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563 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 19 44 44.78 ID VC1myjxzd0606 [1/26] 猛烈な吹雪が吹き荒れる冬の日。 夜の森の奥から、二足歩行の生き物が歩いてきた。 元祖アライさん「うぅぅ…さ、さむい…のだ…おなかも…へったのだ…」ヨロヨロ 痩せ細ったアライさんであった。 ジャパリパークが崩壊し、日本へ渡ってきたフレンズ達。 しかしアライさんのみが社会に適応できず犯罪を繰り返し、森へ逃げ込んだ。 元祖アライさん「凍えて…死にそうなのだ…危機なのだ…」ヨロヨロ 人々は、アライさんの大繁殖による害獣被害を危惧していた。 アライグマと交尾して大量に子を産み、それを育て、アライグマ譲りのサバイバル能力で生き延びるのではないかと考えていた。 元祖アライさん「へねっく…へねっくなら、きっと…」ヨロヨロ しかし、結果は予想の斜め下を行った。 アライさんは確かに年中発情し、虫のように子供を産みまくった。 しかし、けものフレンズ11話でアライさんの人格破綻っぷりをきちんと正しく理解している人ならば、 親アライさんが自分の子供を全て暴力で死なせるか、自ら捕食するということは容易に想像できるはずだ。 万が一親から逃げたアライちゃんがいても、アライグマにあった賢さが失われたハエガイジ共になど、 サバイバル生活が不可能であることは疑いの余地もない。 元祖アライさん「へねっく…たしけて…」ヨロヨロ アライさんというガイジは、害獣にさえなれない弱い生き物だった。 大量に産んだ子も全て死に、最後の親も今滅びようとしていた。 564 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 19 49 51.80 ID VC1myjxzd0606 [2/26] そう。 人々の予想に反して… 最初から、アライさんが誰の手も借りず、自力で大繁殖するなど不可能だったのである。 元祖アライさん「アライさんは…偉大なんだぞぉ…!」ヨロヨロ このまま誰にも助けて貰えなければ、アライさんは滅びるだろう。 道路を越えようとしたアライさんに、車のヘッドライトが近付く…。 …車は停止し、中から黒服の男達が現れた。 黒服1「見つけたぞ!アライグマのフレンズだ!」パァン 黒服1は麻酔銃を撃った。 元祖アライさん「じびぃ!」バタッ 元祖アライさん「zzz…」 黒服達「よし、連行しろ!」ザッザッ 黒服達は、アライさんを縛って車のトランクに詰めた。 運転手「では発車しま…うわクセエ!このガイジ超クセエ!」 車はどこかへ走り去った…。 565 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 19 55 17.52 ID VC1myjxzd0606 [3/26] …気が付くと、アライさんは灰色の壁で囲われた部屋にいた。 両手両足を縛られて。 元祖アライさん「ここはどこなのだ」 黒服1「目覚めたか」スッ ズボォ 元祖アライさん「もごぉ!?」 黒服がアライさんの喉へ強制求餌機を突っ込み、餌を流し込んだ。 元祖アライさん「げほげほっ!く、苦しいのだぁ…!」ゼェハァ こんなクソガイジの腹へ食べ物を捨てるなぞ、あまりに食べ物を粗末にしているとしか言いようがない。 黒服2「さて次だ」スッ 雄アライグマ「キュルルルル」ノソリノソリ 雄アライグマがアライさんへ近寄り… 雄アライグマ「キュルルルル」パコパコ 元祖アライさん「ああー気持ちいいのだぁ!」アヘアヘ 種付けをした。 566 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 19 59 45.05 ID VC1myjxzd0606 [4/26] 元祖アライさん「ふぅ、気持ち良かったのだ…。お前らは何なのだ?これをほどくのだ!」ガチャガチャ だが黒服達は、何の説明もせずに部屋から出ていった。 元祖アライさん「何なのだ…うぅーっ!」ブリブリ 便器に拘束されているアライさんは、糞尿をトイレへ排泄した。 それから2ヶ月間。 アライさんは、一言も話しかけられず、強制給餌だけをされ続けた。 元祖アライさん「産まれる…のだぁ!」 アライちゃん1~5「「なのりゃあ」」ズルズル ヌポォ アライさんの汚い股から、醜いケダモノの子が芋虫のように排出された。 567 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 03 25.61 ID VC1myjxzd0606 [5/26] 元祖アライさん「アライさんに似てとっても可愛いのだぁ」 とっても醜いアライさんは、アライさんに似てとっても醜いコバエ共を、まるでペットショップの子犬でも見るかのように見ていた。 黒服1「よし、回収しろ」ガシィ ポイポイ アライちゃん達はバケツに入れられて回収されていった。 元祖アライさん「待つのだー!アライさんのチビなんだぞぉ!可愛がるのも食べるのもアライさんだけがやっていいのだ!アライさんのものなのだぁ!」ジタバタ ペット兼家畜を取り上げられたアライさんは、尻尾をブンブン振った。 いったい黒服達は、こんな醜くて愚かな害獣未満のクソガイジ共を繁殖させて何をする気なのだろうか…。 569 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 08 18.80 ID VC1myjxzd0606 [6/26] それから4年が経った。 元祖アライさん「ぎひ…あへ…こ、こうび、こうびぃ…」ケタケタ 元からガイジだったアライさんは、さらにガイジとなっていた。 黒服1「よし、養殖場のアライさん達も大分増えてきたな…」 黒服2「アライさん自然公園、正式オープンだ!」 あの日、確かにアライさんは森の前で今にも死にそうになっていた。 誰もが死を望んだアライさん。 誰にも愛されないアライさん。 誰もがその滅びを望んだ…はずだ。 だがアライさんは、黒服達に救助され、人工的に繁殖させられた。 この世に、アライさんが滅んで困る者など、いるとでも言うのだろうか…? 570 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 15 08.25 ID VC1myjxzd0606 [7/26] … 森の中に、なにやら賑わう施設があった。 若者「今日はアライさん自然公園のオープン日だ!予約した甲斐があった!楽しみだぜ」スタスタ 若者は長蛇の列を抜け、受付に来た。 若者「ようやく俺の番か!」ワクワク 受付「いらっしゃいませ。お客様の予約内容を確認します。アライさん親子セット、リトルアライガン撃ち放題コースですね?」 若者「はい!」 係員「では、こちらの5番のゲートをくぐって下さい」スタスタ 若者は係員に案内されて進んでいった。 若者が着いたのは… …森の前にある、畑であった。 若者「わくわくどきどき…」 アナウンス『それでは5番ゲート!駆除開始です!』ピィイーー 森と畑に、ブザーの音が鳴った。 571 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 19 02.52 ID VC1myjxzd0606 [8/26] 若者「よいしょ、隠れるか…」ザッ 若者は、畑の茂みに隠れた。 やがて… アライさん「チビ達!あったぞぉ!野菜なのだ!」ガサガサ アライちゃん1「なのだー」ヨチヨチ アライちゃん2「なのだー」ヨチヨチ アライちゃん3「なのだー」ヨチヨチ アライさん1匹とアライちゃん3匹が、森の方からやって来た。 アライさん「美味しそうな野菜なのだ!こんなの食べれるなんて幸せなのだ!」ドタドタ アライちゃん1~3「「なのだ~」」ヨチヨチ 一家は畑の野菜へ近付く…。 若者「出たな!クソ害獣め!」バッ 若者は茂みから体を出した。 アライさん「ん?何なのだお前!?あれはアライさんが最初に見つけた野菜なのだ!お前にはやらないぞぉ!」ドタドタ アライちゃん1~3「「「のだ!のだ!」」」ヨチヨチヨチヨチ アライさんは若者を無視して、野菜へ近付く。 572 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 24 43.35 ID VC1myjxzd0606 [9/26] 若者「畑の野菜はてめーのもんじゃねえよ害獣!」パパパパパン 若者が握る『アライガン』から、実弾が連射された。 アライさん「痛いのだああ!」ブシャアアア アライさんの右脚が撃ち抜かれた。 アライちゃん1~3「「なのだ?」」クビカシゲ この武器は『アライガン』。国内で唯一、この施設限定で、免許無しで使える自動小銃である。 アライガンの先にはカメラと小型コンピューターがついており、ターゲットがアライさんかどうかを瞬時に判断する。 アライさんと判定された時のみ、弾が放たれる。 その的中率はなんと100%。 ディープラーニングとビッグデータの力は、アライさんのガイジ感、醜さ、おぞましさを数値化し、アライさん以外全てとの区別を可能にしたのである。 アライさん「いだいのだああああああああっ!!何するのだああああ!アライさんが何したっていうのだあああ!!!」ブシャアアア 若者「ああー?畑の野菜盗もうとして何いってんだクソ害獣が!」ジャキッ アライさん(何で…なんでこうなったのだ…!?) アライさんは、ここに来るまでのことを思い出していた。 573 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 28 28.78 ID VC1myjxzd0606 [10/26] … アライさんは、狭い部屋でたくさんのアライちゃん達と一緒に育てられた。 アライちゃん「なのだ!」ヨチヨチ アライさんは小さい頃から、同じ部屋の仲間達とたくさんのものを奪い合った。 玩具。食糧。ベッド。 とにかく奪い合いの毎日であった。 そして、ある程度大きくなったとき… 突如アライさんは自由を奪われ、便器に拘束された。 そして次々とアライグマと交尾して、子供を産ませられた。 アライさん(ツライのだ…誰か、助けてほしいのだ…) 574 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 33 53.41 ID VC1myjxzd0606 [11/26] そこへ黒服がやってきた。 黒服1「お前に自由になれるチャンスをやろう」 アライさん「ようやくなのか!?」 黒服1「お前はこのアライさん自然公園で、2ヶ月前に産んだ子供達を、大きくなるまで育てろ」スッ アライちゃん1~3「「「なのだー」」」ヨチヨチ 黒服1「こいつらが二本足で立てるようになるまで育成できたら自由にしてやる。ただし一匹死ぬごとに、お前の手か足を一本切り落とす」 アライさん「わ、分かったのだ…!やってみるのだ!」 黒服1「あと、森の一番向こうには畑という、野菜がたっぷりある場所がある。そこは最初に見つけた者が独り占めしていいぞ」 アライさん「分かったのだ!チビ達!行くのだ!」 黒服1「ただし、畑に入っていいのは、このブザーが鳴ってからだ。その前に入ったら、ここへ逆戻りだ」ピィイーー アライさん「分かったのだ!チビ達ー!」 アライちゃん1~3「「「なのだー」」」ヨチヨチヨチヨチ こうしてアライさんは、アライさん自然公園の森の中で暮らし始めた。 575 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 39 17.02 ID VC1myjxzd0606 [12/26] アライさん自然公園は、大きな電流金網の壁で区画分けがされて囲われていた。 森の中には、僅かに食べ物があった。 アライさんは全部自分で食おうとしたが、子供達が餓死したら手足を切られるので、仕方なく子供にも分け与えた。 アライちゃん1~3「「はぐはぐ」」グチャグチャ アライさん「うぅ…早く野菜が食いたいのだ…」コスリコスリ その時、あのとき聞いたブザーが聞こえてきた。 アライさん「!!チビ達、畑へ行くのだー!」ドタドタ アライちゃん1~3「「「なのだー!」」」ヨチヨチヨチヨチ … そして、現在に至る。 アライさん「い…痛いぃ…!なんで…!こんな奴が邪魔してくるなんて…聞いてない!聞いてないのだあ!」ドクドク 若者「邪魔ぁ?畑を害獣から守ってるだけだ!」 アライちゃん1~3「「ぴいぃ~!」」ヨチヨチヨチヨチ アライちゃん達は森へ逃げようとしている。 アライさん「うぅ~!チビ達!アライさんも逃げるのだ~!」ズルズル アライさんは、ずるずると這って森へ逃げようとしている。 576 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 44 19.15 ID VC1myjxzd0606 [13/26] 若者「逃げられると思うな!だらぁ!」ズダァン アライさん「びぎゃあ!」ブシャアアア アライさんは、股間を撃ち抜かれた。 アライさん「痛いのだあ!に、逃げるのだあ…!」ズルズル 若者「逃げられると思うな!だらぁ!」ズダァン アライさん「びぎゃあ!」ブシャアアア …」 銃声が何度も響き渡った。 アライさん「び…ぎ…」ガクゥ アライさんさんは、じわじわと体の色んな箇所を撃ち抜かれ、地獄の苦痛の中で死んでいった。 若者「親は駆除完了だ!さて、コバエ共は…」スタスタ 若者は、森に逃げたアライちゃん達を探した。 577 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 48 32.58 ID VC1myjxzd0606 [14/26] 若者「害獣め…。森の中でしぶとく繁殖しやがって。一匹残らず絶滅させてやる」ザッザッ アライちゃん1「なのだー」ガサッ 若者「子供一匹残しても、あっという間に大繁殖するからな!ディスパッチ!」グシャアグシャア アライちゃん1「びぎゅぅ!」グシャアグチャグチャ アライちゃん1は、若者に何度も踏み潰されて死んだ。 アライちゃん2「っ…」ブルブル アライちゃん2は、草影に隠れてじっと震えていた。 若者「一匹も残さず!駆除してやる!」ガシィ ブチィブチィ アライちゃん2「のだああああああああああああああ!!」ブシャアアア アライちゃん2は、尻尾や四肢を千切られ、最後に首を千切られた。 578 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 53 39.53 ID VC1myjxzd0606 [15/26] アライちゃん3「のだああああ!」バッ アライちゃん3が木の上から飛びかかってきた。 若者「わっ!」 アライちゃん3「きゅるるるるるぅ!はぐはぐ!」ガジガジ アライちゃん3は、若者の指に噛みつく。 しかし、この施設のアライちゃん達は牙を引っこ抜かれており、噛まれても平気だ。 若者「いってえんだよクソ害獣!」ドガァドガァドガァ アライちゃん3「びぎ!じび!びぎゅぅ!ぴぎゅ…」ドガァドガァドガァドシャア アライちゃん3は、何度も蹴られて木にぶち当たり、そのうち死んだ。 若者「よっしゃ!アライさん親子駆除完了だぁ!」 畑の主「ありがとうございました、猟師さん…。おかげで畑が害獣被害から守られました」 若者「ふぅ…。奴らクソ害獣は、髪の毛一本残さねえぜ」 畑の主「では、後の片付けは私がやっておきますので…」スタスタ 若者「はい!おじさんありがとなー!」 若者は、受付へ戻っていった。 579 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 20 56 01.35 ID VC1myjxzd0606 [16/26] 受付「アライちゃん1匹500円、アライさん1匹5000円。弾が8発で400円。計6900円です」 若者は代金を払った。 受付「ありがとうございました」 若者「フゥー害獣駆除は楽しかったけぜ!また予約入れとかなくちゃな」スタスタ 一体、この施設は何なのであろうか。 580 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 05 33.76 ID VC1myjxzd0606 [17/26] けものフレンズ11話で、たとえ我が子でさえも暴力で殺してしまうであろう狂暴性と、 自然環境の中では生きていけないであろう適応力の無さとガイジっぷりを見せつけたアライさん。 自力では繁殖ができず、越冬もサバイバルもできず… ただ滅んでいくだけの、害獣以下の醜くて弱い生き物。 この世に、アライさんが滅んで困る者など、いるのだろうか…? いる。 アライさんに勝手に滅びられては困る者達がいる。 アライさんには、森で大繁殖する害獣であって貰わなければ困る者達がいる。 その者達のために、この施設は作られた。 即ち… 『大繁殖する害獣であるアライさんを、駆除という名目で虐殺することを楽しみたい者達』である。 彼らにとって、アライさんは高い繁殖力を持つ害獣でいて貰わなくては困るのである。 彼らにとって、アライさんは人間の手で駆除しなくてはならない存在でいて貰わなくては困るのである。 581 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 11 40.21 ID VC1myjxzd0606 [18/26] かつて、アライさんが大繁殖して害獣被害を続出させるかもしれないという話題が広まったとき… 人々は困るでもなく、怯えるでもなく… ただただ喜んだ。 