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斧を振り上げた状態のままで、動きが止まる。 自分が決めた事とはいえ、やはりこの行為は気が引ける。 だが、ここまで来た以上後には引けない。 少女は意を決して、目の前のソレに斧を振り下ろした。 - 白雪は染まらない~発生編~ - とある冬の日。こなた、かがみ、つかさ、みゆき、それにゆたかとみなみの六人は、雪山へとスキーを楽しみに来ていた。 大学受験も無事終わり、その慰労もかねてと、みゆきがこの旅行を提案してきたのだ。 「へー、思ったより広いねー」 こなたがゲレンデを見渡しながら、感嘆の声をあげた。 「うん、これなら気持ちよくすべれそうね」 隣にいるかがみが、それに賛同する。 「喜んでいただけて何よりです。皆さんをお誘いしたかいがありました」 その後ろから、みゆきがにこやかにそう話し、さらにその後ろでは、みなみがふらつくゆたかの身体を支えて付いてきていた。 「…ゆたか、大丈夫?」 「う、うん…なんとか…」 こなたがゆたかの傍にいき、心配そうに顔を覗き込んだ。 「ゆーちゃん、あんまり無理しないでよ?」 「大丈夫だよ、お姉ちゃん。みなみちゃんも付いてくれるし、少ししたら慣れるよ」 「うん、だったらいいけど」 そう言ってこなたは、かがみの隣に戻った。スキー板を履いているにもかかわらず、その足取りは軽快だ。 「それにしても、こう見てるとこなたがスキー初めてって信じられないわね…」 それを見たかがみが、感心したように呟く。 「歩くくらい簡単でしょ?」 「…そうだといいんだけど」 かがみはチラッとこなたと逆の方を見た。そこには、先ほど転んで立ち上がれずにもがいているつかさがいた。 「おねーちゃーん!助けてよー!」 かがみは溜息をつくと、つかさに手を貸し起こしてあげた。そして、一同の顔を見渡す。 「それじゃ、スキーの経験が無いのはこなたとゆたかちゃんだけね?」 その言葉にこなたとゆたかが頷く。 「かがみさん達はご経験がおありなのですね?」 「うん…って言っても、中学の修学旅行の時にやったことあるってだけだけどね」 みゆきにそう答えたかがみは、再び一同を見渡した。 「じゃ、わたしはつかさ見るから、みゆきはこなたを教えてあげて。みなみちゃんはゆたかちゃんをお願いね」 「わかりました」 「…はい」 そうして、各々が思い思いにスキーを楽しみ始めた。 「いやっほー!」 こなたが歓声と共に、ゲレンデに見事なシュプールを描く。 「…いやまあ」 それを見ながら、かがみは呆れたような声を上げた。 「アレがホントに初心者の滑りか?みゆき、どんな教え方したのよ…」 そして、隣にいるみゆきにそう聞いた。 「いえ、わたしは基本的なことしか…泉さんは、その辺りの上手な方の滑りを真似たようでして…」 「ラーニングかよ。青魔道士かあいつは…それに比べると…」 かがみは自分の後ろをチラッと見た。そこには、先ほど雪に顔面から突っ込んだつかさが座り込んでいた。 「…こなちゃんと一緒にしないで…」 顔にまだ雪を残したままのつかさが呟く。 「いや、まだ何も言ってないけど…まあ、だいぶマシになってきてるからもうちょっと頑張ろ?」 かがみは、苦笑しながらつかさの手をとろうとした。 「二人ともスキありゃー!」 その時、こなたが猛スピードで滑ってきて、かがみ達の傍で急ブレーキをかけて雪を浴びせかけてきた。 「…あんたねえ」 下半身を雪まみれにしながら、かがみがこなたをジト目で見る。同じく下半身が雪まみれになっているみゆきも、少し困った顔でこなたを見ていた。 「あ、あら、怒った?…ちょっとしたジョークだよー」 「いや、わたし達はいいんだけどね…」 かがみは自分の後ろの方を指差した。こなたがそちらの方を見ると、顔面を真っ白にしたつかさが座っていた。 「…つかさ、いたんだ…」 「こなひゃん、ひほいほー」 口に入った雪を吐き出しながら、つかさがこなたを非難する。 「いや、そのなんてーか…ごめん」 つかさの惨状に、流石に罪悪感を覚えたこなたは素直に謝った。 「…ねえ、みゆき。なんか、雲行き怪しくなってきてない?」 そんな中、かがみが空を見上げたままみゆきにそう聞いた。 「そうですね…山の天気は良く分かりませんが…」 みゆきも空を見上げる。空では、色の濃い雲が不気味にうごめいていた。 「吹雪くといけませんし、早めにペンションに戻りましょうか?」 「そうね」 かがみは頷くと、なぜか雪合戦に発展してしまっているこなた達に声をかけた。 「つかさ、こなた。なんか天気悪くなりそうだから戻るわよ」 つかさとこなたは頷くと、雪玉をぶつけ合っている手を止め、かがみ達の方にやってきた。 「ゆたかちゃんとみなみちゃんは何処だろ。携帯の使えない場所って、こういう時不便よね…こなた、みゆき。悪いけど、二人でゆたかちゃん達探してペンションに戻ってくれる?」 「いいけど、かがみは?」 「…つかさが一人で戻れなさそうだから、連れてくわ」 「ああ、なるほど」 納得するこなたの後ろで、つかさが不満そうに口を尖らせていたが、かがみは無視することにした。 「…あの、そう言う事でしたら、わたしがつかささんと行きますので、泉さんとかがみさんで、その…」 かがみの後ろから、みゆきがそう言い難そうに言ってきた。 「ん、なに?なにか不都合でもあるの?」 「あ、いえ…そう言う事では…いえ、そうですね…すいません、忘れてください」 みゆきはかがみに頭を下げると、こなたの方を向いた。 「…泉さん、参りましょう」 「あ、うん」 こなたは何か腑に落ちないといった表情で、みゆきに付いていった。 「ゆきちゃん、何か変だったよね?」 「…そうね」 つかさとかがみはお互い顔を見合わせて、首をひねった。 「遅いわね」 「…うん」 宿泊先の、みゆきの親戚が経営するペンションについたかがみとつかさは、玄関の前で他のみんなが戻ってくるのを待っていた。 かがみが空を見上げると、さっきよりも一層雲が濃くなっていた。 「…不味いわね。本格的に天気崩れそうよ」 「お姉ちゃん、あれじゃないかな?」 つかさが指差した方を見ると、こなた達四人がこちらに向かい歩いてくるのが見えた。 様子がおかしい。歩いてくる四人を見て、かがみはそう思った。 先頭を歩いているのはみなみだが、他の三人を置いていかんとばかりに早足だ。そのみなみにゆたかが何かを言いながら、必死に食らい付いていた。みなみは人前ではあまり感情を表に出さないタイプだが、かがみにはみなみが怒っていることがはっきりと分かった。 その後ろには、しょぼくれたように俯いて歩くみゆきと、心底困り果てた表情のこなたが続いていた。 「お姉ちゃん、なんか変だよ…」 つかさが心配そうに呟きながら、かがみのスキーウェアの袖を引っ張った。四人が近づいてきて、つかさにも様子がおかしい事が分かったようだ。 「うん…なにかあったのかしら?」 かがみは、とりあえず先頭を歩くみなみに話を聞こうと近づいたが、みなみはかがみの方を一瞥すらせずに横を通り抜け、ペンションへと入っていった。 「みなみちゃん!待ってってば!わたし、気にしてないから!みなみちゃんってばー!」 更に息を切らしながら追いついてきたゆたかも、かがみ達の横と通り抜け、みなみを追ってペンションに入っていった。 「…なんなのよ、一体」 かがみは、少し遅れてやってきたこなたに事情を聞くことにした。 「ねえ、みなみちゃんどうしたの?なんか変よ」 「んー…いや、それがね…」 こなたが頭をかきながら語った話によれば、みなみ達を見つけたときにみゆきがスキーでゆたかにぶつかりかけたと言う事だった。 「それで、なんかみなみちゃん怒っちゃって…ゆーちゃんもわたしもなんとかなだめようとしたんだけど、なんか聞き入れてくれてくれなくて…」 「…すいません…わたしのせいで…すいません…」 話しているこなたの後ろで、みゆきはずっとそう呟くように謝っていた。 「みゆきさんもずっと謝ってるのに、みなみちゃんなんであんな意固地になってるんだろう?」 こなたが心底理解できないと言った風に首を捻る。それについてはかがみも同感だった。 いくらゆたかが自分にとって大切な友人であるとはいえ、実際にぶつかった訳ではないし、わざとぶつけようとした訳でもない。みゆきも謝っているし、こなたやゆたかもなだめようとしている。そして、みゆきもまたみなみにとっては大切な人ではなかっただろうか? どうにも腑に落ちない。かがみが考え込んでいると、不意に袖を引っ張られた。 「かがみ、早く中に入らないと…」 こなたの声で我に返ると、顔に冷たい雪と風が叩きつけられた。 「そうね、いきましょ」 かがみはこなたに頷くと、ペンションの入り口に向かった。 夕食を終えたこなた、つかさ、かがみは、ペンションの一階にあるリビングでそれぞれ時間を潰していた。さっきの件があるためか、くつろぐと言うには程遠いものだが。 みゆきは夕食を覆えた後、すぐに自分の部屋に篭ってしまい、みなみにいたっては夕食に顔を出すこともしなかった。ゆたかはつい先ほどみなみの分の夕食を持って、部屋に向かった所だ。 