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幻想郷の辺境。様々なゆっくり達が住むそこはゆっくり達の楽園と呼ばれていた。 いくつかの群れが集落を築き、その集落同士が更に合併して、クニとなる。 ドスまりさ率いるゆっくり国最大の国、ドマリカ国は奴隷ゆっくりや一般ゆっくりを貴族ゆっくりなるものが支配するゆっくり王政。 数匹のゆっくりぱちゅりーが指導者となり、ゆっくり皆平等の理念の元、少数精鋭によって確固たる地位を築いている生クリーム共同体。 古来より生クリーム共同体と友好関係にあり、教祖けーねの一族によって治められる神聖けーね教国。 そして、日和見主義のえいえんてぃー国。これら4カ国が現在の有力なクニである。 各々のクニには各々の掟があり、時に友好的に、また、時に緊張感を帯びた関係を構築していたのだ。 しかし近年。ドマリカ国のトップに一匹のドスまりさが君臨した事によってクニの間に衝突が増えてしまう。 ――ドマリカのトップに立ったのは、ドスはドスでもドゲスと呼ばれる邪悪な固体だったのだ! 〜〜第六回・よんかこくしゅのうゆっくりかいぎ〜〜 「むきゅー……まりさ。せつめいしてくれる? さいきんあなたのクニのゆっくりたちにごはんをとられるゆっくりがふえているの」 「おいどんのところもそうったい! こどもたちもあんしんしてゆっくりできんけーね!」 ドゲスまりさに詰め寄る二匹のゆっくり。生クリーム共同体のリーダーであるゆぱちゅりーと神聖けーね教国の教祖・けーねである。 二匹は自分のクニのゆっくりが謎のゆっくりによって虐められたり、或いは襲撃されたり、もしくは連れさらわれたりする事に頭を痛めていた。 そして、密偵を放ち賊を探ると、それらはドマリカからやって来ているのを突き止めたのだ。 「ゆっ。そんなことまりさは知らないんだぜ! じぶんのところのゆっくりもかんりできないおまえたちはボスしっかくなんだぜ!!」 にやにやと笑うドゲスに、遂にけーねの怒りが爆発する。 頭から突き出したとんがりホーンをもって、ドゲスへ体当たりを仕掛けた。 けーね種が本気になり、キモけーね種となった時に生えるそれこそ、いかなるゆっくりをも貫いてきた最強の武器、とんがりほーんなのだ。 しかし、それは並のゆっくり相手の話。ドゲスを捉えたはずのとんがりほーんは一撃で砕け散ってしまった。 「お、おいどんのキモくないとんがりほーんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「キモくないとんがりほーんだってさ」 「おお、きもいきもい」 「むきゅ!? けーね、だいじょうぶ!?」 ショックから白目をむき、泡を噴いているけーねの元に、駆け寄る(ぱちゅりーなので遅いが)と、けーねの顔をぺろぺろと舐める。 とんがりほーんは他のゆっくり種を貫く必殺の武器であり、けーね種のプライドでもあるのだ。 それが粉々に砕けてしまったとなればその精神的なダメージは計り知れない。 「むきゅーっ!?」 そしてぱちゅりーは背後から襲い掛かってきたえいえんてぃのてるよによって弾き飛ばされる。 この会議は、初めから罠だったのだ。 「ゆっふっふ……おまえたちがいなくなれば、おまえたちのクニをうばうことぐらいわけないよ! それにおまえたちはいつもべたべたしてきもちわるいよ!!」 ぱちゅりーとけーねは親友だった。 同じくクニを背負って居たから気が合うとか、そういうのではない。けーねもぱちゅりーも、同じように知性的な相手を慕っていたのだ。 「け、けーね……む、むぎゅうう!?」 そんな友人の前で 「ゆっへっへ! おまえはきょうからまりさのどれいだぜ! まずはまりさをんぎもっぢよぐさぜるんだぜぇぇぇぇ!!」 ぱちゅりーは 「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ずっぎりじたぐないぃぃぃぃ!! す、すっきりーーーーー!!」 強制的にすっきりさせられる。 悪夢のような時間の果てに―― 「ゆっふっふ……すっきりもできたし、ついにらくえんとーいつにむけてうごきだすぜ!!」 「むきゅっ、けーね。けーねのあかちゃん、がんばってそだてるわ」 ぱちゅりーは現実から目を逸らす事を決めた。 〜〜侵攻〜〜 ドマリカによる侵略はゆっくりでは考えられないほどの恐るべき速さで行われた。 まず、手始めにドマリカの誇る奴隷決死隊の襲撃によって生クリーム共同体の集落の一つが侵攻された。 「おかーじゃーーーん!!」 連行されていく赤ゆっくり達は洗脳と言う名の教育を受けさせられて立派な労働力へ。 「むぎゅううううう!! だべだいでぇぇぇぇむぎっ!?」 抵抗したゆっくり達は慰み者兼食料へ―― 本来ゆっくりは共食いを禁忌としているはずなのに、何故? それはこの奴隷ゆっくりたちの生活にある。 ぎりぎりまで食料を与えられず、兵ゆっくりに楯突けば数匹にじわじわと嬲り殺され、その死骸が奴隷ゆっくりに配給される。 ごく稀に配られる仲間の死骸は甘美だった。しかし、共食いをすれば殺される。奴隷達のストレスはいつもギリギリだった。 だからこそ、合法的にゆっくりを食える戦争が奴隷達は大好きなのだ。 「むーしゃ、むーしゃ」 「うっめ! これむっちゃうっめ!!」 こうして、ドマリカは死を恐れない労働力兼兵隊を得る。 その上、働きぶりを認められれば平ゆっくりになれるかもしれない。 そんな期待もあり、奴隷達の士気は圧倒的に高かった。 「……むきゅ……」 集落の長である年老いたぱちゅりーは、集会所の外で起きている惨劇にただクリームを零すだけ。 「ゆっ! こうなったらぎょくさいかくごでたたかうしかないぜ!」 「だめだよ! まだなにかほうほうがあるはずだよ!!」 若いまりさが叫ぶ。侵攻の際に妻と子を失ったまりさは徹底抗戦を主張し、対するれいむは別の手を考えるべきだと主張する。 老ぱちゅりーは悩んでいた。ここで玉砕覚悟で戦い、クニへの侵攻を少しでも遅らせて散るべきか。 それとも、何か他の――起死回生の一手を考えるか。 そんな時、一匹のゆっくりがおもむろに立ち上がる。 「ちぇんがたすけをよびにいくんだねー。わかる、わかるよー」 震えながら立ち上がったちぇんは目から餡子を流し、言う。 自分が助けを呼びに行くと。強いゆっくりに助けを求めに行くと。 老ぱちゅりーはむしろ助けにいくのは死にに行くようなものだと説得をしたが―― 「でも、このままだったらみんなゆっくりできないよー。だから、ちぇんはみんながゆっくりできるように、がんばるよー。わかってねー」 真夜中。 表のゆっくり達が静まり返ったのを確認して、集会所の入り口が開かれた。 ちぇんは帽子の中に保存食である干草を詰め、必ず仲間達のもとにもう一度帰ると心に誓い、跳ねる。 ひたすらに助けをもとめて。 「ゆっ!? おいしそうなのがにげたよ!」 「おいかけるんだぜ! あいつをどれーにしてやるんだぜ!!」 追いかけてくる無数の兵ゆっくり。 「つかまるわけにはいかないんだねー! わかるよー!!」 途中、小枝などで体を切りながらも、ちぇんは止まらない。 ひたすらドマリカの兵ゆっくりから逃げる。 水溜りを飛び越え、小山を乗り越え、竹林を踏み越えて。 ひたすらに、追っ手から逃げた。 体から餡子がこぼれ、自慢の尾は千切れかけ、意識も朦朧とした状態のちぇんを巡回中だったみょんが発見したのは不幸中の幸いだった。 「たいちょう! このこはたしかとなりのクニのしゅうらくのこだちーんぽ!」 斥候ゆっくりのみょんがちぇんの尻尾を咥えて前線基地という名の洞穴に戻ってくると、俄かに洞穴の中が騒がしくなる。 隣のクニ。生クリーム共同体のゆっくりが何故これほどボロボロになってここに流れ着いたのか? 疑問はすぐに解決される事になる。 「ゆっ!! たいちょー! ゆっくりできないこたちがうろうろしてたからゆっくりつかまえてきたよ!」 ひょいっと放り込まれる三匹の追っ手。 追っ手はまりさが二匹にれいむが一匹。れいむは餡子脳でありながら危機を察知しているのかガタガタと震え、まりさ達は何の自信かニヤニヤと笑っている。 「はやくまりさたちをかいほうしてね! それとおいしいごはんをよういしてね!!」 ごくごく標準的なゆっくりの反応に、前線基地のゆっくりたちは不快感を露にする。 神聖けーね教国において標準的な、いわゆる本能のままにゆっくりすることは悪徳とされているのだ。 「たいちょー! こいつらわるいゆっくりだちーんぽ! やっつけるぺにす!!」 ぷーっと膨らみ、怒りを露にするのはこの前線基地一番の古株である顎に傷のあるみょんだった。 傷みょんが憤るのも無理は無い。かつて、このみょんの家族は悪いゆっくり達に殺されてしまったのだから。 「おちつくんだぉ。こいつらをもっこもこにするのはかんたんだぉ。でも、すぐにもっこもこにしたらじょーほーがてにはいらないぉ? じょーほーはだいじだって、けーねもいってたぉ」 隊長とよばれた一匹のゆっくりが追っ手三匹にゆっくりと近づいていく。 それは追っ手のゆっくり達が見たことの無いゆっくりだった。 白っぽい髪に紅い目。ゆっくり達の中でもてるよやえーりんといった珍種に並ぶ珍種。 ゆっくりもこたんである。 「さ、おまえたちのしってることをさっさとはくぉ。そうすればけーねきょうてんにのっとっていのちのほしょうはしてやるぉ」 見たことの無いゆっくりに困惑し、更に警戒する追っ手れいむ。ところがあろう事か追っ手まりさ二匹はもこたんを畸形か何かだと思ったらしい。 ゆへへと下卑た笑いを浮かべ、周りのゆっくりを嘲笑う。 「こんなできそこないがりーだーなんて、ばかなの? まりさならこんなやつよゆうでかてちゃうよ!」 「ペニッ!? おまえ、たいちょーをぶじょくするちんぽ!?」 「かまわないぉ。あいてになってやるぉ」 口調は変わらないように振舞ってはいるのだが、その目から怒り浸透しているのが良くわかる。 こんなに恐ろしいもこたんを見たのはひさしぶりだった。 「ゆっへっへ! おまえなんかまりさのますたーあたっくでいっぱつだよ!!」 追っ手まりが飛び掛る。 もこたんはまりさに背を向けて目を瞑った。 コイツはやっぱり出来損ないのゆっくりだ。まりさはそう確信して大きく口を開ける。 が、その時もこたんの髪の中から綺麗な火が噴出したのを、不幸にもまりさは見てしまった。 ふじやまヴォルケイノ。 珍種であるもこたん種の持つ特殊な力。 髪の中にある噴出口から発射されるそれは人間たちから見れば花火のようなものだが、ゆっくりにしてみれば火柱も同然だ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づぃぃぃぃぃぃ!!」 顔面を焼かれ、もがき苦しむまりさに近づき、更に念入りに焼いていく。 凄まじい光景を見て二匹の追っ手ゆっくりは身動きが取れぬほどの恐怖を感じていた。 「おまえたち、こうはなりたくないぉ? だったらしってることをはくぉ」 ぼしゅっと噴出孔から火花を散らし、二匹を睨みつける。 排泄餡子を漏らしながら、二匹は知っている事をぽつぽつと漏らし始めた。 「……ち……んぽ……」 けーねが死んだ。そしてぱちゅりーは完全に敵の手に落ちてしまっている。 その事実を知ったみょんは言葉を失っていた。いや、他のゆっくり達も。 「……このことをとなりのクニのぱちゅりーたちにつたえるぉ。それと、けーねのこどもたちにも」 「たいちょう! そうしたらどうするちーんぽ!? みょんたちはどうすれば……」 「おちつくんだぉ! ――もこたんたちはわるいゆっくりたちをできるかぎりくいとめるぉ。このきちのみんなをすぐにあつめるぉ!!」 もこたんの号令を受け、伝令役のちぇんが弾かれたように走り出し、手当てを受けていたあのちぇんにもこたんが近寄っていく。 「……このからだで、よくがんばったぉ」 「……みんなが、ゆっくりできればいいよねー……わかる、よー……」 手当てはされているが、恐らくもうこのちぇんはもたないだろう。 まだ若いちぇんの命を無駄にする事はできない。 もこたんは手勢を引き連れ、ちぇんのいた集落の救援に向かう事にした。 「お、おねがいだよ! みんな、れいむもいっしょにゆっくりさせてね!!」 二匹の追っ手を前線基地に残った守備隊たちが囲む。 その目には皆激しい嫌悪感が浮かんでいる。そして、この二匹のゆっくりにもこたんの下したのは死刑宣告。 「おまえにはみずぜめ、そっちのまりさには――ふるこーすだよ!!」 「「「ゆっくりくるしんでしんでね!!」」」 「「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」」 別々に洞穴の奥に連れて行かれる二匹。 けーね経典に則ると罪を告白したゆっくりには情状酌量の余地が与えられるはずなのだが。 そこはステキな餡子脳。仲間とも言えるようなゆっくりを殺された事によって経典なんかすっ飛んだのだろう。 もこたんの“好きにするがいいぉ”の言葉を拡大解釈した結果そうなった。 「れいむ、のどかわいてるでしょ? いっぱいみずをのませてあげるね!」 無理やり口を開けさせられ、強制的に口移しで水を飲ませられる追っ手れいむ。 初めのうちは固定されている恐怖から涙目になっていた追っ手れいむだが、飲み物を貰えるとわかると安心したらしい。 「ゆっ! もうおみずはいいよ! こんどはごはんをもってきてね!」 だが、拷問をするゆっくり達は代わる代わる水を強制的に飲ませるのを止めない。 これこそけーね経典にある“ゆっくり水責め”である。 「ゆ゛っぷっ! もう、おみずいらないいいいい!! んぶっ!?」 それでも尚、水を飲ませ続け、限界寸前まで膨らむれいむ。 頃合を見計らって、拷問ゆっくり達のリーダーであるらんしゃまは拷問ゆっくり達を止めた。 「もういい! みんないっかいおみずをとめろ!」 ようやく助かる。れいむの心に僅かに希望が浮かんだ。 これが終わったら、なんとかしてここから逃げてゆっくり暮らそう。 そう思っていたれいむの体を突如らんしゃまが押し始めた。 「ゆっ!? す、すっきりしたいの……? いいよ、れいむですっきりしても……」 が、らんしゃまは体を離すと傍にあった棒を咥え、それで思い切りれいむの体を押し込みんで揺すり始めた。 「ゆゆゆゆゆゆ! す、す、す――うぼぉげぇぇぇぇえぇえええ!!」 途端にれいむの口から噴出す大量の水と少量の餡子。 「よし。もういっかいみずをのませろ!」 また、拷問ゆっくり達が水を口移しでれいむに飲ませていく。 この責めは、れいむが死ぬまで終わらない。 戦いは始まったばかりだ。 つづくかも このSSに感想を付ける
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『俺が、ゆっくりだ! 9』 ・「俺がれいむでれいむが俺で」的設定です ・俺の考えたことは、ゆっくりでもわかる語彙であれば自動的に翻訳されてれいむが喋りやがります ・見た目、性能はゆっくり、頭脳は人間です ・「その8」を読んでいないとよくわからないかと思われます 十六、 「ゆっくりしていってね!」 『「「ゆっくりしていってね!」」』 「ゆ~、よくねたのぜ」 「わかるよー…きもちいいあさなんだねー」 『ゆっくりごはんさんむーしゃむーしゃするよ』 「むきゅっ。みんなでむーしゃむーしゃしたら、きのうのつづきをがんばりましょう!」 『「「ゆっくりりかいしたよっ!!!!」」』 …。 ………ッ?! いや、ちょ、待っ…。うわああああああああああああああああああああああ!!!! 『ゆわああああああああああああああああああああああ!!!!』 「むっきょおぉぉぉぉ??!!!」 「れいむ!!どうしたのぜっ?!ゆっくりおちつくんだぜっ?!」 「まりさー!ぱちゅがえれえれしてるんだねー!!!」 今、俺、ほぼ、ゆっくりだった!!!!限りなくゆっくりに近い何かになってた!!!!感化されすぎだろ、オイ!! 普通に朝食にキノコ出されたから、普通に何も疑問に思わず団欒しちまったじゃねーか!!!!あぶ…あぶねぇ!危なす ぎるだろ、マジで。 「ぱちゅうぅぅぅぅぅ!しっかりするのぜぇぇぇぇぇ!!!」 げっ…ゲロ袋が白目剥いて、クリーム吐いてやがるっ!!!朝からとんだハプニングだな…!…俺のせい、だけどよ。 『ゆっ…ぱちゅりーがなかみをはいてるよっ!あさからゆっくりたいへんだねっ!!』 久しぶりにナメた翻訳してくれやがった!この腐れ饅頭型自動翻訳機がああああああぁぁぁぁぁっ!!!! 「れいむのせいでしょおおおぉぉぉぉぉぉ??!!!」 返す言葉もない。 「む…むきゅっ、むきゅっ」 あ、起きた。良かった。死んだかと思った。 「れいむはたまにおかしくなるけど、いまのはいくらなんでもおかしすぎなのぜ」 「れいむー?ぐあいがわるいならちぇんにもおしえてねー?」 『ゆっ…な、なんでもないよ!』 そんなに心配そうな目で見ないでくれ。逆に恥ずかしい。本当になんでもないのに、周りがやたら心配して事が大きく なったりしたときって、もうどうしようもないくらいやりづれぇんだよな…実際。いや、それより… 『ゆっ!そんなことよりぱちゅりーをやすませてあげようねっ!』 俺が言うのもかなり、おかしな話だが言わないことにはゲロ袋が自滅してしまいそうだったから、言わざるを得なかっ た。目覚めたばかりのぱちゅりーをすぐさま横にして、看病を始めるまりさとちぇん。本当に仲間を思いやる気持ちは、 人間顔負けだな…。馬鹿だけど人情には熱いのがゆっくりだからな。その人情の熱さを利用して、苛めぬくのがまた最高 に快感なんだが。 ふむ…この森に来てから、“俺”も含めてこいつら働きっぱなしだもんなぁ…。ぱちゅりーはもちろん、まりさもちぇ んも…昨日は気づかなかったが、疲労の色が濃い。確か今日は土曜日のはず。この姿になったのがちょうど月曜日だった から…うわぁ…長いことゆっくりやってんなぁ、俺。笑えねぇ。ふむ…。 『きょうはいちにちゆっくりしようね!』 1日、ゆっくり。この言葉はまりさとちぇんにとって、まさに魔法の言葉だった。1日中…ゆっくりする。それは野良 ゆっくりになってから、1度たりともできなかったことだ。 「ゆ…ゆゆゆ…ゆっくり~~~~~~~!!!!!」 「わかるよ~!ゆっくりできるんだねぇ!!!!」 饅頭共も嬉しそうで何より。まぁ、どうせゲロ袋の看病で1日終わるんですけどね。休日出勤、乙。 そんなこんなで、ようやく顔色のよくなってきたぱちゅりーがすぅすぅと寝息を立てている。すぅすぅと寝息を立てて いるのに、 「すーや、すーや…」 口ずさんでいる。ある意味、本当に器用なことを平然とやってのける生き物だな、こいつらは。巣穴の外からは、 「ちょうちょさん!まってね!ゆっくりまりさにたべられてね!」 まりさが蝶々を追いかけまわしているのか、能天気な声が聞こえてくる。ちぇんも欠伸をしながら、 「のーびのーびするんだねー」 普段の顔(体?)の2倍くらいに伸びやがった。やっぱこいつら化け物だわ。そっちのほうが「ぷくぅ」より効果ある んじゃないか? しかし…切羽詰まってるときはともかく…ゆっくりしているときの、ゆっくりってのは…なんというか…本当に…馬鹿 だな。あんまり馬鹿なことやってるから、ついつい殺したくなってきちまったぜ。まぁ…こいつらにはそんなことはしな いけどよ…。甘くなったもんだぜ、ホント。…ゆっくりすればするほど、馬鹿になる。これで論文書けないだろうか? 明日、1日かければ野菜畑の体裁はできあがるだろう。それが終われば次は川の水を畑の近くに引く。植えた野菜の種 に水をやるには、ちょっと遠いからな…。水場としてはかなり近くにあるんだが…。ちょっとでも便利さを求めるために 動く、って思考回路は饅頭共にはないだろうから…。指示を聞いてくれるだろうか?まぁ、聞かなかったらそんときゃそ んとき。最悪、1人でもできるさ。 人間のときだとすぐ二度寝とかするのに、この姿になってからというもの、早寝早起きが徹底されている気がする…。 本能的にというかなんというか…。それ以前に夜更かしする理由がないのもあるかもな。暗くて何も見えないし、単純に 毎日疲れ切ってる、っていうのもある。 暇だな…。散歩がてら川の水をどこから引くか考えに出るか。 『ゆっ。れいむ、おさんぽにいってくるね!』 「わかったよー!きをつけてねー!」 『ずーりずーり…』 この行動を声にする、っていう機能も結局謎のままなんだよなぁ…。底部…つまり、あんよを這わせながら森の中を 移動してるのに、皮が破れないのはどういう理屈だ?アスファルトの上を歩いてたときは、すぐに痛くなったのに。… ま、まさか…皮が強くなってきてんのか?そりゃ裸足で歩けば足の裏は鍛えられたりするけど…。…っと。さすがに傾 斜を這って登っていくのは無理だな。…この後、“俺”はこう言うだろう。“ぴょんぴょんするよ”と。 『ぴょんぴょんするよっ!』 はい、正解。初めてジャンプして移動するのを覚えたのは、母さんから逃げるときだったか…。