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ゆっくり虐待 10KB 虐待-普通 小ネタ 理不尽 駆除 希少種 自然界 幻想郷 虐待人間 いろいろ初めてですがよろしくお願いします ゆっくりを求めて 神社が近くにある丘の上。 空を見上げれば雲ひとつない晴天、くっきりスカートの中が見える。 樹は青々とした葉をつけ花々が美しく咲き誇っている。 厳しい冬が終わり、丘は春の陽気に包まれていた。 二海峡市旧坪町のはずれにあるピクニックにもってこいの場所である。 「「ゆっくりしていってね!」」 ゆっくりとした風景に誘われて出てきたゆっくり達がゆっくりと挨拶をしている。 バスケットボールサイズのゆっくりれいむとゆっくりまりさである。 ゆっくりはゆっくりするべくゆっくりと日向ぼっこを楽しんでいる。 「ゆっくり!!」 「「ゆっくり! ゆっくり!」」 その近くではソフトボールほどのゆっくりが楽しそうに遊んでいた。 転がるゆっくりをゆっくりと追いかけていく遊びである。 誰も邪魔されずにゆっくりがゆっくりとゆっくりするためにゆっくりできる時間がここにある。 そんな平和(ゆっくり)な光景を一つの叫び声がすべてを台無しにした。 「ヒャッハー!! 我慢できねぇ!! 虐待だ!!?」 「ゆーーーーー!!!」 「やめてね、いたがってるよ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 気合い一閃、近くにいたバスケットボール大のゆっくりまりさをつよく蹴り飛ばした。 ゆっくりは岩にぶつかり大きく変形する。 ぶつかった衝撃に耐え切れず皮は破れ中身があふれていく。 傷は大きくほうって置けば確実に致命傷である。 あまりのことに呆然としていたゆっくりのうち ソフトボールサイズのゆっくりれいむのもみあげを掴んで持ち上げた。 持ち上げられたゆっくりは何もできずに叫ぶばかりである。 衝撃的な状況で呆けていたゆっくりれいむだが、叫ぶ子ゆっくりに気がつきやめるように言ってくる。 その声は必死ではあるがどこか小ばかにした印象を抱かせた。 奇声をあげたのは一人の男である。 春だというのに黒のロングコートにブーツさらにサングラスまでしている。 まことに怪しいいでたちである。 「ハッ! あんなたまんねー状況を見せられて我慢できるかっての。饅頭は須らく潰されるべし!」 男はそう言い捨てると腰の後に刺していたチャッカマンを取り出し底面を焙りだした。 改造されたチャッカマンの火力は凄まじく瑞々しい底面はすぐに煙を上げ焦げだした。 あたりに香ばしい匂いが立ち込め、それとともに子ゆっくりの動きが鈍くなっていく。 「あついよ! やめてね! はなしてね!」 「「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 ゆっくりれいむは焦げていく体に危機感を抱きやめるように呼びかける。 しかし、その表情はどこか人を小ばかにした顔でありどこか余裕が伺える。 残されたゆっくり達はは目の前の凶行にどうすることもできず叫んでいる。 必死なのだろうが甲高い声が気に障り逆効果である。 炙っている炎が手にもあたるが防火処理の施された手袋をしているので問題はない。 男は気にせず火力を上げて底面だけでなく、髪や飾り、口、目を燃やし焦がしていく。 蹴られたゆっくりはただただ痙攣しているだけである。 「ヒャッハー! いい声で鳴け! 俺の渇きを癒してくれ!」 「ゆ゛」 雄たけびを上げつつ、つかんだゆっくりれいむを丹念に焼き上げてる。 むらなく焦がし尚且つ生かしているゆっくりを無造作にほうり捨てる。 先ほどと同じサイズのゆっくりまりさを捕まえ袖に仕込んでいた針を取り出す。 取り出した針で線を描くように外皮を傷つける。 ほっぺたにあたる部分から少しずつ削っていき、ある一点に狙いをさだめる。 弾力に富んだ外皮は一瞬抵抗をするも、たやすき突き抜けて針は内部へと食い込む。 様々な角度から異なる長さの針を次々と突き刺しその反応を見ていく。 「いたいよ! ささないでね! はなしてね!」 「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」 「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」 ゆっくりは針を刺すたびに叫び訴えかけてくる。 その顔はにやけ顔でありかなりふてぶてしいものであった。 下にいるゆっくり達は放り捨てられた子ゆっくりと持ち上げられた子ゆっくりを交互に目を向けながら叫ぶだけである。 なお、最初に蹴られたゆっくりは一瞬のうちに視界から消えたのでも認識できていないようだ。 途中、手元が狂い針先が指に突き刺さろうとするが特殊繊維で作られた手袋はびくともしない。 「ヒャッハー。何を言っても無駄だ。饅頭どもは此処で潰れるのだ」 「ゆ゛」 数十本と刺し針山となったゆっくりまりさをみる。 これ以上指す場所がないと判断してそこらへんに転がしておく。 次の獲物である子ゆっくりれいむを持ち上げた。 ブーツに仕込んでいた錐を抜き出し構える。 ゆっくりの目に獲物の先端を突き付けジワジワと近づける。 「いたいのはいやだよ! やめてね! はなしてね!」 そんなことを訴えるが、意味のない鳴き声である。 無視して目に錐を突き立てる。 かすかな抵抗ともに何かはじけるような感触と共に目に錐が突き刺さる。 そのまま錐を動かしえぐり目を取り出す。 「いたいよ! くらいよ! はなしてね!」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」 子ゆっくりれいむは叫びを上げるがただそれだけである。 地面にいるゆっくりれいむは壊れたレコーダーのように同じ声を繰り返すだけである。 両目をえぐったあとも他の場所を執拗に突き刺していく。 まるで何かに取り憑かれたかのように刺していく。何度も、何度も……。 「……ひゃっはー。あとはてめぇだけだ」 無事なところはなく、ずたぼろになった子ゆっくりれいむを地面に捨て置く。 最後に残ったゆっくりれいむに詰め寄る。 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」」 目の前にあるのは瀕死のゆっくり×4にバスケットボール大のゆっくりれいむが1。 瀕死のゆっくりは細かく震えて「ゆ゛」としか言わなくなっている。 放っておけば「もっと……ゆっくりしたかった……」という台詞と共に静かになるだろう。 「…………飽きた」 突然、男が動きを止め気だるくため息をついた。 「なんつーか、バリエーションが乏しいんだよな。もっと、なんていうか……こう、 『れいみゅのしゅてきなあんよがー』とか 『まりしゃのもちもちのびはだがー』とか 『れいみゅのちゅぶらなおめめしゃんがー』とか そんな叫び声はないのか?」 「…………ゆ?」 あまりに理不尽な問いにゆっくりレイムは呆然とするだけである。 「俺の住んでるところだともっと色々な声が聞けるんだけどなぁ」 生物とみなさず、饅頭としてあつかってるゆっくりに語りかけるなど、この男はかなりキている。 ちなみにこの男、住所は双葉市虹浦町である。 「最近、ここらへんのゆっくり虐待に飽きたから旅にでる!」 とわざわざ遠く離れた旧坪町にきたのだ。 「んー、どうればいいと思う?」 「ゆ、ゆっくりしようよー」 しゃがみ込み顔を近づけゆっくりれいむにそう問いを投げかける。 ……末期ですね本当にありがとうございます。 「よっいしょっと」 「ゆゆゆ?」 背負っていたギターケースを下ろし、ふたを開ける。 そこにあったのはたくさんのアマアマ……ではなく巨大な鎚が入っていた。 「あー、あれだ。これ以上やっても似たような反応だし潰すわ」 「!? ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」 男は鎚を手に取り面白くなさそうに言い捨てる。 その発言にゆっくりはもっとゆっくりするよう全力で訴える。 当然である。あんな鈍器で叩かれたら人間も昇天する。 「うーん、どうしようかなぁ……そうだ! 『げすはゆっくりしないでしね!』とか 『でいぶはつがいがしんでがわいぞうなんだよ!』とか 『あまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!』とか 俺を楽しませるような台詞を言ったら見逃してやるよ」 男は鎚を肩に担ぎ悩むしぐさをしていると、何か思いついたように声を上げた。 その提案はどう考えても死亡フラグの塊である。 たとえ言えたとしてもその瞬間つぶされているだろう。 そのような無茶な発言にゆっくりれいむは答えた。 「ゆっくりしていってね!(キリ」 ゆっくりれいむはなにか確信したかのように叫んだ。 これがすべてだ。これ以上のことはない。これですべて終わる。 その顔は「やったよ! ゆっくりしてくれたよ!」と達成感にあふれる顔だった。 「……そぉい」 あまりにむかつく顔だったので全力で槌を振り下ろした。 すさまじい轟音と共にゆっくりは粉々になった。 鎚を上げるとバラバラになった餡子は周りに飛び散り花を咲かせているのが見える。 「きたねぇ花だ」 そう言い捨て瀕死だったゆっくりに目を向ける。 「「「「………………」」」」 へんじがない、ただのしかばねのようだ どうやら目を放している間に永遠にゆっくりしてしまったようだ。 「……本当につまらん」 ゆっくりまりさの被っていた帽子を取ると、それで道具についた汚れを拭き始めた。 「あ~~、いつもだったらここで 『まりさのおぼうしをかえしてね!』とか 『せいさいされたくなかったらさっさとかえすのぜ!』とか 『ゆんやー! もうおうちかえる!!』とか 『そんなことよりおうどんたべたいよ!!!!』とか 気持ちいい台詞が聞けるのになぁ」 道具を拭き、しまい終わると持っていたゴミをまるめてほうり捨てた。 ゴミ―――ゆっくりまりさの帽子は転がり餡子の花の近くで止まった。 「ちょっとまちなさい」 落ち着いたすずやかな声で制止がかかる。 「なんだ?」 振り返ってみると、そこには巫女服を着た女性が立っていた。 「それをやったのはあんた?」 指を刺したところにはずたぼろになった饅頭が4個あった。 大きくへこみ皮が破れ中身が出ている饅頭が一つ。 表面が真っ黒となり見た目は炭にしか見えない饅頭が一つ。 見た目は一筋の線が見えるだけだが壮絶な苦悶の表情を浮かべ転がっている饅頭が一つ。 (注:針がかなり細いため刺した穴自体は大きくないのだ) 目もなく皮がずたぼろになっている饅頭が一つ。 「……あぁ、そうだ。ついでにあんたの足元にあるのを含めて5つかな?」 その格好になかば見とれながら返事をする。 つややかな髪はやわらかく風に流れ、その流れを戒めるように赤いリボンで結ばれてる。 意志の強そうな目は涙をため怒っているも泣いている様にもとれる。 鼻筋も通っており、その下でかわいらしい唇が何かをつぶやいている。 どこかで見たような感じもしないでもないが、とても美しい顔立ちといえるものだ。 視線を下に移すと細い体のラインが見えた。 肩が出るデザインの巫女服であり、赤と白で彩られた綺麗なものである。 胸は小さすぎず大きすぎずほどよい大きさだ。 腋がまぶしい。 さらに下に視線を移すと綺麗な脚線がみえる。 その足元に先ほど放り投げたゴミ(帽子)がみえた。 「そ、そうか。ゴミを捨てちゃダメだな。急いで片付けるよ」 こちらを見た眼差しがきつく感じたのは、 先ほど投げたゴミについて怒りのせいなのだろう。 「……し……っくりが……」 ここで、何か巫女が言っているのに男は気がついた。 耳をすませるとだんだんはっきりと聞こえた。 「わたしの饅頭(ゆっくり)が……」 この台詞に男は顔をしかめた。 飼いゆっくりだとは思っていなかったのだろう。 確認のために視線をゆっくりに向けるがその飾りにバッチはない。 しかし、たとえ飼いゆっくりは外に出さないのが常識であり、 その常識を無視したゆっくりは例外なく死んでいくのだ。 ゆっくりは存在自体が害であり、目に入れば潰す存在であるというのが常識だ。 男はその常識にのっとり潰したに過ぎない。 だが、美人が泣いているのならば別である。 ここはひとつ謝っておくのがよいという判断だ。 男はひとりうなずき巫女に声をかけようとする。 「なぁ。すま…………」 しかし、謝罪の言葉は最後まで言い切ることができなかった。 なぜなら、大量の針と札が投げつけられたからだ。 男は紙一重で横に飛んで攻撃をかわした。 「ちょ、え? なにこれ?」 「饅頭(ゆっくり)の恨みを思い知りなさい……」 静かに告げるその言葉には確かな殺意がこもっていた。 巫女はおやつに取っていた饅頭(ゆっくり)がつぶされ食べれなくなった事に怒っているのだ。 巫女は宙に浮き、札(スペルカード)を取り出すと死の宣告をつげた。 「霊符『夢想封印』」 「まてまてまてまて \ピチューン/ 」 to be continued? あとがきポイなにか ゆ虐どころかSS自体はじめて書きました。 表現とかいろいろ難しいです。 結構前からチェックしてるけど昔と変わってきましたねぇ。 ゆっくりの設定はやや古めのものをモチーフにしてるつもりです。 だから素敵な巫女が出てきたりします。 (まぁ、次があっても出番ないけど) 故にバッチ設定など存在せず、ゆっくりが害獣として認識されてないのである。 作品に出る男の武装は ・袖に仕込んだ大量の針 ・ブーツに仕込んでいる錐 ・腰の後につけているチャッカマン(改造済み) ・懐に入れてる煙球や薬品類 ・ギターケースに入れてる鎚、その他 ・研究肌の虐待鬼井山謹製の手袋 です。 まだ増えるかも。 何か至らぬ点があれば苦言をよろしくお願いいたします。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 原作出すのはゆっくり関係では御法度。 しかも原作を知らないで書いているのバレバレ。 霊夢がどんなキャラでどんな役割を持っているか勉強してこい。にわか野郎。 -- 2018-01-11 19 59 36 その後、霊夢は殺人罪で逮捕されたとかされなかったとか。その後 は誰にもわからない。 -- 2016-07-02 15 24 36 霊夢最低。死ね、このヤクルトスワローズ -- 2016-02-29 01 17 09 ああ、貧乏巫女・・・ つ一万円 -- 2014-08-01 20 31 08 霊夢のくだりが蛇足。 -- 2013-08-03 05 53 15 「まてまてまてまて\ピチューン/」 wwwwwwwwwwwww -- 2012-03-18 14 17 23 そこは「きたねえ花火だ」でよくね? -- 2011-11-26 05 28 34 テーレッテー(世紀末的な意味で) -- 2011-08-22 10 58 07 原作キャラをはっきりと登場させるなら最初の注意に入れた方がいいかもね まあ普通に活躍させるだけなら荒れないとは思うけど -- 2011-07-18 17 55 26 霊夢は金で買収すべし -- 2011-06-12 12 23 16 おもろい! -- 2011-02-11 11 42 50 兄さんサラバ -- 2010-11-07 17 18 31 鬼巫女WWW -- 2010-10-24 17 23 12 つまんねえ上に厨二くせえよ -- 2010-07-31 22 47 43 霊夢を知らないってお兄さんは幻想入りしたてなのかな? -- 2010-06-26 23 03 00 原作キャラ出すなら、ちゃんと書ききらないと・・・ -- 2010-06-12 14 23 54 取り返しのつかない事しちゃったねぇ、お兄さん…。 -- 2010-06-06 19 33 20 霊夢が要らねぇ なぜ登場させたのかが分からない -- 2010-06-02 07 38 07 霊夢うざいな -- 2010-04-17 18 49 30 男の虐待パートはつまらなかったけど、男が最後やられるのは面白かった -- 2010-03-26 17 06 16
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ゆっくりいじめ系110 髪飾りの続きです。 前の騒動の際に拾ったゆっくり霊夢。 こいつは仲間の死を見たせいか、仲間を殺してしまったせいか、ずっと固まったまま動かない。 口に物を入れれば食うし、生きてもいるようだが心が死んでしまっている。 俺自身も痛みを与えたり、髪飾りを死んだゆっくりの物交換してみたりと色々な方法を試みたが、何一つ反応を見せない。 「こうなったら代案ならぬ代餡として、中身でも入れ替えてみるか……? でもなぁ……」 それではつまらない。このゆっくり霊夢だからこそ期待できるものがあるのだ。 悩んでいても大して良い案は浮かばずに数日が過ぎた。 今日も今日とて歩きながら考えていると、道脇の草むらで何かが動いた。 「ゆぅ……くりぃ……」 ゆっくり魔理沙だった。どうやら傷ついて餡子が減っているらしく、かなり皮のたるみが目立つ。 別にどうでもいいか、と無視しようとした時、ふと妙案が思い浮かび、足をゆっくり魔理沙の前で止める。 「おい、大丈夫か? しっかりしろ!」 「ゆっ……りぃ……」 うーむ、我ながらうそ臭い演技だ。しかし、ゆっくり魔理沙の方は本当に重体らしく、返事をする元気すらない。 おそらく何らかの理由餡子を吐き出してしまったため、生きていくぶんの餡子が足りていないのだろう。 「よいしょっ、と……!」 ゆっくり魔理沙を抱え上げて、家に走り帰る。早くしなければ死んでしまうかもしれないのだ。 「待ってろ……! すぐに助けてやるからな!」 家に帰り、ゆっくり霊夢用の餡子とオレンジジュースを与えると、ようやく危機は脱したように見えた。 さっきよりも少しふくらみ、顔ツヤも良くなっている気がする。 「ありがとぅ……おにいさん……」 「無理に喋るな。とりあえず、ここでゆっくりしていけよ」 「うん、ゆっくりしていくね……」 ゆっくりぱちゅりーぐらいのか細さである。これは休ませておいた方がいい、と判断し、その日は俺も就寝した。 寝る前にゆっくり魔理沙をあえて、ゆっくり霊夢の近くに置いておいた。 次の日、ゆっくり魔理沙の様子を確認すると、本調子ではなさそうだったが、昨日よりかは随分良くなっていた。 「どうだ? 身体はもう大丈夫か?」 「ゆっくりやすめたから、すこしだいじょうぶになったよ」 やはり、答える声にはゆっくり種特有の無駄な元気さはない。もう少し置いてやるべきかな。 「ゆっ、おにいさん、あのこどうしたの?」 「ん、ああ、ゆっくり霊夢か……」 ゆっくり魔理沙は置物のように鎮座したゆっくり霊夢を気にしていた。ゆっくり同士の連帯感故だろうか。 思惑通りに事が進んでいる。俺はいくらか考えたふりをして話してやった。 「あのゆっくり霊夢は家族がみんな死んでしまって、酷い目にあったんだ。それで動かなくなっちゃったんだ……」 簡潔すぎるほど簡潔だが、ゆっくりに小難しい話をしても分からないだろう、と判断して適当にまとめた。 「……ゆっ!」 傷が癒えきっていない身体で飛び跳ね、ゆっくり霊夢の隣に行くゆっくり魔理沙。そして、いつもの言葉。 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 相変わらず、反応しないゆっくり霊夢。……よし、実験開始。 「なあ、ちょっといいか?」 「ゆ?」 「このゆっくり霊夢を見ててやってくれないか? 食べ物はちゃんと渡すし、見てるだけでもいいんだが」 「いいよ! ゆっくりみてる!」 心なしか元気が戻ってきているように見える。やけに聞き分けがいいところにが何かありそうだ、と感じさせる。 