客室はすべて二階にあり、二階へ上がる手段は今こなた達がいる居間から見える階段のみだ。部屋は全部で四部屋。そのうちの三部屋を、こなたとかがみ。つかさとみゆき。ゆたかとみなみの組み合わせで使っている。もう一つは空き部屋だ。 部屋はさほど広くなく、トイレも風呂も無い。それらの施設は全て一階にある共同のものしかなかった。全ての客室に一つづつある窓の外には、ベランダが設置されていたが、このペンション自体がスキーシーズンしか開かないため、外に出る客は滅多になく、こなたがペンションのオーナーに「これ、無駄じゃない?」とか言って、かがみに頭を叩かれたりしていた。 「凄い音だね…」 つかさが隣に座っているこなたにそう呟いた。外は相当な吹雪らしく、風の音がまるで地鳴りのようだった。 「うん…あ、ゆーちゃん。みなみちゃんどうだった?」 つかさの話を聞きながらDSに興じていたこなたが、二階から降りてきたゆたかに気がつき声をかけた。 「…ごめんなさい…なんか、みなみちゃん怖くて、部屋にいてられなくて…」 「謝ることないけど…ゆーちゃんが怖いって、みなみちゃん相当だねー」 こなたがどうしたものかと、腕を組んで考え込む。 「まあ、少し時間おくしかないわね…今晩くらいは、みなみちゃんもみゆきもそっとして置いた方がいいかもね」 夕飯の後からずっと考え込んでいたかがみが、顔を上げてそう言った。 「そうだね…それじゃわたしたち、何処で寝よう?」 つかさがゆたかの方を向いてそう言った。 「オーナーさんに言って、開いてる部屋使わせてもらおうか?みゆきの親戚だって言うし、ソレくらいの融通は効くでしょ」 かがみがそう言った後、大きく溜息をついた。 「…なんでこんなことになっちゃってるのかしらね」 目をつぶって、もう一度溜息をつく。そのかがみの腕を、こなたがつついた。 「ん、なにこなた?」 「いや、全然関係ないんだけどさ。このペンションのちょっと向こうにある建物って、何かなって…」 「本気で関係ないな」 かがみがジト目でこなたを見つめる。 「あ、それわたしも気になってた」 そのこなたの隣で、つかさも手を上げてそう言った。 「あんたら、ホント変なところが似るなあ…あれは、ボイラー施設らしいわよ」 「ボイラー?お湯沸かすの?」 「そ、お湯沸かすだけだから、ボイラーって言うより大型の給湯器って感じらしいけどね。個々のお風呂とか炊事場。あと暖房に使うお湯をあそこで沸かしてるらしいわ。旧型で事故ったりすると危ないから、ペンションを改築した時にちょっと距離を離したらしいわ」 「へー、ここの暖房、お湯なんだ」 「うん。一階の床下と中二階、それに屋根にお湯を通して暖房にしてるらしいわ。屋根のは屋根自体を温めて、雪が積もり過ぎないようにする意味もあるみたい」 「ふーん」 「だけどこの暖房システム、ちょっと欠点があってね、各部屋ごとの温度調整が出来なくて、温度が全部屋一緒になっちゃうらしいの」 「なんか…お姉ちゃん詳しすぎるね」 「うん…」 急に雄弁に語りだしたかがみを、つかさとこなたが引いた位置から眺めていた。 それに気付いたかがみが、視線を逸らして頬を染める。 「…わ、わたしも気になったから、オーナーさんに色々聞いたのよ…悪い?」 「悪くは無いけど、ちょっと可愛い」 「う、うるさいなあ…」 そんな三人をクスクスと笑いながら見ていたゆたかは、少し気が楽になるのを感じていた。 「…あれ…みなみちゃん!?」 そして、二階から降りてくるみなみを見つけ、そちらの方へ駆け寄った。みなみの方でもゆたかに気がつき、ぎこちない笑顔を見せた。 「み、みなみちゃん…あの…その…」 何から話していいか分からずおたおたしているゆたかを、みなみは手で制した。 「…ごめん、ゆたか…少し用事があるから、後で…」 「え?用事?」 「…うん…雪でよく見えなかったけど、ボイラー施設が少しおかしい気がしたの…それで少し見てこようと思って…」 「そうなんだ…で、でもそれってみなみちゃんが行かなくても…オーナーさんに言って見てきてもらおうよ。外、凄い吹雪で危ないよ」 「…大丈夫、こう言う事は初めてじゃないから…それに、あの人と少し離れて頭を冷やしたかったし…」 みなみはゆたかから離れ、オーナーとその奥さんが寝泊りしている部屋へと向かった。 「みなみちゃん…」 その背中を、ゆたかが心配そうに見送る。 「…あの人って、みゆきさんの事だよね」 「うん…これは相当ね…」 いつの間にかゆたかの後ろにいた、こなたとかがみがそう囁き合っていた。 「ねえ…間違ってたらアレだから、言わなかったんだけど…」 さらにその後ろから、つかさが言い難そうにそう声をかけてきた。 「ゆきちゃんとみなみちゃんって、この旅行始まってから一回も会話してないよね…?」 つかさの言葉を受けて、かがみとこなたが顔を見合わせる。 「そういえば…そうよね」 「それじゃ、みゆきさんとみなみちゃんは旅行が始まる前から仲悪くなってたって事?」 かがみがしばらく顎に手を当てて考え込み、そしてゆたかの方を向いた。 「みなみちゃんをこの旅行に誘ったのは、ゆたかちゃんよね?」 「はい、高良先輩からお誘いをいただいた時に、みなみちゃんも誘って欲しいって…」 「それもおかしな話よね…みゆきがみなみちゃんを誘って、そこからゆたかちゃんに…ってのが自然よね」 かがみの隣で同じように考え込んでいたこなたが、「あっ」っと声を上げた。 「もしかしてみゆきさん、仲直りのきっかけにしたくてみなみちゃんを旅行に誘ったのかな?」 「なるほど…で、自分じゃ誘いづらいからゆたかちゃんに頼んだ…」 「そうそう」 「でも、仲直りどころか悪化してるよね…」 ポツリと呟いたつかさに、かがみとこなたのジト目な視線が集まる。 「つかさ、あんた…」 「それはそうなんだけど、言っちゃダメでしょ…」 「…ごめんなさい」 そんな事を話してるうちに、みなみがオーナーの部屋から出てきた。 みなみは雪山登山に使うような、ゴツイ防寒具に身を包んでいた。見た目より動きやすいのか、みなみは普段と変わらない足取りで玄関に向かい、靴を履き始めた。 「みなみちゃん…気をつけてね」 その背中に、ゆたかが声をかける。 みなみは無言で片手を挙げて答え、玄関を開け吹雪の中へと入っていった。 みなみが出てから十分ほどした頃、こなたが不意に天井を見上げて首を傾げた。 「こなた、どうしたの?」 それを見たかがみがそう聞いた。 「うん…なんか変な音聞こえなかった?ドスンって感じの」 それを聞いたかがみもこなたと同じように天井を見上げた。 「わたしは聞こえなかったわね…屋根になにか当たったのかしら?この風だと何が飛んでてもおかしくないし」 「そうだね…でも、そういう飛んでくるのって、窓に当たると危なくない?」 「…そういう対策してないっぽかったけど、大丈夫なのかしらね」 二人はそこで会話を切り、またそれぞれ没頭していたことに戻った。 それから二十分ほど後。 ガシャンっと、今度ははっきりとした音がこなたの耳に飛び込んできた。 思わずこなたはかがみの方を見た。かがみも今のは聞こえていたのか、驚いた顔でこなたの方を見ていた。 「かがみ、今の…」 「ええ、今のはわたしも聞こえたわ」 「え、何?どうしたの?」 つかさには聞こえていなかったらしく、こなたとかがみの顔を交互に見ながらおろおろしていた。 「ガラスの割れる音!二階よ!みんな付いてきて!」 かがみは大声でそう言うと、階段を駆け上がった。 「わたしは自分の部屋を見てくるわ。こなたは空き部屋。つかさとゆたかちゃんも自分の部屋を見てきて」 二階に上がったかがみは、あとからついてきた三人にそう指示を出した。 「わかったよ」 「うん」 「わかりました」 中央の廊下を挟んで、田の字に配置された二階の客室。上がってきた階段から見て、右手の手前がかがみとこなたの部屋。その奥が空き部屋。左手の手前がみゆきとつかさの部屋で、ゆたかとみなみの部屋がその奥だ。 かがみは自分の部屋のドアを開けて中を覗き込んだ。鍵はかかっていない。トイレ等が全て一階にあるため、いちいち開け閉めが面倒だし、自分たち以外に客がいないので、鍵はかけないでおこうと決めていたのだ。 かがみは自分の部屋が無事であることを確認し、外に出ようとした。 「ゆきちゃん!開けて!ゆきちゃんってば!」 不意に聞こえたつかさの叫び声。かがみは部屋を飛び出しつかさの方を見ると、つかさは自分の部屋のドアを叩きながら、みゆきの名を呼んでいた。 「つかさ、どうしたの!?」 「お姉ちゃん!鍵が!鍵がかかってるの!おかしいよ!なんでゆきちゃん鍵を閉めてるの!?」 「つかさどいて!」 騒ぎを聞きつけてきたこなたが、つかさとドアの間に身を滑り込ませ、耳をドアに当てる。そして、弾かれたようにかがみ達の方を向いた。 「風の音!窓割れたのこの部屋だ!」 「つかさ!鍵は!?」 「部屋の中だよ!」 「かがみ!ドア破ろう!」 「待ってこなた!下に行ってマスターキーを…」 「ど、どうしたんだね?この騒ぎは…」 聞こえた声に、かがみ達四人が一斉にそちらを向く。そこにはペンションのオーナーが立っていた。 「オーナーさん!この部屋のマスターキーを持って来てください!」 かがみにそう言われ、オーナーは驚いた顔を見せた。 「マスターキー?どうしてまた」 「この部屋の窓が割れたみたいなんですが、鍵がかかってて入れないんです!中にはみゆきがいてるはずなのに!」 「な…なんだって…」 「早く!」 かがみに急かされ、オーナーは慌てて階段を駆け下りていった。 それを見届けた後、かがみは部屋のドアの方を見た。こなたとつかさがみゆきの名を叫びながらドアを叩いている。ゆたかはどうしていいか分からないようで、泣きそうな顔でこなた達を見ていた。 「…なにが起きたっていうのよ」 かがみの呟きは、誰にも聞こえなかった。 - つづく -
