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アルルなんだけど見えないw将来ぷよのマンガ家になりたい・・・w -- ぱちゅりー (2010-04-16 14 13 09) 見えますよ!!トーン上手です^^がんばって夢かなえましょう! -- 若草 (2010-04-16 16 02 31) 漫画風だね^^ぱちゅりーちゃんならきっとできるっ!!! -- ルナ (2010-04-16 16 26 40) わぁ☆温かいコメントありがとう^^二人ともタメ口&呼び捨ていいからね~♪私頑張ります!(*´・∀・)ノ -- ぱちゅりー (2010-04-17 07 34 29) 名前 コメント
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前 翌日の朝── 「ゆっゆっゆっ、きょうこそれいむにいっしょにすんでもらうんだぜ」 巣穴から出てきたのはゆっくりまりさ。あの三匹のまりさの内の一匹である。 ちなみに三匹は全員れいむに惚れており、誰が先に自分の伴侶にするか競争しているライバルである。 最も、この三匹はまったくれいむから相手にされていないわけではあるが。 「まずははらごしらえなんだぜ、たべものをさがすんだぜ」 このまりさはゆっくりの中では立派とも言える巣をもっているが、食べ物を保存するという計画性はまったく無かった。 その辺りにある物を食べたり、他のゆっくりから食べ物を無理矢理奪うなど、実にその場しのぎな生活をしていた。 今日もいつもと同じように、食べ物が無いか跳ねながら辺りを見回す。 「ゆっ、なんかあまくていいにおいがするんだぜ」 匂いの元を探して跳ね回ると、さほど離れていない場所に、小さな黒い塊が落ちていた。 どうやら先程の甘い匂いは、この塊から発しているらしい。 まりさは一口丸ごと食べてみる。 「うめぇ!! これめっちゃうめぇ!!」 思わず声に出して叫ぶほど美味しい味がまりさを包んだ。こんな物は食べた事が無い。 この美味しい食べ物がもっと欲しい、まりさは他に同じようなものが無いか辺りを見回す。 すると先程と同じように、黒い塊が点々と落ちていた。 まりさはそれを見るや、点々と落ちている黒い塊を食べながら辿っていく。 道しるべのように点々と落ちていたその先には、大きな黒い塊が落ちていた。 「ゆゆーっ!! これはまりささまのものなんだぜ、だれにもわたさないんだぜ!!」 夢中になってその大きな塊を貪るまりさ。その姿は醜かったが、とても幸せそうだった。 だがそのために気づかなかった。考えもしなかった。 この塊が何でできているかという事に。 この塊が何でここに落ちているかという事に。 自分の家から点々と小さな塊が落ちていたという事に。 いつのまにか、誰かに見られていたという事に。 「がつがつがつがつがつがぶぉぶ!!」 食事中に強い衝撃を受け、黒い塊に突っ込むまりさ。 突然の出来事に思わず吐き出してしまい、吐き出した先に突っ込んでしまった事で、自身の顔がべとべとの黒まみれになってしまう。 食事の邪魔をされたどころか言いようの無い屈辱を受けたまりさは今までに無い怒りを覚えた。 「なにをするんだぜ!! まりささまをおこら……せ……」 後ろを振り向いたまりさは唖然とする。 そこには遠ざかるまりさの姿が見えた。 しかしその帽子には見覚えがある。見間違えることなどない。 まりさは今までに無い怒りを即座に忘れ、さらに強い怒りと焦りを覚える。 「ばがあぁぁぁぁ!!!!! まりざざまのぼうじがえぜええええぇぇぇぇぇ!!!!!」 帽子を奪った相手のスピードはそこまで速くはなく、見失う事は無かった。 しかし追いつくことも無く、一定の間隔以上は離されていた。 それでもまりさは必死になって、自分の帽子を取り戻そうとひた走る。 しばらく走っていると、急に相手のスピードが速くなった。 負けじとまりさも追いつこうとするが、離される一方であり、見えなくなってしまった。 それでも帽子を取り返さなければいけない、ゆっくりできなくなるのは嫌だ。 そんな思いから気力を振り絞って懸命に進む。 そしてその苦労は報われ、先程帽子を奪ったまりさに追いついた。 よくみると、その先にはいつも一緒に行動しているゆっくり仲間がいるではないか。 これで帽子を取り返せると思い、まりさは叫ぶ。 「ごのばがあぁぁぁ、まりざざまのぼうじをざっざどがえじでゆっぐりじねえぇぇぇ!!!!!」 その声にゆっくり達は反応する。 「ゆっ、ゆっくりできないゆっくりがいるよ!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしぬといいんだぜ!!」 「まりささまがころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ!!」 まりさは一瞬言っている事が理解できなかった。 仲間達の反応は、自分の考えていた反応とまったく違っていた。 「なにいっでるのおぉぉ!!! ぼうじをうばっだゆっぐりでぎないゆっぐりばあいづだよおぉぉぉ!!!」 「なにねぼけたことをいっているんだぜ? まりささまがぼうしをとられるわけがないんだぜ」 「おお、おろかおろか」 「ゆっくりできないゆっくりはやっぱりばかなんだぜ」 「あんなのがいたらゆっくりできないよ!! みんなあいつをやっつけてね!!」 「「「わかったんだぜ!!!」」」 涙ながらに訴えるが、仲間たちは判ってくれなかった。 それどころか、帽子を奪った犯人と一緒に此方に来るではないか。 「ぢがぶっ!! まりざざまがまりざざまなんだぜえぇぇ!! にぜものはあいぶぅぅぅ!!!」 必死に伝えようとするが、仲間達は聞く耳持たず、それどころか体当たりを仕掛けてきた。 このままでは死んでしまう、そう思ったまりさは一旦逃げることにした。 「まりざざまがまりざざまっでなんでわがっでぐれないんだぜえぇぇぇ!!」 「にがさないんだぜ、ゆっくりしぬといいんだぜ」 「まりささまのなをかたるなんて、しけいなんだぜ」 「まりささまがじきじきにころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ」 しばらくまりさは逃げていたが、先程まで全力疾走していたのだ、そう体力も持たなかった。 すぐに三匹のまりさに捕まってしまい、体当たりを受ける事になる。 「ゆぎゃっ、ゆべぇっ、やめるんだぜ、まりざざまばぼんもの゛おぉぉぉ!!」 「うるさいんだぜ、そんなうそにはだまされないんだぜ」 「このごにおよんでうそをつくなんて、おうじょうぎわがわるいんだぜ」 「うそつきのゆっくりはさっさとしぬといいんだぜ」 「ゆぎぃっ、ゆぶっ、ゆげっ、ゆぎゃあぁぁぁ!!!」 最早まりさには体力は残されておらず、ただ三匹のまりさたちのサンドバッグとなる運命しかなかった。 しばらく悲鳴を上げていたが、やがてその声も弱まり、遂にはなんの反応も示さなくなった。 動かなくなったまりさだった物をみて、二匹のまりさはゲラゲラと笑い出す。 「すごくゆっくりしてなかったんだぜ、しんでとうぜんなんだぜ」 「せいぜいあのよでゆっくりするんだぜ」 勝手な事を言って馬鹿笑いをしている二匹に対して、もう一匹のまりさは二匹に聞こえないように呟いた。 「そうだね、おまえたちもいっしょだよね」 「ゆっぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 「な、な、な、なんなんだぜ!?」 突然悲鳴を上げるまりさに驚き、まりさはそちらを見る。 そこには大きく口を開けて叫ぶまりさの姿が見える。 そしてその後ろにもう一匹、枝を咥えているまりさの姿があった。 「いだいいいぃぃぃ!!! どうじでごんなごどずるんだぜえぇぇえぇぇ!!!!!」 「なにしてるんだぜ!? きがくるったんだぜ?」 背中に枝が突き刺さり、悲鳴を上げるまりさ。 突然の狂った行動に戸惑うまりさ。 状況が理解できていないまりさ達の問いに、枝を咥えているまりさは平然と答える。 「れいむにいわれて、ゆっくりできないまりさをころしているんだぜ。 ゆっくりりかいするんだぜ」 思いもよらない答えにますますわけが判らなくなったまりさ達だったが、痛みでそれどころではないまりさは叫ぶ。 「うぞだあああぁぁぁあぁぁ!!! うぞをいうまりざはゆっぐりじねえぇぇぇええぇぇ!!!」 「うそじゃないんだぜ、ゆっくりしね!!」 「そごのまりざあああぁぁぁあぁぁぁ!! まりざざまをだずげろおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!」 「まりさ、れいむがいってたんだぜ、ゆっくりできないこいつをころすんだぜ!!」 目の前で行われている仲間の行動に頭が追いつかないのは傍観しているまりさだった。 だが目の前の光景や先程言われた言葉、自分の立場を考える。 そして一つの結論を出した。 「ゆっくりしね!!」 「ゆっ!?」 まりさが選択したのは、枝を加えているまりさへの攻撃だった。 枝を加えているまりさは思わず枝を離して攻撃を避ける。 (ちっ、やっぱりうまくはいかないね……でもよそうどおりだよ) 避けたまりさは心を落ち着かせると、体当たりしたまりさを見る。 枝が刺さったまりさは助かったと思い、罵倒を始めだした。 「ゆううぅぅ、たすかったんだぜ!! まりささまをこんなめにあわせたあいつをたおすんだぜ!!」 これであの裏切り者を倒せる、そう怪我をしたまりさは思っていた。だが── 「うるさいんだぜ、まりささまにめいれいするなんて、ひゃくねんはやいんだぜ」 「ゆぶぇ!!」 「……ゆ?」 なんとせっかく助けたまりさを先程体当たりしたまりさは攻撃し始めた。 その行動は完全に予想外であり、身構えていたまりさは唖然としている。 「なにをずるんだぜえぇぇぇ、でぎばあっぢなんだぜえぇぇぇ!!!」 「おまえはれいむにとってじゃまなんだぜ、ゆっくりしね!!」 訳が判らない。傍観者となったまりさはそう思っていた。 だが当事者である二匹には通じているようで── 「あれはあいづのうぞなんだぜえぇぇぇ、れいむばまりざざまのごどがいぢばんずぎなんだぜええぇぇ!!」 「れいむがいちばんすきなのはまりささまなんだぜ、おまえらみたいなくずはゆっくりしぬといいんだぜ!!」 (ああ、そういうことか) 傍観していたまりさは理解した。 こいつは自分にとって都合のいいように解釈しているだけなんだ、 おそらくれいむを取り合うライバルをこの機会に排除しようとしているのだろう。 仮にれいむが排除しようとしてた事が嘘でも、他の二匹の事は嘘を言えばいいと思っているのだろう。 単純な事だった。まりさはそう思った。 「れいむをうばおうとするやつはまりささまがゆるさないんだぜ、ゆっくりしね!!」 最早動かなくなったまりさに対して、執拗にまりさは攻撃し続ける。 その隙を見逃すはずも無く、傍観していたまりさは助走をつけた力一杯の体当たりを仕掛けた。 「ゆぶぎゃっ!!」 全力の体当たりはまりさに大きなダメージを与え、白目をむいて気絶してしまった。 こうなってしまうと後は一方的な展だった。 無傷のまりさは瀕死のまりさから枝を抜き取ると、気絶しているまりさに向かって勢い良く突き立てる。 「ゆっぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!」 痛みで目を覚ますまりさ。しかしまりさは容赦はせずに枝を動かし、抜き差し、揺さぶっていく。 「やめろばがっ!! やめっ、やっ、やめでっ!!」 罵倒する体力も気力も尽きたのか、しだいに懇願するようになっていった。 「やめでぐだざいっ!! おねがいじまずっ!!」 まりさにとって偉大な自分が相手に懇願するなど屈辱だった。 だがだからこそこれは効果がある。そう信じていた。 事実、その言葉を発した事によって、枝の動きは止まったのだ。 「やめてって……おねがいしてるの?」 「そうだよ!! だがらまりざをだずげでね!!」 ちょろいもんだ、まりさはそう思っていた。 相手にまったく感謝の気持ちなど存在してなかった。 まりささまがここまで譲歩してやったのだ、助けるのは当然のことだ。 傷が癒えたら復讐してやる。頭の中はそのことで一杯だった。 しかし、帰ってきた言葉はまりさの望みとはまったく異なる物だった。 「そうしたおねがいをしたゆっくりに……おまえはどうこたえたの……?」 「うるざいっ!! さっさとだずげろごのばがあぁぁぁあぁぁ!!!」 上辺だけの誠意だったのが、本来の口調にもどるまりさ。 それを聞いて枝を咥えたまりさは動きを戻す。 「ゆぎゃあああぁぁ!!! やめでえぇぇええぇぇ!!!」 最早枝の動きは二度と止まってくれることは無かった。 やがてまりさは唯の黒い塊と化した。 まりさが後ろを見ると、瀕死だったまりさがわずかに這って動いた後があった。 だが結局は黒い塊と化していた。 「これで……あとはあいつだけだね……」 「ゆっ、れいむをまたせるなんて、やっぱりあいつらはつかえないね!!」 何時まで経っても帰ってこないまりさ達に、れいむは文句を垂れていた。 ゆっくりできないゆっくりくらいすぐに片付けることができないなんて、なんて役立たずなんだ。 別の使えるゆっくりを探そうか、そう思い始めた頃にまりさが一匹帰ってきた。 「ゆっくりかえったんだぜ!!」 「ゆっくりしすぎだよ!! れいむをまたせないでね!!」 ばかなの?しぬの?と続けたかったところをれいむは抑える。機嫌を損ねることは避けたかった。 次に何を命令しようか考えようとして、他の二匹がいない事に気づいた。 「ゆゆっ? ほかのまりさはどうしたの?」 「ほかのまりさはゆっくりできないゆっくりにやられてしまったんだぜ」 「ゆゆっ!!」 れいむは怒った。ただしそれはゆっくりできないゆっくりに対しての怒りではなかった。 三匹対一匹にもかかわらずやられるようなまりさなんて役立たずにも程がある。 いっそ切り捨てれて良かったかもしれないとまで思い始めた。 このまりさだって本当は逃げてきたのではないのか? そう疑い、まりさを値踏みするように見始めてれいむは気づいた。 (ゆゆっ? まりさがとてもゆっくりしているよ?) 今日のまりさは一段と輝いて見えた。 皮もしっかりしていて艶があり、とても良いゆっくりに見えた。 これなら一緒になってもいいかなとれいむは心揺らぐ。 そんなまりさが突然話をし始めた。 「れいむ、まえにぱちゅりーをおそったときのこと、おぼえてるんだぜ?」 「ゆゆ?」 どうしてそんなことを聞くんだろう。れいむは疑問に思ったが、まりさに心揺らぎ始めてたので素直に答えた。 「ゆっ、おぼえてるよ!!」 「どうしてぱちゅりーをおそったのか、しりたいんだぜ」 「ゆ? あのぱちゅりーはゆっくりできなかったんだよ?」 「そのゆっくりできなかったりゆうってのをしりたいんだぜ」 執拗に理由について聞いてくるまりさに、れいむは嫌悪感を覚えた。 なんだこいつは、このまりさはこんな些細な事を気にするような奴じゃなかったはずだ。 苛立ちながらもれいむは答えた。 「れいむのさがしてたまりさをおいかけていたからだよ!!」 「……そのまりさってどんなまりさ……?」 「まりさがたべものをうばったまりさでしょ!! そんなこともおぼえてないの?」 れいむの答えを聞くたびに、まりさのテンションは下がっていく。 それに対してれいむの怒りによるテンションは上がっていった。 れいむはここまで言って、あることを思い出す。 「そうだよ!! まだあのときのまりさをみつけてないの? さっさとみつけてきてね!!」 自分でもすっかり忘れていたことを棚に上げ、自分の願いを忘れたまりさを怒るれいむ。 だがまりさはまったく動く気配はなく、それを見てれいむはさらに激昂する。 「なにをぼーっとしているの!? れいむがみつけてほしいっていっているんだよ!? さっさとさがしてきてね!! それともいっていることがわからないの? ばかなの? しぬの? れいむをゆっくりさせないまりさなんてさっさと──」 れいむの罵倒の嵐は中断させられる事となる。 まったく動かなかったまりさが突然れいむの眼前に迫り── そのままれいむは空を見上げる形となる。 空は照りつけていた太陽が雲によって遮られていた。 「ゆぐっ!! なにをするの!! れいむにてをだしてただですむとおもってるの!?、ぜったいにまりさをゆる……さ……」 起き上がり、相手を罵倒しようとしたれいむはそれ以上言葉を紡ぐ事ができなかった。 目の前の出来事が夢ではないかと疑ってしまうほど、れいむには衝撃的だった。 「どうして……」 目の前のゆっくりは命の次に大事という黒い三角帽を外しており、枝を咥えて此方に向けている。 先程まで黒い三角帽のあった場所には、別の帽子がつけられている。 そのゆっくりの被っている帽子に、れいむは見覚えがあった。 おかしい、だってあの帽子をしたぱちゅりーは── 「どうじでばぢゅりぃがいぎでるのおぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくりは、枝を構えてれいむに狙いを定める。 恐怖と混乱で動けなくなっているれいむの瞳を見て、静かに言い放った。 「──まりさは、わたさない」 「ゆっぎゃああああああああああ!!!!!」 恐怖で思うように避けることが出来ず、右の頬を枝によって切られてしまう。 致命傷には程遠いが、れいむは大きく悲鳴をあげていた。 これまで自分で手を下さず他のゆっくりに任せていたため、自分が傷つく体験がなく、痛みに悶えているようだ。 「いだいいだいいだいいぃぃぃ!!!!!」 涙を流しながら大きくのたうち回ること数秒、れいむは見苦しくも命乞いを始めだした。 「ごめんなざいごめんなざい、まりざはあぎらめまず、にどどでをだじまぜん」 「れいむはなにもじでまぜん。ぜんぶあのまりざだぢがやっだんでず」 「ぼんどうでず、ゆるじでぐだざい、おねがいじまず」 「いやだああぁぁぁぁぁ、じにだぐないいいぃぃぃぃぃ、もっどゆっぐりじだいいいぃぃぃぃ」 べらべらと喋るれいむを見て、今までに無い程の怒りが込み上げてくる。 なんなんだこいつは、自分では何もせず他の者にやらせ、自分の思い通りに行かないと納得しない。 そのくせ都合が悪くなると簡単に手のひらを返して仲間のせいにする。 今まで見た中で最低のゆっくりだ。 こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── 「ゆぎゅぶぇ!!」 咥えていた枝を離し、ぱちゅりーの帽子を被ったゆっくりはれいむの上に圧し掛かる。 れいむは潰れはしなかったが、圧し掛かられた衝撃で餡子を吐き出す。 そんなれいむにお構いなく、圧し掛かったゆっくりはゆっくりとれいむのリボンを咥えて── ぶちぶちぶちっと音がした。 「ぎゃあぁぁああああぁああぁぁあああああぁぁぁあぁ!!!!!」 リボンを咥えて全力でそのまま飛び跳ねた結果、れいむの髪の毛ごとリボンを奪い取る。 あまりの痛さにれいむの方は失神してしまったようで、白目をむいて倒れていた。 それを見たぱちゅりー帽子を被ったゆっくりは、少しれいむを見た後、振り返り移動する。 奪い取ったリボンは黒い三角帽の中に入れ、そのまま運び出す。 もうれいむに関して興味は無くなっていた。 「ゆぎぃ、いだいっいだいいぃぃぃぃ!!!」 目を覚ましてすぐ、れいむは激痛に襲われていた。 周りを見てもぱちゅりーはいなかった。 れいむはいなくなったぱちゅりーにむかって怒りをぶつける。 「ゆっぎいいぃぃぃ!!! ぱちゅりーめ、れいむをこんなめにあわせるなんて、ぜったいにころしてやるうぅぅ!!!」 怒って叫ぶが痛みがぶり返してきてしばらく黙る。 落ち着いたところで誰かに助けてもらおうと少しずつ動き出す。 そこに都合よく、れいむとまりさの二匹が通りかかった。 「ゆっ、そこのれいむとまりさ!! れいむをたすけてね!!」 その声に反応するれいむとまりさ。これで助かったとれいむは思った。 だが相手の様子がおかしい。見ればこっちを見る目が険しくなっているではないか。 「ゆっ!! ゆっくりできないゆっくりだよ!!」 「れいむのなまえをかたるなんてわるいゆっくりだね、ゆっくりしね!!」 助けてくれると思っていた二匹が、敵意を向けてこちらに来る。 れいむは事情を理解してもらおうと必死になって叫び始めた。 「ゆううううぅぅぅぅ、なにをずるのおぉぉぉ!! れいむばれいむだよぉぉぉぉ!!」 「ゆっ、そんなうそにはだまされないよ、れいむにはりっぱなりぼんがあるんだよ!!」 「うそつきのゆっくりはゆっくりしね!!」 「ぢがううぅぅぅ!! うぞじゃないいいぃぃぃ!!」 二匹に攻撃され、動く体力も残っていないれいむができることは、ただ殺されるのを待つのみだった。 死にたくない、もっとゆっくりしたい、誰でも良い、あのゆっくりできないゆっくりでもいい、助けてくれ。 そう思うが、そのゆっくりの顔を思い出すことは出来ない。何も思い出すことが出来ない。何も── そうしてれいむは永遠に暗闇の中へゆっくりする事になった。 新たな住処となるはずだった穴の中、まりさは佇んでいた。 全てが終わったはずなのに、全然心が晴れない。 むしろ心に空白が出来た感じもする。 復讐に燃えていた頃は、こんな気持ちにならなかったのに。 いや、空白にはなったことがある。