『ゆっくり同士の交流で心は戻るか』という目論見であるが、どちらに転んでもどうでもよかった。 その日から、俺は朝食と昼食二匹分の食べ物を渡し、仕事をして、夜にまた食べ物を渡しながら一日の経過を聞くという生活になった。 ゆっくり霊夢は自分から食べようとはしないため、誰かが与えてやらなければならなかったが、それはゆっくり魔理沙がやってくれた。 ゆっくり魔理沙もゆっくり霊夢のことが気になるらしく、傍から見ていても姉のように甲斐甲斐しく世話をしている。 それが理由なのか、近頃ではゆっくり霊夢が微妙に反応を示し始めている。 小さくだが「ゅ……ゅ……」という声が聞こえるのだ。それを聞いて、ゆっくり魔理沙は嬉しそうに語りかけたりしている。 ゆっくり魔理沙は出来ないことも弁えているらしく、「れいむをあらって、すっきりさせてあげて」などと頼まれた。 ゆっくり霊夢は動かないので、ゴミや埃が積もって汚れてしまうのだ。 ついでにゆっくり魔理沙も洗ってやろうとすると、「まりさはいいよ」と拒否したので無理やり洗ってやった。 くすぐったそうにしながらも、暴れずに大人しくしているゆっくり魔理沙。 ゆっくり種としてはその聞き分けの良さ、おとなしさは奇妙というか異常であった。 俺は今までの経緯や行動から、ゆっくり魔理沙の事情をだいたい予測していた。確証を得るために語りかける。 「なあ、魔理沙。お前、仲間からいじめられたりしてたんだろ。だから、あんなに傷ついてたんじゃないか?」 「…………」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢が乗り移ったかのように黙り込む。やがて、ゆっくりと口を開いた。 「まりさはね、ぼうし、なくしちゃったんだ……」 「そうか……」 それだけ聞けば何があったのかは予想できる。そして、現在のゆっくり魔理沙は帽子をつけている。 「他のゆっくりから取ったのか?」 ゆっくり魔理沙は一瞬迷ってから、言った。 「しらないゆっくりの、しんじゃったゆっくりのぼうし、ひろったんだ」 「知らなくて、しかも死んでるなら別にいいんじゃないか? 誰も使わないわけだし」 俺はてっきり、生きているゆっくりから帽子を奪ったから、いじめやリンチにあったんだと思っていたのだが。 むしろ、帽子やらリボンやらがないと、元いた群れであっても仲間扱いされなくなるのは前回の実験で判明したことだ。 「しんじゃったゆっくりのぼうしだとね、みんなからきらわれちゃうんだ……」 嫌われる……? どういうことだ。帽子をかぶってるのにいじめられただと? まさか、ゆっくりは分かるのか。そいつに合っていない髪飾りや、死んだゆっくりの髪飾りを使っているのが。 これは、非常に興味深い。俺はゆっくり魔理沙から当時の状況を詳しく聞くことにした。 ゆっくり魔理沙の言ったことをまとめてみると、 1、「帽子を失くす」といじめられた。群れから無視される立場となる。 2、「生きている他のゆっくりの帽子」を奪ったら、仲間として認められた。しかし、帽子を奪い返されると、以前の立場に逆戻り。 3、「死んでいるゆっくりの帽子」をかぶったら、群れの仲間どころか、行く先々のゆっくりに攻撃された。で、倒れて拾われる。 という経過らしい。 ……成る程。ゆっくり種の髪飾りにはここまで意味があるとは。驚愕の思いを隠しきれない。 そして、ゆっくり魔理沙がゆっくり霊夢を世話するのも、群れから追い出されて寂しかったからだろう。 しかし、もしもゆっくり霊夢が目を覚ましたら、どんな行動を取るのだろう。 それはそれで楽しみである。 「ゆっくりしていってね!」「ゆぅ!」 ある朝、二匹分の声で目が覚めた。まさか、と思い居間へ確認しに行くと、そこにはゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が仲良く並んでいた。 「おにいさん、ゆっくりおはよう!」「ゆっ!」 「……帽子、気がついてないのか?」 ゆっくり魔理沙の言うことが真実なら、ゆっくりには死んだゆっくりの帽子を判別する能力があるみたいなんだが。 「だいじょうぶだよ! ゆっくりしてるよ!」「ゆゅ!」 と、そこで気づく、家にいたゆっくり霊夢は大きさであれば、それなりに成長してる個体のはず。 しかし、先ほどからまるでほとんど喋ってしない。精々、「ゆ」の一文字文ぐらいだ。 思い浮かんだのは幼児退行という言葉。しかし、そんなのゆっくりにも起きるのか? 疑問を持ちながらも、さらなる観察を続けることにした。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっ!」 最初に気づいたのは、このゆっくり霊夢は「ゆっくりしていってね!」と一切言わないことだった。 ゆっくり子霊夢ですら「ゆっくりちていってね!」と返事するのに、何度も呼びかけても何も返さない。キョトン、としたままだった。 ゆっくり種としての常識でもぶっ壊れてしまったのだろうか。 個の識別は出来ているようである。ゆっくり魔理沙は当然としても、俺ですら家族の一人のように反応する。 しかも、言葉の識別も出来ているらしく、「お~い」と呼ぶと普通に寄って来て、「ご飯だ」と言うとやたらと速く寄って来る。 何故だか身体能力もあがっているらしく、己の背丈を越えるほどの跳躍力を見せることもあった。 それに引っ張られるように、ゆっくり魔理沙の能力も上がってきている。単純に傷が癒えた、というだけでは説明がつかない。 傷の治りが妙に早かったり、語彙が増えたり、知能が上がっているような気配すらある。 ゆっくりとしての禁忌を破ったからなのだろうか。よく分からない。 こうなってくると、最早ゆっくりとは違う種とすべきか! と一人盛り上がってみたが、即断するにはまだ早い。 近頃では二匹が仕事を手伝ってくれるようになった。仕事といっても農作業だが。 「おんがえしだよっ!」「ゆ~!」 と言っては泥だらけになるのも構わず、文句も言わずにせっせと働いている。いや、楽だね。 今日もまたゆっくりたちが俺の手伝いをしていると、草むらから音がした。ぴょん、と飛び出る塊。 「ゆっくりしていってね!」 野生のゆっくり魔理沙であった。それだけなら別にどうということはないのだが、今はまずい。 「ゆ……!? ゆっくりしねぇ!」 「ゆぐぅ!?」 野生ゆっくりが、俺のところのゆっくり魔理沙を見た途端、人格が変わったように体当たりをしてくる。 相手が大きかったこともあり、吹っ飛ばされるゆっくり魔理沙。野生ゆっくりは攻撃の手を緩めない。 「ゆっくり! しね! しねっ! しねぇぇっ!!」 「ゆぶっ! ぎゅぶ!」 鬼のような形相で攻撃し続ける野生ゆっくりと、口から餡子が出始めているゆっくり魔理沙。 放置するのも面白いのだが、まだやってもらわねばならないことがあるので助けようとする。 と、そこへ駆けつけるゆっくり霊夢。ゆっくりとは思えない速度で野生ゆっくりにぶつかる。 「ゆーーーー!!!」 「ぐべぇ!?」 二倍近く体格差があったように見えるのだが、それを物ともせず、今度は野生ゆっくりが弾き飛ばされる。 どれほどの力が込められていたのか、野生ゆっくりは木にぶつかると、餡子を撒き散らして潰れた。 普通のゆっくりとは比べ物にならない力の強さである。普通のゆっくりだと、集団で攻撃してようやく一匹を潰せる程度の力だ。 ゆっくり霊夢は野生ゆっくりのことなど眼中になく、すぐさまゆっくり魔理沙のところに駆けつけた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 ゆっくり霊夢が悲痛な叫び声を上げる。何事か、と見てみれば、ゆっくり魔理沙の皮が破れて餡子が飛び出していた。 どうやら、吹っ飛ばされた時に木の枝にひっかけてしまったらしい。 「ちっ……まずいな。大丈夫か?」 「ゆぅぅ……」 だらり、と返事も出来ずにへたりこんでいるゆっくり魔理沙。そこまで、餡子の流出が大きいのかとも思ったが、何か違う。 身体がぶるぶると震るわせ、悪夢にうなされているように「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と呻いている。 とりあえず、症状を観察するのは後回しにしてゆっくり魔理沙を家の中に運び込むことにした。 一応の手当ては終了した。傷口にテープを貼り、オレンジシュースを飲ませておく程度のものであったが、応急処置にはなる。 状態が良くなったわけではないが、傷よりも精神的に弱っているようだった。 「みつかった……みつかっちゃたよぅ……」 涙を流すわけでもなく、生気の抜け落ちた顔でぶつぶつと呟き続けている。 ゆっくり種の禁忌を犯しているゆっくり魔理沙は、制裁を恐れているのだろう。 「大丈夫だって。襲ってきたやつは潰しただろ? もう来ないんじゃないか?」 「そうかな……?」 怯え切った顔つきだ。俺としてもゆっくり種にそこまでの探知能力はないと思う。第一発見者がいなければ犯罪は露呈しない。 「もう、ゆっくりできないできないよぅ……」 なおも呟き続けるゆっくり魔理沙。どうしたものかな、と思った時、 「ゆぅ、ゆっ、ゆ、ゆっくり、しない、でね!」 なんとゆっくり霊夢が喋り始めた。ぴょんぴょん、と跳ねながら、頑張って話そうとしている。 「ゆっくり、しなくても、だいじょうぶ、だよ? おかー、さんは、れいむが、まもるよ!」 たどたどしく、けれど、はっきりと宣言した。 母親と認識していたことにも驚きだが、「ゆっくりしなくていい」とはゆっくり種としての存在意義に関わるのではないだろうか。 「さっきのは、ちがう、ひと。れーむたち、とは、なんかちがうの」 どうやらゆっくり霊夢は明確な境目を他のゆっくりに感じているらしい。 これは……面白い。その背中を押してみるべきだろう。 「そうだ、違うぞ。。あいつらはお前たちみたいなのが嫌いなんだよ」 「? どーして?」 「お前たちの髪飾り、リボンや帽子は死んだゆっくりのものでな。普通のゆっくりはそういうのを許さないらしい」 「だから、おかーさんを、いじめたの?」 「そうだ」 簡潔に伝えてみると、ゆっくり霊夢は身体をぶるぶると震わせ始めた。 怒りの感情かもしれないが、そこには何かしらの決意みたいなものが感じられた。 「じゃ、れーむは、ゆっくりじゃなくていい! そんなこというひと、みんなおいはらうよ!」 「へぇ……」 そっちの方向へ行くのか、と俺は感心していた。種であることよりも親を守る。 もしかすると、自分が既にゆっくり種から受け入れられないと分かっているのかもしれない。 「お前はもうゆっくりしないのか?」 「しないよっ!」 「じゃあ、お前は今度から『ゆっくりまんじゅう』っていう名前にしてみたらどうだ? ゆっくりとは違うってことで」 「ゆっ!? ゆっくりまんじゅう! れーむはゆっくりまんじゅうだよ!」 思いのほかあっさり承諾した。むしろ、喜んでいる。俺としては、人づてに聞いた小噺から思いついたものなんだが。 これで、本当にゆっくりとは違うものになったんだろうか、明日はどうしてみようか。 そんなことをワクワク考えながら、俺たちは眠りについた。 夜中。声と気配で目を覚ます。ゆっくりまんじゅうたちのいる部屋からしているようだ。 「なんだ……まさか!?」 急いで、居間に繋がっている扉を開けようとする。が、何かにつっかえているらしく、僅かの隙間しかできない。 その隙間から声が聞こえてきた。 「おかーさん! おかーさん! やめぐっ!?」 「ゆ、ゆゆ……」 「ゆっくりしないでね!」「ゆっくりできないよ!」「すっきりさせてね!」 まんじゅうゆっくりたちとは別の無数の声。俺は事態を察して、扉からではなく、窓から外に出て、玄関へと向かった。 「うわっ……」 表から見ると、玄関は開け放たれており、何匹ものゆっくりが部屋に入ろうとしていた。 しかし、既に入っているやつが多すぎて入れていない。それでも、まだ部屋の中に入ろうとしている。 「邪魔だ! どけっ!」 玄関周辺のゆっくりを潰して道を作る。ようやく、部屋の中を見るとそこには床一面にゆっくりが蔓延っていた。 「ゆっくり!」「ゆっくりできないやつはしね!」「じゃまなひとはどっかいってね!」 どうやら、俺には全く感心を抱いていないようだ。ゆっくりまんじゅうたちを目で探してみると、 「ゆぅ! ゆっ!? ゆぅぅぅぅぅ!!」 多くのゆっくりに圧し掛かられているまんじゅう霊夢がいた。 力で押し返そうとしているが多勢に無勢。潰されてはいないが、完全に身動きを封じられていた 「おかーさん! おかぁ、さん!」 その声で今度はまんじゅう魔理沙を探すと、テーブルの上で何匹かゆっくりがまとまっていた。 まさか、とテーブルに手を伸ばすが、玄関からでは遠く、突っ込むにはゆっくり達で動けない。 「ゆ、ゆ……ゆ。ごめんね、ごめんね……」 テーブルでは魔理沙が頭から食べられていた。何度も謝罪の言葉を呟きながら。誰に向かって謝っているのだろう。 「ゆっ、ゆっ! あのひとたち、へんなゆっきゅだよ! しんじゃえばいいのに!」 「みたよ、おひるにここのおうちでゆっくりしてたよ! ゆっくりじゃないのになまいきだよ!」 他のゆっくりよりも嬉々として、ゆっくりまんじゅうたちに攻撃を加えている二匹のゆっくり魔理沙。 あれは、もしかして昼間の野生ゆっくりの家族だろうか。現場を見られていて、仲間に場所を伝えたというわけか。 第一発見者がいなくても、第二発見者がいれば犯罪は露呈するか。くそ、あの後、周辺を警戒しとくんだったな。 「れーむもおかーさんも、だれにもめーわくかけてない! やめて、やぶぎゅ!?」」 動き回ってゆっくりたちを引き剥がそうとするが、さらに多くのゆっくりに圧し掛かられて、餡子が出そうになる。 「ゆっ、くりぃぃぃぃ!!」 その光景を見た魔理沙は最後の力を振り絞って、もう半分以上、無くなっている身体で飛んだ。我が子を守るため。 霊夢の近くに落ちる魔理沙。その衝撃と気迫に驚いて、群がっていたゆっくりたちはわらわらと散っていく。 「おかー、さん? おかーさん!? おがーざぁん!?」 「ごめんね……ごめんね……」 「 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 最後まで謝りながら息絶えていく魔理沙。泣きすがる霊夢。 「ようやくしんだの? ばかなの?」「あとひとつ、つぶせばゆっくりできるね!」「すっきりしようね!」 口々に汚く罵るゆっくりたち。流石に見ていて腹が立った。俺がやってみたかったのに。 先ほどの、場所を教えたゆっくり魔理沙がまんじゅうへと寄ってくる。 「ゆっくりたべるよ! どいてね!」 餡子を食う気だろう。完全に余裕の笑みを浮かべている。 「おいしそう~♪ あ~ぐぎゃ!?」 ゆっくり魔理沙は食べようとして突如、吹き飛ばされた。壁にぶち当たって、中身が飛び散る 「ゆっくり!? ど、どうしたのぉ!?」「ゆっくりしんじゃったよ!」 「ゆっくり……」 ゆっくりたちが声した方を見る。ゆっくりたちの認識において、そこには潰され、食べられる予定の獲物しかいないはずだった。 「ゆ、ゆ!?」「ゆゆゆ!?」「ゆぅ!?」 「ゆっくり、するなぁぁぁぁっ!!!」 そこにいたのは狩人だった。否、狩人という言葉すら生ぬるい。それは戦士だった。 周囲のゆっくりを比較にならない力と素早さによる体当たりで叩き潰すまんじゅう。その凄まじい勢いにゆっくりたちは恐慌を来たす。 「い゛や゛ぁ゛ぁぁ!?」「おうぢがえる! おうぢにがえりだいよぉ!」「だじでぇぇっ!!!」 先を争って俺の方、すなわち玄関へとへ向かおうとするが、数が多いのが災いして思うように動けない。 その様子を見てから、俺はまんじゅうに声をかけた。 「おい、まんじゅう。一人で出来るか?」 「ひとりで……ひとりでできる! まかせて! みんな、ゆっくりできなくさせるよ!」 「だ、そうだ。お前ら、全員そこの『まんじゅう』にやられちまえよ」 指でまんじゅうを指し示してやってから、ゆっくりと玄関の扉を閉める。外にいたゆっくりもついでに放り込んでおく。 俺自身もイラついていたのだ。気分的には収穫しようとした果実を目の前で掻っ攫われた気分に似ている。 中の様子を窓から見てみる。 多数のゆっくりが外に出ようと扉に張り付いているが、結局開かず、後ろから来た他のゆっくりに潰されている。 「だぢでぇぇ!! ごごがらだじでぇ!」「 ゆ゛っぐり、じだいよおおおお!」「まんじゅういやぁぁ!!」 皆が逃げようとすればするほど、潰されていくゆっくりたち。しかし、後ろから今だ危機が迫っているのだ。 「ゆっ、くりぃ!」 まんじゅうは上空から勢いをつけて、一匹のゆっくりを叩き潰す。広がる餡子。見せつけるようにまんじゅうはそれを食べた。 「むしゃり! むしゃり! ぺっ!」 リボンを吐き出す。さらに震え上がるゆっくりたち。 髪飾りを盗った許せないゆっくりがいると知って群れで潰しに来たはずなのに。しかし、現実は過酷だった。 「どうじでぇ!? どうじでこうなるのぉ!?」「ゆっぐりざぜでね!?」「「まんじゅうはこないでぇぇぇぇ!」 「どうして? ゆっくりたちがれーむの、ゆっくりまんじゅうのおかーさんをころしたからだ!!」 今更、たわ言を抜かしていたゆっくり魔理沙を潰す。それは母に似ていても、決定的に母ではなかった。 「まんじゅう!?」「まんじゅうごわ゛い゛!」「ま゛んじゅう゛、やべでぇ!」 「ぼうしやリボンをなくしたゆっくりは、まんじゅうになってイジメられるんだ! おぼえとけ!」 「お゛ぼえ゛る゛! お゛ぼえ゛る゛がら゛だずげでぇぇ!」「ゆっぐいじだがっだよ゛う゛!」 「じにたくないよ゛おお゛お゛お゛お゛お゛!」「ぎゅっぐりぃ!!」「おがあざぁん!」 まんじゅうは飛び上がって、扉に群がっているゆっくりに思い切り体当たりをぶちかます。その勢いで扉が開け放たれた。 既に大半のゆっくりはやられていたが、それでも残ったゆっくりが我先にと逃げ出していく。当然、仲間に潰されたゆっくりもいた。 「まんじゅう゛ごわい! ま゛ん゛じゅうごわいよぉ!」「ま゛んじゅうなりだぐな゛いぃぃぃ!!」 「ずっぎりじだがっだだげなのにー!!」「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!???」 それぞれがまんじゅうに対して恐怖を口にしながら、どこかへ行った。 「いいのか、そこそこの数を逃がしたけど」 まんじゅうの狙いは分かっていたが、あえて聞いてみる。 「いいよ。あれで、まんじゅうがこわいっておもってくれれば、いいんだよ」 やはり計算してやっていたか、と少し感心していると、まんじゅうが俺の方を向いて小さくお辞儀をした。 「なんだ、どうした?」 「おとーさん、いままでそだててくれて、ありがとう。ここにいると、ゆっくりがいっぱいきて、めーわくがかかるからどこかにいくね」 「何……?」 俺ってお父さん扱いだったのか、と思いながら、なんとなくある推論が思い浮かんだ。 このゆっくり霊夢、もといゆっくりまんじゅう霊夢は、本当にゆっくり種とは違うものに変質しまったのではないだろうか。 きっかけは先日の惨劇であり、髪飾りを変えたことかもしれない。 しかし、俺や元ゆっくり魔理沙と暮らすことでゆっくりとしての常識を失っていったのかもしれない。 あの身体能力はそんな中でも生き残るために発揮されている、所謂「火事場の馬鹿力」だろうか。 そうだとすると、その寿命は長くは保てないだろう。 これはこれで興味深い事例であった。 俺はまんじゅうに、餞別として潰れたばかりの餡子を包んでくれてやった。 面白いものを見せてくれた礼でもある。 「元気で、とは言えないが、まあなるべく死ぬなよ?」 「うん。おとーさん、おかーさんのぶんまでしなないよ。ばいばい」 どこか穏やかな顔つきでまんじゅうは、消えていった。 その後、やけに強いゆっくりとして、まんじゅうの存在はたまに人々の噂にされることもあったが、死んだかどうかは分からない。 普通に考えて、いくらまんじゅうでも敵の数が多いと生き残れないのではないか、と思う。 それでも、時折だが山からある叫び声が聞こえるそうだ。そう、 「ま゛ん゛じゅ゛う゛ごわ゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っ!!??」 と。 ここらで一つ、後書きっぽいものをどうぞ。 ゆっくりに「まんじゅうこわい」と言わせたかった結果がこの長文だよ! 「髪飾りの失くしたゆっくり」だと長いので適当に名前をつけてみたら、「まんじゅう」になった。反省している。 「ゆっくりまんじゅう」を正式名称にしたのは、流石に「ゆっくり」って言葉がついていないとマズイだろ、という判断から。 地の文で書く時、または他のゆっくりが呼ぶ時には「まんじゅう」になります。「饅頭」に非ず。 「まんじゅう」の脳内設定も一応書いておきます。使っても使わなくても、どっちでも構いません。 名称だけ使うとかも大丈夫です。設定改変もご自由に。 ……そもそも、こんな設定を使ってくれる人がいないだろうけど。 「ゆっくりまんじゅう」 髪飾りを失くしたゆっくりのこと。 髪飾りが無くなったゆっくりは種として迫害される運命にある。特に仲間の死体から髪飾りを盗んだ者は絶対に許されない。 「ゆっくりまんじゅう」は、それでも生き残るために変化した突然変異型ゆっくり。 髪飾りを失くしただけでは変異しないが、他のゆっくりったいによって迫害されることで変異することがある。 身体能力や知能は通常のゆっくりを遥かに凌駕するが、それは体内餡子の糖分を使っているため。 故に、通常のゆっくりよりも寿命は短く、中の餡子も甘みがなくて不味い。 「ゆっくりするな!」などの「ゆっくり」という言葉に対して否定的な言葉をぶつける。 自分から他のゆっくりを襲うことはしないが、襲われたら相手がれみりゃであろうと、群れであろうと死ぬまで戦う。 子ゆっくりであろうと容赦せず、相手の餡子を食らうことも平気でする。