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ずっとかわらないもの 名前:Some Things Never Change 作曲・作詞:クリステン・アンダーソン=ロペス*、ロバート・ロペス* 楽曲:『アナと雪の女王2』(2019年) バリエーション アナと雪の女王2 英語 クリステン・ベル(アナ) イディナ・メンゼル(エルサ) ジョシュ・ギャッド(オラフ) ジョナサン・グロフ(クリストフ) 日本語 神田沙也加(アナ) 松たか子(エルサ) 武内駿輔(オラフ) 原慎一郎(クリストフ) 前作から3年後、変わらない日常を手に入れたアレンデールの面々が、季節の移り変わりを感じながらも変わらないものについて確かめ合う。 歌詞や映像の内容が、物語の伏線となっている。 元々は「ホーム」というアナのソロ曲が使われる予定だったが、アレンデールの平和な日々を冒頭で描くために変更となった。 『アナと雪の女王2 オリジナル・サウンドトラック*』に収録。
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「…おいあんたら、その子をどうする気だ?」 「はいはいこんにちは~! 急にごめんね、僕は橋元 亮、そっちの目つき態度悪いのは巴 静葉。 成見君の知り合いだよ!」 「亮!?それに静葉姉ちゃんも!」 その少年と少女は突然現れた。まるで、…そうだ、幽霊のように。 ――本当に、突然現れたとしか言いようがなかった。 葛城袖子はビクゥと肩を跳ねらせると、咄嗟にフミヤの後ろへと下がった。 フミヤも、これには驚かないわけがなく、半歩後ろに下がる。 「な、なに…?さっきまで、誰もいなかったのに!」 「おっとっと。…もしかして、今日はツイてる日かナ?」 「さっさと答えてもらおうか。この子をどうするつもりだった?」 やや威圧感を与える瞳で袖子とフミヤに近付く、少女――巴 静葉 それを、わぁわぁと声を上げながら少年――橋元 亮 が止める。 「まぁまぁ、静葉。もーちょっと柔らかーくいこうよ、ね?」 「うるさい。黙ってろ。」 すっぱりと亮の言葉を切り捨てる。 静葉は目線を逸らさず、じっとフミヤの方を睨みつけていた。 こわいこわい、と独り言のように呟きながらフミヤが話し始めた。 「ごめんね、誘拐とかしてたわけじゃないんだよ。」 「………」 「…ご、ごめんなさい。こいつ、見た目は怪しいけど、本当のこと言ってるんだ。」 静葉はそれでもなお二人を睨みつけていたが、ちらりと成見を見ると。 「…本当か?成見」 「――まぁ。変なことはされてないよ。…最初は不審者かと思ったけど。多分、悪い人じゃないと、思う。」 二人はこんな自分の容姿を気味悪く思うことなく受け入れてくれた。 そんな二人を悪く言うのは、少々、気が引けるというものだ。 「…ねぇ、袖子ちゃん?」 「何。ちゃん付けだなんて気持ち悪いな」 「どーしておれの服をそんなに力いっぱいひっぱっているのかナ…?」 「…あんたが変な行動起こさないためにだよバカ」 フミヤの言う通り、袖子はフミヤの服を掴みながら、彼を決して動かすまいと、力いっぱい踏ん張っていた。 と、いうのも、突如現れた二人に向かってフミヤが飛び掛らんばかりに ―――ねぇねぇ能力者ーー!? と近付いていくのが眼に見えたからである。これ以上の面倒事は避けたかった。 だが、そんな彼女の頑張りも空しく―― 「ねぇ、二人ともさっきいきなり幽霊みたいに現れたように見えたけど…。 それは、チョーノーリョクとかそういう類…?ねぇねえ!」 フミヤは、薄汚れた緑色の手帳とペンを持ちながら眼を輝かせ鼻息を荒くしていた。 「………」 「……静葉、この人、気持ち悪いね」 「…あぁ」 「ごめんなさい、ほんと、悪い人じゃない、んだ…」 他人のフリをしたい…! 心の底からそう思った袖子であった。 「って今はそれどころじゃないんだった」 ぱっと表情が変わるフミヤ。 「ねぇ、静葉ちゃんに亮くんだっけ?二人とも、『色のない森』って聞いたことあるかい?」 「『色のない森』…だと?」 「そ。その名の通り森には色がなくてね。鳥の鳴き声も、風の通り抜ける音も聞こえないらしい。」 「…それが、なんだ?」 「それをね、今から見に行こうと思っているんだけれど…。良かったら、君たちも一緒にどう?」 細められた琥珀色の瞳が、鈍く光を放った。 とまらない好奇心。
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通常技 A 連続キャンセルが8回から3回に変更 2A 連打キャンセルが8回から2回に変更 補正もきつくなった 6A 判定が横に広く(? B 発生鈍化、8F程度に 攻撃レベルが下がった様子、CH時のダッシュB、6C等が繋がらなくなった C 攻撃判定の下部分が薄くなった 攻撃レベルも低下、DEが繋がらないため恐らく攻撃レベル2 最大溜めでGPを1削る 2C FC発動技、BとCが劣化したため今作では唯一CHから6Cへ繋がる 最大溜めでGPを1削る 6C 最大溜めでGPを1削る 3C リーチが伸びて最終段まで繋がりやすくなった 3段目がだましんぐエッジ!でキャンセル可能に JA 連打キャンセルが3回までに変更 JB 発生が早くなりめくりやすくなった JC 発生微鈍化、攻撃判定の下部分が薄くなった 最大溜めでGPを1削る 必殺技 ネコ魂ツー! 全体的に一新された技 横方向へ攻撃する技になり受身不能時間が短くなったのでダウンは取れなくなった 代わりに5段目のヒットストップとダメージが増加、更に壁バウンド効果 今作のコンボの必須パーツになった 相変わらず着地硬直はあるので気をつけよう ネコ魂ワン! 連打時の速度が若干高速化? 先端に当たり判定がなくなった模様 ネコ魂スリー! 発生高速化 ねこっとび! 着地硬直減少 各必殺ネコ魔球! 全体的に発生高速化、硬直減少 A魔球のチビカカ、B魔球のハンマーがGP削り技に ギッザギザ! 16段目がGPを1削る 実際そこまでガードさせるのは難しいので 削り目的で出すという手もある ディストーションドライブ ヘキサエッジ 最終段がGPを2削る ほぼ2匹になる! 発動中は相手のGPを削れなくなる アストラルヒート あたっくにゃんばーわん CT家庭用からの追加、4タメ128+D 一応暗転から着地まで無敵、4投げ、6Cから繋がる ダンシングエッジ 各種当て派生 ヒット時の派生入力猶予が若干延長(前回3Fだったので4F?) D 攻撃判定が横に広くなった また、CH時の硬直増加により追撃が容易になったため DEA派生の牽制が魅力的なものになった 4D 4or6入力である程度軌道を操作できるようになった JD しゃがみヒット時は立ちCから繋がり B派生でさらに立ちBなどで追撃できる これによって6BからJDB派生等で追撃できるようになった C派生 飛び上がる高度が低くなり追撃しやすくなった その他の変更点 体力 10500から9500へ減少 投げ間合い 激減、通常の投げ間合いはおそらく全キャラ中最短(?)、Cからの移動投げはまだ残っている様子。 挑発の乗算補正 CSでは100%を超える補正がかかる技はコンボ中で1回しか補正がかからないようになった そのため1コンボで2回目以降の挑発の乗算補正は100%以下(アルカディアでは悪影響が出ない、とあるためおそらく100%)となっている
