約 1,476,089 件
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/1353.html
828 :名無しさんなんだじぇ:2012/08/18(土) 05 48 30 ID 5O5SNKrg とーか「サバイバルゲーム大会?」 デュオ「あぁ、なんか停滞しているときに、なんにも考えずに銃をぶっ放すってのはなかなかいい気晴らしになるぜ?」 とーか「そんなものをやった所で紬さんと田井中さん、それに本職の方々が有利になるだけだと思われますわ」 デュオ「…一般人の人間がサバゲーで爽快感を感じたいとか思うのか?」 とーか「わたくしどもが認可するのは、みなさんが(←ウェイト)明るく楽しく参加できる催しだけですから」 デュオ「お前のところの娘が活躍できないからってハッキリ言ったらどうだよ?」 とーか「それでもいいですけど」 デュオ「いいのかよ! ちょっとは否定しろよ!」 とーか「衣が明るく楽しく参加できるようなイベントであれば、こちらとしても認可できるものになる、という言い方ではいかがでしょうか」 デュオ「アイツが基準かー…。 そりゃ難題だな」 とーか「イベントはあるに越したことはありませんから、基準をクリアできる案が浮かんだらいつでも相談してくださいまし」 デュオ「分かった。 もうちょっと練ってくるわ」 とーか「楽しみにしてますわ」 829 :名無しさんなんだじぇ:2012/08/19(日) 23 21 35 ID mA2Tr8UU ~~格納庫~~ デュオ「……てな訳で、サバイバルゲームは却下。 ま、確かに天江みたいな奴にゃ本職相手は荷が重いだろうな」カチャカチャ ヒイロ「成程、なら天江のような子供でも問題無く楽しめれば問題は無いのか」カチャカチャ デュオ「それが問題なんだよな……」カチャカチャ 刹那「ホンダム、そこのコイルを取ってくれ。 ……要はBB弾や豆で怪我をしなければいいのだろう? カギ爪の義手に組み込んだ小型GNフィールド発生装置を持たせてみるのはどうだ?」キュイイイイイン デュオ「あれ結構重いぜ? それに、考えてみりゃこのくそ暑い中重いモデルガン担がせて森の中を延々歩かせて、熱中症になられても困るしな」バヂバヂバヂ ヒイロ「………………」キリキリ デュオ「やっぱ今回は却下かねえ……」シュウウウ ヒイロ「………………デュオ」 デュオ「お? どうしt」 ヒイロ「お前を殺す」チャキッ デュオ「へ――」 ビシャッ!! デュオ「…………おいヒイロ、こりゃ何の真似だ……?」←頭からびしょ濡れ ヒイロ「他意は無い。 ただ、これなら危険は無いだろうと思っただけだ」つ水鉄砲 デュオ「だったら口で説明しろよ……けどまあ、確かにこれなら危険もねえし、暑い夏にはうってつけかもな」 刹那「いっその事、舞台も水泳大会の時のプールでやったらどうだ? せっかくの夏だ、たまには息抜きも悪くないだろう」 デュオ「よし、そうと決まれば話は早いぜ! ちょっとひとっ走り行ってくるわ!」 ファサリナ「流石はヒイロ達ですね。 あれだけ話し込みながらでも、少しも作業ペースが落ちません」 プリシラ「確かにすごいけどさ、なんかホバーベースの形状が文章じゃ言い表せないような状態になってきてるんだけど……」 830 :名無しさんなんだじぇ:2012/08/21(火) 22 51 16 ID wCndoaEE リボンズ「ふふふ、今度こそ水泳大会の時に没になってしまった隠しステージを使う時だね、イリヤスフィール」 イリヤ「やめい」 831 :名無しさんなんだじぇ:2012/08/29(水) 00 12 00 ID ofJzt8X6 ~プール~ とーか「それでは只今より、プールでの水鉄砲大会を始めますわ!」 ワーワー! とーか「各自、水鉄砲と的は行き渡りましたわね。的を撃ち抜かれた方から失格! 残った方の優勝ですわ!」 ワーワー! とーか「それでは……よーい……スタート!」 ~数十分後~ とーか「終了ですわ~」 デュオ「いやちょっと待てぃ!」 とーか「何ですの騒々しい」 デュオ「スタートと終了が同じレス内で収まるってどういうことだ! ゲームの経過とか読み手に全く伝わらねぇじゃねーか!」 とーか「いきなり随分メタなツッコミですわね」 デュオ「やかましい! さすがにツッコまずにはいられねぇよこれは!」 とーか「だってもう次の本編投下まで日がありませんし、そもそもリレーも期待できない今の死者スレでこんな長々続きそうなイベントを始めるのは無理がありますわ」 デュオ「だったら最初から始めなきゃいいだろ」 とーか「でもそれだとせっかく企画した書き手さんが可哀想ですし、一応やったという体は見せておかないと」 デュオ「そっちの方が何か嫌な感じがするけどな!」 とーか「とりあえず、優勝は衣ですわ!」 衣「わーい!」 デュオ「……それもツッコみたいんだけどよ、明らかに天江の的が他のより小さくねぇか?」 とーか「錯覚ですわ」 デュオ「じゃあゲーム中に天江を守るように周りの奴らを蹴散らしてた執事の残像が見えた気がしたんだが?」 とーか「幻覚ですわ」 デュオ「……あぁそうですか」 ~んで~ ヒイロ「戻ったかデュオ」 刹那「向こうは何と?」 デュオ「ダメだ、聞く耳持たねー」 ヒイロ「そうか、まぁたかがゲームにムキになることもないだろう」 デュオ「でも俺らプロがあんな子供に負けたってのはなー」 刹那「一応言っておくが、天江はお前たちより年上だぞ」 デュオ「……まぁそうなんですけどね」 ヒイロ「……ところでずっと気になっていたんだが」 デュオ「何だ?」 船井「」チーン プカプカ ヒイロ「何故奴は水鉄砲の大会で死んでいるんだ?」 デュオ「いや……俺に訊かれても……」 刹那「それが船井だから……としか説明できないな」
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/713.html
327 :名無しさんなんだじぇ:2010/07/17(土) 23 50 22 ID /k01ytWk 部長「原作で悲惨な目にあっているのを見て落ち込むとか贅沢な話よねぇ」 海原「どうしました、竹井さん」 部長「んー、海原君もうちょっと下お願い」 海原「こ、この下って!」 部長「え?ただのマッサージでしょ?なに遠慮してるのよ」 海原(お、おかしい!現世では女体なんて見慣れていたはずなのに!なぜ、こんなにも興奮を…?!) ビリビリ「あれー、海原君どうしたの?」 海原「ひぃあ?!!」 部長「あら、御坂さん。いえね、海原君がマッサージできるっていうからお願いしてるのよ」 ビリビリ「へー、あたしもお願いしていい?」 海原「あ、あ、あ、あ、あ…」 リリーナ「あれはわざとやっているのでしょうか?」 池田「清澄の部長はともかく、御坂に身体使った誘惑とかできるわけないし」 アーニャ「二人とも絶対安静」 マリアンヌ「感電死直前なのに復活早いのねぇ池田さん」 328 :名無しさんなんだじぇ:2010/07/18(日) 00 06 32 ID 7M6c7Cno カイジ「ところでビリビリの能力で電気マッサージとか可能なのか? 手加減出来ずに黒こげとかは勘弁なんだが」 とーか「手加減はできるみたいですから可能じゃないんですの? ただあの人が他人にそんなことをするタイプには見えませんけど」 池田「御坂なら最初は断るけど好奇心でやるかもしれないし」 329 :名無しさんなんだじぇ:2010/07/18(日) 00 14 14 ID uu1R4RZY ガガガガガガガガ とーか「あら、救急隊ですわ」 カイジ「誰だろうな」 アーチャー「なんでこんなになるまで我慢したんだ!」 海原「御坂さんが…面白そうだからやってみたいって…」 ビリビリ「死なないで!海原君!」 部長「加減が分からないからって電圧変えて何十回も試すからよ…」 カイジ「黒焦げだな」 とーか「よく生きてますわね」 池田「もう死んでるし!」
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3888.html
『おうち宣言を証明してね!』 55KB いじめ 自業自得 お家宣言 同族殺し 共食い 群れ 野良ゆ ゲス 現代 虐待人間 「ゆゆっ?どうしてくそにんげんがまりささまのおうちにいるんだぜ?」 「ゆっくりしないではやくでていってね!ここはくそにんげんごときが、きやすくはいっていいばしょじゃないんだよ!」 「おうちせんげんしたんだからこのおうちはもう、まりささまのおうちなんだぜ!」 「でみょそにょみゃえにあみゃあみゃはおいちぇっちぇにぇえ!そちたられいみゅのうんうんをたべしゃせてあげちぇもいいよ!」 「うんうんたべちゃらまりちゃちゃまのどれいにして、しぬまでこきつかってやっちぇもいいんだじぇ!げらげら!」 歩いて2分のコンビニにちょっと振込みにいって自宅に帰ってみると。 野良と思われる糞饅頭どもが俺の家に入り込んで部屋を荒らした挙句、偉そうに俺に命令してきやがった。 どうやら俺が家を留守にした隙を狙い、おうち宣言のルールを盾に家を乗っ取ろうという魂胆のようだ。 まったく、おうち宣言なんつーゆっくりが作った手前勝手なルールなんか 人間には通用しないというのがなんでいまだに理解できないのかねえ…… 「ゆっ!まってねまりさ!れいむはむかしぱちぇりーからきいたことがあるよ!」 「なにをきいたんだぜれいむ!?」 「くそにんげんはゆっくりのでんっとうっのぎしきである『おうちせんげん』をりかいできないていのうっなんだって!」 「な、なんだってぇぇぇっ!くそにんげんはそんなにっ!あたまがっ!かわいそうっ!なのかぜぇぇぇぇっ!?」 「おうちせんげんはぜっちゃい!なんだじぇ!そんにゃのこどものまりちゃでもしっちぇるんだじぇぇぇっ!」 「そうだね!おちびちゃんはかしこいね!でもくそにんげんはばかだからわからないんだよ!」 ……そうだな、ここんとこ忙しくてゆっくりの虐待ができずストレスが溜まってた所だ。 ちょうど汚ねえ糞野良どもが自分からのこのこやってきたんだし、ひとつ暇つぶしに遊んでやるかな? 「で、でもれいむ!もしかしたらこのじじいはばかじゃないかもしれないんだぜ!?」 「ばかだったらおうちせんげんのるーるすらりかいできないくずだよ!まんがいちこのじじいがばかじゃなかったら このおうちをれいむたちにあけわたすはずだよ!」 「ばかはゆっくちできにゃいにぇえ!げらげら!」 「じじいはばかにゃの?ばかはゆっくちできないのじぇ!」 うん、こいつらまごうことなき正真正銘のゲスだな。たった今お前らの命運は尽きたぞ?ははっ。 糞野良ゆっくりに家を乗っとられたらどうする! どうする?どうする?君ならどうする!?まかせるんだ!鬼意惨にッッ! さあさあっ虐待鬼意惨のパーフェクト糞野良いじめタイムがはじまるよー! 「おいっもういちどきくのぜ!じじいはおうちせんげんがわからないばかじゃないのぜ!?」 「ばかだとおもわれたくなかったら、いますぐれいむたちにおうちををあけわたしてね!」 「おうちせんげんがりきゃいできにゃいくしょにんげんはばきゃ!」 「ばきゃといわれたくなかっちゃらおうちをよこすんだじぇ!あとあみゃあみゃももってくるんだじぇ!」 へえ?頭の悪い糞野良のクセに少しは知恵を出してきたじゃないか。 わざとバカだのなんだのとプライドを刺激する挑発的な言葉を使い、バカだと言われたくなかったら おうち宣言を認めろと誘導しているわけだ。まあ誘導がヘタクソすぎてゆっくりしか騙せない話術だがな。 ふーん……いいよ?あえて乗ってやるよそれ。そういう相手を騙して貶めることをやらせたら 人間の方が一枚も二枚も上手だということを思い知らせてやるぜ。 「とんでもない!俺はバカじゃないよ!ゆっくりの伝統の儀式であるおうち宣言を理解できないはずないじゃないか!」 「ゆ……ゆわぁぁぁい!や、やったのぜ!じじいがおうちせんげんをみとめたのぜぇぇぇぇっ!」 「このゆっくりできるおうちはきょうかられいむたちのものだよぉぉぉぉっ!」 「ゆぷぷ!でもじじいはやっぱりばかなのじぇ!」 「じぶんがばかだっちぇみとめたくないからって、おうちせんげんをみとめりゅなんちぇにぇえ!」 「ゆんっ!でももうおそいよ!ゆっくりげんちはとったんだからね!おうちはもうかえさないよ!」 「まりささまのずのうてきしょうりなのぜぇぇぇっ!ねえおうちとられてどんなきもち?どんなきもちぃ~~?」 いやあ見事なまでに調子こいてるなあ。 まあ今のうちにせいぜいいい気になってればいいさ……ククク。 「まあ心配せずとも本当におうち宣言したのならこの家の所有権はちゃんと認めてやるさ。 ああそうだ、出て行く前にちょっといくつか聞きたいことがあるんだけど……まずお前たちはいつおうち宣言したの?」 「さっきだぜ!」 「さっきじゃわからないよ。何時何分何秒?だいたいでいいから教えてくれよ」 「ゆっ?……さ、さっきはさっきだぜ!しついこいとまりさおこるんだぜ!」 「ふーん。じゃあ今はそれでいいや。あと君たちがおうち宣言したときにこの家に誰かいたかい?」 「ゆっ?なにいってるの?わざわざじじいのるすをねらっておうちにはいりこんでおうちせんげんしたんだよ? だれもいるわけないよ!」 おいおい。このれいむ空き巣同然におうち強盗をしたと自分から白状しちまいやがったよ。 「ふむ……つまりお前達がおうち宣言をした正確な時間はわからず、おうち宣言を証明してくれる人もいないと……」 「それがどうしたのぜ!?もういいからくそじじいはさっさとまりささまのおうちからでていくのぜ!」 「はやくでていってね!ここはもうおまえのおうちじゃないんだからね!りかいできないならもういちどいうよ! このおうちはれいむたちがおうちせんげんしたんだよ!だからもうじじいの……」 「嘘、だな」 「……ゆっ?」 「お前ら本当はおうち宣言なんてしてないんだろ?俺が意外に早く帰ってきたからとっさに嘘をついたんじゃないか? おうち宣言しましたってさ……まったく最低だな!嘘つきゆっくりなんて!」 しばしの沈黙……野良ゆっくりどもは俺が言ったことを即座には理解できない。 そりゃそうだ餡子脳と言われるくらい低脳なゆっくりだからな。 だが時間をかけてだんだん俺の言葉が理解してくる……そうそう理解しつつあるのが表情に現れてきたぞ。 顔を赤くして歪ませてぷるぷるふるえて……さんはい! 「ゆうううううううっ!な、なにぞれえええええええええええっ!?」 「れいぶはうそなんてづいでないぃぃぃぃぃっ!ほんとうにちゃんとおうちせんげんをしたんだぁぁぁぁぁっ!」 「えー本当にしたのぉ~?」 「まちがいなくおうちせんげんしたよ!ちゃんとかぞくみんなで!ここをみんなのゆっくりぷれいすにするよって!」 「じゃあ確かにそのおうち宣言をしたという証拠を見せてよ!」 「ゆ?ゆゆゆゆゆゆっ!?」 「ど、どぼいうごとぉぉぉぉぉっ!?」 「おうち宣言をしたらこの家はお前達のもの……それはいいよ!ゆっくりの伝統の由緒正しい儀式で常識だものね! 認めるよ!でもおうち宣言をしたという嘘をついただけならば話は別だよ!」 「だ、だきゃらぁ!まりしゃたちはおうちせんげんしたっちぇいっちぇるでしょぉぉぉっ!?」 「じじいはばきゃにゃの!れいみゅのことばがわきゃんにゃいにょ!?ちぬにょおおおおおおおっ!?」 「だっていつ宣言したのか時間もわからない!宣言を聞いた者もいない!それじゃ本当におうち宣言をしたのかどうか 不明瞭すぎて信用できないよ!だからお前ら親子がここで確かにおうち宣言したという証拠もしくは証人を見せてね! 今すぐでいいよ!」 「しょ、しょんなごといわれちぇにょ……」 もちろん「おうち宣言した証拠」なんてものがこの糞野良親子に出せるわけがない。 そりゃそうだ。ゆっくりが写真だの動画だの撮れるわけないし、 そもそも留守狙いなんだから宣言に立ち会った第三者の証人もいるわけがない。 というわけで今回は頭からおうち宣言を否定して痛めつけるというお決まりの虐待ではなく、 おうち宣言を認めた上でおうち宣言の成立を否定するという少し変わった虐待いじめをするよ! 「じゃあおうち宣言したなんて嘘をついた嘘つきゆっくりは今すぐでていってね!ここはお前らのおうちなんかじゃないよ!」 「だがらぁぁぁぁっ!ばりざはおうちせんげんしたっていっでるでしょぉぉぉっ!?」 「じじいはばかなの!?じぬのぉぉぉっ!なんでれいぶだちがうそついたってきめつけるのぉぉぉぉぉっ!」 「だったら嘘じゃないという証拠を見せてってば!おうち宣言が嘘じゃないなら簡単に出せるでしょ!」 「ぞ、ぞれはぞの……しょ、しょうこさんはないげど、ぞれでもたじかにばりざはおうちせんげんじだんだぜぇぇぇっ!」 「ぞうだよ!ばりざのいうどおりだよ!いいがかりっもたいがいにじでねぇぇぇっ!」 「証拠を出せないんだ?じゃあやっぱりおうち宣言したというのは嘘だったんだね!」 「だぁぁぁぁっ!かぁぁぁぁっ!らぁぁぁぁっっっ!!」 野良まりさとれいむは必死に自分達はおうち宣言を確かにしたんだと俺に喰らいついてくる。 ここまでおうち宣言したと主張するということは宣言自体は本当に行われたのだろう。 嘘をついていたら必ずどこかで諦めたり折れたり矛盾したりする。 事実だからこそしつこく食い下がる。 だけど俺はその言葉を信じない。いや信じないフリをする。 何故ならばそれが真実を訴える者にとって一番堪える行為だからだ。 「おうち宣言の証拠を出せないようだね!じゃあ俺のおうちに不法侵入したゲスにゆっくりお仕置きするよ!」 「だきゃらおうちせんげんしたっちぇ、いっちぇりゅでしょぉぉぉっ!?」 「なんでじじいはれいぶのおはなしがりかいできないのぉぉっ!ばかなの?じ……」 ピシャァァンッ! 「い……っ?い、いだいぃぃぃっ!?」 「れいぶぅぅぅっ!じ、じじいぃぃぃぃっ!ばりざのれいぶになにをじだぁぁぁぁっ!?」 「なにってただハエ叩きでぶっただけだよ!嘘つきゆっくりには罰を与えないとね!」 「だきゃらうしょなんちぇちゅいてにゃいぃぃぃぃっ!ど、どぼじでぇぇぇっ!? どぼじてくしょじじいはれいみゅのおはなしをしんじにゃ」 ピシャァッ! 「ゆぴぃぃぃっ!」 「じ、じじいぃぃぃっ!おばえなにやっでるんだぁぁぁっ!?ばりざのおちびをいじめるなぁぁぁぁっ!」 「うるさいよこの嘘つきゆっくり!嘘をついたお前らが悪いんだよ!ゆっくりしないでりかいしてね!」 「り、りがいでぎるがぁぁぁぁっ!ゆがああああああっ!」 「嘘つきまりさはゆっくりおしおきするよ!」 ピシィッ! 「ゆぴょぉっ!?い、いだいいいいい!おぼにぜんしんがいだいいいいいいいっ!」 「おうち宣言を悪用した、悪いゆっくりのおうち強盗はお兄さんが許さないよ!」 「きょ、きょにょぉぉぉ!へりくつばきゃりいうくちょじじいは、さいっきょうのまりちゃがしぇいしゃいちてや」 ピシィッ!ピシッ! 「ゆんやああああ!いじゃいぃぃぃ!きゃわいいまりちゃのびはだしゃんぎゃぁぁぁぁぁっ!?」」 「ばりざにのりりしいおちびがぁぁぁっ!」 「ばりざぁぁぁ!はやくじじいをせいさいっじでねぇぇぇっ!?はやくじでねぇぇぇぇぇっ!」 「ゆっ?ゆゆっ!ぞ、ぞうだぜ!つよいばりざがくそじじいをせいさいっすれば」 「うっせバーカ」 ピシャッ!ピシャッ!ピシャァァンッ!! 「ゆぎゃぁぁぁぁっ!や、やらぁ!はえたたきさんはもうやらぁぁぁっ!?いたいのはもうやらぁぁぁぁっ!」 「ばりざぁぁぁぁっ!ゆっぐじ!ゆっぐじじでよぉぉぉっ!ゆああああっ!どぼじてぇぇぇぇっ!? どぼじてごんなごとにぃぃぃぃっ!?」 「ゆんやあああああ!」 「ゆっくちできにゃい!こんにゃのじぇんじぇんゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇぇっ!?」 「嘘つきはゆっくり反省してね!嘘つきはゆっくり反省してね!嘘つきはゆっくりしないで猛省してねっっっ!!」 ピシャッ!ピシィッ!ピシャァッ!ピシャァァァッ! 俺は糞野良一家どもを優しく、やさ~~しく手加減しながらハエ叩きで全身をまんべんなく叩き続けた。 あまり力を入れすぎると脆弱なこいつらは皮が破れて餡子が漏れすぐ死んだり狂ったりしてしまう。 それでは興醒めなのだ。せめて自力でここから逃げ出せるくらいの力はあえて残すようにしないと…… ふむ、ハエ叩きによる打撃で糞野良の四匹は全身のいたる所が赤く腫れまくってきたな。 砂糖水の涙をちょちょぎらせてゆんやーゆんやーと叫ぶばかりでもはや反撃も抵抗もしようとはしない。 もうすぐだ。ほうらもうすぐ心が折れるぞ…… 「も、もうやらぁっ!ばりさおうちかえるぅぅぅぅっ!」 「ま、まっでよばりざぁぁぁっ!れいぶをおいていかないでぇぇぇぇっ!」 「ゆわーん!れいみゅはゆっくちにげりゅよぉぉぉっ!」 「ゆっくち!ゆっくちぃぃぃ!だれでもいいきゃら、きゃわいいまりちゃをゆっくちしゃせりゅのじぇぇぇぇっ!」 やっと出たかおうち帰る宣言。 糞野良どもは泣きながらケツをぷりぷり振りつつ懸命にいずこかへと一直線に這っていく。 ああくそ、あのうんうんがこびりついた汚ねえケツをこのハエ叩きで思う存分叩きてえぇぇぇぇっ! だがまて!我慢しろ俺……!ここでこの糞どもを逃がしとかねえと後が続かないんだ。辛抱するんだ俺! ……ん?あ、糞どもが逃げる先をよくよく見れば庭に面した引き戸が開いてやがる。 糞野良どもめあそこから入ってきたのか? まったく俺がうっかり鍵を閉め忘れた隙を抜け目なく突きやがって……! 「おじびぃぃぃぃっ!おどうさんのおぼうしのながにはいるんだぜぇぇぇっ!」 「おかあさんのおくちのなかにはいればあんっぜんっだよぉぉぉっ!」 「ゆゆっ!はやくおちょうしゃんのおぼうちにひなんっしゅるのじぇ!」 「ゆえーんゆえーん!もうこんなゆっくちできにゃいおうちはいやりゃよ!はやくおきゃあしゃんのおくちにはいりゅよ! でもいっぴゃいはねちぇちゅかれちゃきゃら、ひとやすみしてきゃらいきゅよ!」 にしてもこいつら逃げるのが遅いなー 命がかかった逃走劇だというのにトロすぎるなんてもんじゃねえわ。 これはいくらなんでもゆっくりしすぎだろ…… 「ゆひぃ!ゆひぃ!もうすぐでぐちさんなのぜぇぇぇっ!」 「ゆゆーん!おちょうしゃんのおぼうちのにゃかはゆっくちできりゅんだじぇ!」 「おきゃあしゃんのおくちのなかはてっぺきっだにぇえ!くそじじいはてもあしもだしぇないもんにぇえ!」 「ゆゆっ!くそじじいはれいむたちのじんっそくっなえくそだすさんにおいつけないみたいだよ!?」 「れいぶぅぅぅっ!はやくあんっぜんっなここまでくるのぜぇぇぇ!はやくぅぅぅっ!」 ……そして俺の足元から糞野良一家が逃走を開始してからおよそ5分後。 糞野良一家はようやく庭に面した引き戸に到着すると、 よほど疲れたのかしばらくはゆへーゆへーと息を整えていた。 息を整えたらそのまま引き戸の隙間から外へ逃げるのかな?と俺は思っていたのだが…… なぜか一家が揃って一勢に俺の方を振り向きやがった。 わざわざ親まりさの帽子の隙間からまりちゃが顔を出し、親れいむも口を開いて中のれいみゅが顔を見せている。 そして今しがたまで泣き喚きながら俺から逃げてたというのに、急に勝ち誇ったような不愉快なドヤ顔で俺に捨て台詞を吐いた。 「「「「まりさ(れいむ)においつけないくそじじいはのろまでばかだね!そこでゆっくりせずにしんでね!げらげらげら!」」」」 そう言い放って連中は俺に背を向けると野良一家は引き戸の隙間に飛び込んでそのまま庭へと逃げた。 親れいむはお返しだとばかりに去り際にぷぴぃ~!屁をこくというオマケつきだ。 野郎。わざと逃がしたとはいえムカつく最後っ屁を放ってくれたじゃねえか…… 今のは少しピキィッ!ときたぞ? ……ふん、まあいいさこれで終わりってわけじゃねえんだ。むしろこれからが本番さ……ククク…… お兄さんの家の敷地を出てほんの少しだけ離れた道にある電柱の陰。 脱出になんとか成功した野良まりさ一家はひとまずそこで休憩をとっていた。 親まりさは周囲を見渡して先ほどのお兄さんが追ってこないかどうか警戒していた…… が、どうやらその心配は杞憂に終わったようだ。 「ゆっ?ゆっ?……ゆふん!もうあんしんっなんだぜ!くそじじいはおいかけてこないんだぜ!」 「ゆゆ~ん!れいむたちのあまりのあんよのはやさにおいつけなかったんだよ!ほんとじじいはのろまだね!」 「まりさ、うさいん・ぼるときゅうのしゅんっそくっでごめんね!」 「ゆぷぷ!じじいはのろま!じじいはのろまぁぁぁっ!」 「ゆっくち~!」 ついさっきまでお兄さんにハエ叩きでさんざんに痛めつけられて泣かされたことは都合よく忘れ、 ゆっくりできない人間から逃げきれたことに有頂天になってゆっくりする野良まりさ一家。 とりあえず一通り家族で生還の喜びを分かち合ったが人間のおうちを失ったという事実は変わらない。 これからどうするかと思案する野良一家であったが…… 「ねえまりさこれからどうするの?ゆっくりしたおうちはへりくつこねるくそじじいにとられちゃったんだよ……?」 「ゆん……しかたないんだぜ!ひとまずこうえんさんにある、まえのおうちにかえってゆっくりするんだぜ!」 「ゆゆっ?おうちしゃんをもらうのはやめちゃうにょ?れいみゅもっちょあみゃあみゃたべちゃいよ!」 「くしょじじいをしぇいしゃいっしないのじぇ?おちょうしゃん、しょれはゆっくちできないんだじぇ……?」 「ゆっ!かんちがいしないでねおちびたち!しんぱいせずともまりさたちのおうちをひきょうで ふとうっなしゅだんでうばった、あのくそじじいはあとでかならずせいっさいっするんだぜ! でもさっきまでゆっくりできなかったから、とりあえずいまはかえってゆっくりするんだぜ! ゆっくりしたらこうえんさんのむれのみんなにこのひどうっをうったえるんだぜ! そうすればかならずみんながまりさたちのせいせんっにきょうりょくするはずなのぜ! そのときこそがくそじじいへのりべんじっ!のときなんだぜ!」 「ゆゆ~~ん!かっこいいよぉまりさぁ~~♪さすがれいむのまりさだよぉぉぉっ!」 「ゆううううう!そうっだいっなびじょんっにもとづいたかんっぺきなけいかくなのじぇぇっ! しゃしゅがさいっきょうっのまりちゃのおとうしゃんなのじぇぇぇぇっ!」 「しょうときまれば、ゆっくちこうえんしゃんのおうちにかえろうにぇ!」 「ゆんっそうだね!まえのおうちにかえって!みんなでとっておきのあまあまさんをたべて!すーやすーやして! それからむれのどれいどもをあつめて、くそじじいにふくしゅうっするんだぜ!」 「「「ゆっくり(ち)~~~~♪」」」 そう言いたい放題いってひとまずゆっくりすると、 野良まりさ一家は「公園のむれにある前のおうち」とやらに意気揚揚と帰っていったのであった。 その様子をほくそえみながら隠れて見ている者がいるとも知らずに…… 「ゆんっ!ようやくこうえんさんにかえってきたんだぜ!」 そして野良まりさ一家は、お兄さんの家から200mほど離れた場所にある児童公園にやっと帰還した。 本当にやっとである。ずーりずーりと這っては疲れたと言って休憩してはゆっくりをし、 そしてまたずーりずーりと移動を再開してはすぐに疲れたといって休憩をし…… まあハエ叩きでやられたダメージもあるのだろうが結局人間なら遅くても徒歩5分、 元気なゆっくりなら遅くとも15分で到達するところをこの一家は40分近くもかかってようやく公園に辿り付いたのだった。 「はやくまえのおうちにかえろうね!かえってすぐにゆっくりしようね!」 「ゆゆ~ん♪まりしゃゆっくちするんだじぇ!」 「れいみゅみょ、あみゃあみゃしゃんをたべちぇゆっくちしゅるよ!」 「まえのおうちはこっちにあるんだぜ!みんなおとうさんについてくるんだぜ~~♪」 公園内に入り込んでもう危険はないと思ったのか、 無警戒にぴょんぴよん跳ねながら前のおうちへと向かう野良まりさ一家。 目指すは公園の隅にあるブルーシートがかけられた横倒しのダンボール箱である。 それがこの野良まりさ一家が言う「おうち」だ。 はやく帰ってむーしゃむーしゃしよう、ゆっくりしてすーやすーやしよう、ただそれだけを思って跳ねていくまりさ達。 だがおうちに近付くにつれ親まりさはおうちに普段とは違う違和感を感じた。 おうちの前に誰かがいるみたいだという違和感を。 (……ゆっ?まりさのまえのおうちのまえにだれかいるんだぜ?だれだぜ?どこかでみたような……) 親まりさが跳ねながらそう思ったそのとき。 その誰かは野良まりさ一家にゆっくりと振り向き突如宣言した。 「ゆっくりしていってねっ!ここはお兄さんがおうち宣言をした、お兄さんののおうちだよ! 