約 10,969 件
https://w.atwiki.jp/mahousyoujo/pages/103.html
中庭対決後に戻る クロ「・・・いったいなんだったんだ?」 後片付けをする為に戦闘の跡を見ると、氷漬けの犬や俺が木刀で叩いた犬が転がっていた。 クロ「こいつらがまた動きだしても面倒だな。」 まだとどめを刺していなかったし、一応隔離はしておくか。 クロ「座標指定 separated room」 これでよし、っと。 あとは、 クロ(えー、こちらクロウ。 騒ぎの原因となった生物を確保したので、何人か中庭に向かわせてくれ。) 生徒会本部にも、連絡完了。 クロウは、戦闘不能になった妖怪犬――――メイファ達を隔離している。 リリ「これでひとまず安心・・・・・・かな? 副会長、怪我人の搬送の手配はどうなっているんでしょう?」 副『大丈夫だっ!どうやらさっきクロウがテレパシーで中庭によこすようにいっていた! しかし一般生徒である君たちに心配をさせてしまって申し訳ない! いや、むしろ感謝している!君たちがいてくれて助かった!』 リリ「保健室に全員収容しきれるようならいいんだけど・・・」 副『なぁに!場所がなくなったら生徒会室もある。 なんだったら寮の俺の部屋を使ってくれても構わんさっ!』 リリアーナを心配させないように胸を叩き力強い言葉を放つ副会長。 流石に自室を保険室代わりに使うのは少しやりすぎな気もするが必要とあらば 副会長は喜んで自室をけが人のために与えるだろう。 リリ「まだ治療を受けていない怪我人の方はいらっしゃいませんか~!!」 リリアーナはスクナから分けてもらった包帯と水薬(スカーフェイスに返し損ねたのだ)を手に、 大声で呼びかけている。 リリ「そういえば副会長やクロウさん、お怪我は無かったですか? クロウさんはメイファに背中叩かれていましたよね?ちゃんと治療しておかないと・・・」 副『俺は大丈夫だ、クロウの方を見てやってくれ!』 先ほどの爆発からも奇跡的に背中のジャージを燃やされただけの副会長。 リリアーナはクロウとマオの方を振り返った。 リリ「・・・・・・何でマオマオは子供連れなんでしょう?」 しかも子供のおくるみには、黄色いリボンがついている。 リリ(となると、あの子自身が来客ってことよね?) 副『人間っていうのは色んな事を背負っているものだ! マオ君にだって俺には想像もつかない様な苦労をしているんだろう!!』 さっきからずっとマオには子供がいると思っている副会長。 思い込んだらそのまま一直線で突っ走る!それが副会長である! クロ「ってあれ?マオ、いつの間に来ていたんだ?」 ここでやっとマオが来ていたことに気づく。 マオ「ん?ついさっきここで騒ぎが起こっていたのを見てな。 まあエリートの僕の力など使うまでもなく収まったようだが」 クロ「ん、その子供はどうしたんだ?」 マオ「あー、話せば長くなってしまうんだが……簡単に言うとヴァンの子供」 クロ「は?」 クロ(えーと、今何て言ったんだ。 あの吸血鬼の子供? 子供なんていたっけ? もしかして隠し子か? いや、そんなわけないか。 ) ケオ「と言う訳で、僕は残らせてもらうよ。副会長さんは治療も出来るみたいだけど…君やミオは大丈夫?」 クロ「いや、治療は得意じゃない。 でもやることは他にもあるからな。 そっちをやらせてもらうよ。」 クロウやなぜだか子供を抱いているマオに向かって問い掛ける マオ「まああんまり得意な方じゃ……ってだからミオじゃない!!マオだ!! なんなんだお前は一体!毎回毎回間違えてー! あれか?好きな子をいじめるみたいな感覚なのか? でも僕は全っ然嬉しくない!!そういうことしてると友達いなくなっても知らないからな!!」 僕も友達が居ないというのは置いておいてとりあえずケオスに噛みつく。 クロ「名前くらいで怒りすぎだ。子供が起きるぞ。」 マオ「う……で、でも違うんだ、だってこいついっつもいっつも……」 ケオ「ごめん、ごめん、また間違えちゃったね。」 クロ「またって、そんなに間違えているのかよ。」 ケオ「マオに手を出したら旦那さんが怖そうだからね 闇の眷属と事構えるなんて考えたくないよ。」 マオ「別にあいつとはなんでもない!ひ、人聞き悪いこと言うな!」 次から次へと僕のからかうケオスの言葉を顔を火照らせながら僕は必至に否定する。 クロ(…間違いない。こいつ、確信犯だ。まあ、面白そうだから別にいいか。 ) マオ「…まあいいや、とにかく僕は今この子供の面倒見なくちゃいけないから 治療や手当はケオス、お前に僕の代わり任せた。そのために残ってきたんだろ?」 リリ「マオマオ、一体どうしたの?そんなに大声出すと、抱っこしてるその子が起きちゃうわよ?」 リリアーナはひょいとマオが抱っこしている子供の顔を覗き込んだ。 リリ「あら、可愛い!でもマオマオ、この子いったいどうしたの? 私、どこかで会ったような気がするんだけど・・・・・・」 ケオ「あぁ、リリアーナ。その子、マオの子供なんだってね。」 クロ「ん、そうなのか? マオが言うには吸血鬼の子供らしいが。」 副『な、なんだってぇぇぇぇぇぇええ!!』 クロウの言葉に絶叫する副会長。おそらく凄まじい想像をしているに違いない。 マオ「そ、そんなこと一言も言った覚えなんてない! だいたい僕に子供がいるわけないだろ!」 リリ「え~と?マオマオの子供だけどマオマオが産んだわけじゃない吸血鬼の子供?」 彼女は暫くうんうん悩んでいたが、やがてぽんと手を叩いた。 リリ「分かった!その子はヴァンエレンの連れ子で、マオマオはマオママになる予行練習中ってことね!」 副『何という事だ。吸血鬼は俗に闇に住まうものとも言われる邪悪な種族。 その吸血鬼との子供、そうか・・・やはりマオ君は相当に過酷な人生を送っているようだ』 もはや真実や勝手な推測が混ざりに混ざり、 どんどん真実から遠ざかっていっている副会長…… 副『しかも衣服すら買ってやれないような状態とは・・・くうっ!! 生徒会員であるマオ君の子供ならば俺の子供でもある!! こうなったら俺が父親になってやるしかなぁぁぁい!!』 ヴ「う~」 まぬけな声をあげて目をごしごしとさすりながら起き出したヴァンちゃん。 ヴ「おろして~」 もぞもぞと体を動かしマオを見上げて、降りたいことをマオに知らせる。 リリアーナは子供を見て何か考え込んでいたようだが、ふと違和感に気づき驚いた顔をした。 リリ「あらやだ、その子もしかしてすっぽんぽんなの? だったら風邪を引かないうちに、何か着せた方がいいんじゃない?」 ヴ「へくちっ」 リリアーナが言ったそばからクシャミをして、かけられたリチャードの上着を掴んでブルブルと震えている。 ヴ「う~、さむいぃ」 マオ「どうにかできないか?」 ケオ「本当だ。……うーん、ちょっと待っててね。」 服を着ていない事に気付くとオラクルの準備に入る リリアーナは、今度はクロウをちょいちょいと手招きした。 リリ「クロウさん、背中はどう?良かったらスカーさんの薬、少し飲んでおかない?」 クロ「ああ、今は気功を使って何とか動いてるよ。 でも、仕事に支障が出ても嫌だから少しもらうよ。」 そう言ってリリアーナから水薬を受け取る。 ケオ「良い目が出て欲しいね。いくよ… 精霊からの祝言と贈物を……オラクル」 うん?ちょっと待て。なんか呪文ちがくないか? しかし、いつも通りに現れる光のテロップ そこに表示されたのは 《いたずらし隊( ■ー■)キラーン》 ケオ「ごめん、はずれ目だ……」 リリ「は?はずれって何の話?」 《今日のペナルティは……》 《服の入れ替え》 ケオ「嫌な目だな……」 《ターゲットはケオスと…………》 ケオ「焦らすね。」 《リリアーナ!!おめでとう!》 ケオ「僕とリリアーナって…………」 ケオ「不味い……非常に不味いよ。」 《では入れ替えのターイム》 リリ「ええ―――― っ!ちょっと待って―――― っ!!」 光のテロップが地上に降り煙となる。 煙となったテロップはケオスとリリアーナを覆い隠す。 やがて煙が晴れ、テロップに戻る ケオ「ごめん、リリアーナ…巻き込む事になっちゃって…」 謝りつつ現われたのは…… 猫耳をつけメイド服を着たケオスと蝶ネクタイをしめ執事服を着たリリアーナであった。 マオ「………………」 クロ「何?これ?」 執事服を着たリリアーナとメイド服を着たケオスだった。 ケオ「あまり、見ないで欲しいな…」 ちょうど同じ頃、ボワンと間抜けな音とともに煙が立ち上った。 上着とズボンとさらにマフラーと手袋を装備したヴァンちゃんの姿が。 寒さがなくなって快適なのか、嬉しそうに笑顔ではしゃいでいる。 《この魔法の効果時間は三時間。それまではどうやっても脱げません。ワースゴイ、サスガセイレイ これもお祭りの一環だと思って楽しんで頂戴。ソコニシビレルアコガレル》 リリアーナは大口を開けてぽかんとしている。 クロ「うわ、三時間もそのままなのかよ。」 クロウは正直女装はいい思い出が全くない。 生徒会が漢だらけなのと、平均よりも低い身長が災いして 去年裏ミスコン(又の名を女装コンテスト、学園側非公認)に生徒会代表で出されたからだ… リリ「あはは・・・あははははは・・・・・・・」 ケオ「………………」 笑顔が素敵なメイドケオスの額に血管が浮いて見えるのは幻では無い しかし、自業自得……大きなため息と共に肩を落とす。 ケオ「ごめんね…リリアーナ。本当にごめん…」 副『精霊って奴は基本的に適当だからな!祭事だからそう気を落とすな!! …問題はサイズか。まあ俺に任せておけ!』 (そういい副会長はケオスのキチキチのメイド服を上から下へと舐めるように見ていく。 ) クロ「…なんというか、ドンマイ。」 ケオスすまなさそうな声と心底同情するクロウに、はっとリリアーナは我に帰った。 リリ「あっいいのよ、気にしないで。 