目の前で大切な者が死んで、全てが壊れたと思った時だ。 嫌な思い出なのに、今でも鮮明に覚えている。 笑い声の聞こえなくなった広場で、まりさは傷ついた体を引き摺って進んでいた。 その目はただ虚ろに動かなくなった黒い物体と最愛の者を映していた。 幸いにもまりさは体が痛むだけで、命の素である餡子は流出していない。 この雨で死ぬことはなさそうだが、帽子もないため、危険なことには変わりはなかった。 「ぱちゅりー……」 目の前で大切なものが壊れてしまった。 絶望した子まりさにはただ呟くことしか出来なかった。 その時である。 「まりさ……?」 「ぱっぱちゅりー!? まりさだよ、しっかりしてえぇぇぇ!!!」 「まりさ……だいじょうぶそうだね……よかった……」 動くことはないと思っていた子ぱちゅりーが反応した。 慌てて子まりさは子ぱちゅりーの餡子の流出を抑えようとするが、止まる気配はまったくなかった。 それどころか雨により状況は悪化していく一方だった。 「まりさ……ぱちゅりーはもうだめよ……」 「どうじでぞんなごどいうのぉ!? いっじょになろうっでやぐぞぐじだでじょおぉ!?」 「ごめんねまりさ……ぱちゅりーはやくそくまもれないよ……」 「ばぢゅりーっ!! うごいだらだめっ!! ゆっぐりでぎないよ!!」 もはや子ぱちゅりーは手遅れの状態である。そんなことは誰の目に見ても明らかであった。 しかし子まりさは判っていても認めたくないのか、必死に餡子の流出を抑えようと努力していた。 そんなまりさに、ぱちゅりーは声をかける。 「もういいよ、まりさ……ありがとう」 「だめだよ!! じんじゃっだらゆっぐりでぎないよ!!」 「……まりさ、おねがいがあるの……」 「なんでもぎぐよ、だがらじなないでばちゅりいぃぃぃぃ!!!」 もうぱちゅりーは死んでしまうことは理解していた。最後くらい望みを叶えてやりたい。 子まりさはどんな願いでも聞き届けるつもりだった。 「まりさに……このぼうし、もらってほしいの……」 「ゆっ!?」 「もうぱちゅりーはだめだよ……まりさがもらってくれればゆっくりできるよ……」 「で、でも……」 「ぱちゅりーがしんじゃうまえに……はやく……」 「──わかったよ、ぱちゅりー……」 死んだゆっくりの飾りをつけると、ゆっくりの間では死臭を感知すると同属殺しとみなされ、問答無用で殺されてしまう。 しかし、生きているゆっくりの飾りをつけた場合は、殺される心配はない。 子ぱちゅりーが急かす理由はそこにあった。 自分の飾りをつければゆっくりできないゆっくりとして認識されることはない。 もう死んでいく自分には必要の無いものだ。 帽子を無くした子まりさのためにできる恩返しとして思いついたのが、帽子の譲渡であった。 そんな子ぱちゅりーの意思を汲み、子まりさはぱちゅりーの帽子を受け取った。 「ありがとうまりさ……ぱちゅりーのかわりだとおもってね……」 「ぱちゅりー……」 子ぱちゅりーは微笑んでいた。だがその微笑みは苦しそうであり辛そうであり── 子まりさはそんなぱちゅりーをただじっと見ることしか出来なかった。 そして、最期の時が訪れる。 「……まりさ…………ずっと……ゆっくり……して……いっ……て…………ね…………」 その表情は、とても安らかだった。 「ぜんぜんゆっくりできてないよ……ぱちゅりー……」 まりさは自然と呟いていた。 どうしてぱちゅりーは最期に、ゆっくりしていってねと言ったのか。 いや、それ以前から、まりさのことを確認してからずっとまりさの事を気遣っていた。 この帽子だって、帽子を無くしたまりさが、自分の帽子が無くてもゆっくりできるようにと考えてくれたのだろう。 ぱちゅりーは、優しすぎた。まりさはそう思う。 そんなぱちゅりーだからこそ、それを奪った奴らがどうしようもなく憎かった。 どうしても罰を受けさせたかった。苦しめてやりたかった。殺してやりたかった。 きっとぱちゅりーはそんなことを望んでいないのだろう。だからこそまりさはそれが許せなくて── 晴れた空であるにも関わらず、雨が降っていた。 しばらくして雨が止んだところで、まりさは決意する。 ──行こう。 ぱちゅりーはまりさにゆっくりして欲しいことを願った。 まりさはそれに答えるべきだと考えた。 ただし、この辺りでゆっくりするにはあまりにも辛い思い出が多すぎる。 どこか自分の知らない土地に行こう。そう思って歩きだすと── 「ゆ、ぱちゅりーだね、おひさしぶり!!」 「ゆっ!?」 まりさに声をかけるゆっくりが現れた。 そのゆっくりをまりさは知っていた。見間違えるはずなかった。 自分をここまで育ててくれて、あの日巣立ちの別れをしたまりさ唯一の家族。 まりさの生みの親である母まりさだった。 「まりさはげんきかな? ぱちゅりーにめいわくかけてない?」 「ゆっ……まりさはげんきだよっ!! すごくたすかってるよ!!」 どうやら生みの親も自分が本当の子供だとは気づかないらしい。 要らぬ心配をかけるまでもないと思い、適当に合わせる。 「そう、よかったよ……ゆっ? ぱちゅりー?」 「ゆゆっ!?」 気づかれたか!? まりさは内心焦ってしまう。 だが親まりさはまりさにとって思いもしない言葉を話す。 「ぱちゅりー……なんだかまりさのぱちゅりーおかあさんににているね……」 「っ……」 「ぱちゅりーをみてると……なつかしいふんいきがするよ……」 「……」 「おもいだすよ……いろいろと……」 「……」 「ゆっ、ごめんね!! へんなはなししちゃったね!!」 「ゆっ、そ、そんなことないよ!!」 思い出に浸っていた親まりさだったが、目の前のぱちゅりーに気づき慌てて謝罪する。 言われた本人は少しの間呆然としており、親まりさに言われてこちらも慌てて否定する。 何とも言えない雰囲気になり、両者とも退場しようとする。 だが親まりさの方がまりさに声をかける。 「まって、ぱちゅりー!!」 「ゆっ!?」 まりさはなんだろうと思い、振り返る。 親まりさは此方を振り返ったのを確認して話す。 「まりさのこと、よろしくおねがいするね!! あのこのことだから、つらいことがあったらひとりでせおいこむとおもうんだ。 だから、できればむりをしていないか、きづかってあげてくれるとうれしいな。 わがままなおねがいでごめんね!!」 話すのを終えた後、此方を見ていたぱちゅりーは背を向けた。 どうしたんだろう? 親まりさがそう思っていると、返事が返ってくる。 「ゆっぐりりがいじだよ!!」 そう言って、去っていってしまった。 親まりさは不思議に思うが、その後ろ姿を見送り続けた。 そしてその姿が見えなくなりそうになったところで、親まりさは見た。 「ゆ~っ、とってもきれいだよ~!!」 まりさの進む方向に、きらきらと輝く虹が架かっていた。 あとがき 題名が思いつきませんでした。 ただ単に帽子の違うゆっくりが書きたいなとおもった結果がこれだよ!! このSSに感想を付ける
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ゆっくりキャッスル 21KB 虐待 悲劇 理不尽 ツガイ 野良ゆ 赤子・子供 ゲス れいぱー 現代 虐待人間 いちゃラブ有り *続きものの3作目です *『れいむのゆっくりを鬼意山にささぐ』と『残酷な夜にれいむの叫びは鬼意山に届かない』 の続きものです *一応、前作を読まなくても大丈夫ですが、登場人物・登場ゆん物の把握のために読んでくれると助かります *拙い前作さんにコメントたくさんありがとうございます。 *リクエストにあった次女れいむのその後です。金ゲスはお待ちください。 作・もっちもちあき 次女れいむと番のまりさは、山をおりて行ったが、行くあてが無かった。 2匹は温泉街の掃討作戦が始まる前に、移動できたものの、 そもそも、群れでの生活しか知らない番まりさと、赤ゆの頃から、鬼意山の飼いゆっくりだった次女れいむは生活する術を知らなった。 季節は春から夏で、寒さの心配は無いが、梅雨が近いことを考えれば、早く”おうち”を見つける必要があった。 「ゆぅ…、まりさ、これからどうしよう?」 「とにかく、まずはおうちをさがすのぜ。それから、かりばをさがすのぜ」 ただ、2匹は不安はあっても、ゆっくりしていた。 最愛のゆっくりといつも一緒に暮らせていたから。 「ゆゆん、れいむはまりさといっしょなら、どんなくろうもいとわないよ」 「まりさが、れいむをぜったいまもって、ゆっくりしあわせにするのぜ」 「じゃあ、れいむはひるは、かりをてつだって、よるはつかれたまりさにゆっくりしたおうたをうたうね」 「すごくうれしいのぜ」 「ふたりで、ゆっくりしあわせになろうね」 (はやくれいむを、あんしんさせてあげたいのぜ) (ゆっくりぷれいすがみつかったら、ゆっくりしたあかちゃんがほしいよ、ゆふふ) 2匹は、もともと比較的ゆっくりとして恵まれた環境にいたが、 まりさは野生で基本は外暮らしで、次女れいむも飼いゆっくりとはいえ、鬼意山は別に甘やかしたりしていなかったので、基本的に今の現状に適応できていた。 そのうえ、お互いにそれぞれ、群れでの知識と人間と暮らした知識があったので、理想的な番となっていた。 害敵に注意しつつ、お互い助け合って、移動しながら暮らしていたが、なかなか”おうち”は見つからない。 そんな中、2匹はある建物へたどり着く。 人間さんの建てた建築物だとは分かるが、人が住んでいるような感じではない。 この辺りは、田舎だが人がまったくいないというわけでもなく、大きな道路沿いに点々と建物がある感じだ。 「おおきいたてものだね」 鬼意山の住んでいた、お家よりもかなり大きい。 「にんげんさんがいないか、ゆっくりかくにんするのぜ」 2匹は、まりさを先頭に警戒しながら、建物へと入っていく。 中は、割れた窓のガラス片などがあり、雑然としている。 建物の中を移動するが、人間がいる様子は微塵も感じない。 部屋はいくつかあったが、窓の割れていない、特に清潔そうな部屋を選ぶと、 「ここをれいむとまりさのゆっくりぷれいすにするよ!」 「ここが、まりさとれいむのおうちなのぜ!」 2匹はお家宣言をして、この建物の一室を住処にすることにした。 この辺りは木々も多く、虫も多い季節なので食べ物もなんとかなるだろう。 さらに、この部屋には毛布さんまであるではないか。 2匹はようやく、ゆっくりプレイスを見つけて、これからの幸せなゆん生に思いを巡らせた。 「ゆゆ~ん、れいむ…。まりさ、もう…、がまんできないのぜ…」 「もうぅ…、まりさ…。むーどさんがたりないようぅ…。ゆふふ、はずかしいよ…」 愛する2匹は、その夜、情熱的なすっきりーを交わした。 次女れいむの頭には茎が生え、愛し合い情熱的なすっきりーだった為か、赤れいむ4匹と赤まりさ3匹という普通より多い数の赤ゆをにんっしんした。 「ゆうぅ、れいむとまりさのおちびちゃんたち、すごくゆっくりしてるよ」 恍惚の表情を浮かべる次女れいむ。 「けっこうおおいのぜ。ここがひろくてあんぜんなばしょでよかったのぜ」 今の時期なら、食べ物も豊富であるため、なんとか育てられるだろう。 何より、初めての我が子のゆっくりした姿に、2匹はしあわせーだった。 順調に実ゆも育ち、いよいよ生まれる時が来た。 「ゆっきゅりうまれりゅよ!」 まずは、赤れいむが1匹落ちてくる。 毛布さんの上なので、何の心配もいらない。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 「おちびちゃん…、ゆっくりしていってね!」 なんとゆっくりした可愛い子なのだろう。 次女れいむは親になった喜びにうち震える。 「おかーしゃん!しゅーりしゅーりしちぇね!」 もみあげを猛烈にピコピコさせながら、満面の笑みで次女れいむにすーりすーりをする。 そして、何事も無く7匹すべての赤ゆが無事に生まれ落ちる。 「まりさ、おちびちゃんたち、すごくゆっくりしてるよ!」 「ゆゆ~ん、かわいいのぜ」 「ゆっくち!ゆっくち!」と赤ゆたちが嬉しそうにしている。 柔らかくした茎を与えると、 「むーちゃ、むーちゃ、しあわちぇ~!」 と7匹が喜びの声を上げる。 「おかーしゃんだいちゅきだじぇ」 「れいみゅもだいちゅきぢゃよ」 「おとーしゃんもだいちゅきぢゃよ」 口々に愛の言葉を口にする、すごくゆっくりした我が子たち。 (おかーさん、れいむはとてもしあわせだよ) 次女れいむは、母の銅れいむとの日々を懐かしく思い出していた。 赤ゆが生まれてから、数日が経ったある日、まりさはいつも通り狩りに出ていた。 「ゆっくりしていってね!」 不意に後ろから声をかけられる。 「ゆ?ゆっくりしていってね!」 突然の事で驚くも、条件反射で挨拶を返してしまう。 「誰なのぜ?」 振り返ると、ありす種とぱちゅりー種の成体2匹とソフトボール大の子ゆが、それぞれ2匹づつの4匹いた。 ありすとぱちゅりーは番で、子ゆの他に赤ゆもいたが、れいぱーありすの襲撃に遭い、命からがら家を捨てて逃げてきたそうだ。 れいぱーは、ろりこんだった様で赤ゆは犠牲になってしまったそうだ。 「むきゅ…、あのこたちにはわるいことをしたわ…。くじゅうのけつだんだったの…」 「それは、たいへんだったのぜ…」 自分なら耐えられるだろうか?まりさは、次女れいむが心配になってきた。 ありすは子ゆたちの傍を片時も離れずにいた。 よほど、不安なのだろう。 そのまま、ありすたちを連れて、おうちへ帰る。 「まりさ、ゆっくりおかえ…、そのこたちはどうしたの?」 次女れいむが無事で、まりさは心底ほっとする。 「れいむ、じつは…」 事情を次女れいむに説明する。 「それはたいへんだったね…。このおうちはあんぜんだよ。へやさんもいっぱいあるから、ここにゆっくりすむといいよ」 隣の部屋に、この一家は住むことにしたようだ。 その日は、だいぶ無理して逃げて来たらしく、6匹みんなすぐに寝てしまった。 次女れいむ一家とありす一家は協力して生活することにした。 身体の弱いぱちゅりーは狩りには向かないが、知識はあるので子守ができる。 赤ゆ7匹という状況で世話する人数の改善になった。 更に、ありすたちの子ゆは、ある程度の成長をしており、赤ゆたちの遊び相手にもなった。 大変とはいえ、次女れいむとしても、ぱちゅりーとしても助かる部分が多かった。 基本まりさとありす、疲れたら次女れいむと交代で狩りをした。 育児、狩りのどちらかにかかりきりにならずに済むため、ストレスもためずに済むというわけだ。 「おかーしゃん、ゆっくちたのちいよ!」 「ゆふふ」と笑いながら、我が子の世話をする。 尊敬する、母の銅れいむにしっかりと、そして何より優しく躾けられた次女れいむは子育てにやりがいを感じていた。 (れいむは、おかーさんみたいな、ゆっくりりっぱなおかーさんになるよ!) 「れいむ、こうたいのじかんなのぜ」 まりさが、狩りの交代にやってきた。 たくさんの草さんがお帽子の中に入っていた。 「ゆっくりごくろうさま。さすがまりさだね。れいむもがんばるよ」 「きおつけるのぜ」 次女れいむはビニール袋さんを持って、ありすと狩りに向かう。 「ありすは、かいゆっくりだったんだよね?」 「ええ、でもすてられてしまったのよ…」 ありすを飼っていた飼い主の知り合いのゆっくりが、れいぱーに犯られてしまったらしく、ありす種はキモいとかいっていきなり捨てられたそうだ。 「ひどいはなしだね!」 「わたしのおちびちゃんも、れいぱーにつぶされたし、あいつらいなかものどもは、ありすしゅのはじよ…」 2匹の空気が重くなる。 「れいむも、かいゆっくりだったのよね?」 「ゆ、そうだよ。おかあさんはおにいさんがだいすきだったんだよ」 「じぶんから、かいゆっくりをやめるなんて、すごいゆうきね」 「まりさがだいすきだからだよ」 「でも、れいむのそんけいするおかーさんが、あいするくらいだから、おにいさんは、さぞやとかいはなかいぬしさんだったんでしょうね」 「おにいさんは、よくわからないよ…」 再び2匹の間に沈黙が。なにかまずいことを言ったのかとありすはオロオロする。 「そうだ、ぱちゅりーのこともおしえてね」 次女れいむは話題を変えた。 「ぱちゅりーは、のらになったわたしをたすけてくれたの。やまにすんでいたのだけれど、とつぜんむれがかいめつしてしまって…」 「え?まりさもむれにいたんだよ」 「むれのちゅうしんのことはよくしらないの。ふもとのほうにいたから」 そこで顔を曇らせて、 「しゅうかいじょが、かいめつしてたの。あわてて、おうちにもどってぱちゅりーとやまをおりたのよ…」 次女れいむに、あの光景が蘇る。 これから、ゆっくり暮らすはずだった群れが無くなってしまった悲惨な光景。 鬼意山があれをやったのだろうか。そうとしか…。でも、鬼意山はおかあさんの愛する大事なおにいさん。 2匹は、この日の狩りを終えて、おうちに戻った。 「おかーしゃん!ゆっくちおかえり!」 「おかーしゃん!ありしゅとかいはに、まっちぇちゃのよ!」 2匹の子たちが笑顔で出迎える。 それを見て、ゆふふと次女れいむとありすは顔を見合わせる。 なんて幸せなのだろう。 次女れいむは銅れいむから”お城”の話を聞いていた。 そう、ここはお城なのだ。 母の言っていたお城そのものではないか。見た目といい、中といい間違いない。 銅れいむが、鬼意山と出かけたときに見たという”お城に”。 (おかーさんは、おしろにはしあわせがつまっているといっていたよ) ここは、ゆっくりキャッスル。次女れいむたちにとっての…。 今日も今日とて、いつもの毎日になるはずだった。 次女れいむは、おちびちゃんたちにお歌を歌って聴かせている。 「れいむ、そろそろゆっくりこうたいよ」 ありすがやって来た。狩りの交代の時間だ。 「れいむ、かりにいくのぜ」 「ゆん、わかったよまりさ」 「ふたりきりはひさしぶりなのぜ」 「ゆうぅ~、ゆっくりてれるよ~」 キモい感じでお互いデレデレしながら、2匹は狩りへと向かう。 「おちびちゃんたちも、どんどんおおきくなってるね」 次女れいむが話しかけるも、まりさの返事は無い。 「しっ…。なにかいるのぜ…」 それを聞き、次女れいむも警戒する。 「んほおおおおおおおお」 少し離れた所から、だらしない嬌声が聞こえてくる。 間違いない、れいぱーありすだ。 「ゆぅ、どうしようまりさ…」 「こっちへきたら、たおすしかないのぜ」 万が一、おうちをれいぱーに見つかったら大変だ。 ありすの子ゆと自分たちの赤ゆ、合計11匹もの子供たちがいる。 「れいぱーがふくすういたら、たいへんなのぜ…」 「れいむ、いそいでありすもつれてくるよ」 れいぱーが1匹でなかった場合、1対1の勝負は避けたい。 ぱちゅりーは子供の面倒があるので、ありすだけでも連れてきて戦力にしようという訳だ。 次女れいむに連れられて、ありすもやってきた。 れいぱーの位置を確認していたまりさが、 「どうやら、たんどくこうどうみたいなんだぜ」 「なんとか、たおせるかもしれないね」 ありすが、ギュッと口を結んでれいぱーのいる方角を睨みつける。 「あいつらのせいで…。いなかもののれいぱーは、ぜったいせいっさいするわ!」 次女れいむは、ありすを見る。 (ありすは、れいぱーにおちびちゃんをやられているよ…。だから、れいぱーをゆるせないんだよ…) 次女れいむは複雑だった。 詳しくは知らないが、次女れいむの父親はれいぱーありすだと鬼意山が言っていた。 しんぐるまざーの銅れいむは、鬼意山がおとうさんだよ、と言っていたが…。 (そんなこといまは、かんけいないよ) 次女れいむは、あわててかぶりを振る。 「まりさがおとりになるのぜ」 作戦はこうだ。 まりさが囮となり、れいぱーをひきつけ、れいぱーがまりさを襲った瞬間に横から次女れいむがおうちにあった鋭利な刃物で刺し、 ありすが、やや高い塀の上から、れいぱーを潰すというものだ。 作戦は絶対に成功させなければならない。失敗したら、ゆっくりできなくなってしまう。 3匹に緊張が走る。 「んほおおおおおおうううううううう…、んほ、う?」 (れいむ、ありす、たのんだのぜ) まりさが、れいぱーの視界に入る。 「んほおおおおお、まりさあああぁぁぁ!!!とかいはなあいをおげるわぁぁぁ!!!!!」 猛然とれいぱーが、性欲丸出しで体液を滴らせ、ぺにぺにをおっ勃てながら、まりさへと突進してくる。 「んほおおおおお、まりさぁぁ、さそってちゃって、いんらんさんねえええぇぇぇ!!!!!」 れいぱーが、まりさにのしかかろうとした時、 「いまなのぜ!!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ぱちゅりーは不安になりながら、3匹の成功を祈っていた。 「むきゅ、れいぱーがふくすういないといいのだけれど…」 子供たちには何も言っていない。不安にさせても仕方ない。 「おかーしゃん、あしょんじぇにぇ!」 子供たちの面倒を見ながら、帰りを待つ。 そのとき、部屋の外にゆっくりの気配が。 3匹が帰ってきたのかと思いながら入口を見ると、知らないゆっくりの親子がいた。 『ゆっへっへ、あぶないところだったのぜ』 『まぬけそうなれんちゅうが、おとりになったおかげでたすかったね!』 『まりしゃ、あみゃあみゃがほちいんだじぇ』 『かわいいれいみゅに、あみゃあみゃよこちぇ』 仲良しのれいむ一家ではない、別のれいむ一家のようだ。 れいぱーから、逃げてきたのだろうか? れいむとまりさの番に、子れいむと子まりさが1匹づつ。 