糞野良が気安く入っていい場所じゃないよ!ゆっくり理解したらゆっくりしないでとっととどこかへ消えてね!」 「「「「ゆっ…………?ゆ、ゆうううううううううううううっっ!??」」」」 ダンボール箱のおうちの前で折り畳み式のイスに座ってゆっくりしつつ、おうち宣言したその人物とは。 先ほど野良まりさ一家をハエ叩きで痛めつけて家から追い出したお兄さん……いや虐待鬼意惨その人であった! やれやれ、やっと糞野良どものお帰りか……まったく待ちくたびれたぜ。 ん?俺が公園に来てまで何をしているかって?そりゃもちろんさっきの虐待いじめの続きさ。 仮にも虐待鬼意惨を名乗る者がおうち宣言したゲス相手にたったあれだけで済ますわけないだろぉ? というわけで連中が公園のおうちに帰ると盗み聞きした俺は、先回りしてこの公園へとやってきたわけだ。 野良ゆっくりの行動範囲なんてどうせ狭いに決まってるんだから、公園といえば俺の家から一番近いここしかないだろう。 そう思ってこの公園にきて、ここに住んでいる群れの野良どもにあの一家のことを聞いたら見事ビンゴだったというわけだ。 群れの野良どもからさらに糞野良一家の「前のおうち」とやらの場所も聞き出した俺は、 こうしておうち宣言返しという新たなステージへと虐待いじめを進めたというわけなのである。 「ど、どぼいうごどおおおおおおおおおっっ!?」 「おうちせんげんっちぇ……れいみゅたちのおうちとられちゃったにょぉぉぉっ!?」 「にゃにしょれぇぇぇぇぇっ!しょんにゃのゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇぇっ!?」 「じ……じじいぃぃぃっ!?な、なにいっでるんだぜぇぇぇっ!?ぞこはばりざのおうちなのぜぇぇぇぇっ!」 「だーかーらー!俺がここでおうち宣言したんだってば!よってこのクソ汚ねえダンボール箱はもう俺のおうちだよ!」 「ふ、ふ、ふざけないでねぇぇぇぇっ!ぞのおうちはれいぶだちのおうちでしょぉぉぉぉっ!」 「おやぁ~?もしかしてれいむはおうち宣言を破る気なの?ゆっくりの由緒正しい伝統の儀式なんでしょお~?」 「ゆぐっ!?ぞ、ぞれは……ぞの……!」 「おうち宣言を破るのはゲスのやることだよ!ゆっくりしないで即座に理解してね!」 「り、り、り、りがいなんででぎるかぁぁぁぁぁっ!」 「そしてそこのまりちゃ!お前さっき言ってたよなあ?おうち宣言は絶対!で子供でも理解してるルールだってな!」 「ゆぅぅっ!?」 「だったらお前も俺のおうち宣言に文句なんてないよな?だっておうち宣言は絶対っ!のルールなんだから!」 「まりちゃのばきゃぁぁぁっ!どぼじてぞんなよけいなごといっだにょお!」 「ま、まりちゃはわるくにゃいんだじぇぇぇぇっ!」 案の定、俺のおうち宣言返しに糞野良一家どもは狼狽してやがる。 ああこれだよーこの野良どもの焦燥と絶望感がたまんねえ~。いい気味いい気味♪ 「で、でぼっ!でぼおうちをとるなんてあんまりでしょぉぉぉぉっ!?ごれかられいぶたちはどこで むーしゃむーしゃやすーやすーやをすればいいのぉぉぉっ!?」 「さあ?そんなの知らないよ!とにかくここはお兄さんのおうちになったんだからいますぐでていってね!」 「ぞ、ぞんなひどいっっ!ぞんなのっでないでしょぉぉぉぉ!いくらなんでもりふじんっすぎるでしょぉぉぉぉっ!? ぞのおうちにはいっぱいっ!いっばいっっ!いーっぱいのおもいでがつまっている、 れいむとばりざとおちびじゃんたちのめもりあるっ!なんだよぉぉぉぉっ!? しんこんじだいっのれいぶとまりざのっ!おちびじゃんだちがうまれてゆっくりしたときのっ! たくさんのおもいでがつまったかけがえのないおうちなんだよぉぉぉぉっ! ぞれをとるなんであまりにもひどすぎるでしょぉぉぉっ!?」 「と、言われてもおうち宣言はそういうものだから仕方ないよ!それに理不尽と言われても、 そもそもおうち宣言はゆっくりが自分たちで決めたルールなんだから人間であるお兄さんに文句言われても困るよ!」 「ゆ、ゆぐぅぅぅっ!?ぞ、ぞんな……!ぞんなぁぁぁぁっ!」 ふん。他人の家を奪うときには偉そうにおうち宣言を大義名分にするくせに、 自分の家がおうち宣言で奪われたら理不尽だって泣き叫ぶのかよ。 なんなんだろうなこいつらゆっくりって? 思い出がたくさん詰まったメモリアルであるお家とやらを口先ひとつで奪われた奴の気持ちを考えれば、 おうち宣言なんていう穴だらけのルールはおかしいと普通思うはずだが…… ゆっくりはそういう事を誰も考えようとはしないんだろうか? ……まあ考えないんだろうな。所詮こいつらは自分だけがゆっくりできればそれでいいわけで、 ゆっくりを奪われた他の連中が泣こうが喚こうが悲しもうがどうなってもいいんだろう。 むしろその嘆き悲しむ姿を見てさらにゆっくりしようという貪欲で腐れ外道なナマモノときたもんだ。 ま、そんな腐れナマモノだからこそ俺も糞ゆっくりどもに対して遠慮無用で思う存分やれるってわけだがな。 「も、もうゆるちぇないのじぇぇぇ!おうちをうばうげしゅなくしょじじいは、さいっきょうっのまりちゃがしぇいしゃい…」 「ん?なに?もう一度お兄さんとやりあおうっていうの?」 「は、は、はえたたきしゃんだぁぁぁっ!?」 「ゆんやああああ!ありぇでたたきゃれるのはゆっくちできにゃいぃぃぃぃっ!」 「ゆううう!お、おちびじゃんはおがあさんがぜっったいっにまもるよぉぉぉっ!ぷくーっ!ぷくく――――っ!」 まりしゃとれいみゅを背後に隠した親れいむが俺に頬を膨らまして威嚇してきやがる。 毎度お馴染みのぷくーってやつか。ああハエ叩きでこいつの膨らんだ横っツラをおもいっきりはたきてぇー。 「ゆっ!くそじじいっそこまでなんだぜっ!」 「……?」 と、その時。今まで黙りこくってた親まりさが突然俺の前に出てきた。 妙に自信たっぷりなニヤニヤ顔がムカつく。ふーんこいつ……その浅知恵でなにか思いつきやがったのかな? 「ねんのためにじじいにもういちどきくのぜ?くそじじいはまりさのおうちでおうちせんげんをしたのぜ?」 「ああ、したよ?」 「おうちせんげんのるーるはぜったいっ!なのぜ。いちどおうちせんげんされたらそれはもうくつがえらないのぜ。 つまりそのおうちはもう……じじいのおうちってことになるのぜ」 「だな」 「ぷしゅるるるぅぅぅぅ~~……ばりざぁぁぁっ!な、なにをいって…」 「れいむはだまっててね!」 「ゆゆっ!?」 「もういちどいうのぜ?おうちせんげんはくつがえらないんだぜ…… ただし!それはおうちせんげんをほんとうにしたのなら、のはなしだぜぇぇぇぇっ!」 「ゆゆっ!?ば、ばりざぞれっで!」 「さあくそじじいぃぃぃっ!おまえがおうちせんげんをたしかにした!というしょうこさんをいますぐみせるのぜぇぇぇっ! しょうこさんがなければそのおうちはじじいのおうちじゃなくて、やっぱりまりさたちのおうちなのぜぇぇぇぇっ!!」 「す……すごいよばりざぁ!じじいのへりくつをさかてにとったんだねぇぇぇっ!」 「ましゃにべつりょういきからのやいばっ!なのじぇぇぇっ!」 「おちょうしゃん、あちゃまいい~~~~!」 「さあさあさあ!しょうこさんをいますぐだすんだぜ!でもおうちせんげんのしょうこなんてだせるはずないんだぜ!」 「けいせいっぎゃくてんっだねくそじじいっ!ねえいまどんなきもち?ねえねえどんなきもちぃ~~? くやしい?ねえくやしい~~?ぷぷぷっ!くやしがってるひまがあったらさっさとおうちからでていってね! そこはれいむたちのおうちなんだよ!」 「……いいよ?見せてあげるよ」 「しょれにしても、しゃしゅがまりちゃのおとうしゃんにゃのじぇ!おうちせんげんのもうてんっをつくなんて すごしゅぎるのじぇ!」 「ゆゆ~~ん♪それほどのことはあるのぜおちび!」 「ばりさはかりだけじゃなくて、ずのうもてんさいっだったんだね!れいむはながたかいよ!」 「ゆふん!あたまがおばかじゃよのなかわたっていけないのぜ!もっとほめてくれていいのぜ!」 「いますぐ証拠を見せてあげるからちょっと待っててね~」 「こりぇでおうちはふたたびれいみゅたちのもにょだにぇえ!」 「まりちゃはいつかこのしゅごいおとうしゃんをのりこえてみしぇるのじぇ!そちたらしぇかいをしぇいふくちて くそにんげんどもをみ~んなまりちゃのどれいにしてやるのじぇえ!」 「まりさにのおちびちゃんならば、おとうさんがなしえなかったゆめをきっとかなえることができるんだぜ!」 「りりしいよまりしゃとおとうしゃん……まさにかんっどうっのおやこあいだよぉぉっ!」 「ゆっ……!れいむ、なんだかなみだがでてきちゃったよ……これがかんっどうっのなみだなんだね…!」 「これとこれと……」 「ゆふふ……かんっどうっはおうちでゆっくりしたあとでおもうぞんぶんしたらいいのぜ! って、まだいたのかぜくそじじいっ!さっさとそこをどくんだぜぇ!じじいのむだにでかいずうたいがじゃまで まりさたちがおうちにはいれないんだぜぇぇぇっ!」 「あ、安い三文芝居はおわった?はいこれ。俺がおうち宣言した証拠だよ!」 「…………ゆっ?」 「……ゆっ?」 「…ゆっ?」 「………しょ……しょうこ……しゃん?」 俺はとりあえず数枚の写真を取り出して野良まりさ達に見せた。 なんかこいつら、さっきまで人の話も聞かずに異様に勝ち誇って盛り上がっていた反動ゆえか 出るはずがない証拠という現実に唖然とした顔で固まってやがるな。 思考が追いつかないのか?まあ口出ししてくれない方が話が早いのでさっさと説明してやることにしよう。 「ほらこの写真見てみろ。お前らのダンボール箱の前で俺がピースしてるだろ?これがまずおうち宣言した証拠その1な」 「……」 「写真の隅に時刻もちゃんとあるのがわかるだろ?2011年10月○日、午後2時12分……今からだいたい20分前だな」 「……」 「まあこれだけじゃ本当におうち宣言したと認めない恐れがあるので……おうち宣言した証拠その2、 ハンディカムデジカメ~!これに全部録画してあるよ!俺がおうち宣言した所をいま見せてあげるね!」 「……」 俺はデジカメをちゃっちゃと操作すると画面を固まっている糞野良一家に見やすいように向けた。 画面内では俺が汚いダンボールの前でピースしながら「ここをお兄さんのゆっくりプレイスにするよ!」と叫んでいる。 ……しかし我ながらなんと恥ずかしい。ゆっくりのやる行為ってまさにアホ丸出しのものばかりだな。 「とまあこんなもんかな?さあちゃんとおうち宣言した証拠を出したんだから、今度こそ出て行ってよね!」 「……」 「……」 「……」 「……」 物的証拠を出して完璧におうち宣言を立証した俺。 しかし完璧にやり込めたわりには糞野良どもになんの反応もないのが気になるな。 ショックのあまり死んだか?うーんこのまま様子見ていても埒があかないし、 蹴飛ばして生きてるのかどうか反応を確かめてみるかな……と思ったその時。 「……っぞう……な…ぜ……」 「ん?」 「…んなの……しょうこさんじゃ…んだぜ……ねつっぞうした…うその……さんなんだ…ぜ……」 「……はあ?」 そう呟くや野良一家どもは目に涙をためた汚いツラをキッ!と上げて、俺に猛然と喰ってかかってきやがった。 「ぞんなのっ!ぞんなのっ!ばりざだちからおうちをうばうためにねつっぞうっした、うそのしょうこさんだぜぇぇぇっ!」 「おうちせんげんじたじょうこざんなんであるわけないんだ!だがらぞれはうそなんだぁぁぁっ!」 「じじいのおうちせんげんにゃんかむこうっなんりゃぁぁぁっ!れいみゅがそういうからそうなんりゃぁぁぁぁっ!」 「みとめないのじぇぇぇぇっ!まりちゃのおうちはまりちゃのものなのじぇぇぇぇっ!」 「おいおい、写真や映像にちゃんと日時もはっきり表示されてるのに捏造なんて出来るわけないだろ?バカなの?死ぬの?」 「ば、ばかはじじいのほうだぁぁぁぁっ!さっぎも!いまも!ふとうっでひきょうなしゅだんでばりざがら おうちをうばおうとしやがっでぇぇぇっ!」 「だいいち、おうちせんげんおうちせんげんってじじいがひどりでがっでにいっでるだけのごとでしょぉぉぉっ!?」 「ちょうだよ!じじいがおうちせんげんをしちゃというにゃら、しょれをしょうめいしちぇくりぇる しょうにんしゃんをちゅれちぇきょい!」 「ゆふん!でもどうせしょんにゃのいないにきまっちぇるのじぇぇぇぇ!」 「ゆ……ゆゆっ!?おちびたちそれはいいかんがえなのぜ!じじいのおうちせんげんにしょうにんさんなんて」 「いるぞ?」 「いるわけな……はあああああああっ!?」 「おーいみんなでてこーい」 俺が声をかけると公園のあちこちから野良ゆっくりどもがぞろぞろと出てきた。 こいつらはこの公園で群れて細々と暮らしている野良ゆっくりたちだ。 さっきまでの俺たちのやり取りを見ていたからか、どいつもこいつもなんか複雑な顔をしている。 そんな野良ゆっくりどもの中から年老いたぱちゅりーが一匹進み出てきた。こいつはこの公園の群れの長である。 「まりさ……れいむ……」 「お、おさぁ!こ、これはいったいどういうことなのぜぇぇぇっ!?」 「……なあ長。俺あの薄汚いダンボール箱の前でおうち宣言したよなぁ?」 「むきゅ。たしかににんげんさんはおうちせんげんしたわ……」 「おざぁぁぁっ!?ど、どぼじでぞんなごというんだぜぇぇぇぇっ!?」 「どぼじてくそじじいのみかたをずるのぉ!?れいぶがごんなにごまっでるんだよ!?ぱちゅりーはばかなのぉぉぉっ!?」 「みかたもなにないわ。だってじじつだもの。むれのみんなでにんげんさんのおうちせんげんにたちあったんだから、 だれにきいてもおなじこたえがかえってくるはずよ。むきゅ」 「「「「ど、どぼじてぞんなごというのぉぉぉぉぉぉっ!?」」」」 さて説明せねばなるまい。 先回りして公園にきたとき、俺はまっ先にこの群れのゆっくりどもを味方につけておいたのだ。 なに味方につけるといっても一番安いゆっくりフードをバラまいて あとは逆らうと一勢駆除しようかなーとかなんとか言って軽く脅すだけでいい。 飴と鞭をちょっと使うだけで、公園の野良ゆっくりという輩はおとなしく人間の言うことをきくようになる。 それに俺の要求というのはこれから誰も住んでいないダンボール箱の前でおうち宣言するから、 みんなでその宣言に立ち会って証人になってくれというだけのものだ。 その程度のことならば野良どもにとって断る理由などなにもあろうはずがない。 しかしまあ結果的に群れの一員である野良まりさ一家にとって不利な証言をしなければならないのだから、 連中の心中は穏やかではないと思う。ゆっくりフードで買収されたという後ろめたさもあるのだろう。 それが連中の複雑な表情の理由となっている。 はっはっはっこれもまた野良ゆいじめの醍醐味という奴だな!愉快愉快♪ 「にんげんさんのおうちせんげんはせいとうっなものだったわ。だからもうこのおうちはまりさたちのものじゃないわ まりさとれいむにはわるいけど……このおうちはにんげんさんのおうちってことね。むきゅ…」 「もんくのつけようのないおうちせんげんだったのぜ。こうなったらまりさたちはなにもてだしできないのぜ」 「これはもうどうしようもないんだねー。まりさとれいむはゆっくりあきらめてねー!」 「お、おさぁぁぁっ!みんなぁぁぁ!?どぼじでえ!?どぼじでみんなしてばりさたちにいじわるずるのぉぉぉっ!?」 「ひどいよぉぉぉぉっ!れいぶがゆっくりしてるからみんなしっとしでるのぉぉぉぉっ!?」 「しっとなんかしてないわ。それよりも……まりさにれいむ?あなたたちにんげんさんのおうちへいったそうね!」 「ゆ……ゆゆっ!?」 「ど、どぼじておさがぞれをじっでるんだぜぇぇぇっ!?」 「このにんげんさんからすべてきいたわ。あなたたちがしたことをぜんぶね!」 「ゆ、ゆげえええええええっ!?」 「むれのおきてで、にんげんさんのいえにはいりこんでのおうちせんげんはきんしされているはずだみょん!」 「おきてをやぶるなんていなかもののすることよ!?」 「ちぇんにはわからないんだねー!どうしてそんなばかなことをしたのー!?」 「まりさたちのかってなこうどうのせいで、むれがくじょされちゃったらどうせきにんをとるつもりなの!」 「な……なんでぇぇぇぇっ!?なんでまりざたちがみんなにおこられでるのぉぉぉぉぉっ!?」 「なんなのごれぇ!どぼじてれいぶがごんなめにあわなぎゃならないのぉぉ!?どぼじてぇぇぇぇっ!?」 「ゆううううっ!き、きょわいんだじぇぇぇぇっ!」 「なんでもいいきゃられいみゅをゆっくちしゃせてよぉぉぉぉっ!」 さーて今度は野良まりさ一家が群れから弾劾される番だ。 何故ならばこの群れではおうち宣言のみならず、とにかく人間に迷惑をかける行為のすべてが禁止されている。 当たり前の話だ。人間にお目こぼししてもらう事でなんとか公園で辛いながらも生き延びてる状態だというのに、 その人間の機嫌を損ねたらこんなチンケな公園の群れなどたちまちのうちに駆除されてしまう。 この群れの連中は人間を敵に回すことの愚かさを嫌というほど思い知っているのだ。 「むきゅ!さあまりさ、ゆっくりせつめいしてちょうだい。なんでにんげんさんのおうちをとろうとしたの!」 「だ、だって……ばりさのおうちせまくなっできたじ……くそじじいのおうちのほうが……ぞの、 ゆっくじでぎそうだったし……」 「だからって、にんげんさんにかかわってはだめでしょ!ぱちゅはおさとしてあなたがおちびちゃんのころから くちがすっぱくなるほどおしえたはずよ!にんげんさんのものをとろうとしたらゆっくりできなくなるって!」 「で、でぼ……でぼぉぉ……」 「むきゅぅぅっ……!あとれいむ!」 「ゆっ!?」 「れいむもどうざいっよ!なんでまりさをとめようとしなかったの!」 「れ、れいぶはとめたんだよ!?で、でもばりさがくそじじいはせいさいっするからだいじょうぶっていうから! れいぶもばりさにだまされたんだよ!せ、せいさいっするならばりさだけにしてね!?」 「れ、れいぶうううううっ!?どぼじてぞんなごというのぜぇぇぇぇっ!」 「……むきゅ、そうはいかないわ。おきてをやぶったゆっくりはどんなじじょうであれせいさいっされるのよ!」 「ゆ、ゆげぇぇぇぇぇっ!?だ、だかられいぶはだまされただけでわるくないんだってばぁぁぁっ! ぱちゅりーはみみがとおいのぉぉぉぉっ!?」 「……れいむ。れいむがほんとうにまりさをとめるきがあったのなら、 れいむはさいごまでまりさをせっとくっして、にんげんさんのおうちにいくのをやめさせるべきだったのよ。 けっきょくれいむもいっしょににんげんさんのおうちにいったってことは、まりさにさんせいしたってことでしょ? いいだしっぺはまりさかもしれないけど、おうちにいったじてんでれいむにもれんたいせきにんがあるのよ!」 「ゆ、ゆがあああああ!わけのわがらないごとをいうなああああああああっ!」 「どぼじてぇぇぇぇっ!?どぼじてみんなしてまりざにいじわるするのぜぇぇぇぇっ!? まりざがおうちせんげんしたらそこはもうまりざのおうちでしょぉぉぉぉっ!? しょうことかしょうにんとかごちゃごちゃとなんなのぉぉぉぉっ!? じじいのおうちも!こうえんさんのおうちも!ぜんぶぜーんぶまりざのおうちだろぉぉぉぉッ!!」 親まりさと親れいむはもはや、じたばた地面を転がって駄々をこねるだけの子供と化した。 その姿はでおもちゃ売り場でおもちゃを買ってとねだる子供そのものだ。 泣いて喚いて暴れて。それもゆっくりの成体という大の大人がやってるんだからまったくウザいことこの上ない。 最初は申し訳なさそうな複雑な顔をしていた群れのゆっくりたちも、 親まりさとれいむの醜態を見ているうちにだんだんといーらいーらしてきたようだ。 そして遂にさっきから何か言いたそうにしてた野良ありすが、意を決して駄々をこねまくる親まりさ達の前に進み出てきた。 「まりさ……!」 「……ゆっ!?お、おとなりのありす!?たすけにきたのぜ?かわいそうなまりざをはやくたすけるのぜぇぇっ!」 「ねえまりさ。きょうのおひるごろ、まりさがこのおうちからでてきたところをありすとあったわよね。おぼえてる?」 「ゆ……ゆっ?」 「ありすがおちびちゃんたちまでつれてどこへいくの?ってきいたら『あたらしいおうちをさがしにいくんだぜ』って まりさはじょうきげんでありすにいってたでしょ?」 「ゆっ……!た、たしかにこうえんさんをしゅっぱつするときにありすにはあったのぜ。でも」 「そのときありすはなにげなくまりさにきいたわ。『じゃあこのおうちはどうするの?』って」 「ぞれが…」 「そしたらまりさはえがおでこういったわ!『こんなせまくてちいさいおうちなんかもういらないんだぜ!』ってね!」 「どうし……ゆ、ゆああああああああっ!?」 「おもいだした?まりさはじぶんからこのおうちをすてたのよ!にんげんさんのおうちせんげんがどうあろうと このおうちはもうまりさたちのおうちじゃないの!」 「あ、あああ……!ぞ、ぞんなぁぁぁっ……」 「ば、ばりざあああああ!どぼじてぞんなよけいなごといっちゃったのぉぉぉぉっ!?」 「だっでくそにんげんのおうちへおひっこしすれば、もうこのおうちはいらないでしょぉぉぉぉっ!?」 「だがらっでぇぇぇっ!」 「まちなさいよ。れいむもたしかまりさのあとにこういってたわ…… 『うんうんまみれのきたないおうちでいいならありすにあげてもいいよ!せいぜいだいじにすんでね!げらげら』って!」 「ゆううううううううううっ!?」 「おきゃあしゃんのばきゃぁぁぁぁっ!どぼちてしょんなこちょいっちゃったにょぉぉぉぉっ!?」 「ゆんやああああ!おうちがないのはいやなんだじぇぇぇっ!じぇんじぇんゆっくちできにゃいんだじぇぇぇぇっ!」 これで野良まりさ一家のおうち所有権の正当性、そのすべてが崩れ去ったわけだ。 引越し先を決めずに無計画の行き当たりばったりで行動してばかりいるからそういう目にあうのだバカめ。 それに何がメモリアルだ。偉そうな御託並べてたくせに最初から捨てる気満々だったんじゃねーか。 さて、そろそろ頃合かな……俺は糞野良どもの「前のおうち」の前に行くとわざとらしく言った。 「でもまあ……おうち宣言したはいいけれど、こんなダンボール箱じゃ小さすぎてお兄さんじゃとても住めないよなー 住めないもんはどうしようもないし、これどうしようっかなー?」 そう呟く俺の言葉に糞野良一家どもの目が一勢に輝いた。 住めないのだから自分たちにおうちを返してくれるかもしれないとかそういう都合のいいこと考えているんだろう。 ゆっくりってほんとすぐこういう薄っぺらい希望に飛びつくよなぁ。 「そ、そうだぜ!そのおうちはくそじ…にんげんさんにはちいさすぎるのぜぇ!」 「すめないおうちをもっててもしかたないでしょ!だったられいぶたちに…」 「そうだな!住めないおうちを持ってても仕方ないしな!公園の美観を損ねることだしこんなおうち壊して捨てちまおう♪」 「……ゆっ?」 「まずはゴミ袋をとりだして……箱の中のガラクタやゴミを捨てまーす♪」 「ゆ、ゆぎゃああああ!ばりざのふかふかざん(古タオル)がぁ!おちびのべっどさんがぁぁぁっ!?」 「ゆんやああああ!まりしゃのたかりゃものぉぉっ!きれいないししゃんがあぁぁ!かえちて!かえちてよぉぉぉぉっ!」 「中身をカラッポにしたらダンボール箱をバラして……びーりびーり!しあわせ~♪」 「どぼじてだんぼーるさんをやぶいちゃうのぉぉぉぉっ!?」 「やめちぇぇぇっ!ゆっくちちたれいみゅのおうちしゃん!おうちしゃんをこわしゃないぢぇぇぇぇっ!」 「ついでにブルーシートも二度と野良どもが利用できないようにカッターで細切れにしちまおう♪」 「やべて!やべてやべてやべてぇぇぇっ!ばりざのおうちっ!ぐろうじてつくったばりざのおうちぃぃぃぃっ!」 嬉々としておうち破壊に勤しむ俺に我慢できなくなったのか、野良一家どもが俺に向かって突進してきた。 しかしそんな野良一家の前に公園の群れのゆっくりたちが立ちふさがる。 口にくわえた尖った枝を突きつけて野良まりさ達を威嚇しはじめた。 「ちかづくんじゃないみょん!」 「あれはもうまりさたちのおうちじゃないんだねー!にんげんさんがじぶんのものをどうしようがかってなんだよー!」 「かってっでごとないでしょぉぉぉぉぉっ!?あれはばりざのおうちなんだよぉぉぉぉっ!?」 「いいえっ!あれはにんげんさんのおうちよ!これいじょうじぶんのおうちだといいはるつもりならまりさ!れいむ! にんげんさんにめいわくをかけたつみでこんどこそほんとうにせいっさいっするわよ!むきゅっ」 「ゆ、ゆぎぃぃぃぃぃっ!」 「ゆんやああああああああああああああああああっっ!!?」 それから野良一家は歯を折れんばかりにかみ締め、大量の涙を流し、俺を睨み殺さんばかりの目でおうち破壊を見続けていた。 もちろん俺はそんな恨みだの悲しみだのはどこ吹く風だけどね♪ ゆっくりごときの怨念が怖くて虐待鬼意惨がやってられるかい。 そうこうしている内に作業は終わりおうちを完全に破壊した。2つのゴミ袋におうちの残骸を詰めてはい終了。 さーていい暇つぶしになったしそろそろ帰ろうかな。 「じゃあ長、俺そろそろ帰るわ。このゴミは俺の方で処分しとくから心配すんな」 「むきゅ、わかったわにんげんさん」 「ああ、あと……あの野良一家だけどさ。掟破りらしいけど制裁はしないでくれるかな?」 「むきゅ?に、にんげんさんがそういうのならせいさいっはしないけど……でもどうして?」 「なーに俺は迷惑かけられたなんてこれっぽっちも感じてない。別に怒ってないからいいってことさ」 「あ、ありがとうにんげんさんっ!むきゅきゅっきいた?まりさ!れいむ!じひぶかいにんげんさんがゆるしてくれるそうよ! ほらっあなたたちからもにんげんさんにちゃんとおれいをいいなさい!」 「ゆ、ゆぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃっ!」 「ゆごぐげごごごごっっ!」 顔を醜く歪ませ、今にも俺に飛び掛らんばかりの形相で怒りを懸命にこらえている野良まりさと野良れいむ&ちび。 ま、俺にお礼を言えといわれたって悔しくて悲しくて腹が立って、とてもそんな気持ちにはなれないだろうよ。 そんなわけだから俺の方から野良一家どものところへ行くと、しゃがんで野良まりさたちにやさ~しく語りかけた。 「おいてめーら俺に感謝しろよ?本来ならお前達はな、俺の家で虐待されて死ぬよりも辛くて恐ろしい苦しみを味わうか、 もしくは掟破りで群れに制裁されるかのどちらかしかねーんだ。それをお前、お飾りもおさげも破壊しないでさ、 多少ハエ叩きで痛めつけただけという無事な状態で帰してやろうってんだから俺はなんて優しいんだろうな? こんなに優しい虐待鬼意惨はめったにいないぞ!お前ら運がよかったな!」 「ゆぎぎぎぎっっっ!だ、だばれぇぇぇ……!おばえの……おばえのぜいでぇぇぇぇっ!」 「お、おうち……れいぶのおうちをこわじでおいで……こわじでおいでおばえはなにをいっでるんだぁぁぁぁっ……!」 「ころちてやりゅぅぅぅ……ぜっちゃいにころちてやりゅのじぇぇぇぇ………っ!」 「いちゅかかならじゅ、おばえをゆっくちできにゃくちてやりゅぅぅぅぅぅ……!」 「あっそ。んじゃそんときをせいぜい楽しみにしてるわ♪じゃーな糞野良ども!はっはっはっ……すっきりぃ―――っ!」 「「「「ゆ、ゆがあああああああああああああああっっっ!!」」」」 俺は糞野良一家の怨嗟の絶叫をゆっくりした気持ちで聞きつつゴミ袋を手に公園を後にした。 確かに俺のいじめは人間の家に侵入しておうち宣言をした野良ゆっくりに対する処罰としては軽いものかもしれない。 虐待鬼意惨のやることとしては物足りないと誰もが思うだろう。 だが俺にとってはこれで充分だった。なぜって俺には確信があるからだ。 このゲスっぷりじゃあどうせこの一家は長く生きられねーだろーなー……という確信がな。 「ざ、ざぶいぃぃぃぃっ!」 「しゃむしゅぎるんだじぇぇぇぇっ!おきゃあしゃぁぁぁん!もっちょまりちゃにしゅーりしゅーりちてぇぇぇぇっ!」 「おちびじゃん!もっどおかあさんのそばによっでね!ほらすーりーすーり!すーり!すーりぃぃぃぃっ!!」 「し、しゃぶいのもうやらよぉぉぉ……れいみゅおにゃかしゅいたよぉぉぉぉ……」 男が公園から去った後……すぐに日が暮れて夜となった。 秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、野良まりさ一家が破壊されたおうちの代わりを探す暇などまったくなかった。 