 「みゃみゃ! ありしゅこーりょこりょすりゅからみちぇちぇにぇ! こーりょこりょ!」 「とってもとかいわなこーろころだわぁ! おにいさんもみてあげてぇ!」 「可愛いなぁありす! もっかいこーろころして見せてくれるか?」 「ゆっくちりかいしちゃわ! こーりょこりょ!」 楽しく遊ぶありす親子とおにいさん 前はれいむがお兄さんを一人占めして一緒に遊んでいた 「おにいしゃんしゅーりしゅりしちぇ! しゅーりしゅり!」 「だめよ、おちびちゃん! おにいさんはいまてれびさんをみてるのよ!」 「いや、かまわんぞ。 ほーらこっち来い、すーりすり」 「ゆわぁい! おにいしゃんのおちぇちぇとっちぇもあっちゃかいわぁ! ありしゅ、おにいしゃんのおちぇちぇだーいしゅき!」 お兄さんの手にすーりすりする赤ありす その手はれいむだけに優しくしてくれる温かい手だった 「ありしゅ、にゃんぢゃかにぇむいわぁ・・・」 「ちょっとおひるねにしましょうか・・・ おちびちゃんゆっくりおやすみなさい」 「ありしゅおにいしゃんとねむねむしちゃいわ・・・」 「ああ、いいぞ。 ありすもこっちに来いよ」 「ええ!? いいの!? おにいさんはほんっとう!にゆっくりしたにんげんさんね!」 「それほどでもあるよ。 さぁ、みんなでゆっくりお昼寝しようか」 「ゆぅ・・・ ありしゅ・・・ おおきくなっちゃらおにいしゃんのおよめしゃんになりゅ・・・ゆぴー」 お兄さんとお昼寝するのはれいむの特権の筈だった 今は別のゆっくりがおにいさんの手の中で眠っている 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ゆっくりしないでかべさんはきれいになってね! ぺーろぺろ!」 れいむは早くお兄さんを取り戻そうと躍起になった しかし、れいむの小さな舌では壁を綺麗にするのには時間がかかりすぎる まだ四分の一も終わっていないのだ 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ぺーろぺr・・・・ゆぐうううううううう!!! なんででいぶがごんなごぢじなぐじゃいげないのおおおおおおおおおおお!? おにいざんあんなにやざじがっだのにいいいいいいいいいいいいいいいい!!! なにがいげながっだの!? なにがわるがっだの!? でいぶはなにぼあやばればいいぼおおおおおおおおおおお?」 壁に額をつけて、ぽろぽろと零れ落ちる涙を見つめるれいむ 奪われてしまったしあわせ 終わらない課題 ゆっくりできない食事 変わってしまったお兄さん 何が問題で、何が悪かったのか れいむにはとうとう答えが分からなかった 永遠と続くと思われた絶望的な生活 だが、そんな日々は突如として終わりを告げる 「おにいしゃんはなしちぇええええええ! みゃみゃあああああああ! どぼしちぇたしゅけちぇくりぇにゃいにょおおおおおおおおおお!?」 「ごめんなばい! おでがいでぶがらおじびじゃんぼばなじでぐばばい!」 「うるせーよこの屑ども。 あんなに可愛がってやったのに恩をあだで返しやがって」 「どぼしちぇこんにゃこちょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおお!? ありしゅなんにもわりゅいこちょしちぇないにょにいいいいいいいいいいい!!!」 「だべえええええええええええええ! ぞんなごどいっじゃだべええええええええ!! おでがいだがらおにいざんにあやばっでええええええええええええええええええ!!」 「はー・・・ どうしようもねえクソ餓鬼だな お前死刑確定だから。 ゆっくり苦しんで死んでいってね」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいい!!! もうやじゃ! おうちかえりゅううううううううううううううう!」 お兄さんにつかまれている赤ありすと、顔をぐしゃぐしゃにして謝り続ける親ありす そんな二匹をお兄さんは汚物でも見るかのように見ていた れいむが外から家の中を覗くとカーペットの上にシミができている どうやら赤ありすが粗相をしてしまったようだ 「おい、れいむ! いるか?でてこい!」 「ゆぅ、れいむはここだよ。 おにいさん」 庭に出てれいむを呼ぶおにいさん れいむは一目散にお兄さんのところへ跳ね寄っていく 「これ、食え」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 「おにいざああああああああああああああん! やべべええええええええええええええ!!!」 さも当然とでも言うかのように言い放ったお兄さん 赤ありすはこのお家に来た日に、れいむがおちびちゃんを食い殺しているのを見ていたので必死に抵抗する 親ありすの方は、泣きながら懇願しつづけていた 「おでがいでずがらおちびじゃんぼごろざないでぐだざいいいいいいいいいいいい!!!」 「言ったよなぁありす。 こいつがトイレで失敗しないようにちゃんと面倒見ろって」 「ありずはじゃんどおじえだわ! でぼじょっどめをはなじだずぎにいいいいいいいいいいいい!」 「阿呆が。 今回だけじゃねーだろーが。 こいつが何回失敗したか覚えてるか?」 「ええっと・・・ いち、にい、たくさん・・・ だぐざんでずうううううううううううう!!!」 「だろぉ? トイレの場所も覚えられないゴミ屑は死んだ方がいいよね! ゆっくりりかいしてね!」 「ぞんだあああああああああああ!!! もういっがいだげじゃんずぼぐばばいいいいいいいい!」 「嫌だよ、何度もチャンスやったのにそれを不意にしたお前が悪い」 「どぼじでえええええええええええええええええええええ!!!」 「ゆんやああああああああああああああ! みゃみゃあああああああああああああああ!」 れいむは呆れた トイレの場所も覚えられないなんて、なんてバカなんだろう れいむが同じくらいの大きさだったころはトイレの場所はおろか数や文字まで覚えさせられていた その程度もできないのにれいむのお家で暮らし、お兄さんを一人いじめしていたなんて・・・ 「おにいさん! はやくそのくずをちょうだいね! れいむはおなかがすいてるんだよ!」 「お、れいむはほんとにいい子だな~! 流石は加工所産だけあるな」 「なにいってりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなああああああああ!」 れいむは子ありすを直ぐにむーしゃむしゃできるように身構えていた 憎きありす親子に自ら制裁をくわえることができるのだ 楽しくないはずがない 「いくぞ~! ほ~れ!」 「ゆぴいいいい! おしょらをとんじぇるみちゃいいいいいいいいいい!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなあああああああ!」 放り投げられた子ありす、踏みつけられて身動きとれない親ありす れいむは落下予測地点に先回りして口を大きく開けた その中に子ありすがすぽりと入り、れいむは思いっきり口を閉じた 「ゆんやああああああ! ありしゅまだしにt『びちぃぐちゃ!』・・・!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 子ありすが絶命しても執拗に噛み砕くれいむ まるで今までため込んできた不満を全てぶつけるかのように・・・ 「しあわせえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「あでぃずのおじびじゃんがあああああああああああああああああああああああ!!!!」 久々に心の底からゆっくりを感じたれいむ 絶望の真っ只中に叩きこまれたありす お兄さんはそんな二匹をみて満足そうにほほ笑むとお家の中に入って行った 5 「はやくしてね! れいむはおこってるんだよ!」 怒りの声を上げるれいむ 口には錆びた錆びた釘を咥えている 庭にはれいむのほかにありす、まりさ、ぱちゅりー、ちぇんがいる れいむ以外のゆっくりは総出で家の壁をなめて綺麗にしている 「ごべんなべい! あやばりばずがらゆるじでぐださい!」 「もうへとへとなんだぜええええ! おねがいだからゆっくりさせてほしいのぜええええ!」 「むきゅ・・・エレエレエレ。 もっど・・ゆっぐじ・・・」 「わぎゃらないよおおおおおお! ぱちゅりーしっかりしてねええええええ?!」 ぱちゅりーが中身のクリームを吐きだして、心配そうに駆け寄る一同 れいむはそんなゆっくり達に満面の笑みを浮かべて言い放った 「ぱちゅりーはきょうのごはんさんだよ! れいむがむーしゃむしゃするからね!」 「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 驚愕するゆっくり達を放っておいて、れいむはぱちゅりー近寄ってほっぺをガブリと食いちぎる 「むーしゃむーしゃ・・・・しあわせええええええええええええええ!」 ぱちゅりーを食べたれいむはとてもゆっくりした表情を浮かべた 他のゆっくりは寄り添ってがたがたと震え、恐ろしーしーを漏らす 「なにしてるの!? さっさとかべさんをぺーろぺろしてね! きょうののるまさんをたっせい!するまですーやすやもきんしだからね!」 れいむは咥えた釘を振りかざし、生き残ったゆっくりを仕事へと駆り立てた あれからお兄さんは野良を拾って来て、その野良に何か不都合なことがあるとお庭に放り出した 外に出されたゆっくり達は庭に住んでいるれいむに番や姉妹を食われ、以後奴隷としてれいむの課題を手伝わされている 「よぉ、れいむ。 今日も精が出るな」 「ゆゆ? おにいさん? あたりまえだよ! れいむはがんばってるんだよ!」 「そーかそーか。 で、結局怒られた理由は分かったのか?」 「ゆぅ? りゆうさん? なにそれおいしいの?」 「ふっ・・・そんなもんか。 まあいい、今日でお前のことをゆるしてやるよ」 「ゆーん!? ほんとうなの!? れいむ、もうがんばらなくてもいいの!?」 「ああ、もう頑張らなくていいんだぞ そうなるとそいつらはもういらないよな。 全部食って処分しとけよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「「「どぼじでぞうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 涙を流して嘆く野良達はれいむがにじり寄ると直ぐに身構え戦闘態勢に入った 沢山の野良を食らい体調良好なれいむ 僅かな食事しか与えられず貧弱な身体を酷使してきた野良 結果は比を見るより明らかだ 「いぢゃいいいいいいいい! までぃざにひど『ぶすり』ゆぎゃあああああああああああ!」 両目を刺された後まむまむに釘を突っ込まれたまりさ 「わぎゃらないよおおおお! どぼじでごんな『むしゃり』・・・!」 顔面を容赦なく噛みちぎられて断末魔も上げられず絶命するちぇん 「のろってやるううううう! ごのいながぼの『へしゃり』ごべええええええええええええ!」 身体を抑えつけられて不自然な方向へと無理やりへし折られたありす 「れいむのすーぱーむーしゃむしゃたいむはっじまっるよー☆」 物言わぬ饅頭になった四体の野良に、れいむはドヤ顔で言った 苦労の末に獲得したしあわせーな食事 れいむは夢中でむしゃぶりつき、作業着の人間さんがお兄さんのお家を尋ねてきたことに気づかない 「あ、どーもー! お待たせして申し訳ありませ~ん」 「別にいいんですよ。 あれを引き取ってもらえればいいだけなんで」 「はぁーい。 ではさっそく・・・ うわ!これはひどい・・・」 「もう手がつけられなくてどうしようもないんですよ・・・」 明るい声で挨拶をした作業着の人間さんは、れいむを見て絶句した おいしそうに同族を食べるれいむ 口の周りは餡子やカスタードでべたべた ゆっくりが饅頭とは言え見ていてあまり気持ちの良い物ではない 「ええっと・・・ じゃあ、連れて行きますね・・・」 「はい、助かります。 支払いはクレジットでも大丈夫ですか」 「あっ・・・ はい、大丈夫ですよ。 ちょっと待っててください」 「ゆーん! がんばったれいむへのごほうびさんだよ! むーしゃむーしゃ!」 「おい、れいむ!」 作業着のお兄さんが支払い用の端末を取りに行くとお兄さんはれいむを呼んだ れいむは食事を中断され不機嫌そうに膨れるが、お兄さんに呼ばれたので直ぐに笑顔になってすり寄っていく 「おにいさん! れいむがんばったよ!」 「ああ、頑張ったなれいむ。 そんなことより、れいむ。 今日でお前とはお別れだ」 「ゆーん! おうちにいれ・・・ゆぅ? おわ・・・かれ・・・?」 れいむはお兄さんの言っていることが理解できない お別れという言葉に思考がフリーズする 「そうだ、お前は加工所に連れて行って処分してもらう」 「しょ・・・ぶん・・・?」 「永遠にゆっくりさせるってことだ」 「ゆううううううううううううううう?! なんでえええええええええ!?」 「さあ、なんでだろうな。 そんなことよりれいむ、怒られた理由は分かったか?」 「ゆぅ!? ぞんなのわがらないよ!? でもでいぶがんばっだんだよ!? ぜいいざんをみぜでばんぜいじだんだよ!?」 「だろうな、お前は怒られた理由も分からないで俺に謝罪して反省したわけだ」 「ぞうでず!!! でいぶはおごられだりゆうばわがりばぜん! でぼいっじょうげんべいばんぜいじばじだ! あやばりばじだ! だがらでいぶを『・・・だよ』・・・ゆ?」 「もともと理由なんてなかったんだよ。 お前は俺のと言った通りずっといい子にしてた 勝手にむーしゃむしゃすることも、野良っとすっきりして子供を作ることもしなかった お前はゆっくりにしては聞き分けのいいやつだったよ」 「・・・じゃあ、どぼじで?」 「だから理由なんてないっていっただろ。 まぁ、早い話飽きたんだわ」 「・・・あきたさん?」 「そうだ、だからお前を家の中から閉め出した だけどお前は自分が何か悪いことをして追い出されたと勘違いした。 ただそれだけなんだわ」 「どぼじで・・・? どぼじでなのおおおおおおおおおおお!? でいぶがいいごにじでだらあんばにぼめでぐべばぼびいいいいいいいいいいい!!!」 「この数日間、理由も解らないで必死に反省してるお前を見てて十分楽しめたよ まぁ、お前の言葉を借りて言うならゆっくりできたってとこだな」 「じゃあ! じゃあ!!! でいぶをもういじどがっで『それはできない』どぼじでえええええ?!」 「言ったろ、飽きたって。 もうお前がどうなろうが知ったこっちゃない」 「ゆうううううううううううううううううううううう!!!! なまいぎなぐじをぎいでごべんばばい! ばんぜいじでばぶごべんばばい!!!」 「必死だな、おぃ」 泣いて額を地べたにこすりつけるれいむをニヤニヤと見下ろすお兄さん 「おまたせしました~」 作業着の人間さんが戻ってくるとお兄さんはニヤついた顔をキリっと引き締めた 支払いが済むと作業着の人間さんは透明な箱にれいむを入れた 加工所特性のゆっくり専用防音ケースである 「お゛に゛い゛ざあああああああああああああ『パタン』・・・・」 「じゃあ、お願いしますね」 「はい、でも本当にいいんですか? 銀バッチでとっても懐いてるみたいですけど」 「昔はいい子だったんですよ、でも今は・・・」 そう言って庭に目をやるお兄さん 庭にはれいむが食い散らかした野良の死体が散乱している 「・・・確かにこうなったら手放したくなるのも無理はないですよね」 「すみません、情が湧くといけないので・・・」 「あ、はい。 では、またご利用になる時はよろしくお願いします」 「はい。 ありがとうございました」 「いえいえ。 こちらこそ・・・では」 挨拶を終え、乗って来た軽トラックの荷台にれいむを放り込んで出発する作業着の人間さん お兄さんは無言でそれを見送った 「ばんぜいじでばずごべんばばい! でいぶばわるいごでじば! げずばゆっぐぢでじだ! あやばりばずがらゆるじでぐばばい!! おべがいじばず! だのみばず! ごでがらばごごぼをいべがべでいいごにじばず! だがらッ! だがらああああああ!!!!」 れいむは透明な箱の中で、誰に聞かれることもない謝罪を繰り返していた 終 あとがき 前回『anko2410さくのなかとそと』を投稿させていただいた者です どうやら沢山の方に読んでいただけたようで、大変ありがたいことです にとりあきさんには素敵な挿絵を書いていただき、本当にありがとうございます 皆さまにこの場を借りてお礼を申し上げさせていただきます 今回の作品はいかがでしたでしょうか 感想がございましたら感想板に書き込んでいただけると大変助かります 次回の作品の参考にさせていただきたいと考えているので 遠慮なく思ったことを書いて頂ければ幸いです では
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軍希望者の方 コメントしてねコテハンをかいてください 希望します。 -- 刹那 (2010-01-04 17 48 27) よろしくね^^ -- 創世記 (2010-01-04 17 48 59) よろしくです^^ -- カプコン (2010-01-04 17 49 31) うん -- たいつぉん (2010-01-04 17 50 19) 軍とか興味ない -- 赤ずきん (2010-01-04 17 50 58) やあ。暇だからな -- バイト喧嘩師 (2010-01-04 17 57 31) 暇だから希望しま○こ!!! -- ナマジ (2010-01-04 17 58 37) -- ファントム (2010-01-04 19 20 06) よろしくっす -- ベル坊 (2010-01-05 12 26 34) えーっと、よろしく。 -- 罵倒師カウンセラー (2010-01-06 13 22 05) 精一杯がんばりますのでよろしくお願いしまっす。(。・A・´∩ -- エルフェン (2010-01-06 15 56 38) あんまり知名度は高くないですが喧嘩には自信あります。改造ならだいたいできます。んまぁよろしく -- ガロ (2010-01-06 18 02 31) ほぼ毎日きますよろしくっ! ゆうや -- ゆうや (2010-01-06 22 43 47) どうも平和の使者です。これからよろしくお願いします。 -- 平和の使者 (2010-01-08 18 38 22) コテハンです -- コフィ (2010-01-08 18 38 48) がんばればいいんだ、、、そして雑魚を一掃 -- 輪廻を巡りし者 (2010-01-09 19 46 10) 希望です -- 真理@崩壊 (2010-01-09 19 54 23) ちびちゃと連合軍・・・入軍求む -- 幻雷斬 (2010-01-09 21 16 23) @ -- GLeGLe (2010-01-16 09 38 35) 希望します -- ガゼル (2010-01-16 17 06 00) よろしくお願いします!!! -- 南無阿弥陀仏 (2010-01-16 18 17 36) 何度もすみません!攻撃部隊に入りたいです!! -- 南無阿弥陀仏 (2010-01-16 18 22 12) 戦闘部員に入らせてください!!! -- 南無阿弥陀仏 (2010-01-17 13 26 20) 中層喧嘩師です。登録入会します、よろしく。 -- 林 (2010-01-17 16 57 04) うわーすげえ人数だなぁ -- 左近 (2010-01-19 11 45 17) あいてる所でもいいから入団希望 -- 喧嘩師賢者 (2010-01-19 12 01 30) 希望します! -- GReeeeN (2010-02-02 20 36 35) どこでもいいから入れさせて!!! -- レミリアスカーレット (2011-02-11 21 18 54) おねがいします、いれさせてください、俺は特攻隊長にはいりたいです -- 怪力男 覚醒モード (2012-04-29 12 30 37) あんまり、きょーみ ない。。。 -- ペペ (2013-04-18 19 28 27) ていうか。この軍隊、なにすんの?? -- ペペ (2013-04-18 19 31 00) 希望人数、多い!!! -- ペペ (2013-04-18 19 33 29) 初心者です 宜しくお願いします -- 名無しさん (2013-07-06 18 35 03) 名前 コメント
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前 さっそく、まりさは自分の巣にれいむを案内した。 まりさの巣は、長老クラスに次いで群れの中で一番大きかった。 群れへの貢献から、まりさは立地条件の良い巣を譲ってもらい、それを拡張したのだ。 きっとれいむも満足してくれる……にんまりとまりさはほくそえんだ。 「ゆふ~ん、だーりんのとことくらべるとせまいけどまぁまぁだよ。ゆっくりしてあげてもいいよ。」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 凄いゆっくりプレイスを作れるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 「じゃあまりさはかりにいくから、れいむはゆっくりしていくんだぜ」 「ゆっくりがんばってね。」 まりさはれいむに親愛のすりすりをしてもらうと、元気に出ていった。夫婦としてのすりすり ではないことがまりさには悲しかったが、離婚したばかりなのだ。時間が経てばまりさにもきっと 愛情のすりすりをしてくれるはずだ。 ムカデ、ダンゴムシ、イモムシ、桜の葉、クローバー、大きな蛾。 頬に一杯食べ物を詰めてまりさはれいむの待つ巣に帰ってくる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「むーしゃ、むーしゃ、それなりー。だーりんのとことくらべるとまずいけどまぁまぁだよ。 ありがとうね、まりさ!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。といって、特に文句を言うわけでもない。 あの人間と比べられるのは癪だけど、仕方がない。どう頑張ったところで、自分より強い人間より 美味しい食べ物を採ってこれるわけがないのだ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。そのうちあのにんげんさんのことをわすれて まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 食事の時間が終わり、まったりとした空気が流れる。 まりさはれいむの頬にこすりつけ、だんだんとスピードをあげていく。 いつの間にか体もぶるぶる小刻みに震る。目つきがとろんとしてくる。 つい、劣情に駆られてしまうのを止めるのも野暮なものだろう。 特に今日はあの美れいむをようやくつがいとして向かえた後である。たまりにたまっているのだ。 当然、交尾の時間となる。 「ゆっゆっゆっ……」 ねちゃねちゃとした、粘っこいものが糸を引きそうな音を出してこすり合わせる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「…………」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「…………」 二匹のほお擦りは加速していく。だが、興奮するまりさを尻目に、れいむはどこか冷めていた。 「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」 「すっきりー!!!」 「すっきりー」 二匹の交尾は終わった。 「ゆゆっ、まりさはそーろーだね。だーりんのとくらべるとへたくそだけど、しょうがないよね。」 「ゆあああああああ!!!どうじでぇぞんだごどいぶの~~!!」 どうやら、れいむはお気に召さなかったらしい。しかも、ボロクソに文句を言っている。 あの人間と比べられるのは癪だけど、意味が分からない。どう頑張ったところで、ゆっくりである自分より人間 がれいむをすっきりさせられるわけがないのだ。 だいじょうぶ、れいむはまだきたばっかりなんだぜ。いまはすっきりーできないけど、おちびちゃんができるのは まりさだけだから、まりさとだけゆっくりするにきまってるんだぜ。 そう、無理やり自分に言い聞かせることでまりさは気持ちを抑えていた。 そう思わなければ、まりさを支えるプライドが持たないのだ。 まりさの名誉のために言えば、人間と比べることが間違いなのだ。 そもそも、ただでさえ惰弱なゆっくりが交尾のときは完全な無防備になる。 野生の生物は交尾は早ければ早いほど良いのだ。 気持ちよさなど二の次、とにかく受精したら即警戒態勢に入る必要がある。 ゆっくりも、ご多分に漏れずそのパターンだった。 対して、男がれいむをすっきりーさせていた場合、天敵はいないためいくらでも時間をかけることができる。 手も足も道具もある人間のほうが、ゆっくりよりバリエーションも多いのは当然のことだ。 しかも、悲しいことに人間の足ですっきりーしまくったれいむと違って、まりさは初めてだった。 れいむを思うあまり、ほかのゆっくりに見向きもしなかった結果がこれである。 それでも、何とかれいむを妊娠させることが出来た。 胎児型の出産になるので、2週間後には元気な子供が生まれるだろう。 れいむが来てからの数日、まりさは全然ゆっくり出来なかった。 まりさがどんなに努力しても、れいむはそれなりにしか喜んでくれない。 いや、それはいい。愛するれいむのためなら、どんなに苦労しても、喜んでくれるまで頑張れる。 ただ、常に人間と比べられるのは我慢ならない。どうやっても勝てないと分かっているだけに、まりさ としても嫉妬しようがない。やり場のない怒りを覚えるだけである。 それでも、子供さえできれば……子供さえ出来ればきっとれいむはまりさの良さに気付いてくれる。 そんな願望に近い思いでまりさは耐えていた。 とうとう、出産日を迎えた。 「ゆゆ!?れっれいむ!ゆっくりがんばるんだぜ!!ゆっゆっふー!ゆっゆっふー!」 「が、がっばるがだで!でいぶがっばるがだで!!」 閉じていたれいむの産道が、今にも爆ぜんばかりに開き……ポンと1匹のでかいゆっくりを出産した。 「おっ、おじびじゃん!ゆっぐりじでね!!ゆっぐりじでねぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 れいむは涙ながらに喜んだ。最愛の娘との対面だ。ずっと、ずっとこの子をゆっくりさせてあげよう。 「ゆっくりしていってね!!」 まりさも嬉しかった。長年夢見ていたれいむとの家族だ。