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前ページ次ページ”舵輪(ヘルム)”の使い魔 ミュズが目覚めると、そこは見た事の無い建物の薄暗く照明を落とした部屋だった。 「ふあ…。ここは…?」 フカフカとした床の上に横になってフカフカとした布が掛けられていたミュズは上体を起こし、くしくしと目を擦りながら呟く。 「お目覚めですか?ミュズ…さん?」 横から声がするので、ミュズはそちらを向くとそこには、黒い服の上から白い前掛けをした黒髪の女の子が椅子に座っている。 ミュズは見知らぬ女の子に名を呼ばれて、不思議そうな顔して小首を傾げる。 「こんばんは、私はシエスタっていいます。私はあなたと同じ平民で、貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいているんです。」 シエスタは丁寧に自己紹介をする。 「ぼくはミュズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのものです。シエスタはヒトだから…、あなたとは違います」 ミュズの返事に戸惑ったが、矢継ぎ早にシエスタは用件を言う。 「あなたの御主人様、ミス・ヴァリエールに言われて、あなたが起きるのを待っていたの。『起きたら、私の部屋に連れて来るように』って」 シエスタは足元から取り出したサンダルを、手際良く馴れた手つきでミュズに履かせる。 そのサンダルは、足の甲と踵を太い紐で固定して、足首のところで結ぶ、しっかりとした履き心地のある物であった。 ミュズは今まで寝ていた台の上から降りる。 「あの。シエスタ、ぼくの服は?」 今になってミュズは自分の着ている服が変わっている事に気が付く。 ベージュの飾っ気の無いワンピースで、ミュズにはサイズが大きく袖や首回りなどがタボダボと開いている。 「始め、ミス・ヴァリエールにあなたの着替えと着ていた赤い布を普段着に仕立てる様に申し付けられました。眠っている間に着替えを済ませたのですが、夕食後に再度、ミス・ヴァリエールから依頼されたのですよ」 シエスタは経緯を説明する。 既に陽が落ちて、赤と青の双月がトリステインを照らす時刻となっていた。 シエスタは部屋にある唯一の灯を持つと、ミュズの手を引いき、その部屋を出た。 つかつかと歩くシエスタと、その後ろをてとてとと歩くミュズが薄暗い夜の廊下を進む。 手を引かれていたミュズは、窓から明るい二つの月を見た。 「ここは地球?」 「チキュウ?いいえ、トリステインですよ」 シエスタは『地球』と言う聞いた事がある単語に頭を傾げながら、ミュズの質問に返答する。 「あの時、テレポートされたから…、データで知っているのと…違う。ここはトリステインと言う惑星(ほし)なんだ」 ミュズは声には出さずに呟いた。 その頃、ルイズは寮塔の自分の部屋で考えていた。 もとい召喚してから、授業の時も夕食の時もお風呂の時も、ずっと悩み続けていた。 あんな小さな少女が召喚されてすぐに演技や嘘で、あんな事を言えるだろうか? 張りぼてのドラゴンがあんなに息苦しそうに動き、あんなドロドロに溶けてしまうだろうか? 少女とドラゴンの言葉は眉唾ものであったが、一人と一頭が存在していたのは紛れもない事実である。 あの時、咄嗟に水をあげてしまったのは、その一人と一頭を見ていて、貴族の責務(ノブレス・オブリージュ)として父母に教えられた助けを求める平民に対する、または親愛なるちい姉さまが言っていた弱っている動物に対する行動であった。 ルイズは延々と悩んで結局、あの溶けてしまったドラゴンが張りぼてで無いと結論を出し、ミュズと言う少女はその虚言癖のある韻竜に育てられた娘と言う事にした。 ルイズの考えが纏まる時、頃合い良くノックする音が聞こえた。 「夜分、失礼します。ミュズさんをお連れていたしました」 その声を聞いたルイズはミュズを招き入れ、シエスタを下がらせる。 ルイズはミュズを見ると、逡巡の後に溜息をついてしまった。 目の前の少女には悪いが、せめて鷲とか梟とかの様なカッコいい生き物がよかったと、ルイズは思ってしまう。 ルイズはぶっきらぼうにドカッと机の横にある椅子に腰掛け、机の上に頬杖をついた。 「あんたは何なのよ。なんで、召喚してあなたが来ちゃったのかしら?」 ルイズは悲しげな顔でミュズに問い質す。 「ぼくのお父さんは――科学者で、悪いヒトでした。悪い…仲間に誘われて、悪い目的のために大層な時間をかけて、ぼくを作りました。」 ミュズは部屋の隅に立ったまま、自身の生い立ちを話し始める。 「”宇宙最高の秘宝”を手に入れるための道具として…。でも、父の仲間の狙いは、ぼくの中の”二枚目の地図(ネクストシート)”だった。」 訳の分からぬ単語が頻出するミュズの突拍子も無い話しに、ルイズは話半分に相槌を打っていた。 「きっと始めから裏切られていた。合流地点だった”地球”で待ち伏せされて…、父はまだ眠っていたぼくを誕生させて、脱出したんです。そこにテレポートのゲートが現れて…着陸するとあの場所に居ました」 「そのげーと?が召喚の門かしら。召喚の魔法、つまり『サモン・サーヴァント』は、ハルケギニアの生き物を呼び出すのよ。」 ルイズは疑わしげなミュズの話しを聞いた所で、召喚についての説明をする。 「普通は動物や幻獣なんだけどね。人間が召喚されるなんて初めて見たわ。しかもチキュウなんて所、聞いたことがない」 「そうなんですか」(近隣のハルケギニア星から生き物を、愛玩や使役目的でテレポートするのかな?それで現れた生き物を使い魔って呼んでいる?) そんな事を考えながら、ミュズは興味深げに頷いていた。 「ところで、使い魔が何をするか知ってる?」 ルイズの質問にミュズは、首を横に振って答える。 「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」 「どういうことですか?」 「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ。でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」 「ちょっと待ってください」 ミュズは落胆するルイズの話しを切って、部屋の窓から身を乗り出し、遠くの方を眺めた。 その後、おもむろにミュズはルイズに近付き、頭を掴んで額同士をくっつける。 ルイズの目の前に、夜空に煌めく見覚えのある白い尖塔が浮かぶ。 「きゃああ!な、なに?トリスタニアの宮殿がみえた?今のは?」 ルイズは、がばりとミュズの手から外れ、驚きの余りに悲鳴を上げて混乱する。 「ぼくの目に見えるものです」 「確かに、ここからトリスタニアを遮りそうな山なんかはないけど、すごいわね?」 「もっと遠くまで見ることも出来ますよ」 「色々と変わってるけど、なかなか使えそうな能力じゃない」 ルイズは、頭をくっつけないと効果のない変な感覚共有と考えつつ、落胆していた使い魔に頷きながら感心する。 「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」 「秘薬ってなんですか?」 「特定の魔法を使うときに使用する触媒よ。硫黄とか、コケとか……。あなたに見つけてこれないでしょう」 「薬品の原料ですか?実物を見せて頂ければ、サーチして用意出来ます」 「ああ、はいはい」 簡単そうにミュズが返答をするので、そこら辺に生えてる雑草と勘違いしているじゃないかとルイズは思いつつ、あきれ気味にあしらう。 「そして、これが一番なんだけど……。使い魔は、主人を守る存在であるのよ。その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目!あなたじゃ無理ね……」 ルイズは自分より小さく細いミュズを見て、諦めた様に言う。 「ぼく単体でも、十分に戦えます!」 「そうなの…?でもね。あんたみたいな小っちゃい娘を盾にするなんて、貴族の名折れよ!」 ファイティングポーズをとって自信満々といった様子のミュズに、ルイズは貴族としての心構えから啖呵を切る。 「だから、あなたに出来そうなことをやらせるわ。洗濯、掃除、その他雑用」 「はい、分かりました。マスター」 ルイズはビシッとミュズを指差して高らに宣言し、ミュズは従順に頭を垂れた。 言いたい事を言い終わったルイズに、恐縮しつつミュズは尋ねる。 「あのー、これなんですけど…」 ミュズは左手の甲を見せる。 そこには蛇がのたくった様な紋様、ある種の文字が躍っていた。 「ああ、それね。わたしの使い魔ですっていう、印みたいなものよ」 「この印が刻まれた事で、それまでに無かった能力が付加されたみたいです」 「使い魔として契約したときに、特殊能力を得ることがあるって聞いたことがあるけど、みたいってどう言うこと?」 「能力を発動させる条件が分からなくって、能力が使えないんです」 「それじゃ、意味ないじゃない!」 ルイズは素早く鋭いツッコミをミュズに入れる。 ミュズは恥ずかしそうに顔を赤らめ、しょんぼりと肩を落とす。 「さてと、色々と喋ってたら、眠くなっちゃったわ」 ルイズは、くあと欠伸をする。 椅子から立ち上がり、ブラウスのボタンに手をかけて、一個づつボタンを外していく。 ミュズは奇妙に見えるルイズの動きに疑問を投げ掛ける。 「なにをしているんですか?」 きょとんとした声で、ルイズが言った。 「寝るから、着替えるのよ」 この娘は今まで着の身着のままで生活していたのだろうと、ルイズは考えながら、いそいそと着替えを続ける。 「じゃあ、これ、明日になったら洗濯しといて」 ルイズは脱ぎ終わったキャミソールとパンティをミュズに渡し、大きめのネグリジェをかぶる。 ミュズは渡された物を物珍しそうに見ている。 ルイズはベッドに座ると、毛布を一枚投げてよこした。 「ベッドは一つしかないんだからしかたないけど、ここで寝てくれる」 ルイズは床を指差す。 ミュズは嫌な顔をせずに洗濯物を足元に置き、横になって毛布に包まった。 ルイズが、ぱちんと指を弾くと、ランプの灯りが消え、部屋に真っ暗な夜の帳が下りる。 ミュズが驚いて興味津々と言った様子で騒ぐので、ルイズは早く寝なさいと怒鳴りつける。 怒鳴られて静かになったミュズは寝る気配を見せる事が無く、窓の外の双月を眺めていた。 しかし、ルイズは昼間から夕方過ぎまでミュズが眠り続けていたのを知っているので咎める事はしなかった。 「おやすみなさい」ルイズは眠たげな声でミュズに呟く。 そして、ミュズの使い魔としての生活が始まった。 前ページ次ページ”舵輪(ヘルム)”の使い魔
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「ふんふんふーん♪」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、ゼロのルイズはご機嫌だった。 今日のデザートは彼女の好きなクックベリーパイなのだ! なにやら食堂の一角が騒がしくなっている気もするが、彼女にとって今は誰にも 邪魔されたくない至高の時間なのである。 使い魔がそっちの方に行ったような気もしたが、当然無視した。 「まったく、あの馬鹿ったら…」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、香水のモンモランシーは先日の事を思い出して 不機嫌になっていた。 「ギーシュ、ポケットから壜が落ちたぞ」 「おお!その香水はモンモランシーのものじゃないか!」 「つまりギーシュ、お前はモンモランシーと付き合っている。そうだな?」 「ち、違う!彼女の名誉の為に…ケ、ケティこれはその… ヒィ!も、モンモランシー!?違う、違うんだ!」 「ヘイ!ケティ、マスク狩りの時間だ!」 「OKモンモランシー!」 「クロス!」「ボンバー!」 「ウギャー!キン○マ―ン!」 「すまないギーシュ!僕が壜を拾わなければ…」 「いいんだ…それより、誰か僕の顔を見て笑っていやしないか?」 「誰にも…誰にも笑わせはしない…」 「ありがとう…マルコメミソ」 「マリコルヌ!風上のマリコルヌだよ!?」 つまりは、付き合ってる男に二股かけられたのである。 気位の高い彼女には、とてもとても許容しがたい出来事であった。 気位が高くなくても許容できない話だと思うが。 それでも謝られると許したくなってくるのが、余計に腹が立ってくるというかなんというか。 「どうぞ」 そんなことを考えていると、メイドがデザートを机に持ってくる。 当然貴族である彼女が『ありがとう』等と、平民に一々礼を言うわけも無く、 配った彼女を見ようともしないでクックベリーパイを口に運ぶ。 「…ちょっと、そこの貴方」 「え、私ですか?」 ケーキを配ったメイドが、貴族に呼び止められた事に当惑して立ち止まる。 「これ…どういう事?」 シエスタはこれ以上ないというぐらい脅えていた。 目の前の貴族、学生といえど魔法を操り、平民である自分にとって絶対的な存在が 自分に怒りをぶつけているのである。 「申し訳ございません!どうか、どうかお許しください!」 体の震えが止まらない。 「お許しください、ですって? 貴族である私の口に、平民である貴方の髪の毛を入れておいてお許しください?」 「お願いします、どうかお許しを!」 涙が溢れてくる。 平民の自分が貴族に粗相をして唯ですむはずが無い。 周りを見ても、他のメイドは見てみぬフリをし、貴族は何事かと一度は見るものの、 平民が貴族から罰を受けているとわかれば、あとは特に関心をしめさない。 助けなど望むべくも無いのだ。 シエスタにとって不幸だったのは、モンモランシーの機嫌が悪かった事だ。 そうでなければ怒りこそすれ、基本的に野蛮な事を嫌う彼女が『お仕置き』を する事もなかっただろう。 「覚悟はいいかしら?」 魔法の杖を取り出し、残酷に告げる。 「どうか…」 脅えるメイドに、嗜虐心をそそられたモンモランシーが杖を振ると、 メイドの頭上から水が降り注いだ。 「あら、似合ってるじゃない?」 ずぶ濡れになった姿を見て、にっこりと微笑むモンモランシーの姿に、 シエスタは更なる恐怖を覚える。この程度で済むはずが無いのだ。 「あぁ……ぁ……」 「さあ、次は…」 魔法を繰り出そうと杖を振り上げた瞬間、誰かがその腕を掴んだ。 「やめないか!」 育郎が食堂での騒ぎに気付き、駆け寄って見た物は、杖を振り上げる女生徒の前で、 先日世話になったシエスタがずぶ濡れになって震える姿だった。 「な、何よ貴方!?平民が気安く貴族にさわらないでよ!」 女性が抗議の声をあげるが、無視して育郎が尋ねる。 「君は何をやっているんだ!?」 「ハァ?この子の持ってきたデザートにね、髪の毛が入ってたのよ。 粗相をしたメイドにお仕置きして何が悪いのよ?」 「な!?そんな事で…」 「さっさと離しなさいよ!」 モンモランシーが、呆然とする育郎の腕を振り払おうとするが、 掴まれた腕はまったく動かない。 「彼女に謝るんだ」 静かに、だが強い意志を持って育郎の口から出た言葉を、モンモランシーは 鼻で笑って拒否する。 「謝る?何で貴族の私が平民に謝らなきゃいけないの? それに悪いのはこの子の方じゃない」 「君が怒るのもわからないわけじゃない…でもこれはやりすぎだ!」 「な、なによ…」 なんだなんだと、周りの生徒が2人のやり取りに気付く。 「おい、平民が何やってるんだ!」 「あれは…ゼロのルイズの使い魔じゃないか?」 「主人が主人なら使い魔も使い魔だな…」 周りの生徒が騒ぎ出した事により、少し弱気になったモンモランシーが勢いを取り戻す。 「さあ、早く手をはなしなさい!」 しかし育郎は手をはなそうとはせず、モンモランシーを見据える。 「彼女に謝るんだ…」 な…なんなのこいつ!? 生徒達に囲まれても、まったく物怖じせずに自分を見る育郎に、モンモランシーは 恐怖とまではいかないが、言いようのない不安を感じていた。その時、 「君!今すぐその汚い手を、僕の愛するモンモランシーからはなすんだ! さもなくば、このギーシュ・ド・グラモンが相手になってやろう!」 ギーシュは先日の事を謝る為に、愛するモンモランシーを探していた。 ポケットには今月の小遣いの大半をはたいて買った指輪が入っている。 「これを精一杯の愛の言葉と共に渡せば、彼女もきっと許してくれるに違いないさ」 彼は女の子が好きで、特にかわいい女の子が好きで、さらに女好きの家系という 環境で育ち、あとちょっと頭が弱かったりするため、つい二股なんてしてしまったが、 それでもなんのかんの言って、モンモランシーが一番好きなのである。 「モンモランシーならまだ食堂にいたわよ」 彼女の友人の言葉に従って食堂に行って見れば、なんとモンモランシーが平民、 ゼロのルイズが呼び出した使い魔に凄まれているではないか! 当然の如く、彼は愛するモンモランシーを助ける、というよりは相手が平民なので、 どちらかというと彼女にいい格好を見せる為に、前に出たのであった。 「ああ、ギーシュ!」 そんな思惑も見事に的中したようで、不安になっていた彼女が元気を取り戻す。 「聞こえなかったのか?手をはなすんだ…」 彼なりの凄みを効かせて育郎に薔薇の形をした杖を向ける。 「ほ、ほら早くはなしなさいよ。痛いじゃないのよ!」 「あ、すまない」 やっと手をはなした育郎を見て、モンモランシーは先程の不安を思い出し、怒りに震えた。 この平民にどんな罰を与えてやろうか? 平民が貴族に向かって生意気な目を向けてきたのだ… そうだ!ギーシュのゴーレムを使って痛めつけてやろう! 「まったく、貴方にも躾が必要なようね、ギーシュ!」 「ああ、任せてくれたまえ、モンモランシー…」 「とにかく、シエスタさんに謝るんだ」 「そう、このメイドにあやまって」 「ふっ、何がなんだかよくわかんないけど…すまないね、君」 「は、はぁ…」 「………って違うわよ!ギーシュ、貴方も何言うとおりにしてるの!?」 「え、でも君が謝れって?」 「貴族の僕たちが、何故平民なんかに頭を下げなきゃいけないんだ?」 事の経緯を聞いたギーシュがやれやれと首を振る。 「そうよ!大体平民の貴方が私に気安く触れるなんて…」 「そうだ、僕の愛しいモンモランシーになんてことをするんだ? だいたい、そのメイドが悪いんだろう?」 