しかも群れの制裁は免れたものの、掟を破って醜態を晒したまりさ一家に対する群れのゆっくり達の態度はどこか冷たい。 今夜はどこか他のゆっくりのおうちに泊めてもらい、翌日新しいおうちを探しにいこう…… と考えていた野良まりさ一家であったが、群れのゆっくり達にことごとく宿泊を断わられたのであった。 まあ四匹もの野良ゆっくりに宿を貸せるほど広いおうちをもった野良ゆっくりなど この公園にはいないというのが実情ではあるが。 で、結局野良まりさ一家はこうして新聞紙で身をくるんだだけの状態で野宿する羽目となった。 秋も深まり寒くなりつつあるこの時期に野宿は辛い。 長ぱちぇりーから一応群れの一員だから、という理由で貰った晩ごはんはとっくにみんなで食べ尽くした。 外のあまりの寒さにガタガタ震えるばかりでゆっくりはもちろん、すーやすーやなんてとてもできない。 すーりすーりを繰り返して少しでも暖を取ろうとするが、そんな運動をしていれば段々体力を消耗してお腹がすいてくる。 だが食べるものなどもうどこにもないのだ。 「ど、どぼじてぇぇぇ……?どぼじてまりさたちがごんなめにあわなきゃいけないのぜぇぇぇっ……?」 親まりさはわけがわからなかった。 本当ならば今頃クソジジイのおうちで快適にゆっくりしているはずなのに…… いやクソジジイのおうちが駄目だったとしても公園のおうちでゆっくりできてたはずだ。 なのにクソジジイのおうちは手に入らず、公園のおうちはそのジジイに破壊されて今はもうない。 (なんでぇ?ばりさなにもわるいことしてないんだぜ?りふじんっなのぜ。ごんなのゆっぐりできないんだぜぇぇぇ……) 新聞紙で身をくるんで震えていると周囲のゆっくり達のおうちからゆっくりとした声が聞こえてくる。 「むーしゃむーしゃしあわせー!」だの「しゅーりしゅーり!」だのといった幸せいっぱいの声ばかりが。 家族団欒の楽しげな会話……喜びの声……夕食時は群れのゆっくりたちの貴重なゆっくりタイムだ。 それらの声や会話は今の親まりさ、いやこの一家全ゆんにとって聞きたくないものだった。 何故なら周囲が楽しげであればあるほど今の自分たちのみじめさを嫌でも思い知らされるから。 「おかあしゃん!ちぇんにしゅーりしゅーりちてにぇえー!」 「ゆふふっ!ありすのおちびちゃんはあまえんぼうね!ほうらすーりすーり!」 「ゆっくちできりゅんだにぇ~わきゃるよぉ~!」 「ちぇんのおちびちゃんはあまえたいざかりなんだねー。ほほえましいんだねーわかるよー!」 「……」 「……」 野良まりさたちが震えている所から一番近い場所にある少し大きめのダンボールのおうち。 その中では野良ちぇんと野良ありす、そしてそのおちびちゃんである子ちぇんが家族団欒の時間を楽しんでいた。 しばらくの間、寒さに凍えながら虚ろな表情で野良まりさ一家はちぇん一家の様子を聞いていた。 親まりさは最初ちぇん達はゆっくりしているなと思った。次に羨ましく思った。次に惨めな気分になった。 そして……だんだんゆっくりしているちぇん一家が妬ましく、そして終いには憎らしく思えてきた。 (なんでまりさがゆっくりでぎてないのに、ちぇんのやつだけがゆっくりしてるんだぜ……?ぞんなのおかしいんだぜ… きっとまりさのゆっくりをふとうっでひきょうっなしゅだんでひとりじめにしているにちがいないのぜぇっ……!) 親まりさは家族の元をふらりと離れて、ふらふらとちぇんとありすのおうちへと向かっていった。 他の家族も親まりさと同じことを考えていたのだろうか、 くるまっていた古新聞を捨てて3匹とも親まりさの後についてふらふらと移動を開始した。 「それじゃそろそろみんなですーやすーやするんだねー!おやす……ゆっ?」 「ま、まりさ?れいむにおちびちゃんたちも……?こんなよなかにどうしたの?ありすのおうちになにかよう?」 「……」 ちぇんとありすのおうちの入り口に立った親まりさと親れいむ。 野良ありすの問いに答えることはなく死んだような目でちぇんのおうちの中をじろじろ見ている。 その様子はゆっくりにとってたまらなく不気味であった。 「……ゆふん。かけっこしかのうがないちぇんにしては、なかなかわるくないおうちなのぜ?」 「そうだね。れいむもそうおもうよ……くずにしてはじょうできなんじゃない?」 「ごひゃんしゃんもありゅにぇえ……」 「べっどしゃんもねごこちよさそうなのじぇ……」 「な、なにをいってるのー?ちぇんにもわかるようにいってねー!」 (なにかしら……まりさたちのようすがいつもとちがう。おかしいわ………ゆっ?まさか……!) その時。ありすの脳裏に昼間の出来事が強く思い浮かんだ。 おうち宣言が問題となった昼間のあの騒動……ありすは理屈ではなく直感で感じた。 もしかしたら親まりさ達はちぇんとありすのおうちを奪おうとおうち宣言をしようとしている?……と。 そしてその直感は的中した。親まりさたちはいきなりニヤリとゲス丸出しの顔をすると高らかにおうち宣言を始めたのだ! 「まりさはこのおうちがきにいったんだぜぇぇぇ!」 「れいむもきにいったよぉぉぉぉっ!」 「れいみゅもぉ!」 「まりちゃもなんだじぇぇぇっ!」 「ここをまりさ(れいむ)たちのゆっくりぷれいすにす『だめよっ!ここはありすとちぇんのおうちよっ!』……ゆっ?」 おうち宣言にはたったひとつだけ合法的に宣言を無効にする方法が存在する。 それはおうち宣言をしている最中に異議を唱えることだ。 おうち宣言の最中にそのおうちの持ち主等に宣言を邪魔されたらその宣言は成立せず無効となる。 だがこの方法でゆっくりがおうち宣言を阻止できた例は天文学的に少ない。 何故ならば突然、他のゆっくりが巣に入り込んできていきなりおうち宣言をするという 一種の奇襲に対応できるほどゆっくりの頭の回転は早くないからだ。 だからおうち宣言はまず防げないのが常識となっている。 ならばなぜ野良ありすは奇跡的ともいえるおうち宣言阻止を成しえたのであろうか? それは親まりさ達がおうち宣言をするであろうと直感で見抜き、宣言に備えて身構えていたからである。 奇襲が奇襲でなくなれば。相手の次の行動を予測して備えることができれば。 ゆっくりでも三分七分くらいの確率でおうち宣言阻止はできるはず。 野良ありすは運良く稀少なおうち宣言阻止成功という目を引き当てたのだ。 「ど、どぼじてばりさのおうちせんげんをだめだなんていうのぉぉぉぉぉっ!?」 「なんでぇ?なんでぇぇ?おうちせんげんはしたらぜったいにせいこうっするはずなのにぃぃぃぃっ!?」 「もうわけがわかりゃにゃいよぉぉぉぉっ!」 「わけがわからないのはこっちのせりふよ!このいなかものっ!」 「「「「ゆっ!?」」」」 「ありすとちぇんのいえでおうちせんげんをするなんて、まりさたちはいったいなにをかんがえているの!? あぶないところだったけれど……あなたたちのおうちせんげんはありすがだめっていったからむこうよ! さあっ!さっさとありすのおうちからでていきなさい!」 「…………はっ!?そ、そうなんだねー!ありすのいうとおりなんだねー!まりさたちはとっととでていってねぇー!」 「ま、まつのぜちぇん!おそとはさむいさむいでとてもゆっくりできないのぜ!? おねがいだからこんやだけでもこのおうちにとめてほしいのぜ!」 「はあ?たったいまありすのおうちをうばおうとしておきながら、いまさらなにをいってるの?そんなのおことわりよ!」 「ぞこをなんとかおねがいじまずぅぅぅっ!れいぶのおちびじゃんたちがかわいそうでしょぉぉぉぉっ!?」 「いつおうちせんげんするかわからないまりさたちをいえにとめるなんて、 ゆだんもすきもなくてぜんぜんゆっくりできないんだねー!それくらいわかれよーっ!」」 「きゃわいいれいみゅがゆっくちできにゃいのはきゃわいしょうでしょ……?だきゃらおうちちょうりゃいにぇ……?」 「まりちゃにおうちをくれちゃら、おれいにありしゅをちゅっきりーどれいにしちぇあげてもいいんだじぇ?」 「……っ!な、なんてずうずうしいのこのいなかものどもは……!」 「とにかくっ!ちぇんのおうちにまりさたちはとめないよー!そしてまりさたちがおうちせんげんしようとしたことは、 あさになったらおさにほうこくするよー!まりさたちはかくごしていてねー!」 「「ゆ、ゆげえええええええええええっ!?」」 ちぇんの一言に親まりさと親れいむは心底震え、己の前途に絶望した。 何故ならばおうち宣言による巣の取り合いは群れの掟で禁止されている。 長に報告されるということは今度こそ掟破りの罪で制裁されることを意味するのだ。 野良まりさ一家は焦った。と同時に苛立ちがつのって爆発寸前にもなっていた。 それはそうであろう。人間のおうちを奪おうとして空き巣同然のおうち宣言をやったら宣言は屁理屈で無効にされ、 公園のおうちは壊され、群れのみんなからゆっくりできない目で見られるようになった。 おうちをなくしたせいで夜は寒さに震え、ちぇんのおうちを奪おうとしたらありすに邪魔をされ、 そして今また掟破りによる制裁の危機。 すべて野良まりさ一家の自業自得とはいえ今日はやることなすことすべて失敗ばかり。 親まりさ達はこの理不尽の数々に腹がたって仕方なかった。 そしてちぇんの一言で袋小路に追い詰められた野良まりさ一家は遂に爆発したのであった。 「ゆ、ゆがああああああっ!おうちをひとりじめにするちぇんはじねぇぇぇぇぇっ!!」 「ゆっ……わがらなっ!?」 突然、親まりさはちぇんに全力の体当たりを喰らわせた。 ちぇんは悲鳴をあげながらおうちの奥の壁に叩き付けられる。 「ちぇん!?な、なにをするのまりさ!ぼうりょくをふるうなんていなかもののすることよ!」 「うるざいぃぃぃっ!どいつもこいつもれいぶたちをばかにじでぇぇぇっ!おうちせんげんをじゃまずるげずはじねえ!」 「ゆぎゃっ!?」 「いいきみなのぜぇぇぇっ!れいぱーのぶんざいでおうちをひとりじめにずるからそういうめにあうのぜぇぇぇっ!」 「れいぱーありすはゆっぐじじね!れいぱーありずはゆっぐじじねぇぇぇぇっ!」 「むーしゃむーしゃ!これうみぇえ!まじぱにぇえ!」 「じあわぜぇぇぇぇっ!むーじゃむーじゃじあわぜぇぇぇぇぇっ!」 「ゆびゃぁぁっ!やべちぇぇぇぇっ!ちぇんをたべにゃいでぇぇぇぇっ!」 「お、おちびじゃ………ありずの…おち……ゆっ!も、もっと……ゆっぐりじた・……が…」 もう地獄絵図であった。 親まりさと親れいむがありすの上に乗っかって押しつぶし、あまりの空腹ゆえかその死体を夢中で喰らっている。 子ちぇんも同様で餓鬼のごときれいみゅとまりちゃに食い殺されていった。 だが野良まりさ一家がちぇんの家族を食べるのに夢中だったことは親ちぇんにとっては幸いした。 野良まりさ一家に占拠されたダンボールのおうちから脱出することになんとか成功したのだ。 痛む体を引きずりつつも、ちぇんは長ぱちゅりーのおうちへと懸命に跳ねる。 この凶行をなんとかできるのはもう長しかいないからだ。 「お、おさ……おさー!」 「むきゅ?こんなよなかにいったいなにごと……ち、ちぇん!?そのけがはどうしたの!」 「ま、まりさにやられたんだねー!そ、それにありすが……ちぇんのおちびちゃんが……!まりさたちに……!」 「まりさたちに?どうなったの!」 「え、えいえんにゆっくりさせられたうえに、たべられちゃったんだよぉぉぉぉっ!わ、わからないよぉ―――っ!」 「な、なんですってええええええっ!?」 ゆっくり殺し。同族喰い。どれもゆっくりにとって最大のタブーと言われている最低のゲス行為である。 もちろん群れの掟でもそれらは禁止されている。その掟破りをよりにもよってをあのバカまりさとアホれいむがやったのか! おうち宣言どころの話ではない!長ぱちゅりーはもう吐きたい気分を懸命に抑えるので精一杯であった。 だがことは急を要する。長としての仕事はちゃんと果さなければならない。 「ちぇん、あなたはあしがはやいわ!からだがいたむでしょうけどひとっぱしりいって、むれのかんぶたちを このおうちのまえにつれてきてちょうだい!」 「わかったよー!ちぇんもありすとおちびちゃんのかたきをうちたいんだねー!かんぶにこのじけんをしらせるのが ちぇんのかたきうちなんだねーっ!わかるよ―――っ!」 そう言うやちぇんは公園のあちこちのおうちに走っていく。 この夜、ちぇんの知らせによって召集された群れの幹部が長ぱちぇりーと共にちぇんのおうちを家宅捜索した。 そこで腹を膨らませて幸せそうにぐーすか眠る野良まりさ一家を発見。ただちに叩き起こして連行した。 さらにちぇんのおうちからありすのものと思われるカチューシャと、子ちゃんのものと思われる帽子をも発見。 これによってありすと子ちぇんの死亡と野良まりさ一家の同族殺し&同族喰いの罪が明らかになったのである。 そして翌朝…… まあ確信はあってもやはり気になるものは気になるわけだ。 俺はその後の糞野良一家の様子を確かめに公園に足を向けた。 するとグッドタイミングなことに俺はちょうどカーニバルのまっ最中にでくわした。 「むきゅ!みんなきいてちょうだい!このまりさたちはゆうべ、ちぇんとありすのおうちをのっとろうとしたわ!」 「しかもありすにおうちせんげんをそしされたのにもかかわらず、むししておうちをとろうとしたんだぜ!」 「さらにおうちせんげんをじゃましたことにはらをたてて、ありすをえいえんにゆっくりさせちゃったんだねー!」 「まりさたちはきのうにんげんさんにめいわくをかけただけじゃなく、むれのゆっくりまでころしたわ! これはもうぜったいにゆるすことはできないわ!むきゅっ!」 「「「「「せいっさいっ!せいっさいっ!せいっさいっ!せいっさいっ!」」」」」 「ばりざはわるぐないのぜぇぇぇ!おうちせんげんしたんだがらちぇんのおうちはばりざのおうちなのぜぇぇぇ!」 「ぞうだよぉぉぉ!ありすはおうちをひとりじめにするげすだったんだよ!だからせいさいっしたんだよぉぉぉっ!」 「ゆええええん!もうしゃむいのみょ、おにゃかしゅくのもいやなのじぇぇぇぇっ!」 「もういやりゃぁぁぁぁっ!おうちかえりゅぅぅぅぅっ!」 昨日の糞野良一家を群れのゆっくりどもが取り囲んでいる……何事だこれは? どうも長ぱちゅりーが糞野良連中の罪状を群れの連中に説明しているのを聞くに、 お家をなくした一家は公園の野外で一夜を過ごそうとしたが、 あまりの寒さに我慢できなくなって群れのゆっくりのおうちを奪おうとしたらしい。 しかもお粗末なことにおうち宣言に失敗して、阻止されたことに逆上して群れのゆっくりを殺してしまったんだとさ。 ……なにそれ?まったくバカとしか言いようのない連中だなおい。 「いいかげんにかんねんしなさいまりさ!ちぇんのしょうげんで、ありすがおうちせんげんをむこうにしたことは わかっているのよ!」 「お、おさぁ!なにいっでるのぜぇぇぇっ!ばりざはほんどうにおうちせんげんしたのぜぇぇぇっ! ちぇんのおうちもうはばりさのおうちなのぜぇぇぇぇぇっ!?」 「むきゅぅ……ありすをころしてちぇんのおうちをうばおうとしただけでなくうそをつくとはね! やっぱり…しんじたくなかったけど、きのうにんげんさんがいってたのはほんとうだったようね……」 「にんげ……?く、くそじじいがなんだというのぜぇぇぇぇっ!?」 「まりさ!れいむ!ぱちゅはにんげんさんからきのうぜんぶきいたわ!まりさたちはにんげんさんのおうちで おうちせんげんをしたんじゃなくて、おうちせんげんをしたと『うそ』をついたってね!むきゅっ!」 「ゆっ……?」 「そしてこんかいもまた、うそをつくのね!ありすにおうちせんげんをむこうにされておきながら、 おうちせんげんしたという『うそ』をっ!!」 「ゆ……ゆっ……ゆあああああああああああああああああああっ!!?」 「やっぱりそうだったのね!あなたたちはへいきでうそをつく……『うそつきゆっくり』だったのね!むきゅ」 「!?!???」 あーあ、長ぱちゅさんよーそりゃねーんじゃないの? まあ糞野良どものおうち宣言を嘘だと決め付けたのは確かに俺だけどさ、 しかし糞野良ども本人にとっちゃ俺の家でしやがったあのおうち宣言は本当の出来事だったんだろうよ。 ゆうべの群れで起きたおうち宣言はまあ嘘だったとしてもさ、 俺の家の場合といっしょくたにされて嘘つき呼ばわりしたらあの糞野良どもも浮かばれないんじゃね? ……て、まあいっか別に。ゲス野良を擁護する気なんて俺には毛頭ねえ。 つかそれより糞野良どもの顔が面白いことになってる。 長ぱちゅに嘘つき呼ばわりされて相当ショックだったんだろう。 ほら見ろよ。顔面蒼白になって、口をパクパクさせて、ぶるぶる震えて、涙は滝のように流し…… 多分いま連中の頭ン中はぐちゃぐちゃだぞ間違いなく。 あーそろそろ爆発しそうだぞ。表情からしてもうすぐ……もうすぐだ……そらきた! 「「「「うそつきっていうなあああああああ!うそじゃないっ!うそなんがついでな……ゆぎゃあああああああああっ!」」」」 俺の予測どおり野良一家の無駄にでかい大口から魂からの…と言うに相応しい無念の叫びが迸った。 そしてその瞬間、長ぱちゅりーの合図で口に枝を咥えたゆっくり達が 四方八方から襲いかかって四匹の糞野良を串刺しにしたのだった。 「ゆがぁ!ゆがぁぁぁぁっ!うそじゃないぃぃぃっ!ばりざはぁ!ばりざはぁぁぁぁっ!」 「じ、じねぇぇぇぇっ!れいぶをうそづきよばわりずるげすはそくざにじねぇぇぇぇっ!」 「まりちゃはゆっくじっ!ゆっくじじゅる……ゆびぃ!もっちょもっちょゆっくじじゅるんじぁぁぁぁっ!」 「れいみゅはうしょちゅきじゃないぃぃぃっ!ゆべぇっ!う、うぞじゅき…・…じゃ……も、もっちょ……ゆ……」 「むきゅっ!なにしているの!いちげきっでせいかくにちゅうすうあんをつきなさい!つぎ!」 「じねぇ!じねぇぇぇぇっ!ゆぶっ!くぞじじぃぃぃっ!ありずぅぅぅっ!ぱじゅりぃぃぃっ!みんなじねぇぇぇっ!」 「じぬもんがぁぁぁぁっ!れいぶはもっどゆっくじずる…ゆべぇ!?………もっと……ゆっく……りじ………」 「ま、まりちゃはしぇかいのおうっ!になりゅうちゅわなんだじぇ!こんなときょ…ゆぴょぉ!」 「まりさのとどめがまだよ!つぎ!はやくっ」 「う……ぞつぎ……じゃない……ばりざ……ばり……………ゆっ!」 ……制裁は終わったか。糞野良どもの最後を見届けると俺はもうこれ以上ここにいる必要はないと公園を後にした。 ほら見ろ、おうち宣言をするゲスの末路なんてこんなものだ。 俺が直接手を下すまでもなく勝手に自滅するのさ。 むしろ野良を一匹道連れにした分すっきりー♪てなもんだ。 まあアレだな、こうなった野良一家に俺が言えることはもうひとつだけだ。 ざまあみろ。
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/905.html
1 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/12(火) 01 12 12 ID mGe3GFxU 透華「そろそろ移転にも慣れてきましたわね」 前スレ 死者たちのたまり場 その3 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13481/1273847365/ 2 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/12(火) 01 36 56 ID gFdKYTh. キャスター「というわけで早速ヤりましょう!」 律「ちくしょー移転しても結局こうなるのかアッー」 3 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/12(火) 01 42 57 ID EehXLWH6 かじゅ「久ー、HTT備品一式運ぶのを手伝ってくれー」 部長「分かったわ、ゆみ。…一緒に手伝ってくれない?」 美穂子「はい」 池田「わ、私も手伝うし!」 海原「竹井さん、僕も手伝います」 小十郎「僭越ながら、俺もお手伝いいたします」 アーニャ「運ぶ」 部長「いやー、みんながやってくれるから楽でいいわぁ」 かじゅ「久、少しは手伝え」
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1408.html
餡庫ンペ09参加作品です。 テーマは差別、キー要素は家出です。 「ふたば系ゆっくりいじめ 598 赤ありすと、まりさ一家 前編」の続きです。 作者はマ・あき。 以前「まりさがんばる」「まりさがんばった」を書きました。 赤ありすと、まりさ一家 後編 届かなかった。 お家には夜毎いしさんがぶつかってきた。 もう一家にも理解できた。 いしさんが、ゆっくりできないのではない。 ゆっくりできない、ゆっくりの仕業だ。 一家のお家に、いしさんをぶつけているのだ。 一家は満足に眠れない。 一家が外を出歩けば、赤ありすとそれを匿う一家を非難する声が聞こえる。 だが、面と向かって言ってくるゆっくりはいない。 声のする方を見れば、みんな黙って視線を外す。 気が滅入る。 姉妹と一緒に遊んでくれる子ゆっくりが減っていった。 最初は気のせいかと思っていたが、どんどん数が減り、今ではもう何匹も残っていない。 特に仲の良い子ちぇんと他に数匹だけだ。 姉妹だけで遊ぶことが増えた。 自分達は何も悪いことをしていない。 こんな状況も時間が解決してくれる。 一家はそう信じていた。 だが、あの飼いゆっくりがプレイスを訪れて無法を働く度、 一家への風当たりは強くなる一方だった。 一家が何もしなくても、一家には何一つ関係がなくても状況は悪化する。 最初に赤ありすが襲われたときには、味方のほうが多かった。 だが、今では味方はほとんどいない。 「むきゅむきゅん!もうすっかりいいわ。よくがんばったわね、おちびちゃん!」 「ゆん!ぱちゅりーおねーしゃんのおかげよ!」 「ぱちゅりー、ほんとにありがとうだよ! おかげで、おちびちゃんもすっかり元気になったよ!」 まりさ、赤ありす、おいしゃさまのぱちゅりーの三匹がゆっくりと話をしている。 ここは、おいしゃさまのぱちゅりーのお家だ。 最初の診察から、既に数回診察を受けている。 やっとぱちゅりーから、赤ありすの完治宣言がでたところだ。 ゆっくりしているのは、そればかりではない。 一家には、もうほとんど味方がいない。 そんななかで、このぱちゅりーは一家にも分け隔てなく接してくれる 数少ないゆっくりの一匹なのだ。 さらに、職業柄プレイスのゆっくりたちからの信頼も厚く、影響力も大きい。 このぱちゅりーが一家を差別しないことが、 多少なりとも一家への風当たりを和らげてくれていた。 赤ありすは勿論、まりさや他の姉妹にとっても、頼もしくもゆっくりした存在だった。 「むきゅ!いろいろ大変だとおもうけど、 こまったことがあったらいつでもいらっしゃい。 そうだんにのるわよ!」 「ありがとう、ぱちゅりー!とってもゆっくりできるよ!」 「ぱちゅりーおねーしゃん、ゆっくちありがとうにぇ! とっちぇもとかいはよ!」 ぱちゅりーのおかげで、ゆっくりした気分になれたまりさと、 そのお帽子の上の赤ありすは、 「ぱちゅりーはほんとうにゆっくりしてるね! ありすのケガもぜんぶなおしてくれたよ!」 「ほんとにぇ!ありちゅも大きくなったら、 ぱちゅりーおねーしゃんみたいにゃ、とかいはじょいになるにょ!」 「ゆふふふ!おちびちゃんなら、きっとなれるよ!」 「ゆん!それにしても、おとーしゃんのおぼうち、とかいはにぇ!とってもすてきよ!」 「ありがとうだよ。おちびちゃんにそんなこと言われると、まりさてれちゃうよ。 でも、ありすのカチューシャさんもとってもきれいだよ! しょうらいは美ゆっくりまちがいなしだね!」 「ゆぅぅん!」 帰宅途中の道すがら、ゆっくりとした会話を交し合った。 「ゆびっ、ゆび!ゆぐっ!ゆえええええん!」 「なかないで、まりさ・・・。むきゅぅぅぅ・・・。」 お家に辿り着くと、様子が変だ。 お家がぼろぼろだよ。 おちびちゃんたちが、泣いてるよ。 一体何があったの。 呆然とする、まりさと赤ありす。 お家がぼろぼろに壊され、そのお家の前で子まりさが泣いている。 子ぱちゅりーは、その子まりさを慰めているようだ。 だが、呆けている場合ではない。 親としての責任感からか、いち早く立ち直り、子ゆたちの安否を確認する。 「二人ともだいじょうぶなの?ケガはない?」 「むきゅうん・・・。だいじょうぶよ、おとーさま。 わたしも、まりさもケガはないわ・・。」 幸い二匹ともケガはないようだ。 「ゆぐっ!ゆええええぇぇん!まりしゃのお家しゃん・・・。 みんなのお家しゃんがぁぁーー!! こんなのひどいのじぇぇぇぇ!!! ゆぴぃぃぃーーー!」 しかし、子まりさはお家が壊されたことが余程ショックだったのだろう。 凄い勢いで泣き叫んでいる。 普段、陽気で腕白な子まりさだけに、余計に痛々しい。 「ゆぅぅぅ・・・。なかないでね、おちびちゃん・・・。 ・・・だいじょうぶだよ!お家ならまた、おとーさんがつくるよ! だから、ゆっくりしてね!」 「むきゅ!そうよ。こんなことでまけちゃだめよ!」 まりさと、子ぱちゅりーが口々に子まりさを慰める。 その甲斐あってか、やっと子まりさが泣き止む。 「ゆぐっ・・・。ま、まりしゃ・・・、もう泣かないのじぇ! ゆっくちするのじぇ!」 「そうだよ!ゆっくりだよ!」 「むきゅきゅ!むっきゅりよ!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 お互いへのゆっくりしていってね、で落ち着きを取り戻した三匹。 まりさは、子ゆたちの安否確認に続き、何があったのかを二匹に尋ねる。 「むきゅ・・・。」 「だじぇ・・・。」 言い辛そうな二匹。 しかし、子ぱちゅりーが意を決して口を開く。 「むきゅう・・・。せいっさいっだそうよ。 ゲスの飼いゆっくりをかくまうゆっくりに・・・。」 プレイスのゆっくりたちが集まってきて、一家のお家を壊したときの様子を説明する。 「「ゆ!?。」」 まりさと赤ありすの驚愕の声が重なる。 「ど、どうして!?そんなのひどすぎるよ・・・! まりさたちはなんにもわるいことなんかしてないのに!」 まりさは思う。 ゲスの飼いゆっくりとは誰のことだ? 赤ありすは悪いことなど何もしていない。 自分達家族の誰一人として、断じてゲスなどではない。 だが、現実としてとうとうお家まで壊されてしまった。 ここに来て、例の飼いゆっくりが今まで以上に無法を働いているのだ。 人間さんの力を恐れ、飼いゆっくりには逆らえない。 だが、例外的に人間さんとはぐれてしまった(と思い込んでいる)、 飼いゆっくりの赤ありすならば、せいっさいっをすることができる。 おそらくそういった理屈で、その鬱憤が一家に回ってきたのだろう。 嫌がらせはエスカレートする一方だ。 時間が経てば徐々に落ち着き、 また元の穏やかな生活が戻ると考えていた自分は甘かったらしい。 このままでは、おちびちゃんたちに直接危害を加えてくるのも時間の問題だろう。 ここは最早、自分達一家にとってゆっくりプレイスではないのかもしれない。 「・・・・・。」 赤ありすは思う。 自分はゲスなどではない。 何一つ悪いことなどしていない。 一家のお家を壊される謂れなどない。 これはあまりに理不尽だ。 ・・・・。 だが、理不尽であれどうであれ、自分が原因なのは間違いがない。 自分が飼いゆっくりであるばかりに一家に迷惑が掛かる。 これからも迷惑をかけ続ける。 壊されたお家を見ていると、自分を始め、 まりさや姉妹にまで危険が迫っていることが嫌と言うほど理解させられる。 自分は一家にとって、疫病神なのかもしれない・・・。 その日は、ボロボロのお家の残骸と、近くで拾い集めてきたダンボール片や ビニール片で作り直した仮設のお家で過ごした。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛。しゃ、しゃむいんだじぇ・・・。」 「むっきゅしょん!そうね・・・。それにお腹も空いたわね・・・。」 「ごめんね、おちびちゃんたち・・・。 明日になったら、お家も、ごはんもなんとかするからね。 今日だけはがまんしてね。」 「ゆ!ゆっくりりかいしたのじぇ! まりさはいいこだから、わがままいわないのじぇ!」 「むきゅん!ぱちぇもがまんできるわ! あしたはみんなで、ごはんをさがすのよ!」 「ゆゆーん!おちびちゃんたちは、ほんとにゆっくりしてるね! ・・ゆ!そうだよ!みんな、こっちにあつまろうね! ほら、みんなですーりすーりすればあったかいよ!」 「「ゆゆーん!!」」「・・・・・。」 赤ありすも一家と一塊になってすーりすーりしてみる。 