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注意 過去作品『僕はこうして育ちました』と『ボブはこうして出会いました』の登場人物が登場 レイプネタ有り(ソフト) ゆっくりとの恋愛有り 虐待分薄 父:会社員。課長クラス きめぇ丸を妊娠させて出産させた張本人。犯すのは好きだが食べるのは好きではないらしい。会社の中では真人間で通っているから不思議 息子:学生。思春期まっさかり ゆっくりと人間のハーフ。体の半分はゆっくりと同じ素材で出来ているが見た目は完全な人間。父曰く「お前は火傷した部分から、クロアッサンの香りがする」 彼女(ゆっくりふらん)との交際は現在も続いている。ゆっくりに対してはハイスペックな性能を誇る ボブ:黒人。海外研修生 スラム育ち。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態。デカイ 「そういえばこの前、弁護士を名乗る男から『息子さんが女の子を孕ませたからすぐにその治療費を振り込んで欲しい』という電話があった」 「それ振り込め詐欺だね、とうとう家にもかかって来るようになったんだ」 「思わず信じちゃったよ、だから『どこのご家庭のゆっくりですか?』って尋ねたんだが。そこで電話が切れた」 「ふーーん」 (あれ・・・?) 最近、息子の反応が薄い 日曜の午後。親子は昼食をとっている最中だった 今現在。この二人の雰囲気は何故か気まずかった その気まずさから脱却するために父は口を開く 「ところで最近ぱちぇさんを見ないんだがお前何処行った知らないか?」 「クラスにゆっくりの胴付きが飼いたいけど、お小遣いが足りなくてお店で買えないって子がいたからその子に。委員長やってる子なんだけど」 「ちょっ! おま・・・! なに親の愛人譲渡してるの!? おかしくない??」 (ゆっくりを愛人って呼ぶほうがおかしくない?) 今この親子は喧嘩中だった。喧嘩といっても別段仲が悪くなったわけではない ただ息子が父を避ける傾向があった さかのぼること先週の夜 「もう我慢ならん。今日という今日は言わせてもらう」 普段は温厚な父が静かに怒っていた 原因は息子の作る料理にあった 「どうしたら市販のルーで作ったカレーが星の王子様より甘くなるんだ?」 家事は昔からお互いに分担しており、夜帰りの遅い父は料理を息子に任せていた 始めこそインスタントや出前、出来合いのものだったが。最近彼は自炊に挑戦しはじめていた 最初は普通だった。しかし回を重ねるごとに段々と料理の甘さが増してきた 「辛いのは体に毒だよ?」 「甘すぎるのも父さんは体に毒だと思います。主に糖尿病になる」 辛いものを避けて甘いものを好むのはゆっくりの性なのだろうか 「まあ甘いのは一万歩譲って良しとしよう…」 父はカレーにスプーンを差し込んで『あるもの』を拾い上げた 「なんでカレーに『ゆっくりの目玉』が入ってるんだ?」 「肉がなかったから代わりに・・・」 「コレ見つけたときは、糖尿病より先に心臓発作で死ぬかと思ったぞ」 近頃の息子はかなりの頻度で料理にゆっくりを使用する。料理が甘くなる原因はそれだった 冷蔵庫を開けると各部位ごとに切り分けられたゆっくりの体が入っていたり 二階のベランダでゆっくりの干物(?)らしきものがまるで干し柿のように連なりぶら下がっている 使用されるのは主にれいむ種とまりさ種 「ゆっくりなんてその辺で捕まるから家計にも優しいでしょ?」 「『裏山で山菜採ってきたよ』みたいなノリで言うな。それに捕まえて来るにしたって限度があるだろ。一匹もいればお腹一杯だ」 「だって何匹も簡単に捕まるんだよ?」 「それはお前限定だ」 ゆっくりにとって息子はかなりの美男に見えるらしい そんな魅力的な雄に声を掛けられれば近寄ってこないゆっくりはいないだろう (そもそもお前も半分はゆっくりなんだから同族殺しになるんじゃ・・・・) 考えの途中で父は思い出した (そういえば母さんも捕食種か…) きめぇ丸にとってれいむ種やまりさ種の価値は食料でしかなかった (考えたら。こいつも昔かられいむやまりさにだけは興味無かったよな) 息子は母の価値観をそのまま引き継いでいた 「まあとにかく。アメリカのキャンディーよりも甘くて、ドイツのチョコより薬品臭いカレーを父さんはカレーとは認めません」 「美味しいのに・・・・」 「それもお前限定だ」 父は二次性徴を迎えてから徐々にゆっくりの特徴を見せ始める息子を密かに心配していた 「お前にはゆっくりレイパーになって欲しいと心から願っているがな」 「願うな」 「このままじゃ本当にゆっくりになってしまうぞ?」 「いやならないから」 「でも実際、どうなるかわかんないだろ。お前違う生き物なんだか、ら…」 言って、しまったと思った 息子の表情が一瞬だけ翳(かげ)った 「すまん…別にそんなつもりじゃ」 「大丈夫、気にしてないから」 ―――違う生き物 その言葉が彼の心を静かに削り、抉った 父から自分が人間とゆっくりのハーフと知らされて半年。時間が流れるにつれて彼にその事実を受け入れ始めていた 最初の時のような戸惑いはもう無い。しかしそれは同時に自分が半分人間ではないと認めるのと同義だった 『自分はそういった存在なんだ』と割り切ってはいたが、父のその言葉に大きな疎外感を感じた 「僕もう寝るね。お風呂は朝入るよ」 「あ、ああ…」 その日から親子の気まずい時間は始まった そんなこんなで1週間が過ぎた 時刻は冒頭。日曜の午後に戻る 「なあいい加減機嫌を直せ」 「別に怒ってないって言ってるだろ」 彼自身、もう父のことを許していた。しかしそのことをなかなか言えないまま今日まで来てしまった 「父さんの余ってるキン消しやるから、な? ほらブロッケンJr とウルフマン」 「タッグトーナメント? そのネタわかりづらいよ。じゃなくて僕は…」 ピンポーン そんなときインターホンが鳴った 父との話を打ち切り、箸を置いて口元を拭き玄関へ向かう 「はい、どなたで…うわっ!!」 「ハジメマシテ、ボブデス」 玄関の入り口よりも高い身長の黒人が立っていた 「おおボブ、わざわざ家まで来てくれたのか。あとで車で迎えに行こうと思ってたのに」 「ドウモデス。カチョーサン」 シェイクハンドする父と黒人 「どちら様?」 「紹介が遅れた。彼はボブ、会社の海外技術研修生だ」 「ヨロシク」 握手する手がボブの手にスッポリと包まれた 「これから出かけるがお前も来るか?」 「え? ああ…うん」 この日父はボブに市街を観光させる約束をしていた 車は父が運転して、その助手席にはボブ。後部座席に息子が座った 「え? ボブさんまだ二十歳なの!?」 「ははは、凄いだろう?」 「なんで父さんが威張るの?」 和気藹々としながら車は国道を走る 「ムスコクン、ワタシノ、コキョウノ、シャシン、ミル?」 ボブがデジタルカメラを取り出すとそのディスプレイを後の席の息子に見せた 「ボブの故郷?」 スライドショーには落書きだらけの町並みが写っていた 「スラム?」 「ソウデス。トテモ、キケンナ、マチ」 スラム街=貧しい人たちが寄り集まって住んでいる地区 「ボブはその年で結構苦労してるんだぞ」 「そうなんだ…」 陽気そうに見える彼がどんな苦労をしてきたのかを、世界を知らない少年は想像することすらできない スライド写真の中で馴染みのあるものを見つけた 「ゆっくり?」 「イエァ! ワタシノ、マチノ、キュウセイシュ」 「スラム街はゆっくりが現れて変わったそうだ」 「コノ、シャシン、ミテ」 みすぼらしい格好の子供がれいむを齧っている場面 「ホームレス、タベモノ、フエタ」 繁殖能力が高く、調理しなくても食べられるゆっくりは物乞いの子供や大人にとって大変重宝された 「ゆっくりって美味しい食べ物だよね」 「Yes」 「そうか? 父さんはあんまり好きじゃないぞ」 ディスプレイの映像が切り替わる 「え?」 ゆっくりまりさが一匹だけ写っている まりさの口はだらりと開き、目は虚ろ。帽子と髪には白濁液が掛かっていた 「コレ、レイプサレタ、マリサ」 「ゆっくりを犯すことで性犯罪も減ったらしいぞ」 「いや、たしかにその事実もすごいけど。これボブが撮ったんだよね?」 「イエア」 その写真は明らかに犯された直後だった 「まりさを犯したのってもしかして…」 「ボブだ」 (ボブも同類かよ…) 顔に手を当てる。落胆の色は以外に大きい 画面が切り替わる 数人の黒人がバスケットをしているところだった 「このボールってもしかして」 黒人が手にしているのはバスケットボールではなく、ゆっくりれいむだった ボブ曰く。スラム街でゆっくりが死ぬ一番の原因は、食べられることでもレイプされることでもなく。スラムダンクによるショック死らしい 「コドモノコロ、NBAノ、センシュニ、ナリタカッタデス。ダカラ、マイニチ、レンシュウ、シテマシタ」 「父さんは幼い時『パーマン』になりたいって思ってたな。結局リーマンになってしまったが」 「いや、父さんは十分立派な(レイ)パーマンだと思うよ」 (そういえばコイツ幼い時『アンパンマン』になりたいって言ってたな。当時はギャグか本気か正直わからなかった) 地雷になると思ってあえて口に出さなかった その後、街で有名なスポットを数箇所回る。回り終わった頃には夕方になっていた 店で食事を済まして次に向かったのが市民公園だった 「ここが最後のスポットだ。というかメインスポットだ」 季節は冬。寒さと暗さで、その広さに関わらず人は見当たらない 「こんなところで何するつもり?」 嫌な予感しかしない 「この公園にはゆっくりが沢山生息しています」 「どうせレイプするつもりでしょ?」 車に積んであった大きめのコートを羽織り、寒さで顎を震わせながら父を睨む 「話は最後まで聞きなさい」 咳払いをして話を続ける 「今そのゆっくりの群れは二つの勢力に分かれて激しい縄張り争いをしています」 「それで?」 どうして敬語口調なのかはあえて訊かない 「仲間同士争うことは大変悲しいことです。故に紛争の根絶を掲げる我々ユックリ・レイパーはその対立を止めるべく武力介入します」 「結局レイプするんじゃないか。しかも『我々っ』て僕も混ざってるの?」 「フンソウコンゼツ! フンソウコンゼツ!」 「ボブさん五月蝿い」 ハイテンションのボブをなんとかなだめる 「僕行かないから」 「え〜〜〜ノリ悪いなお前」 「誰がノリノリでゆっくりレイプするんだよ」 「ココニイマス」 「ボブは黙ってろ」 彼はボブに『さん』を付けるのをやめた 「この公園は凄いラインナップだぞ」 父は紙を広げて自分がサーチした情報を読み上げる 「れいむ種にまりさ種はもちろん。ぱちゅりーにちぇん、みょんにめーりん…胴つきも数匹確認されてるし、希少種もいるかもしれないって話だ」 「oh.Fantastic!!」 再びボブが興奮し始める 「それでも行く気が全く起きない」 そもそもゆっくりを犯す気など彼には毛頭無かった 「・・・しょうがない、行こうかボブ」 「ザンネンデス」 「後から来てもお前の分ないからな!」 「無くて良いよ。車で待ってるから」 小さくなっていく二人の背中を見送る 自動販売機でお汁粉を買う。缶で手を温めながら駐車場に戻る ここである重要なことを思い出した (しまった。この公園って) この場所は現在付き合っているゆっくりふらんが根城にしている場所だった (ふーちゃん(注;彼女の呼び名)が危ない) あの二人に捕まったらどんな鬼畜なことをされるかわからない 缶をポケットにしまい二人が居るであろう方向へ走った 「ん?」 途中、少し離れた噴水の街灯の近くに誰かが座り込んでいるのが見えた 「誰だろう?」 気になって静かに近づいた 街灯の近くにいたのは自分と同年代の女の子だった。最近になってやっと人間と胴付きの見分けが彼は出来るようになった 女の子の手にはゆっくりめーりんとみょんがいた 二匹の動きがおかしかった。見たところ怪我をしているようだ 「どうかしたんですか?」 だから思わず声をかけてしまった 「私は。ゆ、ゆっくりなんて虐待してません!・・・・・・・て、あんた」 「あれ? 委員長?」 相手は知り合いだった 彼女はクラスの委員長を務めており、胴付きのぱちゅりぃを飼いたいと言っていた子だった 「どうしてあんたがこんな時間にここに居るのよ?」 「委員長こそどうして? それより…」 怪我をした二匹が心配だった。彼はれいむとまりさ以外のゆっくりには基本優しかった 「JAO!! JAO! OOOOOOO!!」 「チンポ!! マラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラ」 しきりに二匹が彼に訴える 「な、何言ってるのかしらコイツ等。さ、さっぱりわかんないわよね!?」 焦る彼女とは逆に、彼は神妙な面持ちで二匹に相槌を打った 話を聞き終わり、めーりんとみょんを持ち上げて体を裏返す 二匹の体の裏には釘や木の枝が剣山のように突き刺さっていた かじかむ指を息で温めながら二匹のそれを取り除いてやる 仕上げに買って来たお汁粉を怪我をした部分にかける 「これでもう大丈夫」 「JAO!! 」 「みょんッ!!」 それぞれ礼を言い、二匹は這いずるような緩やかな動きで草むらの中に戻っていった 彼女はそれををただ呆然と見ていた 「あんたあいつらの言葉わかるの?」 「え? 普通わからない?」 彼女は怪訝な顔をする 「あんた馬鹿? めーりんとみょんの言葉がわかる人間なんているわけないじゃない」 (しまった・・・それ僕だけだ) このままでは自分は変な奴だと思われてしまうため、上手い言い訳を考える 「見てたんでしょ? 私があいつら虐待してるところ」 「へ?」 「とぼけないで。あんた始めから見てたからあいつらが怪我した場所が分ったんでしょ!?」 (そうなんだ・・・) 二匹からは怪我をした箇所しか教えてもらっていないため、そこまでは知らなかった 「どうして委員長が?」 クラスでも成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい彼女を知る彼にとってそれは信じられないことだった 「私だってイライラすることもあれば、八つ当たりしたいときもあるの」 大人、友人、同級生。周囲からの期待が重圧となり、無意識のうちに彼女はそれに押さえつけられていた 「ムカつくのよこいつら。揃いも揃って人を小ばかにしたような顔して」 ストレスの発散がゆっくりに向いたのは自然な流れだった 「ねえ。あんたこのコト・・・・」 彼の胸倉を掴む 「もし誰かに言ったら・・・」 ポケットから出した釘を首に突きつける 「言わない。誰にも言わないから」 「本当でしょうね?」 その時、頭上からギシリという音がして街灯の灯りが一瞬だけ揺らいだような気がした 「「!?」」 同時に二人は顔を上げる けれどそこには何も無かった しかし何かが居ることは疑いようがなかった 「いっ」 彼は急に腕を引かれて後ろに下がる 自分の腕に何かが組み付いていた 灯りに照らされてようやくその姿がわかる (ふーちゃん・・・?) ゆっくりふらんが彼の腕にしがみついていた 「う゛〜〜〜」 牙を剥き出して唸り彼氏を脅していた相手を威嚇する 「なにこいつ? あんたの知り合い?」 「え〜〜〜〜と・・・」 どう答えようかと考えていると、ゆっくりふらんが少女の前まで歩み寄った 直後、濡れたタオルを勢い良く振った時と同じ音がした 「え・・・・・・」 彼女は自分が叩かれたことに気付くのに数秒の時間を有した 「叩かれた…? 私が…? この下膨れの不細工に…?」 ふらんは叩き終わってもなお彼女を睨みつけていた 「何アンタ? さっきのゆっくりの仲間? 仕返しに来たってわけ?」 (あ、なんか都合の良い勘違いしてくれてる) 彼がそう思った後。また先程と同じ音がした 「っ・・」 「お返しよ。馬鹿饅頭モドキ」 今度は彼女がふらんの頬を叩いた 「あの、二人とも? ちょっと落ち着いて・・・」 「黙ってなさい!!」「だまってて」 「はい、すみません」 二つの剣幕で彼は萎縮する以外の選択肢を与えられなかった 向き合う委員長とゆっくりふらん お互いに肩幅まで足を広げて足元を安定させる 一人と一匹。同時に腕を振り上げた 乾いた音が夜の公園に響いた 何分続けているのだろうか 「あうっ」「あぐ」 まるでテニスのラリーのように、飽きることなくお互いの頬をたたきあう 「う゛ッ!」「がぁ!」 そこには審判もオフィシャルルールも存在しない 「う゛う゛」「くっ!!」 あるのはただ一つ『雌の掟』。それが唯一無二 「んんっ!!」「うぐッ!!」 男には生涯を通して決して理解も共感されない『女の世界』があった 人間対ゆっくりの戦い 手の大きさ、体格、重量、体を構成する物質 全てにおいてこの勝負はゆっくりにとって不利だった しかしまだゆっくりふらんは立っていた 左頬の皮はずる剥けて、首までデロリとはがれていた 「あんた良いわ。痛みで泣くのグッと堪えてるその顔…凄くゾクゾクする」 恍惚とさせて叩く手を舐める。その姿はなぜか彼は艶やかさを感じていた 彼女の頬は赤く腫れる程度で大したダメージは無かった 「あんた大したもんよ。素直に敬意を払うわ。だからこれで楽にさせてあげる」 ゆっくりふらんは次にでも皮が完全に破けて中身が出るだろう 彼女は手を大きく振りかぶる 「待っ!!」 まずいと思い彼が声を上げた しかし無情にもその手は振り下ろされた 大の字になって後に倒れこむふらん。しかし乾いた音はしなかった 彼女の手は空中で静止していた 「寸止めよ」 それだけ言って彼女は踵を返した。ふらんは気絶していた 自分の鞄を拾って肩に担ぐ 「委員長」 「ああ、そういえばあんたも居たわね。忘れてたわ。何?」 「いや、その。冷やさないと腫れるから」 彼はついさっき噴水の水で濡らしたハンカチを彼女に差し出した 「幻滅しないの? 私は自分よりも弱いものをいじめて悦に入る最低な人間なのよ?」 「誰にだって人に言えない秘密くらい持ってるよ。それに委員長がそうなった原因にきっと僕たちにもあるから」 「そう・・・・」 彼女はハンカチを受け取った 「あんたって変わってるわね」 「そうかな?・・・・・・・・いや、良く言われるよ」 「やっぱり変ね。あなた」 クスリと笑らわれた 「やっぱり。ぱちゅりぃさんも虐めてるの?」 「流石に人様から貰ったペットにはしないわよ。おちょくる程度に留めてあるわ。『頭悪い』って罵倒してるだけよ」 (不安だなぁ) 普段の営業スマイルに戻った彼女の足取りは軽い 「あの子の頬を最後叩かないでくれてありがとう」 「なんであなたが礼を言うの? それに勘違いしないで、私は自分の手があれの中身で汚れるのが嫌だっただけよ」 「本当に?」 「本当のこといっても男には一生わからないわよ・・・・・・それじゃあ、また明日。学校で。ハンカチは今度返すわ」 「うん。それじゃあ学校で」 彼女はそのまま信号のある方向へ歩いていった 「おい見ろよボブ。あんちきしょう、修羅場から一転。フラグ立てやがったぞ」 「スミニオケネーナ、タイショウ」 背後から二人が戻ってきた 「何時から見てたの?」 「ソンナコトヨリ、コノコ、ヤッチマオーゼ」 ボブはコートのかけられたふらんを指差す 「それは駄目!」 「ボブ。これはどうやら息子専用のようだ。それより今から戻って第二ラウンドと行こうじゃないか。そろそろ逃げ延びたのが戻ってくる時間だ」 「オオ、ジャストミート、フクザワ!」 「意味わかんねーよ」 「う・・・・・」 ゆっくりふらんは目を覚ました 「あ、気がついた」 自分はベンチの上で彼のコートに包まれていた 頬の傷は治りかけていた 「お汁粉飲む?」 新しく買いなおしたものを渡す 「つめたい」 「え。そうかな? 買ったばっかりなのに」 「ちがう。おまえのてが」 「え?」 起き上がり彼にコートを返す 「だめだよ。ふーちゃんその格好だと寒いでしょ?」 「もんだいない」 コートを羽織った彼の懐に潜り込んだ 大きめのコートは二人を包むのに十分な大きさだった 「こうしたらふたりともあたたかい」 「そうだね。ふーちゃんは賢いね」 「それほどでもない・・・・」 コートの中で体を反転させて彼と向き合い、背中に手を回した 「見つめ合〜うとすなぁ↑おにぃ↓♪」 「オシャーベリ♪」 「出来ぃなぁ↑あぁ↑い♪」 「ツナミノヨーナワビィシサニ〜♪」 「I Know..怯えているぅ♪」 「「HOO♪」」 「うるさいよ!! 今めちゃくちゃ大事な話してるから黙ってて!!! さっさと第三ラウウド行って来いよ!!!」 「仕方ない。行くかボブ」 「ガッテン」 「てえゆーか二人とも服着ろよ! 寒くねーのか!!」 二人の姿が消えたのを完全に確認する 話の本題に入る 「ふーちゃんに僕はどんな風に見えるの?」 父親の失言をこの一週間自分なりに考えていた 人間とゆっくりの中間にいる自分はこの先どんな人生を辿るのかを 父をはじめとして、人間には人間として自分は認識されている ゆっくりからも自分は同族視されている もしかしたら父が危惧する。ゆっくりとしても人生というのもあるのかもしれない 彼は今、複雑な境界線の上をたゆっていた 「“おまえ”は”おまえ”。いっているいみがわからない」 「そうか・・・・・そうだよね」 彼女の言ったそれが全てのような気がした 「なやむのよくない」 「うん」 ―――あなたはまだ若い。存分にモラトリアムなさい。あなただけの道が見つかるはずです いつか母がそう言ってくれたのを思い出した 自分のような若造がこんなことで悩むのはまだずっと早いのかもしれないと感じた 「自分のやりたいようにやってみるよ」 何かにぶつかるまで 「それがいい」 「あの地〜平〜線♪」 「カ〜ガヤクノワ〜〜〜〜♪」 「どこか〜に君を〜♪」 「カクシテーイルカーラー♪ Wow.Wow♪」 「だから歌うな!! しかもなんだよ『Wow.Wow♪』って!? なに勝手に歌詞変えてるんだよ!! ちょっとその辺ジョギングして来い!! すぐ済むから!!」 「すぐにスんじゃうの?」 「ソーロ? ユーアーソーロ? チチオヤハ、アンナ、テクニシャンナノニ?」 「そういう意味じゃないからっ!! ボブ! お前さっさと帰国しろ!!」 二人が公園の外周を走り出したのを確認する 「これから寒くなるけど、ふーちゃんはどこで寝てるの?」 「むこう」 ふらんが指した先にあるのは公衆トイレだった。その隅っこにダンボールと新聞紙の塊があった 「あの中」 「寒くない?」 「すこし・・・」 「危なくない?」 「わからない」 ああいったものは放火魔の対象になりやすと聞いたことがある 「あのさ・・・もし良かったら・・・」 「?」 「愛に〜気付いてくだ↑さーい↓♪」 「ボクガ ダキシメテア・ゲ・ルー♪」 「夢も 涙も忘れ〜て♪」 「キミヲ」 「求めていた〜♪」 「お前等消えろよ!! 通報してやるから!!」 携帯電話をチラつかせると二人はすごすごと歩いていった 話を戻す 「良かったらさ。家にこない? 寒くないしきっと安全だと思うんだ」 「ちちおやがいる」 以前、父親は彼女を押し倒した前科がある 「大丈夫。指一本触れさせないから。それにあれでも最低限の良識はあると思うから」 「めいわくかからない?」 「掛からないよ」 「じゃあ・・・・・いっしょにくらしたい」 そう言うと彼女はコートの中に顔をすっぽりと隠してしまった そのため今はどんな表情をしているのかわからない ただ、今の自分と同じ顔をしてくれていたらいいな。と彼は思った 帰り道の車 ボブはステイ先に降ろした 父が運転席。助手席は無人。後部席には息子。息子の隣にはゆっくりふらん ふらんは彼にもたれて眠っていた 「そういえばこの前に登山の帰りに『ゆっくりの性感帯が点になって見える』って言ったじゃん」 「それが何?」 父が息子に尋ねる 「それ本当(マジ)か?」 「は? だって父さんが見えるようになるって…」 「感覚でなんとなくわかるようになるって言ったが。点が見えるなんて言った覚えはない」 「・・・」 「それはレイパー自称してる父さんでも正直引くわーー」 父はまたしまったと思った 再び彼に対して地雷を踏んでしまった ルームミラーを見ると息子が一週間前の息子の表情と同じだった 「わーー! 嘘!嘘だから!! 冗談。イッツアジョーク! 父さん引いてないから。あんだーすたん?」 「ふーちゃんが乗ってなかったら今頃この車ガードレールにぶつかってたよ・・・」 「悪かった。あ、ボブからお前に伝言預かってたんだ」 「ボブが?」 「そもそも今日の街案内はボブがお前に会ってみたいってのが発端で始まったんだぞ」 「そうなんだ」 懐から便箋を取り出して渡す 「その子とお前が一緒に居るときに書いたみたいだ。父さんもまだ読んでない」 「そうなんだ」 紙を開く 『君見てると、なんかゆっくり見てるみたいで、なんか知らないけどムラムラしたよ』 「父さん。ボブって以外に達筆なんだね」 「何が書いてあったんだ? おい? どうして泣いてるんだ? 心配しなくてもボブが帰るのは半年も先だから何時でも会えるぞ」 この日から一週間。息子は父と口を聞かなかった 終わり present by ゆっくりレイパー