「…だからと言って、ここまでする事は無いだろう」 育郎が呆然とするシエスタを快方する。 うーん、なんだか変なことになってきたぞ? ギーシュの予定では、今頃は格好よく現れた自分がこの平民を叩きのめし、 モンモランシーからお礼のキスでも貰っているはずなのである。 それがこの平民と来たら訳のわからない事を言って、予定とは違う方向に 話が向かっている。 そういえば何で僕がメイドに頭を下げてるんだ?思い出したら腹が立ってきた。 モンモランシーも機嫌が悪くなってるし…よし、ここで一つ良いとこを見せよう! 「モンモランシー…彼の言うとおり謝ってあげてもいいんじゃないか?」 「な、何を言ってるのよギーシュ!」 先日の一撃で頭のどこかが壊れてしまったのかと、驚きながらギーシュを見る。 「ただし、僕に勝ったらだ………『決闘』だよ!!」 オオーッ!と周りから歓声が上がる。 「『決闘』?」 「そうだよ、正々堂々戦い、負けたほうが勝った方のいう事を聞く。どうだい?」 「そんな!?」 おどろく育郎を、脅えているととったギーシュは、調子に乗ってさらに続けた 「貴族から『決闘』を申し込まれたんだ、まさか断るは言わないよな? いや、所詮『ゼロのルイズ』の使い魔…主人同様出来損ないなら、 臆病風に吹かれてもしかたあるまい…」 その言葉に周りの生徒達から笑いが起こる。 「…わかった、受けよう」 「そんな!?育郎さん駄目です!」 育郎が女生徒を止めた時、シエスタの目には彼がおとぎ話の勇者の如く映った。 物語のなかから出てきた英雄が自分を救いにきてくれたのかと。 しかし、時が立つにつれ怖くなってきた。育郎はただの平民なのだ、 それが貴族と『決闘』だなんて…自分のせいで育郎が殺されてしまうかも知れない、 そう思うと先程より強い恐怖が襲ってくる。 「イクローさん、相手はメイジなんですよ!?殺されちゃいます!」 「殺される…だって!?」 驚いた育郎の顔を見ると胸の中が罪悪感でいっぱいになる。 もっとも、育郎が驚いたのは、生命の危険を感じたからではないのだが。 「僕はヴェストリの広場で待っている…逃げるなよ?」 ギーシュがそう言ってモンモランシーと一緒に去っていく。 「私が…私が悪いんです…だからイクローさんがこんな事を…」 ついには泣き出してしまうシエスタ。 「いいんだ…大丈夫だから」 「何が大丈夫なのよ!」 いつの間にか現れたルイズが育郎を怒鳴りつける。 「あんたどういうつもりなのよ、貴族と『決闘』だなんて!? ちょっと馬鹿力だからって調子に乗らないでよ…ほら、一緒に謝ってあげるから」 「それは出来ない…」 「なんでよ!?いい、メイジに平民は絶対に勝てないの! 心配しなくても、誰もあんたを臆病者なんて言わないわよ…」 「…違う」 「な、何が違うのよ…」 育郎にとって臆病者と呼ばれることなど、どうという事は無かった。 シエスタの事もあったが、逃げればルイズも馬鹿にされてしまう、 それが彼に『決闘』を受ける決心をさせたのだ。 「シエスタさん、彼の言っていた広場はどこですか?」 「駄目!?駄目です!」 涙を流しながら必死で止めようとするシエスタをなだめながら、 育郎は近くにいた生徒に広場の場所を聞く。 「何やってるのよ!?やめなさいって言ってるでしょ、ご主人様の命令なのよ!?」 「…それはできない」 「………もう知らない!ギーシュの馬鹿にボコボコにされればいいのよ!!」 走り去るルイズの後姿を見送り、シエスタを他のメイドに任せてから、 育郎は広場に向かった。 果たして、僕はあの力を使わずにすむのか? そう考えながら… 「何か俺忘れられてねーか?いらない子認定されてね!?」 そのころデルフリンガーは言いようの無い不安を感じ、思考がネガティブになっていた。
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前ページ次ページアクマがこんにちわ 「あ゛ーーーーーーーー!?」 ズドン!と地面を揺るがすような音が響いた。 ルイズは草原の一角にできた人型の穴を見て、口をあんぐりと開いて固まっている。 キュルケはわざとらしく手で顔を覆い、あちゃぁと呟いた。 そしてタバサは、シルフィードの背から地面を見下ろして「失敗」と呟いた。 時刻は夕方……高度100メイルから落下した人修羅は、地面の中でモグラの気持ちを味わっていた。 ■■■ 「いやぁ土の上に落ちるなら痛くないと思ったけど、けっこう痛いね」 地面にできた穴から、人修羅がはい上がると、そんなことを呟いてルイズ達を呆れさせた。 「無茶するわね、それで『レビテーション』は使えた?」 地面に座っている人修羅に向かって、キュルケが中腰になり質問すると、人修羅は両手を左右に開いて首を振った。 「ぜーんぜん駄目。タバサさんに教えて貰ったけど、いまいち魔力…精神力の流れが掴めないんだ。再現はできてるはずなんだけど、上手くいかないんだよ」 ちなみに今、人修羅は召喚された時と同じ姿でいる、服はシルフィードの背から飛び降りる前にタバサに預けていた。 地面に降りてきたシルフィードが、きゅいきゅいと鳴きながら尻尾を人修羅に向ける、人修羅は尻尾にぶら下げられた上着を手に取ると、立ち上がって身体の埃を落とし、服を羽織った。 「ねえ、そこまでして、空を飛びたいの?」 「飛びたい」「飛びたいわよ」 キュルケの問いかけに、人修羅とルイズがそろって答えた。 「そこまで言うなら止めないけど、ルイズ、あんたが真似したら死んじゃうわよ」 そう言いながらキュルケは人修羅を指さした、ルイズはむっとした顔になると、多少ムキになって反論する。 「いくら私でもこんな無茶しないわよ!」 「ははは、俺だってこんな無茶他人にさせたくないよ。……ああ、そうだ、今日はありがとうタバサさん、それとシルフィード」 人修羅が頭をぽりぽりと掻きつつ呟くと、シルフィードはきゅいと鳴いて返事をする、タバサは無言のまま顔を俯かせたが、十秒ほど経過したところで顔を上げて人修羅の眼をまっすぐに見つめた。 「べつにいい。その代わり、後で私の質問にも答えて」 「いいよ」 人修羅があっけからかんとした表情で答える、が、内心ではタバサの態度と言葉を分析していた。 タバサの気配はとても”重い”、小柄な身体とおとなしい性格からは想像も出来ないほど混沌としたものを腹に抱えている。 理不尽な目に遭いながらも、それを少しずつ受け入れて生きようとする人間の力、それがタバサからは人一倍強く感じられた。 だが、それを聞くのは後だ、今は日課となっているルイズの魔法練習をしなければ…… ■■■ 「さーて、んじゃ練習やろっか」 「うん」 人修羅がルイズの隣に立つと、ルイズはおもむろに懐から杖を取り出し、虚空に向けた。 「あ、その前に…せっかくだからタバサさんとキュルケさんにも手伝って欲しいんだけど」 「私にも?あら、ツェルプストーはヴァリエールの仇敵ですのよ?」 そう言って笑みを浮かべるキュルケ、ルイズは少しむっとした表情になったが、それをタバサが制してくれた。 「手伝う。何をすればいい?」 「魔法を唱えて欲しいんだ、簡単な奴でいいから、できるだけゆっくり、しっかりとした発音で」 人修羅の言葉を聞いて、タバサがうなずく。 杖の頭を草原に向けながらタバサは精神を集中させた。 「………ラナ・デル・ウインデ」 タバサがゆっくりと、正確な発音で呪文を唱えると、ドン!と音が響き、草原に土煙が上がった。 空気の固まりをぶつける『エア・ハンマー』が直撃した場所は、草花が飛び散り直径1メイルほどの地肌が見えていた。 「もう一度、こんどはそよ風を起こしてくれないかな?」 タバサはこくりとうなずいて、もう一度呪文を詠唱した。 「ウインデ」 ふわりと風が舞う、土埃はタバサの作り出した風に運ばれ、まるで霧散するように消えていった。 「ありがとう。だいたい音の流れは分かった」 人修羅はお礼とばかりにタバサの頭をなでる。 タバサは突然のことで何の反応もしていないが、シルフィードはその様子を見て羨ましそうにしていた。 「ちょっと、何が分かったのよ」 ルイズが人修羅の背中を杖で突っつく、どこかその口調が不機嫌そうなので、キュルケは内心で『あれは嫉妬ね』と考えつつにやにやと笑みを浮かべた。 「ああ、大僧正って仲間から魔法のコツを教わったことがあってさ、それを活かしてみようと思ってね」 「ダイソウジョウ?あなたの仲間も不思議な名前してるのね」 ルイズが思ったことをずばずばと言う、しかし、考えてみれば役職や官位がそのまま名前になっているようなものだ、人修羅は苦笑しつつ答えた。 「ハルケギニアだと…枢機卿とか、それぐらいの意味になるんじゃないかな」 「枢機卿? それで、その、ダイソウジョウって枢機卿は何を教えてくれたのよ」 「微妙に意味が食い違ってるけど、まあいいか……とりあえず話を進めよう。まずはさっきの呪文を思い出してくれ、ラナ・デル・ウインデ」 「ラナ・デル・ウインデ。エアハンマーのルーンでしょう」 「風を起こす呪文『ウインデ』が後に来てるよね。これはおそらく、最初に風を起こしてからハンマーのように固めるのでなく、ハンマーのような固まりをイメージしてからそこに風を当てはめているんだと思う」 「…?」 「オスマン先生から聞いたんだけど、虚無の魔法って詠唱にものすごく時間がかかったらしいんだ。ならそれに習って、詠唱に時間をかけてみたら良いんじゃないかな」 「時間をかけて…か、ゆっくり唱えればいいのね」 「いや、時間をかけるだけじゃだめだ、試しに『ラナ・デル』だけ唱えてみてくれないか」 「わかったわ」 ルイズが杖の感触を確かめ、草原に生える適当な草にねらいを定める、距離は約3メイルとごく近いが、ルイズの起こす爆発は狙いが定まらずどこに暴発するのか分からない。 キュルケとタバサは、あらかじめ十歩ほど後ろに下がって巻き添えを回避しようとしていた。 「ラナ・デル………………………………」 「何も起こらないわね?」 キュルケがタバサの隣で、いぶかしげに呟いた。タバサはその言葉に反応することなくじっとルイズの方を見ている。 「ルイズさん、それじゃ、『ラナ』で空気の壁を。『デル』でその壁が球体になるようにイメージして、もういちど唱えてくれないか」 ルイズはこくりとうなずくと、杖をしっかりと握り直して、呪文を唱えた。 「ラナ……デル……」 「もう一度」 「ラナ…デル…」 「もう一度!」 「ラナ・デル」 「もっと堅く、集中して!」 「ラナ・デル」 「まだまだ!」 「ラナ!デル!」 「詠唱しろ!」 「ラナ!デル!」 ルイズがひときわ強く呪文を詠唱した時、ルイズの身体から人修羅だけに見えるエネルギーが発散された。 そのエネルギーはルイズの杖が指し示す場所固まり、ほんの一瞬だけ空気をそこに閉じこめた。 「はぁッ、はぁ、はぁ…何、今の、なんか、今、身体から」 未体験の感覚に驚いたルイズは、身体を震わせて人修羅の顔を見あげた。 「落ち着いて、今のが魔法の感覚さ、身体から放たれた魔法の力が、目的の場所で再集結したんだ」 「確かに、自分にあった系統魔法を唱えると、身体の中を通り抜けるような心地よさを感じるって聞いたことがあるけど、今のは……身体から何かが出ていく感じだったわ」 話を聞いていたキュルケがあ、と声を上げた。 「あっ、じゃあ、ルーンを詠唱しても爆発しないのは、風系統がルイズの魔法って事なの?」 「違うと思う。あれはただ、魔法が放たれていないだけ。彼はきっと狙いを定めるために余分な詠唱を繰り返させて、イメージを作ろうとしている」 タバサが呟くと、人修羅がにこりと笑った。 「タバサさんの言ったとおりだ。じゃあ、今度こそ成功させよう。『ラナ・デル』を繰り返して、風を閉じこめる球体をイメージするんだ。俺が「いい」と言ったら『ラナ・デル・ウインデ』と全部詠唱をして」 「わっ、わかった、わ」 肩で息をしていたルイズがうなずく。 ルイズは集中力を高めるべく深呼吸を数回繰り返してから、杖を握りしめ、草原の一点に杖を向けた。 「ラナ・デル…ラナ・デル…ラナ・デル…ラナ・デル…ラナ・デル…」 ルイズが詠唱を繰り返す、その隣で人修羅は、ルイズの身体を流れるエネルギーを感じ取ろうと神経を集中させていた。 キュルケも、タバサも、ルイズの姿に釘付けになっている。 いつもならルイズを馬鹿にするキュルケだが、今日ばかりはそんな気も起きない、キュルケにしては珍しく知的好奇心が優先されているらしい。 「もっと、ラナで壁を作り、デルで幾重にも重ねるんだ」 「ラナ・デル・ラナ・デル・ラナ・デル・ラナ・デル・ラナ・デル…」 「渦巻きのように、風の流れをイメージするんだ、杖の指し示す場所がその中心になるように……」 ルイズの身体の中に流れるエネルギーは、巨石に囲まれた谷間を流れる水のように、あるところでは緩やかに、あるところでは勢いよく流れていた。 だが、呪文の詠唱を何度も何度も繰り返すうちに、身体の中に浸透したリズムがエネルギーを淀みなく流転させていた。 「…よし!」 「ラナ・デル・ウインデ!」 ズドォン…と、爆音が響く。 その音はルイズが起こした爆発が原因だと、だれもが理解していた。 しかし、草原に空いた穴は爆発で地面が吹き飛んだ訳ではなかった、空中に現れた爆発、そのエネルギーが四方八方に散らばらず、地面に向けて叩きつけられた。 タバサの放ったエア・ハンマーよりも貫通力に優れた、一点集中の爆風が地面に穴を開けたと言えるだろう。 「やった! ちゃんと狙い通りでき たわ よ」 ルイズは喜びの声を上げて、その場で飛び跳ねた、くるりと振り向いてキュルケ達に目を向け、さぁどんなものだと思ったところで…意識がとぎれた。 力を失って地面に倒れ込みそうになったルイズを、人修羅が抱きかかえる。 「気絶しちゃったの?」 キュルケが近づき、ルイズの頬を人差し指でぷにぷにと突いた。 「こんな方法で魔法を使った事なんて、今まで無かっただろうし、一気に精神力を消費したんだろう。気絶も仕方ないよ」 そう言うと人修羅はルイズを両手で抱き上げた、俗に言うお姫様だっこという奴だ。 「さて、今日のところは戻ろう」 人修羅が歩き出そうとすると、タバサがくいくいと人修羅の袖を引き、杖でシルフィードを指した。 「乗って。シルフィードの方が早い」 ■■■ タバサの協力で難なくルイズを運んだ人修羅は、ルイズを部屋に寝かせると部屋を出た。 学院長室にいるであろうオールド・オスマンに話をすべく、本塔へと向かう。 本塔の入り口にさしかかったところで、夕食の後片付けを終えたシエスタが人修羅の姿を見つけた。 「あ、人修羅さん…」 そのとき、シエスタの表情には躊躇いか困惑が浮かんでいた。 「シエスタ?どうしたの」 「いえ…あの、何かありましたか?」 「いや厨房じゃないんだ、ちょっと学院長に報告することがあってさ」 「そうでしたか…」 シエスタは両手を腰の前で組み、何かを言いたそうにもじもじしていたが、すぐに「失礼します」と言って立ち去ってしまった。 「……なんかあったのかな」 人修羅は腑に落ちないものを感じながらも、とりあえずは今日の練習でルイズが使った魔法について、オスマン先生に報告すべく本塔の階段を上っていった。 螺旋階段を上り、学院長室の前に立つと、中からゴシャッと頭蓋骨が粉砕骨折するような音が聞こえてきた。 嫌な予感で冷や汗を垂らしつつ、学院長室の扉をノックする。 「人修羅です。ちょっとお話が」 すると、がたごとと音が聞こえてきた、慌てて家具の位置を直すような音だ。 「開いておるよ、入ってきなさい」 「失礼します」 扉を開け、学院長室の中を見渡しても特に変わったところはない。 ロングビルさんの椅子が粉々に砕けていても、いつものことだから気にすることはない しかもその破片が学院長の机の上に散乱していても気にすることはない。 オスマン先生の使い魔、モートソグニルが鳥かごに閉じこめられ、助けてくれと視線で訴えかけてくるが気にしない。 大丈夫なのかこの学院… 「今日はどうしたかね?何か新しいことでもあったかの」 オスマン先生が机に肘をつきながら聞いてくる、頬の内側でも切ったのだろうか、少し喋りづらそうだった。 「それなんですけど、ルイズさんの魔法のことでちょっと」 「ふぅむ…ミス・ロングビル、今日はもう休んでよろしい」 「はい」 ロングビルが羽ペンのような形をした杖を振ると、宙に浮いていた鳥かごはぽん、と音を立てて消滅した。 中から飛び出したモートソグニルが慌てて学院長の机に飛び乗り、怖いものから身を隠すように机の下へと隠れていった。 「懲りないですねー」 「ふぉっほっほ、何のことかワシさっぱりわからんぞい」 ■■■ 「うぅん…あれ…部屋?」 ルイズは、学院の生徒ほとんどが寝静まる夜遅くになって、フッと目を覚ました。 ベッドから身体を起こし、月明かりの中で部屋を見渡したが、人修羅の姿はない。 時計を見て今が深夜であることを確認し、おもむろにベッドから降りて服を脱いだ、身体が少し埃っぽい気がしたので、風呂に入るため着替えを手に持って部屋を出る。 寮塔の螺旋階段を下りて外に出る、とぼとぼと本塔に向かって歩いていくと、本塔の脇から勝手口の開く音がした。 「?」 こんな時間に誰だろう、もしかして人修羅かと思ったルイズは、勝手口の方に足を向けたが、そこには人修羅ではなく一人のメイドの姿があった。 「あっ…何かご用でしょうか?」 「別に用って訳じゃないわよ。ねえ、ところで人修羅見なかった?ああ、人修羅っていうのは…」 「はい、全身に入れ墨の入った方ですね。今はミスタ・コルベールの研究室のあたりで、入浴中だと思います」 「入浴って、なんでそんなところで入ってるのよ…」 「あの、貴族様の浴場も使用許可は下りているそうなんですが、香りが強すぎるとかで敬遠していらっしゃいます。大鍋を利用して東方の”ゴエモン=ブロ”というお風呂を再現したとかで、いつもはそちらで汚れを落としているとか…」 「ふぅん…」 ルイズは、自分の知らない人修羅の話をするメイドを、じっと見つめた。 ハルケギニアの月明かりは、人修羅が人間だった頃に居た地球と比べ、かなり明るい。 目の前のメイドの顔立ちも、胸の大きさもしっかりと確認することが出来た。 「あなた、ずいぶん人修羅のこと詳しいのね」 「いえ、私だけではないです。