何故なら、森で大繁殖するあの醜いクソガイジを、人間の手でたくさん駆除できるからだ。 人々は、我こそはアライさんを自らの手で駆除したいと心待ちにしていた。 そんな人々は、森の中でアライさんを観察していた。 しかし、アライさんに繁殖する力も、サバイバル能力もないことは知れ渡ったとき… 人々は安堵するでなく、落胆した。 あの醜いクソガイジを、この手で駆除できないからだ。 このまま森で勝手に滅びられたら… 駆除という名目で、アライさんを殺すのが楽しめなくなってしまう。 だから人々は、アライさんを拐い、人工的に繁殖させた。 自力で繁殖できない害獣未満のアライさんに、大繁殖する害獣という設定を与えて、駆除を楽しむために。 582 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 15 05.07 ID VC1myjxzd0606 [19/26] 黒服1「いやーオープン日から大盛況でしたねー」スタスタ 黒服2「それはそうだろう。アライさんを殺すなんて、これ以上の娯楽はないだろう」スタスタ 職員「アライちゃん搬送カート通りまーす」ガラガラ アライちゃん達「なのだー」ウジャウジャウジャウジャ 職員が、カートの上に大量のアライちゃんを乗せて横切った。 黒服1「あれは?」 黒服2「ああ…。ペットショップへ納品する、ペット(笑)アライちゃん達だよ」 黒服1「ペット(笑)」 583 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 18 48.04 ID VC1myjxzd0606 [20/26] ペットショップ。 その餌コーナーに、アライちゃんはいた。 ペットアライちゃん「ひとしゃーん!あらいさんをかってなのだー!」シッポフリフリ 女子高生「うわキモ…」ヒソヒソ 女の子「マジ死んでほしい…」ヒソヒソ 優しそうなお兄さん「すいませーん、ペット(笑)アライちゃん1匹くださーい」 店員「はい。ペット(笑)アライちゃん、一匹500円でーす」 優しそうなお兄さん「どうもー。さ、行くよー」 ペットアライちゃん「ひとしゃんすきすきなのだー!いっしょになかよくするのだー!」ヨチヨチヨチヨチ 優しそうなお兄さんは、ペットアライちゃんを家に連れて帰った。 584 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 24 09.91 ID VC1myjxzd0606 [21/26] お兄さんの家に着いた。 ペットアライちゃん「うぅー、どこがあらいしゃんのおうちなのだ?キョロキョロ」 優しそうなお兄さん「お家?そんなもんないよ…ここは、墓場だ!」ガシィ 優しそうなお兄さんは、ペットアライちゃんの尻尾を掴んだ。 ペットアライちゃん「ぴぎいいぃい!?なにするのだ、いたいのだああ!」ジタバタ 優しそうなお兄さん「ああー、何度見ても腹立つ顔してんなーこの害獣は」 ペットアライちゃん「やめてなのだ!あらいしゃんは、かいぬしとなかよくしていーこにしろっておべんきょーしてきたのだぁ!」ジタバタ 優しそうなお兄さん「うるせえよ!だらぁ!」ブンッ ペットアライちゃん「にぎゃ!」ドガァ 投げられたペットアライちゃんは、壁にぶつかった。 ペットアライちゃん「びえーん!いたいのだあー!」ビエエエン ペットアライちゃんは、大声で泣いている。 585 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 30 34.96 ID VC1myjxzd0606 [22/26] 優しそうなお兄さん「泣く声もくそうぜえなぁ」ポイッ ペットアライちゃん「びぎぃ!」ドサァ ペットアライちゃんは、流し台に乗せられた。 優しそうなお兄さん「くらえクソ害獣が!」ザパー 優しそうなお兄さんは、ポットで大量の熱湯を大量にかぶせた。 ペットアライちゃん「あっっっっっっっっっっっづいのだあああああああああああああああああああ!!!」ジュワアアアア ペットアライちゃん「た…す…け…」ガクゥ ペットアライちゃんは死んだ。 優しそうなお兄さん「ふぅ。家庭で気軽に害獣駆除できるのは最高だね!」 これはペットの虐待ではない。 商品の正しい使い方だ。 ペットアライちゃんとは…正式名称、『虐殺専用 ペット(笑)アライちゃん』という。 そう、こいつらは愛でるペットでなく、虐殺して楽しむための玩具として売られている。 誰が好き好んでこんな醜くて気持ち悪いクソコバエ共を愛でるというのか。 こんな気持ち悪いクリーチャーを可愛がる者など、万に一人もいるはずがない。 だが、アライちゃんをペットにしているという設定で虐殺を楽しめるという利用価値は、他の何にも替えがたいといえるだろう。 586 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 34 59.89 ID VC1myjxzd0606 [23/26] 逃げアライちゃん「にげるのだー!くそがいじかいぬしのとこなんていられないのだー!」ヨチヨチヨチヨチ ごく稀に、購入者から逃げ出すアライちゃんもいるが… こんな頭でっかちの気持ち悪い体型で、一匹で生きていけるはずがない。 逃げアライちゃん「うぅ…おなかぺこぺこでしにそうなのだ。かいぬしのとこもどるのだ…」ヨチヨチ 野良猫「ガブゥ!モグモグ!」ガブガブ 逃げアライちゃん「ぐ…ぎ…」 アライちゃんなどという、ただでさえ弱いアライさんのさらに弱いバージョンの生き物は、 たいていその日のうちに死ぬという。 587 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 42 08.86 ID VC1myjxzd0606 [24/26] そして半年後、再び若者1はアライさん自然公園を訪れた。 友人と共に。 若者2「あー、アライさん駆除初体験だ!ワクワクするぜ!」スタスタ 若者1「病み付きになるくらい楽しいぜ!一匹残らず、アライをこの世から消し去ろうぜ」スタスタ 若者2「おうよ!絶滅させてやんよ!」スタスタ 強い言葉を使って意気込んではいるが、もしも本当に施設のアライさん達が一匹残らず消え去り絶滅したら、 困るのはアラ虐を楽しむ機会を奪われる若者達の方である。 人々がアライさんを必要とするから、アライさんは人の手で養殖されているのである。 若者2「ところでこの施設、アライさんが逃げ出したらどうすんだ?もしかしたら、マッチポンプじゃなくガチの駆除活動できるのか?」 若者1「いや、建設中にたくさん逃げたことあったらしいけど…。互いに争いあって共食いし合い、最後の一匹は傷だらけになって力尽きたらしい」 若者2「ほんとしょーもねえなあの生き物…。自分の力じゃ害獣にさえなれないのかよ」 588 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 46 38.89 ID VC1myjxzd0606 [25/26] 受付「いらっしゃいませ。ええと、予約していた駆除プランは…」 若者1「今日は、大繁殖した天然モノのアライさんの一匹を捕獲して、その場でアラジビバーベキュー!…っていう設定で」 受付「かしこまりました。それでは、バーベキューセットの用意と、畑の野菜の準備をさせて頂きます。10分後に、区画7にアライさんを放流予定です」 若者1 2「了解!」 若者達は、早速害獣駆除の準備に取りかかった。 589 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (テトリス Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 21 52 51.91 ID VC1myjxzd0606 [26/26] 薄暗い部屋の奥に… お腹の大きなアライさんがいた。 元祖アライさん「げ、げひ、げひひひひ、また、ひとりうまれ…ひひ、ひとりしんだのだぁ」ヘラヘラ 元祖アライさんの前には、2つのメーターが置かれている。 1つは『バースメーター』。 今までに産まれた、元祖アライさんの子孫の数をカウントしている。 もう1つは『デスメーター』。 今までに殺された、元祖アライさんの子孫の数をカウントしている。 元祖アライさん「えへ、えへへへへへへ、ふぇ、ふぇねっく、ふぇねっく!みるのだ!またふえたのだあ!」ゲラゲラ フェネック「面白いねーアライさん」 アライさん自然公園の発案者であり、経営者であるフェネックが、元祖アライさんの隣で呟いた。 フェネック「ジャパリパークで私をさんざん便利な道具扱いした恨み…こんなもんじゃまだまだ済まさないよー」スッ フェネックは、元祖アライさんの前で、区画7…若者1 2が入った箇所の監視カメラ映像を流した。 フェネック「あははははは!すごいよアライさん!アライさんの子孫が、生きたまま丸焼きにされてるよ!この動画もアーカイブにしてネットで配信しよっと」パチパチ 元祖アライさん「あはははは、ひひ、ひひ」ゲラゲラ 590 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スップ Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 22 00 58.31 ID VC1myjxzd [1/2] 我が子を加減無き暴力で殺し、サバイバル能力皆無な、害獣未満のクソザコ生物アライさん。 だが、人々はアライさんに大繁殖する害獣という役割(ロール)が無くては困る。 大繁殖する害獣だから仕方なくアライさんを駆除するのではない。 アライさんを害獣駆除という名目で虐殺したいから、人の手でわざわざ養殖されているのである。 よくアライさんは『存在自体が罪の絶対悪』と言われる。 その言葉に偽りはない。 なぜならば、アライさん達は悪でいてもらうために産み出され、 人に裁かれるために生まれつき罪を背負わされるのだから。 アライさんという存在は… 人々に害獣駆除という娯楽を提供する、アラ虐愛好者にとって滅びられては困る、紛れもない益獣なのである。 今日もたくさんのアラ虐愛好者達が、様々な害獣駆除シチュエーションを設定し、 勧善懲悪のマッチポンプを繰り広げる…。 591 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スップ Sd9a-Jfon)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 22 04 48.88 ID VC1myjxzd [2/2] 完 592 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ d512-NLsb)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 22 09 18.93 ID eKXcfibb0 591 乙 頭の悪さがしっかり描かれててよかったよ 594 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイWW 9972-NiX3)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 22 32 02.03 ID uusfDXG10 [1/2] 乙でした。 どんどん産ませるなら元祖アライさんは生かしておく必要在るのかな? と思ったけど生きているのが罰なのか。 牛も豚も鶏も家畜として種としては大繁殖してきるわけだから、アライさんという種にとってはこれもうまくニッチにはまりこんだと言えなくはないね。 595 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 9a88-SEJR)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 23 14 12.03 ID QHrrukg70 乙。すっごい良かった 597 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 9972-NLsb)[sage] 投稿日:2018/06/06(水) 23 40 21.70 ID uusfDXG10 [2/2] スレ民を皮肉りつつ けものフレンズ11話で、たとえ我が子でさえも暴力で殺してしまうであろう狂暴性と、 自然環境の中では生きていけないであろう適応力の無さとガイジっぷりを見せつけたアライさん。 とアライさんを害獣と再定義しているの十分にアラ虐になっている。 よいアラ虐でした。 アライさんのssへ戻る
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○月×日 22:17 生徒会室横 階段踊り場 「…なぁ、ハーメルンの笛吹き」 「うん?」 …ある事を思い出し、冷静さが蘇ってきた あの野郎が言った事を思い出して冷静になるなんて腹が立つが、仕方ない 「俺が「組織」に居た頃、まぁそれなりに信用してやっていた黒服が一人いてな?そいつが、こう言ったんだよ…『ハーメルンの笛吹きは、ある意味俺と同じタイプのようだから気をつけておけ』ってな」 「ほう?それで、その黒服はどんな奴だったんだにゃ?」 「変態で大嘘吐き」 そう、あいつは「組織」1のど変態だった そして、「組織」1の大嘘付きでもあった 「俺も、お前はあいつと同じタイプなんじゃねぇの?って、さっきのお前の話を聞いてそんな気がしたよ」 「ちなみに、変態と大嘘付き、どっちが同じだと言いたいんだにゃ?」 「…さぁ、どっちだと思う?」 答えを言えば、それは……「大嘘吐き」 こいつがさっきまで俺に話していたこと、何割かは多分、嘘なのだろう あの髪の伸びる黒服が言った事を思い出し、それに思い当たる 「あぁ、それと。俺の事をトミーなんて呼ぶんじゃねぇ。俺には名前がある。今の俺には名前があるんだっ!」 「ほほぅ?それじゃあ、その名前を教えて欲しいもんだにゃあ」 「嫌だね。誰がてめぇなんぞに教えてやるか。俺の女を無数の悪意で怯えさせやがった野郎に、俺の名前を知られたくなんざないね」 そうだ、教えてなどやるか 大丈夫、とは思うのだが…名前を知られる事で、支配されては困る …認めたくは無いが あの黒服につけられた名前は、俺の唯一の本当の名前で、大切な事に変わりはないのだし 「…俺の女、ね。よっぽど大切な相手なんだにゃあ?」 「あぁ、そうさ」 きっぱり 堂々と、「13階段」は言い切った そうだ、大切な相手だ 生まれて初めてできた、愛しくて大切な相手だ 今まで適当に付き合って捨ててきた女とは、違うのだ 「そこまで言うくらいだから、よっぽど可愛いんだろうにゃあ?」 「…そりゃあ、もちろん」 ぐ!と 「13階段」は拳を握り緊めた 「男だった頃は全く感じなかった、いや、むしろ鬱陶しさすらちょっと感じていたと言うのに、女になった瞬間ストライクゾーンど真ん中!!」 「…ちょっと待てにゃ。真っ先に盛大に突っ込みたい単語があった気がするにゃ」 ハーメルンの笛吹きが何か言ってきたが、無視 「13階段」は熱く続ける 「あの顔立ち!体型!!言動に行動!!!その全てがストライクゾーンど真ん中!!魔女の一撃の契約者は「Dカップより小さな胸は胸と認めない」とか言ってたが、小さい胸には浪漫があるんだよ!!これから俺が育てて言ってやるんだって言う、希望があるんだよ!!あのAカップを俺がもうちょっと大きく育てていってやりたいって思うんだよ!!それに、あいつ体そんなに丈夫じゃないし、いつ発作起こしてもおかしくないからずっと傍にいてやりたいと思うし。今回だって本当ならずっと傍にいてやりたかったけど、あいつジャッカロープ連れてるから一箇所に留まってる訳にいかないからな。あぁ、もう、可愛くて可愛くて可愛くて仕方ねぇよ。他の連中になんぞやるか。指一本触れさせてやるかよ。あいつは俺の女だ。絶対に誰にも渡さねぇ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ どこか、近づきがたいオーラを放ちつつ、熱く語る「13階段」 呆れたのか何なのか、上田からの返答は聞こえてこないのだった とぅーびー? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
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岩佐真悠子 プロフィール(スリーサイズ、カップ情報) イワサ マユコ 生年月日:1987年02月24日(34歳) 身長:155 体重:42 B:83 W:58 H:86 カップ:E 備考:ミスマガジン2003受賞 Wikipedia: https //ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E4%BD%90%E7%9C%9F%E6%82%A0%E5%AD%90 関連URL: https //ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%B2%A9%E4%BD%90%E7%9C%9F%E6%82%A0%E5%AD%90 oldid=39057248 所属アイドルグループ コンテスト ミスマガジン2003 出演ドラマ 謎解きはディナーのあとで 遺留捜査(第3シリーズ) 黒服物語 貴族探偵 重要参考人探偵 関連タグ:ミスマガジン2003 岩佐真悠子 謎解きはディナーのあとで 貴族探偵 遺留捜査(第3シリーズ) 重要参考人探偵 黒服物語 View this post on Instagram A post shared by 岩佐真悠子 (@mayuko.iwasa)
