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※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ありすを洗浄してみた。 ゆっくり石切 ありすとまりさの仲直り 赤ゆっくりとらっぴんぐ ゆねくどーと ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1~ ※注意事項 まず、上掲の作成物リストを見てください。 見渡す限り地雷原ですね。 なので、必然的にこのSSも地雷です。 では、地雷原に踏み込んで謙虚ゲージを溜めたい人のみこの先へどうぞ。 _______________________________________________ 弥生、三月。 朗らかな陽射しが大地にあまねく生命を祝福する、緑の季節がまた巡り来た。 「春ですよー!」 高らかに歌声を響かせる春告精が誘うのは、西からの柔らかい風と、その風が伝える優しく力強い春の息吹。 野山を鎖す白い雪は足早にどこかへと消え去って、大地はモノトーンから草花の鮮やかな彩へとその装いを変えている。 その多様な彩の合間に目を配れば、冬の厳しい環境を潜り抜けて春の恵みにありつくことが出来た多くの命の歓喜の様子と、 余裕を得た彼らが新たに生み出した真新しい命を見つけることもできただろう。 「むーしゃむーしゃ!」 「むーしゃむーしゃ!」 遠く妖怪の山にまで連なる広大な山地の一角、杉林の斜面。 ここにも一組、生まれて始めての冬をなんとかやり過ごした一組の生命が早速がつがつと集めてきた昆虫や草花を頬張っていた。 草木は枯れ果て、昆虫も姿を消す冬場はゆっくりにとって忍耐に次ぐ忍耐の季節だ。備蓄食料の在庫管理を怠って、敢え無く おうちの中での餓死を迎える家族の存在もそう珍しいことではない。 だから、そうした食事制限の一切から解放される春の訪れはとても幸せであるもののはずだった。 「むーしゃむーしゃ、へっくちょん!」 「むーしゃむーしゃ、はっくちょん!」 だが、斜面に掘り抜かれたおうちの奥底で備蓄の残余を食い尽くす勢いで食料に向かう二匹には何か、ゆっくりがゆっくりで あるために重要不可欠なものが足りない。 足りないだけでなく、語尾に余分なものがついていた。 「ゆゆっ。おかしいよれいむ! しあわせー!なごはんさんなのに、おあじがぜんぜんしないよ! へっくちょん!」 「ゆゆっ!? おかしいねまりさ! しあわせー!なごはんさんなのに、れいむもおあじがしないよ! はっくちょん!」 口に含んだご飯のかけらを飛ばしながら、ぎゃあぎゃあ騒々しく言い交わす二匹。実にゆっくりできていない。 そう、二匹に足りないのは「しあわせー!」だ。 腹いっぱい、おいしいごはんを食べているはずなのに、何故かしあわせー!を感じない。 むーしゃむーしゃをいくらしても、しあわせー!の代わりに出てくるのはゆっくりできないくしゃみばかりなのだ。 「「これじゃむーしゃむーしゃしあわせー!できないよ! ぷんぷん、ぷく……へっくちょん!!」」 誰が悪いのか、なんでくしゃみが止まらないのか。 ここにいるのはれいむとまりさの二匹だけなのだから、向ける相手は勿論どこにもいない。 とにかくやり場のないゆっくりできない気持ちを表現しようと二匹は「ぷんぷん、ぷくー!」としてみようとしたが、 頬を揃ってぷっくり膨らませたところでくしゃみが止まるわけでもなく。 吸い込んだ空気を残らず吐き出し、二匹は少し困った顔をお互い相手に向け合った。 「れいむ! まりさはかぜさんかもしれないよ! へっくちょん!」 「まりさ! れいむもかぜさんかもしれないね! はっくちょん!」 馬鹿は風邪を引かないというけれど、ゆっくりだって風邪を引くものらしい。 そういえば、あんまり気にしていなかったけれどどちらも少し涙っぽい目をしているようだ。 実にゆっくりとした感覚でようやく自分と相手の身体の異常を感知し、二匹は「ゆんっ!」と揃って頷いた。 「「おねつをたしかめようね! すーり、すーり!」」 わざわざそう宣言して、二匹はお互いぴったりすりすりと身体を寄せ合う。 といっても、親愛の表現や繁殖行為と違って、すり合わせるのはおでことおでこ。 難しい顔をつき合わせて「ゆゆゆ……」と唸り、額を突きあわせること数秒間。 「おねつはないみたいだね! へっくちょん!」 「じゃあかぜさんじゃないね! はっくちょん!」 すっと身を離した二匹は一瞬ぱぁっと笑顔を咲かせ、でも流石に直後のくしゃみに何にも問題が解決していないことに気付いたらしい。 すぐに顔を曇らせて、「ゆぅぅん」と慰めあうように身をすり合わせた。 『はーりゅでーしゅよー♪』 本当なら嬉しいはずの、春の訪れを告げるそんな声も今日のところはちっとも心が躍らない。 ごはんはおあじがしなくて、だからいっぱいたべてもおいしくなくて、おなかがいっぱいになるだけではあんまりゆっくりできなくて。 風邪なら、おなかいっぱい食べていたらその内治ってしまうけれど、風邪でないなら治し方だってわからない。 さっきの呼び声も、なんだかちょっとゆっくりできない感じがした。 空を飛んでいるはるさんは一人だけのはずなのに変に重なって聞こえたし……おみみも少し、おかしくなっているのかもしれない。 おうちの外に見える世界はとーっても蒼く晴れ渡っているけれど、二匹の心の中はどんより分厚い雲で覆われて、しあわせのおひさま なんてほんの少しだって目にすることはできなさそうだった。 というかそろそろ、二匹の心の雨雲からおめめを抜けて大粒の雨が降り出しそうな。 「ゆう、こういうときは……」 涙目まりさはどうしたらいいか考える。 これが何なのか、どうしたらいいか、まりさとれいむにはわからない。でも、物知りのぱちゅりーなら知っているかもしれない。 そうだ、物知りのぱちゅりーは色々まりさやれいむが知らないことを知っている。この間だって言っていた。 はるさんはとってもゆっくりできるけど、ゆっくりできないこともあるって。 『はーりゅでーしゅよー♪』 ゆっくりできなくなったのは、春さんが来てからすぐじゃなくて、このお声が重なって聞こえるようになってからのことで…… あ、ちょっと待て。このお話はなにか関係あるような気がしてきた。 ……ええと、それはなんだっけ? 「……そうだ! ぱちゅりーが、はるさんのあいだはかふんしょうさんになることがあるかもしれないっていってたよ!」 「ゆゆっ。かふんしょうさん?」 思い出した! まりさが狭いおうちの中でぴょこんと飛び上がって喜ぶと、れいむがびっくりした顔でずるずるっと反対側の壁までずり下がった。 まりさはぱちゅりーのお話を知っていて、れいむはそのお話を全然知らない。 何故って、冬篭りを終えて無事春を迎えた群れのみんなが初めて広場に集まった時、年長さんのぱちゅりーがまりさたちみたいな 初めて春を迎えるゆっくりたちに色々春の過ごし方を教えてくれたのに、れいむは陽気に中てられてゆぅゆぅ寝息を立てていたもの。 「ゆゆっ。そっか! れいむあのときすーやすーやしてたもんね! へっくちょん!」 「あのときっていつかわからないよ。ゆっくりせつめいしてね! はっくちょん!」 少し、得意げな顔でふんぞり返ったまりさにれいむは気分を害したらしい。 ぷくー、と膨れる番の姿にまりさは楽しそうにくすくすと笑って、でもそれ以上は意地悪せずに素直に教えてあげることにした。 「ぱちゅりーはおはなさんがとってもゆっくりできているときに、かふんさんがいっぱいとびだすと、ゆっくりかふんしょうになるって いってたよ!」 花粉症になると、匂いがわからなくなったり、味がわからなくなったり、くしゃみが出たり、涙が出たりするらしい。 それって風邪さんとどう違うの?って質問も当然出たけれど、そこはぱちゅりーも上手く説明はしきらない様子で。 『むきゅ、それはほんとうにかふんしょうさんになっちゃったらわかるわ。とにかく――しちゃだめよ』 なんて誤魔化していたのも、まりさはついでに思い出した。 「……ゆぅ。そういえば、ほかのせつめいもそんなかんじでおわっちゃったようなきがするよ……っくちゅん!」 ぱちゅりーは確かに物知りだけど、あまりその知識は役に立たないような。 そんなことに思い至って、まりさは小さめの溜息を吐いた。うん、ぱちゅりーを頼りにするのは少しだけ考え直したほうがよさそうだ。 もっとも、その場にいたけど全く話を聞いてなかったれいむは全く違う感想を抱いたらしい。 「じゃあ、いまはおはなさんはゆっくりできてるんだね! それはとってもゆっくりしてるよ!」 ゆっくりしているのは、いいことだ。 それがおはなさんだって、まりさやれいむに食べられるむしさんだって、ゆっくりしている時は邪魔しちゃいけない。 それでまりさやれいむたちが少しゆっくりを我慢しなくちゃいけないとしても、他人のゆっくりを台無しにするのはとっても ゆっくりできないことだった。 そんな純粋なれいむの喜びには、まりさとしても少しも異論はない。 ――とてもたいせつな何かを忘れてしまっているような気が、ほんの少しだけしたけれど。 でも、そんなの、思い出せないならどうでもいいことなんじゃないだろうか。 「「おはなさん、かふんさん、はるさん、ゆっくりしていってね……へっくちょん!」」 だから、まりさはそれ以上考えなかった。れいむはもとより知らないのだから、何かを思うこともなかった。 とにかく自分のゆっくりは、後回しだ。かふんさんが思う存分ゆっくりしたら、自分もその後でゆっくりできるはずだから。 『はーりゅでーしゅよー♪』 まりさとれいむが春と野山の草花に向けて投げかけた心からの祝福に応えるように、またおうちの外からそんな声がやっぱり 幾重にも重なりあって聞こえた。 二匹はそれを春からの返事なのだろうと、漠然と信じた。 もちろん春という季節が、なにがしかの言葉を紡ぐことなんてありえないのだけれど。 「れいむ。はるさん、とってもゆっくりしてるよ!」 「まりさ。はるさんにもういっかいごあいさつしようね!」 しかし、信じたれいむとまりさは何とかして春の顔を見たくなった。 見て、きちんと笑顔で挨拶に答えてあげたくなった。 だからいそいそとおうちの玄関まで這い出して、もう一度、お花さんにも負けない満面の笑みを咲かせてお決まりの挨拶を投げ返す。 「「ゆっくりしていって……ゆげぇ!?」」 ……投げ返す、つもりだったのだけど。 その挨拶半ばにして、お外を眺め渡した二匹の顔が奇妙な声と共に歪んだ。それはもう、傍から見ていてこっけいなほどに。 どう見てもゆっくりできていない顔立ちを見せて、二匹はその場で凍り付いてしまった。 『ゆーっきゅり、しちぇいっちぇねーー!』 おうちをぐるりと取り巻く『春』は、愕然としたままのれいむとまりさに向けて確かに言葉を返した。 驚愕に揺れる二匹の目にもそれらは確かにとってもゆっくりとした笑顔で咲き乱れていた。 ……ただ、その『春』たちが咲き乱れている場所が、失望だったり絶望だったり諦観だったり逃避だったり、とかくゆっくりには 程遠い顔をした群れのゆっくりたちの頭に生えた茎の上だったりするのだが。 『はーりゅでーしゅよー!』 みんなの頭に鈴生りに生る『春』は、眼下の親の悲歎なんか気付きもしない様子で愛らしい声を揃えて春を謳う。 その頭に被るのは、一様におそろいの三角帽子。親の種類なんてまるで関係ない。 それは形も違えば色も違う。赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 (『かふんしょうさんにかかったら、はるですよー、っておこえがきこえてるあいだはおうちをとじまりしておそとにでちゃだめよ』) ……そういえば。 目にしたものの衝撃から立ち直らないままのまりさは、ようやくのことであの日ぱちぇりーが教えてくれたことの続きがどんなもの だったかを思い出していた。 (『そうしないと、からだにたまったかふんさんのせいではるさんのあかちゃんができちゃうから、きをつけてね』) そうだ。ぱちゅりーは『はるさんのあかちゃん』ができるといっていたんだ。 教えをぼんやりと思い出すうちに、頭頂部のむずむずとした痒みと、身体からどんどん餡子が抜けていく感覚が同時にまりさを襲った。 ここまで来たらさすがに、まりさの頭でも深く考えなくたって分かる。 「どおじでごんなごどになっでるの……?」 それでも自分の頭を確認するのが怖くて、ほんのわずかばかりの期待を込めてまりさは隣のれいむの方をちらりと見た。 「「……ゆげげっ」」 ちらりと見て、やっぱりこっちを縋るような目で見ているれいむと視線が衝突して、そのままお互いの頭の上へと視界を移動させて、 それから同時に小さな悲鳴と少量の餡子を口から吐き出した。 二匹の期待も空しく、真っ白な雲が漂うお空を背景にしてすらりと伸びた緑の茎。 そこに鈴生りに生るのはれいむともまりさとも形も違えば色も違う小さな赤ちゃん、三匹ずつ。 未だ目覚めぬその小さな赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 つまり、群れのみんなが浮かない表情で見上げている赤ちゃんたちと全く同じ種類の、ゆっくりの赤ちゃん。 極めつけは、この子達の背に生えた昆虫のような羽だ。こんなもの、この群れのゆっくりには一匹だって生えていないのに。 どうしてこんな事にと聞いても応えてくれそうな相手はいない。 よく見ると、今のこのことお外に出ていたのは自分と同じで春を迎えたのは生まれて始めての若いゆっくりしかいないようだったから。 つまり、大人のいうことをきちんと聞いていなかったお子様ばかりだったということで――まりさはこれからはきちんと、年を取った ゆっくりの言うことは聞いておこうと心に決めた。 ……それは今この場の問題を解決するには遅すぎる決意だったけれど、これからのゆん生にはとても大切なことではあるはずだ。 特に、そう。たとえば望まずして出来てしまった子の育児とかのために。 「ゅっ……」 「……ゅきゅっ……」 せっかくの陽気だというのに、『これから』を想像してげっそり疲れきってしまったまりさとれいむが見上げる先。 普通のにんっしんっならありえない速さでゆっくりとしての形を成してゆく赤ちゃんたちが、早くもごにょごにょと意味を成さない 音の羅列を口から漏らし始めている。 実際に茎から生れ落ちるのはまだ先のことだろうけど、この分なら目を見開き元気な挨拶を『両親』に向けて放つのは遠くない。 「……れいむ。ふゆごもりようのごはん、まだのこってたっけ」 「うん、まだのこってるよ……」 感情の篭らないぼそぼそとしたまりさの問いかけに、応えるれいむの声も似たようなもの。 それを耳にしたまりさは「そう、よかった」と呟いて、別に今更残っていなくても大丈夫かと思いなおした。 かふんしょうさんで赤ちゃんが出来てしまった以上は、今更お外に出る制限なんてないのだから。 お外にさえ出てよいのなら、ごはんは幾らでも集められる。季節はもう、寒くて野山にごはんの乏しい冬ではないのだし。 「「「「「「ゅきゅ……ゅきゅっ。ゆゆっ!?」」」」」」 そう。それはとても忌々しいことではあるのだけれど。 陰鬱な想いを消せないままに、まりさは頭上にその声を聞いた。 「「「「「「おきゃーしゃん? おきゃーしゃん、ゆっきゅりしちぇいってにぇ!」」」」」」 そう。忌々しいことに、春はまだ、目覚めたばっかりなのだ。 * * * 「おお、子宝子宝。おつむの中身同様、春めいたことで実に結構な騒ぎですね」 春だというのに暗雲たちこめるゆっくりプレイスを見下ろす木の枝で、一匹のきめぇ丸が嘲笑とも苦笑ともつかない笑いを 右往左往するゆっくり達に向けている。 いや、ひょっとするとそれは憐憫、もしくは共感に類する笑みだったのだろうか。 覇気のない笑顔を浮かべるきめぇ丸の頭の上には、ごたぶんにもれず白い帽子を被った赤ちゃんを実らせた茎が伸びていたのだから。 「「「ゆーゆゆー♪」」」 きめぇ丸は知っている。 今頭の上で楽しげに歌声を合わせているこの子達は、春の終わりには前触れもなく風に誘われるようにしていなくなってしまうことを。 人里や多くのゆっくりの間では、初春に突然大量発生し、初夏までにいっせいにどこかに姿を消してしまうと思われている準希少種、 ゆっくりりりー。 それがこの赤ちゃんたちの名前だった。 彼女たちは背中に生えた透き通った翅に五月の風をいっぱいに受けて、どこか根付くべき土地を求めて旅立ってしまうのだ。 そしていつかどこかの大地にたどり着き、そこに根を下ろし、雨にも溶けず鳥獣や昆虫にも食われずに済んだ一握りの子供だけが、 ゆ木となって森を作るという。 そうしてゆ木となったりりーほわいとたちは、歌うことなく、しゃべることすらなく春までひたすらに静かに過ごす。 実は付けないがゆっくりの好む味の葉を多く大地に落とす森として、多くのゆっくりを惹きつける。 「おお……おろかおろか」 「「「ゆっ♪ ゆっ♪」」」 やはりこの年に成体になったばかりの若いゆっくりとして、うかつにもその罠に引っかかってしまったきめぇ丸は頭上のわが子を リズミカルに揺らしながら、今度ははっきりとした自嘲の笑いを口元に浮かべた。 そう、あまあまな落ち葉こそがりりーのゆ木が集まるこの森の罠だ。 春に枝いっぱいの白百合に似た花を咲かせ、多くの花粉を飛ばし――落ち葉の味に惹かれてやってきたゆっくり達に、わが子を 数多宿らせるための。 きめぇ丸は同族に教わった知識をなぞって軽いため息をつき、湿度の高い視線を背後に聳える木の幹へと向けた。 上空から見れば枝葉にすっぽり覆い隠されたその部分の樹皮に、顔のような凹凸が隠されていることにどうしていま少しばかり 早く気づくことができなかったのだろう 「はーるでーすよー♪ ゆっくり、していってね♪」 「おお、拒絶拒絶。子供を育てるということまで含めて、悉く拒絶させていただきます」 その顔のような凹凸――ゆ木となったりりーの成体の歌声に、きめぇ丸は酷く嫌そうな口ぶりで応じた。 そして、なんの躊躇もなく茎を赤ちゃんごと幹、りりーの顔のある部分のすぐ傍へと叩き付ける。 声もなく弾ける、三匹の赤ちゃんゆっくり。飛散した微量の餡子が、りりーの顔をわずかに汚した。 りりーはわが子の無残な末路に一瞬不満そうに目を細めて――しかしすぐに、何事もなかったかのように花のような笑みを咲かす。 「はーるでーすよー♪」 「おお、非情非情。まああれだけ実が生っていれば十分なのでしょうかね……」 不本意に生まれた子だ。育てず、異物として排除するゆっくりはこのきめぇ丸に限ったことではない。 だからこそ、膨大な花粉を飛ばし、数多の子供を作らせる。 別に気にする必要も感じないのだろう、無邪気なゆ木りりーの歌声にきめぇ丸こそ呆れた、いささか非難を含む目を声の主へと向けた。 地上から聞こえるのは、多くの嘆きと幾らかの怒り、そしてたくさんの幼過ぎる歌声と、末期の言葉。 理不尽な子宝を得て育てようと決意するもの、間引くことに決したもの、つがいや姉妹間で意見が纏まらず争いとなったもの、 春から若ゆっくりの間に――多くはこの森に対する無知、油断による――不幸が齎されたゆっくりプレイスはいつも以上に賑やかだ。 そんなゆっくりプレイスの喧騒と、ゆ木りりーの歌声とを聞きながら、きめぇ丸はふわりと空へと飛び上がる。 花粉の季節そのものは、もうじき一応の収まりを見せるはずだ。収まったら、またここに来よう。 きっとその頃には、ある程度育った子供とその若い親を中心にもっと素敵で、悲劇的な光景が幾つも繰り広げられているだろうから。 地上を一瞥したきめぇ丸は、最後に心底からの笑いを見せた。 春が、赤ちゃんが、通常のゆっくりが言うようにひたすらゆっくりできる存在だというならば。 「おお、祝福祝福。赤ちゃんといっしょに、ゆっくりしていってね!」 地上で失意に打ちのめされる若いゆっくりたちに、それができないはずがないのだから。
