約 623,162 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5539.html
—―機関って一体何なんだ 彼の質問は余りにも意外で、しかも漠然とし過ぎていて彼が何を意図しているのかがわからない。今は旅行先の話だったはずだ。 「お前等の機関はハルヒのご機嫌取りの為に島を丸ごと用意できる。そこにほぼ新築のお屋敷も用意できる。海外旅行の為の費用を全員分捻出して、現地で身に危険が及ばないよう色々手配もできる。必要となる費用は直接的なものだけじゃない。根回しにはかなりの時間と労力と費用を必要とするはずだ」 僕の戸惑いを他所に、彼は先ほどの状態から堰を切ったように話始めた。僕は、彼が何を訊きたいのか探るべく耳を傾ける。 「余計な人が入らないように交通規制をかける。口止めをする為に口止め料を払う。安全を確保するために警備体制も確保する。現地の有力者に根回しをする。他にも色々やることはあるだろう。一体どれくらいの費用を使うのか、俺には検討も付かない」 「そういえば、生徒会長を擁立してその地位に就けるには国会議員の選挙活動に必要なくらいの費用、つまるところ数千万から億単位の金を使ったんだったか」 彼の質問が具体性を帯びてくる。 「我らが公立の北高にはお前以外にも機関の人間が多数いるなら、教師にも間違いなくいるだろう。機関が結成された時から何年もかけて根回しをしてきたわけではないだろ?ということは公的なところにもかなりの影響力を持っているってことだよな。生徒会選挙のときも、学校や生徒会を傀儡にすることを黙認してもらうために、県議や市議、教育委員会等に秘密裏に働きかけていたからこそ、数千万からの費用が使われたんだろ?」 これは・・・できれば訊かれたくない、知られたくないことだ。今まで触れてくることはなかったのに、何故今頃になって・・・ 「どうなんだ?公権力にも影響力を持っているんだろ?警察を含めた行政機関、政治家を含めてだ」 途切れた。どうやら僕に回答を求めているようだ。 「・・・ええ。そうでなければあれくらいの活動はできませんからね」 今更否定できることではない。 「なら、億単位の金を簡単に動かせる資金源は一体どこにあるんだ?まさか、お前の同士の超能力者や機関の中にどっかの王族や石油王がいるわけじゃないんだろ」 明らかにレールを敷かれたやりとりだ。 「貴方もご存知のように、鶴屋家のような資産家から投資を受けていますよ」 そうか、と言わんばかりの相槌を目でしてくる。 「そうだったな。だが鶴屋さんの家はほんの一部なんだろ。他にも似たようなところから援助をしてもらっているわけだな。億単位の金を動かせるくらいだ、かなり大規模な援助活動なされてるんだろうな」 「そしてその資金を元に、あちこちに根回しができるってわけか。いや違うな。金だけじゃ限界もあるし、時間もかかるはずだ。資金力で影響力を行使できだけではなくて、公的な力を持った人達からも資金ではない形で多くの協力を得ているんだな」 彼のボードゲームの強さを見れば、こういうやりとりは彼の本領と言えるのだろうか。 「僕は末端の人間なので、あまり詳しくは分かりませんよ」 釘を刺すも、 「お前の性格で5年余りも全く何も知らない身を良しとしてきてるはずはないだろ。しかも、俺が思うにお前は機関の中でもかなり重要な存在だ。何せ超能力者で、しかもハルヒの身辺に近づいている上にハルヒの信頼も厚いわけだからな。他の能力者の中でもオンリーワンだろ。何も知らないなんてことはあり得ない」 釘を刺し返される。初めの戸惑いがちに話始めた彼の雰囲気はもう無い。完全に追求の構えだ。 「続けるぞ。ここからが本題なんだが」 もう予想は付いている。 「機関の本当の目的はなんだ?」 予想が付いていただけに次の応えるべきことも用意している。できるだけ自然に、迷うこと無く応える。 「以前にお話しましたように、世界の安寧と平和のため、我々は努力しているのですよ」 「違うな」 彼も予想済みと言わんばかりの即座の強い口調での否定。ここまでくれば、彼に否定されることも予想済みだ。 「お前も小さい頃は世界を救うとか悲劇のヒーローとか英雄とか、そういったものに憧れを持っていたことがあるはずだ。・・・まあ、お前はある意味実現しているが」 これは予想外だった。何を言い出すんだ彼は・・・ 「普通の人間はそれを実現することはないし、歳を取ればその憧れは消え、現実に沿った夢へと変わる。地位とか名誉とか金と言ったものだ。俺は人より賢くないから、そんなことは他人から見た知人の夢という程度にしか思えないが、そう志向する人間が大勢居ることは理解できる。俺だって頭が良かったら野心の一つも持ったかもしれない」 こういう切り口で来るわけか・・・ 「そういうことでしたら心外ですね。貴方は既に世界の命運を握る鍵としての生を送っているではありませんか」 彼はお得意の仕草を取ってみせた。 「でだ、潤沢な資産を所有して俺の色眼鏡ではお歯黒をしてそうな連中や、雲の上に鎮座まします権力を持った先生方がスポンサーとして集まって、やっていることが世界平和への慈善事業に対しての無償協力なんてことはないだろう?」 ・・・本当に嫌な切り口だ。誤魔化し切ることができるだろうか。 「映画撮影の時だったかな、お前が言ったことがある。ハルヒを巡る組織の駆け引きは機関や朝比奈さんの一派だけではないと。水面下では多くの組織が謀略とか暴力とか面倒な事の総力を挙げての生き残り合戦をしているとな」 「そんなこと言いましたっけ」 それに類することは確かに言ったが、一字一句同じではないわけだから、しらばっくれても別に嘘をついているわけではない。 「その他の組織にもスポンサーが付いているんだろうな。じゃないとお前等の機関と張り合うなんて不可能だからな」 しかし、彼は僕が否定してもそれでも構わないと言わんばかりに話し続ける。 「機関は、お前が言うには超能力者の全員を擁しているって話だ。ハルヒの近辺に一番近づいている組織でもある。一番条件的には美味しいはずだ。それなのに他の組織を援助するってのはおかしな話だよな」 「まあ理由は簡単だ。スポンサー同士の何かを巡った対立関係があるからだろ。慈善事業とは関係の無いな。そして、組織にとって、活動資金を提供してくれるスポンサーの意志は絶対だ。援助を打ち切られたらどうにもならないからな」 「待って下さい。我々の目的はあくまで世界の安寧です。それはスポンサーも同じです。ですから大義名分のある我々の機関には多くの協力者や資金が集まるし、勢力も強くなるのは自然の道理です」 自分たちは潔白だと言い張りたい。しかし、この流れからして、それはもう無駄だということは自分でも分かっている。 「野心を持った人間には非常に魅力的な話だよな」 …今の彼には程度の低い言い訳などは何の効果もない。 「願望を実現する能力、世界を如何様にも変容せしめる能力、そんな能力を持った少女の存在を知って、世界平和に対しての無償投資で済むはずが無い。そんなことで財界人や権力者が動くなら世の中もっと良い形で変わっててもいいよな。投資ってのは何らかの対価あっての投資だ。第一、スポンサーの意志が純然たる慈善事業ならスポンサー同士の争いがそうも起こるはずがないだろ」 僕が言い張ればただの水掛け論に終わらせることができるかもしれないが、明らかに追いつめられているのは僕の方。変に虚勢を張っても暗に肯定するのと同じだ。僕達の関係は壊れ、SOS団の関係も壊れてしまい、日々の安寧も壊れてしまうかもれしない。 「もう一度訊く。機関の目的はなんだ?」 しかし、彼がこんなことに首を突っ込んでくるのは一体何故だ。下手をすれば身に危険を及ぼす可能性があることくらいわかっているだろう。自分は彼女にとっての鍵で、絶対手を出してこないという確信があるからか。何よりこんな話をして、僕と、SOS団での関係が崩れる可能性は考えていないのか。それとも、僕に対しての信頼故か? 「素晴らしい想像力です。ですが、空想の域を出ることはできないですね」 言い始めてしまったと思った。こんな返答は雰囲気が悪くなるだけじゃないか。 「その空想が的を射ているものかどうかは別として、そこまで考察しているなら貴方には貴方自身の見当というものがあるでしょう。先に拝聴したいものです」 僕は明らかに自分の首を絞める流れを作ってしまったのではないか。しかし、追求を逃れる為にどう返答すればいいか、そう即座に良い案も浮かぶはずもない。 彼は少し間を置いて、不機嫌そうに話始める。 「別にここまで来て改めて説明することでもない気がするが、いずれはハルヒの能力を手に入れたい、利用したいと考えているだけだろう。今は未確認のことが多いし、他の協力関係にある組織との兼ね合いからできるだけの平穏と現状維持を目標にして、その間にせっせとハルヒの観察と能力の研究に勤しんで、いずれハルヒの能力を利用するための算段をする」 「そして、一方では協力関係に無い組織からの介入を一切許さず、ハルヒとお前等の言う鍵である俺を独占するために抗争を繰り返す。こんなところか」 僕がここで応えるべき模範解答は何なのか、それは分からない。しかし、過程は別として、僕のやるべき選択肢は多くはない。話を反らすか、何とか煙に巻いてしまうこと、しらを切ること。それもできるだけ奇麗な終わり方に持っていく必要がある。後に彼に疑義を抱かれることになり、信頼関係が壊れることがあれば、それこそ最低の失策だ。 「そう言えば貴方には『機関』と呼称される組織の、正式な名称や生い立ちを教えていませんでしたね」 まずは会話の主導権を握らなくてはならない。これはいつものボードゲームではない。僕の得意とする言葉の駆け引きだ。 「・・・『機関』じゃないのか?」 食い付いてくれた。 「ええ。正式な名称は『新機関』と言います。」 「からかってるのか?」 我ながら自分らしい思いつきだが、まずは時間を稼がなくてはならない。 僕はゆっくりと、話しながら反らしどころを思案する。 「そんなつもりはありません。『ノヴム・オルガヌム(新機関)』というベーコンが出した本の題名が由来です。フランシス・ベーコンはイギリス経験論の祖と言われる哲学者で・・・」 「古泉」 彼に遮られる。 「はいなんでしょう?」 「そういう話は苦手だ。