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『足りないものが多いぱちゅりー』 31KB 愛情 自業自得 共食い 番い 群れ ゲス 自然界 人間なし 7作目 過去の作品との繋がり有り 7作目です。 過去作「ある変わったれいむのお話」と繋がっている部分があります いろいろとチャレンジ中 *注 ・虐待、制裁成分は薄めです ・ゆっくりらしくないゆっくりがでます ゆっくりぱちゅりー それは、ゆっくりの中で通常種と呼ばれているものの一つである。 体力は他種よりも低いが、代わりに記憶力があり、知性も高めなのが多い。 そのためぱちぇりーは他種から「賢者」として扱われ、群れのリーダー、参謀、知恵袋といった役割についていることが多い。 もっとも、間違った知識によって群れを崩壊に導く「もりのけんじゃ(笑)」と呼ばれたりするものが殆どではある。 これは、そんなぱちゅりー種の内、足りないものが多いぱちぇりーのお話である。 『足りないものが多いぱちゅりー』 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× 「ゆが~~!!このあ”まあ”まはまりざのものなんだぜ~!!」 「むほ~!!これはとかいばなありずがだべるのにふさわじいのよ~!!」 「じゃまだ~!!こごにあるのばぜんぶでいぶのものだ~~!!」 「・・・むきゅ、ゴボッ、どうして・・・」 一匹のぱちゅりーが、今まさに永遠にゆっくりしようとしていた。 体の大部分が潰されており、口からは中身の生クリームが大量に出てしまっている。 その傷は、明らかに他のゆっくりによって成されたものであった。 そんなぱちゅりーを、周りにいるゆっくりたちは見向きもしない。 ただ他のゆっくりと争い、傷つき、永遠にゆっくりしていく。 「(・・・なんで・・・いつもぱちぇは・・・ゆっくり・・・できな・・・い・・・の・・・)」 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ぱちゅりーの一番古い記憶は、両親につれられて旅をしているものである。 「お父さん、お母さん。またお引越しするの?」 「ごめんね、ぱちゅ。ここでゆっくりする訳にはいかないんだよ」 「大丈夫よ、ぱちゅりー。貴方のことはちゃんと守ってみせるわ」 その頃の生活は、その日の食料と寝床を何とか手に入れ、次の日には別の場所へ行くというものであった。 両親は何処かに定住しようという気がなく、まるで何かから逃げるかのように移動を続けていた。 その頃はとにかくゆっくりできない物事が多かった。 何しろ食事も寝る場所も時には無く、すぐに移動することから親しいゆっくりもおらず、 かといって両親は得られるか分からない食事と寝床を探すために、なかなかぱちゅりーに構ってあげられる暇がない。 しかし、ぱちゅりー自身はゆっくりできないと感じたことは少なかった。 両親が本当にぱちゅりーのことを大切に想ってくれているのだと感じていたからである。 ゆっくりが旅を続けるということは、普通に暮らすよりも危険が多いことだ。 ぱちゅりーの家族も、数え切れないくらい何度も危ない目にあってきた。 「ぱちゅりー!大丈夫だった!?」 「私は平気よ。でも、お父さん、お母さん、そっちの方が!」 「大丈夫だよ、ぱちゅ。これくらい何でもないよ」 そんな時、両親は自分達が傷を負ってでも、必ずぱちゅりーの安全を最優先してくれていた。 ぱちゅりーが両親の愛情を特に感じた出来事がある。 ある山を通った時の事だ。 「しねっ!しねっ!」 捕食種のふらんに出くわしたのだ。 「こっちよ!」 「しねー!!」 「ぱちゅ、今のうちに!」 「う、うん!」 両親は一方が囮となってふらんをかく乱し、もう一方がぱちゅりーを連れて逃げた。 「うー!!」 「「!!」」 だが運悪く、ぱちゅりー達の方にもれみりゃが現れたのだ。 この時、ぱちゅりー達のすぐ側は急な斜面となっていた。 「ぱちゅ!!(パクッ)」 ”ピョン” ”コロコロコロコロ・・・・・・・・・” 「うー!?」 親ゆっくりは、ぱちゅりーを素早く口の中に入れるとその斜面へ身を投げ出した。 斜面を転がり降りることでれみりゃから逃げようとしたのだ。 だが、 「(逃げ切れそうかしら・・・)」 親の口の中で回転を感じていたぱちゅりーは、 ドンッ!!! 「むきゅ~!!?」 次の瞬間に強い衝撃を感じて気を失った。 「むきゅ~、お父さん?お母さん?」 ぱちゅりーが気が付いた時、辺りはすっかり暗くなっていた。 それと同時に、自分が親とはぐれてしまったことにも気が付いた。 「(・・・私はどれくらいの時間を気絶してたのかしら?)」 どのくらいの時間を気絶してたのかは分からなかったが、元々が夜行性の捕食種に出会う程度の時間だったのだ。 そう経過しているとは、ぱちゅりーには思えなかった。 「(それ程は経ってなさそうね・・・・・・ということは・・・いけない!)」 そう思ったとき、ぱちゅりーは別のことにも気が付いてしまった。 それは両親の他にも、襲い掛かってきた捕食種達も近くにいる可能性が高いということだ。 ぱちゅりーは慌てて身を隠し、早く朝がきて、両親が自分を探してくれることを祈った。 ぱちゅりーにとって長い恐怖の時間の始まりだった。 何時間たったのか、それとも数分しかたっていないのか、ぱちゅりーには分からなかったが、まだ朝日は昇ってこない。 そのとき、ふいに物音が聞こえ出した。 その物音は、ぱちゅりーにはまるであの捕食種達の羽音のように聞こえた。 音が近づくにつれ、ぱちゅりーは恐怖でどうにかなりそうだった。 しかし、 「ぱちゅ!!」「ぱちゅりー!!」 「お父さん!お母さん!」 それは、両親がぱちゅりーを探しに来てくれた音だった。 両親は自分達が捕食種に狙われる危険を省みずに、朝を待たずぱちゅりーを探してくれていたのだ。 ぱちゅりーを連れて逃げた親の方など、転がり降りる途中で岩か何かにぶつかったのか、 大きな傷をつけながら、それでもぱちゅりーを探しに来てくれていた。 「ゆ~、ぱちゅのお飾りにヒビが入っちゃったね・・・」 「ゆっくり、できないかしら」 「いいえ、生きていてくれただけで十分よ、ぱちゅりー」 この両親とはぐれた際の出来事で、ぱちゅりーのお飾りにはヒビが入ってしまっていたのだが、 ぱちゅりーにはそれが両親の愛情の証のように思えて、まるで気にはならなかった。 両親もお飾りの傷など気にせず、ぱちゅりーが生きていてくれた事こそを喜んでいた。 そんな、危険も多いが親の愛情も感じていた旅の生活が終わったのは、ぱちゅりーがそろそろ一人立ちできるぐらい大きくなった頃だった。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× 「むきゅ~~~!!ぱちぇの親が~~!!」 「ゆぅ、おそくまで狩りをしすぎたんだよ・・・」 「運もなかったんだぜ・・・ふらんかれみりゃに出会っちゃったみたいなんだぜ・・・」 ぱちゅりーの両親が死んだのは、夜遅くまで狩りをしていたために捕食種と出会ってしまったのが原因だった。 何かとゆっくりできない記憶しかないが、両親はぱちゅりーにとって生きるための支えだったのだ。 それを突然、それも同時に失ってしまい、ぱちゅりーはどうしたらいいのか分からなくなってしまった。 そんな状態のぱちゅりーに声をかけるゆっくりがいた。 「ぱちゅりー、大丈夫?」 「まりさ・・・」 まりさは、近くのまりさとれいむの番の間から生まれた長女であった。 そしてぱちゅりーと生まれた時期が近いこともあり、昔からの知り合いでもあった。 そのためか、沈んだ様子のぱちゅりーを放って置けなくなったのだ。 「ぱちぇは・・・もうどうしたらいいのか・・・」 「ゆぅ、しかたないよ。突然のことだしね」 「ごはんだって・・・それに、越冬の仕方も・・・」 まりさと話ながら、ぱちゅりーは事の重大さを感じ始めていた。 ぱちゅりーは親から生きるための知識を全然聞いていなかったのだ。 「どうしよう・・・ぱちぇは・・・ぱちぇは・・・もうゆっくり、できないの・・・?」 「ゆん、ぱちゅりー。まりさにまかせてよ」 「まりさ?」 「まりさが、ぱちゅりーの事を手伝うよ」 「・・・まりさ」 「ぱちゅりー、ゆっくりしていってね!」 この言葉はぱちゅりーにとって助かった。失った生きる支えを再び手に入れたのだ。 まりさは自分で言ったとおり、何かとぱちゅりーをゆっくりさせようとした。 「ゆ!今日の分のご飯さんだよ、ぱちゅりー」 「むきゅ、そこに置いといてちょうだい」 毎日量は少ないがご飯を持ってきたし、 「ゆ~・・・これで、越冬できそう?」 「むきゅ、ゆっくりできるベットさんもあるし、ご飯さんもある。もっと欲しいところだけどまあ大丈夫かしらね」 越冬の為の準備だってしてくれたのだ。 「ぱちゅりー、春になったら少しずつでいいから・・・」 「むきゅ、それじゃ春にまた会いましょ、まりさ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!・・・・・・ゆあ、行っちゃったよ」 唯一の欠点は何かと小言が多いことだった。 しかし全体で見ればまりさは優秀であった。だから、ぱちゅりーは番にするならこのまりさにしようと思ったのだ。 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ぱちゅりーが成体になろうかという頃、両親は旅を止め、1つのゆっくりプレイスに定住することを決めた。 あれほど旅を続けていた両親にどのような心変わりがあったのかは、ぱちゅりーには分からなかった。 しかしとりあえず分かったのは、それまでとはまるで異なった生活を送ることになる、という事だった。 両親が定住することにしたゆっくりプレイスはとても素晴らしいところであった。 そこは山を越えた先にあった森で、信じられない程に豊かなゆっくりプレイスであった。 「まりさはまりさだよ!ゆっくりしていってね!ぱちゅりー!」 「ゆっくりしていってね・・・よ、よろしく、まりさ」 「よろしくね!そうだ、まだ森の中に慣れてないでしょ?まりさが案内するよ」 「あ、ありがとう・・・」 まりさとは森にたどり着いてすぐの頃、まりさの方から話しかけてくれたことで知り合った。 まりさは、それまで両親以外とあまり接した事が無かった自分を何かと気にしてくれた。 「ぱちゅりー、一緒に遊びにいこう!すごい景色が綺麗なゆっくりプレイスを見つけたんだ!」 「ええ。いいわよ、まりさ。・・・・・・ありがとう、まりさ」 「ゆ?何か言った?」 「いいえ。早く行きましょう。景色、楽しみだわ」 その恩返しというのも何だが、旅をしている間に知ったことなどをまりさに話したりもした。 「ぱちゅりー!すごいよ!ぱちゅりーに教えてもらった通りに石さんを使ったら、上手に木の実さんが取れたよ!」 「・・・いいえ、大したことじゃないわ」 「ほら、これが取ることが出来た木の実さんだよ。ぱちゅりー、一緒にむ~しゃむ~しゃしてゆっくりしようよ!」 「そ、そう?ありがとう・・・」 まりさが悩んだりした時は積極的に相談にのったり、一緒に解決策を考えたりもした。 といっても、まりさは自分の悩みを言うことは少なく、まりさの妹のれいむについてがほとんどだった。 「ゆ~・・・れいむが好きな物ばっかりむ~しゃむ~しゃしようとするよ・・・」 「あら、今の内に直しておかないと。あまあまが取れない時に困るわよ?」 「れいむがむ~しゃむ~しゃしようとするのはあまあまじゃないよ・・・むしろ逆の苦いものだよ・・・」 「むきゅ?」 まりさは変わった所のある妹れいむを気にしており、度々ぱちゅりーに相談をしに来てくれた。 ぱちゅりーとしても、まりさのそんな「家族」を大切にする様子は嫌いじゃなかったので快く協力をした。 「・・・ぱちゅりー、この前に教えてくれた方法、れいむに試してみたよ」 「どうだった・・・て、その様子だと上手くいかなかったみたいね」 「ゆん。れいむ、巣の外から自力調達してたよ」 「あらまぁ・・・・・・むきゅ?妹さんはこの前ちゃんと喋れるようになったばかりじゃなかったっけ?」 「ゆ!そうだよ!はっきりと『まりさお姉ちゃん』って言ってくれたんだよ!うれしかったよ~!」 「気にすべきはそこじゃないと思うんだけど・・・」 まあもっとも、 「何だか前よりも苦い草さんを変なむ~しゃむ~しゃするようになっちゃったよ・・・」 「・・・受け入れてあげるのも、家族のあり方の1つよ?」 「ゆ~ん・・・」 解決の力にはあまりなっていなかったようだが。 その頃から、ぱちゅりーは少なからずまりさに惹かれてはいた。 その想いがいっそう強くなったのは、ぱちゅりーの両親の死が切っ掛けだった。 その頃ぱちゅりーは愛する家族を失い茫然自失としていた。 そんなぱちゅりーの元に、まりさは毎日様子を見に来てくれたのだ。 「ぱちゅりー!ゆっくりしていってね!ご飯さん、ちゃんとむ~しゃむ~しゃしてる?」 「ゆっくりしていってね、まりさ。ぱちゅは大丈夫よ。 ・・・毎日ありがとう、まりさ。でも無理はしないでね。 以前のようにまりさの方が倒れたりしないでよ?」 「ゆ~、大丈夫だってば~」 「どうだか。あの時もぱちゅが止めなければそのまま頑張るつもりだったくせに?」 「ゆ、ゆ~。そ、そうだ!ぱちゅりーと一緒にむ~しゃむ~しゃしようと思って、木の実さん持ってきたんだ!」 「むきゅきゅ、誤魔化されておきましょうかしら」 まりさのお陰で、ぱちゅりーは両親を失った悲しみを乗り越えることができたのだ。 だから、まりさが一緒にゆっくりしようと言ってくれたことは、ぱちゅりーにとって大変嬉しい出来事だった。 「ぱちゅりー!まりさと『ずっといっしょにゆっくり』して欲しいよ!!」 「ほ、本気なの?ぱちゅなんかと、そんな・・・。ぱ、ぱちゅは、お飾りに傷のあるぱちゅりーなのよ?」 「?ぱちゅりーはとってもゆっくりしてるよ?・・・それとも、まりさとずっといっしょにゆっくりするのは、いや?」 「そんなこと無いわ!・・・そ、その、よろしく、お願いします・・・」 こうして、ぱちゅりーは新しい「家族」を得ることとなった。 ただ、おちびちゃんについては、まりさがぱちゅりー種である自分を気遣い、食料を十分に蓄えてからにすることにした。 この時の判断が、後々まで影響を与えるとは、さすがにぱちゅりーには分からなかった。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× 「むきゅ~、ご飯さんが足りなくて、ゆっくりできないわ・・・」 ある時、森の食料が不足するようになった。 その影響を受けて、ぱちゅりーはゆっくりできなくなっていた。 「むっきゅぅ、唯でさえあまあまが無いのに、いっぱい食べることもできないなんて。貯めておいたご飯さんも、残りが少ないし・・・。 まりさがもっと狩が上手ければ、ゆっくりできるおちびちゃんだって沢山作れてたのに・・・ 今じゃ群れの掟ですっきりに制限までかかっちゃったし・・・」 この食料不足のせいで臨時の群れが作られ、すっきり制限といったゆっくりできない掟ができてしまった。 掟を破ろうものならゆっくりできなくなる、などど言われてはぱちゅりーは取り合えず従うしかなかった。 「むっきゅうぅぅ。ゆっくりしたい、ぱちぇはもっともっとゆっくりしたいのに~!!」 最近では、ぱちゅりーは常に不機嫌でまったくゆっくりできない。 そしてそんな時に限って、過去のゆっくりできなかった記憶が蘇るのだ。 「なにがまりさの奴、食料の当てがある、よ!!体中に苦い汁をつけてきただけだったじゃないの!ぱちぇを怒りで沸騰死させる気なのかしら! 番になる前から浮気してそうなのを我慢してやったのに~!妥協するんじゃなかった~~!!」 ぱちゅりーは番のまりさに対する不満を言いながら巣の中でジタバタと暴れる。 その不満の内容は、次に群れの集まりでの事に移ってゆく。 「あの生意気な奴!あんなバカな事を言うほど愚かだとは思わなかったわ!それじゃぱちぇがゆっくりできないじゃない! それどころか、ぱちぇの考えに口を出すだなんて!!生意気なのよ~~!!」 ぱちゅりーはしばらく暴れていたが、ようやく我に返る。 「むっきゅ!!いけないいけない、ぱちぇは賢者なのよ。取り乱しちゃ駄目よ。こんな時は、ゆっくりできたことを思い出さないと・・・ ・・・・・・・・・そう、そうよ。自分だけゆっくりしてたゲスなれいむが出て行ったじゃない。あれはゆっくりできたわ、そう、ゆっくりできたのよ」 しばらく経ち、ようやくぱちゅりーは落ち着くことができた。 「むきゅう、こんなゆっくりできない状態も、あと少しでお終いなのよ。 まりさが声かけをしてまわっているし、準備が整えばすぐにゆっくりできるようになるのよ・・・」 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 「むきゅう、ここに来れるのも、今回で最後ね・・・」 ぱちゅりーは、両親の墓の前に来ていた。 ぱちゅりー達の準備ももうすぐ終る。今後は、確実にここには来れなくなってしまうだろう。 だからその前に、ぱちゅりーの愛する家族である両親が眠っているこの場所を訪れておきたかったのである。 墓を前に、ぱちゅりーは昔を思い出す。 旅をしていた頃の事、飾りにヒビが入った時の事、森に着いた時の事、両親が永遠にゆっくりしてしまった時の事、 様々な思い出がぱちゅりーの脳裏をよぎった。 「お父さん、お母さん。ぱちゅ、頑張るわ」 決意を新たにし、すぐに巣へと戻ることにする。 冬が来る前にどこかで落ち着かなければならないのだ。あまり時間は無駄にできない。 今も番のまりさが準備に頑張ってくれているのだ。 自分も大変だろうに、ぱちゅりーが両親の墓に行っておきたいという事を察してぱちゅりーに時間をくれた。 本当に、ぱちゅりーにはもったいないと思うくらいのまりさだ。 そんなまりさだからこそ、ぱちゅりーはまりさとずっと一緒にゆっくりしたいと思ったのだ。 そのためなら、他のゆっくりなど幾らでも我慢するし、何であろうと耐え切ってみせてやる。 両親が自分のことを何があっても守ってくれていたのは、今のぱちゅりーと同じ気持ちだったからだろう そう思いながら巣の前まで移動したとき、 そこには番とは別のまりさと、ありす、れいむ、 そして『ぱちゅりー』がいた。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× 「むっぎゅ~~!何なのこれは!!」 ぱちゅりーには目の前にあるものが信じられなかった。 ぱちゅりーの考えでは、ゆっくりできる食料が沢山あるはずだった。 なのに実際にあるのは、 「ぱちゅりー!こんなんじゃぜんぜんたりないよ!」 「これはあまあまなのぜ?む~しゃ・・・おえっぷ!にっが!」 「なによこれ!いなかものな、にがい草ばっかりじゃない!!」 申し訳程度の少ない食料。しかもゆっくりできない苦い草ばかりで、まともな食料など殆ど無い。 「そ、そんな筈は無いわ!だ、だって、あいつらは・・・」 そうだ、そんな筈は無い。あの生意気なゆっくりとバカはどういうわけか飢えてはいなかった。 ならば、その巣にはゆっくりするには十分な量の食料があるはずだ。 それをゆっくりすべきぱちゅりーが貰うという完っ璧!な策だったはずなのに、これはどういう訳なのだ? 連れてきたゆっくり達(番のまりさ、その『友達』だというありすとれいむ)が、予定と違う光景にぱちゅりーを睨み付ける。 「ぱちゅりー、どういうことだぜ?」 「いなかもののやつらは、あまあまをためこんでるんじゃなかったの?」 「たべてもゆっくりできない草さんばっかりだよ?だましたの?」 「むきゅ!?違うわ!こ、これは・・・あ、あいつらが隠しているのよ! 自分達だけゆっくりしようだなんて、とんでもないゲスだわ、むきゅ!」 ぱちゅりーは、無理があると感じる言い訳をとっさにする。が、しかし 「ゆ~、そうなの!?れいむのゆっくりをじゃましようだなんて、せいっさいがひつようだね!」 「なんていなかものなやつらなのかしら!」 「さがしてつかまえるんだぜ!」 「え、ええ。ゆるせないわ、むきゅ!(・・・バカでよかったわ)」 あまり賢くないゆっくり達は、あっさりとぱちゅりーの言ったことを信じた。 「でもまずは食べ物を探しましょう! まだぱちぇが見つけた他の巣があるわ。そっちに行ってみるわよ!」 「「「ゆっくりわかったよ!」」」 ここでは食料を見つけられなかったが、他に目星を付けて置いたゆっくりの巣はある。 あの生意気な奴の制裁もするが、まずは食料を確保しなくては。 そう思いながら巣から出ると、 そこには、『お飾りにヒビの入っているぱちゅりー』がいた。 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○× お飾りにヒビが入っている「傷あり」ぱちゅりーと、巣から出てくるところを見られたぱちゅりー達は、お互いに少しの間呆然としてしまった。 が、すぐに状況は動き出す。先に我に返った傷ありぱちゅりーが、ぱちゅりー達を問い質したのだ。 「貴方達、ぱちゅの巣で何をしてるの!」 「むきゅっきゅっきゅ。ぱちぇは運がいいわ。次の巣へ行くのは中止ね。 目の前の生意気なゆっくりから、食べ物をどこに隠したか言わせましょう」 ぱちゅりーの言葉を聞いて、その他のゆっくりが「にやり」と嫌な笑みを浮かべる。 「ゆへへ、わかったんだぜ、ぱちゅりー」 「おもったよりもよさそうなぱちゅりーねぇ。はくじょうさせたら、ありすに貸してくれない?」 「さっさとやっちゃおうよ。れいむ、はやくむ~しゃむ~しゃがしたいよ」 その表情と言葉から、不穏なことを考えていることが分かった傷ありぱちゅりーは声を荒げ、ぱちゅりー達を睨み付ける。 「貴方達、正気なの?この大変な時期に」 だが、ぱちゅりー達はお構いなくにじり寄って来る。 「そんなのぱちゅは知らないわ。大体あなたのような生意気なゆっくり、ムカつくのよ。後から来たよそ者のくせに!」 ぱちゅりーは傷ありぱちゅりーに嫌悪の表情を浮かべながら言う。それに対して傷ありぱちゅりーも言い返した。 「あら、それは結構ね。私も貴方のようなゆっくりは嫌いよ。 特に、親が取ってきてくれた食事に文句ばかり言って、夜中まで狩に行かせるような奴はね」 傷ありぱちゅりーとぱちゅりー達は、言い合いをしながらもお互いの距離を測り合っている。 「ぱちぇのことをゆっくりさせなかったクズで無能な親なんて、どうなってもぱちぇは知らないわよ」 「無能は貴方よ。まりさの助けが無かったら、越冬する前に飢えて親の後を追いかねなかったくせに」 「まりさ?・・・そういえば、お飾りにヒビのあるぱちゅりーのくせにぱちぇが昔っから目をつけていたまりさを横から取っていったわね」 「・・・よく言うわ、ぱちゅを泥棒みたいに。まりさのことを、自分がよりゆっくりするための道具位にしか思ってなかったくせに。 あの時ぱちゅが止めなければまりさも貴方の親みたいになるところだったわ。ぱちゅ、あの時の事を思い出すと未だに怒りを憶えるのよ」 「可笑しなことを言うわね。ぱちぇはゆっくりすべきゆっくりだからゆっくりできるのよ。 まりさにはそのぱちゅの手伝いをさせて上げたのだから、光栄に思って欲しいぐらいだわ!」 