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ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 と言いたいところだが、今日はちょっと事情が違った。 昼過ぎ、永遠亭の永琳の元へ訪れたのは、里の守護者上白沢慧音と、台車に載せられ縄で縛り付けられたやたらでかいゆっくりまりさだった。 でかい。 とにかくでかい。 直径は2メートルを優に超えている。内包する餡子の総量はいかほどであろうか。男五人で台車を引いてきたことから、並大抵のものではないだろう。 「ゆっ、ゆぐっ、ゆぐっりざぜでぇえええ」 声もでかかった。縛られているせいか上手く喋れないようだが、それでもびりびりと空気が振動するほどだった。 「これはまた、巨大ゆっくりとは珍しい。今日の用向きは、つまりこれのことで?」 「うむ。実は──」 神妙な面持ちで慧音は話し始めた。 最近、里の近くに巨大なゆっくりが近づいてきているらしい。 ごくまれに見かける巨大ゆっくりだが、その巨体さゆえあまり動くことはできず、しかも大量の餌を必要とする。 そのため普段は人が立ち入らず、餌が豊富な山奥に住んでいるのだが、昨日の早朝、この巨大まりさが発見された。 もしやと思って村の男衆が辺りを調べてみると、その他にも四匹の巨大ゆっくりまりさが見つかったのだという。 恐らく食料を求めて山を降りてきているのだろう。一週間前の土砂崩れで、餌場を喪ったものと推測された。 進路上には里の畑があり、このまま放っておけば甚大な被害が出ることは火を見るより明らかである。 おそらくは明日の夜にでも里まで到達するだろう。 その前にどうにか駆除なり撃退なりしたい──というのが慧音の願いであった。 「あなたがやればいいじゃない。別に巨大ゆっくり如き、空から弾幕でも張れば」 「うぅむ、そこが悩みどころなのだが」 どうにも、その巨大まりさの群れには、取り巻きのゆっくりがたくさんいるらしい。 また、山奥にあとどれほどの巨大ゆっくりがいるのかも分からない。 慧音がゆっくりを駆除したところで、取り巻きに顔を覚えられ、それが里に住む自分であると知られれば、一族総出で復讐に来ることも考えられた。 「つまり後腐れなく、しかも村が恨まれるようなこともない方法を考えて欲しい、と」 「その通りだ。無茶な頼みとは分かっているが、どうにかならないものだろうか」 うむむ、と永琳は思考を巡らせた。 「思いついたわ」 「早っ」 だがそこは天才、ものの五秒で妙案を打ち出した。 早速、弟子の鈴仙を呼び寄せて巨大まりさを地下研究所に運び込むと、作業を開始した。 その作業には慧音も付き合うことになった。といっても見ているだけだが。 「ゆっ! ゆっぐりはなじでね! まりざごはんたべにいぎだいんだがらね!」 地面に固定されながらも、ぶよんぶよんと身体を揺らしながら主張する巨大まりさ。自分の立場がわかっていないようである。 「うーん、予想以上にたるんでるわね。大きくなるとみんなこうなのかしら」 「まりざはたるんでなんがいないよ! びゅーぢふるぼでぃーだよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 「師匠、どうぞ」 まともに取り合っても疲れるだけだ。永琳は適当に返しつつ、鈴仙から渡された巨大な注射器をまりさに打ち込んだ。 「ゆべっ!?」 まりさは、自分の身に起きた異常にすぐさま気づいたらしい。大きいものほど鈍感だというがあれは嘘だったのか。 嘘なのだろう。現に永琳の胸についているけしからんものも、輝夜や鈴仙の手にかかれば…… 「……何かすごくピンク色の気配を感じたけど、無視することにするわ」 永琳が打ち込んだのは餡硬化剤である。ゆっくりの餡子から水分を奪い、ほとんど砂糖同然の固形物にしてしまう代物だ。 今回はそれを薄めて使用している。今回投与した量だと、ゆっくりの餡子には程よい弾力が出来る程度だ。 そしてそれが今回は極めて重要であった。 「うっ、うごけないよ! おねぇさんなにしたのぉ!?」 まりさが喚くが当然無視。そこに、いつの間にか部屋を出ていた鈴仙が普通のゆっくりまりさを連れてきた。 全部成体であり、そして、全部口が縫い付けられていた。その数九匹。 「よろしい。では次のものを」 「はい」 指令を受け、鈴仙が再び部屋を出る。 永琳は何かを訴えてくるようなまりさを持ち上げると、台の上にうつぶせに寝かせ、後頭部の皮をすっぱりと切り取ってしまった。 「やべでぇぇぇぇぇ!!! まりざのながばになにずるのぉぉぉぉぉ!??!」 「ああうるさい。施術中は静かになさい」 永琳がさっと腕を振ると途端、巨大まりさは静かになった。口がぱくぱく動いているが、声は全く聞こえない。防音の結界を張ったのだ。 「ふむ、してどうする気だ? この普通のゆっくり達は」 ずっと経過を見守っていた慧音が疑問を口にした。 「うーん、まぁおまけみたいなものなんだけど、盾くらいにはなるかなって」 と、永琳はそのゆっくりの餡子に直接餡硬化剤(濃い目)を投与し、巨大ゆっくりに近づいた。 「おっと」 しっかり耳栓をする。防音結界も、その結界の中に入ってしまえば意味はない。 結界に入った途端、すさまじい怒声が永琳を出迎えた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅっ!!! じねっ!!! まりざだぢをいじめるわるいおばざんはじねっ!!!」 「あら酷い。私永遠の十七歳なのに」 十七歳かはさておき、見た目的に若い永琳に対して失礼甚だしいことである。そう、僕らの永琳はいつだって少女臭。どこかのスキマと一緒にしな 「……何かすごくピンク色の気配をまた感じたけど、すぐに消えちゃったわね」 ぼやきつつ、永琳はすぱっとナイフを閃かせた。 「ゆ?」 その手並みが鮮やかすぎて、巨大まりさは、一瞬自分の身に何が起きたかわからなかった。 だが目の前に垂れ下がってきたモノと、そして額に感じる冷たさから、ようやく事態を飲み込んだ。 「ゆ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」 まりさの額にはぽっかりと穴が開き、中の餡子を覗かせていた。 その穴に、永琳は後頭部の皮を切り取ったまりさを突っ込む。 「ぶぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 巨大まりさが叫ぶ。口を縫われた普通のゆっくりは何も言えず、ただがくがくと身を痙攣させていた。 そんな様子にも構わず、永琳は慣れた手つきで普通のゆっくりと巨大ゆっくりの接合面を縫い付けていった。 それを繰り返すこと八度。 巨大まりさの額の円周上には、見事、普通のゆっくりの顔が埋め込まれていた。 埋め込まれたゆっくり達はどれも苦悶の表情を浮かべ、しかし、それぞれがちゃんと生きている。 九回も頭をくり貫かれた巨大まりさは息も絶え絶えだが、こちらも死ぬような様子はない。 「これは……まさか……」 慧音は何かに気づいたようだった。永琳はその様子にニヤリと笑みを浮かべた。 「師匠、連れてきました」 「うー?」 戻ってきた鈴仙が伴っていたのは、ゆっくりふらんだった。それも成体──胴付きである。 ふらんは興味深そうに巨大まりさを見ている。 普段ならすぐにかぶりついてもおかしくないところだが、さっき食事をしたばかりのため、食欲は沸かないらしい。 慧音が驚く。 「ここではふらんまで飼育しているのか」 「れみりゃもいるわよ。まぁそっちはもう研究し尽くしちゃったし、どうでもいいのだけれども。 その点ふらんはまだ分かってないことも多くてね、興味深い研究対象だわ」 答えつつ、永琳はふわりと浮き上がる。 巨大まりさの頭上に立つと、その帽子を蹴り飛ばし、まりさが抗議をあげる前に、その頭頂部に包丁をつきたてた。 「ゆっ! ぎっ! ぶべっ!」 「流石に厚いわねぇ。しかもマズそう」 そのまま、鋸でも引くように、円形に頭の皮を切り取った。出来た穴は、ちょうど子供一人がすっぽり納まる程度の大きさである。 「鈴仙、頼むわ」 「はーい。それじゃあふらん、今から一緒に面白いことしようねー」 鈴仙はふらんの脇に手を入れて持ち上げると、そのまま浮かび上がった。 そして巨大まりさの真上まで来ると、よく狙いを定めて、 「「パイルダァァァァァァァァオォォォォォォォォォン!!!!」」 師と弟子の声が重なった。 ずぼんっ、と気持ちのいい音を立てて、巨大まりさの餡子の中に、ふらんが腰まで突っ込まれた。 「ゆっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 当然、絶叫したのは巨大まりさである。人間なら脳に直接腕を突っ込まれたようなものだ。 一方、慧音は言葉を喪っていた。永琳と鈴仙の残酷合体に慄いたからではない。もっと別の何かに、心動かされていた。 「これは……これは! 十面鬼ゴル○ス・人面岩形態!!!」 「イグザクトリィィィィ─────ッ!!!!」 ビシャアァァァン!!!と雷鳴を轟かせながら、慧音と永琳はお互いを指差した。 ここに二人の心は、かけがえのない絆で結ばれたのである。 幻想郷の住人が何故ゴル○スを知っているのか、という疑問はあるが、些細である。テンプレ的に全てスキマ妖怪のせいにしてしまえば良い。 「……! う゛ー! きもぢわるい! だせ、だせぇーぇぇぇ!!!」 ふらんはようやく事態を理解すると、途端に騒ぎ出した。腰から下が餡子風呂に使っているのだから当然か。 しかしふらんがもがけば、苦しむのは当然巨大まりさである。 「ゆびぃっ! やげっ、べっ、まりざのなががぎまじぇなぎでっべぇぇぇぇぇぇええ!!!」 餡子脳をぐちゃぐちゃにかき回され、まりさは声にならない叫びを上げた。しかし餡子が飛び出るわけではないので、死にはしない。 「ほらほらふらんー、暴れないでねー、今から面白い遊び教えてあげるからねー」 「……う゛ー」 普段から世話をしている鈴仙になだめられ、ようやくふらんは少し大人しくなった。 鈴仙はふらんの手に、魔理沙の髪の毛を握らせる。そして、右のほうを引っ張るようジェスチャーした。 「う?」 ぐいっ。 「ゆべっ!」 びぐん、とまりさの巨体が震え、身体がやや右を向いた。既に固定は解除されている。 「…………」 ぐいっ、と今度は左。 「べひっ!」 するとやはり、まりさは左を向く。 幾度かの試行を経て、ふらんは理解した。 このおおきなまりさは、じぶんのおもいどおりにうごかせる。 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! まりざをおぼぢゃにじないでぇぇぇぇ!!!!」 痛みと混乱から今まで静かだったまりさが、とうとう根を上げた。 だがそれを許すふらんではない。既にもう、これは自分のものなのだ。 「うー! しねっ!」 ボグシャア、と握り固めた(ゆっくりにとっては)硬い拳を振り下ろす。 「べびぎっ!」 頭部の中心を勢いよく殴られ、まりさは呻く。 「しねっ! しねっ! ふらんのゆーこときかないまりさはしねっ!」 「ばびゅっ! おぶっ! ぶぎゃ! ……あ゛あぁぁぁぁん!! もうみんなのどごがえるぅぅぅぅぅ!!!!」 泣き言をあげるたびにふらんの拳が飛ぶ。 だがやがてふらんは、わざわざ殴らなくていいことに気づいた。ちょっと足を動かしてやれば、すぐにこのまりさは大人しくなる。 「わがりまじだぁぁぁああ!!! ゆーごどぎぎまずぅぅぅぅ!!!」 二十分後、とうとう、まりさはふらんに完全に屈した。でかい瞳から滝のように涙を流し、ふらんのものになることを受け入れた。 感覚が繋がっているのか、それとも恐怖からなのか、巨大まりさに埋め込まれた普通のまりさ達も泣いていた。 「ホラーですね」 鈴仙の呟きに、まったくそのとおりだと永琳と慧音は頷いた。同じ顔が並んで涙を流している光景は、結構引く。 「よし、じゃあふらん、次は前に動く練習よ。足を前に踏ん張って」 「う? ……こう?」 「ゆぼぇっ!?」 ぐりっ、と餡子を踏んづけられたまりさの巨体が跳ねた。 「そうそう! それを連続して!」 言われたとおりにふらんが足を前に蹴りだすと、それに合わせてまりさが跳ねる。 それが楽しくてしょうがなく、ふらんはすぐにコツを掴んだ。 「止まるときは足を後ろに踏ん張って、右に曲がりたいときは右の髪、左に曲がりたいなら左の髪!」 「うっ、うっ、う~う~♪」 終始ご機嫌な様子で、ふらんはまりさを『操縦』している。 「ふぅむ、中々覚えがいいんだな」 「他のゆっくりに比べればだけどね。語彙は足りないけど、知能レベルはそこそこよ。 これまでの研究結果だと、特に『楽しいこと』『狩りのこと』に関しての覚えは特に良いわ。 まぁそれでも、曲りなりにも『手』を持ってる生物としては、当然といったレベルかしら」 そこで、はぁ、と永琳は溜息をついた。 「……むしろ、何故ゆっくりれみりゃがあそこまで知能が低いのか理解できないわ。 どこをどうしたら、あそこまで愚鈍になれるのか……しかも幼体のほうが強いって」 「まぁゆっくり自体わけのわからん生き物だからなぁ」 「ぶっちゃけないでよ。自分のしてきたことが無意味に思えちゃう」 憮然とする永琳の前で、鈴仙は熱心にふらんの指導に取り組んでいる。 「足を後ろに踏ん張って止まる!」 「うー!」「うぎぃ!」 「すかさず髪の毛を両方引っ張って、足を前にやってばんざーい!」 「ばんじゃーい!」「うべぇぇえええ!!」 鈴仙の的確な指示に従って、ふらんが両手を挙げると、まりさの巨体が大きくジャンプした。 そして見事に着地する。 「良しっ! ディ・モールト! ディ・モールトいいぞっ! よく学習してるぞ!」 そろそろ鈴仙にどこかの子作り野郎の霊が降り始めたところで、永琳は慧音に持ちかけた。 「あなたをここに連れ込んだのは、あのフランを教育してほしいからなの」 「あの月兎がいれば充分に思えるが……」 「あの子はアメばかりでムチの使い方がいまいちでねぇ。その点、あなたなら安心だわ。学校の先生だもの」 「まぁいいが……それで、どの程度まで教育すればいいんだ?」 その言葉に、永琳は了承が取れたものと理解した。永琳は告げた。 「一日で、木馬を操る子供が、いっぱしの走り屋に至るまで」 「──心得た。引き受けよう」 慧音の瞳には、教育者の熱い炎が灯っていた。 昔慧音は走り屋だった。 妹紅と一緒に峠を攻めては、四季映姫機動パトロール隊によく追いかけられたものである。 それを撒いて仲間と共に、ゆっくりを肴に呑む酒は最高だった。 だがそんな慧音を走りから遠ざける事件が起こった。 走り仲間だった阿八が、ある日事故って死んでしまったのである。 最もゆっくりを愛し、最も走りを愛した少女だった。 その日も道路上に敷き詰めたゆっくりを、愛車(リヤカー)でひき潰す遊びをしていたところだった。 危ないからやめろと慧音と妹紅はいつも止めたが、しかし彼女は若かった。 その挙句が、餡子に滑って転んだ上に崖の下まで転げ落ち、そこで見つけたゆっくりの群れを、大量出血状態のまま破壊したが故の死である。 慧音と妹紅と走り仲間達が出席した葬儀には、あの四季映姫も参列していた。 ぶるぶると拳を握り固め、嗚咽を洩らすその姿は、自らが救えなかった若人の命を嘆いているかのようだった。 それを見た途端、慧音の心にあれほど燻っていた走り屋の火が、小さくなっていった。 「阿八よぉ……お前、本当に風になっちまったンだなぁ……」 それ以来慧音は走りをやめ、やがて教師を志し今に至るというのは勿論全部ウソである。 翌日。 「──今だっ! カットバックドロップターン!」 ズァギャギャギャギャギャッ、っと凄まじい音をさせながら巨大まりさが床をドリフトする。 心地よいエキゾーストノート(=巨大まりさの叫び声)が見るものの心を震わせる。 慧音の教えのお陰で、今や完全にふらんは巨大まりさを我が物としていた。 慧音は満足そうな顔で車体を止めたふらんの高さまで飛ぶと、その頭をすごい勢いで撫で始めた。 「良ぉお~~~~~~~しッ! よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし。 りっぱにできたぞ! フラン」 「うっう~☆ にぱ~」 撫でられるふらんもまんざらではなさそうである。 時には厳しく、時には優しく慧音はふらんを教育した。そしてふらんはそれに答えた。教育者としてそれに勝る喜びはない。 「頑張ったご褒美をやらんとな! ゆっくりれいむ二個でいいか?」 「うぁ~! うっうっう~」 「三個か!? 甘いの三個ほしいのか!? 三個……イヤしんぼめ!!」 言いながら、慧音はふらんに三匹の赤ちゃんれいむを与えた。 「おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁああ!」 「ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!」 「やべべべべべべべ!」 ちなみに他の姉妹や母親は、今は巨大まりさの腹の中だ。 ふらんが望めば、最早まりさの口の動きさえ思いのままなのだった。 操られる巨大まりさの顔からは色というものが消えうせ、ただ虚ろだった。 その感情を代弁するかのように、九個の埋め込まれたまりさが涙を流す。 ふらんとまりさの仕上がりに満足した永琳は、腕を組んで頷き、計画を実行段階に移すことを決定した。 そしてその日の夕方。 「まりさおそいねー」 「ねー」 森の一角で、七匹の巨大まりさが和んでいた。周囲には百匹は下らない、普通のゆっくりが控えている。 まりさ達は、先日斥候として里の様子を見に行ったまりさのことを話していた。 今まで住んでいたところの食べ物が少なくなって、こうして山のふもとまで降りてきたのである。 どうにか食料を調達できないかと悩んでいたところ、先のまりさが里を襲って食べ物を奪うことを提案したのである。 他のまりさ達は人間の危険性を良く知っていたので止めたが、幼い頃うまく出し抜いた記憶のあったまりさは頑なに主張を譲らなかった。 だが、食料がなければ最終的に餓死してしまうことに変わりはない。 結局、他のまりさは折れ、言いだしっぺのまりさが斥候として里の偵察に行ったのだった。 協議の結果、三日経って戻ってこなかったら全員で突撃する、という約束で。 ……斥候が戻ってこないということは、つまり重大な危険が迫っているということだが、しかしそんなことまりさ達も承知である。 要するに口減らしをするつもりであったのだ。 飢えたゆっくり、強欲なゆっくりほど、我先に里へと飛び込んでいく。 するとそこには、きっと人間達の罠が待ち構えているだろう。馬鹿なゆっくりほどそれにかかって死んでいく。 後に残るのは、見識ある大人達と、未来ある子供達と、それを率いる自分達だけだ。 実際にはそこまで深く考えていたわけではないが、馬鹿なやつほど早く死ぬということは、巨大ゆっくり達がそれまでの経験で学んだことだった。 だから別に、あのまりさが戻ってきてくれなくても困らない。いやむしろ戻ってこないほうが都合が良いのだ。 だが、その希望は容易く打ち砕かれた。 遠くの木陰に、見慣れた丸い影を発見したからである。 「ゆっ! まりさだっ!」 他の小さなゆっくり達も気づいた。そして口々にまりさまりさと呼び始める。 まりさはのっしのっしと木の隙間を器用に縫って跳ねてくる。 巨大まりさ達は、ほっと息を吐いた。安堵が半分、残念が半分である。 まぁ見たところ怪我もないようだし、良しとしよう。好んで仲間を死なせたいわけでは、必ずしもない。 それに無事に帰ってきたということは、里は襲い易いのかもしれない。それを期待した。 「まりさっ! おかえりっ! にんげんのさとはどうだったの?」 巨大まりさの一匹が近寄って出迎えた。 「まりさ?」 だが帰ってきたまりさは、ぷるぷると身を震わせるだけで、動かなかった。 「どうしたのまりさ? けがしたのー?」 周りの小さなゆっくり達も声をかけるが、それでもまりさは答えない。 「みっ……みんなっ……」 そしてようやく、掠れるように声を出し、 「みんな゛っ、ごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」 まりさの帽子が吹き飛ぶ。それは風などではなく、内側からの力によって。 そしてその下から──帽子と、めくれ上がった前髪の下から現れたのは── 「うー!! たーべちゃーうぞぉぉぉぉぉお!!!!」 自らの身体に九匹のゆっくりを埋め込んだ巨大まりさと、その頭上に埋まったゆっくりふらん。 「「「「「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」」」」」 あまりに理解の範疇を超えた出来事に、その場にいた全員が固まった。 そしてふらんは、慧音に教えられたとおりの言葉を発した。 「いっただぁきまぁーーーーーーーーーーすぅ!!!」 ふらんがまりさの髪を掴んだ両手を持ち上げ、足を後ろに踏ん張る。 するとガパッとまりさの口が開き、 「ゆっ?」 ふらんが手足の力を抜くと同時、まりさを心配して駆け寄った巨大まりさの顔面を、一口で削り取ってしまった。 それが地獄の始まりだった。 「七匹か……報告より多いわね」 「どこかに隠れていたのか。少々厄介だな」 「取り巻きも多いですね。これは襲撃されたら危なかった……」 「まぁでも問題ないんじゃないッスかね」 木陰から、永琳、慧音、鈴仙、てゐがその様子を覗いていた。 いつの間にか加わっているてゐは、ここまでの道の案内役という名目の、ただの野次馬である。 実際、てゐの言うとおり、ふらんの操縦する巨大まりさ──コードネーム・十面まりさは圧倒的だった。 巨体であるがゆえに、まりさ自身は生かしきれなかった自らの性能を、ふらんは完全に引き出している。 加えて餡硬化剤を注入したことにより、十面まりさ自身の頑丈さもアップしている。そこらのゆっくりには殺せない。 「おっと、二匹目が喰われたな」 恐慌状態に陥り、三々五々に逃げ回るゆっくり達を、ふらんは的確に追い詰めた。 今も逃げ出そうとした巨大まりさを木の陰から追い詰め、その側面を十面まりさに齧らせたのだ。 さすが捕食者に回るだけあって、狩りにおけるその本能は並々ならぬものがある。 「……どうしてふらんはあそこまでやれるのに、れみりゃがあんなに駄目なのか理解しかねるわ」 天才ゆえの性か、永琳は本気で頭を悩ませていた。 さておき、いよいよ現場は凄惨を極めてきた。 十面まりさが跳ねるだけで、近くにいた小さなゆっくり達は餡ペーストになる。 そこに逃げ回る五匹の巨大が加わるのだから、もう大変なことになっていた。 「どうじでながまをごろずの! まりざぁぁぁぁぁぁああああ!!!」 いち早く混乱から復帰した巨大まりさが、十面まりさに真意を問うた。 「ぢがうのっ! まりざのぜいじゃないっ! まりざがごろじだんじゃないいいいいい!!!! ふらんがまりざをおもぢゃにじでるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 必死に抗議しながらも、身体は止まることを赦してはくれない。 「ゆっ!」 間一髪避けた巨大まりさの横で、がちん!と十面まりさの歯が鳴った。 命の危機に瀕したそのまりさは、とうとう、認識を改めた。 最早殺すより他に無し。 このまりさは、もう、自分達とは違うものだ。 ふらんに下り、その手先となってゆっくりをゆっくりさせぬ全てのゆっくりの敵だ。 「……わかったよ、まりさ」 「ゆっ!?」 ぱっと十面まりさの顔に喜色が灯る。助けてくれる。そう思った。 だが無論、そんなことはありえなかった。 「まりさはそこで、ゆっくりしんでね!」 「「「「ゆっくりしね!!!!」」」」 他の四匹の巨大まりさも同調し、一斉に飛び掛ってきた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!! どうじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!?!?!?」 十面まりさの全ての顔が、絶望の色に染まった。 「しねっ!」 