お家はボロボロで隙間風が身にしみる。 冬に備えた備蓄のごはんもほとんどが持っていかれてしまった。 一人でさまよっていたとき以来の空腹が寒さに拍車をかける。 だが、そんなことは大して気にもならない。 今の自分には、とかいはなみゃみゃがいない。飼い主さんもいない。 未だに離れ離れのままだ。 恋しい。 なのに、今日まではとてもゆっくりできていた。 この、とてもゆっくりした一家と一緒だったから。 このゆっくりした一家と一緒だから、寒さも空腹も気にならない。 この一家と自分が、寒くてひもじい思いをするのは自分のせいだ。 飼いゆっくりの自分が一緒のせいだからだ。 なのに、この一家は誰も自分を責めない。 今も、こうして一緒にすーりすーりしている。 寒さも、空腹も気にならない。 気にならないくらい、ゆっくりできない。 寒さより、空腹より、ゆっくりした一家と一緒にいることがゆっくりできなかった。 理由は分からないが、とてもゆっくりできない。 一家と一緒にいることに耐えられないほどに。 赤ありすは、こんなに酷い目に遭っているのに、 自分を責めることさえしない一家と一緒にいることが何より辛かった。 赤ありすは、お家を出ることにした。 そして朝。 一番に目覚めたのは子まりさだった。 「ゆ゛−・・・。ゆっくりしていってね!!!おはゆっくりだじぇ!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「おはようだよ、おちびちゃんたち!」 「むきゅー!おはゆっくりよ!」 「ゆっくりしていってにぇ・・・。」 この一家とも今日でお別れだ。 自分で決めたこととは言え、気分の良い朝とはいかない。 僅かなごはんでの朝むーしゃむーしゃを終えると、 昨日話していた通りお家の材料集めや狩りへ行くことになった。 いつもは、まりさだけでの狩りだが、場合が場合だけに 姉妹もプレイスの中で草花など安全に採れるごはんを採りに行くことになった。 「それじゃ、おちびちゃんたちも、きをつけてね! おひるにはまりさも一度もどってくるからね! おちびちゃんたちもおひるにはお家にもどるんだよ! それじゃ、ゆっくりいってきます!」 「「ゆっくりいってらっしゃい!!」」 姉妹は、まりさを見送ると自分達も出かけることにした。 「むきゅ!それじゃ、いきましょうか! あまりとおくへいくのはきけんだから、 プレイスと川さんのさかいのあたりで狩りをしましょう!」 「ゆ!わかったのじぇ!狩りならまりさにまかせてほしいんだじぇ!」 「ゆっくちがんばろうにぇ・・・。」 プレイスと隣接する川原の辺りは、草花やむしさんが比較的多く採れる狩場だ。 川原へはゆっくりプレイスから直接移動でき、 危険の多い人間さんのプレイスに出る必要がないため、 子ゆっくりが狩りをするにはうってつけの場所だ。 「ゆっくりのひー、まったりのひー!」 「むっきゅん、むっきゅん!むきゅむきゅむっきゅん!」 「・・・・・・・・。」 元気にお歌を歌う姉妹。 元来陽気で忘れっぽいゆっくりである。 加えて、今日は天気もよく過ごしやすい。 ちょっとした冒険気分だ。 そうなった理由は、お家が壊されごはんの備蓄も奪われたため、 子ゆたちにも少しでもごはんを採ってきて欲しいという切実なものなのだが、 赤ありす以外の子ゆっくりたちは楽しそうである。 しばらく移動すると、川原にたどり着いた。 「むきゅん!それじゃさっそく狩りをしましょうか! おひるには一度もどるから、それまでにごはんをあつめるわよ!」 「ゆん!まりさはあっちでむしさんをとってくるのじぇ!」ぴょーん まりさは、一匹で先に行ってしまう。 「むきゅ!?もう、まりさったら! ありすはぱちぇとお花さんでもあつめましょ。」 「ゆゆー・・・。ありちゅ、あっちでひとりでごはんをあちゅめりゅわ。」 「むきゅー・・・。ありすは、まだひとりはきけんよ。 ・・・しかないわね。でもとおくへいったらだめなのよ!」 むきゅ。 もともと危険の少ない場所だし、あまり遠くへ行かなければ大丈夫ね。 思いの外、赤ありすが頑固なのを見て、子ぱちゅりーのほうが折れた。 「ゆん!ありがちょう、ぱちゅりーおねーちゃん!」 赤ありすは、お礼を言うと茂みの中へと入っていく。 そしてそのまま、川の下流へと進んでいく。 このまま、一家ともゆっくりプレイスともお別れだ。 みゃみゃや、飼い主さんを探しに行こう。 みゃみゃや、飼い主さんに会えるかは分からないがここに留まることもできない。 こうして、赤ありすはゆっくりプレイスを出た。 赤ありすが、川沿いに進んでいると、姉妹と仲の良い子ちぇんに出会った。 多分、子ちぇんも狩りにきているのだろう。 子ちぇんは赤ありすよりも大分年長だから、一人でプレイスの外れにも来ているようだ。 「ありすー?一人でおさんぽなんだねー。 でも、ありす一人じゃあぶないから、ちぇんもいっしょにいくよー。」 子ちぇんは、今でも姉妹と遊んでくれるゆっくりとしたゆっくりだ。 きっと今も自分のことを心底心配して同行を申し出てくれたのだろう。 そんな心優しい子ちぇんを拒絶するのは忍びないが、 「ゆん!ありちゅは一人でおさんぽすりゅにょ! ちぇんみたいな、いにゃかもにょとは、いっしょにあるけにゃいわ!」 「にゃー・・・。ありす、ひどいよー・・・。」 尻尾と耳を力なく垂れさせる子ちぇん。 「それじゃ、ありちゅはしつれいすりゅわ!」 子ちぇんを振り切るように、出来るだけ高飛車に振舞う赤ありす。 が、 「ありすは、まだ赤ちゃんだから一人で遠くに行ったらだめなんだよー! わかってねー!」 それでも、赤ありすを心配して追いかけようとする子ちぇん。 「ぷくー!!ちぇんは、ありちゅをほうっておいてにぇ! ありちゅ、ほんきでぷくーすりゅよ!」 「にゃ!?ありすー・・・。わがらにゃいよー・・・。」 それでも心配そうな子ちぇん。 しかし、ぷくーまでされてしまっては結局赤ありすを見送るしかなかった。 お昼近く。 子ぱちゅりーは、そろそろお家に帰るために、 妹たちと合流しなければならないと考えていた。 「むきゅーん。もうじかんね。まりさとありすはどこかしら?」 と、 「ゆっゆゆーん!たいりょうなのじぇ!まりさは狩りの名人なのじぇ!」 子まりさが戻ってきた。 頭の上の小さなお帽子が大きく膨れている。 どうやら、狩りの成果は上々らしい。 「むきゅ!まりさ、狩りはうまくいったようね!」 「ゆん!あたりまえなのじぇ! 狩りのことなら、まりさにまかせてほしいんだじぇ! おねーちゃんとありすにも、ごちそうとってきたんだじぇ!」 「むきゅきゅ!ありがとう、まりさ。ところで、ありすを見なかった?」 「ゆーん?まりさはありすとはあわなかったのじぇ。」 「むきゅー。それじゃ、ありすをよびにいきましょ。あっちにいるはずよ。」 ありすの向かった茂みのほうへと跳ねていく二匹。 すると、がさごそと音を立てて、茂みの中から子ちぇんが出てきた。 「むきゅ!」 「ゆ!」 「にゃ!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 きれいに重なる三重唱。 お決まりの挨拶だ。 これさえあれば、いつでもゆっくり。 効果抜群の魔法のことば。 のはずが、子ちぇんは心なしか元気がないようだ。 「ちぇん、どうかしたのかしら?げんきがないわね。」 「まりさにはなすんだじぇ!そうだんにのるんだじぇ!」 心配する二匹。 「にゃー・・・。ちぇんは、ありすにきらわれちゃったみたいだよー・・・。」 子ちぇんは、赤ありすとの一部始終を姉妹に話した。 「むきゅー・・・。ありすが、そんなことを・・・?」 「ゆ!それより、そんなに遠くへいったらあぶないのじぇ! はやく探しにいくのじぇ!」 「ごめんねだよー。ちぇんがもっとちゃんと、とめてればよかったよー・・・。」 「ちぇんはわるくないんだじぇ!でも、ありすのこともゆるしてほしいのじぇ。 きっとなにか、りゆうがあったんだじぇ。」 「むきゅむきゅ。そうね、ありすはそんな、ゆっくりできないこじゃないわ。」 「いいんだよー、ちぇんはきにしてないんだよー。 それより、ありすをさがしにいくんだねー! ちぇんもいっしょにいくんだよー!」 「ゆ!いくのじぇ!」 「まって、ふたりとも!いくらありすでも、もうとおくへいってしまったわ! まずは、お家にかえっておとーさまにほうこくよ!」 「ゆ!?ゆゆぅぅ・・。しかたないのじぇ。 おとーしゃんなら、なんとかしてくれるのじぇ!」 「ぱちゅりーたちのおとーさんはとってもたよりになるんだねー!わかるよー!」 そうと決まれば、善は急げだ。 子ちぇんと別れ、姉妹はお家に大急ぎで戻ってきた。 お家には既に、まりさが帰っていた。 「ゆはー、ゆげー・・・。おとうさ・ごほっごほっ!!むぎゅんむぎょん!!」 「おちびちゃん、だいじょうぶ!そんなにあわてなくてもいいんだよ! まりさは、どこにもいったりしないよ!」 「ちがうのぜ!ありすが、ゆくえふめいなのじぇ! プレイスからでていったらしいんだじぇ!」 「ゆふー・・・。そうよ!ちぇんがありすをみたそうだけど、ようすがへんなの!」 子ぱちゅりーは、子ちぇんから聞いた話をまりさにも聞かせた。 「ゆゆゆ!?ありすが!?そんな・・・。」 まりさは、幾つかの可能性を考えた。 餡子脳にしては良く考えたほうだ。 一つは赤ありすが、家出してしまったこと。 これまでの、一家の苦労の原因と言えば、やはり赤ありすだった。 一家は誰も気にしていないが、優しい赤ありすにはそれも苦痛だったのかもしれない。 二つ目は、一人で狩りをしていて危険な虫さんに襲われたり、 川さんに流されてしまったということ。 比較的安全なプレイスとその周辺ではあるが、赤ゆっくりには危険も多い。 今回は、非常事態ということでおちびちゃんたちだけで行かせてしまったが、 自分も少し甘かったかもしれない。 三つ目は、飼いゆっくりを恨む一団に襲われたということ。 これまで、最初の襲撃以来おとなしかった為油断していたが、 いつ再び赤ありすに対して直接危害を加えようとするか分かったものではない。 まさか、ゆっくり気のないプレイスの外れで、赤ありすを・・。 いけない! すぐに赤ありすを探しに行かなくては! それに、危険といえばこうなった以上、他の姉妹から目を離すことも危険にすぎる。 全員で一緒に行動するべきだ。 「ゆ!みんなでありすをさがしにいくよ! おちびちゃんたちは、まりさのお帽子にのってね!」 「むきゅ!ありがとう、おとうさま!」 「ゆん!まりさもおとーさしゃんのお帽子さんにゆっくりのるのじぇ!」 よーじよーじ 「ゆ!二人とものったね!それじゃ、ゆっくりありすをさがしにいくよ!」 「「ゆっくりー!!」」 赤ありす捜索の決意もゆっくりと、一家が気炎を上げているその頃。 一方では、奴がプレイスに近づいていた。 「ゆふふふ!今日もゲス野良をせいっさいっだよ! 人間さんのためにもゲス野良くじょは飼いゆっくりのぎむだよ! ノブレス・オブリージュだよ! べ、べつにすきでやってるわけじゃないんだよ!!」 今日もゲス野良の住処で、ゲス野良駆除をするよ! ゆっゆっゆっゆ!今日の第一汚物消毒はどの汚まんじゅうがいいかな? きょろきょろと今日の獲物を物色する飼いゆっくり。 早くも、飼いゆっくりの存在に気づいた野良ゆっくりたちが、 あるものは大慌てで逃げ出し、 あるものは自分に注意が向かないよう体を縮めてやり過ごそうとする。 そんななか、一匹の野良ゆっくりに目が留まった。 「むきゅ!ゆ風邪ね!大丈夫よ。良く効くおくすりがあるわ!ちょっとまっててね!」 てきぱきと患ゆを診察する、あのおいしゃさまのぱちゅりーだ。 まだ、飼いゆっくりが現れたことに気づいていない。 ゆ!今日はあの紫もやしに決定だよ!ゆゆゆーん!! ぱちゅりーに向かって跳ねていく飼いゆっくり。 そしてそのまま 「ゲス野良はゆっくりしね!!」どすん 「むぎゅ!」ごろごろ 若干ぱちゅりーより大きな体で、勢い良くぶつかっていく。 「むぎゅぅぅぅぅ・・・。」 背後からの不意打ちに、大ダメージのぱちゅりー。 しかも、ぱちゅりーと言えば体の弱さでは定評がある。 このぱちゅりーも例外ではなく、一撃でほぼ行動不能だ。 「ゲス野良はゆっくりしね!おぶつはしょうどくだよ!ゆっはーー!」 ぼよんぼよん 「むぎょ!むげぇぇぇ!!や、やめ・・・。 ぱちぇ、むぎゅぅぅぅ!!!し・・・、しんじゃはぁふぅ!」 飼いゆっくりは、ころころと転がってそのまま起き上がれないぱちゅりーの上に 飛び乗ると、その上で全力で跳ねだした。 そのまま、何度も何度もぱちゅりーの上で飛び跳ねた。 「むぎゅぎゅ・・・。おねがいですぅぅぅ・・・。ぎゃふっ!! ぱ・・、ぱちぇはゲスなんかじゃありませんんんん。んぐぅっ!! みんなのけがやびょうきをなおす、いじゃなんでずぅぅぅぅ・・・。」 ぱちゅりーも、周りのゆっくりも手を出せない。 相手は飼いゆっくり。 背後には、恐ろしく強大な人間さんがついているのだ。 下手に手を出せば、自分のみならず、 このゆっくりプレイスのゆっくり全てが永遠にゆっくりさせられてしまう。 見ているしかない。 「ゆゆーん?おいしゃさまー!?ゲス野良が、かたはらいたいよ! だいたいゲスの野良を治すなんて、あくぎゃくひどうここにきわまれりだよ! くろっ!まっくろくろだよ!はんけつっ!しけいっだよっ!」 「そ、そんな・・・。ぱちぇは、「ぐちゃ」むぎょぎょぎょぎょ!!!」 えれえれえれえれ、びくんびくんびくん 言葉の途中で、飼いゆっくりに踏みつけられるぱちゅりー。 とうとう吐クリームと痙攣を同時に起こしてしまう。 「ゆっふー!!!いいしごとしたよ!!」 凄くいい笑顔の飼いゆっくり。 「ぱちゅりぃぃぃぃぃーーーー!!!ゆっくりよ!ゆっくりしてね!!!」 すると、瀕死のぱちゅりーの元へ駆け寄る一匹のゆっくり。 面倒見が良いと評判の、とかいはありすおねーさんだ。 ぱちゅりーとは同世代で、特に仲が良い。 コミュニティでも人気者のおねーさんだ。 「ゆゆ!?またゲス野良が寄ってきたよ?せいっさいっされたいんだね!!」 ゆふふふふ、と上機嫌の飼いゆっくり。 とかいはありすおねーさんは、この言葉にきっとなって振り返ると、 「だまりなさい!このいなかもの!こんなことをして恥ずかしくないの!! そのお飾りの銀ばっじと飼い主の人間さんにもうしわけないと思わないの!?」 「ゆゆゆゆゆ!?なにいってるの!うるさいよ! ゆっくりできない野良れいぱーはせいっさいっしてあげるよ!!」ぼよーん 「こんの・・・かっぺがぁぁぁぁぁーーーー!!!」ずどん 「ゆ!?ゆべぇぇぇ・・・!」ごろんごろん 体当たりをする飼いゆっくり。 それを迎撃する、とかいはありすおねーさん。 ありすおねーさん渾身のかっぺごろし(体当たり)で吹っ飛ぶ飼いゆっくり。 「ゆべべべべ・・・。な、なんでぇぇぇ・・・!?」 「なんでじゃないわよ! 今まであなたがみんなにしてきたことを思い出しなさい! もっと酷いことをいっぱいしてきたでしょう!」 「ゆー?なにいってるの!? 飼いゆっくりとゲス野良とじゃいのちの価値がちがうでしょぉぉぉーーー!! ばかなこといわないでね!!」 「いのちの価値がちがうですって!?そうね! あなたみたいなゲスと、 ゆっくりとしたぱちゅりーのいのちの価値は比べ物にならないわね!」 「ゆぎぎぎぎ!!!ちんこシューがうるさいよ!ばかにしないでね!!!」 「もんくがあるならかかってきなさい!!いくらでもあいてになるわよ!」ずいっ 「ゆ!?」ずざっ 「もうおわりなの?口ほどにもないわね! これにこりたら二度とプレイスにはちかづか・・・。」 「・・・フヒっ。フヒヒヒヒ!この銀ばっじがめにはいらないの!? ばかなの?しぬの?」 「銀ばっじがどうしたっていうの!? いまさら飼いゆっくりだからってゆるさないわよ!」 「ゆへへへへ!いいの!? 飼いゆっくりに逆らうと人間さんがただじゃすまさないよ! ありすだけじゃないよ! ここのゲス野良ぜんぶがえいえんにゆっくりしちゃうよ!」 「ゆ!?」 「ばかなありすはまわりをよくみてね!」 飼いゆっくりに言われ、辺りを見回す、ありすおねーさん。 「ありずぅぅぅ・・・・。」 「ありす・・・。」 「だめだよぉぉぉぉ・・・。人間さんにみんなころされちゃうよぉぉぉ・・・。」 「れいむとおちびちゃんをまきこまないでね!」 「むきゅ・・・。ありす・・・。」 「ありすのきもち、わかるよー・・・。 でも飼いゆっくりに逆らったらだめなんだよー・・・。わかってねー・・・。」 「ありす・・・。だめなんだぜ・・・!」 みんなの顔、顔、顔。 どれも今にも泣き出しそうな顔ばかりだ。 恐怖、悲しみ、怒り、屈辱。 どれもゆっくりしていない。 そのゆっくしていない顔が、ありすおねーさんに現実を突きつける。 「ゆ!そこのちんこシュー!」 「ありすは、ちんこシューなんかじゃ・・・」 「ちんこシューは飼いゆっくりに逆らうの?」 「ゆ・・・。ゆん・・・、ありすはちんこシューです・・・。」 「ちんこシュー!ぺにぺにをだすんだよ!ゆっくりしないでね!」 「そんな・・・!わがりまじだ・・・。これがありずのぺにぺにです・・・。」 天を衝くかのような立派な如意棒が、エレクチオン。 あまりの恥辱にありすは、涙をこらえるのに精一杯だ。 「そのままじっとしてるんだよ! うごいたら群れごとえいえんにゆっくりだよ!」 そう念を押すと、飼いゆっくりはありすに近づいたかと思うと、大口を開け、 「がぶりっ」 「ゆぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!?」 「むーしゃむーしゃ、ぺっ!」 ありすのぺにぺにを噛み千切り、咀嚼したかと思うと吐き出した。 吐き出され地面に落ちた如意棒は、ぐずぐずに崩れ、原型を留めていない。 「ぴぴぴぴぃぃぃぃぃ!!あ、ありずのとかいはぺにぺにが・・・!」 半狂乱のありすおねーさん。 「うごかないでね!」 「ゆぐぐぐぐぐぐ・・・!」 それでも、飼いゆっくりの言葉に反応して動きを止める。 「ゆっふっふっふ・・・。それじゃ、はじめるよ・・・。」 嫌らしい薄笑いで、再び飼いゆっくりが近づいてくる・・・・・・。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 楽しそうに飛び跳ね続ける飼いゆっくり。 飼いゆっくりの跳ねる音は最初は乾いていたが、今は水っぽい音がしている。 半ば体を潰されたありすが、自分自身のカスタードに塗れているせいだ。 そしてありすはとうとう痙攣しだす。 あらから、ありすおねーさんは散々に甚振られた。 特に噛み切られたぺにぺにの周辺は徹底的に痛めつけられた。 途中からは流石のとかいはも、狂ったように奇声を発し、 無様にのた打ち回るだけであった。 その姿は、普段のとかいはぶりを知るプレイスのゆっくりたちに大きな衝撃を与えた。 しかし、それも終わろうとしている。 (大変だよ!このままじゃ、ありすがゆっくりできくなっちゃうよ!) (だめだよ!飼いゆっくりに逆らったら、人間さんにゆっくりできなくされるのぜ!) (誰かケガを治せるゆっくりはいないの?) (むぎゅううぅぅぅ・・・。えれえれえれえれぇぇぇ・・・・・。) (たいへんだよー!ぱちゅりーもケガが酷いんだよー!) (どしよう・・・。ぱちゅりーしかおくすりは使えないよ! これじゃケガをゆっくりなおせないよ!) (おかーしゃーん!れいみゅきょわいよー!) (見ちゃだめだよ!おちびちゃんは、おかあさんの後ろにゆっくり隠れてね!) (ゆぅぅぅ・・・。ゆぅぅぅぅ・・・。はやく、はやくおわってね・・・。) (こんなの・・・。こんなの、とかいはじゃないわ!) 野良ゆたちが傍観しているしかない間に、 飼いゆっくりのせいっさいっが終わったらしい。 「ゆっふーー!こんなもんだね!今日のところはこれぐらいで許してあげるよ! かわいいあんよが、汚まんじゅうのせいで汚れちゃったよ! 早く帰ってお兄さんにきれいきれいしてらおうね!」 ぴょーんぴょーん ゆっくりプレイスから立ち去る飼いゆっくり。 「いったのぜ!はやくありすとぱちゅりーをたすけるのぜ!」 飼いゆっくりの姿が見えなくなるのを待って、飛び出す野良ゆたち。 「ありすー、だいじょうぶなのー!?」 「ありす!ゆっくりなのぜ!」 口々にありすを励ます。 しかし・・・・、 「と、とかいは・・・・。もっど・・・ゆっぐりしたかった・・・わ・・・。」 「わぎゃらないよーーーー!!!!?」 「ありずーーー!!!しっかりするのぜーー!!」 「なんで、ぱちゅがこんなめに・・・、なんにぼ・・・悪いごど・・・・むぎゅう・・。」 「ぱちゅでぃぃぃーーーー!ぱちゅでぃーがゆっぐりしぢゃっだーーーー!!!?」 「ぱちゅぅぅーーー、めをあけてーー!!こんなのとかいはじゃないわーーー!!」 以前から渦巻いていた飼いゆっくりへの怒りと憎しみ。 聡明でコミュニティの相談役でもあったおいしゃさまのぱちゅりーと、 世話好きで誰からも好かれたとかいはありすおねーさん。 この二匹が殺されたことで、それは頂点に達した。 もしかすると、頭の弱いゆっくりのこと。 たとえ人間さんの恐怖があっても、その場の勢いで飼いゆっくりに せいっさいっするということも有り得たかもしれない。 しかし、コミュニティにはしばらく前から暗黙の了解が成立していた。 飼いゆっくりへの怒りは、人間さんとはぐれた、ちびのゲス飼いゆっくりと それを匿う一家にぶつけること。 そうすることで、安全にガス抜きをしようというのだ。 今回も矛先は一家に向かう。 しかし、その怒りはこれまでの比ではない。 「ゆぎぎぎぎぎぎ!もうゆるせないんだぜ! 飼いゆっくりとそのかぞくをせいっさいっするんだぜ!」 「そうだみょん!ゆっくりプレイスのちあんのためにもほうっておけないみょん!」 「れいむ、もうゆるさないよ!ゲスのちんこシューをえいえんにゆっくりさせるよ!」 「これも飼いゆっくりがわるいんだよー!わかってねー!」 「むきゅ!こうへいにみてじょうじょうしゃくりょうの余地はないわね!」 「「「せいっさいっだよ!!!!」」」 ゆっくりたちは大挙して一家のお家へと向かっていく。 「にゃにゃ!?たたたた、たいへんだよー!!はやくしらせないとだめなんだよー!」 そして、子ちぇんは一家の元へと走る。 赤ありすはあれから当てもなくさまよっていた。 ただ、川原を川沿いに下っていた。 理由は特にない。 行く当てもないのだから、川沿いに移動しているだけだ。 川原を外れれば道路に出る。 あちら側は、ゆっくりの地獄が待ち受けている。 そのことは、赤ありすは身にしみて理解していた。 まだ、半日も移動していないし、子ゆ赤ゆからすれば別だが、 成体ならばゆっくりからすればそう大した距離を移動したわけではない。 しかし、赤ありすは赤ゆっくり。 やっとこれから子ゆっくりになろうかという時期だ。 半日近い移動で、あんよはすっかり痛んでしまった。 豊富な草花のおかげで、なんとか飢えを凌いではいるが、 狩りの名人であるまりさの採ってくるごはんとは比べ物にならない。 傍には誰もいない。 みゃみゃも飼い主さんも、おとーしゃんも姉妹も誰もいない。 独りで知らない道を進む。 赤ありすは赤ゆっくりだ。 赤ゆっくりにしては、今までずっと良く耐えてきた。 「ありちゅは、とかいは飼いゆっくりなにょよ! にゃんでだれもむかえにきてくれにゃいにょ? みゃみゃも、飼い主さんもありちゅのこときらいにゃにょ!? ありちゅのこちょ、いらないにょ!?」 「ありちゅ、なんにもわるいことしてないにょに・・・。 飼いゆっくりだからって、いじめるなんちぇひどいわ!」 「こんにゃのとかいはじゃにゃいわ!ありちゅ、もうお家かえりゅ! ありちゅ、おうちにかえりちゃいぃーー!!」 「ゆんやー!ゆんやーーー!!!ゆびーー!!ゆわーん!ゆええーん!!」 これまで我慢してきた不安や不満。 みゃみゃや飼い主さんを疑うなんちぇ、とかいはじゃないわ! お世話になっちぇるまりさおとーしゃんや、 おねーちゃんたちに我が侭言うなんちぇ、いなかもにょのすることよ! 自分にそう言い聞かせて押し殺してきた思いが爆発する。 一度言葉にしてしまえば、感情も抑えきれない。 なぜ、みゃみゃたちは自分を迎えに来てはくれないのか。 そもそも、みゃみゃと一緒にとかいはハウスで眠っていたはずが、 気がつけば見知らぬ場所に放り出されていた。 今まで、考えないようにしてきた。 しかし。 やはり、自分は捨てられてしまったのだろうか。 他に理由が思いつかない。 だとしたら自分は飼いゆっくりなどではない、ただの野良ゆっくりなのだろうか。 自分が野良ゆっくりならば、飼いゆっくりだからと自分が虐められることも、 一家に迷惑をかけることもなかったのではないか。 泣き叫びながら、お家に帰る宣言をした。 だがその「お家」がみゃみゃの待つお家か、一家の待つお家か自分でもわからない。 自分はどの「お家」に帰るというのだろう。 わからない。 わからない。 何一つわからない。 そして、どちらの「お家」にも帰れるわけもなく、赤ありすはさまよい続ける。 「おちびちゃーーん!!どこなのーーーー!!へんじをしてねーーー!?」 「ありすーー!でてらっしゃーーい!むきゅむきゅ。」 「ありすーー!!おこらないからでてくるのじぇーー!!」 まりさが、お帽子の上に子ゆたちを乗せて大急ぎで跳ねている。 一家は子ちぇんに聞いたとおり、ゆっくりプレイスと川原の境の辺りから、 赤ありすが向かったという方向へと進んでいる。 幸い川沿いに進んでいるだけであるし、赤ありすのペースなど高が知れている。 まりさなら子ゆ二匹を乗せていて猶、追いつくのにさほどの時間はかからないだろう。 だが、まだ幼い赤ゆっくりだ。 見知らぬ土地では何があるか知れたものではない。 急がねば。 どんどん進む。 そうして、跳ね続けていると、 ゆえぇぇぇーーーーん!!! 微かにだが、遠くからゆっくりの泣き声が聞こえてきた。 ・・・おちびちゃん!? 「ゆ・・・・。」 赤ありすの進むペースはどんどん落ちていった。 あんよはそろそろ限界だ。 ゆぅ・・・。ありちゅのあんよがいちゃいいちゃいだよ・・・。 やはり、その辺に生えている草花では赤ありすの口には合わない。 ゆぅぅ・・・。おとーしゃんのごちそうがたべちゃいわ・・・。 赤ゆっくりはそもそも庇護者の存在もなく、一匹で行動できるようにはできていない。 ありちゅ、さびしいにょ・・・。おねーちゃん・・・。 「ゆん、ゆぅぅ、ゆっぐ、ゆびぇぇぇぇぇん!!」 とうとう一歩も進めなくなった赤ありす。 なんで、こんなことになったのだろう。 うずくまったまま、一人泣き続ける。 「おちびちゃんーーーーん!!」 「ありすーー!!きこえるーーー!!」 「ありすーーー!!おへんじするんだじぇーーー!!」 ゆゆゆゆ!? 一家の声が聞こえる。 まりさに、子ぱちゅりーに、子まりさ。 三人とも揃っているようだ。 「おとーしゃーん!ぱちぇおねーちゃーん!まりしゃおねーちゃーん! ありちゅ、ここよーーー!!!」 我を忘れて必死に家族に呼びかける赤ありす。 そして、背の高い草むらを掻き分けてまりさが現れる。 勿論、お帽子の上には子ぱちゅりーと子まりさが一緒だ。 「おちびちゃん!ぶじだったんだね!しんぱいしたよ!」 「むきゅうぅぅ!だめじゃない、かってに遠くへいったりしちゃ! おねーちゃんしんぱいしたのよ!」 「とおくへ行くときはおねーちゃんたちにいわなきゃだめなのじぇ! つぎやったらぷくーするのじぇ!」 「ゆんやー!ごめんにゃしゃーーい!ゆっぐ、ゆっぐ・・・!」 「いいんだよ!もう、なかなくてもいいんだよ! あやまったりしなくてもいいんだよ!」 泣きじゃくる赤ありすの元にたどり着き、そっと頬を寄せるまりさ。 「むきゅー。ありすったら・・・。しんぱいしたのよ・・・。」 「もう、みんなにしんぱいかけたらだめなんだじぇ。」 姉妹もお帽子から降りて、赤ありすの元へとやってくる。 しばし、一家でゆっくりを噛み締める。 「ゆん・・・。おちびちゃん、どうしてこんなところまできちゃったの? おとーさんにゆっくりおしえてね!」 「ゆ・・・。ありちゅ・・・・・・。」 言いかけて、途中で黙り込む赤ありす。 「おとーさん、おこったりしないよ。 だからしょうじきにはなしてくれていいんだよ。」 急かしたりせず、ゆっくりと先を促すまりさ。 その甲斐あってか、途切れ途切れだが赤ありすが再び口を開く。 「ゆん・・・。ありちゅ、ありちゅが飼いゆっくりだから、おとーしゃんや おねーちゃんたちにめいわくをかけちゃうわ・・・。 