約 3,568,082 件
https://w.atwiki.jp/virtualrowa/pages/207.html
時は緩やかに、しかし無慈悲に進んでいる。 このゲームはGMからのメールで6時間ごとに区切りが付く訳だが、もう少しで二つ目の区切りが付く時刻となっていた。 これでおおよそ半日。その間自分は二人のプレイヤーに手を掛けた。 「状況を確認しましょう」 雑多なデータがごちゃごちゃと溢れかえる仮想のスラム街。 その片隅、不格好なモデリングで構築されたビル群の影に忍ぶように――彼女は居た。 白衣に身を包んだ褐色の肌を持つ少女、ラニは破損したジャンクデータに腰かけ、先ほど得た協力者たち、ツインズへ目を向けている。 一対の白。彼らに対し、ラニは自身が置かれた立場について振り返る。 「VRバトルロワイアル開始から既に11時間以上が経過しています。 全体としては二回目のメンテナンスを目前に、ここまで遭遇したプレイヤーの傾向から見るに既にある程度プレイヤー間の勢力が固まってきた頃合いかと思います。 ――バラバラだった参加者が貴方と私たちのように、徒党《パーティ》を組み、各々の目的に従ってゲームを攻略している、という状況です」 淡々と、抑揚のない口調でラニは述べる。 状況の整理。組むに当たってまず行うべきことはそれだった。 互いが互いの置かれた状況を知っているか。そのコンセンサスを取っておかねばならない。今後の連携に齟齬が出かねないからだ。 「そしてここはフィールドの片隅に位置するウラインターネット――中でもここはその中心に座するエリアです。 『ネットスラム』の名が示すように、ありとあらゆるジャンクデータがここでは集積されている、ようですね。 ここに私たちはおり、そして同盟を組んだ。 その目的はPK。他のプレイヤーの排斥。これでよろしいですね?」 確認の為の問い掛け。答えは沈黙。それが意味するところは肯定だ。 こういった処理において発言すること即ち修正を意味する。無駄な発言はしない。 「……さらにこのエリアでは探索クエストが進行していました……noitnetni.cylと呼ばれる謎のプログラムを探させるイベントです。 探索の手段はエリア内のNPCへの聞き込みによるワード集め。そして得たワードを設置されたゲートに打ちこむこと。 留意すべき点はこのイベントがGMから告知されていなかったこと。他のエリアにて行われていたイベントはメールに記載されていたにも関わらず、このイベントだけは違った。 明らかに異質なイベントです。推測されるに過去The Worldという仮想空間において起きた事件を基にしているらしい、ということです」 ……そんな状況下のネットスラムには今複数の勢力が集っています。 それぞれが私たちと同じように徒党《パーティ》を組んでいることが確認されている」 だからラニも無駄な言葉を挟まずに言葉を続けた。 「Mr.モーフィアス率いる勢力。彼は貴方方が知るプレイヤーなのでしたね? そして私も既に接敵している。一度交戦した際には彼の他に二人のプレイヤーが確認できました。 青い人と赤い少女……共に高い敏捷値を持つプレイヤーでした。またMr.モーフィアス自身も卓越した技術を持つ。 高い戦闘力を保有しており、また抜け目ない情報収集能力も持っている。 できれば戦うことを避けたいパーティですが、しかし我々は共に敵として交戦してしまっている。 関係の修復はもはや不可能でしょう。彼らをどうにかして打破することが私たちの当面の目的になります」 彼らは明確に敵である。 これもまたラニとツインズの共通認識だ。 「対する私たちの戦力はまずマスターである私とそのサーヴァントであるバーサーカー。 火力、正面からの制圧力に秀でていますが、代わりに小回りが利かない。 またバーサーカー自体に思考力がないため、攻撃の指示は全てマスターである私が出さなくてはならない、というユニットです。 対する貴方たちはに火力こそないものの攻防一体の回復能力を備えたユニット。遊撃向きの性能を持っています。 連携において相性は悪くあります。先のMr.モーフィアスの勢力とも十分に戦えるでしょう」 しかし、とラニは淡々と告げる。 「ここで不確定の要素があります。それはこのネットスラムに集う三番目のパーティ――黒いロボットや褐色の騎士、そしてサーヴァントの一団です。 彼らはあらゆる点で未知数です。戦力は勿論、スタンスもグレー。 とはいえこちらを問答無用で攻撃してこなかった以上、非戦的な集団の可能性が高いです。 彼らがMr.モーフィアスのパーティと結託すれば一転して私たちが不利になります。 それだけは避けたい。どうにかして味方に引き込むか、あるいは結託される前に撃破するか。その二択を狙いたいところですね。 まだ他の勢力がこのエリアに潜んでいる可能性もありますが、全体の人数を鑑みるにその可能性は低いと思われます」 まとめてみると難しい局面だ。場合によっては『詰み』に近い状況へと追い込まれる。 しかしラニはこのイベントを逃すつもりはなかった。 このゲームには裏があるのではないか。 プレイヤー同士のゼロサムゲームという意味合い以外にも、何か、別のモノが裏側に潜んでいるのではないかとラニは感じていた。 先の聖杯戦争においてトワイスという存在が秘匿されていたように、だ。 その推測はこのエリアでの隠しクエストの存在により、より現実味を帯びてきた。 それを確かめる為にも、このクエストを無視するわけにはいかない。 だからこそ、この局面を打開する。 「難しい局面ですが、しかしアドバンテージもあります。 まずnoitnetni.cylの一つを私が持っていること。これは他の勢力と比して明確に一歩先んじている点です。 情報戦においても決して遅れている訳ではない」 差引状況は五分、というところか。 ちら、と時間を確認する。二回目のメンテナンスも近かった。 そこが一つの分岐点になるだろう。具体的にどう動くべきか、考えた上で行動したい。 「ただその為にはワード集めも怠る訳にはいきません。 次なるワードの収集ですが、できれば貴方たちに任せても宜しいでしょうか? 私は回復にも専念したいので」 その旨を伝えると、ツインズは短く了解の意を示した。 そして音もなく、すぅ、とその姿を消していく。彼ら特有のスキルだ。 遊撃や暗殺に加え、その力は諜報にも向いている。 ……彼女は知らないことだが、このツインズと呼ばれたエグザイルは、元々アップデート前の旧バージョンにおいてはエージェントの立ち位置だった。 システムの尖兵として人間を監視する立場にあった彼らにとって、その奇抜な外見に反して諜報活動もまた組み込まれた機能の一つだった。 その様を見てラニは連携に問題はないことを確信する。問題はない。能力的にも相性がいい。 どこまでの付き合いになるのかは分からないが、少なくともこのネットスラムでの戦いにおいては彼らと肩を並べることになるだろう。 しかし、とラニは彼らを、ツインズを見て思う。 こうして面と向かって相対してみると、彼らは実に奇妙な姿をしていた。 異様なまでに色素の薄い肌を白いロングコートに包み、ご丁寧に長く伸びた髪まで脱色してある。 人の印象を強く作用する目元はサングラスで遮れ人間味を感じさせなかった。 双子《ツインズ》の名が示すように、そんな人間が『二人』いた。 彼らは幽鬼のように佇みラニを見下ろしている。表情はピクリとも動いてはいない。 まるで機械――あるいはホムンクルスのようだった。 (いや、もしかしたら) 本当にそうなのかもしれない。ラニもまた表情一つ変えずに思った。 彼らの立ち振る舞いといい、名は体を表すストレートなネーミングといい、プレイヤーというよりはNPC――プログラムの一種のように見えた。 だから何だという訳ではない。 別に彼らの出自が何であれ――たとえ心無いプログラムであったとしても、別に構わないのだ。 この連携において肝要なのは目標が一致しているかいなか――PKに積極的であるか否かだ。 そしてそれは一致している。 ラニと同じく、彼らもまた優勝の為に他プレイヤーの排除に動いている。 (とはいえ……それもあくまで差し当たってのこと……小目標に過ぎません) 当面の手段が一致しているだけで、それから先どうなるかは分からない。 彼らがどんな思惑を持っているのかは知らないが、他者の排斥と言う手段を取っている以上のちのち敵対する可能性は非常に高い。 それを念頭に置いた上での、一時的な連携だ。 行動を共にする、という点ではかつての聖杯戦争での『あの人』との関係と一緒だ。 彼女はおもむろにその手を胸に当てる。骨が浮き出るほど細身。しかしそんなアバターにも薄手の生地越しに熱を感じる。 仮初の、がらんどうの肉体。そこに刻まれた不思議な鼓動は不思議な感覚だった。 この連携は、確かに表面上は『あの人』とのそれと同じこと。しかしその内実は、どうやら違うようだった。 ラニは自然にそう思っていた。 その後、ツインズが一つワードを持ってきた。 彼らが持ってきたワードは『虚無』 ◇ スラムから見上げる空は不変だった。 ハリボテの空に天候の変化などある訳もないし、風に吹かれるままその姿を変容させる雲にもよく見ればパターンがある。 