あのときは焦ったな ぁ…本気で死ぬかと思ったよ…。 ………え? 「としあき!頼むから落ち着いてくれ!!!」 「もうやだぁ!おうちかえるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 「だ、だから家に帰る、って言ってるのに…っ!!!」 な…ん、だと?…嘘だろ…?あれは…父さん…?車もある…し。見えにくいけど、助手席に座ってるのは…母さん? 『ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛?』 登り切った小高い丘の下に、俺の姿になっているのであろう“れいむ”がいた。予想はしていたが、なんてザマだ。 れいむの姿の“俺”が人間としての尊厳を守ろうと必死に頑張っていたというのに、あのクソ饅頭はどうだ。明らかに ゆっくりじゃねぇか…。ていうか、どう見てもあれは俺の姿をした廃人です、本当にありがとうございました。 「いい加減にしろ!!!!!」 乾いた音が俺の耳に届いた。凄まじい平手打ち…。父さん…ゆっくりを潰したくなる気持ち…少しでもわかってくれ たかい?でも、あんまり俺の体を叩いてやるなよ…。元に戻った時、すげぇ痛そうだから。 …なんて、言ってる場合じゃない!とりあえず、あのクソ饅頭とコミュニケーションを取らないことにはどうにもな らん!実の父親が目の前に立ちふさがっているのが非常に恐ろしいが。 慌てて、丘を駆け降りる。 『ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!』 千載一遇。どうやって、“れいむ”と接触しようか考えていたが、まさか向こうの方からやってくるとは思わなかっ た。このチャンスを逃してしまったら…一生、この姿のままでいることになるような気がする。それだけは…あっては ならないことだ。 もう、“れいむ”と父さんは目の前だ。深く深呼吸をして、大声を張り上げる。 父さん!!!!!俺だよ!!!!! 『ゆっくりしていってね!!!!!!!!』 ばかああああああああああああああああああ!!!! 『ばかああああああああああああああああああ!!!!』 「ゆゆっ?!」 「どいつもこいつも…馬鹿にしやがって…っ!!!!」 反応の対比は素晴らしいが、ちょっと待て、父さん!それから翻訳最低ッ!!!! 『ゆっ!さいていのくそじじい!ゆっくりしないでまってね!!!!』 嫌がらせ?語順がめちゃくちゃだろ、この翻訳機っ!!!何をどう思っても、相手を挑発するようにしかできてないっ てのかよっ!!!たまらねぇな、オイ!!!! 宙に浮く俺。 『おそらをとんでるみたい!!!』 髪を掴まれてるのがすんげー痛いんだが…ッ!ちょ!ギブ、ギブ!!! 『いたいよ!やめてね!ゆっくりはなしてね!!!』 「死ね!」 と、父さん…ちょっとカルシウムが足りなさすぎなんじゃ…。高速で腕を振り下ろす父さん。マジっすか??!!!! 『どぼじで??!!!!』 『ゆっぎぃぃぃぃっ!!!!!』 叩きつけられる。…叩きつけられた…はずだが…そんなに…痛くない…。 「ゆぅぅぅん!!!ぺーろぺーろ…っ!!!」 なんと…“れいむ”が“俺”をかばって…?!正直助かった…。あのスピードで地面に叩きつけられてたら、即死だっ たぜ…。…って…、ん? ほああああ?!“俺”が俺の姿の“れいむ”に舐められているっ?!俺は後世まで語り継ぐことはないだろう。自分に 舐められる、という滅多にできない経験を。 「と、としあきっ!!!よせ、やめろ!!!」 ですよねー…!“れいむ”の腕を掴んで“俺”から引き離す。 「れいむー!れいむー!!れいむのからだ、ゆっくりしないでかえしてね!」 今、すごく重要なセリフを“れいむ”が言ったんだが、父さん、全然聞いてませんね。そんな殺意のこもった視線を実 の息子に向けないでください。大変、悲しいです。…チッ!こうなったら…っ!!! 『にんげんさんっ!!ゆっくりしないでまたここにきてねっ!こんどはあまあまさんちょうだいねっ!!!』 “れいむ!今度はオレンジジュースか何か持って、もう一度ここに来い!”…って言ったつもりがこれだよっ!!!! 理解はしなくてもいい。とりあえず、あいつに…“れいむ”にもう一度ここに来るよう仕向けなければならない。 遠くで、父さんが何か叫んでいる。“俺”に罵声を浴びせているのだけはわかった。 そして、思い出した。 俺が、ゆっくりになってしまう直前の出来事…。あの日、何があったか。ファンタジーもクソもねぇ。よくあるかは知 らんが、よくある話だ。…多分!この場合、元に戻るためには、あのときと同じことをしなければならない。だが、この 身長差では、“それ”を行うのは不可能。…どうする?“れいむ”がいつここに来るか…。そもそも、来るかもわからな いが…それまでに解決策を見つけないと…っ!!!! 巣穴へと引き返す。まりさと目が合った。まりさが何か叫んだような気がした。まさか、父さん…追いかけて?! “俺”は思いっきり…4回転半くらいしながら空中に投げ出された。後頭部に激痛が走る。美しい放物線を描く途中の “俺”の視界に、これまで見たことのないゆっくりが入ってきた。 狂気に染まった紅い瞳。赤やら青やら黄色やら…宝石みたいなものがくっついた翼…のようなもの。そして何より…れ みりゃと同じような…キバ。キバは、れみりゃのそれよりも…すごく…大きいです…。 「ふらんだああああああああああああ!!!!!」 まりさの絶叫が耳に入る。 なんとなくだが、理解することができた。目の前にいるのは…多分、捕食種。あの常に笑顔を崩さなかったれみりゃの 表情とは対照的に、殺意しか感じることのできない形相。俺の結論はこうだ。あいつの名前は…。ふらん。 最強の、捕食種。 十七、 『ゆべしっ!!!!』 今度こそ地面に叩きつけられる“俺”。痛ぇ、これは本当に痛ぇ!!!まりさと、巣穴から飛び出してきたちぇんが駆 け寄る。 「れいむ…れいむぅ…」 まりさがすでに半泣きだ。いつもの威勢はどうしやがった、クソ饅頭。 「わかる…よー…。ふらんにあったら…たべられるしかないんだねー…」 おいおい、れみりゃも捕食種だろ?れみりゃからは逃げようとしたのに、ふらんからは最初から逃げられないみたいに 思ってんのか?確かに一撃のダメージは相当なもんだったが…。よく見たら、ちょっと厳つい表情のれみりゃの色違いな だけじゃねーか。…なんていうか、れみりゃがキメラなら、ふらんはメイジキメラみたいなもんじゃないのか? 「……しね」 『ゆぐぅぅぅぅっ?!」』 「いだいの゛ぜぇぇぇぇ!!!!」 「に゛ゃあああああ!!!!」 ま、待て待て。何が起こった?顔面になんか衝撃が走ったと思ったら、いつのまにか“俺”もまりさもちぇんも吹っ飛 ばされたぞっ?! ふらんが攻撃を開始する。一瞬で、また、まりさが突き飛ばされた。そして、次の瞬間には、ちぇんの尻尾をくわえ宙 にぶら下げていた。 ………(°Д°)ハァ?! 「までぃざのおがおがあああああ!!!」 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛ーーーーー!!!!」 …速過ぎる。れみりゃとは比較にならん。メイジキメラどころじゃない。こいつはスターキメラだ。レベルが違いすぎ る。どう考えてもチート設定だろ。ていうか、俺個人の意見としてはこんなのゆっくりなんかとは認めん!そりゃ見たこ とないわ。人間に捕まるはずがねぇ。飛ぶし速いし凶暴だし。ぶっちゃけ幼稚園児くらいならケガさせられるんじゃない か、こいつ。 ちぇんをまりさに叩きつける。2匹は悲鳴を上げ、涙を流していた。だが、そこは巣穴入り口の近くだ。 『まりさ!ちぇん!!ゆっくりしないですあなのなかにかくれてね!』 ふらんが“俺”のほうを睨みつける。“俺”に背中があるかは知らんが、今、確かに背筋が震えた。 「れいむはどうするのぜっ?!」 『ふらんを…やっつけるよ!!!!』 ああ。正直無理かも。ふらんが一瞬で“俺”目がけて飛来する。ゆうかの真似をしてカウンターで合わせるつもりだっ た。まずはその羽根を引きちぎって、飛ぶことができなくなるようにしてやるぜ!! 『まずははねさんをちぎってとべなくするよ!』 作戦バラしてんじゃねぇよクソ翻訳機があああああああああああああ!!!!! ふらんが顔を90度ひねり、太く鋭いキバをまるでナイフのように振りかざす。“俺”は思いっきり顔を横に振り、そ れをかわした。…つもりだった。 『れいむのもみあげさんがあああああああ!!!!』 どうでもいいわ、そんなもん!今のは本能の声なのか?確かに右の揉み上げは今の攻撃でスッパリぶった切られたみた いだが…。うん。シャレにならなくね? 考え事なんてしてる暇はなかった。“俺”はこいつの…ふらんの攻撃でまた宙を舞った。3度目かよ。落下時の衝撃で 皮が破れないかと思ったが…。だてに森の中を歩き回ってねーぜ。まだ無事と見える。予断は許さんが。皮を破られたら 終わりだ。間違いなく殺される。 元の姿に戻れる可能性が出てきた、ってときにむざむざ殺されてたまるかよ…っ! 「むきゅ!!おうちのなかににげるのよ!」 いつから起きていたかは知らないがぱちゅりーが巣穴の入り口から叫ぶ。 まりさもちぇんもすでに巣穴の中のようだ。こいつは一体どういうつもりなんだろう…?まりさといい、ちぇんといい、 “俺”といい、わざわざ巣穴の入り口近くに向かって突き飛ばしているように感じる。“俺”が巣穴の中に逃げ込む瞬間、 ふらんはニヤリと笑った。 「むきゅ!ふらんはえものをいためつけてからたべるくせがあるのよ」 何ソレ、タチ悪い。…って、ああ…もしかして。 「どうしてふらんがそんなことをするのかぱちゅにはわからないのだけれど…」 恐怖心で満たされたゆっくりの餡子は…甘みが増して美味しくなるからなぁ…。本能でそれをやってる、って言うなら …ふらん…恐ろしい子。 今、ちぇんが必死になって巣穴の裏口を掘っている。その際に出た廃土を使って、“俺”とまりさが入り口側の穴を埋 めていく。何もしないよりはマシだろう。 「ちぇん!がんばるのぜ!!!」 「わかったよー!!!」 高速で穴を掘って行くちぇん。 「…しね…しね…」 マジでホラーだな。巣穴の入り口の内部に侵入してきたのか、土の壁越しにふらんの声が聞こえてくる。ぱちゅりーは がたがた震えながら、尖った木の棒を咥えていた。まりさも泣きながら、必死で土を入り口側に運んで行く。ここが突破 されたら、もう終わりだ。4匹まとめて全滅だろう。 「…む…きゅぅ…」 「ゆっゆっゆっゆっ…」 「こわいよー」 泣きながら、震えながら、それでもこの絶体絶命の状況を何とかしようと、それぞれが動いている。俺はというと、こ いつを倒すことはできないと悟っていたが…1つだけ策を思いついた。ちぇんが今掘っている穴を貫通させ、この巣穴を 脱出したあとに、入り口を壊してふらんを閉じ込めるということ。だが…正気を保つのがやっと、というこいつらにそれ ができるだろうか? 「しね」 土の壁を突き崩しながら進んできたであろう、ふらんの紅い瞳が“俺”たちを捕えた。まりさは成体ゆっくりのくせに しーしーをぶちまけた。ぱちゅりーはこの時点でショック死寸前だ。そんなぱちゅりーから“俺”は木の枝を奪い取ると、 それをふらんの目玉に突き刺した。 「う…っ!!うっがあああああああああああああああああああ!!!!!!」 ふらんの絶叫が、巣穴の中にこだまする。空気がビリビリと振動するのがわかるくらいの大声だった。ようやくふらん に一矢報いたことで、にわかに巣穴の中が活気づく。しかし、“俺”の一撃はここまで…お遊び気分だったふらんの闘争 本能に火をつける結果となってしまった。 「できたよー!おそとにでれるんだねー!!」 ちぇんの掘っていた穴が外に貫通した。ちぇん、ぱちゅりー、まりさの順に巣穴から脱出させる。ふらんはついに土の 壁を壊し、巣穴の中に入ってきた。左目を潰されたふらんは、息を荒くして“俺”を睨みつけている。正直、怖い。震え が止まらない。 『ゆっくりにげるよ!』 高速でふらんが飛びかかってくるのと、“俺”が出口へと向かって逃げ出すのはほぼ同時だった。巣穴の中が狭いので ふらん本来のスピードは発揮されない。それでも、ふらんのキバは、“俺”の左の揉み上げを噛みちぎった。激痛が走る。 『ゆぎぃぃぃっ?!!!』 先ほどのように、切られるのではなく、噛みちぎられた痛みは筆舌に尽くしがたいものがあった。が、それでも振り返 る余裕はない。 光が見える。飛び出す。追ってきたふらんの開かれた口が、“俺”のあんよを捕えようとしていた。だが、 「…っ!し、しねっ!じねぇっ!!!」 思わず振り向く。ふらんの顔にはまりさの帽子がかぶせられていた。目隠しのつもりだろうか。 「…っがあああああ!!!!」 キバと羽根をめちゃくちゃに振り回し、引き裂かれるまりさの帽子。まりさは歯を食いしばって涙を流していた。まり さ種が帽子を失うこと…それは、“死”を意味する。 「れいむ!!!!ゆっくりしないでにげるのぜっ!!!!」 それでも、まりさは“俺”の身を案じてくれた。その意味を理解するのが少し遅かった。ふらんの視界にはもはや“俺” しか入っていない。 『ぴょんぴょんするよっ!!!!』 逃げる方向は丘の上しかなかった。まりさとちぇんが上から土を落としてふらんの動きを牽制していたが、大した足止 めにはならない。高速で、ふらんが羽根を広げて追ってくる。またしても宙に投げ出された。 『ゆっぐぅっ…っ!!!』 一気に丘の上まで放り出される。…話にならんわ…。これは死ぬ。間違いなく死ぬ。ふらんのキバをよけようと、後ろ に飛びのいて… ………え? 『………ゆ?』 そこに地面はなかった。“俺”は真っ逆さまに丘の上…切り立った崖の一部分から落ちていった。ふらんは…追っては こなかった。巣穴の方に戻って行く。…恐らく、あいつらは…ふらんによって…全滅させられるだろう…。“俺”ももう、 助かる見込みはない。 …あいつらのこと…守ってやれなかったな… 薄れゆく意識の中、“俺”は目を閉じた。だが…意識は…いつまで経っても消えることはなかった。恐る恐る目を開け る。“俺”は空を飛んでいた。 『ゆ?…ゆゆっ?』 「うーうー!たすけてやるんだどぉ!」 嘘…だろ?こいつはまさか…森に入ってすぐに“俺”たちを襲ってきて…返り討ちにあった…あのときのれみりゃか?! れみりゃは“俺”のリボンを咥えているにも関わらず、相変わらず器用に喋る。そのとき、閃いた。 『れみりゃ!れいむをふらんのうえまではこんでね!!』 「わかったんだどぉ」 …情けは人のためならず、ってな!起死回生の一発、確かに受け取ったぜ、れみりゃよぉ!!!! 巣穴の前で、ふらんが3匹への蹂躙を行っている。れみりゃは“俺”の言ったとおりに、ふらんの真上で止まる。ふらん は3匹への攻撃に夢中で“俺”の存在に気付かない。まりさが叫ぶ。 「れいむーーーーーーーー!!!!!!!!」 『…ゆっくりしんでねっ!!!!!』 叫ぶ。まりさが、ちぇんが…ぱちゅりーが“俺”の方を見る。ふらんが上を見上げる。“俺”はふらんめがけて絶賛落下 中だ。そして、ふらんの羽根に噛みつき、落下速度を利用して…一気に引きちぎった。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ふらんの゛…ふらんのばでがあああああああああああああ!!!!」 片目を潰され、片方の羽根を失ったふらんが、その場で暴れる。飛ぼうとするのだが、片方の羽根だけではそれは不可能。 それどころか、飛ぼうとすることしか考えていないらしく、何度も何度も自身を地面に打ち付ける結果となった。もはや、 半狂乱状態のふらんに“俺”は体当たりをかまし、巣穴の中に叩きこんだ。 「じねっ!じねえええええええええ!!!!」 巣穴の中でも飛ぼうとしているだけなのか、一向に巣穴の中から出てくる気配はない。 『まりさ!ちぇん!おうちのいりぐちをふたつともふさぐよ!!!!』 「ゆ…ゆっくりりかいしたのぜ!」 「わかったよー!」 ほどなくして、巣穴の入り口は完全に閉じられ、ふらんの声も聞こえなくなった。“俺”は、 『れみりゃ…ゆっくりありがとう』 「たすけてくれたおれいをしただけなんだどぉ」 『れみりゃ…じつはれいむ、もうひとつだけおねがいがあるよ』 「…?」 「「「れいむーーーーーーー!!!!!」」」 れみりゃが飛び去ったのを確認して、すぐに歓声が上がる。やっぱり、れみりゃは怖いか。 3匹が“俺”に駆け寄ってきて、3匹がかりですーりすーりをしてきた。良く見ると、ちぇんの尻尾が1本しかない。ふ らんに噛みちぎられたのだろう。ぱちゅりーも帽子についていた月の形をした飾りを失っている。まりさもまた、帽子をか ぶってはいなかった。よく考えたら、“俺”も揉み上げを左右、共に失っている。 “俺”たちは野生のゆっくりから見たら、すごくゆっくりできないゆっくりなんだろうな。 それでも、“俺”たちは生きている。今は、それでいい。それだけでいい。みんなで…ふらんを倒したのだ。最強の捕食 種を。 そして、同時にそれがゆっくり界の弱肉強食に反していることにも気付かされた。本来なら、“俺”たちはみんな仲良く ふらんの腹の中だった。 こいつらを助けることができたのは、素直に嬉しい。 嬉しいけど…。やっぱり俺はこいつらと一緒にいてはいけないと…思った。 今ならまだ…こいつらとの出会いを…共に過ごした短い日々を…ただの夢物語にすることもできる。 そう何度も…奇跡なんて起こってはいけないのだ。 「ゆっくりやめてね!おろしてね!」 少年は、れいむの髪を掴んで自分の家に持ち帰った。揉み上げがぴこぴこと動いているのが嗜虐心を刺激する。それに 加えてこの情けないツラがたまらない。少年は、床にれいむを投げつけると、思いっきり蹴り飛ばした。部屋の壁にぶつ かって、跳ね返ってくる。 「いだいよ゛おおお!!!れいむ…なんにもわるいごどじでないのに゛ぃぃぃぃぃ!!!!」 「うっせーよ馬鹿」 二度、三度、蹴り飛ばす。三度目に跳ね返ってきたときは、そのままダイレクトで蹴り込んでやった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 その日は日曜日だった。少年の家には誰もいない。少年はゆっくりを痛めつけるのが好きだった。高校生にしてゆっく りを苛めるのが好きとは、とんだDQNだったが、それを理解した上で少年はゆっくりを弄り続けていた。これだけ痛め つけても、れいむは死なない。歯を食いしばり、涙を流し、少年を見上げているだけだ。 今度は、れいむの顔面に四、五発、拳を撃ち込む。 「ゆっくりしたいよーーーーー!!!!!」 泣きながら叫ぶ。 「はははははは」 それがたまらなく可笑しかった。 「ゆっくりの癖に、ゆっくりなんかさせてたまるかよ!俺らが勉強やらでクソ忙しいときに、てめぇらが呑気なツラして “ゆっくりゆっくり”言ってんのがさぁ…」 れいむのまむまむの辺りにつま先で蹴りを撃ち込む。どうやら、まむまむを捕えたようだ。 「ゆがああああ!!!れいむの…まむまむがぁあああああ!!!!」 「俺らがゆっくりできないのに、お前らなんかがゆっくりできるわけねーだろ」 少年は、ゆっくりが“ゆっくりしたい”と願っているのが一番気に入らなかった。 「誰だってなぁ、ゆっくりしてぇんだよ。それをてめぇらは馬鹿の一つ覚えみたいに、“ゆっくりしたい”“ゆっくりさ せて”って…。生意気にもほどがあるわ!特に、“ゆっくりさせて”っていう根性が気に入らないんだよ。てめぇなん かゆっくりさせて誰が得するんだ、っての」 「れいむはぁぁぁ!もりでしずがにぐらじでだだけなんでずぅぅぅぅ!!!」 れいむが餡子を吐き出しながら、悲痛な叫びを上げる。 「知ったこっちゃないね」 笑いながら、れいむを再び蹴ろうとする少年だったが…。れいむの吐いた餡子で足を滑らせた。 (え?) 「ゆ?」 そして、倒れ込んだ少年の頭と、れいむの頭が激突した。 「…ッ?!」 「ゆげぇっ!!!」 一人と一匹は気を失った。 それが、全てのことの始まりだった。 つづく
