約 1,475,895 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1142.html
「だーじぇ♪ だーじぇ♪ だーーーーーじぇ!」 ちょこんとした饅頭体型の体。頭に体に合わせたかのようにこれまた黒くて小さなとんがり帽子。 金髪を上下に揺らしながら、土の上を跳ねている謎の物体。 ゆっくりまりさである。 そのゴルフボール程度の大きさから、まだ生まれて1~2週間程度の赤ちゃんだろう。 このぐらいの頃なら親が付きっきりで面倒を見ている筈なのだが、このまりさはたった一人である。 先ほどから楽しそうに歌いながら調子よくピョンピョンと田んぼ道を跳ねていく。 意気揚揚とまりさが向かったのは町の中だった。 そのまま土の道からアスファルトの歩道に乗り上げると、ペースを変えることなくまたどんどん進んでいった。 しばらく跳ね続けると、次第に周りの景色も変わってくる。 コンクリで出来たアパート。色とりどりの花がある花屋。そして全くゆっくりしていない車 見るもの全てが生まれて始めたみたものばかり。まりさはそれらに目を輝かせながら跳ね続けていた。 「ゆ! いいにおいがするんだじぇ。」 突如現れたにおいをくんくんと嗅ぎとり、まりさは自分の鼻孔?を擽る甘い匂いの元へすぐさま跳ねていった。 まりさが町に来たのには理由がある。 まりさの親であるれいむおかーさんとまりさおとーさんは、知り合いのおにーさんの畑で働いている。 所謂共働きだ。 家がおにーさんの庭の中の一か所にあるので安全なせいもあってか、最近まりさは日中一人で過ごすことが増えた。 増えたといっても実際はまだ2日ぐらいなのだが、ゆっくりの感覚で言えば結構長いのである。 寂しさを紛らわそうと色々遊んでみたがやはりつまらない。 それならおにーさんが言ってた町へいってみよう。 そしたらきっと二人も町に来てくれるはずだ。 そんな単純な考えからだった。 「とってもゆっくりできるんだじぇ!」 実はまりさの周りにいた人間は、まりさが怪我をしないように足を止めたりしていたり 町に住んでいるゆっくり達が、 「ゆふふ……げんきなまりさねぇ」などと暖かい視線を向けながら まりさを踏まないように周囲の人間に注意を促していたしていたのだが まりさはそれに気付かなかった。 甘い甘い匂いの元を求めて路地裏へホイホイ入って行ってしまったまりさ。 匂いを求めてゴミやらなんやらが大量に置かれている道を懸命に進む。 「だぁーじぇ! あぶないんだじぇ! ゆっくりできないんだじぇ!」 落ちていたアルミ缶に危うくぶつかりそうになりながらも、意外と落ち着いた足取りで進むまりさ。 しかし流石に疲れていた。 呼吸も大きくなり、汗でもちもちお肌がベトベトになってきた。 これではまりさ自慢のキューティクルヘアーも台無しである。 「ゆっ! ゆっくりするんだじぇ!」 適当な休憩場所を求めて辺りをウロチョロと見回すまりさ。 しかしここは路地裏。ゆっくりできなさそうなゴミやネズミなどが大量に居るのでゆっくりできそうにない。 ここで女子高生吸血鬼とエジプト二ーソでも居れば話は変わったのだが、それを望むこともできず。 押し迫る不安をなんとか払いのけようと、体をぶるぶると奮わせて、気合いを入れる しかし気合いを入れどもゆっくりできる場所は見つからない。 仕方がないので疲れた体でなんとか路地裏を抜けることにした。 「ゆぅー? ゆゆ! とってもひろいんだじぇ!」 路地裏を抜けた先は、だだっ広い空間が広がっていた。 簡単に言えばバスケットコートである。 手入れは十分とは言えないが、ビルの間に挟まれて生まれた空間。 古ぼけたゴールと周りを囲むフェンス。空から微妙なさじ加減で降り注ぐ光。 それらが合わさりアメリカンな空気が最強に見えなくもない場所。 まりさの家の周りも十分広い。というか広さだけならここよりずっとある。 しかし初めて見る幼き言葉では形容しがたい景色にしばし呆然となった。 ふと我に帰ってどこかゆっくりできそうな場所がないか探し始めた。 幸いにも、水飲み場がそこにあった。まりさは水があるそこへ向かう。 「ごーく! ごーく! つべたいんだじぇー♪」 水飲み場に溜まっていた水で喉を潤せたからか、まりさの顔には笑顔が戻った。 「ゆゆゆ~♪ まりさはまりさだじぇ!」 誰も聞く物がいない自己紹介をしながらもしばらくゆんゆんと歌い続けていた。 誰も居ない空間である。 まりさの声はよく響いた。 自分の甲高い声が自分の耳に入る。 他に何も音がしない。 だから気づいた。 こんなに世界は広いのに、自分は今ひとりぼっちなことに。 上にも横にも誰もいない。 たとえ仕事が終わったばっかで疲れていてもすーりすーりしてくれたれいむおかーさんが まりさが食べたいといったはちみつを、ハチさんに刺されながらも取ってきてくれたまりさおかーさんが 自分は今一人なのだ ふと思い出したその事実が、心の中に恐怖を生み出した。 「ゆぐぅ……ゆっゆっ……ゆぅ。お、おきゃぁああああしゃぁあああああああああああんん!!!!」 淋しさのあまりまりさは泣きだした。 叫べばきっと二人が来てくれると信じて ただひたすら泣き続けた。 「ごめんなざぁぁああああああああいいいいい!!! ばりざごわいよぉおおおおおお!!!」 カツン。と、何かの音が聞こえた。 まりさはとっさにそっちの方を振り向く。 「おきゃーしゃん! まりささびしかったんだじぇ……じぇ?」 おかーさんが来たと思って振り向いた先に見えたのは…… 「おいおい、ゆっくりが居るぜゆっくりが。」 「おれ初めてみたよ。」 「俺も俺も。」 「どーするよ豪傑君?遊んでみねえ?」 まだ高校生ぐらいの男が三人と。 「ゆゆー! とってもびっくなんだじぇー!」 身長2m近い男子高校生がいた。その筋肉ムキムキな体は明らかに場違いである そして始まる追いかけっこ。 「にげるんだじぇぇええええええええええ!!!」 「まてやこらー」 「ゆっくりしていってほしんだじぇええええええええええええ!!!」 「しるかぁああああああああ!!!」 「だじぇええええええええええええ!!!!」 「だじゃあああああああああああああ!!!」 「きゃはははははははだじぇええええええ!!!」 「うふふふふふふだゴラァアァァァァァァ!!!」 「おれゆっくり触るの初めてなんだー」 「へへ……どうしてやろうか?」 「キャッチボールだろキャッチボール」 「サッカーでもいいよね?」 たちまち四人に囲まれたまりさ。 後ろは壁。前は子供 まさしく四面楚歌 絶体絶命である。 「ゆぐぅ……うふふふふふ……ごわいよぉおおおおおお!!!!」 恐怖でパニくって前世の記憶やらなんやらが交わりもう視点も定まらないありさま。 (おきゃーしゃん……ごめんなさいなんだじぇ……) 「そこまだぜ!」 「ゆっ!!!」 何かが上から降ってきた。 見覚えのあるその体。 それはまぎれもなく 「おぎゃぁあああああああしゃぁあああああああん!!!」 まりさはすぐにれいむおかーさんの頭の上に飛び乗った。 「ゆゆ!ゆっくりおかーさんのあたまのうえにいてね!」 「いまこのわるいにんげんさんをかたづけるからね!!!」 不敵に笑う二人に、ヤンキー側は露骨に嫌な顔をした。 「おいおいお前らで勝てると思ってんのか?:」 「勝てるわけねーだろjk」 「豪傑君なめんなよ? ここらじゃ豪傑番長って言われてるんだぜ?」 肩を揺らしながら詰め寄るヤンキー。 まりさは怯えていたが、二人は違っていた。 「ゆッ! ゆっくりはパワーだぜ!」 まりさおかーさんは突如飛び上がるやいなや、近くに居たヤンキーAの鼻へ体当たりをかました。 これにはヤンキーも予想外だったようで、無防備な顔面にクリーンヒットした形になった。 「おおっと。……てめえ!」 なんとか体制を戻そうと踏ん張るヤンキーA。 しかし今度は踏ん張ろうとした左足へ噛みつかれた。 「あぎゃあ!」 片足になってしまいバランスを崩したヤンキーはそのまま倒れる。 しかも運悪く倒れた先がベンチだったために更にダメージは加速した。 「お、おい!」 「ゆっへん!」 おろおろし始めたヤンキーと堂々としたまりさおかーさん。 まりさはその光景を信じられないような顔で見つめていた。 「まりさははたけしごとできたえられてるんだよ! ゆっくりりかいしてね!!!」 れいむおかーさんは誇らしげにそう言った。 その時、騒がしくなったヤンキーの集団の中。たった一人だけ今まで喋らなかった男が動いた。 「ふん。威勢はいいな。」 モヒカンの男が動いたことにより、ヤンキー側は一層慌ただしくなった。 同時にまりさも感じていた。この男はレベルが違うと。 流石のまりさも相撃ち覚悟で挑まざるえないと思った刹那 「お前ら行くのはやいっつーの!」 「ゆ! おにーさん!」 第三の乱入者はまりさとれいむが働いている畑の主だった。 20代前半ぐらいの中肉中背のパッとしない男である。 「あーもういいから早くいけ。んで今日はもう仕事しなくていいから。町で遊んできゃいいだろ。」 突然現れて突然の発言。まりさとれいむは申し訳なさそうな目でおにーさんを見ていた。 「ゆぅ……でも「いいからいけっつーの」 三人を掴むと、軽々路地裏へポイッと放り投げるおにーさん。 きちんと着地するとれいむはおにーさんの方へ振り向き 「おにーさんありが「きこえなーーーーーーーーーーーーーい!!!」 おにーさんのよくわからない発言で遮られた。 まりさはれいむおかーさんの頭の上にいた。 しかし先ほどから一言もしゃべらない。 怖いのだ。怒られるのが。 ちらりと、まりさおとーさんの方を見てみる。 すると、まりさおとーさんは二コリと笑った。 何故わらったのかまりさにはわからない。 それに続いてれいむおかーさんがこう言った。 「みんなでまちでゆっくりしようね!」 まりさは目から流れる何かが口に入ったのを感じた。 しかしそれを気にせず大きな声で言った。 「わかったんだじぇ!」 三人は路地裏を抜けて、明るい町へ歩きだした。 【オマケ】 身長2m近い豪傑。そして畑のおにーさん。 二人の間には30cmの距離しかない。 そんな近距離でにらみ合っていた。 「……殺す。」 豪傑と呼ばれた男は突如、腰を深く落とした。 「ヒャッハー! 豪傑君は空手の全国大会ベスト4に入るんだぜー!」 隣のヤンキーが何やら騒ぎ出す。 しかしおにーさんにそんなことは関係ない。 「なあ。」 覇気のない声でおにーさんが言った 「……なんだ?」 豪傑は思わず聞き返した。 「ジェノサイッ……カッタッ!」 「うぎゃぁああああああああ!!!」 野生のボックスまりさの人です。だじぇだじぇ言いたかっただけです。 畑おにーさん、過剰防衛w -- 名無しさん (2009-05-03 13 33 57) 9〜10割ジェノサイですねわかります -- 名無しさん (2009-05-08 09 48 18) 畑のおにーさんってルガールかよwww -- 名無しさん (2009-05-09 20 52 55) やったー!おにいさんカッコイイー! -- 名無しさん (2010-11-26 19 14 05) だじぇだじぇまりさそういう物もあるのか… -- 名無しさん (2013-07-11 12 44 29) おにーさんかっけえw -- 名無しさん (2013-09-24 23 08 13) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vipdetenho/pages/530.html
VIPだじぇ 出没場所 東風アリアリ 好きな役 特になし スタイル 天衣無縫 この言葉が好きで使ってみたかっただけ 段位 6級だじぇ こんな名前だけど咲見る前から麻雀やってた 咲厨でも釘宮病でもないじぇ 語尾にだじぇがついたりつかなかったり 最近ちょっとフリーをがんばりだした サブ垢 東横桃子@鶴賀 3級 サブがメイン越えてどうすればいいか混乱してる アットマークは全角のほうだよ! - 人が今日来ました いろいろな牌譜 +... トルプルロンくらった 運がいいのか悪いのか http //tenhou.net/0/?log=2009062416gm-0001-0000-xbf933c90baaf tw=1 ラス親の小四喜 テンションあがって腰抜かしそうになった http //tenhou.net/0/?log=2009052922gm-0001-1901-xb18ddf23574b tw=3 大三元の牌譜流れてた 泣きたい
https://w.atwiki.jp/sakideeroparohokanko/pages/40.html
トップページ メニューだじぇ 進行状況 スレ別保管庫(おすすめ) カプ別 全部 コメント 人気ページ(合計) スレ別保管庫 (56173) 甘い衣 京太郎×衣 衣の人 (30651) カプ別 (29909) 京太郎・咲 (25138) 咲-saki-でエロパロ2局目 (23089) 衣調教in era咲 (22340) 京太郎・和 (21782) 人気ページ(今日) カウンターの値があるページは1つもありません。 人気ページ(昨日) スレ別(おすすめ) (1) 合計: - 今日: - 昨日: - ここを編集
https://w.atwiki.jp/shienki/pages/357.html
namber:わっふるわっふる 紫炎姫:!? ステルスモモ:!? のどっち:!? わっふるわっふると書き込んだ後の事はよく覚えていない。 ただ3人の様子がおかしかった事、それを見て逃げるように退室した事をおぼろげに覚えている。 「私はどうしたいのでしょうか?」 自分に問い掛けるが答えは返ってこない。 それはそうだ。自分でも自分の気持ちが分っていないのだから。 ただあの時は続きを読みたいと思い、読むにはわっふるわっふると書かなければならないから書いた。それだけだった。 だが冷静に考えると拙かったという事に気づく。 「あんな事を書かれて、それでも続きを望んでしまうなんて……」 普通に考えてない。3人の反応も当然のものだろう。 だというのにあの時は知りたいと思ってしまった。 それは私があのような展開を望んでいるから? 二人きりで会って、口付けを交わし、それ以上の事を── 「いやいやそれはないです」 危うい方向に行きかけた思考を声に出して止める。 「ない……はずです……」 だけど止めきる事は出来なかった。 だって会いたいとは思っているのは事実なのだ。 「紫炎姫さん」 呟きながらパソコンの壁紙を見つめる。そこにはリアルでは会った事のない紫炎姫さんが写っている。 「やっぱり綺麗……」 のどっちさんがからかいながらくれた画像。それを見るだけで不思議な気持ちを抱いてしまう。 胸がどきどきして、締め付けられるような痛みを感じてしまうような気持ち。 「恋、なのかな?」 私は今までに恋をした事がない。さらに言うならば紫炎姫さん達に出会うまで友達もいなかった。 だからこの気持ちが友達に抱く好意なのか、好きな人に抱く好意なのか分からない。 私はこの気持ちが何なのか知りたい。 これが友達に抱く気持ちならそれでいい。だけど好きな人に抱く気持ちだったら? 「女の子が女の子を好きになるなんておかしいですよね」 のどっちさんやモモさんが聞いたら否定するであろう言葉を口にする。 あの人達が言うには恋に性別は関係ないみたいだ。 たまについていけない時があるけど、その気持ちは純粋に尊敬してしまう。 あれ程の気持ちを向けられる人はきっと幸せなんだろうと思ってしまう。 紫炎姫さんも想う気持ちは否定していなかった。気持ちがあっちの方向に行く時は否定していたけど。 だから私が紫炎姫さんに好きな人に抱く気持ちを持っても── 「いえいえまだ分からないですって」 それにもしも、仮に、例えば、私が紫炎姫さんに恋していたとしても、 私が女の子を好きになっちゃう女の子だとしても── 「紫炎姫さんは普通の人ですよね……女の子を好きになんてならないですよね」 だったら私が好意を抱いても迷惑なのでしょうか。 でも紫炎姫さんも男の人には興味ないみたいな事も言っていたし。 「あー、やめやめ、やめです」 言葉に出し、思考を打ち切る。考えたって分かるはずないのだ。 それにこの気持ちが何でも構わない。今は皆と一緒にいたい。それだけだ。それでいいのだ。 「皆さんに会いましょう」 からかってるような、応援してくれるようなのどっちさんにはちょっと困る。それでも皆と会えるのは嬉しい。 そう思い、私はいつもの部屋に入る。 紫炎姫:そういえばお前の所のタコス娘 のどっち:あいつがどうかしたか? 紫炎姫:お前あいつともそういう関係なの? ステルスモモ:のどっちさん……!? のどっち:いやいやそれはねーよ。どうしてそう思ったのかが疑問だよ 紫炎姫:合宿の時見てたんだが異常に仲が良くないか? のどっち:お前の中では仲が良い女は皆gtyrなのか ステルスモモ:普通の事だけどのどっちさんが言うとおかしいっす!不思議! 紫炎姫:いや、だってこいつだしさ ステルスモモ:でもむらさきさんの言う事ももっともなんっすよ のどっち:なんでだよ? ステルスモモ:あの子がのどちゃんは私の嫁だじぇって言ってるのを聞いたっすよ のどっち:ちょ、おま 紫炎姫:ほうほう 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ(ニヤニヤ のどっち:やめろ 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ! のどっち:嫁がいるのに浮気なんてしねーよ 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!! のどっち>ステスルスモモ:お前が余計な事言うから…… ステスルスモモ>のどっち:申し訳ないっす 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ? 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!? のどっち>ステスルスモモ:マジこいつどうにかしてくれ ステスルスモモ>のどっち:最近弄ってたから色々と溜まってるんじゃないっすか 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!? のどっち>ステスルスモモ:そうかもしれないな。まあちょっとくらい我慢してやるか 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ! 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!! 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!! 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!! 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!!! のどっち>ステスルスモモ:ちょっとじゃねーorz ステスルスモモ>のどっち:ログが嫁宣言で埋められてるっすね 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!? 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!? 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!!? 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!!!? 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!!!!!!? ステスルスモモ>のどっち:のどっちさんもてもてっすね のどっち>ステスルスモモ:こいつにこんな事言われても嬉しくねーっての ステスルスモモ>のどっち:でもこれがsさんだったら? namberさんが入室しました 紫炎姫:のどちゃんは私の嫁だじぇ!? のどっち:私はいっこうに構わん!!!! namber:え ステルスモモ:あ 紫炎姫:は のどっち:へ namberさんが退室しました 紫炎姫:おい? ステルスモモ:のどっちさん囁きになってないっすよ のどっち:あの、その 紫炎姫:おい? ステルスモモ:何も知らずにログだけ見ると ステルスモモ:嫁宣言してるむらさきさん ステルスモモ:そしてそれを受けるのどっちさん ステルスモモ:イエス、フォーリンラブ 紫炎姫:おい? のどっち:間違いちゃいました。てへ☆ 紫炎姫:お前何やってるんだよ!!! のどっち:先にやったのはお前だろうが!!! 紫炎姫:ただでさえ最近誤解されるような事が多いのに!!! のどっち:ゴキブリの事は仕方がないじゃないですか!!! 紫炎姫:ぐぬぬ のどっち:ぐぬぬ ステルスモモ:南場さんどうしてるんっすかねー 「紫炎姫さん……のどっちさん……」 のどっちさんは応援してくれている気がしたのに。 その夜私は泣いた。 わっふるわっふる、さて、切なくなってまいりました -- ※の人 (2009-12-12 14 19 25) ひぃいいい!!!南浦ちゃん頑張って!! -- 名無しさん (2009-12-12 16 44 12) (誤解からの)ライバル出現(という勝手に認定)がなんぽさんの想い(を明後日の方向)に火を付け、ついにイェス、フォーリンラブ! -- 名無しさん (2009-12-12 21 08 28) なんぽさん、完全に恋するオトメだな。いいぞもっとわっふるわっふる -- 名無しさん (2009-12-13 01 26 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/958.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1346145422/ むかし、むかし、あるところに一人のアラサーがおりました。 アラサー「アラサーだよ! ………え!? 合ってたよ!///」(焦) アラサーは名を“健夜”といいました。 アラサーはこれといった取り柄もなく、30間近で独身でした。 人に自慢できることと言えば、大陸から伝わってきた“まあじゃん”のルールを知っていることぐらい。 他にできることもないので、アラサーは“まあじゃん”を子供達に教え、生計を立てておりました。 しかし、子供達にルールを教えたところ、たちまち自分より上手くなってしまいます。 アラサーにとってこのことが、悔しくて悔しくてたまりませんでした。 あくる日、アラサーが川でストレス解消に水切りをして遊んでいると――― どんぶらこっこ、どんぶらこっこ…… 大きな桃が流れてきました。 アラサー「おお、桃じゃ桃じゃ! でっかい桃じゃ!」 服が濡れることなど微塵も気にせず、アラサーは川に飛び込み、大きな桃を手に入れました。 アラサー「取ったどぉぉぉぉぉーーーーーッッ」 アラサー「お母さんに切ってもらおう」 ホッコリ アラサーは実家暮らしでした。 アラサーの母が桃を真っ二つに割ると、なんと中からかわいい赤ん坊が飛び出しました! 赤ん坊「ほぎゃあ、ほぎゃあ」 アラサーの母は大いに驚きました。 アラ母「おぉ、これはなんと摩訶不思議なこともあるものだ」 アラサー「桃うめぇwww」 アラサーは桃にしか興味がありませんでした。 アラサーの母は赤ん坊を抱き上げると、こう言いました。 アラ母「名前を付けてあげなくちゃねえ」 アラ母「お前が拾ってきたんだから、お前が名前をつけておやり」 しかしアラサーには興味がありません。 シャクシャクと桃をかじりながら、適当に言い放ちました。 アラサー「今日生まれたから、“今日太郎”で」 もちろん、ひっぱたかれました。 しかし、響きは悪くない、と思ったアラサーの母は、京の都から文字を取り 赤ん坊を“京太郎”と名付けました。 アラ母「今日からお前は京太郎だ。立派に育ちなさい」 京太郎「ほぎゃあ、ほぎゃあ」 アラサーはうるさいなぁ、と思いました。 思わず言葉が口から出ていたので、またひっぱたかれました。 アラサーの母は京太郎を大層大事に育てました。 初めは京太郎のことなど、どうでもよいと思っていたアラサーでしたが 男前に育っていく京太郎を見て、いつの間にか可愛がるようになりました。 アラサー「愛いのう、愛いのう」 京太郎「お母ちゃん、大好きー」 アラサー「私もだよ、京太郎」 アラサー(くっくっく、大人になったらお婿さんになってもらおう) しかしその頃になると、アラサーがアラフィフになってしまうことはまったく考えていませんでした。 そして時は流れ―――― 京太郎が16歳の誕生日を迎える日のことでした。 「起きなさい。起きなさい私のかわいい京太郎や……」 京太郎「あ、お母ちゃん、おはよう」 健夜「おはよう京太郎。もう朝ですよ」 健夜「今日はとても大切な日。京太郎が初めてお城に行く日だったでしょう」 健夜「この日のために、お前を勇敢な男の子として育てたつもりです」 京太郎「うん」 健夜「さぁ、行ってらっしゃい!」 京太郎「えっ? お母ちゃんは?」 健夜「一人で行ってきなさい。あ、おかあさーん、冷蔵庫のスイカ切ってー」 京太郎「…………」 アラサーはアラフィフになっても相変わらずでした。 京太郎「……ったく、お母ちゃんはずっとダメダメだよなー。反面教師に丁度いいけど」 京太郎「……でも麻雀だけはすっげー強いんだよなぁ……」 京太郎はアラサーの母の教育と、アラサーのダメダメっぷりによって立派にたくましく育ちました。 そんな京太郎がお城に向かって歩いていると…… 「おーい、犬! 私も一緒に行くじぇ!」 小柄な女の子が声をかけてきました。 この、京太郎を犬呼ばわりする女の子、名を優希ちゃんといいます。 二人は幼馴染の間柄でした。 優希ちゃん「これからお城に行くんだじょ? あー、初めて入るなぁ」 京太郎「おいおい、勝手についてくんなよ」 優希ちゃん「なんだと! むしろついてくるのはお前の方だじぇ! なんせ犬だからな!」 京太郎「はいはい、お供いたしますよっと」 お城についた二人は、すぐにお殿様との謁見を許されました。 お殿様「おお、よくぞきた、京太郎に優希ちゃん!」 お殿様「京太郎が次のレベルになるには――」 じい「殿! それ以上はいけませぬ!」 お殿様「おお、すまぬすまぬ! わしとしたことが、“めたふぃくしょん”に飲まれておったわ!」 京太郎「お殿様! 僭越ながら申し上げますが、今日は何用で私めを……?」 お殿様「うむ! おぬしもこの“ありあ藩”に住んでおるならば知っておろう!」 お殿様「“みやなヶ島”のテルのことを」 優希ちゃん「テル! テルって、あのテルか!?」 京太郎「こら優希、お殿様の御前で!」 お殿様「よい。今日おぬし達を呼んだのは他でもない、そのテルのことじゃ」 京太郎「そうでござりましたか」 優希ちゃん(いつの間にか、私もカウントされてるじょ) お殿様「みやなヶ島のテル達が我が藩を荒らしまわっておることも知っておるな?」 京太郎「はい」 優希ちゃん「もろちんだじぇ!」 京太郎「こら優希、はしたない!」 お殿様「よいよい!」 じい「殿、優希ちゃんには激甘ですな!」 お殿様「だってよ……優希ちゃんなんだぜ?」 京太郎(意味がわからん!) 優希ちゃん「いやー、人気者はお得だじょ」 お殿様「して、優希ちゃん。おぬしに頼みたいことがあるのだが……」 優希ちゃん「おう! どんとこい!」 京太郎(あれ? 呼ばれたの、俺だよね?) お殿様「これからみやなヶ島に行ってテル退治をして欲しいのじゃ!」 優希ちゃん「わかったじょ!」 お殿様「じい、例の物を」 じい「ははっ、優希ちゃん、こちらをお受けとりくださいませ」 優希ちゃんが受け取った例の物とは、袋にたくさん入った“きびタコス”でした。 優希ちゃん「おおっ! これはタコスだじぇ!」 京太郎(あれ? これ最初から優希を呼ぶ手筈だったんじゃね?) じい「そのタコスで、旅のお供を勧誘するがオススメですぞ」 優希ちゃん「ほぉほぉ。なるほど」 お殿様「しかもそれはただのタコスではない。きびタコスじゃ。食べた物はたちまち、ちからみなぎるであろう」 優希ちゃん「すごいじぇ! ありがとーな、お殿様!」 お殿様「はっはっは! よいよい!」 優希ちゃん「しかし、きびタコスかー。まるで“きび団子”だじぇ!」 優希ちゃん「きび団子といえば桃太郎。そのお供といえば、犬・猿・雉!」 優希ちゃん「つまり犬! 京太郎は第一のお供、犬だったんだじぇ!」 京太郎「な、なんだってーーーーー!?」 京太郎(俺が桃太郎じゃねえのかよ!) 優希ちゃん「なんで小さい頃から京太郎のことを犬と呼んでいたのか……これで合点がいったじょ」 京太郎「むりやり納得したようにしか思えん」 優希ちゃん「とりあえず、ほれ! きびタコスをやろう!」 京太郎「う……わ、わかったよ」 京太郎(なんか知らんが、ここでごねても空気を悪くするだけだろ……) パクパクモグモグ…… 京太郎はきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。 すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。 犬「おぉ! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」 犬「――って、俺の名前が犬になってるんですけど!?」 優希ちゃん「おお! 京太郎は私の犬だからな!」 京太郎はきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“犬”に選ばれてしまいました。 もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。 優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。 これはとても光栄なことでした。 犬(光栄なんだ……) お殿様「いwwwwぬwwwwwwwうぇっwwwwwうぇっwwwww」 犬(うぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーいッッ!! 殿様笑い転げてるーーーーッ!!) じい「優希ちゃん、そして犬殿…………プッwww犬wwww犬殿wwwwwwwwwプスーッwwwww」 犬「あんたもかよ!!」 じい「し、失礼……。この城を出たところに……プーーーーッwwwwwww」 犬「あああああああ! もう、いっそ笑うなら思いっきり笑ってくださいよ!!」 じい「い、いや……それでですね……そこに異人が経営する酒場があるのです」 じい「旅のお供を探すのであれば……そこがよいでしょう」 犬(ついに俺の方を見なくなった……) じい「」 チラッ 犬(……?) 首かしげ じい「wwwwwwwwwwwwww」 犬「うぁぁぁっぁぁぁあぁぁーーーーっ! こんな酷い扱い、生まれて初めて!」 優希ちゃん「異人の酒場か! わかった! ほら、犬! 行くじょ!!」 テル退治の命を受けた優希ちゃんは、お供の犬を連れて異人が経営する酒場へとやってきました。 その酒場、名を“ルイー○の酒場”といいました。 ルイー○「マンマミーア! ワッフーッ! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の麻雀要素 犬「わ、この町に住んでるけど、異人さんは初めて見たぜ」 優希ちゃん「酒場なんて子供の来るところじゃないしな。さ、仲間を探すじぇ!」 優希ちゃん「緑のおっさん! 仲間を探したいんだじぇ!」 ルイー○「ハッハー! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の麻雀(ry 犬「日本語通じないみたいだな……」 「あっ! ゆうきちゃんだ゙ア゙ア゙ァ゙゙ァ゙ア゙~~~~~」 優希ちゃん「お、桜っこだじぇ!」 桜子「わ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙! なにしにきたの~~!?」 ギバード桜子、異人のお店で通訳をしている娘子でございます。 優希ちゃん「仲間を募集したいんだじょ! みやなヶ島のテル退治だじぇ!」 桜子「ゔん゙っ! わかった!」 桜子「おじざア゙ア゙ァ゙ァ゙ア゙~~~~~~!」 ルイー○「レッチェゴォ! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の(ry 桜子「ゆうきちゃんがなかまさがしてるんだって~~~!!」 ルイー○「リュウイーソー!」 ←申し訳(ry 桜子「ふんぎっ」 ルイー○「…………」 ルイー○「何 それは本当かね!?」 犬「日本語喋れんのかよ!!」 店の主、ルイー○の呼びかけで一人の勇士が名乗りをあげました。 「わたしが行こう!」 優希ちゃん「おお~~! 凛々しそうなお姉さんだじぇ!」 「わたしはこういう者だ」 その勇士はご丁寧に名刺を差し出しました。 ┌──────────────┐ │職業:るろうに剣心 | | | │ カ ジ キ | │ │ │ ユ ミ │ │ │ | | └──────────────┘ 犬(職業、なにーーーーーー!?) ゆみ「よろしく!」 キラットサワヤカ 優希ちゃん「ふむふむ。きみじゆか?」 ゆみ「ち、ちがう! 横に読むのだ!」 優希ちゃん「きじか、みゆ?」 ゆみ「ちがーーーーう! 左からだよ左から!」 犬「こ、こいつ西洋かぶれだぜ、優希!」 優希ちゃん「はっはー、なるほど。でもここは日本だじぇ! 日本じゃ右から読むのが常識だじぇ!」 ゆみ「!!」 優希ちゃん「つまり、お前は“キジか”……キジだじぇ! お供のキジなんだじぇ!」 犬「な、なんだってーーーーーー!?」 ※右から読むというのは実際、横一行の縦読みなだけです 優希ちゃん「というわけで、ほれ。きびタコスを食うじょ!」 ゆみ「な、なんだこれは……」 優希ちゃん「ちからみなぎる不思議なタコスだじぇ! お供には分けてあげるのが優希ちゃん流なんだじょ」 ゆみ(…………変なクスリ入ってないだろうな) パクパクモグモグ ゆみはきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。 すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。 雉「おお! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」 雉「――って、わたしの名前が雉になっているじゃないかーーーーー!!」 優希ちゃん「おお! やっぱりおまえはキジだったじぇ!」 犬「すっげぇ、無理矢理ダナー」 ゆみはきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“雉”に選ばれてしまいました。 もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。 優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。 これはとても光栄なことでした。 雉「光栄なんだ……」 犬「光栄らしいよ……」 雉「まぁ、犬よりマシか」 犬「」 ルイー○「すまねぇが、もうこの酒場から名乗りを上げるやつはいないようだぜ……」 犬「いえ、どうも。お世話になりまして……」 ペコリ 桜子「ほぉぉぉ、ゆうきちゃん、がんばってぇぇ~~~!!」 優希ちゃん「がんばるじぇ!」 優希ちゃん「さぁ、犬! 雉! これからテルの征伐に行くじょーー!!」 犬雉「「おぉ~~~」」 酒場のみんなに見守られ、優希ちゃん御一行は“ありあ藩”を後にしました。 目指すはテルの住む、“みやなヶ島”です。 これから優希ちゃんの、長~~~い長~~~~~~い旅が始まります。 ポンポンポンポンポンポンポンポンポン……… ………ポポン!! 優希ちゃん「……この海を渡ればみやなヶ島だじぇ」 犬雉「「速ぇ!!」」 考えてみればそうです。 みやなヶ島の付近であるからこそ、“ありあ藩”が狙われているのです。 すると必然的に、みやなヶ島もありあ藩の付近にあるのです。 しかし優希ちゃんは大事なことを忘れていました。 優希ちゃん「猿がいないじょ!!」 犬「え?」 雉「猿?」 優希ちゃん「お供と言えば、犬・猿・雉! 肝心の猿がいないんだじぇ!」 優希ちゃん「これじゃあみやなヶ島に渡っても返り討ちにあうじょ……」 犬「うーむ」 雉「たしかにもう一人ぐらい、欲しい気はするな」 優希ちゃん「だろう、だろう!」 優希ちゃん「だから猿を探しに行くじぇ!」 目の前に迫るみやなヶ島に別れを告げ、優希ちゃん御一行はまだ見ぬ“猿”を探すことになりました。 当て所もない“猿”探し。犬と雉は文句一つ言わず、優希ちゃんに付き従います。 そして数日が過ぎた頃。 一行は人気のない山道へと辿り着いたのでした。 「わぁぁぁぁぁーーーー! 人が来たーーーーー!!」 どこからか人の声が聞こえてきます。 優希ちゃん「こんな山中に人がいるじょ」 犬「向こうの方だな」 雉「行ってみよう」 声の聞こえた方角に歩みを進めると、そこには巨大な岩が鎮座しておりました。 雉「岩から声が……?」 犬「いや、違う! 下だ!」 優希ちゃん「わ! 人が埋まってるじょ!」 声を上げていたのは、巨大な岩に踏み潰される形で、頭と手だけ飛び出した娘子だったのです。 犬「え? なにこれ? デスタムーア?」 「ちがーーーう!! 埋まってるんだよ!」 優希ちゃん「巨大な岩に潰されて生きてるとは、すごい生命力だじぇ!」 雉「何者だ、貴様」 「わたしは穏乃っていうんだ。