回りくどくない、手短な説明を頼む」 「・・・承知しました」 彼がこういう話が苦手なのは百も承知のことだ。だからこそ、こういった話を長引かせて煙に巻こうという気持ちもあっただけに、出鼻を挫かれた。 「ベーコンは、4種のイドラ…偏見とでも言えるものの存在があるせいで、人間は本当の知性を得られていないと考えていました。その4種は、自分の種族・属性と言った自分に当てはめてしまう枠組み、自分の育った環境という視野を狭くする箱、概念が先攻して存在しているために起こる錯覚、知識人の言を正しいと思い込んでしまう権威主義的・依存的な人間的弱さの四つを指します」 「涼宮さんの能力は、人間としての能力を遥かに越えるものですし、一般常識が通じないものであるし、社会的に許容されるものでも、どんな科学理論が通じるものでもありません。そして、分けも分からず突然その事実を知ってしまった我々は、とにかく驚きを持って彼女の能力を受け入れることを余儀なくされました。」 「まああの奇想天外摩訶不思議アドベンチャーな言動も含めてな」 それはそうだと強く納得した様子で彼が苦笑しながら頷く。彼はどこまで行っても彼でしかない。これは当たり前のことだが、少し気が楽になる。 「全くですね」 僕は得意の表情で返す。 「ベーコンは、それら4つの偏見を完全に排除し、ありのままの自然に服従しなければ人類はより高い・真の知性へと到達することができないと考えました。機関の設立も同様のものです」 「つまり、涼宮さんのことをありのまま受け入れ、涼宮さんの世界に服従するというものです。集まった我々は ―といっても僕は途中参加ですけどね― 少しずつ組織としての体裁を作っていきました。そして、誰がいつ付けたのかは知りません。トップ層のちょっとした洒落っ気だったのか、名付けられていた名称が『新機関』。それをいつの間にか誰もが『機関』と呼ぶようになりました。もっとも、この理由は後付けによるものではないかと僕は思っていますが」 彼は黙って耳を傾けている。だんだん僕のペースになってきている。僕はゆっくりと喋りながら反らしどころを思案する。 「新機関の目的は二つ。かくして一同に会した超能力者たちは、その与えられた能力を使い、彼女の能力の一部分としての理性の行使者として働きました。世界の平和を守るためという共通認識は多くの構成員が持ち、彼女を神のように崇拝する者達も数多くいました」 僕の経験上、人を欺く場合は、真実をできる限り織り交ぜるのが肝要だ。直感的に人は嘘を見抜く本能のようなものを備えているからだ。特に今の彼のように内に据えた一本の芯がある場合に、殊にその力が発揮される。 「そしてもう一つの目的は、彼女の能力の解明です。真の知を求めて彼女の能力を研究する。本当にそれだけのものでした。たったそれだけの、真っ当な目的を持って機関の活動が開始されました」 それを少しでも誤摩化す為には真実を織り交ぜ、彼が予想し、求めている答えを織り交ぜながら話す事で納得させることが一番いい。なるべく長く話をすることで会話の主導権を握り、彼が僕の話を納得し易い会話の流れを作り上げ、その上で話を反らし彼を丸め込む。 「しかし、平穏を保つ為には、ただ閉鎖空間を消滅させるだけでは意味がありません。お分かりと思いますが、もっと根源的なところでメスを入れる必要があります。その帰結として、我々は彼女自身の生活に干渉することで平穏を保つという形で活動範囲を拡大することに踏み切ることになったのです。しかし、その為には機関が社会的に力を持たなくてはならなくなりました」 ここからが勝負だ。僕ならできるはずだ。 「古泉、もういいぞ。後は大体想像が付く」 …は? 「もういいぞ。そこから新機関がどう変容していったのかというのは、想像に難くない」 面食らっている僕に対して彼が繰り返した。 「・・・そうですか」 完全に向こうのペースに戻された。まったく、その手腕はもっと別のところで使うべきじゃないのか。 「あー、えっと、今更呼び方は変えんぞ。大した違いもないしな・・・それで、機関が変容してきたことは分かったが、結論はどうなんだ。今の機関の目的はなんだ」 だめだ・・・ 「貴方の仰る通り、現状維持です。現状は、それぞれが涼宮さんの近くに切り札を持ち、互いに牽制することで均衡は保たれています。まあ均衡と言ってもTFEI端末達を交えて均衡も何もないですよね。力に差があり過ぎますから」 こうまで硬い決意で向いてきている今の彼から言い逃れる事はできない。 「言ってしまうと彼らの中で主流になる派閥が変わらない限りは大丈夫と言った方が正確かもしれませんね。彼らが現状維持を望む限り、他の勢力が何をしようと無駄と言えますからね。重要な事はTFEIの目的がなんなのかですね」 TFEIに話を流そうとしても—― 「そうかもしれないが、当然、それを良しとする機関や未来じゃないんだろ。いつ出し抜こうかと人間なりの知恵を絞って機会を窺っているはずだ。しかし、人間の知恵で長門の親玉に勝てるはずが無い。結局そこはハルヒの力を利用するしかないんだろうな」 ——すぐ振り出しに戻される。 いつも彼としている手詰まりボードゲーム状態だ。 「それで、機関の本当の目的はなんだ?現状維持の先に何を求めているんだ?」 それにしても彼も人が悪い。自分の中で既に答えが出ているのに、敢えて僕の口から言わせようとするのは、どうしてどうして人が悪いと言わざるを得ないじゃないか。もう終わりでいいじゃないか、僕はもう投了しているのだから。 …せっかくならここまでもいつものボードゲームならよかったのに。 僕のそんな甘い願望を余所に、彼の追求は止まらない。 「どうなんだ?」 いやだ。口に出したくない・・・ 「・・・僕の願いは世界とSOS団の平穏です」 しばしの間を置いた後、僕が重い唇を動かしてようやく口の端に上せる事ができた言葉はこれだけだった。答えにもなっていないばかりか、なんの誤摩化しにもならない・・・ こんなくだらない返答しかできない自分が情けない。 しかし、再度追求してくるかと思われた彼の対応は、意外にも「そうか」の一言だった。僕が言い辛くしていることで察してくれたのだろうか。口に出さなくて済むようにしてくれたのは彼なりの優しさなのか。 「・・・それで、その平穏は守られそうなのか?」 力なく閉口している僕に対して、彼は穏やかな口調で問いかけてきた。一変した空気に僕は戸惑いを禁じ得ない。 「いや、いいんだ。済まない」 ますますもって戸惑いを禁じ得ない。 「俺が一番訊きたかったことは機関の動向じゃあないんだ」 またしても発せられたのは意外な言葉。 「一番訊きたかったのは、機関ではなく、お前自身がどう考えているかどうか・・・機関の目的なんてものは想像すれば何となく分かる。機関やその周りの勢力図については・・・知りたくもあるがどうでもいい」 ——まあ、珍しく狼狽するお前を見れたのは僥倖だったがな。 多少無理のある笑みを乗せながら彼はそう付け加えた。気づけば彼自身も俯き加減で酷く力ない表情をしている。もし誰かが端から見ていたなら、追い詰められていたのはどっちなのか判断に迷うところだろう。 「もし機関や、未来、宇宙人どもが今の方針を変えるなりして今の平穏がぶっ壊されて巻き添えを喰らうことになったとしても、俺は別にそうなってしまった自分の境遇を呪う気もないし、後悔もないと思う。それだけSOS団ってのは俺にとって大きいし、何よりただの一般人の俺にはどうにも抗いようがないからな。まあ悪あがきは当然するが」 僕が何も言わないのを確認して彼が続ける。 「もしそうなったとしても、お前等に文句を言ってもそれぞれ任務を背負った組織の一員という立場である以上、まあ悔しいし複雑な気分だが仕方がないことなんだと思う。それは分かってる。だが、だからこそ確認したい。お前がSOS団をどう思っているのか」 これまでの話は、彼なりに遠まわしに訊きだそうとした結果だったのだろうか。 確かにこんな話を単刀直入に訊くのは勇気がいる。恥じらいもあるだろうが、何より返ってくる応えが期待通りのものではなかった場合を考えるなら、気軽に訊けたものではないだろう。 「確認するが、お前の機関から与えられた任務は、ハルヒの観察と報告だったな」 僕が短く「ええ」と返すのを確認すると、穏やかになったと思った彼の姿勢はまた追求の構えを見せた。 こういう事を訊いてくる以上、彼には彼の決意があるのだろう。 「さっきも言ったが、お前が機関の中で占める位置は絶対的なものだと俺は思ってる。超能力持ちで、ハルヒの隣にその身を置いて、ハルヒからの信頼も厚い。いかに機関が根回しを得意としても、その位置にお前以外の人間をこれから据えるのは困難だろう。機関にとっては、お前の役割は、もうただの観察なんて程度のものじゃない。お前は他の対立組織との間で機関の優位性を差別化する上で絶対必要なものになっているはずだ」 「機関の組織体制がどうなってるかなんて俺には知ったこっちゃないが、機関内でのお前の将来は約束されているようなもんなんじゃないか?最重要な役割を担って、超能力も持ってる。頭だっていい。後々の組織内での発言力が低いままであるわけがない」 少し間が空く。 雰囲気で分かる。彼の問いの核心はここからなのだろう。 「そんなお前に訊きたい。世界中の権力者にコネクションを持ち、潤沢な資金力を持ち、超常の力で世界を如何様にもできるようになるかもしれない組織内で、将来の地位を約束されているお前はどんな夢を描いているんだ?…やはり他人から見た知人の夢を描いてるのか」 「…お前が閉鎖空間でいつも共に戦っている戦友達には及ばないだろうが、俺とお前との間にもそれなりの友誼はあると感じている」 「…でも正直俺は怖い。今感じる平穏が、水面下・雲の上での争いの中で意図的に作られているばかりではなく、身近な存在によってまで意図的に作られているものなのかどうか。日常の全てのやりとりもその調整のためにされていることなのか…」 信頼されているのかどうなのか少し残念な気もするが・・・ 「夢とか馬鹿みたいなこと言ってて恥ずかしいんだからさっさと応えてくれないか」 彼の気持ちもよくわかる。実は周囲の人間関係が全て操作されての結果だとしたら、僕だったらどう考えるだろうか。 彼は、僕自身が機関の行動原理に従って動いているのか、SOS団の一員として帰属意識を持って行動しているのかを聞いている。