ぱちゅりーは、この一家からゆっくりできない雰囲気を感じ取っていた。 「あなたたち、ここはわたしたちのおうちよ。でも、このたてものさんはひろくてほかにも、へやさんがあるからべつのへやさんでゆっくりしてね」 ぱちゅりーは、意を決して話しかけてみる。 しかし、野良まりさは、それには答えず、ニヤニヤしながらぱちゅりーたちを見ている。 部屋をきょろきょろ品定めしていた野良れいむが急に、 『ここを、まりさとれいむとおちびちゃんたちのおうちにするよ!』 と勝手におうち宣言。 『あまあまおいて、さっさときえるのぜ。どうしてもいたいなら、どれいとしてならきょかしてやるのぜ』 『さすが、まりさだね。かんだいだよ。あと、さっさとあまあまちょうだいね!』 ダメだ。こいつらは話の通じないゲスゆっくりだ。 しかし、向こうに明らかに非があるにせよ、自分と子供たちでは太刀打ちできないだろう。 「きょきょは、ときゃいはにゃ、ありしゅたちの、おうちにゃのよ。あと、おかーしゃんをゆっくちいじめにゃいでちょうだい!」 他の子たちが怯える中、1匹の子ありすが、ぷくーしながらゲス親子を非難する。 『ちびれいぱーがなにかほざいてるのぜ』 『れいぴゃーは、ゆっくちちにゃいじぇ、しんじぇにぇ!』 親の影響だろうか、れいぱーと言われて子ありすが怒り狂う。 「ありしゅは、れいぴゃーみちゃいにゃ、いにゃきゃもにょちょは、ちぎゃうにょよ!ゆっくちりきゃいしちぇにぇ!」 しかし、ゲスどもは意に介さない。 『れいぱーはれいぱーだね。そんなこともわからないの?ばかなのしぬの?うちのかわいいおちびちゃんとは、おおちがいだよ』 『きゃわいきゅっちぇ、ごみぇんにぇえ~』 まずい状況だ。ぱちゅりーがどうしたものかと思案する。しかしゲスどもは、ますます増長する。 『ゆっくりできないれいぱーは、みせしめにせいっさいしてやるのぜ』 ゲスまりさがとんでもないことを言い出した。 「むきゅ!や、やめてちょうだい!」 なんとかやめさせようと懇願するも、 『まりさのせいっさいをじゃまするやつも、せいっさいだよ!』 ぱちゅりーはゲスれいむに弾き飛ばされてしまう。 「むきゅうぅぅ!!ゆべっ!」 「ゆぎゃあああああああ!!!!!」 吹っ飛ばされるときに、自分に寄り添っていた子ぱちゅりーを1匹潰してしまう。 子ぱちゅりーは絶叫すると、半分以上潰れた身体から、生クリームを大量にこぼしていく。 「もっ…と…ゆっく…ち…」 そのまま息絶えてしまう。 「ゆんやああああああ!!!おにぇーちゃぁーん!!!」 子供たちが大パニックに。 さらに、ゲスまりさがさっき言い返した子ありすをせいっさいと称して、かじりつく。 「ゆんやああああああああああ!!!いちゃい!!!ちゃべにゃいじぇぇぇ!!!」 そして、間髪いれずに踏みつぶす。 『ざまあみろなのぜ』 子供たちは恐怖のあまり、しーしーとうんうんを大量に漏らして硬直している。 『おまえたちのものは、ぜんぶれいむたちのものだよ。ひとりじめした、げすぱちゅりーがわるいんだよ』 ゲス特有の超理論で、お部屋・毛布・貯蓄していた食料を奪い取る。 『おまえらは、みんなどれいなのぜ。さからったやつは、せいっさいなのぜ』 どうやら逃げることも許されないらしい。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 次女れいむの咥えたナイフが、れいぱーの横っ腹に突き刺さる。 「んほ?んほおおおうぺぷぽへけ!!!」 何が起こったのか理解できていないれいぱーは痛みでのたうちまわる。 「ゆっくりせずに、れいぱーはしねえええ!!!」 ありすが、れいぱーの上に落下して押し潰す。 ぐちょっ!という不快な音と共に、カスタードが傷口と口とあにゃるから吹き出す。 普通のゆっくりなら致命傷だが、相手はれいぱー。 「んほおおおおおお!!!ありすのとかいはなあいをためしているのねえええ!!!つんでれさんねえええ!!! 「まだうごけるのかぜ…」 唖然とする一同。 次女れいむは、口でナイフを握りなおすと、れいぱーへ”とどめ”を刺しに行く。 最期の力で暴れるれいぱーに、ナイフは突き立てたものの、次女れいむは下唇からお腹にかけて、切り傷を負ってしまう。 「んほおおおおおおおおお!!!いくいくいっちゃうわあああああ!!!くぱぁぁぁぁぁ!!!!!」 断末魔の叫び声をあげ、れいぱーは息絶えた。 「れいむ!!だいじょうぶなのかぜ!」 まりさが、怪我を負った次女れいむに駆け寄る。 「ゆふふ、やったね。れいむなら、ゆっくりだいじょうぶだよ…」 外皮(饅頭皮)の痛みに弱いと言われる、ゆっくり。 ぺーろぺーろで傷を塞げば大丈夫で致命傷とかでは無いが、中の餡子が見えており痛くないはずがない。 絶叫しても、おかしくはないだろう。 しかし、次女れいむは、まりさやありすに心配をかけたくなかったのだ。 それを、まりさもありすも分かっていた。 「ぺーろぺーろするね、れいむ」 まりさが愛する伴侶にぺーろぺーろする。 それを見ていたありすが、 「ゆっくり、ぺーろぺーろして、きずがふさがってきたら、ゆっくりもどればいいわ。おちびちゃんたちは、まかせて」 お邪魔にならないように気をきかせるありす。 ありすが、去ってふたりきりだ。 「れいむはゆうかんで、まりさにはもったいないくらいだぜ」 「そんなことないよ。いちばんゆうかんなのは、おとりをしたまりさだよ」 2匹は顔を見合わせて、ゆふふと笑う。 「あいしてるのぜ、れいむ」 「れいむも、まりさがだいすきだよ」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ありすは、不穏な気配を感じ取り、そろーりそろーりとおうちの様子を窺っていた。 すると、見知らぬゆっくりが、占領している。とかいはにコーディネートしたおうちは、醜く荒されていた。 そして、ぱちゅりーだけでなく、おちびちゃんたちまで、こき使われているではないか。 (なんなの、あのいなかものども…) 怒りを何とか堪え、状況を把握する。 (こうきをまつのよ) 部屋の外で、隙をうかがう。 れいぱーとの戦いで、ありす自身がまだ戦闘モードなのが幸いし、逆に冷静な判断ができた。 中では、次女れいむ一家の子供の赤ゆたちが、ゲス一家の子ゆたちに”遊ばれて”いる。 「やめちぇにぇ!もみあげしゃんに、ひどいこちょしにゃいじぇね!」 『やめろといわれちぇ、やめりゅばきゃは、いにゃいんだよ!ばーきゃ、ば−きゃ!』 「いちゃいいいいいいい!!!」 赤れいむたちは、もみあげを毟られたりしている。 赤まりさたちは、おぼうしを奪われて、おさげを毟られているようだ。 「まりちゃの、しゅてきにゃおぼうち、ゆっくちかえしちぇにぇ!」 涙目で訴える赤まりさ。 『おぼうちのにゃいゆっくりは、ゆっくちできないんだじぇ。しょんなやちゅのいうこちょは、きくかちないんだじぇ!』 自分でおぼうしを奪っておきながら、帽子が無いから、ゆっくりできないと罵倒する。 一方、自分の子供たちと番のぱちゅりーは、親ゲスの奴隷としてこき使われている。 (あれ?こどものかずがたりないわ…) ありすは、自分の子供が足りないことに気づく。まさか…。 『しかし、ありすしゅは、ほんとうにむかつくね。れいぱーづらしてみにくいよ』 ゲスれいむが、子ありすを腹で小突く。 (ゆぐぐぐぐ…) ありすの怒りが猛烈にたまっていく。 『さっきつぶした、げすれいぱーみたいにそいつもつぶしてやるのぜ』 「むきゅ!や、やめて、おねがい…」 『どれいが、くちごたえすんなだぜ!」 ブチィ!!!!! ありすがブチ切れる。 「このいなかものおおおおおおおおお!!!」 ぼよんと大きく跳ねると、ゲスまりさの上から一撃をかます。 『ゆべえええ!!』 クリーンヒットして、ゲスまりさは身体の一部を潰し、餡子を吐く。 ぱちゅりーも、ゲスれいむのもみあげに食らいつき引き千切る。 『どぼぢで、でいぶのもみあげさんがちぎれてるのぉぉ!!!』 しかし、もともと体力に劣るぱちゅりーがいるため、徐々に互角の戦いになっていった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ まりさの献身的なぺーろぺーろのおかげで、次女れいむは傷が塞がった。 「ゆうぅ、まりさのおかげで、もうぜんぜんいたくないよ」 「よかったのぜ」 おちびちゃんの待つゆっくりしたおうちへ帰ろう。 そう思った2匹は、また嫌な気配を感じて、お互いに身をひそめる。 (なにか、ゆっくりしないかんじだよ) エンジン音がすると、少し離れた広場にバイクが2台止まる。 「おめー、マジぱねえから」 「先輩、ガッコの便所にゆっくり詰めるとか、ちょーヤベえし。ぎゃははは!」 「ばーか、授業中にゆっくり棒倒ししてたっつうの」 「棒倒しの要領で、身体削って死ぬ前に削ったやつが負けってゲームっすね」 「ちょー、ゆっくりのデスマスクうけるし。マジキモくて笑えるから、おめーもやってみ?」 「でも、ゆっくりのおかげで虐めが激減してるって、人間虐めなくなって、俺たち今はもう超紳士っすよね」 明らかにヤバそうな人間さんが二人。 見つかったらただでは済まないのは、一目で分かる。 その、ゆっくりできない人間さんは、みんなのおうち”ゆっくりキャッスル”へと向かって行った。 人間のさんの姿が見えなくなると、 「どうしよう、まりさ…」 まりさも黙りこくる。人間の恐ろしさ、それはあの群れの集会所の惨状を見たならば一目瞭然だ。勝てるわけがない。 「ありすも、ぱちゅりーも、かしこいゆっくりなのぜ。いまもどるのはきけんすぎるのぜ」 確かに、いつも外には充分に気を配っていた。 あれほど目立つ人間さんが来たなら、気づかないわけがない。 次女れいむたちは、危険が迫った場合におちあう場所へと移動を開始した。 そして、次女れいむとまりさは、建物裏の岩場にやって来た。 ここが、もしもの時の避難所だ。 「みんな、ぶじだといいのぜ…」 「だいじょうぶだよ、れいむたちのおうちは”おしろ”なんだよ。しあわせがつまっているんだよ」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 地獄の様だと、ありすは思った。 いつもなら、警戒を怠るはずはなかった、人間さんの侵入。 ゲスとの戦いで気づいた時にはもう、人間さんがおうちの中にいた。 「ヒャッハー!!!糞袋は消滅せよ!!!」 「マジぱねぇッス!!マジぱねぇッス!!」 あれだけ苦戦したゲスまりさ。 「おめえの餡子は全部うんうんだから!」 あにゃるの辺りに巨大な穴を開けられ、中の餡子を全部出されてゆっくりできなくなった。 いやみで不愉快だったゲスれいむ。 「逆出産つまり、入産だあー」 ゲスれいむの子ゆを捕まえると、ゲスれいむのまむまむに押し込む。 「そして、流産だあー」 蹴っ飛ばし、中で子れいむが潰れる。そして、ゲスれいむも壁に激突し、餡子を大量に流してゆっくりできなくなった。 大好きなぱちゅりー。 もともと弱っていたこともあり、踏みつぶされぐちゃぐちゃになってしまった。 かわいくて優しい、ありすや次女れいむの子ゆや赤ゆたち。 「根性焼きじゃぁー!!」 煙草を押しつけられ、泣き叫ぶ。おかーさん、おかーさんと助けを呼びながら…。 ありす自身は、足を焼かれて動けない。 「汚物は消毒だー!!!」 ガソリンをかけられる。 (ごめんなさい…、れいむ、まりさ。おちびちゃんたちをまもれなくて。ぱちゅりー、ありすのおちびちゃんたち、いまおとうさんもそっちへいくわ…) ありすは、おちびちゃんたちの絶叫を聞いて喜ぶ輩に対して、せめてもの抵抗とばかりに沈黙を守りながら焼かれていった。 惨劇が終わる。 「しっかし、なんでこいつらこんな汚ねえ場所にいたんすかねえ?なにせここは…」 「ゆっくりプレイスってやつじゃね?キモすぎるし、お似合いだし。ぎゃはははは!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 鬼意山がパソコンを見ていると、銅れいむが 「ゆ!おにいさん。それは、おしろさんだね」 と喜んで話しかけてくる。 「はあ?」 にこにこ笑う銅れいむ。 なんかムカつく。 「まえに、くるまさんのなかからみたよ。おにいさんがおしえてくれたよ」 パソコンの画面にはラブホが映っている。 (そういやあ、そんなこといったっけ) 「そうそう、ここには幸せが詰まってるんだよ(性的な意味でな)」 第3作目終わり これからも続きます よろしくお願いします トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ありすがいいキャラしていたなw 自分達を苦しめた敵キャラ(ゲス一家)が更なる強敵(人間)に瞬殺されるのは、漫画の王道だね。 あと、DQNはタヒんでくれ。ゆっくりがどうのではなく、DQNは存在自体が害だから。 ※「キャッスル=ラブホ」が予想通りだった。(「映画心が叫び(ry」でもそうだったから) -- 2018-02-12 10 31 50 最高だよww -- 2016-01-04 10 44 28 なんかゲスと人間以外は生かそうぜくそ馬鹿くるくるパァー人間は、死刑にするべき。後、ありすが、ゲームとかにありそうなセリフ言ってかっこ良かった。追記のらのまりさに愛を抱いたから、飼いゆっくり辞めるんなんて、勇気どんだけあるんだよ。 -- 2014-05-31 12 10 06 なんかゲスゆよりゲスDQN人間にムカつきすぎてそいつらをゆっくりに変えて踏み潰してぐちゃぐちゃに磨り潰したい(日本語 -- 2013-06-18 23 27 15 なんかここだけ辛口コメントだな あとからきたゲス一家が死んだから満足です -- 2011-05-13 01 15 27 またレギュラーゆっくりだけ助かったのか だらだら続編を作っても面白くないよ -- 2011-03-04 12 46 10 廃屋でガソリン使うようなゲス人間はゆっくりできないな(犯罪者話 性的な意味の幸せかw 沢山子孫が出来そうだ -- 2010-10-19 15 05 04 句点の打ちかたが悪い -- 2010-07-25 00 30 21 森の賢者(笑)にも劣るDQN丸出し餡子脳クズ人間は死ね。 コイツ等はなにかの手違いで、「でいぶ」の魂が人間に転生しちゃったんだね。 -- 2010-06-30 00 20 58 超紳士()笑 -- 2010-06-15 22 02 55 ゲス人間が登場するのはゆっくりできない・・・ -- 2010-03-17 13 07 37
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3084.html
加工場の品種改良部門では日夜様々な実験が行われていた と言うのも饅頭の味を変える方法は様々だが、素材となるゆっくり自体が変わらなければ行き詰まってしまう そうして現在基本種を中心に品種改良が行われている が、実際は部門長の男が私的に実験をしているようなものだ ケージにはぱちゅりーとまりさが一匹ずつ放し飼いされており、頃合いを見て動物型にんしんをさせて子どもを作らせる そして、産まれた子供がぱちゅりーならそのまま様子を見ながら育てさせ、まりさだった場合は適当なことを理由を作って間引く 何故か?それは単純な話だ この番に求めているのはまりさ種の運動能力を持つぱちゅりー種なのだ ぱちゅりー種が持つ病気は克服できると男は考えた と言うよりもゆっくりは思いこみで全てが変わる そのため、「ぱちゅりーは病気持ち」とぱちゅりー種までもが思いこんでいる と言うよりもアイデンティティの一つなのだ それを克服するために、日夜薬を与え、子ぱちゅりーに病気は治ったと言い聞かせる ちなみに薬と言いつつも飲ませるのはラムネ菓子だ そうして遂に、まりさ種の運動能力とぱちゅりー種の頭脳を兼ね備えたゆっくりぱちゅりーが誕生した ぱちゅりー並の頭脳を持つまりさでは駄目な理由としてゲス化が上げられる 下手に頭を良くしてしまっても、70%を超えるゲス率を誇るまりさでは駄目なのだ 誕生したぱちゅりーのデータを取ったあと、子ぱちゅりーには教育を施す それは勿論加工場用ゆっくりとしての教育だ この子ぱちゅりーは既に配属部署が決まっているのでその部署で必要なことを教えさせる 両親にもその部署に配属されることがいかに名誉なことかをすり込ませてあるので大喜びだ 配属先は「こーまかん」である こーまかんと聞いてなんだれみりゃか、と誰もが思うのであるがこれこそがこの部門最大の成果である 河童の協力の下、部門長はKRSM値を測定する装置を開発した この装置を使い、KRSM値が規定値を超えたれみりゃのみを使い配合を重ねていく 何十回にも渡る実験の結果、遂にカリスマを備えたれみりゃを作り出すことに成功した このれみりゃ、普通のれみりゃとは大きく違う まず目つきが鋭くなっている。そして服装もババ臭いおべべがからKRSM値が100を超えるかりすまおべべを着ている 運動能力も野生のふらん以上であり、これが部門長の最高傑作である そうしてかりすまれみりゃと子ぱちゅりーを互いにまだ子どものうちに接触させる ぱちゅりーはれみりゃの補佐役を務めるために幼い頃から友人関係を作らせておく そうすることで互いを信頼するようになり、成体になったときに効率よく働くのだ ぱちゅりーが頭脳派でありながらまりさ種の運動能力を必要とされたのだこのれみりゃと共に働くからである このこーまかんには主であるかりすまれみりゃ、参謀役ぱちゅりー、そしてめいど長さくや、門番めーりんからなる さくやとめーりんも特別なゆっくりである めーりんはすぃーの扱いに長けておりとても好戦的に改良されている 一方のさくやはれみりゃを甘やかすのではなく主として支え、尚かつ攻撃力を増すゆっくりさくやとして改良教育済 具体的にはさくやが口に少量の土を含みはき出すと銀になるようになっている 土よりも鋭いため並のゆっくりはこの攻撃には耐えられない しかも、この銀は土と餡子に溶けるため換金することはできない そうして集められたこーまかんメンバーの仕事は野生のゆっくりの捕獲 「ふっふっふっ…さくや、しごとのじかんよ」 とてもれみりゃとは思えない口ぶりでさくやに指示を出す それを受けたさくやはめーりんと共にすぃーに乗って森へと繰り出す さくやを班長としてめーりん10匹が付き、計6班に分かれての作業 れみりゃとぱちゅりーは後方よりやや遅れて追いかける 「むきゅ、きょうのしごとはドスまりさのほかくよ」 ぱちゅりーも専用のすぃーで空を飛ぶれみりゃを追いかける 「うでがなるわね…」 今回の仕事はドスまりさとその群のゆっくりの捕獲 一件無謀にも思われるが、かりすまれみりゃとドスまりさの戦力比は1.2 1でややれみりゃの方が上回る それに並のゆっくりではさくやとめーりんには勝てない 既にめーりんが戦闘を開始しており「JAOOOOOOOON」と言う雄叫びが聞こえてくる 「いだいよおお!!やべろおおおお!!!」 襲われたのはれいむ種であった 一人で借りに出ていたところをすぃーに乗っためーりんに襲われたのだ 始め、れいむはめーりんからすぃーを奪おうと思っていた めーりんはくずだから自分が乗ってやった方がすぃーも光栄である しかし、めーりんはすぃーを渡さず、それどころか襲いかかってきたのだ 当然れいむがそれに対処できるはずもなく、自らが無意味に見下してきた相手に敗北しプライドをずたずたに引き裂かれた 追い打ちをかけるようにめーりんはれいむの餡子を食べていく 「JAOO!」 「でいぶのあんごおおおお!!!」 れいむは事切れるまでめーりんに対して侮蔑の言葉をはき続けた めーりんは餡子が食べ終わるとさくやがやってきて口に土を含みめーりんに吐き付けた 吐き出された土は銀に代わりめーりんの厚い皮に突き刺さる 「じゃおおおお!!」 「たべるんじゃなくてつかまえるのよ!」 めいど長に叱られめーりんは申し訳なさそうに「じゃおおお…」と言うと再びすぃーにまたがり群の中心を目指す 既にめーりんとさくやが群を包囲しつつありじわじわと追いつめている それを受けてゆっくり達は自ずとドスまりさの元へと集まっていく 「おちびちゃん!おかあさんのおくちにゆっくりはいってね!ドスのところにいくよ!」 「れーみゅがさきにはいりゅよ!」 「まりしゃをおいていかないでね!」 親れいむが子れいむと子まりさを口に入れてドスまりさの元へと急ぐ めーりんはそれを徐行運転をしながらゆっくりと追う 同じように他のめーりん達もドスまりさの元へと逃げ込むゆっくり見つけては泳がしていた そうして群のゆっくりは全てがドスまりさの元へと集まった 「ドス!めーりんがれいむをたべちゃったよ!」 「さくやとめーりんがせめてきたわ!」 「むきゅ、すぃーにのってゆっくりおいかけてきたわ!」 遂にドスまりさの目の前に現れためーりんとさくや 全員すぃーに乗っておりめーりんが10匹に対してさくやが一匹付いている 「こーまかんのおぜうさまがドスまりさをつれにきたわ!おとなしくわたしなさい!」 「じゃおおん!」 「じゃ、じゃおおお、じゃんじゃお!」 さくやがドスまりさの最終勧告を行う。大人しく投稿しろと 「ドスの群に酷いことをしたさくやとめーりんにはついていかないよ!」 「おぜうさまのいうことがきけないというの!?」 「れいむを殺したさくやたちはゆっくりしんでね!」 