でも私は執事服でもまあ良いけど・・・・・・・ケオスさんは苦しくない?その・・・色々と」 ケオ「うん、大丈夫とは言い難い状況だけどね……」 苦笑しつつ改めて確認する 丈の合わないスカート、苦しい胸元、サイズの合わない肩口、いくら細身と言ってもとても動き辛そうだ リリ「その格好、知り合いに見られたら困るよね?私の友達に頼んで、お化粧で別人にしてもらおうか?」 ケオ「そうしてもらおうかな。バレたら流石にまずいしね。」 ケオ「もう、ね、リリアーナのお店の手伝いでもなんでもするよ。」 見立てが終わった副会長は包帯を手に取り、スルスルと10メートルぐらい伸ばし手刀で切り取る。 ケオ「なんとか出来るの?」 副『ようはちょいと伸ばしちまえばいってことだぁぁぁぁあ!!』 包帯を手に素早くケオスの周りを回りぐるぐる巻きにする副会長。 そして床に手を置くと魔法陣が浮かび上がり光がケオスを包んでいく。 ケオ「それだけでもやってくれるとありがたいよ。」 副『どおりゃあああああああ!!!燃えろ俺のコスモォォ!!』 光が消えたとき、ケオスの着ていたメイド服は確かにサイズがなおっていた。 そう、サイズはなおっている。なおっているのだが…… ところどころ包帯で繋いである非常にチグハグなものになってしまっていた。 副『・・・やはり同じ素材じゃないと無理があった!!すまない!!!』 ケオ「……ありがとう。……とても嬉しいよ。」 焼け石に水のようだった。この状況だけでも充分奇妙なのに服自体も奇妙な事になってしまった もう笑うしかないなこれは…… ケオ「はは……」 渇いた笑うを見せるケオス せめて猫耳だけはどうにかならないかと手を伸ばすが猫耳カチューシャは根を生やしたように取れる事はなかった リリ「そ、そんなに気を落とさないで。似合ってるわよ、猫耳バンド。 男のネコミミが大嫌いなレイド先生にさえ見つからなければ命の危険も無いし! ・・・そう言えば、レイド先生どうしたのかな? 多分ピッコロさん達を爆発から逃がしてくれたんだと思うんだけど・・・・・・」 二人に付き添っていったのなら、保健室に行けば再会できるだろうか? リリアーナはギズモと何か話しているフリージアを手招きした。 リリ「悪いんだけど、このメイド服をフリージアの色彩魔法で何とかならないかな? それと、ケオスさんが女装してるってことばれないようにしてあげたいの。 もしマンダが今のケオスさんを見て、ショックで人間不信になると困るしね。 例の魔法のメイクアップセット、今日は持ってる? お化粧で別人に見せたいんだけど・・・・・・何とかできそうかな?」 ギ「色を変えてもメイド服はメイド服じゃない?」 フリ「大丈夫!全部の色を同じ色で統一すればメイド服には見えませんことよ・・・多分」 自信なさげなフリージア フリ「・・・・・そうですわ!服じゃなくて肌の色を変えればいいのよ!そうすれば誰もケオスさんだって判りませんわ!!」 ギ「ジルベリア人みたいに青白くするの?」 フリ「それだったら私が何かしたって丸分かりだから逆に南方人の様に色黒にしちゃいましょv」 とケオスの肌の色を魔法で一時的に変えることにしたフリージア フリ「あと魔法のメイクアップセットですわよね?こんな事もあろうかと!こんな事もあろうかとばっちり用意してありますわ!!」 胸の谷間に腕を突っ込んで化粧道具を取り出すフリージア 本当はギズモを女装させて遊ぶために用意していたなんて口が裂けても言えない ギ「大事な事なので二回言いました」 その事実にまったく気が付いていない幸せなギズモ フリ「さあ!見せて差し上げますわ!アルティメットメイクアップと言うものを!!」 それっぽいポーズをして化粧道具を構えるフリージア ギ「プロじゃなくてもプロっぽいメイクが出来る魔法の化粧道具なんだからそんなに気合入れなくても・・・・」 呆れたように突っ込むギズモ フリ「雰囲気の問題ですわ!雰囲気の!さあケオスさん覚悟を決めなさい! お母様のお友達もこういってましたわ・・・・美少年はいつか女装する運命にあるって 行きますわよ!アルティメットメイクアップ!!」 どう考えてもその人は貴腐人ですどうもありがとうございました (10分後) フリ「まあ私に掛かればこんなものですわねv」 さすがはマジックアイテム・・・素人がやったとは思えない完成度だ リリ「すごいわ、さすがフリージア!! これなら誰もケイティがケオスさんだって気づか・・・・ゲフンゲフン」 リリアーナは慌てて口を押さえた。 メイクと色彩魔法は完璧だが、大声でばらしては元も子もない。 リリ「ケイティ、小麦色の肌がアルみたいでとってもエキゾチックよ。 お化粧も似合ってるし、これならきっと誰もケイティがケオスさんだなんて気づかないわ!」 良かったね、と笑うリリアーナに、これっぽっちも悪気は無い。 ギ「ケオスさんは男・・・ケオスさんは男・・ケオ(ry」 リリ「ギズモだめよ、今のケオスさんはケイティっていう女の子だから!」 リリアーナは小声でギズモの発言を訂正した。 そんな中、ふとリリアーナとヴァンは目が合った。 ヴ「ナイチチ?」 しまいにはリリアーナに凄まじい攻撃を加えるヴァンエレン(ミニ) リリ「―――――――― !!」 ゴゴゴゴゴ!とリリアーナの背後からすさまじい恕気が噴出した! リリ「・・・・・・・・・ボク?だぁれが洗濯板で平原でマニア向けのナイチチですってえ?」 リリアーナは心無い吸血鬼の一言により黒い悪魔がおいで召されました。 そのあまりに邪悪なオーラを放つリリアーナに吃驚してしまい、 涙ぐみながらマオの後ろに隠れて貧乳の化身の様子を伺っている。 マオ「リリアーナ……フッ、まあ子供は素直だからな。嘘は言えないのさ。」 自分のとリリアーナの平原を見比べて僕は鼻で笑い、 上機嫌にはしゃいでるヴァンエレンを抱っこする。 マオ「それにナイチチでも平原でもそれなりにマニアもつくだろう、 そう悲観することじゃないさ。」 がっくりとその場に膝をつくリリアーナ。 マオの言うとおり現にとある宗教に『神』認定されている。 その信仰ぶりはマニアどころではなく、信者が熱狂するあまりカルト教団と化している。 本人はあまり知らないことなのだが、信者がとある呪術者に依頼して胸が薄くなる呪いをかけているのだという黒い噂もちらほらと存在する。 とまあ、このあたりのアングラちっくな話題は数えたらキリがないので省略する。 リリ「マオマオの胸には夢が詰まってる。けど、私のだって希望を与えてるんだからね・・・・・.」 魔法学園の敷地内に編集長の声で放送が聞こえた。 放送『あーあー、おほん。 こちらはでいりぃ・ふぃじる編集部であります。 現在、一部の場所で魔法障壁が無効になる不具合が発生しておるようです。 原因が判明するまでは、魔法障壁を過信して無茶をされないように注意してくだされ。 以上、でいりぃ・ふぃじるからの、学園祭を楽しむワンポイントアドバイスをお送りしましたぞ』 ケオ「これならいきなり負傷者が増えると言う事は無いかもね。」 リリ「すごい、さすがは生徒会、仕事が速いですね!もしかして副会長のご指示ですか?」 副『いや、俺じゃあない!だがこの声!・・・あいつめ、俺の意図を察してくれたか!』 少し嬉しそうに放送に耳を傾けている副会長。 どうやら副会長は編集長とも顔なじみのようだ。 山田「副会長!!クロウ!!手伝いに来たぞぉぉぉぉぉ!!」 しばらくすると、叫びながらこちらに近づいてくる青ジャージが見えた。 副『山田!山田じゃあないかぁ!!よく来てくれたっ!!』 がっちりと山田と肩を掴み合う副会長。 クロ「あれ?お前一人だけか?」 複数来るように言ったはずなのだが、来たのは一人だけだった。 副『案ずるなクロウ!!山田は我が生徒会の中でも相当な熱血漢! 何時どんな時でも全力を出せる男だぁ!!できるな?山田!』 山「皆は他の作業で手一杯だ。 でも、俺が来たからには大丈夫!! 俺が全部解決してやるぜ!!」 副『その意気だ山田ぁ!!よぉし!!気合入れるためにあれいくかあ!?』 山「分かりました副会長!!」 するといきなり二人とも激しい拳と蹴りの応酬を始める! 副『天上天下!!』 山「唯我独尊!!」 副『生徒会の道は修羅の道!!』 山「けれどもゆけと言うのなら!!」 副・山『『賭けてみせよう!!漢道っ!!』』 副『ふっ・・・・・・また一段と腕を上げたな山田!』 山「何を仰る!まだまだ副会長には追いつけません!」 そして熱い握手を交わしたあと大声で笑い合う二人・・・ もはやこれは違う世界ではないのかと思うぐらいに暑苦しい展開だ! クロ(何で生徒会には無駄に暑苦しいのが多いんだろう… 思わず溜息をついちまったよ。 ) クロ「じゃあ、隔絶している犬を分析班に渡すのを頼む。 あと、喫茶店の修復も大体進んで手の空いてる奴がいるだろうからこっちに回しといてくれ。」 副『頼んだぞ山田!!』 山「任せておいてください!!必ずや!!」 マオ「そういえば副会長、僕も青ジャージは着用するべきなんでしょうか?」 副『ああっ!!そうだった忘れていた!!マオ君に渡さなければならないものがあったんだ!!』 そういいごそごそと後ろから出したもの、それはピンク色でラメが施され、 さらには胸にマオとビーズでデコレーションしてあるジャージ上下一式だった。 マオ「うわぁ……」 クロ「はぁ・・・、こんなジャージ、よっぽどの物好きじゃないと着ないだろ。」 マオ(これはもう痛いとかそういうレベルのものじゃない!! こんなの着てたら僕はおかしい人としか思われない!) ヴ「ぎふぅー」 つまらなそうにその様子を眺めているヴァちゃんは口を尖らせて、不満そうな様子を前面に出してとても不機嫌だ。 副「男子と同じジャージじゃあ味気ないからな!!俺が特別に作ってきた!! いや、ここはあえてブルマで!!