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◆BEQBTq4Ltk氏 氏が手がけた作品(186話まで) 話数 タイトル 登場人物 001 正義の名は此処に 島村卯月、セリュー・ユビキタス、南ことり 011 炎の魔術師の不幸 エスデス、モハメド・アヴドゥル 020 悲しみを斬る 御坂美琴、アカメ 026 あたしは殺しだってやってやる タツミ、美樹さやか 029 人外の定義 鹿目まどか、空条承太郎、後藤 039 時計仕掛の女 エスデス、暁美ほむら 055 エンブリヲの後の静けさ アンジュ、エドワード・エルリック 058 人形は真実を語らない ウェイブ、高坂穂乃果、イギー、ゾルフ・J・キンブリー 060 その一歩が遠くて キング・ブラッドレイ、御坂美琴 069 消せない罪 イギー、ウェイブ、高坂穂乃果、小泉花陽、ロイ・マスタング、白井黒子、ゾルフ・J・キンブリー、銀、天城雪子、エンヴィー、後藤、ペット・ショップ 078 赤から黄へは戻れない 佐倉杏子 079 黄は止まり青は進む タツミ、美樹さやか 087 溢れ出る気持ちは誰のもの? 島村卯月 090 足立透の憂鬱 ヒースクリフ(茅場晶彦)、足立透、モハメド・アヴドゥル、空条承太郎、鹿目まどか、エスデス 100 正義執行 セリュー・ユビキタス、島村卯月、由比ヶ浜結衣、小泉花陽、ウェイブ、キング・ブラッドレイ、狡噛慎也、ロイ・マスタング 106 お前がまどかを殺したんだな 鹿目まどか、空条承太郎、暁美ほむら、足立透 109 雷光が照らすその先へ DIO、佐倉杏子 117 扉の向こうへ ロイ・マスタング、キング・ブラッドレイ 122 ここがいわゆる正念場 ウェイブ、小泉花陽、アカメ、雪ノ下雪乃、本田未央、狡噛慎也、ロイ・マスタング、セリム・ブラッドレイ、キング・ブラッドレイ、泉新一 125 第二回放送 広川剛志、フラスコの中の小人 127 ならば『世界』を動かす ヒースクリフ(芽場晶彦)、エスデス、エドワード・エルリック、DIO、佐倉杏子 131 奈落の一方通行 エンヴィー、ゾルフ・J・キンブリー 136 正義の味方 空条承太郎、セリュー・ユビキタス、島村卯月、ロイ・マスタング、本田未央、ゾルフ・J・キンブリー 147 とんとん拍子 エスデス、セリム・ブラッドレイ、狡噛慎也、タスク 152 どうせ最初から結末は決まってたんだ タツミ、美樹さやか、鳴上悠、魏志軍 156 ずっといっしょだよ 島村卯月、キング・ブラッドレイ、御坂美琴 160 その血の運命Bloody Streamその血の運命(後編) DIO、ジョセフ・ジョースター、佐倉杏子 170 もう一度名前を呼んで セリム・ブラッドレイ、佐倉杏子、エドワード・エルリック、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、DIO、ウェイブ 173 電子の海 高坂穂乃果、初春飾利、エンブリヲ、エンヴィー 175 激情の赤い焔StarLight Stageホログラム ロイ・マスタング、エスデス、本田未央、島村卯月 178 掴みかけた糸口 エドワード・エルリック、佐倉杏子、ウェイブ、田村玲子 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) タツミ、鳴上悠、銀、美樹さやか、高坂穂乃果、初春飾利、エンブリヲ、エンヴィー、白井黒子、小泉花陽、ヒルダ、エドワード・エルリック、御坂美琴、エスデス 185 踏切坂 後藤 登場させたキャラ 7回 エスデス 6回 島村卯月、ウェイブ、ロイ・マスタング 5回 佐倉杏子 4回 空条承太郎、ゾルフ・J・キンブリー、エドワード・エルリック、タツミ、高坂穂乃果、エンヴィー、小泉花陽 3回 鹿目まどか、御坂美琴、セリュー・ユビキタス、キング・ブラッドレイ、DIO、狡噛慎也、美樹さやか、後藤 2回 イギー、モハメド・アヴドゥル、暁美ほむら、足立透、アカメ、ヒースクリフ(茅場晶彦)、セリム・ブラッドレイ、鳴神悠、銀、初春飾利、エンブリヲ、白井黒子、御坂美琴 1回 南ことり、アンジュ、天城雪子、ペット・ショップ、由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃、泉新一、広川剛志、フラスコの中の小人、タスク、魏志軍、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、本田未央、田村玲子、ヒルダ 氏に寄せられた感想 アカメキャラへの愛が素晴らしい、それだけでなく他作品のキャラにも見せ場を用意して筆も早い。凄い -- 名無しさん (2015-06-12 21 11 44) 記念すべき第一話を執筆し正義の狂信者であるセリューの鮮烈なデビューを飾った書き手。作品では容赦なく対主催を追い込んでおり、『消せない罪』はその後に大きな影響を与えた、現在もロワを取り巻く重要な因縁となっている。アカメキャラを得意としているが、作品の枠に留まらず危険人物を活躍させロワの加速に大きく貢献している。『ならば『世界』を動かす』ではイマイチ影の薄かったエスデスをあのDIO相手に大暴れさせ一気に彼女の株を上げた。 -- 名無しさん (2016-01-19 23 13 14) マスタング大佐の最期良かったよ -- 名無しさん (2016-03-17 20 52 09) 負けないで頑張って -- 名無しさん (2016-04-08 15 28 51) 名前 コメント
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147 とんとん拍子 風が吹く。 DIOとの戦闘を終え、一息ついたところでエスデスが動き出した。 表情に疲れの色は浮かんでおらず、激しい宴の後であっても己の常を崩すことはしない。 彼女が向かう先は南。 西に行けばエドワード達が、東に行けばジョセフやヒースクリフと接触が可能である。 しかし、彼らが必ずしも滞在している保証はなく、無駄足になることも考えられる状況だ。 無論、時間を浪費することだけが理由ではなく、エスデスの興味は雷光に集中してしまったのだ。 「あれが噂に聞く御坂美琴の能力か」 此処より南の地点で轟く雷光の輝きはエスデスを夢中にさせてしまった。 DIOの足取りが掴めない中でそれを見てしまえば、彼女の足は止まらない。 無意識に闘争を求めるが故に、氷の女王は殺し合いの会場を駆ける。誰も止めない、止められない。 (DIOの奴は恐らく近くの建物に逃げ込む……まぁいい。 夜まで待ってやる。そこで吸血鬼とやらの真の力を見せてみろ) 御坂美琴に意識が集中しようと、DIOを放置する訳ではない。 相手が昼に規制を受け夜に真骨頂を発揮する吸血鬼ならば、次の宴は月が昇った時。 スタンドを操り、冷気を操り、時間をも止められる相手はエスデスにとって初めてであり、この機を逃すと二度と出会えないだろう。 保証も確証もないが彼女の本能が告げる。DIO程の力を持った存在と出会う機会などあり得ない。 ならば最大限までに楽しみ、己の手で殺し、終止符を打つ。 弱い相手を蹂躙するならば、より強い相手を求めるのは必然であり、時間が解決するならばエスデスは待つ。 「その間まで私の相手をしてもらおうか、御坂美琴」 出会ってもいない参加者の名前を呟きながら彼女は、闘争を求める。 「コンサートホール、か」 炎上する施設を横目に思い出すは数時間前まで共に行動していた存在の影。 鹿目まどかとモハメド・アヴドゥルがこの世を去り、残る承太郎と足立の行方は不明。 ヒースクリフには首輪の解析を託しつつ、自由に動けるよう手配はしている。結果がどう転ぶかは解らない。 たった数時間前まで生きていた参加者が眼を離している少しの間に死んでしまった。 殺し合いの異常なる環境が齎す闇の答えなのだろうか、違う。 弱いから死んだ。それ以外に説明など必要ない。状況はどうであれ他者を捻じ伏せればその場の死は免れる。 鹿目まどかとモハメド・アヴドゥルは弱い人間ではなかった。 しかし死んでしまえば、敗者であり、所詮はそれだけの存在になる。 何も彼らが嫌いな訳でもなければ、彼らを罵倒する訳でもない。 強いて言えばエスデスの興味が彼らから失ってしまっただけである。もう昂ぶる機会は訪れない。 その存在は覚えている。薄れることはあろうと忘れることはない。だが過去の存在に変わりない。 時が止まった死者に囚われるなど、そんなことはエスデスにとってあり得ない。 彼女の興味は死者よりも生者に傾く。 「こんなところで何をしている」 雷光を頼りに進んでいた彼女はやがて荒れた大地に辿り着く。 地面はめくり上がり、明らかに自然現象ではなく人為的な力によって変えられた戦場。 不自然に近くに居た一人の少年にエスデスは声を掛ける。当然のような声色で。 「大きな音がしたので来てみたら……誰もいなくて……」 少年の声は孤独の現状と状況による恐怖からか震えており、瞳は少々潤いを帯びている。 エスデスと同じく雷光に導かれた存在だろうが、彼女とは駆け付けた理由に大きな違いがある。 「誰かいるかなと思ったんですが……」 当然ではあるが、明らかに闘争を求めているような台詞ではない。 大きな物音が聞こえてしまえば気になるのは普通であり、少年もまた飛び出して来たのだろう。 「そうか、私はエスデスと名簿に記載されているが名前は?」 「…………セリム、セリム・ブラッドレイです」 若干の時が流れた後に少年は自分の名を告げた。 初対面の人間に名前を問われては困惑するのは当然であり、歯切れが悪くても仕方がない。 だが、エスデスの名前を聞いた時に表情がほんの僅かに変化したことを彼女は見逃さなかった。 「セリム、雷光の持ち主は見ていないか?」 「持ち主ですか?」 「犯人でも何でもいいがな。正体は恐らく御坂美琴らしいが……見ていないか?」 「その人かどうかは解りませんが南の方へ誰か移動していたのは目撃しました」 方角だけでも掴めただけ良しとするか、と言いたげな表情を浮かべたエスデスはセリムに背中を向ける。 本音を言えば御坂美琴に限らずDIOを始めとする他の参加者の情報が欲しかったが、無いものに期待することもない。 彼女の興味は御坂美琴に向いており、その動向が掴めれば今は何も要らない。 「あ、あの……何処に向かうんですか」 去ろうとするエスデスにセリムは小さい声で尋ねる。 まるで独りにしないでくれ、と主張する天涯孤独の子のように。 「お前が南に誰か移動しているのを見たのだろう? 此処から南ならばそうだな……途中に進路を変えたことも含めれば図書館かDIOの屋敷に行けば出会えるだろう」 「あ……その、えっと……」 「なんだ、一緒に行動したいのか? ならばくだらん皮を被っていないで本質を曝け出せ。相手をしてやってもいいが私は生憎忙しくてな」 エスデスの口から紡がれる言葉は完全に話の流れを無視している物だった。 傍から見れば適当にしか聞こえないが、セリム・ブラッドレイからすればこの言葉は少々重く感じてしまう。 皮を被っている――御坂美琴と同じようにエスデスはホムンクルスを知っているのか。 自分の正体を知っている上での行いならば不自然な点は見当たらない。しかし行動はどうだろうか。 セリム・ブラッドレイがホムンクルスのプライド。 この事実を知っている人間が自分を放置するだろうか。 おまけに煽り、刺激するような言動をしているのだ。エスデスは何を求めているのか。 戦う訳でもなければ、釘を差してこちらの行動を抑制するつもりも無いらしい。 その気があれば相手は強気に出る筈だ。しかし彼女は余裕と謂わんばかりの対応である。 「お前の相手は後でしてやる。そもそも御坂美琴が近くに居てこの付近に生者が居るのはおかしいからな。 交戦した相手はお前だろう、セリム・ブラッドレイ。 ……と、もし追い掛けて来るならばイェーガーズ本部にでも来い。来る者は拒まないからな、相手をしてやる」 「貴方は一体何をしたいのですか」 「愚問だな、折角の機会だ……樂しまなければ意味が無いだろう?」 「どのような思考回路をしているのか……興味は湧きませんが」 去るエスデスの背中を見つめながらプライドは彼女に変人の烙印を押していた。 自分の正体或いは力を知っていながら見逃す神経は、何がしたいか解らない。 放置すれば被害が出る訳だが、気にもせずに御坂美琴を追って行く彼女は楽しみを求めているらしい。 「御坂美琴には悪いことをしたかもしれませんね」 戦闘を行う分に不都合は無いが、結局のところ数分の問答でエスデスの正体は掴めなかった。 アカメから聞く限りでは悪に分類される人間であり、葬られる対象と認識していた。 「アカメから聞いた通り……狂気が似合う人間でした、さて――私も動きますか」 謎の接触があったものの、武器庫へ向かうことに変わりはない。 別段エスデスとの会話で何かが起きた訳でもなく、流してしまえ。 自分の正体を見抜かれているかの真偽は掴めないままだが、何も驚くことも焦ることもない。 死体は何も喋らない。死んでしまえば、この世から消えてしまえば真実など幾らでも操作出来るが故に。 【C-4/一日目/午後】 【セリム・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(小)、精神不安定(ごく軽度)、迷い [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2 、星空凛と蘇芳・パブリチェンコの首輪 [思考] 基本:今は乗らない。 1:武器庫へ向かう。 2:無力なふりをする。 3:使えそうな人間は利用。 4:正体を知っている人間の排除。 5:ラースが…? [備考] ※参戦時期はキンブリーを取り込む以前。 ※会場がセントラルにあるのではないかと考えています。 ※賢者の石の残量に関わらず、首輪の爆発によって死亡します。 ※DARKER THAN BLACK、ラブライブ!、アイドルマスターシンデレラガールズ、とある科学の超電磁砲の世界観を知りました ※殺し合いにお父様が関係していないと考えています ※新一、タスク、アカメ達と情報交換しました。 ※マスタングが人体錬成を行っていることを知りました。 雷光を目撃した人間がいれば、雷光と遭遇した人間もまた存在する。 数分前まで交戦を行っていた狡噛とタスクは北を目指し移動している。 超電磁砲の前に犠牲者が出なかったことは奇跡だろう、特段移動に支障を来す傷も覆っていない。 しかし口数は減っている。 疲れからか、不安からかは不明だが明らかにタスクの口数が減っている。 何か傷を負ったかどうかを狡噛が訪ねても「全然! っ大丈夫です!」と笑顔で返されるだけ。 必要以上に聞く必要も無いが、本人がそう言うならば信じるしかない。 ――! どうするか。 腰に備えているリボルバーに手を添えながら狡噛はタスクの動きを止める。 「何も隠れる物が無いのは辛いな。狙撃手が潜んでいれば俺達はとっくに頭部をぶっ飛ばされてる」 「どうしたんですか狡噛さん……なる程」 狡噛の言葉の意味を理解していないタスクであったが、答えは瞳の先に転がっている。 太陽が輝いていて、木々や建物も無ければ視界は良好である。 それ故に目の前から歩いている人間を補足出来た。そして補足されている。 近づいて来る人間は蒼い髪の美しい女性であった。 一人で行動しているらしく、しかし表情は孤独の恐怖に蝕まれておらず寧ろ笑顔である。 殺し合いの会場を独り笑顔で徘徊する女性――文字にすれば狂気の塊だろうか。 「近くで御坂美琴を見かけなかったか」 「だとしたらどうする? 聞いたところでお前は追い掛けるのか」 「勿論だ。あれ程の雷光――興味が湧くだろう」 「でも危険で――狡噛さん?」 「無駄だ、この女は言葉じゃ変わらない人間だ」 「ほう……お前は理解が早くて助かる」 「褒められた気はしないな。あの雷光に興味が湧くならとっくに人間の枠を飛び越えているだろアンタ。 普通の人間も興味を持つだろうが御坂美琴の存在を知っていて興味が湧く人間は大体頭がぶっ飛んでいる」 「少ない言葉で解っているならば教えろ、御坂美琴は何処に向かった」 狡噛慎也の脳内では目の前の女が危険人物であることを逸早く勘付いていた。 御坂美琴の能力は超電磁砲である。SFの世界にしか存在しないような能力の持ち主である。 おまけに殺し合いに乗っている人間だ、彼女に興味を持つ人間もまた人外の存在であることは容易に想像出来る。 それに加え蒼い髪の女性。 戦闘を求めている狂気性からこの女の正体も狡噛慎也はアテがついていた。 「あんた、エスデスか?」 「本当に話が早くて助かるな。そうだ、それで、誰から聞いた」 「あんたの部下であるウェイブからだ。あいつは東の方角に向かっている」 「御坂美琴は」 ――完全に目先の獲物しか考えていないなこの女。 部下の生死よりもどうやら御坂美琴に興味があるのか、エスデスが求めるのは雷光のみ。 上司としてどうかと思うが、残念ながら狡噛に口を出す資格が無いため黙っておく。 さて、此処で御坂美琴の情報を教えていいものかと考える。 先に結論から述べると黙れば実力行使にでも開示を求められるのが目に見えているため、教えることになるのだが。 白井黒子から聞いた御坂美琴。 殺し合いに乗るような人物像では無かったが、殺し合いの環境が彼女を変えてしまったのだろう。 悪い予感が的中してしまい、出会いは襲撃という最悪の形となってしまった。 エスデスと御坂美琴。 お互いに牽制し、くたばってくれればこの上ない結果となるが後者はまだ見捨てる人間ではない、と白井黒子は信じている。 実際に交戦した狡噛慎也からすれば御坂美琴は殺し合いによって犯罪係数が上昇してしまった人間になる。 だが、それはシビュラに囚われた考えである。常守監視官が初陣で犯罪者に救いの手を差し伸べた実例もある。 ――まさか俺が監視官と似たようなことをやるとはな。 狡噛慎也や御坂美琴を含み多くの人間が殺し合いに巻き込まれていることだろう。 救える人間は可能な限り救いたい。絵空事ではあるが、夢を見ることだって誰にでも存在する。 ――御坂美琴は手遅れ、だがな……。 「御坂美琴が何処に行ったかは解らないが……あんたが北から来たなら大分絞れるだろう。 此処から東か西になる。序に言えばウェイブも東だな」 「感謝するぞ……おっとお前たちの名前を聞いていなかったな」 「俺は狡噛でこっちはタスクだ」 「そうか……ウェイブはどうだ」 「どうだと言われもな。あいつはあいつなりに頑張ってるとしか言えないな。 俺はあいつの事を知らない。知っているのは殺し合いに巻き込まれてからだけのあいつだからな」 「頑張っている、か。元気そうで何よりだ」 「なあ、エスデス。槙島聖護を知らないか」 「知らん」 ばっさりと一言で狡噛の質問を終わらせたエスデスは何事も無かったように東へ向かう。 西か東と言われ無意識に東を選んだようだ。 「そうだ」 去ると思われたが足を止め、何かを思い出したように彼女は声を挙げる。 「此処から近くにセリム・ブラッドレイが居る。見た目は少年程度の参加者だ。 何やら本性を隠しているような奴だったが方角から考えて武器庫に向かったと思う。 どうだ、流石にタダで情報を貰っては申し訳ないからな――役に立ったか、狡噛慎也」 「ああ――知りたくは無いが知りたい情報だ」 「それは良かった。序に近くには吸血鬼が潜んでいるから気をつけるといい」 そしてエスデスは去る。 最期に残した言葉は「迷いを抱いていると戦場では生き残れんぞ」タスクに向けた彼女なりの忠告だった。 悟られるようなことをしたつもりはないが、短い時間の中で彼女は彼の心理を見抜いていたらしい。 「なんか凄い人でしたね……」 「全くだ、あんなのがトップなら部下の死体でビルが建てれそうだ」 通り過ぎた嵐のような存在と対峙したのは数分だが精神的に辛い時間だった。 何事も無かったが返しを少しでも間違えれば爆発していただろう。信管剥き出しは質が悪い。 「出来る限り東寄りで病院に向かうぞ――ホムンクルスは当分見かけたくないからな」 エスデスから得た情報は一つだが充分過ぎる情報だった。 戦闘を避けれるならば越したことはない――プライドとの接触を回避出来るのだから。 【D-4/一日目/午後】 【狡噛慎也@PSYCHO PASS‐サイコパス‐】 [状態]:疲労(小)、槙島への殺意、右足に裂傷(止血済み)、全身に切り傷 [装備]:リボルバー式拳銃(5/5 予備弾20)@PSYCHO PASS‐サイコパス‐ [道具]:基本支給品、ノーベンバー11のタバコ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者、ライター@現実 [思考] 基本:槙島を殺す。そして殺し合いも止める。 1:病院に寄り医療道具を調達後、潜在犯隔離施設へ向かう。 2:槙島の悪評を流し追い詰める。 3:首輪解析の為の道具とサンプルを探す。 4:危険人物は可能な限り排除しておきたい。 5:キング・ブラッドレイ、御坂に警戒。 特にブラッドレイは下手に刺激することは避ける。 6:ブラッドレイが自分の本性に気付く前に何とか脱出派に引き込みたい。 7:銃の予備弾もそろそろ補充したい。 8:吸血鬼……? [備考] ※『超電磁砲』『鋼の錬金術師』『DTB黒の契約者』『クロスアンジュ』『アカメが斬る!』の各世界の一般常識レベルの知識を得ました。 ※黒、戸塚、黒子、穂乃果の知り合い、ロワ内で遭遇した人物の名前と容姿を聞きました。 【タスク@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(中) 、不調、嫌な予感(極大) [装備]:スペツナズナイフ×2@現実、刃の予備@マスタング製、火薬刃の予備@マスタング製 [道具]:基本支給品 [思考・行動] 基本方針:アンジュの騎士としてエンブリヲを討ち、殺し合いを止める。 0:狡噛を護衛する。 1:アンジュを探す。無事でいてほしい……。 2:エンブリヲを殺し、悠を助ける。 3:生首を置いた犯人及びイェーガーズ関係者を警戒。あまり刺激しないようにする。 4:ブラッドレイと遭遇した時は穏便に済ませられないか交渉してみる。 5:御坂を警戒。 6:首輪のサンプルを探す。 7:吸血鬼……? [備考] ※未央、ブラッドレイと情報を交換しました。 ※ただしブラッドレイからの情報は意図的に伏せられたことが数多くあります。 ※狡噛と情報交換しました。 ※アカメ、新一、プロデューサー達と情報交換しました。 ※マスタングと情報交換しました。 ※不調で股間ダイブをアンジュ以外にするかもしれません。 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:疲労(小)、全身に打撃痕(痛みは無し)、高揚感、狂気 [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3、修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る! [思考] 基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。 0:亡き友アヴドゥルの宿敵DIOを殺す。 1:東に向かい御坂美琴と交戦する。 2:クロメの仇は討ってやる。 3:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。 4:タツミに逢いたい。 5:ウェイブが近くに居るなら顔を見たい。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。 ※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。 ※アブドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。 ※DIOに興味を抱いています。 ※暁美ほむらに興味を抱いています。 ※暁美ほむらが時を止めれる事を知りました。 ※自分にかけられている制限に気付きました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であることを知りました。 また、DIOが時間停止を使えることを知りました。 ※足立が何か隠していると睨んでいます。 ※平行世界の存在を認識しました。 時系列順で読む Back 天秤 Next NO EXIT ORION 投下順で読む Back 天秤 Next ティータイムと本性 127 ならば『世界』を動かす エスデス 153 堕ちた偶像 135 PSI-missing セリム・ブラッドレイ 170 もう一度名前を呼んで 146 天秤 狡噛慎也 155 誰が猫の首に鈴を付けるのか? タスク
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← 梨花と英吾がたどり着いた時には全てが終わっていた。 灰と化していく善と堂島。倒れ伏すジョルノ。首と胴体が泣き別れになった益子薫。 そんな彼らを嘲笑うミスティと、傍に付き添うエスデス。 彼らは負けた。それは一目瞭然の事実だった。 (...潮時ね) 梨花はこの場からの逃走を視野に入れる。 沙都子が無事であるのは確認できた。 貴重な杖をほとんど使いつぶして時間も稼いだ。 ならばこれでもう自分の役割は充分に果たしたと言える。 今ならミスティたちに気づかれず離れることも可能だろう。 鬼の元に残した真島たちにしても、あそこで引き受けた以上は犠牲になるのも覚悟しているはず。 (知り合って間もない彼らの為に命を捨てるなんて非合理にもほどがある) 梨花はまだ死ぬわけにはいかない。 死ぬにしても可能な限り『次』への情報を持ち帰らなければならない。 ここで余計なリスクを背負う必要は一切ない。 善にも。堂島にも。ジョルノにも。大した情なんてない。 ただ、見ず知らずのはずの沙都子を助けてくれて。 自分を気遣い逃がしてくれて。 自分を信頼して場を預けてくれただけの男たちだ。 「...ハァ」 ため息とともに、杖を握る力を強く籠める。 (そんなふうになにもかもを割り切れたら楽だったのにね) 百年の繰り返しで精神を摩耗しきっていた時も。 繰り返しを終えた後に再び巻き込まれた惨劇の数々の時にも。 もはや手遅れなほどに進行した雛見沢症候群患者にも、無駄だと諦めながらも救いの手を伸ばそうとした。 彼らに自分が幾度となく殺されようとも、それが彼らの本性なんかじゃないと信じ続けてきた。 結局のところ、梨花は人間としての情を捨て去ることができなかった。 (どの道、ミスティとは対峙することになる。なら消耗している今のうちに叩いてしまった方がいい) ミスティの改造や性技による洗脳は非常に厄介だ。 放置しておけばこれからもどんどん駒が増え手が付けられなくなっていくだろう。 「三島」 「言われねえでもわかってる。このライフル銃ならこの距離でも届く」 梨花がなにかを言う前に英吾はライフル銃を構え了承の意を示す。 累の父と違いミスティは生身だ。 無理に首輪を狙わずとも体に当てれば次につなげられる。 なによりも、英吾自身許せなかった。 貴真のように己の悦楽の為に人を弄ぶ外道の存在が。 (ミスティ) 地面に転がる者たちの末路を目に焼き付ける。 涙は流せない。流すにはかかわった時間が短すぎる。 代わりに怒りを胸の奥で燃やし杖を握る力をさらに籠める。 ミスティを明確な"敵"だと認識し梨花はボミオスの杖を振り、英吾は狙いを定める。 (今度はあんたが失う番よ!) 放たれた光がミスティへと迫るも、疲弊しきったミスティでは躱せない。 だが、光がミスティへと着弾するその瞬間―――光は裏返った。 「なっ!?」 驚愕に目を見開き光に撃たれ、ボミオスの効果はミスティではなく梨花に発揮される。 「ざぁんねん。もう少し来るのが早ければ狙い通りにいったかもしれないのにねぇ」 「なぁぁぁ」 「『どうしてここにいるのがバレた』『どうやって杖を跳ね返した』って顔してるわねえ。あれだけ派手な雷を落としたんだもの。誰かしらは不意打ちを狙いに来ると予想していたのよぉ」 ミスティは掌に収められた氷の破片をチラつかせる。 それを見た梨花と英吾は察した。 光は鏡で反射する。手鏡サイズのエスデスの氷の破片は見事に鏡の役割を果たし、ボミオスの杖は跳ね返されたのだ。 「みいぃぃぃぃぃ」 「嬢ちゃん、おい!?...クソッタレ!」 動きが遅くなった梨花に呼びかけるも、このまま連れて逃げるのは無理だと判断した英吾はライフル銃の引き金を引く。 放たれた弾丸はミスティの肩を撃ち抜き上体をぐらつかせる。 「カハッ...ゲホッ、ゲホッ」 肩を抑え咳き込むミスティを見て英吾は確信する。 ミスティはもう限界に近い。ロクに動かないところをみるに、エスデスもそうなのだろう。 ならば―――ここで決着を着ける。 ミスティを確保する、なんて選択肢はもう存在しない。 ミスティとエスデスの両者を斃し、今も戦っているであろう真島たちの応援に向かう。 それが英吾の決断だった。 距離を保ったままライフル銃を再び構える英吾。 「―――血針殺」 ミスティが指輪をかざすと、背後にある薫の死体から血が競り上がり幾多もの針と化す。 これが最後、と言わんばかりにミスティは両腕を前方へと突き出し、それを合図に血の針の群れが英吾へと高速で迫る。 なにかわからないが、これはマズイと判断する英吾。 しかし、退こうとした視界に入り込むのはボミオスの杖で動けなくなった梨花。 (クソッ、嬢ちゃんを連れて避ける暇なんざねえ!) 梨花の前に壁のように立ち、英吾は降り注ぐ針の嵐に立ち向かう。 「ぐっ、オオオオオオオ!!!」 「にいいいいぃぃ」 雄たけびと共に傷ついていく英吾へと逃げろと訴えかけようとするも、たった三文字すらい言えない現状をひどく恨めしく思う。 また自分を護ろうとしてくれた者が傷ついている。死のうとしている。 それでも、舞台が村から変わろうとも、結局自分は無力な存在でしかない。 「心配すんな嬢ちゃん」 己の非力さに嘆く梨花の視線を感じ取った英吾は前を見据えたまま声を張り上げる。 「こんなチンケな注射をいくら打たれたところで大したことはねえ。現役刑事を舐めんじゃねえぞ!」 英吾は針の雨に撃たれながらも、シャツを素手で破り、突き刺さる血の針を包み込み地面に叩きつける。 地面にぶちまけられた血の針は染みを作り動きを完全に停止した。 「どうだ嬢ちゃん。おっさんもまだまだ捨てたもんじゃねえだろ」 振り返り、笑みを向けてくる英吾に梨花は安堵する。 ミスティはもう尻餅すら着き、エスデスは今もなおこちらに攻撃する気配を見せず。 今度こそチャンスだ。 自分のことはいいから彼女にトドメを。 ―――ゴポリ。 突如、英吾の口から血が溢れ、胸を抑え激痛に悶え苦しむ。 ミスティはフラつきながらもその様をみて口角を邪悪に釣り上げる。 「あんな風に針を潰したのは驚いたわぁ。でもそれじゃあ駄目なのよぉ。薫ちゃんの血でできた針はブラックマリンの力で貴方の心臓へと巡り、大きな傷をつけたぁ。 頑張ったけれどざぁんねん。貴方はどう足掻いてもここでおしまいよぉ。もう聞こえていないでしょうけれど」 「ガ、ア、ア、ア」 倒れこみ、地面を悶え狂う英吾に梨花はなにもできない。 ふういんの杖で処置を試みることも。