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※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 ※オリ設定満載です。 ※ぬるいじめです。そして割と愛で気味です 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして私はそんな不思議に満ちた生物とはこれと言った縁もない普通の女子大生だ。 「やっぱり頑張った自分へのご褒美は塩辛に限るわ。む~しゃむ~しゃ、うめ~」 忌々しい試験期間を無事かどうかはまだ分からないが乗り切った私は、昼間っから大学の敷地内のベンチで塩辛をつまみながら、ビールを飲んでいた。 「んぐんぐんぐ・・・ぷはぁ!ZUNビールうめぇ!めっちゃうめぇ!」 彼氏は居ないし、友達も女同士の友情そっちのけで男とデート。 そんなわけで私は一人寂しくビールをかっくらっていた。何で大学でとか、そんな野暮なことは聞くな! 「ゆっくりしていってね!」 「んあ?」 すると突然何者かが声をかけてきた。 声の主のほうに視線をやるとそこには体高20cm程度の、赤いリボンがトレードマークの餡子生命体“ゆっくりれいむ”がいた。 「なんだ、ゆっくりか」 イケメンだったら良かったのに。まあ、イケメンが昼間からこんなところで酒盛りしてる奴に声をかけてくるわけがないんだけどさ。 「ゆゆっ!おねーさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりせざる得ない人だよ、悪いか?」 人間の気持ちなんて何一つ理解しちゃいないド饅頭をねめつけつつ、ビールを胃袋に流し込む。 「ゆ!よかったね、おねーさん!れいむがゆっくりできるおねーさんといっしょにいてあげるよ!」 「そうかい、そうかい・・・そいつはどーも」 鬱陶しそうに、なおかつ投げやりに応えるが相手は所詮餡子脳生物ゆっくりだ。邪険にされていることに全く気付いていない。 そして、ぽよんとベンチに飛び乗って私の太ももに頬を摺り寄せると・・・ 「ねえ、おねーさん!それちょうだい!」 厚かましくも私の自分へのご褒美の塩辛を要求してきやがった。 「だめだめ、あんたにやる塩辛はないよ」 しっし、と手を振ってあっちに行けと訴えるが、れいむは全く諦めようとしない。 「ゆううううう!!」 ぷくぅっと頬を膨らませて私を威嚇し始めた。 結構膨らむのな。見た感じ体積が1.5倍くらいにはなっている。 とは言え、そんなものが私に有効なわけが無い。 「おいおい、人にもの要求するときに態度か、それ?」 苦笑しながら膨らんだ頬を突いてみる・・・・・・柔らかい! 「おおぉ・・・!」 あまりに触り心地が良かったので、調子に乗って突っつきまくる。 「ぽーにょぽーにょぽにょ、アホまんじゅう~♪」 「ゆっ!おえーさん、やめ、やっ、や、ゆっくりっ、やめてね!」 そんな感じで遊んでいると、れいむは相変わらず頬を膨らませながらも嫌そうな表情を浮かべて文句を言ってきた。 「やだ」 満面の笑みを浮かべて即答してやった。 と言うか、そんな風に言われたら・・・やるしかない、って気分になるじゃないか! 「うりうりうりうりうり~♪」 「ゆうぅ~!おねーさん、おねがいだよ!ゆっくりやめてね!」 もう頬を膨らますのを止めていたれいむは、目に少し涙を浮かべながら懇願する。 しかし、そのうっとうしくも愛らしい表情が私の中に眠るSっ気に火をつけた。 「や~だ~」 つんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつん・・・ 「ゆぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅううううううう~!?」 手を止めるつもりが微塵も無いことを悟ったれいむは少しずつ後ずさって行く。 そして、私の手はそれを追いかけながら執拗に頬を突きまくる。 「ゆううううううううう!?」 ぽろぽろと涙を零しながらも必死に後退し続けたれいむは、勢いあまってベンチから落下してしまった。 「ゆぐっ!?」 「あ・・・お~い、大丈夫か?」 落下したれいむの様子を伺うためにベンチから身を乗り出すと、底の部分を空に向けた逆立ちのような格好でれいむがひっくり返っていた。 「ゆわああああああああああん!おねーさんのばかぁ~・・・!ゆっぐ・・・!・・・ゆっぐ」 あらら、大泣きしちゃったよ。 その姿は流石に可哀そうだったし、私自身調子乗りすぎた節もある。 だから、れいむを抱え上げると膝の上に乗せて、頭に怪我が無いか見てあげた。 「あ~・・・ここ、ちょっとコブになってるなぁ~」 「ゆっ!?おねーさん、いだいよお゛お゛お゛お゛!」 どうやらコブに触れてしまったらしく、れいむはまた大声で泣き始めた。 「あははははは~・・・悪い悪い。さっき欲しがってた塩辛あげるから、それで許してくれないか?」 その言葉を聞いた途端、れいむはとても嬉しそうに微笑む。もしかして、私はゆっくりの嘘泣きに騙されたか? まあ、いいかと心の中で呟きながら、塩辛の蓋を開け、箸でつまんで膝の上のれいむの口へ持っていってやった。 「ゆゆっ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆうううううう!?」 れいむは4,5回咀嚼してから、クワッと目を見開いて、塩辛を吐き出した。汚いなぁ・・・そしてもったいない。 「ゆんゆんっ!おねーさん、こんなしょっぱいのたべられないよ!!」 「ん?そうか、口に合わなかったかぁ~」 「ゆぅ!ほかにないの?!」 よっぽど口に合わなかったのか頬を膨らませて怒りをアピールしながらも舌を出しっぱなしにしている。 器用なやっちゃ。 「他?そうだなぁ・・・」 ガサゴソと近所のスーパーの袋を漁ってみると、何故か売っていたジョロキア、たこわさ、焼きスルメ、カカオ99%のくそ苦いチョコレート、メントスとダイエットコーラなどが出てきた。 あとは500mlのZUNビールが4本ほど入っている程度だ。 「じゃあ、たこわさでも食うかい?」 「ゆぅ?それおいしいの?」 「ああ、美味しいよ」 首をかしげるれいむに微笑みながらたこわさを取り出してさっきと同じように口の中に放り込んだ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅうううううう!!?」 あ、また吐き出した。人の膝の上で吐き出すものだから私の安物のジーンズが汚れてしまっている。 「あんたねぇ・・・食べ物を粗末にしすぎだよ?」 また、さっきと同じように舌を出しているが、今度はこきざみにぷるぷる震えている。 「だ、だっでぇ・・・ごんなのだべでないよ゛っ!」 「えー、美味しいのに・・・」 そう言って私は2口ほどたこわさを食べる。うん、やっぱり美味しい。 「おねーさん!ちょこあったでしょ?れいむちょこがたべたいよ!」 ああ、本当に厚かましくて可愛いなぁ~。だが、あのチョコは私の夜のおやつなんだ。 「えー」 「ね、おねーさん?」 露骨に嫌そうな顔をする私を潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくる。 う~ん、別に可愛いとは思わないな。 「よし、じゃあ・・・お姉さんとじゃんけんで勝負して私が100勝するまでに1回でも勝てたらチョコをあげようか?」 「ゆ!じゃんけんってなに?ゆっくりできるもの?」 おおう、嬉しくなるほど予想通りの反応。とりあえず、私はれいむにじゃんけんのルールを教えてあげた。 「それなららくしょーだよ!おねーさんがいっぱいかつまでにれいむがいっかいかればいいんでしょ?」 「ああ、そういうことだ。それじゃ、さっさと始めるよ?」 そう言うとれいむは思いっきり空気を吸い込んだ。 「じゃんけ~ん、ぱー!」 れいむを見ると思いっきり頬を膨らませている。ちなみに、これは手の無いれいむのために私が決めてあげたグーのポーズだ。 「ゆぅ!まけちゃったよ!」 「よし、一勝!でも、まだまだ99勝もしなくちゃならないからなぁ~・・・」 「ゆゆっ!こんどはまけないよ!」 「よし、それじゃ2回目。じゃんけ~ん、グー!」 グーを出し、れいむを見てみると下を向いて両目を閉じている。これはれいむにとってはチョキに相当する。 「やった、2勝目!」 「ゆううう!また負けちゃったよ!」 「まあまあ、まだまだ先は長いんだし。三回目行くよ?じゃんけ~ん、チョキ!」 れいむは背中を向けている。別にじゃんけんに飽きたわけではない。これがパーのポーズなのだ。 「よし、三連勝!でも、先は長いなあ~」 「ゆゆ!またまけちゃった!でも、まだまだがんばるよ!」 そんな感じで、私とれいむは15分ほどひたすらじゃんけんを続けていた。 そしてその間に私が事前の呼吸や、向きの変更を見てれいむの手を把握していることに気付くことは無かった。 「はっはっは!98連勝!」 「ゆううううううううう・・・」 流石にここまで負け続けてはのん気なれいむも涙目にならざる得ない。 「どぼぢでがでないのおおおおおお!もうやだ!おうちかえる!」 「まあまあ、あと2回だけなんだし。頑張ろうや、な?」 ぽろぽろ涙を零しながらもれいむが「う゛んっ!」と勝負に合意するのを確認すると、再び掛け声をかけた。 「じゃんけん、パー!」 一方のれいむは下を向いて目を瞑っている。つまり、チョキだ。 「ゆ?ゆゆっ!れいむかったの!?」 信じられないといった風な表情で私に確認をとるれいむ。その姿に思わず噴き出しそうになるのをこらえながら応えてやる。 「ああ、そうだよ。お前の勝ちだ。だからチョコレートを食べても良いぞ?」 「ゆゆっ!やったね!これでゆっくりできるよ!」 じゃんけんが終わって、再び膝の上に戻ったれいむは歌らしき何かを口ずさみながら、私がチョコレートを差し出すのを待っている。 「ゆっくりできるよ~、ちょこれーと♪とっても~あまいよ、ちょこれーと♪」 ごめん、このチョコは凄く苦いんだよ。 「はいよ。今度は吐き出すなよ?」 「ゆ!そんなことしないよ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぶふぇええええええ!!」 奇声を上げながら、れいむは今日一番と言っても過言ではないほど盛大にチョコレートを吐き出した。 エレエレエレエレエレエレエレ・・・。 うわぁ、ついでに餡子も吐き出しやがったよ。ジーパンがグチョグチョだわ・・・まあ、いいけど。 「おいおい、あんた吐き出しすぎ・・・」 呆れながら、お仕置きの意味も兼ねてれいむの両頬をつまんで引っ張ってやる。 「ばっへぇ・・・あほほえーほいがかかったんあほん!」 しかし、この饅頭柔らかいっすねぇ!本当に皮が良く伸びる。 そうやって調子に乗って引っ張っていると 「ほへーはん、ゆっふひやべでね!」 「びろ~ん、びろ~ん、びろりろり~ん♪」 ああ・・・このほっぺの柔らかさは反則だわ。すごく気持ち良い。 「ゆゆっ!まりさのれいむになにをするんだぜ!」 「んあ・・・?」 不意にどこからともなく声が聞こえてきた。辺りを見回して声の主を探すと、そこにはゆっくりまりさが私の足に懸命に体当たりしていた。 「まりふぁ!」 「れいむ、もうすこしのしんぼうだぜ!まりさが、すぐにたすけるんだぜ!」 そう叫びながら必死に体当たりをしているが、全く痛くも痒くもない。それどころか、まりさが作用に対する反作用でダメージを受けている。 その様子を見ていると、なんとなく気の毒になってきたので、私はメントスとダイエットコーラを掲げて、まりさも一緒にゆっくりしないかと提案した。 もちろん、れいむの頬を引っ張るのも止めてあげた。すると、あっさり私のことを許してくれた。 「ゆ!まりさもおねーさんといっしょにゆっくりするぜ!」 「も」とは言うものの、れいむはそんなにゆっくり出来てなかったけどね。 「はいよ」 まりさの口にメントスを10粒ほど放り込んでやる。 「うっめ!めっちゃうめぇ!」 「ゆ!れいむもほしいよ!」 「チョコを全部食べてからだよ」 「ゆううううううううううう!」 「ははっ、冗談だよ。ほら、口をあけて?」 今度はれいむの口にメントスを放り込む。 それから独り酒のつもりが思いのほかにぎやかな酒になったな、などと思いながら2匹にダイエットコーラを飲ませてやった。 「「ゆ~♪」」 口の中にメントスを貯めたまま、コーラを口に含んだ2匹は見た目は意地汚くて見苦しいが、非常にゆっくりしているように見えた。 確かにそう見えたのだが・・・ 「「ぼぉ!?ぼぉぼぼぼおおおおおおぼぼっぼぼおおお!?」」 突然、2匹そろってコーラを噴水の如く吹き上げた。それも、ちょっとゆっくりの常識からは考えられないほどの勢いで。 「・・・・・・はあ、何なんだよ、これ?」 私はコーラまみれで呆然とするしかなかった。そして、傍らではコーラを吹き終えた2匹が再びエレエレしている。 テストも終わったので人通りは少ない。とはいえ、流石にあの噴水が人目を引いたらしく、人が集まってくる。 そうして、いつの何か出来上がっていた人だかりに気付いた私はスーパーの袋と2匹を抱えて、自宅へと逃げ帰った。 「っち、ここじゃゆっくり出来ないね!!」 「で、とっさに連れて帰ってきたけど・・・どうするよ、これ?」 現在独り暮らしをしているアパートに戻って、コーラまみれの体と衣服をどうにかするために風呂場に向かった私は、今になってここがペットの飼育禁止であることを思い出した。 いや、そもそも飼うつもりなんて微塵もないんだけど・・・どっちにしてもこいつら、どうしたものか? 「ねえ、おねーさん!れいむたちべとべとだからからだあらってね!」 「それからみんなでゆっくりしようね!」 なんと言う厚かましさ。だが、そこが良い。何だかくせになるのものがある。 そのゆっくりっぷりを見ていると「さっきのコーラ噴射のことをもう忘れてるのかよ」とか「何で途中でこいつらを捨てなかったんだ」とかそんな疑問は些細なことのように思えてくるよ。 「・・・まあ、何とかなるか?」 とりあえずさっさと服を脱いで、お湯をためながられいむとまりさを洗ってあげる。 「ゆ~、ゆ~♪」 「気持ち良いか?」 「ゆ!すっごくきもちいいよ!」 「そうかそうか。そりゃ良かった。でも、お前ら水苦手なんじゃなかったっけ?」 「ずっとつかってるとあぶないよ!でも、みずあびはすきだよ!」 浴場の床にあぐらをかいて、足の上にれいむを乗せた格好で、桶に溜めたぬるま湯でタオルを濡らして、丁寧にれいむの体を拭いてやる。 まりさはその傍らで、気持ちよさそうに目を細めるれいむをじっと見守っている。 「ゆゆっ!おねーさん!そのぬるぬるすごくきもちいいよ!」 当然といえば当然だが、こいつらにとってボディソープやシャンプー、リンスを使うのは初めての体験だろう。 そのあまりの気持ち良さにうっとりとしている。途中、シャンプーが目に入って絶叫していたのはご愛嬌か。 2匹を洗い終えてから、私自身の髪や体を洗い、それから2匹と1人で湯船につかる。 と言っても、れいむとまりさを湯の中に放り込むわけにはいかないので、れいむには風呂桶に入ってもらい、まりさは私が抱きかかえることにした。 外よりもずっと温かい風呂場でほっと一息をつく。 「おねーさん、すごくやわらかいね!」 生意気にも私の胸に頬ずりしながらそんなことを抜かすのは抱きかかえられているまりさ。 「・・・ん~、そうか?」 もっとも、そんなことを言われたところで自分では良く分からないのだが。 「うん、れいむのほっぺよりきもちいいよ!」 普通なら「パートナーに怒られるぞ」とか「ゆっくりと比べんじゃねえ」とか「もう、まりさってばえっちぃ」とでも反応するところなのだろうか。 しかし、私はれいむの頬の触り心地を思い出しながら、痴漢をする男の心境がなんとなく理解できるなぁ、なんてことを考えながら「そりゃ、どうも」と適当に返事しておいた。 それからまりさの頬をひっぱって、その柔らかさにしばし感動し、「愛でお兄さんはおっぱいフェチなんだろうか?」などとくだらないことを考えながら、風呂から上がった。 私が着替えのためにリビングに向かうと、先に体を拭いてやったれいむとまりさがソファの上でゆっくりしていた。 なんとなく枕にしたら気持ちよさそうだな、と思った時にはすでに2匹を枕にしていた。 そして、ちょっと昼寝のつもりが6時まで寝てしまった。れいむとまりさには「おもくてあんこがもれそうだったよ、ぷんぷん!」と怒られた。 それなら起こして言ってくれればよかったのに、と反論したら「おねーさんがぜんぜんおきなかったんだよ!」と更に怒られた。 でも、晩飯を一緒に食べようと提案したらあっさり許してくれた。流石は餡子脳だ、可愛いなぁ。 そんなわけで現在午後7時13分。テーブルの上にはしょうが焼きと味噌汁とほうれん草のおひたしと梅干の乗ったご飯、それかられいむとまりさのために作ったおにぎりが置かれていた。 私が手を合わせて「いただきます」と言うと、れいむ達もそれに倣う。 「「いただきま~す!」」 ちなみに、れいむ達のご飯は握りこぶし大のおにぎりが5つ。 右から焼きスルメおにぎり、塩辛おにぎり、たこわさおにぎり、カカオ99%チョコおにぎり、そしてジョロキアおにぎり。 具になりそうなものが無かったので、見ての通り、さっき酒のつまみに買ってきたものを入れてみたのだが・・・ 「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 焼きスルメは好評。若干辛みがあるとは言え、子どもで平気で食べられるものだからさすがに大丈夫だったようだ。 「ゆ!かたい!かたいよ!」 「かみきれないよー!」 と、思ったんだが・・・どうやらゆっくりの歯ではスルメを噛み切れないらしい。 どれだけ貧弱なんだお前ら。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 次の塩辛おにぎりとたこわさおにぎりは意外に好評だった。 どうやら、ご飯がいい具合に辛さなどのゆっくりが苦手とする味に対する緩衝材になったらしい。 けれど、おいしそうにおにぎりを食べる二匹を見たとき、正直ちょっとだけつまらないなぁと思ってしまった。 虐待趣味は無いつもりだったんだけどなぁ・・・。 「れいむ、にんげんのごはんはおいしいね!」 「そうだね、まりさ!つぎのおにぎりもきっとおいしいよ!」 次のおにぎりはカカオ99%チョコレートおにぎり。人間だったらこの組み合わせを見ただけでしかめっ面をしそうな代物だ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅううううううう!!」 「うっめ、これめっちゃうげえええええええええええええ!!」 やっぱり、このチョコレートの苦みはゆっくりにとっては毒にも等しいものらしい。 ご飯のおかげでさっきのようにエレエレすることはなかったが、テーブルの上を苦しそうに転げまわっている。 「おーい、大丈夫か~?」 「ゆべっ!だいじょうぶじゃないよ!どうしてにがいのいれるの!」 「ひどいんだぜ、おねーさん!まりさたちおこるぜ、ぷんぷん!」 もう何度目になるかもわからない怒りのアピール。このぷくぅと頬を膨らませる姿が可愛くて仕方ない。 「あはは、余ってたもんだから勿体無いと思って、ついね・・・ごめんな」 顔の高さで手を合わせて少し頭を下げるようなしぐさを交えつつ、素直に謝るとれいむ達はあっさりと許してくれた。 「ゆぅ・・・はんせいしてるならいいよ!」 「れいむ、さいごのいっこもたべちゃうんだぜ!」 「ゆ、そうだね!むーしゃむーしゃしあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 「うっめ、これめっちゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 何だその絶叫?と突っ込んでやりたいところだが、この後エレエレするのは火を見るより明らかなので、その前に二匹の頭を掴んで、互いを正面から密着させる。 エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ 本日何度目になるかも覚えていないエレエレタイム。しかし、今回は2匹の口がぴったりとくっついているので、それが周りのものを汚すことはなかった。 「・・・エレエレエレエレ・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「・・・エレエレエレエレ・・・うっめ、これめっちゃうめぇ!」 「エレエレしたものを、食うなっ!!」 気がついたときには電光石火の突っ込みでこピンを放っていた。 ゆっくりで遊ぶのに夢中になっていて、気がつけば日付が変わっていた。 そのことに気づいた私は思わず顔をしかめる。 「うわぁ・・・もうこんな時間か。さっさと寝よ」 明日は1限目から授業があり、それに夕方からはバイトもある。 だから今日は早めに寝て明日に備えるつもりだったのだが・・・新しいおもちゃの魔力は想像を絶するものだったのだ! 帰宅した時点ですでにお気に入りのピンクのストライプ柄のパジャマに着替えていた私は電気を消して、もそもそと布団にもぐりこむ。 が、私の枕元でれいむたちが泣きじゃくるので簡単に寝付けなかった。 「ゆううううう!くらいよおおお!こわいよおおお!!」 「おねーざん、あがるぐぢでえええええええええ!おばげがででぐるよー!!」 こいつらがやたらと怯えているのには理由がある。 その理由というのは8時ごろから観始めた『ゆ霊の盆踊り』という映画だ。 