それを合図にドスまりさの巨体が宙に浮かぶ めーりんに対してプレス攻撃を行うのだ だが、めーりんはドスが飛び跳ねるのを見るや散会し固まっていためーりんは忽ち散り散りになってしまった ズゥゥン!という音ともドスが着地するとさくやを中心に群のゆっくりを傷つけ始めた 頬をかじり、すぃーで轢き、体当たりをし、そして一匹のさくやが持っている袋へとゆっくりを押し込んでいく 「じゃおおおん!」 「ゆ…ゆっくりはいるからたべないでね!」 「いやだあああ!でいぶおうちがえるううう!!」 「はやくはいるのですわ!」 「むぎゅん!?」 「ばでぃざのあかちゃんはみのがじでえええ!!」 子どもも大人も赤ちゃんも関係なく袋詰めにしていく 一つの班が捕獲に辺り残りの班がドスまりさを足止めする 「ドズの群のびんなをばなぜええ!!!」 ドスも代わる代わる襲い来るめーりんと遠距離から鋭い銀を放つさくやに阻まれて動けないでいた 自分の目の前で仲間が袋詰めにされ半狂乱となっている プッとさくやが吐いた銀弾がドスまりさの頬に突き刺さる ドス級だけあって皮が分厚く決定打にはならないものの確実にダメージを与えていく めーりんもすぃーで旋回しながら体当たりや噛みつきで皮を剥いでいく ドスまりさはドススパークを放とうにも攻撃が激しく茸を取り出せない そうこうしているうちにゆっくりの大半は袋詰めにされてしまった 残りは逃げ出したか潰されたか、あるいは食べられたか、どちらにせよ無事ではない 「じゅんちょうのようね、さくやたち」 「「「はっ、おぜうさま!!」」」 そこにかりすまれみりゃが登場した 無論、ぱちゅりーも一緒である 「むきゅう、さくやたちはつかまえたゆっくりをかこうじょうにもちかえるのよ。あのドスはれみぃがあいてをするから」 加工場という単語を聞き一斉に袋の中のゆっくりが反応する 何故か彼らの中では加工場とはゆっくりできない場所と刻み込まれているのだ 「がごうじょおおはやだああああ!!!!」 「でいぶはどうなっでもいいがらばでぃざはだずげろおおお!!」 「どぼじでぞんなこどいうのおおおお!!!!」 「ぐずめーりんがあああ!!どぼじでえええ!!!」 泣き叫ぶゆっくりを引きずってすぃーは走り出す さながらドナドナである。ドナドナドーナードーナーゆっくりを連れてードナドナドーナードーナーすぃーが揺れるー 袋を持ち帰る班と残る班とに分かれ、めーりんとさくやは役割を果たしていく このゆっくり達は加工場で商品に加工される予定である 「あなたがドスまりさね、ずうたいだけのでくのぼうさん?」 「ゆがあああ!!」 もはや正気を失ったドスまりさはあっさりと挑発に乗ってしまい、虎の子のドススパークを放つ が、かりすまれみりゃはそれを優雅に回避する 「このていどならさくやがあいてでもよかったかしらね?」 「……!?」 その時、ドスまりさは全身の毛が逆立った 今までれみりゃは何度も追い返してきた 「だどぉ〜」と間抜けな口調と低空飛行しかできないれみりゃなら自分一人でも退治できた しかし、目の前のれみりゃはふらんと同党、あるいはそれ以上に運動能力が高い そして何より、他のゆっくりからは感じない何かカリスマめいたものを感じる 怖じ気づいたドスまりさの隙をかりすまれみりゃが見逃すはずもなく、一瞬のうちに間合いを詰められ、かりすまれみりゃ必殺すぴあざぐんぐにるをもろに受けた スピア・ザ・グングニルはオリジナルのレミリアのスペルカードだ それを模しており、加工場特製のぐんぐにるを投げつける技である 一件大して事は無さそうだが、ゆっくりレベルでいうとパワーのあるかりすまれみりゃが投げれば正にグングニルなのだ 気絶したドスまりさを残ったさくやとめーりんがすぃーで引きずっていく 「さすがはれみぃね!ドスまりさもたいしたことなかったわ!」 「とうぜんよぱちぇ!こーまかんのあるじがそうかんたんにまけはしないわ!」 かりすまれみりゃとぱちゅりー、後にこのコンビが加工場を抜け出し独立するのはまた別のお話である ドスまりさが目を覚ましたとき、そこは今まで見たこともない場所だった 畳みの香りのする上品な和室 無機質な加工場ではない、人の温かさのある部屋 「あら、目が覚めたのね」 ふとよくみると自分は長い黒髪の綺麗な女の人に抱えられていたのだ 自分の体はこの女の人よりおおきいはずだ、と思わず無い首を傾げる しかし、頭を撫でられると気持ちがが良かった ずいぶん昔に置き忘れてきた母親との思い出が蘇る 「お姉さん、ここはどこ?」 意を決しそう訪ねた 体は小さくなっていてもドスとしての頭脳は健在であった もしかしたら加工場かも知れないという思いが未だに頭の中に残っている 「ここは永遠亭よ。あなたは今日からここで暮らすの」 「えいえんてい?」 聞いたこともない場所だ 「これからここで暮らす作法を教えるからしっかりと覚えなさいよまりさ」 まりさ、そう呼ばれるのも随分と久しい ドスになりゆっくりをゆっくりさせる為だけに従事していた自分にとってそれはかけがえ無いの呼び名だった 「分かったよお姉さん!まりさはゆっくり覚えるね!」 笑顔で答える元ドスまりさに黒髪の女性は「お利口ね」と頭を撫でてやり一人と一匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしていた 「…これが貴方達のドスまりさだけどどうかしら?」 赤と青、それぞれ服を縦に半分ずつ色分けした女性が映像をゆっくり達に見せる かつてお前達のリーダーだったドスは飼いゆっくりになったぞ、と 「ドズゥゥゥ!!どぼじでだずげでぐでないのおお!!!」 「ばがあああ!!ドズはでいぶだぢをゆっぐじざぜるんでしょおおおお!!!?」 それを見せられているのはかりすまれみりゃ達が捕まえてきたドスまりさの群のゆっくり達 自分達は今や加工を待つ身となり、一分後には死んでもおかしくない が、ドスまりさは飼いゆっくりという最高の栄誉を手に入れ綺麗な女性とゆっくりしている 「ぢねええ!!ドズはゆっぐじじないでじねえええ!!!!」 自分達を見捨てたドスは死ね!と口々に自分が思いつく最高の汚い言葉で映し出されたドスまりさを罵る それが届くことは永遠にないのだが 「そうねぇ…じゃあ、特別に助けてあげるわ」 「ぼんどう!?!?!?」 「その代わり誰か一匹だけ犠牲になるのよ」 女性がそう告げるとゆっくり達は誰かを犠牲にして助かろうとし出す おまえの代わりに自分がゆっくりしてやるから、と 「れいむはどうなってもいいからまりさをたすけてね!」 「どぼじでぞんなごというのおおお!!!!」 「ちーんぽまらまらまんこぺーにす!」 「わからないよー!?」 まりさはゲス化し自分が助かるためなら誰かが死のうと構わない ちぇんは分からないとおろおろしみょんは論外であった 「むほおお!!すっきりー!!」 ありすはと言うと死の恐怖を目の当たりにし、生存本能が高まりれいぱーを化した 捕まったまりさから7本の茎が生え赤ゆっくりが稔り始める 「あかちゃんをころすからまりさたちはたすけてね!」 それを見た一匹のまりさがまるでノーベル賞ものの発見したかのように女性に告げる れいぱーありすを見た他のゆっくり達もそれに賛同する しかし、一匹のぱちゅりーが自分を殺せと名乗り出た 「ぱ、ぱちゅりーをころしなさい…!そうすればほかのみんなはたすけてくれるんでしょう!?」 「わからないよー!ぱちゅりーがしぬならちぇんもしぬよおお!!」 そのぱちゅりーと仲の良かったちぇんも志願した 「ちぇんとぱちゅりーがしぬかられいむたちはゆっくりたすけてね!」 二匹を犠牲にし助かると思ったれいむは安堵する だが、それとは裏腹に女性はちぇんとぱちゅりーを解放する 「おめでとう!あなたたちのような勇敢なゆっくりを待っていたわ!」 女性は二匹以外は既に眼中にない ちゃんとぱちゅりーを抱きかかえて部屋を後にする 「あぁ、残ったゆっくりは全部殺すから」 「なんでえええ!!どぼじでえええ!!!?」 「でいぶをごろざないでえええ!!」 「どがいばなありずをごろずなんでいながものよおおおお!!!」 そんな叫びも女性の耳には全く入っていなかった 「鈴仙はちぇんを欲しがってたのよね。私もぱちゅりーは欲しかったし丁度良かったわ」 女性は二匹を実験室から永遠亭へと連れて行った そこには黒髪の女性に抱えられた元ドスまりさもおり、三匹は飼いゆっくりとなった 「ところでどうやってドスまりさをこのサイズにしたの?」 黒髪の女性は二匹を連れてきた女性にたずねた あの巨体がどうすればここまで小さくなるのか 「あぁ、それは中の餡子を超高密度に圧縮しただけですよ」 帰ってきたのは簡単な答えだった by お題の人 ぼくのかんがえたさいきょうのれみりゃです こんなのも有りだなぁと考えました 次は加工場で実験されるゆっくりを書こうかと思います
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加工場の品種改良部門では日夜様々な実験が行われていた と言うのも饅頭の味を変える方法は様々だが、素材となるゆっくり自体が変わらなければ行き詰まってしまう そうして現在基本種を中心に品種改良が行われている が、実際は部門長の男が私的に実験をしているようなものだ ケージにはぱちゅりーとまりさが一匹ずつ放し飼いされており、頃合いを見て動物型にんしんをさせて子どもを作らせる そして、産まれた子供がぱちゅりーならそのまま様子を見ながら育てさせ、まりさだった場合は適当なことを理由を作って間引く 何故か?それは単純な話だ この番に求めているのはまりさ種の運動能力を持つぱちゅりー種なのだ ぱちゅりー種が持つ病気は克服できると男は考えた と言うよりもゆっくりは思いこみで全てが変わる そのため、「ぱちゅりーは病気持ち」とぱちゅりー種までもが思いこんでいる と言うよりもアイデンティティの一つなのだ それを克服するために、日夜薬を与え、子ぱちゅりーに病気は治ったと言い聞かせる ちなみに薬と言いつつも飲ませるのはラムネ菓子だ そうして遂に、まりさ種の運動能力とぱちゅりー種の頭脳を兼ね備えたゆっくりぱちゅりーが誕生した ぱちゅりー並の頭脳を持つまりさでは駄目な理由としてゲス化が上げられる 下手に頭を良くしてしまっても、70%を超えるゲス率を誇るまりさでは駄目なのだ 誕生したぱちゅりーのデータを取ったあと、子ぱちゅりーには教育を施す それは勿論加工場用ゆっくりとしての教育だ この子ぱちゅりーは既に配属部署が決まっているのでその部署で必要なことを教えさせる 両親にもその部署に配属されることがいかに名誉なことかをすり込ませてあるので大喜びだ 配属先は「こーまかん」である こーまかんと聞いてなんだれみりゃか、と誰もが思うのであるがこれこそがこの部門最大の成果である 河童の協力の下、部門長はKRSM値を測定する装置を開発した この装置を使い、KRSM値が規定値を超えたれみりゃのみを使い配合を重ねていく 何十回にも渡る実験の結果、遂にカリスマを備えたれみりゃを作り出すことに成功した このれみりゃ、普通のれみりゃとは大きく違う まず目つきが鋭くなっている。そして服装もババ臭いおべべがからKRSM値が100を超えるかりすまおべべを着ている 運動能力も野生のふらん以上であり、これが部門長の最高傑作である そうしてかりすまれみりゃと子ぱちゅりーを互いにまだ子どものうちに接触させる ぱちゅりーはれみりゃの補佐役を務めるために幼い頃から友人関係を作らせておく そうすることで互いを信頼するようになり、成体になったときに効率よく働くのだ ぱちゅりーが頭脳派でありながらまりさ種の運動能力を必要とされたのだこのれみりゃと共に働くからである このこーまかんには主であるかりすまれみりゃ、参謀役ぱちゅりー、そしてめいど長さくや、門番めーりんからなる さくやとめーりんも特別なゆっくりである めーりんはすぃーの扱いに長けておりとても好戦的に改良されている 一方のさくやはれみりゃを甘やかすのではなく主として支え、尚かつ攻撃力を増すゆっくりさくやとして改良教育済 具体的にはさくやが口に少量の土を含みはき出すと銀になるようになっている 土よりも鋭いため並のゆっくりはこの攻撃には耐えられない しかも、この銀は土と餡子に溶けるため換金することはできない そうして集められたこーまかんメンバーの仕事は野生のゆっくりの捕獲 「ふっふっふっ…さくや、しごとのじかんよ」 とてもれみりゃとは思えない口ぶりでさくやに指示を出す それを受けたさくやはめーりんと共にすぃーに乗って森へと繰り出す さくやを班長としてめーりん10匹が付き、計6班に分かれての作業 れみりゃとぱちゅりーは後方よりやや遅れて追いかける 「むきゅ、きょうのしごとはドスまりさのほかくよ」 ぱちゅりーも専用のすぃーで空を飛ぶれみりゃを追いかける 「うでがなるわね…」 今回の仕事はドスまりさとその群のゆっくりの捕獲 一件無謀にも思われるが、かりすまれみりゃとドスまりさの戦力比は1.2 1でややれみりゃの方が上回る それに並のゆっくりではさくやとめーりんには勝てない 既にめーりんが戦闘を開始しており「JAOOOOOOOON」と言う雄叫びが聞こえてくる 「いだいよおお!!やべろおおおお!!!」 襲われたのはれいむ種であった 一人で借りに出ていたところをすぃーに乗っためーりんに襲われたのだ 始め、れいむはめーりんからすぃーを奪おうと思っていた めーりんはくずだから自分が乗ってやった方がすぃーも光栄である しかし、めーりんはすぃーを渡さず、それどころか襲いかかってきたのだ 当然れいむがそれに対処できるはずもなく、自らが無意味に見下してきた相手に敗北しプライドをずたずたに引き裂かれた 追い打ちをかけるようにめーりんはれいむの餡子を食べていく 「JAOO!」 「でいぶのあんごおおおお!!!」 れいむは事切れるまでめーりんに対して侮蔑の言葉をはき続けた めーりんは餡子が食べ終わるとさくやがやってきて口に土を含みめーりんに吐き付けた 吐き出された土は銀に代わりめーりんの厚い皮に突き刺さる 「じゃおおおお!!」 「たべるんじゃなくてつかまえるのよ!」 めいど長に叱られめーりんは申し訳なさそうに「じゃおおお…」と言うと再びすぃーにまたがり群の中心を目指す 既にめーりんとさくやが群を包囲しつつありじわじわと追いつめている それを受けてゆっくり達は自ずとドスまりさの元へと集まっていく 「おちびちゃん!おかあさんのおくちにゆっくりはいってね!ドスのところにいくよ!」 「れーみゅがさきにはいりゅよ!」 「まりしゃをおいていかないでね!」 親れいむが子れいむと子まりさを口に入れてドスまりさの元へと急ぐ めーりんはそれを徐行運転をしながらゆっくりと追う 同じように他のめーりん達もドスまりさの元へと逃げ込むゆっくり見つけては泳がしていた そうして群のゆっくりは全てがドスまりさの元へと集まった 「ドス!めーりんがれいむをたべちゃったよ!」 「さくやとめーりんがせめてきたわ!」 「むきゅ、すぃーにのってゆっくりおいかけてきたわ!」 遂にドスまりさの目の前に現れためーりんとさくや 全員すぃーに乗っておりめーりんが10匹に対してさくやが一匹付いている 「こーまかんのおぜうさまがドスまりさをつれにきたわ!おとなしくわたしなさい!」 「じゃおおん!」 「じゃ、じゃおおお、じゃんじゃお!」 さくやがドスまりさの最終勧告を行う。大人しく投稿しろと 「ドスの群に酷いことをしたさくやとめーりんにはついていかないよ!」 「おぜうさまのいうことがきけないというの!?」 「れいむを殺したさくやたちはゆっくりしんでね!」 それを合図にドスまりさの巨体が宙に浮かぶ めーりんに対してプレス攻撃を行うのだ だが、めーりんはドスが飛び跳ねるのを見るや散会し固まっていためーりんは忽ち散り散りになってしまった ズゥゥン!という音ともドスが着地するとさくやを中心に群のゆっくりを傷つけ始めた 頬をかじり、すぃーで轢き、体当たりをし、そして一匹のさくやが持っている袋へとゆっくりを押し込んでいく 「じゃおおおん!」 「ゆ…ゆっくりはいるからたべないでね!」 「いやだあああ!でいぶおうちがえるううう!!」 「はやくはいるのですわ!」 「むぎゅん!?」 「ばでぃざのあかちゃんはみのがじでえええ!!」 子どもも大人も赤ちゃんも関係なく袋詰めにしていく 一つの班が捕獲に辺り残りの班がドスまりさを足止めする 「ドズの群のびんなをばなぜええ!!!」 ドスも代わる代わる襲い来るめーりんと遠距離から鋭い銀を放つさくやに阻まれて動けないでいた 自分の目の前で仲間が袋詰めにされ半狂乱となっている プッとさくやが吐いた銀弾がドスまりさの頬に突き刺さる ドス級だけあって皮が分厚く決定打にはならないものの確実にダメージを与えていく めーりんもすぃーで旋回しながら体当たりや噛みつきで皮を剥いでいく ドスまりさはドススパークを放とうにも攻撃が激しく茸を取り出せない そうこうしているうちにゆっくりの大半は袋詰めにされてしまった 残りは逃げ出したか潰されたか、あるいは食べられたか、どちらにせよ無事ではない 「じゅんちょうのようね、さくやたち」 「「「はっ、おぜうさま!!」」」 そこにかりすまれみりゃが登場した 無論、ぱちゅりーも一緒である 「むきゅう、さくやたちはつかまえたゆっくりをかこうじょうにもちかえるのよ。あのドスはれみぃがあいてをするから」 加工場という単語を聞き一斉に袋の中のゆっくりが反応する 何故か彼らの中では加工場とはゆっくりできない場所と刻み込まれているのだ 「がごうじょおおはやだああああ!!!!」 「でいぶはどうなっでもいいがらばでぃざはだずげろおおお!!」 「どぼじでぞんなこどいうのおおおお!!!!」 「ぐずめーりんがあああ!!どぼじでえええ!!!」 泣き叫ぶゆっくりを引きずってすぃーは走り出す さながらドナドナである。ドナドナドーナードーナーゆっくりを連れてードナドナドーナードーナーすぃーが揺れるー 袋を持ち帰る班と残る班とに分かれ、めーりんとさくやは役割を果たしていく このゆっくり達は加工場で商品に加工される予定である 「あなたがドスまりさね、ずうたいだけのでくのぼうさん?」 「ゆがあああ!!」 もはや正気を失ったドスまりさはあっさりと挑発に乗ってしまい、虎の子のドススパークを放つ が、かりすまれみりゃはそれを優雅に回避する 「このていどならさくやがあいてでもよかったかしらね?」 「……!?」 その時、ドスまりさは全身の毛が逆立った 今までれみりゃは何度も追い返してきた 「だどぉ?」と間抜けな口調と低空飛行しかできないれみりゃなら自分一人でも退治できた しかし、目の前のれみりゃはふらんと同党、あるいはそれ以上に運動能力が高い そして何より、他のゆっくりからは感じない何かカリスマめいたものを感じる 怖じ気づいたドスまりさの隙をかりすまれみりゃが見逃すはずもなく、一瞬のうちに間合いを詰められ、かりすまれみりゃ必殺すぴあざぐんぐにるをもろに受けた スピア・ザ・グングニルはオリジナルのレミリアのスペルカードだ それを模しており、加工場特製のぐんぐにるを投げつける技である 一件大して事は無さそうだが、ゆっくりレベルでいうとパワーのあるかりすまれみりゃが投げれば正にグングニルなのだ 気絶したドスまりさを残ったさくやとめーりんがすぃーで引きずっていく 「さすがはれみぃね!ドスまりさもたいしたことなかったわ!」 「とうぜんよぱちぇ!こーまかんのあるじがそうかんたんにまけはしないわ!」 かりすまれみりゃとぱちゅりー、後にこのコンビが加工場を抜け出し独立するのはまた別のお話である ドスまりさが目を覚ましたとき、そこは今まで見たこともない場所だった 畳みの香りのする上品な和室 無機質な加工場ではない、人の温かさのある部屋 「あら、目が覚めたのね」 ふとよくみると自分は長い黒髪の綺麗な女の人に抱えられていたのだ 自分の体はこの女の人よりおおきいはずだ、と思わず無い首を傾げる しかし、頭を撫でられると気持ちがが良かった ずいぶん昔に置き忘れてきた母親との思い出が蘇る 「お姉さん、ここはどこ?」 意を決しそう訪ねた 体は小さくなっていてもドスとしての頭脳は健在であった もしかしたら加工場かも知れないという思いが未だに頭の中に残っている 「ここは永遠亭よ。あなたは今日からここで暮らすの」 「えいえんてい?」 聞いたこともない場所だ 「これからここで暮らす作法を教えるからしっかりと覚えなさいよまりさ」 まりさ、そう呼ばれるのも随分と久しい ドスになりゆっくりをゆっくりさせる為だけに従事していた自分にとってそれはかけがえ無いの呼び名だった 「分かったよお姉さん!まりさはゆっくり覚えるね!」 笑顔で答える元ドスまりさに黒髪の女性は「お利口ね」と頭を撫でてやり一人と一匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしていた 「…これが貴方達のドスまりさだけどどうかしら?」 赤と青、それぞれ服を縦に半分ずつ色分けした女性が映像をゆっくり達に見せる かつてお前達のリーダーだったドスは飼いゆっくりになったぞ、と 「ドズゥゥゥ!!どぼじでだずげでぐでないのおお!!!」 「ばがあああ!!ドズはでいぶだぢをゆっぐじざぜるんでしょおおおお!!!?」 それを見せられているのはかりすまれみりゃ達が捕まえてきたドスまりさの群のゆっくり達 自分達は今や加工を待つ身となり、一分後には死んでもおかしくない が、ドスまりさは飼いゆっくりという最高の栄誉を手に入れ綺麗な女性とゆっくりしている 「ぢねええ!!ドズはゆっぐじじないでじねえええ!!!!」 自分達を見捨てたドスは死ね!と口々に自分が思いつく最高の汚い言葉で映し出されたドスまりさを罵る それが届くことは永遠にないのだが 「そうねぇ…じゃあ、特別に助けてあげるわ」 「ぼんどう!?!?!?」 「その代わり誰か一匹だけ犠牲になるのよ」 女性がそう告げるとゆっくり達は誰かを犠牲にして助かろうとし出す おまえの代わりに自分がゆっくりしてやるから、と 「れいむはどうなってもいいからまりさをたすけてね!」 「どぼじでぞんなごというのおおお!!!!」 「ちーんぽまらまらまんこぺーにす!」 「わからないよー!?」 まりさはゲス化し自分が助かるためなら誰かが死のうと構わない ちぇんは分からないとおろおろしみょんは論外であった 「むほおお!!すっきりー!!」 ありすはと言うと死の恐怖を目の当たりにし、生存本能が高まりれいぱーを化した 捕まったまりさから7本の茎が生え赤ゆっくりが稔り始める 「あかちゃんをころすからまりさたちはたすけてね!」 それを見た一匹のまりさがまるでノーベル賞ものの発見したかのように女性に告げる れいぱーありすを見た他のゆっくり達もそれに賛同する しかし、一匹のぱちゅりーが自分を殺せと名乗り出た 「ぱ、ぱちゅりーをころしなさい…!そうすればほかのみんなはたすけてくれるんでしょう!?」 「わからないよー!ぱちゅりーがしぬならちぇんもしぬよおお!!」 そのぱちゅりーと仲の良かったちぇんも志願した 「ちぇんとぱちゅりーがしぬかられいむたちはゆっくりたすけてね!」 二匹を犠牲にし助かると思ったれいむは安堵する だが、それとは裏腹に女性はちぇんとぱちゅりーを解放する 「おめでとう!あなたたちのような勇敢なゆっくりを待っていたわ!」 女性は二匹以外は既に眼中にない ちゃんとぱちゅりーを抱きかかえて部屋を後にする 「あぁ、残ったゆっくりは全部殺すから」 「なんでえええ!!どぼじでえええ!!!?」 「でいぶをごろざないでえええ!!」 「どがいばなありずをごろずなんでいながものよおおおお!!!」 そんな叫びも女性の耳には全く入っていなかった 「鈴仙はちぇんを欲しがってたのよね。私もぱちゅりーは欲しかったし丁度良かったわ」 女性は二匹を実験室から永遠亭へと連れて行った そこには黒髪の女性に抱えられた元ドスまりさもおり、三匹は飼いゆっくりとなった 「ところでどうやってドスまりさをこのサイズにしたの?」 黒髪の女性は二匹を連れてきた女性にたずねた あの巨体がどうすればここまで小さくなるのか 「あぁ、それは中の餡子を超高密度に圧縮しただけですよ」 帰ってきたのは簡単な答えだった by お題の人 ぼくのかんがえたさいきょうのれみりゃです こんなのも有りだなぁと考えました 次は加工場で実験されるゆっくりを書こうかと思います