慰めの言葉をかけることも。気休めに頭を撫でることも。 自殺からも。ここでも。自分を護ってくれた男に対して、梨花はなにもできない。 ゆっくりと梨花の目じりに涙が溜まっていく。 やがて英吾の呼吸はか細いものとなっていき悶え狂う動きも収まっていく。 そのタイミングに合わせてエスデスが歩み寄り、梨花を抱え上げるとミスティのもとへと運んでいく。 「さすがに...力の使い過ぎで死ぬかとおもったわぁ...」 「うううぅぅ...ぅううううう...」 「そんな怖い目で睨まれたら困るじゃなあい。屈服させたくなっちゃぅわぁ」 ミスティは震える手で黒針を生み出し、梨花の舌に突き刺した。 「ぁがぁ...!?」 「ちょっとびっくりしたわよねぇ。でも大丈夫よぉ。痛みはないどころか甘くなってきたでしょぉ?」 ミスティの言葉の通り、梨花の口内に甘い感覚が走り唾液がトロトロとあふれ始める。 「なぁぁぁぁにぃぃぃぃ」 「ウフッ、たくさん溢れてきたわぁ。それじゃぁ...いただきまぁす」 ちゅっ 「...!?」 徐にミスティが梨花の唇を塞ぎ、舌を蛇のようにからめ、余すことなく唾液を掬いとっていく。 「むぅぅぅぅぅ...!?」 「...ぷはっ、ん、おいし...♡」 唇を離したミスティは梨花の唾液を咀嚼するように堪能しゴクリと飲み込む。 するとどうだろう。先ほどまで疲弊しきっていた彼女の顔色がみるみるうちに回復していくではないか。 「ふふっ。あなたの舌を改造して、分泌される唾液が体力を回復できるドリンクになるようにさせてもらったわぁ。 流石に全回復とはいかないけれどぉ、即興の回復薬としてみれば充分なの」 「なぁぁぁぁ」 「なぜって?決まってるじゃなぁい。あなたを薫ちゃんと善君の代わりのタンク奴隷にするためよぉ」 体力がある程度回復したため、ミスティの機嫌は目に見えてよくなる。 「エスデスちゃんも頂きなさぁい」 ミスティの指示のもと、エスデスもまた梨花の唇を蹂躙し始める。 「ほんとはエスデスちゃんや薫ちゃんみたいにふたなりか豊乳化してもよかったんだけれどぉ、その未発達な絶壁を開拓するのは骨が折れそうだったから口から改造したのよぉ、ふふっ」 自慢げに語るミスティの説明も梨花には半分も入っていない。 沙都子を甚振り。 善や堂島を殺し。 英吾やジョルノを傷つけた女たち。 殺したいほど憎んでいる奴らなのに、口内を蹂躙される快楽に身体は反応してしまう。 「感度も頭がおかしくならない程度に弄ってあげたのよぉ。あんまり発情されて勝手に死なれても困るものぉ」 体力の補給を堪能したエスデスが梨花から口を離す。 「あなたの唾液は体力と引き換えに抽出されてるのよぉ。だからあんまり発情されてどろどろ出されちゃうと無駄打ちになっちゃうのよぉ。 そんなのごめんですってぇ?いいじゃない、どうせか弱い貴女は放っておいても無様に殺されてしまうだけだしぃ、だったら気持ちいい内に死ねる方がうれしいでしょぉ?」 クスクスと笑みを零すミスティとこちらなど興味もないかのように彼方を向くエスデスに梨花は己の末路を見てしまう。 きっとこのまま自分は慰み者として命の一滴まで吸われ尽くすのだろう。 こんな異様な世界に来ても結局こんな最期か。 誰も救うことができず。何を変えることもできず。 「さてもう一回補給したらお父様を探しに行こうかしらぁ。ボクサーさん達を殺してないといいけれどぉ」 顎を掴み無理やり口を開けられ再び舌が絡みついてくる。 あらゆるものを吸われ、吸われ、吸われ。 梨花の頭の中は真っ白になっていく。 (どうせ死ぬなら気持ちいいうちに、ね...) ミスティの言葉が麻薬のように梨花の意識に入り込む。 今までの惨劇では一度たりとも心地よい死などなかった。 いつの間にか眠らされ殺されているか虐めぬかれた先に殺されるか絶望に沈んだ果てに殺されるか。 眠った状態での死以外のどれもに苦痛が伴い決して受け入れられるものではなかった。 ならば、彼女の言う通り、どうせ死ぬならば苦しまない方がいいのではないか。 そんな与えられる不幸に堕落する気持ちすら抑えられない。 (沙都子、せめて貴女だけでも救いたかった...) 瞼が閉じられ、涙が頬を伝い落ちた。 ビシャリ、と生暖かいモノが梨花の顔面にへばりつく。 その不快な感触と鉄くさい臭いにに梨花は目を開く。 「か、ハ...ッ」 梨花の眼前には、ミスティの胸元から突き出した剣先が突きつけられていた。 その剣先が高速で引っ込むと、ミスティは梨花から手を離し後方へとたたらを踏む。 「そん、な、ありえない。この、剣は...」 梨花と、振り返ったミスティは驚愕に目を見開く。 そこにはいるはずのない者がいたから。 「知らないのかい?ヒーローは悪党を殺すまでは何度だって蘇ると」 灰と化していた筈の堂島正が、ミスティの血に濡れた剣を手にそこに立っていた。 ☆ 「ガ...ゴホッ、ゲホッ」 喉元からこみ上げる血反吐をまき散らし、胸元から流れる夥しい量の血液が地面を瞬く間に赤く染める。 「どう、してあなた、が」 「今から死ぬ君に答えは必要ないだろう」 カツ、カツ、と靴の音を響かせ堂島はミスティのもとへと歩み寄る。 (これは、致命傷ね...) 背中から胸まで貫通する激痛に耐えながらも思考は冷静にまわす。 なぜ堂島が生きているのか。 今はそれどころではなく、とにかく己の生命をつなぐのが第一優先だ。 彼の剣は心臓を的確に捉え、甚大な傷跡をつけた。 このまままともな処置を続けてももって五分といったところだろう。 (けれど私にはまだ奥の手がある) 心臓が壊れて使い物にならないというのなら、新しく適合する心臓を移植すればいい。 性技と人体改造に精通しているということは人体に精通しているということである。 エスデスに堂島の相手をさせて時間を稼ぎ、その間に梨花の心臓をミスティの心臓と同じものに改造し交換すればいい。 無論賭けではあるが、手術という工程を省く黒針改造であれば成功率は決して低くはない。 「エスデスちゃん...あの男をしばらく私に近づけないでちょうだぁい」 ミスティの指示にエスデスは薄く微笑み返事を返す。 「断る」 「...は?」 その予想外の返答に、ミスティも敵である堂島も思わず放心する。 「耳が遠くて聞こえなかったか?ならばもう一度、老人でもわかるようにゆっくりと言ってやろう。『こ・と・わ・る』と言ったのだ」 エスデスの口角が嗜虐的に吊り上がる。 馬鹿な。あり得ない。 ミスティの思考がそんな否定的感情で占められる。 ハイグレ光線銃の効果は確かだったはず。 現に、今の今まで指示に従い戦っていたではないか。 (...けど、待って。なら、どうして) もしもエスデスが従順だったならば。なぜ堂島の復活になにも言及がなかった? 種が解らなかったにせよ、彼女が剣による投擲すらも触れなかったのが不可解だ。 堂島にしてもそうだ。不意打ちにわざわざ外す可能性のある剣の投擲を選んだのはなぜだ? エスデスに見られていたから、接近戦では止められる可能性を考慮して投擲を選択したのではないか? つまり、彼女は堂島に気づいていながらそれを見逃したのではないか? それをするならば考えられるのは一つ。 洗脳が解けている―――そう察したミスティは咄嗟にハイグレ光線銃を抜き放つ。 「そんなものが何度も通用すると思うな」 だが、瀕死のミスティではエスデスの速さに追いつけず、掌を叩かれ光線銃は地に落ちる。 「堂島!」 エスデスは動けない梨花を堂島へと投げつけ、堂島はそれを難なくキャッチする。 「向こうで倒れている男はまだ息があるぞ。一応見てやったらどうだ」 「きみは...」 「心配するな。背後から撃つようなつまらん真似はせんさ」 「......」 堂島は仮面の下からエスデスを不信の眼差しで見つめるも、梨花を抱えたまま英吾のもとへと跳躍する。 「まだ意識はあるかい?」 既に虫の息となっている英吾に堂島は呼びかける。 「...嬢ちゃんは無事みてぇだな」 「ああ。すまない、私の復帰が遅れたばかりにこんな目に」 「ハッ、一般市民を護るために身体を使えたなら刑事の勲章もんだろ...」 これから死ぬというのに他者を気遣って微笑みすら浮かべる英吾に堂島は敬意すら示し仮面の下の表情は更に暗くなる。 「古手くんに言葉をかけてやってくれ」 動けない梨花を英吾の視界に入るよう置き、堂島はミスティたちへと警戒と共に向き直る。 「...わりぃなぁ。おっさんの死に際看取らせるようなことさせちまって」 ボミオスの効果により梨花は会話ができない。したくても何拍も遅れてしまう。 それでも、梨花のその表情から心境を読み取るよう努め、英吾は言葉を紡ぐ。 「...なあ、嬢ちゃん。百年も頑張ってきたやつにいうことでもねえのかもしれねえがよ...最後まで抗ってやれ。 ずっと、ずっと抗って...最後にゃあの主催連中も、嬢ちゃんの件の黒幕とやらも、全員ぶちのめして笑ってやろうぜ」 上手く言葉が纏まっていたかはわからない。 けれど、言いたいことは伝わっている。梨花はもう自殺なんて真似はしないだろう。不思議と、そんな確信が英吾の中にはあった。 (彰...悠奈...真島...まどか...コロネ...ヒーロー...俺はここでリタイアだ...嬢ちゃんのことを頼む...) かつてと今、共に戦った者たちへと内心で託すのと共に、瞼が徐々に閉じていく。 瞼が落ちきるその寸前、彼は見た。 梨花の目尻から涙がこぼれていたこと。 ―――仮に死んでも後悔しないことね。あなたが死んでも涙は流せないから そんな憎まれ口を叩く彼女の言葉が脳裏を過る。 (...ははっ、なんだ、泣いてくれるんじゃねえかよ) 瞼が落ちきるその時まで、英吾の心中はとても穏やかなものだった。 彼の心中を知る者がいればその死は救いあるものだったと評するだろう。 けれど梨花には知りえない。 古手梨花にとって、自身はただの無力な踊り手でしかなかった。 「どういう...つもりかしらぁ...」 絶え間なく押し寄せる激痛に耐えながらミスティは苦痛と怒りで顔を歪ませる。 そんな彼女とは対照的に、エスデスはニタニタと挑発的な笑みを浮かべている。 「洗脳が解けたのが不思議か?お前には言っていなかったが、私の帝具『デモンズエキス』には使用者の精神を蝕む危険種の血が潜んでいる。普段は飼いならしているそいつがあの光線銃を食らったのだ」 ハイグレ光線銃は確かに強力な洗脳武器である。 しかし、だからこそこの事態を引き起こしてしまった。 エスデスの自我と精神を崩壊させてしまったがゆえにデモンズエキスは正当な適合から外れ本来の効果を取り戻し、ハイグレ光線銃の洗脳を上書きし、そのデモンズエキスをエスデスは再びねじ伏せたのだ。 「なかなかの演技だっただろう?善には途中でバレてしまったがな。まったくあいつは本当に私のことをよく見てくれる男だったよ」 善が抱き、怒りを沸かせた違和感の正体。 それは、エスデスがあまりにも笑みを浮かべていたこと。 もしも本当にエスデスが洗脳されミスティを護るために戦っていたなら、己が不利な場面であれば笑うのではなく焦り怒るところである。 己が敗北すればミスティに危害が及ぶのは火を見るよりも明らかなのにエスデスは戦いを楽しむように笑っていた。 つまり導き出される答えは、『エスデスの洗脳は既に解けており、彼女は己の意思で善たちと戦っている』という解。 そこに思い至ったからこそ、善は殺意に変わるほどの怒りを燃やしたのだ。 「なぜ...そんな真似を...」 ミスティは困惑する。 洗脳が解けたエスデスが自分を殺しに来るならわかる。 決着に横やりを入れ、前と後ろの穴を犯し尽くし、身体を無意味に改造したのだ。殺しに来ない理由がない。 もしそうなればジョルノや善たちを含めた4対1で囲み、彼女の好きな虐殺拷問ができたはずだ。 だがエスデスはわざわざ善や堂島と戦いミスティと合体技まで披露して見せた。 洗脳が解けていたというのならなぜそんな真似をする必要があったというのか。 「勘違いしているようだが、別に私は貴様を恨んでいるわけではないぞ。最後まで消耗しきったところを狙うのは狩りの基本だし屈服させるためなら如何な手段をも行使するのは当然のことだ」 エスデスの返答にますますミスティの困惑は深まるばかりだ。 「少々気になったんだ...私に新たな悦びを刻んだ女が信頼を裏切られたときどんな顔をするのかがな」 疲弊していくミスティの頬に両手を添えながら、エスデスは妖艶な眼差しで見つめる。 「あの時、貴様は殺しておくべきだったのだ。私の意思をはく奪しなければ手中に収められぬと理解した時点でな。だから自我が戻ればこんな裏切りにあうことになる」 「......!」 「なかなかいい顔だ...なるほどこういう顔も中々に趣深い」 その己を観察するようなエスデスの目に、ミスティは思い知らされる。 振り返れば、いつの間にか自分はエスデスを居て当たり前のものとして扱っていた。 それこそ合体技に組み込むほどに。 支配するつもりが、いつの間にか彼女に支配されていたのだ。 「イイものを見せてくれた礼だ。チャンスをくれてやる」 エスデスは己のはかぶさの剣をミスティに手渡す。 「私の主人たろうとするならばその証を示せ。その剣で堂島相手に意地の一つでも見せてみろ。そうすれば私の心臓でもなんでもくれてやるさ」 ミスティの背筋に怖気が走る。 彼女は決して肉弾戦を得意とするタイプではない。それを知ったうえでやれといっている。 近接戦においては誰よりも優れる堂島正と戦い、残り少ない時間を必死に足掻いてみせろと。 「ふ、ふふふふふ」 笑う。嗤う。哂う。 ミスティはまるで壊れた玩具のように剣を握りしめ、カタカタと剣先が震える。 どれだけ絶望的でも。現状を嘆いても。この剣を振らなければ生き残れない。 たとえ勝率が零でも戦わなければ生き残りの芽すら出てこない。 「ごめんよぉ、そんなの」 けれど、彼女は己の生を切り開くためのものを放り捨てた。 「今の私が彼にいい勝負もできるわけないし...仮にあなたに認められてもそれは支配されてるのと同じじゃない...」 エスデスはきっと彼女の告げた条件をこなせば約束通りに力を貸してくれるだろう。 けれどそれでは生殺与奪を彼女に委ねる、つまりは奴隷になるも同然だ。 そんな生など彼女は必要としない。 「この痛みも...敗北も...死も...すべて受け入れて...私はミスティ(わたし)として死に...あの世で見届けてあげるわぁ」 ゴポリ、と口から血塊がこみ上げ地面に落ちる。 そろそろ限界のようだと自覚する。 自分はなんて怪物を産んでしまったのだろうと笑みを浮かべ、最期の力を振り絞り、エスデスの頬に両手を添える。 「行きなさい...私の可愛い『究極の変態ちゃん(さいこうけっさく)』」 ずるり、とミスティの手が力なく落ち、かくりと首を垂れエスデスへともたれかかる。 「...最期まで誇りを捨てずに逝ったか」 穏やかな顔で眠るミスティの身体を氷で閉じ込める。 その姿はまさにアート。美しささえ感じられるその姿を目に焼き付け、かつて己が散った時のように粉みじんに粉砕した。 「見事―――お前の勝ちだミスティ」 エスデスはミスティの首輪を拾いハイグレの中へと仕舞い込む。 「この場はお前たちの勝ちだ。勝負は預けるぞ堂島」 「このまま逃げられると思っているのかい?」 踵を返すエスデスに堂島は剣の切っ先を向けるが、エスデスは意にも介さず歩いていく。 「逃げられるさ。貴様とて全快ではなかろう。それに、せっかく守った小娘の命を失うわけにはいかんのだろう?」 「......」 「貴様とは互いに傷を癒した後で決着をつけたい。また会おう、堂島正」 梨花にも堂島にも一瞥もせず、エスデスは歩き去っていく。 「―――ああ、そうだ」 ふと、なにかを思い出したかのように足を止める。 「善のやつに伝えようとしていたことがあったのを思い出した。実はだな―――」 ☆ 「俺ニ家族ヲ守護ラセロオ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"!!!」 累の父はどんどん沈み込んでいく地面を利用し、空いた隙間を縫ってどうにか脱出をしようと試みている。 彼には明確な知識や知性がない。 故に敵を見失おうとも怒りに満ち溢れることはない。 ただひたすらに『家族を護る』という一念のみで彼は動き続ける。 たとえその家族が偽りだとしても。偽りの家族がいなくなったとしても。 ただひたすらに家族の為に戦い続ける。 【C-3/一日目/早朝】 【累の父@鬼滅の刃】 [状態]:疲労(小、回復中)、黒針による認識改ざん、木にのしかかられ地面にうずまっている。 [装備]: [道具]:なし [思考・状況] 基本:家族を守る 0:家族(ミスティたち)を守るためにとにかくここから脱出する。 1:オ゛レの家族...イダヨ!!!!!! 2:あの人間、うまがったあ゛あ゛あ゛ [備考] ※参戦時期は36話伊之助との戦闘中、脱皮する前 ※ホワイトの精神操作はドレミーによって解かれました。 ※しかし、ドレミーに何か”しこまれている”かもしれません。詳細は後続の書き手様に委ねます。 ※ドレミーと夢の世界で出会いました。 ※殺し合いのルールを理解できておりません。 ※一般・ランダム支給品はドレミーに奪われました。空のデイバッグは捨てられています。 ※黒針の効果でエスデス、ミスティ、善、薫が家族の面々に見えています。 ※夢の中での啓示により、ホワイトの首輪を所持しましたがミスティに回収されました。 ☆ 「クククッ....ハハハハハハハハ!!!!」 凶悪に大口を開けてエスデスは笑う。 「私は全てを失った...ここに連れてこられる前に持っていた全てをだ!」 帝国最強という肩書は善に敗北したことで失った。 護ってきた純潔は前も後ろもミスティに奪われた。 女の尊厳も改造により破壊された。 築き上げてきた将軍という肩書も威厳もすべてをハイグレと共に穢された。 初めて己に単独で土をつけた男へリベンジする機会ももう手に入らない。 「だがなミスティ。私はお前に感謝するぞ!今までのように蹂躙するだけではこの愉しみは味わえなかった!」 今までは蹂躙し己のモノにし飽きたら壊すだけだった。 しかしミスティから受けた仕打ちにより傷つけられ奪われる快感を得てしまった。 「元の世界では頂点を極めたつもりだったが...なんだ、世界はこんなにも広いではないか!」 支配しかしなかった今までの自分は間違いなく井の中の蛙大海を知らずという言葉が相応しい。 こうしてどん底まで落ちてしまえば世界はいくらでも広がって見えるではないか。 失って。手に入れて。また失って。また手に入れて。 そうしてかつての己を超えれば、そこにはどれほどの快感が待っているだろうか。 それを思い浮かべるだけでエスデスの胸は高鳴ってしょうがなかった。 ―――極端に嗜虐性の強い者をドS、極端に被虐性の強い者をドMという。 両社とも突き詰めれば変態志向と呼ばれるが、しかし最も位の高い変態と呼ばれることはない。 なぜか。理由は単純。ドSの者は打たれる側になれば攻撃性を発揮できずあまりにも脆く、ドMの者はいざ攻撃側に回ろうにも嗜虐への牙を持たぬため温く単調な攻めになってしまう。 ならば。 その両方を愛し使いこなすものがいればそれはまごうことなき究極の変態であろう。 生来の嗜虐性と残虐性を備えたドS、そしてミスティがレイプによって付加したドM。 その両方を極めた今のエスデスは誰もが疑うことなき最強の変態といえよう。 赤く輝く月に照らされる氷の女傑。 しかし、もはや彼女は帝国の女将軍エスデスに非ず。 言うなれば危険種。 ドSとドMを極め貪り尽くす真正の怪物(へんたい)。 悪食ハイグレおチンポミルク獣ドHデスの誕生である。 【C-3/一日目/早朝】 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:ハイグレ人間 負傷(大) 疲労(大) 内臓損傷(治療済) 乳首母乳化 アナル拡張済み ふたなり化 処女喪失 [装備]:はかぶさのけん@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島 中長ナス@現実 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1 [思考・状況]:ドSもドMも愉しみ尽くす 0:殺し合いという名のSMプレイを愉しみ尽くす。 1:堂島とは再戦したい。が、仮に再戦できなくてもその虚しさを堪能できればそれはそれで... 2:優勝出来たら善かミスティでも蘇らせるとしよう。 3:北条沙都子と北条鉄平は別にどうでもいいが見つけたら狩る。 4:せっかくふたなりになったことだし帰ったらタツミに使ってみるか。 [備考] ※参戦時期は漫画版死亡後より。 ※ナスで処女喪失しました。 ※ハイグレ光線銃によりハイグレ人間となりました。 ※摩訶鉢特摩は使用したため、2日目以降でないと使用できません。 ※戦闘は支障なく行えます。 ※デモンズエキス本来の効果によりハイグレ光線の洗脳効果を食らいつくしました。 ☆ 堂島正には奥の手がある。 心臓部である遺灰物を吹き飛ばされても特定の条件下であれば復活できるという、彼しか知らない奥の手が。 それはこの殺し合いにおいても『一日一回、首輪の爆破以外の死亡』という制約のもとに発揮したのだ。 「...そろそろ起きろよ佐神くん」 かつて佐神善と呼ばれた灰の山に呼びかける。 堂島正は知っている。 佐神善はどれだけ苦境に陥ろうとも、心を抉られようとも、その命が尽きるまで立ち上がり続ける男であることを。 「きみは守れる命を護るために戦うんだろ?この会場にはきみを必要とするものはまだ大勢いるんだぞ。ワザップくんに古手くん。さっき別れた二人に...ドミノ達もだ」 この殺し合いでもそうだった。 その身を穢され尊厳を破壊されても、闘志を問えば再び燃え上がり迷わず立ち上がった。 「彼女は...どうなる...シスカ君は、ずっと、ずっと君を待っているだろう...!」 けれど、佐神善はもう立ち上がらない。その身体と命が灰になった以上、二度と戻ることはない。 「......」 いつものことだ、と己の中で言い聞かせる。 生きてほしいと願った命がほどなくして消える、なんてことは医者であれば日常茶飯事だ。 それをすべて背負い込んでいては心身がもたない。だから救える時もあれば救えない時もあると割り切った。 今回もそうだ。 善も自分も必死に頑張った。けれど、現実にはかなわなかった。ただ、それだけのこと――― 「納得できるわけ、ないだろ...!」 歯を食いしばり、血が滴り落ちるほどに拳が握りしめられ、ブルブルとその手が震える。 『善が助けた金髪の小娘...沙都子とか言ったか。最初に仕掛けたのは私ではなく、奴だ』 別れ際にエスデスが言い残した言葉を思い返す。 あんな女の言葉を信じたいわけではないが、しかしもし真実であれば沙都子は殺し合いに乗った者ということになる。 それを知った上でも善のやることは変わらなかっただろう。 そんな彼がどうしてあんな最期を遂げなければならない。 あんな、あんな惨めな――――!! 「益子さん!!」 突如響いてきた声に堂島は振り返る。 栗色の髪をした見知らぬ少女が泣いていた。 善を殺した少女の遺体を抱きしめなくその姿が、堂島にはひどく煩わしく思えてしょうがなかった。 (そいつは佐神くんを殺したんだぞ...!自分の欲望の為に!) 黙らせたいと思った時には、気が付けば剣を握りしめる手に力が籠っていた。 「ごめんなさい、ごめんなさい...あたしを助けたばっかりに!!」 「な、に...」 少女の涙の入り混じる叫びを聞いた途端、堂島の目が見開かれる。 (彼女も、護ろうとしていた...!?) あり得ない。あってはならない。 だってそうだとしたら彼女は――― 「...なにが、あったんですか」 震えながら問いかけられる声。 「教えてください...堂島さん...!」 振り返った先にあったのは、様々な感情を孕む、己を見つめる幾多もの目。 ☆ 『善が助けた金髪の小娘...沙都子とか言ったか。最初に仕掛けたのは私ではなく、奴だ』 あんな女の言葉なんて信じない、信じられないと梨花は思いつつもどこか否定しきれずにいた。 沙都子は一定時間以内に治療薬を注射しなければ、無差別に他者を疑う雛見沢症候群のLv.5に達してしまう。 もしも彼女が症候群を発症していればエスデスに攻撃を仕掛けていてもおかしなことではない。 けれど、それでは見ず知らずの善に助けを求めた理由の説明がつかない。 エスデスが嘘をついていると考えるのが妥当だろうが、しかしそれ以上に引っかかるのはジョルノが触れた考察だ。 『梨花を惨劇に陥れている黒幕は鉄平か沙都子である』 仮に正解だとしたら鉄平が黒幕だと思いたいが、彼とははっきりいって接点が薄すぎる。 となれば、己の意思でエスデスを殺そうとした沙都子が暗躍していたと考える方がしっくりくる。 (そんなわけない...沙都子が...私をあんな地獄に陥れたなんて...!) 仲間を信じたいのに、状況全てが彼女への疑心暗鬼を募らせていく。 (っ...なんにせよいまはこの状況を...ああもう、早く解けなさいよ、ボミオスの杖!) ☆ 一人の少女の殺意から始まった戦いは多くの犠牲を出しひとまずの終焉を迎えた。 けれど、この戦いに勝者などいないと嘲笑うかのように、赤き月光に照らされた学校の廃墟は三日月状の影を映し出していた。 【三島英吾@リベリオンズ Secret Game 2nd stage 死亡】 【ミスティ@変幻装姫シャインミラージュ 死亡】 【B-3/一日目/早朝】 【古手梨花@ひぐらしのなく頃に 業】 [状態] 精神復調、後頭部にたんこぶ、精神的疲労(大)、疲労(大)、ボミオス状態、舌を改造 [装備] いつもの服、インパスの指輪@トルネコの大冒険3(英吾の支給品) [道具] 基本支給品、不思議な杖三本セット(封印の杖[3]、ボミオスの杖[1]、ふきとばしの杖[0])@ドラゴンクエスト外伝 トルネコの大冒険 不思議のダンジョン ランダム支給品(0〜1) [行動方針] 基本方針:繰り返しを脱する手がかりを掴む 0:この状況をどうにかしたいが...早く解けなさいよボミオス! 1:沙都子と会って真実を確かめる。 2:頑張れるだけ、頑張る。 3:三島...ごめんなさい [備考] ※参戦時期は16話で沙都子に腹を割かれている最中(完治はしています) ※ワザップジョルノ、プロシュートを危険人物と認識しています ※ミスティの黒針の効果で興奮すると感度が増して体力と引き換えに他者の体力を回復させる唾液が分泌されるようになりました。 【ワザップジョルノ@ワザップ!】 [状態]:主催者への怒り(極大)、ミスティへの怒り(絶大)、全身にダメージ(絶大)、全身やけど、疲労(絶大)、気絶 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3 [行動方針] 基本方針:主催者を訴え、刑務所にぶち込む 0:気絶中 [備考] ※外見はジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険 です。記憶も五部完結まで保持しているようです。 ※ゴールド・エクスペリエンスも使えますが、矢をスタンドに刺してもレクイエム化はしないと思われます。 ※CVは想像にお任せします。 ※古手梨花、北条鉄平、プロシュートを犯罪者と認定しています。 ※犯罪者の認定は完全な主観です。罪が重いほど対象に対する怒りは大きくなります。 ※犯罪者対応は拘束が目的ですが、対応時に手加減はあまりしないようです。 ※ワザップ状態が完全に解けてもジョルノ・ジョバーナ@ジョジョの奇妙な冒険にはならないようです。 【堂島正@血と灰の女王】 [状態]:精神的な疲労(絶大)、疲労(絶大)、まどかを斬った罪悪感、左腕破壊(再生中) [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3 [思考・状況] 基本方針:生き残り正義のヒーローになる。 0:??? 1:日ノ元士郎を討つ。そのあとは...? [備考] ※参戦時期は101話より。 【真島彰則@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】 [状態]:疲労(大)、鼻血(止血済み) [装備]:Jのメリケンサック(両拳)@魁!男塾 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2 [思考・状況] 基本方針:正しき道を歩む。 0:現状を把握する。 1:堂島からは後で話を聞く。 2:蒔岡彰に興味。やはり玲の弟のようだな [備考] ※参戦時期はBルート死亡後より ※魔法少女やまどかについて大雑把に聞きました。 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:腹部にダメージ(大、魔法で治療中)、出血(中〜大、止血済)、疲労(大)、魔力消費(大) [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3 [思考・状況] 基本方針:誰も死なせず殺し合いを止める。 0:現状を把握する。 1:堂島とは後で話をする。 [備考] ※参戦時期は3週目でマミを殺した後。 【荻原結衣@リベリオンズ Secret Game 2nd stage】 [状態]:疲労(小)、後悔、プロシュートに黄金の希望を見出している、悲しみ [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3、氷 [思考・状況] 基本:益子さんのためにもまずは生き延びる(可能なら益子さんとお買い物をしたい) 1:益子さん...! 2:兄貴にドレミーさんと私……これが続いてほしいな [備考] ※参戦時期はepisode Cから 小屋の地下で黒河と心が通じ合う前 ※プロシュートが裏の世界の人間だと理解はしています。 ※スタンドなどはまだきちんと理解できていません。(なんか、よくわからないけど凄い程度) ※ドレミーの世界(幻想郷)について簡単に知りました。 ※この殺し合いが終わったら、益子薫と買い物をする約束をしています。 【プロシュート@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:負傷(中) 疲労(中) [装備]:ニューナンブ@ひぐらしのなく頃に 業 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2 [思考・状況] 基本方針:ひとまずゲームには乗らずやれるところまでやる。 0:現状を把握する。 1:益子とかいう女を助ける。...賭けに負けちまったからには文句は言わねえ。 2:ユイ・オギハラ……兄貴……か 3:レオーネの知り合い(アカメ)を探す。あったら言伝を伝える。※C3の貸本屋のこと 4:オレは死んでるのか?それとも、まだ生きているのか? 5:ワザップジョルノ……オメーは一体何者だ…… [備考] ※参戦時期はブチャラティVSペッシを見届けてる最中です。 ※此処が死者、特にロクデナシの連中を集めたものだと思っていましたが、結衣の存在やドレミーとの情報交換から今は生者死者入り交えていると推測しています。 また、自分はまだ死んではいないのかとも思い始めています。 ※ドレミーとの会話で幻想郷について簡単に知りました。 ※ワザップジョルノが護衛チームのジョルノなのか結論を下せず、半信半疑中です。 【ドレミー・スイート@東方project 】 [状態]:疲労(極小) [装備]:夢日記@ 東方project [道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜5 氷 [思考・状況] 基本方針:この殺し合いと言う酔夢が導く結末を見届ける 0:現状を把握する。 1:とりあえず、プロシュートの後をついていく(襲い掛かってきた者には対処する) 2:参加者が寝たとき、夢の世界へ介入する 3:妖怪とは気まぐれな者ですよ [備考] ※参戦時期は東方紺珠伝ED後 ※メフィスとフェレスも管理者であると気付きました(何の管理者かは、まだつかめていません) ※リリア―ナの刻を止める能力を知りました。 ※夢日記より、サーヴァント達や第一部での顛末、・鬼滅の刃の鬼の体の構造・リベリオンズの首輪の解除方法、ギース・ハワードを知りました。 ※プロシュートとの情報交換でプロシュートの世界について簡単に知りました。(スタンドの存在など) ※プロシュートのグレイトフル・デッドの能力を理解しています。 ※累の父から基本・ランダム支給品を奪いました。 028:王道を歩む者、正道を歩む者、そして―― 投下順 030:束の間の遭遇と新たなる道筋 003揺るぎない決意 鹿目まどか 055:英雄の条件(前編) 真島彰則 014勝利の影に 荻原結衣 プロシュート ドレミー・スイート 累の父 015正義の証明 堂島正 017再起 古手梨花 三島英吾 GAME OVER ワザップジョルノ 055:英雄の条件(前編) 018平安京での狂騒 佐神善 GAME OVER エスデス 065:ギアチェンジ ミスティ GAME OVER 益子薫 GAME OVER