登場人物が全員ゆっくりで、その斬新過ぎる試みと、どうしようもない演技と、ホラーとは無縁のふざけた笑顔などさまざまな要素があいまって映画史に名を残した伝説の作品だ。 もちろん、映画関係者どころか、映画に関する知識なんてろくに持ち合わせていない一般人からも非難轟々。 そんなわけで、本来ならば映画館で上映されることすらありえなかったのだが、この作品には有名な美人女社長率いるゆっくりカンパニーという強力な後ろ盾があったため、無事上映にこぎつけたという。 聞くところによれば、この映画は「ペットのゆっくりと一緒に鑑賞できる」&「(良くしつけられた)ゆっくりの館内限定貸し出し」というサービスを行っていたらしい。 そして、私はその目的も効果も存分に味わう羽目になった。 「おばけさんこわいよおおおおおおお!!」 「あ、ありすこわいいいいいいいい!」 「で、でいぶがあああああああああ!!」 「おねーざんー、ごわいいいいいいい!!」 「「ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!!」」 などなど、終始こんな調子で泣き叫びながら、私にすがり付いてくる。 そりゃ、この作品が上映される前のゆっくりの知名度が低かったころなら、この姿にだまされて飼いたくなる人もいただろうな。 以上が今までにも毎日のように接してきた宵闇をこの2匹が恐れる理由だ。要するにお化けが怖いらしい。 どうせ、ほっときゃそのうち寝るだろ。 そう判断した私は心頭滅却して2匹の泣き声を風の音か何かと思い込んで、とっとと寝ることにした。 「はいはい、おやすみ」 「「おねえざあああああああああああああああああああああああああん!ねぢゃいやあああああああああああ!!」」 そんな感じで、翌朝・・・ 「「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」」 「・・・なに、このちょーてんかい?」 朝の日差しにたたき起こされた私の寝ぼけ眼に映ったのは産まれたてと思しきゆっくりの赤ん坊。 その数れいむ種3匹、まりさ種3匹の6匹。 「おねーさん!れいむのあかちゃんかわいいでしょ!」 「すごくゆっくりしたこだよ!これでおねーさんもゆっくりできるね!」 すまん、私にも・・・というか私でもわかるように説明してくれ。 「ゆゆっ!れいむたちね、よるすごくこわかったんだよ!」 ああ、怖がってるの無視して電気消して寝たからなぁ・・・・・・で? 「だからね、れいむとはなしてたらわかったんだぜ!おねーさんはゆっくりしたいからむしするんだって!」 まあ、睡眠ってのは人間の三大欲求なわけで、確かにその欲求を満たしたかったから無視して寝るという選択をゆっくり的に解釈すればそうなるだろう。 「それでね、おねーさんはゆっくりできればれいむたちをむししないんだよ!」 ・・・なぜ決定事項なんだ? 「だからまりさたちのゆっくりしたあかちゃんをみせてあげることにしたんだぜ!」 つまり、そういう事らしい。 ・・・・・・どういうことだよ。 「あぁ、やっぱりゆっくりの考えることはわからんわ・・・」 私はこのおちびもを捨てた場合の処理代やら、飼う場合の餌代やらを計算しながら頭を抱えることしかできなかった。 ---あとがき?--- たまにはぬるいじめでも、と思って書いてみた結果がこれだよ! どうでもいいことだけど、作中のおねーさんはドスなおっぱいの持ち主です。 byゆっくりボールマン 続き このSSに感想を付ける
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デストラクションさんからのお題『破壊の権化』 作者名:名も無き埴輪 「ゆゆっ!? おいしそうなきのこさんがあるよ!!」 声を上げたのは巣立ちしたばかりのゆっくりまりさ。 今まで育ててくれた家族のもとから独り立ちした彼女は ついさっき自分のおうちを完成させて今夜のご飯を取りに来たところだ。 今日に限って何故かおうちの周りにごはんが少なかったので 普段は誰も来ないような遠い場所まで来ていた。 そこはゆっくりの間では理由は分からないが何となく危険だということで 立ち入らないように伝えられていた場所だった。 元はちゃんと理由もあったのだろうが世代を重ねるうちに理由は忘れ去られ ただ立ち入ってはならないことだけが伝えられるようになったのだろう。 ご多分に洩れずこのまりさも立ち入ってはならないことは 親ゆっくりから聞いていたがごはんを探すのに夢中で いつの間にかそこに来てしまっていたようだ。 さて、そのキノコだが周辺には何も生えておらず、キノコが1本だけちょこんと生えている。 まりさの知識では見た目からキノコの種類をはかることはできない。 人間ならそんな得体の知れないキノコなんて放っておくか研究施設に持ち込むかもしれない。 だが見つけたのはゆっくりだ。 「ゆゆ~ん、すごくゆっくりしたキノコさんだよ~」 躊躇無くそのキノコを口で咥えて引っこ抜くと まりさは帽子の中に入れて揚々と家路を引き返していった。 「ゆふん! こんやはごちそうだね!」 おうちへと戻ってきたまりさは早速キノコを食卓に並べていた。 キノコは生ものなので早めに食べないと鮮度が落ちてしまうのだ。 「むーしゃ、むーしゃ……っ!? うっめ、めっちゃうめっ!!」 いつもの通り『しあわせー』をしようとしたまりさだったが あまりのキノコの美味しさにがつがつとがっついてしまった。 「ゆふぅ……おなかのなかがパンパンだよ~」 キノコを食べ終わったまりさは膨らんだお腹を もみあげでさすりながら人心地ついていた。 満腹感に浸りながら今日はゆっくり寝ようとしたときにそれは起こった。 「ゆぐっ!? ゆががががががが!!?」 突然まりさに身体の中をかき回されるような痛みが襲ってきたのだ。 あまりの痛みにまりさはじっとしていられず、おうちの中をごろごろ転がった。 あわよくばそれで痛みがどこかへ行ってくれればと願ったが現実は非情である。 絶え間なく襲ってくる痛みにいつしかまりさは気を失ってしまった。 「……さ! …りさ!! まりさっ!!」 「ゆ、ゆゆ~?」 まりさは夢と現の間で「おかーさん、あと5ふんだけ……」などとのたまっていたが あまりにしつこく身体を揺すられるのでようやく目を覚ました。 「まりさ! よかったぁ~、えいえんにゆっくりしちゃったかとおもったよ~」 「ゆ、れいむ……どうしてここに……?」 まりさの傍にいたのは幼馴染のゆっくりれいむだった。 このれいむはまりさが小さい頃に初めておそとに出たときに出会った 同年代のゆっくりでよく遊んだ仲だ。 まりさが独り立ちするときも『れいむもすぐにおいかけるからね!』と 言いながら見送ってくれたはずだがどうしてここにいるのだろう? 「まりさがひとりだちして2かいおひさまがおうちへかえったから れいむもひとりだちすることにしたんだよ! まりさがこっちにおうちつくるのはきいてたからおひっこししたこと おしえてあげようとしたらたおれてたからびっくりしたよ~」 「ゆゆっ!? うそいわないでね!? まりさそんなにゆっくりしてないよ!!」 「うそなんかじゃないよ! れいむ、とってもしんぱいしたんだよ!!」 まりさは考え込んだ。 あのキノコを食べてから2日も経った? つい勢いでれいむを嘘吐き呼ばわりしてしまったが れいむがそんな嘘を吐くゆっくりじゃないことは自分がよく知っている。 ……ということは何故だか知らないがれいむの言ったことはどうやら本当のようだ。 「れいむ、ごめんね! まりさ、ゆっくりしすぎちゃったね!!」 「ゆゆ~ん、あんまりゆっくりしてるといしさんになっちゃうよ!」 「うん! きをつけるよ!!」 微笑ましい会話を交わすふたり。 そしてれいむがふと思い出したように言った。 「まりさ、ゆっくりしていってね!!」 「れいむも“ゆっくりしていってね”!!」 『カッ!!!』 「……ゆ?」 突然眩しい光に襲われ反射的に目をつぶったまりさがゆっくり目を開けると ついさっきまで目の前にいたれいむがいなくなっていた。 そればかりかれいむがいた場所の後ろの壁にぽっかりと穴が空いている。 「れいむ? ゆっくりしないででてきてね?」 首をちょこんと傾げながら幼馴染のれいむを探すまりさだったがどこにもれいむは見当たらない。 そうこうするうちにおうちの外に他のゆっくりがわらわらと集まってくる気配がする。 まりさはもしかしたら外にいるゆっくりたちがれいむの居場所を 知ってるかもしれないと思い、ぽよんぽよんと跳ねていった。 外にいるゆっくりたちは思い思いにゆっくりしていたところ 突然細い光が空に伸びるのを目撃したため発生源と思われる まりさのおうちへと集まってきていた。 集まったはいいものの何をすればいいのか分からず、ただがやがやと騒いでる辺り、典型的な野次馬である。 野次馬ゆっくりたちが注目する中、ぽよんぽよんとまりさが出てきた。 初めて会うゆっくり同士が行うことといえば挨拶だ。 『ゆっくりしていってね!!!』 「ゆゆ!? いっぱいゆっくりがいるよ! “ゆっくりしていってね”!!『カッ!!!』……ゆゆ?」 『ゆゆ……?』 まりさはあまりの眩しさに目を閉じていたので訳が分からなかったが 集まっていた野次馬ゆっくりたちはしっかりと目撃していた。 まりさの口から出てきた光が目の前にいたゆっくりたちをなぎ払ったのだ。 『ゆぐぐ……!!』 「ゆ? れいむだけじゃくてみんなもいなくなったよ?」 『このゆっくりごろしぃぃぃ!!』 「ゆぶっ!?」 まりさは訳が分からなかった。 自分は挨拶しただけなのに突然集まっていたゆっくりたちに次々と体当たりされたのだ。 「ゆぐっ……ゆっぐり……みんな、“ゆっぐりじでよ”『カッ!!!』ぉぉぉ!?」 『ゆぎゃあああ!?』 まりさの言葉と共に再びゆっくりに一角が消し飛ぶ。たが多勢に無勢だ。 『しね! しねっ!! ゆっくりしないでしねえええええ!!!』 「ゆ……ゆっくりしたけっかがこれだよ……」 そこに残ったのは飛び散った餡子とゆっくりだった何かだけだった。 あとがき やっと麻雀お題の最後のお題が書き終わった……。 最後のお題な割に短いですが作者の力量的にこれが精一杯。 感想や突っ込みお待ちしています。
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「すっきりしたいわねぇ」 「もうすこしさがせばまりさがみつかるわよ」 「まりさはぁはぁ…」 「とかいはのてくをおしえてあげるわぁ」 …なんとまあ、うざいものを見てしまった。 森にちょっと狩りにでも行くかと思い、猟銃もってでかけた矢先に興奮したゆっくりありす達にあってしまった。 目ぇすわってるし、なんかはぁはぁ言ってるし、よだれたらしながらぶりょんぶりょん移動してるし。 数としては五匹ほど。それほど多くはないが普通のゆっくり一家は全滅するだろう。 このまま回れ右して見なかったことにすれば問題ない。 そう思いくるりと後ろを見たところでふとあることを思いついた。 「うふふふふ…」 「まりさぁ…」 「すっきりぃ…」 …問題はこれを実践するにはそこにいるレイパーありすを捕まえなくてはならんが 少し悩んだが結局俺はありす達に近づくと持っていた籠に全部放り込み加工所へと向かった。 「とまあこういうことをやってみたらどうかと思ったんだが」 「ふむ…なかなかよさそうだね。早速ありす担当を呼んでみるよ」 ここは加工所。まあゆっくりを人間に役立つよう加工するところだ。 だいたいのゆっくりは養殖されて加工し甘味物になっている。 さすがに野生のゆっくりは何を食べてるかわからないので食料にはならないが、それ以外の生活用品にはなる。 具体的にはつぶして肥料とか飾りを加工して雑巾とかだ。そのため野生のゆっくりを引き取ってくれるという一面がある。 ちなみに俺がさっきまで話してたのはここに働く友人。結構いいやつだ。 その性格からか他の村の人と交渉役をやっている。 「さっさとここからだしてね!!」 「ここはえれがんとじゃないわ!!もっととかいはにふさわしいばしょをじゅんびしなさい!!」 「ついでにおいしいものもね!!」 「まりさもいればとってもりっぱよ!!」 「そこまでするならとかいはありすのじゅうしゃとみとめてあげるわ!!」 そして俺が捕まえたありすは近くのオリに入ってる。さっきから叫んでてうざい。 とりあえず無視だ。ゆっくりを相手にしたってキリがない しばらく待つと友人が何人か連れてやってきた。たぶんあれがありす担当だろう 簡単に挨拶をすませると早速返事を聞いてみた。 「なかなか面白そうな企画だと思います。やってみましょう」 これが向こうの返事。結構ノリノリでした。 俺は担当と握手をすると早速捕まえたありすを渡した。 後はしばらくの間待てば結果が出てくるだろう 一週間後… 「で、これがその駆除ありすか」 「そう、君が考えたゆっくり駆除ありす」 「なんというか…きもいな」 「僕もそう思うよ」 加工所のとある一室で会話する俺と友人。 俺達が見ているのは以前より少し大きくなった一匹のゆっくりありすだった。 しかしその顔は以前より相当醜い。こんな人間を見かけたら例え何もやってなくても捕まえたほうがいいだろう。そんな顔だ。 まず目があっちこっちをぐるぐると動きながら見ている。左右別々だ。しかもそれがかなりの速さである。 口からはよだれがだらだら流れているし、興奮が抑えられずはぁはぁどころかゼヒアーって感じの呼吸音である 確か呼吸困難に陥ったらこんな感じの音がするはず。 そして下あご辺り。すでにぺにぺにが臨戦態勢だ。即座にその辺のゆっくりを犯すことができるだろう。 わかりやすく言えばありすのレイパーとも言うべき側面を前面に押し出したような生き物である。 「で、これは役に立つのか?」 「発案したのは君だろうに…一応実験は成功したよ。あとは野に放つだけだ」 「成功しそうな顔はしてるな…うん、とりあえずやってみてくれ」 俺は友人とともに外にでてしばらく歩く。その間駆除ありすは箱に入れられたがその間ずっと興奮しっぱなしだった。 呼吸困難な音が聞こえてきて、歩いてる間あまりいい気分ではなかった。うーむ便利なものが完成したのになぁ 「こいつってしゃべれるのか?」 「いや、残念ながらそれは無理らしい。すっきりすることしか考えられなくて周りの声は聞こえないらしいよ」 「うーむ」 道具として考えるなら問題ないがここまで非情な存在もないかもしれない。 「これが駆除ありすの大体の内容。ほとんど君の希望通りになったよ。少し担当が使いやすいよういじったけど」 「へぇ…」 友人から渡された書類をめくる。それはこのゆっくり駆除ありすの説明書だった。 とりあえずざっと読んで簡単に説明するとこうだ。 ゆっくりは小さいときにすっきりすると子供に餡子を吸われて死んでしまう。 そして成体のゆっくりも一度にあまりにも多くの子供を作ると餡子の吸われすぎでやはり死んでしまう。 この性質を利用したのがこのゆっくり駆除ありすだ。 このゆっくり駆除ありすは他のゆっくりよりも強い性欲を持つゆっくりありすの本能を強化したものである。 具体的にはとかいは(笑)の理性の部分のカスタードを捨て、他のありすの性欲の部分を移植している。 そのため野生のありすより数段性欲が強く、常に発情期となっている。 また性行為に関する体の部分も小麦粉で強化されており、すっきりを百回繰り返しても問題ないほどだ。 そして普通のゆっくりより人間で言う精子を大量に放出する。 この結果どうなるか。 このゆっくり駆除ありすに襲われたゆっくりはすっきりさせられて死んでしまうわけである。 加工所からある程度はなれると、ゆっくりの家族を発見する。 れいむとまりさのありがちなゆっくり一家だ。全部で十匹くらい。 二匹が親で残りが子供。ためしにやるにはちょうどいいだろう 「いい相手がいるね。早速離してみようか」 「ああ、頼む」 友人が箱の中にいた駆除ありすを解放した。 箱から出されたありすは近くを目だけですばやく確認すると、ゆっくりとは思えない速さでゆっくり一家の方に向かう。 「ゆ?ゆっくりし…」 「あああああすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁ!!!!」 あっという間に近くにいた子まりさがすっきりさせられて黒ずんで死んだ。 「すげぇ早いな」 「常に興奮しててすっきりする直前みたいになってるらしいよ」 こんなに早いと男としてどうだろうという気がするがゆっくりだからいいか。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ぴぎゃぁ!!!」 会話している間に二匹目の子まりさが死んだ。 「ゆげぇ!!!ありすう!!!」 「みんなありすはゆっくりできないよ!!はやくおかーさんのくちのなかにはいってね!!」 「きょわいよー!!!」 「たちゅけてー!!!!」 異変にようやく気づいたゆっくりれいむとまりさが慌てて逃げ出そうとするが。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「ゆぎょぉおおおお!!!」 三匹目の子れいむが犯されてすぐに黒ずんでいく 「ま、まりさはにげるんだぜ!!すっきりするなられいむですっきりするんだぜ!!」 「どうじでぞんなごどいうのおおおお!!!!」 「ありすにすっきりさせられたらゆっくりできないんだぜ!!まりさはもっとゆっくりしたいんだぜ!!」 親まりさは早速裏切って逃げ始めた。れいむはその後を追いたいが子供達がまだ全部入っていない。 だがここでありすが不思議な行動をとる。 「なんでこっちくるんだぜぇぇぇぇ!!!!」 「ばでぃざああああああああ!!!!!!」 れいむを無視して一気にまりさのほうへ走り出したのだ。 まりさもそこそこ足が速いが、強化されたありすはすぐに追いついて押し倒してしまった。 「すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきり!!!」 「なんでなんだぜええええええええ!!!!!」 大量の茎を生やしてあっという間にまりさは黒ずんでしまった。 成体なので子供が出来るかと思ったが、頭に異様なくらいびっしり生えた茎には小さい実のようなものがせいぜいであった。 あれでは子供にはどうあがいてもならないだろう。 「頭にびっしり茎が生えたゆっくりってキモイな」 「あはは…」 その光景を見て思わずもれる感想。友人も苦笑いだ。 「相手が成体でも子供ができないんだな」 「計算上だと大体六十~七十ぐらい生えるらしいよ。それだけ多いとよっぽど大きくないかぎり子供もできないとか」 「駆除をするという点では優秀だな」 やってる行為は子供を増やすはずなのに目的は駆除。これだけ矛盾に満ちてるのもある意味すごい。 「れいむをおいていったからだよ!!そんなひどいまりさはゆっくりしんでね!!」 「ゆっくちちんでね!!」 「くるちんでちんでね!!」 黒ずんだまりさに罵倒する残った一家。そんなことしてる暇があるなら逃げりゃいいのに。 「ひゃああああ、すっきりだぁ!!!」 「なんでこっちくるのおおおおお!!」 「こっちこにゃいでねえええ!!!」 「そきょでゆっくちちてねええええ!!!!」 残る一家に襲い掛かるありす。 それほど時間もかからずゆっくり一家は全滅した。 「とまあこういう結果になったよ」 「うーむ、すごいものをみてしまった」 黒ずんでいた死体を食べる駆除ありすを回収する友人。まだ試作品なので野生に解き放つわけにはいかないそうだ。 だがいずれは一定量生産して駆除ありす部隊なるものを作る予定らしい。 このありすで部隊を作って襲わせればうまくいけば群れどころかドスも駆除できるそうだ。 うまくいけば野生のゆっくりを壊滅させることもできるかもしれない まさか同族によってゆっくりできなくなるとは饅頭どもも思うまい ゆっくりの未来はまっくらなようだ。…もともとそうか ~~~~~~~ ノリと勢いで書いたが結構ありかもしれんな、これ そういやゆっくり人形が作られるそうだがマジだろうか たぶんネタ商品だと思うが…だよね?ブームにならんよね? 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 ゆっくり埋め どすまりさの失敗 原点 このSSに感想を付ける