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黒川智花 プロフィール(スリーサイズ、カップ情報) クロカワ トモカ 生年月日:1989年08月01日(32歳) 身長:161 体重: B:77 W:57 H:79 カップ:B 備考: Wikipedia: https //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%B7%9D%E6%99%BA%E8%8A%B1 関連URL: http //tomokakurokawa.seesaa.net/category/2135829-1.html 所属アイドルグループ コンテスト 出演ドラマ 遺留捜査 ブラッディ・マンデイ JIN-仁- 確証~警視庁捜査3課 黒服物語 ラストコップ あなたのことはそれほど 噂の女 大恋愛~僕を忘れる君と~ 相棒 Season16 Heaven 刑事7人 第5シリーズ ハル~総合商社の女~ 関連タグ:JIN-仁- あなたのことはそれほど ハル〜総合商社の女〜 ブラッディ・マンデイ ラストコップ 噂の女 大恋愛~僕を忘れる君と~ 相棒 Season16 確証~警視庁捜査3課 遺留捜査 黒川智花 黒服物語 View this post on Instagram A post shared by 黒川智花~Tomoka Kurokawa~ (@tomoka_kurokawa_official)
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【同時刻 日本のどこか山深い地方で】 「村だな」 「村ですね」 狭く、近未来的な部屋だった。パネルやレバーといった操作器具が敷き詰められ電子音が規則正しく響いている。 その部屋の正面にはモニターがあり今は粗く緑がかった風景を映し出している。 モニターの中央と向かい合うように椅子が3つ、配置されていた。うち2つは隣同士で1mばかりの感覚が空いていた。 座っているのは両方とも20代以上の男性で、片方はやせ型、片方は小太り。生白い肌と浅黒い肌も対照的な彼ら、 先ほどからモニターを見てひそひそと話している。 モニターが遠望していたのは確かに村だった。 いかにも小規模なそこは山の中腹にあり提灯や屋台が所狭しと並んでいた。時節柄解釈するに祭りでも開いているとみ るのが妥当だろう。いかにも農民風な人々が望遠レンズの映し出す世界で踊ったり屋台に並んだりとにかく祭りを楽しんでいる。 麓と村を繋ぐ道は1本しかなかった。とびきり長くて緩やかなのが1本だけだった。村付近の斜面はどれも崖という べき垂直ぶりだ。コンクリートが固めていなければ台風1つで崩落するだろう。しぜん道は傾斜の緩やかな方へと 伸びざるを得なかった。 村から吐き出された道は山を螺旋状になぞり緩やかな勾配を描いている。と男たちがモニターから読み取れたのはコケ の浮いたガードレールが木々の中で長々と自己主張していたからだ。規則正しく並ぶ街灯の向こうで碁盤状の法枠(のりわ く)が整地区画の草花畑をどこまでもどこまでも伸ばしていた。 様子からして路面はアスファルトだろう。村まで車で15分というところだ。 その道に。 麓の辺りに無数の人影がいた。 黒い服とサングラスという「いかにも」な人種だ。それが6ダースほど闊歩していた。 黒服の男たちはところどころ人間らしさを喪失していた。爪が恐ろしく長かったり牙がにゅっと伸びていたり羽根が生えて いたりでとにかく怪物性を誇示していた。 「ホムンクルスだな」 「ホムンクルスですね」 彼らは坂を上っていた。ペースは早い。車ほどではないが人間の速度は凌駕している。 このままいけば20分で村に着くだろう。 やせた方の若い男は生白い顔を後ろめがけ軽く捻じ曲げ、こう聞いた。 「どうしますか艦長」 「…………」 最後の椅子は部屋の一番奥にあった。一段高いところにあるそれは見るからに上役用で肘掛けさえついていた。 艦長と呼ばれたのはいかめしい顔つきの老人だ。彼はしばらく沈黙を保ったままただただ画面を見つめていた。目深に被っ た帽子の下で瞳だけが鋭く光っていた。荒波を超え続けてきた男だけが持つ威圧感がひたすら黒服どもを射抜いていた。 黒服たちは知らなかった。 自分たちが見られているという事はもちろん……背後彼方の場所にある森の中に何があるかというコトを。 戦艦が一隻、森の広場の中にいた。海からはかなり離れているというのに、どでんと。 真鍮色のそれは鉄板をごてごて塗り固めたように不格好で、至るところに据え付けられた3連装砲や連装機銃座の数々が とことん全体のフォルムをややこしくしていた。艦首に居たっては双頭の竜よろしくにゅっと2つに分かれている。 つまりディティールこそ精緻を極めているが小学生が考えた出来の悪い発明品を思わせる気色の悪い物体だった。 とても真っ当な軍隊の制式に収まりそうもないそれは錆びついたダンプカーの横にぷかぷかと浮かんでいる。積載量10t の隣人さえ霞む大きさだった。高さこそ等しくしているが幅や全長はゆうに3倍を超えていた。にも関わらず空気の浮上力 によって一切の重量感を排している。通ってきたと思しき方角を見れば無数の木々が折り重なるように倒れている。強行軍。 これまでの『航路』を言い表すにふさわしい言葉である。 2人の若い男といかめしい顔つきの老人はその戦艦の中にいた。 「ディープブレッシング」という戦艦の中に、先ほどからずっと。 武装錬金の中には複数の創造者や核鉄を要するものもある。好例がディープブレッシングであり、核鉄の組み合わせに よって姿さえ自在に変える。基本形態こそ潜水艦だが宇宙船を思わせる空中戦艦にも変形可能。創造者たちいわく三核鉄 六変化、つまりは全部で6つの形態を持つ変わり種の武装錬金なのである。 その操縦席の奥で老人──艦長──が口を開いた。とても厳かな声だった。 「諸君。我々は現在大戦士長救出作戦を補佐する立場にある。数多くの戦士たちを合流ポイントに向けて輸送中……。 それもヴィクターにはとうとう見せてやれなかった陸戦艇形態でだ」 「アイアイ」 「アイアイ」 「本来戦艦であるディープブレッシングがこのような扱いを受けている。不当だと感ずる者もいるだろう。だが戦団がヴィク ター討伐により数多くの輸送手段を失っている以上、やらねばならない。辛いだろうが諸君らの一層の克己と奮励に期待 する」 「アイアイ」 「アイアイ」 「敵はレティクルエレメンツ。1秒の遅参も許されない。海域空中戦形態で空を飛べばもっと早くつけるだろうとかという 文句も戦士たちから上がっているがアレは目立つし第一ヴィクターに見せたからもういい」 アイアイ。アイアイ。機械のような返事を聞き届けると艦長は深く息を吐き椅子にもたれた。画面の中では黒服たちが とうとう山の中腹にまで登り詰めている。進行速度は予想以上でともすればあと5分で村は惨劇の舞台になるだろう。 「では艦長。村民たちは」 「航海長。命令を忘れたか。『とにかく余計な戦闘に時間を裂くな』。火渡戦士長は我々にそう伝えた筈だ」 底冷えのする声だ。航海長と呼ばれた痩躯の男は沈黙した。 「すでに上層部は彼を大戦士長代行とさえ認めている。である以上、火渡戦士長の命令は絶対だ。私は艦長として万難を 排し不要な戦闘を避けねばならない。……という訳だ航海長」 「アイアイ」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「村へ向かえ」 「アイアイ。また命令違反ですか艦長」 にこりともせず艦長は答えた。 「人命を助ける。そのどこが余計だね?」 「アイアイ」 航海長は特にどうという感慨も浮かべぬまま桿を握った。こんな問答は茶飯事らしい。 やがて戦艦各所にしつらえられた通風口を大量の空気が通り抜けた。唸る艦底。熱ぼったい奔流が艦全体を緩やかに 持ち上げる。草木がさざめいた。流れる木の葉は五線譜の音符だった。さらさらと綺麗に鳴り消えていった。 静かな空気の音が充満する操縦室の中、小太りの男が一言ぼやく。「帰ったらまた大ゲンカか」。浅黒い顔の後ろで腕を 組み天井を眺めるうち艦はとうとう錆まみれの隣人に別れを告げた。 ほどなくして山裾に達した艦は木々の犇めく斜面を登り始めた。艦長はぽつりと呟いた。 「第一火渡はディープブレッシングをいろいろ小馬鹿にしてくる上に何かと突っかかってくる。嫌いだ。命令など聞いてやらん。 まったく。戦士になりたての頃誰がサバイバル訓練に付き合ってやったと思っている」 「やはり重りを付けて深海に放置したのはマズかったですね」 「火炎同化を持つアイツにはあれが一番サバイバルだと思ったのだ。ディープブレッシングの全形態も見せたかった」 ………………水雷長。艦砲射撃準備」 「アイアイ。もう終わってますよ艦長。いつでも行けます!!」 やがてディープブレッシングは山を登り始めた。道は使わず直接村を目指した。木々の密集する斜面へ突入し山肌を削 るように疾走し、登りながらも高度を上げた。「ガードレールまで距離200」「面舵いっぱい」。大きく円弧を描きながらガード レールをブチ破り道へ合流。風が法面に吹きつき艦の動きが静止した。 遥か前方で黒い影がまろぶように駆けている。 「艦長! やはり気付かれたようです!! 黒服たちは……村へ!!」 「ああやっぱり。ばらばらに発動した方が良かったんじゃ」 「艦内へ通達。総員前方からのGに備えよ。これより本艦は最大船速に入る。目標到達後は船速の如何に関わらず村へ 突入……ホムンクルスを殲滅せよ」 「アイアイ。要するに爆走中の戦艦から飛び降りろってコトですか」 「アイアイ。時間がないとはいえ恨まれますよ」 「機動力のあるものや押しつぶされたくないものは直ちに下艦。のち後方より本艦を援護せよ」 やがて艦後部で空気が爆発した。道路の幅いっぱい以上に広がるディープブレッシングはガードレールを歪なかつら剥き にしながら火花を散らしぐんぐんと黒服に追いすがり、追いすがり、追いすがり──… 村の入口付近で6人ばかり撥ね飛ばした。 振り向いた黒服たちはまず艦の威容に息を呑んだ。慌てた様子で村を振り返り再び艦を見るものもいた。逡巡。わずか だが一同を迷いが支配しその動きが止まった。その瞬間ディープブレッシング右側面のある位置でハッチが開いた。 出てきてきたのは老若男女さまざまだ。服装もまちまちで手にした武器もどれ1つとして同じ物がない。 ただ全員ただならぬ眼光を持っているのだけは共通しており、それが黒服たちに不吉な予感をもたらした。 戦士たちが、一歩踏み出した。 (来る) 身を固くする黒服たちの前で…………戦士たちはそろって踵を返し、艦を蹴った。 「あれほど言ったのに急加速してんじゃねえ!!!」 「おぇ。ただでさえ船酔いしてんのに……いきなりあんな速……おぇ」 「最高船速の船から飛び降りろだあ! できるか!! 死ね!」 「あの……」 黒服たちは困惑した。戦士たちはみな悪態をつきながら執拗に艦を蹴っている。とても異様な光景だった。 「だいたい何で陸戦艇なんだよヴォケ!!!」 「3人別々に小型飛行機発動してピストン輸送する方が効率いいだろ!! どう考えても!!」 「傷病兵だって乗っているんだ!! 目立ちたいからって無茶すんな!!!」 「だからお前らに輸送されたくなかったんだよ!!!!」 ハッチの奥から海兵らしい人物たちが引きずり出された。若い男2人と老人だった。彼らは顔面に殴られたような痕が あり衣服もところどころが乱れている。特に老人などは筋骨隆々の中年男に襟首を掴まれいまにも処刑されそうな勢い だ。(そのくせ眼光は異常なまでに鋭かったが) 「なんかいえよ艦長!! ア゛!!」 「諸君らに告ぐ。我々は目標地点に到達せり。速やかにホムンクルスを殲滅し村民を救助せよ」 「おーおーおーおーおー!!! 命令する方は楽でいいよなあ本当に!!」 「だいたいお前ただのヒラだろヒラ!! 勝手に艦長とか名乗ってるだけだよな!!?」 筋骨隆々の男は露骨に青筋を浮かべながら艦長のヒゲを引き始めた。それなりの痛覚があるらしく艦長はうっすらと 脂汗を浮かべた。 「やめろ。私に手を上げるのは構わんがディープブレッシングを蹴るのは止めてもらおうか……!!」 「蹴りでもしなきゃやってらんねーだろうがアアアアアアアアア!!」 「デカいから目立つんだよコレ!! 人の目のあるところ飛べないんだよ!!」 「潜水艦形態は嫌だっつーし!」 「いつも通るの獣道! しかもそういう場所に限って共同体があるからケンカふっかけられるのな!!」 「お陰で俺たちボロボロ!! 決戦前なのに!!」 「くそう!! あのときパーを出してればヘリ乗れたのになあ!!」 「ヘリ組は毎日ホテルで寝れるらしいぜ。フランス料理とか好きなん食えるらしい」 「もうすぐ決戦で死ぬかも知れないから? いいなあ。俺も寿司食べたい」 「あのー」 黒服たちは困り果てた。仲間の肩を借りているのは先ほど跳ね飛ばされた者だろう。彼らもまた呆然と見守るばかりだ。 攻撃された恨みも忘れるほど異様で滑稽な喧噪だ。 「クーデターが発生」 「艦内放送後すぐ戦士たちが操舵室を制圧。安全な速度でここまで来る事になった」 「は、はあ」 いかにもデコボココンビな男たち──航海長と水雷長──の説明に黒服たちが首を傾げていると。 騒ぎを聞きつけてきたのだろう。 村人たちが何人か、誰何の声を上げた。 「オイ騒いでる場合じゃねえぞ!! 要救助対象者がホムと鉢合わせだ!!」 「誰だよお前たち!! ココで何を……」 「ええいもうこうなったら襲うしかねえっぺよ!!!」 三者三様の喧噪の中で最も早く動いたのは黒服たちだ。 混乱と動揺を振り切りるように村人たちへ振り返るや凄まじい形相で突貫し──… 30分後。村は灰燼と化していた。 生き残りだろうか。村人が黒服に追い立てられ金切り声を上げている。 求められた助け。戦士である筈の艦長はしかし一瞥さえくれず黙殺し、じっとその場にたたずんでいる。 彼を軸に林立する航海長や水雷長も同じだった。戦士たちはというと事後処理に忙しく駆け回っている。 怨嗟と憤怒と断末魔の絶叫が混じり合い響き合い、村は狂乱の様相を呈していた。 「航海長。これはいったいどういう事だね」 「アイアイ。調査結果を報告します。ホムンクルスは村人の方でした」 「で、麓から人間攫ってきてお祭り騒ぎかよ」 大柄な男──水雷長──は溜息をついた。元民家のカーボンが視界両側にどこまでも伸びるこの場所は大通りとみえ 屋台の残骸があちこちに散乱している。「焼き人間」。煤まみれの看板が転がっているのが見えた。比較的原状を保って いるその屋台へ何気なく視線を移した水雷長はうっと口を抑えた。調理用の小型ガスボンベの前で横倒しになったバケツ から色々なものが零れていた。長い髪や小さな手はまだいい方だったがウニやネギトロに似た質感のサーモンピンクは流 石にダメだったらしい。「陽菜!!」「ヤスシ!!」。別の屋台の商品もだいたい似たような品ぞろえだ。『商品』へ涙ながら にすがりつく黒服たちが如実に証明していた。 「……ちなみに黒服たちは人間とのコトです。麓に住んでいるといえば何をしに来たか……言うまでもありません」 「人間!? んな馬鹿な!! お前もモニター見たろ。アイツら確かに牙とか爪とか生やしてたよな!?」 「しかし調査の結果、全員間違いなく人間……錬金術とは無縁の一般人です」 「でもあの黒服たち、ホムンクルスども圧倒してるぞ。陸戦艇に魅かれた人も無事だし」 水雷長の指さす先で村人が袋叩きにあっている。本来錬金術以外の力では破壊不能のホムンクルスが無手の黒服たちの 殴る蹴るでどんどん壊れている。事態の異常さに気付いたのだろう。何人かの戦士たちが驚いたように凝視している。 「戦士でもない人間がホムンクルス倒せるとかおかしいだろ」 「それですが興味深い証言があります。実は──…」 「オイ!!!! あれはなんだ!!!!」 戦士の誰かが発したのだろう。割れんばかりの声が航海長を遮った。 すわ何事かと目を剥く水雷長の足元が大きく揺らいだ。すんでのところで転びそうになったがどうにかこうにか持ち直す。ズドン。 足元が再び揺らいだ。それは村にいるもの総ての身上に注ぐ宿命だった。消し炭の家屋も崩滅寸前の屋台も何もかも飛び あがって元の場所へ叩きつけられた。地響きがしている。当たり前でつまらない結論へたどり着くまで3度のズドンを要した 水雷長は”判断力が衰えている”そんな痛感と──最初に訪れるのは20をいくらか過ぎたあたりだ。もっとも何万かの脳細 胞が死滅し始めるころだいたいは社会に対するうまいやり方を覚え互助に預かれるので30年後ぐらいまでどうにかトント ンでいられる──痛感と、どよめきの中で見た。 ホムンクルスを。 高さ200mを超えるシロナガスクジラ型を。 そしてダンプカーさえスクラップにできそうなほど巨大なヒレが頭上3mでうねりを上げているのを。 水雷長の口を叫びが貫いた。恰幅のいい体は猛然と航海長を跳ね飛ばし野太い腕は無遠慮に艦長をひっつかみ、そして 投げ飛ばした。 痩せた色白の相棒は心得たもので上役を受けとめながら地を蹴った。幸運を上げるとすればヒレの向きがそうだった。水 雷長たちの視線と水平だったのだから。30m超の長さに不釣り合いな狭幅(きょうふく)の稜線。仲間たちがその埒外に無事 逃げおおせたのを確認すると水雷長は誰ともなしにニカリと笑い──… 山が煙を噴いた。村の辺りからたなびくそれは闇夜にとても生える茶色だった。