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何が原因で苛々するのか分からなくて苛々する。 放送が終わった後、ロックに抱いた感情はそれだった。 たった6時間で40人近くの参加者が死に、極めて順調に数は減っている。 自分が進んで手を下さず、どこかに隠れていても、このまま殺し合いは進んでいくだろう。 加えて自分は無傷とはいかずとも、五体満足にこの地を闊歩している。 気に喰わない奴は先ほどのように爆発に巻き込んでやればいい。 だというのに、この気持ちは何だろうか。 自分の素性を知っているトッペイやギャブロが生きていることだろうか。 殺し損ねた連中が、自分を追いかけようとしていることに対する懸念か。 はたまた、先程親友の幻に驚かされたことへの屈辱か。 どれとも原因が断定できない苛立ちが纏わりついて来た。 (ん?誰か来るな……。) 前を見れば、誰かが学校から歩いて来ていた。 上手い事利用できる相手かどうか、今の内から思考を巡らせ始める。 そしてすぐに、利用できそうにない相手だと気付いた。 首より上は、青髪の女性。冷たい印象を受けるが、それだけならまだ話し合える可能性がある。 問題はそれより下。 豊満な胸がはだけたハイグレ一枚で、しかも股間にあたる部分がもっこりしている。 そんなあられもない格好をしている理由は不明だが、非常識な格好で渡り歩いている時点で、まともな話を出来そうな相手でもない。 「私の名はエスデス。そう品定めしている暇があるのなら、私と戦え。」 その言葉を聞いて、すぐにロックは逃げ出した。 勿論、ポケットに仕込んでおいた小石を投げてから。 明らかに面倒な相手だと思っていたが、こいつは面倒を越えている。 さっさとこの場から逃げ出し、自分を追って来る奴等にでもぶつければいい。 相手にせず、さっさと逃げると判断したロックの動きは早かった。 勿論、人間の域を越えてはいないが、その判断力は目を見張るものがあった。 だが、その足はすぐに止まることになる。 何しろ、ロックの行き先に、氷の壁が生えてきたからだ。 危うくぶつかりそうになるが、慌ててその足を止める。 「キラークイーン!!叩き壊せ!!」 スタンドのラッシュで、氷の壁を砕こうとする。 ロックが現在手にしたスタンドは、人間を凌駕した腕力を持っている。 いくら厚かろうと、氷の壁ぐらい壊せぬ道理はない。 だが、次々に新たな氷が出てくる。壊しても壊しても、行き先が見えてこない。 「逃げることは許さん。私と戦ってこの身体にお前の力を刻み込むか、戦うのを諦めて嬲り尽くされて死ぬか選べ。」 ロックには知らぬことだが、今のエスデスは被虐願望と嗜虐願望、2つの欲望を兼ね揃えている。 戦い抜いてその身に攻撃をありったけ受けてから、殺すのも良し。 それが出来ぬというのなら、かつてのように肉体も精神も蹂躙した上で殺せば良し。 「ちっ!そんなに戦いたいなら、相手にしてやるよ!!」 砕いた氷を一欠けら掴んで、エスデス目掛けて投擲した。 そんなものではエスデスを満足させることは出来ない。 投げた氷が、ただの氷ならばの話だが。 「そこで点火だ!!」 ロックの背後にいたキラークイーンが、親指を曲げる。 その瞬間、ボタンの作動音と共に、投げた氷が爆発した。 爆風や、飛び散る透明の刃がエスデスを襲う。 「やれば出来るじゃないか。もっと来い。私を蹂躙し、犯し、絶頂させて見せろ。」 ロックの攻撃は効いていない訳ではない。爆風は彼女を焼き、刃は顔を傷付けた。 だが、苦しんでいる様子は見えず、あろうことか恍惚の表情を浮かべていた。 顔の筋肉の大部分を上に寄せ、頬を紅潮させ、まさに痛みを良しとするマゾヒスト。 「キチガイ女め、そんなに欲しいならいくらでもくれてやるよ!!」 ロックは舌打ちし、地面に落ちてある石を拾って投げつける。 勿論、それを爆弾にしておくことは忘れない。 だがそれは、地面からせり上がって来た氷の壁に阻まれる。 勿論、爆風もエスデスに届かない。 「同じことが通じると思ったか?そんなものでは私を絶頂に追い込むことは出来んぞ?」 ふいにロックの右肩を、何かが掠めた。 嫌な予感を覚えたロックは、空を見上げる。 赤い空をバックに浮かんでいたのは、大量の氷塊。 普段ならばあり得ないような光景。だがエスデスという女将軍は、そのような光景をも作りだしてしまう。 (以前より調子がいい。あの小娘の力の賜物か?) エスデスの予想通り、彼女はミスティから挿入された魔力を、自分のものに還元していた。 自分を操るための魔力も、食らってしまえば立派な栄養分だ。 天から、雨のように氷柱が降り注ぐ。 雨後の筍、もとい吹雪の後の氷柱と言った所か。 (こいつ……バンパイヤの一種か?) ロックは一瞬だが、何かにつけて不可解な彼女をバンパイヤと考えた。 ルリ子の話から、彼らはキツネつきやイヌつき、ヘビ女だと異常な者と例えられてきたことを知っている。 女性のような風貌でありながら、股間に膨らみがあるのも、それと関係しているのではないかとも推測した。 だが、今の攻撃で彼女はバンパイヤとは全く違うものだとみなした。彼らは変身こそできるが、エスデスのような超越的な力は持ち合わせていないからだ。 (邪魔するな!!) キラークイーンの両の拳で、氷柱を1つずつ砕いて行く。 壊しきれなかったものは移動することで、その被害から免れる。 「血に染まった空は見ていて悪くはないのは分かる。だが、私のことを忘れているのではないか?」 氷の迷路を逃げ惑う中、気づけばすぐ近くにエスデスの刃が迫っていた。 彼女はただ無造作に氷の雨を降らせていたのではない。 より近くで戦えるように、ロックをはかぶさの剣のリーチ内に移動させていたのだ。 慌ててスタンドの攻撃を上から前へ。 キラークイーンの右腕で、はかぶさの剣を止める。 勿論ダメージのフィードバックが無いわけではない。ロックの右腕に、長さ5センチほどの裂傷が走る。 だが、ここでロックが撃った手は、逃げではなく攻め。 フィールドを完全に支配されている以上、守りに徹しても敗れるのは目に見えている。 元々ロックは身代金を奪う際にも、下田警部を殺す際にも、まずはステージ作りから実行するタイプだ。 逆にステージの主導権を握られてしまうなら、のんびり戦うことは出来ない。 スタンドの拳が、エスデスの腹に刺さる。 元の持ち主がある少年に使った時のように、そのまま背中まで貫くことは出来なかった。 だがそれでも、ロックの左手に伝わった心地いい感触と、大きく後方に飛んで行く女将軍は、ダメージを与えた証左になっていた。 「ああ……いい。素晴らしい。もっとくれないか……。」 口から血を垂らしながらも、恋する乙女のように頬を紅潮させ、目をトロンとさせている。 痛みよりも、快感が勝った。 (……気持ち悪いにもほどがある奴だな……。) 確かに攻撃は効いたはずだ。 だが相手は苦しむどころか、興奮している。 それがはったりや、ちんけな小芝居というわけではないことはロックにも伝わった。 なぜなら、ハイグレに包まれたそれが、立派に勃起しているからだ。 「それと自分の身体は気を遣わなくていいのか?」 「?」 嫌な予感がしたと思った瞬間だった。左の脇腹から右の胸にかけて、鮮血が迸った。 エスデスが振るうはかぶさの剣は、一振りで二度破壊の風を起こす。 「ぐああああああ!!!」 血を失ったことによる虚脱感がロックを襲い、千鳥足になる。 ロック自身はバンパイヤでもなければ、悪魔でもない。 ただ残忍な心の持ち主というだけで、身体はそれなりの強度しかない。 「安心しろ。あえて傷を浅くしておいた。まだまだ楽しみたいからな。」 (この一人サドマゾ女が……) ロックは憎まれ口をたたく余裕さえなかった。 ただ、これ以上出血が多くなることを恐れ、拾った氷を腹に当てた。 「私よりも、腹の傷の方が大事か?悲しいな。」 すぐにエスデスはロックに迫り、すらりと伸びた足で蹴飛ばした。 彼女でさえもキラークイーンの殴打を腹に受け、肋骨を何本か持っていかれたはずなのに、どうという様子を見せない。 デモンズエキスやはかぶさの剣が無くても、帝国直属の悪名高き将軍だ。 それ以前には自分より巨大な生物を狩ることで生きていた。 「ハァーッ……ハァーッ……!こんな……はずじゃ……!!」 立ち上がろうとするが、足がもつれて立てなかった。 さらにそこに、氷が彼の革靴を閉じ込め、追い打ちをかける。 戦うことも逃げることも出来ない。 かつてとある世界の悪魔は、恐竜と共に氷に閉ざされて死んだ。 ロックという悪魔も、エスデスという女が放つ氷によって最期を迎えようとしていた。 「どうしてくれるんだ。これを見ろ。折角楽しめると期待していたのに、不甲斐ないから萎えてしまったぞ。」 エスデスは冷たい目で、ロックを見下ろしていた。 彼女はロックの能力は気に入ったが、ロック自身はもうどうでもよかった。 「これ以上お前が私を楽しませる気が無いというのなら、私がお前で楽しむだけだ。 手足を捥ぎ取り、目玉をくり抜き……そうだ、ナニも引き裂いておかねばな。」 ロックはエスデスに言葉を返さない。 ただ、ギリギリギリと歯ぎしりの音だけが彼の口元にあった。 (じょうだんじゃない…ぼくは楽しむ側の人間だ……!!) ロックは頭を回転させ、状況を打開しようとする。 まだ頭脳だけは自由だ。 それさえも動かなくなる前に、どうにか切り抜けようとする。 不意に、ある言葉が脳裏に浮かんだ。 ――今夜出会う一番気に入らない人間を仲間におし。そうすればあんたは大成功するよ…… かつて3人の占いの老婆に言われた言葉。 ロックはその通りにして、ルリ子らバンパイヤと手を組み、彼女らを自分の屋敷に招き入れた。 その屋敷を拠点に、バンパイヤ革命を進めていった。 だが、それは結局破綻した。占いの老婆に抗議しようにも、彼女らはバンパイヤにかみ殺されていた。 今になって、なぜその言葉が頭に浮かんだのかは、ロックにも分からない。 だが、目の前に転がり込んできた札だ。次の出番が回って来るかも不確かな状況の中、切らない手はない。 「なあ、おれの負けだよ。だが、次は違うかもな……。」 「次だと?お前に次があるとでも思っているのか?」 「あるさ……望めばな。あんたは色々と壊したいんだろ?戦いたいんだろ?おれと手を組めば、望みが叶うぜ?」 ロックは不敵な笑みを浮かべながら、話をつづけた。 彼はエスデスと会ってから、1時間も経っていない。 だが、彼女が何を望むのか、何を悦としているのかはよく分かった。 「……一応聞いてやろう。もし私が手を貸すと言ったならば、お前は何を見せる。」 エスデスと言えど、話を聞く余裕ぐらいはある。 豚の寝言と相違ないものなら、豚のように殺せばいいだけだ。 「(ノって来た……!!)……だが、ちょっとぼくはダメみたいだ……血が多すぎて、目がかすんできたよ。」 ロックの言葉は、半分演技、半分真実。 だがその押さえた傷口は、氷で固まっていた。 「安易に殺すと思ったか?続けろ。」 「ぼくはね。元の世界で社会を転覆させたのさ。きそくや道徳、しきたりなんかが全部壊れた世界を実現させたんだよ。バンパイヤというけだものに化ける人と組んでね。」 「…つまらなくはない話だ。だがそれは、私一人でも可能なんじゃないのか?」 エスデスの言葉にまたしても苛立つロック。 彼女の言っていることがはったりだから腹が立つのではない。彼女の強さと自信からして、実践できてしまいそうな事実がこの上なく腹立たしいのだ。 「ぼくが殺しやすい場所を、戦いやすい場所作ってやるんだ。芸術家だって漫画家だって、将軍様だってパトロンは必要だぜ? 気に食わなければぼくをいつだって殺せばいい。もっとも楽しめるチャンスは幾つか減るだろうがね。」 「私を謀るつもりか。」 「分かっているなら殺せばいいと言っただろ。いや、あんたが手を下すまでもない。キラークイーンで僕自身を爆弾にするかもね。 なぐさみものにされるだけの人生なんて、ぼくはごめんだ。」 エスデスの剣を握る手が震えた。 目の前の相手を殺すことは簡単だ。 だがそれは、看守がおらず、紙で出来た格子の牢獄から脱獄するようなもの。 スリルも楽しみもあったものじゃない。 「それにぼくを殺さずにいたら、きみにもっと快感を与えるかもしれない。その腹の傷以上のね。」 「もっと楽しみを渡してやるから今は殺すな。そう言いたいのだろう?悪くない。」 「話が早くて助かるさ。」 エスデスはニヤリと笑った。 明らかに苦し紛れの嘘だということは分かっていた。 拷問した相手が、解放して欲しさに嘘の証拠を告げるようなものだ。 だが、その話を、乗ってみようと考えた。一度は将軍の座から降ろされ、蹂躙された身。 だからこそ、新しいことをしてみる価値がある。 「ただし……」 エスデスの笑みがさらに邪悪になった瞬間だった。 その顔はすぐに見えなくなり、代わりにエスデスの黒手袋に包まれた手が視界を覆う。 ぶちり。 不意にロックの視界が、赤に染まったと思ったら、一瞬で半分になった。 「―――――ッッッ!!」 「前金として、コイツは貰っておこう。」 ロックに映る世界が半分になり、残りも幾分か赤で染まったその後。 間の抜けたようなタイミングで、不快感と激痛が襲って来た。 エスデスが右手で掴んだのは、ロックの左の目玉だった。 何が起こったのか気づいたロックは、慌てて左目があった部分を抑える。 「問題ない。冷気で出血は抑えた。それで死ぬことはないはずだ。」 そう言う問題じゃない、などと言う気力は失せていた。 目の前にいるのは、身も心もバンパイヤ以上の怪物なのだと、はっきりと分かった。 瞬く間に、彼が親から貰った財産の1つが、氷の箱に入れられる。 「満足すれば返してやるさ。それともここで死ぬことを選ぶか?」 「だ……誰がそんなことをするか!!」 「そうか。ならば私と共に来い。」 エスデスは背を向け、別の場所へと歩いていく。 ロックもまた、彼女の後を追う。片目を奪われたことが原因か、その足取りはふらついていた。 (いい気になっているのも今の内だ……目玉を奪っていい気になっているようだが、ぼくは君の臓物を奪ってやるさ。) 心さえも折られそうになるが、必死で言い返す。 まだ死ぬわけにはいかない。必ず生還してみせる。 (ぼくの心臓を取らなかったことを、後悔させてやるさ。) 片目を奪われてなお、ロックは再び邪悪な笑みを浮かべた。 【B-3/一日目/朝】 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:ハイグレ人間 負傷(大) 疲労(大) 内臓損傷(治療済) 乳首母乳化 アナル拡張済み ふたなり化 処女喪失 [装備]:はかぶさのけん@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島 中長ナス@現実 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 ロックの目玉(冷凍保存済み) [思考・状況]:ドSもドMも愉しみ尽くす 0:殺し合いという名のSMプレイを愉しみ尽くす。 1:ロックと言うペットを使ってみる。使えないようなら嬲って殺す 2:堂島とは再戦したい。が、仮に再戦できなくてもその虚しさを堪能できればそれはそれで... 3:優勝出来たら善かミスティでも蘇らせるとしよう。 4:北条沙都子と北条鉄平は別にどうでもいいが見つけたら狩る。 5:せっかくふたなりになったことだし帰ったらタツミに使ってみるか。 [備考] ※参戦時期は漫画版死亡後より。 ※ナスで処女喪失しました。 ※ハイグレ光線銃によりハイグレ人間となりました。 ※摩訶鉢特摩は使用したため、2日目以降でないと使用できません。 ※戦闘は支障なく行えます。 ※デモンズエキス本来の効果によりハイグレ光線の洗脳効果を食らいつくしました。 【間久部緑郎/ロック@バンパイヤ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(大)、腹に裂傷(治療済み)・左目喪失 汚れ、零に対して少しだけ同情 侑に対してイラつき(大) [装備]:キラークイーンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2(確認済み) [思考・状況] 基本方針:秩序なきこの場を楽しむ 1:エスデスをどうにかして利用する。 2:トッペイと出会ったときはどうしたものか。 3:アナムネシスとみらいに警戒。ただみらいは利用できるかも。 4:零、千は利用できるか? 5:……西郷…… 6:アイツ(ギャブロ)がうっとおしいな。 7:目玉を失ったって、生き延びて見せる [備考] ※参戦時期はバンパイア革命に失敗し、西郷を殺害した後。 ※クライスタの世界を(零視点から)大まかに把握しています。 ※侑とエレンの世界を(侑の知識)大まかに把握しています。 ※侑の額の支給品(エクステッド)の効果は洞視だけでなく幻視も使えるのだと思っています。 064:桐生伝 アシッド・レイジ・ロアー 投下順 066:ワザップの誤解に巻き込まれたキッズ(キッズではない) 029:灰色の世界の下で ーThe Beginningー エスデス 070:JUST LIVE MORE Helheim 039:死中の閃き 間久部緑郎/ロック
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127 ならば『世界』を動かす ◆BEQBTq4Ltk 雷鳴が轟いた後に放送が流れ、前回の放送から六時間が経過したことになる。 新たに追加される禁止エリアが発表――される前に交換制度が告げられた。 (首輪を渡さなさいでおけばよかったかもな) 死人と化した前川みくの首をエドワード・エルリックに渡したのは失敗だったかもしれない。 個数に見合った報酬を受け取る際には主催陣営の人物と接触できる可能性が高く、報酬よりも興味を唆られる。 手元に首輪が残っていれば後一人殺すだけで、核心に迫れたかもしれない。 たった一人の人間を殺すだけで、エスデスにとって死者の一人や二人などどうでもいいこと。 新たに首輪を回収すればいいだけの話である。エドワード達が首輪を解析出来たならばそれはそれで成功である。 (こんな時にDr.スタイリッシュが居れば役に立ったのだがな……さて) Dr.スタイリッシュとはエスデス率いる帝都の特殊警察イェーガーズの一員だった男のことである。 優れた技術力を持った異端者だったがナイトレイドとの戦闘で死亡してしまった。 仲間の死亡と云えばこの会場でクロメが死んでいる。 先の放送でウェイブとセリューの名前は呼ばれておらず、タツミやナイトレイドのアカメの名前も呼ばれていない。 エスデスの知り合いの名前は呼ばれていないが、広川が告げた名前の中に知っている男の名前があった。 (アヴドゥル……惜しい男だった) エスデスが会場で初めて出会った参加者が彼、モハメド・アヴドゥルだった。 自分に対しDIOの危険を説いた珍しい男であり、スタンドなる能力を用いる強者だった。 魔術師の赤の炎は本気ではないといえ、デモンズエキスを溶かす程の能力だった。 エスデスの無茶に近い振りにも反応し、殺し合いの中でも己を崩さない強い精神を持っていた男だった。 (だった……死んでしまえばそれで終わりだ。 世話になったなアヴドゥル……代わりにDIOは私が殺してやる) 彼の他にも鹿目まどかが死んでいる。 空条承太郎と足立透が一緒に残っていたはずだが呼ばれた名前は彼女のみ。 実力者である空条承太郎と何かを隠しているような素振りを見せていた足立透。 彼らを相手に鹿目まどかを殺害することは難しいだろう。相手も相当な手練だと予測される。 (鹿目まどかか。コンサートホールの距離を考えるとアヴドゥルを殺した奴と同一人物かもな) だからどうした、という話ではないが近くに犯人がいるかもしれない。 轟いた雷鳴の件もあり、エスデスの中に秘められた獣が声を上げているのだ。 彼女はこの会場に来てから碌な戦闘を行っていない。アヴドゥルとの戦いも、花京院やほむらとの交戦も。 (花京院……そう言えば呼ばれていたな) エスデスが殺し合いに巻き込まれてから出会った人間はどれも強い色を持っていた。 その中のほとんどが何かしらの覚悟や強さを持っていて、強者を求める彼女からすれば滾る場である。 花京院もその一人であったが、ここで死ぬ存在に抱く興味などたかが知れている。 鹿目まどかとてそうである。どれだけ素質を秘めていようが死ねばそこで彼女の世界が終わりを告げる。 それはアヴドゥルも同じだ。 彼の世界は止まり、停滞した。その針はもう二度と動くことはないだろう。 動いたとしてもそれは第二の人生、或いは傀儡となって死を体現しながら生を彷徨うだけ。 (お前が言った『DIOは危険』……楽しみにさせてもらうぞアヴドゥル。 天から見ているがいい、スタンドを用いる因縁の吸血鬼と私の――世界を) 溢れる笑みはまるで冷気でも纏っているのか、傍から見れば不気味で仕方ない。 氷の女王は此処で一度、どう動くか判断すべく思考の海深くへ潜ることとした。 (首輪交換制度だが……これは首輪を預けたエドワード達に一度任せよう) 広川の放送で告げられた首輪と武器を交換する制度だが、エスデスは特段読み上げられた施設に向かうことはしない。 彼女が手に入れた首輪はサンプルとして彼らに渡しているため、このタイミングで施設に向かっても何も得られない、はず。 主催者側の手が仕込まれた物体を見るのも悪くないが、今は宴に乗り遅れないように興を優先する。 (禁止エリアになる北から攻めるとしよう) 西側へ続く北唯一の道が数時間後には禁止エリアとなってしまう。 そうなれば、侵入することは事実上不可能となり、そのエリアを調べることすら出来ない。 今から向かえば首輪には何の支障も生まれない。 北から向かい、コンサートホールに向かえば鹿目まどかやアヴドゥルを殺した人物と接触出来るかもしれない。 はたまたナイトレイドとの遭遇や、イェーガーズとの合流も出来るかもしれない。 エスデス、こんなところで黙って止まる人間でもなく、その身は常に狂気と戦争を纏っている。 アヴドゥルが死んだ場所――西へ行けば彼女が求めているであろう刺激を手に入れることが出来る。 首輪交換制度も魅力的ではあるが、後回しにしても問題ないだろう。 (回数制限の話もされていなからな。今は――この場を樂しむだけだ) 「なあヒースクリフ……私は前に言ったとおりに北へ向かう。 お前はエドワードとジョセフに一度合流してくれ、なにまだ近いところにいるだろう」 「……狙いを聞かせてもらっても」 「奴らはこの近く――動いていなければ南にいる。 私が預けた首輪もあるからな。これからの動きを色々と練っているかもしれない」 「それで?」 「首輪交換制度の話も出たからな、頭がきれるお前だ、奴らの力になってやれ」 「本当の狙いは?」 エドワード達と合流するように指示を飛ばすエスデスだがヒースクリフは簡単にイエスと言わなかった。 出来る限り彼女から言葉を引き出すような返答を行い、必要以上に発言させている。 未だにその実態を感じ取れないエスデスの本性を引き摺り出そうとするも、彼女とてそれを見抜いてる。 見る者を不安に落とし込む美しい笑顔を浮かべなら首輪について言及しているが、厄介払いにしか捉えられない。 「先程とは随分違う提案ですが……私もDIOを倒しに行くのでは?」 「DIOはそう遠くへ行ってはいない。そしてアヴドゥルもこの近くにいるはず。 コンサートホールも近いからな――私が戦いたい奴が近くにいるんだ、邪魔をする人間は先に遠ざける」 「その強引な発言に私が靡くと」 エスデスの提案は暴れたいから離れろ、獲物を横取りするな、というような野蛮そのもの。 別に反論するつもりもないが、死者の名前を聞いた後での発言となると意味合いが変わってくる。 彼女の仲間であるイェーガーズの一員が呼ばれている訳でもない。 ただ、一緒に行動していた鹿目まどかとモハメド・アヴドゥルの名前が呼ばれている。 前者はコンサートホールに滞在しており、後者は数分前まで共に行動していた男だ。 エスデスなりに仇でも討ろうとしているのだろうか。それらを含む発言をしていた。 しかしそうなれば、必要以上に自分を外す理由が無くなるとヒースクリフは考える。 単純な頭割り計算で考えると、戦える存在が多い程戦局は有利になる。 エスデス自身が己の力に絶対的な自信があるため、邪魔者を外す考えに至ったのも解る。 だが、コンサートホールでの編成時における指導者としての一面を考えると何か隠している節がある。 襲撃直後に精神的疲労や負担が過大であった鹿目まどかに対して最も理想な編成を考えたのがエスデスである。 悟られないように、誰にも責任を与えずに話を企て、実行した彼女がこうも説明無しに告げるだろうか。 ヒースクリフは喰らいついたが、その予感は的中であり、エスデスが口を開く。 「強引も何もこれが最善だろう。北から西へ続く道は禁止エリアになるならば早く動かないと行けないだろう? 仮に襲撃にあって万が一に我々がエリア内に滞在させられれば、それだけで死んでしまう。 別れて行動し、私が先行して後からお前らが南から挟み込めば問題は無いだろう。 それにな……私の監視下から外れるのはお前にとって魅力的な提案だと思うが、どうだヒースクリフ? 勿論お前たちに首輪の解析をしてもらいたいのも事実だし、私がDIOと戦いたいのも事実だがな」 提案自体に異論は無い。 内容についても、許容範囲内であり、反対する理由も見つからない。 「監視下……自分で言う辺り自覚があった、と――まぁいいでしょう」 呆れを含んだ笑みとため息を零すと彼は踵を返す。 エスデスの表情も見つめないで、右手を掲げると己の意思を示した。 「アヴドゥルさん達を殺した人物は近くにいるかもしれない。しかし、何処にいるかは正確には不明。 別れて行動した方が遭遇する確率は上がる。異論は無い、首輪が気になっていたのも事実だしな。 ただ――出来れば私にも一発入れれる程には残してくれると大変有り難い」 「私が殺さないで生け捕りにする人間だと、一緒に行動して感じ取れたか?」 「まさか、こっちまで殺されるんじゃないかと思っていたが……真実は不明だった」 それだけ言い残すとヒースクリフは南へ向けて歩き出す。 エスデスとて、無駄に会話へ時間を回し肝心な場所で時間切れ――という訳にもいかないだろう。 話を長引かせてもメリットは存在しない。適当に切り上げるのが両者のためである。 「そうだヒースクリフ」 しかしエスデスはその場を動かずに、彼に何かを確認するべく声を飛ばす。 彼は振り向くことはしないが、足を止め、耳を傾け、彼女の声を待つ。 「放送を聞いてから表情に変化が見受けられたが首輪交換か、それとも――アヴドゥル達以外の知り合いが呼ばれたか?」 「――――――ご想像にお任せしますよ」 言葉だけを残し、振り向くことはない。 背後から聞こえてくるのは氷のように冷たい足音だけだった。 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3 [思考] 基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。 0:DIOを殺す。 1:DIOの館へ攻め込む。 2:クロメの仇は討ってやる 3:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。 4:タツミに逢いたい。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。 ※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。 ※アブドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。 ※DIOに興味を抱いています。 ※暁美ほむらに興味を抱いています。 ※暁美ほむらが時を止めれる事を知りました。 ※自分にかけられている制限に気付きました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であることを知りました。 また、DIOが時間停止を使えることを知りました。 ※足立が何か隠していると睨んでいます。 ※平行世界の存在を認識しました。 エスデスが去った後、凍りついていた時間が動き出すように軽くなる。 彼女からエドワード達と合流するよう指示されたヒースクリフだが、必ずしも従う理由は無い。 (監視下から外れる……好きに行動しろと) 元々成り行きとその性質からかエスデスが指揮を執っていた。 誰かに命令された訳でもなければ、戴冠式を行った訳でもない。 殺し合いを止めるために活動する一人のレジスタンスとして立ち上がった――一昔前のネットによく転がっていた創作だ。 しかし現実はそうでもなく、彼女は己が欲する欲を満たすために動き出した。 監視下から外れると言った発言もおそらくは自由になれという合図だろう。 氷のように冷徹な女性であったが、何かと他の参加者を気に掛けていた。 まどかとアヴドゥルの名前が呼ばれた時、彼女とて少しは表情に変化があった。 仇を取る――真偽は不明だが、一緒に行動していてくだらない嘘は吐かない人物の印象を受けている。 一度殺すと宣言した今、彼女が向かう先に居る危険人物は例外無く排除されるだろう。 例外があるとすれば、彼女の興味を惹く異形或いは強き者と云ったところか。 (首輪交換制度か……報酬制度は珍しいことでもない) 参加者のモチベーションを維持するために運営側が介入を行った結果が首輪交換制度なる物。 