ありちゅがいにゃければ・・・。 ありちゅがいにゃければ、 みんにゃゆっくりでしあわせーできるとおもったにょ・・・。」 「むきゅ・・・。」 「ゆ・・・。」 俯いて再び黙り込んでしまう赤ありす。 事態は悪化する一方で、赤ありすの悩みにも姉妹も何と言ってよいか分からない。 すると、 「ゆんゆん!よかったよ!」 「むきゅ!?」 「のじぇ!?」 「ゆ!?」 意外なまりさの言葉に驚く姉妹。 疑問を口にする。 「むきゅむきゅ!?どういうこと?なにがよかったの、おとーさま?」 「ゆー?わからないのじぇ?ぜんぜんよくないのじぇ?」 「ゆー・・・。やっぱち、ありちゅはでていったほうがいいにょにぇ・・・。」 赤ありすは、一層落ち込んでしまった。 まりさは、明るく先を続ける。 「ゆん!まりさはね、ありすがおと−さんたちのことがきらいになって でていっちゃたのかとおもってしんぱいしたよ! でも、そんなことがなくてよかったよ! それに、ありすはとってもやさしいね! だから、おとーさんはあんしんして、とってもゆっくりできたんだよ!」 いくら、信頼する父まりさの言葉とは言えあまりに気楽に過ぎないだろうか。 姉妹たちも流石に納得できない。 「むきゅ!?たしかにそれはよかったけど、お家もこわされちゃったし、 このままじゃずっとゆっくりできないわ・・・。どうにかしないと・・・。」 「そうなんだじぇ・・・。ありすはゆっくりできるいもーとだけど、 おうちをこわされたりするのはゆっくりできないんだじぇ・・・。」 「ゆぅ・・・。」 まりさは自信に満ちた態度で答える。 「だいじょうぶだよ!まりさはかんがえたよ。 もう、ゆっくりプレイスはゆっくりできないよ。 だから、あたらしいゆっくりプレイスをさがしにいくよ! まりさが、あたらしいお家をさがすから、みんなでゆっくりひっこそうね!」 「むっきゅり・・・!!」 「すごいんだじぇ・・・!!」 「と、とかいはーーー!!」 まさか、そんな大胆な秘策があったとは。 子ゆっくりたちは尊敬の目でまりさを見ている。 偉大な父を改めて見直した、といったところだろうか。 なんてとかいはなのだろうか。 もう二度と戻らない、顔を合わせることもないと思っていた家族が、 自分を探しにきてくれた。 それも、新しいゆっくりプレイスを探しておひっこしするそうだ。 確かにそれならば自分がお家を出る必要はない。 一家とお別れする必要もない。 「ゆゆーん!おとーしゃん、すーりすーり! おとーしゃんはとってもとかいはにぇ!」 思わず、まりさにすーりすーりしてしまう。 「ゆゆ!ありす、ずるいのじぇ!まりさも!すーりすーりだじぇ!」 「むっきゅー!もう、みんなこどもなんだから! むっきゅん!いいわ。ぱちゅもすーりすーりよ!」 「ゆゆ!おちびちゃんたち、くすぐったいよ! みんな、あまえんぼうだね!」 一家はすっかり、スーパーすりすりタイムに突入だ。 そうして、一家全員ですーりすーりしていると、 ぐぅぅぅぅぅ・・・・。 「ゆ!ゆゆゆゆゆ!?」 赤ありすのお腹の音が鳴り響いた。 「ゆふふふふ!ありすはおなかがすいたんだね!」 「むきゅきゅきゅきゅ!もう、ありすったら!」 「まりさもおなかすいたんだじぇ!」 口々に言い立てる。 「ゆ~!はずかちいわ・・・。」 真っ赤になる赤ありす。 まりさは、しばらくそんな姉妹の様子を幸せそうに見つめていた。 「ゆ!それじゃみんなでむーしゃむーしゃしようね! おとーさんのとってきたごはんがあるよ!」 「まりさもなんだじぇ! ごはんさん、おぼうしのなかにはいってるんだじぇ!」 「むきゅ!さすがね!」 「ゆーん!おとーしゃんもおねーちゃんも、とっちぇもとかいはにぇ!」 まりさと、子まりさがお帽子のなかに入れてあったごはんを取り出す。 まりさは勿論、子まりさも子ゆっくりにしてはなかなかの狩りの名人ぶりだ。 「たまにはおそとでむーしゃむーしゃもゆっくりしてるね!」 「すてきなぴくにっくね!」 「ありす!まりさのとったいもむしさんたべるんだじぇ! とってもおいしいのじぇ!」 「ゆゆーん!ありがちょう、おねーちゃん! いもむしさん、とっちぇもとかいはよ!」 思いがけず素敵なお昼のむーしゃむーしゃに、 一家はとってもゆっくりーで、しあわせーだ。 一家がそうして、ゆんゆんしていると遠くから、がさがさと、 草むらを掻き分けて近づいてくる気配がする。 方角からしてゆっくりプレイスの方から近づいてきている。 ずいぶんと急いでいるようだ。 ゆっくりだろうか。 いよいよ、気配が近づいてくる。 もうすぐ、自分達の居るところにたどり着く。 一家が軽く緊張して身構える。 すると、 「「「「ちぇん!?」」」」 姉妹と仲の良い子ちぇんが姿をあらわした。 余程急いできたのだろう 息も切れ切れ、草で切ったのだろうか体中に傷がついている。 「むきゅ!?ちぇんどうしたの?なにかあったの?」 子ぱちゅりーが問いかける。 「ゆはー、ゆひゅー、ぜーはー、・・・。た、たいへんなんだびょー・・・!」 荒い息のまま、やっとそれだけ搾り出すように言葉にする。 「ゆゆ!?たいへん?なにがたいへんなのじぇ?」 「ゆーはー、ゆーはー・・・。 まりさたちとわかれたあとで、 あのゆっくりしてない飼いゆっくりがプレイスにきたんだよー・・・・。」 子ちぇんは、ゆっくりプレイスを襲った悲劇の一部始終を一家に聞かせた。 「ゆゆゆゆゆ!?ぱちゅりーが!?そんな!なにかのまちがいじゃないの!?」 「にゃー・・・。ほんとなんだよー・・・。 おいしゃさまのぱちゅりーおねーさんは永遠にゆっくりしちゃったんだよー・・・。」 「むきゅ・・・。あのとかいはありすおねーさんが・・・。しんじられないわ・・・。」 「そうなんだじぇ!ありすおねーさんはとかいはでとってもつよいんだぜ!」 「飼いゆっくりには人間さんがついてるんだよー・・・。 ゆっくりプレイスのみんなをゆん質にとられて・・・。」 「むきゅう・・・。」 「そんなのないんだじぇ・・・!」 一家の受けた衝撃は計り知れない。 おいしゃさまのぱちゅりーは、一家がプレイスのゆっくりたちから 迫害されるようになった後も、変わらずゆっくりと接してくれた数少ないゆっくりだ。 迫害が酷くなる一方でも、どうにか無事過ごせていたのも、 プレイスのゆっくりに大きな影響力をもっていたぱちゅりーの存在あってのことだ。 それに赤ありすの命の恩ゆっくりでもある。 その赤ありすに至っては将来ぱちゅりーのような、じょいになる、とまで慕っていた。 ありすおねーさんは世話好きなとかいはで、姉妹に頻繁に声をかけてくれた。 ありすおねーさんもまた、最後まで一家への態度を変えなかったゆっくりだった。 プレイスでも評判の美ゆっくりで、みんなの人気者だった。 そんな二人がもういない!? だが、子ちぇんの話はまだ終わってはいない。 「にゃー!飼いゆっくりが二人を永遠にゆっくりさせて、 みんながおこっちゃったんだよー! ありすたちをせいっさいっするって、みんなのお家にむかってったんだよー!」 「ゆ!?まりさたち、なんにもわるいことしてないんだじぇ!?おかしんだじぇ!」 「ちぇんもそうおもうよー・・・。だけど・・・。」 驚きつつも納得がいかない子まりさ。 子ちぇんは俯いたままなにも言わない。 「むきゅ・・・。まりさ・・・。」 子ぱちゅりーも慰めの言葉もない。 「・・・・・。」 赤ありすは改めて衝撃を受けていた。 自分とプレイスを襲う飼いゆっくりは違う。 何の関係もない。 ゆっくりプレイスから引っ越すことが決まった今となっては何も悩むこともない。 さっきまではそう思っていた。 割り切ったはずだった。 だが、自分が飼いゆっくりだったという過去が付き纏って来る。 一家に迷惑をかけ続けることになる。 やはり、自分は一家といるべきではないのかもしれない・・・。 「ゆ!だいじょうぶだよ!いますぐひっこしだよ! おちびちゃんたちは、なにもしんぱいしなくていいんだよ! まりさがおちびちゃんたちをまもるからね!」 暗く澱んだ場所に落ちていこうとする思考を、力強い言葉がゆっくりと吹き飛ばす。 「ゆぅぅぅ!ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちーー!!」 あまりの感動に言葉にならない。 ただ、ゆっくりを連呼するばかりだ。 姉妹も同様だ。 「にゃにゃ!?おひっこし!?みんなどこかにいっちゃうのー!?」 ただ一人、子ちぇんだけが驚きの声をあげる。 「ゆん!そうだよ! まりさはおちびちゃんたちと一緒に、別のゆっくりプレイスをさがすよ!」 「にゃーー!?それじゃ、みんなとはもうあえないのー?」 子ちぇんが泣きそうな顔で姉妹に問いかける。 姉妹もその言葉で、はっとなる。 お引越ししたら、もうちぇんと会えないの・・・。 「むきゅう・・・。」 「だじぇ!?だじぇ!?」 子ぱちゅりーは既に事態を理解しているらしく、何も言わない。 子まりさは、混乱して答えを求め、きょろきょろしている。 まりさが静かに、申し訳なさそうに答える。 「ゆ・・・。プレイスはきけんだよ。 もうプレイスにはもどれないんだよ・・・。」 「ゆゆゆゆ!?ちぇんにあえないんだじぇ!?」 「そんなのいやだよー!わからないよー!!」 やっと事態を飲み込む子まりさ。 子ちぇんも姉妹と会えなくなるのは嫌だと、目に涙を溜めている。 「まりさたちは、もうゆっくりプレイスじゃ暮らせないよ・・・。 それに、まりさたちといたら、ちぇんまであぶないかもしれないよ・・・。 ゆっくりりかいしてね・・・。」 「にゃー・・・。わがらないよー・・・。」 「むきゅ・・・。ざんねんだけど、ぱちぇたちはもういかなきゃ・・・。 ゆっくりさよならよ・・・。でも、ちぇんのことはぜったいにわすれないわ。」 「・・・わがらにゃいよー・・・。」 「ゆっぐ、ぐすん!まりさもなんだじぇ! あえなくなるのはゆっくりできないけど、 ぜったいちぇんのことわすれないのじぇ!」 「わがらにゃいよー!わがらにゃいぃぃーーー!!」 ちぇんは突然のお別れにわからない、わからないと泣き叫ぶばかりだ。 再びまりさが口を開く。 「ちぇん・・・。プレイスのみんなはまりさたちのお家にいったんだよね? いまごろみんな、まりさたちをさがしているよ。 きっとすぐにここにもきちゃうよ・・・。 だから、もういかなきゃだよ。 ちぇん、今までおちびちゃんたちとなかよくしてくれてゆっくりありがとうだよ!」 「にゃー・・・。わがらにゃいぃぃ・・・。」 子ちぇんはそれでも、わからない、わからないと繰り返すだけだ。 「おちびちゃんたちは、お帽子に乗ってね。」 まりさが、姉妹にお帽子に乗るように促し、姉妹もそれに従う。 ありすは、ずっと無言だった。 子ちぇんが、姉妹との別れを受け入れられず、泣き続けている間何も言わなかった。 ゆぅ・・・。ありちゅ、ちぇんにひどいこといっちゃったよ・・・。 いにゃかもの! ぷくー! ちぇん、おこっちぇるよね・・・。 「ゆびぇぇぇぇぇぇん!!わがらにゃいびょぉぉ!わがらにゃいいいーー!!」 「わがらにゃいーー!!」 「わがらにゃいよーー!!」 遠ざかっていく子ちぇんの姿。 姉妹との別れを悲しみ、わからないと連呼する泣き声。 優しく面倒見の良い子ちぇんとも、もう別れ。 二度と会えないのだろう。 「ゆっくちーーーー!!!ちぇーーん!!ゆっくちちていってにぇーーーー!」 気づくと赤ありすはお帽子から身を乗り出し、叫んでいた。 そうだ。 悩んでいる場合などではない。 これで、お別れ。 またね、じゃないんだ。 言わなければ。 「ちぇぇぇぇん!!ゆっくちごめんにゃさーーーい!! ちぇんは、とっちぇもとかいはよーーーーーー!!!!」 「ありずーーー!?ありずーーーーー!!!ゆっくりしていってねーーーー!!!」 子ちぇんも、赤ありすに気づいてくれた。 今までのお礼も、今日のことへの謝罪も、まだまだ言葉を尽くしていない。 その暇もない。 ただ、あふれ出る想いをゆっくりしていってねと、とかいはの二言に託す。 子ちぇんは、まだお顔は涙でぐしょぐしょだが、 精一杯ゆっくりしていってねを返してくれた。 「ちぇぇぇぇぇん! ありちゅも、ちぇんのこちょ、ぜったい、わすれにゃいわーーーー!!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーーん!!ちぇんもわずれないよーーーーー!!!」 遠ざかる一家。 一人残される子ちぇん。 「わすれないんだよー・・・。わかってねー・・・。」 一家は逃走する。 ルートは川原の草むらを、川沿いに下る。 このルートは他のゆっくりたちに察知されやすいかもしれないが、 他のルートは別の意味で危険すぎる。 人間さんだ。 川原の草むらを外れれば、すぐに道路に出る。 住宅地のど真ん中だ。 まりさと赤ありすが出会ったときのように、 別段人間さんの側にゆっくりに対する害意がなくとも、 人間さんはその存在だけで非常に危険なのだ。 まりさはそれなりに優秀で勝手を知ったゆっくりだが、 それでも危険なことに変わりはない。 まして、普段まりさがごちそうを探しに出向く早朝などの時間帯ではなく、 日中に子ゆっくり連れでは無謀すぎる。 ただ、人間さんのプレイスに入り込むルートを取れば、追手のゆっくりたちが 諦めるという可能性もある。 いざという時には、選択肢として考えるべきかもしれない。 だが、今は急いでプレイスから離れることだ。 早々に追手を引き離してしまえば、どのコースを選ぶかなど問題にならない。 「ゆ!まりさ、ゆっくりしないでいそぐよ!」 ゆっくりしない。 それは、ゆっくりにとって身を削られるような喪失感を伴う。 だが、おちびちゃんたちのため、幸せな未来のため、まりさはゆっくりしない。 ぴょーんぴょーん 子ゆっくりと赤ゆっくり、合計三匹を乗せているにしては随分な俊足だ。 だが、それでもスピードは確実に落ちるし、体力の消耗も激しい。 それでも、子ゆ赤ゆにぴょんぴょんさせたのではすぐに追いつかれてしまう。 まりさは必死だった。 追いつかれたら、終わりだ。 そう理解していた。 一家が無事に逃げ切るためには、追いつかれないこと以外にはない。 一対一ならコミュニティに所属するゆっくりで、 まりさに適うものなどそうそういはしない。 とは言え、複数のゆっくり相手ではそんなことは考えるだけ無駄だろう。 猛者ゆっくりであるからこそ、そのことをよく理解できた。 ひとたび追いつかれたならば、自分が囮になって姉妹を逃がすか、 先ほどの人間さんルートに飛び込むか。 二つに一つだ。 自分が囮になれば、姉妹だけは逃げ切れる可能性もある。 自分がどれだけ長く相手の注意を引き付けられるかが、勝負だ。 だが、このやり方では自分が助かる可能性は極めて低い。 一方の人間さんルートなら、追手ゆっくりが 人間さんのプレイスに入ることに恐れをなして追跡を断念する可能性もある。 だが、あの恐ろしい、巨大なすぃー! あれの恐ろしさはゆっくりの比ではない。 たとえ百匹のゆっくりでも勝てないのでは、と思わせられるあのすぃーが 迫ってきたら、抵抗するまもなく一家まとめてゆっくりだ。 なにしろ、信じられない猛スピードで突っ込んでくるのだ。 百戦錬磨のまりさでさえ、勝てる自信がない。 やはり、人間さんルートは奥の手だ。 最後の最後までとっておくのがいい。 そう決意し、ただひたすらに跳ね続ける。 そして、一時間ほども跳ね続けただろうか。 まりさは、力の続く限り跳ね続けた。 ゆっくりとしては、相当の距離を進んだ。 今のところ、追手の迫ってくる気配はない。 だが、お帽子の上に三匹のゆっくり。 流石に、辛い。 「ゆ、ゆ、ゆはー、ゆぜー・・・。」 息も荒くなる。 「むきゅ!?おとーさま、むりしないで・・・。」 「まりさ、じぶんでぴょんぴょんできるのじぇ!」 「ありちゅも!ありちゅもじぶんで、ぴょんぴょんすりゅわ!」 辛そうなまりさを気遣う姉妹。 まりさのおちびちゃんたちは、ほんとうにゆっくりしてるね。 まりさ、とってもゆっくりできるよ。 ・・・とは言え本当に子まりさや、赤ありすを自分で跳ねさせるわけにもいかない。 いや、子まりさならば、まりさの負担軽減のために 短時間なら自分で跳ねさせるというのも手かもしれない。 だが、子ぱちゅりーと赤ありすは論外。 遅々として進まないだろう。 このペースで駆け続ければ、無事に逃げ切れるかもしれない。 だが、流石に小休憩は取ったほうがいいかもしれない。 「ゆぅ・・・、ゆぅ・・・。 おちびちゃんたち、ちょっとだけゆっくりしようね・・・。」 立ち止まり、体を傾けおちびちゃんたちにお帽子から降りるよう促す。 「ゆぅ・・・、ゆぅ・・・。ゆふー・・・。」 やっと一息つけた。 ここまでは、順調だ。 一休みしたら、さらに川沿いに下っていこう。 まさか、追手ゆっくりたちも夜通し自分達を追ってはこないだろう。 一般的に言って、ゆっくりは夜行性ではない。 もう少しすれば、日が暮れてくる。 プレイスへ戻る時間を考えれば、夕暮れ時ぐらいまで見つからなければ、 追手ゆっくりたちも引き返さざるを得なくなる筈だ。 もう一がんばりだ。 新しいゆっくりプレイスでは、きっとおちびちゃんたちと幸せな毎日が待っている。 最初は、お家を建てたり狩場を開拓したりと苦労も多いかもしれない。 しかし、そこは自慢ではないが、 コミュニティでも優秀なまりさとして通っていた自分だ。 おちびちゃんたちを飢えさせたりなどはしない。 お家も、きっと立派なのを建てる。 その覚悟がある。 もう少しで、夢のような毎日が始まる。 まりさは、疲れもあってか少しばかり、気が抜けてしまった。 がさがさ 「にゃ!」 「だじぇぇ!?」 「むきゅー!?」 子ぱちゅりーと、子まありさが驚きの声をあげる。 そこで初めて、まりさも異常に気がつく。 近づいてくるゆっくりの気配を見落としてしまった。 こともあろうに、子まりさと子ぱちゅりーよりも、発見が遅れてしまった。 ゆ・・・。まりさ、ゆだんしちゃったよ・・・。 悔いたところで、既に遅い。 相手の先制を覚悟して身構える。 「みつけたんだよー!」 追ってはちぇん一匹だ。 ゆっくりのなかでも、俊足で知られるちぇん種。 おそらく、単独で先行してきたのだろう。 見つかってしまったのは、失策だが一匹だけならなんとでもなる。 しかし、追手ちぇんは、くるりと身を翻す。 「みつけたんだよー!みんなにしらせるんだよー!」 ぴょーんぴょーん そのまま跳ねていく。 「ゆ!?」 まずい。 てっきり一匹でも襲い掛かってくるとばかり思っていたが、思いのほか冷静だ。 向かってくるのならば、返り討ちにしてやることろだが、 すぐに仲間を呼びに行くとは! もしかすると、ぱちゅりー種あたりが入れ知恵したのかもしれない。 追うか。 駄目だ。 おちびちゃんたちを連れては、追いつけない。 おちびちゃんたちを置いていくのは危険すぎる。 「おちびちゃんたち、お帽子にのってね! ゆっくりしないでね!」 「むきゅ!!」 「だじぇ!!」 「ゆ・・ゆん!!」 子ゆっくりたちも大慌てでそれに従う。 ゆっくりしないでね、という強い語勢とまりさの緊張感が伝わっているのだろう。 「ゆっくりしないよ!いそぐよ!」 ぴょーんぴょーん まりさは、今まで以上に速度を速める。 だが、位置を把握されてしまった以上、追いつかれるのは時間の問題かもしれない。 何しろ、自分はおちびちゃんたちを乗せて跳ねている。 比較的身体能力が高めのまりさ、ちぇん、みょん、ありすといったゆっくりたちなら 他の種から先行してまりさに追いつくのも、それほど苦とはしないだろう。 やはり、いざとなったら、自分が囮になっておちびちゃんたちを逃がすしかなさそうだ。 だが、今は力の限りぴょーんぴょーんだ! まりさは、ひたすら力の限り跳ねた。 体力の配分など考えなかった。 そんな場合ではない。 すこしでも、遠くへ。 まりさは、跳ね続ける。 そして、ほんの暫く。 背後に気配を感じるようになった。 複数のゆっくりだ。 ゆゆゆゆ!? ・・・とうとうおいつかれちゃったね。 幸いまだ多少の距離はあるようだ。 まりさは、再びあんよを止め、おちびちゃんたちをお帽子から降ろす。 「ゆ!よくきいてね!このままじじゃ、まりさたちはにげきれないよ! だから、まりさがここにのこるよ!」 「むきゅ!?」 「だじぇ!?」 「ゆん!?」 口々に驚きの声をあげる。 まりさは、落ち着いて続ける。 「だいじょうぶだよ!おちびちゃんたちは、さきににげてね! まりさは、おってをひきつけるよ! まりさは、とってもあんよがはやいから、ひとりならかんたんににげきれるよ! おちびちゃんたちが、さきににげたら、まりさもすぐにおいつくからね!」 「ゆ、ゆわああぁぁ!すごいんだじぇ! おとーさんはてんさいなのじぇ!」 「おとーしゃんはすごいにょにぇ! でもきをちゅけてにぇ!けがしにゃいでにぇ!」 「むきゅう・・・。きをつけて・・・。」 子まりさと、赤ありすは素直に感心している。 それに比べ、子ぱちゅりーの顔色は優れない。 きっと、まりさの言葉が半分嘘なのを理解しているのだろう。 まりさとしては、嘘を言ったつもりはないが嘘になってしまうかもしれない。 だが、唯一つ、おちびちゃんたちを逃がすということだけは嘘にするつもりはない。 「もしもだよ! もしも、おちびちゃんたちが、ほかのゆっくりにおいつかれたら・・・。 そのときは、人間さんのプレイスにでてね。 人間さんのプレイスにでれば、ほかのゆっくりはおってこないよ。 でも、人間さんのプレイスはあぶないから、きをつけてね。 さいごのしゅだんだからね・・・。 それじゃ、はやくいってね! はやくいくんだよ!」 それだけ口早に伝えると、まりさはおちびちゃんたちに先を急がせる。 おちびちゃんたちが茂みの無効に消えたのを確認すると、それとは反対方向、 追手の方へと進む。 少し進んだ所で静かに待つ。 気配が近づいてくる。 見えてきた! 五匹といったところか。 しかし、ゆっくりとして平均的な認識力しかもたないまりさには『いっぱい』だ。 その『いっぱい』の追手の前に姿をさらけ出す。 「ちぇんのいったとおりだよー!飼いゆっくりのなかまなんだよー!」 「ゆ!ほんとうなのぜ!ゲスのかぞくのまりさなのぜ!」 「飼いゆっくりをかくまうゲスゆっくりはゆるさないちーんぽ!」 「れいむはしんぐるまざーなんだよ!ゆるさないんだよ!」 「んほおぉぉぉーーーー!!」 関係ないことを言っている連中もいるが、とにかく戦意は旺盛なようだ。 猶のこと、おちびちゃんたちの所へ行かせるわけにはいかない。 「ゆ!まりさをつかまえられると、ほんきでおもってるの! ばかなの?しぬの?」 「これだけのかずをあいてに、いいどきょうだみょん!」 「なまいきなんだぜ!まりささまが、せいっさいっしてやるんだぜ!」 まりさの挑発に頭に血を上らせる追手ゆっくりたち。(頭とはどこだろう) 「ゆっふーん!まりさが、つかまるわけないよ! くやしかったら、つかまえてみてね!」 そう言うと、おちびちゃんたちが逃げたのとは別の方向へと跳ねる。 追手ゆっくりたちは、陽動に引っ掛かってくれるだろうか? 「ゆがー!まつのぜ!」 「まってねー!ちぇんは、ゆるさないんだよー!」 「れいむは、かわいいんだよ!」 うまくいった。 追手ゆっくりたちは、みんなまりさを追い始めた。 できる限り、おちびちゃんたちのために時間を稼がなくては。 まりさは、少しずつ逃走方向をずらしていく。 基本的に逃走ルートも追跡ルートも川沿いに進むだけであるから、 うまく半円を描く奇跡で、プレイスへと帰還するルートへ誘い込んでやればいい。 そうすれば、おちびちゃんたちは安全に逃走することができる。 だが、流石は追手のなかでも先頭集団。 足の速いものが揃っている。 ここまで、子ゆっくりたちを運び続けたまりさの体力では、 どこまでやれるかわからない。 だが、やるしかない。 と、いつのまにか、追手たちの集団から例のちぇんが飛び出してきて、 自分と並ぼうとしている。 「おそいよー!くちほどにもないんだねー!」 普段ならこの程度で追いつかれたりはしない。 やはり、疲労の蓄積で相当あんよが鈍っている。 「くらってねー!」 ちぇんが、体当たりを仕掛けてくる。 「ゆ!あまいよ!」 瞬間、速度を落とすことでちぇんをやり過ごす。 まりさを追い越し、背後を見せる形となったちぇんに対して、渾身の体当たり。 「ぎにゃーー!!?」ごろごろごろ あさっての方へと転がっていく。 やったよ! けれど、今のやり取りで、後続との差は更に縮まった。 意外なことに、次に追いついてきたのはれいむだ。 「にがさないよ!れいむはまりさのかたきをうつんだよ!」 ゆゆ!? まりさのかたき!? おそらく、このれいむの番は飼いゆっくりの餌食となったのだろう。 先ほどのしんぐるまざー発言もここからきているのだろうが、 「そんなのまりさたちには、かんけいないでしょーーー!!!」 ばすん 黙ってきいてれば、みんな飼いゆっくりがどーこー言ってるが、 実際のところ、まりさたちには何にも関係ないよ、ぷんぷん! そんな、これまでの怒りも併せて、まりさの体当たりが火を噴く。 「れいむは、しんぐるまざーなんだよ!」 どっすーん 「ゆぴゃ!?」 ころころ なんと、百戦錬磨のまりさがあっさりとはじき返されてしまった。 どうやら、このれいむ、ただのれいむかと思いきや、でいぶだったようだ。 まりさはなんとか体勢を立て直す。 幸い怪我は大したことがないようだ。 だが、追手ゆっくりたちに追いつかれてしまった。 追手でいぶが、近づいてくる。 流石に、でいぶが相手では真っ当な力比べでは勝ち目はない。 ならば・・・。 「ゆっくりしんでね!」 「ゆん!」ざくっ 「ゆわあーーーー!!いじゃいぃぃーーー!! かわいいれいむのおかおがー!」 まりさは、お帽子のなかに隠し持っていた木の枝で、でいぶを切り裂いた。 「ゆ!まりさは、ほんきだよ!かかってくるなら、ようしゃはしないよ!」 「ゆ・・・。」 「にゃー・・・。」 切れ味するどい木の枝と、それを構えるまりさの勇姿。 裂帛の気合に戻ってきたちぇんやでいぶが及び腰になる。 威嚇が成功したかと思われたが、追手の中からみょんとまりさが一匹ずつ進み出る。 二匹とも、まりさと同様鋭い木の枝をくわえている。 「ゆっへっへ!なかなかやるようなのぜ! でもしょせんはたぜいにぶぜいなのぜ! かこめばこっちのもんなのぜ!」 「そうだみょん!けんじゅつなら、みょんがまけるわけないみょん! おそるるにたらないちーんぽ!」 「わかるよー!あいてはひとりなんだねー!」 「ぐぎぎぎぎぎ!!よくもかわいいれいむをおこらせたね! しゃざいとばいしょうをようきゅうするよ!」 「んほおおおおおおお!!」 追手まりさとみょんの言葉に勢いを取り戻す。 特にあのでいぶの傷はそう浅くはないはずだが、ぴんぴんしている。 流石は、でいぶといったところか。 「ゆゆぅ・・・。」 囲まれてしまった。 「まりさのこうげきをくらうのぜ!」 まりさの死角に位置取りした、追手まりさが突っ込んでくる。 辛くもその攻撃をやり過ごす、と、 「くらうみょーーん!」 びゅっ 追手まりさの攻撃に続いて、みょんが攻撃を仕掛けてくる。 これも回避に成功した。 だが、ぎりぎりだ。 「んほおおおおおおお!!」 れいぱーが突っ込んでくる。 「ゆゆー!?」 ばすん ころころ 体当たりを避けきれず、その勢いで、ころころと転がるまりさ。 ダメージはそれほどではないが、ねっちょりしていてなんか気持ち悪い。 流石、れいぱー。 このままじゃ、やられちゃうよ・・・。 どうにかしないと・・・。 転がったまりさを、再び包囲しようと近づいてくる追手ゆっくりたち。 まりさは、挽回の一手を求め、周囲に目を走らせる。 手頃な大きさのいしさんに、目が留まる。 ゆゆ!きんだんのあのてがあったよ! 急いで、いしさんを口に含むまりさ。 近づいてくるゆっくりたち。 まりさは大きく膨れると、先頭の追手まりさ目掛けていしさんを吐き出す。 追手まりさの目に食い込むいしさん。 「ゆぎゃああああああ!!!?まりささまのおめめがーーーーーー!?」 のた打ち回る追手まりさ。 「ん、んほおお!???」 「ま、まりさー!?わからないんだよーー!!!?」 追手の動揺に付け込んで、木の枝をくわえ突撃する。 「にゃ、にゃにゃ!???ちぇんのほうにこないでねーー!!」どすん 体ごとちぇんにぶつかっていくまりさ。 「にゃ゛にゃ゛にゃ゛にゃ゛!????」 見事に追手ちぇんの体のど真ん中に突き刺さる、木の枝。 追手ちぇんは、痙攣をおこしてすぐに動かなくなる。 やったよ・・・。まずは一人だね・・・。 