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ゆっくりいじめ系1812 ゆっくりの靴 前編より続く とりあえず仕事部屋に放置してきたまりさ二匹は気がついていたのか俺が入ると騒ぎ出した。 「ゆゆっ!!お兄さんなんでまりさこんなところに入れられてるんだぜ!?」 「そうだぜ!ここはゆっくりできないからさっさとだすんだぜっ!そしてお兄さんは今日のご飯を用意してくるんだぜ!」 全く太ぇゆっくりだ・・・ 「なぁお前達。知ってるのか?お前の仲間のれいむが死んでしまったんだぞ」 「ゆゆっ!仕方ないんだぜ!れいむとちぇんはまりさ達がご飯食べるのを邪魔したからせいさいしてやったんだぜ!」 「げーらげーら!これでまりさ達のごはんの取り分が増えたんだぜ!」 「そうかそうか・・・わかったよ」 こいつらがどうしようもないゲスだと言うことがね。 「そんなことより早くこの箱から出すんだぜ!」 「ゆっくり出来ないんだぜ!」 いい加減、虐待をするつもりは無かったがあまりにも自分勝手なまりさ達に対してお兄さんの怒りも有頂天をむかえてきた。 「そうか・・・ゆっくり出来ないのか。・・・・・・・・・お前達にゆっくりする資格なんかねぇッッッ!!!」 バシンッ!! 大きな怒鳴り声とともに片方のまりさの箱の上部を思い切り叩き付ける。 「ゆひっ!お、お兄さんどうしたの・・・だぜ?」 「ぴぃ!お兄さんどうして怒ってるの?」 お兄さんの恐ろしい剣幕に二匹は素の口調に戻りかける。 「お前達・・・どうして俺の藁を食べたんだ・・・?ちぇんとれいむはお前達が藁を食べようとしたのを止めたんだろう?」 「ゆっ!そ、それはまりさ達お兄さんのお仕事の手伝いしたから藁は当然のほうしゅ・・・」 バシンッ!! またしてもお兄さんは答えていたまりさの箱を叩き付ける。 「お前達の、仕事は、俺の藁を、食い散らかすことなのか・・・!?」 流石にやばい・・・そう感じたまりさ達は媚びた笑いを浮かべながら言い訳を始める。 「ち、ちがうんだぜ・・・あ、あ、あれは・・・・・」 「まりさじゃないんだぜ。まりさ食べてないんだぜ!!」 あぁもういいや。 お兄さんはもはや何を話しても仕方ない、そう理解した。 「そうかそうか。もういいよ。お前達には新しい仕事をして貰おう」 そう言ってお兄さんは一匹のまりさを箱から取り出した。 「ゆっ?お外に出られたんだぜ!」 「まりさもっ、まりさも出してね!出してねっ!」 外に出して貰ったまりさは安心したような顔をしていた。 しかし、急に強い不可がかかった・・・そう思った瞬間に地面に激突していた! ズバンッッ!! 「ッッッッ!!!」 「ゆぇ・・・?」 顔面から地面に叩き付けられた方のまりさは顔が下になってしまっているので悲鳴も上げられずに地面に張り付いていた。 一方、箱の中にいたまりさの方は何が起こったのか理解できずに目を白黒させていた。 お兄さんは何も言わず容赦なく地面にひっついているまりさの髪を引っ張り自分の顔の高さまで持ち上げる。 「ゆ”っゆ”っゆびっ!・・・い、いだいよぼぉーーー!!」 と、声を上げた瞬間また先ほどと同じ不可を感じ・・・・ズバンッッ!! またしても地面に叩き付けられる。 「ゆべっっ!ゆ”ゆ”ゆ”っ・・・・」 今度は顔の側面から叩き付けられ、呻き声を上げている。しかし、やはり容赦なく髪を引き上げるとまた地面に叩き付けようとする。 「お、おにいざん何やでるのぉぉーーー?!ばりざが痛がっでるよ!やべてあげでねっ!」 「ん?まぁ次はお前の番だからゆっくりまってろな?」 「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉーー!?」 「それは後のお楽しみってね☆」 そう言ってお兄さんはまたまりさを地面に叩き付ける。 バシンッ!ズシンッ!ズバシッ! ただの作業の様に地面に繰り返し叩き付ける。 ゆっくりというのはその性質上あまり堅くはなく指で刺したり、包丁で切ったりして餡子が減ってしまうと比較的簡単に死んでしまう。 しかし、こういった面での衝撃に対しては比較的頑丈に出来ていて、苦痛を与えるための虐待としては割とポピュラーな方法になっている。 まぁお兄さんがそう言った事を意図してやっていたわけではないが。 こうしてしばらく強かに地面に叩き付けられていたまりさだが、次第に声も上げなくなってきた。 そろそろか・・・そう思ったお兄さんは次の作業に移る。 地面に張り付いたまりさを拾い上げて机の上に乗せる。 まりさの顔が・・と言うか体全体が打ち据えられて真っ赤になっている。 「ゆひぃ・・・ゆひぃ・・・ゆ”っ」 「お兄ざん!もう許じであげでねぇ!ばりざが死んじゃうよっ!」 そう言いながら透明な箱に入っているまりさが訴えかけてくるが黙殺。 「さて、次は・・・・っと」 そう言いながらお兄さんはまりさの帽子を取ってそれを自分の手にはめる。 「・・・ゆっ・・?・・・・か、返して・ね・・・ばりざの・・・お帽子がえじで・・ね・・・・・」 帽子を取られたのがそれ程不快なのか、瀕死の(と言っても体が痛いだけで餡子に傷ついてないので死ぬことはないが)状態でも反応を示す。 「あぁすぐに返してやるよ・・・」 お兄さんはまりさの頭頂部に帽子のてっぺんを当てると、少しずつ、少しずつ帽子をまりさの頭の中に押し込み始めた。 先ほどから地面に叩き付けていたおかげで全体的に柔らかくなっていたまりさの頭は比較的簡単にお兄さんの手を受け入れはじめた。 皮を破らないように、ゆっくりと慎重に・・・。 「ゆ”っ・・ゆっ・・ゆ”ゆ”ゆ”・・・ゆ”っ・・・・・や、やべっ・・・で・・」 ある程度、手首が埋まるまで帽子を頭につっこんでみた。 やはり餡子が減ることが無いので死ぬことはあり得ないが、頭の中に手を入れられるのは相当苦痛なのだろう ゆっくりと呻き声を上げ続けている。 そしてもう一方の箱のまりさは目の前で行われている残虐劇(ゆっくり達にとってはだが)を目の当たりにし箱の隅で恐怖に震えていた。 「ゆ”っゆ”っゆ”っ・・・」 手首まで入った腕を今度は手首を返して顔面の方に少しずつ掘り進める。 体の中に手首分以上の体積が入ったのでまりさの体はどこか膨らんで来たかのようになっていたが、内側から顔面に向けて異物が侵入していたため 顔の形が変わり始めてきた。 「ゆべべ・・・もうやべでぇ・・・・・・」 まりさが声を上げるたびに内部でお兄さんの手はこそばゆいような振動を感じていた。 「おいおい、くすぐったいぞww。お前こんな所で声出してたのか・・・」 どうやら口の中というか・・・むしろ内部の餡子自体が振動して音を作っているらしい。 だからこいつらが森の中で話しているだけですぐに場所が分かるのか・・・ ある意味、餡子スピーカーというやつだ。ウーファー付きの。 「よぉそっちのまりさ、見えるか?なんかこいつ腹話術人形みたいだな!」 そう言ってお兄さんは頭の中で手をグーパー閉じたり開いたりする。 するとまりさは・・・・ 「ゆあ”っ!ゆあ”っ!」 と、動作に合わせて声を上げる。 「まるで出来の悪いカエルの玩具みたいだな!!はははははははっ」 「ゆぅぅ~・・・もうやべであげでねぇ・・酷いことじないでね・・・」 「大丈夫大丈夫!どうせお前らなんて餡子がでなきゃ死なないんだろう?だから俺がお前らみたいな屑饅頭を有効活用してやるんだ。ありがたくそこでお前の番を待ってろ」 「ど、どぼぢでごんなごどずるのぉぉーーー!?」 もう自分の理解の範疇を超えた恐怖に完全にすくみ上がっているまりさ達だ。 そこでお兄さんはどうしてこんな酷い(ゆっくり主観では)事をするのか、ゆっくり、やさしく説明してやることにした。 「お前達が藁を食べようとしたときにれいむとちぇんは止めようとしなかったか?」 そう言って既に穴の広さがかなり広くなって完全に顔の形が変わってしまっているまりさを自分の顔の前に持ち上げた。 「ゆ”っ、ゆひっ・・・ぢぇんがまりざの・・・邪魔をしたんだよ・・・。だがらまりざがばがなぢぇんをやっづげだんだよ・・」 「そうだよ!れいむがまりさの食事を邪魔してきたんだよ!ぷんぷんっ」 藁を食べること自体が悪いことだと忘れてしまっているまりさは、食事の邪魔をしたれいむ達が悪い。 自分たちは無罪だから責めるなられいむ達を責めろと言わんばかりの態度で言い返してきた。 「そうかそうか、つまり悪いのはお前達の食事の邪魔をしたれいむとちぇんなんだな?」 「ぞうだよっ!ばでぃざは悪ぐないよ!!」 「・・・・お前達が食べた藁はな、これから美味しいご飯に変わるはずだったんだぞ?わかるか? お前達が食べて無くなってしまった美味しくない藁はな、俺が靴にしてとってもゆっくりできるご馳走になるはずだったんだぞ」 「ゆ”えっ?」 「ゆゆゆっ!?それじゃあまりさ達が食べたのは・・・」 「そう、美味しいご飯になるはずだった美味しくない藁だ。しかもお前達はそれを食べたいがためにお前達の仲間だったれいむとちぇんに 酷いことをして、あまつさえれいむを殺したんだ」 あまりの腹立たしさに思わずまりさの頭の中で餡子ごと手を思い切り握りしめる。 ビクンッ「ゆ”っっ!!ゆげぇぇ・・・」 「ご、ごめんなざいぃぃぃーーー。もうじないがらゆっぐりゆるじでぇええぇぇーー!」 「いーやだめだ。お前達は藁の代わりに美味しいご飯と交換する事になりました。で、今年の冬はちぇんと一緒に美味しいご飯を食べて過ごす事にした」 「ゆびぇぇぇーーーー!!!だじゅげでねっーーー!でいぶおねえじゃーーんっっ!!ぢぇんおねえじゃああーーーん!!」 自分が殺してしまったれいむやちぇんに助けを求める。流石餡子なだけあって記憶力が全くないな。 頭に穴の空いた方のまりさの整形はおおむね完了したのであとは外面の形を整えるだけだ。 まりさをもう一度机の上にのせ、鼻のあたりから底に向けて丁度中で手首の返しのあたりから底面に向けて一本。 同じく鼻のあたりから後頭部の方に向けてもう一本、藁で作ったロープで縛り上げて丁度「靴」の型に形成した。 「ゆ、ゆ”ぐっ・・・ぐるじい・・・・っ」 これで片方は完成・・・と。 お兄さんは靴状になったまりさ、靴まりさを透明な箱に移して次のまりさに取りかかる。 次は自分だ・・・そう言われていたまりさは恐怖で逃げようとするが当然狭い箱の中で逃げられるはずも無くすぐに捕まる 「やべでぐだざいぃぃーーー!まじざ靴になんでなりだぐないよぉぉーーー!!」 「だーめだめ。お前は靴決定。精々苦しんで反省してねっ!!」 ズバンッッ!! そして焼き増しの悲劇が始まった。 翌朝。 「ゆぁぁ~・・・お兄さん朝なんだよ!ちぇん元気になったんだよーわかるよー」 「んん・・・おぅちぇん大丈夫か?」 「ゆっくり元気になんたんだねーわかるよー!」 「そうかそうか、良かったな。それじゃあ朝ご飯にするか」 「朝ご飯なんだねー!わかるよー」 「わかるわかるって・・・何がわかってんだか・・・」 居間に移動してきたちぇんは不思議なモノを二つ発見した。 「ゆゆっ?お兄さんあれなーに?わからないよー?」 「ん?アレか?・・・アレはまりさだったモノだ。今は靴だがな」 「まりさは帽子をかぶってるよー。わからないよー?」 そう、今には帽子を頭の中にねじ込まれ靴状に形が変わった靴まりさが2足おいてあった。 帽子で個体識別するゆっくりは帽子が見えないと個体が分からないらしい。 「う~ん、それじゃあちょっと見せてやるか・・・」 言ってお兄さんは靴の足の入れ口をちぇんに見せてやる。 すると、確かに黒い帽子のようなモノが見えているがすでに帽子が帽子の役割を果たしていないがなんとちぇんには分かったらしい。 「ゆゆゆっっ!?ま、まりざーーー?!どうじだのー?わがらないよぉーー」 「ゆ”っ・・・ちぇんお姉ぢぁん・・だずげでぇ・・・」 「ゆっぐりばでぃざが悪がっだでず、だずげでぐだざいぃぃーー・・・」 昨夜体を手ひどく痛めつけられ、あまつさえ頭の中に手を突っ込まれ息も絶え絶えだった二匹がちぇんの声に反応して目が覚めたようだ。 「おにいざん!まりざが変になっちゃったよー!わがらないよぉーー?!」 「あぁ、まりさ達には藁を駄目にされたからな。代わりに売る物がないとお兄さんとちぇんは冬を越せなくなるんだ。 だからまりさ達には靴になって貰って今年の冬のご飯と取り替えて貰うことにしたんだ。ゆっくり理解できたか?」 「わ、わかるけど・・・まりさが可愛そうだよー・・・」 「まぁ仕方ないだろ?あいつらが藁さえ食べなければみんなで楽しく冬を越せたのに勝手に藁を食べたんだから」 「わかったよー・・・まりさ達は可愛そうだけど悪い子はおしおきされるんだねー」 「ぞんなごど言わないでだずげでぐだざいぃーー」 「ゆっぐり許じでねぇーー?!」 「はいはい、まぁ仲間として来たから最後にちぇんと話す機会だけ作ってやったけど見苦しい奴らだな。まぁこれで声を出すのは最後だから悪あがきでもしてたらいいぞ」 そう言ってお兄さんは自分たちの朝食とある物を取りに台所に行って来た。 「よし、ちぇんは先にこれを食べてていいぞ」 まずはちぇんに餌として野菜の皮をやる。 そしてまりさの口には・・・ 「じゃあ次はお前達の口にはこれだ」 そう言って焼けた鉄棒の棒を無理矢理口につっこむ。 じゅぁあああーーー!!! 「ゆぎゃあああーーーーー!!!だ、だずげっ・・・・・っっ」 熱された鉄棒は容赦なくまりさの口を焼き、次は底面をジグザグに焼き付ける。 よほど痛いのだろう。目から涙を流しながらびくんびくんと震えている。 ちなみにジグザグに焼きを入れるのは滑り止めのために返しになるような痕をつけるためだ。 一匹目のまりさの焼き入れが終わり、次のまりさに取りかかる。 「や、やべでねっ!までぃざに酷いごどじないでねっっ!?」 「はいだーめっ」 じゅぅぅーー! 「っゆ”ぅーーー!!!いじゃいよぉーーー!!!」 「ん?火力が弱くなってきてるのかな?仕方ない念入りにやるか・・・」 仕方なくお兄さんは長時間をかけてゆっくりまりさの口と底を焼き入れしていった。 その目の前でちぇんは久しぶりの豪華な食事に夢中だった 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせぇー!」 自分が半殺しにした相手にすら助けを乞うまりさ 「だずげでぇーーー!ぢぇんおねえじゃーん!!」 「わかるよー まりさは助けて欲しいんだねー。でもまりさは悪い子だからそこでゆっくり反省するんだよー」 「どぼぢでぞんなごどいうのぉぉぉーーーー!?」 「そりゃお前が人の商売道具勝手に食い荒らすからだろうが」 そう言って容赦なく熱の下がってきた焼きごてを口につっこみ二度としゃべれなくする。 「ゆぐぐぅぅーーー!!」 二匹とも呻き声しか上げなくなり、まぁ形も靴状になったのでとりあえず試し履きしてみることに。 左足・・・右足・・・・ 「「・・ゅっ・・・!!」」 うむ、懸念してたうるさい声もしないし何より履き心地がたまらない。 幻想郷ではお金持ち以外は足袋など穿かないのでそのまま藁の草履を穿くのだが、それに比べてまりさの帽子の肌触りや餡子の柔らかさと言ったら・・・ まさに上出来。そして何よりゆっくり自体は人間とそれ程体温が変わらないので非常に温かいのだ。 若干重さはあるが、藁靴にかんじきを合わせて穿いているのよりも少し重たいくらいで冬用の履き物としてはそれ程気にもならない。 試しに外に出てみる。 「ゅ」「ゅぅ」「ゅ」「ゅっ」 左右左右と一歩進むごとになにやら呻き声を上げ、なんだか涙も流しているが履き心地は最高である。 普通冬と言えば足先や手先が冷たいのであまり外へ出ることが出来ないんだが、これさえあれば冬場でも狩りに出かけることができて猟師達には売れるだろう。 しばらく試し履きをして家に戻ったが、きっちり焼いていったのでふやけることもなかった。 「おーいちぇん。ちょっとこれから外にこいつら売りに行くが付いてくるか?」 「わかったよー、一緒にいってまりさ達にお別れするよー」 こうして作った靴まりさは里でも有名な名家の稗田家のお嬢さんが通常の藁靴の10倍ほどの値段で買い取って行った。 最初はそんなに高値で売るつもりは無かったが、お嬢さんが・・・ 「これは素晴らしい物です。是非妥当な価格で買い取らせてください!」 と何故か頬を紅潮させながら言ってきたので、まぁ知識人がそう言うならそうなんだろうとその値段で売った。 しばらくて、稗田家と言う名家のお嬢さんが使っていると言うので里の豪商や名家の連中がお兄さんの元に新しく靴を作ってくれるように 買い求めに来たのでお兄さんはちぇんと協力して冬眠中のゆっくりを狩りに行き、沢山の靴を売りさばいたお兄さんは今年一冬で沢山儲ける事が出来ました。 また、一部の要望で声を潰さずに悲鳴を上げる靴ゆっくりも開発するようになりましたとさ。 「ゆべぇっ」「ゆぐっ!」「だずげっ」「たすげで」「ゆぎぃ」「ゆ”っ」 こうしてこの冬は里の中でゆっくりの悲鳴と呻き声がこだましていました。 作者:ユギャックマン