片隅に灯るチャチなオレンジ光に到ってはここに踏み入れて以来全く位置を変えていない。 時間が流れようとも変らない悠久の黄昏――昼と夜のどっちつかずが続く。このエリアはそんな場所だった。 「動けるか」 モーフィアスがそう問いかけると、赤髪の少女、揺光は「問題ないよ」と返してくれた。 言いつつも彼女は立ち上がらなかった。ジャンクデータまみれの地面に腰かけ、ふうと大きく息を吐いている。 問題ないと言いはしたが、どうやら疲れているらしかった。 無理もない。 いくらビデオゲームのアバターを通していようと、元より彼女はティーンエイジャーの少女なのだ。 それも平和な現実――機械との戦争が勃発しなかった現実に身を置いていたのだ。 そんな彼女が突然このようなデスゲームに放り込まれ、戦ったのだ。 彼女らのアバターは数値により状態を管理されているようだったが、たとえヒットポイントに余裕があろうとも、精神は疲弊する。 戦っている最中は慣れたゲームのように動けたかもしれないが、それを乗りこえたあとで来たらしい。 震え、緊張、死の恐怖が。 「……ロックマンが戻ってくるまでに態勢を整えておけ」 そう理解はしていたが、しかしモーフィアスは敢えてフォローしなかった。 優しげな言葉を掛けるのは簡単だ。しかし、それが最善である訳ではない。 彼女もまた貴重な戦力だ。この状況下でそんな不安定な精神状態でいられる訳にはいかないのだ。 戦う際には前線を張って貰うことになる以上、彼女には成長して貰わなくてはならない。 ゲームプレイヤーでなく、本当の戦士として。 そう考えながら、同時にモーフィアスはひどく自嘲的な気分に陥った。 我ながら、余裕がないものだ。 少女を矢面に立たせても、自分にはやらなくてはならないことがある。 ネオを。 救世主を。 人類に残された最後の希望を、ここで失う訳にはいかないのだ。 (次のメンテナンスも近い、か) ウィンドウを開いたモーフィアスは時刻を確認しながら、今後の方策について考えを巡らせる。 クエストを降りるつもりは言うまでもなかった。 告知されていなかったイベント。場合によってはGMの付け入る隙になり得る。 その為にはラニ――あの少女との対決が不可避だ。 加えてあの未知のパーティ、そしてゲーム開始直後から何度か交戦したツインズの存在も無視できない。 障害は多いが、ここで引く訳にはいかないのだ。 場合によってはこのゲームを貫く裏の法則に近付くことができるかもしれない。 このクエスト、遅れを取る訳には訳にはいかなかった。 しかし焦っては駄目だ。 先の戦闘で最も被害が大きかったのは自分たちのパーティだ。 何とか退避したとはいえ横殴りに一撃を貰った。ここで下手に動いては崩壊する可能性がある。 戦士はその場その場で戦うことのみに集中すれば良い訳ではない。己の状態を知り、管理することもまた大切だ。 モーフィアスは何も言わず、息を吐いた。 彼もまた休息を取っている。勿論辺りへの警戒を怠ることはしないが、休める時に最大限休んでおきたい。 現在パーティ内で最も負ったダメージの少なかったロックマンが斥候としてエリアを探索している。 本格的な戦闘は避け、ワード集めに主眼を置いた形だ。 負荷を掛ける形になってしまったが、ロックマンは特に気にした様子もないようだった。 この状況下においてぶれることのない彼の存在は非常にありがたかった。 (しかし次はどうする) とりあえずロックマンが戻ってくるまでは休息だ。 そしてできればメンテナンス前後で動き出したい。 ワード集めとゲート周辺の警戒。もう一つの勢力との接触。 この場で打つ手を間違える訳にはいかない。 ここを切り抜け、ネオを、引いては人類を救う活路を見出す。 モーフィアスは確かな決意を持ってこの緊迫した局面を乗り切ろうとしていた。 そうして、しばらく。 青いマフラーをたなびかせ、ロックマンは帰ってきた。 こんな場でも彼は快活な表情を崩さない。 「NPCの話を巡ってみたけど、一つワードを見つけたよ」 『選ばれし』 彼が告げたのは、そんな言葉だった。 ◇ 砂っぽい匂いがした。 右へ左へ乱雑に伸びた通りはまるで迷宮のようで、割れたアーケードの隙間からは夕暮の光が仄かに差し込んでいる。 店のモデリングを使いまわしたと思しきものもあったが、その錆びたシャッターで固く閉じられ看板には「@w@」のように言葉として体をなしてない記号があった。 そんな、埃っぽく薄暗く意味も分からない通りだった。 「ご老体――それはつまり」 そんな通りの奥、ネットスラムの中心に近い場所で、黒雪姫は口を開いた。 相対しているのは、老人を思わせるデフォルメキャラクターだ。 転がっていたブラウン管に腰かける彼の姿は、低い等身に旧時代のグラフィックが相まって、奇妙な愛嬌があった。 「彼が、銀色の翼を持つデュエルアバターが先程までこのエリアにいた、ということでいいか?」 語気は強くも弱くもなく、最低限の緊張を滲ませて、彼女はそう尋ねていた。 すると老人――タルタルガは無言で頷いた。 それを見て、黒雪姫は一瞬声を失った。すれ違った。その言葉の意味が胸にじん、と伝わってきた。 隣ではブラックローズが心配そうに彼女を眺めている。それに気付いた黒雪姫はぎこちなくも笑みで返した。 「……で、そいつらはどこに行ったんだよ?」 沈黙を破る様にアーチャーが質問を投げかけていた。 彼は黒雪姫とブラックローズから一歩離れた位置に佇んでいる。辺りを警戒しているのだろう。 アーチャーの問い掛けに、タルタルガは首を振った。 「彼らがネットスラムで戦っていたのも数時間前のことだ。 遠くからあれからどこへ向かったのかは分からん。ここに留まっていないのは確かだろうがのう」 その言葉に黒雪姫は顔を俯かせる。 ネットスラムの住人、タルタルガが語るにはこのエリアには少し前に大きな戦闘があったのだという。 ローブをまとう死神のようなロボットと、銀と黒のアバターによる空中戦。 その片割れは――黒雪姫のよく知る者だった。共に戦い、共に加速した銀の鴉。 彼がここにいたのだという。 「そうかいそうかい。ま、ここに来たってのが分かっただけ収穫ってもんかね。 だが問題は爺さん、そこじゃない。何でお前さんは俺たちのことを知っているんだ、ことだ」 「そ、そうよ。それに何で貴方がここにいるのよ」 アーチャーの問いにブラックローズが追随する。 白いPKとの戦いの最中、ネットスラムに駆け込み、混戦を経てここに到った訳だがここはブラックローズの知るエリアらしく、タルタルガともまた知った仲であるらしい。 それ故に、この場に彼がいて、色々なことを知っていることに困惑しているのだろう。 「……そうじゃな」 問い掛けに対し、タルタルガは顎を撫でながら、 「何故このゲームにおいてこのエリアが再現されたかは分からんのう。 どんな思惑があったのか……それともなかったのか。どちらにせよただここの住人はみな、よく分かっていないのだ。 ただ与えられた情報を基に役割を果たすだけ……という訳じゃな」 「要するに、アンタもよく分かっていないってことか? 何でか知らないがこんな場所に呼ばれて、配置され、俺たちのことを知らされた上でゲームを進行している、と」 タルタルガは鷹揚に頷いた。 その言葉は――恐らく正しい。 まず彼はプレイヤーではない。理由として、彼には攻撃判定が存在しなかった。彼はこの場において他のものを傷つける権利がないようだった。 そのような存在がゲームの参加者であるようには思えなかった。 となれば彼はいわばNPC――GM側から配置されたものだ。そんな存在がプレイヤーを謀るとは思えない。 それにブラックローズから聞くに信頼できるAIであるらしい。 無論、外見だけ模しただけの存在の可能性もあるのだが。 そんな彼の役割とは――即ちプレイヤーへの情報の提供だ。 ある種のヘルプキャラとして、このゲームに配置されたということか。 「あと、タルタルガ。 このネットスラム、私の知ってる奴と少し違うような……」 「それについては、教えることができんのう。 教えたくとも、ここの住民には権限がないようだ」 「むぅ……」 ブラックローズが悔しげにうなる。 知る筈場所で分からないことに囲まれているからだろう。その歯がゆさが伝わってきた。 「……知っての通り、このエリアは元来、失敗作と呼ばれるNPCの集うデータの吹き溜まりだった。 それをおもしろがり、キャラデータをいじくりまわして失敗作をロールするPCまで集まるようになった。 今となっては、その境界も曖昧で自分がPCなのかNPCなのか分からなくなっとる奴もおる。 そんな場所だから、自身のデータが改ざんされていても気づかんのじゃ。 ここに配置されとるネットスラムがどこまでが本物なのか、どの住人も分かっていないんじゃろう」 どこまでも異質なエリア。そんな印象を受けざるをえなかった。 そしてそれはこのエリアで始まっているというイベントからも読み取れた。 タルタルガが続けて語ったのは、裏イベントとでもいうべきクエストの存在だった。 「……アイテム探しねえ」 タルタルガの言葉を聞き、アーチャーが面倒そうに告げる。 「どうもキナ臭いな。 このエリアといい、そのイベントといい。 