「そんなきしょくわるいまりさ、もうまりさのしってるまりさじゃない!」 「よくもまりさたちのなかまをころしたな!」 「まりさたちのなかまをよくも!」 「まりさたちのともだちをよくも!」 「よくも! よくも! よくも!」 「ころしたなぁああああああああああああ!!!!!」 「ころせっ! まりさをころせっ! あのまりさをころせっ!」 「ころせっ! ころせっ! ころせっ!」 「ころせッ! ころせッ! ころせッ!」 「 あ の ま り さ を 殺 せ ッ ! ! ! ! ! 」 最早すべてのゆっくりが、十面ゆっくりの敵だった。 「ああああああ……どうじで……どうじでええええええええ……」 捕まったときは、きっと助けに来てくれると思った。 辛い仕打ちを受けても、きっと助けに来てくれると信じていた。 だから、自分がふらんに操られ、みんなを襲うことになったのがとてもイヤでイヤでしょうがなかった。 許してほしいわけじゃなかった。 自分が無謀を働いたから、こんな結果になったのは分かっている。 分かっているけれど。 せめて、そう、せめて。 『仲間』のまま、死んでいきたかったのに── 「……! うー! うごけ! いうこときけっ!」 ふらんは、突然動かなくなった十面まりさに戸惑った。 髪を引っ張っても足で蹴っても、びくびくと痙攣するだけで言うことを聞かない。 目の前からはゆっくりの大軍が迫ってくる。空を飛べるふらんは、このまま十面ゆっくりを見捨てて逃げればどうということはない。 だがそれよりも、さっきまで自分に従っていたものが動かなくなったことが気に入らない。 ふらんは、このまりさとあのまりさ達の間にどんな関係があったのかは知らない。 無論、あまりの絶望から、この十面まりさがゆるやかな精神の死を迎えつつあることも。 知らないからこそ、許せない。 玩具風情が、自分の意に沿わないことが。 「うぅー! うぅー! うぅぅぅぅうううううううううううううううううううううう!!!!!!!」 ──思い通りに動かなくて癇癪を起こすという点では、ふらんもれみりゃと同じと言えるだろう。 だがふらんのそれは、れみりゃのそれよりもっと強く、もっと的確で、そして、敵意によって成り立っていた。 「動けえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「ゆぶぐぇっ!?」 ずぶぎゅっ、とふらんは両手をまりさの頭の中に突っ込んだ。 新たな衝撃に、刹那、まりさの意識が覚醒する。 ふらんはさらに、餡子を握り締めると、それを狂ったように滅茶苦茶にかき回した。 「あいづら、ぜんいんっ、 喰゛い゛殺゛せ゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「ブガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 その瞬間、十面まりさの自我は完全に死んだ。 「あら、これは──」 「暴走したか。精神的にも肉体的にも限界だったようだな」 永琳達の視界の先で、十面まりさは暴れ狂っていた。 白目を剥き、口から餡子を迸らせ、全身を木や地面に打ちつけながら。 その過程で数多のゆっくりをひき潰しながら。 全員で襲い掛かろうとしたのがまずかった。近くにいた小さなゆっくり達はほとんど潰れてしまっている。 「ぎぇばあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 巨大ゆっくりの一匹が凄まじい悲鳴を上げた。後ろから噛みつかれたのだ。 その一撃で死ねたならいっそ幸運だっただろうが、運動中枢すらおかしくなりかけている十面まりさは、がちがちと歯を鳴らすように少しずつ削り喰っていた。 「じねぇっ!」 その隙を突くように別の巨大まりさが襲い掛かるが──そのまりさは忘れている。十面まりさの肉体の主導権は、ふらんの手にあることに。 まりさの中で、ふらんの手足が蠢いた。 「ゆぅっ!?」 すると十面まりさは、それまでの動きをまるで無視して真上に高く飛び上がり、そのまま、真下の二匹を踏み潰した。 「残り三匹ですね……って、危ない!」 着地の隙を狙って、残った三匹が一斉に躍りかかった。三方向同時攻撃。避けられない。 「! うー!」 戦いの中で、ゆっくり狩人としての闘争本能が完全覚醒を迎えたのか、ふらんの決断は早かった。 十面ゆっくりに、正面の一匹に噛み付くよう操作してから、自身は餡子から手足を抜いて飛び出した。 「「「じねッ! ゆっぐりじ」」がぁああああああ!!!」 三匹のうち、噛み付かれた一匹が叫ぶ。その隙をふらんは見逃さない。 落下の勢いそのままにまりさの皮を食い破ると、餡子の中に足をじたばたさせながらもぐりこんだ。 「てゐ何撮ってるのよ」 「ふらんのおふぁんつ」 「……売れるの?」 「好事家ってどこにでもいるもんだよねー」 ふらんはそのまままりさの中にすっぽりと身を埋めてしまった。 「あぽぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!! ながっ、ながにいぎゅぅぅううううう!!!」 残り二人は十面ゆっくりの始末をつけるのが最優先で、助けようとはしなかった。 いや、助けようとしても最早手遅れだ。 ふらんは散々まりさの中を引っかき回したあと、まりさの頭頂部を突き破って現れた。 「うううううううううううううううううううう!!!」 母の胎を引き裂き生まれる鬼子のように。 「ストナー○ンシャイン」 「レ○エルを中から破壊したエ○ァ」 「ええっと、マ○ターテリオンですか?」 「これだから! これだからエロゲ世代は!」 「散々ウドン○インネタで引っ張られておきながら今更それを持ってくるとは!」 「ちょ、酷くないですかその反応!」 「……とんだオタク揃いウサ」 永琳たちが口々に感想を述べている中で、ようやく残った巨大まりさ二匹は、ふらんの姿を認めた。 そして気づく。 これが自分達の敵だと。 自分達の大事な友を貶めた真の敵だと。 「……って思ってるならまぁ都合のいい考え方よねぇ。いつも思うけどゆっくりって自己正当化にかけては天才よね」 「仕向けた張本人がよく言う。おっと、そろそろ佳境だな」 慧音の言うとおり、ふらんとまりさ二匹は総力戦に突入した。 一匹を自ら仕留めたふらんだが、敵もさるもの、ここまで大きくなるまで生き延びてきたのは伊達ではない。 「ゆっくりしんでね!」 「つぶれてしんでね!」 「うー、ゆっくりしねっ!」 まりさ達は、ぼてんぼてんと跳ね回っているようでいて、しかしお互いを守りあうように動いていた。 ふらんはイライラした。でかいだけのただのゆっくりのくせになんて生意気だ。 「う゛ぅー!」 ふらんは手近なゆっくりの屍体を手に取ると、まりさの一方に向かって投げつけた。 偶然、それが目に当たる。 「ゆ゛ぁー!」 「まりさぁっ!?」 片方に起きた突然の事態に、もう一方も思わず足を止めてしまう。それこそがまりさ達にできた隙だった。 ふらんは目潰しを喰らったほう──ではなく、それを心配して無防備な横腹を晒しているほうに飛びかかる。 「じねっ! じねっ!」 「ゆぎゃぁっ! やべでぇええ!」 「じねぇえええええええええええええええええ!!!!」 噛み付き、引っかき、抉り出し、中の餡子を掻き出していく。 まるで削岩機のように、ものの数秒で大量の餡子が流れ出していった。 だが、それに夢中になっていたのがいけなかった。 「──ゆっくり死ねぇぇぇえええええ!!!」 いまだ目の見えないもう一匹が、音だけを頼りにボディプレスをしかけてきたのだ。 慌てて逃げようとするふらんだが、あまりにも餡子の奥深くにまで手を突っ込んでいたため、それも叶わない。 このままでは潰される──そう永琳達が息を止めた瞬間。 それは起こった。 「う゛ぅ゛ー!!」 ふらんの首だけがすぽんと抜けて、空中に飛び出したのだ。その後部から小さな翼を伸ばし広げる姿はまさに、 「「ジオング!!!」」 永琳と慧音の声が重なった。 着地した巨大まりさは、ふらんの胴体のみを潰すだけに終わる。いや、着地の衝撃で虫の息だった仲間に止めを刺してしまった。 その事実に戸惑うまりさに、すかさず、首だけとなったふらんはとどめの一撃を放つ。 「おお、あれは!」 「自らの回転力によって敵を屠る必殺の!」 永琳と慧音は、ふらんの突撃に合わせて声を張った。 「超○覇王電影弾んんんんん!!!」 「ギガド○ルブレイクぅ────!!!」 ふらんの牙が、まりさの後頭部から進入した。 「ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 そしてそのまま頭の表面をまっすぐに削っていく。 ふらんが通り抜けたあとには、哀れ、逆モヒカンとなった巨大まりさが残った。 頭頂部がごっそり抉り取られたことで左右に負荷がかかり、まりさの顔は真ん中から裂け始めた。絶命も時間の問題だろう。 そしてこちらでも、ある一つの絆が引き裂かれようとしていた。 「──ちょっと! なんでそこでグレ○ラガンなのよ! あなた何考えてるの!?」 「そっちこそ! 何故そこでGガ○なんだ! 阿呆か!」 「あなたにマスター○ジアとド○ンの何が分かるのよ!」 「貴様こそカ○ナとシ○ンの何が分かるって言うんだ!」 「あの……師匠も慧音さんもそろそろですね……」 「メタネタも大概にしようよー。きっと読者引いてるからさー」 永琳と慧音が昨日築いた絆は脆くも崩れ去った。 言い争いを続ける後ろでは、首だけになったふらんが、虫の息となった巨大まりさの餡子をむしゃむしゃ食べている。 「慧音さまぁー! 永琳どのぉー!」 と、そこに遠くから男の声が聞こえてくる。皆が声がしたほうを見ると、手に手に鍬や鋤を持った男衆が、こちらに走ってきていた。 「おお田吾作、どうしたこんなところまで」 「いやはや……慧音様は任せてくれとおっしゃいましたが、我らいてもたってもいられず馳せ参じた次第でありまして。 して、巨大ゆっくりはどこに?」 「ん、ああ、折角のところすまんな。もう片付いた」 「なんと! それはまことにございまするか!」 「うむ。まぁ功績は私ではなく、この永琳殿と、あそこのゆっくりふらんに与えられるものだがな」 おお、と男達がどよめいた。 永琳には以前から世話になっていたことから、尊敬の念を新たにすれど、それほど驚くことはなかった。 だがまさか、捕食種といえども、ゆっくりふらんがあの巨大なゆっくり達を倒すとは…… 「う?」 自分を見つめる数多の視線に気づいてか、ふらんが振り返った。 まりさの餡子を大量摂取したせいか、既に身体は復元している。 「英雄じゃあ……」 「我らの守り主じゃあ!」 感極まった男達は、一斉にふらんへ駆け寄った。 その際、まだ生きていた十面まりさの顔の一つが踏み潰されたが、口が縫われていたため叫びも上げず誰も気づかなかった。 「ゆっくりふらんばんざーい! わーっしょい! わーっしょい!」 「う゛ー!?」 円陣を組んでゆっくりふらんを胴上げする男衆。それを身ながら、慧音はうむと頷いた。 「これにて一件落着だな」 「そのようね。里の危機は回避されたわ」 趣味の相違によって崩れかけた絆だったが、仕事を一つやり遂げた達成感から、それは修復されつつあった。 「それでは永琳殿、今日はこれにて。また何かあったら、そのときは」 「ええ、是非力にならせてもらうわ」 がっちりと握手を交わす半獣と薬師。そこにはお互いへの信頼があった。 「……それはともかく、あのふらんはどうしましょうか」 胴上げされ続けているふらんを見ながら、鈴仙は言った。 「うーん、まぁあのままで良いんじゃないかしら。強いし、里で飼ってあげれば良い守り役になると思うけど」 「そういうことならばありがたい。是非そうしてくれ」 「ではそういうことで」 「うむ、恩に着る」 頷き合う二人の後ろで、ふらんが泣き喚いている。 「う゛ー! あぜぐざいー! ずっばいにおいがずるー! みんなじねぇぇぇぇぇ!!!」 「わーっしょい! わーっしょい!」 胴上げは、いつまでも続いていた。 それから。 里には永琳の手によって、ふらん専用十面れいむが配備された。一つの家族から作った一級品である。 加えて二十数対のふらんの幼体が卸され、里の守りをより強固なものとした。 ふらんはそれらの幼体を従え、十面れいむを駆り、慧音と共に里の平和を守り続けることだろう。 汗臭い男達に囲まれながら。 「う゛ー! もうおうぢがえるー!」 どっとはらい。 あとがき 正直メタネタとかロボネタが多すぎたと思う。でも謝らない。 なお、タイトルが十面鬼編となっているのは、以前書いたゆっくり実験室の続編の構想があるからです。 そっちのタイトルをゆっくり実験室2とする予定だったので、こちらは番外編のような扱いに…… 一つしか出してなくて何が番外編かって話ですよね。 このSSに感想を付ける
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※ヤンデレに対して不快を感じる方 ※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方 ※捕食種設定を不快に感じる方 ※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方 ※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方 ※素晴らしい小説を求めている方 は、この小説に合いません。 申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ (注)今回は時系列が分かりにくくなっている場面があります。 同じセリフが2度出ているところがありますが、その場面は同じ場面(時間)だということです。 同じセリフを違う場面で言っているということはありません。 ミリィは夢を見ていた。 紅魔館にいる胴なしだった頃の自分。 そして自分の隣にいる同じく胴なしのまんまぁ。 咲夜は、まんまぁは事情があって遠いところに行ってしまったと言っていた。 何故自分だけを置いていってしまったのか。 いつ帰って来てくれるのか。 だが、今はそんなことはどうでもいい。 今は夢の中のまんまぁと一緒にいたい。 まんまぁに甘えたい。 まんまぁとお話がしたい。 まんまぁとあまあまを食べたい。 まんまぁとゆっくりしたい。 夢の中のミリィのまんまぁはいつも満足そうに笑っていた。 「ふ、ふりゃんだ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」 「…うぁ?」 その声でミリィは夢から覚めた。 ミリィのゆっくり冒険記 第四話 「うぁ?」 ミリィは上半身を起こし、ふくよかな手で目をこすりながら辺りを見渡す。 「う~?」 自分と一緒にゆっくり寝ていたはずの子まりさがいない。 その時 ぐるるるぅぅぅぅぅぅぅぅ 発信源はやはりミリィのお腹だ。 お腹も空いたミリィは、御飯集めも兼ねて子まりさを探そうと立ち上がった。 昨日、まりさが眠った後、子まりさを抱いたまま御飯探しを始めた。 しかし、ミリィが食べられそうな御飯はなかなか見つからなかった。 それは当然だろう。ミリィにとって、外で食べられる御飯というのは決して多くはない。 咲夜のあまあまなお菓子しか食べたことがないミリィは、すっかり舌が肥えてしまっていたからだ。 野生のれみりゃ種ならばゆっくりを捕食するのだが、ミリィはそんなものを食べたいとは全く思わなかった。 雑草や虫などは食べるかどうかという発想すらなかった。 なかなか食べられそうな物が見つからず、空腹も限界に達しようかという時に、この界隈を見つけたのである。 この界隈はミリィでも食べられるあまあまな木の実や花の蜜が豊富にあった。 ほとんど外に出たことがないミリィにとってはどれも未知の物だった。 しかし、背に腹は代えられぬと思いきって木の実に齧りついたところ「しあわせ~!!!」と思わず叫ぶくらいあまあまだった。 勿論、普段食べている咲夜の料理には到底及ばないものであったが。 空腹のミリィにとって、ここは楽園のように思えた。 ついでにゆっくりさくやがいてくれれば最高だったのだが、それはさすがに贅沢というものであった。 あまあまな木の実をたくさん食べたことでとてもゆっくり出来たので、昨日のミリィはとてもゆっくり眠ることが出来たのであった。 時間にして1分程歩いていると、昨日も獲った木の実がある木までやってきた。 「うっう~♪」 木に生えている木の実を食べようと翼をはためかせ、飛翔する。 目的の木の実を獲り、木の枝に座って手を合わせて 「いただきま~す♪」 と言って木の実に豪快にかじりつく。 その味はとても美味ではあったが、二口目がかじられることはなかった。 ミリィは木の枝の上から見てしまったからだ。 自分が昨日連れてきた子まりさが、ふらんによっていたぶられている場面を。 このままじゃいけない、そう思ったと同時にミリィは叫びながらふらんに向かって突進していた。 「だめぇ~~~~~~!!!!!」 ふらんは一瞬驚いた。 ピンク色の物体が自分に向かって突進してくるからだ。 だが、そのピンク色の物体の速度は速くなかったので、その突進を冷静に回避し、逆にその物体に上から体当たりを仕掛けた。 「ふぎゃっ!!!」 そのピンク色の物体は、自分が先ほどまでいたぶっていた子まりさの隣に墜落した。 ふらんは一瞬怒りの表情を浮かべた。 自分が何よりも楽しい獲物をいたぶっている時間を乱入者に邪魔されたからだ。 しかし、物体が何かを確認した時、狂ったような歓喜の表情を浮かべた。 その丸々とした物体がふらん種の姉妹種に当たるれみりゃ種だったからだ。 ふらん種は獲物をいたぶることでゆっくり出来るという性質を持っているが、その獲物がれみりゃ種だった時は、その快感は他のものとは比べようもつかなかった。 では、ふらんはれみりゃを使ってどのようにゆっくりするのか。 仮に野生のゆっくりれみりゃとゆっくりふらんが戦ったとする。 もし野生のれみりゃが勝つことになれば、まず間違いなくふらんはれみりゃの食物と化すだろう。 何故なら、ふらんの中身はあま~い餡子なのだから。 甘味を求める捕食種にとって、最高の御馳走となる。 逆に野生のゆっくりふらんが勝ったらどうなるのか。 ゆっくりふらんも主食は甘味である。 しかし、れみりゃの中身は肉だ。 ふらんの食べ物とはなりえない。 では、ふらんはれみりゃをどうするのか。 それは… れみりゃを…『飼う』のだ。 ふらんは高所に自身の住居を置く。 その住居までれみりゃをお持ち帰りするのだ。 れみりゃをお持ち帰りしたふらんが最初に必ずやることは、れみりゃの羽を千切ることだ。 羽を千切られたれみりゃは、ふらんの巣から逃げ出せなくなってしまう。 そうして動けないれみりゃを、ふらんは死ぬまで飼い続ける。 時には一緒にあまあまを食べてゆっくりし、時にはれみりゃを攻撃してその泣き顔を見てゆっくりする。 特に、あの丸々とした大きな下ぶくれ顔に他の饅頭より手応えのある肉質、そして汚れを知らないような笑顔を壊す瞬間がふらんにとって非常にゆっくり出来るものだった。 しかし、そのような扱いをされたれみりゃには絶大な負担が生じる。 肉体的にも、精神的にもだ。 そのような行為が多くのふらんによって為された結果、れみりゃ種の個体数の減少にも繋がったのだ。 このふらんもその例外ではなく、歓喜の表情を浮かべながら震えている。 「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」 あまりの興奮のせいか舌が回っていない。 狂ったような歓喜の表情を浮かべたままれみりゃに体当たりを仕掛けた。 「ふぎゃっ!!!」 ミリィは背中とお腹が痛かった。 ふらんに突進をかけたものの逆にふらんの体当たりが背中に直撃し、お腹から地面に墜落してしまったからである。 「う~…いたいいたいなのぉ…」 しかし、墜落したおかげで地面で怯えている子まりさの近くまで来ることが出来た。 子まりさは 「ゆっくりやめるんだぜ…ゆっくりやめるんだぜ…」 と目を瞑ったまま震えていた。 ミリィは地面にうつ伏せの状態のまま子まりさを片手に持って状態を確認する。 見たところ、傷だらけではあるが餡子は出ていなかった。 ミリィは安心した様子で子まりさを両手で包みこみ、優しく声を掛ける。 「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪」 その屈託のない笑顔で子まりさが安心できるように頭をなでてやる。 この子まりさにはゆっくりしてもらいたかったから。 しかし… 「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」 という声が聞こえたと同時に、ミリィの背中にまたもや衝撃が走った。 「ぶへぇっ!」 胴なしふらんの全身を使った体当たりをまともに食らったのだ。 ミリィはあまりの痛みに泣き出しそうになってしまう。 しかし、ミリィはそのことより手の中の子まりさのことが心配だった。 子まりさが安心できるように、片手で撫でながら優しげに声をかけた。 「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪はやくにげるんだぞぉ♪」 そのなでなでは子まりさにとってとてもゆっくり出来た。 子まりさは目を開ける。 目の前の笑顔がとても輝いて見えた。 しかし、 「ぶはっ!」 ミリィがまたも背中に体当たりを食らい悲鳴をあげる。 子まりさはミリィの予想外の優しさとふらんの恐ろしさに混乱して、動くことが出来なくなっていた。 ふらんは腹が立っていた。 それも当然だろう、狂おしいほど愛しい姉が自分のことを見ようともせず、あろうことかただの獲物でしかない子まりさなどに構っているからだ。 そんな状況で姉をいたぶっても何も面白くなかった。 姉にこちらを見てもらうようにするにはどうすればいいかふらんは考えた。 答えはすぐに出た。 あの子まりさを潰せば姉は自分を見てくれるだろう。 そして、その時にどのような表情を見せてくれるかということを考えた時に、ふらんはまたも興奮した。 そうと決まればこんな子まりさに手加減してやる必要もない。 後で姉と一緒に食べよう。 そんなことを考えながら、子まりさから仕留めようと体当たりを仕掛ける。 「だめぇっ!」 子まりさに仕掛けたはずの体当たりだったのだが、またもミリィによってそれは阻まれてしまった。 ミリィが子まりさをうつ伏せの状態となっている自身の体の下に入れたのだ。 勢いが止まらず、今度はミリィの頭に体当たりする羽目になってしまう。 何故こんなものを庇うのか、こんなものなどさっさと捨てて自分と追いかけっこをしてくれればいいのに。 ふらんは目の前の光景に苛立っていた。 その時、ふらんには姉の腹の下から金色の丸い物が出てきたのが見えた。 それは憎むべき敵、子まりさであった。 ふらんはニヤリと笑いながら、苛立ちを子まりさをぶつけるかのように、今度は自身の全力のスピードの体当たりを子まりさに仕掛ける。 「おねーさまとふらんのおあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」 「だめぇっ!」 ミリィはふらんが子まりさを狙っている事を察知した。 子まりさを右手で自分の背中の下に入れることでふらんの攻撃から庇う。 後頭部に鋭い衝撃が走る。 「うぅ…」 今度は後頭部にふらんの体当たりを食らったミリィ。 れみりゃ種はゆっくりにしては強靭な生命力を持つので、ふらんが相手でも簡単にやられることはない。 だが、頭を狙われれば別だ。 ゆっくりにとっての頭とは、人間と同じく急所なのだ。 背中の痛みよりもミリィにはずっと堪えた。 だから気付かなかった。 自分が子まりさを手から放してしまったことを。 そして、その子まりさが自身のお腹の下から出てしまったことを。 「おねーさまとふらんのあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」 その言葉が聞こえると同時に、子まりさが餡子を吹き出しながら吹っ飛んだ。 痛みに耐えながらのミリィでは、ふらんの全力の体当たりに反応出来なかった。 ミリィが吹き飛ぶ子まりさの姿を見た時、脳裏に何かの光景が蘇った。 「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」 何かが胴なしれみりゃを一方的にその拳で殴りつけている。 「い…いたいぞぉ!やめてぇ~!!」 攻撃を受けている胴なしれみりゃが悲鳴を上げるが、それでも攻撃は止まない。 「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」 呪いのように同じ言葉を叫びながら、『それ』は殴り続ける。 そして、胴なしれみりゃが動かなくなったと判断すると、『それ』は右手を空中にかざした。 かざした手の中には1メートル以上はあるだろう、紅い槍状の武器が現れた。 紅い槍はかなりの重さがあるように見えるが、『それ』はよろめくことなく、紅い槍を真っ直ぐに構える。 「ゆっくり…しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」 そして、その叫びと共に紅い槍は胴なしれみりゃに向かって放たれた。 「うあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」 ミリィの突然の叫びにふらんは一瞬空中で静止する。 ふらんが我に返った時、先ほどとは段違いの速度で飛ぶミリィが目の前に迫って来ていた。 ふらんはミリィの全身を使った体当たりをまともに受ける。 「ゆっくりできないふらんは…」 ミリィが咆哮を上げる。 「ゆっくりしねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」 後書き 楽しい記憶よりもつらい記憶の方が人間は忘れやすいそうです。 ゆっくり風に言えば、ゆっくりする為に。 名前 コメント