「・・・貴方、そんなんじゃ直ぐにゆっくりできなくなるわよ?」 「むきゃきゃ!何を言ってるのかしら!ぱちぇはもっともっとゆっくりするのよ! むしろあなたの方こそゆっくりできなくしてやるわ!みんな!やっちゃいなさい!!」 「やれるものならやってみなさいな!返り討ちにしてあげる!!」 ぱちゅりーの声を合図に、まず相手のまりさが傷ありぱちゅりーに飛び掛る。 「ゆっはぁ!くらうんだぜ!」 「甘い!」 しかしそれを傷ありぱちゅりーは、口から小石をまりさの目に向けて吐き出すことで迎撃した。 「ぷっ!!!」 ”ビシッ!!” 「ゆぎゃっふ!?おめめが!!まりさのひかりかがやくおめめが~~!!?」 「ゆ~!よくもありすのダーリンを!」 「まりさのかたきはれいむがとるよ!ぱちゅりーはゆっくりしないでしねぇ!」 それを見て残りの2匹が傷ありぱちゅりーに同時に攻撃をしかける。 「ゆっ!これならどう!」 「くらいなさい!いなかもの!」 「私をあまり舐めないでほしいわね!」 その攻撃を傷ありぱちゅりーは意外なほどの身軽さで回避する。 ほぼ同時に傷ありぱちゅりーに襲い掛かっていたありすとれいむはその結果、 「ゆぶっ!?」「ゆぼ!?」 お互いの攻撃が味方にぶつかってしまった。 その大きな隙を逃さずに傷ありぱちゅりーは、 「くらいなさい!」 「「ゆ!?」」「むきゅ!?」「おめめが!まりさのおめめが~!」 「むきゅ!」 一目散にその場から逃げ出した。 「むきゅ?」 「ゆ?」 「あら?」 「いたい!!おめめが!おめめがいたい~!?」 返り討ちにすると言い、攻撃するかのような素振りを見せた傷ありぱちゅりーであったが、多対一という危険を冒そうとはしなかったのだ。 傷ありぱちゅりーの威勢から、まさかさっさと逃げ出すとは思っていなかったぱちゅりー達はあっけにとられてしまう。 「むきゃ!?追うのよ!追って捕まえなさい!」 「ゆ!?」 「いけない、にげられたわ!」 「たすけて~!いたい!おめめがいたくて死んじゃう!!だれかまりさをたすけて~!!」 我に返ったぱちゅりーの指示を受け、痛みに転げまわっているまりさを残し、ありすとれいむは傷ありぱちゅりーを慌てて追いかけ始めた。 ○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○×○× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 「ゆっがー!まて~!!」 「まちないさい!今ならゆるさなくはないわよ!」 「むっきゅ!むっきゅ!」 ありすとれいむの2匹は傷ありぱちゅりーを追いかけていた。 追いかけるのに少し間が空いたが、2匹は貧弱なぱちゅりーなどすぐに捕まえられると思っていた。 しかし、実際にはなかなか捕まえられずにいた。それには幾つか理由がある。 まず、運動能力に優れたまりさがいないこと。まりさは先ほどの巣の前に置いてきてしまった。 次に、傷ありぱちゅりーの体力と身体能力が、攻撃を避けた時に見せたようにぱちゅりー種にしては高いこと。 そして、逃げるのに全く迷いが無いことだ。まるで何度も通って熟知しているかのように逃げるのに適した道を選んで逃げている。 「まて、いいかげんにげるな~!」 「このいなかもの~!!・・・?・・・・・・!まちなさい、れいむ!!」 「ゆ!どうしたのありす、はやくあいつをつかまえないと!」 「これ以上はまずいわ!道がわからなくなる!」 「ゆ?・・・ゆゆゆ!」 逃げ続けている傷ありぱちゅりーは、ありすとれいむが普段行動している範囲を超えようとしていた。 「ゆ、ゆ~。ど、どうしよう」 「迷っちゃうのは、とかいはじゃないわ・・・」 2匹はこのまま傷ありぱちゅりーを追いかけて自分達が迷ってしまうことを恐れた。 傷ありぱちゅりーを捕まえても、ゆっくりプレイスに戻ることが出来なければ意味が無いのだ。 「ゆ~、ぱちゅりーは他にもごはんの当てがあるって言ってたよ」 「なら、ムリすることはないわよね?」 「そうだよ!もうほっといて戻ろうよ」 「そうね、そうしましょ」 結局2匹は追いかけることを諦めて、来た道を戻り始めた。 まだ他に食料を手に入れる手段があるなら、ここで傷ありぱちゅりーを無理して追う意味は少ないとの判断だ。 「ぜひゅ~、ぜひゅ~・・・上手く撒けたようね・・・まりさの所に行かないと・・・・・・でも、少し、きゅ、休憩を・・・むぎゅぅ」 実は余裕の少なかった傷ありぱちゅりーは、相手が諦めてくれたことにホッとしつつ、へたれ込んでしまうのだった。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× 大した傷じゃなかったまりさが落ち着くのを待っていると、ありすとれいむが戻ってきた。 「?・・・あの生意気なぱちゅりーはどうしたの?」 「にげられちゃったよ。でもいいよね!」 「それよりも、うごいたらおなかが空いちゃったわ。ぱちゅりー、ご飯さんをちょうだい!」 「(こ、この役立たずがぁ!)そ、そうね。それじゃあ次の巣へ行きましょうか」 あの生意気なぱちゅりーに逃げられるとは、どれだけ無能なんだと思うが、確かにぱちゅりーもお腹が空いている。 さっさと次の巣へ行きお腹いっぱいあまあまをむ~しゃむ~しゃしなくては、ぱちゅりーがゆっくりできない。 「むきゅ!ここが次の巣よ!」 「だれもいないみたいね」 「ならまりさがむ~しゃむ~しゃしてもいいんだぜ!」 「・・・にがい草しかないみたいだよ?」 次の巣へ着いたが、そこにはゆっくりも食料もなかった。仕方ないのでぱちゅりー達は次の巣へ行く。 ・ ・ ・ 「さぁ、ここよ!」 「やっぱりだれもいないわね」 「・・・ご飯さんは・・・これもないんだぜ」 「・・・」 「むきゅ!?ま、まだあるわ!」 次の次の巣へ着いたが、やはりゆっくりも食料も無い。 ぱちゅりー達の間に若干怪しい雰囲気が漂い始めながらも、次へと向かう。 ・ ・ ・ 「こ、今度こそ!」 「だ~れもいないわ・・・」 「な~んにもないんだぜ・・・」 「にがい草ばっかで、ぜんぜんゆっくりできないよ・・・」 「むぎゃ~~!?」 やっぱり其処には何も無く、それはぱちゅりーが目星を付けていた巣全てで同じであった。 「・・・・・・む、むきゅ~・・・」 「ぱちゅりー、つぎは?」 「もうないのかぜ?」 「どこにもなんもなかったね?」 全ての巣を見終わった頃には、ぱちゅりー達の間にあった怪しい雰囲気は明確な疑惑に変わっていた。 「ぱちゅりー・・・」 「ちょっと・・・」 「やっぱり、れいむたちをだましたんだね」 「むきゅ!?ち、違うわ、これは何かの間違いよ!ぱちぇを陥れる罠なのよ!!」 まりさ達がぱちゅりーを問いただす。ぱちゅりーは言い訳をするが、今度はまりさ達は信じようとしない。 むしろ慌てているぱちゅりーを見て、疑惑が確信になり、そして殺意へと変化した。 「だまるんだぜ!まりさをだましたゲスなぱちゅりーはゆっくりしないでしねぇ!!」 「このいなかものがぁ!!」 「ゲスはせいっさいだよ!」 「むぎゅば!!?や、やめゴブッ!こんなことしてゴバッ!たすけてゲバッ!」 「「「ゆっくりしないでしね!ゆっくりしないでしねぇ!!」」」 ぱちゅりーはまりさ達によって何度も踏みつけられる。それにより堪らずぱちゅりーは中身を吐き出してゆく。 まりさ達はぱちゅりーの中身塗れになっても止まらずに踏み続ける。そしてついに、ぱちゅりーは致命的な量の中身を吐き出してしまう。 「む、むぎゅ・・・ゴ、ゴボッ・・・」 「ふん!いなかものにはお似合いね!」 「れいむをゆっくりさせないぱちゅりーなんて要らないよ!」 「こんなんと番になるなんてまりさもバカだったんだぜ!・・・ゆ?ゆゆ?」 その時、体を生クリーム塗れになっていたまりさの口に、偶然それが入ってしまう。 幾度にも渡る踏みつけの苦痛から十分に甘くなっている中身を食べてしまったのだ。 甘いものには目が無いゆっくりである、そうなると当然のように・・・ 「ゆゆ!?これは、あまあまだ!!」 「あまあま!?」 「!れいむのだよ!!それはぜんぶれいむのだよ!」 ぱちゅりーの中身が口に入ったまりさは、思わず声を上げてしまう。 その内容を聞いた残りの2匹も、奪い合うようにぱちゅりーの中身を食べ始めた。 「ゆが~~!!このあ”まあ”まはまりざのものなんだぜ~!!」 「むほ~!!これはとかいばなありずがだべるのにふさわじいのよ~!!」 「じゃまだ~!!こごにあるのばぜんぶでいぶのものだ~~!!」 まりさ達は、少しでも多くあまあまを食べようと他のゆっくりに躊躇無く攻撃し、押しのける。 「どげっ!あ”まあ”ま!あ”まあ”ま~!!」 「ここにもある!あ”まあ”ま!!(ガブリッ!)」 「ゆぎゃ~!ありすの、ありすのかおが~!!?」 その内に今度は相手の体についている生クリームを食べようと相手ごと喰らいついていく。 「ゆ”っゆ”っゆ”っ」 「ど、どがいばぁ・・・」 「もっど、ゆっくりしたかっだよ・・・」 そんな地獄絵図は、やがて全てのゆっくりが永遠にゆっくりしてしまったことで終った。 「・・・むきゅ、ゴボッ、どうして・・・」 ぱちゅりーはまだ生きていた。しかし体に負った傷は致命的であり、すぐにまりさ達の後を追いそうである。 ぱちゅりーは自分でももう長くは無いことを理解していた。理解していたが故に、死を拒絶して生の渇望を叫ぶ。 「い、いやよ・・・ぱちぇは、もっと・・・もっともっと・・・ゆっくり、ゆっくりしたいのよ・・・・・・ もっと・・・美味しい・・・ご飯を・・・もっと・・・・・・いっぱい食べて・・・もっと綺麗な・・・お家で・・・もっとかっこいい番を得て・・・ ゆっくりできる・・・・・・・・・おちびちゃんも・・・いっぱい・・・・・・もっと・・・もっと・・・・・・もっ・・・と・・・・・・もっ・・・・・・・・・」 しかしその叫びに意味は無く、刻一刻とぱちゅりーは死へと近づいてゆく。 結局ぱちゅりーは、もっともっとゆっくりしたいと願いながら、 「むぎゃ・・・もっど、ゆっぐりじだがった・・・」 永遠にゆっくりするその時まで、ゆっくりできなかった事を嘆き続けていた。 ×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××× ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 「ぱちゅりー、ただいま!」 「お帰りなさい、まりさ。怪我は無い?」 「ゆっ、大丈夫だよ。はい、これが今日取れた食料だよ」 「あらいっぱい。これなら明日には次の場所に行く用意ができそうね」 ぱちゅりーは今、かつてのように旅をしている。ぱちゅりーが準備をしていた方法とはこれである。 森で食料不足が起こった時、ぱちゅりーは昔の旅先での経験から、この問題はゆっくりが居る分だけ長引き酷くなることがすぐに分かった。 そこで臨時の群れが出来た時、事態が致命的な状態になる前に旅立つということを提案した。 むろん旅には危険が付きものなので難色を示したゆっくりの方が多かったが、いくつかのゆっくり達は同意をし、すぐ旅立って行った。 問題は、当ゆんは旅立ちたいのだが先立つ食料が無いもの、どうしても森を捨てられずに残る選択をしたものたちの食料であった。 「はい、それじゃあ今日のご飯にしましょう」 「ゆ~、やっぱり、あの草を混ぜるの?」 「少しの間の我慢よ、まりさ。それに苦い草さんでも、慣れると意外といけるわよ?」 「ゆん、そうだね。我がまま言ってる場合じゃないもんね。・・・でもやっぱりまだ苦い~」 その問題をこのぱちゅりーは、かつてまりさの妹のれいむが食べていたという草を利用することで解決を図った。 そのまま食べるには苦すぎる草を、他の食料に混ぜたりゆっくりの唾液に漬けておくことで緩和し、何とか食べられるようにしたのだ。 これで昔に比べれば食事の味は下がるが、代わりに毎日十分な量を食べることができる。当面の食料確保の目途が付いたのだ。 できれば当のれいむに話を聞いて、どの草が苦味が少ないかなどの情報を聞きたかったが、ぱちゅりーがその方法を考えた時には旅立った後であった。 (この方法を話した時、なぜかまりさに「疑ってごめん」と謝られたが、ぱちゅりーには意味が分からなかった) この方法でぱちゅりー自身も旅立つ準備を進めており、襲撃を受けたのはちょうど皆で旅立つ日、 巣に残した僅かな食料も持っていこうと巣に戻った時であった。 幸いにも無傷で切り抜けることができたぱちゅりーは、そのまま巣には戻らずにまりさが待つ場所へと向かい、すぐに旅立つことにした。 そうして現在、かつての経験を生かしながら新しいゆっくりプレイスを求めて旅を続けている。 「ぱちゅりー、毎日大変だけど、大丈夫?」 「ええ、大丈夫よ、まりさ。ぱちゅはゆっくりできてるわ」 ぱちゅりーは本当に今、ゆっくりできていた。 旅を続けている自分には、おちびちゃんを作る機会はまだ無いし、永遠にゆっくりするまでに出来るかどうかも不明だ。 とりあえずの食事はあるが、旅には危険が多い。それは小さい頃から分かっている。 食事も寝る場所も毎日移動しながら探さないといけないだろう、天候にも注意を払わないといけない、外敵も森とは比較にならないほど多い。 森で暮らしていた頃とは無い無い尽くしの足りないものばかりだ。 しかし、まりさがいる。 愛する家族のまりさと一緒にいられるのなら、ぱちゅりーはそれでよい。 それで十分すぎるほど満足なゆっくりができる。 「まりさ、ゆっくりしていってね」 「ゆ?ゆん!ぱちゅりーもゆっくりしていってね!」 ぱちゅりーには、不満など何もなかった。 ~終~ 過去の作品 anko2643 ある変わったれいむのお話 anko2658 もの好きなゆっくりの日常 anko2677 アグレッシブてるよ anko2682 オーソドックスなものたち anko2704 アクティブこまち anko2711 妖精たちの幻想郷
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『馬鹿一家と賢いぱちゅりー』 12KB 愛で 虐待 制裁 同族殺し 番い 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ ゲス 現代 愛護人間 虐待人間 処女作です。よろしくお願いします 処女作になります。 直接的な虐待描写は少ないです。 賢いゆっくりが多少の漢字を使います。 ゆっくりしていただけたら幸いです。 『馬鹿一家と賢いぱちゅりー』 「おぉ、今回は金バッチも取得させられたか。成長してるじゃないか」 「いえいえ、一匹だけですし、他は銀だけですよ」 『おにいさん!いままでありがとう!ゆっくりしていってね!』 やぁ、僕は一流ゆリーダーを目指すしがないお兄さんだ。 今日は取引先のペットショップに銀バッチゆっくりを数匹卸してきた。 まだまだ未熟で、金バッチゆっくりを卸せることは少ないが。 店長は「君のゆっくりは評判が良い」とのことで、僕のゆっくりを優先的に買い取ってくれる。ありがたいことだ。 「むきゅ、にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 帰路の途中にある、小さな公園で缶コーヒーをすすり、一息ついていると、目の前に子ゆっくりほどのぱちゅりーが現れた。 「あぁ、ゆっくりしてるよ」 一応僕はゆリーダーだ、すぐに潰したりはしない。 物乞いや恐喝(笑)なら蹴り飛ばす程度だが、このぱちゅりーは違うようだ。 「むきゅー、ぱちぇもおにいさんといっしょにゆっくりしていいかしら?」 「あぁ、いいとも」 こういった公園に住み着くゆっくりは善良種が多い。 加工所とゆっくりんピースの努力の結果。善良種に被害を及ぼすゲスは早急に駆逐されるようになった。 ベンチから一度立ち上がり、自販機でオレンジジュースを買ってもう一度ベンチに腰を下ろす。 ひざの上にぱちゅりーを乗せてやり、頭をなでてやる。 常備している「ゆっくりフード、それなり」を与えてジュースを飲ませてやる。 どうやら僕はどちらかと言うとだいぶ愛でお兄さん寄りのようだ。 「む~しゃむ~しゃ、ごーくごーく……、しあわせ~!!」 おぉ、野生では珍しく食べ溢さないな。前育てていたれいむは最後まで食べ溢しが直らなかったのになぁ。 「ゆっ!くそじじい!まりささまのどれいをはなすんだぜ!そしたらおまえもどれいにしてやるから、かんしゃするんだぜ!」 「ゆゆっ!どれいがあまあまをむーしゃむーしゃしてるよ!なまいきだよ!れいむによこしてね!すぐでいいよ!」 子ぱちゅりーを愛でていると、今度は成体のまりさとれいむが現れた。 うるさいのでとりあえずフードを足元にばら撒いてやる。 「うっめ!これめっちゃうっめ!がーつがーつ!」 「く~っちゃく~っちゃ!ししし、しあわせええええええええええっ!」 汚らしく溢しまくっている二匹をほっておいて、ぱちゅりーに話しかける。 「ぱちゅりー、奴隷ってどういうことだ?」 ぱちゅりーはビクッと体を揺らすとゆっくりと口を開いた。 「むきゅ……、ぱちぇのおとうさんとおばさんなの……」 話を聞いてみると、このゲスまりさと子ぱちゅりーのおかあさんのぱちゅりーは姉妹であったらしい。 ゲスまりさは番のゲスれいむとの無計画な子作りによって越冬できなくなっていた。 そこで妹であるこの子の母の家に押し入り、餌をうばったあげく、すっきりーして殺した。その時できた子がこの子ぱちゅりーであるらしい。 「ゆっへっへ!まりちゃさまにもよこすんだじぇ!」 「かわいいれいみゅにちょうだいね!たくさんでいいよ!かわいくってごめんにぇ!」 さらに二匹の子ゆっくりが後ろから現れた。どうやらまともな子供はこの子ぱちゅりーだけのようだ。 このぱちゅりーは母ぱちゅりーの餡を色濃く引き継いでいるようだ。 本能と自分がゆっくりすることだけに全力を尽くすゆっくり。 普通ゲスに育てられればゲス化するものだが、母ぱちゅりーの餡子脳はとても優秀だったのだろう。 「ぱちゅりー、僕に飼われる気はないか?」 「ゆゆっ!どれいをかうくらいなら、まりささまをかうんだゆげっ!?」 「まりさああああ!なにしてるのおおおお!?おまえはどれいだろおおおお!?ゆべぇっ!!」 「お前らに聞いてねぇよ」 足元で跳ねたゲスまりさを蹴り飛ばし、れいむを踏みつける。 「むきゅ……、うれしいけど、やめておくわ」 「どうしてだい?」 「ゆがあああああっ!いだいんだぜえええええ!ゆぎゃあああああっ!」 「ぐるじいいいいいい!はなぜええええええええ!」 無様にのた打ち回る両親を一瞥し、ぱちゅりーはゆっくりと言い放つ。 「むきゅ、ゆっくりしてるおにいさんにめいわくはかけられないわ」 他人も思いやれるようだ、これは本格的に欲しくなってきた。 「そうか、残念だ。よしぱちゅりー、これをお食べ」 ラムネを食べさせて眠らせる、これで拉致の準備は完了だ。 なんとしてもこのぱちゅりーは僕が育てる、僕が決めた、今決めた、持ち帰る。 「よぐもやりやがっだなぐぞどれいいいいいいい!ぜんっごろじにじでやるう゛ううううう!!」 「まりさ!さっさとぶっころしてね!すぐでいいよ!つぶれるううううう!!!」 「「おとーしゃんたちをいじめるゲスはせいっさいっしてやるううううう!」」 「むきゅ~……、むきゅ~……」 深い眠りについたぱちゅりをベンチにおいて、僕はゆっくりと立ちあがる。 僕はどちらかと言うと愛で寄りなゆリーダーである。 仕事柄、言うことを聞かずどうしようもないゆっくりもいる。 そういう時どうするか? もちろん愛を持って接することで調教を施す一流ゆリーダーもいると言う。 しかし、僕は未熟なゆリーダー。言うことを聞かないゆっくりには…… 「ヒャァァァッッッハァァァァァァァッ!!!もーう我慢できねぇ!虐っ待っ!っっだああああああああああああっ!!」 愛の鞭で応えてやる。 「ごろずうううううう!!!」 真正面からまりさが突っ込んでくる。 「いいよ、殺してみな」 僕はそれを足に受けてやる。 ボスッ と柔らかな衝撃が伝わる。 「ゆっへっへ!これでにんげんさんもいちころ……、どぼしてしんでないのおおおおおお!?」 饅頭ごときの体当たりで死ぬ人間がいたら、むしろ見せてもらいたいものだ。 「なにぐずぐずしてるの!?さっさところしてね!すぐでいいよ!」 「う、うるさいんだぜ!だまってるんだぜ!ゆゆっ!?おそらとんでるみたい!」 れいむを怒鳴るまりさを持ち上げてやると、お決まりの台詞を吐いた。 「なぁ、まりさ。躾って知ってる?」 「それくらいしってるんだぜ!まりささまのばばぁがいつもうるさかったんだぜ!!だからまりささまがえいえんにゆっくりさせてやったのぜ!」 「ゆーん、やっぱりれいむのまりさはさいっきょうっだね!」 聞いてもないことをベラベラ喋るまりさ。 なんと、あの子ぱちゅりーの一家は揃って頭が良かったようだ、この馬鹿を除いて。 「そうか、まりさのおちびちゃんに躾はしたのかい?」 「するわけないんだぜ!!おちびちゃんはのびのびとゆっくりするのがおしごとなんだぜ!!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 「「(れーみゅ)(まりしゃしゃま)はとくべつなんだ(よ、ぜ)!しつけさんなんてなくてもゆっくりできるんだ(よ、ぜ)!きゃわいくってごめんにぇ!!!」 「そうか……、じゃあ俺がお前らに、躾を施してやるよ」 「「「「どぼしてそうなるのおおおおおおおおお!?」」」」 「しっかり躾して、ゆっくりできるゆっくりにしてあげるから、覚悟してね!」 「「「「だからどぼしてそうなるのおおおおおお!?」」」」 「お兄さんは未熟だから、永遠にゆっくりさせちゃうかもしれないけどごめんね!!」 「「「「ゆんやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「むきゅ?ここはどこなの?ぱちゅりーはぱちゅりーよ、ゆっくりしていってね!」 「あぁ、ゆっくりしていってね!」 『ゆっくりしていってね!!!』 子ぱちゅりーが眼を覚ますと、そこは見知らぬ天井であった。 そこには見知らぬご飯さん、見知らぬおもちゃさん、見知らぬふかふかさん。 さらに見知らぬ子ゆっくり達、みんなとってもゆっくりした表情だ。 ちなみにこの子ゆっくり達は僕が育てているゆっくり達だ、見事銀バッチ試験の合格ラインに到達し、金バッチ取得のために日夜勉強中だ。 そしてぱちゅりーを抱えているのは見知ったお兄さん。 「むきゅ?おにいさん?そういえばぱちぇはどうしてここに?」 「あぁ、それはね、君のお父さん達から頼まれたんだ。君を引き取って、ゆっくりさせてあげてくれって」 「むきゅ?そうなの?」 頭の良いぱちゅりーは少し疑問に思ったようだが、そこはすばらしい餡子脳。 あの両親から離れられた喜びと、とってもゆっくりできるお兄さんと一緒にいられるということから、優秀なぱちゅりーの餡子脳も自分の都合のいいように解釈した。 「ところで、君はどうだい?君がいやなら僕も無理にとは言わないよ」 「むきゅ……、ぱちぇはここにいてもいいのかしら?」 「いいよ」 『一緒にゆっくりしようね!!!』 「めいわく……、じゃないかしら?」 「大丈夫だよ」 『ゆっくりしようね!!!』 