何で隠してた? それとも告げることができなかったのか? って聞いても答えてはくれないんだろうな」 「……そう、じゃの」 「ただまぁ無視する訳にはいかないんだろうが……」 アーチャーは言葉尻を濁しながらブラックローズと黒雪姫を一瞥してきた。 そして「どうするんですぜ、騎士様姫様」とこちらを促してくる。 「私は……ちょっとここを調べたい」 それに対しブラックローズは答えた。 探索クエスト。 気になる話ではあった。 そうでなくともこのエリアには謎が多い。元々のこのエリアを知るブラックローズが調べたいと言うのも分かる。 それでもどこか歯切れの悪さを感じるのは、黒雪姫を慮ってのことだろう。 彼の――ハルユキの足取りを掴んだ自分のことを。 「私もこのクエストをクリアすべきだと思う」 一瞬の間を置いて黒雪姫は答えた。 彼らの厚意は感じる。だからこそ、自分がここで決断しなければならない。そう思ってのことだった。 「いいの? 黒雪姫」 「ああ、すれ違ったとはいえ、大分時間が経ってしまっている。 あてもなくこの場を探したところで成果は薄いだろう。 それよりも、このエリアの謎を解くべきだ」 焦ったところで何を得ることもできない。 それに――ハルユキならば大丈夫だ。そんな思いもあった。 彼は強い。様々な困難を自分と共に乗りこえてきた彼ならば、きっと大丈夫だと、思うことができたのだ。 「そうかい、ま、俺は何にせよ従いますがね。 言葉探しねえ……ま、正々堂々の果し合いよか性には合ってるかな」 アーチャーが軽薄な口調に苦笑しながら、黒雪姫は一歩前に出た。 すっとタルタルガを見据え、黒雪姫は語りかける。 「そう言う訳だからご老体、さっそくワード教えてもらおうか。 見たところ貴方はこのエリアの中でも珍しくまともな会話ができるNPCのようだ。 貴方ならば知っているのではないかね? 鍵となる言葉を」 「ふむ……そうじゃの」 問われたタルタルガは答えた。 彼岸花の少女が残した銀の鴉へと託した、命題《クエスト》。 それに挑む彼女らへと告げられたワードは…… 「――『絶望の』」 ◇ そして役者は集い、ゲームは始まる。 選ばれし絶望の虚無を求め、プレイヤーたちは奔走する。 それが活路と信じて。 [B-10/ネットスラム/昼] 【ラニ=Ⅷ@Fate/EXTRA】 [ステータス] 魔力消費(中)/令呪三画 600ポイント [装備] DG-0@.hack//G.U.(一丁のみ) [アイテム] 疾風刀・斬子姫@.hack//G.U.、セグメント1@.hack//、不明支給品0~5、 ラニの弁当@Fate/EXTRA、基本支給品一式、図書室で借りた本 、noitnetni.cyl_1 エリアワード『虚無』 [思考] 1 師の命令通り、聖杯を手に入れる。 そして同様に、自己の中で新たに誕生れる鳥を探す。 2 岸波白野については…… 3 ネットスラムの探索クエストを進める。モーフィアス陣営を警戒。 4 ツインズと同盟。 [サーヴァント]:バーサーカー(呂布奉先) [ステータス]:HP70% [備考] ※参戦時期はラニルート終了後。 ※他作品の世界観を大まかに把握しました。 ※DG-0@.hack//G.U.は二つ揃わないと【拾う】ことができません。 【ツインズ@マトリックスシリーズ】 [ステータス] 健康 [装備A] 大鎌・棘裂@.hack//G.U. [装備B] なし [アイテム] 不明支給品0~2、基本支給品一式 エリアワード『虚無』 [思考] 1:生き延びる為、他者を殺す 2:揺光に苛立ち(片割れのみ) 3:ラニと同盟。 [備考] ※二人一組の存在であるが故に、遠く離れて別行動などはできません。 【ロックマン@ロックマンエグゼ3】 [ステータス]:HP80% [装備]:なし [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3(本人確認済み) エリアワード『選ばれし』 [思考] 基本:殺し合いを止め、熱斗の所に帰る 1:モーフィアス、揺光と行動する。 2:ネットスラムの探索。 [備考] ※プロトに取り込まれた後からの参加です。 ※アクアシャドースタイルです。 ※ナビカスタマイザーの状態は後の書き手さんにお任せします。 ※.hack//世界観の概要を知りました。 ※マトリックスの世界観を知りました。 【揺光@.hack//G.U.】 [ステータス] HP60% [装備] 最後の裏切り@.hack// [アイテム] 不明支給品0~3、平癒の水@.hack//G.U.×3、ホールメテオ@ロックマンエグゼ3、基本支給品一式 エリアワード『選ばれし』 [思考] 基本:この殺し合いから脱出する 1 ロックマン、モーフィアスと行動する。 2 ネットスラムの探索。 [備考] ※Vol.3にて、未帰還者状態から覚醒し、ハセヲのメールを確認した直後からの参戦です ※クラインと互いの情報を交換しました。時代、世界観の決定的なズレを認識しました。 ※ハセヲが参加していることに気付いていません ※ロックマンエグゼの世界観を知りました。 ※マトリックスの世界観を知りました。 ※バーサーカーの真名を看破しました。 【モーフィアス@マトリックスシリーズ】 [ステータス] 軽い打撲、疲労(中) [装備] あの日の思い出@.hack// [アイテム] 不明支給品0~2、基本支給品一式 エリアワード『選ばれし』 [思考] 基本:この空間が何であるかを突き止める 1 (いるならば)ネオを探す 2 トリニティ、セラフを探す 3 ネオがいるのなら絶対に脱出させる 4 揺光、ロックマンと共にネットスラムを探索する。 5 探索クエストを進める。ラニを警戒。 [備考] ※参戦時期はレヴォリューションズ、メロビンジアンのアジトに殴り込みを掛けた直後 ※.hack//世界の概要を知りました。 ※ロックマンエグゼの世界観を知りました。 『黒薔薇騎士団』 【ブラック・ロータス@アクセル・ワールド】 [ステータス]:HP50%/デュエルアバター 、令呪一画 [装備]:なし [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3 エリアワード『絶望の』 [思考] 基本:バトルロワイアルには乗らない。 1:ブラックローズ、アーチャーと共に行動する。 2:ネットスラムを探索する。 3:褐色の少女(ラニ)及び黒人(モーフィアス)らを警戒。 4:クエストをクリアする。 [サーヴァント]:アーチャー(ロビンフッド) [ステータス] ダメージ(中)、魔力消費(大) [備考] 時期は少なくとも9巻より後。 【ブラックローズ@.hack//】 [ステータス]:HP30% [装備]:紅蓮剣・赤鉄@.hack//G.U. [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~2 エリアワード『絶望の』 [思考] 基本:バトルロワイアルを止める。 1:黒雪姫、アーチャーと共に行動する。 2:ネットスラムを探索する。 3:褐色の少女(ラニ)及び黒人(モーフィアス)らを警戒。 4:このネットスラムって…… ※時期は原作終了後、ミア復活イベントを終了しているかは不明。 088 我語りて世界あり 投下順に読む 090 convert vol.2 to vol.3 088 我語りて世界あり 時系列順に読む 090 convert vol.2 to vol.3 076 廃園の天使_グランヴァカンス ラニ=Ⅷ 104 悪しき『死の恐怖』(前編) 076 廃園の天使_グランヴァカンス ツインズ 104 悪しき『死の恐怖』(前編) 076 廃園の天使_グランヴァカンス ロックマン 104 悪しき『死の恐怖』(前編) 076 廃園の天使_グランヴァカンス 揺光 104 悪しき『死の恐怖』(前編) 076 廃園の天使_グランヴァカンス ブラック・ロータス 104 悪しき『死の恐怖』(前編) 076 廃園の天使_グランヴァカンス ブラックローズ 104 悪しき『死の恐怖』(前編)
https://w.atwiki.jp/voiletami/pages/53.html