同属を殺めたとあれば、心晴れやかとはいかない。 だが、黙って殺されてやるほど、まりさも甘くない。 なんと言っても、厳しい野良として生きているのだ。 「まりささまのおべべがああああああああ!!!」 追手まりさは、先ほどから、物凄い叫び声をあげ続けている。 とりあえず、こちらも戦闘不能のようだ。 「まだやるの!まりさ、もうてかげんしないよ!ぷくーーーー!!」 更に威嚇。 「んほおおおお・・・。」 「でいぶはしんぐるまざーなんだよ・・・。」 「まだだみょーーーん!!」 みょんが突進してくる。 回避しきれない。 みょんへと、体の向きを変えたところで衝突する。 目の前が真っ白になる。 だが、それも一瞬のこと。 木の枝を構え直し、 「びゅ?」 おかしい、木の枝をくわえていない? いや、だが木の枝は口元にある。 だが、短い。 それに、まりさの声もおかしい。 「びゅげげげげげげ!?」 どうしたというのだろう。 声が出ない。 出てくるのは、潰れたような呻きばかりだ。 体の奥の餡子さんが痛い。 必死で自分の口元に視線をやる。 木の枝は折れてはいないようだ。 だが、やはり短い。 良く見れば木の枝は、自分が口にくわえているわけでもないのに、 口元から落ちもしない。 どういうわけだ。 とりあえずは、包囲を抜けよう。 ずーりずーり 「ゆびゃびゃ!?」 いたい。 それに、自分はぴょんぴょんしようとしたのだ。 ずーりずーりではない。 あんよを痛めてしまったのだろうか。 いや、痛いのはあんよではない。 寧ろ口元から、体の奥、そして更に突き抜けて体の反対側、後頭部までだ。 まさか。 まさかまさか。 嫌な想像が餡子脳に閃く。 そして、混乱したまりさは気づかなかったが、 まりさのすぐ傍には息絶えたみょんが転がっていた。 体の中央に木の枝が刺さっている。。 まりさとの衝突時に、深々と刺さった木の枝が中枢餡を貫いたのだ。 そしてみょんの木の枝は、まりさに刺さった。 まりさの口元の木の枝は、まりさのものではなく、みょんの木の枝が刺さったものだ。 まりさは当たり所がよく、即死は免れた。 だが、大きなダメージを負ってしまったのは確かだ。 もし、木の枝が刺さったまま、さらにずれれば中枢餡を傷つけ、 永遠にゆっくりしてしまうかもしれない。 それほどの傷だ。 だが、それ以前にまりさの危機は目の前に迫っていた。 「ゆぷぷぷぷ!いいざまだね! かわいいれいむをいじめたばつだよ!」 「んほおおおお!!」 でいぶと、れいぱーが残っていた! まりさが、串刺しになり抵抗もないとみるや、素早く距離をつめてくる。 「ぎゅんびゃああああああ!!!?」 紛れもない恐怖の悲鳴を上げるまりさ。 木の枝に串刺しになったのみならず、でいぶとれいぱーという、 忌避すべき輩が自分目掛けて襲い掛かってくる。 もはや、自分に抵抗する力がないことは、理解できていた。 自分がこのあと、どうなるのかも。 のしっ 「ばべでぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 背後から凄い力で、圧し掛かられ、押さえつけられてしまう。 「んほおおおおおおおお!!しまるわーーーー!!」 「ぶびげええええええええ!!」 普段の勇敢なまりさからは想像もつかない、悲痛な泣き声。 ぱんぱん、ぬちょぬちょ ぱんぱん、ぬちょぬちょ 「んほおおおおおおお!!もりあがってきたわぁぁぁぁぁぁ!!!」 「びびゃがああああ!!!!ばらじでえええええ!!! ばがびゃんでびぢゃぶううううううう!!!!」 泣き叫ぶまりさ。 もう陰惨以外に言葉がない。 「すっきりー!」 「びゅっびりー!」 そして、同時声をあげる二匹。 まりさの頭上に一本の茎が生えてくる。 まりさからは見えないが、小さい数体の実ゆっくりが生っているはずだ。 まりさ、犯されちゃったよ・・・。 れいぽぉされて、赤ちゃんできちゃったよ・・・。 ざくっ 「びゅう!?」 そんな悲痛な思いに沈む間もなく、まりさに衝撃が走る。 「ゆふふ!かわいいれいむのかおに、きずをつけてくれたおれいだよ!」 でいぶが木の枝をくわえ、まりさに傷をつけたのだ。 だが、傷は深くない。 手加減されているのだ。 無論、慈悲などではない。 甚振るつもりだ。 ざくっ ざくっ ざくっ 滅多矢鱈に木の枝でまりさに切りつけるでいぶ。 「ゆびぎゅうううううううう!!!」 あまりの苦痛に悲鳴を上げる。 と、 「んほおおおおおお!!だい2らうんどよおおおおお!! えんりょしなくていいのよおおおお!!!」 ぱんぱん、ぬちょぬちょ ぱんぱん、ねちょねちょ 「ぎゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅ!!!」 「ゆぷぷぷぷぷぷ!こっちもえんりょしないでね!」 ずぶっ 「ぐぎゃああああああああああ!!!」 そして、少し離れたところでは、 「まりささまのおめめがーーー!!おめめがみえないいいい!!!」 ゆっくりたちは大騒ぎを続けて、とんでもない騒音を周囲に撒き散らしていた。 れいぱーと、でいぶの饗宴はいつ果てるともなく続いた。 続くと思われた。 が、唐突にそれは終わりを告げる。 ぐちゃり つい、たった今まででいぶがいた場所に、巨大な何かが生えている。 いや、巨大な何かがでいぶを踏み潰したのだ。 巨大な何かを見上げる。 人間さんだ! 何故? ここは人間さんのプレイスではない。 川原だ。 ゆっくりプレイスではないが、ゆっくり以外はほとんど訪れることのない場所だ。 なのに、何故人間さんが現れ、しかもゆっくり殺しをしているのか。 まりさの知る限り、わざわざ川原にまできてゆっくりを殺していく人間さんなどいない。 「ん、んほ!?」 驚愕にすっきりの途中だというのに動きを止めるれいぱー。 巨大なあんよを持ち上げる人間さん。 「んほおおおおおおおおおおお!?????????」ぶちゃ れいぱーが潰される。 まりさの目の前で。 次は自分の番だ。 恐怖のあまり、身動きどころか、呻きさえ漏らすこともできず死を待つ、まりさ。 が、 「いじゃいいいいいぃいいいいい!!いじゃいのぜえええええええ!!!! まりささまのおめめが!きれいなおめめがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 延々と大騒ぎを続ける追手まりさの方へと向き直る人間さん。 そして、 ぐちゃり 静かになった。 ほんの少し前までの喧騒が嘘のように静まり返る。 人間さんが、脚を振っている。 靴についた餡子を落としているようだ。 ゆ!? もしかして・・・・! 自分を助けてくれた!? この人間さんは自分を助けてくれたのだろうか!? 「にん・・・げ・・・じゃ・・・。ゆっぐ・・・じ・・・ありが・・・・。」 人間さんが、まりさの絞り出すようなお礼の声に気づき振り向く。 ぐちゃり 汚い物を踏んだとばかり、 靴の裏にこびり付いた餡子やカスタードを地面に擦り付け落とす人間さん。 そしてそのまま去っていく。 姉妹は歩みを止めず、逃走を続けていた。 まりさの言いつけの通り、川原を川沿いに下っている。 とはいえ、子ゆっくりのあんよではさほどの距離は進めない。 まして、身体能力の低いぱちゅりー種と、赤ゆっくりが一緒では尚更だ。 ともすれば、遅れがちになる二人のために、 比較的体力に余裕のある子まりさが殿を引き受け、二人を励ましつつ先に進んでいた。 別れた直後はそれほど不安でもなかったが、姉妹だけで逃走していると どうしても不安が頭をもたげてくる。 特に赤ありすは、しばらくすると改めてまりさのことが心配になったらしく、 おとーしゃんだいじょうぶかちら、と何度も口にしていた。 そのたびに子ぱちゅりーと子まりさが、おとーさんならだいじょうぶ、 と安心させてやらなければならなかった。 不安と疲労との戦いではあったものの、しばらくは何事もなく逃走を続けた姉妹だが、 「ゆゆ!?」 ふと違和感に気づいた子まりさは、立ち止まると周囲へと注意を傾けた。 がさごそ、がさごそ ぴょーん、ぴょーん 背後から草を掻き分けてくる音と、ゆっくりが跳ねるとき特有の物音が聞こえてくる。 自分の気のせいだろうか。 だんだんと近づいてくるように思える。 それも一匹ではない。 どうやら複数のゆっくりが近づきつつあるらしい。 子まりさは考える。 おとーさんは姉妹のために、一人残った。 ぱちぇおねーちゃんは、体が弱い。 ありすはまだ赤ちゃん、論外だ。 いざと言う時は、人間さんのプレイスに逃げ込めといっていた。 だが、それも危険な手だとも言っていた。 最後の手段だよ、と。 だが、まだ自分がいる。 体の弱い姉妹二匹のために、自分にはやれることがある。 ならば、自分がやるしかない。 あの偉大なおとーさんと同じまりさ種である自分が。 「ぱちぇおねーちゃんとありすは、はやくにげるんだじぇ! まりさもすぐにおいつくんだじぇ!」 「むきゅう・・・。」 「ゆぴぃぃぃぃ!いやぢゃあぁぁぁぁぁ! おねーちゃぁぁぁん!いきゃないぢぇぇぇぇぇぇ!」 躊躇う子ぱちゅりー。 泣き叫ぶ赤ありす。 「だいじょうぶなのじぇ、ありす! おねーちゃん!いもーとをたのんだのじぇ!」 そう言って、二匹に背を向ける子まりさ。 いもーとをたのむ。 その言葉にはっとなる子ぱちゅりー。 まりさの言わんとするところを理解したのだろう。 「むっきゅん!いくわよ、ありす!」 「いやぢゃ、いやぢゃぁぁぁぁ!」 赤ありすは、子まりさに追いすがろうとする。 ぱしっ 「ゆっ!?」 子ぱちゅりーが赤ありすに軽く体当たりする。 赤ありすは、驚いて目を見開き、思わず動きを止める 「むきゅー!いいかげんになさい! ありすが泣いてると、まりさだってゆっくりできないわ! いそいでにげるのよ!」 「ゆっぐ・・・、ゆぅぅぅ・・・。ゆっくちりかいしちゃわ・・・。 おねーちゃん、かえってきちぇね!やくちょくよ!」 「ゆ!やくそくなのじぇ!またみんなでゆっくりするのじぇ!」 背を向けたまま答える子まりさ。 そのまま、二匹と距離をとり、追手の声が聞こえる方へと向かう。 しばらく進むと、追手と思しき、まりさとれいむの姿が見えた。 周囲には他のゆっくりの気配はない。 どうやらこの二匹だけが先行してきているようだ。 「子ゆっくりどもはこっちにむかったはずなのぜ! はやくみつけるのぜ!」 「あまあま、たのしみだね!れいむがおいしくおりょうりするよ!」 「ゆっへっへ!れいむのりょうりはてんかいっぴんのんだぜ! いまからたのしみなのぜ!」 あまあま? おりょうり? 何のことだろうか。二匹の追手の話の内容は良く分からない。 しかし、大事なのはこの二匹の向かう先だ。 この二匹は先に逃げた姉妹の方へと向かっている。 予想したとおり、このままでは身体能力の低い姉妹たちは逃げ切れないだろう。 やはり自分が覚悟を決めるしかない。 子まりさは追手とある程度の距離を保ったまま、タイミングを計り姿を現した。 「ゆ!まりさはここなのじぇ!つかまえてみるのじぇ!」 偉大なおとーさん譲りの俊足を今こそ見せるときだ。 恐怖は勿論あるが、気分が高揚してくるのをとめられるものでもない。 いかに大人ゆっくりとはいえ、そうそうこの自分が遅れをとるものか。 そして追いかけっこを初めて数分。 「はひぇ、はひぇ・・・。」ぜーはー、ぜーは 追手もなかなかの俊足だ。 だが、負けてなるものか。 なかなか距離が離れない。 ならば我慢比べだ。 「はひぇ、はひぇ・・・・。」ぜーは、ぜーはー 相手はすぐに音を上げるに決まっている。 自分に追いつけるものか。 「はひぇ、はひぇ・・・。」ぜーはー、ぜーはー そう思っていたのに、そう思った結果が・・・、 「konozamaなんだじぇ・・・。」 だじぇ、だじぇ言いながら元気良く逃げ回っていたのも最初のうちだけ。 すぐに息が切れてきて、はひぇーはひぇーな様になった。 相手は別段無理をするでもなく、淡々と子まりさの少し後を着いてきている。 このままでは逃げ切れない。 いつか追いつかれる。 その焦りから、子まりさは周囲への警戒を怠る。 目の前に突き出た鋭い枝と、その先に三十センチほどの高低差が できていることに気づかない。 ザクッ ぼすん、ごろごろ 「ゆぴぃぃぃぃぃ!!!」 鋭い痛みと続く鈍い痛みに、子まりさは思わず悲鳴を上げる。 木の枝に速度を落とさぬまま突っ込み、皮を切り裂かれてしまった。 そして、そのままの勢いで三十センチの高さから落下し、転がった。 木の枝で裂いたのだろう頬と、落ちたときに石にでもぶつかったのか まりさのあんよも破け、餡子さんが漏れ出している。 「ゆぴぴぴぴぴ!!?まりさの餡子さん、とまるのじぇ!」 いたい、いたい 早く先に進まなければいけないのに。 姉妹を逃がして、そのあと自分もにげきらなければいけないのに。 まりさのあんよさん、はやくうごくのじぇ! 傷ついたあんよはどれだけ必死に動かしても、ずーりずーりがやっとだ。 しかも動くほどに、微量だが餡子が漏れていく。 子まりさはまだ気付いていないが、傷自体も動くほどに少しずつ大きくなっている。 ずーりずーり、ずーりずーり がさごそ、がさごそ ずーりずーり、ずーりずーり がさがさ、ごそごそ 子まりさは痛みを無視して必死にあんよを動かす。 しかし、遅々として先に進まない。 それに比べて、後ろから聞こえる物音はどんどん近づいている。 ずーりずーり、ずーりずーり がさごそ、がさごそ・・・「みつけたんだぜ!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ!」 追いつかれた。 見つかってしまった。 あんよがいたい。 逃げ切れない。 「まりさはつよいのじぇ!いまならみのがしてやるのじぇ!」 精一杯の虚勢を張り、威嚇を試みる。 上手くいけば、戦わず相手を追い払える。 が、 「ゆっへっへ!まずはあんよなのぜ!」がぶっ 「まりちゃのあんよがーー!?」 相手は子まりさ如きの威嚇など意に介さない。 追手まりさの一噛みで、子まりさの底部の四分の一ほどの皮が噛み千切られた。 あんよ四分の一の損傷ならすぐに死に至ることもない。 しかし、これだけのケガを負ってはずーりずーりすらまともにできない。 まして、この二匹から逃げ切ることはもう不可能だろう。 続いてれいむが近づいてくる。 恐怖と痛みに半ば反射的に、再びの威嚇を試みる。 今度はぷくーだ。 「なにするのじぇ!?やめるのじぇ!まりさ、ほんきでおこるよ!ぷくー!」 しかし、追手のまりさとれいむは、そんな子まりさを全く相手にしない。 「これでもうにげられないね!ごくろうさま、まりさ! おりょうりはれいむにまかせてね!」 「れいむはりょうりめいじんなんだぜ!たのしみなんだぜ!」 「ゆふふふ!てれちゃうよ!ほんとうのこといわないでね! それじゃ、おりょうりかいしだよ!りょうりはあいじょうなんだよ!」 追手まりさと追手れいむが何を言っているのか理解できない。 りょうり? 一体何を料理するというのか。 理解はできないが、なにやら不吉なものを感じる。 「な、なにをするきなのじぇ・・・。」 気丈に振舞おうと努めるが、怯えが隠せない子まりさ。 声が震える。 ふと気づくと追手れいむが、先の鋭い木の枝をくわえている。 そして、それを子まりさ目掛けて振るう。 さくっ 「ゆぴいぃぃぃぃ!?いたいのじぇ!やめるのじぇ!」 さくっ さくっ 「ゆ!?ゆびぃぃぃぃぃ!!」 さくっ さくっ さくっ 「ゆっ!?ゆっ!?いちゃい、いちゃい、いちゃいぃぃぃぃぃ!!!」 追手れいむは子まりさを浅く、何度も切りつける。 その傷口は、皮が僅かに裂ける程度で、ほとんど出餡しない。 つまり苦痛を与えはするが、命を脅かすことのない傷だ。 子まりさが、苦痛とショックで痙攣を起こしかけるまで続ける。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 しかし、ショック死などさせない。 『りょうりめいじん』のれいむは、ギリギリの所を見極め一旦りょうりの手を休める。 「ゆぴー、ゆぴー・・・。ゆぅぅぅぅ・・・。」 子まりさが落ち着くのを待って、次の手順に移る。 「それにしても、このちびまりさ、きたないお帽子だね! まりさとはおおちがいだね!」 「まったくなんだぜ!おなじまりさとしてはずかしいんだぜ!」 「「ゆぷぷぷぷぷ!」」 二匹で子まりさを口々に罵倒し始める。 なかでも、ゆっくりにとっては個体認識などに極めて重要なお飾り、 この場合はお帽子について集中的に罵倒する。 「ゆ!?ゆゆゆゆ!?まりさのお帽子をわるくいわないでね! まりさのお帽子はとってもゆっくりできるんだじぇ!」 「ゆっぷー!!そんなきたない汚帽子がゆっくりできるの!? まったくかたはらいたいよ!しょうしな!だよ!」 「やっぱりきたない汚ちびまりさの汚帽子はゆっくりできないんだぜ! うんうんのにおいがするのぜ!」 「ゆびぃぃぃぃぃ!!やめるんだじぇ!まりさほんきでおこるのじぇぇぇぇ!」 度重なる侮辱に、痛みも忘れ怒り心頭の子まりさ。 しかし、二匹の追手はそんな子まりさの怒りもさらりと無視すると。 おりょうりの最終段階へと進む。 「こんなきたないお帽子はめざわりだね!わいせつぶつちんれつざいだね! れいむがしょぶんしてあげるよ!」 ぐいっ 言うや否や、追手れいむは子まりさに近づくと、 そのお帽子を口にくわえ剥ぎ取ってしまった。 「ゆんやー!!?まりちゃのお帽子さんかえすのじぇ! お帽子さんがないとゆっくりできないのじぇぇぇ!!!!」 子まりさはほとんど身動きが取れない。 そんな体でも、追手れいむの方へと這いずっていく。 その体からは少しずつだが、餡子が漏れる。 「ゆゆゆゆゆ!そんなにだいじなお帽子ならはやくとりかえしにきてね! はやくしないと・・・!」 びりっ 「ゆびゃああああああああ!!!」 追手れいむが子まりさのお帽子を少しだけ破いてみせる。 子まりさは狂ったように叫び始める。 じたばたと無意味に体を動かし、そのせいで出餡も増加する。 「ゆんやー!ゆんやー!かえすのじぇ!かえすのじぇぇぇぇ!!」 「おお、ぶざま!ぶざま!」 「くそちびがいいざまなのぜ!」 びりっ びりっ 「まりちゃのおぼーし!ゆっくりできるおぼーししゃんがああぁぁぁ!!」 びりっ びりっ 「ゆわーー!!もうやめるのじぇ! はやくぺーろぺーろしないとまりちゃのおぼーちなおらないのじぇ!」 ペーろペーろしたところでお帽子が治る訳もないが、 一刻も早くお帽子の元にたどり着こうと必死の子まりさ。 びりびりびりびりびり 「ゆ・・・!?ゆわあああああああああああああああ!!!???」 とうとう子まりさの目の前でただの布切れに姿を変えるお帽子。 「ぺーりょぺーりょ、ぺーりょぺーりょ・・・。 ゆわあああああ!?なんでなのじぇ! なんでおぼーちしゃん、なおらないのじぇぇぇぇぇ!!!???」 「ぺーりょぺーりょ、ぺーりょぺーりょ!はやくなおるのじぇ!? まりちゃのすてきなおぼーちしゃん!なおるのじぇ!」 「ぺーりょぺーりょ、ぺーりょぺーりょ・・・。」 一向に治らないお帽子をぺーろぺーろし続ける子まりさ。 「ゆゆゆ!?なんだかゆっくりできないこがいるよ!」 「ほんとうなんだぜ!おかざりなしのゆっくりできないゆっくりなのぜ!」 さも、今気づきましたと言わんばかりのわざとらしい態度の二匹。 しかし、子まりさはこれまで以上に動揺が激しい。 ゆっくりできない。 おかざりなし。 ゆっくりとしてのアイデンティティに関わる言葉だ。 既に異常な心理状態の子まりさが、更なる動揺を誘われたとしても無理はない。 「きもちわるいね!きっとおやにすてられたんだよ!」 「ちがうんだぜ! きっとこのおちびのかぞくもゆっくりできない連中なんだぜ!」 「ゆぴぃぃぃぃ!まりちゃはゆっくりできないゆっくりじゃないいぃぃ! ゆっくりしないであやまるのじぇ!」 「ゆぷぷぷぷ!この汚まんじゅうなにかいってるよ!」 「お帽子なしのくせにうるさいのぜ!」 「ゆぶぶぶぶぶぶぶぶ!!」 とうとう精神的なショックから再度の痙攣に突入しかける子まりさ。 「ゆゆーん?そろそろいいね!あじみするよ!」 ぱくっ 「ゆぴっ!?」 小さく子まりさを齧る追手れいむ。 「ゆゆーん!おいしいよ!おりょうりかんせいだよ!」 「やったのぜ!まりさもあじみなのぜ!」 ぱくっ 「ゆぴいいいいいい!?いちゃいぃぃぃぃぃぃ!!」 むーしゃむーしゃ 「いいおあじなのぜ!さすがはまりさのれいむなのぜ!」 「ゆふふふふ!てれるよ! ゆん!それじゃ、ひさしぶりのごちそうだよ!いっしょにたべようね!」 「そうするのぜ!」 「「ゆっくりいただきます!!」」 一体何なのだ、この二匹は。 おりょうり? どうやら自分のことらしい。 それよりさっきこの二匹は自分のことを食べた。 そう、少しだけだが、確かに自分の体を食べたのだ。 ガタガタ ガタガタ 子まりさは今更体の震えが止まらない。 この二匹が自分に何をするつもりなのか、ようやく理解できた。 こいつらは自分を喰らうつもりなのだ。 どういうつもりかは知らないが、わざわざ自分を痛めつけた上で 生きたまま喰らうつもりだ。 ガタガタ ガタガタ 先ほどは、僅かに齧られただけだ。 齧られた場所も体の表面だ。 だが、この先はどうだろう。 自分の体を喰らうということは、自分のおめめや残ったあんよ、 なにより体の内にあって命の源である餡子さんまで食らうつもりではないのか。 ガタガタ ガタガタ 人間で言うところの内蔵や筋肉に当たるゆっくりの餡子。 それを生きたままにして貪られる。 餡子脳の子まりさにもこれから自分の身に起こること。 その苦痛と、恐怖がやっと理解された。 「ゆぴぴぴぴぴ!!おとーしゃ?おかーしゃ?ぱちゅりーおねーちゃ?ありちゅ? みんなどこなのじぇぇぇぇぇぇーーーー!!?」 ずーりずーり 「たすけてほしいのじぇ!まりちゃはここなのじぇぇぇぇーーー!!」 すーりずーり 痛めた体で無理に体を動かす。 ぽろぽろと餡子がこぼれる。 「ゆぅぅぅ!?もったいないよ! せっかくの餡子さんがもれちゃうでしょ!ぷんぷん!」 「まったく、しょうがないのぜ!」 がぶり 「ゆぎいいいいいいい!!!?」 追手まりさは更に子まりさのあんよを噛み千切る。 子まりさの底面は、ほぼ餡子が剥き出しでうねうねと不気味に蠢くものの、 最早僅かたりとも先に進むことはない。 「これでいいのぜ!こんどこそ、ゆっくりごちそうをあじわうのぜ!」 むーしゃむーしゃ ぺーろぺーろ がーつがーつ 旺盛なゆっくりの食欲の前に小さくなっていく子まりさの体。 叫ぶ子まりさ。 「やめるのじぇ!?やめるのじぇ!?まりしゃをたべないでほしいのじぇ! ゆぴぴぴぴ!!!そんなとこかじらないでほしいのじぇぇぇぇ!!!!!」 弱弱しく、途切れ途切れになっていく声。 「やめるのじぇ!!まりしゃの餡子しゃんたべないでほしいのじぇ!? いのちの餡子しゃん・・・。まりしゃ、の、・・・・。」 「ゆっふー!あまあまさんおいしかったね、まりさ!」 「ほんとうだぜ!こんなときぐらいしか、あまあまさんはたべられないのぜ! まりさたちはうんがいいのぜ!」 「あとのおちびはどうするの?」 「ゆあーん?まりさは、おなかいっぱいなのぜ! きょうのところはかえるんだぜ!」 「ゆっゆゆーん!そうだね!はらはちぶんめだね!さすがまりさだよ!」 「「ゆっくりごちそうさまっ(なのぜ)!!」」 ぴょーん ぴょーん 追手ゆっくりが去った後にはお帽子の残骸の黒い布以外は何も残されていない。 一方の子ぱちゅりーと赤ありす。 子まりさと別れた後も必死の逃走を続けてはいるものの、 歩みの遅さは変わらない。 「むきゅー、むきゅー・・・。」 「ゆはー、ゆはー・・・。」 二人とも無言で跳ね続ける。 「ゆっ!?」 ごろんごろん 赤ありすが石ころに躓いて転がる。 「ゆ・・・、ゆぴぇぇぇぇぇぇん!」 痛みに泣き出す赤ありす。 「むきゅん・・・。」 本来なら、赤ありすを宥めるなり叱咤するなりして先を急がせるべき 姉の子ぱちゅりーも精も根も尽き果てていた。 「むきゅ・・・。すーりすーり・・・。ゆっくりしていってね・・・。」 「ゆ!?・・・ゆっくりしちぇいってにぇ・・・。」 なんとかすーりすーりをしてやるので限界だ。 「・・・・。」 「・・・・。」 そのまましばらく、二匹は無言のままじっとしていた。 体力が尽きているのだ。 もう先に進めない。 それに。 おとーさんは無事だろうか。 姉妹のまりさは無事だろうか。 こうしている間にも二人が自分達に追いついてこないだろうか。 二人のことが心配でならない。 不安で不安で仕方がない。 だが、何もできない。 「むきゅ・・・。先にすすみましょうか・・・。」 「ゆ・・・。」 ずーりずーり ずーりずーり それこそ、ナメクジが這うような速度で先に進む。 少し行っては立ち止まる。 その繰り返し。 まわりは本格的に暗くなり始める。 暗くなれば、追手たちも諦めてまりさと、子まりさも戻ってくるかも知れない。 子ぱちゅりーは、自分を誤魔化してそう言い聞かせる。 そうしないと、不安で泣き叫び出しそうになる。 だが、今となっては赤ありすの面倒を見られるのは自分だけだ。 姉としてできる限りのことをしなければ。 無言のまま進む二匹。 稀に子ぱちゅりーから、赤ありすへの短い激励があるだけだ。 少し離れた道路のほうから、物音が聞こえてくる以外は、 しんと静まり返ったなかを二匹は進む。 不意に歩みを止める二匹。 それまでの静寂を破って川原から物音が聞こえる。 自分達の後方。 ゆっくりプレイス側から近づいてくる。 もしかしたら、まりさと、子まりさだろうか! 耳を済ませる。 違う! 物音の数はもっと多い。 おそらく大勢のゆっくりが近づいているのだ。 間違いない。 追手ゆっくりだ。 「むきゅ!ありす、いそぐわよ!」 急いだところで、自分達が逃げ切れるとは思えない。 「ゆん!わかっちゃわ、ぱちぇおねーちゃん!」 おとーさまは、なんと言っていただろうか。 疲労で鈍った餡子脳で考える。 そうだ、人間さんのプレイスに出ろと言っていた。 人間さんのプレイスは危険だ。 しかし、だからこそ追手も人間さんを恐れて、立ち去るかもしれない。 賭けるしかなさそうだ。 「ありす、川原をでるわ。人間さんのプレイスにいくのよ!」 「ゆゆ!?ぢぇも、あっちは・・・。」 赤ありすは、まりさと出会った時に 人間さんのプレイスでさんざん怖い思いをしている。 ショックで死に掛けたほどだ。 赤ありすは、人間さんのプレイスを「ゆっくりの地獄」と表現した。 あながち間違いではない。 そうした体験があるため、まりさに言われたことを覚えてはいても、 いざ人間さんのプレイスに出ると言われると、恐怖から尻込みしてしまう。 「むきゅん!ありす、おとーさまの言ったことをわすれたの!行くのよ!」 厳しい口調で、命じる。 赤ありすの戸惑いは理解できるし、自分も進んでそうしたいわけではない。 危険があることも承知している。 それでも、他に助かる手立てがないのだ。 本当にこれが最後の手段。 自分達の為に、囮になってくれたまりさや、子まりさはここにはいない。 誰も自分達姉妹を守ってはくれないのだから。 「ゆ・・・。ゆっくちりかいしちゃわ・・・。」 最後の最後の力を振り絞って、人間さんのプレイスへと出て行く。 この辺りは川原から、道路へは斜面になっている。 力尽きようとしている二匹のあんよをさらに鈍らせる。 後ろから近づく物音はどんどん近づいている。 自分達の位置は既に捕捉されているのだろう。 「むきゅー、むきゅー・・・。」 「ゆうー・・・、ゆふー・・・・。」 もうすぐ、人間さんのプレイスだ。 しかし、 「むきゅ!みつけたわ!ゲスの飼いゆっくりよ!」 「みつけたよ!ゲスはせいっさいっだよ!」 「ゆっくりしないで、まつんだぜ!」 とうとう追いつかれてしまった。 全部で十匹ほどの集団だ。 勿論、二匹にはたくさん、としか認識できない。 逃げる二匹。 追う十匹。 追う側が、ふと気づく。 「にゃ!あっちは人間さんのプレイスなんだよー!」 「みょ!?まずいみょん!人間さんのプレイスにはいけないみょん!」 「ゆんやー!人間さんはこわいよー!れいむはもどるよ!」 「ありすももどるわ! 人間さんのプレイスに入り込むなんていなかもののすることよ!」 追手ゆっくりの大半が、戻っていく。 むきゅ!やったわ、本当に諦めたわ! しかし、追手もあと三匹残った。 「むきゃきゃきゃ! 人間さんのプレイスに入っても、悪いことをしなければいいのよ! ぱちゅは、こんな手には引っ掛からないわ!」 「まりさは、ゲスゆっくりをしまつするまであきらめないよ!」 