嬉しくないはずはない。 「おかーしゃん…?」 「そうだよ!おちびちゃんのおかーさんだよ!」 「ゆっくりしていってね!!というんだぜっ!」 「ゆっきゅり…ちて…いっちぇね」 「そうだぜっ!!がばいいんだじぇぇぇ!!!!」 「れいむ、みるんだぜっ!!とってもゆっくりしたおちびちゃんだぜっ!!」 「ゆー♪そうだねっ!!だーりんもよろこんでくれるよね!!」 静寂 「ゆぶぶぶぶ…………。もういやだぁぁぁ、ゆっぐりじだいんだぜぇぇぇぇ!!」 「ゆゆっ? どーしたの?まりさ。ゆっくりしていってねっ!!おちびちゃんがこわがるでしょ!?ぷんぷん」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 何も変わらなかった。 何一つとして、変わらなかった。 れいむは、まりさがプロポーズしたときから変わってなかった。 れいむの目に、まりさはつがいとして映らなかった。 「で、でいぶばあどじじぃとまりさとどっじがずぎなんだぜぇ!!!!」 れいむはまりさを受け入れてくれたはずなのに、いつまで経ってもあの男の子とは忘れない。 とうとう我慢できなくなったまりさは禁断の言葉を口にした。 「ゆゆっ?そんなの決まってるでしょぉぉおぉ!!まりさはばかなの?」 れいむは即答した。 そうだ、決まっている。 「まりさのほうがすきにきまってるでしょっ!!」 ああ、よかったんだぜ。れいむはやっぱりまりさをあいしているんだぜ。 それなら、まだがまんできるんだぜ。おちびちゃんたちがおおきくなるころにはきっと、 こんどこそまりさとゆっくりできるんだぜ。 「あいしているのはだーりんだけだけどね♪まりさったら、なにいわせるの?はずかしーよ!」 「…………でてってね。」 能面のような顔でまりさは静かに言った。 「ゆっ?」 「まりさのゆっくりプレイスからでていくんだぜぇぇ!!」 そう言うやいなや、まりさはれいむに体当たりを喰らわした。 れいむはまりさをあいしていなかったんだぜ。 そんなれいむとはもうゆっくりできないんだぜ。 「ゆべっ!」 「やめてよねっ!れいむがほんきになったらまりさにまけるわけないでしょっ!!」 いくら、まりさの戦闘力が高くとも、栄養状態の違いから固体の大きさが違いすぎる。 出産の疲れはあるものの、子供を守ろうと強い意志を持つれいむにまりさが勝てる道理 などなかった。 「“かてーないぼーりょく”をするまりさとはゆっくりできないよっ!!りこんするよ!!」 よかった。なにはともあれ、れいむはでていくんだぜ。 これでゆっくりできるんだぜ。 「“いしゃりょー”と“ざいさんぶんよ”をもらうねっ!!あと、“しんけん”はれいむ のものだよっ!!」 「ゆうううううううううううううう!!!やっ、やめるんだぜ!!まりさのたからものをかえすんだぜ!!」 「やべでー!!ばでぃざのだべぼのどらないでぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ば、ばでぃざのべっどがぁぁ!!」 「じゃあ、これぐらいでいいよっ!!」 そうれいむが言ったあとは酷い様子だった。まるで強盗にでも合ったかのように、家はめちゃくちゃに荒らされた。 まりさが群れを救ったとき、長老達からもらったきれいな石。 まりさがれいむのために寝る間を惜しんで狩りした結果、たまった餌。 都会派のありすから貢いでもらった綿。 まりさの大切な物はほとんど全て奪われた。 「ゆゆっ!じゃあれいむはおうちにかえるね。まりさ、“りこん”したけどこれからもれいむの“しんゆう”でいてねっ!」 「もうにどとくるなだぜぇぇぇぇ!!!!」 ゆ、れいむがあんなにゆっくりできないゆっくりだったなんて……。 今までの思い出を振り返り、まりさは静かに涙を流し続けた。 でも、これでわかったんだぜ。まりさにふさわしいのはありすだぜ。 これからはありすのおもいにこたえるんだぜ。 まりさは気付かなかった。 散々大見得をきって人間のところに行ったものの、完膚なきまでに叩きのめされ、れいむにお情けでつがいにしてもらったのに、 れいむをゆっくりさせることが出来ずに三行半を突きつけられ、挙句実力行使でもれいむの返り討ちにあったまりさが群れのゆ っくりの尊敬を集めるわけなどないことに。 ありすが、れいむに対するまりさほどに辛抱強くないことに。 まりさがれいむと別れるまでの間は、ありすにほかのゆっくりとつがいになるのに充分なほどに時間が過ぎていることに。 「ゆゆっ!ただいま、あなた。」 「ああ、れいむか。久しぶりだね。その様子だと上手く行ったようだね。」 「ゆほーん、かわいいおちびちゃんだよっ!!」 あの晩、男とれいむの会話はこうだ。 「ゆゆ……あなた、ゆっくりきいてね!!たいせつなおはなしがあるの。」 「なんだい、れいむ。急に」 「れ、れいむはおちびちゃんがほしいよ!」 「ほほぅ?だが、僕は君に種付けることはできないよ。お隣さんに頼んで、ゆっくりを貸してもらっても良いが」 「ゆ~、あのねっ!れいむには“しんゆう”のまりさがいるの!!すっごくゆっくりできるんだよ!」 「成る程、じゃあそのゆっくりと子作りをしたいわけだ?」 「ゆっ!そうだよっ!でも、まりさはれいむがあなたとけっこんしている“ひとづま”だってしってるんだよっ! だ、だから、だからでいぶどりごんじでねぇぇ!あなだのごどあいじでるど、ゆっぐぢりがいじでねぇぇ」 途中から涙声になる。 「ああ、別に構わんが、群れに帰るのか。寂しくなるなぁ~」 「ゆゆっ!あなた、あんしんしてねっ!!おちびちゃんがうまれたら、“さいこん”しようねっ!! すこしのあいだだけど、がまんしてね!!」 ほ~。仮想離婚か。なかなか考えるなぁ。ゆっくりなのに。 「そのまりさは、うんというのかい?」 「だいじょうぶだよ、あなたっ!!れいむはまりさのことがだいすきだし、まりさもれいむのことがだいすきだよっ!! あいしているのはあなただけだけど、“しんゆう”のまりさはずっとれいむとかぞくをつくりたがってたしねっ!! きっと、まりさもゆっくりできるよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 元ネタは童話の「ねずみの嫁入り」(そんな名前だったような気がする) お家宣言して潰されるのなら、お家の人になってしまえば良いじゃない。 かいたもの 甘い話には裏がある。 このSSに感想を付ける
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『Discrimination 3 ~まりさの願い~』 53KB いたづら 差別・格差 自然界 連続ものです かすがあきです。 注意 anko4334 Discrimination 2 ~歌姫れいむ~ の続きです。 「」はゆっくりの発言です。 『』は人間の発言です。 独自設定があります。 ぬるいです。 anko4004 初詣の帰りに に出てきたHENTAIっぽい人と胴付き れいむがでてきます。 幸せな胴付き れいむが幸せなままです。 チート気味なゆっくりがでてきます。 Discrimination3 ~まりさの願い~ れいむの世話をするようになって、まりさは以前にも増して狩りに精をだすようになった。 「いなかものの まりさ、もっと かりの せいかを むれに けんっじょう しなさい。」 長ありすが、まりさの狩りの成果の ほぼ全て献上させようとしても、それを断るようになった。 「ゆっくり ごめんだよ、おさ。 まりさは れいむに ごはんさんを たべさせないと いけないから、 これ いじょうは けんっじょう できないよ。ゆっくりりかいして ほしいよ。」 「まぁ、なんて いなかものなの。いいの?そんなことを いって?」 「おさ、まりさも れいむも むれの いちいんだよ。 ほかの みんなが けんっじょうする りょうよりも たくっさんの ごちそうを まりさは けんっじょう しているよ。 これ いじょう けんっじょう したら、まりさは うえて もう かりが できなくって、あしたから なにも けんっじょう できなくなるよ。 もし、そう なったら、おさたちも こまるでしょ?」 まりさが狩りをできなくなれば、群れに献上される蝶といった狩るのが難しいご馳走の量が減る。 そのため、長ありすは まりさの要求を飲むしかなかった。 なお、まりさが群れに献上している食料は誰よりも多い。 「よかったよ。きょうも れいむが だいすきな ちょうちょさんと みみずさんを たくっさん まもれたよ。 これで れいむも よろこんでくれるよ。れいむが うれしい かおに なってくれると、まりさも うれしくなるよ。」 笑顔で自宅へと歩く まりさ。その顔は以前のような作り笑顔ではない。 まりさは今、幸せなのだ。 守るべき者ができたことが まりさに充実した日々を与えている。 もっとも、まりさは自分が れいむに嫌われていることを自覚しており、まだ頬を合わせたことはない。 「れいむー、ただいまだよ。きょうも ごはんさんが たくっさん とれたよー。」 まりさがそう言いながら巣穴へと入る。 まりさの声を聞いた れいむが、ゆっくりと まりさの側に近寄り、無言で左揉み上げを伸ばす。 「れいむ。ゆっくり ただいまだよ。はい、きょうも ちょうちょさんや みみずさんが あるから、ゆっくり たべてね。」 「うーしゃうーしゃ……っひあはっへーー!!」 れいむの食事を介護をするまりさ。その顔はとても幸せそうだ。 愛する れいむの側にいることが、誰かの役にたつことが、ずっと1匹でいた まりさには嬉しいのだ。 例え愛されていなくても、誰かと一緒にいる。それだけで充分なのだ。 ----------------- れいむには分けがわからなかった。 なぜ可愛くて、歌姫である自分がこんな惨めな生活を送ることになったのか、理解ができなかった。 いつものように広場で歌を歌っていると、人間に突然襲われた。 『れいむの汚い歌を聞かせて すいませんでした。 れいむは世界一歌がヘタな ゆっくりです。れいむの歌を聞くぐらいなら、トイレの音のほうがまだましです。って言え。』 頭を強く踏まれ、事実無根なことを言えと強要された。 『言えないの?だったら、このまま死のうか。ありすみたいに。』 「ゆ゛!?い、いいばず!!いいばずがぁらあああああ!!! ……………れ、れぃ……れいむ、の……れいぶの ぎだない おうだを ぎがぜ、で……ず……っずいばぜんでじだぁああああ!!! れいぶはぁあああああ!!!れいぶは ぜがいいぢ うだが べだな………べだな ゆっぐりでずぅうううう!!! れいぶの おうだを ぎぐ ぐらいなら、どいれざんの おどの ほうが まだ まじでずうううううううう!!!! っゆ!!っゆっばあぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」 心にもないことを言い、れいむは泣き叫んだ。 が、れいむの悲劇はこれで終わらなかった。 人間は れいむの両目をくりぬいた。 もう何も見ることができない。永遠に暗闇の中で生きることになった。 人間は れいむの舌を切り取った。 もう上手に発音をすることができない。永遠に歌を歌うことはできない。 人間は れいむの右揉み上げを引きちぎった。(正確には違うが、れいむはそう考えている。) 2本の揉み上げでピコピコすることが永遠にできなくなった。 あまりの激痛で死にそうになった。 だが、人間に何か冷たくて甘い水(スポーツドリンク)をかけられ、痛みが引いていくのがわかった。 これで助かると れいむは確信した。 が、どんなに頑張っても、目は見えないし、揉み上げも元に戻らないし、発音も上手くできない。 「おおいええぇぇえええええええええええええええええええ!!!! えいうあ゛ぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」 ショックで叫んでいる れいむの周りに れいむに想いを寄せる ゆっくりたちが集まった。 いや、正確には、れいむに想いを寄せていた ゆっくりたちだ。 彼女たちは れいむを見て、笑い、バカにしだす。 れいむは理解できなかった。何故自分が笑われているのか、バカにされているのか。 何故慰めてくれないのか?何故心配してくれないのか?何故助けてくれないのか? やがて れいむは知った。 自分の身体から、両目と舌と揉み上げが無くなり、そのせいでバカにされていることを。 医者を務めている幹部ぱちゅりーが れいむに冷たく言う。 「むきゅ。だめね、れいむ。あなたの けがは なおらないわ。 ぱちぇの えいちをもってしても ここまで ゆっくりしていない ゆっくりは なおせないわ。 もし あなたが ゆっくりしいれば ここまで ひどい けがには ならないし、なおせたでしょうに。 あなたが ゆっくりしていないのが いけないのよ。ゆっくりりかいしなさい。」 そして、群れの緊急集会で れいむをどうするかが議論された。 群れから追放し、野垂れ死にさせるか。 すっきり死するまで、群れの全員で嬲るか。 意見は2分されたが、どちらに転んでも れいむが死ぬことだけは確定している。 「ああぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!あうえぇえええええええええええええええええ!!! あうええぇぇええええええええええええええええええええええええ!!!!おえあいいぃいいいいいいいいいい!!!!!!!! はうへえ゛ぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」 死にたくない れいむは叫ぶ。 そして、れいむは帽子のない まりさに救われた。 「れいむの おせわは、まりさが まりさの おうちで するよ!」 あれ程バカにしていた、見下していた まりさだけが、れいむをかばったのだ。 まりさに誘導され、れいむは まりさの家へときた。 「れいむ。とりあえず、これを たべてよ。さっき、これだけは おさたちに けんっじょうせずに かくして もってきたんだ。」 まりさは れいむの左揉み上げにミミズを乗せながら言う。 左揉み上げと、短くなった舌をつかって、ミミズを口内にいれ、咀嚼する れいむ。 「うーしゃうーしゃ……っひあはっへーー!!」 「ゆ!よかったよ。れいむは みみずさんが だいっすき だもんね。ようやく れいむが すこしだけど わらってくれたよ。」 「うううあいおぉおおおおおおおおおおおおおおお!!! おあへなんはあいうはぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 見下していた まりさに慰められたことが、れいむのプライドを傷つける。 悔しさから れいむは大きく叫び、暴れる。 「れ、れいむ、ごめんだよ。まりさが へんなことを いったのなら あやまるよ。だから あばれないで ほしいよ。」 まりさが謝り、れいむの機嫌は少しだけ収まる。 「ははれはいいんはお!ほっと ひひふはんを ほうたいね!ふふへ いいよ!!」 そして、帽子のないまりさと、両目と舌と右揉み上げのない れいむの生活が始まった。 れいむにとって、新しい生活は苦痛でしかなかった。 目が見えない恐怖。意思を伝えられない もどかしさ。見下していた相手に依存する生活。 そして何より、今まで れいむのことを慕っていた ゆっくりたちからの罵声が辛かった。 まりさの おさげを残った揉み上げで掴み、外を歩いていると、あちこちから笑い声が聞こえてきた。 「ゆぷぷ。ゆっくり できない ふたりが なかよく あるいているよ。」 「げらげらげら。おにあいさんなのぜ。」 「まぁ、いなかもの かっぷるさんね。さっさと しねばいいのに。」 帽子のない まりさとの間を勘違いされるが辛かった。 「へいふあ へいふ。へいふあ へいふ♪」 広場で歌ってみるが、舌が短くて上手く歌えていないことが自分でもわかり、涙が瞼の裏の眼孔にたまる。 「げらげらげら。なんって へたくそな おうた なのぜ?」 「ゆぷぷ。ほんっとうに へただね。そんな おうたしか うたえないなら、しんだほうが いいよ!さっさと しんでね!」 自慢の歌だったのに。れいむはバカにされる悔しさで涙を流す。 「ぶっさいくな れいむが ないてるんだねー! あんまり ぶさいく だから いきているのが つらいんだねー!わかるよー!」 「もみあげさんが かたっぽしか ないなんて、いなかもの まるだしの れいむね。 おなじ むれに しょぞくしている とかいはな ありすまで はずかしく なるわ。 さっさと でていって ほしいわ。」 自慢の揉み上げを失い、不細工と言われる毎日に、れいむは涙を流す。 「ほほ いへえぇぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!! やへえぇええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!! へいふを いひへないへぇえええええええええええええええええええええええええええ!!!! へいふは はわいほう はんはお!!ははひふ ひなひへはひんはほぉぉおおおおおおおおおお!!!」 れいむは大きな声で 【どうして?止めて、れいむを苛めないで、れいむは可哀想なんだよ、優しくしなくちゃいけないんだよ!】 と叫ぶが、その願いは誰も聞き入れない。正確には、れいむが何といっているか理解できる ゆっくりがいない。 だが、惨めに泣き叫ぶ れいむの姿を見て、群れの ゆっくりは、笑顔で れいむをバカにし、ゆっくりした気持ちになる。 れいむが泣けば泣くほど、叫べば叫ぶほど、れいむの惨めさは際立ち、群れの ゆっくりは れいむをよりバカにするのだ。 ついには、まりさの巣穴から外にでようとしない、引きこもり生活になる。 まりさが狩りに出かけると、巣穴の中で独りになる。 孤独を本能的に嫌う ゆっくりにとって、巣穴で独りでいる事は辛い。 だが、外にでて苛められるのも辛い。 そして、れいむが隠れても、群れの ゆっくりは れいむへの嫌がらせを止めなかった。 「きょきょりゃへんに ゆっきゅり できにゃい れいみゅが いちょうりょう ちちぇいりゅ ゆっきゅり できにゃい まりちゃの おうちぎゃ ありゅんだね!」 「ゆぷぷ。そうだよ、おちびちゃん。このあたりに、おぼうしを なくして ゆっくりしてない まりさの おうちが あるんだよ。 そして、そのなかには、おめめと したさんと もみあげさんを なくした ゆっくりしてない れいむが いそうろう してるんだよ。」 「げりゃげりゃげりゃ。おかしいのぜ。 そんな ゆっくり できない まりちゃの ちょこりょに いちょうりょうを ちゅりゅにゃんちぇ、 ちょにょ れいみゅの あちゃまは おかちいに ちぎゃいにゃいのじぇ!」 「ゆぷぷ。ほんっとうだね。ゆっくりできない やつらだね。 れいむの ほうは さいっきん おそとに でないから しんだかも しれないね。 でも あんな ゆっくり できない やつ しんだほうが いいよね?おちびちゃん!」 「ちょうだにぇ!!」×2 巣の外から聞こえてくる笑い声。 わざわざ まりさの巣の側で聞こえるように大きな声でいうあたり、下の存在をどこまでも見下すゆっくりの本質が見える。 れいむは声を殺して泣く。本当は大声で泣叫びたいのだが、それはできない。 以前、大声で泣いたところを、結界で隠されていた巣の入り口がバレ、巣の中に ゆっくりたちが入ってきたことがある。 そして、ぎりぎり死なない程度に暴行を受けた。 夜、まりさが必死に看病をしなければ、死んでいただろう。 「ぺーろぺーろ、ぺーろぺーろ。れいむ、しっかり してね。 ぺーろぺーろ、ぺーろぺーろ。れいむ、ゆっくり きいてね。 どんなに くやしくても、えがおで いないと だめだよ。 もし ないたり おこったり したら、おもしろがって もっと もっと ひどいめに あうよ。 だから くやしくもて、えがおで いるんだよ。だいじょうぶだよ。 いつも えがおで いれば、きっと いつか しあわせーに なれるよ。」 まりさの治療をうけながら、れいむは一つ理解した。 巣の外から自分がバカにされているときでも、泣いてはいけないことを。 大きな声をだせば、巣の場所を知らせ、暴行を受けることを。 どんなに悔しくても、声をだしてはいけないこと。 翌日から、れいむは声を殺して泣くようになり、被害を最小限に抑えるようになった。 だが、肉体的の痛みはなくても、れいむの心は痛む。 悔しい想いが、れいむの辛い生活をより辛く、より ゆっくりできないものにする。 そんなゆっくりできない生活を送るれいむにも、唯一の楽しみがある。 それは食事だ。 毎日、好物のミミズや蝶を満腹になるまで、いや、満腹以上に食べている。 「うーしゃうーしゃ……っひあはっへーー!!」 食べている時だけ、れいむは自分の惨めな境遇を忘れることができた。 食べることで、自分の惨めな生活を誤魔化すようになり、ストレスから れいむの食事量は増えていった。 そして、動かない生活から、ぶくぶくと太り、茄子のような醜い外見となった。 --------------- よく晴れた日、歌姫だった れいむの両親と姉であるぱちゅりーが山の頂上付近にいる。 間もなく巣立ち、独り立ちをする子ぱちゅりーのための、最後の家族水入らずのピクニックだ。 「ゆーん。とっても いい けしきさんだね。とっても ゆっくりできるよ! それに きょうは とっても ゆっくりできる おてんきさんで とっても ゆっくりできるね!」 「むきゅ。ほんとうね。 おちびちゃんと さいごの ぴくにっくに ふさわしく、とっても ゆっくりできるわ。」 「むきゅ。おとーさん、おかーさん。ほんとうに ありがとう。 ぱちぇは かぞくさいごの ぴくにっくさんの おもいでを おそらの ゆっくりぷれいすに いくまで おぼえているわ。」 間もなく訪れる別れの時を考え、3匹は寂しい気持ちになる。 「さぁ、しんきくさいのは、あの ゆっくりしてない おちびちゃんだけで じゅうっぶんだよ! ゆっくりしている れいむたちは、なかよく おべんとうさんを むーしゃむーしゃしよーね!」 目尻にたまった砂糖水の涙を揉み上げで拭い、母れいむが笑顔で言う。 子供が独り立ちをするのだ、寂しくはあっても悲しむことではない。 「むきゅ。そうね、れいむの いうとおりね。みんなで ゆっくり おべんとうさんにしましょう。」 「ゆっくりりかいしたよ。」 「むーしゃむーしゃ……しあわっせーー!!」×3 一心不乱に食事をした後、3匹は笑顔で話をする。 話題は家族であった れいむのことである。 「むきゅきゅ。それにしても いもーとの すがたったら ほんっとうに ゆっくりしてなかったわね。 いもーとが あんな ゆっくりしていない ゆっくりだった なんて ぱちぇ しらなかったわ。 このままじゃ もりの けんじゃ しっかくよ。もっともっと おべんきょうを しないと。」 「むきゅ。きに することは ないわ。 もりの けんじゃである ぱちぇも まさか じぶんの むすめが あんなに ゆっくりしていなかった なんて しらなかったもの。 れいむ、つぎは もっと ゆっくりした おちびちゃんを つくって、もっともっと ゆっくりしましょうね。」 「まっかせてね!つぎは あんな ゆっくりしてない おちびちゃん なんて うまないから あんっしんしてね!!」 怪我をしただけで、家族を必要以上に見下す3匹である。 『うるさい!目障りだぞ、お前ら。宿題の邪魔をするなよ』 そんな3匹が声高々に笑っていると、スケッチブックをもった少年が3匹の前に現れた。 「むきゅ、にんげんさんが もりの けんじゃである ぱちぇに なんの ようかしら? まどうしょを もっている ことから、もしかして、ぱちぇに おべんきょうを おそわりに きたの?」 「むきゅ。おとーさん、きっと そうよ。 にんげんさん、その まどうしょと あまあまを けんっじょう したら、 とくっべつに もりの けんじゃである おとうさんが こうぎを してくれるわ!かんしゃしなさい!」 「ゆ?あまあま??にんげんさん、あまあまを くれるの!?すぐで いいよ!とくもりで いいよ!!」 3匹は人間を見るのは初めてである。そのため、記憶餡に刻まれた、 人間は ゆっくりしていない → ゆっくりした自分たちのほうが格上 → 危険がない という誤った情報と推論しかできない。 つい先日、家族であった れいむが人間に虐待を受け、惨めな姿になったことを知っているにも関わらず、 3匹は人間に対する知識を改めることができていない。 賢者と自負しても、所詮は餡子脳ということである。(実際は賢者ですらないが。) 『誰がお前らゴミに菓子をやるかよ。僕はスケッチの宿題で忙しいんだ。いいからどっかいけ。』 右手で払う動作をしながら少年が言う。 ちなみに この少年、地元の小学生で、自然画の宿題をするためにこの山にきている。 ぱちゅりーたちは気がついていなかったが、少し離れた場所でスケッチをしていたのだが、 ゆっくりたちの声がうるさいので文句を言いにきたのだ。 「いいから あまあまを ちょうだいね!!ぜんっぶで いいよ!!」 要求量を増やして母れいむが叫ぶ。 「むきゅ!!もりの けんじゃである ぱちぇに むかっての ぼうっげん!ゆるさないわ! そのうえ きちょうな まどうしょを ひとりじめ するなんて!これは せいっさいね!!」×2 ゴミと呼ばれ、賢者としてのプライドを傷つけられた父ぱちゅりー、子ぱちゅりーが叫ぶ。 なお、魔導書とは、少年が手にしているスケッチブックのことである。 3匹はひたすら少年に向かって暴言を吐き続ける。 この少年、別に虐待派というわけではないが、害饅頭に絡まれて喜ぶほどの愛誤派でもない。 『ああ、もう、面倒だな。』 必然的に、少年は3匹を排除することになる。 「むきゅ?おそら とんでるみたい!ついに ぱちぇの えいちは てんっくうをも しはい したのね!!」 少年はスケッチブックを地面に置き、父ぱちゅりーを持ち上げる。 『ええっと、たしか………』 先日体育の授業で教わった砲丸投げの要領で父ぱちゅりーを投げる。 「!!おぞらとんでりゅうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………」 -ッ フ゛ ッ ス !! 少し離れたところにある木の枝に父ぱちゅりーが勢いよく突き刺さる。 幸運にも(?)中枢餡を枝が貫いたため、父ぱちゅりーは絶叫をあげることもなく絶命した。 「おどうざんっぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!??」 「れいぶの ぱちゅりーぎゃぁぁああああああああああああああああああああ!!!!??」 少年の足元で、2匹が騒ぐ。 次はどちらを投げ飛ばそうかと考えていると、母れいむが子ぱちゅりーに向かって叫んだ。 