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「ゅ・・ゆう・・」 目がさめたまりさ。人間に抱えられ森の中を移動していた。 先頭には犬がおり、犬は地面に鼻をつけながらヒクヒクさせ、ゆっくりと進んでいた。 人間は犬の後をひたすらついていく。 「おや、やっと目が覚めたか。お前の家族にもたっぷりと痛い目に遭わせてやるからな。楽しみにしてな!」 「ゆ・・ゆぅ・・」 寝ぼけているまりさだが、周囲を身体をよじって見回すとそこはまりさがよく目にする風景であった。 「ゆ゙う!!」 家が近いことに気がついたまりさ。 (このままじゃおうちが見つかっちゃうよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!) 「ま・・まりさの家はこっちじゃないよ!あっちだよ!」と巣は別の方向にあると告げる。 「そうなのか。でもカツオはこっちだと言ってるみたいだぞ。」 「ゆゆ!ちがうよ!そっちには何もないよ!その馬鹿犬は早く死んでね!ゆぎゃ!!」 男はまりさの頬を指でちぎった。ちぎられたところからは餡子がうっすらと漏れる。 「ゆぎゃああああああいだいいいいいいい!!!」 「カツオの悪口を言うなんていい度胸だね。君の家族たっぷりいたぶってあげるから感謝してね!!」 といいながら歩きながらまりさの顔を軽く殴り続けながら犬の後を追う。 ウォン!!とカツオが吠える 視界の先には大きめな朽ちた木があり、いかにもゆっくりが巣にしそうな感じがした。 「あそこか」といい男は歩みを速めた。 「ぢがゔよ゙おおおおおおお!!!そっぢじゃないよ゙おおおおおお!!馬鹿な人間さんはしねえええええええええええ!!」 まりさは泣きながら叫ぶ。男の抱える手がまりさの温い涙でぬれると、不快なのでまりさをその場に放り投げた。 「家族が痛い目に遭うけど今なら逃げれるよ。逃げたら君の分まで家族が痛い目に遭うけどね」 と言い残し、男はその巣と思しき朽ちた木へ走ってゆく。 「やべでえええええええええええええええええ!!!!!!!!!」 男の後ろかまりさの叫び声が聞こえた。 森の奥にある朽ちた木の中に、ゆっくり一家がいる。 この一家の構成は親れいむとまだあかちゃん言葉が抜けていない野球ボールサイズの子れいむが2匹、子まりさが2匹である。 親れいむの頭には蔦が生えており、そこには赤ゆが3匹実っていた。 「ゆっゆー♪」 「ゆっきゅりまっちぇにぇ」 「ゆっきゅりちゅかまらないにょ!」 しかしれいむは少し暗い顔をしていた。それもそのはず、夫であるまりさは昨日、狩りにいくと巣を出て行ってから帰ってきていないのだ。 (ゆぅ・・帰ってくるのおそいよまりさ・・・とっても心配だよ・・・・・これじゃゆっくりできないよ・・・) しかし元気でゆっくりとした子ゆっくりを見て 暗い気持ちが不思議と、とてもゆっくりとしたものに変わってゆく。これも前向きなゆっくり故の性であろうか。 「ゆゆっ!とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだねっ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」」」 いつものゆっくりとした挨拶を交わして一家はより笑顔になる。 「まりしゃおちょうしゃんはまだかえってこにゃいにょ?」 「れいみゅはやきゅまりしゃおちょうしゃんにあいたいょ」 子ゆっくりたちが親れいむに泣きそうな顔で聞いてきた。 急に巣の中は沈黙が支配した。はしゃいでいた子ゆっくりも泣きそうな顔をしていた。 「ゆぇーん ゆぇーん おちょうしゃんにあいたいよー」 一人が泣いたのをきっかけに子ゆっくり4匹は泣き始めた。 「「「「ゆえーーん ゆえーん ゆえーん」」」」 「泣かないでねおちびちゃん!ゆううう・・・まりさはすぐ帰ってくるよ!」 まだ意識のない実ゆっくりもそれを聞いて悲しそうな顔を浮かべていた。 (このままじゃいけない!ゆっくりできないよ!!まりさが居なくて不安だけど母親であるれいむがなんとかしないと!) 親れいむは心配で泣いている子ゆっくりを慰めるために 「ゆっ! まりさがそろそろ狩りから帰ってくるからね!きっとおいしいごちそうを 持ってきてくれるからね!あまあまもあるよ!そしたらゆっくりご飯にしようね!」 「「「ゆゆっ!ごちしょう!?あみゅあみゃ!!?」」」 子ゆっくりは泣き顔から一転して、みな笑顔になった。 子ゆっくりたちは滅多に食べることのできない甘いものは大好物なのだ。それを想像するだけで一日中ゆっくりできる。 「わーい!れーみゅあまあまだーいしゅきー!」 「まりしゃもまりしゃもー!」 「それじゃまりさが返ってくるまで一緒にす~りす~りしながらおうたさん歌おうね!ゆ~ゆゆ~~ゆっくりしていってね~~おちびちゃ~ん~」 「「「ゆ~ゆゆ~ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ~~」」」 す~りす~りしながら歌うと身体の奥底が暖かい気持ちになる。子ゆっくりのふにっとした感触の肌にす~りす~りはまた格別だ。 「「しゅ~りしゅ~り」」 おちびちゃんたちもとってもゆっくり出来ているようだ。れいむもとってもゆっくりできる。 きっとまりさは元気な姿で帰ってくるはずだ。こんなにかわいいおちびちゃんとれいむを残して帰ってこないはずはない。 親れいむはそう信じてまりさの帰りをまった。 ふとその時、ガサガサという音を耳にした。 「ゆゆ?」 「なんにょおちょ?」 「おとうさんが返ってきたんだよ!みんな挨拶をするんだよ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」 巣の前のバリケードがどかされ光が巣の中に差し込む そこから見えたものはいかにもゆっくりできなさそうな悪意に満ちた笑顔の「人間さん」とゆっくりの天敵である「犬さん」だった。 「ゆっくりしていかないでね!!!!!!!!!」 人間は大きな声で、怒鳴るような声でゆっくり一家に叫んだ。 ぜんぜんゆっくりできない、悪意のたっぷり籠った「ゆっくりしていかないでね」に 一匹の子れいむは泡を吹いて気絶した。 「にげてえええええええええ」 親まりさは泣きながら男の後を全力で追いながら、遠くから叫んだ!遠くから叫んだまりさの声を聞いて親れいむはまりさは今まで人間さん 捕まっていたのだと確信した。親れいむは気絶した子れいむを舌でからめ捕り口の中に収めた 「みんなおかーさんの口の中にゆっくりしないで入ってね!」 子ゆっくりたちはみんな親れいむの口の中へ入ってゆく。 人間はそれをみながら何もしない。むしろ全員入るのを待っているかのようだ。 子ゆっくりをみんな口に収め、親れいむは少しだけ安堵する。 (これで子供たちには危害が加えられないよ。あとはまりさを返してもらうだけだよ・・) そう考えいたとき人間の手がれいむの頭に付いている茎をつかみ巣の外へ向かって引っ張られる 「ん~~~~~~~~!!!!!」 口に子ゆっくりを納めているので「やめてね!」などはっきりとした拒絶の言葉がまったく出せず、れいむは茎がちぎれるのを恐れ抵抗せず外へ引きずり出された。 子供を口に含んだ親れいむと巣までようやくやってきた親まりさは麻袋に詰められ人間の家に持って行かれた。 麻袋へ入れられ運ばれている最中まりさの絶望の泣き声が聞こえた。 「ごべんでえええええええええ!まりさが!!まりさが!!つかまったせいでえええええええええ!!」 自宅へ帰り、暖炉に火をつける。それから麻袋から入れたゆっくり手でつかみ床に置く。 親れいむだけは実がついているのでとても慎重に。 親まりさは放り投げるように。 「ゆっくり痛いよ!謝ってね!」 れいむは4匹の子ゆっくり(子れいむ×2 子まりさ×2)を木の床に全部吐き出し、人間に向かい謝罪を要求していた。 人間はれいむを無視し、素早く床に置かれた一匹の野球の球サイズの子れいむを手に取った。 子ゆっくり独特のふにっしたさわり心地はまるで女性の乳房を彷彿とさせる。 子れいむはこんな状況なのに男が遊んでくれると思っているようで、下膨れの顔で「おしょらをちょんでるみちゃい~♪」 と呑気な事を言っていた。他の子ゆっくりは「れいみゅ「まりしゃ」も~」と言っている。 「ゆっ!かってにかわいいおちびちゃんに触らないでね!触りたいならあまあ「これから君たちに制裁するよ。 とってもとっても苦しいよ!ゆっくりたっぷり堪能してね!」」 「ゆゆ!?」 親れいむの言葉を無視し、男は子ゆっくりに対し虐待宣言をした。 子供への危険を感じたのか親まりさと親れいむは「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを離してね!」と言いながら人間に向かっていった。 人間の足の膝や腿にポスンッ ポスンッ 親ゆっくりが体当たりした。 「大丈夫だって、すぐに終わるんだからこんなものは!」 男は子れいむを自分の頭よりも高く振りかぶり、 「ゆゆ~ん おしょらをちょんでるみちゃ「ブンッ!」」 ビタン! 「ゆびゅ!!」 顔面から固い床へ熱いキスをかました子れいむ。 本来球体をしているゆっくりの形は歪められ平べったくなっている。 一瞬親れいむは子れいむの身に一体なにが起きたのかわからなく、思考が停止していた。 「・・・お・・お・・・かわいいおちびちゃん!!ゆっくり!!ゆっくりしていってねえ!」 親れいむは心配そうに叩きつけられた子れいむにゆっくりしていってねと言った。まりさは心配そうにその子れいむを見つめていた。 子れいむは無言だった。生まれて初めての、他者から加えられた痛みにどのように対処していいのかわからなかった。 子れいむにとって痛み自体は初めての経験ではなかった。今まで巣の中で転んだ時など本当に短いゆん生の中ではあるが痛みを経験したことはある。 しかし、今回のそれは今まで経験した痛みの中でも別次元の痛みであった。 身体の餡子全体を強く不快な衝撃が駆け巡り、痛み、視界の揺れ、吐き気、恐怖、それらがごちゃ混ぜになったものが子れいむを支配した。 いわゆる「餡震盪」状態である。これは特に吐き気と視界の揺れがひどい。 人間も親ゆっくりも別の子ゆっくりも子れいむをじっと無言で眺めていた。 チョロロロロロロ・・・・・ しーしーを無言で流す子れいむ。 そのうちフルフルと震えながら少しだけ床とくっついた顔をゆっくりと起し、張り裂けるような泣き声を上げた。 「ゆびゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! いじゃいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! きぼぢわ゙りゅ゙い゙よ゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!エレエレエレエレ!!」 男はその泣き声を聞き、ニッコリとし、無言でその泣き叫ぶ合間に吐いたりしている子れいむを掴もうと手を伸ばした。 手が子れいむを掴もうとする寸前、親れいむと親まりさがその手に噛みついた。 怒りの形相を浮かべ、男の手と腕に噛みつく親ゆっくり。 「ゆっくりやめてね!!! くそじじいはゆっくりしねええええ!!」 「まりさの本気を思い知ってね!!怒ると怖いんだよ!!正面からたたかえば負けないよ!!!」 親ゆっくりの噛みつく力は思いのほか強く、痛かった。男は無理やりそれを引きはがし、 ゆっくり虐待用の透明なケースに二匹を強引に一緒に詰め蓋をした。 手を見てみるとゆっくりの歯型が手に付いていた。少し赤く腫れている。明日あたりアザになるかもしれない。 ゆっくりを入れたケースを見てみるケースは暴れるゆっくりのせいでガタガタ揺れていた。 しかし、奮発して高いケースを買っただけあって、ゆっくりが暴れてもビクともしない。 (親を痛めつけるのは子をやったあとだな・・) 気を取り直して再度そのいまだ泣き続けている子れいむを掴みあげる。 掴まれたことに気がついた子れいむは、また痛いことをされるのだと思い必死にその丸いからだをよじり、男の手から何とか離れようとする。 子れいむのアゴのあたりからしーしーがプシュ!と噴射したり、大泣きによる、涙や人間でいう冷や汗に相当するなぞの体液 などにより子れいむはぬるぬるのまんじゅうと化した。まるで鮎などの川魚のようにぬるぬるである。本当に・・・気持ち悪い。 男は子れいむ自身のぬめりで滑り落とさないようにしっかりと子れいむを掴みあげて、先ほどと同じように投げる態勢を取る。 「やじゃあああああああああああああああああ!はなじでええええええええええ!! おきゃあしゃあああああああん!!おちょうしゃあああああああああん!!たしゅけ「ブンッ」 ゆびゅ!!」 再度床に叩きつけられた子れいむ。先ほどのような悲鳴や泣き声はない。 「ゆ・・・・ゆ・ゆ・・・ゆええええん・・・おきゃあしゃああああん・・・・・」 それから何度も子れいむを持ち上げては床に叩きつけた。 床が子れいむの体液で汚れる。今度はうんうんまでしている。 しかし、それを見て男は不快に感じながらも、子れいむを掴んでは投げるを繰り返し行った。 何度も叩きつけられた子れいむは痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 男は子れいむが痙攣しても何度も投げつけた。 ビタン!!「ゆ゛っ!」 ビタン!「びゅ!」 ビタン!!「ゆ!!」 ビタン「・・・!!!」 子ゆっくりだからといって、加減する必要はまるでないから。ゆっくりは情けなどかけるに値しないと信じ切っている。 「やべでえええええええええ!!!おちびちゃんがしんじゃうううううううううううう!!!!?」 「ゆびゃあああああ!!こわいよおおおおおおお!!おきゃああしゃあああああん!!」 それをずっと見ていた子ゆっくりたちは醜い形相で泣きながらしーしーやうんうんを垂れ流していた。まったくもって醜い饅頭であると男は思った。 親ゆっくりにいたってはひたすら男に対し、死ねだとか殺すだとか泣きながら唾を吐き散らしながら言っている。 さすがにこれ以上やると死んでしまうかもしれないと思って男は子れいむを叩きつけるのをやめた。 しばらくすれば子れいむの痙攣状態は治るだろうと思い、男はまだ虐待していない子れいむに手を伸ばす。 「ゆびゃあああ!こにゃいじぇええ!!」 しーしーをブシュ!っと噴き出しながら子ゆっくりたちは自分が今度は痛い目に遭わされると思い散り散りに逃げる。 子ゆっくりである子れいむが人間から逃げられるはずもなくあっさり捕まった。 そして先ほどの子れいむと同じことをされた。それが終わったら子まりさ二匹にも同じことがされた。 子ゆっくり4匹は痙攣が収まった後もフルフルと怯え、震えながら泣いている。 「さてとそろそろ本番いきますかね」 鉄の棒を用意し、火のついてる暖炉にくべる。 親ゆっくりたちはその火にくべられた鉄の棒で男がゆっくりできないことをすると思い一層ケースをガタガタ揺らした。 男は最初に叩きつけた子れいむを取ろうとしたが、どっちが最初に叩きつけた子れいむか判別がつかないので、 適当に子れいむを選んで掴みあげた。 そして、子れいむをアゴについている小さな未成熟なまむまむに、その男のでかい体格に見合った太く長い人差し指をあてがい、 ブジュリ! 一気に人差し指の第二間接まで突っ込んだ。 「ゆびゅゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔうううううううううううううううう いじゃい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおお」 子れいむはその小さな体からは想像できないような大きな声で泣き叫んだ。 子れいむはショックのあまりムリムリムリと音を立ててうんうんをした。 無理やり開かれたまむまむは人間の指の太さに耐えきれず痛々しく広がりそして所々裂けている。 裂けた場所からは液状の餡子が滲み出している。 「なにじでる゙の゙お゙おおおおおおおお!!?」 「そんなことしたら子供が産めなくなるんだよお!!?」 「ゆっくりは子どもなんて生まなくていいと思うんだ。気づいていると思うんだよなあ」 男はその突っ込んだ指をぐりぐりと掻きまわす しかし、決して子れいむを殺さぬように穴を広げ苦痛を与えた。 「ゆびゃあああああああああああ!!!?おきゃーしゃんたじゅげでええええええ!ゆ゛っ・・ゆげぇ・・ゆぶぇ・・」 痛みのあまり餡子を吐いた子れいむの口に餡子を戻してやり、死なないように苦痛を与え続けた。 吐いた餡子はすぐに戻してやれば子ゆっくりといえども死ぬことは少ない。 男は指を引き抜くと餡子が滲み、裂け、痛々しいほど大きく開きっぱなしになったまむまむがあった。 子れいむの身体は全体的に黒く滲み始めた。肉体的ダメージと精神的ダメージを与えすぎたようだ。このまま放っておくと死んでしまう可能性がある。 男は子れいむの口に砂糖を入れさらに甘くした冷たい甘酒を流し込んだ。 無駄に生命力の高いゆっくりは痛めつけた後、甘い物を身体に入れると死ぬ可能性は大幅に減る。この程度なら子ゆっくりとはいえまず死なないだろう。 子れいむは本来なら「ゆ~~~しあわしぇぇぇぇ~~!!!」と言うくらい美味と感じる甘酒を飲んだにもかかわらず 「ゆ・・げぇ・・」としか言わなかった。 ここで「しあわしぇ~」などと言ってしまえば男の神経を逆なでして殺されていたかもしれない。 ボソッ 「気づいてると思うんだよなぁ」 別の子れいむにも同じことをしようと手を伸ばした 「ゆびゃあああ!!!こにゃいじぇええええええ!!」 子れいむは泣き喚きながらアゴのあたりからしーしーを噴射させた。 「きたないねえ・・もうお前らの事まんじゅうって読んだら饅頭に失礼だなほんと」 別の子れいむにも同じことをする。この子れいむもさきほどの子れいむに負けず劣らずのとても大きな声で泣き叫んだ。 そして男は小さな声で「気づいていると思うんだよなあ」とブツブツと何度も言いながら次々に別の子ゆっくりに同じ事を行った。 親れいむと親まりさはそれは泣き叫びながら見ているしかなかった。 「ゆ゙ぎゃああああああああああおきゃーしゃんたずげでえええ!!!」 「やべでええええええ!おちびちゃんにひどいごどじな゙い゙でえええええ!」 「ごろ゙ず!ごろ゙じでや゙る゙ううううううううう」 処置の終わった4匹の子ゆっくりは餡子のにじんだ、だらしなく十円玉がすっぽり 入るくらい広がりきりきったまむまむになっていた。 まむまむの近くにあるあにゃるも無事では済まず、4匹ともその部分にはただ大きな穴があるだけになっていた。 それぞれの子ゆっくりは焦点が合わない目で泣き、親ゆっくりはそれを見ながら震えながら泣いていた。 「ゆひゅーゆひゅー・・おきゃーしゃん・・・いじゃいよ゙お・・」 「どうじで・・・たしゅけちぇくれぇなきゃっちゃの?・・」 「ゆえーん・・ゆえーーーん・・」 「ゆ゛っ・・ゆ゛っゆ゛っ・・・・・ゆ゛っゆ゛っ・・ゆ゛・・」 痙攣している子ゆっくりもいた。おそらく餡子を流しすぎたのだろう。 「もうそのまむまむは使い物にはならないと思うんだ。本人も気づいていると思うんだよなあ」 子ゆっくりも親ゆっくりもなぜ自分たちはこんな目に遭わなければいけないのか なぜこんなにも理不尽な仕打ちを受けなければならないのか考えていた。 親れいむは泣きながら怒鳴るように口を開いた。 「どぼじでごんなごどずるのおおお!!!?もうあかちゃんつくれなくなっちゃったよおおおお!!?」 「あかちゃんなんてつくらなくていいよ。存在が無駄なくせして何考えてるの?馬鹿なの?」 「どぼじでぞん゙な゙ごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!?でいぶたちは無駄じゃないよおおお!!?」 「無駄だよ糞饅頭。ゴミ以下だお前らは。この現実が嫌ならお互いをかみ殺して自殺しろ」 それから男は子ゆっくり達の帽子とリボンを「じゃま」と言い、奪った。 「おぼうしさんをきゃえしちぇにぇ・・」 「ゆっくちかえしちぇ・・ゆっきゅりできにゃいよ・」 「かえしぇ・・!くしょじじい・・・!!」 子ゆっくりたちはまむまむへのダメージが大きいらしくさっきまでの大声は出てこなかった。 そして、火にくべ、熱により赤く光っている鉄の棒を、さきほどの広がりきったまむまむへあてがい、突き刺した。 ジュウゥゥゥといい音がした。そして甘い匂いが部屋中に広がる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 あまりの大きな子れいむの悲鳴に「ぴぎゃあ!!」「ゆびゃあ!!?」とほかの子ゆっくりも声をあげ、しーしーをプシュッ!!と噴射させた。 「気づいていると思うんだよなあぁ」 といって男は焼けた鉄の棒で子ゆっくりの体内にグリグリと押しつける。 「ゆゆゆゆゆゆぎゃああああああああああああ!!!」 たまらず親も泣きながら声を上げる。 「おちびちゃああああああああああああん!!」 「やめてえええええええええええええええ」 そして男は棒を引き抜いた。鉄を入れられた子れいむは痙攣しているだけであった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛」 「まりしゃのいみょうとが・・・」 子れいむのまむまむが炭化して真っ黒になっていた。 もうこの先のゆん生で胎内を使った出産をすることは絶対に出来ないだろう。 気を失い、黒く炭化し、広がりきったまむまむをした子れいむを親れいむに見せつけるようにしたあと 「さっきおまえはかわいいって言ってたよね?これでもかわいいと思える?」 「ゆゆ!!?あたりまえだよ!そんなこともわから「ならこれでどう」」 男は体液でぬるぬるの子れいむを鉄製の火箸でつかみ、暖炉の火であぶった。 気絶から覚めた子れいむは「ゆ゙!!」と声を上げた後また気絶した。 ジュウウウウウウウと心地よい音がする。 男は子れいむは髪の毛がすべて焼けおち、全身がくろっぽくなったところで火であぶるのをやめた。 焼かれた子れいむの表面はもはやぬめりがなく、カチカチになっており、焼く前のふにっとした感触が嘘のようだった。 もうこの子れいむは一生満足に動くことができないだろう。 黒っぽいハゲ饅頭となった子れいむを親ゆっくり達に見せつける。 「どぼじで・・・どぼじでごんなひどいごど・・・」 「ゆ・・おちびちゃん・・?・ゆ・・・ゆ・・ゆえええええん ゆええええええん おちびちゃああああんん!!」 子れいむを見た親れいむは泣きだしてしまった。どうやらこの子れいむはいい感じにかわいく無くなったようだ。 男は手早くつぎつぎと別の子ゆっくり達に同じことをしてゆく。 子ゆっくりたちはみな黒っぽいコゲまんじゅうとなってしまい、親ゆっくりにはどれがれいむ種かまりさ種かの区別すらできなくなった。 子ゆっくり達は、みんなもう満足には動くことができないだろう。 子ゆっくり達の未来はたった今断たれたのだ。この人間に。 そんな子ゆっくり達をみて親れいむは「どぼじで・・どぼじで・・」と何度も呟いていた。 親まりさは「かわいかったおちびじゃんだじがああああ!!!ぼどにぼどじでよ゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!」と叫んでいた。 「めでたく「おちびちゃん」は君たちのお墨付きをもらってかわいくなくなったわけだ。こんなゴミ饅頭いらないよ。返すね。」 男は焼け饅頭となり、ブルブルと震えているだけの子ゆっくりを掴み、親のいるケースへ投げ込んだ後、部屋の電気を消して男は部屋から出て行った。 暗くなった部屋でしばらく親ゆっくりの泣き声が聞こえた。子ゆっくりは泣く元気すらないようだ。 深夜 「ゆぅぅぅ・・おちびちゃん・・ゆっくりしていってね・・」 まだ眠れないゆっくり一家。 「・・・・ゅぅ・・」 もうゆっくりしていってねと返す気力もないのだろうか。子ゆっくり達の反応はあまりない。 「すーりすーり・・」 「ゆびゃああ!!いじゃいよお゙お゙・・・やめじぇええ」 親れいむにひどい火傷の痕にすりすりをされ子れいむは悲鳴を絞り出す。 「ゆゆ・・おちびちゃんごめんね・・ぺーろぺーろしてあげるね」 「ゆびゃあ!やめちぇね・・・いちゃいよ・・・」 「ゆぅ・・ゆっくりしていってね・・・」 何をしても子ゆっくりたちは痛がってしまう。そして子ゆっくりたちにはりぼんや帽子がない。 それはより子ゆっくりをゆっくりできなくさせる。 れいむは「ゆっくりしてね」とだけいい、夫であるまりさに寄りかかった。 まりさはあまりの出来ごとに満足にゆっくりとした反応ができなくなっていた。 しかしここで弱気になってしまってはれいむを、おちびちゃんたちを不安にさせてしまう。そんなのはゆっくりできない。 「ゆっ まりさはだいじょうぶだよ!ゆっくりしようね。おちびちゃんたちもきっとすぐに元通りになおるよ!」 まりさは気丈にふるまう。それを聞いたれいむと子ゆっくりは少しだけだがあったかい気持ちになった。 これが、その気持ちこそが「ゆっくり」だ。ゆっくりしたい。 今日はゆっくりできなかったけど、明日はきっとゆっくり出来る。なぜなら自分たちはゆっくりだから。 自分がゆっくりできなくて、どうして子供たちがゆっくり出来ようか。これから生まれてくるあかちゃんのためにもゆっくりしよう。 きっとあのゆっくり出来ないにんげんさんも、これからもうすぐ生まれてくるあかちゃんを見たらゆっくりできるはず。 暗い中、自分から生えている実ゆっくりをみて、ニッコリと笑い、そう信じてれいむは目を閉じた。 「みんな・・ゆっくりしようね・・」 「「「ゆっきゅりしようにぇ・・・」」」 「・・・・・ゅ・ぅ・・」 子ゆっくりは全身火傷で身体が痛くて眠れなかったが、朝方になりようやっと眠れるようになった。 次の日、男は気配を殺して寝ているゆっくりの前に立っていた。 ゆぅ・・・・ゆぅ・・ ゆぅ・・ゆぅ・・いじゃい・・・ゆぅ・・ (昨日あれだけの目に遭わされたのに全員ぐっすり寝ていやがるな・・・特に子ゆっくり・・あれだけやったのにまだまだ 元気そうだな・・・ん・・・?) れいむから生えている蔦に実ゆっくりが三つ。どれもプチトマトサイズである。それらは昨日よりも明らかに大きくなっている。 (餌は与えていないのに成長しているとなると、まりさの帽子の中に保存食でも入っていたのかな) じっと実ゆを見つめる。実ゆはまりさ種1 れいむ種2の構成であった。実ゆはゆっくりに特徴的な下膨れの顔で眠っている。 たまに目を閉じたまま、まぶたの下にある眼球を動かしたり、「ゅ・・ゅ・」と言ったり、プルプルと身体を振動させたりしている。 (ほんとにかわいくないな・・見ていて不快だ・・絶滅すればいいのになこいつら・・・・) 男は呆れ顔で実ゆを見つめた後、大きく息を吸い込み、大声で、それも全力で 「ゆっくりしないでね!!!!!!!!!!ゆっくりするなああああ!!!!!!! ゆっくりしてんじゃねえええ!!!!!!オラああああああああああああああ!!!!!!!ムカつくんだよその寝顔おおお!!!!!!!!」 と叫びながら、ケースを全力でガッタンガッタンガッタンガッタンと揺らした。 親や子ゆっくりたちはケースの中の内壁になんどもビタンビタンビタンと顔を打ち付け「ゆううううう!!!」と言い泣き顔になっている。 「「「ゆびゃあああ!!」」」プシュ!!「ゆっくぢできにゃいいい!!!!」 全員起きてくれたようだ。子ゆっくりは驚いたあまりにしーしーを噴射させた。 蔦の先のほうに付いている実まりさと実れいむがケースを揺らした際、れいむの顔とケースの内壁に挟まって潰れ中身の餡子が飛び出している。 潰れた実ゆっくりは目を開き苦悶の表情を浮かべている。すぐに絶命するだろう。 実ゆっくりとは言え楽に殺すべきではなかったかなと思いながら潰れた実ゆっくりと見つめる。 「ゆびゃあああでいぶのあがちゃ「朝ごはんの時間だよ。いまから朝ごはんをあげるからゆっくりしないで選んでね。」」 れいむの言葉をさえぎり朝ごはんである旨を伝える。 そして男はれいむ一家が入れてあるケースの前の床に、ごはん、卵焼き、味噌汁、焼き魚、漬物を置いて、 「いただきます」と言い、朝食を食べ始めた。 「ゆ・・?まりさたちに朝ごはんくれるんじゃ・・?おなかぺこぺこだよ!」 「「「おにゃかへっちゃよーおきゃーしゃーん」」」 「この卵焼きうめえええええええええええ!!!」 「ゆ゙ううううううううううううれいみゅ「まりしゃ」もたべちゃいいいいい!!」 男は子ゆっくりの生命力の強さにあきれながら、味噌汁を啜り、お椀と箸を床に置いた後、 「カツオに饅頭二個あげるから、いらない子饅頭二個選んでね あとその実ゆっくりは俺のだから丁重にあつかってね」 「ゆゆ!?なにいってるの!?赤ゆっくりはれいむたちのおちびちゃんだよお!!?それより人間さんはれいむたちにごはんくれるんでしょ? れいむたちはおなか減ったんだよ!さっさともってきてね!そのごはんさんでもいいよ!はやくしてねこのグズ!!」 「君たちのような無駄でゴミな存在にご飯を上げたら、食べ物に失礼だよ。俺が食べ終わるまでに選ばなければ勝手に選ぶからね」 とだけ言い、また朝食を食べ始めた。 「ゆんやあああああああ!!れいみゅのごはんがあああああ!!」「まりしゃの卵焼きがああ!!」 「ゆゅう・・どうしようまりさ・・・・」 この人間さんには話が通じないよ!と痛感し、まりさに助けを求めるれいむ。まりさは意を決した顔をし、男に言い放った。 「おにいさん。まりさたちは何も悪いことしたつもりはないよ。でもなにか悪いことをしたとしたらそれはまりさの責任だよ! れいむやおちびちゃんたちには関係ないよ!まりさは・・・・どうなってもいいから、れいむとおちびちゃんにごはんさんをあげてね。 それから森に帰してあげてね。」 「なにいってるのまりざああ!!?まりざがいないとゆっぐりできないよお!!?」 「「「おちょーしゃーん、いっしょにいたいよー!!」 「茶番は間に合ってるよ「ゆゆ!!?」吐き気がする。」 と、食事を終えた男は、ケースの蓋をあけ、親れいむの影にかくれ、ぷるぷる震えている子ゆっくり二匹をつかみ取った。 「ゆぎゃあああああ!!!!」 「おきゃーしゃーん!!たしゅけちぇえええええええ!!」 子ゆっくり(判別不法)にうっすらぬめりが出てきた。 「・・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・ね!」 まりさが男が取り上げた子ゆっくりを取り換えそうとし、蓋の空いたケースから出て、男に飛びかかり、男の左手首に噛みついた。 男は右手には一匹の子ゆっくり、左手にはもう一匹の子ゆっくりを持っていたため、まりさを振りほどく事が出来なかった。 どうせ満足に動けない子ゆっくりなのだから床に置いて応戦すればいいのだが、男は気がつかない。 噛みつかれたまま、痛みに耐えて男は部屋をでて、庭までいき、全身火傷で大して抵抗できない子ゆっくりを犬の小屋の前に放り投げた。 「ゆぎゃ! 」「ゆぶっ!」地面に放り投げられ声を上げる子ゆっくりたち。 「おちびちゃん!!」 まりさはわが子を心配し、叫ぶと同時に噛みついていた男の手首から離れる。 (そこはとってもゆっくりできない気がするよ!助けないと!) そして、投げられた子ゆっくりの元まで跳ねて行こうとした瞬間 それは人間に邪魔された。 グシャ!!「ゆびゃあ!!」 真上からまりさの頭めがけて足を落とされ右目は餡子と共に飛び出て、歯が何本か砕けた。 その一撃でまりさは意識を失いかけたが、子ゆっくりの「ゆぎゃああああたしゅけておちょおしゃあああん!!」という悲鳴を聞き、意識を無理やり覚醒させられた。 犬小屋から出てきた犬(カツオ)は二匹の子ゆっくりの前に立っていた。そして、一匹の子ゆっくりに噛みつき、優しく、ゆっくりと食べていく。 噛みつかれ口に収められた子ゆっくりはまだ生きていた。カツオはあえて甘噛のみで子ゆっくりを食べた。 「ゆぶっ・・・たしゅ・・けちぇ・・おちょ・・ うしゃ ・・ゆびゃ・・ いちゃ い よお・・」 カツオはすぐに食い殺したら、つまらない。数日ぶりのおもちゃだ。と思っていた。ゆっくりをじわじわと時間をかけて食べると飼い主が とてもほめてくれる。喜んでくれる。そういった理由もあり、ゆっくりを可能な限り時間をかけて遊び食いをする。 「おちびちゃああああああああああああああんん!!!!!!!!!」 カツオの口に飲み込まれた子ゆっくりは唾液によりドロドロにふやけ、原型をたもっていなかった。 「もっ・・・ゅ・・・し・・・・かった・・・・ょ」 犬はそれを飲み込むと、この世の終わりのような形相を浮かべ、しーしーをもらしながらプルプル震えているもう一匹の子ゆっくり の元へ近づいた。 「やじゃぁ・・・・れいみゅ・・しにたくなにゃぃ・・・・もっといっぴゃいいもうちょとあしょびちゃいよ・・ しあわしぇ~なものたべちゃいよ・・・おきゃ~しゃんとおちょ~しゃんとしゅ~りしゅ~りしちゃいよぉ・・・」 命乞い(?)をするれいむ(もはや判別は不能である)をカツオは甘噛みする。 「ゆびゃああ!!やめちぇええ!!」 ブシッ!!と勢いよくシーシーを噴射する子れいむ(?) 何度も甘噛みをした後、カツオはその子れいむ(?)を口に収める。さきほどの子ゆっくりと同じようにゆっくりと食べていく。 まりさはその様子をじっと見ていた。 まだ間に合う!まだおちびちゃんは生きている!まりさは残る力をあらん限りしぼってカツオに体当たりを敢行しようとした。 しかしまりさは男に抱きかかえられ、それはかなわなかった。 カツオが残りの子ゆっくりを飲み込むまで見させた後、男は満足そうにまりさを部屋に持ち帰った。 「部屋に帰ったらお楽しみだなあぁ・・・気づいてるんと思うだ」 部屋に帰るとケースの中にいたれいむと焦げた二匹の子ゆっくりはいなくなっていた。 まりさは先ほど男の手首に噛みつく瞬間「まりさが引き付けておくからゆっくりしないで逃げてね!」とれいむに言っていたのだ。 まりさに言われた通りにれいむは子ゆっくりを口に入れ、バイン、バインと跳ねながらその男の家から逃げた。 れいむは泣きながら必死に逃げていた。潰れた実ゆっくりや潰れていない実ゆっくりのことは考えていない。 ただ逃げることを優先した。自分がつかまってしまっては全員助からないから。 自分たちを助けるために囮となったまりさのことも心配だ。 しかし今自分が逃げねばまりさの命がけの特攻は無駄になる。出来ることならまりさも人間からうまく逃げおおせてほしい。 そして今までのように家族団欒をしてゆっくりしたい。 (なんでこんなことに・・まりざぁ!!ゆっくり・・ゆっくりしていってねえ!!!!) 「ゆへへ・・・ゆっくり・・ざまあ・・・みろ・・!くそじじいの・・・思い通りには・・させないよ!!」 ケースの中に入れてあったれいむが居なくなり呆気にとられている人間にまりさが勝ち誇ったように言った。 (あかちゃんとおちびちゃん二人死なせちゃったけど・・れいむと残りのおちびちゃんは逃がしたよ・・でも・・まりさはもうだめだよ・・ 少しでも長くこのゆっくりできない人間さんを足止めするから逃げてね・・!まりさたちのぶんまで・・生きて・・ゆっくりしていってね・・!) 「ゆがああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 まりさは男がまりさを抱きかかえる力が少し弱くなった時を見逃さずに、腕をすり抜け、死ぬ気の特攻を仕掛けた。 続きます by洗脳君