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終わらない夢(後編)◆EHGCl/.tFA バラライカは森の中を走っていた。 足音を立てぬよう慎重に、だが全力で、木々の間を駆け抜ける。 時折立ち止まり、掌に乗った漆黒の箱に目を移すバラライカ。 標的は動いていない。 箱に映る光点を確認すると、再び音もなく駆け始める。 ルフィとの戦闘によるダメージは抜け始めていた。 まだ背中や両腕に鈍い痛みを感じるが、こうして走る分には問題ない。 (予想以上に上手くいくものだな……) バラライカは心の中でその獰猛な、獣を思わせる笑みを浮かべる。 全てが計画通りという訳ではなかったが、イレギュラーが起きればそれを補うように幸運も転がり込んできた。 あまりの幸運に、自分自身が恐ろしくなる。 バラライカは再び立ち止まり、漆黒の箱を取り出す。光点は動いていない。 木の間から首を出す。 僅か五メートル程の距離に標的は座り込んでいた。 バラライカに背中を向け、もはや物を言わぬ肉塊と化した少女を前に俯いている。 此方に気付く様子はない。 バラライカは木の陰に身体を隠し、サバイバルナイフを取り出した。 (二歩……いや三歩あれば届くか……) ゴム人間といえど斬撃は防ぎきれない筈。 気配を殺しつつ近付き、その隙だらけの後頭部に振り下ろす。 それだけであの化け物を仕留めることが出来る。 容易な任務だ。 嘲りの微笑みと共にバラライカは集中力を高める。 息を吸い、吐き出す。 息を吸い、吐き出す。 息を吸い、吐き出し―――そして駆け出す。 一直線に、その赤いシャツを目掛け、疾走する。 手の中のナイフが月明かりを反射し、闇に光る。 ほんの僅か開いていた距離は直ぐさま狭まり、そして――――ナイフを通して肉を斬り裂く感触がバラライカへと伝わった。 真紅の血が周囲に飛び散り、地面を染めた。 ● バラライカの計画――その達成目的はルフィとエルルゥ、可能ならばラッドの殺害。 だが計画と言ってもそう複雑な物ではない。むしろ手段としては比較的単純。 策略と呼ぶ程のものでもなかった。 ―――その手段とは不意打ち。 相手が自分から関心を無くした瞬間を見透かし、銃もしくはナイフにより攻撃で仕留める、と言ったもの。 バラライカがこの策を考え付いたのはルフィの初撃――ゴムゴムの銃を回避した時である。 バラライカは、あの一撃でルフィと自身の実力差を理解した。 圧倒的な速度と破壊力、そして銃撃や打撃を無効果するゴムの身体。 真っ正面からこの化け物を殺害することはできない。 少なくとも今の武装では不可能。 幾多もの死線を潜り抜けてきたバラライカだからこそ分かってしまう、その実力差。 あの一瞬、バラライカは冷静に、そして客観的に自身の勝機の希薄さを受け入れた。 そして考える―――この化け物の「殺害方法」を。 別段、バラライカはルフィの殺害を諦めた訳ではない。 ただその実力差を認識しただけ。 そしてその認識こそが勝利の道を切り開くことを、様々な戦線を通しバラライカは知っていた。 考える。どうすればあの男を殺せるか。 純粋な戦闘では勝ち目は希薄。ならば策を労するしかない。 言動や行動を見るに、幸い奴の性格は単純。 罠や騙し討ちが効果的だろう。 そしてあの段階で実現可能な「騙し」――――それは、「死んだ振り」。 わざと倒れ、恐らく立ち上がってくるであろう不死者とルフィが戦闘している隙を付く―――それがバラライカの行き着いた作戦。 だから、バラライカは、あの時「ゴムゴムの鎌」を避けなかった。 ギリギリではあるが回避できた筈のラリアットにわざと当たり、戦闘不能に陥った振りをした。 ただ誤算だったのはルフィの攻撃力。 不死者が吹き飛ぶ光景によりある程度の予測は立てていたが、その攻撃力はバラライカの想像の遥か上を行っていた。 そして演技ではなく本当に戦闘不能に陥ってしまった。 まぁ、だがそれでもまだ計画の範疇。むしろ演技をせずに済む分、楽と言えば楽。 後は不死者とルフィが戦い始めるまでごゆるりと待機し、身体が動くようになれば隙を突き殺害すれば良い。 ルフィがトドメを刺してくる可能性も皆無ではなかったが、それまでの雰囲気を見る限り、それは低い。 そう考え地面に倒れ伏していたバラライカだが、ここでまた一つ誤算が、イレギュラーが発生する。 ルフィとぶつけ合う筈だったラッドが武器を手にしていたのだ。 それもバズーカという強力な武器を。 これにはバラライカも肝を冷やした。 身体は動かず、回避はできない。 絶体絶命と言っても過言ではない状況。 ラッドがルフィを狙ったことが幸運か。 爆風に空を舞い、爆炎に身体を炙られながらも何とか生き延びた。 だが同時にそれは、ルフィも見失う結果をもたらし、バラライカの計画の破綻を意味した。 周りは暗闇に包まれ、視界状況は不良。 とてもじゃないが捜索は出来ない。 それ以前にラッドから逃げた事により不意打ちをするなど、叶わぬ夢でしかなくなっていた。 さしものバラライカもルフィ達の殺害を諦めかけた。 ―――しかし此処でバラライカに二つの幸運が舞い降りる。 一つ目の幸運はあるアイテムを拾ったこと。 手のひらサイズの黒色の直方体。 中心には半球状の何がが埋め込まれているソレ―――エルルゥが装備していた筈の探査機がバラライカの直ぐ側に落ちていたのだ。 恐らくはあのゴタゴタの中エルルゥが落としてしまったのだろう探知機は、何の因果かバラライカの手へと渡ってしまった。 これがバラライカにとって一つ目の幸運。 数分間身体を休ませ、バラライカは再び行動を開始した。 ダメージを引きずりながらも、探知機を頼りに森林を進む。 数分に及ぶ歩行―――バラライカは遂に二人を発見する。 バラライカはただ一番近くにある参加者の元に進んだだけ。 ルフィ達を発見できたのは完全な偶然でしかない―――これが二つ目の幸運。 一本の木を背に笑い合っている、あまりに隙だらけな二人組。 バラライカは迷うことなく銃を取り出し、狙いを定め、指をほんの少し動かす。 放たれた弾丸はバラライカの狙い通りに、心優しき少女の胸部へと命中。 一人の少女を死に至らしめた。 ―――しかし、バラライカはまだ止まらない。 仲間の死に茫然自失としている少年を仕留める為に、動き始める。 居場所を特定されないようにルフィを中心に円を描くように走り、攻撃に最適な位置まで接近。 そして、サバイバルナイフを振り下ろした。 ルフィ達は何処までも不運だった。 バラライカは何処までも幸運だった。 ただそれだけ。 「運」という、ただそれだけの些細な事が命運を分ける。 そう、バラライカは幸運だった。 ―――この一瞬まで。 「なに……?」 その声の主はバラライカ。 サバイバルナイフを突き立てた姿勢のまま驚愕の声を上げた。 ナイフは確かに肉を斬り裂き、血を滴らせている。 ならば何故バラライカが動揺をしているのか? その全てはルフィの行動が物語っていた。 「貴様……!」 それは右手。 サバイバルナイフはルフィの後頭部に突き刺さる寸前、ルフィの右手により進行を阻止されていた。 肉を斬り裂いた感触はその右手のもの。 滴り落ちる血もその右手のもの。 押しても、引いても、ナイフはボルトで固定されたかのように動かない。 人間離れした握力がその動きを封じ込め、そして―― 「馬鹿な……」 ――鉄製のナイフを握り砕いた。 サバイバルナイフが、まるでクッキーのように易々と砕け散ったのだ。 自身の目の前で繰り広げられた有り得ない現象に、バラライカは無意識の内に後退し、そして走り出す。 それは恐怖からではない。 想像を越えたルフィの実力に、一厘の勝機も見いだせなかったからだ。 ただ全力で闇の中を走り、森林へと隠れ込む。 ルフィから逃亡を果たすべく、バラライカは森林を突き進む。 「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)!!!」 ―――瞬間、轟音が後方から噴出した。 何かを砕くような喧しい音が連続で何度も何度も繰り返し、聞こえる。 同時にバラライカの脳内で鳴り響く警報。 バラライカは自身の勘に従い、その場に伏せた。 一瞬後、頭上を通り過ぎるは暴風の如き拳の連打。 その拳群は森林という空間を形成するに必要不可欠な木々を根こそぎ吹き飛ばし、またへし折っていく。 バラライカに出来るのは暴風の終わりを待つことだけ。 シャワーのように降り注ぐ木々の破片に埋もれていく。 「―――と」 不意に暴雨と轟音は止んだ。 代わりに聞こえたのは一文字の言葉。 バラライカは顔を上げる。 「戦斧(おの)ぉぉぉ!!!」 そこには麦藁帽子の少年が居た。 片足を天空に伸ばし、怒りの表情でこちらを睨む少年が。 脳内の警報が先程以上にけたたましく鳴り響く。 バラライカは横に転がり、立ち上がった。 一秒と間を置かず、先程まで自分が寝転がっていた地面に、神速のかかと落としが突き刺さる。 地面がガラス窓のようにひび割れた。 「―――と」 また声がした。 それと共に視界が暗転、奇妙な浮遊感が身体を包む。 腹に灼熱が走っていた。 「バズゥーーーーーカァァァァァァ!!!!」 後から発せられた咆哮は最早、バラライカに届いていなかった。 ゴムの特性を存分に生かした一撃に巨大マフィア女幹部は意識を彼方へと手離した。 ○ 「エルルゥ……」 それから数分後、ルフィは一人森の中に立っていた。 ルフィの眼前には少し盛り上がった土の山。中央には一本の金属バットが刺さっている。 その中には一人の少女が眠っている。 二度と目を覚まさない少女が。 「ハクオロ、アルルゥ、トウカ、カルラ、ベナウィ……だな」 ルフィの手には青と白を貴重にした輪っか状の布が握られている。 ある少女が首に纏っていた首飾りだ。 それをルフィは大事そうに折り畳みポケットへ入れる。 「絶対に連れてきてやる……皆揃えてエルルゥの前に連れてきてやるから……」 その言葉を最期にルフィは歩き始めた。 彼女のデイバックとその中身は全て墓前に置いてあった。 