「おちびちゃん!!おとーさんが しんだから、これからは おちびちゃんが おかーさんを やしなってね!! ひとりだち なんて したら だめだよ!!れいむの あたらしい だーりんが みつかるまで ゆっくり たのむよ!!」 番を失ったことで、今後の生活を(食料)心配する母れいむである。 母れいむが所属している群れでは、食料の再分配が行われており、 育児中で狩りにいけないシングルマザーには食料の援助がある。 しかし、すでに子ぱちゅりーは成体になっており、独り立ちができる。 番をなくし、育児中でもない母れいむは自分で狩りをし、生計を立てなければならないが、 母れいむは狩りの腕が絶望的に悪く、そのことを自覚している。 雑草程度であれば狩ることができるが、そんな面倒なことはしたくない。 子供に寄生しなければ餓えることを本能的に察知しての発言である。 『うわぁ~、さっすが れいむ種。自分の子供に寄生する気満々かよ。 ん!?そうだ!いいこと思いついた。』 母れいむを軽蔑の名眼差しで見つめた少年が、そう言って母れいむからリボンを奪い取る。 「ゆ?っゆっがぁぁああああああ!!!かえぜえええぇぇぇええええええええ!!! おりぼんさんをかいぜぇえええええええええええええええええ!!! ざっざどがえぜぇえええええええええええ!!!おりぼんざんがないど、ゆっぐりでぎないぃいいいいいいい!!!」 醜い顔を更に歪め、母れいむが地団駄を踏みながら叫ぶ。 少年はそんな母れいむを無視しながら、子ぱちゅりーを持ち上げる。 「むきゅ?おそら とんでるみた……んぎゅ??」 持ち上げられた感想を大きな声で叫んでいる最中、子ぱちゅりーの口内にリボンが入れられた。 「んん!?んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!????」 そして、強制的に口を閉じられ、ガムテープで口を封印された。 簡単には剥がれないように、ガムテープを何重にも張ってから、少年は母れいむの側に子ぱちゅりーを置く。 『ほら、れいむ。お前の大事なリボンは ぱちゅりーの口の中だよ。 早く取り出さないと、消化されて うんうんになるよ。早く取り出したほうがいいよ?』 「おおおお おちびちゃん!!!はきだしてね!!! すぐにおかーさんの おりぼんさんを はきだしてねぇえええええええええええええ!!!」 「むんんむんんんんんんんんんんん!!!!」 母れいむに言われるまでもなく、子ぱちゅりーは異物であるリボンを口から出そうとする。 が、ガムテープのせいで、口を開けることがでいない。 「なにいっでるのぉおおおおおおおおおおおおおお!!!??? はやくださないど、だいっじな だいっじな おりぼんが うんうんに なっちゃうでしょうがぁああああああ!!!」 「むんん!!!むんんむんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!」 「ゆっがぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!! ざっざど だぜぇえええええええええええええええええ!!!! ぜいっざい じでやるぅうううううううううううう!!!げすな くそちびを ぜいっざい じでやるぅううううううう!!!」 「っむん!!!むんん!!!!っむんん!!!」 自分の要望をきかない子ぱちゅりーにイラついた母れいむが制裁として体当たりを始めるが、 ガムテープで口をあけれない子ぱちゅりーは泣叫ぶことも、リボンを吐き出すこともない。 愛する母親からの暴言と暴行に、ただ涙を流すだけだ。 なお、子ぱちゅりーが逃げ出さないように、少年は子ぱちゅりーを足で踏みつけている。 「ぜばぁ~~……ぜばぁ~~………」 制裁に疲れた母れいむに、少年が笑顔で言う。 『れいむ、早くしないとリボンがなくなるよ。どうやらこの ぱちゅりーは口を絶対にあけないみたいだね。 そうだ!頬を喰い破ればいいんじゃないかな?』 「ゆ!それは めいっあんさん だね!ほめてやるよ!とくっべつに どれいに してやるよ!かんしゃしてね! いい、げすな おちびちゃん?これは せいっさいだよ!れいむは わるくないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「っむんん!!!!!っむんんんんん!!!!!!!!!!!!!」 大きく口をあけた母れいむに、子ぱちゅりーが涙を流しながら、命乞いをする。 が、その声は母れいむには届かない。 - カ゛ フ゛ リ !! ミチ! ミチ ミチ ミチミチ!! 「っむんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!」 「むーじゃむーじゃ……っしあっわっせーーーーーーー!!!! ゆーん、げすな おちびちゃん だけど、なかの なまくりーむさんは とっても おいしいね! もっともっと たべて、れいむの だいっじな だいっじな おりぼんさんを とりかえすよ!! かくごしてね!これは せいっさい だからね!ぜんぶ げすな おちびちゃんが わるいんだからね!ゆっくりりかいしてね!!」 子ぱちゅりーの頬からあふれ出る生クリームを食べながら、母れいむが笑顔で言う。 「っむんん!!!!!!!!っむんん!!!!!!!!!………んんっん!!!っむんんんんんんんんんんんんん!!!!」 子ぱちゅりーは激痛から、暴れるが、少年が足で押さえつけているので、動くことができない。 なお、激痛から子ぱちゅりーは口内に留めていたリボンを飲み込んでしまったがその事実に誰も気がついていない。 「むーじゃむーじゃ……っしあっわっせーーーーーーー!!!! むーじゃむーじゃ……むーっぎゃ!!っゆ??」 リボンを取り戻すことと、甘味に酔いしれていた母れいむの動きが止まる。 子ぱちゅりーの歯にぶつかったのだ。 「がーじがーじ……ゆ!げすな おちびちゃん!さっさと その じゃまな はさんを どけてね!!」 ゆっくりの歯と歯では硬度が同じため、母れいむでは歯を中々破壊できない。 「っむんんんん!!!!むんんんん!!!!」 『そうだ、れいむ。歯を壊せないなら、背中(?)から食べればいいだろ? はやくしないと、大事なリボンがなくなるよ!』 「ゆ!そうだね!それは めいっあんさんだね!! さっさと しないと、だいっじな だいっじな おりぼんさんが なくなっちゃうもんね!さっさとするよ! かわいい かわいい れいむが げすな おちびちゃんから おりぼんさんを きゅうっしゅつ するよ! むーじゃむーじゃ……がーつがーつ………」 「っむんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!」 子ぱちゅりーが絶叫をあげるが、口が完全に固定されているため、悲鳴にならない。 「っむん!!っむんむんんんむんんんん………」 やがて、出生クリーム多量で、子ぱちゅりーが死んだ。 「がーつがーつ……うっめ!これめっちゃうっめ!! ゆーん、おいしーよー!!ゆっくりーーーー!!!! げすな おちびちゃんを もっと たべて、おりぼんさんを とりもどすよ!!がーつがーつ…… っゆ!?っゆっぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 子ぱちゅりーの死骸を至福の顔で食べていた母れいむが突然絶叫をあげる。 「ぞんなぁああああああああああああああああああああああああ!!!! れ、れれれれいぶの おりぼんざん っぎゃぁああああああああああああああああああ!!!」 母れいむのリボンは子ぱちゅりー体内で殆ど溶けており、かろうじて結び目が残っているだけであった。 「おりぼんざんが ないど、ゆっぐり でぎないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!! じっね!!!!げずな おちびぢゃんは ざっざど じねぇええええええええええええええええええええええ!!!!」 母れいむは、すでに事切れている子ぱちゅりーに体当たりをする。 「ゆばぁ~~……ゆあばぁ~~…… れいむの おりぼんさんが………どうじよう………おりぼんざんが ないど、ゆっぐりでぎない………」 ゆっくりは飾りのない個体を見下し、嫌う習性がある。 このままでは、再婚できず、他者に寄生することができない = 死 という未来しかまっていない。 「っゆ!ゆぷぷ!そうだ!いいことを おもいついたよ!! ゆーん、さっすが れいむだよ!かしこ すぎるよ!!かしこくって ごーめんねー!!」 体を捻り、ウインクをしながら舌を少しだすという気持ち悪いポーズをしながら母れいむは叫ぶ。 そして、笑顔で僅かに残ったリボンの残骸と、娘の死骸から離れていく。 『まったく、自分の子供をリボンのために殺すだなんて、本当にゆっくりってのはダメな生物(なまもの)だな。 さて、静かになったし、宿題、宿題っと……』 少年は子ぱちゅりーの死骸を蹴り飛ばしてから、てきとうな岩に座り、宿題である風景画を描き始めた。 虐待派でない少年にとって、逃げていく母れいむの存在など、どうでもよいのだ。 -------------- 「うーしゃうーしゃ………ほへなひー……」 まりさの家の中で、れいむは まりさが用意したオヤツを独りで食べている。 まりさが狩りで出かけており、暇ですることがないので、空腹でなくても れいむは起きている間常に何かを食べている。 今食べているのは苦い草なので、あまりおいしくないが れいむは食べ続ける。 例え満腹であろうとも、不味いものであろうとも。 食べるという行為によって、心の隙間を埋めているのだ。 「……ん…………ゃん………」 「ゆ?ほへは ひほえる??ひふはに ひないほ………」 誰かの声がれいむの耳(?)にはいり、れいむは食べるのをやめ、静かに息をひそめる。 巣の入り口をばれないようにするためである。 「………れいむの かわいい かわいい おちびちゃん!?どこに いるの?ゆっくり でてきてね!!」 「ほはーはん??」 「おちびちゃん!おかーさんだよ!どこにいるの?でてきてね!すぐでいいよ!!」 「ほっはーっはぁあああああああ!!!ほはぁぁぁああっはぁああああああああああああああああああん!!」 息を潜めていた れいむが大きな声で叫ぶ。毎日自分を可愛がってくれた母親だ。 怪我をしたときも、家族で一番ショックをうけていた。 きっと自分を助けに来たに違いない。そう考え、れいむは自分の位置を知らせるために大きな声で叫ぶ。 「っゆ!おちびちゃんの こえがきこえるよ!!このなかだね!」 母れいむは、結界を破壊し、巣の中にはいる。 「れいむにの おちびちゃん!あいたかったよ!!」 「ほはーさん!!」 そして母れいむは、巣の結界を破壊し、巣の中へと入ってきた。 れいむは、母れいむの声を頼りに、側に近づく。 「……おちびちゃん。ひさしぶりだね。あの ゆっくりしていない まりさは いるの?」 れいむは首をふる。 「ゆ。かりに でかけているの?」 れいむは頷く。 「そうなんだ。ゆーん、よかったよ。もし あの ゆっくりしてない まりさが いたら じゃまを するかも しれないからね。」 母れいむの言葉を聞い自分を助けてに来てくれたと れいむは確信した。 きっと、怪我を直す方法を見つけてくれたに違いない。 怪我が治れば、ゆっくりしていない まりさと縁がきれる。 しかし、まりさは自分に一方的に好意を寄せている。怪我が治ることを知ったら、邪魔をするに違いない。 邪魔されないために、母はまず まりさの不在を確認したのだろう。 母の言葉から、上記のように考えた れいむの顔が自然とにやける。 これでまた毎日ゆっくりした生活が過ごせると信じているのだ。 「ゆ……ゆふふ……ふふふ……」 自然と笑いがこみ上げてくるれいむである。 怪我がなおり、一通り ゆっくりしたら、帽子をなくした まりさを これまでの仕返しに苛めようと考えている。 驚くことに、れいむは自分の惨めな境遇の元凶は全て まりさであると決めつけている。 見下している相手に依存するとう現実から目を背けるため、ここ数日の間に、 元凶である まりさが自分の世話をするのは当然であると考えるようになっているのだ。 「おちびちゃん、れいむにだけど ゆっくりしてない おちびちゃん。 おかーさんに その おりぼんさんを けんっじょう してね!すぐで いいよ!!」 「…………」 突然の母の言葉に、れいむが固まる。 「なにしているの!?さっさと けんっじょうしてね! おかーさんは どうっしても ゆっくりしてない おちびちゃんの おりぼんさんが ひつようなんだよ!」 「ゆ???????」 母れいむの再度の言葉にも、れいむは頭が追いつかない。 当然だが、母れいむはれいむの治療に来たわけではない。 新しい番を探すため、失った自分のリボンの代わりに、娘のリボンを奪いにきたのだ。 「っゆっがぁあぁああああああ!!! いいから さっさと おりぼんを よごぜぇぇええええええええええええ!!! この ゆっぐりじでない くぞちびがぁぁああああああああああああああああ!!!」 自分の言葉を理解していない れいむに苛立った母れいむが、れいむに体当たりをする。 「っ!?」 幸い(?)ぶくぶくと太っていたため、ダメージは殆どない。 攻撃を受けたことで、れいむは母れいむが自分に敵意をもっていることを理解できた。 「まったく、おめめは ないわ、もみあげは ないわ、したさんは ないわ、おまけに ぶくぶくと ふとって、 そのうえ おりぼんさんを けんっじょう しない なんて!なんて ゆっくりできない げすな くそちびなの? そんな くそちびを せいっさいするよ! かわいいかわいい れいむが ゆっくりできない げすな くそちびを せいっさいするよ!!」 母れいむは娘である れいむに体当たりを繰り返す。 ダメージはないが、れいむの心は痛かった。 ようやく助かると思った瞬間、助けにきたはずの母親が裏切ったのだ。 (正確には、母れいむは助けにきたわけではないので、れいむの単なる勘違いだが。) ゆっくりは思い込みの生物(なまもの)である。 「はべ………っげっほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 例え身体にダメージが少なくても、精神的苦痛が大きければ、それは無視できないダメージとなる。 れいむは精神的苦痛から、吐餡をする。 「ゆぷぷ。ようやく れいむの せいっさいが きいてきだね! このまま れいむは げすな くそちびの おりぼんさんを てにいれるよ!」 母れいむは れいむのリボンを外そうとする。 「っあえへへえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 吐餡をした れいむであるが、命と同価値である大事なリボンを黙って奪われるわけにはいかない。 大声をあげて、抵抗をする。 抵抗といって、目が見えないため、正確な防御はできない。ただ大声をあげ、必死に体を揺らすだけだ。 「ゆぷぷ。なに いっているか さっぱりだよ。れいむ みたいに もっと おじょうひんに しゃべってね! さぁ、さっさと おりぼんさんを うばいとるよ!!!かんしゃしてね!!!」 母れいむは、そう言って、れいむの後ろにまわり、頭に飛び乗る。 口でれいむの後頭部にかじりつき、揉み上げでリボンを無理矢理剥がそうとしているのだ。 「っあべぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 れいむは必死に体を揺らし、母れいむを剥がそうとするが、なかなか上手くいかない。 「あきらめてね!れいむの ために げすな くそちびは りぼんさんのない ゆっくりに なって…っゆっべぇええええええええええええ!!??」 母れいむが突然の衝撃で飛ばされる。 「れいむ、だいじょうぶ?もう あんっしんして、まりさが れいむを まもるよ!!」 「ばひざぁああああああああ!!??」 「れいむの おかーさん!いったい なにを しているの!?」 れいむを襲っていた母れいむに体当たりをした まりさが大声で叫ぶ。 「うっるざぁああああああああああああああああ!!おぼうしが ないぐぜにぃいいいいいいいいいいい!!! れいぶはね、ぞの ぐぞちびの おりぼんざんが ひつようなんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! いいでしょぉおおおおお!!??おめめも したさんも もみあげさん だってないんだから おりぼんさんが なくなったってぇえええええええええええええええええええええええええええ!!」 「なにいってるの!?そんなの だめに きまっているでしょ!! おかざりごうとうは おきていはんだよ!!せいっさいされるよ!!」 「うるっざぁあああああい!!!いいがら ざっざど おりぼんざんをよごっぜぇええええええええええ!!! じゃまするなら、ゆっぐり できない まりざも いっじょに ぜいっざいだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 母れいむが まりさに体当たりを仕掛けるが、まりさはそれを難なく避ける。 「っゆっべぇええ!!??どぼじでぇえええ!!??? どぼじで よげるのぉおおおおおおおおおお!!!!ごんなの ゆっぐりでぎないぃいいいいいいい!!!」 「…………そんな おそい こうげきじゃ まりさに あてることは できないよ。」 「っゆっがぁあああああああああああ!!! なまいきだよ!!おかざりの ない ゆっくりできない ゆっくりのくせにぃいいいいいいいいいい!!! っゆっべぇぇええええええ!!??や、やべ、やべで!!いざぃいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさは母れいむに体当たりをし、巣から追い出す。 「おかざりなしは、れいむの おかーさんだって おんなじだよ! ううん、れいむから おりぼんを うばおうだなんて、まりさよりも ゆっくり していないよ!!」 「うっるざぁあああああああああああああああああいい!!! れいぶは ゆっくりずるんだぁあああああああああああああああああああああああ!!! おりぼんを よごぜぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!! げすちびの おりぼんが あればぁああああああああぁあああああああああああああああああああああ!! れいぶは!!れいぶはぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 母れいむが雄叫びをあげる。 「そこまでよ!いなかものたち!!」 長ありすの声が響き渡る。母れいむ、れいむ、まりさが大きな声をあげたため、群れの ゆっくりたちが集まってきたのだ。 「いなかものの れいむの おやは やっぱり いなかものね。おりぼんさんを なくすなんて。 それで いったい なんの さわぎなの?せつめいしなさい。」 3匹は、長と幹部、それと群れの自警団である まりさたちに事情を説明した。 「なるほど。まったく、なんて いなかものの じけんなの。 とかいはな むれの ひんいが さがるから やめてほしいわ。」 「おさ、ははれいむと ふたりとじゃ せつめいがちがうのぜ。いったい どういうことなのぜ?」 「むきゅ。それは ははれいむが うそを いっているからね。 もりの けんじゃである ぱちぇは だませないわ。」 森の賢者というのは当然間違いだが、意外にも幹部ぱちゅりーは母れいむの嘘を見抜くことができた。 「そうね。とかいはな おさである ありすも そうおもうわ。 とかいはな みんな!きいてちょうだい! この いなかものの ははれいむは、じぶんが ゆっくりしていない ばかりに ゆっくりしていない いなかものの にんげんさんに よって おりぼんさんを うしなったわ! それだけでなく、ゆっくりしていない れいむから おりぼんさんを うばおうとしたわ!! おかざりごうとうは たいっざいよ!!よって おきてに したがい、いまから この ははれいむを しけいに しょするわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!!」×たくさん 「ふっざっげるなぁあああああああああああああああああああああああ!!!! れいぶは ゆっぐりじでるんだぁああああああああああああああああああああああ!!!! しょげいざれるのは、あいづらだぁあああああああああああああああああああああ!!!! おかざりごうっどうは あの ゆっぐりじでないれいぶだぁああああああああああああああああ!!」 「むっきゅきゅ。ははれいむ、もりの けんじゃである ぱちぇは だませないわ。 あの ゆっくりしていない ひきこもりの れいむが どうやったら さんっちょうで にんげんさんに おそわれるの?」 餡子脳であるため、母れいむは中途半端に真実を話していた。 そのため、話の矛盾が生じ、ある程度の知恵をもった ゆっくりには、母れいむが嘘をついていることがわかったのだ。 「うっるざぁあああああああああああああああああああああああああい!!! なんでぼ いいがら れいぶを ゆっぐりざぜろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「はぁ、もういいわ。こんな いなかものの あいてなんて とかいは じゃないわ。 じけいだんの みんな、さっさと やってちょうだい。」 自警団のゆっくりたちが、母れいむの足を枝で破壊した後、石吹きの的にする。 「っゆっぎゃあぁあぁあああああああああああああああああああああああああ!!!! やべやべやべでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!! ぼぼぼぼぼうゆるじでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 石があたる度に、母れいむは激痛に泣き、許しを乞うが誰も取り合わない。 リボン、お飾りをなくした上、お飾り強盗をはたらこうとした者の意見など誰も聞くはずが無い。 「っゆっばぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! めめめめめええええ!!!!!めめめええええっぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!!!」 石が母れいむの左眼に当たり、これまで以上に大声で悲鳴をあげる。 上手い具合に石が左の眼孔にはまり、失明したようだ。 「いなかものの ははれいむ。つぎので けいは さいごよ。 さいごに なにか いいのこしたことは あるかしら?とかいはな ありすたちは とくっべつに きいてあげるわ。」 「やっざぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!! れいぶは まだ じにだぐないぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!やべでぇえええええええええ!!!!」 「はぁ……まったく、ほんっとうに いなかものね。たすけるはずないことぐらい ゆっくりりかいしなさい。 もういいわ、とかいはな じけいだんの まりさ、おねがい。」 「まかせるのぜ………」 自警団の代表を努める まりさが咥えた長い枝を、れいむの額にあてる。 「ぁぁあぁぁあああぁぁああああああぁぁあああああ!!!やべ、やべやべやべでぇぇえええええええ!!! ええええ、えだざんを れいぶの おでござんがら ばなじでぇええええええええええぇぇええええぇええ!!!!」 - ス ゛ フ ゜ リ……ヌプ ヌプヌプ…… 母れいむの要望は無言で却下され、ゆっくりと枝が音を立てながら母れいむの体内へと入っていく。 「っゆっぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! ぬいでぇえええええええええええええええええええ!!!!おでおでおでおでででぎゃいざいばずうぅぅううううううう!!!!! れれれいれれ れいぶは、れうぶはわるぐないんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! いっざぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! ぐぞぢびの ぜいだあぁあああああああああああああああああああああああ!!!! ぜんっぶぜんぶぜぇえええええええええんっぶ!!!! ぐぞぢびぎゃ ゆっぐり じでないぎゃらぁああああああああああああああっっざぁあああああああああああああああ!!!!!!!」 母れいむは残った左目でれいむを睨みつけながら叫ぶ。 盲目のため、凄まじい形相を見ることはできない れいむだが、母れいむからの痛いまでの敵意を感じることはできた。 敵意を感じた れいむは、醜く太った体をガタガタと震わす。 そんな れいむを、群れのゆっくりは笑いながら眺めているが、ただ1匹、帽子をなくした まりさだけは違った。 「れいむ、だいっじょうぶだよ。まりさが ついているから、こわくないよ。」 れいむの隣で、まりさが優しい声で諭す。 「ばばばっばばばっばばひさぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」 「だいっじょうぶだからね。ゆぅ………ちょっと ごめんね。すーりすーりをさせてね。………すーりすーり………」 まりさはれいむに断りを入れてから れいむの頬に自分の頬を擦り合わせる。 「っゆっぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!! だだだっずげでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!! っぎゃぁぁあああああああああっっかぁぁあぁぁぁぁぁばぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!! っゆっびいっぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああっつあがああぁぁああああ!!!!……………」 中枢餡が枝で貫かれ、母れいむが息絶え、長ありすが大きな声で言う。 「いなかものの ふたりと、とかいはな みんな!!おきていはんの ゆっくりは こうなるのよ!ゆっくりりかいしてね!!! それじゃぁ、きょうは かいっさんよ!