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※前半は虐待成分無し 長いです 自分は何から逃げているのか。 男の頭はさっきからその問いかけを繰り返している。 「はっ・・・!はぁっ・・・・・!!」 夜の帳の降りきった森の小道に、男の走る足音と荒い息づかいだけが聞こえる。 逃げ始めてからどのくらいになるだろうか。 男は村の中でも比較的若い樵(きこり)であり、この日も遅くまで斧を手に汗を流していた。 ここは幻想郷。妖怪が跋扈し始めるこの時間まで森にいたのは、何も男が迂闊であるからではない。 ここ一帯は村とはさほど離れているわけでもなく、妖怪が出た試しもない比較的安全な場所であるからだ。 しかし、そんなことは男にとって何の気休めにもならない。 自分を襲った「何か」に噛まれた右肩が熱い。 きっと明るみに出れば、ぞっとするような傷跡が広がっていることだろう。 「は・・・・・!!」 村の灯りが見えてくる。 男は最後とばかりにあらん限りの力を足に込める。 一気に畑を突っ切り、村の広場まで出ると、男の妻がいた。 「おかえり・・・・えっ!!」 村の広場についた男は、妻の驚く声にへたり込んだ。 (・・・・・あれは・・・・?) 妻に包帯を巻かれ、父親からの質問を受けながら、男は今一度、考える。 自分を襲ったあれは? 猪ではない。 熊でもない。 ましてや・・・妖怪でもない。 (あれは・・・確かに・・・) しかし、あり得ない。 あり得ないことだった。 「何にやられたんじゃ!?獣か、それとも」 「お父さん、今はこの人も混乱してるでしょうから・・・」 (確かに) 「うーん・・・・。」 起き抜けに、上白沢慧音は白い腕を大きく伸ばす。 青く澄み、天高く何とやらそのものの秋空が広がっている。 「・・・寝すぎたか。まあ、約束には間に合うだろう。」 時刻は昼。普段里の誰よりも早く起きる彼女にしては遅い時間だ。 無理もない。 つい最近までのうだるような暑さで、夜は寝付けず朝は汗の感触で目が覚めるということを繰り返してきたのだから。 朝寝は一年で一番過ごし易い季節の、ある意味最も簡単な満喫法と言える。 「いい季節になったものだ。」 起き上がり布団を畳むと、顔を洗うために立ち上がった。 「「先生、おはようございます」」 「うむ、おはよう。」 家を出た直後に寺子屋の教え子達とすれ違った。 「今日はどこ行くの?」 「ああ、隣の村へ行ってくるよ。」 「ふーん、いってらっしゃい!」 ちなみに、収穫期であるため寺子屋はしばらくお休みだ。農家にとって子どもも重要な労働力である。 慧音のところへ、隣村の村長が訪ねてきたのは昨夜だった。 「息子が襲われただと?」 「ええ・・。」 「私のところへ訪ねてきたということは、妖怪か。待っていろ、すぐに妹紅にも言って」 「いえ、襲ったのは妖怪ではないみたいなんです。それだけは本人がはっきりと。」 「では?」 「ええ、それが、本人も要領を得ないようでして・・・。とにかく、明日本人からの話を聞いていただけませんか?」 「大方熊か何かの仕業だろうが・・・・。」 歩みながら呟く。妖怪ではないにしろ、熊であるだけでも十分な脅威だ。 「しかし、確かめてみらんことにはな。」 村に着くと、子どもの声での挨拶が出迎えた。 「「お姉さん、こんにちは!!!」」 「こんにち・・・は?」 子ども達ではなかった。 ゆっくりれいむとまりさの二匹である。 「お前達・・・」 「ゆ!お姉さんこの村は初めて?ゆっくり案内するよ!」 「あ、ああ。」 別段初めてではないのだが、面食らってそう答えてしまう。 「行き先はどこなの?」 「そ、村長殿の家だ。」 「わかったよ!しゅっぱーつ!!」 ぴょんぴょんと慧音の前を跳ねて行く二匹。 (頭についているバッジ・・・) 「お前達、ゆっくりブリーダーのところのか?」 「そうだよ!れいむとまりさはこの村の道案内を任せられたんだよ!」 「楽しいか?」 「うん、楽しいよ!」 「まりさ達色んな人とお話しできるんだよ!!」 「そうか。」 慧音は驚いていた。 利己的かつ生意気な行動で駆除の対象となるゆっくりが、人間の手によってここまで 意思疎通が出来、しかも仕事を任せられるような存在になるとは。 二匹の後を追いかける慧音は、やがて畑にさしかかった。 並ぶ畑の中で一際目立つのは、向日葵を中心とした色鮮やかな花が躍る、畑としては小規模のものだ。 背の高い花のただ中で、慧音の腰くらいの身長の、チェック柄の服を着た女の子が立っている。 麦わら帽子姿でじょうろをかざすその姿は、花畑の中にあってひたすら牧歌的だ。 「奇麗だな。」 「ゆー!のうかりーん!」 「へ?」 帽子がくるっと向こうを向くと、慧音は再び目を剥いた。 そこにあったのは、緑髪のゆっくりの顔だった。 「この子もゆっくりなのか・・・?」 のうかりん。 四季のフラワーマスター・風見幽香に似た姿をもつゆっくりゆうか。 元々知能も身体能力もゆっくりの中では高く、更に固有の特徴として花を育てる。 極めて希少性の高い体つきとなると更にその傾向が強くなり、花の他にも人間が食べるような農作物も手がけるようになり、 見た目も麦わら帽子と農家風(?)となるため、のうかりんという呼称で呼ばれている。 「全部一人でやっているのか?」 「・・・ちぇん、手伝ってくれる。」 ややぶっきらぼうに慧音の質問に答えたのうかりんの背後から、ゆっくりちぇんが飛び出してくる。 「お姉さん!お客さんだねー、わかるよー。」 「慧音様、いらしてたんですね。」 背後からの声に振り向くと、一人の青年が立っていた。 「あ!おにーさん!!」 青年に駆け寄って行くれいむ達二匹。 「すると・・・お前がブリーダーなのか?」 「おかげさまで・・・先生。」 ゆっくりブリーダーの青年は、寺子屋の生徒だった。 「まさかあのお前がブリーダーとはな、驚いたぞ。」 「そうですか?あの頃から動物とか好きだったんですよ。」 「いや、お前が根気のいる作業が出来るとは思わなんだ。お前達の代で一番私の頭突きを食らったお前が。」 「はは、彼はいい加減頭が割れるんじゃないかともっぱらの噂でしたよね。」 「馬鹿者。」 談笑しながら村長の家へ向かう二人。足下にはおなじみの二匹。 「それはそうと。」 「何ですか?」 と、いきなり青年の手をとり、がしっと自分の手を重ねる。 「え」 「私は今、猛烈に感動している!!」 慧音の目には炎が宿っていた。 (始まっちゃった・・・) 青年は内心呟く。 「ゆっくりと人間との共存の可能性を見せてもらった!いち教育者として、お前に敬意を表する!!」 「せ、先生・・。」 「そもそも教育とは知性ある万物に施されるべきものであり・・・」 こうなったらもう止まらない。青年は引きつり笑いで言葉の奔流を受ける覚悟をした。 「ゆ?お姉さん、村長さんの家に行かなくていいの?」 「それはつまり・・・あ、いかんいかん、そうだったな。」 (・・・・ナイスまりさ!!) 「ところで慧音様、村長の家には何の御用で?」 「ああ、それがだな。」 ふと表情を引き締める慧音。 「お父上から話は聞いた。その傷、森でやられたのか?」 「はい・・・・。」 村長の家に着いた慧音は、早速村長の息子ー男と対面していた。 庭では青年とれいむ、まりさが遊んでいる。 「妖怪ではないと聞いたが、君を襲ったものは何なのだ?」 「・・・・。」 「暗い中食いつかれたのだ、混乱してはっきりとわからないのも無理はない。 だが妖怪ではないと言うのなら、それなりの目星はついているのだろう?」 「・・・信じてもらえないかもしれませんが・・・。」 「ふむ?」 正座した膝に置かれた男の手が、ぎゅっと握りしめられる。 「あれは、ゆっくりでした・・・!!」 昨晩、男は目当ての木を切り、いくつかの丸太に分けたところで仕事を切り上げようとした。 「ゆっくりしていってね」 ふと、背後から聞こえるおなじみの声。 振り向くと、そこにゆっくりの姿は無く、代わりに持って帰る丸太の一本が無くなっていた。 目の前の茂みではがさごそという音が。 大方いたずらで丸太を隠そうとでもしたのだろうが、あまりにもお粗末なやり方。 今日の成果を隠した不届きものを踏みつぶそうと男は茂みに踏み入る。 そこで見てしまった。 丸太を齧り、ぼりぼりと咀嚼する二匹のゆっくりを。 ゆっくりが丸太を齧れるだろうか? いや、そもそも丸太を運べるだろうか? そう思い至るのと、二匹が振り向くのが同時。 「おじさん・・・ゆっくり・・・・シテイッテネェェェエ!!!」 自分に向かって跳躍する、白黒帽子。 その口には、ぞろりと牙が並んでいた。 「・・・にわかには信じ難いが・・・。」 「もしかしたら、自分の頭がおかしくなっているのかもしれません。 しかし、もし本当にゆっくりだとしたら、皆にも危険が及びます。 お願いです慧音様、この件、協力していただけないでしょうか?」 「承知した。正体が何にせよ、人間にそのような傷を負わせる ものを放っておく訳にはいかんからな。」 「!ありがとうございます!!」 「寺子屋はしばらく休みだから、この村に留まって調査をしよう。宿を貸してくれるか?」 「もちろんです。」 皆が寝静まったその夜。 月に照らされた鶏小屋から、ぶちっ、めきめきという音が。 中でうごめくのは二つの影。 月光に浮かび上がるのは、血まみれの鋭い歯並び。 それと、白黒帽子と赤いカチューシャだ。 「うめ・・・・めっちゃ・・・ウメェ」 続き お久しぶりです、ゆっくりゃバーガーの人です。 思ったより長くなってしまい、分けることにしました。 続きは2、3日中に上げられると思います。 このSSに感想を付ける
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警告* 原作キャラがゆっくりを永遠にゆっくりできなくします。 紅くて冥い悪魔の館。門番の妖怪ももちろん紅くて悪魔的。コッペパン一個の低燃費なんて都市伝説。黒白の鼠も姿は見えず、本日の業務は無事に終了するお時間。 「お疲れさま。今日の差し入れは期待していいわよ」 こんな平和な時間には、大抵どこからともなく悪魔的完璧メイド長がバスケットを提げて現れる。ばさりと布を広げれば、門の前も瀟洒なティールームに早変わり。 「地震の異変の時に、桃をたくさんもらってきたから、タルトにしてみたわ」 「まあ! それは楽しみですね」 「あとサンドイッチもあるから」 「ちょうどおなかが空いていたんですよ」 ポットとカップを並べ、甘い香りを漂わせる布を捲ると、バスケットにはトマトと蒸し鶏をくわえた、紅白の縁起のよさそうな丸っこい下膨れのナマモノがおさまっていた。生意気にもからしマヨネーズのレタスだけ器用に残して、パンも具もぐっちゃぐちゃに食い散らかされていた。敷いておいた布も運命的にずれて、ソースは飛び散りレタスはべっちょり、バスケットはシミだらけ。 「うっめ! これめっちゃうっめっ!」 「咲夜さん」 「そうね、やっぱりタルトでお茶にしましょう」 さすがは瀟洒なパーフェクトメイド。微塵も動じず、もう一つのバスケットの布を取る。 「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」 「ゆっくりおいしかったね!」 もう一つのバスケットにも、先ほどのものより二回りほど小さい丸っこい連中がごろんごろん詰まっていた。そこにタルトが入っていたことを示すのは、桃の匂いと飛び散ったシロップ、散らかった生地の残骸だけ。 「ずいぶん革命的なピーチタルトですね」 「おいしかったよ! おかわりもたべてあげるよ!」 丹誠込めたお菓子が、ゆっくりごときの餌になったのはもったいない。だが、衝動で饅頭潰しに走るような人材が、悪魔の館にいようはずもない。顔を見合わせる人間と妖怪は、その美貌に悪魔的な笑みを浮かべた。西瓜より大きいゆっくり一匹に、ソフトボールほどの小ゆっくりが四匹。全部で五匹、全員紅白。美鈴は口々にもっとよこせとわめきちらす子れいむをバスケットに戻し、咲夜は大きいれいむを両手で持ち上げた。柔らかい饅頭の頬に、しなやかな手指が食い込んでもにゅっと歪む。サンドイッチを散々に食い荒らした大れいむは満足げに身震いし、パンくずとトマト汁をあたりに飛び散らせる。咲夜の頬と美鈴の腕にもトマト汁が飛んだが、それは時間が止まっている間に奇麗になっていた。 「ねえ、サンドイッチ美味しかった?」 「おいしかったよ! もっとたべられるから、れいむたちにおかわりもってきてね!」 瀟洒に微笑むメイド長に、大れいむは頷くようにもにもに蠢く。 「美味しいのは当然ね。私のだもの」 「れいむがみつけたんだから、れいむのおかしだよ!」 「そう言うと思ったわ」 何の根拠もないゆっく理論に従って、えっへん、と威張るように斜め上を向く紅白まんじゅう。ここまでの対話はお互いに全くの予定調和。互いに主張は譲るつもりはなかったが、少なくとも悪魔的な人妖二人は、瀟洒なティータイムもお茶菓子も、いづれも諦めるつもりもなかった。 「これ、みんなあなたの子供?」 微笑む咲夜のとなりに座っている美鈴が、タルトの入っていたバスケットを宙ぶらりんの紅白に見せつけた。四匹の子ゆっくりは下膨れの皮も髪の毛もシロップでべとべと、生地のかけらで粉だらけ。紅茶といっしょに二人のおなかにおさまるはずだった桃のタルトを食い荒らして満腹の子れいむたちは、バスケットを揺すられてゆぅゆぅと喜んでいる。 「あ! おかーさんだ!」 「おいちかったね!」 「おかーさん、あまいのもっとちょうだい!」 「うん! れいむのあかちゃん! みんなかわいくてごめんね!」 「四匹ですね。咲夜さん、四は縁起のいい数字なんですよ」 「そうね、色々な意味で」 「ええ、色々な意味で」 悪魔的に笑みを交わすと、美鈴はまずその一匹を取り上げた。掌のうえで、ぷぅぷぅと頬を膨らませてゆっくりしている。 「あなたたちがサンドイッチとタルト全部食べちゃったから、私たちこのままじゃゆっくりできないの」 「ゆっくりできないひとにはようはないよ! れいむたちをゆっくりはなしてね!」 両側から挟むようにしっかり掌を押しあて、持ち重りのする母れいむを顔の高さまで持ち上げる咲夜。その表情は、普段通りのパーフェクトメイド。美鈴も掌サイズの子れいむをもにもに弄ぶのにも飽きてバスケットに戻し、飛び出さないよう傾けて、四匹まとめて転がして遊んでいる。ゆっゆっと嬉しそうに転がる子ゆっくり。その様子を慈母のような顔して眺める美鈴。ただ、挟まれて持ち上げられたままの母れいむだけが、ぷーと頬を膨らませて不満そう。 「あなたに用が無くても、私たちにはあるの。ねえ、簡単なゲームをしましょう。あなたがうまくすれば、おいしいものでおなかいっぱいにしてあげる」 「ゆ! ゆっくりするよ! れいむはどうすればいいの?」 食べ物で釣ればゆっくりは入れ食いである。目の色を変えた母れいむは、中空でぶるんぶるんと震えて咲夜を急かす。声を張り上げるたびに、口の端についていたパンくずが飛び散るが、横合いから美鈴が目にも留まらぬ早業で叩き落とす。 咲夜さんが瀟洒にこぼしたパンくずなら、華麗に唇で奇麗にしてあげられるのに。美鈴は密やかに唇を舌で湿らせる。 「慌てないの。あなたはゆっくりしていなさい。問題はあっちのおねえさんが出すから」 「ゆっ! おねえさんはやくしてね!」 いい加減手が疲れてきた咲夜は細いおみ足を見せつけるように横座り、母れいむを膝に乗せる。普段採っている餌とは比べるべくもないごちそうで満腹、優しそうなおねえさんたちに遊んでもらえて、しかもこの後はおいしいものでおなかいっぱいにしてもらえる。まさにゆっくり状態であった。餡子脳のゆっくりれいむの親子はもはや逃げることさえ考えていないが、瀟洒なティータイムのためには、どうしても全員をゆっくりさせる必要があった。美鈴は静かにバスケットに布をかけると、ゆっくりゆっくりうるさい母れいむを膝に乗せている咲夜の向かいに座り直す。大胆なスリットから覗くおみ足は超彩光。膝が触れ合うほどの距離で、人妖の二人は悪魔的な笑みを交わす。その表情は、膝のうえにドまんじゅうさえのっていなければ、ソフトネチョでイカロで春ですよー、寸前でさえあった。 「ゆっ! くらいよ!」 「おかーさーん、どこー」 バスケットを覆う布の下から、ぶちこわしな声が次々にあがる。布をぽこぽこ持ち上げて、子れいむが跳ねている。ゆっ、と伸び上がってバスケットを覗こうとする母れいむを、咲夜はしっかり抱えなおす。 「問題! このなかでゆっくりしているあなたの赤ちゃん、全部でいくつ?」 「ゆ! かんたんだよ! れいむのかわいいあかちゃんは4つ!」 可愛い子供の数を間違えるはずなど、あるはずもない。こんな簡単なことでおいしいものでおなかいっぱいになるなんて、自分はなんてゆっくりできるゆっくりなのだろう。母れいむは答え合わせの瞬間まで、そう確信していた。 「残念、三匹でした〜」 「ゆ゙?! な゙ん゙でへる゙の゙ぉ゙!」 自信たっぷりの母れいむの回答に、美鈴はさっと布を剥ぎ取った。不正解を告げられた母れいむが目を見開いて必死に覗き込んでも、バスケットの中には、不思議そうな顔をした子れいむが三匹、ゆっくりしているだけ。 「あなたたちっ、おねーちゃんはどうしたのっ」 「ゆ〜? くらくてわからなかったよ〜?」 「これは手品っていうのよ。もう一回やってみる? 次はおいしいものでおなかいっぱいにできるかしら」 咲夜はバスケットに飛びつこうとする母れいむを抱え込み、ゆっくりと頬を撫でる。美鈴は抱えられている母れいむによく見えるよう、バスケットを傾けるが、中で頬のシロップを舐めあったり、髪の毛についたタルト生地をついばんだりしているのはどうしても三匹。母れいむは頬を膨らませて上下にぷーぷー揺れている。可愛い赤ちゃんはなぜか一匹減っているが、さっきのサンドイッチよりも美味しいものがおなかいっぱい、の誘惑にゆっくりブレインが抗えるはずもなかった。 「ぜったいこたえるよ! こんどはゆっくりにしてね!」 「ええ、ゆっくり答えていってね」 再びバスケットに布をかけると、美鈴は母れいむの眼前に指をつきつけて尋ねた。 「次の問題はとってもゆっくりですよ。このなかでゆっくりしているあなたの赤ちゃん、全部でいくつ?」 「ゆっ! 3つだよ!」 母れいむは自信たっぷりに縦に震えると、先ほど数えた可愛い我が子の数を答える。 「どうかなぁ? じゃーん! 二匹でしたー」 美鈴が勿体つけて手をわきわきさせながら布をめくると、その中では何が起きているのか わからない顔をした子れいむが二匹ゆっくりしていた。 「ゆ゙ぎゅう゛?!」 思わず大口開けて目を見開き、餡子を飛ばして声をあげる母れいむ。 「あんまりゆっくりしているから、どこかに行ってしまったんじゃないかしら?」 「ゆ、ゆ、おねーちゃんがいないよ?」 「おかーさん、おねーちゃんどこー?」 きょときょと周りを見回す二匹の子れいむ。バスケットの中には、タルトの食べカスのほかは、影も形もリボンもない。 「ねえ。」震える母れいむの少し膨れた頬をしなやかな指先でなぞりながら、悪魔の館のメイド長が悪魔のように囁いた。「赤ちゃんはまた増やせばいいと思わない? タルトとサンドイッチ、美味しかったでしょう」 「もっと、おいしいもので、ゆっくり……」 母れいむの餡子脳に甘やかな悪魔の囁きが這いずり込んでいく。膝のうえの重たいゆっくりが繰り返すのを待って、咲夜は続ける。 「もうゲームを諦めるなら、赤ちゃん探しに行ってもいいのよ。それとも、おいしいものでおなかいっぱいになるゲームを続けたい?」 先ほど平らげたごちそう、そしてこれからおなかいっぱいにしてもらえるはずのごちそう。母れいむの心配は、手品、ごちそう、おなかいっぱい、という3つの単語で簡単に揺らぐ。 あかちゃんがどこかに行ってしまったのは、おねえさんのてじなだね! もっとおいしいものでおなかいっぱいになったら、あかちゃんのぶんももらってみんなでゆっくりしよう。ゆっくりブレインはあっさりと、手品で消えた子供よりも、悪魔のゲームを選んだ。 「ゆっくりつづけるよ!」 「あなたたちのおかあさん、消えたおねえさん探すより、ごちそう一人占めしたいって。ひどいお母さんねー」 バスケットの中の子れいむをのぞき込み、鈴を転がすような声で、母れいむの決断を悪意を含ませめて伝える美鈴。その言葉に、子れいむたちは頬をふくらませてぽいんぽいん跳ねて口々に不満の声をあげる。 「ゆっ! おかーさんひどいよ! ゆっくりしてないでおねーちゃんさがしてね!」 「そんなおかーさんはおかーさんじゃないよ! ゆっくりやめてね!」 「うるさいよ! おかーさんはみんなのごちそうのためにがんばってるよ! おねーさん、こんどはごちそうだよ! ゆっくりにしてね!」 美鈴がバスケットの中で暴れる子ゆっくりが見えなくなるように布をかぶせるのを見、母れいむは咲夜の膝のうえで急かす。 「問題! 