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加工場の品種改良部門では日夜様々な実験が行われていた と言うのも饅頭の味を変える方法は様々だが、素材となるゆっくり自体が変わらなければ行き詰まってしまう そうして現在基本種を中心に品種改良が行われている が、実際は部門長の男が私的に実験をしているようなものだ ケージにはぱちゅりーとまりさが一匹ずつ放し飼いされており、頃合いを見て動物型にんしんをさせて子どもを作らせる そして、産まれた子供がぱちゅりーならそのまま様子を見ながら育てさせ、まりさだった場合は適当なことを理由を作って間引く 何故か?それは単純な話だ この番に求めているのはまりさ種の運動能力を持つぱちゅりー種なのだ ぱちゅりー種が持つ病気は克服できると男は考えた と言うよりもゆっくりは思いこみで全てが変わる そのため、「ぱちゅりーは病気持ち」とぱちゅりー種までもが思いこんでいる と言うよりもアイデンティティの一つなのだ それを克服するために、日夜薬を与え、子ぱちゅりーに病気は治ったと言い聞かせる ちなみに薬と言いつつも飲ませるのはラムネ菓子だ そうして遂に、まりさ種の運動能力とぱちゅりー種の頭脳を兼ね備えたゆっくりぱちゅりーが誕生した ぱちゅりー並の頭脳を持つまりさでは駄目な理由としてゲス化が上げられる 下手に頭を良くしてしまっても、70%を超えるゲス率を誇るまりさでは駄目なのだ 誕生したぱちゅりーのデータを取ったあと、子ぱちゅりーには教育を施す それは勿論加工場用ゆっくりとしての教育だ この子ぱちゅりーは既に配属部署が決まっているのでその部署で必要なことを教えさせる 両親にもその部署に配属されることがいかに名誉なことかをすり込ませてあるので大喜びだ 配属先は「こーまかん」である こーまかんと聞いてなんだれみりゃか、と誰もが思うのであるがこれこそがこの部門最大の成果である 河童の協力の下、部門長はKRSM値を測定する装置を開発した この装置を使い、KRSM値が規定値を超えたれみりゃのみを使い配合を重ねていく 何十回にも渡る実験の結果、遂にカリスマを備えたれみりゃを作り出すことに成功した このれみりゃ、普通のれみりゃとは大きく違う まず目つきが鋭くなっている。そして服装もババ臭いおべべがからKRSM値が100を超えるかりすまおべべを着ている 運動能力も野生のふらん以上であり、これが部門長の最高傑作である そうしてかりすまれみりゃと子ぱちゅりーを互いにまだ子どものうちに接触させる ぱちゅりーはれみりゃの補佐役を務めるために幼い頃から友人関係を作らせておく そうすることで互いを信頼するようになり、成体になったときに効率よく働くのだ ぱちゅりーが頭脳派でありながらまりさ種の運動能力を必要とされたのだこのれみりゃと共に働くからである このこーまかんには主であるかりすまれみりゃ、参謀役ぱちゅりー、そしてめいど長さくや、門番めーりんからなる さくやとめーりんも特別なゆっくりである めーりんはすぃーの扱いに長けておりとても好戦的に改良されている 一方のさくやはれみりゃを甘やかすのではなく主として支え、尚かつ攻撃力を増すゆっくりさくやとして改良教育済 具体的にはさくやが口に少量の土を含みはき出すと銀になるようになっている 土よりも鋭いため並のゆっくりはこの攻撃には耐えられない しかも、この銀は土と餡子に溶けるため換金することはできない そうして集められたこーまかんメンバーの仕事は野生のゆっくりの捕獲 「ふっふっふっ…さくや、しごとのじかんよ」 とてもれみりゃとは思えない口ぶりでさくやに指示を出す それを受けたさくやはめーりんと共にすぃーに乗って森へと繰り出す さくやを班長としてめーりん10匹が付き、計6班に分かれての作業 れみりゃとぱちゅりーは後方よりやや遅れて追いかける 「むきゅ、きょうのしごとはドスまりさのほかくよ」 ぱちゅりーも専用のすぃーで空を飛ぶれみりゃを追いかける 「うでがなるわね…」 今回の仕事はドスまりさとその群のゆっくりの捕獲 一件無謀にも思われるが、かりすまれみりゃとドスまりさの戦力比は1.2 1でややれみりゃの方が上回る それに並のゆっくりではさくやとめーりんには勝てない 既にめーりんが戦闘を開始しており「JAOOOOOOOON」と言う雄叫びが聞こえてくる 「いだいよおお!!やべろおおおお!!!」 襲われたのはれいむ種であった 一人で借りに出ていたところをすぃーに乗っためーりんに襲われたのだ 始め、れいむはめーりんからすぃーを奪おうと思っていた めーりんはくずだから自分が乗ってやった方がすぃーも光栄である しかし、めーりんはすぃーを渡さず、それどころか襲いかかってきたのだ 当然れいむがそれに対処できるはずもなく、自らが無意味に見下してきた相手に敗北しプライドをずたずたに引き裂かれた 追い打ちをかけるようにめーりんはれいむの餡子を食べていく 「JAOO!」 「でいぶのあんごおおおお!!!」 れいむは事切れるまでめーりんに対して侮蔑の言葉をはき続けた めーりんは餡子が食べ終わるとさくやがやってきて口に土を含みめーりんに吐き付けた 吐き出された土は銀に代わりめーりんの厚い皮に突き刺さる 「じゃおおおお!!」 「たべるんじゃなくてつかまえるのよ!」 めいど長に叱られめーりんは申し訳なさそうに「じゃおおお…」と言うと再びすぃーにまたがり群の中心を目指す 既にめーりんとさくやが群を包囲しつつありじわじわと追いつめている それを受けてゆっくり達は自ずとドスまりさの元へと集まっていく 「おちびちゃん!おかあさんのおくちにゆっくりはいってね!ドスのところにいくよ!」 「れーみゅがさきにはいりゅよ!」 「まりしゃをおいていかないでね!」 親れいむが子れいむと子まりさを口に入れてドスまりさの元へと急ぐ めーりんはそれを徐行運転をしながらゆっくりと追う 同じように他のめーりん達もドスまりさの元へと逃げ込むゆっくり見つけては泳がしていた そうして群のゆっくりは全てがドスまりさの元へと集まった 「ドス!めーりんがれいむをたべちゃったよ!」 「さくやとめーりんがせめてきたわ!」 「むきゅ、すぃーにのってゆっくりおいかけてきたわ!」 遂にドスまりさの目の前に現れためーりんとさくや 全員すぃーに乗っておりめーりんが10匹に対してさくやが一匹付いている 「こーまかんのおぜうさまがドスまりさをつれにきたわ!おとなしくわたしなさい!」 「じゃおおん!」 「じゃ、じゃおおお、じゃんじゃお!」 さくやがドスまりさの最終勧告を行う。大人しく投稿しろと 「ドスの群に酷いことをしたさくやとめーりんにはついていかないよ!」 「おぜうさまのいうことがきけないというの!?」 「れいむを殺したさくやたちはゆっくりしんでね!」 それを合図にドスまりさの巨体が宙に浮かぶ めーりんに対してプレス攻撃を行うのだ だが、めーりんはドスが飛び跳ねるのを見るや散会し固まっていためーりんは忽ち散り散りになってしまった ズゥゥン!という音ともドスが着地するとさくやを中心に群のゆっくりを傷つけ始めた 頬をかじり、すぃーで轢き、体当たりをし、そして一匹のさくやが持っている袋へとゆっくりを押し込んでいく 「じゃおおおん!」 「ゆ…ゆっくりはいるからたべないでね!」 「いやだあああ!でいぶおうちがえるううう!!」 「はやくはいるのですわ!」 「むぎゅん!?」 「ばでぃざのあかちゃんはみのがじでえええ!!」 子どもも大人も赤ちゃんも関係なく袋詰めにしていく 一つの班が捕獲に辺り残りの班がドスまりさを足止めする 「ドズの群のびんなをばなぜええ!!!」 ドスも代わる代わる襲い来るめーりんと遠距離から鋭い銀を放つさくやに阻まれて動けないでいた 自分の目の前で仲間が袋詰めにされ半狂乱となっている プッとさくやが吐いた銀弾がドスまりさの頬に突き刺さる ドス級だけあって皮が分厚く決定打にはならないものの確実にダメージを与えていく めーりんもすぃーで旋回しながら体当たりや噛みつきで皮を剥いでいく ドスまりさはドススパークを放とうにも攻撃が激しく茸を取り出せない そうこうしているうちにゆっくりの大半は袋詰めにされてしまった 残りは逃げ出したか潰されたか、あるいは食べられたか、どちらにせよ無事ではない 「じゅんちょうのようね、さくやたち」 「「「はっ、おぜうさま!!」」」 そこにかりすまれみりゃが登場した 無論、ぱちゅりーも一緒である 「むきゅう、さくやたちはつかまえたゆっくりをかこうじょうにもちかえるのよ。あのドスはれみぃがあいてをするから」 加工場という単語を聞き一斉に袋の中のゆっくりが反応する 何故か彼らの中では加工場とはゆっくりできない場所と刻み込まれているのだ 「がごうじょおおはやだああああ!!!!」 「でいぶはどうなっでもいいがらばでぃざはだずげろおおお!!」 「どぼじでぞんなこどいうのおおおお!!!!」 「ぐずめーりんがあああ!!どぼじでえええ!!!」 泣き叫ぶゆっくりを引きずってすぃーは走り出す さながらドナドナである。ドナドナドーナードーナーゆっくりを連れてードナドナドーナードーナーすぃーが揺れるー 袋を持ち帰る班と残る班とに分かれ、めーりんとさくやは役割を果たしていく このゆっくり達は加工場で商品に加工される予定である 「あなたがドスまりさね、ずうたいだけのでくのぼうさん?」 「ゆがあああ!!」 もはや正気を失ったドスまりさはあっさりと挑発に乗ってしまい、虎の子のドススパークを放つ が、かりすまれみりゃはそれを優雅に回避する 「このていどならさくやがあいてでもよかったかしらね?」 「……!?」 その時、ドスまりさは全身の毛が逆立った 今までれみりゃは何度も追い返してきた 「だどぉ〜」と間抜けな口調と低空飛行しかできないれみりゃなら自分一人でも退治できた しかし、目の前のれみりゃはふらんと同党、あるいはそれ以上に運動能力が高い そして何より、他のゆっくりからは感じない何かカリスマめいたものを感じる 怖じ気づいたドスまりさの隙をかりすまれみりゃが見逃すはずもなく、一瞬のうちに間合いを詰められ、かりすまれみりゃ必殺すぴあざぐんぐにるをもろに受けた スピア・ザ・グングニルはオリジナルのレミリアのスペルカードだ それを模しており、加工場特製のぐんぐにるを投げつける技である 一件大して事は無さそうだが、ゆっくりレベルでいうとパワーのあるかりすまれみりゃが投げれば正にグングニルなのだ 気絶したドスまりさを残ったさくやとめーりんがすぃーで引きずっていく 「さすがはれみぃね!ドスまりさもたいしたことなかったわ!」 「とうぜんよぱちぇ!こーまかんのあるじがそうかんたんにまけはしないわ!」 かりすまれみりゃとぱちゅりー、後にこのコンビが加工場を抜け出し独立するのはまた別のお話である ドスまりさが目を覚ましたとき、そこは今まで見たこともない場所だった 畳みの香りのする上品な和室 無機質な加工場ではない、人の温かさのある部屋 「あら、目が覚めたのね」 ふとよくみると自分は長い黒髪の綺麗な女の人に抱えられていたのだ 自分の体はこの女の人よりおおきいはずだ、と思わず無い首を傾げる しかし、頭を撫でられると気持ちがが良かった ずいぶん昔に置き忘れてきた母親との思い出が蘇る 「お姉さん、ここはどこ?」 意を決しそう訪ねた 体は小さくなっていてもドスとしての頭脳は健在であった もしかしたら加工場かも知れないという思いが未だに頭の中に残っている 「ここは永遠亭よ。あなたは今日からここで暮らすの」 「えいえんてい?」 聞いたこともない場所だ 「これからここで暮らす作法を教えるからしっかりと覚えなさいよまりさ」 まりさ、そう呼ばれるのも随分と久しい ドスになりゆっくりをゆっくりさせる為だけに従事していた自分にとってそれはかけがえ無いの呼び名だった 「分かったよお姉さん!まりさはゆっくり覚えるね!」 笑顔で答える元ドスまりさに黒髪の女性は「お利口ね」と頭を撫でてやり一人と一匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしていた 「…これが貴方達のドスまりさだけどどうかしら?」 赤と青、それぞれ服を縦に半分ずつ色分けした女性が映像をゆっくり達に見せる かつてお前達のリーダーだったドスは飼いゆっくりになったぞ、と 「ドズゥゥゥ!!どぼじでだずげでぐでないのおお!!!」 「ばがあああ!!ドズはでいぶだぢをゆっぐじざぜるんでしょおおおお!!!?」 それを見せられているのはかりすまれみりゃ達が捕まえてきたドスまりさの群のゆっくり達 自分達は今や加工を待つ身となり、一分後には死んでもおかしくない が、ドスまりさは飼いゆっくりという最高の栄誉を手に入れ綺麗な女性とゆっくりしている 「ぢねええ!!ドズはゆっぐじじないでじねえええ!!!!」 自分達を見捨てたドスは死ね!と口々に自分が思いつく最高の汚い言葉で映し出されたドスまりさを罵る それが届くことは永遠にないのだが 「そうねぇ…じゃあ、特別に助けてあげるわ」 「ぼんどう!?!?!?」 「その代わり誰か一匹だけ犠牲になるのよ」 女性がそう告げるとゆっくり達は誰かを犠牲にして助かろうとし出す おまえの代わりに自分がゆっくりしてやるから、と 「れいむはどうなってもいいからまりさをたすけてね!」 「どぼじでぞんなごというのおおお!!!!」 「ちーんぽまらまらまんこぺーにす!」 「わからないよー!?」 まりさはゲス化し自分が助かるためなら誰かが死のうと構わない ちぇんは分からないとおろおろしみょんは論外であった 「むほおお!!すっきりー!!」 ありすはと言うと死の恐怖を目の当たりにし、生存本能が高まりれいぱーを化した 捕まったまりさから7本の茎が生え赤ゆっくりが稔り始める 「あかちゃんをころすからまりさたちはたすけてね!」 それを見た一匹のまりさがまるでノーベル賞ものの発見したかのように女性に告げる れいぱーありすを見た他のゆっくり達もそれに賛同する しかし、一匹のぱちゅりーが自分を殺せと名乗り出た 「ぱ、ぱちゅりーをころしなさい…!そうすればほかのみんなはたすけてくれるんでしょう!?」 「わからないよー!ぱちゅりーがしぬならちぇんもしぬよおお!!」 そのぱちゅりーと仲の良かったちぇんも志願した 「ちぇんとぱちゅりーがしぬかられいむたちはゆっくりたすけてね!」 二匹を犠牲にし助かると思ったれいむは安堵する だが、それとは裏腹に女性はちぇんとぱちゅりーを解放する 「おめでとう!あなたたちのような勇敢なゆっくりを待っていたわ!」 女性は二匹以外は既に眼中にない ちゃんとぱちゅりーを抱きかかえて部屋を後にする 「あぁ、残ったゆっくりは全部殺すから」 「なんでえええ!!どぼじでえええ!!!?」 「でいぶをごろざないでえええ!!」 「どがいばなありずをごろずなんでいながものよおおおお!!!」 そんな叫びも女性の耳には全く入っていなかった 「鈴仙はちぇんを欲しがってたのよね。私もぱちゅりーは欲しかったし丁度良かったわ」 女性は二匹を実験室から永遠亭へと連れて行った そこには黒髪の女性に抱えられた元ドスまりさもおり、三匹は飼いゆっくりとなった 「ところでどうやってドスまりさをこのサイズにしたの?」 黒髪の女性は二匹を連れてきた女性にたずねた あの巨体がどうすればここまで小さくなるのか 「あぁ、それは中の餡子を超高密度に圧縮しただけですよ」 帰ってきたのは簡単な答えだった by お題の人 ぼくのかんがえたさいきょうのれみりゃです こんなのも有りだなぁと考えました 次は加工場で実験されるゆっくりを書こうかと思います