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※作者は新人です ※明治時代を意識してにわかの知識で書いてみました ※独自設定注意 鳥の鳴き声で私は眼を覚ます。 そろそろ起きなければいけない時間のようだ。 私はその場に立ち上がり、大きく伸びをする。 今日も幻想郷は良い天気だった。 私は家庭菜園を営んでいる。 まあ、家庭~と付けるくらいだから、予想は出来るだろうが、規模は正直に言うとあまり大きくはない。 だが、いくら小さくてもこの菜園は私の食いぶちでもあり、命綱だ。 そう考えれば、そう文句も言うべきではないのだろう。 私はそんなことを考えながら、外へ出かける準備を始めた。 何銭かの金を手にして、私は市場へ出掛ける。 目的は水と同居人の飯だ。 そこで、私は幾分かの水と砂糖を手に入れる。 私の家の近辺には井戸は無いので、どうしても飲み水は水売りに頼らざるを得ない。 「痛い出費だよな…」と思わず愚痴が出てしまう。 砂糖の方は…当然、同居人の飯だ。 私は砂糖だけをすするほど惨めな生活をしている訳ではない、と幾許しかない自尊心を自分の中で大きくする。 人間、弱気になったら負けなのだ。 「おにぇ~しゃま~~~!!」 「あしょぼ~よぉ~~!!!」 「きゃははは~~~♪」 「さぐや~!!だずけで~~!!!!」 「…おや?」 帰り道を急ぐ私に、子供のような声が聞こえる。 どこから聞こえるのかと辺りを見渡してみると、そこには空に浮いている生首があった。 あれは最近、この幻想郷でよく見られる『ゆっくり』というものだ。 そのゆっくりの中でもなかなかお目にかかれない『ゆっくりれみりゃ』1匹と『ゆっくりふらん』3匹が私の視界内にいた。 「さぐや~~~!!!!」 「おにぇえしゃま~~~~!!!!」 『ゆっくりれみりゃ』は泣きながら必死に『ゆっくりふらん』3匹から逃げようとしている。 知り合いの自称ゆっくり研究家という奴の話によれば、『ゆっくりふらん』は『ゆっくりれみりゃ』を常に追い求めているらしい。 捕まえた後に自身の住処にその『ゆっくりれみりゃ』を連れてきて、一緒に住むというものらしい。 ここまでならばほのぼのとした良い話だが、この話はそこで終わらない。 なんでも奴が言うには、ふらんはれみりゃを巣までお持ち帰りした後、れみりゃの羽を千切ってれみりゃを逃がさないようにするらしい。 そこでそのれみりゃが死ぬまで大事に大事に、しかし、時には痛めつけて泣かせ、そして決して巣の外かられみりゃが出ないようにしながら暮らしていくらしいのだ。 お前はそれをどこから見ていたんだ、と言いたくもなったが、 そいつは「やんでれでさでぃすとでしすこんなふらんちゃんうふふ…」とか訳がわからないことを言い始めた為、私はその場から逃げ出した。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~」 「おにぇしゃま~~~~~!!!!!!」 「つかまえたよぉ~~~~~~~!!!!」 「はやくかえろ♪かえろ♪」 どうやられみりゃがふらん達に捕まったらしい。 見ればれみりゃは3匹のふらんに全身を甘噛みされているようだ。 「ざぐや~~~~~~!!!!!だすげで~~~~~!!!!」 れみりゃは叫んでいるが、誰も助けられない。 4匹は私が手を伸ばしても届かない高さにいるのだ。 そして近くに私しかいない以上、当然誰にも助けられない。 れみりゃはそのままお持ち帰りされてしまった。 そうこうしているうちに私は自分の家までたどり着く。 自称ゆっくり研究家だという奴の話を信じれば、先程のれみりゃはこれから不幸な人生(?)を送ることになるだろう。 しかし、私は必ずしももそうなるとは思えない。 何故なら 「うっう~♪」 「おにいさんおかえり~♪」 私が家の中に入ると、同居人である『ゆっくりれみりゃ』と『ゆっくりふらん』が出迎えてくれた。 先程はまだ寝ていたようなので起こさずに出かけたが、どうやら私が出掛けている間に起きたようだ。 私はこの2匹を飼い始めるきっかけは突然のことだった。 ふらんがれみりゃの羽を口に咥えたまま、私の家に飛んできたのだ。 何故私の家に飛んできたのかはわからないが。 ちなみにれみりゃは「ざぐや~~~!!!」と泣いていた。 先程帰り道で見たれみりゃのように無理矢理お持ち帰りされたのだろう。 私もその時の気紛れで「おなかすいた~!」と言うふらんに砂糖を出したのが良かったのか悪かったのか。 いつの間にか、れみりゃも泣いていたのを忘れて砂糖にかじりついていた。 「「あまあま~♪しあわせ~♪」」 静かな私の家にそのような可愛らしい叫び声が響き渡る。 一人暮らしが何となく寂しかった私もそいつらに気を許し、そのまま2匹は私の家に住み着いてしまったのである。 何故先程のれみりゃが不幸だとは限らないと言ったのかはもうわかるだろう。 私の家に住んでいるれみりゃとふらんは非常に仲が良い。 まあ、暮らし始めたばかりの段階ではれみりゃはやはりふらんに怯えていたようだが、ふらんもれみりゃに特に危害を与えることもしなかったので、今ではすっかり仲が良くなってしまったようだ。 と、そんなことを考えている私の服を2匹が口で引っ張る。 「おなかすいた~♪」 「あまあまちょ~だ~い♪」 「わかったわかった」 私は食欲旺盛な2匹に苦笑しながら、先程買ってきた砂糖を2匹の前に置く。 勿論、出したのは買ってきた砂糖全てではない。 全部出したらこいつら全部食べてしまうし。 「うっう~♪しあわせだぞぉ~♪」 「おいしいね♪おねえさま♪」 満面の笑みを浮かべる2匹。 そんな2匹に私は癒されながら、今日の畑仕事に取り掛かる。 この2匹の笑顔をいつまでも見ていたいと願いながら。 後書き ここのゆっくり小説を見て、私も何か書いてみたいと思い、とりあえず最初は短編と言う事で書いてみました。 これからここに投稿させていただくこともあるとは思いますが、よろしくお願いします。 ちなみに、私の中のフランはお姉様一筋です。 かわいいなぁ…これからもどんどん書いていって欲しいです! -- 名無しさん (2010-12-25 20 06 19) れみふらはジャスティス -- 名無しさん (2010-12-31 02 37 25) 名前 コメント
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注意 このSSはfuku1302.txt 大会に行こう!の続きです このSSはやりたい放題やってます 俺設定が大量にでてきます 虐待は、ほとんどありません パロネタが過剰に含まれています 若干の性的表現が含まれます お兄さんが主人公です 文章が読みにくかったり、推敲が足りないかもしれません それでも読んでやるという心の広い方は読んでください 大会が終わって半年、私はあるしごとをしている 「ゆゆっ?!フランがきたよ!みんな、ゆっくりいそいでにげてね!」 私のしごとは畑をあらすゆっくりの退治である 「ゆっゆ、にげるよ!」「フランだってさ、おおこわいこわい」 ボイン!ボイン! 「!!」「ゆ!にげられないよ!」「どうじでぇぇ!!」「おお、やばいやばい」 畑をかこうさくがじゃまでにげられないゆっくり 「知らないのか?大ま王からはにげられない」 もちろんハッタリだが、そんなことわかるわけがない 私は一歩一歩ゆっくりに近よる 「ううううああああああゆっくりしねええええええ!!」 やけになったゆっくりが体当たりをしてきたので、カウンターで手刀を食らわす 「カラミティエンドォォ!」 「ゆ゙べ!」 アンコをまきちらしながら、手刀を食らったゆっくりはいきたえた 「あああれ゙い゙む゙うう」「ママー!!」 どうやら母親だったようだ 「ママをかえちぇー!」「かえちぇ!」「ゆっきゅりちねー!」 小さいのが三びき、おそらくさっきのやつの子どもがとびかかってきた だが、その攻げきがあまりにもたんちょうな物だったので三びきとも空中でつかまえた 「ゆゆ!はなちぇー!」 うるさいので一ぴきは食べることにした 「ゆーやめちぇやめちぇやめちぇやめtゆぎゃああああああああ」 「ふん、なかなかうめえじゃねえか」 残った二ひきはめんどうだからてきとうにつぶすか 「いちゃいよ!」「ゆっきゅりやめちぇ!」 力を少し加える 「いぢゃああああ!」「やめぢぇええええええええ!!」 一気に力を加える 「ああああぴわ!」「ええええええええげろぷ!」 さて、残りのゆっくりをしまつするか 「ヘルズクロウ!」手近なゆっくりにぬき手で攻げきする 「おお、いたいいたい」 手をぬく時に中のアンコをかき出す 「yつryれsぽお…お…いた…い…い…た……」 死んだようだ 目ひょうを切りかえる 「ヘルズチェーン!」 かっぱじるしのくさりをムチのようにふり回す ビシ!左ほほの辺りがそげる 「ゆ゙!」 バシ!頭が切れる 「あ゙がが!」 ガ!ガ!ガ!ガ!ガ!全身をくさりがおそう 「いだ…やべ…うぼ…がが…ぺぺぺ………」 全身がズタズタになって死んだようだ あ、一ぴきにげ出そうとしている 「ばーかばーか、フランはゆっくりしね!」 ……あのていどのスピードでにげ切れると思っているのだろうか? とんでおいかけてもいいけど、せっかくだからあのわざをつかってみよう ブチ 私は私の左手の手首から先をちぎった だんながちょうきょうしてくれたから、あんまりいたくないけど 自分でちぎるのはあんまりいい気分じゃないな 「なにじぶんのてをちぎってるの?ばかなの?」 あー、調子にのってるな。早くしとめよう 「ロケットパアアアアアアアアアアアアアアンチ」 「ばーかばーか、ゆぎょおおおおおお!!」 見事めい中して、ゆっくりの顔面に風穴をあけた だんなは、「空にそびえるくろがねの城じゃなくて、地球ぼうえいきぎょうの方だな」 って言ってたけど、なんのことだろう? さてと、最後の一ぴきをかたづけるか 「ま、まりさはわるくないんだぜ!わるいのはれいむなんだぜ!」 うるさい 「だからまりさはたすkぷるああ」 頭を水平に切り開いた。これで中のアンコが食べられる 「はなしてほしいんだぜ!」 無視して食べる 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙」 「まあまあだな」 さて、仕事も終わったし、そろそろ帰ろう 大会が終わって半年、あれ以来ふらんは他の大会に出さずに仕事をさせている ふらんの仕事は田畑のパトロールと害ゆっくりの駆除だ ふらんには堅実な資金調達のためとグレードップパーツの維持費がかかるからと説明しているが 本当はふらんに何かあったら嫌だからだ 肉親を総て亡くした俺にとってふらんは家族みたいなものだ ふらんを喪ったら、たぶん、俺は…… おっとそろそろふらんが帰ってくるころだ カランカラン 「おかえりんこ」 「ただいまんこ、だんな……ハッ!」 「ふふん」 「もう!だんなの馬鹿!」 「ははは、ご飯にする?お風呂にする?それとわ・た・し?」 「ごはん」 「よし、準備はできてるから早くこいよ」 「……ねえ、だんな。これ、なに?」 「これか?」 ふれんが言っているのは食卓の上の紫色の布の被さった大きな箱のことだ 「これはね…」 俺が布を取るとそこには透明な箱にはいったれみりゃがいた 「わぁ、れみりゃだ。だんな、食べていい?」 「ああ、もちろんだ」 れみりゃの手を千切ってふらんに渡してやる 「うぎゃああああああいだいいいいい」 「くっくっく、れみりゃのひめいは最高のスパイスだぜ。それじゃ、いただくぜ………!!!」 「う、うめえ!今まで食ったれみりゃの中で最高だ。だ、だんな、こいつぁいったい!?」 「加工場特撰れみりゃ、と言えばわかるかな?」 「な、加工場特せんれみりゃだとう!」 ~~加工場特撰れみりゃとは~~ 加工場で一切のストレスを与えず、適度な運動をさせ 餌は総てプリンのみを与えた加工場の最高傑作の一つである なお、他にも色々飼育の点で特別なことがあるが、企業秘密である 「でもだんな、どうしてこんな物を?」 「ふふ、今日が何の日だか分かるかな?ふらん」 「え…と…うーん…あーーーーー!」 「わかったかな?」 「うん!今日は私とだんなが出会ってちょうど一年だ!」 「うん、正解」 「だ…だんなぁ…」 「ん?どうしたんだ、ふらん」 「だいすき!!」 「え?ちょ?わ!」 ふらんが飛び掛ってきた ふらんに襲われた! ふらんはミスリルアイアンを使った! 「またかよ!」 冷たい枷がお兄さんを拘束する! お兄さんは身動きが取れなくなった! ふえんはエーテルローションを使った! ピンクの液体がお兄さんを濡らす! 「おい、待てって!」 お兄さんは感じやすくなってしまった! お兄さんは身動きがとれない! お兄さんは感じやすくなっている! ふらんはお兄さんのペニスを掴み、 ゆっくりとしごきはじめた!! お兄さんは55の快感を受けた! 「ふふ…だんなのこれ、すごくピクピクしてるよ」 ふらんはお兄さんのペニスを掴み、 激しくしごいてきた! お兄さんは93の快感を受けた! 「あれれぇ~?だんなぁ…さきっぽから何か出てるよ…」 ふらんはペニスをしごき続けている お兄さんは80の快感を受けた! 「どう?だんな。私の手、すべすべできもちいいでしょう? お兄さんは身動きが取れない! お兄さんは感じやすくなっている! ふらんはペニスを こちらをみながらしゃぶりはじめた! お兄さんは103の快感を受けた! 「今度は、お口でご奉仕するね」 ふらんはペニスをしゃぶり続けている! お兄さんは110の快感を受けた! お兄さんはイキそうになってきた 「だんな、イキそう?ふふ…飲んであげるからいつでもイッていいよ」 お兄さんは身動きが取れない! お兄さんは感じやすくなっている! お兄さんはイキそうになっている! ふらんはペニスを こちらをみながらしゃぶりはじめた! お兄さんは108の快感を受けた! 「ん…ちゅぱ……もうそろそろだね」 ふらんはペニスをしゃぶり続けている! ラグジャラスヒット! お兄さんは210の快感を受けた! お兄さんはイッてしまった… 「だんなのこれ、いつ飲んでもおいしい…ねぇ、もっとちょうだぁい…」 「さて、そろそろ飯にするぞ」 「はぁい」 ふらんはうっとりとした目で答えた 「あ、その前にきねんさつえいしようよ」 「ああ、いいぞ。それじゃあ、ちょっと待ってろ」 ……… …… ……よし、タイマーもセットした 「じゃあ、カメラの方を向いて」 ジー……パシャッ 「とれたぞ。今度こそ飯にするぞ」 「このれみりゃは再生しないから良く味わって食べろよ」 「え!そうなの!」 「うん、推測だけど、加工場で特殊な処理をして再生しないようにしてるんだと思うよ」 「そうなんだ」 ゆっくりてんこなら「汚いな加工場(ry」と言いそうなところである 「あー、一応外では言うなよ」 「わかってますって」 「それじゃ、気を取り直して」 「「いただきます」」 IFストーリーへ あとがき 例によって酔った勢いに加え、今回は徹夜 相変わらず虐待がほとんどないわ酷い文章だわという体たらく 次こそは、次こそは ゆっくりふらんは改造ゆっくりである。 ゆっくりふらんを改造したのは永遠亭に住む八意永琳である。 ゆっくりふらんは田畑の安全を守るため、日夜野生のゆっくりと戦うのである このSSに感想を付ける
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※性的な表現が含まれます。そういった表現が苦手な方はブラウザの「戻る」をクリック ※ゆっくりの描写が少なめです ※特徴的な虐待お姉さんが出ます この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 「しね、しねぇえ!!」 そう叫ぶふらんが娼館の裏口から中に運ばれる。今朝、荘園の罠にかかっていたものだ。 この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 身包みを剥がされ、秘部に切れ目を入れられ女性器の代用品となる。 中には着衣のまま行為にいたる者や娘の洋服を持ち出し着せる者、 泣き叫ぶのが良いと毎回初めてのを買う者や情婦は淫乱でなければいけないと慣れたのを買う者、 秘部ではなく肛門と似た場所に穴を開け行為に至る者や性行為の際に酷く相手を痛めつける者、 ふらんに男装をさせベルトのついた張り型を股間に付け、自分の肛門に挿入させるといった者まで。 変態性欲の捌け口となっていた。 毎回、行為に使用する為の部屋を掃除する侍女は嫌悪と侮蔑を込め『精液の便所』と嘲笑った。 そこの侍女というのは領主のお屋敷に奉公に出されたが、 顔も田舎臭く屋敷の誰からも寵愛を受けず、何かこれと言う特技もない娘たちだ。 娼館の女主人は領主の娘の裏の顔、女主人はそういった娘たちばかり娼館に集める。 その方が男女の問題は起こりにくい。口説き落としてたくさんのお金を払いそんな侍女と宣教師の体位で及ぶぐらいなら、 娼館で形の良いれみりゃを買い。様々な体位を楽しむ方が得だと思わせる。 買う側としても女に比べ、れみりゃ、ふらんは都合が良い。 自分が身分を隠さなければ娼館に訪れる事のできない立場であっても、相手をするれみりゃはその人の位を知らない。 知っても忘れる。忘れなければ身請けすれば良い娼館に多めに金を払えば良いだけだ。 逆に1匹のふらんに入れ込む者もいる。2度3度交われば相性もわかる。良いと思ったのならば、これもまた身請けすれば良い。 身分の高い者からすればこれっぽっちの金、身分の低い者からしても届かない額ではない。 ふらんとれみりゃにしても別段、悪い話ではない。 ここにいれば食事も睡眠も子育ても楽ができる。昼、侍女たちが食事を用意する音で目覚める。 泣き叫ぶゆっくりの声、親子、恋人は引き離され、食堂に入ってきたれみりゃやふらんに手渡される。 おかわりは自由、領主が荘園で人間向けに作っている食用ゆっくりの中でどうしてもできる粗悪品だ。 それでも病気を防ぐため、腐ったものや原因不明で死んだものは除外される。 品質のレベルは貧民層の子ども達がおやつと食べるレベルのもので、市場では一山いくらで売られているような物だ。 最初は殺してからお皿に持って出していたが、どうもそれでは食欲をそそらないらしく。最近では生きたまま出される。 「う~う~、おしょくじだど~」 大きな口を開け、ゆっくりれいむにがぶりと噛み付くれみりゃ。 「ゆぎゃぁああ、どうじでぇー!!」 一口で食べられるのは丸々と育ったれいむの一部だけ、だかられいむもすぐには死ぬ事がない。 「あまあまおいしぃどぉ~、もっとたべるどぉ~、んあ~~」 また大きく口を開け、パクリと食べる。 「まりざぁ!!だずげぇ、ゆぎぃい!!まり、まりざぁあ!!」 助けを求めたまりさはどこにいるのか分からない、さっき籠に入れられていた時は確かに傍にいたが、 「れいぶぅ!!れ、ゆぎゃあぁあ!!!じにだぐない!もっどもっどゆっぐ、ゆっぐじじだぁあああ!!」 そのまりさがれみりゃに食べられているれいむの意中のものか、誰も分からない。 何故ならこんな悲鳴、食堂のどこからも上がっているからだ。それに人もれみりゃもふらんも食べ物が泣き叫んでも別段、何とも思わない。 食べれば、また食事をもらえる列に並ぶ。受け取ったら空いている席を探し、そこで食事をする。 配っているのはゆっくりに詳しい者だ。お代わり自由と言っても形が崩れれば商品価値が下がる。 太っているものには機嫌を損なわせないように自重させ、痩せているものには納得させ食事をとらせた。 食事が済めば身支度が始まる。夕方までに済ませなければ開館時間が来てしまう、 侍女達は忙しそうに準備をずる。まずはれみりゃやふらん達の服を脱がし、温かい濡れタオルで丁寧に身体を拭く。 その時に秘部の穴が無くなっていないか確認する。再生されていればその個体は今日の営業に出せない。 そして、いつもの服に着替えさせる。それまでは寝間着にようなものを着せられていたが、やっと自分たちの服を着せられれみりゃ達は大喜びである。 服には番号が書かれたバッヂが付けられている。緑の6番や赤の3番など、 色は娼婦としてのランク、番号は客が注文する際にわかりやすいように付けられている。 試しに緑の6番、緑はまだ生娘、一度も男性器を受け入れた事のない個体、その6番目のれみりゃだ。 もし、今夜、このれみりゃに機会があればこのバッヂの色はすぐに変わるだろう。 経験済みの個体は赤いバッヂになる。番号はそのまま引き継ぎなので赤の6番になっているだろう。 準備が終われば、れみりゃ達は大広間に通される。そこには玩具やクッキー、紅茶などが用意されており、 れみりゃ達はそこで客に買われるまでの時間を過ごす。 応接間の周りにはいくつも小さな個室があり、応接間の壁にあけられた覗き窓を通して、客は自分の夜の相手を選ぶ。 入館料さえ払えば、その個室にいくらいてもいい。酒は出していないが軽食と紅茶、珈琲程度なら用意されている。 中には一晩中、れみりゃ達の遊ぶ姿だけを見て帰る者もいる。飲み食いする代金と入館料を合わせれば、 何も頼まずにれみりゃをほんの短時間だけ買い、一度出してしまうとそそくさと帰ってしまう客に比べればよっぽど利益になる。 侍女たちは裏でれみりゃ達を抱かない彼らを『金づる紳士』なんて酷い呼び方をする。 たまに一晩買うが、抱かずにクッキーやケーキなどふらんにたんまり御馳走するだけで満足し帰る客もいる。 侍女に言わせれば、そういう客は金づる紳士の極みなのだろう。 客が注文すると係りが応接間に入り、指定された番号のれみりゃを部屋から連れ出す。 中にはぐずるのもいるが、言いくるめたり、玩具を持って行っていいと言うとすぐに笑顔になり部屋を後にする。 客に確認を終えると、れみりゃは部屋で客が風呂からあがるのを待つ。娼館の2階と3階が個室になっている。部屋はさほど広くない。 無論、多く金を払えば4階にある。都会のホテルのような個室も取れるが、そういうのを注文するのは個室から覗いている客ではなく、 2階から吹き抜けになっている大広間を見下ろすようにれみりゃやふらんを見定めている上等な客たちだ。 1階が風呂になっていて、れみりゃやふらんを買った客はそこで身体の垢を落とす。 前にふらんと一緒に風呂に入りたいと申し出た客がいたが、水気に弱いゆっくりを風呂に同伴させる事は出来ないと断る。 もし、殺してしまった場合、それ相応の額を要求され、娼館への出入りが禁じられてしまう。 野良のれみりゃやふらんを殺す分には誰からも咎められないが、商品を壊せば咎められるのは当たり前である。 風呂から上がると、バスローブに着替え、侍女から避妊具と部屋の鍵を渡される。 別にれみりゃやふらんが人間の精液で妊娠するわけではない。避妊具は疑似女性器の清掃を簡単にするためと他のお客への感染症予防だ。 男性器がれみりゃに挿入される。最初は身を裂くほどの痛みだ。だが、死に至るほどではない。 「いっ!だっ!いっ!」 胸に付いている緑の6番のバッヂを揺らし、れみりゃが泣きじゃくる。 自分の中に男性器が徐々に入ってくる。その度に痛みが弾ける。れみりゃは手で涙をぬぐい、必死に耐える。 れみりゃも自分がそういう事をされるのは分かっている。