今二匹いた赤ちゃんは、何匹になっているでしょう」 膝にバスケットを乗せ、腕を組んで笑顔の美鈴。しなやかな腕がたっぷりした質感の膨らみを持ち上げ、たわませている。その手が動いていないことだけを確かめ、母れいむは正解を確信して口の端を釣り上げ、自信たっぷりに声を張り上げる。 「ゆっ、ゆっ、2つだよ! あかいおねーさんゆっくりしてたもん!」 「はずれたから、可愛い赤ちゃんはとうとう一匹になっちゃいました〜」 満面の笑みを浮かべて布を剥ぎ取る美鈴。バスケットの中では、とうとう一匹になった 子れいむが、ゆんゆん泣きながら姉妹を探しているばかり。 「ゆ゙っぐり゙?!」 目を剥いて跳ねようとする母れいむを、咲夜はがっちり抑え付ける。涙を浮かべ、口の端から餡子を溢れさせる母れいむに、美鈴は子れいむを取り出すと、空のバスケットをひっくり返して底を叩いてみせた。タルトだった食べカスがぱらぱらこぼれるが、後は何もおちてこない。欠片を払い、掌のうえの子れいむを軽く揉んで弄びながら、美鈴は花のほころびるような笑みを浮かべる。咲夜を見上げるが、とても優しい笑顔を見せるばかり。子れいむの金切り声が聞こえる。母れいむはもう、何がなんだかわからなくなっていた。 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙ん゙! お゙ね゙ーぢゃ゙ん゙がみ゙ん゙な゙い゙な゙い゙よ゙ゔ! お゙がーざん゙の゙ばがあ゙あ゙あ゙!」 あたまいたい。おねえさんたちはかんたんなげーむでおなかいっぱいになるっていったのに、にこにこしてるだけで、いじわるなてじなでれいむにちっともごちそうをくれない。あたまはぐらぐらするし、むずかしいてじなであかちゃんがいなくなっちゃった。 「最後の問題は、とっても簡単。3匹の赤ちゃんは、どこへどうやって行ったでしょう」 美鈴の白い手が翻り、泣きわめく子れいむを手首のスナップだけで垂直に跳ね上げ、手の甲と手の平を交互に返しては受け、お手玉のように遊んでいる。 「ゆ゙っぐり゙、ゆ゙っぐり゙じでね゙!」 半泣きの母れいむに、優しい声をかける咲夜。その笑顔は人間でありながら、悪魔で瀟洒。 「ええ、もちろんよ。特別ゆっくりにしてあげるから……ゆ っ く り 理 解 し て ね 「ゆ゙ 音が消え、母れいむは見た。紅い髪のおねえさんが、子供を掴んだ手を、大きく開いたままのの口に押し込んでくるのを。見えているのに、ゆっくりボディは動かない。自分に何が起きているのかもわからず、目を見開いたままの可愛い子れいむがゆっくり近づいてくる。しかし、母れいむは目を閉じることも、口を閉じることもできない。これから起きることをゆっくり理解した母れいむだが、視線を反らすことも、悲鳴をあげることもできなかった。母れいむに許された事は、ただ子ゆっくりを握った美鈴の拳が近づいてくるのを見つめ続けることだけだった。だが、絶望の瞬間はすぐには訪れなかった。 子れいむは、確かに近づいてきては、いる。だがそれはあまりにゆっくりしており、美鈴の手が大口あけた母れいむに触れるまで、母れいむの認識では三日はかかっていた。そして、翌日になって、口の奥の餡子に拳が沈みはじめた。体内に異物がゆっくりと潜り込んでいく。身体を形成する餡子をゆっくりと引き裂かれる激痛が、ゆっくりゆっくり一週間かけて母れいむを苛む。拳が餡子を十日にわたってまさぐり、二週間かけて押し広げた。 母れいむは手品で子供たちがどこへ消えたかを、文字通り身を引き裂く激痛をもってゆっくり理解した。簡単なゲームなんて、やるべきではなかったのだ。やめる機会もあったのに、あんな人間の言うとおりにするべきではなかったのに。餡子のなかに子供を残し、美鈴の手はたっぷり一週間かけて餡子を混ぜて穴を塞ぎ、五日で引き抜かれた。 そして、音が戻った。 「ゆ゙ぐ……ゆ゙っぎゅ……り゙……」 「正解は、あなたがゆっくりになっている間に、餡子のなかに詰め込んだ、でした!ゆっくり納得できました?」 美鈴の正解発表は、白目を剥き、痙攣している母れいむには聞こえていない。 「ゆ゙ぶ」 「おっと」 餡子を吐こうとする口を美鈴の掌が塞ぎ、そのまま指を突き立てて縫い止める。咲夜さんの膝の間に手を突っ込んで腿の感触を満喫しながら、四匹ぶん重くなった母れいむを片手で軽々と持ち上げる。妖怪だけに、腕力勝負は人間のメイド長とは比べ物にならない。程良くお肉のついたおいしそうな腕に、極めて実用的な、形のいい筋肉が浮き上がる。 重荷が退いて、ぽんぽんとエプロンを払う咲夜に片目を瞑って見せると、静かに気の流れを整え、饅頭に送り込んでいく。気が注がれるにつれ、脱力して下膨れに垂れていた皮がぴんと張ってきた。やがて、時間感覚だけを引き延ばされ、時間の拷問で精神から縊り殺されそうになっていた母れいむの目に僅かに光が戻る。 「ゆ゙っぐり゙や゙べでね゙!」 当然、殊勝な言葉が出てこようはずもない。 「やめてあげたいけど、あなたたちが全部食べちゃったから、私たちお茶の時間にゆっくりできなくなったのよね」 「れ゙い゙む゙だぢがみ゙づげだん゙だも゙ん゙! れ゙い゙む゙だぢの゙ごぢぞう゛だよ゙!」 咲夜の言葉に、美鈴の手の上でたっぷり膨れた母れいむが濁った声を張り上げる。もちろん、ただこんな饅頭に憎まれ口を利かせるためだけに気を使ったわけではない。気による加熱は、炎での加熱と違って食材を痛めず、ふっくらと調理することができる。ゆっくりに機能が戻ったのも、弾幕と料理は彩と美である、を自認する美鈴の洒落っ気だった。 餡子が内部から加熱されていくにつれ、ぷっくり膨れた頬は次第に紅潮し、ゆっくりイヤーまで赤く染まり、力無く睨み付けていた目がめちゃくちゃに動きはじめる。 「だれのごちそうですって?」 「れ゙い゙む゙だぢの゙ごぢぞお゙お゙お゙ぶぶぶぶぶ」 熱を持った餡子が膨張して皮がぱんぱんに張ってきた頃には、紅白饅頭もすっかり紅一色に染まり、耳の穴から湯気をぶすぶす噴きはじめた。噴き出しそうになる灼けた餡子は、料理も鉄人、紅美鈴がしっかり押しとどめて一片も無駄にしない。 「ごべん゙な゙ざびぃ゙! お゙ね゙え゙ざん゙の゙ごぢぞお゙れ゙い゙ぶだぢがだべばじだあ゙!」 「はい、よく言えました」 「れ゙い゙ぶどあ゙がぢゃん゙しん゙じゃう゛う゛! ゆ゙っぐり゙ゆ゙る゙ぢで゙ね゙!」 「ゆ゙ぐゔ! あ゙ちゅ゙い゙よ゙!」 「あ゙ぢゅい゙よ゙! ぜま゙い゙よ゙!」 「でら゙れ゙な゙い゙よ゙! ゆ゙びゃ゙あ゙あ゙ん゙!」 「だじゅげでお゙がーぢゃ゙ーん゙!」 赤く茹だってやかんのようにぐらぐら震え、耳から頭頂部から激しく湯気を噴く母れいむの目が、次第に白く濁っていく。気絶状態で中の餡子に埋め込まれ、ふっくら蒸し上げられていく子れいむたちも遅まきながら意識を取り戻すが、今や母親の胎内は灼熱の棺桶と化していた。口々に助けを求めて金切り声をあげ、狂ったように暴れるが、子ゆっくりには灼けた餡子を掘り進んで逃れる程度の力はない。そして、人妖の二人は調理をやめるつもりはさらさらなかった。次第に途切れていく子れいむの悲鳴とともに、母れいむの視界も白く染まっていく。 「ゆ゙ぼぼぼぼぼ! お゙でえ゙ざん゙! でいぶを゙ゆ゙っぐり゙だぢゅげでね゙!」 膨張した餡子で針でつつけば破裂しそうなほど膨れた母れいむは、美鈴の掌のうえで濁った悲鳴をあげ、ひっきりなしに湯気を噴いている。既に子れいむたちの悲鳴は聞こえなくなっていた。 「泥棒は助からないけど、あなたのおなかいっぱいに詰まってる美味しいものは、私たちが食べるから安心なさい」 「ゆ゙ぶぶぶ! も゙っどゆ゙っぎゅり゙ぢだがっだよ゙ぼお゙!」 おいしく蒸し上げられ、機能を失う寸前の餡子で、この二人には自分たちを助けるつもりはないことをゆっくり理解した母れいむだが、もはや流す涙も蒸発し、かわりに湯気を噴き出すばかり。 「相変わらずの食神ね」 「いやいや」 「ゆ゙ぎゅ゙ゆ゙ぎゅぶぶぶゆ゙ゆ゙びゅ゙ぎゅぶゆ゙ぶゔ!」 やがて、悲鳴が止まった。ぱんぱんに膨れた母れいむは赤く染まり、完全に白目になってぴくりとも動かない。口を押さえていた手を慎重に離すと、湯気が勢いよく噴き上がる。すっかり蒸し上がり、白い蒸気をもくもく噴いているれいむをバスケットに載せると、咲夜がナイフをくるりと回して渡す。美鈴は器用に飾りを剥いで母れいむの頭部に刃を突き立て、くるりと切り開く。蓋のように取り外した頭頂部は、即席の皿にはやがわり。もうもうと湯気を立てる餡子に、鉄沙掌がぞぶりと潜り込む。 「うーん、この辺に入れたはずなんですけど……」 ずぶずぶと餡子をかき回すたびに、白い湯気がもうもうと立ち上る。掘り出した子れいむの周りの餡子を落とすと、母親の餡子越しに食べ頃に蒸されたためか、まだ僅かに息があるのようで、小さく痙攣している。功夫を積んだ妖怪の美鈴は顔色一つ変えずに平らげることができようが、人間が手づかみで食るはあまりに熱い。先ほど使ったナイフを子れいむの底から深々突き立て、咲夜に返す。串刺しにされた子れいむは白目を剥いたまま、僅かにゆ゙ぎゅう゛とか鳴いた気がするが、食べ物の恨みは深いものだ。 蒸したての蒸しまんじゅうを、満面の笑みを浮かべてもふもふ頬張る美鈴。メイド長は飲み頃のまま時間が止まっていた紅茶を白いカップに注ぎ、受け取った串刺しの蒸しまんじゅうを別のナイフで切り分けては、一口ずつ口に運んでいく。 「長寿を祈願して、大きいももまんに小さいももまんをたくさん詰めて蒸すんですよ」 「妖怪がもっと長寿になってどうするのよ」 「そうですねえ、妖怪も長生きしてゆっくりするんじゃないでしょうかね」 「やだやだ、人間もゆっくりしたいものね」 悪魔の館の悪魔的なお茶会は、主が寝ている間にもゆっくりと続いていく。
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初日 「ゆっくりしていってね!!!」 最近、このような鳴き声をよく耳にする。 ゆっくりとか呼ばれるそれは、ここ数ヶ月で幻想郷のあちこちで見るようになった謎のナマモノだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 食用や愛玩用やストレス発散用、果ては性欲処理や衣料品にすら使われている。 種類によって特徴は異なるが、総じて知能は低く傍若無人。 「ゆっくりしていってね!!!」 甲高い声で常に大騒ぎする上田畑を荒らす事もあるので嫌っている人間も多い。 かくいう俺も、そんなゆっくりが大嫌いだ。 だがその理由は上記のものではない。知能が低かろうが大声で騒ごうが、そんな事は瑣末な問題だ。 「ゆっくりしていってね!!!」 俺が一番気に入らないのは奴らが常に他人に『ゆっくりする』事を要求している事だ。 全く気に入らない。生物か無生物かすらよく分からんようなナマモノの分際で人間様に命令するなんて。 そんな訳で野生のゆっくりをこの俺直々にゆっくりさせてやる事にした。何て親切なんだ俺。 「ゆっくりしていっt「ゆっくりしろぉ!!」 先程から散々騒いでいたそいつに、いきなり怒鳴り返してやる。 物凄く驚いたようで、目が白くなっている。歯茎まで見せ付けて気色悪いったらない。 「ゆっk「ゆっくりしろよぉ!!」 このように、人様にゆっくりさせようとする度にゆっくりさせ返す。 この必殺ゆっくり返しを続ければ、いくらクサレ脳味噌の奴らでもゆっくりしろ等とは言えなくなるだろう。 「y「だからゆっくりしろっつってんだろ!!」 ゆっくりブレインでも俺の鞭の愛を理解できたのか、壁の隅で感極まってブルブル震えている。涙まで流して、可愛い所あるじゃないか。 その日はもう喋らなかったので普段通り過ごす。 二日目 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくり達の朝は早い。日の出と共に起き、とりあえず寝ている奴を片っ端から怒鳴って起こす。 何とも不快な習性だ。目覚まし時計よろしく壁に叩き付けて粉砕してやろうかと思った。 だがいけない。今の俺は愛の調教師。自分がやっているのは悪い事なのだと、こいつに教えてやる使命がある。 「ゆっくりs「ゆっくりしろモーニング!!」 朝の挨拶と調教を兼ねた、我ながら素晴らしい文句だ。寝起きの頭脳は時々こういう奇跡を起こすから面白い。 朝食を食べる頃には、何故あんな間抜けな台詞に感動したのか自分でも理解に苦しんだが。 「ゆ゛っ……ぐい゛……じで……っでね!!!」 呆れた事にこいつは食事中(芽が伸びまくってしまったジャガイモ)もこの台詞を吐いていた。 何という傲慢さ。これは思った以上に手強い相手だ。 「ゲフゥッ…ゆっくりしていtっ「ゆっくりしろ!!」 また顔が固まっている。いちいち面白い顔をするのはいいが、本当に理解しているのか疑問だな。まぁ、何とかなるだろう。 今更ながら付け加えると、うちのお隣さんまでは徒歩二十分かかるので安心だ。聞かれたら流石にヤバいし。 その後も四回ほど怒鳴りつけてから仕事にかかる。今育てているのはトメィトゥだけだ。 俺は親が莫大な遺産を残してくれたおかげで、好きな野菜を栽培しまくるという農家的に最大級の贅沢ができている。 去年は畑一面スウィートポテイトゥ祭りだった。 奴ら三日周期で収穫できる上一個120Gで売れるからつい植えすぎて大変な事になるんだよな。ウハウハだけど。 それはともかく紐で目の届く所にゆっくりを縛り付けてお仕事お仕事。可愛いトメィトゥに愛情たっぷりだ。 日が傾く頃には作業も終わった。その間ゆっくりさせた回数実に四十五回。喉がいてえ。 ゆっくりの紐を解き、家に連れて帰る。流石に反省したのか、家に入ってもぼんやり虚空を見つめている。 自分の夕食を済ませてからエサを与え(畑に生えていた雑草ども)風呂に入れる事にする。 エサを食ったら反省が消し飛んだのか、反抗的な目でこちらを睨んでいる。 「どうしたんだゆっくり。風呂に入れてやるからさっさと来い」 「ゆっくりしていっt「ゆっくりしろよ!!」 もう何が何だか。固まってる隙に風呂場に運び、湯をかけて全身をたわしで洗い、湯船に放り込む。 ゆっくりは綺麗好きというのは本当だったようで、先程までの反抗的な目はどこかへ行き、泣きながら俺に感謝していた。 「ゆっく…ゆっぐりじでいっ「ゆっくりしろ!!」 「ゆくくっくりじd「ゆっくりしろ!!」 風呂が気持ちよくてはしゃいでいるのか何度も何度も怒鳴らせられる。まだまだ調教が足りないな。 百数えてから湯船から引っ張り上げ、水を入れて湯を冷ましてから浸かる。 風呂はいいなぁ。人間の生み出した文化の極みだよ全く。ゆっくりが感動のあまりゴロゴロ床を転がって呻くのも良く分かる。 三日目 小鳥の囀りと共に目が覚める。布団の中を見るとゆっくりは起きていた。 起きていても騒がないとは、どうやら調教が効いてきたようでほっとする。 またあの雑音で起こされたら今度こそ壁を汚しそうだったしな。 だが朝の挨拶は大事だ。とりあえずゆっくりさせてから着替えて朝食を摂る。 食後歯を磨きながらゆっくりのエサ(昨日切った爪と壁を這っていた女郎蜘蛛)を与える。 今までのような汚い食い方ではなく、静かにゆっくりと食べていた。調教の成果に満足する。 だがまた忘れてはいけないので、特に何も言わないゆっくりをゆっくりさせておく。 またゆっくりを縛り付けて仕事に入る。昨日と違って随分静かで良い事だ。一時間に一回ゆっくりさせておく。 仕事を終え、ゆっくりを解こうかと思っていると野生のゆっくりが俺のゆっくりの傍にいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「…………」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」 「…………ゆぅ……」 追い払っても良かったが、調教具合を確かめたかったので事の成り行きを見守る事にする。 「ゆっゆ。ゆっくりしていってね!!!」 「…………」 その後も野生のゆっくりは何度もがなり立てていたが、すっかり更正した俺のゆっくりは殆ど反応しなかった。 やがて飽きたのか、野生のゆっくりは俺のゆっくりの顔に一度体当たりしてからどこかへ行った。 俺の所有物に手を出すとは全くもって許せんので、帰る前にそいつを捕らえて鍬で潰しておく。 紐を解いていると何やら言いたそうにこちらを見ていたが、先回りしてゆっくりさせるとまた虚空を見つめていた。 その日のゆっくりのエサは夕方潰したゆっくりだった。 意趣返しをした主の俺に涙を流して感謝しつつゆっくりと食事するゆっくり。そんなに感謝されると照れるぜ。 とりあえずゆっくりさせてからハイパー風呂タイム。 昨日は男らしいちょい熱めの風呂だったので今日は温めに湯を沸かす。 タワシで洗ってからゆっくりを湯船に入れてやり、俺も体を洗ってからゆっくりを上がらせ湯を沸かして入る。 ゆっくりは温めの湯も気に入ったようで、ガチガチブルブル震えて俺に目で感謝していた。中々殊勝なのでゆっくりさせてやった。 風呂から上がって床に就く。そういえば今日はこいつ一度もゆっくりさせようとしなかったな。良い事だ。 四日目 今日も静かなグッモーニン。今日も騒いで起こさなかったゆっくりを誉めてやろうと思い、布団をめくると。 ゆっくりは干からびて死んでいた。 慌ててもしょうがないのでいつものように食事を済ませて仕事をする。 午前中で仕事を切り上げるとゆっくり加工所に連れて行く。あそこは最近ちょっとしたゆっくりの怪我等も見るらしい。 「朝起きたらこんな物が転がっていたんです。一体何なんでしょうかこれは?ゆっくりなのは分かるんですが…」 「これはゆっくりの死骸のようですが…しかしこの様な死に方は初めて見ます。解剖して調べてみても宜しいですか?」 「ええ、勿論です。別にペットとかいう訳でもないですし」 「そうですか。では、大した額ではありませんがどうぞ」 「これは?」 「ほんの気持ちです。変わった死に方をしたゆっくりを標本として提供してくれた方にお支払いしています」 「そうなんですか。どうもありがとうございます。では私はこれで」 「ええ。またおいで下さい」 珍しい死に方とか言っていたが一体何なんだろうな。その内聞きに行くとするか。 家に帰ると、野生のゆっくりが数匹飛び掛ってきた。何だ何だ。俺はゆっくりに恨みを買うような覚えは無いが。 饅頭が飛び掛ってきた所で痛くも何とも無い。とりあえず全て踏み潰しておいた。 また一匹捕まえて調教しようかとも思ったが、これ以上やると喉を痛めそうなのでやめておく。 ゆっくりは肥料にもなるらしい。とりあえずよーく潰してから畑に撒く。 また仕事をして、夕食を食べ風呂に入って寝る。 ゆっくり調教生活も今日で終わりだ。お疲れ様でした俺。 後日聞いた話だが、何でもあのゆっくりの死因は『ゆっくり欠乏症』とか言うらしい。 何らかの原因で長期間ゆっくりできずにいるとああやって死ぬんだとか。 俺がもっとゆっくりさせてやればあいつは長生きできたのだろうか。 そんなどうでもいい事を考えながら、今日もトメィトゥ達に愛を注ぐ。 TOMATO END