ぱちゅりーはうつむき、身体をフルフルと震わせてから、ゆっくりとこう言った。 「むっきゅーん!おにいさん!ありがとう!!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「『ゆっくりしていってね!!!』」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ゆがああああああっ!!!ゆっくりできないいいいいいいいいいい!!!!」 数ヵ月後ぱちゅりーとであった公園で、あのゆっくり達が悲鳴をあげていた。 三匹とも片目がくり抜かれ、足は焼かれて、ずーりずーりと這うことしかできない。 まむまむとぺにぺにさんも切り取られ、焼かれている。額は真っ黒に炭化し、どちらにせよ、子供は産めないだろう。 お帽子さんとお飾りさんもボロボロだ。しかし捨ててない分、そこはお兄さんの情けというものだろう 揉み上げとおさげも刈り取られ、三匹にできるのは地面に生えている雑草をむーしゃむーしゅする程度だろう。 しかしそれすら叶わない。何故なら三匹が入れられているのは加工所製のケース。 這うしかできないまりさ達はここからは出られないだろう。雨で溶けることもない。 「ゆがあああああ!!うるさいいいいいい!!ゆっくりできないくそおやはだまってろおおおお!!!」 「「「どぼしてこんなごどにいいいいいいいいい!!!」」」 子れいむも見事に成長し……、いや、数ヶ月前とほとんど変わっていない。 子まりさは最初の数週間で非ゆっくり症を発症し、ポックリいってしまい、三匹の餌となった。 この三匹はメンタルは強かったらしく、今日まで生きながらえている。 「ぱちゅりー、きめぇ丸、先に行っててくれるかい?」 公園の前を通りかかった僕は、胸に燦然と輝く金バッチをつけた胴付ききめぇ丸に出荷用のゆっくり達を預ける。 このきめぇ丸は傷ついていた所を助けた。恩返しがしたいと言うので飼ってみると、すぐに金を取得してくれた。 「むきゅ、分かったわ。行きましょうきめぇ丸」 そして、ついにぱちゅりーはバッチ制度最高ランク、世界に数百匹しかいないプラチナバッチを取得していた。 このことで僕は一気に有名になり、今からいつものお店に金ゆっくり達を卸しに行くところである。 「車に気をつけろよ」 ぱちゅりー達が行ったのを確認してから、公園に入り奥にひっそりと置かれているケースを覗きこむ。 「よぉ、ゲス一家、ゆっくりしてるか?」 「「「ゆひぃっ!!?」」」 「ちゃんと生きてるな、偉いぞ。ほら今週の餌だ」 ケースの中に餌とはいえないようなゴミを入れてやる。 硬い卵の殻、腐りきって蛆が湧いている魚の切り身、そして家を荒らしに来たゲス一家のお飾り。 「ほら、餌を貰ったらお礼を言うんだ。先週も教えたよな?」 「ゆがぁ!!!じねええええ!!!ぐぞじじいはゆっぐりしないでじねえええええっ!!!」 「そうか、まだいい子にならないか」 まりさを掴み、ゲスゆっくりの死臭が染み付いたお飾りを口に入れる。 「ゆげぇっ!!ゆぐっ!!げえええええっ!!」 「おっと」 吐き出そうとしたので、口を押さえ頭を押し込んで咀嚼の手伝いをしてやる。 「ほら、む~しゃむ~しゃ、幸せ~」 「ゆげぇ……」 ぐったりしたまりさを適当に痛めつけ、ケースに放り込む。 「ほら、いい子はお礼を言おうな」 「「ゆ……、ありがとう……ございます……」」 もはやこの二匹のれいむは抗う気力も無い。 「聞こえねぇぞ!クソ饅頭が!!!」 「「ゆっぎゃああっ!!!いだいいいいいいいい!!」」 二匹の顔に拳を叩き込む、中枢餡に届く威力、しかし殺しはしない。 数ヶ月の間に身につけた虐待テクだ。 「「ありがどうございばずううう!!うずぎだないでいぶだちにごはんざんをぐれでありがどうございばずううううっ!!!」」 「そうだ、いい子だね」 ダンボールを公園の奥に戻す。 「じゃ、また来週来るからね、いい子にしてるんだよ」 「「「ゆぐぅ……」」」 逆らえはしない、できない。餌をやれるのは僕だけであり、助けの声もケースに阻まれ、反省中という張り紙もはられている。 こいつらを助けられるのは、公園の草むらを漁る、暇な愛護派の人間だけだろう。 「……返事は?」 「「「「はい゛い゛ぃ!!ゆっぐりまっでまずううううう!!」」」 「よろしい」 これからも僕の躾は続くだろう。 彼らが非ゆっくり症で死ぬか、老衰か、はたまた助けられるか。 どれにせよ、その日が来るまで、ゆっくりと躾をしてあげよう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「いやぁ、まさか君のゆっくりがプラチナを取るとはね。俺の眼にくるいは無かったようだ!ハッハッハ!」 「いえいえ、ぱちゅりーは元々優秀ですから、きめぇ丸もね」 「むきゅー、照れるわお兄さん」 「おぉ、てれるてれる」 顔を赤らめ、高速シェイクをするきめぇ丸から荷物を受け取り、店長に渡す。 『おにいさん!いままでありがとう!ゆっくりしていってね!!』 「今回も素直でいい子が多いな、君のゆっくりはすぐ売れるからな!これからも頼むよ!」 店内を少しうろついていると、半人前のゆリーダーから声をかけられる。 「先輩、躾中のゆっくりが言うこと聞かないんすよ。どうすればいいでしょうか?」 「ハハハ、僕も昔は大変だったよ。いや、今もかな? うーんそうだな、言うことを聞かないなら……」 「気長に ゆっくりと 教え込んであげなさい」 最後まで読んでいただきありがとうございました。 どんなソフトを使えばいいか分からなかったので、とりあえずメモ帳に書きました。 いかがだったでしょうか? 正直自分にはどぎつい虐待描写は難しいようです……。 これからも精進していきたいと思います。 書いた作品 ・『馬鹿一家と賢いぱちゅりー』
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※この作品は『ゆっくりいじめ系888 元気な赤ちゃんゆっくり』に登場した魔法の本の設定を微妙に流用しています 何の変哲もない人家の、家具が少ない以外何の変哲もない一室。 そこでぱちゅりーは本を読んでいた。むせ易いにもかかわらず声に出して。 『ゆっくりやめてね あついあついはゆっくりできないよ』 『やべでねやべでね まりざのあんよざんゆっぐりでぎなぐ・・・』 『あづいいいいいい ゆっぐぢいいいいい ゆびぃ』 流石に感情を込めて読むような器用なまねはしないが、一言一句飛ばすことなく音読していた。 その本の内容はゆっくりまりさを延々と虐待するというもので、お世辞にもゆっくり出来る代物ではない。 加えて彼女のつがいもまりさであり、それを読むとどうしても彼女の事が心配になってしまう。 『ゆっぐ・・・まりざ、のあんよがぁ・・・』 『ばぢゅでぃ・・・ごべんでぇ、ゆっぐぢぃ・・・』 『ゆ゛っ やべでね、もうあづいあづいはいやだあああああ』 どうやらこのまりさは底部を焼かれてしまったらしい。 焼かれるとどうなるのかは分からないが、底部を怪我すると怪我が治るまで狩りに出られない。 だから、このまりさは虐待から解放されても生き延びられないかも知れない。 ゆっくりにとってあんよはとってもだいじなもの だからけがをするとゆっくりできなくなるし、やかれてもゆっくりできない しかも、やけどさんはなおることがないので、にどとゆっくりできない 地の文によるご丁寧な解説によると、焼かれると二度と動けなくなるらしい。 それが意味するところはあまり活動的でないぱちゅりーとて十分に理解している。 要するに、まりさはろくな死に方は出来ないということだ。 『まりさ、もうぱちゅりーをかばうきなんてなくなってきただろ?』 『ゆっぐ・・・まりざは、ばぢゅのだーりんな゛んだよ・・・』 『おーおー、げすのくせにがんばるねぇ。ぱちゅりーをみすてればらくになれるのに』 まりさを虐待している張本人の人間がようやく言葉を発した。 彼はまりさ種はゲスばかりと主張しているらしく、意図的につがいを裏切らせようとしているらしい。 しかし、まりさはつがいのぱちゅりーを見捨てるつもりはないらしい。 『そうかそうか。じゃあ、こんどはまむまむをやこうな♪』 『や゛ぢゃあああああああああ やべでえええええええ』 『いやならぱちゅりーをみすてろよ。ぱちゅりーなんかいらない、っていえよ』 いよいよ凄惨な虐待風景の音読に耐え切れなくなったぱちゅりーは、3ページ先が白紙なのを確認すると本を閉じて眠りについた。 ぱちゅりーはつがいのまりさと一緒に森でゆっくりと生活していた。 他にも仲間はいたが、決して群れを作る事は無く、たがいにあまり干渉せずにゆっくりしていた。 そんな彼女が今人家にいる理由。それは・・・ 「やあ、僕は虐待お兄さん。2匹ともゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!」」 「ところで早速だが君達は僕に誘拐されてここにいる」 という事だ。寝て起きたら彼の家にいたので帰り道など分かるはずもない。 その後、ぱちゅりーはまりさと隔離され、まりさと再会したかったら本を読み終えるように要求された。 人間に逆らってもかなわない事を承知していた彼女は彼の要求に素直に応じることにした。 「そうか、ぱちゅりーは素直で良いね」 「んじゃ、飲み物と食事はそこに置いておくから」 男はそう言ってぱちゅりーのいる部屋を後にした。 その直後から、ぱちゅりーは大事なまりさと一刻も早く再会するために一心不乱に本を読み続けた。 1日で12ページ・・・ゆっくりにしては相当頑張った方である。 「むきゅ・・・あとすこしよ・・・」 「まりさ、ゆっくりまっててね・・・」 「むきゅう・・・むきゅう・・・」 明日中には読み終えられると確信したぱちゅりーはゆっくりと眠りについた。 翌朝、ぱちゅりーは無事残りの3ページを読み終えた。しかし・・・ 「どほぢでええええええ!?」 「何かあったのかい、ぱちゅりー?」 「おかしいわ!ほんのぺーじさんが・・・」 読み終えた事を確認するためにぱちゅりーがページをめくったところ、空白だったはずのそこに文字が刻まれていた。 何度思い返しても昨日は空白だったはず。しかし、そこには確かにまりさが空腹に苦しむさまが描写されている。 が、お兄さんがそんな言い分を信じるはずもなく「・・・何でも良いけど読み終えないと会わせてあげないからね?」とだけ言い残して立ち去った。 「むぎゅぅ・・・しかたないわ・・・」 「ぱぢゅりー、ゆっくりがんばるわ・・・」 ぱちゅりーは気を取り直して今日もまたゆっくり出来ない内容の本に向かい合った。 『ゆぅ・・・おなかすいたよぉ・・・』 『そうか ちなみにぱっちゅりーはたくさんのごはんをたべてるぞ』 『ゆゆっ ゆぐぅ・・・』 ぱちゅりーの事が信じられないのか、それとも別の理由なのか返答に窮するまりさ。 本に書かれ他文字から彼女の心情を推し量ることはできないが、昨日ほどの覇気がないのは間違いないようだ。 『ちなみに、ほんもあたえてやったからいまごろほんをよんでゆっくりしてるだろうな』 『ゆぅ・・・ま、まりさは・・・ぱちゅりーがゆっくぢでぎて、うれぢいよ』 『はっはっは、けなげぶるなよくそげすが じゃあ、きょうはそのおめめをえぐろうか』 そのやり取りを見て、彼女はいたたまれない気持ちになった。 仕方がないこととはいえ、このまりさのつがいが彼女の状況も知らずにゆっくりしているという事に。 そして、今、自分がつがいのまりさの状況を知る事が出来ないもどかしさに。 『やべでえええええええ ゆぎぃ・・・』 『おいおい、あんこをはくなよ それにきぜつなんてしたらつまらないじゃないか』 『ゆぶぉ ゆべぇ』 男はまりさが吐き出した餡子を無理やり口の中に押し戻した。 どうやら彼女には自ら死を選んで楽になるという選択肢さえも存在しないようだ。 食事も、苦しみも、死も、生も・・・何もかも邪悪な男の手のひらの上。 『ったく、ごうじょうなやつだな しかたない、いいかげんしょうたいをあらわさないなら・・・』 『ゆひぃ・・・まぢざのおべべぇ・・・』 『れいぱーありすをたくさんつれてくるぞ?』 レイパーありす・・・他のゆっくりを無理矢理犯して子供を押し付けるという醜悪極まりない存在だ。 『やべでええええ でいばーはゆっぐぢでぎだいいいいい』 『ゆっくりさせないためにやってるんじゃないか じゃ、あしたつれてくるよ』 『ゆわああああああああ』 その後も本の中にまりさは色んな虐待を受けた。 やがて、音読しているだけで気分が悪くなったぱちゅりーは吐き気を催し、その日の読書を終えた。 確認してみたところ、残りのページ数は5ページだった。 『ゆっぐ、やべでね・・・もうばぢゅでぃはいいよ まぢさゆっぐぢぢだいよ』 翌朝、やはり増えていたページに首をかしげながらも読み進めていくと、ついにまりさが根を上げてしまった。 どうやら7匹ものレイパーありすの醜悪なんほ顔に心を折られてしまったようだ。 しかし・・・・・・ 『やっぱりげすだったな・・・ありす、せいさいがてらにすっきりしまくってあげなさい』 『『『『『『『んほおおおおおおおおお』』』』』』』 『どほぢでええええええ』 そこから先は延々と音読するだけでも虫唾が走るほどの容赦ない凌辱が繰り返された。 しかも、すでに子を宿す器官をすべて破壊されてしまっていたまりさは栄養を奪われてしぬ事が出来ない。 空腹と疲労と、苦痛がいずれ彼女を殺してくれると信じて、ただ犯されることしか出来ない。 「むきゅう・・・まりさがしんじゃったわ」 ぱちゅりーはまりさが力尽きたところまで読み終えると、本を閉じ眠りについた。 明日こそは何としても読み終えよう・・・そう心に誓って。 その誓いが永遠に叶わない事を彼女が理解するのはまだもう少し先。 新しい登場ゆっくりのただ本を読み続けるぱちゅりーの正体に気付くその時の話である。 その時になってようやく、彼女は自分のつがいの状況を理解することになる。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 【本について】 本来は何処かで行われている虐待を自動収集する本ですが・・・ この作品ではお兄さんの行った虐待を自動的に記録する本になってしまっています 多分作ったのもお兄さん。30年間、城門を破った事のない平和主義者だったのでしょう byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
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「げほっ、げほっ…おがあしゃん…ゆっぐちでぎだいよ…」 その赤ちゃんゆっくりまりさは病の淵で死に掛けていた。 「おねえちゃんたちとゆっくりまっててね…おかあさんがおくすりもらってくるからね…」 「ゆっぐぢ…まっでゆよ…」 赤ちゃんまりさは力なくうなずいた。 母まりさは強い決意をたたえた瞳で巣の外を見つめた。 「ゆっくりいってくるよ、あかちゃんをおねがいね」 「ゆっくりまりさにおまかせ☆」 長女のゆっくりまりさはくるりターンしてウィンクして答えて魅せた。 それを見てにこりと笑い母まりさは巣を飛び出した。 赤ちゃんまりさはある流行病に蝕まれていた。 その病の名は『ぱちゅり沢症候群』 ゆっくりぱちゅりー達の住む集落、ぱちゅり沢で発生し伝染していったことから人間の学者がこの名前をつけた。 もとはぱちゅりー種が元来持っている持病が突然変異し他のゆっくりへの感染能力を身に着けたことにより誕生した病気である。 症状は様々だが共通しているのは病状が進むにつれゆっくり出来なくなりやがて死に至ることである。 基本的に自然治癒することは無い、かかったまま放置すれば必ず死に至る病としてゆっくり達にとても恐れられていた。 ただし、生き残る方法があった。 ぱちゅり沢症候群発祥の地、ぱちゅり沢にはこの病気の治療薬があった。 それさえ投与し続ければ段々と回復し、もとがケンコウなゆっくりならば完治する可能性もあるのだ。 まりさが向かっているのはそのぱちゅり沢であった。 まりさは危険も顧みずにただただ急いだ。 れみりゃが居るという草原を進みふらんがたむろするという森を突き抜けた。 やがて、美しい川の流れるゆっくりたちの住む集落にたどり着いた。 「ゆ…ゆっくりしてないでおくすりもらわなきゃ…」 まりさは適当な巣穴に入って中のゆっくりに話しかけた。 「まりさにぱちゅりさわしょーこーぐんのおくすりをちょうだいね!」 「むきゅ?おくすりならむらのおくのおうちでもらえるからゆっくりしてないでぱちゅりーたちのおうちからでていってね!!」 「ゆ!わかったよ!ありがとう!」 まりさは喜び勇んで言われた場所へとぴょこんぴょこん跳ねていった。 「ゆっくりおくすりをちょうだいね!」 そこは人間の使っていた廃屋をそのまま利用した場所だった。 それなりに大きく高さは三メートルはあった。 入り口の前には二匹のゆっくりぱちゅりーが番をしている。 「むきゅ、おくすりがほしかったらちゃんとたいかをはらってね!」 「ゆ!?どういうこと!?」 まりさは対価を要求されてとても驚いた。 この村から発生した病気なのだから責任を持って薬もただでもらえると思っていたからだ。 「ゆー!まりさのあかちゃんがびょうきになったのはぱちゅりーたちのせいだよ! おくすりもただでちょうだいね!」 「むきゅ、びょうきにかかったのはたいちょうかんりのもんだいよ ぱちゅりーたちにせきにんはないのをゆっくりりかいしてね」 「ゆー…」 抗議も空しく退けられ、仕方なくまりさは帰り用に取っておいたなけなしの食料を差し出した。 「むきゅぅ~これじゃぜんぜんたりないわよ ゆっくりまってるからでなおしてきてね」 その食料を見てぱちゅりー達は呆れたように首を振った。 「ゆううううううううう!!!!!!!!」 まりさは埒があかないと思った。 「まりさのあかちゃんはいまもゆっくりできなくてくるしんでるんだよ!! おくすりちょうだいね!!!」 「むきゅ、きそくはきそくだからだめよ」 その取り付くしまもない言い草にまりさは激怒した。 「もういいよかってにもらってくよ!!」 まりさは廃屋の中に入って薬を強奪することにした。 病弱なぱちゅりー種ならば問題なく倒して脱出することが可能だろうという算段からだ。 「むきゅ!だめよ!」 二匹のぱちゅりーがまりさの行く手をふさぐ。 まりさは問題なく吹き飛ばせると踏んで気にせず突進した。 「ゆ!?」 しかしぱちゅりー達はまりさの体当たりに耐え切るとそのまま押し返そうと体を前進させた。 まりさはそのぱちゅりー種とは思えない力強さに困惑する。 「むきゅ~~もってかないでね~~~~!!!」 「ゆう~~~!?」 そのまま力負けして押し潰されそうになった時、赤ちゃんが苦しむ姿が脳裏を過ぎった。 「ゆっくりいいいいいいいいいいい!!!」 「むきゅう!?」 「こ、このちからは!?」 遠く巣で床に伏せる赤ちゃんのことを思ってまりさは最後の力を振り絞りぱちゅりー達を振り払った。 ぱちゅりー達が吹き飛ばされて壁にぶつかってむきゅうしてるのを見てまりさは一目散に廃屋の中へと突貫した。 「おくすりをちょうだいねえええええええええええ!!!」 圧倒的なパワーでまりさは中のぱちゅりー達も吹き飛ばしていく。 まりさは辺りを見回しながら薬を探し走り回った。 探し物をしながら走れば当然前をちゃんと見てないわけで当然の理としてまりさはぼよんと何かにぶつかった。 「ゆ…ちゃんとまえみてさがすよ!」 気を取り直して再び探そうとしたその時、ぶつかった何かにまりさは押しつぶされた。 「ゆげえええええええええええ!?」 『ぱちゅりーのおうちをあらしてるのはあなた?』 「ゆ?だれ!?どこにいるの!?ゆっくりでてきてね!」 まりさは上に何かが乗ったまま余り体を動かせず狭い範囲を見回したが誰もいなかった。 『むきゅう、もうすぐちかくにいるわよ』 「どこ?どこ!?ゆっくりりかいできないよ!?」 『あなたのすぐうえよ』 そう、それはまりさの上に圧し掛かっているゆっくりぱちゅりーだった。 大きさは二メートルくらいだろうか。 まりさが潰れずに生きているのはひとえにぱちゅりーが加減して体重をかけないようにしているからだろう。 「ゆ~~~~~~~~!?」 まりさはこんな巨大なぱちゅりーは見たことがなかった。 確かにゆっくりが成長して数メートルまで成長することはある。 しかし病弱なぱちゅりーにおいてそんな事例は皆無であった。 混乱しているまりさにぱちゅりーが軽く体重をかけた。 「ゆぶっやべっでべぞ!?」 思わず餡子を吐き出しそうになりまりさは破裂しそうになりながら皮を必死に固めて耐えた。 ひとたび餡子が噴出せばこのまま全ての餡子が出るまで押し続けられるだろう。 『むきゅ、みんなあつまってね!』 巨大なぱちゅりーの掛け声に応じてぱちゅりー種達が集まってきた。 『ゆっくりおさえてね』 ドン、とまりさを突き出して開放したかと思うと瞬く間に回りにぱちゅりー種が集まり再び拘束する。 「ど、どういうことなのおおおおお!?」 混乱にあえぐまりさが叫んだ。 巨大ぱちゅりーの髪にはたくさんのリボンが結び付けてあった。 それはこの村のぱちゅりー達により信頼の証として差し出されたリボンである。 その堂々たる姿はまさにドスぱちゅりーというのに相応しかった。 このぱちゅりーも元はただのゆっくりぱちゅりーだった。 そんなぱちゅりーの運命が変わったのはある植物を見つけたときのことだ。 その植物の近くにいると持病が和らいで今までになくゆっくりできた。 ためしに口にしてみると持病が治まり、さらにゆっくりすることができた。 それどころかその植物の効果がある内は野原を走り回ってちょうちょを追いかけて食べたりすることも出来た。 それはぱちゅりーがいくら願っても絶対に手の届かなかったはずの感動であった。 ぱちゅりーはその時真のゆっくりとはこういうことだと確信した。 ぱちゅりーは元気な姿を仲間達に見せて驚かせた。 仲間たちは目を丸くして驚いた後ぱちゅりーの体がよくなったことを涙を流して喜んだ。 その植物があったのがこの近くの沢である。 ぱちゅりーは仲間を呼んででこの近くに住み始めた。 そして病気の完治を目指してこの植物のより良い使い方を研究し始めたのだ。 他の植物と混ぜたり別の食べ方を試したりして段々と効果を高めていった。 ぱちゅりーは完治するまでには至らなかったが薬の効果は充分に高まり ぱちゅりーが満足して生活できるくらいの効力を有するようになった。 ぱちゅりーは仲間達とその成果を喜び、体を動かしてゆっくりしあった。 しっかり食べ動くようになっていたぱちゅりーはすくすくと成長し 体も今の四分の一程度まで大きくなっていた。 そんな幸せなある日、異変が起こった。 ぱちゅりーの研究を手伝ってくれた仲間達が次々と病で倒れていったのである。 「ゆ!おとなりのゆっくりみょうんにきいたらもりのおくにやくにたちそうなおはながあるよ!」 薬の材料がどこにあるか調べてくれたれいむが 「きのこさがしならまりさにまかせるんだぜ!」 薬の原料を集めてきてくれたまりさが 「風邪には少女臭がきくわ」 様々な知識をかして手伝ってくれたゆかりんが 「わかるよーこうすればいいんだねー」 助手として薬の調合を手伝ってくれたちぇんが その病に倒れていった。 