とある施設に設置されたボックスに首輪を投入すれば代わりに武器が手に入るシステムらしい。 討伐に応じた報酬や資材が手に入るシステムは特段珍しいものでもなく、予想の範囲内である。 気になることとなれば、なぜこのタイミングで投入したのか。最初から置けば積極的に殺し回る参加者もいただろう。 考えられる点は幾つか存在する。 一つは最初から第二回放送後に投入が決まっていた場合。 決められていた線路の上を走ってるだけであり、何ら問題はない。 一つは何かの実験のため。 殺し合いのシステム自体に、未知が多く、何かを試している節がある。 例えば主催側が何かを見据えて今回のバトル・ロワイアルを開催しているのかもしれない。 スタンドや帝具を始めとする独自のシステム、或いは異能を引っさげ多くの人間を招く。 その際に意識を支配し、気付かれることも無く拉致するその技術力と科学力は見上げたものだ。 ヒースクリフ自身のこともある。巨大なサーバーや組織が裏に潜んでいる可能性もある。 しかし実験の内容については検討も付かず、考察の域を出ることはない。考察と呼べるかも危ういだろう。 一つに主催側にとって何か不都合が起きた可能性である。 アクティブユーザーを増やすために、興味を抱ける企画やイベントを開催するように。 殺し合いの速度が思ったよりも芳しくないために、テコ入れを行っているかもしれない。 (私の手元には首輪が一つ残っている) そして彼は首輪交換制度を試せれる機会を持ち合わせている。 幸い施設もそう遠くはない――その施設にも立ち寄りたいと思っていた。 (アインクラッド……行く価値はあるな) エスデスにはエドワード達との合流を最初は促されていたが、実質強制権は無い。 彼女の言葉を借りれば監視下を外れた訳であり、自由である。 (監視……ログインの他にも例えばこの首輪からバイタルサインを得ているかもしれん) 首輪に触れながら一つ考えているが――行動する他に選択肢は無いだろう。 死んだアヴドゥル達には申し訳ないが、仇はエスデスに全て討ち取ってもらうことにする。 南東の方角へ向き直すと彼は足を動かし、その目標をアインクラッドに定める。 殺し合いに巻き込まれてから大きな戦闘に遭遇していないが、これから戦況は加速するだろう。 首輪交換制度の導入によって少なくとも会場に武器が確実に増える。 ヒースクリフは首輪交換制度を主催者への接触手段として用いることを決めている。 どんなシステムかは立ち会わなければ解らないが、主催の手が込んだ物に接触出来るのは確実である。 総ての謎の解明に繋がる糸を掴むために、彼は進む。 そして氷のように冷たい風が流れると。 「君は此処で何を成し遂げて逝ったのかな――キリト君」 氷の女王にも見抜かれていた放送。 読み上げられた唯一の知り合いの名前に、様々な感情を抱いて。 「私と同じようにデータを抜き取られたのか、アヴドゥルさん達のように不思議な力で巻き込まれたか」 ヒースクリフが最期に見た存在。 その身を貫いた一人の男の姿を思い出し。 「君はその手で――何を掴んだ」 生者は足を進める。 【F-2/一日目/日中】 【ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】 [状態]:健康、異能に対する高揚感と興味 [装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン [道具]:基本支給品一式、グリーフシード(有効期限あり)×2@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品(確認済み)(2) ノーベンバー11の首輪 [思考] 基本:主催への接触(優勝も視野に入れる) 0:もっと異能を知りたい。見てみたい。 1:アインクラッドを目指す。 2:首輪交換制度を試す。 3:神聖剣の長剣の確保。 4:主催者と接触したい。 [備考] ※参戦時期は1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。 ※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。 ※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。 ※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。 ※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。 ※この世界を現実だと認識しました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼だと知りました。 ※平行世界の存在を認識しました。 男はこの会場で何を成し遂げた。 一緒に行動していた少女一人守ることも出来なかった男は何を得た。 失った生命は二度と蘇ることはない。 その真理を知っている男は、二度と過ちを、失敗を、悲劇を生まないために会場を駆ける。 自分の不甲斐なさから少女が誘拐されてしまった。 再開した少女の人体には欠損が見られ、記憶さえ弄られてしまい、その意思は確固たる己の物とは言えなかった。 辿り着いた先に待っていたのは少女を救えなかった――目の前で殺されてしまった。 甘い。 手に掛けた雷光の少女は殺しの道を歩む覚悟を決めて存在だった。 一度肩を並べて共闘しただけで、彼女に対する警戒は気付かない内に薄れていた。 『さて、私の声が聞こえた時点で察していると思うが放送の時間だ』 会場に流れる放送に対し足を止めることなく、耳だけを傾けて彼は走る。 立ち止まってまた間に合わない何て御免だ――もう誰も失いたくないから。 『次に死者の名前を読み上げる』 「――――――――――ッ」 聞きたくない。 死を実感する瞬間が今、会場全体に振り降りる。 『プロデューサー』 「な――――――――――――ッ」 呼ばれた名前は『彼女』の知り合いだった。 アイドルのプロデューサー……彼女にとってみれば大切なパートナーのような存在なのかもしれない。 裏で支える大人、精神的支柱、彼女たちの味方であり信頼出来る存在。 その名前が呼ばれてしまった。だが、足は止めない。 『前川みく」 「――――――――――――――――」 出会いは決して良い印象とはいえない。 何せ爆発とセットだ、出来れば思い出しくない出会いの部類に入る。 謎の口調にキャラ付け。正直、聞くだけでも辛い物があったかもしれない。 けれど、それが彼女の個性であり、人間性であり、悪い感じはしなかった。 そして何よりも光り輝くあの笑顔が、見る人総てを笑顔にするあの笑顔が。 今もエドワードの脳裏に焼き付き、生前の元気な姿で彼の中に生きている。 「全部終わらせたら――だから、それまでちょっと待ってくれ」 今、彼がすべきことは御坂美琴を止めること。 彼女を止めなければ前川みくのように、失う必要の無い生命がこの世から消え去ってしまう。 だから――言葉を詰まらせて、彼は総てを救うべくその足を止めないで会場を駆ける。 『モハメド・アヴドゥル』 「――――――――――――――しょ」 広川が読み上げた名前、それは数分前に出会ったことのある男の名前。 また、救えなかった。 「ちくしょう……チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 胸に秘める様々な感情をたった一つの叫びに纏め込んで、空に消えていった。 雷鳴が轟いた時間と瞬間。 その回数は一度ではなく、エドワードの脳裏に浮かぶ影は一人の少女と男。 「御坂が――させるか……させるかってんだよ!!」 思い浮かぶ最悪の展開と結果を掻き消すように大地を蹴り上げる。 跳ね上げられた小石が勢いを付けて進路方向へ飛ばされていく。 「当たったら危ないぞ、エドワード」 「お前……マオ!」 声が聞こえた場所を見渡しても誰もいない。 下へ視線を動かすと、瓦礫の上に一匹の黒猫が語りかけていた。 「なぁ、お前御坂を見てないか!? あの電撃女だよ、見てないか!?」 黒猫――マオの元へ駆け寄ったエドは声を荒げて御坂の居場所を尋ねる。 その必死な形相と、一度御坂に遭遇したマオは総て察し、顔を掻く。 前川みくの件とエドの性格を考えると、合理的な考えではなく、御坂を止めるために動くのだろう。 「あの嬢ちゃんならこっから南へ行った」 「南か……サンキューなマオ。それと――」 御坂の居場所を知ることが出来たエドは何やらまだ聞きたいことがあるらしい。 明らかに戦闘が行われたであろうその場所を見渡しながら、聞きたくもない現実へ近づく。 「此処であった戦闘ってまさか――」 「聞かなくても解るだろうに。やり手は嬢ちゃんで死人は……濃い目の顔をした男だった。確か名前はモハメド――」 「――アヴドゥルだ……そっか。なぁ、マオ。御坂が此処で戦闘してからどれくらい時間が経ってる」 「其処まで経っちゃあいないが、全く経ってない訳でもない。 今から追い付くにはそれなりの時間が掛かるだろうが――行くんだろ?」 総てを見透かしたようにマオは呆れた表情でエドを見つめる。 彼の顔は何処か引き締まっていて、その中に悲しみを帯びているような複雑な表情だった。 御坂がアヴドゥルを殺したことは直感で解っているような気がしていた。 根拠も存在しないし、外れて貰った方が有り難い予感だった。でも現実は正直だった。 エドはマオの言葉を聞くと、機械鎧の腕を振り上げ、合図を送ると再び会場を駆ける。 最年少の国家錬金術師はその身体で殺し合いを、一人の少女を止めるために、己を傷付けてでも総てを救うべく駆ける。 「なら俺は俺の仕事をやるか」 エドが御坂を救うなら――佐倉杏子を救うのは自分しかいないだろう。 えらく焼きが回っているが、どうしたもんか、と空を見上げても太陽が輝いているだけであった。 【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、精神的疲労(大) [装備]:無し [道具]:ディパック×2、基本支給品×2 、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、 不明支給品×0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、 パイプ爆弾×4(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ、みくの不明支給品1~0 前川みくの首輪 [思考] 基本:主催の広川をぶっ飛ばす 0:南へ向かい、御坂をボコしてでも殺しを止めさせる。 1:大佐やアンジュ、前川みくの知り合いを探したい。 2:エンブリヲ、DIO、御坂、エスデス、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。 3:ひと段落ついたらみくを埋葬する。 4:首輪交換制度は後回し。 [備考] ※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。 ※前川みくの知り合いについての知識を得ました。 ※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。 関与していない可能性も考えています。 ※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。 ※エスデスに嫌悪感を抱いています。 【マオ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】 [思考] 基本:俺も焼きが回ったか。 0:黒達と合流する。 1:佐倉杏子を追いかける。 2:御坂美琴はエドワードに任せる。 今までに無い苛立ちを覚えながら、佐倉杏子は北にある北方司令部前まで来ていた。 御坂美琴を追い掛け、殺すことも考えたが、DIOに言伝無しでの行動は考えられない。 主に己の居場所を告げずに離れるなど何事か。そもそも護衛の任務を任されている手前、勝手に離れる訳にもいかない。 「あー……次会ったら絶対殺してこのモヤモヤしてるあたしの心を晴れさせてやるからな」 放送で告げられた鹿目まどかの死も相まって佐倉杏子の苛立ちは上昇を続ける。 巴マミのように深い悲しみを覚えることは無いが、それでも知った顔が死ぬのは精神に響く物がある。 肉の芽によって支配されていなければ違う反応があったかもしれないが――今は苛立ちが勝る。 「ノーベンバー……誰だそいつ、いや数字……じゃなくて秋のえっと……あぁ!! なんなんだよ!!」 記憶に走るノイズの正体を掴めないまま、苛立ちと焦燥感が彼女を包み込む。 大切なことを忘れている気がする。けれど、巴マミとの思い出は生きている。 ならば失った記憶は――殺し合いに巻き込まれてから? それさえも解らない。 「DIO様に会っても解決する訳ねーけどさ、はぁ……」 少女は路頭に迷う。 しかしその手を掴んでくれる神も、天使も、聖職者もいない。 DIOに縋っても総てを手に入れる訳でもない。 信じれるのは己自身、巴マミと別れてから一人で生きてきたように、自分こそが総て。 「だからアンタが解決してくれっかなぁ――そんな殺意全開で来てんだからさ、殺る気満々なんだろ?」 人間、苛立ちやストレスが溜まっていたら発散することを考えるだろう。 運動や食事、趣味や道楽に身と時間を費やし、社会で疲れた自分を癒やすように。 佐倉杏子にとってのストレス発散方法――肉の芽も合わさって他者を殺すことだろうか。 「お前今DIOと言ったよな……ふふ、少しは楽しませてくれよッ!!」 だが、喧嘩を売った女はおそらく佐倉杏子が出会った女性の中で一番凶暴であろう。 遠くから殺気を放ち、此方に向かっていた女は何時でも戦闘を行える状態であった。 北方司令部まで来たのはいいものの、肝心のDIOの居場所が解らない状態じゃ行動が出来ない。 建物の中に居ると予想はしているが、確認する前に女が来てしまった。ならば戦闘を行うかもしれない。 「それじゃあ行くよ――グランシャリオオオオオオオオオオオオ!!」 何度目になるか解らない黒き外装を纏う佐倉杏子。 戦う準備は出来たと正義の味方のような骨格を纏い、当に覚悟は完了している――女を迎え撃つ。 「その帝具はお前に不釣合いだ……返してもらおうか」 「ハッ! 何訳の解かんねえこと言って――なっ!?」 迫る女に槍の一撃を加えんと行動しようにも足が動かない。 足元を見ると何故か凍っており、その場から一歩も動くことが出来ない状態になっていた。 槍で強引に氷を削るが、女はその最中でも迫っており、まもなく近接戦闘に突入するだろう。 「面倒なことしやがって……編込結界!」 力任せに大地を殴り付けた佐倉杏子はそのまま魔力を流し込む。 彼女と女の中間地点にある大地から槍が浮かび上がると何重もの鎖に分裂する。 そして編み込むように何度も何度も重なりあった鎖の防護壁が聳え立つ。 「面白い」 その奇妙な業に女は興味の笑みを浮かべると右腕に氷の刃を握らせ――軽く一閃。 すると数秒後に鋭い音が響き、鎖の結界は簡単に崩れてしまった。 その光景に驚く佐倉杏子は未だ氷を削れていない。つまり、動けない。 結界に戸惑っている間に氷を削る算段であったが、敵対している女は予想よりも遥かに強い。 今も距離を詰められて、心臓に氷柱を刺されている。 「グランシャリオの上から……お、お構いなしにか……ぉ」 「それは私の部下の物だ。返してもらうぞ」 引き抜かれた氷柱を追うように鮮血が溢れ出る。 苦痛からグランシャリオの状態が解けてしまった佐倉杏子は倒れそうになるが女に支えられる。 敵である自分を何故支えるのか。疑問を覚えるがすぐに解決することになる。 グランシャリオを奪われると、豪快に回し蹴りを顔面にもらい、身体ごと北方司令部の壁に激突した。 パララと瓦礫や埃と共に大地へ落ちる佐倉杏子だが、意識はまだ生きている。 魔法少女である自分の身体と運命に感謝する……それでも引き換えに得た人生は最悪だったが。 薄っすらと瞳を開ければ映るのは足。あの女の足だろう。 「心臓を貫いても生きているのか! 面白いな魔法少女……たしか佐倉杏子と言ったか」 「テメェ……どこで、あた、しの名前を」 「鹿目まどかから聞いたよ。彼女は残念だったが死んでしまえば終わりだ」 反撃の一撃を加えようにも、心臓の修復に使用する魔力で精一杯な状態である。 唯でさえ魔力の消費を避けたい中、この場で攻撃を行うなど不可能な話だ。 それを補うためのグランシャリオであったが、取り上げられた今、黙って死を待つしか無い。 「お楽しみの後にお前の身体を使って実験でもするとしよう」 「……なに?」 「何処まで手を加えれば絶命するか――試させてもらうぞ魔法少女」 「――――――――――――――ひっ」 彼女の額にある肉の芽を凍らして。 そしてエスデスは北方司令部へ足を踏み入れる。 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:精神疲労(中)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(中)、イライラ(極大)、額に肉の芽 (氷)、身体に風穴(修復中) [装備]:自前の槍@魔法少女まどか☆マギカ [道具]:基本支給品一式、医療品@現実 大量のりんご@現実 不明支給品0~2(確認済み) [思考・行動] 基本方針:殺し合いについて考える。 0:…………。 1:特定の人物(花京院、イリヤ、まどか、ほむら、さやか、ジョセフ、承太郎)以外。 2:巴マミを殺した参加者を許さない。 3:殺し合いを壊す。それが優勝することかは解らない。 4:承太郎に警戒。もう油断はしない 5:何か忘れてる気がする。 6:御坂は殺す。 [備考] ※参戦時期は第7話終了直後からです。 ※DARKER THAN BLACKの世界ついてある程度知りました。 ※首輪に何かしらの仕掛けがあると睨んでいます。 ※DIOへの信頼度は、『決して裏切り・攻撃はしないが、命までは張らない』程度です。そのため、弱点となるソウルジェムが本体であることは話していません。 「やぁ、私に何か用かな?」 コツコツと歩く音が建物に響き渡る。 「人を探していてな」 決して光の届かない建物に一人の女が踏み入った。 「この建物には私しか居ないのだが……まさか」 互いの顔はまだ見えない。 「そのまさか、とやらかも知れんな」 建物の中からは不気味な妖気しか感じられない。 「なら名前を聞かせてくれるかな……座ったままで失礼だがね」 距離が近くなる。そろそろ顔を拝める程度には。 「どうせこれから貴様は死ぬんだ、何も謝る必要は無い」 氷が精製される音が響いて氷柱の剣が具現化される。 「貴様、DIOだな」 「このDIOに向かって舐めた口を聞く女――誰だ?」 椅子から立ち上がることはせず、けれど虫けらを見下ろすように声を飛ばして。 「私の名前はエスデス――亡き友モハメド・アヴドゥルに代わって貴様を殺す人間だよDIO」 勢い良く放たれた氷柱が開戦の合図となった。 「くだらん」 DIOはそれを掴み、粉々に握り潰すと、エスデスに返すように投げ、己も立ち上がる。 「ちょうど血を求めていたところだ、誰かは知らんが……このDIOとの糧となるがいい!!」 常人離れした脚力で一気に距離を詰めた人外達は互いの拳を重ね合わせる。 「右腕が無いようだが大丈夫か?」 「ハンデ、そう受け取ってもらって構わない」 DIOの右腕が欠損していることに気付くエスデスだが彼は余裕の表情を浮かべている。 舐められた物だ……距離を大きく取ると氷をマシンガンのようにDIOへ放つ。 その速度と量は花京院のエメラルドスプラッシュを簡単に越えて行く。 「フハハハハハハハハハハ!! このDIOを止めたくばその三倍の弾幕を持ってくるがいい!!」 腕を広げ、天井を見上げて高笑いを響かせるDIO。 余裕のその身体に迫る氷の弾丸を――浮かび上がったスタンドが防ぐ。 「無ゥゥゥゥ駄ァッッッ!!!!」 適当なコンクリートの柱を腕力のみで抜き去るとそれを薙ぎ払う。 すると目の前に迫っていた氷の弾丸は総て壁に激突し消滅してしまった。 「そうでなくてはつまらんぞDIO!」 世界が薙ぎ払ったコンクリートの上に立っていたエスデスは腕を付着させ柱を凍らせた。 そのまま表面を滑るように駆け落ちると踵落としを世界に叩き落とす。 一撃は阻まれるが、距離を詰めることには成功し、踵から世界を凍らせようと試見る。しかし。 「無駄ァ! 無駄と言っておろうがあ!!」 力任せに大地へ足を振り下ろし、その振動と衝撃を活用して一歩だけ後方へ下がるDIO。 彼とエスデスの間にスタンドである世界が割り込む形となり、拳のラッシュを叩き込む。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 荒れ狂う拳の嵐をエスデスは両腕を交差させ耐え凌ぎ、その場から動かない。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 両腕を氷で覆い隠すことにより、防御性能を向上させた彼女だけに出来る業。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――無駄ァッッ!!!!」 ラッシュの〆は一歩踏み込み、重心を乗せた強き一撃。 氷は砕け散り、エスデスは無防備な状態なってしまい、更に拳が迫る。 「ぶっ飛ばされろ! エスデスゥ!」 反動を利用した豪快な一撃がエスデスの顔面に直撃し、轟音を響かせながら壁に激突する。 「ふふ……ハハハハハハッハハハハハハハハ!!」 砂塵が晴れる前に立ち上がったエスデスは奇妙で不気味な高笑いを響かせる。 「女ながらに大した生命力だが……これで終わりだ!」 人間三人分はあるであろう瓦礫を彼女へ放り投げるとDIOは勝利を確信して再び椅子に座る。 「な、何~~~~このDIOの尻がッ! 凍っているッッ!?」 椅子に座ると伝わるヒンヤリとした波紋はただの氷。 こんな芸当が出来る相手など一人しかおらず、砂塵の中からエスデスの姿が映る。 「き、貴様……何故このDIOと戦う」 「アヴドゥルは言った。DIOは危険な男だから気を付けろ、と。 気になるじゃないかあ、どれ程の男なのかこの眼で確かめたくてな……実に強い男だよDIO」 一歩ずつ距離を詰めるエスデスはまるで未来から来た殺し屋のように凄みを感じさせている。 美貌も重なってとても絵になっているが、笑みと口元に付着している血液が不気味さを演出させる。 「アヴドゥルに言われただけでこのDIOを狙うのか……信じられん思考回路だなァ!」 踵で椅子を蹴り飛ばし、強引に尻と隔離したDIOは怒り共に世界を具現化させ彼女に拳のラッシュを叩きこませる。 「お前の言ったとおりだぞアヴドゥル、DIOは強い――手は抜いてられんなあ!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――!? む、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 DIOは驚愕する。 スタンドの奥で拳の応酬を繰り広げているエスデスが笑いながら世界と拮抗しているから。 「デモンズエキスで武装すれば肉弾戦だろうと対応は出来る……どっちか無駄か競おうではないか」 拳を氷で包み込んだ女王は拳闘家顔負けのラッシュを世界に浴びさせている。 空中で激しく火花を散らす拳と拳、北方司令部の建物に振動が響き渡る。 「くだらんッ! 楯突くなよこの人間がァ!!」 ラッシュが吹き荒れようと拳の数が増える訳ではない。 世界の拳がエスデスの拳を掴み、両者の動きが止まる。次の一撃を繰りだそうと世界が右足を振り上げる。 エスデスの顎を蹴り上げ――氷で防がれる。 「お前も人形に頼らず直接来たらどうだ?」 腕を振り下げ世界の拳から開放されると、後方へ距離を取るついでに氷柱を投擲。 DIOはその氷柱を蝿を落とすように左拳で粉砕し、近くに世界を引き寄せた。 「人形劇でも見せてくれるのかDIO? 私は飽きっぽいぞ」 「そんなことはせんよエスデス。少々貴様のことを甘く見ていたようだ。 女だからといって舐めていたが……このDIOが今まで出会ってきた女の中で戦闘力だけならば一番だ」 「それは光栄だ」「だが!」「ん?」 「『スピード』!『パワー』! このDIOの『世界』が上回っているッ!! 生身でよくぞここまで戦ってくれたなエスデス、貴様に『世界』の一時を体感させてやろうッ!!」 エスデスと世界が一斉に大地を蹴り上げ、空間を跳ぶように距離を詰める。 互いに顔面を捉えるべく拳を突き出し、両者に直撃する瞬間――世界が止まる。 「――――――――ッ!?」 気付けばエスデスは世界の拳の直撃を受けており、遥か後方に飛ばされていた。 何が起きているか解らない――訳でもなく、この瞬間に総てを確信した彼女の表情は笑顔である。 壁に激闘しながらも死神のように立ち上がり、その視線は遠くで勝ち誇っているDIOを射抜いていた。 「面白い……ッ! やはり私の思っていたとおりだよDIO!」 右の掌から氷を槍のように射出し、彼の心臓を貫かんとするが右に跳ばれ避けられてしまう。 間髪入れずに何度も射出しながら距離を詰めるエスデス。依然としてDIOに攻撃を与えられないが、世界は目の先である。 右手を氷で武装した彼女は嗤い共に拳を突き出す。対する世界も拳を突き出し、互いが衝突する。 誕生した衝撃波が北方司令部の建物を豪快に揺らすが、犯人たちは止まらない。 「しぶとい女だ……だがこれで終わりよ――『世界』!!」 幾らぶっ飛ばしても何度も立ち上がってくるエスデスに悪態をつくDIOだが総てを終わらせるために世界を止めた。 『世界』の能力である時間停止を用いた結果、先程も彼女を簡単に吹き飛ばしていた。 「止まった世界で動けるのは頂点に君臨する……このDIOだけだ」 永遠の刹那を噛み締めるたった独りの帝王は余裕の表情を浮べながら語る。 この声を聞く存在など、世界には居ないが、それでも彼の声は曲がりにも世界に響いている。 「もう少し太ければこのDIOの腕になったんだがな……惜しい、実に惜しいぞエスデス」 欠損した右腕の補充を考えていたが、女性である彼女の腕は細すぎた。 戦闘能力は文句無しであるが、合わないものは仕方ない。そして血を吸うのももったいない。 故にDIOが選ぶのは肉の芽による新たな下僕の補充である。 食蜂操祈と花京院典明が死んだ今、下僕は佐倉杏子とイリヤの二名である。 どちらも戦闘能力を保有こそしているが、幼き少女であり、戦果は期待出来ない。 しかしエスデスならばどうだろうか。 「喜ぶがいいエスデス、貴様はこのDIOの――――――なッ!? き、貴様ッ!?」 エスデスの顔を覗き込もうとしたDIOの顔色が絶望に近い何かに変わっていく。 あり得ない、こんなことはあっちゃあいけない。 「何故だッ! 何故ッ! 貴様はッ!!」 『世界』が後方へ下がり、その軸足に体重を乗せ、強力な一撃を放つ体制に移行する。 肉の芽を中断したDIOは冷や汗を流しながら、止まった世界で彼女を睨む。 「あり得ない……この力はッ! この『世界』はッ!! 帝王であるこのDIOにのみに許された力ッ!!!」 『世界』の右拳が彼女をぶっ飛ばさんと迫る。 DIOの不安を消去するために風を切り裂く一撃は彼女の顔面に吸い込まれていった。 「何故貴様が止まった『世界』を認識している――――――――エスデスッ!?」 「もう時は動いているぞDIO」 『世界』の拳はエスデスが精製した氷の膜に阻まれ、彼女に損傷を与えることは出来なかった。 お返しだと謂わんばかりに彼女はスタンドごと吹き飛ばすように巨大な氷を創りあげ――爆ぜた。 粉砕した氷は零距離の弾丸となり、嵐のようにDIOを襲う。 「く――舐めおってこの人間があああああああああああああああああああ!!」 世界のラッシュで無数の弾丸を叩き落とすが、総ては不可能であり、幾つかは身体を掠っている。 幾らか生々しい傷が出来上がるが、それでも弾丸は止まらず、彼を殺すべく絶え間なく流れてくる。 「まだそんな力を隠していたか……面白い!」 「気化冷凍法――使うつもりは無かったがな」 吸血鬼の力を利用し、己の目の前にある水分を凍らせたDIOは即席で氷の壁を精製した。 これにより弾丸は総て壁に衝突し、吹き荒れた嵐が収まった。 エスデスが世界の領域に辿り着いていることを知ったDIOの表情は悪い。 対する彼女は樂しみにしていた獲物が自分の想像を遥かに上回る存在で嘲笑っている。 どちらが悪か解らないが――そんな記号で判断すような存在ではない。 「認めようエスデス……貴様は強い、故に」 「さっきも言ったがそれは光栄だ。私も楽しめたからな……後は」 DIOは怒りに任せ、目の前の人間を殺すべく『世界』を飛ばす。 「頂点はこのDIOのみッ! ここで死ねェィッ!!」 エスデスは大地に両掌を付着させ、DIOの足元に巨大な足場を氷で創り上げた。 「吸血鬼は陽の光に弱いのだろう――太陽まで運んでやるッ!!」 『世界』が到着するよりも早く、エスデスの氷がDIOを持ち上げる。 長い塔のように伸び続ける氷は止まることを知らず、そのまま天井へ到達し―― 「こ、この女~~~~~~~~~~ッッッ!!!!」 天井を突き破ってDIOを、吸血鬼を遥か蒼穹の頂きへ送るべく伸び続ける。 そこは吸血鬼の弱点でもある――太陽に近付いていた。 ■ 大地に倒れこむ佐倉杏子の胸に空いていた風穴は魔力による修復で塞がれていた。 しかし喰らった衝撃や失った血液を補えている訳でもなく、呼吸を乱しながら大地に伏せていた。 その身体の上には氷や瓦礫があり、身動きは出来そうに無い。 凍らされていた足を開放することには成功しているものの、身体を動かすには厳しい状態である。 瞳には情けなさと虚しさが帯びており、その顔は後悔の色に染まっている。 「全部、全部思い出した……ちくしょう……ッ!」 エスデスによって凍らされた肉の芽は真髄総てを包まれ、永遠の零度によりその効果と活動を停止した。 それに伴い佐倉杏子にはこれまでの記憶と行動が総て開放され、己の脳には物語のように再生されているのだ。 御坂美琴のことも、モハメド・アヴドゥルのことも、マオのことも、DIOのことも――ノーベンバー11のことも総て。 DIOに対する怒りと、己に対する苛立ちを言葉に乘せて吐きながら拳を大地に叩き付ける。 自分は何をしていた、あの男に従って、尻尾を振り、媚を売って生きていた……反吐が出る感情が吹き荒れる。 「ふざけやがって……」 今すぐにでもぶん殴りたいが生憎、エスデスに完膚無きまでに敗北したこの身体では動けない。 グリーフシードが無い今、魔力に対して最大限の注意を払っている関係もあり、傷の治りは遅い。 「此処に来てからあたしは何してんだよ」 殺し合いに巻き込まれた彼女は優勝するべく参加者を殺そうとした。 しかしその結果、戦果は零であり、何処か迷っている自分がいた。 次に出会ったジャック・サイモン――ノーベンバー11。 論された自分の中には人間としての佐倉杏子と絶望に染まった魔法少女としての佐倉杏子が対立し始める。 そして追い打ちを掛けるように知らされる巴マミの死――佐倉杏子は総てに置いて中途半端であり、願いも大切な人も何もかも。 