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俺は今、人間の里の商店街で行われているゆっくり加工工場主催のゆっくり福引抽選会場でガラガラに手をかけていた。 商店街でゆっくり加工工場認定の店で買い物をすると福引券がもらえ、この抽選会場でガラガラを回して出た玉の色を回すと商品がもらえるというよくあるな福引だ。 変わっている点といえば商品がすべてゆっくり関連なことくらいだ。 大体生ゆっくり一匹分程度の買い物をすると ハズレでもゆっくり餡子製のお菓子がもらえ、近所では『大したものは当たらないがそこそこ当たる』と評判の福引だった。 俺の持っている福引券は20枚。 ゆっくり20匹分は買い込み過ぎだろと思うかもしれないが、それでも俺にはどうしても欲しい商品があった。 一等景品『ペット用最高級ゆっくりフラン。』 このゆっくり福引の輝かしき一等景品の存在を知ったのは冬越しに必要なものを買い込もうと商店街のチラシを見ていた時だった。 あの圧倒的な暴力性、自らの存在より強いものは存在しないと信じる強大な自我 男の子なら一度はあこがれる百ゆっくりの王者である。 しかしゆっくりフランはかなりの希少種で繁殖力も低いため養殖も未だ軌道に乗っておらず市場ではほとんど出回っておらず 野生種の生息地域もかなり危険度の高い妖怪の住処の付近なため 食用は無論のことペット用の生きたゆっくりフランとなるとそこらの人間にはとても手が出せないほど高かった。 ゆっくりフランを一度で良いから間近で見てみたいものだ、そう思っていた矢先に舞い込んできたのがこの話であった。 ゆっくりフランが手に入るなら冬越しの食料がほとんどゆっくり餡子でも惜しくは無い、冬越し用の貯金はほとんどゆっくり食品に注ぎ込みここに立っているのだ。 その決死の覚悟こそが勝利を呼び寄せる。 ちょっとした買い物のついでに来た周りの盆百共とは格が違う。 贄は捧げた、さあ廻れ運命の歯車よ、我が手に百ゆっくりの王者を来たらせたまえ! ハズレ、8等ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、6等ゆっくり魔理沙 ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、9等ゆっくり和菓子詰め合わせ、ハズレ、ハズレ、ハズレ、ハズレ 19回がらがらを回して急に冷めた。 何やってるんだ俺。 今年の冬ずっと餡子食ってるとかバカじゃねーのバーカバーカ。 脳味噌ゆっくりしろ俺。 これでゆっくりフランを手に入れられなかったらただのバカだ。 いや既にまごうこと無きバカだ。 自分のバカさ加減に心底嫌気がさしながら最後の一枚でガラガラを一回だけ回した。 するとコロン、と穴から金色の玉が転がりだす。 「お、お、おおおおおおおおおおおお!!!」 俺は思わず叫び声をあげた。 神様ありがとう、いや違う、これはそんなくだらない奇跡なんかじゃない。 この奇跡は俺の力で運命から勝利を捥ぎ取ったという証明なのだ。 「おめでとうございます!」 今年の冬はゆっくりフランと一緒に餡子入りパスタライフを送ろう。 さあ早くゆっくりフランを俺に渡してくれ店員さん。 「出ました!特賞、『ゆっくり霊夢一年分』!!」 なん…だと…? そういう訳で俺は加工工場製の箱詰めゆっくりに部屋を8割ほど占拠された状態で明かりも付けずにひざを抱えて涙目でプルプルしていた。 「ゆっくりはやく出してね!」「ゆっくりせまいいいいいいいい!!!」「ゆっくりうごけないよ!」「ゆっくり動きたいよ!」「こわい!おうちかえる!」 何が『おうちかえる!』だ、俺の方が実家に帰りたい、帰ってお袋や父と共に餡子の介入してこない食卓を囲みたい。 季節は冬になり、俺の家はゆっくりによる全食事への餡子介入が行われていた。 家にゆっくり霊夢が発生し、食料に打撃が与えられた場合 そのゆっくり霊夢を捕獲してゆっくり加工工場に売ってお金にして少しでも損害を補填するのがセオリーなのだが既製品は流石に加工工場も買い取ってはくれない。 そんなわけで、このゆっくり霊夢はすべて加工工場製だし自業自得なので工場に売り飛ばすというわけにも行かない。 流石にこんな事情では実家に帰ってたかるのも憚られる。 ということでゆっくりに冬越し用の貯金を全て注ぎ込んだ俺の食生活は餡子に蹂躙されるがままになっていた。 そんな生活が一週間ほど続き俺の中には沸々とゆっくりへの憎しみが湧き出してきていた。 「おにいさんゆっくりげんきだしてね!」 今俺を励ましたのは6等で当てたゆっくり魔理沙。 少しでもこの大量の餡子を減らすために外に出して運動させて餌に餡子を食わせている。 今のところなんの餡子かは気づいていない。 ああ、思えばこいつを当てた福引でゆっくりフランを当てられたかもしれないのに、そう思うとこのゆっくり魔理沙に対しても怒りが沸いて来る。 逆恨みなのはわかっているが、三食全て餡子生活を送っている俺の胃袋がムカムカして仕方ないと吼えて仕方が無いのだ。 復讐、この餡子まみれの現実から少しでも目を逸らすには俺にはもうこのゆっくり達に憎しみをぶつける以外の選択肢は無い。 それから俺は三日三晩、足りない頭で考えられる限りもっとも辛い拷問を考え続け、ついに考えうる限り最高の拷問を考え出した。 さらに準備に2日ほどかけ、今しがた、せめて冬の間に一食くらいは肉を食おうと思って残しておいた金で必要な道具を買い家に帰ったところだ。 完全に準備は整った、今こそ実行に移すときだ。 『ゆっくりしていってね!』 「お、ちゃんとゆっくりお留守番出来てたみたいだな、ほーらご飯だぞー」 玄関で待ち構えていたゆっくりに俺は懐に入れてある外から来た品の『たっぱ』 (大量の餡子と交換でいやそうな顔をする店主から手に入れた。)から餡子を取り出しゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢に与えた。 「わーい!」 「おにいさんだいすきー!」 「むーしゃ♪」 「むーしゃ♪」 『しあわせー♪』 二匹は仲良く餡子を分けて食べあう。 これだけおいしそうに食べられると天国のゆっくり霊夢(屠殺済み)も本望だろう。 ゆっくり魔理沙と一緒にいるゆっくり霊夢は二日前に箱から出してゆっくり魔理沙と遊ばせている。 無論餌は餡子だ。 いくら与えても何の餡子か全く気づかないのでもしゆっくり霊夢一年分が処理できなさそうな時は共食いさせれば大丈夫だと胸をなでおろしたものだ。 「さ、ゆっくり魔理沙もゆっくり霊夢もいい子だから今日はあっちの部屋で遊ぼうか?」 「あっちでもゆっくりしようね!」 「ゆっくりあそぼうね!」 「はっはっは、さあこっちだ」 俺は昨日の夜、計画を遂行するためにセッティングしておいた部屋にゆっくり二匹を抱えていった。 「ゆっくりだしてね!ゆっくりだしてね!」「ゆ゛っぐりおながずいでぎだよ゛ぉお゛おおお゛お゛」 「お゛うぢがえる゛~お゛うぢがえる゛~!」「ゆ゛っぐりう゛ごぎだい゛いい゛い~~!」 『ゆ゛!?』 部屋に入り、四方の壁一面にずらりと並べられこちらを見て助けを求める箱詰めゆっくり霊夢にぎょっとするゆっくり二匹。 「どうしてこんなひどいことするの!?」 「みんなもれいむみたいにゆっくりだしてあげてね!」 「こんなことするおにいさんとはゆっくりできないよ!!!」 ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が抗議の声をあげた。 「めんごめんご鬼めんご、一度にみんな出したらぎゅうぎゅうづめになってゆっくり出来なくなると思ったから 少しづつゆっくり箱から出していこうと思ってさ、その証拠にほら」 「ゆー?」 そういって机の下で遊ばせていたゆっくり一家をひっぱりだす。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりちていってね!」 「ゆゆ?」 若いお母さん霊夢がゆっくり二匹に挨拶をし、それに続いて赤ちゃん霊夢たちが挨拶をする。 『ゆっくりしていってね!』 「おにいさんうたがってごめんね!」 「みんなでゆっくりしようね!」 『ゆっくり出していってね!!!!!』 その様子を見て安心したのか俺に謝罪の言葉を述べるゆっくり二匹。 それに続いて出してもらえると言われた周りのゆっくり霊夢たちも友好的な声音でこちらに声をかけてきた。 「ゆ~♪」 「ゆっ♪ゆっ♪」 「ゆっくり~♪」 「ゆっくりしてるね♪」 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙について机の上を跳ね回り、赤ちゃんゆっくりがそれを追ってころころところがっていく。 そんな風景を見てお母さん霊夢も満面の笑みで見守っていた。 そんな風に遊ばせて30分程度たっただろうか。 「さ、他のゆっくりたちも遊ばせなくちゃいけないからこっちでじっとしててね」 そういって、もともと入っていた箱の中にお母さん霊夢を戻し、赤ちゃん霊夢は、既に宿主の居ない空き箱にしまう。 「ゆ~!もっとゆっぐりぢだい~!!!」 「ゆっくりがまんしてね!」 お母さん霊夢がまだ遊びたいという赤ちゃんゆっくり達をなだめた。 さて、そろそろゆっくりした時間は終わりにして本番に入ろうか。 俺はゆっくり一家のことは一旦ほうっておいてゆっくり魔理沙に近づいて問いかけをした。 「ねえねえ、ゆっくり魔理沙はどのゆっくりが一番好き?」 「ゆゆっ!?」 突然の質問にゆっくり魔理沙は面食らった。 「ゆ…まりさはこのれいむがいちばんすきだよ!」 ゆっくり魔理沙は顔を少し赤らめながら笑顔でそう言うとゆっくり霊夢に近づいてほお擦りをした。 ふう、おにいさんがだいすきって言われたらどうしようかとちょっと緊張しちゃったよ。 これで思う存分拷問できるというものだ。 「ゆ…ゆ゛っ!?」 今度はゆっくり霊夢が面食らう番だった。 「れ、れいむもまりさがいちばんすきだよ!」 「ゆ!…ゆゆっ♪」 「ゆっ♪」 『いっしょにゆっくりしようね♪』 二匹にとっては衝撃の告白の後、お互いの友情を確かめ合った二人はうれしそうにほお擦りをしあっている。 それでこそこの二日間ゆっくり遊ばせて友情を育ててやった甲斐があるというものだ。 俺はむんづとゆっくり魔理沙と仲良くしているゆっくり霊夢の方の頭をつかむと箱にしまった。 「ゆゆっ!?」 「ゆ?れいむをはやくだしてあげてね!」 「はいはい、わかってるわかってる」 俺は別の箱から違うゆっくり霊夢を出すと高速でゆすり始めた。 「ゆ!?ゆ゛っゆ゛っゆ゛ゆ゛っゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!!!?」 「ゆ!まりさのだしてほしいれいむはそのれいむじゃないよ!ゆ゛!?ゆ゛っ!」 俺は抗議の声をあげるゆっくり魔理沙もつかむとこちらは軽くマイルドに振動させた。 「ゆ、ゆ~~~~~」 「ゆゆ…」 ゆっくり霊夢の方は完全に発情状態 ゆっくり魔理沙の方はぽっと顔を赤らめて少し息を荒くしている。 俺は既にゆっくり発情テクニックを『ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付』を読みながらゆっくり霊夢で練習することで完全にマスターしていた。 ちなみにその過程でやたらたくさん出来た赤ちゃん霊夢は普通のゆっくり霊夢餡子ばかり食べてた俺の食卓のいい彩になった。 完璧に出来上がったのを確認すると机の上に自作の柵を立てて二匹を放置した。 絡み合う熱っぽい視線、触れ合う吐息 やがてゆっくり霊夢の方が我慢出来ずにゆっくり魔理沙を押し倒した。 「ゆっくりイこうね!」 「ゆ…ゆゆゆ~!?ゆ゛、みんなみてるからゆっくりやめてね!ゆ゛っ!ゆ゛っゆ゛っ!」 最初は驚いて抵抗しようとしたゆっくり魔理沙だったが既に軽い発情状態にあったためだんだんと相手を受け入れていく。 悲鳴を上げたのはゆっくり魔理沙と親友のゆっくり霊夢だった。 「ゆ゛ぅぅう゛う゛ううううううう゛!!!そのまりさはれいむのおともだちだよ!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆ゛!ゆゆ゛!き、きもちい…」 ゆっくり霊夢の激しい振動にゆっくり魔理沙が思わず媚声をあげてしまう。 「!?どうじでぇえ゛え゛!!!どうじでなのま゛りざぁああ゛ああ゛!!!」 「ぢがうのれ゛いむゆゆゆうううううう!!!」 「ゆ゛!いぐ!ゆっぐりいぐぅうううううううう!!!!」 「い゛や゛ぁああ゛あああ゛あ゛あ!!ま゛りざを゛よござな゛いでぇええ゛ええ゛え!!!」 ゆっくり霊夢が絶頂に達しそうになった時、遂に俺の計画が発動した。 「ハンマープライズ!」 「すっきゆでぶぢゃぁああああああ!?」 「ゆ?ゆ゛うううううううううう!?」 俺は特に意味の無い掛け声をあげつつ隠し持っていた金槌で絶頂に達した瞬間のゆっくり霊夢を一撃で叩き潰した。 ははははこの瞬間をこれまで待っていたのだ。 「どうじでええええええええ!!!おにいざんどうじでごんなごどずるのぉ゛おおおお!?」 一瞬前まで肉体を絡め愛し合っていた相手が餡子の塊になりはてゆっくり魔理沙は半狂乱になる。 『いやあああああああ!』『ゆっくりできないひとはかえってね!』『まりさのえっちー』 周りのゆっくりからも非難の声が上がったがそんなことは気にせず俺は別のゆっくりを取り出した。 「ゆ!?ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ!はやくはなしてね!」 つかまれたゆっくり霊夢が何か言っているがそんなことは気にせず俺は再び激しくゆっくり霊夢をヴァイヴレィションさせた。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぅ!?ゆ、ゆゆゆゆゆぅ~」 俺の超絶テクニックの前に瞬く間に発情しとろんとした顔になる霊夢を俺は机の上に置いた。 こうなるともうゆっくり出来ないお兄さんなんてどうでもよくなる、大事なのは目の前のかわいいゆっくり魔理沙のことだけのはずだ。 「ゆ゛ゅ゛ゆ゛ぅ~!!!?」 再び繰り広げられる媚態。 「ハンマーチャンス!」 ゆっくり霊夢がイキそうになる寸前に俺は再びハンマーを振り下ろした。 「ゆ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 媚態と同じく再び繰り広げられる残虐劇、いやさ餡虐劇。 周りのゆっくり霊夢たちは一様に悲鳴と嘆きの声を上げた、ただ一匹を除いては。 「れいむのまりさにてをだすこはゆっくりしんでね!」 ゆっくり魔理沙の親友のゆっくり霊夢だ。 当初の予定通りなかなか面白い餡子模様になってきたが今はこの餡虐劇(グアンギニョル)を繰り返すのが楽しいので放って置いた。 っていうかノってきたぞ俺ヒャッハー。 「ゴルディオンハンマー!」 「すっきrゆわらば!?」 「ドッガバイト!」 「すっきゆわった!?」 「ハンマーミョルニル!」 「すゆってれぼ!?」 大分餡子塊が増えてきたところでそれぞれのゆっくりの様相も変わってきた。 「ゆ…ゆ…どうじで…」 連続交尾で息も絶え絶えのゆっくり魔理沙が俺に抗議の声をあげようとしているので耳を傾ける。 「どうじでま゛り゛ざばずっぎりざぜでぐでな゛いの゛ぉ゛お゛おお゛お゛!!!??????!!!!!!????」 待ちに待ったその言葉を聞いて俺はニヤリとした。 俺の拷問プログラム【ProjectO-nakin】が遂に実を結んだのだ。 そう、俺の考えたもっとも辛い拷問計画とはオナ禁、すなわち性欲を限界まで高め、尚発散させないことなのだ。 しかしただのオナ禁ではつまらない、そこで交尾の最中に相手を叩き潰してお預けを強制させ続けるという方法に出たのだ。 もし人間にこれをやったらPTSDから確実にインポテンツを患うだろうがそこはゆっくり、記憶力の悪さとその本能への忠実さからあっさり性欲に負けている。 【ゆっくりは非常に本能に弱く、しつけが難しいので注意してください】『ゆっくりの育て方Q&Aカラー図解付』P25より抜粋 と書いてあった通りだ。 そして他のゆっくり霊夢たちにも変化が出てきた。 「い゛や゛あああああああああ!ゆっぐりイ゛ギだくなゆ゛っ!ゆ゛っ!」 絶頂に達すると殺されるということを理解しだしたのだ。 しかし必死に俺のテクニックに対抗して性欲を我慢しようとするも結局は発情してすっきりしたところで金槌の餌食だ。 さて、そろそろ飽きてきたので次の段階にいきたいと思う。 俺はつかんだゆっくり霊夢に振動を与えずにそのまま机の上に放り投げた。 「ゆ?ゆ~これならゆっくりできるよ!まりさもゆっくりしようね!」 発情さえさせられなければゆっくり魔理沙と交尾して金槌でつぶされることも無い。 そう思ったゆっくり霊夢は笑顔で魔理沙に近づいていく。 「ゆ゛…ゆ゛おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「ゆ゛!?い゛や゛あああああああああ!」 次の瞬間ゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙に押し倒されていた。 「ゆっぐりイギだく゛な゛い゛いいいいいいいいい!!!や゛め゛でえ"え"え"ええ゛えええええ゛!!!!!」 「ごべんね゛!ごべんね゛!でもぎも゛ぢぃ゛い゛んほぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 ゆっくり魔理沙は自分の性欲に負けてゆっくり霊夢をレイプし始めた。 「ゆ゛ぐぅ!ゆ゛ぐぅ!ゆ゛ぎもぢぃい゛!いぐぅぅぅぅ!!!!!」 「ゴルディオンクラッシャァアアアアアアアアア!!!!」 結局ゆっくり霊夢の方が早く絶頂に達し金槌の洗礼を受けた。 実を言うとゆっくり魔理沙の方にはゆっくりの繁殖を抑えるためのヤゴコロ印のゆっくり発芽抑制剤を混ぜた餡子を与え続けておいたので そう簡単に絶頂を感じることは出来ないようにしてある。 ちなみに薬代はまだ払っていない、永遠亭は支払いを気長に待ってくれるのでこういう時は本当に助かる。 ただ集金に来る兎と目を合わせると罪悪感で頭がぐるぐるするのが困りものだ。 「あああああああああああああああ!!!!どうじでえええええええ!!!!どうじでまりざがずっぎりするまえにづぶじぢゃうのおお゛!? ま゛り゛ざがぎもぢよぐなっでがらづぶぢでよおお゛お゛!!」 ヤゴコロ印の薬の効果の程とゆっくり魔理沙が完全に出来上がってケダモノと化したのを確認した俺は最初にしまった赤ちゃんゆっくりに手をかける。 「ゆ?」 「!?ゆっくりはなしてあげてね!ゆっくりはなしてあげてね!」 まだ状況をよく理解できていない赤ちゃんゆっくりと事情を理解して必死に俺に懇願するお母さんゆっくり。 俺はお母さんゆっくりの懇願は無視して赤ちゃんゆっくりを机の上に置いた。 「ゆー?ゆ!まりさおねいさんゆっくりあそぼうね!」 「ゆ゛ゆ゛ぅうぅぅうぅぅ……ゆ゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 さっき遊んでもらっていたゆっくり魔理沙の所に連れてきてもらってご満悦の赤ちゃんゆっくりはぴょこんぴょこんはねながらゆっくり魔理沙に近づいていった。 その無邪気な姿を見てゆっくり魔理沙は一瞬戸惑ったが限界まで性欲をお預けされゆっくりアリスクラスの性闘士(セイント)となったゆっくり魔理沙は かまわず赤ちゃんゆっくりの体を押しつぶして激しく体をゆすり始めた。 「ゆ゛ぎぃぃぃっぃい!?お゛ねえ゛さ゛んやめでえ゛え゛え゛え゛えええええええ!!!」 「い゛や゛ぁああ゛あああ゛あ゛あ!!や゛べでえ゛えええ゛ええ゛え゛え゛ええええ!!!」 「ゆ゛ごお゛おお゛お゛!れ゛い゛む゛ぢっじゃぐでぎもぢい゛い゛い゛よ゛ぉおお゛お゛」 「おねえざんどうじでごんなごどずるのお゛お゛おお゛!?ぼっどゆ゛っぐりじようよ゛おおお゛!!!」 「むほぉおおおお!!!むほぉおおおおおお!!」 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんをばなじでぇえ゛え゛え゛ええええ!!!! ゆっぐりざぜであげでええええええええ!!!」 顔中から餡子汁を出して快感を貪り食うゆっくり魔理沙と いっしょに遊んでくれていたゆっくり魔理沙がなぜこんな酷いことをするのかわからず泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくり。 赤ちゃんゆっくりを陵辱されて絶叫するお母さんゆっくりの悲鳴の三重奏が俺の部屋で奏でられた。 「うそ…こんなのうそだよね…みんなはやくゆっくりしようね…」 そして親友の所業を信じられないという面持ちで見つめるゆっくり霊夢が居た。 「ぼっど…ゆっぐりぢだがdぐべちゃあああああ!!!!」 『あああああああああああああああああああああ!?』 赤ちゃんゆっくりがついにゆっくり魔理沙の行為に耐え切れずに弾けとび、ゆっくり魔理沙とお母さんゆっくりは同時に悲鳴を上げた。 二匹の悲鳴の意味は全く異なったものだが。 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんがあああああああああああ!!!!!!」 「まだずっぎりじでだいどにいいいいいいいいいいいい!!!!!!」 「ほーらそんなに悲観するなよ、まだまだお相手はたくさんいるんだから」 そう言うと俺は次々と赤ちゃんゆっくりを机の上に放り投げた。 『い゛や゛ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』 「ゆ゛…ゆっくりすっきりしようね!!!!!!!!!!!!!」 ゆっくり魔理沙に交尾を強要され次々と押しつぶされて餡子塊になっていく赤ちゃんゆっくり。 それを見てお母さんゆっくりは餡涙を流して暴れだした。 「そうかそうか赤ちゃんがつぶされて悲しいよなぁ…」 赤ちゃんゆっくりを全て潰させたところで俺はお母さんゆっくりに話しかけながら頭をつかむと机の上に投下した。 「ゆ…ゆ…ゆ゛っぐりじねま゛り゛ざああああああ!!!!」 「ゆぉおごおおお!?」 投下されるとすぐにお母さんゆっくりはすさまじい勢いでゆっくり魔理沙に体当たりを敢行した。 「おおっと!」 余りの勢いに俺の手作りの柵が壊れそうになって慌てて抑える。 「よぐもれ゛い゛む゛のあがぢゃんをおおおおお!!!」 「ゆぐぉっ!でぢゃう!あ゛んごでぢゃう゛う゛う゛」 命に関わるレベルで押し捲られてもしっかり体を振動させて快感を得ようとしているとは見上げた性欲だ。 しかしこのまま魔理沙が潰されてしまっては面白くない。 「むろ☆ふしっ!!!」 「ゆげぇ!?」 そこで俺は少し手加減して死なない程度にお母さんゆっくりを金槌で叩いた。 お母さんゆっくりの口から餡子が噴出す。 「ゆゆっ!すっきりしようね!いっしょにすっきりしようね!」 「ゆ゛べ゛ぇ!い゛や゛ぁ!い゛や゛ぁ!」 形勢が逆転したと見るやすぐさまゆっくり魔理沙がお母さんゆっくりを犯しにかかった。 なんという性欲、この魔理沙ならうまくセッティングすればアリスでさえレイプできるかもしれない。 どこかにちょうどいいゆっくりアリスがいないだろうか。 「ゆ゛っゆ゛っごべんね゛…おがあざんをゆ゛るじんほおおおおおおおおおお!!!!!すっきりー!」 「ま゛り゛ざも!ま゛り゛ざもすっきりさせてね!」 「もっこり断罪怒りの100tハンマー!!!!!」 「ゆばひょっぶ!?」 