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幻想郷の辺境。様々なゆっくり達が住むそこはゆっくり達の楽園と呼ばれていた。 いくつかの群れが集落を築き、その集落同士が更に合併して、クニとなる。 ドスまりさ率いるゆっくり国最大の国、ドマリカ国は奴隷ゆっくりや一般ゆっくりを貴族ゆっくりなるものが支配するゆっくり王政。 数匹のゆっくりぱちゅりーが指導者となり、ゆっくり皆平等の理念の元、少数精鋭によって確固たる地位を築いている生クリーム共同体。 古来より生クリーム共同体と友好関係にあり、教祖けーねの一族によって治められる神聖けーね教国。 そして、日和見主義のえいえんてぃー国。これら4カ国が現在の有力なクニである。 各々のクニには各々の掟があり、時に友好的に、また、時に緊張感を帯びた関係を構築していたのだ。 しかし近年。ドマリカ国のトップに一匹のドスまりさが君臨した事によってクニの間に衝突が増えてしまう。 ――ドマリカのトップに立ったのは、ドスはドスでもドゲスと呼ばれる邪悪な固体だったのだ! 〜〜第六回・よんかこくしゅのうゆっくりかいぎ〜〜 「むきゅー……まりさ。せつめいしてくれる? さいきんあなたのクニのゆっくりたちにごはんをとられるゆっくりがふえているの」 「おいどんのところもそうったい! こどもたちもあんしんしてゆっくりできんけーね!」 ドゲスまりさに詰め寄る二匹のゆっくり。生クリーム共同体のリーダーであるゆぱちゅりーと神聖けーね教国の教祖・けーねである。 二匹は自分のクニのゆっくりが謎のゆっくりによって虐められたり、或いは襲撃されたり、もしくは連れさらわれたりする事に頭を痛めていた。 そして、密偵を放ち賊を探ると、それらはドマリカからやって来ているのを突き止めたのだ。 「ゆっ。そんなことまりさは知らないんだぜ! じぶんのところのゆっくりもかんりできないおまえたちはボスしっかくなんだぜ!!」 にやにやと笑うドゲスに、遂にけーねの怒りが爆発する。 頭から突き出したとんがりホーンをもって、ドゲスへ体当たりを仕掛けた。 けーね種が本気になり、キモけーね種となった時に生えるそれこそ、いかなるゆっくりをも貫いてきた最強の武器、とんがりほーんなのだ。 しかし、それは並のゆっくり相手の話。ドゲスを捉えたはずのとんがりほーんは一撃で砕け散ってしまった。 「お、おいどんのキモくないとんがりほーんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「キモくないとんがりほーんだってさ」 「おお、きもいきもい」 「むきゅ!? けーね、だいじょうぶ!?」 ショックから白目をむき、泡を噴いているけーねの元に、駆け寄る(ぱちゅりーなので遅いが)と、けーねの顔をぺろぺろと舐める。 とんがりほーんは他のゆっくり種を貫く必殺の武器であり、けーね種のプライドでもあるのだ。 それが粉々に砕けてしまったとなればその精神的なダメージは計り知れない。 「むきゅーっ!?」 そしてぱちゅりーは背後から襲い掛かってきたえいえんてぃのてるよによって弾き飛ばされる。 この会議は、初めから罠だったのだ。 「ゆっふっふ……おまえたちがいなくなれば、おまえたちのクニをうばうことぐらいわけないよ! それにおまえたちはいつもべたべたしてきもちわるいよ!!」 ぱちゅりーとけーねは親友だった。 同じくクニを背負って居たから気が合うとか、そういうのではない。けーねもぱちゅりーも、同じように知性的な相手を慕っていたのだ。 「け、けーね……む、むぎゅうう!?」 そんな友人の前で 「ゆっへっへ! おまえはきょうからまりさのどれいだぜ! まずはまりさをんぎもっぢよぐさぜるんだぜぇぇぇぇ!!」 ぱちゅりーは 「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ずっぎりじたぐないぃぃぃぃ!! す、すっきりーーーーー!!」 強制的にすっきりさせられる。 悪夢のような時間の果てに―― 「ゆっふっふ……すっきりもできたし、ついにらくえんとーいつにむけてうごきだすぜ!!」 「むきゅっ、けーね。けーねのあかちゃん、がんばってそだてるわ」 ぱちゅりーは現実から目を逸らす事を決めた。 〜〜侵攻〜〜 ドマリカによる侵略はゆっくりでは考えられないほどの恐るべき速さで行われた。 まず、手始めにドマリカの誇る奴隷決死隊の襲撃によって生クリーム共同体の集落の一つが侵攻された。 「おかーじゃーーーん!!」 連行されていく赤ゆっくり達は洗脳と言う名の教育を受けさせられて立派な労働力へ。 「むぎゅううううう!! だべだいでぇぇぇぇむぎっ!?」 抵抗したゆっくり達は慰み者兼食料へ―― 本来ゆっくりは共食いを禁忌としているはずなのに、何故? それはこの奴隷ゆっくりたちの生活にある。 ぎりぎりまで食料を与えられず、兵ゆっくりに楯突けば数匹にじわじわと嬲り殺され、その死骸が奴隷ゆっくりに配給される。 ごく稀に配られる仲間の死骸は甘美だった。しかし、共食いをすれば殺される。奴隷達のストレスはいつもギリギリだった。 だからこそ、合法的にゆっくりを食える戦争が奴隷達は大好きなのだ。 「むーしゃ、むーしゃ」 「うっめ! これむっちゃうっめ!!」 こうして、ドマリカは死を恐れない労働力兼兵隊を得る。 その上、働きぶりを認められれば平ゆっくりになれるかもしれない。 そんな期待もあり、奴隷達の士気は圧倒的に高かった。 「……むきゅ……」 集落の長である年老いたぱちゅりーは、集会所の外で起きている惨劇にただクリームを零すだけ。 「ゆっ! こうなったらぎょくさいかくごでたたかうしかないぜ!」 「だめだよ! まだなにかほうほうがあるはずだよ!!」 若いまりさが叫ぶ。侵攻の際に妻と子を失ったまりさは徹底抗戦を主張し、対するれいむは別の手を考えるべきだと主張する。 老ぱちゅりーは悩んでいた。ここで玉砕覚悟で戦い、クニへの侵攻を少しでも遅らせて散るべきか。 それとも、何か他の――起死回生の一手を考えるか。 そんな時、一匹のゆっくりがおもむろに立ち上がる。 「ちぇんがたすけをよびにいくんだねー。わかる、わかるよー」 震えながら立ち上がったちぇんは目から餡子を流し、言う。 自分が助けを呼びに行くと。強いゆっくりに助けを求めに行くと。 老ぱちゅりーはむしろ助けにいくのは死にに行くようなものだと説得をしたが―― 「でも、このままだったらみんなゆっくりできないよー。だから、ちぇんはみんながゆっくりできるように、がんばるよー。わかってねー」 真夜中。 表のゆっくり達が静まり返ったのを確認して、集会所の入り口が開かれた。 ちぇんは帽子の中に保存食である干草を詰め、必ず仲間達のもとにもう一度帰ると心に誓い、跳ねる。 ひたすらに助けをもとめて。 「ゆっ!? おいしそうなのがにげたよ!」 「おいかけるんだぜ! あいつをどれーにしてやるんだぜ!!」 追いかけてくる無数の兵ゆっくり。 「つかまるわけにはいかないんだねー! わかるよー!!」 途中、小枝などで体を切りながらも、ちぇんは止まらない。 ひたすらドマリカの兵ゆっくりから逃げる。 水溜りを飛び越え、小山を乗り越え、竹林を踏み越えて。 ひたすらに、追っ手から逃げた。 体から餡子がこぼれ、自慢の尾は千切れかけ、意識も朦朧とした状態のちぇんを巡回中だったみょんが発見したのは不幸中の幸いだった。 「たいちょう! このこはたしかとなりのクニのしゅうらくのこだちーんぽ!」 斥候ゆっくりのみょんがちぇんの尻尾を咥えて前線基地という名の洞穴に戻ってくると、俄かに洞穴の中が騒がしくなる。 隣のクニ。生クリーム共同体のゆっくりが何故これほどボロボロになってここに流れ着いたのか? 疑問はすぐに解決される事になる。 「ゆっ!! たいちょー! ゆっくりできないこたちがうろうろしてたからゆっくりつかまえてきたよ!」 ひょいっと放り込まれる三匹の追っ手。 追っ手はまりさが二匹にれいむが一匹。れいむは餡子脳でありながら危機を察知しているのかガタガタと震え、まりさ達は何の自信かニヤニヤと笑っている。 「はやくまりさたちをかいほうしてね! それとおいしいごはんをよういしてね!!」 ごくごく標準的なゆっくりの反応に、前線基地のゆっくりたちは不快感を露にする。 神聖けーね教国において標準的な、いわゆる本能のままにゆっくりすることは悪徳とされているのだ。 「たいちょー! こいつらわるいゆっくりだちーんぽ! やっつけるぺにす!!」 ぷーっと膨らみ、怒りを露にするのはこの前線基地一番の古株である顎に傷のあるみょんだった。 傷みょんが憤るのも無理は無い。かつて、このみょんの家族は悪いゆっくり達に殺されてしまったのだから。 「おちつくんだぉ。こいつらをもっこもこにするのはかんたんだぉ。でも、すぐにもっこもこにしたらじょーほーがてにはいらないぉ? じょーほーはだいじだって、けーねもいってたぉ」 隊長とよばれた一匹のゆっくりが追っ手三匹にゆっくりと近づいていく。 それは追っ手のゆっくり達が見たことの無いゆっくりだった。 白っぽい髪に紅い目。ゆっくり達の中でもてるよやえーりんといった珍種に並ぶ珍種。 ゆっくりもこたんである。 「さ、おまえたちのしってることをさっさとはくぉ。そうすればけーねきょうてんにのっとっていのちのほしょうはしてやるぉ」 見たことの無いゆっくりに困惑し、更に警戒する追っ手れいむ。ところがあろう事か追っ手まりさ二匹はもこたんを畸形か何かだと思ったらしい。 ゆへへと下卑た笑いを浮かべ、周りのゆっくりを嘲笑う。 「こんなできそこないがりーだーなんて、ばかなの? まりさならこんなやつよゆうでかてちゃうよ!」 「ペニッ!? おまえ、たいちょーをぶじょくするちんぽ!?」 「かまわないぉ。あいてになってやるぉ」 口調は変わらないように振舞ってはいるのだが、その目から怒り浸透しているのが良くわかる。 こんなに恐ろしいもこたんを見たのはひさしぶりだった。 「ゆっへっへ! おまえなんかまりさのますたーあたっくでいっぱつだよ!!」 追っ手まりが飛び掛る。 もこたんはまりさに背を向けて目を瞑った。 コイツはやっぱり出来損ないのゆっくりだ。まりさはそう確信して大きく口を開ける。 が、その時もこたんの髪の中から綺麗な火が噴出したのを、不幸にもまりさは見てしまった。 ふじやまヴォルケイノ。 珍種であるもこたん種の持つ特殊な力。 髪の中にある噴出口から発射されるそれは人間たちから見れば花火のようなものだが、ゆっくりにしてみれば火柱も同然だ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づぃぃぃぃぃぃ!!」 顔面を焼かれ、もがき苦しむまりさに近づき、更に念入りに焼いていく。 凄まじい光景を見て二匹の追っ手ゆっくりは身動きが取れぬほどの恐怖を感じていた。 「おまえたち、こうはなりたくないぉ? だったらしってることをはくぉ」 ぼしゅっと噴出孔から火花を散らし、二匹を睨みつける。 排泄餡子を漏らしながら、二匹は知っている事をぽつぽつと漏らし始めた。 「……ち……んぽ……」 けーねが死んだ。そしてぱちゅりーは完全に敵の手に落ちてしまっている。 その事実を知ったみょんは言葉を失っていた。いや、他のゆっくり達も。 「……このことをとなりのクニのぱちゅりーたちにつたえるぉ。それと、けーねのこどもたちにも」 「たいちょう! そうしたらどうするちーんぽ!? みょんたちはどうすれば……」 「おちつくんだぉ! ――もこたんたちはわるいゆっくりたちをできるかぎりくいとめるぉ。このきちのみんなをすぐにあつめるぉ!!」 もこたんの号令を受け、伝令役のちぇんが弾かれたように走り出し、手当てを受けていたあのちぇんにもこたんが近寄っていく。 「……このからだで、よくがんばったぉ」 「……みんなが、ゆっくりできればいいよねー……わかる、よー……」 手当てはされているが、恐らくもうこのちぇんはもたないだろう。 まだ若いちぇんの命を無駄にする事はできない。 もこたんは手勢を引き連れ、ちぇんのいた集落の救援に向かう事にした。 「お、おねがいだよ! みんな、れいむもいっしょにゆっくりさせてね!!」 二匹の追っ手を前線基地に残った守備隊たちが囲む。 その目には皆激しい嫌悪感が浮かんでいる。そして、この二匹のゆっくりにもこたんの下したのは死刑宣告。 「おまえにはみずぜめ、そっちのまりさには――ふるこーすだよ!!」 「「「ゆっくりくるしんでしんでね!!」」」 「「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」」 別々に洞穴の奥に連れて行かれる二匹。 けーね経典に則ると罪を告白したゆっくりには情状酌量の余地が与えられるはずなのだが。 そこはステキな餡子脳。仲間とも言えるようなゆっくりを殺された事によって経典なんかすっ飛んだのだろう。 もこたんの“好きにするがいいぉ”の言葉を拡大解釈した結果そうなった。 「れいむ、のどかわいてるでしょ? いっぱいみずをのませてあげるね!」 無理やり口を開けさせられ、強制的に口移しで水を飲ませられる追っ手れいむ。 初めのうちは固定されている恐怖から涙目になっていた追っ手れいむだが、飲み物を貰えるとわかると安心したらしい。 「ゆっ! もうおみずはいいよ! こんどはごはんをもってきてね!」 だが、拷問をするゆっくり達は代わる代わる水を強制的に飲ませるのを止めない。 これこそけーね経典にある“ゆっくり水責め”である。 「ゆ゛っぷっ! もう、おみずいらないいいいい!! んぶっ!?」 それでも尚、水を飲ませ続け、限界寸前まで膨らむれいむ。 頃合を見計らって、拷問ゆっくり達のリーダーであるらんしゃまは拷問ゆっくり達を止めた。 「もういい! みんないっかいおみずをとめろ!」 ようやく助かる。れいむの心に僅かに希望が浮かんだ。 これが終わったら、なんとかしてここから逃げてゆっくり暮らそう。 そう思っていたれいむの体を突如らんしゃまが押し始めた。 「ゆっ!? す、すっきりしたいの……? いいよ、れいむですっきりしても……」 が、らんしゃまは体を離すと傍にあった棒を咥え、それで思い切りれいむの体を押し込みんで揺すり始めた。 「ゆゆゆゆゆゆ! す、す、す――うぼぉげぇぇぇぇえぇえええ!!」 途端にれいむの口から噴出す大量の水と少量の餡子。 「よし。もういっかいみずをのませろ!」 また、拷問ゆっくり達が水を口移しでれいむに飲ませていく。 この責めは、れいむが死ぬまで終わらない。 戦いは始まったばかりだ。 つづくかも このSSに感想を付ける
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「んほおおおおおおおおッ!」 「すーりッ!すーりッ!んむほぉ!」 戸を開けるとお茶の間はクライマックスであった。 窓を割って家に侵入したれいむとまりさは床を泥で汚し、 障子を破り、1週間分の食料を食い散らかし、瓶に入った水を撒き散らした後 ちゃぶ台の上で絡み合い、今フィニッシュを迎えようとしていた。 「す、すすッ!すっきりするよ!すっきりするよ!」 「ま、まりさもすっきりするのぜ!するのぜぇぇl!」 汗と涎と謎の液体を撒き散らしながら恍惚の表情を浮かべる二匹。 ヌメヌメと蠢く饅頭は家の明かりが反射してテカテカと光っている。 そのヌメヌメした饅頭がこちらに気が付き、ブサイクな顔になる。 「んほぉッ!なにみ゛てるの゛ぉ!?ここは・・・れいむの・・・ゆっくりほぉ!」 「なにみてるほぉんのぜへぇ!んんっすっすっき!ぷれいす!んほぉ!」 お約束のお家宣言をはじめようとするが、クライマックスだったので すっきりとお家宣言のどちらを進行すればいいのかわからず、二つの行動が混ざる二匹。 結局、見られながらするのも悪くないのぜ、という結論に落ち着いたのか ニヤニヤとこちらを見ながらすっきりを再開する二匹 「むほぉッ!まりさ!すっきりするよ!ゆっくりした赤ちゃんを産むよほぉおおぉぉッ!」 「んっほぉぉぉぉッ!れいむぅぅ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしてい゛っ・・・」 人間はすっきりする寸前を見計らってまりさを蹴り飛ばし、となりにダルマの置物を置いた。 「すッ!すすすっき・・・ゆゆっ!?」 れいむが何時の間にやら隣に居るのがまりさでは無くダルマという事に気が付き 恍惚の表情から一転、クワッと白目を剥いた。 「だれ゛な゛の゛ッ!?ゆっぐりじないで!・・・・すっきり、ゆげぇッ!?」 スケベDVD鑑賞中、突然男優のアップに切り替わった所で絶頂を迎えてしまった時の如く テンションの低いすっきりでフィニッシュを迎えてしまったれいむ。 急激に熱が引いていく体からすっかり冷たくなった謎の液体をポタポタと滴らせ、無表情でダルマを見つめている。 一方、まりさは蹴られた事にすら気が付いておらず、うつ伏せになって必死に畳に体を擦り付けていた。 「すっ!すっ!すっ!すっ!」 もはや頭の中はすっきりの事しかないらしく、隣にはれいむが居ない事にも気が付いていない。 歯をむき出し、目を血走らせながら一心不乱に畳相手のすっきりに勤しむまりさ。 そんなまりさの後頭部に足を乗せると全体重をかけて一気に踏み潰した。 粘液だらけで湿っていたので皮は破裂せずに全身の餡子が体の下の方へ移動し、特大のうんうんを漏らした。 「すっ!すっぽろぉッ!!」 上半分を踏み潰されたまりさは動かなくなったが、 一回小さく痙攣すると次の瞬間狂ったように足の下で何度も跳ね上がった。 足をどけてやると上半分をペラペラさせながら奇声を発し、壁に体当たりを繰り返してる。 れいむの方を見ると植物型のにんっしんをしており 茎から生えてきた子供は全員れいむ種であるが、何故か全員無表情で遠い目をしている。 すっきりの相手がダルマだったからであろうか?よくわからんがおめでとう。 そんなれいむがこちらに気が付いた。 「ゆっ!さっきからうるさいよ!ここは・・・」 「ここはお前たちのゆっくりプレイスでいいよ」 「ゆっ!?」 「でも今からお兄さんのゆっくりプレイスにするよ、嫌なら勝負だ」 「ゆ゛ゆ゛っ!」 とんとん拍子で進んでいく話に対応できないれいむ ここはれいむのゆっくりプレイスと言ったものの実は人間のゆっくりプレイスという事は理解していた。 しかし、何故かここはれいむ達のゆっくりプレイスであるらしく、 それを人間が横取りしようとしていて勝負をしなくてはならない。 そういえばまりさは何処に?子供が居ては勝負どころではない。 実はれいむのゆっくりプレイスでは無いことを人間に伝えた方がいいのだろうか? しかしそれでは、れいむ達のゆっくりプレイスになったこの場所を手放すハメになる。それはこま 「ゆぴぃ!」 考えがまとまる前に人間の平手打ちがれいむの頬を打つ。 倒れこみ体が平たくなるれいむ。 その時、頭のてっぺんが突っ張るような感覚・・・ 頭から生えた茎が撓っているのだ。このままの体勢では茎は折れてしまう。 「ゆっくりおきるよ!ゆべっ!?」 れいむが起き上がった途端に再び人間の平手打ちが入る。 その衝撃に叩かれていない方も頬までブルブルと震えた。 また地面に倒れこみ茎が撓る。 「起きるんだ、これからお前を10回殴る」 「どぼじで!?」 「理解しなくていい、そうしたらまりさの怪我も治してやるし、お前たちをお前たちの巣まで送ってやる」 わけがわからない。 ふと見ると、まりさは上の部分がペラペラになって奇声を発しながら壁にすりすりを繰り返している。 一体何があったのか?しかし自分があと8回殴られれば、この馬鹿な人間は自分のゆっくりプレイスを 横取りされかかっていた事にも気が付かずに無事に巣に返してくれるどころかまりさも治療してくれるらしい。 人間は思っていた以上に力はあるが、頭は足りないようだ。 「ゆっくりりかいしたよ!とっととれいむを巣にかえしてね!」 結論から言うと、それかられいむは2回の平手打ちで根をあげた。 ゆっくりが死ぬ程の力で殴ったわけでは無い、加減をして潰れないように配慮をした。 にもかかわらず、今れいむは頭から生えた茎が撓り、折れそうになっているのも 負傷したまりさが徐々に動かなくなって壁に横たわり痙攣をしはじめたのにも関わらず。 起きようとせず、頬を膨らませ人間からもまりさからもそっぽを向いていた。 「どうした?まだ2回だぞ?」 「ゆっ!れいむはいたいのはもういやだよ!」 「茎が折れそうだぞ?このままだと子供が危ないぞ、それでもいいのか?」 「人間さんがもうなぐらないなら、おきあがってあげてもいいよ!」 「まりさはどうするんだ?ゆっくりじゃあの怪我を治すのは無理じゃないのか?」 「まりさがかってにああなったんだよ!