「何も出来てねえ……何も、ただ知り合いが死んでいくだけだ……」 その手が掴んだ物は奇跡でも友情でも愛でもない。 何せ何も掴めていないのだ、感情だけが先走り、彼女はただ独りで倒れている。 「へっ……最期くらいはさ……あん?」 「無事か嬢ちゃん……お前、その傷はどうした!?」 そんな彼女に寄り添うように現れた一匹の黒猫。 見覚えがあるその姿に佐倉杏子は言葉では表現出来ない表情を浮かべる。 「下手踏んだだけだよマオ……DIOの野郎に洗脳される前から、あたしは最初から駄目だったんだ」 「DIOの野郎……ッ! お前、自分を取り戻したのか」 佐倉杏子の言葉遣いから違和感が消えていることを察したマオは総てを理解する。 明らかに別人のような言動を取っていた彼女が己を取り戻し安堵するが、状況は何一つ変わらない。 奥の建物である北方司令部の中からは絶え間なく戦闘音らしき豪音が響いている。 恐らく佐倉杏子を倒した人物も中で暴れていると予測し、早々にこの場を立ち去りたいところである。 しかし、瀕死である彼女を運ぶには猫の身体じゃ到底無理な話であり、移動することは不可能だ。 「よくあたしの居場所が解ったな」 「あれだけ煩くしてれば誰でも解る、猫だしな」 「はは……お前は早く此処から逃げな、此処に居たら死ぬぞ」 遅かれ早かれ戦闘が終われば勝者が建物から出て来るだろう。 当然、佐倉杏子の姿を目撃する訳であり、瀕死の参加者が居れば首輪を回収するために殺される未来が簡単に見える。 お前まで付き合って残っていれば死んでしまう、と彼女なりの優しさを込めてマオを追い払おうとする。しかし。 「そんな泣きそうな面で何言ってやがる、早く此処から逃げるぞ」 マオは逃げるどころか自分の身体を拘束している瓦礫を退かそうと必死に小さい身体で押していた。 その光景に驚き、何処か嬉しみを覚えながらも彼女は。 「そんなことしても無理だ……合理的な考えはどうしたんだよ」 「知らん。可能性が少しでもあるなら無理をしてでも賭けるのが人間だろ?」 「……猫じゃん」 「言ってな……だが全く動かんぞ」 顔を伏せた佐倉杏子はマオに気付かれないように少しだけ涙を流す。 何故かは解らない。だが、こんな自分を救おうと頑張る姿を見て、心に光が差し込んだ。 希望が彼女の中で微かに芽生え、生きる気力が湧いてくるが――現実は非常である。 「屋根が突き破られて――クソッ!!」 最小限の動きだけで首を捻ると、背後の建物の天井が破れ巨大な氷柱が出現していた。 絶え間なく天に伸び続けるそれを見てみると、僅かにだが人影が見える。 その存在を忘れる訳が無い。佐倉杏子は自分が求めるべき相手の名を叫ぶ。 「DIO……アイツもあの建物に……けど」 己に降り注ぐ瓦礫から逃れる術など存在するはずも無く、黙って押し潰されるのを待つしか無い。 「杏子、立てるか!? 無理してでも走れ!」 それでもマオは自分だけ逃げることはせず、未だに彼女に乗る瓦礫を取り除こうとしている。 激励の言葉を投げ、奮い立たせようとするも、状況は何一つ変わらない。 二人揃って死の未来から逃げ出せない――死神の足音が聞こえてくる。 (はぁ……最期くらいはさ) マオが到着する前に生まれた独り言を思い出す。 これまでの人生を振り返って、散々ではあるが、その中でも幸福はあった。 自分の支えになった巴マミ、何かしらの影響を与えたいけ好かないジャック・サイモンことノーベンバー11。 家族や彼らの姿が脳内を駆け巡り――会いに行く前に最期の仕事を行うだけ。 「愛と勇気が勝つストーリーってあるじゃん。 あたし、さ。好きなんだよね……だからあんたは生きなよマオ。ついでに御坂を救ってやってくれ」 「何言って――おい!」 槍を瞬時に精製し持ち手の部分でマオを瓦礫落下地点――自分の側から遠ざける。 彼女の行動に抗うマオだが、小さいその身体では不可能。彼だけが生存圏内へ移動した。 「杏子……お前」 御坂を救ってやてくれ。 こんな状況で他人を心配する佐倉杏子はお人好しだった。 最初の出会いからでは想像出来ない――いや、出来たが、彼女の心を覆っていた氷は溶けていた。 殺し合いに巻き込まれ精神的不安に煽られていた偽物の心ではなくで、彼女が本来持っている心が。 その顔は泥に塗れていようが、笑顔だった。 「じゃあな――マミさん達の所に行ってくる」 そして瞳を閉じる。 殺し合いに来てから何も出来ていない自分が最期にしたのが一匹の猫を救うこと。 言葉だけで見ると意味が解らない……自分の行いだが自然と笑いが溢れる。 (そういやまどかも……生きてるのはさやかとほむらだけか) 魔法少女の運命に弄ばれた知り合いも今や自分を含め三人が死亡。生きているのは二人だけ。 杏子は知らないが既に魔法少女は赤と青しか生きていなく、その片翼である赤も此処で死ぬ。 (エスデスって言ったっけ……お前の氷よりも何倍も冷たかったぞ、ジャック……じゃなくてノーベンバー11) あの女は強かった。悔しいがグランシャリオ込みでも勝てなかった。 皮肉と苛立ち混じりにノーベンバー11へ八つ当たりをするが……死後の世界まで取っておこう。 (DIOの野郎をぶん殴ること頼むの忘れてた……あのチビ、エドワード辺りに任せるか) 付き合いは限りなく短いが、鋼の錬金術師は何処か信頼を預けれる存在だった。 自分と背丈が似通っている男だが、自然と肩を並べられる存在だった印象が強い。 彼ならばDIOを倒し、御坂を救ってくれるかもしれない……それこそ最期に愛と勇気が勝つような筋書きだ。 「じゃあなマオ、あたしは先に行ってるから絶対に追い掛けてくんなよ」 迫る瓦礫を気にせず、最期だけは笑顔でマオに別れを告げる。 走馬灯のように長い時間だった。いや、これが走馬灯なのかと実感している。 何時まで経っても瓦礫が落ちてこない。 人生を振り返るには充分過ぎる時間が経過している。 瞳を再度閉じて自分の死を待つ。 有りもしない奇跡に縋った哀れな人生であったが、出会いも会った。 笑顔で死ねるならそれはそれでいいかもしれない――けれど彼女の世界は止まらない。 「勝手に諦めるな!! お前はまだ生きてんだろ!!」 一度見たことがある機械鎧の腕を持った男が佐倉杏子に向かって叫んでいる。 決して大きいとは言えない背丈と背中ではあるが、何故か安心感が生まれてしまう。 「誰ももう……死なせてたまるかよ!!」 瓦礫を阻むように錬成された大地の屋根が佐倉杏子の生命を守る。 死を覚悟していたが、どうやらまだ生きれるらしい。 彼女の瞳から涙が流れる。その真意は彼女自身にしか解らないであろう。 愛と勇気が勝つストーリー。 駆け付けてくれたエドワード・エルリックの姿は何処か彼女にとっての救世主であった。 「お前、御坂はどうした?」 「これだけ煩けりゃ気になっちまう……こいつを治療してからとっとと御坂を止めに行く」 倒れている佐倉杏子の身体を瓦礫から背負うと、エドはこの近くにある病院へ向かう。 救える生命が目の前にあるならば、その身を危険に犯してまででも救おうとするのが彼である。 「馬鹿だな……お前、本当に馬鹿だよ」 先程まで氷が近くに存在していたせいもあり、エドの背中は何故か暖かく感じた。 「いいのか、あたしは――」 「殺し合いに乗っているなら俺が止めてやるから覚悟しとけよ」 「な……」 「解ったなら喋るな。とっととこっから離れるぞ。余計な体力使って死にました何て俺は絶対に認めねえからな」 「だとよ、嬢ちゃん」 錬金術師と魔法少女と契約者。 その姿、能力、生き様は総て違えど何かの縁が一同に介した。 DIOと御坂。それぞれの共通点に思いを馳せながら佐倉杏子を治療するために――病院へ。 【D-1/一日目/日中】 【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、精神的疲労(大) [装備]:無し [道具]:ディパック×2、基本支給品×2 、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、 不明支給品×0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、 パイプ爆弾×4(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ、みくの不明支給品1~0 前川みくの首輪 [思考] 基本:主催の広川をぶっ飛ばす 0:佐倉杏子を病院へ運んだ後、南へ向かい、御坂をボコしてでも殺しを止めさせる。 1:大佐やアンジュ、前川みくの知り合いを探したい。 2:エンブリヲ、DIO、御坂、エスデス、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。 3:ひと段落ついたらみくを埋葬する。 4:首輪交換制度は後回し。 [備考] ※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。 ※前川みくの知り合いについての知識を得ました。 ※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。 関与していない可能性も考えています。 ※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。 ※エスデスに嫌悪感を抱いています。 【マオ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】 [思考] 基本:俺も焼きが回ったか。 0:エドと一緒に行動して杏子を治療する。 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:精神疲労(中)、疲労(大)、ソウルジェムの濁り(中)、身体に風穴(修復済) [装備]:自前の槍@魔法少女まどか☆マギカ [道具]:基本支給品一式、医療品@現実 大量のりんご@現実 不明支給品0~2(確認済み) [思考・行動] 基本方針:殺し合いについて考える。 0:…………馬鹿ばっかだ。 1:DIOはぶん殴る。 2:巴マミを殺した参加者を許さない。 3:殺し合いを壊す。 4:御坂は―― 5:死ぬのはまだらしい。 [備考] ※参戦時期は第7話終了直後からです。 ※DARKER THAN BLACKの世界ついてある程度知りました。 ※首輪に何かしらの仕掛けがあると睨んでいます。 氷柱によって天へ運ばれるDIOは狂気混じりにエスデスに向かい、叫ぶ。 それは様々な感情を込めた――怒りの言葉。 「WRYYYYYYYYYYYYYYY!! このDIOを太陽に近付けるなどやってくれたなァ!!」 闇夜を主役に仕立てる吸血鬼の弱点は生命の起源でもある陽の光。 人間だった頃に石仮面を被り吸血鬼と化したDIOにとってそれは抗えない禁忌の光である。 身体の表面に光が当たれば、その部分は耐え切れなく、肉が削ぎ落ちることになってしまう。 「だがこんなくだらんことで終わることがなかろうがァ!!」 エスデスの策略によりDIOの身体は太陽に近付いている。 唯でさえ弱点と云えるそれに接近するなど愚弄、死にに行くことと変わりない。 しかし帝王である彼はこんなところで死ぬつもりなど無い。帝王に敗北など許されない。 バッグの中に手を伸ばした彼は状況を打開する一手を引き抜く。 手にしたそれを天に掲げ、陽の光に反射した輝きを以って自らの身に纏う。 「インクルシオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 悪鬼纏身インクルシオ。 世界に蔓延る悪を葬るべく受け継がれた帝具を悪の象徴たるDIOが纏う。 闇の羽衣を被った彼に陽の光は届かず、太陽がどれだけ輝いていようと当たらなければどうということはない。 陽の光を無効化したDIOは下で待ち受けているだろうエスデスを殺すべく行動を始める。 手始めに氷柱を滑って降りるように左腕だけを柱に付着させ降下していく。 氷柱を削っていき速度を調整し――スタンドを発動する。 「『世界』!」 具現化された『世界』もまた左腕を氷柱に突き刺し――上半分を抉り取った。 「受け取れエスデス……『世界』に抗った貴様に『死』の贈り物だァ!!」 「インクルシオか! 一度は殺り合いたいと思っていたがこの際貴様でも構わん」 大地から構えるエスデスは空から自分を殺さんと降って来るDIOを見つめ口角を上げる。 ナイトレイドの中でも屈指の実力者と言われていた帝具インクルシオ。 使い手は違えど、それが目の前に存在するだけで彼女のボルテージは限界を振り切った。 誰も到達したことのない速度に乗った感情を以って、相手をしなくてはならない。 渾身の笑みを浮かべたエスデスは両腕を広げてを天を見上げる。 視線の先には殺し合いが始まった時から蹂躙する対象と定めていたDIO。 両腕に冷気を纏わせる。 アヴドゥルに聞かされた時から興味を惹かれていた吸血鬼でありスタンド使いのDIO。 自分に警戒を促す程の存在だ、この世に二人と存在しない強者なのだろう。 集まる冷気は彼女の周囲に存在する全ての物体を凍らせる。 時間停止さえも使えるDIOは想像以上の大物だった。 教えてくれたアヴドゥルには感謝してもしきれない――代わりにこの手で殺してやろう。 集約させた冷気の掌を合わせ、限界まで圧縮させる。 思えばこの会場に来てから何一つ行動を起こせていない。 DIOの他にも強い参加者は大勢いるようだ――今からでも取り返せる程に。 合わせた掌を広げるように離す、その空かれた空間には氷塊。 「私は此処に居るぞDIO……さぁ、どちらが強いか決めようじゃないか」 限界にまで高めた冷気を上空へ放つ。 表現するならば波動砲のように圧倒的な冷気は空から迫る悪を殺す。 「くだらん!!」 それがどうした、勝のはこのDIOだと謂わんばかりに鼻で笑う。 『世界』己の全身を大きく撓らせ、下から迫る冷気に対抗するべく左腕を振るう。 「このDIOを追い詰める人間など一人しかおらんッ! そして奴は既に死んでいるッ!! 万が一にも貴様が勝つなどあり得ん!! ぶっ潰れろォ!! エスデスウウウウウウウ!!」 全力を以って氷柱を彼女へ振り下ろした。 「ここまで楽しめるとはな……改めて礼を言うぞアヴドゥル!! DIOは! この私が! 今! 此処で殺してやる! あの世で見ているがいいッッッ!!」 圧縮から開放された冷気は巨大な衝撃波動――ビームのように『世界』の持つ氷柱と激突する。 轟音をがなり立て、建物を破壊し続ける氷の激突だが、限界が生じる。 エスデスが放つ氷は無限大であるが、DIOが振るう氷には限界がある。 削り取られると、彼の武器は消滅するが、止まらない。 「『世界』――時よ止まれ」 時間を停止させたDIOは『世界』と共に、迫る氷塊を砕くべく拳のラッシュを吹き荒れさせる。 己の腕は一つしかないが、このままでは氷に飲まれ死んでしまう。 そんな間抜けな死に方、誰がするものか、勝つのはこの帝王たる己であると証明するために。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 エスデスに気付かれるよりも早く氷を粉砕しなくてはならない。 『世界』の両腕と己の片腕にて限界まで砕くが、敵対する氷は無限大である。 削れる部分もたかが知れており、全てを粉砕することなど――不可能である。 「チィィィィ! だが此処まで削れば充分よ! 貴様を殺すのは忌々しい太陽が落ち、月が現れた時だエスデス」 ラッシュを止めた彼は粉砕した氷を足場に空中を歩く。 飛び乗りを繰り返し、この場から離脱するためだ。 数多に砕かれた氷と元々空中から降下したことによって生まれているエネルギー。 「時は動き出す――さらばだエスデス」 そして動いた時から開放される停止した世界で起きたエネルギーが爆発し、DIOは急速でその場を後にした。 空中から降下し数エリア分吹き飛んだDIOは近くの建物――時計台に避難する行動を選択する。 血と右腕の回収を第一に、昼が終わるのを待つ。 夜になれば主役は吸血鬼たる己。 もう二度と、氷の女王に遅れを取ることなど――あり得ない。 【B-1(南西)/一日目/日中】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ】 [状態]:疲労(大)、右腕欠損 、全身に傷(小)、怒り、 [装備]:悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る! [道具]:ディパック×1 基本支給品×1 [思考] 基本:生き残り勝利する。 最早この帝王に油断はない。 0:コンサートホールへ避難し、時を待つ。 1:ジョースター一行を殺す。(ジョセフ、承太郎) 2:エスデスの殺害。 3:寄生生物は必ず殺す。 4:右腕の確保。 [備考] ※禁書世界の超能力、プリヤ世界の魔術、DTB世界の契約者についての知識を得ました。 ※参戦時期は花京院が敗北する以前。 ※『世界』の制限は、開始時は時止め不可、僅かにジョースターの血を吸った現状で1秒程度の時間停止が可能。 ※『肉の芽』の制限はDIOに対する憧れの感情の揺れ幅が大きくなり、植えつけられた者の性格や意志の強さによって忠実性が大幅に損なわれる。 ※『隠者の紫』は使用不可。 ※悪鬼纏身インクルシオは進化に至らなければノインテーターと奥の手(透明化)が使用できません。 ※暁美ほむらが時間停止の能力を持っていることを認識しました。また、承太郎他自分の知らない参加者も時間停止の能力を持っている可能性を考えています。 ※魔法少女についての基礎知識を得ました。 1.魔法少女とは奇跡と引き換えにキュゥべえと契約してなるものである。 2.ソウルジェムは魔法を使う度に濁り、濁りきると魔法が使えなくなる。穢れを浄化するにはグリーフシードが必要である。 ※エスデスが時間停止の能力を持っている、或いは世界の領域に侵入出来ることを知りました。 「フハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!! 面白い……私は今、楽しみに満ちている……ッ!!」 瓦礫の中から這い出て来た氷の女王の嗤いが空間に響く。 獲物であるDIOこそ逃がしてしまったが、実に充実した時間だった。 故に最期のお楽しみである生命が終わる瞬間に辿り着けなかったのは残念である。 ならば、また殺しに行くまで。 「南に行けば雷光・東に行けばエドワード、ジョセフ、ヒースクリフが居る。 前者は新たな戦争、後者は主催者への接触に近付ける可能性が高いな……あの魔法少女も生きているのか」 DIOを見失った今、エスデスが次に出る行動とは何なのか。 狂気に促されるように戦争を求めるか、仲間の元へ駆け寄り殺し合いを打破する鍵となるか。 「いや――奴らと殺り合うのも悪くないな」 氷の女王が目指すべき場所。 それは雷光が照らす先か。 幾つもの参加者が反射する東か。 「もうまどろっこしいことは止めよう。 私はこの付近一帯しか行動していないからな――蹂躙するにはまず己の足を動かさなくては」 南下し更なる参加者との接触を――彼女は選択した。 【D-1(南)/一日目/日中】 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:疲労(大)、全身に打撃痕(痛みは無し)、高揚感、狂気 [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3、修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る! [思考] 基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。 0:亡き友アヴドゥルの宿敵DIOを殺す。 1:何処に向かうか考える。 2:クロメの仇は討ってやる。 3:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。 4:タツミに逢いたい。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。 ※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。 ※アブドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。 ※DIOに興味を抱いています。 ※暁美ほむらに興味を抱いています。 ※暁美ほむらが時を止めれる事を知りました。 ※自分にかけられている制限に気付きました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であることを知りました。 また、DIOが時間停止を使えることを知りました。 ※足立が何か隠していると睨んでいます。 ※平行世界の存在を認識しました 時系列順で読む Back 名前のない怪物 Next Inevitabilis 投下順で読む Back 名前のない怪物 Next Inevitabilis 110 ぼくのわたしのバトルロワイアル エスデス 147 とんとん拍子 ヒースクリフ(茅場晶彦) 141 銀を求めた黒は赤と会う エドワード・エルリック 132 翔べない天使 123 無数の罪は、この両手に積もっていく 佐倉杏子 109 雷光が照らすその先へ DIO 150 LOOK INTO MY EVIL EYES
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179 WILD CHALLENGER(後編) ◆dKv6nbYMB. ← ☆ (やり辛い相手ですね) 追ってきたヒースクリフの相手をする魏は純粋にそう思う。 水流を操り攻撃をしかけても、その手に持つ盾により全て捌かれてしまう。 かといって右手を流れる血を当てようにも、その身体能力の高さからそう易々とは当たってくれない。 更に言えば、幾らかは当たっているにも関わらず、まるで痛みなど感じさせない動きをし続けているのだ。 そして、なによりやり辛いと思うのは、彼の戦い方だ。 盾で防ぎ、致命的なものは避けて躱す。 ただそれだけしか彼は行わない。 防戦一方、と書けば魏が有利に立ち回れているように思えるが、断じて違う。 彼には余裕が見てとれるし、なにより反撃する気配すらない。 その証拠に、魏が戦いの最中にわざと隙を作っても、そこを突こうとすらしない。 慎重を通り越して臆病にも見えるほど、ヒースクリフは反撃に移ろうとしないのだ。 (私の体力切れを狙っているのか...?) 魏の戦闘は、帝具だけでなく血を流す対価もあるために、他の参加者よりも体力の消耗が早い。 ヒースクリフがそれを知っているのなら、ここまで徹底的に防御に周っている理由も頷ける。 ならば、帝具と能力の使用を控え、いまの持ち物で戦うとしよう。 魏がブラックマリンの使用をやめ、ナイフを構えたその時だ。 「ようやくか。そろそろ頃合いだと思っていたよ」 ヒースクリフが嗤う。 魏は、彼の言葉に殊更に警戒する。 ようやく。頃合い。 その二つのワードが示す答えはひとつ。 ここから、ヒースクリフの反撃が始まるに違いない。 手遅れかもしれないが、ブラックマリンを発動させようとする魏。 そんな彼に、ヒースクリフは。 「降参だ。私に戦う意思はない」 両手を挙げた。 「な...」 「聞こえなかったかい?私はきみと戦うつもりはないんだよ」 魏は思わず驚きで固まってしまった。 この男、ヒースクリフは自らに余裕があるにも関わらず、降参するというのだ。 合理的に考えずとも、その行為は明らかに不自然であり、なにか罠を張っているにしても露骨すぎる。 なにか目的があるのかと勘繰るのがごく普通の反応だ。 「降参、ということはつまり、あなたについている首輪をよこす、ということで構いませんね?」 「それは困る。私もまだ死にたくはないんでね」 「ならば、命乞いでもするつもりですか」 「それも違う。それは、きみもよくわかっているはずだ」 ヒースクリフの言動に、ますます魏は困惑の色を浮かべる。 自殺願望があるわけではなく、かといって追い詰められての命乞いに走るわけでもない。 ならばなにが言いたいのだ。 それを魏が口にする前に、ヒースクリフは回答を提示した。 「私はきみの追い求めるものを知っている―――どうかな、私と取引をしてみないか?」 ☆ キング・ブラッドレイの強さはその鍛え上げられた身体能力と経験にある。 如何に『最強の眼』を持ってしても、それだけでは弾丸飛び交う戦場を生き残ることはできない。 銃弾を認識してから避けられる反射神経と認識の理解力が必要だ。 一度に複数の敵に切りかかられても捌ききれる剣術が必要だ。 如何なる攻撃においても決して致命傷を受けない結果が必要だ。 例え最強の眼が無くとも、その強さは圧倒的と言っても過言ではないだろう。 さて、そんなキング・ブラッドレイの相手は帝国最強の肩書きを持つエスデスだが、その戦況は。 「素晴らしいぞ、キング・ブラッドレイ!この私と斬り結べる奴など数えるほどしかいないぞ!」 「......」 拮抗していた。 剣は暴風のように振るわれ、留まることを知らない。他の侵入を許さない。 ただ、剣同士が打ちあう無機質な音が響き渡るだけだ。 片や、それなりに戦闘の痕は残しつつも未だに致命傷を負っていないキング・ブラッドレイ。 片や、マスタングの命がけの錬成により重傷を負っているエスデス。 どちらが有利かは火を見るより明らかだ。 だが、現実にはこうして互角に剣を打ち合わせている。 理由の一つとして、エスデス自身の精神がある。 エスデスの強さは、帝具の強さではなく彼女自身の強さである。 例え、帝具を持っていなくとも、帝国最強の座は揺るがず、反乱軍やナイトレイドにとってはやはり最大の壁として立ち塞がっていただろう。 そんな彼女が、死にかけであるにも関わらずブラッドレイと互角に戦えているのは、これ以上ない高揚感故にだろう。 エスデスは生まれついての狩人であり強者だ。 こと戦においては、軍での集団戦はもちろん、個人の戦いでも未だ無敗。 敗北していればこうして生きてはいない。 そんな自分と、小細工も無しにまともに斬りあえる存在と初めて出会えたのだ。 足立透が憎しみによりその身に刻まれた痛みを忘れていたように、エスデスもまた高揚感により分泌されたアドレナリンで、肉体に刻まれた痛みを忘れていた。 故に、いまに限ってはブラッドレイに追いすがれる動きが出来ている。 ―――だが、それでも拮抗は長く続かない。 打ち合う数が百を超えたあたりだろうか。 エスデスの氷の剣は折れ、ブラッドレイの右手のデスガンの刺剣が彼女自身を貫かんと突き出される。 エスデスはそれをしゃがみ込み回避。氷で固めた拳をお見舞いしようとブラッドレイの腹部へと放つ。 が、しかし。 ブラッドレイは左腕のカゲミツの柄でそれを受け止める。 次いで再び振るわれるデスガンの刺剣は、後方への跳躍によって躱される。 エスデスの頬に一筋の線が入り、髪が数本抜けるだけに留まった。 (チッ、やはり即席の剣では耐久力がないな) いくらエスデスの氷でできたものとはいえ、やはり普通の刀剣に比べれば心もとない。 普段から使用している剣、せめて普通の刀剣があればよかったのだが。 「どうした。先程の彼に使っていた力は私には見せてくれんのかね」 だが、無い物をねだったところで仕方ない。 肝心な時に欲しいものが無いことなど、戦ではザラにある。 いまあるもので愉しむまでだ。 「いいだろう。望み通りとくと味わえ。この私の、エスデスの全ての力をな!」 エスデスが地面に手をつけ、吼える。 殺意を持って繰り出される氷のつぶてが、氷柱が、絶え間なくブラッドレイに襲い掛かる。 ブラッドレイは、襲いくる氷を払い、躱しながら思う。 そもそもここに足を運ぶ原因となった爆発は誰のものか。 エスデスはこの通り氷を操り、彼女と交戦していた男は水流を操っていた。 どちらも爆発など起こせるはずもない。 自分が知る中で、あれほどの爆発が起こせる心当たりは三人。 身体中に武器を仕込んでいるセリュー・ユビキタス。 紅蓮の錬金術師、爆弾狂ゾルフ・J・キンブリー。 そして、高い火力を持つ焔の錬金術師、ロイ・マスタング。 だが、前者二人は既にこの世を去っており、下手人にはなりえない。 そうなると答えはひとつ。 そのことが彼の心に引っかかり、剣に『揺れ』が生じていた。 それもまた、重傷のエスデスと互角だった所以だろう。 「ひとつ聞かせてくれんかね」 だが、それはまだあくまでも可能性。 支給品による爆発の可能性も充分ありえる。 可能性が事実へと変わるまで、彼の戦いは【お父様】のためにある。 彼の剣の『揺れ』を収めるには―――真実を知るしかない。 「きみにそれほどの深手を負わせただろう爆発―――誰の仕業かね?」 「ロイ・マスタングだ。貴様も戦っただろう?」 ブラッドレイの世界が止まる。 ロイ・マスタング。 人柱候補の一人であり、【お父様】の計画には欠かせない存在だった。 故に、ブラッドレイは、幾度も戦闘を繰り広げつつも、彼を保護するスタンスは決して変えなかった。 彼とエドワード・エルリック、そして己の兄であるプライドやエンヴィーと共に帰還するつもりだった。 だが、それももはや水泡に帰した。 長兄であるプライドは滅び、ロイ・マスタングも消えた。 エドワードはともかく、エンヴィーもどうなっているかはわからない。 【お父様】の計画は―――おそらく、自分が生きている内に完遂することはなくなっただろう。 そのことを理解した彼の剣は――― 「...?」 ブラッドレイの剣の衰えに疑問を抱くエスデス。 マスタングが死んだことを告げた途端、明らかに彼の剣に変化が起きたのだ。 速さも、力強さも、しなやかさも。 全てが、彼の剣からは損なっていた。 「どうした。奴はお前の親しい仲だったのか?」 声をかけてみても、それは戻らず。 彼は、最低限の動きで迫りくる氷に対処するだけだ。 (まさかマスタングの死がそこまで影響するとはな) セリューやマスタングのように怒りや恨みを力に変えるのならよかったが、ブラッドレイは違う。 マスタングの死により、戦意を喪失してしまっている―――少なくとも、エスデスにはそう見える。 「呆気ない幕切れだが、まあそれも仕方ない。だが、私と互角に戦えたんだ―――敬意をもってその命、刈らせてもらおう」 片腕を掲げ、冷気を集めて巨大な氷塊をつくる。 ウェイブとサリアに放ったものと同じ技だ。 これを作っている最中に攻撃を仕掛けてくると思ったが、その気配も無し。 あっという間に氷塊は模られ、巨大な氷の隕石と化す。 「精々、華々しく散ってくれよ、キング・ブラッドレイ――――!!」 エスデスの腕が振り下ろされ、巨大な氷の隕石が、ブラッドレイに襲い掛かる。 その質、生身で受ければ如何なる生物の生存も許さないだろう。 そして、それは彼も例外ではない。 迫りくる絶対の死を目前にして、キング・ブラッドレイは。 ―――まるで赤子のように微笑んだ。 ☆ キング・ブラッドレイ。 元の親の名は知らず、己の本当の名すら知らず。 物心ついた時には白衣を身に纏う者たちに監視されて生きてきた。 『大総統候補』。それが彼の名の代わりであり、他の大勢いた『大総統候補』たちの内の一人に過ぎなかった。 彼は、そんな『大総統候補』たちと共に様々な教育を受けさせられた。 