約 1,475,978 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1377.html
奇跡の朝に 13KB 悲劇 理不尽 野良ゆ 虐待こそありませんが、間違っても愛でてはいません 「お? ゆっくりがいる」 自動販売機の脇の暗がりで固まっているゆっくり一家――親まりさに親れいむ、子まりさ――を横目に、男はボタンを押した。 「ゆう、ゆう」という小さな寝息をたてて、一家は眠っていた。 「うちのが欲しがってんだよなあ。どこがかわいいんだか、こんな饅頭」 落ちてきた缶コーヒーを手に取る。男のかじかんだ手に、缶の温もりが染み渡った。 「これ、土産に持っていってやるかな。喜ぶぞ~。『お父さんありがとう!』なんつってさ! ははは」 夜の路地に、楽しげな男の声が響く。 缶コーヒーを両手で転がしながら、男は一家に顔を近づけて、まじまじと眺めた。 「このちっちゃいのなら、まだかわいく見えるかな……」 男は、自分の拳ほどの大きさの子まりさを、指で摘んで持ち上げた。 「むにゃむにゃ、おしょらを……」 子まりさは寝言を言ったが、それでも目覚める気配はない。口の端から砂糖水のよだれをたらし、熟睡しているようだ。 「おうおう、よく寝てるわ」 男はそう言って、子まりさを手に、その場を立ち去った。 男は体を震わせた、 「ん、ちょっと小便……」 この辺りにはトイレもないので、ちょうど通りかかった空き地で済ませてしまうことにした――男は酔っていた。 目の前には、男よりも頭ひとつ分くらい高いブロック塀がある。 その上に飲みかけの缶コーヒーと、いまだ眠ったままの子まりさを置く。 そしてズボンのベルトをはずし―― 「……ふう、すっきり」 ことを終えた男は缶コーヒーを手に取り、一口飲む。 そして時計を見て、 「やべ、終電行っちゃうじゃねーか!」 駅に向かって、慌てて走り出した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「きょわいんだじぇええええ!!」 塀の上から両親を見下ろし、子まりさはパニックになっていた。 自分はおうちで両親に寄り添って眠っていたはずだ。 それがなぜ、目が覚めたら自分ただ一匹で、なおかつ目も眩むような高い塀の上にいるのだろう。 ちょっと踏み出せば地面までまっ逆さま。 こんな場所で眠っていたなんて。もし寝ぼけて下に落ちていたらと思うとゾッとする。 何がどうなってこんな状況になったのか、子まりさにはまったく見当がつかなかった。 「まりしゃをたしゅけちぇにぇええええええ!! たしゅけりゅんだじぇえええええ!!」 子まりさは、眼下の両親――まりさとれいむに、泣きながら助けを求め続けた。 「おちびちゃん! ゆっくり! ゆっくりするのぜ!!」 塀の下から子まりさを見上げるまりさも、パニックになっていた。 自分たちと一緒に寝ていた子まりさが朝起きると見当たらない。 慌てて探すと、なぜか高い塀の上で泣き喚いているではないか。 とてもじゃないが、子まりさに――そして自分にも――登れる高さではない。 登れないというのは、降りられないということでもある。 「すぐにたすけてあげるからねええええ!!」 つがいのれいむは子まりさに言うが、少なくともまりさには、どうしたらいいかわからない。 「かべさん! いじわるしないでおちびちゃんをおろしてあげるんだぜ! ゆっくりやさしくたのむのぜ!」 まりさが訴えてみても、もちろん事態は好転しなかった。 「ゆっくり優しく」以前の問題で、まったく反応無し。塀はうんともすんとも言わない。 「かべさんはいじわるなのぜ!」 「かべさんはいじわるだね!」 そういうことになった。 「はやくまりしゃをたしゅけちぇえええええ!! ゆっくちしちゃだめなのじぇえええええ!!」 子まりさのおそろしーしーが、足もとのブロックの色を変えた。 上空に黒い影が見えた。 「ゆっ!? あれはからすさんなのぜ!!」 まりさは叫び、そして思い出していた。 おちびちゃんの前のおちびちゃん――塀の上の子まりさの前の子どもは、カラスに襲われ、永遠にゆっくりさせられた。 ゴミ捨て場で食料を漁っていた時に急襲されたのだ。 それ以来、まりさとれいむはカラスを避けて生きてきたし、生ゴミの日にゴミ捨て場に近づくことをしなくなった。 カラスは仇であり天敵なのだ。 その恐ろしいカラスが、子まりさのいるブロック塀の上に降り立った。 目的はわかりきっている――前のおちびちゃんの時と同じだ。 「こにゃいでにぇ! こにゃいでにぇ! ままままりしゃはおきょるとこわいのじぇ? ぷ、ぷきゅううううう!!」 子まりさが『ぷくー』をするが、どうにも様になっていない。当然、カラスには何の効果もなかった。 「おちびちゃん! ゆっくりしないでにげるんだぜええええええ!!」 「おちびちゃんにげてねええええええ!!」 塀の下の二匹にそう叫ばれ、困ったのは子まりさだ。 「どきょににげればいいんだじぇええええ!?」 子まりさに逃げ場などない。 しいて言うなら飛び下りるくらいだが――それはカラスに食われるか、墜落するか、原因が変わるだけで、結果はどちらも変わらない。 それに思い当たったまりさが、今度はカラスに呼びかける。 「からすさん! ゆっくりこっちをみるんだぜ! ぷくーなんだぜ! ぷくうううううう!!」 『ぷくー』だ。まりさは頬に空気を溜め、威嚇態勢に入った。 「ぷくううううう!! はやくこっちをみるんだぜ!! そしてしっぽをまいてにげるのぜ!! ぷくううううう!!」 「からすさん! まりさのぷくーをみてね! すごいよ! こわいんだよ! こわいからはやくみてあげてね!」 カラスは二匹を無視して子まりさに近づき、その小さい体に鋭い爪をあてた。 そしてその尖った嘴が子まりさに―― 「たしゅけちぇえええええ!! いぢゃいよおおおおおお!! まりしゃをはなしちぇにぇえええええ!!」 「おちびちゃあああああん! れいむもぷくーするよ! からすさんは、れいむとまりさのだぶるぷくーでこわがってね! ぷくううううう!!」 頬を大きく膨らますれいむとは逆に、まりさは頬から空気を抜いた。 「ぷくうううう!! ……ゆっ? まりさああああ!! どうしてぷくーをやめちゃうのおおおお!?」 れいむの問いかけに、まりさは、 「……こうなったらいちかばちかなのぜ!!」 強い口調で言った。 まりさは自分の帽子の中から小さな木の実を取り出し、素早く口に含む。 そして今にも子まりさを食べようとするカラスに狙いを定め、 「くらいやがれなのぜ!!」 叫ぶと同時に、木の実を「ぷっ!」と吹いた。 木の実は勢いよく――とはお世辞にも言えない速度で放物線を描き、それでもカラスの目に命中した。 カラスはビクッと体を震わせ、子まりさを押さえていた爪を離す。そしてそのままどこかへ飛び去ってしまった。 「お、おとうしゃん、しゅごいにょじぇ……」 そうつぶやき、子まりさは放心した。しーしーがちょろちょろと流れる。 爪があたっていた所が少し傷になっているくらいで、いたって無事だ。 それを見たまりさは体の力を抜き、大きく息を吐いた。 「ゆふう……。ききいっぱつだったのぜ!」 「すごいよまりさ!! いまの、とってもゆっくりしたわざだったよ!!」 そんなまりさを、れいむは尊敬を込めた目で見つめる。 まりさはれいむにニヤリと笑いかけ、 「ゆっへっへ。きのみさんをつかった、みようみまねのどすすぱーくなのぜ! まだみかんせいだったけどうまくいってよかったのぜ!」 得意げに言った。 「でも、おめめにあたったのはできすぎなのぜ! うんがよかったのぜ!」 そして照れたように笑う。 「ゆゆ~ん。さすがはれいむのまりさだよお~」 「ゆふっ。あさっぱらからやめるのぜれいむう~」 体をくねらせ、こすりあわせる二匹を見て、 「まりしゃをたしゅけりゅんだじぇええええ!!」 ちょっと拗ねたように、子まりさが叫んだ。 塀の上に黒い影が見えた。 「ゆっ!? あれはねこさんなのぜ!!」 まりさは叫び、そして思い出していた。 おちびちゃんの前の、そのまた前のおちびちゃん――塀の上の子まりさの前の、そのまた前の子どもは、猫に襲われ、永遠にゆっくりさせられた。 花壇で食料を漁っていた時に急襲されたのだ。 それ以来、まりさとれいむは猫を避けて生きてきたし、花壇で花を食べることをしなくなった。 猫は仇であり天敵なのだ。 その恐ろしい猫が、ブロック塀の端から子まりさに迫る。 目的はわかりきっている――前の、そのまた前のおちびちゃんの時と同じだ。 「こにゃいでにぇ! こにゃいでにぇ! ままままりしゃはおきょるとこわいのじぇ? ぷ、ぷきゅううううう!!」 子まりさが『ぷくー』をするが、やはり様になっていない。当然、猫にも効果がなかった。 「おちびちゃああああん!! まりさ、さっきのわざだよ! ねこさんをゆっくりやっつけてね!」 「ゆう……」 「なにをぐずぐずしているの? ばかなの? しぬの?」 「もう、きのみさんがないのぜ……」 「ゆううっ!?」 まりさは木の実を先ほどの一つしか持っていなかった。 木の実が無ければ、あの技は使えない。 「どぼじでちゃんとよういしておかないのおおおお!?」 「ゆっくりごめんなさいなのぜ!! ふそくのじたいなのぜ!!」 二匹が揉めている間にも、猫は子まりさに迫る。 「ゆんやあああああああ!! きょわいんだじぇええええええ!!」 「お、おちびちゃん! こうなったらぷくーするのぜ! ぷくううううううう!!」 「れいむもぷくーするよ! ねこさんはせいぜいこわがってね! ぷくううううう!!」 猫は二匹を無視して体を屈め、尻をフリフリと揺すった。 「ゆっ!?」 まりさは恐怖した。猫のその動きに見覚えがあったからだ。 あの動きのあとに、猫は、前の前のおちびちゃんに飛びかかったのだ。 まりさが恐怖したその一瞬に、れいむはすでに行動していた。 「やめでねえええええ!! ねござん!! やめでねえええええ!!」 れいむは叫びながら、ブロック塀に体当たりする。 「おぢびぢゃんをいじめないでねええええ!! ゆっぐりじでいっでねえええええ!!」 二度三度と繰り返されるれいむの体当たり。そんなもので塀やその上の猫がどうにかなるわけもなく、まったくの無駄だったが、その叫び声には効果があった。 切羽詰まったれいむの声に反応し、子まりさに飛びかかるタイミングを誤った猫が、バランスを崩してブロック塀の反対側に落下したのだ。 「ねござん! ゆっぐり! ゆっぐり!」 それに気づかないれいむは、いまだ壁に体当たりしている。 まりさは息を止めてしばらく待ったが、猫がもう一度塀の上に現れることはなかった。 「おとうしゃん、おかあしゃん! ねこしゃんがにげちぇいっちゃのじぇ!!」 子まりさが笑顔で言った。 どうやらどこかへ行ってくれたようだ。 「……こんどこしょだめきゃとおもったのじぇええ……」 塀の上でだらりと体を伸ばす子まりさ。相変わらずしーしーが漏れている。 その様子に安心したまりさは、体当たりを続けるれいむに声をかけた。 「れいむ! もういいのぜ! もうおちびちゃんはたすかったのぜ!」 「ゆ、ゆう……。もうだいじょうぶなの?」 れいむの体のあちこちに、黒い染みが浮かんでいた――痣だ。 無理もない。固いブロック塀に何度も体をぶつけたのだ。 「れいむのおかげなのぜ! すごいのぜ! れいむのつよさにはまりさもかたなしなのぜ!」 「うんがよかったんだよ……」 「おかあしゃん! かっこよかったのじぇ!」 塀の上から、興奮を隠しきれない声で子まりさが叫んだ。 「そのとおりなのぜ、れいむ! さあ、めいよのふしょうをまりさがぺーろぺーろしてあげるのぜ!」 まりさはそう言って、れいむの体を舐め始めた。 「ゆゆ~ん。くすぐったいよ、まりさあ~」 「ゆっへっへ~。ひょっとしてへんなきぶんになってきたのかぜ~?」 「ゆふん。あさからへんなこといわないでね!」 そう言いながら、れいむはまりさにちゅっちゅした。 そんな二匹を見て、 「ゆっ? おとうしゃんとおかあしゃん、にゃにをしちぇいるんだじぇ?」 不思議そうに、子まりさが言った。 カラスと猫を追い払いはしたが、それで子まりさが塀から降りられるわけではない。 「まりしゃ、はやくおりちゃいのじぇええ……」 子まりさはベソをかいていた。 「ゆーん。どうすればいいのぜ……」 「どうしよう……」 まりさとれいむはゆんゆん唸るが、良い案は浮かばない。 「まりさのじゃんぷりょくでも、さすがにこのたかさはむりなのぜ!」 「ゆう。とりさんやうーぱっくみたいに、れいむたちにもはねがはえていればよかったのにね!」 うーぱっく――れいむのその言葉に、まりさは閃いた。 「そうなのぜ! うーぱっくならおそらをとべるのぜ!」 「ゆっ? それはあたりまえだよ!」 「もしかしたらいけるかもしれないのぜ!」 「どういうこと? れいむにゆっくりせつめいしてね!」 まりさは眉毛をキリッとさせて、早口でまくしたてる。 「まりさのともだちのまりさは、うんそうやさんをしているのぜ!」 まりさの友人のまりさは、ゆっくり相手に運送屋を営んでいる。その運送屋まりさのパートナー兼荷物運搬係こそ――誰あろう、うーぱっくなのだ。 「まりさとうーぱっくなら、きっとちからをかしてくれるのぜ!」 その言葉に、れいむの顔が輝く。 「ゆっくりりかいしたよ!」 「すぐにたのみにいってみるのぜ! おちびちゃん、もうすこしがまんするのぜ!」 「ゆっくりいそいでいってきてね! おねがいだよ、まりさ!」 「おとうしゃん! ゆっくりいっちぇらっしゃい! まりしゃ、もうすこしがみゃんしゅりゅのじぇ!」 れいむと子まりさの声を受けて、 「ゆっくりいってくるのぜ!」 まりさは運送屋まりさの元に向かった。 運送屋まりさは快諾してくれた。 うーぱっくはあいにくと仕事中で不在だったが、戻り次第、すぐに駆けつけてくれるそうだ。 運送屋まりさに礼を言って、まりさは家族の元にとって返した。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ! おちびちゃん、れいむ、もうあんしんなのぜ!」 そう、もう安心なのだ。 まりさはとてもゆっくりとした――晴れやかな気分で歩を進めた。 「まりさがいまかえるのぜ!」 まりさは、この短い時間に起こったことを思い返していた。 自分はカラスから、れいむは猫から、普段なら敵わない相手から立て続けに子まりさを守った。 どちらも単に運が良かっただけということは、まりさにもわかっている。 しかしその「運が良かった」が二度続いたのだ。 いや、二度ではない。三度だ。 運良く、身近にうーぱっくがいてくれたではないか。 当事者の自分にも信じられない運の良さだ。これはなんと素晴らしいことか。 今のような、この素晴らしい状況を表す言葉を、まりさは知っていた。 それは「奇跡」だ。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ!」 奇跡。 その言葉を思い浮かべた途端、まりさの足取りはより軽くなった。 まりさとれいむは奇跡を起こし、カラスと猫を撃退したのだ。 ならば、自分たちの子どもである子まりさはどうか? 今日この日なら、きっと何かしらの奇跡を起こしてくれるのではないか――いや、起こすのだ。 子まりさが起こす奇跡とは――そんなものは決まっている。あの絶望的なまでに高いブロック塀から、うーぱっくに乗って無事生還してくれるのだ。 そして三匹仲良く、いつまでもゆっくりとしたゆん生を送るのだ。 「ゆっくりとうちゃくなのぜ!」 やがて、子まりさとれいむの姿が見えた。 「ゆっくりのひ~、まったりのひ~」 「ゆっくち! ゆっくち!」 れいむの歌に合わせて、子まりさがリズムを取っている。 ああ、なんとゆっくりした光景なのだろうか。 まりさのは思わず微笑む。 「れいむ、おちびちゃん! ゆっくりただいまなのぜ!」 二匹に向けて、まりさは元気に挨拶した。 「ゆっくりおかえりなさい!」 「おきゃえりなしゃいにゃのじぇ!」 まりさの笑顔を見て、二匹は心の底から安心したようだ。 そう、もう安心なのだ。 これから何があろうとも、自分たちはずっとゆっくり生きていける。 まりさには、自分たちに降りかかった今日のこの災難すら、とても素晴らしいことに思えた。 今となってはよくわかる。 苦しさも悲しさも、すべては奇跡の一環だったのだから。 その時、風が吹いた。 「まりしゃのしゅてきなおぼうししゃん!」 風に飛ばされた帽子を追って、子まりさは足もとのブロックを蹴った。 一瞬の浮遊感。 「ゆわーい! まりしゃ、おしょらをとんでるみちゃい!」 子まりさの視線の端に、笑顔を凍り付かせた両親の姿が映った。 その身ひとつで空を翔ける――最初で最後のそんな奇跡を体験した子まりさは、直後地面に落下し、体を四散させて死んだ。 (了) 挿絵 by儚いあき 挿絵 byゆんあき 以前書いたもの…… ふたば系ゆっくりいじめ 525 犬 ふたば系ゆっくりいじめ 532 川原の一家 ふたば系ゆっくりいじめ 554 ゴキブリ(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 555 ゴキブリ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 569 ねとられいむ ふたば系ゆっくりいじめ 622 格子越しの情景 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 猫かわいい -- 2014-11-07 08 15 05 おりん「あれ私たちじゃない?」 うにゅほ「うにゅ、ほんとだ!」 さとり「ちがうわよ!」 おりん おくう「どおじでぞんなごどいうの!」 さとり「誰でも分かるわよ。」 -- 2014-09-29 19 46 13 親ゆの上に跳べば安全に降りられるだろう(適当) -- 2014-08-02 11 34 55 烏と猫 可愛い -- 2014-06-22 00 42 55 きょわいんだぜぇぇぇクソワロタwwwwwwwww -- 2013-03-06 17 36 34 室外機がユーシバにww -- 2012-08-20 23 51 13 ほのぼのしてていいねw -- 2011-05-28 08 37 31 いい落ちだった。 からすとねこのイラストいいなぁww -- 2010-10-22 21 16 24 からすさんねこさんこんにちはー -- 2010-08-27 16 52 24 ナイス風 -- 2010-08-17 01 59 35 いい気味だよゆっくりめ! -- 2010-08-01 15 09 01 あーあ 子ゆがれいむだったらまだ違ったかな -- 2010-07-25 13 10 08 うむ。 -- 2010-07-19 15 11 03 良いオチですな。 -- 2010-06-29 11 36 33