だとしたら、僕の回答に迷いはない。彼は真摯に自分の不安を、想いを、打ち明けてくれている。僕は友人として、それに応えなければならない。 「雪山で言ったことがありますよね。もし長門さんが危機に陥るようなことがあれば、機関の意志に反してでも貴方に協力する、と」 「ああ、覚えてる。一度だけっていう制限付きだったがな」 いつもと変わらない皮肉のようで、彼の一言一言から彼の気持ちが滲み出ているのが分かる。 「あれが僕の心からの本心です。制限については、状況によっては一度に限ったものとは思っていません。それでも敢えて制限を付けたのは・・・僕にも優先順位があるからです」 ——優先順位がある その僕の言葉に対して、彼の表情は明らかな変化を見せた。さっきまで会話の主導権がどうとか考えていたのが馬鹿らしくなるほどに彼の心境の動きが手に取るように分かる。しかし、そんなことは僕にとってももうどうでもいい。 「誤解を恐れず言えば、僕にも野心はあります。でもそれは、貴方が言うところの能力のある人の夢というようなものとは形を異にします。そんなものは僕の予定表にはありません。基本的に貴方の意に反するものではありませんし、SOS団の意に反するものでもありません。誓います」 「そうか・・・」 彼は力なく短く応える。 「僕が望むのは世界の平穏、SOS団の平穏、これは間違いのないことです。未だに小さい頃の世界を救うヒーローに憧れているわけではありませんが、毎度命の危険のある閉鎖空間に赴くのには、容易ならざる決意があるからです」 肝心なところを誤魔化したこんな言葉で僕の気持ちが伝わるかどうかはわからない。しかし、かと言って多くを語るわけにはいかない。 「同様に、僕が機関に所属し続けることも、SOS団に所属し続けることも、容易ならざる決意があるからです。そしてその決意の所在は、繰り返しになりますが決して貴方の意に反するものではありません」 だからこそ、僕は精一杯の気持ちを込めて応えなければならない。 「僕はSOS団の副団長ですから」 しばしの間が空き、やがて彼は、僕の真意を探るように、真直ぐと僕の眼に視線を合わせてきた。しかし、その目は言葉通り真直ぐだ。いつもの彼なら、気色悪いと一言吐き捨てるような状況だ。 ・・・通じたのだろうか。 「・・・『容易な決意』なんてものがこの世に存在するのか、俺は知りたいね」 彼はお得意の仕草と溜息とともに皮肉めいた言い方をした。こうやってお得意の仕草をとりつつ小さな揶揄を込めながら相手の意思を肯定するのはいつもの彼だ。 いつもの調子に戻った彼が時計を見ながら言う。 「そろそろ姫様がお待ちかねの時間だ。戻ろうぜ。合宿先については宿題ということにしといてくれ」 待ち合わせ時間にはまだあるが、確かに彼女なら既に彼を待ちこがれている時間だ。それにこの上ない話の切り方だ。こういう長けたものがあるなら、それを他のところで使ってくれれば僕も楽ができるのに。 「分かりました。貴方の貯金も底を突きそうですし、遅刻はよろしくありませんからね」 それなら僕も流れに合わせるだけだ。 「なっ!?まさか俺の預金残額まで把握してるのか!?」 「さて、どうでしょう」 僕はいつも以上にわざとらしいまでの得意の表情を使う。 「冗談じゃないぞ!最低限のプライバシーは守ってくれ!」 「少しくらいは我慢してください」 僕のスマイルと彼のやれやれが交錯する、何のことはない平穏・・・ ・・・・・ ・・・ ・ 一つの野心、一つの決意 3 へ メニューへ
https://w.atwiki.jp/orirowa2nd/pages/31.html
二つの決意◆o7DW0ESrOc 「はぁ」 …面倒な事になってしまった。 しがない一教師である僕が、目が覚めたら僕の生活に縁も何も無い殺し合いに巻き込まれてしまっていた。 聖職と呼ばれる教師がこんな事言うのもなんだが、どうして僕なんだろうか。 まったく、夢なら覚めてほしい、というのはこういう時を示すんだろう。 と、僕は肩を落としながら歩いてたのだけどね。まぁいいや。 「ところで…これはどうしようか」 そう呟いた僕の手の平に収められた黒く輝く鉄の塊。 いわずと知れた、拳銃らしい。 素人目にもよく分かった。 本気で、殺し合わせる気なんだなぁ、と。 話は変わるけど、その中に食べ物やなんか知らないけどロープとか、探検家が持ってそうな道具がぎっしり入ってる袋を押し退け見ると、『参加者名簿』っていうのを見つけた。 薄っぺらい紙だったが、なんとなく見てみたらどうやら僕が殺し合う相手らしく、その中に芳賀さんを始めとする僕の受け持つ生徒が沢山居たのだ。 で、よくよく見たら音信不通になっていた国坂も居たし。 会ったらちょっとあいつに説教してやらなきゃいけないな。 そういえば昔、仮にこういう状況で教師がやるべき事は一体何なんだ、て先輩である祝先生に聞いた事あったなぁ。 その時は酒飲んでたし、祝先生も酔ってたけど、確かこう言っていた記憶がある。 『教師ならば、生徒を守れ。ただし、自分の命を無駄にはするな。死んだら、損をするだけだ』 そう、笑いながら話してくれた記憶がある。 何処かその言葉には安心感があって、そしてなにより、正義感があった。 同じ様に殺し合いに巻き込まれているその祝先生は、どうしてるのだろうか。 その言葉を実行してるのだろうか。 …完璧には言えないが、おそらく生徒達を助ける為、辺りを走り回ってるだろう。 「…だったら、僕もそうしなきゃいけないじゃないか」 まったく、聖職というのを忘れていた。 僕の役目は、『生徒の安全の確保』。そして『ここからの脱出』だ。 正直な話、生徒全員を助ける事は難しいだろう。 だが、こうも考えられる。 『他の参加者を殺せば良いじゃないか』と。 僕は支給品で拳銃を得た。 くじで行くなら大当たりの一等商品。 使い慣れてる訳じゃない。でも、ハリセンとかよりは戦える。 頭を撃ち抜ける。胸を撃ち抜ける。眼を撃ち抜ける。 いとも簡単に人を殺せる兵器。 なんだ、思ってたより案外使うのは簡単じゃないか。 「…正直、人は殺したくない。 でも、僕が出来る事はこれぐらいだろうしね」 弾は、最初から入ってるらしい。 予備弾は無いみたいだけど、そもそも入れ方知らないし、なるべく無駄遣い禁止って事で。 「んじゃ、行きますかね。ぼっつらぼっつら」 そう言うと、僕は目覚めた場所らしいドームを後にする。 ところで祝先生。 僕が基本、参加者殺しまくるんで、なるべく死なないで下さいよ。 だって祝先生。貴方の言葉の中に『他人の命』は無い。 弱肉強食って言葉あるし… 自分が生かせたい人の為、自分が生きる為には、他の人を殺しても仕方ないですよね? ◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ドーム内の一角にある小さな部屋で、小説家である神無月静香は困惑していた。 突然誘拐されたと思ったら訳が分からない手紙を渡され、やれ殺し合いをしろなどと言われたからだ。 今日はうるさい編集者が来て、やっと完成した新作小説、『昼は長いし走れよ小亀』の原稿を取ってくる日だというのに、こんな訳が分からないところに呼ばれて、最悪原稿を落としてしまうかもしれないからだ。 更に、この殺し合いで死んでしまい、原稿を落とし、挙げ句の果てに突然の失踪とされてしまうと、あの編集者がまたうるさく言うだろう。 静香としても、常連の本屋の店主である三条瑠歌、居候してる電波美少女(と、彼女が思っているだけである)、加藤清正を残して死ぬ事は出来ない。 三条は良い。大人だから。自分が死んでも大人だから慣れてるはず。 けれど清正は、例え電波っ娘と言えど、住む場所が無くなったら、あの少女は悲しんで飛び降り自殺してしまうかもしれない。 …どうすればいいか、少し静香は考えてみた。 (…う~ん、清正ちゃんがこの殺し合いに呼ばれてるのは流石に無いとしても…清正ちゃん自殺したらあたしもなんかやだからなぁ… あ!そうだ!こういう見方もあったわ!) ――神無月シュミレーションその①―― 私が死ぬ ↓ 清正ちゃんが悲しむ ↓ 清正ちゃんが飛び降りて命を絶とうとする ↓ たまたまそれを見たイケメンが、颯爽と現れる。(清正ちゃんは可愛いから100%助けに向かう) ↓ イケメン「やめろー!死んじゃダメだー!」 ↓ 清正ちゃん「助けてくれてありがとう!結婚して下さい!」 ↓ 二人は結婚した。スイーツ(笑) ―――― 「って、なぁんだぁ!心配する事無いじゃない!」 困惑を投げ捨て、急激に喜びへと感情を変える静香。 超展開?いいえ、神無月シュミレーションの力です。流石はシュミレーションだ。なんとも無いぜ。 しかし、これで居候をなんとかする事が出来た。 残るは自分だが、果たして何をするべきか。 普通に考えるならば、やはり優勝だろう。 …しかし、静香の頭上に疑問符が浮かんだ。 (ってありゃ?もしかして私が生き残っても、あの手紙が嘘ついて私達が殺し合った後もしかしたらこの世界が滅びるかもしれないし、 生き残っても独身で三十路越えた女一人だけだったら○○○も出来なくて一人滅びるだけだし… それによくよく考えたなら世界が滅びる形なんて、アンタが決める事じゃないし) 頭を抱え、どうしようも無くなった様に落ち込む静香。 思い出してみれば自分は凡人。殺し合ったら、間違いなく自分は死ぬ。 だからといって、生き残っても意味が無い。 「…どうすれば良いのかなぁ…ハッ!そうだ!」 ―――神無月シュミレーションその②――― まずは何か巻かれてる首輪をどうにかして外す。 ↓ 参加者の中から主催を突き止め、倒し、土下座させる。 ↓ やったねしずかちゃん!元の世界に帰れるよ! ↓ 原稿落とさない、清正ちゃん平気。世界?多分だいじょーぶ。だいじょーぶ。 ↓ 私大勝利! ―――――― 「イヤッホォォォ!この手があったわ!私マジ天才!」 立ち上がり、大声を上げる静香。 ちなみにここ周辺には殺し合いに乗った相澤猛が居たのだが、仮にあと数分、相澤猛がこの建物から出るのが遅れたならば、最悪命を落としていただろう。 だがここは運が良かったのか、なにかある訳でもなく、ただ静香の声が響くだけ。 「そうと決まれば早く仲間探しね!よーし!私、頑張っちゃうぞー!」 しかし、どうやら遠回しに行われていた勝負は、静香に軍配が上がったらしい。 静香はそんな事知った事無いらしいが。 「よーし!いざ、しゅっぱーつ!」 そうまた叫んだ静香は、部屋を飛び出し、また猛とは違う裏口がある方向へと向かうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 小説家はイカれた決意をし、教師は狂った決意をする。 二つの決意は、似てる様で似ていない。 ただ間違いなく言える事は、彼等は二人とも、まったく違う方針を取ったという事だ。 天使が微笑み、悪魔に刺されるのはどちらか? ゲームはまだ、始まったばかりだ。 【一日目・深夜/B-5 ドーム外】 【相澤猛】 【状態】決意、落ち着き 【装備】グロック17(15/15) 【所持品】基本支給品、とある男の探検セット 【思考】 1、生徒の為、殺し合いに乗る。人は殺したくないけど、仕方ない。 2、祝先生、国坂正義は殺さない。 【一日目・深夜/B-5 ドーム裏口付近】 【神無月静香】 【状態】テンションMAX、決意 【装備】無し 【所持品】基本支給品、不明支給品0~2 【思考】 1、殺し合いを止め、原稿を落とさない様にする 2、首輪を取りたい 【備考】 ※手紙を嘘だと判断しました ※中身を確認していません。 ※二人は別方向から出ました。 05 幸運のお地蔵様 時系列順 07 不運<アンラッキー> 05 幸運のお地蔵様 投下順 07 不運<アンラッキー> 相澤 猛 [[]] 神無月 静香 [[]]