ぱちゅりーは原因もわからずに倒れていく仲間達の姿を見て自分の無力さに涙した。 自分を元気にしてゆっくりできるようにするのを手伝ってくれた仲間達が まるで昔の自分の様に病に苦しみ、そしてゆっくりできないと訴えて死んでいった。 全ての仲間を失って放心状態で巣の中に閉じこもっていたぱちゅりーは 薬を飲むのも忘れ、再び持病が発症したときに気付いた。 仲間達の病が自分と全く同じということに。 謎の病はぱちゅりーから仲間達へと伝染したのだ。 通常、ぱちゅりー種の病気が他のゆっくりに移ることはない。 だがこのぱちゅりーは通常より長く、そして強く生き過ぎた。 ぱちゅりーの体内で薬で抑えられながら病原菌は突然変異を起こし 他のゆっくりに感染する能力を身に着けたのだ。 「む゛ぎゅうううううん!!ばぢゅり゛ーのぜいでみ゛ん゛な゛が! み゛ん゛な゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!む゛ぎゅうううううううううううん!!」 ぱちゅりーは仲間達と薬の研究をした巣の中で涙が枯れ果てるまで泣いた。 最初、ぱちゅりーは死のうと思った。 死んで天国で仲間達と一緒にゆっくりしようと思った。 そしてその日から薬を断った。 薬に押さえつけられていた持病がぱちゅりーを再び襲った。 しかし病に冒され、どんどんゆっくり出来なくなる中でぱちゅりーはふと思った このまま病に殺されてしまっていいのだろうかと。 ぱちゅりー達が作った薬はまだ完全ではない。 この薬を完成させて、ぱちゅりー種の持病を 自分の中の病を完全に殺せる薬を作ることが仲間達の敵を取ることになるのではないか。 そう気付いた時には既にぱちゅりーは残っていた薬を飲み、研究を再開していた。 それまでと違い自らの体を実験台に使った孤独で過酷な研究だった。 試してみた薬の副作用でぱちゅりーの体は二倍に膨れ上がった。 様々な副作用に悩ませながらぱちゅりーは研究を続けたが、自分の中の病を 完全に殺しきることは、完治にいたることはなかった。 いくら研究しても完成しない薬に、ぱちゅりーは遂にぱちゅりー種は その構造上、絶対に持病は完治しないことを突き止めてしまった。 ぱちゅりー種はもともと病とセットで生まれてくるものだったのだ。 もし体内の病が完全に死ぬことがあるとすればそれはそのぱちゅりーが死ぬときだけである。 ぱちゅりーは再び絶望し、自分の中の病と刺し違えようと思った。 だがぱちゅりーは考えた。 自分が死んでも仲間達を殺した病原菌は生き残るのだ。 そのディレンマにぱちゅりーは悩み、死ぬに死ねずに居た。 やがてぱちゅりーはある考えにたどり着いた。 この病気を利用し、奴隷、武器として使役して自分の王国を作る。 それが仲間を殺した病気へのぱちゅりーの考える限り最高の復讐になると。 それは憎しみと病のハザマでぱちゅりーが出したギリギリの妥協案だった。 ぱちゅりーはその巨大な体躯を生かし、まずぱちゅりー種で作った群れを作った。 ぱちゅりー種の持病を抑える薬を少し与えればどんなぱちゅりーもすぐにぱちゅりーの奴隷となった。 ぱちゅりーは親愛の証として、実際には服従の証としてぱちゅりー達のリボンをその際貰い、髪に結びつけた。 この頃から、ぱちゅりーは他と自分を区別、いや差別するために自らドスぱちゅりーを名乗り始めた。 ぱちゅりー達はドスぱちゅりーを神のごとく崇め、したがった。 群れはすぐに大きくなり、ぱちゅり沢は近隣では一番大きなゆっくりの群れになった。 肥大化した群れはすぐに食料が足りなくなった。 当然である、ただでさえ体の弱いぱちゅりー達が薬の材料集めに奔走しているのだから食べ物が足りるはずがない。 ドスぱちゅりーにはこの先のヴィジョンがあった。 ドスぱちゅりーは群れのぱちゅりー達にある群れに代わる代わる向かい、一日ずつゆっくりしてくるよう言った。 ぱちゅりー達はドスに従いその群れに代わる代わる向かった。 やがて、群れの中で謎の病が流行り始めた。 このときにはもう群れのぱちゅりー達は後に『ぱちゅり沢症候群』と呼ばれる感染型の病原菌に感染していた。 そんなぱちゅりー達に代わる代わるにこられたその群れはすぐに症候群に感染した。 それから一週間して、今度はドスぱちゅりーが自ら群れに向かった。 そこで薬を振りまき、お礼に食料を分けてもらった。 ぱちゅりー達はその食料でゆっくりと過ごすことが出来た。 その内、また食料がなくなると全く同じことをして食料を得た。 やがてその群れが食料が無くなり、みんな病死ではなく餓死して全滅すると また別の群れを見つけて同じことをした。 その内にドスはぱちゅり沢から出なくて済むようになった。 病気の噂が広まり、それを治せる薬を持つドスぱちゅりーのところに勝手に向うからやってくるようになったからである。 ドスぱちゅりーはただ巣でじっとしていれば食べ物がもらえるようになった。 ぱちゅりー達は命令すれば全て自分の手足のように動いた。 この時、遂にドスぱちゅりーの王国は完成した。 何もせずに食べ物が食べられるようになり、ぱちゅりーは今と同じ大きさまで大きくなった。 そして今に至った。 「ゆううううう!まりさはあがぢゃんをだずげだいだげなんでず! お゛でがいだがらおぐずりをぐだざい!」 まりさはドスぱちゅりーの巨体に怯えながらも懇願した。 『むきゅ、かってにぱちゅりーのくすりをもってこうとしたわるいまりさにはおしおきがひつようね』 しかしドスぱちゅりーの王国を維持するために規則を破ったゆっくりは罰される運命にあった。 ドスぱちゅりーは大きく息を吸い込んだ。 『げほっ!ごほっ!げほっ!むぎゅうううん!』 大きな大きなセキが台風のようにまりさに襲い掛かった。 「ゆううううう!?やべでえええええええええ!!!」 数分それが続き、そこにはすっかり弱り果てたまりさの姿があった。 「ゆぅ…ま…まりさのあかちゃんに…お…くす…り…」 『むっきゅー、もうかんっせん☆したころだね、はなしていいよ』 「かん…せん…?…げほっごほっ!?ゆ…!?げほっ」 『あかちゃんといっしょにびょうきでゆっくりしんでね!』 ドスに病気を移されたことに気付き、まりさは驚愕し叫んだ。 「ゆうううううう!?げほっ! ま、まりさにはあかちゃんのほかにもこどもがいっぱいげほっ!ごほっ!…いるの! だがらびょうぎになんがなっでるひばはだいどおおおおおお!! ごほっ!お゛ね゛がいじばず!お゛ぐずり゛!お゛ぐずり゛わげでぐだばいいいいいい!!」 「「「「「「「「「「「「ゆっくりでていってね!!!」」」」」」」」」」」」」」 まりさはゆっくりぱちゅりー達に引き倒されて外に放り出された。 「おでがい!おぐずり!おぐずりいいいいいいいいいいいい!!!」 ぱちゅりー達の掟に一度でもドスぱちゅりー達に危害を加えたものには絶対に薬を与えないという掟がある。 故にまりさの声が聞き入れられることはなかった。 まりさは薬を諦め症候群に蝕まれた体を引き摺りながら巣に帰った。 「ゆ…くるちい…」 「がんばってね!」 「おかあさんがおくすりもってくればゆっくりできるよ!」 「もうすこしのしんぼうだよ!!」 巣の中では子まりさ達が赤ちゃんを励ましていた。 「ただい…いま…ごほっ」 「!?おかえりなさいおかあさん!はやくあかちゃんにおくすりあげてね!!」 まりさが巣に戻ると子ども達が出迎えて薬をせがんだ。 「げほっ、ごべんね、おぐずりは…ないの…」 「どういうこどおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「どうじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおお!?」 「おがあざんのばがああああああああああああああああ!!」 次々とまりさに罵倒が放たれた。 まりさは言った。 「げほっ!うるさいよ!しかたないでしょ!ないものはないよ! もんくいうおまえらなんかまりさのこどもじゃないよ!まりさのおうちからでていってね!!ごほっ!」 「う゛ああああああああああああああああああああん!!」 「おがあざんなんがもうぢらないいいいいいいいいい!!」 「ばがあああああ!おがあざんのばがあああああああ!!」 子まりさ達は泣きながら外に飛び出していった。 まりさは子まりさ達が入ってこれないように巣の穴をしっかりとふさいだ。 「おかあしゃん…ゆっくりちたいよ…」 「ごべんね…おがあざんだべだっだの…ごべんね…ごべんね…!」 それが終わるとまりさは赤ちゃんまりさの傍によりそって少しでも苦しみを和らげてあげようと 頬をこすり合わせながらただひたすら泣いて謝った。 「もっと…ゆっくりちたかったよ…」 「まりざのあがぢゃんんんんんんんん!!!うわああああああああ!ごべんねえええええええええ! ごべんねえええええええええええええええ!!!!」 それから数日後、子まりさ達が戻ってきて完全に閉じた巣の扉をなんとか抉じ開けると そこには病に倒れ息絶えた赤ちゃんまりさと母まりさが横たわっていた。 『………』 ドスぱちゅりーは肉体的に満ち足りた状態でありながらも心に何かがひっかかり続ける状態を続けていた。 その鬱憤の矛先に気まぐれに群れを一つ病で滅ぼしてみたりしてみるが一行に晴れることはなかった。 ドスぱちゅりーが、今行っていることは病気への復讐などではなく単に病気との共生生活だと 気付かない振りをするのに耐えられなくなるのはいつの日だろうか。 その日がこの王国が崩壊する日なのだ。 このSSに感想を付ける
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「げほっ、げほっ…おがあしゃん…ゆっぐちでぎだいよ…」 その赤ちゃんゆっくりまりさは病の淵で死に掛けていた。 「おねえちゃんたちとゆっくりまっててね…おかあさんがおくすりもらってくるからね…」 「ゆっぐぢ…まっでゆよ…」 赤ちゃんまりさは力なくうなずいた。 母まりさは強い決意をたたえた瞳で巣の外を見つめた。 「ゆっくりいってくるよ、あかちゃんをおねがいね」 「ゆっくりまりさにおまかせ☆」 長女のゆっくりまりさはくるりターンしてウィンクして答えて魅せた。 それを見てにこりと笑い母まりさは巣を飛び出した。 赤ちゃんまりさはある流行病に蝕まれていた。 その病の名は『ぱちゅり沢症候群』 ゆっくりぱちゅりー達の住む集落、ぱちゅり沢で発生し伝染していったことから人間の学者がこの名前をつけた。 もとはぱちゅりー種が元来持っている持病が突然変異し他のゆっくりへの感染能力を身に着けたことにより誕生した病気である。 症状は様々だが共通しているのは病状が進むにつれゆっくり出来なくなりやがて死に至ることである。 基本的に自然治癒することは無い、かかったまま放置すれば必ず死に至る病としてゆっくり達にとても恐れられていた。 ただし、生き残る方法があった。 ぱちゅり沢症候群発祥の地、ぱちゅり沢にはこの病気の治療薬があった。 それさえ投与し続ければ段々と回復し、もとがケンコウなゆっくりならば完治する可能性もあるのだ。 まりさが向かっているのはそのぱちゅり沢であった。 まりさは危険も顧みずにただただ急いだ。 れみりゃが居るという草原を進みふらんがたむろするという森を突き抜けた。 やがて、美しい川の流れるゆっくりたちの住む集落にたどり着いた。 「ゆ…ゆっくりしてないでおくすりもらわなきゃ…」 まりさは適当な巣穴に入って中のゆっくりに話しかけた。 「まりさにぱちゅりさわしょーこーぐんのおくすりをちょうだいね!」 「むきゅ?おくすりならむらのおくのおうちでもらえるからゆっくりしてないでぱちゅりーたちのおうちからでていってね!!」 「ゆ!わかったよ!ありがとう!」 まりさは喜び勇んで言われた場所へとぴょこんぴょこん跳ねていった。 「ゆっくりおくすりをちょうだいね!」 そこは人間の使っていた廃屋をそのまま利用した場所だった。 それなりに大きく高さは三メートルはあった。 入り口の前には二匹のゆっくりぱちゅりーが番をしている。 「むきゅ、おくすりがほしかったらちゃんとたいかをはらってね!」 「ゆ!?どういうこと!?」 まりさは対価を要求されてとても驚いた。 この村から発生した病気なのだから責任を持って薬もただでもらえると思っていたからだ。 「ゆー!まりさのあかちゃんがびょうきになったのはぱちゅりーたちのせいだよ! おくすりもただでちょうだいね!」 「むきゅ、びょうきにかかったのはたいちょうかんりのもんだいよ ぱちゅりーたちにせきにんはないのをゆっくりりかいしてね」 「ゆー…」 抗議も空しく退けられ、仕方なくまりさは帰り用に取っておいたなけなしの食料を差し出した。 「むきゅぅ~これじゃぜんぜんたりないわよ ゆっくりまってるからでなおしてきてね」 その食料を見てぱちゅりー達は呆れたように首を振った。 「ゆううううううううう!!!!!!!!」 まりさは埒があかないと思った。 「まりさのあかちゃんはいまもゆっくりできなくてくるしんでるんだよ!! おくすりちょうだいね!!!」 「むきゅ、きそくはきそくだからだめよ」 その取り付くしまもない言い草にまりさは激怒した。 「もういいよかってにもらってくよ!!」 まりさは廃屋の中に入って薬を強奪することにした。 病弱なぱちゅりー種ならば問題なく倒して脱出することが可能だろうという算段からだ。 「むきゅ!だめよ!」 二匹のぱちゅりーがまりさの行く手をふさぐ。 まりさは問題なく吹き飛ばせると踏んで気にせず突進した。 「ゆ!?」 しかしぱちゅりー達はまりさの体当たりに耐え切るとそのまま押し返そうと体を前進させた。 まりさはそのぱちゅりー種とは思えない力強さに困惑する。 「むきゅ~~もってかないでね~~~~!!!」 「ゆう~~~!?」 そのまま力負けして押し潰されそうになった時、赤ちゃんが苦しむ姿が脳裏を過ぎった。 「ゆっくりいいいいいいいいいいい!!!」 「むきゅう!?」 「こ、このちからは!?」 遠く巣で床に伏せる赤ちゃんのことを思ってまりさは最後の力を振り絞りぱちゅりー達を振り払った。 ぱちゅりー達が吹き飛ばされて壁にぶつかってむきゅうしてるのを見てまりさは一目散に廃屋の中へと突貫した。 「おくすりをちょうだいねえええええええええええ!!!」 圧倒的なパワーでまりさは中のぱちゅりー達も吹き飛ばしていく。 まりさは辺りを見回しながら薬を探し走り回った。 探し物をしながら走れば当然前をちゃんと見てないわけで当然の理としてまりさはぼよんと何かにぶつかった。 「ゆ…ちゃんとまえみてさがすよ!」 気を取り直して再び探そうとしたその時、ぶつかった何かにまりさは押しつぶされた。 「ゆげえええええええええええ!?」 『ぱちゅりーのおうちをあらしてるのはあなた?』 「ゆ?だれ!?どこにいるの!?ゆっくりでてきてね!」 まりさは上に何かが乗ったまま余り体を動かせず狭い範囲を見回したが誰もいなかった。 『むきゅう、もうすぐちかくにいるわよ』 「どこ?どこ!?ゆっくりりかいできないよ!?」 『あなたのすぐうえよ』 そう、それはまりさの上に圧し掛かっているゆっくりぱちゅりーだった。 大きさは二メートルくらいだろうか。 まりさが潰れずに生きているのはひとえにぱちゅりーが加減して体重をかけないようにしているからだろう。 「ゆ~~~~~~~~!?」 まりさはこんな巨大なぱちゅりーは見たことがなかった。 確かにゆっくりが成長して数メートルまで成長することはある。 しかし病弱なぱちゅりーにおいてそんな事例は皆無であった。 混乱しているまりさにぱちゅりーが軽く体重をかけた。 「ゆぶっやべっでべぞ!?」 思わず餡子を吐き出しそうになりまりさは破裂しそうになりながら皮を必死に固めて耐えた。 ひとたび餡子が噴出せばこのまま全ての餡子が出るまで押し続けられるだろう。 『むきゅ、みんなあつまってね!』 巨大なぱちゅりーの掛け声に応じてぱちゅりー種達が集まってきた。 『ゆっくりおさえてね』 ドン、とまりさを突き出して開放したかと思うと瞬く間に回りにぱちゅりー種が集まり再び拘束する。 「ど、どういうことなのおおおおお!?」 混乱にあえぐまりさが叫んだ。 巨大ぱちゅりーの髪にはたくさんのリボンが結び付けてあった。 それはこの村のぱちゅりー達により信頼の証として差し出されたリボンである。 その堂々たる姿はまさにドスぱちゅりーというのに相応しかった。 このぱちゅりーも元はただのゆっくりぱちゅりーだった。 そんなぱちゅりーの運命が変わったのはある植物を見つけたときのことだ。 その植物の近くにいると持病が和らいで今までになくゆっくりできた。 ためしに口にしてみると持病が治まり、さらにゆっくりすることができた。 それどころかその植物の効果がある内は野原を走り回ってちょうちょを追いかけて食べたりすることも出来た。 それはぱちゅりーがいくら願っても絶対に手の届かなかったはずの感動であった。 ぱちゅりーはその時真のゆっくりとはこういうことだと確信した。 ぱちゅりーは元気な姿を仲間達に見せて驚かせた。 仲間たちは目を丸くして驚いた後ぱちゅりーの体がよくなったことを涙を流して喜んだ。 その植物があったのがこの近くの沢である。 ぱちゅりーは仲間を呼んででこの近くに住み始めた。 そして病気の完治を目指してこの植物のより良い使い方を研究し始めたのだ。 他の植物と混ぜたり別の食べ方を試したりして段々と効果を高めていった。 ぱちゅりーは完治するまでには至らなかったが薬の効果は充分に高まり ぱちゅりーが満足して生活できるくらいの効力を有するようになった。 ぱちゅりーは仲間達とその成果を喜び、体を動かしてゆっくりしあった。 しっかり食べ動くようになっていたぱちゅりーはすくすくと成長し 体も今の四分の一程度まで大きくなっていた。 そんな幸せなある日、異変が起こった。 ぱちゅりーの研究を手伝ってくれた仲間達が次々と病で倒れていったのである。 「ゆ!おとなりのゆっくりみょうんにきいたらもりのおくにやくにたちそうなおはながあるよ!」 薬の材料がどこにあるか調べてくれたれいむが 「きのこさがしならまりさにまかせるんだぜ!」 薬の原料を集めてきてくれたまりさが 「風邪には少女臭がきくわ」 様々な知識をかして手伝ってくれたゆかりんが 「わかるよーこうすればいいんだねー」 助手として薬の調合を手伝ってくれたちぇんが その病に倒れていった。 ぱちゅりーは原因もわからずに倒れていく仲間達の姿を見て自分の無力さに涙した。 自分を元気にしてゆっくりできるようにするのを手伝ってくれた仲間達が まるで昔の自分の様に病に苦しみ、そしてゆっくりできないと訴えて死んでいった。 全ての仲間を失って放心状態で巣の中に閉じこもっていたぱちゅりーは 薬を飲むのも忘れ、再び持病が発症したときに気付いた。 仲間達の病が自分と全く同じということに。 謎の病はぱちゅりーから仲間達へと伝染したのだ。 通常、ぱちゅりー種の病気が他のゆっくりに移ることはない。 だがこのぱちゅりーは通常より長く、そして強く生き過ぎた。 ぱちゅりーの体内で薬で抑えられながら病原菌は突然変異を起こし 他のゆっくりに感染する能力を身に着けたのだ。 「む゛ぎゅうううううん!!ばぢゅり゛ーのぜいでみ゛ん゛な゛が! み゛ん゛な゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!む゛ぎゅうううううううううううん!!」 ぱちゅりーは仲間達と薬の研究をした巣の中で涙が枯れ果てるまで泣いた。 最初、ぱちゅりーは死のうと思った。 死んで天国で仲間達と一緒にゆっくりしようと思った。 そしてその日から薬を断った。 薬に押さえつけられていた持病がぱちゅりーを再び襲った。 しかし病に冒され、どんどんゆっくり出来なくなる中でぱちゅりーはふと思った このまま病に殺されてしまっていいのだろうかと。 ぱちゅりー達が作った薬はまだ完全ではない。 この薬を完成させて、ぱちゅりー種の持病を 自分の中の病を完全に殺せる薬を作ることが仲間達の敵を取ることになるのではないか。 そう気付いた時には既にぱちゅりーは残っていた薬を飲み、研究を再開していた。 それまでと違い自らの体を実験台に使った孤独で過酷な研究だった。 試してみた薬の副作用でぱちゅりーの体は二倍に膨れ上がった。 様々な副作用に悩ませながらぱちゅりーは研究を続けたが、自分の中の病を 完全に殺しきることは、完治にいたることはなかった。 いくら研究しても完成しない薬に、ぱちゅりーは遂にぱちゅりー種は その構造上、絶対に持病は完治しないことを突き止めてしまった。 ぱちゅりー種はもともと病とセットで生まれてくるものだったのだ。 もし体内の病が完全に死ぬことがあるとすればそれはそのぱちゅりーが死ぬときだけである。 ぱちゅりーは再び絶望し、自分の中の病と刺し違えようと思った。 だがぱちゅりーは考えた。 自分が死んでも仲間達を殺した病原菌は生き残るのだ。 そのディレンマにぱちゅりーは悩み、死ぬに死ねずに居た。 やがてぱちゅりーはある考えにたどり着いた。 この病気を利用し、奴隷、武器として使役して自分の王国を作る。 それが仲間を殺した病気へのぱちゅりーの考える限り最高の復讐になると。 それは憎しみと病のハザマでぱちゅりーが出したギリギリの妥協案だった。 ぱちゅりーはその巨大な体躯を生かし、まずぱちゅりー種で作った群れを作った。 ぱちゅりー種の持病を抑える薬を少し与えればどんなぱちゅりーもすぐにぱちゅりーの奴隷となった。 ぱちゅりーは親愛の証として、実際には服従の証としてぱちゅりー達のリボンをその際貰い、髪に結びつけた。 この頃から、ぱちゅりーは他と自分を区別、いや差別するために自らドスぱちゅりーを名乗り始めた。 ぱちゅりー達はドスぱちゅりーを神のごとく崇め、したがった。 群れはすぐに大きくなり、ぱちゅり沢は近隣では一番大きなゆっくりの群れになった。 肥大化した群れはすぐに食料が足りなくなった。 当然である、ただでさえ体の弱いぱちゅりー達が薬の材料集めに奔走しているのだから食べ物が足りるはずがない。 ドスぱちゅりーにはこの先のヴィジョンがあった。 ドスぱちゅりーは群れのぱちゅりー達にある群れに代わる代わる向かい、一日ずつゆっくりしてくるよう言った。 ぱちゅりー達はドスに従いその群れに代わる代わる向かった。 やがて、群れの中で謎の病が流行り始めた。 このときにはもう群れのぱちゅりー達は後に『ぱちゅり沢症候群』と呼ばれる感染型の病原菌に感染していた。 そんなぱちゅりー達に代わる代わるにこられたその群れはすぐに症候群に感染した。 それから一週間して、今度はドスぱちゅりーが自ら群れに向かった。 そこで薬を振りまき、お礼に食料を分けてもらった。 ぱちゅりー達はその食料でゆっくりと過ごすことが出来た。 その内、また食料がなくなると全く同じことをして食料を得た。 やがてその群れが食料が無くなり、みんな病死ではなく餓死して全滅すると また別の群れを見つけて同じことをした。 その内にドスはぱちゅり沢から出なくて済むようになった。 病気の噂が広まり、それを治せる薬を持つドスぱちゅりーのところに勝手に向うからやってくるようになったからである。 ドスぱちゅりーはただ巣でじっとしていれば食べ物がもらえるようになった。 ぱちゅりー達は命令すれば全て自分の手足のように動いた。 