人修羅様は厨房では珍しい東方の料理法など、いろんなお話を聞かせてくださいますから。マルトーさんをはじめとして厨房の皆にも気を遣ってくださいますし…」 「…あいつ、そんなことしてたんだ。私にはそんな話してくれないのに」 「あの、失礼を承知でお伺いしますが、ミス・ヴァリエールでいらっしゃいますよね。人修羅様は、ミス・ヴァリエールのことをよく気にしていました」 メイドの言葉に、ルイズが首をかしげる。 「どういう事?」 「…あの、私がこんなことを言うのは、恐れ多いのですが…」 「かまわないわ。……もしかして、私のことを『ゼロ』って言うとか、そんな話?」 「いえ!そうじゃないんです。人修羅様は、これまでも何度か、魔法でスープを引っかけられたり、パンを地面に落とされたりしていました。でもミス・ヴァリエールに迷惑がかかると言って、じっと我慢されて……」 「……そんな、そんなこと、わたし一言も聞いてないわよ!それに、あいつ、すごく強いって、ドラゴンにも負けないって、オールド・オスマンも言ってたのに!」 「自分が仕返しをしたら、ご主人様が悪く言われるからって……」 ルイズの表情に、言いようのない怒りと哀しみが浮かんだ。 頭の中は『なぜ?』という疑問で埋まっている。 なぜそこまで低姿勢なのか、なぜそこまで私を気にしているのか、ルイズにはまったく理解できなかった。 子供の頃から魔法が失敗続きで、使用人にまで馬鹿にされていたルイズだが、一人だけ庇ってくれる人がいた、それは姉のカトレアである。 カトレアは病弱で、ヴァリエール領から外に出るのは禁じられていた、しかしその優しい心とおっとりとした性格、細かい気配りは皆の信頼を集めており、ルイズを庇うカトレアを攻撃するものなど一人もいなかった。 しかし人修羅は違う、ルイズのためだと言って理不尽な虐めにも耐え、しかもルイズの前ではそんなことを気にする様子もない。 なぜそこまでしているのか? ルイズにはそれがどうしても理解できなかった。 「……わかったわ。改めてあなたの名前を聞きたいのだけど」 ルイズは唇をぎゅっとかみしめると、キッと鋭い視線でメイドを射抜いた。 「わ、私はシエスタと申します」 「シエスタ。よく話してくれたわね。これから人修羅にも聞きに行くわ。シエスタもついて来てちょうだい」 「はい…」 ■■■ そのころ人修羅は、コルベール先生の研究室脇に設置した五右衛門風呂に浸かっていた。 「ゆーげーがーてんじょかーらーぽたりとせなーかにー……あっ、これ天井ないや」 直径1.8メイル、深さ50サント程の大鍋を取り囲むように、高さ3メイルほどの煉瓦の壁が作られている。これはコルベールが練金したものだった。 人修羅はその見返りとして、メギドの石やアギの石などのマジックアイテム開発に協力している。 湿気がたまるのは良くないと考えて、あえて天井を作らずにいたが、これがなかかなか露天風呂の風味があって気分がいい。 「ちょっと人修羅!入るわよ!」 と、そこに突然カーテン状の入り口をめくりあげて、ルイズが入ってきた。 「うおおおおおおおお!?」 「きゃあああああああ!?」 「……(ぽっ)」 叫ぶルイズの後ろで、シエスタが顔を赤らめた気がするがあまり気にしてはいけない。 「なんだなんだ!何かあったのかね!」 慌ててパジャマ姿のコルベール先生が研究室から出てくる、と、そこには着替えを手にしたルイズと、風呂に入っている人修羅。 顔を赤らめつつも、ちらちらと湯船の中に視線を向けるシエスタ。 「ミス・ヴァリエール。その、メイジと使い魔は一心同体と言うが、しかし風呂までは……」 「ちちちちがいます!違いますってば!」 「いやそれぐらいの年頃なら恥ずかしがることも無いのです。ただ、あまり羽目を外されては」 「だから!違うんです!ひひひ人修羅も何か言いなさいよ!」 「ルイズさん、覗き?」 ルイズの爆発が爆発した。 ■■■ 「ひでえ目にあった」 ルイズが咄嗟に起こした爆発で湯船は空高く吹き飛び、たっぷり十秒間ほど滞空してから逆さまになって魔法学院の外へと落下した。 おかげでコルベール先生の研究室も被害を被ったが、自分の勘違いもあるので仕方ないと笑って許してくれたそうだ。 とりあえず鍋は無事だったので、研究室脇に立てかけておいた。 煉瓦の残骸はコルベール先生が片づけてくれたらしい……ますます頭が上がらないな。 それにしても、かなり大きな音がしたはずなのに誰も起きてこないってどういう事だろう…正門前にいる衛兵も来なかったし。 コルベール先生は『ミス・ヴァリエールの魔法で慣れているのでしょう』と言っていたが、それはそれで問題があるような気がする。 場所は変わって、人気のない本塔の食堂前。 ルイズは人修羅に指を突きつけて怒りをあらわにしている。 その隣ではシエスタがルイズと人修羅を交互に見て、気まずそうにしていた。 「あんたのせいよ!ああもう恥ずかしい…」 ぷりぷりと頬をふくらませて、人修羅を睨むルイズ。 恥ずかしさを誤魔化すために怒るなんて子供みたいで可愛いなあと思いつつ、人修羅は頭を掻いた。 「ごめん、冗談が過ぎた。…ところでなんか用があったんじゃないの?」 「あ、そうだったわ…シエスタから聞いたんだけど、あんた、変な嫌がらせされてるって本当?」 「……」 ふっ、と人修羅から表情が消えた、その空気の変化にルイズだけでなくシエスタもがとまどう。 「シエスタ、話しちゃったの?」 「は、はい、申し訳ございません」 「いや……いいんだ」 人修羅の顔を走る黒いラインが、うっすらと緑色に発光している。 その表情からは何を思っているのか想像できない、想像できないからこそ、ルイズは人修羅が何を考えているのか知りたかった。 「本当だったのね。 ……ねえ、どうして?どうして何も言ってくれないの?私は、私はあんたのご主人様なのよ、それなのに何で私を頼らないのよ、私ってそんなに頼りないの?」 ルイズの言葉は、まるで泣くのを我慢する子供のように震えていた。 両手をぐっと握りしめて、悔しそうに人修羅の顔を見上げた。 人修羅は、ルイズから目をそらさずにいた、それどころか殺気の混じるような厳しい視線をルイズに向け、静かに口を開いた。 「…俺が仕返しをしても意味は無い。俺は、ルイズさんがメイジとして認められた時こそ、彼らを見返したことになると思っている」 「わたし、が?」 「そうだ。こそくな手で、嫌がらせしかできない連中なんて、眼中に無い。まずはルイズさんが自分に自信を持つことなんだ。 それに俺が仕返しをしたらどうなる?この学院なんて消し飛ぶぞ、世話になった人達まで巻き込んで仕返しをするなんて、それが貴族の、いや人間のすることだと思うか?」 「そうだけど……でも…私に一言ぐらい言ってくれたって」 そっと、ルイズの肩に手を置く。 「そうやって俺のことを気にしてくれるのはとても嬉しい。けれども使い魔とメイジは一心同体と言っていただろう? ルイズさんだって今までいろんな陰口に耐えてきた……なら俺も耐えるさ。そして一緒にあいつらを見返してやろう」 「………………」 ルイズは、ぽかんと口を半開きにしたまま、静かに頷いた。 その表情には躊躇いが浮かんでいた、今までルイズにこんな事を言った人は居ない。 優しい姉カトレアも、あこがれの婚約者ワルド子爵も、父も母も、使用人も、誰も…… 情けないとか、悔しいとかではなく、あえて言うならカルチャーショックだろうか、ルイズは人修羅の言葉を聞いて、責任感や虚栄心などの余計な力がすべて抜けていくような気がしていた。 「シエスタ、ごめんな。夜までつきあわせちゃったみたいで。ルイズさんは俺が連れて行くから」 二人の様子を見ていたシエスタに人修羅が声をかける、シエスタは少し驚いたような表情で、慌てて頭を下げた。 「申し訳ございません、ミス・ヴァリエールに黙っていたことも、人修羅さんに口止めされていたことを喋ってしまったこともお詫び致します」 「しょうがないよ」 人修羅がそう言ってはにかむと、ルイズもまた顔を上げてシエスタの方を振り向いた。 「シエスタ。よく教えてくれたわ。貴方にも感謝しておかないとね」 ルイズは心の中で、シエスタに少しだけ嫉妬した、きっとシエスタは人修羅のことを凄く心配していたのだろう。 だから口止めされていたことを、わざわざ私に喋ったのではないか…… 人修羅はとても慕われている、畏怖されることと慕われることは貴族として基本中の基本であり、同時にルイズにとって憧れでもあった。 「いえ。私たちも人修羅さん…人修羅様にお世話になっています。メイジの方々に頼むような力仕事に協力して頂いたり、珍しい東方のお話なども聞かせてくださいました。何かの形で恩返しをしたいと思って…」 申し訳なさそうに呟くシエスタに向かって、ルイズが微笑む。 「ありがと」 「えっ」 ルイズの呟きは、シエスタにとって意外なものだったのか、思わず聞き返しそうになった。 「……何でもないわよ、さ、もう遅くなっちゃったけどお風呂に入るわ。貴方も早く寝なさい、メイドって大変なんでしょ?」 「はい、では…お休みなさいませ。失礼をばいたします」 シエスタは深々と頭を下げると、宿舎へと戻っていった。 「まったくルイズさんは恥ずかしがり屋だなあ」 「な、何よ、いいじゃない別に…それより人修羅!今度から何かあったら私に言いなさいよね! 魔法を使いこなしてギッタンギッタンに見返してやるわ!」 「それ見返しじゃなくて仕返し」 ■■■ 部屋に戻ったシエスタは、同室の仲間に気取られないように、ベッドの中で涙を流した。 ベッドの脇には、シエスタの荷物がバッグに詰められている。 明日からは魔法学院でなく、彼女はモット伯という貴族の元で働くことになっていた。 前ページ次ページアクマがこんにちわ
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前ページ次ページゼロのミーディアム 曲がり角からの突然の怒声にびっくりし、尻餅をついてしまったメイド 「あいたたた…」 そう言いながら彼女はお尻をさすっている 「ふん…少々気が立ってて気づかなかったわ。悪かったわね…」 水銀燈はぶっきらぼうにメイドに言い放ちそっぽを向く 本当に反省してるのかと言いたくなる、限り無く不躾な謝罪の言葉と態度これでも彼女は己の非を認めているのだが… しかしメイドは「ひっ…」と怯えるような声を出し大慌てでその場に立ち上がり 「も、申し訳ありません!貴族の方の前でとんだお見苦しい失態を!」 と深々と頭を何度も下げながら謝罪し始めた 彼女は別段謝るようなことをしていないのにだ。むしろ被害者とさえ言える 「はぁ?貴族ぅ?何を言ってるのよ貴女?」 「え?だってそんなに綺麗なお召し物を… …そう言えば人にしては小さいような…」 恐る恐る頭を上げ水銀燈を見て言うメイド。日本人を思わせる黒髪をカチューシャでまとめたどこか素朴だが健気な感じするの少女だ 「悪かったわね…そりゃ小さいわよ。人形だもの…」 水銀燈は向き直り不機嫌に呟く 「人形…?あ、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になられたと噂の…」 「なんで知ってるのよ」 「いえ…先程お食事中だった貴族の方々のお話しが耳に入りまして…あの、本当にお人形さん…なんですか?」 物珍しそうに水銀燈を眺めながらメイドは言う 「何よぉ!そんなに動く人形が珍しいのかしらぁ!」 先程のイラつきがまだおさまっていないらしい。水銀燈は特に気に障る事でもないのに声を荒げる あと、貴女はとても珍しい人形ですと何度言えば… 「ご、ごめんなさい! …でも何故そんなにお怒りになられてるんですか?」 例え相手が失礼な態度をとろうとも不平も言わず身を案じる。この少女、メイドの鏡だ 「…貴女には関係無い」 またそっぽを向き遠くを見つめ水銀燈は言った (そうよ…こんな娘に構ってる暇は無いわ…早くなにか食べ物探さなきゃ) 全国の水銀党員を幻滅させそうな情けない思考。だか彼女を責めないでほしい。彼女だって生きるのに必死なのだ え、何?それがいいって? ともかく、このメイドに事情でも話せば助けてくれるかもしれない。だが薔薇乙女たる者、見ず知らずの少女に物乞いをする等というはしたない真似をする訳にもいかない ここでお腹の一つでも鳴れば空気を読んだメイドが食事でも手配してくれるのだろうが 人形たる彼女は様々な事情でお腹が鳴ることは決して無いのだ 「でも何かお困りのようですし…」 それでもメイドは食い下がる。この少女、困った人はほっとけないといった性分なのかもしれない だがそんな気遣いもイライラ頂点の水銀燈には逆効果だったらしい 「うるさいわねぇっ!こっちはお昼ご飯ぬかされてこの永遠の空きっ腹をどうやって満たそうかと必死なのよぉ! あんまり邪魔するとジャンクにするわよ!ジャンクにぃ!!」 あ、キレた。おまけに言ってることは最悪にカッコ悪い上に八つ当たり。この人形、乳酸菌足りてない だがメイドの方は特に気にすることもなく 「ああ、お腹がすいてるんですね。それではこちらへ…」 と言うと食堂裏のほうに歩き出した 少々癪だが後をついて行く水銀燈 「私、シエスタといいます」 「…水銀燈よぉ」 「変わったお名前ですね」 何か言いたげな水銀燈であったが、このメイド…シエスタが今の自分の助けになるであろう事を察し、黙ってついて行くことにした ここはトリステイン魔法学院の全ての「食」を生み出す食堂裏。つまりは厨房のことだ 水銀燈がシエスタに連れてこられた場所である シエスタは水銀燈を片隅に置かれた椅子に座らせ 「ちょっと待ってて下さいね」 と言うと小走りで厨房の奥に消えていった 少しばかり時間も経ち戻ってきたシエスタの手には温かいシチューの入ったお皿 「…何よこれ」 それが何かは水銀燈も気づいてるはずだが 「貴族の方々にお出しする料理の余り物で作ったシチューです」 「これを食べさせ…これを私に食べろと?」 これを食べさせてくれるの?と言いかけたのだがこの期に及んでまだ憎まれ口を叩く 人間に舐められる訳にはいかないとでも思ってるのだろうか? だがシエスタは尚も気にしていない 「ええ、よろしければ」 考えてみればシエスタは若くともこの学院でワガママな貴族達の世話をしているメイドだ。それらの傲慢な輩に比べれば水銀燈の憎まれ口など可愛い物なのだろう 何しろ貴族に口答えや無礼等を働けばお返しは口ではなく危険な魔法で返ってくることもありえるのだから 「…まあいいわぁ、いただいてあげる」 水銀燈は相も変わらず不機嫌を装う。内心は嬉しさでいっぱいの癖に… そしてスプーンでシチューを一口分すくって口に運ぶ 「(美味しい…)」 思わず顔をほころばせるがシエスタが見ているのに気づき慌てて顔を不機嫌に戻す。そしてもう一口 「本当にお人形さんでもお食事なさるんですね」 感心するように呟くシエスタだが一心不乱にシチューを口に運ぶ水銀燈の耳には聞こえていなかった。そしてその皿はあっと言う間に空っぽになった 「いかがでしたか?」 とのシエスタの問いに 「…悪くはなかったわね」 むすっとした顔で答えた水銀燈だが… 本当は十分に満足していた。思わず顔をほころばせた様やすぐに空になった皿がそれを物語っている それでも水銀燈はむっとした顔を崩さない。 だが…彼女は気づいていないがバレバレだった 何故なら彼女、不機嫌な顔をしながらもそのシンボルたる背の黒翼。それが「私、ご機嫌です!」と言わんばかりにパタパタしている ええ、それはもう大好きな飼い主に頭を撫でられ、嬉しがって振られる子犬の尻尾のようにパタパタと 不機嫌な表情とは裏腹に嬉しそうにパタパタしている翼の対比に思わずシエスタも笑みが漏れる 「よかった!お代わりもありますよ?」 「…あ、余ってるのなら貰ってあげてもよくてよ!」 この人形本当に素直でない 心の中では(やったわぁ!)と歓喜の叫びでも上げてることだろう そして二皿目も夢中になって食べ始める水銀燈を見てシエスタは 「(ああ…これって)」 「…今貴女、野生のカラスを手懐けるのってこんな感じなのかな?って思ったでしょ」 「(うっ!鋭い!)」 と、水銀燈に胸の内を看破され冷や汗をかいたりした 「ご馳走になったわね…」 「はい、お粗末様でした」 食事も終わり水銀燈も満足したようだ。頃合いを見計らってシエスタは水銀燈に聞いた 「ご飯いただけなかったんですか?」 「ちょっとゼロのルイズってからかったら、髪を真っ赤に染めんばかりに怒っちやったのよぉ。それで食事抜き」 「まあ!貴族にそんなこといったら大変ですわ!水銀燈さん!」 「本当にちょっとからかっただけよぉ。…まあ少しやりすぎた気もしないでもないけど… あと、水銀燈さんだなんてかしこまらなくてもいいわぁ。別に貴族じゃないんだし」 満腹になって少しはシエスタに気を許したらしい。彼女にしては珍しい譲歩だ 「でしたら銀さんとお呼びして…」 「なんですかぁ~?だからかしこまらなくてもいいっつってんだろうがコノヤロー。私に万屋でも開けってかぁ~?」 「はい?」 「…失言だったわ、忘れなさい… 後、私のことは呼び捨てで結構よぉ」 「でも…」 「つ、つべこべ言わないの!私がいいと言ってるのだから別に良いのよぉ!」 不機嫌そう…と言うより困ったような、少し照れた表情で水銀燈は言った 「はい、わかりましたわ。水銀燈」 シエスタも水銀燈が少しだけでも自分に感謝してくれていることを感じ、嬉しそうに頷いた 「さて…お腹も満たされたし食後に軽く運動がしたくなったわねぇ …貴女、何か私ができそうなことあるかしら?」 水銀燈はわざとらしく、言い訳がましく口を開いた 「はい?」 シエスタの方は意味が分からないように聞き返す 「つ、つまりよ…私が貴女の助けになってあげれるか、みたい、な…」 水銀燈の声はだんだん小さくなり口をもごもごさせる。顔は恥ずかしそうに俯かせながら 「えーと、つまりお手伝いをしてくれるってことでしょうか?」 「そ、そういうことよ!感謝なさい!私が人間の手伝いをするなんて…じゃなくて勘違いしないでよね!私はただ体を動かしたいだけで…」 パニックになってるのか水銀燈の言っていることはむちゃくちゃだった 素直に「昼食をご馳走してくれたお礼に何か手伝ってあげるわぁ」とでも言えばいい物を 目を回しながら必死に言い立てる水銀燈に微笑みながらシエスタは水銀燈にお手伝いをお願いした 「では、デザートを運ぶのを手伝ってもらえますか?」 