https://w.atwiki.jp/dqmb/pages/570.html
てんばつの杖 種類 ちから かしこさ みのまもり すばやさ 杖僧 0 38 5 18 技名 属性 対象 威力 補足 呪縛の雷 雷・マヒ 敵全体 ? 特技 てんばつ 打撃・ダウンオールorマホトーン 敵単体 ? 物理・会心? 属性耐性 つよい 光/炎・氷・風・灼熱・雷・爆発属性の攻撃 よわい 暗黒 補足 MWSの素材にもなる、雷攻撃が専門の杖。 ただ、どちらも力が関係してくるため、威力ははっきり言って期待できない。 ドラゴンローブを装備して、力の底上げを図ろう。 様々な状態異常でカバーできていると言えば言えるかもしれない。 そうするしか用途はないので、どちらかと言えば乱入対戦向けだろうか。 裁きの杖MWSで賢者の杖(紺色)になった。技は赤…デギマ、青…雷鳴の杖 -- 名無しさん (2010-03-12 12 33 44) てんばつ「やる気がなくなった」アナウンスあり。 -- 名無しさん (2010-03-12 15 27 15) てんばつに耐性無視は無いと思う、力が上がらない分威力も弱い -- 名無しさん (2010-03-12 16 37 48) 融合武器には雷呪文あるんだな。しっかし主人公がデイン使ったらいけないのかよ・・・ -- 名無しさん (2010-03-12 18 09 46) てんばつにダウンオール効果ありね -- 名無しさん (2010-03-13 00 38 06) 呪縛の雷マヒ確認、ナイトリッチがマヒ -- トマト (2010-03-15 15 28 12) てんばつにマホトーン追加出ました。もしや、追加効果いろいろ出る? -- ゴルスラ (2010-03-15 23 48 32) MWSの効果に期待するしかないですね・・・ -- メカ (2010-03-15 23 52 22) ラプソーンにてんばつでダウンオール確認 -- トマト (2010-03-30 08 19 41) てんばつ会心確認 -- 名無しさん (2010-04-01 19 38 53) てんばつの会心はいいね。-- 鶴田興毅 (2010-04-01 19 40 49) 魔法を使えない設定だからって状態異常でごまかしてんのかよw -- ああ (2010-04-08 19 11 48) でもこれ、けっこう使えますよマヒやダウンオール、マホトーンの効果が、よく出るので。「てんばつ」は、使うターンで威力が変わりそうです。マンドレイクに1ターン目約60ダメージ2ターン目に290ダメージでした。うろ覚え、結局負けたけど -- トマト (2010-04-09 18 26 30) ↑本当ならなかなか使えますね。記憶違いだったら、足止めに回るしか無いですが···。 -- 御免ライダー (2010-04-09 19 29 06) 呪縛の雷でライデインできた -- 名無しさん (2010-04-24 20 24 05) この杖って賢さ上がる意味無いよね。相手の呪文ダメは減るけど。 -- カケル (2010-05-19 23 05 07) ↑でも必殺技の威力に関係してくる -- 名無しさん (2010-07-06 20 34 23) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sacredsigh/pages/23.html
1番目に登録したた~つの能力値です。 SPを振る場合は No.0 sakureに増加させたい能力値とSPを言って下さい 詳しくはここ 職業 初級薬局店員 副職 初級ED電気屋店長 月給 530000st+ 装備 武器 長剣(両手剣) 兜 なし 服 ただの服 靴 ただの靴 手袋 なし アクセサリー なし ステータス 能力値 値 能力値 値 SP 6 Lv 3 HP 10(+0) MP (+0) 攻撃力 20(+20) 魔法攻撃力 0(+0) 防御力 (+0) 魔法防御力 0(+0) 攻撃熟練度 % 魔法熟練度 0% STR DEX INT(MAG) 0 Luck 0 回避率 命中率 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kouryaku3dsgame/pages/156.html
買値 4000ベル インテリアテーマ スタイリッシュ、サイエンス、ホビー、ホラー
https://w.atwiki.jp/kuizu/pages/2891.html
自作 サディスティック・ミカ・バンドが1972年に『サイクリングブギ』でデビューした際には、 加藤和彦、加藤ミカ、高中正義とともにドラムスとしてバンドに参加していた経歴を持つ、 代表曲に『メリー・ジェーン』がある男性歌手で、名前に記号が入っていることや、 兄に漫画家のつのだじろうがいることで知られるのは誰? (2011年8月9日 やっぱCDTVよりJCDっしょ Vol.1【pdf】 ) タグ:音楽 Quizwiki 索引 さ~と
https://w.atwiki.jp/talesrowa/pages/286.html
一つの終焉、一つの始まり 名探偵が犯人を捕まえるための心得(自称) 一つ、地道に人から情報を集める(基本中の基本)。 一つ、気になったこと、おかしなことは納得するまで調べる(可能な限り早く、正確に)。 一つ、犯人は必ず現場にもどる(何らかの形で現場にもどろうとする人は要チェック!) 一つ、犯人を捕まえるまでは決してあきらめない(何があろうとも!!!)。 まあ、ほかにもいろいろたくさんあるけど、代表的なのはこんな感じかな。 とりあえず私はこの殺人事件の犯人を挙げるために行動を開始した。 本当は死体の周辺から調べたかったところだけど、あのままあそこにいたら、 私が犯人にされそうだったし……………。 何て思って歩いていたら早速怪しい人を発見したので、 私はその怪しい人に職務質問することにした。 するとなんと脈ありのような反応が返ってきた! でもなんか別の事件っぽいな、こっちにはきてないような反応だし……。 「このままじゃらちが明かない、僕も一緒に行くからそこへ一度戻るぞ」 そう言うと、その人は荷物をまとめ始めた。 「……………」 「このまま濡れ衣を着せられたくはないからな、 確かに僕はこの島でも元々居たところでも多くの罪を犯しているが、 だがそれは僕じゃい、……まあどのみち向こうには行くつもりだったからな、 何をしている、早く行くぞ」 このひとは混乱する私を無視して歩き始めてしまった。 え……、なにこの予想外な展開……。 「……は…はい………」 そういうと私は慌ててこの人の後を追った。 そうかこの人私も殺す気なのだ。名探偵に捕まる前に犯人が最後のあがきをするように。 そうでしょ、私に考えさせる時間を与えないで事を終わらせるつもりでしょ、 そして私を殺せば真犯人を探す人いなくなるって分かっているじゃない。 ……なら、できればみんなの前で疑いを晴らしたかったけど、 しかたないわ、やられる前にやらないとね。 そう思って、彼女はスティレットを取り出し、構え、走った。 そして短剣はこの人の左背中に突き刺さる………はずだった まったく妙なことになったものだ、いきなり職務質問をかけられるとは…、まあ……乗ってしまった僕も僕だが………。しかしあの女が死んだのか?いや…とにかく確かめるためにもそこにいかなくては。 だが急に風が変わった。 ……殺気……後ろ…、…駄目だ…間に合わない…。 リオンは直感すると、左手に持っている忍刀桔梗でとっさに背後を防御した。 金属がぶつかる音がし、相手が離れると、リオンは距離をとりつつ振り向いた。 「…どういうつもりだ…」 「あなたが犯人でしょ?」 「……はぁ…違うといったはずだが…」 「口では何とでも言えるわ、そのうち私を不意打ちして殺す気でしょ、そうでしょ! ………ならしかたないわ、…その前に…あなたを……殺す!」 「くっ……、しかたがない……」 次の瞬間プリムラのスティレットとリオンのアイスコフィンが鍔迫り合い、そしてはじけてリオンが体勢を崩した。 (…ちっ…やはりまだ本来の状態ではないということか。) そう感じると、リオンは左手の忍刀桔梗でプリムラの攻撃を受け始めた。 はじめは、プリムラが勢いで押していたが、この戦いは少しずつ変わってきた。 プリムラの猛攻を紙一重でかわし続けていたリオンが、徐々に、だが確実に、 左手の忍刀桔梗を使いこなし始め、刀で攻撃を受けているのである。 そう、プリムラが攻撃した回数が増えていくほどに正確に………。 なるほど………あいつが使うのも分かるような気がするな。 こうやって、左で相手の攻撃を止めて、そして右で攻撃する。これは逆でもできそうだ。 最初、短剣のほうは小回りが利く攻撃できる盾ぐらいのつもりで、 右腕が完治するまでのつもりだったが……なかなか使えるな、これは…。 