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/363.html
だいだら法師 レベル 40:7 黄色ネーム 構成 名前 種類 レベル 開始時付与 特徴 だいだら法師 山神 40 ▲ 蘇生・壱 沈黙の霧 大土運び 妖怪 ▲ 大土運び 妖怪 ▲ 土運び 妖怪 ▲ 土運び 妖怪 ▲ 土担ぎ 妖怪 ▲ 土担ぎ 妖怪 ▲ 生息地域 近江:と−ハ ドロップアイテム 巨大な法衣 霊山の土
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/1048.html
564 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 08 10 ID 75EQxJKQ 戦場ヶ原「麻雀をしましょう」 上条「…唐突だな…」 C.C.「以前言っていた長編のネタは麻雀だったのか… 559 560 563」 上条「て言うか…そんなのやったって上条さんの最下位は確実じゃないですか…何が面白いんだよ…」 戦場ヶ原「大丈夫よ上条君。今回はチーム戦で、貴方のパートナーには『咲-Saki-』世界のキャラを付けてあげるわ」 上条「マジで!?それならまだ可能性が…」 C.C.「という訳で今回のネタのゲストであり、上条のパートナーを紹介しよう」 加治木「今日はよろしく頼む」 戦場ヶ原「という訳で今日のゲストは鶴賀学園高等部3年生の加治木ゆみさんよ」 加治木「ところで…何故私なんだ?『咲-Saki-』世界のキャラは他にもいるだろう?」 二人「「………」」 上条「あの~…お二人さん?」 戦場ヶ原「それじゃ今回の麻雀のルール説明をするわよ」 上条「いや加治木の質問に答えろよ」 C.C.「いや、特に意味はないぞ、うん」 加治木「?」 上条「まぁ…ないんなら別にいいけど…」 戦場ヶ原「では改めてルール説明をするわ。さっきも言ったように、今回はチーム戦。私とシーちゃん、上条君と加治木さんでペアを組んで行うわ。勝敗はトップになった人がいるチームの勝ちよ」 上条「…と言うことは…たとえ上条さんが最下位でも加治木がトップなら勝ちってことですか!?」 C.C.「だからそう言ってるだろう…お前が上がれなくても、加治木が大物手を張った時に差し込めば、それで勝てる可能性も高くなる訳だ」 上条「いや大物手の時に差し込めって言ったって…加治木の手が大物手かどうかなんて分かんねーじゃん…」 C.C.「…普通は捨牌からある程度は読めるものだがな…」 上条「…どうせ上条さんは馬鹿ですよ…」 戦場ヶ原「まぁ、そんな上条君でもある程度は他家の手が読めるように、今回はこの麻雀牌を使うわ」 上条「こ、これは!?」 加治木「な、何だこれは!?」 戦場ヶ原「そう、牌一種類につき普通の牌は一枚だけ…後の三枚は裏からでも牌の種類が分かるガラス牌…通称『鷲巣麻雀牌』!」 上条「何でそんなもんがここにあるんだ!?アニロワ3rdに参戦してんのは『カイジ』であって『アカギ』じゃねーだろ!?」 戦場ヶ原「勘違いしないでちょうだい…これは神原の私物よ」 上条「えっ?そうなの?」 C.C.「うむ…また誰かの支給品に紛れていたか、島のどこかにあったか…とにかくまたいつの間にかあったのだ」 戦場ヶ原「ちなみにこの前の白井さんの『マル秘ノート』と違って、これは原作で本当に神原が持っていた物よ。嘘だと思うなら『偽物語(上)』を買って読みなさい。アニメではカットされるでしょうから…」 上条「またさらっと宣伝を…」 565 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 08 44 ID 75EQxJKQ <ルール説明> 麻雀のルールは基本通り。東風戦。赤ドラはなし。 ただし使う牌は『鷲巣麻雀牌』で、台もそれ専用の物を使用する。盲牌出来ないように皮手袋も着用。 2対2のチーム戦で行い、最終的にトップだった人のいるチームの勝利。 パートナーに自分の手牌を口頭で伝えるのは禁止。 <牌の表示> 萬子:一二三四五六七八九 筒子:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨ 索子:123456789 字牌:東南西北白撥中 戦場ヶ原「じゃあ、始めましょうか…」 C.C.「うむ…」 加治木「…」 上条「今日こそは勝つ…絶対に…」 東一局 東家:戦場ヶ原 25000 南家:C.C. 25000 西家:加治木 25000 北家:上条 25000 ドラ表示牌:3(ガラス牌) ―――一巡目――― 加手牌:二三五六七八⑤⑥⑨122北(■三五六七■■⑥⑨■22■) 加治木(…三向聴…悪くない…問題はガラス牌…ツモ次第で待ちがバレバレになる可能性も…) 戦場ヶ原「…」タンッ西 戦手牌:三■五①③■■⑧678白白 加治木(戦場ヶ原の手も早そうだ…だが役牌の対子はガラス牌だとむしろ邪魔になる…味方のC.C.に鳴かせてもらうか、暗刻にするしかないが…) C.C「…」タンッ北 C手牌:一二■七③⑨445■■東■ 加治木(C.C.はドラが二枚に黒牌が四枚…黒牌の種類次第では警戒すべきか…)トン四(これで二向聴…上条の手は…)チラッ 上条「…」 上手牌:一一九②⑧3889南西撥中(黒牌無し) 加治木(…び、微妙過ぎる…黒牌が一枚もない上に、面子もない…私が何とかするしかないか…)タンッ北(黒牌) 上条(不幸だ…初っ端から微妙な配牌…)トン⑤(ツモまで微妙…もう加治木に任せるしかねぇ…とりあえず加治木の待ちになりそうなのは押さえとくか…)タンッ西 566 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 09 18 ID 75EQxJKQ ―――六巡目――― 加手牌:二三四五六七八④⑤⑥122(■三四五六七■④■⑥■22) 2(黒牌) 加治木(張った…一索切りで二五八萬の三面張…だが問題は…)チラッ 上手牌:一一九⑤⑥⑧23889撥■ 加治木(上条の手に私の上がり牌がないこと……リーチをかけるべきか否か…) 上条「…」 加治木(…ここは黙テンで様子を見るか…より高目への手変わりもあるし…)タンッ1(黒牌) 上手牌:一一九⑤⑥⑧23889撥撥(一一九⑤⑥⑧23889撥■) ① 上条(…やっぱり微妙過ぎる…加治木はもう張ってんのかな…?)チラッ 加手牌:■三四五六七■④■⑥■22 上条(もう張ってるような気もするけど…でもリーチかけないってことはまだなのかな?…う~ん…とりあえずこいつはいらないよな…)タンッ① 戦場ヶ原「…リーチよ」パシッ① 上条「えっ!?」 加治木(何!?) 戦手牌:三■五②③■■⑧678白白 加治木(あれでは待ちはかなり限られる…C.C.の差し込みか?) C.C.「…」タンッ中 C手牌:一二■②③4456■■東■ 加治木(違う?なら何故リーチを…!まさか!?)トン南(ぐっ…こんな時に無駄ヅモ…)タンッ南 上条「…」トン四 加治木「!?」 上条(一筒切りでリーチってことは、一四筒の両面はない…となると白と八筒のシャボ待ち…あるいは八筒絡みの順子の待ち…まぁどちらにせよこれは通るだろ…)タンッ四 加治木(駄目だ!!) 戦場ヶ原「ロンよ」パタッ 上条「えっ!?」 戦手牌:三白五②③④⑧⑧678白白(三■五②③■■⑧678白白) 四 上条「な、何だそりゃ!?」 戦場ヶ原「裏ドラは…」トン八(ガラス牌)「残念…リーチ一発、白、親の40符3藩で7700」 上条「うぅ…不幸だ…て言うか何だよその待ち…」 567 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 09 43 ID 75EQxJKQ 戦場ヶ原は罠を張っていたのだ…。配牌時、白は既に暗刻になっていたが、白の黒牌を、萬子の嵌張の間に挟み、萬子は面子、白は対子であると、加治木と上条に思わせたのである。ガラス牌を逆手に取った、戦場ヶ原の罠…! 加治木(だがこの罠は四萬の黒牌の場所が明らかになれば成立しない…つまり…)チラッ C.C.「…」 C手牌:一二四②③445667東東(一二■②③4456■■東■) 四萬の黒牌は、配牌時からC.C.が持っていた。もし二人が罠にかからずとも、いつでも差し込むことが出来た訳である。 加治木(口頭で互いの手を伝えるのはルール違反…つまり二人は何らかの合図を送り合っていた…) チーム戦ではこの合図、互いの意思疎通が重要…。既に友情(?)が芽生えている戦場ヶ原とC.C.は、完璧にお互いの手を伝え合っていた。しかし即席タッグである加治木と上条は、互いの手を伝える手段がない…。それ故、圧倒的不利…! 加治木(くっ!パートナーとの信頼関係…それがなければ勝てない…!…だが…) 上条「うぅ…また初っ端に振り込んじまった…」ズーン 加治木(………) 568 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 10 20 ID 75EQxJKQ 東一局 一本場 東家:戦場ヶ原 32700 南家:C.C. 25000 西家:加治木 25000 北家:上条 17300 ドラ表示牌:南(黒牌) ―――一巡目――― 上手牌:二二六九①③④148東西中(二二■九①③④148■西■) 上条(…加治木の風でドラの西がある…加治木の手は…)チラッ 加手牌:五①①④■⑧⑧⑨66■西■ 上条(!…西がある…でも一枚か二枚か分からねぇ…どうすれば…) 戦場ヶ原「…」タンッ北 戦手牌:一三四②⑤⑥■33■■東東 C.C.「…」タンッ9 C手牌:■七八八②■■257■撥中 加治木「…」トン六「…」チラッ 上条(ん?) 加治木「…」カチッ タンッ北(黒牌) 加手牌:五六①①④■⑧⑧⑨66■西 加治木「…」カチャ 上条(!…そうか…分かったぜ…)タンッ西 加治木「ポン」カチャ タンッ④ 加手牌:五六①①■⑧⑧⑨66 西西西(一枚黒牌) 加治木「…」カチャ 上条(次は…)タンッ① 加治木「ポン」カチャ タンッ⑧ 加手牌:五六■⑧⑨66 ①①① 西西西(一枚黒牌) 569 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 10 45 ID 75EQxJKQ 加治木がしたことは至極単純。牌をツモったときに上条に目で合図を送った後、牌を切る前に鳴かせて欲しい牌を軽く叩き、牌を切った後に軽く倒す素振りを見せただけである。単純極まりなく、相手にもバレバレであるが、即席コンビの意思疎通手段としてはこれが精一杯であった。だが… ―――四巡目――― 加治木「ツモ」パタッ 加手牌:五六⑦⑧⑨66(五六■⑧⑨66) 四(黒牌) ①①① 西西西(一枚黒牌) 加治木「西ドラ3で満貫、一本場で4100-2100」 運も味方し、この局は加治木がツモ上がり、逆転トップ。 上条(よし!) 加治木(露骨過ぎるが、何もしないよりはいい…次も上手くいくといいが…) 570 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 11 15 ID 75EQxJKQ 東二局 北家:戦場ヶ原 28600 東家:C.C. 22900 南家:加治木 33300 西家:上条 15200 ドラ表示牌:②(ガラス牌) 流れは変わったように見えた…。だが… ―――八巡目――― C.C.「…」タンッ八 C手牌:③③■④⑤■⑦五六■■■7 加治木(…黒牌が多過ぎる…ドラが最低二枚…最悪タンピン三色の可能性も…)タンッ八(黒牌) 上条(…振ったらそれで終わっちまう…ベタ降りするしか…)タンッ五 戦場ヶ原「…」タンッ⑨ ―――十一巡目――― C.C.「ツモ」パタッ C手牌:③③③④⑤⑥⑦五六七567(③③■④⑤■⑦五六■■■7) ⑤ C.C.「タンピン三色ツモドラ3で倍満、8000オール」 加治木(くっ!想定していた最悪の結果だ…) 上条(…不幸だ…) 再びひっくり返される…。この時点で点差は20000点以上…。更に上条の点棒は8000を割ってしまう…。これにより、今後の行動に制限が付く…。 上条(次に満貫を振ったらそれでトビ…) 加治木(半端な手では差し込みも許されない…) 仮に加治木が満貫手を張り、上がり牌を上条が持っていても、差し込むことができない…。満貫を上がっても逆転には届かず、上条が飛んで終わってしまうからである…。跳満、倍満でも同じ…差し込みが許されるのは上条が飛ばない程度の安手か、一発逆転の三倍満以上の手しかない…。 加治木(ツモか直撃…或いは上条に上がってもらうしか…) 571 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/03(木) 20 11 56 ID 75EQxJKQ 東二局 一本場 北家:戦場ヶ原 20600 東家:C.C. 46900 南家:加治木 25300 西家:上条 7200 ドラ表示牌:⑥(ガラス牌) ―――一巡目――― 上条(な、何ですかこれーーー!?) 普段の上条なら、このまま飛んで終わりのはずだった…。 加治木(なっ!?) 戦場ヶ原(…冗談でしょ?) C.C.(おいおい…) しかしそれでは余りに面白味がなさ過ぎる為、書き手である「毒吐き代行の人」のテコ入れが入る…それで面白くなるかは不明だが…。 上手牌:■2■④⑥■九白白撥撥中中 加治木(三元牌が三つ共対子…) 戦場ヶ原(全部刻子になったら…) C.C.(役満…大三元…) 確かに通常の麻雀ならこの手は逆転のチャンスと言える…。だがこれはガラス牌を使用している「鷲巣麻雀」…。つまり… 戦場ヶ原(ま、鳴かせなければいいのよね…) C.C.(握り潰してしまえばそれで終わりだ…) 相手には大した脅威にはならない…。味方の加治木に鳴かせてもらうか、自分で引いて暗刻にするしかないのである…。だが… 上条(来たーーー!!!来ましたよ!!!上条さんにも幸運が!!!これで一気に逆転できる!!!) それに気付いていない馬鹿がいた…。 加治木(………何とかこちらで引ければいいが…点差から差し込みは無理…最後は自分でツモってもらうしかない…)
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4751.html
京父「なあせがれ、お前土曜日の午後は空いているか?」 京太郎「土曜?空いてるけど、どうしたんだよ」 京父「いやな、取引先の偉いさんとの間にちょっと家族の話題が出てな お互いの子供を連れて今度会食でもいかがですかな、って話になって…」 京太郎「あー……なるほど、んで今度の土曜にどっかで食事するという段取りになったと それで俺にも来て欲しいというわけね」 京父「なあ、頼む ただ飯食ってくれれば、それでいいんだ 無理に知的な感じに振舞えとか無茶は言わないから、な?」 京太郎「おいおい、父親が息子にそんな頭下げるなよ それも仕事の内みたいなもんなんだろ? ちゃんと行くから安心しなよ」 京父「おお!すまない京太郎!さすが俺の息子だ!」 京太郎「…へへ」 ………… 当日 高級料亭 男性「やあやあ須賀さん、こんなところしか取れなくて申し訳ないね」 京父「ああ、どうも!本日はこのようなお席を設けていただきまして…」 男性「あっはっは、堅苦しい事なんか抜きにしてどうぞ座ってください そちらがご子息の…」 京太郎「京太郎です」 男性「そうそう、京太郎君だったね いやぁ、なかなかお父上に似てなかなか男前じゃないか! どうも、片岡です 今日は遠慮せずに何でも注文して食べていきなさい」 京太郎「はいっ、ありがとうご……かたおか?」 京父「?なんだ片岡さんを知っていたのか?」 京太郎「いや、なんつーか…」 ??「お父様、遅くなりました」 男性「おお、優希 やっと来たか」 京太郎「ゆー…き…?」 優希「ご機嫌うるわしゅうございます、京太郎さん」 京太郎「!!!???!!?!?!?!?」 京父「おお!この子がご自慢の娘さんの優希さんですか! いやぁ、お話に聞いていたより愛らしいお嬢さんで!」 男性改め優父「いやぁ、そう言っていただけると… この子も今日の須賀さんとの夕飯を楽しみにしていたようなので」 優希「もうっ、嫌ですわお父様」 アッハッハッハッハ 京太郎「(おいおいおいおいおいおい…なんだこいつ?何者? 優希にめちゃくちゃそっくりだけど誰なんだよ… ご機嫌うるわ…とか言いやがったぞ しかもなに?お父様だぁ?お父様? 父親に様付け? あの、あのタコス女の片岡優希が? 和服着て、頭にかんざし挿して、 じぇじぇ口調封印して、お嬢様っぽく振舞っていやがるだぁ? なにそれ、どういうこったよ、意味わかんねーよ…! もしかして俺は寝ている間に鏡の中の世界に連れてこられてしまったとか、そういう話か? いやいや、そっちのほうがまだ現実味あるってーの)」 京父「しっかし、京太郎! お前、片岡さんの娘さんの友人だったなんてなぁ 迷惑かけてないだろうな?」 優希「うふふ、とんでもない事でございますわ 京太郎さんにはいつもいつも私達を支えていただいて…」 優父「そうかそうか京太郎君、いつも娘がお世話になって申し訳ない」 京太郎「はへ?あ、あぁ、はい、どーも、いえ…」 優父「さてそろそろ持ってきてもらおうか」 京父「ほら京太郎!しゃんとしろ」 京太郎「あ、あぁ…わりぃ」 優希「うふふ…」 京太郎「(料理はとてもおいしく、優希の親父さんも話上手でなかなか楽しく食事会は進んだ… しかし、それらよりも俺はやっぱり優希が気になっていた 鮮やかに盛り付けられた品々を、流麗な箸使いで丁寧に取り分けて、 少しずつ口元に運んでいく優希は、 そこらのオカルトなんかよりずっと非日常的な存在に思えた… てか、あいつが食べるときに口元に手をやる仕草を見るたびに、 普段の『タコスうまいじぇー、がははー、うおー』ってやってるアイツがフラッシュバックして、 何ともいえない気分になってしまっていた…… そして、食事会はそんな俺の気持ちも置き去りに、つつがなく終了した)」 …… 京父「ふぅ、実においしい料理だったなぁ京太郎! 