それは彼なりの弔いの現れか。 海賊が独り、森を歩く―――。 【E-2:一日目、黎明】 【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】 [状態]:右手のひらに切り傷 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの [思考・状況] 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く 2:ギラーミンブッ飛ばす! 3:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす! 4:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ! 【備考】 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。 ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、 庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています。 ○ ルフィが居た場所から少し離れた森林にその男は立っていた。 肩には男の背丈を越える大型のバズーカ。 相当な重量であろうそれを事も無げに持ち上げながら、ラッドはグルリと辺りを見回す。 そこは惨状と呼ぶに相応しい景色が広がっていた。 折れ、砕け、引き抜かれ、その一帯だけ全ての木々が倒れている。 何かが起こったことは一目瞭然。 ラッドはその光景を見て、溜め息を吐く。 「はぁ……コレやった奴はこう思ってんだろうなぁ。俺はこんなに強い、こんな殺し合いで死ぬ訳がない!って……あぁ殺してやりてぇなぁ……」 気に食わない三人をバズーカで消し飛ばした後、ラッドは異常な音を聞いた。 物凄い力で何かを打ち付けるような、あまりに暴力的な音。 当然、ラッドはその音に釣られて足を運ぶ。 そして見つけたこの光景。 ラッドは死体やらデイバックやら利用できる物がないか辺りを探索したが、収穫はゼロ。 時間を浪費しただけであった。 「ま、いっか。アホみたいなトンデモ武器も手に入れたし、早くやることやんなくちゃあな」 ラッドが手に入れたバズーカ。 それは、空に浮かぶ島にてゲリラとして戦っていた青年が愛用していた物。 砲身の中にある貝(ダイヤル)を入れ替えれば、大樹すら貫通する柱状の炎を放出するバズーカにもなる。 共に入っていた説明書により、ラッドは既にその利用方法を把握していた。 「サラっと皆殺しにして、サラっとギラーミンを殺して、ルーアの敵を討つ…………いや、ギラーミンはサラっと殺したら駄目か。苦しめて、苦しめて、苦しめ て、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、苦しめて、殺してやんなきゃな」 男はそれきりその場を後にする。 漸く登ってきた太陽を反射し、バズーカ砲が煌めいた。 【D-2/森林/深夜】 【ラッド・ルッソ@BACCANO!】 [状態]:健康、不死者化 [装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝@ワンピース [道具]:基本支給品一式 [思考・状況] 1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。 2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。 ※麦わらの男、獣耳の少女、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。 ※自分が不死者化していることに気づいていません。 ○ ルフィから少し離れた位置にいるラッドよりも更に数km離れた地点。 C―4に位置する駅の正面に、一人の男が風を巻き上げながら現れた。 「2分18秒……また世界を縮めてしまった」 男は自身の成した偉業に、笑みを浮かべている。 まぁ偉業といっても彼の中だけの話だが。 「さーてと、何処か開いてる部屋はないか……と、此処がいいな」 クーガーは軽やかな足取りで駅内を進み、ある一つの部屋―――事務室へと入っていく。 彼の予想通り中は無人。 クーガーは部屋の隅に置いてあるソファへと近付き、背負っていた女性を寝かせた。 彼も一つ短い息を吐き、側にあった椅子へと腰を下ろす。 不快な鈍い音が静寂の事務室に響いた。 (それにしても酷いもんだ。これ程の美女を殴り飛ばすとはな……) クーガーの脳裏によぎるは先程見たある光景。 その光景の中では、麦藁帽子の少年が眼前の女性に向け熾烈な攻撃を浴びせていた。 ゴムのように伸びた足を振り下ろし、これまたゴムのように伸びた両腕を叩き付ける。 その威力はクーガーからしても凄まじい物。 女性は抵抗する暇もなく吹き飛ばされていく。 それに追い付き、追い越し、キャッチする自分。 その場は女性の身を案じ撤退した。 (勿体無いことをするもんだぜ。レディの扱い方が分かっちゃいねぇ) きっかけはラッドが放った砲弾による爆音。 それにクーガーは引き寄せられ、そしてその途中でルフィが森を破壊する音を聞いた。 直ぐさま現場に直行したクーガー。 そして前述の光景を見た。 (……さっきのモヒカン男と言い麦藁帽子と言い、どーして殺し合いに乗るのかねぇ、全く) クーガーはソファに眠る女性へ視線を送る。 顔には痛ましい火傷痕。 だがその火傷痕もまた妖艶に感じさせる程、女は美しく見える。 何時しか女に見取れていたクーガーであったが、不意に顔を上げ、何を思ったかデイバックの中からペンと二枚の紙――ヴァッシュの手配書を取り出した。 「『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』と……んー、我ながら良いアイディアだ」 記した文字を口に出して読むと満足そうに微笑みクーガーは、その紙をデイバックへと入れ直す。 「さて彼女が目覚めるまで、食事としますか!」 世界一恐ろしい眠り姫を前に、最速の男は晩餐会を開始した。 あと少し速さが足りていれば、眼前の女性がルフィに襲い掛かっている光景を見ていれば、最速の男は勘違いなどせずに済んだかもしれない。 だが結果的に男は気付かなかった。 気付かずに勘違いという名の道すらも最速で突っ走る。 だが残念なことに、その道にゴールはない。何処までも何処までも最速の男は突っ走る。 【C-4/駅・事務室内/黎明】 【ストレイト・クーガー@スクライド】 [状態]:健康 、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み) [装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス [道具]:支給品一式 不明支給品(0~1) ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚 [思考・状況] 0:女が目覚めるまで休憩 1:ジラーミンに逆らい、倒す 2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュ、ルフィには注意する 3:カズマ、劉鳳、橘あすかとの合流。弱者の保護。 4:ヴァッシュの手配書を何処かに貼り付け、もう一枚は自分で持っておく。 【備考】 ※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。 ※ジラーミンとは、ギラーミンの事です ※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚に『モヒカン男と麦藁帽子の男に気を付けろ byストレイト・クーガー』とメモ書きされています。 【バラライカ@BLACK LAGOON】 [状態]:気絶、腹部に重度のダメージ、身体全体に火傷(小)、頬に二つの傷 [装備]:AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、AMTオートマグ(0/7、予備弾×28) [道具]:支給品一式×3、デザートイーグル(0/8、予備弾×32)、不死の酒(空瓶) 、探知機 のび太の不明支給品(1-3)、 [思考・状況] 1:戦争(バトルロワイアル)を生き抜き、勝利する。 ※のび太から、ギラーミンのことや未来のこと、ドラえもんについてなどを聞き出しました。 ※のび太の不明支給品の中には武器、秘密道具に属するものはありません。 【エルルゥ@うたわれるもの 死亡確認】 時系列順で読む Back 終わらない夢(前編) Next ネズミの国 投下順で読む Back 終わらない夢(前編) Next ネズミの国 Back Next 終わらない夢(前編) バラライカ 炸裂―エクスプロード― 終わらない夢(前編) ラッド・ルッソ Ignited 終わらない夢(前編) ストレイト・クーガー 炸裂―エクスプロード― 終わらない夢(前編) モンキー・D・ルフィ 想いは簡単に届かない 終わらない夢(前編) エルルゥ 死亡