ボスって強いし、パターンわからないときついよね! だから行動パターンとか適当にまとめて美味しくしばこうぜってあれ 時間沸き ID/TAID 時間沸き 名前 出現場所 沸き間隔 ドロップ(器以外) 備考 挑戦目安Lv 大王ゴブリン プルトン神殿3階 10分 大王ゴブリンパンチ大王ゴブリン○○型印章 槌攻撃 リーチ中、貫通突進 逃げながらやればあんま怖くない 20~ 魔王ゴブリン 地下水路3区域 40分(1984~3135,1327)辺り 魔王ゴブリンスパイクシールド魔王ゴブリンの○○型イヤリング - 35~ 亡霊武者 黒月城-本館 1分40秒現在20秒? 亡霊武者の赤い宝石 - 50~ ビーナクイーン 天空の花園 26分15秒~30分 デッドリィポイズン - 70~ ハーピー ガマガエル森3 25~30分 - 攻撃時浮き上がる為、高低差に弱い攻撃は注意周囲のモスマンは攻撃力が高いので、できればモスマンがいないところで処理推奨 100~ セルキー レプリゼ雪原 15分現3分? セルキーアイスエッジ かわいい寒気で一分間冷気-400この状態で雪女のISとセルキーのブリザードを食らうと溶ける範囲で周りの雪女を一気に潰せないと少々厳しいわいろ 100~ カラドボルグ ガマガエル洞窟3 25分 カラドボルグリング - - ラビナ ガマガエル山3 25~30分 ラビナの妖術マン - - ID/TAID 名前 出現場所 ID位置 ドロップ 備考 挑戦目安Lv インヴォーグ 赤龍の巣 プルトン神殿3階 フレイムセットレッドドラゴンブレードレッドドラゴンソードレッドドラゴンアローレッドドラゴンスタッフ 集中攻略赤龍の巣 PT 25~ソロ 40~ 衝撃のインヴォーク 赤龍の巣(初級) - - - - 強力なインヴォーク 赤龍の巣(上級) - - - - 玄武 シャングリラ アルカディア4 玄武セット玄武の山水盾玄武の山水槍玄武の山水短剣玄武の山水鈍器 ブレス 痛いからガードしようね突進 痛くないけどダウンするから、スキルのSAで耐えようねジャンプ 割とどうでもいい地震 吹っ飛ぶからジャンプでかわそうねDANGER 痛いから亀の後ろに回って回避しようね PT45~ソロ55~ 強力な玄武 シャングリラ(TAID) - - - - スフィンクス ピラミッド玄室 ピラミッド○ スフィンクスセットスフィンクスソードスフィンクスブレードスフィンクスボウスフィンクスダガー 風耐性上げとけばいいんじゃないすかね PT60~ソロ75~ ビントー 厳冬のラビリンス レプリぜ雪原 フローズンセット 激しい吹雪が4Hit目で強制KBだから注意てかエフェクト重いからスペック地震無ければエフェクトは切りましょう道中は1(ペンギン7)→9(ペンギン2スノーマン2)→4(左から5番目の穴)→7(ウルフ8ミノ2)→ビントーでいいと思う。右上空中ポタつかう√は9をすっ飛ばすだけ 100~ 冥府使者(Lv30) ぞくぞく村Lv30 エリアス ぞくぞく村入り口 - ざこ 35~ 冥府使者(Lv60) ぞくぞく村Lv60 DEATH MG よわい 65~ 冥府使者(Lv90) ぞくぞく村Lv90 つよくない 90~ オベロンとタイタニア 妖精城 - オベロンのカバン ざこ 50~ 月影 十六夜の間 黒月城-本館 - かす - テング テングの黄金ビンディー くるくる回ってる時は無敵、かつ強制KBまたためモーションの後は前方広範囲、後方にも少し威力大・吹き飛ばしの技が来るので距離を取ろう 60~ 黒月姫 黒月のアルジュナ 毒攻撃等継続ダメージがあるため、HPの減りに注意また移動不可にする攻撃があるため、逃げ撃ちは厳しいので気をつけようそれと攻撃のたびにぴょんぴょんとんでめんどくさいよ! トク様 トク様の部屋 - - - - パンドラ ゴシックルーム ポウ邸宅6 パンドラの○の涙 レディ・ハグは安置があるよ、やったね!パンドラも画面左端でしゃがみor座れば安置だよ! 75~ キャプテンジョニー キャプテンジョニーの部屋 幽霊海賊船6 - 強制吹き飛ばしが面倒前座だから、こいつきついならクラーケンはやめておこう 80~ クラーケン クラーケン恐怖の吸盤 最初に足2本倒してから本体を殴ったほうがいい移動不可攻撃があり、かつ空気砲で後退させてくるので助走装備推奨 海竜王 凍てついた心臓 クトガ遺跡地下○ 海竜王ウォータースレイヤー うなぎ尻尾・胴体を処理してから頭に攻撃推奨デュランダルが無いと心臓を破壊できないので、シナリオクエストを進めてから行きましょう。 91~ コア クトガの心臓 クトガ遺跡地下○ - ためが長くて青いオーラが出てる時は吹き飛ばし攻撃だからガードあと制限時間30分だから、火力ないなら諦めよう 95~ ジョアン・ファーム キメラ研究所 深淵の遺跡○ 鳳凰のイヤリング ミサイル的なあれ 吹き飛ばされるし痛いダークスピアーズ すごく痛いブラックホール 地味に痛い回復 99音だと削り切れない程度ダークスピアーズとブラックホールの時はバックアタックのチャンスです 100~ カラミティ・ジェーン - - - - - 大ガマガエル - - - - - 阿修羅王 - - - - - フェニックス - - - - - 悪イイダコUFO - - - - - ヘル - - - - - サイアム - - - - - ルセリア - - - - - イフリート - - - - - デゴス - - - - - 英雄王テセウス - - - - -
https://w.atwiki.jp/newani4/pages/17.html
忘れられないアンビリーバブル◆Oe2sr89X.U ♪ 誰に会いたいの? 会いたいの? こころが持っている答えは ひとつ ふたつ たくさん? ◆ 少女は震えていた。 かたかたと、かたかたと。只でさえ小さなその体は、いつもより余計に小さく見えた。 ついこの間までは表情の変化さえ多くなかったけれど、最近は微笑むことも増えてきた顔。 ――蒼白に染まっている。額には冷たい汗が浮いて、今にも滴り落ちそうだ。 ――歯はがちがちと不協和音を奏で、心臓は今にもはち切れそうなほどの躍動を見せている。 不健康なリズムとスピードで脈打つ心の臓は、きっと自分の恐怖心の強さを表しているんだ――そう思った。 仮にいま、自分の心臓が破裂してなくなってしまったとしても、きっと智乃は驚かなかっただろう。 ホラー映画を見たことがある。 勿論、自分から進んで見ようとしたわけじゃない。 確かあれは、テレビで心霊映像の特集をやった翌日のことだったと思う。 マヤがレンタルビデオ店でホラー映画のDVDを借りてきて、それを見ようという話になった。 それで、皆で見たのだが。……正直な所を言えば、智乃には恐怖以前に疑問が勝る映画だった。 それは実にありきたりな疑問。 ホラー映画やパニック映画を一度でも見たことがあるなら、誰もが抱いたことのあるだろう感想。 即ち、"自分ならもっと上手く立ち回れる"――自分なら、恐怖で動けなくなったりはしないはずだ。 いくら下手に動けば命を失うかもしれない状況だとしても、止まっていては遅かれ早かれ死ぬだけだ。 死を黙って待ち続けて、恐怖を最高潮まで引き立てられてから殺されるくらいなら、自分ならきちんと動く。 自分なら、万一の時だって自分を見失わずにしっかりと行動できる。 智乃は最後、顔を青褪めさせながら感想を語り合う二人に苦笑しつつ、そうして映画鑑賞を締め括ったのだったが。 いざ実際にその立場へ置かれた彼女は、ピクリともその場から動けずにいた。 このままではいけないと頭では分かっているにも関わらず、体がそれについて来てくれない。 立ち上がろうとしても足は痺れてもいないのにガタガタと震え、もし歩きでもすればすぐに転んでしまいそう。 無理もないだろう。誰も、今の智乃を笑うことは出来ないはずだ。 香風智乃という少女は、普通の少女である。 同学年の子どもに比べれば確かに大人びてはいるし、喫茶店の娘として接客能力だって備えている。 けれど、彼女個人の人間性は――過ごしてきた人生は、あくまでも普通の範疇に収まる。 例えば、先の"ルール説明"。 見せしめとして少女が殺されたが、あの光景についてだってそうだ。 智乃は、人が殺される瞬間を見たことがない。 怪しげな力を持つカードにだって心当たりはないし、摩訶不思議な魔法を使うことも出来ない。 智乃が経験した不思議なことといえば精々、喋るウサギと一緒に暮らしている程度のものだ。 朝起きて、学校へ行き、友達と話して、友達と遊んで――最近では下宿にやって来た年上の少女によって、その日常もずいぶんと賑やかに彩られて。お風呂に入ったら宿題を済ませ、ぬいぐるみと一緒に就寝する。 そんな暮らしを送ってきた少女が、何の前触れもなく殺し合うことを強要され、目の前で人を惨殺されたのだ。 ――これで正常でいられるわけがない。今も目を瞑れば、瞼の裏にあの惨状が再生されてしまう。 「う……」 込み上げてくる嘔吐物を、どうにか喉元で堪え、押し戻す。 荒い息を吐きながら、智乃は小動物のように周囲を見渡した。 「ラビット、ハウス……」 ラビットハウス―― 見覚えのある光景だった。 それ以上に、親しみのある、かけがえのない光景だった。 自分が生まれ育ち、そして手伝ってきた喫茶店。 昔はアルバイトの理世と自分と、マスコットのティッピーだけしかいなかったが、今では従業員が一人増え、マヤとメグ以外にもいろんな人が遊びに来てくれるようになった大切な店。 空気も、樹の匂いも、かすかに残るコーヒーの香りも。 五感全てが、これが本物のラビットハウスであると告げていた。 智乃が正気を保てていたのは、ひとえに開始位置、最初に目を覚ました場所が此処であったからかもしれない。 安心感。こんな状況だというのに、慣れ親しんだ店の内装が心を少しずつだが、確かに落ち着かせてくれる。 「ティッピー……? お父さん……?」 智乃はいつの間にか、立ち上がっていた。 そうだ、ここはラビットハウス。 いつも通りの――わたし達のラビットハウス。 でも、と智乃は思う。 これは確かにラビットハウスだ。 けれど、どうしてこれが此処にある? 智乃はハッとなって、腕輪の端末を弄り始めた。 使い方には少し手間取ったが、どうにか名簿と地図の出し方を把握する。 まずは地図だ。会場の一覧図を見て――嫌な予感が、大きくなった。 違う。 