美人の娘さんと食事だなんて、こんな経験もう二度とできんぞ!」 京太郎「あ、あぁ…そっすね」 優父「はっはっは!いやぁ、そこまで言っていただけるとお誘いした甲斐がありましたよ!」 京父「あっはっは!それにしてもお淑やかなお嬢様で実にうらやましい」 優父「いやいや、私も京太郎君のような美男子が息子だったら鼻が高かったんですがなぁ」 優希「あら、お父様ったら…では、そのように致しますか?」 京太郎「え?そのようにって…?」 京父「……なるほど」 優父「……ふむ、いい考えだ優希」 京太郎「え…な、なに?」 京父「いやいや京太郎、お前も隅に置けないなぁって話さ」 優父「私は優希の決めた男であれば信じるぞ」 京太郎「ちょっと、お二方?」 優父「須賀さん、腹ごなしに少し一緒に歩きませんか?」 京父「いいですねぇ、ご一緒させていただきますとも…そんじゃ京太郎、うまくやれよ~」 京太郎「うまくやれって………行っちゃった」 優希「…………… だじぇ~~~~…!」 京太郎「お」 優希「ああ、もうっ!つっかれたぁ~~!こんな堅苦しい服、早く帰って脱いでやりたいじぇ~!」 京太郎「…はは、お疲れ様」 優希「まったくだじぇ! ……ところで京太郎? そ、その………今日の私、どうだった?」 京太郎「今日の優希か?」 優希「へ、変だった、よな…うん 学校にいるときとかはあんな素でやってるけど、家だとああいう風に振舞ってて…… そ、それでそんな親の前での私を見て……どう思ったのか、ちょっと聞きたいんだじぇ…」 京太郎「……まあ、びっくりはしたよ…けど」 優希「けど?」 京太郎「正直、ドキっとする瞬間は結構あったぜ」 優希「じぇじぇっ?!」 京太郎「はは、まあギャップってやつがな… あんな清楚な優希見ると、 ちょっと、クラっ…ていきそうだったよ」 優希「じぇ…じぇ…じぇじぇぇ~……」 京太郎「なぁ、ところでさ…さっきの『そのように致しますか』ってどういう意味だ?」 優希「へ?」 京太郎「いや、お前の親父さんが俺を息子に欲しかったなぁって言った後のさ」 優希「…しっ、知らないじぇぇ~~~!!」 京太郎「あっ、おいっ、待てよ!」 優希「くぅぅぅ~~っ!京太郎のアホっ!ニブチンっ!鈍感っ!ば~~~~~かっ!!」 京太郎「ああっ!?言ったなこらぁっ!!」 待てー! 待たないじぇー! 優父「はっはっは、若いって」 京父「いいですなぁ…」 カンッ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2123.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1356626305/ このSSは以下のSSの設定を引き継いでいます 京太郎「クリスマスなのに何の予定もない」 --須賀家-- ゴシゴシ…… 京太郎「うーむ、汚れが綺麗に取れるな……さすがハギヨシさんに教えてもらった龍門渕グループの洗剤だ」 優希「京太郎ー」 京太郎「なんだー?」 優希「おばさんがそろそろお昼だし休憩にしようって言ってるじぇ」 京太郎「おぉ、わかった。 じゃあ俺の部屋行くか」 優希「うん。 労働お疲れ様だじぇ、あなた♪」 京太郎「やめんか、恥ずかしい。 それより悪いな、せっかく来たのに大掃除であんま相手出来なくて」 優希「大丈夫! カピと遊んで退屈はしてないからな! なっ、カピ!」 カピ「キュー」 京太郎「それならいいんだけどな……なんにしろ掃除中はカピには部屋の外に出てもらわなきゃいけないから助かった」 優希「私、プール付きの部屋なんて初めて見たじぇ」 京太郎「カピバラってかわいいんだけど世話が大変なんだよ」 優希「そうなのか?」 京太郎「ああ、トイレは水の中だし、歯を削らせないと柱とかコードとかかじっちゃうし、 病気になっても診てくれる動物病院が少ないし、暖かい場所の動物だから 温度調節出来る環境も必要だし……特に長野は寒いからな」 優希「そうかぁ……結構大変なんだな」ナデナデ カピ「キュー」 京太郎「まっ、だからこそ世話のしがいがあるのかもしれないけどな。 そういえば優希、お前の昼はいつものタコスでいいか?」 優希「うむ、今日も愛情たっぷりの京太郎特製タコスを頼む!」 京太郎「了解」 京太郎(それに、世話かかるのはもう2人いるしな……咲とか隣のこいつとか) 優希「……今、変な事考えなかったか京太郎?」 京太郎「いや、別に」 京太郎「ふぃー……労働の後のお茶は格別だな」 優希「今日も京太郎の作ったタコスは美味しいじぇ♪」 京太郎「ははっ、そりゃ光栄だ」 優希「思えば京太郎も昔はひどかったじぇ……タコスミタコスとか」 京太郎「おい、やめろ。 今なら師匠もいるしあんなミスしないっつーの」 優希「麻雀ではまだまだミスしまくりだけどな!」 京太郎「い、いちおう、直撃はそれなりに減っただろ! 来年こそ一回戦突破、いや、全国に行ってやるさ!」 優希「言うだけなら誰にでも出来るじぇ」 京太郎「ぐ」 京太郎(そうなんだよなあ……来年になったら新入生も入ってくるし、もしかして本格的に俺いらなくなるんじゃ……) 優希「……なんなら私が色々教えてあげてもいいぞ?」 京太郎「えっ?」 優希「わ、私は天才だしな! 京太郎に教えながらだって自分の練習は出来るじぇ! だから……」 京太郎「……ぷっ」 優希「! な、なんで笑うんだじぇ!?」 京太郎「だってお前……顔赤いじゃないか」 優希「うえっ!?///」 京太郎「他にも色々考えてるのはバレバレだから、そっちも素直に言ってくれていいのにさ」ナデナデ 優希「うう……」 京太郎「まあ、教えてくれるなら素直にお願いするよ、頼むぜ優希先生?」 優希「お、おう! 任せておけ!」 京太郎「さて休憩終わり! 大掃除の続きしてくるかー」 優希「い、いってらっしゃいだじぇ」 京太郎「ああ、いってくるな」 パタンッ 優希「ふう……京太郎のやつ、最近いつもより優しくてちょっと戸惑っちゃうじぇ……」 優希「クリスマスに来た時ちょっとだけ期待はしてたけど、まさか本当に付き合えるなんて思わなかったな……」 優希「……えへへ///」 京太郎「やっと終わったぜ……本当悪いな、結局一日中大掃除だった」 優希「ううん、ちょくちょく構ってくれたから寂しくはなかったじぇ。 今だってこうして送ってくれてるし」 京太郎「女の子には優しくしろって師匠に教えられてるしな。 それが付き合ってるとなると尚更、だろ」 優希「……///」 京太郎「優希?」 優希「バカ京太郎……不意打ちにも程があるじぇ///」 京太郎「あー……すまん。 なんだかんだでやっぱり浮かれてんのかも、俺」 優希「い、嫌じゃないけどな!」 京太郎「ん、ありがとな。 おっ、着いたぜ」 優希「あ……もうちょっと一緒にいたかったじぇ……」 京太郎「また明日会えるじゃないか。 そりゃ明日は皆で集まるから2人きりとはいかないけどよ」 優希「うん……」ションボリ 京太郎「……しょうがねぇなあ」スッ 優希「えっ、京太郎……んっ」 京太郎「……」 優希「……」 京太郎「……ふう」 優希「……ぷはっ、はあ、はあ……」 京太郎「なんだよ、息止めてたのか?」 優希「だっ、いきな、おま、こんな!///」 京太郎「なに言ってるかわかんねーぞー」ワシャワシャ 優希「ふぁ! な、撫でるなバカー!///」ゲシッ 京太郎「うおっ!?」 優希「京太郎のバカ、変態、発情犬ー!///」タタタッ、バタンッ 京太郎「いてて……あいつ思いっきり脚蹴りやがって」 京太郎「……さすがにいきなりすぎたか?」カチャ…… 京太郎「ん?」 優希「……///」ジー 京太郎「優希?」 優希「お、送ってくれてありがとうな! ま、また明日だじぇ京太郎!」バタンッ 京太郎「……」 京太郎「……どうやら嫌われてはいなかったみたいだな」 京太郎「帰るか……」スタスタ 京太郎「……」スタスタ 京太郎「……」タタタッ 京太郎「……うがああああっ!!///」ダダダッ 京太郎「なに冷静に考えたらすげぇこっぱずかしい事してんだよ、俺は!」 京太郎「それになんだよ、あれ! なんなんだよ、おい!」 京太郎「ちょっと前まで平気でスカートめくってたような優希が、今じゃあんな顔真っ赤にして照れて……」 京太郎「かわいすぎるんだよ、バカヤロー!」 --翌日-- 京太郎「ちーっす」 咲「あっ、京ちゃん! 久し振り!」 京太郎「久し振りって……一週間も経ってないだろ」 咲「わかってないなー、京ちゃん。 ほら、和ちゃんと優希ちゃんを見てみなよ」 優希「のーどちゃん、久しぶりー!」ガバッ 和「久しぶりですね、ゆーき」 優希「うーん、相変わらずのどちゃんは抱き心地抜群だじぇ」スリスリ 和「もうゆーき。 くすぐったいからやめてください」 優希「えー」 和「えー、じゃありません」 咲「ね?」 京太郎「いや、何が、ね?なんだよ」 咲「久しぶりって言われて一々揚げ足取るのは、京ちゃんくらいって事!」 京太郎「なんだとー、そんな生意気な口を利くのはこの口かー?」 咲「ひょ、ひょうひゃん、ほっへた、ひっはらないでよー!」 京太郎「ふん、今日はこのくらいで勘弁してやろう」 咲「ううっ……ひどいよ京ちゃん」 カチャ 久「どうやら皆、相変わらず元気にやってるみたいね。 安心したわ」 まこ「風邪も流行っとるみたいじゃが、どうもうちには関係なさそうじゃのう」 優希「あっ、部長に染谷先輩だじぇ!」 久「優希、私はもう部長じゃないわよ? 今の清澄高校麻雀部の部長はまこなんだから」 優希「そういえばそうだったじぇ……」 京太郎「おーい、優希! ちょっと来てくれよ」 優希「おーう! じゃあまた後でだじぇ、部長ー!」 和「またゆーきったら……竹井先輩、染谷部長、お久しぶりです」 久「久しぶり和、クリスマスは楽しんだかしら? 何かいい話とかなかった?」 和「私は家族と過ごしましたから特に何かあったかと聞かれると……」 久「あらあら……それじゃあ咲は?」 咲「私ですか? 私は東京でお姉ちゃんと一緒でしたけど」 久「あー……確かにそれも大事ね、うん。 でもあなた達もうちょっと浮いた話とかないの?」 咲「浮いた話、ですか?」 久「そっ。 まこも家の手伝いだけだったらしいし、うちにはどうも部活以外に高校生らしい青春が足りないわ」 まこ「あんたも同じじゃろうが」 久「私はいいの、受験生だから。 でも咲も和も早い内になんとかしないと、 ズルズル年取って麻雀しか取り柄がない実家でお母さんにメロン切ってもらうようなアラフォーになっちゃうわよ?」 和「なんなんですか、その具体的すぎる例は……」 咲「あはは……確かにそれはちょっと嫌かも」 久「はあ……どうやら私の卒業までここにはそういう話題はなさそうね」 和「えっ」 まこ「んー? どうしたんじゃ、和」 和「いえ、なんでも……」チラッ 久「なに、気になるわね」チラッ 優希「何してるんだ京太郎! そこはこっちの牌を捨てるべきだじぇ!」 京太郎「あっ、そうか……悪い悪い。 じゃあ改めて……あ」ロン 優希「あ」 京太郎「おい、優希~?」 優希「て、てへへ……失敗失敗だじぇ」 京太郎「お前なあ」 久「ああ、そういえば優希と須賀君には今年のクリスマスどうしたか聞いてなかったわね」 咲「京ちゃんの事だからまた家で過ごしてたと思いますけどね……」 まこ「優希のやつもあまり浮いた話はなさそうじゃな」 和「えっ」 咲「えっ、なに和ちゃん……そんなに驚いてどうかしたの?」 和「い、いえ……」 久「優希ー、須賀君ー、ちょっといい?」 京太郎「なんですか?」 優希「なんですかだじぇ」 久「いや、あなた達は今年のクリスマスどうしたのかなーって」 京太郎「ああ、それはですね……いいか、優希?」 優希「ん……別に隠す事でもないしな」 京太郎「そうか。 あのですね部長、ちょっとお話があるんですけど」 久「どうしたの、改まって」 京太郎「実は……俺、優希と付き合う事になりました」 久「えっ」 咲「ええっ!?」 まこ「ほう」 和「……」 久「はぁ~……まさかあなた達がねぇ、いつから?」 京太郎「クリスマスから、ですね」 和「!?」 まこ「まあ、優希は確かにわかりやすいくらいアピールしてたからのう。 しかし京太郎がそれに応えるとは」 優希「うっ、バレバレだったのか……京太郎は全然気付いてくれなかったのに」 咲「……でも、いいことだね。 うん、2人共おめでとう」 京太郎「はは、ありがとうな咲」ナデナデ 咲「もうー、彼女持ちがあんまりこういう事しない方がいいんじゃないの?」 京太郎「ああ、それもそっか」 優希「やきもち妬いちゃうじぇ、あなた♪」 京太郎「やめろっちゅうの」 和「ちょっと、待ってください!」 優希「のどちゃん?」 和「ゆーき、本当にあなた達はクリスマスから付き合いだしたんですか?」 優希「う、うん……そうだけど」 咲「の、和ちゃん、本当にどうしたの? さっきからなんか変だよ?」 和「だ、だって……おかしいじゃないですか」 久「おかしいって……何が?」 和「だって、そうなると……」 和「ゆーきと須賀君は、付き合う前から2人きりで泊まりがけの旅行をしていた事になってしまうんですよ!?」 優希「のどちゃん!?」 久「へぇ、そんなことしてたの」キラーン 咲「わあ……京ちゃん達、大人ー……」ドキドキ まこ「最近の一年は進んでるんじゃなあ」 和「付き合っているならともかく、まだ付き合う前からそんな……そんなオカルトありえません!」 優希「のどちゃん! それは内緒にしてくれるって……」 京太郎「あっ、これやぶ蛇だ」 久「ねぇ、優希」ガシッ 優希「えっ……」 咲「ちょっとその旅行について聞きたいなあ」ガシッ 優希「あ、う……」 まこ「部長としては部員間で何があったか知らんといけんし……まあ諦めてくれ」ガシッ 久「さぁ、尋も……じゃなかった! 特訓するわよー!」ニヤニヤ 咲「竹井先輩! 優希ちゃんが点棒減らす度に色々聞くのがいいと思います!」キラキラ 久「いい考えね。 それじゃあさっさと対局を始めるとしましょう!」ニヤリ まこ「すまんの優希、この元部長さんは受験勉強のストレスで面白い事に飢えとるんじゃ」 優希「あわわわわわ、た、助けて京太郎ー!」 京太郎「……悪い、無理」 優希「は、薄情者ー!」 咲「優希ちゃん、麻雀を楽しもうよ!」クツシタヌギーノ 久「トバしたら何を聞いちゃおうかしら、ふふふ」カミシバリーノ まこ「まあ、直撃狙いをどう流すかの訓練にはなるじゃろ」メガネハズシーノ 優希「じぇぇぇぇぇ……!」 京太郎「すまん優希……この埋め合わせは必ずする」 和「須賀君!」 京太郎「和……」 和「あの、私もしかしてとんでもない事を」 京太郎「あー、まあ確かに付き合う前からそんな旅行してた俺達も軽率だったし……和が驚くのも無理ないから気にすんなって」 和「私の育った環境からしたら考えられませんでしたから、つい……優希には悪い事をしてしまいました」 咲「それロンだよ、優希ちゃん!」 久「ロンね」 まこ「すまんのう、ロンじゃ」 優希「」 京太郎「女の好奇心ってこえぇ……」 和「あの、須賀君」 京太郎「優希、マジごめん……えっ、なんだ和」 和「私も須賀君に聞きたい事があります」 京太郎「なんだよ……」 和「須賀君、あなたは本当に優希が好きで……」 京太郎「好きだ」 和「即答、するんですね」 京太郎「本心だからな」 和「そう、ですか……須賀君……優希を、私の大切な親友を、よろしくお願いします」 京太郎「ああ、まかせてくれ」 和「泣かせたら承知しませんからね」 京太郎「……ああ、善処するよ」 咲「ロン! あっ、優希ちゃんのトビ終了……」 優希「じゃあこれで……」 久「次の半荘ね♪」 優希「!?」 まこ「だから言ったじゃろう、諦めんさいと」 優希「誰か助けてぇ……」ウルウル 京太郎「早速破りそうだけど」 和「……すみません」 優希「ひどい目にあったじぇ……」 京太郎「お疲れ様、って言っていいのかどうか」 優希「うるさい、裏切り者」 京太郎「悪かったって……まさか立てなくなるくらいボロボロになるとは思わなかったんだよ。 だからこうして背負って帰ってるんじゃないか」 優希「それくらい裏切り者への罰として当たり前だじぇ。 それにしても、今日は咲ちゃん達が本気で怖くなった……」 京太郎「全国大会レベルで楽しんでたっぽいからな……」 優希「なんか後2年は清澄の天下になりそうだじぇ」 京太郎「だろうな……来年はお前に咲に和に染谷先輩、再来年だって 染谷先輩が卒業してもまだ3人いるしな。 清澄はまだまだいけるさ」 優希「……京太郎も」 京太郎「ん?」 優希「京太郎もその1人だじぇ」 京太郎「えっ、だけど俺は……」 優希「来年は見せてくれるんだろ? 私に京太郎が全国に上がる瞬間を」 京太郎「……」 優希「来年はきっと新入生も入るから、雑用だって京太郎に任せっきりにはならないじぇ」 優希「だから……来年になっても退部なんてしないよな?」 京太郎「……」 優希「京太郎?」 京太郎「はっ、やめるわけないだろ。 せっかくお前が教えてくれるんだし、 だいたい俺がいなくなったら誰がお前のタコス作るんだよ」 優希「そうか……なら、よかった、じぇ……」 京太郎「優希?」 優希「スー……スー……」 京太郎「寝ちまったか」 京太郎「……ありがとな優希。 お前のおかげでもう少し頑張れそうだわ」 京太郎「いっちょ目指してやるよ、清澄高校男女全国進出をな」 京太郎「だからお前も俺のそばにいてくれよ?」 優希「京太郎……むにゃ、大好きだじぇ……」 京太郎「俺も大好きだぜ、優希」 カン! --おまけ-- 咲「あっ、京ちゃんに対局の約束するの忘れてた……」 咲「まっ、いっか。 今度でも」 咲「優希ちゃん、なんだかんだで嬉しそうに話してたなあ……すっごく幸せそうだった」 咲「私もいつかそんな相手が見つかるのかな?」 咲「んー、わかんないや。 咲ちゃんの先の事はわかりません……なんてね」 咲「……ちょっと文学少女的にインスピレーションが湧いてきたかも」 咲「ちょっと書いてみようかな……えっとタイトルは、うん、これにしよう!」 咲「【雑草少年とタコス少女】!」 もいっこカン!