とも考えたんだが今後寒くなってくるからな!! ブルマは夏に履いてもらうとしよう。さあ早速着てくれ!!」 さあさあとデコジャージを渡す副会長、その目は輝きに満ち満ちている! マオ「い、いやあの……その……ありがとうございます」 クロ「あー、無理に着る必要はないぞ。 俺もこういう行事じゃない限り着ないし。 生徒会でも服装は基本的に自由だからな。」 マオ「わ、分かってはいるよ。でもあんな風に渡されたら……」 マオ(だから副会長は嫌なんだ。ケオスみたいな故意的にやる奴なら怒れるんだが、 副会長は本気で何の嫌味もなくやってくるから…僕が一番苦手なタイプだ。 しかもこれを着なかったらもしかしたら生徒会を辞めさせられるかもしれない。) リリ「副会長、怪我人の搬送先はいつものように保健室横の予備室でよろしいですよね? 人員が少ないみたいだし、私も怪我人を運ぶのをお手伝いします」 副『っと!そうだった怪我人を運ばなくちゃあいけない!! すまないな、本来なら我々だけでやらなくてはならないんだが・・・ 好意に甘えてしまうということは・・・まだまだ俺も弱いな』 クロ「手伝ってもらえるのはありがたいんだが、その服装で大丈夫か?」 リリアーナは、近くに転がっていたままのレベッカの槍を拾おうとした。 リリ「お、重・・・・・・・きゃっ?!」 長すぎるズボンの裾に足を取られたリリアーナは、バランスを崩しその場に倒れこみそうになった。 副『危ない!!』 倒れこみそうになるリリアーナの体を支える副会長。 クロ「ああ、言わんこっちゃない。」 副『そんな格好じゃあ危険だ!こっちへ・・・』 リリアーナの手を引き椅子を一つ手に取ると座らせる。 リリ「あ、あの・・・・服は折り曲げておけば本当に大丈夫ですから・・・・・・」 そしてカウンターの方からピンを幾つか探し持ってきて、 リリアーナのズボンの裾上げをする副会長。 あまりに申し訳なくてリリアーナは一人アワアワしていたが、 言い争うだけ時間の無駄なことを悟り、厚意に甘える事にしたようだ。 リリ(副会長って、ホントに何でも出来る人なんだな・・・・・・) 自分よりはるかに器用に動く指先を見つめながら、リリアーナは改めて感嘆のため息をついた。 もしかしたらマオのデコジャージも、魔法でなく副会長が一針一針縫ったのかもしれない。 リリ(ホント、悪い人じゃないんだけどな・・・・・・) それでもデコジャージは才能の無駄遣いだと思ってしまう。 リリ(熱血漢ってどうしてこう皆センスが独創的なのかしら?) 副会長の行動の一つ一つが、次第に私服がアロハな熱血漢の姿にダブってくる。 リリアーナは赤い帽子をじっと凝視しながら、一人百面相をしていた。 フリ「ところでこの子いったい誰ですの?」 今頃ショタエレンの存在に気が付くフリージア ギ「何だろう・・・この感情?これは嫉妬?いやライバル心か?」 マスコットとしてのプライドからか何故かヴァンエレン相手にライバル心を燃やすギズモ フリ「なんとなくヴァンエレンさんに似てるような・・・・まさか隠し子ですの?」 ギ「いや逆に親かもしれないよ・・・・だって吸血鬼だもの」 フリ「そんなわけ無いでしょギズモちゃん!ねえボウヤあなたお名前は言えるかしら?」 フリージアはヴァンエレン似の子供に名を問いただした ヴ「ヴァンエレン。 う、うー」 同じ魔物であるギズモを連れているためか初対面であるフリージアに対しては割りと警戒心もなく返答する。 しかし同族であるはずのギズモは幼いヴァンエレンに対抗意識を持って燃えている。 ヴ「うー?」 そんなギズモの様子にはまったく気がついていないので、思わず疑問の声を出してヴァンエレンは首をかしげた。 副『ところでリリアーナ君」 リリ「は、はいっ?!」 リリアーナはびくっと立ち上がろうとして、危うく椅子から転げ落ちそうになった。 副『突然だが生徒会に入ってみる気ってのはないか!? ここまで手伝ってくれるその優しさ、それにさっきの最後まで相手との対話を諦めない姿勢。 まさしく俺の理想としている姿だ。そう!!俺は君に惚れたっ!!』 リリアーナはポカンと口をあけたまま固まっていたが、内容を理解したとたん耳まで赤くなった。 リリ「あ・・・・・あの・・・・・その・・・・・・・・ ふくかいちょ・・・・・・・・そんな・・・・・・こ、困ります・・・私・・・・・・」 副『そうか・・・・・・君ならいい役員になれると思ったんだが。 分かった!俺も男だ!すっぱり君のことは諦めよう! ・・・よし!これで大丈夫裾上げ完了だ!!』 リリアーナは消え入りそうな声でそれだけ口にすると、 茹蛸のような顔で、救いの手を求めるようにぐるりと周りを見回した。 クロ「副会長、勧誘は重要ですが今はやることがあるでしょう?」 女子は少ないから入ってほしいが、今は怪我人を保健室に運ぶことが先だ。 副『まあそう言うな!!ちょっと裾上げついでに誘っただけの話だ!』 リリアーナは、ああ、そうだったの!とばかりに手を打った。 リリ「なあーんだ!勧誘!勧誘だったのね~。そっか、そうよねー!! むしろそれ以外に何があるって言うのって感じよね、私ったらホントにあはははは!」 クロ「じゃあ、俺は二人運ぶからあとは頼む。 それと、山田、その犬まだ生きているだろうから気をつけろよ。」 「ああ、大丈夫だ。 また動きだしても俺が倒してやるぜ!!」 そんな問題じゃないんだけどな。 クロ「自信があっても用心しておけ。 一応知ってる限りの特徴を書いて渡しておく。」 メモの一枚にに魔法障壁が効かないことや、妖怪であること等を書き込んで山田に渡す。 副『いいか山田、もしお前の前に化け犬が現れたらまず俺達に連絡を入れるんだ! くれぐれも一人で相手をしようなんて思うなよ?勇気と無謀は違うっ!!』 クロウからのメモを受け取った山田に釘をさしておく副会長。 クロ「じゃあ、そろそろ保健室に向かうか。」 『ああ、そうしよう!まず保険室に預けないと俺達も思うように動けないからなぁ!!』 そして二人を担ぎあげるクロウ、ケオスが三人ほど担いでいるので自然と残りは二人。 ケオスも手伝うことにする 三人程背負い上げるケオス。その衝撃で一人目覚める 生徒「あれ?君は?」 ケオ「僕は…………」 素直に名前を言える筈が無い ケオ「私は…ケ……」 生徒「ケ……?」 ケオ「ケ……ケ………」 困ったケオスは助けを求めるようにリリアーナの方を向いた リリ「ケ・・・ケイトさん!そう!その子はケイトさんっていうのよ! 夏休み後に転校してきたんだけど、彼女大人しいから影が薄いって言うか、目立たなくて」 この説明なら、『ケイト』が転入生のリボンをつけていなくても問題無いはずだ。 リリ「その・・・皆と早く馴染めるように、ケイティを学園祭のイベントに参加させたのよ。 そうだったわよね、クロウさん?」 そう言ってリリアーナは怪我人を担ぎ上げたクロウに目配せした。 クロ「あ、ああ。 あまり交友関係がなかったみたいだから参加させているんだ。」 少し声が裏返っているがバレてはいないと思う。 たぶん・・・ リリ「納得できたところで保健室に移動しましょ。少しでも早く治して学園祭を楽しまなくっちゃ! あっ、大丈夫よケイティは女の子だけど力持ちだから、あなたを落っことしたりしないわ。 ・・・・・・でも、さすがに3人は多いかもしれないわね」 リリ「ケイティ、無理しないでフリージアや副会長さん達にも手伝ってもらいましょうよ! それとクロウさん。怪我人を早く休ませたいのは分かるけど、 あなた自身も怪我してさっき薬飲んだばかりなんだから、無理しちゃ駄目よ。 私は、怪我したみんなの荷物を保健室まで運ぶ事にするね!」 そう言ってリリアーナは、キキーモラがまとめてくれていた怪我人の荷物や上着を拾った。 クロ「普段は1mくらいある大剣振り回しているんだからこのくらい平気さ。 それに薬の効果もあって結構楽だぞ。」 フリ「お~ほっほっほ!私に任せなさいな!空飛ぶ雪の結晶に乗せれば3人ぐらいまでなら大丈夫ですわ!!」 クロ「俺達より多いしな。 2人くらい他の人に任せたらどうだ?」 副『そうだな!!そもそも生徒会でない人間の方が重労働を強いられるのは間違っている!! 二人俺に渡してくれ!大丈夫4人ぐらいなら何とかなる!!』 ギ「すごいや!僕なんて女の子一人ぐらいしか運べないのに!?」 フリ「まあ私は女の子だし軽いからギズモちゃんでも運べるけど・・・・」 どさくさにまぎれて自分の体重が軽いことをアピールするフリージア 副『少年、君だっていっぱい食べていっぱい寝て。 毎日頑張ればこのぐらいできるようになるぞ!!』 そのぱわふりゃあな姿にいつの日だったかお土産だと熊二頭を両脇に抱えて帰ってきた 元プログラップラーであるザンギ○フ似の父親を重ね合わせるのであった。 リリ「そっか!皆で手分けすれば速いよね!じゃあそろそろ行きましょうか。 ・・・・・・それにしてもマオマオ遅いね~。どうしたんだろう?」 リリ「あっマオマオ!結局そのジャージにお着替えするの? だったらその間、私が隠し子吸血鬼さんを見てようか?」 このときビクっと体を震わせてヴァンは恐る恐るリリアーナのほうを見る。 さきほどの禁句によって鬼神降臨した姿が目に焼きついて、ヴァンの心の深くに恐怖を植えつけてしまっているのだ。 ヴ「うー!うー!」 マオ「…………わ、分かった」 必死にいやいやするのだが、どうにも自分のことでいっぱいのマオは近くのトイレに行ってしまった。 マオ「……なんか気持ち悪いぐらいサイズがぴったりなんだけど 作る際にまさか個人情報だとか調べてはいないよな?」 あまりのピッタリフィット感に僕は少し恐ろしさを感じた。 マオ「さて、とりあえず意外と着心地は悪くないが……」 問題は今僕はどんな人間になっているのかだ、見なければ気にしなくていいが、 ここは勇気を出し御手洗いの鏡の正面に立つ。 マオ「…………………」 中央にビーズで書かれたマオの文字、なんだか光が反射して輝いているラメ。 ああ、全てが悪い意味で独創的すぎる……というかこれじゃ色モノだ…… マオ「一体、僕はどこに向かっているんだろう。ちょっと前まではエリートで 凡人には近づけないほどの威光を放っていたというのに、 今では常人に避けられるような格好をしている。」 今までの栄光と現在の状況を照らし合わせなんだか涙が出てくる。 マオ「母様……父様……僕は一体……」 ヴ「ぁわわ…」 ヴァンにとっては悲しいことに鬼神さまと一緒になってしまった。 マオからヴァンを預かったリリアーナは、 「じゃあ、マオママが戻るまでお姉ちゃんと待ってようね」とにっこりした。 ヴ「い…いじめる?」 物陰に隠れながらそっとリリアーナを警戒しながら涙ながらに出た一言。 シマリスのようなヴァンエレンの態度にリリアーナは目をぱちくりさせていたが、やがて リリ「いじめないよう」 と手を左右に振った。 ヴ「ひぃ!」 が、幻覚かはたまた何者かの思念なのか…背後に血管を浮き出させてものすごい形相のアライグマくんの姿がヴァンエレンには見えてしまった。 リリアーナさん、やはりあなた怒っているんではないでぃすか? もはや警戒ではなく100%恐怖だけとなってしまったヴァンエレンはガタガタと震えてもえないゴミの箱に入り込んでしまった。 ゴミ箱内~中庭:焼き鳥屋台付近 中庭~保健室