ここに来てその日に何をされるかは説明された。 目の前で男と交わるれみりゃやふらんを何匹も見てきた。この痛みも友人のれみりゃから聞いている。 男も優しく。痛いと言えば挿入を止め、我慢できるようになったら慣らすように入れていく。 部屋に入ってから30分、まだれみりゃは男性器の全てを挿入されていない。8割は行った所で休憩していた。 「お、おにいさん、れみりゃがんばるどぉ~、ぜんぶいれてほしぃどぉ~」 ニコリとれみりゃは笑顔を作る。男は支えていたれみりゃの身体をゆっくりと下げていく。 「う゛う゛う゛う゛ぅ!!」 れみりゃは男性器を全て身体に受け入れる。そこからゆっくりと性交が始まる。 翌日、6番のバッヂは赤い物になっていた。友人のれみりゃが6番のれみりゃに話しかける。 「きのうはどうだったどぉ~?」 「いだかったけど、れみりゃ、がまんできたどぉ~」 「れみりゃはえらいどぉ~。さすがしょうかんのおじょうさまだどぉ~」 自分と同じ赤いバッヂになったれみりゃを19番のれみりゃも嬉しく思う。 しばらくして、6番のれみりゃが痛みもなく男生気を受け入れられるようになった頃、 食事の前に娼館の女主人からお話があった。新入りの紹介だ。 女主人の喋り方は丁寧で「~かしら」「~だわ」なんてゆっくりありすみたいだとれみりゃは思いながら聞いている。 1匹のふらんがみんなに紹介される。顔の形がよく、少し小柄なゆっくりふらん。 もう、いつもの服に着替えていてバッヂは緑の31番をつけている。 ふらんはれみりゃに比べて口数が多い方ではない。「うー・・・よろしくしてね」なんて短い挨拶を済ませ、みんなの食事に混ざった。 6番のれみりゃが先輩風を吹かし、ふらんに食事のもらい方を教えてやる。 「あのおねーさんのところでもらうんだどぉ~、ちゃんとならべないこはゆっくりできないんだどぉ~」 「・・・しってるるよ。いちいち、いわなくてもわかるよ。しね」 「じゃあ、いっしょにならぶどぉ~」 6番のれみりゃは31番のふらんの手を取り食事を貰う列に並ぶ。 その4日後の夜にふらんのバッヂは赤くなるが、それを見ずに6番のれみりゃは娼館からいなくなってしまう。 さみしそうにするふらんを19番のれみりゃが慰める。 「あのこはべつのおうちでしあわせになってるんだどぉ~。ふらんがかなしんでちゃゆっくりできないどぉ~」 「・・・きゅうにいなくなるな。しねっ、しねっ!」 誰かに買われたのか?いや、客が無理をさせすぎたのだ。 たまにいるのだ。マナーのない客が、一晩買うだけの金しか払わずに一生を買った気分になるのが。 叩く程度なら問題ない。2日ほど休ませればまた元気に仕事が始められる。 しかし、腕を千切られ、足に折り目をいくつも付けられ、首を180度曲げられ、右目を潰されていてはもう使い物にならない。 客が、れみりゃは寝てしまったと受付に部屋の鍵だけ返しに来た時、女主人が呼び止めれみりゃが途中で寝てしまったお詫びに、 少しばかりお金を返金するため待って欲しいと言わなければ、その男は娼館を出てしまう所だった。 急いで侍女が部屋に行き、確認すると、れみりゃはかろうじて生きている状態だった。 女主人は侮蔑する所か感心した。商品を壊しておきながら金まで貰っていくなんて、 しかし、今回はその顔の皮の厚さに助けられた。男はすぐに衛兵に連行されていく。 初めての客だ。この娼館が領主の娘がやっているなんて知っていれば、こんな事をしなかったかもしれない。 何にしても終わったことだ。れみりゃやふらんを動揺させない為、6番のれみりゃは買われていった事になった。 そして、6番のバッヂが空く。また緑の6番をつけ、みんなの前で紹介されれるみりゃかふらんがいるだろう。 それまでバッヂは女主人の机の中にしまわれる。 女主人は自分の部屋で紅茶を楽しむ。客に出しているような安い物ではない。 少し冷まし、甘くした紅茶を皿に入れ、自分の膝に座っているれみりゃに少しずつ飲ませる。 まだ曲げられたが痛むのでコルセットは欠かせない。コルセットに綺麗な白いハンカチーフが差し込まれまるで前掛けのようになっている。 ハンカチーフを琥珀色に染めながらもれみりゃは紅茶を飲む。 腕には包帯が巻かれ千切れた先が見えないようになっている。足はもう随分回復し、歩けるようになったが、歩みはぎこちない。 紅茶を飲み終えると、必死に残った左手を伸ばし、クッキーを取ろうとするが、右目をなくしているため、 遠近感がつかめず、どうも空振りをする。女主人はその手を優しく握り、そっとクッキーの所まで持って行ってやる。 クッキーを掴めたれみりゃは満足そうに「うー」と笑い、クッキーをかじる。 もう恐怖でほとんどの言葉は飛んでしまった。今は赤ちゃんのように「うー」などと鳴くだけだ。 「おー、うあー」 クッキーが美味しいのか、ニッコリ笑う。 「うー、うー」 今度は紅茶が欲しいのか、左手で紅茶のカップを指差す。 「品のない男にやられた割に可愛くなったわ。あなたのような子なら男の相手なんてさせないのに。可愛いれみりゃ」 女主人はそう微笑むと、紅茶をお皿に移す。 娼館に運ばれてくるのは荘園で栽培しているゆっくりを食べようとやってきて罠にかかったふらんやれみりゃだ。 中には罠の中で暴れ、肢体のどこかが千切れたり、顔に酷い傷を負ったりするものが出てくる。 娼館の地下にはそういった傷ついた。いや、女主人の言葉を借りるなら「可愛い」れみりゃやふらんの楽園がある。 食事は上で働いているものと比べればよっぽど良い物を食べ、労働もない。 ただ欠損した身体を女主人の前に晒しているだけで生きていられる。腕が千切れれば優しくされ、目が見えなければ優しくされ、 楽園が終わる事はない。その楽園に悲しい事があるとすれば2つ、妊娠し女主人の手術や胎教、食事制限を受けても正常な赤ちゃんが生まれてしまった場合、 その赤ちゃんは少し痛い思いをして可愛くなってもらう事、あとは寿命が尽きて死ぬ事。その2つだけである。 この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 by118
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ご注意 ※一部独自解釈を含みます。 ※今回はあまりゆっくりを虐待していません。 それでも宜しければ、お楽しみ頂ければ幸いです。 魔法の森からそう遠くないとある丘の一角に、人間の里を見下ろすように立つ屋敷 そこにはちょっと変った男と、ちょっと変ったゆっくり達が住んでいました。 そしてその屋敷の扉には、こう書かれた看板が下がっていました。 「ゆっくり改造工房 ここだけでしか手に入らないゆっくり、お作りいたします 品種改良から整形、改造、インテリア、能力強化まで」 マイスタ ゆっくり改造職人のお話 「ちんちーん」 一番鳥が鳴く声で男は目を覚ました。ゆっくり職人の朝は早い。 しかし何時聞いても酷い鳴き声だな……声の質自体は良いんだけれど。 ブツブツ呟きながら洗顔と支度を済ませて居間に下りると、既に彼の助手が食事の支度を終えた所だった。特徴的な耳がゆらゆら揺れている。 「あ、師匠、おはようございます」 「おはよう。あのゆっくり目覚ましの声、なんとかならないの?朝っぱらから卑猥なんですが」 「改造したの貴方でしょうに……ゆっくりみすちーなんか素材に使うからですよ」 「アイディアは良かったと思うんだけどなぁ」 苦笑する助手と漫才しつつ食事を取る。 「そういえば、この前作った試作型四足歩行まりさですが」 「おお、アレは跳躍行動を止めさせるのにえらく苦労したっけなぁ。行動半径が広がったから野外牧場に移してたが、どうだ調子は?」 「全員死んでました。機動力を生かして夜のうちに柵を飛び越えて逃げようとしてたはいいものの、着地を考えておらず 地面に激突して骨折した所をそのまま野生動物の餌になったようです」 「Oh…………」 食事が終わると、助手とともに多目的ゆっくり飼育場の様子を見に行く。 「むっきゅ~~!親方、おはようございますなの!」 「むっきゅ~~!今日もお仕事がんばりますなの!!」 「おはよう、もう他のゆっくり共の朝の餌やりは済んでいるな?じゃミーティング始めるぞ」 出迎えたのは10匹のゆっくりパチュリーだった。一般的にゆっくりパチュリーは体が弱い脆弱種となっているはずだが ここにいるパチュリーは全員が野生種の数倍体が大きく、血行の良いなんとも精悍な体つきをしている。 話す言葉も聡明であり、腰?には反抗的なゆっくりを制裁する為の警棒、帽子には彼女等の地位と権力を示すバッジがつけてあった。 彼女たちは男が、飼育所管理用に特別調教したエリート達である。 ゆっくり改造には、生きた状態の大量多種類のゆっくりが必要となる。 改造のメインボディーとなるゆっくりだけではなく、パーツ移植用、練習用、研究用に体質変化の為の飼料用など、膨大な数のゆっくりが使われるからだ。 それら全ての世話を、彼と助手だけで行うのは時間的に厳しく、かといって沢山人を雇う余裕も無い。 そこで考えたのが、ゆっくり種の中でも体は弱いが比較的頭がよく、雑務を命令するのに適したゆっくりぱちゅりーの教育であった。 まずは薬物と手術で強制的に巨大化、長命化させたゆっくりぱちゅりーを使い子供を大量に養殖、 そして生まれた数多の子供の中でも特に知性が高く従順なものを選び抜き、特別訓練を施す。 特別な栄養を与え、筋トレをさせ、ゆっくり飼育場に必要な多種多様の知識、特に他のゆっくり命令を出す為の帝王学を学習させる。 その中でノルマを達成すればよい食事を与え可愛がり、成績が悪ければ拷問を、命令に従わないものには死を与えることで、主人への一層の依存と忠誠心を植えつけた。 それが終わるといよいよ最終試験として、訓練済みぱちゅりー達を当時の収容所……もといゆっくり飼育場に放り込み、彼女等以外の全ゆっくりを完全に命令に従う状態にするよう命じた。 当然ゆっくりたちは猛然な反発をし、ぱちゅりー側にも相当な犠牲が出たが 訓練済みパチュリーたちは強い団結とナチス顔負けの恐怖政治で反対勢力を無力化し、とうとう飼育場を完全にその支配下に置くことに成功した。 こうして飼育場は修羅場を潜り抜けた歴戦のパチュリーたちによって管理され、労働力の問題はようやく解決されたのである。 「じゃぁ今日の仕事を伝えます。パチュリーA、B、Cは通常通り、部下と一緒に飼育場の清掃と給仕をお願い。 D、Eは農園の管理。最近野菜の数が合わないわよ、犯人を捕まえて見せしめで殺しなさい。適当に下手人を立ててもいいわよ。 F、Gは野外農場と家の周りの清掃。使う労働力は適当に見繕って。 Hは人体実験済みゆっくりの経過記録、Iはロボトミーれみりゃ軍団をつれて森の罠の回収に向かって頂戴 J、貴方は私と一緒に家内の清掃よ。 以上、解散!」 助手の掛け声とともに、パチュリーたちは一斉に持ち場に散っていった。 一通り飼育場を見て周ってから母屋に戻ると、助手が本日最初の依頼者を案内してきた。 見た目は40を過ぎた位の裕福そうな男。話を聞くと町の実業家だそうだ。 「それにしても珍しいですね。ゆっくり加工場にも永遠亭にも属さずに、個人でゆっくりの改造を行っているとは。」 「私は商売人でも研究者でも無く職人ですからね……まぁ半分は自己満足みたいなものです。 予算と時間さえ頂ければ、大抵のゆっくりは作って差し上げますよ。一体どのような改造をお望みですか?」 「それは……」 実業家氏は暫く口篭っていたが、やがて意を決したように言った。 「実は私の愛するゆっくりれみりゃの肉体を、できるだけ人間に近く改造したものが欲しいのです」 「HENTAI目的ですね。わかります。」 慎重に言葉を選んだ実業家の努力を、男は爽やかにブチ壊してくれた。 「い、いやわわたしは何も……」 「そう恥ずかしがることでもありません。実際人間タイプのゆっくりの改造を希望される方は、9割方性行為も視野に入れた愛玩が目的ですからね。 人として自然な欲求ですよ。比較的プラトニックなものから非常にサディスティックなものまで、その程度は様々ですが」 淡々と男は説明する。もっとも彼自身にはそういう趣味は無い。 だが彼のその言葉で、男性の心の殻は必要以上に破れてしまったようだ。 「そ、そうですよね!私は決してアブノーマルなんかじゃ無いですよね!それなのに世間一般の奴等はこぞってそういった趣味の人間を危険人物のように…… 大体少女愛や獣姦は太古から行われてきたことで、そのオルガズムは……」 「(うわ……地雷踏んじまったよ……)」 男の後悔をよそに実業家の熱弁は止まらない。そのまま10分近く演説を聴かされた所で、助手が盆を手に部屋に入ってきた。 「お茶をお持ちしました…………ごゆっくり」 「あ、こりゃどうも……」 罰の悪そうな表情で湯飲みを受け取る実業家。助手は笑顔で二人に一礼すると静かに部屋を出て行った。 「あはは、可愛い方ですな……ひょっとして奥さんですか?」 「ご冗談を、ただの助手ですよ。」 「……私達の会話、聞かれてましたかね?」 「多分」 気まずい空気を振り払うように、二人は改造仕様の具体的な協議に入った。 身長は原型のままでよいか? Aよい。ロリコンこそ正義 体型は? A歳相応に健康的に、だが胸は膨らみかけで 爪の移植は? A無くてよい。爪きりめどいし 髪の色は?顔の輪郭は?足の長さは?etc etc etc…… 大まかな注文が纏まると、男はそれを元に必要予算の見積りを出す。 提示された金額は、依頼者には払えぬほどでは無かったが、幻想郷の物価からすれば相当な高額であった。 「むぅ……少しお高いですな。」 苦言を呈す実業家に、男は反論する。 「お言葉ですが、ゆっくりというのは生物学的に見て、普段我々が思う以上にデリケートで予測困難な存在なのです。その施術の難しさは計り知れません。 単にゆっくりを切り刻み、肉体をくっつけるだけなら子供にでも出来ます。 しかし技術と欠いた手術は術後も傷跡が残ったり、施術した部分が歪んで再生したり、壊死したりと時間の経過につれて問題が噴出します。 そして何より、ゆっくりの潜在的な寿命を大きく縮めてしまうのです。 私が高額の料金を取るのも、そのような悲劇を防ぐ為に入念な下準備をおこない、最高の素材を用いた上で施術を行うからです」 「しかし、実際どの程度劇的な差ができるものかは……」 未だ渋い顔をしている実業家に、男は頷いて言った。 「まぁ言葉だけでは実感が沸かないとは思います……。では、サンプルをお見せしましょう おーい、キモ子!」 手を叩いて助手を呼ぶ。程なくして先程お茶を運んできた少女が、耳をピョコピョコ揺らしながらやってきた。 「お呼びですか師匠?あと次にその名前で呼んだらブン殴ります。Please call me レイセン, OK?」 「いや、かといってその名前は色んな意味で不味い気がするんだが……特に永夜ファン的に…… それはそうと、お客さんがお呼びだぞ」 「いや、私は人間型ゆっくりの改造サンプルを見せていただけると聞いただけで……」 困惑する実業家を前に、レイセンと名乗った少女は自分を指差すとニコニコ笑いながら言った 「でしたら、ここに。お疑いでしたら試しに触ってみてくださいな」 「いやいやいや(サワサワ)……ん(サワサワ)……え………うそぉん!!」 差し出された手を握ったまま、思わずのけぞった実業家を素早く支えつつ、男が話しかけた。 「はい、素晴らしいリアクションをありがとうございます!ええ、間違いなくゆっくりですよ。私の最高傑作です。 元々彼女は超特別製でしてね……迷いの竹林の奥深くにあるとされる永遠亭 そこでしか確認できない希少種『ゆっくりうどんげ』の中の、更なる突然変異『きもんげ』なのです。」 まだ口をパクパクさせている依頼者を横目に、男は説明を続ける。 「突然変異故、生まれつきゆっくりらしからぬ非常に高い知能を持っていたものの その顔面があまりにも、殺人的に、ウザくて不細工だった為に、仲間のゆっくりからも屋敷の住人からもひたすら嫌われ、いぢめられていました。 とうとう拷問の末処分されるというその一歩手前の所を、私が頼み込んで譲って貰ったのですよ。 それから半年程かけて、私の持っていた全ての知識と技術を投入し、整形手術を行い 見事『全米ブサイクな兎コンテスト』優勝候補だった彼女を、美少女として蘇らせることに成功したのです!」 苦笑いしている助手の肩に手をおいて、男は胸を張る。それは手塩にかけた自慢の娘を紹介する父親のようだった。 「しかし信じられない、どう見ても人間そのものだ……」 実業家の言うとおり、少女はどう見てもゆっくりには見えなかった。 身長も体型もゆっくりの胴長短足とは程遠いスレンダーなもの、そのくせ出ている所はしっかり出ている。 顔は睫毛から耳の形まで完全にモデルとなったであろう月兎の美少女を再現しており、実際に肌に触れてみない限り誰もゆっくりとは気付かなかったであろう。 「まぁ家一軒は余裕で建てられるほどの金を費やしましたので……素材も墓からにんg……ゲフンゲフン ともあれ、ダッチワイフもどきに金を捨てたと親族には罵られ、婚約者には逃げられましたが、結果には満足しています。」 苦笑する男、しかしその話を聞いた依頼者の態度は明らかに変わっていた。 「感動しました、貴方は男の夢の体現者だ!是非とも私にもその力をお貸し下さい、お願いします!!」 「解って頂けましたか。」 二人の男は堅い握手を交わし、その後つつがなく商談は成立した。 「……なお、体型等はなるべく其方の要望通りに作らせて頂きますが、顔についてはオリジナルに若干のアレンジを加えさせていただきます あまりに紅魔館の主そっくりに作ってしまいますと、万が一本人の目に留まった場合ほぼ確実に殺されますからね」 「なるほど……承知しました。」 実業家が帰ってしばらくしてやって来たのは、男が暮らす家の一つ隣にある村の村長だった。 「これは村長、いつもお世話になっております。今日はどういったご用件で?」 「いやー、実は……」 村長の話は次のようなものだった。 最近、村の畑をゆっくりの群れが徒党を組んで荒らすようになった。 これまでゆっくりの被害にあったことの無かったその村では、慌てて柵を作ったり罠を張ったりして対策を練ったが そのゆっくり達は長く生きて悪知恵に長けているのか、罠は看破するわ柵は地面を掘って進入するわでまるで効果が無いのだという。 しかも夜更けなど人が畑にいない時間を見計らって襲撃してくる。毎日畑に見張りを出すわけにもいかず、村人全員弱りきっているのだか。 「と、いうわけです。何か良いお知恵はありませんか」 「なるほど。それなら丁度良いモノを作っていた所です」 そう言って、男は村長を飼育場の方に案内した。 「あーー、にんげんだー、こんにちはーー」 「あそんでくれるんだねー、わかるよーー!」 「ゆっくりしていってねー」 村長が案内された飼育場の一角では、数匹のゆっくりちぇんが遊んでいた。 男達を見つけるとぴょんぴょんと飛び跳ね近づいてくる。 元々性格の良い個体が多いゆっくりちぇん種だが、ここで飼育されているちぇんは特に人間への警戒心が薄いようだった。 「ただのゆっくりちぇんじゃないですか……こいつらを番猫にしろとでも?」 「まぁ見ていて下さいな」 落胆する村長を尻目に、男はあるものをちぇんたちの前に放り投げた。 「ゆっ!」 それは一匹のゆっくり霊夢だった 柵の内側に投げ込まれたゆっくり霊夢。最初は男達に文句を言っていたがちぇんたちの姿を見ると笑顔になってすりよっていく。 「ゆっ!おともだちがいるよ!ゆっくりあそぼうね!!」 だが、その姿を見たゆっくりちぇんたちの取った行動は、彼女の期待とは真逆のものであった。 「ゆっ!てきがおちてきたよっ!」 「ころすんだね!わかるよわかるよーーっ!!」 「さっさとしね!むごたらしくしね!!」 突然表れたゆっくりれいむに対して、殺気をむき出しにするちぇんたち 先程まで優しい光をたたえていた双眸は、れいむを睨むと大型肉食獣のごとく吊り上がり 歯を剥き出しにした所を見ると、その口の中にはゆっくりちぇん種には似合わぬ凶悪な牙がズラリと並んでいる。 更には体をぶるぶると震わすと、刹那、その背中からは歪な翼が飛び出してきた。 「「「ゆっくりしねぇ!!!」」」 「どぼちてぇぇぇ!!!gbふぁa」 声をあげると、ちぇんたちは一斉に哀れなゆっくりれいむに飛びかかった。 牙で裂き、翼でえぐり、その体に似合わぬスピードで踏み潰す。 男達の目の前で、れいむはあっという間に原形を留めぬ汚いミンチとなっていった。 「これがわが工房の『高機動ちぇんF型』です。」 唖然としている村長を横目に、男は解説を入れる 「通常、ゆっくり同士の生体間移植は同種でしか成功しません。 種族ごとに、彼らの体を構成する『餡』が異なり、別種のものを入れても拒絶反応を起こして壊死してしまうからです。 しかし例外的に、彼らの皮膚や歯、羽や洋服といったいわゆる『皮』で出来た部分は、組成成分が近いせいか拒絶反応が少なく、移植が成功する場合があります。 これらのちぇんは、まだ拒絶反応が少ない幼少のうちに歯を全て引き抜き、代わってゆっくりふらんの歯と翼を移植したものです。 施術を施したものの多くは拒絶反応によって死にましたが、一部はこうやって生き残りました。 その後も、ゆっくりへの凶暴性を高めるために餌にゆっくりふらんの血肉を混ぜて与え続けたり 餓死寸前になるまで干しておいてから、徐々に他の生きたゆっくり種を餌として与えるなどして 最終的にこのような優秀なハンターとなるまで鍛え上げました。ゆっくり狩りには最適ではないでしょうか。」 その後も男は死亡率を下げるべく切開面を少なくしようといかに工夫したか、翼と背筋餡の接続にいかに苦労したかを延々と語り始めたが、村長は既に聞いていなかった。 呆然としてゆっくりちぇん達を眺める。先程まで殺戮に興じていたちぇんたちは、今は何事も無かったかのように嬉々として助手の少女と戯れていた。 「しかし聞いたところ、一匹のちぇんを強化するにはかなりの労力と費用がかかる様子 元々弱いゆっくりちぇんをわざわざ改造して強くするよりは、れみりゃ種を捕獲して番犬代わりに使った方が良いのでは?」 と、気を取り直して村長が疑問を呈す。 貴方は何も解っていない。魔改造したジムでビグザムの群れを殲滅できるようにするのが男のロマンでしょうが! と、男が独自の美学に基づいて反論しようとする前に、改造ちぇんを抱えてひょっこりと助手が顔を出した。 「それについては、私からご説明させて頂きます。 ゆっくりれみりゃは捕食者としては優秀ですが、いかんせんゆっくりの中では1,2位を争う頭の悪い種族。 散々苦労して仕事を覚えさせても、ある日突然蝶々を追いかけていなくなってしまった、などというのもよくある話です。 一方ゆっくりふらんはれみりゃほど知能は低くないもののプライドが高く躾が難しい、 下手に暴力で言うことを聞かせようとすれば、自殺してしまうことすらあります。 そして何よりこの2種は希少種です。最近養殖モノが出回り始めたとはいえ、未だに一匹辺りの値段は高い。 その点この改造ちぇんなら母体のゆっくりは安価に手に入りますし、移植する羽と翼は一匹のゆっくりふらんからいくらでも手に入ります。性格も良く躾も簡単。 忠誠心と有用性、コストパフォーマンスの全てを備えたこの改造ちぇんこそ、次世代を担う番犬ゆっくりなのです!」 相変らず良く回る口だと、村長に立て板に水のセールストークを続ける助手を見ながら、男は呆れ気味に思った。 助手に迎えてから解ったことだが、この元きもんげは金儲け関連の仕事をさせると抜群に上手い。 彼女に言わせると「人間が金儲けに関して抜けすぎているだけ」だそうだが、本人に商売の素質があることは間違いないだろう。半分詐欺まがいの商売を発案することもあるが…… 職人としてのこだわりから、しばし将来性や採算度外視の仕事に走る男と足して二で割って、丁度良くバランスが取れているといえる。 とか何やら男が考えているうちに、助手と村長の間では 村長の家で暫く試用期間を設けた上で、効果が認められれば村を代表して正式に購入する、という話が纏まったようだった。 「可愛がってあげて下さいね」と手渡された改造ちぇんを大切に胸に抱え、村長は村に帰っていった。 結局その日、新たに職人の下を訪ねてきた客は二人 一人は自分の飼っていたゆっくりが大きくなりすぎたので、餌代節約の為にサイズダウンさせて欲しいという男 もう一人はペット用ゆっくりアリスの避妊を依頼してきた業者で、ダンボール一杯に子アリスを詰めた物を置いていった。 「4件か……まぁ多い方かな。今日は準備だけに留めて、施術は明日から始めるとしよう」 「最近仕事もコンスタントに増えてきていい感じでんなぁ。スケベパワー様々や」 「……その似非方言は止めろと言っているだろ、関西人に失礼だ」 すみません、と助手は舌を出す。たまに偽関西弁が出るのも彼女に言わせると「きもんげの特性」だそうだ。 みっともないから男も注意し、本人も普段は注意しているのだが、たまに気を抜くとつい出てしまうのだとか。 そういえばこの前家計簿をつけさせたときも、札をカウントしながら 「どんだけ中身が薄くても、タイトルに東方ってつけて表紙どんげにすればアホがぎょーさん買うていく。笑いが止まらんわぐっへっへ」 とかなんとか言ってたが、あれは一体何のことだろうか。 「……まぁ、一番手間がかかる施術さえ元々生命力の高いゆっくりれみりゃの改造だ。失敗の可能性は薄いだろう。 コツさえ知っていれば誰にでも出来る、大工仕事だよ……たまには難易度の高いパチュリーの改造等をしてみたいねぇ。」 「そんなこと言っていますが、顔は笑っていますよ?」 美しい顔にニヤニヤ笑いを浮かべて助手は指摘する。この辺の性格は改造前とあまり変っていないな、と男は思った だがまぁその通りだ、なんだかんだと文句を言いつつ、自分は明日の仕事を楽しみにしている。 改造は、楽しい。 子供が粘土で「ぼくだけのかいじゅう」を作るように、男は自分の思うがままにでゆっくりに手を加える。 ゆっくりの命を切り貼りし、肉体を繋ぎ合わせ、醜い部分を削ぎ、綺麗な部品を加え、新たな生命として蘇らせる。 命を媒介にして行う粘土遊び。命を弄ぶ行為、神への冒涜と言われようと、これほど面白い遊びはこの世には無い。 安定した収入を捨て、これを生業に選らんだことで失ったものも多かったが、男は微塵も後悔してはいなかった。 「とりあえず俺はパチュリーどもと夜のミーティングを済ませてくる。お前jは明日使う器具と素材を準備してくれ。それが終わったら飯だ。」 「了解しました、師匠!」 助手と別れて飼育場に向かう男の目は、まるで明日は何をして遊ぼうかと考えている子供のように輝いていた。 後編に続く このSSに感想を付ける