https://w.atwiki.jp/saikinmm/pages/172.html
なんで皆ライブ中に顔崩れないんだ? 828 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 49 05.95 0 なんで皆ライブ中に顔崩れないんだ? 829 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 49 57.85 0 CGだから 830 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 50 50.34 0 プロだからでしょ 831 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 51 50.42 0 ライブ中に顔崩れたら事件だろ! 832 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 52 10.58 0 フトモモばかり見てるからわからん 833 名前:名無し募集中。。。 [] 投稿日:2009/08/27(木) 22 54 06.42 0 巨乳ばかり見てるからわからん 871 名前:小春巻 ◆rn5risAIMk [] 投稿日:2009/08/27(木) 23 28 44.31 0 >>833 それ娘。じゃないだろ 4ハマリ [2009年]
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/268.html
京「今日も広い部屋で一人で寝るのか・・・もう慣れたけどな。合宿の時もそうだったし。」 パチン ゴソゴソ 京「ぐー・・・。」 ~一時間後~ 咲「京ちゃん、もう寝たかな?」そー 京「ZZZ・・・」 咲「うん、大丈夫。」ゴソゴソ 咲「へへ・・・京ちゃんといっしょに寝るのひさしぶりだなぁ。」ぎゅー 京「ZZZ・・・。」 咲「あったかいよー。」もふもふ 京「ZZZ・・・。」 咲「京ちゃん寝顔かわいいなあ。えへへ////」 京「うーん・・・。」 咲「あれ?足音が近づいてくる・・・か、隠れなきゃ!とりあえず布団の中に潜って・・・。」 優希「ここで京太郎が寝てるんだじょ・・・。」 咲(え、優希ちゃん!?) 優希「おーおー、馬鹿面で寝てやがるじぇ。」 優希「ちょっとだけならいいかな・・・。」ゴソゴソ 咲(あ、入ってきちゃだめーー!) 優希「え!?さ、さきちゃ・・・もご」 咲「優希ちゃん静かにして。京ちゃんが起きちゃう。」ヒソヒソ 優希「わ、わかったじぇ。しかしどうして咲ちゃんがこんなとこにいるんだじぇ?」 咲「えっと、目的はたぶん優希ちゃんといっしょだよ。」 優希「なるほど。じゃあ三人で仲良く寝るとするじぇ!」 咲「む・・・。」 優希「しかし京太郎のやつ、馬鹿面で寝てやがるじょ。」 咲「そう?かわいいでしょ?」 京「んー・・・。」 咲「あ、あれ?また足音が・・・優希ちゃん隠れて!」 和「須賀君、もう寝てますよね・・・すぐに戻ればきっと大丈夫。」ドキドキ 咲(今度は原村さん!?) 和「須賀君の寝顔・・・思ってたよりずっとかわいいです////」ポー 和「ちょ、ちょっとだけ!」ゴソゴソ 咲(だ、だめー!!) 和「え!?二人ともどうして・・・」 咲「のどちゃん、京太郎が起きちゃうじぇ。」 和「え?あ、はい。すみません。」 優希「それで?のどちゃんは何しにきたんだじょ。」 和「須賀君の部屋を少し覗きに来たんですが・・・その、我慢できなくなってしまって////」 優希「おー、のどちゃんはおっぱいと同じく大胆だじぇ!」 和「む、胸は関係ありません!というより二人だってそうでしょう。」 咲「京ちゃんの寝顔がかわいいのが悪いんだよー。」 和「確かにかわいいです。思わず抱きしめて・・・」 優希「む、また誰か来ただじょ!?」 久「よーし、ちゃんと寝てるわね・・・。」そー 咲(ええっ、部長まで!?) 久「あら、かわいい寝顔。」じー 咲(な、なんだかあやしい雰囲気だよ・・・。) 久「いつもひどい扱いしちゃってごめんねー。」なでなで 京「んー・・・。」 久「う・・・。」ドキドキ 久「す、少しだけなら起きたりしないわよね・・・。」ゴソゴソ 咲(や、やっぱりこうなるの!?) 久「ええ!?あなた達なにやって・・・むぐ」 咲・和・優希「「「静かに!」」」ヒソヒソ 久「こ、こういう夜這いみたいなことは歓心しないわよ?」 和「部長、全く説得力ないですよ。」 久「う・・・仕方ないじゃない。かわいかったんだもの。」 咲「あ、やっぱりかわいいですよね。」 優希「そうかー?」 和「そうですよ。」 まこ「ずいぶん楽しそうじゃの?」ニヤニヤ 咲・和・久・優希「「「「うわあ!!!??」」」」 まこ「こんな大人数で夜這いとは、なかなかお盛んじゃのう。」 久「ま、まこ!あなたいつから!?」 まこ「さあ?いつからかのう。」ニヤニヤ 咲「ちょ、ちょっと落ち着きましょう。あんまり大きな声だしたら・・・。」 京「うーん、うるいさいなぁ・・・って、なんじゃこりゃあ!?」 優希「あーあ、起きちゃったじぇ。」 和「残念です。もっと寝顔を見ていたかったのに・・・。」 京「な、何やってるんだみんな!」 久「うるさーい!」ボフッ 京「ぐえっ。」 まこ「まあまあ、皆で仲良く寝ればいいじゃろう。」 久「うー、仕方ないわね。」 咲(京ちゃんは誰にもわたさないもん!)ぎゅー 優希「あ、ずるいじぇ。犬ー、私も抱け!」 和「あ、私もお願いします!」 京(の、和の胸が・・・でへへ。) 咲「京ちゃん!!」ぎゅーーーっ 優希「私を無視するんじゃないじぇー!」 久「須賀君、ここは先輩を優先するべきよ!」 まこ「わしも混ぜてもらおうか。」 京「わあ、ちょっと皆落ち着いて!」 ハギヨシ「お楽しみのようですね。明日は私が・・・フフ。」 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1410.html
ゆっくり命令していってね!(後) 66KB 虐待-凄惨 観察 理不尽 実験・改造 共食い ツガイ 赤子・子供 現代 チート 『ゆっくり命令していってね!』 ※ただひたすら、ゆっくりにチートっぽいアイテムで実験をする話です 山の中腹にある見晴らしのいい場所に、使われなくなって久しいログハウスがある。その近くにゆっくりの家族がいた。 数は二つだ。まりさとれいむの家族が一つ。まりさとありすの家族が一つ。 二匹のまりさは実の姉妹である。ありすの番のまりさの方が、ほんの少しだけ年上だ。 この二組の家族は巣穴がお隣同士だったのもあって、とても仲良く付き合っている。 今日もこうして、子どもたちを連れて一緒にピクニックに来たくらいだ。 「ゆっ♪ゆっゆゆゆっゆっゆっ♪ゆっ♪ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆっゆっ~♪」 「ゆゆゆゆゆ~♪」 子ゆっくりと赤ゆっくりは元気いっぱいだ。子ゆっくりはれいむとまりさが四匹ずつ。赤ゆっくりはまりさとありすが二匹ずついる。 「ゆぁぁ……おちびちゃんたち、おうたがじょうずですごくゆっくりしてるよぉ……かわいいよぉ……」 「おちびちゃん…ほんとうにゆっくりしてておかあさんうれしいよお……。おちびちゃんはまりさのたからものだよぉ…」 さっきから声を揃えてお歌を歌っている子ゆっくりたちを見て、親のまりさとれいむは幸せそうにすりすりしている。 「ゆっふっふ。まりしゃはここをゆっくちぷれいしゅにしゅるんだじぇ。まりしゃがいちばんさいしょにみつけたんだじぇ」 「おねーしゃんしゅごーい!まりしゃもいっしょにいしゃしぇちぇにぇ!」 「ありしゅはときゃいはにゃたからもにょをみちゅけるよ。おかーしゃんにぷれじぇんとしてあげりゅの!」 「ありしゅもしゃがしゅ!おとーしゃんをゆっくちしゃしぇてあげりゅからにぇ!」 一方赤まりさたちは、ゆっくりプレイスを見つけようと、あちこちを探索している。 その近くで、赤ありすが両親を喜ばせようとして宝物を探していた。。 「ゆゆん♪ありすのおちびちゃんたち、まりさににてとかいはよ。おかあさんもうれしいわ」 「ありすのおちびちゃんもありすににてかわいいよ。まりさはこんなおちびちゃんたちにかこまれてとってもゆっくりできるよ」 ありすとまりさはは幸せそうに寄り添う。 「おかーしゃん!ありしゅ、きれいないししゃんみちゅけた!おかーしゃんにあげりゅね」 「ありしゅもきれいにゃはなしゃんみちゅけたよ!おとーしゃん、これあげりゅ!」 「うふふ、おちびちゃん。ありがとう。とってもとかいはないしさんね。おれいにぺろぺろしてあげる」 「ゆきゃきゃ♪おかーしゃんくちゅぐっちゃい。もっちょやっちぇにぇ」 「じゅりゅい。ありしゅにもおかーしゃんしちぇ~」 「ゆぅぅ…おちびちゃん、こんなにりっぱなゆっくりになってくれておとうさんはうれしいよお!」 「あちゃりまえだよ!まりしゃはおとーしゃんのゆっくちだよ。とってもゆっくちしたゆっくちになりゅんだからにぇ」 「はやくおおきくなっちぇ、おとーしゃんとおかーしゃんをゆっくちしゃしぇてあげるんだじぇ!」 二組の家族は、自分たちの宝物がすくすくと育ち、ゆっくりとしているのを幸福に満ちた目で見守っていた。 今日は既に狩りを終え、みんなで山の恵みを存分に味わった。 柔らかい木の実や香りのいい葉っぱ。みずみずしい芋虫さんに歯ごたえのあるコガネムシさん。 子どもたちがお腹いっぱいになるまで食べられ、自分たちも満腹になるまで食べることができた。 子ゆっくりと赤ゆっくりはお歌や探検に飽きたのか、いつの間にか両親の所に寄り添っていた。 「おかーしゃん、いっしょにぽかぽかしようにぇ」 「しゅーりしゅーりするよ、ゆゆ~ん。おかーしゃんのほっぺ、とってもゆっくちできるのじぇ」 「おとーさんといっしょにいるとれいむ、とってもゆっくりするよ」 「まりさもおとーさんとゆっくりするね。すーりすーり」 「ぺーろぺーろ。おかーしゃんのほっぺ、とってもおいしいのじぇ」 「ありしゅも。ありしゅもおかーしゃんのほっぺぺーろぺーろしゅりゅ!」 子どもたちに一番大事なのは、やっぱり両親だ。 あまりにも厳しすぎる自然の中で、こうして両親と子どもがどちらも欠けることなく暮らしているのは奇跡に近い。 両親は、自分たちの幸福が奇跡であることが分かっていた。 「これもれいむたちがゆっくりしているからだね。ゆっくりしたゆっくりだから、こうやってみんなでゆっくりできてるんだよ」 しょせんはゆっくり。その奇跡が自然の気まぐれであり、自分たちは常に注意を怠らなければならないとは思っていなかった。 むしろ、自分たちがゆっくりしているからこそ、こうやってしあわせーな時間を噛みしめていられるのだと勘違いしていた。 だからだろう。二組のゆっくりの家族は、山道を自動車が上ってきて近くで停車したのを見ても、逃げることはなかった。 自分たちはゆっくりだ。ゆっくりはゆっくりしていて当たり前なのだ。そう思っていた。 幸福を維持しようと努めないものたちが、ずっと幸福でいることなど不可能だろう。 事実、家族のゆっくりとした団らんは、これが最後となり永遠に回復することはなかった。 * * * 「主任、探す手間が省けましたね。ここにゆっくりたちがいますよ。しかも家族連れで二組も。運が良かったですね」 「まったくだねえ。せっかくコンビニで撒き餌を買ったのに。これじゃ損したよ」 A主任と助手は車から降りると、日当たりのいい草むらで並んでゆっくりしているゆっくりに近づいた。 普通、野生動物なら人間が近づいただけで即座に逃げるはずだ。 なのにゆっくりたちは、子連れでありながらAが近づいても身動き一つしない。警戒心がちっともないらしい。 ゆっくり特有の間抜けそうな顔で、Aと助手を交互に見比べているだけだ。 「ゆっ!おじさんはだれ?おじさんはゆっくりできるひとなの?」 真っ先に口を開いたのありすだった。 「あ~。まあそんなとこ」 「ゆっくりできるひとならいいわ。ここはありすたちのゆっくりぷれいすよ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 反射らしく、ありすの「ゆっくりしていってね」に合わせて他の親と子どもたちも一斉に「ゆっくりしていってね」と言う。 「ゆーっ。おにいしゃん、おててにもっちぇるのはなに?もしかしちぇおいしいもにょ?」 「おいしいものまりさにちょうだいね。おれいにゆっくりさせてあげるよ」 「あまあまだったられいむほしいよ。いっぱいたべさせてね」 「あまあまほしいんだじぇ~」 早速助手の持つビニール袋の中身に関心が向いたのか、子どもたちが騒ぎ出す。 普通なら、無防備に人間に近寄る子どもたちを親がたしなめるはずだ。 「にんげんさん。おちびちゃんたちはおいしいものをほしがっているよ。ひとりじめはよくないよ。みんなでたべようね。いっぱいちょうだい!」 「ひとりじめなんていなかもののすることよ。ありすたちにもおすそわけしてほしいわ」 「れいむはおなかいっぱいだけどあまあまならまだいけるよ!あまあまあったらちょうだいね!」 とまあ、まったく警戒する様子がない。善良なのではなくただ単に阿呆だ。 「君たち、あまあまが食べたいんだね」 「たべたい!れいむあまあまがたべたいよ!」 「あまあまほしいよ!いっぱいむーしゃむーしゃしたいよ!」 「あまあまほしい!ありすもたべたいわ!」 「あみゃあみゃ~!」 「ほしいんだじぇ~!」 「あまあまだったらほら、そこにあるじゃないか」 「ゆ?」 「ゆゆ?」 「どこ?あまあまなんてないよ?」 Aの指摘に、ゆっくりたちは周囲をきょろきょろと見回す。 しかしそこにあるのは草ばかり。いるのは親と子どもと親戚だけだ。 食欲をそそられる、甘くておいしそうなあまあまなどどこにもない。 この人間さんは何を言ってるの?馬鹿なの? ゆっくりたちは、次第にそう思い始めた。 「ほら、そこにあるじゃないか。君たちの親、君たちの子ども。それがおいしいあまあまだよ」 「ゆゆゆっ?おじさん、なにをばかなこといっているの?はやくれいむたちにあまあ………」 「動くな」 「ゆぎっ!?」 「ゆゆうっ!?」 「ゆひぃ!?」 「ゆぴっ!?」 馬鹿な人間さんに抗議しようとしたれいむの体が、突然動かなくなった。 周りにいたゆっくりたちも、いっせいに体を硬直させて動きを止める。 A主任の手に握られていたのは、彼の発明品であるメガホン。 ドスまりさの体と口から出る超音波を再現&強化し、ゆっくりを洗脳するとんでもないアイテムだ。 ゆっくりたちは「動くな」という命令に従い、思い思いの格好で停止している。だるまさんがころんだをやっているかのようだ。 目だけが、「ゆゆ?なんでありしゅのからだがうごかないにょ?」と訴えている。 どうやら野生のゆっくりにも、メガホンの効果はあるようだ。 「さて、このれいむの番は誰かな。返事しなさい」 「まりさだよ!まりさ!」 「では子どもたちは誰かな。れいむの子どもたちはれいむの近くに、そうでない子どもたちは自分の親の近くに行きなさい」 「ゆっくりうごくよ!」 「ゆっくちおかーしゃんのしょばにいくにぇ!」 「黙って動くように」 Aの命令通りに、二組の家族は分かりやすく二つにはっきりと分かれた。 子ゆっくりと赤ゆっくりは一匹残らず、勝手に動く自分の体に驚いている。 だがいまだに、原因が人間さんにあるとは気付いていないようだ。 Aはきょとんとしたゆっくりたちに構わず、助手に指示する。 「では、実験を始めようか。コンロでお湯沸かしといて。それとあのトタン板持ってきてよ」 * * * 子れいむはわけが分からなかった。いきなり人間さんがやってきて、れいむたちにあまあまをくれるような気がした。 (やっぱりにんげんさんはゆっくりしているゆっくりがうらやましかったんだね。れいむたちがかわいかったんだね。かわいくってごめんね!) などと考えていた。 あまあまがいっぱいもらえるはずだったのに。 気付くと、体が勝手に動いておかーさんとおとーさんのいる方に近づいていた。 動くつもりはなかったのに、あんよさんが勝手にそうしていた。 (れいむのあんよさんどうなっちゃったの?なんでかってにうごくの?) 人間さんはれいむたちの家族と、ありすたちの家族とを二つに分けると、向こうに行って大きな乗物からいろいろ取り出し始めた。 地面に置いた何かからは、いきなり恐い火さんが燃え上がった。