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「ゅ・・ゆう・・」 目がさめたまりさ。人間に抱えられ森の中を移動していた。 先頭には犬がおり、犬は地面に鼻をつけながらヒクヒクさせ、ゆっくりと進んでいた。 人間は犬の後をひたすらついていく。 「おや、やっと目が覚めたか。お前の家族にもたっぷりと痛い目に遭わせてやるからな。楽しみにしてな!」 「ゆ・・ゆぅ・・」 寝ぼけているまりさだが、周囲を身体をよじって見回すとそこはまりさがよく目にする風景であった。 「ゆ゙う!!」 家が近いことに気がついたまりさ。 (このままじゃおうちが見つかっちゃうよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!) 「ま・・まりさの家はこっちじゃないよ!あっちだよ!」と巣は別の方向にあると告げる。 「そうなのか。でもカツオはこっちだと言ってるみたいだぞ。」 「ゆゆ!ちがうよ!そっちには何もないよ!その馬鹿犬は早く死んでね!ゆぎゃ!!」 男はまりさの頬を指でちぎった。ちぎられたところからは餡子がうっすらと漏れる。 「ゆぎゃああああああいだいいいいいいい!!!」 「カツオの悪口を言うなんていい度胸だね。君の家族たっぷりいたぶってあげるから感謝してね!!」 といいながら歩きながらまりさの顔を軽く殴り続けながら犬の後を追う。 ウォン!!とカツオが吠える 視界の先には大きめな朽ちた木があり、いかにもゆっくりが巣にしそうな感じがした。 「あそこか」といい男は歩みを速めた。 「ぢがゔよ゙おおおおおおお!!!そっぢじゃないよ゙おおおおおお!!馬鹿な人間さんはしねえええええええええええ!!」 まりさは泣きながら叫ぶ。男の抱える手がまりさの温い涙でぬれると、不快なのでまりさをその場に放り投げた。 「家族が痛い目に遭うけど今なら逃げれるよ。逃げたら君の分まで家族が痛い目に遭うけどね」 と言い残し、男はその巣と思しき朽ちた木へ走ってゆく。 「やべでえええええええええええええええええ!!!!!!!!!」 男の後ろかまりさの叫び声が聞こえた。 森の奥にある朽ちた木の中に、ゆっくり一家がいる。 この一家の構成は親れいむとまだあかちゃん言葉が抜けていない野球ボールサイズの子れいむが2匹、子まりさが2匹である。 親れいむの頭には蔦が生えており、そこには赤ゆが3匹実っていた。 「ゆっゆー♪」 「ゆっきゅりまっちぇにぇ」 「ゆっきゅりちゅかまらないにょ!」 しかしれいむは少し暗い顔をしていた。それもそのはず、夫であるまりさは昨日、狩りにいくと巣を出て行ってから帰ってきていないのだ。 (ゆぅ・・帰ってくるのおそいよまりさ・・・とっても心配だよ・・・・・これじゃゆっくりできないよ・・・) しかし元気でゆっくりとした子ゆっくりを見て 暗い気持ちが不思議と、とてもゆっくりとしたものに変わってゆく。これも前向きなゆっくり故の性であろうか。 「ゆゆっ!とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだねっ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」」」 いつものゆっくりとした挨拶を交わして一家はより笑顔になる。 「まりしゃおちょうしゃんはまだかえってこにゃいにょ?」 「れいみゅはやきゅまりしゃおちょうしゃんにあいたいょ」 子ゆっくりたちが親れいむに泣きそうな顔で聞いてきた。 急に巣の中は沈黙が支配した。はしゃいでいた子ゆっくりも泣きそうな顔をしていた。 「ゆぇーん ゆぇーん おちょうしゃんにあいたいよー」 一人が泣いたのをきっかけに子ゆっくり4匹は泣き始めた。 「「「「ゆえーーん ゆえーん ゆえーん」」」」 「泣かないでねおちびちゃん!ゆううう・・・まりさはすぐ帰ってくるよ!」 まだ意識のない実ゆっくりもそれを聞いて悲しそうな顔を浮かべていた。 (このままじゃいけない!ゆっくりできないよ!!まりさが居なくて不安だけど母親であるれいむがなんとかしないと!) 親れいむは心配で泣いている子ゆっくりを慰めるために 「ゆっ! まりさがそろそろ狩りから帰ってくるからね!きっとおいしいごちそうを 持ってきてくれるからね!あまあまもあるよ!そしたらゆっくりご飯にしようね!」 「「「ゆゆっ!ごちしょう!?あみゅあみゃ!!?」」」 子ゆっくりは泣き顔から一転して、みな笑顔になった。 子ゆっくりたちは滅多に食べることのできない甘いものは大好物なのだ。それを想像するだけで一日中ゆっくりできる。 「わーい!れーみゅあまあまだーいしゅきー!」 「まりしゃもまりしゃもー!」 「それじゃまりさが返ってくるまで一緒にす~りす~りしながらおうたさん歌おうね!ゆ~ゆゆ~~ゆっくりしていってね~~おちびちゃ~ん~」 「「「ゆ~ゆゆ~ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ~~」」」 す~りす~りしながら歌うと身体の奥底が暖かい気持ちになる。子ゆっくりのふにっとした感触の肌にす~りす~りはまた格別だ。 「「しゅ~りしゅ~り」」 おちびちゃんたちもとってもゆっくり出来ているようだ。れいむもとってもゆっくりできる。 きっとまりさは元気な姿で帰ってくるはずだ。こんなにかわいいおちびちゃんとれいむを残して帰ってこないはずはない。 親れいむはそう信じてまりさの帰りをまった。 ふとその時、ガサガサという音を耳にした。 「ゆゆ?」 「なんにょおちょ?」 「おとうさんが返ってきたんだよ!みんな挨拶をするんだよ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」 巣の前のバリケードがどかされ光が巣の中に差し込む そこから見えたものはいかにもゆっくりできなさそうな悪意に満ちた笑顔の「人間さん」とゆっくりの天敵である「犬さん」だった。 「ゆっくりしていかないでね!!!!!!!!!」 人間は大きな声で、怒鳴るような声でゆっくり一家に叫んだ。 ぜんぜんゆっくりできない、悪意のたっぷり籠った「ゆっくりしていかないでね」に 一匹の子れいむは泡を吹いて気絶した。 「にげてえええええええええ」 親まりさは泣きながら男の後を全力で追いながら、遠くから叫んだ!遠くから叫んだまりさの声を聞いて親れいむはまりさは今まで人間さん 捕まっていたのだと確信した。親れいむは気絶した子れいむを舌でからめ捕り口の中に収めた 「みんなおかーさんの口の中にゆっくりしないで入ってね!」 子ゆっくりたちはみんな親れいむの口の中へ入ってゆく。 人間はそれをみながら何もしない。むしろ全員入るのを待っているかのようだ。 子ゆっくりをみんな口に収め、親れいむは少しだけ安堵する。 (これで子供たちには危害が加えられないよ。あとはまりさを返してもらうだけだよ・・) そう考えいたとき人間の手がれいむの頭に付いている茎をつかみ巣の外へ向かって引っ張られる 「ん~~~~~~~~!!!!!」 口に子ゆっくりを納めているので「やめてね!」などはっきりとした拒絶の言葉がまったく出せず、れいむは茎がちぎれるのを恐れ抵抗せず外へ引きずり出された。 子供を口に含んだ親れいむと巣までようやくやってきた親まりさは麻袋に詰められ人間の家に持って行かれた。 麻袋へ入れられ運ばれている最中まりさの絶望の泣き声が聞こえた。 「ごべんでえええええええええ!まりさが!!まりさが!!つかまったせいでえええええええええ!!」 自宅へ帰り、暖炉に火をつける。それから麻袋から入れたゆっくり手でつかみ床に置く。 親れいむだけは実がついているのでとても慎重に。 親まりさは放り投げるように。 「ゆっくり痛いよ!謝ってね!」 れいむは4匹の子ゆっくり(子れいむ×2 子まりさ×2)を木の床に全部吐き出し、人間に向かい謝罪を要求していた。 人間はれいむを無視し、素早く床に置かれた一匹の野球の球サイズの子れいむを手に取った。 子ゆっくり独特のふにっしたさわり心地はまるで女性の乳房を彷彿とさせる。 子れいむはこんな状況なのに男が遊んでくれると思っているようで、下膨れの顔で「おしょらをちょんでるみちゃい~♪」 と呑気な事を言っていた。他の子ゆっくりは「れいみゅ「まりしゃ」も~」と言っている。 「ゆっ!かってにかわいいおちびちゃんに触らないでね!触りたいならあまあ「これから君たちに制裁するよ。 とってもとっても苦しいよ!ゆっくりたっぷり堪能してね!」」 「ゆゆ!?」 親れいむの言葉を無視し、男は子ゆっくりに対し虐待宣言をした。 子供への危険を感じたのか親まりさと親れいむは「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを離してね!」と言いながら人間に向かっていった。 人間の足の膝や腿にポスンッ ポスンッ 親ゆっくりが体当たりした。 「大丈夫だって、すぐに終わるんだからこんなものは!」 男は子れいむを自分の頭よりも高く振りかぶり、 「ゆゆ~ん おしょらをちょんでるみちゃ「ブンッ!」」 ビタン! 「ゆびゅ!!」 顔面から固い床へ熱いキスをかました子れいむ。 本来球体をしているゆっくりの形は歪められ平べったくなっている。 一瞬親れいむは子れいむの身に一体なにが起きたのかわからなく、思考が停止していた。 「・・・お・・お・・・かわいいおちびちゃん!!ゆっくり!!ゆっくりしていってねえ!」 親れいむは心配そうに叩きつけられた子れいむにゆっくりしていってねと言った。まりさは心配そうにその子れいむを見つめていた。 子れいむは無言だった。生まれて初めての、他者から加えられた痛みにどのように対処していいのかわからなかった。 子れいむにとって痛み自体は初めての経験ではなかった。今まで巣の中で転んだ時など本当に短いゆん生の中ではあるが痛みを経験したことはある。 しかし、今回のそれは今まで経験した痛みの中でも別次元の痛みであった。 身体の餡子全体を強く不快な衝撃が駆け巡り、痛み、視界の揺れ、吐き気、恐怖、それらがごちゃ混ぜになったものが子れいむを支配した。 いわゆる「餡震盪」状態である。これは特に吐き気と視界の揺れがひどい。 人間も親ゆっくりも別の子ゆっくりも子れいむをじっと無言で眺めていた。 チョロロロロロロ・・・・・ しーしーを無言で流す子れいむ。 そのうちフルフルと震えながら少しだけ床とくっついた顔をゆっくりと起し、張り裂けるような泣き声を上げた。 「ゆびゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! いじゃいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! きぼぢわ゙りゅ゙い゙よ゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!エレエレエレエレ!!」 男はその泣き声を聞き、ニッコリとし、無言でその泣き叫ぶ合間に吐いたりしている子れいむを掴もうと手を伸ばした。 手が子れいむを掴もうとする寸前、親れいむと親まりさがその手に噛みついた。 怒りの形相を浮かべ、男の手と腕に噛みつく親ゆっくり。 「ゆっくりやめてね!!! くそじじいはゆっくりしねええええ!!」 「まりさの本気を思い知ってね!!怒ると怖いんだよ!!正面からたたかえば負けないよ!!!」 親ゆっくりの噛みつく力は思いのほか強く、痛かった。男は無理やりそれを引きはがし、 ゆっくり虐待用の透明なケースに二匹を強引に一緒に詰め蓋をした。 手を見てみるとゆっくりの歯型が手に付いていた。少し赤く腫れている。明日あたりアザになるかもしれない。 ゆっくりを入れたケースを見てみるケースは暴れるゆっくりのせいでガタガタ揺れていた。 しかし、奮発して高いケースを買っただけあって、ゆっくりが暴れてもビクともしない。 (親を痛めつけるのは子をやったあとだな・・) 気を取り直して再度そのいまだ泣き続けている子れいむを掴みあげる。 掴まれたことに気がついた子れいむは、また痛いことをされるのだと思い必死にその丸いからだをよじり、男の手から何とか離れようとする。 子れいむのアゴのあたりからしーしーがプシュ!と噴射したり、大泣きによる、涙や人間でいう冷や汗に相当するなぞの体液 などにより子れいむはぬるぬるのまんじゅうと化した。まるで鮎などの川魚のようにぬるぬるである。本当に・・・気持ち悪い。 男は子れいむ自身のぬめりで滑り落とさないようにしっかりと子れいむを掴みあげて、先ほどと同じように投げる態勢を取る。 「やじゃあああああああああああああああああ!はなじでええええええええええ!! おきゃあしゃあああああああん!!おちょうしゃあああああああああん!!たしゅけ「ブンッ」 ゆびゅ!!」 再度床に叩きつけられた子れいむ。先ほどのような悲鳴や泣き声はない。 「ゆ・・・・ゆ・ゆ・・・ゆええええん・・・おきゃあしゃああああん・・・・・」 それから何度も子れいむを持ち上げては床に叩きつけた。 床が子れいむの体液で汚れる。今度はうんうんまでしている。 しかし、それを見て男は不快に感じながらも、子れいむを掴んでは投げるを繰り返し行った。 何度も叩きつけられた子れいむは痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 男は子れいむが痙攣しても何度も投げつけた。 ビタン!!「ゆ゛っ!」 ビタン!「びゅ!」 ビタン!!「ゆ!!」 ビタン「・・・!!!」 子ゆっくりだからといって、加減する必要はまるでないから。ゆっくりは情けなどかけるに値しないと信じ切っている。 「やべでえええええええええ!!!おちびちゃんがしんじゃうううううううううううう!!!!?」 「ゆびゃあああああ!!こわいよおおおおおおお!!おきゃああしゃあああああん!!」 それをずっと見ていた子ゆっくりたちは醜い形相で泣きながらしーしーやうんうんを垂れ流していた。まったくもって醜い饅頭であると男は思った。 親ゆっくりにいたってはひたすら男に対し、死ねだとか殺すだとか泣きながら唾を吐き散らしながら言っている。 さすがにこれ以上やると死んでしまうかもしれないと思って男は子れいむを叩きつけるのをやめた。 しばらくすれば子れいむの痙攣状態は治るだろうと思い、男はまだ虐待していない子れいむに手を伸ばす。 「ゆびゃあああ!こにゃいじぇええ!!」 しーしーをブシュ!っと噴き出しながら子ゆっくりたちは自分が今度は痛い目に遭わされると思い散り散りに逃げる。 子ゆっくりである子れいむが人間から逃げられるはずもなくあっさり捕まった。 そして先ほどの子れいむと同じことをされた。それが終わったら子まりさ二匹にも同じことがされた。 子ゆっくり4匹は痙攣が収まった後もフルフルと怯え、震えながら泣いている。 「さてとそろそろ本番いきますかね」 鉄の棒を用意し、火のついてる暖炉にくべる。 親ゆっくりたちはその火にくべられた鉄の棒で男がゆっくりできないことをすると思い一層ケースをガタガタ揺らした。 男は最初に叩きつけた子れいむを取ろうとしたが、どっちが最初に叩きつけた子れいむか判別がつかないので、 適当に子れいむを選んで掴みあげた。 そして、子れいむをアゴについている小さな未成熟なまむまむに、その男のでかい体格に見合った太く長い人差し指をあてがい、 ブジュリ! 一気に人差し指の第二間接まで突っ込んだ。 「ゆびゅゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔうううううううううううううううう いじゃい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおお」 子れいむはその小さな体からは想像できないような大きな声で泣き叫んだ。 子れいむはショックのあまりムリムリムリと音を立ててうんうんをした。 無理やり開かれたまむまむは人間の指の太さに耐えきれず痛々しく広がりそして所々裂けている。 裂けた場所からは液状の餡子が滲み出している。 「なにじでる゙の゙お゙おおおおおおおお!!?」 「そんなことしたら子供が産めなくなるんだよお!!?」 「ゆっくりは子どもなんて生まなくていいと思うんだ。気づいていると思うんだよなあ」 男はその突っ込んだ指をぐりぐりと掻きまわす しかし、決して子れいむを殺さぬように穴を広げ苦痛を与えた。 「ゆびゃあああああああああああ!!!?おきゃーしゃんたじゅげでええええええ!ゆ゛っ・・ゆげぇ・・ゆぶぇ・・」 痛みのあまり餡子を吐いた子れいむの口に餡子を戻してやり、死なないように苦痛を与え続けた。 吐いた餡子はすぐに戻してやれば子ゆっくりといえども死ぬことは少ない。 男は指を引き抜くと餡子が滲み、裂け、痛々しいほど大きく開きっぱなしになったまむまむがあった。 子れいむの身体は全体的に黒く滲み始めた。肉体的ダメージと精神的ダメージを与えすぎたようだ。このまま放っておくと死んでしまう可能性がある。 男は子れいむの口に砂糖を入れさらに甘くした冷たい甘酒を流し込んだ。 無駄に生命力の高いゆっくりは痛めつけた後、甘い物を身体に入れると死ぬ可能性は大幅に減る。この程度なら子ゆっくりとはいえまず死なないだろう。 子れいむは本来なら「ゆ~~~しあわしぇぇぇぇ~~!!!」と言うくらい美味と感じる甘酒を飲んだにもかかわらず 「ゆ・・げぇ・・」としか言わなかった。 ここで「しあわしぇ~」などと言ってしまえば男の神経を逆なでして殺されていたかもしれない。 ボソッ 「気づいてると思うんだよなぁ」 別の子れいむにも同じことをしようと手を伸ばした 「ゆびゃあああ!!!こにゃいじぇええええええ!!」 子れいむは泣き喚きながらアゴのあたりからしーしーを噴射させた。 「きたないねえ・・もうお前らの事まんじゅうって読んだら饅頭に失礼だなほんと」 別の子れいむにも同じことをする。この子れいむもさきほどの子れいむに負けず劣らずのとても大きな声で泣き叫んだ。 そして男は小さな声で「気づいていると思うんだよなあ」とブツブツと何度も言いながら次々に別の子ゆっくりに同じ事を行った。 親れいむと親まりさはそれは泣き叫びながら見ているしかなかった。 「ゆ゙ぎゃああああああああああおきゃーしゃんたずげでえええ!!!」 「やべでええええええ!おちびちゃんにひどいごどじな゙い゙でえええええ!」 「ごろ゙ず!ごろ゙じでや゙る゙ううううううううう」 処置の終わった4匹の子ゆっくりは餡子のにじんだ、だらしなく十円玉がすっぽり 入るくらい広がりきりきったまむまむになっていた。 まむまむの近くにあるあにゃるも無事では済まず、4匹ともその部分にはただ大きな穴があるだけになっていた。 それぞれの子ゆっくりは焦点が合わない目で泣き、親ゆっくりはそれを見ながら震えながら泣いていた。 「ゆひゅーゆひゅー・・おきゃーしゃん・・・いじゃいよ゙お・・」 「どうじで・・・たしゅけちぇくれぇなきゃっちゃの?・・」 「ゆえーん・・ゆえーーーん・・」 「ゆ゛っ・・ゆ゛っゆ゛っ・・・・・ゆ゛っゆ゛っ・・ゆ゛・・」 痙攣している子ゆっくりもいた。おそらく餡子を流しすぎたのだろう。 「もうそのまむまむは使い物にはならないと思うんだ。本人も気づいていると思うんだよなあ」 子ゆっくりも親ゆっくりもなぜ自分たちはこんな目に遭わなければいけないのか なぜこんなにも理不尽な仕打ちを受けなければならないのか考えていた。 親れいむは泣きながら怒鳴るように口を開いた。 「どぼじでごんなごどずるのおおお!!!?もうあかちゃんつくれなくなっちゃったよおおおお!!?」 「あかちゃんなんてつくらなくていいよ。存在が無駄なくせして何考えてるの?馬鹿なの?」 「どぼじでぞん゙な゙ごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!?でいぶたちは無駄じゃないよおおお!!?」 「無駄だよ糞饅頭。ゴミ以下だお前らは。この現実が嫌ならお互いをかみ殺して自殺しろ」 それから男は子ゆっくり達の帽子とリボンを「じゃま」と言い、奪った。 「おぼうしさんをきゃえしちぇにぇ・・」 「ゆっくちかえしちぇ・・ゆっきゅりできにゃいよ・」 「かえしぇ・・!くしょじじい・・・!!」 子ゆっくりたちはまむまむへのダメージが大きいらしくさっきまでの大声は出てこなかった。 そして、火にくべ、熱により赤く光っている鉄の棒を、さきほどの広がりきったまむまむへあてがい、突き刺した。 ジュウゥゥゥといい音がした。そして甘い匂いが部屋中に広がる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 あまりの大きな子れいむの悲鳴に「ぴぎゃあ!!」「ゆびゃあ!!?」とほかの子ゆっくりも声をあげ、しーしーをプシュッ!!と噴射させた。 「気づいていると思うんだよなあぁ」 といって男は焼けた鉄の棒で子ゆっくりの体内にグリグリと押しつける。 「ゆゆゆゆゆゆぎゃああああああああああああ!!!」 たまらず親も泣きながら声を上げる。 「おちびちゃああああああああああああん!!」 「やめてえええええええええええええええ」 そして男は棒を引き抜いた。鉄を入れられた子れいむは痙攣しているだけであった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛」 「まりしゃのいみょうとが・・・」 子れいむのまむまむが炭化して真っ黒になっていた。 もうこの先のゆん生で胎内を使った出産をすることは絶対に出来ないだろう。 気を失い、黒く炭化し、広がりきったまむまむをした子れいむを親れいむに見せつけるようにしたあと 「さっきおまえはかわいいって言ってたよね?これでもかわいいと思える?」 「ゆゆ!!?あたりまえだよ!そんなこともわから「ならこれでどう」」 男は体液でぬるぬるの子れいむを鉄製の火箸でつかみ、暖炉の火であぶった。 気絶から覚めた子れいむは「ゆ゙!!」と声を上げた後また気絶した。 ジュウウウウウウウと心地よい音がする。 男は子れいむは髪の毛がすべて焼けおち、全身がくろっぽくなったところで火であぶるのをやめた。 焼かれた子れいむの表面はもはやぬめりがなく、カチカチになっており、焼く前のふにっとした感触が嘘のようだった。 もうこの子れいむは一生満足に動くことができないだろう。 黒っぽいハゲ饅頭となった子れいむを親ゆっくり達に見せつける。 「どぼじで・・・どぼじでごんなひどいごど・・・」 「ゆ・・おちびちゃん・・?・ゆ・・・ゆ・・ゆえええええん ゆええええええん おちびちゃああああんん!!」 子れいむを見た親れいむは泣きだしてしまった。どうやらこの子れいむはいい感じにかわいく無くなったようだ。 男は手早くつぎつぎと別の子ゆっくり達に同じことをしてゆく。 子ゆっくりたちはみな黒っぽいコゲまんじゅうとなってしまい、親ゆっくりにはどれがれいむ種かまりさ種かの区別すらできなくなった。 子ゆっくり達は、みんなもう満足には動くことができないだろう。 子ゆっくり達の未来はたった今断たれたのだ。この人間に。 そんな子ゆっくり達をみて親れいむは「どぼじで・・どぼじで・・」と何度も呟いていた。 親まりさは「かわいかったおちびじゃんだじがああああ!!!ぼどにぼどじでよ゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!」と叫んでいた。 「めでたく「おちびちゃん」は君たちのお墨付きをもらってかわいくなくなったわけだ。こんなゴミ饅頭いらないよ。返すね。」 男は焼け饅頭となり、ブルブルと震えているだけの子ゆっくりを掴み、親のいるケースへ投げ込んだ後、部屋の電気を消して男は部屋から出て行った。 暗くなった部屋でしばらく親ゆっくりの泣き声が聞こえた。子ゆっくりは泣く元気すらないようだ。 深夜 「ゆぅぅぅ・・おちびちゃん・・ゆっくりしていってね・・」 まだ眠れないゆっくり一家。 「・・・・ゅぅ・・」 もうゆっくりしていってねと返す気力もないのだろうか。子ゆっくり達の反応はあまりない。 「すーりすーり・・」 「ゆびゃああ!!いじゃいよお゙お゙・・・やめじぇええ」 親れいむにひどい火傷の痕にすりすりをされ子れいむは悲鳴を絞り出す。 「ゆゆ・・おちびちゃんごめんね・・ぺーろぺーろしてあげるね」 「ゆびゃあ!やめちぇね・・・いちゃいよ・・・」 「ゆぅ・・ゆっくりしていってね・・・」 何をしても子ゆっくりたちは痛がってしまう。そして子ゆっくりたちにはりぼんや帽子がない。 それはより子ゆっくりをゆっくりできなくさせる。 れいむは「ゆっくりしてね」とだけいい、夫であるまりさに寄りかかった。 まりさはあまりの出来ごとに満足にゆっくりとした反応ができなくなっていた。 しかしここで弱気になってしまってはれいむを、おちびちゃんたちを不安にさせてしまう。そんなのはゆっくりできない。 「ゆっ まりさはだいじょうぶだよ!ゆっくりしようね。おちびちゃんたちもきっとすぐに元通りになおるよ!」 まりさは気丈にふるまう。それを聞いたれいむと子ゆっくりは少しだけだがあったかい気持ちになった。 これが、その気持ちこそが「ゆっくり」だ。ゆっくりしたい。 今日はゆっくりできなかったけど、明日はきっとゆっくり出来る。なぜなら自分たちはゆっくりだから。 自分がゆっくりできなくて、どうして子供たちがゆっくり出来ようか。これから生まれてくるあかちゃんのためにもゆっくりしよう。 きっとあのゆっくり出来ないにんげんさんも、これからもうすぐ生まれてくるあかちゃんを見たらゆっくりできるはず。 暗い中、自分から生えている実ゆっくりをみて、ニッコリと笑い、そう信じてれいむは目を閉じた。 「みんな・・ゆっくりしようね・・」 「「「ゆっきゅりしようにぇ・・・」」」 「・・・・・ゅ・ぅ・・」 子ゆっくりは全身火傷で身体が痛くて眠れなかったが、朝方になりようやっと眠れるようになった。 次の日、男は気配を殺して寝ているゆっくりの前に立っていた。 ゆぅ・・・・ゆぅ・・ ゆぅ・・ゆぅ・・いじゃい・・・ゆぅ・・ (昨日あれだけの目に遭わされたのに全員ぐっすり寝ていやがるな・・・特に子ゆっくり・・あれだけやったのにまだまだ 元気そうだな・・・ん・・・?) れいむから生えている蔦に実ゆっくりが三つ。どれもプチトマトサイズである。それらは昨日よりも明らかに大きくなっている。 (餌は与えていないのに成長しているとなると、まりさの帽子の中に保存食でも入っていたのかな) じっと実ゆを見つめる。実ゆはまりさ種1 れいむ種2の構成であった。実ゆはゆっくりに特徴的な下膨れの顔で眠っている。 たまに目を閉じたまま、まぶたの下にある眼球を動かしたり、「ゅ・・ゅ・」と言ったり、プルプルと身体を振動させたりしている。 (ほんとにかわいくないな・・見ていて不快だ・・絶滅すればいいのになこいつら・・・・) 男は呆れ顔で実ゆを見つめた後、大きく息を吸い込み、大声で、それも全力で 「ゆっくりしないでね!!!!!!!!!!ゆっくりするなああああ!!!!!!! ゆっくりしてんじゃねえええ!!!!!!オラああああああああああああああ!!!!!!!ムカつくんだよその寝顔おおお!!!!!!!!」 と叫びながら、ケースを全力でガッタンガッタンガッタンガッタンと揺らした。 親や子ゆっくりたちはケースの中の内壁になんどもビタンビタンビタンと顔を打ち付け「ゆううううう!!!」と言い泣き顔になっている。 「「「ゆびゃあああ!!」」」プシュ!!「ゆっくぢできにゃいいい!!!!」 全員起きてくれたようだ。子ゆっくりは驚いたあまりにしーしーを噴射させた。 蔦の先のほうに付いている実まりさと実れいむがケースを揺らした際、れいむの顔とケースの内壁に挟まって潰れ中身の餡子が飛び出している。 潰れた実ゆっくりは目を開き苦悶の表情を浮かべている。すぐに絶命するだろう。 実ゆっくりとは言え楽に殺すべきではなかったかなと思いながら潰れた実ゆっくりと見つめる。 「ゆびゃあああでいぶのあがちゃ「朝ごはんの時間だよ。いまから朝ごはんをあげるからゆっくりしないで選んでね。」」 れいむの言葉をさえぎり朝ごはんである旨を伝える。 そして男はれいむ一家が入れてあるケースの前の床に、ごはん、卵焼き、味噌汁、焼き魚、漬物を置いて、 「いただきます」と言い、朝食を食べ始めた。 「ゆ・・?まりさたちに朝ごはんくれるんじゃ・・?おなかぺこぺこだよ!」 「「「おにゃかへっちゃよーおきゃーしゃーん」」」 「この卵焼きうめえええええええええええ!!!」 「ゆ゙ううううううううううううれいみゅ「まりしゃ」もたべちゃいいいいい!!」 男は子ゆっくりの生命力の強さにあきれながら、味噌汁を啜り、お椀と箸を床に置いた後、 「カツオに饅頭二個あげるから、いらない子饅頭二個選んでね あとその実ゆっくりは俺のだから丁重にあつかってね」 「ゆゆ!?なにいってるの!?赤ゆっくりはれいむたちのおちびちゃんだよお!!?それより人間さんはれいむたちにごはんくれるんでしょ? れいむたちはおなか減ったんだよ!さっさともってきてね!そのごはんさんでもいいよ!はやくしてねこのグズ!!」 「君たちのような無駄でゴミな存在にご飯を上げたら、食べ物に失礼だよ。俺が食べ終わるまでに選ばなければ勝手に選ぶからね」 とだけ言い、また朝食を食べ始めた。 「ゆんやあああああああ!!れいみゅのごはんがあああああ!!」「まりしゃの卵焼きがああ!!」 「ゆゅう・・どうしようまりさ・・・・」 この人間さんには話が通じないよ!と痛感し、まりさに助けを求めるれいむ。まりさは意を決した顔をし、男に言い放った。 「おにいさん。まりさたちは何も悪いことしたつもりはないよ。でもなにか悪いことをしたとしたらそれはまりさの責任だよ! れいむやおちびちゃんたちには関係ないよ!まりさは・・・・どうなってもいいから、れいむとおちびちゃんにごはんさんをあげてね。 それから森に帰してあげてね。」 「なにいってるのまりざああ!!?まりざがいないとゆっぐりできないよお!!?」 「「「おちょーしゃーん、いっしょにいたいよー!!」 「茶番は間に合ってるよ「ゆゆ!!?」吐き気がする。」 と、食事を終えた男は、ケースの蓋をあけ、親れいむの影にかくれ、ぷるぷる震えている子ゆっくり二匹をつかみ取った。 「ゆぎゃあああああ!!!!」 「おきゃーしゃーん!!たしゅけちぇえええええええ!!」 子ゆっくり(判別不法)にうっすらぬめりが出てきた。 「・・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・ね!」 まりさが男が取り上げた子ゆっくりを取り換えそうとし、蓋の空いたケースから出て、男に飛びかかり、男の左手首に噛みついた。 男は右手には一匹の子ゆっくり、左手にはもう一匹の子ゆっくりを持っていたため、まりさを振りほどく事が出来なかった。 どうせ満足に動けない子ゆっくりなのだから床に置いて応戦すればいいのだが、男は気がつかない。 噛みつかれたまま、痛みに耐えて男は部屋をでて、庭までいき、全身火傷で大して抵抗できない子ゆっくりを犬の小屋の前に放り投げた。 「ゆぎゃ! 」「ゆぶっ!」地面に放り投げられ声を上げる子ゆっくりたち。 「おちびちゃん!!」 まりさはわが子を心配し、叫ぶと同時に噛みついていた男の手首から離れる。 (そこはとってもゆっくりできない気がするよ!助けないと!) そして、投げられた子ゆっくりの元まで跳ねて行こうとした瞬間 それは人間に邪魔された。 グシャ!!「ゆびゃあ!!」 真上からまりさの頭めがけて足を落とされ右目は餡子と共に飛び出て、歯が何本か砕けた。 その一撃でまりさは意識を失いかけたが、子ゆっくりの「ゆぎゃああああたしゅけておちょおしゃあああん!!」という悲鳴を聞き、意識を無理やり覚醒させられた。 犬小屋から出てきた犬(カツオ)は二匹の子ゆっくりの前に立っていた。そして、一匹の子ゆっくりに噛みつき、優しく、ゆっくりと食べていく。 噛みつかれ口に収められた子ゆっくりはまだ生きていた。カツオはあえて甘噛のみで子ゆっくりを食べた。 「ゆぶっ・・・たしゅ・・けちぇ・・おちょ・・ うしゃ ・・ゆびゃ・・ いちゃ い よお・・」 カツオはすぐに食い殺したら、つまらない。数日ぶりのおもちゃだ。と思っていた。ゆっくりをじわじわと時間をかけて食べると飼い主が とてもほめてくれる。喜んでくれる。そういった理由もあり、ゆっくりを可能な限り時間をかけて遊び食いをする。 「おちびちゃああああああああああああああんん!!!!!!!!!」 カツオの口に飲み込まれた子ゆっくりは唾液によりドロドロにふやけ、原型をたもっていなかった。 「もっ・・・ゅ・・・し・・・・かった・・・・ょ」 犬はそれを飲み込むと、この世の終わりのような形相を浮かべ、しーしーをもらしながらプルプル震えているもう一匹の子ゆっくり の元へ近づいた。 「やじゃぁ・・・・れいみゅ・・しにたくなにゃぃ・・・・もっといっぴゃいいもうちょとあしょびちゃいよ・・ しあわしぇ~なものたべちゃいよ・・・おきゃ~しゃんとおちょ~しゃんとしゅ~りしゅ~りしちゃいよぉ・・・」 命乞い(?)をするれいむ(もはや判別は不能である)をカツオは甘噛みする。 「ゆびゃああ!!やめちぇええ!!」 ブシッ!!と勢いよくシーシーを噴射する子れいむ(?) 何度も甘噛みをした後、カツオはその子れいむ(?)を口に収める。さきほどの子ゆっくりと同じようにゆっくりと食べていく。 まりさはその様子をじっと見ていた。 まだ間に合う!まだおちびちゃんは生きている!まりさは残る力をあらん限りしぼってカツオに体当たりを敢行しようとした。 しかしまりさは男に抱きかかえられ、それはかなわなかった。 カツオが残りの子ゆっくりを飲み込むまで見させた後、男は満足そうにまりさを部屋に持ち帰った。 「部屋に帰ったらお楽しみだなあぁ・・・気づいてるんと思うだ」 部屋に帰るとケースの中にいたれいむと焦げた二匹の子ゆっくりはいなくなっていた。 まりさは先ほど男の手首に噛みつく瞬間「まりさが引き付けておくからゆっくりしないで逃げてね!」とれいむに言っていたのだ。 まりさに言われた通りにれいむは子ゆっくりを口に入れ、バイン、バインと跳ねながらその男の家から逃げた。 れいむは泣きながら必死に逃げていた。潰れた実ゆっくりや潰れていない実ゆっくりのことは考えていない。 ただ逃げることを優先した。自分がつかまってしまっては全員助からないから。 自分たちを助けるために囮となったまりさのことも心配だ。 しかし今自分が逃げねばまりさの命がけの特攻は無駄になる。出来ることならまりさも人間からうまく逃げおおせてほしい。 そして今までのように家族団欒をしてゆっくりしたい。 (なんでこんなことに・・まりざぁ!!ゆっくり・・ゆっくりしていってねえ!!!!) 「ゆへへ・・・ゆっくり・・ざまあ・・・みろ・・!くそじじいの・・・思い通りには・・させないよ!!」 ケースの中に入れてあったれいむが居なくなり呆気にとられている人間にまりさが勝ち誇ったように言った。 (あかちゃんとおちびちゃん二人死なせちゃったけど・・れいむと残りのおちびちゃんは逃がしたよ・・でも・・まりさはもうだめだよ・・ 少しでも長くこのゆっくりできない人間さんを足止めするから逃げてね・・!まりさたちのぶんまで・・生きて・・ゆっくりしていってね・・!) 「ゆがああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 まりさは男がまりさを抱きかかえる力が少し弱くなった時を見逃さずに、腕をすり抜け、死ぬ気の特攻を仕掛けた。 続きます by洗脳君