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注意 過去作品『僕はこうして育ちました』と『ボブはこうして出会いました』の登場人物が登場 レイプネタ有り(ソフト) ゆっくりとの恋愛有り 虐待分薄 父:会社員。課長クラス きめぇ丸を妊娠させて出産させた張本人。犯すのは好きだが食べるのは好きではないらしい。会社の中では真人間で通っているから不思議 息子:学生。思春期まっさかり ゆっくりと人間のハーフ。体の半分はゆっくりと同じ素材で出来ているが見た目は完全な人間。父曰く「お前は火傷した部分から、クロアッサンの香りがする」 彼女(ゆっくりふらん)との交際は現在も続いている。ゆっくりに対してはハイスペックな性能を誇る ボブ:黒人。海外研修生 スラム育ち。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態。デカイ 「そういえばこの前、弁護士を名乗る男から『息子さんが女の子を孕ませたからすぐにその治療費を振り込んで欲しい』という電話があった」 「それ振り込め詐欺だね、とうとう家にもかかって来るようになったんだ」 「思わず信じちゃったよ、だから『どこのご家庭のゆっくりですか?』って尋ねたんだが。そこで電話が切れた」 「ふーーん」 (あれ・・・?) 最近、息子の反応が薄い 日曜の午後。親子は昼食をとっている最中だった 今現在。この二人の雰囲気は何故か気まずかった その気まずさから脱却するために父は口を開く 「ところで最近ぱちぇさんを見ないんだがお前何処行った知らないか?」 「クラスにゆっくりの胴付きが飼いたいけど、お小遣いが足りなくてお店で買えないって子がいたからその子に。委員長やってる子なんだけど」 「ちょっ! おま・・・! なに親の愛人譲渡してるの!? おかしくない??」 (ゆっくりを愛人って呼ぶほうがおかしくない?) 今この親子は喧嘩中だった。喧嘩といっても別段仲が悪くなったわけではない ただ息子が父を避ける傾向があった さかのぼること先週の夜 「もう我慢ならん。今日という今日は言わせてもらう」 普段は温厚な父が静かに怒っていた 原因は息子の作る料理にあった 「どうしたら市販のルーで作ったカレーが星の王子様より甘くなるんだ?」 家事は昔からお互いに分担しており、夜帰りの遅い父は料理を息子に任せていた 始めこそインスタントや出前、出来合いのものだったが。最近彼は自炊に挑戦しはじめていた 最初は普通だった。しかし回を重ねるごとに段々と料理の甘さが増してきた 「辛いのは体に毒だよ?」 「甘すぎるのも父さんは体に毒だと思います。主に糖尿病になる」 辛いものを避けて甘いものを好むのはゆっくりの性なのだろうか 「まあ甘いのは一万歩譲って良しとしよう…」 父はカレーにスプーンを差し込んで『あるもの』を拾い上げた 「なんでカレーに『ゆっくりの目玉』が入ってるんだ?」 「肉がなかったから代わりに・・・」 「コレ見つけたときは、糖尿病より先に心臓発作で死ぬかと思ったぞ」 近頃の息子はかなりの頻度で料理にゆっくりを使用する。料理が甘くなる原因はそれだった 冷蔵庫を開けると各部位ごとに切り分けられたゆっくりの体が入っていたり 二階のベランダでゆっくりの干物(?)らしきものがまるで干し柿のように連なりぶら下がっている 使用されるのは主にれいむ種とまりさ種 「ゆっくりなんてその辺で捕まるから家計にも優しいでしょ?」 「『裏山で山菜採ってきたよ』みたいなノリで言うな。それに捕まえて来るにしたって限度があるだろ。一匹もいればお腹一杯だ」 「だって何匹も簡単に捕まるんだよ?」 「それはお前限定だ」 ゆっくりにとって息子はかなりの美男に見えるらしい そんな魅力的な雄に声を掛けられれば近寄ってこないゆっくりはいないだろう (そもそもお前も半分はゆっくりなんだから同族殺しになるんじゃ・・・・) 考えの途中で父は思い出した (そういえば母さんも捕食種か…) きめぇ丸にとってれいむ種やまりさ種の価値は食料でしかなかった (考えたら。こいつも昔かられいむやまりさにだけは興味無かったよな) 息子は母の価値観をそのまま引き継いでいた 「まあとにかく。アメリカのキャンディーよりも甘くて、ドイツのチョコより薬品臭いカレーを父さんはカレーとは認めません」 「美味しいのに・・・・」 「それもお前限定だ」 父は二次性徴を迎えてから徐々にゆっくりの特徴を見せ始める息子を密かに心配していた 「お前にはゆっくりレイパーになって欲しいと心から願っているがな」 「願うな」 「このままじゃ本当にゆっくりになってしまうぞ?」 「いやならないから」 「でも実際、どうなるかわかんないだろ。お前違う生き物なんだか、ら…」 言って、しまったと思った 息子の表情が一瞬だけ翳(かげ)った 「すまん…別にそんなつもりじゃ」 「大丈夫、気にしてないから」 ―――違う生き物 その言葉が彼の心を静かに削り、抉った 父から自分が人間とゆっくりのハーフと知らされて半年。時間が流れるにつれて彼にその事実を受け入れ始めていた 最初の時のような戸惑いはもう無い。しかしそれは同時に自分が半分人間ではないと認めるのと同義だった 『自分はそういった存在なんだ』と割り切ってはいたが、父のその言葉に大きな疎外感を感じた 「僕もう寝るね。お風呂は朝入るよ」 「あ、ああ…」 その日から親子の気まずい時間は始まった そんなこんなで1週間が過ぎた 時刻は冒頭。日曜の午後に戻る 「なあいい加減機嫌を直せ」 「別に怒ってないって言ってるだろ」 彼自身、もう父のことを許していた。しかしそのことをなかなか言えないまま今日まで来てしまった 「父さんの余ってるキン消しやるから、な? ほらブロッケンJr とウルフマン」 「タッグトーナメント? そのネタわかりづらいよ。じゃなくて僕は…」 ピンポーン そんなときインターホンが鳴った 父との話を打ち切り、箸を置いて口元を拭き玄関へ向かう 「はい、どなたで…うわっ!!」 「ハジメマシテ、ボブデス」 玄関の入り口よりも高い身長の黒人が立っていた 「おおボブ、わざわざ家まで来てくれたのか。あとで車で迎えに行こうと思ってたのに」 「ドウモデス。カチョーサン」 シェイクハンドする父と黒人 「どちら様?」 「紹介が遅れた。彼はボブ、会社の海外技術研修生だ」 「ヨロシク」 握手する手がボブの手にスッポリと包まれた 「これから出かけるがお前も来るか?」 「え? ああ…うん」 この日父はボブに市街を観光させる約束をしていた 車は父が運転して、その助手席にはボブ。後部座席に息子が座った 「え? ボブさんまだ二十歳なの!?」 「ははは、凄いだろう?」 「なんで父さんが威張るの?」 和気藹々としながら車は国道を走る 「ムスコクン、ワタシノ、コキョウノ、シャシン、ミル?」 ボブがデジタルカメラを取り出すとそのディスプレイを後の席の息子に見せた 「ボブの故郷?」 スライドショーには落書きだらけの町並みが写っていた 「スラム?」 「ソウデス。トテモ、キケンナ、マチ」 スラム街=貧しい人たちが寄り集まって住んでいる地区 「ボブはその年で結構苦労してるんだぞ」 「そうなんだ…」 陽気そうに見える彼がどんな苦労をしてきたのかを、世界を知らない少年は想像することすらできない スライド写真の中で馴染みのあるものを見つけた 「ゆっくり?」 「イエァ! ワタシノ、マチノ、キュウセイシュ」 「スラム街はゆっくりが現れて変わったそうだ」 「コノ、シャシン、ミテ」 みすぼらしい格好の子供がれいむを齧っている場面 「ホームレス、タベモノ、フエタ」 繁殖能力が高く、調理しなくても食べられるゆっくりは物乞いの子供や大人にとって大変重宝された 「ゆっくりって美味しい食べ物だよね」 「Yes」 「そうか? 父さんはあんまり好きじゃないぞ」 ディスプレイの映像が切り替わる 「え?」 ゆっくりまりさが一匹だけ写っている まりさの口はだらりと開き、目は虚ろ。帽子と髪には白濁液が掛かっていた 「コレ、レイプサレタ、マリサ」 「ゆっくりを犯すことで性犯罪も減ったらしいぞ」 「いや、たしかにその事実もすごいけど。これボブが撮ったんだよね?」 「イエア」 その写真は明らかに犯された直後だった 「まりさを犯したのってもしかして…」 「ボブだ」 (ボブも同類かよ…) 顔に手を当てる。落胆の色は以外に大きい 画面が切り替わる 数人の黒人がバスケットをしているところだった 「このボールってもしかして」 黒人が手にしているのはバスケットボールではなく、ゆっくりれいむだった ボブ曰く。スラム街でゆっくりが死ぬ一番の原因は、食べられることでもレイプされることでもなく。スラムダンクによるショック死らしい 「コドモノコロ、NBAノ、センシュニ、ナリタカッタデス。ダカラ、マイニチ、レンシュウ、シテマシタ」 「父さんは幼い時『パーマン』になりたいって思ってたな。結局リーマンになってしまったが」 「いや、父さんは十分立派な(レイ)パーマンだと思うよ」 (そういえばコイツ幼い時『アンパンマン』になりたいって言ってたな。当時はギャグか本気か正直わからなかった) 地雷になると思ってあえて口に出さなかった その後、街で有名なスポットを数箇所回る。回り終わった頃には夕方になっていた 店で食事を済まして次に向かったのが市民公園だった 「ここが最後のスポットだ。というかメインスポットだ」 季節は冬。寒さと暗さで、その広さに関わらず人は見当たらない 「こんなところで何するつもり?」 嫌な予感しかしない 「この公園にはゆっくりが沢山生息しています」 「どうせレイプするつもりでしょ?」 車に積んであった大きめのコートを羽織り、寒さで顎を震わせながら父を睨む 「話は最後まで聞きなさい」 咳払いをして話を続ける 「今そのゆっくりの群れは二つの勢力に分かれて激しい縄張り争いをしています」 「それで?」 どうして敬語口調なのかはあえて訊かない 「仲間同士争うことは大変悲しいことです。故に紛争の根絶を掲げる我々ユックリ・レイパーはその対立を止めるべく武力介入します」 「結局レイプするんじゃないか。しかも『我々っ』て僕も混ざってるの?」 「フンソウコンゼツ! フンソウコンゼツ!」 「ボブさん五月蝿い」 ハイテンションのボブをなんとかなだめる 「僕行かないから」 「え〜〜〜ノリ悪いなお前」 「誰がノリノリでゆっくりレイプするんだよ」 「ココニイマス」 「ボブは黙ってろ」 彼はボブに『さん』を付けるのをやめた 「この公園は凄いラインナップだぞ」 父は紙を広げて自分がサーチした情報を読み上げる 「れいむ種にまりさ種はもちろん。ぱちゅりーにちぇん、みょんにめーりん…胴つきも数匹確認されてるし、希少種もいるかもしれないって話だ」 「oh.Fantastic!!」 再びボブが興奮し始める 「それでも行く気が全く起きない」 そもそもゆっくりを犯す気など彼には毛頭無かった 「・・・しょうがない、行こうかボブ」 「ザンネンデス」 「後から来てもお前の分ないからな!」 「無くて良いよ。車で待ってるから」 小さくなっていく二人の背中を見送る 自動販売機でお汁粉を買う。缶で手を温めながら駐車場に戻る ここである重要なことを思い出した (しまった。この公園って) この場所は現在付き合っているゆっくりふらんが根城にしている場所だった (ふーちゃん(注;彼女の呼び名)が危ない) あの二人に捕まったらどんな鬼畜なことをされるかわからない 缶をポケットにしまい二人が居るであろう方向へ走った 「ん?」 途中、少し離れた噴水の街灯の近くに誰かが座り込んでいるのが見えた 「誰だろう?」 気になって静かに近づいた 街灯の近くにいたのは自分と同年代の女の子だった。最近になってやっと人間と胴付きの見分けが彼は出来るようになった 女の子の手にはゆっくりめーりんとみょんがいた 二匹の動きがおかしかった。見たところ怪我をしているようだ 「どうかしたんですか?」 だから思わず声をかけてしまった 「私は。ゆ、ゆっくりなんて虐待してません!・・・・・・・て、あんた」 「あれ? 委員長?」 相手は知り合いだった 彼女はクラスの委員長を務めており、胴付きのぱちゅりぃを飼いたいと言っていた子だった 「どうしてあんたがこんな時間にここに居るのよ?」 「委員長こそどうして? それより…」 怪我をした二匹が心配だった。彼はれいむとまりさ以外のゆっくりには基本優しかった 「JAO!! JAO! OOOOOOO!!」 「チンポ!! マラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラマラ」 しきりに二匹が彼に訴える 「な、何言ってるのかしらコイツ等。さ、さっぱりわかんないわよね!?」 焦る彼女とは逆に、彼は神妙な面持ちで二匹に相槌を打った 話を聞き終わり、めーりんとみょんを持ち上げて体を裏返す 二匹の体の裏には釘や木の枝が剣山のように突き刺さっていた かじかむ指を息で温めながら二匹のそれを取り除いてやる 仕上げに買って来たお汁粉を怪我をした部分にかける 「これでもう大丈夫」 「JAO!! 」 「みょんッ!!」 それぞれ礼を言い、二匹は這いずるような緩やかな動きで草むらの中に戻っていった 彼女はそれををただ呆然と見ていた 「あんたあいつらの言葉わかるの?」 「え? 普通わからない?」 彼女は怪訝な顔をする 「あんた馬鹿? めーりんとみょんの言葉がわかる人間なんているわけないじゃない」 (しまった・・・それ僕だけだ) このままでは自分は変な奴だと思われてしまうため、上手い言い訳を考える 「見てたんでしょ? 私があいつら虐待してるところ」 「へ?」 「とぼけないで。あんた始めから見てたからあいつらが怪我した場所が分ったんでしょ!?」 (そうなんだ・・・) 二匹からは怪我をした箇所しか教えてもらっていないため、そこまでは知らなかった 「どうして委員長が?」 クラスでも成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい彼女を知る彼にとってそれは信じられないことだった 「私だってイライラすることもあれば、八つ当たりしたいときもあるの」 大人、友人、同級生。周囲からの期待が重圧となり、無意識のうちに彼女はそれに押さえつけられていた 「ムカつくのよこいつら。揃いも揃って人を小ばかにしたような顔して」 ストレスの発散がゆっくりに向いたのは自然な流れだった 「ねえ。あんたこのコト・・・・」 彼の胸倉を掴む 「もし誰かに言ったら・・・」 ポケットから出した釘を首に突きつける 「言わない。誰にも言わないから」 「本当でしょうね?」 その時、頭上からギシリという音がして街灯の灯りが一瞬だけ揺らいだような気がした 「「!?」」 同時に二人は顔を上げる けれどそこには何も無かった しかし何かが居ることは疑いようがなかった 「いっ」 彼は急に腕を引かれて後ろに下がる 自分の腕に何かが組み付いていた 灯りに照らされてようやくその姿がわかる (ふーちゃん・・・?) ゆっくりふらんが彼の腕にしがみついていた 「う゛〜〜〜」 牙を剥き出して唸り彼氏を脅していた相手を威嚇する 「なにこいつ? あんたの知り合い?」 「え〜〜〜〜と・・・」 どう答えようかと考えていると、ゆっくりふらんが少女の前まで歩み寄った 直後、濡れたタオルを勢い良く振った時と同じ音がした 「え・・・・・・」 彼女は自分が叩かれたことに気付くのに数秒の時間を有した 「叩かれた…? 私が…? この下膨れの不細工に…?」 ふらんは叩き終わってもなお彼女を睨みつけていた 「何アンタ? さっきのゆっくりの仲間? 仕返しに来たってわけ?」 (あ、なんか都合の良い勘違いしてくれてる) 彼がそう思った後。また先程と同じ音がした 「っ・・」 「お返しよ。馬鹿饅頭モドキ」 今度は彼女がふらんの頬を叩いた 「あの、二人とも? ちょっと落ち着いて・・・」 「黙ってなさい!!」「だまってて」 「はい、すみません」 二つの剣幕で彼は萎縮する以外の選択肢を与えられなかった 向き合う委員長とゆっくりふらん お互いに肩幅まで足を広げて足元を安定させる 一人と一匹。同時に腕を振り上げた 乾いた音が夜の公園に響いた 何分続けているのだろうか 「あうっ」「あぐ」 まるでテニスのラリーのように、飽きることなくお互いの頬をたたきあう 「う゛ッ!」「がぁ!」 そこには審判もオフィシャルルールも存在しない 「う゛う゛」「くっ!!」 あるのはただ一つ『雌の掟』。それが唯一無二 「んんっ!!」「うぐッ!!」 男には生涯を通して決して理解も共感されない『女の世界』があった 人間対ゆっくりの戦い 手の大きさ、体格、重量、体を構成する物質 全てにおいてこの勝負はゆっくりにとって不利だった しかしまだゆっくりふらんは立っていた 左頬の皮はずる剥けて、首までデロリとはがれていた 「あんた良いわ。痛みで泣くのグッと堪えてるその顔…凄くゾクゾクする」 恍惚とさせて叩く手を舐める。その姿はなぜか彼は艶やかさを感じていた 彼女の頬は赤く腫れる程度で大したダメージは無かった 「あんた大したもんよ。素直に敬意を払うわ。だからこれで楽にさせてあげる」 ゆっくりふらんは次にでも皮が完全に破けて中身が出るだろう 彼女は手を大きく振りかぶる 「待っ!!」 まずいと思い彼が声を上げた しかし無情にもその手は振り下ろされた 大の字になって後に倒れこむふらん。しかし乾いた音はしなかった 彼女の手は空中で静止していた 「寸止めよ」 それだけ言って彼女は踵を返した。ふらんは気絶していた 自分の鞄を拾って肩に担ぐ 「委員長」 「ああ、そういえばあんたも居たわね。忘れてたわ。何?」 「いや、その。冷やさないと腫れるから」 彼はついさっき噴水の水で濡らしたハンカチを彼女に差し出した 「幻滅しないの? 私は自分よりも弱いものをいじめて悦に入る最低な人間なのよ?」 「誰にだって人に言えない秘密くらい持ってるよ。それに委員長がそうなった原因にきっと僕たちにもあるから」 「そう・・・・」 彼女はハンカチを受け取った 「あんたって変わってるわね」 「そうかな?・・・・・・・・いや、良く言われるよ」 「やっぱり変ね。あなた」 クスリと笑らわれた 「やっぱり。ぱちゅりぃさんも虐めてるの?」 「流石に人様から貰ったペットにはしないわよ。おちょくる程度に留めてあるわ。『頭悪い』って罵倒してるだけよ」 (不安だなぁ) 普段の営業スマイルに戻った彼女の足取りは軽い 「あの子の頬を最後叩かないでくれてありがとう」 「なんであなたが礼を言うの? それに勘違いしないで、私は自分の手があれの中身で汚れるのが嫌だっただけよ」 「本当に?」 「本当のこといっても男には一生わからないわよ・・・・・・それじゃあ、また明日。学校で。ハンカチは今度返すわ」 「うん。それじゃあ学校で」 彼女はそのまま信号のある方向へ歩いていった 「おい見ろよボブ。あんちきしょう、修羅場から一転。フラグ立てやがったぞ」 「スミニオケネーナ、タイショウ」 背後から二人が戻ってきた 「何時から見てたの?」 「ソンナコトヨリ、コノコ、ヤッチマオーゼ」 ボブはコートのかけられたふらんを指差す 「それは駄目!」 「ボブ。これはどうやら息子専用のようだ。それより今から戻って第二ラウンドと行こうじゃないか。そろそろ逃げ延びたのが戻ってくる時間だ」 「オオ、ジャストミート、フクザワ!」 「意味わかんねーよ」 「う・・・・・」 ゆっくりふらんは目を覚ました 「あ、気がついた」 自分はベンチの上で彼のコートに包まれていた 頬の傷は治りかけていた 「お汁粉飲む?」 新しく買いなおしたものを渡す 「つめたい」 「え。そうかな? 買ったばっかりなのに」 「ちがう。おまえのてが」 「え?」 起き上がり彼にコートを返す 「だめだよ。ふーちゃんその格好だと寒いでしょ?」 「もんだいない」 コートを羽織った彼の懐に潜り込んだ 大きめのコートは二人を包むのに十分な大きさだった 「こうしたらふたりともあたたかい」 「そうだね。ふーちゃんは賢いね」 「それほどでもない・・・・」 コートの中で体を反転させて彼と向き合い、背中に手を回した 「見つめ合〜うとすなぁ↑おにぃ↓♪」 「オシャーベリ♪」 「出来ぃなぁ↑あぁ↑い♪」 「ツナミノヨーナワビィシサニ〜♪」 「I Know..怯えているぅ♪」 「「HOO♪」」 「うるさいよ!! 今めちゃくちゃ大事な話してるから黙ってて!!! さっさと第三ラウウド行って来いよ!!!」 「仕方ない。行くかボブ」 「ガッテン」 「てえゆーか二人とも服着ろよ! 寒くねーのか!!」 二人の姿が消えたのを完全に確認する 話の本題に入る 「ふーちゃんに僕はどんな風に見えるの?」 父親の失言をこの一週間自分なりに考えていた 人間とゆっくりの中間にいる自分はこの先どんな人生を辿るのかを 父をはじめとして、人間には人間として自分は認識されている ゆっくりからも自分は同族視されている もしかしたら父が危惧する。ゆっくりとしても人生というのもあるのかもしれない 彼は今、複雑な境界線の上をたゆっていた 「“おまえ”は”おまえ”。いっているいみがわからない」 「そうか・・・・・そうだよね」 彼女の言ったそれが全てのような気がした 「なやむのよくない」 「うん」 ―――あなたはまだ若い。存分にモラトリアムなさい。あなただけの道が見つかるはずです いつか母がそう言ってくれたのを思い出した 自分のような若造がこんなことで悩むのはまだずっと早いのかもしれないと感じた 「自分のやりたいようにやってみるよ」 何かにぶつかるまで 「それがいい」 「あの地〜平〜線♪」 「カ〜ガヤクノワ〜〜〜〜♪」 「どこか〜に君を〜♪」 「カクシテーイルカーラー♪ Wow.Wow♪」 「だから歌うな!! しかもなんだよ『Wow.Wow♪』って!? なに勝手に歌詞変えてるんだよ!! ちょっとその辺ジョギングして来い!! すぐ済むから!!」 「すぐにスんじゃうの?」 「ソーロ? ユーアーソーロ? チチオヤハ、アンナ、テクニシャンナノニ?」 「そういう意味じゃないからっ!! ボブ! お前さっさと帰国しろ!!」 二人が公園の外周を走り出したのを確認する 「これから寒くなるけど、ふーちゃんはどこで寝てるの?」 「むこう」 ふらんが指した先にあるのは公衆トイレだった。その隅っこにダンボールと新聞紙の塊があった 「あの中」 「寒くない?」 「すこし・・・」 「危なくない?」 「わからない」 ああいったものは放火魔の対象になりやすと聞いたことがある 「あのさ・・・もし良かったら・・・」 「?」 「愛に〜気付いてくだ↑さーい↓♪」 「ボクガ ダキシメテア・ゲ・ルー♪」 「夢も 涙も忘れ〜て♪」 「キミヲ」 「求めていた〜♪」 「お前等消えろよ!! 通報してやるから!!」 携帯電話をチラつかせると二人はすごすごと歩いていった 話を戻す 「良かったらさ。家にこない? 寒くないしきっと安全だと思うんだ」 「ちちおやがいる」 以前、父親は彼女を押し倒した前科がある 「大丈夫。指一本触れさせないから。それにあれでも最低限の良識はあると思うから」 「めいわくかからない?」 「掛からないよ」 「じゃあ・・・・・いっしょにくらしたい」 そう言うと彼女はコートの中に顔をすっぽりと隠してしまった そのため今はどんな表情をしているのかわからない ただ、今の自分と同じ顔をしてくれていたらいいな。と彼は思った 帰り道の車 ボブはステイ先に降ろした 父が運転席。助手席は無人。後部席には息子。息子の隣にはゆっくりふらん ふらんは彼にもたれて眠っていた 「そういえばこの前に登山の帰りに『ゆっくりの性感帯が点になって見える』って言ったじゃん」 「それが何?」 父が息子に尋ねる 「それ本当(マジ)か?」 「は? だって父さんが見えるようになるって…」 「感覚でなんとなくわかるようになるって言ったが。点が見えるなんて言った覚えはない」 「・・・」 「それはレイパー自称してる父さんでも正直引くわーー」 父はまたしまったと思った 再び彼に対して地雷を踏んでしまった ルームミラーを見ると息子が一週間前の息子の表情と同じだった 「わーー! 嘘!嘘だから!! 冗談。イッツアジョーク! 父さん引いてないから。あんだーすたん?」 「ふーちゃんが乗ってなかったら今頃この車ガードレールにぶつかってたよ・・・」 「悪かった。あ、ボブからお前に伝言預かってたんだ」 「ボブが?」 「そもそも今日の街案内はボブがお前に会ってみたいってのが発端で始まったんだぞ」 「そうなんだ」 懐から便箋を取り出して渡す 「その子とお前が一緒に居るときに書いたみたいだ。父さんもまだ読んでない」 「そうなんだ」 紙を開く 『君見てると、なんかゆっくり見てるみたいで、なんか知らないけどムラムラしたよ』 「父さん。ボブって以外に達筆なんだね」 「何が書いてあったんだ? おい? どうして泣いてるんだ? 心配しなくてもボブが帰るのは半年も先だから何時でも会えるぞ」 この日から一週間。息子は父と口を聞かなかった 終わり present by ゆっくりレイパー