こんな形の町を、私は知らない。 ここは、私の住んでいる町じゃない―― 「……っ」 次は名簿へ手を動かした。 そこには無情に、智乃の友人たちの名前が記されていた。 心愛、理世、千夜、そして紗路。 今や家族同然だったり、長い付き合いだったり、はたまた可愛がってもらったり。 友好を育んできた人物たちも同じ目に遭っていることに心を痛め、マヤやメグの名前がないことに少し安堵した。 「――お父さん……?」 そして、ある不気味な疑問が浮かんでくる。 ラビットハウスがあるのに、どうして父の名前がない? それに、いつも一緒のティッピーの姿もない。 殺し合いの邪魔だからと、どこか別なところにいるのだろうか? ――――それとも。 「――お父さん! おじいちゃん!」 震えの大分収まった足で立ち上がると、誰かに見つかることを危惧することさえ忘れて名前を呼ぶ。 ――ラビットハウスは、ある。 ――なのに経営者である父と、店のマスコットも同然のティッピーの姿はない。 二つの要素が揃った瞬間、智乃の脳裏に浮かび上がるのは嫌な想像だった。 ありえないと一笑に伏すのは簡単なことだ。 なのにそれが出来ないのは、やはり先の"見せしめ"の一件。 人の命を何とも思わず、あっさりと、それでいて残虐に人を殺した彼女。 彼女なら、そういうこともするのではないか。 つまり、父とティッピー/おじいちゃんは……もう、とっくに―――― カウンターの奥、智乃たち香風家の人間と下宿生の心愛が生活する居住空間へ智乃は向かう。 足は自然と駆け足になっていた。そうだ。そんなことがあるわけがない。 きっとこの奥に進んだなら、心配そうな顔をした父とティッピーが迎えてくれる筈なのだ。 だってここはラビットハウス。 私達の、日常の中心なんだから。 そう思っているのに、智乃はいつからか、小さな果物ナイフを片手にしていた。 これは彼女の支給品の一つである。 異能のカードや、それに準ずる品物が多数存在するこの殺し合いでは決して当たりと呼べるものではない。 これで岩は切れないし、ビームを止めることは出来ないし、剣と打ち合うことも出来ないだろう。 しかし、人は殺せる。 智乃にその認識はなかった。 正しくは、そんな当たり前に意識を向けている余裕さえ今の彼女にはなかったのだ。 半ば無意識的に手にしたナイフを片手に、彼女は居間へ急ぐ。 そこには見知った顔があると信じて。 「お父――」 リビングに繋がる扉へ手をかけ、一息に引いた。 しかしその向こうに、過ごし慣れた居間の風景はない。 壁があった。 奇妙な模様をした壁だった。 ベースは白だが、それでも壁紙に使うような模様じゃない。 それに、こんなところに壁があるわけもない。 智乃は茫然とした顔で、その壁を見上げていき――そこで漸く、それが壁なんかではないのだと気付いた。 「貴様、参加者か?」 それは、巨人だった。 少なくとも小柄な上に、錯乱状態にある智乃にはそう見えた。 日焼けした黒い肌と金髪に、太く凛々しい眉毛が特徴的だ。 "巨人"は智乃の顔を覗き込むように姿勢を屈めさせ、目線を合わせてくる。 だが、そんなことはどうでもよかった。 智乃にとって重要だったのは、自分達の家に――自分と、父と、ティッピーと、心愛の家に。 「……? おい、貴様――」 「……あ……ぁ……」 見知らぬ誰かが、それもこんな"悪そうな"人物が居たということ。それだけ。 「――――あ、あああぁぁぁああっっ!!!!」 智乃はナイフを振り被る。 そしてそのまま、振り下ろした。 嫌な音がした。 それで終わりだった。 ◆ ――血が舞ったのを見た。 ナイフを使って血を出したことは、智乃とて一度や二度じゃない。 料理で使ったり、時には工作で使ったり。 様々な理由で使っていれば、不注意で手を切ってしまうこともままある。 しかし、今回のものは違う。 不注意なんかじゃない。 故意だ。 故意で、誰かを傷付ける為に――殺す為に、手にしたナイフを振り下ろしたのだ。 "巨人"の額が、血に染まっていた。 「え」 智乃は一歩、二歩と後退りをする。 それから、ぺたんと座り込んでしまった。 バランス感覚を失ったように、べたんと。 「え……」 智乃は、自分の握ったナイフに視線を落とす。 ――紅い。――赤い。 ――朱い。――赫い。 ――あかい血が、誤魔化しようもなくべっとりとこびり付いていた。 滴り落ちる血の滴が見慣れた家の床に染みを作っていく。やがて刃から柄を伝い、智乃の手にそれが付着した。 「ひっ!」 思わず、ナイフを取り落とした。 水や油なんかとは断じて違うぬるぬるとした感触と、鼻孔を擽る生臭さが、これが現実のことだと告げている。 いっそ終始錯乱できていれば、彼女にとってはまだ幸いだったのかもしれない。 今のは仕方のないことだった、正当防衛だと自己を正当化出来る自分勝手さがあれば、早々にこの場を立ち去るという選択肢を取ることも出来たかもしれない。 いずれにせよ、心にダメージを受けるようなことはなかったろう。形や善悪はどうあれだ。 だが、香風智乃は身勝手な人間ではなかった。 もう一つ言うなら、香風智乃は冷静な人間であった。 滴り落ちた血液が床とぶつかる音と、手で触れた血糊の感触が智乃を冷静にさせた。 目の前にあるのは、言い逃れのしようもない凶行の痕跡だ。 智乃は身勝手な人間ではないから、相手に責任を擦り付けて自分を正当化出来なかった。 相手は何もしていない。ただ自分が勝手に錯乱して、無抵抗の相手を斬った。 さっき起こったことはそれだけだ。――正当防衛? そんな理屈、成り立つ筈もない。 「あ……あ……!」 そうして智乃は理解する。理解してしまう。 逃避すればいいものを、事実をしかと受け止め、把握してしまうのだ。 ――人を殺した。 この手で、無抵抗な相手を殺した。 ナイフを握って、 その手を持ち上げ、 姿勢を低くしていた相手の頭を狙って、 ナイフを振り落とした。 「う……お、ぇええっ」 智乃は今度こそ堪え切れずに嘔吐した。 未消化の朝食と胃液が、零れた血を塗り潰していく。 瞳からは滂沱のごとく涙が溢れ出す。 罪悪感と自分への嫌悪感が、瞬時に恐怖を押し潰した。 彼女は震える瞳で、自分が殺した"巨人"を見る。 ゆっくりと頭を上げて、その凶行の証を見る。 血は、彼の居た場所へ近付くにつれ量が多くなっていく。 そして遂に、自身の手で殺めた死体を認識せんとして――智乃は、一瞬自分の心臓が確かに停止する錯覚を覚えた。 「おい」 そこには。 「この俺が――本能字学園風紀部委員長、蟇郡苛が――その程度で死ぬと思ったか」 壁が。 今さっき、自分が切り裂いたはずの"壁"が。 頭から血を流しながら、されど傷を抑えようともせずに、立っていた。 ◆ 蟇郡苛は激怒していた。 それは目の前で怯えた少女に対しての怒りではない。 繭を名乗った少女。奇怪なカードを使い、人を殺した悪魔の様な少女。 大半の参加者にとって恐怖の象徴であろう彼女は、しかし蟇郡にとっては異なっていた。 ――よくも。 彼は忠臣である。 鬼龍院財閥のお嬢様であり、本能字学園の生徒会長を務める支配者、鬼龍院皐月に忠誠を誓った臣下である。 彼女との劇的な出会いは一瞬たりとも忘れることはなかったし、望まれればあの時のやり取りを一言一句言い間違うことなく正確に復唱することだって出来る自信があった。 そんな蟇郡だからこそ、許せない。 人を殺したこと? 違う。 多くの人間を不当に巻き込み、犬畜生のように殺し合うのを強要したこと? 違う。 ――よくも。 蟇郡は無論、そこにも怒りを抱いている。 彼ら本能字学園四天王もまた、鬼龍院羅暁の目論見を打ち砕くべく団結し、武を唱えた身だ。 顔も名前も知らない人間一人であれ、決して命を軽んじることを良しとしてなどいない。 ましてそんな悪趣味な光景を皐月に見届けさせるなど、無礼千万である。 だが、そうではない。蟇郡苛という男を真に激怒させたのは、この"腕輪"の存在だった。 ――よくも、皐月様にこれほどの狼藉を働いてくれたな。 腕輪とは言っているが、要するにこれがある限り、生殺与奪は繭なる娘に握られているということ。 そしてこれは参加者個人の手では外せない。 ならばそれは首輪と同じだろうと蟇郡は考える。 犬は、自分の手で首輪を外せない。そして犬の生殺与奪は、首輪のリードを握る飼い主が常に握っているのだ。 (皐月様を犬と同列に扱う無礼……断じて許さん! この蟇郡、これほどの屈辱を味わったのは初めてだ……!!) 皐月の被る屈辱は、蟇郡にとっては彼女の数倍もの屈辱である。 だから彼は今、過去かつてないほどに激怒していた。 只でさえ悪い人相は、そんな精神状態なこともあって当社比三割増しくらいに悪くなっていたのだ。 そこに錯乱した幼い少女がやって来る。 少女は武器を持っている。 そうなれば、何が起こるかは想像に難くないだろう。 あら不思議、お手軽殺人事件の完成である。 一つだけ異なることがあるとすれば、この蟇郡苛という男――"普通"の人生を送ってきた人間ではないということ。 智乃の振るったナイフは、確かに蟇郡の頭を捉えた。 しかしだ。 何の心得もない素人、それも幼い娘が錯乱しながらナイフを振り回した所で、その威力はたかが知れている。 もし蟇郡が顔を覗き込もうとしていなければ、彼の纏う"極制服"に阻まれ、傷一つ付きはしなかっただろう。 