だが、まだこいつを殺すわけにはいかない、まだ僕はこいつから何も聞いていない。 リオンが、二刀流での戦い方をいろいろと模索している中、プリムラにも変化がおき始めた。 勢いが明らかに落ちているのだ。これは単純にスタミナがないだけ、それだけだ。 元々ここにくるまでプリムラは武器による直接戦闘したことがないのだ。 だがそれでも一般人とはくらべものにならない粘りである。 これはもう語る必要もないが、あの怨念じみたすさまじい信念によって、 彼女の体は支えられているのだ。 このまま、こう着状態が続くとこっちが先に参ってしまうかもしれん。 ……しかたがない構想中のあの技を使ってみるか……。 プリムラ渾身の突きをかわしてリオンは勝負に出た、突き出された剣を忍刀桔梗で払い飛ばし、 そしてプリムラの視界からリオンが消え、次の瞬間プリムラの体から幾重にも血がふき出た。 リオンはプリムラを一瞬のうちに斬り刻んだのである。 だがその過程はすさまじいものだった、 まず飛び上がり、敵を一閃する。 次に自身の技である「空襲剣」の軌道を、逆からなぞる様につなぎ。 そして最後にジューダスが使っていた「幻影回帰」のように締めたのである。 リオンは完全オリジナルだと思っているが、これをカイルかハロルドが見ればこう言うだろう。 「崩龍斬光剣」だと。 斬られた……。体から血が吹き出ている………。 体はまだつながってそうだけど……、…ダメ…力が…入らない……。 その場で倒れていく私、……ああ……、………私…死ぬの……かなぁ………。 すると視界が急にぼやけてきて、別の光景が現れた。 どこかで見たことある山岳で女性が二人、争っている。 一人はカトリーヌさん、もう一人は………自分だ…………。 (……どういうこと…、どうしてこんな…………) だが、無情にも物語は続いていく……。 自分がカトリーヌさんの首を絞めている。 ……彼女の声も聞かずに……、悪魔みたいに、無慈悲に。 そして、相手は事切れ、自分も倒れた……。 (…そんな…、…こんなことが…、…どうして…、…夢なら…覚めてよ……) だが、…これは夢ではないのだ………。…自分の記憶なのだから……。 ほかにどのような要因があったとしても、曲がらないたった一つの真実がそこにはあった。 (私が…、カトリーヌさんを……殺してしまったのだ………)。 この技は未完成だと思うが、悪くないな。 さて…、今は、こいつをどうするかだ………、……まだ息はあるようだな…。 ……とりあえず応急処置ぐらいしてやるか。 切り傷の処置が一通り終わり、近くで休もうと思ったそのとき、 呻き声が聞こえたので振り返ると、一人彼女は涙声で呟いていた。 「……私が……、…私がやったんです……、…でも…しかた…なかった……から、 …だって……じゃなきゃ……わたしが………、 でも…本当は……仲間を………殺したくなんて…………なかった」 「お前が…どういう理由でそうしたかは知らないが…、 一度犯した罪が消えることはない…だが生きて償うことはできるはずだ、 僕はもう行くが、この場にとどまって死にたくなければ………一緒についてこい、 それと、傷はそこまで深くないはずだから歩くことぐらいはできるはずだ」 リオンは彼女に同情したのか、 それともさっき自分がされたように、彼女にも償いの機会を与えたかったのか、 またはただ単に道連れが欲しかっただけなのか分からないが、 プリムラはリオンに付いて行く事にした。 そしてこの後、二人はリオンの目的の人物に会うことになる。 「思っていたより驚いているような顔をしているな」 「まぁね、いろいろと事情は聞かせてもらいたいけど…」 「僕も、お前には聞きたいことがたくさんある……だが、少し待ってくれないか」 その数秒後から数分間、この場は泣き声と物言わぬ者への謝罪の声で埋め尽くされた。 元ジョーカー、 フォルス使い、 天才博士、 そして博士の助手になれる人物。 鍵はそろいつつある。 【リオン=マグナス 生存確認】 状態:体力気力共に七割弱ぐらい 右腕はまだ微妙に違和感がある 崩龍斬光剣(不完全だが)習得、ほかの技は不明 所持品:アイスコフィン 忍刀桔梗 首輪 簡易レーダー 竜骨の仮面(ひび割れ) 基本行動方針:ミクトランを倒し、ゲームを終わらせる。 第一行動方針:ハロルドから情報を得る。 第二行動方針:スタンを探す。 第三行動方針:協力してくれる者を集める。 第四行動方針:可能なら誰も殺さない。 現在地:D5山岳地帯南 【ハロルド 生存確認】 状態:ミクトランへの憎悪 TP55% (暫定的だが)ジューダスの死に内心動揺 所持品:短剣 実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) 基本行動方針:具体的な脱出へのプランを立てる 第一行動方針:リオンから事情を聞き、その後グミを取得し、そしてグリッドと合流 第二行動方針:首輪のことを調べる 第三行動方針:できれば、リオンの持つレーダーらしきものをもらう 第四行動方針:C3の動向を探る 現在位置:D5山岳地帯南 【トーマ 生存確認】 状態:右腕使用不可能(上腕二等筋部欠損) TP60%程 状況に困惑気味 中度失血 所持品:ミスティブルーム、ロープ数本、 ウィングパック×2 イクストリーム マジカルポーチ 金のフライパン 基本行動方針:漆黒を生かす 第一行動方針:今の状況を理解し、その後グリッドと合流 第二行動方針:ミミーのくれた優しさに従う D5の山岳地帯南 【プリムラ・ロッソ 生存確認】 状態:右ふくらはぎに銃創・出血(止血処置済み)、切り傷多数(応急処置済み) 泣く 自分がしてしまった事えの深い悲しみ 体力消耗(大) 所持品:ソーサラーリング、ナイトメアブーツ ジェットブーツ, C・ケイジ スティレット グミセット(パイン、ミラクル) 首輪 基本行動方針:リオンについて行く? 第一行動方針:??? 現在地:D5山岳地帯南 前 次
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/908.html
446 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 03 36 ID DamrVLf2 三つの鎖 2 朝4時30分。 まだ日も昇らない暗い時間に私は起きる。 耳を澄ます。隣で兄さんが起きて着替えるのが分かる。階段を降りる音がする。 兄さんは朝キッチンに戻ると当分戻ることはない。父さんと母さんが起きるのはまだ後だ。 私は部屋を出て兄の部屋に向かう。 兄の部屋は整理整頓されている。カーテンは開き窓は開いて朝の空気が流れ込んでくる。きっちり布団と寝間着も畳まれている。 私はまだ温かい兄さんの寝巻を胸に抱き布団にもぐりこむ。 布団はまだ温かく兄さんの匂いがする。 「…ふー、ふっー、ふー」 息が荒くなる。兄さんの温もりと匂いが私を包み込む感覚に興奮する。 兄さん好き。 そのまま兄さんの布団でごろごろする。本当は自慰をしたいが、さすがに跡が残る可能性があるので行わない。ただ兄さんの布団に横になるだけで下着が濡れるのが分かる。 兄さんの温もりと匂いに頭がくらくらする。 時計を見る。もうすぐ父さんたちが起きる時間だ。名残惜しく思いながら私は布団を出る。布団と寝間着をたたみ来る前と同じ状態にしてから兄さんの部屋を出る。 自分の部屋に戻り布団に入る。昨日の兄さんのカッターシャツを抱きしめ匂いを嗅ぐ。締め切られ空気の澱んだ私の部屋でも兄さんの匂いは分かる。 私は我慢できずに自慰をする。兄さんの匂いが堪らない。兄さんの部屋にいたときから我慢するのに大変だった。 兄さん好き。 兄さんを想像し何度も自慰をする。兄さんの腕に抱かれ、兄さんに口づけされ、兄さんに組み伏せられて犯される様を想像しながら。 やがて階段を上る音が聞こえた。兄さんの足音だ。 私は兄さんのカッターシャツをベッドの下に隠しタオルケットをかぶる。 ノックがする。 私は何も答えない。 「あずさー、入るよ」 扉があき兄さんが部屋に入る。 兄さんは手早くカーテン開き窓を開ける。 寝たふりをする私をゆする兄さん。私をゆする兄さんの手が心地よい。 「あずさー。起きて。もう朝御飯だよ」 私は起きて兄さんを睨みつけた。今すぐにも抱きつきたい衝動を我慢する。 「すぐ行く。出て行けシスコン」 兄さんは困ったように、少し悲しそうに苦笑した。私に短パンを渡し部屋から出ていく。 私は兄さんの困った顔も悲しそうな顔も大好きだ。胸が熱くなる。 深呼吸して胸の熱い空気を吐き出す。 私は下着を替え短パンをはき下に行く。手早く歯を磨きリビングに行く。 兄さんと父さんと母さんはすでに座っていた。 全員でいただきますと言い朝食が始まる。今日の朝食はカツオの生姜焼きだ。 この家の食事はいつも静かだ。私と父さんは無口だし母さんも食事中はあまりしゃべらない。兄さんは無口なわけではないが、私に何度も無視されているせいか静寂を何とも思わないようになった。 別に余所余所しいわけではない。 「幸一君、今日もおいしいわね。腕を上げたかな?」 母さんが茶目っ気たっぷりに兄さんに言う。 「そんな事ないですよ。ありがとうございます」 兄さんが少し照れながら言う。 「幸一、このカツオはうまいな」 父さんが言う。父さんは魚好きだ。いつも無表情な顔もこころなしほころんで見える。 「村田のおばさんがくれたんだ」 私は無表情なままいようとして失敗した。 それに気がついたのか父さんが私を見る。 「梓、高校はどうだ?」 私はこの春から兄さんと同じ高校に通っている。 「…まあまあ」 私は答えた。不機嫌そうに見えたかもしれない。実際私は不機嫌だった。 村田。隣に住んでいる一家。いい人ばかりだ。昔から何度も面倒見てもらったし、一人娘の春子は私と兄さんにとってお姉さんみたいなものだった。 だが、血のつながった兄に好意を抱いている私にとって、兄と親しい女性に好意を抱けるはずがない。 「梓は生徒会から勧誘されているんだ」 「ほう。まだ入学したばかりなのにか」 「何度か手伝わされただけよ」 母さんはにこにこしている。 447 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 07 03 ID DamrVLf2 私は視線だけで動かし母さんを見る。