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『聖なる夜のジェラシー』 24KB 嫉妬 妬み 越冬 同族殺し 野良ゆ 希少種 現代 めりーくりすまーす(棒読み) 以下:余白 『聖なる夜のジェラシー』 *善良なゆっくりが酷い目に遭います *希少種 *希少種優遇 一、 「せっせ、せっせ……」 身も凍るような冷たい風が吹き抜ける路地裏を忙しなく走り回る一匹の野良ゆっくりがいた。 ほこりにまみれて淡い灰色になりつつある黒い三角帽子。 土や泥水がこびりついた金髪と、傷だらけのあんよ。 跳ねるたびにゆらゆらと揺れるお下げのリボンは半分ほどが破れている。 野良ゆっくりのまりさ。 大きさはバスケットボールほど。 その口にはどこかのゴミ捨て場から拾ってきたのか、破れたタオルが咥えられていた。 大方、この冬を乗り切るために必要なのだろう。 街で暮らす野良ゆっくりの越冬は難しい。 野生と違い、暖かい巣穴の奥で過ごすことができないからだ。 皮しかない顔に容赦なく吹き付ける北風。 雪が降る日は頭に積もった雪を舐め溶かさないと、すぐにぐずぐずの濡れ饅頭になってしまう。 さらに四方をコンクリートに囲まれ、陽も満足に当たらない冬の路地裏は天然の冷蔵庫と化す。 陽の当たる場所に出て行き暖を取ろうとすれば間違いなく人間によって駆除されてしまうので、冷蔵庫の中に閉じ籠るしかない。 それでも、野良ゆっくりたちは明日を生きるため、懸命に跳ね回る。 「れいむがさむいさむいにならないように、がんばるよっ!」 かじかむあんよ。 冷たい顔の皮がアスファルトにぶつかるたびに、痛みが走る。 それでもあんよを動かし続けるしかない。 おうちに帰れば寒さに震え、飢えに苦しむ最愛のれいむが待っているのだ。 断っておくが、れいむは生活のすべてをまりさに任せてゆっくりしているわけではない。 一週間ほど前に、“ゆっくり狩り”と称して路地裏に雪崩れ込んできた小学生グループによって“遊ばれて”しまったのである。 あんよは使い物にならないほどに痛めつけられ、片方の目玉は在るべき場所にない。 ぺにぺにを引き千切られ、まむまむもぐちゃぐちゃのミンチにされた。 れいむが、まりさと一緒に冬を乗り切ったあと、二匹のちびちゃんを生んで育てるのが夢だと話していたことが、文字通りの夢 物語となってしまった。 れいむはズタボロになってしまった自分の顔や、身体のあちこちを見て泣きながらまりさに「れいむとわかれてね」と訴えてい たが、まりさはそれを聞き入れなかったのだ。 「れいむ! ゆっくりただいま!」 「ゆっ……。 ま、まりさ……ゆっくり、おかえりなさい……」 「どうしたの? げんきがないよ? ぐあいでもわるい?」 まりさがれいむの頬をぺーろぺーろと舐めながら心配そうに瞳を覗き込む。 れいむがまりさの優しさに思わず揉み上げを震わせる。 「いつも、ごめんね……。 れいむ、なんにもまりさのやくにたてなくて……」 「そんなことないよ! まりさは、れいむがいるからがんばれるんだよ!」 「……まりさ……。 ゆっくり、ありがとう……」 二度、三度と互いに頬をすり寄せ合った後、二度、三度のふれんちちゅっちゅ。 れいむが嬉し恥ずかしそうに頬を染める。 (まりさ……ほんとうに、ほんとうに、だいすきだよ……) 動けない自分を。 愛するゆっくりの欲求を満たしてあげられない自分を。 迷惑ばかりかけている自分を。 何も言わずに支えてくれて、自分のことを好きだと言ってくれるまりさは、れいむにとっての全てだった。 「れいむ! みて! とっても、あったかそうな“もうふさん”をみつけてきたよっ!」 「ゆ?」 まりさが自慢げに破れたタオルをれいむに見せる。 れいむが「ゆわぁ」と目を輝かせた。 気温は日に日に下がってきており、特に朝夕の冷え込みが激しい。 ワンルームの段ボールハウスで暮らす二匹は、寄り添うことでした暖を取る方法がなかった。 まりさが嬉しそうに咥えたタオルをれいむにそっと巻いていく。 「ゆ、ゆゆーん……。 まりさ、あったかいよ……。 まりさも、こっちにきてね」 「ゆっくりりかいしたよ」 破れているとはいえ、少し長めのタオル。 まるで一本のマフラーを二人で巻き合う恋人たちのように、タオルで繋がるまりさとれいむは互いに見つめ合って微笑んだ。 「れいむ……」 「なぁに?」 「まりさと……ずっといっしょにゆっくりしようね」 「……うん。 ありがとう……まりさ」 もそもそと顔だけ動かして、まりさの頬にそっと唇を当てるれいむ。 それから二匹は段ボールハウスの中から長方形に区切られた世界を無言で見つめていた。 「ゆ……?」 その長方形に白い粒が降りてくる。 「ゆきさん、だね……」 「きょうのよるもさむくなりそうだよ……。 れいむ、まりさにぴったりくっつていね」 「ゆんっ////」 寄り添う二匹。 生きて行くことがどんなに辛くても、互いの頬から伝い合う温もりが「明日も生きていたい」と願わせる。 そのとき。 近くに何者かの気配がした。 勘のいいまりさが視線をきょろきょろと左右に動かす。 「どうしたの、まりさ……?」 横目でまりさに声をかけるれいむ。 まりさはすぐにでも段ボールハウスを飛び出していって、周囲の確認をしたかったがタオルで包まれているため、それができな かった。 「ゆぅ……。 なんでもないよ。 まりさのきのせいだったみたい。 ごめんね」 「んーん……いいよ、べつに」 (……たしかに、だれかいたようなきがしたんだけど……。 にんげんさんだったら、すぐわかるよね……。 ねこさん、かな ……? それとも、いぬさん……?) 思考を巡らすまりさを余所に、れいむはまりさの温もりに安心しているのかいつのまにか、「すーやすーや」と寝息を立ててい た。 まりさが寄りかかるれいむの顔に自分の顔をそっと重ねる。 この日の夜も寒かった。 それでも、まりさが見つけてきた破れたタオルのおかげで幾分寒さが緩和されていたのか、真夜中に寒さで目が覚めるような事 はなかった。 二、 「くりすます?」 「むきゅ。 そうよ。 ぱちゅをかってくれていたにんげんさんにむかしきかせてもらったおはなしだから、まちがいないわ」 クリスマス。 人間たちの文化にそういうものがあるらしいことをまりさは初めて聞いた。 「とおくから、にんげんさんたちのおうたがきこえてくるでしょう? あれは、“くりすますそんぐ”さんっていうのよ」 最近野良ゆっくりになったばかりの元・飼いゆっくりのぱちゅりーが目を細めてまりさに語る。 「むきゅきゅ。 ぱちゅも、ずっとまえに、にんげんさんといっしょに、くりすますをおいわいしたわ」 懐かしそうに、悲しそうに、寂しそうに、言葉を紡いでいくぱちゅりー。 まだ白さが残っているナイトキャップには、一部だけ激しく破れた痕跡がある。 捨てられる際に、バッジをむしり取られたのだろう。 飼いゆっくりの転落ゆん生話はありふれている。 ぱちゅりーの過去も想像に難くない。 「おいわい、ってどんなことをするの?」 「そうね……。 だいすきなひとといっしょにすごすひとがおおいらしいわ」 「だいすきな……? それなら、まりさは、まいにち、くりすますさんをやっているよ!」 「むきゅきゅ。 でも、くりすますさんは“とくべつなひ”なのよ?」 「どういうこと……?」 まりさが小首を傾げるような仕草をしてぱちゅりーに視線を向けた。 「だいすきなひとに、“くりすますぷれぜんと”をあげたり、いっしょにいーちゃ、いーちゃ、したりするのよ」 ぱちゅりーの言葉にまりさがしばらく考え込む。 ぱちゅりーはまりさを見つめながら「少し難しかったかしら?」と様子を伺っていた。 当のまりさはというと、ちゃんとぱちゅりーの言葉を理解しており、「いーちゃいーちゃなら毎日してるよ」だの、「毎日れい むと一緒にいるよ」だのと思いを巡らせている。 しかし。 「くりすますぷれぜんと、っていうのはなんなの?」 「だいすきなひとに、おくりものをあげることよ」 「ごはんさんとかじゃなくって???」 「それは、ふだんからもっていってあげているのでしょう? ふだんとちがうものを、くりすます、というとくべつなひにあげ ることに、いみがあるのよ」 「なんだかとってもゆっくりできそうだね。 よーし、それじゃあ、れいむにすてきなぷれぜんとさんをさがしてくるよ!」 「きっと、れいむもよろこぶとおもうわ」 クスクスと笑うぱちゅりーを見て、まりさがふと気になったことを訪ねようとした。 「ぱちゅりーも何か貰ったの?」と聞きかけてしまったまりさが慌てて口を閉じる。 ぱちゅりーはまりさが何を言おうとしたのか察しているのか、むきゅきゅ、と小さく笑っただけだった。 実はと言うと、ぱちゅりーはまりさとれいむの関係について知っている。 れいむがどういう状況に置かれているかも、何もかも。 ぱちゅりーとれいむもお喋り友達である。 だからこそ、まりさに、クリスマスの話題を振ったのだ。 友達のれいむに幸せになってほしかった。 友達のまりさにれいむをもっと幸せにしてあげて欲しかった。 あるいは、一年前に飼い主と共に祝ったクリスマスの幸せをまりさとれいむにも感じてほしかったのかも知れない。 ――もう、みんな、死ねばいいのに……。 どこからか声が聞こえた。 まりさとぱちゅりーが周囲を見回す。 しかし、誰もいない。 まりさとぱちゅりーが背中合わせにくっついて警戒を始めた。 「いま、たしかに、なにかきこえたわよね……?」 「ゆっ。 まりさもきいたよ。 このちかくにだれかがいるよ……。 にんげんさん……かな?」 「だとしたら、たいへんよ……。 はやく、どこかにかくれないと……」 しかし、何処へ行きようもなかった。 先ほどの声がまりさとぱちゅりーに向けられたものであれば、声の主はまりさとぱちゅりーの動きを把握しているだろう。 下手に何処かへ隠れれば、逃げ出すこともできないままに窮地に陥ってしまう可能性も高い。 だが、それ以上声は聞こえなかった。 また、誰もまりさとぱちゅりーの前に現れることもなかった。 「さいきん、だれかにみられているようなきがするんだよ……」 ようやく周囲の空気も落ち着き始めた頃に、まりさがぽつりと呟く。 「むきゅ……?」 「おうちのちかくに、だれかがいるようなきがして……。 いつも、おうちのまわりをみにいくんだけど、だれもみつからなく て……。 ごはんさんをとりにいくときも、うしろがきになってしかたがないよ……」 「そういうことが、なんどもあるのかしら?」 「ここさいきんはずっとだよ……。 まりさはともかく、れいむのことがしんぱいで……」 「れいむは、なにかいっていないのかしら?」 「れいむは、なにもかんじていないみたいだったよ」 「そう……。 なんだか、ゆっくりできないわね……」 人間がこんな事をするはずがない。 人間がゆっくりを監視するぐらいなら、一思いに出て行って潰しにかかるほうが圧倒的多数だろう。 では、犬や猫なら。 これも同じで、犬や猫はゆっくりを食糧としか見ていないので、見つけた瞬間襲いかかるはずだ。 元・飼いゆっくりである本物の賢者・ぱちゅりーでもこの疑問を解決することができなかった。 謎は深まるばかりである。 不意にまりさが口を開いた。 「ゆっくり……なのかな……?」 「まさか。 もうすぐ、ほんかくてきにふゆさんがくるのよ……? みんな、ごはんさんをあつめたり、あたたかいものをさが すのに、おおいそがしのはずだもの。 おうちをうばいにこないということは、そういうことにはこまっていないはずだから、 ゆっくりとはちがうとおもうわ……」 「ゆぅ……たしかにそうだね……」 なんとなく、きょろきょろと周囲を見渡すまりさに、ぱちゅりーが再び言葉をかけた。 「まりさ……。 さっきのはなしはわすれてちょうだい」 「ゆ……? くりすますのこと?」 「そうよ。 さっきは、れいむにくりすますぷれぜんとをあげてほしいとはいったけれど、れいむをひとりにしないほうがいい かもしれないわ……」 「ゆ…………」 「まりさも、きをつけて。 なにかに、ねらわれているかもしれないわ……」 「ぱちゅりー」 「むきゅん?」 「くりすますさんは、いつかわかるの……?」 「……まちのにんげんさんのなかに、あかいふくをきた“さんたさん”というひとがあらわれたら……たぶん、そのひがくりす ますだとおもうわ」 それから言葉を繋げようとしたぱちゅりーに、悪戯っぽい笑みを浮かべてみせたまりさが「じゃあ、まだクリスマスまで時間が あるんだね」と言い残し、路地裏の奥へと走って行った。 ぱちゅりーはそれを制しようとしたがいかんせん、間に合わない。 跳ね去っていくまりさの後姿を見ていると、それ以上声を張り上げることもできなかった。 「むきゅー……」 のそのそとこの場を移動し始めるぱちゅりー。 向かう先はまりさとれいむのおうちだ。 最初は二匹で狩りに出かけると話をして、まりさとれいむのおうちを後にしたので、まりさの帰りが遅くなるとれいむに余計な 心配をかけてしまう。 ずりずりとあんよを這わせながら、どうやってプレゼントの事を伏せたまま、れいむにまりさの行動について教えるべきかと考 えを巡らせていた。 大通りへと道が続く路地裏の十字路には、人間の街の陽気な音楽が風に乗って届いてくる。 とても、同じ世界で生きている生き物だとは思えなかった。 自分たちがこれほどまでに冬の冷たい風に苦しんでいるというのに、人間たちはまさにどこ吹く風と言わんばかりである。 昼間なのにキラキラと彩られた街の欠片を見つめながら、ぱちゅりーはそれから目を逸らすように再びあんよを蹴った。 この日が十二月二十三日。 テレビのニュースでは、今年はホワイトクリスマスになるだろうとの事だった。 三、 ぱちゅりーと別れたまりさは一直線にある場所へと向かっていた。 まだれいむが元気だった頃。 一緒に路地裏を跳ね回っていた頃。 二匹だけで遊びにきた廃材置き場。 ここでは、れいむの好きなものが良く見つかる。 その正体はというと何でもないただのパチンコ玉なのだが。 良く二匹で転がし合って遊んでいたパチンコ玉も、れいむがあんなことになってしまって以来、目にすることもなかった。 あの頃は二匹で食糧を集め、拠点である段ボールハウスに暗くなる前に戻ってくれば良かったのである。 たまに遊びに行くことだってできた。 「ゆぅ……。 さがそうとするとなかなかみつからないね……」 廃材置き場のあちこちをうーろうーろするまりさ。 まりさの言葉は的を射ており、探そうとすればするほど見つかりにくい物というのはこの世界に山ほどある。 暗くなる前に見つけてしまいたい、という気持ちがまりさを更に焦らせた。 目に見える範囲はすべて探したつもりである。 今度は廃材の隙間に潜り込んでいかなければならない。 一度、廃材の下に潜り込んで壊れた傘を拾おうとしていたとき、廃材のバランスが崩れあわや生き埋めにされるという事態にな りかけたことがある。 なるべくなら、そこに目をつける前に目的の物を見つけてしまい、早くれいむの元へと帰りたかった。 「ゆぐ……やっぱり、このたいせいはきついね……」 廃材の山の中に頭だけ突っ込んでお尻をぷりんぷりんと動かしながら無理矢理、廃材の隙間に入り込んで行く。 当たりだった。 廃材の下に、一個だけパチンコ玉を見つけた。 それも最近捨てられたばかりなのか、あまり錆びておらず銀色がなかなかに美しい。 舌を伸ばせばこれ以上奥に進まなくても良さそうだ。 「ゆっくりみつけたよ!」 四苦八苦しながら自らの手中に収めたパチンコ玉を見てまりさが満足げな笑みを浮かべた。 そのときだった。 「…………っ!!」 あの視線を感じる。 どこからだろうか、それは判らない。 だが、確かに見られているのだ。 動くことができなかった。 ここは廃材置き場である。 逃げ道は一か所……すなわち、ここまで来た道しかない。 「だれなの……? いいかげんにでてきてね……? まりさ、おこるよ……?」 後半から徐々に声のボリュームを小さくしていきながら、まりさが恐る恐る静かな空間に問いかける。 しかし、返事は返ってこない。 それなのに、確かに何かがいる。 「……へぇ。 くりすますなんだ。 ふたりでいっしょに……? たのしい? しあわせ? そう、よかったわね……。 ねた ましいわ」 「…………!!」 「ほんとうに、もう……しねばいいのに」 「だれ……なの……?」 廃材の陰から一匹のゆっくりが姿を現した。 緩いウェーブのかかった少し明るめの茶色の髪の毛。 そして、まりさを射抜く不気味なほどの光を湛えた緑色の瞳。 それは希少種・ぱるすぃである。 ペットショップ市場に出回ってからまだ日が浅い。 ゆっくりの中では珍しく、疑い深く警戒心が強い、ある意味ではもっとも野生ゆっくりらしいゆっくりである。 ちなみに捕食種ではないらしい。 捕食種ではないが……。 「ああ、ねたましい……。 かえりをまっているこいびとがいるのがねたましい。 そのこいびとにぷれぜんとをあげようだな んてかんがえかたがねたましい。 くりすますにふたりですごすあいてがいるのがねたましい。 りあじゅーがねたましい……」 恐ろしいほどまでの嫉妬心を持つゆっくり。 相手の一挙一動に対して嫉妬心を剥き出しにするのが、このぱるすぃの特徴である。 故にペットとしては向かなかったのだろう。 こんな都会の路地裏で見かけるということは、ぱちゅりー同様に人間に飼われていたものが捨てられたのに違いない。 怯えて動けないでいるまりさに体当たりを仕掛けるぱるすぃ。 理由は判らないが、あの緑色の瞳に覗きこまれた瞬間、まりさは金縛りにあったように動けなくなってしまった。 それはゆっくりにしては勘のいいまりさが感じた確かな畏れ。 目の前のゆっくりが確実に自分を殺そうとしていることが理解できる故の硬直。 「や、やめてね……。 ねたまないでね! ねたまないでね!」 「ああ……ねたましい、ねたましいわ……」 体当たりで突き飛ばされたまりさが螺旋階段の縁で止まった。 ビルの非常階段だが、地下に向かって続いているようでまりさがいる位置から下までの高低差は五メートルほどもある。 「どぉして、こんなことするのぉぉぉぉぉ?!!」 「こいびとがいるのがねたましい。 ぱるすぃはしあわせになれなかったのに、まりさがしあわせそうにしているのがねたまし い……」 「ま、まりさはぱるすぃのことなんてしらないよ! いいがかりはやめてね!!!」 「……くりすますをいわえる、まりさが……ねたましい」 「ゆひいいぃぃぃぃぃぃ??!!!」 聞く耳持たぬぱるすぃの冷たい視線にまりさがおそろしーしーを漏らしながら後ずさる。 それからすぐに気付いた。 これ以上後ろに下がると螺旋階段の下に落ちてしまう。 それだけはなんとしても避けなければならない。 それなのに。 「やめてね! ぱるすぃ! まりさ、おちちゃうよぉぉぉぉぉぉ」 「いきるきぼうがあるのがねたましい。 たすかりたいとおもえるのがねたましい」 「ゆああああああああああ!!!!」 ぱるすぃがまりさに体を当てる。 そのまま体勢を崩したまりさは螺旋階段の下へと真っ逆さまに落下していった。 「おそらをとんでべびゅぎゅぇッ??!!!」 螺旋階段の底に叩きつけられた衝撃でまりさの皮が破れ、目玉が飛び出し、中身の餡子を周囲にぶちまけた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ」と呻き声を上げながら最早動くことの叶わぬまりさが虚ろな目で、螺旋階段をゆっくりと降りてくるぱるすぃ を見上げている。 やがて、潰れてしまって切れ切れの呼吸をしているまりさの傍までやってきたぱるすぃがにこやかに微笑んだ。 「さかさまてんろーのはてまでようこそ」 「っ?!!」 「こんなたかさからおちて、いきているうんのよさがねたましい……」 「~~~~~ッ??!!!」 ぱるすぃの口に咥えられているのは尖った木の枝。 ぱるすぃはそれをまりさの皮にゆっくり、ゆっくり、何度も、何度も刺し込んだ。 「ぱるすぃもしあわせになりたかったわ……。 くりすますをだいすきなひとといっしょにすごしたかったわ。 すてきなくり すますぷれぜんとさんをもらいたかったし、わたしてあげたかったわ……」 自虐的な笑みを浮かべながら、ぱるすぃがまりさの残されたもう片方の目玉に木の枝をずぶりと突き刺した。 瀕死のはずのまりさが皮をびくつかせて痙攣を起こす。 血走った目玉の奥からぷしゅぷしゅと餡が溶けたような液体が噴き出している。 「まりさは、しあわせなゆっくりだから……しねばいい」 「!!???」 滅茶苦茶な理屈をまりさに対してぶつけるぱるすぃ。 ぱるすぃはまりさの目玉にそっと唇を当てると、まりさの目玉を上下の歯で挟んで噛み千切った。 瞬間、目の前が真夜中になってしまうまりさ。 「ぱるすぃとおんなじせかいをみているはずなのに、ぱるすぃがみているよりもたくさんのきれいないろをみている、そのおめ めがねたましい。 だから、もう、みえなくなっちゃえばいいのに」 それからまりさの唇を噛み千切って吐き捨てる。 「こいびとにやさしいことばをかけてあげられるこのおくちがねたましい。 ちゅっちゅなんてして、こいびとをどきどきさせ てあげられるこのくちびるがねたましい……」 びくびくと痙攣を起こすまりさにもはや意識はない。 「……まりさがいきていることのすべてが……ねたましい……」 そう言ってぱるすぃは、まりさがぴくりとも動かなくなるまで、延々と尖った木の枝を刺し続けた。 くすくす、くすくすと笑いながら。 「妬ましい、妬ましい」と呟きながら。 四、 ぱちゅりーはまりさの後を追いかけていた。 れいむにまりさのことを話した後、いつまで経っても戻ってこないまりさのことが心配になったのだ。 そこでぱちゅりーはれいむに全てを打ち明けて、尋ねた。 まりさはきっと、れいむにあげるプレゼントを探しに行ったに違いない。 どこに探しに行ったか心当たりはないものか、と。 しばらく考え込んだれいむが思いついたように、まだ自分が元気だった頃にまりさと良く遊びに行った廃材置き場の事を語って 聞かせた。 まだ、日没までには時間がある。 だが、何かトラブルに巻き込まれているのかも知れない。 「まりさぁ! どこなの? ここにいるのぉ……?」 ようやく廃材置き場までたどり着いたぱちゅりーが息を切らしながら叫んで呼びかける。 しかし、自身の声が周囲のコンクリートに反響するだけで、まりさからの返事はない。 ずりずりとあんよを這わせて廃材置き場の周辺を調べ始めるぱちゅりー。 ぽん……ぽん……ぽん……ぽん…… 目の前の螺旋階段から何か音が聞こえてきた。 ぱちゅりーが思わず身構える。 ぽん……ぽん……ぽん……ぽん…… 人間の足音とは違う。 まして、犬や猫のものでもない。 そう、まるで。 (ゆっくりが……とびはねて、のぼってきているみたいな……) 「たすけにきてくれる、ともだちがいるのがねたましいわ……」 「!!!」 螺旋階段の下から声がした。 ぱちゅりーが恐る恐るあんよを踏み出すのと、ぱるすぃの緑色の瞳が視界に入るのがほぼ同時。 ぱるすぃはぱちゅりーの事を見つめながらゆっくりと螺旋階段を昇り終え、ゆっくりと近づいてきた。 先ほどのまりさと同様、どうしてかぱちゅりーも動くことができない。 「まりさを……みかけなかったかしら……?」 「みかけたわよ……。 さっき、ぱるすぃがえいえんにゆっくりさせちゃったけれど……」 ぱるすぃの言葉を聞いたぱちゅりーが後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を感じる。 今、このゆっくりはなんと言ったのだろうか。 永遠にゆっくりさせちゃった。 そんな事を軽いノリで言ってのけたのである。 「そこのかいだんのしたをみてみるといいわ。 まりさが、つぶれているから……。 まりさはやっとしあわせになれたのよ。 だれからもねたまれることなく、しずかにねむりについたの」 「なにを……いってるの……」 「ぱちゅりー? ぱるすぃはね、まりさと“れいむ”のことがねたましくてしょうがなかったわ。 あんなになかがよくて、い つもいっしょで……」 「まりさとれいむのおうちのまわりにいたのは、ぱるすぃ……なの?」 「そうよ。 ねぇ? ぱちゅりー。 