https://w.atwiki.jp/yurikagami_4/pages/121.html
プラインカルド城 北側廊下(表示は北側廊下) ┃ 壁 ━ ╋ ━ 壁 ┃ 門の小屋(表示は魔界への門) 地形、地形効果 地形:平地(効果なし) イベント:魔族討伐(リバーシ)、ライオット(キシェタトル)、終わりの願い(平須)のどれかをクリアした場合 敵 名前 HP MP 位置 使用技 通常 特別 一発 治療 選択1 選択2 ドロップ品 オド・セオド 3100~18600(上限無し) 570 前-- エクスプロード(通常)刺撃(通常)ファラッド(通常)圧撃(特別)トルネード(特別)プレミアヒール(特別) ザ・フレイム(ダメ・単体)ザ・ピアス(ダメ・単体)ザ・サンダー(ダメ・単体) ザ・ヒット(ダメ・単体)ザ・ウィンド(ダメ・単体)ザ・リカバー(回復・単体) - - - - 楯無(初回のみ)幽鋼の鎧(※入手出来なくなった可能性がある)タワーシールドクロスヘルムサファイアリング ※オド・セオドは、全ての行動を等間隔で行うため、通常技や特別技を複数使用するが、技を使用する順番は固定の模様。 ※戦闘に敗北すると、プラインカルド城 北側廊下などの元居た地点に戻される模様。 ※イベント:魔族討伐(リバーシ)、ライオット(キシェタトル)、終わりの願い(平須)のどれかをクリアしておかない場合、BT経過で敵援軍が出現する模様。(下記に追記) ※オド・セオドの能力、HPはPT人数によって変化する模様。1人ならばHPは3100だとみられる。 ※オド・セオドとの戦闘では1PTしか戦えなかったが、第三十六回更新時以降に多数のPT対セオド1体+敵援軍が追加される場合は援軍とも戦う。との仕様に変更になった。 イベント:魔族討伐(リバーシ)、ライオット(キシェタトル)、終わりの願い(平須)のどれかをクリアしていない状態で、プラインカルド城 中庭に移動した場合に追加される敵 敵 名前 HP MP 位置 使用技 通常 特別 一発 治療 選択1 選択2 ドロップ品 ガーディ 2440 352 前-- 斬撃(通常)打ち払い(特別)突撃回避(常時発動) 甲羅撃(ダメ・単体) 打ち払い 斬属性・突属性防護 - - 突撃回避 突属性防護 - 甲羅 バロンオーク 2630 388 前-- 振撃(通常)強撃(特別) 振撃(ダメ・単体) 強撃(ダメ・単体) - - - - ネイルバットレザージャケット ホーネット 2450 432 前-- 突撃(通常)崩撃(特別) 針(ダメ・単体) 毒針(ダメ・単体 ATキャンセル) - - - - 毒針虫羽虫針 デモンアタッカー 2080 446 前-- 270度スマッシュ(通常)アルターカレント(特別) クラッシュ(ダメ・単体 無刀) スプラッシュ(ダメ・単体) - - - - 鋼の鎌レザージャケット アシッド 2290 416 -中- 溶鉄水(通常) 溶鉄水(ダメ・単体) - - - - - 溶鉄水 デモンファイター 2880 366 -中- 疾風断ち(通常)口止め(特別) パワーマジック(ダメ・単体) スペルブレイク(ノーダメ・単体 MPダメージ) - - - - ストライカーくさりかたびら マディインプ 2156 433 --後 メルト(通常)ジーメンス(特別) メルト(ダメ・単体) ジーメンス(ダメ・単体) - - - - 魔獣の皮 バッドデビル 2264 466 --後 ポーラー(通常)フラッシュ(特別)インスタンス(選択1) ポーラー(ダメ・全体) フラッシュ(ダメ・全体) - - インスタンス 魔法技のAT短縮・威力減少 - 魔獣の皮 デモンウィザード 2080 526 --後 イグニッション(通常)サンセット(特別)グレートヒール(治療) イグニッション(ダメ・単体) サンセット(ダメ・全体) - グレートヒール(回復・単体) - - アドバンスパインデモンズクロス ※オド・セオドの他に、上記の全ての種類の敵がランダムに、出現する。 ※60BT経過ごとに、上記の全ての種類の敵がランダムに1体ずつ追加される。 ※デモンウィザードは、味方のHPが25%未満になったらグレートヒールを使用する。 野獣(※門の小屋からプラインカルド城 中庭に移動した場合) 名前 HP MP 位置 使用技 通常 特別 一発 治療 選択1 選択2 ドロップ品 プロテクター 3240 426 前-- 斬撃(通常)打ち払い(特別)突撃回避(常時発動)斬撃回避(常時発動) 甲羅撃(ダメ・単体) 打ち払い 斬属性・突属性防護 - - 突撃回避 突属性防護 斬撃回避 斬属性防護 甲羅 スカイビートル 2950 512 前-- 突撃(通常)崩撃(特別) 角(ダメ・単体) 刺す(ダメ・単体 ATキャンセル) - - - - 虫角虫羽 スプライト 2580 586 --後 パラライズ(通常)ジーメンス(特別) パラライズ[麻痺・全体] ジーメンス(ダメ・単体) - - - - 妖精の服清純の魔石 ※第三十回更新時に、NPC:プロテクター、スプライト、スカイビートルの能力が間違っていた問題があり、能力値が低くなったようです。 ※第三十回更新時に、プロテクターとスカイビートルの使用する技も変更されました。(プロテクターは裏鬼回し→斬撃に変更、新たに、突撃回避と斬撃回避を使用、スカイビートルは眼割り→崩撃に変更) 店 なし 宿 なし
https://w.atwiki.jp/green-p/pages/193.html
【中庭】 ニュース ゲイ(同性愛)関連ニュース 《中庭》からのお知らせ 魔女の茶房に、LGBT(性的少数者)の方へ向けてのお知らせがございます。興味のある方はどうぞ。(期限2007/7/14) 《中庭》topへ戻る 《玄関》へ戻る
https://w.atwiki.jp/mahousyoujo/pages/102.html
中庭対決後に戻る スカ「物の怪か…たしかにあやつらも妖怪じゃが、 わしが思うに中つ国と東方では文化からして違うに、妖怪もまた… おっと、失礼した。先程の少年( 176)はあの場所に残ったのじゃったかな?」 スカーフェイスはうっかり、マンダにそう話しかけた。 学園長室までの移動は意外ともたついた。 スカーフェイスが、食べ物の露店の前で時々立ち止まってしまうからだ。その度にスカーフェイスは、 スカ「メイリン!」 と叫び、思い出したようにまた足を動かし始めるといった調子だった。 それでも、なんとか学園長室まで辿りつく事ができた。 学園長室までの間、ルズはとても口数が少なかった。 それはスカーフェイスやミルクやマンダの話を聞き入っていた事もある。 だが主因は、謎の掛け声を上げるスカーフェイスをじっと観察していたからかもしれない。 ルス「そう言えば、妖怪犬を消したときも同じ掛け声をしてましたわね」 誰に言うでもなく、ルズはぽつりと呟いた。 魔法学園の敷地内に編集長の声で放送が聞こえた。 放送『あーあー、おほん。 こちらはでいりぃ・ふぃじる編集部であります。 現在、一部の場所で魔法障壁が無効になる不具合が発生しておるようです。 原因が判明するまでは、魔法障壁を過信して無茶をされないように注意してくだされ。 以上、でいりぃ・ふぃじるからの、学園祭を楽しむワンポイントアドバイスをお送りしましたぞ』 ルス「あら~ん、さすがはでいりぃ・ふぃじる、仕事が速いのですわ~。 パニックにならないようにという生徒会の意図を汲み、なおかつ的確な警告なのですわ~。 これで、万が一の被害が少しでも減ればよいのですけれど~」 スカーフェイスが扉をノックしようと近づくと、扉は待っていたようにひとりでに開いた。 その奥で、飴色になるまでよく磨かれたマホガニーの机と、椅子に腰掛ける学園長の姿が見える。 例えば、部屋というものにはその主特有の臭いが満ちているものである。 そして、学園長室にもまた独特の臭いが満ちていた。“冷たい怒り”である。 スカ「友よ、またお目にかかれるとはなんと喜ばしいか!」 学園長は、最低限の礼儀として椅子から立ち上がったが、その顔に歓迎の色は無かった。 学「友か…スカーフェイスよ、次に口にする言葉を慎重に選ぶが良いぞ。 これからも我々と変わらぬ友情を育みたいのであればな。」 今世紀史上、おそらくは最強の魔法使いは、 スカーフェイスの対応しだいによっては“本気”を出すことすら辞さないようだ。 