この時、遂にドスぱちゅりーの王国は完成した。 何もせずに食べ物が食べられるようになり、ぱちゅりーは今と同じ大きさまで大きくなった。 そして今に至った。 「ゆううううう!まりさはあがぢゃんをだずげだいだげなんでず! お゛でがいだがらおぐずりをぐだざい!」 まりさはドスぱちゅりーの巨体に怯えながらも懇願した。 『むきゅ、かってにぱちゅりーのくすりをもってこうとしたわるいまりさにはおしおきがひつようね』 しかしドスぱちゅりーの王国を維持するために規則を破ったゆっくりは罰される運命にあった。 ドスぱちゅりーは大きく息を吸い込んだ。 『げほっ!ごほっ!げほっ!むぎゅうううん!』 大きな大きなセキが台風のようにまりさに襲い掛かった。 「ゆううううう!?やべでえええええええええ!!!」 数分それが続き、そこにはすっかり弱り果てたまりさの姿があった。 「ゆぅ…ま…まりさのあかちゃんに…お…くす…り…」 『むっきゅー、もうかんっせん☆したころだね、はなしていいよ』 「かん…せん…?…げほっごほっ!?ゆ…!?げほっ」 『あかちゃんといっしょにびょうきでゆっくりしんでね!』 ドスに病気を移されたことに気付き、まりさは驚愕し叫んだ。 「ゆうううううう!?げほっ! ま、まりさにはあかちゃんのほかにもこどもがいっぱいげほっ!ごほっ!…いるの! だがらびょうぎになんがなっでるひばはだいどおおおおおお!! ごほっ!お゛ね゛がいじばず!お゛ぐずり゛!お゛ぐずり゛わげでぐだばいいいいいい!!」 「「「「「「「「「「「「ゆっくりでていってね!!!」」」」」」」」」」」」」」 まりさはゆっくりぱちゅりー達に引き倒されて外に放り出された。 「おでがい!おぐずり!おぐずりいいいいいいいいいいいい!!!」 ぱちゅりー達の掟に一度でもドスぱちゅりー達に危害を加えたものには絶対に薬を与えないという掟がある。 故にまりさの声が聞き入れられることはなかった。 まりさは薬を諦め症候群に蝕まれた体を引き摺りながら巣に帰った。 「ゆ…くるちい…」 「がんばってね!」 「おかあさんがおくすりもってくればゆっくりできるよ!」 「もうすこしのしんぼうだよ!!」 巣の中では子まりさ達が赤ちゃんを励ましていた。 「ただい…いま…ごほっ」 「!?おかえりなさいおかあさん!はやくあかちゃんにおくすりあげてね!!」 まりさが巣に戻ると子ども達が出迎えて薬をせがんだ。 「げほっ、ごべんね、おぐずりは…ないの…」 「どういうこどおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「どうじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおお!?」 「おがあざんのばがああああああああああああああああ!!」 次々とまりさに罵倒が放たれた。 まりさは言った。 「げほっ!うるさいよ!しかたないでしょ!ないものはないよ! もんくいうおまえらなんかまりさのこどもじゃないよ!まりさのおうちからでていってね!!ごほっ!」 「う゛ああああああああああああああああああああん!!」 「おがあざんなんがもうぢらないいいいいいいいいい!!」 「ばがあああああ!おがあざんのばがあああああああ!!」 子まりさ達は泣きながら外に飛び出していった。 まりさは子まりさ達が入ってこれないように巣の穴をしっかりとふさいだ。 「おかあしゃん…ゆっくりちたいよ…」 「ごべんね…おがあざんだべだっだの…ごべんね…ごべんね…!」 それが終わるとまりさは赤ちゃんまりさの傍によりそって少しでも苦しみを和らげてあげようと 頬をこすり合わせながらただひたすら泣いて謝った。 「もっと…ゆっくりちたかったよ…」 「まりざのあがぢゃんんんんんんんん!!!うわああああああああ!ごべんねえええええええええ! ごべんねえええええええええええええええ!!!!」 それから数日後、子まりさ達が戻ってきて完全に閉じた巣の扉をなんとか抉じ開けると そこには病に倒れ息絶えた赤ちゃんまりさと母まりさが横たわっていた。 『………』 ドスぱちゅりーは肉体的に満ち足りた状態でありながらも心に何かがひっかかり続ける状態を続けていた。 その鬱憤の矛先に気まぐれに群れを一つ病で滅ぼしてみたりしてみるが一行に晴れることはなかった。 ドスぱちゅりーが、今行っていることは病気への復讐などではなく単に病気との共生生活だと 気付かない振りをするのに耐えられなくなるのはいつの日だろうか。 その日がこの王国が崩壊する日なのだ。 このSSに感想を付ける
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『ぱちゅりーはもうゲスじゃない』 3KB 小ネタ 不運 愛護人間 作、長月 感謝のSS書き第5弾 ※俺設定注意 ※作、長月です ※駄文注意 短いです ぱちゅりーはもうゲスじゃない 僕はゆっくりぱちゅりーを飼っている。 頭には輝く金バッジを着け、けして我がままを言って僕を困らせないし、餌や寝床で文句を言わない。 今も僕の膝にいて変わらぬ無邪気な笑顔で僕を癒してくれる。 そんな理想の飼いゆっくりと言える存在を。 こんなぱちゅりーだがほんの1ヶ月前まではどうしようもないゲスだった。 金バッジゆっくりであることを疑いたくなるほどに。 僕の言うことなど聞かず罵詈雑言を喚き散らし、わがままばかり言い最後は僕に暴言まで吐く始末。 ゲスなぱちゅりーに僕はいつも心を痛めていた。全くつらい日々だったよ。 なんで本来癒されるはずのペットにこんなに悩まなくてはいけないんだ。いっそのこと捨ててしまおうか。 そんなことばかり考えていたよ。 しかし僕はどうしても捨てることなど出来なかった。両親を事故で亡くし天涯孤独の僕にとってぱちゅりーはたった一人の家族だったから。 幸いにも資産家の両親が遺してくれた遺産のおかげで僕は働かなくても生活できる。 ぱちゅりーのゲスを治す方法を調べる時間はいくらでもあったのだ。 そんなある日、ついに僕はぱちゅりーのゲスを治す薬をネットの通販サイトで発見する。 間違いない。この方法ならぱちゅりーのゲスを治すことができる。 僕がどれほど喜んだことか。すぐに購入しぱちゅりーに飲ませ続けた。 最初は薬を飲むことを嫌がり吐き戻すことも多かったぱちゅりーだが、無理やり飲ませ続けた結果自分で進んで薬を飲むほど聞き分けのいい善良なゆっくりになっていた。 僕はとても嬉しかった。 ゲスになっても捨てたり加工所送りにしなくて本当に良かった。ぱちゅりーに対する愛と苦労が報われたんだ。 心からそう思ったよ。 ああ、それにしても以前の君は本当にどうしようもないゲスだったね。 「本を読みたい。」「友達が欲しい。」「たまにはお外へ出たい。」なんて無理を言って僕を困らせて。 外へ一緒に行くゆっくりが欲しいのならぱちゅりーじゃなくてまりさ種でも飼ってるよ。なんの為に君を選んだんだと思うんだい。 君はいつも家にいれば良いのに。 友達など作らずいつも僕といれば良いのに。 本など読まず24時間僕のことだけをを考えて僕へ変わらぬ笑顔を向けていれば良いのに。 しかもそんな君にほんの少しお仕置きしただけで 「むきゅうううう!!!やめてぇえええええ!!!!どうしてこんなことするのぉおおお!!!」 なんて言って反省もせず僕へ反抗的な態度をとっていたね。 ちょっと五寸釘を数本打ち込んだだけなのに大袈裟な。後でちゃんと治療もしてあげたじゃないか。 打ち込んでる途中にやたら中身をえれえれ吐きまくるから口の中に戻すのが大変だったよ。 挙句、僕がほんの少し人と違う愛し方をしているというだけで 「・・・くるってる・・・おにいさんはくるってるわ!!」 なんて怯えた表情で飼い主である僕を侮辱していた。全く最悪のゲスだった。 だがそんな君もあの薬のおかげでこんなにいい子になれた。 ぱちゅりーはもうゲスじゃない。僕の理想のゆっくりだ。 全く最高の薬だよ。あのハッピーパウダーというのは。 あんなに聞き分けのないゲスだったぱちゅりーをこんな良い子にしてくれたんだから。 ぱちゅりーは「やめてぇえええ!!!ゆっくりできなくなっちゃうううう!!!」なんて言ってたけど、良薬口に苦しだしね。 愛おしそうに膝元のゆっくりを撫でるお兄さん。 その目線の先には廃ゆんのぱちゅりーがケタケタと狂った笑いを浮かべていた。 後書き 世の中自分が狂ってると分からない狂人ほど恐ろしいものはない。そんな話。あと薬ダメ絶対!!(ゆっくりを除いて) ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。
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虐待表現がひがえめだど〜☆ ここのところ仲間の数の減りが早いな、とぱちゅりーは感じていた。 ぱちゅりーは群の中でもブレインとして働く(ゆっくりにしては)とても優秀なゆっくりだった。 増える速度が普通の生き物と比べて速いはずのゆっくりの数が減る。 これはどう考えてもおかしいことだ。 でもゆっくりの間で病気がはやっているという話も聞かないし、でんじゃらす・すぽっとが増えたという話も聞かない。 となると、答えは自然と1つに絞られる。人間の捕獲スピードが上がっているのだ。 むきゅん、とぱちゅりーは嘆きの声を上げた。 どうにかして人間につかまらないようにしなければならない。 ぱちゅりーはそれでなくとも無い脳みそ……ではなく脳クリームもフル回転させて考えた。 一番いいのは人間をやっつけることだが到底自分たちの力ではかなわない。 人間は自分たちゆっくりを捕まえたらどこに連れて行くのか……それは加工所だ。 最近では潰されるだけだったドスですらも加工所に連れて行かれるのだそうだ。 ……あぁ、そうか!人間がやっつけられないなら加工所をやっつければいい! そうすれば人間もゆっくりの処分に困って手を出さなくなるだろう! ……と、この結論に至るまで1ヶ月ほどかかった。 それでなくても回転の遅いゆっくりブレイン。 食う間も寝る間も惜しんでその上5分考えるたびに2時間ものゆっくりタイムを挟んでいればこうなる。 さっそくぱちゅりーは加工所にスパイを送り込むことにした。 加工所はゆっくりできない所なんて事はいくらアホなゆっくりにも遺伝子に組み込まれるほど強く認識されていた。 従って加工所に自ら飛び込むような真似をするゆっくりは一匹もいなかった。 そもそも近づこうとするものさえ居ない。 その逆を突いた……と、そこまで深く考えていたわけでは全く無かったが、加工所の周りのゆっくり対策はやはり手薄だった。 逃げ出し防止の為のトラップは多く仕掛けられていたが、進入防止のトラップは皆無と言っていい。 「あいてをやっつけるには、まずあいてをしることからなのよ!」 「さすがはぱちゅりー、あたまがいいぜ!」 しかし残念ながらぱちゅりーはスパイを送り込んだ後のことを何も考えていなかった。 ただ加工所をやっつけるという野望にまるで空飛ぶ肉まんのようにほくほくとしていた。 いったい君たちは何を知りたかったのかな? 一方でスパイとして送り込まれたありすは中に入るときょろきょろと辺りを見回した。 いたるところで絹を……いや皮を裂くような叫び声があがり、ごうんごうんと大きな音がしていた。 大きな黒いベルトの上で足を焼かれたゆっくり達が思い思いの叫び声をあげていた。 「ゆぎいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」 「あぢゅいよおおおぉぉぉぉ!れいぶうううぅぅぅぅぅぅぅ!」 「わがらないよーーーー!あんよがうごがないよぉぉぉぉぉぉぉ!」 悲鳴が上がるたびにありすは驚きすくみあがった。 また、白い服を着て白い手ぬぐいを口元にまいた男たちがその叫び声のベルトを囲みせっせと種族ごとに仕分けをする。 さらに種族ごとに分けられたゆっくりはかごに放り込まれ、かごがいっぱいになると別のテーブルに運ばれる。 テーブルの目の前には別のラインが横たわり、そのラインでは大きな回転する刃でゆっくりを粉々にしていた。 このラインはゆっくりを加工すると同時にちょうどかごの中でその光景を嫌でも目の当たりにするゆっくりに更なる恐怖を与えるという優れものだ。 このようなサイクルをDFC(Double Fear Cycle)工法(意匠申請中)と呼ぶが、それはまた後日ゆっくりと説明しよう。 そしてテーブルの上では大量のゆっくり霊夢たちが食用乾燥饅頭となるべく加工を受ける。 目の上下部分の皮を無理やりあわせ、水溶き片栗粉でよく接着した後に、乾燥台の針の上に突き刺していく。 針の上では無数の霊夢が自分の足がなくなった事と暗闇の恐怖をのろった。 「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!」 「ぎゃぼおおおおぉぉぉぉぉ!おがあじゃああああぁぁぁぁん!」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!」 後ほど乾燥機の中で干からびるほどゆっくりできるというのに真にせっかちな連中である。 この光景を目の当たりにしたありすは絶望した。加工所を動かしていたのも人間だったのだ! それにあんなにゆっくりできないものだらけのお化けに勝てるわけが無い。 加工所も人間だとしたら自分たちに勝ち目は無いじゃないか! ぱぢゅりいいのうぞづぎいいいいぃぃぃ! ありずはごんなにごわいおもをじだのにどうじでええええええええ! ま、少し考えればわかる事だが。こいつらの頭の残念さも絶望的だ。 だが叫んだ瞬間にラインを外れたゆっくりだと思われ自分もベルトに放り込まれてしまうだろう。 ありすは人間がいなくなった隙を見計らって外に飛び出そうと身を構える。 と、そのとき一人の人間がふとこんな言葉を漏らしたのを聞いた。 「ふぅー、いやぁ電気で動くカラクリが増えてからずいぶんと楽になったなぁ」 「そうだな。ずいぶんと手間が省けるようになったな。 だがその分俺らがゆっくりをぶっつす楽しみが減ったのが残念だがね」 「ま、そういうなよ。まだゆっくりなんて探せばいくらでもいるじゃないか。 楽でも給料が変わらないんだから電気様様さ」 男たちはテーブルを離れるとおくに昼食をとりに行く。 その隙を狙ってありすは外へ出た。 生きた心地のしない加工所と打って変わり、外はお日様が照り、風はそよそよ、とてもゆっくりとした昼下がりだった。 「うめっ、シャバの空気めっちゃうめっ」 ありすは一目散に仲間の元へと帰っていった。 再び図らずしてぱちゅりーはおいしい情報を手に入れた。 別に今度新たに発売されるゆっくり特製ようかん(税込み\600)の事ではない。 最近は「電気」というものを使ってゆっくりを処分しているということである。 「でんきってなにー?わからないよー」 「れいむにもわかるようにゆっくりおしえてね!」 「むきゅっ!知ってるわ。でんきって言うのはかみなりさまのことよ! きっとにんげんさんはかみなりさまの力をかりているのよ。 だからかみなりのかみさまがいけないの!」 「ゆゆっ、かみなりさま?」 「ゆぅ、まりさはかみなりさまきらいなんだぜ……」 「うるさくてゆっくりできないわ。きっといなかもののかみさまなのね!」 人間は雷様と結託してゆっくりを処分しているに違いないという結論になった。 だからいっぺんにたくさんのゆっくりが処理できるようになった分、捕まえられる個体数が増えたのだ。 「そんなゆっくりできないかみさまはゆっくりしねばいいんだぜ!」 「そうだね!れいむたちをゆっくりさせてくれないかみさまはかみさまなんかじゃないよ!」 「ひとのゆっくりをじゃまするなんてとかいはじゃないわ!いなかものね!」 みな口々に非難の言葉を口にした。 ぱちゅりーは誓った。この悪い悪い神様に抗議しにいかなくてはなるまいと。 ぱちゅりーは雷神を恐れなかった。なんといっても彼らには採られるヘソがないのだから。 さっそくぱちゅりーはドスと群の仲間とともに加工所へ向かった。 途中夕立にあってしまい足止めを食ったが、それ以外は難なく到着した。 もう日が傾きかけている。暗くなればさすがに人間も加工所をはなれて家でゆっくりするだろう。 工場の中が雷神だけになった瞬間を狙って直訴するのだ。 ぱちゅりーの計画はゆっくりの割りにはなかなか頑張ったもので、本人は完璧だと自負していた。 とてもゆっくりしている自分たちの言い分を聞き入れてくれるに違いないという煮ても焼いても食えないような無駄な自信もあった。 しかしぱちゅりーの予想に反し、なぜか加工所の中からは煌々とした光が漏れていた。 それでなくても朝早くから動き始めるというのに、夕方になった今も変わらず稼動しているのだ。 「ゆゆっ、なんだかかこうじょがあかるいんだぜ!」 「らいじんさんをこんなにこきつかうなんて、とかいはじゃないわ!」 「労働基準法違反だね、わかるよー」 ぱちゅりーは躊躇した。群の仲間は総勢30匹ほどで、そのうち1匹はドスだ。 だがこのまま直訴に行っても結局人間につかまってゆっくりできなくなってしまう。 ここで粘っていてもいいが、夕立後のせいかなんとなく雲行きが怪しのが心配だ。 てかここに来て怖い。 「むきゅぅ……」 その時、群の背後の草むらががさがさと揺れた。 場の空気がカチンと固まり、水を打ったように静かになる。 がさがさは次第に自分たちより遠ざかり、やがて再び静かになった。 ぱちゅりーは恐る恐る茂みから突き出た岩場によじ登った。 人間の子供が3人、100mほど先で遊んでいた。 すると、そのうち一人が近くにあった銀色の塔に登りはじめた。 後に続けと残りの2人も一緒に上り始めるが、突然後ろからやってきた男に引き止められたようだ。 「こらっ、鉄塔に登っちゃだめだって言ってるだろうが!何でお前らは毎回毎回……」 「えー、なんで?すっげー高いじゃんこれ」 「登るなっていわれると妙に登りたくなるよな」 「理由?そうだな、そこに高いものがあるから……かな」 「駄目な物は駄目だ!落ちて怪我でもしたらどうする! それに一番高いところには高圧の電気が流れてるんだぞ。 触ったらどうなるか分かってるのか? まぁ高圧って言っても分からないとは思うが……」 「知らなーい」 「触ったぐらいで死ぬわけ無いじゃん!」 「僕のハートも……高圧だぜ」 「いいか?あすこに流れているものは雷と同じものなんだ。 だからあれを触るってことは、体に雷が落ちるのと一緒なんだぞ! 真っ黒こげになりたくなかったら金輪際鉄塔に近づいちゃ駄目だ!」 子供たちは返事をすると渋々と鉄塔を離れていった。 一方のぱちゅりーは男の説教が終わる前に目を輝かせて地面に降り立った。 具体的には「しらなーい」の「な」の辺りである。 「むきゅ!いいことをきいたわ! あのたかいところのせんにでんきさんがとおってるらしいの! だからあのでんきさんがとおってるみちをこわしちゃえば、かこうじょはうごかなくなるわ!」 「さすがはぱちゅりー、かしこいんだぜ! 「これでとかいはのありすもゆっくりできるわね!」 「さっそくそのせんさんをきっちゃおうね!」 「これでおちびちゃんたちともゆっくりできるよ!」 「にんげんにかてるよー。わかるよー」 わらわらと鉄塔の下に集まってくるゆっくりたち。 自分たちが加工所をやっつける瞬間を見ようと多くのゆっくりが押し合いへしあいドスを取り囲んだ。 「むきゅ!ドススパークでてっとうをたおして!」 「こんなほそいはしらさんはドススパークでいっぱつなんだぜ!」 ドスの口がキラキラ光りだす。 周りのゆっくりの瞳も期待でキラキラと光っている。キモい。 ドォーーン!と盛大な音とともにドススパークが放たれ、見事4本足のうちの一本を叩き折った。 それと同時にチカチカッという数回の点滅の後に加工所の光が途絶えた。 周囲からゆーっ!という大きな歓声が上がる。 「やったぜ!とうとうかこうじょをやっつけたんだぜ!」 「むきゅん!われながらかんぺきなけいかくだったわ!」 「これでみんなゆっくりできるよ!」 「おきゃーしゃん、いっしょいゆっきゅいいよーえ!」 「いなかもののにんげんに おにあいだわ!」 思い思いの喜びの声をあげる中、ドススパークを食らった鉄塔はミシッミシッと悲痛な悲鳴を上げていた。 そしてスコーンッという何かが吹っ飛ぶ音とともに一本の鉄骨がはね飛んだ。 「ゆぎゃぎぃっ!」 その鉄骨は見事にドスの背中から腹を貫通し、ドスを串刺しにした状態で地面に斜めに突き刺さった。 ドススパークで吹っ飛ばされた群に最も近い足側にゆっくりと倒壊していく鉄塔。 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙っ!」 「てっとうさんがたおれてくるよ!」 「みんな!ゆっくりにげるよ!」 「ごわいよおおおおぉぉぉぉぉ!」 ギャーギャーと騒ぎ立てながらそろいもそろって鉄塔と逆方向に逃げるゆっくり達。 口の中に赤ゆっくりを匿うれいむ、我先にと他のゆっくりを踏み台に逃げるまりさ。 こんなはずでは!と顔を真っ青にしてよろよろと後に続くぱちゅりー。 鉄塔はゆっくりを串刺しにしながら地面に倒れこむ。 ある者は頭から真っ二つ、ある者は体の一部のみをけずりとられ、 ある者は口から鉄骨が飛び出し、ある者は挟まれ跡形も無く圧縮される。 砂煙が上がり鉄骨と生ごみの山が出来上がるとゆっくりたちは呆然とその山を見つめた。 中からは息のあるゆっくりたちが助けを求める声が聞こえてくる。 「おがあじゃああああああああぁん!」 「れいぶのあがじゃんがああぁぁぁ!」 「らんじゃまあああぁぁ!おぎでええええええぇぇ!」 そして彼らに追い討ちを掛けるかの用に山の頂上から切れた電線が弾性により地面に叩きつけられた。 ぱちゅりーは目の前にたくさんの星が、雷が、自分のクリームが、飛び交うのを見た。 「あびゃびゃびょよよよびびびびびびびび!」 「びょびゃびゃびゃびゃぶぶぶぶぶ!」 「りりりりりりりりりりびゅ!」 「でんこ!」 「えれぐどろにぐずー!」 夕立の後もあり鉄塔から逃れたゆっくりたちに満遍なく漏電した電気がいきわたった。 体中に張り裂けそうな痛みが走った。 平衡感覚が失われ目が焼け付くような痛みを訴える。 逃げようにも痙攣を起こし体は動かない。 だんだんと頭の中がめちゃくちゃになってゆく。 どうしてこんなことになってしまったのだろう? ただぱちぇは、みんなとゆっくりするためにがんばっただけなのに。 その答えが出る前に、ぱちゅりーは跡形も無くふき飛んだ。 中途半端に頭がよかったためにすべてを台無しにしてしまったぱちゅりー。 ぱちゅりーの生クリームは何も生み出さなかった。 最新の技術も、群も、そして最もほしかったゆっくりでさえもなくなってしまった。 後に残ったのはかけつけた職員達の絶望に満ちた顔。 すでに炭化してなんだったのかよくわからない布のようなものや団子のようなもの。 そして真っ黒にこげてしまった月の形をかたどったアクセサリーだった。 おしまい あどがぎ☆ うっうー☆ぱぢゅりーはばかなんだど〜♪ こーまがんのおぜうさまにはごんなごとすぐにわがっだど〜♪ (訳:どうもこんにちは。なんとなく頭のいいゆっくりについて書きたくなったので 虐待表現が少なめになってしまうのですが、こんなんでいいのでしょうかねぇ?)