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ゆっくりいじめ系1812 ゆっくりの靴 前編より続く とりあえず仕事部屋に放置してきたまりさ二匹は気がついていたのか俺が入ると騒ぎ出した。 「ゆゆっ!!お兄さんなんでまりさこんなところに入れられてるんだぜ!?」 「そうだぜ!ここはゆっくりできないからさっさとだすんだぜっ!そしてお兄さんは今日のご飯を用意してくるんだぜ!」 全く太ぇゆっくりだ・・・ 「なぁお前達。知ってるのか?お前の仲間のれいむが死んでしまったんだぞ」 「ゆゆっ!仕方ないんだぜ!れいむとちぇんはまりさ達がご飯食べるのを邪魔したからせいさいしてやったんだぜ!」 「げーらげーら!これでまりさ達のごはんの取り分が増えたんだぜ!」 「そうかそうか・・・わかったよ」 こいつらがどうしようもないゲスだと言うことがね。 「そんなことより早くこの箱から出すんだぜ!」 「ゆっくり出来ないんだぜ!」 いい加減、虐待をするつもりは無かったがあまりにも自分勝手なまりさ達に対してお兄さんの怒りも有頂天をむかえてきた。 「そうか・・・ゆっくり出来ないのか。・・・・・・・・・お前達にゆっくりする資格なんかねぇッッッ!!!」 バシンッ!! 大きな怒鳴り声とともに片方のまりさの箱の上部を思い切り叩き付ける。 「ゆひっ!お、お兄さんどうしたの・・・だぜ?」 「ぴぃ!お兄さんどうして怒ってるの?」 お兄さんの恐ろしい剣幕に二匹は素の口調に戻りかける。 「お前達・・・どうして俺の藁を食べたんだ・・・?ちぇんとれいむはお前達が藁を食べようとしたのを止めたんだろう?」 「ゆっ!そ、それはまりさ達お兄さんのお仕事の手伝いしたから藁は当然のほうしゅ・・・」 バシンッ!! またしてもお兄さんは答えていたまりさの箱を叩き付ける。 「お前達の、仕事は、俺の藁を、食い散らかすことなのか・・・!?」 流石にやばい・・・そう感じたまりさ達は媚びた笑いを浮かべながら言い訳を始める。 「ち、ちがうんだぜ・・・あ、あ、あれは・・・・・」 「まりさじゃないんだぜ。まりさ食べてないんだぜ!!」 あぁもういいや。 お兄さんはもはや何を話しても仕方ない、そう理解した。 「そうかそうか。もういいよ。お前達には新しい仕事をして貰おう」 そう言ってお兄さんは一匹のまりさを箱から取り出した。 「ゆっ?お外に出られたんだぜ!」 「まりさもっ、まりさも出してね!出してねっ!」 外に出して貰ったまりさは安心したような顔をしていた。 しかし、急に強い不可がかかった・・・そう思った瞬間に地面に激突していた! ズバンッッ!! 「ッッッッ!!!」 「ゆぇ・・・?」 顔面から地面に叩き付けられた方のまりさは顔が下になってしまっているので悲鳴も上げられずに地面に張り付いていた。 一方、箱の中にいたまりさの方は何が起こったのか理解できずに目を白黒させていた。 お兄さんは何も言わず容赦なく地面にひっついているまりさの髪を引っ張り自分の顔の高さまで持ち上げる。 「ゆ”っゆ”っゆびっ!・・・い、いだいよぼぉーーー!!」 と、声を上げた瞬間また先ほどと同じ不可を感じ・・・・ズバンッッ!! またしても地面に叩き付けられる。 「ゆべっっ!ゆ”ゆ”ゆ”っ・・・・」 今度は顔の側面から叩き付けられ、呻き声を上げている。しかし、やはり容赦なく髪を引き上げるとまた地面に叩き付けようとする。 「お、おにいざん何やでるのぉぉーーー?!ばりざが痛がっでるよ!やべてあげでねっ!」 「ん?まぁ次はお前の番だからゆっくりまってろな?」 「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉーー!?」 「それは後のお楽しみってね☆」 そう言ってお兄さんはまたまりさを地面に叩き付ける。 バシンッ!ズシンッ!ズバシッ! ただの作業の様に地面に繰り返し叩き付ける。 ゆっくりというのはその性質上あまり堅くはなく指で刺したり、包丁で切ったりして餡子が減ってしまうと比較的簡単に死んでしまう。 しかし、こういった面での衝撃に対しては比較的頑丈に出来ていて、苦痛を与えるための虐待としては割とポピュラーな方法になっている。 まぁお兄さんがそう言った事を意図してやっていたわけではないが。 こうしてしばらく強かに地面に叩き付けられていたまりさだが、次第に声も上げなくなってきた。 そろそろか・・・そう思ったお兄さんは次の作業に移る。 地面に張り付いたまりさを拾い上げて机の上に乗せる。 まりさの顔が・・と言うか体全体が打ち据えられて真っ赤になっている。 「ゆひぃ・・・ゆひぃ・・・ゆ”っ」 「お兄ざん!もう許じであげでねぇ!ばりざが死んじゃうよっ!」 そう言いながら透明な箱に入っているまりさが訴えかけてくるが黙殺。 「さて、次は・・・・っと」 そう言いながらお兄さんはまりさの帽子を取ってそれを自分の手にはめる。 「・・・ゆっ・・?・・・・か、返して・ね・・・ばりざの・・・お帽子がえじで・・ね・・・・・」 帽子を取られたのがそれ程不快なのか、瀕死の(と言っても体が痛いだけで餡子に傷ついてないので死ぬことはないが)状態でも反応を示す。 「あぁすぐに返してやるよ・・・」 お兄さんはまりさの頭頂部に帽子のてっぺんを当てると、少しずつ、少しずつ帽子をまりさの頭の中に押し込み始めた。 先ほどから地面に叩き付けていたおかげで全体的に柔らかくなっていたまりさの頭は比較的簡単にお兄さんの手を受け入れはじめた。 皮を破らないように、ゆっくりと慎重に・・・。 「ゆ”っ・・ゆっ・・ゆ”ゆ”ゆ”・・・ゆ”っ・・・・・や、やべっ・・・で・・」 ある程度、手首が埋まるまで帽子を頭につっこんでみた。 やはり餡子が減ることが無いので死ぬことはあり得ないが、頭の中に手を入れられるのは相当苦痛なのだろう ゆっくりと呻き声を上げ続けている。 そしてもう一方の箱のまりさは目の前で行われている残虐劇(ゆっくり達にとってはだが)を目の当たりにし箱の隅で恐怖に震えていた。 「ゆ”っゆ”っゆ”っ・・・」 手首まで入った腕を今度は手首を返して顔面の方に少しずつ掘り進める。 体の中に手首分以上の体積が入ったのでまりさの体はどこか膨らんで来たかのようになっていたが、内側から顔面に向けて異物が侵入していたため 顔の形が変わり始めてきた。 「ゆべべ・・・もうやべでぇ・・・・・・」 まりさが声を上げるたびに内部でお兄さんの手はこそばゆいような振動を感じていた。 「おいおい、くすぐったいぞww。お前こんな所で声出してたのか・・・」 どうやら口の中というか・・・むしろ内部の餡子自体が振動して音を作っているらしい。 だからこいつらが森の中で話しているだけですぐに場所が分かるのか・・・ ある意味、餡子スピーカーというやつだ。ウーファー付きの。 「よぉそっちのまりさ、見えるか?なんかこいつ腹話術人形みたいだな!」 そう言ってお兄さんは頭の中で手をグーパー閉じたり開いたりする。 するとまりさは・・・・ 「ゆあ”っ!ゆあ”っ!」 と、動作に合わせて声を上げる。 「まるで出来の悪いカエルの玩具みたいだな!!はははははははっ」 「ゆぅぅ~・・・もうやべであげでねぇ・・酷いことじないでね・・・」 「大丈夫大丈夫!どうせお前らなんて餡子がでなきゃ死なないんだろう?だから俺がお前らみたいな屑饅頭を有効活用してやるんだ。ありがたくそこでお前の番を待ってろ」 「ど、どぼぢでごんなごどずるのぉぉーーー!?」 もう自分の理解の範疇を超えた恐怖に完全にすくみ上がっているまりさ達だ。 そこでお兄さんはどうしてこんな酷い(ゆっくり主観では)事をするのか、ゆっくり、やさしく説明してやることにした。 「お前達が藁を食べようとしたときにれいむとちぇんは止めようとしなかったか?」 そう言って既に穴の広さがかなり広くなって完全に顔の形が変わってしまっているまりさを自分の顔の前に持ち上げた。 「ゆ”っ、ゆひっ・・・ぢぇんがまりざの・・・邪魔をしたんだよ・・・。だがらまりざがばがなぢぇんをやっづげだんだよ・・」 「そうだよ!れいむがまりさの食事を邪魔してきたんだよ!ぷんぷんっ」 藁を食べること自体が悪いことだと忘れてしまっているまりさは、食事の邪魔をしたれいむ達が悪い。 自分たちは無罪だから責めるなられいむ達を責めろと言わんばかりの態度で言い返してきた。 「そうかそうか、つまり悪いのはお前達の食事の邪魔をしたれいむとちぇんなんだな?」 「ぞうだよっ!ばでぃざは悪ぐないよ!!」 「・・・・お前達が食べた藁はな、これから美味しいご飯に変わるはずだったんだぞ?わかるか? お前達が食べて無くなってしまった美味しくない藁はな、俺が靴にしてとってもゆっくりできるご馳走になるはずだったんだぞ」 「ゆ”えっ?」 「ゆゆゆっ!?それじゃあまりさ達が食べたのは・・・」 「そう、美味しいご飯になるはずだった美味しくない藁だ。しかもお前達はそれを食べたいがためにお前達の仲間だったれいむとちぇんに 酷いことをして、あまつさえれいむを殺したんだ」 あまりの腹立たしさに思わずまりさの頭の中で餡子ごと手を思い切り握りしめる。 ビクンッ「ゆ”っっ!!ゆげぇぇ・・・」 「ご、ごめんなざいぃぃぃーーー。もうじないがらゆっぐりゆるじでぇええぇぇーー!」 「いーやだめだ。お前達は藁の代わりに美味しいご飯と交換する事になりました。で、今年の冬はちぇんと一緒に美味しいご飯を食べて過ごす事にした」 「ゆびぇぇぇーーーー!!!だじゅげでねっーーー!でいぶおねえじゃーーんっっ!!ぢぇんおねえじゃああーーーん!!」 自分が殺してしまったれいむやちぇんに助けを求める。流石餡子なだけあって記憶力が全くないな。 頭に穴の空いた方のまりさの整形はおおむね完了したのであとは外面の形を整えるだけだ。 まりさをもう一度机の上にのせ、鼻のあたりから底に向けて丁度中で手首の返しのあたりから底面に向けて一本。 同じく鼻のあたりから後頭部の方に向けてもう一本、藁で作ったロープで縛り上げて丁度「靴」の型に形成した。 「ゆ、ゆ”ぐっ・・・ぐるじい・・・・っ」 これで片方は完成・・・と。 お兄さんは靴状になったまりさ、靴まりさを透明な箱に移して次のまりさに取りかかる。 次は自分だ・・・そう言われていたまりさは恐怖で逃げようとするが当然狭い箱の中で逃げられるはずも無くすぐに捕まる 「やべでぐだざいぃぃーーー!まじざ靴になんでなりだぐないよぉぉーーー!!」 「だーめだめ。お前は靴決定。精々苦しんで反省してねっ!!」 ズバンッッ!! そして焼き増しの悲劇が始まった。 翌朝。 「ゆぁぁ~・・・お兄さん朝なんだよ!ちぇん元気になったんだよーわかるよー」 「んん・・・おぅちぇん大丈夫か?」 「ゆっくり元気になんたんだねーわかるよー!」 「そうかそうか、良かったな。それじゃあ朝ご飯にするか」 「朝ご飯なんだねー!わかるよー」 「わかるわかるって・・・何がわかってんだか・・・」 居間に移動してきたちぇんは不思議なモノを二つ発見した。 「ゆゆっ?お兄さんあれなーに?わからないよー?」 「ん?アレか?・・・アレはまりさだったモノだ。今は靴だがな」 「まりさは帽子をかぶってるよー。わからないよー?」 そう、今には帽子を頭の中にねじ込まれ靴状に形が変わった靴まりさが2足おいてあった。 帽子で個体識別するゆっくりは帽子が見えないと個体が分からないらしい。 「う~ん、それじゃあちょっと見せてやるか・・・」 言ってお兄さんは靴の足の入れ口をちぇんに見せてやる。 すると、確かに黒い帽子のようなモノが見えているがすでに帽子が帽子の役割を果たしていないがなんとちぇんには分かったらしい。 「ゆゆゆっっ!?ま、まりざーーー?!どうじだのー?わがらないよぉーー」 「ゆ”っ・・・ちぇんお姉ぢぁん・・だずげでぇ・・・」 「ゆっぐりばでぃざが悪がっだでず、だずげでぐだざいぃぃーー・・・」 昨夜体を手ひどく痛めつけられ、あまつさえ頭の中に手を突っ込まれ息も絶え絶えだった二匹がちぇんの声に反応して目が覚めたようだ。 「おにいざん!まりざが変になっちゃったよー!わがらないよぉーー?!」 「あぁ、まりさ達には藁を駄目にされたからな。代わりに売る物がないとお兄さんとちぇんは冬を越せなくなるんだ。 だからまりさ達には靴になって貰って今年の冬のご飯と取り替えて貰うことにしたんだ。ゆっくり理解できたか?」 「わ、わかるけど・・・まりさが可愛そうだよー・・・」 「まぁ仕方ないだろ?あいつらが藁さえ食べなければみんなで楽しく冬を越せたのに勝手に藁を食べたんだから」 「わかったよー・・・まりさ達は可愛そうだけど悪い子はおしおきされるんだねー」 「ぞんなごど言わないでだずげでぐだざいぃーー」 「ゆっぐり許じでねぇーー?!」 「はいはい、まぁ仲間として来たから最後にちぇんと話す機会だけ作ってやったけど見苦しい奴らだな。まぁこれで声を出すのは最後だから悪あがきでもしてたらいいぞ」 そう言ってお兄さんは自分たちの朝食とある物を取りに台所に行って来た。 「よし、ちぇんは先にこれを食べてていいぞ」 まずはちぇんに餌として野菜の皮をやる。 そしてまりさの口には・・・ 「じゃあ次はお前達の口にはこれだ」 そう言って焼けた鉄棒の棒を無理矢理口につっこむ。 じゅぁあああーーー!!! 「ゆぎゃあああーーーーー!!!だ、だずげっ・・・・・っっ」 熱された鉄棒は容赦なくまりさの口を焼き、次は底面をジグザグに焼き付ける。 よほど痛いのだろう。目から涙を流しながらびくんびくんと震えている。 ちなみにジグザグに焼きを入れるのは滑り止めのために返しになるような痕をつけるためだ。 一匹目のまりさの焼き入れが終わり、次のまりさに取りかかる。 「や、やべでねっ!までぃざに酷いごどじないでねっっ!?」 「はいだーめっ」 じゅぅぅーー! 「っゆ”ぅーーー!!!いじゃいよぉーーー!!!」 「ん?火力が弱くなってきてるのかな?仕方ない念入りにやるか・・・」 仕方なくお兄さんは長時間をかけてゆっくりまりさの口と底を焼き入れしていった。 その目の前でちぇんは久しぶりの豪華な食事に夢中だった 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせぇー!」 自分が半殺しにした相手にすら助けを乞うまりさ 「だずげでぇーーー!ぢぇんおねえじゃーん!!」 「わかるよー まりさは助けて欲しいんだねー。でもまりさは悪い子だからそこでゆっくり反省するんだよー」 「どぼぢでぞんなごどいうのぉぉぉーーーー!?」 「そりゃお前が人の商売道具勝手に食い荒らすからだろうが」 そう言って容赦なく熱の下がってきた焼きごてを口につっこみ二度としゃべれなくする。 「ゆぐぐぅぅーーー!!」 二匹とも呻き声しか上げなくなり、まぁ形も靴状になったのでとりあえず試し履きしてみることに。 左足・・・右足・・・・ 「「・・ゅっ・・・!!」」 うむ、懸念してたうるさい声もしないし何より履き心地がたまらない。 幻想郷ではお金持ち以外は足袋など穿かないのでそのまま藁の草履を穿くのだが、それに比べてまりさの帽子の肌触りや餡子の柔らかさと言ったら・・・ まさに上出来。そして何よりゆっくり自体は人間とそれ程体温が変わらないので非常に温かいのだ。 若干重さはあるが、藁靴にかんじきを合わせて穿いているのよりも少し重たいくらいで冬用の履き物としてはそれ程気にもならない。 試しに外に出てみる。 「ゅ」「ゅぅ」「ゅ」「ゅっ」 左右左右と一歩進むごとになにやら呻き声を上げ、なんだか涙も流しているが履き心地は最高である。 普通冬と言えば足先や手先が冷たいのであまり外へ出ることが出来ないんだが、これさえあれば冬場でも狩りに出かけることができて猟師達には売れるだろう。 しばらく試し履きをして家に戻ったが、きっちり焼いていったのでふやけることもなかった。 「おーいちぇん。ちょっとこれから外にこいつら売りに行くが付いてくるか?」 「わかったよー、一緒にいってまりさ達にお別れするよー」 こうして作った靴まりさは里でも有名な名家の稗田家のお嬢さんが通常の藁靴の10倍ほどの値段で買い取って行った。 最初はそんなに高値で売るつもりは無かったが、お嬢さんが・・・ 「これは素晴らしい物です。是非妥当な価格で買い取らせてください!」 と何故か頬を紅潮させながら言ってきたので、まぁ知識人がそう言うならそうなんだろうとその値段で売った。 しばらくて、稗田家と言う名家のお嬢さんが使っていると言うので里の豪商や名家の連中がお兄さんの元に新しく靴を作ってくれるように 買い求めに来たのでお兄さんはちぇんと協力して冬眠中のゆっくりを狩りに行き、沢山の靴を売りさばいたお兄さんは今年一冬で沢山儲ける事が出来ました。 また、一部の要望で声を潰さずに悲鳴を上げる靴ゆっくりも開発するようになりましたとさ。 「ゆべぇっ」「ゆぐっ!」「だずげっ」「たすげで」「ゆぎぃ」「ゆ”っ」 こうしてこの冬は里の中でゆっくりの悲鳴と呻き声がこだましていました。 作者:ユギャックマン
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※前半は虐待成分無し 長いです 自分は何から逃げているのか。 男の頭はさっきからその問いかけを繰り返している。 「はっ・・・!はぁっ・・・・・!!」 夜の帳の降りきった森の小道に、男の走る足音と荒い息づかいだけが聞こえる。 逃げ始めてからどのくらいになるだろうか。 男は村の中でも比較的若い樵(きこり)であり、この日も遅くまで斧を手に汗を流していた。 ここは幻想郷。妖怪が跋扈し始めるこの時間まで森にいたのは、何も男が迂闊であるからではない。 ここ一帯は村とはさほど離れているわけでもなく、妖怪が出た試しもない比較的安全な場所であるからだ。 しかし、そんなことは男にとって何の気休めにもならない。 自分を襲った「何か」に噛まれた右肩が熱い。 きっと明るみに出れば、ぞっとするような傷跡が広がっていることだろう。 「は・・・・・!!」 村の灯りが見えてくる。 男は最後とばかりにあらん限りの力を足に込める。 一気に畑を突っ切り、村の広場まで出ると、男の妻がいた。 「おかえり・・・・えっ!!」 村の広場についた男は、妻の驚く声にへたり込んだ。 (・・・・・あれは・・・・?) 妻に包帯を巻かれ、父親からの質問を受けながら、男は今一度、考える。 自分を襲ったあれは? 猪ではない。 熊でもない。 ましてや・・・妖怪でもない。 (あれは・・・確かに・・・) しかし、あり得ない。 あり得ないことだった。 「何にやられたんじゃ!?獣か、それとも」 「お父さん、今はこの人も混乱してるでしょうから・・・」 (確かに) 「うーん・・・・。」 起き抜けに、上白沢慧音は白い腕を大きく伸ばす。 青く澄み、天高く何とやらそのものの秋空が広がっている。 「・・・寝すぎたか。まあ、約束には間に合うだろう。」 時刻は昼。普段里の誰よりも早く起きる彼女にしては遅い時間だ。 無理もない。 つい最近までのうだるような暑さで、夜は寝付けず朝は汗の感触で目が覚めるということを繰り返してきたのだから。 朝寝は一年で一番過ごし易い季節の、ある意味最も簡単な満喫法と言える。 「いい季節になったものだ。」 起き上がり布団を畳むと、顔を洗うために立ち上がった。 「「先生、おはようございます」」 「うむ、おはよう。」 家を出た直後に寺子屋の教え子達とすれ違った。 「今日はどこ行くの?」 「ああ、隣の村へ行ってくるよ。」 「ふーん、いってらっしゃい!」 ちなみに、収穫期であるため寺子屋はしばらくお休みだ。農家にとって子どもも重要な労働力である。 慧音のところへ、隣村の村長が訪ねてきたのは昨夜だった。 「息子が襲われただと?」 「ええ・・。」 「私のところへ訪ねてきたということは、妖怪か。待っていろ、すぐに妹紅にも言って」 「いえ、襲ったのは妖怪ではないみたいなんです。それだけは本人がはっきりと。」 「では?」 「ええ、それが、本人も要領を得ないようでして・・・。とにかく、明日本人からの話を聞いていただけませんか?」 「大方熊か何かの仕業だろうが・・・・。」 歩みながら呟く。妖怪ではないにしろ、熊であるだけでも十分な脅威だ。 「しかし、確かめてみらんことにはな。」 村に着くと、子どもの声での挨拶が出迎えた。 「「お姉さん、こんにちは!!!」」 「こんにち・・・は?」 子ども達ではなかった。 ゆっくりれいむとまりさの二匹である。 「お前達・・・」 「ゆ!お姉さんこの村は初めて?ゆっくり案内するよ!」 「あ、ああ。」 別段初めてではないのだが、面食らってそう答えてしまう。 「行き先はどこなの?」 「そ、村長殿の家だ。」 「わかったよ!しゅっぱーつ!!」 ぴょんぴょんと慧音の前を跳ねて行く二匹。 (頭についているバッジ・・・) 「お前達、ゆっくりブリーダーのところのか?」 「そうだよ!れいむとまりさはこの村の道案内を任せられたんだよ!」 「楽しいか?」 「うん、楽しいよ!」 「まりさ達色んな人とお話しできるんだよ!!」 「そうか。」 慧音は驚いていた。 利己的かつ生意気な行動で駆除の対象となるゆっくりが、人間の手によってここまで 意思疎通が出来、しかも仕事を任せられるような存在になるとは。 二匹の後を追いかける慧音は、やがて畑にさしかかった。 並ぶ畑の中で一際目立つのは、向日葵を中心とした色鮮やかな花が躍る、畑としては小規模のものだ。 背の高い花のただ中で、慧音の腰くらいの身長の、チェック柄の服を着た女の子が立っている。 麦わら帽子姿でじょうろをかざすその姿は、花畑の中にあってひたすら牧歌的だ。 「奇麗だな。」 