ちょっとイタズラしてたら怒られちゃってさぁ……」 犬「ちょっとのイタズラでこんなことになるって、一体何したんだよ……」 穏乃「仏の指に落書きとか」 雉「お前とんでもないやつだな!」 穏乃「た、助けてくれたら何でもするからさ! 助けてー!」 優希ちゃん「よし、助けてやろう」 犬「優希!? いいのかよ!」 優希ちゃん「偉業を成し遂げる人物には相応の器量も必要だじぇ」 優希ちゃん「それに、こいつは探していた“猿”に違いないじょ!!」 犬雉「「な、なんだってーーーーー!?」」 穏乃「クンクン……ん~、なんだか香ばしい臭いがする」 優希ちゃん「お、さすが猿だじぇ! タコスのにおいに気づくとは」 穏乃「もう何日も飲み食いしてないんだ! 助ける前にそのタコスってやつ、くれないか!?」 雉「無礼者!」 穏乃「ひっ!?」 雉「なんだその無礼な物言いは!」 雉「ここにいる御方をどなたと心得るっ!」 雉「恐れ多くも“ありあ藩”の殿様よりみやなヶ島のテル征伐を命じられた――」 雉「片岡 優希ちゃん殿であらせられるぞ!」 雉「穏乃とやら! 優希ちゃん殿の御前である!」 雉「頭が高い! 控えよろぉぉぉー!」 穏乃「は、ははぁ~~!」 オズオズ 犬「いや、埋まってるからすげー頭低いけどな」 優希ちゃん(なんかキジが生き生きとしてるからツッコミ入れるのはやめておこう) 穏乃「優希ちゃんさん、優希ちゃんさん」 穏乃「御腰につけたきびタコス、一つわたしにくださいな」 優希ちゃん「あげましょう、あげましょう」 優希ちゃん「これからテルの征伐に、ついていくならあげましょう」 穏乃「行く! いや、行かせてください!」 優希ちゃん「うむ!」 優希ちゃん「犬! 猿にきびタコスを食べさせてやるんだじょ」 犬「あ、確かにこのままじゃ一人で食えないもんな」 穏乃「ありがとう犬さん」 優希ちゃん「これが最後の一個だじぇ!」 パクパクモグモグ 穏乃はきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。 すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。 猿「おお! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」 猿「――って、わたしの名前が猿になってるーーーーー!?」 優希ちゃん「おお! やっぱりおまえは猿だったじぇ!」 犬(毎回やるのかこれ……) 穏乃はきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“猿”に選ばれてしまいました。 もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。 優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。 これはとても光栄なことでした。 猿「光栄なの!?」 猿「やたっ! 嬉しい!」 犬雉(やだこの子、すごい純粋……) 優希ちゃん「それじゃあみんなでこの岩をどかすじぇ!」 犬「いや、それには及ばないようだぜ。見ろ!」 雉「これは……!!」 猿「ちから……み・な・ぎ・る~~~~ッッ!!」 なんということでしょう! 猿が力を入れると、今まで猿を苦しめていた巨岩を吹き飛ばしてしまいました。 これが、これこそが“きびタコス”の力なのです。 猿「すっご! 我ながらすごい!」 犬「タコスのちからってすげー!」 雉(本当に変なクスリ入ってないよな……?) 優希ちゃん「これで戦力不足も解消だじょ!」 こうして犬・猿・雉の仲間が集まりました。 あとはみやなヶ島に渡って、テルを征伐するだけです。 しかし―――― ザザッ 山賊「おうおう、てめぇら、金品置いてきなぁ!」 一騒ぎ起こしたせいか、山に潜む賊達が集まってきてしまいました。 周りは全て山賊に囲まれています。 優希ちゃん、最大のピンチです。 猿「こ、こいつらは……!」 優希ちゃん「知っているのか、猿!」 猿「わたしがお腹空かせてること知ってて、目の前にお団子置いてったりした山賊たちだ!!」 犬「随分と陰湿な山賊だな!」 山賊「女三人に男が一人か……ラクショーだな?」 子分「へへっ、一番弱そうなアイツはあっしにやらせてくだせぇ」 そういって指をさされたのは、なんと優希ちゃんでした。 優希ちゃん「む、むーーーっ!」 プンスカ 優希ちゃん「私がきびタコス何個食べたと思ってるんだじょ!」 犬「危うく猿の分がなくなりそうなぐらい食ってたな」 雉「最後のひとつを食べようとしていたところをわたしが目撃していなかったと思うと……」 ヤレヤレ 山賊「はっ! 食いもん食っただけで強くなるんだったら苦労しねーよ!」 優希ちゃん「なんだとーーーーっ!」 猿「優希ちゃんさん! ここはわたしに任せてください!」 優希ちゃん「!」 猿「新参者ですから。ここで活躍して信頼を得たい!」 猿「それにやつらには団子の恨みもありますからね……!」 ゴウッ! 山賊「良い度胸だ……掛かって来いやチビ助ぇ!!」 武器を構える山賊に対し、猿は丸腰です。 ですがそんな猿はおもむろに数本の髪の毛を引き抜きました。 子分「……? なにやってんですかね、アイツ」 山賊「マゾなんだろ、きっと」 猿「ちがーーーーう!!」 猿「こうするのさ! フーーーーッ!!」 猿が自分の髪の毛に息を吹きかけました。 すると無数の小さい“猿”が山賊たちに纏わり付いたのです! 山賊「ぬぁーーーーッ! なんだこりゃァァァァァァ~~~!?」 子分「ひゃっ、かわいい!///」 猿「名付けて、ミニミニ穏乃の術!」 犬「術とか使っちゃうんだ……」 雉「わ、わたしも触っていいか……?///」 猿「チッチ……、キジさんはダーメー」 雉「な、なぜに!」 猿「ふふん。だってミニミニ穏乃は―――」 猿「 爆 発 す る の だ ! 」 カチッ 山賊「」 子分「」 猿の活躍により、難を逃れた優希ちゃん御一行。 心強い仲間の加入により、いよいよテル征伐も時間の問題となってきました。 優希ちゃん達は再び、みやなヶ島へと向かいます。 しかし―――まだ問題は残っていました。 優希ちゃん「た、大変なことに気づいたじょ!」 犬「どうした?」 優希ちゃん「仲間の中に、犬と猿がいるんだじぇ!!」 雉「?」 猿「あの、それがどうかしたんですか?」 優希ちゃん「犬猿の仲だじぇ! 喧嘩しちゃうんだじぇ!!」 犬「え?」 猿「え?」 雉「え?」 優希ちゃん「…………」 優希ちゃん「…………え?」 『犬猿の仲』とは―― とても仲が悪い、反りが合わないもの同士、ということを例えたことわざでございます。 犬「むしろ反りが合う方だよな、俺ら」 猿「うんうん」 優希ちゃん「とか何とか言って……腹の中では愛憎渦巻いてるんだじょ……」 猿「そんなことないですよー」 優希ちゃん「口だけではどうとでも言えるよな」 犬「あ、なんかイラッと来ちゃったなー、いま」 優希ちゃん「ほら! 今なんの前触れもなく猿にイラッとしたじぇ!」 犬「お前にだよ!!」 雉「まぁまぁ、優希ちゃん殿。わたしの話をお聞きなすって」 優希ちゃん「なんだじょ?」 雉「実は『犬猿の仲』という諺、本来は続きがありまして―――」 雉「『犬猿の仲、雉が取り成し』といったのです」 優希ちゃん「……! キジ! お前か!」 雉「これは、どんなに仲が悪い者がいても、それを取り成す者がいれば、大きな偉業を達成出来る――という意味でした」 雉「しかし昨今ではこの後半部分が無くなり、単に仲が悪い者同士の例えとして前半部分のみが残った……」 雉「……そういうことだったんです」 優希ちゃん「目からウロコだじょ……。つまりキジが入れば暮らし安心クラ○アンなんだな?」 雉「えぇ!」 キラットサワヤカ 犬「そうだったのか……」 猿「またひとつかしこくなったよ!」 優希ちゃん「よーし! みんなで物知りなキジを讃えるじょーっ!」 「「「キージ! キージ! キージ! キージ!」」」 雉「はははっ! よしてくれみんな……! 恥ずかしいなぁ、もう!」 雉「っていうか全部嘘だし」 優希ちゃん「 ( ゚д゚ ) 」 雉「後半部分とか……そんなの無いし」 犬「 ( ゚д゚ ) 」 猿「 ( ゚д゚ ) 」 雉は、みんなからひっぱたかれました。 ですが、これで犬と猿の問題は解決です。 これはある意味、雉のおかげといってよいでしょう。 きっと。 おそらく。 優希ちゃん「問題が解決したのはいいけど、なんか腹が減ったじぇー」 犬「丁度良い。近くの町でみやなヶ島へ向かう準備を整えようぜ」 猿「ソーメン! ソーメンが食べたい!」 犬「お、いいなぁ!」 優希ちゃん「ソーメン好きなのか?」 猿「うん!」 雉「意外と質素なものが好きなんだな……」 おやじ「へい、お待ち!」 ドンッ 猿「…………」 犬「ん? どうした、浮かない顔して」 猿「これ、ソーメン?」 雉「どう見てもソーメンだが……」 猿「違うよ! だってソーメンはこう…… 猿「 流 れ て る も の だ よ !!」 優希ちゃん「え…………」 雉「……もしかしてソーメンが好きな理由って……」 猿「 流 れ て る か ら だ よ !!」 雉(やっぱり……) 猿「流れてるのを取るのがすっごい楽しいんだ!」 優希ちゃん「お、おう……」 犬(回転寿司とか連れてったらすごい喜びそう……) 優希ちゃん「はぁ~食ったじぇ食ったじぇ~」 犬「よし、行くか。おっちゃん、お勘定!」 優希ちゃん「む……!?」 雉「優希ちゃん殿……? どうかされたか」 優希ちゃん「あったかいじょ」 犬「?」 優希ちゃん「私の草履があったかいんだじぇ!」 優希ちゃん「猿! おぬし、私の草履の上に腰掛けておったな!」 猿「とんでもございません、優希ちゃんさん!」 猿「優希ちゃんさんの足が冷えぬよう、ジャージの中で草履を温めておったのです!」 バッ ジャージの前を肌蹴て見せる猿。 その素肌には草履の鼻緒のあとがくっきりと残っておりました。 優希ちゃん「おお! 気が利くのぅ猿!」 猿「えへへ……」 優希ちゃん「まぁ………今、夏だけどな」 猿「…………」 猿「てへぺろっ☆」 雉「おい、なんだこの茶番」 腹を満たした一行は町を後にして、ついにみやなヶ島へ向かう港へと辿り着きました。 優希ちゃん「ここから船で小一時間もすればみやなヶ島だじぇ」 犬「ここからでもうっすら見える気がするな」 猿「わたしはくっきり見えるけど」 雉「まったく見えん……」 犬「鳥目か」 雉「え!? キジになったデメリットとかあるのか!?」 優希ちゃん「その……なんかすまん……」 雉「ちょっ……マジで……?」 猿「あぁ、わたし猿でよかった」 犬(まぁ、いま昼だけどな) 単に雉の視力が落ちていただけでした。 優希ちゃん「まずは船を借りるじょ」 港には若そうな漁師さんが一人だけいました。 優希ちゃん「なぁなぁ」 漁師「なんだい」 優希ちゃん「みやなヶ島に行きたいんだけど……」 漁師「ひっ……! みやなヶ島だって……!?」 漁師「勘弁してくれ! あんなところに行くだなんて……自殺志願者か、あんたら!」 犬「これは……」 雉「船だけでも貸してくれないか?」 漁師「船だってタダじゃないんだぞ。あんたらが戻ってこなかったら、船も戻ってこないじゃないか」 猿「こりゃ、交渉は無理だね……」 船の入手は難航を極めました。 船に乗ってすらいないのに“難航”とはおかしな話です。 優希ちゃん「しょうがないじょ……」 優希ちゃん「ほれ、犬!」 クイッ 犬「え……マジで?」 優希ちゃん「 マ ジ だ じ ょ !」 クイックイッ 優希ちゃんが首で犬を促がすと、「やれやれ」といった顔で犬が動き出しました。 犬(ああ、故郷のお母ちゃん……マジすまん……) 犬「おぃ~? 漁師の兄ちゃんよォ~? ちぃっとツラ貸してくんねェかなぁ~?」 漁師「な、なんだよ。船は貸さないって言っただろ!」 犬「あ゙ぁ゙?」 漁師「ひっ」 犬「ッッッざけてんじゃねェぞオラッッッ!!」 ドバシコーーーン!! 漁師「」 犬が近くにあった桶を思いっきり蹴り上げると、漁師は縮み上がってしまいました。 犬「ちょっと……向こう行こうか?」 漁師「…………はぃ」(涙目 十分も立った頃、物陰に行った犬と漁師が戻ってまいりました。 漁師「」 プルプル… 犬「船、貸してくれるって」 雉「犬先輩、マジパネェっすわ」 ヒューッ 猿「犬のアニキ、さすがっす! 憧れるっす!」 優希ちゃん「いや、お前たちまでそういうキャラになる必要ないから……」 犬「自分でやっといてなんだが、正義の味方のやることじゃねえな……」 優希ちゃん「正義の味方になった覚えはないじぇ」 雉「偉業を成すには犠牲も必要であろう」 猿「終わりよければすべてよし!」 犬「いいよな! 直接手を下してないヤツは気楽で!」 何はともあれ、優希ちゃん達は船を手に入れることができました。 あとはもう、みやなヶ島へ向かうだけです。 長かった旅の物語も、いよいよ佳境に入ります。 みやなヶ島に向かう船の上で、一行は準備を始めていました。 ある者は武具の準備、ある者は心の準備、またあるものは身嗜みを整えておりました。 犬「なにお前、髪の毛セットしてんの?」 優希ちゃん「み、見られて恥ずかしくない格好でテルを征伐したいじぇ……」 雉「我々とテル以外の誰も見てないと思うが……」 猿「あぁー……ドキドキしてきた」 犬「緊張を解す方法、教えてやろうか?」 猿「えっ? なになに?」 犬「こうやって手のひらに……“人”って漢字を書くんだ」 猿「ふむふむ」 犬「で、これを……飲む!」 猿「!!」 猿「…………は?」 猿「意味わかんないんですけど」 犬「いや……俺も意味はわからないけど」 猿「まず“人”ってどう書くの?」 犬「そう来たか」 優希ちゃん「じゃじゃーーーん」 雉「な、なんだこの衣装は……」 優希ちゃん「キジのために町で買っておいた“さんば・かーにばるの衣装”だじぇ!」 雉「なんというか……その……さすがにこれは恥ずかしいのだが……///」 犬「どうして雉にその衣装なんだ?」 優希ちゃん「この衣装、キジっぽいじぇ!」 犬「え? そうか……?」 猿「どちらかというとクジャクのような……」 優希ちゃん「…………」(真顔) 雉「…………?」 優希ちゃん「やっべ……間違えた……」 雉「おおぉぉぉぉぉい!!」 優希ちゃん「く、クジャクもキジ科だから大丈夫だじぇ!」 犬「何が大丈夫なんだ」 イーソー 優希ちゃん「あっ! ほ、ほら…… 一 索 ってクジャクだろ……?」 優希ちゃん「申し訳程度の麻雀要素ってことで……ダメ?」 犬「あれクジャクじゃなくて鳳凰らしいぞ」 優希ちゃん「マジで!?」 雉「優希ちゃん殿……」 優希ちゃん「キジ……」 雉「ありがとう」 キラッ 優希ちゃん「ふぇっ?」 雉「誤解があったとはいえ、優希ちゃん殿が私のために買ってくれたことは変わりない」 雉「その心、確かに伝わりました!」 雉「丁重に装備させていただきますッ!」 サンババーーン 犬「うぉぉぉぉぉーーーーッッ!!(エロい!!)」 優希ちゃん「キジ……。私は……私はいい仲間を持ったじぇぇぇぇ……!!」 猿「イイハナシダナー」 デレデレ デレデレ デレデレ デレデレ デーンデデン サンバ・カーニバルのいしょう は のろわれていた! 雉「………………」 犬「………………」 猿「………………」 優希ちゃん「………………」 雉「一生この格好か、わたし」 ※呪われている防具は装備解除できないだろ。ドラクエ的に考えて。 優希ちゃん「…………」 犬「ご愁傷さまです……」 猿「似合ってますよ……」 雉「ありがとう……」 優希ちゃん「…………実は犬と猿の分もあるんだが」 犬猿「「いらない いらない いらない いらない いらない いらない!!」」 優希ちゃん「犬用のイヌハナとイヌミミ、イヌしっぽに首輪まで用意したのに?」 犬「うわ、絶対着たくねぇ!」 優希ちゃん「猿用に新品のジャージ買ってきたのに?」 猿「それはちょっと着たい……」 雉「春夏秋冬、ずーっと同じジャージだぞ?」 ボソッ 猿「やっぱり着たくない!」 優希ちゃん「呪われてる前提かっ!」 猿「ほら、わたしだって女の子だし……やっぱり季節に合わせたジャージを着たいよ!」 犬「ジャージ固定かっ!」 なんやかんやありましたが、一行は無事にみやなヶ島へと到着いたしました。 優希ちゃん「ついたな」 猿「いざ決戦の時!」 雉「やりようもない怒り……テルにぶつけるッ!」 犬「がんばるぞー!」 意気揚々、声高に宣言する一行でしたが、辺りを見回しても人っ子一人…… もとい、テルっ子一テル見当たりません。 優希ちゃん「誰もいないなー」 雉「少し島を探索してみましょう」 少し歩くと……いました。 ツノのように尖がった部分のある赤い頭髪、右手が高速回転している様はまさにテルでした。 優希ちゃん「第一村人発見だじぇ!」 猿「村なのかなぁ?」 犬「気づかれる前にやっちまおうぜ!」 テル「…………人間!?」 雉「しまった、気づかれたか!」 優希ちゃん「ああ、もう! 気づかれないように後ろから近づかないとゲッチュできないじぇ!」 猿「なんか知らないけどわたしがゲッチュされそうな気がする」 犬「何の話だ、何の! いいから戦うぞ!」 テル「チッ……!」 犬は得意の拳で、 犬「うぉぉぉぉぉーーーーッッ!」 ズバーンッ テル「ぐはっ!」 雉は磨いた真剣で、 雉「どぉぉぉーーーりゃっぁぁぁぁーーーー!!」 シャキーン テル「うわぁッ!」 猿は奇妙な妖術で、 猿「かめはめ波ーーーっ!!」 ドッゴーン テル「ぐぉぉぉぉーーーっ!!」 優希ちゃんは優希ちゃんパンチで、 優希ちゃん「とりゃあああああ!!」 ポフッ テル「…………」 それぞれ攻撃しました。 犬「トドメの一発、くらえぇぇぇーーーーっ!!」 バギッ テル「…………ッ!」 テル「に……んげ……ん……ども……が……ッ」 バタッ… 猿「ハァハァ……」 雉「さすがテル……耐久力がすごい」 フゥフゥ 犬「ちからみなぎってる俺達でも、一体倒すだけでこんなに消耗するとはな……」 ハァハァ 優希ちゃん「私はあんまり疲れてないけど……」 犬「まぁ、お前はきびタコスいっぱい食ったしな」 雉「我々より数段、ちからみなぎっているでしょうね」 猿「もっと欲しかったなぁー」 優希ちゃん「あ、あはは…………」 優希ちゃん(さっき気づいたけど、わたし全然強くなってないじょ!?) そうなのです。 優希ちゃんはあくまで旗頭。 きびタコスの『さぁ、ちからみなぎる』効果が現れるのは、三人の、もとい三匹の勇士だけだったのです。 猿「ふぅ……ところで、テルって全部で何体ぐらいいるんだろ?」 雉「およそ100だと聞いたことはあるが……」 犬「少ないと取るか、多いと取るか……それが問題だな」 優希ちゃん(いやいやいやいや、多いって! 一体でこんなに消耗してるのに、あと99もいんの!?) 犬「ま、こっちにはタコス全開の優希がいるから大丈夫だろ!」 雉「それもそうだな! 優希ちゃん殿がいればなんとかなる!」 猿「うんうん! 優希ちゃんさん! 頼みますよ! もちろんわたし達も頑張ります!」 優希ちゃん「お、おう……」 優希ちゃん(やべーじょ……これ、やべーって……) 「そこまでだ! 人間ども!!」 優希ちゃん達が声のした方向に振り向くと、そこには絶望的な光景が広がっていました。 崖の上から無数のテルがわらわらと湧いて出てきたのです。 優希ちゃん「あ、あわわ…………」 優希ちゃん(無理だ……一体でもあんなに苦戦したのに……こんな数無理だじぇ……!!) 犬「わらわらと湧いてきやがって……」 雉「普通に考えれば絶望的な状況……」 猿「でも、わたし達には優希ちゃんさんがいる!」 優希ちゃん「え!?」 犬「優希! 先陣はお前が切ってくれ」 雉「我々は後ろから援護しよう」 優希ちゃん「えっ、えぇっ!?」 犬「どうした、優希。いつものお前らしくない」 優希ちゃん「あ……ぅ……その……」 テル「おい、人間」 犬猿雉「「「!!」」」 テル「我らの島に、何の用があってやってきた」 テル「これは立派な侵犯行為だぞ!」 犬「うるせぇ! 先に侵したのはてめぇらだろうがッ!」 テル「はんッ、我々は人間という下等生物の上に立つ優位種であるが故、その理屈は通じんな」 雉「チッ……思い上がった野蛮人め!」 ギリッ… 猿「わたし達はお前らを根絶やしにするためにやってきた、優希ちゃんさん御一行様だ!!」 優希ちゃん「」 オロオロ… テル「ははっ! 聞いたか? 我らテルを根絶やしにするだと!」 ドッ ワハハ 大勢のテル達はおかしくてたまらない、といった様子で大笑い。 テル達は確信しているのです。 自分達の勝利が揺るがないことを。 テル「見せしめだ! 優希ちゃんとやら、貴様を最初に殺してやろう」 優希ちゃん「!?」 テル「フンっ」 クイッ 優希ちゃん「!?」 フワッ テルの首領格が優希ちゃんに手を向けると、なんと優希ちゃんの身体がフワリと浮き上がりました。 上へ上へと、どんどん浮かび上がります。 優希ちゃん「あっ……あっ……!!」 犬「優希!?」 雉「優希ちゃん殿!!」 テル「ふっふっふっふっふ……」 犬「やめろ、テルーーーーーーッッ!!」 テル「ふっふっふっふっふ………ははははは!!!」 グイッ 優希ちゃん「うぁ………き……」 優希ちゃん「京太郎ーーーーーーッッ!!」 _ _. _ _ | | ロロ | | | | | | | |_ __ロロ _ _ _ _ | | | | | | | __| | |. _| |_ _| |_ _| |_ l二l | | |_| |_| |_| | |  ̄| | l_ _l l_ _l l_ _l __| | _ _ _ |_| | ̄ |. /|_| /|_| /|_| |__| |_| |_| |_|  ̄ ̄ ‘ (⌒`)⌒ ‘、⌒`)) // ; ((⌒`);`) `)、⌒`)`) `;`)) `)、⌒` ⌒ (;⌒` ⌒`);` ⌒⌒)) `)、⌒‘ ⌒ ⌒`);`⌒) (⌒` ` (⌒` (⌒;` (( .. ⌒`);` `)、ヾ .. ⌒`)⌒)) ⌒));`) ((⌒`))"‘ (⌒ ,;;`) 从 ))゛ ‘ ;(( ,;; 7‘ ⌒、从 ,;`)))、,; ‘ ∵从 ⌒`)、⌒`); 、 ヾ 猿「あっ……あ……」 雉「馬鹿な……優希ちゃん殿が……」 犬「くそっ! くそぉぉぉぉぉぉーーーーーッッ!!」 テル「ふははははは!」 犬「優希ィィィィーーーーーッッ!!」 ゴワッ 雉「……!? 犬殿の髪が逆立って……」 犬「は あ あ あ あ あ あ あ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ !!」 グワァァァーッ!! テル「あ……? なんだ、おい?」 犬「…………」 シュアシュアシュアシュア… 雉「か、覚醒した……犬殿が……覚醒したッ!!」 そう、優希ちゃんのお供の“犬”となったこの男。 何を隠そう、伝説のスーガーサイヤ人だったのです。 彼こそがテルの侵略から日本を救う、宇宙から来た救世主だったのです。 川に流れていた桃は赤ん坊であった彼の食料兼宇宙船でした。 その桃を食べることですぐに強力な力を手に入れるはずでしたが、アラサーにより計画はご破算。 そのまま育てられた彼はその秘めたる力を自覚することなく成長してしまいました。 しかしきびタコスの摂取、そして幼馴染である優希ちゃんの死が引き鉄となり、此度覚醒することができたのです。 犬「もう……泣いて謝ったってゆるさねえぞ……!」 テル「は、はんッ! なんか黄色くなったからって、それがどーした!」 テル「お前らもすぐ片付けてやる! あの人間のようにな!」 猿「なにっ……!?」 ピク 猿「あの人間のように……?」 ワナワナ… 犬「猿……?」 猿「優希ちゃんさんのことか……」 テル「……?」 猿「優 希 ち ゃ ん さ ん の こ と か ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ !!」 グワァァァーッ!! テル「こ、今度はなんだぁーーーッ!?」 猿「…………」 シュアシュアシュアシュア… 雉「さ、猿殿もなんか覚醒しちゃったーーーー!!」 そう、優希ちゃんのお供の“猿”となったこの娘。 何を隠そう、岩から生まれた妖怪猿だったのです。 彼女こそがテルの侵略から日本を救う、宇宙から来た救世主だったのです。 彼女が生まれた岩は宇宙船でした。 その宇宙船に、長い年月をかけて地球の霊気が集まり、元の力とは違う妖術を身につけて生まれました。 ですがその霊気のせいか、使命を忘れ、イタズラをして過ごす毎日……。 しかしきびタコスの摂取、そして恩人である優希ちゃんの死が引き鉄となり、此度覚醒することができたのです。 犬「…………」 シュアシュアシュアシュア… 猿「…………」 シュアシュアシュアシュア… テル「バカめ! それがどうした! そんなことで我らの優位が揺らぐとでも思ったか!」 テル「掛かれ! 掛かれーーーい!!」 無数のテル「「「ウォォォォォォォォーーーーーーッッ!!」」」 一斉に襲い掛かる99のテル。 しかし本来の力に目覚めた二人に敵うはずもありません。 一方では犬がテルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ…… また一方では猿がテルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ…… その様子を一人傍観していた雉は、のちにその時のことをこう語りました。 雉「真・三國無双ってリアルで見たらこんなんだろうな……」 まさに死屍累々。 みやなヶ島には無数のテルの死体だけが残りました。 犬「…………終わったな」 猿「………うん」 雉(結局わたしが戦ったの最初の一匹だけ……) 犬「これで“ありあ藩”は救われた……」 犬「でも優希は……優希は帰ってこない……!」 猿「犬さん……」 雉「…………犬殿、猿殿」 雉「テル達が強奪していた宝を取りかえそう」 犬「……そうだな」 猿「わたし、船から荷車持ってくるよ」 雉「ああ。宝を積んだら荷車はわたしに引かせてくれ」 猿「?」 雉「このまま何もしないんじゃ……カッコ悪いまま歴史に残っちゃうからな!」 キラッ 犬「いや、荷車引いたからってカッコいいわけじゃないかと……」 猿「サンバの格好な時点でカッコ悪い残され方決定だと思います……」 雉「…………」 雉「……わたし、旅が終わったらリオデジャネイロに行こうと思う」(血涙 こうして優希ちゃん御一行の『みやなヶ島のテル退治』は幕を閉じました。 偉業を成し遂げた三人の勇士は英雄となり、末代まで語り継がれたという。 ちなみに優希ちゃんは、テル達が持っていたドラゴンボールで生き返りましたとさ。 めでたし、めでたし! ・ ・ ・ ・ ・ 優希「―――というお話だったんだじょ」 優希「どうだ? 面白かったろ?」 京太郎「なんか色々と突っ込みたいところはあるんだが……」 優希「なにーっ!? 私が一生懸命考えた話を!」 京太郎「いや、馬鹿にしてるんじゃなくてさ……突っ込みたいところはあるけど」 京太郎「お前のその一生懸命さが伝わってくる話だったな、って思ってさ」 優希「きょ、きょうたろ……///」 優希「ば、ばっか! なに言ってんだじょ! あぁーこれだから犬は!///」 京太郎「よし、じゃあ次は俺が作った話の番だな!」 優希「お、おう! 耳の穴かっぽじって、よく聞いてやるじぇ!」 京太郎「お題:「桃太郎」で、俺が作ってきた話は―――」 二次創作同好会(部員2名)は今日も平和に活動している……。 おしまい!
https://w.atwiki.jp/byakumu2/pages/1673.html
だいだい星人系モンスター # 色違いバリエーションなどの追加自由。 # アイコン改変自由です。(むすすだ式) だいだい星人(ザコ) だいだい星人, だいだいせいじん, -, 宇宙人, AADA, 80 特殊能力 切り払いLv1, 1 126, 123, 138, 132, 153, 152, 強気 SP, 40, 脱力, 1 SRCS_A_Daidai.bmp, -.mid ○だいだい星人 だいだい星人 だいだい星人, だいだいせいじん, 宇宙人, 1, 2 空陸, 3, S, 3000, 70 特殊能力 格闘武器=知能指数2万 自動反撃=だいだい汁 だいだい汁 全 70 完全自動 自動反撃=100万ボルト 100万ボルト 全 30 完全自動 メッセージクラス=モンスター 動=解説 自動反撃専用武装 対応する特殊能力でのみ発動。通常使用は不可 3000, 100, 700, 60 BACA, SRCS_A_DaidaiU.bmp だいだい汁, 0, 1, 1, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲(当身技) だいだい汁(表示用), 0, 1, 1, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲動|攻反 キック,1100, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +10, 突JL1 枝きりバサミ,1200, 1, 1, +10, -, -, -, AAAA, +20, 武 目から熱光線,1300, 1, 4, +0, -, 10, -, AACA, +0, B 100万ボルト,1500, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S(当身技) 100万ボルト(表示用),1500, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S動|攻反 # 烏合の衆に遊びに来ている橙のような姿をした宇宙人。 # いつのまにか沢山地球に来ているらしいが、 # チャンネル3と呼ばれる超次元に潜んでいるため普段あまり見ることはできない # 普段はたばこ状の栄養剤をスパスパとキメたり、ただケタケタと笑ったりしているだけだが # その体には恐ろしい戦闘力が隠されているのだ。 # ちなみに、みかんと間違えると烈火のごとく怒るらしい。 # 製作 むすすだ式 ○大だいだい星人 大だいだい星人 大だいだい星人, だいだいだいせいじん, 宇宙人, 1, 2 空陸, 3, L, 6000, 100 特殊能力 格闘武器=知能指数2万 自動反撃=だいだい汁 だいだい汁 全 70 完全自動 自動反撃=100万ボルト 100万ボルト 全 30 完全自動 パイロット能力付加="格闘UPLv5=非表示" パイロット能力付加="射撃UPLv5=非表示" パイロット能力付加="命中UPLv5=非表示" パイロット能力付加="回避UPLv5=非表示" パイロット能力付加="メッセージ=大だいだい星人(ザコ)" メッセージクラス=モンスター 戦闘アニメ=だいだい星人 パイロット愛称=大だいだい星人 パイロット画像=SRCS_A_BigDaidai.bmp 性格変更=超強気 動=解説 自動反撃専用武装 対応する特殊能力でのみ発動。通常使用は不可 6000, 150, 800, 60 BACA, SRCS_A_BigDaidaiU.bmp だいだい汁, 0, 1, 2, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲(当身技) だいだい汁(表示用), 0, 1, 2, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲動|攻反 キック,1200, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +10, 突JL1 枝きりバサミ,1300, 1, 1, +10, -, -, -, AAAA, +20, 武 目から熱光線,1400, 1, 4, +0, -, 10, -, AACA, +0, B 100万ボルト,1600, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S(当身技) 100万ボルト(表示用),1600, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S動|攻反 # 成長し大きくなっただいだい星人。 # この状態になりしばらくするとやがて分裂し増える。 # 製作 むすすだ式 ○未完星人 未完星人 未完星人, みかんせいじん, 宇宙人, 1, 2 空陸, 3, M, 5000, 90 特殊能力 格闘武器=知能指数2万 自動反撃=未完汁 未完汁 全 70 完全自動 自動反撃=100万ボルト 100万ボルト 全 30 完全自動 パイロット能力付加="格闘UPLv10=非表示" パイロット能力付加="命中UPLv10=非表示" パイロット能力付加="メッセージ=未完星人(ザコ)" メッセージクラス=モンスター 戦闘アニメ=だいだい星人 パイロット愛称=未完星人 パイロット画像=SRCS_A_Mikan.bmp 性格変更=超強気 動=解説 自動反撃専用武装 対応する特殊能力でのみ発動。通常使用は不可 5000, 150, 1000, 60 BACA, SRCS_A_MikanU.bmp 未完汁, 0, 1, 2, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲(当身技) 未完汁(表示用), 0, 1, 2, +15, -, 5, -, AAAA, +30, 盲動|攻反 スーパーキック,1200, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +10, 突JL1 スーパータックル,1300, 1, 1, +10, -, -, -, AAAA, +20, 突 目から熱光線,1400, 1, 4, +0, -, 10, -, AACA, +0, B 100万ボルト,1500, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S(当身技) 100万ボルト(表示用),1500, 1, 1, +5, -, 10, -, AAAA, +15, 雷S動|攻反 # 日本語で「オレハミカンセイダ!!」と聞こえる宇宙語で喋る宇宙人。 # 未完星人とだいだい星人は敵対関係にあるようだが、 # 類似点も多いことからだいだい星人の亜種だと思われる。 # 製作 むすすだ式 だいだい星人 枝きりバサミ, 斬撃武器 DGoods\EFFECT_Scissors02.bmp 16 二刀流 目から熱光線, 2連小ビーム 白 だいだい汁(攻撃), 出血 橙 だいだい汁(命中), 飛沫 橙 Splash.wav 100万ボルト(攻撃), @戦闘アニメ_大放電準備 100万ボルト(命中), 放電 未完汁(攻撃), 出血 橙 未完汁(命中), 飛沫 橙 Splash.wav