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『孤独なまりちゃ』 6KB 愛で いじめ 不運 日常模様 野良ゆ 子ゆ 現代 独自設定 ジャンルが曖昧なので変更させて頂きました。 太陽がのぼり双葉町が目を覚ます。公園に住むゆっくりたちも今日一日の始まりを迎える。 「まりちゃがおっきしたよ!!」 所々に茶色い染みのついた薄汚い黒い山高帽を被った丸いおまんじゅうがゴキブリのように地面を這う。めざすは公衆便所。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ」 公園中のゆっくり達が押し合いへし合いでトイレの列の奪い合いをしているさまを、まりちゃは眺めて時間を過ごす。 「ゆっくりやめてね! ここはれいむがならんでるんだよ!!」 「うるさいのぜ!! まりささまははやくおみずさんをごーくごーくしたいのぜ!」 「おさないでねーわかれよー」 「とかいはなあさをじゃましないで!!」 「む、むぎゅう、エレエレエレ……」 押された圧力でゲロを吐いてしまうぱちゅりー。 「ゆわ~んきょわいよぉおおおおお!!!」 「まりちゃはほきゃのこちょしちぇあしょぶのじぇ!!!」 「お、おちびちゃん!? れつからはぐれないでね!!!???」 家族連れにいたっては子供とはぐれて大慌てをするゆっくりもいる。 いつもの光景だ。まりちゃは自分がそうならないためにも一歩身を引いて観戦する。 「ゆっくりできないいいいいいいい!!!!」 ゆっくりゆっくりと言いながら列の規律すら守れないゆっくり達。 我先にと水を飲むために争うゆっくりをまりちゃは怖いと感じている。 今日もまたゆっくりたちの悲鳴は澄み渡る朝の空にこだまするのであった。 孤独なまりちゃ 嘘あき 糞カスがこびりついた和式便所の底に飛び降りたまりちゃは水溜まりから水を拝借する。 「ぎょーきゅぎょーきゅ。うみゅぇ、まじぱにぇ!!」 人間同様、ゆっくりも睡眠を取れば寝汗をかく。それ故に喉が乾いて仕方が無いのだ。 「ぎぇーぷ!」 下品なゲップを撒き散らし、汚い飲み方でビチョビチョになった口の周りを舌で一なめり。 本来なら両親かもしくは姉妹の誰かに髪をといてもらうのが習わしだが、まりちゃには誰もいない。 まりちゃ以外の家族はみなすでに他界してしまったからである。何故自分だけが生きているのか、まりちゃはよく覚えていない。 「ゆ~ん、いっぴゃいゆっくちしたのじぇ!」 そんなことは気にしないというスタンスはまりちゃが子供である証拠。 元気いっぱい、表裏を知らない無垢な目は今日も燦々と輝いていた。 まりちゃの仕事はうんうん運びである。誰もしたがらない汚い仕事がまりちゃの仕事だ。 「おそいよ、なにやってるの!!」 使い古されたダンボールの中から声がする。大人のれいむがまりちゃに対して怒鳴っているのだ。 「ご、ごみぇんにゃしゃい!!」 「おまえがうんうんをかたづけないと、れいむはちっともゆっくりできないんだよ!!」 「り、りきゃいしてみゃしゅ……」 「りかいとかどうでもいいんだよ、はやくうんうんをかたづけてね!!」 「ゆっくちりきゃいしみゃちた」 蹴り出されたまりちゃは急いでれいむのうんうんが集められている場所にたどり着く。 葉っぱに乗せられたこんもりうんうんを目の前にまりちゃは吐き気を我慢する。 「ゆっくちはきょぶよ……」 葉っぱの先を噛み締め、引きずる。ゆんしょ、ゆんしょと掛け声を閉じた口から出しながら引きずる。 途中、どこからともなく聞こえてくる罵倒の言葉を聞きながらもまりちゃは一生懸命に運んだ。 「ゆっくち…」 公園に敷設されているゴミ置き場にたどり着いた。そこは公園のゴミが集まる場所である。 双葉町はゆっくりたちにとって優しい町といえるだろう。基本、ゆっくりの生存権を認めているからである。 ただし、それは人間の定めたルール上でのみ認められる。特に景観を乱すことは許されない。 そのため、公衆衛生に気をつけるルールが多々定められているのである。たとえば、うんうんは所定の場所まで持ってくる等。 「よっきょいちょ!」 山のように(まりちゃ視点で)積まれたうんうんの一角にまりちゃはうんうんを置く。 「ゆっくちー。ちゅぎはちぇんしゃんのときょろにゃのじぇ!!」 複数の家を回ることでまりちゃは今日の糧を得ている。 ただし、もらえるのはせいぜいギリギリ食べられる程度のものだけ。もしくは苦くて不味い草を数本。 朝に仕事を終わらせたら後は自由だ。自由といっても、まりちゃに自由はない。 「ここはまりささまのばしょなのぜ!!」 「ゆぴっ!」 日向ぼっこをしようと思えば大人のゆっくりに邪魔をされる。 ゆっくりプレイスは公園内のヒエラルキーによって決められているからだ。 親なしに加えて汚い仕事をするまりちゃはヒエラルキーの一番下。ゆっくりプレイスに足を踏み入れることさえ許されない。 「ゆ、ゆっくちすりゅよ!」 それでも諦めないのはまりちゃが無知であり無垢であるからだ。 きっと、誰かが自分を認めてくれる。そんな期待を胸にまりちゃはゆっくりプレイスを駆けまわる。 だが、小汚いゆっくりを受け入れてくれるはずがない。 今日も拒否に拒否を重ねられて、うんうんが残るゴミ置き場へと歩を進める。まりちゃのゆっくり出来る場所はそこだけだ。 「まりちゃはしゅーやしゅーやしゅるよ!!」 異臭なんて気にしない。まりちゃはすでに慣れっこだから。 公園の中心では人間に飼われたがっているゆっくり達が集まっている。そして、品定めをする人間が立ち並んでいる。 「ありすのとかいはなおちびちゃんたちをかってください!!」 「むきゅ、もりのけんじゃであるぱちぇがそだてたじまんのこどもたちをみていってね!」 「ちーんぽ!」 この町では人間がゆっくりを飼ってあげることが一種のステータスになっている。マスメディアの影響だ。 家族を失ったまりちゃが一匹で荒んだこの世を生き延びるというドラマがヒットした。 人間はとても感動したがりな生き物だ。かわいそうな小さな命を助けるノブレスオブリージュを掲げている傲慢な生き物だ。 「うーん、どうしようかな?」 今時の女子大生がゆっくりを眺める。どの子が可愛くて言うことを聞くか。当然の要求である。 「まりさのおちびはとってもゆうしゅうなのぜ!!」 「ふーん、そうなの?」 「まりちゃのおちびはかりができるのぜ!!」 人間に貰われることは即ちゆん国にいけることと同義である。元々彼らが捨てられゆっくりの末裔であり前世の記憶が教えてくれるのだ。 その為、子供たちを売り込もうと教育を徹底させる。が、中にはゆっくり至上主義を掲げ教育を施さない愚かなゆっくりもいる。 「そんなのいらない」 人間のニーズに合わないゆっくりは貰われない。 「どぼじでぞんなごどいうのぉおおおおお!!」 そのことを理解できているのは少数のゆっくりだけであろう。 「それなら、ぱちぇのこをすすめるわ!!」 このぱちゅりーはその一匹である。すでに7匹の子供が人間に貰われていった。 「その子はなにができるの?」 「おべんきょうができるわ」 「性格は?」 「とてもまじめよ!!」 「じゃあ、貰おうかしら」 毎度ありと言わんばかりにぱちゅりーは笑顔になる。子供の方といえば少し涙目だ。 「おきゃ~しゃぁあああああんん!!」 人間の手のひらに収められたまりちゃが泣く。親元から離れるのが嫌なのだ。 「むきゅ、だいじょうぶよ! おちびちゃんはまたままとあえるわ!!」 「ほ、ほんと?」 「そうよね、おねえさん?」 「ええ、そうね。散歩の時に連れてってあげるわ」 飼いゆっくりになったゆっくりを公園に連れていくことで例示ができ、ゆっくり達の里親サイクルがより強固になる。 双葉町のゆっくり事情はとても安定した物である。 「しゅーやしゅーや」 相変わらずゴミ置き場で眠るまりちゃ。公園で起きている事象から置いてけぼりを食らっている。 「みゃみゃ……」 そんなこととは露知らず、まりちゃは幸せな夢を見ている。 仮に、まりちゃが里親募集のサイクルに入ったとしよう。ドラマティックなゆん生を歩んでいるまりちゃは貰われるのか? 否、無理だろう。現実はより良いものを欲するのが当たり前なのである。 身奇麗にすることを教えてもらえなかったまりちゃを誰が拾ってくれるのであろうか。好事家ぐらいしかいないだろう。 それに、まりちゃは人間があまり好きじゃない。それは記憶のどこかにある小さな思い出がそうささやくからである。 「あみゃあみゃ、し、しあわちぇ~」 寝小便を垂らしながらまりちゃは一時の幸せを夢見る。まりちゃは孤独だ。
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初投稿です。 現代の農村が舞台です。独自設定有り。 無駄に賢いゆっくりがでてきます。虐待とは呼べません。自滅・・・?かな。 『共生する群れと草原のまりさ』 あるところに、ゆっくりしたゆっくりが暮らす理想のゆっくりプレイスがあった。 そこには優秀なドスを長とし、豊富な食べ物、快適な環境、ゲス等一匹もいない 長い時を重ねて繁栄を続ける群れがあるという。 そんな素敵なゆっくりプレイスを求めて、多くのゆっくりが群れに加えてもらおうと数多くやってくるのだ。 「ついに見つけたんだぜ。ここがあの噂のゆっくりプレイスなんだぜ!」 「さすがかわいいれいむのまりさだね!ここなら思いっきりゆっくりさせてもらえるんだね!」 「まりしゃあまあまたくしゃんたべてゆっくちしゅるよ!」 「れいみゅにもはやきゅあまあまもっちぇきちぇね!」 今日も親まりさ、親れいむ。子まりさ、子れいむの お約束とでもいうべきスタンダードな家族がこの群れにやってきた。 その家族に、群れの一員であるありすが気付き、近寄ってくる。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていってね」」」」 「ありすたちの群れにようこそ。まりさ達はなんのごようがあってここにきたの?」 「ここならとってもゆっくりできるって噂を聞いてやってきたんだぜ!」 「はやく群れに入れてね!れいむたちは歩きっぱなしで疲れているんだよ!やさしくしないといけないんだよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 「はやきゅあみゃあみゃをだしぇー!」 ゲス気質が発言の端々から見受けられるが、ありすは落ちついたものだった。 「ちょっとここでまってて。今ドスをよんでくるわ。」 数分後、通常のドスより更に一回り大きいドスまりさが一家の前に現れた。 体長は3mを超え、髪に結び付けられたたくさんのリボン 数々の苦難を潜り抜けてきたのであろう古びた大きな帽子は、風格さえ漂わせていた。 その横には側近のぱちゅりーと先ほどのありすも一緒だ。 ドスの威厳に呆気にとられたまりさ一家をよそに、ドスは語りかけはじめた。 「群れへの参加希望の家族だね。ドスたちの群れは掟をきちんと守ってくれるゆっくりなら、誰でも歓迎するよ。」 「まりさたちなら掟を守ることぐらい簡単なことなんだぜ!」 「かわいいれいむのかわいいおちびちゃんたちも、れいむのきょーいくでしっかりした子に育ってるから安心だよ!」 まりさ一家は掟を守る事なんて簡単だ。はやく群れに入れろとまくしたてる。 ドスは淡々と話を続ける。 「掟も色々とあるんだけどそんなに多くはないし難しくもないよ。掟を破ったらおしおきがあるけどね。」 「まず、群れに入るに当たって最初に約束してもらう掟があるよ。これを守ってもらえないなら 群れへの参加はお断りさせてもらうからね。それだけ大切な約束だよ。」 まりさ一家は、どんな掟でも約束でもちゃんと守るよ!と意気揚々だ。 しかし、ドスの発したその「約束」はまりさ一家にとって驚愕すべきものだった。 全てのゆっくりプレイス、住居、森、山、川、草原、食料、ここにある全てのものは、全てにんげんさんの持ち物である。 全てのゆっくりはにんげんさんと協力して、ゆっくりプレイスの維持に努める。 まりさ一家はドスの言った言葉を理解できず、ぽかんと口を開けたまま固まってしまった。 ゆっくりプレイスがにんげんのもの?? ゆっくりできるおうちがにんげんのもの?? おいしいお花さんや虫さん、食べ物が勝手に生えてくる全ての場所がにんげんのもの?? いつもぜんぜんゆっくりしてなくて、ゆっくりに傍若無人な振舞いをするにんげんと協力?? ただでさえ少ない餡子脳が、ドスの言葉を理解するのには多少の時間が必要だった。 「ど・・・・どうしてそんなこと言うのぉおおおおおおおおおおおおおおお!??!!」 場を包んだ静寂を親まりさと親れいむの絶叫が切り裂く。 「ドスはなにをいってるんだぜ?!ゆっくりプレイスはゆっくりしたゆっくりのものなんだぜ? バカで弱くてまったくゆっくりしてないにんげんのものなんかじゃないんだぜ!!」 「そうだよ!なんでちっともゆっくりしてないじじぃやばばぁと一緒にゆっくりしないといけないの!? にんげんなんてやっつければいいんだよ!!ドスならできるでしょぉおおおおおお!!」 ドスは深い溜息をついて 「これは群れの掟の中でも一番大切な掟だよ。守れないゆっくりは群れには入れてあげられないんだよ。」 ドスのこの言葉に2匹は逆ギレした。 「そんな掟はぜんぜんゆっくりしてないんだぜ!なんで強くてかっこいいこのまりささまが そんな掟をまもらなきゃいけないんだぜ!!」 「そんなバカな掟なんか守ってるドスの群れもぜんぜんゆっくりしてないね!おおぶざまぶざま」 「いくんだぜ!れいむ!こんな群れこっちからおことわりなんだぜ!!」 「そうだね!こんなゆっくりしてない群れなんか、こっちからおことわりだよ!!」 「まりしゃをゆっくちしゃせてくれにゃいどしゅなんかちね!!」 「きゃわいいれいみゅのきゃわいさがわからにゃいどしゅなんてちね!!」 言うが早いか子まりさと子れいむを帽子のなかにいれ、一家はどこかへ行ってしまった。 「ふぅ。やっぱり今回も理解してくれないゆっくりだったね。」 「むきゅう・・・仕方無いわよドス。にんげんさんの本当の凄さがわかってないと この掟を理解するのは難しいわ・・・」 「あの親子、口の悪さからとかいはじゃない雰囲気があったわ。群れに向かえなくて正解よ。」 「せめて、どうしてそんな掟があるのか?って疑問を持って、話を最後まで聞いてくれれば 多少は救いがあるんだけど・・・仕方無いね。」 この群れに参加を希望するゆっくりは後をたたなかった。 しかし、群れへの加入を許されるゆっくりはその1割以下。 ほとんどのゆっくりが、先ほどのまりさ一家のような反応を示すのだ。 ゆっくりはなぜか人間への警戒心が薄い。 全てにおいて人間を、ゆっくりよりも下等な存在と決め付けている。 何の根拠もないこの認識については ゆっくりは人間の顔しか認識できず自分達より小さいと誤認してしまう。 ゆっくりを至上の価値観とするゆっくりにとって、ゆっくりしていない人間は下等な存在である。等など。 学者によっても意見の解れる所であり、結論は導き出されていない。 ゆっくりのなかで、人間とゆっくりとの、覆りようも無い彼我の力の違いを知っているのは 飼いゆっくりとして、厳しい教育を施されたゆっくり 人間の不興を買い、制裁されたゆっくり 虐待鬼意山との、素敵なひと時を過ごしたゆっくり そしてこの群れのように、人間とのコミュニケーションによって 人間とゆっくりの力の違いを認識したもの達くらいなのだ。 まりさは怒り心頭だった。 長い道程を経て辿り着いた「理想のゆっくりプレイス」はまったくゆっくりしていなかった。 にんげんと協力?カマキリさんにだって余裕で勝てる、このまりささまがにんげん如きと! あんな群れに入らなくたって、れいむとおちびちゃんたちと一緒にゆっくりすればいいんだ! れいむも子ゆっくり達も同じ考えだった。 群れもあの群れだけじゃない。他にもあるはずだ。 他の群れに入れてもらえばいいんだ。そう思っていた。 しかし他の群れはどこにも見当たらなかった。 群れがあった形跡すらない。 道中、ゆっくりに会う事はあったが、この近くに群れは、あの奇妙な掟がある群れしかないとの事だった。 まりさ一家は群れを探す事をあきらめ、自分達のゆっくりプレイスを探す事にした。 ちょうど親子4人が住むのに良い具合の、木の洞をみつけるとそこに入り 「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!ゆっくりしていってね!!」 お家宣言。これでここはまりさたちのゆっくりプレイスに決定。 「むきゅ?!ここはぱちぇたちのゆっくりプレイスよ!」 「突然なんなの!?とんだいなかものね!早くここからでていきなさい!」 数分後、木の洞の外には、カスタードとクリームまみれのゆっくりだったものが複数存在した。 ゲスには迷いがない。なぜなら自分達が絶対正義という事を疑う事がないからだ。 次の朝、まりさは狩場を探しに周辺を見てまわった。 季節は春。穏やかな気候に生命の息吹が溢れる季節。 きのこやどんぐりがいっぱいありそうな山林。 秋になったらいっぱいむーしゃむーしゃできるだろう。 綺麗なお水が流れる小川。 夏の乾きもこの水をごーくごーくすれば癒せるだろう。 そして小高い丘に登ったまりさは眼下に広がる草原に目を奪われた。 「ゆわぁー・・・・!」 青々としたおいしそうな草が風を受けてたなびいている。 それが目の前にどこまでもどこまでも広がっているのだ。 「すごいんだぜ!これならごはんに困る事はないんだぜ。こんなすごいゆっくりプレイスを見つけたまりさは やっぱり選ばれた(笑)ゆっくりなんだぜ!!」 まりさは早速、手近にある草や虫など、ごはんをいっぱい帽子に詰め込んで帰路についた。 まりさが丘から草原を見渡し、その餡子脳にバラ色の未来を描いていた頃 群れのゆっくりたちはその草原の中で、山菜や野草を収穫していた。 手分けをして、大きすぎず小さすぎず、程よい大きさのわらびやぜんまいなどを、手際良く収穫していく ゆっくりたちは、それぞれ人間にもらった袋を持っており 帽子のようなお飾りに収納スペースを持たないゆっくりであっても 袋のおかげで収穫の効率を上げる事に成功していた。 「みんなおつかれさまなんだねー。今日はこのくらいで終わりにしようねー。わかってねー。」 群れの幹部の一人であるちぇんが声をかけると、ゆっくりたちは収穫を止め ちゃんのもとにあつまり、その日の収穫物を集め始めた。 その量は、群れのゆっくりが200前後と大所帯とはいえとても食べきれるものではない量であった。 「じゃあ手分けして、みんなでにんげんさんの村まではこぶよー。もうちょっとがんばろうねー。」 群れのゆっくりたちは手際よく山菜を分担して袋にいれ、村へと降りていった。 「おお。今日もたくさんもってきてくれたな!ありがとうよ。」 村の入り口ではひとりの農家の男がゆっくりたちを待っていた。 ゆっくりがもってきた大量の山菜を軽トラックに積みこみ 「ほい。何時も通りあく抜きをして乾燥させた山菜だ。もっていきな。」 男は笑顔で、ちゃんの頭を頭をわしわしと撫で、ひとつの袋を手渡した。 ちぇんはくすぐったそうにしながら 「いつもありがとうなんだねー。またもってくるからこれからもよろしくねー!」 人間への感謝の言葉を他のゆっくりたちも次々と口にし、山へと帰っていった。 男もゆっくりがみえなくなるまで手を振り続けていた。 まりさは家に帰ると、れいむに今日みてきた素晴らしいゆっくりプレイスの数々の事をを話続けた。 「さすがはかわいいれいむのまりさだよぉ。すてきなだんなさまといっしょでれいむはしあわせーだよぉ。」 「しゃしゅがまりしゃのおとうしゃんはしゅごいね!」 「むーちゃむーちゃちあわせー!」 一家はたくさんのごはんとたくさんのゆっくりプレイスにその餡子脳をバラ色に染め上げていた。 次の日からもまりさは草原や山林で、狩りに勤しんだ。 草原では、あの奇妙な掟の群れのゆっくりにも遭遇したがどういう理由か、にがい草ばかり採っている。 「ふん!やっぱりあの群れに入らなくて正解だったんだぜ!バカなゆっくりしかいないんだぜ!」 まりさは意気揚々と帽子をごはんでいっぱいにして帰路についた。 ある日、まりさが草原にいくと、あの奇妙な群れのゆっくりが草原から消えていた。 いるのはまりさ一家とおなじように、群れに属さないゆっくりばかりのようだ。 奇妙な奴らがいなくなって清々したんだぜ!などと思っていたまりさの目に 大きな音を響かせながら、人間の乗り物が草原にやってきた。 その乗り物は草原に入ると、根こそぎ草を刈り取りはじめた。 「まりささまのゆっくりプレイスにやってきて無断でおいしい草さんを刈るなんて とんでもないにんげんなのぜ!たっぷりせいっさい!してやるのぜ!」 まりさはその乗り物に向かって走り出した。 どうやら周辺のゆっくりもまりさとおなじ考えらしく 乗り物のまわりにはゆっくりが集まり始めていた。 「草さんを刈り取るにんげんは死ねぇ!」 「せいっさいしてやるよ!」 まりさがその乗り物の近くに来た時、すでに他のゆっくりが乗り物に体当たりをしようとしていた。 まりささまがせいっさいする必要はなかったようだぜ。などと、ぼこぼこにされたにんげんと乗り物を 餡子脳に思い描いていたまりさの目に映ったのは、信じられない光景だった。 バツン。ブチィ!ズガガガガガ。ビチャビチャビチャ。 体当たりをしたゆっくりはその乗り物に切り裂かれ押しつぶされていった。 その乗り物はトラクターとそれに連結された草刈機だった。 草原の草は元々人間が家畜の餌用に育てていたもの。 山菜の収穫も粗方終わった今、草の刈り取りが始まったのだ。 その巨大な農業用機械に、人間でさえ不用意に突っ込んだりしようものなら、命を容易く落とすだろう。 いわんやゆっくりもである。 草刈機の刃は一瞬にして、ゆっくりを切断し、粉切れにしていった。 飛び掛る寸前だったゆっくり達には、刈り取られた草の破片がかなりのスピードで、その饅頭肌に突き刺さる。 「いたいぃいいいいいいいいい!!ぎゅべら」 「れいむのきれいなおめめがぁああああああああ!!」 「らんしゃまぁあああああああああああああ!!」 「だれかぁあああああ!ありすのとかいはなペニペニに刺さった草を抜いてぇええええええ!!」 一瞬にしてゆっくり達は地獄へと叩き落とされた。 トラクターはゆっくりなど存在しなかったように速度を落とす事なく、草を狩り続ける。 まりさは惨状を目の当たりにし、全速力で逃げた。 にんげんに負けるとは思っていないが、あの乗り物はやばい。 それが餡子脳が導きだした結論だった。 1週間後草原の草は人間に残らず刈り取られていた。 「ゆぅ・・・雨さんばっかりで狩りにいけないんだぜ・・・」 季節は梅雨へと移ろいでいた。 おいしい草も全て刈り取られ、食料事情が悪化したところにはじまった雨。 いつまでも降り続く雨で、満足に狩りにも行けず まりさ一家は空腹に耐えていた。 「どうしてごはんさんをとってきてくれないの!まりさ!」 「うわぁーんおにゃかちゅいたよぅー!」 「そんな事いっても、この雨のなか狩りになんていったら、体が溶けてゆっくりできなくなっちゃうんだぜ!」 「その前に、おちびちゃんがゆっくりできなくなっちゃうでしょぉおおお!馬鹿なの!?死ぬの!?」 この一家は梅雨への備えを怠っていた。近場の草原の存在を過信していたのも痛手だった。 まりさが雨の合間に狩りにでかけるが、満足の行くほどのごはんはみつけられない。 雨が降り続ければじっと空腹に耐えるしかないのだ。 しかし、親ゆっくりならまだしも子ゆっくりの体力で、この空腹に耐えることは難しかった。 「ゆっゆっゆっ・・・」 最近では空腹ですっかりおとなしくなっていた子れいむの様子が急変した。 「ゆゆっ!?おちびちゃんしっかりしてね!おかあさんがぺーろぺーろしてあげるからね!」 「って・・・・どうしておちびちゃんのきれいなお肌が、青や緑色になっているのぉおおおおおおおお!?」 栄養失調による体力低下で、免疫力のおちた子れいむの肌にはカビが生え始めていた。 「おちびちゃんしっかりするんだぜぇえええええ!まりさのおちびちゃんなら病気なんかに負けちゃダメなんだぜ!」 「うわーーーーん!れいみゅううちっかりちてー!!」 子れいむは2日後「もっとゆっくりしたかった」と呟きこの世を去った。 群れのゆっくり達は、梅雨の間、巣の中でゆっくりとした時間を過ごしていた。 「むーしゃむしゃしあわせー!」 春の間に、備蓄していた食糧に加え、人間から報酬としてうけとっていた乾燥させた山菜は 保存食として最適だった。巣の中にはビニール袋など人間から譲り受けた防水に役立つアイテムさえあった。 ドスは降りしきる雨の中これからの事を考えていた。 それぞれの家族には十分な備蓄食料を持たせてある。梅雨が例年通りなら問題ないだろう。 だけど梅雨が長引けば、食料は群れの備蓄を放出すれば問題ないが 抵抗力のない子ゆっくりが病気になってしまうかもしれない。 「早く、梅雨さんが終わらないかなぁ。そして夏になったら・・・」 降りしきる雨の中、ドスは夏以降の群れの運営方針を、巣のなかでゆっくりと思い巡らせていた。 夏。 まりさ一家は、小川で喉の渇きを潤していた。 梅雨によって大事なおちびちゃんを一人失ったが 生き残った子まりさだけでもゆっくりとした立派な子に育てよう。 両親はそう心に誓っていた。 涼しい小川で、思い思いにゆっくりしていると、どこからか声がする。 「えー。皆さん暑い中お疲れ様です。それでは用水路の整備を始めます。」 かなりの数の人間が、小川の中に入り草を刈り取ったり、石を動かしたりしている。 川から田畑への農業用水を取り入れる用水路は こうやって定期的に草や石を取り除く事で、効率よく水を田畑に引き込むことができるのだ。 まりさ一家は物陰からその様子を見ていた。 にんげんはなにをやっているのだろう?まったくゆっくりしていない。 なにより、まりささまたちのゆっくりプレイスに、無断で入ってくるなんて許せない! 「おい!くそにんげん!まりささまたちのゆっくりプレイスから早く出て行くんだぜ!」 「まりさは強いんだよ!にんげんなんてイチコロなんだからね!」 「ぷきゅぅううううううううううう!!」 親2匹と子1匹。人間に対して精一杯の威嚇行動を行っている。 これでにんげんが恐れをなして逃げ出すと思っているのだから、餡子脳というのは本当に救いようが無い。 まりさ一家の愚かな行動を、人間達は少々驚きを感じながらみつめていた。 「あれ?ゆっくり??」 「え?今あいつらは村の畑で、農作業の手伝いをしてるんじゃなかったか?」 「ああ。野菜についた虫や雑草を取り除く作業を頑張ってやってるよ。」 「ってことはこいつら群れのゆっくりじゃないのか?」 「はぐれゆっくりってとこだろうなぁ。口汚いし。」 人間達が会話を続けている最中も、まりさ一家は、でていけだの死ねだの五月蝿い事このうえない。 「あー。とりあえず作業の邪魔だな。」 「どこか適当に放り投げておけよ。」 「めんどくさいなぁ・・・」 騒ぎたてるまりさ一家の側に一人の男が近づいていくと、なんの躊躇いもなく子まりさを掴み上げた。 「じじぃ!なにをしてるんだぜ!まりささまのかわいいおちびちゃんを早くはなすんだぜ!!」 「おちびちゃんんん!!?じじぃはゆっくりしないでおちびちゃんを離して死ねぇええええええ!!」 「うぇええええん。きょわいよぉおおお。」 男の足元で、ぽいんぽいんと無駄な体当たりを繰り返す親ゆっくり。 男はそれを全く無視して 「ほらよっと!」 子まりさを、少し離れた藪の中に投げ込んだ。 「ゆぅうう?!おしょらをとんでりゅみたぃいいい・・・!ゆべぇ!」 お決まりの「お空を飛んでるみたい」を叫びながら子まりさは藪のなかに投げ込まれてしまった。 「「おちびちゃんがあああああああああああ!?」 大切な子まりさが人間に投げ飛ばされた事に、驚きの声をあげる親ゆっくり。 「はいはい。お前達も作業の邪魔ですからねー。」 男はそういうと、まりさとれいむを、子まりさが飛んでいった藪にめがけて思いっきり蹴り上げた。 「ゆぶぅううううううううっ!?」 「ゆうがぁあああああああああああっ!!?」 親子3人、仲良く藪の中に叩き込まれてしまった。 「ゆ・・・ゆぅうう。!?れいむ?おちびちゃん?!」 まりさが気付いた時、すでに空は夕焼けに染まっていた。 どうやら気絶してしまっていたらしい。 「ゆぐぐ・・・痛いんだぜ・・・れいむはどこなんだぜ?」 れいむは藪の中に頭を突っ込んだ姿勢で気絶していた。 「れいむ?!大丈夫なんだぜ!!?ゆっくり、ゆっくりしていってね!!」 「ゆう・・ううん。まりさ?ゆぅう・・・痛いよぅ」 藪の中に蹴り込まれたまりさとれいむは、体中擦り傷だらけでずーりずーりと這いずるのがやっとの状態だった。 「おちびちゃんの姿が見えないんだぜ・・・・おちびちゃーん!どこにいるんだぜー?」 「かわいいれいむのおちびちゃんー!ゆっくりしないではやく出てきてねー?」 我が子を探す親ゆっくりの目の前に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。 子まりさは、藪の鋭く尖った枝にあんよから頭まで串刺しにされた状態で、息絶えていた。 「「まりさとれいむのかわいいおちびちゃんがなんで死んじゃってるのぉおおおおおおおおお!?」」 夕焼け空に親ゆっくりの慟哭だけが響いていた。 実りの秋。 人間もゆっくり達もその恵みを享受しようと野山を駆け巡る。 子ゆっくりがいなくなった今、まりさとれいむは二人揃って、冬篭りに備え狩りに勤しんでいる。 さすがにこの時期に子ゆっくりを作る事は、冬篭りの失敗に繋がる事を、二人は理解していた。 なにより、自分達のゆっくりプレイスに、いつでもどこでも人間が現れる事も 二人に子作りを断念させた大きな要因だった。 子ゆっくりが殺されたあの日以来、二人は人間と極力接触しないようにしている。 にんげんはちっともゆっくりしていない。 だが、にんげんの恐ろしさを、この二匹もようやく理解し始めていた。 おうちにしていた洞のある木は、狩りにでかけている最中 人間達に、周りの木々と共に切り倒してしまった。 きのこがいっぱい生えている森の中では、あの奇妙な群れのゆっくりが人間と一緒に きのこ狩りに勤しんでいた。 こっそりとゆっくりたちの中に紛れ込んできのこを取ろうとしても すぐに人間につまみだされてしまう。 どんぐりが実る山林も、人間達によって木ごときりたおされ 倒れた木の枝についたどんぐりは、奇妙な群れのゆっくりたちが丁寧に摘み取り 人間達に差し出していた。 ここに来た時は、家族でゆっくりできると思っていたのに 子は失い、住処は奪われ、ごはんも満足に取る事ができない。 まりさ達は、草原の丘の麓に穴を掘りそこを新しい住処にしていた。 草原に生えているあまりおいしくない枯れ草を、主食として生きながらえていた。 草原を吹く風が冷たくなってきている。もうすぐ冬がやってくる。 おいしくない枯れ草とはいえ、冬篭りのために必要な量はなんとか確保できそうだ。 二人は巣の中で、 次の春になったらたくさんあかちゃんをつくってゆっくりしよう。 おいしいものをいっぱい食べよう。 巣の中で希望に満ちた春を思い描いていた。 雪が当たり一面を白く塗り替えていく。 まだ見ぬ春を夢見てゆっくり達は巣の中で、春を待ち続けた。 冬も終わりを迎えようとしていた。 風に春の予感を感じさせるものの、まだ肌寒い時期である。 群れのゆっくりたちは、通常はドスの住居兼集会所である 大きな洞穴の中で越冬の最中であった。 ドスと200を超えるゆっくりたちが思い思いに春を待ちゆっくりしていた。 越冬も終盤とも言えるこの時期にあっても、まだ貯蔵した食料は十二分に残っている。 この事からも、この群れの越冬対策の優秀さが伺える。 そこへ一人の男が尋ねてきた。 年は還暦間近ではあるものの、山野を歩く足並みは精強そのものだ。 「お邪魔するよ。ドスはいるかい?」 「ゆゆっ!にんげんさんいらっしゃい!ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 ドスの声にあわせて群れのゆっくりが男に挨拶を返す。 「はい。ゆっくりゆっくり。」 ドスと側近達が男の前に歩みでて、人間に軽く会釈すると 男はよっこいしょと、ドスとゆっくり達の前に腰を下ろした。 「にんげんさんが今年の「やくいんさん」なんだね。まだ寒いのにわざわざありがとう!やくいんさん。」 ドスは更に男に頭を下げ礼を言った。 「まあ役員っていっても、村のなかで順番がまわってきただけさね。 こりゃ俺達とお前さん達との約束だからな。俺の祖父さんの頃から続く約束だ。お互いしっかり約束は守らなきゃな。」 「やくいんさん、今年ももうそんな時期になったってことだね?」 「ああ。そうだ。日時は1週間後だ。お前さん達はいつもどおりやってくれればいい。 今年はちと多いか?200くらいいるのかい?」 「ドスをいれて235のゆっくりがいるよ。去年より20くらいおおいかな。」 「そうか。まあ多すぎず少なすぎず、うまく越冬もできそうだってとこだな。」 「うん!そうだね。これもにんげんさんたちのおかげだよ!ゆっくりありがとう!!」 「「「「ゆっくりありがとう!!」」」」 「いやいや。お前さん達の努力の成果だよ。じゃあ1週間後またくるからな。 しっかりと群れのゆっくり達にも話を・・・特に新参とこどもたちにはちゃんと教えておけよ?」 「わかったよ、やくいんさん!1週間後にまたあおうね!!」 男が立ち去った後。 ドスは全てのゆっくり達を前に語りはじめた。 「みんなゆっくりよく聞いてねね!いまからいうことは絶対に忘れちゃいけないことだよ! まえからずっと掟としてみんなにいってきたけど それが正しいことだっていうのを、今度にんげんさんたちが教えてくれるよ。」 「これはドスやみんなのおかあさんの、おかあさんの、そのまたおかあさんの・・・ ずーっとずーっとむかしからの、むれの掟だよ!!ぜったいにわすれちゃいけないよ!!」 「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」」 期日までの7日間。ドスは群れに、大人はこどもに、古参は新参に。 なんどもおなじことを繰り返し語り続けていた。 俗にいう餡子脳。それに絶対に刻み込むために必要な事なのだ。 「よし。ここでいいぞ。ここなら一望できるし安全だ。」 1週間後。男はゆっくり達と小高い丘の上に立っていた。 眼下には、ススキをはじめとする枯れ草が風にたなびく草原が広がっていた。 ドスをはじめ群れの全てのゆっくりが、ここに集まっている。 まだまだ風も冷たく、ぐずる子ゆっくりもいるようだが 親ゆっくりが必死になだめている。 これから起こる事。 それを愛するわが子にもしっかりとみせておくために。 「はじまったな」 男がそういうとゆっくり達も一斉に草原に目をやった。 草原の端のほうから白い煙があがっている。 煙の下からちろちろと赤い炎も見え隠れしている。 「いいか。これが「野焼き」だ。よく見ておくんだぞ。」 野焼き。 地方によっては火入れとも呼ばれる。 1年に一度、春先に草原の枯れ草を焼却し、春の新芽がしっかりと生えてくるように 草原を整備するのが目的だ。 これを行わないと草原は荒れ、野草などの収穫量も落ちる。 最終的には草原は、鬱蒼とした森林へと姿を代えてしまうのだ。 豊かな恵みを維持するために一年に一度の野焼きは必要不可欠なのだ。 端から上がった炎は少しづつその勢いを増し草原を覆いはじめた。 人間からみてもなかなかに壮大な眺めである。 数百ヘクタールという広大な草原が火に覆われ燃えていくのだ。 ドスや昨年の野焼きを見たことがあるゆっくりたちは じっとその様子を見つめていた。 新参や子ゆっくりはただ呆然とその光景を眺めることしかできない。 話で聞くのと、実際に目の当たりにするのとでは訳が違う。 火の勢いに恐ろしーしーを漏らす子ゆっくりも多数いる。 しかし、眼をそらす事は、ドスによって禁じられている。 草原を燃やしつくす炎の恐ろしさ。 それを実行する人間の力。 そして人間の力によって、ゆっくりプレイスが管理維持されているということを しっかりとその眼に焼き付ける必要があるのだ。 火が順調に草原に燃え広がる頃。 燃える草原の中から、ゆっくり達の悲鳴が聞こえてきた。 「あつぃいいいいいいいいいいいい!!どうして草さんがもえてるんだぜぇえええええ??!」 「なんだかポカポカしてきたよ。やっと春さんが来たんだね!! れいむはしんぐるまざーだから春さんも早めに来てくれたんだね!!遅いくらいだよ! 遅すぎておちびちゃんだけじゃお腹いっぱいにならなっかったよ。ゆゆゆ!・・・・あついぃいいいいいいいいいいいいいい!! どうしてかわいいれいむのおりぼんさんが燃えてるのぉおおおおお!!?」 「ありすのとかいはなおうちがどうして燃えてるのぉおおおおおおおおおおお!!? ま・・・まりさはどこ!?おちびちゃんは・・・?」 「おかぁあしゃあああああああん!どこなのぉおおおおおおかわいいまりしゃを助けてねぇえええええ!」 各々、草原の中の巣で越冬をしていたゆっくりにとって まさに降って沸いたのような大惨事であった。 ゆっくりの体に火が付き、ゆっくりが暴れ周り、それがまた周辺の枯れ草に飛び火する。 その火がまたゆっくりに飛び火する。 ゆっくりにとって阿鼻叫喚の灼熱地獄がそこにはあった。 成体・子・種類、一切の区別無くゆっくりは燃えあがり、黒い炭へとかわっていく。 まりさ一家の巣の近くにも火の手はせまってきた。 「ゆぅぅん?なんだかあったかいんだぜ?春さんが来たのかだぜ?」 まだ寝ぼけ眼のまりさであったが、外から聞こえてくるゆっくり達の悲鳴に なにか恐ろしい事が起きている事にきづいた。 「ゆっ!?れいむ!れいむ起きるんだぜ!なんだか外でゆっくりできない事がおきてるみたいなんだぜ!!」 「ゆーぅーん。れいむまだ眠たいよ。まだ春さんには早いでしょう?ゆっくりしてればいいんだよ。 ゆゆ?なんだかあったかいね?もう春さんが来たの?まりさ?」 「外にでてみないとわからないんだぜ・・・でもなにかとても嫌な予感がするんだぜ・・・」 「なんだか外が騒がしいね。結界さんを外して外の様子を・・・ゆゆっ!」 草原を覆いつくす炎は、ついにまりさたちの巣の入り口に施してある結界 ・・・燃えやすい木の枝や枯れ草で作られた簡易バリケードにも燃え広がっていた。 「「なんで結界さんが燃えてるのぉおおおおおおおおお!?」」 炎は容赦なく燃え広がっていく。同時にその熱量が巣の中に充満し、二人を襲った。 「ゆがぁああああああ。熱いぃいいいいいいいいい!!」 「まりさぁあああああ!早くなんとかしてよぉおおおおおお。」 このままでは二人ともゆっくりと焼饅頭になるだけだ。 外になんとかしてでなければ! まりさはありったけの勇気を振り絞って、結界に体当たりをして活路を見出そうとする。 「ゆがぁああああぁあああ!