とかいはな じけいだんの ゆっくりは この いなかもののの したいさんを かたづけるから のこってね!!」 「れいむ、おうちにかえろうね。だいっじょうぶだよ、もう こわくないからね………」 「ばばっばばばばばああばばひささっっさぁぁあああああ!!!!!!! へへへへいっふはぁあああああああああああああああああああああ!!!」 「だいじょうぶだよ。すーりすーり………すーりすーり………」 恐怖で涙を流す れいむを、まりさは一生懸命慰める。 「ゆぷぷ、ゆっくり できない ふたりは みにくい すーりすーりを しているよ。おお、おろかおろか。」 「げらげらげらげら。あんな すーりすーりじゃ かえって きぶんさんが わるくなるのぜ!」 「へんったいなんでねーー!!わかるよーー!!」 「むっきゅきゅ。ほんっとうに おばか なふたりね。」 「ゆぷぷ。いなかものどおし、おにあいかもね。ついでに あの ふたりも しょけいすれば いいのに。」 まりさはバカにされていることに気がついているが、それを無視し れいむを慰め続ける。 母れいむからの敵意で怯えきった れいむをなんとか慰めたいからだ。 「れいむ。もう だいっじょうぶだよ。すーりすーり……すーりすーり…… まりさが れいむを まもるからね。だから あんっしん してね!すーりすーり……」 まりさは、れいむが落ち着きを取り戻すまで、れいむにすーりすーりを続けた。 --------------- 母れいむが死んでから、れいむが少しだけ変わった。 「ただいまだよ、れいむ。きょうも ごちそうさんを たくっさん とってきたよ!」 「ほはへひ…………ふーひふーひ……ふーひふーひ……」 外にでない引きこもり生活だが、まりさが狩りから帰ってくると、 まりさの側により、頬を合わせ、感謝や労いをするようになったのだ。 「れ、れいむ………う、うれしいよ……… まりさ、まりさが……まりさが れいむと すーりすーりしてるよ。う、うれしいよ……れいむ。 ありがとうだよ、れいむ。ありがとうだよ………すーりすーり。」 まりさは歓喜の涙を流しながら、すーりすーりをする。 孤独だった まりさにとって、他者と頬を合わせることは最高に嬉しいのだ。 念願の他者との触れ合いを得た まりさは、幸せを実感しながら、狩りに精をだす。 周囲から、ゆっくりしていないと言われても、帽子がないことをバカにされても気にしない。 まりさは今、幸せなのだ。 もはや まりさは孤独ではない。 まりさを必要としてくれる れいむがいるのだ。 まりさは れいむのために狩りに励み、れいむの世話をする。 「うーしゃうーしゃ……っひあはっへーー!!」 暴食と運動不足で茄子型の体型となり、右揉み上げ、両目、舌がない、醜い外見の れいむである。 それでも、まりさは れいむを愛していた。 恋は盲目というが、まさにその通りである。 周囲からは ゆっくりできないやつとバカにされるが、まりさは気にしない。 愛する れいむと一緒に生活ができ、幸せの まりさにとって、他者からの評価などどうでもいいことなのだから。 やがて、まりさは もっと幸せを願うようになった。 れいむと もっと ゆっくりしたい。結婚したい。おちびちゃんが欲しい。 幸せな家庭を築きたいという願いを まりさは持つようになった。 しかし、今のままでは その願いは叶わない。 まりさの能力では、れいむ1匹しか養えないのだ。 もしおちびちゃんができれば、盲目のれいむでは育てることができない。 自分で子育てもできればよいのだが、狩りに膨大な時間を割かなければならないので、それも難しい。 飾りと、身体に欠損のある自分たちに対して、群れからの援助はあまり期待できない。 まりさはそう考え、プロポーズを思い留まっている。 日に日に強まる願いから、まりさは何とか れいむのケガを治せないかと考えるようになった。 ----------- 週末、俺は れいむと温泉旅行にでかけた。 自宅から車で2時間程走り、山の中程にある駐車場に車を駐める。 ここからハイキングコースで山頂まで登り、弁当を食べて少し遊んでから、車まで戻り、温泉宿に向かう予定である。 「おにーさん。れいむ、おやまさんに のぼるのは はじめてだよ。 たのしみだよ。おにーさんと いっしょに はいきんぐさんに これて、ほんっとうに うれしいよ!。」 れいむは俺の腕に自分の腕を絡ませ、笑顔で言う。 『そっか、野良だったころは、山なんていけないもんな。 頂上で食べる弁当は最高においしいぞ。頑張って歩こうな。』 「ゆっくりりかいしたよ!れいむ、がんばるよ!」 俺が飼っている れいむは、胴付き金バッチの れいむだ。 初詣の帰りに、野良で死にかけていたのを気まぐれで治療したことが縁で、飼うことになった。 『ところで、れいむ、歩きにくいから離れてくれないか?』 「ゆ?ゆぅ~、ゆっくりりかいしたよ……」 れいむが名残惜しそうに俺の腕から、自分の腕を離す。 俺の体から、れいむの柔らかい体が離れ、少しだけ残念な気分になるが、それは気のせいだ。 俺はHENTAIじゃないのだから。 「ある~ひ~♪ もりのなか~♪ くまさんに~♪ であった~♪」 れいむは歩きながら、元気よく歌を歌う。 毎日人間と楽しく会話をし、テレビを見ているせいか、れいむは ゆっくりにしては歌が上手い。 歌を歌う れいむの姿は、どこか小さな子供を連想させ、微笑ましく思える。 緑溢れる自然の中で巫女装束(正確には違うが俺的に許容範囲)を着た女の子が見れるのが何よりも嬉しい。 山頂につき、れいむと一緒に弁当を食べる。 ちなみに、弁当はクマの顔型に焼いた自家製パンでつくった特製サンドイッチである。 「ゆわぁ~~くまさんの おかおをした さんどいっちさんだ~~。 ゆーん、おにーさんの とくっせい さんどいっちさんは とっても ゆっくりできるよ! ゆっくりいただきますだよ。むーしゃむーしゃ……ごっくん……しあわせーー!!」 一口食べる度に、幸せそうな顔をする れいむを見て、旅行にきてよかったと実感する。 「にんげんさん、どうつきの れいむ。ゆっくりしていってね!!!」 食後、ゆっくりしていると、野性の まりさに笑顔で声をかけられた。 帽子がなく、小綺麗で籠を咥えた成体の まりさだ。 『ゆっくりしていってね。悪いけど、まりさに あげる ごはんはないよ。 危害を与えるつもりはないけど、人間には関わらないほうがいいから どこかにいきなさい。』 世の中には、ゆっくりを見た瞬間、虐待をする人間もいる。 俺自身ちょっかいをかけてくるゲスならば即潰すこともあるが、 無関係の固体に何故そこまで虐待ができるのか個人的には理解できない。 もっとも、野良や野生のゆっくりを潰すことは法律や条令で禁止されているわけではないので、俺にとめる権利はないが。 「ゆ?ち、ちがいよ、にんげんさん。ま、まりさは にんげんさんに おねがいさんが あるんだよ。 ごはんさんじゃないよ。どうか まりさの おねがいさんを きいてほしいよ。」 そういって、まりさが土下座をしてきた。 野良と違い、野性では食料が安定しやすいことと、人間に対する知識が少なく記憶餡の情報から見下していることが多いため、 野生の ゆっくりが自発的に土下座をするのは中々珍しい。 てっきり甘味を要求されると思っていた俺は、まりさの言葉と態度に少しだけ驚いた。 そして、野生の成体であるにも関わらず、だぜ言葉で話さないまりさに、少し興味が湧き、話を聞くことにした。 ゆっくりなので、要領を得ない説明だが、大体の事情は把握できた。 これまでの人生(ゆん生?)と今後の希望を全部話してくれたが、 要するに、れいむのケガを治して欲しいとのことだ。 「ゆぅ、おにーさん、かわいそうだよ。ゆっくり できない けがを なおしてあげてよ。」 れいむが涙を流しながら言う。 金バッチの称号は伊達ではなく、他者への思いやりのある優しい ゆっくりだと思う。 『まりさ、なんで俺にれいむのケガを治してくれって頼んだんだ?治せないかもしれないだろ? それに、れいむに酷いケガを負わせた人間みたいに、お前を虐めるかもしれないだろ?』 人間の力を理解できているのならば、人間には近づかないはずだ。 事実、まりさは俺と少し距離をとり、愛想のよい作り笑顔をしながらも常に俺を恐怖に満ちた目で見ている。 「ゆ。むかし おかーさんが おしえてくれたよ。 にんげんさんは ゆっくりより ちからが つよくて、あたまも いいって。 ゆっくりでは できないことでも、にんげんさんなら できるって。 むれの みんなは にんげんさんを ばかに するかも しれないけど、それは まちがいだって。 おかーさんは むかし、にんげんさんと いっしょに くらしていた から わかるっていっていたよ。 でも、にんげんさんは ゆっくりが きらいな にんげんさんと すきな にんげんさんが いるって いっていたよ。 だから、もし どうしても にんげんさんに なにかを たのむ ときとは、 ゆっくりが すきそうな にんげんさんを さがして、そのにんげんさんに おねがいしなさいって。 にんげんさんは どうつきの れいむと たのしそうに あそんでいたよ。だから ゆっくりが すきなんでしょ? それに、れいむの けがを まりさじゃ なおせないんだよ。 にんげんさんは こわいけど、もう これしか てが ないからだよ。」 確かに俺はゆっくりが嫌いではない。 昔は まりさを飼っていたし、今は胴付き れいむと一緒暮らしている愛護派だ。 ちなみにHENTAIではない。 「そうだよ。おにーさんは いいゆっくりが だいっすきな、やさしい おにーさんだよ。 まりさ みたいな やさしい ゆっくりのことは きっと たすけてくれるよ! それに ゆっくりの けがなら すぐに なおしてくるよ! れいむも むかし かびさんで しにかけていた ところを たすけてもらったんだよ! ね?おにーさん?」 「ゆ!かびさんを?すごいよ。さっすが にんげんさんだよ。 おねがいだよ、にんげんさん!まりさのだいっすきな れいむを!れいむの けがを なおしてください。」 まりさが土下座をして俺に頼み込む。 話から推測されるケガ程度なら、簡単に治すことはできると思う。 が、俺は れいむのケガを治さないほうがいいような気がする。 『なぁ、まりさ。お前は今、幸せなんだろ? だったら、このままでいいじゃないか。れいむのケガが治ったら不幸になるかもしれないぞ。』 「ゆ?そ、そんなことないよ!! まりさは、まりさは れいむの えがおさんが みたいよ!おうたが ききたいよ! けっこんして れいむと ずっといっしょに ゆっくりしたいよ!」 『でも、プロポーズだってうまくいくかもわからないし、子育ては大変だろ?』 「そんなことないよ!どんなに つらいことでも、まいにち えがおで がんばれば、いつかしあわせーになれるんだよ! おかーさんが いっていたよ!まりさは まいにち ゆっくり できなかったけど、 まいにち えがおで がんばったから いまはしあわせーになれたよ! だから もっともっと えがおでがんばれば、れいむと ぜったいに しわせーになれるよ!!」 「おにーさん!れいむの けがさんが なおれば、まりさは もっと しあわせーに なれるにきまっているよ! れいむだって、おにーさんと おんなじ けしきさんを みれて、 おうたを おにーさんに きかせてあげれて おにーさんと しわせーになれたよ! だから、まりさの だいすきな れいむも、けがさんが なおれば もっと もっと まりさと しわせーに なれるよ!」 まりさと れいむが俺の意見を否定する。 「おねがいします。おぼうしのない まりさでは にんげんさんを ゆっくり させれません。 かってな おねがいだとは わかっているけど、おねがいします。れいむを たすけてください!!」 まりさが再び俺に土下座をする。 仮に帽子があったところで、野性の まりさに何ができるのかは不明だが、 自分が都合の良いことを言っていることは自覚しているようで、中々賢い個体のようだ。 「おにーさん!おねがいだよ。れいむは かわいそうな まりさと れいむを たすけてあげたいよ。 にんげんさんに めいわくを かけない ゆっくりで、やさしい ゆっくりだから たすけて あげてよ。 おねがいだいよ。」 れいむも俺の腕に しがみつきながら言う。 一緒に寝る以外で ここまで俺に物事を頼むのは珍しい。 よっぽど、このまりさに同情をしたのだろうか。 『はぁ、わかったよ。とりあえず、その れいむの ところまで案内してくれ。』 「ゆ!あ、ありがとうございばずぅううううう!!」 「ゆっくり ありがとうだよ!おにーさん!!」 まりさに連れられ、俺はケガを負ったれいむを診る。 「っゆあぁぁあああああああああああ!!! あうあぁぁああああああああああああああああああ!!!」 俺を人間と知ったせいか、れいむは俺に怯え、暴れるので、仕方なく、麻酔を打つ。 突然静かになった れいむに、まりさは驚くが、ただ寝ているだけだと説明をしたら信じてくれた。 ゆっくりのこういう素直なところが、俺は好きだ。 カバンから、れいむのために持ってきていた【ゆっくりれいむ専用医療セット】を取り出す。 (旅行中、何か事故にあったときに治療をするためにもっていきた。) 『まりさ、れいむ。これから この れいむの手術をする。 麻酔で痛みは感じないから叫んだりはしないけど、見た目は結構きついから、つらかったら後ろを向いてろよ。』 そう言ってから、俺はれいむへの手術を開始した。 手術といっても簡単で、眼孔にれいむ種用の眼球(葛餅)をいれ、 舌を根元から切断し、新しく れいむ種用の舌をつけ、揉み上げを移植するだけだ。 オレンジジュースを使えばすぐに組織が癒着するあたりが実に羨ましく感じる。 人間もこれぐらい簡単に移植手術ができればいいのに。 揉み上げ移植の際、残った揉み上げと髪も新しい物に交換し、 でっぷりと太った下腹部を切断し、栄養剤(オレンジジュース)も注射しておいた。 恐らく、ゆっくりからは相当の美ゆっくりにみえることだろう。 『よし、終わったぞ、まりさ。まだ麻酔で寝ているからな。 明日の朝には目を覚ますから、目を覚ましたら、この薬を飲ませろ。 そしたら、治療は完了だ。』 まりさに念のための栄養剤(オレンジ飴)を渡しながら、手術終了を告げる。 「ゆっぐり ありがどうございばじだぁあああああああ!!」 よほど嬉しいのだろう、まりさが泣きながら礼を言う。 「よかったね、まりさ。これから あの れいむと ずっと いっしょに ゆっくりしていってね!」 「ありがどうだよ、れいぶぅううう!!!う、うれじいよ。ごれで ごれで れいぶの えがおざんがみえるよ! れいぶのおうだがぎげるよ!!げっごんでぎるよ!おちびぢゃんが、か、かぞぐが もでるよ!! ぼんっどうに、ほんっどうに ありがどうございばじだぁああああああ!!!」 『…………………さ、行こうか、れいむ。」 土下座をしている まりさの頭を軽く撫でて、俺は れいむと一緒に車へと向かう。 ------- 夜、ペット同伴可の旅館で、豪勢な食事をする。 そして、食後、れいむと一緒に露天風呂に入ることにした。 この旅館にはペット可、混浴温泉があり、ガイドブックにもデカデカとそのことがうたわれていた。 (もちろん、動物が嫌いな方用に、通常の温泉もある。) 「おにーさん。どう?れいむの みずぎ かわいい??」 混浴なので当然、男女水着の着用が義務付けられており、れいむも胴付きなので、水着の着用が義務付けられている。 通販で好きに選ばせた水着で、どんなデザインか教えてくれなかったため、水着姿は始めて見る。 ピンクの生地で胸元に大きなリボンと、スカートがついたセパレートの水着だ。 可愛い水着だが、スカート付きだと、お尻がよく見えなくて少しだけ残念である。 って、俺はHENTAIじゃない!何を考えているんだ? 『ああ、可愛いぞ。』 自分の頬を数回叩き、れいむの頭を撫でながら言う。 「ゆーん、おにーさんに ほめられると、てれちゃうよ……でも、とっても ゆっくりできるよ。」 饅頭なのになぜか赤くなる れいむを可愛いと思いつつ、 俺はHENTAIじゃないと強く念じながら一緒に風呂にはいる。 「おにーさん………れいむ、もう でるね……」 しばらくして、顔を真っ赤にした れいむが苦しそうに言う。 『ああ、ロビーでジュースでも飲んでまってろ。お金はさっき渡したやつを使え。』 「ゆっくりりかいしたよ………」 ゆっくりは湯につかると溶けてしまうため、長時間風呂には入れない。 カラスの行水を済ませた れいむは、先に風呂場からでていく。 浴衣を着た れいむと一緒に部屋へ戻ると、部屋には布団が引かれていた。 布団はなぜか、一つで、枕が二つだった。 「ゆぅ……おにーさん………これは もう いっしょに ねるしか ないよね?」 なぜか頬を赤く染めた れいむが可愛い顔で言う。 どうやら、胴付き れいむを連れて来たため、宿から俺はHENTAIだと思われているようだ。 そういえば、仲居の目から軽蔑の眼差しがあったような…… やめてくれ!俺はHENTAIじゃない!! 『いや、れいむ。もう一組布団を用意してもらうから。別々の布団で寝るぞ。』 「ゆぅ………せっかくの りょうこうさんだよ。れいむ、おにーさんと いっしょに ねたいよ……だめ?」 俺の腕をつかみ、目を潤ませながら れいむが言う。 こうなったら絶対に諦めないのが れいむだ。仕方が無い。 『わかったよ。一緒に寝ような。』 「ありがとうだよ!おにーさん!!」 れいむが嬉しそうに俺に抱きつく。軟らかい感触が伝わり、甘い香りが俺の鼻腔をくすぐる。 って、当たり前だ。れいむはゆっくりだ!饅頭だ!軟らかくて当然だ!甘くて当然だ! 俺は早くなる鼓動を必死に抑える。 数時間後、俺と れいむは同じ布団に入り、灯りを消した。 「ねぇ、おにーさん。もうねた?」 『ん?いや、まだだよ。』 「おにーさん……あの まりさと れいむ、ぜったいに しわせーに なれるよね。 れいむの けがが なおって、ずっといっしょに ゆっくりできるよね。」 『………………ああ、そうだな。きっと幸せな家庭を築くよ。きっと……』 「ゆぅ……れいむ、あの れいむが ちょっとだけ うらやましいよ。 あんなに だれかから あいされるなんて……れいむも………いつか……」 俺の脳裏にヤバイ展開が浮かんだ。 このまま れいむを喋らすと、俺がHENTAIになるかもしれない。 『そんな相手が見つかるといいな。さ、もう寝るぞ。おやすみ。』 急いで会話を強制的に打ち切り、目を閉じる。 「ゆぅ………もぅ………おやすみだよ、おにーさん。」 れいむは少し頬を膨らませ、俺の腕にしがみついてきた。このまま寝るつもりなのだろう。 浴衣の隙間から微かにふれる れいむの柔らかい地肌に鼓動が早くなるが、必死に素数を数え、落ち着き取り戻す。 気持ちよさそうに寝息をたてる れいむの頭を撫でながら帽子のない まりさのことを考える。 野生だが、賢く優しい性格をした帽子のない まりさ。 れいむの言う通り、れいむと番になって幸せになれるといいが…………… 俺は不安を感じながら、眠りについた。 ------------ 青年と胴付き れいむが布団に入った頃、まりさは巣穴の中でニコニコしながら れいむを見つめる。 れいむは、麻酔の効果で気持ちよさそうに眠っている。 失った揉み上げも、目も舌も全て完治している。 その上、暴食と運動不足で茄子のように太った体も、以前のようなスマートになっている。 眼福とはこのことで、見違える程美しくなった愛する れいむを見ているだけで、まりさは幸せになる。 「ゆぷぷ。れいむが めをさましたら、この おくすりさんを のんでもらうよ。 それから まりさは れいむに ぷろぽーずを するよ。 そして、ずっと ずっと れいむと いっしょに ゆっくりするよ。 おちびちゃんも たくっさん つくって、しあわせーな かていを きずくよ。 おかーさん、まりさは しあわせーになるよ。おそらの ゆっくりぷれいすから ゆっくりみててね。」 まりさはもう少しで訪れるであろう幸せな未来を想像し、笑顔になる。 その顔は以前と違い、本当に幸せそうな顔である。 つづく あとがき 喋れないゆっくりを描写するのって難しい。 喋れても、難しいですが……… ご感想ありがとうございます。 群れのゆっくりを虐めて欲しいというもっともな意見を頂き、 急遽母れいむたちを追加しました。 当初、ゆ虐シーンが殆どない話で、どう書こうか悩んでいたので助かりました。 飾りがなくても個体認識できる設定は独自設定かもしれません。 気分を害された方、申し訳ありませんでした。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3986.html
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3606.html
『風景』 29KB いじめ 観察 日常模様 妊娠 赤ゆ 独自設定 久々に。盛り上がりには欠ける話なので注意 リハビリに表現の描写を過剰気味に一発書いてみた *注 ・ヤマなしオチなしの淡々モノ ・テンプレ乙 ・ゆっくり視点 ・殆ど喋らない ・ゆっくりの性描写あり ・独自設定あり れいむの目には壁が映っていた。 いや、正確には壁『だけ』が映っていた。 れいむと壁の間には何も無く、誰もいない。ただガランと広がっているだけなのだ。 「・・・・・・・・」(ゆぅぅ・・・・・) だがしかし、れいむはその壁を見続けていた。 れいむはどこかに跳ねて行こうともしない。 ―――――――― 当然だ。れいむのあんよは真っ黒に焼き潰されており、移動することなど出来ない。 れいむは別の場所を見ようともしない。 ―――――――― 当たり前だ。れいむの周囲は前を除いてがっちりと別の壁で固められており、正面以外を向くことなどできない。 れいむは何も喋ろうとしない。 ―――――――― 出来るはずがない。れいむの口は溶かされて肌と一体化しており、話すどころか存在すらしていないのだから。 れいむはただ、目の前の風景を見続けていた。 『風景』 れいむはずっと昔から、現在の風景を見てきていた。 それはもう、ゆっくりの少ない記憶領域では思い出せないくらい昔からずっとだ。 「・・・・・・・・」(ひまだよ・・・・) れいむの日常は刺激というものが存在していない。 まず自分自身で何かする、ということが出来ない。 あんよが焼けているため動くことが出来ず、周囲を固められているので身じろぎも難しく、口が無くなっているため独り言すら言えない。 そして外部から何かされる、ということも無い。 何もなく誰も居ないこの場所では音が鳴ることなど殆ど無く、見える景色は壁ばかり。明かりも蛍光灯なため、光の変化すら乏しい。 ぽかぽか太陽も無ければ涼しい風も吹かないこの場所は、温度でさえ一定である。 「・・・・・・・・」(とっっっっても・・・・ひまだよ・・・・) れいむには食事でむ~しゃむしゃする楽しみも、うんうんを出してすっきりー!する解放感も無い。 れいむの後頭部には二本の管が刺さっており、それぞれ食事代わりの栄養補給と排泄を無くす為の吸引を行っているからだ。 「・・・・・・・・」(つまんないよ・・・ひますぎてゆっくりできないよ・・・れいむ、もっとなにかしたいよ・・・) れいむはそんな、変化という刺激が無い時間をただ延々ジッとし続けなければならない。起きてから眠るまで、ゆっくりからすれば長い時間を常にだ。 それはゆっくりすることを何よりも好むゆっくりにとっても望ましくない事だ。退屈とゆっくりは違うということである。 この生活においてれいむが出来ることは2つだけ。目の前を見続けること、胡乱な餡子脳で考えを巡らせること、それだけだ。 「・・・・・・・・・・・・・」(・・・しかたないよ・・・・きょうはもう、れいむはす~やす~やするよ) 一日中ただ目の前にある壁を見続けるだけ、それ以外は一切何も無し。ひたすら退屈なだけで、考えるようなことなど何もない。 だからいつも、れいむは早々に眠りにつく。 「・・・・・・・・・・・・・」(めがさめちゃったよ・・・でも、もうれいむす~やすやはできないよ・・・) だがその眠りは長くは続かない。 全く動いていないため疲労が少なく、体が眠りを欲していないのだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(つまらないよ・・・つまらないよぉ・・・・) 眠ることが出来なくなると、途端に一日が長くなる。 というより起きてから寝るまでを一日としているだけで、そもそもの時間の経過が分からない。 子供が大人に成長するほどの月日が流れたのか、日が昇りそして沈む程度の時間が経ったのか、それともまだ1分もしていないのか、全く把握できていない。 れいむの日常とは、そんな退屈との戦いの日々である。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(ひまだよぉ・・・・ぴょんぴょんしたいよ・・・・こ~ろころやの~びのびがしたいよぉ・・・・) 次の日、れいむは退屈の中で叶わぬ想いを抱きながら一日を過ごした。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(だれかといっしょにゆっくりしたいよぉ・・・れいむ、ひとりぼっちはイヤだよぉ・・・) そのまた次の日、れいむは誰かが傍にいればいいのにと想いながら、一匹だけで何も無い一日を過ごした。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくりできない・・・これじゃゆっくりできないよぉぉぉ!ゆっくりしたい!ゆっくり!ゆっくりぃぃぃ!!) さらに次の日、れいむはゆっくりできないと心の中で癇癪を起しながら、しかしやっぱりそれまでと変わらぬ一日を過ごした。 次の日も何もなかった。 次の次の日も何も出来なかった。 次の次の次の日もやはり何も起きない。 次の次の次の次の日も何も出来ず何も起きない。 次の次の次の次の次の日もやっぱり何も無く、誰も居ない。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(だれかぁ・・・・ゆぅぅぅ・・・・れいむに・・・・なにか・・ れいむを・・・・ れいむが・・・) 次の日も、 その次の日も、 さらに次の日も、 そのまた次の日も、 さらにその次の日も、 さらにさらに次の日も、 ゆっくりできることも、ゆっくりできないことも、何も無かった。 「・・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・ ・・・ ・・・」(だ…かれいむの…こ…にきて…ぉ…れみりゃ…もいい……、れ…むとい…しょに… ) 何も出来ず何も起きない時間が長く続く、それは徐々に精神を蝕んでいく遅行性の毒のようなものだ。 