震度6クラスの振動が大地を揺るがした。 爆発的な衝撃が水雷長の全身を貫いた。黒光りする749kgの金属板は彼の肉体に接触しまるで勢いを殺さぬまま地面に 向かって振り抜かれた。ダイナイマイトの炸裂の方がまだマシだという破裂音が航海長や艦長の鼓膜を著しく傷つけ膨大な 土煙を巻き上げた。屋台や家屋のひしゃげるめりめりという音がした。難を逃れたものたちはただ唖然とその様子を見ていた。 尻もちをつく黒服もおり中には涙を浮かべる戦士さえいた。 「具申しよう!! みどもはこの村の村長……つまりは共同体のボォス!! どうだこの大きさスゴいだろう絶望だろう!!」 山の手高くにある村へ悠然と並び立ったホムンクルスはとてもとてもクジラだった。瞳は球体型ジャングルジムに匹敵す る大きさでそれがぎょろぎょろぎょろぎょろ忙しく動き回りながら戦士を見ていた。 「普段はこの大きさゆえに村入るンじゃあねえ出禁くらってやむなく穴掘って地下でうつらうつら眠っているが今回みたいな 有事の際には何かと頼られるタイプ!! 現に戦士1名殺害!! え!! なんでみんな祭りやってたの!! 先週貰った お知らせのプリントには一言もなかったのに!! 連絡の不備なのかなあどうなんだろう」 でっかい頭をぐにぐに左右へ振りながらシロナガス型は「ま。いっか」と潮を吹いた 「戦士全滅させれば誘ってもらえるよねえきっと。うん。さあ覚悟しろこんなでっかい村長さんに効く武装錬金などある訳──…」 「なあー!! いまの文言訂正しておいた方がいいぜー」 戦士の1人が声を上げた。 「???」 「だからー。お前いま水雷長殺したようなコトいったけどー」 大通りに振り下ろされたままのヒレに異変が生じた。ほぼ中央。水雷長の居た辺りに穴が1つ。穿たれた。 「??????」 針でも刺したような、凝視せねば分からぬほど微細な穴。だがそれを中心に大きく亀裂が入った。ピキリ。ヒレの外装が 花瓶のように割れ飛んで火花散る内装を露呈した。ピキリ。ピキリ。スプーンで叩いたゆで卵を思わせる様相で伝播する 亀裂。それはあっという間にヒレ全体を覆い尽くし息も尽かさず粉々にした。そして──… 「なんだ。この程度か」 破片の雨の中、水雷長はぼんやり呟いた。腕を無造作に突き上げたまま無造作に突っ立っている彼は特にどうという 外傷もなく、それがシロナガス型をうろたえさせた。 「な。言った通りだろ」 「俺らのかなり本気の総攻撃喰らって無事だもんな」 「防人戦士長との組手、33勝56敗だからな。シルスキなしのガチンコだけど」 「負け越し? いやいや素手で勝てるだけでも大したもんだ」 楽しそうに顔を見合わせうんうん頷く戦士たちがまた混乱に拍車をかける。 「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!! なんだよ!! なんでだよ!! 村長さんの ヒレはねえ!! 749kgあるんだよ!! しかもホムンクルスだから金属っぽいし!! なのに生身の人間が直撃受けて 無事なのはどうしてなの! 手ごたえは確かにあったよね! ね!!」 「あー。いや。俺いちおう深海を生身で動けるし。6000mぐらいなら平気」 「はい?」 「だって俺らとか艦長とか潜水艦持ちだろ。万が一武装解除に追い込まれた場合でも核鉄だけは持ち帰れって戦団から強く いわれてるんだよな。だから訓練した。今まで味わった超深海層の圧力とかの悪条件に比べたらお前のヒレは、そのまあ、 別に……かなあ?」 気休め程度だけどいちおうこの制服も耐圧使用だし。後頭部をかきつつ淡々と述べる水雷長。シロナガスは「ええと、え えと」と汗を飛ばしてからまくし立てた。 「いやいやいや。どんな訓練ですかそれは。学研の2年の科学とかだとカップラーメンの容器がめちゃくちゃ小さく圧縮され るのが深海なんですってば。それ以外にもいろいろあるし、普通絶対死ぬんじゃ」 「いや。戦士の特訓の要領で核鉄治療繰り返せば割と何とかなる。わざと死にそうになって回復。わざと死にそうになって回 復。すると段々頑丈になる。最初は大変だったな。浅いところから始めてみたけど深さ4ケタ辺りから様子が変わってきてさあ ちょっと生身で潜るだけで半年ぐらい意識不明。植物状態になったな。で、治ったら寝てた分だけリハビリしてまたチャレンジ。 それを8セットぐらい繰り返したかな。10代のころ学校も通わず。航海長も似たようなものさ」 「…………えーと」 「脳だけで200回は手術した。なんだかったかな。よく覚えてないけど血栓だか浮腫だかの問題で手術しなきゃ死ぬって言 われたから仕方なくサインしてさ。自前の肺なんてもう32分の1ぐらいしか残っていない。後は深海用にチューニングされた 人工物。でもまあいいかなって。だって肺ガンにだけはならない、なりようがないって聖サンジェルマンの連中はいってくれるし。 あ、でも骨は一応全部自前。ただ困ったコトに」 『白い輝き』が不自然に目立つ拳を水雷長は突き上げた。 「頑丈になりすぎちまった。トドメこそさせないけどホムンクルスの攻撃凌ぐぐらいはできるんだよなあ……」 (ヒレに皮膚擂り潰されたせいで露出した骨!! それで防……いや、ヒレにカウンターかまして砕いた!!? うそぉん!!) 「いま考えると部分発動だけで防御できたかもな。こういう風に」 水雷長の腕の辺りで空間が……”歪んだ”。小さな光とゴテゴテした影が収束し、そして消えた。 次の瞬間。 妙な物体が30本ほどシロナガス型を襲撃した。筒に羽根とトンガリのついたタイプのミサイルだった。「3BK29?」「成形 炸薬弾キタコレ」「水雷長のくせにアイツいろいろなミサイル使えるんだぜ」。はやし立てる戦士たちの目の前で巨大なホム ンクルスは顔面のあちこちを爆発させた。内部機械が剥き出しになり破片がガラガラと降り注いだ。 「あれはキくぜー。ユゴニオ弾性限界を超えた銅のメタルジェットがうんぬん」 「なんやかんやで装甲との相互作用面が装甲材自体の機械的強度を無視するんだ!」 「つまり防御力無視? でかくて頑強そうな分、ショックだろうな」 「ああ。よろめいた。侵徹口から弾片や爆風が染み込んだんだ」 シロナガスクジラは後ろに向かってたたらを踏んだ。身長ゆえに後ずさりもダイナミックだ。あっというまに先ほどディープブ レッシングが停泊していた森へ達し。とうとう錆びついたダンプカーに足を──クジラにも関わらず、ある。不思議な──取 られ蹴躓いた。そのとき村にいた戦士のひとりは大笑いした。10tは積める決して小さくはない車両運搬具がヒラリヒラリと 夜空にきり揉んでいた。夜中(やちゅう)にも関わらず観測できた理由は高度にあり、最高時はおよそ58mまで達していた。 弱り目に祟り目。律儀にも垂直に飛び上っていたダンプカーはほぼ元の位置に落着した。そこはやや様子が変わっており、 仰向けで呻くクジラの腹が広がっていた。落着。ダンプカーはささくれたバンパーから全重量をねじ込んだ。柔らかな腹が 地軸へ向かってひん曲りトランポリンよろしく陥没した。ほとんどテイルランプの辺りまで埋まった巨大車両は何本かの脊柱 にヒビを入れた辺りでようやくびょーんと飛び上り森の奥へと去って行った。 さてクジラ。彼は泣きながら立ち上がり大慌てで走り始めた。口から零れおちる消化液臭い大量のオキアミが道程をどし ゃどしゃと汚した。脊柱のヒビはすぐ治ったが──錬金術制のダンプでなかったのがせめてもの幸いだった──あらゆる非 情の予想外に決心した。 逃げよう。 どこか海で暮らそう。 彼の旅は、ここから始まった。 「逃げるのは勝手だが一言だけ言わせてもらおう」 エコーの掛った厳粛な声。その出所を求め頭上を見上げたクジラは戦慄した。 潜水艦。全長だけなら自分を凌ぐ超ド級の武装錬金が……飛んでいる。 落ちて、来ていた。 もちろん頭部──急所たる章印のある──めがけ轟然と。 体感だがそれは音速を超えているようでまだまだ20mある距離などまったく気休めにならなかった。 「私は貴様を絶対に許さん。絶対にだ。なぜなら……」 わずかな沈黙の後、艦長はいらただしげに肘掛けを叩いた。 「クジラが陸にいるなど……まったく場違いにもほどがある。不愉快だ!」 「潜水艦に言われたかねえええええええええええええ!!!」 絶叫と轟音が世界を揺るがす中、戦士たちは胸中「まったくだ」と十字を切った。それがせめてもの哀悼だった。 10分後。夜空を巨大な戦艦が飛んでいた。満ち始めた月も背後に緩やかに飛んでいくその船は艦首に巨大な ドリルが付いている。やがて雲海の中で艦影が加速を帯びた。艦は何事もなかったように飛んでいく。 「戦団本部に打電。我ら無辜の人々を救出せり。以後は予備兵にて保護されたし。場所は──…」 「……以上だ」 「アイアイ」 「アイアイ」 いわれたとおりの作業を行うと狭い操舵室に安堵の空気が満ちた。 「しかし結局何だったんだあの黒服ども? 最初見た時は明らかに化け物だったよな?」 「ホムンクルスも圧倒していた。ディープブレッシングに跳ね飛ばされてもほぼ無傷だった」 珍しく雑談に紛れ込んできた艦長に水雷長は気をよくした。軽く席から身を乗り出し航海長に呼び掛けた。 「でも調べじゃあの黒服たち人間なんだろ? どういう訳だ」 「ええ。人間です。その点については聴取済みです。艦長。報告してよろしいですか?」 「うむ」 艦長はただ、重苦しく頷いた。 【以下、黒服たちの証言】 「山神さまだべ。山神さまがおでらに力ばくれたんたべ!!」 「んだんだ。先代がむかす迷惑かけちまったからって助けてくれた!!」 「よぐできた2代目さんだべ。先代はあなたもう本当ヒドイ奴だったば」 「作物は荒らすわコッコ食べまくるわ娘ご犯すわで本当手がつけられんかった」 「おで子供6人ぐらい喰われたべ。仕方ねーから父ちゃんと頑張って10人ぐらいこさえたべ!! ははは!!」 「先代の山神さんべか? あー。7年前か8年前だったべか? 死んだの」 「金髪の剣士さんとか実況好きな女のコとかが退治してくれたんだべ」 「あんとき不慣れな感じでビクついてた鎖使いさんいま何してだろーね」 「やたら声がでかくてねえ。しゃべるたび山さ崩れるんじゃねーかってオラ不安で不安で」 「2代目の山神さんべか? 1年半ぐらい前からちょくちょく村さ来るようになったべ」 「最近? 最近はあなた来なかったべよ。なんか関東の辺りさ出稼ぎに行くとか何とかで」 「入れ替わりに村の奴らさ来だのもそのころだっぺ」 「あいつらもまたヒドかった!!」 「作物は荒らすわコッコ食べまくるわ娘ご犯すわで本当手がつけられんかった」 「おで子供6人ぐらい喰われたべ。仕方ねーからまた父ちゃんと頑張って10人ぐらいこさえるべ!! ははは!!」 「実際アイツラもまたヒドくて! でもどうせ戦っても勝てねーからってオラたちじっと我慢してた」 「そこであーた2代目さんが帰ってきたべよ」 「いーい山神さんだったべ」 「事情話したらあいつら倒せる力ぽんとくれたべ。最初腕とか変形した時はびっくらこいたけどよー」 「ん? お金取られたかって? いんや何にも。タダでくれたべタダで!」 「怪しい実験? それもされなかったべ」 「んだんだ。ちょっと自己紹介して欲しいって言われたぐらいだな」 「名前教えるぐらい普通だっぺ。それがお前敬意ってもんだぁ」 「最近の都会の若いコたづはそこがダメだべ。ゆとり世代の弊害だべか」」 「とにかく山神さまがオラたち点呼したらキバとか生えたべ」 【以上、黒服たちの証言おわり】 「するとアレか? その山神さまとかいうのが黒服たちに」 「ホムンクルスを打破しうる力を与えたようです」 水雷長はあんぐりと口を開けたまま天井をしばらく眺め……面倒くさそうに溜息をついた。 「いまはもう黒服たち、人間に戻ってるんだよな」 「はい。調査用の武装錬金を持つ戦士が何人か彼らをくまなく調べましたがどの結果も”シロ”です」 「じゃあ何なんだ? ホムンクルス幼体を埋め込まれたって感じでもないし」 「……武装錬金だ」 はい? 若い男2人は思わずハモりながら背後を見た。 そこにいるのはやはり艦長で、やはりいつものまま鋭い三白眼をギラつかせている。 「航海長。戦団に再び打電。調査要請を掛けろ」 「アイアイ。相手は誰ですか」 艦長は迷いなくその名を告げた。 「戦士・千歳と根来だ」
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黒服「ハオさんですね」 ハオ「は、はい」 黒服「大人からの言伝てです、偶然を装いあの喫茶店に来ることと」 ハオ「解りました」 麻雀喫茶 傀「……」ペラ… 劉(ノーレートの店に人鬼……!?) 京太郎「今日は一人ですか?」 劉(知り合い!?) 傀「ええ」 京太郎「今日は半荘一回だけですけど打ちますか?」 傀「……フ」カタ… 劉(誘いに乗っただと!?) カラン… 京太郎「あれ、ハオさん?」 ハオ「おや、京太郎ですか」 傀「面子は揃ったようですね」 ハオ「え?」 劉「入って頂けますかな、お嬢さん?」 傀「では、場を決めましょうか」 ハオ「……京太郎」 京太郎「何です?」 ハオ「いつも雀荘ではあんな……?」 京太郎「ああ、今日はまだましですよ」 ハオ(南場を待たずに1人ハコシタになったと言うのにまだまし……?) 京太郎「いつもの面子揃ってたら東一局で飛ばされますからねー」 ハオ(どんな面子!?) 特に落ちなくカン
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唯「なになに? 「6月の花のため、赤い花びら散らす花」?どういう意味だろ?」憂「ん~、「赤く染まった白い花、されど枯れることはない」?どういう意味だろ?」律「あ~楽しかった!じゃあそろそろ帰るか!」澪「そうだな、もうこんな時間だし」一同「じゃあまた来週ね~!」憂「今日は楽しかったね、お姉ちゃん」唯「また来年も来たいねぇ」憂「そうだね、きっと‥」憂「!? お姉ちゃん!!」唯「うわっ何?憂・・・憂!!」憂「いやっ!やめて!」黒服A「大人しくしろ!」ビリビリ(スタンガン的な)唯「憂・・・憂・・どこ・?憂~!? 憂~!!」律「唯のやつまた憂ちゃんか、本当仲良しなんだなぁ」澪「いやっ・・・でも何か様子がおかしくないか?」律「うん・・?行ってみるか」澪「ムギ!」紬「憂ちゃんの悲鳴が聞こえたから、戻って来たんだけど」律「おい、唯!どうした!憂ちゃんは?」唯「エグッ・・ヒック・・憂が・・・憂ぃ~・・・」梓「これ! 憂のサンダル・・!」紬「斎藤さん! すぐに諜報部に連絡を!」ドドドドドドドドドッ!!律「さわちゃん!」 梓「大きいバイク・・」さわ子「唯ちゃん! 今憂ちゃんが黒い車に乗せられて!」唯「・・・ヒック」律「・・唯」紬「唯ちゃん! 落ち着いて、そして集中して!」 紬「唯ちゃんなら憂ちゃんがどこにいるか感じ取れる筈よ! 憂ちゃんの見ている光景を見えるはずよ!今日は曇りの日だもの!」唯「でも・・・私には・・・!?」唯「見えた・・・古くて、錆びたドアがあって、お酒のビンがあって、看板には、でびる・・?」さわ子「分かったわ!」律「さわちゃん!?」さわ子「間違いないわ!その看板、錆びたドア、私が学生時代のころのたまり場だった所よ! 唯ちゃん乗って!」唯「さわちゃん先生・・」さわ子「憂ちゃんを助けたくないの!?」唯「…行きます! 私は、憂のお姉ちゃんだからっ!」 斎藤「お嬢様方はこちらの車に!」紬「斎藤さん!!」斎藤「大丈夫!防弾ガラス搭載です。 ここにいるよりも安全です!さぁ早く!」----さわちゃんの昔のたまり場----黒服A「さて、どうするコイツ」黒服B「見られちまったしな。。。まぁいい、とにかく姉妹を一緒にさえしなければいいんだ。」黒服A「殺してもってことか?」黒服B「あぁ、金さえもらえればどうでもいいさ。」ドドドドドドドッ!!黒服A「何故この場所が!」さわ子「お生憎様、ここは元々わたしの場所なのよっ!」さわ子の鋭い左ハイがAの側頭部に、鋭い回し蹴りがBの顔面に当たり吹っ飛ぶAB唯「憂! 憂!しっかり!!」憂「お姉ちゃん・・・」 黒服A「このクソっ!」憂「キャッ」まだ縛られている憂を蹴飛ばすA、吹っ飛ぶ憂、そしてAの手元に黒い物が・・・黒服A「こうなったら妹殺して姉を差し出してやるよ!」バンッ唯「憂!!!」咄嗟に憂を庇おうとする唯、その時ガラッ律・澪・梓「唯(先輩)!憂(ちゃん)!!」澪「い・・・や・・・」澪「いやぁぁああああ!!唯ぃぃいいい!!!」飛び込んだ3人が見たものは、憂を庇い銃弾を受けおびただしい血を噴き出す唯であった。唯「憂・・・大丈夫・・・?」憂「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん!!!」 がっしぼか、黒服A,Bはさわ子がボコボコにして、琴吹家私設武装警備隊に連行されていった律「唯!唯!」梓「そんな・・・唯先輩・・・」紬「早く救急車を!!」唯「憂・・・良かった・・私、ずっと憂に悪いなって思ってたの・・・私はお父さんとお母さんと一緒に暮して来たけど、憂は一人で預けられて・・・」唯「一緒に暮らしてからも、ご飯とか家事とか全部やってもらって・・・本当に甘えてばっかりで・・・だからいつもお姉ちゃんらしくなりたいと思ってて・・・」憂「そんなことないよ!お姉ちゃんはお姉ちゃん!私にとって一番のお姉ちゃんだよ!!私はお姉ちゃんが大好き!! だから昔のことなんて関係ない!今お姉ちゃんと一緒にいられれば、私は、他に、何も、要らないのに・・・」憂「お姉ちゃん・・・死んじゃやだよぉ・・・」憂「お姉ちゃん・・お姉ちゃん・・・!!」 梓『唯先輩・・・うそ・・・そんな・・』この時、余りのショックでむしろ冷静になっていた梓は、おみくじの内容を思い出していた。