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21 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 13 11 ID W56qDLe3 須藤幹也は狂気倶楽部の一員である。 しかし、彼は狂気倶楽部には一体何人いるのか、そもそも倶楽部が何をするところなのか。 そんなことすら知らない。知ろうとも思わなかった。 彼にとって狂気倶楽部は暇つぶしでしかなかった。 無論、長い長い人生が終わるまでの暇つぶしである。 「雨に――唄えば――」 古い歌を歌いながら幹也は階段を降りる。街の片隅、路地にひっそりと立つ喫茶店「グリム」の地下へ。 グリムの地下は基本的に開放されているが、誰もそこに行こうともしない。 そもそもグリムはごくきわまった趣味を持った少年少女しか集まらず、その地下にある「書架」ともなると 狂気倶楽部の面々しか立ち入らないのだった。 「雨に――唄えば――」 同じフレーズを延延と唄いながら幹也は降りる。古い板の階段が、一歩足を下ろすたびにかつんと鳴る。 地下へと降りる階段は、きっちり13段だ。 毎回幹也は数えながら降り、そのたびに幹也は一度としてみたことのないマスターのことを思う。 彼は――あるいは彼女は――一体何を考えてこんな店を作ったのだろう? 病んだ少年少女、ゴスロリ少女や歪んだ少年ばかりが集う喫茶店を。 考えても仕方のないことだ、と幹也は割り切る。特定の何かに、彼はこだわりをもたない。 だまって、十三段の階段を折り終え、 「あ。お兄ちゃんだ――っ!」 地下に辿りついた幹也に、聞き慣れた、舌足らずの声が届いた。 人に甘えるような、生まれたばかりの子猫のような声。 幹也はあえて声にこたえず、奥へと進み、一番奥の椅子に座ってから声の主を見た。 22 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 25 14 ID W56qDLe3 声の主は、声の通りに少女だった。十と七を迎えたばかりの幹也よりも、ずっと年下に見える、幼い声と同様に幼い容姿。 長い栗色の髪は膨らみ、彼女が動くたびにふわりと揺れた。 裾にフリルのついた白いワンピースを着て、靴下も靴も何も履かずに裸足だった。 栄養が足りず、細くなった手と足がむきだしになって見える。 両の手首には、プレゼント用の包帯が巻かれている。 幹也は知っている。その下に、醜い傷跡が残されていることを。 椅子の隣、本棚から適当に本を選びつつ答える。 「ヤマネ。僕は君の兄じゃないと、何度言えばいいんだ?」 「えぇ――? で、でもぉ、」 ヤマネと呼ばれた少女は首をかしげ、戸惑うように言葉を切った。 幹也は構わず本を抜き出す。背にはこう書かれている。 ――『黄金に沈むお茶会』。 かつて狂気倶楽部にいた人間が書いた本の一冊である。 「お兄ちゃんはー、兄ちゃんだよね?」 「お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど僕は君のお兄ちゃんじゃないからお兄ちゃんじゃないんだよ」 「でもお兄ちゃんはヤマネのお兄ちゃんよね?」 「あーもうそれでいいから静かにしてろよ」 呆れたように幹也が言うと、ヤマネは満面の笑みを浮かべた。大きな瞳がにっこりと閉じられる。 幹也の『それでいい』だけに反応したのだろう。 ゆったりとした安楽椅子に座り、本を広げる幹也。 その幹也へと、裸足のままヤマネは近寄り、 「えへっ」 頬に手を当てて笑ってから、ごそごそと、幹也の膝の上に上りこんだ。 小柄な身体がすっぽりと幹也の胸に収まる。椅子の上でだっこをするのは、なれないと難しい。 そして、幹也はもうそれに慣れていた。 制服のすぐ向こうに、ヤマネの体温を感じた。 23 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 34 30 ID W56qDLe3 細い足が、安楽椅子の下を蹴るようにぶらぶらと揺れる。 そのたびにヤマネの小さな身体が揺れ、幹也の身体に振動を伝えた。 すぐ真下にある髪から、シャンプーと、少女の臭いが混ざった、甘くただれた香りがした。 「お兄ちゃんっ、今日は何のご本?」 「『黄金に沈むお茶会』。いつもの変なご本だよ。『ご』をつけるほど大層なものじゃないけどね」 「読んで読んで読んでっ!」 膝の上でばたばたと手を動かしながら嬉しそうにヤマネが言う。声は大きく、普通の喫茶店なら叱られるだろう。 が、そう広くもない、椅子が12個と長い机が一個だけ置かれ、壁は全て本棚で埋め尽くされた図書室に人はいない。 いつもの面子はおらず、今は、ヤマネと幹也しかいなかった。 本を遮るように動く細く白い腕と、その手に巻かれた紅いリボンを見ながら、幹也は言う。 「読んでやるから、手は動かさないでくれ。読めない」 「はーい!」 がっくんがっくんと頷き、ヤマネは手をばんざいし、幹也の首に絡めた。 そのままくるりと半身をひねり、猫のように全身で幹也に抱きつく。 とても、三つ下の少女とは思えなかったが、幹也は特に気にしない。これも『いつも』だ。 首筋に触れる髪を感じながら、幹也は表紙をめくった。 声に出して、幹也は読み始める。 最初のページには、たった一行だけ、こう書かれていた。 『むかしむかし。でも、むかしっていつだろう? 少なくとも、明日よりは近いのよね 』 24 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 40 19 ID W56qDLe3 『 むかしむかし。でも、むかしっていつだろう? 少なくとも、明日よりは近いのよね。 明日は永遠に来ないけど、少なくともむかしは記憶にはあるもの。 あら、でもそうね。永遠に手が届かないという意味では同じかしら。 わからないわね。 でもきっと、この本を誰かが読むときは、私は「むかし」になってるのよ。 できれば、そのときに私が生きていないことを祈るわ。だってそうでしょう? 無事に死ねたのなら、それが一番の幸せですもの! それで、むかし。手が届かない昔ね。 一人の女の子と、独りの女の子がいたの。 二人の女の子は決して出会うことはなかったわ。だって、お茶会には椅子が一つしかあいてなかったから。 一人の女の子は、お茶会で、楽しくお喋り。 独りの女の子は、お茶会で、独り寂しくお茶を飲む。 そのうちに、独りの女の子は考えたの。 一人の女の子がいなくなれば、自分は一人になれるんじゃないかって。 というわけで、思い立ったら吉日よね。独りの女の子は、紅茶のポットに毒を入れたわ。 黄金色に輝く毒を。とってもおいしそうな毒を。 次の日のお茶会で、一人の女の子は、そのおいしそうな毒を飲んだわ。 でも残念なことに、お茶会のメンバーは、あんまりにもおいしそうだったから、その毒を全員飲んじゃったの。 そうして、独りの女の子は、一人の女の子になれたけど。 やっぱり、お茶会では、独りだったの。 独りきりでお茶会をしている女の子は、ある日、一つ残ったティーカップに、黄金色のお茶が残ってるのに気づいたの。 それが何か独りの女の子は知っていたけど、あんまりにもおいしそうだから。 独りの女の子は、それを飲んじゃったの。 それで、おしまぁい。お茶会には誰もいなくなっちゃった 』 25 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 53 37 ID W56qDLe3 短いその本を読み終えて、幹也は小さくため息を吐いた。 何のことが書かれているのか、まったく分からなかった。 分からなかったが、少なくとも、暇は潰せた。 あとは、そのわからないことを考えて暇を潰せばいい。全てはその繰り返しだった。 「お見事、お見事、大見事。さすが朗読が上手いわね、三月ウサギ」 ぱん、ぱん、ぱん、と。 なげやりな拍手の音と共に、少女の声がした。 ヤマネの声ではない。ヤマネよりも冷たい感じのする、鋭い声だ。 拍手と声のする方向を幹也は見る。 13階段の傍。本棚に背をもたれて、長く艶のある黒髪の少女が立っていた。 少女は男物のタキシードを着て、小さなシルクハットをかぶり、おまけに黒い杖まで持っていた。 彼女もまた、狂気倶楽部の一員であり、幹也――今この場では三月ウサギだが――とヤマネの知り合いだった。 「……マッド・ハンター。着てるのならば声をかかえればいいのに」 「あら、あら、あら。ごめんあそばせ。あんまりにも仲がいいから邪魔をするのも悪くてね」 つ、と紅色がひかれた爪先で、マッド・ハンターは幹也を指差す。 そこには、幹也に抱きつくようにして甘えるヤマネがいる。朗読中はずっとこうだった。 幹也は小さくため息を吐き、 「言っとくけどね、僕は発情期じゃないよ」 「あら、あら、あら。