結界さん早くそこをどくんだぜえええええ!!ゆぎゃああああああ熱いぃいいいいい!!」 まりさの渾身の体当たりは、燃えて脆くなっていた結界をあっさりと吹き飛ばした。 しかし結界から巻き上がった火の粉が体に燃え移り、耐え難い熱さに絶叫するまりさ。 「まりさのすてきなおぼうしさんがぁあああああああ!」 火の手は、ゆっくりにとって大切なお飾りにも燃え移る。 「れいむは今のうちににげるよ!お飾りがもえてるまりさはそこでゆっくり死んでね!」 「どうしてそんなこというのぉおおおおおおおお!?」 あっさりと番を見限り一人だけで逃げようとするれいむ。 しかし炎はそんなれいむに罰を与えるかのように襲い掛かる。 燃え盛るススキの束がれいむの頭上に倒れ掛かってきたのだ。 「ゆぎゃわぁあああああ熱いぃいいいいいい!!まりさぁああああたすけてえええええええ!!」 「れ、れいむぅううう!?」 勢いをました炎はれいむをあっというまに包み込み、その断末魔さえも、燃え盛る炎の中に消えていく。 転がりまわり、なんとか体と帽子についた炎をかき消したまりさではあったが 周囲を炎の壁にはさまれ、帽子も天辺から半分以上燃えてしまい、絶望と迫り来る死にただただ恐怖するばかりであった。 燃え尽きただの炭クズになってしまった番を前に、涙を流すだけのまりさ。 ここでまりさもれいむみたいに燃えて死んでしまうのだと、あきらめかけたその時。 れいむに倒れ掛かったススキがあった場所が、燃え尽き炭だけになっているではないか。 その後ろも炎が散見されるものの、ぎりぎりゆっくり一匹が通れるだけの スペースができあがっている。 まりさは走った。 炎が迫ってないとはいえ、足元の灰のなかではまだ小さな火がくすぶり、まりさのあんよをこがす。 降りかかる火の粉がその饅頭肌に無数の火傷をつくる。 ただ炎から逃れるために、ガムシャラに走り続けるまりさ。 炎の塊が、まりさの右目にふり落ち、目玉はその熱量で爆ぜた。 いつもであれば耐え難い苦痛も、炎の恐怖の前にかき消される。 木の枝が、石が、急勾配の上り坂が、下り坂が、まりさの体を傷つける。 それでもまりさは走り続けた。 炎から逃れ、小高い丘にまりさはたどり着いていた。 しかし、体のいたるところが焼け爛れ、傷からはあんこが漏れ出し あんよは這いずるのがやっとなほどに焼け焦げていた。 炎からは逃れられたものの、明らかに致命傷である。 しかしあの燃え盛る炎からの脱出はまりさの心を安堵させた。 「ドスー!こっちに大怪我をしているまりさがいるよー!!」 ゆっくりの声が聞こえる。 火傷と極度の疲労でよくききとれない。 「とりあえずこっちへ運んで!ぱちゅりーは手当ての準備を!」 「むきゅ!わかったわ!」 大勢のゆっくりたちがまりさを丘の頂上まで運び上げる。 治療のために、群れのぱちゅりーたちがまりさを取り囲む。 「むきゅう・・・ドス・・・このまりさはもう・・・」 「助からないの?」 「これだけの火傷に加えて、あんこさんもかなりの量がでてしまっているわ。 人間さんにもらったオレンジジュースをかけても回復しない・・・ 痛みを和らげる効果はあるけれど・・・そこまでよ。」 「そう・・・・」 まりさはオレンジジュースのおかげで、痛みが少し和らいでいた。 しかし全身を包む脱力感が自分の命がもう長くない事を悟らせていた。 「どうして・・・・ どうしてまりさだけが・・・・こんな目に・・・・・ ドス達はゆっくりしているのに・・・・どうして・・・・」 まりさは一つになった眼から大粒の涙をながしながら、絶望を口にする。 そんなまりさにドスは語りかける。 「それはね・・・まりさ達がにんげんさんと仲良くしてこなかったからだよ」 「う・・・嘘なんだぜ・・・にんげんなんかと一緒にいたって仲良く・・・できるわけないんだぜ」 ドスは大きく顔を横に振った。 「違うんだよ。まりさ。ここのゆっくりプレイスはね。ゆっくりがここに来た時よりも ずーっとずーっと昔から、理想のゆっくりプレイスにするために にんげんさん達が努力して作りあげてきたんだよ。」 「・・・・・・・」 「まりさ。見えるかな?この下の草原が。」 春に青々とおいしい草を茂らせ、これ以上はないと思えたゆっくりプレイスだった草原は 炎が燃え盛り、燃え尽きた枯れ草は炭色になって草原を覆い尽くしていた。 「ど・・・・どう・・・してこんな・・・ことを」 「これは野焼きっていってね。春さんが来る前に枯れ草さんを燃やしてしまって灰にするんだよ。」 「そして春になれば灰を栄養にして、またおいしい草さんが一杯はえてくるんだよ。」 「春になれば群れのみんなで山菜取りのお手伝いをするんだよ。草原も草原に生えてくるものも 全てにんげんさんの持ち物だからね。ゆっくりはお手伝いをしてはじめて報酬を受け取れるんだよ。」 「・・・・・・うそ」 「嘘じゃないよ。それに草原だけじゃないよ。山や川もにんげんさんが、しっかり手入れをしてくれるおかげで おいしい食べ物がいっぱい生えてくるんだよ。」 「いらなくなった木や雑草を刈り取ったり 川の水を畑に流したりしておいしいお野菜さんをいっぱい作るんだよ。」 「群れのゆっくりはにんげんさんと、いつも仲良く一緒にお仕事をしてるんだよ。」 「・・・・・・・・・」 まりさは何も言えなかった。ドスの言う事は素直には信じられない。 だけど・・・目の前に広がる光景・・・ どこまでもどこまでも広がる草原を、人間が焼き尽くしていく。 その圧倒的な炎の力。そしてそれを操る人間達の力。 目の前に広がる覆り様のない現実。 それを死の間際にまざまざとみせつけられて、ようやく人間とゆっくりの力の違いを理解する事ができた。 「まりさは・・・・・どう・・・して・・・・・・・」 まりさは息を引き取った。 最後に何を思ったのだろうか。 人間との力の違いを知らなかった己を呪ったのか。 理不尽な世の中に憤りを感じて黄泉へと旅立ったのか。 それはだれにもわからない。 「ドス・・・」 心配そうに側近のぱちゅりーが声をかける 「残念だけど、これが現実なんだよ。ゆっくりだけの楽園なんて決して存在しないんだよ。」 「にんげんさん。動物さん。昆虫さん。ゆっくり。それぞれ生き方は違うけれど 一緒にゆっくりできる方法を考えずに生きていけるほど、甘くはないんだよ。」 「自分勝手に生きようとすれば、その時はゆっくりできるかもしれない。 でも最後に、そのツケを払わされるのは自分なんだよ・・・この草原のまりさみたいにね。」 村の役員である男は一部始終をじっとみつめていた。 やはりこのドスは賢い。そしてこの群れのゆっくりたちも ドスがいるかぎり人間に害を為すようなことはしないだろう。 自分の祖父さん達の世代は、本当に良い掟を作ってくれた。 ゆっくりを生かすつつ、人間は利を得る。 簡単なようでこれを実行に移すのは至難の業だ。 だが今までこうやってうまくやってこれたのは、祖父さん達の努力と このゆっくりたちの先祖の努力の賜物だろう。 両者共に尊敬に値する。 しかし、群れのゆっくり達はきづいているのだろうか? この賢いドスは、薄々感づいてはいるとは思うが。 群れ以外のゆっくりが、可能な限り草原で越冬する事を選択し 野焼きによって春になる前に一網打尽にできるよう 人間達が行動していることに。 群れに属さないゆっくりが、この草原以外で越冬できないようにするために 山や川、雑木林など、時期をあわせて刈り入れなどの農作業を行い 群れ以外のゆっくりの行動範囲をこの草原に囲い込むようにしていることに。 管理された群れは、すっきり制限などの掟によっていつも一定量に保たれている。 しかし、人間にとって群れ以外のゆっくりは不要だ。 ただ漠然と生きているだけのやつらに、なんの対処も施さなければ 増えるだけ増えて、この村の山野を荒地にかえてしまうだろう。 この国で人間の所有物ではない土地など存在しない。 1?たりとて存在しない。 個人の所有でなければ、国や市町村の共有地として登録されている。 人の出入りが疎らな秘境と呼ばれる場所でさえ例外ではない。 この国には、最初から「ゆっくりだけのゆっくりプレイス」など存在しないのだ。
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結婚して10年になろうとしていた。 私たちの間には子供はいない。 昔の人は『子は鎹』とはよくいったものだ。 その鎹のない私たちは10年という歳月の間に夫婦関係はすっかり冷えていた。 夫はと言えば口を開くと不況だなんだと愚痴ばかり。 その愚痴をはじめは黙って聞いていた。 聞くことで鬱憤が晴れるなら私のストレスなど些細だと思っていた。 しかし、何カ月もの間聞かされ続けると私もストレスの限界だ。 不況だと嘆いたところで状況が打破されるわけではない。 今の夫の境遇は夫自身の不徳の致すところではないか。 そういう考えに至ったのは自然な流れだった。 「・・・今日は晩御飯は?」 「あぁ。残業多くてな。たぶん遅くなる。連絡する」 「・・・そう・・・」 朝の会話はこれだけ。 昔のように会社での出来事や他愛もない話に盛り上がることはなくなってしまった。 私はといえば、夫が駄目な人間に見えてしかたなくなっていた。罵ったこともあった。 子供がいればまた違ったのであろうが、不幸にも私たちの間に子供は生まれてくれなかった。 朝、夫を送り出し、いつものように日課であるガーデニングをしに庭に出る。 するといつもとは見慣れないものがそこにはいた。 大きさにしてソフトボールより少し大きめ。大きな赤いリボンを付けている。 「ゆ!・・・にんげんさんはゆっくりできるひと・・・?ゆっくりしていってね!」 不安そうに少し距離を置いて私に話しかけるもの。 そう、ゆっくりれいむといわれるものだった。 比較的都会に住んでいる私は初めて目にしたものだった。 ペットとして飼ってる人は見たことがある。 ペットショップでも何回かは見たことがあるが、さして興味もなく注視はしていなかった。 最近は環境美化対策として野良ゆ排除が進んでいるため、街にも野良ゆは少なかった。 野良ゆというものが初めてだったのだ。 会社勤めを辞めてしまった私にはこの土地には友人と呼べる人が少ない。 数少ない友人たちもそれぞれの生活がある。 今になって思えば、私は少し、淋しかったのだと思う。 「はじめまして。ゆっくりしていってね。」 つい返事をしてしまった。 そこから私とれいむの付き合いが始まった。 夫は元より生き物が苦手な方だった。 前に犬を飼いたいといったときも大反対をされた。 子供の出来ない私の淋しさなど、夫には理解できないのだろうとあきらめた。 そんな経緯もありこの庭れいむは私の秘密の友達となった。 夫は私の行動に興味はない。 庭をいくらきれいにしたところで褒めてはくれない。本当に興味がないのだ。 庭は私とれいむだけの秘密の園となっていた。 れいむは非常に素直で純粋だった。 野良と言えば汚くて醜い。そんな印象だったのだがこのれいむはちがっていた。 私が育てている花壇の花々の話をすると、 「おねーさんがゆっくりしているからおはなさんもゆっくりしているね! れいむもゆっくりしたおはなさんすきだよ!だからほかのくささんたべるね!」 と花を荒らすこともしない。 なにかほしいものはないのかときけば、 「れいむはいまのせいかつがだいすきだよ!おねーさんこれからもれいむとなかよくしてね!」 とかわいいことをいう。 私の荒んだ心に一滴のうるおいを与えてくれる、そんな存在だった。 いつものように夫を送り出し、庭に行く。 ふと思い立ち、れいむの境遇についてきいてみた。 「れいむはどうしてお庭さんにきたの?家族はいないの?」 そう聞くとれいむは少しうつ向いて 「れいむは・・・おかーさんとおとーさんといもうとたちとしあわせー!だったんだよ・・」 と語り出した。 要約すると、人間に見つかりにくい公園の隅で家族幸せにすごしていた。 箱入り娘だったれいむは外の世界はあまり知らないまま育った。 ある日人間に家族が連れて行かれた。 両親は最後の力を振り絞りれいむを逃がした。 どうしていいかわからないれいむは私の育てた花をみてゆっくりできたのでここにきた。 そういうことらしい。 まぁよくある話といえばそれまでだ。一斉駆除があったのだろう。 「そう。大変だったのね・・・ここですきなだけゆっくりしていくといいわ」 「おねーさん・・!ありがとう!れいむゆっくしていくね!」 子供がいない淋しさも手伝ってわたしはこのれいむを見守ることにした。 ある日、いつものように庭に出るとれいむが顔を赤らめてもじもじしていた。 「どうしたのれいむ?」 「ゆん!おねーさん・・・しょうかいするね・・!まりさだよ!」 「まりさはまりさなのぜ!ゆっくりしていってねなのぜ!」 「あら、れいむお友達なの?まりさ。ゆっくりしていってね」 れいむはどこからかまりさをつれてきていた。 様子を見るにれいむはこのまりさが好きなようだった。 「まりさはかりのめいじんなのぜ!おねーさんにはめいわくかけないのぜ!」 「ん?」 「れいむがまりさにおはなさんはむーしゃむーしゃだめっておしえたんだよ!」 「そうなの。ありがとうね。」 そういってれいむの頭をなでてやると幸せそうにしていた。 これからこの二匹は番になるのだろう。 そう予感した私は二匹のためにおうちを庭の隅の目立たないところにプレゼントした。 「ゆーん!おねーさんとてもゆっくりできるおうちありがとう!」 「まりさも一緒に住んだらどう?」 「ゆ!おねーさん!れいむ・・・はずかしいよ!」 「・・・・ほんとにいいのぜ?」 「いいのよね?れいむ?」 「・・ゆん!まりさもいっしょにゆっくりしてね!れ、れいむ・・・まりさとずっといっしょに ゆっくりしたいよ・・!」 それはれいむからのプロポーズ。 「ゆぅぅ!て、てれるのぜぇぇ!まりさがんばってかりするのぜ!!!」 私の庭に家族が増えたのだった。 私は特に餌は与えていない。 庭にいる虫や雑草などを食べて二匹は生活しているようだった。 二匹にしてみればごはんさんには事欠かない環境らしく飢えを訴えることはなかった。 れいむはひなたぼっこをしながら上手とはいえないおうたを歌い、 まりさは狩りも兼ねた虫との追いかけっこ。 日々ゆっくりとしていた。 そんな日が何日かすぎ、れいむがおうちからあまりでてこなくなっていた。 「まりさ。れいむをみないようだけど・・・何かあったの?」 「ゆん!れいむはにんっしんっ!したのぜ!おちびがもうすぐふえるのぜ!」 「・・・そう。おめでとう」 「おねーさんありがとうなのぜ!まりさかりをがんばるのぜ!」 心から喜んであげられない自分がいた。 私には子供が出来ないのに、こんなに簡単にゆっくりには子供ができる。 ゆっくりの性質上当たり前のことだが。 そんな自分に気がつくと自分のことが前より嫌いになりそうだった。 これでは悪循環。喜んであげようと私は精一杯明るく努めた。 「これからはもっとがんばらないとね。まりさ?」 「ゆん!そうなのぜ!まりさはれいむをゆっくりさせるのぜ!」 そういってまりさは狩りを再開させた。 れいむの様子をみようとおうちを見ると、れいむは額から茎を生やしていた。 とてもゆっくりした表情で寝息を立てて寝ていた。 それから何日かしておちびちゃんが生まれたようだった。 「ゆーん!おちびちゃんとってもゆっくりしているよぉぉ! おねーさん!れいむのかわいいおちびちゃんをみていってね!」 無邪気に赤ゆを私に見せるれいむ。 赤ゆはといえばこれまた無邪気だった。 「ゆぅ!りぇーみゅはりぇーみゅだよぉ!おねーしゃんゆっくちしていっちぇにぇ!」 「ゆっくちゆっくち!」 「まいちゃはまいちゃにゃのじぇ!」 れいむ種が2匹にまりさ種が2匹。一気に6匹家族となったのだ。 「まりさがこれからもっとがんばらないといけないのぜ!れいむはこそだてでいそがしいのぜ!」 まりさは忙しそうに狩りをしていた。 「まりさ!ゆっくりがんばってね!れいむもゆっくりしたおちびちゃんをそだてるよ!」 仲睦まじい。新婚。そんな言葉がぴったりだった。 そんなゆっくりたちをみていると、結婚したばかりだった私たち夫婦を思い出していた。 夫は板前をしていたが収入のために仕事を変えた。大変だったが幸せだった。 大好きな人と一緒に日々を過ごせる幸せ。それは何事にも代えがたいものだと思っていた。 このままこの人と、ずっと幸せな日々が続くと夢を見ていたあの頃。 夫の仕事も軌道に乗り出し、この家を購入した時。 仕事で忙しい夫のため、元気の出るような料理を頑張ってつくっていたあの頃。 ほんの数年前のことだというのに、忘れていた自分がいた。 それに気付かさせてくれたこのゆっくりたちに感謝をしなくてはいけないとさえ思った。 数日後、いつものように庭をみるとまりさが狩りにせいをだしていた。 身の回りのことまで気が回らないのだろう、まりさは少し汚れていた。 「まりさ。ごはんさん集めるの大変なの?」 そう聞くとまりさは元気に、 「ゆん!かぞくのだいこくばしらっ!としてまりさはがんばるのぜ!」 とだけいって私の目の前から消えていった。 忙しそうに働くまりさ。まるで昔の夫のようだった。 れいむはというとおうちのまわりでおちびちゃんたちにおうたを歌っていた。 「ゆっくりのひ~♪まったりのひ~♪~」 「おきゃーしゃんのおうちゃはゆっきゅりできりゅにぇ!」 「ゆっきゅりこーりょこーりょしゅりゅよ!」 おちびちゃんたちも元気にそだっているようだ。 様子がおかしくなってきたのはいつごろだろうか。 まりさが日に日に痩せていくのがわかるようになった。 「まりさ?大丈夫?無理してるんじゃないの?」 「ゆぅ・・・。だいじょうぶなのぜ!ただおちびがすこしおおきくなってごはんさんが たりなくなってきたのぜ・・・おねーさん・・・ないしょさんがあるのぜ・・・」 「どうしたの?」 「いらないごはんさんをすこしだけわけてほしいのぜ・・・ れいむにはおねーさんにめいわくかけるなっていわれたのぜ・・・でも・・。」 「いいのよまりさ。お父さんとしての立場もあるものね。ちょっとまってて」 そして私は野菜の切れ端を少し分けてあげた。 「ゆん!おねーさん!ありがとうなのぜ!これでおちびもゆっくりできるのぜ!!」 「大事に食べるのよ。狩り、がんばってね」 まりさは帽子に大事そうに野菜を詰め込み、おうちとは反対方向に持って行った。 どうやら多くごはんがとれたときにいざという時のために貯め込んでいるようだった。 また今日もれいむは姿を見せない。いつも私の前にきてくれていたのに。 子育てに忙しいのだろうか。 まりさはというと相変わらずせかせかとごはんを集めていた。 「そろそろおちびちゃん達も大きくなったのかしら?おねーさんにもみせてくれない?」 そうまりさに話しかけるとうれしそうに頷き、おうちにれいむたちを呼びにいった。 数分後、戻ってきたのはまりさだけだった。 「ゆん・・おねーさんゆっくりごめんなさい・・・れいむはこそだてでいそがしいみたいなんだぜ・・」 「そう、ごめんね無理言っちゃって。」 まりさは申し訳なさそうに振り返り、また狩りに戻って行った。 それからまた数日したある日のことだった。 いつもきれいに咲いていた私の花壇がぐちゃぐちゃに荒れていた。 野良ネコでもはいってきたのだろうか。 そうだとするとあの家族は無事だろうか。 私の心は不安に支配されていた。 「れいむ!まりさ!大丈夫!?」 そう言って私は一家のおうちの方に様子を見に行った。 そこには私の見たことのないでっぷりと醜くふとったれいむが眠っていた。 近くにはなすび型に体が膨れた子ゆ。 おうちの外にはあのまりさがぐったり横たわっていた。 こいつか。私の花壇を荒らした犯人は。 このでいぶが花を食べ散らかしたに違い無い。 だとすると、私のれいむはどうなったのか。 どこにも見当たらない。 急いでまりさを抱きかかえ家にあげた。 「まりさ!大丈夫!?」 すっかりやせ細り、体にも髪にも艶がない。 オレンジジュースをストローで少し飲ませてやるとまりさは気がついた。 「・・ゆ・・・ゆん!ここは・・・!?」 「おねーさんのおうちよ。まりさ。何があったの!?」 「ゆ・・・ごめんなさいなのぜ・・・・まりさ・・・まりさ・・・」 そういうとまりさは涙をぽろぽろと流し、今までのことを語り始めた。 れいむと出会っておちびちゃんが元気に育っていったこと。 れいむがごはんを足りないといったこと。 まりさがどんなに頑張ってごはんを集めても足りないとなじられたこと。 冬に備えて貯め込んでいたごはんがれいむにばれたこと。 まりさが独り占めしたと誤解をうけ、制裁されかけたこと。 ぐずなまりさがごはんをちゃんと集めないせいだといわれ、れいむが花壇の花を食べ始めたこと。 それを止めようとしてまた制裁されたこと。 そんなはずはない。 私の知ってるれいむは優しくて純粋で素直なれいむだ。 あの醜く太ったでいぶではない。 「本当なの・・・それは・・・」 「ゆん・・・ほんとうなのぜ・・・まりさがんばったのぜ・・・でも・・でも・・!」 そう言うとまりさはまた涙を流し始めた。 確かめなければいけない。 私はまだぐったりとしているまりさを家に残し一家のおうちに確かめにいった。 どこかで聞いたのだが、ゆっくりは個体認識を飾りでするらしい。 ということは私のれいむの飾りを取り上げ、れいむになりすましたでいぶなのかもしれない。 そうだとしたられいむは、れいむはでいぶに殺されたのかもしれない・・・ 「れいむ!起きなさい!」 「ゆぅ!まだれいむはねむたいんだよ!・・・・ゆ・・・!」 私と目があったでいぶはその巨体をゆっくりと動かし起き上がった。 「おねーさん!ゆっくりしていってね!」 でいぶが私のことをおねーさんといった。 知らない人間に出会ったなら、もう少し反応が違うはず。 「・・・れいむ・・・なの・・?」 恐る恐るそう聞いてみると 「ゆん!おねーさんれいむはれいむだよ!ゆふふ!へんなおねーさん!」 このでいぶは私の知っているれいむだった。 「ど、どうしたの・・・?れいむこんなに大きくなかったよね?」 「ゆん!れいむはこそだてでいそがしいからえいようつけなくちゃいけないんだよ! まりさとけっこんっ!してからたいへんだったんだよ!おちびちゃんたちはおおきくなるし、 ぐずなまりさはかりがじょうずさんじゃないし。でもれいむこそだてがんばってたんだよ! だからこんなにおちびちゃんたちもおおきくなれたんだよ! ゆふふ♪れいむってほんとうにこそだてがじょうずだね!れいむのままもこそだてがじょうず だったんだよ!だからままのみたいにこそだてしているんだよ! れいむはぐずだからごはんさんがたりないんだよ!だからおはなさんもたべられたんだよ! これもぜんぶぐずなまりさがわるいんだよ!」 目の前には明らかに食べ過ぎている子ゆ。 荒れた花壇。 いつからこんなれいむになってしまったのだろう。 「・・・れいむ・・?まりさはちゃんと狩りを頑張っていたわよ?おねーさん見ていたから知ってるよ」 「ゆん!まりさはごはんさんをかくしていたんだよ!かしこいれいむはすぐわかったんだよ! むのうでぐずなんてどうしようもないちちおやなんだよ!」 「だから・・まりさは・・・」 「ゆ!おねーさんはまりさのみかたなの!?れいむはまりさがいないあいだひとりでこそだてしてたんだよ! がんばってたんだよ!でもまりさはかりでいそがしいってそればっかりだったんだよ!おちびちゃんたちとも ろくにあそばないだめなちちおやだったんだよ!そんなまりさのみかたするなんておねーさんもぐずなの!?」 でいぶは自分が自分がと自己中心的な理論を展開し続ける。 「れいむ・・・まりさは狩りで忙しかったのよ。あなたのこともちゃんと考えていたわ。 あなたがわからなかっただけなのよ。いつも忙しそうに狩りをしていたわ。 れいむはなにかまりさのためにしてあげ・・」 そこまで言いかけハッとした。 このでいぶは。このでいぶは私ではないか 自分の主張を通し、褒められたいがだけに行動し、その結果空回り。 ガーデニングだって夫の癒しになればと始めたものの結局褒めてくれない夫が悪いと思っていた。 どうして自分は頑張っているのに認めてくれないのか。 そんなことばかり思うようになり夫に嫌気さえ感じていた。 そんな自分と重なるようだった。 気がつくとスコップを振り上げていた。 私はでいぶじゃない。こんな醜いでいぶじゃない。 私の中のでいぶを消すように、私はスコップの先をでいぶの頭に振りかざそうとしていた。 「ゆん・・・!や!やめるのぜ・・・!」 家に置いてきたはずのまりさが体を引きずりながら足元まできていた。 「まりさの・・・まりさのだいじな・・・れいむなのぜ!おねーさん・・・おはなさんはあやまるのぜ! まりさのせきにんなのぜ!まりさが、まりさがぐずなばっかりにぃ!だ・だから!!!!」 こうなってしまったでいぶでも愛しているとでもいうのか。 「違うわ!まりさは悪くないの!私が全部悪いの!」 気がつくと私から涙がこぼれていた。 そうだ。夫は私のためにいつだって頑張ってくれていた。 いつまでたっても子供ができない私に、つらい治療をするぐらいなら 二人でゆっくり過ごそう、子供がいなくても大丈夫だと慰めてくれたこともあった。 そんなことも忘れていた自分。 またこのれいむに助けられた。そんな気さえした。 わたしはこのでいぶをれいむへと戻さなければいけない。 そんな使命感がうまれた。 「れいむはわるくないよ!せーっさいっ!するならぐずなまりさにしてね! それがおわったらあまあまもってきてね!ゆっくりしないでもってきてね!」 生まれた使命感はその瞬間はじけ飛んだ。 そう相手はゆっくり。人間ではないのだ。 一度こうなってしまったからには私が決着を付けてやるのがせめてもの心。 いや、まりさも止めていることだし、ここは辛抱強くれいむを改心させるべきだ。 そんな二つの意見が私の中でバトルを繰り返す。 私はスコップを持ったまま考えていた。 「おーい。ただいまー。いないのかー」 まだ昼間だというのに夫が帰ってきたのだ。 夫は私をリビングへ呼び出し、「これ」と小さな箱をくれた。 簡素な包みのその箱を私はゆっくり開いていった。 指輪だ。 「ほら・・その・・・なんだ。あれだ。10周年だろ。今日・・・」 少し照れくさそうに夫は目をそらす。 小さいながらもダイヤが光っていた。 「これ、、、え。。。高くなかった・・・?」 「うん。今月残業頑張ったからな。ごめんな。いつも」 「え、あ・・」 「悪いなとは思ってたんだ。切っ掛けなくってさ。いつもな。かまってやれなくて」 「・・・・うん・・・・わたし・・わたし・・・!」 私は馬鹿だ。こんなに大事な夫がそばにいたのに。 私はでいぶになっていたなんて。 夫の胸で、今までたまっていたものが全部でていくかのように泣きじゃくった。 涙と一緒にわたしのなかのでいぶは消えてなくなった。 「こ、これなんだけど・・・」 どうしていいのかわからない私は思い切って夫に相談してみた。 「あぁゆっくりかー。久々にみたな~昔は田舎によくいたもんな」 「なんかれいむがでいぶになっちゃって。」 「こんなの簡単だよ。」 そういうと夫はでいぶの前でしゃがみこんだ。 「ゆ!にんげんさん!あまあまもってきたの?それともどれいにりっこうほなの!? ゆゆん!かわいくってごめんねー!」 「ほら。鏡みろ」 そういうと夫はでいぶの前に鏡をおいた。 「ゆふふ!でぶでみにくいれいむがこっちみてるよ!おぉあわれあわれ・・・ってどぼじででいぶど おなじうごきずるのぉぉぉ!!!!」 「鏡だからな。今のお前はこれだよ。でぶでみにくいなぁ?」 「ゆぅぅぅ!!!!!れいむはびゆっくりなんだよ!こんなみにくいはずないよ!」 「じゃぁ鏡に映ってるのはなんだ?」 「ゆぅぅぅぅぅ!!!!!!!」 「まりさもお前のことがデブで醜いからちがうれいむと結婚するかもなぁ?」 「うるざいぐぞにんげん!!!!!・・ぶぎゅっあ!」 夫はれいむを殴った。 「や、そんな!かわいそうよ!」 「だいじょーぶだって。見てろって。ってかこれ重症だな・・・」 「いだいぃぃぃぃ!!!!!!!!」 「これからどうしよっかな~♪」 「ゆぅぅぅぅ!!!!!!たすけてね!れいむはわるくないよ!」 「そうだ。まりさにきこう!」 「ゆ”!?」 そういうと夫はまりさを抱えてでいぶの前に立った。 「まりさかわいそうだな?こんなになって」 「まりさ!かわいいれいむをたすけてね!」 「れいむ!だいじょうぶなのぜ!いまたすけるのぜ!」 まりさは至って健気であった。 「まりさの愛も確認したし」 そういうと夫は重たいでいぶを軽々と持ち上げ家へと運んだ。 「あなた・・どうするの・・?」 「ゆっくりってゆーのはなー。組織の中身が大体餡子なんだよ。消化器官も餡子なら脳みそも餡子」 夫は少し上機嫌だった。久々だ。こんな夫を見るのは。 お菓子の入った戸棚からラムネと市販の餡子を取り出すと手際良く包丁を握る。 「え・・・?どうするの・・・?」 「まぁまぁ。みてのお楽しみ。」 ラムネをでいぶに食べさせ麻酔をする。 手際良く背中の方から包丁をいれ、餡子をとりだしてく夫。 「あなた・・・なんだか楽しそうね・・・」 「俺の田舎じゃこんなの沢山いたからな。おまえは慣れてないだろうけど。」 ダブついた皮を包丁で取り除き、小麦粉で補修していく。 最後に餡子を少し足して傷を埋めていった。 オレンジジュースをかけるとれいむは目が覚めた。 「ゆ・・・ゆん・・・れいむ・・・」 一回りちいさくなったれいむはあのでいぶではなくなっていた。 「れいむぅぅぅー!!!!!・・・だいじょうぶなのぜ?」 「ゆん!なんだかからだがかるいよ!まりさ!れいむはれいむだよ!」 夫によると悪い記憶もゲスな中身もすべて餡子が左右するらしい。 餡子を取り出したり中身を変えることによりどうにかなってしまうものらしい。 ゆっくりは反省などしない。 一度悪くなってしまったものはどうにもならないとのことだった。 「人間とは違うからな。言葉は話すけど根底が違うナマモノ。それがゆっくりだからな」 とのことだった。 「それで・・・あのね・・・」 「いいぞ。こいつら飼っても」 「え・・・」 「俺実は犬苦手なんだ。ゆっくりだったらいいぞ。」 こうして一家は晴れて飼いゆとなった。 これからは私がこのれいむを再びでいぶにしないように見守っていこう。 きっとわたしがでいぶになったらまたこのれいむはでいぶになってしまう。 そんな気がした。 些細な幸せも見逃さなず感謝する。 いつだって相手のことを思いやる。 大きな幸せばかり求めるといままであった小さな幸せは霞んで見えてしまいがちだ。 そう私は再確認できた。それだけで幸せだ。このゆっくり一家のおかげだ。 私の手に光る指輪とこのれいむ。 この二つをみればもう忘れることはないだろう。 わたしの中のでいぶにあらためてさようならをいった。 おまけ その1年後・・・ 「だー!だっっとぅ!あばー!」 「こら。あんまりれいむのぴこぴこさんひっぱっちゃだめよ」 「うぶー!」 「おねーさんれいむだいじょうぶだよ・・・ちょっといだいぃぃぃ!」 「ゆーくんひっぱりすぎ!もぉ・・・かわいいこ」 「おちびちゃんはゆっくりできるね!」 「そうね・・・」
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『マスタードを少しだけ2』 12KB いじめ 日常模様 野良ゆ 子ゆ ゲス 現代 独自設定 前回露骨過ぎると言われたので今回はかなりぼかしてみました ※俺設定注意 ※シリーズ「マスタードを少しだけ」 辛口の短かい話です。 ※作者は長月 ※社会風刺、政治批判、毒の効いた皮肉を含みます。実在の人物、団体とは関係ありません。 4th episode どこかで見た笑顔 「ゆゆっ!!やっとあけてくれたね!!」 何やら玄関のほうから音がするのでドアを開けたら一匹のぶくぶくに太ったゆっくりれいむがいた。 小汚くバッジもないので野良だと分かる。どうやらこいつがドアに体当たりしていたらしい。 「・・・・なんか用か?」 「れいむはめぐまれないおちびちゃんのためにこのみをささげるじあいっにみちたゆっくりなんだよ!!これをみてね!!」 そう言ってれいむは2匹の子ゆっくりを見せる。2匹ともガリガリにやせておりお飾りもない。 「おねがいでしゅ・・・まりしゃにごはんをめぐんでくだしゃい・・・」 「れいみゅきのうからなにもたべてないんでしゅ・・・」 「かわいそうでしょ?だからこのこたちにごはんさんをあげてね!!たくさんでいいよ!!」 ああ、なるほど。こいつ物乞いか。最近この手のゆっくりは多い。 どうせかわいそうなおちびちゃんの為なんて言ってるが実際に餌をやれば後で自分が食うつもりだろう。子ゆっくり達にはおこぼれ程度。でなければ野良がここまで太れるはずがない。 まぁこんなみえみえの手でも餡子で家の玄関を汚したくないから潰す人間は少ないし、庭先で喚かれるとわずらわしいからと餌をやる人間はかなりいる。 失敗してもせいぜい追い出されるだけ。 それにこのでいぶはともかく利用されている子ゆっくり達はかわいそうと思うものは多いだろう。 そう考えるとローリスクハイリターンの中々いい方法だ。ヘドが出るが。 「ゆゆ!!はやくしてね!!おちびちゃんがかわいそうでしょ!!」 ふてぶてしい表情で喚くれいむ。その顔が見ていて本当に腹が立つ。 それにしてもこの糞でいぶの顔どっかで見たことあるな。どこでだろう? 「なにしてるの!!?れいむはおなかをすかせたおちびちゃんのためにいそがしいんだよ!!ひるまっからごーろごろしてるにーとっのおにいさんとはちがうんだよ!!」 なおもれいむは口汚く喚き続けている。俺が平日の昼間家にいるのは別にニートだからではないのだが。 つーか良く今まで生きてこれたなこいつ。 まぁいい。そうまで言うなら見せてもらおうじゃないか。このれいむのじあいっ(笑)て奴を。 「ちよっと待ってろ・・・」 俺はある物を取りに行くため家に戻った。 1時間後 「ゆぎゃあああああああ!!!!やべてぇええええええ!!!!」 「おいおい。お前恵まれないお腹をすかせたおちびちゃんの為にその身を捧げるじあいっ(笑)に満ちたれいむ様なんだろ。だったら頑張ってその身を捧げてくれよ。うちのお腹をすかせたゆゆこ達の為にな。」 「いやだぁああああああ!!!そんなのむりぃいいいいいい!!!!」 そう泣き叫ぶれいむの下腹部にはたくさんの子ゆっくり達が群がっている。 「こぼにぇー。」 「うまいにょかー。」 「うー・・うみゃい・・・」 ちなみに全員捕食種だ。俺が育てた自慢のゆっくり達である。 そう俺はブリーダーお兄さん。平日の昼間にこうして家にいるのは断じてニートだからではないのだ。 あの後俺は家にラムネを取りに行きれいむに飲ませた。そして寝ている間に小汚い体を洗いあんよを焼いておいたのだ。 こうしてれいむはうちの捕食種子ゆっくりの生餌となった。 下のほうから少しずつ食べられていくれいむ。ぶくぶくに太ったこいつなら1週間は持つだろう。 「いだいいだいいだいいだいぃいいいいい!!!!!しんじゃう!!しんじゃうぅうううう!!!」 なんとか動かせる口から上を動かしぐねぐねと動き続ける。わさわさと動き続けるもみ上げと相まって公害レベルにうるさいしうざい。 「あーうるせぇな・・・ご近所から苦情が来るだろうが。」 俺はホッチキスを手に取るとれいむの口をパチンパチンと閉じる。ついでに目障りなもみ上げも切っておく。これでれいむにできるのは涙を流すことくらいになった。 えっ?こいつが連れてた子まりさ達はどこへいったかって? 子まりさ達は犠牲になったのだ・・・あそこにいる母体用ゆゆこの食欲の犠牲にな・・・ こうして万事一件落着したわけだがひとつすっきりしないことが残った。 「うーん・・・誰だったかなぁ・・・」 あのれいむが誰かに似てると思うのだがそれが思い出せないのだ。 いつまでも唸っていてもしょうがない。TVでも見よう。 俺はリモコンでテレビの電源を入れる。やっているのはニュースのようだ。 「ああ・・・こいつか。」 画面に映ったある人物を見て俺はやっと疑問が氷解する。 そいつはあのでいぶと同じ、偽善に満ちたいやらしい薄笑いを浮かべていた。 5th episode 本当のやさしさ 大学から帰る途中、商店街を歩いていたら路地裏からゆっくりありすとまりさが飛び出してきた。 「おねがいじますぅううううう!!!あでぃすのおちびちゃんたずけでくださいぃいいい!!!」 「おちびちゃんがおおけがしちゃったんですぅうううう!!!」 藁にもすがる思いといった感じで俺に助けを求める2匹。ふと路地裏を見れば子ありすが白目をむいて横たわっている。 「ゆ・・・いじゃい・・・いじゃいよ・・・」 恐らく通行人でも踏まれたのだろう。靴後がはっきりとその体についている。 既に泣き叫ぶ元気もなく、ただ断続的に痙攣し続けているだけだ。