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2245.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363548712/ 京太郎「いや、お前何を言ってんの?」 優希「照れるな照れるな! この美少女たる優希ちゃんに求婚されて本当は嬉しいくせに!」 京太郎「何この子すごいムカつく」 優希「それに片岡京太郎っていい名前だと思うだろ?」 京太郎「それが俺にさえ関係してなかったらな。 つーかマジで婿扱いなのか」 優希「結婚したら私がプロになって稼ぎまくるから、京太郎は家でタコスを作って待っていてくれ!」 京太郎「しかも俺が主夫かよ! あのな優希、俺は結婚するなら家庭的で胸の大きい女の子がいいんだ」 京太郎「悪いけどお前ではその条件にまるで当てはまらない」 優希「それでそれで、子供はだな……」 京太郎「おい、だから人を使って変な事考えるな、なんだそのにやけ面は!」 優希「のどちゃんで変な事考えてる京太郎っていつもこんな感じだじょ」 京太郎「……マジか」 【片岡優希はタコス娘】 京太郎「ほら、タコス買ってきたぞ」 優希「おお、ご苦労! タコスタコス~♪」 京太郎「……」 優希「タコスウマー♪」モグモグ 京太郎「お前って本当タコス好きだよな」 優希「好き? ふう、これだから素人は嫌になるじぇ」 京太郎「なんだよ、違うのか?」 優希「京太郎、お前は酸素が好きか?」 京太郎「は? いや、そんなの考えた事もねえよ」 優希「そういう事だじょ」 京太郎「意味がわからないんだが」 優希「察しが悪いな…タコスはな私にとっていわば酸素、好き嫌いを超えて私の血と肉とDNAを形成するなくてはならないものなのだ!」 京太郎「お前は何者なんだよ!?」 優希「タコス好きの呪われし血族って前に言わなかったか?」 京太郎「メキシコに謝れ! つーか好きって自分で言ってんじゃねぇか!」 【須賀京太郎はマネージャーじゃありません、部員なんです】 久「須賀君、買い出しお願いできるかしら」 京太郎「はい、わかりました!」 咲「えーっと、この前の牌譜どれだっけ……?」 京太郎「あー、それは確かこっちのファイルに……」 和「あ、あら? 卓の調子が……」 京太郎「どれどれ、ちょっと見せてみ……ああこれくらいなら俺でもなんとかなるかも。 工具、工具っと……」 まこ「おっ、京太郎が一番乗りか」 京太郎「おはようございます染谷先輩。 ちょっと待ってて下さい、もうすぐ掃除終わるんで」 京太郎「あっ、もうすぐお茶なくなるな……今の内に買ってくるか」 優希「京太郎」 京太郎「なんだ優希? ああ、タコスならそこの袋に入ってるから」 優希「いや、そうじゃなくて……京太郎は麻雀部のなんなんだじょ」 京太郎「なんだ今更、俺は麻雀部唯一の男子部員だろ。 悪い、これから買い出し行くから話の続きがあるなら後で聞く!」ガチャッ 優希「あ」 優希「……それなら牌磨き以外に牌触ってないのってどうなんだじょ」 【ステルス京の独壇場!】 京太郎「うーん」 優希「どうした京太郎、悩みがあるなら私が聞いてやってもいいじょ」 京太郎「いや、部長に言われて全国出場校の牌譜を集めてたんだけどよ」 優希「牌譜って各校の部室にあるんじゃないのか?」 京太郎「そうなんだよ、だから俺も素直にもらえるか半信半疑だったんだけど」 優希「女子校もあるのによく入れたもんだじぇ」 京太郎「校門に警備とかいたけど意外にすんなり通してくれたぜ?なぜか普通に扉開けて入った時中の人達にビックリされたけど」 優希「……ん?」 京太郎「誰も何にも言わないから問題ないのかって思いつつもある牌譜全部写してきたんだけどさ」 京太郎「挨拶もなかったのはちょっとショックだったな」 優希「……」 京太郎「あー、でも宮守と永水だけは入れなかったな」 京太郎「永水はお札貼られたし、宮守はなんかお婆さんにすっげえ見られて入りにくくてよ」 優希「京太郎……」 京太郎「ん?」 優希「今日は帰りに私がタコスおごってやるじょ」 京太郎「えっ、いいのか? それじゃありがたくいただくぜ」 優希「……私はちゃんと見てるからな」 京太郎「んん? なんかよくわからないけど、サンキューな」 【ごく自然に受け入れられた風潮被害】 優希「京太郎、タコスを買ってくるんだじょ!」 優希「京太郎、放課後タコス屋につきあえ!」 優希「京太郎、今度の休みにタコス巡りをするじぇ!」 優希「京太郎ー、タコスはまだかー!」 京太郎「ええい、今作ってるから少し落ち着け!」 咲「あれ?」 和「どうしました咲さん?」 咲「いや、ちょっと……優希ちゃん?」 優希「なんだじぇ、咲ちゃん?」 咲「最近京ちゃんの事、犬って言わないんだね?」 優希「えっ」 和「あっ、言われてみれば最近聞きませんね」 和「人を犬呼ばわりなんて注意しなきゃいけないとは思ってましたけど、ちゃんと直したんですねゆーき」 優希「いや、あの」 咲「どうしたの?」 優希「私、京太郎を犬扱いした事なんか一、二回くらいしかないじぇ……」 咲「あれ、そうだったっけ?」 和「おかしいですね、ゆーきは頻繁に須賀君を犬扱いしてた気がしたんですが」 優希「ひどい風潮被害だじぇ……」 【東風の神片岡優希】 優希『ここからは私の連荘で終わらせる。 この試合に東2局はこない!』キリッ 優希『ここに山を築く。 誰にも賽は振らせない……!!』キリッ 優希「」 京太郎「いやー、さすがに全国優勝校の先鋒は言う事が違うな」 優希「お、お前、なんで、これ!」 京太郎「姫松の監督代行って人から麻雀部宛てに送られてきたんだよ」 優希「あのデコのところか! えっ、麻雀部宛て……?」 京太郎「ああ、だからみんなももう聞いてるぞ」 京太郎「部長とか染谷先輩は『これも若さゆえのなんとやら』って言ってたし、咲は苦笑いくらいで何も言わなかったし……」 京太郎「だからまあ、そんなに悪くは思ってないだろ」 優希「な、な、な……」 京太郎「問題は和なんだよなあ。 あいつ『なんですかこのトラッシュトークは!』ってすっげえ怒ってたぞ」 優希「あ、あわわわ、麻雀関係で怒ったのどちゃんには会いたくないじぇ。 今すぐ逃げ」 ユーキ、ドコニイルンデスカユーキ!! 優希「ひぃっ!?」 京太郎「あー……ご愁傷様」ポンッ 優希「いやあああああ……!」 ちなみにこの世界での決勝はこんな感じになっております 優希(咲ちゃんのお姉さんでチャンピオン、相手にとって不足なしだじぇ!)ゴッ 照(準決勝は10万点で二位、だったらここで20万点奪い取る……)ギギギ 玄(もう準決勝みたいにはさせない。復活のドラゴンロード、松実玄に今度こそおまかせあれ!)ゴッ 漫(なにこの卓こわい) 番外『この世界での決勝大将戦』 咲(なにこれ、カンが出来ない……!?) 淡(またやられた……せっかくテルが稼いでみんなが繋いでくれたのに!) 穏乃(いける、今なら私達阿知賀が……!)タンッ 末原「ロン」 穏乃「えっ……」 末原「国士無双、48000。 Wありなら十三面待ちやったから阿知賀のトビ終了やったな……これで姫松がトップや」 穏乃「そんなっ……」 末原「さっきから黙って見てれば人をほったらかしにしてお互いの顔色を窺ってばかり」 末原「そりゃあんたらには色々見えて私には見えんかもしれんけど」 咲「す、末原さん……?」カタカタ 末原「だけどなあ、あんまり私ら凡人を舐めるなよ魔物共」 淡(なにこいつ、能力とかないはずなのに、怖い……!)ビクッ 末原「私は麻雀をしに来たんや、やれ支配だのやれ能力だのこれ以上――」 穏乃「っ……!」ゾクッ 末原「――お前らにつきあってられるか」 末原さん……というより姫松高校にはおそらく唯一残ってる無能力者のみの高校らしく麻雀をして戦っていただきたい所存 【のどっちからは逃げられない】 優希「どうしようどうしようどうしよう、このままじゃのどちゃんのスパルタ麻雀教室がああ……!」 京太郎「そんなに怯えるほど怖いのか?」 優希「……卓に座らされて配牌から和了るまで常に最善手を打たなきゃいけないんだじぇ」 京太郎「うわ、それはキツいな……でも1局分ならいつかはなんとかなるだろ」 優希「大会と同じ半荘二回分、上級者編は一回でも間違えたら東1局からやり直しでもか?」 京太郎「」 ユーキ、ココニイルンデスカ!? 優希「ひいっ、来たじぇー!」バッ 京太郎「お前何してんだ……」 優希「シー! 私はベッドの中に隠れてるからのどちゃんが来たらまだ私は来てないって言ってくれ!」 京太郎「はあ、わかったよ」 京太郎(ベッドが盛り上がって不自然なんだよなあ) 和「ゆーき!」 京太郎「よ、よぉ、和」 和「須賀君……ゆーきはどこですか?」 京太郎「いや、まだ来てないぞ?」 和「そうですか……」チラッ 京太郎(あっ、ベッド見た) 和「……」ジー 京太郎(すっげえ見てる……優希、俺は何も出来なかったよ) 和「……」カツカツ 和「何をしてるんですか、ゆーき?」バサッ 優希「あっ」 和「ゆーき……」 優希「の、のどちゃん……」カタカタ 和「今日は上級者編です」ニッコリ 優希「いやあああああ! 」ズルズル 京太郎「優希、すまん……へ?」ガシッ 和「須賀君もゆーきと共犯だったみたいですし、ちょうどいいですから一緒に勉強しましょう?」ニッコリ 京太郎「」 和「さあ、2人共行きましょうか」ズルズル 京太郎「う、うわあああああ!!」 優希「誰か助けてえええええ……!!」 バタンッ、ズルズル…… 【誰しも休息は必要です】 優希「一番乗りだじぇ! おっ?」 京太郎「むにゃむにゃ」 優希「京太郎、探してもいないと思ったらこんなところで寝てたのか」 京太郎「すー……」 優希「マヌケな寝顔だじょ。 これはイタズラをしなさいというタコスの神様の導きだな!」 優希「それじゃあまずこのペンで落書きするじぇ!」 優希「えーっとまずは額にっと。 うーん、インパクトが足りないじぇ。 なら頬に……あとはー……」カキカキ 京太郎「んっ……ふぁぁ、よく寝た」 優希「タコスタコスー」 京太郎「なんだ優希来てたのか?」 優希「お目覚めか京太郎! なら早速タコスを買ってくるのだ!」 京太郎「今まさに食おうと持ってんじゃねえか、まだ必要ないだろ……」 優希「ちいっ、失敗か」 京太郎「失敗?」 優希「あっ! な、なんでもないじょ!」 京太郎「怪しいな……」 咲「こんにちはー」 京太郎「よっ、咲」 咲「こんにちは、京ちゃ……」 京太郎「んっ、どうした?」 咲「え、えっとその顔」 京太郎「顔?」 咲「て、手鏡貸すから見てみればわかるよ……」 京太郎「どれどれ……」 『片岡優希専用』 『発情期なので近づかないでください』 『大きなおっぱいが大好きなので気をつけてください』 京太郎「」 咲「き、京ちゃん?」 京太郎「ゆ・う・き……」 咲「あっ、優希ちゃんなら今走って出て……」 京太郎「逃げやがったなあの野郎!」ダッ 咲「あっ、京ちゃん待って、落書き落とした方が……」 ユウキドコダー! ス、スガクンナンデスカソノカオハ! ゲッ、ノドカコレハ…… アラアラ、タノシソウナコトシテルジャナイスガクン? ブ、ブチョウ!?ヤメテ、シャメハヤメテクダサイ!イヤアアアアア…… 咲「き、京ちゃん……」 【京太郎の癒やし】 京太郎「買い出しは別にいいけどこんな頻繁にする必要ってあるのか……?」 優希「気にしたら負けだじぇ」 京太郎「つーかお前なんでついてきてんの?」 優希「食堂のタコスが売り切れてたからだじょ!」 京太郎「言っとくけど奢んねえぞ」 優希「えー」 京太郎「えー、じゃないからな……あっ」 優希「んっ?」 子猫「ニャー」 京太郎「子猫だ、よしよし」ヒョイ 子猫「ニャー」ペロペロ 京太郎「おいおい、くすぐったいって! はは、人懐っこいなあ」 優希「首輪ついてるから飼い猫じゃないか?」 京太郎「おっ、本当だ」 優希「京太郎って動物好きなのか?」 京太郎「好きというか動物と戯れてると癒されるというか……家のカピなんか手もかからないしなあ」 優希「まるで他に手のかかる動物を相手してるみたいな言い方だじょ」 京太郎「……」 咲『き、京ちゃん、迷っちゃった……なんかここ変な音してるし、助けてぇ……』 優希『さあさあさあ、早くタコスを渡すんだじぇ、タコスタコスタコスー!』 京太郎「ああ、すっげえ手のかかるのが2人いるわ」 優希「そうか、大変なんだな京太郎……」 京太郎「……」 【魔境清澄高校】 優希「うむむ」 京太郎「どうした?」タンッ 優希「この前咲ちゃん達と染谷先輩の雀荘に遊びに行ったら麻雀だけはするなと言われたんだじぇ」タンッ 咲「私はいいけど優希ちゃんと和ちゃんはダメなんだって」タンッ 和「はい……」タンッ 京太郎「雀荘で麻雀するなってのも変な話だな……」タンッ 優希「京太郎、それロンだじぇ!」 京太郎「うおっ、狙い打ちかよ! これでラス転落かあ」ジャラッ 和「須賀君はもう少し捨てる牌に気を使った方がいいですね」タンッ 京太郎「あはは、教えてもらってるのに面目ない」タンッ 優希「話を続けるじぇ。 それで理由を聞いたんだけど」タンッ 京太郎「聞いたんだけど?」タンッ 咲「知らない方がいいって教えてもらえなかったんだ。 私達何かしちゃったのかなあ」タンッ 和「見当もつきませんね……ツモ、4000オールで連荘です」 京太郎「ひええ、やっぱり強いなあお前ら」ジャラッ 優希「京太郎には負ける気はしないじぇ!」 京太郎「言ってくれたな!」 和「2人共落ち着いてください」タンッ 京太郎「ふっ、ダブルリーチだ!」タンッ 優希「なぬっ!?」タンッ 咲「うわあ、京ちゃんすごいすごい!」タンッ 和「まだ和了ったわけじゃないんですから……」タンッ 京太郎「へっへっへ、一位は俺がいただくぜ!」タンッ 咲「あっ……ごめん京ちゃん、カン」 京太郎「うげっ!?」 咲「も、もういっこカン、もういっこカン」 優希「うわあ……」 咲「もういっこカン……」 和「これは……」 咲「り、嶺上開花……責任払いで京ちゃんのトビ終了、だよ」 京太郎「オーマイガー……せっかくの役満が夢と消えたぜ……」ガクッ 久「まこ、店で優希と和の麻雀を禁止したんですって?」 まこ「あいつらと打ったらせっかくの客がトラウマ抱えて逃げてしまうんじゃ。 手加減が出来る咲ですらあんまり入れたくないわ」 久「でも須賀君はあれだけやられて普通よ?」 まこ「あれはあいつがおかしいんじゃよ」 【自販機の謎飲料】 京太郎「カフェオレカフェオレと……」ピッ 京太郎「あ、売り切れたな。 最後の一個買えてよかっ……ん?」 『新発売、濃厚タコスジュース!!』 京太郎「これはまたピンポイントで誰かを狙ってるというか何というか……」 優希「京太郎ー!」 京太郎「噂をすればだな」 優希「何の話だ?」 京太郎「いや、これお前が好きそうだなーって思ってさ」 優希「これ? うおおおっ!?」 京太郎「うわっ、すごい食いつきだな」 優希「タ、タコスジュース……まさかこんな夢のようなアイテムが実在していたとは」 京太郎「んな大げさな」 優希「何を言う、これさえあれば私の長年の夢『タコスを飲んでタコスを食べる』が実現するんだじょ!」 京太郎「なんだそのよくわからん夢は」 優希「早速買うじぇ! えっと二百円と……」 京太郎「自販機のものにしては高いな」 優希「こ、これがタコスジュース……すごい重量感だじぇ」ズシッ 京太郎(なになに、『具材80%』……まさかこれタコスがそのまま入ってんのか?) 優希「いただきまーす」ジュルジュル 京太郎「どうだ?」 優希「……」 京太郎「優希?」 優希「うええ……」 京太郎「お、おい!」 優希「マズい、話にならないくらいマズいじょ……昔食べた京太郎のタコスミタコスよりマズいじぇ」 京太郎「マジか……いやな予感はしてたけど」 優希「京太郎にやるじょ」スッ 京太郎「タコスの名前があってもお前が拒否するような代物を飲めってか!?」 優希「いいから飲んでみろ!」 京太郎「むごっ!?」 優希「えいっ!」ギュッ 京太郎「むぐっ、むぐっ、むぐっ……」ゴクッ 優希「ふう、処分完了だじょ」 京太郎「……意外に美味いぞ、これ」 優希「えっ」 【結果オーライ?】 京太郎「さーて、今日の部活も終了っと」 優希「京太郎!」 京太郎「んー? なんだよ優希」 優希「これからタコスを買いに行くから付き合え!」 京太郎「おいおい、まさか俺に奢らせる気か?」 優希「ふふん、まだまだだな京太郎! 今日の私はいつもとは一味違うじぇ……」 優希「今日はこの優希ちゃんがお前にタコスを奢ってやろう!!」 京太郎「……よし、あるな」 優希「なんで急に鞄を見てるんだじょ?」 京太郎「いや、今日は夕立か嵐になりそうだから折り畳み傘を確認してたんだよ」 優希「……どういう意味だコラー!」 ――…… 優希「……」ズーン 京太郎「あー……優希?」 優希「こ、こんなのおかしいじぇ……なんで今日に限って売り切れとか臨時休業とか……」 京太郎「慣れないことはするなって事じゃね?」 優希「こんなはずじゃなかったのに……うー」 京太郎「……なあ」 優希「なんだじょ……私は今落ち込んでるんだじぇ」 京太郎「なんなら、家来るか?」 優希「……え?」 ――…… 京太郎「ただいまー……って靴ないからいないみたいだな」 優希「お、お邪魔します!」 京太郎「なにお前、緊張してんのか?」 優希「き、緊張なんかしてないじぇ!! 私がどうして緊張しなきゃ……ゴニョゴニョ」 京太郎「まっ、いいけどな。 飲み物持ってくるからリビングで待っててくれよ」 優希「お、おう!」 優希「……」 優希「まさか、京太郎の家に来れるなんて思わなかったじょ」 優希「な、なんか落ち着かない……」 京太郎「お待たせ、ってお前なんで正座してんの」 優希「そ、そういう気分なんだじぇ」 京太郎「ふーん。 じゃあ早速作るとしますか」 優希「本当にタコス作ってもらっていいのか?」 京太郎「よくなきゃ誘わねーよ。 やっぱりお前の感想聞きたいしな」 優希「そ、そうか」 京太郎「じゃあちょっと待ってろなー」スタスタ 優希「……放課後デートは出来なかったけど、結果オーライだじぇ」 優希「えへへ……」 【片岡優希の日記1】 ○月×日 今日は咲ちゃん、のどちゃん、京太郎と一緒にお昼を食べた。 京太郎がのどちゃんで不埒な妄想をしてたから、罰として肉まんを奪ったら勢いで押し倒された。 思わず今はダメって言っちゃった……後ならいいのかってつっこまれなくて本当に良かったじぇ。 だって、そう言われたら私は、京太郎を…… 優希「……ううう」 優希「あああ! もうこんなのこれ以上書けるわけないじぇ!」 優希「だいたい言われたらなんなんだ! べ、別に私は京太郎の事なんて……」 優希「……どう、思ってるんだ?」 優希「のどちゃんを見てデレデレしてるのは腹が立つけど、それ以外はいいやつだし……」 優希「私のわがままも口では色々言うけどちゃんと聞いてくれる」 優希「京太郎を見てると胸がキュンキュンしちゃうし……やっぱり、私は……」 優希「――京太郎が好きなのかな……」 【ごく自然に受け入れられた風潮被害・京太郎の場合】 教師「須賀! またお前はそんな金髪に染めてきたのか!」 京太郎「これは地毛ですよ!」 京太郎「あっ、ハンカチ落としましたよ?」 モブ女子「えっ、ありが……ひっ、き、金髪……もしかして不良?」 京太郎「あのー?」 モブ女子「あ、ありがとうございます!」タタッ 京太郎「えっ、ちょっと……なんで逃げるんだ」 京太郎「おっ、それ新巻か。 読み終わったら貸してくれよ」 モブ男子「ひいっ!」 京太郎「えっ」 モブ男子「べ、別に今貸してもいいよ! か、返すのはいつでもいいから!」タタッ 京太郎「お、おい! また逃げられた……」 京太郎「ええっとタコスタコスっと……」キョロキョロ 不良「おいこら、そこの金髪!」 京太郎「へっ?」 不良「お前今ガンつけたよな、ええ?」 京太郎「ご、誤解だ!」 不良「とぼけてんじゃねえ、その金髪見る限りどこかの所属なんだろ……ちょっとこっち来いや!」 京太郎「じ、冗談じゃねえー!」ダダダッ! 不良「あっ、待てやこらあ!」 京太郎「はあ、はあ……なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ!」 優希「帰ってきたか京太郎! さあタコスを補給させるんだじぇ!」 京太郎「悪い、絡まれて逃げてきたからまだ買ってねえ……」 優希「なにぃ!?」 風潮『須賀京太郎の金髪だけなぜか不良扱いされる』 【ステルスは1人じゃない】 優希「今日も京太郎のタコス作りの技術を極めるためにタコス屋巡りをするじぇ!」 優希「京太郎には頑張ってタコス界の頂点にたってほしいからな!」 優希「えっ……そ、そうか?」 優希「わ、わかった、今度作ってきてやるじぇ」 優希「私のタコスを食べて自信をなくしても知らないからな!」 ゆみ「全く蒲原の奴にも困ったものだ……やっぱりモモもそう思うか?」 ゆみ「……確かになんだかんだ言ってもあいつには部長としての器はあるしそれを認めてないわけじゃない」 ゆみ「いや、私は未熟さ……なんだ、否定してくれないのか?」 ゆみ「待て、確かにあれは今振り返ればとんでもない事をしたと思う」 ゆみ「だがあれくらいしなきゃモモは麻雀部に入ってくれなかっただろう?」 ゆみ「な、何を言ってるんだ!」 優希「ん?」 ゆみ「おや?」 優希「誰かと思えば鶴賀の部長じゃないか!」 ゆみ「私は部長じゃないんだが……そういう君は清澄の先鋒か、合宿についての話を清澄でした時にもいたな」 優希「おお、覚えてたか! えっ、なんだ京太郎……うん、あの時はお菓子も食べられると思ってたからな!」 ゆみ「ん? いや違うんだモモ、その時は久や龍門渕、風越のキャプテンも一緒だったんだ、決して2人きりというわけじゃ……」 優希「……」 ゆみ「……」 優希「と、とりあえず私達はこれからタコス屋に行くんで失礼するじぇ! 次の全国大会でまた会おう! 行くぞ京太郎!」 ゆみ「私は卒業だし鶴賀は部員集めからしなければいけないがな……ああ、頼んだぞモモ」 京太郎「なあなあ、優希」 優希「なんだ?」 京太郎「さっきの鶴賀の人、時々何もない所見て話してなかったか?」 優希「言うな! きっとあの鶴賀の部長には見えてはいけないものが見えてるに違いないじぇ……!」 京太郎「マジかよ」 モモ「先輩」 ゆみ「どうしたモモ」 モモ「あのタコスさん、時々何もない所見て話してたっすけど……」 ゆみ「あの子はもしかしたら見えてはいけないものが見えるのかもしれないな……」 モモ「ひえっ、本当っすか」 京太郎「それは怖いな……」 モモ「それは怖い話っすね……」 【変わる顔】 京太郎「ふんふんふん」 優希「ジー」 京太郎「ん、なんだよ優希? 人の顔じっと見て」 優希「いや、京太郎の顔が変わったような気がしたんだじぇ」 京太郎「はあ? おいおい、俺は産まれてから今に至るまでこの顔だぞ」 優希「いや、それはわかってるんだけど」 京太郎「じゃあどういう意味だよ」 優希「初めて会った時は普通に男だったのに、今は女と言っても不思議じゃない気がするじょ」 京太郎「ええっ、俺そんな女顔じゃねえだろ?」 優希「昔はそうだったけど……」 優希「でも考えてみれば京太郎は咲ちゃんがいなきゃ女装して出場させられてたはずだし、今の女顔が正しい姿なのかもな」 優希「今の京太郎は下手したら龍門渕のノッポより女の子っぽいじょ」 京太郎「嬉しくないぞ、それ」 優希「まあ安心しろ、たとえ京太郎が女だったという衝撃の事実が発覚しても私は一緒にいてやるからな!」 京太郎「不吉な事を言うんじゃねえ!」 『変わる顔・優希の場合』 京太郎「だいたい人にはそんな事言うけどお前はどうなんだよ!」 優希「何の話だ? 私はずっと美少女のまんまだじょ」 京太郎「ふん、確かに黙ってれば可愛い部類だろうけどな。 だけどお前が変わってないとは言わせねえぞ!」 優希「えっ、かわ……」 京太郎「まあ、これを見てみろ」 優希『ここに山を築く。 誰にも賽は振らせない……!!』キリッ 優希「これはこの前私をのどちゃん地獄教室に引き込んだアレじゃないか」 京太郎「この時のお前は可愛いというよりかっこいい部類だ。 お前も人の事言えないくらいに変わってるってこった!」 優希「ふむ、つまり女顔になってる京太郎とかっこよくなってる私、バランスがよくなってるわけだ!」 京太郎「お前のそのポジティブさはどこからくるんだよ……あっ、そういえばお前咲が初めて来た時何を思ったか敬語使って……」 優希「それは言うな!」 京太郎「なんだよ、そんな怒るなよ」 久「やっほー、まだ2人しか来てないの?」 京太郎・優希「……」 久「な、なに? 2人してそんな見ないでよ、恥ずかしいじゃない」 京太郎「いや、俺達はなんて不毛な会話をしてたんだろうなって」 久「へっ?」 優希「変わったといえば一番変わった人を忘れてたじぇ……昔の部長はまるでムー……」 久「喧嘩なら買うわよ」 京太郎・優希「ごめんなさい」ドゲザー 【もしも優希が敬語キャラだったら】 優希「学食でタコス買ってきましたー」 優希「確実に勝つなんてありえません」 優希「天才なんですけどねっ! 集中力が持続しないんです」 優希「私の得意な東場が――またやってきました!!」 優希「よくやりました! あなたは使える犬です!」 優希「えっ、あなたもタコス好きの呪われた血族なんですか!?」 優希「なんだか、みんなを馬鹿にされたみたいです……」 優希「うちの県が弱いかどうか――今見せてあげます!」 優希「その程度で消える勢いなら――最初から願い下げです!」 優希「ここからは私の連荘で終わらせます。 この試合に東2局はきません!」 優希「ここに山を築きましょう。 誰にも賽は振らせません……!!」 優希「い、今はダメです……いやぁ」 優希「ほら、パンチラです」 京太郎「……」 優希「ど、どうだった?」 京太郎「若干和と被らんでもないな……というかいつものお前と過ごしてると誰だこれ感が否めない」 優希「そうか……」 京太郎「まっ、お前はいつも通りでいいんじゃね?」 優希「じょ?」 京太郎「正直こんなキャラだったら俺も調子狂うしなー。 今みたいに気安く話せる気がしないわ」 優希「そ、そうか……なら、よかったじぇ」 【須賀京太郎タコス布教作戦】 京太郎「新作ランチ、ウマー」モグモグ モブ男子「俺はそのために咲ちゃんや原村、片岡との飯の誘いを蹴ったお前が理解できない」 京太郎「だって今の内に食べとかないとなくなるかもしれないだろ? 三人との飯はまだ二年はできるんだし」ズズー モブ男子「はあ、こういうところが理解できないんだよ……普通気になる女子と飯が食えるならそっちを優先するだろうに」 京太郎「まあ、な」 京太郎(正直和はもう目がないのわかりきってて積極的にいく気になれないんだよなあ……) 京太郎(俺、もしかしたら逃げてるだけなのか?)ヴーヴー モブ男子「須賀、携帯鳴ってるぞ」 京太郎「ん、本当だ……優希か、もしもし?」 京太郎「は? タコスの危機? ああ、なるほどなるほど……そういう事か」 京太郎「ああいいぜ、わざわざコンビニまで行かされるのもめんどいしな」ピッ モブ男子「どうした?」 京太郎「優希の奴がこのままだとタコスがなくなるかもしれんから広めてほしいんだと」 京太郎「まああいつくらいしか食ってる奴いないしなあ」ガタッ モブ男子「広めるってどうやって?」 京太郎「そりゃまあ……実際に食ってもらうしかないだろ」スタスタ モブ男子「は?」 オバチャーン、タコスコレデカエルダケクレー ハイヨー、マタカノジョサンノタメカイ? アイツハソンナンジャネーッテ! 京太郎「ほら」ドサッ モブ男子「えっ」 京太郎「ここにいるお前の知り合いに配ってくれよ。 ついでにお前も食べて気に入ったなら今後も買ってくれると嬉しい」 モブ男子「それはいいけどお前……わざわざそのためにこんなに買ったのか?」 京太郎「コンビニで買わされるよりは安いから問題ないだろ。 じゃあ俺も行ってくるから頼むなー」 モブ男子「……」 ナアナア、チョットコレタベテクレヨ。オレノオゴリダカラサ……ウマイカ、ジャアコンゴモココノタコスヲゴヒイキニー モブ男子「やっぱりあいつは時々理解できない……」 【片岡優希の日記2】 ○月□日 今日は咲ちゃん、のどちゃんの三人で屋上でお昼ご飯 京太郎は私達を見捨てて学食の新作ランチを食べに行ったらしくていなかった 全く美少女三人とのご飯を蹴るなんてあいつはおかしい! でもちょうどいいから最近私以外買ってくれないと食堂のおばちゃんがぼやいていたタコスを広めるように言っておいた やってくれないのも覚悟はしてたけどどうやら本当に頑張ってくれたらしい、タコスは好評だったって言ってた! やっぱり京太郎はいいやつだな! 優希「おばちゃんも喜んでたし、タコスは続いていくしいい事尽くめだじぇ!」 優希「本当に京太郎はいいやつだじょ!」 優希「だから私は京太郎が……」 優希「な、なんか顔が熱いじぇ……早く寝よう、うん」 優希「今日は本当にありがとうな、京太郎……おやすみなさいだじぇ」 【京優捕物帖】※咲日和ネタ 京太郎「さてと今日は買い出しもないし少しは打てるかな……」 猫「ニャー」タタタッ 京太郎「猫? なんでこんなとこに」 優希「待てー!」 京太郎「優希、どうしたんだよ?」 優希「京太郎、こっちに猫が来なかったか!?」 京太郎「ああ、今通り過ぎてったぞ。 なんだ、あの猫お前が連れてきたのか?」 優希「そんな事はどうでもいいんだじょ! 早くあの猫を捕まえないと……麻雀が出来なくなってしまう!」 京太郎「はいぃ!?」 ――…… 京太郎「なるほど、つまり染谷先輩の雀荘を繁盛させるために猫雀荘をしようとしてお試しに猫を部室に連れてきたのか」 優希「そういう事だじぇ。 だけど思った以上に猫がやんちゃ揃いでな!」 京太郎「牌やら点棒やらくわえて逃げ出したと……つーかさ、一応麻雀部員なのに俺には何の話もなかったんだけど」 優希「来たら話す予定だったんだじょ。 昼は京太郎いなかったし」 京太郎「連絡してくれてもバチは当たらないと思うんだが……まあいい、とりあえず今は猫だ」 優希「中をくわえた奴さえ捕らえれば全ての牌は揃う! 協力を求む京太郎!」 京太郎「しかたねえな、いっちょ張り切っていきますか!」 ――…… 京太郎「おい優希、そっち行ったぞ!」 優希「任せろ! てりゃああ!」スカッ 京太郎「ダメじゃねえか!」 ――…… 優希「捕まえたー!」 京太郎「本当か!?」 優希「ほれ!」 池田「いったいなんなんだし!」 京太郎「すいませんすいません! 優希、猫違いだバカたれ!」 ――…… 優希「ふう、一休み一休み。 タコス補給っと」 京太郎「サボるなあ!!」ゴチンッ 優希「あいたあ!」 ――…… 京太郎「と、言うわけで……」 優希「見事捕まえて牌を取り返してきたじぇ! ミッションコンプリートだじょ!」 久「あ、ありがとうね、2人共」 京太郎「いてて、ひっかかれたせいで傷だらけだぜ」 優希「私もだじょ……玉のお肌がボロボロ、タコスを食べなきゃ治りそうにないじぇ」 京太郎「それで治るのか!?」 久(予備の牌があった事は言わない方がよさそうね……うん) 【タコの付くものパワー】 京太郎「たこ焼き、タコさんウインナー、タコライス……」カキカキ 咲「何してるの京ちゃん」 京太郎「いやほら、県予選決勝で優希がタコス食べられちまった時があっただろ?」 咲「うん、龍門渕の井上さんに食べられちゃって優希ちゃん泣いちゃったんだよね」 京太郎「あの時は風越の福路さんがお弁当のタコさんウインナーを分けてくれたから助かったけど」 京太郎「いつもそんな助けがくるとは限らないって部長が言ってな」 咲「確かに……」 京太郎「だから今の内にタコの付くもののレシピを覚えておいて、優希がタコス切れになった時に備えようって話になったわけなんだ」 咲「京ちゃん、料理できたの?」 京太郎「簡単なのならともかく凝ったのは出来ねえけど、でもこういう事で少しでも役に立てるなら俺も嬉しいし」 咲「京ちゃん……」 京太郎「それにちゃんと用意してやらないと優希の奴うるさいしなー。 まっ、頑張ってみるさ」 咲「そっか……じゃあもし私に手伝える事があったら言って。 家庭料理なら一応一通り出来るから」 京太郎「おっ、サンキュー。 じゃあさっそくで悪いんだけどタコのつく料理出来る限り教えてくれよ」 咲「うん、いいよ」 京太郎「いっそ自分でタコス作れるようになったら楽なんだけどな」 咲「あはは、それを言ったら元も子もないよ」 京太郎「違いない」 優希「……」ジー 優希「京太郎と咲ちゃん、何楽しそうに話してるんだ?」 優希「……なんか胸がモヤモヤするじぇ」モグモグ 【いつの間にか自然に受けいられた風潮・京太郎の場合その2】 京太郎「全国大会も終わって最近部の空気が緩くなってきたな」 京太郎「よし、ここは1つドッキリでも仕掛けて皆をシャキッとさせるか!」 京太郎「そうと決まれば早速ロッカーに隠れてっと……おっと携帯の電源は切っておかないとな」 京太郎「さあて最初は誰が来るかなー」 ――30分後―― 京太郎「遅いな……」 京太郎「部長は学生議会、染谷先輩は家の用事ってところか?」 京太郎「だけど咲達はもう来てもいいはずなんだけど……もう少し待ってみるか」 ――1時間後―― 京太郎「あれ、もしかして今日って休みだったか?」 京太郎「いや、でもそんなの聞いた覚えないし……」 京太郎「きっとなんか用事で遅れてるだけだろ……うん」 ――4時間後―― 京太郎「結局誰も来ず……何やってんだ俺、馬鹿みたいだな……」 京太郎「もう帰ろう……ああ、一応電源入れとかないと」ピッ ヴーヴー! 京太郎「あれ、メールと着信が……もしもし?」 優希『京太郎!!』 京太郎「うわっ!? な、なんだよ優希……」 優希『お前今どこにいるんだじぇ!』 京太郎「いや、部室だけど」 優希『はあああ!? 今日は染谷先輩の雀荘に集まって麻雀部員みんなで慰労会をやろうって話だっただろ!』 京太郎「そ、そんなの聞いてないぞ!?」 優希『いーや言った! この前京太郎がタコスを作ってる時にちゃんと私は伝えたじょ!』 京太郎「タコス作ってる時……あ」 ――…… 優希「京太郎、今度みんなで慰労会をやろうって話になったんだけど京太郎も来るよな?」 京太郎「んー」 優希「それは肯定なのか?」 京太郎「んー」 優希「わかったじぇ、じゃあ参加って事で○日の○時に染谷先輩の雀荘に集合だからな!」 京太郎「んー」 ――…… 京太郎「わ、悪い……」 優希『謝ってる暇があるならさっさと来い! みんな京太郎を待ってるんだからな! 』 優希『咲ちゃんなんか何かあったんじゃないかって、な、泣きそうに、なって……』 京太郎「本当にすまん! 今すぐ行くから!」 優希『早く来い、バカァ……』 風潮【須賀京太郎は清澄麻雀部で集まる時連絡すらされずハブられて気にもされない】 【ごく自然に受け入れられた風潮被害・優希の場合その2】 京太郎「優希、ちょっと話があるんだ」 優希「どうしたんだ? そんな真面目な顔、京太郎らしくないじぇ」 京太郎「実際真面目な話だからな……」 優希「そうなのかー。 で、話って?」 京太郎「ああ実はな、俺……」 優希「うんうん」 優希(あれ、待てよ……夕日の射し込む教室で向かい合って真面目な話……) 優希(これって咲ちゃんから借りた本にもあった告白のシチュエーションに似てるじょ) 優希(……告白!?) 京太郎「な、なんだか改めて言うとなると緊張するな……」 優希「ま、待つから落ち着くまで深呼吸でもすればいいんじゃないか?」 京太郎「そうだな……すう、はあ……」 優希(京太郎が私に告白……ゆ、夢みたいだじぇ! ど、どうしよう、答えは決まってるけどなんて返せば……) 京太郎「よし、もう大丈夫だ。 優希」 優希「は、はい!」 京太郎「俺な……」 京太郎「――咲と付き合う事になったんだ」 優希「――えっ」 京太郎「だからな、今までみたいに放課後つき合えないし、誘うのも自重してほしいんだ」 優希「うっ、えっ」 京太郎「言いたい事はそれだけだ……じゃあな」 優希「京太郎、ま、待って! 私、私は……!」 ガラガラッ、ピシャンッ 優希「あっ……」 優希「こ、こんなのってないじぇ……うっ、ううっ……うわああああん!!」 ――…… 優希「あ……ゆ、め?」 優希「よかった、じぇ……」 ――…… 京太郎「……」スタスタ 優希「……」トテトテ 京太郎「なあ、なんでさっきからついてきてんだ?」 優希「別になんでもないじょ」 京太郎「いや、なんでもないって事はないだろ」 優希「なんでもないんだ!」 京太郎「なんなんだよ……」スタスタ 優希「……」トテトテ 風潮【片岡優希は須賀京太郎との恋愛において高確率で噛ませ犬になる】 【キングエトペンの王冠と翼は誰が受け継ぐか?】※咲日和ネタ 優希「むう、何がいけなかったんだじょ」 京太郎「……お前、王冠と翼なんかつけて何してんだ」 優希「のどちゃんのエトペンを全国に備えてこれをつけたキングエトペンに強化したんだけど、なぜか返されてしまったんだじぇ」 京太郎「そりゃそうだろう……その王冠とかそれなりの大きさあるし刺さってもろ痛そうじゃないか」 優希「おお、そう言われればこの王冠ではのどちゃんのキングおっぱいには耐えられそうにないな!」 京太郎「キングおっぱい……なんだ、このアホなような響きなのになぜか心ときめく単語は……!」 ――奈良県―― 玄「むむっ、キングおっぱいよりおもちキングの方がロマンを追求してる気がするのです!」クワッ 宥「ひいっ! く、玄ちゃんが壊れちゃった……」 ――…… 京太郎「それにしてもお前がつけてると妙に似合うな、それ」 優希「そうか? まっ、この優希ちゃんの高貴なオーラにかかれば……」 京太郎「すっげえ子供っぽい」 優希「んなあっ!?」 京太郎「今のお前なら小学校の劇に混じってても違和感ないぞ……ぷふっ!」 優希「ええい、笑うな笑うな! そんな奴にはこうだじぇ!」 京太郎「うおっ!」 優希「キング京太郎だ! ぷっ、似合わないにも程があるじぇ!」パシャッ 京太郎「今写真撮りやがったか!?」 優希「同時にメールでみんなに一斉送信だじょ! よし、今度は翼をつけた姿も撮ってやろう!」 京太郎「やめい! お前、よくもやってくれたな!」 優希「あはは、悔しかったら私を捕まえてみろ!」トテテッ 京太郎「逃がすか! 王冠と翼つけたお前の写真撮って小学生ですって周りに送ってやる!」スタタッ 優希「きゃー!」 和「楽しそうですね2人共」 咲「本人たちは本気なのかもしれないけど、端から見たらじゃれあってるようにしか見えないよね」 【京太郎はお金持ち?】 優希「ううう……」 京太郎「どうした、財布見てうなり声なんかあげて」 優希「タコスを買う軍資金が底をついたんだじぇ……お小遣いまでまだ3日はあるのに」 京太郎「後先考えずに調子に乗って買いまくるからだろ」 優希「そんな事言ったってタコスを食べなきゃ私人の形を保てないし……」シュン 京太郎「……ったく、しょうがねえな」ゴソゴソ 優希「京太郎?」 京太郎「ほら、五千円貸してやるからこれで3日間なんとかしろ」 優希「うえっ!? さ、さすがにこんな大金受け取れないじょ!」 京太郎「別にいいんだよ、どうせ今小遣い余ってるし」 優希「……ちなみに、月いくらくらいもらってるんだ?」 京太郎「うーん、昼飯代合わせて月4万くらいか?」 ※ちなみに高校生のお小遣いの平均は5600円 優希「」 京太郎「俺ほとんど学食とか購買だし肉体労働が多いから、それなりにもらっとかないとやってけないんだよ」 優希(わ、私でさえタコス代込みで月2万円なのに……上には上がいたのか) 京太郎「今月は意外に使わなかったからちゃんと返してくれるなら貸すぞ?」 優希「……じゃあ、お言葉に甘えるじぇ」 京太郎「了解、返すのはいつでもいいからな」 優希「京太郎に貸しを作るのはアレだから早めに返すじょ」 京太郎「まっ、そこは好きにしてくれ」 優希(京太郎って意外にお金持ちなんだな……新しい発見だじぇ) 【優希は幼児体型?】 優希「タコスウマー♪」モグモグ 京太郎「毎日毎日そんなに食べてよく飽きないな……」 優希「ん、なんか言ったか京太郎?」 京太郎「なんでもない、強いて言うならよくもそんなに食べて太らないなって思っただけだ」 優希「むぐっ……」 京太郎「優希?」 優希「わ、私は太らない体質だからな……」 京太郎「……なんかすまん」 優希「な、何を謝ってるんだ? 意味がわからないじょ」 京太郎「いや、気にしてるなら謝るべきだろうなと」 優希「……ええい、もうこの話は終わりだ終わり!」 優希「だいたい女の子に向かって体重関係の話をするなんてデリカシーがなさすぎる!」 京太郎「だ、だから謝ってるだろ。 そんな怒るなよ……」 優希「ううー……」 優希(最近確かにおなか周りがプニプニしてきたけど、まだ取り返しがつかないわけじゃないじぇ……うん、大丈夫) 京太郎(こいつの体型ってモロに幼児のそれなんだよなあ……その手の人が見たら結構たまらないんじゃないか?) 