梓『そうか、憂の浴衣のクチナシは6月何日かの誕生花・・・そして、唯先輩の赤い花びらって・・・・』----エピローグ----こんにちは、平沢憂です。まだまだ暑い日が続きます。先ず、あの日のことですが、あのあと澪さんが必死にお姉ちゃんの止血をしてくれて、救急車が来た時に処置が手早く済みました。血とかすごく苦手な澪さんが頑張って止血してくれて、そのあと気絶しちゃったんですけど。目を覚ました澪さんを律さんが「よく頑張ったね澪」って抱きしめてナデナデしてる姿が印象的でした。澪さんは顔が真っ赤だったけど、どこか嬉しそうでした。 お姉ちゃんはというと、銃弾は貫通していて命には別状はありませんでした。本当に良かったです。。。今はまだ病院に入院しています。そして、お父さんとお母さんに会いました。お姉ちゃんのお見舞いに来て、そして私もその場にいて、まさに出くわしたという表現でしょうか。お父さんもお母さんも泣きながら「ごめんね、ごめんね」って言ってくれたんです。でも、私はお姉ちゃんさえいればいい。今こうしてお姉ちゃんと会えて幸せ。だから謝らないで、「お父さん、お母さん」と言いました。自然と、そう言えたんです。 あとから聞くと、恨みや罵詈雑言を覚悟していたようでしたけど、私にそんな気は全然ありません。でも今また、家族団らんの為に何か考えてくれているようです。梓ちゃんも、お姉ちゃんが目を覚ましてから号泣して抱きつきながら「唯先輩!唯先輩!」と叫んでいました。もしかして梓ちゃんもお姉ちゃんが好きなのかな・・?でも、まだ渡したくはありませんから、お姉ちゃんに関してはライバルになりそうです。紬さんは、こうなることを防ぐために琴吹家で動いていたこと、私たちを守ることも琴吹家の使命なんだと言って、でもそれが出来なかったことを本当に申し訳なく、感じているようでした。さわ子先生は、教え子を救ったってことで、警察と学校と、琴吹家から表彰を受けていました。斎藤さんの部下の、高須さんって方と最近いい感じみたいです。そして私は、軽音楽部に入部することに決めました。お姉ちゃんやみんなと私も演奏してみたい、と思って。ギターならお姉ちゃんに教わって少しは弾けるしね。 そして-----------学園祭に向けて澪「梓、一応リードの練習もしておいてくれないか?」梓「嫌です!唯先輩じゃなきゃ嫌です!」澪「でもまぁ・・一応な」憂「梓ちゃん、頑張ろう?お姉ちゃんはきっと戻ってくるから、その時びっくり させてあげようよ」梓「まぁ、憂がそうこまで言うなら・・・」さわ子「衣装作ってきました~!!」律「またしてもノリノリだぁ!」紬「あら、可愛い!」 律「今日はこの辺にするかぁ!」澪「そうだな、あれ?憂ちゃんは?」梓「憂ならソッコーで帰りましたけど」律「また病院か、毎日毎日かいがいしいな」紬「あら?これあの日の写真ね?」澪「そうそう、憂ちゃんにも渡そうと思ってたのに・・・」紬「そしてこれはおみくじね・・・まぁっ!!!」 律「ん?どうかしたか??」紬「何から話せばいいか・・・これを見て!」梓「あの二人の写真?」紬「そう!この浴衣!唯ちゃんの浴衣のキキョウ、これの花言葉はね、「変わらぬ愛」って意味なの」紬「そして憂ちゃんのクチナシ、これの花言葉は「私はあまりにも幸せです」って意味なの!」澪「ほぉ~すごいなぁ!」律「正にあの二人を表しているかのようだ」紬「そして、おみくじの内容、梓ちゃんも言ってた赤い花びらってのは残念ながら当たってしまったけど、憂ちゃんの方も当たりね!」梓「そうか!クチナシの白い花が、赤く染まっても憂の幸せは枯れてないって・・・」紬「そうなの!」さわ子「何だか素敵ねぇ」紬「そしてこれ 唯ちゃんのおみくじ1184番と憂ちゃんの1210番」律「それがどうかしたか?」紬「じゃありっちゃん、1184の、1184以外の約数を全部出して、それを足してみて? そして澪ちゃんは1210の、1210以外の約数を同じように全部足してみて?」律「難しいなぁ。。」梓「手伝います。」 律「あっ! 1210だ・・・」澪「1184だ・・・」紬「ね? これを友愛数って言うのよ。親和数とも呼ばれるけどね。昔からカップルのおまじないみたいな感じで、この数字は出てくることはあるの」紬「やっぱり唯ちゃんと憂ちゃんは、心の底から繋がっているのね。 これから二人にはいっぱい幸せになってもらわなきゃね!」律「そうだな!」澪「あぁ、微笑ましいしな」梓「そうですね!」 紬「そして、この「1184と1210の組み合わせを見つけたのが、確かイタリアのパガニーニって人なの。」紬「当時16歳で見つけたのよ。そう、唯ちゃんの誕生日は再来週、憂ちゃんはこの前誕生日がきた。」紬「年子の姉妹が、生涯で唯一二人とも16歳でいられるのは、今だけなの。」紬「大丈夫、貴方たちは幸せになれるわ。 そして、私たちがその幸せを守ってあげる 守りたいの。」 おわり 戻る
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登録日:2015/05/09 Sat 15 27 26 更新日:2024/04/08 Mon 13 09 32NEW! 所要時間:約 21 分で読めます ▽タグ一覧 1日外出録ハンチョウ まさに外道 カイジ コメント欄ログ化項目 コンツェルン サラ金 ダーク企業 ブラック中のブラック ブラック企業 中間管理録トネガワ 企業 会社 兵藤和尊 兵藤和尊奉仕団体 利根川幸雄 地獄絵図 壊滅的チームワーク 帝愛 帝愛グループ 悪の組織 悪徳企業 架空の企業 架空の組織 極悪企業 橋爪竜蔵 消費者金融 漆黒 焼き土下座 独裁 社畜 福本伸行 組織 賭博黙示録カイジ 超優良企業←事業の内容はブラック 逆境無頼カイジ 闇金 闇金融 高利貸し 「愛と真心のパートナー、未来はあなた達の手にある――帝愛です!」 帝愛グループとは、福本伸行の漫画「カイジ」シリーズに登場する犯罪会社組織である。 ◇データ ◇概要 ◇借金の主な回収方法●ヤクザが力ずくで取り立てて回収 ●臓器・人身売買 ●土地・家等の差し押さえ ●保険金 ●系列会社からの上納金 ●違法ギャンブルの企画等 ◇帝愛の関連施設及び事業●希望の船エスポワール ●スターサイドホテル ●帝愛地下帝国 ●裏カジノ ●億兆荘 ●会長専用帝愛冷蔵庫 ●TIイベントホール ●帝愛ホテル ●関西支社 ●南波照間支社 ●サロベツ原野支社 ●ラグビー部 ●ドリコム ●葬儀(直葬) ●チラシ ●テレビCM ●自己学習型人工知能黒服「T-AIくん」 ●Twitter ●裏帝愛CH(チャンネル) ●悪魔的事業融資相談会(仮) ◇ブラック企業も真っ青の社内情勢・ストレスチェック ・避難訓練 ・労働組合 ・健康保険(帝愛健保) ・ハラスメント相談室 ・社員食堂 ・制裁(初級編) 三個一 ・採用試験 ・社員数 ・帝愛幹部候補検討会議 ◇勤める上での利点 ◇法改正による崩壊の可能性? ◇余談 ◇データ 商号:帝愛ファイナンス株式会社 主な事業内容:消費者金融事業、不動産担保金融事業、事業者金融事業 本社所在地:東京都○○区○○○○ 帝愛ビル 電話番号:03-○○○○-○○○○ 創業年月日:19○○年9月1日 設立年月日:19○○年4月1日 資本金:25兆638億3,252万円 代表者:兵藤和尊 決算期:3月31日(年1回) 従業員数:2,059名 店舗数:全国主要都市103店舗 売上高:2兆646億円(グループ連結:17兆1,153億円) 加盟団体:日本貸金事業協会、一般社会法人 日本クレジット協会、一般社会法人 日本経済団体連合会 主要取引金融機関:株式会社四菱UKO銀行 上場証券取引所:日本証券取引所(市場第一部) 株主総会:6月 会計監査人:有限責任監査法人トマソン ウェブサイト:https //www.teiai.co,jp ◇概要 消費者金融を主体とした日本最大規模の巨大コンツェルン。 全国に100以上の支社を持ち、創立から実に40周年を迎えている。 会長は兵藤和尊。社長は現時点では登場していない。(地方の支社長は『トネガワ』版で出ている) 主な生業は貸金業、つまり消費者金融である。 ただし、そのほとんどはヤクザが取り仕切る悪徳の闇金であり、金利も違法としか言えない暴利である。 例えば作中ではカイジが連帯保証人となった古畑の借金は30万であったが、ものの14ヶ月で385万というとんでもない額にまで膨れ上がっていた。(*1) 「こんな暴利なんて払う義務はない!」と叫びたい者もいるだろうが、遠藤曰く、「違法も法だよ……」とのこと。 帝愛はあらゆる手段を用いて借金を取り立てる。 その方法は下記の通りで、どれもこれもえげつないものばかりである……。 金融関係の事業を手がけている帝愛だが、下記のようにカジノやホテル、レストランに海運業など意外にも多角的な経営を行っている様子。 ただし、上述したように全国各所に支社を持っているのだが、鳥取県と島根県には進出していないことが判明しており、この地域で何かが起きても帝愛は即座に動くことは出来ないという事情が語られている。この2県に支社を置くことは伝説の島に置くよりも難しいのか? やっている事そのものは非合法的でまさに悪役そのものと言うべき存在だが、一応ちゃんとした企業という事もあってか 利根川・黒崎・黒服の山崎など、カイジの取り巻きの債務者と比べると、(会長を除けば)真っ当な常識人が多い…ように錯覚するが、少なくとも幹部級の人物はよく見ると債務者とはまた違った方向性で狂っていることが多い。 カイジなどの債務者が「クズ」「底辺」「野良犬」だとすれば、帝愛の人物は「外道」「畜生」「詭弁家」という感じだろうか。 また、表向きはれっきとした大企業であるため『和也編』でも描かれたように、怖いもの知らずの無法者や犯罪者にはその莫大な資産を狙われることもあり、身代金目的の誘拐未遂事件を起こされたこともある。 『トネガワ』によると職位は黒服(平社員)・幹部候補・幹部(役員)・会長の4ランクしかなく、 一般的には幹部候補以上クラスの人間が、複数の黒服を従え1チームとして活動をするスタンスを取っている模様である。 その為、たとえ幹部クラスの人間であっても基本は平社員と一緒に仕事をするという形となる。 言い様の無いブラック企業ではあるものの意外と風通しは良いようで、 利根川チームはもちろん、黒崎チームの方でも昼休み中に部下と一緒にバトミントンを楽しむ様子が描かれている。 ◇借金の主な回収方法 帝愛は生業としている金貸し以外にもあらゆる手段を持って、市民から金を搾り取ろうとする。 そもそも帝愛は国家権力とも癒着しており、橋爪竜蔵という元総理大臣は帝愛に有利となる法律をいくつも通している。 国そのものがグルみたいなものなので国法など帝愛にはほとんど通用しないも同然。 『銀と金』の蔵前仁と似たようなものである。 ただ、村岡が兵藤和也に「坊っちゃんの悪行を警察に言う」と口にした時、和也は真顔になったため、どんな事でも許されるわけでもないらしい。 また、カイジが24億円を持って逃亡した時も、基本は帝愛メンバーのみで追いかけており、権力を自由に操れるほどでは無いようだ。 ●ヤクザが力ずくで取り立てて回収 相手は「違法も法」で通すヤクザなので自己破産をして法的に支払い不能を申し立てても、そんなことはお構いなしで取り立ててくる。 情報網が凄まじいので偽名を使おうが、海外に逃げようが無駄。どこまでも執拗に追ってくる。 さらに負債者本人が払えなければその家族にまで手が及ぶ。 ただ、ホームレスのように人相が識別できないほどに変わって、家族などが他にいない劣悪債務者となると流石に回収は難しいようだ。 シャバでのまともな生活は諦めて身を潜めながら逃げ回るしか手はない。 また、トネガワのアニメ版でも描かれたように帝愛が悪徳であることを逆手に取って開き直り、意図的に踏み倒そうとする不埒な債務者も存在し、そうした相手からの回収も困難な様子。 ここら辺は普通の借金取りと同じであるがところがどっこい、こんな程度だけで済む訳もなく……。 ●臓器・人身売買 兵藤和尊の息子、和也はカイジに金を貸し付けた際に欠損事故ルーレットと称し、 返せない時は手足や臓器を切り刻んで売るという恐ろしい手段で貸付金を回収しようとした。 また、和也編に登場した闇金会社の社長も債務者の腎臓を摘出して換金するルートがあるため、 他にも臓器売買によって金を回収している所もあると思われる。 また、エスポワールで別室に落ちた者はその後、人体実験の検体や売春のために外国に売り飛ばされているそうで、 もはや帝愛にとって負債者達は人ではなく、とことんまで金を搾り取るための家畜でしかないのだ。 帝愛から金を借りた経験のある石高によると、支払いが数か月滞ると黒服が債務者に禁煙を推奨してくるなど臓器を気づかい始めるような言動を見せてくるとのこと。 ●土地・家等の差し押さえ 借金を回収しようにも負債者が金を持っていなければそもそも話にならないが、その場合でも帝愛は負債者の住む家や土地を強制的に差し押さえてしまうため、全く問題にならない。 上記の和也もカイジが村岡に勝った際には足りない分の賭け金を村岡の自宅と土地の権利書を差し押さえ、現金に変えている。 負債者が泣こうが喚こうが容赦なく、住む場所を奪ってでも金を手に入れようとするのである。 ●保険金 上記の和也のように臓器売買による傷害保険で金を得られる。 また作中でははっきりと描写はされていないが、恐らく負債者に対して違法で生命保険がかけられていると思われるので、 鉄骨渡りで墜落死した参加者や地下帝国で再起不能となってそのまま囚人が死ねば、それだけで金が回収できる。 帝愛は負債者を殺してでも金を搾り取ろうとするのである……。 ●系列会社からの上納金 傘下の闇金会社や闇カジノからロイヤリティとして上納金を巻き上げている。 闇カジノなどは裏ビジネスゆえに無税だが、その代わりに帝愛に金を支払っている。 それほど法外な額ではないらしく、村岡の発言からすると、正規の税金を払うよりは少額の模様。 ●違法ギャンブルの企画等 負債者達を集めてギャンブルが開催されるが、それは負債者同士を争わせる様をパーティやディナーショーに参加した悪趣味な資産家達に見物させることがある。 その参加費や賭け金がそのまま下締めである帝愛の収入となるのだ。 スターサイドホテルの「勇者への道 Brave men road」(*2)や和也プロデュース、映画版の姫と奴隷がまさにそれであり、 恐らくエスポワールでのギャンブルも中継されていたと思われる。 債務者だけでなく、弱者が泣き叫び、苦しむ姿を楽しみ愉悦を感じる醜悪な人間達もまた、帝愛にとっては格好の客人なのだ。 ◇帝愛の関連施設及び事業 ●希望の船エスポワール 帝愛の幹部、利根川幸雄の系列が主催しているクルーズが開催されるギャンブル船。 負債者を集めたギャンブルは当然違法であるため、基本的に人目のつかないゴーストタウンや日本の法律が及ばない公海の船上で行われるのだ。 また、同時にギャンブルに負けた人間を上記のような理由で人身売買するための密輸船でもある。 下記の地下帝国に送られる人間も含まれていると思われる。 元は帝愛傘下の黒金海運が保有している船であり、トネガワにて明かされたスペックは以下の通り。 全長・200メートル 全幅・23メートル 総トン数・50トン 喫水・7.8メートル 航海速力・最高21ノット フロアー・400平米超 数字だけ示されてもよくわからん、という諸兄も多いだろうから有名な客船と比較すると、 タイタニックや日本最大の客船こと飛鳥Ⅱよりは外観(全長全幅)では一回り小さい。(*3) 総トン数は機関部などを含めた船の容積なので、このサイズのクルーズ船で総トン数50トンというのは考えにくい。(*4) そこで5万トンの誤記と考えると、4万6328トンのタイタニック以上、飛鳥Ⅱとおよそ互角の規模になる。 ●スターサイドホテル ゴーストタウンに建てられた帝愛グループが所有している高層ホテル。見た目は新宿の東京都庁にそっくり。 オープン前とはいえ、ホテルの設備自体は既に出来上がっている様子。 ちなみに映画版だと帝愛の本社のような描写となっていた。 ●帝愛地下帝国 某所に建造されているという核戦争後の世界を生き残るための、帝愛グループ及び帝愛に貢献した人間専用の核シェルター。 ただのシェルターではなく、病院やコンビニやテニスコートなどあらゆる施設が敷設予定というまさに世紀末世界の頂点に立つであろう帝愛の王国(予定) 兵藤会長が生きている間には絶対に完成しなさそうである……。 借金が溜まりに溜まりすぎた者はここに収容され、例えば1000万円なら約15年強制的に働かされる。 基本的に行われているのは拡張工事であるが、さらに工事が進めば他の仕事も任されると思われる。 一応、返済施設の一つであり労働中は金利はチャラになるのでしっかり働けばいずれは借金は全額返せる…… ……ところがどっこい、労働及び生活環境はかなりというか地獄のように劣悪な上に、 わずか日給3500円という常識では考えられないほどの超低賃金であり、しかもその内2000円は強制的に借金返済に当てられ、そこから更に1150円が施設利用費等の名目で天引きされ、1日の重労働で得られる賃金が350円、つまり月給が9100円という計算になる有様(しかも専用の通貨)なので15年もまともに働けるわけもなく、 ものの数年で病気などになって再起不能となり、死を待つだけとなるのがほとんど。 しかし懲罰的な要素があるにしても、高齢の兵藤会長が使うシェルターの予定地がこんな劣悪な環境で大丈夫なのだろうか。 実際は上記の生命保険目当てと、使い捨ての家畜という二重に利用されるだけ。 借金が払えなくなっても、死ぬまで帝愛のために飼い殺しにされなければならないのだ。 