しかし、何故スカーフェイスに対して学園長は怒っているのだろうか? ミルクはさりげなくルズとマンダを近くに引き寄せながら、恐る恐る学園長に聞いてみた。 ミル「えーっと、学園長…。 実はさっき、メイファとか言う怪物に襲われてた所をスカーフェイスさんに助けてもらったんですが… お二人はどんな…えー……お知り合いなんですか?」 学「古い友人じゃ。」 スカ「メイファは妖怪じゃ。怪物などという下卑た下等生物と一緒にするでない!」 ミル「あ、すみません!そんな意味で言ったわけじゃないんですが……」 ルス「怪我をした生徒の治療もしてくださっていましたわ~。えーと・・・マンダ、なんて薬でしたかしら~?」 マン「うん、た、しかキョー…タン……チェー おじいちゃん、こわい……おこらない、で……」 それだけ学園長に伝えると再びサッとミルクの後ろに隠れる 学「そうか、そうか。」 学園長はマンダに優しい顔でそう言った。 学「この魔法学園では、自らの行いによって起こったあらゆる結果に対して、誰しもが責任を負わなければならん。」 何故かミルクの方を見ながら学園長が言った。次に学園長は、スカーフェイスの方へ顔を向けた。 学「君がメイファを見逃した落ち度を五分と見よう。そして、君がメイファに傷つけられた生徒達を助けた事を五分と見よう。」 学園長は、スカーフェイスを許すような発言をした。しかし… 学「しかし、ファン・メイファは別じゃ。“下卑た下等生物”の真似をして生徒達を傷つけた以上、 こちらもそれ相応の対応をさせてもらうしかない。例え、君の娘であろうとな。」 スカーフェイスは、一歩後ろにたじろいだ。手に持っているヒョウタンの中には、メイファが納まっているはずである。 スカ「頼む!それだけは勘弁してくれんか!?メイファはわしの後を継ぐことができる唯一の妖怪なのじゃ! 今後決してこのような事は起こさせたりはせん!だから、許してくれ!」 ミル(って、ええええぇぇぇ?! 君の娘って、メイファとスカーフェイスさん親子だったの!? だからさっき怪物呼ばわりされて怒ったのかよ! それにそれじゃあ、メイファのとても強力な妖怪の血筋ってあんたの血筋かい! ) 学園長の顔を見る限り、スカーフェイスの言葉だけでは許してくれそうになさそうだ。 ルズは一歩前に出ると、何とか二人をとりなそうとした。 ルス「学園長、確かにメイファとやらが生徒達を傷つけたのは事実ですわ~。 ですが、それのみで相手を断罪するのは学園長らしからぬご判断なのですわ~。 ねえミルク様にマンダ、お二人もそうは思いませんこと~?」 ミル「そうそう。そりゃそうです。 周囲から見ればただの破壊活動でも、本人にはどうしようもない状況だったって事例もありますから」 ルス「とりあえず妖怪メイファ側のいい分も聞いてみてはいかがでしょう~? スカーフェイス様、メイファとやらはなぜこんな事をしでかしたのです~? 何かお心当たりはございませんの~?」 スカ「おお、そうじゃ!是非娘の言い分を聞いて欲しい!『メイリン、ヒョウタンの蓋を開けるのじゃ!』」 中つ国の言葉を最後に喋ったスカーフェイスを、学園長が止めた。 学「落ち着くのじゃ牛魔王!」 牛魔王とは、どうやらスカーフェイスの事を指しているようだ。 ちなみに牛魔王とは、中つ国のとある物語に出てくる架空の妖怪の名前である。 学「勘違いしてはならん。これはメイファ一人を罰して済む話ではないのじゃぞ? メイファは強力な妖怪じゃが、まだまだ子供じゃ。 その子供が易々とフィジル島に入ってこられた理由を突き止めなければならん。 さもなければ、我々はいまだかつて無い危機に瀕する事になる。」 スカ「何を想定しておるのじゃ?」 学「第三次文化革命じゃ。」 学園長はそうつぶやいた。 学「メイファの言い分はもちろん聞くべきじゃと思う。しかし、ここでメイファを開放するのは危険すぎる。 共にソーシュー(中つ国の地名)のメイレンを訪ねよう。メイレンならばメイファをなだめる事など造作も無かろう。 いや、もしかするとフィジル島へ行く方法をメイファに教えたのはメイレンかもしれんぞ?」 スカ「メイレンが?」 どうやら、メイレンも妖怪の一人のような感じである。 学園長はスカーフェイスと、メイファをそのメイレンのところへ連れて行くつもりのようだ。 学「友よ、メイリンをこの学園に残しておくが良い。メイファ以外の妖怪も侵入している可能性がある。 メイリンならばそれを制する事ができるじゃろうて。」 ミル(……メイリンって名前だったのか。 ) ミル「あの」 ユリ「ミルクー!今どこにいるのーっ!?」 声をかけようとした時、懐の遠話の水晶球からユリの大声が響き渡った。 あのバカ大事な時に! ミル「学園長室だよ!今取り込み中だから後にしろ!」 最低限の答えを返して通信を切断する。 ミル「すいません、友達から急に連絡が入っちゃって…… 後でよーく言い聞かせますから許してやってください」 学「構わんとも。」 学園長はそういって少し笑った。 ミル「メイリンさんが残るのなら、あたしが案内役を引き受けますよ。 学園に慣れてる人の案内があった方が、妖怪の襲撃があっても対処しやすいでしょうし。 ただ、あたし文化革命の事はよく知らないんで、教えられる範囲で教えてもらえれば助かるんですが……」 学「おお、それは助かる。是非そうして欲しい。メイリンも西方は初めてじゃろう?ゆっくり見学させると良い。」 学園長はスカーフェイスに向けてそう話した。スカーフェイスがメイリンなのだろうか? ルス「それとわたくし、メイファとそっくりな声を聞いた事があるのですが・・・・・・。 同じ声の持ち主って、単なる偶然でしょうか~? 失礼ながら、スカーフェイス様とメイファはあまり声質が似ているとは思えませんが~」 スカ「そりゃそうじゃろう!わしは男じゃぞ!?」 スカーフェイスは何を馬鹿なといった調子でそう言ったが、 なにしろマントで隠れているのだから、スカーフェイスが男だとしても見た目でわかるわけが無い。 ルス「そういう意味じゃありませんわ~!!」 質問をあっさりかわされたルズは思わず地団駄を踏んだ。 学「牛魔王、友よ、そろそろ姿を見せてはどうじゃ?先刻の会話で、お主が妖怪であることは皆承知しておる。 今さら容姿を隠しても仕方が無かろう。それにメイリンを紹介せねばならん。」 スカ「…仕方ないのう。できれば他人に見せたくは無かったが…。」 スカーフェイスはマントを脱ぎ、その姿をさらした。 マントの下から現れたのは、歳は16程、中つ国の衣装を身にまとい、 黒い髪と黒い瞳、どう見ても“少女”であった。 スカ「諸君、紹介しよう。わしのもう一人の娘、メイリンじゃ。」 少女は決して口を開かず、その声は彼女のお腹の辺りから聞こえてくる。 ミル「え、と。この人がメイリン……って事は、スカーフェイスさんは?」 ルス「こ・・・これもしかして腹部が喋るという伝説の腹話術?! すごいのですわ~わたくし初めてみたのですわ~!」 大興奮するルズをよそに、メイリンはお腹の辺りに手をやって、眼球のようなものを取り出す。 スカ「そして、わしがスカーフェイスこと、牛魔王じゃ。」 ミル「え。ええぇぇぇっ!?」 ルス「ええええええええ~!!」 そう、この目玉の親父こそがスカーフェイスなのだ。そして、皆がスカーフェイスだと思っていた体は、 スカーフェイスを運んでいた彼の娘、メイリンなのである。 ミルク同様ルズも二度・・・いや、三度ビックリしてしまった。 多分マンダも同じように感じていたに違いない。・・・・・・状況がわかっていれば、の話だが。 学「ミルクよ。申し訳ないが、わしらはこの問題をなるべく早く解決しておく必要がある。 文化革命については、魔法史のヘレン先生に聞くか、誰か中つ国の人間に聞くがよい。」 スカ「残念ながらメイリンは西方の言葉がわからない。失礼じゃが、ミルクとやら。中つ国の言葉をご存知か?」 ミル「中つ国の言葉ですか? シーサンヤオチューとかチューレンポートンとかなら知ってますけど、日常会話はちょっと……」 学「友よ、心配には及ばん。ミルクは良き友人を持っておる。中つ国の言葉を語り、文化革命の真実を知る者をな。」 スカ「うむ、それならば安心じゃ。」 ミル「中つ国を語って、文化革命の真実を知る友人…? あ、なるほど、わかりました」 メイリンは目玉の親父とヒョウタンを学園長に渡した。 二人はこれからすぐに中つ国へ行くのだろう。 スカ「娘達をよろしく頼むぞ。」 ミル「わかりました。お任せください」 ルス「いつ頃学園長が戻られるのか、うっかり聞きそびれてしましたわね~。 それにしてもメイリン様達がいるというのに、あの凶暴なメイファだけが後継者とは・・・・・・。 いやはや、スカーフェイス様もなかなか複雑な人間関係をお持ちのようですわね~」 学園長とスカーフェイスさんが退室した後、ミルク達はメイリンに自己紹介することにした。 ミル「それじゃ、中つ国語を話せるレベッカの所に行きましょうかメイリン。 あたしの名前はミルクで、こちらはルズとマンダ。よろしくね」 ルス「にゃ~ん。ごろにゃーん」 ミルクに紹介され、ルズはメイリンの足に体をすり寄せた。 たとえ言葉は通じなくとも、猫の愛情表現なら万国共通のはずだからだ。 言葉が通じないので身振りも入れてあいさつしてから、ミルク達はレベッカの所に戻ることにした。 ルス「ところで、今頃レベッカ様はどちらにいらっしゃるのかしら~。 怪我をしていたから保健室でしょうか~?」 ミル「そうかもしれないけど、案外まだゆっくりしていってるかもね。 一度ユリに知ってるかどうか聞いてみるよ。 知ってればラッキー、知らないんならその時考えよう」 ルズにそう答えてから、あたしは取り出した遠話の水晶に魔力を込める。 ミル「ユリ、聞こえる? 留学生のレベッカが今どこにいるかって知らない? リリアーナ達と一緒だったんだけど」 ユリ「おー!ミルクおめでとー!! さっきはごめんね。メラルからミルクの居場所を聞かれちゃってさー」 なぜかユリの奴は、おめでとーなんて返事を返してきた。 それに、メラルがあたしを探してる? ちょうど良いや、あたしもメラルに聞きたいことあるし。 ミル「おめでとうってなによおめでとうって。 それよりレベッカとかリリアーナの居場所は知ってるの?知らないの?」 ユリ「あ、リリアーナ達?まだ中庭の方にいるよ。 どこかに行きそうな感じだけど、合流するなら急げば間に合うんじゃないかな?」 ミル「わかったありがと。 メラルに次出合ったら、あたしも聞きたい事あるから探してるって言っといて」 とりあえず必要な事は聞いたし、おめでとうの理由を聞くのはまた今度でいいや。 そう思って、あたしはユリとの会話を終わらせる。 ミル「リリアーナ達まだ中庭にいるってさ。 レベッカも多分一緒だろうから、急いで合流しに行こう」 中庭~保健室 (9で〆)