その毒はゆっくりと全身を巡っていき、やがて心が死ぬことになるだろう。 そうなればれいむはれいむで無くなり、ただの一匹の狂った廃ゆんと化すことになる。 「 ・・ ・ ・ ・ ・・ ・・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・・」 (あ ? いむ、い ?うな て んだ ?れい ?だれ ? ? らない ・ ・?) れいむも次第に心が、精神が、壊れていっていた。思考が怪しくなり、自分が生きているのかすら分からなくなっていく。 れいむの現状は人ですら辛いと感じるもの、ゆっくりである身で耐えきれるようなレベルではない。 だかられいむが今まで死なずに生きてこれたのは、決して心が特別に強いからなどではない。 ガチャ 「・・・・・!!!」(ゆぴっ!!?) ただ単純に、れいむが壊れきる前にやってくる『非日常』による刺激を与えられていた、それだけだ。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 音が響く。 それまで無音だった日々に、たった一つだけ音が響き始めていた。 コツ コツ コツ それは何かが固い床を叩く音。 音はまるでリズムをとっているかのように、一定の間隔をもってれいむの居る空間に響いている。 「・・・!?・・・・?」(ゆ!?ゆゆゅ!?・・・あ、あれ?れいむは・・・ゆ?・・・・このおと、は?) そしてその音という刺激に、れいむの意識は急速に回復していった。 そのまま、れいむは急に響きだした音に頭が混乱しながらも、意識を音へと向ける。 コツ コツ コツ コツ コツ コツ 「・・・?・・・・・・・??」(ゆ?・・・・ゆゆゆゆゆ?・・・・これ・・・このおと・・・たしか・・・) 一定の間隔で聞こえてくるこの音。それにれいむは聞き覚えがあった。 精神が壊れかける日常を過ごしても尚れいむの記憶に残っているこの音、その正体は ―― コツ コツ コツ 「・・・・・・・・!?!?」(この・・・このおとは・・・!にんげんさんのっ!?) 人間が歩いてくる音である。れいむは人間の靴が床を叩く音を、それまでの度重なる経験によって記憶に刻みこんでいた。 そして同時にこの音が聞こえる時はれいむへの『行為』が迫っているのだということも、否応なくれいむは思い出していた。 コツ コツ コツ コツ コツ コツ 「・・・・・ッ!・・・・・・ッ!」(きてるっ!にんげんさんがれいむのほうにきてるよぉぉぉ!!?) れいむの目に映っているのは相変わらず壁だけだ。 だがそこにたった一つ音という要素が加わるだけで、全く違ったものへと変化していた。 音が響く度にれいむの目に映る壁はぐにゃりぐにゃりと歪み、隆起と沈降を繰り返して生き物のように蠢きだす。 音が少しずつ大きくなる毎に壁についていた汚れや傷が大きくなっていき、まるで魔物のように恐ろしいモノへとなっていく。 れいむに見える風景は、そんなゆっくりとは程遠いものへと成り果てようとしていた。 もちろん実際にはそんな変貌を遂げているのではない。 だがそのようにれいむには見えてしまうのだ。心を締め付ける『恐怖』という感情によって。 そう、れいむはこの後の『行為』を心底から恐れていた。例えそれのお蔭で変化の無い日常を生きてこれたのだとしても。 コツ コツ コツ コツ コツ コ 「・・・・!!・・・・・・・・ッ」(ゆひっ!と、とまったよ・・・で、でも) 途中で音が止まる。だがそのことがれいむに安堵をもたらすことはない。 いつだって必ず途中で音は止まるのだ。そして少し経ったら再び聞こえ始めるようになる。 停止と再開を繰り返す音のリズムはれいむの心に多大な重圧を掛けており、じっとりとした汗がれいむの肌に浮かんでいく。 コツ コツ コツ 「・・・・・っ!」(れいむのあんよさん、うごいてよ!!にんげんさんがれいむのところにきちゃうよ!ゆんやぁぁぁぁ!うごいてよぉぉぉ!!) ここから今すぐに逃げ出したい ―――― 焦げたあんよはぴくりとも動かない コツ コツ コ 「・・・!・・・っっ!」(いやだよ!れいむ、もういやだよ!もうあんなこといやなんだよぉ!) 少しでも此方に来る人間から離れたい ―――― れいむの周りを固めている壁が身じろぎすら許さない コツ コツ コツ 「・・・・!・・・!・・・!!」(やだよ!やだよやだよやだよ!やだやだやじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!) 泣き叫んでこの重圧を少しでも紛らわせたい ―――― 溶けて消えた口が音を出すことは決してない コツ コツ コ その後もれいむの焦燥など関係ないとばかりに音は停止と再開を繰り返し、そして コツ コツ コ ガタッ 「・・・・・・・・!!!!!」(あ・・・あぁ・・・・・に、にんげん、さん・・・・!!) れいむの目に、人間が映りこんだ。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ カチャ カチャ 「・・・・ッ!・・・・・ッ!・・・・・ッ!」 (や、やめてね?・・・にんげんさん、そんなことしてないでゆっくりしてね?れいむといっしょにゆっくりしてね?) れいむの目に映りこんだ人間はそのまま、れいむの目の前で『行為』の準備を始めた。 これも記憶にある光景。人間はいつも見せつけるかのようにれいむによく見える位置で準備をしていく。 自分への道具を用意していく様を見せつけられるこの時間は、れいむが最も嫌いでゆっくりできないと感じるモノである。 カチッ ピッ 「ッ!!!」(ゆっ!!) だがその時間は長くは無い。すぐに準備は整い、れいむへの『行為』が始まるからだ。 人間がれいむのあんよ近くにあるスイッチを押すと同時に、れいむへの『行為』は始まる。 ヴィィィイィィィィイィィィ 「ーーー!ーーーーー!!」(ゆぁぁぁぁぁぁ!!?や、やめてぇぇぇぇぇぇ!!?) 最初の『行為』、それは強制的な発情である。 れいむの乗っている床が、身じろぎ出来ない程に密着している周囲の壁が、ブルブルととても細かく振動する。 その揺れは当然れいむへと伝わり、体を激しく揺さぶっていく。 ヴィイィィィィィイィッ 「ーーーーっ!ーーーーーーーーーーっ!!!」(ゆぅぅぅぅ!!れいむすっきりしたくないよぉぉぉぉ!!やぁぁぁぁ!!) ゆっくりは振動によって発情する。れいむも揺さぶられることによって、体内の奥底から否応なく快楽を引き出されていく。 だがその気持ちよさとは裏腹に、その行為に対して感じるものはゆっくりしたものから程遠い。 相手のことなどお構いなしに無理やり与えられる快楽は、叩きつけるかのような衝撃をれいむの精神に与えており、むしろ暴力に近しい。 ヴィィィイィィィイィィィイィィ 「ーーッ!!ーーーーーーーっ!!ーーーーーーーーーーーっ!!!!」 (ゆっぐぅぅぅ!!ぎ、ぎぼちいいげどぎぼぢわるい”ぃぃぃぃ!!やべでぇぇぇぇぇぇぇ!!) 与えられ続ける振動は温もりに欠け、れいぱーだって少しはマシだろう最悪なすっきり行為となる。 だがそれでも込み上げてくる快楽に抗うことは出来ず、れいむの体は心とは無関係に高みへと上り詰めていく。 次第に嵐のような振動に見える景色が白濁し、殴りつけるような快楽に体が散り散りになったような幻覚を覚える。すっきりへと至る前兆だ。 ヴィィイイィィィ 「 ! !!!!!!」(ずずずずっぎり”ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?) そして数瞬後、れいむの体は予想通りにすっきりへと至った。 ゆっくりでは実現不可能な凄まじい振動によってもたらされる極大の快楽と、どこまでも無機質に行われた行為に対する最低最悪な心地がない交ぜとなり、れいむの意識が飛ぶ。 そして同時に、れいむの意識が混沌と化すのを狙って人間が動いた。 プスッ 人間はいつの間にかその手に注射器を持っていた。その針先をれいむの額付近へと差し込むと、素早く中身を注いでいく。 注射器の中身、それは他のゆっくりから採取された精子餡だ。それをれいむのすっきりと同時に流し込むことで、疑似的な交尾を再現したのだ。 にょきにょきにょきっ 「・・・・・!・・・・・・!!」 (ゆぁ・・・ぁ・・・おちびちゃん・・・・しょうらい、れいむのすてきなだんなさんと・・・・いっしょにつくろうとおもってたのに・・・・) そんなことをされれば当然のようにゆっくりはにんっしんする。れいむも注射器を刺された所から植物型にんっしん特有の茎が勢いよく生えてきた。 そして茎の途中に小さな蕾が出来ていき、直ぐにちっちゃなゆっくりの形を成し、赤ゆの前身であるつぼみゆっくりとなり ―― ぶちっ 「っ!!!」(ゆぁぁぁぁぁっ!!?れいむのかわいいおちびちゃんがぁぁぁぁぁ!!!?) その段階で人間の手によってれいむの額から茎が毟り取られた。 無理やりで出来たとはいえ自分の餡子を分けた子供が顔も見ぬうちに奪われていく。それは母性の強いれいむからすれば心を引き裂かれる所業だ。 だがそのことをれいむが悲しむ暇はない。 カチッ ピッ ヴィィィィィイィィィイィィ 「~~~~~~~~っ!!~~~~~~~っっ!!!」(ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!?ゆらさないでぇぇぇぇ!!?やべてぇぇぇぇぇぇぇ!!) れいむの『行為』は、一回では終わらないのだから。 再度始まった振動による快楽の強制が、れいむの意識を再び漂白していった。 ・ ・ ・ しばし後、れいむは何度目になるのか分からないほどの回数、すっきりを強制させられていた。 ヴィイイィィィィィィィイイイィィィィィ 「 !!! っ!!!! !っ!!」(かひゅっ!?すっぎりぃ!?こっ!?) プスッ 一回だけでも心身共に負担の大きいすっきりを複数回である。その意識はすでに彼方へと飛び曖昧と化している。 そんなれいむの額にはすっきりの回数だけ生えて毟られた茎の跡が痛々しく残っている。 にょきにょきにょきっ ぶちっ カチッ ピッ ヴィィイィィィイィィィィィイ 「ーーー!!!~~~~~~!!!!―――――――――――――!!!!」(ゆぎっ!!びゅっ!ゆごががががが!?) 人間はまるで機械のように同じ行為を繰り返す。れいむを発情させ、すっきりと同時に注射し、生えてきた茎を毟る。 淡々と、淡々と、繰り返し、繰り返し、リピートし続ける。人間の行為が止まるのが先か、れいむが壊れるのが先か、といった具合だ。 ヴィィィィィイィィィィィイイィィィィ 「 !!!」(っっっすずずっきぎきりりりり”ぃぃいぃぃ!!!?) プスッ そして再びれいむの体がすっきりへと至る。同時に死に際のように痙攣するれいむの額に注射器が刺さり、中身がたっぷりと注がれていく。 すぐさま刺された所から毟り取られた茎の跡をかき分けるように、今回のすっきりによって出来た茎が新しく生えてきた。 にょきにょきにょきっ ぶちっ カチッ ピッ ヴィィイィィィイィィィィィイ 「!!!?ーー!?!?!?!?―――――――――――――!!!!??」(ゆ”っ!!ゆ”ゅ”ゅ”ゅ”ゅ”ゅ”っ!ゆ”びゅぼぼぼぼっぼ!?) そしてやはり即座に茎は毟り取られ、次のすっきりが始まる。だがれいむにそのことを正確に認識する余裕はない。 あるのはただ繰り返される快楽の暴力による精神的苦痛と、着実に近寄ってくるすっきり死の予感だけだ。 ヴィィィィィイィィィィィイイィィィィ 「 !?!!?」(っす”ずっぎきり”り”り”り”ぃ”ぃ”い”ぃ”!!!?) プスッ れいむがすっきりに至ると同時に注射器が刺さり中身が注がれる。 にょきにょきにょき 「ーーーーーーーーー!!」(っ!?ゆぼっ!?びぃ!!) 刺された所から茎が急速に生え、それは同時にれいむの体力をゴッソリと削っていく。それによってより死の気配が濃厚になる。 れいむに残された体力からすればこの茎が限界だった。あと一度でも茎を生やせば、そのまま黒ずんで死ぬことになる。 ガタッ コツ コツ コツ コツ 「――――――――――――」(ゆげっ・・・げっ・・・ゆぶふぉ・・・ゆ”・・・・ゆ・・・・ゅ・・・・) だが今回、その茎は毟り取られることはなかった。ここで唐突に、人間がそれまで繰り返してきた行為を止めたのだ。 人間はれいむの額から茎がしっかりと生えたことを確認すると、そのまま立ち去っていく。 コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツ 「 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・」(ゅ・・・・ゆ”・・・・れい、む・・・まだいぎで・・・る・・・の?) 人間の歩く音が次第に遠ざかり、やがて消える。 これがれいむの『行為』が終わった合図だ。いつもいつも、こうして最後の時だけは子供はすぐには奪われない。 ボンヤリとした頭でれいむは、今回も何とか生き残ったことを理解した。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ れいむの目には壁が映っている。 いつも見ている正面の壁、だがそこには以前と異なり、壁以外に別のモノも映っている。 「・・・・・・・・」(れいむの・・・おちびちゃんたち・・・) 「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」 それは前回の『行為』によって出来たおちびちゃん達だ。 額から生えた茎に実ったおちびちゃん達は、まだつぼみゆっくりであるが故に声も出せなければ身じろぎも殆どしない。 だがその存在は確かなゆっくりを与えるものであり、れいむの殺風景な景色に彩りを加えている。 「・・・・・・・・」(おちびちゃんはかわいいのに・・・・ゆっくりできるのに・・・・) しかしれいむの表情はどこか晴れないものだ。その目は悲しみに満ちており、さらに何とも言えない複雑な感情を表している。 それはおちびちゃん達の将来を知っているが故であり、さらにおちびちゃん達が『どんなゆっくりなのか分からない』が故である。 そう、れいむは今茎に実っている我が子がどんな種のゆっくりであるのかが全く分からないでいた。 通常であれば茎に実っているゆっくりの種類はれいむ種と番の種族だ。 だが直接注射で出来た茎では、その元となる精子餡が誰のものなのかなど欠片も知ることができない。 ゆっくりできるおちびちゃん達のことを愛しく思いながらも、そのおちびちゃんが誰なのかさっぱり分からない。 その事実はれいむの心にシコリを作っており、おちびちゃん達から感じるゆっくりに影を落としていた。 「・・・・・・・・」(おちびちゃん・・・・れいむの・・かわいいおちびちゃんたち・・・) 「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」「……」 子供を身ごもったゆっくりとしては異様な静けさのまま、れいむの日々は過ぎていく。 ・ ・ ・ すこし後、れいむの茎に実ったつぼみゆっくり達は成長し、赤ゆっくりと呼べるサイズにまで大きくなっていた。 ここまでの日々、れいむは多少影を感じていたものの以前とは比べ物にならない程のゆっくりを感じてきた。 日に日に大きくなっていくおちびちゃん達、その成長という変化を感じられる毎日の楽しさは、前の何も起きない時とは雲泥の差があった。 「・・・・・・・・」(ゆぅ・・・おちびちゃんたち、とってもゆっくりしているよぉ・・・・・・・) 「…ュッ…」「……」「…ゅ」「……(ピクッ)」「……」「ゅ…」「……」「……(プルッ)」 今ではおちびちゃん達は偶に小さな声を出したり、僅かに体をピクピクさせたりしており、自分から外界へと働きかける動きを取っている。 小さな命の揺りかご達が懸命に生まれる準備を整えていくその様子、それは何よりも尊いものだとれいむは感じていた。 だがしかし ―― 「・・・・・・・・」(おちびちゃんたちがゆっくりそだっているのに・・・れいむは・・・れいむは・・・!) それらに対してれいむが何か手伝ってやることはできない。何かするにはれいむの状態が致命的に悪い。 消された口ではおちびちゃん達に話しかけることは当然できないし、身じろぎすら殆ど出来ない状況では何か行動することは困難だ。 「・・・・っ!・・・・・・」 (れいむ、おかあさんなのに・・・おちびちゃんたちをゆっくりさせる、おかあさんなのにっ・・・おうたもうたってあげられないなんてっ!) 「……」「…ゅ…」「…ゅっ…」「……」「……(プルプル)」「ゅ…」「…ゅぅ…」「……」 お歌でおちびちゃん達をゆっくり安らかな気持ちにさせることも出来ない。 体を軽く動かして茎を揺らし、上下左右にゆ~らゆらさせて楽しませることも出来ない。 れいむに出来ることはただおちびちゃん達を見続けること、それだけなのだ。 それは母性が強く子育てが何よりも上手だと思っているれいむからすると、何とも落ち着かない歯がゆい想いを湧き立たせることだ。 「・・・・・・・・・・・っ!!っ!!」 (そもそもれいむのおちびちゃんたちはれいむとおなじれいむなのかな?それともまりさ?ありす?ぱちゅりー?みょん?ちぇん?それとも・・・・? ・・・ゆぅぅぅ・・・わからないよぉぉ・・・おかあさんなのにっ!れいむはおちびちゃんたちのおかあさんなのにぃぃぃ!!) さらに言うと、れいむは未だにおちびちゃん達の種別が分からないでいた。 何故なられいむからはおちびちゃん達の髪の毛やお飾りといった、種別を判断できるようなものが見えないためだ。 なぜ見えないのかと言うと、理由は茎の伸び方が通常とは異なっているためである。 前回の『行為』で最後の方、茎はそれまでに毟られた茎の跡をかき分けるように生えてきていた。 その影響なのか、普通なら横方向に伸びるはずの茎が、れいむの場合は縦方向へと伸びてしまったのだ。 そのためおちびちゃん達は普通よりも高い位置に実っており、れいむはおちびちゃん達を真下から見上げる形になっていた。 だかられいむから見えるのはおちびちゃんのあんよ部分のみ、それもおちびちゃんが茎の外向きに実ることから後ろ側が主になる。 あんよの後ろ側、そこはつまるところお尻である。お尻を見て種別を判断できるような特殊技術を、当然れいむは持ち合わせていなかった。 「・・・・・・・・・・!!」(ごめんねぇ!れいむダメなおかあさんでごめんねぇぇっ!ゆえぇぇぇん!) 「…ゅっ!…ゅっ!ゅゅっ!」 「・・・・・・・・・っ!!」(ゆぇぇん!ゆぅぅぅん!ゆぅぅぅぅん!ゆぇぇぇ・・・・ゆ?) 「ゅっゅっ!…ゅっ!ゅゅっ」 「・・・・・・・・・・!!」(おちびちゃん?・・・・もしかしてれいむをはげまそうと・・・?) 「ゅっ!」 「・・・・・・・・・!!!」(ゆぅぅぅ!やっぱりそうなんだね!おちびちゃんは『まえも』そうやってくれたね!!やさしいおちびちゃんだよぉぉ!!) だがしかし、れいむはおちびちゃん達の種別は分からなくても、それぞれを見分けることは出来ていた。 今も一匹のおちびちゃんがれいむを励ますかのように声を出しているのを聞いて、さらにその子が以前も同じような事をしたおちびちゃんであることを認識していた。 (余談だが、励ましの声はれいむの思い込みである。単に件のおちびちゃんが割かし声を頻繁に出す個体なだけだ。) 「…ゅっ!…」「……ゅゅ(プリンッ)」「……ゅっ」「ゅ、ゅ……」「…ゅ~…」「ゅ…」「…ゅ!」「……ゅぅ」 「・・・・・・・・・・・♪」(ほかのおちびちゃんたちも!・・・ゆふふ、そうだね、みんなゆっくりしたおちびちゃんだものね!) ゆっくりは通常、お飾りによって個体を見分ける。逆に言うと、お飾りさえついていれば唯の石ですら我が子に見える。 そんな中、れいむはお飾りが見えないにも関わらずそれぞれの個体を見分けている。それは中々に凄いことのように思えるだろう。 がしかし、それは決して『茎を通して繋がった親子の絆で分かる~』などといった感動的なものでは無い。もっと単純だ。 「・・・・・♪♪♪」 (あにゃるさんがきゅっとしまったあのおちびちゃんはきっとたくましいゆっくりになるよ! ちっちゃくてきゅうとなあにゃるさんのおちびちゃんはきっとびゆっくりになるよ! あにゃあるさんがおおきいあのおちびちゃんはドスみたいにおおきくそだつにきまってるよ! ほかのおちびちゃんたちだって、みんなとってもゆっくりしたあにゃるさんだよ!! そんなあなにゃるさんをもつおちびちゃんたちは、とってもゆっくりしたおちびちゃんだよ!!!) そう、れいむは自分のおちびちゃん達をそのお尻についているあにゃるによって見分けていた。 れいむから見えているのは一直線に並んだ尻、尻、尻。その光景はさながら尻の大名行列だ。自然、そこにある差異が目立つことになるという訳だ。 「ゅゅ……」「……っ」「……」「……ゅ、」「……」「ゅっ…」「……」「ゅ~…」 「・・・♪♪♪♪♪」 (おちびちゃんたちのあにゃるさんをみているだけで、れいむはゆっくりできるよ!おちびちゃんのあにゃるさんはれいむにとって、てんしのあにゃるさんだよぉ!) れいむにとっておちびちゃん達の顔とはあにゃるの形であり、おちびちゃん達の個性とはあにゃるの特徴である。 あにゃるから感じ取ったそれぞれのおちびちゃん達の情報(思い込み)を、れいむは餡子脳内で形にすることでこれまでゆっくりを感じてきていた。 無論、種別も分からない状況なので脳内のおちびちゃん達はどれも薄ボンヤリとした像にしかならない。 だがれいむにとってはそれだけでも十分なゆっくりだった。 「・・・♪♪♪・・・♪♪♪・・・♪♪♪」(おちびちゃんたち!ゆっくりしていってね!!) 現に今、れいむはそんな尻とあにゃるしか見えないおちびちゃん達によって、嘗てでは考えられない程に生き生きとした日々を送ることが出来ている。 おちびちゃんが小さな声を挙げる度に心が癒され、微かに体をプルプルさせるのを見る度に体の奥がほっこりと温かい気持ちになっていく。 あにゃるをヒクヒクさせるおちびちゃんを見るれいむの目からは感動の余り涙がポロポロと溢れ出しており、誰が見ても幸せそうな表情に見えるだろう。 おちびちゃんの存在はれいむの毎日を満たしてくれる、そんな掛け替えのないモノであった。 ガチャッ 「・・・・・!?!」(ゆ”っ!!?) だがそんなれいむの幸せな『非日常』に、再びあの音が響き渡った。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ コツ コツ コツ 音が響く。 れいむの所に再び人間がやってきた、その証である音が。 「・・・・・・!」(ゆぁ・・・ゆああぁぁ・・・!) そしてその音を聞いたれいむは、目の前が真っ暗になるような絶望を感じていた。 なぜなられいむは知っているからだ。かつてれいむに非日常の始まりを告げたこの音が再び聞こえる時、一体何が起こるのかを。 「・・・!・・・!!」(や、やだよ!とられたくない!れいむはもうおちびちゃんをとられたくないよぉぉ!) この音が再び聞こえる時、それはれいむの非日常の終わり。つまりおちびちゃん達が奪われるということであった。 だかられいむはおちびちゃん達が実って直ぐの頃、悲しみに満ちた目をしていたのだ。いつかこの子達も奪われるのだ、と。 だがれいむはそうと知っていながらもおちびちゃん達にしっかりと情が湧いていた。ただ苦しみが増すだけだというのに。 そうしている間も音が響く。 れいむの心情など関係無く、ただ無機質に冷たく、かつてと同じように。 コツ コツ コツ 「・・・・・っ!!」(にげないと!おちびちゃんをまもるためににげないと!にげないといけないのにぃぃぃ!!!) 逃げ隠れておちびちゃん達を守りたい ―――― 真っ黒に焼けたあんよは決して動かない コツ コツ コ 「・・・っ!・・・っ!」(にげてぇぇ!おちびちゃんんんんん!!) せめておちびちゃん達だけでも振り落すことで逃がしたい ―――― 固定された体は微動だにしない コツ コツ コツ 「・・・・!・・・っっ!・・・!!」(ゆんやぁぁぁ!!!だめだよぉぉ!!ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!) 何としてでもおちびちゃん達を守りたい ―――― 口の無いれいむではお口の中に隠すことは勿論、声で威嚇することも、ぷくーすることもできない どう足掻こうとも、れいむは何も出来ない。ただ次第に大きくなってくる音に絶望を膨らませるだけ。 そして、 コツ コツ コ ガタッ 「・・・・・・・・!!!!!」(ゆあ・・・ゆあ、あああ・・・ああぁぁぁ!!) かつてと同じように、れいむの目に人間が映りこんだ。 ・ ・ ・ カチャ カタッ カタッ 「・・・・・!・・・・・!!」(とらないでね!にんげんさん、おねがいだからとらないでね!れいむのおちびちゃんをとらないでね!) れいむは目の前の人間に必死になっておちびちゃんを奪わないように訴えかけようとしていた。 唯一自由に動く目を使い、人間とおちびちゃん達の間で視線を行き来させ、何とか伝えようとする。 だが人間はれいむの方など見ず、ただ茎の様子を確認しながら手元に持っている紙に何やら書き続けている。 「・・・・!・・・!」(ほら!おちびちゃんたちはゆっくりしてるでしょ!?かわいいでしょ!?だから、だから!!) れいむの行動はマルッと無視されているのだが、れいむは構わずその行動を続けていた。 元よりそのような事しかできないし、だからといってただ奪われるのをじっと待つこともできないのだ。 以前の行為の際のように朦朧とした意識の中で奪われるのではない上に、おちびちゃん達には大きな愛情を感じている。 放っておくなど出来なかった。 カタッ カチャ カタ 「・・・・!~~~~~!!」(とらないでねっ!!れいむのおちびちゃんたちを!あにゃるてんしさんたちをとらないでねっ!!) 「ゅ~?」「ゅっ!」「……??」「……?」「ゅっ…ゅっ…」「ゅっゅゅ!」「ゅゅゅ~!」「ゅ?ゅ?」 だがそれも無駄なこと。 れいむは涙を流しながら訴えかけ、おちびちゃん達は初めて見る人間に興味を示し、人間はれいむ達を無視して書き続ける。 誰もかれもが相手のことなど考慮せずに自分中心の行為をしているのみ。意思疎通など叶うはずがない。 故にれいむの想いが通じることも、れいむの願いが叶うことも決して無い。 スッ 「ーーーーーーーーーーー!!!!」(あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁ!!!だめっ!や”べでぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”!!!) 「…!!」「…ゅ?」「ゅ~!」「ゅっ?」「ゅ!」「ゅゅ?」「…??」「ゅゅ~!」 書き終えた人間の手がれいむの茎へと伸びる。 