優希「……」モグモグ ※ちなみにタコスのカロリーは164kcal 優希は普段タコスを3つは食べるため合計は492kcal、高1女子の1日に必要な平均カロリーは2250kcal 意外に普段の優希のタコス消費量には問題がないのかもしれません 【須賀京太郎の日記】 ○月△日 いよいよ全国大会本番 優希に必要なタコス屋を探して動いていたら長野で会った執事服の人にまた会って店を教えてもらった 店は会場から結構遠くてどうしたもんかと悩んでたら、 さっきの執事さんがタコスを自作できるらしくて明日から作り方を教えてもらえる事になった! これでわざわざ買いに行かなくてもよくなるかもしれない! 待ってろよ優希、お前が驚くくらい美味いタコスを作ってやるぜ! それにしてもあの執事さん、龍門渕の人だったんだな……だったら県予選の時は塩送られたって事か、なんか悔しい 京太郎「ふう」 京太郎「本当によかった……ついてきたはいいけど全く役に立たないなんてごめんだからな」 京太郎「これで、俺も少しはみんなの役に立てればいいんだけどな……」 京太郎「よし、明日から頑張って修行開始だ!」 【掃除も雑用の内】 久「今日はみんなで大掃除と荷物整理をしましょう」 まこ「ここは色々あるからのう……やるとしたら1日がかりになりそうじゃ」 和「そもそも関係ない物が多すぎる気がします……」 咲「そういえば最近ここの本読めてないなあ」 優希「よし、私は外のビーチチェアーが壊れてないか実際に寝てチェックを……」 京太郎「露骨にサボるフラグを立てるなよ!」 久「はいはい、それぞれ何をするかは任せるけど出来るだけサボらないようにね? じゃあ始めましょう!」 咲「あっ、この本、日に焼けちゃってる……背表紙も擦れてるし古い本なのかな」 咲「……ちょっと中身を確認するだけなら、いいよね?」 咲「……」ペラッ、ペラッ…… 京太郎「ええっとこの箱はこっちに……」 和「あら、ベッドの下に何か……これ、エトペンのキーホルダー……」 優希「おお、それ前に私が持ってきてなくしたやつだじぇ。 そんなところにあったのかー」 和「……」キラキラ 優希「のどちゃん、欲しいならあげるよ?」 和「えっ、いいんですか!?」 優希「のどちゃんなら大切に扱ってくれそうだしな! 私が持ってるよりはそいつも幸せだじぇ!」 和「あ、ありがとうございますゆーき!」 京太郎「窓ガラスもだいぶ汚れてんな……雑巾、雑巾っと」 まこ「おんや、これは……」 久「まこ?」 まこ「ああ、見てくれ部長。 随分と懐かしい写真が出てきたんじゃ」 久「それまこが入部してきた時に撮った……」 まこ「この頃はまさか全国出場どころか優勝するなんて思いもせんかったわ」 まこ「正直お前さんが築いたここを引き継ぐというのは相当なプレッシャーじゃが……」 久「まこならできるわよ、私が保証する。 私が卒業した後の麻雀部をお願いね?」 まこ「うむ、精々努力はさせてもらう」 京太郎「自動卓も汚れてんな、ほとんどタコスのソースのせいっぽいけど」 ――…… 京太郎「なんで俺しか分担終わってないんですか!?」 久「ご、ごめんなさい……つい思い出話に花が咲いちゃったわ」 まこ「すまん、やってしもうた……」 和「エトペンのキーホルダーに夢中になってしまいました……ごめんなさい」 優希「そ、掃除は何か見つけちゃうとはかどらないものなんだじぇ……」 咲「結局本一冊読みきっちゃった……ごめんね、京ちゃん」 京太郎「ダメだこりゃ……」ガクッ 【猫蛇セアミィの謎】 優希「るんたった、るんたった♪」 京太郎「随分とご機嫌なこって……そんなにタコス食えるのが嬉しいのか?」 優希「まーなー♪」 優希(休みに2人で出かけるなんてまさしくデートに違いない! これが楽しくないわけないじょ!) 京太郎「ふーん……そういえばさ」 優希「なんだー?」 京太郎「お前私服でもその猫?蛇?だかのアクセサリーつけてんのな」 優希「おお、これか。 これはのどちゃんが私のために選んでくれたお気に入りだからな! 出来る限りつけるようにしてるんだじぇ」 京太郎「へえ、確かにあのペンギンといい和の趣味っぽいな」 優希「ふふふ、美少女たるこの優希ちゃんにのどちゃんの見立てたこの猫蛇セアミィが加わればまさに最強! 」 優希「向かうところ敵なしだじぇー!」 京太郎「自信過剰な気もするが……まあ、確かに似合ってはいるんじゃね?」 優希「あはは、京太郎が素直に褒めるなんて珍しい事もあるな。 なんだか照れちゃうじょ」モジモジ 京太郎「何言ってんだか……ん?」 セアミィ「///」 京太郎「」 京太郎(えっ、なにあれ。 さっきまで普通のぬいぐるみだったセアミィ?」 京太郎(だったかなんだかが今見たら優希みたいに照れてるんだけど) 優希「京太郎?」 セアミィ「?」 京太郎(また優希に合わせたみたいに顔変えた!? なんなんだよ、まさかアレ生きてるのか!?) 優希「おーい、無視するんじゃない!」 セアミィ「」プンプン! 京太郎「あ、ああ悪い……」 京太郎(聞くべきか、いや、でもそんなバカな話があるわけ……) 優希「よろしい! じゃあ早くタコス屋に行くじぇ!」トテテッ 京太郎「あっ、待てよ!」タタタッ 京太郎(気のせい、だよな。 うん、そうに決まってる……和じゃないけどそんなオカルトありえないって) セアミィ「」ニコニコ 【本にあるからといってそれが正しいとは限らない】 優希「うぐぐ、京太郎め。 いつになったら私の魅力にメロメロになるのだ。 色々試してるのにな……」ペラッ ・男女に友情なし、ぐいぐい行けば必ず落とせる! 優希「京太郎!」 京太郎「どうした優希」 優希「新しいタコス屋が出来たらしいから明日の休み、私につきあえ!」 京太郎「なんで休みにまでつきあわされなきゃ……わかったわかった、行くからそんな目で俺を見るな」 優希「よし、約束だからな!」 優希(休日デート、これで京太郎も少しは私を意識するはず!) 京太郎(仲のいい妹とかいたらこんな感じなのかね……おごらされる未来しか見えないから財布に補充しとこ) ・意識させるような発言を繰り返してみよう! 京太郎「今日は俺達以外まだ誰も来てないのか」 優希「2人っきりだじぇ、あなた♪」 京太郎「はいはい、俺はネトマしてるからタコスでも食べておとなしくしてなさい」 優希「京太郎が食べさせてくれないのか?」 京太郎「お前なあ……」 優希(焦ってる焦ってる♪) 京太郎(まるで子供だな……なんで今の内に父親体験をしなきゃならんのだ) ・男は狼、セクシーに迫ればいける! 優希「き、京太郎……」 京太郎「どうした? おい、なんでお前スカートの裾なんか握って……」 優希「わ、私京太郎になら見せてもいいんだじょ……」チラッ 京太郎「は、はあ!? ちょっと待て、いくらなんでもそれは……」 優希「京太郎……」 京太郎(マズい、この前のメイド服と違って恥じらってるからなんかくるものが…いやいや、そんなわけない! 俺がこいつにそんな……) 和「こんにちは」ガチャッ 京太郎「」 優希「あ」 和「……」 スガクン、ユーキニナニヲヤラセテルンデスカ! ゴカイダ、キイテクレノドカ!コレハユウキノヤツガ、マッテケイサツハヤメテ! 優希(後少しだったのに……) 京太郎(なるほどね……優希の奴、和が来るのわかっててやりがったのか……) 京太郎(ちくしょう、気の迷いとはいえあの時ちょっとドキッとした俺がバカだった!) 優希「今日も失敗……なんでうまくいかないんだろ」 ・男の子を落としてアラサーにならない方法 著者 小鍛治健夜 健夜「えっ、なにこれ、書いた覚えないよ」 恒子「私がやりました、テヘペロ♪」 健夜「こーこちゃん!?」 【もし京太郎が京子だったら】 京子「やっほー、咲」 咲「あっ、京ちゃん」 京子「ねぇねぇ、食堂一緒に行かない?」 咲「えっ、私今本読んでるんだけど……」 京子「本は食堂でも読めますよー。 1人一個限定のデザートがどうしても食べたいの、お願い!」 咲「ええ、普通そのためだけに食堂に誘う?」 ――…… 咲「中学で同じクラスなだけですから! 嫁さん違います!」 京子「まっこう否定ですか」 咲「えっ」 ――…… 京子「和って家庭的だよねー」 咲「そうだね」 京子「……」 和『おかえりなさい、京子さん』 京子「ふふ、うふふ……」 咲「き、京ちゃん……」 ――…… 京子「メイド服着た和、見たかったなあ……」 優希「そう言うと思って着てきたじぇ!」 京子「……」 優希「ほれ、パンチラ」 京子「いらない」 ――…… 久「先鋒優希、次鋒まこ、中堅私、副将和、大将咲!」 京子「部長、私は!」 久「京子は応援、以上!」 京子「ですよねー」 ――…… 京太郎「」 優希「うわあ」 咲「京ちゃん、女の子だったら色々すごいね」 京太郎「なにこれ、ひどい」 優希「これはのどちゃん以上のわかりやすいガチガチのアレだじぇ」 和「あはは……ゆーき、後でお説教です」 優希「ひいっ」 咲「しかも京ちゃんったら私の嫁さん違いますって言葉にあんな事言ったくせに」 咲「麻雀部に入ったのが和ちゃん目当てだったり妄想したりって節操ないよね」 京太郎「なんということだ……なんということだ……」 結論【須賀京太郎が実は女の子な場合、当初の描写のガチレズ度が指なめをした和と同等かそれ以上になる】 『よく考えると京子ちゃんだった場合』 京子「私も麻雀部に入ります!」 久「やった、これで団体戦に出られる!」 京子「すいません、私初心者なんですけど……」 久「安心しなさい、私達でちゃんと教えてあげるから!」 京子「あっ、はい!」 ――咲ちゃん加入後…… 久「京子、あの……今度の団体戦のオーダーなんだけど」 京子「私はレギュラー落ち、ですよね」 久「ごめんなさい……入ってくれた時にはあれだけ持ち上げておいて」 京子「あはは、いいですよ……私みたいな初心者より咲が入った方がいいに決まってますから」 京子「私は、みんなの分も雑用とか頑張ります!」 久「本当にごめんなさい……」 こんな事が起きるわけですね まあレギュラー落ちはしても合同合宿には参加させてもらえるでしょうから…… 京子「はあ……合宿に参加させてもらえはしたけど周りのレベルが高すぎてついていけないよ」 京子「私なんかとやって他の人は何か得るものあるのかなあ……」 京子「ダメだ、変な事ばかり考えちゃう。 早く戻ろう……あれ?」 咲「……」 和「……」 京子「咲と和だ……なんでこんなところに」 咲「じゃあ戻ろっか和ちゃん」 和「そうですね、咲さん」 京子「――えっ」 京子「咲と和が下の名前で呼び合ってる……なんで」 京子「――私はまだ、【須賀さん】なのに」 京子「なんで私より後に会って関わった時間も短い咲が、なんで、なんでなんで!?」 京子「咲……私は弱い、咲より麻雀やってきた時間も短いからレギュラーは妥当だと思うしまだいいよ」 京子「でもあんたは、私が麻雀部に入る前から好きな人も、奪うっていうの……」 京子「そんなの、あんまりだよ」 優希「京子……」 結論【京太郎が女の子なだけで清澄1年組が大変な事になります】 「須賀京子の憂鬱」 清澄高校に入学後、同級生の原村和に一目惚れして麻雀部に入部した京子。 ちょうど京子が五番目の部員で団体戦に出場できるようになると部長の久に歓待された京子は、 自分の入部動機がまさか和への恋情であるとは言えず大して興味もなかった麻雀に従事する事に。 しかし全国大会への熱意から久を筆頭に麻雀部員達に熱心に教えてもらったり、対局を繰り返して 麻雀の楽しさを知っていった京子は皆のためにもインターハイで頑張ろうと心に決める。 そして入部してから数週間後、京子は中学からのクラスメート宮永咲が麻雀の経験者であると知る。 家族麻雀でお年玉を巻き上げられていたと語る咲に彼女が初心者だと思った京子。 周りがベテランだらけであり、初心者の自分への教育に時間をとられて練習も出来ない。 それだけ時間を使わせても大会で自分が足を引っ張るのが確実な状況なのも手伝って、 初心者仲間欲しさに咲を勧誘した京子は彼女を麻雀部の部室へと連れていく。 それが自分のレギュラー転落と失恋を呼び込む行動とも知らずに…… 安価なしでスレ立てするとしてあらすじはこんな感じですかね 京太郎が京子ちゃんになるだけで不憫、寝取られ、戦犯にもなれないレギュラー落ちなどの属性がつくという…… 【京太郎のたこ修行】 京太郎「ほっ、ほっ……」 優希「到着ー! 京太郎、何してるんだ?」 京太郎「見てわからないか、たこ焼き焼いてんだよ」クルックルッ 優希「たこ焼き! ほほう、私の好物だじぇ!」 和「部室でたこ焼きを焼く意味がわかりません」 京太郎「しょうがないだろ、たこ焼き器しか持ってこれなかったんだよ」 和「答えになってません!」 優希「ジー」 京太郎「あんま近いと跳ねて火傷するぞ?」 優希「なら早く食べさせるのだ!」 京太郎「もうちょっと待てって」 咲「うわ、どうしたのこれ?」 和「須賀君がなぜだかたこ焼きを焼いてるんです、部室で卓の上にたこ焼き器を乗せて……理解できません」 京太郎「ここ電源少ないんだよ……だからといってパソコンの方だとちょっと遠いし」クルックルッ 優希「早く早く! 今日はタコスが売り切れてたからタコのつくものを食べなくては私は人の形を保てない!」 京太郎「わーってるって! ほら、一丁あがりっと」 優希「ヒャッハー!! タコだ、タコのつく食べ物だじぇー!」 和「あっ、ゆーき! そんなに慌てて食べたら火傷しますよ!」 優希「おっと……ふう、危うく美味しく食べられなくなるところだったじぇ」 京太郎「逃げやしねーからゆっくり食べろよな。 あっ、咲と和もどうだ?」 咲「これ、タコスがなくなった時のために作ったんだよね?」 京太郎「おう、今日は昼の時点でタコスがなくなってたからな。 」 京太郎「まさに前に話したタコスがなくなるシチュだったから他の物を作る事にしたんだよ」 咲「じゃあもらおうかな……京ちゃんがちゃんと美味しく作れてるか確認しないと」 京太郎「そういう言い方するなら俺は優希に食べてもらうだけでいいんだぞー?」 咲「……美味しそうだから私も食べたいです」 京太郎「素直でよろしい」 和「……」ゴクリ 京太郎「和はどうする?」 和「……わ、私は」チラッ 優希「むぐむぐ……京太郎が作ったにしてはなかなか……」 咲「あっ、美味しい……」 和「……私にもください」 京太郎「了解」 優希「京太郎、おかわりだ!」 咲「京ちゃん私も私も!」 和「わ、私もお願いします……」 京太郎「あいよー!」 久「えっ、なにこれ」 まこ「ここはいつから料理部になったんじゃ……」 【優希も本くらい読むんです】 優希「暇だじぇー。 みんないつになったら来るんだー」モグモグ 優希「うーむ……ここは1つ本でも読んでみよう!」 優希「面白い本はあるかなーっと……これにするか。 タイトルは【隣の家の少女】?」 優希「きっと隣の家の女の子を好きになっちゃうみたいな話だな!」 優希「ふふふ、これで優希ちゃんも文学少女だじぇ。 もう子供っぽいとは誰にも言わせん!」 優希「……」ペラッ 優希「……」ペラッ 優希「……」 優希「うーん、字ばっかりで飽きたじょ……もっと面白いのはないのかー?」 優希「【狂鬼降臨】、【問題外科】、【暗い森の少女】、【骨餓身峠死人葛】……」 優希「なんだかタイトルだけで頭が痛くなりそうだじぇ。 最後のなんかタイトル読めないし……」 優希「おっ、漫画みっけ! これなら私も退屈せずに読めそうだじぇ! えーっとタイトルは【ミスミソウ】? 」 優希「タイトルはよくわからないけど漫画なら面白いのは確実だじょ!」 ――…… 京太郎「ちわーっす」 優希「……」 京太郎「おっ、まだ優希だけか?」 優希「……」 京太郎「優希?」 優希「すいませんすいません、なんか生きててすいません」ガタガタ 京太郎「何があった!?」 【そういうところが好きなんです】 優希「うう、昼間は酷い目にあったじぇ……なんで部室にあんな本があるんだ。 まさか咲ちゃんの趣味じゃないだろうな……」 優希「今日は親も帰ってこないし、眠れなくなりそうだじょ……」 ガタッ! 優希「ひっ!?」 優希「か、風……?」 ガタガタッ! 優希「やあっ!?」 優希「やだやだ……誰かに電話して朝までつきあってもらいたいじょ……」 優希「でも、そんなののどちゃんには怒られるだろうし、咲ちゃんは途中で寝ちゃう気がするし……」 ガタガタガタンッ!! 優希「いやあっ!? ううう……京太郎ぉ……」 ピンポーン 優希「えっ……」 ピンポーン 優希「だ、誰だじょ……? まさか誰かが火をつけに来たとか……ひいっ」 京太郎「おい、優希ー?」 優希「――京太郎?」 京太郎「ふーむ、今日は様子が変だったから見にきたけどもう寝たのか……?」 ドタドタドタッ、ガチャッ! 優希「京太郎!」ガバッ! 京太郎「うおっ!?」 優希「京太郎京太郎……!」ブルブル 京太郎「ど、どうした? なんか怖い夢でも見たのか?」ナデナデ 優希「ううう……」 ――…… 京太郎「うん、うん……ああ、わかってるって。 じゃあ口裏合わせは頼むな」ピッ 優希「……」 京太郎「家には他のやつの家に泊まるって連絡して、そいつに口裏合わせも頼んどいた」 京太郎「で、部室でも変だったけど何かあったのか?」 優希「……部室で怖い本を読んだんだじょ。 夢にも出てきそうなくらい怖くて、今日は親もいないから……」 京太郎「心細かった、と……そういえば咲の奴がお前と全く同じ状態になった事があったわ」 京太郎「あそこヤバい本が色々あるらしくてさ、全部読んじゃったらしいあいつはもっと酷かった」 優希「そうなのか……」 京太郎「まっ、泊まるまでになったのはお前くらいだけどな」ナデナデ 優希「んっ……」 京太郎「今日は朝まで一緒にいてやるよ、お前が暗いと調子狂うしな」 優希「京太郎……」 京太郎「よし、今日は俺が夕飯作ってやるよ! ちょっとキッチン借りるな」 優希「京太郎は優しいじぇ……」 優希「――そういうところが私は好きなんだ……」 京太郎「なんか言ったか?」 優希「なんでもない!」 【それはとてもシンプルな理由】 京太郎「さて、そろそろ寝るか?」 優希「そうだな……京太郎のおかげで今日は眠れそうだじぇ」 京太郎「それは一安心だ。 じゃあ悪いけどソファー借りるな」 優希「えっ、なんで」 京太郎「なんでって……ソファーにも寝かせてくれないのかよ?」 優希「一緒に寝てくれないのか?」 京太郎「はあ?」 優希「朝まで一緒って言うからてっきり一緒のベッドで寝てくれると思ったのに……」 京太郎「……あのなあ優希。 お前自分がとんでもない事言ってる自覚あるか?」 優希「そう、か?」 京太郎「そうだよ。 いいか、もしそんな台詞を誰彼構わず言おうものなら間違いなくお前襲われるぞ? 」 京太郎「俺はそんな気にならないからまだいいけどな、世の中には色んな趣味のやつがいるんだから……」 優希「……京太郎以外に、こんな事言わないじぇ」ボソッ 京太郎「えっ? お前今なんて……」 優希「いいじゃないか。 京太郎は私を襲わないんだろ? それとも一緒にいてくれるって嘘だったの……?」 京太郎「うっ、そうきたか……はあ、わかったよ」 優希「やった!」 ――…… 京太郎「……」 優希「……」ドキドキ 優希(京太郎と一緒に寝るなんて夢みたいだじょ。 心臓の音、聞こえてないかな……) 京太郎「なあ、優希」 優希「な、なんだ!?」 京太郎「お前さ、どうして俺と一緒に寝ようなんて思ったんだ?」 優希「えっ……」 京太郎「自分で襲わないとか言いはしたけどさ……」 京太郎「普段の俺って和の事結構そういう目で見てたりするような奴だし、はっきり言ってそういう信用ある気がしないんだよ」 優希「……」 京太郎「お前が俺を信頼してくれてるなら嬉しいけど、どうしてそこまで俺を信用できるのか、ちょっと気になった」 優希「それは……」 京太郎「……悪い、なんか変な事聞いた。 もう寝ようぜ、明日は休みだけど早めに起きた方がいいしな」 優希「うん……」 ――…… 優希「京太郎、もう寝た?」 京太郎「zzz……」 優希「……さっきの質問の答えだけど、私は別に京太郎なら襲わないとか信頼してるわけじゃないんだじょ」 優希「いや、信用してないわけでもないけど」 優希「ただ、そうただ――」 優希「京太郎なら襲われてもいいって思ってるだけ」 優希「それだけだから……おやすみなさい」 京太郎「……ばかやろ」 【小さな変化、大きな前進】 優希「んっ、朝……?」 優希「あれ、京太郎……?」 京太郎「……」トントントン 優希「京太郎?」 京太郎「あっ……よ、よぉ、おはよう優希」 優希「おはようだじぇ」 京太郎「今朝飯作ってるから顔洗ってこいよ。 あっ、腹減ってると思ってまたキッチン借りたけどいいよな?」 優希「うん、お腹ペコペコだじょ……顔洗ってくる」 京太郎「おう」 京太郎「まっずいなあ……昨日のあいつの言葉聞いたせいか、まともに顔が見られないぞ」 京太郎「はあ、さすがにアレは反則だろ……」 優希「反則って何がだ?」 京太郎「なっ!? は、早いんだな?」 優希「えっ、さっきから数分は経ってるしそんなに早くないだろ?」 京太郎「あっ、そうなのか……そりゃ確かに早くないわ」 優希「京太郎、なんか挙動不審だじぇ」 京太郎「いや、そんな事はないぞ!?」 優希「そうかー?」 京太郎「そうなんだって! いいから向こう行って待ってろ、今朝飯持ってくから!」 優希「はーい」トテテ 京太郎「……くそっ、人の気も知らないで」 ――…… 京太郎「……ってな事があったわけなんだが、俺はどうしちまったんだと思うよ?」 咲『……』 京太郎「咲ー? 黙ってないでなんか言ってくれよー」 咲『京ちゃんってさ』 京太郎「おっ、なんかわかったのか?」 咲『バカでしょ』 京太郎「はああ!? お前言うに事欠いてそれはないだろ! おいこら待て、まだ話は終わってない、切るなって、おい咲!」 京太郎「切れた……なんなんだよ、もう」 【片岡優希の日記その3】 ○月◇、☆日 昨日は京太郎が泊まりに来たから書けなかった分も書く 昨日部室で怖い本を読んだ。 読み終わった後もすごく気分が暗くなってのどちゃん達にも心配をかけちゃった……当分火とボウガンは見たくない。 昨日は親が遠出してて帰ってこないから1人きりで留守番してたけど、すごく心細くて泣きそうになって。 だけど上に書いた通り、京太郎が心配して泊まりに来てくれた。 それからはドキドキしっぱなしで怖いとかほとんど関係なくなってた…… 渋られたけどなんとか押し通して一緒に寝られたしいい事づくめだった! だけど今日の朝、京太郎はちょっと様子が変だった……何かあったのかな? 優希「ふう……京太郎、どうしたんだろ? 心配だじぇ」 【端から見たらわかりやすい】 京太郎「はあ……」 咲「京ちゃん、ため息なんてついてたら幸せが逃げちゃうよ?」 京太郎「ああ……」 咲「聞いてないし」 京太郎「なあ咲……」 咲「どうしたの? この前の事( 214)でまだ悩んでるの?」 京太郎「最近優希の事が頭から離れない……俺はどうしちまったんだ……」 咲「まだこんな事言ってるよ……あのね京ちゃん、それは京ちゃんが優希ちゃんを好きって事……」 京太郎「それはない」 咲「そこ、はっきりと即答しちゃうんだ……根拠は?」 京太郎「だってあいつは俺の好みとはまるで正反対だし、和みたいに感じる事もないんだぞ?」 咲「うん」 京太郎「そりゃあ、優希だって女の子なんだなー」 京太郎「とは思うようにはなったけど、だからといってそれがイコール好きに繋がるかといったらそれは違うだろ」 咲「……」 京太郎「ああ、もう、なんかモヤモヤすんな……誰かこの気持ちをうまく説明してくれよ……」 咲(それ、和ちゃんへのは憧れで優希ちゃんへの気持ちが恋なんじゃないの?って言ったらすごい事になりそう……) 京太郎「ちくしょう、それもこれも優希があんな事言いやがったのが原因だ……どうしてくれようか、あのタコス娘……」 咲(端から見たら優希ちゃんに恋してるようにしか見えないんだけどなあ。 優希ちゃんは苦労しそうだね、今までもこれからも) 京太郎「はあ……」 咲(ため息つきたいのはこっちだよ、もう……) 【されど互いは気付かない】 優希「はあ……」 和「ゆーき? ため息なんてついて何か悩み事でもあるんですか?」 優希「のどちゃん……私、もうどうしたらいいかわからないじぇ」 和「ゆーきがそこまで言うなんてよっぽどの事があったみたいですね……よかったら聞かせてくれませんか?」 優希「実は……」 ――…… 和「須賀君に避けられてる、ですか」 優希「今までだって相手にされない事はあったけど避けられるのは初めてで……」 和「確かに、らしくはない気もしますね。 何か避けられる心当たりは?」 優希「うーん、様子が変になったのは京太郎が私の家に泊まった日からだったような……」 和「その時に何かありましたか?」 優希「一緒に寝た以外はいつも通りだったじょ」 和「一緒に寝た!? ゆーき、あなた須賀君とそんな事をしたんですか!?」 優希「えっ、ダメだったかな? 一緒の布団で眠っただけなんだけど……」 和「……それなら、いいんです」 優希「のどちゃん、何を想像したんだ?」 和「何でもありません! とにかく、須賀君がそこを分岐点に変わったとするなら一番可能性が高いのはゆーきを意識しているとか……」 優希「それはないじぇ」 和「根拠はあるんですか?」 優希「だって京太郎の好みと私は噛み合ってないし、それに……」 優希(京太郎が好きなのはのどちゃんだし……) 和「それに?」 優希「なんでもないじぇ……とにかく京太郎が私を意識してるって事はないと思う」 和「そうですか……」 優希「のどちゃん、私何かしちゃったのかな……ぐすっ」 和「そ、そんな事ありません! きっと何か行き違いがあるんだと思います。 だから泣かないでゆーき……」 優希「のどちゃあん……」 和(悔しいですがこれ以上は1人でどうにかできそうにありません……咲さんに相談してみましょう) 【ごく自然に受け入れられた風潮・京太郎の場合その3】 ハギヨシ「須賀君はなかなか筋がよろしいですね」 京太郎「そうですか?」 ハギヨシ「ええ、タコス作りを教えるようになってからまだ時間はたっていないのに随分成長しました」 京太郎「それはたぶん先生がいいからですよ」 ハギヨシ「ふふっ、そう言っていただけるとこちらとしてもお教えしたかいがありますね」 京太郎「これからもご指導よろしくお願いします」 ハギヨシ「もちろん」 京太郎「さて、時間も時間だし帰るとするか」 ハギヨシ「家までお送りしましょう。 車を出しますので少しお待ちください」 京太郎「あ、ありがとうございます! やっぱりハギヨシさんはいい人だなあ」 「あら、そこにいるのは……」 京太郎「あっ、あなたは確か和の対戦相手だった……」 透華「龍門渕透華ですわ」 京太郎「あっ、俺は……」 透華「清澄高校の須賀京太郎、でしょう? ハギヨシの交友関係くらい把握しておりますわ」 京太郎「あっ、そうなんですか……いつもハギヨシさんにはお世話になってます」 透華「別に構いませんわ、最近のハギヨシはいつにもまして楽しそうに過ごしていますもの」 京太郎「楽しそう? ハギヨシさんがですか?」 透華「ええ、正確に言えばあなたに色々指導するようになってから、ですわね」 透華「ここにいるのは女性ばかり、ハギヨシとしても同性の知り合いが出来た事が嬉しいんでしょう」 京太郎「いえ、そんな……」 透華「だからこそはっきりさせておきたい事があります」 京太郎「なんですか?」 透華「あなたはハギヨシと、懇ろな仲なんですの?」 京太郎「」ピシッ 透華「わ、私が気にしているわけではありませんわよ!? 」 透華「ただ屋敷のメイドが噂していましたから、衣の教育によろしくない関係か確かめる義務が私には……!」 京太郎「ないですないです! 俺はちゃんと女の子が好きです!」 透華「それならいいんですわ。 これからもハギヨシと仲良くしてやってくださいな」 京太郎「は、はい」 透華「それでは、ごきげんよう」 京太郎「……すごい事聞かれたぜ」 ハギヨシ「お待たせしました須賀君、行きましょう」 京太郎「あっ、はい」 京太郎(だけど、なんで俺は龍門渕さんの言葉を否定した時……) 『京太郎!』 京太郎(あいつの顔、浮かんだんだよ?) 風潮【須賀京太郎はホモである】 【傍観者達は何を思う】 和「……というわけ、なんですが須賀君はいったいどうしてしまったんでしょうか?」 咲「優希ちゃんはそんな事になってるんだ……そういう意味ではお似合いなのかな」 和「それはどういう……まさか」 咲「うん、間違いないよ。 京ちゃんと優希ちゃんは両思いなのに変なところですれ違ってるの」 和「須賀君は散々邪険にしてきた負い目から今さら自分の気持ちを認められず」 和「ゆーきは須賀君の好みとは違う自分が好かれている自信がない、といったところですか」 咲「たぶんね」 和「なんという……少し話せばあっさり解ける誤解なのに」 咲「それはしょうがないよ、京ちゃんはフレンドリーなのに肝心なところで臆病だから」 和「ゆーきも、これが須賀君でなければ当たって砕ける覚悟も出来るんでしょうね」 咲「苦労するね、お互いに」 和「全くです……ところで、いいんですか?」 咲「なにがかな?」 和「いえ、私の勝手な想像ですけれど、咲さんはそれなりに須賀君を好いていると思ってましたから」 咲「私が、京ちゃんを?」 和「気分を害されたのなら謝ります」 咲「いいよ、気にしないで……そもそもそんな事ありえないし」 和「そうですか?」 咲「うん。 確かに私にとって京ちゃんはお友達だし、一番仲のいい男の子だよ」 和「だけどそれがイコール好きに繋がるかと言ったらそうじゃないと思う」 和「……」 咲「まあ、京ちゃんは単純だし、エッチだし、馴れ馴れしいところもあるし」 咲「髪の毛のせいで軽く見られちゃうし、子供っぽいし、すぐに人をからかってくるし」 咲「わざわざレディースランチのためだけに人を連れ回すし、胸の大きな子にはデレデレしちゃうし」 咲「1つの事に集中しちゃうと周りが見えなくなるし、こういう時へたれちゃうような人だしね」 和「あの咲さん、さすがに言いすぎ……」 咲「――だけど」 咲「悪いところも確かにあるけどそんなの気にならないくらい、いい人でもあるんだよ」ニコッ 和「……!」 咲「だから早く付き合っちゃえばいいのにね、2人共」 和「そう、ですね」 和(あなたは、本当にそれでいいんですか咲さん……) 咲(……) 【まだ賽はふられてない】 優希「京太郎、今日の放課後……」 京太郎「き、今日は俺用事あるから!」 優希「あ……」 京太郎「くそっ、なんでこんな事になったんだ……」 「そうねぇ、天罰ってやつじゃないかしら?」 京太郎「それじゃあ俺が何かしたみたいじゃないですか」 「自覚ないの? 優希もかわいそうね」 京太郎「そんなの――」 京太郎(ん? ちょっと待て、俺さっきから誰と話して……)バッ 久「お疲れ様、須賀君。 なんか大変な事になってるみたいね」 京太郎「竹井先輩……別にそんな事は」 久「須賀君は嘘が下手ねぇ。 その顔見て何もないなんて信じられるわけないじゃない」 京太郎「……そんなに酷いですか?」 久「今にも死にそうね……ここは1つ元部長に相談してみない?」 京太郎「……実は」 久「へえ、優希がそんな事を言うなんてねえ」 京太郎「あんな事言われたらこれからどう接していいのか……」 久「あら、話を聞く限り簡単だと思うけど」 京太郎「えっ」 久「だって優希は須賀君が好きで、須賀君も優希が好きなんでしょう?」 京太郎「あの、俺の話聞いてました? あいつを好きとかそういうのじゃないって……」 久「須賀君、私にはあなたがそう言い聞かせるふりをして、優希と自分の気持ちを見ないようにしてるようにしか見えないわよ」 京太郎「なっ……」 久「和の時とは違う、だから自分は優希を好きじゃありませんって自分で言ってる事おかしいと思わない?」 京太郎「っ……」 久「好みが正反対なんてそれこそ根拠にもなってない愚論よ」 久「世の中の人が全員自分の好みと完璧に一致する人しか好きにならないなんて、和じゃないけどそんなオカルトありえません」 京太郎「う、ぐっ」 久「まあ須賀君は優希のアピール散々無下にしてきてるし、気まずいのかもしれないけど……」 久「いつまでも優希の好意に甘えるのはよしたら?」 京太郎「俺は!」 久「いいから黙って聞きなさい。 須賀君、ヒントをあげる……自分以外の誰かと優希が付き合ってるところ想像してみて」 京太郎「えっ」ズキッ 久「デートして、あの子が笑顔で好きって言って、言われて照れて、手を繋いで……」 京太郎「あ、つう……!」ズキッ、ズキッ 久「腕を組んで、キスして、最後にはその身体をあなた以外に襲われてもいいって……」 京太郎「やめてくださいっ!!」 【持つものにないもの、持たないものにあるもの】 優希「京太郎、今日の放課後……」 京太郎「き、今日は俺用事あるから!」 優希「あ……」 優希「どうしてこんな事になっちゃったんだじぇ……」 まこ「元気ないのう、優希」 優希「あっ、染谷先輩……」 まこ「何があったかはわからんが、いつも元気なお前さんがそこまで落ち込んどるいう事は今逃げていった奴が関係しとると見ていいか?」 優希「……」コク まこ「もしよければ悩みを詳しく聞かせてもらえんか?」 優希「……わかったじょ」 まこ「なるほどのう。 それは確かに不安にも感じるじゃろうな」 優希「私どうしたらいいかもうわからないじぇ……」 まこ「しかし優希、なぜ京太郎のやつがおんしを好きだという可能性を最初から否定するんじゃ?」 優希「だって京太郎はのどちゃんが……」 まこ「確かに京太郎が麻雀部に入った目的は和じゃし、そう思う気持ちはわからんでもないが……じゃが本当に可能性はないのかの?」 優希「えっ……」 まこ「わしはな優希、お前さんが次にツモれる聴牌をわざわざ崩しにいってるように見えるんじゃよ」 優希「聴牌をわざわざ……?」 まこ「そうじゃ。 色々な客を見てきた身から言わせてもらうなら京太郎はお前さんを好いとると思う」 優希「京太郎が、私を……」 まこ「優希、確かにお前さんになくて和が持っているものはたくさんあるじゃろう」 まこ「じゃがそれは逆もしかり、優希にあって和にないものだって同じくらいたくさんあるんじゃ」 優希「のどちゃんになくて、私にあるもの」 まこ「そうじゃ、優希はそれで勝負すればいい」 まこ「たとえどんなに削られても、心を支える点棒が尽きなければお前さんは戦えるはずなんじゃ」 優希「……」ギュッ まこ「優希、わしの言葉をどう捉えるかはお前さん次第じゃ。 それを踏まえた上でどうしたいか決めんしゃい」 優希「私、私は……京太郎と一緒にいたい。 今みたいなのは、もう嫌だ!」 まこ「ならどうすればいいか、わかっとるな?」 優希「……ありがとう、染谷先輩! 私、いってくるじょ!」タタタッ まこ「……頑張れよ、優希」 優希「はあ、はあ……」 優希「京太郎、私は決めたじぇ……私は、今日お前に告白す――」 咲「それは通らないよ、優希ちゃん」ゴッ 【もう自分に嘘はつかない】 久「やめてください、ねぇ……どうしてかしら?」 京太郎「それはっ……」 久「あなたは優希を好きじゃないんでしょう? だったらあの子が誰と付き合う事になろうと文句は言えないはずよ」 京太郎「それとも、何か心境に変化でもあったのかしら?」 京太郎「お、俺は……」 優希『私は片岡優希! よろしくな京太郎!』 優希『初心者が私に勝とうなんてまだまだ甘いじぇ!』 京太郎(あいつは、出会った時から偉そうで、その癖ちょっと気に入らない事があるとだだをこねて) 優希『京太郎! 私はタコスを所望する!』 優希『そこにいる全員にタコスを食べさせるのだ』 優希『よくやった! お前は使える犬だ!』 京太郎(人を使いっぱしりにして散々振り回す、まるで子供みたいなやつ) 優希『京太郎京太郎……!』 優希『……京太郎以外に、こんな事言わないじぇ』 優希『京太郎なら襲われてもいいって思ってるだけ』 京太郎(だけど間違いなく優希は女の子で、そんなあいつを俺は、俺は――) 京太郎「いや、です」 久「何が?」 京太郎「俺は、優希を誰にも渡したくないです。 あいつの笑顔も照れた顔も独占してしまいたい」 久「どうして?」 京太郎「俺は、優希が好きだから」 久「……手間がかかるんだから」 京太郎「すいません」 久「謝るくらいならさっさと告白でもしてきちゃいなさい! あなたのお姫様が待ってるわよ?」 京太郎「そうですね……俺、学校に戻ります!」 久「行ってらっしゃーい……本当に、ややこしいくらい素直になれないんだから、【3人共】」 京太郎「戻ったはいいけどあいつどこにいるんだ? しらみつぶしに捜すしか……」 和「何をしてるんです」 京太郎「和! ちょうど良かった、優希を見なかったか?」 和「……教えるのは構いませんがその前にいいですか?」 京太郎「お、おう」 和「――今度ゆーきをこんな形で傷つけたら私はどんな手を使ってでもあなたとゆーきの仲を引き裂きます」 京太郎「……!」ゾクッ 和「私が言いたいのはそれだけです……ゆーきは屋上に行きましたよ」 京太郎「和」 和「なんですか?」 京太郎「優希を大切に思ってくれてありがとうな。 お前のそういうところも好き【だった】よ!」タタタッ 和「……」 和「ゆーきを、お願いします須賀君」 【たとえ今は勝てなくても】 優希「咲、ちゃん」 咲「優希ちゃん……今のあなたを京ちゃんの所に行かせるつもりはないよ……」 優希「な、なんでそんな!」 咲「優希ちゃん、私ね京ちゃんの事をとっても大切な友達だと思ってるの」 優希「……」 咲「だからね、京ちゃんがもし不幸になるのなら私はそうさせる人を認めない」 優希「私がそうだって言いたいのか?」 咲「どうかな……優希ちゃん、あなたは京ちゃんをどれだけ知ってる、理解してる?」 優希「……」 咲「私は京ちゃんの悪いところを10はあげられる、だけどいいところならその倍以上あげられる自信があるよ」 咲「優希ちゃんはなんで京ちゃんが好きなのかな? 