れいむがゆっくりすればまりさはなおるよ!」 「そうしていても巣には帰れないぞ?夜になれば山道は捕食種だって出るぞ?」 「なにいってるの?ここがれいむのゆっくりプレイスだよ!人間さんはとっととでていってね!」 人間は何も言わずにれいむの頭から茎をむしり取った。 「ゆげぇ!!な゛に゛じでる゛の゛ぉぉぉ!!れ゛い゛む゛の゛おぢびじゃんがあああ!」 身を震わせ大粒の涙を撒き散らしながら号泣するれいむ。 この村では野生のゆっくりが家を荒らせば殺すことにしている。 しかしこの人間は家を荒らされても、毎回さっきのようにルール付きの暴行を加え巣に返していた。 ただ殺すよりも、人間への恐怖を植えつけて群に返したほうが、子に、群のゆっくり達に 人間は危険だという認識を植えつける事ができ、こういった事態を未然に防げると考えたからだ。 実際、いままで進入してきたゆっくり達はこの暴行に耐え、巣に帰って二度と里に下りては来なかった。 しかしこのれいむは耐えられる筈の痛みを拒否し、自分の番や子を見捨てようとしている。 おままごと感覚でまりさと番になり、人間の家に侵入し、自分勝手に子を宿した。 そして今、身を震わせて泣き喚き、被害者面をしている。 この村の生活はあまり裕福ではない。一週間分の食料は笑い事では済まされない。 村の中ではゆっくりに対して破格の対応をしていたこの人間を持ってしてもこのれいむは許せなかった。 「ぎげぇ!にんげんざん!おぢびじゃんをがえぜええええ!」 目を血走らせながら人間の足に噛り付くれいむ。 人間はそれを振りほどく、れいむは壁にあたり「ぽてん」とシュールな音を立てた。 「ゆげぇッ!い゛だい゛!」 そんな音とは裏腹に大声をあげるれいむ。それを無視して人間は部屋から出た。 暫くして戻ってくると手には黄色い液体が入った小瓶が握られていた。 それに赤ゆっくりの茎を入れる。無表情だった赤れいむ達の顔がすぐさま形相を浮かべる。 「い゛だぃぃぃぃ!い゛だぃぃぃぃ!」 振りほどいただけなのにさっきから死にそうな声で苦しんでいるれいむ。 もう赤ゆっくり達の事など眼中に無いようだ。舌を伸ばしぶつけた頬を必死に舐めている。 れいむは放置してまりさの治療をする事にする。 床にこんもりと盛られた餡子を鷲づかみにしてまりさのあにゃるから体に戻してやる。 無言で痙攣を繰り返すだけになっていたまりさの目が「んほぉ!?」と見開いた。 それから下半身?に寄った餡子を全身に行き渡るように整えてやり、頭からオレンジジュースをかける。 ぐったりとしていたまりさだったが、徐々に「なんかあまいのぜ」と言い出し回復した。 「もっとよこすのぜ」と言い出した辺りで平手を喰らわせ、ちゃぶ台の上に乗せる。 「ゆっ?ゆっ?ごはん?」 「手短に言うぞ、理解できなければお前はもう死ぬしかない、いいな。」 「どぼじで!?」 「お前らは俺のゆっくりプレイスを勝手に荒らした。わかるか?」 「わから・・・・わかるのぜ!」 本能でスッとぼけようとしたが、いとも簡単に自分を瀕死にさせた上、今こうして回復させている事に 圧倒的な力の差と今自分が置かれた立場を理解したのか、すぐさま訂正するまりさ そして自分の隣で苦悶の表情を浮かべている赤ゆっくりと畳を転げまわるれいむの姿を見つけガタガタと震えだした。 「お前は俺に何をした?言ってみるんだ」 まりさは困った顔をして震えていたが、やがてボソボソと喋り始めた。 「人間さんの巣へいったれいむをつれもどしにここにきたんだけど・・・ きがついたらこんなことになっていたのぜ・・・ゆっぐりごべんなざい・・・」 馬鹿には違いないがれいむと違って救いようの無い馬鹿では無いらしい。 恐らくれいむを止めに家に侵入したものの、ゆっくりにとっては珍しい品々に気を取られ 遊んで腹を膨らませその勢いですっきりに突入したのであろう。 「まりさはどうなってもいいから・・・れいむとおちびちゃんだけはたすけてほしいのぜ・・・」 「無理だな、れいむを見逃すつもりは微塵も無い」 「お、おぢびじゃん・・・・だけじゃ・・・しんじゃうのぜ・・・」 まりさの代わりに赤ゆっくりだけ助けても到底生き残ることはできない。 れいむも助けてもらわなければ、結局赤ゆっくりの末路は死である。 「お前と赤ゆっくりで帰ればいいだろ」 「ゆっ・・・れいむを見捨ててまりさは帰れないよ・・・」 「ぞっ!ぞうだよ!ゆっくりれいむをたすけてね!」 いつの間に話を聞いていたのか、さっきまで死にそうな顔をしていたれいむが 畳の上を跳ねながら喚いている。 「おちびちゃんはれいむがゆっくりそだてるよ!まりさはここでゆっくりしていってね!」 「ゆゆぅ・・・れいむ・・・」 「決まったな」 人間はまりさを透明な箱に入れ、ゆっくりでも部屋の全体を見渡せる机の上に置いた。 「お前は帰してやる。少しここで待っていろ」 透明な壁に顔を押し付けるまりさ 「やめてね!まりさがれいむのかわりになるからね!れいむはたすけてね!」 「ま゛り゛ざがや゛る゛っでいっでるでじょおお!ゆっぐりりがいじでねぇぇぇ!」 汁を撒き散らしながら暴れまわるれいむ。畳の上を転がりまわり、飛びはね、叫んだ。 人間はそれをただジッと無表情で見ていた。 やがて息を切らし「ゆひゅーゆひゅー」喚き疲れて肩?で息をするれいむ。 「気が済んだならはじめるぞ」 「ゆ゛っ!!ぎい゛でね゛!どうじで!わ゛がっでぐでな゛い゛の゛!?」 まりさが身代わりになると言っているんだからそれでいいではないか れいむはもう痛い目にはあいたくない、まりさが「やる」と言っているのだ。 何故こいつは理解できない?馬鹿なのか?死ぬのか?何故だ何故何故・・・ 「ぎっ、ぎげぇぇぇ!れ゛い゛む゛はい゛や゛だって゛い゛っでる゛でじょおおおお!!」 「駄目だって言ってるでしょう」 人間はれいむを座ったままの姿勢で両足に挟んだ。 村はずれにはゆっくりを殺す為の様々な器具を持っている変わった村人がいるが そんな気の利いたものはここには無い。”見せしめ”は全て素手で行わなければならない。 「まりさ、群に戻ったられいむがどうなったかゆっくりと話して周れよ」 人間は無造作に両手の爪をれいむの額に当てると一気に掻き毟った。 「ゆ゛っ!!ぎゅっ!ばっ!ばばっ!やべっ!でっ!がっ!」 バリバリと音を立てながら少しずつ削れて行くれいむ、やがて乾いた音は湿った音になり 掻き毟るたびに餡子がしぶきの様に飛び散った。 縦、横、斜め、あらゆる方向かられいむの顔面を掻き毟る人間。 「やめてね!人間さん!れいむはいたがってるよ!ゆっくりさせてあげてね!」 箱の中から人間に懇願するまりさ、人間はそんなまりさの声には一切耳を貸さず一心不乱に作業を続けた。 やがて5分もするとれいむは叫び声もあげなくなり、時折ゆ゛っ!とくぐもった声を漏らすだけになった。 人間は立ち上がりれいむを先程とは比べ物にならない程の強さで蹴り飛ばした。 パァン!と乾いた音が響き、れいむは壁にへばりついた後、 少し間を置いてからズルズルと餡子の跡を残しながら床に落ちた。 「さっきより強く蹴ったのに「いたい、いたぁい」って言わないんだな」 れいむの口から発せられるのは荒い呼吸音だけである。 「かひゅー、かひゅー」と苦しそうに苦悶の表情を浮かべている。 顔の皮はズタズタに引き裂かれ、目はこぼれてしまいそうな程見開かれている。 それを受け止める瞼はもうその機能を果たしていない。 歯はむき出しになっており、ガチガチと音を鳴らしている。 「ゆ゛っ・・・ゆ゛る゛・・・じでっ!ごっ・・・!ごべな゛ざい゛」 目を泳がせながられいむの口から初めて謝罪の言葉がひねり出された。 しかし全てが遅すぎた。人間は構わずれいむの顔面の傷口に手を突っ込んだ。 「ゆ゛っ!ゆ゛ゆ゛ん゛や゛ぁぁぁぁ゛!!」 掻き毟りと蹴り飛ばしの上を行く激痛に再び声をあげるれいむ。 このまま引き散って終わりでいいだろう。ネチネチと痛めつける趣味も無い。 まりさは涙を流しながられいむの事を叫んでいる。その涙は箱に溜まる程だ。その時である。 「ゅ・・・・・」 ちゃぶ台の上から声が聞こえる 「お゛っ!おぢびじゃん!!に゛ん゛げんざん!れ゛い゛む゛の!おぢびじゃんをみで!ゆっぐりじでぇぇぇ!」 れいむが赤ゆっくりの声に気がつき、注意をそらそうと叫んだ。 黄色い液体に浸けた赤ゆっくりが早くも産まれようとしていた。 母体から赤ゆっくりの生った茎を切り離しても糖分を含んだ液体に浸けておけば問題なく赤ゆっくりは産まれる。 「ゅ・・・・がっ」 しかし今回赤ゆっくりに浸けたのは塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸などのイオン、 クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンを含む塩分が豊富な黄色い液体である。 ボトリ、と茎から切り離された赤ゆっくりは弾むことなく、地面に着いた部分は平らになりそのまま動かない。 「れ゛い゛む゛のおぢびじゃんはがわいいでじょ!!それをあげるがら!れいむはだずげでべ!」 れいむからはこの梅干のような赤ゆっくりが見えていないのか、 かひゅかひゅと傷口から空気を漏らしながら、自信ありげにれいむはゲラゲラ笑った。 この糞饅頭は産まれた子供を自分の身代わりにするつもりのようだ。 空気漏れをおこす糞饅頭の前に梅干を置いてやる。 「ゆ゛っ!?な゛に゛ごれ゛」 赤ゆっくりの目は虚ろで、歯を食いしばりプルプルと小刻みに震えている。 赤ゆっくりは前に進む事ができないので体を転がすと地面に接していた部分が粘土のように平たくなっている。 「ゅ・・・っ・・・じ・・・ね゛」 「ゆ゛ゆ゛っ!!」 赤ゆっくりは思った。ゆっくりしたいがゆっくりできない。ゆっくりできないのは何故か? ゆっくりを産んだのはお母さんである。お母さんは自分を存分にゆっくりとさせる存在だ。 それなのに産まれる前から全身に激痛が走り、ロクに動く事もできない、言葉も発せられない、 きっとゆっくりできない親から産まれたからだ。だからそんな親はゆっくりと言わず急いで死ねばいい。 「じ・・・ね゛!じ・・・じね゛ぇぇぇ!」 「ゆがぁぁぁぁ!」 小さい梅干から発せられる殺気にれいむはしーしーを漏らしながら、尻で後ずさりした。 壁に頭をぶつけ、ビクッと体を振るわせて、横方向に後ずさる。 そこには人間の足、手には茎が刺さっていた小瓶が握られている。 「だずげで!あ゛れ゛を゛ごろ゛じでぐだざい!おでがいじばず!」 「駄目だね」 小瓶に入った液体をれいむに垂らす。 「ぴっみゅぅぅぅ!!」 塩分を豊富に含んだその液体はれいむの傷口から体内に侵入した。 れいむに焼けるような激痛が走る。 春先に丸々太って窓に体当たりを繰り返す蝿のように部屋中をのたうち回るれいむ。 人間は目の前に跳ねてきた時を見計らい足で踏みつけ動きを止めた。 「はびゅっ!?」 目はギョロギョロと動き回り、舌はだらりと垂れ下がっている。 足から何とか脱出しようとあらゆる方向に体を揺さぶるれいむ。 しかしゆっくりの力では人間の力には到底適わない。 「じっじね゛ぇぇぇぇ!ゆ゛っぐり゛ごろ゛じはぞぐざに゛じね゛ぇぇぇぇ!」 もはや何故こんな目にあっているのかもわからないようだ。 いや、初めからわかっていなかったのかもしれない。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だぐな゛ぁぁぁぁい!」 見る人によってはかわいらしい顔に見えるらしいその顔の面影はもはやない。 気がつけば、箱の中のまりさは餡子を吐いて気絶している。 どうやら暫く無駄な時間を過ごしたようだ。まりさが見ていなければこの虐待には何の意味も無い。 「じに゛だぐな゛い゛!じに゛だっ・・・ゆ゛ん゛っ!!」 人間はれいむを踏みつける力を強めた。 「わかったよ、そこまで言うなら殺すのはやめにしてやるよ、だから黙るんだ」 「ゆっ!ゆゆゆゆ!ゆっぐりりがいじだよ!ゆっぐりだまるね゛!」 汚い顔面からこぼれそうな笑みを浮かべるれいむ。 実際、眼球はこぼれかかっているが・・・ このクソ饅頭はどんなに痛めつけても反省はせず、ただ理不尽だと叫んで死ぬだけであろう。 人間はここで名案を思いついた。そんなに死にたくなければ、ずっと生き続ければいい。 ただし、ゆっくりなど二度とできないが・・・ 「ゆっ・・・?」 まりさが目を開けると周りには赤ゆっくり達が居た。全員れいむ種である。 「「「「ゅ・・・ゅ・・・」」」」 全員いびつな顔をしており、時折フルフルと身を震わせ、言葉もロクに喋れないようだが 先程の梅干のような痛々しい姿に比べたら随分とマシになっていた。 そんな赤ゆっくり達がまりさの横でゆっくりと体を揺らしている。 恐らくはすりすりのつもりなのだろう。 「おっ・・・おちびちゃん・・・!に、人間さんが治してくれたの!?」 「そうだ、オレンジジュースだと溶けて死んでしまうかもしれないと思ったからこれを使ってみた」 人間の手元の壷の中に入っているのは蜂蜜であった。 梅干のようになった赤ゆっくり達の体を蜂蜜でコーティングしたのだ。 それをゆっくり吸収して干からびた粘土のような体は幾分か回復した。 と、行っても普通の赤ゆっくりには程遠い、そしてこれからもこれ以上の回復の見込みは無いだろう。 「ゆっ!まりさ!そんなゴミクズはほおっておいてとっととこっちへきてね!」 「ゆゆっ!?れいむ!?どぼじで!?」 まりさと赤ゆっくり達が入った箱の隣にはそれよりやや小さいサイズの箱がありその中にれいむは居た。 れいむもまた皮に爪の跡が薄っすら残っているが、先程とは比べほどにならないほど元気になっていた。 「れいむはゆっくりはんせいしたよ!だからもっとあまあまをちょうだいね!」 人間は無言で壷の蜂蜜をすくいれいむに垂らす。 それを大きく開けた口で受け止めると、身を震わせて喜んだ。 「うめっ!めっちゃこれうめっ!じあ゛わ゛ぜッ!」 「ゆゆ!どういうことなの?人間さん!?ほんとうにれいむをゆるしてくれたのぜ!?」 「そんなワケ無いだろ、これから仕上げだ」 れいむは人間が殺さないと言い、手当てをはじめたので勝手に許されたと思っていただけだった。 人間はガムテープをれいむの口に貼った。 「ゆむぅ!?ゆゆゆゆゆゅ!?(なにしているの!?)」 そして箱に壷に入った蜂蜜をどんどん流し込んでいく。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?(やめてね!おぼれるよ!!)」 あっという間に箱の中は蜂蜜で満たされた。粘液の中を漂うれいむ。 人間は箱の蓋を閉め針金を使って蓋を固定している。 「ゆ゛っ!ゆ゛!ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 息ができずにもがくれいむ。しかし口を塞がれて蜂蜜を飲み込む事ができない。 これでは餡子を吐き出して気絶して苦しみから逃れる事もできない。 「ゆ゛っ!!む゛っ!!むごっ!!ばびひ!!」 苦しさから物凄い勢いで体を収縮させるれいむ。高速でのぷくぅ!とぷひゅるる!の繰り返しである。 顔を真っ赤にし狭い箱に体を押し付けてもがいている。 ゆっくりの餡子脳でも即座に理解した「出口は無い」 しかしそれでも無い出口を求めて箱の中で身をくねらせ続けた。続けるしかなかった。 そしてもうひとつ理解した。 粘液の中では溶けて死んでしまう事もできなかった。 これからずっと箱が壊れるまでの数ヶ月、あるいは数年かを窒息の苦痛に顔を歪ませながら動き続けるだろう。 それから数時間後、人間とまりさ達はゆっくりの群を目指し、夜の山道を進んでいた。 「置いていくぞ、はぐれたらすぐに捕食種が来るだろうな」 赤ゆっくりを帽子に乗せすり足で進むまりさと比べて人間の足取りは速かった。 「ゆっ!まってね!人間さん!まりさはそんなにはやくうごけないのぜ!」 「知らないね」 人間にとってまりさはもう必要では無くなっていた。このれいむの箱だけで群のゆっくりの脅しには十分だ。 この箱を群の集落の中央に設置すれば、馬鹿なゆっくりでも毎日人間の怖さを痛感するであろう。 ゆっくり達が巣を捨て山から離れればそれはそれでもいい、そうしたらこの箱と同じものを山の至る所に設置しよう。 そうすれば山を住処にするゆっくりなど今後現れないだろう。 「ゆぅ!まってね!ゆっくりしていくのぜ!人間さん!」 まりさが通った地面には餡子がこびりついている。 足の裏の皮が破れたのであろう。人間との距離は更に広がっていく 「ゅ・・・ぉ・・・が・・・ぢゃ・・・」 「ぎょ・・・・ゎ・・・ぃ・・・ょ・・・」 赤ゆっくり達も帽子の上でガクガクと震えだした。人間の姿はもう豆粒ほどの大きさになっている。 れいむはまだ死んではいない、人間が帰ったらゆっくりと箱から出してあげればいい おちびちゃん達もどんどん回復している。 きっとこの調子なら他のゆっくりと同じようになるのにはそう時間はかからないだろう。 でも今は足が凄く痛くて、周りはとても暗くて、どうしようもないくらい怖かった。 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!」 呪文のようにゆっくりを連呼するまりさ、 果たして群のゆっくり達は、れいむを箱から出すのに協力してくれるだろうか? 全然ゆっくりしていない赤ゆっくり達は群のゆっくりに歓迎してもらえるだろうか? これだけ餡子を漏らしたまりさを捕食種は見落としてくれるだろうか? 「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくり!!」 まりさは声を張り上げた。もう人間の姿は見えない。 餡子の匂いに気がつかなくても、この声は捕食種に届いたかもしれない。 また少し、まりさの生存の可能性が減った。 おしまい このSSに感想をつける