それに加え、蟇郡は頑強な男である。 今は親戚の鉄工所で作って貰ったアイテムは持っていなかったが、それでもこの程度ならば恐れるに足らない。 傷の見た目はそこそこ派手だったが、命どころか行動への別条すら皆無だった。 だがそう、見た目だけはそれなりなのである。 額を左から右目の下辺りまで、ナイフで切り裂かれた傷が斜め一直線に刻まれている。 出血も、少女一人に人殺しをしたと錯覚させる程度にはしていた。 「ひ、ひっ……!」 「ええい、そう怯えるな! 貴様を取って食うつもりはない!!」 危害を受けたのは紛れもなく蟇郡の方なのだが、相手は明らかに一般人だ。 極制服など勿論纏ってはいないし、ナイフを使う動きも不慣れ。 ――まず間違いなく、この殺し合いに不運にも巻き込まれた一介の少女と見て間違いないだろう。 状況が状況だ。錯乱して斬り付けられた程度で激昂するほど蟇郡は器の小さい人間ではなかったし、第一今のは見方を変えれば不注意過ぎた自分にも責任がないとは言えない。 「傷も浅い! この程度、俺ならば唾でも付けておけば治るわ! ……それよりもだ。貴様、先程"お父さん"と言いかけていたようだが――この家の住人か?」 「……は、はい……」 「そうか……ならば謝罪しよう。些か考えが足りなかった」 傷から滲む血を片手で拭いながら、蟇郡は智乃へと謝罪する。 それに智乃はきょとんとした顔をした。 彼女にしてみれば、相手は殺しかけた相手だ。 反撃に遭うのは確実だとばかり思っていたから、この反応には思わず面食らう。 そして、すぐに自分のしなければならないことに気付いた。 「……私の方こそ、ごめんなさい!」 「貴様が謝る必要はない」 「そんな……でも、私、あなたを殺しそうになって――」 「言ったろう。この蟇郡、錯乱した子女の刃で討ち取られるほど軟な男ではない! 仮に先の一撃で俺が死んだのだとすれば、どの道その程度では皐月様をお守りするなど到底不可能な話だ。 皐月様を守れぬ俺など、最早俺ではない。死んで六道輪廻の旅にでも赴いた方が余程有益である!!」 凛と喝破する蟇郡。 その大声にびくりと智乃は体を震わせたが、そこに敵意がないことは理解できた。 ――ついでに、今ので大分頭も冷えた。 「それに、俺が怒っているのは主催者――あの繭なる女だ」 主催者、という単語を聞き、智乃は再び"見せしめ"が殺される瞬間を想起する。 「貴様は、奴が許せるか?」 「私は……」 「大方、貴様の友も巻き込まれているのだろう。 ああいった手合いが全くの無作為で参加者を選出するとは思えん。 ……悪趣味なことだがな。少なくとも俺には許せん。皐月様にこのような仕打ちを働いた挙句の鬼畜の所業、断じて捨て置けるものではないと実に憤慨している」 心愛たちは、ただ普通に暮らしていただけだ。 何も悪いことなんてしていない。 そんな彼女たちが、きっと今頃は恐怖し、怯え、悲しんでいる。 そう考えると――智乃の中にも、恐怖の他に湧き上がってくる感情があった。 「ません……」 それは、温厚な彼女にしてはごく珍しい感情。 彼女自身、これほどまでに強くその感情を抱いたのは初めてだった。 友達との喧嘩など比べ物にすらならない。 「許せません……!」 許せない。 人の命を弄び、挙句罪もない人々を――自分の大切な友人を巻き込みせせら笑っている繭が許せない。 智乃は今、確かに怒っていた。 蟇郡の言葉は彼女の怒りを煽り立てるようなものであったが、実際、彼はそれを狙っていたのだ。 「ならば、よし」 力なき者がいることは致し方ないことだ。 誰もが極制服を纏って戦えるわけでも、あの繭のように摩訶不思議な力を使えるわけでもない。 むしろそういった者はごく少数派だろう。大概はこの少女のように、無力で平凡な人間。 それでも、心を強く保つことは出来る。 恐怖に慄き、怯え続けるだけではなく――強い怒りを燃やし、それを繭への反逆の狼煙とする気概があれば。 それは、単なる服を着た豚ではない。 確たる志を持ち、明日へ向かわんとする戦士である。 「あ――あのっ」 「?」 「私は、チノ――香風智乃といいます。 蟇郡さんが大丈夫なことは分かりましたが……一応、手当てだけはさせてください」 「分からん奴だな。これしきの手傷、唾でも付けておけば治ると……」 「させてください」 台詞を遮って進言してくる智乃に、さしもの蟇郡も反論ができない。 こういう強情さを発揮してくる奴には覚えがあった。 満艦飾マコ。力はないが、しかし"なんだかわからないもの"を秘めた劣等生。 だから蟇郡は、こういう時には素直に頷いておくのが賢明だと知っている。 「……好きにするがいい」 「ありがとうございます。では」 少し微笑んで、智乃は室内の救急箱を持ってくると、手当てへ取りかかりはじめた。 蟇郡は手慣れたものだと内心感心していたが、当の智乃はといえばおっかなびっくりである。 保健の授業で習った知識を必死に思い出しながら、丁寧に止血していく。 それに甘んじながら、蟇郡はふと気が付いた。 「香風。貴様、この家の娘なのだったな? 此処は店か?」 「喫茶店です。名前は、ラビットハウス」 「そうか――茶、か……」 そういえば、こういった大きな闘いの際に、揃三蔵――皐月の執事が入れる茶を飲まないのは珍しい。 そう思い、蟇郡は呟いた。 その声を拾った智乃は、ふと彼へ提案する。 「……飲みますか?」 「なに?」 「お茶じゃなくて、コーヒーですけど」 ここはラビットハウス。 智乃の働く喫茶店だ。 何も全部が全部もぬけの殻というわけでもないだろう。 コーヒーメーカーと豆、コップくらいはあるはずだ。 「……貰おうか」 せっかくの提案を蹴り飛ばすのもどうかという話。 蟇郡は毒気を抜かれた思いで、ふうと溜息を吐き出した。 【G-7/ラビットハウス/一日目・深夜】 【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】 [状態]:健康、落ち着いた [服装]:私服 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:果物ナイフ@現実 黒カード:不明支給品0~2枚、救急箱(現地調達) [思考・行動] 基本方針:皆で帰りたい 1:蟇郡さんに、コーヒーを淹れる 2:ココアさんたちを探して、合流したい。 [備考] ※参戦時期は12話終了後からです 【蟇郡苛@キルラキル】 [状態]:健康、顔に傷(処置中、軽度) [服装]:三ツ星極制服 縛の装・我心開放 [装備]:なし [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10) 黒カード:三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル 黒カード:なし [思考・行動] 基本方針:主催打倒。 1:コーヒーか…… 2:皐月様、纏、満艦飾との合流を目指す。優先順位は皐月様>満艦飾>纏。 3:針目縫には最大限警戒。 [備考] ※参戦時期は23話終了後からです 支給品説明 【果物ナイフ@現実】 香風智乃に支給。 その名の通り、果物を切るのに適した小型のナイフ。 【三ツ星極制服 縛の装・我心開放@キルラキル】 蟇郡苛に本人支給。 蟇郡が着用する三ツ星極制服で、これは最終決戦のために用意された最後の戦闘形態。 全身の布が皐月の縛斬と同等の強度を持っており文字通り『生きた盾』として機能する。 時系列順で読む Back 輝夜の城で踊りたい Next ひと目で、尋常でないツッコミだと見抜いたよ 投下順で読む Back 輝夜の城で踊りたい Next ひと目で、尋常でないツッコミだと見抜いたよ 香風智乃 047 殺人事件 蟇郡苛 047 殺人事件
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/4298.html