」 咲「もし京ちゃんがわがままを聞いてくれる便利な存在だから、なんて欠片でも思ってるのなら……」ゴッ 優希「っ!」 咲「――私は全力で優希ちゃんを排除するよ」 優希(咲ちゃん、もしかして……) 咲「それで? 優希ちゃんはどれだけ京ちゃんを理解してるかな?」 優希「……咲ちゃんには勝てないじょ」 優希「私は京太郎と出会ってまだ半年くらい、どうしても咲ちゃん以上に京太郎を理解なんて出来てない」 咲「そう……」 優希「だけど!」 京太郎『須賀京太郎、よろしくな優希』 京太郎『うおおっ、初心者相手に容赦ねえ!?』 優希(初めて出会った時からわかってた。 目の前の男子はのどちゃんがお気に入りなんだって) 京太郎『またかよ、お前タコスで身体が出来てんのか?』 京太郎『しょうがねえな……タコスを食わせればいいんだな?』 京太郎『犬って……』 優希(どうしようもなく鈍感でスケベで馴れ馴れしい奴) 京太郎『ど、どうした? なんか怖い夢でも見たのか?』 京太郎『今日は朝まで一緒にいてやるよ、お前が暗いと調子狂うしな』 京太郎『よ、よぉ、おはよう優希』 優希(それでも私は京太郎が好きなんだ) 優希「今は咲ちゃんに勝てなくてもいい、私はいつか必ず京太郎の理解者になる!」 咲「!」 優希「咲ちゃんが京太郎のいいところを20出すなら私は30あげられるようになってみせるじょ! だから咲ちゃん……私を行かせて!」 咲「――良かった」 優希「えっ?」 咲「優希ちゃんは本当に京ちゃんを想ってくれてるってわかったから。 行って、京ちゃんは屋上にいるはずだよ」 優希「咲ちゃん……ありがとう」タタタッ 【その嶺に花は咲かない】 咲「……あーあ、本当に世話の焼けるカップルだなあ」 咲「これは今度しっかりお礼してもらわないとね」 咲「……」 京太郎『えっと俺、須賀京太郎って言うんだ。 よろしく宮永さん』 京太郎『うーん、なんか友達にしてはよそよそしいよな俺達……』 京太郎『よし、これから宮永さんの事は咲って呼ぶからそっちも京太郎って呼んでくれよ!』 咲(……そう、これで良かった) 京太郎『まだ須賀呼びかよー……じゃあなんなら呼べるんだ?』 京太郎『き、京ちゃん? それはちょっとハードルが高いんじゃないかなー……ああ、わかったわかったから泣きそうな顔するなって!』 咲(じゃあなんで、私は今こんなに胸が痛いんだろ、泣きたいんだろ……) 京太郎『咲は高校どこにするんだ? 清澄か……じゃあ俺もそこにするわ』 京太郎『咲を1人で行かせたら大変な事になりそうだからな!』 京太郎『怒るなって、ジョークジョーク!』 咲(あ) 京太郎『咲、ノートありがとうな』 京太郎『咲、レディースランチを恵んでくれ!』 京太郎『咲、これからもよろしくな』 咲(そう、だったんだ) 和「咲さん、こんな所にいたんですか?」 咲「……」 和「咲、さん?」 咲「和ちゃん、私……」 咲「――京ちゃんの事、好きっ、だった……みたい」ポロポロ 和「咲さん……」 咲「あは、ははは……京ちゃんを散々鈍感とか言ってたくせに、私も気づいてなかったんだ、自分の気持ち……!」ポロポロ 和「……」 咲「よく考えてみたら私、京ちゃんと同じような言い訳してたよ……なに、やってるんだろうね?」ポロポロ 和「咲さん……」ギュッ 咲「今さらわかってもさあ! もう私はスタートラインにすら立てないんだよ! 」 咲「やましい心がないのかって優希ちゃんを邪魔したくせに、誰よりも私がやましい心を持っちゃってる!」ポロポロ 和「もういいです、もういいですから……!」 咲「なんで今頃わからせるの!? なんで何もかも手遅れになった後で、こんな気持ちに気付かせたの……」 和「咲さん、いいんです。 苦しまなくていいですから……思いっきり気持ちを吐き出してください」 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 咲「うわああああああんっ!!」 【花が散った日、風が吹いた日】 優希「はあはあ……あれ、京太郎いない……」 ガチャッ 京太郎「あっ」 優希「あっ」 京太郎「……よぉ」 優希「……なにしてたんだ、バカ」 京太郎「バカな自分に喝を入れてた。 悪かったな、待たせちまって」 優希「別に、待ってないじぇ」 京太郎「今って意味じゃなくて、もっと前からって意味だよ」 優希「……」 京太郎「俺さ、やっとわかったんだ……」 優希「なに、を」 京太郎「俺、お前に惚れてる」 優希「あ……」 京太郎「好きなんだよ優希、お前の事が」 優希「……」ポロ 京太郎「えっ」 優希「ふっ、ひっく、っ……」ポロポロ 京太郎「えっ、えっ!? な、なんで泣くんだよおい!」 優希「だって、京太郎は私の事、見てくれなかったし、何しても相手にしてくれないし……!」 京太郎「……ああ、そうだったな」 優希「みんなに言われても、私不安でっ、怖くてっ……」 京太郎「ごめんな、不安にさせて……」 優希「わ、私も京太郎が好き、好き、好きだじぇ……!」 京太郎「そうか……」 京太郎「だったら俺と――」 優希「だから私と――」 京太郎・優希「――付き合ってください」 久「あっ、まこ? これから空いてないかしら? うん、うん……ええ、私達でもう1人のお姫様を慰めてあげたいのよ」 まこ「了解じゃ、じゃあ迎えに行くか……わしらで頑張ったなって言ってやらんとな」 和「あっ、先輩方。 はい、ありがとうございます……ええ、泣き疲れて眠っちゃってますから移動はタクシーにしましょう」 咲「京、ちゃん……すう、すう……」 京太郎「……帰るか、行こうぜ優希」スッ 優希「うん!」ギュッ 京太郎「さて、これからどうするかね……」 優希「京太郎」 京太郎「なんだ?」 優希「だーい好きだじぇ!」ニコッ 【須賀京太郎と片岡優希の日記】 ○月◎日 今日は俺にとって色々激動の1日だった。 なんせ初めての彼女が出来た日だからな! 竹井先輩には感謝してもしきれないぜ……今度お礼しないと それにしても俺が優希と、か……今でも少し信じられない気もするけど夢じゃないんだよな…… 頑張ろう、あいつの彼氏だって恥じる事なく胸を張れるようにな 京太郎「今日は本当に色々あったなあ……」 京太郎「彼女、か……く、くくっ、やべえ、にやけが止まらねえ!」 京太郎「ふう……優希、何してんのかな」 ○月◎日 き、き~~~~(波線部分は文字が滲んでよく読めない) 今日京太郎と付き~~事になったた ま、まだま手を~~~らいだどいずれは~~~ 相談にのってくれたのどちゃん、背中を押してくれた染谷先輩、そして咲ちゃん、ありがとう 優希「うわああ、前半部分が酷い事になってるじぇー!」 優希「ううう……今でも心臓がドキドキ言ってるじょ」 優希「京太郎もドキドキしてくれてるのかな……」 番外【ごく自然に受け入れられた風潮被害・和の場合】 咲「――京ちゃんの事、好きっ、だった……みたい」ポロポロ 和「咲さん……」 和(ああああ!! 咲さん咲さん咲さん、泣き顔も素敵です、美しいです!) 咲「あは、ははは……京ちゃんを散々鈍感とか言ってたくせに、私も気づいてなかったんだ、自分の気持ち……!」ポロポロ 和「……」 和(だけど咲さんを泣かせた罪は許しませんよ、2人共……!) 咲「よく考えてみたら私、京ちゃんと同じような言い訳してたよ……なに、やってるんだろうね?」ポロポロ 和「咲さん……」ギュッ 和(よっしゃあああ!! 自然に咲さんに抱きつけたあああ! 咲さんの髪の匂いクンカクンカ! 涙もペロペロしたいですう!) 咲「今さらわかってもさあ! もう私はスタートラインにすら立てないんだよ! やましい心がないのかって優希ちゃんを邪魔したくせに、誰よりも私がやましい心を持っちゃってる!」ポロポロ 和「もういいです、もういいですから……!」 和(今はあんな男より私の感触を感じてくださいよ! ああ、忌々しい男、早くこの手で八つ裂きにしてやりたい!) 咲「なんで今頃わからせるの!? なんで何もかも手遅れになった後で、こんな気持ちに気付かせたの……」 和「咲さん、いいんです。 苦しまなくていいですから……思いっきり気持ちを吐き出してください」 和(一番吐き出してほしいのは私への愛なんですけどね!) 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 和(だけどこれで邪魔者は消えました、後は私がじっくり咲さんを……2人への天誅はその後にしましょう……) 咲「うわああああああんっ!!」 和(ふふふ!) ――…… 久「……なんて考えてたりしてね、あはは」 和「今すぐ卓に座りなさい部長! 麻雀で泣かせて差し上げます!!」 まこ「お、落ち着くんじゃ、和!」 和「私がそんな事を考えるわけがないでしょう! だいたい須賀君はゆーきの大切な……あ」 咲「……」 和「あ、あの咲さん、その……」 咲「大丈夫だよ、和ちゃん。 あの時泣かせてもらって少しスッキリしたから……」 和「咲さん……」 風潮【原村和は咲狂いで結ばれるためには平気で周りや親友の優希すらも踏みにじる】 番外【ごく自然に受け入れられた風潮被害・咲の場合】 咲「やだ、やだやだやだあ! 京ちゃんを渡したくない、私だって京ちゃんに見てほしいよぉ……!」 和「……」ナデナデ 咲「――あっ、そうだあ」 和「えっ」 咲「そうだよ……なんで気づかなかったんだろう……ふふふふふ」 和「さ、咲さん……?」 咲「京ちゃんと結ばれないなら優希ちゃんを排除すればよかったんだあ……」 和「さ、咲さん!? 何を……」 咲「カン」ドグシャア!! 和「あうっ!?」 咲「ごめんねぇ、和ちゃん……私これから京ちゃん、優希ちゃんと麻雀をしてこなきゃいけないから」 咲「待っててね京ちゃん……優希ちゃんを消したら、その心を壊して家で大事に大事に飼ってあげるからね!」 和「ゲホッ、ゲホッ、咲、さん……」ガクッ 咲「あっはははははははは!!」 ――…… 久「咲はこれくらいアグレッシブでも……」 咲「それもうアグレッシブじゃないですよ!」 和「ただの頭おかしい人じゃないですか!」 まこ「あんたは何がしたいんじゃ……?」 久「んー、さすがにやりすぎたか。 まあ、でもこれで少しは気が紛れたんじゃない?」 咲「えっ……」 久「すぐに吹っ切れなんて言わない、でも少しずつこの失恋を乗り越えていきましょう……」 久「咲は泣き顔もかわいいけど笑顔の方がもっとかわいいんだから」ナデナデ 咲「部長……」 久「ふふっ、私はもう部長じゃないわよ?」 まこ「ええじゃないか、わしを含めた麻雀部員達にとって部長はやっぱりあんたなんじゃよ」 久「しょうがないわねぇ……これじゃいつまでも卒業ができないじゃない」 咲「ごめんなさい……」 久「謝らなくていいわ。 じゃあ卒業までは頑張って先輩やらせてもらおうかしら?」 まこ「今だって入り浸ったとるじゃろうが……」 久「まあね!」 和「……いい話にしようとしてますが、私はさっきの妄想を許す気はありませんよ?」 久「あはは、別に打つのは構わないわよ? 泣かされるのは和かもだけどね」 和「言いましたね!」 久「まこと咲も入りなさい! 今日は徹夜で打ちまくるわよー!」 まこ「しょうがないのう、じゃあちょっくら揉んでやるか!」 咲「……」 咲(みんな、私を元気づけようとしてくれるのがわかる……嬉しいなあ) 和「咲さん?」 咲「あっ、今行くよ!」 風潮【宮永咲はヤンデレ魔王】 【新しい1日の始まり】 優希「……んふぁ……よく寝たじぇ」 優希「……」パカッ 『須賀京太郎 グループ……恋人』 優希「……夢じゃない」 優希「えへ……へへへへ///」コロン 優希「私、もう京太郎の彼女なんだ……」コロコロ 優希「にやけが止まらないじぇー!」コロコロコロコロ ドサッ! 優希「あいたっ!?」 優希「えっと……あっ、いた! 京太郎! お、おはよう!」 京太郎「ああ、おはよう優希」 優希「待っててくれたのか?」 京太郎「まあな。 一緒の登下校とかいかにも恋人っぽいだろ」 優希「こ……」 京太郎「な、なんだよ」 優希「は、恥ずかしい事言うな、バカ!」 京太郎「べ、別に恥ずかしくないだろ! 本当の事、なんだからよ」 優希「そういうのが恥ずかしいって言ってるんだじょ!」 京太郎「……んだよ、じゃあお前には俺達の関係は恥ずかしい事なのか?」 優希「えっ、そ、そんなんじゃ……」 京太郎「ふーん、いいよいいよ。 俺は恥ずかしいなんて別に思ってなかったんだけどお前がそう思うなら、俺達合わないのかも……」 優希「そ、そんな……ちょっと待って! 私はそんなつもりは……あれ?」 京太郎「くっ、くく……」 優希「……おい」 京太郎「お、お前がまさかそんな……ちくしょう、かわいいじゃねえか!」 優希「このやろ! よくも人を笑い物にしたなあ!」 京太郎「ははは! せっかくつき合えたのに俺が合わないのかもなんて考えるかよ!」 優希「むうう……!」 京太郎「ほら、さっさと行こうぜ。 学校遅刻しちまうからな」 優希「……おりゃ!」ギュッ 京太郎「のわっ! 優希、お前何を……」 優希「さっきのはどうしても許せん! 罰として私を背負って学校に行くのだ!」 京太郎「は、離れろよ!」 優希「いーやーだー! おやおや、京太郎……顔がなんだか赤い気がするじょ」 京太郎「なあっ!?」 優希「ふふん、私の魅力的なボディにメロメロになってきたんだな! よしよし、たっぷり堪能させてやろう!」ギュウッ 京太郎「うおおお、やめろぉ!」スタタッ! 優希「あはははは、早い早い! そらそら超特急で行くのだー!」 京太郎「ちくしょうううう!!」 【須賀京太郎の女子力】 優希「お昼だじぇ!」 京太郎「屋上は風が気持ちいいもんだなー……そういえば他に誰か誘ったか?」 優希「のどちゃんや咲ちゃんは部長達とどこか行ったらしいじょ」 京太郎「ふうん、じゃあ今日は2人きりってわけか」 優希「そういう事だな! さあ、存分にいちゃつこうじゃないか!」 京太郎「じゃあ食べさせあいでもするか?」 優希「」 京太郎「あれ? おーい優希?」 優希「……はっ!」 京太郎「おっ、戻ってきたか」 優希「ま、また変な事を……」 京太郎「いちゃつこうって言いだしたのはお前じゃん」 優希「そ、そうだけど……」 京太郎「まあ、それは後でにするとして弁当食うか」 優希「弁当? なんだ京太郎、お弁当を作れたのか?」 京太郎「お前のために料理勉強したんだからな……少し食うか?」 優希「もちろんいただくじぇ!」 京太郎「おう、食え食え」 優希「おっ、タコさんウインナー! タコめしにタコのやわらか煮、タコの和え物もあるじぇ!」 京太郎「須賀京太郎特製タコ尽くし弁当だ! とくとご賞味あれ!」 優希「いただきまーす! モグモグ……」 京太郎「どうだ?」 優希「うまい! よくやるじゃないか京太郎!」 京太郎「そうかそうか! まだまだあるからたくさん食べていいからな」 優希「言われずとも!」 京太郎「さて俺も食うか。 うん、我ながらよくできた!」 優希「タコスにタコ料理に幸せなご飯だじぇー♪」 京太郎「これはまだまだ改善出来るか……メモっとこ」 優希「……」 京太郎「ん、どうした?」 優希「なんでもないじぇ」 優希(なんだろう……美味しいんだけどなんか女子力的な意味で負けた気がするじぇ。 私も作れた方がいいのか……?) 京太郎「今度はタコライスでも作るかー」 優希(……でもとりあえずは今目の前にあるお弁当に集中するじぇ!) 優希「タコさんウインナーいただき!」 京太郎「おおい!? 人のまで取るなよ!」 優希「早い者勝ちだじょ! お弁当うまー!」 京太郎「ええい、やめんか! このタコ好き娘がー!」 【最後のわがまま】 京太郎「部活、行くかあ」 優希「相談したんだし、みんなに報告した方がいいのか?」 京太郎「どうだろうなあ……聞かれたら答えるって感じでいい気もするけど」 優希「じゃあ私はのどちゃんと染谷先輩には言っておくじょ」 京太郎「だったら俺は部長と咲に……」 優希「京太郎、その事なんだけど……」 ――…… 京太郎「ちーっす」 優希「来たじぇ!」 咲「あ」 優希「あ」 京太郎「なんだ、咲だけか?」 咲「う、うん……」 京太郎「そうか、じゃあ俺は出とくわ」 咲「えっ、京ちゃん?」 京太郎「優希、とりあえずみんな来たら止めとくから」 優希「……頼んだ」 京太郎「任された」ガチャッ、バタンッ 咲「あ、あの優希ちゃん?」 優希「咲ちゃん……私、京太郎と付き合う事になったじょ」 咲「あっ……そ、そうなんだ、よかったね!」 優希「……1つ聞きたいんだけど、もしかして咲ちゃんもだった?」 咲「えっ、あっ…………うん」 優希「やっぱり、そうだったんだ」 咲「気付いたのは……優希ちゃんを行かせた後、だったけどね」 優希「はは、まるで京太郎みたいだじぇ」 咲「自分でも、そう思うよ」 優希「咲ちゃん」 咲「なに、かな?」 優希「ごめんとは、言わないじょ。 京太郎が好きな気持ちに関しては咲ちゃんに負けてるつもりはないから」 咲「うん……私も謝ってほしくはないかな」 優希「だから、その、言いたいのは1つだけ……ありがとうだじぇ、咲ちゃん」 咲「うん……ねえ優希ちゃん、私友達としてだけど優希ちゃんが好き」 咲「だから甘い考えかもしれないけどこんな顔色窺うみたいにギクシャクしたくない」 優希「私も、咲ちゃんは大好きな友達だから……ギクシャクなんてイヤだじぇ」 咲「だから優希ちゃん、もしよかったら1つだけ私のわがまま、聞いてくれる?」 優希「わがまま?」 咲「――今度、京ちゃんの家に一緒に泊まってくれないかな?」 優希「えっ……えええええっ!?」 【須賀京太郎と片岡優希と???の日記】 ◆月○日 俺の知らない間に何が起こったか、優希と咲が今度泊まりに来る事になった。 しかもいつの間にか家にも許可を取ってたらしいし…… いったいどういうつもりなんだ、2人して? 京太郎「……なんなんだろうな、本当に」 京太郎「わからねー、女の子の考える事なんて全くもってわからねー」 京太郎「……寝よ」 ◆月○日 今日、咲ちゃんと話して1つの計画を立てた。 最初に一緒に京太郎の家に泊まろうと言われた時はビックリしたけど、咲ちゃんを見たら断るなんて選択肢にもなかった。 今度の休みは忙しくなりそう…… 後お昼に食べた京太郎のお弁当になんだか女の子として自信がなくなったのはここだけの秘密 優希「咲ちゃん……」 優希「……寝るじぇ」 ◆月○日 今日優希ちゃんに最後のわがままだってお願いをした。 それは優希ちゃんと一緒に京ちゃんの家にお泊まりする事……優希ちゃんは驚いてたけどすぐにいいって返事をくれた。 ありがとう優希ちゃん……私、頑張るからね。 咲「……これで、きっと私は吹っ切れるよ」 咲「京ちゃん……」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2246.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363548712/ 【3人の初デート】 京太郎「結局色々わからないままこの日を迎えてしまった」 京太郎「ったく、都合よく泊まりが親がいない日になるなんてそんなの考慮できますかってんだ……」 京太郎「つーか泊まりに来る話だけだったのに、なんで俺達朝から待ち合わせして電車に揺られてんの?」 優希「さっきからブツブツうるさいじょ、京太郎」 咲「そうだよ京ちゃん、せっかくなんだから楽しまないと!」 京太郎「何が起こるかわからないのに楽しめるか! いや、もうどうしようもないのはわかってるけどさ」 優希「言わなかったか? 今日は京太郎の家に行く前に3人でデートなんだじぇ!」 咲「私、遊園地なんて久しぶりだから楽しみ!」 京太郎「マジっすか……」 京太郎(くそ、本当に2人が何を考えてるかが読めない! なんで初デートがこんな胃が痛みそうな状況なんだよぉ!) 優希「京太郎はせいぜい両手に花の状況を楽しめ! 大丈夫、取って食べたりはしない……たぶん」 京太郎「おいなんだ、今のたぶんって!」 咲「あっ、優希ちゃん、タコス作ってきたけど食べる?」 優希「おお、咲ちゃんのタコスは久々だじぇ! 食べる食べる!」 京太郎「なんなんだよ、このアウェイ感……」 【楽しむ事が一番いい】 優希「着いたー!」 咲「まずはどれに乗ろうか?」 優希「そうだな、まずはやっぱり……」 京太郎「楽しそうだなあいつら……」 京太郎(確かに気にしてたってしょうがないっちゃしょうがないんだよな……) 京太郎(優希と咲の2人が俺に何かやらかす気ならなんとなくわかるだろうし、少し頭を切り換えるか) 京太郎「……2人共、どこ行くか決まったか?」 優希「おう、ジェットコースターに行くぞ京太郎!」 京太郎「お前乗れんの? 身長制限的な意味で」 優希「失礼な奴だな京太郎は! 私だってこれくらい余裕だじぇ!」 咲「ええっと、優希ちゃん……本当にジェットコースター乗るの?」 優希「なんだ、怖じ気づいたのか咲ちゃん」 咲「そ、そういうわけじゃ……」 京太郎「無理しなくていいんだぜ? 咲が耐えられるとは思えないしなー」 咲「むっ……わかった、乗るよ。 行こう優希ちゃん!」スタタッ 優希「それでこそ咲ちゃん!」トテテッ 京太郎「意地になったな、ありゃ……大丈夫なのかね」 咲「や、やっぱりやめとけばよかったかも……」カタカタ 優希「今さら何を言うんだ咲ちゃん、もう後戻りは出来ないじぇ!」 京太郎「そろそろてっぺんだぞー」 咲「えっ、ちょっと待って、まだ心の準備が……」 ガタンッ 咲「きゃあああああああ!!?」 優希「わああああ!」 京太郎「うおおおお!」 ――…… 咲「はへ、ほへ……」フラフラ 京太郎「だから無理すんなって言ったのに……」 優希「咲ちゃん大丈夫かー?」 咲「だ、大丈夫だよ~……ちょっと地面が揺れてるだけだから~……」 京太郎「ちょっと休憩させた方がいいな、これは」 優希「同感だじぇ」 咲「うう、ごめんねぇ……」 【それはトラウマなんです】 咲「ご迷惑をおかけしました」ペッコリン 京太郎「気にすんなって。 じゃあ次は……定番のお化け屋敷でも行くか!」 咲「え゛っ」 優希「じょ!?」 京太郎「えっ、なに咲だけじゃなくて優希もダメなのか?」 優希「そ、そんなわけないだろ!」 咲「わ、私だって苦手なわけじゃないもん! だいたいお化けなんて、SOAだよSOA!」 京太郎「SOAってなんだよ?」 咲「そんなオカルトありえません!」 優希「全くだ! そんなオカルトありえないじょ!」 京太郎「麻雀ではオカルトの塊みてえな奴らがよくもまあ言えたもんだな……じゃあ問題ないだろ、作り物しかないなら余計に」 咲「優希ちゃん……も、もしかして墓穴を掘ったって言うのかな、これ」カタカタ 優希「だ、大丈夫だよ咲ちゃん……京太郎の言う通り作り物しかないなら臆する事はないじぇ」カタカタ 咲「そ、そうだよね!」 京太郎「あっ、そういえば言い忘れてたけどお化け屋敷は今期間限定でなんかコラボしてるらしいぜ」 咲「そ、そうなんだ」 優希「い、いったい何とコラボしてるんだ?」 京太郎「ええっと確か……【ミスミソウ】だったかな」 咲「」 優希「」 【悲劇は繰り返される】 優希「ごめんなさいごめんなさい……」カタカタ 咲「あうあうあう……」カタカタ 京太郎「歩きにくい……お前らもうちょっと離れて……」 ガタンッ! 優希「じぇぇぇ!?」ギュッ 咲「うひゃう!?」ギュッ 京太郎「……ダメだこりゃ」 ――…… 京太郎「もうすぐ出口か。 なんか怖いというより虚しさとかがあって、あっさりな感じだったな」 優希「ふ、ふふん! 大したことなかったじぇ!」ウルウル 咲「ほ、本当だよ! やっぱり作り物は作り物だよね!」ウルウル 京太郎「散々泣いておきながらどの口が言うか……ん?」 優希「ど、どうした京太郎?」 京太郎「今なんか聞こえなかったか?」 咲「ふえっ!? き、京ちゃん冗談はやめてよ……」 京太郎「いや本当なんだって、ちょっと耳澄ましてみろ」 優希「……」 咲「……」 ……パーイ、…コス…カー… 優希「ひいいっ!?」 咲「ほ、本当になにか聞こえるよぉ!?」 京太郎「だよなあ……まさか最後の最後にこんなのがあるとは油断してたぜ」 ……キセン……イ…… 優希「な、なあ京太郎、なんかこの声近づいてきてないか?」 京太郎「あー、そういえばさっきより声が大きくなってる気が……」 咲「や、やだあ……」 アッ、チョウドイイトコロニ!オーイ! 優希「あ、足音が……」 咲「だんだん近づいてきて……」 京太郎「背後に……」 モモ「リンシャンさん、タコスさん、ちょうどいいところにいたっす! 加治木先輩を……」ポンッ 優希「ぎにゃああああああっ!!」 咲「いやああああああっ!!」 京太郎「うわっ、引っ張るな! 痛い痛い、ぶつかってるから、おいこら落ち着けえええ!」 モモ「……」ポツーン ゆみ「な、なんだ、今のこの世のものとは思えない叫び声は!?」 モモ「……先輩」 ゆみ「モモ!? まさかお前鶴賀祭みたいに誰かを……モモ?」 モモ「わ、わたわた、私……金髪の幽霊を見たっす……!」カタカタ 【回る回る】 京太郎「いてて……」 咲「ご、ごめんね京ちゃん。 さっきは本当に怖かったから……」 京太郎「別に気にしてないから安心してくれ」 優希「いやあ、あのお化け屋敷はなかなかのなかなかだったな!」 京太郎「お前は少し反省しような!?」 咲「あはは、ねぇねぇ、お昼食べたら次はどうしよう?」 京太郎「なるべく疲れないので頼む。 そっちも走り回って少し疲れてんだろ?」 優希「ふむふむ、じゃあこれにするか!」 ――…… 優希「……」 京太郎「……」 優希「……」バッ! 京太郎「させるか!」ガシッ! 優希「ちいっ、やるな京太郎!」 京太郎「お前にだけは触らせねえ、今の平穏を守るためには絶対にな!」 優希「ぐぎぎ……!」 咲「ほ、本当に私が回す役でいいの?」 京太郎「もちろんだ咲! このタコス娘にそれを触らせたら最後、俺達は昼飯をリバースする事になるぞ!」 優希「お前は何もわかっていない京太郎! コーヒーカップに乗ったのなら最大速度で回すのは礼儀であり、義務なんだじぇ!」ギリギリ… 京太郎「そんな義務があってたまるか……!」ギリギリ…… 咲「えっとこんな感じでいいのかな?」グルグル 京太郎「うぐぐ、なんでこんな時だけ力が強いんだよお前……!」 優希「ふふふ、麻雀部員である以上この程度の力は最低ラインだじぇ……!」 京太郎「それ、絶対おかしいだろうが……!」 優希「何とでも言え、最後に勝つのはこの優希ちゃんだじょ……!」 咲「うーん、加減がわからないよ」グルグルグルグル 京太郎「……おい、なんか周りの景色がすっげえスピードで回ってないか?」 優希「そういえば……おおう、目が回るじぇー!」 咲「なんだか楽しくなってきたかも!」グルグルグルグルグルグル!! 京太郎「お前もか、お前も触らせちゃいけない人種だったのか咲ぃ!?」 優希「うっ、もうダメ……」ガクッ 京太郎「優希っ!?」 咲「コーヒーカップって楽しいよね!」グルグルグルグルグルグルグルグル!! 京太郎「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」 【楽しい時は早く過ぎ去る】 京太郎「ううう……」 優希「気持ち、悪いじぇ……」 咲「ごめんなさいごめんなさい!」 京太郎「さすがにもうあの手のは無理だ、うぐっ」 優希「同感だじぇ、うぷっ」 咲「本当にごめんなさーい!」 ――…… 京太郎「はあ……なんだか今日の三分の一は休憩に費やしてた気がするぞ」 優希「情けない奴だ」 京太郎「誰のせいだ、誰の!」 咲「……」 京太郎「……咲!」 咲「えっ……あっ、なに?」 京太郎「いや、今優希とも話してたんだけどそろそろ帰ろうと思うんだよ」 咲「……そうか、もうそんな時間なんだ」 優希「おーい京太郎! どうせなら最後にアレに乗ろうじぇ!」 京太郎「観覧車か……確かに締めには相応しいかもな。 行こうぜ、咲」 咲「うん……」 ――…… 優希「おぉ、見ろ京太郎、咲ちゃん! まさに絶景だじょ!」 京太郎「ゴンドラが揺れるから落ち着けっつーの」 咲「……」ボー 京太郎「咲? どうした、気分でも悪いのか?」 咲「ううん、大丈夫……ただ」 京太郎「ただ?」 咲「楽しい時間は本当にあっという間なんだなって……」 京太郎「……まだ1日は終わりじゃないぞ」 咲「そうなんだけどね……京ちゃん、今日なんで私と優希ちゃんが京ちゃんの家に行くのか気になってるよね?」 京太郎「まあな……結構唐突だったし、気になってなかったってのは嘘になるな」 優希「……」 咲「その理由を今話すよ、それで1つの区切りにしたいから……」 京太郎「区切り?」 咲「うん……京ちゃん、その前に大前提になるお話をするね」 京太郎「お、おう、って優希?」 優希「……」ギュッ 咲「――私、京ちゃんが好きなの」 【彼女の中の1つのけじめ】 京太郎「は……?」 咲「言っておくけど友達としてとかじゃないよ?」 京太郎「いや、まあ、それは、わかるけどよ……」 優希「……」ギュウッ 咲「京ちゃん、人って手が届かなくなった時に初めてその存在の大きさに気付くんだ」 咲「お母さんやお姉ちゃんと離れて暮らす事になった時も、東京に行ってお姉ちゃんに拒絶された時も」 咲「私は後になってなくしたものの大きさに気付いたよ」 京太郎「……」 咲「それと同じ感覚を久しぶりに感じた。 そう、あの日……京ちゃんに告白しに行く優希ちゃんの背中を押したあの日に」 京太郎「なっ……」 優希「咲ちゃんは、その時わかったんだよな?」 咲「そう、私は京ちゃんが好き。 意地悪だけど優しくて」 咲「中学の時に塞ぎ込んでた私の友達になって引っ張ってくれた、私にまた麻雀を始めるきっかけをくれた京ちゃんが、大好き」 京太郎「咲……」 咲「後からこんな事言うなんておかしいよね? でも抑えられなかった……」 咲「信じられないかもしれないけど、私にとって京ちゃんは結構大きな存在なんだよ」 京太郎「……」 咲「だから優希ちゃんにお願いしたの。 1日だけでいいから優希ちゃんと一緒に京ちゃんと過ごさせてほしいって」 京太郎「なんで、優希も一緒に?」 咲「見たかったんだ、京ちゃんと優希ちゃんがどんな会話をして、どんな風に遊ぶのか」 咲「ごめんね、優希ちゃん……デートの邪魔しちゃって」 優希「一歩違ったら、たぶん咲ちゃんの立場は私だった……だから気にしないでほしいじょ」 咲「ありがとう……京ちゃん」 京太郎「……」 咲「京ちゃんの答えはわかりきってる。 そういうところも私が好きになった京ちゃんのいいところだから」 京太郎「それでも、お前は言えたんだ……強いな、咲」 咲「違うよ、強くないから耐えられなくてこんな事してるの……私は、はっきり言われなきゃわからないんだよ、きっと」 京太郎「そう、か」 咲「京ちゃん……だからお願いします。 答え、聞かせて?」 京太郎「……」ギュウッ 優希「あっ……」 京太郎「――咲の気持ちを俺は受け入れられない」 咲「あ……」 京太郎「俺は、こいつが、優希が好きだから。 わがままも言うし、子供っぽいところもあるけど優希じゃなきゃ俺はダメなんだ」 優希「京太郎……」 京太郎「だから、ごめんな」 咲「……ありがとう、京ちゃん」 【まだ1日は終わらない】 咲「ふう……ちょっと悲しいけど、なんだかそれ以上に清々しい気分だよ」 京太郎「そうか」 咲「でも京ちゃんも酷いよねー」 京太郎「えっ、なにがだよ」 咲「ただ断ればいいのにわざわざ優希ちゃんとの惚気をサービスしてくれちゃうんだもん」 京太郎「んなっ!?」 優希「あうっ!?」 咲「今だってしっかり手つないでるし……あーあ、独り身には目の毒だなあ」 京太郎「お、お前なあ! さっきまでのしおらしさはどこ行った!?」 咲「残念でした、あれは好きな人にだけ見せる乙女型咲ちゃんなんだよ! 私をフッた京ちゃんは二度と見られないんだからね!」 京太郎「へぇへぇ、そうですか……じゃあ今のずいぶん頼もしそうな咲さんはもう迷子にならないだろうから、助ける必要ないよな?」 咲「そ、それとこれとは話が別だよ!」 京太郎「聞こえない聞こえない」 咲「き、京ちゃんのバカ! 優希ちゃんも何か言ってあげてよ!」 優希「……///」 咲「……優希ちゃん?」 京太郎「あ、これフリーズしてるわ」 優希「///」 咲「……かわいいね」 京太郎「やらんぞ」 咲「いや、奪わないよ……」 ――…… 優希「うーん、帰ってきたじょ!」 京太郎「そろそろ七時か……って咲どこ行くんだ?」 咲「えっ、帰るんだよ?」 京太郎「帰るってお前……」 咲「だってもう私のけじめはついたし、泊まる必要はないよね?」 咲ふふっ、京ちゃんは優希ちゃんだけを泊めてあげなよ。 彼氏なんだからさ」 京太郎「お前、部長に似てきてないか……」 咲「あっ、酷い! まあ、とにかく……もうお泊まりはいいから帰……え?」ギュッ 優希「……ダメだじぇ、咲ちゃん。 まだ1日は終わってないんだ、ここまで来たら付き合ってもらうじょ」 咲「えっ……で、でも優希ちゃんはいいの?」 優希「構わん! 片岡優希、交わした約束は最後まで守るのだ!」ニコッ 京太郎「……だ、そうだが?」 咲「……京ちゃんはどう思う?」 京太郎「俺、客2人分のもてなす用意しちゃってるんだよ、だから来てくれないと困るんだよなー」 咲「……」 京太郎「来いよ咲、友達が泊まっちゃいけない道理はないぜ?」 優希「行こう、咲ちゃん!」 咲「……うん、お邪魔します!」 【三人寄れば騒がしい】 京太郎「いらっしゃい」 咲「お邪魔しまーす」 優希「邪魔するじぇ!」 カピ「キュー」トコトコ 京太郎「ただいま、カピ」ナデナデ 優希「おぉ、あれが京太郎のペットのカピバラか」 咲「京ちゃん、あの子の事すごいお気に入りなんだよね。 毎日帰ってきたら一緒に遊んでたんだって」 京太郎「さてと、カピに新しく餌やったら俺達も夕飯にするか」 咲「あっ、手伝うよ」 優希「私も私も!」 京太郎「咲はともかく優希は料理できるのか?」 優希「タコスなら作れるじぇ」 咲「……優希ちゃんは私と一緒にやろうか」 京太郎「そうしてくれ……俺は別口でやっとくわ」 優希「なんか馬鹿にされてる気がするじょ!」 ――…… 京太郎「今日はタコライスでも作るか……材料はタコスに似てるからいけるだろ」 咲「優希ちゃん、私達は……」 優希「タコス以外作れない私なんて……」ブツブツ 咲「と、とりあえず簡単なのをいくつか作ろう、ね!」 優希「うん……」 京太郎「ふんふん……」 ――…… 咲(とりあえず出来る限り優希ちゃんの様子を見ながら肉じゃがとか作ったけど……どうしても) 咲(優希ちゃんの作った玉子焼きだけこの場から浮いてる……!) 京太郎「と、とりあえずいただくとするか……いただきます」 咲「そ、そうだね、いただきます」 優希「う、うむ! いただきます!」 京太郎(さて、あの浮いてる玉子焼き……やっぱり俺がいくべきだよな……よし) 京太郎「ま、まずはこれからいくか……」ヒョイッ、パクッ 京太郎「……」ジャリッ、ガリッ、モゴッ、ブチュッ 咲(なんか音がおかしいよ!?) 優希「き、京太郎、どうだ?」 京太郎「……」ニコッ 優希「あ……」 京太郎「」ドサッ 咲「京ちゃん!?」 優希「京太郎!?」 京太郎「甘辛苦酸っぱしょっぱい……」カタカタ 咲「京ちゃん、しっかりして!」 優希「京太郎ー!」 【命の洗濯】 優希「京太郎、大丈夫かな……」 咲「京ちゃん、青白い顔してたもんね……」 京太郎『ちょっと横になってれば治るから、お前達はお風呂にでも入っといてくれ……』 優希「ううっ、さすがに落ち込むじょ。 私才能ないのかなあ……」 咲「だ、大丈夫だよ! 私だって最初は失敗ばっかりだったし!」 優希「そうなのか……?」 咲「うん。 そうだね、一番酷かった失敗はお父さんもお母さんもいなくって」 咲「お姉ちゃんと2人でお留守番してた時に作った、間違えて卵の殻が半分以上入っちゃった卵焼きかな」 照『お、おいしいよ咲、歯ごたえがあって……』ガリッ、ガリッ 咲「あの時はお姉ちゃんに悪い事したなあ……お姉ちゃんはレンジでゆで卵やろうとして爆発させてたけど」トオイメ 優希「あはは、咲ちゃんでもそんな失敗するんだな!」 咲「それはそうだよ、私だって麻雀もお料理も初心者で失敗した事はたくさんある」 咲「京ちゃんだって昔はタコスなんてまともに作れなかったでしょ?」 優希「そういえば……」 咲「だから優希ちゃんも練習すればきっと美味しいお料理が作れるようになるよ」 優希「……そうだな、私諦めないじょ! タコスが作れて他のが作れないなんて事ないもんな!」 咲「その意気だよ優希ちゃん、頑張って!」 優希「うん!」 ――…… 優希「そういえば咲ちゃん」 咲「どうしたの優希ちゃ……ひゃわあ!?」 優希「やっぱり……咲ちゃんの胸が少し大きくなってる!」ムニュムニュ 咲「ちょっと優希ちゃ……だめだよぉ!」 優希「むむむ、悔しいじぇ……私と同じ小さい胸同盟の一員でありながら成長するなど!」ムニュムニュ 咲「そ、そんなの知らないよぉ……いいから離して……」 優希「おおっと、ごめんごめん。 危うくダークサイドに堕ちるところだったじょ」パッ 咲「はあはあ……もう酷いよ優希ちゃん……」 優希「うぐぐ、それにしてもなぜだ、なぜ私は大きくならないのだ?」 咲「私に聞かれても……」 優希「今まで散々調べて試してきたけどどれもこれもダメだった。 こうなったら最終手段に打って出るしかないか……!」ザバァ 咲「さ、最終手段? えっ、優希ちゃんどこ行くの!?」 【普通は逆】 京太郎「あー、やっと腹が落ち着いてきた……しかしこれは急いで改善させないと俺の命に関わるな」 優希「京太郎!」 京太郎「お、出たのか? ちょうどこっちも話が……」クルッ 優希「私の胸を揉め!」 京太郎「ぶっ!? いきなり何を言い出してんだ! つーかパジャマを着ろ、バスタオル一枚でうろうろするな!」 優希「この方が揉みやすいだろ、さあ遠慮するな!」 京太郎「バカやめろ、その格好で俺に近付くな、ちょっと咲、助けてくれ!」 咲「ゆ、優希ちゃんダメだってば!」 京太郎「本当に来たか……ってお前もパジャマ着ろやあ!」 咲「あっ、わっ、きゃああああ!」 