非日常を終わらせる手が、れいむからおちびちゃんを奪っていく手が、しっかりと茎を握り 「ーーーーーー!!!------!!!!」(ゆ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっっ!!!!!!) 「ゅ♪」「ゅ?」「ゅ~♪」「ゅっ?」「??」「ゅ~」「ゅゅっ?」「ゅゅ~♪」 ブチッ れいむは結局おちびちゃん達の顔を一度も見ることなく、永遠の離別をさせられたのだった。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ れいむの目には壁が映っている。 何も無く、誰もいない、そんな壁だけが映っている。 「・・・・・・・・」(・・・・・) 以前はそこに、少しずつ大きくなっていく命の輝きが、天使のようなおちびちゃん達がいた。 だが今は居らず、そのことがれいむの心にぽっかりと穴を空けていた。 おちびちゃん達を奪われたれいむは心に大ダメージを受けており、放心状態で日々を過ごしている。 「・・・・っ!」(・・・・・おちび・・・ちゃん・・・っ!) れいむの脳内には時折おちびちゃん達と過ごした楽しい頃の記憶が過る。 だがそれはゆっくりを感じさせることなどではなく、むしろ現状との落差を、最早感じることが叶わぬ楽しき日々を痛みとして伝えてくる。 「・・・っ・・・っ・・・っ」(どうじで・・れいむがこんなめにぃぃ・・・ゆえええぇぇぇぇぇ・・・) そんな想い出が脳裏を掠める度にれいむの目から悲しみの涙が零れ落ちる。 なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか、どうしてこんなゆっくりできない思いをしなければならないのか、と。 悲しくて苦しくて、体が張り裂けそうな想いで一杯であった。もし口さえあれば、即座に自殺のための『お食べなさい』をしていただろう。 だがしかし、れいむの悲しみの深さとは裏腹に、その想いは急速に消えていくことになる。 れいむの後頭部に刺さった二本の管、食事と排泄を肩代わりするそれが強制的にれいむの中身を循環させ、ゆっくりできる想い出も今の感情もすべて押し流していくからだ。 結果、すぐにれいむは今の記憶を忘れ、退屈な日常へと埋没していくことになる。 もし思い出すときが来るとすれば、それは次の非日常が始まるその時だ。 れいむはただ日常と非日常を繰り返し続ける。 いつか死ぬ、あるいは解放されるまでずっと。 れいむはただ、目の前の風景を見続けていた。 ~終~ 後書き ええ、そうです。ただあにゃるを連呼させたかっただけです、はい。 次は話そのものに盛り上がりを持たせたのを書こうかなぁ 過去の作品 anko2643 ある変わったれいむのお話 anko2658 もの好きなゆっくりの日常 anko2677 アグレッシブてるよ anko2682 オーソドックスなものたち anko2704 アクティブこまち anko2711 妖精たちの幻想郷 anko2716 足りないものが多いぱちゅりー anko2823 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『野良さん、ありがとう!』 24KB 差別・格差 嫉妬 飼いゆ 野良ゆ ひまつぶしに。 ※※飼いと野良ゆの格差ものです※※ 初夏に手をかけた時節の公園、広場から少し外れた木陰の続く裏道を、ゆんしょゆんしょと二匹のゆっくりが走っていた。二匹ともいまだに小さな子ゆっくりのまりさとれいむ。せいぜいもう赤ちゃんとは呼べないかな?という程度の年頃である。 さてさてこの二匹の子ゆっくり、見るひとが陽光のなかきらめくお飾りにつけられたバッジを見ればわかるとおり、飼いゆっくりだ。もちろん身体も未熟、知識も未熟、まだまだこれからたくさん両親や飼い主さんからじょうしきっを学ばなくてはならない立場。金銀胴なる飼いゆっくりのランク付け以前の、単に「この饅頭は野良ではないですよー」という程度のしるしでしかない。 そんな二匹が人通りの少ない公園の裏道で、両親とも飼い主さんとも離れて子ゆっくり二匹だけで走っている理由は、このさい重大な伏線でもなければドラマティックな何かでもないので一口で言ってしまうと、単に冒険心ゆえ少々周りを見ることを忘れてしまっただけだ。もちろん、この公園までは飼い主さんに連れられて、両親同伴できている。飼い主さんから一家丸ごと自由に遊んでいいよといわれ、さらに両親からも自由に遊んでいいよといわれ、両人ちょっと目を離した隙にこんなところにきてしまったという、まあ子ゆっくりにありがちといえばありがちな話である。 この公園、もちろん子ゆっくりを放して遊べる程度には安全な場所で、子まりさも子れいむも両親の姿が見えなくなったことは気づいているが、不安はない。いや、まったくないといえば嘘になるものの、これも子ゆっくりにありがちだが好奇心のほうが勝っており、少々の不安はだいぼうけんっのスパイスでしかないのだ。それに、なんだかんだで大好きな飼い主さんも大好きなお父さんお母さんも、なにかあれば二匹をすぐ見つけてくれるはず…… しかしいかに平和な公園といえども、子ゆっくりが100%安全なわけではない。例えば間違えて道路にでてしまい車さんに轢かれる、例えば人間さんが遊ぶボールにぶつかってしまう、例えば急な雨さんが降りだしてくる。それに例えば、 「ゆぷぷぷぷ。くさいんだぜ。すっごくくそにんげんくさくて、はながまがりそうなんだぜ!」 「おお、くさいくさい。ほんとうにくそにんげんにかわれる、やせいをうしなったかちくっのにおいはたまらないよ!」 『野良さん、ありがとう!』 これだ。野良ゆっくりである。いきなり子まりさと子れいむの目の前に、大人サイズの野良二匹――野良まりさと野良れいむがあらわれた。 こんな野良ゆっくりたちが人通りの少ない公園の裏道で、両親とも飼い主さんとも離れた子ゆっくり二匹の前に現れた理由も、このさい深遠な理由などなければ何らかの因縁の結果でもないので一口で言ってしまうと、単なる偶然である。実のところ、野良二匹は特に意図して子ゆっくりに絡もうとしたわけですらない。ゆっくりは――野良であろうとバッジ付きであろうと、基本的に自らの考えたことをそのまま口にだしてしまう習性がある。それがどんな状況を引き起こすか、あるいは周りにどんな印象を与えるか、のごとき「機微」や「空気」を読んで「考える」ことが極端に苦手なのだ。 子まりさと子れいむは、ぴたりとあんよを止めた。これがもう少し成長して、飼いゆっくりとしてのきょういくっをもっと受けていれば、こんなミステイクはおこさなかったであろう。野良に関わってなにひとついいことはなく、無視をすべきだというのは飼いゆっくりの「いろは」の「い」である。もちろん二匹とて生まれつきの飼いゆっくり、いちおうそんな程度のことは両親から言われている。要するに一瞬おどろいて足を止めてしまった、というだけなのだが―― 「それにしてもほんとうに、かいゆっくりはぜんゆっくりのなかでもさいていへんっなのぜ! あのひょろひょろあんよのついたきみのわるい『にんげん』みたいなかとうせいぶつに、よりによってえさをめぐんでもらっていきているなんて、まりさならはずかしくてせけんさまにかおむけできないのぜ」 「ゆーん、ほんとうにきびしいやせいのせかいでさばいぶっしているれいむたちにとってすれば、いきているだけではずかしくないのかしんぱいになるよ! こんなくそにんげんくさいおちびをうんだおやも、きっとあくしゅうをまきちらすうんうんゆっくりなんだろうね! うんうんいちぞくだよ!」 「な、なにをいってりゅのじぇー! かいぬしさんをばかにすりゅのはゆりゅしゃないのじぇ!」 「おちょーさんとおかーさんをばかにしにゃいでね! れいむ、ゆりゅせないよ!」 思わずきっと野良二匹をにらみつけ、子ゆっくりたちは声を張り上げた。……張り上げてしまった。自分たちならいざ知らず、敬愛してやまない飼い主さんと、尊敬してやまない両親を、ひとまとめに馬鹿にされたからである。 「ゆあーん?……れいむ、いまなにかきこえたのぜ?」 「……まりさ、なんだかくっさいくっさいいきにのせて、みみざわりなおとがきこえたきがするよ」 先ほどまで嘲笑を浮かべていた野良二匹が、口元を引き締め眉根をよせる。ずい、と一歩野良まりさが前にでた。 「おちびども。いまもしかして、まりさたちにくちごたえっをしたのぜ?」 のーびと身体をそらせて、野良れいむが二匹を見下す。 「うんうんはれいむたちのしかいにはいるだけでつみなんだよ。それをよりによって……」 一メートルほどの距離で睨み合う子ゆっくり二匹と、野良二匹。――子ゆっくりたちは既にぷるぷると小刻みにふるえており、目じりには砂糖水の涙すら浮かべている。はじめて会う野良、はじめて会う明確な敵意。おしつぶされそうな重圧に思わず半ぴょんぴょん下がってしまう。それを見て、にへりと野良二匹は再び笑みを浮かべた。 「あやまるならいまなのぜ。さいっきょうのまりささまが、いまならあんよをなめるぐらいでゆるしてやるのぜ……」 「くっさいかいゆっくりごとき、ぷくーのぷではんごろしなんだからね。ちょうしにのるんじゃないよ」 「あ、あやまりゃないのじぇ!」 「そ、そうじゃそうじゃ!」 恐怖を呑み込むために声を張り上げる。それを聞いて、野良二匹の目に剣呑な光が宿った。そんなにせいっさいがおのぞみなのぜ?……そんな声が音になる、その直前。 「ななななな、なにをやってるのおちびちゃん!!?」 ステレオでそんなシャウトが公園の裏道に轟いた。 次の瞬間、ばっと両組のあいだに影が躍り出る。ゆっくりである。野良たちと同じ程度のサイズの、これまた同じまりさとれいむ。 「お、おちょーさん!」 「おかーさん!」 あらわれたのは子ゆっくりの両親だった。明らかなテンパりとパニクりをその表情に浮かべて、野良を見て子供たちを見て野良を見て、そして子供たちをもう一度見て。 「ここ、こののらさんたちになにかしたのおちびちゃんたち!?」 親まりさはおさげをぶんぶんと振り回しながら、子ゆっくりたちに詰問する。 「ののの、のらさんごめんなさい! おちびちゃんたちがとんだしつれいを!?」 親れいむはあんよを曲げてとにもかくにもと野良たちに頭を下げる。 「おちょーさん、しつれいなのはこいつりゃなのじぇ!」 「しょうだよっ! おかーさんたちだけじゃなく、かいぬしさんもぶじょくっしたんぢゃよ!」 「うんうんおちび、なにをいってるのぜ? まりささまはくそにんげんはゆっくりできないし、そのえさにあさましくくいつくかいゆっくりもゆっくりできない、めいはくなしんじつっをいっただけなのぜ?」 「そうだよ! くっさいうんうんどもはしょせんうんうんなんだから、そこのうんうんれいむのいうとおりいきてるだけでとんだしつれいっだよ。くっさいほもさぴうんうん、かいゆうんうん、はながまがりそうだよ!」 「お、おちょーさん、いみゃのきいたのじぇ……?」 「ゆるせにゃいよ。くさいのはそっちののら……」 「おちびちゃんたち! なんてことをいうのおおおおおお!」 「のらさんたちにわるいでしょおおおおおお!?」 血相を変えて叫ぶ両親に、一種唖然となりすぐに明確な涙目を見せる子ゆっくりたち。そんな情景に、野良まりさも野良れいむもこれ以上ないまですっきりー!なドヤ顔を浮かべた。 「そっちのでかぶつうんうんは、たしょうちからのさ、うまれとそだちのさ、どちらがゆっくりしているかわかっているみたいなのぜ」 「そのとおりだね。かんだいなれいむたちがいまならいっかそろってどげざっぐらいでゆるしてあげなくもないよ」 「いいかいおちびちゃんたち、のらゆっくりさんたちにひどいことをしちゃいけないんだよ」 「ゆぷぷぷぷ、そのとおりなのぜ。まあ、さいっきょうのまりささまにひどいことなんてできるわけがないけど」 「おとーさんまりさのいうとおりだよ。おちびちゃんたちはかいゆっくりでしょ? かいゆっくりならかいゆっくりらしいせつどっがひつようなんだよ」 「そのとおりだよ! うんうんのにおいまきちらしてわがものがおであるくなんて、はんざいっだよ! あめりかさんならそしょうものだよ!」 「のらさんたちだってね、ほんとうはひがいしゃなんだよ」 「そのとお……ゆ?」 「のらさんにひつようなのはあたたかいどうじょうっなんだよ」 「ゆゆゆ?」 いま何か、とてもゆっくりできない言葉が、相変わらずうんうんくさい空気にあわせて流れてきたような……と野良二匹が小首をかしげると、先ほどまで諭すような目で子ゆっくりたちを見つめていた親ゆっくり二匹が、視線を野良たちに移した。 「みてごらんおちびちゃん。のらさんたちのすがたを」 反射的に、野良れいむが答える。 「とってもゆっくりして、うつくしいびーなすっみたいな……」 「きたないよ」 「ゆべえ!?」 ……答える、のを無視して子れいむが思わずぽつりと漏らした言葉に、潰れたカエルのような声をだす野良れいむ。ちょっタンマいまなんていった?きたない?汚いだと?飼いゆっくりふぜいが、うんうんと変わらない存在が、このれいむ様のことを汚いなんて――! 「おいくそちび! いまのもういっか」 「おちびちゃん! だめでしょほんとうのことをいっちゃ! のらさんがきずついちゃうよ!」 「そうだよおちびちゃん! めっ! のらさんだってほんとうはきれいきれいしたいのに、それがかなわないんだよ!?」 「ななななななな、なにをいってるんだこのくそかいゆっぐりぃぃぃぃ!?」 野良二匹の叫びに親ゆっくり二匹は反応を見せず、あえてきびしさっを宿した瞳で子供たちの顔を覗き込んだ。 「おちびちゃん、おちびちゃんはたしかにあんなおかざりもよごれていて、『は』はおはぐろっみたいにまっくろで、はださんもへんなしるがこびりついてて、おまけにあにゃるにはうんうんのかすがもうひとなつもまえからすみついてるような、あんなすがたじゃないよ?」 「……でもね、おちびちゃんたちがひとりっでああならずにすんでいるわけじゃないんだよ。かいぬしさんがきちんとおちびちゃんたちをみてくれて、それではじめてあんなみすぼらしくならずにすんでるんだよ。のらさんはね、ゆっくりできないあんなすがたになりながらも、ひっしにがんばってるんだよ!」 「おちょーさん」 「おかーさん」 そういわれて改めて、子ゆっくりたちは野良に目線を写す。なんだかギリギリと歯ぎしりをし、目を血走らせ、びったんびったんとおさげで地面を叩いている。ゆっくりしていない。ぜんぜんゆっくりできていない。しかし――いま大好きなおとーさんとおかーさんのいったことを考える。なんだかみんながゆっくりするために大事なことの淵に手をかけていると、漠然と二匹は思った。 「おちょーさん、のらさんはひぎゃいしゃ……なのじぇ?」 「そうだよ、おちびちゃん。しゃかいというりふじんっなせかいで、のらさんたちはぜったいにゆっくりできないさだめにうまれてしまったんだよ」 「おかーさん、のらさんはそりぇでもがんばってりゅ……の?」 「おちびちゃん、そのとおりだよ! のらさんたちにとって、かいゆっくりやにんげんさんをばかにすることは、いきるためにひつようなことなんだよ」 「おばえらざっぎがらなにをいっでるんだあああああああ!!!」 「おばえらがうんうん! でいぶだぢがほうぜぎっ! ぞれがしんじづだろうがああああああ!!!!!」 「おちびちゃんたち、のらさんはああおもいこまないとだめなんだよ。たとえばおちびちゃんたちにはしんじられないかもしれないけど、のらさんたちのしょくじはほんとうにひどくて……」 「ひどいっでいうなあああああ!! まりざはかりのめいじんっなのぜえええ!!! ごのまえもいもむしさんにかまきりさんに、それにとんぼさんまではんてぃんぐっしたのぜええええええ!!!」 はっ、とそれを聞いて子ゆっくりどもが目を見開く。どーだまいったかのぜ?このくそちびども、と野良まりさ。 「し、しんじりゃれないのじぇ……」 そうなのぜそうなのぜえええ!?まりさはつばを飛ばして叫ぶ。あめいじんぐっなまりささまの狩りによるご馳走はうんうんどもなんかとは…… 「おちょーさん、もしかして……」 「そのとおりだよ、おちびちゃんたち。のらさんはね、いもむしさんやかまきりさんやとんぼさんをたべてるんだよ」 「ゆゆっ!?」 信じられない両親の発言にびっくり仰天の子ゆっくりたち。 「ゆゆっ!?」 子ゆっくりたちのその反応にびっくり仰天の野良たち。 「で、でみょいもむしさんやかまきりさんやとんぼさんはまじゅいまじゅいだよ……?」 「でもそれがのらさんたちのしょくじなの。かいゆっくりみたいにあさにたらこぱしたさん、ひるはかいせんちゃーはんさん、さんじのおやつにあまあまのけーきさん、よるはおにくたっぷりっのすきやきさん、でざーとにちょこれーとさん……なんてしょくせいかつっはできないんだよ」 「ま、まりしゃそれでもしんじりゃれないのじぇ。むしさんをそのままたべるなんて、きもちわる……」 「おちびちゃん!!」 その時! 親まりさの愛のおさげ鞭が子まりさの頬に飛んだ。ゆゆゆっとじんわり痛む頬を抱える自分のおちびちゃんに、声を強くする。 「のらさんにしつれいでしょ!? のらさんはね、のらさんはね、ごはんをくれるかいぬしさんなんていなんだよおおお!?」 「そうだよおちびちゃん! のらさんはいちにちじめんをはいずりまわって、やっとそのひたべられるだけのむじさんやきのみさんをとってきて、ふしあわせーっなごはんさんでまいにちがんばってるんだよ!?」 「お、おちょーさん……ごめんなのじぇ」 「ちがうでしょおちびちゃん。おとーさんやおかーさんにあやまってもいみがないよ! あやまるならあまあまもたべられず、あじなんてにがにがしかしないむしさんをちょっとだけたべてこれからもまいにちをすごす、ふこうなのらさんたちにでしょ?」 「そ、そうだったのじぇ」 「れ、れいむもひぢょいことをいっちゃったよ。いっしょにあやまりょう、まりしゃ」 いまだに真剣な表情を崩さないお父さんとお母さん。正直なところ、子まりさにとって両親に叩かれたのははじめての経験であったし、子れいむにしたところであそこまで強い口調で何かを教えられたのははじめてだった。だからこそ、だからこそである。これこそが大好きで尊敬できるお父さん、お母さんの子供である自分たちが、本当に学ばなくてはならないことなのだと、直感できた。野良さんに、謝らなくてはならない。 ぴょんぴょんと野良さんたちの前まで跳ねて、二匹は同時に頭を下げて言った。 「のらさんたち、ごめんなさい。ゆっくりしていって――」 「ふふふふふざげるなあああああああああああああああ!! このうんうんっ、うんうんっ、うんうんっくそがいゆっくりどもおおおおおおお!!!!」 野良ゆっくりたちは爆発した。何がたらこぱしたさんだ、何がかいせんちゃーはんさんだ、何がさんじのおやつのあまあまのけーきさんだ、何がおにくたっぷりっすきやきさんだ、何がでざーとのちょこれーとさんだ、何が飼い主さんだ、何が飼いゆっくりだ――!! 「おばえらなんで『じゆう』がまったくないどれいだろうがああああああああ!!!ゆっくりできない、くさいくさいくそにんげんにっ! くびわをつげられたどれいゆっぐりだあああああああ!!!!」 「ぞうなのぜっ!!! 『じゆう』こそがゆっぐり! ゆっぐりこそが『じゆう』!! がいけんなんてうんうんいかなのぜ! おいしいごはんさんなんか、『じゆう』にくらべだらはのあいだにはさまったはくそなのぜええええええ!!!」 「ゆゆ……『じゆう』さん?」 「のらさんたちは『じゆう』なのじぇ?」 ぽかんと不思議そうにこちらを見る子ゆっくりどもに、野良二匹ふーふーと息を整えながらようやく数分ぶりの笑みを浮かべた。これは地獄に一本の蜘蛛の糸が垂れてきたようであった。先ほどまで屈辱という針と怒りという火と嫉妬という金棒によって責め立てられていた野良たちにとっては。 「そ……そ……そうなのぜええ……『じゆう』なのぜ、まりささまたちは……あ、あばあばさんがあっても『じゆう』がなければむいみっなのぜえええ……」」 「ふう……ふう……じ、『じゆう』がないなんてうんうんかいゆっくりどもはほんとうにゆっくりで、できてないね……」 ――さてさて、先ほどまで両親に諭され、ひとつ大人になったかのように見えた子ゆっくりたちも、しょせんまだまだ未熟者である。そうまであからさまに「お前はゆっくりしてない」といわれれば、むくむくとまた反抗心が沸きあがってきてしまう。いぶかしげに聞き返した。 「そそ、そんなに『じゆう』さんはいいのじぇ?」 「ゆふん。そのとおりだよ! くそにんげんにかわれたあわれなかいゆっくりのうんうんあんこのうじゃわからないかもしれないけどね」 「れいむ、あまりかわいそうなくそちびをおいつめちゃだめなのぜ。こいつらは『じゆう』がないから、ゆっくりできていないのぜ」 完全に数分前の余裕を取り戻した、というよりは数分前の余裕を取り戻さねばならないと餡子を総動員させた野良二匹。ぐねりと縦長に反り返り、口元にいやらしい嘲笑を浮かべ、ちびどもを見下ろす。……なお子ゆっくりたちの両親はというと、とりあえずのらさんが元気になってよかったよー、てなものである。 とにもかくにも、野良二匹にはやらねばならないことがあった。先ほどから痛めつけられ、削り取られたプライドの修復である。『じゆう』! このマジックワードを武器に、今こそくそなまいきな子ゆっくりに反撃開始だ。 「ゆーぷぷぷぷぷぷぷ! まりさたち、『じゆう』でごーめんね!」 「ゆっくりしてるれいむたちだからー、『じゆう』があってー、なんでもできるんだよー!」 「ゆゆ? のらさんたちは『じゆう』だから、なんでもできりゅの?」 「そうだよ! それが『じゆう』! だよ!」 「じゃあじゃあ、もしかしてれいみゅいつもいやなあめしゃんのひでも、やっぱり『じゆう』なの?」 「そのとおりなのぜ! きいておどろくなだぜ! 『じゆう』あふれるまりささまたちはっ、なんとっ、あめさんのひでもっ、おうちがしっかりしてるからぬれずにすむのぜええええええええ!!!」 どうだこのくそちびども、お前らこそ屈辱と怒りと嫉妬に身がふるえるがいい、と口から泡を飛ばしておさげをぴっとつきつける。……が、どうにも子ゆっくりたちの反応は芳しくない。不思議そうに小首をかしげて、 「……のらさん、それはあたりまえなのじぇ」 「それに『じゆう』とはあんまりかんけいないきがするよ……」 「はあああああ!? なにをのんきなことをいってるのぜっ!? おうちがしっかりしてるからぬれないのはぜんぜんっあたりまえじゃないのぜ!!? まりささまがみっかみばんねずにえださんやはっぱさんをあつめて、ようやくっかんせいしたのぜえええ!?」 「そうだよくそちびどもおおおお!!!! それにたくさんったいようさんがのぼるとかってにはっぱさんがどこかにいっちゃうから、そのつどあつめなおしっするんだよおおおお!? ぜんぜんっあたりまえじゃないでしょおおお!?」 「でみょ、でみょまりしゃたちにとっては……」 言いかけた子まりさの後頭部が何者かにはたかれる。ゆゆゆっと目を回しながら振り向くと、そこにはぷくー寸前の怖い顔をしたお父さんとお母さんが…… 「おちびちゃんっ! またのらさんをこまらせてるんだね!? いいかいおちびちゃん、おちびちゃんはかいぬしさんのいえのなかで、あめさんもかぜさんも、あつささんもさむささんもかんけいなくかいてきっにくらせるけど、のらさんはそうはいかないんだよ!?」 「それに、あめさんのひはせまいすでさむいさむいにたえてちぢこまるだけののらさんと、ひろいかいぬしさんのいえでおそととかわらずあそべるかいゆっくり、どっちが『じゆう』かはわかるでしょおおお!? のらさんは『じゆう』にすがってるんだよおおお!? それがかんちがいっだとほんとうのことにきづかせるなんて、かわいそうだよおお!!」 「ゆがあああああああああ!!! まだおばえらがああああああ!!! ごのうんうんうんうんうんうんどもおおおおおおお!!!!!」 同時に叫ぶ野良二匹。……と少しして、憤怒で額をぐねぐねと地面にこすり付けていた野良れいむが、「お、お、おばえら……」と餡子から搾り出されるような声をだし、 「おばえらがいゆっぐりはっ、おちびをづぐれないんだろおおおおおおおおおお!!?」 口が張り裂けんばかりに叫んだ。ゆゆゆゆっ、と野良まりさも反応する。 「そそそそ、そうなんだぜっ!! 『じゆう』のないおばえらはおちびをづぐれない、ぞれががいゆっぐりなんだぜえええええ!!!! ねえねえどんなぎもぢどんなぎもぢいいいい!? しそんをのごぜないってどんなぎもぢいいいいいいい!? 『じゆう』がないってどんなぎもぢいいいいいいい!!!??」 「……の、のらさん、まりしゃとれいみゅをうんでりゅから、おちびをつくる『じゆう』はあるきがするのじぇ……」 「――――ゆゆ?」 「それにのらさんたちはつがいだよにぇ? 『じゆう』なのらしゃんたちはおちびちゃんはつくりゃなかったの?」 「――――ゆゆゆゆ?」 野良二匹が同時に押し黙る。おちびちゃん、おちびちゃん……! 今まで忘れていた、というよりはゆっくりできなさすぎてフタをしていた記憶が、餡子の奥から蘇ってくる。確かに二匹にもおちびちゃんがいた。一匹は生まれた次の朝には餓死し、一匹は公園でカラスにつつかれて出餡多量。前者は「なぜうんだにょ?」、後者は「つぎはこんにゃつきゃえないおやどもはいやなのじぇ」が遺言だった。 「おちびちゃん」 そのとき。ひどく冷静な声で。訳知り顔で。同情をその瞳に浮かべて。――ね、おちびちゃん、と親ゆっくりが言った。 「さっきもいったでしょ、のらさんたちがいってる『じゆう』はかんちがいなんだよ。こどもをつくれてそだてることができてるまりさたちと、こどものいないのらさんたち……ね、おちびちゃん、むずかしいかもしれないけどこれでさっしてね」 「わ、わかったのじぇ……のらさんたち、ごめんなのじぇ」 「ごめんなしゃい、のらさん」 ――二匹の野良の餡子のなかで、ぷつん、と何かが切れてしまった。はっきりとその音まで、聞こえた気がした。 「……ね」 「……しね」 「のらさん?」 「いだよ……」 「さいするのぜ……」 「のらさん? の――」 「し、し、しねええええええええええ!!!!! このっ、うんうんのっ、きたならしいっ、くさいごみくずのっ、こえだめよりはえのわいた、ぐぞがいゆっぐりいいいいいい!!!!」 「せいっさいなのぜえええええええええ!! ぜっだいにゆるざないのぜええええええ!!! だんで、だんでばりざざまがごんながいゆっぐりどもにいいいいい!!!! がいゆっぐりどもぞごになおれええええすーぱーせいっさいだいむのはじまりなのぜええええええ!!!」 屈辱が餡子に火をともした! 怒りがあんよによる跳躍を爆発させる! 嫉妬のエネルギーを弾丸のごとき体当たりにこめて! ぽっすん。野良まりさが子まりさに、野良れいむが子れいむに。ぶつかって、跳ね返って、転がって、向き直る。 