治療しなければ長くはないだろう。 「あでぃすたちはとかいはにあこがれてやまからきたんですぅううう・・でも・・・まちはぜんぜんゆっぐいできなくで・・・」 「たぐざんいたおちびちゃんたちもみんなしんじゃって、このこしかのこってないんですぅうううう!!!だから・・・だから・・・」 必死に懇願し続けるありす達。今は10月の末。多分町に妙な幻想抱いて山から降りてきたゆっくり達だろう。 クリームを吐きながら力なく泣き続ける子ありすのことがよっぽど大切と見える。 そんなありす達を無視し俺は子ありすを手に取り 「ゆ?たすけてくれるの?」 「ありがとうおにいさ・・・」 グチョ そのまま握りつぶした。そのまま子ありすだったものを路地裏のゴミ箱に投げ捨てる。 「ゆぁあああああ!!!!あでぃすのとかいはなおちびちゃんがぁあああああ!!!」 「どぼじでぇえええええ!!!どぼじでそんなひどいことするのぉおおお!!!」 「やかましいんだよ!!!このくそ饅頭どもが!!!」 「「ゆゆ!!」 いきなり怒鳴られ、いすくむ2匹。通りを歩いている通行人たちもなんだなんだとこっちを見ている。 ガスゥ 「ゆべ!!いだいぃいいいいい!!!!」 まだショックで動けないまりさに俺はサッカーボールキックをお見舞いしてやった。 「何が都会派だ!!人間様の領域に踏み込んでんじゃねえよ!!」 「まりざぁあああああ!!!どぼじで・・・どうぼじでそんなことするのぉおおおお!!!ありすたちなにもわるいことしてないでしょおおおおお!!!」 「何がどうしてだ!!手前らくそ饅頭どもは存在そのものが迷惑なんだよ!!とっとと町から出ていかねえともう一発食らわせるぞ!!」 「ゆ・・・ゆびぃいい・・・」 俺の剣幕に押され最早声も出ないありす達。まりさに至っては蹴られたショックもあってしーしーを漏らしてガタガタ震えている。 「ちよっと止めなさいよ!!!」 その時路地裏に俺達以外の声が響いた。 声の主は女性だ。スーツを着て年齢は20代半ばと言ったところか。 「いい年して弱いものいじめなんかして!!!貴方恥ずかしくないの!!」 見れば他の見物している連中も俺に対して非難めいた目をしている。下手すりゃ警察なりゆりんぴーすなりに通報されそうな雰囲気である。 これはこの場を離れたほうがよさそうだ。 俺はささるような視線を受けながらその場を後にした。 ありす達にはそのお姉さんが女神様に見えた。 とかいはに憧れ町へ降りてきたもの噂のようにあまあまも食べられず大きなおうちも手に入らず、人間さんはありす達を邪魔者あつかい。 しかも悪いお兄さんに見つかり最後のおちびちゃんまで殺され、つがいのまりさまで暴力をふるわれてしまう。 そんな不幸なありす達に現れた幸運の女神様。 「もう大丈夫よ。悪いお兄さんはいったから。」 そう言ってお姉さんはバッグの中からめろんぱんとかいうあまあまをくれた。 「「し・・しあわせー!!!」」 それは子供を全て失い意気消沈しているありす達を癒すのに十分な甘さだった。 つらいこともあったし怖い人間さんも多いけどこうして自分達をゆっくりさせてくれる人もいる。 町へ来て以来いいことなんて一つもなかったけどもう少しがんばってみようかな。 そうありすは思った。 「あいつら・・・もう駄目だろうな・・・」 俺は町の雑踏の中つぶやく。あいつらと言うのはもちろんあの2匹のゆっくり達の事だ。 言っておくが俺は虐待お兄さんでもなければ、弱いものをいたぶって憂さをはらすような人間でもない。 むしろ俺はあの2匹を救ってやりたかったのだ。たいしたことも出来ないくせに恩着せがましい言い方ではあるが。 あそこで子ありすを助けてやるのは簡単だった。 どこかそこらのスーパーやコンビニでオレンジジュースでも買ってきて子ありすにかけてやればいい。多少クリームを吐いて弱っていたようだがそれもついでに駄菓子でも買ってきて食べさせれば回復するだろう。 そうすれば俺は子ありすの命の恩人だ。それこそ世界を救った救世主のごとくあの2匹は感謝し、賛美するだろうし、俺も気分良く路地裏を後にできただろう。 しかし俺はあえてそれをしなかった。 それではあの2匹を救えないから。 それでは何も解決しないから。 もしあの子ありすを助ければあの2匹はこう思うだろう。 あのお兄さんはおちびちゃんを助けてくれた。優しい人間さんだ。 ゆっくりできない人間さんも多いけど、ゆっくりできる優しい人間さんもたくさんいて、困ったときには助けてくれる。 だから町はゆっくりできる所なんだ、と。 こうなるともうおしまいだ。ゆっくりは自分にとって都合のいい、ゆっくりできる記憶を優先して覚えるという習性がある。 仮にその後いかに俺が町は危険でゆっくりできない場所だと説明し、元いた山へ帰るよう説得しても「町はゆっくりできる」と記憶した2匹は帰ろうとしないだろう。 そしてそんな甘い考えのゆっくりが生き残れるほど野良の世界は甘くない。1週間と持たず、一家全員物言わぬ万頭になること確実だ。 それに町のルールが分からない2匹が畑あらしやおうち宣言してしまう可能性もある。そうなれば他人にも迷惑をかけることになるのだ。 だからこそ俺は心を鬼にして子ありすを握りつぶし、まりさ達に怒鳴りつけ、暴力もふるった。 町はゆっくりできない所と教えるため。 人間はゆっくりできない存在だと教えるために。 そうしなければあの2匹に「町はゆっくりできない。だから山に帰ろう」と思わせることができないからだ。 足手まといな子ゆっくりさえいなければ山へ帰ることも比較的容易になるだろうし、必要となる食料も少なくなるので今からでも冬ごもりの準備も可能になる。 子守をしていただろうありすとともに頑張ればなんとか成体2匹が冬ごもりできるくらいの量はどうにかなるだろう。 勿論それでも100%確実に生き残れるわけではないが、加工所や先住の野良ゆのいる町にいるより遥かに生存率は上がる。 だがそれも失敗だ。あの余計な正義感を出したOLのせいで。 どうせあの手の人間は飼いもしないくせに、その場限りの施しをして満足するタイプだろう。そんなことしても人間、ゆっくりどちらにも不幸な結末しか待ってないのに。 もうあのありす達が山へ戻ることはない。そして他の山を降りたゆっくり同様悲惨な末路を辿ることになることは馬鹿でもわかる。 優しさとは決して言われるまま乞われるまま施しを与えることではない。 時には鬼、悪魔と罵られ一生恨まれることになっても、それが相手のためなら憎まれ役をやることも必要なのだ。 「はっー・・・・」 吐くため息が白い。もうすぐ冬が来るからだろう。 俺は夕闇に包まれつつある町の雑踏をただ歩き続けた。 後書き 4th episode どこかで見た笑顔 あえて最後にTVに映った人物は書きません。皆さんのご想像にお任せします。 5th episode 本当のやさしさ 「夕暮れと信じる者の幸福」 「ゆっくりまりしゃと聖夜のシンデレラガール」に出てきた無責任系偽善お姉さん三度再登場。(わかり辛いですけど)時系列としては「夕暮れと信じる者の幸福」の1ヶ月ほど前になります。 ちなみに出てきたありすは「夕暮れと三日月」で死に掛けていたありすです。 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。 ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品 anko259 ゆっくりちるのの生態(前編) anko268 選ばれしゆっくり anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 anko292 ゆっくり見ていってね anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い anko333 夢と現実のはざまで anko350 あるまりさの一生 anko385 ゆっくりを拾ってきた anko425 ゆっくり Change the World(出題編) anko448 ゆっくり Change the World(出題編2) anko484 ゆっくり Change the World(解答編) anko497 あるゆっくりできない2匹の一生 anko542 てんこがゆっくりするSSさん anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編) anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編) anko932 誰も救われない話 anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚 anko1057 もらうぞ anko1127 めすぶた祭り anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語 anko1500 ある愛でお兄さんの午後 anko1530 「餡子ンぺ10春」どうして・・・ anko1629 「餡子ンぺ10春」ゆっくりというのは anko1638 とてもかわいそうなでいぶ anko1672 奇跡のドス anko1713 まりさときゃっしゅさん anko1775 ゆっくりしたおちびちゃん anko1836 希少種になる薬 anko1877 幸せまりさ一家 anko1898 となりにいるのは anko2000 最高のゆっくちプレイス anko2104 「餡子ンぺ10夏」代償 anko2116 「餡子ンぺ10夏」あるおりんの一生 わんわんおじいさんと一緒 anko2262 野良まりさと野良おじさん anko2308 どこへいったんだ anko2452 夕暮れと三日月 anko2687 夕暮れと信じる者の幸福 anko2747 ゆっくりまりしゃと聖夜のシンデレラガール anko2760 夕暮れと戻れないあの頃 anko2792 マスタードを少しだけ anko2830 しあわせーなてんこ
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‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ それを見つけたのは、久しぶりに部屋の大掃除をしている時だった。 「おお、これは懐かしい……」 すっかりボロボロになった、小さめの箱。 表面には、満面の笑みを浮かべるゆっくりのイラストと、セリフが描かれている。 『ゆっくり採集セットだよ!』 『ゆっくり捕まえていってね!』 小さな頃に入手したは良いが、存在を忘れて適当に押し込んでいたのだろう。 箱を開けてみると、小さな注射器まで入っている。 最近は何かと物騒だし、この手の道具はご法度だ。 「もう、こういうものは流行らないのだろうなぁ」 野生ゆっくりは、かなり森の中まで行かないとお目にかかれなくなっている。 街の野良ゆっくりは一斉駆除ですっかり姿を消してしまったし、飼いゆっくりに手を出すと当然問題になる。 時代の流れというやつだ。 「明日は休みか……よし!」 休日の予定も特になく、街の喧噪にも飽いていたところだ。 これは、ちょうど良い暇つぶしになるかもしれない。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 「居ないものだなぁ……」 手持ちぶさたに、取り網をブラブラと振り回す。 気がつけば、かなり森の奥まで来てしまった。 既に人工物の類は、全く見当たらない。 耳に入るのは、木々の葉を揺らす風の音と、微かに聞こえる河のせせらぎぐらいだ。 入念に辺りを見回すが、ゆっくりのゆの字も見あたらない。 森の中でさえ、既に絶滅してしまっているのだろうか? ……少し、腹が減ってしまった。 取り網を足元に置き、傍らの岩に腰を下ろす。 私はひとまず小腹を満たすため、リュックからおにぎりを取り出した。 「もっと、森の奥まで行くべきか?」 おにぎりに口をつけた、その瞬間だった。 「ゆっくりしていってね!」 聞きなれた、しかし最近では珍しくなった声。 木陰から覗く、キリリとした眉毛に不敵な笑顔。 「お、ゆっくりしていってね」 「ゆゆ~ん!」 挨拶を返されたのが嬉しかったのか、笑顔が更に弾けてゆく。 黒髪に赤いリボンは、れいむ種というヤツだ。 大きさはバレーボール程だろうか。 「ゆ……」 よく見れば、口元からは涎が垂れている。 その視線は、私のおにぎりに釘付けだ。 「……これが欲しいのかい?」 「ゆ! ゆ!」 れいむは、その場でピョンピョンと跳ね始めた。 どうやら正解だったようだ。 私はおにぎりを少し千切ると、れいむの手前に投げてやった。 「ほら、食べろ」 「ゆわーい」 れいむは何の警戒もせず、おにぎりの欠片へ飛びつく。 まずは匂いをかぎ始めた。 鼻も無いのに匂いが感じられるのは、まったくもって不思議なことだ。 次に、おにぎりの欠片へ舌を伸ばす。 ひと舐めすると満足気にほほ笑み、やっともそもそと食べ始めた。 「むーしゃ、むーしゃ」 私は、おもむろに取り網へ手を伸ばす。 「しあわせー!」 れいむが、歓喜の声と同時に私を見上げてきた。 静かな森の中、ガッチリと目が合う私とれいむ。 「っ!」 目線を合わせたまま、私は取り網を振り下ろす。 「……ゆ?」 れいむは幸せそうな笑顔のまま、私を見続けていた。 私も、れいむを無言で見つめ直す。 そのままの体勢で、数秒は経っただろうか。 「ゆ!? ゆっくりできない!?」 やっと状況が把握できたらしく、れいむが網の中で暴れだす。 と言っても、片手で簡単に抑えきれる程度の抵抗ではあるが。 そのうち、暴れるれいむの足元から、まだ少し残っていたおにぎりの欠片が散らばってゆく。 「ゆ! むーしゃ、むーしゃ」 れいむも気がついたらしく、おにぎりの欠片を再び食べ始める。 一通り処分すると、また私を見上げて笑顔になった。 「しあわせー!」 「そうか、良かったな」 「……ゆ? ゆっくりできない!?」 状況を思い出したのか、れいむが再び網の中で暴れだす。 野良ゆっくりの駆除は、かなり短期間で大きな成果を上げたと聞く。 私は、その理由がよくわかったような気がした。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ こんな簡単に餌で釣られるのなら、準備をしておくべきだった。 手持ちの食料は、自分の昼食分ぐらいしかない。 「すーや、すーや」 リュックに取り付けた捕獲用の網に目をやると、れいむが眠りこけていた。 先を絞った網に納まっている様子は、まるでスイカのようだ。 閉じ込める時は、それなりに抵抗をしていたのだが……。 ものの数分もしないうちに、絶賛睡眠中のようだ。 「すーや、すーや」 「………………」 リュックと共にれいむを下ろし、拳を握り締める。 大きなキズは付けたくないので、れいむの底面を手前に向けた。 よく見ると、底面が軽く波を打っている。 このれいむは、あまり寝相がよろしくないようだ。 おしおきが必要だな。 「ふんっ!」 渾身の気合で、れいむの底面に拳を打ち込む。 適度に柔らかく、それでいて心地よい反発。 「ゆぎゅ!?」 素早くリュックを背負い直す。 当然、網に入ったれいむも背中へ戻る。 「……なんだか、いたいゆめだったよ。こんどはもっとよいゆめをみるよ!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね! ……すーや、すーや」 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 私は、れいむが出てきた木陰の奥へ足を進めていた。 ゆっくりは、少なからず群れるものだと聞く。 もしかしたら、仲間か……巣が見つかるかもしれない。 だが、いくらゆっくりとはいえ、野生のものだ。 さすがに巣となると、そう簡単には見つからないだろう。 「みゃみゃのけっかいっ! は、ゆっきゅりできるにぇ!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 簡単に見つかったようだ。 木のうろに、不自然に立てかけられた小枝。 小枝の隙間からは、プチトマト大の丸いものがしっかりと見えていた。 1、2、3……たくさんの赤ゆっくりだ。 巣の目前に立ちふさがる私に、全く気がつく様子もない。 「みゃみゃは、まだかえってこにゃいの?」 「きっと、いっぱいかりをしてるんだよ!」 「あまあま、いっぱいだにぇ!」 「あまあま! あまあま!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 もしかして、さっきのれいむの子たちなのだろうか。 そんな疑問も浮かんだが……。 熟睡中のれいむを起こすのも忍びないので、確認はしないでおく。 しかし、こんな小さな子だけを巣に残して、大丈夫なのだろうか。 赤ゆっくりを良く見ると、れいむ種の他にまりさ種も見える。 ということは、親の片方はまりさ種のはずだが……。 「でも、みゃみゃがいないと、れいみゅさびちぃよ」 「まりちゃ、ゆっくちしてにぇ!」 「ぴゃぴゃがいれば……ゆっぐ、ゆっぐ」 「ゆ……ゆわーん!」 ご丁寧な説明に、感謝する。 なるほど、親まりさは既に永遠にゆっくりしてしまったようだ。 可愛そうに。色々と辛いこともあっただろう。 「よっ、と」 私は汚物を避けるかのごとく、けっかいっ! を蹴り払った。 ついでに、足の裏で丹念に踏みにじる。 「ゆゆ!?」 赤ゆっくり達が、慌てて巣から飛び出してきた。 飛び出したといっても、歩みはゆっくりしたものだったが。 赤ゆっくりはどれもこれも、跡形も無くなったけっかいっ! ……が、あった筈の場所を見て驚愕している。 「けっかいっ! さん、ゆっくちちてにぇ!?」 「どこいっちゃの、けっかいっ! さん!?」 しばらくオロオロとしていた赤ゆっくり達だが、何匹かが私の存在に気が付いたようだ。 「……ゆ?」 「ゆわぁ!? にんげんしゃんだぁ!!」 私に気が付いたからなのか、単に錯乱しているのか。 赤ゆっくり達は、てんでバラバラな方向に散らばってゆく。 小さく細かく跳ねるもの、這いずり回るもの、と色々だ。 「ゆわーん! みゃみゃー!」 「たちゅけちぇね! たちゅけちぇね!」 赤ゆっくり達の移動スピードは、とてもゆっくりしている。 しかし、汗だか涙だかわからないが、妙に身体が湿っていて掴み辛かった。 「まりちゃ、ちゅかまりちゃくないよぉ!」 掴み辛かった赤まりさに、おもむろに足を振り下ろす。 「ゆぎゅぶっ!」 ついでに、足の裏で踏みにじる。 すり潰すように、丹念に丹念に。 「た、たちゅけちぇぶっ! ふぎゅ!」 処理を終えた私は、比較的掴みやすかった赤れいむを、母と同じ網へ放り込んだ。 親子水入らず、感動のご対面だ。 「みゃみゃ!?」 「すーや、すーや」 「ゆぅ、みゃみゃとってもゆっくちしてりゅにぇ!」 「すーや、すーや」 「れいみゅもゆっくちしゅるよ! ……ゆぴー、ゆぴー」 ああ、逃げるのに疲れて眠ってしまったんだね。 まだ赤ちゃんだもの、それは仕方がない。 私は、渾身の気合を込め、親れいむに拳を打ち込む。 「ゆぎゅ!?」 「ぴぎゅ!?」 押しつぶされるように、赤れいむが潰されてしまったようだ。 原型を全く留めず、ただの餡子の染みになっている。 「ゆぅ、またいたいゆめを……ゆゆっ!? あまあま!? ぺーろ、ぺーろ!」 「よかったな、れいむ」 「しあわせー! ……すーや、すーや」 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 結局、生きたまま捕まえられたのは、赤れいむ2匹、赤まりさ2匹だけだった。 他は全部、不可抗力により餡子の染みになってしまったようだ。 捕まえたゆっくり達は、網の中で親子仲むつまじく熟睡中だ。 「成体だと、あと1匹ぐらいか」 親れいむを捨てて、赤ゆっくりだけにすれば、もっと持ち運べそうではある。 しかし赤ゆっくりだけというのも、情緒が無い。なんの情緒かは知らないが。 「ゆゆっ!? れいむとおちびちゃんがぁ!?」 突然、背後からすっとんきょうな声。 慌てて振り向くと、金髪に黒帽子をかぶった丸い物体が鎮座していた。 網の中のゆっくりを見つめて、驚愕の顔で固まっている。 このゆっくり達と、顔見知りのまりさなのだろうか。 もしかしたら父親? しかし、父親は永遠にゆっくりしたはず……。 「れいむとおちびちゃん、まるでおそらをとんでるみたい!」 既にまりさから驚愕の顔は消え、恍惚とした表情に変化していた。 私は、ひとまず声をかけてみる。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっ! ゆっくりしていってね!」 「お前、このゆっくりの知り合いか?」 「そんなことより、まりさもおそらをとびたいよ!」 まりさが頬を染めつつ、その場で何度も飛び跳ねる。 ポヨンポヨンと、自然界に相応しくない奇妙な音が響き渡る。 「これは飛んでいるのではなく、捕まっているだけなんだが」 「とばせてね! まりさとんじゃう!」 どうやら日本語が通じないようだ。 仕方がないので、網の中のれいむを地面に下ろし、拳を打ち込む。 「ゆぎゅ!?」 「おはよう、れいむ」 「ゆぅ……れいむ、いたいゆめを」 「このまりさは、お前の知り合いなのか?」 「ゆ? ま、まりさ!? れいむのまりさ!?」 親れいむの声に、やっと我に返ったのだろうか。 飛び跳ねるだけだったまりさが、反応を示し始める。 「そうだよ! れいむのまりさだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「まりさ、あいたかったよー!」 「れいむ、あいたかったよー!」 まりさが、一直線に愛するれいむの元……つまり私の元へ向かってくる。 すかさず手を伸ばし、まりさの帽子を掴み上げる。 「ゆあぁ! すてきなまりさのおぼうしさんが!」 急ブレーキをかけて、れいむに向かうのを止めるまりさ。 頭上高く持ち上げられた帽子を取り戻そうと、一生懸命に身体を伸ばし始めた。 「まりさのおぼうしさん、ゆっくりもどってね! のーびのーび!」 「がんばってね、まりさ!」 まりさは何やら忙しそうなので、代わりにれいむへ疑問をぶつけてみる。 「なぁれいむ、お前のまりさは死んだんじゃなかったのか?」 「まりさはしんでないよ! れいむはしんじていたよ!」 「じゃあ今まで、まりさは何処に居たんだ?」 「かりにいって、かえってこなくなっただけだよ!」 なるほど、何か事故にでも遭っていたのだろうか。 見れば親まりさの身体は、あちこちキズだらけだ。 愛するものの元へと帰るべく、様々な苦難を乗り越えてきた証なのだろう。 暖かい家族の絆に、思わず目頭が熱くなってしまうのを禁じえない。 「のーびのーび! のーびのーび!」 親まりさの妙に伸びたドテっ腹に、私は尊敬の気持ちを込めた拳を打ち込んだ。 「のーびのーぶぎゅふぅっ!」 親まりさが、くの字になって吹っ飛んでゆく。 それを見て親れいむが絶叫する。 「ばでぃさー!?」 「こらこら、愛するものの名前を間違うなよ。バディサじゃなくてまりさだろ?」 「ばでぃさは、ばでぃさだよ! ゆっぐりりがいじでね!」 「……ふんっ!」 「ゆぶっ!」 親れいむも疲れているようなので、私の拳で眠らせてあげた。 寝言もなく横たわっている様子を見る限り、今度は幸せな夢でも見ているのかもしれない。 傍らに居た赤れいむが、今の衝撃で一匹潰れてしまったようだが致し方ない。 「まりさのおぼうし、かえして……ね」 か細い涙声が、私にかけられた。 お腹の辺りを真っ赤にした親まりさが、私に向かって這いずってきているようだ。 「どうした、お腹でも痛いのかい?」 「すてきな……まりさの……おぼうし……」 大事な帽子に、万が一のことがあってはいけない。 親れいむ達が眠る網の中へ、帽子をそっとしまいこむ。 「ゆんやー! かえしてね! かえしてね!」 それを見て、親まりさが一目散に網の中へ潜り込む。 やはり家族の絆は、私が思っていたよりも強かったようだ。 また生き別れになどならないよう、網の口をきつく締め上げる。 「まりさのおぼうしさん! ゆっくりおかえり!」 さっきまで涙目だった親まりさも、すっかり満面の笑顔だ。 「ふんっ!」 「ゆぎゅふっ!」」 長旅で疲れた身体を癒すには、睡眠が一番だ。 親まりさが安らかな眠りについたのを確認し、私は安堵する。 今の衝撃で更に赤まりさが一匹潰れてしまったことも、いつか良い思い出になるだろう。 これで後腐れなく、森を後にすることができそうだ。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 森から帰ってきた私は、早速、次の準備を始めた。 網の中から熟睡中のゆっくり達を取り出し、ちょうど空いていた大き目の水槽に並べてゆく。 この大きさなら、先刻のように不可抗力で赤ゆっくりが潰れることもないだろう。 結局、最終的に持ち帰ることができたのは……。 親れいむ&親まりさと、赤れいむ&赤まりさ、それぞれ一匹ずつ計4匹だけだった。 希少種までとは言わないが、もう少し色々な種類が欲しかったものだが……。 一斉駆除の影響が出ているのだろうか。 既に野生では、元々絶対数の多いれいむとまりさが大半なのかもしれない。 「ゆふぁ~、よくねちゃよ……」 「ゆ……おはようおちびちゃん」 「……まだねみゅいよ~」 「ゆふふ、おちびちゃんはおねぼうさんだね!」 「きゃわいくちぇ、ごめんにぇ!」 ゆっくりの生態について思いを巡らせているうちに、家族がお目覚めのようだ。 眠そうな目をもみあげやおさげで擦りつつ、ぼんやりと私の方へ視線を向けてくる。 「ゆゆっ!」 「ゆっくりしていってね!」 「しちぇいっちぇにぇ!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「ゆふ~ん」 挨拶を返すと、満足げに笑みを浮かべるゆっくり達。 「ゆゆ? ここはどきょ?」 「わからないよ!」 「ぴゃぴゃがいるよ!」 「おちびちゃん!」 「みゃみゃもいるよ!」 「おちびちゃん!」 親子が夢にまで見た、感動の再会だ。 どのゆっくりも涙が滝のように溢れている。 「ゆっくりできるね!」 「ゆっくりしようね!」 「ゆっくりしていってね!」 「しちぇいっちぇにぇ!」 家族の問題は無くなったようなので、私は準備の続きに戻る。 水槽から少し離れた場所に標本台を置き、採集セットの中身を広げてゆく。 「さて、まずは……」 私は腕を組み、最初のゆっくりをどれにするか考え始める。 「おちびちゃん、これからはずっといっしょだよ!」 「ぴゃぴゃ~!」 「ゆっくち、ゆっくち!」 まぁ、どれでも良いか。 「なにがあっても、まもってあげるからね!」 「れいむのまりさは、もりでいちばんつよいんだよ!」 「ゆゆ~ん! てれるよ、れいむぅ~」 たまたま目に止まった赤れいむを、水槽の中から摘み上げる。 「ゆっくち、ゆっく……ゆっ?」 涙で滑っているのか、掴み辛い。 もう少し指に力を込めて……。 「ゆ、ゆわぁ~! れいみゅ、おしょらを」 グシャッ! 「……あ」 「ゆ?」 「おちび……ちゃん?」 どうやら、力を込めすぎたようだ。 空中で餡子を撒き散らしながら、潰れてしまった。 「まりちゃの、きゃわいい、いもうちょがぁ~!?」 水槽の中に、赤れいむだったものの破片が降り注ぐ。 その様子は、まるで餡子のシャワーのようだ。 「れいむの、かわいいおちびちゃんがぁ~!?」 「かわいいまりさの、おちびちゃんがぁ~!?」 まぁいいか、赤ゆっくりならもう一匹いるし。 私は、あらためて慎重に赤まりさを摘み上げる。 「ゆゆっ! まりちゃ、おしょらをとんでりゅみちゃい!」 「ゆ、ゆわぁ~! れいむのかわいいおちびちゃん、とってもゆっくりしてるよ~」 「さすが、かわいいまりさのおちびちゃんだよ!」 家族の歓迎に包まれながら、赤まりさは標本台にセットされた。 標本台は、四方を浅く囲まれた箱のような形になっている。 赤まりさは、顔を天井に向けた状態だ。 「……ゆゆっ? なにしゅるの?」 キョロキョロとせわしなく周囲を伺う赤まりさを、片手で抑える。 暴れないことを確認すると、私は採集セットからピン針を何本か取り出した。 少々錆びついているようだが大丈夫だろうか? 「あしょんでくりぇりゅの? ゆわーい!」 「ねぇ、れいむ!」 「なぁに、まりさ?」 「おちびちゃんも、りっぱにゆっくりしていることだし、ひさしぶりに……!」 「ゆふふ……まりさったら、こんなあかるいうちから!」 「そういうれいむだって、まんざらじゃないんだよ!」 「まりさ……!」 「れいむ……!」 まずは……どこに刺せば良いんだろう? 赤まりさの身体を見渡し、適当な所を探す。 「はやくあしょんでにぇ! あしょんでにぇ!」 期待に満ち溢れた目で、赤まりさが私を見つめている。 ふと、ピコピコと激しく揺れるおさげが目についた。 「ここかな」 プスッ! 「……ゆ?」 赤まりさが、おさげと私の顔を交互に見つめる。 まん丸な目には、疑問の色が浮かんでいるようにも感じた。 「まりちゃのおしゃげさん……? うごきゃないよ?」 「そりゃ、ピン止めしたからな」 「どうちて?」 「どうして、って……」 返事の代わりに、ピン針を頬のあたりに差し込んでやる。 決して、説明が面倒だったわけではない。 「ゆびゃあ~っ!」 ピン針に特に問題はないようだ。 もう片方の頬やお腹のあたりに、次々と刺してゆく。 「いちゃい! いちゃいよぉ!」 ここにきて、赤まりさが暴れだした。 帽子が外れて、標本台から落ちそうになる。 「まりちゃの、しゅてきなおぼうちがぁ~!」 「おっと」 赤まりさが大きく身体を捻ろうとした瞬間だった。 ピン針が、赤まりさに刺さったまま折れてしまったのだ。 「やっぱり錆びてたかぁ」 「ゆんやぁ~!? いちゃい、いちゃいよぉ~!」 赤まりさが、グニグニと身体を揺らす。 異物を排除しようとしているのだろうか。 「まりちゃのなかに、なにか、はいってくりゅ~!」 「仕方ない、もう一本刺すか」 折れたピン針の辺りを狙い、再度刺しこむ。 「ゆっぴいぃ~!?」 「お?」 赤まりさがあんまり暴れるものだから、ピン針で刺されている周辺が裂けてきたようだ。 じわりじわりと、裂けた肌から餡子が漏れ始めている。 「まずいな、補強しないと」 裂けている周辺に、次々にピン針を刺しこんでゆく。 「やめっ! いちゃ! ぴぃ! ゆ゙っ! ゆ゙っ!」 刺しこまれる度に、赤まりさはビクビクと痙攣を始めるようになってしまった。 「ん? どうした?」 「ゆ゙っ! ゆ゙っ! ゆ゙っ! ゆ゙っ!」 赤まりさが妙なリズムで鳴き始めた。 ピン針を刺されるのが嬉しいのだろうか? ゆっくり版の針治療みたいなものだろうか。 そういうことなら、期待に答えてやらねばなるまい。 今度は赤まりさの腹の真ん中あたりに、ピン針を一気に刺しこんでやった。 「ゆ゙っ!」 今まで以上に、赤まりさが大きく鳴いた。 ゆっくりのツボはよく分からないが、針が効いたんだろうか。 「……もっちょ……ゆっきゅり……したかっちゃ……」 「あれ?」 赤まりさは、身体の穴という穴から餡子を漏らし、動かなくなってしまった。 これでは標本とは呼べない。ただの生ゴミだ。 おかしい……何を間違った? 「……あ、そうか。先に殺さないと駄目だったっけ」 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 「んほおおおぉぉ!」 「……すっきりー!」 水槽の方から、何やら嬌声が聞こえた気がした。 元赤まりさだった生ゴミを処分した後、あらためて水槽へ向かう。 「なにしてんだ、お前ら?」 「ゆふぅ……」 「ひさしぶりだから、いちだんともえちゃったよ!」 「なやましくてごめんね!」 「よく分からないが、お前らの番だぞ」 どちらでも良かったのだが、とりあえず親れいむを両手で持ち上げる。 「ゆゆゆ!? れいむおそらをとんでるみたい!」 「ゆわー! さすがかわいいまりさのれいむ、ゆっくりしてるよー!」 「……あれ?」 気のせいか、捕まえた時よりサイズが大きくなっているような気がする。 特にお腹のあたりが大きく膨れているような……。 「まぁ、殺ることは一緒だから別にいいか」 ひとまず作業台へ親れいむを乗せる。 これだけ大きくなると、普通の標本台じゃうまく入らないかもしれない。 「ちょっと待ってろ」 「ゆゆ~。おちびちゃん、ゆっくりうまれ……」 親れいむの声を背にし、標本台の代わりにダンボール箱を持ってくる。 天井側のフタを切り取り、あらためて親れいむを上から入れ込んだ。 「ゆゆっ? ここどこ?」 「注射器は……よし」 笑顔のまま、ダンボールを気にしてキョロキョロしている親れいむに注射器を向ける。 そのまま躊躇なく一気に刺しこむ。 「チクっとしたよ!」 親れいむが、もみあげを使って注射部分をさすり始める。 まるで予防接種を受けた昔の子供のようだ。 そんなに揉んで欲しいのなら……私は手を伸ばす。 「ゆゆっ! もーみもーみ! もーみもーみ!」 私が揉むのに合わせて、親れいむがリズムを取り始めた。 だんだん頬が紅潮してきているような気がする。 「……ゆゆっ! う、うまれる!」 「え?」 膨らんだお腹に小さな穴が開き始め、小さな丸いものが顔を覗かせている。 目をこらして丸いものをよく見ると……。 「ゆっくちうまれりゅよ! きゃわいくてごめんにぇ!」 それは親れいむそっくりの目と口で、満面の笑みを浮かべていた。 外へ出るべく、丸いものがじりじりと蠢いている。 「おいおい、こんな時に……」 「れいむのかわいいおちびちゃん、ゆっくりうまれてね!」 「ゆっくち! ゆっく……ゆ?」 「……ゆぐっ!?」 赤ゆっくりは、既に半分ぐらい顔を出していた。 髪の毛や飾りはまだ見えないので、何の種類なのかは分からない。 親れいむが苦しそうな声を上げて、いきみ始める。 なぜか赤ゆっくりまで苦しそうだ。 「ゆっくりでも、お産は苦しいものなんだな」 「なんだきゃ、ゆっくちできにゃい……」 「く、くるしい……たす……け……」 私は、生命の神秘を静かに見守った。 やがて赤ゆっくりがボテッっと生れ落ちると……。 「れいみゅ……ゆっくちうまれちゃ……かった……」 そのまま、ピクリとも動かずに固まってしまった。 黒髪に赤リボン、どうやられいむ種だったようだ。 が、既に笑顔はどこにもなく、生気が全く感じられない。 「あれ? どうしたんだ、おい」 「お、おちび……ちゃん……?」 親れいむも気がついたようだが、動かしたのは視線だけだ。 身体は全く動かしていない。 大きな目からは涙が溢れ、苦しみを訴えるかのような口元からは涎が垂れている。 いつも無駄にキリリとつり上がっていた眉毛も、すっかり八の字型になっていた。 「どぼじで……」 ついに親れいむも、固まってしまった。 いくら突付いても、殴っても、反応が無い。 「……ああ、注射が効いただけか」 注射器に貼られた、イラスト付きラベルを見直す。 『ゆっくり固めていってね!』とフキダシ付きのゆっくりが、そこには描かれていた。 「こんなに苦しんじまうのか」 親子れいむの表情は、とてもじゃないか飾るに適したものではなかった。 目も口も眉毛も、恐怖と苦痛に満ち溢れている。 もっと良い表情で固めるには、どうすれば良いのだろう? 元親子れいむだった生ゴミを処分しながら、私は考えを巡らせた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 「ゆゆっ? おそらをとんでるみたい!」 昼寝を始めようとウトウトしていた親まりさを、水槽から掴み上げる。 こいつも、捕まえた時より大きくなっているような……? 「まりさとんでる~!」 「なぁ、まりさ」 ダンボールに親まりさをセットして、私は問いかけた。 「お前も子供産むのか?」 「ゆゆ!? まりさとんでない! とびにくい!」 「このお腹の大きさは……」 「そんなことより、まりさをとばせてね!」 親まりさの帽子を掴み上げ、即バラバラに引き裂く。 「ゆあぁぁぁ!? すてきなまりさのおぼうしさんが!」 「質問に答えたら、おぼうし治してやるぞ」 「ほんとう!? ゆっくりありがとう!」 「で、子供産むのか?」 「れいむがはげしすぎて、まりさまでおしたおしたんだよ!」 「へー」 「だから、おぼうしなおしてね!」 「あれは嘘だ」 「ゆがーん!?」 とりあえず、この身体のキズを何とかしなければならない。 親まりさの身体は、長い放浪生活のせいか、かなり痛んでいる。 私は採集セットから、小さなチューブ型容器を取り出した。 イラスト付きラベルには『ゆっくり治していってね!』とフキダシ付きのゆっくり。 