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虐待表現がひがえめだど?☆ ここのところ仲間の数の減りが早いな、とぱちゅりーは感じていた。 ぱちゅりーは群の中でもブレインとして働く(ゆっくりにしては)とても優秀なゆっくりだった。 増える速度が普通の生き物と比べて速いはずのゆっくりの数が減る。 これはどう考えてもおかしいことだ。 でもゆっくりの間で病気がはやっているという話も聞かないし、でんじゃらす・すぽっとが増えたという話も聞かない。 となると、答えは自然と1つに絞られる。人間の捕獲スピードが上がっているのだ。 むきゅん、とぱちゅりーは嘆きの声を上げた。 どうにかして人間につかまらないようにしなければならない。 ぱちゅりーはそれでなくとも無い脳みそ……ではなく脳クリームもフル回転させて考えた。 一番いいのは人間をやっつけることだが到底自分たちの力ではかなわない。 人間は自分たちゆっくりを捕まえたらどこに連れて行くのか……それは加工所だ。 最近では潰されるだけだったドスですらも加工所に連れて行かれるのだそうだ。 ……あぁ、そうか!人間がやっつけられないなら加工所をやっつければいい! そうすれば人間もゆっくりの処分に困って手を出さなくなるだろう! ……と、この結論に至るまで1ヶ月ほどかかった。 それでなくても回転の遅いゆっくりブレイン。 食う間も寝る間も惜しんでその上5分考えるたびに2時間ものゆっくりタイムを挟んでいればこうなる。 さっそくぱちゅりーは加工所にスパイを送り込むことにした。 加工所はゆっくりできない所なんて事はいくらアホなゆっくりにも遺伝子に組み込まれるほど強く認識されていた。 従って加工所に自ら飛び込むような真似をするゆっくりは一匹もいなかった。 そもそも近づこうとするものさえ居ない。 その逆を突いた……と、そこまで深く考えていたわけでは全く無かったが、加工所の周りのゆっくり対策はやはり手薄だった。 逃げ出し防止の為のトラップは多く仕掛けられていたが、進入防止のトラップは皆無と言っていい。 「あいてをやっつけるには、まずあいてをしることからなのよ!」 「さすがはぱちゅりー、あたまがいいぜ!」 しかし残念ながらぱちゅりーはスパイを送り込んだ後のことを何も考えていなかった。 ただ加工所をやっつけるという野望にまるで空飛ぶ肉まんのようにほくほくとしていた。 いったい君たちは何を知りたかったのかな? 一方でスパイとして送り込まれたありすは中に入るときょろきょろと辺りを見回した。 いたるところで絹を……いや皮を裂くような叫び声があがり、ごうんごうんと大きな音がしていた。 大きな黒いベルトの上で足を焼かれたゆっくり達が思い思いの叫び声をあげていた。 「ゆぎいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」 「あぢゅいよおおおぉぉぉぉ!れいぶうううぅぅぅぅぅぅぅ!」 「わがらないよーーーー!あんよがうごがないよぉぉぉぉぉぉぉ!」 悲鳴が上がるたびにありすは驚きすくみあがった。 また、白い服を着て白い手ぬぐいを口元にまいた男たちがその叫び声のベルトを囲みせっせと種族ごとに仕分けをする。 さらに種族ごとに分けられたゆっくりはかごに放り込まれ、かごがいっぱいになると別のテーブルに運ばれる。 テーブルの目の前には別のラインが横たわり、そのラインでは大きな回転する刃でゆっくりを粉々にしていた。 このラインはゆっくりを加工すると同時にちょうどかごの中でその光景を嫌でも目の当たりにするゆっくりに更なる恐怖を与えるという優れものだ。 このようなサイクルをDFC(Double Fear Cycle)工法(意匠申請中)と呼ぶが、それはまた後日ゆっくりと説明しよう。 そしてテーブルの上では大量のゆっくり霊夢たちが食用乾燥饅頭となるべく加工を受ける。 目の上下部分の皮を無理やりあわせ、水溶き片栗粉でよく接着した後に、乾燥台の針の上に突き刺していく。 針の上では無数の霊夢が自分の足がなくなった事と暗闇の恐怖をのろった。 「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!」 「ぎゃぼおおおおぉぉぉぉぉ!おがあじゃああああぁぁぁぁん!」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!」 後ほど乾燥機の中で干からびるほどゆっくりできるというのに真にせっかちな連中である。 この光景を目の当たりにしたありすは絶望した。加工所を動かしていたのも人間だったのだ! それにあんなにゆっくりできないものだらけのお化けに勝てるわけが無い。 加工所も人間だとしたら自分たちに勝ち目は無いじゃないか! ぱぢゅりいいのうぞづぎいいいいぃぃぃ! ありずはごんなにごわいおもをじだのにどうじでええええええええ! ま、少し考えればわかる事だが。こいつらの頭の残念さも絶望的だ。 だが叫んだ瞬間にラインを外れたゆっくりだと思われ自分もベルトに放り込まれてしまうだろう。 ありすは人間がいなくなった隙を見計らって外に飛び出そうと身を構える。 と、そのとき一人の人間がふとこんな言葉を漏らしたのを聞いた。 「ふぅー、いやぁ電気で動くカラクリが増えてからずいぶんと楽になったなぁ」 「そうだな。ずいぶんと手間が省けるようになったな。 だがその分俺らがゆっくりをぶっつす楽しみが減ったのが残念だがね」 「ま、そういうなよ。まだゆっくりなんて探せばいくらでもいるじゃないか。 楽でも給料が変わらないんだから電気様様さ」 男たちはテーブルを離れるとおくに昼食をとりに行く。 その隙を狙ってありすは外へ出た。 生きた心地のしない加工所と打って変わり、外はお日様が照り、風はそよそよ、とてもゆっくりとした昼下がりだった。 「うめっ、シャバの空気めっちゃうめっ」 ありすは一目散に仲間の元へと帰っていった。 再び図らずしてぱちゅりーはおいしい情報を手に入れた。 別に今度新たに発売されるゆっくり特製ようかん(税込み\600)の事ではない。 最近は「電気」というものを使ってゆっくりを処分しているということである。 「でんきってなにー?わからないよー」 「れいむにもわかるようにゆっくりおしえてね!」 「むきゅっ!知ってるわ。でんきって言うのはかみなりさまのことよ! きっとにんげんさんはかみなりさまの力をかりているのよ。 だからかみなりのかみさまがいけないの!」 「ゆゆっ、かみなりさま?」 「ゆぅ、まりさはかみなりさまきらいなんだぜ……」 「うるさくてゆっくりできないわ。きっといなかもののかみさまなのね!」 人間は雷様と結託してゆっくりを処分しているに違いないという結論になった。 だからいっぺんにたくさんのゆっくりが処理できるようになった分、捕まえられる個体数が増えたのだ。 「そんなゆっくりできないかみさまはゆっくりしねばいいんだぜ!」 「そうだね!れいむたちをゆっくりさせてくれないかみさまはかみさまなんかじゃないよ!」 「ひとのゆっくりをじゃまするなんてとかいはじゃないわ!いなかものね!」 みな口々に非難の言葉を口にした。 ぱちゅりーは誓った。この悪い悪い神様に抗議しにいかなくてはなるまいと。 ぱちゅりーは雷神を恐れなかった。なんといっても彼らには採られるヘソがないのだから。 さっそくぱちゅりーはドスと群の仲間とともに加工所へ向かった。 途中夕立にあってしまい足止めを食ったが、それ以外は難なく到着した。 もう日が傾きかけている。暗くなればさすがに人間も加工所をはなれて家でゆっくりするだろう。 工場の中が雷神だけになった瞬間を狙って直訴するのだ。 ぱちゅりーの計画はゆっくりの割りにはなかなか頑張ったもので、本人は完璧だと自負していた。 とてもゆっくりしている自分たちの言い分を聞き入れてくれるに違いないという煮ても焼いても食えないような無駄な自信もあった。 しかしぱちゅりーの予想に反し、なぜか加工所の中からは煌々とした光が漏れていた。 それでなくても朝早くから動き始めるというのに、夕方になった今も変わらず稼動しているのだ。 「ゆゆっ、なんだかかこうじょがあかるいんだぜ!」 「らいじんさんをこんなにこきつかうなんて、とかいはじゃないわ!」 「労働基準法違反だね、わかるよー」 ぱちゅりーは躊躇した。群の仲間は総勢30匹ほどで、そのうち1匹はドスだ。 だがこのまま直訴に行っても結局人間につかまってゆっくりできなくなってしまう。 ここで粘っていてもいいが、夕立後のせいかなんとなく雲行きが怪しのが心配だ。 てかここに来て怖い。 「むきゅぅ……」 その時、群の背後の草むらががさがさと揺れた。 場の空気がカチンと固まり、水を打ったように静かになる。 がさがさは次第に自分たちより遠ざかり、やがて再び静かになった。 ぱちゅりーは恐る恐る茂みから突き出た岩場によじ登った。 人間の子供が3人、100mほど先で遊んでいた。 すると、そのうち一人が近くにあった銀色の塔に登りはじめた。 後に続けと残りの2人も一緒に上り始めるが、突然後ろからやってきた男に引き止められたようだ。 「こらっ、鉄塔に登っちゃだめだって言ってるだろうが!何でお前らは毎回毎回……」 「えー、なんで?すっげー高いじゃんこれ」 「登るなっていわれると妙に登りたくなるよな」 「理由?そうだな、そこに高いものがあるから……かな」 「駄目な物は駄目だ!落ちて怪我でもしたらどうする! それに一番高いところには高圧の電気が流れてるんだぞ。 触ったらどうなるか分かってるのか? まぁ高圧って言っても分からないとは思うが……」 「知らなーい」 「触ったぐらいで死ぬわけ無いじゃん!」 「僕のハートも……高圧だぜ」 「いいか?あすこに流れているものは雷と同じものなんだ。 だからあれを触るってことは、体に雷が落ちるのと一緒なんだぞ! 真っ黒こげになりたくなかったら金輪際鉄塔に近づいちゃ駄目だ!」 子供たちは返事をすると渋々と鉄塔を離れていった。 一方のぱちゅりーは男の説教が終わる前に目を輝かせて地面に降り立った。 具体的には「しらなーい」の「な」の辺りである。 「むきゅ!いいことをきいたわ! あのたかいところのせんにでんきさんがとおってるらしいの! だからあのでんきさんがとおってるみちをこわしちゃえば、かこうじょはうごかなくなるわ!」 「さすがはぱちゅりー、かしこいんだぜ! 「これでとかいはのありすもゆっくりできるわね!」 「さっそくそのせんさんをきっちゃおうね!」 「これでおちびちゃんたちともゆっくりできるよ!」 「にんげんにかてるよー。わかるよー」 わらわらと鉄塔の下に集まってくるゆっくりたち。 自分たちが加工所をやっつける瞬間を見ようと多くのゆっくりが押し合いへしあいドスを取り囲んだ。 「むきゅ!ドススパークでてっとうをたおして!」 「こんなほそいはしらさんはドススパークでいっぱつなんだぜ!」 ドスの口がキラキラ光りだす。 周りのゆっくりの瞳も期待でキラキラと光っている。キモい。 ドォーーン!と盛大な音とともにドススパークが放たれ、見事4本足のうちの一本を叩き折った。 それと同時にチカチカッという数回の点滅の後に加工所の光が途絶えた。 周囲からゆーっ!という大きな歓声が上がる。 「やったぜ!とうとうかこうじょをやっつけたんだぜ!」 「むきゅん!われながらかんぺきなけいかくだったわ!」 「これでみんなゆっくりできるよ!」 「おきゃーしゃん、いっしょいゆっきゅいいよーえ!」 「いなかもののにんげんに おにあいだわ!」 思い思いの喜びの声をあげる中、ドススパークを食らった鉄塔はミシッミシッと悲痛な悲鳴を上げていた。 そしてスコーンッという何かが吹っ飛ぶ音とともに一本の鉄骨がはね飛んだ。 「ゆぎゃぎぃっ!」 その鉄骨は見事にドスの背中から腹を貫通し、ドスを串刺しにした状態で地面に斜めに突き刺さった。 ドススパークで吹っ飛ばされた群に最も近い足側にゆっくりと倒壊していく鉄塔。 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙っ!」 「てっとうさんがたおれてくるよ!」 「みんな!ゆっくりにげるよ!」 「ごわいよおおおおぉぉぉぉぉ!」 ギャーギャーと騒ぎ立てながらそろいもそろって鉄塔と逆方向に逃げるゆっくり達。 口の中に赤ゆっくりを匿うれいむ、我先にと他のゆっくりを踏み台に逃げるまりさ。 こんなはずでは!と顔を真っ青にしてよろよろと後に続くぱちゅりー。 鉄塔はゆっくりを串刺しにしながら地面に倒れこむ。 ある者は頭から真っ二つ、ある者は体の一部のみをけずりとられ、 ある者は口から鉄骨が飛び出し、ある者は挟まれ跡形も無く圧縮される。 砂煙が上がり鉄骨と生ごみの山が出来上がるとゆっくりたちは呆然とその山を見つめた。 中からは息のあるゆっくりたちが助けを求める声が聞こえてくる。 「おがあじゃああああああああぁん!」 「れいぶのあがじゃんがああぁぁぁ!」 「らんじゃまあああぁぁ!おぎでええええええぇぇ!」 そして彼らに追い討ちを掛けるかの用に山の頂上から切れた電線が弾性により地面に叩きつけられた。 ぱちゅりーは目の前にたくさんの星が、雷が、自分のクリームが、飛び交うのを見た。 「あびゃびゃびょよよよびびびびびびびび!」 「びょびゃびゃびゃびゃぶぶぶぶぶ!」 「りりりりりりりりりりびゅ!」 「でんこ!」 「えれぐどろにぐずー!」 夕立の後もあり鉄塔から逃れたゆっくりたちに満遍なく漏電した電気がいきわたった。 体中に張り裂けそうな痛みが走った。 平衡感覚が失われ目が焼け付くような痛みを訴える。 逃げようにも痙攣を起こし体は動かない。 だんだんと頭の中がめちゃくちゃになってゆく。 どうしてこんなことになってしまったのだろう? ただぱちぇは、みんなとゆっくりするためにがんばっただけなのに。 その答えが出る前に、ぱちゅりーは跡形も無くふき飛んだ。 中途半端に頭がよかったためにすべてを台無しにしてしまったぱちゅりー。 ぱちゅりーの生クリームは何も生み出さなかった。 最新の技術も、群も、そして最もほしかったゆっくりでさえもなくなってしまった。 後に残ったのはかけつけた職員達の絶望に満ちた顔。 すでに炭化してなんだったのかよくわからない布のようなものや団子のようなもの。 そして真っ黒にこげてしまった月の形をかたどったアクセサリーだった。 おしまい あどがぎ☆ うっうー☆ぱぢゅりーはばかなんだど?♪ こーまがんのおぜうさまにはごんなごとすぐにわがっだど?♪ (訳:どうもこんにちは。なんとなく頭のいいゆっくりについて書きたくなったので 虐待表現が少なめになってしまうのですが、こんなんでいいのでしょうかねぇ?)