「の、のらさん……」 子ゆっくりたちがぽつりと呟き、その声が更に野良たちのせいっさいっ感情を増幅させた! 「しねええええ!!! しねええええええええ!!!!!」 「せいっさいなのぜええええ!!! せいっさいなのぜえええええええ!!!!!」 ぽっすん。ぽっすん。ぽっすん。ぽっすん。 ――もう大分傾いた太陽のもと、遠くから聞こえる人間の子供たちの歓声のなか、木陰も涼しい公園の裏道。困惑を顔に貼り付ける子ゆっくりたちと、意味は違うが同じく困惑する親ゆっくりたち。そんな悠長な景色のなかで、凄まじい表情を浮かべひたすら自分より小さな子ゆっくりに体当たりを敢行する野良たちの姿は、もしこれが絵画であるなら「空回り」ないし「場違い」なる題がつくであろう。 野良たちの主観ではたっぷりと、正味なはなし客観的には十秒にも満たないほど短い時間が過ぎ。野良まりさは全身を上下させて仰向けに野良れいむは全身をふるわせてうつぶせに、だらりと倒れこむ。限界だったようだ。 二匹のぜーはーぜーはーどうなのぜきいたのぜしんだのぜくそかいゆっくりがごみになったみたいだねつよくってごめんねぜーはーぜーはー、という途切れ途切れの声をBGMに、ぽつりと子まりさが呟く。 「のらさん、いまのなんだったのじぇ……?」 せい……さいっ……だよ……と野良れいむが答え、だから……さっさとくそちびはしぬのぜ……と野良まりさが続ける。 「でもおきゃしいよ……のらさんのたいあたり、こどものまりしゃとあそびでおすもうっすりゅときより、よわかったよ」 そんなことないのぜ、という意味の抗弁を弱弱しい呼吸で野良まりさが口にしかけるが、その前に親ゆっくりたちがずいっと一歩前にでて口を開いた。 「おちびちゃんたち。これが、これも……のらさんなんだよ。よわかったでしょ? おちびちゃんたちいかだったでしょ? それでも、しかたないんだよ。のらさんはね、ろくなものをうまれたてっのころからたべていないから、ちゃんとせいちょうできないんだよ」 「ようするにねおちびちゃん、のらさんたちとかいゆっくりでは、かんきょうっのちがいだけじゃなくて、ゆっくりとしてのすぺっくっもうめられないさがあるってことなんだよ」 ぽかん、と野良ゆっくりも子ゆっくりも、口を開け放しにする。それってつまり―― 「のらさんたちはまりしゃにはぜったいかてにゃいってことなの……じぇ?」 「おちびちゃんたち。これがげんじつっなんだよ。かいゆっくりじゃない、かいぬしさんがいない。それだけで、ゆんせいにここまでのさがでちゃうんだよ。がいけんはきたないきたない、しょくじはまずいものしかたべられない、『じゆう』もぜんぜんない、そもそもおちびちゃんもまともにそだてられない、そういうかんきょうっのちがいをぜんぶさっぱりーにしても、いっぴきのゆっくりとしてさがありすぎる……」 「そ、そんにゃにょざんこくっすぎりゅよ! じゃあのらさんたちはゆっくりできないよ!」 「そうだよ。おちびちゃんたちみたいなかいゆっくりにとってみれば、のらさんたちはぜったいにゆっくりできないよ。でもね、でもね! おちびちゃんたち、よくかんがえてごらん。それはあくまでかいゆっくりとくらべたら、だよ……だからね、きょうおとーさんとおかーさんがいっただいじなことをおもいだしてごらん」 「ゆ?」 「ゆゆ?」 二匹の子ゆっくりは、今日学んだことを思い出そうとする。大事なこと……みんながゆっくりするためにとても大事なこと。 「のらさんたちも、ゆっくりできにゃいけど、がんばってりゅのじぇ?」 「のらさんがわりゅいんじゃなくて、ひがいしゃなにょ?」 「だからのらさんたちをわりゅくいっちゃだめなのじぇ?」 「ただでしゃえのらさんよりあっとうてきにゆっくりしてるりぇいむたちが……」 「のらさんたちにほんちょうのこちょをいうのはゆっくりしてないんだじぇ」 「そうだよ、おちびちゃんたち! だからかいゆっくりとのらゆっくりのあいだにはくらくてふかいかわっがながれてるんだよ! それがおちびちゃんたちがまだほんのあかちゃんのころから、くちをすっぱくして『のらとはかかわるな』といってるりゆうなんだよ」 「それにね、おちびちゃんたちがやさしいかいぬしさんのもとで、のらさんみたいなひさんっすぎるせいかつをおくらないようにうまれることができたのも、たんなるぐうぜんっだよ! だからかんしゃして、おごらないように、けんきょっにならなきゃいけないんだよ!」 「けんきょ……しょうしないとまりしゃたちはすぐおごっちゃうのじぇ……」 「だきゃらじぶんのためにも……のらさんにほんとうのことをいってばきゃにするのはよくないよ……」 ――はっ、と今まで地面を見つめて考え込んだ子ゆっくり二匹が、目を上げた。その目には紛れもない光が宿っている。古来より、その光をさして人は知性と呼ぶし、光がさすことを成長と呼んだ。ほんの一時間にも満たない出来事であったが、いままさに二匹の子ゆっくりは、単なる「おちびちゃん」から半歩「大人」の世界へ足を踏み入れたのだ。両親がゆっくり、ゆっくりと笑みを浮かべてうなずく。それを教えてくれたのはおとーさんおかーさんと、そして…… 「ゆっ、のらさん!」 二匹は同時に、いまだにだらりと身を地面に横たえる二匹の野良ゆっくりに向き直る。爽やかな風が、裏道を走りぬけた。ざわざわと木々が囁きを交わす。 「ありがとう、ございましたっ!」 ――いって踵を返した二匹の親ゆっくりと、二匹の子ゆっくり。飼い主さんのもとへ、いるべき場所へと帰ってゆく。その影のうちふたつが、つい一日前よりほんの少しだけ伸びているように見えるのは、気のせいだろうか? そして二匹の野良はというと……極めて遺憾ながら、これも二匹の親ゆっくりの「教育」を最後には十全に受け取ってしまっていた。すなわち、自分がどんなに努力しても絶対に届かない「ゆっくり」を享受する存在がいること、そしてそれを知ってしまったからには自分たちは二度と「ゆっくり」できないということ。だからふたりはその場で成長を止めた。あえてその死因を言語化するならば、「絶望」――ということにでも、なるだろう。実のところ、野良には珍しくない死に様であった。
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過去作 anko1548『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』前編 anko1744『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』中編-1 anko1745『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』中編-2 「よう、元気でやってるか?」 「!!!!」 お兄さんがやってきた。 引き戸を開け、家族に声をかける。家族は答える余裕もなく、ぶるぶるがたがた震え出した。 「ゆゆっ!おにーしゃん、ゆっくちちていっちぇにぇっ!!」 「おにーしゃん?ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 飾りのない二人がクッションから飛び上がり、お兄さんの足元を目指してぴょんぴょん跳ねていく。 「おう、ゆっくりしているか?」 「ゆんっ!まりしゃ、ゆっくちちてりゅよっ!!」 「れーみゅもゆっくちちてりゅよ!!おにーしゃん、いちゅもありがちょう!!」 「よしよし、いい子だな。お飾りがなくたって本当にゆっくりしているよ、お前らは」 「ゆゆ~~んっ♪」 「それにひきかえ……」 お兄さんの視線が、じとりとこちら側に移る。 家族はいよいよがたがた震え、背面のガラス壁に体を押し付けた。 「こっちのゴミクズ共ときたら……なッ!」 ガァン!! 「ゆびいぃっ!!」 お兄さんに蹴られ、水槽が激しく揺れる。 頑丈な水槽はそうそう割れることはないが、それでも安全を保障してはくれない。 「お飾りがないだけで、口がきけないだけで、 自分の子供さえ大喜びで苛めるクソゲスなんだからなぁ………なんでおめおめ生きてられんの?」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!くそげすでごめんなさい!!いぎででごべんなざい!!」 「ゆーっ!!まだまだはんちぇいがたりにゃいよっ!!」 「おにーしゃん、はやきゅ!!はやきゅはじめようにぇっ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!ゆぐじでぐだざい!!ゆぐじでぐだざい!!」 「おう、今日も楽しい楽しい制裁タイムの始まりだ。 たっぷりこいつらで遊んでやろうな」 「ゆゆーんっ!!」 「おでがいでず!!ぼうやべでぐだざい!がらだじゅうがいだいんでず!!ゆっぐじでぎだいんでずぅぅ!!」 「あのなあ、お前らはゴミクズなんだろ?自分で認めたんだろ? ゴミクズは玩具になるしかねえもんなあ。さ、きりきり働こうか」 「ばぢがっでばじだ!!でいぶだぢがばぢがっでばじだ!!ゆっぐじざぜでええぇぇ!!」 「ゆーっ!きょうはぷきゅーしゃんをしゅるよっ!!」 「お、いいな、それでいこう」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぷぐーざんはゆっぐじでぎだいいいいいぃぃ!!!」 毎日の日課、お兄さんからの制裁が今日も始まった。 子ゆっくりの注文に応える形で、ありとあらゆる責め苦が家族に課せられ、それを見て飾りのない二人は楽しむ。 今日の制裁は「ぷくーさん」だった。 口をテープで塞いだあと、透明なラップで全身を厳重にくるまれ密封される。 次にラップの隙間から、先端に風船のついたホースをあにゃるに突っ込まれ、 ポンプでホースから風船に空気を注入される。 体内の風船に押されて全身がまん丸に膨れ上がるが、ラップでくるまれているために、遮られて破裂はできない。 風船は容赦なく膨れ上がり、体内の風船と体外のラップに挟まれて体中の餡子が圧迫まれ、想像を絶する苦痛がえんえんと続く。 「ゆ゛ぶぶぶぶぶぶっぶぶぶぶぶぶっぶぶぶぶぶぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!」 「ゆーっきゃっきゃっきゃっ!!ぷきゅーきょわ~~い☆」 「たのちい?たのちい?ねえねえぷきゅーたのちいぃ?ゆっくちゆっくちぃ~~♪」 笑い転げる二匹の前で、家族が一匹ずつぷくー責めを受ける。 十数分も続けて餡子を押しつぶされたゆっくり達は、その日一日は動くこともできない苦痛と疲労に悶えることになる。 今また、親れいむが責められていた。 全身を真っ赤にして涙を流し、膨れ上がる。 まん丸に見開かれた両目は半ば飛び出し、慈悲を求めてわが子を見つめ震えていた。 それを見て、二匹の子供はますます笑い声をあげるのだった。 地獄のような毎日。それでも、ただひとつの救いがあった。 まがりなりにも、家族が一緒にいるということだ。 ほとんど会話はなく、そのうち二匹はこのうえもない怨嗟と憎悪と侮蔑を向けてきてはいるが、 家族はたしかに揃っていた。 「ゆぅ……ぺーろ、ぺーろ……」 水槽の中で、ほとんど唯一といえる楽しみ。 家族とのすーりすーりとぺーろぺーろだけが、親まりさ達の正気を保っていると言ってよかった。 「ぺーろ、ぺー………おちび……ちゃん?」 しかし、家族は少しずつ狂いはじめていた。 ぺーろぺーろしていた子まりさが全く反応を返してこないのに疑問を感じ、その顔を覗き込む。 しかし、その子まりさは何も応えず、ただ視線を一点のみに向けていた。 壁の一点。何もない、ただの壁。しかしそれを、日がな一日、食事もとらず動きもせずに見ている。 親まりさがどれだけ呼びかけても、その子まりさが応えることはなかった。 死んでいるのかと思って焦ったが、目はたしかに開いていた。 「だずげでぐだざい!!おぢびぢゃんがゆっぐじでぎでないんでず!!」 「ん?知るかよ。自分でなんとかしろ」 「おでがいじばず!!ばりざだぢじゃだずげであげられだいんでず!!おぢびぢゃんを!!おぢびぢゃっ」 「何をいまさらわめいてんだよ。子供なんかどうでもいいんだろ?なあ、れいむ、まりさ」 「ゆーっ!!れいみゅをこんにゃにしたくちぇに、いましゃらあちゅかまちいよっ!!」 「にゃんでまりしゃはたちゅけにゃかっちゃの!?しょいつもいじみぇればいいでちょっ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅ………!!!」 お兄さんに助けを求めるが、すげない答えが返ってくるばかり。 それどころか子供たちにまぜっかえされ、罵倒されるばかりだった。 ぴくりとも動かなくなった子供を、家族は涙にくれながら夜通しぺーろぺーろするしかなかった。 「ゆぢっ!!ゆぢーっ!!ぎゅぐげげげげげ!!びょぢぢ!!」 次の日には、子れいむの一人がおかしくなっていた。 もみあげをひっきりなしにばたばたばたばたばたつかせ、涎と糞尿を垂れ流す。 口にする言葉はもはやほとんど意味をなさない、歯軋りのように不快な雑音に変じていた。 焦点の合わない視線をしきりに泳がせながら、狭い水槽の中で暴れ周り、家族を困らせた。 「うー☆あみゃあみゃだっどぅー!おぜうしゃまのぶりゃんちににゃるんだどぅー☆」 「ゆびっ!!いぢゃいっ!!やべでぇおにぇえじゃんん!!」 子まりさの一人が、れみりゃの声色を真似て姉妹の頬をかじり始めた。 噛む力が弱くなかなか噛み千切るまでにはいかないが、 それでも姉妹は苦痛に泣き、何よりそのゆっくりできない声が家族を苛んだ。 両親がその度にきつく叱り押さえつけることでなんとか事なきを得てはいたが、 子まりさの口調はもはや戻らず、ずっとれみりゃの声色で喋り、隙をついては家族を捕食しようとした。 「んほぉぉぉ!!んっほおおおおぉぉぉ!!!」 子れいむの一人がれいぱーになった。 涎を垂らして小さなぺにぺにを誇示するように突き出し、おぞましくも実の姉妹とすっきりに及ぼうとした。 両親がいくら叱ってもやはり治る気配はなく、、一日中半ば拘束するように押さえつけていなければならなかった。 親のもみあげに押さえつけられていてすら、壁や床にぺにぺにをこすりつけてひとりすっきりーに及ぶわが子を前に、 両親はまたも苦い涙を流した。 「じゃおーん!じゃおーん!」 あの日の苛めに対するあてつけだろうか? 子まりさの一人が、「じゃおーん」しか言わなくなった。 それしか喋れないゆっくりを見てももう苛めないと誓った手前、あまり強くは叱れなかったし、 やたらに楽しげに連呼するわが子を見ながら、両親は、 こんな生活でも楽しんでいられるなら、狂ったほうがよかったのかもしれないと後ろ向きな安堵をさえ覚えた。 「ちーんぽ!でかまら!ぺにす!!」 最後に残った子れいむが狂ったとき、両親は大声で泣き喚いた。 水槽の中に一緒に閉じ込められた愛しい子供たちはどの子も狂い、 もはや意思疎通も適わず、わけのわからないことを言いながら蠢く狂い饅頭となり果てた。 残った二匹は、水槽の外で自分たちをせせら笑っている。 それでも両親は、帽子のない二匹の子供たちにすがろうとした。 「……ゆっくり……ゆっくりしていって……ね…」 「ゆ?ゆゆーん?にゃにいきにゃりはなちかけちぇきちぇるわきぇ~?」 「れーみゅちゃちをぷーすぷーすしちゃごみくじゅがにゃにかいっちぇるよっ!!」 「ごべんね………ごべんね………ゆぐじで………おがあざんをゆぐじで……」 「ごべんにぇ~♪ゆぐじじぇ~♪うんうんぴゅりぴゅり~~♪」 「はんっちぇいっがたりにゃいよ!!ごみくじゅ!!ちにぇ!!」 こんな会話でも、唯一意思の疎通ができる子供達と、 両親はなんとか仲直りしようとわずかな望みをつないだ。 あんなにゆっくりしていた子供たちだから。 根は素直な子供たちだから、きっといつか、きっといつか。 「おちびちゃ………おちびちゃ…………」 「ちにぇ!!ごみくじゅ!!くそげしゅ!!」 「いっしょに………いっしょに、ゆっくり……おがあざん、ど……… ながよぐ、じで…………おでがい…………おでがいだがら……がぞぐ、みんなで……」 「ゆっはああああぁぁぁああああぁぁ!!?にゃにいっちぇるにょおおおおぉぉぉ!!!? しょのかぞきゅをぷーしゅぷーしゅしちゃのはどこのだりぇなんぢゃあああぁぁぁ!!!」 「何やってんだよ、お前ら」 「ゆひぃぃ!!」 お兄さんが、その様子を見咎めてきた。 「ゆーっ!!おにーしゃん!!きょのごみくじゅどみょが、にゃかにゃおりしちゃいっちぇ~~♪」 「ああ?そんな事言ったのか? お前らをこんな目に遭わせといて、どの面下げてそんな事言えるんだか」 「ゆ゛ぐぅぅぅ………」 「可愛い子供たちなら、そこに一杯いるじゃねえか。 そこで一家団欒してりゃいいだろ?え?」 「………みんな、みんな………ゆっくりしてないよ……… ゆっくりできなくなっちゃったよ…………」 「はあ?」 全く動かない妹の頬をかじっている子まりさ。 自分のもみあげの下で暴れているれいぱーの子れいむ。 小さなもみあげをふりみだして何やらわからない言葉を連呼している子れいむ。 「じゃおーん」を連呼する子まりさ、「ちーんぽ」を連呼する子れいむ。 誰一人としてゆっくりしていなかった。 もはやこの水槽は、壊れたゆっくりを収容する精神病院と化していた。 両親でさえ、明日にも発狂寸前の状態だ。 「ふーん?で、そいつらは壊れちゃったから捨てちゃおうと。 最後に残った二匹の子供といちゃいちゃしたいと」 「ゆぷぷ!あちゅかまちーにぇ!!」 「「…………………………」」 「じゃあ、ひとつだけ質問しようか。 その答えによっては、お前らにチャンスをやらんでもない」 「ゆ゛ぅっ!?」 この期に及んで、まだ希望が見えてきたというのか。 両親はお兄さんを食い入るように見つめた。 「子供を作れない子まりさ、目の見えない子れいむ、ともにお飾りのないこの二匹。 一方、お飾りはあるけど壊れちゃったそこの六匹。 さーて、ゆっくりできるのはどっちかな~~?」 「……おかざりのないおちびちゃんのほうがゆっくりしてるよぉっ……!!」 両親の答えに迷いはなかった。 「バーカ」 「ゆ゛っ!?」 お兄さんは、六匹の子供たちを水槽から取り出して床に並べ、 その頭から次々とお飾りを取り上げた。 「「ゆっ??」」 飾りがなくなったとたんに、個体識別の術がなくなり、 六匹はどこの誰とも知れず得体の知れないゆっくりと化す。 それでも、その動きや喋りを見ていると、ようやく確信が持てた。 こいつらは絶対にまりさたちのおちびちゃんじゃない。 深くため息をつき、お兄さんが解説してきた。 「こいつはただの饅頭に目鼻をマジックで書き込んだだけ。 こいつは野良ゆっくりに捨てられてた未熟児。 こいつらはそれぞれれみりゃ、レイパーありす、めーりん、みょんの子供。 毎日一匹ずつ、お前らが寝てる隙にすり替えさせてもらった」 「…………………!!」 「おい、入っていいぞ」 「「「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよっ!!」」」」」」 引き戸の向こうから、六人の子ゆっくりがぴょんぴょん跳ねてきていた。 「ゆーっ!!おきゃーしゃん、まだゆっくちできにゃいの?」 「まりちゃたちはゆっくちちてりゅよっ!!」 「みゃいにちあみゃあみゃをむーちゃむーちゃできりゅんだよ!!ゆっくち!ゆっくち!!」 「おにぇーちゃんたちもゆるちてくれちゃよっ!!」 「ゆあ…………あ……………おちび、ちゃん……?」 傷だらけで、お飾りのない子供たち。 しかし、その表情はこのうえもなくゆっくりできるものだった。 本来、飾りのないゆっくりは大きな不快感を伴って目に映り、他のゆっくりに強い嫌悪感を抱かせる。 だがこの数日で、家族の価値観には大きな変化が起こっていた。 飾りがないのに、むしろ飾りがないからという理由でちやほやされていた二人の子供。 飾りがあっても、ついには精神に異常をきたした子供たち。 それらを目に写しているうちに、家族たちの精神にはある種の刷り込みが行われていた。 「これで三回目。 僕の言いたいことがわかるか?」 「……………………」 「お前らは、飾りしか見ていない。 あれだけ可愛がっていた子供でも、飾りがなければ赤の他人に見え、 全く見ず知らずの、しかも捕食種の子供が、飾りさえ乗っていれば可愛い子供に見える。違うか?」 「…………ちがい、ばぜん………」 「その程度なんだ。 お前らは家族思いのつもりでいるかもしれないが、結局、外見も性格も見ちゃいない。 ひたすらお飾りしか見ていない。子供の頭の上にのっかってるお飾りだけを可愛がっていたんだ。 どうだ、認めるか?」 「………………みどべばず……」 お兄さんは屈み込み、両親の前で指を振って言った。 「いいか。お前達に最後のチャンスをやろう」 「ゆ゛っ!?」 「帽子だけの絆でいいのか? 互いの本質なんて見ずに、お飾りだけを愛でる、そんないびつな家族でいいのか?」 「…………っ!!いや、でずっ………!」 「なあ、やり直さないか。 本当にお互いのことを見て、そのいいところ、悪いところを隅々まで知りあって、 互いのゆん格を認め合ったうえで思いやれる、そんなゆっくりできる家族を目指さないか」 「おにっ、いざん…………」 「ゆっぐじ、じだい…でず……… ……ゆっぐじ、でぎる、がぞぐざんに………なりだい、でずぅぅ……!!」 「いいだろう」 そう言うと、お兄さんは夫婦を水槽から取り上げて床に置いた。 「……おにいさん……?」 「一からやり直しだ。これはもういらない」 まりさとれいむ夫婦のお飾りが取り上げられる。 「ゆぅっ…………!!!」 「こんなものがあるからお互いが見えなくなるんだ。 これは預かっておく。飾りなんかに惑わされずに、本当の意味でお互いを見るんだ。できるな?」 「ゆぐっ…………やり、ばず…………!!」 「よし。さあ、家族同士で改めて挨拶しようか」 お兄さんの手で、総勢十匹の家族が円陣を組んで並べられた。 全員が飾りを失い、互いにほとんど見分けがつかない。 その中心に、れいむとまりさ夫婦、そして最初に虐められた子まりさと子れいむが向かい合っている。 おずおずと、夫婦が口を開いた。 「………おち、びちゃ……………」 子まりさと子れいむは互いに頷き合い、二人で両親に向かって叫んだ。 「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」 それは、今までで一番の、 二人がこの世に生まれ落ちたときの初めての挨拶よりも、もっともっとゆっくりできる挨拶だった。 やり直そう。 みんなで、また一から始めよう。 おちびちゃんたちも、おとうさんもおかあさんも、今日この時、再び生まれ落ちたのだ。 涙でびしょびしょに濡れた頬を子供に押しつけながら、 まりさとれいむ夫婦はゆっくりしていってねと何度も何度も叫び続けた。 ――――――― 二週間が経ち、我が家のベランダはすっかり賑やかになっていた。 「ゆっ!ゆっ!おちびちゃん、ゆっくりおかあさんのべろさんにのってね!」 「ゆーっ!おしょらをとんでりゅみちゃ~~い!!」 「れいみゅおねーしゃんじゅるい!まりちゃも~~!!」 「ゆふふ、ゆっくりじゅんばんだよ!ゆっくりしていってね!!」 「れいみゅ、こっちぢゃよっ!ゆっくちついてきちぇにぇ!!」 「ゆっくちおにぇーしゃんについていきゅよっ!!ゆっくち、ゆっくち……ゆゆっ?こりぇ、にゃあに?」 「ゆふふ、あててみちぇね!あてられちゃら、れいみゅのもにょだよ!!」 「ゆっ!ぺーりょぺーりょしゅるよ!!………ちあわちぇ~~~!!ゆゆっ、ちょこれーちょしゃんだよっ!!」 「よきゅわきゃっちゃね!!ゆっくちたべちぇいっちぇね!!」 「おにぇーしゃん、ありがちょ~~!!ぺーりょ、ぺーりょ………あみゃあみゃちあわちぇ~~~!! ゆっ、おにぇーしゃん、いっちょにぺーりょぺーりょちようにぇっ♪」 「ゆゆっ!?ありがちょうにぇ!!いっちょにぺーりょぺーりょたいみゅ、はじまりゅよっ☆」 「「「「ゆっくりしていってね~~♪」」」」 例の家族は、飾りがないまま、しかし仲むつまじく団欒していた。 初めのころは飾りがないことでお互いに認識できなかったが、 必死に相手の表情や声、外見を注視することで、少しずつ少しずつ個体識別ができるようになっていった。 今では、十匹の家族はお互い完璧に識別できている。 当たり前だ、識別できないほうがおかしい。 「見分けがつかない」という思い込みを「見分けがつく」という思い込みにすり替えればいいだけの話だ。 見分けがつくと思えば、見分けはつくに決まっている。識別しようという意思、努力が致命的に欠けていたということか。 「ゆーっ、れいむのびせいによいしれていってね!!ゆ~ゆ~♪」 「れいみゅおばしゃんのおうちゃはゆっくちしちぇるにぇ!!」 「ゆっ!ゆっ!まりしゃのだんしゅをみちぇいっちぇにぇ~~」 「おばしゃんもまりしゃもゆっくちしちぇりゅねっ!!」 「じゃおーん!」 「まりしゃとおいきゃけっきょちようにぇっ!!ゆっくち!ゆっくち!」 「じゃおーん!!じゃおーん!!」 「みぇーりんははやしゅぎるよぉ!!でみょ、きょうこちょはまけにゃいよっ!!ゆっくち!!ゆっくちぃぃ!!」 ベランダでゆっくりしているのは家族だけではない。 世話係のさくやの他、帽子すり替え実験のために買ってきたもろもろのゆっくりも仲間に入っている。 野良だったのを拾ってきた飾りのないれいむ、ペットショップで買ってきた子めーりんはすっかり家族と打ち解けていた。 同じくすり替えるために集めてきた当て馬達も、厄介者ではありながら夫婦たちの手で分け隔てなく世話を受けている。 みょん種の赤ゆっくりは子めーりんと同じく一家の団欒に参加できているが、 そもそも捕食種である赤れみりゃや知能に欠陥がある未熟児とレイパーはなかなか難しいようだ。 それでも文句ひとつ言わず、家族たちはかいがいしく世話をしていた。 赤れみりゃなどは、このごろではたどたどしくも家族の輪に入っていきたそうな表情さえ見せている。 初めは家族だけで暮らさせ、互いの識別ができるようになってから、 ゆっくりの数を増やして難度を上げようという意図で余所者のゆっくりを参加させたのだが、 一旦飾りなしの識別ができるようになればあとは早かった。 余所者を虐めたり見下すようなこともまったくない。 自分たちが飾りを失って底辺の存在に堕ちたこと、 そもそも余所者を虐めたばかりにこんなことになってしまったこと、 個体識別のために相手の性格をよく吟味するようになった結果、根拠なく見下すことがなくなったこと。 要因はいろいろ思いつくが、他種への差別心は、少なくとも表に出さなくなったようだ。 ゆっくりがあれだけ執着する頭の飾りだが、こうなってみればないほうがずっといいんじゃないか。 今、僕の目の前では、ゆっくりたちがこのうえもなくゆっくりした笑顔で笑いさざめいている。 