『破戒録』の描写だけでもかなり「地獄」と呼ぶに相応しい内容だったが『1日外出録ハンチョウ』ではさらに環境の酷さが掘り下げられ 各班長の物販用仕入れには自前の外出券や購入費用が必要(*5) スペシャルディナーのTボーンステーキは思ったより肉質が固めで大槻班長は満足していないらしい 漫画雑誌などは検閲され、性描写や反乱意識に繋がりそうな活発なキャラクターなど問題があると判断されれば黒塗りにされる。その割にC班班長の小田切がプリズンブレイクの上映会を開催できるらしい中途半端な緩さ 1日個室権は帝愛チャンネルしか映らないテレビやしょぼいサービスメニューが大半、まともな愉しみはビール3本とカラオケ程度 病床にいる医者みたいな爺さんはただの債務者でまともな医療知識がない=ペリカなしではまともな治療は望めないことが確定 など理不尽さ、救いの無さがさらに強調された。 しかし、中には20年以上もの労働を全うして借金を完済する猛者もおり、運に恵まれかつ体調管理をしっかりすれば一応外には出られる様子。 ちなみに負債者だけでなく帝愛関係者も失態を演じたり、帝愛に損害をもたらせばここに落とされる。(刑が軽い場合は単なる牢獄に入れられることも) 7億もの損害を出してしまった一条は……。 兵藤「1050年地下行きだっ……!!」 ●裏カジノ 村岡が社長を務めるようにいくつもの違法カジノがグループの系列として存在する。 中でも一番有名なのは一条が店長を務めている会員制の裏カジノ。 うらぶれた雑居ビルのフロアを二つ纏めて改装した場所で、一般的なカジノでのゲームの他にも この店独自の特徴としてパチンコが置かれており、しかも通常の出玉の10・100倍とかなりの高レート。 特に目玉なのは人喰い沼と呼ばれる一発台のパチンコで、 万が一にも当てれば数億もの大金を総取りできるのだが当然、そんな夢のような甘い話があるはずもない…。 ●億兆荘 スピンオフ作品『中間管理録トネガワ』で登場した、帝愛社員用の保養施設。 利根川が率いるプロジェクトチームの社員旅行の宿泊地として登場した。 施設は自然に囲まれた場所にあるようで、建物の外観も立派。 施設内も広く、麻雀卓・卓球台・ビリヤード台・ダーツ・カラオケルームなど多数の娯楽用品が用意され、遊び放題である。 施設の外には広いキャンプ場が存在し、利根川はここでバーベキューを企画した。 ただし、キャンプ場にあるバーベキュー用の鉄板は全て錆びているなど管理不足な面も。 しかも保養施設なのに、キャンプ場の倉庫には新品の焼き土下座強制機が収納してあるなど不穏すぎる。 当時この強制機の存在を認知していなかった利根川チーム(山崎を除く)は、そのせいでこの土下座強制機の鉄板でバーベキューを行う事態に。 なお、後に会長に突如到来した断捨離ブームにより、取り壊された。 ●会長専用帝愛冷蔵庫 『中間管理録トネガワ』にて登場。一人の人間のために用意されたには大きすぎる巨大な冷凍倉庫であり、大量の冷凍肉やプッチンプリンが保存されている。 ●TIイベントホール 『中間管理録トネガワ』にて名前のみ登場。限定ジャンケンの会場案コンペに於いて山崎が提案した会場。 中央区に存在するイベントスペース。広さ450平米、オーナーは帝愛の息のかかった企業関係者のため 違法ギャンブルを行うための秘匿性も問題無しの良条件ではあったが、 意外性・悪魔的要素に欠けるとして却下された。 ●帝愛ホテル 『中間管理録トネガワ』の週刊ヤングマガジン出張の番外編で登場した、今春からオープン予定のホテル。 最上階には会長が直々にプロデュースした最高級レストランがあり、番外編ではオープン前に会長・利根川・黒崎の三人が試食会を行った。 用意された品は「燕の巣のスープ」「ステーキ」などの高級レストランに相応しい料理。 ただし、燕の巣のスープは「塩辛い(黒崎)」「しょっぱい(兵藤)」「海水(利根川)」で、ステーキは「固くて噛み切れない(黒崎)」「ゴム底(利根川)」など割と散々な評価。 ●関西支社 『中間管理録トネガワ』にて登場した、関西方面における帝愛の支社。 ここの黒服たちは関西弁を喋る仕様となっている。 「静まらんかいボケども」などと関西弁で恫喝をし出すヤクザ風の上司などもいるせいで、社内の雰囲気は良くない。 また、業績が悪化しているようで、業績不振の改善を図るために利根川が派遣された。 ●南波照間支社 『中間管理録トネガワ』において存在が示唆された、日本の南の最果ての島と言われる南波照間島における帝愛の支社。 ここの存在意義は「会長が愛飲するサプリの海藻エキスの抽出場所」であり、つまり仕事はエキスを抽出するのを見つめるだけというあんまりな内容である。 実はこの島、現実の日本では伝説内でしか存在しない島(*6)なのだ。伝説の世界に支店を持っているってなんだこの企業⁉(人工島の可能性もあるが) ●サロベツ原野支社 『中間管理録トネガワ』の最終話において存在が言及された支社。 詳しい業務内容は不明だが、異動した黒服は野生のウサギを捕獲するなどの行動をしている。 ●ラグビー部 『中間管理録トネガワ』にて存在が言及された部活。 利根川が失脚したことでチーム利根川が解散した後、宣伝部に異動した堂下浩次によって設立された。 社会人の大会で優勝して社内にトロフィーが飾られているなど、順調に成果を出している模様。 ●ドリコム 『ダービースタリオン マスターズ(ダビマス)』とのコラボ漫画で登場。ダビマスの配信元。 「ゲームで日常を繰り返すなど愚の骨頂」「馬を持てぬ庶民の慰め」とダビスタに怒った兵藤の影響で買収される。 SEとデザイナー以外の企画管理職は全員追放され、社長も排除された。 兵藤の手によって作成された「ダビマス改変要件定義書」の内容にSEは反対するが、利根川の理不尽な説教(罵倒)でねじ伏せられた。 ●葬儀(直葬) 和也プロデュースに参加するにあたり、その参加者は危険を伴う建設現場での作業に従事する雇用契約書を締結するという形をとる。 人間が死亡した場合法に従った手続きを滞りなく行う必要があり、それが出来なければ事件として捜査されるからである。 契約書には不測の事態が起こった場合帝愛が直葬まで行うことが含まれているため、その時は火葬が終わり骨壺に納められた状態で遺族と対面することになる。 これは、およそ建設現場で起こった事故とは思えないほど見るも無残な遺体を遺族に晒したことで事件に発展するリスクを減らすためである。 そして言うまでもなくこうした事態の隠蔽に協力する医者や役所の職員も確保している。 ●チラシ 帝愛も企業なので当然だが広告を展開しており、チラシも各地に配布している。 そのチラシに和也に勝利して24億円を持ち去ったカイジ達を指名手配のような形で晒し、24億円を踏み倒した借り逃げ犯として扱っていた。 手配書には「コイツら本当に悪人」「草の根、分けても探し出せ!!」などの文面を並んでいるが、胡散臭さしか感じないセンスである。 そもそも借り逃げではないので嘘を付いている上に、仮に本当に借り逃げだと仮定しても個人をこのような形で晒すやり方をする時点で倫理観が疑われる。 というか、このチラシはそれ以前の問題である。 よく読んでみると分かるが、このチラシには「カイジたちを捕まえて差し出せば報奨金を出す」「○○すれば△△万円」ということは一切載っていない。 あくまで「カイジたちに対する私的指名手配もどき」「報奨金の相談はこの電話番号へ」などの情報が散発的に掲載されているだけなのだ。何に対する報奨金であるかさえ書いてない。 例えばカイジたちがあるレンタカー屋にいたというタレコミがあったとしよう。 帝愛はまず「事実を確認します」と答える。が、結果報告などしない。したとしてもガセと言い切る。たとえ事実だったとしても。しかし、情報としては蓄積する。 その後、粘り強く追跡して黒服が来るまで見張ったとしよう。 仮にカイジの捕獲に成功したとしても「捕獲を手伝いもしなかった奴には払わない」と答える。たとえ捕獲を手伝う余裕すら与えなかったとしても。 だったらとカイジたちを直接捕縛して帝愛本社に連行したとしよう。 その場合、多分その債務者が誘拐犯として通報される。で、カイジたちは普通に捕獲される。 だが、一切チラシの内容に違反はない。だってそんなこと書いてないんだから。 賞金を懸けているわけでもないので、訴えたとしても法的にもかなり厳しいと思われる。 なお、カイジが目撃した手配書型チラシは一応裏面掲載の形ではあり、表面は普通の典型的なサラ金の広告。 キャッチコピーが「私たち『帝愛』はあなたを信頼しています!」「毎月のコツコツ返済が未来を築く」となっており、実態を知る人間が見れば失笑もの。 しかも兵藤の写真が写されており、あまりにも不自然で醜悪な笑顔で「明日のために頑張るのじゃ」と台詞が添えられている。 ●テレビCM 大企業なので当然TVCMも流している。 ニュース番組への提供を予定していたが、兵藤のアニメオタクへの見下した偏見によってアニメ番組(兵藤曰く「内容がない日常系アニメ」)への提供に変更。 最終的に兵藤が採用したCM映像は「レオタードを着た女性達が情熱的なダンスを曲に合わせて踊る」という物。 この帝愛CMの元ネタは、かつて実在した消費者金融「武富士」の『武富士ダンサーズ』だと見られる。 (ちなみに武富士は武→兵、富士→藤のもじりで兵藤会長の苗字のモチーフと言われている) ●自己学習型人工知能黒服「T-AIくん」 自己学習型人工知能を持つ黒服型ロボットを運用しており、その名も「T-AIくん」。 業務やデータ管理だけでなく、債務者別の金利計算や取立てまで行える。更にはスマートスピーカーやWi-Fiも搭載。 しかし、しっかりと返済額を返したにも関わらず債務者の連行を続行するなどの問題点もあるのだが、そのまま各部署に1台配置された。 T-AIくんはシンギュラリティを起こしている可能性も指摘されている。 ついには占いを始めたが、利根川を見たところ「鉄板」「炎」「謝罪」「奴隷」「二度刺す」など不穏なモノを感じてしまう。 ●Twitter 『中間管理録トネガワ』によれば、こんなブラック企業でも、21世紀の現在ではいっちょ前にアカウントを作っている。実在の消費者金融大手はアカウントを作っていないので、炎上上等のチャレンジャーぶりが窺える。 日本を牛耳る帝愛も流石に海外に本社を構えるIT企業には力が及ばないようで、アンチのアカウントに手を焼いており、フォロワーを増やすために悪戦苦闘している。 後に担当になった海老谷の失敗とフォローに回った利根川の不運など様々な悪要因が重なってしまい、フォロワー数が10万を超えた代わりに停止に追い込まれてしまった。 ●裏帝愛CH(チャンネル) 帝愛が懇意にしている富裕層向けに運営されている動画サイト。月額980万円。 サイト名(と帝愛という会社)的にダークウェブの存在の可能性がある。 詳細なサイトの内容は不明だが、帝愛社員をターゲットにしたドッキリ動画を試験的に配信し始めた模様。 Youtubeに似た形式のコメント制を採用しているようで、このサイトにおけるいいね!ボタン的機能は「愉悦!」ボタンとなっている。 作中で描写された愉悦!ボタンのいいね数を素直に受け取った場合、最低でも455人のアカウントが存在する事になる。 ●悪魔的事業融資相談会(仮) 地下行きが確定している一部の多重債務者に対して行われる会。持ち寄った事業計画を3分間プレゼンし、会長と利根川が見込み有りと判断した場合はその場で地下行きは免除、場合によっては即融資してもらえるという理外の救済措置。 ……と書くと聞こえはいいものの、実際は会長が醜くあがくクズをただ嘲笑うための余興に過ぎず、大抵は問答無用で地下送りになるのがオチ。とは言え実際ペアホンとかマスコットキャラとかいらんものばかりなので仕方が無いが。尚、たまに自身の現状を全く分かっていない「正真正銘の馬鹿」が来ることも…… プレゼン失敗時の「ノーマネーでジ・エンド」という黒服の台詞や、50話のサブタイトル『金虎』から、モチーフはおそらくテレビ番組の「マネーの虎」と思われる。 ◇ブラック企業も真っ青の社内情勢 さて、この帝愛グループであるが企業の実権は兵藤会長が全てを握っており、失態を犯した部下には容赦のない制裁が待っている。 ノルマを達成できない役立たずはもちろん、帝愛に損害を与えた者は地下へ落とされ、海の藻屑とされ、 それまで帝愛に長く貢献してきた幹部クラスの人間でも例外はなく、あっさり切り捨てられて焼き土下座を強要されるのである。 しかもその影響は制裁された人間の配下にまで及び、失脚した利根川の系列に属していた遠藤は グループ内での基盤を失ってエリートから末端の債務者の捜索を行う遠藤金融の社長に降格された上、 一時は上納金も払えず別の系列の闇金に負債を抱えるほどに落ちぶれていた。 一方で利根川チームに所属していた黒服の中には出世してサングラスを外し黒服卒業した者も出たため、 直属の部下とはいえ末端の黒服にまでは利根川失脚の影響は(幸か不幸か)及ばなかった模様。 また、ちょっとした態度によっても兵藤から直接制裁が与えられるため、黒服達も決して油断はできないのだ。 それこそ、気のない返事や兵藤の気に障るような態度をとるだけで…… 兵藤「今、ホッとした者……制裁っ……!」 スピンオフ作品の「中間管理録トネガワ」では、さらに恐ろしい事実が判明。 利根川のような幹部級の人間は殆ど休日がないという実態が明かされた。 何故なら、兵藤が土日や祝日でも関係無しに気まぐれで呼び出すためである。 現にその事実を部下の黒服に明かした際の利根川は、20連勤をようやく終えたところだった。 このように休暇がない利根川からすると、地方への出張が事実上の休暇と言う始末である。 そして、利根川が出張を旅行気分で楽しんでいるその姿に読者は涙を覚えるだろう。 ただし、この時の黒服の様子を見る限りでは、黒服達には一応休暇はある模様。(*7) また、利根川などは「無駄な残業をするのは無能」という考えを持っており、自分の部下に過度な残業を命じてはいないようである。 一方で土曜出勤は当たり前であり、大雪などによって交通機関が停止しても早退命令が下されることもないなど、やはり黒服への気遣いはない。 ・ストレスチェック 帝愛の公式HPでは、社員全員が受けるストレスチェックの結果が例年満足度100%続きだと誇らしげに謳われている。 しかし、普通のストレスチェックといえば、4~5択の中から当てはまる選択肢にチェックするのが一般的だが、帝愛では、YES/NOの2択。 仕事にやりがいを感じる YES 最高に感じる NO 全く感じない(帝愛をどうにかして潰したいと思っている) 当然NOは入れられないので実質1択。結果は満足度100%。どう考えてもストレスがたまる一方である。 ・避難訓練 帝愛では他の一般企業と同じように災害に備えた避難訓練が半年に一度、実施されている。 だが、帝愛における避難訓練とは会長の財産の美術品などを避難させる訓練のこと。 お 億超え優先 は 破損は地下行き し 死んでも持ち出せ 火災発生という放送がなると、黒服は一斉に会長の財産の美術品などを避難させる。 その際に少しでも破損させると生涯地下行き。 ・労働組合 帝愛にも労働組合と呼ばれる組織はあるが、組合は会長の言いなりで、あってないようなもの。 2月には春に行われる労働条件改善を目的とした闘争。 いわゆる春闘が開催されたが、バスタブに浸かった会長が札束のリングの上で戦う労働組合のトップ委員長と書記長が戦っている様を面白おかしく見学しているだけ。 そう、帝愛における労働闘争とは労働者vs経営者ではなく労働者vs労働者。 一応勝ったほうに賃上げをするという約束だったが、勝った書記長が兵藤会長に伺いを立てるもあの程度の取り組みに賃上げはないと終了。 また、目安箱を設置したが、この目安箱の中身は実はシュレッダーで、意見が書かれた紙は粉々にされてしまう。 ・健康保険(帝愛健保) ハンチョウで大槻ら一行が外出した時の、石和の親知らず治療の際に存在が発覚。 健康保険の存在はほとんど知られていないが、地下労働者は全員自動的に加入になっている模様。 黒服については言及されなかったため不明。 推測だが、地下労働者には給料(ペリカ)支払いの際に様々な名目で天引きされているとあるので、健康保険料も含まれていると思われる。 また、本来の健康保険の仕組みを考えれば治療費の補填として医師側に支払われるはずだが、 医師も債務者として地下落ちしている人間なので、診療の際に支払われずに帝愛の懐に入っていると思われる。 ・ハラスメント相談室 近年騒がれているハラスメントに注目した兵藤が、パワハラ防止講習会(これは外部から講師を呼んだためか、まともな内容だった)を機に設置した。 プライバシー保護の為に二重扉で完全防音となっているのだが、利根川は偶然にも室内に響き渡る悲痛な叫びを耳にしてしまった。 後に様々な部署の人間が相談室に向かってから消息不明になっている事が語られており、相談とは名ばかりの制裁が行われている恐れがある。 ハラスメント相談室の実態を察した利根川は、自身の部下には近づかないように指示した。 利根川自身は、自分の部下に女性が入ってきた時には「セクハラに気をつけろ」と他のメンバーに注意するなど、真っ当な倫理観を持っている。 ・社員食堂 社員用の食堂も用意されているが、味噌汁の具はもやしだけしか入っていないという手抜きっぷり。安い業務用味噌汁以下のクオリティである。 なお、帝愛の地下強制労働施設の味噌汁すらまともな具がある(たまにサツマイモ、運が良ければアサリが入る)ので、帝愛社員の食事は劣悪債務者以下の待遇ということになる(社員食堂を利用せず、会社の外に出て、一般の飲食店で昼食を取ることは可能らしい)。 