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(この話は甘甘イジメです。ガチ虐好きな方はご遠慮ください) ほんめーりんのひそかな楽しみ 「ふむむ、ゆっくりを袋詰めして水責めか……」 中華まんを食べながら、ゆっくりいじめの専門誌「ゆっくりチェリッシュ!」の 今月号を読んでいた美鈴は、さっそく試してみることにした。 紅魔館の門番である美鈴は、実は主人たちに隠れて、門番小屋の中でひそかにゆっ くりを一匹飼っているのだ。 押入れをそっと開けて、隙間から声をかけた。 「パチェさまー、今いいですか?」 「むきゅ……?」 細長い明かりを浴びて、ナイトキャップをかぶった紫髪の生き物が振り向いた。 ゆっちゅりーこと、ゆっくりぱちゅりーである。 ゆっちゅりーは、美鈴を見るとうざそうなジト目で言った。 「ゆっくりごはんのじかんになったのね?」 「いーえ、パチェさま」 「じゃあ、ゆっくりとおさんぽにいくのね?」 「いーえ、パチェさま」 「もうっ、じゃあよばないでね! わたしは、けんきゅうでいそがしいのだから!」 ぷっくりと頬を膨らませて、また向こうを向いてしまった。 豆電球の明かりの下で、むきゅむきゅと何かを読み上げている。彼女の前には一 冊の本が置いてある。いかにも内容を理解しているような仕草だ。 しかし、美鈴は知っている。本当は一行だって読めていないことを。 何しろゆっちゅりーのおつむは生クリームなのだ。本を理解するだけの知能など ない。ただ、本物パチュリーのような知的な行為にあこがれているので、演技とし て本を読むふりをしているのである。 そんなゆっちゅりーに、美鈴は押入れを開け放って尋ねた。 「パチェさま、それはなにを読んでるんですか?」 聞くまでもなく、ただの童話だと知っている。しかしゆっちゅりーはそんなこと には気づかず、さも難しい本であるかのように、もったいぶって言った。 「むきゅ? こ、これはねぇ、えーと、ぐ、ぐり」 「グリモワール?」 「そう、そのぐり……なのよ!」 「ちょっと読んでみてくれませんかぁ?」 「むきゅぅぅ……む、か、し、む、か、し……んきゅっ、んきゅぅぅ!」 ゆっちゅりーはほっぺたを赤くし、目をぐるぐる回していやいやを始めた。 ゆっちゅりーの脳は生クリームだ。熱には弱い。 その軟弱な脳が、難しいことを考えすぎたため、知恵熱で溶け始めてしまったの だ。 美鈴はそのありさまを、世にもたのしそーなニヤニヤ顔で見つめる。 「続きは?」 「おっ、おじっ、じっさっ、あんっ、ああんっ、あっきゅぅ……!」 ゆっちゅりーはほっぺたを緩め、はふはふと熱い息を吐いて、苦しむ。 人間にたとえれば、四十度の熱で瀕死になっている感じだ。 それでも読めないとは言わない。 本家に似て、知的なプライドだけは無駄に高いのだ。 そんな彼女を、美鈴はぽうっと顔を上気させて、うっとりと見つめている。 「終わりですか? 『動かない大図書館』の知識を聞かせてほしいなあ」 「やっ、やままっ、まへっ、しばっばっばっばかかかっ、かわはぱっぷ」 「あっ、やば」 ゆっちゅりーはぐるんぐるんに目を回したかと思うと、ついに口からでろんと白 いものを吐いてしまった 美鈴はあわてて抱き上げ、冷蔵庫へ持っていった。 15分ほど入れておいてから、蓋を開けた。ゆっちゅりーは、「はふー」という 感じで目を閉じていた。誰か来たのを感じたのか、ぽろっとつぶやく。 「ゆっくりしてってね?」 「はいはい、ゆっくりしてますねえ」 「むきゅっ!?」 ゆっちゅりーはあわてたように目を開けた。 プライドが高いので、本能的な台詞や行動を出してしまうのを、嫌っているのだ。 しかししょせんクリーム饅頭なので、すぐ底が割れる。 「ゆ、ゆっくりなんか、してないわ!」 そして、うろたえたように、わさわさと左右を見回した。 「ほん、ほんはどこなの! わたしは、ごほんがないとおちつかないのよ!」 「グリモワールはそこです。それと、押入れの掃除するんで、ちょっと出ててくだ さいね」 美鈴がそういうと、ふん、という感じでゆっちゅりーは胸を張った。 「まあ、そうなの! それならしかたないわ、そとでゆっくりしてあげるわ!」 ぼてん、と床に下りると、広げてある桃太郎のところまでむきゅむきゅと這って いって、また目を落とした。 そこでわざとらしく言う。 「そういえば、めーりんはそろそろ、おちゃがのみたくなってきたんじゃないの?」 「そうですねえ、飲みたいかも」 押入れをホウキで掃きながら、美鈴は答える。ゆっちゅりーが言う。 「じゃあ、わたしもつきあってあげるね!」 「それはどうも」 「おさとうはえんりょしないでね! たっぷりいれてもいいわ!」 「うわぁ……相変わらず」 見えないところで、あきれたように肩をすくめてから、美鈴はお茶を淹れた。 「はい、どうぞ」 「ちょっとおそかったわよ! でもゆるしてあげるね!」 偉そうに言ってから、ゆっちゅりーは、ひく、とおびえたように身をすくめる。 「このおちゃは、ちょっとあつすぎるんじゃないかしら?」 「えー? そんなことはないですよう、大人ならこれぐらい平気です」 美鈴は自分のカップからおおげさにすすって見せる。もちろん、ぬるめに淹れて あるのである。 対して、ゆっちゅりーのお皿のお茶は、チンチンの熱湯で淹れた。 「パチェさまは大人ですよねー?」 美鈴が平気で飲むのを見て、ゆっちゅりーは単純に突っかかってきた。 「も、もちろんよ、これぐらい! ゆっくりのんでみせるわ! んくんく……むぎゅ あばわあああ!」 飲みかけたかと思うと、派手にお茶をぶちまけて飛び上がった。口の周りが真っ 赤に腫らして、ごろごろと転がりまわる。 「あらあら大変!」 美鈴は大げさに驚いて、ゆっちゅりーを水道に運び、流水で冷やしてやった。 「大丈夫ですか? パチェさま」 「へっ、へいきよこれぐらい! わたしはおとななんですもの!」 赤く腫れたクリーム饅頭は、そう言って強がった。 美鈴はさっきからにやにやしっぱなしである。 紅美鈴は肉体派だ。格闘は得意だが頭を使うのは苦手である。 だから、幻想郷随一の知識量を誇るパチュリーに対して、コンプレックスと憧れ を同時に抱いていた。 ところが、彼女が気になるのはどうも黒白の魔女のほうらしい。 自分の出る幕ではない。釣り合わない。それぐらいのことは、美鈴にもわかった。 顔には出さないが、落ち込んだ。似合わないとわかっていつつも、写真など持ち 歩いたりしてみた。 そんなとき庭で見つけたのが、ゆっくりれみりゃに食べられかけている、ゆっちゅ りーだった。 お茶とおやつが済むと、ゆっちゅりーはすこぶる上機嫌になった。なんだかんだ 言ってもゆっくりなので、腹が膨れると単純に機嫌がよくなるのだ。 「ゆっくりぃ……♪」 ちなみにお茶請けは、豆腐屋でただでもらってきたおからだった。「ファットフ リーでローカロリーでエコなおやつなんですよー」と言いくるめると、「まったく そのとおりね!」としたり顔でむしゃむしゃと食べた。 馬鹿丸出しである。 でも、美鈴はそこが好きだった。 本物パチュリーにはどうがんばっても知性では勝てないが、このアホゆっちゅり ーにならどーとでも勝てるからだ。 そのゆっちゅりーを、美鈴は今日も、罠にかけて遊ぼうとしていた。 満腹のために賢者のふりもあっさり忘れて、よだれを垂らしてうとうとしている ゆっちゅりーに、さっき見ていた雑誌を差し出す。 「パチェさまパチェさま」 「むきゅ?」 「今日はおもしろい遊びを見つけましたよ。ゆっくりできますよ」 「きゅっ、ゆっくりできるの?」 ゆっちゅりーはΣマークを出して振り向いた。それがゆっくりのサガなのだ。ゆっ くりできると聞かされては、黙っていられない。 美鈴は笑顔で教えてやる。 「このですね、大きなビニール袋に入って、水底にもぐるんですよ。水の中のいろ んな生き物が見られるし、涼しくって気持ちいいですよぉ~」 「みずのなか……!」 ゆっちゅりーは宙を見上げて、つかのま考えこむような顔をした。――が、中身 生クリームの饅頭に、ろくな考えが浮かぶわけがない。 結局、単純に聞き返した 「それは……どうなのかしら……」 「水流や生物の観察など、非常に知的な活動が出来ると思いますパチェさま」 「むきゅ! それはとってもすてきね! ゆっくりできそうね!」 意味などわかってないくせにもっともらしく同意するゆっちゅりー。 「やってみたいわ! ゆっくりとよういしてね!」 「準備は万端ですともパチェさま」 「さっそくやってみましょうね!」 入れた。 里で手に入れた、ゴミ出し用の透明な袋に、ゆっちゅりーを入れて口を縛った。 何も知らないゆっちゅりーは、中でむきゅむきゅと動いて感想を述べる。 「まあまあのいごこちね! さっ、はやくみずにいれてね!」 「わかりました、パチェさま」 美鈴は袋を手に、門番小屋を出た。 紅魔館は霧の湖の島に建っている。少し歩けばすぐ水辺だ。岸に立って、美鈴は 袋に人間の頭ほどもある石を紐で結びつけた。かすかな知性がささやいたのか、ゆっ ちゅりーが不安の声を上げる。 「んむきゅ、そんなおもいいしをつけて、だいじょうぶかしら?」 「石をつけなきゃ、浮かんでしまうじゃありませんか。それでもいいんですか?」 「そっ、そんなことはわかっていたわ! うんとおもいいしをつけてね!」 自分で自分の首を絞めるゆっちゅりー。美鈴は内心で笑いがとまらない。 石を結びつけ終わると、長い紐を結んでおいて、袋を抱え上げた。 「行きますね。よッと!」 「むきゅ!? っうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」 肉体派美鈴の全力投球である。袋詰めゆっちゅりーは、はるか沖の湖の最深部辺 りに着水して、ぼちゃんと水柱を立てた。 美鈴は、結んでおいた長い紐の一端を取って、紙コップの底に貼り付けた。糸電 話になった。そのままではよく聞こえなかったが、ウンと気功を通してやると、い い感じに張り詰めて声が聞こえるようになった。 「パチェさま、いかがですか」 『むきゅぅん、すてきよー♪ おみずがゆらゆらして、ゆめのようよ』 のどかな感想が聞こえてくる。深度はまだ1メートルほどだろう。 「生き物はいますか」 『そうねー、あっ、おさかなだわ! おさかながあつまってきたわ!』 もう来たか、と思いながら、美鈴は聞く。 「どんなお魚ですか?」 『ちいちゃくて、まぁるいおさかなよー。むきゅっ?』 「どうしました?」 『すごくとがった、はがあるよ! かっこいいわぁ♪』 「半分魔界みたいなものですからね、この湖。それ人噛みますよ」 『へえー、すごいのね!』 「そんな袋イチコロでしょうね」 『……むきゅぅぅ!?』 悲鳴の語尾に、ガサガサッという音がかぶさった。食べ物らしいと見て、魚が襲 い掛かってきたのだろう。 美鈴の知識では、確かピラニアではない、ずだ。そんなアマゾンの魚が幻想郷に いるわけがない。 いるのは、ピラニアより怖い程度の魚、だったと思う。 『やめっ、やめてちょうだいね! ゆっくりしていてね!』 ガサッガサッガササササ。 『むきゅう、むぎゅぅぅぅぅ! かっかまっ、かまないでっ、むぎゅぶぶ、ゆぶふ ぶぅ!』 「おー、食われてる食われてる」 美鈴は水辺にしゃがんで紙コップを耳に当てたまま、なんとも言えないうっとり 顔でほくそえむ。ゆっくりの声は、本物の人物そっくりだ。 ほのかに思いを抱いているパチェリーが、みっともなく悲鳴を上げているような 錯覚を感じて、美鈴の胸が高鳴った。 「パチェさまー、大丈夫ですか?」 『はっ、はやくたずけでね! むぎゅ! こっ、このままじゃゆっぐりできなっぎ っ!』 「はいっ、急いで助けますね!」 美鈴はきびきびと答える。そして当然何もしない。 『いやあ゛あ゛あ゛あ゛、おじりがまれだぁぁぁぁ!! だべないで、ゆ゛っぐり、 ゆっぐりじだいのぉぉ!』 逃げ場のない袋の中、隠れる場所もなく目をそらすことも出来ないまま、水の奥 から飛び掛ってくる凶暴な歯に、次々と攻撃される。ゆっちゅりーの恐怖が伝わっ てくる。 「がんばってください、もう少しです!」 のんびり座ったまま、きっぱり言う美鈴。 「うふふふふ……」 実はちょっとした種がある。ゆっちゅりーのビニール袋は、紐の延長で美鈴の気 功が流れ込んでいるから、ガジガジ噛まれても破れることはないのだ。 だが、それを伝えて安心させることは、もちろんない。 それに、伝える必要もなくなったようだった。 『ぜは、ぜは、ぜは、ぜは……ゆ、ゆっくりたすかったよ……』 喘息気味の息に混じって、ほっとした声が伝わってくる。美鈴はおもむろに言う。 「お魚、消えましたか」 『ゆっくりきえたよ……むきゅぅぅ』 「そうですか! わたしが追っ払いました。遅くなってすみません」 『め、めーりんがやってくれたの? ありがとうね……!』 嘘八百なのだが、ゆっちゅりーはまたしても信じ込む。美鈴は肩を抱いてぷるぷ る震えたりなんかしてみる。 「ああっ、もう、この純真さ……!」 『め、めーりん、なんだかくらくなってきたよ!』 「そうですね、かなり潜ったようですからね」 美鈴は紐をつんつん引いてみて、角度を確かめる。えーとこの距離にこの角度で 沈んでいるから……。 「そろそろ百メートルぐらいですかね」 『ひゃくめーとるって、どれぐらい?』 「とっても深いですね。すごいですよ、この湖にそんな深く潜った人は今までいな いと思います。記録ものですね」 『そんなにもぐったの♪ むっきゅっきゅぅ、きろくものなのね!』 「ええ、過去も未来もそんなところ誰もいきませんね。まわりはどんな感じですか」 『ぼやーんとくらくなっちゃって、うえのほうだけほんわりあおいよ』 「それはわりとマジで貴重なレポートですね」 『んむきゅぅ♪ きちょうなちしきになるのね! ……あっ』 「どうしました」 『じめんにおっこちたわ!』 「とうとう底ですか。おめでとうございます。まわりはどんなですか」 『わぁ、エビさんやカニさんがいっぱいいるわ! とってもゆっくりしてる!』 「そうですか。ところでエビやカニの好物ってご存知ですか」 『むきゅっ? しらないわ。なあに、めーりん?』 「やわらかいお饅頭の皮なんか、わりと好きみたいですね」 『そっかぁ、おまんじゅうがすきなのねー。ふぅーん……ゆっくりぃ……』 無邪気にゆっくりする、ゆっちゅりーの声を、美鈴はわくわくしながら聞いてい た。 やがて、30分ほどたつと、さすがにゆっくりなゆっくりも飽きが来たらしかった。 『ねえめーりん、そろそろあがりたくなったわ。ゆっくりあげてちょうだいね』 「はい、今すぐ!」 そう言って、美鈴は気功の力を弱めた。 途端に、『がぱッ!?』と奇妙な音が聞こえた。 「パチェさま? どうしました?」 『ぶゅっぶび、べびばび……!』 無理もない、と美鈴は思った。 水深百メートル以上。そこでかかる水圧は莫大なものになるはずだ。 具体的には――と考えようとして、自分が水圧の計算方法を知らないことに気づ いた――まあとにかく、頭の上に何トンもの重さが乗ったように感じるだろう。 今までは、美鈴が気功で支えていた。それが抜けたのだから、ゆっちゅりーは袋 の中でぺったんこに潰れているに違いない。 ただしこの場合、足で踏み潰されたのとは違って、圧力の逃げ場がどこにもない。 ただただひたすら、中心に向かって、ぎゅうぎゅうとつぶされていくのみ……。 「……ああ、かわいそうな私のパチェさま!」 『だずげで、べーりん……』 苦しげな声が聞こえるが、美鈴なのか永琳なのかもよくわらない。 美鈴はぞくぞくと愉悦を覚えつつ、仕上げに移ることにした。 まだ生きている糸電話の前で、わざとらしく言う。 「あれっ、咲夜さん、なぜここに? えっ、急用!? ちょっと待って、待ってく ださい、いま私は……!」 一人でそう言いながら、紙コップを浜に置いた。 紙コップからは、絶望的な声が漏れている。 『ベーびん、い゛がないでええぇぇぇぇ!』 美鈴は後ろ髪を惹かれるような思いで、ぞくぞくしながら立ち去った。 翌朝、たるんでいた紐に再び気を通して、美鈴は袋を引き上げた。 袋は、中身のゆっちゅりーに一分の隙もなくべっちりと張り付いていた。外から なでると凹凸がわかった。 そして袋には、小さな生き物のハサミや口吻とおぼしき噛みあとが、無数にあっ た。彼らがもう少し鋭ければ穴だらけになっていただろう。 美鈴は袋を小屋に持ち帰り、袋を剥ぎ取るようにして開けた。どでん、という感 じに固まったゆっちゅりーが現れる。肌は青黒く染まり、白目を剥き、口元には生 クリームがこびりついている。 これがゆっくりでなければ、間違いなく水死体と断定しているところだ。 「パチェさま……パチェさま……」 頬を叩いても、なかなか目を覚まさなかった。仕方なく洗面器に薄くお湯を張っ て、そこに袋ごと漬けておいた。 じきに「むきゅ……」と言う声がしたので、袋を水から上げて、中身を日向に出 した。ゆっちゅりーはゆっくりとまばたきをして、周囲を見回した。 「ここ……?」 「ああ、起きられた。大丈夫ですか、パチェさま。申し訳ありません、遅くなって しまって」 「めーりん……う゛っ、う゛う゛っ……!」 じわわっ、と涙を漏らしたかと思うと、ゆっちゅりーはわっと泣き出した。 「うわぁあああ゛あ゛あ゛、ごわがったよぉぉぉお!」 「はいはい、あれからどうなりました?」 「ぶぐろがね! べびょっでぐっづいでね! ぜんぜん、でんでん、はだれだがっ だのぉ! ぞれがらね! がにざんどえびざんが、ぶぐろのぞどがらぎちぎちきち きちぎちぎちきちちちちちちぢぢぢぢぢ!」 「うふふうふうふふふふそれは怖かったですねえ、ほかには?」 「まっぐらでだれもいながったよお゛お゛お゛お゛!」 「あらぁ、おかしいですねぇ」 ほとんど濡れてしまいそうなほどぞくぞく喜びながら、泣き喚くゆっちゅりーを 撫でて、美鈴は顔を覗き込んだ。 「パチェさまは、お一人でくらーいしずかーなところに入ってるのが、よかったん じゃないんですか?」 「むきぅ……」 ゆっちゅりーは嫌そうなジト目になって、美鈴を見つめる。 「わたし……わだじ……」 「ん、なんですか?」 「ほんどは、めーり゛んのぞばがいいのぉぉ!」 あんあん泣き叫ぶゆっちゅりーを抱いて、美鈴は至福の顔でちゅっちゅとキスを してやった。 「うふふふふ……これが、これがもう、なんというか……っ!」 頭の中では、次はどうやっていじめるか考え始めているのだった。 ============================================================== YT 文章や改行が雑だったので、改定しました。(08/07/19 YT)
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「うぅーっ!」 満月の夜、ゆっくりれみりゃことゆっくりゃの悲鳴が森の中で木霊する。 獰猛な獣たちも寝静まった深夜、静寂が支配する世界で2匹の羽根が風を切り裂いていた。 「ゆぅぅうぅううぅっ!」 ゆっくりゃを追いかけているのはゆっくりフランことゆふらん。自分のテリトリーにのこのこと入ってきた大好物を追いかけている。早く口に入れようと、口は飛びながら大きく開かれ、ゆふらんの牙が月明かりを反射していた。 「うーっ! うーっ!」 前を行くゆっくりゃの目には涙。絶望的な状況に、必死に死を抗おうと、持てる全力で前に進んでいた。 ゆっくりゃにとって、ゆふらんと出会う事は死を意味する。飛行能力、身体能力、牙の鋭さ、どれをとってもゆっくりゃはゆふらんには適わない。唯一あるなら個体数だが、お互いにゆっくりでも群れを成さない種族。数が多くても1対1で相対しては意味がない。 ゆふらんとゆっくりゃの距離が徐々に縮まっていく。全てにおいて上をいくゆふらんがゆっくりゃに追いつけない道理はない。このまま行けば、笑顔で開かれた大きな口にゆっくりゃの体は収まるだろう。 では、なぜそれを知っているゆっくりゃは絶望しないのか。 ゆっくりゃの視界に、闇夜でも目を引く紫色が目に入った。 「うーっ!」 絶望に彩られたゆっくりゃの顔に笑顔が戻る。 そのまま前へ進んでいくと、紫色の正体がはっきりしてきた。 「むきゅーっ!」 それは、ゆっくりパチュリーの姿だった。 「うー♪」 「むきゅ~」 お互いに声を掛け合うと、ゆっくりゃはそのままゆっくりパチュリーことゆちゅりーの後ろへ隠れていく。 ゆちゅりーはその場に鎮座し、ゆっくりゃの脅威へと立ち向かう。 その様子に、いつの間にかゆふらんはその場に止まり、苦々しい表情でゆちゅりーを睨みつけていた。 「……う、ううぅううぅっ!」 ゆふらんはゆっくりゃだけでなく他のゆっくりも食べて過ごしている。ゆふらんを食べる捕食種も存在するが、その数は少なく、好物として狙われてはいないため、大きな脅威にはならない。ゆっくりの中でもゆふらんは天敵のいない、好き勝手できる強者といえた。 しかし、そんなゆふらんが動かない。 このゆふらんは同じ仲間と比べても随分長生きしていた。 だから知っていたのだ。このままゆっくりゃを追いかけても、捕まえられないことを。 「……ゆっくりしねっ!」 吐き捨てるように叫ぶと、そのままゆふらんは飛び去っていった。 ゆちゅりーの後ろから、ゆっくりゃが顔を出す。その顔に咲いているのは満面の笑みだ。 「うぅーっ♪」 上機嫌で、ゆっくりゃはゆちゅりーに声をかけた。 ゆちゅりーの目が遠くを見ていた。 「む、むきゅー……」 「うぅっ!?」 病弱なゆちゅりーに、夜風は体に悪い。 倒れそうに揺れているゆちゅりーを、ゆっくりゃは慌てて体全体で支えていた。 ゆっくりゃ達の飛んでいた森の中には、樹齢3桁を超えるような樹が数多く存在する。人が食べられる実を毎年実らせて生活を助けたり、30センチを超える大きな葉が秋になるとその身を黄色に染めて散り、人々を楽しませてくれる樹もあったりと、種類も千差万別だ。 そんな樹の中で、体を大きく蝕れ、大きな穴が空いた樹木がある。 その穴の中にゆっくりゃは飛びながら、ゆちゅりーは転がりながら入っていった。 