剣術・銃術・軍隊格闘。あるいは帝王学・人間学... 自分が国を動かす人物になる。そう信じこまされ、どんな辛い訓練だろうと耐えてみせた。 生身の人間が注入されれば、身体も精神も破壊してしまう賢者の石。 それにすら打ち勝ち生き残ってみせた。 だが、その果てに掴んだものはひとつだけ。 『大総統の座』も『部下』も『力』も『息子』も、そして『己の名前』すらも。 ただひとつ、『妻』以外は全て与えられたものだ。 来たる『約束の日』のために。【お父様】の計画のために。 彼の人生は、彼のものではなかった。 そんな彼でも、最後の最後に、己のための戦いを満喫し、妻に遺す言葉も無く朽ち果てる。 それが正史における彼の人生だった。 だが、この殺し合いにおいて彼は転機を迎える。 正史において繰り広げた、グリードの回収やリン・ヤオたちとの戦い。 それらは全て任務の範疇だったが故に、彼の本能を抑えることができた。 だが、このバトルロワイアルにおいての戦闘は違う。 美遊・エーデルフェルト、渋谷凛、御坂美琴、セリュー・ユビキタス、ウェイブ、アカメ、泉新一、雪ノ下雪乃、イリヤ・スフィール・フォン・アインツベルン... 正史では有り得なかった強敵たちとの戦いは、容赦なく彼の本能を刺激し、昂らせていった。 そして極め付けが、目的の損失。 長兄プライドは死んだ。人柱候補のマスタングは死んだ。 もはや、彼のこれまでの人生は無意味になったと言えるだろう。 そして、仮にエドワード・エルリックとエンヴィーを連れて帰還できたとしても。 マスタングに代わる人柱候補など易々と見つかるわけがない。 そして、兄弟たちや【お父様】のような不老の肉体を持つわけでもない彼の人生は、余生も用意された椅子に腰を落ち着け、一時もレールから外れることを許さずに終えるだろう。 ならば、彼がここで生き残ることは無意味か? ―――否。 剣を構え、迫りくる死へと直面する。 嗚呼、なんということだろうか。 使命から解放されるとは、こうも心地よいものなのか。 用意された人生が終焉を告げたのなら、それは新たな人生への第一歩だ。 もはや【お父様】や白服の科学者たちは見向きもしないだろう。 結構だ。ここから先は誰の干渉も不要。 これまでの人生が水泡に帰したのなら。果たすべき役割が失われたなら。 ここから先は、誰にも縛られず、誰の干渉も受けず。全て己のために戦い、己で考え、己で決めた道を歩もう。 迫りくる死への脅威へと向かう足は、不思議と軽かった。 さあ、行こう。私の新たな人生よ。 ☆ 男は走る。 放たれた氷の隕石を正面から切り裂き、両断していく。 その勢いを殺さず、ただただ、一筋の光となって。 エスデスはその様を、己の全力を込めた一撃を両断されていく様を見ていることしかできなかった。 その鋭さに。 力強さに。 しなやかさに。 美しさに。 ―――神の如く洗練された剣術の頂点に、ただ見惚れていた。 そして。 サクリ、と。 そんな音すらも置き去りにして。 彼女が我に返った時には、既に己の腕が宙を舞っていた。 ☆ エスデスの左腕が舞う。 無意識下の生存本能が、エスデスの身体を後退させ、その死を回避した。 その代償が、それでも間に合わなかった左腕。 肘から先は、血すら遅れて流れるほど鮮やかに肉も骨も切断された。 だが、ブラッドレイの攻撃はまだ終わらない。 両手の剣が、今度こそエスデスの命を刈り取るためにこれでもかというほどに振るわれる。 いまのエスデスにそれと打ち合うことはできない。 必死に避けつつ氷の壁を張ろうとするが間に合わない。 剣が振るわれる度にエスデスの皮膚は裂け、血が滲み出る。 このままでは刈り取られるのは時間の問題だ。 どう対処すべきかを考えているその隙を突き、ブラッドレイの膝蹴りがエスデスの鳩尾をとらえる。 よろめき後退するエスデスへと追撃の剣を振るうブラッドレイ。 彼女の背後には奈落があるが関係ない。 数瞬の後に、彼女が落ちる前にその首を刎ねる。 もはやキング・ブラッドレイの勝利は確実だ。 ―――だが、イレギュラーというものはいつ如何なる時にも存在する。 戦場の武神すら魅了してしまうほどの一閃。 戦いに身をおくものであるほど心を奪われる一種の芸術ですらあるそれを見ても尚、最善の手を打てる男が一人。 戦いそのものには執着を抱かず、いついかなる状況でも合理的な判断を下すことができる『契約者』。 それこそが、魏志軍。 いまのブラッドレイにとってのイレギュラー。 彼は息を潜めて待っていた。 エスデスとキング・ブラッドレイ。 二人の猛者を同時に葬れるこの機会を。 そして、ブラッドレイが氷塊を切裂いた時には既にブラックマリンを発動していた。 ブラッドレイがエスデスを崖際に追い詰め、魏の存在に気が付いた時にはもう遅い。 地面から噴出した小さな津波が二人をのみこんだ。 (やったか...?) 魏が水流で直接殺そうとせず、押し流す形にしたのは、キング・ブラッドレイの眼を考えてのことだ。 点で攻撃すれば、おそらく見切られてしまうだろう。 ならば、面で攻撃すれば避けることはできまい。 こちらに背を向けているのだから、エスデスの氷塊を斬ったようなバカげた真似もできないはず。 念のために用心しつつ近づき、血をかけられる準備をする、 ただ、誤算があるとすれば。 「ッ!?」 魏はブラッドレイの力を全て見ていた訳ではない。 そのため、彼の反応速度を甘く見積もってしまった魏に、あの数瞬で、不意打ちに反応し振り返り津波を切裂くなどという在りえない事態を予測できるはずもない。 エスデスの氷塊に比べれば、魏の起こした津波などまさしく紙細工。 それでブラッドレイの足を止めようなど片腹痛い。 突き出されたデスガンの剣は魏の脇腹を裂き、そして。 ―――例え神のごとき目を持っていようとも、見えないところからの攻撃は防ぎようがあるまい ふと、先刻のアカメたちとの戦闘が思い浮かぶ。 経験則といえば聞こえはいいが、これはただの直感だ。 このまま踏み込むのは危険だと。 そして、その予感は的中していて。 ブラッドレイの眼前から、突如にして魏の姿が消える。 同時に。 突き出される剣が一振り。 それは、ブラッドレイの左目へと正確に突き出され――― 「悪いがそれは二度目だ。同じ手はくわんよ」 神聖十字剣、ヒースクリフの剣の腹を左手で弾く。 驚くヒースクリフを余所に、ブラッドレイの剣は彼の脳天を貫いた。 はずなのだが、妙だ。 手応えがまるでない。 「残念。私の身体は少々特殊でね」 たったいま、脳天を貫かれて絶命したはずのヒースクリフが薄ら笑いを浮かべる。 思えば、頭を貫いたというのに、血の一滴すら出ていない。 ホムンクルスですらそんなことはありえないこの現象に、さしものブラッドレイも驚きほんの一瞬だけ動きを止める。 そして、その一瞬の隙に、ブラッドレイの脇腹に赤いなにかが付着する。 血だ。 背後に潜んでいたヒースクリフがシャンバラを使い、今度はヒースクリフ自身の背後に移動させていた魏が、血を放ったのだ。 パチン。 指が鳴らされるのと同時、ミギーに斬りつけられた箇所と同じ場所が削り取られる。 ブラッドレイは苦痛に顔を歪め、僅かながらに身を捩る。 その隙を付き、神聖剣十字盾がブラッドレイの腹部を強打し、魏はその背後からナイフを投擲し、追撃。 ブラッドレイは吹きとばされながらも、ナイフを弾きダメージを減らす。 「おっと。これもお忘れなく」 弾いたナイフに括り付けれていたのは、ビリヤードの球。 球が割れ、飛び出す小さな水流をブラッドレイが躱す術はない。 水流は針となってブラッドレイの左目を傷付ける。 そして、吹きとばされ抵抗できなくなったブラッドレイは―――今度こそ、奈落へと落ちた。 ようやく戦場は静寂に包まれた。 やったのか、という視線を送る魏に対して、ヒースクリフは首を横に振る。 「アカメたちも一度は落としたらしいが、ご覧の通りだ。なにかしら奴特有の復帰方法があると見て間違いないだろう」 「...なるほど。生死の確認をしようと顔を覗かせれば」 「あっという間に殺される危険性が高い。ここは素直に退散するとしよう」 ☆ 「ふむ」 数分後、誰もいなくなった戦場に一人佇むのは、キング・ブラッドレイただ一人。 彼は、前回落とされたのと同じ方法で奈落より復帰した。 「覗きに来るほど迂闊ではなかったか」 もしも、魏たちが生死の確認のために顔を覗かせていようものなら、彼は躊躇わずその顔面を貫いていただろう。 「身体はまだ動く。武器もまだ使える。左目は...しばらく使い物にはならなさそうだ」 先程の攻防にて。 魏の奇襲によって、ブラッドレイの左目は潰された。 完全に使用不可能という訳ではなさそうだが、回復するまでには時間がかかりそうだ。 目が回復するのが先か。自分が全てを討ち取るのが先か。それとも、この身が滅びるのが先か。 もうどのような結果になろうと構わない。 己の欲望のままに力を振るうエスデスとの戦いで奮起されたあの感覚は。 魏たちやアカメたちとの戦いで受けた痛みと共に思い出したあの感覚は。 どうやっても忘れることはできそうにない。 『お前まで生きているとなると広川の存在に疑問を抱くな。まるでお父様とやらも生きているように感じてしまう』 『お前もセリムもお父様もエンヴィーも……グリードも全員死んだ。 記憶を操作されているのかもしれんがお前程の男が広川に洗脳されるとは思わん。 私を騙すつもりかもしれないが、その程度で欺けると思われているとは元部下として心外だ』 ふと、マスタングの言葉を思い出す。 あの時は確証が持てなかったが、今は違う。 図書館の書物に、あのヒースクリフの身体...間違いなく、自分が生きた時代の技術とは別のものだ。 彼の言葉が真実であるならば、正しい未来において自分はもちろん、他のホムンクルスや【お父様】も敗北したということだ。 (だが、この殺し合いにおいては正しい未来など関係ない。ただ、己の道を切り開けた者だけが残っていく) ただ己のためだけに戦い、勝利した者だけが生き残っていく。 改めて考えれば、なんとも自分に相応しい催しではないか。 効率よく、などとまどろっこしいことはもう止めだ。 己の気が向くままに、ただ己の為に戦いたい。 それを邪魔するのならば、例え誰であろうと斬って捨てる。 プライドとマスタングを失い、ほとんどの枷が外れたブラッドレイの本能を止めることは誰にもできない。 強いて言うならば、最後の枷となっているのは、人柱となる予定であったあの少年。エドワード・エルリックの存在だ。 「果たして、きみと私が直接戦ったのかどうかは知らんが、本来ならば私は死に、きみが生き残るはずだったのだろう」 ならば、これはひとつのケジメだ。 自分を縛り付けてきた過去への、与えられ続けただけの人生への別れの儀式だ。 彼に引導を渡し、過去の自分と、在りえたはずの正しい未来の自分とケリを着ける。 『大総統』の座から降り、ただ一匹の獣となるために、彼はその歩みを進めた。 (私が敗北し、エドワード君が生き残るのが運命というならば...運命―――これほど戦い甲斐のある相手もおるまい) 【D-6/一日目/夜中】 【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(大)、出血(中)、腕に刺傷(処置済)、両腕に火傷(処置済)、腹部より出血(中)、左目にダメージ(中) [装備]:デスガンの刺剣(先端数センチ欠損)、カゲミツG4@ソードアート・オンライン [道具]:新聞、ニュージェネレーションズ写真集、茅場明彦著『バーチャルリアリティシステム理論』(全て図書館で調達) [思考] 基本:とにかく楽しめる戦いをしたい。 0:何者にも縛られず、己のためだけに戦い続ける。なんとも心地よいものか。 1:北に向かい、最後の枷(エドワード)に決着を着ける。 2:御坂との休戦を破棄する。一刻も早く強者と戦いたい。 3:弱者に興味はない。 [備考] ※未央、タスク、黒子、狡噛、穂乃果と情報を交換しました。 ※超能力に興味をいだきました。 ※マスタングが人体錬成を行っていることを知りました。 ※これまでの戦いを経て、「純粋に戦いたい」「強い者と戦いたい」という感情がむき出しています。 ※糸(クローステール)が賢者の石で出来ていることを確認しました。 ★ 茅場晶彦のチャット内容(一部抜粋) KoB:あなたは私以外の参加者についても事情を把握している。そうですね? UB001:もちろん。でも、それをあなたに教えるつもりはないよ。 KoB:それくらいのことは弁えていますよ。ただ、あなたと少し世間話がしたくて。 UB001:ふーん。なんでまた? KoB:せっかくの機会ですからね。色々と聞いてみたいんですよ。 UB001:構わないよ。ただ、あなた自身が既に知っている範囲でしか答えないからね。例えば、『キリトくん自身や、キリトくんが死んだことに対する感想』とかは答えるけど『キリトくんの死因』とかは答えないから、そのつもりで。 KoB:ありがとうございます。では早速。キリトくんについては私がよく知っているので...アヴドゥルさんについてお話しましょう。 UB001:アヴドゥル。あなたとしばらく行動してた人ね。 KoB:彼は、自分が傷つくのは我慢できるが、他者が傷つくのは見ていられないタイプと見た。おそらく、あのエスデスでさえも味方でいる限りは見捨てることはないでしょう UB001:ああいう根本から善い人、嫌いじゃないよ。普通、会ったばかりの子にあんなことを聞かされて、避けるどころか気を遣おうとするなんて中々できないことだと思うよ KoB:同感です。私もまどかの話を聞いた時は耳を疑いましたからね。 UB001:へえ、意外。科学者ってこともあるし興味深々なんじゃないかと思ったけど。 KoB:それは否定はしませんね。アバターならいざ知らず、生身であるのに、頭を吹き飛ばされたり、首を吹き飛ばされたりしたにも関わらず生きているなんて人間を越えているとしか思えない。非常に興味深くはありますよ。...おっと、言っておきますが私はグロテスクな趣味があるわけではありませんからね。 UB001:さて、どうだか。 KoB:そういえば、まどかの死因にはあの魏という男も関わっているのでしょうか。承太郎と足立が生き残り、彼女と花京院が死んでいるとなれば研究所での私の推測も UB001:そういうのは答えられないって言ったでしょ。 KoB:おっと、失敬。...しかし、もしまどかの死因に関わっているとしたら彼とはなるべく遭遇したくはありませんね UB001:彼、契約者にしては執念深いからね。もしコンサートホールで姿を見られてたら危ないかも。 KoB:それは怖い。なるべく会いたくはないものですね。 (以下略) ☆ ヒースクリフが魏志軍に持ちかけた取引は、黒の居場所を教える代わりに銀を探すのを手伝ってほしいということ。 偶然にも、互いに探し人と遭遇しており、魏は合理的判断により、交渉に応じることにした。 とは言っても、手を組んで周るわけではなく、あくまでも情報交換で留めるだけのつもりだったが... 「しかしあの二人、邪魔だと思わないか?」 「奇遇ですね。私もそう思っていたところですよ」 キング・ブラッドレイもエスデスも、殺し合いを優勝するにしろ脱出するにしろ、その強さが厄介だ。 特にエスデスはあの重傷の身体を見れば先は長くないことがわかるし、多くの参加者を敵に回し過ぎた。切り捨てるメリットの方が大きいだろう。 ならば、排除できる内には排除しておきたい。 その意見が合致した二人は、一時的に手を組みエスデスたちの排除を試みた。 尤も、エスデスはともかく、ブラッドレイは生きているだろうが... 「どこまで運べばいいかな?」 「この辺りで結構ですよ」 負傷した魏を背負い、闇夜を駆けていたヒースクリフは、魏の要求通りここ、E-5で足を止めた。 「もう一度確認しようか。私は黒くんと出会ったら、きみの伝言を伝える」 「私が銀を見つけたら地獄門まで連れて行く、ですね」 ヒースクリフが小さく頷き、借りたシャンバラを返すと、魏は一足先に闇夜に消える。 「そこまでして彼を追う執念、どこから来るのか聞かせて貰いたいものだ」 ヒースクリフの言葉が聞こえていたのかどうかはわからないが、魏からの返答はなかった。 「大きな収穫があった」 茅場晶彦はポツリと呟く。 協力者に魏を選んだのは、黒から得た情報と、UB001とのチャットの内容を照らし合わせての判断だった。 黒に敗北した。執念深い性格。 この二つの事実が合わされば、自然と彼の狙いも絞れてくる。 そこで、カマをかけたところ見事にかかり、一時的な協力者とすることができた。 チャットの件に関しては気になる部分も多かったが、いまは置いておく。 魏と一時的に戦闘を繰り広げたのは、エスデスたちの戦場から離れると共に自分の身体について確認するためだ。 キリトの身体は死亡と共に消滅した。つまり、生身ではないということだ。 ならば、自分は?いつもの通り、彼と同じアバターなのか。この表示されているHPバーや保持スキルの通り、やはり自分だけはアバターの身体なのか。 また、HPはどの程度の攻撃を受ければどれほど減るのか。 それを確認するための戦闘だった。 そのため、魏の血にわざと当たったりもした。 結果は予想通り。 魏の血がいくらか身体を削ろうとも、大したダメージにはならない。 つまりは、首輪さえ守っていれば即死に至ることはほとんどない。 そのことがわかっていたからこそ、ブラッドレイの剣を頭で受けるなどという無茶な作戦もこなせたのだ。 (流石に一撃で50%近く削られたのは予想外だったがね。この手は二度は使えまい) だが、あのブラッドレイに傷を負わせ、左目にもダメージを遺せたのは大きい。 運が良ければエスデスも処分できたというのだから十分すぎる対価だ。...彼女なら生きていても不思議ではないが、それでも片腕の切断とあの重傷では先は長くないと信じたい。 そしてもうひとつ。 エスデスより承ったこの死体。 まどかと、おそらく暁美ほむらの死体だ。 これを手に入れた理由として、万が一エスデスが生きていた時のために、この死体を使ってエスデスの悪評をばら撒く目的もある。 だが、それはあくまでもおまけだ。 本当の目的はその死体に未だ嵌められているモノにある。 (魔法少女はソウルジェムを破壊されなければ死ぬことはない―――だが、まどかはともかく暁美ほむらのソウルジェムはまだ破壊されていない) ここから先は趣味の領域、銀に出会うことがメインクエストならば、これはサブクエストにしかすぎないものだ。 優先するつもりはないが、できれば手持ちのグリーフシードの有効期限が切れる前に調べておきたい。 なぜソウルジェムが濁り切ると死ぬのか。 それを調べるためにはこの死体はちょうどいい。 誰か知っている者、佐倉杏子か美樹さやかに尋ねるのもよし。 実際にこの死体を調べてみるのもよし。 (サブクエストにもそれなりに報酬があるのは付き物だ。悪いが、もう少し付き合って貰うよふたりとも) とにもかくにも、落ち着ける場所が必要だ。 南西側を先に周るつもりだったが、銀が南東にいるのなら話は別。 南西の調査は彼女を保護してからでも遅くは無いはずだ。 音ノ木坂学院...黒のやアカメたちの情報が正しければ、味方になる人間がいるはずだ。 まずはそこへと向かおう。 少々距離があるが、この身体ならば大した問題ではない。 己の欲望を満たすため、茅場晶彦の歩みは止まることを知らない。 【E-5/一日目/夜中】 【魏志軍@DAKER THAN BLACK‐黒の契約者-】 [状態]:強い決意、疲労(絶大)、黒への屈辱、背中・腹部に一箇所の打撃(処置済み)、右肩に裂傷(処置済み)、右腕に傷(止血済み)、顔に火傷の痕、左肩に裂傷、脇腹に裂傷、銀に対する危機感 [装備]:DIOのナイフ×8@ジョジョの奇妙な冒険SC(魏志軍の支給品)、スタングレネード×1@現実(魏志軍の支給品)、水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る(魏志軍の支給品)、次元方陣シャンバラ@アカメが斬る(セリム・ブラッドレイの支給品)、黒妻綿流の拳銃@とある科学の超電磁砲(星空凛の支給品) [道具]:基本支給品×3(魏志軍・比企谷八幡・プロデューサー・一部欠損)、テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカード@とある科学の超電磁砲(比企谷八幡の支給品)、 暗視双眼鏡@現実(比企谷八幡の支給品)、アーミーナイフ×1@現実(武器庫の武器)、 流星核のペンダント@DAKER THAN BLACK(蘇芳・パブリチェンコの支給品)、参加者の何れかの携帯電話(蘇芳・パブリチェンコの支給品・改良型)、 医療品@現実(カジノの備品)、鎮痛剤の錠剤@現実(カジノの備品)×4、 ビタミン剤の錠剤@現実×11(カジノの備品)、ビリヤードのキュー@現実×6(カジノの備品)、ダーツの矢@現実×15(カジノの備品)、懐中電灯×1@現実(カジノの備品) ビリヤードの球(細工済み)×7 [思考・行動] 基本方針:全ての参加者を殺害し、ゲームに優勝する 0:地獄門に向かい、黒を待つ。道中、銀を発見したらなるべく刺激しないように地獄門まで連れて行く 1:BK201(黒)の捜索。見つけ次第殺害する。 2:強力な武器の確保。最悪、他のゲーム賛同者と協力する事も視野に入れる。 3:合理的な判断を怠らず、可能な限り消耗の激しい戦闘は避ける。 4:あのドールは……。 5:あの男(ブラッドレイ)は危険。もっと準備をしなければ。 [備考] ※テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカードには回数制限があり、最大で使用できる回数は3回です(残り1回)。 ※上記のIDカードがキーロックとして効力を発揮するのは、ヘミソフィアの劇中に登場した“物質転送装置”のような「殺傷能力の無い機器」・「過度な防御性能を持たない機器」の2つに当てはまる機器に限られます。 ※暗視双眼鏡は、PSYCO-PASS1期10話で槙島聖護が使用したものです(魏はこれを暗視機能の無いごく一般的な双眼鏡と勘違いしている)。 ※スタンドの存在を参加者だと思っています ※シャンバラの説明書が紛失している為、人を転移させる謎の物体という認識です。 ※シャンバラは長距離転移が一日に一度で尚且つランダム。短距離だとエネルギー消耗が激しいですが、通常通りに使用できます。 ※ブラックマリン・シャンバラ共に適正を持ち合わせており、特に後者については出典元であるアカメが斬る!での所持者・シュラと同等の高い適正を誇っています。 ※シャンバラの大まかな使用用途を理解しました(長距離制限には気付いてない)。 ※あらかじめ水源付近(H7北部の河川)にシャンバラでマーキングを行っています。 ※ペルソナとスタンドの区別がついていません。 ※銀の変貌に勘付いていますが、黒との決着を優先しています。 【ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】 [状態]:HP45%、異能に対する高揚感と興味 [装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン、神聖十字剣@ソードアートオンライン [道具]:基本支給品一式、まどかとほむらの縫い合わされた死体、グリーフシード(有効期限あり)×2@魔法少女まどか☆マギカ、指輪@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞、クマお手製眼鏡@PERSONA4 the Animation、キリトの首輪 [思考] 基本:主催への接触(優勝も視野に入れる) 0:もっと異能を知りたい。見てみたい。 1:銀と言う少女を探す 。 2:黒とできれば合流したい。また、魏からの伝言『地獄門にて貴様を待つ』を伝える。 3:チャットの件を他の参加者に伝えるかどうか様子を見る。 4:主催者との接触。 5:ロックを解除した可能性のある田村玲子、初春と接触したい。 6:北西の探索を新一達に任せ、自分は南の方から探索を始める。 7:南の花陽やヒルダの方も余裕があれば探す。 8:キリトの首輪も後で調べる。 9:余裕ができ次第ほむらのソウルジェムについて調べる。 [備考] ※参戦時期は1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。 ※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。 ※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。 ※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。 ※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。 ※この世界を現実だと認識しました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼だと知りました。 ※平行世界の存在を認識しました。 ※アインクラッド周辺には深い霧が立ち込めています。 ※チャットの詳細な内容は後続の書き手にお任せします。 ※デバイスに追加された機能は現在凍結されています。 パキリ、パキリと氷を踏みしめる音が奈落に響く。 片腕を斬りおとされ、全身をなます切りにされ、水流にのまれ。 それでも彼女は生きていた。 水流にのまれた彼女は、どうにか一部の水を凍らせることにより、ひとまずは脱出。 その後の落下は免れないが、氷を身に纏い浮かせることにより、エスデス自身の落下を防ぐ。 自在に動くことはできないが、壁に手が届くまで移動するだけならば問題はない。 壁に触れて足場を作り、徐々に階段を作り地上まで昇っていく。 「......」 キング・ブラッドレイというこれ以上ない強者と戦えたというのに、彼女の顔は晴れない。 例え、腕を斬られて奈落に落ちようとも、だ。 こうして生きている以上、彼女はまだ敗北していないのではないか? (そんなわけがあるか。私は、あの男に完膚なきまでに敗北した) キング・ブラッドレイの得物が名刀の類だった。 エスデスのコンディションはとても万全と言えるものではなかったため、技の威力がウェイブたちの時と比べて格段に落ちていた。 確かにそれらもあるかもしれない。 自分が万全の状態であれば、また違っていたかもしれない。 (そんなものは言い訳だ。奴の太刀筋に惚れた時点で、私の負けなのだ) 実際は、閃光よりは遅かっただろう。反応しようと思えばできる程度の速さだっただろう。 もう一度戦えば、腕を切りとられることなどないだろう。 だが、それでも。それでもだ。 エスデスがその太刀筋に見惚れ、不様に腕を斬られたという事実は決して消えはしない。 彼女の帝具を含めた全ての力を、一刀のもとに伏せられたという敗北の事実は。 (これが敗北、か。あまり味わいたくはないものだ) 最高の敵との戦闘による充足感よりも、いまの彼女を占めているのは悔しさだ。 エスデスは生まれついての狩人であり強者だ。 こと戦においては、軍での集団戦はもちろん、個人の戦いでも未だ無敗だった。 その強さ故に、エスデスは常に追われる者であり、決して誰かの強さを追うことはなかった。 だが、ここで初めて彼女に壁が出来た。 キング・ブラッドレイという最大にして最高の壁が。 同時に、新たな高揚感が湧きあがってくる。 DIOのように自分と同じ『世界』に踏み込んでいるわけでもなく、ただただ純粋に強いあの男を越えたい。勝ちたいという衝動が。 (初めてだぞ、こんな気持ちは。これが挑戦...なんと甘美な響きだろう) 『最強』の座より引きずりおろされた彼女は、今まで以上に強さに飢えるだろう。 ウェイブやマスタングは格上である自分に立ち向かった。 ならば、今度は自分の番だ。あの男を相手に勝利を掴むため―――強くなってみせる。 例え、直に身体に限界が訪れようと、それが戦いを、強さを求めるのを止める理由にはならない。 あの男を超える。 新たな決意を胸に抱き、彼女の顔はようやく笑みを浮かべることができた。 【D-6/崖/一日目/夜中】 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:疲労(絶大)、ダメージ(極大)、全身に打撃、高揚感、狂気、左半身焼却(処置済)全身に斬傷(氷で止血済み)、左爪先消滅(止血済み)、左腕切断(氷で止血済み) [装備]:なし [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3、マスタングの首輪 [思考] 基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。 0:キング・ブラッドレイを超える。そのためにより多くの強者との戦闘を行う。 1:強くなりたい。 2:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。 3:タツミに逢いたい。 4:ウェイブを獲物として認め、次は狩る。 5:拷問玩具として足立は飼いたい。 6:アカメ(ナイトレイド)と係わり合いのある連中は拷問して情報を吐かせる。 7:後藤、魏志軍とも機会があれば戦いたい。 8:もう一つ奥の手を開発してみたい。 9:島村卯月には此方から干渉するつもりはない。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。 ※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。 ※アヴドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。 ※DIOに興味を抱いています。 ※暁美ほむらが時を止められる事を知りました。 ※自分にかけられている制限に気付きました。 ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であることを知りました。 また、DIOが時間停止を使えることを知りました。 ※平行世界の存在を認識しました。 ※奥の手を発動しました。(夜中) 時系列順で読む Back 掴みかけた糸口 Next 望まれないもの(前編) 投下順で読む Back 掴みかけた糸口 Next 望まれないもの(前編) 174 絶望を斬る キング・ブラッドレイ 191 寄り添い生きる(前編) 御坂美琴 182 魂の拠り所(前編) 163 MESSIER・CODE/VI952 魏志軍 184 この情熱、この衝動は、自分を壊して火がつきそうさ 164 交差 ヒースクリフ(茅場晶彦) 186 その手で守ったものは(前編) 175 激情の赤い焔 エスデス 182 魂の拠り所(前編)