「問題無いわぁ、このローゼンメイデンの第一ドール。水銀燈の力をもってすれば造作もないことよ」 よくわからないがすごい自信だ。ただデザートを配るだけなのに… ところ変わってトリステイン魔法学院内の図書館。ここはその中でも教師のみが閲覧を許された通称「フェニアのライブラリー」 薄暗いその一区画に灯る星の光のような小さな灯り、そしてそれを反射し恒星のごとく輝く灯り…否、それは人の頭だった この禿しい…間違えた、激しい光をU字ハゲに反射させ書を読みながらぶつぶつ言っている男性教師こそ 何を隠そう、先日のサモン・サーヴァントの担任教師にして『炎蛇』の二つ名をもつ火のメイジ。ミスタ・コルベールであった 彼はルイズの呼び出した使い魔の少女の事について昨夜からこの図書館にこもり調べ物をしていたのだ まずは人形やゴーレム、ガーゴイルに関する資料。無論、自動人形に関することを調べるためだ。しかし結果は得るものは何もなく どの書物も最後は「自動人形なんて無理無理、そんな訳だから諦めろ」と言う結論で終わってしまう 「(…だめだこりゃ)」 後ろ髪ひかれる思いで(ひかれるほどフサフサじゃないだろーが。なんて死んでも言えない)自動人形の調査は断念したが彼にはもう一つ気になることがあった それは彼女の「左手」に現れた不思議なルーン 珍しいルーンだった。彼は幾度かコントラクト・サーヴァントにも立ち会ったが奉職して二十年、あんなルーンは見たことが無い 最初は一般区画で調べていたもののそこではコルベールの求めた答えは見つからなかった 「フェニアのライブラリー」で浮遊魔法により最上段の本まで目を通し、 ひたすら目当てのルーンを探る。片手には彼女に現れたルーンのスケッチ。もう片方には次々と入れ替わる書物の数々 限り無く不毛な作業だが彼の努力は見事報われることとなった 今コルベールの手元にある本は始祖ブリミルの従者となりし使い魔達を記した物 その中の1ページを目にし思わずあっ!と声をだし驚き、魔法の集中を乱し床に落下しそうになるが慌てて立て直す そしてその書を抱えるとある場所にすっ飛んでいった コルベールの行き先はこの学院内で最も強大かつ博識であろう人物の居場所 学院最高権力者の部屋、すなわち学院長室であった 学院長室は本塔最上階にある。その部屋の中央、重厚なつくりのセコイアのテーブルと椅子に座っておられるお方こそ… 「わしがトリステイン魔法学院学院長オールド・オスマンである!!」 自己紹介ありがとうございます学院長 「どうかなさいましたか?オールド・オスマン」 そう言ったのは彼の秘書であるミス・ロングビル 「いや、特に意味は無いわい。少々退屈でのう…」 オスマン氏は椅子から立ち上がり理知的な凛々しい表情でロングビルに近づく 彼の顔に刻まれ皺は大樹の年輪のごとく彼の過ごしてきたであろう歴史を物語る 百歳、いや三百歳とすら言われるオスマン氏の年齢。それを知るのは彼のみ…いや本人すら知らないのかもしれない 「オールド・オスマン」 「なんじゃね?ミス…」 「暇だからと言って私のお尻を撫でるのはおやめ下さい」 人事のように羊皮紙に走るペンを眺めロングビルは言った オスマン氏は口を半開きにするとよちよち歩き始める 「わしの毎朝はケロッグコーンクリスピー。自転車通学がしたいんじゃが…」 「都合が悪くなるとボケたふりするのもやめてください」 そのようなやりとりをしているなかドアを蹴破らんと言わんばかりに勢いよく入室してくる人影 「オールド・オスマン!」 「なんじゃね?騒々しい」 荒い息をはきつつ飛び込んで来たのはコルベール。そのまま大慌てで報告を始める 「たたたた、大変です!」 「落ち着きたまえ、大変なことなどあるものか。全ては小事じゃよ」 「ここ、これをご覧ください!」 「んん?なんじゃ、『始祖ブリミルの使い魔達』?こんな古い文献なと漁りおって。ミスタ……えーと、ミスタ…ミスタ…なんだっけ?」 「コルベールですッ!お忘れですか!?」 「おお、悪いのう。そんな名前じゃったな。そう怒りなさんな、血圧あがるぞ?乳酸菌とっとるかのぅ?」 「ともかく!これを!」コルベールの渡したものは水銀燈に現れたルーンのスケッチと本のとあるページ それを見た瞬間オスマンの氏ののほほんとした表情は一変。キラリと目を光らせそれが細くなると、険しい色となる 「…ミス・ロングビル、席を外しなさい」 ミス・ロングビルは席を立ちドアの前まで行くと一礼した後部屋を退室する それを見届けたオスマン氏重々しく口を開いた 「詳しく説明するんじゃ。ミスタ・コルベール」 そのころ、そんな重々しい事態に学院長室がなっているとも知らず 水銀燈とシエスタはデザートのケーキを配っていた 水銀燈がはさみでケーキをつまみ一人ずつ配っていく様子を物珍しく見ている貴族達 「なんだか見せ物にされてるようで気に入らないわね…」 手伝いという立場上、小声で不平をつぶやく水銀燈 「みんな水銀燈に見とれているんですよ。ほら、まるでおかわいい人形さんみたいで…ってお人形でしたね」 「か、かわいいなんて言われても何もでないわよ!」 突っ込むのはそこですか 話ながらも作業は順調に進んだ しかしその時奥の一角から冷やかすような声が 「なあ、ギーシュ!お前、今誰と付き合っているんだよ!」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ?」 ギーシュと呼ばれたメイジはすっと唇の前に指を立て 「付き合う?よしてくれ、僕にそのような特定の女性はいないのだよ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 と真顔でこっ恥ずかしいセリフを返す ナルシストにしてフェミニスト見てて不愉快になる典型だ。おまけに自分を薔薇に例える等… 文字通り薔薇乙女の名を冠する水銀燈には聞き捨てならぬことだが… (あんなのと関わり合いになるのも嫌ね…)と考えここは無視することにした その時ギーシュのポケットから何かが落ちる。ガラスでできた小瓶、中には紫色の液体が揺れている (関わり合いになりたくないって思った矢先に…まったく…) 誰も気づいた様子が無い。気にくわない人間だがそのまま知らんぷりするのも誇り高き薔薇乙女の名折れ。水銀燈は一つ大きなため息をついて言った 「貴方、ポケットから何か落ちたわよぉ」 しかしギーシュは振り向かない、天然か故意かはわかりかねる 水銀燈ははさみをシエスタに預け小瓶を拾いギーシュに差し出す 「落とし物だと言ってるのよキザ男」 ギーシュはけだるそうに水銀燈と小瓶を見ると少しだけ動揺した様子を見せたがすぐに立ち直り言った 「何を言っているのかわからないね?これは僕のじゃない」 だがギーシュの友人達はそれが何か知っていたらしい 「おおっ!この香水はもしや、モンモランシーの香水じゃないのか!?」 「そうだ!その鮮やかな紫色はまさしくモンモランシーが自分のためだけに調合してる物! ってことはお前が付き合ってるのはモンモランシーか!」 「残念ながら違うね、彼女の名誉のために言っておこう…」 ギーシュが何か言いかける前に彼の前に茶色いマントの少女が歩いてきた 「ギーシュ様…やはりミス・モンモランシーと……」 そしてボロボロと鳴き始める 「待ちたまえケティ、彼らは誤解しているんだよ僕の心に居るのは…」 バチン!という乾いた音と共にギーシュの言葉は…ケティと呼ばれた少女の平手打ちで遮られた 「その香水があなたのポケットから出てきたのが何よりの証!さようなら!」 彼はやれやれと言わんばかりに肩をすくめる だが、彼の不幸はこれでは終わらない 続いて歩いてきたのは巻き髪の見事な少女。なんとなく自分の姉妹の末っ子を思い出す水銀燈だが 彼女は…モンモランシーはあいにく雛苺ほど無邪気な性格では無かった モンモランシーはいかめしい顔つきでギーシュの前にやってきた 「モンモランシー!違う、彼女とはただ一緒にラ・ロシェールの森まで遠乗りしただけで…」 一見冷静な態度だが今度は動揺を隠しきれていない。冷や汗が一筋だが頬に垂れる 「やっぱりあの一年生に手をだしていたのね…」 「お、お願いだよ洪水…ゲフンゲフン!香水のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔をそのような憤怒の形相で変形させないでくれよ!僕まで悲しくなるじゃないか!」 ギーシュの動揺はさらに広がっているらしい。言っている事の一部が嫌に不自然だ だが当のモンモランシーはまったく聞く耳持たずといった感じでテーブルねワインのビンをつかみドボトボとギーシュの頭上から注ぐ そして 「嘘つき!」 と怒鳴って去っていった 沈黙が流れる中ギーシュはハンカチで顔を拭くと 「あのレディ達は薔薇の存在を理解していないようだ」 と呆れるような言った 水銀燈は(自業自得ね、一生やってなさい…)と心の中でつぶやき作業に戻ろとした矢先 「待ちたまえ」 と彼女の背にギーシュの声がかかる 「何かしらぁ?」 「君が軽率に香水の瓶なんか拾うから二人のレディの名誉に傷が付いた。どうしてくれるのかね?」 なんと言うキザ男…一言聞いただけで呆れてしまった…この男間違い無く水銀燈に責任転嫁するつもりだ 「自業自得と言う言葉をご存知かしらぁキザ男さん…いえ、フラレ虫さぁん?二股かけてる貴方が悪いのよ」 あまりにも正当な物言い、そしてフラレ虫という単語にギーシュの友人達もどっと笑う 「その通りだフラレ虫!お前が悪い!」 ギーシュの顔にさっと赤みがさす 「いいかい?メイド君…えーと君はメイドでいいのか?とにかく!僕は君に話しかけられた時知らないふりをした。話を合わせる機転ぐらいあってもよいだろう?」 「くっだらなぁい、例えこの場を凌げたとしても二股だなんてどうせすぐにばれちゃうことに気づかないなんて本当におめでたいわね あと貴方、胸に刺さってる薔薇がぜんっぜん似合って無いわよ」 これには周りの貴族も大笑い。ぽかんと口を開け唖然としているギーシュをよそに水銀燈は話を続ける 「それに貴方が薔薇ですって?とんだお笑いだわ!」 「な、なんだと!」 ふん…と鼻を鳴らし真面目な表情で語りだす水銀燈 「…覚えておきなさい。薔薇はその身に鋭い棘を持ち他の者を寄せ付けようとしない孤高の花よ それでも何故、人は薔薇に手を触れようとするのか?答は簡単。例え棘が刺さろうとも惹かれるほどの魅力が薔薇にはあるからよ」 「何が言いたい…!」 「本当に貴方が薔薇のような気高さを持つならば彼女達は貴方を離れたりはしない。彼女達は貴方の二股と言う名の棘に…愛想を尽かし去っていった。つまりは貴方の魅力は薔薇に遠く及ばないと言う事ね」 「!!」 ギーシュの胸にグサリと刺さる水銀燈の言葉 「…もっとも、それ以前に薔薇のごとき気高き者は二股だなんで最低な真似はしないでしょうけどねぇ?そんな棘持つこと事態が問題なのよ」 水銀燈は不適に笑みを浮かべ言い放つ 「メイド風情が…!平民風情がよくもそんな知った口を!」 ギーシュの怒りが頂点に達したようだ 「残念だけど私はメイドでも平民でもない」 「…黒いドレスに翼、人間より一回り小さい体…そうか、君がヴァリエールの呼び出した人形の使い魔だな…!」 「あら、ご存知だったのかしらぁ?光栄ねぇ!」 「こんな屈辱は初めてだよ…君は貴族に対する礼をしらないようだね…」 「お生憎様。少なくとも貴方みたいな貴族に対する礼は持ち合わせてないわねぇ」 「よかろう調度いい腹ごなしだ。君に礼儀を刻んでやろう、決闘だ!」 文字通り体に直接刻みつけるつもりなのだろう だが水銀燈は踵を返しオロオロしながらも事態を見守っていたシエスタの方へ歩いていく そして顔だけ向き直り言い捨てた 「結構よ。今言ってた事を聞いてなかったのかしらぁ。貴方に対する礼など持ち合わせてないし、持ち合わせる予定も無い」 「ふん、逃げるのか?」 「そんな安い挑発にのるのはお馬鹿さんだけよ お人形遊びがしたいなら自分で買って一人寂しくお部屋で遊ぶのね」 口での戦いは水銀燈が一枚上手のようだ ギーシュは後ろで色々とわめいているようだが 水銀燈は歯牙にもかけず背を向け遠ざかっていく だが… 「流石は出来損ないのゼロのルイズの使い魔だね!これだけ侮辱されて何も思わないとは!飼い主と同じの出来損ないだ!」 何気に言い放ったギーシュの一言 (出来損ないですって…!) これを聞き水銀燈はうつむいてギーシュの方に向き直ると冷めたような声で言った 「気が変わったわ…」 「…!」 突然の心変わりにギーシュも不自然に思う 「その決闘、受けて立つわよ」 「何…?」 水銀燈から発せられる重圧。そして… 「遊んであげると言ってるのよ」 水銀燈のうつむいた顔があげられた。その瞳に灯るは憎しみと言う名の光 表情にあらわれているのは彼女がこの地に降り立ち初めて見せる感情、すなわち…『怒り』である 次回、薔薇を名乗るドールとメイジの決戦…! 前ページ次ページゼロのミーディアム
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前ページ次ページゼロと聖石 ミメットが元気に走り回り、シルキスが火の塔の上に立っている。 ほかの使い魔たちと一緒にはしゃぎ回るのがチョコボの日常だ。 チョコボを飼って知ったことは、成長が早いことだ。 一週間で私の背丈を追い越して、乗れるサイズまで育った。 今は、鞍を体になじませている最中である。 その光景を見ながら、私はポーションを飲む。 手元には白紙の本、王家に伝わる始祖の祈祷書だ。 アンリエッタ姫から結婚式の祈祷文を読み上げてほしいと。 今は各属性の同級生に協力してもらって、文章を考えてる最中だ。 普段ならシエスタが紅茶を運んでくるが、今は帰省中。 といった事情で、チョコボの面倒は私が見ている。 野菜をあげたり、羽を整えてやったり、騎乗の練習をしたり。 コルベール先生は相変わらず『エンジン』を弄っている。 労働八号に進行状況を聞くと、 「ゲンジョウデ、ウゴカスコトハ カノウデス タダシ カイセキシュウリョウハ モウスコシダト イッテマシタ」 この分だと、もうしばらく掛かりそうだ。 二週間で間に合えばいいんだけど。 といった事情にも裏がある。 アルビオン方向から来る噂が不穏な空気をはらんでいる。 それも、軍備を進めているという噂が。 情報元はシエスタ。 タルブ村に集まる噂話を手紙にして送ってもらっている。 休暇なのにゴメンなさい。 しかし、今トリステインを攻めるのは得策じゃ無いはず。 気に入らないとはいえ、ゲルマニアとの同盟が有る。 いくらレコンキスタが最強の空軍を持っていた所で、数は覆せないはず。 「休戦で力を蓄えるの? それとも奇策でも使うのかしら…?」 どちらにせよ、開戦まで時間はそう長くは無い。 ここがトリステインの修羅場といったところか。 ところで今まですっかり忘れていたが、ウェールズさまはどうなったかしら? 別れ際に眠らされたからなぁ… 時間はアルビオンからの帰還までさかのぼる。 傷の処置を済ませた後、私ことワルドは『土くれ』フーケと共に、ウェールズの死体を捜していた。 奥の聖堂には、私とルイズ、あの平民―――シエスタとの死闘の後が残されていた。 中身の無い袖が揺れ、あの戦いで奪われたものと敵の姿がよぎる。 ―――アレだけの傷を負わせたのに、生きているということ自体が驚きだ。 地下の港に倒れていたメイジの遺体を見て、確証に変わった。 鋭い斬撃と共に残る焼け焦げ、十中八九シエスタの聖剣技だ。 聖堂から歩き、玉座の間にたどり着く。 ウェールズの遺体はそこに倒れていた。 手には、シエスタが使っていた剣の片方。 刻まれているルーンが何を意味するか解らないが、魔力の増幅効果を意味するものだろう。 「これは、コピーのルーンソードだね。タルブ村でしか売られていないヤツだ」 「ほう、目利きは流石だな。土くれ」 「ちょっとでも旅をしたことあるなら『冒険者の楽園』のことは知ってるさ」 なるほど、冒険者の楽園か。 気になるところだが、たかが小規模の村。 所詮は搾取されるだけの平民集団が肩を寄せ合っている程度。 「気になるのは、聖剣技か。メイジでもない平民が一体なぜ…」 「やぁやぁ! ワルド君、ウェールズの遺体、それとラブレターは見つかったかね!?」 やけにテンションの高い声が響く。 オリヴァー・クロムウェル。 もともとはただの司祭で、今はレコンキスタ総司令である。 「申し訳ございません、腕ごと持ち去られました」 「いや、構わんよ。それ以上に大事なのはこっちのウェールズだ」 倒れたままのウェールズに杖を振り、呟くような詠唱を紡ぐ。 すると、ウェールズの遺体が起き上がり、クロムウェルに対して礼をした。 ―――これが、虚無の魔法か。 会話をするウェールズとクロムウェル。 薄ら寒いものを感じながら、虚無の力に軽い恐怖を覚えるのだった。 シエスタが帰省してから五日が経った。 レコンキスタから休戦協定が持ちかけられ、王家はそれを受けた。 それにアルビオン側からの親善訪問も間近に迫っている。 当面状況は動かないだろう。 クックベリーパイを食べながら、シエスタからの手紙を読む。 噂話は休戦ムードで染まっていて、当面の動きは無いものと見ている。 ただ、一つだけ毛色が違う一言が載っている。 『レコンキスタの元、全ての国が統一され、聖地奪還のために一丸となる』 という一文が書かれている。 この噂は、レコンキスタに参加していたタルブ村の傭兵からだ。 内容の詳細を読むのと同時に、違和感が湧き上がる。 オリヴァー・クロムウェルはただの司祭だった男だ。 そんな男が虚無を手に入れただけで、あそこまでのし上がれるものなのか? 何か、裏を感じる。 クロムウェルの背後もそうだが、親善訪問にも何かの意図が見えてくる。 全ての国を統一して、聖地を奪還する。 今、レコンキスタは勢いに乗っていて、士気も抜群。 加えて虚無の使い手という肩書きだけでも、掲げた看板に箔が付く。 消耗しているとはいえ、殆どは無傷。 アルビオンの空軍戦力は脅威そのもの。 対するトリステイン側に対抗しうる航空戦力は無い。 この状況で掛けられる奇策は唯一つ。 ―――騙し討ち。 親善訪問でイチャモンをつけ、先制攻撃で数少ない航空戦力を黙らせる。 その後は援軍の来ないうちに、煮るなり焼くなり好きなように調理。 いくらなんでも親善訪問を騙った奇襲など、恥さらしな真似… いや、やりかねない。 レコンキスタは、聖地奪還のためになら何でもやりそうだ。 それこそ、聖地奪還のためには仕方が無いことだという言い訳と共に。 その結論に至った私は、シルキスとミメットを呼び寄せた。 帰省から七日目。 今日の分の手紙を書き終わり、ベットに寝転がる。 やはり、故郷はいい。 しばらくはこうやって、自分の剣を磨いたりしてのんびりと過ごしたい。 起き上がり、村のメインストリートを歩く。 商いの声に、噂話をする近所の人たち、はしゃぎまわる子供の声。 それらを耳にしながら、村を出て、草原にたどり着く。 風が吹き、草の香りが私を包む。 平穏な日常、これらがずっと続いていけばいい。 そう思っていた。 空には親善訪問を行うトリステイン空軍の船が飛んでいる。 ラ・ロシェールよりタルブ寄りで行われる親善訪問のお出迎えは、ここからだとよく見える。 ロイヤル・ソヴリン号から祝砲である空砲が放たれ、返答の空砲がトリステイン側から発せられる。 次の瞬間目にしたものは、レコンキスタ側の船が爆煙をあげる瞬間だった。 その光景を見た瞬間、私は村まで走った。 ここはもうじき―――戦場となる。 その前に村の人を避難させないと! 口笛を吹き、呼ぶのは私の愛羽。 「来なさい、トウホウフハイ!」 凄まじい勢いで飛んできて、隣に降り立つ黒チョコボ―――トウホウフハイに跨り、村へと急いだ。 前ページ次ページゼロと聖石