父さんの再婚相手。私の生みの親は私を生んですぐに亡くなったらしい。それ以来、母さんはよく私たちの面倒を見てくれた。 私は母さんが嫌いでない。むしろ好きだ。気難しい私の面倒を見てくれた。私にとっては母代わりだ。兄さんは母さんと呼ばずに京子さんと呼ぶが、私は母さんと呼んでいる。 いつも思う。私が兄さんの妹でなく、京子さんの連れ子だったら何も悩むことはなかったのに。 朝食が終わり兄さんが食器を運んでいる間に母さんはお茶を淹れてくれる。私には冷たいお茶を淹れてくれた。 「母さんありがとう」 兄さんには冷たくしている私も母さんや父さんまでそうではない。 母さんはにっこり笑った。 私はお茶を一気に飲みリビングを出た。 いったん部屋に戻り着替えと一緒に兄さんのカッターシャツを持っていく。 洗濯機のスイッチを入れシャワーを浴びる。 兄さんは優しい。 私がどれだけ冷たくし罵倒しても離れない。困ったような、少し悲しそうな苦笑を私に向ける。どれだけ冷たく接しても怒らない。いつも少し悲しげで困った苦笑をする。 先ほどの兄さんの表情を思い出す。わずかに悲しみのにじむ困った苦笑。私は兄さんのあの表情が大好きだ。思い出すだけで体が熱くなる。 シャワーの温度を下げる。私は暑がりだと思われているが、別にそうではない。むしろ暑さに強いといえる。もしそうならあんな締め切った部屋でいられるはずがない。 私は暑がりなのではなく、考え事をすると体温が上がるのだ。特に兄さんのことを考えると体中が熱くなる。そうなるとどうしても汗をかく。家なら別に着替えるなりシャワーを浴びればよいが、外だとそう簡単にはいかない。汗だくになると怪しまれる。 結局、私は体温を冷ましやすい涼しい格好を好むようになっただけだ。 家で冷たい飲み物を好むのも同じ理由だ。兄さんの近くにいるとどうしても意識してしまい体温が上がるのだ。 こう書くと暑いのが嫌なように思われるが、嫌いではない。むしろ好きといえる。兄さんのことを考えている時の全身が燃えるような感覚は好きだ。ずっと溺れていたいと思う。だから自分の部屋は閉め切って暑くしている。 あの部屋で兄さんのことを思い自慰するのが私の慰めの一つだ。 シャワー出て体をふき制服に着替える。 リビングには誰もいなかった。二階で掃除機をかける音がする。兄さんが掃除しているのだろう。 キッチンに行くと弁当の包みが二つあった。体温が上がるのが自分でもわかる。 私はあまり女らしくないと自分で思う。普通は好きな人に尽くしたいと思うのが女らしいのだろうが、私は逆だ。むしろ好きな人に尽くしてほしい。 兄さんは人並み以上に料理をできるが、私の腕は大きく上回る。だが兄さんの料理は好きだ。兄さんは栄養を考慮しつつも私の好きな料理をよく作ってくれる。それが私にはたまらない。 深呼吸して胸の熱い空気を吐き出す。冷蔵庫から牛乳をとり飲む。私は身長こそ普通だが、胸は…これからが期待だ。 兄さんが下に降りてきた。私は兄さんにブラシを投げつける。 兄さんはいつものように困ったように苦笑して私の髪にブラシを通す。 私の髪にふれる兄さんの手の感触が心地よい。冷たいのに熱い感触。 私は兄さんに甘えるのが大好きだ。昔はいつもべったりくっついていた。今でも気持ちは変わらない。兄さんに抱きつきたいし、さわりたい。キスしたい。 だが今はそんな事はしない。そんな事をすれば私は自分の気持ちを抑えられなくなってしまう。しかし兄さんに私の気持ちを告げても双方にとって不幸になるだけだ。 兄さんに甘えたいが、自分の気持ちを抑えられるレベルで。このぎりぎりの妥協点が兄さんに髪をすいてもらうことなのだ。 「梓、部屋を掃除したよ」 私は意識を戻す。 「このシスコン。そんなに妹の部屋をあさるのが好きなの」 兄さんが困っている気配が伝わる。 「またには換気しないとだめだよ。埃がたまりやすいし」 私は何も言わずに髪止めのゴムを渡した。 兄さんは私の髪をポニーテールにまとめてくれる。 私は別に長い髪は好きでは無い。体温が上がった時に首周りが汗をかきやすくて困る。それでも髪を伸ばすのは兄さんに髪をすいてもらうのが好きだからだ。そんな私が好む髪型は首周りが涼しいポニーテールだ。 私は何も言わずに家を出た。これ以上兄さんの近くにいると抱きついてしましそうだからだ。 448 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 08 45 ID DamrVLf2 手で顔をあおぎながら登校する。周りはまだ人が少ない。登校には早い時間だ。 私は人ごみが嫌いだ。だからいつも人の少ない時間に登校する。 教室に入る。当然のごとく誰もいないはずだった。が、一人いた。 「ちーっす!」 彼女はうれしそうに挨拶してくる。 「おはよう夏美」 「梓も。相変わらずはやいね」 輝くような笑顔を私に向けてくる。 彼女も私と同じく人がいないような時間に登校している。初登校日からそうだった。理由は知らない。 夏美は私と違って愛想がよく友達も多い。私のように無愛想な人間とは本来接点がないはずだが、朝の遭遇のせいか不思議と気が合う。 人が多くなるまで夏美と話すのが私たちの日課だ。人が多くなると私は人の少ない場所で本を読んだり音楽を聞いたりする。 教室に人が増えてきたので夏美に断って私は教室を出た。 今日は屋上に行った。 屋上で音楽を聴きながらぼんやりとしていると、他の人間が来た。 屋上に人はめったに来ない。風は強く日差しは強い。私は平気だが、普通の人間は春先の今でも暑いぐらいだろう。 私は黙ってmp3プレイヤーをしまった。 見覚えのない女子が二人だ。染めた髪に濃い化粧、短いスカートなど全身でヤンキーであることを主張している。リボンの色から二年生だと分かる。学校で何度か見た顔だ。 「あんたが加原ね」 身長の高いほうが偉そうに言う。 「人違いです」 私はそっけなく言った。 「しばっくれてんじゃねーよ。調べは付いてるんだ」 小さいほうが巻き舌で言った。全く迫力がない。おせじにも友好的な雰囲気では無い。 ノッポが口を開く。 「あんたさーユウヤをふったらしいじゃん」 入学早々付き合えといったあの男か。 「それが何ですか」 チビが目をむく。 「何チョーシこいてんだ。何様のつもりなんだよ」 口汚い罵り。 私はこういう経験は多い。自分で言うのもあれだが、私は美少女とよく言われる。しかも見た目は無口で無表情で、大人しそうに見えるらしい。勘違いした男から告白されることは多い。 男というものは自分が支配できそうな女を狙うことが多い。そのような男からすれば私は格好の獲物なのだろう。 あのユウヤという先輩は私に何をされたかこの二人に告げてないらしい。 ぎゃあぎゃあわめく二人を睨む。 「何か言ったらどうなんだよ。びびってんのかよ」 「知ってるー?こいつの兄貴シスコンらしいよ。よく妹のクラスに来るんだってさ」 「へー。残念でちたねー。ここに愛しのお兄ちゃんは来まちぇんよー」 私は反論しない。このような愚物に言葉で反論しても無意味だからだ。 素早く周りを確認する。他の人の気配はない。ここは屋上だからほかに高い場所からのぞいている可能性も無い。 チビの足を払い倒す。お尻から落ちたチビの喉を踏みつける。 カエルが潰れるような音がした。苦しそうにもがくチビ。 「てめー!」 ノッポが殴りかかる。喧嘩慣れはしているようだ。 相手の腕を流し、腰をかけ投げ飛ばす。 背中から落とす。ノッポは悲鳴もあげずに屋上で苦しそうにもがく。 頭から落とすのが一番効果的だが、こんなコンクリートで頭から落とすと命を落とす危険がある。 そのまま二人の荷物と持ち物をチェックする。録音機や通信中の機器は無かった。 これで遠慮はいらない。 二人の荷物からハンドタオルとハンカチを取り出し、口に押し込む そのままノッポの手首を極める。 ぐもった悲鳴を上げるノッポ。 私は蹴ったり殴ったりはしない。証拠が残るからだ。その点手首というのは少しで大きな痛みが走る。鍛えていない人間にはつらい。 訳の分からない事を喚くノッポ。「ごめんなさい」と言おうとしているのだろう。 散々痛めてからチビに近づく。 震えて離れようとするが、腰が抜けているのか動けない。 同じように痛めつける。 涙と涎と鼻水でぐちゃぐちゃになった二人の顔を見てやっと気分が収まった。 二人に二度と近づくなと告げて屋上を去る。 それにしてもと思う。私の気持ちを誰にも知られてはならない。高校生の女でも男をふったというだけで目を付け迫害しようとする。 もし私の気持ちを他人が知ったらどうなるだろか。私は勿論、兄さんも迫害されるだろう。実の妹が懸想するような行動をしたと。それは兄さんを苦しめ不幸にする。 449 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 10 33 ID DamrVLf2 私はそんな迫害を屁とも思わない。だが兄さんはそうでは無い。誠実な兄さんは苦しみ、私を説得しようとするだろう。兄妹で添い遂げることはできないと。 それは私にとって最も残酷な言葉になる。愛しい男に愛するなと言われるのだから。 手で顔をあおぎながら教室に戻ると、夏美がニヤニヤしながら声をかけてきた。 「おにーさんが来たよ」 弁当だろう。 「またお昼に弁当を持ってくるってさ」 「そう。教えてくれてありがとう」 私が弁当を持っていかないのはわざとだ。こうすれば兄さんはお昼に教室に持って来る。そうなれば兄さんがシスコンという噂に真実味が増す。女というのは不思議なもので、マザコンとシスコンにはどれだけ格好いい男でも評価は厳しくなる。 何度も繰り返すが私は兄さんを不幸にしたくはない。だが兄さんの隣に私以外の女がいるのは耐えられないのだ。 自分でもエゴだと自覚している。私は兄さんを愛している。しかしそれは兄さんを不幸にする。だから自分の気持ちは打ち明けない。だけど自分から兄さんから離れられない。だから兄さんに冷たくして兄さんから離れるように仕向ける。 だけど私は知っている。兄さんは優しいからそんな事では離れない。これは矛盾だ。 私は兄さんの不幸は望まない。それなのに兄さんがほかの女性と幸せになるのは我慢できない。 矛盾しているようだが矛盾していない。これは私のエゴなのだ。 