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182 魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk ← まるで標本にされた昆虫のようだ。 身体の至る所を鉄パイプで貫通され大地に固定されたエンヴィーの姿は正に置物だ。 巨躯を活かし豪快に戦闘していたものの、その図体の大きさが仇となった。 タツミが前線で気を引きつけている間に白井黒子は何本もの鉄パイプをエンヴィーに突き刺した。 何度も何度も繰り返される中、ストックされている賢者の石の回復速度を凌駕し始め、ホムンクルスは動けずにいた。 「く……お前も天城雪子みたいに殺してやる、殺してやるからな」 「此方の台詞ですわ。暴れると更に刺しますわよ」 「やってみろよ人間風情が調子に乗りやが――エドワード……エルリック」 苛ついたエンヴィーが目にしたのは気付けば錬成陣の上に立つ鋼の錬金術師だった。 所々に傷を覆っているものの、致命傷は受けていなようだ。 「戻ってきたってことは……」 「おう! 目が覚めればこいつは美樹さやかだぜ」 「よかった……本当によかった」 事実として本当に美樹さやかが助かった証拠は無い。 解るのは錬成した本人であるエドワードだけだが、タツミは彼を疑わなかった。 言葉は感謝の念だ。もう振り返れない誤ちに向き合う奇跡を得た故に。 「よぉエンヴィー……お前らは殺し合いを企てて何を考えてやがんだ?」 「あん? 何言ってんだよ。僕だって巻き込まれたんだぞ。ラースやプライドは知らないけどね。 少なくとも一緒に行動していたキンブリーも僕と同じ立場だよ。まさか名簿にホムンクルスの名前があったからって勝手に決めつけてる?」 「て、テメェ……」 動きを抑制されていようがホムンクルスの口は良く回る。 その言葉に苛立つエドワードだが、顔つきは神妙であった。 「なんだよその顔は」 「お前達、まさか見捨てられた訳じゃないよな」 「――――――どうしてお前はあの時も今も、ニンゲンにそんな哀れむような目でこっちを見るなああああああああああああ!!」 「こいつ何処にそんな体力が残ってんだよ!?」 「やるしかありませんわね」 「エンヴィー……お前……」 暴れ狂う嫉妬の体現者は己の身体を強引に動かし固定されていた鉄パイプを弾き飛ばす。 その場で跳躍するとエドワード達を押し潰そうと、しかしその場には誰もいない。 「ちょこまかと逃げてさああああああああああああああ」 テレポート。 何度もやられているその能力にホムンクルスは更に苛立ちを募らせる。 「なんだよどいつもこいつも! 苦しめても何度だって立ち向かって来やがって! 天城雪子の時もだ、美樹さやかの時だって……ああ! なんなんだよお前らニンゲンは!? キンブリーの野郎もエンブリヲの野郎にも……今はお前達に――あぁ、屈辱だ……屈辱だよォ!!」 「うるさいな貴様。 折角のタツミとの再会なのに――凍れ」 まるで時が止まったようだった。 その女の登場に誰一人して気付くことは無かった。 「おっと、気配を殺していたからな。気付かないのも無理はない」 そして全てを見透かしているかのように解答を吐くと――エンヴィーの巨躯が凍り始める。 「貴方は何者ですの……?」 「エスデス、聞いたことは無いか?」 「ウェイブさんやセリューさんの……」 「ほう。あいつらと出会ったのか。 セリューは残念だがウェイブは面白い成長を遂げているぞ」 「エスデス……何してんだよテメェ」 「エドワードか。首輪の解析は進んでいるか?」 「何してるかって聞いてんだよ!」 「見れば解るだろうに――なぁ、タツミ」 「その身体……あんた程の奴がどうしてそんな……」 氷の女王エスデスは帝都に置ける最強の存在であり、殺し合い参加者の中でも最強格の強さを誇る。 その女を見ろ。彼女を元の世界から知っているタツミは驚くばかりだった。 左腕は斬り裂かれており、身体の半身が黒く焼け焦げだ。生々しい火傷は見ているだけで痛覚を刺激される。 「私のことを心配してくれるのか――嬉しいぞタツミ!」 「――ッ!?」 生きている右腕で急にタツミを抱き始めたエスデスには全員が困惑していた。 遠巻きで眺めている小泉花陽とヒルダでさえ異変に気付いている。 「お前は何なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 「やかましい奴だな――もう死ね」 エスデスが指を弾くとエンヴィーの顔が凍り始めた。 その光景に対しタツミは彼女の腕を振り解き剣を向ける。 エドワードは既に走り始めており、拳を握り氷の女王に迫る。 「何やってんだよエスデス」 「邪魔をするな」 しかし接近の間にエスデスは氷の壁を生成すると、エドワードの動きは止まってします。 錬成した刃で破壊しようと試みるも一撃では壊れない。 「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!! なんなんだよ本当にお前らニンゲンは……ははっ、おかしいだろ? 身体の感覚が失われていく」 「え、エンヴィー!!」 「あはははははははははは! このエンヴィーがまたニンゲンに負ける!? なんて屈辱だ……ハハ、嗤われずにいられるか、ふざけんな、お前らも嗤えよ!!」 「………………お前」 「じゃあなエドワード・エルリック。精々あがけよ、この腐った世界でニンゲン共がどれだけ醜かろうと」 ホムンクルスが凍る際に見せた表情は嘲笑うかのような悪魔のそれだった。 けれど、瞳はどこか哀愁が漂っており、悲しさを感じさせる程に弱い。 エンヴィーの最期を見届けたエドワードの感情は本人すら解らない。 今、解ることと云えば、許せない女が一人、立っていることだけだ。 「む――ホムンクルスか。ブラッドレイ程では無いがまあいい。耐久力のテストだ」 凍結されたエンヴィーの前に立ったエスデスは右足を一歩後退させる。 何をするかと思えば空間を抉り取るような回し蹴りを披露し始めたのだ。 その規格外な威力はエンヴィーの首だけを蹴り飛ばし、その首はヒルダ達の前にまで届く。 「――ッ、危ない!!」 突然の事態に反応出来ない小泉花陽だが、ヒルダは僅かに動けていた。 なけなしの力を込め、動けない彼女を押し飛ばす。 しかしヒルダ自身は動けていないため、氷塊の直撃を受けてしまう。 身体が押し潰され、臓器や骨が悲鳴を挙げる。 奇跡的に息はあるようだが、瀕死体であり彼女周辺には血の池が出来ている。 そして。 『二度目の干渉を確認しました。二十秒後に爆発いたします』 その音声は世界の終わりを告げるようだった。 「ふざけん、なよ……っそ」 叫ぶ元気も残っていない。 ヒルダが知るよしも無いが、エンヴィーの首輪は一度、警告されていた。 エンブリヲの干渉によって既にイエローカード状態だった枷に違反が加われば赤となる。 巻き込まれた側からすれば溜まったもんでは無い。 「ヒルダさん! い、今たすけ」 「来んな!!」 小泉花陽の身体がビクッと震え走りだした足が止まる。 ヒルダが氷塊の下敷きになっているのは己の鈍臭さが原因だった。 自分が居なければヒルダは無傷だった。その事実が小泉花陽の心を締め付ける。 幸い――かどうかは不明だが、首輪の音声が聞こえているのはヒルダだけである。 凍っているため音声が外にまで響いていないのが原因である。 そして厳密にはもう一つだけ不運が重なった。 それはエンヴィーの生命である。 本来の首輪であれば、死んだ段階でその機能を失い幾ら干渉した所で警告は発生しない。 エンヴィーの首はエスデスによって飛ばされているため、既に死んでいる――と普通なら思うだろう。 彼の本体はまだ生きている。けれど脳天が凍っているため外に避難出来ない状態だ。 彼はこの世界に留まっているが凍っているが故に身動きが取れない。 そのため彼の首輪は生きており、因果がヒルダに襲い掛かっていることになる。 「なあ」 ヒルダの声は掠れており、聞き取れるのがやっとの段階だ。 「お前は生きろ。 それとエンブリヲには気を付けろよな」 その言葉に自然と小泉花陽の瞳に涙が浮かぶ。 何故、そんなことを言うのか。まるでこれから死ぬかのようだ。 まだ、生きている。一緒に脱出する仲間では無かったのだろうか。 カチカチと無情に進む音が最期に聞く世界になろうとは。ヒルダはどうしようもない状況に笑っていた。 ふと遠くを見るとエスデスに対し三人が戦っており、此方に来ようとしているものの、来れそうには無さそうだ。 「人間でこんな氷なんてどんなチートなんだよあい……つ……ぐ」 縦横無尽に暴れ廻るエスデスはとてもじゃないが人間には見えない。 普通の人間にしては恵まれた身体能力と戦闘技術を持つタツミ。 瞬間移動と云うこちらもチート地味た能力を操る白井黒子。 最早なんでもありの謎の力を使うエドワード・エルリック。 この三人が束になっても劣勢にならない辺り、あのエスデスは規格外の存在なのだろう。 そんなことを考えてる間に、もう直爆発だ。 「呆気なさ過ぎる……戦い眺めてたら流れ弾もらって爆発死……笑えない」 殺し合いに巻き込まれた時点で多くの人間は運命を歪められている。 誰もが生き残れる訳では無く、誰も劇的に死ねる訳も無い。 抗えぬ現実には――屈するしか無い。 「あぁ……あたしもそっちにい、くぜ……っ」 カチリ、と二十の音が響き終わり――エンヴィーの首輪が爆発した。 「おっと爆発させる能力は持っていないぞ」 その音を聞いたエスデスは首を傾げながらも三人相手に一歩も譲らない。 テレポートの奇襲は全て出現地点を予測し予め氷塊を無数に飛ばすことで対処。 接近戦を挑むタツミに対してはそれに応えるべく氷の剣を精製し対峙。 エドワードの錬金術に関してはありとあらゆる氷のゴリ押しで封じていた。 「ひ、ヒルダ……?」 「――――――――――――。 白井! あの女の子だけでも連れて逃げろォ!!」 エドワードの叫びに白井黒子は首だけ動かすと瞬間移動の行使に移行する。 「ボサッとすんなタツミ!」 動く二人に対し爆発四散したヒルダの現実を受けいられないタツミは固まっていた。 しかし、意識を取り戻しすかさず白井黒子に向けバッグを放り投げた。 「それには悠と銀が眠ってる! そいつらも一緒に逃がしてくれ!」 「かしこまりましたわ。わたくしが戻るまで耐えてくださいまし」 「は!? お前もそのまま逃げろ馬鹿!」 「む、馬鹿って言う方が――失礼ッ」 バッグを受け取った白井黒子は迫る氷塊を回避するためにその場から消える。 「地獄の果てまで追ってやる。さぁ、逃げるがいい!」 「さっせかよおおお!!」 氷塊を無限に精製し射出するエスデスの正面に回り込んだタツミは剣を振るいその行動を止める。 その一撃は防がれるが相手の左腕欠損を狙い脇腹に蹴りが――決まった。 「それでこそ私が愛する男だタツミィ!!」 蹴りの直撃を貰ってもエスデスは止まらずに氷の剣でタツミに斬り掛かる。 剣を横に構え防ぐも、片腕からは信じられない力で押し負けてしまう。 「どこにそんな力が」 などと愚痴を零す暇も無く空を見上げれば巨大な氷塊が落ちて来ているではないか。 そのサイズはざっと――エンヴィーを遥かに凌駕していた。 「やれるかエドワード!?」 「やるしかねえ……やるしかねえぞ!」 「何がありましたの!?」 小泉花陽の元へ駆け寄る白井黒子は状況を確認する。 ヒルダだったものは木っ端微塵に吹き飛んでおり、残っているのは彼女の首輪だけだ。 残飯のようにぐちゃぐちゃと転がる肉片が異臭を放ち、この世を地獄だと錯覚させるようだ。 「わ、……庇って、そr,…………ばくは………………」 「――ッ、安心してくださいまし。一緒に此処から逃げますわよ」 彼女は当然のように放心状態だった。 思えばこれまでの彼女は懸命に頑張っていた。 エンヴィーの襲来により天城雪子が死んだ時も彼女は生き抜いた。 白井黒子は知らないがその後もセリューとの件や図書館での戦闘でも彼女は運良く生き残っていた。 まるで幸運の女神に愛されているように。 けれどここは地獄だ。女神も天使も存在しない。 ぺたりと座り込んだ彼女の瞳から溢れるように涙が溢れている。 大地には水溜りが発生しており、それ程流したのかと心配する黒子だが水分は一つではない。 強烈な出来事に下の方から水分も流れ、彼女は失禁していた。 それでも意識を失っていない辺り、強い心を持っているとも言えるのだが。 「さぁ此処から――ッ!?」 「白井さん……?」 背後から伝わる熱は氷塊が突き刺さった証だ。 見えない場所だが見なくても解る。致命傷では無いが立つのが辛い。 膝を着く白井黒子であるが、此処で倒れる訳にも行かないのだ。 エドワードが、タツミが。そして小泉花陽も戦っている。 自分だけ怠けては要られないのだ。此処は――抗う場面だ。 「もう少し楽しもうではないか――さぁこのエリアから逃げてみろ!」 エスデスが指を弾くと――信じられない事態が会場に発生する。 最早規格外を超えており些細な事では驚かないと思っていた四人に衝撃が走る。 彼らを包み込むように氷壁が発生し、その高さはざっと見、百メートル級だ。 「く――耐えなさい、白井黒子。小泉さんだけで、……っ」 「白井さん!? ち、血が……」 「気にしないでくださいまし。これぐら――い、なんとも……え?」 余談ではあるが、魔女から始まった一連の戦闘規模はこれまでの戦いの中でも図一だ。 近くに居なくても、遠くからでも音や光景を確認出来る程である。 この騒ぎに駆けつける参加者もいるだろう。それは不思議ではない。 それを踏まえてでも白井黒子は固まってしまう。 何故、この人が居るのか。 会いたかった。 心の底から求めていた。 けれど、怖かった。 自分の中に存在する彼女が消えるのが怖かった。 実際に遭遇すると頭の中が真っ白になる。 それでも声を振り絞った。 「この壁に風穴を空けてくださいまし――お姉様」 ■ 会いたい気持ちはあった。 実際に会ってみると、なんだろう。 殺せる気はするけど、身体も脳も動かない。 私はまだ甘い。 でも、少しだけまだあの頃に戻れるような気がした。 そんなこと、許される訳も無いのに。 この手は汚れているから。 あの頃に戻れても、私だけ一生黒いままだから。 でも。 「この壁に風穴を空けてくださいまし――お姉様」 黒子の声を聞いて身体が自然に動いていた。 ■ 小泉花陽がこれまでに見た異能の中ではロイ・マスタングが操る焔が印象に残っていた。 圧倒的な殲滅力を持ったその力は、天城雪子の件もあり嫌でも脳裏に焼き付いている。 そして今回目撃した超電磁砲――レールガンもまた想像を絶する代物だった。 急に雷光が輝いたかと思えば、風が吹き終わると同時に氷壁には大きな穴が空いていた。 「氷が一瞬で……す、すごい」 明らかに自分とは生きている世界の違う人間とは恐ろしいものである。 どんな状況でも立ち向かう姿はまるで正義の味方だった。 方向性は違えど、あのセリューでさえ人を魅了する何かを秘めていたのだ。 小泉花陽にとって氷は忘れられないトラウマである。 一度――ペットショップに襲われた時には片腕が氷結してしまったこともある。 その時はマスタングと白井黒子の救出により何とかなったものの、簡単には忘れられない。 エスデスを見るとそのトラウマが再発しそうになっていたが、雷光はそれを凌駕した。 「これを持って逃げてください、早く」 「これは……でも、白井さんも!」 急にバッグを渡されてしまい戸惑う小泉花陽は白井黒子にも逃走を促す。 自分には戦う力は無い。けれど自分だけ逃げるのは、悔しかった。 「そのバッグには悠さんと銀さん……という二人の参加者が眠っていますの」 説明を受けた所で、白井黒子が逃げない理由の解説になってない。 強い瞳で訴える小泉花陽であるが、白井黒子は背中を見せて言い放った。 「わたくしにはまだやらなくちゃいけないことが――さぁ、早く!」 その背中はエスデスの氷塊によって血だらけだった。 今にも倒れそうなその身体でも、白井黒子は立ち上がった。 かっこいい。 不謹慎ではあるが、そんな感想さえ生まれてしまう程に正義の味方のソレに近い。 そしてその背中を持つ人間は皆――覚悟を決めている。 ロイ・マスタングも、ウェイブもそうだった。 「生きて……また、絶対に会いましょう、そしてみんなで……っ!」 「勿論ですわ――後で会いましょう小泉さん」 その会話を最期に小泉花陽は走る。 彼女の生命は最早、彼女だけのものではない。 ヒルダが生かしてくれた。 鳴上悠と銀の生命も預かっている。 生き抜け。 他の参加者が絶望に負けず抗ったように。 己も、戦え。 【F-4/一日目/真夜中】 【小泉花陽@ラブライブ!】 [状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、右腕に凍傷(処置済み、後遺症はありません) 失禁 [装備]:音ノ木坂学院の制服 [道具]:デイパック@2、基本支給品@2、スタミナドリンク×5@アイドルマスター シンデレラガールズ、スペシャル肉丼の丼@PERSONA4 the Animation 、寝具(六人分)@現地調達、サイマティックスキャン妨害ヘメット@PSYCHO PASS‐サイコパス‐ テニスラケット×2ライフル@現実(武器庫の武器)、ライフルの予備弾×6(武器庫の武器)、鳴上悠、銀 [思考・行動] 基本方針:皆と共に生き残る。 0:生き抜く。 1:この場から離れる。 2:穂乃果が心配。 3;μ sの仲間や天城雪子、由比ヶ浜結衣の死へ対する悲しみと恐怖。 4:セリムや卯月を探したい 5:雪乃には無事で居て欲しい。 [備考] ※参戦時期はアニメ第一期終了後。 【鳴上悠@PERSONA4 the Animation】 [状態]:疲労(極大)、気絶 デイパックの中 [装備]:なし [道具]:千枝の首輪 [思考・行動] 基本方針:殺し合いを止める。 0:……。 1:さやかを元に戻す。その為に佐倉杏子を探す。 2:未央に渋谷凛のことを伝える。エンブリヲが殺した訳じゃない……? 3:足立さんが真犯人なのか……? 4:エンブリヲを止める。 5:マスタングを見つけ出し、ぶっ飛ばす。 6:里中……。 [備考] ※登場時期は17話後。 ※ペルソナの統合を中断したことで、17話までに登場したペルソナが再度使用可能になりました。ただしベルゼブブは一度の使用後6時間使用不可。 回復系、即死系攻撃や攻撃規模の大きいものは制限されています。 ※ペルソナチェンジにも多少の消耗があります。 ※イザナギに異変が起きています。 【銀@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】 [状態]:疲労(大) キンブリーに若干の疑い、観測霊の異変?に対する恐怖、気絶 デイパックの中 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品1~2 、カマクラ@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 [思考] 基本:…………。 1:黒を探す。 2:千枝……。 3:怖い。 [備考] ※千枝、雪子、モモカと情報を交換しました。 ※制限により、観測霊を飛ばせるのは最大1エリア程です 「お姉様――お久しぶりですの」 「そうね……抱きついたりしないのね」 「わたくしはTPOをわきまえていますから」 「あんた、どの口が言うのよ」 「この口ですわ」 「もう……まったく」 「それで、お姉様はどんな人達と出会ったのですか?」 「私? ……あそこにいるチビ錬金術師とか」 「そうですか。わたくしは沢山の人達と出会いましたわ」 「私は思ったよりも会ってない、かな」 「ロイ・マスタングさん、ウェイブさん、小泉さん、高坂さんを始め沢山の人達と」 「その人達には会ってない」 「その中にキング・ブラッドレイと云う方もいましたですの」 「――そう、なんだ」 それまでは感動の再会を果たした親友同士だった。 能力者という枷を外せば等身大の女子中学生である彼女達。 だが、キング・ブラッドレイの名前が出た瞬間に、その空気は錆び付いた。 「じゃあ知ってるのよね」 「何をですの」 「私の口から言わせるの? そんな嫌な奴だったっけあんたは?」 「お姉様の口から聞かないと信じませんの」 「信じないってやっぱ知ってるじゃん」 「知りません」「知ってる」「知りません」「知ってる」「知りません」 「いい加減にしないと怒るわよあんた」 「わたくしはお姉様の口から聞かないと――信じられる訳ありませんの」 「――黒子」 「私はもう二人も殺してんのよ……もう、あんたの知る超電磁砲じゃないの」 空気が止まる。 一切の雑音が発生せず、御坂美琴の余韻が空間を永遠と漂う。 その静寂を破るのが一滴の雫である。 「どうして……其処までお姉様はあの殿方のために――願いを叶えるつもりに」 溢れる涙を拭いてくれる者はいない。 止めることも無く、ただただ流れる続ける涙を御坂美琴は見ていた。 「だから――もう私はあんたの知ってる」 「おだまり!」 御坂美琴の足元に鉄パイプが現れ、それは白井黒子なりの牽制だった。 涙を雑に制服で拭うと、涙目ながらその瞳は戦闘時のものと色褪せない。 「あんた、私とやるつもりなの」 「ええ――それが」 「風紀委員だから、でしょ」 「風紀委員である以前にわたくしは白井黒子という一人の人間として貴方を止めますわ――お姉様」 覚悟を決めた白井黒子は有無を言わさず鉄パイプを御坂美琴へ仕向ける。 目の前に居る常盤台の英雄は、確実に誰もが知るあの超電磁砲だ。 止めるために。 もう、未知を間違わせないために。 飛ばす鉄パイプは一本所では無い。 ありったけだ。四方八方を包む鉄パイプの嵐が御坂美琴に襲い掛かる。 しかし。 「あんたが私に勝てる訳ないでしょ……ばか」 電撃を圧縮し己を中心に一斉放出。迫る鉄パイプは全て電撃に弾かれ大地に落ちる。 猛攻をたった一手で止めた御坂美琴であるが、無論、本気などでは無い。 DIOとの戦闘時の半分の半分以下の出力で白井黒子の攻撃を終了させるその力は学園都市の中でも最強格の超能力者である。 「こんな簡単に止められると流石にしょっ……っ」 次なる一手を考える白井黒子だが、大地に膝を落としてしまう。 無理もないだろう。小泉花陽を逃がす際に喰らった氷塊の傷口が開き始め鮮血が駄々漏れる。 立っているのが奇跡のレベルであり、能力の行使などもってのほかだ。 「此処で止まってはわたくしもおねえさ……ま」 美しい。 それ程に眩く輝く雷光は誰もが憧れる超電磁砲だ。 果てなき闇を捌くような雷撃が白井黒子に放たれた。 ■ エンヴィーを超える氷塊に対しエドワードは錬金術で大地を隆起させ抗っていた。 彼に氷塊が大地に着陸した場合、その余波でこのエリアが沈む可能性すらある。 此処で手を抜けば大勢の人間が死んでしまう。それを防ぐためにも此処は譲れない場面だ。 彼が氷塊に掛かりっきりのため、エスデスの相手はタツミが単体で行う必要がある。 しかし。 「どうした、その程度では勝つどころか傷一つすら付けれんぞ!」 片腕を失ってもその強さは健在であり、タツミを簡単に往なしていた。 彼も彼女も連戦により疲労が蓄積している。そして、その度合はエスデスが圧倒的である。 それを感じさせない程まに振る舞う姿は正に圧巻であり、帝都最強の名に恥じない。 「俺が此処で負けたらお前はまた沢山の人を殺す……それが許せないッ!」 「まだ奇跡的に誰も殺していないがな」 「知るかッ! 遅かれ早かれ――ッ!」 「その熱き思い……やはりお前は最高だなタツミ! 来い、私が全て受け止めてやるから、思う存分に暴れろ!」 「殺しを遊びでやってんじゃねえええええええええええ!!」 一歩踏み込んだ段階で左ジャブを飛ばしエスデスの顔面を狙うも首捻り回避されてしまう。 そのまま歩み続け右膝を腹に叩き込むも氷によって防がれる。 剣を横に薙ぎ払うも上体反らしで回避され、逆に腹へ蹴りを貰ってしまう。 蹌踉めきながらも諦めずに立ち向かい、渾身の右ストレートを放つも、やはり回避。 剣を逆手に持ち肩を狙うも氷の膜を貫けずに終わってしまう。 「ああああああああああああああああああああ」 強引に力で押し通し、エスデスの右肩を貫こうとするも氷は砕けない。 剣を軸に左上段回し蹴りを行うも、氷の壁が発生し遮られてしまう。 短時間の戦闘ではあるが、圧倒的差と苛立ち、焦りに加え疲労の蓄積も重なりタツミ達の体力は限界だった。 エドワードにしても連戦に加え擬似の人体錬成を行っているため、身体への負荷は相当だろう。 白井黒子も能力の連発に加えエスデスの氷によって傷を負っている。 今、この場で万全な戦士など存在しない。 駆け付けた青の女ですら、気絶からの復帰したばかりで足がふらついているのだから。 「おま……」 「色々言いたいことはあるし、そっちもあるけど今は――この敵を倒すことが先だよね」 「先程まで倒れていた女ではないか。戦えるのか?」 「勿論……元魔法少女改め――ペルソナ」 タツミからしてみれば彼女が立っていること自体が奇跡だった。 健全なその姿に心から救われた気分になるも、まだなにも終わってはいない。 寧ろ、スタートラインにやっと並んだぐらいだ。 そして彼女が使役するその存在は鳴上悠や里中千枝が使っていた存在と同義だった。 本当の自分と向き合った人間が使えるもう一つの自分。 仮面や影、パーソナリティと総称されるそれらを纏めて彼らはこう呼ぶ――ペルソナと。 「オクタヴィア……これが新しい「あたし」の力」 空間より這い出しペルソナは誰もが見かけたあの魔女と同じ姿だった。 擬似・真理とマヨナカテレビの複合空間に取り残され真の自分を受けいれた美樹さやかの新しい能力。 「降り注げ――スティンガー・レイン!! ってね!」 オクタヴィアが剣をタクトのように振るうとエスデスの上空には無限の剣が現れる。 そしてさやかの言葉通り降り注ぐ――も、氷壁によって全て防がれて終わるのだが。 「な……こいつ、強すぎな……あれ、立てな……わっ」 エスデスに理不尽な文句の一つでも言おうとした所で美樹さやかは蹌踉めく。 気絶上がりの状態で初のペルソナ。それも精神と肉体が安定していない段階での使役だ。 身体に絶大な負担が掛かり、立っていられなくなる程に疲労が襲い掛かる。 戦場でこんな隙を見せたら殺される。 何としてでも立ち上がりたい美樹さやかではあるが、叶わずに倒れる所をタツミに支えられた。 「無理すんなよ。後は俺に任せろ」 「う、うん……お願い……ね」 そっと美樹さやかから手を離すと大地に突き刺した剣を引き抜き、エスデスを睨む。 ――相打ち覚悟じゃないとエスデスには勝てない。刺し違えてでも殺す。 既にこの生命は平和のために捧げると誓っている。サヨもイエヤスも。 シェーレもブラートも。皆が皆、明日を生きれる訳では無い。 そしてタツミも同じであり、明日の礎になる覚悟はとうの昔に完了している。 「なあ、タツミ。お前は髪の短い方が好みなのか?」 「んなモンしるかよ。これで最期にしようぜエスデス……お前を、葬る!」 「面白い……この私を葬――ッ」 言葉の途中ではあるが口元を抑えたエスデスの掌は血で染まっている。 他人から見れば彼女の身体は限界を超えている。 片腕が存在せず、半身は焼かれているその姿からどうしてまだ戦えるのかは大きい疑問だ。 仮に生き抜いた所で、その生命が保つ保証は無いだろう。 死期を悟ったのかは不明だが、これまでにない笑顔を浮かべ氷の女王は叫ぶ。 「お前を受け止めてやるタツミ――立ち残った者が勝者だ」 そして死合に臨む。 大地を駆けるタツミは止まらない。 「……そこの女といい感じだったからショートが好みかと思ったがまあいい。 その気迫、その顔立ち、その覚悟! やはりお前は私が唯一愛した存在だよタツミ」 歓喜によって放たれる氷塊を剣で撃ち落としながら走り続け、その速度は落とさない。 漏らした氷塊が身体に刺さろうと、足に刺さろうとタツミは止まらない。 左肩に。 右脇腹に。 右膝に。 胸に。 至る所に氷塊が突き刺さろうと、彼は止まらない。 ――平和のためにも、みんなのためにも俺は止まれない。 身体全体が血液で彩られ、肌色は最早肉眼では捉えられない。 それでも、彼は走り続ける。 ――誰かが手を汚さなくちゃいけないなら、俺がその役目を引き受ける。 剣を掲げる。 エスデスはもう目と鼻の先である。 遂にこの刃が、闇の正義の信念が彼女に届こうとしていた。 「終わりだエスデス……何もかもッ!!」 その信念は確かにエスデスへ届いた。 右肩から全てを削ぎ落とし、彼女は両腕を失った。 好機を逃す程、タツミは愚かでは無い。 追撃を仕掛けようとした所で無情にも氷槍が彼の心臓を貫いた。 「っそ……届かないか……」 「何を言っている、誇れ。 お前の剣は確かに私の右腕を斬り裂いた。それは変えようのない事実だ」 タツミの表情は後悔に満ちていた。 エスデスに褒められようが、決して嬉しがらずにその瞳を閉じる。 闇に生きる正義の味方が最期に見たのは仕留めきれなかった標的だった。 「すまんなタツミ。両腕が無ければお前を抱くことすら出来ない」 「だから――もう少しだけ待っていてくれ」 自分に寄り掛かるタツミを丁寧に寝かしたエスデスは最期の獲物を殺すために歩む。 それはエドワード・エルリックでは無い。 彼が防いでいた氷塊は雷光によって破壊されていた。 その犯人こそが御坂美琴――待ち侘びた獲物だ。 倒れている美樹さやか、エドワード・エルリック、白井黒子。 この状況で立っているのはエスデスと御坂美琴の二人だけだ。 互いの視線が交差し、雷光と氷塊がぶつかり合った音がゴングとなる。 「両腕が無かろうと容赦はしないから」 「してみろ。その瞬間にお前を殺す」 「好き勝手にはさせねえからな」 「お姉様を止めるのは……」 「邪魔だエドワード」 「あんたは引っ込んでなさい黒子」 割って入るエドワードと白井黒子であるが、対峙する二名の眼中には収まっていない。 寧ろ、邪魔扱いされて始末だ。しかし、満身創痍の彼らが彼女達を止めることなど不可能である。 「勘違いすんじゃないわよ。 あんた達の相手はこの女の後……そうね。それまではアインクラッドにでも行って休んでいれば?」 「な、何を言っていますのお姉様」 「だからボロボロなんだから首輪何とかで治療してもらいなさいよ。 首輪がないなら……さっきあんたのバッグに堕ちてた首輪入れといたからそれ使いなさい」 「それを私が大人しく聞くとでも?」 「どうせ全員殺すの。でもね、適当に死なれるとそれなりに後味悪いのよ」 「お姉様――何を言って」 「喚くな、押し出してやる」 終わりの見えない会話に痺れを切らしたエスデスが氷壁の波でエドワードと白井黒子をこのエリアから押し出す。 「ま、くそ、御坂ァ!」 「お姉様、黒子は……黒子は!!」 流れる圧倒的な力に抗えぬまま、彼はあっという間に上のエリアに移動していた。 何も出来なかった。 エンヴィーの襲撃も、さやかの魔女も、エスデスも、御坂美琴も。 彼らは何一つ止めることも、救うことも出来なかった。 ヒルダとタツミ。 二人の生命を犠牲にした所で彼らは何を得たのか。 完璧な敗北である。 白井黒子は溢れる涙を止めることが出来ない。 エドワード・エルリックは情けない自分を許せなかった。 敗者達の夜はまだまだ続く。 【F-4(南)/一日目/真夜中(放送直前)】 【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、精神的疲労(大)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、数本骨折、気絶寸前 [装備]:無し [道具]:デイパック×2、基本支給品×2、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、不明支給品0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、パイプ爆弾×2(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ [思考] 基本:主催の広川をぶっ飛ばす。 