京太郎「悲鳴をあげたいのはこっちだ、さっさと戻って服着てから出直してこーい!」 ――…… 京太郎「はい、それじゃあちょっとそこに正座しろ」 優希「……」 咲「……」 京太郎「お前らさあ、俺をいじめて楽しいか?」 京太郎「 普段和と関わってるせいで自分達じゃわかってないかもしれないけど、お前らは十分美少女の部類に入るんだよ」 咲「そんな美少女だなんて……///」 優希「照れちゃうじぇ……///」 京太郎「モジモジしてる場合か!」 京太郎「そんな奴らにバスタオル一枚でうろうろされる思春期男子の苦痛を少しは鑑みてくれよ! 本気で襲うぞ、こら!」 優希「私は別にいつだって構わないと言ったはずだ!」キリッ 京太郎「咲がいるって事を考えろ! つーか普通そういうの嫌がるのはそっちだろうが!」 咲「だ、大丈夫! なるべく見ないようにするよ!」 京太郎「そういう問題じゃない! フッた子が見てる中でやるとか何の拷問だ、恥ずかしさで死ねるわ!」 優希「やるなんて、京太郎ってばエッチだじょ……」 京太郎「そこを恥ずかしがるならさっきの行動を見直してくれよ、頼むから!」 咲「き、京ちゃん、とりあえず落ち着こう? あんまり大声出すと近所迷惑だし……」 京太郎「誰のせいだと思ってるんだよ、ああん?」 咲「京ちゃん怖い……」カタカタ 【わざととしか思えない】 京太郎「はあ……そんな怯えるなよ。 まるで俺が悪者みたいじゃねえか」 優希「か弱い女の子にこんな拷問を強いてるんだからあながち間違ってないじぇ」 京太郎「ちょっと正座させたくらいで大げさすぎるだろ! ああ、もういい……よけい疲れるし俺はシャワー浴びてもう寝る」 優希「じゃあ私達も一緒に寝るか、咲ちゃん」 咲「いいのかな……?」 京太郎「ああー、別にいいんじゃね?」 優希「ほら、京太郎もこう言ってるし行こう!」 咲「あっ、優希ちゃん引っ張らないで……」 京太郎「元気なもんだ……さて、2人は一緒に寝るみたいだし俺は1人でゆっくりするか」 京太郎「」 優希「遅いじぇ、京太郎!」 咲「お、お邪魔してます……」 京太郎「絶対わざとだろ、お前ら……」 ――…… 京太郎「なんでこんな事になった……」 京太郎(女の子に挟まれて眠る……それは男の夢の到達点の1つだ、俺だって夢想した事がないわけじゃない) 咲「な、なんか緊張するね」 優希「安心しろ、咲ちゃん。 ここは京太郎の隣で眠った先輩の私が色々教えて……」 京太郎「優希だってまだ二回目だろ」 優希「うっ」 京太郎(だけどそれがまさか優希と咲相手に現実になるとか……人生ってわからんもんだ) 優希「京太郎、狭い」 京太郎「3人一つのベッドに入ってりゃそうなるに決まってるだろ、我慢しろよ」 優希「いいや、我慢できん! だから……」ゴソゴソ、ピトッ 京太郎「……おい」 優希「んふふ、京太郎あったかいじぇ」スリスリ 京太郎(こいつ、本当にわざとじゃないのか……それにしてもなんかいい匂いするな、家にあるシャンプーこんないい匂いしたっけ?) 咲「いいなあ……ねぇねぇ京ちゃん、私もちょっとだけ寄るね」モソモソ、ピトッ 京太郎「は?」 咲「えへへー……」 京太郎(咲までおかしくなった……これ、眠れるのか俺……) 【彼は知らない秘密の話】 京太郎「くかー……」 優希「京太郎の奴、あっさり寝ちゃったじぇ」 咲「本当に早かったね……そんなに疲れてたのかな」 優希「だとしてもこんな美少女達に囲まれてこの反応は失礼にも程があるじょ」 咲「あはは、そうかもね」 優希「全くだ」 咲「……優希ちゃん」 優希「咲ちゃん?」 咲「今日は本当にありがとうね。 おかげで楽しい思い出ができたよ」 優希「それは約束したし、気にしないでって言ったはずだじぇ」 咲「だけど本当は優希ちゃんがこんな提案受ける必要なかったんだよ?今日は結局私のわがままにただつき合わせてただけで……」 優希「それは違うじょ、咲ちゃん。 私だって今日は楽しかった、この3人で出かけた事なんてなかったしな」 咲「そういえば、そうだね」 優希「咲ちゃんは色々気にしすぎなんだじょ。 もっとドーンと来てもいいんだじぇ」 咲「そう言われてもなあ……」 優希「簡単に揺らぐほど私達は甘くないぞ?」 咲「優希ちゃんはすごいね」 優希「何が?」 咲「私だったら不安でそこまで言えないよ……ねぇ、どうしてそこまで言えるの?」 優希「うーん、私も京太郎と一緒になる前はスッゴくやきもち妬いてたんだけど……今はあんまりそういうの感じないんだじょ」 咲「なんで?」 優希「こんな好みと正反対でも私を選んでくれた京太郎を信じてるのが半分で……」 優希「――咲ちゃんならそんな事はしないってわかるのが半分だじぇ」 咲「えっ」 優希「咲ちゃんだってなんでわざわざ私に約束を取り付けたんだ?」 優希「その気になれば私には内緒で京太郎と2人きりのデートができたかもしれないのに」 咲「そ、そんなの無理だよ!」 優希「咲ちゃん、京太郎が起きちゃうじぇ。 なんでできないんだ?」 咲「……だって、京ちゃんは確かに好きだけど、優希ちゃんだって私にとって大切な……」 優希「そこ、そういうところが、私が咲ちゃんを信じられる根拠」 咲「あっ……」 優希「私、これでも人を見る目はあるんだじぇ。 尊敬する先輩は麻雀で捨て駒にされてもそれを全うするいい人だし」 優希「後輩達は素直ないい子ばかり、のどちゃんだって厳しいのは思ってくれてるからだってわかってるし――」 優希「私が恋した人はちょっとスケベだけど、すごく優しい人だから」 咲「優希、ちゃん……」 優希「だから、私は咲ちゃんもいい子だって信じられるんだ」ニコッ 【少女達の絆の話】 咲「あは、ははは……優希ちゃんこそ、いい子すぎるよ……」ポロポロ 優希「咲ちゃん、また泣いて……泣き虫すぎるじぇ」 咲「だって、だってぇ……」 優希「京太郎の服使っていいからまずは泣き止んでほしいじょ」 咲「う、うん……」 優希「落ち着いた?」 咲「……うん、もう大丈夫」 優希「よかった、咲ちゃんを泣かせたら京太郎にも怒られちゃうじぇ」 咲「あはは、ごめんね。 最近の私、どうも涙腺が弱くて」 優希「迷子とかになったらすぐ泣くって京太郎は言ってたじょ」 咲「……ひ、ひどい。 京ちゃんってばそんな事まで話してたの?」 優希「他にも咲ちゃんがカピバラをおっきいハムスターだって言って抱きついてあまりの毛の堅さに泣いちゃった話とか色々聞いた」 優希「京太郎って咲ちゃんの話も結構するんだじぇ……それはもう羨ましいって思えるくらいに」 咲「そ、そうなんだ……///」 優希「咲ちゃん、喜んでるのが丸わかりだじょ」 咲「あう、ごめん」 優希「別にいいじぇ、そこにやきもち妬くほど私は狭量じゃない!」 京太郎「んっ……」 咲「ゆ、優希ちゃん、京ちゃんが起きちゃうよ!」 優希「あわわ! 枕で口を押さえれば……」 咲「死んじゃうからダメだよぉ!」 京太郎「すう……」 優希「なんとか寝たじぇ」 咲「危なかったね」 優希「そろそろ私達も寝た方がいいかもな」 咲「そうだね……優希ちゃん。 私、京ちゃんが好き」 優希「うん」 咲「だけどね、優希ちゃんも大好き……だから、私とこれからもお友達でいてくれる……?」 優希「えっ、ええっ?」 咲「ダ、ダメ……?」ウルウル 優希「……はあ、京太郎やのどちゃんが咲ちゃんをほっとけない理由がよーくわかったじぇ」 咲「へっ?」 優希「そんな事言われなくても、私はこれからもずっと咲ちゃんと親友でいたいんだけど……」 咲「あ……よかったあ」 優希「咲ちゃんは天然すぎるじぇ。 私がもう咲ちゃんは友達じゃないとか言うと思ったか?」 咲「ご、ごめん……えへへ、でも今日は本当に最高の1日だったよ!」 優希「それは違うぞ、咲ちゃん。 私達が親友でいる限りもっと最高の日が来るに決まってる! そうでしょ?」ニコッ 咲「優希ちゃん……うん!」ニコッ 京太郎(全く、騒がしくて寝れやしない。 けどまあ、いいか……よかったな、2人共) 【ガーネット】 咲「んっ、ふぁぁ……もう、朝?」 優希「むにゃむにゃ……」 咲「優希ちゃん、まだ寝てる……あれ、京ちゃんは……?」 ――…… 京太郎「……」ズズッ 咲「京ちゃん」 京太郎「起きたのか、咲」 咲「うん、京ちゃんも早いね?」 京太郎「なんでか早く起きちまったんだよ……コーヒー飲むか?」 咲「う、うん」 京太郎「砂糖とミルクは多めに入れとくからな」 咲「……」 京太郎「……」カチャカチャ 咲「ねぇ、京ちゃん。 私達が初めて会った時の事覚えてる?」 京太郎「唐突だな……もちろん覚えてるぜ」 咲「私ね、その時から京ちゃんがちょっと怖かったんだ」 京太郎「金髪だから不良に見えたってか? その手の話は聞き飽きたぞ」 咲「違うの、最初はそれもあったけど私が怖かったのはもっと別の事」 京太郎「なんだよ?」 咲「――私が何よりも怖かったのは、京ちゃんが私の中から麻雀を消しちゃうんじゃないかって事だった」 京太郎「……」 咲「京ちゃんが優しいのはすぐわかったし、過ごした日々はわざわざ思い出す必要がないくらい胸に焼き付いてる」 咲「だから怖かったんだ……京ちゃんと一緒にいた私に麻雀は必要なかったから」 咲「お姉ちゃんとの最後の絆を、私は自分から手放しちゃうんじゃないかって」 咲(たぶん……だから私は京ちゃんへの恋心を見て見ないふりをしたんだ) 咲(もし恋人になったらきっと私は京ちゃんを優先して二度と麻雀に関わろうとしなかったから) 京太郎「……なるほどね」 咲「だけどそんな心配いらなかった」 咲「麻雀を楽しむようになったのは色々な人達のおかげで、その最初の一歩は京ちゃんがいたから踏み出せた」 京太郎「今から考えたら身の程知らずもいいとこだったけどな」 咲「それはしょうがないよ……だから京ちゃんはね、私の恩人でもあるんだよ」 京太郎「恩人か……そんな大層なもんじゃなくてもいいだろ」 咲「えっ」 京太郎「俺達は親友だ、男女とか関係なくな。 ただそれだけじゃダメなのか?」 咲「……京ちゃんはやっぱり優しいね」 京太郎「なんだそりゃ」 咲(私がもし、他の誰かに好きになったとしても……京ちゃんはきっと特別で大切な……) 咲「京ちゃん!」 京太郎「なんだ、咲」 咲(やっと私も……前に進めるよ。 ありがとう京ちゃん、優希ちゃん……) 咲「私達、ずっと親友だからね!」 【麻雀がメジャーになった世の中で雑用が得意な普通の少年須賀京太郎を待っていたのは……】 咲「京ちゃん!」 優希「京太郎!」 咲・優希「私とつきあってください!」 京太郎「……どうしてこうなった」 なんと2人の少女からの告白だった! 咲「京ちゃん、お弁当作ってきたよ!」 優希「京太郎、タコスを作ってきたぞ!」 京太郎「……俺、弁当あるんだけど」 様々な手練手管でアピールしてくる2人にたじたじな京太郎 そして2人のアピールはどんどんエスカレートしていき…… 京太郎「お前ら、人の家でなにしてんの?」 咲「京ちゃん、私達……」 優希「今日からここに住む事になったじぇ!」 京太郎「はあああ!?」 対決の舞台はとうとう須賀家に移行、わざとなのかそうじゃないのかわからない ハプニングも連続し京太郎の胃はボロボロになっていくばかり しかし一緒に住むにつれ京太郎は2人の真剣な気持ちに向き合っていく事になる 咲「京ちゃんは私にとってかけがえのない人だから」 優希「年月とか関係ない、私は京太郎が好きなんだ!」 京太郎「……」 まるで対称的な2人の違う魅力にそれぞれ惹かれ始める京太郎……しかし1人しか選べないというジレンマが彼の足を鈍らせる 悩む京太郎に無理強いは出来ないと咲と優希が途方に暮れていたそんな時、ある人の言葉が閃きを生み出した 久「いっそ2人共恋人になっちゃえば? なーんて冗d」 咲・優希「それだ!!」 久「えっ」 倫理や常識などゴッ倒すと言わんばかりに2人揃ってのアピールを始めた咲と優希 少女達は止まらない、ひたすら想い人に好かれるために加速していく 京太郎「ちょっと待て、それはおかしいだろ!」 咲「京ちゃん、大切なのは当人同士の気持ちだよ!」 優希「そうだそうだ! 両手に花のなにが不満なんだ、諦めてお縄につけい!」 京太郎「むちゃくちゃ言うなー!」 はたして京太郎は2人の思惑通り両手に花になってしまうのか? それともあくまで1人だけを貫くのか? これは1人の少年と2人の少女達のある意味熱い戦いの記録である! 咲「京ちゃん!」 優希「京太郎!」 京太郎「もう勘弁してくれ!」 【時々出てくる風潮被害・3人の場合】 咲「私達、ずっと親友だからね!」 京太郎「……」 咲「京ちゃん?」 京太郎「うーん……なあ、咲?」 咲「なあに?」 京太郎「もしお前がいいなら、優希に隠れてつきあうか?」 咲「……えっ?」 京太郎「いや、なんか今のお前見てたらよ」 京太郎「すっげえフッたのが惜しく思えてさ……なあ、優希にはバレないように立ち回るから俺とつきあわない?」 咲「き、京ちゃん!? 自分がなに言ってるかわかって……」 京太郎「わかってるよ、なあダメか咲?」 咲「そ、そんなのダメに決まって……」 京太郎「優希に遠慮してんのか? いいじゃないか、バレなきゃあいつが泣く事なんてないんだ……」 京太郎「俺達がうまくやれば俺もお前もあいつも幸せなままだ」ギュッ 咲「あ……ダメ、ダメだよ京ちゃん……」 京太郎「――好きだぜ、咲」 咲「――!!」 京太郎「答えは?」 咲「……バレなきゃ、みんな幸せ?」 京太郎「そうだ」 咲「……うん、いいよ」ギュッ 京太郎「そうか、ありがとうよ咲……」ニヤァ 咲(バレなきゃいいんだ……そうすればみんな幸せになれるんだ……) ――…… 優希「京太郎! これからデートしようじぇ!」 京太郎「あ、悪い優希……今日は親に早く帰ってこいって言われてるんだ」 優希「あ、そうなのか……」 京太郎「悪い、埋め合わせは必ずするから!」 優希「家の用事ならしょうがないから謝るな! それじゃあ今度のデートできっちり埋め合わせしてもらうじぇ!」 ――…… 咲「家の用事だなんて京ちゃんもずいぶん平気で嘘をつくようになったよね……」 京太郎「はっ、あいつがあんな単純な嘘でも信じるから悪いんだよ」 咲「……本当に、これでいいのかな?」 京太郎「今さらそりゃないぜ咲……お前だって今の状況を受け入れたんだからここにいるんだろ?」 咲「……」 京太郎「まあ、せいぜい楽しもうぜこれからも」 咲「……うん」 ――…… 照「もしこんな事になってたら許さない」ギュルルルル 咲「なるわけないでしょ! 変な妄想しないでよ、お姉ちゃんの馬鹿!」 風潮【須賀京太郎が恋愛において屑化する】 風潮【須賀京太郎と片岡優希がつきあってる時、宮永咲が浮気相手として存在する】 風潮【片岡優希は須賀京太郎をNTRされる】 【雑用サポート魂は麻雀にも影響するか?】 優希「あっはっはっはー! 圧倒的一位のまま逃げ切るじぇー!」タンッ 京太郎「ぐぎぎ……まずい、トぶ、トんでしまう……!」タンッ 和「2人共、少し落ち着いてください」タンッ 和(まずいですね……須賀君はゆーきからの直撃で点棒がほとんど残っていない……) 和(ゆーきから逆転するには須賀君に影響しない安いツモでは意味がない……ここはゆーきを直撃狙いでいきます) 咲「き、京ちゃん、しっかりして!」タンッ 咲(京ちゃんの口からなんか白いのが出てきてる……) 咲(南場だから優希ちゃんは落ち着いたけど、ここは差し込んで京ちゃんを一回浮上させないとマズいかも) 優希「むむむ、調子が悪い……やっぱり南場は得意じゃないじぇ」タンッ 京太郎(ふ、ふふふ……優希のやつめ、俺が死に体だからって油断してやがるな……だけど舐めるなよ!) ・京太郎手牌 一一一m 222p ⑧⑧⑧s 北北 中 白 ツモ牌北 京太郎「くふっ、ふふ……!」 京太郎(張った張った張った! 四暗刻、張らせてもらったあ! まだまだ逆転劇のチャンスは残ってるぜ!) 優希(京太郎、高いの来たな) 和(バレバレです……) 咲(これ、差し込んだら私がトんじゃうかも……どうしよう) 京太郎「さあ、ここから逆転といきますか!」タンッ 打牌・白 優希「京太郎、それポン!」 京太郎「なにっ!?」 京太郎(いや待て、下家の優希が鳴いたおかげですぐにまた俺のツモ番が来た! 和了る可能性はむしろ増えたはず!) 京太郎「っ、違う!」タンッ 優希「それもポン!」 京太郎「んなっ!?」 京太郎(う、嘘だろ……二回連続で優希に鳴かせちまった……いや、だけどまさか) 京太郎「……」タンッ 優希「それもポンだ!」 京太郎「」 和(まずい、須賀君とゆーきにしか番が!) 咲(な、なにも出来ない……) 京太郎(ありえない、ありえない! いくら普段が無茶苦茶だからってこんな、こんな……!) 京太郎「そんなの……!」タンッ 優希「……京太郎、それもだ、ポン」 京太郎「あ……」 京太郎(そんな、アホな……) 京太郎「……」タンッ 優希「ロン、7700。 京太郎のトビ、だじょ」 京太郎「は、ははは……なんだ、これ」ガクッ 久「……あれも才能なのかしら?」 まこ「さすがにあれが京太郎の才能だったらあんまりすぎるわ」 【ただの惚気】 京太郎「」チーン 優希「京太郎ー!」 咲「京ちゃんが真っ白になっちゃったよ……」 和「さすがにあれはショックだったでしょうからね……役満を崩してでも回避なんて考えられなかったでしょうし」 久「それにしてもさっきのはすごかったわねー……さしずめ相手の有効牌を必ずひく能力ってやつかしら」 まこ「なんじゃそのイジメみたいな能力は……いや、場合によっては相手の当たり牌を握り潰すからアリか?」 京太郎「……はっ!?」 優希「京太郎、目を覚ましたか!」 京太郎「俺は……ああ、そうか。 役満張ってイケると思ったら粉砕されたんだっけか」 優希「あ、謝りはしないじぇ……」 京太郎「謝罪なんかこっちもいらねえよ、勝負事なんだしな。いや、あれはむしろ優希がすごかったって褒め称える場面だな」ナデナデ 優希「京太郎ー……」フニャア 久「さすが私が鍛えただけの事はあるわね須賀君、人によってはトラウマを植え付けられそうな中なかなかタフじゃない」 まこ「それは褒めるところじゃないじゃろ……」 京太郎「よっし、もう一回やるか!」 咲「だ、大丈夫なの京ちゃん?」 京太郎「はっ、トビで一々落ち込んでたらお前らの相手なんかできるかよ! 優希、今度こそリベンジしてやるぜ!」 優希「ふん、またトバしてやるじぇ!」 京太郎「そうはいくかっつーの!」 和「心配は杞憂だったようですね?」 咲「そうだね……」 ――…… 京太郎「よっし、カン! 嶺上……なわけはないよなっと」タンッ 優希「ツモ! ドラ乗って倍満、8000オール!」 京太郎「ぐあっ、カンが裏目に出た!」 久(今の、須賀君が鳴いてずらさなきゃ優希ツモれなかったんじゃないの?) 京太郎「通らばリーチ!」 優希「通らん! ロン、1600!」 京太郎「だああ!?」 咲(親番流されちゃったよぉ……) 京太郎「それっ」タンッ 優希「ポン!」 京太郎「げっ!?」 和(有効牌が……) 久「で、まるで須賀君が優希のサポートしてるようにしか見えなかった今の半荘から出た結論は?」 咲「さっきのあれも含めてこれは明確な惚気です」 和「遠回しな惚気にしか見えませんね」 まこ「これは惚気じゃろうなあ」 京太郎・優希「何が!?」 【世の中には知らなくていい事がある】 咲「じゃあ私達こっちだから」 和「また明日です、2人共」 京太郎「おーう、また明日なー」 優希「咲ちゃん、のどちゃんバイバーイだじょ!」 京太郎「うああ、今日も勝てなかったなー」スタスタ 優希「今日も京太郎のサポートのおかげでバカ勝ちだったじぇ! ご苦労様だったな!」トテテ、トテトテ 京太郎「やめて、別にしたくてしてるわけじゃないんだからそれ言うのやめて」スタスタ 優希「まあまあ、もしかしたらコンビ打ちで最強になれるかもしれないぞ?」トテテ、トテトテ 京太郎「だったら俺にも和了らせてくれ……ん?」ピタッ 優希「どした?」 京太郎「いやなんでもない、行こうぜ」トテトテ 優希「そうか」トテトテ 京太郎「あーあ、いつになったら背中くらい見えるようになるんだか」 優希「ははっ、寝言は寝て言え」 京太郎「ひでえ」 優希「そんな事より京太郎」 京太郎「そんな事って……なんだよ」 優希「私、1つ気になってた事があるんだけど」 京太郎「気になる事?」 優希「私とのどちゃんは高遠原時代からの同級生だじぇ」 京太郎「そうだな、まるで俺と咲みたいだ」 優希「そう、京太郎と咲ちゃんも中学の同級生だったわけだ」 京太郎「それが?」 優希「普通に考えたら私とのどちゃん、咲ちゃんと京太郎の家の方が近いはずなのに」 優希「なんで一緒に帰る時咲ちゃんとのどちゃん、私と京太郎って組み合わせに分かれるんだ?」 京太郎「優希……」 優希「おぉ、わかるのか?」 京太郎「世の中には知らなくていい事があるんだよ」 優希「えっ」 京太郎「大人の都合とか色々あるんだよ……深くつっこまないのが皆のためなんだ」 優希「そ、そうなのか……」 京太郎「そうなんだ……こんな話よりもっと楽しい話をしようぜ」 優希「わ、わかった!」 優希(私は危うく開けてはいけない扉を開けるところだったのか……危なかったじぇ) 京太郎(うーん、ちょっと脅かしすぎたか? 別に深く考えた事なんてないけどちょっとからかってみただけなんだが……) 【もしも立場が違ったら】 京太郎「ほれ、今日のタコス」 優希「ご苦労様だじぇ!」 咲「京ちゃんもすっかり優希ちゃんのお世話が板についたよね」 京太郎「そうか? ああ、優希口元にソースついてるぞ」フキフキ 和「ええ。 ゆーきとの付き合いは私の方が長いのに、まるで須賀君の方が昔からの付き合いみたいに感じる時もありますし」 優希「ふむふむ、つまり私と京太郎、咲ちゃんとのどちゃんが同じ中学だったらという話だな!」 京太郎「いや、違うから。 つーか優希と俺がねぇ……」 ――…… 優希「おい京太郎! ちょっと私に付き合え!」 京太郎「なんだよ優希、付き合うってまたタコス屋か?」 優希「違う違う、今日はこれから麻雀部に行くから一緒に入部してほしいんだじょ」 京太郎「いや、なんで俺が」 優希「私いるところに京太郎ありってやつだ!」 京太郎「意味分からんわ……麻雀なんて俺やった事もないのに」 優希「だったら優希ちゃん専属マネージャーとして……」 京太郎「今と変わらないじゃねえか!」 優希「なあなあ、ダメかー? 私が1から教えるから一緒に入ろうじぇー」 京太郎「……はあ、しょうがねえな」 京太郎「ぐあ、また焼き鳥……初心者に容赦なさすぎだろお前!」 優希「ふははは! これで京太郎が私に作るタコスは3つになったな!」 ――…… 優希「あっ、京太郎……」 京太郎「おつかれさん。 残念だったな、インターミドル」 優希「あの人、強すぎるじぇ……悔しいじょ」 京太郎「原村だっけか? 確かにお前が東場で手も足も出ないのは初めて見たな……まあ高校でリベンジ、だな」 優希「うん……」 ――…… 京太郎「優希は高校どこ行くんだ?」 優希「清澄に行こうと思う」 京太郎「清澄? 麻雀なら風越か去年インターハイ出場の龍門渕の方がよくないか?」 優希「だって清澄にはタコスがあるんだじぇ! それに、清澄以外だと京太郎と一緒に通えないし……」 京太郎「あー……そう、か」 ――…… 京太郎「うーん、咲の時以上に苦労しそうだ」 優希「なんでだ!?」 咲「私達は関わってるかどうかもわかんないね」 和「私も清澄に来ていたかどうか……」 京太郎「まっ、結論から言うならやっぱり今が一番って事だな」 優希「質問に答えろー!」 【清澄麻雀部の黄金世代】 優希「タコスうまー」 京太郎「優希からの評判もいいし俺のタコス作りも上達したな……これも師匠のおかげだぜ」 咲「文化祭でクラスでタコス喫茶やらないかって意見もあるよね」 優希「なぬっ!? タコス喫茶だって!?」 京太郎「それ俺ばっかり働かされるフラグじゃね? 後優希、食ってる途中で叫ぶなよ、牌につくだろ」フキフキ 優希「京太郎! もしタコス喫茶を実現させたら私は終わりまでいるからな!」 京太郎「店としては助かるのか迷惑なのか悩ましいところだな」 優希「なんだとー!」 咲「あはは……そういえば部長、麻雀部では何もやらないんですか?」 久「うーん、なんせ私が議会長としての役目に追われそうだから、何かやるにしてもあんまり見られないのよね」 まこ「別にわしが責任者をしてもええんじゃが……」 久「ちなみに皆はなんかやりたい事ってある?」 和「実際の対局を含めた初心者用の麻雀教室とかどうですか?」 京太郎「麻雀やめるかトラウマになる奴が増えるな」 和「そんなオカルト……ありえるのが問題ですね」 咲「ここの本を使って読書会とか」 優希「やめてください、しんでしまいます」 咲「そうだね、ごめん……」 京太郎「メイド喫茶とか」 咲「ええー、またあの格好するの恥ずかしいよ」 和「……私はそれもありかと」 咲「ええ!?」 優希「ここはやっぱりタコス喫茶を!」 和「ゆーきが食べてしまってお客様に出す分がなくなる光景が容易に想像出来ますね」 優希「のどちゃん、それを言ったらおしまいだじぇ……」 京太郎「いや、我慢する努力しろよ」 久「うーん、やっぱりすぐには決まらないか。 だけど何かしらしたいわよね……この6人でいられるのは今年だけなんだし」 まこ「またらしくない事を……悪いもんでも食ったのか?」 久「私だってたまにはセンチになるわよ……夢が叶った後だと余計にね」 京太郎「よし、咲の中学時代の自作小説を印刷して配るか」 咲「なにを言い出すの!? ダメだよ、絶対やめて!」 優希「ここは来た人にタコスを作らせて私が審査を……」 和「ゆーきはまずタコスから離れましょうか」 優希「そんなご無体な!」 久「――本当、最後の年がこんな楽しい麻雀部になってよかった」 【言葉が無粋な時もある】 京太郎「今日は皆来ないのか……俺はネトマしてるけど優希はどうするよ?」 優希「とりあえず京太郎の対局を見てるとするじぇ」 京太郎「そっか、わかった」 ――…… 京太郎「よっしゃ、また一位!」 優希(さすがに半荘何回も見てるのも飽きたし暇だじぇ……)ジー 京太郎「今日は調子がいいなー……よしもう一度」 優希(タコスうまー……京太郎、楽しそうだじぇ。 声とかかけづらいな)モグモグ 京太郎「リーチっと……よし、一発ついた!」 優希(早く終わらないかな……京太郎、ネトマばっかりだ)クルクル 京太郎「うがっ、捲られた!? 油断しちまったなあ……」 優希(ベッドは気持ちいいじぇ……寝ちゃおうかな)パタパタ 京太郎「よしっ、対局終了っと」 優希(あっ、終わった?)ガバッ 京太郎「次はもうちょっと上でやってみるか」 優希(なーんだ、まだやるのか……)ポスンッ 京太郎「うわ、やっぱり上は強い……げえっ、【のどっち】って和が相手かよ!?」 優希(京太郎、京太郎ー、かーまーえー)コロコロ 京太郎「くそっ、やってやる!」 優希「……むう」 京太郎「あっ、無理だ、勝てないこれ」 優希「……」トテトテ 京太郎「ううっ、すごすご逃げる羽目になるなんてついてない……次はここ辺りでやるか」 優希「……」ギュッ 京太郎「えっ、優希? どうかしたか?」 優希「……」 京太郎「黙ってちゃわからないんだけど……あっ、部屋しめきっちまった」 優希「……」スリスリ 京太郎「……はあ」 優希「……」ビクッ 京太郎「……」ナデナデ 優希「あ」 京太郎「……」ナデナデ 優希「……///」モジモジ 京太郎「……」ナデナデ 優希「京太郎……」フニャフニャ 京太郎「……」ギュッ 優希「……えへへ///」ニコニコ 京太郎「……ったく///」 【片岡優希専用充電器須賀京太郎】 優希「京太郎ー」パタパタ 京太郎「どうした?」 優希「ちょっとベッドに座るんだじぇ」 京太郎「えっ、なんで」 優希「いいから座れ!」 京太郎「なんなんだよ……これでいいか?」 優希「うむ、そのままじっとしてろよ」ギシッ 京太郎「はいはい……って」 優希「おぉ、これはなかなか……」 京太郎「……あの優希さん、いきなり人の膝に座ってきましたけどこれはどういう事でしょうか?」 優希「充電だじょ!」 京太郎「充電って、何を?」 優希「……何をだろう?」 京太郎「わかんねえのかよ!」 優希「だって見たのを真似してるだけだし……」 京太郎「こんな事してたのが実際にいるのかよ……」 ――…… 白望「くしゅんっ……」 胡桃「くちゅん!」 塞「あらら、2人共風邪?」 白望「だからダルいのか……」 胡桃「それいつもでしょ!」 ――…… 京太郎「で、何を充電してるかもわからないのにこんな事してて何か意味があるのか?」 優希「何かがわからなくても充電してるのは間違いないから問題ないじぇ!」 京太郎「ふーん……そんなもんか」 優希「そんなもんだ! というわけでちょっと腕借りるじぇ」 京太郎「ああ、もう好きにしてください」 優希「京太郎の腕を私のお腹に回して……これでよし! 充電なんだからしっかり固定しないとな! 」 優希「さあ存分に充電頼むじぇ、充電器京太郎!」 京太郎「俺はお前の充電器なのか……本当いったい何が出てるんだろうな」 優希「うーん、それは……」ポクポクポクポク…… 京太郎「……」 優希「そうか!」チーン! 京太郎「わかったのか?」 優希「わかったじぇ! 充電器京太郎から充電されるのはこの優希ちゃんへの愛情……」 京太郎「恥ずかしい事を……優希?」 優希「ううっ……///」 京太郎「……恥ずかしくなるくらいなら言わなきゃいいじゃねえか」 優希「う、うるさいうるさいうるさい!///」 【京太郎の中の人は麻雀が上手い】 京太郎「ふははは!」 優希「京太郎、気をしっかり持つんだ京太郎!」 咲「京ちゃん落ち着いて!」 和「この高笑い、どこかで聞いたような……」 久「……えーっと、これは何事?」 まこ「いや、いつも通り一年達に打たせてたんじゃが……京太郎がトビになってからあんな風に」 久「とうとう壊れてしまった、と……耐えきれなかったのね須賀君」 京太郎「……もう一回だ。 今度は負けはしない」 和「休んだ方がいい気もしますけど……部長、どうしますか?」 久「うーん、とりあえずやらせてみたら?」 ――…… 京太郎「……」タンッ 咲「ロン、2400だよ」 京太郎「やはりゲームと同じようにはいかないな……」 和(なんででしょう、今の須賀君に妙な既視感が……) 京太郎「条件はクリアされた、リーチ……ツモ、跳満3000、6000」 咲「今日の……ううん、今の京ちゃん、何か変……」 京太郎「うはははははっ!! やれるじゃないか! やれる、やれるぞ」 和(聞けば聞くほど何かが頭にちらつきますね……なんなんでしょうか?) 優希「ずいぶん好き勝手やってくれたな京太郎……だけどそれもここまでだ!」 京太郎「ふん、戦術的勝利などいくらでもくれてやる」 優希「むかっ……だったら全力で潰すまでだ! ツモ! 6000、12000!」 咲「今の京ちゃんはいつもの京ちゃんじゃない……だから私が、私達が止めるよ! カン! 嶺上開花、4000、8000!」 京太郎「ほわあっ!?」 和(思い出せないというのはなかなか辛いですね……あっ) 京太郎「制圧された? こんなに簡単に……ゲームにすらなっていないぞ!」 咲「京ちゃん、もう終わらせるよ!」 優希「目を覚まさせてやるじぇ!」 和「須賀君」 京太郎「くっ、ここから逆転するには……んっ?」 和「ロン、大三元、48000です」 ――…… 京太郎「……条件が同じならば負けはしなかった」 優希「負け惜しみはやめろ!」スパーン! 京太郎「痛っ! あれ、俺は……」 咲「き、京ちゃん、元に戻ったんだね!」 京太郎「な、何の話だ!?」 久「……これならいけるかも」 まこ「おい久、なんか変な事考えとりゃせんか?」 和「あの既視感は何だったんでしょう……」 【つく嘘にも限度がある】 優希「京太郎……」 京太郎「なんだよ優希、元気ないじゃないか」 優希「私、京太郎に言わなきゃいけない事があるんだじぇ」 京太郎「まじめな話っぽいな……改まってどうした?」 優希「実は……デキちゃった」 京太郎「……は?」 優希「もう3ヶ月だってこの前病院で……」 京太郎「な、なに言ってんだよ」 優希「……ごめん」 優希(慌ててる、慌ててる♪ 京太郎、エイプリルフールの嘘だって全然わかってないみたいだじぇ!) 京太郎「ふ、ふざけてるんだろ? だって、そんな、ありえない! 俺達、まだそんな事してないじゃないか!」 優希(あ、そうだった……) 京太郎「なんなんだよ、たちの悪い冗談はやめてくれよ……」 優希「……ひっく、ううっ」 優希(くそう、なんて初歩的ミスを……情けなくて涙が出てくるじぇ) 京太郎「!?」 京太郎(な、なんで泣くんだよ……冗談じゃ、ないって言うのかよ……) 京太郎「ま、まさか……嘘、だろ?」 京太郎(この反応、とんでもない事があったとしか思えない……だけど、もし優希が今頭に浮かぶそんな目にあったんだったら……!) 優希「うっ、ううっ……」 優希(ああ、嘘ってバレちゃった……ダメダメだじぇ……) 京太郎「無理やり……」 京太郎(馬鹿か俺は!? 優希が本当にそういう目にあったのなら口に出すべきじゃないだろ!!) 優希「京太郎の、言う通りだじぇ……」 優希(今年は上手くいかずか。 確かに京太郎の言う通り無理やりで現実味のない嘘だったな……もっと練っとくんだったじょ) 京太郎「そう、か……」 京太郎(優希……くそっ、俺は何をやってんだよ! 優希を守ってやれなかった) 京太郎(今も泣かせちまった、思い出すだけで辛いだろうにそれを口に出させちまった!!) 優希「もう帰ろう、京太郎」 優希(来年はもっと凄い嘘をついてやるから覚悟しとくじぇ!) 京太郎「……わかった」 京太郎(……許さねえ、優希をそんな目にあわせた奴を俺は絶対に許さねえ……!) ――数日後…… 京太郎「……」ギュウッ 優希「京太郎、もう許して……」 京太郎「うるせえ、あんなふざけた嘘で俺の寿命は縮んだんだ、黙って抱きしめられてろ」 優希「ううっ///」 優希(まさかそんな勘違いしてたなんて思わなかった……) 京太郎(嘘でよかった……本当に、よかった……!) 【しっぺ返しは痛いもの】 京太郎「よぉ、優希。 急に学校に呼び出してどうしたんだよ」 優希「京太郎……」 京太郎「んっ?」 優希「今まで黙ってたんだけど実は私、タコスがあんまり好きじゃないんだじょ……」 京太郎「はっ?」 優希「むしろ毎日食べてたから見るのも嫌いなんだ……だから作ってくる京太郎もあんまり快く思ってないんだじぇ」 京太郎「な、なんだよそれ……」 優希「だから、私達もう終わりにしよう……」 京太郎「ま、待てよ優希! そんな急に言われても……」 優希「さようなら京太郎……」スタタッ 京太郎「優希!」 ――五分後…… 優希「……驚いたか京太郎!」 京太郎「優希……」 優希「今日はエイプリルフールだじぇ、京太郎! だからさっきのも全部嘘だったのだ! 」 優希「私がタコスを嫌いになるなんてありえないし、京太郎と別れるなんてもっとありえないじぇ!」 京太郎「……」 優希「あれ、どうした? 」 京太郎「優希、いい事教えてやるよ」 京太郎「――エイプリルフールってな、午前中までなんだよ」 優希「えっ」 京太郎「あの時計見てみろ……逆算してお前がさっき別れを切り出したのが12時5分過ぎになる計算……」 京太郎「つまりアレをエイプリルフールの嘘だって事には出来ないんだよ」 優希「そ、そんな、嘘だよな!?」 京太郎「だいたいさ、こんな酷い嘘つく奴をこれから先も好きでいられると思うか?」 優希「あ、いや、それは……」 京太郎「お前には失望したよ、優希……じゃあな」 優希「ど、どこ行くんだ!」 京太郎「どこだっていいだろ、俺達はもう赤の他人なんだからな」 優希「あ……」 京太郎「……」スタスタ 優希「そんな、こんなのってないじぇ……でも、自業自得、なのか……うっ、ううっ」 京太郎「えっ!?」 優希「うっ、京太郎っ……やだ、やだやだやだあ……別れるなんていやあ……!」 京太郎「!」スタタッ 優希「京太郎……?」 京太郎「すまん、やりすぎた! お前も半分わかっててノってたもんだと……!」 優希「どういう、事だじぇ」 京太郎「いや、お前が何かすると思ってあらかじめあの時計の時間を進めてたから まだ12時にはなってないんだよ。 すっかりわかってるもんだとばかり……」 優希「……」プルプル 京太郎「優希、さん?」 優希「こんの、バカバカバカアアアア!」 【清澄高校麻雀部の弱点】 京太郎「うおお、また負けたあ!」ガクッ 久「うーん、上達はしてるはずなんだけど」 まこ「さすがに相手が悪すぎるんじゃないか? ネト麻なら安定した成績を出せているんじゃし」 久「だけど一番時間を割いてる部内で勝ててない現状で須賀君は自分の成長を実感できてるのかしら……」 まこ「難しい、ところじゃな」 久「どうしよう…来年になれば初心者もそれなりに来るだろうし、今の内にみんなの指導スキルもアップさせておきたかったんだけど……」 京太郎「うおおお! ツモ来いツモ来い……ちくしょう、来ねえー!」 和「須賀君、ちょっとうるさいです」 京太郎「あ、はい、すいません」 久「本当にまいったわね……全国を制覇した私達清澄高校麻雀部にこんな弱点があったなんて」 まこ「圧倒的なまでの指導力不足か……」 久「指導に向いていない咲と優希はもちろん、和も麻雀に関しては堅物だから萎縮する恐れがあるのよね」 久「能力持ちなんか指導させたら……考えただけで酷い事になりそう」 まこ「わしも部長職があるけぇ、付きっきりではできんし……」 京太郎「ツモ! 2600オール!」 優希「むっ、京太郎に和了られたか!」 京太郎「いよっしゃあ! ここからの連荘で逆転してやるぜ!」 咲「あっ、京ちゃんそれロン。 12000の一本付けで12300」 京太郎「」 久「となると、一番初心者に指導できそうなのが須賀君なのよねぇ……だけど」 まこ「今年の夏は雑用ばかりやらせてきた京太郎に来年も自分の精進より初心者指導に時間を割け、というのはさすがにな……」 京太郎「ふいー、なんとか三位か」 優希「ぐぎぎ、親被りで最下位なんて……!」 