社員食堂の味噌汁に関してはTwitter上のアンチアカウント(正体は海老谷)によって、ネット上で暴露されている。 なお、他に本社3階には、割とお洒落なカフェテリアが設置されている。 ・制裁(初級編) 三個一 帝愛にも様々な制裁があるのはご存知の通りだが、遠藤が部下に行った帝愛伝統の制裁が存在する。 罰を与える者が一つ同じ食べ物を食した場合、罰を受ける者が同じ食べ物を三つ絶対に食べる事を強制させられる。 遠藤は失態を犯した部下の二人にはケンタッキーのチキンを食べさせた。 最悪地下送りもある帝愛にしてはマシどころか食えるので全然辛くない制裁…に見えるが、同じ物を大量に食わせられるので予想以上に辛い。 しかも遠藤はケンタッキーのチキンを3個食したため、部下は9個ものチキンを無理矢理食わされる事態になり、その苦しさに涙目になっていた。 一応食べ物の金銭的負担は罰を与える側が払っていると見られる(少なくとも遠藤の場合は)。 この制裁は「初級編」なので「中級編」「上級編」に該当する制裁があると思われる。 ・採用試験 採用は一般企業と同じように、書類審査(ES)と面接試験がある。 面接通知には「あなたらしい自由な服装で会場へお越し下さい」と書かれているが、暗黙の了解で上下真っ黒のスーツを着てくるのが決まりとなっている。 これは社会常識や帝愛に対する下調べをしてきたかをチェックする課題であるらしく、スーツ以外で来た者はその時点で足切りとなる。 面接は利根川などの幹部級が直々に行い、志望動機や自己PRなど極めて一般的なことをサラッと聞いた後、 帝愛に対する「企業研究」の程度、さらにはダーティーな仕事をする上での心構えについて念入りに掘られる。 (逆に言うと、帝愛が行っている違法な措置や、その漆黒のブラック企業ぶりについてはある程度のことを知っているのが前提となる) 採用に関しては幹部級にある程度の裁量権があるらしく、利根川は独断かつものすごくくだらない理由で多くの受験者を落としている(既に似た名前や顔がいる、逆に顔が目立ちすぎるなど)。なお、世間では就職先として人気があるのか、「トネガワ」では大勢の就活生が面接に詰めかけていた。 面接が終わると、「お気を付けてお帰り下さい」という決まり文句で面接終了となる。 ところが… 実は、「お気を付けてお帰り下さい」と普通に帰された人間は不合格確定となる。 面接官が目を付けた受験者については普通に帰さず、「あちらの扉にお進みください」と半ば強引に奥の部屋へと案内する。 そこには真っ暗な部屋の中に、あのサングラスがポツーンと置いてある。 何もわからずにそれをとってかけた瞬間、スタンバイしていた黒服が受験者を取り囲み「congratulation…congratulation…合格おめでとう…」と拍手で迎える。 そしてあらかじめ黒いスーツを着させられている彼らは、何の違和感もなく黒服の群れに取り込まれてしまうのである。 帝愛は優秀な就活生を物理的に逃がさないっ…。 ちなみに黒服に女性を採用することはかなり少ないようで、トネガワにおける女性黒服を見た他黒服の反応からもそれが見える。 そもそも黒服に限らず帝愛の業務に関わりたがる女性がいるかは微妙なところだが、実写映画版では遠藤が性別設定の変更で女性になっているという例はある。 いざ帝愛に入って仕事をこなしていても、一般的な企業と同様に10月の時期に人事異動(左遷)をさせられる危険がある。 本来は人事異動の詳細は上層部しか知りえないはずなのだが、異動が近い時期になると黒服達の間に情報が漏れだす。 (漏れだすが、暗黙の了解で異動する本人にだけは情報が伝わらない黒服ドーナツ現象が起こる) これで恐ろしいのが左遷場所で、上述した日本の最果ての伝説の島である「沖縄県 南波照間島」に異動させられる黒服が描かれている。 しかし、幹部である利根川が若き時代に南波照間島に左遷されてから戻ってきたことが示唆されており、絶望的に思える左遷でも出世ルートから完全に外れる訳でもなく挽回できる機会はあるらしい。 これに関しては、利根川の挽回が常識では考えられない程に凄かったか、会長の気分でたまたま戻された可能性もあるが。 このような帝愛の経営状況に疑問を抱いている黒服もいる様子。 なお黒服の待遇は、アオリ文によると「悪魔的終身雇用…」らしい。 彼らは今後何があろうと帝愛の手から逃れることは出来ないのだろう。何があろうとっ…。 …と、思いきやトネガワでは意外にも数名の黒服が帝愛から退職・転職をしていたりする。 カイジ本編での黒服の裏の仕事を考えれば到底易々と足抜けできそうには無いのだが…。 また、利根川チームに配置される前の堂下は辞表を出すにまで至ったが、上司がのらりくらりと受け取ってくれなかった過去がある。 トネガワ単行本7巻収録の番外編「三分」(日清食品の焼きそば『UFO』とのコラボ紹介回)では 入社して数週間の黒服(名前不詳)が利根川に退職の相談を申し出ている。 UFOを作りながらインスタント焼きそばになぞらえて帝愛に勤める心構えを説く利根川であったが、 利根川の思惑とは裏腹に黒服はUFOの素晴らしさに惹かれ、日清食品に理外の転職を果たしてしまう。 ・社員数 「24億脱出編」では、遠藤の口から、帝愛グループの社員数は1200人であることが語られた。 現実世界での消費者金融大手のアイフルやアコムの社員数が、本社だけで2000人を超えてることを考えると、 グループ全体で1200人というのは、かなり少ないと言える。 それだけ効率的な経営を行っているのかもしれない。 ・帝愛幹部候補検討会議 社内では毎年ごく少数のみだが黒服から幹部候補に昇格する社員が存在し、それを決めるために幹部が会議室で行う会議。 作中で描かれた会議では利根川が自分の部下を推薦するが、SNSでの言動を監視する黒崎による反論で該当者なしに終わった。 ◇勤める上での利点 こんな感じで世にも恐ろしい極悪企業の帝愛だが、一応巨大コンツェルンなだけあって給料は良いのか宮本は三十歳にしてはかなり良い部屋に住んでいる。 また、会長の旅行などの娯楽に付き合わされる黒服や幹部は、会長へのVIP待遇から生じる恩恵を受けられる。 トネガワ作中では会長に与えられる最高級で幻級の食材を使った機内食を、護衛として付き添っている黒服達も食べることが出来る姿が描かれている。 その食材を使った料理を食べた黒服達は感激のあまり「帝愛に入って良かった」とまで言う程。 また『中間管理録トネガワ』及び『1日外出録ハンチョウ』によると、会長がご機嫌だと利根川に高級車、幽閉されていた元幹部が釈放など、普段ではありえない程の報労の数々が支給される。あの地下にすら労いの品としてミキサーが与えられる程。 ただしその後会長がなんらかの理由で不機嫌になると、一度は与えられた報労の品を全て奪い取られる事になる。高級料理などの食べ物の場合は給料から引かれるのだろうか? 黒服たち一般社員の給与は不明であるが、スピンオフ「トネガワ」では、兵藤はもちろん、黒崎や利根川も馬主となっている。 個人で馬主になるためには、継続的な年収が1700万円以上、さらに7500万円以上の金融資産を持つという条件がある事から幹部クラスは、最低限、馬主になれるだけの報酬を貰っているようである。 会長の気分次第では黒服ですらシンデレラルートを歩めるという側面もあったりする。 例えばトネガワにおいて描かれた黒服の八乙女は、太鼓持ちが得意という能力を活かして超短期間で黒服から会長秘書にまでスピード出世をしている。 だが、仕事的な能力が全くもって不明な人物を重要ポストに置いてしまうなど、企業としてはなかなか不安定かつ滅茶苦茶な経営の証拠とも言えてしまう……。 交通機関が麻痺するような悪天候の予報が出ても社員を慮った早退命令も出さず、 サービス残業だの長時間労働だの、労基法破りまくりのブラック企業であるのは間違いないのだが、 利根川のような上司に恵まれれば人間関係などの環境は悪くないと語る者もいる。 ◇法改正による崩壊の可能性? トネガワ59話『過払』では、グレーゾーン金利の廃止が決定されて大混乱に陥る帝愛本社の様子が描かれた。 帝愛の金利はグレーゾーン金利廃止の状況下では完全アウトなので、致命傷となった。 結局グレーゾーン金利廃止は利根川の夢であり、利根川もグレーゾーン金利廃止などある訳がないと安心していたが、現実では2010年に廃止されている。 カイジの時代設定は1990年代後半である(崩壊気味の設定だが)ため、利根川もグレーゾーン金利の廃止など予想できる訳がなかったのだ(まあ、1990年代であっても、グレーどころか完全に違法の金利を設定していたりするのだが)。 つまり、帝愛は2010年代には経営に劇的な変化が起きてしまう未来が示唆されている。 利根川の夢ではグレーゾーン金利廃止によって恨みを募らせた債務者達に経営陣が襲撃される構図が描かれていたが、帝愛の悪魔的経営では多数の恨みを買っているのは明白であり、ふざけた想像でもないと言える。 だが、カイジ本編は国家や警察が帝愛と癒着して腐敗している絶望的な世界観であり、現実と同様の2010年代を迎えるかは怪しい。 と言っても最近の本編でもそこまで権力が回せてない節も見え始めており、利根川の夢の中でも、兵藤の政治への根回しは通じなかった模様ではある…。 ◇余談 兵藤「無論、というか……言うまでもなく……ワシは持っておる……金を……!」 兵藤は個人資産だけで円、米ドル、ユーロ、元がそれぞれ100億以上、 北半球に集中させるのもどうかと考えて豪ドルが50億ほどの預金を持っているとのこと。 兵藤「バカが……っ! 足りんわ……! まるでっ……!!」 だが、それでも兵藤は飽き足らずに金を掻き集めようとしている。 どこまで金が欲しいんだ、この金の亡者は……。 帝愛は愛されねばならんのだ……。もっともっと、追記・修正をするためにっ……! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 コメントログ 帝愛がっていうより日本が破綻しそう -- 名無しさん (2020-12-01 21 59 00) ↑破綻したらそれこそ地下帝国の真骨頂だろ もともと核戦争後に備えて作ったシェルターなんだから にしても1000万で15年ってことは石田の息子は300万で約5年ってことだから脱出は現実的な範囲だよな -- 名無しさん (2021-04-20 16 30 10) 実在の消費者金融大手はアカウントを作っていなき、ってあるけど、一応アコムの公式アカウントはツイッターにあるぞ -- 名無しさん (2021-05-03 13 10 37) コメント欄が長くなったので、コメント欄をログ化したいと考えています。 -- 名無しさん (2021-05-08 07 27 18) トネガワでは(ギャグスピンオフだからってのもあるが)ブラック企業として面白おかしく?描かれてるけど、ぶっちゃけ犯罪組織だよな。債務者に暴利をふっかけて人身売買や強制労働に手を染めてるわけだし。 -- 名無しさん (2021-07-17 19 58 08) ログ化しました -- (名無しさん) 2021-08-25 05 59 39 ↑2???「国家ぐるみの場合は犯罪にならんZOY」 -- (名無しさん) 2021-08-25 06 18 29 ↑12 脱出編はどうだろう、真面目に捕まえる気あるのかって気もするが(単行本追う限り)。金も権力も使わず捜索班はモチベ激安の債務者が主力。穿った見方をすれば黒崎が帝愛通さず個人的にカイジと連絡付けたいんで勝手にやってる感すらある。 -- (名無しさん) 2021-08-25 07 41 31 ギャンブルは違法だから公海でする、とあるけど、違法でも法とするほどのコネのある帝愛なんだから、帝愛が行うカジノだけは例外、って色々理屈つけて合法にするわけにはいかなかったんだろうか? -- (名無しさん) 2021-08-25 15 18 34 ハンチョウ最新話見る限り本当に地下帝国完成させる気あるのか怪しい。地下労働者を弄んで愉悦を得るため・豪華シェルターの情報で富裕層を釣って金を搾り取ったり首輪を着ける為の舞台装置でしかないんじゃないか -- (名無しさん) 2021-10-27 04 04 32 工事ずっとやってるわりに完成の気配ないしな。まあ内装的なとこはまた違う人たちがしてる可能性はあるが。それにしたって素人同然の人たちに工事させるってシェルター目的としてはどうなの?ってなるわ -- (名無しさん) 2021-10-31 03 03 11 現在の24億編の様子から見るとカイジ達への懸賞金も負債者たちを釣る餌で、仮に成功したら口封じに確保して地下送りにしそうな気がするんだよなあ・・・。 -- (名無しさん) 2021-11-02 16 57 54 ↑何をしたらいくらとかすら書いてないから、通報しても真偽不明だから、捕まえても連行したのは社員だから、とか言って払わないだろうね。そもそも、帝愛のチラシには「カイジを見つけたら賞金」なんてどこにも書いてない。「利子が高いのはこいつらのせい」「報奨金については下の番号まで」とあるだけで、何の報奨金の記載がないから払う義務はない。 -- (名無しさん) 2021-11-12 03 20 57 チラシでカイジ達が借り逃げしたなんてウソ書いてるのも大概だけど、逆に言うと負債者からしてみれば「企業に貸すならともかくなんでそんな奴らに24億も貸してるんだ!」って迫られて信用を失って、最終的にはこれが原因で帝愛が自滅していく末路になるような気がする。 -- (名無しさん) 2021-11-16 14 25 15 ブラックなんだが入ってくr人間はそれをわかった上で入社してくるし、変にバランスが取れてる気がする。会長の金銭感覚がおかしいせいで「そこそこ豊かな気持ちにさせてる」「実態はこき使ってようとも」がどっちも両極端に振り切れてるだけで。 -- (名無しさん) 2021-11-21 10 47 27 鳥取、島根に支社無いとか言ってなかったっけ? -- (名無しさん) 2021-11-21 16 34 57 グレーゾーン金利撤廃自体は、もともと裁判で違法と認められた上で、差額は返金しろという裁判結果がもとだから、政治家ではどうにも出来ないと思う。 -- (名無しさん) 2022-03-27 10 41 36 グレー金利自体は撤廃前は違法とまでは言い切れない(だからグレー)だし、差額返金も「利息を払ったという明確な意思表示がない以上実は元本の方を返してたんだから関西語も間違って請求してたことになる」ってちょっと苦しいロジックで成り立ってる。撤廃の流れ自体はどうしようもないにせよ、法の遡及適用問題からめて廃止以前の返還請求先は国に移転する的な特別法作らせるくらいはできたんじゃないかな。どのみち(グレーとは言え)適正な金利な以上帝愛ファイナンスの融資は基本的に呼び水に過ぎず、メインの稼ぎどころはどこをどう見てもアウトな遠藤金融等の闇金だろうし。 -- (名無しさん) 2022-06-21 05 46 24 まさかこの面接形式が某任天堂ゲームに使われることになるとは -- (名無しさん) 2022-11-22 21 18 17 ブラック企業かつトップが守銭奴の割に意外と内部の必要経費を削減する感じしてないよね(削減じゃなくて完全な気分で取り壊されたりするけど) -- (名無しさん) 2022-12-22 10 32 15 ↑会長は利益よりも売上を優先するタイプなのかもしれませんね。あとつねに部下は不満を抱えているから下手に経費(福利厚生)を減らすと組織を維持できないとか。 -- (名無しさん) 2022-12-22 13 29 53 ↑×2 会長が金持ちどもに提供してる悪趣味な娯楽を一緒に楽しんでるから、出費より体面重視なのかも -- (名無しさん) 2022-12-22 16 12 38 会長、金使うのも嫌いじゃないから、出費はそこまで気にしないのかも(稼いでる限りは)。。 -- (名無しさん) 2023-01-22 07 33 26 会長は一応、平等とか公平には変なこだわりがあるから不当な差別はしたくないのかもしれない。まあ、その分、制裁に理由ができたときにひどいのかもしれないけど -- (名無しさん) 2023-01-28 23 10 47 私服帝愛は無能が多いんかね?三個一食らったやつらとかチュースケとか -- (名無しさん) 2023-09-13 12 39 17 帝愛が債権者を必死で追うのも、それだけ資金繰りが厳しいのかもしれない。あと某芸能事務所の顛末を見ても会長がいなくなったら一気に傾きそう・・・。 -- (名無しさん) 2023-09-14 19 57 43 ↑一条は「兵藤が死んだら遺族は黒崎が丸め込んで次のトップは黒崎となってグループが回る」と読んでたけど、脱出編の黒崎の描写見てるとその目論見も大分怪しいもんな -- (名無しさん) 2023-12-09 07 45 12 ↑3 あいつらって借金のかたにバイトさせられてる債務者じゃね? -- (名無しさん) 2024-01-20 19 59 04 「SOGA」によると老人ホームの経営もやってる模様 -- (名無しさん) 2024-04-02 17 49 18 「兵藤会長、どこをどう見てももうとっくにアンタのお迎えどころか愛息子の末まで安泰なくらいの富はあるだろ……?」と言いたいが、債務者を人体実験の実験台に海外に売り飛ばすこともあるってことは、まさか老化抑制や若返りだの巨万の富と事実上のモルモットを用意できるのをいいことに不老不死すら得ようとしてるんじゃないだろうな……?