https://w.atwiki.jp/lbcm/pages/24.html
[5]中庭 コメント [5]中庭 エリア ステータス 出会う選手 ネコ:レノン 体力 EXP マニー アサルト ブレイブ カオス 5-1 -5 +5 +50~110 【守ってあげたいグランプリ2013王者】直枝理樹(4) 【足を引っ張る刑事役】宮沢謙吾(4) 【ビッグ・ザ・ベアー】井ノ原真人(4) 5-2 -5 +5 +50~120 【ジェントルダンディ】棗恭介(3) 【世間知らずグランプリ2013優勝候補】棗鈴(2) 【とんでも担当】井ノ原真人(3) ブラック ブラック ブラック 5-3 -5 +5 +50~130 【ダメなほうの棗さん】棗恭介(2) 【竹刀の振りがなってない!】宮沢謙吾(2) 【ビッグ・ザ・ベアー】井ノ原真人(4) 5-4 -5 +5 +50~140 【守ってあげたいグランプリ2013王者】直枝理樹(4) 【猫好きなのが周りにばれていないと未だに信じこんでいる】棗鈴(2) 【黒幕に操られる犯人役】井ノ原真人(3) ピンク 5-5 -5 +5 +50~150 【妹は才色兼備 こいつはあほ】棗恭介(3) 【足を引っ張る刑事役】宮沢謙吾(4) 【ビッグ・ザ・ベアー】井ノ原真人(4) エリアクリア報酬:2000友情ポイント・エナジードリンク×2・【喰らえ、ライジングニャットボール!】棗鈴 4_食堂 << 5_中庭 >> 6_南校舎3F 廊下 コメント エリアクリア報酬は2000友情ポイント、エナジードリンク×2、【喰らえ、ライジングニャットボール!】棗鈴 - 名無しさん 2013-04-29 20 39 30 感謝!その5 - 編集人 2013-04-29 21 12 33 エリア5-1 アサルト 直枝理樹(4) - 名無しさん 2013-05-04 03 48 37 エリア5-5 アサルト 棗恭介(3) ブレイブ宮沢謙吾 (4) - 名無しさん 2013-05-04 03 50 17 登録しました! - 編集人 2013-05-04 10 42 36 5-2 カオスでもブラックのレノン出ます - 名無しさん 2013-07-18 01 57 21 5-2 カオスでもブラックのレノン出ます - 名無しさん 2013-07-18 01 57 22 登録しました! - 編 2013-07-21 14 59 06 名前
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1056.html
さっき気付いたw 緋色って書いてたじゃんw 違うよ俺、紺色w エレクトリア・イル・タルテソシア 高い塀から削ぐように射す日差しと、斜めに切り落とされた影が、庭に落ちている。 それはこの修道院が世間とどう関わりあってきたのかを示している。 そうやって、切り削られるように修道院に差し込む光は、廊下の小さな窓から差し込み、光と影の繰り返しを作り出していた。 それはこの修道院を作ったものの世界の見方なのかもしれない。長い廊下を足音が響く。導きのために先を歩く修道院長とその供は、足音をほとんど立てない。 響くのはエレクトリア・イル・タルテソシア導師その人の足音だけだ。体に合った紺色の服は、教会のものではない。彼女の金の髪はうなじの後ろで束ねられており、背中へと流されている。青の瞳は厳しく、目指す先の大扉を見つめていた。 僧兵なるものが廃されてしばらく経つはずだけれど、大扉の左右を守るのは僧兵の装束のものだった。進み来るものらを前に、僧兵は隙のないしぐさで、警鑓を扉の前で交差させる。 「この扉は教皇聖下の名において封じられた。教皇聖下の許しなければ通ることまかりならぬ」 修道院長とその供は足を止める。エレクトリア・イル・タルテソシア導師は胸の隠しより書状を取り出し、そして静かに広げ、示す。 「教皇聖下の名において伝える。この書状の持ち主、エレクトリア・イル・タルテソシア導師に入域の許しが与えられている。開錠せよ」 僧兵は交叉させていた鑓を引き戻し、己の体の脇に沿わせる。一人は続いて隙のない動きで扉の前に進み、鍵を開く。 昔は、太いかんぬきが差し渡されていたらしい。今は真新しいけれど、ずっと小さな鍵に置き換えられている。その鍵が実は魔術的な封印であることをエレクトリアは知っていた。 「修道院長様、ありがとうございます」 白髪の修道委員長は、エレクトリアよりゆっくり、大儀そうに向き直る。供がその脇で支える。 「いいえ、導師。この役目は修道会が生まれた時よりさだめられたもの。その役割を果たすことは我らが義務にして誇りでもあります」 「御足労有難うございました、院長様」 「神の御加護を」 修道院長は祝福の印を切る。 「開錠!」 声とともに僧兵が鍵を開く。さらに力を込めて扉を押し開く。重く軋る音がする。扉の先は暗かった。暗いだけでなく、突き当りになっていた。押し開く扉によって、左右に伸びる道が一度は封じられてしまう作りになっていた。だから一度中に入り、外から扉の一方を閉じなければ奥に入れない作りとなっていた。 エレクトリアが中に踏み込むのを待って、僧兵は再び力を込めて扉を引き戻し、閉じる。 そうすると中は光も無く闇に閉ざされる。エレクトリアは闇に閉ざされた廊下を歩き行く。奥にはさらに扉があることをエレクトリアは知っていた。その鍵もまたエレクトリアは携えている。 かつてここは「神の手」により触れられたものらが集められたところだった。魔術師らが修行の果てに見出したものを、何の備えも、何の前触れもなく、不意に見出してしまったものらのことだ。 見えざるものに不意に相対した時、人は惑い、時には狂う。だだ狂うだけならば構わぬけれど、それは教会の追い求めていたもの、すなわち人の子の垣間見た真理と、それを伝える教義の正しさを垣間見せるものでもあった。 教会の正しさが、狂えるものによって語られることもある。その不条理を封じ込めるものが大扉の奥にあった。 エレクトリアは鍵を開く。 ここ何年かどころか、十年か何十年かで、最も危うい「神の手に触れられたもの」がそこにいる。不時の覚醒によって、人ひとりの存在を消し去ろうとし、さらにその事象を引きずって、この世の一部にゆがみすらもたらそうとした。古人にして、四元素魔法の火を操る。帝國軍人にして、戦功も上げてきたもの。 まったく、とエレクトリアは思った。迷惑な話。 踏み込めば、そこは不条理でも何でもない、ただ閉じ込められた暮らしの場に過ぎない。外への出口がたった一つしかない、中庭のある家というところだ。エレクトリアは扉から中庭へとまっすぐ歩く。 中庭というけれど、石畳の敷き詰められた、天井のない広間のようなものだ。中庭を巡って一段高く外廊下が設けられてもいる。 長く住まうものが無かったはずだけれど、それなりに手入れをされ、それなりに修繕が成されているのは、普段はここは修道会が管理をしているからだ。 観られていることには気づいていた。エレクトリアはあえてそのままにしていた。 エレクトリアを観ているものは、中庭をめぐる外廊下にあった。その縁に腰掛けて、歩き行くエレクトリアをまっすぐに見ている。 構わず歩き、中庭の日差しの中に踏み出し、さらに進む。その姿は古人としては小柄なほうで、黒の軍装を今でもそのまま身に着けていた。階級章や徽章もおよそそのままであるらしい。着かたは軍人であるにしてはだらしなくも思える。 皺だらけであったし、鈕もきちんと閉じていない。外廊下のふちに腰掛けて、エレクトリアを見ている。足を止め、エレクトリアは言った。 「ルキアニス・アモニス騎士ですね。わたしはエレクトリア・イル・タルテソシア導師と申します。あなたの今後についての相談と助言のためにやってきました」 「・・・・・・」 アモニス騎士は、露骨と言っていいくらいに落胆しているようだった。エレクトリアを見もしない。だから言った。 「アモニス騎士、わたしはあなたの去就について、最終的な決定を諮問する立場を与えられています」 「去就?」 顔を上げたルキアニスはさらに問う。 「諮問?誰に?」 「あなたの軍籍はまだ残っているそうです。ただし教会は預かっているあなたの身柄をただ軍に返すことはできない」 アモニス騎士はエレクトラを観ている。操ること知らない生の思念を、つまり観測主体としての自我をはっきりとエレクトリアへ向けながら、それは答えを求めていた。答えずとも、エレクトリアの存在そのものの広がりを手繰るようにして、自ら観ようとしていた。 「アモニス騎士、あなたは知らないかもしれないけれどね」 エレクトリアは静かに言う。 「そのやり方はとても、失礼なやり方よ」 「!」 声を上げて、アモニスはのけぞる。 外廊下の天井を見上げ、ゆっくりと後ろ向きに倒れてゆく。