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600X年のある日、突然その恐怖が始まった!! トリスタニアの某工事現場では、オートマータ達が作業を進めていた。 「ピー」 「ピー」 突然オートマータ達が奇妙な声を上げ始めた。 「ガーッ」 そして人型オートマータの1体が、傍にいた作業員の胸に手にした鶴嘴を突き立てる。 「ぎゃっ!」 「あっ、何をする、ピッケルワルキューレ!!」 慌てて駆け寄った別の作業員の顎に、ピッケルワルキューレは拳の一撃を浴びせる。 さらに別の作業員は、ヘルメットを被った頭部から足首が付いたようなオートマータから飛び蹴りを受けた。 「オートマータが暴れ出した! どうなってるの!?」 「誰か止めろ!!」 「よし、このショベルで……」 と重機を持ち出して止めようとするが、その前に一際巨大なオートマータ・フーケマンが自分より巨大な岩を持ち上げて立ちはだかる。 「どりゃーっ!!」 「ぎゃーっ!!」 フーケマンに投げつけられた岩が直撃し、重機は見るも無残に押し潰された。 「ふっふっふっふ……」 丁度その頃、トリステイン魔法学院内にある学院教師・コルベールの研究室では……、 「♪僕はお手伝いロボット お手伝いは楽しいな」 コルベールが召喚した異世界の家庭用オートマータ・ロックが、そう口ずさみつつ荷物を運んでいた。 「コルベール博士、頼まれた物ここに置いておきます」 「ありがとうございます、ミスタ・ロック」 「他に何か手伝う事はありませんか?」 「ありませんよ。ゆっくり休んでいてください」 コルベールの言葉に、荷物を置いたロックは少々不満そうな表情になる。 「ちぇっ、つまんないの。何かお手伝いは無いかな? ……そうだ、シエスタちゃんのお手伝いをしよう」 しかしそれも束の間、すぐに台所に向かっていった。 「シエスタちゃん、お手伝いさせて!!」 「えっ、お料理を手伝ってくれるんですか? では私はお洗濯しますね」 「お任せ、シエスタちゃん」 「助かりました。これでゆっくりお洗濯ができます」 「ううむ、困りました……」 しばらく後、コルベールは腕組みして室内を歩き回っていた。 「きゃーっ!!」 すると突然シエスタの悲鳴が聞こえてきた。 「どうしました、シエスタ?」 「ロックさんが!!」 シエスタと共に台所に入ったコルベールの前には、悲惨な状態になった台所の床に座り込んでいるロックの姿があった。 「あっ、博士。料理をちょっと失敗しちゃって……」 「ほっ、何だ、そんな事でしたか……。私は大変な事件が起こって忙しいのです。こんな事で大騒ぎしないでください……」 「大変な事件ですか?」 シエスタが首を傾げた時、隣室の「遠見の鏡」が呼び出し音を立てた。 「あっ、またですか!!」 慌てて駆け寄ったコルベールに鏡に映った男性が、 『こちらラ・ロシェール港です! ドクタ・コルベール、ワルドマンが暴れています! 何とかしてください!』 男性がそう言い終えると画面が切り替わり、暴走オートマータで混乱する町の様子が映し出された。 「コルベール博士の作ったオートマータが暴れるなんて、信じられません……」 「みんな私の自信作のオートマータだというのに、どうしたというのでしょうか……」 頭を抱えたコルベールをよそに、「遠見の鏡」が次々新たな通信を受ける。 『こちら工業省! こちらもキュルケマンが……! キュルケマンが暴れて、製鉄所がめちゃめちゃです!』 『ギーシュマンも町で大暴れです!!』 『タバサマンがラグドリアン湖を全部凍らせてしまいました!!』 『ワルドマンとルイズマンがラ・ロシェール港を爆破!!』 「どうしたらいいのでしょう……」 「博士! 僕が止めに行きます! そして元の平和な町に……」 「ミスタ・ロックに止められる訳がありません。あなたは家庭用オートマータ、彼女達との力の差は明らかです……」 「だったら、僕をあいつらと対等に戦える体に改造してください!!」 「何ですって!」 「ロックさん!!」 ロックの言葉に驚愕を隠せないコルベール・シエスタ。 「改造してくれなくても、僕は行きますよ!!」 「ミスタ・ロック!! ……あなたの運命は変えたくありませんでしたが、それほど言うのなら……」 さほど時を置かずして、ロックの決意に応えたコルベールによる改造が開始された。 そして全工程が終了し、祈るように見つめていたコルベール・シエスタの前で、新たな姿のロックは目を開けた。 「終わりましたよ、ミスタ・ロック……。気分はどうですか?」 「これが僕の新しい体……? 最高です。これならきっと暴れているオートマータを止められます!!」 「そうです、今日からあなたは『ロックマン』です!!」 町へと出撃するロックマンを見送るコルベール・シエスタ。 「行ってきます! 必ず止めてみせます!!」 「頼みましたよ、ロックマン!!」 「死なないでくださいね、ロックさん!!」 駆け出していったロックマンの背中を眺めつつ、コルベールは思案の表情になる。 「それにしても、なぜ急にオートマータ達が暴れ出したのでしょう……。その謎を解くためにも頼みましたよ、ロックマン……」 一方町では、フーケマン率いるオートマータ達が破壊の限りを尽くしていた。 「もっとやりな!! みんな壊しちまうんだよ!!」 だが次の瞬間、突然飛来した光弾にオートマータ達が吹き飛ばされていく。 「何い!! 誰だい、邪魔する奴は?」 叫びつつ光弾が飛来してきた方向に視線を向けるフーケマン。 「平和の使者ロックマン参上!! 暴れるのをやめろ!! 言う事を聞かなければ、ロックバスターで全員を壊さねばならない……」 ロックマンがバスターを構えつつそう通告するも、 「笑わせるんじゃないよ。お前みたいなチビに私達が倒せるもんか!! 返り討ちにしてやるよ。みんな、やっちまいな!!」 フーケマンの号令一下、オートマータ達は一斉に襲いかかってきた。 「わからず屋め。ロックマンパワーを見せるしか無さそうだな……」 そう呟いて迎え撃つロックマンは、オートマータ達を次々蹴散らしていく。 「このチビ、意外とやるじゃないか!! こっちの得意の場所に誘い込むよ!!」 「待てーっ!!」 形勢不利と判断し、一旦その場から離れようとするフーケマン達オートマータ。 ロックマンも急いで追跡する。 フーケマンの拠点に突入したロックマンを待っていたのは、時折乗っているものを落下させる細工が施されたリフトでの谷間渡りだった。 「厄介なリフトだな。思うように先に進みにくい……」 それでもリフトを乗り移って何とか対岸に渡ったロックマンの前に、2体のピッケルワルキューレが現れつるはしを投げつける。 「ちっ!!」 素早く跳び退いて回避すると、即座に反撃する。 「ロックバスター連射をくらえ!!」 ピッケルワルキューレが爆発四散した後に残された宝石を見て、ロックマンは笑みを浮かべる。 「ようし、やった!! ライフと武器エネルギーの石を取ったぞ!!」 補給を済ませて、ロックマンの進撃は加速する。 「エネルギー満タンだ!! フーケマンはどこだ!! ……!!」 突然背後に出現した影に振り返った瞬間、ロックマンは大型オートマータに踏みつけられた。 「ぐわっ、ビッグアイだ!! こいつの攻撃をくらったらダメージが大きい!!」 再度踏みつけるため跳躍した一瞬の隙を突いて、ビッグアイから逃れる。 「まともにくらわないようにジャンプで逃げて……、マシンガンバスター!!」 跳躍で距離を取った後、連射で猛攻をかける。 やがてバスターがビッグアイの胴体を貫通、大破させた。 「ロックバスターの威力を見たか!!」 ビッグアイを撃破したロックマンの前に、怪しげな扉が現れた。 「……この部屋が怪しいぞ」 そう呟いて入った室内では、巨岩を持ち上げたフーケマンが待ち受けていた。 「いたな!!」 ロックマンがその姿を発見するや否や、フーケマンは巨岩を投擲する。 「うわっ!! な……、何というパワー」 巨岩を回避できず直撃してしまったロックマンは、そのまま仰向けに倒れ込んでしまう。 「これまでだね、ロックマン!! とどめだよ!!」 「やめろ!! できれば戦いたくないんだ!! 君が暴れるなんて、きっとどこか故障しているんだ。コルベール博士に直してもらえば、またみんなの役に立つオートマータになれるよ……」 懸命に説得を試みるロックマンだったが、 「私が故障してるって? 役立つオートマータになれって? 嫌だね……。強い私達はハルケギニアの支配者になるのさ!!」 「わからず屋!!」 叫びと共に発射したバスターが、フーケマンの胴体を直撃する。 「やるっきゃない!!」 「やったね……!」 一気に間合いを詰めようとするロックマンに対し、フーケマンは思い切り足を踏み鳴らして激しい振動を起こす。 「うわっ、上手く動けない」 「死にな!!」 振動でロックマンの動きが鈍ったところに、猛攻をかけるフーケマン。 しかし連続で投擲された巨岩を全部回避し、ロックマンはとどめの攻撃を加える。 「エネルギーのある限り、ロックバスターを撃ち続けてやる!!」 「馬っ、馬鹿な! こんなチビにこれ程のパワーがあるなんて!!」 ロックバスター連射で胴体を貫通されて、フーケマンはそう言い残して機能を停止した。 「――コルベール博士、聞こえますか? フーケマンを倒しました……。これから調査を始めます」 コルベールにそう連絡して、ロックマンはフーケマンの内部機構を透視する。 やがて奇妙な物体を発見し、それを手に取る。 「おやっ? 見かけない部品だな。……この紋章は?」 ロックマンの目を通して部品に書かれた紋章を見たコルベールの中で、全てが繋がった。 『その紋章はドクタ・ジョゼフの紋章です!! わかりましたよ、オートマータが故障したのではありません。ジョゼフが悪のオートマータに改造したのです!!』 「Dr.ジョゼフだって……!?」 『ロックマン、これは大変な事件です! ドクタ・ジョゼフは悪の天才メイジです。きっとハルケギニア征服を企んでいます!!』
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デジュー さわやかな朝がやってきました 村の川辺に無残に引きちぎられたDOMINANTさんの死体が見つかったようです… デジュー /chjoin ピットガレージ デジュー 村人の皆様、今日もがんばってください 3 (ピットガレージ) キャシャーン ぽっきりですわ デジュー 昼の部スタートです 1 (でじ村) BBL 人狼に参加なさっている皆さんに大変不快な思いを抱かせてしまい誠に申し訳ありませんでした 1 (でじ村) MB 【霊結果:キャシャーンさんは人間でした】 3 (ピットガレージ) EVANS BBLさんは真狩人だとして、なんの算段があって狂人COしたんでしょうかね 1 (でじ村) シエスタXX まあまあ 1 (でじ村) エルレイナ BBLさん…w 1 (でじ村) ふらぽ 白かぁ 1 (でじ村) BBL 多田謝ることしかできせん 3 (ピットガレージ) DOMINANT オジャマシマス~ 1 (でじ村) オペこ うむむ ちょっと偉そうだった はっちゃけるのはいいけどちょっとやり過ぎ感があった 1 (でじ村) シエスタXX どっちにしても 3 (ピットガレージ) キャシャーン おつ~ 1 (でじ村) オペこ すまんかった 3 (ピットガレージ) EVANS おつー 3 (ピットガレージ) DOMINANT なんかこのむらおかしい 3 (ピットガレージ) EVANS www 3 (ピットガレージ) キャシャーン おれもう今日で人狼やめるわ 1 (でじ村) シエスタXX BBLさんはもう吊れないな 3 (ピットガレージ) キャシャーン ここでBBLつらないとか 1 (でじ村) BBL いえ私が悪いのです 1 (でじ村) MB どの道縄減るなら昨日キャシャーンさん吊らないとなので 3 (ピットガレージ) キャシャーン おわっとる 3 (ピットガレージ) DOMINANT 僕ずっとBBLさんに投票してるのに 1 (でじ村) エルレイナ まぁいいよねはやりすぎだったけど 3 (ピットガレージ) DOMINANT なぜかつれなかった 3 (ピットガレージ) EVANS キャシャーンさんもどうかそう言わずww 1 (でじ村) BBL えっと 1 (でじ村) エルレイナ 反省してますしその件はおわりにしましょう 1 (でじ村) BBL 来るってもいいですか? 1 (でじ村) MB ん?BBLさんも吊れますよ? 1 (でじ村) オペこ ういっす 人狼やろう 1 (でじ村) オペこ どうぞ!!!!!!!!!!! 1 (でじ村) BBL ありがとうございます 1 (でじ村) ふらぽ いや時間的に 3 (ピットガレージ) キャシャーン DOMIさん発言力ありまくるんだから 1 (でじ村) BBL では 3 (ピットガレージ) DOMINANT Eさばは少人数のほうが少ないですからなれてないのです;きっと; 1 (でじ村) シエスタXX いけるっけ 1 (でじ村) ふらぽ うん、まぁ気を取り直していきますか 1 (でじ村) BBL キャキャキャキャ!! 1 (でじ村) オペこ 多分に聞き流します!!!!!!! 1 (でじ村) ふらぽ 狂だったらだめ 3 (ピットガレージ) キャシャーン 訂正するときもちっとつよくいってくれないと 3 (ピットガレージ) EVANS あんまりそういう発言しちゃうとGMしてくれてる人たちも気を悪くするじゃないですか 3 (ピットガレージ) DOMINANT だからいいなおしたよ BBLさんからつりって 1 (でじ村) エルレイナ うはww 1 (でじ村) オペこ さて 3 (ピットガレージ) キャシャーン 私気づいたけど、ほかのみんなわからんちん 1 (でじ村) BBL いや私村で見ている人いるのですか? 3 (ピットガレージ) DOMINANT 村自体がBBLさんからつりたい雰囲気だったと思ったんだけど 1 (でじ村) BBL むしろそれは怪しいですよ 1 (でじ村) シエスタXX 俺はキャシャさんの白を怪しんでるんだけどね 1 (でじ村) MB 狂人が死んだので今日から狼狼と吊っていけばOKです BBLさんを狼とみるならもちろん吊対象になる 1 (でじ村) ふらぽ 見てないw 1 (でじ村) BBL 私が言うのもなんですがね 1 (でじ村) エルレイナ これで真狩だったらすごいわ… 3 (ピットガレージ) キャシャーン シエスタつろーよ 3 (ピットガレージ) DOMINANT シエスタさんとかふらぽさんとかBBLさんからつればわかるみたいな方向じゃなかった> 1 (でじ村) オペこ 流石に気違いすぎるwwwwwww 3 (ピットガレージ) DOMINANT ? 1 (でじ村) ふらぽ まぁ自分が生きてればいいってもんでもないけどな… 1 (でじ村) オペこ そうなら一生尊敬・・・はしないかな 1 (でじ村) BBL 真狩りでここまでやってGJでないとか悲しすぎます 3 (ピットガレージ) DOMINANT ふらぽさんは狼だろうな 3 (ピットガレージ) キャシャーン やばい 興奮して敬称ぬけとる 3 (ピットガレージ) キャシャーン だろうね 1 (でじ村) エルレイナ でもキャシャさん白でしょ?狙って囲えないんじゃ… 1 (でじ村) シエスタXX BBLさんここで吊るんだったら 1 (でじ村) ふらぽ まぁ確定囲いではなくなったねぇ 3 (ピットガレージ) EVANS キャシャンさんの占い結果ってなんでしたっけ 1 (でじ村) MB あと明日死ぬかもなので一応言っておきますけどBBLさんが狂COから狩COしたのはてっきり噛み除けかなっておもっちゃいました 1 (でじ村) シエスタXX キャシャさんの占い結果もうちょいみたかったんだけど 1 (でじ村) オペこ んー唯一の○もらった私が噛まれないから 3 (ピットガレージ) キャシャーン オペこさん○ 1 (でじ村) オペこ 囲いだと思わせたいのか?でも無理だよね 1 (でじ村) BBL 理由はその場のアドリブで考えましたよ 1 (でじ村) MB いや 手順上キャシャさんは昨日吊らないといけない 3 (ピットガレージ) EVANS どうもどうも 1 (でじ村) ふらぽ どみさん食いはなんだろなぁ 3 (ピットガレージ) キャシャーン 手順wwwwwwwwwwwwwwwwww 3 (ピットガレージ) キャシャーン なにいってんのwwwwwwwwwwww 1 (でじ村) BBL 頑張ったんですよ 1 (でじ村) オペこ あそうなんですか?DOMIさんすいません私やっぱり分かってませんでした 3 (ピットガレージ) DOMINANT 何で昨日BBLさん連れなかったんだろう 狼が2表入れたのだとしても 1 (でじ村) シエスタXX その辺説明ほしいけど 1 (でじ村) エルレイナ 狩人探しかな? 