容器を絞ると、練った小麦粉のようなものがひり出てきた。 どうやら、これが修復薬のようだ。 「暴れるなよ?」 「ゆゆっ?」 両手を使って、修復薬を親まりさの身体に万遍なくすり込んでゆく。 「ゆ、ゆふっ! ゆふっ!」 見る見る間に、親まりさのキズが目立たなくなってゆく。 かなり古い薬なのだが、ちゃんと効くものなのだなぁ。 「き、きもちいいよ! もっとぬりぬりしてね!」 同時に親まりさの息も荒くなってきているようだ。 頬もほんのりと染まり、幸せ一杯の笑顔だ。 「ぬーりぬーり! ぬーりぬーり!」 「うん、この表情なら……」 注射器を手に取り、ほんの少しだけ薬剤を注入する。 「チクっとしたよ! ……ゆぐっ!?」 あっという間に表情が曇り、苦痛を訴える親まりさ。 これでは先程と同じ結果になってしまう。 私は、慌てて修復薬を塗り直した。 「ゆぐっ……ぬーりぬーり? ぬーりぬーり!」 ガッチリと私に視線を合わせ、もっと塗ってくれと訴えんばかりの親まりさ。 輝くような笑顔は、まさにゆっくりの標本に相応しい。 再び私は、注射器を刺しこむ。 「チクっとしたよ! ぬーりぬーり! チクっとしたよ! ぬーりぬーり!」 私は注射器と修復薬を交互に使い、親まりさの笑顔を絶やさないよう留意した。 これならば、良い標本が完成しそうだ。 そして、注射器を使い終わろうとした瞬間……。 「……ゆっ!? うまれる!」 先程の親れいむと同じように、親まりさのプックリ膨れたお腹に穴が開き始める。 そこから親まりさ同様の眩しい笑顔が、ゆっくりと覗き始めた。 「ゆっくちうまれりゅ……」 これも先程と同じく、顔部分だけが覗いているため種類はわからない。 違っていたのは、希望に満ち溢れた笑顔のまま動かなくなったことだ。 「かわいいまりさの、おちび……」 視線を親まりさの顔へ戻すと、こちらも笑顔のまま固まっている。 指で突付いても、何の反応も示さない。 どうやら、今度はうまくいったようだ。 しかも親子セットだ。 達磨の腹に、もう一つ小さな達磨の顔があるような外見になっている。 今度は安心して、ピン針を身体のあちこちに刺しこむことが出来た。 「苦労したが……これで完成だな!」 よくわからない達成感に、私は満たされていた。 親子まりさの輝くような笑顔も、祝福を送っているかのようだった。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ それを見つけたのは、久しぶりに部屋の大掃除をしている時だった。 「おお、これは懐かしい……って、あれ?」 すっかりボロボロになった、小さめの箱。 表面には、満面の笑みを浮かべるゆっくりのイラストと、セリフが描かれている。 『ゆっくり採集セットだよ!』 『ゆっくり捕まえていってね!』 「数ヶ月前にも、こんなことがあったような……あっ!」 採集セットの更に奥、押し入れの最深部に小汚いダンボールを見つける。 ゆっくりと戻ってくる記憶とともに、ダンボールの中を覗くと……。 「忘れてた」 そこには、親子まりさの標本が鎮座していた。 完成したは良いが、あっという間に飽きて、しまい込んでいたのだった。 いつかまた飾りたい気分になるかもしれない、と思っていたのだが……。 「もういいや。捨てよう」 ピン針は分別しないとな……。 処理を終えると、私は最寄りのゴミ置き場へ向かった。 見上げれば、今にも雨が降りそうな曇り空。 「思い出も、雨とともに過去へ流されてゆくのかな」 うまいこと言ったつもりだったが、全くそんなことはなかった。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ あれから、どのぐらい経ったのだろう。 ゆっくり採集のことも、親子まりさのことも忘れかけていた、ある日のことだった。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいってにぇ!」 突然の声に振り向けば、そこには見覚えあるゆっくりが居た。 「お前は……」 「おにいさん、ひさしぶり!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 達磨の腹に、また小さな達磨の顔。 親子まりさの標本だったものが、ゆらゆらと身体を揺らしていた。 「なんで生きてるんだ?」 「よくわからないよ!」 「ゆっくちりかいしてにぇ!」 拳を何度か打ち込んで、平和的に事情を聞いてみる。 簡単に言うと、こういうことらしかった。 ゴミ捨て場に親子まりさを捨てた日、やはり雨が降ってきていた。 そこには他のゆっくりゴミも混じっており、餡子が雨に流れて親子まりさに降り注いだらしい。 「とってもおいしかったよ!」 「また、たべたいにぇ!」 採集セットの注射薬剤は、固めるだけで殺しはしないものだったのか。 親れいむを捨てたのが晴れの日で良かったよ。 それにしても、そんな簡単に復活できるものなのか? 「適当だな、お前ら」 「ゆゆっ! かわいくてごめんね!」 「ごめんにぇ!」 その時、複数の足音が近づいてくるのに気が付いた。 「通報があったのは、確かこの辺りだが……」 「お、居た居た」 声が聞こえた方へ、私も親子まりさも顔を向ける。 制服を着込んだ二人の大人が、こちらへ向かってきていた。 あの制服は確か……野良ゆっくり処理の……。 「失礼します。野良ゆっくり処理班なのですが……」 「これは、あなたのゆっくりですか?」 処理班の一人が、親子まりさを指差した。 「いえ、全く知りません」 「ゆ~?」 状況を把握していないだろう親子まりさが、間の抜けた声を上げる。 相変わらずの笑顔のまま、私と処理班を交互に見上げ続けていた。 「そうですか、では処理しますね」 「お疲れ様です」 処理班の一人が、ポケットから小さな注射器と飴玉を取り出した。 その場にしゃがみこんで、親子まりさに顔を向ける。 「あまあまあげるから、おいで」 「あまあま!」 「あみゃあみゃ!」 顔と腹から涎を撒き散らしつつ、親子まりさが処理班の元へ飛び跳ねてゆく。 すかさず注射器が親子まりさに刺しこまれた。 「ゆぐっ」 一瞬だった。 あっという間に親子まりさはその場に固まり、動かなくなってしまった。 やはり最新のものは効果が早いものなんだなぁ。 「またそんな……こんなものは適当に処理すれば良いんですよ」 もう一人の処理班が、固まった親子まりさに蹴りを入れた。 「ほら、こうやって……こう……ヘヘッ!」 蹴る。蹴る。殴る、蹴る。殴る、蹴る。 気が付けば親子まりさは、餡子と何かが混じった塊と化していた。 「……終わったか?」 「ハァ、ハァ、ハァ」 「じゃ、それお前が片付けろよ?」 「えっ。あっ……クソッ!」 最後にもう一度、親子まりさだったものに蹴りが入った。 ずっと親まりさと一緒だった子まりさ部分も既に分解され、飛び散っている。 しかし偶然か、顔の欠片部分だけが親子向かい合ったような形で、そこにはたたずんでいた。 「すみません。見苦しい所をお見せしました」 「し、失礼しました……」 処理班の二人が、私に向かって頭を下げる。 「いえいえ、気持ちはわかりますよ。では……」 処理班と親子まりさだったものを背にし、私はその場から立ち去った。 全てが終わったはずなのに、何か、心の中にこみ上げるものがあった。 「……あんまん食べたくなってきた」 ‐‐‐‐過去作‐‐‐‐ ふたば系ゆっくりいじめ 766 まりさがまりさだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末 ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
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『強制家族崩壊』 39KB 虐待 観察 妊娠 赤ゆ 虐待人間 独自設定 うんしー ぺにまむ 18作目 今作は餡庫に保管されているキリライターあきさんの「ほんとうのしあわせ」と、 anko748・anko781 ゆっくり命令していってね! の一部設定をお借りし、尚かつ設定を勝手 に付け加えております。お許し頂ければ幸いです。 毎度お世話になっております。マンネリ(仮名)です。 俺がいつものように研究所に遊びに行くと、 「ゆっくり園に行きませんか?」 と博士に誘われた。 ゆっくり園とは、本来山に生息している野生ゆっくりを気軽にウォッチできるのが売りの娯 楽施設だ。 当然、ゆっくり愛で派御用達である。 「何でまたそんな場所に?」 「ああ、もうそろそろ一年なので入れ替え時期なんですよ。野生ゆっくりがいつまでも同じだ と、飽きが来るでしょう? だから、あそこはたまに一斉に群れを入れ替えるんです」 「へー………………入れ替え?」 「そう。入れ替えです」 博士がニヤリと嗤ったのを見て、納得した。つまり、「入れ替え」とはそういうことか…… ふふふふふ。 「もちろん、ついていきますよ」 「丁度よかった。じゃ、これ持って下さい」 博士に手渡されたのは、ずっしりと重たいメガホンだった。 「ちょ。何ですかコレ?」 「ほら。ゴミ捨て場によくあるでしょう? どすすぴーかーです」 ああ……確か、ドスの声で「ごみすてばのごみはもってかえっちゃだめだよ!」とか叫んで いるアレか。 「このメガホンは、その原型です。24時間しか効果がない代わりに、どんな無茶な命令でも 聞かせられることができます」 「……どんな命令でも?」 「ええ。国立研究所で埃を被っていたのをツテで手に入れたんです。高かったですよー」 博士は見ているこちらが引くほど、ワクワクした表情を浮かべていた。 うむ……今日は餡子の雨が降るな。間違いなく。 ● ● ● ゆっくり園は街から少し離れた、郊外の元大型ショッピングセンターを改造した建物だ。 正直、面食らうほどの大きさだった。 「でっかいですねー」 「通常種だけで500匹以上いるって言われてますからね……」 車を停めて、俺たちは受付にチケットを買いに向かった。 「すいません。大人二枚」 受付の女性が、申し訳なさそうに頭を下げる。 「申し訳ありません。本日は施設の一斉清掃でしてゆっくりふれあいコースは中止しているの ですが……」 「ああ。清掃で構いません」 受付の女性が、なるほどと頷いた。一応秘密裏にされている訳か。 「……はい。では、こちらに指名用のアルバムがありますので」 「おっと、すいませんね」 俺たちはアルバムを覗き込んだ。中の写真は……おお、いるわいるわ。仲良し家族が山盛り だ。まりさ・れいむの定番コンビから、れいむ・れいむという珍しい組み合わせまで。 「ベタですが、この35番のまりさ・れいむ一家。胎生にんっしんコースでいきましょうか」 「いいっすねー」 しかしアレだな。なんだか風俗店みてえ。 指名すると、受付の女性はオプションにビデオをつけるかどうか聞いてきた。 「そうですね。お願いしましょうか」 ビデオ……ビデオ撮影か? 「はい。それでは、こちらをお持ちになって下さい」 「枝?」 なぜか、手頃な太さの木の枝を渡された。博士は渡された枝を、こちらによこした。 「何ですかこれ?」 「握り締めるためのものです。あ、折ってもいいですよ。僕はもう慣れたので」 にへらにへらと笑いながら、博士が言った。 「それでは、ビデオの準備ができましたので。3番入口からどうぞ」 俺たちは個室に通された。ミニシアターみたいな感じの施設で、大型のプラズマテレビが設 置されている。 「さて。それでは、今から一時間。覚悟してくださいね」 ……覚悟? 何のこっちゃ、と思っている内に部屋が暗くなり、プラズマテレビに映像が映し出された。 『強制家族崩壊』 マンネリあき (ナレーション) 「35番。とってもなかよし! しあわせー、なまりさとれいむいっかだよ!」 「ゆっくり園」35番、山を模したゆっくりプレイス。ここには、とてもゆっくりとしている まりさとれいむが住んでいました。 二匹は幼馴染みです。親によって引き合わされ、一目会ったその日からずっとずっと「いっ しょにゆっくりしようね」と誓いを交わしていたのでした。 独り立ちした二匹は早速、いっしょにゆっくりするという誓いを交わした。手頃なゆっくり プレイスを見つけ、そこでゆっくりプレイスの宣言をしました。 そしてその夜――。 「ゆう……れいむ、すっきりしよう?」 「まりさ……れいむ、すっきりははじめてだから、やさしくしてね……」 「れ、れいむっ。れいむぅっ……!」 ゆっくりのすっきりは、植物型と胎生型があります。植物型の場合は、頬をすりあわせるこ とですっきりー、できますが胎生型の場合は、ぺにぺにをまむまむに突っ込むことですっきり ー、を行います。 ぬっぷぬっぷと、まりさのぺにぺにがれいむのまむまむを突き上げます。 「れ、れいむぅっ。れいむぅっ」 「まりさぁっ、まりさぁっ」 「「すっきりーーーーーー!」」 バキリ←枝が折れる音 ……こうしてすっきりー、を済ませるとれいむのお腹には三人の赤ゆっくりが誕生していま した。 「ゆふふ……おちびちゃん。はやくでてきてね~♪」 「ゆーっ、だめだよまりさ!」 「ゆ!? ご、ごめんね。おちびちゃん。ゆっくりー、してでてきてね~♪」 「ゆふふ、だいじょうぶだよっ。ゆっくりしたれいむとまりさのおちびちゃん。 きっとすっごくすっごくゆっくりしたゆっくりになるよ!」 そして、数日が経ってとうとう出産の時がやってきます。 「ゆ……ゆ……ゆ……ゆっぐりいいいい!」 すぽん、すぽん、すぽん! 「ゆ……おちびちゃん……」 「「「ゆっくちちていっちぇにぇ!」」」 「「ゆううううん! ゆっくりしていってね!」」 三匹の声を揃えた挨拶に、親たちは感動の涙を流しながら答えました。 まりさとれいむは、生まれて以来さいっこうにゆっくりした時間を過ごしました。 「おちびちゃん! おとうさんがかりにいってくるから、みおくろうね!」 「ゆゆ……すぐにかえってくるからね。たっくさんのごちっそうをもってかえってくるから、 それまではおかあさんといっしょにおるすばんしててね!」 「まりしゃ、ゆっきゅりまちゅよ!」 「ゆぅ……れいみゅ、ゆっくちすりゅねー」 「ゆああん……ごひゃん! ごひゃん!」 長女の赤まりさはしっかりものさん。 次女の赤れいむはちょっとのんびりやさん。 末っ子の赤れいむは……あらあら、ちょっとあまえんぼうさんみたいですね。 「それじゃ、おかあさんといっしょに……」 「おかあしゃん、しゅりしゅりしちぇー」 「れいみゅも!」 「まりしゃもしゅりしゅりしちゃい!」 「ゆふふ。それじゃ、おちびちゃんをたっっぷりすーりすーりしてあげようね!」 「「「ゆわあああああい!」」」 もちもちぷにぷにした赤ゆっくり独特のお肌は、れいむのふっくらした肌に独特の感触を伝 えてくれます。 (ゆふん……おちびちゃんたち、ゆっくりしているよ! すっごくきもちいいよぉ……) 「しゅーりしゅーり! おかあしゃんとのしゅーりしゅーり、とっちぇもきみょちいいにぇ」 「しゅりしゅりー。まりちゃ、ずーっとこうしていたいのじぇ!」 「おかあしゃああん……しゅーり、しゅーり……ゆっくちちてるにぇ♪」 末っ子の赤れいむが、うれしーしーをちょろちょろと垂れ流しています。 「ゆゆ、おちびちゃんうれしーしーしちゃったね!」 「ゆ!? ゆぅ……ゆえええ……」 泣き出しそうな末っ子赤れいむを落ち着かせるように、れいむはぺーろぺーろと、うれしー しーを舐め取っています。 「しゅっきりー」 「おちびちゃん、しーしーはちゃんとおといれさんでしなきゃだめだよ。おちびちゃんはゆっ くりしているから、すぐにおといれさんとなかよし! になれるからね!」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」 「それじゃあ、みんなですーりすーりしながらおうたさんをうたおうね!」 れいむの言葉に、赤ゆっくりたちは目を輝かせます。 おうたさん、それは餡子の記憶が伝えるところによると、とってもゆっくりできるものです。 「それじゃあ、さん、はい♪ ゆっくりのひ~♪ まったりのひ~♪」 「ゆっくちのひー、まったちのひー」 「ゆっきゅりのひー、まっちゃりのひー」 「ゆっきゅりのひー、まったりのひー」 三匹も合わせて歌い出します。歌いながら、体は自然とのーびのーびをし始めています。 「ゆううん! みんなとってもおうたがじょうずだね! さすがれいむのおちびちゃんだよっ」 「おかあしゃんにほめられたにぇ、れいみゅ!」 「おねえしゃんのおうたしゃんも、いもーちょのおうたしゃんも、とってもゆっくりしていた にぇ!」 「ゆーっ、ゆー、ゆーっ。ゆっくちしてたにぇ!」 やがて、まりさが戻ってきます。満足げな顔を見る限り、狩りは成功したようですね。 「きょうはみみずさんといもむしさんがとれたよ! みんなでなかよくわけようね」 「「「ゆわぁぁぁ……」」」 れいむとまりさは、笹の葉にもーぐもーぐしてやわらかくしたみみずさんやいもむしさんを 載せます。末っ子の赤れいむは、涎がだらだらと流れっぱなしでふやけてしまいそうです。 「それじゃみんな……ゆっくり、いただきます!」 「「「ゆっくちいただきましゅ!」」」 三匹が一斉にいもむしとみみずのお団子さんに食いつきました。 「むーちゃむーちゃ…………しあわしぇえええええええええええ!」 ぷしゃーっ、と一斉にうれしーしーを流してしまうほど、その味は美味でした。 いもむしさんの爽やかな味と、みみずさんの濃厚な味。 それらが渾然一体となっておちびちゃんの味覚を責め立てるのです。 「ゆっくちぃ……ゆっくちちてりゅよぉ……」 「れいみゅたち……しあわしぇーだにぇ……」 「ぎょはん、ぎょはん、しあわしぇー」 ほっこりと餡子が温かくなる両親。 「れいむ……すごいね、おちびちゃんって」 「ゆんゆん。れいむ、おちびちゃんのためだったらあんこだってかけられるよ!」 「そうだね……まりさも、おちびちゃんのしあわしぇーをまもってみせるよ!」 両親はすーりすーりで、おちびちゃんへの、そして番への愛情を確かめ合います。 やがて二週間が過ぎると、赤ゆっくりたちは少しだけ大きくなりました。子ゆっくりまでは、 あと半分というところでしょう。 「このびーだまさんは、まりちゃのたからものだじぇ!」 「このせみのぬけがらしゃんは、れいみゅのちゃからもの!」 「このこいんしゃんは、れいみゅのたからものだよ。ちょらないでにぇ?」 「おちびちゃんたちも、おおきくなったね!」 「ゆふふ。おちびちゃんたちも、もうすぐおねえさんだね!」 れいむのお腹には、またしても二匹の赤ゆっくりが仕込まれていました。 「おかあしゃん、ぺーろぺーろしてあげるにぇ!」 「まりしゃもぺーろぺーろしてあげるのじぇ!」 「れいみゅも! れいみゅもぺーろぺーろしゅる!」 子ゆっくりたちは、母れいむのお腹をぺーろぺーろします。 「ゆっくちうまれてきてにぇ、いもーちょ!」 「すごくゆっくちしてるゆっくちになるよ、たのしみだにぇ!」 「ゆっくち! ゆっくちしてにぇ!」 「ゆふふ……ありがとう、おちびちゃん。きっとゆっくりしたゆっくりにうまれてくるよ! おちびちゃんみたいにね!」 「「「ゆわあああ……」」」 そんなれいむに、まりさが横にそっと寄り添います。 「れいむ……まりさ、とっても、とっても、とーーっても。しあわせだよ」 「まりさ……れいむだって、とっても、とっても、とーーっても。しあわせー、だよ……」 彼らは生まれてからずっとゆっくりしてきました。 悲しいことなど、何一つありません。 世界は平和で、幸福で、楽しいことばかりです。 これから先も、彼らはゆっくりすることでしょう。 ずっとずっとずっと……ゆっくり、できるでしょう。 「れいむ……」 「まりさ……」 「おかあしゃん……」 「おとうしゃん……」 「おねえしゃん……」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 バキン←枝をヘシ折る音。 ● ● ● ……なるほど。枝はこうして使うのねー。 俺はビデオを見ている最中、ずっと握り締めていた枝(真っ二つになっている)を見て溜息 をついた。 「どうです。やる気が出るでしょう!」 「今の俺なら、神だって殺せる気がします」 「それじゃ、そろそろ行きましょうか。……35番に」 廊下を歩く途中、やる気満々の若者とすれ違った。彼が手に持っていたチケットがちらりと 見えた。どうやら、お隣さんらしい。 ドアを開けた途端、面食らった。ゆっくり園は、山や森を模した施設だとは聞いていたが… …これは想像以上だ。 鳥の鳴き声が微かに聞こえる。外は昼だがこちらはすっかり暗く、月まで出ている。成長を 早めるために、十二時間で一日を終わらせているらしい。これでちゃんと二年分育つというの だから、思い込みの力は大したものである。 「35番はここを真っ直ぐ登ったところですね」 ゆるやかな斜面を歩きつつ、俺たちは装備をチェックした。俺はライターに竹串、それにハ ンマーといった携帯虐待道具に、例のメガホン。 博士は何故か、古くさいカメラを持っていた。 「撮るんですか?」 「いえ。ストロボを使うだけです。あまり知られてませんが、強烈なストロボフラッシュは、 ゆっくりたちの時間を停止させることができるんですよ」 「……へ?」 「希少種であるゆっくりさくやが『時間を停止する』と言われているのは、これのせいです。 彼女が力を使うとき、両目が光るんです。それを見たゆっくりは、一時的に全ての機能が停止 するんですね」 「はー……」 そういう原理だったのか。 「お。見えてきましたよ」 夜ということもあってか、まりさ一家はけっかいで洞窟入口を封鎖していた。それでも、き ゃっきゃっとはしゃぐ声が、丸聞こえだ。 「いいですか。僕がカメラを構えますから、マンネリ君は合図でけっかいを崩して下さい」 「了解っす」 「では、三、二、一――――――――ゼロ!」 俺は一気にけっかいの枝を取っ払った。 「ゆ? いまのおとは……」 物音に気付いたのか、まりさ一家が一斉にこちらを向いた。その瞬間、俺も目が眩むほどの ストロボが光った。 博士がにっこり笑って言った。 「それでは、今の内に運びましょう。このレベルの光なら、三分間は効果があります」 俺たちは慎重に洞窟の中から、まりさ一家を運び出した。 博士は俺からメガホンを受け取ると、未だ硬直している彼らにそっと囁いた。 「命令する。今からお前たちは、人間が認識できなくなる」 ……認識できなくなる? 「いやあ、以前から考えていたんですよねえ。ゆっくりを観察しつつ、虐待もするっていう方 法を。それも、人間を一切認識させることなくね」 「でも、これだとメガホンの命令も聞けないんじゃ……」 「予めテストしておきました。このメガホンは中枢餡を直接刺激するので、聞こえるとか聞こ えないとか、そういうのは関係ないんです。命令には従うけど、声そのものは聞こえないって 状態ですね」 やがて三分が経過し、まりさたちが目を覚ました。 「ゆ……ゆゆ? まりさたちどうして、こんなところにいるんだろ」 「ゆ? あれ? れいむたち……」 「ゆぅ……?」 「ゆっくりしていってね……?」 「ゆ、ゆ、ゆ?」 「さて、マンネリ君。どうします? 先攻後攻決めておきますか?」 「いや、とりあえず博士でいいっすよ」 俺たち二人の会話も、まりさ一家にはまるで聞こえてないようだ。 「それでは。命令する。『動くな』」 「ゆ!?」 「ゆび!?」 「ゆぅ!?」 「ゆゆ!!」 「ゆあ……?」 五匹のゆっくりが、びくりと動かなくなった。全員が驚いた表情で、きょろきょろと周囲を 見回している。 「どうちてれいむのあんよさん、うごけにゃいにょ?」 「まりさのあんよさん? ゆ、ゆっくりしないでうごいてね……?」 博士が戸惑うゆっくりたちに命令する。 「『一列に並べ。それから末っ子のれいむだけ、家族の前に出ろ』」 「ゆゆぅ!? れいむのあんよさん、か、かってにうごかないでね!?」 「ゆんやああ……きょわいよ……」 「ど、どうしたのみんなあ!? ゆゆう! まりさのあんよさん、まりさのいうこときいてね! おねがいだよ!」 「ゆっち、ゆっち! あんよしゃん、きゃってにうごくにぇ!」 家族の誰もが見える位置に、末っ子のれいむが移動した。 さて、博士は何をする気なのかね……。 「命令する。『家族は絶対に末っ子のれいむから目を逸らすな』」 「『末っ子のれいむは、いいと言うまでのーびのーびをし続けろ』」 末っ子れいむが、博士の言う通りにのーびのーびを始めた。 「にょーび、にょーび!」 「お、おちびちゃんどうしたの? のーびのーびはしなくてもいいんだよ?」 「ゆゆ! いもーちょのれいみゅって、こんなにのーびのーびできるんだにぇ!」 「しゅごいじぇ、いもーちょ!」 「ゆぅ……おちびちゃん、おおきくなったんだね! れいむうれしいよ!」 「にょーび……にょーび……いぎぃ!? にょ……び……いびいいいい!」 まだまだのーびのーびしようとしている。限界まで伸びきってもなお、悲鳴をあげてまで伸 び続けようとする末っ子れいむに、さすがの家族も異常を認めたらしい。 「おちびちゃん! それいじょうはあんこさんがいたいいたいになっちゃうよ!」 「やめておちびちゃん! それいじょうはゆっくりできなくなっちゃう!」 「いもーちょ! いもーちょ!」 「ゆんやああ! のーびのーびこわいよおお!」 「い……ぎ……いじゃい……いじゃいよおおお! れいみゅ、のーびのーびしちゃくない! しちゃくないよおおおお! しちゃくないのにしちゃうよおおおおお! いじゃいいいい! あんござんがいじゃい゛い゛い゛!」 なすび型を通り越してきゅうりみたいになりつつある末っ子れいむ。 涙を流して、涎を垂れ流しながら叫ぶ。 「きょわいいいいいいいいい! いもーちょがきょわいいいい!」 「おびゃけえええ! いもーちょがおびゃけになっちゃったああああ!」 「ゆああ゛あ゛あ゛あ゛! もうのーびのーびしちゃだめえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「おねがいだがらやべでえ゛え゛え゛え゛!」 俺たちには目もくれず、泣き叫ぶまりさ一家。 博士がニヤリと笑った。 「よし。『末っ子れいむ。のーびのーびはもうしなくてもいい。かわりに、体をねーじねーじ しなさい』」 「ゆぎ!? ね……じ……ね……じ……」 限界以上に伸びきったれいむの体が、今度はゆっくりと回転していく。 舌がピンと突き出て、目は想像を絶する圧力に半ば飛び出しかけている。 ゆっくりの中身は餡子である。従って、360度回転も決して不可能ではない。 本ゆんの激痛さえ、無視すればの話だが。 「ご……びょ゛! ぶべ……ね……じ……ね゛……じじじじじ」 「どぼじでやべないの゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「おぢびじゃん゛! しんじゃうよおおお! それいじょうはしんじゃうよおおお!」 「おちょーしゃん! おちょーしゃん! いもーちょだずげでえええええ!」 「ゆんやー! ゆんやーーーーーーー!」 「あんよさん! あんよさん! まりざのかもしかみたいなあ゛ん゛よ゛ざん゛! おねがいだがらうごいでね! ゆっぐりじないでうごいでね゛! おぢびじゃん゛がじんじゃうがらあ゛! ゆっぐりじないでえ゛え゛え゛え゛!」 「れいむのあんよざん! いづもゆっぐりじでるあ゛ん゛よ゛ざん゛! う゛ごい゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「じゅ……びゅ……じゅぶ……じゅぶぶ! に゛じ……に゛ぇ゛じ…… に゛ぇ゛じれ゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛! じぬ゛! れいびゅじぬ゛! じん゛じゃ゛う゛!」 絶叫する。もう、れいむの目玉がぷるぷると震えている。限界まであと少し。 今頃、彼女の餡子はただただ苦痛だけが支配しているだろう。 「に゛ぇ゛じれ゛る゛! に゛ぇ゛じれ゛る゛う゛! に゛ぇ゛じれ゛る゛う゛! に゛ぇ゛………………びゅびょお゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 ぽん、と目玉が凄い勢いで飛び出した。 同時に噴水のように餡子が噴き出す。 口からも、大量に餡子が吐き出された。 それでも、まだかろうじて生きているれいむはねじねじを止めようとはしなかった。 末期の痙攣と共に、体が半分に千切れてやっと彼女は息の根が止まった。 博士が命令する。 「はい。『全員、動いていいですよー』」 「ゆんやあああああああああああ! おちびちゃん! おちびちゃん! おちびちゃああああ あああああああああああああん!」 「おちびちゃあああん! どぼじでごんなごどじだのおおおお! どぼじで! どぼじでええ ええええええええええええ!」 「ゆんやー! ゆんやーーーー! いもーちょ! まりちゃのかわいいいもーちょがああ!」 「どうちて……どうちて……? いもうちょ……ゆっくちちてたのに……どうちてえええ!」 その言葉を聞いたとき、俺の頭に閃くものがあった。 「博士博士。次、俺にやらせてください」 「はいはい。どうぞ」 俺はメガホンを手にした。末っ子れいむを取り囲み、嘆き続ける彼らに命令する。 「命令する『全員、動くな。長女まりさはいまから言うことを復唱しろ。それ以外は口に出す な』」 「ゆ゛! また!?」 「ゆゆ! あんよさんが……また……はんこうきだよっ」 「ゆんやーっ! あんよしゃん! あんよしゃんうごいちぇね!」 「れいみゅのあんよしゃん……どうちていうこときいてくれにゃいの……!? どうちて……どうちてえええ!」 全員が見苦しく、体をぐねぐねと動かしている。あんよ焼きをされたときによくある動きだ。 今回は、焼かれたときと違って因果関係が分からない。 突然動かなくなったあんよに、さぞ混乱しているだろう。 さあ……始めるぞ。 「『こうなったのもぜんぶおとうさんのせいだよ!』」 「こ……こうなったのもぜんぶおとうさんのせいだよ!」 長女まりさの言葉に、全員がぴたりと見苦しい動きを止めた。 「……ゆ?」 親まりさは、今の言葉が聞こえなかった……いや、理解できなかったようだ。 それは長女まりさもそうだろう。自分の言った言葉が、信じられないに違いない。 親れいむが、のろのろと口を開いた。 「お……おちびちゃん? いま、なにか……いった? いってない……よね……?」 「『今の言葉を繰り返せ』」 「こうなったのもぜんぶおとうさんのせいだよ!」 「ゆ……」 「『このくそおや! ゆっくりしないでしんでね!』」 「このくそおや! ゆっくりしないでしんでね!」 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!」 親まりさが絶叫した。 涙と涎を撒き散らし、まさに食ってかかる勢いだ。 自分は一生懸命だった。 一生懸命ゆっくりさせてきたはず。 末っ子れいむが死んだのだって、絶対に自分のせいじゃない。 よく分からないけど、自分のせいじゃないはず。 なのに、長女まりさは自分のせいだという。 違う、違う、絶対に違う! 「『いっぽもうごけないむのうなくじゅおや!』」 「いっぽもうごけないむのうなくじゅおや!」 「『そこでじっとしてるんだじぇ! まりしゃさまがせいっさいしてやるんだじぇ!』」 「そこでじっとしてるんだじぇ! まりしゃさまがせいっさいしてやるんだじぇ!」 「どぼじで……どぼじでええ!? おぢびじゃん! まりさのかわいいかわいいまりさ そっぐりのおぢびじゃん! どぼじでぞんなごど……」 「命令だ。『長女まりさ、俺がいいと言うまで、ずっと親まりさに体当たりしろ』」 「ゆ……ゆぐ!? ち、ちがうのじぇ! まりしゃ、おとうしゃんのことせいっさいしような んておもってな……ゆゆ!? どうちてあんよしゃんがうごくんだじぇ!?」 長女まりさが、動けない親まりさにぴょんぴょんと向かっていく。 「ゆゆゆ!? あんよしゃん! まりちゃのすてきなあんよしゃん! どこにいくのじぇ!? ゆ……ゆ……ゆゆ……ゆんやああああ! やじゃやじゃやじゃああ!」 ぽこん。 長女まりさが、勢いよく親まりさに体当たりした。 だが、当然何の傷もつかない。 「ゆびゃ! いちゃい……いちゃいよ……」 逆に、長女まりさの方が痛がっていた。 親まりさは精神的ダメージの方が遙かに大きいらしい。 「うそ……おちびちゃんが……まりさを……せいさいなんて……うそだ……うそ……」 「ゆんやあああ! やじゃよおお! せいさいなんてしちゃくないよおおお! あんよしゃんがかっちぇに……かっちぇに……!」 「おちびちゃんやめてえええ! ゆっぐりじでないよおおおお!」 「おねええしゃあああん! やめちぇ……やめちぇえええええ!」 ぽこぽこと長女まりさは繰り返し繰り返し体当たりする。 柔らかな饅頭皮は、見る見る内に引き裂かれ、餡子がはみ出す。 その痛みに、長女まりさが泣き叫ぶ。 「ゆんやああああ! おちょうしゃん! まりちゃのだいしゅきなおちょうしゃん! だずげでえええ! まりちゃのあんよしゃん、おねぎゃいだがらどめちぇええええ!」 ぴょん……ぽこ。 ぴょん……ぽこ。 「いじゃいよ! まりしゃいちゃいよおお! まりちゃをとめちぇよおおおお!」 「とべられないよおおおおおおお!」 「命令だ。長女まりさはこういいなさい。『おまえがしねばかいけつする』」 「おまえがしねばかいけつするっ…………ゆんやー! ちがう! ちがううううう!」 ぽこ……べちょ。 ぽこ……べちょ。 既に普段の半分も飛べなくなっていた長女まりさは、せいっさいで全身がずたずただった。 まず、片目が取れてどこかへ転がってしまった。 「まりちゃのおめめしゃんがあああああ! ゆっぐりじないでもどってぎでえええ!」 「命令だ。『次女れいむは、その片目を食べなさい。絶対に吐き出さないこと』」 次女れいむが素早く、目の前に転がってきた片目を食べた。 「やがあああああああああ!? ごれ! おねえぢゃんの! おねえぢゃんのおべべ! やだやだやだやだだべだぐないいいいい! むーじゃむーじゃ! やだあああ!」 「なにやっでるのおちびじゃん! ぺーしなじゃい! ぺーしなざいい!」 「まりちゃのおべべがえじでえええええええええええ!」 「むーじゃむーじゃ!」 「『幸せ-、と叫びなさい』」 「じ……じあわぜええええええええええ!」 「ゆあああああああああああああ! まりじゃのおべべえええ!」 「ゆんやあああ! おねえじゃんごめんなじゃいいい! おべべざんむーしゃむーしゃしでご めんなざいいいい!」 その間も、長女まりさは体当たりし続けていた。 だが、もうその勢いは最初とは比較にならない。 ただ、這いずってぽこんと頭を当てるだけだ。 「ゆ……ぐ……」 「命令だ。『長女まりさは死んでも構わないから思いっきりぶつかりなさい』」 中枢餡への命令が書き換えられる。これで彼女のリミッターは外れた。 「ゆ……ゆあ……やじゃ……やじゃ……じにだぐない……じにだぐない……まりじゃじにだぐ ないよおおおおおおおおお!」 「命令だ。『長女まりさはこう言いなさい。しねえええええええええええええ!』」 「し……しねえええええええええええええええええええええ!」 勢いよく跳んだ長女まりさは、親まりさの体にぶつかり四散した。 「……おちび……ちゃん……?」 「まりさ……?」 「おねえしゃん……?」 「「「どぼじでええええええええええええええええ!」」」 「まりさわるぐない! まりざわるぐないよね!? ね゛え゛!? まりざわるぐないでじょおおお!?」 「わるぐないよおおお! まりざはぜんっぜんわるぐないよおおおお!」 「おねえしゃ……おねえしゃああああん!」 「ふひー。一仕事終わったー」 「いやー、なかなか面白いやり方でしたね」 「しかし……認識されないと、やっぱり普段とは随分違いますねー」 「そうですね。僕たちを憎むのではなく、ただただ己の身に降りかかった不幸を嘆くだけ。自 分に何が起きているのか、まるで分からない」 ゆんやー、ゆんやー、と家族たちは固まって泣き続けている。 誰かを憎むことはない。 ただひたすら「分からない分からない」と嘆くだけ。 何ともはや、哀れである。 「次はどうします?」 「次はですね……。家族を増やしてあげましょうか」 博士がメガホンを手にして告げた。 「命令する。『次女れいむは、親まりさを相手にぺにぺにを勃たせて、まむまむに突っ込んで すっきりしなさい』」 「ゆ……ゆゆ……れいみゅ……おきゃしいよ……?」 泣いていた次女れいむが、自分に突如沸き上がった熱情に戸惑っている。 「おちび……ちゃん? お、おちびちゃん!? おちびちゃん、どうじでぺにぺにさんがたっ てるのおおおお!?」 