「うーっ♪」 「うー♪」 「ぅぅーっ♪」 中に入った途端、樹木の中は賑わい始める。ゆっくりゃの声に、帰りを待ちわびていた子ゆっくりゃ達は感情を爆発させて出迎えた。 「むきゅーぅ……」 親と子、大小違いのある肉まんが飛び回って喜んでいるのを尻目に見て、ゆちゅりーは1人奥へと転がり進んでいく。 「むきゅー」 予め計っておいたかのような正確さで、自分の定位置に戻ると、息を吐いてゆっくりし始めた。脱力しているが、体に目立った変化はない。 子供達との騒ぎも終えて、ゆっくりゃが近づいてきた。 「うーっ♪」 体を擦り合わせ、お互いに幸せへ浸ろうとする。 「むきゅっ!」 「うぅっ!」 夢見るゆっくりゃを覚ますように、ゆちゅりーは体を揺れ動かした。 「……うぅーっ?」 「……」 ゆっくりゃの声にも応えようとしない。ゆちゅりーの気持ちがわからないゆっくりゃは、不安を声に滲ませながら窺い始めた。 「うぅっ」 「……」 「うぅ、ううっ!」 「むきゅっ!」 突き飛ばすように大きく声を上げる。普段から声も態度もトロいゆちゅりーにとって珍しい事だった。 「……うー……」 いくら言っても答えてくれないゆちゅりーに、ゆっくりゃは沈み始めた。飛ぶのを止め、丸い肉まんな体を地面に付け、羽根を畳んで下を見つめている。 「……ぅー……」 2人の一変した空気に、遠巻きから見ていた子ゆっくりゃ達の声も悲しみに満ちている。 「……」 沈んだ空気の中で、言葉を切り出したのはゆちゅりーだった。 「……むきゅぅ」 「うぅっ?」 「むきゅっ!」 体を転がして、ゆっくりゃに迫っていく。 「ぅぅっ!」 「ぅーっ!」 慌てた子供達が駆け寄ってくるが、ゆちゅりーの熱は収まらない。ゆっくりゃに近づき、無言の視線で責め続けていた。 ゆっくりゃがゆふらんに会うような行動を取るのは自殺行為だ。その脅威を知っているものは、外を出歩く際も最低限にとどめ、見つからないうちに帰るようにしている。特にこのゆっくりゃは、ゆちゅりーの助言と自身の経験から普通よりも多く危険な目に遭いながらもどうにか生き延びていた。 そんなゆっくりゃが、今夜はいつまで経っても帰ってこない。 心配して外に出ていたゆちゅりーにとって、すぐにこうして子供達と笑いあっているゆっくりゃの態度には腹が立った。 「……ゴホッ! ゲホッ!」 「うっ!」 「ぅぅーっ!」 激しく動いたからか、突然咳き込み始めるゆちゅりー。一端、ゆっくりゃから離れ、部屋の隅で咳を繰り返す。 「……」 向けられた背にゆっくりゃは飛びながら近づくと、背中を撫でるように体を密着させた。 「むっ……」 「うー……」 そのまま体を上下に小さく動かす。 次第に気分が落ち着いてきたのか、ゆちゅりーの咳は治まったが、ゆっくりゃは体を擦り合わせ続ける。求愛行動にみえるそれは、しかし求めるような激しさはなく、感謝と謝罪の込められた行動だった。 「……むきゅうー」 「うーっ」 「むきゅう」 「うーっ……」 ゆちゅりーはそっぽを向いたまま続く会話。端から見れば喧嘩にみえるが、2人に流れる空気は先ほどよりも険悪ではない。 「ぅぅっー?」 「ぅーっ?」 状況がよくわからない子ゆっくりゃ達は、お互い不思議そうに顔を見合わせるのだった。 「うぅぅううぅううぅっ」 唸るゆふらん、その声は風に乗り、辺りのゆっくり達に恐怖を振りまいている。 ゆっくりゃと同じく夜行性のゆふらんは、普段なら辺りを飛び回って新たな獲物を探している頃だ。しかしゆふらんは寝床に戻ると動こうとせず、ひたすら唸り声を上げ続けていた。 頭に浮かぶのは、紫色をしたゆっくりの姿。 「うぅうううぅううぅうぅっ!」 このゆふらんがゆちゅりーに狩りを邪魔されたのは1度だけではなかった。ゆふらんという天敵のいるゆっくりゃにとって、追い返してくれるゆちゅりーとの相性は良く、多くがペアで暮らしているからだ。 ゆふらんは初めてゆちゅりーと会った時を思い出す。庇っているゆっくりゃと2匹まとめて食べてやろうと息巻いて襲いかかり、ゆちゅりーのあまりの硬さに自慢の歯が通らなかった事を。 更に思い出す。別の機会ではゆちゅりーを持ち上げ、2匹をバラバラにしようとしたが、ゆちゅりーの硬さが捕らえた時のフックを甘くし、持ち上げる前に外れてしまった。 動きもトロく、空も飛べないそんなゆっくりに手も足も出せない事実がゆふらんを苛ただせた。 「うぅううぅうううぅうっ!」 更に声を上げるゆふらん。その体は大きく震え、体液が滲み出て来ている。 唸り声が憤怒から、いつしか苦痛を耐えるものへ変わっていた。 「ゆううぅううぅうっ!」 突然、体中に痛みが走り始める。初めての状況にゆふらんも動揺を隠せない。いつしか羽根を翻して飛び始める。 「ううぅううぅううぅっ!」 声はより大きくなり、ただただ辺りを意味もなく飛び回っている。 夜が明けるまで、ゆふらんの苦しむ声が森の中に響き渡った。 せせらぎの音がゆちゅりーは好きだった。 「むきゅー……」 住処の近くにある川辺で、静かに音を聞き入っている。しかし聞こえてくる音はせせらぎだけではない。 少し離れた所を、子ゆっくりゃ達が飛び回って遊んでいた。 「うぅーっ!」 「うー♪」 追いかけっこをしているのか、前にいる子ゆっくりゃをただひたすら追いかけている。 せせらぎに子ゆっくりゃ達の楽しげな声も加わって、ゆちゅりーは心ゆくまでゆっくりしていた。 近くにゆっくりゃの姿は見えない。ゆっくりゃは夜行性なので、今は住処で眠っている。しかし子ゆっくりゃは活動が不規則なので、昼間に起きている時はゆちゅりーがしっかりと面倒を見ていた。 のどかに過ごすゆちゅりーだったが、しかし次第に子ゆっくりゃの声が遠ざかっていく。 見てみると追いかけっこを止めた2匹は森の中へと入っていっていた。 「むきゅー……」 ゆちゅりーの口からため息が漏れる。昼間は天敵のゆふらんも寝ている時間なので危険度は落ちるものの、今度はゆちゅりーでも食べられるような動物たちが動き始める。なるべく動き回るのは控えるべきだが、子供達にそれを理解させるのは無理な話だ。 動きの遅いゆちゅりーに、素早い子ゆっくりゃたちを追いかけるのは骨が折れる。憂鬱になりながら、ゆちゅりーは森の中へと転がっていった。 しかしゆちゅりーの予想を裏切り、子ゆっくりゃ達はすぐに見つかった。 「ぅぅ~」 「ぅぅ~~」 樹に絡みついた蔓を口に咥え、飛び上がって引っ張っている。 「むきゅっ?」 子供達の変わった行動にゆちゅりーは困惑する。遠目からだとそれが何の茎なのかわからない、改めて近づこうと転がり始めた。 「ぅぅ~っ」 「ぅ~~……うっ!?」 土が盛り上がる。 ゆちゅりーが着くよりも早く、子ゆっくりゃはそれを掘り出していた。 「むきゅう~」 それは紫芋な子ゆちゅりーだった。 「ぅーっ!」 「ぅぅーっ!」 「むきゅー」 笑顔で声をかける子ゆっくりに、あまり表情を変えずに子ゆちゅりーは応えた。 ようやく転がり着いたゆちゅりーは、子ゆっくりゃ達と話している子ゆちゅりーを見て驚き戸惑った。 「むきゅー……」 たぶん子ゆっくりゃ達は子ゆちゅりーと一緒に住もうと思っている。だがそれは無理な話だ。 2人の子供を抱えた今でも危険は多い。ここに子ゆちゅりーが加わればなおさら危険度は上がるだろう。3人の子供を守っていける自信がゆちゅりーにはなかった。 ゆちゅりーは、子ゆちゅりーの頭とつながっていた茎を口で切り離す。 「むきゅっ?」 「むきゅー」 子ゆちゅりーに状況を伝えるゆちゅりー。土の中で育っている為、子ゆちゅりーは産まれたときから普通に動くことが出来る。運がよければ別のゆっくりゃと出会い、また特有の賢さを駆使して1匹生き抜いていけるだろう。それが唯一の慰めだった。 「むきゅー」 別れとお礼を告げて、そのまま転がっていく。 「ぅーっ!」 「ぅぅーっ!」 子ゆっくりゃが呼び止めようとするが、子ゆちゅりーは止まることなく転がっていく。 ゆちゅりーは思い出していた。 土の中で目覚め、ひたすら声を出して呼びかけていた事を。 暗く、じめじめした空気に徐々に気が重くなっていった事を。 叫ぶゆちゅりーの声を聞きつけ、頑張って自分を掘り出してくれたゆっくりゃの事を。 子ゆちゅりーの姿が見えなくなるまで、ゆちゅりーはじっとその場で見送り続けた。 「ゆぅううぅううぅうぅっ!」 ゆっくりれいむことれいむの悲鳴が響き渡る。 抵抗する間もなく頭からどんどん食べられていき、れいむはゆっくりゃのお腹の中に収まった。 「うー♪」 夜にのこのこと動いていた思わぬ大物を見つけ、ゆっくりゃは上機嫌だ。さらなるエサを探そうと、その場を飛び立っていった。 ゆちゅりーにエサを探すのは難しい。動きが遅いのもあるが、何よりその病弱さからすぐに咳き込み、頭痛に襲われるからだ。夜の外は危険でもエサ探しだけはどうしても欠かせなかった。 ゆっくりゃは飛び回る。夜行性ながら自由に動き回れないゆっくりゃにとってこれは唯一ストレス解消となる時間。エサを探しながら文字通り羽根を伸ばしていた。 何度か巣へエサを持ち帰り、自分のエサも先ほどのれいむで補えた。後は帰るだけである。 「うーっ」 ゆっくりゃは考えていた。昨日は軽率な事をしてゆちゅりーを怒らせてしまった。どうにかお詫びがしたい。ゆちゅりーの好物をたくさん取ってきて喜ばせてあげたい。 他のゆっくりや虫などを食べないゆちゅりーのエサは植物だが、その中でもゆちゅりーの好物である果実は樹に生えている為、採るのはゆっくりゃにしか出来ない。滅多に食べられない好物があれば、お詫びとしては充分だろう。 しかし、その樹の付近には必ずゆふらん達の目が光っている。他のゆっくりゃ達も同じ事を考えて採りにいくため、絶好の狩り場になっているのだ。 昨日追いかけられた記憶がゆっくりゃに蘇る。 「……」 しかしゆっくりゃが求めたのは、ゆちゅりーの笑顔だった。 「うーっ!」 迷いを振り切り、そのまま好物のある樹へと飛んでいく。 いくつもの樹の間を縫っていき、目的の場所へたどり着いた。 「う~♪」 上には満月が輝く中、真下に生える樹には赤い実がなっている。 「うっ?」 ゆっくりゃに影が差す。自然と上を見上げる。 その満月を隠すように羽根を広げ、ゆふらんが飛んでいた。 昨日、追いかけてきたゆふらんだった。 「うーっ!!」 「ゆっくりしね!」 慌てて赤い実をもぎ取り、飛び去っていくゆっくりゃ。追いかけるゆふらん。口に咥えた実が重いが、ゆっくりゃが口を開くことはなかった。 「うーっ! うーっ!」 「ゆっくりしねっ、しねぇええぇぇぇえぇっ!」 昨日と同じように縮まっていく距離。しかし昨日ほど巣からは離れていない。 ほどなくして、ゆちゅりーの姿が見えた。 「うー♪」 口を開かないように喜び、そして目を見開いて驚愕した。 「むきゅーっ!」 「ゆっくりしね!」 「しねっ!」 「しねぇえぇぇぇええぇっ!」 ゆちゅりーが3匹のゆふらんに襲われていた。ゆちゅりーは無事だが、たくさん囓られたのだろう。その体には擦り傷が無数に走っていた。 「うーっ!」 口から実を離すと、逆上したゆっくりゃが突進していく。 それを、後ろから追いかけ続けていたゆふらんが撃退した。 「うぅーーっ!?」 「ゆっゆっゆっ!」 後ろから体当たりを喰らい、地面へと転がっていくゆっくりゃ。 「むきゅーっ!」 ゆちゅりーの悲痛な声が響く。 ゆっくりゃの広げたままだった羽根は地面で擦れ、大きく痛んでいる。しばらくその場を動けそうになかった。 しかしそんな好物からゆふらんは目を離すと、そのままゆちゅりーへと近づいて来た。 「ゆー……」 「む、むきゅ……」 また囓られるのを恐れ、身構えるゆちゅりー。 しかしゆふらんは囓ろうとはせず、ゆちゅりーを捕まえた。 「むきゅっ!?」 「ゆっゆっゆっ」 同時に動くゆふらん達。4方向から捕まえられ、ゆちゅりーの体が宙を舞った。 「むきゅーーーっ!?」 「ゆっくりしねっ!」 ゆちゅりーの悲鳴にゆふらん達の大合唱が重なる。 この日初めて、ゆちゅりーは空を飛んでいた。 死刑執行へと向かう、飛行だった。 「むきゅー! むきゅー!」 周りを囲むゆふらんへ罵声を浴びせるゆちゅりー、しかし暴れることはない。既に周りの樹よりも高い所をゆふらんは飛んでいる。ゆちゅりーは、昔ゆふらんに落とされ、地面に跡形もなく飛び散ったゆっくりを思い出していた。 「むきゅー!」 声による必死の抵抗が続く。しかしゆふらんは何も言わず、ただ笑みを浮かべている。 次第に、大きな建物が見えてきた。 「むきゅ?」 同時に高度を下げ始めるゆふらん。 紅魔館の目の前までやって来ると、ゆふらん達はそのまま飛ぶのを止め、その場に停止した。 「む……」 初めて、ゆちゅりーの声に返事をする。 「ゆっくりしねっ!」 「むきゅぅうぅううぅっ!?」 初めて味わう落下に、思わずゆちゅりーの口から悲鳴が漏れた。 ゆふらん達が止まったのは紅魔館の門前。 ゆちゅりーを待っていたのは、扉から上に伸びた先の鋭い串だった。 「むきゅうぅうぅうぅうぅっ!!」 落下速度もあり、串はゆちゅりーの硬い体を1度に串刺しにしていた。 初めて味わう痛み。鉄の通り抜けるおぞましい感触とその激痛が、ゆちゅりーに余裕を失わせていく。 「い゛だい゛ぃいいいぃいいいぃいぃっ!」 泣き叫ぶゆちゅりー。ようやく聞けた断末魔の叫びに、ゆふらん達はお互いに飛び回りながら喜びを露わにしていた。 本来、我の強いゆふらん達が群れを成すことはない。 このゆふらん達は、同じゆふらんから産まれた分身だった。 長く生きたゆふらんは、次第に同じ思考を持つ分身が4つ産まれ、それからは4匹で行動し始める。違うもの同士ではない、同じもの同士だったからこそ成功した、ゆちゅりー捕縛だった。 「ケケケケケケケケケケケッ!」 1匹がゆちゅりーに体当たりする。 「むぎゅっ!」 突き刺さった串が中から体に食い込み、痛みがさらに増していく。 「や゛め゛でぇえええぇぇぇっ!! ゲホッ、ゴホッ!」 「ゲゲゲゲゲゲゲッ!!」 ゆちゅりーからの誓願な悲鳴に、ゆふらんの笑みがますます深くなる。 次へ次へと順番に体当たりしていき、ゆちゅりーの悲鳴が木霊した。、 「ゆっくりしねっ!」 「ゆっくりじねっ!」 「じねぇぇえぇえぇっ!!」 ゆちゅりーを中心にゆふらん達の宴が盛り上がっていく。 そこに大きな衝撃と共に邪魔が入った。 「うーっ!!」 「むきゅっ!?」 その光景に、一瞬ゆちゅりーは鉄の感触と痛みを忘れた。 ゆっくりゃが、ゆふらんに向かって突撃していた。 急加速で突っ込まれ、ゆふらんは遠くへ飛ばされていく。 しかし、残った3匹は躊躇無くゆっくりゃへ襲いかかった。 「しねっ!」 「ゆっくりしねっ!」 「むきゅうぅううぅううぅっ! やめ゛でぇええぇえぇぇえっ!」 悲痛な悲鳴が響く中、ゆっくりゃの体が囓られる。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 気づけば残った2匹はゆっくりゃの後ろへ回り、羽根を囓ると、そのまま力任せに引っ張った。 布を裂くような音が響いた。 「ぎゃあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 背中から肉汁があふれ出てくる。羽根を失ったゆっくりゃはもう飛び続けられず、そのまま地面に落下した。 「むきゅうぅうぅっ!」 「……うっ、うっ~」 地面にぶつかり体が跳ねたが、下に大きな石がなく、草の上に転がりながらゆっくりゃはどうにか息をしている。 その場に起き上がるゆっくりゃを見て、ゆふらんは静かに近づいていった。 「むきゅーーっ!」 危機を知らせようと叫ぶゆちゅりー。しかしゆっくりゃは、その場でただ跳び跳ね続けている。 やがてゆふらんがゆっくりゃにかぶりつくが、ゆっくりゃは飛び跳ねるのを止めなかった。 「ゆっくりしねっ!」 「う、うぅ~っ!」 意志の込められた声が響く。 「たすける。ぜったいたすけるっ!」 飛び跳ねていたのは、ゆちゅりーへ近づこうとする現れだった。 だんだんお腹の空いてきたゆふらん達は、食べられないゆちゅりーは放っておき、ゆっくりゃの方へと近づいていく。 「に゛げでぇええぇえぇっーーーーーーーっ!!」 突然、ゆちゅりーが今まで1番大きな声を上げた。 思わず振り返るゆふらんたち、振り向いた3匹全員の目が赤く光り、瞳孔が開いている。まだそんな元気があったのかと、虐待を楽しむ狂気の瞳だった。 3匹が引き返してきたのを見て、むちゅりーは覚悟を決めていた。 あのまま3匹がゆっくりゃの元にいけば、瞬く間にゆっくりゃは食べられてしまっただろう。 せめて自分が惹きつけている間に逃げて欲しい。ゆちゅりーはそう願っていた。 3匹が同時にゆちゅりーに突撃してくる。軋む体。体が硬いとはいえ、痛みは人と変わらない。中から割れそうな痛みに、ゆちゅりーの顔が歪む。 「ケケケケケケッ!」 「む゛ぎぁっ!」 間髪入れない攻めに、脳天まで響く痛みが走った。 痛みに体をしびれさせていると、ゆふらんからしばらく攻撃が来ない。 「……?」 不思議に思った瞬間、3匹に囲まれ、体を捕まえられていた。 「むきゅっ!?」 羽根を羽ばたかせ、またゆちゅりーを持ち上げようとする3匹。 串に中身が擦られ、ゆちゅりーの神経を刺激していく。 「むぎっ! ぎぅっ!!」 どうにか串からゆちゅりーの体が抜けた。 空いた穴から見える紫色の身。自分の体を通って空気が抜けるのが手に取るようにわかった。 瞬間、ゆちゅりーはまた浮遊感を味わった。 「むぎぃゅゅゆ゛ゅゅゆ゛ゅゅっ!!」 ゆちゅりーの体にまた串が刺さる。先に空いた穴を通るように2本目のトンネルが貫通した。 またゆふらん達がゆちゅりーの周りに集まっていく。 同じように引っ張り上げられ、また体が宙を浮く。 しかし落下していく際の光景には違いがあった。 目に見えていた串が、目の前まで迫り、そのまま見えなくなった事だ。 ゆちゅりーを持ち上げた3匹は、離す際にひねりを咥えることで、刺さる場所を変え、今回はゆちゅりーの右目に串が突き刺さった。 「む゛ぎゃあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁ゛あ゛あ゛っ!!」 ゼリーで出来た目玉の欠片が、突き通った串全体を濡らしていった。 そうして持ち上げられ、穴が増え、体当たりをされ、ようやくゆふらんが疲れて来た頃、ゆちゅりーの意識はたゆたっていた。右目に空いた串の後が特に痛々しい。体を支配するのは痛みと、奥からこみ上げてくる嘔吐感、そして頭痛。病弱という体質が、ここに来てなおゆちゅりーをいたぶっている。 疲れから攻撃が止まり、ゆちゅりーの思考はわずかに正常に戻っていく。 ふと、何か違和感を感じた。 それがなんなのか確認する間もなく、ゆふらんからまた攻撃が開始される。もはや挨拶代わりになりつつある体当たりが、まず1度、2度、3度、4度……。そこでゆちゅりーは気づいた。 周りを飛んでいるゆふらんは、いつの間にか4匹になっている。 続けての体当たりに視界が歪む。飛びそうになった意識を何とか呼び戻し、ゆちゅりーは地面を見た。 ずっとゆっくりゃが飛び跳ねていた場所に。 ゆっくりゃの帽子が1つ、落ちていた。 「あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛っ!!」 乾いた音が鳴る。 ゆちゅりーに、ヒビが入った瞬間だった。 子ゆっくりゃたちは静かに待っていた。 「ぅ~」 「ぅーっ」 住処である樹の中で、声を潜めながらゆっくりゃ達の帰りを待ちわびている。 今まで2匹が住処を離れていた事は何度かあるものの、これほどの長時間留守にすることはなかった。子ゆっくりゃに不安がよぎる。 しかし子ゆっくりゃ達は動かなかった。 帰りの遅いゆっくりゃに、探しに出たゆちゅりーからここを動かない事とよく言い聞かされていたからだ。 子ゆっくりゃ達にとって、産まれた頃から面倒を見てくれたゆちゅりーは誰よりも信頼出来る相手だ。お母さんのゆっくりゃがたまに逆らっているけど、どうして逆らう気になるのか子ゆっくりゃ達にはわからなかった。 子ゆっくりゃ達は、お互いの顔を合わせず、そのまま宙を見て過ごしている。顔を合わせると泣き出してしまいそうだ。 ふと入り口に、誰かの気配がする。見るとゆっくりゃらしき影が見える。 思わず、子ゆっくりゃ達は飛び上がった。 今までなかった強い不安から解放され、思わず、子ゆっくりゃ達は初めて人の言葉を喋っていた。 「おかえりなちゃい!」 「うー♪ ゆっくりしてねぇ!」 影は応える。 「ゆっくりしねっ!」 産まれて初めての言葉は、そのまま最後の言葉になっていった。 End 最後まで読んでくれてありがとうございます。 ゆっくりんかわいいよゆっくりんりんⅡを読んでやっぱゆちゅりーは虐待に向いているな! とあらためて思い、すげぇ数の暴力にぼこぼこにされるゆちゅりーが書きたくて書きました。変則すぎてごめんなさい。 しかもフランの分身や虐待方法はゆっくりフランの人と被ってるし、羽根千切ってるのはgifと被ってるし、目の玉がゼリーなのはどれが始めだったか思い出せない、スミマセン。 前からゆちゅりーは虐待したいなと思っていたんですが『ゆちゅりー虐待する → 病弱だから死ぬ』というのがあってどうにも虐待しづらかった。しかしよくよく考えたら『弱っても中身があるから死なない』って設定にすればいいじゃないかと気づき、今回のようになりました。 ただ硬くしたのはイマイチだった気がする。これのせいで結局虐待が中途半端になったような……しかし、どうしてもこれ以外にゆふらんを追い返せる理由が思いつかなくて……。あと、今回は本当にせっぱ詰まると日本語を喋るようにしていますが、これも何だか無駄設定だったかも。「むきゅー」「うー♪」で会話させたかっただけなんですが。 いっそ人間に捕まって蒸されて、スイートポテトと作ろうとそのまま少しずつこされていく話にすればよかっただろうか……ああ腹減った。 ムラのある文章で申し訳ないですが、少しでも、楽しんでもらえたら幸いです。 by 762 このSSに感想を付ける