1 (でじ村) シエスタXX イマイチわかってないので 1 (でじ村) BBL じゃないかな 1 (でじ村) シエスタXX 理由がほしい 1 (でじ村) ふらぽ んー、もうたぶん順番に食ってるだけだろうけど 1 (でじ村) BBL 私噛むわけないしね 3 (ピットガレージ) DOMINANT てかさ キャシャーンさん○ならBBLさん狼だよねw 1 (でじ村) MB 突然死がでなければキャシャさん残せましたけど 3 (ピットガレージ) キャシャーン おれ真占いだっつうの 1 (でじ村) エルレイナ BBLさんはGJ出すしかもう無理だろうね… 1 (でじ村) オペこ それを含めての再議論だったのか 私無知すぎる 3 (ピットガレージ) DOMINANT それは他の人には真偽つかない 1 (でじ村) ふらぽ BBLさん狂だったら占いはどっちか狼しかありえないわけじゃん? 3 (ピットガレージ) キャシャーン いあまぁそれはたしかにそーなんだけどね 1 (でじ村) BBL いやでないからw 3 (ピットガレージ) DOMINANT この村やばいにおいがする 1 (でじ村) ふらぽ 普通に考えたらここで狼1吊って 3 (ピットガレージ) キャシャーン ソラユイさんかまれたし 3 (ピットガレージ) キャシャーン 私への疑心がうまれるのもわかる 1 (でじ村) ふらぽ 残り潰せばおしまい デジュー 5分経過(あと2分) 1 (でじ村) ふらぽ なんだが 3 (ピットガレージ) EVANS しょうがないですよ、狂人COしたあっちのほうもアレですが 3 (ピットガレージ) キャシャーン そこで吊られるのはわかるけどさ 1 (でじ村) MB 指定:BBLさん 1 (でじ村) BBL 普通に考えたらね 1 (でじ村) ふらぽ 両方白ってことは 1 (でじ村) シエスタXX 昨日BBLさん吊って今日キャシャさん吊っても 1 (でじ村) BBL えー 3 (ピットガレージ) キャシャーン 狂人COのひとを残してこっちくるいみがわからん 3 (ピットガレージ) EVANS 噛まれの残った占いも偽臭くうつってしまうものですし。 1 (でじ村) エルレイナ もうBBLさん吊りでいいよ 1 (でじ村) BBL 狩人再CO 1 (でじ村) シエスタXX 変わんない気がするのは俺だけなのか 1 (でじ村) BBL 3日目MBさん もう霊媒護衛しかないよね 3 (ピットガレージ) DOMINANT BBLさんジン外COしてるんだから先につるべきだよね いまさからなにを・・・ 3 (ピットガレージ) キャシャーン 先に霊媒でひとつ●でてからおれだろうよ 1 (でじ村) ふらぽ いや初日にBBLさん吊れば 1 (でじ村) MB もうダダこねたって駄目ですよ 3 (ピットガレージ) EVANS BBLさんはちなみに護衛先明記してました? 1 (でじ村) BBL やっぱりw 1 (でじ村) シエスタXX BBLさん今日なの? デジュー あと1分 1 (でじ村) オペこ 吊って大丈夫? 3 (ピットガレージ) DOMINANT BBLさんとふらぽさん人外と予想! 1 (でじ村) エルレイナ 占い真狂確定でしょ? 1 (でじ村) BBL まあ村の皆に感謝していますよ 1 (でじ村) MB そうですね 1 (でじ村) エルレイナ MBさん偽は考えない 1 (でじ村) BBL 私をここまで長生きさせていただいたことにはね 3 (ピットガレージ) キャシャーン ソラユイさんも人外だけどね私視点 1 (でじ村) BBL MBさん偽とかないから 1 (でじ村) オペこ ういっす ではBBLさんでいいかな 1 (でじ村) ふらぽ というかこれで真だったらもう諦めるわw 1 (でじ村) ふらぽ 狩りね 1 (でじ村) エルレイナ 2日目即COだから潜伏死はないはず霊媒 1 (でじ村) シエスタXX まあ誤爆もあるからなぁ デジュー 20秒前 3 (ピットガレージ) DOMINANT 狂いだね~ 3 (ピットガレージ) キャシャーン ん あ だね~ 1 (でじ村) MB ん BBLさん狼だと思うので吊らないと 1 (でじ村) オペこ ドミさんなんだったんだろ 1 (でじ村) エルレイナ BBLさんまさか霊媒じゃないよなw 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- デジュー 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) デジュー 投票は私に直Tellでお願いします 3 (ピットガレージ) DOMINANT 僕かまれたんだから村人じゃん 2 (三矢の刺客) BBL 妥当ですね MB は デジュー に言った BBLさんに投票します ふらぽ は デジュー に言った BBLさんに投票しまし。 3 (ピットガレージ) キャシャーン 整理くらいしようや オペこ は デジュー に言った BBLさんでお願いします!!!外が!!明るい!!! 3 (ピットガレージ) EVANS BBLさん護衛先明記してないですよね? 2 (三矢の刺客) BBL 他に投票場所ないしなあ 3 (ピットガレージ) キャシャーン まぁ私も最初の護衛先するーしてたからあんまり人のこといえないけど 3 (ピットガレージ) DOMINANT 今日は霊能とかいってたきがするついさっき 3 (ピットガレージ) キャシャーン きいてもたぶん 3 (ピットガレージ) キャシャーン MBさんでしょう 2 (三矢の刺客) エルレイナ オペこくんいれてみよう 2 (三矢の刺客) BBL わかりました 3 (ピットガレージ) EVANS 役職COしたからには 2 (三矢の刺客) エルレイナ シエスタ君が疑ってた 2 (三矢の刺客) BBL いろいろ申し訳ありませんでした 3 (ピットガレージ) EVANS 聞かれる前に護衛先言うものでしょう 3 (ピットガレージ) キャシャーン そこいがい守るのは変態だ 2 (三矢の刺客) エルレイナ きにしない! シエスタXX は デジュー に言った BBLさんで エルレイナ は デジュー に言った オペこくんに投票~ 3 (ピットガレージ) キャシャーン いい意味でも、悪い意味でもあるけど BBL は デジュー に言った オペこさんに投票します 3 (ピットガレージ) EVANS それをしてないってことは 3 (ピットガレージ) EVANS 人外なんですねやっぱり 3 (ピットガレージ) DOMINANT BBLさん真ならキャシャーンさん先に釣らせるいみがわからんから陣貝だろう 3 (ピットガレージ) DOMINANT 人外 デジュー あと1分 2 (三矢の刺客) BBL 噛みどうしようか? 3 (ピットガレージ) キャシャーン どっちみち私吊られてる時点でこの村おかしい 3 (ピットガレージ) DOMINANT よしよし デジュー 20秒前 3 (ピットガレージ) EVANS 真抜かれたと考えれば別に間違った判断ではないと思いますけどね 2 (三矢の刺客) BBL もう時間ないか 3 (ピットガレージ) キャシャーン いあー今日吊られるなら BBL 4票 オペこ 2票 デジュー さよならBBLさん…あなたの勇姿は忘れない デジュー /chjoin ピットガレージ 3 (ピットガレージ) キャシャーン ぜんぜんなっとくする デジュー 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です BBL ちょっとやりすぎました。墓場で深く反省します。 デジュー 役職の方は私にTellお願いします 3 (ピットガレージ) DOMINANT 人外アピは先に釣るべきでしたね 3 (ピットガレージ) EVANS まぁ確かに、昨日ではなかったですね。 MB は デジュー に言った BBLさんの色を教えてください BBLは土下座をした 3 (ピットガレージ) キャシャーン 村でもノイズでしょうが 2 (三矢の刺客) エルレイナ 噛みはふらぽさんいってみるね…ログよんでて返事おくれてごめん~。 3 (ピットガレージ) DOMINANT 時間も時間だからかんべんしたって デジュー は MB に言った BBLさんは狼でした! 2 (三矢の刺客) BBL (気にしない) オペこ は デジュー に言った 狩人です。MBさんを護衛します。鉄板で護衛します。 3 (ピットガレージ) DOMINANT 霊能さんはキャシャさんにいれたっぽいけどな エルレイナ は デジュー に言った ふらぽさん噛み噛み~ デジュー は オペこ に言った 引き続きまもっていってねー 3 (ピットガレージ) キャシャーン だろうなぁ 3 (ピットガレージ) キャシャーン 初日霊欠けすら疑うレベル デジュー は エルレイナ に言った おいしく召し上がり~ 3 (ピットガレージ) DOMINANT つり数減ったならつらないといっていってたから それにのった村人がいたのかも 3 (ピットガレージ) BBL まずは皆さんにお詫びを申し上げます 3 (ピットガレージ) キャシャーン おつ エルレイナ は デジュー に言った あ、ごめん 3 (ピットガレージ) EVANS なんにせよこちらでは結構人狼同士が会話できる時間が多かったりと エルレイナ は デジュー に言った 噛みかえていい? 3 (ピットガレージ) DOMINANT 最後でイイデスヨ 3 (ピットガレージ) DOMINANT 終わってからで デジュー は エルレイナ に言った おk 3 (ピットガレージ) EVANS ルールの違う部分も多いので 3 (ピットガレージ) キャシャーン とりあえずおつかれよ 3 (ピットガレージ) BBL 不快な思いをされた方申し訳ありませんでした 3 (ピットガレージ) DOMINANT おつかれちゃん 3 (ピットガレージ) キャシャーン 別に私は不快に思ってないで まじで 3 (ピットガレージ) BBL お疲れ様でした MB は デジュー に言った あ はい 3 (ピットガレージ) EVANS 慣れてるルールと違う進行であっても仕方ない部分もあるのかもしれないですね エルレイナ は デジュー に言った ごめんね…ちょっと考えさせて~ 3 (ピットガレージ) DOMINANT 僕も特段気にしてない 3 (ピットガレージ) BBL いえこういうのはちゃんとしないといけませんので 3 (ピットガレージ) EVANS BBLさん真だったら怒るけど 3 (ピットガレージ) BBL けじめはつけます 3 (ピットガレージ) DOMINANT www 3 (ピットガレージ) EVANS 偽だったら全然いいですよ。むしろナイスな暴れっぷりです。 3 (ピットガレージ) BBL 真に見えましたか? エルレイナ は デジュー に言った オペこ君噛みにします~ 3 (ピットガレージ) DOMINANT みえるわけないです^^ 3 (ピットガレージ) BBL むしろ聞き返したいです 3 (ピットガレージ) BBL w 3 (ピットガレージ) DOMINANT ずっとBBLさんに投票してた^^ 3 (ピットガレージ) キャシャーン いまは狂人COに対して吊られたことに怒ってる 3 (ピットガレージ) EVANS BBLさん吊り変更で デジュー は エルレイナ に言った おいしくたべてね! 3 (ピットガレージ) EVANS ぼくが釣られたってのが 3 (ピットガレージ) EVANS 答えでしょう。 3 (ピットガレージ) キャシャーン 拙者もでござる 2 (三矢の刺客) エルレイナ 霊媒結果でキャシャさんの真確定しちゃうからオペこくんにしたよ 3 (ピットガレージ) DOMINANT 最初の投票からずっとBBLさんがお気に入り^^ 2 (三矢の刺客) BBL (狩人オペこさん以外だと変態GJあるから気をつけてね) 3 (ピットガレージ) EVANS ところでなんで狂人COだったんですかね?w 3 (ピットガレージ) キャシャーン んだな 3 (ピットガレージ) BBL でもなんで吊られなかったんだろう 3 (ピットガレージ) BBL あー デジュー さわやかな朝がやってきました 村の川辺に無残に引きちぎられたオペこさんの死体が見つかったようです… 3 (ピットガレージ) EVANS 釣り逃れするなら最初から狩COでよかったと思いますよw デジュー /chjoin ピットガレージ 3 (ピットガレージ) キャシャーン ほんとだよ オペこ Голодный волк сильнее сытой собаки. オペこ 飢えた狼は満腹の犬より強い。 オペこ でも/say でもこれ基本的に狼のほうが強いような気がします。 3 (ピットガレージ) キャシャーン なんでつられないの 3 (ピットガレージ) デジュー みすったー!! 3 (ピットガレージ) キャシャーン いみがわからん デジュー みすったー!!! 3 (ピットガレージ) BBL 私は潜伏狂人が好きなのでやってみただけです デジュー あと1分 オペこ うわマクロミルってる! 3 (ピットガレージ) EVANS まぁ、そこは霊能さんとの相性ですねw オペこ え? 3 (ピットガレージ) EVANS 狼の会話時間が多い分 シエスタXX はい? 3 (ピットガレージ) BBL 生き残れそうになかったから狩人COをやけくそでしました オペこ Back to the .... デジュー おぺこさんまだ死んでないよー デジュー 20秒前 3 (ピットガレージ) EVANS 村の意見がブレるのが一番行けないって意見に動く事が多いため オペこ やたああああああああああ 3 (ピットガレージ) DOMINANT 狂いがあがくと変わりに狼がつれたりするんですよ・・・w 3 (ピットガレージ) EVANS 今回の場合霊能指示が絶対だったわけですよ 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- 1 (でじ村) デジュー ---------------STOP--------------- 霊媒 BBL ● 護衛 MB 噛み オペこ 2012-4-14 でじ村(5)
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229 名前:発売予告「ゼロの三国志」[sage ] 投稿日:2006/09/22(金) 15 08 51 ID d/9e1u42 「あなたに対する、相応の覚悟を持って望みますわ」 アンリエッタの言葉から、全ては始まった。 光輝満る国の女王、女王アンリエッタが率いるは、トリステイン王国アンリエッタ親衛隊! アン「見てらっしゃいルイズ・フランソワーズ! 誰に喧嘩売ったか教えてあげるわ!」 アニエス「殿下、キャラが壊れてます」 アン「をーーっほっほっほっほっほ! ラ・ヴァリエールがなんなのよ!こっちは王族よおーぞく!」 アニエス「あのー殿下ー?」 愛するご主人様のためなら戦もなんの!シエスタ率いる魅惑の妖精メイド隊! シエスタ「待っててくださいサイトさん! 悪のぺったんこの魔の手から、必ず救い出して見せます!」 ジェシカ「それいけシエシエー!」 シエスタ「頬を染めろ!上目遣いになれ! 貴様らが口からクソ垂れる前と後ろに、『ご主人様』とつけろ! わかったか蛆虫どもっ!」 ジェシカ「はいっ♪ご主人様っ♪」 東の果ての第三勢力!おっぱい帝国からの侵略者!エルフ爆乳同盟! テファ「あのー、私は別にー…」 キュルケ「恋は奪い合ってこそ燃え上がるもの!司令官がそんなんでどーするの!」 テファ「ていうかアナタエルフじゃな」 キュルケ「おっぱいつながりでいいじゃないの!それー、おっぱい!おっぱい!」 テファ「お、おっぱい、おっぱい…」 それを迎え撃つは、その名も知られた、大貴族!ラ・ヴァリエール『サイトは渡さないんだもん』軍! ルイズ「どっからでもかかってらっしゃい! どこの誰だろーが、攻撃呪文でみぃな殺しよっ!」 カトレア「あらあらまあまあ。頑張ってねルイズちゃん♪」 ルイズ「言ってないでちいねえさまも戦うのっ!」 カトレア「それじゃあ、軽く塵といきましょうか♪」 ルイ&カト「をほほほほほほほほほほほほほほ」 サイト「あのー。この場合俺の立場はー?」 デルフ「決まってんじゃねえか。『賞品』」 それを見ていたガリア無能王。 ジョゼフ「言っていいか?余も言っていいか? サイトきゅん萌えーーーーーーーーーッ!!」 シェフィールド「ああっ、ジョゼフ様が壊れたっ!」 タバサ「…萌え」 かくして、才人をめぐる血で血を争う戦いが、今、始まった! ニャンテンドーNii対応ソフト、「ゼロの三国志」、2007年上旬、発売っ! 230 名前:せんたいさん[sage ] 投稿日:2006/09/22(金) 15 09 51 ID d/9e1u42 ごめんなさいもうしませんorz 383 名前:ゼロの三国志 販促CM[sage ] 投稿日:2006/09/25(月) 19 28 11 ID vV01kKiA 〜アンリエッタ親衛隊ハイライトシーン〜 アニエス「機関最大!最大戦速!第一次ガンダールヴ奪還艦隊、旗艦『ヒラガ』、発進!」 部下「イエッサー!」 トリステイン王城がせり上がり、その下から巨大な飛空艇が現れる。 アンリエッタ「総員、対衝撃対閃光防御。機関最大、艦首トリステイン砲、発射!」 旗艦『ヒラガ』から発射される極太の光。 着弾地点で湧き上がるキノコ雲。雲が晴れると、そこには巨大なクレーターが。 そしてその中心には…無傷のルイズ。 マザリーニ「馬鹿な!全力のトリステイン砲の直撃を受けて無傷だと!ラ・ヴァリエールは化け物か!」 〜魅惑の妖精メイド隊ハイライトシーン〜 シエスタ「皆さん、私はサイトさんが好きです。 皆さん、私はサイトさんが大好きです。 