京太郎「悪いなあ優希」ニヤニヤ 優希「むきー! そのにやけ面腹立たしいじぇ!」 咲「ど、どうどう優希ちゃん……」 和「須賀君もあまりゆーきをからかわないでください」 京太郎「悪い悪い、えーっとこれで今日は半荘4回やって最下位2回、三位2回か」 京太郎「 トバなかっただけマシだな、途中優希にぶち当ててトップに立ったし」 優希「その後咲ちゃんに責任払いさせられて一気に最下位になったくせに」 京太郎「それを言うなよ!」 咲「あはは……」 久「……それにしても、本当によく折れないわね須賀君」 まこ「不思議なもんじゃな」 【彼が折れない理由】 京太郎「今日も打った打った」 優希「相変わらず負けてばっかだけどな!」 京太郎「うっせー、人が余韻に浸ってんだから水差すなっつうの」 優希「負けて余韻に浸るなんて聞いたことないじょ」 京太郎「だからそういうのをやめろって言ってんだよー」グリグリ 優希「いたた……でも京太郎はよく投げ出さないな」 京太郎「何が?」 優希「普通これだけやって一位が全然取れなかったら嫌になって辞めても不思議じゃないじょ」 優希「私だって勝てないとやっぱりつまんないし」 京太郎「うーん、そんなもんか? 」 京太郎「正直入った時からみんなとのレベルに差がありすぎて、負けた悔しさよりこいつらすげえって思う方が強いんだよなあ」 優希「確かに京太郎は完全に初心者だったからな。 少しでもやってた方がキツいのかもしれないじぇ」 京太郎「それに一時期はほとんど牌に触ってなかったしな。 その時に比べたら対局できるだけありがたい話だ」 優希「ふむふむ」 京太郎「それにさ、全国優勝のお前ら相手に和了ったり一時的にでもトップに立てたりするだけですっげえ嬉しいんだよ俺」 京太郎「だからなんつうかあれだ……実力差で勝てないのは当たり前なんだから、勝つ以前にまずは和了る事だけ考えとくかって感じ」 優希「一位への欲とかないのか?」 京太郎「そりゃもちろんあるさ、やるからには一位狙いに決まってる」 京太郎「だけどそんなの今の俺にはまだまだ高望みなんだって理解もしてるんだよ。 京太郎「だから今一番意識してるのは和了る事と振り込まない事の2つくらいだな」 優希「むう、やっぱりそうなる思考回路がよくわからないじょ」 京太郎「ははっ、お前はそれでいいんだよ」 優希「うーん……」 京太郎「そんな事で悩んでるとあっという間に俺がお前を追い越しちまうぞ?」 優希「ふっ、馬鹿も休み休み言え! 清澄高校エースのこの私が京太郎に抜かされるなんてそんなオカルトありえないじぇ!」 京太郎「はいはい、せめて咲と和に勝ち越してからエースを名乗ろうな」 優希「馬鹿にするなよ! 見てろ、京太郎が惚れ直すくらい鮮やかに勝ってやるからな!」 京太郎「期待しない程度に楽しみにしとく」 優希「やっぱり馬鹿にしてるだろ、京太郎ー!」 京太郎(まっ、もし俺が簡単に折れないのに理由があるんだとしたら……) 京太郎(それはきっと、負け続けてもいたいくらい麻雀部の日常が楽しいから、なんだろうな) 【いったい何がしたいのか】 優希「暇だじぇ」 京太郎「暇だな、皆は打ってるしパソコンはメンテで使えないし」 優希「正直対局見ててもあまり参考にならないし……もう2人でイチャイチャする?」 京太郎「アホ、皆が真面目に麻雀してるのにそんな事出来るか。 時と場合を考えなさい」 優希「むう、じゃあしりとりでもするじょ」 京太郎「まあ、小声でやるなら構わないぜ」 優希「じゃあ私からだな……タコス」 京太郎「スイカ」 優希「カマキリ」 京太郎「リンゴ」 優希「ゴーカート」 京太郎「トナカイ」 優希「インターネット」 京太郎「またトか……トイレ」 優希「レンタカー」 京太郎「カピバラ」 優希「ライオ……じゃなくてラーメ……でもなくてラジオ!」 京太郎「おっぱ……いや待て、変えるからそんな目で睨むな……オランダ」 優希「だし巻き卵」 京太郎「ゴルフ」 優希「風紀委員……会!」 京太郎「上手く避けたな……インテリア」 優希「アーモンド」 京太郎「ドーナツ」 優希「ツバメ」 京太郎「めかじき」 優希「……京太郎」 京太郎「どうした、お前の番だぞ?」 優希「今言った。 次は【う】だじょ」 京太郎「……おい、人名はさすがに」 優希「早くしろ」 京太郎「……ウーロン茶」 優希「チャイム」 京太郎「昔馴染み」 優希「味噌汁」 京太郎「ルーキー」 優希「京太郎」 京太郎「おい」 優希「早く」 京太郎「……牛」 優希「醤油」 京太郎「……優希」 優希「!」 京太郎「……早くしろよ」 優希「京太郎」 京太郎「牛」 優希「醤油」 京太郎「優希」 優希「京太郎!」 京太郎「優希!」ギュッ 優希「京太郎!」ギュウッ 咲・和・久・まこ「うるさいそこ!」 【風潮被害……?】 優希「今日は京太郎とデートだじぇ♪」 優希「準備に手間取ってたらもうこんな時間だじょ……早く行かないと!」 ガチャガチャ 優希「あれ、扉が開かない……なんでだ?」 ガチャガチャガチャガチャ 優希「鍵は確かに開いてるのにどうなってるんだ……あれ、ドアになんか時計とボタンと紙が……」 優希は扉を コンマ01~50…開けられない コンマ51~98…開けられる ぞろ目…京太郎から来ました 優希「」 優希「……えっ、なんだこれ」 優希「コンマ……つまりストップウォッチみたいにこのスイッチを押してコンマ51以上で止めればいいのか?」 優希「ふん、誰だか知らないけどやってやるじぇ!」タンッ 優希「……そこだ!」 コンマ21……開けられない 優希「んなっ!? ええい、もう一度!」タンッ コンマ24、コンマ13、コンマ04…… 優希「なんで、なんで上手くいかないんだ! もうこれで10回以上試してるのに!」 優希「このままじゃ間に合わない……京太郎にメールしないと……えっ」 優希が送ったメールは コンマ01~50…通信障害で届かない コンマ51~98…無事に届く ぞろ目…おや、誰か来たようだ 優希「携帯にまで変な文章が……っ、やるしかないのか!」タンッ コンマ26…通信障害で届かない 優希「なんでだあ!? この、この、このー!」 コンマ03、コンマ42、コンマ15、コンマ10…… 優希「もう、やだあ……待ち合わせ時間も過ぎちゃったじぇ……」 ヴーヴー! 優希「あっ、京太郎から電話……」 優希が電話に出ると コンマ01~10…そこには怒り狂った京太郎が! コンマ12~50…京太郎は呆れながらも苦笑いしている コンマ51~98…京太郎は心配しているようだ ぞろ目…京太郎が迎えに来ている途中らしい 優希「……まあ、わかってたじぇ」 優希「でもこれならいくらなんでも上手くいくはず……」タンッ コンマ01…そこには怒り狂った京太郎が! 優希「」 ――…… 優希「はっ!?」 優希「ゆ、ゆめ……?」 優希「ううっ……コンマなんか、コンマなんか大っきらいだー!」 風潮というか事実【片岡優希はコンマの神に愛されていない】 【たまには静かにゆったりと】 優希「うわーうわー! 遅刻遅刻遅刻ー! すっかり寝坊だじぇ!」 優希「ただでさえテスト赤点でいい印象もたれてないのに! 急がないと留年の危機だじょー!」 ――…… 優希「はあ、はあ、はあ……ま、間に合った~……」 京太郎「なんだ、今日はやけに遅かったな」 優希「ね、寝坊しちゃった」 京太郎「まあそれは見りゃわかるけどな……もしかして朝飯も食ってないのか?」 優希「それどころじゃなかったからな!」ドヤッ 京太郎「なんで偉そうなんだよ……昼の分は減るけど一個食うか?」 優希「いただくじぇ」 京太郎「ちなみに今日は一時間目自習だからここまで急ぐ必要もなかったんだぜ?」 優希「なにぃ!? 走ってきて損したじぇ……」ガクッ 京太郎「ははっ、髪もクシャクシャでやんの」 優希「笑うな笑うな! くそう、いくら美少女たる優希ちゃんでもこんな身だしなみでは魅力が半減だじぇ」 京太郎「自分でそういう事を言うなって……櫛持ってるし髪くらいなら直してやろうか?」 優希「なんだ、京太郎櫛なんか持ってたのか?」 京太郎「ハギヨシさんから教えてもらったんだよ。 男たるものいざという時のためにハンカチと櫛は最低限持ち歩けってな」 優希「へぇ……それならお願いするじぇ!」 京太郎「それじゃあ椅子にお座りくださいお姫様?」 優希「へっ、変な事言うな!」 京太郎「悪い悪い、髪留め外すぞ?」 優希「おー」ファサッ…… 京太郎「……」 優希「んっ、どうしたんだ?」 京太郎「あっ、いや、なんでもない……始めるからな」 京太郎(髪留め外して髪おろしただけでちょっとドキッとしたなんて言えるかよ……) 優希「ふぁ……んっ……」 京太郎「結構サラサラしてんな……なんか特別な事やってんの?」 優希「いや、特にはやってないじょ。 あふっ、くすぐったいけど気持ちいいじぇ……」 京太郎「それはようござんした」 優希「……」ウトウト 京太郎「眠いのか? じゃあ寝ていいぞ。 髪は整えとくから」 優希「……だったらお言葉に甘えて、少し寝るじぇ……」 京太郎「おやすみ、優希」 優希「おやすみだじょ……」 京太郎「……」 優希「すー……」 京太郎「いいもんだな、こういうのも」 咲「教室なのを忘れてなければね……」 京太郎「……あ」 【その温もりは特別なもの】 京太郎「むにゃむにゃ」 優希「部活に来てみたら京太郎がベッドで寝てたじぇ」 京太郎「Zzz……」 優希「前にもこんな事あったな。 その時には確か顔に落書きしたんだっけ」 京太郎「んんっ……」 優希「きっとこれはまたタコスの神様が悪戯をしなさいと言っているんだじぇ!」 優希「でも今度はどうしようかな……同じ事は芸がないから別の事をしてやりたいじょ」ポクポクポクポクポクポク…… 優希「そうだ!」チーン! ――…… 咲「こんにちはー」 咲「あれ、まだ誰も来てないのかな……京ちゃんと優希ちゃんが先に来てると思ったんだけど」 京太郎「くかー……」 咲「あ、京ちゃん寝てるの?」ヒョイッ 京太郎「んう……」 優希「すうすう……」 咲「」 咲(えっ、ええええええっ!? なんで京ちゃんと優希ちゃんが一緒にベッドで寝てるの!?) 京太郎「Zzz」 咲(いや、京ちゃんと優希ちゃんの関係を考えれば一緒に寝てるのは不思議じゃないんだけど! ) 咲(でも、でも部室でそういうのはおかしいというか、そもそもまだ早いんじゃないかなって私は思うよ!) 優希「Zzz」 咲(と、とにかく起こした方がいいよね……他のみんなが来たら騒ぎになっちゃう) 咲「き、京ちゃん、優希ちゃん起きて……」ユサユサ 京太郎「Zzz……んあ?」 咲「お、おはよう京ちゃん」 京太郎「あー……おはよ、咲……」 咲「京ちゃん、2人が恋人なのは理解してるけど、私こういう事はあんまり感心はできないよ?」 京太郎「はぁ? なに言って……」 優希「Zzz……京太郎……」 京太郎「どわああああああっ!?」ドスンッ! 咲「き、京ちゃん大丈夫!?」 京太郎「いたた……な、なんで優希が一緒に寝てるんだよ!」 咲「京ちゃんが連れ込んだんじゃないの?」 京太郎「んなわけねえだろ! こちとらキスだってまだ……」 咲「えっ」 京太郎「やべっ、今のは忘れてくれ!」 咲「京ちゃん……」 京太郎「やめろ、そんな情けない奴を見る目で俺を見るなぁ!」 優希「えへへ、京太郎暖かいじぇ……Zzz」 【だから何がしたいのか】 京太郎「また暇だな、今日は皆が来てないってだけだけど」 優希「暇だじぇ……パソコンはいつになったら直るんだ?」 京太郎「俺に聞くなよ……壊したのはネト麻しながらタコス食ってソース機械の内側に入れたお前と変な操作した咲だろ」 優希「うっ、か、過去の事をチクチクつついてたら大物にはなれないじょ」 京太郎「お前は過去を振り返らなさすぎなの」 優希「ああ言えばこう言う……それで今日はどうする?」 京太郎「なんかしりとり禁止されたからな……」 優希「暇つぶしになるゲームとかちょっと調べてみるじぇ」カチカチ 京太郎「おー、頼む」 優希「……おっ、これとかどうだ!」 ――…… 咲「今日もいっぱい打とうね和ちゃん!」 和「そうですね、先に誰か来てたら早速始めましょうか……あら?」 久・まこ「……」 咲「何してるんですか、部長と染谷先輩。 部室の扉に耳を着けて……」 久「あっ、2人共、ちょっと静かにして。 中に気付かれちゃうから」 和「須賀君とゆーきですか……今度は何をしてるんですかあの2人は」 まこ「聞いてみればわかる……ちょっと耳を澄ましてみい」 京太郎『優希、愛してる』 優希『あうっ///』 京太郎『なんだ、照れてんのか?』 優希『て、照れてなんかいないじぇ! 私も愛してる京太郎……』 京太郎『うっ……』 優希『京太郎こそ、照れてるんじゃないのか?』 京太郎『そんなわけ、ないだろ……愛してるぞ優希』 久「この調子で何回も愛してるって言い合ってるのよ、あの2人」 まこ「仲がいいのは構わないんじゃが……」 和「な、な……」 久「あっ、和何を……!」 和「何をしてるんですかあなた達は!」バーン! 京太郎「おわっ!?」 優希「のどちゃん!?」 和「別にするななんて言いませんし、仲がいいのは喜ばしいですけど、ここは皆が来る部室なわけで……」 京太郎「落ち着け和! 何を勘違いしてるか知らんけど俺達はゲームをしてただけだぞ!」 優希「そ、そうだじぇ! 2人で愛してるって言い合って照れた方が負けってゲームを……」 和「……あなた達はそうやって紛らわしいまねをして! ちょっとお話があるのでそこに座りなさい!」 京太郎・優希「えっ、なんで怒って……ひいいっ!?」 咲「三麻しましょう」 久「そうね」 まこ「じゃな」 【エースの座はまだまだ遠い】 京太郎「ロン、8000!」 優希「捲られたー! ううっ、南場はやっぱり苦手だじぇ!」 和「須賀君に直撃を受けるようではまだまだ南場のゆーきには課題が多そうですね」 京太郎「さりげなくバカにされてる気がする」 咲「そ、そんな事ないよ京ちゃん」 優希「京太郎が下家なら連続ポンから和了れるのに……京太郎、早く私の右側に座れ!」 京太郎「ざけんな! 俺にまた思わず上家と下家( 352)を間違えるような目にあえっていうのか!」 優希「うー!」 久「こんな時南場の不調を補う力があればいいんだけどねぇ。 龍門渕の井上さんの麻雀も少しは参考に出来はしたけど……」 和「だから能力とかそんなオカルトありえません!」 京太郎(俺からしたら和も十分オカルトなんだが……) まこ「そうじゃのう……いっそ東場で決着がつくような能力が優希にあったらいいんじゃが」 和「だからそんなオカルト……」 咲「ま、まあまあ和ちゃん、話が進まないから落ち着こう?」 和「むう……」 京太郎「東場で決着が着く……阿知賀の先鋒の人とかみたいにですか?」 優希「ドラのお姉さんか! 確かにあのお姉さんにはいっぱいドラが集まるからな」 久「優希の東場速攻とドラが集まる能力か……」 京太郎「数え役満連発されて相手のトラウマになる未来しか見えません」 久「そうね……咲のお姉さんにボロボロにされてたせいで」 久「ドラが使えない事からの点数低下ばかり注目されるけど、あの子本当に恐ろしい能力持ちよ」 和「玄さんのアレは別にそんなオカルトじゃないんですが……」 優希「ほほう、つまりあのお姉さんから能力を頂けば私は名実共に最強というわけか!」 まこ「能力を頂戴なんて出来んじゃろう、さすがに……」 咲「マホちゃんなら平気でやっちゃいそうですけどね……」 京太郎「ん、マホって誰だ?」 優希「私の後輩だじぇ! 将来は私達清澄の名を受け継ぐものになるだろう逸材だ!」 和「人の打ちまねより、未だにチョンボしてしまうのを何とかした方がいいと思うんですけどね」 久「まあ、言ってはみたけど結局ないものねだりでしかないし、とにかく優希の集中力を伸ばすしかないのよね……」 久「このままじゃ優希、須賀君に負けちゃうわよ?」 優希「ううっ、それは嫌だ!」 京太郎「やっぱりバカにされてるよな、これ」 咲「き、気のせいだよ……」 【そこは彼女の特等席】 京太郎「うーん……」ペラッ 優希「京太郎、何してるんだ?」 京太郎「見ればわかるだろー……和から渡された麻雀テストやってんだよ。和曰わくそろそろ次のステップに進んでもいいだろうって」 優希「なるほど、それでやってみたはいいけど全然わからくて唸ってたわけだな!」 京太郎「だってこれ難しすぎるんだもんよ……本当にちんぷんかんぷんだ」 優希「困ってるなら手伝ってもいいじぇ」 京太郎「ああ、そりゃありがたい。 少しこの暗号文解読を手伝ってくれよ」 優希「その代わりに今度のテスト勉強を手伝ってもらうじぇ!」 京太郎「俺に出来る範囲なら別にいいぞ」 優希「じゃあ早速手伝ってやろう!」 京太郎「……おい」 優希「んっ?」 京太郎「なんで人の膝に座ってんだよ。 また充電とでも言うつもりか?」 優希「これが一番やりやすいだろ?」 京太郎「いや、隣でいいじゃねえか」 優希「私はこれがやりやすいんだじょ! ほら、さっさとわからないところを言うじぇ!」 京太郎「わかったよ、ったく」 京太郎(俺が集中出来ないんだけどわかってんのか、優希の奴……) 優希「これはだな……」モゾモゾ 京太郎(ええい、モゾモゾ体を動かすな! 色々危ないだろうが!) 優希「それでここはー……」 京太郎(くそっ、優希の体が密着して話が耳に入ってこない! こいつが誘ってるとかじゃないのがわかる分余計にキツい!) 優希「……京太郎?」 京太郎「……えっ、どうした?」 優希「手が止まってたけど、もしかして私の話わかりにくかったか?」 京太郎「い、いやそんな事ないぞ?」 優希「それならよかったじぇ。 ほれほれ、続きだ続き」 京太郎(いかんいかん、見返りありとはいえ優希は本当に親切で教えてくれてるんだ……まじめに聞いてやらないと申し訳ないだろ) 優希「ここは……うーん」 京太郎(……だけど、まあこれくらいは許されるだろ)ポンッ 優希「じょ?」 京太郎「それで続きは?」ナデナデ 優希「うっ、えっと、たぶんこう……///」 京太郎「たぶんって大丈夫なのかー? 頼りにしてるんだから頼むぜ優希先生?」ナデナデ 優希「ま、まかせろ!///」 【アンバランスで似たもの同士な2人】 優希「うー、手が届かない、じぇ!」ピョンピョン! 咲「どうしよう……」 京太郎「何してんだ優希、咲」 優希「あの棚の、上の、箱が取りたいんだ、じょ!」ピョンピョン! 咲「脚立持ってこなきゃいけないね……私ちょっと取りに行ってくるよ」 京太郎「いや、普通に取れるだろ……よっと」ヒョイッ 咲「あっ、最初から京ちゃんに頼めばよかったんだね……」 京太郎「お前、やっぱりどこか抜けてるよな……」 優希「むぐぐ……私は京太郎みたいに無駄にでかくないんだ!」 京太郎「別に無駄じゃねえし!」 ――…… 京太郎「優希、待て! よくも俺の弁当を食ってくれたな!」 優希「あんな風に出されてたら食べてくださいと言ってるようなものだじぇ!」 京太郎「その食い意地を矯正してやる! 待てや、こらー!」 優希「お断りだじぇ!」 京太郎「くっ、狭い路地に逃げられた……体格差があって俺じゃ通れないし回り込むしかないか」 優希「はっはっはー! ざまあみろだじぇ、京太郎!」 和「ゆーき、何してるんですか?」 優希「」 京太郎「あっ、和! そいつ捕まえといてくれ、俺の弁当食いやがったんだ!」 和「……ゆーき、そういうのはやめなさいとあれほど……」 優希「じょぉぉぉ!?」 ――…… 優希「ふえー、今日も麻雀漬けで疲れたじぇ」グデー 京太郎「雑用もしてる俺に比べたらマシじゃんかよー」グデー 優希「最近は買い出しなんてほとんどしてないだろ」グデー 京太郎「まあなー」グデー まこ「あんたら、部室のベッドでグダグダするくらいなら家に帰らんかい!」 ――…… 京太郎「うーん、やっぱり上級者卓となるとネト麻でもなかなか勝てないな……」 優希「京太郎は脇が甘いんだじぇ。 例えばこことか……」 京太郎「あー、確かにこれは凡ミスだったな……」 咲「優希ちゃん、なんの躊躇いもなく京ちゃんの膝の上に座ってるね」 和「もう一々注意するのも疲れました……」 まこ「仲がいいのはいい事じゃ、いい事なんじゃ……」 久「体格とかは凸凹コンビなのにああいうところは似たもの同士よね、あの2人って」 京太郎「やった、上級者卓初一位だ!」 優希「よくやったじぇ、京太郎!」 【信頼できるからするんです】 京太郎「疲れた……さすがに1日ぶっ続けでネト麻はキツいわ」グデー 優希「おぉ、京太郎よ、死んでしまうとは情けない」 京太郎「疲れた原因のほとんどが今膝に乗ってる誰かさんに振り回されたからなんだが、そこんとこどう思います優希さんや」 優希「全く京太郎をここまでボロボロにするなんて不届き千万だじぇ!」 京太郎「お前の事だよ、こんにゃろめ」 優希「なんと!? 衝撃的すぎて言葉が出ないじょ!」 京太郎「むしろなんでお前はそんなに元気なんだよ……」 優希「京太郎と一緒だからな!」ニッコリ 京太郎「……」 優希「ん?」ニコニコ 京太郎「なんでもない……」ギュッ 優希「おわっ、急に抱きしめたらビックリするだろー!」 京太郎「知らん知らん」ポテッ 優希「頭にあご乗せたらおーもーいーじぇー!」 京太郎「ああ、こりゃ楽だわー」グリグリ 優希「あごでグリグリするなー!」 京太郎「いいだろー、マッサージだマッサージ」グリグリ 優希「そんなマッサージはいらな……んにゃー!」 京太郎「そういえば部長から聞いたんだけどなー……こうしてあごを乗せるのはそれだけ相手を信頼してるからなんだってよー」 優希「……」 京太郎「いつの間にかそこまで深みにはまってたんだな、俺って……ふぁぁ、眠い……」 優希「……京太郎」 京太郎「んー?」ウツラウツラ 優希「し、しょうがないから私の頭を少しだけ貸してやるじぇ。 あごを乗せるのも好きにしていいじょ」 京太郎「……どういう風の吹き回しだ?」ウツラウツラ 優希「べ、別にちょっとした気まぐれだ! 京太郎のあごが頭にあるくらいで私は困らないってだけだじょ!」 京太郎「ふうん……だったら好きにさせてもらうわ……つーかちょっと寝るかも」 優希「えっ、ちょっと待っ……」 京太郎「……ぐう」 優希「本当に寝ちゃった……ま、全く卑怯にもほどがあるじぇ、あんな事言われたら邪険になんかできるわけないじょ」 京太郎「……Zzz」 優希「寝息がくすぐったいじぇ……あっ、こら、私の髪の毛は食べ物じゃない!」 京太郎「カピ、逃げるなよー……」 優希「私はカピじゃないじぇ! ええい、だから髪の毛を食べようとするなー!」 【相手だけ見たら主人公レベル】 京太郎「牌譜牌譜っと……あった、これだ」 京太郎「優希のやつ、こんなところにしまいっぱなしにして……」 京太郎「勉強のために全国大会の牌譜貸してくれんのは嬉しいけどちゃんと整理しとけよ」 京太郎「それにしてもやっぱりあいつの牌譜は東場と南場で全然違う様相だな……」 京太郎「えーっと全国で清澄が打ったのが永水、宮守、姫松、有珠山、臨海、阿知賀、白糸台……」 京太郎「それで優希の相手が……」 京太郎「……」 京太郎「よくよく見たらなんだ、このムリゲー」 京太郎「二回戦の相手は確か神を降ろすとか言われてる神代さん」 京太郎「準決勝は去年全国三位の辻垣内さん」 京太郎「で、決勝は咲の姉ちゃんでチャンピオンの宮永照さん……」 京太郎「全国はすごいとか先鋒にエースが多いって言っても限度があるだろ……他の高校も決して弱くはなかったし」 京太郎「だけど優希も+はほとんどないけどなんだかんだで酷い」 京太郎「大量失点もしてない……むしろ最初はハイペースで和了りまくってる」 京太郎「思い返せばあいつが東場で全く和了れなかったのって県大会決勝くらいなんだよな……」 京太郎「うーん……」 優希「京太郎、牌譜見つかったか?」 京太郎「優希、お前実はすごい奴だったんだな」 優希「い、いきなりなんだ!?」 【勘違いは往々にしてあるもの】 京太郎「いくぞ、優希」 優希「う、うん……痛いのは嫌だからな?」 京太郎「わかってるって……んっ」 優希「ひゃうっ!」 京太郎「大丈夫か?」 優希「だ、大丈夫だじぇ……続けていいじょ」 京太郎「じゃあちょっと奥まで行っても大丈夫かな……」 優希「はぁ……ふっ……」 京太郎「どうだ、気持ちいいか?」 優希「あっ、うっ……そこ、擦れて気持ちいいじょ……」 京太郎「そうかそうか、それはよかった」 優希「京太郎……そこ、そこもっと……!」 京太郎「ここか?」 優希「ひゃあんっ! うん、そこ……そこが一番っ……」 京太郎「確かにここが一番アレみたいだな……ちょっと強くいくぞ」 優希「はぁ、ぁ……んんっ!」 京太郎「もう少しで終わるからな、ちょっとだけ我慢してくれよ」 優希「あっ、っ……つうっ……!」 京太郎「ふうっ……終わったぞ優希」 優希「はぁ……はぁ……」 京太郎「おいおい、まだ終わってないのにそんなにクタクタになってどうすんだよ」 優希「だって、京太郎上手すぎるじぇ……」 京太郎「そうなのか? そんなに経験ないからわかんないんだけど……」 優希「間違いないじぇ! 店を開いてもいいレベルだじょ!」 京太郎「はいはい、わかったから続きやるぞ。 逃げてたらいつまでも終わんないからなー」 京太郎「自分でやると痛いからって人に耳掃除させたのお前なんだから。 言ったからには最後までおとなしくやられろよな」 優希「そんなの言われなくてもわかってるじぇ……」 ドタンッ、バタンッ! 京太郎「んっ?」 優希「なんだ?」 久「あいたたた……」 まこ「メガネが飛んでってしもうた……」 和「きゅう……」 咲「……和ちゃん、胸が、胸が顔に当たって息が……」ジタバタ 京太郎「何してるんだ、みんな……」 優希「なんだか楽しそうだじぇ!」 京太郎「1人死にそうだけどな……微妙に羨ましい」 優希「むっ、今のは聞き捨てならないじょ!」 咲「誰か助け……むぐうっ!」 【染められる心】 京太郎「今日は随分雨が降るな」 優希「警報も出てるみたいだじぇ」 京太郎「マジか。 こりゃ外は危ないな……」 京太郎「優希、家には連絡しとくからお前今日は泊まってけ。 さすがに警報まで出てる中で帰らせるわけにはいかない」 優希「じょ? でも着替えとか持ってきてないじぇ」 京太郎「俺のジャージ貸すからそれ着てくれ。 大きいだろうけど我慢してくれな?」 優希「しょうがないな……じゃあおじゃまするじぇ」 京太郎「それじゃあ俺は電話してくるからそこのタンスからジャージ取り出しておいてくれ、確か下から二番目の棚に入ってるはずだ」 優希「わかった」 ガチャッ、バタンッ 優希「えーっと下から二番目、二番目……あった! ちょっと試着してみるか」ゴソゴソ 優希「うーん、やっぱり大きいじぇ……袖はブカブカだし、これなら下を履く必要もないな」 優希「そういえばこれ、京太郎が着てるやつなんだよな……」 優希「……」クンカクンカ 優希「……はっ!? わ、私は何をしてるんだじょ! 匂いを嗅ぐなんてまるで変態だじぇ!」 優希「こ、こういうのは京太郎の専売特許で……」 優希(でも、なんだかこの匂いを嗅いでると落ち着く気がする……) 優希「……」キョロキョロ 優希「京太郎はまだ帰ってこない、誰も見てないんだ……なら、我慢なんて意味ないじょ」 優希「……」クンカクンカ 優希(京太郎の匂い……前に一緒に寝た時を思い出すじぇ。 まるで抱きしめられてるみたいで落ち着くじょ……) 優希「……でも、物足りないじぇ」 優希「あ、あー、そういえば、少し眠くなってきたかもしれないじぇ……だからベッドに入ってもそれはしょうがないよな!」 優希「お、おじゃまするじぇ……」モソモソ 優希「あうっ……これは予想以上に、強烈だじょ……」 優希(全身が京太郎に包まれてる……胸がドキドキして、おかしくなっちゃいそう……) 優希「ううっ、なんだか身体が切ないじょ……」モジモジ 優希「……」ドキドキ 優希「す、少しだけなら……いい、よね?」ソー… 京太郎「戻ったぞー」 優希「わひゃあ!?」 京太郎「あれ、どうした? ベッドに入って具合でも悪いのか?」 優希「べ、別にそんなんじゃないじぇ!」 優希(わ、私何しようとして……ううっ、恥ずかしくて京太郎の顔が見られないじょ……) 京太郎「?」 【知らず知らずに深みに堕ちていく】 優希「……」 優希(どうしよう……京太郎のジャージ持って帰ってきちゃったじぇ。 せっかくだから洗濯して返すってほとんど無理やりだったけど……) 優希(これを着たら、昨日みたいにおかしくなっちゃうのか……?) 優希「……」ゴクッ 優希(怖いのに、身体がそれ以上に期待してる……こんなの、おかしいじょ) 優希「ダメだダメだ! あんなの私じゃない、私じゃない……!」 優希(タンスの奥にしまっておこう……そうすればもう誘惑に負ける事はないんだじぇ……!)ゴソゴソ 優希「はあ……」ボスッ 優希(これでいいんだ、これで私と京太郎は元通り馬鹿やってじゃれあういつもの日常に戻れ、る……) 優希「あれ……?」 優希「そういえば私達、つきあってるのに、何かそれらしい事したっけ……?」 優希(京太郎は前以上に私に構ってくれるし、デートだってしてるけど……似たような事は前からしてた) 優希「ほとんど昔と変わってないんだ……私達の間には決定的な何かが足りないんだじょ……」 優希「なんだじぇ、何をしてないんだ……? 私と京太郎がつきあってからしてない事……」 優希「――あ」 優希「そうだ、私達まだ……キス、してない」 優希「もう何ヶ月も経つのに一回もキスをしてないんだじぇ!」 優希「くうっ、ラブラブなカップルを自称していたのに基本すらこなしていなかったなんて、私はまだまだだった!」 優希「よし、決めた! 私は近い内に京太郎と絶対にキスしてやるじぇ!」 優希「待ってろよ京太郎! 私は必ずやお前の唇を奪って今以上にメロメロにしてやるからな!」 優希(それで、そうしたら私は京太郎と……)ゾクッ 京太郎「はっくしゅんっ!」 京太郎「なんだ、なんか寒気がするぞ……」 京太郎「何もなきゃいいんだがなあ……」 【優希空回り最前線】 優希「よし、行くじぇ!」 京太郎「ふぁぁ……結局寒気が気になって眠れなかったな」 優希「京太郎ー!」 京太郎「んっ? よぉ、優希おはよう」 優希「おはようだじぇ! ところで京太郎、ちょっと話があるんだけどいいか?」 京太郎「話?」 優希「うん、あのな……私と、その……」 京太郎「優希と?」 優希「……な、なんでもないじぇ!!」スタタッ!! 京太郎「えっ、おい優希!?」 優希(言えるか言えるか言えるか! 私とキスしろーなんて言えるわけないじょ!) 優希「うわああああああ……」 京太郎「な、なんだったんだいったい……」 ――…… 優希「ムシャムシャ!」 和「ゆ、ゆーき、そんな食べ方をしたら危ないですよ?」 優希「そっとしておいてくれ和ちゃん! 私は今情けない自分に喝を入れてるんだじぇ!」ガツガツ! 咲「京ちゃん、何かしたの?」 京太郎「俺にもわかんないんだよ……優希、どうしちまったんだ?」 優希「タコスおかわり! もういっこおかわり! さらにもう一つおか……」 和「もう! いい加減にしなさいゆーき!」 ――…… 優希「ロン、12000!」 京太郎「ぐえっ!?」 優希「ロン、24000!」 京太郎「ぎゃあ!?」 優希「ロン、48000ー!」 京太郎「ぐわああああ……!」 まこ「おお、なんとえげつない……」 和「どうやら今日のゆーきは須賀君を徹底的に狙い打ちするみたいですね」 久「喧嘩でもしたのかしら?」 咲「そういうわけじゃないみたいですけど……」 優希「ロン、1500! ロン、1500の一本付けで1800! ロン、1500の二本付けで……」 京太郎「点数が低い分余計なぶられてる気分になる、うおおおおおお!?」 優希(そもそも私がこんなに悩む事になったのも全ては京太郎がヘタレなせいだじぇ! 」 優希「この根性なしめ、ボコボコにして鍛えてやるじょー!) 京太郎「もうトんでる、トんでるからやめ……」 優希「うるっさい! ロン、ロン、ローーン!」 京太郎「誰か優希を止めてくれー!」 【背中を押されて向き合って】 京太郎「」プスプス 優希「ガルルルルル」 咲「京ちゃんが焼き鳥状態になっちゃったよ……」 和「ゆーき、もう須賀君は戦えません! これ以上いたぶるような真似はよしなさい!」 優希「フー、フー……」 優希(ああ、何やってるんだ私は……こんなの自分の思い通りにいかない鬱憤を京太郎に八つ当たりして発散してるだけだじぇ……) 京太郎「くっ……」 久「須賀君、生きてるー?」 京太郎「大丈夫ですよ、部長。 これくらいの惨殺は今までの部活で何度も味わいましたから」 まこ「それは笑顔で言う事じゃないんじゃないかのう……」 京太郎「ははは、まあ今回は優希の気迫もすごかったし、正直ちょっとビビりましたけど……」 優希「……」 京太郎「――彼女がこんなに強いなんて、彼氏冥利につきますよ」 優希「……あ」 京太郎「だけど今度はこうはいかねえからな! 覚悟しとけよ優希」ワシャワシャ 優希「……ひっく」 京太郎「えっ」 優希「うっ、うわあああああん……!」 京太郎「」 咲「あー、京ちゃんが優希ちゃんを泣かせた!」 和「須賀君……ゆーきを悲しませたらどうなるか忠告しましたよね?」 まこ「すまんが味方はできんのう、許せ京太郎」 久「これは色々聞かなきゃいけないわねー?」 京太郎「」 ――…… 久「つまり、須賀君がキスしてくれないから不安になっちゃったのね?」 まこ「それで色々やろうとしたが空回りして、結果さっきのアレになったと」 優希「そうだじぇ……」 和「咲さん、どう思います?」 咲「京ちゃんが悪いね、まさかまだしてないなんて思わなかったよ」 京太郎「うぐうっ!?」 京太郎(なんでだ、なんでいつの間にか俺が裁判の被告みたいになってるんだ!? ) 京太郎(いや、確かにちょっとスローペースかなと思わないでもなかったけどまさかこんなに思い詰めてるとか思うか、普通!) 久「須賀君ってガツガツしてそうに見えて意外に純情だったのね?」 まこ「大切にしたいといったところじゃろうが、それで不安にさせては世話ないぞ?」 和「ゆーきも今回はやりすぎでしたし、思うところがあるなら私からは何も言いません」 咲「京ちゃん、不幸になるなんて私は許さないよ?」 京太郎「……もう、わかった、わかりました!」 京太郎「そんなに言うなら、この場でキスしますよ!」 優希「えっ」 【レモン味とはほど遠いけれど】 久「えーっと、それ本気で言ってるの?」 京太郎「えぇ、もちろんです!」 咲「京ちゃん、自棄になってるんじゃ……」 京太郎「自棄になってなんかいねえよ! ここまで不安にさせたならちゃんとした方がいいだろ!」 和「だ、だからといってここでやる必要は……」 京太郎「今さらするななんて言わせねえぞ! こうなったら見せつける勢いでやってやる!」 まこ「落ち着かんかい、京太郎! 優希だってみんなに見られながらなんて望まんはずじゃろう!」 京太郎「そうなのか優希」 優希「えっ、えっと……」 京太郎「否定しないって事はOKなんだな。 じゃあするぞ」 優希「き、京太郎……」 久「ダメだわ、まるで聞く耳持ってない……このままだと優希のファーストキスが衆人環視の羞恥プレイになってしまう」 まこ「どうするんじゃ、久!」 久「しょうがない……ここは優希のためにも退くしかないわね。 外に出ましょう、みんな」 和「そうですね……優希だって今の状況は好ましいはずがありません」 まこ「部室を変な事には使うなよ2人共!」 咲「……京ちゃん、上手くいったね」 バタンッ 京太郎「……やっぱり咲にはバレてたか」 優希「京太郎? それどういう……」 京太郎「あのな、いくらなんでもみんなが見てる中でキスなんか出来るわけないだろ……」 京太郎「ああ言えば気つかって出てってくれると思ったんだよ」 優希「な、なんだそうだったのか……ホッとしたじぇ」 京太郎「……でだ、とにかくこうして2人っきりになったわけだけど」ギュッ 優希「う、うん……」 京太郎「ごめんな優希。 まさかあそこまで不安がってたなんて、思ってもなくてさ。 こんな形じゃムードもクソもないけどよ……いいか?」 優希「いちいち、聞かないでほしいじぇ……///」 京太郎「……それもそうだな」スッ 優希「あっ、京太郎……」 京太郎「優希……」 「んっ……」 京太郎「……ぷはあっ!」 優希「……///」 京太郎「息止めちまった……やっぱり上手く出来ないもんなんだな……」 優希「顔が熱いじぇ……///」 京太郎「俺も心臓バクバク言ってる……」 優希「……///」 京太郎「……///」 優希「か、帰ろうじぇ! 京太郎!」 京太郎「そ、そうだな! 今日はもう帰るか優希!」 【思春期には刺激が強い】 京太郎「……」ポケー 京太郎「キス、したんだよなあ……」 京太郎「はあ……」ポケー カピ「キュー」トコトコ 京太郎「おぉ、カピー、ちょっと聞いてくれよ」ダキッ カピ「キュー?」 京太郎「俺な、今日優希とキスしちゃったんだよ」 京太郎「ほら、最近家にもよく来るようになった俺の彼女、お前もタコス食わされかけたあいつ」 カピ「キュー」コクコク 京太郎「それでな……そのせいかなんだか知らないけどあいつの顔が今まで以上に頭の中ちらつくんだ」 カピ「キュー」フンフム 京太郎「心臓はうるさいし顔も熱いまんま、母さん達にも心配されちゃって正直困ってるんだよ……なんとなく電話もかけづらいし」 カピ「キュー」 京太郎「俺って確かにあいつが初めての彼女だけど、ここまでになるとはさすがに思ってなかった……」 京太郎「恋は盲目ってこういう事を言うのかもな」 カピ「キュー」 京太郎「でも本当、どうしたらいいんだろうなー……明日どんな顔してあいつに会えばいいんだか」ナデナデ カピ「キュー」 ――…… 優希「……」 優希「……うう」 優希「うわあああああああ!」ゴロゴロ! ユウキ、シズカニシナサーイ! 