「ゆー!のうかりーん!」 「へ?」 帽子がくるっと向こうを向くと、慧音は再び目を剥いた。 そこにあったのは、緑髪のゆっくりの顔だった。 「この子もゆっくりなのか・・・?」 のうかりん。 四季のフラワーマスター・風見幽香に似た姿をもつゆっくりゆうか。 元々知能も身体能力もゆっくりの中では高く、更に固有の特徴として花を育てる。 極めて希少性の高い体つきとなると更にその傾向が強くなり、花の他にも人間が食べるような農作物も手がけるようになり、 見た目も麦わら帽子と農家風(?)となるため、のうかりんという呼称で呼ばれている。 「全部一人でやっているのか?」 「・・・ちぇん、手伝ってくれる。」 ややぶっきらぼうに慧音の質問に答えたのうかりんの背後から、ゆっくりちぇんが飛び出してくる。 「お姉さん!お客さんだねー、わかるよー。」 「慧音様、いらしてたんですね。」 背後からの声に振り向くと、一人の青年が立っていた。 「あ!おにーさん!!」 青年に駆け寄って行くれいむ達二匹。 「すると・・・お前がブリーダーなのか?」 「おかげさまで・・・先生。」 ゆっくりブリーダーの青年は、寺子屋の生徒だった。 「まさかあのお前がブリーダーとはな、驚いたぞ。」 「そうですか?あの頃から動物とか好きだったんですよ。」 「いや、お前が根気のいる作業が出来るとは思わなんだ。お前達の代で一番私の頭突きを食らったお前が。」 「はは、彼はいい加減頭が割れるんじゃないかともっぱらの噂でしたよね。」 「馬鹿者。」 談笑しながら村長の家へ向かう二人。足下にはおなじみの二匹。 「それはそうと。」 「何ですか?」 と、いきなり青年の手をとり、がしっと自分の手を重ねる。 「え」 「私は今、猛烈に感動している!!」 慧音の目には炎が宿っていた。 (始まっちゃった・・・) 青年は内心呟く。 「ゆっくりと人間との共存の可能性を見せてもらった!いち教育者として、お前に敬意を表する!!」 「せ、先生・・。」 「そもそも教育とは知性ある万物に施されるべきものであり・・・」 こうなったらもう止まらない。青年は引きつり笑いで言葉の奔流を受ける覚悟をした。 「ゆ?お姉さん、村長さんの家に行かなくていいの?」 「それはつまり・・・あ、いかんいかん、そうだったな。」 (・・・・ナイスまりさ!!) 「ところで慧音様、村長の家には何の御用で?」 「ああ、それがだな。」 ふと表情を引き締める慧音。 「お父上から話は聞いた。その傷、森でやられたのか?」 「はい・・・・。」 村長の家に着いた慧音は、早速村長の息子ー男と対面していた。 庭では青年とれいむ、まりさが遊んでいる。 「妖怪ではないと聞いたが、君を襲ったものは何なのだ?」 「・・・・。」 「暗い中食いつかれたのだ、混乱してはっきりとわからないのも無理はない。 だが妖怪ではないと言うのなら、それなりの目星はついているのだろう?」 「・・・信じてもらえないかもしれませんが・・・。」 「ふむ?」 正座した膝に置かれた男の手が、ぎゅっと握りしめられる。 「あれは、ゆっくりでした・・・!!」 昨晩、男は目当ての木を切り、いくつかの丸太に分けたところで仕事を切り上げようとした。 「ゆっくりしていってね」 ふと、背後から聞こえるおなじみの声。 振り向くと、そこにゆっくりの姿は無く、代わりに持って帰る丸太の一本が無くなっていた。 目の前の茂みではがさごそという音が。 大方いたずらで丸太を隠そうとでもしたのだろうが、あまりにもお粗末なやり方。 今日の成果を隠した不届きものを踏みつぶそうと男は茂みに踏み入る。 そこで見てしまった。 丸太を齧り、ぼりぼりと咀嚼する二匹のゆっくりを。 ゆっくりが丸太を齧れるだろうか? いや、そもそも丸太を運べるだろうか? そう思い至るのと、二匹が振り向くのが同時。 「おじさん・・・ゆっくり・・・・シテイッテネェェェエ!!!」 自分に向かって跳躍する、白黒帽子。 その口には、ぞろりと牙が並んでいた。 「・・・にわかには信じ難いが・・・。」 「もしかしたら、自分の頭がおかしくなっているのかもしれません。 しかし、もし本当にゆっくりだとしたら、皆にも危険が及びます。 お願いです慧音様、この件、協力していただけないでしょうか?」 「承知した。正体が何にせよ、人間にそのような傷を負わせる ものを放っておく訳にはいかんからな。」 「!ありがとうございます!!」 「寺子屋はしばらく休みだから、この村に留まって調査をしよう。宿を貸してくれるか?」 「もちろんです。」 皆が寝静まったその夜。 月に照らされた鶏小屋から、ぶちっ、めきめきという音が。 中でうごめくのは二つの影。 月光に浮かび上がるのは、血まみれの鋭い歯並び。 それと、白黒帽子と赤いカチューシャだ。 「うめ・・・・めっちゃ・・・ウメェ」 続き お久しぶりです、ゆっくりゃバーガーの人です。 思ったより長くなってしまい、分けることにしました。 続きは2、3日中に上げられると思います。 このSSに感想を付ける
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俺の嫁ゆっくり 6KB ・虐ではないです。 ・たまにはれいむの味方するSSがあってもいいじゃない。 『俺の嫁ゆっくり』 D.O 「朝だよ。早く起きてね」 朝6時30分。今日もれいむの声が部屋に響く。 「後5分。いや、3分だけ・・・」 「いーち、にー、さーん。ほらほら3ぷんたったよ。はやくおきてね!」 そう言うが早いか俺の布団はれいむに勢いよく剥ぎ取られた。 「だから早すぎるって・・・」 「はやおきは3000えんのとくってむかしのえらいひとはいってたよ! あさのおさんぽはゆっくりできるよ!」 「何なんだ、そのリアルな金額は。 普通の学生はこんな健全な生活してねえぞ、まったく。」 俺はごく一般的な大学生だ。 新入生でもなければ就職活動もしていない。一番気楽な時期と言える。 家も大学に入ると同時に一人暮らしをはじめたため、気楽なワンルーム生活を送っていた。 このれいむが来るまでは。 れいむは、別にゆっくりショップで買ってきたわけではない。 家の近所の川沿いの道を散歩中、たまたま出会った赤ゆっくり、それがこいつだ。 その時のれいむは泥まみれで、見るからに腹を(ゆっくりの腹ってどこだろ?)すかしていた。 赤ゆっくりが巣から離れているところなどはじめて見た俺は、 つい興味を持ってしまい、道端の花をほぐして食わせてやりつつ、いろいろ話を聞いてやった。 「親はどうした、親は。」 「ゆーん。わきゃらにゃいよぉ。」 「どっから来たんだよ。」 「うまれちぇすぐに『ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!』てあいさつしちゃりゃ、 あのいしさんのまえにいちゃよ。おちょーしゃんもおきゃーしゃんもいなかっちゃよ。」 20メートルほど先に大きな石が落ちていた。 その隣には踏み潰されたお菓子の箱も。 パッケージには『スッパイ赤ゆにご用心! 6個入』と書かれていた。 (そういえば、青汁代わりに罰ゲームで使ってたバライティ番組あったな・・・) 早い話が、好奇心で買ったけど、まずすぎてポイ捨てということだな。 他の5匹は箱の中でつぶれてるか、一口だけ食って吐き捨てられたと思われた。 そんなわけで、なんだかすごく不憫に思えてきてしまい、ついつい飼いはじめてしまったのだ。 れいむはスッパイ餡子が高性能なのかわからんが、 飼ったその日からトイレの場所や危険な物等をサッサと理解してしまい、 あっさりと金バッジを取得する異常な優秀さを示してくれた。 飼い主としては鼻高々であった、のだが、 優秀すぎてごらんの有様だよ。 「おやさいさんをもっとたべてね。さいきんにんじんさんがたりてないとおもうよ。」 「お前が食べたいだけだろ、お前が。」 「じつはもう、すこしかじっちゃったよ」 「なにやってんだ駄れいむ!保存きかねえだろ、これじゃ。」 「しらないよ。ちょうどいいからおにいさんもにんじんさんたべるといいよ。」 「なんて奴だよ、まったく。」 結局その日は自炊する羽目になった。 俺一人なら経済的かつ楽だという理由で、毎日カップめんで済ますところなんだが、 れいむが金バッジを取得しておつかいを頼めるようになってからは、 勝手に野菜や魚を買ってくるようになった。 しかもわざわざ定期的に野菜をつまみ食いしてしまうため、 食材を無駄にしないように週2~3日は家で料理をさせられる有様だ。 日曜日。学生とは言え休日は自宅で満喫するのが俺のスタイルだ。 早い話、恋人とか居ないし。 だが部屋でゴロゴロしてると、いつも決まった時間に れいむが粘着ローラー(コロコロと部屋掃除するアレ)を持ってにらんでくる。 「ほらほら、おそうじのじゃまだよ。ゆっくりしないでどいてね。」 「あー、もう。頼んでもいないのに毎日几帳面に部屋掃除しやがって。 今日は日曜日なんだからゆっくりゴロゴロさせろよ。」 「ゆん。そんなのしらないよ。れいむはいつもどうりにおそうじしてるんだよ。 りっぱなだんなさんなら、むしろいっしょにおそうじしてくれるものだとおもうよ。」 「めんどくせえし。俺だって外では勉強したりバイトしたり大変な思いしてるんだぞ。 休みの日ぐらい寝かせといてくれよ。」 「ゆっゆーん。いまのはれいむくらいゆっくりしたおよめさんじゃなかったら、りこんかくていのせりふだよ。 だめなおにいさんはゆっくりりかいしてね。」 「誰が嫁だ、誰が。」 「はーいはーいw。どかないならおにいさんごとおそうじするよー。ころころころころ。」 「へいへい。家の中はれいむさんのテリトリーでしたね。ゆっくり理解して俺もお手伝いさせていただきますよ。」 今日は珍しく友人たちと遊びに行ってきた。 海はやっぱりイイ。主に目の保養になる。きれいな青が。 友人たちの中には、残念ながら女性は入っていない。 「あー疲れた。もう寝るわ。」 「ゆっくりおふろにはいってからねてね。しゃわーさんあびてきても、まだくさくさだよ。」 「うるせえなぁ、磯のにおいはゆっくりできるだろ。お前も俺の脇のにおい嗅いでゆっくりしろ。」 「お兄さんやめてね、ちかづかないでね。うみのにおいにまじってくだものさんみたいなにおいもするよ。」 「ほーらほーら、おまえも果物みたいなにおいしてきたぞ。」 「・・・これいじょうやったらしゃんぷーさんをおはなにながしこむよ。 ゆっくりねてるところにさいこうのめざめをぷれぜんとするよ・・・。」 「マジ勘弁。んじゃ風呂にお湯ためといてくれ。」 「とっくにためてあるよ。おせなかごーしごーししてあげるからゆっくりはやくおふろにきてね。」 「お前ってホントにゆっくり?」 本日は定期試験前日。 俺のような不良学生は当然一夜漬けだ。 「てつやはからだにどくだよ」 「うるせえ。明日の期末試験で赤点取ると留年なんだよ。 毎日家でゆっくりしてるだけのお前と一緒にすんな。」 「まいにちすこしずつべんきょうしないからこんなことになるんだよ。 じぶんのふだんのおこないをゆっくりはんせいしてね。」 「邪魔すんならさっさと寝ろ。」 「ゆふん。かしこいれいむははやねはやおきだよ。 おばかなおにいさんもほどほどにがんばったらさっさとねてね。」 とかいいつつ夜食にお茶とお菓子を持ってきてくれた後、れいむは寝室に入っていった。 「・・・ぉきてね。ゆっくりしないではやくおきてね!」 「うーん。」 机に向かったまま寝てしまったようだ。 目を覚ますと、いつの間にか肩に掛けられていた毛布がずり落ちる。 「時間は・・・やべえ、試験遅れる!!」 「ゆっくりしないではやくきがえてね!がっこうさんにおくれるよ。」 「れいむ~。なんでこんなときに限ってギリギリまで起こさないんだよ(泣)」 「しっかりねないとあたまもはたらかないんだよ。ていきとおさいふはこっちだよ。 ごはんはたべてるじかんないから、おにぎりをもっていってとちゅうでたべてね!」 「えーと、お前おにぎり作れたの?」 「ゆっへん!おちゃわんをじょうずにつかえばれいむでもつくれるんだよ!」 「じゃあ汚くはないな。」 「どのくちがそんなこというの! きょうというきょうは、かえってきてからゆっくりおはなしがあるよ!」 「へいへい。楽しみにしておきますよ。」 家を大急ぎで飛び出しつつも、悪態を付き合うことだけは忘れない。 最近はこれがないと一日が始まった気分にならないのだ。 ご機嫌取りのおみやげを何にするかを考えつつ、俺は今日も駅に向かった。 −−−おまけ−−− 半年振りに帰省した。 当然れいむも一緒だった。 別れ際に両親はこんなことを言っていた。 「まあ、いいコみたいだし、この際ゆっくりでもいいと思うよ。」 何のことだろう。 悪いれいむ=でいぶ 良いれいむ=ハイスペック母ちゃん 挿絵アイコン by嘆きあき D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る このれいむはいいれいむ -- 2019-04-02 00 06 28 続き見たい -- 2018-09-21 23 22 53 ハイスペック母ちゃんwww -- 2018-08-02 15 44 11 ジャン クッこいつ普通のゆっくりの知能の比じゃねー! -- 2018-07-16 17 59 38 どう考えてもゆっくりの頭じゃねーなこれwwwwもはや別の生き物だこれwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 2018-07-16 17 54 17 こんなかみさん欲しかったねーw -- 2018-03-30 00 19 27 もう胴付きになればいいと思うよ。 -- 2016-08-24 19 29 02 「れいむは、シングルマザーなんだよ!」とは違う意味のシングルマザー -- 2016-08-16 13 51 01 このれいむペットショップに売ってたら1万円はするだろうなあ -- 2016-08-09 13 09 58 このゆっくりれいむ優秀すぎ -- 2016-02-26 16 45 51 ハイスペック母ちゃんwww -- 2015-09-10 01 28 47 ハイスペックれいむwwこのれいむが胴付きになったら、お兄さん大変だねぇw -- 2015-08-12 02 38 54 30円でこれって、ペットショップの意味w -- 2015-07-08 23 10 49 なんかおかしいところがいくつか… すげーれいむだな -- 2014-09-15 12 50 32 KNN姉貴かな…? -- 2014-09-10 17 06 55 似たような作品をどこかで見ました。私はこういうSS好きです! -- 2014-08-09 00 29 37 ハイスペック母ちゃんに吹いた -- 2014-08-02 20 59 37 このゆっくり霊夢欲しいわ。 胴付きになればなお良し。 格言w -- 2014-06-28 09 59 28 全てのれいむがこれならよかったのに -- 2014-06-23 23 48 09 胴付になれば問題ない -- 2014-06-05 17 20 08
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ゆっくり虐待 10KB 虐待-普通 小ネタ 理不尽 駆除 希少種 自然界 幻想郷 虐待人間 いろいろ初めてですがよろしくお願いします ゆっくりを求めて 神社が近くにある丘の上。 空を見上げれば雲ひとつない晴天、くっきりスカートの中が見える。 樹は青々とした葉をつけ花々が美しく咲き誇っている。 厳しい冬が終わり、丘は春の陽気に包まれていた。 二海峡市旧坪町のはずれにあるピクニックにもってこいの場所である。 「「ゆっくりしていってね!」」 ゆっくりとした風景に誘われて出てきたゆっくり達がゆっくりと挨拶をしている。 バスケットボールサイズのゆっくりれいむとゆっくりまりさである。 ゆっくりはゆっくりするべくゆっくりと日向ぼっこを楽しんでいる。 「ゆっくり!!」 「「ゆっくり! ゆっくり!」」 その近くではソフトボールほどのゆっくりが楽しそうに遊んでいた。 転がるゆっくりをゆっくりと追いかけていく遊びである。 誰も邪魔されずにゆっくりがゆっくりとゆっくりするためにゆっくりできる時間がここにある。 そんな平和(ゆっくり)な光景を一つの叫び声がすべてを台無しにした。 「ヒャッハー!! 我慢できねぇ!! 虐待だ!!?」 「ゆーーーーー!!!」 「やめてね、いたがってるよ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 気合い一閃、近くにいたバスケットボール大のゆっくりまりさをつよく蹴り飛ばした。 ゆっくりは岩にぶつかり大きく変形する。 ぶつかった衝撃に耐え切れず皮は破れ中身があふれていく。 傷は大きくほうって置けば確実に致命傷である。 あまりのことに呆然としていたゆっくりのうち ソフトボールサイズのゆっくりれいむのもみあげを掴んで持ち上げた。 持ち上げられたゆっくりは何もできずに叫ぶばかりである。 衝撃的な状況で呆けていたゆっくりれいむだが、叫ぶ子ゆっくりに気がつきやめるように言ってくる。 その声は必死ではあるがどこか小ばかにした印象を抱かせた。 奇声をあげたのは一人の男である。 春だというのに黒のロングコートにブーツさらにサングラスまでしている。 まことに怪しいいでたちである。 「ハッ! あんなたまんねー状況を見せられて我慢できるかっての。饅頭は須らく潰されるべし!」 男はそう言い捨てると腰の後に刺していたチャッカマンを取り出し底面を焙りだした。 改造されたチャッカマンの火力は凄まじく瑞々しい底面はすぐに煙を上げ焦げだした。 あたりに香ばしい匂いが立ち込め、それとともに子ゆっくりの動きが鈍くなっていく。 「あついよ! やめてね! はなしてね!」 「「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 ゆっくりれいむは焦げていく体に危機感を抱きやめるように呼びかける。 しかし、その表情はどこか人を小ばかにした顔でありどこか余裕が伺える。 残されたゆっくり達はは目の前の凶行にどうすることもできず叫んでいる。 必死なのだろうが甲高い声が気に障り逆効果である。 炙っている炎が手にもあたるが防火処理の施された手袋をしているので問題はない。 男は気にせず火力を上げて底面だけでなく、髪や飾り、口、目を燃やし焦がしていく。 蹴られたゆっくりはただただ痙攣しているだけである。 「ヒャッハー! いい声で鳴け! 俺の渇きを癒してくれ!」 「ゆ゛」 雄たけびを上げつつ、つかんだゆっくりれいむを丹念に焼き上げてる。 むらなく焦がし尚且つ生かしているゆっくりを無造作にほうり捨てる。 先ほどと同じサイズのゆっくりまりさを捕まえ袖に仕込んでいた針を取り出す。 取り出した針で線を描くように外皮を傷つける。 ほっぺたにあたる部分から少しずつ削っていき、ある一点に狙いをさだめる。 弾力に富んだ外皮は一瞬抵抗をするも、たやすき突き抜けて針は内部へと食い込む。 様々な角度から異なる長さの針を次々と突き刺しその反応を見ていく。 「いたいよ! ささないでね! はなしてね!」 「「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」」 「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」 ゆっくりは針を刺すたびに叫び訴えかけてくる。 その顔はにやけ顔でありかなりふてぶてしいものであった。 下にいるゆっくり達は放り捨てられた子ゆっくりと持ち上げられた子ゆっくりを交互に目を向けながら叫ぶだけである。 なお、最初に蹴られたゆっくりは一瞬のうちに視界から消えたのでも認識できていないようだ。 途中、手元が狂い針先が指に突き刺さろうとするが特殊繊維で作られた手袋はびくともしない。 「ヒャッハー。何を言っても無駄だ。饅頭どもは此処で潰れるのだ」 「ゆ゛」 数十本と刺し針山となったゆっくりまりさをみる。 これ以上指す場所がないと判断してそこらへんに転がしておく。 次の獲物である子ゆっくりれいむを持ち上げた。 ブーツに仕込んでいた錐を抜き出し構える。 ゆっくりの目に獲物の先端を突き付けジワジワと近づける。 「いたいのはいやだよ! やめてね! はなしてね!」 そんなことを訴えるが、意味のない鳴き声である。 無視して目に錐を突き立てる。 かすかな抵抗ともに何かはじけるような感触と共に目に錐が突き刺さる。 そのまま錐を動かしえぐり目を取り出す。 「いたいよ! くらいよ! はなしてね!」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」 子ゆっくりれいむは叫びを上げるがただそれだけである。 地面にいるゆっくりれいむは壊れたレコーダーのように同じ声を繰り返すだけである。 