厨房で、中庭で、廊下で、お部屋で、トイレで、お風呂で、ベッドの上で。 ありとあらゆるところで出会うサイトさんが大好きです。 (中略) 皆さん!私はサイトさんを。サイトさんの奪還を望みます! あのぺったんこの魔の手から、愛する人を救おうと思います! 協力していただけますか!?」 メイドたち「はいっ、ご主人様っ♪」 シエスタ「よろしい!ならば戦争です!一心不乱の大戦争です!奴らに思い知らせてやりましょう、本当のメイドの恐ろしさというものを!」 メイドたち「はいっ、ご主人様っ♪」 ヴァリエール軍指揮テント内にて。 ヴェリエール軍将校「馬鹿な!女一人に一個中隊が全滅だと!?」 ジェシカ「あらお言葉ね。『女』じゃないわよ」 す、っと突然将校の背後にどこからともなく現るジェシカ。 ジェシカ「私たちはメイド。ご主人様の危機とあらば、どこへでも駆けつける」 将校「な、ならばお前の主人とやらは…」 ジェシカ「我らの主人の名は、ヒラガサイト。さようなら、お馬鹿さん」 ドシュッ 〜爆乳エルフ同盟(以下略 コルベール「故人曰く。 『メカとおっぱいは大きいほうがいい』! その通り!まさにその通り!そこで私は開発したのです、この『オストラント』号を!」 キュルケ「きゃー、ジャン素敵ー♪」 ギ−シュ「あの、コルベール先生の首筋についてるキスマークは」 モンモン「…先生も男だったってことかしら」 炸裂するルイズの『エクスプロージョン』。吹き飛ばされるエルフの戦士たち。 ルイズ「おーっほっほっほっほ!エルフといってもこの程度!?雑魚ね雑魚!」 そして、もう一度放たれる『エクスプロ−ジョン』。しかし、その爆発を、同じ『エクスプロージョン』が打ち消す。 その煙の向こうから現れるティファニア。 ルイズ「あんたはっ…!」 テファ「忘れてた?私も『虚無』なのよ!」 〜ラ(ry カトレア「いますぐ戦闘を止めてください!」 そう言いながら攻撃魔法をどっかんばっかん撃ちまくるカトレア。 カトレア「…無駄な抵抗ですから♪うふふふふふふふふふふふふふふ」 シエスタ「そんな!質量を持った残像ですって!?」 ルイズ「残像じゃないわ!これが、これこそが『イリュージョン』の真の姿! 避けられるかしら?全方位からの『エクスプロージョン』!」 シエスタ「当たらなければどうと言うことはない!」 384 名前:せんたいさん[sage ] 投稿日:2006/09/25(月) 19 29 22 ID vV01kKiA ほら、やらないほうがよかったorz 〜おまけ 裏ルート「サイト脱出」 サイト「今すぐ戦闘を止め、この地域から脱出してください!」 アン「サイトさん!?」 サイト「聞こえますか、トリステイン軍!今すぐ退艦して、この地域から脱出してください! まもなくここは、全力の『エクスプロージョン』で地上から消え去ります!」 アン「なんですって!?」 サイト「あなたは、あなただけはッ!」 ワルド「何を叫ぼうが今更! 人は滅ぶ、自らの生み出した虚無に呑まれてな!」 サイト「それでも、それでもっ…! 俺には、守りたい世界があるんだぁーーーーーーーーー!!」 ガノタでスマソ
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前ページ次ページゼロのコードギアス 昼休みに似合わない喧騒がおきている。 金色の巻髪に薔薇をシャツに刺した勘違い貴族がいた。 シエスタが絡まれている。 まったく。どいつもこいつも…少し気だるそうにルルーシュは近寄る。 この男、時と場合によるが弱い者を見捨てるような真似はしないのである。 「君が軽率に…」 「申し訳ありません!申し訳ありません!」 「貴族として君にしつけなければならないな」 サディスティックな笑みを浮かべ杖を出す男。 ルルーシュが少し小走り気味に駆け寄る。その時! 「ギーシュ!あんたみっともない真似はやめなさい!」 ルイズが飛び出してきた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ひとまず駆けつけるのをやめ静観する。 「あんた自分が二股かけているのに八つ当たり?!しかも貴族の権威を振りかざし…お里がしれるわね」 「ふん!ゼロのルイズに説教されるとは!言っておくがこれは君には関係のないことだ。君も貴族の端くれなら魔法が使えるようになってから言いたまえ」 どっと周りから笑いが起きる。 ルイズは顔を真っ赤にしてうつむく。おそらく自分の一番苦手とする、一番の痛手とするところをつかれたのであろう。 …ここまでか。とルルーシュは近寄りシエスタとルイズの前に出て男に近寄る。 「な、何だね君は…あぁ…君はルイズに召喚された平民の男じゃないか…ど、どうしたのかね?」 ルルーシュは180cm近くありギーシュより頭ひとつ分高い。威圧感としては完璧だ。 「だまれ!!!」 はっきりとした大声であたりも静かになる。 「弱いものを一方的に攻めるのが貴族のやり方か!お前…まさかそれが貴族の特権とでも考えているのか?!」 「ど、どうやら君は貴族に対しての…」 「貴族、貴族、貴族…お前は、貴族というものを自分自身が語ることで一番の笑いものになっていることの自覚もないようだな?! この場では!ルイズのみが貴族を語れる!」 無論、ある種の高揚である。ついつい言い過ぎてしまうもの… それになんだかんだで本名ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。神聖ブリタニア帝国、第11皇子・第17皇位継承者である。自分は権威とプライドを背負った存在だと自負している。 目の前の男は権威とプライドのみにすがっている。それも許せない。 「い、いいだろう!君に礼儀というものを教えてやる、決闘だ!」 杖を抜いたギーシュにルイズははっとし、あわてて声をかけようとするも 「ふん、いいだろう、少なくとも俺は負ける気は無いがな」 ルルーシュ・ランペルージこの男、度胸だけは一人前である。 「ヴェストリの広場で待つ!仕事が終わったらきたまえ!」 そうして大股で歩いていくギーシュ。 「る、ルルーシュさん殺されちゃう…」 逃げていくシエスタ。そして近寄るルイズ。 「…あんた、あやまってきなさい。正直うれしかったわ。でも今はあなたがあやまる番。一緒に言ってあげるから」 「だが断る!」 「な!?」 「一度言ったことは貫き通せ!ましてや自分に非がないと信じているならばなおさらだ。やり遂げる決意が必要だ。安心しろ。勝てない喧嘩はしない」 「…あらそう。まぁ助けがほしかったらいつでも言いなさい。私も行くわ」 「ふん。勝手にしろ」 歩き分かれる二人、ルイズに近寄る朝の赤毛の女キュルケ 「ちょっとー!大丈夫なのあんた?あいてはあんなのでもギーシュよ?やっぱりルルーシュより強いにきまってるわ!?」 「さぁ?でもあいつが大丈夫って言ってるんだから」 そしてルルーシュは一旦仕事にもっどった…が見知らぬ貴族に話しかけられた。 「さっきの御礼をしようとしたんだけどさ…だけど君はまさかギーシュ先輩に喧嘩を吹っかけるとわねー」 先ほどのチェスの生徒である。 「まぁ死なない程度にがんばりな。あの人はああいう人なんだ。あとこれはお礼だよ。じゃあな」 ニコニコ笑いながら金貨一枚を投げてよこす態度、年下にもかかわらず金貨をよこす。この金貨はどのくらいの価値が平民にあるのか。 この国は…貴族は…一人ルルーシュは、昔感じた「何か」を確信していた。 シエスタは逃げた。 キュルケはこれから起きる事にわくわくしていた。 ルイズはルルーシュが口先だけではないかどうかを、この騒動で見極めようとした。 ギーシュはあせっていた。本当はメイド、シエスタのお尻を杖で叩き「全く君は…どうしてくれるんだね?さ、行きたまえ…」 くらいで収めようとしたのがとんでもないことになったからだ。しかし適度に痛めつけて「君の言うことにも一理ある…云々」くらいで収めようと考えていた。 が、結果。すべての人間の思惑が外れることになる。 決闘がこれから始まるという瞬間、突如として現れたゴーレムが二人を殴りつけ、痛めつけ、その場にいた誰もがあっけに取られる襲撃を受けたためだ。 その後、コルベール教諭が登場、あっけない幕切れだったのだ。 これは、広場に行く前にルルーシュがその場に偶然通りがかった、年齢的に見て間違いなく教諭と思われる人物に 【全力で決闘をやめさせろ!】 キーーーーーーーーーーーーーーーン ギアスを使ったからだ。その教師が行使した魔力が強すぎたのは唯一の計算外だったが… そしてルルーシュとギーシュは半日気を失い保健室で水の治療を受けることになる。 禁止されている決闘を教師が止めに入り、罰を与え喧嘩両成敗とした。 このような顛末とあいなった。 「…くっ…ここは…」 「あっ気がつかれましたか?!今ヴァリエール様をお呼びします!」 … … 「気がついた?まぁ結局どこかの先生が助けてくれたけど…まぁ実際こんなものよ」 「ルイズ。それはこの学園の機能が正常に働いたからだ。これは想定内だよ…」 「まーた強がりばっかいって…まぁギーシュにもいい薬になったでしょ」 「ふん、俺は正論を言ったまでだがな…隣で聞き耳を立てているギーシュ君。先に言っておく。すまなかったな」 ルルーシュはいきなり声をかけた。瞬間布団が揺れる。 「おおかたシエスタの胸でも杖で叩き、場を和ませるつもりだったんだろう?そこにルイズが登場」 もう一度布団が揺れる。ルイズはあきれた顔をして興味なさそうに窓の向こうを見る。 「ルイズに貴族のあり方を説かれ引っ込みがつかなくなった、だがしかし……………君は幼い反論しか出来なかった。それは?」 「…そうだ……僕の行いに思い当たる節があったからだ……」 「そう…時として権力はひがまれ、恨まれる場合がある。本人に自覚があろうとなかろうと。例えそれが軽いいたずらであろうと…自分の権威を自覚しなくとも…」 権威。自分の母親が暗殺され妹が歩けなくなり目が見えなくなった。ルルーシュの言葉に真剣みが増す。 「だが君を看病してくれたのはルイズではなくシエスタだ。…君はこの後?」 そしてギーシュはおもむろに布団から起き上がり 「あぁ…わかっている。シエスタ君。すまなかった。冗談とはいえか弱き女性をいたずらに怯えさせてしまった ギーシュ・ド・グラモン、これは恥と刻んだ。申し訳なかった…」 頭を下げた。 「そ、そんな…ギーシュ様結構です…」 「その、あつかましいお願いだが君と親友になりたい。そして僕が貴族らしからぬ行いをした時、今度は君が殴ってくれ!君とは対等な付き合いがしたい!」 「あらギーシュ。そんなのに目覚めたの?」 突如乱入したキュルケがちゃちゃを入れる。 病室がにぎやかになってきた。 「キュルケ…いまはいいところなんだから…」 「あらルイズ?あんたいたの?小さくて見えなかったわ」 「きー!」 「君たち…静かにしたまえ。シエスタが怯えているじゃないか」 「あらあなた?あのメイド?シエスタって言うの。あぁ私のこともかしこまらなくていいから。ね?ルイズ?」 「そうそう。私もいいわよ。別にかしこまらなくても。赤毛のこの女は呼び捨てでいいわ」 「そんな…みなさん…ありがとうございます…」 シエスタは何故か目に涙を浮かべ笑っている。 感謝を肯定と受け取ったギーシュは 「あぁ…ルルーシュ君、君とも友達になりたいんだ」 「ふん、おまけのように言われてもな。ギーシュ」 「はは!その調子だ!」 「あ!あの!」 突如シエスタが声を上げ 「ルルーシュさん!…そのあの時は逃げてすいませんでした…」 部屋が静かになりルルーシュの言葉に一同の注目が集まる。 「いいんだシエスタ…」 そして、穏やかな言葉の後に続いたのは 「だが。次は自分の力で困難を乗り越えるんだ。例え相手は貴族だろうとだ。言いなりだけの人生なんて、ただ生きているだけの命なんて、緩やかな死と同じだ」 この後 ルイズは(この男は何者なのか…執事くらいなら務まりそうか)と考えた、口だけだと思うが心の奥は警戒しているもやもやがいまだ消えない キュルケは惚れた。ルルーシュはしばらく外で寝る姿が目撃されている。 ギーシュはびんたを食らった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 場所は変わり、学園長室。 「まぁ今回のことは両者痛みわけじゃ…」 「お騒がせして申し訳ありませんでした…」 学園長室に呼ばれたルイズとルルーシュの二人、事の顛末を説明し謝罪に訪れている。 ルルーシュは後ろで直立不動の姿勢をとっている。 (このじじい…本性を出していないな…) 「君の使い魔は異世界から召喚された人間じゃ。あまりことを荒立ててくれるな…」 「申し訳ありません…」 「そして君はガンダールブかもしれぬ」 「ガンダールブ?」 「ガンダールブといえばあらゆる武器を使いこなした始祖ブリミルの使い魔。ルルーシュ君は異世界から来たといっているがおそらく…」 「…その学園長はルルーシュが異世界からきたと信じているのですか?」 「うむ、わしにも心当たりがある」 「心当たり?!」 瞬間後ろのルルーシュが声を上げる。 「この前はそのようなことを一度も…」 「うむ…ふがいないが忘れておったのじゃ…ガンダールブ…武器…と聞いて思い出してのぅ…」 オスマンの昔話が始まる。 「『破壊の杖』というものがあってのぅ……今から数十年前の話じゃ。数十年前、森を散策していた私は、ワイバーンに襲われた。 そこを救ってくれたのが、『破壊の杖』の持ち主じゃ。彼は、一本の『破壊の杖』で、ワイバーンを吹き飛ばすと、ばったりと倒れおった。 怪我をしていたのじゃ。私は彼を学院に運び込み、手厚く看護した。しかし……」 「死んだと…」 「うむ。その時持っていた彼の武器は墓標にし、もう一本は今も保管してあるが…作りかたも…使い方もわからぬ…おそらくこの世界にないものと考えてよい。」 話は続く 「わしの恩人はガンダールブ、だからあの武器が使えた、『ここはどこだ。元の世界に帰りたい』とも言っていたからおそらく異世界の住人。そう考えるのが普通じゃ…」 ルルーシュはその後、どんな会話が行われたのか覚えていない。少なくとも「武器」に関する会話がなかったことだけは覚えている。 そしてその夜 完全に人払いを済ませサイレントもかけてオスマンとコルベールが話し合っている 「して、これが今回の顛末かのぅ」 「はい、誰がゴーレムを作り出したのかは不明です」 「まぁよい…二人が怪我を負い、治療をうけとるからのぅ…探しても誰も名乗り出ん…一応土系統の教師に注意を払うのじゃ…」 「はっ」 「そして…?」 「はい、生徒ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のルーンはやはり学園長のおっしゃる通りガンダールブのものでした」 「厄介なことになってきたのう…他言厳守、口外はまかりならん」 「御意」 「あのー…ルルーシュとか言う男。君の目から見てどうじゃ?彼はまぁ魔力もなく、ただの平民ということはわかっとる…」 「は、特に問題はなく日常を過ごしております」 「…炎蛇」 「は!」 瞬間すべてが凍りつく。オスマンの目がコルベールを貫く。 殺されはしない。しかし生きた心地が全くしない。背中を汗が伝う。 「貴様…炎蛇の目から見ていかに写る」 「彼は何かあるかと…」 「推測もかまわん…貴様が思っていることを正直に話せ…つまらんことを言わせるな…」 大丈夫…自分は学園でもかなりの地位…オスマンならばこんなことで…殺すことはないだろう だが、もしかしたら、もしかしたら次に瞬きをした瞬間、自分の目は、自分の胴を見ているのかもしれない。 コルベールの頭に何故かその光景がまじまじと思い起こされる。昔、散々自分が見てきた… 「僭越ながら…彼は何か…「力」を持っていると考えております…そして…」 おそらく彼は、人を殺したことがあります to be continued 前ページ次ページゼロのコードギアス