両手が広がる。その姿にエレクトリアは言う。 「起きなさい、アモニス。わたしの話はまだ終わっていない」 アモニスの体が大きく胸を逸らす。ひゅう、と息を吸い込む音が聞こえる。額を押さえ、アモニスはゆっくりと身を起こす。 今も変わらず、探るように観ている。けれど同じ失策はしないらしい。先に観せられたものに驚き、戸惑っているのだろう。「霊」相によって観るということは、ただ目の前にあるものを認識するだけではない。過ぎ去ってしまった昔から、これからやってくるだろうこともに、この世のはてしないひろがり、そしてその中に在るものの繋がりと変転を認識するということだ。 今エレクトリアは、己の存在の背景と未来の混沌を一度に、映して見せた。ほんのわずかなことであったけれど、その果てしなく限りないありようは、目に直接まばゆい光を浴びせつけたようなものだ。目と違うのは、八相認識はそのものの存在の根幹にかかわっているものでもある。覚醒し、魔術師となるということはそういうことだ。 「それが何であるかも知らぬままに覚醒したものを、そのまま世に解き放つことはできません。それは力に至る教えを守ってきた教会の使命の一つでもあります。あなたはその覚醒がいかなるものであるか知り、そして自ら操れるようにならなければならない。何より、その力をもつものとして許されうる生き方を身に着けねばならない」 「許されうる、生き方?」 額を押さえ、うめくようにアモニスは言う。 「そう。覚醒によって得た力をどのように使うのかはその者次第。とはいえ術者は一人ではない。我らは一つの世にあり、その一つの世のありようを大きく壊すことは行わない。行おうとするものがいれば、消滅させる。文字通り」 「・・・・・・」 「だから、アモニス」 エレクトリアは言った。 「あなたの去就に助言し、さらには諮問するというのはすなわち、あなたをこの世から消滅させるかどうか決めうるということ。わかった?」 「・・・・・・」 アモニスは答えない。エレクトリアは言った。 「あなたも軍人でしょう。理解したならそう示しなさい」 「なら、消滅させればいいでしょう」 「消滅とは、文字通り滅され消えるということ。死んで楽になるとは違うわ。この世界の理より切り離されて、あなたのこれまでのありようすら、この世から欠け落ちる。この世であなたと関わりあったものらからも、多分」 もっともそのようなことをすれば、行いに対する揺り戻しも大きなものとなる。実際には行いようもない。エレクトリアはそう思ってはいた。 「どうするの、アモニス。わたしは助言をするけれど、決めるのはあなた」 「・・・・・・」 アモニスは身を起こして、外廊下に座り込んで、うつむいている。 そうしたとしても、迷いようもない。行きどころも無い。覚醒してしまったら、もう戻ることはできない。アモニスはそれを判っているのだろうか。 「使途さまは・・・・・・」 言いかけ、アモニスは黙り込む。不意に顔を上げて、エレクトリアを強く見た。 「カタリナ様はあなたみたいなことは言わなかった」 「そう。わたしはカタリナ様とは違うわ」 「だから、あなたは一人なの」 一瞬、虚を突かれた。空と虚の相ではなく、心のうろを。 「だから何」 エレクトリアは応じる。アモニスは答えない。だからさらに言った。 「カタリナ様が何をおっしゃろうと、わたしに与えられた役目は変わらない。わたしの助言に従い、わたしに学び、あなたはあるべきものにならねばここを出ることはできない」 「・・・・・・」 「応えなさい、アモニス。そのつもりがあるのか。無いのか。決められないとしたら何が判らないからなのか。はやく」 アモニスは目を逸らし、何事か思う風だ。揺れるアモニスの心の内は、隠されることもない。認識を行う己と、己の認識の中のことと、認識の対象が容易に入れ替わり、それぞれを容易に、観立て替えてしまう。アモニス自身にそのつもりはなかろうとも。 その思いはおよそ、二人の姿に収斂してゆくことも、エレクトリアは観ていた。だから踏み込むことに決めた。 「ここを出なければ、会うこともできないわ」 言った刹那だった。アモニスが振り向く。 「!」 それは攻撃と言って良かった。 導師に向ける攻撃としては、あまりに稚拙な思念の流れでしかなかったけれど。 いや、攻撃ではないのかもしれない。 それはエレクトリアへの敵意ではなく、害意でもない。だが正面から叩きつけられれば、滅入るような未練に満ちている。そんなものに押し流されはしないエレクトリアは、その思念をはね付けた。 「それがあなたの答え」 答えどころか、言葉になるほどの論理性すらなかったけれど。 「判ったわ」 応じてエレクトリアは「転移」した。閉じられた中庭から、最初に見た修道院の庭へと。自己の存在そのものを移動させる。 これ以上、あの思念の流れの中にいるのが絶えられなかった。 思わず庭を囲む外壁に手をついた。胸を掴み、今更ひどく揺れている己を落ち着かせようとする。 受け流すことも、跳ねつけることも、楽に行う事ができる。けれど、エレクトリアの心に在るものが、それを受け入れてしまう。 それはアモニスの力ではなく、エレクトリアの心の隙間に過ぎなかったのだけれど。 八相に覚醒した導師といえども、生まれは人だ。稀にだけれどそれを強く感じさせられることがある。 愛されたいと望めば、自ら愛も捧げもする。 「・・・・・・」 満たされなかった心のうろを突かれるなんて。 それでも忘れられないから、心のうろとして今もある。 初めて出会ったときにはエレクトリアはまだほんの子供であったし、彼はそろそろ初老と言ってよい頃合いだった。 年の差など、エレクトリアにはかかわりなかった。静かな聡明と理知を敬い、愛した。双性のこの身が彼に受け入れられることも、受け入れることも無かったけれど。 脳裏に浮かぶその姿を打消し、エレクトリアは心を静めて、もう一度転移した。 いろいろと当てられて。 実はずいぶん以前から、この辺のことのメモは書いては放棄してたんだけど、 八相のことがちょっとは判ってきたんで、こんな感じで
https://w.atwiki.jp/nettoucm/pages/5362.html
出演回 2018/07/20 ロンドンハーツ プロフィール 誕生日:1991/02/24 出身地:ロシアモスクワ サイズ:B84W60H88(時期不明) リンク https //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%BA%AD%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/persona01/pages/71.html
サンダラー 28800 ハンドガン パイレーツスカル 35520 ハンドガン げっとそうてんほう 26400 マシンガン クレイジーチェーン 33600 マシンガン じゃこうふういんほう 50400 ショットガン バイバスター 60000 ショットガン M41Aパルスガン 43200 ライフル マーズ133 55200 ライフル はくぎんのたま 8400 弾 くろがねのたま 9000 弾 ヤクトヘルム 18000 男性専用 シュツルムヘルム 28800 女性専用 ヤクトアーマー 36000 男性専用 シュツルムアーマー 57600 女性専用 ヤクトガード 16800 男性専用 シュツルムガード 24000 女性専用 ヤクトレッグ 14400 男性専用 シュツルムレッグ 21600 女性専用 つるつるドロップ 300 かめかめキャンディ 500 チューインソウル 500 ぎんのマニシャ 900 マジカルガード 15000 フィジカルガード 15000 はんごんこう 6000 コアシールド 2000 ふうまのすず 1200 ヒランヤ 1200 アギダインストーン 8000 ブフダインストーン 8000 ガルダインストーン 8000 マグダインストーン 8000 ザンダインストーン 10000 ジオダインストーン 10000 きずぐすり 100 ほうぎょく 2000 ガラガラドリンク 200 マッスルドリンコ 300 ちがえしのたま 3600 はんごんこう 6000 ディストーン 300 ディスパライズ 300 ディスポイズン 500 ディスシック 8000 みかづきのせきばん 14000 はんげつのせきばん 14000 ポズムディストーン 14000 パララディストーン 14000 ペトラディストーン 14000 シシリディストーン 14000
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1160.html