手で顔をあおぎながら私は授業を受けた。 昼休みに兄さんと春子が来た。 春子は私が小さい時から隣に住んでいた。父さんは警察官で家をあけがちだった。面倒を見てくれたのは隣の村田一家と京子さんだった。 私は春子が嫌いでない。 だが私と兄さんが仲悪いと思い、関係を良好にするために色々してくるのは正直うっとうしい。 兄さんと一緒にお弁当を食べるのは正直うれしい。二人きりだとなおうれしかったが。 だが兄さんに弁当を届けさせるのは冷たくされながらも弁当を届けに来るシスコンな男というイメージを広めるためだ。これでは意味がない。 そんな私の考えをよそに意気投合する春子と夏美。この二人乗りが合いそうだ。 弁当を開き興奮する夏美。にこにこする春子。 二人とも兄さんの唐揚げを奪い自分の弁当からおかずを入れる。 困った顔をする兄に腹が立って私はそのおかずを奪った。 腹が立つことにおいしかった。 無論兄さんの弁当にはかなわないが。 お昼休みにいろいろ話した。 「えええー!?お兄さんが弁当作っているのですか!?」 興奮する夏美。確かに男でここまで料理できるのは珍しい。 「夏美うるさい」 「ちょっと梓!お兄さん料理の鉄人?」 「私が料理を教えたからね。これぐらい当然なのです」 春子は胸を張る。夏美は思わず春子の揺れる胸を見つめ自分の胸に手を持って行った。断わっておくが悔しくはない。 「春子先輩!ししょーと呼ばせてください!」 「幸一君は朝昼晩とご飯を作り選択掃除もこなす自慢の弟子なのです。一家に一台幸一君なのです」 二人ともネタが古い。やはりこの二人気が合うのか。 「お兄さん何者ですか?家事万能ですか?」 「あのね中村さん」 「ノンノン!私のことは夏美と呼んでください」 「ええと夏美ちゃん、梓も手伝ってくれるから」 確かに多少は手伝うが、ほとんどは兄がする。 「お兄さんいい人過ぎ!梓!お兄さんもらっていい?」 450 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 12 33 ID DamrVLf2 ふざけるな。兄さんは私のものだ。 「夏美、ひとつ言っとくけど、兄さんはいつもあられない格好で寝ている私に鼻息荒く近づいて鼻の下伸ばしながら起こしに来るのよ。妹の髪をとかしながらウットリして、妹の部屋を掃除と称して荒らす変態シスコンよ」 全部逆だ。起こされて鼻息を荒くしているのは私だし、髪をとかされてウットリしているのも私。兄さんの部屋の布団に潜り込み興奮しているのも私だ。 「いやいやいや」 兄さんは慌てて私の言葉を否定する。その困った顔が可愛い。 「えー。それはちょっとドン引きですね。妹の髪ととかしてウットリとか。お兄さん、そんなに梓ちゃんの髪が好きなのですか?」 夏美がわざとらしく兄さんと距離をとる。 「ふふふ。夏美ちゃん分かってないですね」 春子がにこにこ笑う。嫌な予感がする。 「梓ちゃんは面倒臭がり屋だから幸一君にさせているだけなのです」 「梓そうなの」 「まあね」 私はあっさり認めた。ここで否定すると兄さんが好きだが認められない妹になってしまう。 「どんだけお兄さんをこき使ってんだYO!」 夏美がつっこむ。 「幸一君覚えていますか?女の子の髪の手入れの方法がわからなくて私に教えてと頼んできたのを」 春子が自分の長い髪をなでながらウットリささやく。無論私に丸聞こえ。兄さんを見るとちょっと困った顔をしている。 気に入らない。 「春子待って」 止める兄さん。 「何回も私で練習させてあげましたよね」 「春子先輩!その言い方はなんかエロいっす!」 顔を赤くして突っ込む夏美。意外と純粋なのね。 私は怒りとうれしさという矛盾した感情を味わっていた。女の子をさわるのを苦手な兄さんが、そこまでして私のために練習してくれたのは素直にうれし。他の女で練習したのは減点だけど。 「ふーん。そんなことあったんだ。シスコンじゃなくて幼馴染好きだったんだ」 私が意地悪く言うと兄さんが困った顔をする。だめだ。濡れそう。手で顔をあおぐ。 「幸一君。今度女の子の髪の扱いが上昇したかテストさせてあげます。私を満足させたら合格です」 春子はいい人だが、オヤジ臭い所があるのは女としてどうなんだろう。 「お兄さん。その、あの」 夏美が頬を染める。腹が立つ。 「今度私もお願いしていいですか?」 私は机の下で兄のすねを蹴とばした。 昼休みが終わって兄さんと春子は去って行った。 「夏美のお兄さんって面白い人だねー。春子先輩も」 「春子はともかく兄さんは変態シスコンよ」 顔を手であおぎながら夏美に答える。 「えー?そうかなー?結構格好いいじゃん。料理得意なのもポイント高いし」 そうなのだ。兄さんは男としてのスペックは高い。そこが好きなわけではないが、魅力を感じる女はいるだろう。 私は深呼吸した。熱い息を吐き出す。 「どうしたの梓」 「何でもない」 手で顔をあおぎながら私は答えた。 451 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 13 31 ID DamrVLf2 授業の後のHRが終わる。 教室を出ていくクラスメートを尻目に、私は本を読んでいた。今帰ると人ごみが多いからだ。 私は人ごみが嫌いだ。兄さんや春子は勘違いしているが、私が人ごみを嫌うのは私の可能性の無さを思い知らされるからだ。極端にいえば、今日私に絡んできた愚物二人でも兄さんと結ばれることは可能なのだ。世界中の女たちには少なくとも血縁という意味での障壁はない。 「あーずーさー」 そう。この夏美でも可能性はあるのだ。可能性がどれだけ小さくても、ゼロでは無い。 私はゼロなのに。 私は顔を手であおぐ。 「一緒にかえろ」 「断る」 「そこはだが断ると言うとこだよ」 なぜか怒る夏美。意味不明。 私の手をひっぱる夏美。私はため息をついて立ち上がった。 今日は楽しいことがあった。兄さんとお昼ご飯をお一緒に食べられた。たまには人ごみで自分を戒めるべきだろう。私には可能性が無いのだと。 そんな事を考えながら靴箱に向かう私たち。私は相変わらず手で顔をあおぐ。 なのに。 もし運命があるのなら。 それはなんて残酷なんだろう。 靴箱に兄さんがいた。 「おにーさーん。今から帰りですか?」 「うん。夏美ちゃんも?」 「一緒に帰りましょう。いいでしょ梓?」 にこやかに話す兄さんと夏美。 何で世界は私の意志にことごとく反するのだろう。 私が兄さんを愛するのには反対し、頭を冷やそうとすると兄さんに合わせる。 残酷だ。 「ええと、やっぱり遠慮しとこうかな」 私の表情を勘違いしたのか兄さんがそう言う。 兄さんにそう思われるように冷たく接してきたのに、私は悲しかった。 兄さん。お願い。私を捕まえて。手を握って。頭をなでて。抱きしめて。キスして。犯して。 私の思いは兄さんに伝わらない。伝わってはならない。 気がついたら私の手は夏美に引っ張られていた。兄さんと私の手を夏美が一緒に握る。 兄さんの手。心地よい感触に私は体温が上がるのを止められない。 頬を染める兄さん。兄さんは女の子にさわったりさわられるのが苦手だ。私がずっと冷たく接したから女の子に苦手意識があるんだろう。単なる恥ずかしがり屋かもしれないが。 「変態シスコン」 私は兄さんに毒づいた。 「え?梓なんて?」 夏美が聞き返す。 「夏美。この変態シスコンは妹と後輩の手にドキドキしているのよ。妹として恥ずかしいわ」 「えー。お兄さん本当ですか?」 「ええと、女の子に触れるのが苦手なんだ」 「ほら夏美。否定しないでしょ」 「お兄さんって恥ずかしがり屋ですね」 そんな事を話しながら帰る。周りは人でごった返していたが気にならなかった。 分かれ道で夏美と別れた。元気いっぱい手を振る。 私は立ち尽くした。周りは多くの人がいる。男も女も。女がうらやましかった。どんな愚かな女でも兄さんと血のつながりという壁はないのだ。 顔を手であおぐ。 「梓」 兄さんが手を差し伸べていた。 私は泣きそうになった。絶対に手に入れてはいけない存在が私に手を差し伸べる。うれしくて、悲しくて、残酷な運命を呪いたくなる。それでも。 「何?後輩の手の温もりが無くなったから妹の手の温もりがほしいの?」 「うん」 今この瞬間は感謝しよう。 兄さんの手を握る。ひんやりしていて心地よい。 「このシスコン。まあいいわ。兄さんが女の子にふれる練習にもなるし今回は付き合ってあげる」 「練習って。まあいいや」 「私が練習に付き合ってあげないと春子にお願いするかもしれないでしょ。女の子にふれるのが苦手だからってそんなことしたら私が恥ずかしい」 自分でも無茶苦茶言っている。兄さんはそれ以上しゃべらなかった。私は兄さんが話しかけると無視するか罵倒するかが多かったから、兄さんの行動は当然だった。勝手だと分かっていても私は悲しかった。 私も無言だった。兄さんの冷たい手が心地よくて、何もしゃべる気になれなかったのもある。それ以上に口を開くと私の気持ちを伝えてしまいそうだったからだ。 453 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 17 27 ID DamrVLf2 家に着いたら二人で家事を行った。 いつもは私が家に着くのはもっと遅い。家事を手伝わずに兄さんに全部押し付けることも多い。今回は早目に家に着いたので洗濯物をたたんだ。 今日は久しぶりに二人で料理をした。兄さんが下ごしらえをした照り焼きを手早く作る。 両親の帰りは遅いのでいつも二人で食事をとる。兄さんが柔道の練習に行くことが多いので晩御飯ははやい。 しかしと私は思う。お昼に唐揚げで晩御飯に鳥の照り焼きとはどうなんだろうか。確かに私は鶏肉が好きだ。母さんは鳥の唐揚げが好きだ。父さんは魚。兄さんも魚。 兄さんの料理はおいしい。それ以上に食べる相手のことをいたわっている。食材、栄養をよく考えて作っている。少しずつだがおいしくなっている。食べる相手のことを考えている。 私にはそれがうれしく悲しい。兄さんが私を想う感情は私の望む感情でないからだ。 いけない。また顔が熱い。 食後兄さんはアイスティーを入れてくれた。よく冷えている。 食器を洗った兄さんは緑茶で一息ついていた。 無言だが何も気まずいとは感じない。兄さんのそばにいて兄さんの入れてくれたアイスティーを飲んでいるだけで私は満たされていた。 