「あああああなんでま゛り゛ざだげえええええええええ!!!!!」 おっと変なことを考えていたら金槌を振り下ろすタイミングが遅れてしまった。 危ない危ない魔理沙を絶頂に達しさせてしまったらせっかくの楽しい拷問が終わってしまうところだった、失敗失敗。 そんなことをし続けて一刻半ほどたっただろうか。 「ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い」 魔理沙が大分げっそりしてブツブツ言い始めた。 そろそろ潮時だろうと思い俺は最終段階に移ることにした。 「魔理沙や魔理沙や」 「ま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛いま゛り゛さ゛も゛すっき゛りし゛た゛い…」 「次の相手とはすっきりするまでゆっくりしてていいんだよ」 「ゆゆ゛!?もうとちゅうでひどいことしない!!?」 「ああ、もう途中で金槌たたきつけたりしないからゆっくり愛し合っていいんだよ」 「ほんと!?はやく!はやくすっきりさせてね!」 「そんなガッツかずにゆっくりしなって、ほら」 そう言うと俺は最初にゆっくり魔理沙と遊ばせていたゆっくり霊夢をそっと取り出して机の上に置いた。 「れいむ!れいむ!ハァハァまりさはれいむがいちばんすきだよ! まりさのだいじなはじめてのすっきりはれいむのためにとっておいたよ! だからはやくすっきりさせてね!」 ゆっくり魔理沙は親友のゆっくり霊夢とすっきり出来るとわかり大喜びでゆっくり霊夢に近づいていった。 「ざけんじゃねぇこのうすぎたないしろくろがっ!ゆっくりしねぇ!!」 「ゆげぇ!?」 無防備に近づいていったゆっくり魔理沙にゆっくり霊夢のカウンター体当たりがクリティカルヒットする。 「ゆ゛…な、なんでぇ…なんでなのれ゛い゛む゛ううううううう!!!!」 「まわりをよくみてから言ってね!こんなひどいことするまりさはゆっくりはやくしんでね!」 そういって餡子だらけになった机の上を見渡すと度重なる交尾で疲れきった魔理沙に ゆっくり霊夢が上に乗ってドスンドスンと飛び跳ねるとゆっくり魔理沙からビチッ、ビチャッと餡子が飛び散った。 「ゆげぇっ!ゆびゃあっ!やべっ!やべでれ゛い゛っぶべっ!?」 「れいむはしんじてたのに…ま゛り゛ざのごどじんじでだどに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 上に乗っかってるゆっくり霊夢も餡涙を流すのであたりは飛び散る餡子ですごいことに、既に餡子まみれなので大差ないが。 「ゆべほっ!ま゛、ま゛り゛ざもずっぎりじだがっだの゛に゛い゛い゛い゛!!!!」 それがゆっくり魔理沙の断末魔となって、彼女は遂に潰れて死んだ。 それを確認して俺は金槌で上に乗っかっていたゆっくり霊夢を壁にたたき飛ばした。 ゆっくり霊夢はべちゃり、と壁際のゆっくり箱に張り付いてそのままずるずる落ちていく。 全てが終わり、俺の心は空虚さに支配された。 俺は昼食代わりにひしゃげて潰れたゆっくり魔理沙を手にとって口に入れた。 ああ、今ならわかる。 俺はゆっくり魔理沙が好きだった。 餡子付けの俺を慰めてくれる唯一の存在である彼女が好きだった。 だから、わかって欲しかった。 この胃のむかつき、もたれを。 だから彼女に同族の餡子を食わせ続けたのだ。 そして気付いて吐き出して欲しかった。 三食餡子尽くしの辛さを、擬似的にでも分かち合いたかった。 「どうして、どうして君はゆっくり餡子を三食ともあんなにおいしそうに食べてしまったんだああああああああああああああああああああ!!!!!!! うわあああああああああ!!!うわあああああああああああああ!!!!」 近所から苦情が来るまで俺の慟哭は続いたのだった。
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※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』5 カートの上に四匹のまりさ共を乗せ、俺はある一室に入った。 この部屋は、通常の人間の居住空間になっており、 家具や調度が一通り揃っていた。 実際に、俺はここで寝泊まりをすることになる。 八畳ほどのこの部屋には、 冷蔵庫や布団をはじめ、必要な生活用品が揃っている。 特殊なのは、壁のうちある一面が全面鏡張りになっていることだった。 そして、部屋の一角には頑丈なケージがあり、 およそ2m余り四方を区切っている。 この部屋に、まりさ種の四匹を放した。 カートの籠から持ち上げ、部屋の真ん中に投げだしてやる。 「ゆぎゅっ!」 顔面から板張りの床に叩きつけられ、呻く親まりさ。 俺を見上げて悪態をつく。 「ゆゆっ!!なにやってるんだぜごみくず!! このまりささまをいたいめにあわせて、ぶじですむとおもってるのかだぜ?!」 無視して、今度はバスケットボール大の子まりさを出す。 こちらはケージの中に放り込む。 「ゆぎゃ!」 「なにしやがるんだぜ!?」 「あやまったってゆるしてやらないんだぜ!どげざするんだぜ!!」 少しの間喚いていたが、 やがて部屋全体を見渡し、様子を見てとると、 親まりさが予想通りの言葉を吐いた。 「ゆゆっ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! おい、ごみくず!!しごとをめぐんでやるんだぜ? はやくあまあまをよういするんだぜ!!」 「はやくするんだぜごみくず!!」 「ここでもどれいにしてかいごろししてやるんだぜ!! まずはかんしゃのどげざをするんだぜ!!」 「あまあま!!あまあま!! もってきたらしーしーをのませてやるんだぜ!!」 相変わらずの罵詈雑言を聞き届けると俺は息をついた。 早速始めることにする。 まず、ケージの中の三匹の子まりさ。 その後に親まりさの順で、おれは手早く帽子を取り上げた。 「ゆっ!!?なんのつもりなんだぜ?!」 「まりささまのおぼうしがああああ!!」 「ごみくずううううう!!かえせええええええ!!」 「ごみくずはじぶんのたちばがわかってないんだぜええ?! しつけなおしてやるからぼうしをかえすんだぜえ!!」 「返してほしければ、俺から奪い返してみろ」 「ゆっ?」 俺の前にいる親まりさが、小馬鹿にした笑みを浮かべた。 「じぶんがなにをいっているのかわかってるんだぜ? まりささまにけんかをうっているんだぜ!? もしかしてまりささまにかてるとおもっちゃったんだぜ? ばかはすくいようがないんだぜ!!ゲラゲラゲラゲラ!!」 子まりさともどもひとしきり嘲笑した後、 真顔に戻ってまりさは侮蔑の視線を送ってきた。 「ぼうしをかえすんだぜ、ごみくず。 こうかいしないうちにかえしたほうがいいんだぜ。 いまならはんごろしでゆるしてやらないこともないのぜ?」 俺は手に握った帽子をぐしゃぐしゃに握り潰し、ズボンの裾に突っ込んだ。 まりさの目が怒りに燃え上がる。 「ごみくず…… くそのやくにもたたないおまえを、 まりささまはきょうまでがまんしてかってきてやったんだぜ? それはまりささまのなさけだったんだぜ。 そのまりささまにたいして、おまえはそんなたいどをとるんだぜ?」 「おとうさん!!そいつをころすんだぜ!!」 「こわれたどれいはようずみなんだぜ!! たっぷりいじめころしてやるんだぜ!!」 「はじめておとうさんのけんかがみられるんだぜ!!わくわくだぜ!!」 子まりさ共が口々に叫ぶ中、親まりさは宣告した。 「もうあやまってもゆるさないんだぜ。 いくらないても、あやまっても、まりささまはゆるさない。 じっくりとなぶりごろしてやるんだぜ。 ごみくずはたっぷりこうかいしながらしぬんだぜ!!」 親まりさが跳び、俺の足に体当たりをしてきた。 直径50cmの饅頭の体当たりは、さすがにそれなりの質量がある。 不意打ちで喰らえば、尻餅をついてしまいそうだ。 しかし正面から向かってくる今、まるでダメージにはならない。 親まりさは何度も何度も体当たりを繰り返してきた。 俺はそれを見下ろしながら黙っていた。 十分ほどそうしていた後、 ぜえぜえと息をつきながら、親まりさはこちらの顔色を伺っていた。 なぜ倒れないのか不思議そうな顔だ。 「痛くない」 俺がそう言うと、愕然として口を半開きにした。 子まりさ共が、おかしいとばかりに口々に叫ぶ。 「おとうさん!おあそびはもうおわりにするんだぜ!!」 「そろそろとどめをさしてやるんだぜ!!」 「ゆ、と、とどめなんだぜ!!」 親まりさは数歩下がってから、 助走をつけて全力で体当たりをしてきた。 俺は少しばかり腰を落として構えただけで、小揺るぎもしなかった。 ぜひ、ぜひ、息をつくまりさの前に屈み込み、その顔を覗き込む。 「な、なんでなんだぜ……?」 その左頬を、右腕で力を込めて殴りつける。 これだけ成長した饅頭なら、 そう慎重に手加減しなくても、そうそう死ぬことはないだろう。 「ぐびゅえっ!!」 あえなく悲鳴を上げる親まりさ。 俺は親まりさの頭を左手で押さえつけ、同じ場所を殴り続けた。 「ゆがびゅっ!!ぼびゅっ!!ばっ!!ゆびぃっ!!ぼぉ!!」 何十発殴っただろうか。 親まりさの顔面の左側は、今や全体が内出血ならぬ内出餡で黒ずんで腫れあがり、 左目は開かなくなっていた。 手を休めて眺めていると、ごほごほと咳き込み、 口から少量の餡子とともになにかをばらばらと吐き出した。 歯だ。 腫れあがってでこぼこになった左頬を、そっと触れる。 「ゆぎぃ!!」 それだけで悲鳴が上がった。 左頬をつまみ、つねり上げてやると、涙を流して呻いた。 「やべで!!やべで!!づねらだいでええええ!!」 「ゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「いだい!!いだい!!いだいいいいいい」 また左頬を殴りつける。 「ゆびいいい!!」 「俺の話を聞くんだ。いいな?」 状況が掴めていない様子で、不思議そうに親まりさの右目が俺を見上げる。 また右手を振り上げてやると、親まりさは泣き喚いた。 「ぎぎばず!!ぎぎばずうう!!なぐらだいでえええええ!!!」 「ここをゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「ばいいい!!いいばじだあああ!!」 「いいだろう。ここは俺の部屋だが、俺から奪ってみろ。 俺を倒せば、この部屋はお前らのものだ。お前らの帽子も奪い返せる」 半ば子まりさの方を向きながら、俺は説明した。 「この部屋に住めば、毎日山ほどのあまあまが運ばれてくる。 沢山の人間達や美ゆっくり達がお前たちの世話をするし、すっきりもし放題だ。 楽しい玩具だってふかふかのクッションだっていくらでも、前の部屋なんかより沢山ある。 お前らはここで存分にゆっくりできるんだ」 その言葉を聞き、それまで呆然と成り行きを見守っていた子まりさ共は、 声を奮って親まりさを叱咤激励した。 「おとうさん、たちあがるんだぜ!!なにしてるんだぜ!?」 「まりさたちはゆっくりしたいんだぜ!!」 「おぼうし!!ゆっくりぷれいす!!はやくするんだぜ!!」 「ゆ……ゆ……」 哀れっぽい視線を、子まりさ達、そして俺に向ける親まりさ。 がたがたと震えている。 「さあ、準備運動はここまでだ。 お互い本気で戦おうじゃないか」 そう言って俺が立ちあがると、親まりさの顔が一瞬歪み、次に命乞いをした。 「も、もうやべで……」 「なに、やめるのか?」 「まりささまは……もうたたかえないんだぜ……」 「やめるって言ってるぞ」 子まりさ共のほうを向いてそう教えてやると、 ケージの中で三匹の子まりさ共は飛び跳ねて激昂した。 「なにいってるんだぜ!! まりさたちがゆっくりできなくなってもいいんだぜえ!?」 「おぼうし!!おぼうし!! おぼうしがないとゆっくりできないいいい!!」 「はやくたたかええええ!!なにふざけてるんだぜえええ!!? おとうさんはつよいっていつもいってたんだぜええええ!!」 「ゆあぁ……ゆあぁ……」 呻く親まりさ。 この饅頭は、以前まではあの家の主に君臨し、 普段から子供に対しても威張り散らしていた。 面倒を見もせずに親れいむ達に任せ、それどころか旨いものを横取りしてもいた。 その親まりさを子まりさ達が慕っていたのは、ひとえに強さへの羨望と尊敬によるものだったのだ。 帽子を奪われ、ゆっくりぷれいすを前にした今、 その親まりさが戦わないとすれば、 子まりさが今まで親まりさの横暴に耐えてきた意味がなくなる。 ここで子まりさ達が親まりさの降参を許すはずがなかった。 親まりさにも、それはよくわかったようだ。 「ごべん……ごべんだざい…… まりさ……だだがえだい……」 「ばやぐじろおおおお!!ぐぞまりざあああああ!!」 叫ぶ子まりさ達に、俺は確認した。 「始めていいんだな?」 「はやくはじめるんだぜ!!さっさとやられるんだぜ!!」 「ゆ、やべぶぎゃぁ!!」 懇願しようとする親まりさの口内を、つま先で蹴り抜く。 これだけの大きさの饅頭はそうそう蹴り飛ばせるものじゃないが、 それでも親まりさは少しばかり浮き、後方に着地して倒れ込んだ。 「ゆばぁ……あがぁ……」 涙を流しながらえずく親まりさの口から、また歯がこぼれる。 前歯が殆どいかれたようだ。 「やべで……やべびぇっ!!」 腫れあがった左側面にローキックを叩きつける。 「びぎぃいい!!びぎぃいいい!!!」 飛び跳ねてもんどりうつ親まりさ。 ここにきて親まりさはようやく立ち上がった。 しかし、こいつが選んだのは闘うことではなく逃げることだった。 「にげるなああああ!!なにしてるううううう!!」 「さっさとたたかえええええ!!」 「まりさたちがゆっくりできなくてもいいのかああああ!!? それでもちちおやなんだぜえええええ!!?」 「ぶひゅう……!ぶひゅう……!!」 部屋の隅に背中を押しつけ、泣きながら荒い息をつく親まりさ。 俺はあえて追わず、子まりさ共に向かってルールを説明した。 「勝負が終わる条件はふたつ。 親まりさが死んだときと、子まりさ達が負けを認めたときだ。 あいつが死ぬか、おまえ達が負けを宣言すれば、勝負は終わりだ」 おかしなルールだが、これはもとから勝負ではない。 「負けた時点で、お前たちは俺の奴隷になる。 そうなったらゆっくりさせない。ずっとゆっくりさせない。 これから先、お前らが死ぬまで、 あまあまももう食べられない。すっきりもできない。 遊ぶ時間なんかないし、眠ることも許さない。 永遠に痛めつけ続けてやる。 ここで負ければ、お前たちは、 ずっと、ずっと、永久に、ゆっくりできない」 まりさ共の顔色がみるみるうちに青ざめていった。 ゆっくりすることが全てに優先し、 ゆっくりするために生きているゆっくりにとって、 それは死刑宣告よりもずっと恐ろしい成り行きだろう。 「だだがえええええ!!だだがえええええええ!!」 「ぐぞまりざあああああああ!!!わがっでるのがああああ!!!」 「ゆびゅうううう!!ゆびゅううううう!!」 涙を流し続ける目を見開き、親まりさは鳴き声を発していた。 闘うしかない。 それはわかっていたが、体がついていかなかった。 がたがた震えつづける体を引き摺り、親まりさは少しずつ前に出てきた。 俺の目の前にやっとのことで辿り着くと、 親まりさは息をついてから、緩慢な動きで体当たりをしてきた。 ぼでんと足に当たった後、親まりさは悶絶した。 「びぃいいい!!いだい!いだいよううう!!」 歯が折れ、腫れあがった顔面では、 体当たりをすると自分が痛い目を見ることになる。 ゆっくりの唯一といっていい攻撃手段が、ここにきて用をなさなくなった。 この一発で、親まりさは早くも音をあげた。 「だべでずうう……だべでずうう……だだがえまぜん…… ばりざをだすげでぐだざい……だずげでぐだざい……」 「負けか?」 「まげまじだあ……ばりざのまげでずうう……」 「お前には聞いてない。お前の子供たちに聞いてる」 親まりさの顔が絶望に歪む。 「負けか?」 「まげじゃないいいいい!!!がづ!!がでええええ!!」 「だだがえええええええ!!!ばがあああああ!!ぐぞまりざあああ」 「がでええええ!!ぼうじがえぜええええええ!!! ゆっぐりでぎないのいやだあああああああ!!」 「じねえええええ!!!がでなぎゃじねえええええ!!! まりざだぢをゆっぐりざぜないぢぢおやはじねえええええ!!!!」 「むりだよおおお……いだいよううううう……」 ぼろぼろぼろと涙を流し、子供たちを見つめる親まりさの頭を、 俺はしたたかに踏みつけた。 「あぎゅううっ!!」 踵で踏みつける。踏みつける。何度も何度も踏みつける。 「あぎゅ!!ぐゆう!!びゅう!!びゅ!!ぎゅぶぃいい!!」 踏みつけるたびに上顎と下顎を叩きあわせる音が響く。 次に右足を頭に押し付け、体重をかけて押しつぶす。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 押しつぶしながら、ゆっくりと足を左右にこじってやる。 ぺきぺきと、口の中で歯が折れる感触が伝わってきた。 「ゆうぐううううううううううう!!!」 失禁した。 よく見ると脱糞もしている。押しつぶしたせいもありそうだ。 足をどけて開放し、また横に蹴り飛ばす。 「さあ、頑張って帽子を奪い返そうか」 俺が近づいていくと、親まりさは必死に起き上がり、 ずりずりと這いながら逃げていった。 再び部屋の角にすがりつく親まりさの上に、 俺は覆いかぶさるように立ちはだかった。 「ゆぐ……ゆぐ……ゆぐじでぐだざいぃ………」 「命乞いなら子供に言うんだな」 そう言ってやり、今度は右頬を蹴りつける。 壁に両手をついて体を支えながら、俺は蹴り続けた。 「ばっ!!ゆびぃ!!びぃ!!ぎゅう!!ゆぶじびぇっ!!」 何十発と蹴っていくうちに、右側もぱんぱんに腫れあがった。 もう親まりさの顔面に腫れていないところはなくなった。 黒い風船のようにいびつに膨れ上がり、一回り大きくなったように見える。 両目は開かず、歯もほぼ全部抜け落ちた状態だ。 「あいいいいいぃぃぃぃ……あいいいいいぃぃぃぃ…………」 小休止をして眺める。 親まりさは、今や壊れたおもちゃのように音をたてるだけだ。 「負けか?」 「ば……ばりざは……ぼう……」 「じねえええええ!!じねぇええええええ!!」 子まりさ共の叫びは、もはや「闘え」でも「勝て」でもなかった。 「おで……おでがい………ばりざ……ばりざの…おぢびぢゃん……」 見えない目で、声を頼りに親まりさは子供のところへ這いずっていった。 ひどく遅い歩みを、休憩がてら邪魔せずに見守ってやる。 親まりさにとっても必死だろう、今やすがれるものは子供だけだった。 ケージの格子に頬を押し当て、親まりさは懇願した。 「ゆぶじで……ゆぶじで……」 「もどれええええ!!ぐぞまりざああああ!!」 「だだがえまじぇえん……いだい…いだいんでずううう…… まえもみえだい……がらだがいだぐで……はねられだい……」 「まげるなあああ!!だだがえ!!だだがえええ!! まりざざまはづよいんだろおおおおおお!!?」 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん……」 「負けたら永遠にゆっくりできない。 思いつく限りの方法でいじめ抜いてやる。 それでもいいなら、お父さんを助けてやるんだな」 俺が念を押してやると、 子まりさ共は恐慌をきたし、ケージにしがみつく親まりさに体当たりを始めた。 「いげえええええ!!ぐぞまりざあああああ!!」 「ゆぎゅうぅ!!」 腫れあがった顔には、ケージの格子ごしでも痛みは大きいようだ。 それでも親まりさは離れようとせず、子まりさに懇願を続けた。 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん…ゆぶっ…… ばりざの……びぃ!……がわいいおぢび……ぶっ……ぢゃん…… おどうざんを……おどうざんをだず……げで……… いいごだがら……あびゅう!………………おでがい……おでがい……」 負けを認めたとき、子まりさ共の末路は決まっている。 それがわかっていながら、この親は自分の命を懇願していた。 口では猫なで声を出していても、このまりさは全く子供を愛していない。 餡子脳でもそれぐらいはわかるようで、 子まりさは懇願されるほどに憎悪をむき出しにして罵った。 「ぐぞまりざあああ!!ぎだないがおをみぜるなあああ!!」 「だまれ!!だまれ!!だまれ!!だまれえええええ!! おまえだげはゆっぐりずるなぁあああああああ!!!」 「じねええええ!!おまえがじねええええ!! だだがっでがっでじねええええええええ!!!」 体当たりでは飽き足らず、 格子の隙間からはみ出る親まりさの皮膚に噛みつき始めた。 「あいいいぃ!!」 弾かれるようにケージから離れる親まりさ。 「話し合いは終わりだな」 「ゆぶ!ま!まっで!!まっでぐだざい!! ごどもだちはごんらんじでるだげなんでず!! いま!いまばなじあいをぉ……ゆぎいいぃ!!」 親まりさのお下げを引っ掴み、引きよせる。 泣き喚き謝り懇願する親まりさを、俺は殴り続けた。 皮が裂かれて中の餡子が出ないように打ち方には留意し、 ひたすら打撲傷のみを与え続ける。 こめかみを殴りつけた。 体中を張り手で叩き続けた。 口をこじ開けて下顎を踏みつけた。 逆さにして頭を床に叩きつけ、底面を何度も踏みつけた。 持ち上げて、顔面と言わず顔と言わず背中と言わず壁に叩きつけた。 全身が赤黒いいびつな饅頭と化し、親まりさは床に転がっていた。 もはや、髪がなければどこが顔なのかよくわからない。 それでも、荒い息と断続的なうめき声、 そして流れ続ける涙が、意識を保っていることを示していた。 