お兄さんはその上にお水が沢山入ったものを置いた。 何をしているんだろう。 れいむは、人間さんのしていることはあんまりゆっくりできないことだな、としか思っていなかった。 おじさんがこっちにやってきた。手に変なものを持っている。 右手には変な音が出るものを。左手にはお菓子と固そうな板だ。 表面はざらざらしていて、痛そうなとげとげがいっぱい突き出していて、全然ゆっくりできないものだ。 「まずはまりさからはじめようか。そこの子まりさ、こっちにでてきなさい。喋っていいよ」 「ゆっ!まりさになにかようなの?」 れいむの隣にいたまりさがぴょんぴょんと跳ねておじさんの方に近づいた。 「まずはこれをあげよう。食べていいよ」 「ゆゆっ!あまあまさんだ!ゆっくりたべるね!むーしゃむーしゃ。ちょっとにがいけどあまくてしあわせー!」 おじさんは、手に持っていた固くて茶色のあまあまを割ってまりさにあげた。まりさは一口で食べるとすごく嬉しそうな声を上げる。 (いいなあ、まりさ。れいむもあまあまさんほしいよ。おじさん、れいむにはもっとたくさんちょうだいね) 「おいしかったよ!もっとまりさにちょうだいね。いっぱいでいいよ!」 舌なめずりしながらおじさんに催促するまりさを、おじさんは全然ゆっくりしていない目で見ていた。 どうしてだろう。れいむたちが可愛いからおじさんはあまあまをくれるんでしょ?なんでゆっくりしていないの? おじさんが、口の所に変な音が出るものを当てた。 「まりさ。あのログハウスの丸太と地面の間に狭い隙間が見えるだろう。分かるかな」 「わかるよ。あそこだね。とってもせまいね!」 「あそこにまりさは入れるかな」 「むりだよ!あかちゃんでもはいれないよ。はいったらまりさつぶれちゃうよ。ぷんぷん!」 「あそこに入りなさい。潰れてもいいから入るんだよ」 「ゆっ!?ゆゆゆゆぅ!?」 「さあ、行きなさい」 おじさんの横を、まりさが信じられない顔をしながら這っていく。 「むり!むりだよ!まりさあんなところにはいったらつぶれちゃうから!つぶれちゃうよ!」 (そうだよ。あかちゃんだってあんなせまいところにはいれないんだから。まりさがはいったらつぶれちゃうよ。なのに……なのに…………) 「なんであんよさんとまってくれないのおおおおおおおお!?まりさむりだよおおおおおお!?」 れいむの心で思っていたことと、まりさの叫びとはまったく同じだった。 れいむの見ている目の前で、まりさは後ずさりする形でログハウスへと近づいていく。 ログハウスの玄関付近に、丸太と地面の隙間がある。 狭いところだ。赤ゆっくりならかろうじて入れるが、同時に潰れてしまうに違いない。 おじさんは、そこにまりさが入るように命じた。 絶対に無理な話だ。れいむは、当然まりさが断るものと思っていた。確かにまりさは断った。 それなのに、まりさはおじさんが何もしていないのに、ずりずりと這って隙間に近づいていく。 「あんよさん!!むりだから!まりさそんなのできないよ!とまって!とまってあんよさん!とまってえええええええ!!」 「静かなのも変だねえ。みんな、動いちゃ駄目だけど喋っていいよ」 おじさんがそう言うと、れいむたちは急に喋れるようになった。さっぱりわけが分からない。 分かるのは、まりさが絶対に無理なことに挑もうとしていることだけだ。 「まりさ!まりさああああ!やめてよ!そんなことしたらまりさしんじゃうよおおお!」 「おねーしゃんやめちぇええええ!しょんなことしちゃだめええええ!!」 「おちびちゃん!なにしてるの!おじさんのいうこときいちゃだめだからね!つぶれちゃうよ!!」 「やめてよおおお!まりさにはそんなことむりだってばああああ!」 みんなは口々にまりさを止めようとする。 実の家族ではないありすたちも、いつも仲良く遊んでくれたまりさを心配していた。 「わかってるよおお!わかってるのに…わかってるのに…あんよさんがかってにうごくのおおおお!まりさおかしくなっちゃったよおおおおお!!」 まりさ本人が一番困っている。今まで見たことがないほどまりさは焦っていた。 おじさんはまりさを、じっと見ているだけ。 まりさは必死で足を動かさないよう抵抗していたようだけど、ついに隙間にたどり着いた。 「むり!むりむりむりむりいいいいい!どうじで!どうじであんよさん……いだいいいいいいい!!」 まりさは、後ろ向きに隙間に体をねじ込んでいく。狭い隙間に体を無理矢理入れていくから、体が押し潰されて痛いのだろう。 それなのに、まりさの体は勝手に動いているみたいだ。 「いだいっ!いだいいだいいだいいいいい!やめでええ!ごんなにぜまいどごろ、はいれるわげないいいいいい!あいいい゙い゙い゙!!」 「おちびちゃんんんんんんんん!!!」 「やめてえええええええええええ!!」 「まりさあああああああああああ!!」 次第に、まりさの顔が膨れ上がり始めた。 「ゆぶううううううう!!ぐるじい!あんござんが!あんござんがばりざのがおに!がおにいいいいいい!うぐううううう!!」 狭い場所に入っていくまりさの体の中では、柔らかな餡子が下半身から顔の方へといっせいに移動を始めたらしい。 そうすることしか、隙間に体を入れる方法はないのだ。 結果的に、まりさの餡子はかき回され、押し潰され、ひどい激痛と共に顔面へと殺到する。 「ぢゅぶれるううううううう!ばりざづぶれぢゃううううううう!ぐるじいよおおおおおお!!!!」 「おちびちゃああああんん!!もうやべでええええええ!!」 「ばりざあああああああ!!やべでよおおおおおお!!」 頬が張り、顎が膨らみ、両目を見開いてまりさはどんどん奇怪なゆっくりに変わっていく。 れいむは気がつくと、涙を流しながら叫んでいた。 あんな苦しそうなゆっくりの顔なんて、初めて見た。 そしてきっと、絶対に忘れられないだろう。 「ゆぶっ!ゆぶうっ!ゆ゙……ゆ゙ぶゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ!!!」 「ゆああああああ!!」 「まりざああああああ!!」 「おねえしゃああああああんん!!」 思いの外あっけなく、まりさの限界は訪れた。 体内の圧力に、まりさの目と口が耐えきれなかったのだ。 まりさの両目と口から、勢いよく目玉と歯を巻き添えにして、餡子が噴水となって噴き上げた。 それは小さなゆっくりの体から飛び出したとは思えない高度と勢いで、弧を描いて立ち尽くすれいむたちに吐きかけられた。 目玉がころころと草の間を転がり、歯はあちこちに散らばった。 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 れいむは自分でもぞっとするような声を上げて叫んだ。 餡子の噴水が終わると、そこには皮だけになったまりさが顔を隙間から覗かせて息絶えていた。 両目と口の所にぽっかりと穴が空いたそれは、とても忌まわしい仮面になっていた。 「れいぶのがわいいおぢびぢゃんがああああああ!!」 「まりざがああああああああああああ!!」 両親の声が、どこか遠いところから聞こえてくる気がした。 れいむは気を失いたかった。 実の姉妹がむごたらしく死んだショックから、意識を消して逃避したかった。 それなのに、意識は今もはっきりし、目は死んだまりさの顔から離れてくれない。 呆然としたれいむの目の前に、おじさんが立っていた。 ようやく分かった。このおじさんは、ゆっくりできない人「かも」しれないと。 * * * A主任は、手に持っていたトタン板を子れいむの前の地面に突き刺した。 「ゆっくり…おじさん……ゆっくりしていってね……。かわいいれいむにいたいことしないでね」 れいむは怯えた目をAに向ける。 Aが直接手でまりさを隙間に押し込んだならばもっと騒いでいるだろうが、ゆっくりの目にはまりさが自分から隙間に入ったとしか見えない。 因果関係くらいは感じているだろう。れいむはさっきまでの生意気そうな目付きをしていない。 「俺はまりさに何もしてないよ。まりさが自分から隙間に入っていったんじゃないか。どうしたんだろうね、まりさは」 「うん……。そうだよね。まりさがじぶんから……あんなことしたんだよね」 「親御さんはどう思う。まりさはどうしたあんなことしたんだろうね。俺は何もしてないよ。ただ、できるかどうか言っただけさ」 「ゆゆう……。まりさ…まりさ…。そうだよね…まりさがじぶんではいっていったんだよ」 「おちびちゃん……なんで…なんで…ゆあああぁぁぁ…………」 親のれいむとまりさも、子まりさの行動は全然理解できなかったらしい。 Aの手が触れていない以上、Aのせいにすることもできない。 「さっき俺が言ったこと覚えてる?みんなあまあまが欲しいって言ってたけど、あまあまはちゃんとあるんだよ。君たち自身があまあまだからね」 「ゆっ。おじさん、へんなこというのはやめてよね。れいむあまあまじゃないよ。おちびちゃんだってそうだよ」 「まりさもあまあまなんかじゃないよ。あまあまはやくちょうだいね」 「だからさあ、君たちそんなにあまあまが食べたかったら、共食いすればいいんだよ。君たちの中身は餡子なんだからさあ」 「ゆゆゆう!もうおこったよ!はなしのわからないおじさんはかえってよ!れいむたちのゆっくりぷれいすからでてって!!」 「では命令だ。この子れいむを除くれいむたち、親のれいむをゆっくり食べなさい。そして親のまりさは、子どものまりさを全部ゆっくり食べなさい」 「ゆゆぅ!?」 「ゆひっ!?」 信じられないことを聞いた、とれいむの家族はいっせいに固まった。 Aの言ったことは、最大のタブーとされる共食いをするようにとのすすめだった。 「な…なにいってるのおおおおお!まりさのかわいいおちびちゃんをまりさがたべられるわけないでしょおおおお!!」 「馬鹿なの?死ぬの?と言いたいわけかな」 「あたりまえでしょおおおおお!おちびちゃんをたべるわけ…たべるわけ…わけ……おぢびぢゃんにげでえええええええ!!」 真っ先に命令に従ったのは、親のまりさだった。 器用にも大口を開けたまま叫ぶという芸を披露しつつ、まりさは動けないでいる一匹の子まりさに噛み付いた。 「いぢゃいいいいい!おとーさんいぎなりなにずるのおおおお!!!まりざだよお!おどーざんのだいじなまりざだよおおおお!!」 「にげでえええ!おぢびぢゃんおねがいだがらにげでええええ!おどーざんがっでにおぐぢが!!だべだぐないいいいい!!」 親ゆっくりの口の大きさならば、子ゆっくりを丸呑みにできる。 しかし「ゆっくり食べるように」と命令されたまりさに、ひと思いに子どもを楽にする選択肢はない。 頬をかじる。 「いぎゃあああ!まりざのもぢもぢのほっぺがああああ!!」 髪の毛を引き抜く。 「びゃあああああ!まりじゃのがみのげ!おどーぢゃんひどいよおおおお!!」 両目に口を当て、目玉を吸引する。 「いぢゃいいいいい!おめめが!ぎれいなおめめええええ!おどーじゃんなんでぇ!なんでごんなひどいごどずるのおおお!!」 「ゆがああああああ!!だべだぐないよお!!おぢびぢゃんだべだぐないいいい!どうじでおぐちざん!おぐぢざあああああん!!」 帽子を飲み込み、後頭部を食いちぎり、傷口から子まりさの柔らかな餡子をすすり上げる。 「うばあああああ!ごべんねえ!ごべんねおぢびぢゃああああんん!おぐぢががっでにごんなひどいごどずるのおおおおお!」 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙……」 子まりさは声も上げず、不規則な痙攣を始めた。 それでも両目のなくなったぼろぼろの顔は、お父さんにやめるよう懇願している。 願いは届かず、ついに親まりさは子まりさの体を引きちぎった。 「ゆ゙っ…………」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!だべぢゃっだあああああ!!まりざ、おどおざんなのにおぢびぢゃんを!おぢびぢゃんをだべぢゃっだあああああああ!!!」 口から子ゆっくりの餡子をぼたぼたこぼしながら、まりさは子どもを食べた事実に泣き叫ぶ。 「おいしいかい。さぞかし甘いだろう。念願のあまあまだよ」 「あばぐないいいいいいい!!おいじぐなんがない!おぢびぢゃんがおいじいはずないいいいい!!!」 「おいしいって言いなさい。むーしゃむーしゃ、しあわせー、と言いなさい」 「おいじいいいいい!むーじゃむーじゃ!じじじあわぜええええええ!!」 「よく言えたね。ほら、まだ二匹残っている。それも食べなさい」 「おぢびぢゃあああああんん!にげでよおおおおお!おどーざんがらにげでええええ!」 「おどーざんやべでええええええ!まりざあんよがうごがないのおおおおおお!」 「いやじゃあああああああ!おどーざんにだべられでじぬのはやじゃああああああ!」 番のれいむと子れいむたちの方も、とんでもないことになっていた。 「ゆっ!いだっ!いだいっ!いだいよおぢび!!おぢびぢゃんやべで!いだい!おがーざんいだい!!」 「おかーしゃあああん!おぐぢががっでにうごくのおおおおおお!!」 「むーしゃ、むーしゃ、うげええええ!おがーしゃんだべぢゃっだああああ!!」 「やべでえええ!おぐぢざんどまっでよおおおおおお!おがーざんがじんじゃうううううう!!」 動けないでいる親れいむを、三方から子れいむが取り囲み、その体に歯を立てている。 ゆっくりと、子れいむの歯が親れいむの皮を食い破り、口が親の体を食べて飲み込んでいく。 れいむは体を食べられていくおぞましい感触と、それが自分の子どもであるという事実に涙を流して身をよじる。 「おがーしゃあああんん!ごめんねええええ!れいむごんなごどじだぐないのにいいいい!」 「まずいよおおおお!おがーしゃんなんてだべでもおいじぐない!ぎもじわるいいいいいい!」 「おげええええ!!れいむおかーざんをだべでる!だべでるよおおおお!うげえええええ!」 「どうじでえ!?どうじでおぢびぢゃん…いだいいいい!あんごだべないで!あんご!れいむのあんごが!ああああああいだいよおおおお!!」 一匹の子れいむが、ついに餡子に頭を突っ込んだ。腐肉にたかる蛆虫のように、体を傷口にねじ込んでいく。 「どうだい子どもたち。甘いだろう。うまいだろう。君たちが食べたかったあまあまだよ」 「ごんなのぢがううううう!おがーざんはあまあまじゃないよおおおお!だべだぐないいい!」 「やべでっ!やべざぜでぐだざいおじざん!ごのままだどれいぶが、れいぶがじんじゃいまず!れいぶがじんだらおぢびぢゃんががなじみまず!」 「おがーざんだべだくないいいいいい!おがーざんだべでもじあわぜじゃないよおおおおおお!」 「好き嫌い言わずに食べなさい。食べきれなくなったら吐いてでも食べなさい」 Aに助けを求めるれいむの顔は、苦痛で歪んでいる。 自分の体を生きたまま子どもたちに食べられるという体験は、さぞかし恐ろしいものだろう。 「あがぎい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!ぎがあああああああ!あんごだべええええ!いだい!あんごが!おぢびぢゃん!おぢびぢゃああああああ!!!」 三匹がついに完全に親の体内に潜り込んだ。親れいむは発狂したかのように白目になって絶叫する。 尻を振ってバランスを取りながら子れいむたちは親れいむの体を貪っていたが、次第に全身を傷口に突っ込んでさらに食べようとする。 「だずげで!だずげでええええ!れいぶだべられぢゃう!れいぶのがらだがおぢびぢゃんにだべられぢゃうよおおお!いやだあ!ゆっぐり、ゆっぐりじだいいいい!!」 生きたまま食べられ苦しむれいむの体が、あちこちぼこぼこと盛り上がっては移動する。 あの中で、子れいむが親の餡子を食べているのだろう。 凄まじい光景が繰り広げられている。 ほんの少し前まであったはずのゆっくりプレイスは、今や地獄になっていた。 顎が外れるくらい大きく口を開けていたれいむが、急に異様な痙攣を始めた。 「ゆぎゃ!ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!ゆぎゅり!ゆっぎゅり!ゆぎゅぎゅぎゅぎゅ!ぎゅぎゅ……ぎゅ!!」 中枢餡を食べられてしまったようだ。 れいむは口を開けたまま、痛みと苦しみと絶望に顔を歪ませて死んだ。 子ゆっくりは、れいむにとって宝物だった。何よりも大切なおちびちゃんたちだった。 そのおちびちゃんが、れいむの体を食い荒らし、死に至らせたのだ。 