ぱちゅりーも、ほんとうは、まりさとれいむがねたましくてしかたがなかったんじゃないの?」 「!!!!!」 「ぱちゅりー“も”にんげんさんにかわれていたのでしょう? いっしょに、くりすますをおいわいしたんでしょう? でも、 いまはできないのよね……? でも、まりさとれいむはそれができる……。 ねたましかったはずよ……ほんとうは」 淡々と言葉を続けるぱるすぃに、ぱちゅりーは微かに震えていた。 ぱるすぃはクスクスと笑うと、ぱちゅりーの横を通り過ぎて廃材置き場を出て行こうとする。 「……れいむのところにいくの……?」 「まさか。 れいむは、ねたましくないもの……。 むしろ、かわいそうとおもうぐらいよ……。 だって、くりすますのよる に……それまでいっしょにいただいすきなひとをまちつづけていも……そのひとはもう、じぶんのところにはこないのだから……」 「ぱるすぃ……あなたは……」 「くりすますなんてだいきらい。 ぱるすぃをすてたにんげんさんのことをおもいだすから。 ぱちゅりーだってそうなんでし ょう? まりさとれいむにもくりすますのことをおしえてあげたのは……、いやなおもいででしかないくりすますを……かえよ うとしただけじゃないの……?」 「そんな……ことは……」 「だから、ぱるすぃは、ぱちゅりーのことがすきよ。 ぱるすぃと、おんなじおもいをして、なにかしようとしたのだから」 「……それだけのりゆうで、まりさをえいえんにゆっくりさせたの?」 震えながらぱちゅりーが尋ねる。 ぱるすぃはまるで枯れ木に突如として咲いた桜のような笑顔を浮かべて「そうよ」と言った。 「あぁ……。 でも、そうね……」 「むきゅ……?」 それから、百面相のように表情を変えるぱるすぃが突如として、ぱちゅりーを睨み付けた。 口元が歪んでいる。 「おともだちとたくさんおしゃべりできて、たのしそうなぱちゅりーは…………」 ぱちゅりーが顔面蒼白になって後ずさる。 それ以上、動くことはできなかった。 ぱるすぃの口に咥えられた尖った木の枝。 その先端にこびりつく餡子。 「――――ねたましいわ」 五、 日付が変わってクリスマスイヴ……。 れいむは段ボールハウスの中でガタガタと震えていた。 まりさが持ってきてくれたタオルにくるまっていても、寒さは緩和されない。 まりさの温かさが恋しくて恋しくて仕方がなかった。 「さむい……さむいよぅ……。 おなかが……すいたよう……」 飢えと寒さがれいむを容赦なく襲った。 深夜。 テレビのニュースの通りに雪が降り始めた。 雪を見ていると、ますます寒さが激しくなってきたような錯覚を覚える。 「まりさ……どこぉ……」 いつまで経っても帰ってこないまりさ。 動けないれいむには、まりさを探しに行くことも何もできない。 ただただ、待つしかない。 決して戻ってくることはないまりさを……れいむは待ち続けた。 まりさが帰ってきたら「おかえり」と言ってあげよう。 きっとまりさも寒いと思っているはずだから、すーりすーりして温めてあげよう。 何か嫌なことがあったのなら聞いてあげよう。 ……「おかえり」と言ってあげたい。 すーりすーりして温めてあげたい。 まりさの話を聞いてあげたい。 「ただいま」と言ってほしい。 すーりすーりして温めてほしい。 まりさに話を聞いてほしい。 会いたい。 逢いたい。 「まりさ……れいむは……まりさに、あいたいよ……。 あいたいよ……。 あいたいよぅ……」 ぽろぽろと涙を零すれいむ。 その涙も凍りつくのではないかと思うほど、冷気は容赦なくれいむを蹂躙していた。 目の前が霞んでいく。 れいむにも限界が訪れ始めているのだろう。 思い出が巡っていく。 ぱちゅりーに話した言葉。 まりさと一緒に遊んだ廃材置き場の光景が思い浮かぶ。 まりさは、本当に自分にあのとき遊んでいたパチンコ玉をプレゼントしてくれるつもりだったのだろうか。 幸せだな、とれいむは心の中で呟いた。 一度は捨てた自分の命を繋いでくれたのは他ならぬまりさ。 れいむはまりさをずっと信じている。 それでも、まりさは来なかった。 れいむはいつの間にか眠りについていた。 そして、そのまま、二度と目覚めることはなかった。 元はあの一件以来極端に落ちていたれいむの体力。 まりさが傍にいてくれることで辛うじて繋がっていた命の断片。 それを冬の凍てつく風が容赦なく壊してしまったのである。 翌朝。 固まったように動かなくなったれいむが入った段ボールハウスの前にぱるすぃがいた。 口に咥えたパチンコ玉をそっと段ボールハウスの中に入れる。 れいむの死に顔は不思議と穏やかなものだった。 帰ってこないまりさを恨むようなことはしなかったのだろうか。 自分が裏切られたのだとは思わなかったのだろうか。 ぱるすぃが唇を噛み締める。 それから、溜め息をついた。 「……それでも、まちつづけてしまうのは……。 いったい、どうしてかしらね……。」 「……だから、くりすますは“とくべつなひ”なのかしら……」 「ねたましいわね……」 La Fin
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【検索用 ちゅか 登録タグ 作ち 作ちや 作り手 作曲家 作詞家】 + 目次 目次 特徴 曲 CD 動画 関連タグ内の更新履歴 コメント 特徴 作り手名:『ちゅか』 ユーザー名は「かゆやま」。主にUTAUを用いてオリジナル曲を制作していたが、現在はその大半が削除され現存しない。 UTAU「春名手首」「ほのか鳴」の中の人でもある。 曲 amade アイトユウ コールドループ わたしと十人のやさしい隣人たち。 CD まだCDが登録されていません。 動画 関連タグ内の更新履歴 + 関連タグ内の更新履歴 関連タグ内の更新履歴 ※「ちゅか」「ちゅかCD」タグ内で最近編集やコメントのあった記事を新しい方から10件表示しています。 わたしと十人のやさしい隣人たち。 コールドループ アイトユウ amade コメント 名前 コメント
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『人間の世界でゆっくりが見た夢(下)』 五、 ゆっくりたちが夜の路地裏を這いずり回る。それは希望に満ちた行進であるはずだった。状況を飲み込めていない多くのゆっ くりたちはともかく、ぱちゅりーたちの表情は暗い。曲がり角の向こう側。電柱の陰。自分たちの視界に映らない場所のそこか しこに脅威が潜んでいるような気がしてならなかった。堤防への道筋は何度かちぇんが群れのゆっくりたちに教えていたので、 向かう方向だけは統一されている。しかし、足並みは揃わない。 だが、考えようによっては不幸中の幸いとも言える。有事の際、固まって行動していたら一網打尽にされるかも知れない。暗 がりの中を進むぱちゅりーたちは街灯の明かりだけを頼りにあんよを進めていた。 「ゆぅ……くらくてよくみえないよ……」 「わかるよー……。 なんだかいつもとちがうばしょにむかってるようなきがするんだねー……」 もちろんそれは夜の闇が見せる錯覚だ。ゆっくりたちは確実に堤防へとあんよを向けている。しかし、昼と夜の風景の違いが まりさやちぇんの感覚を狂わせているのだ。不安な気持ちがあんよを鈍らせてしまう。何度も何度も後ろを振り返りながらずり ずりと移動することになった。その分、ぱちゅりーとありすは周囲の様子に気を配る事ができる。 刹那。 「ゆ゛っぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「?!」 湿った空気を切り裂く叫び声。ゆっくりたちが思わずあんよを止めた。 「れみりゃだぁぁぁぁ!!!!」 「……ッ!?」 夜はれみりゃの時間だ。それは以前ぱちゅりーも語っていたことである。人間の動きにばかり気を取られていたせいか、捕食 種の存在にまで頭が回らなかった。 れみりゃは笑顔で固定されたような表情を浮かべ空を飛び回り、地を這うゆっくりを貪り食らう夜の帝王である。辺りが暗い せいでれみりゃが何匹いるのか、どこにいるのか、それさえも把握できない。 「い゛だい゛ぃぃ!! やべでぇ!! ありずはお゛い゛じぐないわ゛ぁ゛!!!」 れみりゃがありすに牙を突き立てたようだ。泣き叫ぶ声がぱちゅりーたちの元にまで届く。暗闇の中、散り散りになって逃げ 惑うゆっくりたち。出発してから一時間と経過しないうちに群れは離散してしまった。れみりゃは三匹ほどで路地裏の上空を旋 回している。動きの遅いゆっくりを狙って急降下し一撃で柔らかい皮を食い破っていく。 「ゆああ!! こっちこないでね!! ぷくー……んっぎゃあああああ!!!!」 「れいむのがわいいちびちゃんがあぁぁぁ!!!!」 ゆっくりの叫び声に気づいた付近の住民が家から飛び出してきた。事態は最悪の展開へと変化していく。しかし。れみりゃも 人間もゆっくりたちを深追いする事はなかった。 雨が降り始めてきたのである。日中は薄曇りで冷たく湿った風が吹いていた。不幸は終わらない。路地裏にゆっくりが雨を凌 ぐような場所はなかった。何匹かのゆっくりは意を決して人間の家の庭に入り込んだり、植え込みの中に顔をねじ込むような形 で雨を遮っている。突然降り出した雨に対応できなかったゆっくりたちは体の小さな赤ゆを中心に次々と溶けていった。ふやけ た皮から中身の餡子が漏れていく。 「ゆあああ! まりさのなかみさん!! ゆっくりしないでもどってね!!!!」 「もっちょ……ゆっくちしちゃかっちゃ……」 「ちびちゃん! おかあさんのぼうしのしたにはいってね!!!」 「あんよがうごきゃにゃいよぉぉぉぉぉ!!!!」 「だずげでぇぇぇぇ!!!!」 四方八方からゆっくりたちの泣き叫ぶ声が上がる。絶叫と悲鳴による荘厳なオーケストラをバックミュージックにぱちゅりー たちはガタガタ震えていた。 ぐずぐずに溶けて動けなくなったゆっくりが雨に打たれ続けその命を散らしていく。あまりにも儚い命だ。人間に追われ、捕 食種に狙われ、雨に打たれても消えてゆく。これ以上に脆弱な存在が果たしてこの世に存在したであろうか。それでも、ゆっく りたちは生きる事を願う。世界は自分たちに対して決して優しくはなかった。 「まりさ……」 ちぇんが見ている方向に顔を向けるとそこには街灯に照らされたゴミ捨て場があった。堤防付近に設置されていたものである。 それに気づいたのかまりさとちぇんが顔を見合わせて「ゆっくり~!」と歓喜の声を上げた。ぱちゅりーたち四匹のゆっくりが 休んでいるのは路上に駐車していた車の下だ。水は近くの側溝に流れていくためにあんよが水に濡れることもない。落ち着いて 避難場所を探すことのできたゆっくりたちの大半は降り続く雨を見つめながら互いに身を寄せ合っていた。 「もう、おくちのなかからでてきてもいいよ」 一部のゆっくり親子は赤ゆを口の中に避難させることで難を逃れたようだ。 口の中に入ったまま親ゆが溶けて死んでしまい、そのまま一緒に溶けて命を落とした赤ゆも決して少なくはない。側溝の下に 潜り込んで雨を凌いだつもりが流れ込んできた水によって命を奪われたゆっくりもいた。 「ぱちゅの……せいだわ……」 「とかいはじゃないわ! ぱちゅりーのせいじゃないわよ!」 「そうだよ! すぐにでもしゅっぱつしないとにんげんさんたちにゆっくりできなくさせられちゃうところだったよ!」 「そうだねー……。 あかるくなってからかわさんをめざしてもにんげんさんにみつかってしまったとおもうよー……」 本心でかけられた言葉がぱちゅりーの心を熱くさせる。 「ゆっくり……ありがとう」 その一方で、黒服と所長は大きめのモニターに映し出された街の地図とその中で点滅するマークを見つめていた。点滅してい るのはぱちゅりーに付けられた発信器の位置を示している。ぱちゅりーが夜のうちに移動を始めたことは保健所サイドに筒抜け であった。 「――――おそらく、野良ぱちゅりーと一緒に廃材置き場に住み着いていたゆっくりの殆どが……あるいは全部が行動を共にし ているでしょう」 「危険を察知でもしたのか……?」 「そこまではわかりません。 しかし、あの野良ぱちゅりーたちはどうやら川を遡って森に帰ろうとしているらしいですね。 どうしてなかなか知恵が回る」 「じゃあ明日の駆除は……」 「街の中心部と河川敷を中心に行えば問題ありません。 詳しい作業場所の説明は当日行うとしましょう。 私は野良ぱちゅり ーの動きを見ておきます。 あなたは先に休んでいてください」 「……わかった」 所長が部屋を出て行く。金バッジぱちゅりーは既に眠りについていた。 「どこか一箇所に追い詰める必要があるな……」 黒服、いや公餡のやり方は徹底されているようだ。ゆっくりを対等な存在と見て対策を練っている。事実そこまでしなければ 野良ゆを全滅させることはできないだろう。この街の実情を見ていればそれが理解できる。黒服が注目したのは川に架かる三本 の橋。 「……討ち漏らしたゆっくりは、ここで死んでもらうとするか……」 早朝。 小鳥の囀りに目を覚ましたぱちゅりーが寄り添う三匹をそっと起こす。雨は上がっていた。通り雨だったようである。気がつ けばずりずりとあんよを這わせる別のゆっくりたちがちらちらと視界に入ってきた。ぱちゅりーたちも無言のまま、車の下から 這い出す。そして堤防へ向かってぴょんぴょんと飛び跳ね移動を開始した。アスファルトの階段を登って河川敷を見下ろす。大 きな川が下流に向かって流れていた。ぱちゅりーたちが堤防を上流へと向かって動き始める。気がつけば数匹のゆっくりが同じ 方向へあんよを這わせていた。川の流れる方向とは反対へ進むという事は記憶していたのだろう。再三ぱちゅりーが語って聞か せていたおかげと言える。 「みかけないゆっくりもいるね」 廃材置き場に住むゆっくり以外のゆっくりも同じような行動を起こしていた。おおかた、何匹かのゆっくりが街で見かけたゆ っくりを脱出に誘ったのだろう。川沿いに百匹に僅か足りないほどのゆっくりたちが集まってきている。一様に上流へと向かっ てジャンプをしていた。 時計が午前七時を示している。 街の中心部に集められた保健所職員とボランティアの一般参加者に拡声器を使って一日の方針を伝えるのは所長だ。傍らには 黒服が控えている。 「――――であるからして、我々は一刻も早く野良ゆっくりを一匹残らず駆除しなければならいのであります!!! それでは、 街の中心部と河川敷に別れて作業を開始してください!!」 説明が終わると同時に一斉に人間が散開し始めた。手にはゴミ袋と火挟みが握られている。街の要所要所にゆっくり回収専用 のトラックが停車していた。普通の野良ゆであればまだ活動を開始していない時間である。 「おい……」 一人の参加者が木の下に不自然に積み上げられた枝やビニール袋を発見した。忍び寄りそれをひと思いに取り払う。突然おう ちの天井部分を破壊されたまりさ親子は飛び起きて叫び声を上げた。 「ゆわぁぁぁ!!!」 「や、やめてねっ! れいむたちのおうちをこわさないでねっ!!!」 「おきゃーしゃん、きょわいよぉぉぉ!!!!」 「ぷきゅー!!」 無言で火挟みを二匹の親ゆっくりに突き立てる。引き裂けんばかりに口を開いて絶叫する親ゆを執拗に殴打する人間たち。二 匹の親ゆはすぐに死んでしまった。三匹の赤ゆはわけもわからずガタガタ震えている。小さな瞳からぽろぽろと涙をこぼす赤ゆ たちを人間たちは容赦なく踏み潰してゴミ袋の中に放り込んだ。 「ゆんやぁぁぁ!!! こっちにこないでねっ!! どうしてついてくるのぉぉぉ?!」 逃げ惑う数匹のゆっくりを追いかけて殴りつける。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、……」 全身を駆け巡る激痛に息を漏らすれいむ種が動きを止めた瞬間、揉み上げを掴まれアスファルトに叩きつけられた。顔の半分 が潰れたれいむ種は即死である。壊れた饅頭をゆっくり回収車の中に投げ込んだ。 「ごわいよ゛ぉぉぉ!!」 成体ゆっくりも子ゆっくりも、目の前で繰り広げられる虐殺劇に怯え震えている。ゆっくりが必死に作ったおうちはいともた やすく破壊され、その中で泣きながら命乞いをするゆっくり親子を一匹残らず叩き潰す。物陰の奥に隠れて叫び声を上げるゆっ くりも引きずり出して息の根を止めた。公園の敷地内を逃げ回る赤ゆも一匹ずつ追い詰めて正確に潰して回る。草の根をかき分 けてまで生き残りのゆっくりを探す人間たちの行動が、いかに本気で一斉駆除を行っているかを窺わせていた。いつもならばや り過ごせていたはずのゆっくりも隠れ場所を暴かれて絶望しながら死んでいく。 「どぼじでごんな゛ごどずるのぉぉぉ??!!!」 悲痛な問いかけに答える人間は誰一人としていない。 「だずげでぐだざい!! おでがいじばずぅぅぅ!!!!」 赤ゆたちを庇うように前に出て額を地面にこすりつけるゆっくりの頭をそのまま踏み潰す。目の前で絶命した母親ゆっくりを 見て泣き声を上げる前に二匹の赤ゆは潰されてしまった。街中のゆっくりたちが悲鳴を上げながら蜘蛛の子を散らしたように逃 げ惑う。人間たちはどこまでも追いかけてきた。どこに逃げても人間たちが待ちかまえている。ボランティアの参加者の中には バールや鎌などといった個人の“道具”を持参している者もいた。それぞれの凶器が振り下ろされゆっくりが次々と弾け飛ぶ。 何を言っても聞き入れる様子のない人間たちに、野良ゆたちは恐れ慄いていた。恐怖でしーしーを漏らす成体ゆっくりも淡々と 潰されていく。駆除から逃れようと交差点に飛び出したゆっくりが四トントラックにはねられて爆散した。草むらに顔だけ突っ 込んで尻をぶるぶると震わせているゆっくりのあにゃるに鎌を突き刺して引きずり出すと、痛みに泣き喚いてのたうち回るその ゆっくりを動かなくなるまで徹底的に殴打し続けた。バラバラに砕かれる歯。千切れる皮、揉み上げ、髪の毛、伸ばした舌。そ こにゆっくりという生き物が存在した痕跡そのものを完全に消し去ろうとせんばかりの勢いで叩き伏せる。 「もう、やめてくださいぃぃぃ!!! まりさたち、ゆっくりしてただけなのに……どうしてこんなことするのぉぉぉぉ?!!」 街のあらゆる場所からゆっくりたちの声が上がった。もう、全てが手遅れだった。ゆっくりたちは人間を完全に敵に回してし まっていたのである。 叫び声は風に乗って河川敷にまで微かに届いていた。河川敷、堤防の上、堤防脇の道路。それぞれのルートでゆっくりたちが 逃げ続けている。ゆっくりたちの全力疾走は、人間が早歩きをする程度のスピードしかない。逃げ切れる道理はなかった。事実、 ろくに隠れるスペースもない河川敷ではあらゆる場所でゆっくりが激痛に身を捩らせ叫び声を上げている。地獄絵図だった。河 川敷に散らばるゆっくりの残骸。飛び散った餡子。転がる目玉。千切れた体を必死に動かそうともがき続ける赤ゆ。パニックに 陥り川の中に飛び込んで逃げようとしたゆっくりたちの飾りが下流に向けて流されている。それでもなお、駆除活動は続いてい た。顔面がボコボコに凹んでいながらもかろうじて生きている野良ゆが人間の目を盗んでその場を逃れようとしている。人間た ちはそれさえも見逃さなかった。まともに動くことすらできないゆっくりの顔に何度も何度もハンマーで叩きつける。殴られる たびに揉み上げをびくんと動かし、「ゆ゛っ」と短く呻き声を上げた。 「もうやだぁぁぁ!!! おうちかえるぅぅぅぅ!!!!!」 在りもしない居場所に帰ると叫ぶ野良ゆを二人がかりで押さえつけて殴り続けた。 「ゆ゛ぶっ!! ゆぼぉっ?! ゆ゛げぇッ!!! ゆ゛ぐぅっ!!! ゆ゛んぎい゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! ……い、い゛ だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!」 一斉駆除の説明を受ける際に、ゆっくりは完全に死ぬまで殴り続けるように言われた。体の小さな赤ゆを一匹ずつ踏み潰すの は面倒になってきたのか、摘み上げられた赤ゆが次々と川の中に投げ込まれていく。 「おしょらをとんでりゅみちゃ……ゆぴゅぇッ?! ゆんやぁぁぁ!!! おみじゅしゃんはゆっくちできにゃいぃぃぃぃ!!!! ……ゆ゛ぶぶぶぶぶぶ……」 「ゆっくりにげるよ!!! そろーり! そろーり!! どぼじでにんげんざんがいる゛の゛ぉぉぉぉ?!!」 河川敷を逃げ回るゆっくりたちはほぼ完全に包囲されていた。それでも駆除は追いつかない。街の中心部から逃げてきた野良 ゆたちが次々に合流していくからだ。駆除に参加していた人間たちにも疲労の色が見え始める。 (信じられん……。 こんなにたくさん……いやがったのか……) ゆっくりの数は人間たちの想像していた絶対数を遙かに上回っていた。一体これほどの数のゆっくりがどうやって街の中に潜 んでいたのだろうか。人間たちは苦情の件数やニュースで見かける野良ゆの集団などでしかゆっくりの総数を把握してなかった。 表舞台に現れて世間を騒がせていた野良ゆは全体のほんの一部に過ぎなかったのである。 駆除に参加した人数は約七十人。それだけの人数で野良ゆを全滅させるのは物理的に不可能だった。保健所所長ががっくりと 肩を落とす。 「全滅させるのは無理だ……数が多すぎる……」 「今日一日で全滅させる必要はありません。 大切なのは一般市民にゆっくりが駆除すべき対象である事を知らしめることです よ」 「……どういうことだ?」 