もともと、ゆっくりは人間と違い、気絶も発狂もしない。 人間なら苦痛から精神を守るためにそういう現象が起こることもあるが、 ゆっくりの精神にそんな高度な活動は不可能だった。 「あび……………ゆび……………」 呻く親まりさ。 ここまでしても、俺の心は全く晴れなかった。 それどころか、こいつらに対する憎悪と、そして虚しさがつのるばかりだ。 こんな脆弱で醜い生き物が、俺の家族を殺し、俺の人生を壊した。そしてそうさせたのは俺だ。 「お前らの負けだ」 俺は宣告した。 「ゆゆっ!?」 「なにをいってるんだぜごみくず!!くずまりさはまだいきてるのぜ!!」 「あれ、いきてるのぜ?」 「いきてるんだぜ!!まだうめいてるんだぜ!!」 「もういい。負けだ。俺が決めた」 文句を言う子まりさ共に、俺は繰り返した。 「やくそくをまもるんだぜ!!ごみくず!!」 「おぼうしかえせええええええ!!」 「今度はお前らの番だ」 俺の言葉に、子まりさ共がびくりと身を震わせる。 親まりさの戦いを見て、自分たちでは勝てないことぐらいはわかるようだ。 俺は子まりさ全員をケージから出して言った。 「三匹一緒にかかってこい」 「ゆ!?」 「さんにんならかてるのぜ!!」 「ごみくずはつくづくばかなんだぜ!! ひとりにかったからってちょうしにのってるんだぜ!? さんにんならまけるわけがないんだぜ!! なぶりごろしにしてやるんだぜえええ!!」 詳細は省く。 今、俺の前には、ぐずぐずの風船になって転がる親まりさと、 全身の半分を赤黒く腫れあがらせた子まりさ三匹が転がっている。 やや面倒になったので、子まりさのほうは親ほどには傷めつけていない。 それでも全員、言葉にならない呻きを漏らして涙を流している。 「今日からお前たちは俺の奴隷だ。いいな?」 俺は言い渡した。 答えがなかったので、一匹ずつ蹴りつける。 「あじゅ!!」 「ゆびゃっ!!」 「だいぃいいい!!」 「ゆがぁあ!!」 「返事をしろ。いいな?」 「「「「いいいいいいでずううううう!!」」」」 「立て」 のろのろと立ち上がる子まりさ達。 親まりさは全身の痛みに苦悶しながら、だいぶ遅れてどうにか立ち上がった。 「背中を向けろ」 子まりさ達がすぐに背中を向ける。 親まりさはずるずると床の上で回転したが、あらぬ方向を向いて止まった。 両瞼が腫れあがり、目がふさがっているので自分の向きがわからないようだ。 「あいぃいいい!!」 髪を掴んで持ち上げ、強引に背中を向けさせる。 俺は太い注射器を取り出すと、 背中を向けて並んだまりさの一匹を選び、 背中に注射器を突き立てた。 「ぐいいいいい!!いだいごどじだいでええええええ!!!」 悲鳴をあげる子まりさの内部に、注射器内の液体を注ぎ込む。 オレンジジュースだ。 どれだけ消耗していても、これを与えればゆっくりは回復する。 三匹の子まりさ、そして親まりさに、同じように処置を施す。 親まりさには表面のキズがいくつかあったので、 小麦粉の溶液をちょいちょいと塗り込む。 放っといてもいいが、なにかのはずみで傷から餡子が漏れないとも限らない。 これで、しばらくおけば普通に動き回れるようにはなるはずだ。 その前に、最初の子まりさに命じる。 「こっちに来い」 怯えながら、子まりさはこちらに這いずってきた。 その頭を押さえつけ、したたかに殴りつける。 「ぎびゃああっ!!」 「お前、さっき俺に「痛いことしないで」と命令したな」 「べいれいじゃありばぜええんん!!おでがいでずうううう!!」 「同じだ。いいか、饅頭共、お前らは俺の奴隷だ 奴隷に、俺に対して要求する権利はない。わかったな?」 言いながら、俺は同じ箇所を何度も何度も殴りつける。 「あぎいいいいわがりばじだあああああ!!!」 さんざん殴り、子まりさの右頬はぱんぱんに腫れあがった。 再び、背中からオレンジジュースを流し込む。 二度手間だが、上下関係ははっきりさせておく必要がある。 他のまりさ共も、がくがくと震えながらこちらを見ていた。 しばらく待った後、俺は頃合いを見て壁のスイッチを押した。 とたんに、鏡張りになっていた一面の壁が、隣の部屋の光景を移した。 この壁はマジックミラーで、鏡の状態と透明な状態を、 ボタン操作で切り替えることができるようになっていた。 今は向こうからも見えるようになっている。 部屋の向こう側は、本当のゆっくりプレイスだった。 部屋の間取りはこちら側と同じく八畳程度だったが、 壁には草花や青空や動物たちがデフォルメした可愛らしい画調で描かれ、 ふかふかのクッションやソファがあちこちに山ほど積まれている。 ブランコや滑り台や砂場、遊び場や玩具もふんだんにあった。 部屋の隅には餌場があり、いつでも砂糖水が飲め、 定期的にお菓子が補充されるようになっている。 そこには大小さまざま、およそ十数匹のゆっくり共がくつろいでいた。 ソファに寝転び、滑り台で遊び、家族で歌を歌う。 この部屋には常時二人ほどの人間が世話係を勤めており、 好き勝手に垂れ流される排泄物をはしから処理したり、 求められれば遊び相手になったりしていた。 「ゆぅうううううう…………!!」 おおむね体力を回復させたまりさ共は、 眼前に広がるゆっくりプレイスに目を輝かせた。 「ゆぅうううう!!すごいのぜ!!とっっっってもゆっくりできるのぜ!!」 「あれはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! あいつらはおいだしてやるんだぜ!!」 自分たちの状況を完全に忘れて騒ぎ立て、壁に体当たりする子まりさ共。 壁が破れないとみるや、俺の方を向く。 「おい、ごみくず!まりささまをあっ……」 俺の顔を見たとたんに、状況を思い出したようだ。 子まりさは失言に気づき、口を閉ざして震えだした。 親まりさは失言こそしなかったものの、期待に目を輝かせていた。 その目が、すがるように俺を見上げている。 「俺は言ったはずだ。ずっとゆっくりさせないと」 そう言ってやりながら、俺は失言した子まりさを踏みつける。 「びゅぇええっ!!」 何度も踏みつけてやりながら、俺は説明する。 「あのゆっくり共はお前らとは関係ない。 あいつらはあそこでゆっくりするが、お前らはここでずっと苦しんでもらう。 わかったな」 「ゆひぃぃいいい………」 慈悲を求めるように目を潤ませるまりさ共。 「わかったな!」 「わがりばじだあああ!!」 踏みつけていた子まりさを蹴り飛ばし、親まりさに叩きつけると、 ようやく返事が返ってきた。 ゆっくりプレイス側のゆっくりが、不安げにこちらを見つめていたが、 隣にいる世話係の人間が説明してやると安心したようだ。 どこか侮蔑を顔に浮かべ、にやつきながら眺め始めた。 踏みつけた子まりさにオレンジジュースを軽く注入してから、 親まりさ共に言ってやる。 「さて、その前に、飯の時間にしようか」 「ゆゆっ!?」 まりさ共の目が輝く。 オレンジジュースを注射器で注入されてはいても、 口からではないので味は楽しめないし、満腹感もない。 人間でも、栄養剤をいくら注入されても腹は膨れないのと同じことだ。 すでに丸一日、こいつらには何も食わせていない。 さんざん甘やかされてきたこいつらにとって、空腹は耐えがたいだろう。 口には出さずとも、軽く飛び跳ねて催促するまりさ共。 通信機で連絡をつけると、ほどなくして食事は運ばれてきた。 食事が、隣のゆっくりプレイスに運ばれる。 そこに運ばれてきたのは、信じられぬようなごちそうだった。 大皿に盛られたケーキ、プリン、フルーツ。 数多のトッピングがちりばめられたあまあまだ。 かつてこのゲス共が食べていたものとは比べものにならない高級品である。 「ゆっ!!ゆっくりできるごはんだよ!!」 「あまあま~、あまあま~!!」 「あわてなくてもたくさんあるからね!!なかよくゆっくりたべようね!!」 隣のゆっくり共の声が聞こえてくる。 マジックミラーで遮ってはいても、 スピーカーによって、こちらによく声が通るようにしてある。 「あまあま……あまあまたべたいぃ……」 「おなかすいたぁぁ……」 涎を垂れ流しながら、マジックミラーにへばりつくまりさ共。 向こうのゆっくり共は一心不乱に食べている。 「うっめ!めっちゃうっめまじうっめ!うっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……しあわせえぇぇぇ!!」 「ちちちちちちあわちぇええええ!!」 「すっっごくゆっくりしてるよぉぉ……」 「ゆっくりしたいよぉぉぉ………」 「おにいさん……まりさにも、まりさにもあまあま……」 「お前らの飯はない」 俺の言葉に愕然とするまりさ共。 「ゆゆっ!ご、ごはんのじかんだよ?」 「向こうのゆっくり共のことだ。お前らに関係ない」 「おねがいします!ごはん!ごはんくださいぃぃぃ!!」 要求してきた子まりさの顔面を爪先で蹴る。 「びぃゆううう!!」 「さっき言ったはずだ。 お前らは俺に負け、奴隷になった。 もう飯はやらない。ましてあまあまは一生食べられない」 「ぞんな………ぞんな………」 「ゆっぐり、でぎだい………」 「何度でも言う。お前らはもう一生ゆっくりできない」 絶望と悲しみに大口を開けて震えるまりさ共。 子まりさが一匹失禁した。 「ちちちちあわちぇー♪」 「む~ちゃ!む~ちゃ!ゆっきゅりできりゅよぉぉぉ!」 ゆっくりプレイスの赤ゆっくりの歌が響く中、 まりさ共は絶望の淵にいた。 しかし、まだまだこいつらには余裕がある。 今後しっかりと、さらなる絶望を堪能してもらわなければならない。 とりあえず、少しずつ段階を踏んでいく。 この部屋にまりさ共と共に寝泊まりしながら、 最初のうちは手を下さず、餌を与えずに放置した。 ゆっくりという生物(と呼ぶべきなのかどうか)は、 非常に脆い反面、おそろしく頑丈な面もある。 どれだけ傷をつけられようと、 体内の中心部にある中枢餡が破壊されるか、 もしくは中の餡子があらかた漏れ出さないかぎり死なない。 餓死や病死という死因もあるが、 適当に室内で世話していれば、よほどのことがないかぎり病気にはならない。 餌は、一月ほど与えなくても大丈夫らしいが、 食欲はおそろしく旺盛なので、 一日抜いただけでも天地がひっくり返ったように暴れる。 まずは食からだ。 三日目にして、すでにまりさ達はこの世の終わりのような表情で、 だらしなく床に寝そべっていた。 初め、三匹の子まりさは親まりさを罵っていた。 「おまえのせいだ!!おまえがまけたせいでゆっくりできないんだ!!」 「さんざんいばってたくせにぜんぜんよわかったんだぜ!! くそまりさのうそつき!!ぺてん!!さぎ!!」 「やかましいんだぜええ!! おまえらだってまけたんだぜ!!ごみくず!!」 傷があらかた回復した親まりさは、子まりさに叫び散らしていた。 もはや威厳も何もないが、力だけはあり、 子まりさ共に襲いかかられても勝てる。 もはや暴力だけで、親まりさは子まりさ共を恫喝していた。 何度となく掴み合いの喧嘩、というか殺し合いを始めたが、 その度に俺が蹴りをくれたので、ほどなく罵り合うだけに留まった。 そして今、疲れきって体力もなく、 四匹とも力なく床に横たわるだけである。 一日中、獣じみた呻きを発するか、ぶつぶつと文句を言うばかりで、 暴れたり罵ったりする気力はないようだ。 最初の頃は俺に食事を懇願していたが、 その都度顔中が腫れあがるほど殴られたため、 いまではびくびくして俺に近づかないようにしている。 それでも、一日に五度の隣の食事が始まると、 全員でマジックミラーにへばりついた。 幸福にのたうちながら舌鼓をうつゆっくり共の姿を、 涙と涎を垂れ流しながら恨めしそうに眺めていた。 このゲスまりさ共は、かつて俺の部屋でずっと主として君臨していた。 他のゆっくり共を目下に従え、ふんぞり返って威張っていた。 そのプライドが、これまでまりさ共の口を閉じていたが、 ついに親まりさの心が折れた。 「おねがいです!まりさたちにもわけてください!!」 プライドをかなぐり捨て、向こうのゆっくり共に物乞いを始めたのだった。 それを皮切りに、子まりさ共も喚き始める。 「おねがいしますうう!!」 「おなかがすいてしにそうなんですううう!!」 「すこしだけでいいですから!!あまあまくださいいいい!!」 隣のゆっくり共がこちらを振り向いた。 その後、ゆっくり同士でひそひそと何事か囁いていたが、 やがてこちらを向いて言った。 「ひとごろしまりさにあげるあまあまはないよ!!」 「ゆっくりくるしんでね!!」 「そんなあああああ!!おねがいしますうううう!!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「よだれでべちょべちょ!みっともないね!!」 「おちびちゃんたちはあんなふうにならないよね!!」 「うん!あんなばかにはぜったいならないよ!!」 その時は、食事が残らず食べ尽くされるのをじっと見守るしかなかった。 その日、次の食事がやってきた時も、まりさ共は懇願した。 懇願するまりさ共を、始めのうちは罵っていた隣のゆっくり共だったが、 やがて、それまで部屋の中心で食べていた食事を、 まりさ共の鼻先にまで押しやってきた。 「あああああありがどうございまずううううう!!!」 「あまあま!!あまあまありがどうございまずううううう!!!」 分けてもらえると思い、嬉し涙を流して叫ぶまりさ共。 しかしそこまでだった。 まりさ共の目の前に積み上げられた食事を、ゆっくり共が食べ始めた。 マジックミラーに遮られて手を出すこともできず、 すぐ目の前で、まりさ共は食事を見せつけられることになった。 「む~ちゃ♪む~ちゃ♪しあわせぇ~♪」 「このくっきーあまあまだよぅ~♪ゆっくりぃぃぃぃ~~」 「たべないの?とぉ~~~ってもゆっくりできるよぉ~? む~ちゃむ~ちゃ……しししししあわせぇぇ~~~~!!」 まりさ達の方を向きながら、ことさら美味そうに食べてみせるゆっくり共。 涙を流し、まりさ共はぎりぎりと歯噛みしていた。 ゆっくりという生物は、弱い者を苛めるのが大好きである。 どんなに性格がよさそうに見えるゆっくりでも、 自分より弱い者や無抵抗の者を見ると、たちまち嗜虐心を燃え上がらせる。 その陰湿さは、俺自身が体験してきてよく知っている。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!」 怒りと悔しさと空腹に歯ぎしりするまりさ共。 「ゆぎぎぎぎ~~~♪」 「おなきゃすいちゃ~♪あみゃあみゃくだしゃ~い♪」 マジックミラーごしに、赤ゆっくり共がまりさ共の顔真似をしてみせ、 大人ゆっくり共がそれを見て笑う。 親たちが喜ぶのを見て、赤ゆっくり共はあの手この手でまりさ共をからかう。 地獄だった。 その地獄が、食事のたびに繰り広げられた。 続く
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ネチョ注意 人里離れたところにある粗末なつくりの小屋から、濡れタオルをはたくような音が連続で響く 小屋の中では、男はゆっくり霊夢を両手でがっしりと捕まえて。自らの男根をその口に突っ込み、ピストン運動を繰り返していた 「うぐっ・・・・・・・・ゆぐ・・・・・・ぼぅえ・・・・・んちゅ・・・・・・」 男は腰を激しく振ってラストスパートをかけて、いっきに絶頂に登りつめた ゆっくり霊夢の中に大量のザーメンをぶちまける 「がぼぼぼぼぼぉぉ!!」 大きく体を揺すられて、自分の『中身』と『異物』が混ざり合う感覚に眩暈と吐き気をもよおしてゆっくり霊夢は息を荒くしてへたりこんだ 男はそのぐったりとしたゆっくりをつまらなそうに一瞥すると、今度はその部屋の隅で震えていた小さなゆっくり達に手を伸ばす たった今犯したばかりのゆっくり霊夢の子供たちである 「ゆっくり来ないでね!!」 一匹が口火を切ると、右習えの要領で他の子供ゆっくりも口々に拒絶と懇願の言葉を合唱する 男は子供達の悲痛な叫びなど意にも返さず、むしろその声に身を奮わせつつ一匹の小粒なオナホールを手に取る 「ゆっくりやめてね!!ゆっくり降ろしてね!!だぁめええええぇぇぇ!!! 」 あっさりと捕まったちびゆっくりが、男の手の中で絶叫する 母が遭わされたのと同じ目に自分も遭わされるのだと想像するだけで喉から餡子がせり上がってくる その時 「ゆっくり出してね!」 先ほどまでぐったりとしていたはずの母ゆっくりが再び起き上がり、男のイチモツを自ら咥えこみ、舌を使って奉仕しだした 男の興味をわが子から再び自分に向けるために、男の陰毛に目を痛めながら必死に口をすぼめる 我が身を犠牲にして子を守る親の姿を、男は口先を吊り上げて嘲る 嘲り、今捕まえた子供のゆっくりを床に置き。自らのイチモツを咥えてきた母ゆっくりの再び頭を両手で掴み、獣のように腰を振り始める 男のイチモツが母ゆっくりの喉と一度目の射精でザーメンカクテルと化した餡子を蹂躙する 腰を動かすこと数分、男はイチモツをゆっくりの口から引き抜いた この時、母ゆっくりは『顔射』されると思った しかし男は男根の発射口である尿道をゆっくりの鼻の片方の穴にあてがう 男のそれはゆっくりの唾液と餡子、自らの精液にまみれており、まるでナメクジが通った跡のようにヌラヌラと輝いていた 「ゆ?」 間抜けな声をもらして瞬間 鼻腔に異臭、その後に激痛が走った 「いぎぃ!!」 男はゆっくりの鼻の穴にぶちまけた その量は二度目とは思えぬほどの量で一瞬で鼻の中を満たすと、残った量は全て眼球に飛ばしてぶつけた 「ばあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 目が焼けるような痛みに襲われ、のたうちまわり。しばらくして母ゆっくりはその場に気を失う 男は身をぶるりと振るわせたあと、気を失った母ゆっくりの口に再びイチモツを入れると、今度は小水を排泄した それにより母ゆっくりは強制的に覚醒させられ、餡子とスペルマと尿が混ざり合う感覚と格闘する 死を覚悟して再び意識が遠のく直前、怯えた目で自分を見つめる子供達が視界に入った 『母は強し』 母ゆっくりはその不快感と吐き気に最後まで耐え、意識を手放さないことで辛うじて自らの命を繋ぎとめた その母に子が一同に駆け寄り、汚物まみれの母に頬を摺り寄せる 男は部屋の隅に水と食べ物を置くとゆっくりの家族など目もくれず廃屋を後にした 獣欲を満たした今、男はゆっくりなど眼中に無かった ゆっくりレイパーがその家族の前に現れることは二度と無かった
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※初投稿です。 気をつけたつもりですが、誤字脱字には目を瞑ってやってください。 【ゆっくりBOMB】 『『ゆっくりしていってね!!!』』 仕事から帰ると畑がry 徹底虐殺でいいよね穣子様? 『ゆっくりできないよ!ここからだしてね!』 深い籠の中には先程のゆっくり達。 捕獲したのはれいむ種の家族、サイズ的に親1人、子8人といったところか。子もそれなりに成長している。 まずは恐怖心を植え付けるために、子を一人、家族の前に叩きつけて潰すことにする。 無作為に子れいむ一匹をつまみあげ 「ゆっ!でられるよ!ゆっくりできッ」 放射状に広がる餡。片付けは後回しだ。 やがて一家は命乞いを始める。 「おじさんやめて!ゆっくりできないよ!」 「こわいよぉぉ!ゆっくりできないぃぃ!」 「ゆっくりできないおじさんはゆっくりしね!」 気丈なやつもいた。 「おじさん!れいむはどうなってもいいからこどもたちをたすけてね!」 さすがれいむ種、まりさ種と違い母れいむが自己犠牲との引き換えを申し出た。 それを許可し、母れいむを籠から出す。 母れいむの背(後頭部)に包丁。 「ゆ゛い゛ぃぃぃぃぃ!!!」 悲鳴は子れいむを震え上がらせる。 皮は厚いがようやく切れ目ができる。 母なだけあって餡子はやや固く、切っただけでは漏れてこない。 そこから失餡子死しない程度に餡子を抜き出す。 そして主役登場。河童の開発した『小型遠隔操作爆弾』を埋め込む。 別個装置の突起を押せば爆発、河童にしては簡素なものである。 小型とはいえある程度は大きさがあり、詰めたあとに餡子を戻そうとしたが少ししか戻らなかった。 回復を早めるため、切り口を塞いだのちオレンジジュースを少しかける。 時を待たず、母れいむが復活。体内の異物感には気づいているようだ。 「ゆ゛っ!なんかへんだよ!?おじさんなにしたの!?」 母れいむに、体内の爆弾の説明をしてやる。『子供が近づくと爆発する』。実際しないんだが。 「どお゛じでぇぇ!?どお゛じでぞんな゛ごどずる゛の゛ぉぉ!?」 喚く母れいむを床に下ろし、子れいむ達を出してやる。 子れいむは母めがけ走り出す(?)が、母れいむが一喝する。 そして子ども達にも先程の説明を伝えた。 張り詰める空気。 「ごわ゛い゛よ゛ぉぉ!!!」 「い゛や゛ぁぁぁぁ!!!」 子ども達はヘヤノスミスへ身を寄せあうように逃げる。 やがて母れいむが動かないことに気づくと、罵倒が始まる。 「おかあさんなんてこっちこないでね!」 「おかあさんのせいでゆっくりできないんだよ!」 「ゆっくりばくはつしてしね!」 「ゆ゛っぐ、ゆ゛っ、ゆ゛う゛ぅぅ…」 どうにもできない母れいむは、反論することもなく、ただその場で涙を流していた。 ここで、ヘヤノスミスの小さな山から、先程の気丈な子れいむを1匹持ち上げる。 「ゆっ!おじさんなにするの!ゆっくりやめ゛や゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!」 母れいむ同様包丁を入れる。悲鳴を上げたのち気絶。1匹の悲鳴はヘヤノスミスに伝搬。 「い゛や゛ぁぁぁぁ!!!」 「やめだげでぇぇぇぇ!!!」 