エレクトリア (5) 炎が弾けて大きく広がる。 中庭の石壁に阻まれて、それは壁に沿って広がり巡る。 けれどそれは、中庭の外には決して漏れはしない。そのように作られているからだ。ここは不時覚醒者の中でも、最も危険なものらを封じるのだから。 「・・・・・・」 そして、ただ魔力を叩きつけるような攻撃で導師を傷つけることなどできない。 炎を背に立ち、エレクトリアはアモニスを観る。 アモニスはもう、それに驚かないらしい。手にした神具の弓を引き起こす。その弦を引き絞ると、そこに炎の矢が現れてくる。 「・・・・・・」 ありえないことが立て続けに起きている。まるで何者かが引き起こしているかのようにだ。知らぬまま封印された神具を預けられ、そののちに不時覚醒するなどありえるだろうか。あるいは不時覚醒者への措置をきっかけに、神具の封印が解かれるなどと。 「・・・・・・」 しかもしかもアモニスはまだ知らない。あれが神具であることを。神具を使って機神を召喚されたら、この中庭の結界も破られるだろう。 アモニスは弓を引き絞りつつ、エレクトリアへと向けてくる。 そして放った。 吸い込まれるようにむかってくるそれを、エレクトラは虚にすり抜ける。この世の時の流れの中の己を、虚相によってほんのわずかだけ、緩める。 エレクトリアの在ったところを貫いた炎の矢は、エレクトリアの背後で、弾ける。 自ら弾けて大きく広がり、その広がった形から、さらにエレクトリアを包むように押し寄せてくる。 「!」 だがその魔力熱を、エレクトリアは闇に吸い消す。魔力の炎には、霊によってエレクトリアを追うようにされていた。炎がたとえエレクトリアを貫かなくても、炎が自らエレクトリアを追い掛けるようにと。 ほんのわずか前に不時覚醒しただけのアモニスがそうやって見せている。 だが魔術師には魔術師の戦いがある。アモニスに勝つことなど、決してできない。けれどその姿はさらに神具の弓を引き起こす。しかし、そこに現れているのは、炎の魔術ではない。 観えていた。アモニスが何をしようとするのか。 霊相の力を、神具の弓を使って増幅している。たぎるような怒りが、エレクトリアへ向けられる。 「!」 一番最初にエレクトリアがアモニスに向けて行ったように、霊の力で、こんどはアモニスがエレクトラを打つ。 とっさに結界を張った。霊相の対、物の相。観ることはすなわち観られること。その対はすなわち、関わりをもたぬ完全な客体。 「!」 けれど、神具の力は、強かった。手練れとは言えぬアモニスの操る霊相を、高く鋭く研ぎ澄まして、エレクトリアを打っていた。 あれだけ強くアモニスの観相に晒されれば、アモニスの観相に従属してしまう。危険すぎる。 エレクトリアのように、己を己たるように自ら定め続けられなければ。 「・・・・・・」 そして、アモニスに観られた。 深く、また広く。エレクトリアを、エレクトリアそのものと、エレクトリアを形作ってきた多くのものを。 動揺していた。アモニスの観相に呼応して、己の中から思いが湧き出してくる。そこに見える姿は追憶ですらないと知っていたのに。 そのわずかな隙に、アモニスは地を蹴って駆ける。エレクトリアにはその狙いも判っていた。唯一通じた格闘の距離に詰め寄るためだ。 けれど、そんなことでは導師を倒すことなどできない。たとえ魔道の炎で焼こうと、その程度のものは闇に吸い消すことができる。魔力の炎だけではない。アモニスの体から、体力や体温を奪いきることだってできる。だからその術を練る。 「・・・・・・」 そうしながら、エレクトリアの心は追憶に揺れていた。アモニスのつかった霊の収束に、エレクトリアの追憶が引きずり出されていた。 ヒエメニシス先生と出会う前の幼い頃を。出会った時のことを、一緒に乗った船のことを、一緒の暮らしのことを、そこで起きた忘れ去りそうな小さな出来事を。一緒の朝ごはんを。先生の部屋の片づけを。 ずっとずっと昔のことを。忘れかけていたけれど、決して失われないものを。それでもエレクトリアは備える。アモニスの動きを止める闇の術を放つために。 アモニスが詰め寄る。はやい。エレクトリアが術を放つより早く、そして遠くから、アモニスは腕を振るう。 読まれている。エレクトリアの意識に続く、エレクトリアの動きが。アモニスの意思にではなく、アモニスの器たる肉体によって。 腕そのものは届かなくても、その腕から魔力の炎がほとばしる。燃え上がる怒りがそのまま形を成して、エレクトリアに押し寄せる。 「!」 エレクトリアは術を放った。アモニスに向けるはずだった闇相の術で、アモニスの放った炎を吸い消す。アモニスはさらに深く踏み込んでくる。次には体術が来る。 エレクトリアは己を揺るがせる。この世の時の流れの中の、己のありかをわずかにずらす。先に矢をすり抜けたときと同じように。 だがエレクトリアの観取り予期したその刻に、アモニスの攻め手は来なかった。 「がっ!」 アモニスの拳が深々とエレクトリアの腹を打っていた。身を折るエレクトリアへ向かって、さらにアモニスは足を振るう。 「!」 蹴り飛ばされ、石畳を転がる。息ができない。器としての肉体の叫ぶ痛みは押しやる。導師にとっても肉体は容易には捨てられないが、肉体を認識に従属させることはできる。 またも読まれていた。ほんの数瞬の間に、アモニスは虚の揺らぎを使うエレクトリアを観切ったのだ。 エレクトリアは動揺していた。これまで多くの魔術師と戦ってきたけれど、このような戦い方をするものなどいなかった。 導師を相手に、体術で戦おうなどという愚か者などいない。いなかった。こんなことではエレクトリアを倒すことなどできない。だが意識を消耗させ、術の精度を落とさせ、さらに魔力を浪費させることはできる。 さらにアモニスには神具がある。神具がいかなるものかに気付けば、機神を召喚されてしまう。そうなればこの中庭の結界も打ち崩される。 だからエレクトリアは身を起こしながら術を練った。この中庭の結界で、アモニスが放ってきた強い魔力を使い、それにエレクトリア自身の魔力を使い、霊と空と虚の術を。 魔術的に殺してしまう方がはるかに楽だ。生きているけれどそれだけの肉塊に、あるいはそれ以下のものに変えてしまう方が。 そうしてくれる。 応じるようにアモニスは弓を構える。わかっていた。霊の力でふたたびエレクトリアを打つために。 だからエレクトリアは構わず術を放つ。 時の流れを、早巡りさせる術を。この世そのものの時の流れではなく、アモニスの感じる時の流れを、早く早く巡らせ、アモニスにとってだけの時の流れを、刹那を長く長く変える術を。 アモニスは見た目は変わりない。代わるのはその内面だ。時が流れるほど、追憶は遠ざかり、薄れて消えてゆく。追憶は去るべきなのだ。怒りもまた同じく。すべての感情も同じく去る。 アモニスの中から遠ざかってゆく。それがエレクトリアにも観えた。そのようにアモニス自身を変えたのだ。 「!」 アモニスは叫んだ。胸を抱えて、天を仰いで。 初めから負けるはずがない。アモニスが矢を打つ前にすでに勝っていた。アモニスが神具を顕現させるまえにすでに勝っていた。すなわち、最初にアモニスに罰を与えたときに。 「・・・・・・」 その声は消え入るようになくなる。アモニスは震え、身を抱える。ひざをついて背を折る。 すべてが追憶の向こうへ消えてゆく。遠い昔のことを思い出せなくなるように、すべてが薄れて消えてゆく。そのように施術したのだから。 アモニスは背を折り、その額はもはや石畳に接している。 「・・・・・・」 肩が震えている。 「!」 アモニスは叫んだ。 諦めの叫びではなかった。 声を上げて、石畳に額を打ちつける。 「!」 二度、三度と。血が飛ぶ。 「・・・・・・無駄なことを」 そんなことをしても、消えゆく追憶は戻りはしない。 アモニスが悪い。無駄な抵抗をして、そうしてすべてを失う。追憶の一片すら失えば、人はもとの人ではいられなくなる。 みじめな人生であっても、望まぬいくさに明け暮れていたとしても、それらを失えばその場限りの心が残るだけだ。 「!」 アモニスが石畳に頭を打ちつける音が響く。 そうやって廃人になることも、アモニスが選んだ。エレクトリアの任としては、失敗に近いことかもしれない。だが、構わない。 構わない。 エレクトリアは怒っているのだから。 「・・・・・・」 怒っているのだから。 泣き声がする。子供のような。 エレクトラは知っていた。すべての追憶から切り離された者は、赤子のようになる。その場限りのことものに、笑い、泣く。 アモニスはただ泣いていた。なぜ泣いているのか、己さえ忘れてゆくだろうに。泣いていた。 エレクトリアはその様子を見ていた。観てもいた。失われゆくものを観ていた。 エレクトリアは人を滅したこともある。人を人でないものに変えた。殺したこともある。生きているだけの廃人にしたこともある。後悔などしていない。魔術師は魔術師であるがために、他の魔術師と戦わねばならぬ時があっただけだ。エレクトリアには戦い、守りたい人がいただけだ。 魔術は才の世界でもある。誰にでも操れるものではない。だが同時に、操れるものが、世の理をよりよく知ることができるわけでもない。魔術にはその両方が必要だ。操れずとも、世の理を深く探り知るものがいる。 「・・・・・・」 エレクトリアにとっては、ヒエメニシス先生がその人だった。 先生が導いてくれた。あの手で。先生が教えてくれた。脇に寄り添って文字の読み方ひとつから。先生を守りたかった。先生が好きだった。穏やかで低い声も。几帳面なのに、どうでもいいところでだらしないことも。好きなお茶も、エレクトリアは同じように好きだった。 好きだった。 今でも好き。だから耐えられなかった。だから逃げ出してきた。好きだから。先生が好きだから。 導師といえども肉体という器からは離れられない。この体に生まれなければ、そして魔導の才がなければ、エレクトリアはここにこうしてはいない。 けれど、そんなことより、ヒエメニシス先生がいなければ、エレクトリアは生きてさえいられなかった。 その思い出を、追憶を、アモニスは観た。 ずっと隠してきたエレクトリアの思いを見た。 己で見ぬふりをしてきたものなのに。 許せない。 滅びてしまえばいいのに。廃人になってしまえばいいのに。 早く泣き止め。すべてを忘却にゆだねてしまえ。そうしなければ、そうしなければ・・・・・・ 「・・・・・・」 もう耐えられない。 今では、エレクトリアはアモニスのことを良く知っていた。観ることはすなわち観られることでもある。 アモニスから今、遠ざかり薄れゆく事物の多くを、エレクトリアは知ってしまったのだから。 もう暴走するしかないんだけど、でも初期のアイデア通りではある。
https://w.atwiki.jp/kodeland/pages/2.html
■ トップページ ■ MAP & アクセス ■ ロケーション ■ 外観 ■ 中庭 ■ プラン ■ 設備 ■ リンク ■ NEWs