どれほどの絶望を味わっただろうか。どれほどの苦痛を味わったのだろうか。 「よし。もう食べなくていいよ。出てきなさい」 ぽっかりと空いたれいむの口から、三匹の膨れ上がった子れいむが姿を現した。 どのれいむも、親の体をたっぷり食べたせいでまん丸に膨らんでいる。 表情はいずれも、ゆっくりとはかけ離れた陰惨なものだ。 自分たちが、親れいむを殺したのだ。 自分たちのせいで、親れいむは生きたまま食べられて死んだのだ。 ゆっくりたちの頭でも、それは重たい罪悪感となって三匹を打ちのめしている。 「おかーさん……ごめんね…ごめんね…ほんとにごめんね……」 「れいむたちのせいで、おかーさんが……しんじゃったよ……」 「れいむが、おかーさんをたべちゃった……。おかーさん、くるしがってたのに……いたがってたのに……」 一方まりさたちの方も、親子の役割が反転しただけで同じようになっていた。 「ごべんねえええ!おぢびちゃんだちごめんねえええ!わるいおどーざんでごめんねええええ!おちびぢゃんをだべるおどーざんでええええええ!!」 「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいい!どぼじでええ?どぼぢでおどーざんごんなひどいごどずるのお!?」 「まりさのおかおおおおおお!!おかーさんにもうほめてもらえないよおおおおお」 何度も謝りながら、親まりさは子まりさたちをゆっくりとかじっている。 既に二匹は禿饅頭になり、目を失い、頬から餡子を垂れ流している。 ひと思いに殺して楽にしてあげることもできず、親まりさは子どもたちを食べては謝り、謝っては食べていた。 「おげえええええ!!あんごが!おぢびぢゃんのあんごがぐちにいいいい!だべだぐないよお!おぢびちゃんだぢとゆっぐりじだいよおおお!」 「おどーざんまりざとゆっぐりじでよお!いっしょにゆっくりじようよお!すーりすーりじでよおお!ぺーろぺーろもじでよおお!だべないでよおおお!!」 「やべでよおお!なんでごんなひどいごどずるのお!?ゆっぐりじでよお!いじわるじないでよおおお!やざじいおどーざんにもどっでよおおおお!!」 どんな惨劇にも、終わりはある。 二匹の子まりさは、少しずつ体をかじられながらも次第に命が尽きようとしていた。 親まりさは泣きながら自分の口を封じようとするが、無意味だ。 こんなことはしたくなかった。子どもを食べるなんて、考えるだけでもおぞましいことはすぐやめたかった。 できることなら、子どもたちを助けたかった。 傷をぺーろぺーろしてあげたかった。泣いているからすーりすーりして慰めたかった。 しかし、親まりさに許されたのは、二匹を口にくわえ、ゆっくりと奥歯で押し潰すことだった。 「ちゅぶれるよおおおお!おどーざん!おどおおおざあああああんん!だずげでええええ!おどおおおお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」 「ゆゆゆゆゆううううううう!!…ぢゅぶれる!もうまりざぢゅぶれるゔゔゔゔうううう!!」 「うわああああああ!!まりざが!ばりざが!ばでぃざが!ばでぃざが!だいじな!がわいい!おぢびぢゃんを!だべだんだああああああああ!!!!」 まりさは自分がしたことの罪の重さで、声が嗄れるほど泣き叫んだ。 両親を見て、まりさは親になることに憧れていた。 番のれいむとの間にできた、大事なおちびちゃんたち。 まりさのことを「おとーさん」と呼んで慕ってくれた、ゆっくりしたおちびちゃんたち。 親になれた誇りと幸福感は、まりさの餡子を温かくしていた。 守ろうと誓った。どんなことがあっても、たとえ自分が永遠にゆっくりすることになっても、おちびちゃんだけは守ろうと誓った。 それなのに実際はどうだ。 まりさは子どもを殺した。殺さないでと哀願する子どもを食べたのだ。 ゆっくりたちの最大のタブーである、子殺しと共食い。それを一緒に犯したのは親であるまりさ。 おちびちゃんたちの餡子の味が、舌から消えない。 その悲鳴が、耳から消えないのだ。 まりさはあまりの恐ろしさに、半狂乱になって慟哭する。 ゆん生すべてに絶望しきった顔でうつむく三匹の子れいむと、泣き叫ぶ親まりさ。 計四匹は、Aによって作り出された地獄の生き残りだった。 実験が終われば、解放される。 「ごくろうさま。後は好きにしていいよ」 Aのメガホンからの声は、そのまま四匹の死刑宣告だった。 「ゆげええええええええええ!!!」 「ゆげえええええええええ!」 「ゆげええええええ!」 「ゆげええええ!」 四匹はいっせいに、体内の餡子を口から猛烈な勢いで吐き出した。 親を食べた子れいむ。子を食べた親まりさ。 どちらも、自分の体の中に親や子の餡子が混じっていることが到底我慢できなかったらしい。 「「「「ゆげっ!ゆげっ!ゆげえええええ!ゆげがげごげえええええええ!!!」」」」 吐く。ひたすら吐く。食べた餡子だけでなく自分の餡子も一緒に吐く。 猛烈な吐き気に目を見開きつつ、子れいむと親まりさはそろって体の餡子を吐きつくして死んだ。 死ぬことによってしか、自分たちの罪を忘れる方法がなかったのだろう。 四匹の顔は、体の中身を吐く苦悶と、やっと死ねる安堵とが混ざった不気味な表情だった。 * * * れいむは、すべてを見届けた。 大事な家族が、一人残らず惨死する様子を残らず餡子に刻み付けた。 おねーさんのまりさは、向こうで狭い隙間に無理矢理体を押し込んで死んでしまった。 おとーさんに、まりさたちは食べられて死んだ。 おかーさんは、れいむたちに食べられて死んだ。 おとーさんとれいむの妹たちは、餡子を吐いて死んでしまった。 まだ体はぴくぴく動いているけど、もう死んでいるのくらいは分かる。 れいむは半時間足らずで、家族全員をむごたらしい仕方で失ったのだ。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆーん…ゆーん…ゆぅぅぅん」 涙がぽろぽろこぼれて、れいむの足元を濡らしていく。 いまだに信じられない。 ゆっくりしたおとーさんとおかーさんが、無惨な仕方で死んだことが。 妹とおねーさんが、もうこの世にいないことが。 自分が、ひとりぼっちになってしまったことが。 れいむはもう、耐えられなかった。 「おじさん」 「ん?なにかな」 れいむはおじさんに声をかけた。 おじさんはこっちを見るけれど、何だかれいむを見ているような気がしない。 「おねがいがあるの。れいむも、おとーさんとおかーさんのいるおそらにいかせて」 「俺に自殺の手伝いをしろと?」 「れいむひとりじゃこわくてできないから。もう、れいむいきていたくないよ。おじさん、れいむをおそらにいかせてね」 れいむは生きることを放棄した。 死にたかった。もう、おとーさんもおかーさんも、妹もおねーさんもいないこんな世界に一人で生きていたくなかった。 もしかしたら、ありすたちがれいむを受け入れてくれるかもしれない。 でも、れいむの餡子には家族の死に様が焼き付いている。この先生きていても、ゆっくりすることはできないだろう。 れいむは死を願った。 「いいだろう。死なせてあげよう」 「ありがとう、おじさん。なるべくいたくないようにしてね」 れいむは目をつぶった。 人間さんはゆっくりよりもずっと強いとありすから聞いている。その人間さんに頼めば、楽に殺してくれるだろう。 れいむはすべてを諦め、自分を一撃で潰してくれるであろう人間の足か手を待った。 お空にいる家族の元に、一刻も早く自分も行きたかったのだ。 「れいむ、目を開けなさい」 おじさんの声は、なぜか絶対に従わなくてはならないものに感じた。 れいむは目を開けた。 「この板が見えるだろう」 「すごくゆっくりできていないいたさんだね。ざらざらしているし、とげとげがいっぱいあるし、すーりすーりしたらとってもいたいよ」 「れいむ、これに後頭部を擦りつけて死になさい」 「ゆ……ゆゆゆ?」 れいむは目を丸くした。 おじさんが言ったのは、さっきおじさんが地面に突き立てた痛そうな板に、体を擦りつけろという命令だった。 痛そうな板とは、錆びたトタン板のことだ。 表面はサビでざらつき、ゆっくりの柔らかい饅頭皮などすりすりすればたちまちぼろぼろになってしまいそうなものだ。 「や…やだよ。こんなのにすりすりしたら、ものすごくいたいよ。しんじゃうよ」 「れいむは死にたいんじゃなかったかな」 「ゆっ、ゆっ、でも、れいむいたいのいやだよ。おじさんれいむをおそらにいかせてくれるっていったでしょ!」 「俺は楽に死なせてあげるなんて約束してないけどな」 「ゆっ…!ゆっ!ゆっ!ゆゆゆゆゆゆ…………!」 れいむの頭は真っ白になった。 足が勝手に動き、トタン板に近づく。 後頭部が、トタン板に触れた。髪の毛ごしでも、そこが尖っていて危険だということが分かる。 「さあ、ゆっくりこすりなさい。たとえすごく痛くても、絶対に死ねるから」 れいむの体が、おじさんの言葉に意志に反して忠実に従った。 全身を使って、後頭部をトタン板に擦りつける。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 あっという間に髪の毛が全部根本から削れ、地肌が剥き出しになった。 れいむは恐怖した。この先に待っている、ゆっくりできない拷問に等しい時間を予想して。 あまりの恐ろしさに、れいむの思考は停止した。苦痛のみを感じる饅頭にれいむは退化したのだ。 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!!!」 れいむは言葉を失った。口から出る言葉は「ゆっくりしていってね」の中にある音だけになった。 地肌が削れていく。れいむは口を開けて叫ぶ。 「ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐりいいいい!!!」 涙を流し、舌を口から飛び出させ、れいむは叫び続ける。 それしか苦痛から逃れる方法は思いつかなかったのだ。 だが、れいむの小さな抵抗は、圧倒的な苦痛の前に脆くも粉砕される。 「ゆっぐり!ゆっくり!ゆっくりして!ゆっくりして!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくり!!」 餡子が削られていく。 今まで一度も体験したことのない痛みが、れいむの後頭部から体全体をかき回している。 まだ、待ち望んでいる死が遠いことが分かる。 この痛みと苦しみが、当分の間続くのだと分かってしまい、れいむは滝のような涙を流した。 死んだらお空に行けるなんて嘘だ。死んで家族みんなとまたゆっくりできるはずがない。 だって、こんなに痛い。痛くて痛くてたまらない。 お空に行くなんてきれい事だ。死は、ものすごく恐い。 恐くて恐くてたまらないのに、もうほかになにもできない。れいむには死ぬしかできない。 「ゆっくりじで!ゆっぐりじで!ゆっぐりじで!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 餡子が削れる速度が遅くなった。 トタン板のざらざらした部分に、餡子がくっついて削れるスピードが落ちてしまったのだ。 もし人間がトタン板を移動させるか、餡子を拭き取ったらなら、比較的早くれいむは死ぬことができただろう。 人間の助けはなく、トタン板も動かない。 「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っっ!ゆ゙っっ!ゆ゙っっ!」 れいむの口からは「ゆ゙っ」という濁った音しか聞こえなくなった。 それ以外のすべては、痛みに集中されている。 ひたすられいむは死ぬことだけを願った。早く死んで、こんな痛みだらけのゆん生から逃げたかった。 それなのに、一向に意識は途切れてくれない。 餡子でなまったトタン板の表面は、実に緩慢にれいむの餡子を削っていく。 「……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!」 ただひたすら、れいむは何もかもが終わる瞬間を待っていた。 れいむの中枢餡が削れてしまうまで、あとどれくらいかかるのだろうか。 それまでれいむは、存分に絶望と苦痛と恐怖を味わい尽くすことだろう。 * * * 「ごの゙………あ゙ぐま゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 「ゆっぐりごろじはじねえええええええええええええ!!!」 ゆっくりと体を削っていくれいむを見ていたA主任に、残されたまりさとありすの家族から罵声が浴びせられた。 Aはそちらを向く。 実にゆっくりたちの心情に無関心に、Aはまりさとありすの家族を見る。 家族はメガホンからの命令である「動くな」に忠実に従い、さっきからそこを一歩も動いていない。 だが、まりさとありすの目は怒りと憎しみで燃え上がり、Aを殺さんばかりに殺気を振りまいている。 「よぐもまりざのいもうどのがぞぐをおおおおおお!よぐも!よぐも!よぐもごろじだなあああ!じねえ!おまえもざっざどじねえええ!」 「ごのゆっぐりごろじいいい!なんでごろじだ!あんなにゆっぐりじだがぞくをなんでごろじだんだ!ぜっだいゆるずものがああああ!」 「きょのゆっくちごろち!ゆっくちできないおじしゃんはおうちにきゃえるんだじぇ!」 「まりしゃぷくーしゅりゅよ!ぷくーっっ!!どう?きょわいでしょ!もっときょわがれ!」 「ありしゅもぷくーしゅりゅ!ぷくぅーっ!きょわい?ないちぇあやまっちゃらゆるしてあげりゅ!」 いくら頭の悪いゆっくりでも、Aが何かをしたせいで向こうの家族が惨死したことをようやく理解できたらしい。 家族揃って、Aに対してバッシングを行っている。 特に、親まりさと親ありすの怒りは半端ではない。 ずっとお隣同士で仲良くしていたれいむの家族を、目の前でめちゃくちゃにされたのだ。 思い出すだけで、餡子が凍り付くようなひどい死に方だった。 あんなのは、断じて許されるべきではない。 この人間は、ゆっくりたちのささやかな幸せとゆっくりを、土足で踏みにじったのだ。 そして、自分たちも同じようにされるかもしれないという恐怖。 二匹は唾を飛ばしてAを罵る。 対するAは、急に嬉しそうな顔をした。 「今日は運がいいな。こんなに元気なゆっくりたちに出会えるなんて俺もついてる。ちょうどよかった」 Aとしては、まりさとありすたちの反応はむしろ歓迎すべきものだった。 ゆっくりに行った実験で分かったことは、頭のいいゆっくりでない限り、自分たちの体に起こった異変が人間によるものだと理解できていないらしい。 「どうじでおぐぢざんどまっでぐれないのおおおおお!?」 「どうじであんよざんうごいでぐれないのおおおおお!?」 と叫ぶだけで、それが人間によって引き起こされたものだとは分からないのがほとんどだ。 あの帽子を奪われたまりさだけは、かろうじてそれが分かったようだ。 たいていのゆっくりは、自分をゆっくりできなくさせたAを恨むことなく死んでいった。 Aは今度は、人間を憎むゆっくりがどう行動するか、憎しみが中枢餡に刷り込まれた命令を上回るかどうか実験したかったのだ。 「ちょっとこのゆっくりをかまってくれない?」 「え?は、はい。分かりました。どのようにでしょうか」 「とにかく挑発して。徹底的に怒らせてほしい。一匹くらいなら殺してしまってもいいからさ」 急に妙なことを言いつけられた助手は、どうしていいのか分からず少しの間フリーズしていた。 「そんなに難しく考えなくていいから。いかにも虐待大好きな人間みたいに振る舞って」 何度か頭の中でテンプレなセリフを考え、助手は怒髪天を衝くゆっくりたちに近寄った。 「おい。そこの薄汚いクソ饅頭。お前だよお前。そこのでかいまりさ」 「ゆがあああああ!まりさはくそまんじゅうなんかじゃないいいい!しねえ!おまえなんかさっさとしんでしまええええ!」 「じゃあ殺してみろよ」 「ゆゆ?」 唾を飛ばして怒鳴る親まりさから少しだけ離れた場所で、助手は地面にあぐらをかいて座る。 「ほら。俺はここにいるからさ。逃げも隠れもしない。さっさとそこから動いて俺を殺してみろよ。できないのか?」 「いっだなああああああ!!そごにいろ!まっでろ!いまずぐに、まりざがおばえをごろじでやるがらなああああ!」 まりさは吠えた。 妹を殺された怒り。妹の家族を殺された悲しみ。人間に対する憎しみ。