「もうゆるじでぇぇぇぇ!!!」 子れいむ達は忘れていた人間の恐怖を思い出す。 母れいむより作業はスムーズに進んだ。餡子はややみずみずしい程度で、ほぼ成体同様だ。 餡子を出し、爆弾を詰め、餡子を戻し、切り口を塞ぐ。オレンジジュースはかけない。ゆっくり復活待ち。 母れいむとヘヤノスミスの子れいむ達の方を向く。やけにうるさい。 「おかあさんなんてどっかいっちゃえ!」 「ゆっくりしないでしね!とっととしね!」 「しね!!!しね!!!」 「「「しね!しね!」」」 再び罵倒が始まっていた。精神的にまいっている母れいむは自制か、意識を失っていた。 その母れいむの背中(後頭部)を押し、じわじわとヘヤノスミスへ追いやる。 「ゆっ!こっちこないでね!」 「おじさん!おかあさんをおさないでね!」 「だめ゛ぇぇ!!ごな゛い゛でぇぇ!!」 「じに゛だぐな゛い゛ぃぃ!!」 迫り来る爆発の恐怖、ヘヤノスミスに逃げ場はない。ただただ子れいむ達は悲鳴を上げる。 50センチ 「だめ゛ぇぇぇぇ!!!」 30センチ 「い゛や゛ぁぁぁぁ!!!」 10センチ… 「ごわ゛い゛ぃぃぃぃ!!!」 5センチ、3センチ…接触。 「ゆ゛っ!!!…っ?」 爆発は起こらない。 「…いたくないよ!」 「ゆっ!ばくはつしないよ!!!」 「だいじょうぶだよ!!!ゆっくりできるよ!!!」 「おかあさんおきて!!!ゆっくりできるよ!!!」 一瞬理解の幅を越えたが、安堵した子れいむ達は頬ずりをして親子の無事を祝っている。 やがて子れいむ達の頬ずりで母れいむも意識を取り戻す。 ヘヤノスミス、頬に触れる子供達、五体(?)満足、ぼろぼろと涙を流し子供達と頬ずりあう。 「お゛があ゛ざん゛ごめ゛ん゛ね゛!」 「じね゛な゛ん゛でい゛っでごめ゛ん゛ね゛!」 「お゛がぁぁぁぁざぁぁぁぁん゛ん゛ん゛!!!」 「ごわ゛がら゛ぜでごめ゛ん゛ね゛!!ゆ゛っぐりじよ゛う゛ね゛!!!」 『「「「ゆっくりしていt」」」』 突起を押す。 刹那、くぐもった破裂音と共に、ヘヤノスミスには餡子がうずたかく積まれていた。静かだ。 爆弾入り子れいむが目を覚ます。 「ゆ゛っ!なんかからだがおもいよ!」違和感に気づかないらしい。ずりずりと逃げるように移動する。 流し台の縁から見た光景は壮絶だった。 床下には放射状の餡子の上に兄弟れいむの皮が、ヘヤノスミスには餡子の山と、四散した家族の皮が、髪留めが、リボンが、 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!」 悲鳴。だが気が狂わないあたり強い子れいむだ。 爆弾れいむをつかむと、より一層悲鳴は大きくなったが、我慢しつつそっと屋外へ出してやる。 少なくなった餡子で考えたあげく、一目散にゆっくり逃げていった。 もちろん装置を持って後を追う。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛…!」 爆弾れいむがまりさ種の家族に遭遇。 やけにゆっくりしてない様子のれいむに、まりさ家族は心配そうに周りを囲み、事情を聞いているようだ。 突起に指を。 爆心地にはわずかな焦げ後、そのまわりに円を描くように餡子と皮、辺りの木には飛び散った餡子がまだら模様を作っていた。 声もない。 ゆっくり駆除の功績と畑への愛を穣子様が認めてくれたのか、帰ってくると畑は直っていた。 穣子様の心遣いに感謝し、収穫祭のために育てた野菜達を収穫する。 次は畑にきちんと対策しないとな… END 【あとがき】 お初です、タカアキです。 どうもゆっくり達をしゃべらせるのが難しい。 いっそゆっくり描写なしで書いてみようかと思うぐらいに。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1897.html
ゆっくりーまん この世界ではゆっくりは社会に溶け込んでいる。 最初はゆっくりは害獣として認定されていたが、現在は教育も受けているので社会に溶け込んでいる。 これはそんな社会の一場面である。 「さとうくん!!こんげつもまただめだったの!?ゆっくりしてたらくびにするよ!!」 「すみません・・・」 「そのことばはせんげつもきいたよ!!おなじことしかいえないの?ばかなの?」 「佐藤君また怒られてるね」 「まあ今月もビりだし仕方ないよ。」 家に帰ってもため息が出る。 なんとかゆっくり保険に入れた時は嬉しかった。 希望業種ではなかったが、早く親孝行したかったし 頑張れば充実した社会人生活を送れると思っていた。 そんな昔のことを考えていると、ふと写真が目に入った。 それは大学の卒業式の時に撮った写真だった。 その写真の中の自分は笑っていた。楽しい生活に期待を寄せているような笑顔だった。 写真を見ている自分が何故だか、惨めに感じてしまった。 そんな陰鬱な気持ちをごまかすように佐藤は眠りに落ちた。 「あーあ今日も怒られたよ。大体あいつゆっくりしてないじゃん」 れいむへの文句を言いながら今日も帰りの道を歩く。 「お、佐藤じゃないか?久しぶりだな」 「ん?お前は鬼意か」 こいつは鬼意 山。 怖い名前と、ぶつぶつと何かを喋る癖のせいで友達が少なく、 その数少ない友達の一人が俺なのだ。 「久しぶりだなー。折角会ったんだ、飲みに行こうか」 「え?まあいいけど」 突然の誘いに戸惑いながらも鬼意についていった。 今日も怒られていて気分が悪かったので、酒でも飲んでいこうと思ったからだ。 「鬼意はゆっくりの実験とかする会社だっけか。最近どうだ?」 「まあまあだな。ゆっくり絡みの仕事だらけだから退屈はしてないぞ」 「しかしゆっくりってただの饅頭だろ?実験も糞もないんじゃないのか?」 「何を言ってるんだ!饅頭は言葉なんか喋らないし、飯も食わないだろ。」 「それはそうだが・・・」 「例えば、にんっしん中のゆっくりに廃棄物食わせまくると奇形児が生まれるし 脳に当たる餡子をいじったり、変えたりすると人格とか知能が変わるんだぜ!」 これはゆっくりでも実験ができるって言いたいのだろうか 俺はあんな饅頭の実験にはあまり興味がないのだが・・・ 「大体社会の奴らは―――」 ゆっくりの実験について語った後、今度は社会のゆっくりに対する認識について文句を言い始めた。 それからはお互いに愚痴を言い合った後家に帰った。 「きょうはさとうくんについていくよ!!れいむにいいところをみせてね!!」 何ギャルゲーのヒロインみたいなこと言ってんだ お前みたいな饅頭と仕事とかモチベーション下がるわ!! とは仮にも上司なので言えない。渋々饅頭を引き連れて俺は営業へと向かう。 お昼 「さとうはだめだね!!なまえのとおりあまいやつだよ!!」 昼食をとっているとそんなことを饅頭はのたまいだした 「だいたいなんなの?いらないですっていわれたらかえるとかないよ!!そこでねばらないとだめなんだよ!!」 れいむの説教はさらに続く。 「わかいころのれいむはもっとがんばってたよ!!さいきんのわかいやつはだめだね!!」 お前2才だろが!! さらに説教はヒートアップしていき、もう何を言っているかわからなくなっている わかるのは俺の悪口を言っていることぐらいだ。 「―――――!」 さすがにこれだけ悪口を言われてなんとも思わないなんて男じゃない 「シュッ!!」 れいむの顔面に鋭い蹴りを放つ 「ゆびゅぎゅ!!」 きれいな放物線を描きながられいむが公園のごみ箱へと入っていく。 「しまった!!首になってしまう!!」 なんとかしようとごみ箱へと近づく 「ゆー・・・お空を飛んでるみたいー・・・」 どうやら気絶しているようだ。 だが助かったわけではない。流石の餡子脳でも蹴られたことくらい覚えているだろう。 「どうすれば・・・」 このまま首になったら親孝行も糞もない。プーたろーなんてカッコつかんし。 ―― いや待て、そう言えばこの前の飲んだ時にいいことを聞いた気がする・・・ にんっしん中のゆっくりに廃棄物食わせまくると奇形児が生まれるし いやこれは違う。こいつは独り身だからにんっしんはあり得ない。 脳に当たる餡子をいじったり、変えたりすると人格とか知能が変わるんだぜ! それだああああああああああああああ 俺は急いでスーパーであんぱんを買ってくる 時間がないのでウグイスあんからこしあん、つぶあんをパンから出す。 れいむのあんをある程度掻きだし、そこに餡を入れる。 あんを分けている暇はないので全部れいむの中に詰め込む 「ゆ!ゆ!」 痙攣しているが気にせずに作業を続ける。 「ふう・・・」 俺はなんとか餡の移植に成功する。 後はランニング中のおにいさんに蹴られたんだと言うだけだ。 「ゆゆ!?れいむはどうしてたの?さとう、ゆっくりせつめいしてね」 俺はあらかじめ考えた通りの説明をれいむに行う。 「そうだったんだね・・ぶれいなおにいさんだよ!!ぷんぷん!!!」 そんな饅頭の言葉に適当に相槌を打ちながら会社へと帰った。 1年後 結局俺は会社を辞めていた。 やはり合っていなかったのだ。 現在はゆっくりの養殖場を経営している。 牛を育てるような広い土地もそこまで必要ではないので何とかなっている。 鬼意のアドバイスを受けながら、品質と生産性の向上を目指している。 やはり俺には保険は会っていなかった。 これからは最高の品質のゆっくりを生産して親を楽にしていこうと思う。 あ、あとれいむ部長は失脚した 頭が悪くなっただけでなく、多重人格者になってしまったのが原因だ。 元の性格の知能も悪くなり、さらにれいむ以外の人格はどうやら工場で加工されたゆっくりのものらしい。 どれもゆっくりしたかっただの、体がぐしゃぐしゃになるだの 死ぬ寸前のことを何回も思い出し、やかましかったそうだ。 れいむには申し訳ないことをしてしまったが、 あれだけ馬鹿にされていたので少しだけいい気味って思ってたりもする。 まあれいむ部長の償いも込めてここでゆっくりを育てていこう。 それにこれは俺に向いている気がする そんな根拠もない自信を持ちながら、ゆっくり生きていこう。 ゆっくりに囲まれながら。 終わり あとがき 出来るれいむというものが書きたくなって書いちまいました。 メモ帳が突然消えてしまうというアクシデントにあい、やり直しになったけど なんとか書き終えられた・・・ まりさだったらもっとうざくできたのかなーと思ったけど 自分的にはれいむの方がうざい感じがするのでこっちで書きました このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1866.html
『お目覚めはゆっくりと』 ※現代にゆっくりがいる設定です 東京近県の衛星都市。 比較的地価の安いこの地域は、学生やフリーター、若手の新入社員達が多く住んでいる。 だから、専門学校を卒業して間もないような人間でも、 このあたりで部屋を借りつつ、"ゆっくり"と暮らすのも可能だった。 * * * 8畳フローリング・ロフト付き。 そんな間取りの部屋の中央で、1匹のゆっくりれみりゃが座っていた。 その傍らには、クレヨンや画用紙や積み木といったものが散乱している。 れみりゃは、大好きな玩具に囲まれながら、 幸せそうにだらしのない下ぶくれスマイルを浮かべていた。 「うー♪ ぷっでぃーん♪」 自然と口から漏れるのは、大好きな言葉。 れみりゃは、この部屋の主の人間とともに暮らし、実にゆっくりとしていた。 その証拠に、れみりゃの体は標準的なものに比べて、はるかに"ふとましかった" ふくよかな四肢ははちきれんばかりにプヨプヨしており、 お腹はぷっくら膨らみ、下ぶくれ顔にはさらに二重顎のおまけがついている。 「うー♪ ぽかぽかしてきたどぉー♪ そろそろだどぉー♪」 太陽から差し込む温かい光。 ポカポカの陽気を受け、部屋の中はエアコン無しでも温かい。 れみりゃは、その気温と太陽の光を確認してから"うーしょ、うーしょ"と重たそうに立ち上がり、 小さな黒い羽をパタパタ動かして、重たい体を浮き上がらせた。 「ぱたぱた~♪ う~☆」 れみりゃが、ご機嫌で飛んでいく先、 そこは部屋の角にあるベッドの上だった。 「おねぇーさーん♪ あさだっどぉー♪」 ベッドの上には、部屋の主である人間が眠っている。 れみりゃには、この部屋で"ゆっくりする"ためにいくつかの対価……すなわち勤めが課されていた。 朝になったら起こすというのも、比較的夜行性のれみりゃの役目の一つだ。 「……ん、うん……すぅ……すぅ……」 ベッドで寝ている人間は、わずかなリアクションだけをして、また健やかなな寝息をたてはじめてしまう。 その寝顔に下ぶくれ顔を近づけ、ぬぼぉーっと覗くれみりゃ。 れみりゃは、起きない人間のために、次なる手段をとることに決めた。 「しょーがいなどぉー♪ とくべつさーびすだっどぅ♪」 人間を踏まないように、れみりゃはよいしょとベッドの上に着地する。 短くて柔らかい足は、ちょうと人間の首を中心にして、左右に置かれていた。 れみりゃは、それからドスンと、まるで尻餅をつくように尻から座り込む。 大きなお尻の下には、ちょうど人間の顔があった。 「……うぷっ」 それまで定期的な寝息を立てていた人間の口から、反射的な吐息が漏れた。 それから、れみりゃは尻を顔に乗せたまま、左右に尻を振るように体重を移動する。 それはまるで、尻を顔に擦りつけるような所作だ。 「でびぃーのかわいいおじりぃー♪ あさから、くんかくんか☆できるなんてしあわせもんだどぉー♪」 ご機嫌満悦の微笑みを浮かべる、れみりゃ。 "うーうー"とリズムを刻みながら、お尻を揺らしていく。 「……うぁ?」 ふと、れみりゃはお尻のあたりがムズムズしているのを感じた。 れみりゃは、そのムズムズに促されるように、少しだけいきむ。 「あーぅあぅー♪ でび☆りゃ☆ぶぅーーー♪」 "ばっぶぅーーーー!" 豪快な音をたてて、れみりゃの尻から黄色いガスが勢いよく放出された。 「うー♪ でちゃったどぉー♪」 れみりゃは、照れながら、それでいてどこか得意そうに、顔を赤らめて笑う。 その直後、れみりゃの体はゴロンと前転して、布団の上に着地した。 「うー!」 驚き、目を見開くれみりゃ。 何が起きたかわからず左右をきょろきょろしてから、 れみりゃは背後へ振り向いて元気に叫んだ。 「うっうー☆おはようさんだどぉー♪」 そこには、気だるそうに上半身を起こして、片手で頭を押さえている部屋の主がいた。 「……おはよう、れみりゃ」 "自分のおかげで、今日も部屋の主が起きられた" そう考えているれみりゃは、どこか誇らしげだ。 大好きな人間に構っても追うと、朝の支度を始める人間のまわりをピョコピョコついて回る。 一方の当の人間はというと、れみりゃを適当にあしらいながら、洗顔に着替えにと、テキパキすませていく。 「……物騒な事件が続くなぁ」 人間は、新聞を開いて、ジャムを塗ったパンと野菜ジュースを口にする。 "未確認ゆっくりまた出現!" "未確認ゆっくり第4号、第21号と交戦" "ゆっくりと人間の共存は可能なのか?" "鏡の中に現れたゆっくりが人間を襲う!?" 記事を流し読みで済ませて、オートマティックな所作で朝食を終える人間。 テキパキ食器を洗い終えて、ふと一息。 この後、温かいコーヒーを一杯飲んで家を出るのが、この人間の毎日だった。 コーヒーに、ふーふー息を吹きかけて、人間は今の時間を確かめようと机の上へ視線を移す。 「……あれ、時計は?」 そこには、置いてあるはずの時計が無かった。 いわゆる電波時計という奴で、仮にれみりゃが起床役を忘れていても、きちんとアラームが鳴る代物だ。 量販店で買った安物ではあったが、あるはずのものが無くなっているというのは何とも気持ち悪い。 コーヒーを冷ますのをやめて、人間はあたりを探し始めた。 すると、人間の様子から事態を察したのだろう。 れみりゃが、机の上に立ち、人間の前にバンザーイと両手を上げた。 「う~~♪ あのゆっくりできないジリジリは、でびぃーがぽぉーいしといてあげたどぉ♪」 "ぽぉーい♪" その言葉を聞いて、人間は溜息をついた。ああ、またやってしまったのかと……。 人間は肩を落として、ゴミ箱の蓋を開ける。 すると、中には探していた電波時計が確かに入っていた。 「あれもぽぉーい☆これもぽぉーい♪ ゆっくりできないものはみんなぽいするのぉー♪ ぽぉーい♪」 「ぽーいぽーい♪」と物を投げ捨てるジェスチャーを織り交ぜながら、 "うぁうぁ"楽しげに踊り出す、れみりゃ。 それとは対照的に、人間は電波時計と一緒に捨てられていたものを見つけて、顔を青くした。 「ああっ、ボクのケータイ!!」 人間は、最近買い換えたばかりの携帯電話が乱雑に捨てられていたのを見て、慌ててそれを取り出す。 液晶をオンにすると、待ち受け画像と今日の日付、それにアラームが鳴っていた履歴が表示された。 どうやら、れみりゃはアラームが鳴ったものをまとめて、"ぽーい"してしまったらしかった。 壊れていないことにほっと胸を撫で下ろしてから、人間はケータイ電話をポケットに移す。 れみりゃはといえば、相変わらず誇らしげに胸をはり、人間の足下でニコニコしている。 どうやら頑張ったご褒美を欲しがっているらしい。柔らかくて短い手で、人間の服の裾を引っ張っている。 「でびぃーがんばってぽぉーいしたどぉー♪ ごほうびに、ぷっでぃ~ん☆ふたちょもってきてぇ~ん♪」 れみりゃからすれば、全くの善意の行動だったのだろう。 怒られるという不安は全く感じていないようだった。 本来ならば、しっかりここで教えておくべきなのだが、 ケータイに表示された予想外の時刻の前では、そんな余裕は無かった。 人間は冷蔵庫を開けてプリンを取り出すと、それをれみりゃに手渡す。 れみりゃはプリンを掲げて喜び、部屋の中央に座ってプリンを開ける。 「はぁ……いってきます……」 「うーうー♪ ゆっくりおつとめしてくるがいいどぉー♪」 プリンをがっつきながら、れみりゃは靴を掃き終えた人間に手を振った。 そうして、プリンを食べ終わると、れみりゃはパタパタ飛んで、ロフトの上に向かう。 ロフトの上には、収納用の段ボール箱と、ゆっくり用のおもちゃ箱、 そして人間の赤ん坊用のベビーベッドが置かれていた。 ベビーベッドには、ひも付きの札がひっかけてあり、 そこには汚い平仮名で大きく"こーまかん"と書かれていた。 「でびぃーはこれからおねむするどぉー♪ おやすみだっどぉー♪」 れみりゃはそのベビーベッドで横になり、目を瞑る。 それから、うぴーうぴーと鼻提灯を出しながら眠り始めるのに、さして時間はかからなかった。 * * * それから、数時間が経った。 れみりゃはタオルケットにくるまりながら、相変わらず寝息を立てている。 幸せそうにヨダレを垂らしているれみりゃ。 その顔に、突如"こぶし"がめり込んだ。 「ゆっくりしね☆」 「う、うびぃー!?」 いきなりの痛みに、れみりゃは起きあがり、 赤くなってヒリヒリジンジン痛む顔に手をあてる。 「うぁ~~! でびぃーのえれがんとなおかおがぁ~~~!」 目が覚めるとともにより明確になる痛みに、れみりゃは涙を浮かべて叫んだ。 「うー! おねぇーさま、ようやくおきた! おそい!」 「う、うぁ!?」 涙でにじむ視界の中、れみりゃの視線の先には、ゆっくりフランがいた。 このフランもまた、れみりゃとともにこの部屋に住んでいるゆっくりであった。 「うー! おねぇーさまをいぢめるふらんは、でびぃーがやっづげでやるどぉー!」 れみりゃはグシグシ涙とヨダレををぬぐってベビーベッドから出ると、 その手をぐるぐる振り回して、フランの下へドタバタかけていく。 だが、フランはそんなれみりゃの姿を見て、 キランと目を輝かせたかと思うと、手に持った棒で逆にれみりゃを殴り飛ばした。 「くりゃえ~☆ れ~ばてぃん☆」 「!!??」 "れーばてぃん"の直撃を受けたれみりゃは、叫ぶことさえできずに、床に倒されてしまう。 フランはそんなれみりゃの上に馬乗りになると、べしべしその頭をたたき出す。 「うーー! ふらんちゃん、やべでぇーー!」 「うー☆しねしね! ゆっくりしね!」 れみりゃの戦意は、あっという間に粉砕されてしまった。 だぁーだぁー泣き叫び、フランに許しを請うのが精一杯だ。 「うー! もぉーぶただいでぇー! でびぃーは、ゆっぐりおねむしてただけだどぉー!」 一方、フランは電波時計をれみりゃの前にドンと置いて指を指す。 時刻は午後4時。ちなみにれみりゃの起床時間は、午後3時と決められていた。 「もうおきるじかん! おねぇーさま、ゆっくりおきる! そしてしぬ☆」 「ぷんぎゃー!」 フランは最後に大きな一発をれみりゃにお見舞いすると、 "うー☆"という天使の笑顔に戻って、"こーまかん"と名付けられたベビーべッドへ上る。 「う、うぁ、うぁぁ……」 れみりゃは、痛む体を何とか起こして、 ベビーベッドでタオルケットをかけるフランに抗議の叫びをあげた。 「う、うー! そこはでびぃーのこーまかんだどぉー! ふらんちゃんはつかっちゃだめだどぉー!」 「うー、ゆっくりねる……つぎのしごとまで、しえすた……」 れみりゃの我が侭などどこ吹く風。 フランは涼しい顔を浮かべたまま、健やかな眠りに入っていく。 れみりゃは、何とか"こーまかん"を取り戻して再び眠ろうと考えたが、 先ほどまでの攻防の後では、フランに逆らうほどの勇気も無かった。 「さくやぁー! さくやぁどこぉーー! ふらんちゃんがいぢめるどぉーー!!」 れみりゃに残された手は、泣いて助けを呼ぶことだった。 なお、この部屋を借りている主、すなわち現在働きに出ている人間の名前は"さくや"ではない。 無償の愛で自分に尽くしてくれる存在、さくや。 れみりゃ種にとって、その名前を叫ぶことは本能的なものであった。 故に、仕方の無い側面もあるのだが、これから眠ろうとするフランからすれば、その騒音はたまったものではない。 