でも、発狂期なのでしょう?」 「……ハ」 「あら、あら、あら。違ったかしら? そうね、違うわ。永遠の発狂を『期』とは言わないもの」 「君に言われたくはないな、イカレ帽子屋め。何人の帽子を集めりゃ気がすむんだ」 「それは、それはもう!」 マッド・ハンターは言いながらくるりと回り、ステップを踏みながら、かろやかに椅子の背を引いてそこに座った。 幹也とは対角線上。長机の一番端に。 座り、足を組み、肩に杖を乗せてからマッド・ハンターは答えた。 「全て、全て、全ての帽子を集めるまで、ですよ!」 「その前に君が死ぬのが先だと思うがね」 「あら、あら、あら! そしたら私の帽子が手に入るわけね。すばらしいわ」 言って、マッド・ハンターはくすくす笑った。 処置なし、と心の中で呟き、幹也は手持ち無沙汰になった手をヤマネの髪に伸ばす。 栗色の毛を、手ですきながら、幹也は言った。 「ヤマネ。今日はお前一人か?」 「うん? うぅん?」 「どっちだよ」 「えっとねぇ。お兄ちゃんがいる」 「……。他には?」 「お兄ちゃんがいれば、それでいいよっ!」 マッド・ハンターと幹也は同時にため息を吐いた。聞くだけ無駄、というやつである。 仕方なしに、幹也はマッド・ハンターに尋ねる。 「『眼球抉りの灰かぶり』はどうした? あいつ暇なんじゃなかったのか」 「あの子は、あの子の、あの子なら最近新しい子に熱中中中中よ」 「繰り返しはいいよ――ああ、じゃあ今日は狂気倶楽部というより、『お茶会』だな」 「うふ、うふふ、ううふふ。ヤマネにマッド・ハンターに三月ウサギ。穴から転げる子は来るかしら?」 「『裁罪のアリス』は無理だろ。あいつがいちばん忙しいだろ」 幹也はいいながら立ち上がる。誰もこないのなら、自分がやるしかない。 26 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/05/30(火) 00 59 51 ID W56qDLe3 椅子から立ち上がり、幹也は上へと向かった。飲み物を取りにいくためだ。 マスターの存在しないこの店では、自分たちでやるしかない。 「わ、わ、にゃ! お兄ちゃん落ちるっ!」 「落ちたくないならつかまってろよ。それが嫌なら落ちろ」 幹也の言葉に、ヤマネはさらに手に力を込め、両足を腰に回し、全身で幹也にしがみついた。 意地でも歩く気が存在しない。 軽いので問題はなかった。幹也はヤマネを抱えたまま階段まで行き、 「紅茶、紅茶、紅茶をお願いね」 後ろから聞こえる声に、手をひらひらと振って答えた。 十三の階段を着合いで昇り、喫茶店『グリム』のカウンターへと真っ直ぐに進む。 中で優雅に茶を飲んでいるゴスロリ少女たちが不審げな――あるいは羨ましげな――瞳で見てくるが、全部無視した。 狂気倶楽部とは、格好から入る少女にとって、敬愛と侮蔑と尊敬と憎悪の対象でもある。 「他人と違う」ということに憧れる少女は狂気倶楽部に入ろうとし。 「誰とも違う」ということに気づいて、狂気倶楽部を怖れ憎むのだ。 その視線を全て幹也は無視する。ヤマネはそもそもまったく他を見らず、ただ幹也に甘えるだけだ。 手早く、適当に紅茶とコーヒーとホットミルクを用意して、盆につぎ、零さないように地下へと戻る。 地下の図書室では、マッド・ハンターが本を読みながら待っていた。 「おお、おお、おお! お疲れさまだね、三月ウサギ」 「そう思うなら少しは手伝ってくれ――はい、紅茶」 「どうも、どうも、どうもありがとう」 お礼を言うマッド・ハンターの前に紅茶を置き、残る二つを手に幹也は下の椅子へと戻った。 ヤマネは、今度は、背を幹也にもたれて座った。 三人は手に飲み物を取り、掲げ、声を揃えていった。 「――『狂気倶楽部に乾杯』」 (続)
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このページはこちらに移転しました 春なんていらない 作詞/374スレ98 必要なものより 不要な物の方が多い Oh 携帯なんて ただのゲーム機 必要なものより 不要な物の方が多い Ah 休み時間 ただの苦痛の時 憂鬱な「春」にさえ 競い合う三つの仲間が居るのに 僕には パソコンしかないなんて Lalala.....春は来ない Lululu.....キツネも来ない
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ここ数年、TV番組において絶対音感が取り上げられるようになり、絶対音感を持つ人は我々凡人には理解できない悩みがあるとされ、絶対音感に対して様々なくだらなーい幻想が生まれました。 何がくだらないか 1.言ったもの勝ち 2.演奏には関係ない 3.言うほど希有な能力でもない 1、言ったもの勝ち くだらないと言いつつ僕は絶対音感の持ち主です。覚えている曲はすぐに弾けますし、知らない曲も3回聞けばだいたい覚えます。 …嘘です。これらは絶対音感関係ありません。耳コピが早いのは練習のたまものですし、メロディ?を覚えていればコード?をつけることは簡単にできます。信じた方はごめんなさい。しかし、これは絶対音感がもつ幻想の側面でもあります。 例えば、自称絶対音感の人がいきなりならされたクラクションに対して「A」だと言ったところでいちいちそれを確認するような性格の悪い人はそういません。 また、ブログなどで「私は絶対音感がある」と言ったところで読み手にはそれの真偽を確かめる術はありません。 早い話しが言った者勝ちでしかないわけです。殆どの場合絶対音感の持ち主であることを自分から言う人は、どこかで自分は特別な人間だと思いこみたいだけです。 2、演奏には関係ない 「俺、絶対音感持ってるからハモリ?苦手でさぁ~」 …いや、それコード感?無いだけやから。 # 歌が下手なだけとも言う 上記は実際にCATで学生が言っていた台詞です。もっとも自称でしたが。中途半端な絶対音感ほどその人の音楽人生の足を引っ張るものはありません。 中途半端なものを含め、絶対音感を持つ方はだいたいハモリ?が苦手のようです。これは絶対音感がある種の記憶であるため、いちいち計算しなくては解らないためではないかと思われます。また、絶対音感はその能力が身につくさいに使用していた楽器?に依存するので、チューニング?の狂ったピアノ?で身についた絶対音感は音楽家としては致命的でしょう 絶対音感を身につけると言うことは、文字を覚えるのと同じです。しかし、文字を読み書きできる人すべてか良い小説家ではないのと同様に、絶対音感を持つからと言って良いミュージシャンであるとはかぎりません 3そんなに希有な能力でもない 中途半端なものを含めると絶対音感の持ち主はかなりいるようです。別にプレイヤーでなくとも、幼少の頃から音楽に親しんできた場合、それと無く身につく能力のようです。 問題なのは音楽のことをよく解っていない親が、絶対音感に対する幻想で子供に絶対音感をつけさせようとする事でしょうか。マスコミ?の不勉強さが築きあげた幻想に乗り、音を楽しむという大切な部分を見失い、結果として音楽人生の足かせにしかならない半端な絶対音感の持ち主を生み出しているようです。 ミュージシャンとしては、半端な絶対音感を身につけるよりも、洗練された相対音感を身につけるべきでしょう。 関連 音楽
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総合評価 レベル5- コメント所 https //www.youtube.com/watch?v=ku-5lF-My4w -- 名無しさん (2010-11-07 20 27 49) https //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQww -- クロア (2010-11-07 20 35 07) 人のhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQ言わない方がいいんだろうけど、これで抜くのは少し異常だとおもう -- 名無しさん (2011-07-04 23 14 20) これはhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQ -- 名無しさん (2011-09-18 10 15 41) おえっ -- 名無しさん (2011-11-13 11 04 33) 読んだけhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQ -- 名無し (2012-05-06 11 54 10) ありえなhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQ心者のような書き方なのでツッコミ得意な人は読めると思うw -- 名無しさん (2012-06-04 11 40 50) これ夜中にhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQ夜寝れなくなるな -- 名無しさん (2012-08-04 23 28 15) これは確かにhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQませんが、読者にここまで文章だけで具体的に表現して影響を与えるのhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQては凄い技量を持ってますね。