「れいむもおちびちゃんのために、ゲスをせいっさいっするよ!」 人間さんのプレイスに入ったというのに、構わず追ってくる。 二匹は必死であんよを動かすが、あっと言う間に距離をつめられる。 「おいついたよ!」ばすん 追手まりさから体当たりを受ける赤ありす。 「ゆぴいいいいぃぃぃぃぃ!?」 悲鳴を上げながら、ごろんごろんと転がっていく。 転がった先で今度は待ち構えた、追手れいむに弾かれる。 「れいむのいかりをおもいしってね!」どすん ごろんごろん 転がった先でようやく止まる赤ありす。 目を回したのか、痛みのせいか、その場所から動かずに泣き喚く。 「ゆぅぅぅぅぅ!!?ゆんやーーーー!!ゆぴいいいいいいいいい!!!」 「うるさいよ!なけばいいってもんじゃないんだよ!」 「そうだよ!なきたいのはこっちだよ!みんなのうらみをおもいしってね!」 どすん ばすん ぼすん 赤ありすに何度も体当たりを食らわせる、追手のれいむとまりさ。 「む、むきゅ!ありすにさわらな・・」どかっ 「むはー、むきゅー・・・。やっと追いついたわ・・・。」 止めに入ろうとした子ぱちゅりーも、 遅れて追いついた追手ぱちゅりーに不意打ちを食らわされ、動きを阻まれる。 「む、、むきゅん・・・。あ、ありす・・・・。」 「ゆびびびびびびびびび!!!?やめちぇぇぇぇぇぇ!! ありちゅのお飾りとらにゃいぢぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆぷぷぷぷ!お飾りなしのありすはゆっくりできないね!」 「ゲスの飼いゆっくりにはお飾りなしがおにあいだよ!」 お飾りを奪われた上、体当たりを食らわされたり、噛み付かれる赤ありす。 子ぱちゅりーも、追手ぱちゅりーに圧し掛かられる。 体の弱いぱちゅりーでは、これだけで、じわじわと生命力を奪われていく。 むきゅう・・・。もう、だめかしら。 諦めが、頭をもたげてくる。 すると、 シャー、キキッ 鋭い音がして、ゆっくり一同がそちらに視線をやる。 そこには、人間さん用の小さいすぃーに跨ったおにーさんがいた。 「ゆゆ!?」 「ま、まずいよ!?人間さんにみつかっちゃったよ!」 動揺する追手まりさとれいむ。 「むきゅきゅん! 人間さん、ぱちゅりーたちは、こっちのゲスゆっくりをせいっさいっしてるの! 人間さんたちの迷惑になることはしないから、ほうっておいてね!」 「ゆ!?さすがだよ、ぱちゅりー! そうだよ、まりさたちはゲスゆっくりをせいっさいしてるんだよ! だからにんげんさんにはかんけいないんだよ!」 「ゆゆん!人間さんはゆっくりしないで、はやくいってね! れいむたちは、わるいゆっくりじゃないんだよ!」 口々に、言い立てるゆっくりたち。 だが、おにーさんは、黙ってこちらを見つめてくる。 立ち去ろうとしない。 焦れたのか、ぱちゅりーが少々短気を起こす。 「むきゅん!聞こえないの!?ぱちぇのいったことが理解できる? 人間さんには迷惑を掛けないから、人間さんもさっさとどこかにいってね!」 それでも、無言のおにーさん。 追手ゆっくりたちは、動くどころか、何一つ話そうともしないおにーさんの その態度をどうとったのか、調子に乗って騒ぎ出す。 自転車で帰宅中に妙なものに行き当たった。 ゆっくりだ。 しかし、なんだこいつら。 この辺りのゆっくりたちは、その多くがとある場所を住処にしている。 この川沿いに少し行った先の空き地だ。 かなり広い場所で、私有地。 ただし、長いこと放置されてるようだ。 そこに多くのゆっくりが棲みついたんだ。 苦情がないわけじゃないけど、 公園なんかに棲みつかれるよりましってことで黙認されてる。 それと、黙認されてるもう一つの理由は、野良のゆっくりたち自身だ。 長く人間からの駆除を受け続けて、少しは学習したらしい。 人間に楯突いたり、そもそも人間の前に姿を現すことを控え始めたのだ。 そうして、ゆっくりの側が大人しくしていれば、 わざわざ望んでゆっくり潰しに走る人間は少数派だ。 この辺りのゆっくりは比較的大人しくて善良って言われてるんだけどな。 こいつら、理由は分からんが、子ゆっくりを虐めてるし。 あっちのありすなんか、お飾りを盗られて泣いてるな。 しかも、こっちが黙ってると調子に乗ってきやがったな。 こんな風に人間の生活圏に入ってきて大騒ぎするような連中は久しぶりに見たぞ。 とりあえず、潰しておこう。 ぶちゅ ぶちゅ ぶちゅ よし。 静かになった。 でも、まだ、残ってるんだよな。 こっちに小さいのが二匹。 ありゃ、二匹で寄り添って、小さく震えてやんの。 かわいいねー。 さて、こっちのちっこいの二匹は・・・・・・・・。 それから、子ぱちゅりーと赤ありすは、しあわせーな生涯を送った。 二匹を助けてくれたお兄さんが、そのまま二匹の飼い主さんになってくれた。 二匹は成体になる頃には、銀バッジのゆっくりになった。 成長した二匹は姉妹から番となった。 二匹は、何匹もの子ゆっくりと孫ゆっくりに恵まれた。 ほとんどの子供達は里子に出されたが、何匹かの子や孫はお兄さんの手元に残され、 ぱちゅりーとありすと一緒に暮らすことになった。 里子に出された子ゆっくりたちも、ときどきは会うことができた。 優しい飼い主さん。 暖かなお家。 おいしいごはん。 愛しい番に、可愛い子に孫、円満な家庭。 多くのものを失った二匹だったが、失った家族以外の全てを取り戻した。 失った家族は戻ってこなかったが、新しい家族を手に入れることができた。 二匹は、しわわせーに生き、老いて、そしてその生涯を終えた。 偶々助けた子ゆっくりを、ほんの気まぐれで飼い始めたが、 思ったより長い付き合いになったな・・・。 元野良の割りにこいつら、いいゆっくりだったよ・・・。 俺もすっかり情が移ったよな。 それにしても。 ゆっくりって本当に三より大きな数がわからないんだな。 実ゆを間引いたりしても全然気づかないし。 お飾りとって、口を利けないようにしておけば、 自分の子ゆがゆっくりコンポストにされてても全然気づかないし。 それに、数が増えすぎたと思ったら事故死、病死に見せかけて殺しちゃっても 俺がやったなんて疑いもしないし。 おかげで、実ゆ食べ放題だったし、生ゴミの処理も楽になったし。 まあ、生ゴミだけじゃなくて燃えないゴミとか、 危険物もちょっと無理させれば普通に処理してくれたけどさ。 最初の躾はちょっとコツがいるし、必ずしも責任もって飼おうとすれば楽じゃないよ。 ゆっくりって。 勿論、無責任に飼おうとすれば楽な連中だけどな。 しかし、潰したり食べたりできるし。 まあなんにしろ、一つ言えるのは、 ゆっくりってのは処分するには手間の掛からないペットではあるってことだ。 それは確かだろう? さいごまでよんでくれた人、ほんとうにありがとうございます。 それとおつかれさまです。 よむだけでひとくろうだったのではないでしょうか。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1563.html
「NTRれいむ.2」 「そして今から君達全員、その奴隷以下のクソムシです。ゆっくりしていってね!」 人間さんの口から高らかに宣言される。 あなたたちはゆっくり以下の奴隷よりさらに下のクソムシに成り下がりましたよ宣言。 それが我が身に降りかかった現実であると、まりさには到底理解できない。 ここはまりさたちが見つけたゆっくりぷれいすのはずだ。 お飾りのない屑が一匹しつこく居座ってはいたが、おびえるばかりの弱虫で、最強まりさの敵ではない。 なんの問題もないはずだった。 そう、お飾り無しの奴隷を自称するおかしな人間さんが現れるまでは。 「ちがうのぜ、にんげんさん! まりさはさいっきょうなんだぜ? にんげんよりつよいまりさが、にんげんさんよりしたのクソムシなんて、そんなゆっくりできなそうなものなわけないんだぜ! ちょっとかんがえれば、だれにだってわかるのぜっ」 「そうだよ、れいむたちはゆっくりなんだよ。それもとてもゆっくりした、せかいでいちばんしあわせなゆっくりなんだよ。 それがおかざりもない、あのごみよりしたなわけないでしょおおっ!」 れいむが唾を飛ばして吠える。無駄に高いプライドを刺激され、鬼気迫る表情は夫のまりさから見ても醜悪に映った。 しかし、れいむの言うとおりだと、まりさは思った。 人間さんはあの弱虫の屑より下なのだ。 まりさはあんな屑よりずっとゆっくりしている。さらに強い。ならば人間さんがまりさに敵うわけがない。 それが証拠に、人間さん今までまりさに何の手出しも反論もできていないではないか。 まりさはいつだって最強なのだから。 そのまりさがいったい何故、奴隷以下のクソムシになるというのか。 「ブッブー」鬼威さんは口で効果音を鳴らしながら、待針を2本取り出してかざす。 「君達はもはやゆっくりでもない。ただのクソムシなんだよ。まだわからない?」 これはお仕置きが必要なのかなと、針を二匹の眼前に近づけチラつかせる。 「ゆっひぃ! に、にんげんさんは、それはゆっくりできないから、しまってね。おねがいだから、ゆっくりせずにしまってね」 「そ、そうだぜ。そんなあぶないものはにんげんさがもってちゃいけないんだぜ。つよいぶきは、つよいまりさにこそふさわしいのぜ? わかったらさっさとそれをまりさによこすんだぜ」 赤ちゃんゆっくりの痛がる様を見て、針が危険なものだという認識はあるらしい。 鬼威さんは緩慢な動作で両手に持った針をさらにまりさたちへ近づけていく。 「く、くるんじゃないのぜ。それいじょうちかよったら、ようしゃしないんだぜ」 「まりさ、はやくこのにんげんさんをやっつけて! やっつけてよ! はやくしないさよ!」 まりさとれいむが狭いケースの中を逃げ惑う。 まりさは辛うじて虚勢を張っているものの、れいむは子供に近づこうとした時以上に顔面をガラスに押し付け、その顔は冗談のように平たく広がっている。 「てい!」 鬼威さんのかけ声に、まりさとれいむは絶望を抱いて視界を閉ざす。 しかし痛みは訪れることなく、代わりに悲鳴は別の場所から上がった。 「ぃぎぃお!」「ゆぎゃぁあ!」 既に針で縫い止められている二匹の赤ちゃんゆっくりの傍らで、姉妹の傷を癒そうとぺーろぺーろを続けていた残り二匹の赤ちゃんゆっくり。 その二匹が揃ってが絶叫している。 今までは慰め看護する側だったが、これで平等。全員串刺しだ。 「んごぉおぉぉ、いちゃいの、あっちいっちぇえ! ゆんやぁぁああ!」 「ひっ! ぎぃえ! いぢゃぁああ!」 突然すぐそばで上がった悲鳴に驚き、先に串刺しにされていた二匹を同じ様に痛がり始める。 この生き物には正しい痛覚などなくても、痛そうだというだけで痛みを感じられるのかもしれない。 四匹が思い思いに顔面を歪めてもがき苦しむ様を見て、鬼威さんはすぅっと胸を撫で下ろす。 「ご主人様の言い付けで、今度の針には山葵が縫ってあるから余計に痛いかものかもしれないね」 にこにこ顔の鬼威さんは事も無げに告げて、視線を子供たちの両親へ向ける。 二匹は自分が刺されなかったことに安堵の息を吐いていたが、鬼威さんの視線に気づき顔を強張らせた。 「……よくも、よくもれいむをここまでおこらせたね。ひどいよ。もうあやまっても、ゆるしてあげないんだからね!」 「まりさのいかりがうちょうてんなんだぜ。もう、おそいのぜ。おにいさんはここでしぬうんめいなのぜ。いまきまったのぜ」 同じような脅し文句を飽きもせずに繰り返すのは、実行が伴わないのに言葉だけ相手を威圧しようとするからだ。 きっと相手が謝ってくるのを今か今かと待っているのだろうが、実力を見透かされていては滑稽を通り越して哀れ笑いを誘うしかない。 「ん~、確かにまりさは強いよ。きっと最強だよ。たぶんまともに戦ったら鬼威さん、手も足も出ずに負けちゃうじゃないかな。 でもね、今は君達の大切な可愛い赤ゆたちが捕らえられて、ああやって苦しめられているんだよ。 まりさ自身も箱の中だしね。 そんな状況じゃ、まりさも実力発揮できないよね。本当は戦ったら勝てるけど、鬼威さんの言うことをきくしかないよね?」 「ゆ、ゆぅ……」 鬼威さんの強いという言葉に気を良くしつつも、傷ついている我が子の姿を見てまりさは考える。 まだだ。まだ焦るような時間じゃないのかもしれない。 まりさは最強だが、今は条件が悪い。 人間さんを油断させて、子供たちを助け出してからが、まりさの強さの見せ所だ。 「そろーりそろーり!」 突然まりさが声を出しながら、れいむの部屋へと近づいていく。 まりさの声を聴いたれいむは何かを悟ったように、同じく「そろーり!」と声を出しながらまりさの元へ向かう。 ケースを仕切るガラスを挟んで、ゆっくりたちの密談が開始される。 鬼威さんはわざとらしく、出入り口である引き戸のほうに顔を向けて気づかないふりをしている。 「いいか、れいむ。まりさのいうことをよっくきくのぜ!」 「わかったよ、まりさ。れいむにまかせて!」 「にんげんさんにきづかれないように、さいっしんのちゅういをはらうのぜ」 「だいじょうぶだよ。こっそりいどうしたから、にんげんさんはきづいてないよ。ぷくくっ、ばかなじじぃは、なにもないところをみてるよ」 「ゆひひっ、あのにんげんさんはとってもあたまがわるいにちがいないのぜ。だから、かしこいまりさはそこをついて、たいせつなかぞくをたすける、めいっあんをおもいついたんだぜ!」 「すごいよ。さすがれいむのまりさだよ!」 ここで交わされたゆっくりたちの会話を要約するとこうなる。 まりさは強い。人間さんにだって楽勝だ。だけど、今は子供たちがつかまっているので手を出せない。 だから一度あの人間さんの言うことを聞くフリをして油断させる。 お飾り無しも人間さんもバカだからすぐに騙されて、ゆっくりしているまりさたちに感謝する。 その頃にはゆっくりした子供たちの姿に鬼威さんもメロメロに違いない。 鬼威さんはこっちが何も言わなくても、子供たちを外へ出して解放するだろう。 そこでまりさがそろそろれいむと自分も、この箱から出して欲しいと持ちかける。 従順なフリに騙されたバカな人間さんは、当然この透明な箱からまりされいむを出す。 まりさが箱から出たらこっちのもの。 あっという間に人間さんとお飾り無しをやっつけて、ゆっくりぷれいすを取り戻し、家族で末永くゆっくり暮らしましたさとなるわけだ。 「かんぺきだよっ! すごいよ、まりさ。さすがれいむのまりさだよ!」 「まりさはつよいだけじゃなかくて、もしかするとぱちゅりーよりあたまがいいのぜ。へへっ、れいむ、ほれるなよぜ?」 「むりだよ! れいむはまりさにむちゅうだよ。まりさがれいむのおっとだなんて、こんなしあわせなことはないよ」 二匹はガラス越しに身体を寄せ合い、すりすりを繰り返す。触れられはしないが、心は確かに肌を寄せていた。 「……いや、なんつーか、マジで吐きそーっすわ」 鬼威さんが堪らず呻き声をもらす。 今までゆっくりの口から何を言われても痛くも痒くもなかったが、この脳天気な会話は心底堪える。 二匹の世界に入り込んでしまっているこいつらは、今この瞬間もすぐ隣の空間で苦悶に顔を歪める赤ちゃんゆっくりのことなど気にも留めていないのだろう。 「れいむはなにをいわれても、にんげんさんのいうことをきくふりをするのぜ」 「わかったよ。れいむにまかせて!」 「こどもたちのために、ひどいこともきっと、きっとたえぬくのぜ!」 「れいむ、がんばるよ。どんなゆっくりしてないしうちにだって、きっとたえてみせるよ」 子供が苦しんでいるすぐ横で、そこまで自己陶酔できるのもある意味立派なもんだよと、鬼威さんは口の中で吐き捨て、帽子なしまりさへ視線を移す。 鬼威さんと目が合うことを恐れ、壁を向いてガタガタ震えているあれも、そういえば昔は立派な父親だったなと思い出すのだ。 命と等しいほど大事な自分のお飾り、それと引き換えに家族の身の安全を乞い願うほどに。 密談のつもりであるはずの筒抜けの会話が終わったのを見計らって、鬼威さんがゆっくりの収められたガラスケースへと視線を戻す。 「さて、じゃあクソムシたち、自己紹介して」 「ゆ! なにいってるの? れいむたちはクソムシなんかじゃないよっ! とってもゆっくりした」 「れいむれいむ!」 「ゆっくりなん……、まりさどうしたの?」 「さくせんなのぜ! ここはがまんがだいじなのぜ!」 何も考えずにクソムシという単語に反応したれいむへ、まりさが目配せを送る。 実際には全て口に出しており、誤魔化しにさえなっていないのだが、二匹ともそんなことは思い至らない。 「ゆぎぎぎぃ……、れいむはクソムシだよ。だから、なんなの! ばかなの! しぬの!?」 歯軋りをして屈辱に耐えながられいむが噛みつく。鬼威さんは平然として取り合わない。 「はい、クソムシれいむ一匹、と。横の、自己紹介して」 「ま、まりさは、ク、クソムシなんかじゃないけど、さくせんだからクソムシとなのってやるのぜっ」 「はい、クソムシが二匹と。次、そっちの小さいの」 「おちびちゃんたちはかんけいないでしょぉぉおおおっ!」 れいむがが吠える。 自分がクソムシと名乗らされた時より反応が激しく、そこには子供たちを守ろうとする母親の姿があった。 ドンドンと激しくケースに身体をぶつけ、今にも鬼威さんに飛びかからんばかりの勢いである。 しかし、あいかわらず上が空いていることに思い至らないらしい。 れいむがケースを揺らすことで、小さな赤ちゃんゆっくりの身体も揺すられ、針が刺さった皮の穴を広げる。 赤ちゃんゆっくりたちは激痛に苛まれ、悲鳴とも呪詛ともつかない声でれいむを罵った。 「にゃんてぇことすりゅの、くしょばばぁ!」 「いちゃいよぉ、おとーしゃん、たしゅけてぇー」 「おきゃーしゃんはばきゃなの? れいみゅ、とっちぇもきゃわいそぉなんだよ? しょんなことしちぇ、れいみゅをきょろすきにゃの?」 「やめるのじぇ、やめるのじぇええ! まりしゃがきゅるしんじぇるのに、おきゃーしゃんはひどぃんだじぇ。ぷっきゅーなんだじぇ!」 ぷっくーをしようとしても針で穴が開いているためすぐに空気が抜けて満足に膨れはしない。 それでも膨れては萎びるを繰り返して自分を責め立てる子供たちの醜悪な姿に、れいむは激しく動揺していた。 「なんでこのこたちは、おかあさんにそんなひどいこというのぉぉおおおおお!?」 子供たちに罵倒され恥も外聞もなくうろたえるれいむ。 まりさの考えた素晴らしい作戦とはいえ、クソムシの汚名を被るのは大人である自分たちだけで十分だった。 子供たちの名誉を守るための身体を張った抗議であるはずなのに、なぜ守ろうとした子供から自分が責められなければならないのか。 「おかーさんのきもちがわからない、わるいこはしねぇぇええええ!」 さらに激しくケースを揺さぶろうとするれいむを、鬼威さんがひょいと持ち上げる。 少し腕を動かしてやるだけでれいむの意識はあっさりと明後日の方向へ飛んでいった。 「わーい、れいむ、おそらをー」 目を細めて浮遊感に耽溺しているれいむをつかんだまま、鬼威さんが子供たちむけて尋ねる。 「君達はゆっくりかな? それともクソムシかな?」 「ゆゆ? にんげんしゃんも、ばきゃなの。まりしゃはとってもゆっきゅりした」 「クソムシなら針を抜いてあげる。ゆっくりにはもう一本針を刺すよ」 「クソムシでしゅぅう!」 「まりしゃもクソムシなんだじぇええ」 「れーみゅなんきゃ、クソムシよりもっとくちゃい、うんうんでちゅー!」 目を剥き舌を出してへつらう赤ちゃんゆっくりたち。 一匹だけ反応が遅れて「ゆ? まりしゃゆっきゅりだょ?」と不思議がっている赤ちゃんゆっくりに、鬼威さんは針を三本突き刺した。 「ゆびぇぇえええ、ぎゅぃぃいいい、ゆんぎゃぁぁああ」 赤ちゃんまりさから生えている新たな3本の針は、クソムシを名乗った他の三匹から抜いたものだ。 三匹は痛みから解放されたことに喜び、そして新たに自分の何倍もの痛みを背負った一匹の赤ちゃんまりさを見て優越感に浸る。 「ゆひゅー、あわりぇあわりぇ」 「まりしゃはおちゅむがたらないんでちゅねー」 「ばきゃなんじぇ。ぷぇっ!」 同室の赤ちゃんまりさが、侮蔑の表情で唾を吐きかける。 ほんの少し前、自分が針を刺された時に、ぺーろぺーろしてくれた恩など欠片も感じていないらしい。 まりさは泣いていた。 鼻水と涎をだらしなく垂れ流しながら、目の前の光景を否定したい気持ちでいっぱいになっていた。 まりさたちはとても仲の良いゆっくりした家族だったはずだ。 れいむは子供たちを愛していて、絶対にその口から死ねなんていう言葉をぶつけるようなことは無かった。 子供たちもいつだって仲良しで、互いを思いやり、誰か一匹をあげつらって笑うような真似はしたことがなかった。 悔しい。 どうしようもなく悔しかった。 全ては作戦だ。だからしかたがない。 でも、まりさのほうが強いのに。本当はすぐにでも鬼威さんを倒せるのに。 この奴隷を自称する鬼威さんのせいで、ゆっくりしたものが全部狂ってしまった。 家族がバラバラにされ、心まで離れていってしまう様を狭いケースの中で眺めることしかできない自分が情けなかった。 涙を流しながらまりさは考えた。 この局面を一気に打開する方法を。 鬼威さんを油断させて、一刻も早くケースを出て、まりさの実力を発揮できるもっと凄い作戦を! 「にんげんさん、ちょっといいかい、なのぜ!」 「ん? どうした、クソムシまりさ」 「こ、このどれいふざいがちょうしに……、いや、ここでおこったらせっかくのさくせんがぱーなのぜ。 ……ク、クソムシのまりさがにんげんさんに、いいことをしてやるのぜ」 「いいことって、なによ?」 鬼威さんはまりさの浅い企み見抜いた上で、さも不思議そうに質問する。 「ふふっ、きいておどくろくな、なのぜ。 まりさたちはいいクソムシだから、にんげんさんのおねがいをかなえてやるのぜ。そしたら、にんげんさんはきっとまりさたちのことがきにいるのぜ。ゆっくりさせたくなるのぜ! だからにんげんさんはまりさになにかおねがいをするといいのぜ!」 「おねがいかぁ……、それってなんでもいいの?」 「まりさにまかすんだぜ。ぶしににごんはないのぜ!」 「へぇ~、そ~。武士ね。じゃ、ちょっと待っててねー」 笑いをかみ殺しつつ、鬼威さんは片手に「おそらを~」状態のれいむをつかんだまま移動する。 電話台の上の帽子なしまりさの所へ近づくと「おい」と低い声で呼んだ。 「な、な、な、なんなんだじぇ。どれいさんは、ごしゅじんさまを、ほうっておいてほしいんだじぇ」 「どうせ聞き耳立てて会話は聞いてたんだろ、しらばっくれんなよ、知ってんだよ。 そんでさ、ご主人様よ。オレ、クソムシに叶えてもらいたい願い事なんてねーのよ、一切。 だってクソムシなんて何の役にも立たねーじゃん? ……だからさ、おまえこのれいむとヤレよ」 「ゆひぃっ! そんなのできないんだじぇ。だって、れいむはまりさのおよめさんなんだじぇ。あかちゃんたちのおかあさんなんだじぇ。それに、ごしゅじんさまとはれいむは、さっきはじめてあったばかりなんだじぇ」 「なにクソ真面目ぶってんだよ。てめぇの命可愛さに、お飾りも家族も全部差し出した屑のくせに、今更偉そうな御託並べんなよな。 ご主人様だって自分の嫁さんが目の前で端から5mm刻みで千切りされてからこっち、一回もすっきりしてねぇんだろ? たまってんじゃねーの? いーじゃん、この場で一番ゆっくりできるのはご主人様なんだからよ、欲望のままに生きよーぜ?」 鬼威さんは帽子なしまりさの頭を撫で回す。 髪の毛を掴む手の力は強く乱暴で、成体の帽子なしまりさの幼児語はさらにひどくになった。 「やめ、やめっ、やめるのじぇぇぇええええ。やるのじゃぇ、まりしゃ、やるのじぇ。だきゃら、いちゃいことしにゃいじぇぇぇえええ」 「んだよ、やる気満々じぇねーかよ。だったら最初からクズんなよな」 程なくして、自分が立てた作戦に得意満面のまりさのもとに、帽子まりさのケースを手にした鬼威さんが戻ってくる。 れいむもケースの中に入られているが、長時間の空の旅からようやく解放されたところで、意識はまだ朦朧としているらしい。 「にんげんさん! おねがいはきまったのかぜ?」 帽子なしまりさとの会話はまりさには聞こえていない。 「うん、このれいむに、ご主人様の伽をさせてくれ」 「とぎ? とぎってなんなのぜ、まりさにもわかることばいってほしいのぜ?」 「ああ、クソムシにもわかるようにいうと、すっきりだな」 「すっきり? すっき、ってだめなんだぜ!? れいむはまりさのおよめさんなんだぜ! あんなくずあいてにすっきりなんかしたら、れいむがけがされるのぜ。そんなゆっくりできないことは、ぜったいにみとめられないのぜぇええ!」 鬼威さんはテーブルの上に帽子まりさとれいむの入ったケースを置く。 元からあった大きなケースを少し動かしてスペースを作り、まりさの部屋の目の前に二匹の入ったケースを配置する。 全身を巡る焦燥に突き動かされ、まりさは狂ったようにケースの中で暴れまわる。 「武士に二言は無いけど、クソムシにはあるんだろうねぇ。でも却下。もう取り消せない」 鬼威さんは帽子なしれいむを掴み上げて揺さぶる。 振動が帽子なしまりさの劣情を刺激し、その身体の一部がむにむにと屹立しはじめる。 「……ゆっふぅん……」 頬を赤らめ、帽子なしまりさが喘ぐ。 「やめるんだぜ! れいむにふれたら、ゆるさないのぜ! おかざりもないこのくずが! そのぺにぺにをまりさが、ちょんぎってやるのぜ。 だから、こっちきて、まりさにどげざしてあやまって、ぺにぺにをさしだすんだぜ。はやく、はやくするんだぜぇえ!?」 鬼威さんは揺する手を止めない。帽子なしまりさのぺにぺには今や最大値に達し、その先からは先走りの汁さえにじんでいた。 「にんげんさん、もうやめてぐだざい。まりさがばかだったんでず。 ごべんなざい。あやま゛るがら、あやま゛るがら! どべて! そのてをどべで! いやば! いやばの! ばりざのれいぶをどらなびでぇえ! ばりざのれいぶをだずげでぐだばいぃぃいい! れいぶにぎぇてぇえええ」 まりさは激しく取り乱していた。 れいむはまりさの声にようやく意識を取り戻し、帽子なしまりさは意気を荒くしていた。 鬼威さんはどこまでも冷静で、落ち着いていた。 「さて、自分の嫁を差し出したクソムしまりさ。楽しいショーがはじまるよ。ゆっくりしていってね」
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/1088.html