それに、あまり五月蠅くしては、アパートを借りている人間にも迷惑がかかる。 困り者の姉が我が侭を言った時、ブレーキ役となるのが自分の役目だと、フランは考えていた。 故に、フランはベビーベッドから出て、 前のめりでわんわん泣いているれみりゃの尻を蹴飛ばした。 「ゆっくりしね☆」 「ぶひぃー!」 フランのその考え自体は間違っていないのだが、 そのやり方は少々過激で、主の人間からも度々注意はされていた……。 しかし、れみりゃに対して過激な言動に出てしまうのは、 れみりゃがさくやを呼ぶのと同じく、フラン種にとっての本能だ。 れみりゃへの愛情・愛着・信頼があったとしても、 あるいは、そういった感情があればこそ、フランはれみりゃに対して過激な行動に出てしまう。 「うぁぁーー! うぁぁー! でびぃーのぷりてぃーなおじりがぁーー!!」 「おねぇーさまもちゃんとしごとする……そうじとせんたくしなきゃだめ」 両手で尻をさするれみりゃに対し、冷静に告げるフラン。 それに対し、れみりゃは仰向けになると、泣きながらダバダバ手足を振り回し始める。 「でびぃーはおぜうさまだからいいんだもぉーん! そんなのさくやがやってくれるもぉーん♪」 フランは、大きく息をはいた。 しかし、それは残念だからでは無い。 聞き分けの無い姉に対して、今日もこれから"姉妹水入らずの肉体的コミュニケーション"を行える喜びからだ。 「う、うぁ!?」 キラーン☆と光るフランのルビー色の瞳に、れみりゃは反射的にビクっと体を震わせた。 「かぞくのるーるをまもれないやつは、ゆっくりしね!」 フランはそう叫ぶと、段ボール箱の中に入っていた小さな"あまあま"のヌイグルミを、れみりゃの口に押し込んだ。 口を塞がれ、"んーーんーー"とさくやの名を呼ぶこともできないれみりゃ。 その様子を確認して、うんうんと頷くフラン。 そうしてフランは、背中をゾワゾワ走る愉悦に身を任せるのだった。 * * * 薄暮の空の下、れみりゃ達の主の人間は、自転車を横に歩いていた。 自転車のカゴの中には、近所のスーパーで買った食品や日常雑貨が入っている。 「まいったなぁー、もう遅刻できないよ……やっぱり分担を変えるしか……」 主の人間は、結局今朝遅刻してしまい、上司からたっぷりしぼられてしまった。 元々、この人間は朝に弱く、遅刻をしがちだった。 より確実に起きられるよう、れみりゃにお願いをしたが、どうにも成果は上がらない。 妹のフランに頼めばより確実なのだが、 フランは、昼頃まで夜~朝シフトのバイトに出ており、それは難しい。 バイトといっても、いかがわしいものではなく、深夜のラジオ出演や雑誌関係の仕事が殆どだ。 いわゆる、タレントペットならぬ、タレントゆっくりなのだ。 その出演料は意外とバカにならず、"共同生活"を行う上で大いに助かっている。 実のところ、仕事が忙しい月に関して言えば、この人間の正規の月収さえ上回ることもあった。 そんな折、一人だけ働くフランに負い目を感じてか、それとも姉としてのプライドがあってか、 れみりゃにも家事という名の仕事を与えてみたが、なかなか上手くはいかない。 予想はしていたが、目覚まし係というのも向いていなかった。 「……うん?」 ふと、とある光景が目に止まり、人間は足を止めた。 自転車をアパート共有の駐輪場に置いてから、小走りでその現場へと向かう。 その現場は、アパートの目の前の電柱だった。 そこに、数人の小学生らしき子ども達が集まっている。 思い思いのバッグを持っていることからすると、学校帰りというよかは、塾帰りなのかもしれない。 そして、彼らの中心には、縄跳びのロープで電信柱に巻き付けられた、ゆっくりれみりゃがいた。 れみりゃの体はしっかり固定されており、うびーうびーと濁った寝息を立てている。 そのふとましい姿、何かあった時のため帽子に刺繍したアップリケ型の飼育証明を見て、 "間違いなく我が家のお嬢様だ"と主の人間は確信した。 「おい、こいつなんだよ?」 「こいつ、ゆっくりだろ? どっかのペットかな?」 「これ見てみろよ! 眠っていたらつねって起こせってさ」 少年が指差した先、電柱に一枚のメモが貼り付けられている。 そこには、平仮名で"ねてたらつねっておこす。それいがいしたらゆっくりしね"と書かれていた。 その文字を見て、主の人間には察しがついた。 姉妹喧嘩……というには一方的な、フランの制裁が行われているのだと。 そんなことを知らない少年の一人が、むぎゅーとれみりゃの頬を引っ張った。 その痛みには、寝ぼけ眼でれみりゃが目を覚ます。 「う~~! でびぃーのきゅ~どなほっぺがじんじんするどぉ~~!」 赤く腫れた頬をさすろうとするが、手はロープで固定されているため動けない。 しばらく"うーうー"難儀した後、れみりゃは痛みから逃げるように目を瞑って浅い眠りへ落ちていく。 「おっ、起きたぞ」 「でも、また寝ちゃったぞ?」 「なんか面白いな、こいつ♪」 少年達は、次々にれみりゃの頬を抓ったり、引っ張ったり、叩いたりしていく。 見ると、れみりゃの頬にはあちこちに赤く腫れた後がある。 おそらく、この少年達の前にも、同じようなことをした人がいたのだろう。 最初はおそるおそるだった少年達も、 起きてはまたすぐ寝てしまうれみりゃに対し、徐々に警戒感を無くして力を入れていく。 「うぁぁー! やめるんだどぉーー! さくやぁぁーーー!!」 れみりゃはとうとう泣き叫びだし、目の前の少年達へ敵意をあらわにしだした。 れみりゃのボリュームの大きな声に、びくっと後退する少年達。 少年達は、れみりゃが動けないのを再確認してから、れみりゃへ文句を言い始めた。 「なんだよ、このデブ! ここに起こせって書いてあったから起こしてやったんだぞ!」 「うー! でびぃーはおでぶさんなんかじゃないどぉー! こういうのは"ふとましい"っていうんだどぉー♪ これだから、ものをしらないしょみんはいやなんだどぉー♪」 説明してやれば美的感覚の無い少年達も、自分の凄さを認めるに違いない。 そして、あふれだすエレンガントさとカリスマにひれ伏して、ぷっでぃ~んを持ってくるに違いない。 れみりゃはそうとでも考えたのか、余裕の笑みを浮かべはじめた。 しかし、そんな事が起こるはずもなく。 少年の一人が、怒りの形相でれみりゃへ向かい、拳を振り上げる。 ここに来て、ようやく危険を感じ取ったれみりゃは、本能に従って絶叫した。 「なんだと、この!」 「さくやぁぁーー! たすけてぇぇーーー!! ああああーーー!!」 さすがにこれはやりすぎだ。 距離を置いて見ていた主の人間は、そう判断して、すたすたとれみりゃ達の下へ歩いていく。 その際、主の人間は、物陰に隠れているフランの姿を見つけた。 おそらく、ひどいめにあっている姉の姿を楽しみつつも、適度なところで助けに入るつもりだったのだろう。 主の人間は、やれやれと心中で肩をすくめた。 フランは頭の良いゆっくりであり、事実その能力もゆっくりとしては最上級のものだが、 自分の力を過信しすぎてしまうのが困ったところだ。 本当の危険が迫った時には、いかにフランといえどどうすることも出来ないのだ。 現に、この少年3人の前にフランが現れたとしても、いざ喧嘩になってしまえばフランに勝ち目は無い。 後でちゃんと話そう。 主の人間がそう決めたと同時に、れみりゃが主を発見して希望の声をあげた。 「う、うぁ! お、おねぇーさんだどぉー♪」 泣き叫んでいたのも忘れ、あっという間に喜色満面になるれみりゃ。 一方、驚いたのは少年達だ。 「「「え?」」」 少年達は、れみりゃに接していたのとは異なり、すっかり萎縮してしまっている。 少年達にも、れみりゃが飼いゆっくりであるのは何となく理解できていた。 もし自分たちがいじめていたのを見られていたら。 もし、さらに電柱に巻き付けたのまで自分たちだと思われたら……。 目の前のお姉さんに、親に、先生に、しかられる光景……。 いやそれ以上に、せっかく勉強したのに受験に影響するかもしれない、 損害倍賞の裁判を起こされ支払いを命じられてしまうかもしれない……。 なまじさかしかったが故に、少年達は最悪のケースを連想して震え上がっていた。 「え、あの、ご、ごめんなさい」 「こいつ……じゃない、このゆっくり、お姉さんのものなんですか?」 萎縮する少年達に無かって、主の人間は微笑んだ。 ただし、目だけは笑わずに。冷たく見下ろす視線を心がけて。 「うん、確かに。そのれみりゃはボクの家族だよ」 少年達は、目の前の女の冷たい目と威圧感、それに"家族"という言葉に恐怖した。 そこから、どれだけ自分たちへ怒りを持っているかを察し、 このまま見過ごしてはくれないだろうことを覚悟した。 「うー♪ ばかなしょみんも、これでゆっくりわかったどぉー♪ でびぃーをこあいめにあわせたぶん、たっぷりおねぇーさんにいぢめられるがいいどぉー♪」 一方、れみりゃはすっかり調子に乗っていた。 「うー♪ これでようやくぐっすりできるどぉー♪」 フランに少年達に、自分を襲った理不尽な恐怖は取り払われた。 これでもう安心だと、れみりゃはすっかり気を抜いていた。 だから、突如お尻に走ったムズムズ感を押さえることもできなかった。 "ばっぶぅーーーー!" 驚いて少年達が振り向き、さらに一様に鼻を押さえる。 れみりゃは、豪快な放屁を放って、恥ずかしそうに赤面した。 「う~~♪ あんしんしたら、でちゃったどぉ~~♪」 どこか誇らしげな、れみりゃの笑顔。 その笑顔を見ているうちに、主の人間の中にふと芽生える感情があった。 「……ねぇ、みんな。最近このれみりゃ運動不足なんだ。良かったらもう少し遊んであげて」 何気なく放たれた、主の人間の言葉。 少年達は目を丸くし、れみりゃは耳を疑いながら冷たい肉汁の汗をダラダラ流した。 「う、うー?」 「でも、ひどいことしたらダメだよ! ボクの大切な家族なんだからね!」 主の人間は、それだけ言うと、れみりゃに背を向けてアパートの方へ歩いていく。 「お、おねぇーさん? おねぇーさんまつんだどぉー!!」 れみりゃは必死に叫ぶが、それが聞き入れられることはない。 主の人間の姿は、そのままアパートの自室へ消えていった。 その代わりに、れみりゃの視界に入ってきたのは、ニヤニヤと不気味に笑う少年達だった。 * * * 「うー、おねぇーさま、だいじょぶ?」 人間が部屋に入ると、窓からフランが入ってきた。 仕掛け人の割には、姉のれみりゃのことを心配してソワソワしている。 「大丈夫だよ。それより仕事までちゃんと寝といた方がいいよ?」 「うー、わかった」 人間は、フランの頭を撫でてやり、それから冷蔵庫を開けた。 そこからプリンを3個と、オレンジジュースの入ったペットボトルを取り出す。 それから風呂場へ行き、桶を持って出ると、 そこに冷蔵庫から取り出したものとタオルも入れ、短い廊下を歩いて玄関へ向かった。 扉の外からは、れみりゃの声が今も聞こえていた。 "おねぇーさんたすげでぇーー! ごぁいひとがいぢめるよぉぉーー!!" ああ、この声だったらきっと自分もすぐ起きられるんだろうな。 主の人間は、そんなことを思いつつ、玄関のドアを開けた。 おしまい。 ============================ 自分の憧れのライフスタイル(?)を書いてしまった結果がコレだよ! まぁ近所の子どもにいじめられていたら助けると思いますが。 たぶん、子ども相手に大人げなくマジギレしちゃうかもです; あと一部に特撮ネタが無駄に入っていますが、ご容赦を。 『仮面ライダーゆケイド』とか妄想してました。 by ティガれみりゃの人 ============================
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ゆっくりとりひきしていってね!1 その日は大雨だった。 「・・・」 少年は傘も差さず大きなゴミ箱をじっと見つめていた。 ゆっくりを捨てる為のゴミ箱。 厳密には捨てるわけではなく、加工場の従業員の回収する手間を省く為の箱。 その中で何匹ものゆっくりが騒いでいる様子が見て伺える。 しかし、この箱の中は完全防音の為その声が外に届くのは箱を開けた時だけ。 少年は何を血迷ったのか、その箱を開けた。 「「「「「ゆゆゆゆゆっくりしていってね!!!」」」」」 一気に騒がしくなる。 しかし幸い周囲に人はいない。 少年はその中から二匹のゆっくり、れいむとまりさを持ち出した。 「ゆ!おにいさんだあれ?ゆっくりできるひと?」 「おにいさんはたべものをおいてまりさにおうちをわたしてでてってね!!」 少年は2匹を腕で抱え込み、静かにその場を後にした。 少年は、一人だった。 少年の両親はつい最近、事故でこの世を去ってしまった。 少年は留守番を頼まれていた。慣れていたことだった。 少年に、両親の遺産が託された。 どんなに遊びほうけたとしても、一生を生きることが可能な程。 ※細かい設定はスルー、少年は一人暮らしになったとさ※ そして、今現在。 少年は流石に一人だと嫌なのかまた別の目的か、二匹のゆっくりを家に連れてきた。 「ゆ!!ひろいおうちだね!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 「ゆ!?ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!れいむはとっととでてってね!!」 「ゆ・・・?じゃあふたりでいっしょにくらそうよ!そうすればたのしいよ!」 「ゆゆっ!れいむがいいことをいったよ!なかよくくらそうね!」 「「じゃあおにいさん、さっさとでてってね!!!」」 勝手に二匹で会話を進行した挙句、ここまでつれてきた少年を追放しようとするゆっくり。 少年は無言のまま、2匹をケースに入れた。 「ゆ!?おにいさんなにするの?れいむにさっさとおやつをもってきてね!」 「ゆゆぅ?おにいさん!ここはせまいよ!まりさをさっさとここからだしてね!!!」 「そこが今日からお前達の部屋だ」 少年が初めて口を開く。 その声は暗く、大人びた声。とても少年の発する声とは思えない。 「ゆ!いやだよせまいよ!こんなせまいところだとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!ゆっくりさせてくれないおにいさんはとっととしね!!」 少年は無言でケースにくず野菜を放り投げる。 「ゆゆゆゆ!!おやさいだ!!おにいさんありがとー!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」 「ゆ!まりさずるいよ!ひとりでかってにたべないでね!!」 「ゆぅ!ごめんねれいむ!いっしょになかよくたべようね!!」 「「むーしゃ♪むーしゃ♪むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせしあわせー♪」」 2匹はケースのことを忘れていた。無理もない。所詮は餡子脳、いいことがあれば悪いことなどすぐ忘れる。 そうして2匹は満腹になり食事を終えた。 「ここならゆっくりできるね!おいしいおやさいくれたおにいさんはいいひとだね!」 「そうだね!おにいさんがきたらもっとおやさいもらおうね!!でもきょうはおなかいっぱいだね!あしたもらおうね!」 少年は舞い降りた。 ゆっくりケースの目の前のテーブルに豪華な食事を並べて。 「ゆ!!おにいさん!!そのたべものなあに!?」 「どおしてまりさたちにくれなかったの!?おやさいよりそっちがいい!!すごくおいしそうだよ!!」 「満腹・・・なんだろう?分けようとは思ったのに満腹じゃあ仕方ない。これは全部俺が貰うよ」 それだけ言うと少年はケーキにナイフを入れ始める。 少年はデザートが大好きらしい。 「ゆゆ~!!おにいさんだけずるいよ!!れいむたちにもちょうだいよ!!」 「おにいさんはいじきたないよ!!いじきたないなんていわれたくなかったらまりさたちにもちょうだいね!!」 デザートタイム、終了。 少年はゆっくりに近づき、提案する。 「お前達・・・食事が欲しいのか?」 「ゆ!もちろんだよ!はやくりかいしてね!!」 「お前達にただで食事をやるのはさっきまでだ。今からは取引だ。」 「おにいさんはまりさたちにおいしいものをもってくればいいんだよ!!はやくもってきてね!!」 少年の目は光を失くした。 「なら、そこでのたれ死ね。お前達に一切食事を出すことはない。」 少年は冷たく言い放つと、その場を後にしようとする。 流石にゆっくり達も食事が出来ない怖さを知ったのか、 「ごめんなざいおにい”ざん!!!!あや”まるがらゆるじでえぇえ!!!!」 「まりさ”がわるがった”でずう!!ゆるじでええええ!!!!!!!!」 少年は再び舞い降りた。 「ならば条件を出そう。取引できるものを書いた紙をここに貼っておく。 食事がしたい時はこの呼び鈴を押してこの紙に書いているものを俺に渡せばそれ相応の食事を用意してやる。」 そういうと少年はその紙を貼り付け、呼び鈴をセットし、その場を後にした。 ゆっくりたちはその紙を眺める。 「なにをわたせばいいんだろうね?」 「まりさたちなにももってないんだぜ・・・」 ------------------------------------------------- 生ゴミ・・・ゆっくりの頬一切れ くず野菜・・・ゆっくりの頬三切れ 果物・・・ゆっくりの「中身」15% 3日分の食料・・・ゆっくりの赤ん坊(生後すぐの物以外は認めず) 1週間外出許可証・・・ゆっくりのりぼんやぼうしなど --------------------------------------------------- 「・・・ゆ?」 2匹は固まっていた。 意味が分からない。 とりあえず、呼び鈴を鳴らす。 「早速か。どれがいいんだ」 「おにいさん!これ、よくわからないよ!!いみがわからない!!!・・・ゆ?」 それを聞いた少年の顔が…変わった。 楽しそう、しかし悪魔の様な顔。笑っているが、怖い。 「ゆっ・・・!?」 「おに・・・いさん?」 「じゃあ説明しよう・・・取引に関して」 「まず生ゴミ。生ゴミは不味いが食べれば死なない。ただ生き残りたいのならこれを選べば良い。 生ゴミを食べる代わりにお前達の頬を一つ、千切って俺が貰う。それで生ゴミの取引は終了」 「次にくず野菜。さっき食べたやつだ。これは栄養もそこそこあって食べればまあ満足だろうな。 その代わり、お前達の頬を3回、千切らせてもらう。それでくず野菜は終了」 「次は果物か。果物は美味しくてなおかつ栄養もくず野菜とは桁違いだ。かなりゆっくりできるだろうな。 しかし、果物の場合はお前達の中身を結構いただく。」 「ちょっとまっておにいさん!!」 「・・・ん?」 「なかみってなあに?」 少年の顔がさらに黒くなってゆく。 「お前達の中身。お前達の中にあるものをいただく。ただそれだけ。次に進む。」 「いみがわかr まりさの言葉はかき消された。 「次に3日分の食料・・・豪華だ。美味くて栄養もあってそれが3日分もある。食べ過ぎても2日はゆっくりできる。 その場合・・・お前達の子供、それも赤ん坊限定で俺に提供しなければいけない」 「でも・・・まりさたちはこどもがいないよ!それじゃむりだよ!!」 「作ればいいさ」 「ゆゆ!!そうだね!!!おにいさんさすがだねA!!!」 しかし、れいむの顔色は優れない。分かっているようだ。 「お・・・おにいさん、それは・・・れいむたちのつくったあかちゃんをおにいさんに・・・」 「そう。お前達の赤ん坊はその気になれば食料に代わる」 「いや”だああああああ!!!!!!あかぢゃんいあやああああああ!!!!!!」 れいむは泣いた。これは普通の反応である。自分の子供をお兄さんにあげるなどとなれば、当然。 しかしまりさは違う。その気になれば平気で仲間を裏切る性格。自分の為ならたとえ赤ん坊でも容赦しないだろう。 「さーて、最後の説明だ。心して聞け。 この1週間外出許可証・・・これは1週間だけ外に出してやる。 その間は自由だ。ただしその間ここには戻れない。 そしてこの外出のスタート地点は森の奥だ。 そのために必要なものは・・・おまえたちのリボン、帽子」 ここについては疑問を抱かないゆっくり。 まあ仕方ない、これについてはよく分かっていないのだろう。 「ゆっくり理解したか?じゃあな」 少年はじぶんの部屋へと戻っていった。 「れいむ!どおする?きょうはもうおなかいっぱいだからいいけど・・・・」 れいむは即答した。反射反応のように。 「さんにちぶんのたべものはだめだよ!!!ぜったいだよ!!!!!」 その顔はただ頬を膨らませているだけであるが、ゆっくりからしたら相当の迫力のようだ。 まりさは恐れをなした。 「ゆ・・・わ・・・わかったよ!ゆっくりりかいしたよ!」 「りかいしたならいいんだよ!いっしょにゆっくりしようね!!」 「ゆー!!」 こうして2匹のゆっくりの新たな生活が始まる。 本来ならば加工所送りにされていた二匹。 それが吉と出るか凶と出るか・・・それはまだしったこっちゃねえや ゆっくりとりひきしていってね!1 終 続く _____________________ 今回あとがきはそんなになしです。 代表作 ゆっくり大福作ってみた このSSに感想を付ける