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ある日の人里まで続く道。 お爺さんとお婆さんが人里で売るための野菜を荷車に乗せて押していました。 決して良くはない道にお爺さんとお婆さんは休み休み進みます。 人里までまだまだ距離があるころ、お爺さんとお婆さんは森の近くで休憩していました。 「ばあさんや、大丈夫かね?」 「大丈夫だよ、じいさんや。」 「急がないと今日中に帰れないからがんばろうか。」 お爺さんとお婆さんは昼までに人里に着かないと野菜を売れません。 荷車にいっぱい乗った野菜はお爺さんとお婆さんには辛い重さでしたが、これを売らないと生活が苦しくなるので仕方ありません。 お爺さんとお婆さんがまた荷車を押そうと腰を上げたとき、森から顔を出したものがいました。 「ゆっくりしていってね!」 「おやおや、ゆっくりじゃないか。」 最近森や人里に現れるようになったゆっくりです。 老夫婦に近づいたゆっくりはみんな黒い帽子を被っていました。 「たしか、ゆっくりまりおといったか。」 「ゆっくりまりさですよ、おじいさん。」 「まりさだよ!ゆっくりおぼえてね!」 名前を間違われたまりさはプンプンと頬を膨らませます。 その様子に老夫婦は孫を見るような目で見つめます。 「ゆっくりしたいんだけどねぇ。これを運ばないと行けないんだよ。」 ゆっくりまりさに諭すように語り掛けるお爺さん。 お婆さんはまだ小さい子まりさを手で持って撫でてあげています。 嬉しそうな子まりさを見て微笑んだ後、リーダー格のまりさがおじいさんに向かいます。 「おじいさんはゆっくりあるくといいよ!」 「おもいものはまりさたちがもつね!」 「しかし、これは本当に重いよ。」 「だいじょうぶだよ!まりさたちにまかせてね!」 「そのかわり、ちょっとだけそのうえのおやさいほしいの!」 「うれのこりでいいからね!」 「ははは、しっかりしてるのぉ。まぁ売れ残っても持ち帰るのは大変だからの。運んでくれたらあげるよ。」 「ありがとう!」 まりさたちは老夫婦が運んできた荷車の後ろと前に分かれます。 後ろのまりさは頬で必死に荷車を押します。 前の魔理沙はお爺さんが持っていた舵棒を咥えて引っ張ります。 荷車に乗った赤ちゃんまりさの掛け声のもと荷車は動き出しました。 「ゆっくち!ゆっくち!」 「おかーしゃんがんばっちぇ~!」 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「みんながんばろうね!」 まりさ達のがんばりをお爺さんとお婆さんはほほえましく見守ります。 決して早い足取りではありませんでしたが、人里には昼前に着くことができました。 お爺さんとお婆さんは野菜を荷車から降ろして売り始めます。 まりさ達は老夫婦の変わりに声を張り上げて客を呼び込みます。 珍しいゆっくりの客引きに主婦が集まり、野菜がどんどん売れていきました。 そして・・・ お爺さんとお婆さんが変えるころには持ってきた野菜は全部売れてしまっていました。 「ごめんねぇ、あなた達の分取って置いたらよかったわね。」 「いつもはこんなに売れないから油断してたよ。」 「ゆゆゆ、しょうがないよ!いっぱいうれてよかったね!」 「そーだよ!たのちかっちゃよ!」 貰える野菜がなくなったので親まりさは残念がりますが、赤ちゃんゆっくりは客引きが楽しかったのか、 「いっぴゃいうれちゃね!」 「まりしゃたちのおかげだね!」 「たのちかっちゃね!」 と、売れていく野菜のことを思い出しながら喜んでいました。 そんな子まりさ達の様子を見て親ゆっくりも笑顔になります。 「たのしかったね!」 「うん!しゅっごくたのちかったよ!」 そんな様子を見ていたお爺さんは何かを思い出したかのようにお婆さんに耳打ちします。 お婆さんはお爺さんの提案に頷き、親ゆっくりのもとに向かいました。 「ねぇねぇ、まりさ。」 「ゆゆ、おばあさん!まりさたちはもういくよ!」 「いっぱいうれてよかったね!」 「まちゃてちゅだうよ!」 「ありがとうね。でね、お願いがあるんだけど。」 「どうしたの?」 「私達の家にね見た目が悪くて売れない野菜があるのよ。」 「おばあさんと二人で食べてるんだけど何時も余ってね。」 「よければもらってくれないかね。」 老夫婦の提案にゆっくり達は顔を見回せ、その後嬉しそうに飛び跳ねます。 「おじいさんいいの!?」 「ああ、いいとも。」 「おばあさんいいの!?」 「もちろんだよ。」 「ゆ~、どっちもありがと!」 老夫婦とゆっくりは仲良くお爺さんの家に向かいます。 そうしておじいさんとおばあさんはゆっくりには持ちきれないほどの野菜を与えました。 「こんなにいっぱい!これならしばらくゆっくりできるよ!」 「また、おいで。まだまだあるからね。」 「またくるよ!ゆっくりまっててね!」 「その代わり働いてもらうよ。」 「お爺さんは厳しいわよ。」 「もちろんだよ!がんばっててつだうよ!」 老夫婦とまりさたちは別れました。 老夫婦は老後の楽しみが増えたのが嬉しいのか今日は少し夜更かししてしまいました。 野菜をいっぱい抱えて巣に戻るまりさ達の前にゆっくりれいむが現れます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「すっごいね!おやさいがいっぱいだよ!」 「おじいさんにもらったんだよ!」 「ゆゆ、にんげんにもらったの?!」 「そうだよ!おてつだいしてもらったの!」 「まりさたちがんばったもん!」 「あかちゃんもがんばったよね!」 「しゅっごくがんばっちゃよ!」 まりさ達はれいむにどうやって野菜を貰ったか詳しく説明します。 れいむは驚きました。 人間は今まであったことがありませんでしたが怖い生き物だと思っていました。 まりさはそんな人間からおやさいを貰ったというのです。 「ほんとう!?」 「ほんとうだよ!おじいさんががんばったおれいにってくれたんだよ!」 「おばあさんもすっごくよろこんでたよ!」 「ゆゆ、おてつだいしたらもらえたんだね!」 れいむはそう言うやいなやぴょんぴょんとどこかへ飛び跳ねていきました。 まりさ達は不思議に思いましたが、もう周りは暗くなり始めていたのでゆっくりいそいで巣に戻りました。 れいむはぴょんぴょんと森を飛び跳ねます。 やがて大きな木の下までやってきました。 周りに他のゆっくりがいないか確認してから木の根元に向かって話しかけました。 「ゆっくりしていってね!」 「・・・ゆっくりしていってね!」 れいむが話しかけてしばらくして返事がありました。 すると、木の根元にあった枯葉や枝が取り除かれていきます。 やがて外のれいむよりも大きいゆっくりれいむが顔を出します。 「おかえり!はやくいえにはいってゆっくりしようね!」 どうやら大きい方が親れいむで外にいるのは子れいむのようです。 親れいむは子れいむが中に入るまで外で警戒します。 やがて、自分も巣に入ると穴を塞ぎました。 親れいむが戻ると、中では先ほどの子れいむが他の子れいむに何かを話しかけ、それを聞いた他のれいむは大はしゃぎしていました。 「ゆゆ、どーしたの?」 「おかーさん!れいむね!とってもいいはなしをもってきたよ!」 「ゆ!なになに!」 「あのね!・・・」 そう言って先ほどのまりさの家族から聞いた話をゆっくり聞かせます。 親れいむはそれを聞いても素直には信じれませんでした。 「ゆゆ、ほんとうにまりさたちはそういったの?」 「そうだよ!まりさたちいっぱいおやさいもってたよ!」 「おかーさんれいむたちもやろうよ!」 「そうだよ!おやさいいっぱいもらおうよ!」 怪しむ親れいむに対して、他の子れいむはもう貰ったときの事を考えています。 親れいむはそれでも怪しみますが、子れいむの、 「ゆっ!おかーさんはれいむをしんじないの?」 という言葉で我が子を疑ったことを恥じ、 「あしたみんなでゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね! と、子供達に明日子れいむの聞いた通りにやってみようと言いました。 子れいむと親れいむは明日おやさいがいっぱいもらえるとうれしそうに話しあいます。 やがて、赤ちゃんれいむが船を漕ぎ出したのを見て、みんなで集まって眠りました。 次の日、れいむたちは人里近くの道にやってきます。 「まりさたちはおおきなにもつをはこんだっていってたよ!」 「ここでだれかくるまでまっていようね!」 れいむたちは茂みに隠れて人が来るのを待ちます。 けれども、道を通る人はほとんど軽装でれいむたちの助けを必要としてそうな人はなかなか現れません。 「ゆぅ・・・なかなかこないね。」 「まりさたちもこんなにまったのかな・・・」 「もうすこししたらくるよ!ゆっくりまとうね!」 そうやってれいむ達は目当ての人が来るのを待ちました。 昼を過ぎ、茂み近くの草原で虫や花を食べて人が来るのを待ちます。 虫や花もおいしく、日々を過ごすには問題ありません。 しかし、人間の作る野菜はとてもおいしく、運よく食べれたゆっくりはそれを周りのゆっくりに話して聞かせます。 何匹かはそれを聞いて人里に取りに行くのですが、そのゆっくり達が帰ってきたことはありません。 ですから、どんなにおいしくても、ゆっくりは我慢するしかありませんでした。 それをまりさたちは人から貰えたと言うのです。 れいむ達はまだ味わえぬ野菜の味を想像しながら茂みでじっとしていました。 「ゆゆっ!あのひとたちならてつだえそうだよ!」 一匹の子れいむが人里に向かう一行を発見します。 その人たちはまりさ達の言うように荷車を数人で押してゆっくりと進んでいました。 れいむたちはまりさの言っていた人たちだと思い茂みから出てその人たちの前に止まります。 「ゆっくりしていってね!」 「なんだぁ、またゆっくりか。」 「ゆゆっ?」 なんだか人間達の反応がおかしいと親ゆっくりは気づきます。 しかし、子れいむ達は気づかなかったようで、 「れいむたちがそのにもつはこぶよ!」 「ゆっくりてつだわせてね!」 子れいむは我先にと人間を押しのけて荷車を押します。 人間達は何か言いたそうでしたが、重かったので手伝ってくれるのはうれしく、いっしょに荷車を押して生きました。 「ゆ~っくり!ゆ~っくり!」 「ほらほら、がんばれ、がんばれ。」 子れいむ達だけ頑張らせるわけにも行かず、親ゆっくりも荷車を押します。 れいむ達がいたのは人里からすぐの所だったので、大した苦労もなく、目的地に着きました。 「おら、ここまででいいぞ、ありがとな。」 「ゆっくりがんばったよ!」 やりとげた達成感から人間の周りを嬉しそうに飛び跳ねるれいむ達。 人間はそれを迷惑そうにしながら荷車の中身を確認します。 それを見たれいむ達は野菜をくれるものだと思い、荷車を見ている男の周りで止まりました。 しかし・・・ 「ん、もういいぞ、ありがとな。」 「ゆっくり!?」 話しかけた男はれいむにお礼だけをして他の男と話し始めました。 聞いていた話と違う!! れいむは頬を膨らませて怒ります。 「おじさん!じょうだんはやめてよね!」 「ああ?」 「れいむたちにおやさいちょうだいね!」 「そうだよ!れいむたちがんばったよ!」 「そんなこと言ってないぞ。」 「にんげんはたすけるとおやさいくれるんだよ!」 「しょーだよ!ゆっくちちょうだいね!」 話しかけられた男はれいむ達が何を言っているのかと戸惑います。 そのとき、一匹の子れいむが男の後ろの家に野菜が置いてあるのに気づきました。 「ゆゆっ!おやさいだ!」 「れいむをだまそうだなんてばかなおじさんだね!」 「みんなでゆっくりわけようね!」 「あ、こら!」 れいむ達は男の足元を抜けて、野菜に飛びつきます。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~!」 「ちあわちぇー!」 初めて人間の野菜を食べた子れいむ達はそのおいしさに頬が解けそうです。 親れいむは野菜のおいしさと子れいむ達の喜びを見て、頑張ったかいがあったと思いました。 そこに、先ほどの男がやってきます。 「おい。」 「ゆっ!おじさんありがとね!」 「れいみゅたちはしゅっごいちあわせだよ!」 「このおやさいはかぞくでわけるよ!」 「・・・」 男は親ゆっくりを捕まえると荷車に向かいました。 「ゆゆっ!おじさんなにするの!」 「うるせぇ!おまえたちも悪いゆっくりだったんだな!」 「おかーしゃんをはなちぇー!」 「ゆっくりかえしてね!」 足元で体当たりをする子ゆっくり達を無視し、男は荷車に乗った箱を開けます。 そこには死なない程度に潰されたゆっくりれいむやまりさが詰まっていました。 「ゆぎゃああああああああ!」 「ゆっ!おかーさんどうしたの!」 「まだ空きがあってよかったぜ。」 親れいむが子れいむ達に逃げてという前に、男は素早く親れいむを箱に入れて重石を載せました。 「ゆぎゅぅ!」 絶妙な重さで親ゆっくりを拘束する重石。 男は動けないことを確認すると、足元の子ゆっくりを捕まえだしました。 親れいむは子ゆっくりが一匹でも逃げれるように願います。 そして、同じように重石を乗せられているゆっくり達の目線に気づきました。 れいむ達は先ほどまでゆっくりの詰まった箱を人里まで運んでいたのです。 嬉しそうに話すれいむ達の声を中のゆっくりはしっかりと聞いていました。 苦しそうな顔をしながらも睨み付けてくるほかのゆっくりを見ながら、親れいむは自分達の過ちにやっと気づきました。 れいむ達を全部捕まえた男は建物に荷車を運びます。 そこは円柱のような建物で真ん中には穴が開いています。 その下には尖がった山があり、上の穴から落ちてきたものを大体均等に麓まで運びます。 麓には山を囲むように檻がありました。 もし、穴から何か落ちてきたら麓の檻の中に入るでしょう。 その檻には既に何匹かのゆっくりが檻に入れられていました。 しかし、男が入ってきてもゆっくり達は反応しません。 そのゆっくり達は何かを我慢するように必死に流れてくるものを口に運んでいました。 開いている檻の前に来ると男は箱を開けてゆっくりを取り出して檻に入れて行きます。 一つの檻に数匹ずつ、男は手際よくゆっくりを詰めていきました。 先ほどのれいむ達は赤ちゃんを除いて運よく同じ檻に入りました。男がそうしたのかもしれませんが。 全部のゆっくりを入れると男はゆっくりに聞こえるようになります。 「お前達にはここでこれから暮らしてもらう。餌は上から降ってくるから好きなだけ食え。ずっとそこに置いてるからいつでも食えるぞ。」 男の声に酷いことをされると思っていたゆっくり達は安心します。 しかし、先に入っていたゆっくりの声が聞こえないのが気になります。 それも、檻の中で泣き始めた子ゆっくりの泣き声で霧散しました。 必死にあやす親ゆっくり達。 子を持たないゆっくりは先ほどのれいむ達を睨み付けました。 睨み付けられた親れいむは泣き叫ぶ子れいむ達をあやしながら、 「ごめんなさい。ごめんなさい・・・」 と、つぶやき続けました。 ゆっくりに説明した男は部屋から出て行きました。 そしてゴゴゴゴゴと何かが動き出す音が聞こえます。 「ゆゆっ?」 泣いていた子ゆっくりも泣き止み何が起こるのかと身を寄せ合います。 やがて、中央の穴から何かが落ちてきました。 「ゆゆゅ!ごはんだよ!」 ゆっくり達は男の言っていたごはんだと喜びます。 男の言っていたご飯は山に落ちて、大体均等に麓の檻の中に行き渡りました。 ゆっくりはやってきたご飯と強烈な臭いを味わうことになりました。 「ぐざいいいいいいいい!」 「ゆっぐりでぎないいいいいいい!」 「だずげでえええええええええ!」 先ほどまでの喜びもどこへやら、ゆっくりはその臭いから逃げ出そうと跳ねます。 しかし、頑丈な檻はビクともしません。 ここは人間の出した生ごみを処理する施設だったのでした。 人里から集められた生ごみは天井から落とされて悪さをして捕まったゆっくりに食べられます。 ここに来たゆっくりは死ぬまで生ごみ処理をすることになるのでした。 先ほどゆっくりに説明を聞かせていた男が仲間の下に戻ります。 その手には赤ちゃんゆっくりの入った箱を持っています。 「だちちぇええええええええ!」 「おがああああああぢゃああああああん!」 「ゆ゙うううううううううう!」 親から話された赤ちゃんゆっくりは箱の中で泣き叫びます。 しかし、男は慣れているのかまったく気にすることなく、先に準備して待っていてくれた仲間に声をかけます。 「すまんな、遅くなった。」 「きにするない。で、今日はどうだ?」 「大量、大量。」 そういって箱を揺すります。 「「「や゙め゙ぢぇ゙え゙え゙ええええええええ!」」」 「今日は一人一匹で大丈夫そうだな。」 男達は今日の収穫を喜びます。 男達の前には油を引いた鍋がありました。 男が説明しているときに火をつけたのか、油が飛び跳ねており、その熱さを物語っていました。 「んじゃいれるぞ。」 「おう、油を飛び散らせないようにな。」 箱を持っていた男は赤ちゃんゆっくりを箱から鍋に移します。 赤ちゃん達は助かったと顔を綻ばせて油の敷かれた鍋に落ちました。 「あ゙ぢゅいいいいいいい!」 「ぎゃあああああああああ!」 「ゆ゙っぐり゙いいいいいいいい!」 急に足元を襲う熱さに赤ちゃんゆっくりは逃げ惑います。 しかし、それを二本の棒が邪魔をします。 「おっと、じっくり焼かないとな。」 菜ばしを持った男達が逃げ惑う赤ちゃんゆっくりを捕まえようとします。 捕まった赤ちゃんは鍋に押さえつけられました。 「ゆ゙ぎゃああああああああああ!」 「ゔぎぇええええええええ!」 「ゆ゙っ!、ゆ゙ゅ!ゆ゙!」 そんなやり取りを数分繰り返すと、赤ちゃんゆっくり達は綺麗に焼きあがりました。 「どうやらできたな。それじゃ、いただきますっと。」 男達は赤ちゃんゆっくりを熱さに気をつけながら口に入れます。 赤ちゃんゆっくりを味わった男達の顔はみなしあわせそうでした。 「やっぱりうまいなぁ。赤ちゃんゆっくりは。」 「この仕事をやってる人しか知らない秘密だけはありますよね。」 「普通は気味悪がってたべねぇからな。こんなにおいしいんだが。」 「みんなが食べると俺達の仕事が無くなっちゃいますよ。」 談笑しながら赤ちゃんゆっくりを味わう男達。 鍋からはだんだんと赤ちゃんゆっくりが居なくなっていきました。 「ゆぐっ!おかーしゃんくさいよ!」 「がまんしてね!たべないとこのままだからね!」 「ゆ゙うううううう!」 建物の中では生ごみの臭いを何とかしようとゆっくりたちが生ごみを必死に食べていました。 しかし、食べても食べても生ごみは減りません。やっと減ったと思ってもまた新たにゴミが落ちてくるのでした。 「ゆぎゅうううう!もっどゆっぐぢじでね!」 「ま゙り゙ざだぢはまだゆっぐりじでないよ!」 「うう、おぇ゙ええええ!」 「れいむ、がんばってね!」 「ゆううううう、まだぐざぐなっだあああああ!」 そんなゆっくり達の悲鳴も聞く人は誰も居ません。 臭いで死ぬことはなく、傷つくこともないこの場所ではなかなか死ねないゆっくり達は少しでもゆっくりしようと必死で生ゴミを口に含みます。 それが無駄な行為であることにゆっくり達は死ぬまで気づきませんでした。 今まで書いた作品 ゆっくり水攻め ゆっくりの川流れ 天井のゆっくり ゆっくりまりさの水上生活 ゆっくり訓練 ぶるぶる とりもち 子ゆっくり きめぇまる 湖のまりさ このSSに感想を付ける
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〈崩壊ゆっくりずむ〉 歌うゆっくりこと、ゆっくりずむりばー。常にるなさ・めるぽ・りりかの三種×一匹ずつがセットで行動する。 それぞれ弦楽器、管楽器、鍵盤および打楽器に似た鳴き声を出すことができ、美しいハーモニーで歌う。 その歌声はゆっくりゆゆこなどの捕食種すら魅了するという。 そんなゆっくりずむりばー三姉妹が楽しそうに歌っているところを発見した我らが虐待お兄さん。 まわりのオーディエンスゆっくり達とともに、しばしライブを楽しむ。 さて、ここからが本題だ。歌う三匹の帽子を素早く剥ぎ取り、シャッフルしてまたかぶせる。 るなさの帽子をめるぽに、めるぽの帽子をりりかに……といった具合だ。これを繰り返す。 途中で気付かれ抗議されるが、「ほら、みんなゆっくり歌を聴きたがっているよ」と言えば たやすくごまかされ、歌う方に集中するので問題ない。 三匹の帽子を延々とシャッフルしていると、初めのうちはなんともないが、 だんだん固有のはずの音色やメロディが混乱してくる。 本来るなさが歌うベースラインをめるぽがラッパの声色で歌ったり、 りりかがめるぽのソロを横取りするも、パーカッションの声色でメロディを奏でようとしたり。 聴衆のゆっくりも不審に感じざわめき出す。 そうなったところで今度は質問責めにし、自己同一感を混乱させる。 「キミはだれ?」 「ゆっ……り、りりかだよ!」茶色い髪のゆっくりが応える。 「でも、キミは『るなさの帽子』をかぶって、『めるぽのパート』を 歌っているじゃないか。りりかなんて子、どこにもいないよ」 「ゆ゛う゛う゛ぅっ!?」 餡子脳に考えさせる隙を与えず、三匹に次々と言葉で揺さぶりをかけていく。 どんどん壊れていくハーモニー。聴衆ゆっくりのブーイングも、焦りに拍車をかける。 そのうち、 「じゃあそっちの、『めるぽの帽子』をかぶって、『りりかみたいに』歌っている子はだれ?」 との質問に、 「ゆ゛! る、る……り……りりぽ? めるさ!? う、う゛う゛ぅ~」とか、 「りりりりかは、りりかは……りりかじゃない? けど? り゛り゛か゛のはずだよ゛お゛お゛ぉ!!」とか、 「めめめmmmるにゃさ笹りかかkkkkぽぽppqq¥@*! !!」とか言い出したので、 最終的には三匹とも自我が崩壊するところまで追い詰めてやった。 「あぁぁ! わ゛か゛ら゛な゛い゛!じぶんがわ゛か゛ら゛な゛い゛よ゛お゛ぉ!!!」 ちぇんかよ。 (終) このSSに感想を付ける