761 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/14(水) 11 26 38 ID qSp7PmVM その時私は走っていた。 とにかく竹井久を助けるために。 どうしてそんなに竹井久を守りたかったのか、自分でも分からない。 ただ、どんなことがあってもキャスターさんを止めなければならないと、そう思った。 だから無我夢中でしがみついた。 キャスターさんの伸ばした右腕に。 律「久、逃げて!!」 キャスター「りっちゃん!何故?!」 部長「りっちゃん…ごめんなさい!」 ダッ キャスター「竹井久!逃さないわ!」 律「キャスターさん、もうやめて!浮気したのは私なの!責めるなら私を攻めて!」 キャスター「だからその感情こそがマインドコントロールなのよ! 離しなさい、りっちゃん!今その原因を根元から断つ!」 バッ 律「きゃ!」 キャスター「竹井久…もう許さないわ…粉々に砕くだけでは気が収まらない… 原子分解…いえ!お前という存在を因果ごと掻き消してやるッッ!」 律「キャスターさん!見て!」 キャスター「!」 律「ほら、キャスターさん。おっぱいだよ。毎晩揉みしだいてるおっぱいだよ? 今ここでわたしを無茶苦茶にしてもいいんだよ?」 キャスター「りっちゃん…」 フラ… 律「ね…?わたし、キャスターさんのこと一番大切だよ? だからそんな怖いことしないで…ね?」 キャスター「自分の身体を使ってまで竹井久を護りたいというの、りっちゃん… わたしの事がそこまで嫌いになったというの、りっちゃん…」 律「きゃ…キャスター…さん?違う!そんなんじゃない!なんで分かってくれないの!?」 キャスター「ハハ…消えちゃえ…こんな世界なんて…消えちゃえばいいのよ…」 キャスターさんはわたしを突き飛ばし、闇を身に纏うと詠唱を始めた。 わたしにはそれが、世界の崩壊する音に聞こえた。 762 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/14(水) 15 14 59 ID zrCmbtBY ?「やらせるかああああああ!」 ?「させませんっ!」 バシーン!(キャスターの顔面に蹴りが2発クリーンヒット) キャスター「ぺぽっ!」ズザー! 律「ムギに、刹那さん…」 オーナー「なんとか間に合ってよかったわ」 ガンダムバカ「ここを崩壊させるわけにはいけないからな」 オーナー「こんなことが起こりそうな気がしてたけど、まさかね」 ガンダムバカ「竹井は節操がなくて困る」 律「えっ、なんで…」 オーナー「最近の盗撮テープを見てたらわかるわよ。まるで倦怠期に入ったみたいだったもの」 律「…」 オーナー「りっちゃん、キャスターさんは私たちが抑えるからその間に理由を話して謝りなさい」 ガンダムバカ「理由はどうあれ、非はそちらにあるのだろう?ならば筋は通せ」 律「…わかった。ありがとうムギ、刹那さん」 オーナー「…さて行くわよ」ダッ! ガンダムバカ「了解」ダッ! キャスター「よくもよくも邪魔を…」 オーナー「前衛は任せるわ。とにかくりっちゃんが謝るまで何とか抑えるわよ」 ガンダムバカ「わかっているさ」 763 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/14(水) 16 10 41 ID ZJ9m6Utc 上条「嫌だ~!離せ~!」ズルズル ひたぎ「男がいつまでも喚かないでくれる?カッコ悪いわよ」スタスタ 上条「男だろうが何だろうが嫌なものは嫌なんだよ!」ズルズル ひたぎ「でも普通の謝罪じゃ許してもらえなかったんだからしょうがないじゃない」スタスタ 上条「だから焼き土下座って言うのは短絡的過ぎません!?」ズルズル ひたぎ「ここではそれが常識じゃない」スタスタ 上条「そんな常識聞いた事ねぇよ!!」ズルズル ひたぎ「…そこまで言うなら選ばせてあげるわ」ピタッ 上条「えっ!?焼き土下座以外の選択肢が!?」 ひたぎ「ええ…選びなさい、焼き土下座か…」 ジャキンッ ひたぎ「文房具か…」 上条「怖すぎるんですけどッ!?」 ひたぎ「たかが文房具に、何でそんなに恐怖しているの?」 上条「全面的に貴方のせいですよッ!!」 ひたぎ「失礼ね…大体…ん?」 ドカカカカーーーーーン!! ひたぎ「………」 上条「………」 ひたぎ「…随分面白いことになってるみたいね」 上条「どこが!?明らかに大規模戦闘が起こってるように見えるんですけど!?」 764 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/14(水) 16 11 22 ID ZJ9m6Utc ひたぎ「とにかく、上条君の焼き土下座or文房具は後回しね」 上条「…どっちかするのは確定なんですね…」 ひたぎ「とりあえず、食堂のみんなにも知らせましょう」 上条「じゃあ俺が一っ走り…」 ひたぎ「その必要はないわ」ピポパ 上条「って携帯!?」 ひたぎ「もしもし?どうも今…」 ―――食堂――― C.C.「うん…そうか…分かった…」ピッ 美琴「…その携帯どうしたの?」 C.C.「いつもの執事に頼んだらくれた」 黒子「…あの執事さん何者ですの?」 衣「その執事とはどんな奴だ?衣も会いたいぞ」 C.C.「あ~…まあいつか、な…」 士郎「で、何だったんだ?」 C.C.「どうもキャスターの奴がなんやかんやで暴れてるらしい」 美琴「なんやかんやって…」 C.C.「そういう訳ですぐに向かった方がよさそうだぞ…ひーちゃんと上条はもう向かったらしい」 アーチャー「今から間に合うかは分からんが…行くしかないな」 士郎「セイバー!行くぞ!!」 セイバー「待ってくださいシロウ…まだデザートが…」モグモグ インデックス「私が代わりに食べておくかも!」モグモグ セイバー「させません!!これは私の物です!!」モグモグ 黒子「…結局また全部食べてしまいましたの…」 アーチャー「戻ったらまた作り直さねば…はぁ~…」 765 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/14(水) 16 12 02 ID ZJ9m6Utc 衣「よく分からないが…衣も行っていいのか?」 C.C.「ダメだ。コロちゃんは私とインデックスと一緒に留守番だ」 衣「何故だ?そこにはいっぱい人が居るのであろう?衣は友達を作りたいのだ」 美琴「残念だけど、今から行くところは友達を作れるような状況じゃないの…」 黒子「心配せずともすぐにお友達は増やせますわ…だから待っていて欲しいのです…」 衣「…分かった…」 C.C.「じゃあ使い古された言葉だが…気を付けてな…」 アーチャー「ふん…言われるまでもない」 セイバー「私の食事を邪魔したことを後悔させてあげます…キャスター…」モグモグ 士郎「いや食べてるじゃん…」 美琴「それじゃ…行ってきます!」 黒子「行ってきますの!」 衣「行ってらっしゃい!!」 バタン 衣「行ってしまったな…」 C.C.「さて、待ってる間何をするか…」 インデックス「それじゃ麻雀をするんだよ!」 衣「おお!…しかしここには三人しかいない…三人麻雀と言うのもあるにはあるが…」 C.C.「心配ない」 ハロ「マージャン!マージャン!」ピョンピョン C.C.「こんなこともあろうかとハロを持ってきている」 衣「おお!シーちゃんは何でも持っているんだな!!」 C.C.「何でもは持ってないさ、持っている物だけだ」 【食堂組、第二安土城へ…間に合うか?】 766 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/15(木) 01 27 51 ID 3sAY0u6A 【第二安土城一階出入り口付近】 部長「はぁはぁはぁ…やっぱり私ってか弱い乙女っていうか文化系少女ね… こんなことならスタミナつけとくんだったわ…もちろん夜の競技はタフネスだけどね☆ そうこうしている内に出口ね…刹那くん、打ち合わせ通りにできるかしら…って… あちゃ~裏目ったわ…」 【第二安土城】 ガンダムバカ「キャスター、その歪み、許す訳にはいかない。ガンダムマイスターの名において貴様を討つ!」 オーナー「既に貴女は詰んでいるわメイガス!おとなしく投降しなさい!」 キャスター「ふふふふふ…詰む?なにを言ってるのかしら?」 ブンッ ガンダムバカ「な、なに?!」 オーナー「なんの触媒も無しに竜牙兵を?!しゃらくさい!」 ズバババババ アンデッド「あ゛~あ゛~」 オーナー「効かない?!」 キャスター「ふふふ…竜牙兵を超える特別製のゴーレムよ。マナが濃密なここならば触媒すら必要じゃないわ。 鎧と武器は既に強化済み。通常火器じゃヒビ一つ入らない。 つまり貴方達ではどうしようもないってこと。そこで指をくわえてこの世界が滅ぶさまをご覧なさい…」 ガンダムバカ「ならば尋常でない武器ならば通用するということだな?ホンダム!支援砲撃!」 ・・・ ガンダムバカ「ホンダムどうした?!…なに?!」 オーナー「まさか…」 キャスター「そうよ。だって儀式魔術を使うんですもの。当然でしょ? 結界を張らせてもらったわ。極上の、ね」 767 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/15(木) 02 34 33 ID 3sAY0u6A 【対策本部】 黒服「ダメです!サーズデイの攻撃すら通りません!」 ミサカ「私たちの飽和攻撃でもダメです!とミサカはミサカネットワークを通じて報告します!」 小萌「上条さんは?!」 黒服「黒子さんによるピストンテレポートで現場に到着しました!」 真宵「これはもう第二段階に移行するべきでは?!」 小萌「アレはこちらの動力炉を著しく消耗します!出来れば使いたくは…」 上条『こちら上条!駄目だ!消えねぇ!』 小萌「なんですって?!」 アーチャー「そういえば、あいつの右手は例の公園の結界を破ることが出来なかったな…」 小萌「白井さんのテレポートでは行けませんか?!」 黒子『…ダメですの!道が見えませんわ!』 小萌「どうして?!」 美琴「あの子のテレポートは11次元を通じる移動手段にすぎないのよ。 次元の道が遮断されていれば使うことは出来ないわ」 アーチャー「なるほど。では行くとしよう」 小萌「お願いしますぅ」 ホンダム『~~~~~!』 撫子「先生!ホンダムがなにか伝えたさそうです!」 小萌「…これは」 真宵「先生も気づかれましたか」 小萌「えぇ…でもチャンスは一回。失敗はできないですぅ」 真宵「どちらにしますか?」 小萌「…龍門渕さんなら違う方を取ったと思いますけど、先生にはコレを選ぶしか頭にありません!」 真宵「了解。…先生のそんな所、私は好きですよ。 総員!対ショック対閃光防御!」 小萌「トランザム・バースト!」 770 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/15(木) 04 02 38 ID a4mizPY6 ズドオオオオン! ホンダム「…」 キャスター「な、何が起きてるの!?」 ガンダムバカ「小萌は切り札を発動させたか」 オーナー「使わざるを得なかったが正しいでしょうね」 キャスター「くっ、この…」 オーナー「ガンダムバカ!」パァンパァン ガンダムバカ「わかっている!」ダッ キャスター「この程度の射撃…な、突っ込んでくる!」 ガンダムバカ「取ったぞ…」ガシッ キャスター「ちょ、離しなさい!」 オーナー「手伝うわ!」ダッ ガンダムバカ「頼む!」 オーナー「キャスターさん、ちょっと大人しくしてくださいね」ガシッ キャスター「この…」 ムギ「りっちゃん、今よ!トランザムバーストの影響があるとはいえガンダムバカと私は所詮人間。サーヴァントをどれだけ抑えられるかわからないわ!」 律「わかったぜ!…キャスターさん」 キャスター「な、何よ?どうせマインド…」 律「ごめんなさい!(土下座)」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3316.html
優希「どうしたんだじぇ?」 久「どうしたのよ騒々しい」 和「何かあったんですか?」 咲「京ちゃんがうずくまってる・・・。もしかして京ちゃんが怪我でもしたんですか、染谷先輩?」 染谷「わしが牌を入れる箱を落として、京太郎のおちんちんの骨を折ってしもうたんじゃ・・・」 久「なんですって!?」 優希「おちんちんの骨が折れるなんて大変だじぇ!」 咲「ど、どうしよう・・・」 和「救急車を呼んだ方がいいのでは・・・?」 京太郎「だ、ダメだ・・・。救急車は呼ばないでくれ・・・」 久「そんな、どうして!?」 染谷「そうじゃ!何でなんじゃ!?」 京太郎「部内で怪我人が出たとなれば麻雀部は廃部になるかもしれない・・・] 京太郎「ここは麻雀部とは関係なく怪我をしたということにしないと・・・」 染谷「動くんじゃない!痛いんじゃろ?」 京太郎「はは、大丈夫ですよ。たかが骨が折れたくらいで・・・。ぐぁぁ!!」 咲「あわわ、ど、どうしたら・・・」 優希「とりあえず冷やしてみようじぇ。冷凍庫から氷出してくるじぇ!」 和「では私は氷を入れる袋を用意します」 久「須賀君、本当に大丈夫なの?」 京太郎「大丈夫です。骨折するのには慣れてますから・・・」 咲「そんな、よく骨折してるって・・・何で・・・」 京太郎「男の子には色々あるんだよ、咲・・・」 染谷「すまん京太郎・・・。わしがあんな重い箱を落としたばっかりに・・・」 京太郎「いいんですよ染谷先輩・・・。俺が悪いんですから・・・」 優希「氷持ってきたじぇー」 和「では冷やしましょうか」 久「冷やす・・・。ね、ねえ、やっぱりこういうのは患部に直接当てて冷やさないといけないのかしら・・・?」 京太郎「えっ・・・?」 優希「じゃあ脱がせるじぇ?」 和「ちょっと、汚いもの出させようとしないで下さい!」 咲「あわわ、どうしたらいいのかわかんないよぉ」 染谷「よし、脱がせい!」 優希「アイアイサーだじぇ!」 京太郎「や、やめて下さい!こっちは骨が折れてるんですから乱暴なことしないで下さい!」 久「そ、そうね・・・」 優希「すまんだじぇ・・・」 和「怪我人は丁寧に扱わないと。早く病院に行ってきたらいいのに」 咲「で、でも痛そうだよ?脱がせて冷やしてあげようよ!」 染谷「じゃがのう・・・」 京太郎「こんな状態じゃ歩くことはとても・・・」 染谷「わしの責任じゃ・・・」 京太郎「そんな・・・。元はといえば俺が先輩が棚の上から牌の箱を取っている脚立の下で横になってたのが悪いんですから・・・」 久「とにかく、骨折は早めの治療が大事なのよ」 和「そうですね。折れたのを放っておくと、骨が変にくっついて大変なことになりかねませんから」 優希「でも、京太郎は身動きができないって言ってるじょ」 咲「うーん・・・」 染谷「じゃったらわしが・・・」 京太郎「えっ・・・?」 染谷「わしがおんぶして病院まで連れていったる!」 久「まこ・・・」 優希「漢と書いておとこだじぇ!」 和「染谷先輩、かっこいいです!」 咲「で、でも・・・」 染谷「さあ、わしの背中に乗るんじゃ京太郎」 京太郎「そ、それじゃあ失礼します・・・。ぐっ、ぎゃぁぁあああああ!!!!!」ドテッ ゴロンゴロン 染谷「ど、どうしたんじゃ京太郎!?」 久「まこ、ちゃんと支えたの?」 染谷「わ、わしは・・・。京太郎が自分から転がり落ちたんじゃ・・・」 優希「まさかこれは・・・」 和「わかるんですか優希?」 優希「これは仮説なんだけど、京太郎の骨折したおちんちんが染谷先輩の背中に接触したことで激痛が走ったのではないだろうか?」 咲「それだよ優希ちゃん!冴えてるね!」 優希「いや~、えへへへへ」 京太郎「うぅ~・・・」 染谷「ど、どうしたらええんじゃ・・・。これじゃあ京太郎を病院に運ぶ手段が思い浮かばん・・・」 久「諦めるのはまだ早いわ!」 咲「そんな・・・。運ぼうとしたってこんなに痛がってるんですよ?どうしようもないじゃないですか!」 久「逆転の発想よ」 和「逆転の発想・・・ですか・・・?」 久「痛みを感じるというのであれば、それはどうしようもないこと」 久「だったら、須賀君を気絶させて何も感じてないうちに運んでしまえばいいだけのこと」 優希「なるほどー」 和「一理ありますね」 染谷「じゃ、じゃがそれは危険なことなんじゃないじゃろうか・・・」 久「どういうこと?」 染谷「痛みっちゅうんは、体が発する危険信号じゃ・・・」 染谷「それを無視して無理矢理運ぶっちゅうんは、何か良からぬことが起きそうで怖いんじゃ・・・」 優希「でも、ここで何もしなかったら京太郎のおちんちんの骨は永久に折れたまんまだじぇ?」 咲「ううん、悪く骨がくっついて大変なことになるかも・・・」 染谷「うぅ・・・、わしんせいでこんな・・・」 久「自分を責めちゃダメよ、まこ」 和「そうですよ染谷先輩。先輩は何も悪くないです」 優希「だからそんな落ち込まないで欲しいじょ」 染谷「お前達・・・。ありがとうな・・・」 咲「そうだ!駅前においしいケーキが食べられるお店ができたんですよ!よかったらそこに行きませんか?」 和「いいですね!染谷先輩、行きましょうよ。こんなところで落ち込んでいるよりいいですよ」 優希「ケーキ♪ケーキ♪」 久「行きましょ、まこ」 染谷「そう・・・じゃな・・・。よし、これからみんなでケーキパーティーじゃ!」 久「そうこなくっちゃ」 咲「それじゃ行きましょうか。あ、お勧めのケーキがあってね・・・」 和「へえ、そうなんですか・・・」 京太郎「俺は放置された・・・・・・」 京太郎「金曜だったから、学校が始まる月曜日まで放置された・・・」 完
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1847.html
650 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 19 49 ID ii5wKRWs ―――牢獄――― 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………なぁ」 五飛「黙れ」 遠藤「………」 五飛「………」 ―――1時間後――― 遠藤「………」 五飛「………」 ファサリナ「交代の時間です」 五飛「ん…分かった…」 遠藤「………」 651 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 20 26 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 ファサリナ「………」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「………こんな服もあるんですね…」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「あ…この服もいい…」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「一度着てみたいですね…」ペラ 遠藤「………なぁ」 ファサリナ「静かにしてください」 遠藤「………」 ファサリナ「………」ペラ ―――1時間後――― 藤乃「交代の時間です」 ファサリナ「はい、後をよろしく」 遠藤「………」 652 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 20 46 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 藤乃「………」 遠藤「………」 藤乃「………」 遠藤「………n」 藤乃「凶がれ」 遠藤「いっ!?」ゴキ 藤乃「凶がれ」 遠藤「ちょ!ちょっと待ってk」バキグキ 藤乃「凶がれ」 遠藤「グギャァーーー!!!」ボキゴキバキ ―――1時間後――― バーサーカー「交代の時間だ」 藤乃「はい」 遠藤「………!」ピクピク 653 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 12 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 バーサーカー「………」 遠藤「………」 バーサーカー「………」 遠藤「………」 バーサーカー「……――」 遠藤「へっ…?」 バーサーカー「■■■■■■■■■■――!!!!!」 遠藤「ってなんでまた狂化してんだっ!?」 バーサーカー「■■■■■――!!!」ドンッ 遠藤「おいおいおいおい待て待て待て待て!!!!!!!」 バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■――!!!!!!!!!!!」ドンバキバキッ 遠藤「ちょ!本当にやmヌギャーーーーーー!!!!!」ゴキバキボキ ―――1時間後――― 荒耶「交代の時間だ」 バーサーカー「■■■――」コク 遠藤「………」ボロッ 654 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 33 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 荒耶「………」 遠藤「………」 荒耶「………」 遠藤「………な…なぁ…」 荒耶「なんだ?」 遠藤「あー…何でお前まで見張りになってんだ?」 荒耶「私とて今や『空気組』の一員としておかしくない低登場率を誇っている…何も不思議なことはあるまい…」 遠藤「いや誇ってどうする…そもそも何で『空気組』が見張り役なんだよ…って言うかそもそも見張りって必要か?」 荒耶「必要ないだろうな…だが出番がほとんどない『空気組』にも、出番を与えようという考え…だったのだろうが…」 遠藤「が?」 荒耶「元々空気だった遠藤と絡めたところで…出番など増えるはずもなかったということだな…」 遠藤「うるせーよ!!」 荒耶「登場率の高い『咲』や『けいおん』のキャラと絡めたなら、出番も増えたのだがな…」 遠藤「実際『頭ごっちんこ事件』で絡んでたからな…」 荒耶「だがあんな事件そうそう起こる事でもない…結局空気のままだ…はぁ…出番が欲しい…」 遠藤「お前そんなこと言うキャラじゃないだろ!?」 荒耶「こうやって少しずつキャラを崩していけば、出番があるかもしれないだろ!?」 遠藤「必死になるな!少しずつどころか既に崩れてる!!」 655 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 57 ID ii5wKRWs 荒耶「そもそも『空気組』とは何だ…?」 遠藤「登場率の低いキャラの総称だろうが…」 荒耶「ならば登場率とは何だ…?」 遠藤「確か…キャラの死亡が確定した後で、そのキャラが登場したレスの割合だろ…」 荒耶「大方そんなところだ…だが登場率だけで空気かそうでないかを決めていいものだろうか…?同じ1レスでも…一言台詞を言っただけのレスもあれば…文字制限ギリギリまでキャラ同士の会話があったレスもある…或いは出番がほとんどなくとも、たった1レスの行動で読み手に強烈なインパクトを残したキャラもいたはずだ…」 遠藤「…まぁ…確かに…」 荒耶「ならば!登場率が低いという、ただそれだけの理由で我々を空気扱いするのは傲慢な考えだ!そして完全な空気キャラである遠藤の相手を押し付けるなど…!」 遠藤「俺は完全な空気キャラ確定なのか!?」 荒耶「当り前だ…お前は本編の第一話でピークを終えたのだ…」 遠藤「ぐうぅ…否定出来ねぇ…畜生…俺はいつここを出られるんだ…」 荒耶「さあな…お前を牢獄から出してやろういう、殊勝な考えを持った書き手が現れるのを待つんだな…」 遠藤「…そんな書き手いるのか?」 荒耶「………」 遠藤「なんでそこで黙るんだ!?くっそぉ!!ここから出せ!!!」ガシャンガシャン 荒耶「あんまり暴れると葉っぱが落ちるぞ…」 遠藤「俺はまだ全裸の設定なのか!!?早く服を着させろ!!」 荒耶「それも書き手が現れるのを待て…」 遠藤「ふざけんなーーー!!!」 ―――1時間後――― 馬イク(交代の時間です) 荒耶「うむ…」 遠藤「お前も『空気組』の一員なのか!?」
https://w.atwiki.jp/ani3sisya/pages/1063.html
650 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 19 49 ID ii5wKRWs ―――牢獄――― 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………」 五飛「………」 遠藤「………なぁ」 五飛「黙れ」 遠藤「………」 五飛「………」 ―――1時間後――― 遠藤「………」 五飛「………」 ファサリナ「交代の時間です」 五飛「ん…分かった…」 遠藤「………」 651 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 20 26 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 ファサリナ「………」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「………こんな服もあるんですね…」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「あ…この服もいい…」ペラ 遠藤「………」 ファサリナ「一度着てみたいですね…」ペラ 遠藤「………なぁ」 ファサリナ「静かにしてください」 遠藤「………」 ファサリナ「………」ペラ ―――1時間後――― 藤乃「交代の時間です」 ファサリナ「はい、後をよろしく」 遠藤「………」 652 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 20 46 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 藤乃「………」 遠藤「………」 藤乃「………」 遠藤「………n」 藤乃「凶がれ」 遠藤「いっ!?」ゴキ 藤乃「凶がれ」 遠藤「ちょ!ちょっと待ってk」バキグキ 藤乃「凶がれ」 遠藤「グギャァーーー!!!」ボキゴキバキ ―――1時間後――― バーサーカー「交代の時間だ」 藤乃「はい」 遠藤「………!」ピクピク 653 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 12 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 バーサーカー「………」 遠藤「………」 バーサーカー「………」 遠藤「………」 バーサーカー「……――」 遠藤「へっ…?」 バーサーカー「■■■■■■■■■■――!!!!!」 遠藤「ってなんでまた狂化してんだっ!?」 バーサーカー「■■■■■――!!!」ドンッ 遠藤「おいおいおいおい待て待て待て待て!!!!!!!」 バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■――!!!!!!!!!!!」ドンバキバキッ 遠藤「ちょ!本当にやmヌギャーーーーーー!!!!!」ゴキバキボキ ―――1時間後――― 荒耶「交代の時間だ」 バーサーカー「■■■――」コク 遠藤「………」ボロッ 654 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 33 ID ii5wKRWs 遠藤「………」 荒耶「………」 遠藤「………」 荒耶「………」 遠藤「………な…なぁ…」 荒耶「なんだ?」 遠藤「あー…何でお前まで見張りになってんだ?」 荒耶「私とて今や『空気組』の一員としておかしくない低登場率を誇っている…何も不思議なことはあるまい…」 遠藤「いや誇ってどうする…そもそも何で『空気組』が見張り役なんだよ…って言うかそもそも見張りって必要か?」 荒耶「必要ないだろうな…だが出番がほとんどない『空気組』にも、出番を与えようという考え…だったのだろうが…」 遠藤「が?」 荒耶「元々空気だった遠藤と絡めたところで…出番など増えるはずもなかったということだな…」 遠藤「うるせーよ!!」 荒耶「登場率の高い『咲』や『けいおん』のキャラと絡めたなら、出番も増えたのだがな…」 遠藤「実際『頭ごっちんこ事件』で絡んでたからな…」 荒耶「だがあんな事件そうそう起こる事でもない…結局空気のままだ…はぁ…出番が欲しい…」 遠藤「お前そんなこと言うキャラじゃないだろ!?」 荒耶「こうやって少しずつキャラを崩していけば、出番があるかもしれないだろ!?」 遠藤「必死になるな!少しずつどころか既に崩れてる!!」 655 :名無しさんなんだじぇ:2011/11/24(木) 20 21 57 ID ii5wKRWs 荒耶「そもそも『空気組』とは何だ…?」 遠藤「登場率の低いキャラの総称だろうが…」 荒耶「ならば登場率とは何だ…?」 遠藤「確か…キャラの死亡が確定した後で、そのキャラが登場したレスの割合だろ…」 荒耶「大方そんなところだ…だが登場率だけで空気かそうでないかを決めていいものだろうか…?同じ1レスでも…一言台詞を言っただけのレスもあれば…文字制限ギリギリまでキャラ同士の会話があったレスもある…或いは出番がほとんどなくとも、たった1レスの行動で読み手に強烈なインパクトを残したキャラもいたはずだ…」 遠藤「…まぁ…確かに…」 荒耶「ならば!登場率が低いという、ただそれだけの理由で我々を空気扱いするのは傲慢な考えだ!そして完全な空気キャラである遠藤の相手を押し付けるなど…!」 遠藤「俺は完全な空気キャラ確定なのか!?」 荒耶「当り前だ…お前は本編の第一話でピークを終えたのだ…」 遠藤「ぐうぅ…否定出来ねぇ…畜生…俺はいつここを出られるんだ…」 荒耶「さあな…お前を牢獄から出してやろういう、殊勝な考えを持った書き手が現れるのを待つんだな…」 遠藤「…そんな書き手いるのか?」 荒耶「………」 遠藤「なんでそこで黙るんだ!?くっそぉ!!ここから出せ!!!」ガシャンガシャン 荒耶「あんまり暴れると葉っぱが落ちるぞ…」 遠藤「俺はまだ全裸の設定なのか!!?早く服を着させろ!!」 荒耶「それも書き手が現れるのを待て…」 遠藤「ふざけんなーーー!!!」 ―――1時間後――― 馬イク(交代の時間です) 荒耶「うむ…」 遠藤「お前も『空気組』の一員なのか!?」