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2008年、秋、東京。 俺はカメラ片手に小さな公園にやってきた。 遊具で遊ぶ幼女を盗撮するとかそういうワケではない。 そもそも、最近はアレな人々のせいで遊具が少なくなっているし。 俺は都会に住むゆっくり達のみすぼらしい姿を、ドキュメンタリー風に編集してyoutubeにアップロードしている。 それに関連したブログを日本語、英語の二ヶ国語で配信。 最近ではブログ運営もだいぶ軌道に乗ってきた。 アフィうめえと言える日は遠くないだろう。 「ふー・・・」 さっき自販機で買って来た缶コーヒーを開ける。 今日はどこへ行ってみようか。 そんなことを考える。 いつもはどこに行くかを考えてから動くのだが、たまには気の向くままに動こうと思ったのだ。 「お!」 そんな俺の視界の隅に、何やら丸いものが入った。 早朝の公園にいるものなんて、野良猫かゆっくりくらいなもの。 俺はさっそくカメラを構えた。 「・・・ありす種か」 公園によくある、コンクリートで固まったカマクラ的なもの・・・土管が貫通していてトンネルになっているアレだ。 その土管に、1匹のゆっくりアリスがいた。 ありすも俺の姿を確認したようで、ビクビクと様子をうかがっている。 「よお、ゆっくりしてけ」 掌を上に向けて4本の指が触れるように親指をつけ、腰を落としてその手を突き出した。 こうするとゆっくり達はエサをくれるものだと勘違いして寄ってくるのだ。 寄ってこないにしても、逃げだしたりはしない。 これは人懐っこい野良猫にも通用したりする。 「ゆ・・・・ゆっくりしていってね・・・!」 ずりずりと底部を引きずりながら、ありすは俺のほうに寄ってきた。 だが、「警戒してます」オーラが出まくりだった。 簡単に気を緩めないあたり、賢い個体だと思う。 大きさはバレーボールより一回り小さい。 それなりに死線をくぐってきたのだろう。 「お前は1匹か」 「ゆ・・・ありすは、ありすだけよ」 たまには独り身のゆっくりでも撮ろうか。 俺はありすに撮影の話をすることにした。 ありすは先ほどから俺の手をしきりに見ている。 まだ俺がエサを持っていると思っているようだ。 「・・・ゆ。おねがいがあるよ」 撮影についての解説を簡潔に終えると、ありすは何かを決意したような顔で俺を見上げた。 「なんだ?言ってみろ」 「・・・ありすを・・・い・・・いなかに・・・つれていってほしいの」 凄く言いにくそうだった。 「東京から離れたいってことか」 「ありすは、とかいはじゃなくていいわ・・・」 東京には、野良のゆっくりがかなりいる。 ただ、田舎や山に住むゆっくりと比べると大きく違う点がある。 それはありす種がヤケに多いという点だ。 田舎や山などに100匹のゆっくりがいた場合。 40匹がれいむ種、35匹がまりさ種、10匹がありす種、5匹がぱちゅりー種、残り10匹はその他の種だ。 だが、東京では違う。 35匹がれいむ種、30匹がまりさ種、30匹がありす種、残り5匹がその他の種になる。 その時のブームによって捨てられる野良ゆっくりが変化するので一概には言えないが、大体こんな感じになるのだ。 多くのありす種は「とかいは」という謎価値観に従って生きている。 特に、元ペットのありすは東京に激しい憧れを抱いていることが多い。 そのため、ありすは帰巣本能のような感じでジワジワと東京に群がってくるのだ。 だが野良ありすが想像した「とかいは」は東京にない。 連日保健所の職員に追われ、残飯をあさり、同族さえ喰らわねば生きていけない地獄なのだ。 「とかいは」に絶望したありすは田舎へと帰ろうとするが、アホなので帰り道など分からない。 都会に来たことを後悔しながら死んでいく運命だ。 「お前、どこらへんから来たんだ?」 「ありすはここでうまれたのよ」 詳しく話を聞くと、ありすは東京生まれということがわかった。 親のゆっくりが上記のアホ理由で東京に来たという。 そして意外なことに、親のゆっくりは東京の生活に慣れたらしい。 しかし、その子供のありすは東京での生活に耐えられなかったとか。 ありすは他のゆっくりから聞いた田舎の素晴らしさに感動し、東京脱出を目指しているのだ。 「そんなに東京は嫌か」 「ここはゆっくりできないよ・・・ありすはずっとひとりなんだよ・・・みんなとゆっくりしたいの」 親ゆっくりはどうしたのか、そう聞いたがありすはうつむいたまま喋らなくなってしまった。 今も生きてるというニュアンスを感じたため、近くに住んでいるものと思ったのだが。 「ま、わかったよ。撮影が終わったらお前を田舎に連れて行くよ」 「ゆ!おにいさんは、とてもとかいはなおにいさんね!」 ぱあっとありすは明るくなる。 俺はささっと小型マイクを仕込んだ。 もちろん撮影が終わったら放置だ。 田舎に送るなんて、誰がそんな面倒なことをするものか。 「じゃ、ありす。ちょっと体をよく見せてね」 「ゆっくりりかいしたよ」 毎度おなじみの身体検査をする。 ボロカスみたいな皮に、ぼっさぼさの髪。 小枝や砂が入り混じった髪の毛は実に汚らしい。 まさに野良ゆっくりだ。 そう思っていると瞳すら濁って見える。 埃で化粧をしたような肌は、油ぎったネットリしたものよか幾分かマシであった。 「よし、もういいぞ。じゃあありすはいつもみたいに生活しててくれ」 「ゆっくりりかいしたわ。これから、かりにいくわ」 「そうか。俺は隠れて撮影してるから」 ありすが公園を出て行った。 俺は距離を開けて、ありすを追うことにする。 「狩り・・・ねえ」 今まで何度も見てきたが、都会のゆっくりが言うところの「狩り」とはゴミ漁りor乞食だ。 満足に虫もいない大都会では仕方がないとはいえ、なぜ狩りというのだろうか。 全くもって疑問である。 「やっぱな・・・」 予想通り、ありすの目的地はゴミ捨て場であった。 だが朝も早いせいか、数えるくらいしかゴミ袋はない。 他の野良より早めに行動することで、エサを確保しようというのだろうか。 「・・・」 しかしありすは動かない。 ゴミ捨て場から少し離れた場所で、警戒態勢をとったまま。 「なにしてんだあいつ・・・」 せっかく早起きしても、ノタノタしてたら他のゆっくりが来てしまうだろうに。 「お・・・」 と思っていたら、ぼよんぼよんと跳ねながら1匹のゆっくり霊夢がやってきた。 大きさはソフトボールより一回り大きいほど。 成体一歩手前ってところだ。 「ゆゆっ!ありすもかりなんだね・・・!れいむにもちょうだいね」 「・・・いいわよ」 ありすの警戒が一気に濃くなった。 返事を返しているものの、れいむを強く意識していることが分かる。 が、当のれいむはゴミ漁りを始めていて気が付いていない。 「ゆっゆゆーん♪きょうはれいむもごはんをたべられるよ~♪」 ふりふりと左右に後頭部を揺らすれいむ。 それとは対照的に、上下に伸び縮みをするありす。 まるで準備運動でもするかのような動作だ。 そして、次の瞬間。 ありすの「かり」が始まった。 「れいむぅううう!!ゆっぐりじでいっでねぇえええええっ!!!」 「ゆぁあっ!?な、なんなのぉおお!?」 飛びかかるような勢いで、ありすはれいむに体当たりをした。 転がったれいむの底部がむき出しになる。 その底部を、瞬時にありすが噛み切った。 「ゆぎゅうあああああああっ!!」 閑静な住宅街に、れいむの醜い悲鳴が轟いた。 だがそれも一瞬のこと。 ありすは大きな石をれいむの口に突っ込み、声を封じてしまった。 あんな石を用意してあったとは。 俺は少し関心してしまう。 「・・・・ッ!!ゅ・・・ゅうううっ!!・・・・っ!?!・・・・ッ!」 「・・・れいむ・・・ゆっくりしていってね」 漏れた餡子で髪を染めたありすは、ゆっくりとれいむの頬に近寄った。 「ゆぅうううううっ!!!」 「・・・ッ!!・・・ッ!」 ありすが寝転がったれいむの頬に、自身の頬を押し付けた。 あれはゆっくりの交尾だろう。 ありすはものすごい勢いで頬を擦り始める。 「きったねぇ・・・」 じんわりとコンクリートの色が濃くなっていく。 遠くからでも、ねっとりとした体液がにじんでいる様子がわかった。 ありすの体もれいむの体も、光に照らされ不気味に輝いている。 「んっ!!すっすっきるぃぃぃいいいっ!!!」 「・・・・ゅぃ・・・!!」 ありすの体が動きをやめると、れいむの頭から茎がニョキニョキと生えてきた。 底部の穴から餡子が漏れていたが、れいむはまだ生きているようだ。 「ゆっふぅうう・・・・ゆふぅう・・・!!!」 茎に一瞬だけ視線を移したが、ありすはすぐにれいむに向き直った。 息も絶え絶えになりながら、再び交尾が始まる。 「ゆぐぅっ!!ゆぐっ・・・!ゆぅぇぁああっ・・・!」 4度目の交尾が終わると、ようやくありすはれいむから離れた。 交尾の潤滑油となる体液は2度目のすっきりあたりから枯れていたため、今のありすは酷い姿をしている。 頬は擦りキズだらけ、髪の毛は乱れまくりだ。 後半は交尾の痛みに小さな叫び声を上げながら、ありすは頬を擦っていた。 それはれいむも同様で、頬はキズだらけだし、底部から餡子が結構漏れている。 そして頭からは4本の茎が伸び、もはや死を待つのみだろう。 「ゆぐぅ・・・ゆぐ・・・!」 ありすは泣きながら、れいむから漏れた餡子を食べ始めた。 底部から飛び出した餡子は、赤ちゃんのゲンコツ1個分ほどにもなる。 食べ終わる頃には、れいむは真っ黒に朽ち果てていた。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 「ゆきゅーり!」 「ゆっくち!」 10分もしない内に、赤ゆっくりは生まれ落ちた。 1本の茎から約8匹。それが4本なのだから、大体30匹近くの赤ゆっくりが生まれたわけだ。 「・・・ゆぅ」 興味無さそうに、ありすは赤ゆっくりを見下ろす。 「まんまー!おにゃかしゅいたー!」 「れーみゅも!」 「れいみゅ、おかーしゃんとしゅーりしゅりしたい!」 そんな赤ゆっくり達を尻目に、ありすは用が済んだ茎を口に挟んだ。 「むーしゃむーしゃ。しあわせー・・・」 そのまま茎は、ありすの口内へと消えていく。 赤ゆっくりの最初の食事となるはずの茎は、4本ともありすの腹に収まった。 「おきゃーしゃん!れーみゅ、おにゃかしゅいたー!!」 「みゃみゃ!!ありしゅもごはんたべちゃい!」 ワラワラとありすに群がる赤ゆっくり。 しかしありすは視線すら移さず、茎を4本食べると母体として朽ち果てたれいむの亡骸まで食べた。 「ゆ・・・いくわよ」 それだけ言うと、ありすはゴミ捨て場を去った。 「まっちぇー!!」 「れいみゅをしゅてないでぇえ!!」 「みゃみゃ!ありしゅとゆっくちちてー!!」 赤ゆっくり達は、親に捨てられたくない一心で、そのあとをピョンピョコ跳ねてついていく。 ありすも赤ゆっくりのことを考えているのか、ゆっくりと進んでいた。 「まーま、ありしゅ、おにゃかしゅいたの・・・」 「れーみゅもだよ・・・おかーしゃん・・・」 公園に戻ってくると、ありすは30匹ほどいた赤ゆっくりのうち20匹を食べてしまった。 あっちでママとゆっくりしましょうね、と言って見えないところに誘い、そのままパクリと。 悲鳴すら上げる間もなく、赤ゆっくり達はその短いゆ生を終了した。 それでようやく腹が満たされたのか、ありすは残った10匹の赤ゆっくりを食べることはしなかった。 れいむ種が6匹、ありす種が4匹残っている。 特に種に関してこだわりはないようだ。 「うるさいよ・・・しずかにしてね」 ギロリと赤ゆっくりを睨むその目に、親としての愛はまるで感じられない。 「ゆ・・・ごみぇんね・・・れーみゅ、しじゅかにするよ・・・」 「ありしゅも、いいこにするよ・・・」 きっと次の食事までの命なのだろう。 親しか頼れる存在がいないとはいえ、あまりにも惨めなものだ。 それは昼すぎにやってきた。 「でけえ・・・!」 バスケットボールよりも一回り大きいゆっくりアリス(以下、大ありす)が公園にやってきたのだ。 かなりの大型だ。 大ありすは何か探しものをしているかのような動きで、公園を散策していた。 苦労のかいあって、土管の中に入っているありす一家を発見した。 「そこのありすたち、ゆっくりしないででてきてね!」 ありすが土管から現れる。 赤ゆっくりはまだ生きていたようで、ありすの後頭部に隠れて震えていた。 「おきゃーしゃん・・・!たちゅけちぇ・・・!」 「こわいよ!ありしゅ、こわいよぉお!」 「みゃみ゙ゃー!!!ごわいぃいいいい!!」 大ありすの巨体は、赤ゆっくり達には相当な恐怖のようだ。 悲痛な叫びがマイク無しでも伝わってきた。 「ゆ゙っんっ!!」 ボン、という音が聞こえてきそうな勢いで、ありすが威嚇をした。 空気を含み、体を通常よりも大きく見せるものだ。 人間相手には全く効かないが、ゆっくり同士では効果がある。 が、大ありすはまるで動じていなかった。 「ゆふ・・・ふぅ・・・!」 大ありすは一気に膨れようとせず、ゆっくり空気を含んで膨れていく。 じんわりと、確実に。 プレッシャーをかけながら、それでもまだ膨張は終わらない。 「・・・!」 ありすはもはやこれまでと思ったのか、空気を吐き出し、元のサイズに戻った。 「お、おきゃーしゃん・・・!」 「まきぇにゃいでっ!!みゃみ゙ゃぁあああ!!」 「ゆっくりりかいしたようね。おチビちゃん」 勝ち誇った顔で、大ありすはありすを見下ろす。 ありすはその顔を見ようとせず、赤ゆっくりに振り返った。 「 "よん" でいいわ」 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 ありすは、親を心配する赤ゆっくりに笑顔を見せた。 赤ゆっくりにとっては、生まれて初めての笑顔。 「あかちゃんたち、ママのおくちのなかにかくれてね」 「ゆっ!」 「おきゃーしゃん!!」 「こわかっちゃよぉお!!」 外敵から子を守る際、ゆっくりは口内に子を入れる。 それを本能で理解しているため、赤ゆっくりはすんなりとありすの口に入って行った。 大ありすはそれをニヤニヤと眺めている。 「ぷっ!ぷっ!ぷっ!ぷっ!」 ありすの口から、まるでスイカの種でも吐き出すかのように、4匹の赤ゆっくりが飛び出した。 そして、大ありすの目の前に転がっていく。 「じゃあこのこたちはおいしくいただくわ。あなたたちもゆっくりしていってね」 「お!?おきゃーしゃんっ!?」 「みゃみゃ!たちゅけちぇー!!!」 「どぼじじぇっ!?おぎゃーざー!!」 「だぢゅげでぇええっ!!」 やかましく騒ぐ赤ありすを大ありすは口に入れ、悠然と去って行った。 「あのデカいありすは、お前の親だったのか」 「・・・そうだよ」 夕方。 あらかた撮影を終えた俺は、ありすへのインタビューをしていた。 赤ゆっくりはもういない。 午後になると、町を彷徨う野良ゆっくりが多くなる。 ありすはあまり体が大きいほうではないため、殺し合いでは勝てない。 そのため、赤ゆっくりが必要になるのだ。 数匹渡す代わりに命を助けてもらう、いわばトカゲのしっぽのようなもの。 6匹の赤ゆっくりは、午後に出会った成体サイズのまりさに奪われてしまった。 「ありすは、ありすのおチビちゃんとおなじだったんだよ」 このありすはかつて、大ありすの命乞い用のゆっくりだったという。 捨てられていく姉妹を見て、いち早く危険を感じ取ったありすは大ありすのもとから逃げ出した。 それからはゴミをあさったり、乞食をしながら生きてきたのだという。 しかし、今では親である大ありすと同じ方法で生きていた。 「・・・ごはんとちがって、じぶんでうごくからべんりなの」 命乞い用の食糧を持って町に出るより、赤ゆっくりをひきつれて町に出た方が楽なのだとありすは言う。 それに加え、赤ゆっくりがいると食料を恵んでくれる人が多いらしい。 「あのれいむみたいになりたくないよ・・・」 今朝のれいむのことかと思ったが、違った。 都会に住む親ゆっくりには、2タイプあると聞いたことがある。 一つはこのありすのような、子供を動く食糧であるとみなしているタイプ。 いざとなれば子供すら捨てる、どちらかといえば少数派である。 大抵は、もうひとつのタイプになる。 それは子供を溺愛するタイプだ。 都会にはゆっくりできるものなど何もない。日々食糧争いを繰り返し、保健所職員に追われ、同族にすら気を許せない。 そんなゆっくり達にとって赤ゆっくりはまさに「真のゆっくり」として写るのだ。 溺愛というより、依存に近い。 子を失うことは、ただ一つの「ゆっくり」を失うこと。 それを極端に恐れ、子に依存してしまう。 ありすは昔、その典型例のようなれいむを見たのだという。 「バカなれいむだったよ」 その日、動く食糧を確保しようと、数匹のゆっくりがれいむ一家を襲撃したという。 1匹のまりさが赤ゆっくりを捕獲すると、親れいむは闘うことすら放棄した。 自分はどうなってもいいから赤ちゃんを助けてくれ、そう言って泣き崩れたのだ。 それを聞いたゆっくり達は、赤ちゃんは食べないから代わりにれいむを食べさせろと要求する。 そんな約束など守るわけがないのに、れいむはわずかな可能性にかけたのか、生きながらにして食糧にされてしまった。 赤ゆっくりが食後のデザート感覚で食べられてしまったのは言うまでもない。 それを物影で見ていたありすは、れいむの愚かさに腹が立ったという。 「ありすは、れいむみたいにはならないよ・・・!いなかにいって、みんなでゆっくりするんだから・・・!」 強い意志を感じた。 きっとこのありすなら、多分千葉あたりまでならいけるんじゃないかな。 俺はありすからマイクを外し、公園を去った。 全力疾走で。 おわり
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『俺が、ゆっくりだ! 9』 ・「俺がれいむでれいむが俺で」的設定です ・俺の考えたことは、ゆっくりでもわかる語彙であれば自動的に翻訳されてれいむが喋りやがります ・見た目、性能はゆっくり、頭脳は人間です ・「その8」を読んでいないとよくわからないかと思われます 十六、 「ゆっくりしていってね!」 『「「ゆっくりしていってね!」」』 「ゆ~、よくねたのぜ」 「わかるよー…きもちいいあさなんだねー」 『ゆっくりごはんさんむーしゃむーしゃするよ』 「むきゅっ。みんなでむーしゃむーしゃしたら、きのうのつづきをがんばりましょう!」 『「「ゆっくりりかいしたよっ!!!!」」』 …。 ………ッ?! いや、ちょ、待っ…。うわああああああああああああああああああああああ!!!! 『ゆわああああああああああああああああああああああ!!!!』 「むっきょおぉぉぉぉ??!!!」 「れいむ!!どうしたのぜっ?!ゆっくりおちつくんだぜっ?!」 「まりさー!ぱちゅがえれえれしてるんだねー!!!」 今、俺、ほぼ、ゆっくりだった!!!!限りなくゆっくりに近い何かになってた!!!!感化されすぎだろ、オイ!! 普通に朝食にキノコ出されたから、普通に何も疑問に思わず団欒しちまったじゃねーか!!!!あぶ…あぶねぇ!危なす ぎるだろ、マジで。 「ぱちゅうぅぅぅぅぅ!しっかりするのぜぇぇぇぇぇ!!!」 げっ…ゲロ袋が白目剥いて、クリーム吐いてやがるっ!!!朝からとんだハプニングだな…!…俺のせい、だけどよ。 『ゆっ…ぱちゅりーがなかみをはいてるよっ!あさからゆっくりたいへんだねっ!!』 久しぶりにナメた翻訳してくれやがった!この腐れ饅頭型自動翻訳機がああああああぁぁぁぁぁっ!!!! 「れいむのせいでしょおおおぉぉぉぉぉぉ??!!!」 返す言葉もない。 「む…むきゅっ、むきゅっ」 あ、起きた。良かった。死んだかと思った。 「れいむはたまにおかしくなるけど、いまのはいくらなんでもおかしすぎなのぜ」 「れいむー?ぐあいがわるいならちぇんにもおしえてねー?」 『ゆっ…な、なんでもないよ!』 そんなに心配そうな目で見ないでくれ。逆に恥ずかしい。本当になんでもないのに、周りがやたら心配して事が大きく なったりしたときって、もうどうしようもないくらいやりづれぇんだよな…実際。いや、それより… 『ゆっ!そんなことよりぱちゅりーをやすませてあげようねっ!』 俺が言うのもかなり、おかしな話だが言わないことにはゲロ袋が自滅してしまいそうだったから、言わざるを得なかっ た。目覚めたばかりのぱちゅりーをすぐさま横にして、看病を始めるまりさとちぇん。本当に仲間を思いやる気持ちは、 人間顔負けだな…。馬鹿だけど人情には熱いのがゆっくりだからな。その人情の熱さを利用して、苛めぬくのがまた最高 に快感なんだが。 ふむ…この森に来てから、“俺”も含めてこいつら働きっぱなしだもんなぁ…。ぱちゅりーはもちろん、まりさもちぇ んも…昨日は気づかなかったが、疲労の色が濃い。確か今日は土曜日のはず。この姿になったのがちょうど月曜日だった から…うわぁ…長いことゆっくりやってんなぁ、俺。笑えねぇ。ふむ…。 『きょうはいちにちゆっくりしようね!』 1日、ゆっくり。この言葉はまりさとちぇんにとって、まさに魔法の言葉だった。1日中…ゆっくりする。それは野良 ゆっくりになってから、1度たりともできなかったことだ。 「ゆ…ゆゆゆ…ゆっくり~~~~~~~!!!!!」 「わかるよ~!ゆっくりできるんだねぇ!!!!」 饅頭共も嬉しそうで何より。まぁ、どうせゲロ袋の看病で1日終わるんですけどね。休日出勤、乙。 そんなこんなで、ようやく顔色のよくなってきたぱちゅりーがすぅすぅと寝息を立てている。すぅすぅと寝息を立てて いるのに、 「すーや、すーや…」 口ずさんでいる。ある意味、本当に器用なことを平然とやってのける生き物だな、こいつらは。巣穴の外からは、 「ちょうちょさん!まってね!ゆっくりまりさにたべられてね!」 まりさが蝶々を追いかけまわしているのか、能天気な声が聞こえてくる。ちぇんも欠伸をしながら、 「のーびのーびするんだねー」 普段の顔(体?)の2倍くらいに伸びやがった。やっぱこいつら化け物だわ。そっちのほうが「ぷくぅ」より効果ある んじゃないか? しかし…切羽詰まってるときはともかく…ゆっくりしているときの、ゆっくりってのは…なんというか…本当に…馬鹿 だな。あんまり馬鹿なことやってるから、ついつい殺したくなってきちまったぜ。まぁ…こいつらにはそんなことはしな いけどよ…。