両目をえぐったあとも他の場所を執拗に突き刺していく。 まるで何かに取り憑かれたかのように刺していく。何度も、何度も……。 「……ひゃっはー。あとはてめぇだけだ」 無事なところはなく、ずたぼろになった子ゆっくりれいむを地面に捨て置く。 最後に残ったゆっくりれいむに詰め寄る。 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」」」」 目の前にあるのは瀕死のゆっくり×4にバスケットボール大のゆっくりれいむが1。 瀕死のゆっくりは細かく震えて「ゆ゛」としか言わなくなっている。 放っておけば「もっと……ゆっくりしたかった……」という台詞と共に静かになるだろう。 「…………飽きた」 突然、男が動きを止め気だるくため息をついた。 「なんつーか、バリエーションが乏しいんだよな。もっと、なんていうか……こう、 『れいみゅのしゅてきなあんよがー』とか 『まりしゃのもちもちのびはだがー』とか 『れいみゅのちゅぶらなおめめしゃんがー』とか そんな叫び声はないのか?」 「…………ゆ?」 あまりに理不尽な問いにゆっくりレイムは呆然とするだけである。 「俺の住んでるところだともっと色々な声が聞けるんだけどなぁ」 生物とみなさず、饅頭としてあつかってるゆっくりに語りかけるなど、この男はかなりキている。 ちなみにこの男、住所は双葉市虹浦町である。 「最近、ここらへんのゆっくり虐待に飽きたから旅にでる!」 とわざわざ遠く離れた旧坪町にきたのだ。 「んー、どうればいいと思う?」 「ゆ、ゆっくりしようよー」 しゃがみ込み顔を近づけゆっくりれいむにそう問いを投げかける。 ……末期ですね本当にありがとうございます。 「よっいしょっと」 「ゆゆゆ?」 背負っていたギターケースを下ろし、ふたを開ける。 そこにあったのはたくさんのアマアマ……ではなく巨大な鎚が入っていた。 「あー、あれだ。これ以上やっても似たような反応だし潰すわ」 「!? ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」 男は鎚を手に取り面白くなさそうに言い捨てる。 その発言にゆっくりはもっとゆっくりするよう全力で訴える。 当然である。あんな鈍器で叩かれたら人間も昇天する。 「うーん、どうしようかなぁ……そうだ! 『げすはゆっくりしないでしね!』とか 『でいぶはつがいがしんでがわいぞうなんだよ!』とか 『あまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!』とか 俺を楽しませるような台詞を言ったら見逃してやるよ」 男は鎚を肩に担ぎ悩むしぐさをしていると、何か思いついたように声を上げた。 その提案はどう考えても死亡フラグの塊である。 たとえ言えたとしてもその瞬間つぶされているだろう。 そのような無茶な発言にゆっくりれいむは答えた。 「ゆっくりしていってね!(キリ」 ゆっくりれいむはなにか確信したかのように叫んだ。 これがすべてだ。これ以上のことはない。これですべて終わる。 その顔は「やったよ! ゆっくりしてくれたよ!」と達成感にあふれる顔だった。 「……そぉい」 あまりにむかつく顔だったので全力で槌を振り下ろした。 すさまじい轟音と共にゆっくりは粉々になった。 鎚を上げるとバラバラになった餡子は周りに飛び散り花を咲かせているのが見える。 「きたねぇ花だ」 そう言い捨て瀕死だったゆっくりに目を向ける。 「「「「………………」」」」 へんじがない、ただのしかばねのようだ どうやら目を放している間に永遠にゆっくりしてしまったようだ。 「……本当につまらん」 ゆっくりまりさの被っていた帽子を取ると、それで道具についた汚れを拭き始めた。 「あ~~、いつもだったらここで 『まりさのおぼうしをかえしてね!』とか 『せいさいされたくなかったらさっさとかえすのぜ!』とか 『ゆんやー! もうおうちかえる!!』とか 『そんなことよりおうどんたべたいよ!!!!』とか 気持ちいい台詞が聞けるのになぁ」 道具を拭き、しまい終わると持っていたゴミをまるめてほうり捨てた。 ゴミ―――ゆっくりまりさの帽子は転がり餡子の花の近くで止まった。 「ちょっとまちなさい」 落ち着いたすずやかな声で制止がかかる。 「なんだ?」 振り返ってみると、そこには巫女服を着た女性が立っていた。 「それをやったのはあんた?」 指を刺したところにはずたぼろになった饅頭が4個あった。 大きくへこみ皮が破れ中身が出ている饅頭が一つ。 表面が真っ黒となり見た目は炭にしか見えない饅頭が一つ。 見た目は一筋の線が見えるだけだが壮絶な苦悶の表情を浮かべ転がっている饅頭が一つ。 (注:針がかなり細いため刺した穴自体は大きくないのだ) 目もなく皮がずたぼろになっている饅頭が一つ。 「……あぁ、そうだ。ついでにあんたの足元にあるのを含めて5つかな?」 その格好になかば見とれながら返事をする。 つややかな髪はやわらかく風に流れ、その流れを戒めるように赤いリボンで結ばれてる。 意志の強そうな目は涙をため怒っているも泣いている様にもとれる。 鼻筋も通っており、その下でかわいらしい唇が何かをつぶやいている。 どこかで見たような感じもしないでもないが、とても美しい顔立ちといえるものだ。 視線を下に移すと細い体のラインが見えた。 肩が出るデザインの巫女服であり、赤と白で彩られた綺麗なものである。 胸は小さすぎず大きすぎずほどよい大きさだ。 腋がまぶしい。 さらに下に視線を移すと綺麗な脚線がみえる。 その足元に先ほど放り投げたゴミ(帽子)がみえた。 「そ、そうか。ゴミを捨てちゃダメだな。急いで片付けるよ」 こちらを見た眼差しがきつく感じたのは、 先ほど投げたゴミについて怒りのせいなのだろう。 「……し……っくりが……」 ここで、何か巫女が言っているのに男は気がついた。 耳をすませるとだんだんはっきりと聞こえた。 「わたしの饅頭(ゆっくり)が……」 この台詞に男は顔をしかめた。 飼いゆっくりだとは思っていなかったのだろう。 確認のために視線をゆっくりに向けるがその飾りにバッチはない。 しかし、たとえ飼いゆっくりは外に出さないのが常識であり、 その常識を無視したゆっくりは例外なく死んでいくのだ。 ゆっくりは存在自体が害であり、目に入れば潰す存在であるというのが常識だ。 男はその常識にのっとり潰したに過ぎない。 だが、美人が泣いているのならば別である。 ここはひとつ謝っておくのがよいという判断だ。 男はひとりうなずき巫女に声をかけようとする。 「なぁ。すま…………」 しかし、謝罪の言葉は最後まで言い切ることができなかった。 なぜなら、大量の針と札が投げつけられたからだ。 男は紙一重で横に飛んで攻撃をかわした。 「ちょ、え? なにこれ?」 「饅頭(ゆっくり)の恨みを思い知りなさい……」 静かに告げるその言葉には確かな殺意がこもっていた。 巫女はおやつに取っていた饅頭(ゆっくり)がつぶされ食べれなくなった事に怒っているのだ。 巫女は宙に浮き、札(スペルカード)を取り出すと死の宣告をつげた。 「霊符『夢想封印』」 「まてまてまてまて \ピチューン/ 」 to be continued? あとがきポイなにか ゆ虐どころかSS自体はじめて書きました。 表現とかいろいろ難しいです。 結構前からチェックしてるけど昔と変わってきましたねぇ。 ゆっくりの設定はやや古めのものをモチーフにしてるつもりです。 だから素敵な巫女が出てきたりします。 (まぁ、次があっても出番ないけど) 故にバッチ設定など存在せず、ゆっくりが害獣として認識されてないのである。 作品に出る男の武装は ・袖に仕込んだ大量の針 ・ブーツに仕込んでいる錐 ・腰の後につけているチャッカマン(改造済み) ・懐に入れてる煙球や薬品類 ・ギターケースに入れてる鎚、その他 ・研究肌の虐待鬼井山謹製の手袋 です。 まだ増えるかも。 何か至らぬ点があれば苦言をよろしくお願いいたします。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 原作出すのはゆっくり関係では御法度。 しかも原作を知らないで書いているのバレバレ。 霊夢がどんなキャラでどんな役割を持っているか勉強してこい。にわか野郎。 -- 2018-01-11 19 59 36 その後、霊夢は殺人罪で逮捕されたとかされなかったとか。その後 は誰にもわからない。 -- 2016-07-02 15 24 36 霊夢最低。死ね、このヤクルトスワローズ -- 2016-02-29 01 17 09 ああ、貧乏巫女・・・ つ一万円 -- 2014-08-01 20 31 08 霊夢のくだりが蛇足。 -- 2013-08-03 05 53 15 「まてまてまてまて\ピチューン/」 wwwwwwwwwwwww -- 2012-03-18 14 17 23 そこは「きたねえ花火だ」でよくね? -- 2011-11-26 05 28 34 テーレッテー(世紀末的な意味で) -- 2011-08-22 10 58 07 原作キャラをはっきりと登場させるなら最初の注意に入れた方がいいかもね まあ普通に活躍させるだけなら荒れないとは思うけど -- 2011-07-18 17 55 26 霊夢は金で買収すべし -- 2011-06-12 12 23 16 おもろい! -- 2011-02-11 11 42 50 兄さんサラバ -- 2010-11-07 17 18 31 鬼巫女WWW -- 2010-10-24 17 23 12 つまんねえ上に厨二くせえよ -- 2010-07-31 22 47 43 霊夢を知らないってお兄さんは幻想入りしたてなのかな? -- 2010-06-26 23 03 00 原作キャラ出すなら、ちゃんと書ききらないと・・・ -- 2010-06-12 14 23 54 取り返しのつかない事しちゃったねぇ、お兄さん…。 -- 2010-06-06 19 33 20 霊夢が要らねぇ なぜ登場させたのかが分からない -- 2010-06-02 07 38 07 霊夢うざいな -- 2010-04-17 18 49 30 男の虐待パートはつまらなかったけど、男が最後やられるのは面白かった -- 2010-03-26 17 06 16
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<< ゆっくりズvs >> 初投稿です。 俺設定発生。 『ありえない奴』が出てきます。 賢いゆっくりが登場します(ゆっくりの出来る事超えてる?)。 ドスがでます(それ以外のゆっくりは漢字を使えません)。 人間が負けたりします。 描写に不自然なところがあると思います。 無駄に長いです。 陽が地平線に沈む頃、一匹のうーぱっくが空を飛んでいた。 「う~♪う~♪」 体であるダンボールには黒くて丸い物体が大量に入っている。 運び屋としての一面もあるうーぱっくは、報酬さえ払えば何でも運んでくれる便利な存在だ。 このうーぱっくも、とある人から依頼を受け荷物を運んでいる最中だった。 が 「う~♪う~♪―――うっ!?!?」 その時突風が! うーぱっくはたまらず体勢を崩す。 「うー!!うー!!」 しかし大きく揺れた際に荷の一部が地上に落ちてしまった。 「うー!!う~……」 何たる失態。運び屋としてあってはならないミスだった。 しかし大部分は無事であるのだし、黙っていれば雇い主にはばれないだろう。 「うー♪」 気を取り直したうーぱっくは、再び高度を上げ目的地に向かって行った。 某所の山の中。 とある洞窟の中。 非常に広い洞窟の中に数え切れないほどのゆっくりがひしめき合っていた。 それもそのはず。 山中のゆっくりが集まっていたからだ(一般的な普通種のみで捕食種は除く)。 この山のゆっくり達は、一匹のドスの群れに属していた。 ざわざわと騒ぐゆっくり達だったが、一段高い場所にこのゆっくり達を率いてきたドスまりさが現われると静かになる。 そして、ドスまりさがゆっくりと口を開く。 「よく聞いてね! みんなで話し合った結果……山を降りて人間を攻撃する事にしたよ!」 その言葉を聞いたゆっくり達は喜んだ。 今まで人間と関わりあう事を禁止していたドスがついに思い腰を上げたのだ。 ―――だが、ドスをそうさせたものはなんだったのだろうか? するとドスの後ろから数十匹のゆっくりが姿を現した。 そして、そのどれもがドスほどはいかないが、普通種では考えられない大きさになっている。 それぞれのゆっくりは二メートル近くあり人間より大きかった。 このゆっくりたちは、ある日突然急激に大きくなり、ドスの持つ特殊能力などは使えないが、 ゆっくりにはないほどの運動能力(ゆっくり基準)と高い知能(あくまでゆっくり基準)を持つようになっていた。 このように頼もしい仲間が増えた普通サイズのゆっくりたちはドスに要求した。 『もっとたくさんの食べ物を』 『もっと広い家を』 『もっとよいゆっくりプレイスを』 加え彼らはこれより少し前に、山の麓で村を作り始めた人間によって住処を追われ、その際に多くの仲間を殺されていた。 そのこともゆっくり達を駆り立てた要因かもしれない。 今までは人間にやられるだけだった。 だが、もうそれはおしまいだ。 この山にいるゆっくりおよそ1000。 この巨大なゆっくり達。 そしてドスまりさの存在。 今こそ―――戦いのとき! 「明日人間の村を攻めるよ! みんなのゆっくりプレイスを取り戻すよ!!」 「「「「「「えいえい、ゆーーーーー!!!!」」」」」」 洞窟にゆっくり達の声が響き渡っていた。 文々新聞、一面 『巨大ゆっくり、村を強襲!!』 先日、幻想郷某所の村にドスまりさや巨大ゆっくり十数匹が村に攻め入るという事件が発生した。 この村は先月、森を切り開いて作られた村で、今後の森林開拓の足がかりとなるはずの場所だった。 村を襲った巨大ゆっくりは普通サイズのゆっくりを従えており、その数は1000を超えていた。 村人は必死に戦ったが、数や巨大ゆっくりの大きさに圧倒され、村は現在無人状態。 ゆっくりに占拠されてしまっている。 今後、加工所の職員や有志を募り、ゆっくりの駆除に乗り出す模様だ。 『まさかのゆっくり! 人間が敗北!!』 今日昼過ぎ。 村を占拠するゆっくりを駆除するため、有志の鬼井さんや加工所の人間が村に乗り込んだ。 だが、ゆっくり達は村の周りにバリケードの杭を建て、人間の侵入を阻み、 村の中から投石攻撃を繰り出してきた模様。 さらにはうーぱっくを使っての空中投石もあったの事。 それをかいくぐり何とか村にたどり着くものの、入り口を守る巨大ゆっくり達に追い返されてしまったそうだ。 中には腕の骨を折るなどの重傷を負った職員もいる。 今後、増長したゆっくり達が近辺の村の制圧に乗り出すのも時間の問題とされており、 近辺の村や加工所は対策に追われている。 『ゆっくりは何が目的なのか? ゆっくりと村を改築中』 村を占拠したゆっくり達だが、なにやら村に穴を掘っている模様。 ゆっくりは地中に巣を作る習性があるため、そのための穴とも考えられる。 同時に、森の木々を使って杭を作り、村の外周警備をさらに固めた模様。 夜間はみはりを立てる用意周到さで、やはり何かを企んでいるのは確実といえる。 『ゆっくりの群れが拡大。それに対し河童達になにやら動きが』 ゆっくりが人間の村を占領したという噂は、周囲のゆっくりにも伝わったようで、 多くのゆっくりが村を目指して移動してきている模様。 群れはさらに多くなり、今では1500ほどのゆっくりを確認した。 一方、増え続けるゆっくりに対し、人間の盟友である河童達が何やら動きを見せている。 なんでも、外から流れ着いた『あるもの』を使って、日々怪しい実験を重ねているらしい……。 夜。 森のふくろうが鳴いている。 それに混じり「だいたいみんなひどいよ。わたしはおんなだよ」という愚痴が聞こえる。 虫達の声に加え、どこからともなく「そーなのかー」という声も聞こえる。 「ちーん、ちーん」という言葉は変だが綺麗な声も聞こえる。 そんな幻想郷の住民の声を無視し、その『視線』はある村に向かっていた。 村の様子を見る。 モノクロ―――紫外線探知 『視えない』 村の様子を見る。真っ赤―――光源探知 『視えない』 村の様子を見る。黒―――熱探知 『視えた』 わずかな熱移動を示す青い小さな塊。 拡大する。 同時に視聴精度も向上させる。 視えた。 聴こえた。 視線の主は村に向かって駆け出した。 「ゆ、ゆ、ゆ」 夜、満月が浮かぶ空。 ゆっくりに占拠された村。 村の入り口にはところどころ太めの杭が打ち込まれており、人間の侵入を防ぐ働きをしていた。 といっても人間から見れば気休め程度にしかみえないのだが……。 その周辺を警備する夜警ゆっくり達。 「ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し!」 村の中は畑や家がたくさんあるが、畑は無残に食い荒らされ、家の襖は破かれ外から丸見え。 家の中も荒らされ放題だった。 さらに、村の奥にある広場には大穴が開いていた。 ここ数日でゆっくり達が掘った穴で、いずれここに多くのゆっくりが来る事を見越して作った住居だった。 その地下は非常に広く掘られており、1000以上のゆっくりが暮らせるように考えられていた。 しかしいまは建設途中なので中には誰もいない。 ゆっくり達は村を占拠すると、ここを自分達にあったゆっくりプレイスにしたのだった。 家の中では何匹ものゆっくりが寝ており、その広場の横にある村一番の大きな家では、 ひときわ大きい……おそらく二メートル以上あるゆっくりまりさとれいむがいびきをかいていた。 このまりさとれいむは、今回村を襲った巨大ゆっくりの一匹で、占領の際人間と最も戦った功労を認められ、 前線基地のリーダーとして村に居座っていた。 「ゆびゅ~……まりしゃしゃまは……さいきょ~……なんだじぇ~……」 「ゆ~……まりさ~……かっこいいぃぃ~……」 時折薄ら笑いを浮かべつつ寝言言っている。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょうな~し」 入り口のれいむはさっきから馬鹿正直に点呼を繰り返している。 と、同じ見張りなのにうとうとしていた成体まりさが目を覚ました。 「ゆ~……れいむうるさいよ!ゆっくりねむれないよ!」 「ねたらだめでしょーーーー!!まりさもゆっくりみはってね!」 「まりさはねむいんだよ!よるはゆっくりねむるんだよ!」 「りーだーにいいつけるよ!」 「ゆっ……」 「うごかないからねむくなるんだよ! まりさはれいむゆっくりしないでこうたいしてね!」 「ゆ……ゆっくりりかいしたよ……」 「ゆっくりちゃんとみはってね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 れいむの剣幕にまりさは眠たい目を無理矢理あけて、れいむと見張りを交代する。 眠ってゆっくりできないのは苦痛だったが、リーダーに告げ口されて『永遠にゆっくりできなくなる』のはもっといやだった。 普通種のゆっくりは夜行性ではないため、夜間は巣の中で寝るのが普通である。 だが、このゆっくり達は夜の見張りを立て、夜間の襲撃に対処するという事をしていた。 このれいむとまりさの他にも、見張りを行なっているゆっくりは村の外周各所にいる。 全てが二匹一組で構成されており、警備には万全を期していた。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆっくりいじょ―――」 この瞬間までは 「ゆ?まりさ?」 突然聞こえなくなったまりさの声。 れいむは不審に思いまりさが歩いていた方へと向かう。 「まりさ?ゆっくりでてきてね?」 火からちょうど死角になっているところ、その小さな暗黒に――― 「まりさ?」 体を中心から上下に真っ二つにされたまりさが横たわっていた。 まだかすかに生きているのか「ゆ……ゆ……」とうめき声をもらしつつ、体をびくんびくんと痙攣させている。 「ゆ“ーー!?」 驚いたれいむは背を向け、異常を報せようと村に走ろうとした時――― 何かに口をふさがれ、そのまままりさと同じ暗闇の中に引きずられていった。 「~~~~~~!!」 ぐしゃ 最後の見張り役であるゆっくりまりさが潰れる。 口を押さえられている為に声も出せない。 中身の餡子が地面に飛び散る。 だが、まだ生きている。 「ゆっ、ぐじ……じ、だ、げっ……」 既に虫の息で悲鳴も上げられないが、体は痙攣し、その顔は苦痛でゆがんでいた。 まりさを杭に突き刺した人物は、続いて村の中へと歩を進めていった。 村の中にある一軒屋。 本来ならば人間が住むこの場所は、いまやゆっくりによって蹂躙されている。 居間の中心に布団が投げ出され、その上にゆっくりの家族が寝ている。 