優希「あっ、ご、ごめんなさーい」 優希「ふうっ……」 優希「とはいっても落ち着くなんて無理だじょ……」 優希「長期戦覚悟の戦いが1日で終わるなんてさすがの私も予想してなかったじぇ」 優希「まさか京太郎とこんな早く、キス……」 優希「あうっ、また顔が熱いじぇ……///」 優希「うー、あー……なんだかソワソワして落ち着かないー!」ゴロゴロ 優希「京太郎に電話しようかな……でも今声を聞いたら頭真っ白になっちゃう気もするし……」 優希「ううっ、私はどうしたらいいんだー!」 ユウキ!イイカゲンニシナイトオコルワヨ! 優希「ま、またやっちゃったじぇ! ごめんなさーい!」 優希「……もう寝るか」 優希「動揺してるのバレるのも嫌だし、明日なんて声をかけようか考えとくじぇ……」 【京太郎、風邪をひく】 京太郎「う、あ……朝か……」 京太郎「なんだ、身体ダルい……起き上がれねえ……」 京太郎「母さーん、ちょっと来てくれー……」 ――…… 咲「えっ、京ちゃんが風邪?」 優希「そうだじぇ、熱も結構高いらしくて電話でもうんうん唸ってた」 咲「あんな事があった次の日に風邪って京ちゃんらしいと言えばらしいね……」 優希「あんな事……うっ///」 咲「あっ、変な事言ってごめんね」 優希「べ、別に構わないじぇ! それより咲ちゃん、今日私部活休むからよろしく頼む!」 咲「えっ、なんで……って聞くのは野暮かな。 うん、いいよ」 咲「部長が来てくれるから練習はなんとかなるし、みんなには私から伝えておくよ。 京ちゃんによろしくね」 優希「ありがとう、咲ちゃん!」 ――…… 京太郎「38度5分……まだまだ引きそうにない、か。 最近ネト麻やってそのまま机で寝ちゃう事も多かったからな……」 京太郎「それにしても、一昨日からの寒気とか昨日顔がずっと熱かったのは熱があったからだったのかよ……」 京太郎「よりによって昨日じゃなくてもいいだろうに……変に悩んだ俺が馬鹿みたいじゃないか」 京太郎「ダルいなあ……どうせ何も出来ないんだし寝るとするか」 京太郎(優希のやつ、どうしてるんだろうな……) ――…… ピンポーン 京太郎「Zzz……」 ピンポーン 京太郎「Zzz……」 ……ガチャッ 京太郎「……んうっ?」 パタパタ 京太郎「母さんか?」 ガチャッ、ギィィ…… 京太郎「母さん、どうかした……あ」 優希「えっと、お、お見舞いに来たじぇ」 京太郎「優希、来てくれたのか……あれ、まだ部活やってる時間じゃないか?」 優希「京太郎が心細いと思って休んできた! どうだ、誰もいなかったし愛しの優希ちゃんが来て嬉しいだろう!」 京太郎「……ああ、嬉しいな」 優希「えっ!?///」 京太郎「なんだよ、その反応」 優希「い、いや、まさか素直に答えられるとは思わなくて……」 京太郎「病気の時くらい素直になるさ……照れ隠しする余裕もないからな。 そういえば誰もいないってお前どうやって入ったんだ?」 優希「京太郎のお母さんから緊急用の鍵の隠し場所を教えてもらってるからな!」ドヤァ 京太郎「なにそれ、俺知らない」 【ただ遊びたかっただけ】 優希「京太郎、頭なんか抱えてどうしたんだじぇ。 もしかして頭が痛いのか?」 京太郎「いや……確かに頭の痛い問題は発覚したけど、本当に頭が痛いわけじゃないから心配するな」 優希「本当に? どこか痛むとかそういうのはないのか?」 京太郎「大丈夫だって。 まあ熱はまだあるし身体もダルいけどさ……あっ、体温計取ってくれないか?」 優希「これか?」 京太郎「サンキュー」 優希「そういえば京太郎、ご飯とかはどうしたんだ?」 京太郎「さっきまで寝てたから何も食べてない。 食欲もあんまりないしな」 優希「それはよくないじぇ! こういう時はちゃんと食べなきゃダメだってのどちゃんも言ってたじょ!」 京太郎「わかってはいるけどさ……んっ、38度ちょうどか」 優希「まだ高いな……よし、わかった。 ここはこの私が京太郎のご飯を作ってやろう!」 京太郎「え゛っ」 優希「遠慮はいらないぞ、これでも少しは練習したからな! 京太郎はせいぜいお腹を空かせて待ってるんだじぇ!」 京太郎「いや、待て、待ってくれ……!」 バタンッ、パタパタ…… 京太郎「マズい…今の弱ってる体で前に食べたようなの食わされたら、俺死ぬかもしれない。そ、それだけはなんとか回避しないと…!」 カピ『キュー』 優希『あっ、カピじゃないか! どうしたんだ、スカートくわえられたら先に進めないからはなしてほしいじぇ』 カピ『キュー……』 京太郎「カピ!? そうか、カピのやつ俺を助けるために優希を止めようとしてくれてるんだな」 京太郎「恩に着るぜカピ、元気になったらいつもよりいっぱい餌をあげるからな……!」 カピ『キュー、キュー!』グイグイッ 優希『うわわわっ!? そ、そんなに引っ張っちゃダメだじぇ、カピ!』 カピ『キュー!』 京太郎「よし、いいぞ。 そのまま優希を引き止めるんだ……母さんさえ帰ってくれば優希が料理をする必要もなくなる!」 優希『まるで私を行かせたくないみたいだじぇ……だけど諦めるほど私はヤワじゃない!』 カピ『キュー!?』 優希『ははは、乗っちゃえばこっちのものだじぇ! おっ、なんだカピ、私をキッチンに連れて行ってくれるのか!』 カピ『キュー♪』 優希『じゃあ出発進行ー!』 カピ『キュー!』 京太郎「……」 京太郎「ははっ、カピはただ遊びたかっただけだったのか……」 【たがはとうに外れてる】 京太郎「どうする、どうすればいい……このままだと俺が腹をこわすのは確定だ」カタカタ 京太郎「布団にくるまってるせいで部屋の外で何が起きているのかわからないのがさらに怖さを引き立たせるぜ……」 優希「京太郎ー、おかゆ持ってきたじぇ!」 京太郎「ああ……」 京太郎(もう覚悟を決めるしかないのか……あれ?) 京太郎「見た目は、美味そうだなこれ……」 優希「むっ、今のはどういう意味だじぇ! 言っただろ練習したって、私は日々成長しているのだ!」 京太郎「確かに見た感じは成長したな……だけどやっぱり食べてみない事には」 優希「なら食べてビックリすればいいじぇ!」 京太郎「わかったわかった……んっ、レンゲがないぞ?」 優希「レンゲならここにあるじぇ」 京太郎「ああ、じゃあそれをこっちに……」 優希「あーん」 京太郎「」 優希「ほれ、早く口を開ける」 京太郎「別に自分で食え……」 優希「いいや、ダメだ! さっき布団に潜ってたしキツいんだろ? こんな時くらい私に甘えるんだじぇ!」 京太郎(こりゃお前の料理にビビってたとか言えないな……) 京太郎(かといって他に上手いいいわけも思いつかない……というかわざわざ拒否する意味もないか……) 京太郎「じゃあ、あーん……」 優希「あーん」 京太郎「んっ……あむっ」モグモグ 優希「ど、どうだ?」 京太郎「……美味い」 優希「本当か!?」 京太郎「嘘ついたってしょうがないだろ……美味しいぞ優希」ナデナデ 優希「え、えへへ……///」 京太郎「……で、これは本当にお前だけで作ったのか?」 優希「……」 京太郎「……」 優希「……帰ってきた京太郎のお母さんに手伝ってもらったじぇ」ガクッ 京太郎「……どうせさっきまで覗いてた母さんに自分が全部作った事にでもしろって言われたんだろ」 優希「えっ、京太郎のお母さんいたのか?」 京太郎「扉の陰にな……いつの間にか帰ってきてたと思ったら何してんだ、そんなに人の彼女に興味津々なのかよ」 優希「み、見られてたのか……なんか急に恥ずかしくなってきたじぇ」 京太郎「別に来たら見せつけてやればいいだろ……それより水くれないか?」 優希「見せつける……わかった水だな、ちょっと待って」ングッ 京太郎「えっ」 優希「……」スッ 京太郎「優希、お前何を――」 チュッ 【ある意味熱が上がる看病】 京太郎「んぐっ!?」 優希「んっ……」 京太郎「……!」ゴクッゴクッ 優希「はぁ……」 京太郎「お、お、おおまおまお前何して……!」 優希「み、水を飲ませただけだじぇ///」 京太郎「だけってなあ!」 優希「騒ぐと治る病気も治らないじょ」 京太郎「誰のせいで……はあ、もう風邪移っても知らねえぞ」 優希「大丈夫だ、私は風邪をひかないと親に太鼓判を押されてるくらいだからな!」 京太郎(それって健康体だって褒めてるのか、それともなんとかは風邪をひかない理論でバカにされてるのか……後者だな) 優希「むっ、今バカにされた気がするじぇ」 京太郎「気のせいだ」 優希「……」ジー 京太郎「そ、それよりご飯の続きをくれないか?」 優希「こっちも口移しにするか?」 京太郎「頼むからやめろ、熱が余計上がって死ぬ」 優希「はーい、じゃあ口を開け京太郎!」 京太郎「あーん……」 ――…… 京太郎「ごちそうさま……えっと水」 優希「水か! 今準備するからちょっと待って……」 京太郎「またやる気か!? そのままペットボトルで俺によこせばいいだろ!」 優希「えー、だって間接キスになっちゃうじぇ……」モジモジ 京太郎「自分がさっきやった事思い出せや!」 優希「あれは看病のためだからしょうがないんだ! さあ、覚悟を決めろ!」ングッ 京太郎「いや、だから俺にだって心の準備が――」 ――只今色々アレな事になっているので見せられません―― 優希「んちゅ……はぁ」 京太郎「お、おい優希……もう、水とか関係なくなってないか? それに冗談抜きで風邪移るぞ……」 優希「……」ポフッ 京太郎「優希……?」 優希「……別に移ったっていいじぇ」 京太郎「へっ?」 優希「京太郎のいない学校で食べるタコス、美味しくないんだじぇ」 優希「前だったらまだ耐えられたけど一歩進んだ矢先にこれなんてあんまりじゃないか……」 京太郎「……」 優希「だから、早く京太郎に元気になってほしいじょ……移して治るなら、それでも私は――」 京太郎「優希」 優希「えっ……」 チュッ 【その気持ちが特効薬】 優希「あ、えっ……///」 京太郎「……今は、それで我慢しとけ。 後そんな事言うなよ」 優希「京太郎……」 京太郎「なるべく早く治すようにするから。 万が一お前が風邪ひいたら、俺もなんか気が抜けるしそれに……」 優希「寂しいのか?」 京太郎「お前なあ……」 優希「違うの?」ウルウル 京太郎「……悪いのかよ、寂しいのが」 優希「そんなわけないじぇ! むしろ京太郎が私にメロメロだってわかって大満足だ!」 京太郎「っ、調子に乗るなっての!」グリグリ 優希「じぇぇ! 頭をグリグリするのはやめろー!」 京太郎「ああ、もうお前今日は帰れ! これ以上いたら本気で風邪移すぞ!」 優希「それはいけないじぇ! 私が風邪で休んだら京太郎が寂しくて泣いちゃうもんな!」 京太郎「このやろ、言わせておけば言いたい放題言いやがって……お前治ったら覚悟しとけよ」 優希「期待しないで待ってるじぇ! じゃあ私は帰る、また明日な!」 京太郎「……おう。 今日はありがとうな」 優希「いいってことだじぇ!」 パタンッ、パタパタ…… 京太郎「全く、これはさっさと治さないとな……」 優希『あっ、京太郎のお母さん! 今日はもう帰りますじぇ!』 優希『えっ、京太郎の事……も、もちろん! 私は京太郎の彼女だから!』 優希『明日? 京太郎が来ないならまた……えっ、京太郎が家で私の事を?』 優希『明日来たら教えてもらえる……了解しましたじぇ!』 京太郎「おい、待て、優希の奴母さんと何を――」 優希『京太郎の秘密本の隠し場所? それは気になる、いや、気になりますじぇ!』 京太郎「おい……!」 優希『そ、そんなところに隠してたのか……京太郎』 京太郎「教えたのか、おい、マジで教えたのか? というか母さん気付いてたのかよ!?」 優希『えっ、これがその中の1つ……?』 京太郎「!?」 優希『あ、うっ……節度さえ守れば別にいいって……』 京太郎「何吹き込んでんだあの親はあああ……」 優希『わ、わかった、じゃなくてわかりましたじぇ! これ読んで勉強して京太郎と……』 京太郎「なんて、事だ……!」 優希『さようならー!』 ガチャッ、バタンッ…… 京太郎「絶対治す、今日中に、治す……!」 【血は争えない】 優希「た、ただいまだじぇ……」 優希「誰もいない……今の内に部屋に戻ろう」パタパタ 優希「……京太郎のお母さんからもらったこれ、どうしよう」 優希「どうせ京太郎の事だからおっきいおっぱいの女の子がいっぱい載ってる本なんだろうな……」 優希「なんかムカつくな……このまま捨ててやろうか。 でもそんな事したらきっと京太郎怒るじぇ……」 優希「……敵を知ればなんとやら、ちょっとだけ、見てみようか?」 優希「こ、これはっ!?」 京太郎「くそっ、どれだ、どれを持ってかれた!? ある、ある、ある……あれ?」 京太郎「俺のコレクション一冊も減ってない……どうなってるんだ?」 優希「ち、小さな女の子ばっかりだじぇこの本……!」 優希「うわ、うわ、うわわわ……///」 ペラッ、ペラッ…… 優希「こ、こんな事して大丈夫なのか!?」 ペラッ、ペラッ…… 優希「~~~~!?」←声にならない パタンッ 優希「あうう、全部読んじゃったじぇ……///」 優希「き、京太郎がなんでこんな本を……あいつ巨乳好きに見せかけたロリコンだったのか……?」 優希「いいや、そんなはずない! そうだったら私のアピールは早い内に実を結んでたはずだじぇ!」 優希「でもこれ、実際京太郎の家にあった本らしいし……も、もしかして京太郎、私とこういう事したいのか……?」 優希「そ、そんなの無理だじぇぇぇ……///」プシュー ――…… 京太郎「……母さん」 須賀母「京太郎、起きてきて大丈夫なの?」 京太郎「汗かいたせいかだいぶよくなった気がする……それより聞きたい事があるんだけど」 須賀母「なあに?」 京太郎「母さん、優希が帰る時本渡してたよな?」 須賀母「あらら、気付いちゃった? ふふ、京太郎のコレクションの中でも一番喜びそうなのを渡しておいたから安心しなさい」 京太郎「いや、何を渡したんだ? 俺のコレクションは一冊たりともなくなってなかったけど」 須賀母「えっ……じゃあ、あのコミックLOって本は……」 京太郎「……たぶん、父さんが俺の部屋に隠したやつだろ。 ほら、父さん……母さんみたいな小さい子好きだし」 須賀母「」←135cm 京太郎(父さんがあんなだから俺は巨乳好きになったはずなんだけどな……血は争えないのか?) 【執念と誤解】 京太郎「……んー、よし! 熱も下がった、身体も支障が出るほどダルくない!」 京太郎「須賀京太郎、完全復活だ!」 京太郎「おはよー」 須賀母「おはよう」 須賀父「」チーン 京太郎「……母さん、父さん魂抜けてるけど」 須賀母「知りません!」プクー 須賀父「俺の秘蔵品がぁ……なんでちゃんと隠してくれなかったんだ京太郎!」 京太郎「知らねえし! つうか息子の部屋に自分の趣味のエロ本隠すなよ!」 須賀父「別にいいじゃないか、京太郎だってこっちに目覚めたんだろう?」 京太郎「違う、俺は小さい子がどうとかじゃなくて優希が好きなだけだよ!」 須賀母「京太郎、よく言ったわ! 父さんみたいに小さい子なら誰でもいいような人にはなっちゃだめだからね?」 須賀父「ゴフッ!?」 京太郎「自業自得だし俺は助けねえからな……じゃあ俺部活あるし早めに出るから!」 須賀母「行ってらっしゃーい」 カピ「キュー」 須賀父「……」ヘンジハナイ、タダノシカバネノヨウダ ――…… 京太郎「さて、急いで優希と合流しねえと……あいつの事だからとんでもない勘違いしてる気がする」 優希「あ」 京太郎「おっ、優希! おはようさん」 優希「あ、う、お、おは……///」 京太郎(あっ、これ完全に勘違いしてるわ) 京太郎「あ、あのな優希、昨日母さんに本渡されたと思うんだけど」 優希「じょ!?」 京太郎「あれはその、なんて言うか……」 京太郎(い、言えねえ……あれは俺の父親の趣味とかそんな事言えるわけないだろ……!) 優希「京太郎……?///」ドキドキ 優希(京太郎、言いにくそうだじぇ……やっぱり京太郎、私とあの本に描いてあったみたいに……) 京太郎「え、えっとだからつまりだな!」ガシッ 優希「ひゅいっ!?」ビクッ! 京太郎「ゆ、優希……あ、あれは!」グイッ 優希「あ、あわわわ……ダメーー!」ドンッ! 京太郎「おわあっ!?」 優希「わ、私あんなの無理だじぇ、無理! だからその」 京太郎「ま、まて優希、話を……」 優希「~~~~!!///」ダッ! 京太郎「あっ、待て優希! 頼むから話だけでも聞いてくれよー!」ダッ! 咲「……相変わらず2人共仲いいなあ」 【2人の歩みはまだまだ続く】 京太郎「な、なんとか誤解が解けた……」 優希「わ、私は京太郎を信じてたじぇ!」 京太郎「どの口が言うんだよ……まあ、そんなわけだから家に来ても父さんには絶対近づくなよ?」 優希「わかったじょ……後これ」 京太郎「ああ、この本はきっちりこっちで処分しとくから」 優希「助かった……正直どうすればいいのか途方に暮れてたじぇ」 京太郎「本当に悪いな、父さんは母さんにしっかり締めてもら……いや、母さんもある意味同罪だから俺から2人にはしっかり言っとく」 優希「うん……と、ところで京太郎?」 京太郎「なんだよ」 優希「京太郎は、私とそういう事したいのか?」 京太郎「はあ?」 優希「い、いや、さっきは逃げちゃったし今だって出来る気はしないけど……も、もし京太郎がしたいなら」 京太郎「ばかやろ」ピンッ 優希「あうっ!? い、いきなりデコピンなんて酷いじぇ!」 京太郎「そりゃしたいかしたくないかって聞かれたらしたいに決まってるけどな」 京太郎「別にお前に無理させて今すぐどうこうしたいとは思わねえよ」 優希「そうなのか……?」 京太郎「まあ、時間はまだまだあるんだし俺達のペースで進めばいいんじゃないか?」チュッ 優希「んっ……」 京太郎「……少なくとも俺は、今はこうしてるだけで満足だぞ?」 優希「……京太郎、顔真っ赤だじぇ///」 京太郎「うっせ、お前に言われたくねえよ///」 和「……」ピクピクッ 咲「の、和ちゃん、落ち着いてね?」 和「わかっています、今何を言ったところで無駄なのは……」 和「だけど誰が来るかわからない屋上であんな事をされたら注意の1つくらいしたくもなります……!」 優希「京太郎」 京太郎「ん?」 優希「やっぱり京太郎は私の婿だじぇ!」 京太郎「は? なに言ってんだお前」 優希「えっ……」 京太郎「お前が俺の嫁になるんだろ、優希?」 優希「じぇ!?///」 京太郎「いやか?」 優希「……いや、じゃないじぇ///」 京太郎「そうかそうか」ニヤニヤ 和「もう誰かあの2人を止めてください……」シクシク 咲「もうあれは言っても治らないと思うなあ……」トオイメ 京太郎「いいか優希、お前は俺の嫁だからな!」 優希「も、もちろんだじぇ、京太郎!」 【ちょっとした未来のお話】 実況『さあ、第1回ペア麻雀大会もとうとう決勝! はたして栄冠を掴むのはどちらのペアなのか!』 咲「はあ……」 照「どうしたの咲?」 咲「私決勝棄権したい……」 照「どうして?」 咲「だって……このペア麻雀大会で勝てる気が全くしないんだもん」 実況『さあ、既に卓についている宮永姉妹に少し遅れて現れたのは今回全試合をトビ終了させた優勝候補!』 ?「緊張、するな」 ?「ここで勝てば初めてのタイトル獲得だから?」 ?「それもあるけど、相手が咲とそのお姉さんだからな……俺達のやり方が通用するかどうか」 ?「……大丈夫」ギュッ ?「えっ?」 ?「私達が負けるわけがない。 私達はこの大会を皮切りにペア麻雀無敗神話を築くんだからな!」 ?「……そうだな」 ?「頼むじぇ、あなた!」 ?「おっ、その舌っ足らずな喋り方も学生時代以来で懐かしいな……任せとけ奥さん」 実況『その麻雀はペアでこそ真価を発揮する! 』 実況【個人ではタイトルこそ取れないものの、初心者への指導力から今やテレビで見かける事も多い【牌のお兄さん】!』 実況『差し込み率はプロ内トップ! 麻雀界屈指の名サポーター! 須賀京太郎!』 京太郎「嬉しくねえ紹介だなおい!」 実況『そのパートナーは今年オリンピック東風戦部門を大会記録を大幅に塗り替えて優勝した期待のルーキー!』 実況『今回のペア麻雀大会も須賀京太郎プロのサポートで全ての対戦相手を東場でトバしてみせたその姿はまさに【東風の女神】!』 実況『この大会で夫婦そろってタイトルホルダーとなれるか! 須賀優希!』 優希「今日はいつも以上に暴れてやるじぇ!」 咲「久しぶりだね、京ちゃん、優希ちゃん」 京太郎「おう、オリンピック以来だったか? 相変わらずのほほんとしてるな咲」 咲「むっ、それどういう意味!」 優希「……こうして戦うのはインターハイ以来だな、チャンピオン!」 照「そうだね」 優希「あの時の雪辱今こそはらす! 今度は負けないから覚悟するんだな、宮永照!」 照「今度も、負ける気はない……」ギュルルルル 京太郎「積もる話は後にしとくか……やるぞ優希!」 優希「おう、サポートは任せた京太郎!」 京太郎・優希「それと言わせてもらう……」 京太郎・優希「この試合、南場は来ない!」 【えげつないプロ雀士】 実況『さあ、今回の対局もいよいよ南3局! 一位はモブAプロ! 』 実況『次いで須賀プロと続き、モブCプロ、モブBプロが大差をつけられてラスという形になっています!』 京太郎(さて、と……そろそろやるか) 京太郎「カン」 実況『おっと、ここで須賀プロがカンをしました! しかし、これはむしろモブBプロの手牌のドラを増やしてしまっていますが……』 京太郎(モブAプロの当たり牌はたぶんこれだから握り潰して……次にやる事はと……) 京太郎「ポン」 実況『須賀プロ、鳴いてモブAプロのツモ番を飛ばしました! しかしこれで須賀プロはますます和了りにくく……』 モブBプロ「あっ……ツ、ツモ! 三倍満、6000の12000!」 実況『なんとここでモブBプロが三倍満をツモ和了りで二位に浮上! 』 実況『親被りでモブAプロは三位転落、須賀プロが棚ぼたで一位に浮上しました!』 モブAプロ(くそっ、須賀プロがカンしなけりゃここまでの痛手にはならなかったのに……!) 京太郎「……」 モブCプロ(というか、須賀プロがさっき鳴かなかったらモブBプロはツモれなかった……やばくねこれ) モブBプロ(やった、二位浮上! このまま須賀プロをまくってやる!) 京太郎「ん、ツモ。 300、500」 モブBプロ「んなあっ!?」 モブAプロ「おう……」 モブCプロ「やられた……」 実況『し、試合終了! なんと棚ぼた一位だった須賀プロが最後にゴミ手を和了ってそのまま逃げきりましたー!』 京太郎「お疲れ様でした!」 モブプロ「……お疲れ様でした」 京太郎(ふう……やっぱり東場でメチャクチャにひっかき回されたり) 京太郎(デジタルの極致で早和了りされたり、嶺上開花で責任払いさせられまくる事がない卓は楽でいいわ) 京太郎「弱い奴は弱いなりの戦いをさせてもらいますってな……おっとそろそろ麻雀教室の時間だ、急がないと!」 【こっちもえげつない】 優希「ダブルリーチ!」 実況『プロ大会東風戦部門はまさに波乱の展開となっております! 』 実況『ただいま東一局四本場、ここまで和了っているのは片岡……失礼しました』 実況『須賀優希プロただ1人! 他の面子はただひたすらに須賀プロに点棒を支払わされ続けています!』 優希「ツモ! 跳満6000オールの四本付けで、6400オール!」 実況『またもや須賀プロが和了りました! いくら宮永プロなどが参加していないとはいえこれはまさに圧倒的な戦いとなっております!』 優希「ポン、ポン!」 実況『須賀プロ、連続で中と白をポン! これは来るのか、来てしまうのかー!』 優希「ツモ、大三元。 16000オールの五本付け、16500オール!」 実況『決まったー! 須賀プロ、役満を和了って他三家をトバし、見事勝利を勝ち取りました!』 優希「ありがとうございました!」 モブプロ「」チーン 優希(やっぱり京太郎がいないと速さがちょっと落ちちゃうな……) 優希「私は、私達は咲ちゃん達みたいな魔物になれないならこうやって地道に頑張るしかない……今日も京太郎と特訓しよう」 優希「あっ、京太郎の麻雀教室が始まっちゃう! 急がないと!」 ――そして、時は経ち 京太郎「いよいよ今日か……長野県予選の解説とか緊張するなー、優希も一緒とかよけいに緊張するよ」 優希「でも一番緊張してるのは……」 京太郎「やっぱりあいつらかな?」 優希「私達、この前つい本気出しちゃったし……」 京太郎「あいつらときたら人のコンビ打ちを真似するんだもんなー、あれに焦ってつい昔みたいな事しちまった」 優希「……あの子達勝てるかな?」 京太郎「勝つさ、だけどまあ……解説する時は贔屓目なしでな?」 優希「もちろん! むしろ下手な打ち方したらお説教!」 京太郎「怖い怖い……それじゃ行くか」 優希「うん!」 実況『さあインターハイ長野県予選がいよいよ始まります!』 実況『前大会は名門風越がインターハイ過去5連覇の清澄をくだし全国へのキップを手にしたが、落ち目の清澄はどうなるのか!?』 京太郎「好き勝手言うよ……清澄は元々5連覇を始めたあの時代がすごすぎたんだ。 その後も正直あの時代には到底及ばなかった」 優希「でも今年はきっと違う。 だって今年の清澄には」 京太郎「身内びいきなしでも強い俺達の子供達がいるんだからな」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3432.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1393081814/ とある喫茶店 カランカラン 京太郎「えっと……、待ち合わせはこの喫茶店のはず」キョロキョロ 優希「おーい!おーい!ここに居るじぇ」ブンブン 京太郎「おっ優希!しばらくだな。全然変わってないな」 優希「美容院で10代に間違われたじょ。私もまだまだイケるって事だじぇ」 京太郎「しかし優希は変わらなくて安心したよ」 優希「実はちゃーんと育ってる」エッヘン 京太郎「身長が?少し高くなったか」 優希「見る目ないなぁ。胸だじぇ!む・ね!おもち!」 京太郎「……すまん、全くわからん」 優希「学生時代より2cmも大きくなったと言うのに……これだから男は」 京太郎「コホン。立ち話も何だし、座らせて貰うぜ。すいませーん、アイスティー下さい」 優希「私もおかわりするじょ。アイスティー二つで」 店員「はーい」 優希「犬……いや京太郎は何してるじぇ?」 京太郎「ん?俺?」ズズズ 優希「ちゃんと働いてるのか?まさかニート!?」 京太郎「んなわけねぇだろ。料理人やってるよ」 優希「ほぉー、京太郎にぴったりの仕事だじぇ」 京太郎「龍門渕さんの所だから待遇もめちゃくちゃいいよ。給料に不満はない」 優希「それは良かったじょ」 京太郎「給料は月30万も貰ってるんだぞ。年収は500万だ」 優希「ふーん、それってすごいのか?」 京太郎「20代じゃレアな方なんだよなぁ。まぁ優希にしたら年収500万とかゴミみたいなもんだろうけど」 優希「お金には不自由してないからなぁ。相方の給料がいっぱいあるし」 京太郎「俺の100倍くらいあるよな……。あぁ結婚おめでとう」 優希「およ?知ってたのか」 京太郎「そりゃ知ってるだろ。ニュースやりまくってたし」 優希「私、お嫁さんになったじぇ。今、中国語教室と栄養学を学んでるじょ」 京太郎「は?万年赤点だったお前がか?」 優希「その通り!お料理は意外と得意だけど、中国語は全然駄目。同じ言葉とは思えないじょ」 京太郎「頑張ってるんだな」 優希「おぅよ!なんて言ったって、プロ麻雀選手のお嫁さんだからなぁ」 優希「今、ブログとか書いてる。ハメブロで」 京太郎「へぇーどれどれ。おっ……料理の写真とか貼ってて、ちゃんと作ってるじゃん」 優希「冷凍食品は一切無し!栄養も考えて、色んな食材を使うじょ」 京太郎「緑が入ってるのはポイント高いな。おっ美味そう」 優希「ふふーん」ドヤッ 京太郎「しかし、優希の嫁はすごいよな。今、何連勝中だっけ?」 優希「確か15だったと思うじょ」 京太郎「日本記録?」 優希「今、並んだ所。次勝てば、日本記録だじぇ!」 京太郎「そっか。俺もプロ麻雀ニュースチェックするようにするわ」 優希「私の嫁の活躍しかと見るといい!で、話って何だ?」 京太郎「あぁ、今日呼び出したのはな。頼みたい事があったんだ」 優希「ほぅ、申してみよ」 京太郎「俺さ。いや、俺達さぁ……子供が欲しいんだよね……」 優希「子供か。iPS細胞の実用化に伴い、同性同士でも子供が作れるようになったじぇ」 京太郎「お前の所はまだ作らないの?」 優希「相方がまだいいって。来年はメジャー挑戦するし……。ちょっと先かな」 京太郎「男ってさ子宮がないんだよな」 優希「そうなのかぁ」サスサス 京太郎「iPSでの出産はかなりお金がかかって、俺達の貯金じゃ種作るくらいしか無理なんだ」 京太郎「それでな。代理出産して貰える女性を探してるんだ」 優希「!?」 京太郎「これが業者のを使うととんでもなくお金がかかって……」 優希「そうなのか」 京太郎「知り合いの女性に頼んでみたが、未婚のヤツが多くて断られてしまった」 京太郎「もうお前に断られたら、子供を諦めるしかない……」 優希「う、うーん」 京太郎「頼む!一生のお願いだ!優希の子宮を貸して欲しい!」ガバッ 優希「お、おいおい……こんな所で土下座なんて困るじょ」 京太郎「頼む!頼む!お前しか頼れる相手が居ないんだ!!!!!!!」 優希「えっと……」ポリポリ 京太郎「お願いします」 優希「私一人の一存では決められないじぇ」 優希「私個人的な意見としては、京太郎に大きな借りがある。別に代理出産くらいどうって事ないじぇ」 京太郎「それじゃあ!」パアァァァァァ 優希「しかし私の体はもはや私個人の物でもないんだじぇ。相方の意見も聞いて、賛成して貰えればいいけど」 京太郎「そうだよなぁ」ショボーン 優希「じゃあ家に帰って聞いてみるじょ」 京太郎「おぅ、また答えが決まったら教えてくれ」 優希「最後に一つ。京太郎が誰と付き合ってるか知らないが、子供が欲しいと思うくらいその人を愛しているのか?」 京太郎「もちろん。最後まで添い遂げるよ」 優希「なるほど……。犬もいい顔するようになったじぇ!」ニカッ 京太郎「今年中に結婚するんだ。お前も結婚式に来てくれよな?」 優希「あたぼうよ。咲ちゃん和ちゃん、久しぶりに三人揃って京太郎の結婚式を祝うじょ」 京太郎「咲も和もかなり忙しいからな。オフシーズンがいいか」 優希「和ちゃんは牌のお姉さんしてるから、365日働きまくりだし早めに連絡しておいた方がいいぞー」 京太郎「わかった」 優希「また連絡するじぇー」フリフリ 家 優希「はー、犬も結婚か。時が経つのは早いじょ」ポスン 優希「とりあえず晩御飯の支度して……あっ、明日の予告先鋒見とかないと」ポチッ テレビ『明日の試合の予告先鋒です。ハートビーツ大宮、原村和選手』 優希「和ちゃんだじぇ!」 テレビ『横浜ロードスターズ、江口セーラ選手』 テレビ『松山フロティーラ、白水哩選手』 優希「むむむっ流石、先鋒。みんな手強いじぇ」 ?「ただいまー」 優希「おかえりー。まだご飯出来てない」 咲「えーお腹すいたよぉ」ダキッ 後ろから抱きつく咲 優希「お菓子ならあるじょ。って、何か臭うような」クンクン 咲「ご、ごめん。調整用の雀荘探してたら、歩き回っていっぱい汗かいたから」 優希「臭い!先にお風呂入って」 咲「はーい。一緒に入ろ?」 優希「晩御飯の支度するから忙しいの!」 咲「お風呂上がったよー」 優希「……」パタパタ 咲「上がったー」 優希「あー忙し忙し」パタパタ 咲「優希ちゃん!お風呂上がりました!」 優希「あーもう!一回言えばいいじょ!わかってる!アニメでも見て待ってて」 咲「ちぇっ」 晩御飯 咲「明日の先鋒って誰かわかる?」モグモグ 優希「和ちゃん、ビビクンお姉さん、イケメンお姉さん」 咲「そっか。みんなエース級だね」モグモグ 咲「連勝止まっちゃうかなぁ」ズズズ 優希「あーーーーーー!!!!!!!」 咲「ど、どうしたの?」 優希「ブログ用の写メ撮るの忘れた!咲ちゃんが晩御飯急かすからだじぇ!」ポカポカ 咲「ご、ごめんなさ~い」 優希「それはそうと。久しぶりに犬に会った」 咲「京ちゃん?元気にしてた?」 優希「うん。料理人してるって。それでな、実は……」 優希は咲に代理出産の事を話した 咲「……なるほどね」 優希「……」 咲「優希ちゃんはどうしたい?」 優希「私は代理出産してやってもいいかなと思ってる」 優希「高校時代ずっとタコス作らせたり、パシリに使ったり……」 咲「うん。私も京ちゃんにはとっても感謝してるよ」 優希「子供が欲しいって気持ちもよーくわかる」 咲「京ちゃん子供欲しいのかぁ。なんだかんだで世話焼きさんだからなぁ。高校生の時から父性溢れてたね」 優希「多分、犬が頼めるのは私、咲ちゃん、和ちゃん、竹井先輩、染谷先輩くらいしか居ないと思う」 咲「私と和ちゃんは無理だね。試合があるし……」 優希「竹井先輩と染谷先輩には断られたっぽい」 咲「……そっか」 優希「もちろん咲ちゃんが嫌だと言うならこの件は断るじょ」 咲「……」 優希「咲ちゃんに決めて欲しい」 咲「……私はいいと思う」 優希「じょ!」 咲「私もプロじゃなかったら、代理くらいしてあげるんだけどね。今はチームが大事な時期だから……」 優希「それはわかってるじぇ。私も咲ちゃんを支えるために専業主婦になったし」 咲「優希ちゃんさえ良かったら。でも京ちゃんの次は私達の子供を産んでね///」 優希「うんっ!」 喫茶店 優希「引き受ける事にしたじぇ」 京太郎「ま、マジか!」 ハギヨシ「ありがとうございます!ありがとうございます!」ポロポロ 優希「おや、このお兄さんは……確か……」 京太郎「俺の交際相手のハギヨシさんだ。上司でもあるんだけどな」 優希「職場恋愛かー。いいなぁ」 京太郎「みんなには内緒にしてるけどな///」 優希「でも今すぐと言うわけではない。咲ちゃんと私が中国の生活に慣れてからにして欲しい」 京太郎「わかった。二、三年後って所だな」 ハギヨシ「早いものですね。宮永様がドラフト一位で入団されてはや六年」 京太郎「来年ポスティングか……。確かあの日は雪の降る日だった」 ~宮永咲、高校三年生回想~ 和『咲さん咲さん。今日はドラフトですよ!』 咲『えー今日だっけ?何にも考えて無かったよー』 京太郎『おいお前ら。すぐ体育館に移動だ』 優希『ドラフトの目玉が二人もうちには居るんだじぇ!お化粧しなきゃ駄目だじょー』 久『って事で私の出番ね!巷で有名なメイクアップアーティストと言えばこの私、竹井久』 まこ『ただのデパ地下の店員が何言うておるんじゃ』 咲『私、そんなに目立ちたくないですよ!』 和『咲さんと同じチームになれる事だけを願ってます』 はやり『ハートビーツ大宮の一位指名はねー☆原村和ちゃん!君に決めた☆』 京太郎『和が選ばれたぞ!』 久『とりあえず胴上げじゃない?』 まこ『よっこらしょ』ガシッ 優希『流石、私の親友!ドラ一位とはめでたい』ガシッ 和『まだ行くとは決めてませ……』 咲『ワッショイ』ポーイ 京太郎『ワッショイ』モミモミ 久・まこ・優希『ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ』ポーイ 和『いやあああああああ、降ろして下さい!』 京太郎『ドラ1位ってもう終わり?』 久『最後1雀団だけ残ってるわ』 まこ『あぁ最近出来た新しい弱小雀団か』 優希『咲ちゃんが選ばれなかったなんて意外だじぇ』 咲『私、全部断ったからね。大学行ってのんびり麻雀打つよ』 和『ええっ!?大学行くんですか!聞いて無いですよ』 テレビ『仙台ウェイクアップヤマカーンズ、一位指名宮永咲』 久『ちょっと!咲の名前が呼ばれたわよ!?』 咲『え?』 京太郎「あの時は誰もが断ると思ってたんだよなぁ」 ハギヨシ「宮永様なら大学出てからでも引く手数多ですからね」 京太郎「全く。麻雀チームって言っても戦力外になったプロばかりを集めたポンコツチームでしたからね」 優希「咲ちゃん曰く、小さくて目立たないチームの方が良かったらしい」 ハギヨシ「もう麻雀界を代表するエースですけどね」 京太郎「この上なく目立ってるぞ……咲」 優希「私は咲ちゃんのコネで親会社に普通のOLとして就職したじぇ」 咲『優希ちゃん!監督にまたブツブツ文句言われたよおぉぉぉぉぉ』ポロポロ 優希『プラマイゼロで切り抜けたんだろ?良かったと思うじぇ』ナデナデ 咲『三位じゃ意味ねぇだろこのバカって……ううぅぅぅぅぅ』ポロポロ 優希『あーもう私の胸で良かったら好きなだけ泣くじょ』ポンポン 咲『うわああああああああああああああああ』 優希「あの頃の咲ちゃんは負けるたんびに私の部屋に来て泣いてた」 京太郎「メンタル弱いんだなぁ」 優希「じゃあ、今日は咲ちゃんの試合見に行くからこの辺で帰るじょ」 京太郎「そうか。ありがとうな代理出産の件」 ハギヨシ「ホントに……。なんとお礼を申し上げていいか」 優希「……そ、そんなに感謝されると照れるじぇ///」 京太郎「ハギヨシさん。送ってやって下さい」 ハギヨシ「はい、ぜひ」 優希「気持ちはありがたいけど、今日は車だー」 駐車場 京太郎「ここでいいのか」 ハギヨシ「片岡様の車はどちらに」 優希「これ。後、もう宮永になった」 京太郎「か、カイエン!?」 ハギヨシ「これ改造されてますよ!身長低くても足が届くように」 優希「内装も色々とイジってるけど。まぁそれはいいじょ」 優希「ばいびー」カチッ、ガコッ ブロロロロロロ 京太郎「……」 ハギヨシ「……」 こうして数年後、優希は京ハギの子を産んだ 優希「くぎゅうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」 ポポポポポーン ハギヨシ「おお……これが私達の子」ウルウル 京太郎「男の子ですよ!」 咲「とっても凛々しい顔してるね。ハンサムな子になりそう」 終わる
https://w.atwiki.jp/sapporoff_12/pages/28.html
プロフィール 名前 橙大輔(だいだいだいすけ) カラー 橙 年齢 歳(保険医) 身長 193cm 血液型 O型 誕生日 武器 憑依動物 熊 性格 ストーリー