甘くなったもんだぜ、ホント。…ゆっくりすればするほど、馬鹿になる。これで論文書けないだろうか? 明日、1日かければ野菜畑の体裁はできあがるだろう。それが終われば次は川の水を畑の近くに引く。植えた野菜の種 に水をやるには、ちょっと遠いからな…。水場としてはかなり近くにあるんだが…。ちょっとでも便利さを求めるために 動く、って思考回路は饅頭共にはないだろうから…。指示を聞いてくれるだろうか?まぁ、聞かなかったらそんときゃそ んとき。最悪、1人でもできるさ。 人間のときだとすぐ二度寝とかするのに、この姿になってからというもの、早寝早起きが徹底されている気がする…。 本能的にというかなんというか…。それ以前に夜更かしする理由がないのもあるかもな。暗くて何も見えないし、単純に 毎日疲れ切ってる、っていうのもある。 暇だな…。散歩がてら川の水をどこから引くか考えに出るか。 『ゆっ。れいむ、おさんぽにいってくるね!』 「わかったよー!きをつけてねー!」 『ずーりずーり…』 この行動を声にする、っていう機能も結局謎のままなんだよなぁ…。底部…つまり、あんよを這わせながら森の中を 移動してるのに、皮が破れないのはどういう理屈だ?アスファルトの上を歩いてたときは、すぐに痛くなったのに。… ま、まさか…皮が強くなってきてんのか?そりゃ裸足で歩けば足の裏は鍛えられたりするけど…。…っと。さすがに傾 斜を這って登っていくのは無理だな。…この後、“俺”はこう言うだろう。“ぴょんぴょんするよ”と。 『ぴょんぴょんするよっ!』 はい、正解。初めてジャンプして移動するのを覚えたのは、母さんから逃げるときだったか…。あのときは焦ったな ぁ…本気で死ぬかと思ったよ…。 ………え? 「としあき!頼むから落ち着いてくれ!!!」 「もうやだぁ!おうちかえるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 「だ、だから家に帰る、って言ってるのに…っ!!!」 な…ん、だと?…嘘だろ…?あれは…父さん…?車もある…し。見えにくいけど、助手席に座ってるのは…母さん? 『ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛?ゆ゛?』 登り切った小高い丘の下に、俺の姿になっているのであろう“れいむ”がいた。予想はしていたが、なんてザマだ。 れいむの姿の“俺”が人間としての尊厳を守ろうと必死に頑張っていたというのに、あのクソ饅頭はどうだ。明らかに ゆっくりじゃねぇか…。ていうか、どう見てもあれは俺の姿をした廃人です、本当にありがとうございました。 「いい加減にしろ!!!!!」 乾いた音が俺の耳に届いた。凄まじい平手打ち…。父さん…ゆっくりを潰したくなる気持ち…少しでもわかってくれ たかい?でも、あんまり俺の体を叩いてやるなよ…。元に戻った時、すげぇ痛そうだから。 …なんて、言ってる場合じゃない!とりあえず、あのクソ饅頭とコミュニケーションを取らないことにはどうにもな らん!実の父親が目の前に立ちふさがっているのが非常に恐ろしいが。 慌てて、丘を駆け降りる。 『ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!』 千載一遇。どうやって、“れいむ”と接触しようか考えていたが、まさか向こうの方からやってくるとは思わなかっ た。このチャンスを逃してしまったら…一生、この姿のままでいることになるような気がする。それだけは…あっては ならないことだ。 もう、“れいむ”と父さんは目の前だ。深く深呼吸をして、大声を張り上げる。 父さん!!!!!俺だよ!!!!! 『ゆっくりしていってね!!!!!!!!』 ばかああああああああああああああああああ!!!! 『ばかああああああああああああああああああ!!!!』 「ゆゆっ?!」 「どいつもこいつも…馬鹿にしやがって…っ!!!!」 反応の対比は素晴らしいが、ちょっと待て、父さん!それから翻訳最低ッ!!!! 『ゆっ!さいていのくそじじい!ゆっくりしないでまってね!!!!』 嫌がらせ?語順がめちゃくちゃだろ、この翻訳機っ!!!何をどう思っても、相手を挑発するようにしかできてないっ てのかよっ!!!たまらねぇな、オイ!!!! 宙に浮く俺。 『おそらをとんでるみたい!!!』 髪を掴まれてるのがすんげー痛いんだが…ッ!ちょ!ギブ、ギブ!!! 『いたいよ!やめてね!ゆっくりはなしてね!!!』 「死ね!」 と、父さん…ちょっとカルシウムが足りなさすぎなんじゃ…。高速で腕を振り下ろす父さん。マジっすか??!!!! 『どぼじで??!!!!』 『ゆっぎぃぃぃぃっ!!!!!』 叩きつけられる。…叩きつけられた…はずだが…そんなに…痛くない…。 「ゆぅぅぅん!!!ぺーろぺーろ…っ!!!」 なんと…“れいむ”が“俺”をかばって…?!正直助かった…。あのスピードで地面に叩きつけられてたら、即死だっ たぜ…。…って…、ん? ほああああ?!“俺”が俺の姿の“れいむ”に舐められているっ?!俺は後世まで語り継ぐことはないだろう。自分に 舐められる、という滅多にできない経験を。 「と、としあきっ!!!よせ、やめろ!!!」 ですよねー…!“れいむ”の腕を掴んで“俺”から引き離す。 「れいむー!れいむー!!れいむのからだ、ゆっくりしないでかえしてね!」 今、すごく重要なセリフを“れいむ”が言ったんだが、父さん、全然聞いてませんね。そんな殺意のこもった視線を実 の息子に向けないでください。大変、悲しいです。…チッ!こうなったら…っ!!! 『にんげんさんっ!!ゆっくりしないでまたここにきてねっ!こんどはあまあまさんちょうだいねっ!!!』 “れいむ!今度はオレンジジュースか何か持って、もう一度ここに来い!”…って言ったつもりがこれだよっ!!!! 理解はしなくてもいい。とりあえず、あいつに…“れいむ”にもう一度ここに来るよう仕向けなければならない。 遠くで、父さんが何か叫んでいる。“俺”に罵声を浴びせているのだけはわかった。 そして、思い出した。 俺が、ゆっくりになってしまう直前の出来事…。あの日、何があったか。ファンタジーもクソもねぇ。よくあるかは知 らんが、よくある話だ。…多分!この場合、元に戻るためには、あのときと同じことをしなければならない。だが、この 身長差では、“それ”を行うのは不可能。…どうする?“れいむ”がいつここに来るか…。そもそも、来るかもわからな いが…それまでに解決策を見つけないと…っ!!!! 巣穴へと引き返す。まりさと目が合った。まりさが何か叫んだような気がした。まさか、父さん…追いかけて?! “俺”は思いっきり…4回転半くらいしながら空中に投げ出された。後頭部に激痛が走る。美しい放物線を描く途中の “俺”の視界に、これまで見たことのないゆっくりが入ってきた。 狂気に染まった紅い瞳。赤やら青やら黄色やら…宝石みたいなものがくっついた翼…のようなもの。そして何より…れ みりゃと同じような…キバ。キバは、れみりゃのそれよりも…すごく…大きいです…。 「ふらんだああああああああああああ!!!!!」 まりさの絶叫が耳に入る。 なんとなくだが、理解することができた。目の前にいるのは…多分、捕食種。あの常に笑顔を崩さなかったれみりゃの 表情とは対照的に、殺意しか感じることのできない形相。俺の結論はこうだ。あいつの名前は…。ふらん。 最強の、捕食種。 十七、 『ゆべしっ!!!!』 今度こそ地面に叩きつけられる“俺”。痛ぇ、これは本当に痛ぇ!!!まりさと、巣穴から飛び出してきたちぇんが駆 け寄る。 「れいむ…れいむぅ…」 まりさがすでに半泣きだ。いつもの威勢はどうしやがった、クソ饅頭。 「わかる…よー…。ふらんにあったら…たべられるしかないんだねー…」 おいおい、れみりゃも捕食種だろ?れみりゃからは逃げようとしたのに、ふらんからは最初から逃げられないみたいに 思ってんのか?確かに一撃のダメージは相当なもんだったが…。よく見たら、ちょっと厳つい表情のれみりゃの色違いな だけじゃねーか。…なんていうか、れみりゃがキメラなら、ふらんはメイジキメラみたいなもんじゃないのか? 「……しね」 『ゆぐぅぅぅぅっ?!」』 「いだいの゛ぜぇぇぇぇ!!!!」 「に゛ゃあああああ!!!!」 ま、待て待て。何が起こった?顔面になんか衝撃が走ったと思ったら、いつのまにか“俺”もまりさもちぇんも吹っ飛 ばされたぞっ?! ふらんが攻撃を開始する。一瞬で、また、まりさが突き飛ばされた。そして、次の瞬間には、ちぇんの尻尾をくわえ宙 にぶら下げていた。 ………(°Д°)ハァ?! 「までぃざのおがおがあああああ!!!」 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛ーーーーー!!!!」 …速過ぎる。れみりゃとは比較にならん。メイジキメラどころじゃない。こいつはスターキメラだ。レベルが違いすぎ る。どう考えてもチート設定だろ。ていうか、俺個人の意見としてはこんなのゆっくりなんかとは認めん!そりゃ見たこ とないわ。人間に捕まるはずがねぇ。飛ぶし速いし凶暴だし。ぶっちゃけ幼稚園児くらいならケガさせられるんじゃない か、こいつ。 ちぇんをまりさに叩きつける。2匹は悲鳴を上げ、涙を流していた。だが、そこは巣穴入り口の近くだ。 『まりさ!ちぇん!!ゆっくりしないですあなのなかにかくれてね!』 ふらんが“俺”のほうを睨みつける。“俺”に背中があるかは知らんが、今、確かに背筋が震えた。 「れいむはどうするのぜっ?!」 『ふらんを…やっつけるよ!!!!』 ああ。正直無理かも。ふらんが一瞬で“俺”目がけて飛来する。ゆうかの真似をしてカウンターで合わせるつもりだっ た。まずはその羽根を引きちぎって、飛ぶことができなくなるようにしてやるぜ!! 『まずははねさんをちぎってとべなくするよ!』 作戦バラしてんじゃねぇよクソ翻訳機があああああああああああああ!!!!! ふらんが顔を90度ひねり、太く鋭いキバをまるでナイフのように振りかざす。“俺”は思いっきり顔を横に振り、そ れをかわした。…つもりだった。 『れいむのもみあげさんがあああああああ!!!!』 どうでもいいわ、そんなもん!今のは本能の声なのか?確かに右の揉み上げは今の攻撃でスッパリぶった切られたみた いだが…。うん。シャレにならなくね? 考え事なんてしてる暇はなかった。“俺”はこいつの…ふらんの攻撃でまた宙を舞った。3度目かよ。落下時の衝撃で 皮が破れないかと思ったが…。だてに森の中を歩き回ってねーぜ。まだ無事と見える。予断は許さんが。皮を破られたら 終わりだ。間違いなく殺される。 元の姿に戻れる可能性が出てきた、ってときにむざむざ殺されてたまるかよ…っ! 「むきゅ!!おうちのなかににげるのよ!」 いつから起きていたかは知らないがぱちゅりーが巣穴の入り口から叫ぶ。 まりさもちぇんもすでに巣穴の中のようだ。こいつは一体どういうつもりなんだろう…?まりさといい、ちぇんといい、 “俺”といい、わざわざ巣穴の入り口近くに向かって突き飛ばしているように感じる。“俺”が巣穴の中に逃げ込む瞬間、 ふらんはニヤリと笑った。 「むきゅ!ふらんはえものをいためつけてからたべるくせがあるのよ」 何ソレ、タチ悪い。…って、ああ…もしかして。 「どうしてふらんがそんなことをするのかぱちゅにはわからないのだけれど…」 恐怖心で満たされたゆっくりの餡子は…甘みが増して美味しくなるからなぁ…。本能でそれをやってる、って言うなら …ふらん…恐ろしい子。 今、ちぇんが必死になって巣穴の裏口を掘っている。その際に出た廃土を使って、“俺”とまりさが入り口側の穴を埋 めていく。何もしないよりはマシだろう。 「ちぇん!がんばるのぜ!!!」 「わかったよー!!!」 高速で穴を掘って行くちぇん。 「…しね…しね…」 マジでホラーだな。巣穴の入り口の内部に侵入してきたのか、土の壁越しにふらんの声が聞こえてくる。ぱちゅりーは がたがた震えながら、尖った木の棒を咥えていた。まりさも泣きながら、必死で土を入り口側に運んで行く。ここが突破 されたら、もう終わりだ。4匹まとめて全滅だろう。 「…む…きゅぅ…」 「ゆっゆっゆっゆっ…」 「こわいよー」 泣きながら、震えながら、それでもこの絶体絶命の状況を何とかしようと、それぞれが動いている。俺はというと、こ いつを倒すことはできないと悟っていたが…1つだけ策を思いついた。ちぇんが今掘っている穴を貫通させ、この巣穴を 脱出したあとに、入り口を壊してふらんを閉じ込めるということ。だが…正気を保つのがやっと、というこいつらにそれ ができるだろうか? 「しね」 土の壁を突き崩しながら進んできたであろう、ふらんの紅い瞳が“俺”たちを捕えた。まりさは成体ゆっくりのくせに しーしーをぶちまけた。ぱちゅりーはこの時点でショック死寸前だ。そんなぱちゅりーから“俺”は木の枝を奪い取ると、 それをふらんの目玉に突き刺した。 「う…っ!!うっがあああああああああああああああああああ!!!!!!」 ふらんの絶叫が、巣穴の中にこだまする。空気がビリビリと振動するのがわかるくらいの大声だった。ようやくふらん に一矢報いたことで、にわかに巣穴の中が活気づく。しかし、“俺”の一撃はここまで…お遊び気分だったふらんの闘争 本能に火をつける結果となってしまった。 「できたよー!おそとにでれるんだねー!!」 ちぇんの掘っていた穴が外に貫通した。ちぇん、ぱちゅりー、まりさの順に巣穴から脱出させる。ふらんはついに土の 壁を壊し、巣穴の中に入ってきた。左目を潰されたふらんは、息を荒くして“俺”を睨みつけている。正直、怖い。震え が止まらない。 『ゆっくりにげるよ!』 高速でふらんが飛びかかってくるのと、“俺”が出口へと向かって逃げ出すのはほぼ同時だった。巣穴の中が狭いので ふらん本来のスピードは発揮されない。それでも、ふらんのキバは、“俺”の左の揉み上げを噛みちぎった。激痛が走る。 『ゆぎぃぃぃっ?!!!』 先ほどのように、切られるのではなく、噛みちぎられた痛みは筆舌に尽くしがたいものがあった。が、それでも振り返 る余裕はない。 光が見える。飛び出す。追ってきたふらんの開かれた口が、“俺”のあんよを捕えようとしていた。だが、 「…っ!し、しねっ!じねぇっ!!!」 思わず振り向く。ふらんの顔にはまりさの帽子がかぶせられていた。目隠しのつもりだろうか。 「…っがあああああ!!!!」 キバと羽根をめちゃくちゃに振り回し、引き裂かれるまりさの帽子。まりさは歯を食いしばって涙を流していた。まり さ種が帽子を失うこと…それは、“死”を意味する。 「れいむ!!!!ゆっくりしないでにげるのぜっ!!!!」 それでも、まりさは“俺”の身を案じてくれた。その意味を理解するのが少し遅かった。ふらんの視界にはもはや“俺” しか入っていない。 『ぴょんぴょんするよっ!!!!』 逃げる方向は丘の上しかなかった。まりさとちぇんが上から土を落としてふらんの動きを牽制していたが、大した足止 めにはならない。高速で、ふらんが羽根を広げて追ってくる。またしても宙に投げ出された。 『ゆっぐぅっ…っ!!!』 一気に丘の上まで放り出される。…話にならんわ…。これは死ぬ。間違いなく死ぬ。ふらんのキバをよけようと、後ろ に飛びのいて… ………え? 『………ゆ?』 そこに地面はなかった。“俺”は真っ逆さまに丘の上…切り立った崖の一部分から落ちていった。ふらんは…追っては こなかった。巣穴の方に戻って行く。…恐らく、あいつらは…ふらんによって…全滅させられるだろう…。“俺”ももう、 助かる見込みはない。 …あいつらのこと…守ってやれなかったな… 薄れゆく意識の中、“俺”は目を閉じた。だが…意識は…いつまで経っても消えることはなかった。恐る恐る目を開け る。“俺”は空を飛んでいた。 『ゆ?…ゆゆっ?』 「うーうー!たすけてやるんだどぉ!」 嘘…だろ?こいつはまさか…森に入ってすぐに“俺”たちを襲ってきて…返り討ちにあった…あのときのれみりゃか?! れみりゃは“俺”のリボンを咥えているにも関わらず、相変わらず器用に喋る。そのとき、閃いた。 『れみりゃ!れいむをふらんのうえまではこんでね!!』 「わかったんだどぉ」 …情けは人のためならず、ってな!起死回生の一発、確かに受け取ったぜ、れみりゃよぉ!!!! 巣穴の前で、ふらんが3匹への蹂躙を行っている。れみりゃは“俺”の言ったとおりに、ふらんの真上で止まる。ふらん は3匹への攻撃に夢中で“俺”の存在に気付かない。まりさが叫ぶ。 「れいむーーーーーーーー!!!!!!!!」 『…ゆっくりしんでねっ!!!!!』 叫ぶ。まりさが、ちぇんが…ぱちゅりーが“俺”の方を見る。ふらんが上を見上げる。“俺”はふらんめがけて絶賛落下 中だ。そして、ふらんの羽根に噛みつき、落下速度を利用して…一気に引きちぎった。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ふらんの゛…ふらんのばでがあああああああああああああ!!!!」 片目を潰され、片方の羽根を失ったふらんが、その場で暴れる。飛ぼうとするのだが、片方の羽根だけではそれは不可能。 それどころか、飛ぼうとすることしか考えていないらしく、何度も何度も自身を地面に打ち付ける結果となった。もはや、 半狂乱状態のふらんに“俺”は体当たりをかまし、巣穴の中に叩きこんだ。 「じねっ!じねえええええええええ!!!!」 巣穴の中でも飛ぼうとしているだけなのか、一向に巣穴の中から出てくる気配はない。 『まりさ!ちぇん!おうちのいりぐちをふたつともふさぐよ!!!!』 「ゆ…ゆっくりりかいしたのぜ!」 「わかったよー!」 ほどなくして、巣穴の入り口は完全に閉じられ、ふらんの声も聞こえなくなった。“俺”は、 『れみりゃ…ゆっくりありがとう』 「たすけてくれたおれいをしただけなんだどぉ」 『れみりゃ…じつはれいむ、もうひとつだけおねがいがあるよ』 「…?」 「「「れいむーーーーーーー!!!!!」」」 れみりゃが飛び去ったのを確認して、すぐに歓声が上がる。やっぱり、れみりゃは怖いか。 3匹が“俺”に駆け寄ってきて、3匹がかりですーりすーりをしてきた。良く見ると、ちぇんの尻尾が1本しかない。ふ らんに噛みちぎられたのだろう。ぱちゅりーも帽子についていた月の形をした飾りを失っている。まりさもまた、帽子をか ぶってはいなかった。よく考えたら、“俺”も揉み上げを左右、共に失っている。 “俺”たちは野生のゆっくりから見たら、すごくゆっくりできないゆっくりなんだろうな。 それでも、“俺”たちは生きている。今は、それでいい。それだけでいい。みんなで…ふらんを倒したのだ。最強の捕食 種を。 そして、同時にそれがゆっくり界の弱肉強食に反していることにも気付かされた。本来なら、“俺”たちはみんな仲良く ふらんの腹の中だった。 こいつらを助けることができたのは、素直に嬉しい。 嬉しいけど…。やっぱり俺はこいつらと一緒にいてはいけないと…思った。 今ならまだ…こいつらとの出会いを…共に過ごした短い日々を…ただの夢物語にすることもできる。 そう何度も…奇跡なんて起こってはいけないのだ。 「ゆっくりやめてね!おろしてね!」 少年は、れいむの髪を掴んで自分の家に持ち帰った。揉み上げがぴこぴこと動いているのが嗜虐心を刺激する。それに 加えてこの情けないツラがたまらない。少年は、床にれいむを投げつけると、思いっきり蹴り飛ばした。部屋の壁にぶつ かって、跳ね返ってくる。 「いだいよ゛おおお!!!れいむ…なんにもわるいごどじでないのに゛ぃぃぃぃぃ!!!!」 「うっせーよ馬鹿」 二度、三度、蹴り飛ばす。三度目に跳ね返ってきたときは、そのままダイレクトで蹴り込んでやった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 その日は日曜日だった。少年の家には誰もいない。少年はゆっくりを痛めつけるのが好きだった。高校生にしてゆっく りを苛めるのが好きとは、とんだDQNだったが、それを理解した上で少年はゆっくりを弄り続けていた。これだけ痛め つけても、れいむは死なない。歯を食いしばり、涙を流し、少年を見上げているだけだ。 今度は、れいむの顔面に四、五発、拳を撃ち込む。 「ゆっくりしたいよーーーーー!!!!!」 泣きながら叫ぶ。 「はははははは」 それがたまらなく可笑しかった。 「ゆっくりの癖に、ゆっくりなんかさせてたまるかよ!俺らが勉強やらでクソ忙しいときに、てめぇらが呑気なツラして “ゆっくりゆっくり”言ってんのがさぁ…」 れいむのまむまむの辺りにつま先で蹴りを撃ち込む。どうやら、まむまむを捕えたようだ。 「ゆがああああ!!!れいむの…まむまむがぁあああああ!!!!」 「俺らがゆっくりできないのに、お前らなんかがゆっくりできるわけねーだろ」 少年は、ゆっくりが“ゆっくりしたい”と願っているのが一番気に入らなかった。 「誰だってなぁ、ゆっくりしてぇんだよ。それをてめぇらは馬鹿の一つ覚えみたいに、“ゆっくりしたい”“ゆっくりさ せて”って…。生意気にもほどがあるわ!特に、“ゆっくりさせて”っていう根性が気に入らないんだよ。てめぇなん かゆっくりさせて誰が得するんだ、っての」 「れいむはぁぁぁ!もりでしずがにぐらじでだだけなんでずぅぅぅぅ!!!」 れいむが餡子を吐き出しながら、悲痛な叫びを上げる。 「知ったこっちゃないね」 笑いながら、れいむを再び蹴ろうとする少年だったが…。れいむの吐いた餡子で足を滑らせた。 (え?) 「ゆ?」 そして、倒れ込んだ少年の頭と、れいむの頭が激突した。 「…ッ?!」 「ゆげぇっ!!!」 一人と一匹は気を失った。 それが、全てのことの始まりだった。 つづく