「今、この街の市民にとってゆっくりを駆除することは“常識”になりつつあります。 その風潮はやがて“見かけたゆっくり はまず潰す”という意識に変わっていくでしょう。 街のあちこちにゆっくり用のゴミ箱を設置するといい。 ゆっくりは動き 回るゴミでしかないという考え方を植え込んでいけばいいんです。 ……ゆっくり、とね」 黒服が冷たい笑みを浮かべた。 なおも続くゆっくりたちの絶叫。ボランティアの一般参加者も粘り強く駆除に当たっていた。思惑は成功していると言えるの かも知れない。これまでのように泣きすがるゆっくりに慈悲をかける者はいなくなった。 「どこににげればいいのぉぉ?! ゆっくりしないでおしえてねっ!!! しんじゃうよぉぉぉ!!!!」 「おきゃーしゃあああん!!! どきょぉぉぉ?!! ひちょりにしにゃいでぇぇぇ!!!」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 駆除開始から既に二時間が経とうとしている。休日とはいえそろそろ街が動き始める時間帯だ。街の中心で一日中駆除を行う 事はできない。駆除の舞台は街の中心部から河川敷へと移っていった。あれだけ潰したにも関わらず河川敷では今もなお百をゆ うに越えるゆっくりたちがぴょんぴょん飛び跳ねて逃げ続けていた。ゆっくり回収車も堤防脇の道路に縦列駐車で停まっている。 川の下流に流れていくゆっくりの飾りの数もどんどん増えていく。 「ゆんやぁぁぁ!!! おきゃーしゃんもいっしょじゃにゃいちょ、いやぁぁぁぁ!!!」 「ちびちゃん。 ゆっくりりかいしてね。 ちびちゃんだけでもゆっくりにげてね!!!」 一匹のまりさ種が自分の帽子の中に二匹の赤ゆを入れてそれを川に浮かべていた。このまりさ種は命の次に大切とされる帽子 を犠牲にしてまで我が子を守ろうとしていたのだ。そこへ人間が迫ってくる。 「……ゆっくりしていってね!!!」 まりさが口でついと、帽子を川に向けて押しやる。岸から離れていく帽子。その中から赤ゆたちが飛び跳ねてまりさに助けを 求めていた。だがまりさは一瞬で人間によって叩き潰されてしまう。まりさの死骸はそのまま川に蹴り込まれた。 「ゆんやああぁぁぁ!!!!」 長い棒きれを帽子に引っかけて止める。 「や、やめちぇにぇっ!! やめちぇにぇっ!!!」 何をされるかの予想はつかないが嫌な予感だけはするのだろう。必死になって懇願する赤ゆたちの入った帽子を棒きれで傾け て転覆させた。それからしばらく何か喚いていたが、赤ゆたちが水面から顔を出すことは二度となかった。 「ゆはぁっ、ゆはぁっ……!!」 ぱちゅりー以下三匹のゆっくりたちはあえて路地裏の中を通って川に並行するような形であんよを動かしていた。数多の仲間 が次々と目の前で潰されていくところが瞼に焼き付いている。涙目のまま、無心でひたすらアスファルトの上を跳ね続けた。 「ゆっくりがいたぞ!!!」 自分たちの遙か後方から人間たちの声が上がる。四匹とも死を覚悟しながらもあんよを止めることだけはしなかった。足音が どんどん近づいてくる。後方を移動していたまりさとありすはお互いの顔を見合わせて頷くと、あんよを止めて迫る人間へと向 き直った。ぱちゅりーとちぇんが二匹に向かって何か叫んでいる。それをかき消すかのようにまりさとありすが大声で叫んだ。 「ぱちゅりー!!! まりさたちにごはんさんをむーしゃむーしゃさせてくれてありがとう!!!」 「ありすたちはとかいはなぱちゅりーたちのことを、ずっとずっとわすれないわ!!!だから……」 「「ゆっくりにげてね!!!!」」 「むきゅぅぅ!!! だめよ!! みんなでいっしょにもりにかえるっていったでしょぉぉ?!」 「わからないよー!!! まりさもありすも、いっしょににげるんだねー!!!!」 「ぱちゅりー……。 にんげんさんにみつかったら、なかまをおいてでもにげなきゃいけない、ってぱちゅりーがおしえてくれ たんだよ」 「そうだわ。 ありすたちは……ごはんさんのおれい、これぐらいしかできないから……」 ぱちゅりーが泣きながら叫ぶ。 「いっしょにゆっくりできることのほうがだいじだわっ!!!!」 ちぇんがぱちゅりーの髪の毛を咥えて引っ張った。ぱちゅりーがずりずりと引きずられる。ちぇんはまりさとありすの決意に 応えようとしていたのだ。 「むきゅ!! ちぇん!!! はなして……っ!! おねがいよっ!!!!」 「ちぇん……ぱちゅりー……!!! まりさたちのぶんまで、たくさんたくさんゆっくりしていってね!!!!」 ぱちゅりーはそれ以上何も言わなかった。二匹があんよを蹴る。振り返ることもしなかった。後方から、まりさとありすの絶 叫が上がる。涙が溢れて止まらない。ちぇんも、ぱちゅりーも必死になってあんよを動かし続けた。まりさとありすの分まで絶 対に生きてみせる、という強い意志の下。 長い長い路地裏を抜けた。目の前に再び堤防が現れる。その更に前方。大きな橋が見えた。その橋の向こう岸に街の中では見 たことがないような緑色の世界が広がっている。 「……もりだわ……っ!!」 確証はなかったが確信があった。野生で暮らしていた母親ゆっくりから受け継いだ知識がそう答えを告げている。逃げ切った ゆっくりたちも同じ場所を目指しているようだった。その数はもはや三十匹にも満たない。人間たちもここまでは追ってこない ようだ。逃げ切った。どのゆっくりもがそう思っていた。 「ぱちゅりー……っ!!」 「ちぇん……っ!!!」 二匹が顔を見合わせる。目指した場所はもうすぐそこだ。自然とあんよを蹴る力が強くなった。 「なんだと?! 橋を封鎖するとはどういうことだ!! 聞いてないぞ!!! 私たちの判断だけでそんなことができるわけが ないだろう!!!」 保健所所長が語気を荒げて黒服に怒鳴りつけていた。黒服は鬱陶しいと言わんばかりの表情を浮かべ、一瞥する。 「三本ある橋の一本だけです。 それに既にこちらから話は通してあります。 あなたたちはそのまま駆除を続けてください」 「馬鹿かお前は!! ゆっくりがどの橋を渡るかなんてわからんだろうが!!! 自然に帰すのはマズイと言っていたのはお前 だろう!!!」 「わかりますよ」 「……何?」 「ゆっくりが渡る橋は……いや、“渡ることのできる橋”は一本しかありません」 「くっ……」 「私たちもそろそろ行きましょう。 駆除はもうすぐ終わりです。 あの野良ぱちゅりーにつけた発信器も回収できるなら回収 しておきたい」 どこまでも冷静な黒服に苛立ちを隠しきれない保健所所長は顔を真っ赤にしながら、車に乗り込んだ。 三本の橋。それは街の境目を流れる一級河川に架かる巨大な橋だ。当然、交通上重要な役割を果たしている。それを三本とも 封鎖などしたら様々な方面から苦情が来るだろう。公餡に依頼を出しているとは言え、作業の責任は保健所側が担うことになっ ていた。それなのに公餡からやってきた黒服の若造は平気で橋を封鎖するなどと進言してくる。大々的に報道されていたおかげ で街の住人たちは今回の駆除に注目をしていた。下手に失態などを見せてしまえば批難の矢面に立たされるのは間違いない。 (ゆっくりが……っ!!! ゆっくり如きが……ッ!!!!) 拳を握りしめる保健所所長の横顔を横目で見ながら黒服が小さく笑う。 「以前、テレビ局の人間にも言ったんですがね……」 「なんだ?!」 「――――あなたたちはゆっくりの事を知らなさすぎる」 黒服たちの乗ったライトバンが一本の橋の前で止まった。既に橋は封鎖されているようだ。しかしこの付近に人員は配置され ていないようである。 「人間をあえて配置しないことでゆっくりたちにこの橋を渡るように仕向けるという事か……子供騙しな」 「いえ……。 無駄な人件費を削減しただけですよ」 飄々と答え続ける黒服の態度に保健所所長が突っかかろうとした時だった。 「来ましたよ」 「なに?」 ぱちゅりーとちぇんを先頭にゆっくりたちが逃げてくる。真っ直ぐに黒服たちの方向へと向かっていた。あれから生き残りが また合流したのか数は五十前後にまで増えているようだ。橋はもう目の前に迫っている。 「ぱちゅりー!! もうすこしだよ!!!」 「むきゅ……ッ!! むきゅ……ッ!!!」 体力的にも精神的にもぱちゅりーは限界が近づいていた。そんな中でもぱちゅりーの思考が止まることはない。橋を見かけて 人間が追って来なくなったときには嬉しくてはしゃいでいたが、それに対して違和感を覚えていたのだ。 (どういうことかしら……? あんなにたくさん、にんげんさんがいたのに……おいかけてこないなんて……) 目の前の橋にも疑問符が打たれる。一台も車が通っていない。 (にんげんさんのすぃーが……ひとりもいないのだってなんだかおかしいわ……) ぱちゅりーが目を見開いた。それからあんよで地面を蹴りながら叫ぶ。 「みんなっ!! “このはしはわたってはいけないわ!!!”」 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛?!!」×約50 「ぱちゅりー! ちぇんにもわからないんだねー。 せつめいしてほしいよー」 「にんげんさんも、すぃーもいないなんてへんだわ!! まるでぱちゅたちにこのはしをわたらせようとしているみたいだもの!」 「……ッ!!」 「それに……すぃーのなかのにんげんさんはぱちゅたちをおいかけてきたりはしないわっ! いままでだってそうだったはずよ!」 道理だ。わざわざ車から降りてまでゆっくりを駆除しようとする人間はいないだろう。それどころかそんな事をすれば大事故 に繋がる危険性だってある。逃げ続けるゆっくりたちがぱちゅりーの事を口々に賞賛した。あの橋は間違いなく罠だ。人間が自 分たちを捕まえるためにわざと渡らせようとしているに違いない。 「あのはしをわたるひつようはないわっ! つぎのはしをわたりましょう!!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!!」×約50 ぱちゅりーたちが無人の道路を横切ろうとする。その様子をライトバンの中から見ていた保健所所長がついに咆哮を上げた。 「この役立たずが!!! 見ろ!!! ゆっくりどもが通り過ぎて行くぞ!!!! お前の頭はゆっくり以下か!!!!!」 保健所所長に耳元で怒鳴りつけられた黒服はたた一点を見つめて動かない。静まり返る車内の空気に耐えられなくなったのか、 保健所所長が黒服の見る先へと視線を向けた。開いた口が塞がらなくなる。 「馬鹿……な」 ぱちゅりーたち総勢五十匹ほどのゆっくりたちが道路の中央で立ち止まっている。まるで見えない壁でも立っているかのよう だった。全てのゆっくりが道路を横切ることができないでいる。遅れて追いついてきたゆっくりたちの反応も同じようで、それ 以上進もうとしない。 「どういう……事、だ……」 黒服が静かに答える。 「“死臭”ですよ」 「死臭……?」 「保健所のガス室に初めて入るゆっくりが、なぜ“ここはゆっくりできない場所”だと分かるのか……考えた事はありませんか?」 「まさか……」 「ゆっくりは、死ぬとゆっくりにしか分からない臭いを放ちます。 人間に感知することができない臭いなので、一種のフェロ モンのようなものと私たちは考えていますが……それを死臭と呼んでいるんです」 「じ……じゃあ……」 「あの一帯にはゆっくりの死臭をかなりの濃度で散布してあります。 どれだけ知恵の回るゆっくりであっても、本能から逃れ ることはできません。 反射的に挨拶を返すのと同じ理屈で、あの向こう側へは絶対に進むことはできないんです」 「信じられん……」 しかし、道路の中央で右往左往して困ったような顔を浮かべるゆっくりたちを見る限りでは信じざるを得なかった。 ぱちゅりーたちはどうしても道路を横切ることができない。 「ゆあああ!!! ゆっくりできないにおいがするよぉぉぉ!!!」 「ゆゆっ! こっちのみちはとおれないよ!!!」 死臭は十字路の二カ所を塞ぐような形で散布されていた。ぱちゅりーたちが選択可能な道は二つしかない。一つは元来た道を 引き返す道。そしてもう一つは罠の危険性が高いこの橋を渡る道。そのとき。数台のゆっくり回収車がぱちゅりーたちに迫って きた。これまでの出来事であの車がどういう役割を果たしているかは十分に理解できている。 「れいむははしさんをわたるよ!!! ゆっくりもりにかえるよっ!!!!」 一匹のれいむがぴょんぴょんと橋の上を飛び跳ねて行くのを皮切りに、全てのゆっくりたちがその後に続いた。取り残された のはぱちゅりーとちぇんの二匹だけである。ぱちゅりーは唇を噛み締めていた。橋を見れば理解できる。あの上に自分たちの逃 げる場所はない。しかし、もはや引き返すことも叶わなかった。選択肢は全て潰されてしまっている。ゆっくり回収車から下り てきた人間がゆっくりと歩み寄ってきた。ライトバンからも保健所所長と黒服が下りてくる。 「……む、むきゅぅぅ!!!」 ぱちゅりーと黒服は初対面ではない。大人しいぱちゅりーが黒服を相手に威嚇を始めた。ちぇんも黒服の事を覚えているのか、 睨みつけたまま動かない。しかし、優先すべきは命だ。あらゆる選択肢が失われたとは言え、逃げ続ければ別な選択肢が生まれ るかも知れない。それに賭けて、二匹は橋へとあんよを蹴った。その後ろを悠然と歩いてついてくる人間たち。 橋の中央。必死に逃げ続けるぱちゅりーたちの前で一歩も動けないでいるゆっくりたちの姿があった。 「そんな……ゆっくり、できない……」 ゆっくりたちの更に向こう側に“白衣の悪魔”が待ち構えていた。後ろを振り返ると、先ほどの人間たちが少しずつ詰め寄っ てくる。橋の上のゆっくりたちはガタガタ震え始めた。挟み撃ち。橋の上でゆっくりたちはとうとう王手をかけられたのである。 橋の上を風が吹き抜けた。あまりにも静かだ。表情を見ればわかる。ここにいる全てのゆっくりたちは、間違いなく死を覚悟し ていた。 「もう理解できただろう? お前たちは街から出ることはできない。 森に帰ることもできない」 黒服が冷たく言い放った。視線が向けられた先にはぱちゅりーがいる。黒服はぱちゅりーに向かって先の言葉を紡いだようだ。 「どうして……?」 「…………」 「ぱちゅたちは、にんげんさんにつれてこられて……っ! すてられて……っ! まちでひっしにいきようとしても、じゃまも のあつかいされて……っ!! だから、みんなでもといたばしょにかえろうとしていただけなのに……っ!!! どうしてこん なことするのっ?!!」 感情をむき出しにしたぱちゅりーが叫ぶ。ぱちゅりーの言葉にゆっくりたちはぼろぼろと涙を流していた。黒服が淡々と答え る。 「簡単だ、ぱちゅりー。 それはな。 私たちが“人間”でお前らが“ゆっくり”だからだよ」 「ひどい……ひどいわ……っ! ぱちゅたちは……ぱちゅたちは……っ!!!!」 「お前たちはな。 “生きている”という夢を見ているだけの存在でしかないんだ。 夢はいつか醒めるものだろう?」 ゆっくりたちに黒服の話を理解することはできなかった。人間たちが一斉に詰め寄る。ゆっくりたちから絶叫が上がった。ぱ ちゅりーは泣きながら黒服に威嚇を続けている。ぱちゅりーに歩み寄った黒服は、取りつけた発信器を外すとそれ以上何も言わ ずに後ろを向いてしまった。その背中に思いつく限りの呪詛を浴びせる。ぱちゅりーの言葉もゆっくりたちの気が狂ったような 悲鳴で掻き消されてしまった。 次々と叩き潰されてゴミ袋の中に投げ入れられる野良ゆたち。中には逃げようとした橋の下に転落し、水面に叩きつけられて 即死してしまうゆっくりもいた。逃げる場所はどこにもなかった。身を隠す場所もない。八方塞がりで泣き叫ぶことぐらいしか 抵抗のできないゆっくりたちの命が一瞬で消えていく。ここまで必死に生きていたのは何故だったのだろうか。自分たちには夢 を見ることすら許されていないのか。 森に帰りたかった。草の上を跳ね回り、家族と一緒に頬を寄せ合い安心して眠ってみたかった。人間と仲直りをして一緒にゆ くりしたかった。ゆっくり。ゆっくりしたかった。ただ、それだけなのに。 「ちぇん……」 虐殺劇の中央。絶叫と悲鳴。水しぶきのように飛び散る餡子だけが視界に映し出される世界の中で、ぱちゅりーは想いを寄せ るゆっくりの名を呟いた。ちぇんは既に潰された後だ。ぱちゅりーの呟きには答えない。視界に人間の足が映った。見上げる。 そのまま、長い長い夢は終わりを告げた。 六、 「ゆゆっ? にんげんさん! ゆっくりしていってね!!!」 歩道を歩いていた青年と路地裏から出てきた野良のまりさが鉢合わせた。まりさは嬉しそうな笑顔でゆらゆらと揺れている。 挨拶を返してもらうのを楽しみに待っているようだ。青年は無言でまりさを抱き上げるとそのままコンクリートに勢いよく叩き つけた。笑顔のまま顔がぐちゃぐちゃになって潰れたまりさをゴミ箱の中に投げ入れる。そのゴミ箱には“ゆっくり”との文字 が書いてあった。 あの一斉駆除以来、街を這い回る野良ゆはほとんど見かけなくなった。相変わらず路地裏の奥にまで出向いて野良ゆを駆除す るようなモノ好きはいなかったが、表通りに現れた野良ゆはほぼ例外なく叩き潰されている。野良ゆ関連のニュースもめっきり 減っていた。一頃に比べて野良ゆの絶対数が少なくなっているのだろう。 泣きながら物乞いを続けていた野良ゆたちは今とな っては都市伝説のような扱いを受けていた。 突然現れた謎の生物・ゆっくり。人間と同じ言葉を喋り、見ようによっては愛嬌もあるゆっくりたちはペットとして人間たち に乱獲された。ある時期、人間とゆっくりは仲良く過ごしていたのだ。やがて人間はゆっくりを自分たちと同じような存在のよ うに勘違いをしていく。そこから生まれた悲劇は数知れない。価値観の違い。生態の違い。初めから自分たちと異なる存在だと 割り切っていれば起きなかったであろうすれ違いが、両者の間に大きな溝を作った。飽きられたゆっくりたちは街に放り出され る。 空前の飼いゆっくりブーム。そこから一斉に生まれた捨てゆ。それらが繁殖の末に生みだした野良ゆ。なぜ、野良ゆたちはす ぐに街を離れようとしなかったのか。ゆっくりもまた勘違いをしていた。自分たちゆっくりと、人間は同じ価値観を持った仲間 なのだと。今は嫌われていても、いつか必ず自分たちの事を分かってくれる。仲直りをしてくれる。そんな淡い夢を抱き、街か ら……いや、人間から離れることができなかったのだろう。人間を恐れながらも、人間を頼ろうとするのはそんな気持ちが根本 にあったからなのかも知れない。 一連の事件の発端は、人間とゆっくりによる互いの理想の押し付け合いから始まったのだという考えは、一連の事件が終わっ た後だからこそ浮かんだのだろうか。 程なくして、二度目の飼いゆっくりブームが起きる。一度目ほどの勢いはなかったが、それでもペットショップでゆっくりを 買って行く客は少なくないそうだ。いつしか、ペットショップに並ぶゆっくりたちには虚勢と避妊が義務付けられるようになっ た。飼いゆが野良ゆに無理矢理子供を作らされるのを防ぐため。そして、飼いゆが野良ゆと子供を作り、人間の知識を受け継ぐ 野良ゆが生まれるのを防ぐため。ゆっくりを本当に好きな飼い主たちはこの義務に心を痛めた。だが、過去の事件を振り返れば 異論を唱えることなどできなかったのである。 ゆっくりは、生物としてではなく、物として扱われることで、初めて幸せになれるのだ。飼いゆは、生きていると言えるのだ ろうか。飼いゆっくりは何不自由なく飼い主と過ごし、そのゆん生を終える。生きるということがどういうことかを知らないま まに。それは、夢を見続けているのと同じ事である。決して醒めることのない夢。 今日も、飼いゆっくりたちは夢を見る。……人間の世界で。 おわり 日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。 あとがき 今回のお話は飼いゆっくり保護法成立過程その2ということで“去勢”を施されるに至った理由を語るものでした(駆除がメイン になってしまった感が全開ですけど……)。 人間と同じような知恵を持った野良ゆが増えるのを防ぐというのが最大の目的です。 実はまだこの段階では“飼いゆっくり保護法”自体は成立しておらず……その3でお話しする予定のバッジ制度が採用されて初め て完成となります。 御察しの方はいらっしゃるかも知れませんが、公餡に所属するゆっくりの証明である金バッジが余白世界のバッジ制度の走りです。 もっと言ってしまえば、“飼いゆっくり保護法”を作ったのは公餡です。 『俺が、ゆっくりだ! 2』で俺れいむが自分を“金バッジゆっくりで野良ゆを捕まえるための~”とか言ってたのはこういう事 なわけでした。 それでは最後まで読んでくださった方ありがとうございます。いろんなご意見・ご感想・ツッコミなど書いていただけるとありが たいのですが、感想スレのリンクの貼り方がわかりません……。だ……誰か教えてくれても、いいのよ(チラチラッ 最後に“公餡”設定を使わせていただいた絵本さん、本当にありがとうございました。 2010.06.01 余白
https://w.atwiki.jp/afi-momo/pages/24.html
2chのあいのりアンチ桃住民が相手の労苦をねぎらう意で用いる言葉。 「お疲れ様」の意。 語源は桃が使う痛い幼児言葉「ちゅんちゅん」から来ている。