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ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 と言いたいところだが、今日はちょっと事情が違った。 昼過ぎ、永遠亭の永琳の元へ訪れたのは、里の守護者上白沢慧音と、台車に載せられ縄で縛り付けられたやたらでかいゆっくりまりさだった。 でかい。 とにかくでかい。 直径は2メートルを優に超えている。内包する餡子の総量はいかほどであろうか。男五人で台車を引いてきたことから、並大抵のものではないだろう。 「ゆっ、ゆぐっ、ゆぐっりざぜでぇえええ」 声もでかかった。縛られているせいか上手く喋れないようだが、それでもびりびりと空気が振動するほどだった。 「これはまた、巨大ゆっくりとは珍しい。今日の用向きは、つまりこれのことで?」 「うむ。実は──」 神妙な面持ちで慧音は話し始めた。 最近、里の近くに巨大なゆっくりが近づいてきているらしい。 ごくまれに見かける巨大ゆっくりだが、その巨体さゆえあまり動くことはできず、しかも大量の餌を必要とする。 そのため普段は人が立ち入らず、餌が豊富な山奥に住んでいるのだが、昨日の早朝、この巨大まりさが発見された。 もしやと思って村の男衆が辺りを調べてみると、その他にも四匹の巨大ゆっくりまりさが見つかったのだという。 恐らく食料を求めて山を降りてきているのだろう。一週間前の土砂崩れで、餌場を喪ったものと推測された。 進路上には里の畑があり、このまま放っておけば甚大な被害が出ることは火を見るより明らかである。 おそらくは明日の夜にでも里まで到達するだろう。 その前にどうにか駆除なり撃退なりしたい──というのが慧音の願いであった。 「あなたがやればいいじゃない。別に巨大ゆっくり如き、空から弾幕でも張れば」 「うぅむ、そこが悩みどころなのだが」 どうにも、その巨大まりさの群れには、取り巻きのゆっくりがたくさんいるらしい。 また、山奥にあとどれほどの巨大ゆっくりがいるのかも分からない。 慧音がゆっくりを駆除したところで、取り巻きに顔を覚えられ、それが里に住む自分であると知られれば、一族総出で復讐に来ることも考えられた。 「つまり後腐れなく、しかも村が恨まれるようなこともない方法を考えて欲しい、と」 「その通りだ。無茶な頼みとは分かっているが、どうにかならないものだろうか」 うむむ、と永琳は思考を巡らせた。 「思いついたわ」 「早っ」 だがそこは天才、ものの五秒で妙案を打ち出した。 早速、弟子の鈴仙を呼び寄せて巨大まりさを地下研究所に運び込むと、作業を開始した。 その作業には慧音も付き合うことになった。といっても見ているだけだが。 「ゆっ! ゆっぐりはなじでね! まりざごはんたべにいぎだいんだがらね!」 地面に固定されながらも、ぶよんぶよんと身体を揺らしながら主張する巨大まりさ。自分の立場がわかっていないようである。 「うーん、予想以上にたるんでるわね。大きくなるとみんなこうなのかしら」 「まりざはたるんでなんがいないよ! びゅーぢふるぼでぃーだよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 「師匠、どうぞ」 まともに取り合っても疲れるだけだ。永琳は適当に返しつつ、鈴仙から渡された巨大な注射器をまりさに打ち込んだ。 「ゆべっ!?」 まりさは、自分の身に起きた異常にすぐさま気づいたらしい。大きいものほど鈍感だというがあれは嘘だったのか。 嘘なのだろう。現に永琳の胸についているけしからんものも、輝夜や鈴仙の手にかかれば…… 「……何かすごくピンク色の気配を感じたけど、無視することにするわ」 永琳が打ち込んだのは餡硬化剤である。ゆっくりの餡子から水分を奪い、ほとんど砂糖同然の固形物にしてしまう代物だ。 今回はそれを薄めて使用している。今回投与した量だと、ゆっくりの餡子には程よい弾力が出来る程度だ。 そしてそれが今回は極めて重要であった。 「うっ、うごけないよ! おねぇさんなにしたのぉ!?」 まりさが喚くが当然無視。そこに、いつの間にか部屋を出ていた鈴仙が普通のゆっくりまりさを連れてきた。 全部成体であり、そして、全部口が縫い付けられていた。その数九匹。 「よろしい。では次のものを」 「はい」 指令を受け、鈴仙が再び部屋を出る。 永琳は何かを訴えてくるようなまりさを持ち上げると、台の上にうつぶせに寝かせ、後頭部の皮をすっぱりと切り取ってしまった。 「やべでぇぇぇぇぇ!!! まりざのながばになにずるのぉぉぉぉぉ!??!」 「ああうるさい。施術中は静かになさい」 永琳がさっと腕を振ると途端、巨大まりさは静かになった。口がぱくぱく動いているが、声は全く聞こえない。防音の結界を張ったのだ。 「ふむ、してどうする気だ? この普通のゆっくり達は」 ずっと経過を見守っていた慧音が疑問を口にした。 「うーん、まぁおまけみたいなものなんだけど、盾くらいにはなるかなって」 と、永琳はそのゆっくりの餡子に直接餡硬化剤(濃い目)を投与し、巨大ゆっくりに近づいた。 「おっと」 しっかり耳栓をする。防音結界も、その結界の中に入ってしまえば意味はない。 結界に入った途端、すさまじい怒声が永琳を出迎えた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅっ!!! じねっ!!! まりざだぢをいじめるわるいおばざんはじねっ!!!」 「あら酷い。私永遠の十七歳なのに」 十七歳かはさておき、見た目的に若い永琳に対して失礼甚だしいことである。そう、僕らの永琳はいつだって少女臭。どこかのスキマと一緒にしな 「……何かすごくピンク色の気配をまた感じたけど、すぐに消えちゃったわね」 ぼやきつつ、永琳はすぱっとナイフを閃かせた。 「ゆ?」 その手並みが鮮やかすぎて、巨大まりさは、一瞬自分の身に何が起きたかわからなかった。 だが目の前に垂れ下がってきたモノと、そして額に感じる冷たさから、ようやく事態を飲み込んだ。 「ゆ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」 まりさの額にはぽっかりと穴が開き、中の餡子を覗かせていた。 その穴に、永琳は後頭部の皮を切り取ったまりさを突っ込む。 「ぶぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 巨大まりさが叫ぶ。口を縫われた普通のゆっくりは何も言えず、ただがくがくと身を痙攣させていた。 そんな様子にも構わず、永琳は慣れた手つきで普通のゆっくりと巨大ゆっくりの接合面を縫い付けていった。 それを繰り返すこと八度。 巨大まりさの額の円周上には、見事、普通のゆっくりの顔が埋め込まれていた。 埋め込まれたゆっくり達はどれも苦悶の表情を浮かべ、しかし、それぞれがちゃんと生きている。 九回も頭をくり貫かれた巨大まりさは息も絶え絶えだが、こちらも死ぬような様子はない。 「これは……まさか……」 慧音は何かに気づいたようだった。永琳はその様子にニヤリと笑みを浮かべた。 「師匠、連れてきました」 「うー?」 戻ってきた鈴仙が伴っていたのは、ゆっくりふらんだった。それも成体──胴付きである。 ふらんは興味深そうに巨大まりさを見ている。 普段ならすぐにかぶりついてもおかしくないところだが、さっき食事をしたばかりのため、食欲は沸かないらしい。 慧音が驚く。 「ここではふらんまで飼育しているのか」 「れみりゃもいるわよ。まぁそっちはもう研究し尽くしちゃったし、どうでもいいのだけれども。 その点ふらんはまだ分かってないことも多くてね、興味深い研究対象だわ」 答えつつ、永琳はふわりと浮き上がる。 巨大まりさの頭上に立つと、その帽子を蹴り飛ばし、まりさが抗議をあげる前に、その頭頂部に包丁をつきたてた。 「ゆっ! ぎっ! ぶべっ!」 「流石に厚いわねぇ。しかもマズそう」 そのまま、鋸でも引くように、円形に頭の皮を切り取った。出来た穴は、ちょうど子供一人がすっぽり納まる程度の大きさである。 「鈴仙、頼むわ」 「はーい。それじゃあふらん、今から一緒に面白いことしようねー」 鈴仙はふらんの脇に手を入れて持ち上げると、そのまま浮かび上がった。 そして巨大まりさの真上まで来ると、よく狙いを定めて、 「「パイルダァァァァァァァァオォォォォォォォォォン!!!!」」 師と弟子の声が重なった。 ずぼんっ、と気持ちのいい音を立てて、巨大まりさの餡子の中に、ふらんが腰まで突っ込まれた。 「ゆっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 当然、絶叫したのは巨大まりさである。人間なら脳に直接腕を突っ込まれたようなものだ。 一方、慧音は言葉を喪っていた。永琳と鈴仙の残酷合体に慄いたからではない。もっと別の何かに、心動かされていた。 「これは……これは! 十面鬼ゴル○ス・人面岩形態!!!」 「イグザクトリィィィィ─────ッ!!!!」 ビシャアァァァン!!!と雷鳴を轟かせながら、慧音と永琳はお互いを指差した。 ここに二人の心は、かけがえのない絆で結ばれたのである。 幻想郷の住人が何故ゴル○スを知っているのか、という疑問はあるが、些細である。テンプレ的に全てスキマ妖怪のせいにしてしまえば良い。 「……! う゛ー! きもぢわるい! だせ、だせぇーぇぇぇ!!!」 ふらんはようやく事態を理解すると、途端に騒ぎ出した。腰から下が餡子風呂に使っているのだから当然か。 しかしふらんがもがけば、苦しむのは当然巨大まりさである。 「ゆびぃっ! やげっ、べっ、まりざのなががぎまじぇなぎでっべぇぇぇぇぇぇええ!!!」 餡子脳をぐちゃぐちゃにかき回され、まりさは声にならない叫びを上げた。しかし餡子が飛び出るわけではないので、死にはしない。 「ほらほらふらんー、暴れないでねー、今から面白い遊び教えてあげるからねー」 「……う゛ー」 普段から世話をしている鈴仙になだめられ、ようやくふらんは少し大人しくなった。 鈴仙はふらんの手に、魔理沙の髪の毛を握らせる。そして、右のほうを引っ張るようジェスチャーした。 「う?」 ぐいっ。 「ゆべっ!」 びぐん、とまりさの巨体が震え、身体がやや右を向いた。既に固定は解除されている。 「…………」 ぐいっ、と今度は左。 「べひっ!」 するとやはり、まりさは左を向く。 幾度かの試行を経て、ふらんは理解した。 このおおきなまりさは、じぶんのおもいどおりにうごかせる。 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! まりざをおぼぢゃにじないでぇぇぇぇ!!!!」 痛みと混乱から今まで静かだったまりさが、とうとう根を上げた。 だがそれを許すふらんではない。既にもう、これは自分のものなのだ。 「うー! しねっ!」 ボグシャア、と握り固めた(ゆっくりにとっては)硬い拳を振り下ろす。 「べびぎっ!」 頭部の中心を勢いよく殴られ、まりさは呻く。 「しねっ! しねっ! ふらんのゆーこときかないまりさはしねっ!」 「ばびゅっ! おぶっ! ぶぎゃ! ……あ゛あぁぁぁぁん!! もうみんなのどごがえるぅぅぅぅぅ!!!!」 泣き言をあげるたびにふらんの拳が飛ぶ。 だがやがてふらんは、わざわざ殴らなくていいことに気づいた。ちょっと足を動かしてやれば、すぐにこのまりさは大人しくなる。 「わがりまじだぁぁぁああ!!! ゆーごどぎぎまずぅぅぅぅ!!!」 二十分後、とうとう、まりさはふらんに完全に屈した。でかい瞳から滝のように涙を流し、ふらんのものになることを受け入れた。 感覚が繋がっているのか、それとも恐怖からなのか、巨大まりさに埋め込まれた普通のまりさ達も泣いていた。 「ホラーですね」 鈴仙の呟きに、まったくそのとおりだと永琳と慧音は頷いた。同じ顔が並んで涙を流している光景は、結構引く。 「よし、じゃあふらん、次は前に動く練習よ。足を前に踏ん張って」 「う? ……こう?」 「ゆぼぇっ!?」 ぐりっ、と餡子を踏んづけられたまりさの巨体が跳ねた。 「そうそう! それを連続して!」 言われたとおりにふらんが足を前に蹴りだすと、それに合わせてまりさが跳ねる。 それが楽しくてしょうがなく、ふらんはすぐにコツを掴んだ。 「止まるときは足を後ろに踏ん張って、右に曲がりたいときは右の髪、左に曲がりたいなら左の髪!」 「うっ、うっ、う~う~♪」 終始ご機嫌な様子で、ふらんはまりさを『操縦』している。 「ふぅむ、中々覚えがいいんだな」 「他のゆっくりに比べればだけどね。語彙は足りないけど、知能レベルはそこそこよ。 これまでの研究結果だと、特に『楽しいこと』『狩りのこと』に関しての覚えは特に良いわ。 まぁそれでも、曲りなりにも『手』を持ってる生物としては、当然といったレベルかしら」 そこで、はぁ、と永琳は溜息をついた。 「……むしろ、何故ゆっくりれみりゃがあそこまで知能が低いのか理解できないわ。 どこをどうしたら、あそこまで愚鈍になれるのか……しかも幼体のほうが強いって」 「まぁゆっくり自体わけのわからん生き物だからなぁ」 「ぶっちゃけないでよ。自分のしてきたことが無意味に思えちゃう」 憮然とする永琳の前で、鈴仙は熱心にふらんの指導に取り組んでいる。 「足を後ろに踏ん張って止まる!」 「うー!」「うぎぃ!」 「すかさず髪の毛を両方引っ張って、足を前にやってばんざーい!」 「ばんじゃーい!」「うべぇぇえええ!!」 鈴仙の的確な指示に従って、ふらんが両手を挙げると、まりさの巨体が大きくジャンプした。 そして見事に着地する。 「良しっ! ディ・モールト! ディ・モールトいいぞっ! よく学習してるぞ!」 そろそろ鈴仙にどこかの子作り野郎の霊が降り始めたところで、永琳は慧音に持ちかけた。 「あなたをここに連れ込んだのは、あのフランを教育してほしいからなの」 「あの月兎がいれば充分に思えるが……」 「あの子はアメばかりでムチの使い方がいまいちでねぇ。その点、あなたなら安心だわ。学校の先生だもの」 「まぁいいが……それで、どの程度まで教育すればいいんだ?」 その言葉に、永琳は了承が取れたものと理解した。永琳は告げた。 「一日で、木馬を操る子供が、いっぱしの走り屋に至るまで」 「──心得た。引き受けよう」 慧音の瞳には、教育者の熱い炎が灯っていた。 昔慧音は走り屋だった。 妹紅と一緒に峠を攻めては、四季映姫機動パトロール隊によく追いかけられたものである。 それを撒いて仲間と共に、ゆっくりを肴に呑む酒は最高だった。 だがそんな慧音を走りから遠ざける事件が起こった。 走り仲間だった阿八が、ある日事故って死んでしまったのである。 最もゆっくりを愛し、最も走りを愛した少女だった。 その日も道路上に敷き詰めたゆっくりを、愛車(リヤカー)でひき潰す遊びをしていたところだった。 危ないからやめろと慧音と妹紅はいつも止めたが、しかし彼女は若かった。 その挙句が、餡子に滑って転んだ上に崖の下まで転げ落ち、そこで見つけたゆっくりの群れを、大量出血状態のまま破壊したが故の死である。 慧音と妹紅と走り仲間達が出席した葬儀には、あの四季映姫も参列していた。 ぶるぶると拳を握り固め、嗚咽を洩らすその姿は、自らが救えなかった若人の命を嘆いているかのようだった。 それを見た途端、慧音の心にあれほど燻っていた走り屋の火が、小さくなっていった。 「阿八よぉ……お前、本当に風になっちまったンだなぁ……」 それ以来慧音は走りをやめ、やがて教師を志し今に至るというのは勿論全部ウソである。 翌日。 「──今だっ! カットバックドロップターン!」 ズァギャギャギャギャギャッ、っと凄まじい音をさせながら巨大まりさが床をドリフトする。 心地よいエキゾーストノート(=巨大まりさの叫び声)が見るものの心を震わせる。 慧音の教えのお陰で、今や完全にふらんは巨大まりさを我が物としていた。 慧音は満足そうな顔で車体を止めたふらんの高さまで飛ぶと、その頭をすごい勢いで撫で始めた。 「良ぉお~~~~~~~しッ! よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし。 りっぱにできたぞ! フラン」 「うっう~☆ にぱ~」 撫でられるふらんもまんざらではなさそうである。 時には厳しく、時には優しく慧音はふらんを教育した。そしてふらんはそれに答えた。教育者としてそれに勝る喜びはない。 「頑張ったご褒美をやらんとな! ゆっくりれいむ二個でいいか?」 「うぁ~! うっうっう~」 「三個か!? 甘いの三個ほしいのか!? 三個……イヤしんぼめ!!」 言いながら、慧音はふらんに三匹の赤ちゃんれいむを与えた。 「おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁああ!」 「ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!」 「やべべべべべべべ!」 ちなみに他の姉妹や母親は、今は巨大まりさの腹の中だ。 ふらんが望めば、最早まりさの口の動きさえ思いのままなのだった。 操られる巨大まりさの顔からは色というものが消えうせ、ただ虚ろだった。 その感情を代弁するかのように、九個の埋め込まれたまりさが涙を流す。 ふらんとまりさの仕上がりに満足した永琳は、腕を組んで頷き、計画を実行段階に移すことを決定した。 そしてその日の夕方。 「まりさおそいねー」 「ねー」 森の一角で、七匹の巨大まりさが和んでいた。周囲には百匹は下らない、普通のゆっくりが控えている。 まりさ達は、先日斥候として里の様子を見に行ったまりさのことを話していた。 今まで住んでいたところの食べ物が少なくなって、こうして山のふもとまで降りてきたのである。 どうにか食料を調達できないかと悩んでいたところ、先のまりさが里を襲って食べ物を奪うことを提案したのである。 他のまりさ達は人間の危険性を良く知っていたので止めたが、幼い頃うまく出し抜いた記憶のあったまりさは頑なに主張を譲らなかった。 だが、食料がなければ最終的に餓死してしまうことに変わりはない。 結局、他のまりさは折れ、言いだしっぺのまりさが斥候として里の偵察に行ったのだった。 協議の結果、三日経って戻ってこなかったら全員で突撃する、という約束で。 ……斥候が戻ってこないということは、つまり重大な危険が迫っているということだが、しかしそんなことまりさ達も承知である。 要するに口減らしをするつもりであったのだ。 飢えたゆっくり、強欲なゆっくりほど、我先に里へと飛び込んでいく。 するとそこには、きっと人間達の罠が待ち構えているだろう。馬鹿なゆっくりほどそれにかかって死んでいく。 後に残るのは、見識ある大人達と、未来ある子供達と、それを率いる自分達だけだ。 実際にはそこまで深く考えていたわけではないが、馬鹿なやつほど早く死ぬということは、巨大ゆっくり達がそれまでの経験で学んだことだった。 だから別に、あのまりさが戻ってきてくれなくても困らない。いやむしろ戻ってこないほうが都合が良いのだ。 だが、その希望は容易く打ち砕かれた。 遠くの木陰に、見慣れた丸い影を発見したからである。 「ゆっ! まりさだっ!」 他の小さなゆっくり達も気づいた。そして口々にまりさまりさと呼び始める。 まりさはのっしのっしと木の隙間を器用に縫って跳ねてくる。 巨大まりさ達は、ほっと息を吐いた。安堵が半分、残念が半分である。 まぁ見たところ怪我もないようだし、良しとしよう。好んで仲間を死なせたいわけでは、必ずしもない。 それに無事に帰ってきたということは、里は襲い易いのかもしれない。それを期待した。 「まりさっ! おかえりっ! にんげんのさとはどうだったの?」 巨大まりさの一匹が近寄って出迎えた。 「まりさ?」 だが帰ってきたまりさは、ぷるぷると身を震わせるだけで、動かなかった。 「どうしたのまりさ? けがしたのー?」 周りの小さなゆっくり達も声をかけるが、それでもまりさは答えない。 「みっ……みんなっ……」 そしてようやく、掠れるように声を出し、 「みんな゛っ、ごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」 まりさの帽子が吹き飛ぶ。それは風などではなく、内側からの力によって。 そしてその下から──帽子と、めくれ上がった前髪の下から現れたのは── 「うー!! たーべちゃーうぞぉぉぉぉぉお!!!!」 自らの身体に九匹のゆっくりを埋め込んだ巨大まりさと、その頭上に埋まったゆっくりふらん。 「「「「「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」」」」」 あまりに理解の範疇を超えた出来事に、その場にいた全員が固まった。 そしてふらんは、慧音に教えられたとおりの言葉を発した。 「いっただぁきまぁーーーーーーーーーーすぅ!!!」 ふらんがまりさの髪を掴んだ両手を持ち上げ、足を後ろに踏ん張る。 するとガパッとまりさの口が開き、 「ゆっ?」 ふらんが手足の力を抜くと同時、まりさを心配して駆け寄った巨大まりさの顔面を、一口で削り取ってしまった。 それが地獄の始まりだった。 「七匹か……報告より多いわね」 「どこかに隠れていたのか。少々厄介だな」 「取り巻きも多いですね。これは襲撃されたら危なかった……」 「まぁでも問題ないんじゃないッスかね」 木陰から、永琳、慧音、鈴仙、てゐがその様子を覗いていた。 いつの間にか加わっているてゐは、ここまでの道の案内役という名目の、ただの野次馬である。 実際、てゐの言うとおり、ふらんの操縦する巨大まりさ──コードネーム・十面まりさは圧倒的だった。 巨体であるがゆえに、まりさ自身は生かしきれなかった自らの性能を、ふらんは完全に引き出している。 加えて餡硬化剤を注入したことにより、十面まりさ自身の頑丈さもアップしている。そこらのゆっくりには殺せない。 「おっと、二匹目が喰われたな」 恐慌状態に陥り、三々五々に逃げ回るゆっくり達を、ふらんは的確に追い詰めた。 