0:……アインクラッドへ。 1:大佐を元の世界に連れ戻して中尉にブン殴らせる。 2:大佐やアンジュ、前川みくの知り合いを探したい。 3:エンブリヲ、御坂、エスデス、槙島聖護、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。 4:一段落ついたらみくを埋葬する。 5:首輪交換制度は後回し。 [備考] ※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。 ※前川みくの知り合いについての知識を得ました。 ※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。関与していない可能性も考えています。 ※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。 ※狡噛慎也、タスクと軽く情報交換しました。 ※エスデスに嫌悪感を抱いていますが、彼女の言葉は認めつつあります。 ※仮説を立てました。 【マオ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】 [思考] 基本:帰る。 0:エドワードと共に行動する。 【白井黒子@とある科学の超電磁砲】 [状態]:疲労(極大)、精神的疲労(極大)、悲しみと無力感、穂乃果に対する負い目、背中に重症、絶望 [道具]:デイパック、基本支給品、、首輪×3(婚后光子、巴マミ、ヒルダ)、扇子@とある科学の超電磁砲、エカテリーナちゃん@とある科学の超電磁砲 、鉄パイプ@28 [思考・行動] 基本方針:お姉様や仲間となれそうな者を探す。 1:………… 2:アインクラッドへ進む。 [備考] ※参戦時期は不明。 ※御坂美琴が殺し合いに乗っているということを確信しました。 ※槙島が出会った人物を全て把握しました。 ※アンジュ、キリト、黒と情報交換しました ※エンブリヲと軽く情報交換しました。 残された女は互いを視界に捉えそれぞれの全開を貯めていた。 「露払いはしておいた」 「意外と気が利くのねあんた」 「お前が迷っていてはその雷光が鈍るからな。 そんな力を持っていながらどうして躊躇う? 弱者を蹂躙し覇道を目指せ」 「あんたみたいになれたら……今だけは幸せだったかもね。 どうせそんな身体じゃまともに戦えないでしょ、一撃で眠らせて――あげるからねッ」 放物線を描くコインに雷撃を纏わせ全開の一撃を放つ御坂美琴の代名詞、超電磁砲。 今まで見たこともないその一撃にエスデスは狂気の表情を浮かべ、全開の氷塊を射出する。 「ブドーをも超えるその雷光――素晴らしい! 素晴らしいぞ御坂美琴!! あぁ、私は今、最高だ」 強者の戦いは人々を魅了する。 憧れの戦いは未来と希望を人々に与える。 形や方向性は違えどエスデスと御坂美琴の力は参加者の中でも最強格だ。 その二つがぶつかり合えば、全開の殺し合いになることは免れない。 決着は一瞬で決まる。 必殺の一撃に駆け引きなど存在せずに、答えは単純だ。 最期に生きていた者が勝者となる。 仮にエスデスが万全の状態なら勝負は解らなかっただろう。 これまでに重ねたロイ・マスタングとキング・ブラッドレイ。 二名との激戦は無視出来ない程にまで彼女の身体を蝕んでいた。 本来ならばマスタングとの戦いで焼け死んでいても可怪しくない。 キング・ブラッドレイに斬り裂かれていても不思議ではない。 此処まで戦えただけでも奇跡だ。 故に勝者は最初から決まっており、敗者も決まっていた。 それでも勝利を信じ戦い抜いたエスデスは――将としての器に相応しい人物と云えるだろう。 ――最期はお前と一緒だ……タツミ。 雷光に包まれる中、最期に氷の女王が寄り添ったのは最愛の存在だった。 「気絶している中悪いけど――ごめんね」 最期に残った御坂美琴の周囲には誰も残っていない。 彼女が来る前に離れた小泉花陽も、死んでいったエンヴィーもヒルダも居ない。 目の前から消えたエドワードと白井黒子も見えない所にまで移動している。 タツミの死体は――エスデスと共に消えた。 最期に残った者が勝者だ。 だが、胸に残るのは爽快感あるものでは無い。 この戦いの果てに彼女は何を見るのか。 本当に■■■■のために優勝するのか。 覚悟は決めていた。 だが、白井黒子と出会った時に心は揺らいだ。 その甘さ故に彼女を殺せなかった。 その覚悟無き信念が参加者を二人も逃がしてしまった。 自分は何処に進んでいるのか解らない。 けれど、手は汚れているのだ。もう、あの頃のようには笑えない。 彼女に帰る場所など無いのだ。 だから、本当は止まっちゃ行けなかった。 だから、本当にこれが最期の御坂美琴だから。 そのけじめに。 「本当にごめんなさい……私には謝ることしか出来ない」 気絶していた美樹さやかに電流を走らせることで、御坂美琴の覚悟は決まる。 もう引き返せない。 例え相手が白井黒子だっとしても。 彼女は全ての参加者を――殺す。 【初春飾利@とある科学の超電磁砲 死亡】 【エンヴィー@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 死亡】 【ヒルダ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 死亡】 【タツミ@アカメが斬る! 死亡】 【エスデス@アカメが斬る! 死亡】 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】 【F-5/一日目/真夜中(放送直前)】 【御坂美琴@とある科学の超電磁砲】 [状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、深い悲しみ 、自己嫌悪、人殺しの覚悟 [装備]:コイン@とある科学の超電磁砲×2 、回復結晶@ソードアート・オンライン(3時間使用不可)、能力体結晶@とある科学の超電磁砲 [道具]:基本支給品一式、アヴドゥルの首輪、大量の鉄塊 [思考] 基本:優勝する。でも黒子たちと出会ったら……。 1:ゆっくりとアインクラッドへ向かう。(黒子との遭遇を避けるため) 2:もう、戻れない。戻るわけにはいかない。 3:戦力にならない奴は始末する。 ただし、いまは積極的に無力な者を探しにいくつもりはない。 4:ブラッドレイは殺さない。するとしたら最終局面。 5:殺しに慣れたい。 [備考] ※参戦時期は不明。 ※槙島の姿に気付いたかは不明。 ※ブラッドレイと休戦を結びました。 ※アヴドゥルのディパックは超電磁砲により消滅しました。 ※マハジオダインの雷撃を確認しました。 時系列順で読む Back 息もできないほど責めたてる現実に Next この情熱、この衝動は、自分を壊して火がつきそうさ 投下順で読む Back 白交じりて、禍津は目覚める Next 息もできないほど責めたてる現実に 172 『男らしく』でいこう タツミ GAME OVER 鳴上悠 186 その手で守ったものは(前編) 銀 168 Look at me 美樹さやか GAME OVER 173 電子の海 高坂穂乃果 186 その手で守ったものは(前編) 初春飾利 GAME OVER エンブリヲ 186 その手で守ったものは(前編) エンヴィー GAME OVER 169 僕たちの行方 白井黒子 189 LEVEL5-judgelight- 小泉花陽 186 その手で守ったものは(前編) ヒルダ GAME OVER 178 掴みかけた糸口 エドワード・エルリック 189 LEVEL5-judgelight- 179 WILD CHALLENGER(前編) 御坂美琴 186 その手で守ったものは(前編) エスデス GAME OVER
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第四回放送までの死亡者リスト 時間 名前 殺害者 死亡作品 作者 死因 凶器 夜中 DIO 後藤 174 絶望を斬る熱いだけじゃ生き残れない ◆MoMtB45b5k 捕食 変形させた頭部 夜中 セリム・ブラッドレイ イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 174 絶望を斬る熱いだけじゃ生き残れない ◆MoMtB45b5k 消滅 光弾 夜中 ロイ・マスタング ロイ・マスタング 175 激情の赤い焔StarLight Stageホログラム ◆BEQBTq4Ltk 焼死 練成した炎によるガソリンへの引火 夜中 槙島聖護 槙島聖護 180 望まれないもの(前編)望まれないもの(後編) ◆MoMtB45b5k 転落死 身投げ 夜中 狡噛慎也 タスク 180 望まれないもの(前編)望まれないもの(後編) ◆MoMtB45b5k 刺殺 スペツナズナイフ 真夜中 初春飾利 エンヴィー 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 刺殺 変化させた腕 真夜中 エンヴィー エスデス 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 凍結 魔神顕現デモンズエキス 真夜中 ヒルダ エスデス 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 爆死 エンヴィーの首輪 真夜中 タツミ エスデス 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 刺殺 氷槍 真夜中 エスデス 御坂美琴 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 消滅 超電磁砲(レールガン) 真夜中 美樹さやか 御坂美琴 182 魂の拠り所(前編)魂の拠り所(中編)魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk 感電死 電撃 真夜中 小泉花陽 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 186 その手で守ったものは(前編)その手で守ったものは(中編)その手で守ったものは(後編) ◆ENH3iGRX0Y 刺殺 投影した剣 真夜中 銀 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 186 その手で守ったものは(前編)その手で守ったものは(中編)その手で守ったものは(後編) ◆ENH3iGRX0Y 射殺 光線 真夜中 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 186 その手で守ったものは(前編)その手で守ったものは(中編)その手で守ったものは(後編) ◆ENH3iGRX0Y 肉体崩壊 ツヴァイフォームの反動 以上14人【残り21人】 ※参加者以外の死亡者 時間 名前 殺害者 死亡作品 作者 死因 凶器 夜中 カレイドステッキ・サファイア イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 174 絶望を斬る熱いだけじゃ生き残れない ◆MoMtB45b5k 光弾 真夜中 カレイドステッキ・マジカルルビー 黒 186 その手で守ったものは(前編)その手で守ったものは(中編)その手で守ったものは(後編) ◆ENH3iGRX0Y 電撃 以上2人 おまけ 名前 最期の言葉 DIO 「――ちぃ、痺れ――ッ!」 セリム・ブラッドレイ 「そうか……マ……マ……」 ロイ・マスタング 「私が全てを焼き尽くす――もう誰も失わせないために、まずは貴様からだエスデスッ!!」 槙島聖護 (くだらない幻想、だな) 狡噛慎也 (槙、島……) 初春飾利 「あが、あ……ぐぅ」 エンヴィー 「じゃあなエドワード・エルリック。精々あがけよ、この腐った世界でニンゲン共がどれだけ醜かろうと」 ヒルダ 「あぁ……あたしもそっちにい、くぜ……っ」 タツミ 「っそ……届かないか……」 エスデス ――最期はお前と一緒だ……タツミ。 美樹さやか 「う、うん……お願い……ね」 小泉花陽 「……よ、か――」 銀 「ずっと、一緒に――――」 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ―――ルビー、サファイア、美遊、クロ……ごめんね、みんな……。 カレイドステッキ・サファイア 『佐倉様、ウェイブ様には、どうかそうお伝えください。最後に……イリヤ様を、どう、か……』 カレイドステッキ・マジカルルビー 『イリヤさん……最期まで一緒、ですから……』 殺害数 順位 該当者 人数 このキャラに殺された人 生存状況 スタンス 1位 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 8人 戸塚彩加、婚后光子、クロエ・フォン・アインツベルン、ゾルフ・J・キンブリー、セリム・ブラッドレイ、小泉花陽、銀、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 死亡 情緒不安定→マーダー→奉仕(DIO)→マーダー 2位 後藤 5人 星空凛、蘇芳・パブリチェンコ、ノーベンバー11、アンジュ、DIO 生存 マーダー 3位 御坂美琴 4人 前川みく、モハメド・アヴドゥル、エスデス、美樹さやか 生存 マーダー 4位 ゾルフ・J・キンブリー 3人 クロメ、イギー、空条承太郎 死亡 マーダー セリュー・ユビキタス 3人 南ことり、由比ヶ浜結衣、セリュー・ユビキタス 死亡 危険対主催 サリア 3人 巴マミ、キリト(桐ヶ谷和人)、サリア 死亡 危険対主催 エスデス 3人 エンヴィー、ヒルダ、タツミ 死亡 危険対主催 5位 キング・ブラッドレイ 2人 美遊・エーデルフェルト、渋谷凛 生存 危険対主催 魏志軍 2人 比企谷八幡、プロデューサー 生存 マーダー 足立透 2人 鹿目まどか、暁美ほむら 生存 マーダー DIO 2人 食蜂操祈、ジョセフ・ジョースター 死亡 生存優先 ロイ・マスタング 2人 天城雪子、ロイ・マスタング 死亡 対主催 エンヴィー 2人 佐天涙子、初春飾利 死亡 マーダー 6位 由比ヶ浜結衣 1人 浦上 死亡 情緒不安定 ペット・ショップ 1人 クマ 死亡 マーダー キリト(桐ヶ谷和人) 1人 モモカ・萩野目 死亡 対主催 園田海未 1人 園田海未 死亡 対主催 ウェイブ 1人 ペット・ショップ 生存 対主催 鹿目まどか 1人 花京院典明 死亡 対主催 島村卯月 1人 西木野真姫 生存 奉仕(セリュー・ユビキタス)→対主催 オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ(美樹さやか) 1人 里中千枝 死亡 無差別 槙島聖護 1人 槙島聖護 死亡 特殊 タスク 1人 狡噛慎也 生存 対主催
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初登場 第11話 FF5では無の力を求め世界を蹂躙したエクスデス。FFSでは一つの種族のような扱いとなっている。 そのため、FFSでは数多くのエクスデス達が登場する。 エクスデスいろいろ エクスデス、ネオエクスデス以外のエクスデスと名の付くモンスター達 エクスデス・ゼロスリー(第13話) エクスデス・ブロス(第14話) スターエクスデス(第15話) ギャラクシーエクスデス(第15話) エクスデス・ピエロ(第20話) エクスデス・メカ(第21話) エクスデス・マインド(第24話) エクスデス・インセクト(第28話) エクスデス・ミラー(第34話) エクスデスボーイ(第39話) エクスデスレディ(第46話) エクスデスストーン(第52話) ラバーエクスデスゴム(第57話) バハムートエクスデス(第57話) エクスデス・ギル(第74話) エクスデス・ライオン(第77話) エクスデス・スネーク(第77話) エクスデス・コンドル(第77話) エクスデス・アント(第77話) エクスデス・アメーバ(第77話) エクスデス・ジュエル(第79話) エクスデス・ファザー(第88話) エクスデスボーン(第88話) エクスデスナイト(第88話) エクスデス・ロード(第88話) エクスデス・ドクター(第88話) エクスデスキング(第88話) エクスデスフォレスト(第89話) エクスデス・エクスプロード(第90話) エクスデス・エレメンタルマスター(第92話) エクスデス・海の支配者(第97話) エクスデス・サムライ(第102話) エクスデス・上皇(第102話) エクスデス・将軍(第102話) エクスデス・ヘビ(第103話) エクスデス・マンモス(第104話) バンパイヤエクスデス(第118話) エクスデス・キングス(第120話・第121話) エクスデスゾンビ(第174話) エクスデス・ジェネラル(第217話) ニューエクスデス(第327話) 幻エクスデス(第510話) ギガエクスデス(第627話)
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067 三人寄れば ◆w9XRhrM3HU 「ヒースクリフ……日本人にしては、随分変わった名前だな」 「名簿には、そのようにあるので。勿論本名は別にあります」 今から数分前、コンサートホールへやってきたアヴドゥルは足立とヒースクリフの二人と合流した。 三人とも、殺し合いに乗る意思はない―――少なくとも今は―――ことを確認し彼らは名乗りあう。 「いやあ、良かった。今のところ殺し合いに乗っている人と、誰とも出会わなくて」 「すまない足立。殺し合いに乗っている訳ではないが、少しヤバい女がこの場に来る」 足立の安堵に満ちた顔が即座に曇り、アヴドゥルはエスデスについて話し始めた。 危険思考の女だが結果としては、広川の敵対者として協力できるかもしれないこと。 その手始めとして、エスデスはアヴドゥルが告げた危険人物、DIOの打倒を目論んでおり、仲間を集めコンサートホールに集合する約束をしたこと。 そして、仲間と共にDIOの館への突入を考えていること。 全てを話し終え、ヒースクリフは疑問を投げかけてきた。 「そのDIOという男が、果たしてその館に来るものでしょうか? 聞いた限りでは、貴方を始めとした数人に警戒されているのだから、自分の名の付いた施設にはそう近寄らないと思いますが」 ヒースクリフの指摘通り、DIOも馬鹿正直に館に向かうとは考えづらい。 近くに飛ばされ興味本位で入るか、夜明けまでに太陽を凌ぐ為にやむを得ず入るか。どちらかだろう。 最も警戒深いと同時にプライドの高い男でもある。もしかすれば、自分が倒されるはずがないと考え、敢えて館の向かう可能性もあるが。 「君の言う通りだが、エスデスは聞き入れんだろうな」 DIOの打倒は名目だけだ。あの女は闘争を戦場を望んでいる。 DIOが居れば儲けもの。居なくても、それに代わる戦場さえあればいい。 「あの女は本当に危ないんだ。出来れば君たちは、ここからすぐに離れて隠れていた方が良い」 「で、でもアヴドゥルさんは、そんな危ない女と関わってて大丈夫なんですか!?」 「出来ればすぐに縁を切りたいが、あの女とは一応約束もしてしまったし、……万が一の時は私には“こいつ”がある」 アヴドゥルが両腕で魔術的なポーズを決めた瞬間、彼の背後から炎の魔人が現れた。 魔人は纏っていた炎で、コンサートホールの座席の一つを燃やし尽くし、一瞬で黒の炭へと変えた。 「君達には見えないかもしれないが、これはスタンドという超能力で私は自在に炎を」 「見えない? どういうことでしょう?」 アヴドゥルのスタンド『魔術師の赤』の後を追うようにヒースクリフと足立の視線が泳ぐ。 流石のアヴドゥルもこの異変に気付き、首を傾げた。 「まさか、見えている? 君達もスタンド使いなのか?」 「いや、まっさかぁ。僕はスプーンすら曲げられませんよぉ」 「私も心当たりはありませんね」 足立は一瞬、スタンドをペルソナと呼んでしまい掛けたのを必死で抑えた。 今は無害な一般人を装ってる以上、この手の事柄には無関係でいた方が都合が良い。 自分がペルソナに関係するとバレて、色々問いただされるのは避けておきたい。 (スタンドか……ペルソナより使いやすいじゃないか) あのペルソナに似た異形はスタンドと呼ぶらしい。 アヴドゥルの話を聞く限り、何処でも自在に出せ、同じスタンド使い以外は視認不可。ここでは何故か見えるらしいが。 テレビの中でしか使えず、この場でも呼び出せないペルソナに比べると非常に使い勝手も良く、強力な力だ。 足立はあまりの不平等さに、やはり世の中糞だと叫びたくなった。 「……話を戻そう。私はエスデスと、再度合流するつもりだが君たちは?」 「私もそのエスデスという女性に会ってみようと思います」 「本気か? ヒースクリフ!?」 「えぇ!? 逃げましょうよぉ。そんな危ない奴、触らぬ神に祟りなしって言いますよ?」 「確かに危険な女性のようですが、逆を言えばそれだけの実力者ということ。 殺し合いの打破には必要な人材でしょう。会う理由こそあれど、避ける理由はない」 「嘘でしょ!?」 足立の目論見ではヒースクリフを連れ、とっととここから出る事を望んでいた。 エスデス等という戦闘狂染みた女と関わっては命が幾つあっても足りない。 ペルソナが使えれば、あるいはそんな女を屈服させるのも一興かとも思えたのだが、今は保身に徹するべきだ。 ヒースクリフも賛同してくれると思ったのだが、思いのほか行動的だったのは意外だった。 (不味いぞ。流石に一人で行動するのだけは避けないと) 武器もない、ペルソナもないで一人での単独行動は自殺行為だ。 「わ、分かりましたよ……俺もここに残ります。一応、刑事だし」 「足立、あまり無理をして残らなくても……」 「でも、い、いざって時はお願いしますね、アヴドゥルさん?」 「う、うむ」 不幸中の幸いだったのは強力なスタンドを持ち、善人の側であるアヴドゥルが居ることだ。 万が一の時は進んで前線に立って守ってくれるだろう。 不平等な能力の差に腹が立つが、ここは抑えてアヴドゥルに頼るしかない。 (運が良いのか悪いのか、何にせよ思わぬ形で協力者が出来たか) エスデスとの約束では協力者を連れ、コンサートホールに集合とあった。 だが、アヴドゥルは運悪く参加者には出会えなかった。 あのエスデスの事だ。約束が果たせないとなれば、何をしでかすかわからない。 いっそ、すっぽかして逃げようとも考えていたが、その必要もなくなりそうだ。 「それにしてもヒースクリフ。その鎧や盾は随分良くできているな? 日本のコスプレ文化という奴かな?」 日本にはコスプレイヤーという人種がおり、アニメのコスプレを好むいうのをアヴドゥルは知っていた。 この手の人種は本名ではなく、変わったニックネームを使い活動している。 ヒースクリフも名前からして、そのコスプレイヤーなのだろうと推測し、アヴドゥルは身に着けたコスプレを褒めたつもりだった。 しかしヒースクリフは眉間に皴を寄せ、怪訝そうな顔でアヴドゥルを睨む。 (まさか、こいつは……地雷を踏んだのか?) アヴドゥルはしまったと思う。 こういう人種はオタクという変わった考えの持ち主であり、変な一言で怒るものだ。 知らぬ内に逆鱗に触れたのだろう。弁解しなくてはとアヴドゥルに焦りが募った。 「いや、決して馬鹿にした訳ではない。ただ、良く出来ているから感心して……。 格好の話をすれば、私だって決して日本では普通じゃあない」 「……本当にコスプレに見えたんですか?」 「あ、ああ……」 派手な鎧に派手な盾はまるでアニメやゲームに出てきそうだ。 だからこそアヴドゥルはコスプレなのだと思ったが、よくよく近くで見るとこれは本物だった。 仮にコスプレだったとしても、あまりにもクオリティが高い。十分武器として使えるレベルだ。 「すまない」と謝罪し、アヴドゥルは申し訳なさそうに口を閉じた。 (……どうやら、ここはゲームの中ではないらしい) 違和感はあった。この世界はゲームにして出来すぎている。 質感も視界も全て、現実としか思えない。天才的ゲームデザイナーたる茅場晶彦を以てして、このゲームは非常に高い技術により作られていた。 と、思っていた。 だが種を明かせば簡単な話だ。ここはゲームでなく現実である。比喩でなく、これは間違いはない。 仮にゲームであるなら、アヴドゥルがコスプレだのと言い出す訳がない。 世の中に自身がプレイ中のゲームのアバターの格好を指さして、コスプレという者などそうは居ないものだ。 考え辛いが、ヒースクリフというアバターが現実に再現されているほうが辻褄が合う。 (電脳化を果たした私を現実に再現したのか、その前の肉体をこの場に連れてきたのか、それは分からないが……。 今、ヒースクリフという存在はこうして実在する。電脳ではなく現実に) 茅場晶彦の肉体をヒースクリフの姿に似せ整形したか、あるいは肉体を管理されたままこのアバターを操作しているのか。 あるいは電脳化した意識を、現実に再現させたアバターに入れたのか。 いずれのどれかは分からない。だが、ますます主催への興味は湧くばかりだ。 いや主催だけではない。参加者の持つ異能にも興味がある。 アヴドゥルの持つスタンド『魔術師の赤』。エスデス持つスタンド(仮)『デモンズエキス』。 足立も惚けてはいるが、スタンドを見た時の見せた表情は既知感に溢れているように見えた。 それに近い何かの異能を持ち得ているのかもしれない。 (見てみたいな。この場にある全ての異能を) 科学者としての好奇心とゲームデザイナーとしての創作意欲が増していくの分かる。 そう、いい歳をしながらはしゃいでいるのだ。 子供の時、以来かもしれない。ここまで純粋に心躍るのは。 そうだ。あの頃から夢見た異世界が今この場には広がっている。それも現実で。 楽しみだった。これから見るであろう未知の存在との遭遇に。 現実に存在するとは到底思えない異能力の数々。それに茅場は心惹かれた。 「ともかく、もうすぐエスデスは来るだろう。それまで待とう」 三人は朝日の差し込むコンサートホールの中でエスデスの到着を待った。 【D-2/コンサートホール/一日目/早朝】 【ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】 [状態]:健康、異能に対する高揚感と興味 [装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン [道具]:基本支給品一式、グリーフシード(有効期限あり)×6@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品(確認済み)(2) [思考] 基本:主催への接触(優勝も視野に入れる) 0:一先ずエスデスを待ち接触してみる。 1:要所要所で拠点を入れ替えつつ、アインクラッドを目指す 2:外からの爆音(浪漫砲台パンプキンによる後藤への射撃音)に警戒しつつ、当面はコンサートホールで様子見を兼ねた籠城を行う 3:同行者を信用しきらず一定の注意を置き、ひとまず行動を共にする 4:キリト(桐ヶ谷和人)に会う 5:神聖剣の長剣の確保 6:異能に興味。他の異能も見てみたい。 [備考] ※参戦時期はTVアニメ1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。 ※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。 ※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。 ※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。 ※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。 ※この世界を現実だと認識しました。 【足立透@PERSONA4】 [状態]:健康、鳴上悠ら自称特別捜査隊への屈辱・殺意 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、水鉄砲@現実、鉄の棒@寄生獣、ビタミン剤or青酸カリのカプセル×8@現実 [思考] 基本:優勝する(自分の存在価値を認めない全人類をシャドウにする) 0:エスデスを警戒。会いたくない。 1:ゲームに参加している鳴上悠・里中千枝・天城雪子・クマの殺害 2:自分に扱える武器をほぼ所持していない為、当面はヒースクリフと行動を共にする 3:隙あらば、同行者を殺害して所持品を奪う 4:いざという時はアヴドゥルに守ってもらう。 [備考] ※参戦時期はTVアニメ1期25話終盤の鳴上悠に敗れて拳銃自殺を図った直後 ※ペルソナのマガツイザナギは自身が極限状態に追いやられる、もしくは激しい憎悪(鳴上らへの直接接触等)を抱かない限りは召喚できません ※支給品の鉄の棒は寄生獣23話で新一が後藤を刺した物です 【モハメド・アヴドゥル@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:健康 激しい怒りと悲しみ [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、ウェイブのお土産の海産品@アカメが斬る! 不明支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いを止めDIOを倒し広川ら主催陣を倒し帰還する。 1:仇は必ずとるぞ、ポルナレフ 2:エスデスを待つ 3:エスデスは相当ヤバイ奴 4:ジョースターさん達との合流。 5:DIOを倒す。 6:もしこの会場がスタンド使いによるものなら、案外簡単に殺し合いを止めれるんじゃないか? ※参戦時期はDIOの館突入前からです。 ※イェーガーズのメンバーの名前を把握しました。 ※アカメを危険人物として認識しました。タツミもまた、危険人物ではないかと疑っています。 ※エスデスを危険人物として認識しており、『デモンズエキスのスタンド使い』と思い込んでいます。 ※ポルナレフが殺されたと思い込んでいます。 ※この会場の島と奈落はスタンド使いによる能力・幻覚によるものではないかと疑っています。 ※C-2の木が一本燃えました。これによる被害はありませんが、放火場面を誰かに見られた可能性もあります。 ※アヴドゥルの宣誓が周囲に響き渡りました。 ※ウェイブのお土産の量、生きているかどうかは後の書き手さんに任せます。 ※スタンドがスタンド使い以外にも見える事に気付きました。 時系列順に読む Back 敵意の大地に種を蒔く Next 弱肉強食の主従 投下順に読む Back 敵意の大地に種を蒔く Next 弱肉強食の主従 046 オフライン ヒースクリフ 081 曇天 足立透 034 怒れる魔術師 モハメド・アブドゥル