「ゆうううう!? おちびちゃん、なにしてるのおおおおお!」 「ゆううう! ゆんやあああ! ちぎゃう! ちぎゃうのおお! これ、ちぎゃう……。ああ あああ、あんよしゃんがきゃってにうごくよおおおお!」 「命令する。『親まりさはまむまむを自分で開いて受け入れなさい。次女れいむがすっきりし やすいよう、体勢も変えなさい』」 「ゆが!? ま、まだまりざのがらだ……が……がっでに……」 親まりさは大地に伏せると、まるで犬のような体勢でまむまむを広げた。 親れいむは、唖然とした表情でそれを見守る。 「まりざあああああああああああああ! なにやっでるのおおおおおおおおお! なんでっ! なんでまむまむひろげでるのおおおおおおお! ぞ、ぞれに! おぢびじゃんがどぼじでぺにぺにをそうにゅうしようとしでるのおお!」 「がらだががっでにうごいじゃうんだよおおおおおお! あんよがうごぐなら、れいぶがどべでえええ!」 ぺにぺにを勃たせた最愛の娘に犯される夫。 それを間近で見なければならない、妻の気持ちは一体どんなものだろうか。 赤ゆっくりの小さなぺにぺにが、親まりさのまむまむを少しだけ擦る。 次女れいむは、己のやろうとしていることへの嫌悪感だろう。 全身を震わせ、暴れ狂っていた。 「いやじゃあああああああああああ! ごんなのずっぎりじゃない! れいみゅのずっぎりは おざななじみのまりざにどっでおぐの! ぺにぺにじゃない! まむまむでずっぎりずるの! ぺにぺにいや! ぺにぺにいやぢゃああああああ!」 「おぢびじゃん! ぺにぺにぬいでええええ! まりざのまむまむづがわないでええええええ ええええええええ!」 「おぢびじゃん! いいごだがらやめでね! ゆっぐりやめでねえええええ!」 止められない。次女れいむは激しく動いて、まむまむを擦り続ける。 「ずっぎりじだぐない! ずっぎりじだぐない! ずっぎりじだぐ……ず、ず、ず……いや… …やじゃ……やじゃ……おねがい……おねがい……ずっぎりい゛い゛い゛い゛!」 「おぢびじゃああああああああああああああん! ずっぎりい゛い゛い゛い゛!」 娘が父を犯すという、おぞましいすっきりが終わった。 「ゆああ……ゆあああ……おなかに……おなかにあがじゃんがいるよおお……まりざとおちび じゃんのあがじゃんがああああ……」 親まりさが絶望の呻きをあげる。 親れいむはそれを見て、ただひたすら涙していた。 そして、次女れいむは永遠にゆっくりしかけていた。 まだ赤ゆっくりである次女れいむにとってたった一度のすっきりでも命に関わる問題である。 今すぐ、栄養を補給しなければならない。 「命令する。『次女れいむは、長女まりさと末っ子れいむをお腹が破裂する寸前までむーしゃ むーしゃしなさい』」 「ゆ!?」 びくんと次女れいむが震えた。ぴょんぴょんと跳ねて長女まりさの四散した死体の前に立つ。 次女れいむは、これから自分が何をするか分かったみたいでガタガタと震えていた。 「い……いやじゃ……」 「おちびちゃん……?」 「いやじゃああああああああ! だべだぐない! だべだぐない! おねえじゃんだべだぐな いよおおおおおおお!」 そう言いつつ、次女れいむは死体に貪りついた。 「や……やめでええええええええええええええ! おぢびじゃんを! おねえじゃんをむーじ ゃむーじゃしちゃだめええええええええええええええ!」 「わがっでるよおおおおおおおお! でもぐちがどまらないいいい! むーじゃ! むーじゃ! あまあま! あまあま! むーじゃ! むーじゃ……じ、じあわぜえええええ!」 「ああ……あああ……あああ……おぢびじゃ……」 「むーじゃ! むーじゃ! あまぐでおいぢい! おねえじゃんがあまぐでおいじいい! い もーぢょ! いもーぢょもあまぐでどっでもおいぢいいいいいいい! じあわぜええ! とっ てもとってもじあわぜええええええええええええええええ!」 次女れいむは狂乱していた。 いわゆる狂ゆだ。親れいむはそれを見て絶叫し、親まりさは先ほどのポーズのまま涙を流す。 「まんぶぐ……れいみゅまんぶぐうう! も、もうはいらないよ……もう、だべられないよ… …。だがら、うんうんずるよ! れいみゅのすーぱーうんうんたいむがはじま……」 「命令する『次女れいむはそのままでいなさい』」 「……らないよおおおお! どぼじでえええ!? うんうんじだい! うんうんじだいよお!」 博士と俺は話し合い、次の一手を決めた。 「命令する。『親れいむのお腹にいる赤ゆっくり。生まれる準備をしなさい』」 そう言った途端、親れいむの顔が苦痛に歪んだ。どうやらこのメガホン、生まれる前のゆっ くりですら効果がある代物らしい。 「ゆぎい!? う、うまれる゛! れいむとまりざのあいのげっじょうがっ! うばれるよお おおおおお!」 「命令する。『親れいむは寝そべって、まむまむが上になるように体を向けなさい』」 「ゆ……ぎ……」 親れいむの体が上に向いた。この体勢では垂直に赤ゆが跳ぶことになり、極めて危険だ。 「命令する。『次女れいむは、親れいむのまむまむに向けてうんうんしなさい。ちゃんと生ま れてくる赤ゆに直撃するようにね』」 「ゆびい……ゆっぐり……うごぐよ……」 「ゆああああ! いじゃいいいい! おぢびじゃんははやぐうまれでええええ!」 「きゃわいいきゃわいいれいみゅがきゅーとにうまれりゅよ! ……うまれりゅよ!? どう ちてうまれないのおおお!? ゆんやー!」 親れいむの髪の毛からもみあげを登り、ゆっくりと次女れいむは親れいむの顔を歩いていく。 「お……おぢびじゃん……? れいむのおかおさんに……の、のぼらないでね……」 陣痛の苦しさに顔を歪ませつつ、親れいむは必死に言う。 だが、次女れいむはそれを聞いていない。今、彼女の頭は120%が便意で占められている。 「うんうん……ぢだい……うんうん、ぢだいの……」 「ゆ? ゆゆ?」 次女れいむは、親れいむのまむまむにあにゃるを向けた。 「ゆち? れいみゅのおねえちゃん、ゆっきゅりしちぇいってにぇ! れいみゅ、いまからき ゅーとにうまれりゅよ!」 まむまむから、赤れいむが何の悩みもなさそうな表情で笑いかける。 次女れいむは、それを死んだような目で見たあと告げた。 「うんうん……」 「ゆ?」 「うんうんさん! だずよ! れいみゅのすーーーーーぱーーーーーーうんうんっ!!! た いむっ!!! はっじめっるよおおおおおおおおお! あああああ! ずっぎりいいいいいい いい!」 赤ゆっくりとは思えない量のうんうんが、大量に赤れいむの顔に降り注いだ。 「……………………ゆ?」 赤れいむはきょとんとした表情で、顔に降り注ぐうんうんを見つめていた。 だが、すぐにその悪臭に気付いて暴れ出す。 「ゆんやあああああああ! くっしゃいよおおお! くしゃいよおおお! おねえじゃんのう んうんしゃんがぐざいいいいいいいい!」 「れいみゅのすーーーーーぱーーーーーーしーしーたいむっ! はじまるううううううううう うううううううううすっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 今度はしーしーだ。悪臭のする大量の砂糖水が、れいむの顔に降り注ぐ。 「どうぢでえええええええええ! どうぢでごんなごどおおおおおおおおおおお!」 赤れいむは訳が分からないだろう。 ゆっくりした両親がゆっくりさせてくれるはずだった。 姉たちは、自分たちを愛してくれるはずだった。 そういうものなのだと、信じて疑わなかったはずだ。 だが、現実は。赤れいむは、姉のうんうんとしーしーを顔面で受け止め、暴れ狂うしかない。 「ゆぎいいいい! いじゃいいい! いだいよおおおおお! だずげでまりざ! まりざだずげでええええええええ!」 「ゆわああああああああん! ゆっぐりじで! れいむゆっぐりいいいい!」 「ゆっぐりでぎないよおおおおおおおおおおおおおおお!」 「命令する。『最初の赤れいむは生まれなさい』」 言った瞬間、産道から赤れいむはすぽーんと抜けた。垂直に跳んだ赤れいむは、思い切り親 れいむの顔面にぶつかったものの、柔らかい饅頭だったのが幸い、無事に誕生した。 「ゆぐっ……ゆぐっ……くしゃい……くしゃいよおお……」 全身うんうんまみれだが。 「よ……よがっだ……おぢびじゃん……ぶじにうまれ……ゆぎい!?」 「よし。まだ居たな。命令する。『次女れいむは、次のおちびちゃんにもうんうんとしーしー を死ぬまで与えなさい。あ、赤まりさはまだ生まれちゃ駄目だよ』」 「かっこいいまりちゃがゆっくりうまれりゅ……ゆんやああああああ! くちゃいよおおおお おおおおおおおおおお!」 「いやだあああああああああああ! もううんうんでまぜん! でまぜん! あんござんがあ にゃるしゃんからでじゃうううううううううう!」 ぶりぶり。 ぶりぶりぶり。 ぶりびちぶりびちびちびちちちち。 ぶじゅ! ぶじゅぶじゅ! 「や……だ……じにだぐない……れいみゅ……うんうんさんで……じにだぐないよお……」 「ぐじゃいいいい! だじゅげでえええ! おとうじゃん! おかあしゃん! まりちゃがわ るいごどじだならあやまりまじゅ! ごめんにゃしゃい! だがら! だがらごのぐじゃいの どっでええええ!」 「おちび……ぐぎい! おぢびじゃ……」 親まりさは一生懸命舌を伸ばし、赤れいむのうんうんを舐め取ろうとしている。 赤れいむは一歩も動かず、ただ震えるだけなのでどれだけ舌を伸ばしても届かない。 「だずげで……あか……じゃん……いだいの……まりざ……だずげで……」 親れいむは、出産の痛みに廃ゆ寸前だ。 「うん……うん……じだぐ……な……ぐべ……」 次女れいむが、とうとう中枢餡を流出してしまったらしい。この世のありとあらゆる苦痛を 味わったような表情のまま、力無く倒れた。 「命令する『赤まりさは生まれていいよ』」 すぽーーん、と赤まりさが垂直に上がった。そして、また親れいむの顔面にブチ当たる。 「ゆぎ!」 「ゆぴい……くちゃいよお……」 「命令する。『赤まりさは赤れいむの近くに行きなさい。赤れいむはそこを動かないで。親れ いむと親まりさは体勢を元に戻しなさい』」 赤まりさと赤れいむが生まれたてとは思えないほどに、汚れきった姿で寄り添う。 「ゆぴい……おねえ……しゃん……だにぇ?」 「ゆび……いもうちょ……」 悪臭を必死になって我慢しつつ、赤ゆっくりたちは頬をすりよせた。 親まりさと親れいむは、ようやく……微かな笑顔を浮かべた。 「ゆっくりしてるよお……おちびちゃんたち……とってもゆっくりしてるよお……」 「しんだおちびちゃんのぶんまで……ぜったいにゆっくりさせてあげるからねえ……」 まあ、いわゆる一つの。 「そうは問屋が卸さない。命令する、『赤れいむと赤まりさは、罵り合って殺し合いなさい』」 「「ゆび!?」」 赤れいむと赤まりさが見つめ合い――ゆっくりと、その口を開いた。 「ゆっくちちんでにぇ!」 「れいみゅこそ、ゆっくちちね!」 その言葉に、両親が愕然とした。 「おちびじゃああああああああああん! どぼじでぞんなごどいうのおおお!」 「やめでね! おちびちゃん! そんなゆっくりできないごどはやめでえええええ!」 赤れいむと赤まりさは、泣いてしーしーをぶちまけながらぶつかり合い、噛みつきあった。 「ごめんにぇ! ごめんにぇ、おねえしゃん…………ちね!」 「やじゃああ! ごろじだぐにゃいよお…………ちね! ちんじゃえええ!」 成体ゆっくりほどの激しさはないが、赤ゆっくりはとにかく柔らかい。デコピン一発で瀕死 になるほどだ。本気でジャンプし、本気でぶつかり合う。 ただそれだけで、柔らかい皮がずたずたに引き裂かれていく。 「ちにたくにゃいよお!」 「ちにたくにゃいいい!」 両親が涙を流して見守る中、赤ゆっくりたちは次第にその動きを弱めていった。 「命令する『赤れいむと赤まりさは死んでも殺し合いなさい』」 最後の力の一滴まで振り絞り、赤ゆっくりたちはがぶりと噛みついた。 「むーちゃ……むーちゃ……くしょれいみゅはゆっくりしぬんだじぇ……」 「むーちゃ……むーちゃ……ばかまりしゃはしゃっしゃとしにぇ……」 「むーちゃ……いじゃいよお……むーちゃ……」 「むーちゃ……ふじあわぜえ……むーちゃ……」 やがて彼らはお互いの頭を囓り、目を抉り、おさげともみあげを引き千切って、餡子が流れ 過ぎて死んでしまった。 残されたのは、自分たちの「しあわせー」が完膚無きまでにブチ壊された二匹のゆっくり。 「ゆあ……ゆあああ……ゆあああああああ……!」 「どぼじで……どぼじでえ……」 博士が注射器を取り出した。 「何ですそれ?」 「成長促進剤です」 博士は嘆く親まりさを押し倒すと、次女れいむが孕ませた赤ゆっくりたちがいる子宮に注射 した。 「ゆびい!? い……いじゃ……お……おちびちゃんがあばれでる……」 「まりさのおちびちゃん……? さ、さっきすっきりーしたばかりでしょお!?」 「で、でもあばれ……あばれ……うがあああ! いじゃいいいい!」 博士が笑い、命令を下した。 「命令する。『親まりさの中にいる赤ゆっくりは、周囲の餡子を食べ続けろ。食べられなくな ったら吐いて、うんうんして食べろ』」 (ゆび! ゆびび! ゆびびびいいい!) (ゆびょ! ゆびょぼぼ! ゆぼおお!) 「あが……!? あ、あ、あ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! いじゃい゛! いじゃい゛! おなが……おなががいじゃいいいいいいい! あんござん゛! おながのあがじゃんが! まりざのあんござんぐっでるう゛う゛!?」 「ま……まりざあああああああああああああ!」 親れいむが絶叫する。 子供たちが次々と原因不明に死んでいく中、ただ一匹残った最愛のまりさ。 それが今、見る影もない醜悪な表情で苦しんでいる。 涎を垂れ流し、涙を流し、舌をつんと突き出し、体のあちこちをぼこぼこさせながら。 「ぼびょお゛お゛お゛!? ぐわれでる! まりざだべられでる゛! いやだ! ごんなじにがだ、ぜっだいにいやだ! だずげで! れいぶ! れいぶだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!」 「あ……ああ……あああああ……」 (ぼびょおお! うんうん! うんうんずっぎりいいいい!) (ぶべええええ! げろげろ! げろげろずっぎりいいいい!) 「おぢびじゃんがまりざのながでぐざいうんうんじでる! げろげろざん、げーげーじでる! やだ……やだあああああ! まりちゃたちゅげでええええええ!」 とうとう幼児退行まで始まってしまった。 「まり……まりさ……ゆっぐり……ゆっぐりぃ……」 やがてまりさの声が途絶え、ビクンビクンと痙攣し始める。 「命令する。『まりさ、立ちなさい』」 「……」 まりさが立ち上がった。 「命令する。『赤ゆっくりたちは、まりさの目玉を噛み千切って出てきなさい』」 その命令に従い、赤ゆっくりたちは目玉に移動する。 「命令する。『れいむは、絶対に目を逸らさずにまりさの顔をちゅっちゅできるほどに間近で 見なさい』」 「ゆ……あ……」 「まり……さ……」 「ゆが! ゆがが! ゆごげおげげげ!」 ぼこぼこと、まりさの目玉が回転する。 「まりさあああああああああああああ!」 「ごびょ……ぶびょ……まり……おべ……まり……おべべえええええ!」 ぐちゅり。 まりさの目玉が収縮し、がつがつと貪られた。ぽっかりと開いた穴から、醜い奇形のゆっく りが顔を見せた……リボンから判断するに、れいむの未熟ゆだ。 「ぶぎょおおおお!」 もう片方の目玉からは、目玉が三つあるまりさが誕生した。 「ぶべえええええ!」 「…………」 こてん、と親まりさが倒れた。中枢餡を食べられたのだろう。目玉があった場所ではしゃぐ 奇形のゆっくりたち。 「…………」 親れいむは沈黙。 「命令する。『れいむ、君は自由だ。好きにしなさい』」 「ゆ……」 れいむはずりずりとまりさに近づき、頬にすりすりした。 返ってくる固い感触に、ただただ絶望する。 それから、れいむは目玉の残りを貪る奇形ゆっくりたちに目を留めた。 「ゆっくり……しね……!」 もみあげで無理矢理目玉から引き摺り出すと、れいむは躊躇いなく押し潰した。 怒りか、あるいは憐憫か、それらが入り混じった複雑な感情なのか。 れいむは、啜り泣いていた。 「こいつはどうします?」 博士は俺の言葉に、メガホンを下ろした。 「もしかすると、もしかするかもしれませんよ。珍しいものが見られそうです」 れいむはまりさの帽子から、静かに鋭い枝を取り出した。狩りか何かに使うものだろう。 れいむには、もう何もかも無くなってしまった。 ゆっくりプレイスがあっても、分かち合う相手がもういないのだ。 「どうして……こうなったんだろうね……わからないよ……わからない……」 最後の最後まで、れいむには何も分からなかった。人間がやれば、人間を憎んだり恨んだり することができる。だが、俺たちは徹頭徹尾彼らに認識できなかった。 「まりざ……いまがら……いっしょにいぐよ……」 それを逆にくわえると、れいむは思いきってジャンプした。 地面に向かって、ぷーすぷーすをするように。 だが、当然そうはならない。ゆっくりの歯では、そこまでキツく噛み締められない。 まして、尖っているのはれいむが口に入れている方なのだ。 歯は折れ、枝はそのまま中枢餡に突き立てられた。 「……自殺っすか!」 「野生ゆっくりの自殺は珍しいですよ。いやあ、追い込んだ甲斐がありましたね!」 喜びを分かち合った俺たちは死体をそのままに、ゆっくり園を立ち去った。 36番の鬼意山が「し・あ・わ・せぇぇ!」と叫びながら出て行くのを見て、呟く。 「また、来年ですか」 「また、来年ですねえ」 今日の惨劇は瞬く間に片付けられ、新しいゆっくりたちがやってくるのだろう。 期間限定、一年後には必ず惨劇が巻き起こる珠玉のゆっくりプレイス。 街でわずかなゆっくりを求める野良ゆっくりと、果たしてどちらが幸せなのだろうか……? ……などと社会的な感じで〆。 (終) <あとがき> 勝手に設定作りまくって色々と申し訳ありません。 感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1304613952/ 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3403.html 挿絵:
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家族を作るということは、ゆっくりにとって最上の生存目的である。 人間と同じく、身体的精神的な快楽を求めて生きるのがゆっくりだが、 その中でも、つがいを見つけて子供を作り、家族で団欒する幸福は、 大多数のゆっくりにとっては、ゆん生において何よりもゆっくりできる至高の幸せだ。 愛しい夫と、妻と、愛の結晶である子供を成し、 互いに愛を確信しながら、身を寄せ合って共に生きる。 少なくとも、あまあまも玩具も知らない野生のゆっくりにとっては、 それ以上のゆっくりは想像できないのが通常だ。 飼いゆっくりを訓練する際も、 「家族を作る」という目的意識を「人間をゆっくりさせる」にすり替える過程において、 大多数の時間と労力が費やされる。 実際のところは、こうしたゆん生観の大転換が成功するほうが稀であり、 ほとんどのゆっくりが、ゆっくりとしての本能を捻じ曲げることに失敗して他の用途に回される。 ゆっくりショップに並んでいるような、多種の生物である人間の幸福を望み奉仕するゆっくりのほうが異常な洗脳饅頭なのだ。 それでさえ、多くは飼われているうちに種族の本能がぶり返して自分の子供を作ろうとし、 その結果人間に「ゲス」と呼ばれ、処分されることになる。 それほどにゆっくりにとって、自分で作る家庭とはかけがえのないものなのだ。 今、両親にとってその家庭は地獄そのものだった。 自らの手で、せせら笑いながらゆん生をズタズタにしたわが子が、 家族から離れて佇み、いつも氷のような視線で自分たちを見つめていた。 帽子と左目のない、全身傷だらけの子まりさは、 いつも意思とは無関係にうんうんとしーしーを垂れ流し、そこらに打ち棄てていた。 「おちびちゃん……きれいきれいしようね……」 垂れ流される便を、両親はかいがいしく処理した。 丹念にぺーろぺーろして床の便をかき集めて庭に捨て、子まりさの体表にこびりつく汚れを舌で落とした。 かつて赤ゆっくりだったころにもそうしてあげていたものだが、 「お前らが原因なんだから当然だ」というように、無表情でされるがままになっている子まりさの介護は、 とてもかつてのように心楽しいものではなかった。 両親のどちらかが近づくたびに、子まりさはナイフのような言葉で心をえぐってきた。 「やっちょころしちぇくれりゅの?」 「きょんどはみぎのおめめもとりゅの?」 「ぷーすぷーすしゃんはもうあきちゃの?」 その度に、両親は何度も何度も詫びるのだったが、子まりさは聞きもしなかった。 ただ死を望むばかりだった。 食事は日に二度、お兄さんが持ってきてくれた。 持ってくるのは二度だが、ゆっくりは通常、日に四、五回ほど食事をする。 充分な量の食事を、両親がきちんと配分して分配した。 もちろんのこと、子まりさにも平等どころか、むしろ多めに分配した。 持っていくたびに、生きる気力のない子まりさに両親は頭を下げて何度も食事するよう懇願し、 もはや家族を責め立てることにしか生き甲斐を見出していないらしい子まりさは、そうしてようやく口をつけるのだった。 楽しかるべき家族の食事はもはや団欒のときではなく、 こちらを睨みながら隅で佇んでいる子まりさに気兼ねしながら耐える苦痛のときでしかなかった。 自分達でずたずたにした我が子の前で、呑気に「しあわせーっ」などと叫ぶことなどできるはずもない。 食事時に「しあわせ」と発声できないことは、ゆっくりにとって想像以上のストレスである。 憎悪の篭った視線に射られながら口に運ぶ食事に味はなかった。 必死に詫び、乞い、なだめ、すかし、 両親は子まりさを家族の輪に入れようとしたが、 「またぷーすぷーすしゃんすりゅの?」 「まりちゃをこんにゃにしちゃゆっくちたちと、にゃにをしゅればいいにょ?」と言われては、 それ以上強いることもできなかった。 確かに、ゆん生がめちゃくちゃになるほどの暴行を受けた相手に囲まれ、さあ仲良くしろなどとは言えない 子供たちも、最初の頃こそ子まりさに詫びて泣いていたが、 子供は正直なもので、はっきりと口にこそ出さないものの、 時間がたつごとに便にまみれて臭気を放つようになった子まりさを疎んじる素振りが見えはじめた。 今では親以外、子まりさを食卓に誘う気配は見えない。 それどころか、言葉の端々に不穏なものが見え隠れしはじめた。 「じびゅんでこにゃいっていっちぇるんだから、あんにゃのほっといちぇいいのに……」 「おきゃーしゃん、まりちゃのごひゃんしゃん、おおしゅぎにゃい? どうしぇじぇんぶたべにゃいよ」 「おわっちゃこちょはしょうがにゃいよ!もういいきゃら、れいみゅたちだけじぇゆっくちちようよ!!」 そんな些細な失言にも、両親は強くたしなめ、叱りつけた。 善悪の道理の感覚がまだまだ薄く、贖罪の覚悟がない子供たちは、 両親のそんな叱責を窮屈に感じ、常時ふてくされ気味の態度で、 両親と子まりさから離れて子供たちだけで遊ぶようになっていった。 ベランダの隅から憎悪の視線を向けてくるうんうんまみれの子まりさ。 食事の時以外は両親から離れ、逆側の隅で身を寄せ合ってぼそぼそ喋っている子供たち。 子まりさに対して詫び、他の子供たちを叱りつける以外の会話はほとんどなくなった両親。 あんなに仲睦まじかった家族が、どうしてこんな事になってしまったのか。 夜毎に両親は身を寄せ合い、涙した。 誰を恨むこともできない、全面的に自分たちのせいであり、 あの子まりさがいる限り、家族のゆん生には贖罪しか残されていなかった。 当然、そこに一片のゆっくりもあろうはずはない。 あの時、お飾りのないゆっくりをあれほどに苛めなければ。 せめて目を潰さなければ、ぺにぺにを潰さなければ、まだ子まりさは許してくれたのかもしれない。 いや、きっと許してくれた、あんなにゆっくりできるいい子だったから。 親のまりさとれいむは歯噛みし、涙にくれて後悔しながら、 今は遠い彼方のものになってしまったゆっくりを偲ぶばかりだった。 しかし、それでも救いはあった。 少しずつバラバラになっていく家族の中で、 末っ子の子れいむだけが、根気強く家族を繋ごうとしていた。 姉妹たちに煽られて仕方なしに流されていた末れいむだったが、 この状況に耐えられなかったようで、必死に改善の努力をしはじめた。 両親と一緒になって、子まりさの排便の面倒を見ようとした。 ゆっくりできないうんうんの臭いは末れいむにとって涙が出るほど辛いものだったが、 誠意を見せたい一心で、懸命に口の中にうんうんを詰め込んで運搬した。 両親は止めたが、子れいむは毅然として言った。 「おねーしゃんはもっちょもっちょゆっくちできにゃいよ!! れいみゅのしぇいだきゃら、れいみゅがゆっくちできにゃくてもいいんだよっ!!」 子まりさは何も言わなかったが、 末れいむが自分の世話に参加するようになってからは、両親を責め立てる口数が心なしか減っていった。 姉妹たちと遊びながら、末れいむはこまめに子まりさの方にも顔を出した。 今日はこんなことを話した、こんな面白いことがあった。 返事をしない子まりさに向かって、末れいむは懸命に楽しい話をした。 他の姉妹も、強いて赤れいむを止めようとはしなかった。 通常、こうした目立った単独行動に出る仲間がいれば、 何も行動しない自分たちの後ろめたさを糊塗するために、 「いい子ぶっている」という理屈で攻撃性を剥き出し、苛めの標的にするケースが多いのは人間もゆっくりも同じだ。 しかし、元々性根が家族思いのこの姉妹にはそのようなことはなく、 引け目を感じながらも、子まりさの元に跳ねていく末れいむを黙って見送るにとどまった。 「あのにぇ、あのにぇ、きょうはにぇ、れいみゅおねーしゃんがね……」 「………れいみゅはゆっくちちてていいにぇ」 「ゆっ!?ゆゆっ、ゆっくちちてりゅよ!!まりちゃおにぇーちゃんも…」 「まりちゃのおめめとぺにぺにをつぶちて、みんにゃとゆっくちちちぇ、たのちいよにぇ」 「ゆぐっ…………」 ごく稀に子まりさが口を開いたかと思えば、辛辣な皮肉だった。 その度に末れいむは涙を浮かべて黙り込み、すごすごと引き下がるのだが、 それでも次の日には、また子まりさの元へ跳ねていく。 「おにぇーしゃん、しゅーりしゅーりちていい……?」 「……………」 「……しゅーり、しゅーり………ゆっくち、ゆっくちぃ……」 懸命になって子まりさを元気づけようとする子れいむを、両親は涙を浮かべて見守っていた。 あんなにゆっくりしている子がいれば、子まりさの心の氷もいつか溶けるのではないか。 この家族も、いつか、いつかきっと昔のようにゆっくりできる。 子まりさの心を氷で閉ざしたのはいったい誰なのか、 それは努めて考えないようにし、両親はかすかな希望にすがった。 「しゅーり、しゅーり……ゆぅ、おにぇーしゃんのおはだしゃん、ゆっくちしちぇるにぇ………」 「ゆっくちしちぇにゃいよっ!!」 子まりさが叫んだ。 「こんにゃにきじゅだりゃけでっ!!うんうんまみりぇのおはだしゃんが、ゆっくちしちぇるわけにゃいでしょっ!!」 帽子を捨てて以来初めて、子まりさが感情を剥き出しにしていた。 鬱屈した感情を正面からぶつけられ、末れいむは涙をこぼし、悲しげに目を伏せ、それでも答えた。 「ゆっくち………しちぇるもん……… まりちゃおにぇーちゃんの、おはだしゃん………きじゅだりゃけでも、うんうんでも……ゆっくち、しちぇるもん」 「うしょつくにゃ!!うしょちゅき!! だっちゃられいみゅもぷすぷすしゃれてみちぇよ!!ぺにぺにしゃんつぶちちぇよ!!おかじゃりしゅててよ!!」 「ゆ、ゆ………?しょんにゃ………」 「できにゃいよにぇ!!しょんにゃゆっくちできにゃいこちょ、じぇったいできにゃいよにぇ!! しょんにゃゆっくちできにゃいきゃらだになっちゃら、もうだりぇもいっちょにゆっくちちてくれにゃいもんにぇ!! まりしゃのこちょもゆっくちできにゃいっておもっちぇるくちぇに、ちらぢらちいよっ!!」 「………おにぇー、しゃん………」 末れいむはうなだれ、しばらく黙っていたが、 やがてゆっくりを向きを変えて家に向かっていった。 「もうきょにゃいでにぇっ!!」 子まりさは捨て台詞を吐いたが、その目には何日ぶりかの涙が浮かんでいた。 「おぢびぢゃん!!なにじでるのおおぉぉ!!?」 「やべでっ!!やべでね!!ゆっぐりがんがえなおじでね!!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だべえええええ!!!」 ボール箱で作られた我が家のほうから悲鳴が聞こえてきた。 何事かと子まりさが顔をあげると、あの末れいむが家族の制止を振りほどいてこちらへ向かってきているところだった。 その口には、あのぷすぷすさんが咥えられていた。 急速に冷めていく感情を視線に込め、妹の歩みをじっと待つ。 ぴょんぴょんと跳ねながら目の前にたどり着いてきた妹の顔とぷすぷすさんを交互に見て問う。 「しょれが、れいみゅのこちゃえ?」 「ゆっ!しょうだよっ!!」 「………わかっちゃよ。もう、どうでみょいいよ。はやきゅしちぇにぇ」 「ゆっ?ゆーっ、れいみゅ、できにゃいよ」 「……いましゃらにゃにいっちぇるの?」 「れいみゅ、じびゅんをぷーすぷーすできにゃいよ。おにぇーしゃん、おにぇがいにぇ!」 「ゆ?」 子れいむはそう言い、ぷすぷすさんを差し出してきた。 この妹は何を言っているのだ? 自分をぷすぷすして殺すのではなかったのか? それどころか自分に向かって、己を傷つけてくれと頼んでいる。 「れいみゅ、おにぇーちゃんといっちょがいいきゃら。 おにぇーちゃんといっちょにゆっきゅりしちゃいきゃら、ぷすぷすしちぇにぇ。 いっぴゃいぷすぷすしちぇ、おめめちょぺにぺにをちゅぶしちぇね」 「…………!!」 キラキラと目を輝かせ、笑顔で末れいむはぷすぷすさんをもう一度自分のほうに押しやってきた。 こいつはわかってない。 ぷすぷすさんがどれほど痛いのか、赤ちゃんを生めなくなることがどれほどの絶望かわかってない。 だから気軽にこんなことが言えるのだ。 思い知らせてやる。子まりさはぷすぷすさんを取り上げた。 しかし、できなかった。 ぶるぶる震えるぷすぷすさんの先を末れいむに向けながら、どうしてもあんよを踏み出すことができなかった。 「……おにぇーちゃん?どうしちゃにょ?」 「……………………」 「………なんぢぇ、ないちぇるの?」 「おぢびぢゃああああああん!!!」 両親が、姉妹たちが、駆け寄ってきていた。 「やべでっ!!おぢびぢゃんはいいがら!! ばりざおぢびぢゃんっ!!でいぶを、でいぶをぷすぷすしでねえええ!!」 「ごべんねっ!!ごべんねっ!!いままできづかなくてごべんねっ!! おどうざんが、いうべきだったのに!!おとうさんが!!ごうじでづぐなうべぎだっだのに!! ゆ゛ぐっ、おぢびぢゃっ!!おどうざんをずぎにじでいいよ!!ごべんねええええ!!」 「おねえじゃーっ!!でいびゅをぷずぷずしちぇえええ!!」 「ばりじゃも!!ばりじゃもおおお!!!」 家族全員が、子まりさに向かって腹を突き出す。 そして口々に、自分を傷つけてくれ、お前と同じようにしてくれと願った。 それを聞くうち、子まりさの口からぽとりとぷすぷすさんが落ちた。 「………お、とーしゃ………おきゃー………しゃ………」 「ハイハイハイ、ご立派!!お見事!!!」 お兄さんの声がした。 「いやあ、すばらしい家族愛でした。スバラシイッ! 償いのために、自らの体を差し出す自己犠牲の精神。ウツクしい。マネできない。 君たちのうるわしすぎる愛情に、お兄さん、涙がとまらないよ」 目元をハンカチで押さえながら、お兄さんは震える声で褒め称えてくれた。 お兄さんの前に並ぶ家族は、互いに視線を交わしながら「ゆふふ」と笑いあう。 子まりさも、まだ表情は硬かったが、一応は両親の傍に並んでいる。その傍らで末れいむがすーりすーりしていた。 「お帽子をなくして、傷だらけになってゆっくりできなくなった子まりさに対して、 決していじめたりせず、分け隔てのない愛を注ごうとする君たちの心根はホンモノだ。 認めざるをえないようだね………今の君たちは、弱い者苛めなどしない、本当にゆっくりしたゆっくりだ!」 「「「ゆゆーっ!!」」」 お兄さんに認められ、一同は満面の笑顔でもみあげやお下げを上げてガッツポーズをした。 「約束どおり、君たちを苛めることはもうしない。 こんな美しい家族を苛めるなんてできるはずがないじゃないか。 明日、森に返してあげよう。沢山のあまあまもお土産に持たせてあげよう。 今日はもう遅いから、あと一晩だけそこでゆっくりしていってくれ」 「ゆっくりりかいしたよっ!!」 「おにいさん、ありがとう!!」 「お礼なんて。むしろお礼を言うのは僕のほうさ。 こんなに心温まる家族愛を見せてもらってとってもゆっくりできたんだからね!」 「ゆーっ!それほどでもあるよっ!」 「おちびちゃん、それをいうなら「ないよっ」でしょ!ゆふふ」 試練を乗り越え、家族たちはこのうえなくゆっくりしていた。 これで家に帰れる。しかも沢山のあまあまを携えて。 子まりさはこんな体になってしまったが、そのおかげで、家族たちのつながりはより強固なものになったのだ。 子まりさを囲んで、これから沢山ゆっくりしよう。愛を交わそう。 両親のれいむとまりさは、万感の思いを込めて頬を交わした。 その夜は、久しぶりに子まりさを家に迎えて、みんなで語り合ってからゆっくりと眠った。 子まりさはまだ口数が少ないが、たっぷり時間はある。ゆっくりと仲直りしよう。 両親は寝る前に、子まりさと、そして末れいむを特別いっぱいぺーろぺーろしてあげた。 皆が寝静まった頃、親まりさはただ一匹、空のお月様を見上げていた。 お月様はまんまるさんだった。それは、今の自分たち家族を象徴しているようだった。 「ゆっくりしていってね………」 親まりさは穏やかな笑みを浮かべて、お月様に挨拶をした。 「「「ゆっくちおきちゃよっ!!」」」 「ゆふふ、おちびちゃんたちはおねぼうさんだね!」 ボール箱の家の中で、目を覚ましたおちびちゃんたちをぺーろぺーろしてあげる。 くすぐったそうに笑うおちびちゃんたちの表情に陰はない。 子まりさは強張ってはいるが、抵抗はしない。 この家で暮らすのも今日で最後だ。 終わってみれば、雨風はしのげるしご飯はお兄さんが持ってきてくれるしでなかなか快適な家だったが、 やっぱり、自分達で狩りをしてこそのゆっくりできる家族だ。 森へ戻れば、沢山の仲間達がまた迎えてくれるだろう。心配をかけちゃってごめんね、ぱちゅりー。 家族は箱を出て並び、お兄さんが出てくるのを待った。 出立が待ち遠しい。 帽子の内側を払ったりしながら、どれだけあまあまを運べるかの胸算用をする親まりさを見て、 親れいむが「ゆふっ」と笑った。 そうこうするうちに引き戸が開いた。 全員がそちらに向き直り、お兄さんに朝の挨拶をする。 「「「「「ゆっくりしていって「じゃおーん!」 「「「「「「ゆゆっ?」」」」」 出てきたのはお兄さんではなかった。 人間さんの頭部に合わせて見上げていた視線を、床すれすれに下げる。 「じゃおーん!じゃおーん!」 少しだけ開けられた引き戸の隙間から現れ、 鳴き声を上げながらこちらに跳ねてくる小さなゆっくり。 「ゆゆっ!ぐずのめーりんがいるよっ!!」 ――――――― 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーっ!!めーりんはゆっくりしてないね!!ぐず!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「れいみゅのぷーすぷーすによいしれちぇいっちぇね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「それしかしゃべれないの?ぐず!!のろま!!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーん!おちょーしゃん、ちゅぐにきょろしちゃもっちゃいにゃいよっ!! まりちゃ、いっぴゃいあちょびちゃいよ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆゆっ、そうだね!おとうさんうっかりしちゃったよ!! ことばもしゃべれないのろまはたっぷりあそんであげないとね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ちゃべれにゃいにゃらおくちにゃんかいらにゃいよにぇ~~? ゆーっ!