今も逃げ出そうとした巨大まりさを木の陰から追い詰め、その側面を十面まりさに齧らせたのだ。 さすが捕食者に回るだけあって、狩りにおけるその本能は並々ならぬものがある。 「……どうしてふらんはあそこまでやれるのに、れみりゃがあんなに駄目なのか理解しかねるわ」 天才ゆえの性か、永琳は本気で頭を悩ませていた。 さておき、いよいよ現場は凄惨を極めてきた。 十面まりさが跳ねるだけで、近くにいた小さなゆっくり達は餡ペーストになる。 そこに逃げ回る五匹の巨大が加わるのだから、もう大変なことになっていた。 「どうじでながまをごろずの! まりざぁぁぁぁぁぁああああ!!!」 いち早く混乱から復帰した巨大まりさが、十面まりさに真意を問うた。 「ぢがうのっ! まりざのぜいじゃないっ! まりざがごろじだんじゃないいいいいい!!!! ふらんがまりざをおもぢゃにじでるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 必死に抗議しながらも、身体は止まることを赦してはくれない。 「ゆっ!」 間一髪避けた巨大まりさの横で、がちん!と十面まりさの歯が鳴った。 命の危機に瀕したそのまりさは、とうとう、認識を改めた。 最早殺すより他に無し。 このまりさは、もう、自分達とは違うものだ。 ふらんに下り、その手先となってゆっくりをゆっくりさせぬ全てのゆっくりの敵だ。 「……わかったよ、まりさ」 「ゆっ!?」 ぱっと十面まりさの顔に喜色が灯る。助けてくれる。そう思った。 だが無論、そんなことはありえなかった。 「まりさはそこで、ゆっくりしんでね!」 「「「「ゆっくりしね!!!!」」」」 他の四匹の巨大まりさも同調し、一斉に飛び掛ってきた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!! どうじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!?!?!?」 十面まりさの全ての顔が、絶望の色に染まった。 「しねっ!」 「そんなきしょくわるいまりさ、もうまりさのしってるまりさじゃない!」 「よくもまりさたちのなかまをころしたな!」 「まりさたちのなかまをよくも!」 「まりさたちのともだちをよくも!」 「よくも! よくも! よくも!」 「ころしたなぁああああああああああああ!!!!!」 「ころせっ! まりさをころせっ! あのまりさをころせっ!」 「ころせっ! ころせっ! ころせっ!」 「ころせッ! ころせッ! ころせッ!」 「 あ の ま り さ を 殺 せ ッ ! ! ! ! ! 」 最早すべてのゆっくりが、十面ゆっくりの敵だった。 「ああああああ……どうじで……どうじでええええええええ……」 捕まったときは、きっと助けに来てくれると思った。 辛い仕打ちを受けても、きっと助けに来てくれると信じていた。 だから、自分がふらんに操られ、みんなを襲うことになったのがとてもイヤでイヤでしょうがなかった。 許してほしいわけじゃなかった。 自分が無謀を働いたから、こんな結果になったのは分かっている。 分かっているけれど。 せめて、そう、せめて。 『仲間』のまま、死んでいきたかったのに── 「……! うー! うごけ! いうこときけっ!」 ふらんは、突然動かなくなった十面まりさに戸惑った。 髪を引っ張っても足で蹴っても、びくびくと痙攣するだけで言うことを聞かない。 目の前からはゆっくりの大軍が迫ってくる。空を飛べるふらんは、このまま十面ゆっくりを見捨てて逃げればどうということはない。 だがそれよりも、さっきまで自分に従っていたものが動かなくなったことが気に入らない。 ふらんは、このまりさとあのまりさ達の間にどんな関係があったのかは知らない。 無論、あまりの絶望から、この十面まりさがゆるやかな精神の死を迎えつつあることも。 知らないからこそ、許せない。 玩具風情が、自分の意に沿わないことが。 「うぅー! うぅー! うぅぅぅぅうううううううううううううううううううううう!!!!!!!」 ──思い通りに動かなくて癇癪を起こすという点では、ふらんもれみりゃと同じと言えるだろう。 だがふらんのそれは、れみりゃのそれよりもっと強く、もっと的確で、そして、敵意によって成り立っていた。 「動けえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「ゆぶぐぇっ!?」 ずぶぎゅっ、とふらんは両手をまりさの頭の中に突っ込んだ。 新たな衝撃に、刹那、まりさの意識が覚醒する。 ふらんはさらに、餡子を握り締めると、それを狂ったように滅茶苦茶にかき回した。 「あいづら、ぜんいんっ、 喰゛い゛殺゛せ゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「ブガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 その瞬間、十面まりさの自我は完全に死んだ。 「あら、これは──」 「暴走したか。精神的にも肉体的にも限界だったようだな」 永琳達の視界の先で、十面まりさは暴れ狂っていた。 白目を剥き、口から餡子を迸らせ、全身を木や地面に打ちつけながら。 その過程で数多のゆっくりをひき潰しながら。 全員で襲い掛かろうとしたのがまずかった。近くにいた小さなゆっくり達はほとんど潰れてしまっている。 「ぎぇばあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 巨大ゆっくりの一匹が凄まじい悲鳴を上げた。後ろから噛みつかれたのだ。 その一撃で死ねたならいっそ幸運だっただろうが、運動中枢すらおかしくなりかけている十面まりさは、がちがちと歯を鳴らすように少しずつ削り喰っていた。 「じねぇっ!」 その隙を突くように別の巨大まりさが襲い掛かるが──そのまりさは忘れている。十面まりさの肉体の主導権は、ふらんの手にあることに。 まりさの中で、ふらんの手足が蠢いた。 「ゆぅっ!?」 すると十面まりさは、それまでの動きをまるで無視して真上に高く飛び上がり、そのまま、真下の二匹を踏み潰した。 「残り三匹ですね……って、危ない!」 着地の隙を狙って、残った三匹が一斉に躍りかかった。三方向同時攻撃。避けられない。 「! うー!」 戦いの中で、ゆっくり狩人としての闘争本能が完全覚醒を迎えたのか、ふらんの決断は早かった。 十面ゆっくりに、正面の一匹に噛み付くよう操作してから、自身は餡子から手足を抜いて飛び出した。 「「「じねッ! ゆっぐりじ」」がぁああああああ!!!」 三匹のうち、噛み付かれた一匹が叫ぶ。その隙をふらんは見逃さない。 落下の勢いそのままにまりさの皮を食い破ると、餡子の中に足をじたばたさせながらもぐりこんだ。 「てゐ何撮ってるのよ」 「ふらんのおふぁんつ」 「……売れるの?」 「好事家ってどこにでもいるもんだよねー」 ふらんはそのまままりさの中にすっぽりと身を埋めてしまった。 「あぽぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!! ながっ、ながにいぎゅぅぅううううう!!!」 残り二人は十面ゆっくりの始末をつけるのが最優先で、助けようとはしなかった。 いや、助けようとしても最早手遅れだ。 ふらんは散々まりさの中を引っかき回したあと、まりさの頭頂部を突き破って現れた。 「うううううううううううううううううううう!!!」 母の胎を引き裂き生まれる鬼子のように。 「ストナー○ンシャイン」 「レ○エルを中から破壊したエ○ァ」 「ええっと、マ○ターテリオンですか?」 「これだから! これだからエロゲ世代は!」 「散々ウドン○インネタで引っ張られておきながら今更それを持ってくるとは!」 「ちょ、酷くないですかその反応!」 「……とんだオタク揃いウサ」 永琳たちが口々に感想を述べている中で、ようやく残った巨大まりさ二匹は、ふらんの姿を認めた。 そして気づく。 これが自分達の敵だと。 自分達の大事な友を貶めた真の敵だと。 「……って思ってるならまぁ都合のいい考え方よねぇ。いつも思うけどゆっくりって自己正当化にかけては天才よね」 「仕向けた張本人がよく言う。おっと、そろそろ佳境だな」 慧音の言うとおり、ふらんとまりさ二匹は総力戦に突入した。 一匹を自ら仕留めたふらんだが、敵もさるもの、ここまで大きくなるまで生き延びてきたのは伊達ではない。 「ゆっくりしんでね!」 「つぶれてしんでね!」 「うー、ゆっくりしねっ!」 まりさ達は、ぼてんぼてんと跳ね回っているようでいて、しかしお互いを守りあうように動いていた。 ふらんはイライラした。でかいだけのただのゆっくりのくせになんて生意気だ。 「う゛ぅー!」 ふらんは手近なゆっくりの屍体を手に取ると、まりさの一方に向かって投げつけた。 偶然、それが目に当たる。 「ゆ゛ぁー!」 「まりさぁっ!?」 片方に起きた突然の事態に、もう一方も思わず足を止めてしまう。それこそがまりさ達にできた隙だった。 ふらんは目潰しを喰らったほう──ではなく、それを心配して無防備な横腹を晒しているほうに飛びかかる。 「じねっ! じねっ!」 「ゆぎゃぁっ! やべでぇええ!」 「じねぇえええええええええええええええええ!!!!」 噛み付き、引っかき、抉り出し、中の餡子を掻き出していく。 まるで削岩機のように、ものの数秒で大量の餡子が流れ出していった。 だが、それに夢中になっていたのがいけなかった。 「──ゆっくり死ねぇぇぇえええええ!!!」 いまだ目の見えないもう一匹が、音だけを頼りにボディプレスをしかけてきたのだ。 慌てて逃げようとするふらんだが、あまりにも餡子の奥深くにまで手を突っ込んでいたため、それも叶わない。 このままでは潰される──そう永琳達が息を止めた瞬間。 それは起こった。 「う゛ぅ゛ー!!」 ふらんの首だけがすぽんと抜けて、空中に飛び出したのだ。その後部から小さな翼を伸ばし広げる姿はまさに、 「「ジオング!!!」」 永琳と慧音の声が重なった。 着地した巨大まりさは、ふらんの胴体のみを潰すだけに終わる。いや、着地の衝撃で虫の息だった仲間に止めを刺してしまった。 その事実に戸惑うまりさに、すかさず、首だけとなったふらんはとどめの一撃を放つ。 「おお、あれは!」 「自らの回転力によって敵を屠る必殺の!」 永琳と慧音は、ふらんの突撃に合わせて声を張った。 「超○覇王電影弾んんんんん!!!」 「ギガド○ルブレイクぅ────!!!」 ふらんの牙が、まりさの後頭部から進入した。 「ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 そしてそのまま頭の表面をまっすぐに削っていく。 ふらんが通り抜けたあとには、哀れ、逆モヒカンとなった巨大まりさが残った。 頭頂部がごっそり抉り取られたことで左右に負荷がかかり、まりさの顔は真ん中から裂け始めた。絶命も時間の問題だろう。 そしてこちらでも、ある一つの絆が引き裂かれようとしていた。 「──ちょっと! なんでそこでグレ○ラガンなのよ! あなた何考えてるの!?」 「そっちこそ! 何故そこでGガ○なんだ! 阿呆か!」 「あなたにマスター○ジアとド○ンの何が分かるのよ!」 「貴様こそカ○ナとシ○ンの何が分かるって言うんだ!」 「あの……師匠も慧音さんもそろそろですね……」 「メタネタも大概にしようよー。きっと読者引いてるからさー」 永琳と慧音が昨日築いた絆は脆くも崩れ去った。 言い争いを続ける後ろでは、首だけになったふらんが、虫の息となった巨大まりさの餡子をむしゃむしゃ食べている。 「慧音さまぁー! 永琳どのぉー!」 と、そこに遠くから男の声が聞こえてくる。皆が声がしたほうを見ると、手に手に鍬や鋤を持った男衆が、こちらに走ってきていた。 「おお田吾作、どうしたこんなところまで」 「いやはや……慧音様は任せてくれとおっしゃいましたが、我らいてもたってもいられず馳せ参じた次第でありまして。 して、巨大ゆっくりはどこに?」 「ん、ああ、折角のところすまんな。もう片付いた」 「なんと! それはまことにございまするか!」 「うむ。まぁ功績は私ではなく、この永琳殿と、あそこのゆっくりふらんに与えられるものだがな」 おお、と男達がどよめいた。 永琳には以前から世話になっていたことから、尊敬の念を新たにすれど、それほど驚くことはなかった。 だがまさか、捕食種といえども、ゆっくりふらんがあの巨大なゆっくり達を倒すとは…… 「う?」 自分を見つめる数多の視線に気づいてか、ふらんが振り返った。 まりさの餡子を大量摂取したせいか、既に身体は復元している。 「英雄じゃあ……」 「我らの守り主じゃあ!」 感極まった男達は、一斉にふらんへ駆け寄った。 その際、まだ生きていた十面まりさの顔の一つが踏み潰されたが、口が縫われていたため叫びも上げず誰も気づかなかった。 「ゆっくりふらんばんざーい! わーっしょい! わーっしょい!」 「う゛ー!?」 円陣を組んでゆっくりふらんを胴上げする男衆。それを身ながら、慧音はうむと頷いた。 「これにて一件落着だな」 「そのようね。里の危機は回避されたわ」 趣味の相違によって崩れかけた絆だったが、仕事を一つやり遂げた達成感から、それは修復されつつあった。 「それでは永琳殿、今日はこれにて。また何かあったら、そのときは」 「ええ、是非力にならせてもらうわ」 がっちりと握手を交わす半獣と薬師。そこにはお互いへの信頼があった。 「……それはともかく、あのふらんはどうしましょうか」 胴上げされ続けているふらんを見ながら、鈴仙は言った。 「うーん、まぁあのままで良いんじゃないかしら。強いし、里で飼ってあげれば良い守り役になると思うけど」 「そういうことならばありがたい。是非そうしてくれ」 「ではそういうことで」 「うむ、恩に着る」 頷き合う二人の後ろで、ふらんが泣き喚いている。 「う゛ー! あぜぐざいー! ずっばいにおいがずるー! みんなじねぇぇぇぇぇ!!!」 「わーっしょい! わーっしょい!」 胴上げは、いつまでも続いていた。 それから。 里には永琳の手によって、ふらん専用十面れいむが配備された。一つの家族から作った一級品である。 加えて二十数対のふらんの幼体が卸され、里の守りをより強固なものとした。 ふらんはそれらの幼体を従え、十面れいむを駆り、慧音と共に里の平和を守り続けることだろう。 汗臭い男達に囲まれながら。 「う゛ー! もうおうぢがえるー!」 どっとはらい。 あとがき 正直メタネタとかロボネタが多すぎたと思う。でも謝らない。 なお、タイトルが十面鬼編となっているのは、以前書いたゆっくり実験室?の続編の構想があるからです。 そっちのタイトルをゆっくり実験室2とする予定だったので、こちらは番外編のような扱いに…… 一つしか出してなくて何が番外編かって話ですよね。 このSSに感想を付ける
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※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方 ※捕食種設定を不快に感じる方 ※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方 ※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方 ※素晴らしい小説を求めている方 は、この小説に合いません。 申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ 子まりさはミリィの腕の中で怯えていた。 自分もこれから親のようにれみりゃに食べられてしまうのだろうか。 自分が何をしたのだろう。 両親と一緒にゆっくりしたかっただけなのに。 子まりさはこの世の理不尽さを嘆いていた。 ミリィは逃げていた。 あのゆっくり出来ない記憶から。 どこまで飛べばあの記憶から逃げられるのだろうか。 そんなことを考えながら森の中を飛んでいた。 「へぶっ!?」 …顔面から木の枝にぶつかった。 ミリィのゆっくり冒険記 第三話 「ゆぎゃぁ!?」 子まりさは突然の衝撃に驚いた。 そしてその衝撃の後、どんどん地面さんが近づいてくる。 「おそらをとんでるみたいぃ~~~」 地面に近づきながらそんな言葉を叫ぶ子まりさ。 そこには危機感の欠片も感じられなかった。 ピンク色の地面にぶつかった時『ぼよん♪』といい音が聞こえた。 じめんさんってこんなにやわらかかったっけ? 子まりさがそう思った矢先、 「う~、いたいいたいなの~…」 という声が間近から聞こえた。 「う~…いたいいたいなの~…」 ミリィは下ぶくれした顔を抑えながら、仰向けに倒れていた。 顔面から木にぶつかって墜落してしまった。 痛む顔をさすりながら、ミリィは上半身を起こす。 「うぅ!?」 ミリィは腕の中に子まりさを抱えていた事を思い出す。 先程のゆっくりできない光景のせいで子まりさを抱えながら飛んでいた事を忘れていた。 顔と背中に走る痛みのせいで幾分か冷静になれたミリィは子まりさの無事を確認する。 腕の中を見ると、怯えた表情でこちらを見る子まりさの顔が見えた。 「う~♪だいじょうぶだいじょうぶ?」 子まりさは、れみりゃが自分に対して何を言っているのかよくわからなかった。 まりさ種に限らずゆっくりの基本種は、れみりゃ種を初めとする捕食種に対して恐怖を感じる。 彼女達が自分よりも食物連鎖の上位であり、自分達を捕食するということが本能で分かるからだ。 この子まりさも 「おちびちゃん!れみりゃやふらんはゆっくりできないんだぜ!ゆっくりにげるんだぜ!」 と、親から何度も言われた記憶がある。 子まりさは自分にとってれみりゃはゆっくり出来ないものだと考えていた。 しかし、今はどうなのか。 抱かれていると、とても暖かくてゆっくり出来る。 「う~♪ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」 極度の緊張と涙を流し続けた結果、子まりさは酷く疲れていた。 子まりさがゆっくり眠り始めるまで時間はかからなかった。 「…ゆっ?」 子まりさが暖かい日差しの中、目を覚ました。 まだ眠いが、お日様の光が見えたら挨拶しなければいけないと親に言いつけられていたので、起きることにした。 「ゆっ!おひさまもゆっくりしていくんだぜ!」 今日もお日様に挨拶する。 お日様に挨拶をしたあとは、今度は親に挨拶しなければいけない。 そう思い周りを見渡すと、親の姿の代わりにピンク色の物体が見えた。 「ゆっ…?おかーしゃん?」 それが何かを確かめようとし、近づいてみると 「う~…まんま~…」 と声が聞こえてきた。 その物体が転がる。 どこかで見た顔が見える。 自分を抱えていた胴付きれみりゃの寝顔だった。 「ゆっ…!!」 その寝顔を見て子れみりゃは戦慄する。 先ほどの温かみなど関係ない。 れみりゃがいつ自分を食べてもおかしくないのだ。 食べられたくない!そう考えた子まりさの取る行動はただ一つ。 「ゆっくりねてるんだぜ、ゆっくりねてるんだぜ…」 子まりさは震えながら、ゆっくりゆっくりとれみりゃの元を離れて行った。 「ゆっ!おはなさんはゆっくりできるんだぜ!」 れみりゃの元から離れた子まりさは御飯を食べていた。 れみりゃの元を離れた安心からか、空腹感が生まれてきたのだ。 さらに、この辺はゆっくりがあまり多くないのか、ゆっくりの基本種であるまりさ種にとっての御飯が豊富にあったのだ。 「しあわせぇ~~!!!」 ご飯を食べている間の子まりさはとてもゆっくりできた。 親が食べられてしまった事も忘れることができ、とてもゆっくりできた。 満足できるまで御飯を食べた後、まだ子供だからなのか先ほどまで寝ていたというのにまたもやゆっくり寝ようとする。 「ゆ~…まりさはおねむなんだじぇ~…」 心地よいまどろみが訪れる。 次に目が覚めた時には、自分の両親が眼の前にいる。 そう願って。 しかし、まりさの願いは思いもよらぬ形で打ち砕かれることになった。 まりさの頭上に一つの小さな影が現れる。 「…ゆっ…?」 なんだろうと思い頭上を見てみる。 そこにいたのは…金色の髪に白いナイトキャップ、後頭部からは虹色の翼が生えている。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 胴なしのゆっくりふらんであった。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 子まりさの頭上にいるゆっくりふらんは子まりさを見て笑いながら叫ぶ。 この周辺に子まりさの餌が豊富にあった理由…それはこのふらん種のテリトリーだったからだ。 近くにいる野生のゆっくりならば当然のようにこの周辺に近づいてこない。 しかし、自分の意思でこの場に来たわけではない子まりさにとっては関係なかった。 ただ、空中に浮かんでいるそれを見上げながら叫ぶしかなかった。 「ふ、ふりゃんだ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」 ふらんはストレスを感じてきた。 最近、自分のテリトリーに自分の獲物であるゆっくりの基本種が全く近づいてこないのだ。 獲物をいたぶりながらゆっくりを食べることで自身をゆっくりさせられるふらん種にとっては、とてもストレスが溜まる状況だったのだ。 最近は自身のテリトリーから遠出をして御飯を食べているが、あまりゆっくりできる状況ではなかった。 長距離を飛行することはふらん種にとっては向いていないのだ。 ふらん種はれみりゃ種に比べて力や飛行速度で上回るが、飛行距離や体力で劣る。 つまり、遠出をする度にかなりの疲労が付きまとうのだ。 だから、ふらん種はれみりゃ種に比べて頻繁に住処を変える。 (れみりゃ種が自身の住処に『こーまかん』と名付け、なかなか住処を変えないという理由もあるが) しかし、この場には基本種にとっての餌が豊富にあったので、自分が離れた途端にゆっくりがわらわらと群がってくるかもしれないことを考えれば、ここを手放すのも面白くない。 そのようなジレンマを抱えていた時、自分のテリトリーに格好の獲物が飛び込んできたのだ。 今までのストレスを解消させるようにふらんは叫ぶ。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 ふらんの動きは素早かった。 叫んだあと、あっという間に子まりさとの距離を詰めようと飛翔する。 「ふ、ふらんはどっかいくんだぜ!まりさになにもしないんだぜ!」 子まりさも逃げようとするが、ふらんのスピードからはとても逃げられるものではなかった。 「しねぇ!」 「ゆびぃ!?」 ふらんの体当たりが容赦なく子まりさに直撃する。 子まりさはまだ小さいということもあり、ものの見事に吹っ飛ばされる。 「ゆっ…ゆっ…やめる…んだぜ…」 子まりさの中身である餡子がシェイクされたような感覚に子まりさは吐き気を覚えた。 「どぼじで…まりさがこんなめに…」 子まりさは自身の境遇の不幸を嘆いていた。 しかし、その時間も長くはなかった。 またもふらんが目の前に迫ってきているのだから。 「ゆっくりしね♪ゆっくりしね♪」 そうして子まりさにとっての地獄が始まった。 ふらん種もれみりゃ種も同じ捕食種なので狩りはするが、そのやり方は異なる。 れみりゃ種は早めに食欲を満たすために、早期に決着をつけようとする。 早くあまあまを食べ、ゆっくりしたいからだ。 逆にふらん種はゆっくりを長い時間をかけて捕食しようとする。 ゆっくりをいたぶることは、ふらん種にとってとてもゆっくり出来ることだったからだ。 だから長い時間を掛けてゆっくりいたぶろうとする。 そして、それはこのふらんも例外ではなかった。 現にこの子まりさをいたぶり始めてから1分以上経つが、この子まりさはまだ 「や、やめ…ほしい…だぜ…」 と喋ることもできる。 何度も体当たりされた為に子まりさは傷だらけではあるが、まだ体から餡子は出ていない。 本来ならばふらん種にとって子供のまりさ種など、簡単に物言わぬ饅頭にすることが出来るのだから。 今回ばかりはそれがいけなかったのだろう。 「だめぇ~~~~~~!!!!!」 ピンク色の丸くて太い物体が叫びながら空から飛び出してきた。 その時の子まりさにはそれが何なのかわからなかった。 ただ、とにかく太くて丸かった。 後書き ふらんは100m走の陸上選手、れみりゃは3000m走の陸上選手と考えていただければわかりやすいと思います。 ゆっくり達は自分がゆっくりする為に必死です。 名前 コメント