尊敬します。 -- α (2012-09-07 08 53 10) 悪当に起きたことhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQく -- psychopath (2012-12-21 20 33 43) 痛い痛い……全身の穴と言う穴から汗が出た…怖い…なんて小説だ…!!! -- 217 (2013-08-11 18 03 20) ギ…ギブ…全部読んだhttps //www.youtube.com/watch?v=LhgrrnoubxQぽぽぽぽ~ん (2014-01-22 17 46 49) あきた。。章-https //www.youtube.com/watch?v=gGonmq6fF-Uない。。 -- おれ (2015-07-18 11 18 41) 名前 コメント タグ youtube(https //www.youtube.com/watch?v=gGonmq6fF-U)
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ピッ… ブウゥゥゥゥゥゥゥン… <交流チャットコミュニティ【薔薇の楽園】> カタカタカタ… J坊>今日はじめてクンクンを見た、そっちが言うほどじゃないけど暇つぶしにはなるよ ホーリエ>クンクンの面白さを分からないあなたはまだ子供ね J坊>あんなのに夢中になれるほど僕はもう子供じゃないんだ ホーリエ>そういう台詞はクンクンのビデオを全て見てから言いなさい。 今日はもう落ちるわ、明日は当番で学校が早いの J坊>分かった、僕も色々忙しいんだ ホーリエ>おやすみなさい J坊>おやすみ <退出する> ピッ… JUN「ふぅ…学校か…」 <学校> 梅「やあ、みんなおはよう では出欠をとるぞ呼ばれたものは返事をしろー」 先生があいうえお順に出席をとっていく いつものことだが桜田という苗字で一旦止まる そして何事もなかったかのように次の人の名前が呼ばれる 私もこんな光景にすっかり慣れてしまった 翠「ねえ、真紅」 真「どうしたのかしら?」 翠「JUNの奴今日も休みのようですね」 真「そうね…きっとまだ悩んでいるのよ、今はそっとしておきましょう」 翠「そうですね…」 私は真紅 私立薔薇学園の中学2年生 昼間はあまり目立たない普通の生徒といったところだろう ちなみに今話しかけてきたのは中学生になってからの友達だ JUNは私が小学生になる前からの知り合い、いわゆる幼馴染である 梅「ええと、真紅 後で職員室に来てくれ」 真「?はい、分かりました」 何だろう?頼みごとかな 銀「あらぁ真紅ったら、たとえあなたでもいなくなるのは悲しいわねぇ」 真「いなくなる?」 銀「だぁってぇ先生からの呼び出しよぉ、きっと小学生から戻されるに違いないわぁ」 真「あら?私はあなたのような不良生徒と違って何も悪さはしてないわ 言いがかりはやめて頂戴」 銀「だってぇあなたのその胸は小学生からやり直したほうが良いわぁ バストがBカップになるまで小学生で授業を受けてなさぁい」 真「な、なななんですってぇ!!!」 銀「きゃあ、こわーい」 ここで私にちょっかいを出してくるのは小学生からの幼馴染である水銀燈 こう見えて意外と人付き合いが苦手だ 私や他のこころを許したごく一部の人間にしかなつかない 人見知りのように見えてすぐに人になつく翠星石とは逆である 結局先生の頼みはJUNにプリントを届けろのことだった 家が近いせいかこういう頼みはすぐに私に来る ピンポーン… ガチャ… のり「あら、真紅ちゃん どうしたの?」 真「今日はプリントを届けに来たのだわ」 のり「あらあら、どうもありがとうね JUN君お部屋の中にいるんだけど、少しだけ お話してあげてくれるかな?」 JUNの姉であり両親が海外にいるので保護者でもあるのりがお願いのポーズをする 無論私もそのつもりだ JUNとはここ最近でも何度か話はする けど、姿はもうずっと見ていない コンコン… 私はJUNの家の前で軽くノックをする 少しだけ深呼吸をして声を出す 真「JUN、聞こえる? 今日はプリントを持ってきたのだわ」 少しだけ間が空いて返事が返ってきた JUN「分かった、のりに渡しといてくれ 適当にお茶でも飲んだらもう帰って良いから」 抑揚のない声 昔の彼からは考えられないような口調だ 真「ねぇ聞いて、今日また学校で水銀燈とケンカしちゃったのよ まったくどうして あの娘は昔から成長しないのかしらね」 JUN「………」 返事がない けど、私は話を続ける 真「それからね翠星石がJUNの事気にしていたのだわ、あの娘ったら本当に素直じゃないわね JUNの前だと悪口ばかりいっていたのに、こういうのなんて言ったかしら? ええと、ツンデレっていうのかしらね?まったくそんなのだからあの娘は学校でもオタクの人たちから人気があっt「うっさいよ!」」 ビクッ… JUN「………」 真「…ごめんなさい、こんな話興味なかったわね」 JUN「………」 真「今日はもう帰るわ、また今度お話しましょう…JUN」 玄関の所でのりにお茶でもどうか、と呼びかけられた けど私は顔を見せないようにして丁重に断った 私の泣き顔を見れば何があったかはすぐに分かる 昔から私にとって良き姉のような存在であるのりを悲しませたくない だから私は走って家に帰った 途中知らないおじいさんに泣き顔を見られたのが悲しかった ピッ… ブウゥゥゥゥゥゥゥン… <交流チャットコミュニティ【薔薇の楽園】> 薔薇の楽園とは今人気の大型チャットサイトだ このチャットの良いところは気に入った相手の登録や チャットルームを自分で作り地域や年齢などの入室制限をかけられるとこだ 私もよくホーリエとしてここに顔を出す 最近知り合ったJ坊という人と他愛のない話をしたりするのが日課となっている ホーリエ>こんばんは、今日は少し嫌なことがあったわ J坊>どうした? ホーリエ>人間関係で少しトラブルがあってね、ちょっと落ち込んでいるの J坊>友達とケンカでもしたか? ホーリエ>そんなんじゃないわ、ケンカでもなくてお互いの心が離れてしまっている、 そんな気分よ J坊>そうか、そんなときは信頼できる友達に頼ってみるのも良いかもな 相手だって悩んでるかもしれないだろう ホーリエ>そうね、ありがとうちょっと気分が良くなったわ J坊>そうか、それは良かった ホーリエ>ごめんなさい、今日は他の子と用事があるの だから一度部屋を出るわ J坊>分かった、またな <退出する> ピッ… コンコン… のり「JUN君、あのね 真紅ちゃんが持ってきたプリント…」 JUN「そんなもん捨てとけよ」 のり「で、でも…せっかく届けに来てくれたのに… それにこのプリントね色々な 学校行事が書いてあるのよ これ見たらきっとJUN君も 学校にいきたくなるt「捨てとけよ!」」 のり「きゃんッ あぅ…うんごめんねJUN君、下に置いておくから興味があったら見てね」 <入室> ピッ… スイドリーム>やっと来たですか ホーリエ>ごめんなさい、別の人とお話していたの スイドリーム>最近学校が退屈だからついついここへ来ちゃうです ホーリエ>そうなの?学校生活は楽しまなければ人生の損よ スイドリーム>退屈というかなんていうか…パズルの最後のピースが見つからない そんな気持で日々パズルを解き進めているような、そんな気分です ホーリエ>そう…でもね最後のピースがはまるまでパズルを解き進めるのも大切よ 最後の一つがすんなりはまるように日々努力するのも悪くないわ スイドリーム>そうですよね、ありがとう。少し気分が晴れたです ホーリエ>それは良かったわ、それじゃ私はここで落ちるわ スイドリーム>乙です <退出する> ピッ… 真「私も…最後のピース(JUN)のために頑張ろう…」 基本的にチャットはあくまでもチャット どんなに安全性が高く信頼があっても個人の情報は年齢や性別など大まかなこと 以外は相手に教えてはいけない 嘘の情報を相手に与え信頼させてから相手の重大情報を言葉巧みに手に入れようとする 輩も少なくはないからだ スイドリームは女の子ということくらいしか知らない 学校という話が良く出るので学生というのは分かるが小中高大のどれかは分からない 私の話を親身になって聞いてくれるし、向こうもこちらに相談事を持ちかけてくる 良き話し相手だ 今度年齢くらいは聞いてみようかな 【コンピュータの電源を切る】 スタンバイ(S) 電源を切る(U) 再起動(R) ピッ… 電源を切る(U)← カチ… プツン…………………………… To be continued.