すべてを込めてまりさは地面を蹴った。 全身を使った体当たりが、座っていた助手に炸裂する。 助手の驚いた顔。まりさは生きた弾丸となって、助手の胸板に激突した。 吹き上がる血しぶき。肉片を周囲にばらまきつつ、まりさは助手の体を一撃で貫通した。 ……まりさ。れいむ。おちびちゃん。かたきはとってあげたよ。おそらでゆっくりしていってね。 まりさは倒れた助手にかまうことなく、A主任を睨み付けた。 Aは驚き、恐怖し、失禁しながら土下座してまりさに命乞いをする………… ………わけがない。 まりさはそこから動けない。 「動くな」という命令がキャンセルされない限り、まりさは見えない箱に閉じ込められているに等しい。 「じねええええええ!ごろず!ごろず!いまずぐごろず!いもうどの!いもうどのがぞぐのがだきだ!がだきだああああああ!!」 「まりさ!がんばって!ゆっくりごろしはうごかないでいるわよ!ちゃんすよ!」 「がんばりぇおとーしゃーん!」 「にんげんしゃん!おとーしゃんはしゅごくちゅよいのよ! 「あやまりゅならいまのうちにあやまっちぇにぇ!」 「あやまっちぇもにんげんしゃんはしにゅけどにぇ!もうおしょいよ!」 ありすと赤ゆっくりたちは声援を送るが、まりさはやはり動かない。 頭に血が上っているらしく、まりさは自分が動けないでいることが分からないでいるらしい。 「おーい。クソ饅頭さん。どうしたの?殺す殺すって言ってるけど、何で俺まだ生きてるのかな~」 「ゆがあああああ!だまれえええええ!おばえなんが!おばえなんがざっざとごろじでやるうううう!」 「期待しているよ~。頑張ってね、クソ饅頭さん。ほらほら、俺はここにいるぞ」 「だまれえええええ!いもうどのがぞくのがだきいいいいいいいいいい!!!」 このまりさは、ゆっくり同士ならばきっと上位にランクインするパワーの持ち主だろう。 しかし、やはりまりさは動かない。 大声で叫び、上半身をぐねぐねとちょっとだけ動かして体当たりしようとするが、一歩も動かない。 「まりさー。さっきから口だけでちっとも動かないけどさ。お前ホントに妹の家族の仇を取る気があるの?もしかして嘘?」 「ぢがう!ぢがう!ぢがうもん!ばりざほんぎだもん!にんげんなんが、まりざがやっづげでやるううう!」 「だったらなぜ何もしないんだよ。あ!分かった。お前恐いんだな。恐くて体が動かないんだ。まりさは臆病だったんだね」 「ぢがううううううう!ばりざはおどーざんだ!おどーざんはゆうがんで、つよぐで、りっばなゆっぐりなんだ!おぐびょうなんがじゃないいいいい!!」 「いや、俺は臆病でも別にいいと思うよ。生物界の最底辺にいる下等生物が、勇敢とか強いとか立派とか言っても笑えるだけだし。あはははははは!」 「わらうな!わらうな!わらうなあああああああ!」 「うるっせぇんだよこのクソがあああああああ!!!」 「ゆぎぃ!?」 いきなり助手はまりさをからかうのをやめ、手でまりさの顔をひっぱたいた。 「いだいいいいいいい!いだいいだいいだいいいいい!」 「ぎゃあぎゃあやかましいんだよゴミカス!てめえにできねえことばかりぬかしやがるんじゃねえ低能の青二才が!」 「ば、ばりざは!ばりざはぎゃびゆぎゃあ!」 「ばりざはなんだよ。え?言ってみろよ。さっさとご託並べてみせろよ出来損ないの饅頭よぉ!」 「うっ…ゆぐっ…ぐっ……ばりざは、ばりざはおどーざあぎゃいぎゃい!いぎゃああ!やべぢぇ!やべぢぇよおおお!」 「やめてってどの口でほざくんだよクソが!てめえはおとーさんじゃなかなったのかよ!強くて立派なおとーさんじゃねえのかよ!!」 「びぎっっ!ぶびっっ!びがっっ!!ばり!がばっ!ばりざはっ!ばでぃいがぁ!おどぉ!おどあがぁ!だがっ!だあゔぁ!」 「何言ってるのか分からねえなあ!もっとはきはきしゃべりやがれオラ!!」 「ばでぃざは…ばでぃざはおどーざんだ!ゆっぐりじだおどーざんだ!おどーざんだがらあああああっっ!あぁぁいだいいいいい!!」 まりさの口に平手がヒットした。 舌と歯茎を激しくぶたれ、まりさは目から涙を撒き散らして悶絶する。 餡子と一緒に、数本の白い歯が地面に落ち、きらきらと光っていた。 「いっ…いだい……いだいよ………まりざ…おどーざん…みんなの…がだき………ぶぎゅるううううっっ!!」 歯が折れた激痛に耐えるまりさを、助手は蹴飛ばした。転がるまりさをうつぶせの状態で踏みつける。 ぎゅっと力を込めると、「ぶびびっ!」と間抜けな音がしてあにゃるからうんうんが少し飛び出した。 「うぜえんだよ。そろそろぶっ殺すぞ」 「ぶぎゅ!びゅぐうう!じゅぶっ!じゅぶれる!ぢゅぶれるうううう!!」 「まりざああああああ!おねがいだがらやべでえええええ!!」 「おとーしゃああああん! 「おとーしゃんにいちゃいいちゃいしにゃいでえええええ!」 「やめちぇええええ!」 「おとーしゃあああん!ゆんやあああああ!」 今までは激痛だけだったのが、命の危険に代わったことでまりさは足の下でぶるぶる震え始めた。 いっせいに叫び出すありすと赤ゆっくりたち。 助手はそれを見ると、まりさの顔を靴で地面にこすりつけた。犬の糞を踏んでしまった人間が、靴を地面でこするのと同じ動きだ。 「べぎゅ!ぶぎゅ!ゆぎゅうう!」 丁寧にまりさの顔を地面で磨いてあげてから、手で持ち上げてありすの眼前に突き出す。 「ほらありす、見ろよ。感動の再会だ」 「ま、まままりさっ……まりざあああああああ!ひどいいいいいいいい!」 「あっ……あでぃ…ず……あでぃ…ず…………」 ありすから見ればとても美ゆっくりだったまりさの顔は、無惨にも傷だらけだった。 たっぷりハエタタキで叩かれたことにより、ほっぺたは黒く変色し中の餡子が滲んでいる。 顔は踏みつけられ、地面に擦りつけられたことによりいくつもの傷ができ、片方の目は腫れ上がって見えなくなっていた。 半開きになった口からは「ゆひゅー、ゆひゅー」と苦しそうな息が漏れ、舌と歯茎からは餡子が漏れている。 「ありず……ばり……ざ…は、おど……ざ…ん……だ、よ……。みん…なを…まも…る…がら……ね」 息も絶え絶えのまりさは、そんなひどい姿なのにありすに笑いかけた。 口から発せられたのは、力強い約束の言葉。まりさはみんなのおとーさんだ。おとーさんだから、絶対に人間なんかには負けない。 強い意志が言葉に込められていた。 「くだらね。カッコつけてんなよ生ゴミが。死に損ないの分際でよくそこまで言えるよなあ」 「ゆぎゅうっっ!」 まりさは、笑顔のまま地面に叩き付けられた。仰向けになったまりさと、助手と目が合う。 助手は口調とは裏腹に、ちっとも虐待を楽しんでいる様子はない。 だが、彼のすることは容赦がまったくない。 「おいクソまりさ。俺はこれからてめえを三回踏みつける。分かるか?てめえのお粗末な頭でも分かるように、三回で我慢してやる」 「ゆっ……ぐっ……ごろ…ず……おばえ…なんが……ごろじで……」 「分かんなくても別に構わねえけどな。三回だ。三回だけ耐えてみろ。そうすればてめえの勝ちだ。分かったな」 「ぐっ…ゆぐっ……」 「人間なんかに負けねえんだろ?せいぜい頑張って耐えろや。まずは一回!」 助手は足を持ち上げると、靴の裏の全面を使ってまりさの口の下、腹に当たる場所を踏みつけた。 「ゆぶぐぎゅうううう!!」 人間ならば自動車が衝突した破壊力だろう。内臓が引き千切れてもおかしくない状況だ。 しかしゆっくりに内臓はなく、中に詰まっているのは餡子だけ。内臓破裂で死ぬことはできず、苦痛のみが体を駆けめぐる。 「まりざああああああ!ひどいごどじないでええええ!」 ありすの叫びが聞こえる。 まりさの口からはもりもりと餡子が吐き出され、あにゃるからも餡子が飛び散ってありすと赤ゆっくりたちの顔にかかった。 「ゆっ!……ぶげっ!……ゆぶげっ!」 まりさは両目を血走らせ、顔を左右に振って激痛から逃れようとする。 助手の足が再び上げられた。 「二回目!」 「ぶげゆがっっっっ!!」 次は踵を使ってまりさを踏みつける。 圧力が限界に達したらしく、まりさの右目がすぽーんと飛び出した。 「ゆっぎゅ!ぎゅぐ!ぎゅぐうううう!」 まりさの顔はゆっくりとはかけ離れた顔になっている。あまりの苦痛に何も考えられないようだ。 「三回目!これでラストだ!」 「ゆぶぎゃああああああああああ!!」 * * * 三回目の踏みつけが、まりさの腹を直撃した。 靴の踵はまりさのまむまむを踏み抜き、皮と餡子のミンチに変えた。 凄まじい激痛に、まりさの視界が真っ白に染まる。 (まりさの…まむまむ…それとぺにぺにが……ごめん…ごめんねありす……もうまりさ…あかちゃんつくれないよ) 自分の生殖器が回復不可能なまでに破壊されたことが分かり、まりさの無事な左目から涙が流れた。 まむまむとぺにぺにを破壊されたゆっくりは、肌をすりあわせてすっきりすることもできない。EDになってしまうからだ。 まりさは、これで生涯子どもを作ることなく生きていかなければならない。 まりさの体を踏みつけていた足が、どけられた。 (かったよ…まりさ、にんげんにかったんだ……。さんかい、まりさはたえたんだよ) 全身の激痛を忘れ、まりさは勝利を味わっていた。 あの人間の攻撃に、まりさは耐え抜いたのだ。餡子と皮に力を入れ、破れないように力を入れて耐えたのが報われたのだ。 ざまあみろ、人間。おとーさんは強いんだ。恐れ入ったか。 「あ…でぃ……ず。あ…りず」 「まりさ!?まりさあああ!ぶじなの?ぶじなのねええええ!?」 「ゆへ…へ…まり……ざ、にんげん……に、がっだ……よ。ばり……ざの……がぢ…だ……よ」 「まりさあああ!すごいわ、まりさはすごいゆっくりよおおおお!」 「ぞう……だ、よ。ばりざは……づよい、おどーざ…ん……なんだよ」 ありすの賞賛の声が、痛みの中でも心地よい。 人間の自信を、まりさは打ち砕いたのだ。 まりさは、家族を守って生き抜いたのだ。 半殺しの状態で、なにをどう守ってどう生き抜いたのかは分からないが、とにかくまりさはそう信じて疑わなかった。 「ま…まげ……まけいぬ……の…にんげん、は…ど、とっとど…あや……ばっで、ね……」 まりさは、ぼろぼろの顔を上げて助手を睨み付ける。 だが、助手が言ったことは、まりさに対する謝罪でも賞賛でもなかった。 「ねえ主任。俺、何回こいつを踏みつけましたっけ?忘れちゃったんですよ」 助手のとんでもない発言に、まりさは驚愕した。 (さんかいだよ!さんかいまりさをふんだよ!そんなこともわからないの?さんかいもかぞえられないの?おおばかなの?) Aは答えた。 「二回だよ。後一回残ってる」 「ゆっ!?ゆぶっ!?……ざ!…ざんが……ざんがい!……ざんがい!………ざんがいぶんだ!ざんがいばりざをぶんだよ!」 「さんかいよ!もうさんかいまりさをふんだわ!だからもうやめて!ふまないでええええ!」 「ざんがい!ざんがい!ざんがい!ざんがい!ざん゙がい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!」 「悪かったなクソ饅頭。後一回残ってたわ。じゃ、三回目だ」 「ざんが……ぎゅぶぐうううっっっ!!」 助手の足が、まりさの体を踏みつけ、貫通し、大きく引き裂いた。 * * * びしゃっ、と放射状に餡子が飛び散り、まりさの両目が白目になる。 もちろん、助手もAも数はカウントしていた。三回まりさを踏んだことは分かっていた。 だからどうした。 始めから、助手は三回踏む時はまりさが死なないよう手加減し、四回目で殺す計画だったのだ。 そんなことも知らないまりさは、断末魔の苦しみを全身で表現していた。 まりさの胴体をほぼ二つに裂いた傷口からは、致命的となる量の餡子が地面にだらだらと流れていく。 「…あ……あり…ず……ごべん……ね。だべな…おどーざ……で……んね…………」 何度も「ごべんね」と呟きながら、まりさは次第に弱々しく体を震わせ、動かなくなった。 最後の一撃に耐えられなかったことを、まりさは後悔していた。 家族を守れずに死んでしまうのを、まりさは悲しんでいた。 何よりも、平気で約束を破った人間たちを、まりさは憎んでいた。 いろいろな感情が沸き上がり、真っ暗闇に消えていく。 (じにだくない!まりざじにだくないよ!ありず!おぢびじゃん!いっじょにもっどゆっぐりじだい!いやだあああああああ!) 最後までありすに謝りながら、まりさは永遠にゆっくりした。 誰も守ることができず、仇を取ることもできず、無意味に死んだのだ。 「死ぬ時になってようやく駄目な父親って分かっても遅いんだよ」 「まり……さ。まりさ……。よ……よくも…よぐもおおおおおおおおおお!!!」 ありすは、まりさの心意気をあざ笑った助手に、体内のカスタードが煮え立つほどの怒りを感じた。 まりさとの約束を平気で破って、まりさを殺した人間が許せなかった。 「だまれええええええ!ごのいながものおおおおおおお!おばえなんがにばりざのなにがわがるうううううう!」 「分からねーよ。こんな薄汚いゴキブリ以下のゴミの塊の考えることなんて、分かるわけねえだろ」 「ゆるざないいいいいい!よぐも!よぐもばりざをばがにじだなあああああ!よぐもおおおお!」 ありすはいままで、「とかいはじゃないわ」と使わなかった悪口を使い、助手を罵る。 そうでもしなければ、発狂しそうだった。 「悔しい?そんなに悔しいの?だったらほら、こっち来いよ。俺に体当たりしてみろよ」 「ゆぐあああああ!ゆぐう、ゆぐうううううう!うごげえええええ!ありずのあんよざん、うごいでえええええ!」 「おおうぜえうぜえ。まりさがうざいからお前もうざくてお似合いだわ、やっぱ」 「ゆぐぎぐがあああああ!!!ゆるざない!おばえはぜっだいゆるざない!みんなをごろじで、ばりざもごろじだおばえはゆるずものがあああああ!!!」 ありすがどんなに怒りに身を焦がしても、足は一歩も憎い助手の方へと動くことはなかった。 * * * 「はい。もういいよ」 「……分かりました」 「なかなか演技派だね、君。ちょっと俺も驚いたよ」 「恐縮です。大学にいた頃、演劇をやっていたものでして」 A主任の静止に、助手はすぐに応じた。 助手は別に、まりさたちに本気で腹を立てたのではない。挑発の一環として、怒った振りをして見せただけだ。 徹底的にゆっくりを虐待し、蔑み、汚物のように扱う。怯えるのではなく、人間に怒りを抱くように助手はゆっくりを誘導したのだ。 努力のかいがあって、ゆっくりたちは二人を憎み、ぎりぎりと歯ぎしりまでしている。 「では命令だ。まずはそこの赤まりさ、あそこにある熱湯を入れた鍋の中に自分から飛び込みなさい」 「ゆゆっ!あ、あんよしゃんがかっちぇにうごくんだじぇええええ!?」 「おちびちゃんどうしたのおおおおお!?」 父親に似ずに「だじぇ」口調の赤まりさの顔が、驚きで歪んだ。 「あんよしゃん!?にゃんでうごきゅにょ?まりしゃ、おかーしゃんといっしょにいちゃいんだじぇ!」 両親の知能では、ゆっくりの体に起こった異変が人間によるものだと理解できた。 無垢に育った赤ゆっくりの頭では、人間によって自分たちの体が操られていることなど想像もできない。 「おちびちゃん!あんよにちからをいれて。こっちにはねるのよ!こっちにきて!」 「しちぇるのじぇえええ!しちぇるにょに、あんよしゃんにちからいれちぇるにょに、とまらにゃいんだじぇええええええ!!」 ぴょんぴょんと必死で抵抗しているようだが、少しずつ赤まりさは家族のいる場所から遠ざかっていく。 逆に赤まりさが近づくのは、助手がコンロで沸かしていた鍋だ。 既に長時間火にかけられたことにより、中の熱湯は沸騰寸前にまで熱せられている。 ご丁寧にも、鍋の横にはゆっくり用のプールに使われている階段が備え付けられていた。 赤まりさは少しずつ階段をのぼっていく。 「ゆんやあああ!ちょまっちぇ!あんよしゃんちょまっちぇえええ!あちゅあちゅしゃんはゆっくちできにゃいいいいい!」 どんなに赤まりさが抵抗しても、体は勝手に動いていく。 ついに、鍋の縁にたどり着いた。 吹き上がる高熱の湯気が、赤まりさの顔を撫でる。 「ゆひいいい………!いやじゃぁ……。あちゅあちゅしゃんにどぼんやいちゃじゃあああ……」 「おちびちゃんんんん!だめええええええ!」 ぽとん、と赤まりさは熱湯の中へとダイブした。 最後の最後まで、両親の方を見続けた赤まりさの顔は、「どうしちぇたしゅけちぇくれにゃいにょ?」と言わんばかりだった。 「あ…あぢゅいいいいいいいい!あぢゅ!ぢゅぴっ!あぢゅうううううううう!」 