こうぢゃよ!!ゆーっ!!ゆーっ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 ゆっくり共が、小さなゆっくりを取り囲んで罵詈雑言を吐き、執拗に痛めつけている。 傷を負ったあの子まりさを除き、八匹全員がリンチを楽しんでいた。 親れいむが子めーりんのもみあげを噛んで持ち上げ、びたんびたんと床に叩きつける。 執拗に口を狙っていた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 「ことばもしゃべれないぐずめーりんなんかしかいにはいってこないでねっ!! こどものじょうそうっきょういくっにわるいよ!!」 「「「ぐーじゅ!!ぐーじゅ!!」」」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「おめめしゃんぷーす!ぷーす!!ゆっくちくるちんでいっちぇね~♪」 「じゃおーん!じゃおーん!」 子めーりんの両目に爪楊枝が差し込まれ、砂糖水したたる眼球が一気に両方ともえぐり出される。 眼球でサッカーをしながら子ゆっくり共はゆきゃきゃと歓声をあげた。 ふと、親まりさが気づき、爪楊枝を咥えて子まりさのもとへ跳ねていった。 「ゆっ!おちびちゃんもいっしょにあそぼうね!!」 「…………やぢゃ」 「ゆーっ?どうして?とってもたのしいよっ!!」 「………いじみぇて、たのちいの?」 「ゆん!とってもたのしいよ!!おちびちゃんもいっしょにあそぼうよ!!」 「………まりちゃ、やぢゃ。いぢめちゃく、にゃいよ」 「ゆゆぅ?どうしてぇぇ?! おとうさんも、おかあさんも、おちびちゃんといっしょにあそびたいよっ! みんなでいっしょにあそぶからゆっくりできるんだよっ!!」 「そうだよ、おちびちゃん!」「「おにぇーちゃん!」」 親れいむと姉妹たちも、子まりさに駆け寄って必死に誘う。 「ね、いっしょにあそびましょう?おちびちゃんにも、ゆっくりしてほしいの」 「………………たのちくにゃいもん」 「ど、どうして?まえはあんなにたのしく………」 「まりちゃ、やぢゃ!なんかやぢゃ」 「ゆぅぅ………ね、いもうとたちも、おねえちゃんとあそびたがってるよ」 「ゆーっ!おにぇーちゃん、いっちょにゆっくちちようよ!!」 「いぢめ、やぢゃ……わるいこちょだよ……」 「ゆー、れいむ………」 「ゆ、そうだね………かんちがいしちゃったんだね。 ね、おちびちゃん。ゆっくりよくきいてね。 もちろん、よわいものいじめはゆっくりできないことだよ。 おぼうしがなくてゆっくりできないゆっくりだって、いじめちゃいけないよね。 おとうさんもおかあさんも、とってもはんせいしてるんだよ。 でもね、おちびちゃん。むずかしいかもしれないけど、よくきいてゆっくりりかいしてね。 あのね、ぐずのめーりんはれいっがいっ!なんだよ。 のろまで、ことばもしゃべれないめーりんが、だれをゆっくりさせられるの? いきててもめいっわくっしかかけないでしょ?じゃあなんのためにいきてるのかな?かんがえてみようね。 ね、おちびちゃん。あれはいきものじゃないの。おもちゃなの。 めーりんがやくにたつことといったら、みんなのおもちゃになることだけじゃない? だから、めーりんをおもちゃにしてあげることは、とってもゆっくりできることなんだよ!!」 「ゆーっ!!しょうだよっ!!」 「おにぇーちゃん!!いっちょにあちょぼ?」 「ね、おちびちゃん………」 「…………やぢゃ!!やぢゃやぢゃやぢゃああ!!ごわいいいいいぃぃ!!」 「お、おちびちゃん…………」 ついに泣き出した子まりさを囲み、オロオロしだす家族。 僕はそこで出ていくことにした。 「おい、お前ら」 「「「「ゆゆっ?」」」」 一斉にこちらを向き、にぱっと満面の笑顔を浮かべて挨拶してくる。 「「「「ゆっくりおはようっ!!ゆっくりしていってね!!!」」」」 あの時と同じだった。 全く後ろめたさのない、真っ直ぐな瞳。 自分達のする事に一片の疑問ももたず、家族愛に自己陶酔して満ち足りた表情。 吐き気がした。 「いいお目覚めだな」 「ゆーっ!!やっともりにかえれるひだよっ!!きぶんそうかいっ!!だよっ!!」 「あー、その件だけどな、取り消しだ」 「ゆ?……………ゆゆゆゆゆゆゆううぅぅぅぅ!!!?」 不穏な台詞に、ゆっくり共が叫ぶ。 「なんでっ!?なんでなんでなんでええぇぇ!!?やくそくがちがうよおおぉ!?」 「おにーさんっ!やくそくまもってねっ!!うそつきはゆっくりできないよぉ!!!」 「僕は何も約束を破っていない。 言ったはずだ、お前らが弱い者苛めをしないゆっくりになったら、ってな」 「そうだよっ!!まりさたち、もうよわいものいじめなんてしないよっ!!」 「れいむたちをうたがってるのおぉ!?」 「じゃあ、それは何だよ?」 両目をえぐり出され、やはり全身に爪楊枝を突き立てられている子めーりんを指差す。 そんな姿でも、まだ「じゃおーん」と鳴き続けている。 「ゆゆっ?」 きょとん、と子めーりんを見つめる家族。 二回目ともなるとすぐに僕の発言が飲み込めたようで、すぐに難詰してきた。 「ゆゆーっ!!まさか、おにーさんっ!!これもよわいものいじめっていうきなのおぉ!?」 「当たり前だろ………」 「いいがかりだよおぉ!!むちゃくちゃだよおおおぉ!!! こんなのまでいじめちゃいけないのぉ!?なかよくしなきゃいけないのおおぉ!!? だったらっ!!いしさんだっておはなさんだってうんうんとだってなかよくしなきゃいけなくなっちゃうよぉ!! おにーさんっ、きょくたんすぎるでしょおおおぉぉ!!?」 「極端かい?」 「じょうっしきっ!!でかんがえてね!! いじめはよくないけど、こんなのまでだいじにしてたら、ゆっくりいきていけないよっ!!!」 「僕だって生類哀れみの令を発布したいわけじゃない。 同じゆっくりを、苛めるなと言うのが、どうしておかしいんだ?」 「ぐずめーりんなんかゆっくりじゃないでしょおおおぉ!?」 「こんなのゆっくりじゃないよっ!!ごみくずだよ!!! ことばもしゃべれないで、じゃおじゃおいってるだけのごみく――」 僕はそれに被せていた帽子を取り上げ、本来の――末れいむのリボンを取り付けてやった。 「ゆえっ?」 状況を認識するまでに十数秒。このとろさでよく野生で生きているものだ。 いや、死亡率はそうとう高いらしいから妥当か。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」 「………あ゛………あ゛………あ゛…………あ゛………………!!!」 「おでえぢゃあああああああーーーーーーーーーっ」 あとは前回の再現だった。 末っ子れいむの惨状にながながと悲鳴を上げ、パニックを起こし、嘆き、詫び、 ぺーろぺーろできないだのおにいさんなおしてくださいだのと連呼した。 「どうしてわからないんだ、お前らは」 「ゆぐじでっ!!ゆぐじでぐだざいいいいいい!! ばりざが!!ばりざ!!まだいじべばじだああああ!!いじべでじばいばじだああああああ!!!」 「でいぶをごろじでぐだざいいいい!!おじおぎじでぐだざいいいいいい!!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 両目を失ってぴくぴく痙攣している末れいむを持ち上げ、見せ付ける。 「いいか。お前らがこいつをめーりんだと思ったのは、この帽子があるからだな」 緑色の小さい帽子を、もう一方の手でひらひらさせる。 ペットショップで購入した子めーりんの帽子を、ちょっと拝借してきたものだ。 「そして僕が細工した。こいつの口をテープでふさいだんだ」 末れいむの口に貼り付けたマスキングテープを、慎重に引き剥がす。 どうにか唇を破らずに済んだが、執拗に攻撃された口内は歯茎がずたずたに砕け、 ほとんど全て粉砕されたらしい歯の破片が大量に、きらきらと光りながらこぼれ出した。 「……ゆ゛……ぐ…………ゆ゛げぇ……」 「あ゛………あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………あ゛………お゛……ぢび、ぢゃ……」 「じゃおーん!じゃおーん!」 めーりんの帽子をひっくり返し、中に仕込んでおいた超小型のボイスレコーダーを見せる。 「じゃおーんの鳴き声は、このレコーダーに記録してループ再生させたものだ。 それだけで、お前らはこの黒い目黒い髪の、しかも我が子をめーりんだと思い込み、虐待した」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ………ごべ………ごべんだざ………」 「ぐずのめーりんはれいっがいっ!だってな? 喋れないからゆっくりできない、だから苛めてもいい。そう言ってたな。 じゃあ、もう喋れないこのれいむも潰していいわけだ。さ、いっくぞー」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!! ぢがいばずっ!!ぢがいばずううううう!!!べーりんもいぎでばずっ!!ゆっぐじでぎばずうううう!!! じゃべれだぐでぼいぎでる、おなじゆっぐじでずううううううううごべんだざああああいいいいいい!!!!」 「でいぶをごろじでぐだざい!!おでがいじばず!!ぜいっざいじでぐだざい!!おでがいじばず!! でいぶはいぎるがぢのないげずでずっ!!おぢびぢゃんは!!おぢびぢゃんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「いい加減にしろよ、お前ら」 僕に帽子を投げつけられ、びくんと震える家族。 「弱い者苛めはゆっくりできない。ただし帽子のないやつは「れいっがいっ」。 で、子供を苛めてしまい、反省したと思ったら今度は喋れないやつは「れいっがいっ」。 今回のことでもうめーりんは苛めないのかもしれんが、また理由つけて他の「れいっがいっ」で遊ぶんだろう。 髪の色が変だ、目の色が変だ、喋りが変だ、飾りが変だ、いくらなんでもこいつは、いくらなんでもこいつは。 なんとか理由を見つけて苛めを楽しむわけだ、本っ当に苛め好きだなあ、お前ら。 人間の中には虐待お兄さんってのが少なからずいるが、 お前らゆっくりは全員が虐待趣味抱えてんだなあ。まったく、頭が下がるよ」 「………ゆ゛ぐっ………………う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ……………!!!!」 「詰みだよ、お前ら。たっぷり時間をかけて制裁し、惨たらしく殺してやる。全員な………あ、一匹だけは助けてやる」 「ゆ゛っ!!?」 満身創痍の妹を見つめながら震えている傷だらけの子まりさを取り上げてやる。 「こいつだけは助けてやる。こいつはめーりんを見ても苛めなかった。 自分の身にならなきゃわからなかったとはいえ、なかなか立派なものだ。 こいつだけはもはやゲスじゃない。助けてやろう。 あ、そこの末れいむも検討の価値はあるかな?」 「ゆ゛っ………あじがっ……おに、おにいざ……」 「何だよ」 「おねがい、じばず………ほがの、ほかの………おぢびぢゃんも………」 「駄目だ。見てなかったのか?大喜びでぷーすぷーす。弱い者苛め大好きゲスゆっくりだ。制裁すべきだな」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おでがいじばずおでがいじばずおでがいいいいいいい!!! おぢびぢゃんだげは!!ばりざだぢがぜんいんぶんぜいっざいざればず!!おぢびぢゃんだげはああああ!!!」 「いくら子供思いの親アピールされたって、こいつとそいつをここまで痛めつけたのお前らだしなあ」 「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!」 完全に八方塞がり、しかも全面的に自分達で退路を断ったその状況に追い込まれ、 両親はもはや泣きながら絶叫するしかないらしかった。 ――――――― 「…………ゆっくり……おはよう……」 目覚め、家族を見回してから挨拶する。 返事は返ってこない。 ただ、疲れきった視線がひととき自分に集まるだけだ。 今日も目覚めてしまった。 もっと長く眠っていたかった。 眠りのまどろみから浮き上がった今、また現実をその目に映さなければならない。 「ゆぅ…………」 親れいむだけが、呻きで反応を返した。 それきり家族の視線は離れ、別の一点に改めて集中する。 「はふっはふっ!!うっみぇ!!まじうっみぇ!!ぱにぇぇ!!」 「まじやべっ!!うみぇっ!!とみゃんにぇっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 家族が食い入るように見つめるその先では、二人の子ゆっくりが山盛りのあまあまに顔を埋めている。 ベランダには一日かけても食べきれないような量のあまあまが山積みになっていた。 クッキーやチョコレートやプリンを食べ散らかし、一口ごとにあまりの旨さにうれちーちーを漏らす子まりさと末れいむ。 かたや左目とまむまむを失い、かたや両目を失った状態だったが、 極上のあまあまの快楽に脳髄を痺れさせた今、もはや悲壮感は全くなく、 この世の栄華を極めたがごとき恍惚の表情を浮かべていた。 末れいむの砕けた口と歯はお兄さんが再生していた。 「こいつにはお前らにたっぷり言いたいことがあるだろうからな」、それが理由だった。 少しでもあまあまが減れば、お兄さんがすぐに追加する。 二人は昼夜の区別なく、のべつまくなしにあまあまを咀嚼する。 一方、残りの家族は、狭い水槽に閉じ込められていた。 透明な壁が四方を遮る空間に八人のゆっくりがみっちりと詰め込まれ、ほとんど動く余地はない。 あの日から、食事は一切与えられなかった。 唯一、子まりさと末れいむのうんうんとしーしー以外は。 「ゆぷー☆きゃわいいまりしゃがうんうんしゅるよ!!」 「れいみゅのしゅーぴゃーうんうんちゃいみゅだよっ!!きゃわいしゅぎてごみぇんにぇ!!」 子まりさと末れいむはそう宣言すると、わざわざ家族のいる水槽まで這いずっていき、 水槽に向けて尻を上げた。 透明な壁に向かって、二人のしーしーが叩きつけられ、うんうんがひり出される。 子まりさの方は常時うんうんとしーしーを垂れ流している状態だが、 意識して排出すると、こうして勢いよく噴出すのだった。 「おい、どれい!!ごみくじゅどみょにごひゃんしゃんをめぎゅんであげちぇにぇ!!」 「はい、ごしゅじんさま」 二人の傍に常時侍っているのは、ゆっくりさくやだ。 舌ともみあげでスコップと雑巾を器用にてきぱきと使い、専用の容器にうんうんとしーしーを集めていく。 「やしゃちいれいみゅのほどきょしだよっ!!ありがちゃくおもっちぇにぇ!!」 「なんちょかいえ!!ごみくじゅ!!」 二人の罵声に涙を浮かべながら、それでも家族は答えた。 「「「「あり………がどう、ございば……ず………」」」」 「ゆふんっ!!ゆっくちちてにゃいよ!! しょんにゃきょきょろのこもっちぇにゃいおりぇいで、ほどきょしはあげられにゃいよっ!!」 「どれい!!ごひゃんしゃんはぬきぢゃよ!!しゃげちぇにぇ!!」 「ゆ゛あああああ!!ありがどうございばず!!ありがどうございばず!! ばりざざまとでいぶざまのおがげで、ぎょうもごみぐずだぢはゆっぐじでぎばずっ!!!」 家族の懇願を聞きながら、二人の子ゆっくりはにやにやと笑みを浮かべる。 「しょんにゃにうんうんにゃんてたべちゃいにょ?ゆぷぷぅ~~☆」 「うんうんずきのごみくじゅにゃんてゆっくちできにゃいにぇ~~☆」 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛ぅ……………!!」 ひとしきり罵倒され、嘲笑され、それをじっと黙って耐えてからようやく食事が与えられる。 さくやが水槽の上部からうんうんとしーしーを一緒くたにして流し込み、 極度の空腹を抱えた家族がそれにかぶりつく。 「うんうんたべちぇるよ!!ごみくじゅがうんうんたべちぇるよぉ!!ゆぴゃぴゃぴゃぴゃ!!」 「くちゃいくちゃい~~♪こんにゃすがちゃでよくいきちぇられりゅにぇ~~☆」 始めの頃は、子供たちが泣き、怒り、反抗したが、 少しでもこの二人に逆らおうものなら、お兄さんの制裁が行われた。 『お前らに怒る権利があるのか、え? 弱い者を苛めて喜ぶゲスのゴミクズに、なんの権利があると思うんだ? こいつが子供を作れないのは誰のせいだ?こいつの目が見えないのは誰のせいだ? お前らがこいつらに向かって、いったいなにを要求する権利があんだよ。言ってみろ』 『ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!』 『お前らが自分で言った通り、本当のゴミクズに生きる価値はない。 そんなゴミクズはせめて他のゆっくりのオモチャになったほうが幸せなんだろ? 幸せって言えよ、コラ』 『ゆぶぎゃばああああ!!じ、じあばっ!!じあばぜぇ!! ごんだごびぐずでだのじんでぐれでっ、あじがどっ、ごじゃばじゅうう!!がんじゃじばじゅうううううやべぢぇえええ!!!』 家族の体には、多くの傷が刻み込まれている。 ぷすぷすさんで刺された傷、あつあつさんで焼かれた傷、ぺちぺちさんで皮が破れるまで叩かれた傷。 体表がでこぼこになるほどに傷だらけになった家族は、 今日もお兄さんの制裁に怯えている。 ベランダには数々のゆっくりできる玩具が転がっており、 奴隷としてお兄さんがあてがったゆっくりさくやが、子まりさと末れいむの世話をなにからなにまでしてくれる。 ふかふかしたクッションに横になりながら、二人はさくやの子守唄を聞いて寝息を立て始めた。 うんうんを咀嚼しながら、家族は枯れる気配のない涙をまた一筋流した。 〔続〕
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――――――――――――――――――――――――― ある公園にゆっくりの姉妹が居りました。 その姉妹は幼い頃に両親を亡くし、何とか二匹で生活をしていました。 それはそれは仲の良い姉妹で、親が居なくても食事が少なくてもとてもゆっくりとした生活を送っていました。 ですがある日、姉であるれいむがゲスになってしまったのです。 「ゆふふ。れいむはとってもかわいいんだよ!!!!もうこんなせいかつしてるだなんてがまんできないよ!!!さなえはさっさとあまあまもってきてね!!!!」 あまりに突然のゲス化に近くに住んでいた他のゆっくり達はとても驚きました。 「お、おねーさま・・・・・・・あまあまなんてよういできないです・・・・・・」 妹であるさなえはれいむの無理難題を叶えようと狩りに出かけましたが、もちろん甘い物なんて手に入りません。 「ゆう?なにいってるの!?れいむはあまあまが食べたいんだよ!!!バカなの!?しぬの!?」 れいむの要望に応えられなかったさなえに、れいむは制裁と称したイジメを始めます。 「い、いたいです!おねーさま!」 「ゆぷぷ♪クズなさなえがいたがってるよ!!!たのしいね!!!」 イジメは毎日毎日続きました。 次第にさなえは弱っていき、餌を取ってくることができなくなりました。 「まったく!!!つかえないさなえだね!!!!こうなったられいむのびぼうでくそにんげんをどれいにしてさなえとはおさらばするよ!!!!!」 「お、おねーさま・・・・・・・」 こうしてれいむは餌を取れなくなってきたさなえに見限りをつけて、人間に養ってもらおうとし始めました。 「ゆゆーん♪れいむはとってもかわいいんだよ!!だからくそにんげんはれいむをかってね!!!ゆっくりさせてね!!!!ついでにびまりさちょうだいね!!!!かわいくってごめんね!!!!!」 ですがれいむの考えていた通りに事は運びません。 人間が居ることは居るのですが、誰も見向きもしないのです。 「ゆぅううううううう!!!???こんなびれいむがどれいにしてやるっていってるのに、なんでどれいにならないのおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!??????」 当たり前です。このれいむ、ぶくぶく太っていて汚れも目立つ、さらには喋ると口から液体をまき散らすのですから。 こんなのに近づきたがる人間は居ません。 「お、おねーさま・・・・・・さなえもてつだいます・・・・・」 息も絶え絶えだというのにさなえはれいむと一緒になって人間に飼ってもらおうと頑張ります。 「ゆゆ?しゅしょうなさなえだね!!!じゃあさっさとどれいをつかまえてきてね!!!!れいむはすーやすーやするよ!!!すーやすーや・・・・・」 れいむはそれだけ言うと直ぐに眠ってしまいました。 「ふぅ。・・・・人間さん!さなえを飼って下さい!お願いします!!さなえはしんこーもちゃんとしてるさなえなんです!!」 しんこーとは、ありすにとっての都会派と同じようなものです。 しんこーする事はさなえにとってのアイデンティティであり、全てでもでもあります。 と、ここで一人の男がさなえに気がつきました。 男はゆっくりについての興味がさほどない人間でした。 ですが『さなえ』の言う『しんこー』という言葉を聞いて、このさなえに興味が湧いたのです。 「なぁ、さなえ?『しんこー』って何なんだ?」 初めての人間との会話に少し緊張しているさなえですが、勇気を振り絞って答えます。 「はい。『しんこー』とはしんじることです。」 その答えに男は少し顔を歪めましたが、気を取り直して別の質問をしてみることにしました。 「あー。じゃあさ、その『しんこー』をするとどうなるんだ?」 「はい。『しんこー』すれば、かたこりがなおります。」 「へ?」 予想外なさなえの返答に男は素っ頓狂な声を上げます。 「そのほかにも、へんずつうがなおったり、やせたり、すごいときにはガンがなおります。」 男とさなえの間に沈黙が訪れます。 男はポカーンとした顔を、さなえは得意そうな顔をしています。 「ぷっ♪あははははは♪なんだよそれ♪お前ほんとに面白いな♪よし、俺が飼ってやろう!」 沈黙を破ったのは男の笑い声でした。 男は上機嫌になってさなえを飼うことを了承しました。 「あ、あの!それなら・・・おねーさまも・・・いっしょにおねがいできますか?」 「おねーさまって・・・・それ?」 「はい・・・・・・・」 さなえはれいむもいっしょに飼ってほしいと言うのです。 男は悩みます。 このさなえだけなら飼うことはやぶさかではありませんが、こんなれいむも一緒って言うとちょっと考えさせられます。 「うーん・・・・・・・・」 「やっぱりだめですか・・・・・・・?」 「いや、良いよ。ちょっと色々考えることはあるけど、まぁさなえの最初のわがままって事で。」 「あ、ありがとうございます!!」 「すーやすーや・・・・・・・・」 その後、男はビニール袋にれいむを入れ、ゆっくり専門の風呂屋に行きました。 「えっと・・・・このさなえと、こっちのれいむお願いします。」 「はい。かしこまりました。料金の方はこちらになっております。オプションでゆっくり用のエステなどもございますが、いかが致しましょう。」 「あ、いや。洗うだけで良いです。」 「かしこまりました。」 ――――――――――――――――――――――――― ~帰り道~ 「ゆふぅ。どれいたちにしてはなかなかきもちよかったよ!!!!このれいむさまのつーやつーやおはだにさわれたんだからかんしゃしてほしいよ!!!!かわいくってごめんねっ!!!!」 「お、おねーさま。そんなこといってたらおにいさんがゆっくりできませんよ。」 「なにさなえのぶんざいでれいむにもんくをいってるのおおおおおおおおおお!!!!ばかなのおおおおおおおおお!!!!!?????」 あの後男はゆっくり専門店に行き必要最低限な物を買って、さなえとれいむを脇に抱え家路についています。 「うるさいよ。ちょっと黙ってなって。」 男はれいむの大きな声を不快に思い注意しました。 「なにいってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!おまえはどれいでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!どれいがれいむさまにくちごたえするんじゃないよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 れいむは男に更に大きな声を出してきたので男はちょっと躾てやろうと思いました。 れいむを地面に下ろし、おもいっきり蹴飛ばしました。 「ゆげえええええええええ!!!!!おぞらをどんでるみだいいいいいいいいいい!!!!!!」 それを見たさなえは男に抗議します。 「お、お兄さん!おねーさまがしんじゃいます!!」 「大丈夫。死なないように蹴ってるから、でも帰ったらもう一回風呂だな。ほい、ドリブルー。」 男は走ってれいむの着地地点に行き、れいむでドリブルし始めました。 「い、いだいいいいいいいいい!!!!!!お、おそらをtゆぎゃあ!!!」 「ボールは友達!!」 「でいぶばぼーるじゃないいいいいいいい!!!!!!」 男はれいむをドリブルしながら家に帰りました。 家に着く頃にはれいむはボコボコに凹んでよくわからない固まりになっていました。 「えーと・・・・オレンジジュースっと・・・・」 男は持っていたオレンジジュースをれいむにかけています。 その様子をみてさなえは心配するでも、男を非難するでもなく、誰にも見られないように黒い笑みを浮かべていました。 もちろんれいむはそのことに気づきません。 ですが、男はしっかりと気づいていました。 ――――――――――――――――――――――――― ~数日後~ れいむはちっともゆっくりしていませんでした。 おいしそうなあまあまは全てあのさなえの物になり、お家もさなえの方が大きいのですから。 れいむは考えました。 自分がゆっくりできないのは妹のせいだと。 さなえがいるからあの奴隷はれいむの世話をなかなかしないのだと。 もしかしたらさなえがあの奴隷にれいむをゆっくりさせないように脅しているのかもと。 れいむは決心しました。 妹を制裁してやろうと。 はっきり言います。 失敗しました。 れいむは現在男に殴られた傷が元で動けなくなっています。 「ゆぐぐ・・・・けいっかくはかんぺきだったはずだよ・・・・・」 計画は穴だらけも良いところでした。 とりあえずさなえを制裁する・・・・これが完璧な計画の全容です。 れいむがさなえにのしかかろうとした時、男がれいむをつまみ上げ、13コンボを決めたのです。 「あーはいはい。立派な計画ですねー。さなえーまだこいつ生かしておくのか?」 「わたしのたったひとりのあねですから・・・・・・・」 さなえは少し悲しそうな声で言いました。 「あ、そ。じゃあ、オレンジジュース切らしたから買ってくるよ。」 そういって男は家から出ていきました。 するとどうでしょう。今まで慈愛に満ちあふれ、まるで聖母のような笑顔をしていたさなえが一瞬で黒い笑顔に変わってしまいました。 「うふふ。ねぇ?おねーさま。このいえのなかであんまりでしゃばらないほうがいいですよ?」 「!・・・・・・・」 れいむはさなえのその余りに冷めた笑顔を見て言葉を失ってしまいました。 「ね?わかりますでしょ?わたしにきがいをくわえればしぬのは、おねーさまなんですよ?」 「ゆ・・・ゆ・・・・ゆううううううううううううううううう!!!!!!!!!」 れいむはさなえの言葉にとても怒りました。 「ふ、ふざけるなあああああああああああ!!!!!!!おまえはれいむのいもうとで!!どれいだよ!!!!!!なにれいむにめいれいしてるんだあああああああああああ!!!!このげすうううううううううううううううううう!!!!!!!!!」 さなえは冷たく、それでいて楽しそうな声でこう言いました。 「ゲスはどっちですかねー?こわいですぅ・・・」 「ゆっがあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!ころすぅ!!!ころしてやるぅ!!!!!!」 れいむは逆上してさなえに襲いかかりましたが、ちょうど帰ってきた男に蹴り飛ばされました。 「ゆっぎゃああああああ!!!!!!!!」 「はぁ、やっぱりこいつ危ないんじゃないかな?」 「お、おにーさん!こ、こわかったですぅ!!!」 さなえは先ほどの冷たい声や黒い笑顔など無かったかのように男に飛びつきました。 (ほんと、いい性格してるなぁ。) 「?なにかいいました?おにーさん。」 「いやぁ?何も言ってないよ。」 「ゆぎっ!・・・・・ゆっ!・・・・・ぎゃ!・・・・・」 痙攣を起こしているれいむを流し台に放り込みオレンジジュースをかけました。 「とりあえず・・・・・・そこで頭冷やせ。」 ――――――――――――――――――――――――― それから何日か経ちましたが、毎日毎日れいむは男にさなえはゲスだと言いました。 「さ、さなえはとんでもないゲスだよ!!!!!くそどれいはさっさとせいっさいしてね!!!!!」 ですが男はれいむの話には全く耳を貸しません。 「はいはい、ゆっくりゆっくり。」 テキトーに受け流すだけです。取り付く島もありません。 それを見る度にさなえはとてもゆっくりとした表情になっていきました。 ですがある時、れいむの命令を男が聞いてくれました。 内容は、ある時間に家に戻ってくることです。 さなえには知られないようにと、念を押して命令しました。 (ゆっふっふっふ♪これでさなえのてんかはおわりだよ!!!こんどはれいむがどれいをじゆうにしてさなえをせいっさいしてやるよ!!!!!) ――――――――――――――――――――――――― 「んじゃ、ちょっと行ってくるな。」 「はい。いってらっしゃい。おにーさん。」 男が家を出てからしばらく経ってからさなえは暇になってれいむに話しかけました。 「おねーさま。なにかおもしろいことしてください。さなえ、ひまです。」 その傍若無人な態度にれいむはグッと怒りの感情を堪えました。 「ゆふふ・・・・そんなこと言っていられるのも今日までだよ・・・・・・」 その反抗的な態度が気にさわったのかさなえは近くにあったペットボトルのキャップをれいむに投げつけます。 「ふざけないでくださよ・・・・おねーさまのいのちはわたしがまもってあげてるんですよ?わかりますよね?ゲスなおねーさま?」 キャップはれいむの頭に当たり、れいむの感情を逆撫でしますが今はまだ我慢だと己を律し、何とか平静を保ちます。 「ふざけてるのはそっちだよ・・・・・・・・れいむはえらいんだよ?れいむにさからっていいとおもってるの?バカなの?しぬの?」 「・・・・・・そうですか・・・・・」 さなえがしょんぼりとしたのを見てれいむは思いました。 もしかして!たちばのちがいがやっとわかったんだね!!!! 「そんなに・・・・しにたいんですか・・・・・・」 「ゆ?」 「そうですか・・・・・ねぇ?おねーさま。これ、なんだかわかりますか?」 そういってさなえが口にくわえたのは刃のでたカッターでした。 「ゆゆ!!ざ、ざーくざーくさんだよ・・・・・・・」 さなえはれいむの答えを鼻で笑いました。 「ふっ。ざーくざーくさん?バカなんじゃないですか?これはカッターですよ・・・・」 「そ、それで、れいむをころすの?・・・・・・・そ、そんなことしたら!!ゆっくりごろしはゆっくりできないよ!!!!」 れいむは刃物の恐ろしさを知っています。 なぜって? 前に男に切り刻まれた事があるからです。 「そんなことするわけないですよ?そんなことしたらさなえがすてられちゃいます。これできずつけるのはわたしじしんですよ」 そういって器用にカッターで自分の体にいくつかの切れ込みを入れていくさなえ。 「ゆ?ゆぷぷ!!!さなえはばかだね!!!!じぶんでじぶんのことをきずつけてるよ!!!!!!このままえいえんにゆっくりしちゃえばいいよ!!!!!ゆぷぷ!!!」 「はぁ・・・ばかですね・・・・・」 「ゆ?ばかはそっちだよ?」 「このきず・・・・・・・おねーさまにやられたっていったらどうなるんでしょうかね・・・・・・・・」 「ゆ?」 「きっとおねーさま・・・・・ころされちゃいますよ・・・・・・ふふ・・・・」 さなえは、れいむがそれを聞いて顔を青ざめるなり、傷を治そうとするなりを想像していたのですがれいむの反応は全く別のものでした。 「ゆ・・・ゆふ・・・・ゆふふふふふ!!!!れいむのかちだよ!!!!!ね!?だからいったでしょ!!!さなえはとんでもないげすだったんだよ!!!!!!!クソにんげん!!!!!!!」 さなえは驚いて背後を見ました。 そこには男が腕を組みながら立っていたのです。 「え・・・・お、おにーさん・・・・・・いつから・・・・・・」 「ん?えーと・・・・ペットボトルのキャップを投げたところあたりかな?」 さなえはこの世の終わりのような表情のまま固まってしまい、動けません。 れいむは勝ち誇り、得意げな顔をしています。 「ゆゆーん!!それじゃあいままでれいむのことばをしんじなかったクソにんげんはさっさとさなえをせいっさいしてね!!!!ついでにあまあまちょうだいね!!!!!」 そう言われた男はさなえを持ち上げ、流し台に乗せました。 「お、おにーさん・・・・・さなえを・・・どうするんですか・・・・・・」 男は冷蔵庫からペットボトルを取り出すと、その中身をさなえにかけ始めました。 「ゆゆー!!みずっぜめさんだね!!!!とってもゆっくりできるせいっさいだねぇ!!!」 かけ終わると男はさなえの頭を撫でながらこう言いました。 「まったく、カッターなんて危ないだろ。次から刃物類触っちゃだめだぞ?」 「「ゆ?」」 二匹とも意味が分からないといった様子です。 「ゆ・・・ゆっがあああああああああああああ!!!!!!!!なんでだああああああああああああああああ!!!!!!!れいむさまのいうとおりさなえはげすだっただろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「うん。そうだね。てか最初の頃から分かってたし。」 「ゆ?」 「まったく、何見せてくれるのかと思ったらこんな事かよ。」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!!!!!!じゃあなんでれいむさまのいうことをきかないんだああああああああああああああああ!!!!!!!」 「なんでって・・・・・さなえは可愛いけどお前は薄汚いから・・・・・」 「ゆっがぁああああああああああああああ!!!!!!!!れいむさまはせかいでいちばんかわいいいんだあああああああああああああああああ!!!!!!!」 「あぁ、もううっさいな。もう分かれよ。いいか?さなえの場合普段は全然良いゆっくりだろ?でも本当はこんなに腹黒ちゃん。俺さ、腹黒い奴好きなんだよね。」 「ゆ?」 「それになによりこの外見だぞ?可愛いだろうがよ。な?」 「ふ、ふざけるなああああああああああ!!!!!」 「ふざけて無いって。それにあれだぞ?お前の外見がもし、さなえだったらお前の言うこともちゃんと聞いたんだぞ?」 「・・・・・・なに・・・・それ・・・・・・・・」 「うーん。簡単に言っちゃえばさ、お前がれいむだからいけないんだよ。お前の罪はれいむに生まれたこと。分かる?」 「れいむが・・・・・れいむだから・・・ゆっくりできない・・・・・・」 今まで全くしゃべらなかったさなえがここにきて男に話しかけました。 「あ、あの・・・・・わたし・・・・」 「ん?どうした?もう痛くないだろ?・・・・あ、なんかしたいこととか欲しい物とかあるのか?」 「い、いえ。その・・・・わたし、ここにいていいんですか・・・・?」 「?何言ってるんだよ。当たり前でしょ。俺が飼ってやるって言ったんだよ?」 「あ、あの・・・・それでは・・たのみたいことがあるんですけどいいですか?」 「ん?なんだ?」 ――――――――――――――――――――――――― 「おねーさま。もうおねーさまであそべそうにないので、おにーさんにしょぶんしてもらうことにしました。」 「れいむが・・・・・・れいむじゃなかったら・・・・」 「ですから、おわかれをいいたいんできいてください♪」 「れいむが・・・・・・さなえなら・・・・・・・・・・・」 「おねーさまっ!さなえ・・・かわいくってごめんねっ!!」 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ――――――――――――――――――――――――― 一匹のれいむの命、というよりも精神でしょうか? とにかく、それを引き替えに男とさなえの仲はとてもよくなりました。 愛でたし、愛でたし~