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前ページ次ページ五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔 第2夜 決闘よ! 学院に着いた時点で、ルイズがマルモについてわかったこと。 マルモは別の世界から来たということ。マルモの呪文と動くタマゴのクリオがその証拠。 マルモは『賢者』でありかつ『モンスターマスター』であるということ。使い魔の主従とはまた別のものらしい。 マルモはこちらのコモンマジックを使えるが、系統魔法は使えないということ。ただし召喚魔法と契約魔法は除く。 学院についた時点で、マルモがルイズについてわかったこと。 ルイズはこのトリステインで屈指の大貴族の三女であること。 ルイズは魔法の成功確率がほとんどゼロのため、『ゼロのルイズ』と呼ばれていること。 そして――使い魔は一生涯その主人に仕えるということ。 だが、マルモはそれでもいいと考えていた。冒険が終わって、帰れる場所があり、迎えてくれる人がいるというのは心地よい。 思わず微笑みがこぼれ出た。 「それにしても、四系統全部に通じているなんてすごいわね」 泣いてすっきりしたルイズは嫌み僻みなくマルモを尊敬した。主従関係など、今のルイズには二の次だ。 「系統魔法じゃない。私の使っているものはこっちの系統魔法とは別。それに土系統に該当する呪文は、私の知る限りない」 「ルーンじゃないものね。先住魔法も疑ったけど、あれは口語だし」 マルモはルイズにせがまれて、召喚を行った場所から学院に向かう途中で色んな呪文を披露してみせた。 ベギラマ、メラミ、バギマ、イオラ、スカラ、ピオリム、……などなど。 最上級魔呪文は使わなかった。魔法力の消費が激しく、また威力が高すぎるためである。 イオ、イオラを見たときのルイズは、マルモが同じ失敗をしたのではと驚いたが、マルモはそういう呪文なのだと教えた。 「イオは少し修行を積んだ魔法使いが使える攻撃呪文。イオラはさらに修行を積んだ一人前の魔法使いなら使える」 もっともマルモの場合は魔法の才能が並ならぬものだったので、幼いうちにどちらも覚えてしまった。 先の言葉は師匠賢者の数少ない受け売りの一つである。 「わたしも、マルモの魔法を覚えられるかな。わたしの魔法は全部爆発……何を唱えてもイオみたいになっちゃうから」 「多分無理。私はこっちの魔法……コモンマジックと系統魔法のうち、コモンマジックは使えたけれど系統魔法はダメだった。おそらく生まれと魔法の体系が違うせい。だから、ルイズもだけど、こっちの魔法使いは私の使う魔法は扱えないと思う」 「はあ……光明を見出せたとおもったのになあ…………」 ルイズは溜息を吐きながら、校門をくぐった。 五本の塔や広場を案内して回った後、二人とタマゴは一際高い本塔の中に入った。 「ここがアルヴィーズの食堂よ。学院の生徒と先生は一日に三回、ここで食事を共にするの」 マルモは食堂を見回した。百人は優に坐れるであろう長いテーブルが三つ並び、奥の中二階にもテーブルが見える。 メイドが一人だけで清掃作業をしているところを見ると、もうほとんど終わりかけているらしかった。 「ちなみに『アルヴィーズ』っていうのはね、壁際にある小人の像のことよ」 気分はすっかり観光案内人のルイズである。 「こいつらは昼間は普通の彫像なんだけど……夜中になると踊るのよ。『アルヴィー』はガーゴイルの一種で、与えられた命令の中では自律的な行動をとることができるの」 なおも続けるルイズであるが、マルモはそっと一体のアルヴィーに触れてみる。 すると、マルモの額のルーンがうっすらと輝き始め…………。 マルモは、アルヴィーを自在に使いこなせる気がした。 「踊って」 途端に食堂中のアルヴィーが踊りだす。 「ちょっ、一体何?!」 ルイズは俄かに踊りだしたアルヴィーにとまどいを隠せなかった。 「もういい」 すると、先ほどまでのダンスが嘘のように食堂が静まり返った。練度の高い軍隊並みの統制であった。 「き、き、今日は気分が違ったのかしら……?」 驚きが抜け切っていないルイズは、よろよろとマルモに倒れ込むように抱きついた。マルモはそれをしっかりと受け止める。 マルモはルイズを抱いたままもう一度食堂を見回すと……、先程のメイドが床に倒れていた。 とりあえずルイズを椅子に預け、床に倒れたメイドに駆け寄る。 「大丈夫?」 声をかけつつメイドを引っ張り起こした。見た目は少女のマルモであるが、経験値が莫大にあるので力は結構ある。 「あ、申し訳ありません! 私、とんだ粗相を……!」 と、メイドは頭を深く、深く下げた。切り揃えられた黒髪が床に向かって垂れ下がる。 「あの人形達が踊りだしたのは私のせい。だからあなたは悪くない、悪いのは私の方。私こそごめんなさい」 マルモも目の前のメイドと同じ低さまで頭を下げる。 「そ、そんな! こちらこそ貴族様にお手を煩わせてしまって……」 メイドはぶんぶんと手を振った。 「畏まる必要はない。私は貴族じゃないから」 「……お気を遣わせてしまって申し訳ありません」 黒髪のメイドは、マルモにどう接していいか計りかねていた。見た目はどう見ても貴族、しかし当人は貴族でないという。本人が貴族扱いを望まなくとも、学院という公の場で、貴族と思しき少女に平民と同じように扱うのは不味い。 結局、当たり障りのないような言葉でその場を凌ぐことにした。 「マルモ」 ルイズが不機嫌そうに声をかけた。どうやら混乱から立ち直ったらしい。 「ご主人様を放っておくなんて、どういう料簡よ」 仁王立ちで構えるルイズ。眉間にはありありとしわが寄っている。 「私のせいでこの女の子が転んでしまったから……ごめんなさい」 素直に頭を下げるマルモにいらつきをぶつけられず、こちらも素直に話を合わせようとする。 「アルヴィーズが踊りだしたのは、マルモのせいじゃないわよ」 「……私が命じたから、アルヴィーズは踊りだした。それは間違いない」 「どういうことよ? マルモは今日初めてここの食堂に来たんでしょう? ガーゴイルの命令を上書きできるのは制作者だけよ」 「なぜだかはわからないけれど、実際に命令できる。見て」 と、マルモは近くのアルヴィーに手を伸ばした。再びマルモの額のルーンが淡く光り……。 「踊って」 今度は、そのアルヴィーだけが踊りだす。 ルイズは驚愕した。食堂のアルヴィーズは当然学院の物、すなわち教師達が魔法をかけたガーゴイルである。たとえスクウェアクラスのメイジといえども、制作者でない者が勝手に操るのは至難の業。それをマルモはやってのけた。 「どういうこと?」 いくらマルモが強力なメイジとはいえ、易々と他人のアルヴィーを操れるはずがない。 「多分、この額のルーンが関係していると思う。アルヴィーに触れると、頭脳が活性化してきてアルヴィーの操作方法がわかる」 マルモは踊っていたアルヴィーを静かにさせた。ルーンが光を失い、ただの模様に戻る。 「そのルーンがガーゴイルの制御を奪うっていうの?」 鳶色の目が、マルモの額を覗き込む。 「確証はないけど、今のところはそう思う」 「うーん……使い魔のルーンは、特別な能力を与えたりするけど…………。さすがに特別すぎるわね」 「……そうなの?」 「ええ、そもそも使い魔がガーゴイルを操るなんてありえないもの」 「…………」 ルイズは考え込む。ガーゴイルはいわば自動的なゴーレムだ。ゆえに、まれに制作者の意図を離れて暴走することがある。しかし、それはあくまで暴走であって、制御権が他者に奪われることはない。 一体どういうことだろう……と、ルイズが考えているところに、「ぐう」という音が響いた。 ルイズは反射的に顔を上げる 「何? 今の音」 「…………私」 呟いたのはマルモだった。 「マルモ、お腹空いたの?」 静かに頷くマルモに溜息を吐きながらも、その唇は微笑むルイズ。 「しょうがないわね。何かいただきましょう、昼食は済んだけど何かあるでしょ。ええと……そこのあなた」 「はっ、はい?!」 今まで口を挟まずにいたシエスタである。 「あなた、名前は?」 「シエスタと申します」 「そう。シエスタ、悪いんだけどこの娘に何か食べさせてもらえる?」 「はい、かしこまりました」 厨房に向かおうとするシエスタであったが、その手をマルモが掴んだ。 「……別にいい」 「何言ってるのよマルモ。主人たるもの、使い魔を養うのは当然のことだわ」 「でも」 「変に遠慮しないでちょうだい。どっちみちこの学院の食堂のお世話になるんだから。そしてこれはご主人様の命令よ わかった?」 「……わかった」 マルモが頷くと、シエスタが厨房に入っていった。 しばらく経ってシエスタが盆に食器を載せて戻ってきた。 「賄い食ですが……パンとシチューです」 「ありがとう」 マルモは礼を告げると、早速食べ始める。そんな様子をルイズとシエスタは温かい目で見守った。 「ところでミス・ヴァリエール……その、失礼ですが、先程の『使い魔』というのは…………」 シエスタが好奇心を抑えきれないように言った。 「ああ、そのまんまよ。わたしが『サモン・サーヴァント』でマルモを召喚して契約したの」 「はあ、なるほど……」 学院で奉公し始めていくつか経ったシエスタであるが、人間――しかもメイジを使い魔にするなど聞いたことがなかった。そのためにいまいち納得がいかないのであるが、貴族の子女にこれ以上余計な口を利くのはよくないと思って口を閉ざした。 やがてマルモが食べ終えると、立ち上がってシエスタに向かい頭を下げた。 「ごちそうさま」 「おかわりはなされますか?」 「もうお腹いっぱい。……おいしかった」 「ありがとうございます、ミス・マルモ」 「それじゃあ行くわよマルモ。仕事の手を止めて悪かったわね、シエスタ」 「とんでもございません!」 シエスタは、マルモとルイズに謝辞を言われて恐縮した。貴族が平民の名前を呼んで挨拶を言うことなど普通はない。 二人が食堂を出て行くのを確認してから、シエスタは大きく息を吐いた。 時と所が移り、夕食前のルイズの部屋。 夕日が地平に差し掛かり、二つの月が昇ろうと控えている時である。 ルイズとマルモはベッドに腰掛けて話に花咲かせていた。タマゴのクリオはマルモの膝の上で抱かれている。 内容は、始めマルモのルーンについてであったが、次第に昔のことに転換していって、今はルイズが話し手である。 「それでね、ちいねえさまが……」 ルイズがヴァリエール家の次女カトレアについて話すときは、微笑みが絶えない。 マルモは、ルイズが家族について話すときの温かみにまぶしさを感じた。自身には家族といえる存在はない。仲間や友達といった関係の方が何よりも濃い。だが、別に卑屈に感じたり嫉妬しているわけでもない。 マルモがルイズに感じているのは、かつて共に修行した女の子と同じような愛しさ。それがマルモには快い。 実はルイズがこうして話すのはいままで学院において一度もなかったのだが、それをマルモが知る由もない。 「あ、そろそろ夕食の時間ね」 ルイズが部屋に差し込む夕日を見て言った。 「夕食を食べた後は、学院長……オールド・オスマンのところにいくんだっけ」 確認のように独り呟いて、ルイズは身だしなみを整えた。 「行きましょう、マルモ」 マルモは頷いて、二人そろって部屋を出た。その姿は主人と使い魔ではなく、仲睦まじい親友のようである。 二人は食堂に着いた。クリオは騒ぎになると面倒なので、ルイズの部屋で待機させてある。 入り口近くに坐っている二年生メイジがルイズとマルモに気付き、ひそひそと話をし始めた。 「見ろよ、ゼロのルイズと召喚された女の子だぜ」 「かわいそうに、ルイズなんかの使い魔にされちゃって……」 ルイズがマルモを使い魔にした話は、既に広まっているらしかった。 ルイズとマルモはそれらを無視して席に着こうとすると、マルモがルイズの為に椅子をひいた。 「マ、マルモ、別にそんなことしなくてもいいのよ」 「私は使い魔。主人を立てるのは当然の義務」 「それはまあ、そうだけど……」 メイジと使い魔の関係である以上は公私の区別をつけましょうとルイズは言ったが、一日で心を通わせたマルモにそんなことをされると、どうにも悪い気がしてしまうのだ。 ルイズが席に着くのを確認してから、マルモはルイズに許可を貰ってルイズの隣の席に腰掛けた。昼のうちにアルヴィーズの食堂を案内した後、マルモも席に着いて食べるように言ったのだ。 マルモは学院の生徒でないことと使い魔であることを理由に断ろうとしたが、ルイズが強く言ったので了承したのだった。 「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今夜もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」 目の前の豪華な食事にルイズとマルモは手をつけていく。 しばらくすると、ワインを運んでいるメイドが二人に近付いてきた。カチューシャで纏めた黒髪とそばかすが可愛らしい。 空になったワインボトルを交換していると、ルイズとマルモがそのメイドに気付いた。 「あら、シエスタ」 「お食事のお手を止めて申し訳ありません、ミス・ヴァリエール、ミス・マルモ」 「そんなことないわよ」 「『ミス』はいらない。マルモでいい」 マルモは敬称をつけられた経験がこれまでになく、どうにも違和感を感じるのである。 「お昼はどうもありがとう」 「も、もったいないお言葉でございます。あれは本来平民の食べるもの、貴族様に召し上がっていただくのは……」 「いいのよ」 「私は貴族じゃない」 昼にもマルモは貴族ではないと説明したのだが、その見た目と雰囲気から貴族だと思い込んでいるらしかった。 「シエスタには感謝している。何かあれば力になる」 「あ……ありがたく存じ上げます」 深くお辞儀をして、シエスタは厨房へと引っ込んだ。 「さて、充分食べたし、いったんわたしの部屋に戻ってから学院長室に行くわよ」 マルモは頷いた。 ルイズとマルモが立ち上がったのを見計らったかのように、二人の人物が近付いてくる。 「ハ~イ、ルイズ」 「……」 声をかけた方は燃えるような赤い髪のグラマラスな女の子、キュルケ。 無言のまま本から目を放さない方の青い髪の背の低い眼鏡をかけた少女は、タバサ。 ルイズは眉間にしわを寄せた。 「キュルケ、何の用よ」 「あなたなんかに用はないわよ、ルイズ」 「なんですってぇぇ! ツェルプストー!!」 「ルイズ、落ち着いて」 「……」 キュルケは髪をかき上げながらルイズの憤りを受け流していた。タバサはその横でページをめくっている。 「あたしが用があるのは、そっちの娘」 「マルモ?」 「へえ、マルモっていうんだ。かわいそうに、『サモン・サーヴァント』でルイズなんかに呼び出されちゃって」 「わたしなんかって何よ!」 再びルイズが怒り出すが、マルモが一歩前に出てキュルケの前に立つ。 「私は別にかまわない。ルイズと知り合えてよかったと思っている」 「あら、泣かせるじゃない。あたしはキュルケ・フォン・ツェルプストー。『微熱』のキュルケよ」 「……タバサ」 キュルケは含みを持って挨拶し、タバサは本から目を放さずに言った。 「で? 一体マルモに何の用なの?」 「大したことじゃないんだけどね。その娘の属性は?」 「……そんなこと訊いてどうするの?」 ルイズは怪訝な顔をする。 「あなたねえ……。その娘の属性がわかれば、あなたの属性もわかるかもしれないでしょ? 使い魔でメイジの属性を固定するんだから」 「あ」 そういえばそうだった。 正確には、メイジの属性に合った使い魔が召喚されるのだが、学院ではそれで系統ごとにカリキュラムを決めることになっている。 でも、マルモは土系統以外の三系統を難なく使いこなす。加えて四系統には分類できないような魔法も使える。 「ツ、ツェルプストーなんかに教える義理はないわ!」 「ケチくさいわね。それともその娘も『ゼロ』なのかしら?」 「マルモはあんたなんかよりずうぅっと優秀よ!!」 その言葉にキュルケは軽くルイズを睨みつけた。 「言ってくれるじゃない、ヴァリエール。なんなら決闘してみようかしら、その娘と」 「上等よ! ギッタンギッタンのグッチョグチョにしてやるわ!」 「ルイズ」 「……」 ルイズとキュルケがヒートアップする最中、蚊帳の外であったマルモはルイズを止めに入った。 タバサは我関せずを決め込んでいる。 「マルモ! あなた悔しくないの!」 「全然悔しくない。そんなことより、早く部屋に戻ろう」 「そんなことって何よ! いい?! ツェルプストーっていうのはね……」 と、ルイズがヴァリエール家とツェルプストー家の因縁を語ろうとしたところで、 「申し訳ありません!!」 と、大きな声がそれを阻んだ。 何事かと四人が声のした方を向くと、メイドが男子生徒に頭を下げていた。 「いいかい? メイド君。僕は君が香水の壜をテーブルに置いたとき、知らないフリをしたじゃないか。話を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」 「そ……そんな……」 男子生徒はフリルのついたシャツを着ており、その胸ポケットに薔薇を挿している。金髪の巻き髪をいじりつつ難癖をつけているのは、ギーシュだ。 そのギーシュに頭を下げているのが、シエスタ。 「ちょっとギーシュ! あんた何してるのよ!!」 ギーシュに頭を下げているのがシエスタだと確認して、ルイズが割り込んできた。 「ルイズ、君には関係のないことだ。下がっていたまえ」 ギーシュとルイズの目線が火花を散らす。 「ギーシュ、二股かけてるお前が悪い!」 「やつあたりすんなよ!」 と、周りにいた男子生徒が囃し立てた。 「ルイズ、どうやらギーシュが二股かけたのがそこのメイドのせいでばれちゃったんだって」 と、周りの生徒から聞き出したキュルケが言った。 「つまりはギーシュ、あんたが悪いんじゃない」 そうだそうだ、と群集も乗ってくる。 「君には関係ない。いいから下がりたまえ」 「あんた、貴族として恥ずかしくないの?」 ルイズの言葉に、ギーシュは嘲笑した。 「おや、まさか『ゼロ』のルイズから貴族たるべしを教えられるとは思わなかった。このメイドを庇うのも、同族意識の現れかね?」 周りからも忍び笑いが漏れる。 「決闘よ! ギーシュ!! ラ・ヴァリエール公爵家が三女を侮辱した罪は重いわ!!」 「魔法を使えない君が公爵家を名乗る資格はないよ、『ゼロ』のルイズ」 そうだそうだ、と同じ連中が乗ってくる。 「それに、貴族同士の決闘は禁じられているはずだ」 「だったら、代わりに私がその決闘を申し込む」 その場にいた人間は、誰がそんなことを言い出したのか一瞬わからなかった。 「マ、マルモ?!」 ルイズの言葉に、ようやくそこに見慣れぬ少女がいることに気付いた。 「誰だね、君は」 「マルモ」 「マルモ? ……ああ、ゼロのルイズが召喚したメイジの使い魔か。君の出る幕じゃないよ」 と、意に介さぬように手を振った。 「決闘を受けなさい!!」 マルモが叫んだ。杖はまっすぐギーシュに向いている。 マルモ以外の人間は皆一様に驚いた。特にルイズは、マルモが怒鳴るなんて思いも寄らなかった。 「……そこまでいうのなら、受けて立ってやろう。ヴェストリの広場で決闘だ」 ギーシュは食堂を出ていった。 「うおーッ! ギーシュとルイズの使い魔が決闘だ!」 一気に食堂が騒がしくなる。当の本人であるマルモは、シエスタに駆け寄って慰めていた。 「大丈夫?」 「ミ、ミス・マルモ……私、とんでもないことを……」 「あなたのせいじゃない。私が勝手にやったこと。あと、『ミス』はいらない」 「し、しかし……」 「いいから、奥にいって休んで」 「そんな! 私が原因なのにそんなことできません! 私、マルモ様のご勝利をこの眼で確かめます!」 「シエスタ……」 と、いい雰囲気を展開しようとしている二人のところへルイズが割って入った。 「マルモ! これはわたしの決闘よ! わたしが出るわ!」 「私は貴族じゃない。だったら決闘をしてもいいはず」 「そういう問題じゃないわ!」 「私はシエスタに『力になる』と言った。それを果たすだけ。それに……」 「それに?」 「私はルイズの使い魔。主人を守るのが役目。だから、ルイズの戦いは私の戦い。ルイズには傷一つつけさせない」 真っ直ぐルイズの目を見て言った。思わずルイズは顔を赤らめて視線を外す。 何よそれ、とルイズは小さく呟いた。その呟きは誰にも届かなかった。 前ページ次ページ五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