父まりさ、母れいむ、赤まりさ三匹に赤れいむ二匹だ。 「ゆ~……。ゆ~……」 「ゆゆゆゆゆ~……」 この日も日中は、畑の野菜を腹いっぱい食べたり、村の広場で他の家族と遊んだりした。 遊ぶほかにも、この村の拡張工事も手伝い、仕事の汗をかいた。 誰にも邪魔される事なく、最高のゆっくりプレイスでずっとゆっくりする……そんな夢が今まさに現実となっていた。 「ゆふふふ……まりしゃぁ~れいむしあわせ~」 母れいむが寝言を呟く。 その時だった。 ヒュンッ 「ゆ~……ゆぶぇっ!?」 突然の衝撃と圧迫感。眠気で朦朧としているが何かがおかしいことはわかった。 「ゆ、ゆっくりおき……ゆゆっ!?」 体が動かせない。よく見ると自分達は丸ごと何かに包まれてしまっているようだった。 家族の周りに網のようなものがまとわり付いている。 しかも包まれた衝撃で、布団からはじき出され部屋の隅まで来てしまっている。 「ゆ! ゆっくりやめてね! ゆっくりやめてね!」 何がなんだかわからないがこのままではゆっくり出来なくなると思い、暗闇に向かって叫ぶ。 「ゆぅ~……れいむ?」 「ゆ! まりさ! なんかへんだよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆ……? ゆ!? なんでうごけないの!? れいむはゆっくりはなれてね!」 まりさとれいむはお互いの真正面を見つめあう感じで密着していた。 「だめだよ! れいむはうごけないよ! まりさこそゆっくりしないではなれてね!」 「まりさはうごけないっていってるでしょぉおおお! れいむがゆっくりはなれてね!!」 「れいむだってうごけないっていってるでしょぉおおおお!!」 二人がお互いを罵り合っていると。 「ゆ“~~~……」 と小さな声が聞こえた。 「「ゆ?」」 二人は一旦喧嘩をやめて不思議な顔をする。 そして視線を下に向けると…… 赤いリボンがわずかに動いているのが見えた。 なんと二人の間に赤れいむが挟まってしまっているのだ。 「ゆゆっ!! れいむのおちびちゃん!? ゆっくりしないででてきてね!」 「ゆ“ーーー!!」 なにやら体を動かしているが子れいむは出てこない。 「れいむ! れいむがまりさとこどもをはさんでるからでれないんだよ! ゆっくりどいてあげてね!」 「れいむはうごけないっていってるでしょ!! まりさこそゆっくりしないではやくどいてね!!」 再び言い争いが始まってしまう。 「ゆ~ん……うるちゃいよぉ~……」 「ゆっきゅしねらりゃれぇないよぉ~……」 他の子ゆっくり達が両親の声に目を覚まし始めた時だった。 シュルルルル 家族を包んでいる網の端側ががすごい勢いで回転を始めた。 それに対し反対側の網の端っこは家族を包み込むようにしっかりとホールドされていた。 結果、網はねじれるようになる。 雑巾を絞る感じだ。 そしてそれは中にいるゆっくりを――― 「ゆゆ!! なんかきつくなってきたよ!!」 「ゆっ! おちびちゃん! ゆっくりしないではやくでてね!」 「ゆ“~~~~~!!!」 網はどんどん家族を締め付けて行く。 「ゆ!! あみさんゆっくりしないでやめてね! れいむたちつぶさないでね!!」 「ゆ“ーーーきゅるちぃーーー!」 「まりぢゃだち“ちゅぶりぇちゃうにょー!」 「たずげでえ“え”え“え”え“え”!!」 赤まりさ達も外側から網によって両親に貼り付けられる。 「うぎぎぎぎぃぃぃ……」 まりさは潰されまいと全身に力を入れた。 その時。 ブチャ と、れいむとまりさの間から音がした。 「ゆ?」 二人が目線を下げてみると…… 二人の体の間にあったリボンの下から黒いものが染み出ていた。 「「……」」 「ゆびぃぃぃぃぃ!!! おきゃあちゃんとおちょうちゃんがいみょーとちゅぶちちゃあああああ!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーん!! まりちゃ“のいも”ーどきゃあああーー!!!」 「ぴゅだりはゆっくぢじねぇえええ!!」 「「どぼじでそ“ん”な“ごどい”う“お”お“お”お“お”お“ぉ”ぉ“ぉ”!!」」 子れいむの罵倒に両親は涙を流しつつ弁解する。 そんなことしている間にも網はどんどん締め付けを強くしていく。 「ゆぐぐ……」 「ゆっぐ、り……でぎにゃ……」 すでにどのゆっくりも声を上げられない。そして 「……ゆびゃ!!」 網は両親の体を切り裂き食い込む。最後に子れいむたちの体を巻き込み一本の綱のようになる。 限界まで網が細くなると、まきつきは自動的に止まった。 家族を圧殺した網からは、なんともいえない甘い匂いが漂っていた。 「ゆぅ~?」 一番大きな家で寝ていた巨大まりさは目を覚ました。 原因は強烈に匂ってくる甘ったるい匂いだった。 「ゆ! これはあまあまのにおいだね!!」 あまあまのにおいに釣られ、まりさは夜の村に飛び出した。 ちなみにれいむはね入りが深いのか眠ったままだった。 「ゆんゆん……ここから匂うね!」 一番近くの民家に飛び込む。 そこには床にこびりついた大量の餡子があった。 「ゆっゆ~ん♪ あまあまさんゆっくりたべるよ!」 なにやら綱のようなもからあまあまは染み出ているようだ。 まりさはその上からあまあまを舌で嘗めとっていく。 「うっめ! これめっちゃうっめ!!」 その時、舌に妙な感触が。 「ゆ?」 それはリボンだった。それもよく見るれいむのリボン。 「ゆゆ~?」 広がる餡子。 その中かられいむのリボン。 よくみると黒い帽子のようなものも混ざっているような? 「……ゆ“ーー!?!?」 まりさは自分が食べたものに気がついた。 「どぼじでみ“ん”な“しんじゃっでる”の“ぉ”ぉ“ぉ”!?!?」 まりさは外に飛び出し他の家を見て回った。 綱のようなものから餡子が染み出している。 無造作に踏み潰された塊。 何かに真っ二つにされた体。 共通している事は、どの家にいるゆっくり達もすでに永遠にゆっくりしている事だ。 「見張りはどうじだぁぁぁーー!!!」 入り口のほうに向かう。 しかし、入り口はもっと酷かった。 体が上下に裂かれたれいむとまりさが杭の上に突き刺さっていたのだ。 他は家の中のゆっくり達と同じく、潰されたり無残に引きちぎられたりしていて全員死んでいた。 「ゆ“うううううう~!!!!」 恐ろしい光景の連続に、完全に我を失ったまりさは愛しのれいむの元へ逃げ戻った。 「でい”ぶ~~~~!!びん“な“じん”じゃっでるの“ぉ”ぉ“ぉ”お“お”お“お”お“お”」 しかし、れいむは全く反応しない。 まりさに背を向けて眠っている。 「でい“ぶ”! ざっざどお“ぎでね“!!」 れいむは寝ている。 「ゆ“っぐりお”ぎろぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!!!」 まりさがれいむに体当たりした。 と ズルッ 「ゆ“!?」 れいむの体が真横に真っ二つになり、上半分が床に滑り落ちた。 「……」 訳がわからなかった。 いつものように寝て。 あまあまの匂いがしておきたらみんな死んでいて。 戻ってきたられいむもすでに死んでいた。 すでにまりさの脳はパンクしかけていた。 だから―――後ろに立っていた死神にも気づかなかったのだ。 目の前にある丸い『モノ』。 熱探知すると今の状態がはっきりわかる。 発熱する周りの赤い部分。 その中央にあるわずかに温度が低い丸い部分。 これは極度の興奮状態と芯まで冷える恐怖に支配された状態だ 死神は突然姿を現すと、持っていた槍でまりさの体の芯―――温度が低い丸い部分を軽く一刺しした。 「ゆびっ!!」 …… ……しんじゃう? まりさしんじゃう? …… やだ やだやだ やだやだやだ しぬのはいやだ!!! しぬ! しんじゃう! なにがどうなってるの!? れいむのからだもどうなってるの!? みんなどうなってるの!? なんでまりさがこんなこわいめにあうの!? どすのせいだ どすがここをつかわせてあげるなんていったせいだ どすがにんげんをこうげきするなんていったせいだ どすがわるいのに まりさはわるくないのに まりさはにんげんをたおせるつよいゆっくりなのに ゆっくりしてたのに これからもゆっくり、するの……に もっ、と……ゆっく……りぃ――― 死神は動かなくなった『モノ』を見ている。 その表情は仮面の下に隠れていてわからなかった。 次の日の朝 森の中を移動するゆっくりの集団がいた。 その数、ざっと1500。 成体、子、赤ゆっくり。加えて巨大ゆっくり。そしてドス。 巨大化した普通種が数十匹いた。 皆食料を持っており、楽しそうに会話を楽しみながら移動している。 「きょうはゆっくりお引越ししようね」 ドスの大きさは3メートル以上もあった。 ドスと巨大ゆっくりを中心とした群れは、その数のせいもあって、まさしく民族大移動のようだった。 「うばったにんげんたちのむらにいくんだね!」 「みょーーーん!」 「おっきいれいむたちがいればにんげんなんかいちころだもんね!」 「これからはありすが、にんげんたちにとかいはがどういうものかゆっくりおしえてあげるわー!」 「おっきいみゃみゃだしちゅき~」 「おちびちゃん!あぶないからぼうしのなかからでるんじゃないぜ! ゆっくりしてるんだぜ!」 「このまえのにんげんたちもばかだったよねー」 「わかるよー。ちゃんたちがこわいんだよー」 「やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ!」 「もっともっとゆっくりぷれいすをひろくしようね!」 彼らは人間に宣戦布告し、手始めにふもとの村を乗っ取った。 緒戦は大勝した。 その後の襲撃も軽くいなした。 もはやゆっくり達の思考は、『人間は自分達でもあっさり倒せるもの』に変わっていた。 そして今日は、その更なる下準備のため、乗っ取った村へと引越しをしているのだ。 「どすやおっきいみんながいればあんぜんだね!」 「どす~みゅらにはまだちゅかにゃいの?」 「もーちょっとだよ、もう少し待っててね!」 「ゆ~♪ に~んげん~なんか~♪ よわい~♪ よわい~♪」 「にんげんのやさいはすべてまりささまがいただくんだぜ!」 「いなかもののにんげんなんてありすにかかればいちころよ!」 「はやくゆっくりぷれいすがひろがるといいね~」 「ゆ~♪ ゆゆゆゆ~♪ ゆ~♪」 「ゆっくりはつよさをあっぴるなどしてない……」 と、雑談に花咲かせている。 中にはにんっしんしているゆっくりも混ざっているが、ドスや巨大ゆっくりまりさの帽子の上や中に入りゆっくりしている。 ゆっくりたちは明るい未来を夢想してやまなかった。 ドスがいる 大きなゆっくりもいる 何より自分達は人間に勝った。 もっともっと、ゆっくりプレイスを広くしていこう そして、そこでいつまでもゆっくりしていよう そんな…… 都合のいい白昼の夢を見続けていた。 やがて村へと到着する一行。 「ゆっくりついたよ!」 一番に村に入った巨大ゆっくりまりさが元気よく挨拶する。 だが、いつもと様子が違う事に気づく。 いつもならゆっくり達がゆっくりしている声が家や広場から聞こえているはずだった。 「ゆ? ゆっくりしていってね!!」 さらに大きな声で挨拶する。が、村からは応答がない。 「ゆゆ? みんなゆっくりねてるのかだぜ?」 「まりさ~どうしたの~?」 巨大ゆっくりれいむが尋ねる。 「みんなのこえがしないんだぜ!」 ぞろぞろと森を越えて姿を現すゆっくり達。 「まだみんなゆっくりねてるのかな~?」 「ゆ~そんなことないはずだよ! 少なくともみはりのみんなはおきてるはずだよ!」 「みょーーーん?」 「みんなどうしたの!」 姿を現したドスが巨大ゆっくり達に尋ねる。 「むらのようすがへんなんだぜ!」 「わからないよー。みんながどこにもいないんだねー」 「ゆゆ? それはほんとう?」 ドスは一番近い民家を覗いてみた。 「ゆ? 中に誰もいませんよ」 民家の中はものけのからだった。 ドスは考えた。 「ゆ~……みんな! 大きい子についていきながら村の中を見回るよ! ぱちゅりーは何人かで食料を新しい巣に運んでね! 「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ドスは役割分担を決め、村の検索隊と持ってきた食料を運搬するチームに分けた。 大きいゆっくりは今ではドスの補佐役といった感じで、群れのみんなはドスの指示を素直に受け止め的確に行動して行く。 そんな仲間達を頼もしく思いながら、自分も村の見回りを始めた。 「むきゅ? あれはなにかしら?」 食料運搬を任された、参謀巨大ぱちゅりーは妙な事に気がついた。 この参謀ぱちゅりーも巨大化したゆっくりなのだが、体の弱さはあまり改善されておらず、やはり頭を使う事多かった。。 ぱちゅりーが見たのは、自分達のやってきた森の木に村側を向いて付いている『黒いモノ』だった。 虫の匂いも草の匂いも土のにおいもしない。 舐めてみたが何の味もしない。 「むきゅきゅ~?」 「ゆ~! ぱちゅりー。ゆっくりしないではこうぼうよ~」 「むきゅ! ゆっくりいくわね」 考えてもよくわからないので、とりあえず与えられた仕事をこなす事にした。 ドスたちは村の中を探すが、先遣隊のゆっくり達はどこにもいなかった。 「ゆううう……みんなどこにいったんだろう……?」 「どす! こっちにもいなかったんだぜ!」 「こっちもいなかったよ!」 その時だった。 「ど、どすーーーー!!」 「「「「「ゆぎゃああああああああああああ」」」」」 「ゆ!?」 それは広場に作った新しい巣に食料を運びに行った参謀巨大ぱちゅりーと他のゆっくりの声だった。 声はとても切羽詰った様子で、ゆっくり出来ていない感じがした。 「ゆ!ぱちゅりーのこえだよ!ゆっくりしてないよ!」 「みんな行くよ!」 ドスたちは広場へと向かった。 村の一番奥にある広場にドス達は到着した。 「どうしたのぱちゅりー!?」 「むきゅ~~~~……」 「ごんなのがいはじゃないわあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「べにいいいいいいいいいいいいいいいずうううう!?!?!」 広場のすぐ入り口で参謀巨大ぱちゅりーと普通サイズのゆっくり達が錯乱状態になっていた。 周りに運んでいた餌が散乱している。 「どうしたんだぜみんな!!」 「わからないよー! ゆっくりしてよぉーー」 「あ、あれ……」 参謀巨大ぱちゅりーは目を閉じたまま上を見上げるように顔を向ける。 ドスはゆっくりと視線を上げた。 「!!!」 それはゆっくりにとっては悪夢のような光景だった(ゆっくりから見ると)。 広場には一本の木が生えている。 そして、その柱に貼り付けられているもの。 皮。 ゆっくりの皮。 ゆっくりの髪飾り。 中身の餡子を失ったデスマスクと髪飾りが棒に貼り付けてあったのだ。 その中にはひときわ大きい皮と髪飾りもある。 おそらくこの村を守っていた巨大まりさとれいむのものだろう。 そしてその木の根元には、そのゆっくり達の中身であったであろう餡子が固まっておいてあった。 その中には歯や目、舌なども混じっていた。 ゆっくりの餡子の塊の上に立つ、ゆっくりの皮をまとった木。 かつてゆっくり出来た広場は、死臭漂う地獄となっていた。 「どうな“っでるのお“お“お“ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?!?」 「おう“ぇえええええ」 「……」 「わがら“な”い”よ”ぉ“ーま”り“さ”がぁーーーー」 ドスはかろうじて正気を保ったものの、広場に来た普通ゆっくり達は相当ショックを受けたようで、 気絶するものや餡子を吐いてしまうものもいた。 「どすーーー」 先ほどの絶叫を聞きつけた他のゆっくり達が広場に集まってきていた。 「ゆ~。どす? なにがあっ…………びゃあああああああああああああ……うまい~」 「ゆ”ゆ”ゆ”ーーー!?!?」 「まりざがあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!!」 「どうじでごんなごどになっでるのぉ“ぉ”ぉ“!!!」 「えれえれえれえれ」 「ゆーーー!! あかちゃんゆっくりあんこはかないでね!! ゆっくりできなくなるよ!!」 「ごんなんじゃゆ“っぐりでぎないいいいい!!!」 「い“や”だぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“あ”あ“あ”ぁ“ぁ”ーーーーーー!!」 「ゆびぇ!! ふまないでええええー!?!? あか“ち”ゃんがあ“あ”あ“あ”!?」 広場にやってきてその惨状を見たゆっくり達はたちまち大混乱に陥った。 錯乱して精神異常をきたすもの。 ただただ絶叫するもの。 赤ゆっくりには特に刺激が強かったようで、既に餡子を吐いて絶命したもの。 混乱して飛び跳ねる他のゆっくりに潰されるもの。 その様子を見てわけもわからずわめくもの……。 まさしく、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。 「み、みんな! ゆっくり落ち着いてね!! 大丈夫だからゆっくりおちついてね!!!」 ドスはみんなに呼びかけるが、あまりに数が多いためその声は喧騒にかき消されてしまう。 補佐役の巨大ゆっくり達でさえ、何匹かは気絶したり、わめき散らしたりしてしまっている。 ドスがただおろおろしていると、参謀巨大ぱちゅりーが言った。 「む、きゅ……どす……おーらよ、ゆっくりおーら……」 参謀巨大ぱちゅりーもクリームを吐いているが、容量が多い分まだしゃべれる余裕があった。 「ゆ! そうだったよ!」 ドスのもつ特殊能力『ゆっくりオーラ』。 ドスの体から発せられる特殊なオーラによって、周りにいる生物をゆっくりさせる力があるのだ。 「ゆ~。みんなゆっくり、ゆっくりしていってね~」 ホワワワワ~~ン 怪しげな効果音(心象風景)と共にオーラが発せられる。 オーラは広場全体を包み、やがてゆっくり達が落ち着きを取り戻す。 「「「「「ゆ~ゆっくりぃ~~~」」」」」 しかし、これには最大の弱点があった。 そろいもそろってみんな「ゆっくり~」な状態になってしまうため、群れを混乱に貶めた原因であるモノを片付ける事ができないのだ。 かといってこのままゆっくりオーラを止めたら、再び群れは大混乱になってしまう。 「(ゆ~……このままじゃどうにもならないよ)」 オーラはいつまでも出せるものじゃない。 しかも連続して出す事も不可能だ。 再び群れが混乱に陥ったら納める事は出来ないだろう。 「(ゆ“~~~誰がたすけてぇぇぇぇ!!)」 ドスが心の中で助けを叫んだ瞬間だった。 シュバッ ズガーン 「ゆ!!」 突然の爆発音。 ドスはオーラを出す事も忘れそちらの方向を振り返った。 燃えていた。 ゆっくりの皮と髪飾りが貼り付けられた木が。 その下にあった餡子も燃えていた。 ゆっくりには火葬という概念はない。 仲間たちの死体はありがたく食料とするか、そのまま土に返すかである。 ドスもなんとかして仲間の死体を丁寧に葬るつもりだった。 しかし、今その死体が火の中で燃えている。 ゆっくりのデスマスクは炎の中であぶられ変形し、火で焼かれる苦痛でないはずの表情を歪めているようだった。 「ど、ど、ど、どうなっでるのお“お”お“お”お“お”!?」 「ゆ~? どす~? ゆっくりしていってね!」 ゆっくりオーラがなくなったため一部のゆっくり達が意識を取り戻す。 ゆっくりオーラでゆっくりしたゆっくり達は、先ほどまでの記憶なんぞ忘れてしまっている。 「ゆ~!! きれいなあかあかだね~!」 「でも、ちょっとあちゅくてゆっくりゅできにゃいね」 「ゆっくりはなれるよ! ゆっくりみるよ!」 「ゆ~ゆ~ゆ~! とってもあかるいよ~」 その下で燃えているものが何なのか判別できないゆっくり達は、真っ赤に燃え上がる木をみて楽しそうな声を上げている。 「みんななによろこんでるのぉぉぉ!? まりさたちが燃えちゃったんだよおおお!?!?」 「ゆ? なにいってるのどす? まりさたちなんかいないよ?」 「そーだよ。 れいむたちきれいきれいみてるんだからじゃましないでね!」 「ゆっくりさせてくれないどすはゆっくりしね!」 「な“ん”でぞん“な”ごどい“う”の“ぉ”ぉ”ぉ“ーーー!?」 燃えてるものが何なのかわからないゆっくりたちはドスを罵倒する。 そんな広場の状況を『彼』は静かに観察していた。 広場の状況を確認する。 彼は仮面をつけていた。 仮面は目の部分がモニターとしての役割も果たしており、ゆっくり達を認識するとデータを映し出した。 <対象危険指数> 『普通種ゆっくり―――危険指数……データ化不可』 『巨大ゆっくり―――危険指数100/01』 『どすゆっくり―――危険指数100/05』 <対象処理方法> 『普通ゆっくり―――放置』 『巨大ゆっくり―――放置』 『どすゆっくり―――作戦対象個体:捕獲(最優先)』 続く