飾りを失い、傷だらけの家族たち。 希少種、捕食種、通常の言葉を喋れないめーりんやみょん。 どれも通常の群れにいれば真っ先に差別、虐めの対象にされるはみ出し者だが、 ここではなんの差別もなく、互いに認め合い、慈しみあっている。 ちょっとしたユートピアだ。 下拵えには時間をかけた。 初めに家族に苛められた子まりさと子れいむには、 さんざんに家族を見下し、貶めてやるようにそそのかした。 本人たちも充分に家族を恨んでいたので喜んでやってくれたが、 毎日寝る前には二匹を家に引き入れ、釘を刺した。 「お前達だって前はそうだった、飾りのないゆっくりを虐めていたはずだ」 「お母さんたちも反省すればお前達と同じようにゆっくりできる」と、毎日繰り返し念を押した。 ゆっくりとしては善良な個体であるはずという僕の試算は当たり、 飾りを捨てた家族を、二匹は温かく迎え入れた。 一日ごとに子ゆっくりたちの帽子を奪い、家に招き入れてあまあまを振る舞い、 初めに虐待された二匹からはうってかわった歓迎をもって当たらせ、 飾りがないとゆっくりしている、飾りがないからゆっくりできると教え込んだ。 最後に両親に種明かしをし、家族全員から飾りを取り上げたとき、 すでに飾りに頼らない価値観の下地はできていた。 今、家族に差別心はなく、飾りのないゆっくりこそゆっくりできると信じ込んでいる。 屈託のない団欒を楽しむ家族を眺め、僕は確信した。 頃合いだ。 「ゆっ!おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!ゆっくち!!ゆっくち!!」」」 ベランダに出ると、家族たちが僕に笑顔と挨拶を向けてくる。 どの顔も非常にゆっくりした幸福感に満ち溢れていた。 「やあ、みんなゆっくりしているな」 「ゆーんっ!!おにいさんのおかげだよ!!」 「おかざりさんがないとゆっくりできるよっ!!ゆっくり!!ゆっくり!!」 「おにいちゃんありがちょー!!」 「そうなのかい?」 「ゆんっ!まりさ、いままではおかざりさんしかみてなかったよ。 でも、おかざりがないと、おちびちゃんやれいむのことをよくみるようになったよ。 みればみるほど、みんなちがうんだよ!おかおも、おこえも、うごきかただって、みんなちがうし、 ちがうけど、みんなみんなかわいいんだよ!!いままできづかなかった、いろんなかわいいところがあったよっ!! きずだらけだけど、まりさのかぞくさんはいままでよりずっとずっとかわいいんだよぉ!!」 「ゆゆぅ~~ん、まりさぁぁ~~♪れいむ、てれちゃうよっ///」 「「「おちょーしゃんゆっくち!ゆっくちぃ!!」」」 「そうか。うん、素晴らしい。みんな本当にゆっくりしているな」 「ゆふ~ん♪」 僕は頷き、ベランダのゆっくり達に声をかけた。 「みんな、今日はまりさたちの家族だけに大事な話があるんだ。 悪いけど、まりさたちだけこっちに来てくれ」 「ゆんっ?ゆっくりりかいしたよ!!」 十匹のまりさ、れいむ家族を、ガラス戸を開けて屋内に迎え入れる。 「ゆっくり!ゆっくり!」「ゆっくち!ゆっくち!」 楽しげに跳ねる家族たちを、僕は奥まった和室に案内した。 和室は僕の寝室であり、隅にたたまれた布団とテレビの他は殺風景なものだ。 家族を並ばせると、僕は家族たちに話しはじめた。 「改めて、みんな。本当にゆっくりしているね」 「ゆふんっ☆てれちゃうよ!」 「お飾りなんかなくても、ちゃんとお互いがわかる。お互いのことをよく見てる。 弱い者苛めなんかするゲスはここには一人もいない。 今度こそ僕は確信して言おう、みんな、本当にゆっくりしたゆっくりだ!」 「ゆゆぅぅぅ~~~~んっ!!まりさ、かんむりょうっ!!だよぉぉ~~~!!」 「おにいさんのおかげだよぉぉ!!ありがとう、おにいさんっ!! おちびちゃんたち、みんなでゆっくりおにいさんにおれいをいおうね!!」 「「「「おにいしゃん、ゆっくちありがちょ~~~~!!」」」」 「うん、うん。僕も本当にうれしいよ。だから…………」 間を置き、笑顔で家族たちを見渡してから僕は言い渡した。 「今度こそ約束を果たしたいと思う。君たちを、森に帰してあげよう!!」 「「「「「「「「「「ゆっ?」」」」」」」」」」 家族の笑顔が止まった。 一瞬の静寂の後、家族の表情はみるみるうちに青ざめていった。 ――――――― 「おでがいじばず!!おにいざん!!ごごにおいでぐだざい!!おいださないでぐだざいいぃ!!」 「もりにがえりだぐだいぃぃ!!ごごがいいよぉ!!ごごじゃないどゆっぐじでぎだいよおおぉぉ!!」 「やぢゃ!!やぢゃ!!いじべられるのやぢゃあああぁぁ!!ゆっぐじじだいいいぃ!!!」 「ぎょわいぎょわいぎょわいいぃぃ!!ゆっぐじ!!ゆっぐじざぜでええぇぇ!!!」 全身から恐怖の汗をしたたらせ、家族一同はお兄さんに懇願していた。 ここに住まわせて、森に帰さないで。 しかし、お兄さんは不思議そうに首をかしげて言った。 「あっれぇ~~~?どうしたんだい、みんな?ようやく元の家に帰れるんじゃないか。もっと喜んでいいんだぞ!」 「やだ!!やだああぁぁ!!もりにがえりだぐない!!ゆっぐじでぎない!!ごごにおいでええぇ!!!」 「おいおい、何を言ってるんだ。もともとあそこでゆっくりしてたんだろ?遠慮しなくていいんだぞ、さあ出発だ!」 「やぢゃやぢゃやぢゃやぢゃやぢゃあああああぁぁ!!!ごご!!ごごぎゃいい!!ごごでゆっぐぢずりゅううぅぅぅ!!!」 飾りを失い、全身を傷だらけにし、おめめやまむまむを失った子まで混じっているこの一家が、 今森に帰されればどうなるかは火を見るより明らかだった。 すぐに他のゆっくりに見咎められ、たちまちのうちにいじめ殺されてしまうだろう。 この家を一歩でも出ることは、自分たちにとって即、死を意味していた。 それがわかっていた一家は、ここを先途とお兄さんにすがりついた。 「ごごでゆっぐりじだいでず!!もりにがえるど、ぼがのゆっぐじにいじべらればず!! ばりざだぢはごごじゃだいどゆっぐじでぎばぜん!!おにいざん!!おにいざああああんおでがいじばずうううう!!!」 「あ、そうなのか。しまった、そうだよな、虐められちゃうよな。それじゃゆっくりできないなあ」 「ゆっ!!そうだよっ!!だからここでゆっくりさせてねっ!!」 「いや、約束だから。約束は守らなきゃいけないもんな、森に帰すよ。しょうがないよね!」 「いいよおおぉぉぉ!!ばぼらだぐでいいいいぃぃぃ!!!ごごにおいでえええぇぇ!!!」 「やだよ、だってここ、僕の家だもん。 お前らがいるから、僕ベランダ使えないんだよね。洗濯物とか干したいし」 「ゆ゛っ!!じゃあぼがのおべやざんでいいでず!!ごのおうぢざんならどごでぼいいでず!!ぼんぐいいばぜええん!!!」 「あのね、僕が文句言ってるの。この家、狭いの。お前らに居座られてると迷惑なの。出てってくれない?」 「ごごがらおいだざれだらばりざだぢじんじゃうよおおおおぉぉぉ!!!」 「だから?知らないよ、そんなこと。自分でなんとかしてね!」 必死にお兄さんの足にすがりつき、涙と涎を撒き散らして懇願するまりさ。 しかしお兄さんは一向に首を縦に振ろうとはせず、それどころか楽しんでさえいるようだった。 夫の無様な姿を見ながら、それまでお兄さんに抱いていた感情が急転していくのをれいむは感じていた。 「………おにい、ざんが……………」 「ん?」 「おにいざんがでいぶだぢをごごにづれでぎだんでじょおおおおおお!!?」 れいむは叫んでいた。 全身をぶるぶる震わせ、怒りをあらわに声をはりあげる。 「おにいざんがっ!!でいぶだぢをもりがらざらっでぎでっ!! おぢびぢゃんだぢをいじべでっ!!ごんながらだにじだんでじょおおおおぉぉ!!?」 「いやまあ、いろいろ制裁したけど。生活に支障が出るほどの傷は負わせてないよ。 この子まりさのまむまむと子れいむのおめめは別だけど、これやったのはき・み・た・ち☆」 「ゆ゛ぐぅっ…………!!」 「おぼうちっ!!おぼうちしゃんがえじぢぇえええ!!」 「ゆっ!!れいみゅもっ!!れいみゅのおりぼんしゃんがえじでにぇ!!」 「ゆゆっ!!そうだよっ!!おかざりさんがあればあんっしんっ!だよっ!!!」 子供たちの声に笑みを取り戻し、まりさはお兄さんに向きなおって言った。 「ゆっ!!まりさたち、もりにかえってもいいよっ!! でもおかざりさんかえしてねっ!!あまあまもいらないよ!!おかざりさんがあればすぐにでていくよっ!!」 「あー、お飾りかあ………ちょっと待ってね。押し入れにしまってあるから」 お兄さんが部屋の壁をずらすと、中に小さなお部屋があり、 その中に、前にみんなで入っていた透明な箱が置いてあった。 お兄さんがそれを取り出して家族たちの前に置く。 見ると、箱の中にみんなのお飾りが山になって入っていた。 家族が狂喜乱舞する。 「ゆぅぅぅ!!あったよ!!まりさのおぼうしあったよおおぉぉ!!」 「よかったぁ!!よかったよおおぉぉ!!れいむのおりぼんさんよかったああぁあ!!」 「まりちゃのおぼうちっ!!おぼうちぃ!!」 「ゆーっ!!ゆっくち!!おりぼんしゃんゆっくちちていってにぇ!!ゆっくちいぃぃ!!」 飛び跳ねながら喜び合っているうちに、光がお飾りの山の上に落ちた。 「ゆゆっ?」 「…………どぼじでおりぼんざんぼえでるのおおおぉぉぉっ!!!?」 お兄さんが落としたものは火だった。 小さな棒の先についていた火は、たちまちのうちにお飾りの山に燃え移り、赤い炎をめらめらと躍らせている。 まりさたちは恐慌をきたして叫び狂った。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だべええだべえええええぼえぢゃうおぼうじじゃんぼえぢゃああああ!!!」 「だんでええええ!!?だんでごんだごどずるのおおおおおおおおおあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆんやあああああーーーーーーっ!!!ゆびゃああああああーーーーーーーっ!!!」 「だじゅげぢぇ!!だじゅげぢぇ!!おぼうじじゃんだじゅげぢぇええええええっ!!!」 「おにいじゃーーーーーっ!!おにいじゃああああーーーーーーーーっおにいいいいいい」 いくら体当たりしても箱はびくともせず、お兄さんに体当たりしても同じくびくともせずににやにや笑っているばかりである。 ひとときの狂乱を経て、ついにすべてのお飾りは黒い消し炭と化した。 「ゆ゛あ゛……あ゛……あ゛あ゛あ゛…………おぼうぢ………ばりじゃ、の……」 「どぼじで…………どぼじで………どぼぢで…………どぼじ……で」 水槽の壁を力なくぺーろぺーろしながら涙に暮れる家族たち。 その背中に、お兄さんが明るい声をかけた。 「いやー、お飾り燃えちゃったね。でもいいよなっ、お前達はもうお飾りなくてもわかるもんな!」 「おがざりざんがだいどいじべられるでじょおおおおおおおお!!!!?」 「でいぶだぢじんじゃうんだよおおおおぉぉぉぉ!!ごろざれぢゃうんだよおおおおおお!!?」 「うん、そうだね。だから?」 「………っぐ…………ゆっぐじでぎだいおにいざんはゆっぐじじねええええええ!!!」 涙を振り絞り、れいむがお兄さんの足をめがけて突進した。 渾身の突進を受けてもお兄さんは動じず、冷やかにれいむを見下ろしているだけだ。 ぎりぎりと歯軋りし、れいむは慟哭しながら体当たりを繰り返した。 まりさはただただ泣きじゃくりながらその光景を見つめ、子供たちはひたすら燃えカスを囲んで泣き喚いていた。 その時、お兄さんが何かを床に落とした。 「ゆっ?」 涙に濡れた目で、まりさがそれを視界に捉える。 それは、赤いカチューシャだった。 「いじめ殺されるだって?」 足元にまとわりつくれいむを、足でごろんとカチューシャの方に転がしながらお兄さんは言った。 「ちょっと、一緒に面白いビデオを見ないか」 『きょーろきょーろしゅるわっ!きょーろ、きょーろ!』 『はは、落ちないように気をつけろよ』 『おにーしゃんのおちぇちぇはとっちぇもときゃいはにぇ!』 『ふーかふーか!ふーかふーか! このべっどさんとってもとかいはよ!おにいさん、ありがとう!』 『どういたしまして。銀バッジを取ったごほうびだよ』 『ゆんっ!おにいさんのしどうのおかげよっ! これからはもっともっとおにいさんをとかいはにゆっくりさせるわっ!!』 『いちにっ!いちにっ!』 『何してるんだ、ありす』 『ゆっ!だいえっとさんよ!このごろたいじゅうがゆっくりしすぎてるから……』 『ははは、そんなこと気にしてるのか。可愛いやつだな』 『ゆっ、もう!しらないっ!!』 『ゆわあああぁぁ!!とかいは!!とかいはだわあぁ!!』 『そんなにはしゃぐなよ。迷子にならないようにな』 『ゆーんっ!こんなゆっくりできるとかいはなばかんすさんにつれてきてくれてありがとう、おにいさんっ!!』 『ついに金バッジを取れたからな。これからはどんどんいろんなところに遊びに行こうな。 そうだ、約束だったな、今度お婿さんを連れてくるよ。おちびちゃんも作ったらいい』 『とかいは!!とかいはだわぁぁぁ!!おにいさんのかいゆっくりで、ありす、しあわせよおおぉぉ!!』 お兄さんが何やら細工すると、部屋の隅にあった黒い箱の中に映像が流れ始めた。 この家で過ごしているうちに知った、あれはテレビさんというものだ。 そこに流れているのは、一人のゆっくりありすの姿だった。 ビデオの中に姿は映っていないが、 個体の特徴に鋭敏になった今の家族には、ありすに話しかける声がお兄さんのものであることはすぐにわかった。 お兄さんとありすの、幸福そうな生活がながながと流された。 そのありすは気立てがよく、身だしなみも整い、どこから見てもゆっくりできる美ゆっくりだった。 思わず自分の妻と比べそうになり、まりさはつい頭を振った。 「この子は僕の飼いゆっくりだった。とても可愛い、聞き分けのいい子だった」 お兄さんが説明を加えた。 「赤ゆっくりの頃に、捨てられて死にかけていたのを気まぐれで拾ってきたんだ。 ゆっくり飼いの勝手がわからない僕を、むしろありすの方がサポートしてくれた。 至らないところの多い僕に文句を言わず、 助けてもらった感謝を繰り返し、僕をゆっくりさせるために尽くしてくれた。 ついには金バッジまで取得するほど優秀な個体だった。宝クジに当たるくらいの拾い物だったんだ。 赤ゆっくりの頃に捨てられた経験が、いい方向に作用したのかもしれない」 「ゆうぅぅ……………」 流れる映像を見ても、「ゆっくりしてるね!」などとは漏らせなかった。 ありすがすでに鬼籍に入っていることは、すぐそこに転がっているカチューシャを見れば想像できた。 最初から悲劇として語られているこのエピソードがどこに行くのか、にわかには読めなかった。 「ありすの愛情に僕も報いたかった。 ありす自身の安全を考えてバッジ試験も受けさせた。辛い勉強も不満を言わずにやってくれたよ。 ただひとつ、ありすが一度だけ漏らしたわがままは、子供が欲しいということだった。 子供を作ったゆっくりはリスクを抱えている。ゆっくりの生態を調べるうちにそれを知った僕は、 金バッジを取るまでおあずけだと言った」 「ゆぅ………おちびちゃんはゆっくりできるのに……」 まりさが思わず口をはさんだが、お兄さんは全く無視して先を続けた。 家族に話しているというより、ただ独白しているようだった。 「いまでは後悔してる。すごく後悔している。 ありすの望みをすぐに叶えてやらなかったことを。 僕に言われたありすは、それまでの何倍も勉強に身を入れ、とうとう金バッジを取った。 僕は約束通り、つがいを与えて子供を作らせてあげるつもりだったが、 赤ゆっくりができればそうそう外出もできなくなる。 その前に、ご褒美でキャンプに連れていってあげることにしたんだ。 そこで、ありすはゆっくりに殺された」 「ゆううぅ!?ゆっくりごろしはゆっくりできないよ!!」 思わず叫んだれいむに、お兄さんはすぐに屈みこんで答えた。 「そうだよな。ゆっくりできないよな! こんなゆっくりできるありすを殺すなんてひどいことだよな」 「ゆーっ!ゆっくりしてないよ!ありすがかわいそうだよ!!」 「もうすぐおちびちゃんがつくれたのにぃぃ!!」 「ありちゅおにぇーしゃん、きょろしゃにゃいでええぇ!!」 「ありすはひどい殺され方だった。 全身を枝でぷーすぷーすされて、目を潰されて髪もむしられて、最後には生きたまま食われて死んだんだ」 「ゆううぅぅぅ!!きょわいよおおぉぉ!!」 「ひどいよおおぉぉ!!ゆっくりできないよおおぉぉ!!」 「こんなにゆっくりしたありすなのにいぃぃ!!」 現在の状況も忘れて、つい感情にかられて叫ぶ家族たち。 お兄さんは何度も頷いて続けた。 「そんなひどいことをするゆっくりはゆっくりできないよな!」 「ゆっくりできないよ!!」 「ありすが死んだのに、そいつらは今ものんびりゆっくりしてるんだ。許せないよな!」 「ゆるせないよっ!!ゆっくりごろしはせいっさいっしなきゃいけないよ!!」 「苦しんだありすのためにも、たっぷり苦しめて、ゆっくりできない目に遭わせなきゃ割に合わないよなあ!」 「ゆーっ!!かたきうちだよおおぉ!!そんなひどいゆっくりはゆっくりしちゃいけないんだよぉ!!」 「そうか、そうだよな!そう言ってくれるか!!お兄さんは嬉しいよ、みんな!」 「「「「ゆーっ!!」」」」 「まさか、まさか……ありすを殺したやつらが、自分から喜んで罰を受けてくれるなんて!」 「ゆぇっ?」 足元のカチューシャを拾い上げて見つめながら、お兄さんは淡々とした口調に戻って続けた。 「森のそばの川でキャンプをしたとき、ありすは迷子になった。 その時に、カチューシャを落としてしまったんだ。 飾りをなくしてしまったありすを、そこに住んでいたゆっくりの一家が見つけて、 「ゆっくりできないゆっくり」呼ばわりして、なぶり殺しにした」 そこまで言って言葉を切り、お兄さんは笑顔を浮かべて家族をゆっくりと見渡した。 家族は、小刻みに震えはじめた。 「僕がどうして、お前たちを家に連れてきたんだと思う? 野良ゆっくりの家族なんかわざわざ攫ってきたってなんの得にもならない。 見ず知らずのゆっくりを、飾りがなくてもお互いを識別できる、ゆっくりした家族にする。 そんな七面倒臭いことを、純粋な善意でやると思うか? お前らみたいな薄汚いゴミクズを、なんで僕がわざわざゆっくりさせてやらなきゃならないんだ?」 「………………おに、い、さ………ん……」 「お前たちには知ってもらわなければならなかった。 お飾りがなくても、お前らが殺したありすは素晴らしいゆっくりだったということを。 お前らは、罪のない、思いやりの深いゆっくりできるゆっくりを、 ただお飾りがないという、くだらない些細な理由で虐めた。 ゆっくりに満ちた未来が待ち受けていたゆっくりを、喜色満面でなぶり殺しにした。 『せいっさいっ』なんかじゃない、同族殺しのリンチ、暴力だった。 お前らが恃みとする正当性、「お飾りがなかった」という理由は、なんの意味ももたないこじつけだ。 それをお前たちには知ってもらわなければならなかった」 「ゆ゛………ゆ゛………ゆる……ゆるじ………」 「そうでなければ、僕が何をしても、「まりさたちなんにもわるいことしてないのにいいぃ!!」とお前たちは叫ぶだろう。 僕は、ゆっくりできる善良なお前たちにいわれのない暴力を加える悪漢ということになり、 お前たちは誇りと家族愛で自分たちを慰めながら死んでいくだろう。 そんなことは許さない。絶対に許さない。 お前たちが僕の愛する家族にしたことを、僕はお前たちにやり返してやるんだ。 お前達が叫ぶのは毅然たる抗議でも非難でもなく、みじめったらしい謝罪と懇願、命乞いでなければならない」 「あ゛……あ゛……あ゛あ゛あ゛あ゛………………!」 「いやあ、でもよかった!自分から罰を受けてくれるなんて! ありすをなぶり殺しにするような奴はゆっくりしちゃいけない、苦しめなければいけない。 お前達自身の口からそう言ってもらえてよかったよ! もし抵抗されたら面倒だと思っていたんだ。いや、スムーズに進んでよかったよかった」 「ゆ゛るじでぐだざいいいいぃぃぃ!!!」 まりさは床に頭を打ちつけて叫んでいた。 何度も何度も頭を打ち、喉を震わせて叫ぶ。 「ごべんだざい!!ごべんだざい!!おにいざんのありずをいじべでごべんだざい!! おがざりがだいだげでいじべで、ごろじでごべんだざい!! ぼんどうにぼうじわげありばぜんでじだ!!ばりざだぢがっ、ゆっぐりじでばぜんでじだ!!」 「ああ、そうだね」 れいむもまりさに続いて頭を下げた。 「じらだがっだんでず!!ありずが、あんだにゆっぐじじでだだんで!!あんだにやざじいびゆっぐじだっだだんで!! おがざりがだいがら、わがらだがっだんでずううぅ!! ごべんだざい!!ごべんだざい!!ゆっぐじじでだいでいぶでごべんだざい!!」 「本当だねえ」 親に倣い、子供たちも詫びはじめた。 「ゆびぇええええん!!ぎょべんなぢゃいっ!!ぎょべんなぢゃいいい!!」 「ばりじゃがわりゅがっだでじゅうぅぅ!!ゆるじぢぇえええ!!」 「ぼうじばじぇん!!ぼうわりゅいごどじばじぇえん!!ゆっぐぢぃぃぃ!!」 「うんうん、もう二度とやっちゃだめだぞ」 お兄さんは腕を組んで笑っていた。 まりさは顔を上げ、おずおずと頼んだ。 「お、おに、いざん……ゆぐじで、ぐだざい…………?」 「え、駄目だよ。絶対に許さないよ。何言ってるのかな?」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんだざあああいいいいい!!!」 「うんうん、さあ、罰を受けようね! みんなで森に行って、森のゆっくりたちに虐めてもらおうな!それが罰だよ、ゆっくり理解してね!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛やべで!!おでがい!!でいぶだぢはどうなっでぼっ!! おぢびぢゃ!!おぢびぢゃんだげはあぁぁ!!」 「またそれかい?おちびちゃんだけは、か」 「ばいっ!!ばりざどでいぶがいじべらればず!!ごろざればずうぅ!! おぢびぢゃ、だげはっ!!おでがっ!!ごごでぐらざぜでぐだざいいいいぃぃ!!」 「ふざけんなよ、コラ」 低い声で返答し、お兄さんはまりさの頬を蹴り抜いた。 「あぶぎゅうっ!!?」 「ば!!ばりざああぁあ!?」 「ん、なに注文しちゃってんの?罰を受ける立場なんだろ? 一番大事なものだけは見逃してくださいって、なにそれ?お前たちはありすの何を見逃したの?ねえ?」 「ごべんだざい!!ごべんだざい!!ゆぐじでぐだざいいい!!」 「お前たちがありすを許していれば、僕も考えたんだけどねえ」 「ばんぜいじばじだっ!!でいぶだぢはげずでじだっ!!ぼうにどどじばぜん!! ごごろを、ごごろをいれがえっ!!おぢびぢゃんだぢはっ!!」 「うんうん、本当に悪いことをしちゃったねえ。だから罰を受けようね!」 「おぢびぢゃだげはっ!!おぢびぢゃっ!!」 「しつこいんだよ!」 「ゆぎげべぇ!?」 れいむの頭が勢いよく踏みつけられる。 衝撃でうんうんが漏れてしまうが、意に介する余裕はなかった。 「反省しましたとか、心を入れ替えるとかさ、だからなんなの? 本当に、ほんっと~~~~に悪いことをしたと思って反省してるんならさ、 どんな罰を与えられても喜んで受けるのが筋だろ?やったことの責任をとろう、ってまず考えるのが本当だろ? それが何?反省したから罰は勘弁してくれって?責任をとるのは嫌ですって? それって反省したって言うの?ねえ?ねえねえねえねえ」 「あぎっ!!いびぎぃ!!ゆぎひいいいぃいいびいいいい!!」 「ごべんだざいっ!!わるがっだでずっ!!びどいごどいっでるのはわがっでばずっ!! でぼ、でぼ、ばりざの、おぢびぢゃんは、どっでぼ……ゆっぐじじででっ!!」 「僕のありすもとってもゆっくりしていたよ。 そうかなるほど、ちょうどいいや、とってもゆっくりしているおちびちゃんたちなら僕のありすと見合うね!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛やべでえええええぇぇ!!!」 「え、本気で言ってんの? 僕の一番大事なものを壊しといて、お前たちの一番大事なものは見逃してって頼んでるのお前ら? そんなことして僕になんか見返りあんの?」 「ごべんだざい!!ごべんだざい!!ゆぐじでぐだざい!!ゆぐじでぐだざい!!」 お兄さんの言うとおりだということはわかった。 何から何までお兄さんは正しく、お兄さんの言う罰をみんなで受ければ筋が通ることもわかった。 ここで逃げるのはゆっくりできない。ここで逃げるのは卑怯者だ。 でも、でも、それでも、それだけは。 おちびちゃん。 まりさたちの、ゆっくりした、おちびちゃんたちだけは。 「ゆぐじでぐだざい!!ゆぐじでぐだざい!!おでがいじばず!!ぼんどうにおでがいじばず!!ゆぐじでぐだざいいいぃ!!!」 「へえ……それがお前らのルールなんだ」 言いながら、お兄さんはむしるように子れいむの一人を取り上げた。 「おしょらをとんでりゅみちゃいぃ!?」 「ゆああぁぁ!!おぢびぢゃ、おぢびぢゃあぁ!!」 「たとえばこんなことをしても許されるんだよな!!」 「ゆっびゃあああぁぁぁぁっ!!!?」 ガリガリガリガリ お兄さんが子れいむの顔面を壁に押し付けて擦り付けた。 「ごぎょおおおおおぉぉぉびびゃああああぁぁいぢゃばばばばばぎゅううううーーーっ」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛やべでやべでやべでやべでええええぇぇ!!!」 「こんなことをしてもっ!!」 勢いよく振りぬき、子れいむの顔面を家族に見せ付ける。 子れいむの顔の右半分は痛々しい擦過傷にまみれ、口の右側が裂けて砕けた歯がこぼれ出し、 右の瞼がけずり落とされて眼球が消失していた。 「ゆ゛………いぢゃ………いぢゃ……あ゛………………びぎゅい゛い゛ぃぃ…………」 「おぢびぢゃーーーーっ!!おぢびぢゃあああああぁぁ!!」 「お前らは許してくれるんだよな! お兄さん悪いことしちゃったよ!かわいいおちびちゃん虐めちゃったよ! でも反省したからね!許してね!ゆっくり許してくれるよね!!ねえ!!」 「………!!………………!!!」 「ゆっくり許してもらったから次にいこうね!次も許してくれるよな!!反省するからさ!!」 「やべでええええぇぇぇおでがいいいいいぃぃぃ!!!」 次の子供を手に取ろうとしたお兄さんを、まりさが必死に制する。 肩で息をしながらお兄さんは手を止め、まりさに向き直ってつぶやくように言った。 「……選べ。 森に行って罰を受けるか、ここで僕の暴力をすべて許すか」 「…………………………!!!!」 まりさはぶるぶる震えて歯を食いしばり、大量の涙を流しながら、やがてがっくりとうなだれた。 (後編2へ)