兄さんは鞄を持ちリビングを出ようとする。 「梓、行ってくる」 私は返事をしたいのを我慢して無視した。 兄さんが練習に向かってから私は兄さんに部屋に入った。兄さんのベッドの上で兄さんの布団を抱きしめる。 母さんが帰宅する音がすると、手早く布団をたたみ自分の部屋に戻る。 私はずっと部屋にこもっていた。隣の村田の家のシロがわんと吠えた。 この犬、黒いくせに名前がシロなのだ。春子もそうだ。冬に生まれたのに名前が春子だし。 カーテンを少し開いて外を見る。兄さんと春子が何か話していた。いらいらする。 春子は市民体育館で行われる合気道の練習に参加している。昔は私も一緒に参加していた。 兄さんは春子の事をどう思っているのか。春子は兄さんの事をどう思っているのか。いつも気になる。 兄さんはあまり問題ない。兄さんにとって春子は恋愛の対象ではないと私は確信している。 問題は春子だ。春子はもてる。顔はきれいだしノリもいい。高い身長にそれに見合う豊満な体。それなのに春子に男ができたと聞いたことはない。 春子はいつも私たち兄妹の面倒を見ようとする。春子自身は一人っ子だから弟や妹的な扱いなのだろうか。今日のように私と兄さんを誘ってお弁当を食べたりもする。これは恋する乙女として矛盾する行動だ。 しかし私の直感が警鐘を鳴らしている。春子は油断ならない。 二人は別れ兄さんも家に帰ってきた。出迎えたいのを我慢する。 耳を澄ます。兄さんは帰ってきたらシャワーを浴びてすぐに寝る。朝が早いからだ。 兄さんがシャワーを出て階段を上がったのを確認して、私は風呂場に向かう。 目的は兄さんの道着。私は洗濯機から兄さんの道着を取り出し服を脱いで洗濯機に入れ、浴室に入った。 シャワーを流す。こうすれば他の人間は入ってこない。 私は裸で兄さんの汗で濡れた道着を抱きしめる。兄さんの匂いが鼻孔をくすぐる。 私は兄さんに抱きしめられるのが大好きだ。小さい時は何度も抱きついて抱きしめてもらった。抱きしめられた時の兄さんの温もり、匂い、鼓動。何もかもが堪らない。 だがそんな事は今は望めない。 だから私はその狂おしい欲求をこうして慰める。朝に兄さんが抜け出した布団に入るのも同じ理由だ。 思わず長風呂してしまった。洗濯機の私の服の下に兄さんの道着を入れ証拠を隠滅する。 キッチンに牛乳を飲みに行くと兄さんが歯を磨き終えたとこだった。私が風呂に入っていたからここで歯を磨いたのだろう。 兄さんは私に気がつくと無言で牛乳と取り出しコップに注ぎ私に差し出した。 私はコップを受け取る。ふれる兄さんの指が、冷たいのに熱い。 一気に飲みほし私は兄さんに背を向けた。 「おやすみ」 兄さんの言葉に振り返りそうなのを必死に抑え私はキッチンを出た。 部屋に戻る前に風呂場から今日の兄さんの買ったシャツを取り出しバスタオルにくるんで私の部屋に戻る。 締め切った部屋で、私は兄さんのカッターシャツを抱きしめながら眠りについた。 454 ◆tgTIsAaCTij7 sage New! 2009/11/07(土) 23 18 38 ID DamrVLf2 ここで自己紹介をしておく。 私は加原梓。 高校一年生。 好きな人は兄さん。 悩みは兄さんへの想いをどう抑圧するか。 兄さんは勘違いしているが、私は兄さんを嫌いなのではない。むしろ愛している。 詳しい話はこれから語っていくと思う。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/36816.html
ひみつのさんぽ【登録タグ VOCALOID ひ 初音ミク 曲 紫嶌 開世】 作詞:紫嶌 開世 作曲:紫嶌 開世 編曲:紫嶌 開世 唄:初音ミク 曲紹介 とある方が制作中のゲームをイメージして作りました。 Picture:doka 歌詞 (piaproから転載) 笛、おはじき、お洋服 靴も、全部持って お母さんには内緒だよ 真夜中歩いてく チョコレートはないけど 雨上がりに 水溜りをわざと踏んで 泥まみれで笑う 大砲の代わりに 風船を飛ばしてみる 割れたら飴玉落ちて 口開けて取り合う子供の兵隊 尻尾の生えた君と 童話の中 貴族達が食べ残した 皿ひっくり返した 立派な絵に落書き 君は笑いが 止まらないね 時計さえも 嘘をついてる 冥王星へ 手を繋いで二人で 歩いていく 星屑になることは まだ少し怖いけど 幸せを歌うよ 昼間に光ってるよ 誰にも見えないけれど 彗星と結びつけたら 星座になるから コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tomokoreshinseikatsu/pages/8.html
いつの間に通信とは? ニンテンドー3DS本体の機能の一つ。公式サイト(外部リンク) 無線インターネット環境のある場所で本体の電源をつけてスリープ状態にすることで 任天堂やソフト発売元のゲーム会社から様々なサービスをいつの間にか受信できる。 (成功すると本体右上に青ランプが点灯します。) ※ニンテンドーDS用ソフトや、DSiウェアの起動中はいつの間に通信機能が遮断されてしまう。 このソフトにおけるいつの間に通信 いつの間に通信限定の服や帽子を無料で受信できる。 旅立った子供からの便りが来たり、子供が帰省してきた際にも、いつの間に通信受信時の青ランプが点灯する。 本作の仕様を変更する。例を挙げると、2013年7月ごろまでは[[住宅地]]で夫婦が入浴しているときに夫婦の周りにハートマークが表示されていたが現在ではハートマークは表示されなくなったり(性的な印象があるため?)、2013年12月ごろから[[空き地]]で旅人の渡った島が偶数でも故郷への連絡をしたいと望むなどの変更がされた。任天堂から仕様変更したという報告は一切ないため、今後も仕様変更されてもどこが変わったかは自力で確認するしかない。 旅人のいつの間に通信 現在旅人が居る島のプレイヤーがインターネット接続が可能な場所に行くと、自動で旅人の情報を送信し、旅人の出身島のプレイヤーが旅人に関するいつのまに通信を受信することがある。 受信しても深夜など両親が寝ている時は、すぐに手紙の報告をしてこない場合がある。起きた頃に確認すれば報告してくれる。 いつのまに通信は一定時間経過後に再び利用できる。それで旅人から連絡が来ても、最後に旅人から届いた連絡から一定時間経過しなければ、新たに連絡を受けることができない。 同一の旅人から同一内容の手紙や帰宅が発生する場合がある。 なぜか、今いる島より前の島にいると言ってくることがある。システム上の問題かバグかは不明。 旅人が来島後、再び波止場に並んだ時点でのデータを送信・受信するため、「3DS本体設定からのすれちがい登録消去」によって消滅した旅人からの連絡も受け取ることができる。 旅人からの手紙 今いる島や満足度レベル・その島の写真や住人とのツーショット写真などを報告してくる。 もてなされなかった場合は満足度レベルに触れない。 再び波止場に並んだ時点でのデータを送信・受信するので、旅人が自分をもてなしたプレイヤーに写真を確認させるが、写真の確認後に毛染めスプレーやお風呂セットを使ったりツーショット相手の住人を消去すると、旅人が確認させた写真通りにはならないと思われる。 手紙の受け取りにともない市役所の旅立ちの記録が更新される。 旅人の帰宅 最後に行った島(?)の特産品をお土産にして帰ってくる。 ごはんを食べさせたり、お風呂に入らせることができるが、ゲーム的に特に影響はない。 その後、再び旅立っていき、旅立ちの記録が更新される。 両親が離婚しても夫婦そろって出迎える。しかし食事に立ち会うのは片方だけのようだ。 どちらかの親を消去していたら、消去された親には一切触れない。両親を消去するとプレイヤーの分身が旅人を出迎える。 配信限定品 配信される商品については、公式サイトのいつの間に通信で受け取れる特別な品や公式twitterで確認できる。 2014/4/16から各アイテムの全色セットの配信が開始された。各アイテムの配信期間中に受信に成功すれば、受け取ったアイテムの全てのカラーバリエーションを購入できるようになる。 この配信サービスは2015年4月15日で一旦終了となったが、2016年3月16日に再開した(2018年3月までを予定)。 サービス終了後も、ローカル通信の「送る・もらう」でのアイテムの送受信は可能となっているので、受信し損ねたプレイヤーでも全ての配信限定品を入手することは可能である。 配信スケジュール ※ 価格=ゲーム内の架空通貨での価格であり、実際に支払うものではありません。 種類 名前 価格 配信開始時期 配信終了時期 帽子 おだんご 980円 4月1日 4月15日 服 春のワンピース 5,000円 4月16日 4月30日 服 服屋さんの服 4,000円 5月1日 5月15日 帽子 いちごのかぶりもの 3,800円 5月16日 5月31日 服 ぼうし屋さんの服 4,000円 6月1日 6月15日 帽子 バイリンガエル 10,000円 6月16日 6月30日 服 夏のワンピース 5,000円 7月1日 7月15日 帽子 ひまわりの髪飾り 980円 7月16日 7月31日 服 女物の浴衣 2,500円 8月1日 8月15日 服 男物の浴衣 2,500円 8月16日 8月31日 服 秋のワンピース 5,000円 9月1日 9月15日 服 インテリア屋さんの制服 4,000円 9月16日 9月30日 服 ミイラセット 99,000円 10月1日 10月15日 服 おばけかぼちゃの服 10,000円 10月16日 10月31日 服 冬のワンピース 5,000円 11月1日 11月15日 服 質屋さんの服 4,000円 11月16日 11月30日 帽子 ケーキの帽子 2,200円 12月1日 12月15日 服 ガールサンタセット 10,000円 12月16日 12月31日 服 ししまい 6,000円 1月1日 1月15日 服 姫の着物 100,000円 1月16日 1月31日 服 鬼セット 5,000円 2月1日 2月15日 服 輸入洋品店の服 4,000円 2月16日 2月28日 服 卒業式の袴 25,000円 3月1日 3月15日 服 たべもの屋さんの制服 4,000円 3月16日 3月31日