「おおおおぢびぢゃああああああん!い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 ありすの絶叫が上がる。 高温の湯は、ほぼ一瞬で赤まりさの体を溶かしてしまったようだ。 最後の言葉である「もっとゆっくちしちゃかっちゃ」の声さえ聞こえない。 「よぐもおおおおお!よぐもありずのごどもだぢをおおおおお!!」 ありすの怒りも、ありすの体と同じように二人には届かなかった。 * * * 「ゆんやあああああ!まりしゃしにちゃくないのじぇえええええ!」 「おきゃーしゃーん!たしゅけちぇよお!にゃんでしょこにいりゅにょおおおおお!」 「ありしゅがきゃわいくにゃいにょ?おかーしゃんありしゅをたしゅけちぇええええ!!」 「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!おぢびぢゃあああああんん!やべでえええええ!!」 あまりにも叫びすぎたのか、正気を失いかけているありすの目の前で、恐ろしい光景が繰り広げられていた。 熱湯が満たされた鍋の縁。そこに設置された階段の最上段。 後一歩足を踏み出せば命はない危険な場所に、かわいいおちびちゃんたちが横一列で立っている。 「さて、誰からまりさの後を追って飛び込んでもらおうかな」 メガホンを持ったAが、順繰りに三匹の赤ゆっくりたちを見ていく。 「ゆんやあああああ!まりしゃはやめるんだじぇええええ!」 「ありしゅもやじゃああああ!しにちゃくにゃいいいいいいい!」 「もうやめちぇえええ!ごめんなしゃい!なにがわりゅいのかわかりゃにゃいけどごめんなしゃい!」 途端に、Aの足が止まった。 「ごめんなさい?今君はごめんなさいって言ったね」 「そうでしゅ!ありしゅでしゅ!ごめんにゃしゃい!ありしゅたちがわるかったでしゅ!」 一匹のありすは、涙を流しながらひたすら謝っている。 謝れば、助けてもらえるかもしれない。そのはかない希望にありすはすがっていた。 いつも、いけないことをしておかーさんやおとーさんに怒られても、きちんと「ごめんなしゃい」って謝れば許してくれた。 だから、このこわいおじさんも、謝れば許してくれるに違いない。 何が悪いのか分からないけど、とにかく死ぬのは嫌だった。 「そうか。ちゃんと君は謝れるんだね。ほかの子たちはどうかな?」 「ゆああああああ!ごめんなしゃい!ごめんなしゃい!まりしゃもあやまるんだじぇええええ!」 「ありしゅも!ごめんなしゃい!おじしゃんごめんなしゃい!ごめんなしゃい!ごめんなしゃああああい!」 たちまち残りの二匹も、「謝れば許してくれるかも」という希望に飛びつき、矢継ぎ早に謝る。 三匹とも必死だ。ここを先途と涙と涎を振りまき、Aの気を引こうと声を張り上げる。 「よくできたね。じゃあ、罰として死んでもらおうか」 「「「なんじぇえええええええ???ちゃんとあやまっちゃのにいいいいいいいい!!!」」」 「謝ったってことは、自分が悪いと認めたんだろう?なら罰を受けなくちゃね。そして罰は死刑。はい、みんなそこに飛び込んでね」 「「「いやじゃああああああ!!おがーじゃあああああああああ!!!ゆびぎゃびいいいいいいいい!!!」」」 三匹は揃って、親ありすに救いを求めながら鍋の中に飛び込んでいった。 「あぢゅいいいいいい!まりじゃ、まりじゃじんじゃううううううう!!」 「びびびびいいいいいいい!あびい!あびいいいいいいい!」 「もっ…ぢょ……ゆっく…………ぢ……!」 親ありすには、赤ゆっくりたちの最後は見えなかった。 だが、代わりに恐ろしい断末魔の絶叫がしっかりと届いていた。 「あ……あ……ああ……あがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!あ゙があ゙あ゙あ゙あ゙!あああああああ!!!」 目を剥いたありすに、Aが近寄る。 ありすはAが近づいても、気が違ったかのように叫び続けるだけだ。 「命令だよ、ありす。今までのことは全部忘れて、ゆっくりしなさい」 メガホンを使って、Aはありすに命令した。 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙ゆ…………」 ありすは一瞬、俯いて目を閉じた。顔がほんの少し、いつものゆっくりしたものになる。 しかし、すぐに顔を上げた。 顎が外れるほど大きく開かれた口から聞こえてきた言葉は、初めての否定だった。 「なにいっでるのおおおおおお!?まりざと!おちびぢゃんが!じんだのにどうじでゆっぐりでぎるのおおおおおおお!!!」 「命令だよ。全部忘れなさい。そしてゆっくりするんだ」 「ゆっ……ゆゆう………でぎるわげないいいいい!まりざああああああ!おぢびぢゃああああん!ゆがあああああああ!!」 「忘れるんだ。早くゆっくりしなさい」 「ゆっぐり……ゆっぐり……でぎるがああああああ!!ごのゆっぐりごろじ!ゆっぐりごろじ!おばえもじねえええええ!!」 「うん。やはりそうか。これがメガホンの限界だ。これが見たかったんだよ」 Aは、初めて命令に反抗したありすに満面の笑みを浮かべた。 これが、Aが今まで散々にありすの家族を痛めつけ、地獄を味わわせた理由だった。 「主任、どうしてです?なんでこのありすは命令に従わないんですか」 側で助手が驚きを隠せないでいる。 今まで、Aが製作したメガホンから発せられる命令に、逆らったゆっくりはいない。 中枢餡に刻み付けられた命令は、たとえ「死ね」と命令しても実行される。 「この音波は中枢餡に影響を与えるよね。どうも、中枢餡の機能はゆっくりの行動を制御するものらしいんだよ。だから逆に言えば、情緒は操れない。 それが確かめたかったんだ。ありすを見れば分かるだろう。ゆっくりしろ、と命令して体はゆっくりしているけど、それを上回る憎しみと怒りがある。 動かないでいることはできるけど、今まで体験したことを忘れたり、感情を消すことはできないんだ。そっちは普通の餡子に記録されているらしい。 これがメガホンの限界だ。ゆっくりの体は操れても、感情は操れない」 「でも、あの時主任が『笑え』って言ってまりさは笑いましたよね。あれはどうなんです?」 「ただの反射だよ。顔面の皮が中枢餡からの刺激で笑みの形になっただけ。意志とは無関係に笑わせただけだよ。そんなもん。 でもいいよね。こっちもゆっくりの意志とか感情とか関係ないし。とりあえず、ゆっくりの行動だけ操れればそれでどうでもいいや。 じゃあ、ありす捕まえて。それ、帰ったら解体して中枢餡の変化とか見るから」 「分かりました」 助手の手がありすを掴み、トランクの中にあった頑丈なケースに放り投げる。 「ゆっ…ゆぐ……がえじで!まりさをかえじで!おちびちゃんをがえじで!みんなをがえじで!ありずのゆっぐりをぜんぶがえじでよおおおおおお!」 ありすは泣いた。 すべてが奪われ、踏みにじられたことに涙を流した。 憎しみも怒りも、平和的なゆっくりの頭では長続きさせることができない。 残るのは、悲しみだけ。 ありすは泣き続けた。 研究所で生きたまま解体され、中枢餡にメスが入れられる待ち焦がれた死の時まで、ありすの涙は絶えなかった。 挿絵 byM1 02へ続く
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7991.html
私の名前は原村和。 インターミドルチャンピオンで高校一年生になったばかりの美少女です。 自分で美しい少女だなんて自称するのは自意識過剰だとか痛い子だと思う方もいるかもしれませんが、事実なのですから仕方ありません。 『原村さん付き合ってください』 『原村、俺と付き合わね?』 『可愛いよね和ちゃん、今度僕とデートしない?』 ……等々、多くの男性から告白されたり、デートのお誘いを受ければ自覚します。私は客観的に見て美少女であると疑いようがありません。 つまり私は顔も良く、胸も大きく、成績も素晴らしく、性格も真面目で通っており、家も裕福と当に完璧なわけですね。 まあ、運動が少々得意ではないことが欠点でしょうか。 「なあ、のどちゃんは誰かと付き合わないのか? モテるのに勿体ないじぇ」 「今の所は興味がありませんね、そう言う優希は好きな人とかいないんですか?」 「好きなものならあるけどな、好きな人はいないな」 口元をちょっとソースで汚しながら大好きなタコスを頬張る彼女が私の親友の片岡優希。 天真爛漫で自由すぎる可愛い元気な女の子です。 「おっ、ここが麻雀部みたいだじぇ、たのもー」 旧校舎の最上階。 この学校に麻雀部が存在するとの噂を聞き付けて私たちはやって来ました。 優希が勢い良く扉を開け放った部屋の中には麻雀部であることを示す雀卓があり、そして一人の男性がいました。 「ん? 二人とも新入生か? ここに来るってことは入部希望者だよな?」 私たちに気づいた彼はそう問いかけました。 「ふふーん、そうだじぇ! この優希様とのどちゃんがこの部に入るんだ喜ぶがいい!!」 「そうか、丁度良かったよ。俺を含めて三人しか部員がいないから同好会に格下げする話が出ていたらしいからさ」 三人と言う少なさに私は驚きました。だって、卓の面子さえ揃わない人数だったからです。 「つまり、私たちは救世主というわけなんだな!」 「そうなるな。あっ、俺は須賀京太郎、お前らと同じ一年生だよ。よろしくな"優希"と、"のどちゃん"?」 「何!? お前も一年だったのか、よろしくな"京太郎"!」 彼の口振りからてっきり上級生かと思っていましたので少しビックリしました。 そして同じ一年生と言うこともあり、優希は気安く彼に話しかけます。そこが彼女の凄いところで私にはちょっと真似できません。 「私は原村和です、こちらこそよろしくお願いします」 「おう、先輩は家の手伝いで休みだし、部長は遅くなるそうだから今日は四人で麻雀は打てないな。この入部届けに名前書いたら渡しておくし、優希と"のどちゃん"は帰っても良いんじゃないかな?」 のどちゃんですか。 初対面の男性に愛称で呼ばれるのは少々嫌ですね。まあ、優希がそう呼んでいたから流れでそうしたんでしょうけど。 「すみません、のどちゃんは辞めてもらえないでしょうか、"須賀くん"?」 「ああ、馴れ馴れしかったか? 何て呼べば良い?」 私が返事をするよりも早く優希が口を開きました。 「優希で良いじぇ! これから同じ部活の仲間だし、堅苦しいのは面倒だからな」 彼女の言葉を受け、彼は私に確認するように窺いました。 空気が読めないと言われることもありますが、大丈夫です読めていますから。 「好きに呼んでください」 「そうか、それで優希と和はどうする?」 まあ、のどちゃんよりはマシですからよしとしましょう。 それにしても、雀卓はありますし、時間もあります。麻雀部ですし、お互いに交流を深めるためにも麻雀は最適ではないでしょうか。 「そうですね、せっかくですから三麻でもしませんか?」 「三麻か、それも面白いじぇ!」 乗り気な優希を見て我ながら良い提案をしたと思いました。しかし、彼は申し訳なさそうに困り顔で頭を擦りながら答えました。 「ごめん、実は三麻知らないんだ。と言うよりも初心者で麻雀のルールもまだいまいち分からないんだよな」 「…………」 気まずいです。 「お前、初心者だったのか。なんならのどちゃんが手解きするじょ?」 「「…………」」 そこは自分が教えると言わないあたり、優希は自分が説明下手であることを自覚していたんですね。 「えっと、迷惑じゃないのか?」 「気にするな! 誰もが最初は下手っぴな初心者なんだじぇ! むしろ、京太郎は己の幸運を喜ぶが良い!!」 「何で優希が偉そうに言ってんだ?」 当然の指摘も受け流し、優希は舌をチッチっと鳴らしながら指を振ります。 「のどちゃんは昨年のインターミドルのチャンピオンなんだじょ! つまり、日本で一番麻雀が上手かった女子中学生、凄いだろう!」 「マジ?」 彼は優希の冗談だと思ったのか私に確認を取ります。 この反応には少し新鮮な気分を感じずにはいられませんでした。 インターミドルを制したことで私は有名になりました。見ず知らずの人でさえ私のことを知っている、見覚えがある。それが普通になっていたからです。 先日に初めて顔を会わせたクラスメートは誰もが私のことを知っていました。 だから、本当に私を知らない人と接するのは久方振りだったからです。 「ええ、本当ですよ」 「へえ、和は凄いな。優希も上手いのか?」 「おう、東場の私は最強だじぇ! それにのどちゃんは胸も凄いからな。大きくて、柔らかくて、まだ成長しているし」 優希がそんなことを口走ったせいで彼は私の胸をジロジロと見ました。全く、男の人は困ったものです。 その舐めるようなイヤらしい視線から逃げるように思わず手で胸を隠さずにはいられませんでした。 「須賀くん!?」 「あっ、ごめん。確かに凄いものだから、ついな……ああ、それで、麻雀教えて貰っても良いか?」 「ええ、それじゃあ始めましょうか-- -数ヵ月後- 人は一度意識してしまえばどうにもならないのかもしれません。 「なあ、犬は入る部活を間違えたんじゃないか?」 「京ちゃんは運動が得意だからね」 別のクラスの彼や咲さんとも体育の授業は合同に行われます。男女では別れているんですが、互いの授業風景を確認できる距離ですることも珍しくはありません。 「あいつ運動部の奴らよりも目立ってるんだけど?」 「ほら、京ちゃんは背も大きいし、中学の頃は運動部だったから」 「凄いですね」 本当に凄いと思います。 テニスの時間でも活躍していましたし、夏の水泳でも圧巻でした。今のバスケでは相手のマークを抜き、切り躱し、次々と得点を稼いでいきます。 「うわぁ、マジか? あいつダンクを決めやがったじぇ……」 「防ごうとした高久田くんが倒されてるね……」 な、何センチ飛んだんですか。 ありえません、おかしいです、ええ、本当に間違ってます。 見ていた女子たちの間から黄色い声援が飛んでいきます。 「チッ、犬め調子に乗りやがって……」 「デレデレな顔でみっともないよね……」 優希と咲さんは不満気です。 二人はおそらく彼のことが好きなんだと思います。確かに、客観的に見れば須賀くんは格好良い男の子です。 顔も整っていて、運動も出来、気配りも上手く、手先は器用で、誰とでも仲良くなれる優しい人。ええ、彼は誰にでも優しい、優しすぎるんです。 優希がタコスが食べたいと我儘を言えば、文句を言いながらも買ってきます。 咲さんが迷子になればすぐに探しに向かい、見つけて連れ帰ります。 染谷先輩に頼まれてroof-topで働いていますよね。 部長の無茶ぶりにも頷き、黙って従っている。 「狡い……」 「ん? 何か言ったかのどちゃん?」 「いえ、何も」 「…………」 本当に狡いのは私かもしれませんね。 彼に見られて嬉しいくせに、彼の姿にときめいているくせに、声を聞くだけで、心臓の高鳴りにも気づいている。 私は踏み込まない、踏み込ませないように澄ました態度ばかり。 どうしようもない。 そのくせ、彼が他の人へと目移りしないように思わせ振りな態度も時には取る。 友人を裏切りたくないから。 彼が誰かに取られるのも嫌だから。 どっちつかず、卑怯ですよね。自分の本性がこんなにも浅ましい人間だとは知りませんでした。 「そろそろ私たちも出番ですから頑張りましょうか」 「そうだね、優希ちゃん頑張ってね」 「いやいや、咲ちゃんも頑張れよな。のどちゃんだって下手なりに一生懸命にやっているんだからさ」 「あはは、私は文学少女だから運動は………」 「はあ……」 あの日、初めて彼に麻雀の手解きをした。 あの日、県予選の個人戦で負けて教えを乞われた。 あの日、インターハイが終わり真剣な顔でより求められた。 変遷を遂ていく彼の姿に私は-- カンッ!
https://w.atwiki.jp/blazblue/pages/2161.html
レバー操作に慣れないんだけど… レバーなんてクソだ! やっぱパッドがいい! レバー操作に慣れないんだけど… 格闘ゲームをプレイする前に、レバー自体に慣れる必要があります。レバーの持ち方の項目を参考に、持ち方やボタンの押し方を確認して行きましょう。 レバーなんてクソだ! やっぱパッドがいい! アーケード、ゲーセンでゲームをやりたい場合、レバーとボタンでの持ち方に慣れる必要があります。文句を言っても仕方ないので、そこは自分をゲームに合わせて行きましょう。 名前 コメント すべてのコメントを見る