(帝愛と関わりを持つような権力者や資産家のほとんどはまず間違いなく自分も他人を犠牲にしてまで不老不死を欲しがるようなろくでもない奴等だろうし資産を差し出したり違法な人体実験の秘匿に協力したりといくらでも富と権力を動員できるだろうし) -- (名無しさん) 2024-04-02 21 49 53 名前 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348 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 00 35 ID kTa2TZDL 二話 「そいつは困ったな…」 グレーテルには鳥の表情など分かりません。でも声の調子から、ボブが同情してくれているのは分かります。 「しかし、最低な親だな!!許せん!!こんな良い娘を…」 マッケンジーは地団太を踏んで憤っています。 「それで、俺達に頼みたい事ってなんだい?」 今なら何だってやってやるぜ、と不敵に笑うドイル。 「…」 ハマーDは地面を見つめ、微動だにしません。きっとミミズでも探しているのでしょう。何にせよ頼もしい限りです。グレーテルは丸い小石を探して、辺りを歩き回りながら、口火を切りました。 「うん、やってもらいたいのはね―――」 「グレーテル!グレーテル!!」 「あ、お兄ちゃんが呼んでる。それじゃみんな、よろしくね!」 ヘンゼルの声を聞くと、グレーテルはガバッと立ち上がり、袋にパン屑の代わりに小石を詰めて、呼び声の主へと駆けていきます。一度、小鳥達に手を振って笑顔を見せると、愛しいお兄ちゃんの下へ、一目散に走っていきました。 残された四羽は、鳴き声で返事をしながら、思ったのです。必ずこの娘を助けてあげよう、と。 「さあ!ピクニックに出かけよう、出発、進行!!」 お父さんが元気良く号令をかけます。 「ほらほら、さっさと歩いた!」 お母さんはお弁当を抱えながらも、二人の子供の背中を押します。 ヘンゼルお兄ちゃんはだりー、だりー、と阿呆の如く繰り返し呟きます。でもグレーテルが左手を差し出すと、しっかり手を繋いでくれました。 四人は、表面上はとても楽しげな様子で、森へと入ります。見事な秋晴れの昼間だというのに、森の中は真っ暗でした。先を行くお父さんとお母さんの背中も、木々の隙間から射す木漏れ日が無ければ、見失ってしまうかもしれません。 ―――陽が落ちれば帰り道どころか、自分の足下だって分からないかもしれない…。 349 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 03 34 ID kTa2TZDL グレーテルは右手を後ろで握り込み、一定の時間間隔をおいて、小石を落としていきました。 「駄目だわ、やっぱココ電波入らねえ…。メール送れねえじゃんかよ、有り得ねえー!」 ヘンゼルお兄ちゃんは、朝からずっと携帯電話を操作しています。もしかしたらこないだのミキちゃん(キャバ嬢、24歳)のような、ゴミ虫ビッチと連絡を取っているのかもしれません。 もしそんな事になっていた場合、相手には東京湾に沈んでもらう事にしましょう。 しばらく歩いていると、前方のお父さんとお母さんがぴたりと立ち止まりました。森の中の少し拓けた場所です。 かつては木が密生していたのでしょうが、今は一面、切り株だらけです。 「さて、俺達はちょいとこの辺りを散歩してくるから、遊んでいなさい。あまり遠くへ行くんじゃないぞ?」 お父さんはそう言いながら、お母さんから受け取った弁当箱を差し出します。 「お腹が空いたらコレを食べるんだよ?」 お母さんは目を潤ませながら、そう言いました。 ―――泣くくらいなら最初からこんな事するんじゃないわよ。 そう毒づきつつも、グレーテルは弁当箱を受け取ります。 「中身何よ?椎茸入ってないよな?」 ヘンゼルお兄ちゃんは、この先に待ち受ける自分の運命など知らずに、お弁当の中身を気にしています。 「それじゃ、行くからな…」 「仲良くするのよ…」 二人は森の中へ消えていきました。 「何だよ、あれ。これが今生の別れみたいな顔しちゃってさぁ…わろすわろす」 とことん頭の巡りの悪いヘンゼルです。 「お兄ちゃん、とりあえずその辺歩き回ろうよ」 グレーテルは、弁当箱を切り株の上に置いてヘンゼルに言いました。 「おう、そうすっか。デートだデート」 「で、でぇと…そんな…」 グレーテルはさっ、とあらぬ方向を向きました。でも頬に射した赤みは、なかなか消えてくれそうにありません。 その時です。 「お、いたいた!」 森の中から、四人の男が現れました。皆、黒いスーツにサングラス、きっちりオールバック、とお揃いの格好をしています。 ―――こいつらが例の“人買い”だな… 聡いグレーテルは、相手のナリを見て瞬時に正体を見破りました。 「お坊ちゃん達、こんな所で何をしているんだい?」 黒服1号が話しかけてきます。 「え?ピクニックっすけど…」 350 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 08 46 ID kTa2TZDL ヘンゼルお兄ちゃんは、相手の格好を見ても怯みません。というかこの馬鹿は、全く状況を把握していないのでしょう。 グレーテルは、気が気ではありません。 「ピクニック…!!こんな所で!!こんな殺風景な所じゃつまらんだろう!?」 黒服2号が身を乗り出してきます。 「っつーか、別にピクニック自体そんなに興味無い的な!?」 ヘンゼルはノリ良く答えます。 「向こうに、もっと良い景色の場所があるぜ?案内しようか?」 黒服3号がニタニタ笑いながら、ヘンゼルに近付きます。 「いや、ここで待ってろって言われてるんすよ、サーセン」 ヘンゼルはあっさりと断ります。 「良いから……来いってんだよおおおおおぉぉぉぉぉッ!!」 黒服4号の叫び声を合図に、人買い達が飛び掛かってきます。 「ボブ!マッケンジー!ドイル!ハマーD!!出番よ!!」 グレーテルが声を上げます。それと同時に、草むらから影が飛び出してきました。 「な、何だこいつらは!?」 人買い達は、慌てました。小さな影は、物凄いスピードで全身を攻撃してきます。 正体不明の影に目玉を突き破られたり、耳を千切られたりした男達は、阿鼻叫喚の悲鳴を上げて逃げ回ります。 グレーテルも隙を見つけては、隠し持っていた金づちで脛を叩きます。 ヘンゼルだけが、全く状況を読めずポカンとしていました。 あっ!いけません!! 「隙ありぃぃぃぃッ!!」 黒服3号が、胸ポケットからトカレフを取り出しています。 「くらいやがれええぇぇぇぇ!!」 ヘンゼルは、ただただ呆然とするばかりです。 「お兄ちゃんッ―――――!!」 グレーテルは思わず、目を覆いました。 しかし、発砲音は聞こえてきません。 聞こえてきたのは、トカレフが地面を滑る音と、黒服3号の呻き声です。 「ゆ…指が…!俺の指がああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 黒服3号の右手、トカレフの引き金にかかっていた人差し指は、食いちぎられていました。 「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 絶叫する黒服に、更なる攻撃が浴びせられます。 351 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 14 45 ID kTa2TZDL 『それ』は地面スレスレを滑空し、黒服の目の前で急上昇すると、その大きく開けられた口の中に飛び込んでいきました。 次の瞬間、めりっ、という音ともにオールバックの後頭部は爆発し、影が飛び出します。 一度、黒服の頭上を旋回した後、『それ』はヘンゼルの前にふわりと着地しました。 グレーテルは、ありったけの驚きを込めて『それ』の名前を叫びました。 「ハマーD!!」 そう、ヘンゼルを救ったのはハマーDでした。ハマーDはぶるっ、と全身を震わせて、血しぶきを飛ばします。そして、怯えている残りの黒服達を威嚇するように、翼を大きく広げました。 「ひいいいッ…!!」 「逃げろおお!!」 「覚えてやがれ畜生ッ…!!」 それを見た人買い達は、いかにもな台詞を吐いて、退散していきました。 「ふぅ…何とか撃退できたな…」 ボブはほうっ、と溜め息をつきました。 「大丈夫だったかい?グレーテルちゃん」 マッケンジーは、心配そうにグレーテルに問い掛けます。 「へっ…!!人間ごときが俺達に敵うわけないだろ!」 ドイルの脳内は、まだまだアドレナリン分泌中のようです。 「みんな、ありがとう!!」 グレーテルはお礼を言います。 森に行く前に、グレーテルが相談したのはこの事だったのです。一つだけ予想外だったのは、小鳥達の攻撃が思いのほか、えげつなかった事くらいでしょうか。 「それにハマーDも!!お兄ちゃんを助けてくれて本当にありがとう!!」 「…」 グレーテルがハマーDの方を向くと、ハマーDはヘンゼルお兄ちゃんの手の上に乗っかっていました。 352 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 16 31 ID kTa2TZDL 「こいつ、ハマーDって言うのか?ハマーD!!ありがとな!!かわいいな、こいつぅ!!」 ヘンゼルお兄ちゃんは、もう一方の手でハマーDを撫でます。 ハマーDも心なしか気持ち良さそうです。 人差し指で、胸辺りを撫でた時、事件は起きました。 「ひゃぁ…そ、そこはらめッ…!らめなのぉぉッ!!」 グレーテルは自分の耳を疑いました。 「な、何なの…?今の声…」 「う、うむ…多分、ヘンゼルお兄ちゃんが撫でた場所が胸だったものだから…」 ボブも呆気に取られた様子です。 「まあ、その、つまり…せ、性感帯を弄られた訳だな…。だからオーガズムに…」 敢えて選んだ言葉が何故か卑猥な、マッケンジー。 「達した…って事は…お、おい…ハマーD……お前…」 ドイルは何故か前かがみの姿勢です。 『 女 だ っ た の か ! ! 』 「いやぁ~、本当にかわいいな、この鳥!よーしよしよしよし」 「ン、はぁんッ!ら、らめッ!またイッちゃ……あああんッ!!」 鳥と会話出来ないヘンゼルお兄ちゃんは、自分が何をしているのかさっぱり分かっていません。 そうです。 ハマーDは、実は雌でした。ハマーDという名前はあくまでグレーテルがつけたもので、本当は「長澤まさみ」という女の子らしい名前があったのです。 でも、この男尊女卑の鳥社会で生きていくには、雌という性別を隠して生きていくしかなかったのです。 しかし、ひたすら意地を張って雄鳥として振る舞ってきたハマーDも、ヘンゼルのゴットフィンガーの前にはなす術なく、押さえ付けてきた女としての情欲を掻き立てられてしまうのでした。 そして生まれて初めてのオーガズムと共に、ハマーDの奥底からやってきたものは恋心でした。 「ちょっと!!お兄ちゃんッ!!ハマーDが嫌がってるでしょッ!!」 353 ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver. sage 2008/02/20(水) 01 20 46 ID kTa2TZDL これ以上、ハマーDを愛撫させる訳にはいきません。グレーテルは素早く、兄の手の上の鳥を奪いました。 ハマーDは、快感の余韻に浸ってぐったりしています。 「うわッ…!!力入れすぎたかな!?ごめんな~…」 ヘンゼルは心底申し訳なさそうな顔で、ハマーDを覗きこみます。 ハマーDはのろのろと顔を上げると、ヘンゼルの頬に頭を擦り寄せ、眠りにつきました。 「おいおい、大丈夫かよ!?」 「心配ないよ、気絶しただけみたい」 イッちゃったせいでね、と心の中で付け加えておきます。 それからみんなでお弁当を食べ、祝杯を上げた後、まだ力の入らないハマーDを担ぎながら小鳥達は、ねぐらへ飛んでいきました。 「しっかしおせーな、おやじ達。あいつら何してんだ?青姦?」 ヘンゼルはどこまでもお下品です。辺りを見回すと、既に日は暮れかけていて、そこらの切り株も闇に溶けつつありました。 それから数時間経ちました。 お父さんもお母さんも一向に帰ってくる気配がありません。 ヘンゼルお兄ちゃんも、少し不安げな様子です。 (そろそろ良いかな…) グレーテルは頃合を見計らって、立ち上がると言いました。 「あ!!そういえば私、道に迷わないように目印置いていったんだっけ!」 「何!?妹よ、そいつはでかした!!」 森の中、お月様の光を反射して仄かに光る小石たち。 二人はそれを辿って、なんとか家に帰る事が出来ました。 ヘンゼルとグレーテルの姿を見たお母さんは涙を浮かべて、ごめんね、ごめんね、と繰り返しがら二人を抱き締めます。 お父さんは困り顔でしたが、どこか安心したようにも見えました。 こうして、二人は無事に戻ってこれました。 しかし二人を待ち受ける残酷な運命は、まだ序章に過ぎなかったのです。
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書き手@かっこいい閣下 とある街の遥か上空にて。 それはなんとも形容し難いものだった。 鉄色の球体に、窓のようなものをつけた単純な見た目だったが、それが何の支えも無しに飛ぶというのは、物凄く奇怪であった。 そう、それは一言で言えば、未確認飛行物体…俗に言うUFOといったところだ。 そのUFOの窓から顔を覗かせる者は意外にも人間の少女の形をしていた。 「うっひょおこの宇宙技術で作りあげた女の子の服が透けて見える双眼鏡でまんすじ見放題!!!ゴーゴーヘブンだぜぇええええええ!!」 だがまともなのは見た目だけで、その本性は性欲に身をまかせる野獣。 そう、筋金入りのロリコンである。双眼鏡を見ながら鼻血を大量噴出し、目を血走らせる姿は変態以外の何者でもなかった。 「クレイお嬢様、とりあえず未確認飛行物体から身を乗り出すのはやめて下さい。」 そして色々と矛盾した発言をする執事服を纏った男性は、この少女を命を張って守る『凄腕の殺人鬼』である。 「ステファニー、未確認飛行物体ではないLOLITA-VIRGIN号だ。こんな可愛いマンスジを前にして身を乗り出さずにいられるか馬鹿者!!」 「お嬢様、脱ぎながら言うのははしたないですよ。」 「黙れ!こんな可愛いマンスジを前にしてオナニーせずにいられるか! よぉおおおおおし!!まずはあの旬な三色団子を口でもごもごしてる娘でオナるぞぉおおおおおお!!」 そう言って神テクで自分の股間をシェイクし始めるお嬢様。 ステファニーと呼ばれた執事はそれをYAREYARE☆と溜息をつき、 何を考えているのかわからない目(少なくとも目の前の野獣をどうにかする目ではない)でその光景を見ていた。 すると、野獣が「ウヒ!?」と奇声を上げる。イったかな?とステファニーがスコッティティシューを用意しようとするが、その前に少女が言葉を発した。 「おい、あの幼女!男連れだぞ!?許せん!あんな可愛い幼女の男だぞ!?変態的な趣向を持った性犯罪者に違いない!!」 ステファニーは「変態?あなたのことですか?」と言ったが少女は無視した。 「天誅だ!天罰だ!天翔十字鳳だァー!!おい、ブルカノ砲を発射しろォー!!」 「そんな機能はありませんよお嬢様。何なら私のチェーンソーが火を吹きますが。」 ニヤリとする執事服。だが、少女の表情が再び凍りつく。 「どうしました?」 ヤバイ顔シリーズに載ってもおかしくない顔を維持するお嬢様という名の淫獣を冷ややかな顔で心配するステファニー。 「お、お、お……」 「お?おまんこ?」 「違うわ!ヤバイ!黒服を着た性犯罪者の集団に幼女誘拐された!車で!!」 「あらまぁ」 「この私を差し置いて幼女拉致などぉおおおおおおおお愚の骨頂ううううううううう!!!!あの黒服を追跡せよステファニィイイイイイイイ!!!!」 「車、異次元空間に逃げました。どうしますか?」 「最強の宇宙技術から逃げられると思うなよ虫ケラがぁああああああああああああああ!!!!追え!追うんだッ!!!」 「あ、お嬢様。LOLITA-VIRGIN号に侵入者です。」 「なんだとぉおおおおおおおおおおおおお!!!?!??!?殺せ!!!!!」 最早冷静な思考などできない状態のお嬢様だった。 「殺す…なんていい響きなんでしょうッ!?さぁかかって来なさい侵入者!この私ステファニーが切り刻んデ殺シ尽くして上げマショウ!!」 クレイと同じように狂いだすステファニー。所詮宇宙人は宇宙人、まともなわけがなかったのだ。 ステファニーとクレイ、元々二人用のLOLITA-VIRGIN号である。狭いので『侵入者』が来たとなれば一瞬でわかる。 つまり…っ!彼女達のすぐ後ろ…っ! 「クレイ・ブラク様、ステファニー様、あなた方二名は我が主人主催のパーティに招待されました。拒否権はありません。」 そこには例の黒服が平然とした顔(サングラスをつけているが)で立っていた。 「ほう…ッ!?テメェの方から来るとは…!?良い度胸じゃねぇかファァアアアアック!!!やっちまえステファニィイイイイイイ!!!」 「サァアアアアアアアアアアアアイ!!!!!!!」 ステファニーが掛け声を上げて黒服の頭にチェーンソーを突き立てるゥゥ!!! しかしィ!頭がパックりと割れただけで脳漿がぶちまけられる事はなかった!!その上、未だ平然と立ち尽くしているッッ!!!! 「な、何故死なないィイイイイイイイ!!!」 黒服は無言で指を鳴らす! すると、今度はクレイ達の体に異変が起きたッ! 「ぐッ…!何だ…急に目眩が………!!」 「ガアアアアアッッ!血潮ヲ…!血潮ヲ……」 そして淫獣とキチガイ執事は先程までの威勢の良さが失せ、次の瞬間地面に倒れ伏してしまった。 ――次の日、とある街で鉄の球体…未確認飛行物体が墜落した。 その中からは何も発見されなかったという