【登録タグ Doppel う みぃ めらみぽっぷ ラストリモート 少女さとり ~ 3rd eye 曲 森羅万象】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); } rt { font-family Arial, Verdana, Helvetica, sans-serif; } /** Main table styling **/ #trackinfo, #lyrics { font-family Noto Sans JP , sans-serif; font-weight 350; } .track_number { font-family Rockwell; font-weight bold; } .track_number after { content . ; } #track_args, .amp_text { display none; } #trackinfo { position relative; float right; margin 0 0 1em 1em; padding 0.3em; width 320px; border-collapse separate; border-radius 5px; border-spacing 0; background-color #F9F9F9; font-size 90%; line-height 1.4em; } #trackinfo th { white-space nowrap; } #trackinfo th, #trackinfo td { border none !important; } #trackinfo thead th { background-color #D8D8D8; box-shadow 0 -3px #F9F9F9 inset; padding 4px 2.5em 7px; white-space normal; font-size 120%; text-align center; } .trackrow { background-color #F0F0F0; box-shadow 0 2px #F9F9F9 inset, 0 -2px #F9F9F9 inset; } #trackinfo td ul { margin 0; padding 0; list-style none; } #trackinfo li { line-height 16px; } #trackinfo li nth-of-type(n+2) { margin-top 6px; } #trackinfo dl { margin 0; } #trackinfo dt { font-size small; font-weight bold; } #trackinfo dd { margin-left 1.2em; } #trackinfo dd + dt { margin-top .5em; } #trackinfo_help { position absolute; top 3px; right 8px; font-size 80%; } /** Media styling **/ #trackinfo .media th { background-color #D8D8D8; padding 4px 0; font-size 95%; text-align center; } .media td { padding 0 2px; } .media iframe nth-of-type(n+2) { margin-top 0.3em; } .youtube + .nicovideo, .youtube + .soundcloud, .nicovideo + .soundcloud { margin-top 0.75em; } .media_section { display flex; align-items center; text-align center; } .media_section before, .media_section after { display block; flex-grow 1; content ; height 1px; } .media_section before { margin-right 0.5em; background linear-gradient(-90deg, #888, transparent); } .media_section after { margin-left 0.5em; background linear-gradient(90deg, #888, transparent); } .media_notice { color firebrick; font-size 77.5%; } /** Around track styling **/ .next-track { float right; } /** Infomation styling **/ #trackinfo .info_header th { padding .3em .5em; background-color #D8D8D8; font-size 95%; } #trackinfo .infomation_show_btn_wrapper { float right; font-size 12px; user-select none; } #trackinfo .infomation_show_btn { cursor pointer; } #trackinfo .info_content td { padding 0 0 0 5px; height 0; transition .3s; } #trackinfo .info_content ul { padding 0; margin 0; max-height 0; list-style initial; transition .3s; } #trackinfo .info_content li { opacity 0; visibility hidden; margin 0 0 0 1.5em; transition .3s, opacity .2s; } #trackinfo .info_content.infomation_show td { padding 5px; height 100%; } #trackinfo .info_content.infomation_show ul { padding 5px 0; max-height 50em; } #trackinfo .info_content.infomation_show li { opacity 1; visibility visible; } #trackinfo .info_content.infomation_show li nth-of-type(n+2) { margin-top 10px; } /** Lyrics styling **/ #lyrics { font-size 1.06em; line-height 1.6em; } .not_in_card, .inaudible { display inline; position relative; } .not_in_card { border-bottom dashed 1px #D0D0D0; } .tooltip { display flex; visibility hidden; position absolute; top -42.5px; left 0; width 275px; min-height 20px; max-height 100px; padding 10px; border-radius 5px; background-color #555; align-items center; color #FFF; font-size 85%; line-height 20px; text-align center; white-space nowrap; opacity 0; transition 0.7s; -webkit-user-select none; -moz-user-select none; -ms-user-select none; user-select none; } .inaudible .tooltip { top -68.5px; } span hover + .tooltip { visibility visible; top -47.5px; opacity 0.8; transition 0.3s; } .inaudible span hover + .tooltip { top -73.5px; } .not_in_card span.hide { top -42.5px; opacity 0; transition 0.7s; } .inaudible .img { display inline-block; width 3.45em; height 1.25em; margin-right 4px; margin-bottom -3.5px; margin-left 4px; background-image url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2971/7/Inaudible.png); background-size contain; background-repeat no-repeat; } .not_in_card after, .inaudible .img after { content ; visibility hidden; position absolute; top -8.5px; left 42.5%; border-width 5px; border-style solid; border-color #555 transparent transparent transparent; opacity 0; transition 0.7s; } .not_in_card hover after, .inaudible .img hover after { content ; visibility visible; top -13.5px; left 42.5%; opacity 0.8; transition 0.3s; } .not_in_card after { top -2.5px; left 50%; } .not_in_card hover after { top -7.5px; left 50%; } .not_in_card.hide after { visibility hidden; top -2.5px; opacity 0; transition 0.7s; } /** For mobile device styling **/ .uk-overflow-container { display inline; } #trackinfo.mobile { display table; float none; width 100%; margin auto; margin-bottom 1em; } #trackinfo.mobile th { text-transform none; } #trackinfo.mobile tbody tr not(.media) th { text-align left; background-color unset; } #trackinfo.mobile td { white-space normal; } document.addEventListener( DOMContentLoaded , function() { use strict ; const headers = { title アルバム別曲名 , album アルバム , circle サークル , vocal Vocal , lyric Lyric , chorus Chorus , narrator Narration , rap Rap , voice Voice , whistle Whistle (口笛) , translate Translation (翻訳) , arrange Arrange , artist Artist , bass Bass , cajon Cajon (カホン) , drum Drum , guitar Guitar , keyboard Keyboard , mc MC , mix Mix , piano Piano , sax Sax , strings Strings , synthesizer Synthesizer , trumpet Trumpet , violin Violin , original 原曲 , image_song イメージ曲 }; const rPagename = /(?=^|.*
https://w.atwiki.jp/telespo2010/pages/151.html
スポンサー遍歴(冬期) 水曜ドラマ「曲げられない女」 日本テレビ系列(水)22 00~22 54 対象日1月13日 1月20日 1月27日 2月3日 2月10日 2月17日 2月24日 3月3日 3月10日 3月17日 対象日 1月13日 60秒 - NIVEA 30秒 - NTT東日本・NTT西日本、「カールじいさんの空飛ぶ家」、エバラ食品、JPゆうちょ銀行、コーワ、明星食品、コスモ石油、ニトリ、アイフル、SUBARU 1月20日 60秒 - NIVEA 30秒 - ニトリ、アイフル、SUBARU、コーワ、明星食品、明治製菓、コスモ石油、大一商会、エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本 1月27日 60秒 - NIVEA 30秒 - エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本、コカ・コーラ、「ゴールデンスランバー」、大一商会、アイフル、SUBARU、明星食品、明治製菓、ニトリ 2月3日 60秒 - NIVEA 30秒 - SUBARU、明星食品、アイア、ニトリ、アイフル、日本通運、エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本、サントリー、三菱電機 2月10日 60秒 - NIVEA 30秒 - NTT東日本・NTT西日本、サントリー、三菱電機、レオパレス21、エバラ食品、明星食品、森永乳業、ニトリ、アイフル、SUBARU 2月17日 60秒 - NIVEA 30秒 - ニトリ、アイフル、SUBARU、日本通運、明星食品、三菱電機、サントリー、パーシー・ジャクソン、エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本 2月24日 60秒 - NIVEA 30秒 - エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本、スリムビューティハウス、三菱電機、サントリー、アイフル、SUBARU、明星食品、富士フイルム、ニトリ 3月3日 60秒 - NIVEA 30秒 - SUBARU、明星食品、朝日生命、ニトリ、トステム、サントリー、エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本、BeeTV、富士フイルム 3月10日 60秒 - NIVEA 30秒 - エバラ食品、NTT東日本・NTT西日本、富士フイルム、earth music ecology、サントリー、明星食品、ブラザー、ニトリ、トステム、SUBARU 3月17日 60秒 - NIVEA 30秒 - ニトリ、トステム、SUBARU、ブラザー、明星食品、NTT東日本・NTT西日本、富士フイルム、earth music ecology、サントリー、エバラ食品
https://w.atwiki.jp/souhatsu_youkai/pages/51.html
あたし? 貞子 彼? 殺られたから殺っちゃった みたいな ヒマだからイベントやってみる 的な? 電話、かける 「今度みんなで呪殺大会やろーよ」 『マジ?でも私のが念動力系強いよ』 友達の、メリー ムカツク お前ハリウッド化されたことあんのか 「いいよ別に。あたし、今ならツベとかニコで大量感染狙えるし」 『あ、狡い!』 ぶりっこすんな とにかく、メリーは参加決定 「もし?あ、みっちゃん?」 『あら、貞子さん?久しぶりね』 電話二人目 ほの暗い水の底からの みっちゃん こいつヒッキー 「今度みんなで呪殺大会をね~」 『ごめんなさい……私、給水塔から出られなくって』 「あー、やっぱそうだよね」 マジきもい 三人目 着信アリのあいつ メリーと呪殺時の接触媒体が同じ 電話 きっと揉める マジ楽しみ みたいな
https://w.atwiki.jp/jimijimi_gabriel/pages/103.html
私が精神病院に入院させられない理由 2007/4/3(火) 午後 4 33 2chにこんなスレッドが立ってて笑いました(笑) 「滝沢秀明は悪魔なんかじゃないよね?」 http //tv11.2ch.net/test/read.cgi/jan/1174325385/l50 あのさ、悪魔滝沢秀明さん・・・ こんなスレッドたてたらますます怪しまれるだけだろうに・・・ いやいいけどね。 私が精神病院に入院させられない理由、そのスレッドにも書きましたが、 ここにも少し詳しく書いておきますね。 悪魔滝沢秀明は、私をさっさと精神病院に強制入院させてしまえば、 「滝沢秀明は悪魔だ!」と叫ばれることもなくなるわけですが、 そうすると日本、いや世界各地の浄化すべき場所に私が足を運ぶ事は できなくなるわけです。そりゃそうですよねえ。精神病院に強制入院が 必要な患者を日本、いや世界各地旅行させる、なんてできるわけないんだし。 ジブリールは、地球が壊れない程度の最低限の守りは施していますし、 慌ててどこかに出掛けて浄化する必要はないんですよ。 それに不浄霊というのは、実は悪魔君の内面の表れであって、 それは悪魔君自身を苦しめています。 そう、だからよく悪質な宗教団体が、 「あなたの先祖霊に不浄霊がいるから、供養して助けてやらないとまずい」 とか何とか言って、高額のお布施を強要したりしますが、 そんなものに応じる必要はないんです。 苦しんでいるのは悪魔君自身であって、ご先祖様自身は別に苦しんでません。 そういう霊が見えたとしても、それは悪魔君の見せる幻にすぎません。 だから霊の類いが見えた場合極力強気でつっぱね、相手にしないのがベストです。 いま、悪魔滝沢秀明に少しずつ「地球の掃除」をさせようとしているところですので、 皆さんは何も心配せずもう少しお待ち下さい。
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/6154.html
このページはこちらに移転しました 戻れない 作詞/215スレ25 どうしてだろう 涙が出ちゃう アノ日々は もう二度と戻らないよ どうかしてる ただ一つだけ まだアイツらと一緒にバカやってたかった 一生に遊んでいたバカたち あんまり話さなかったアイツら 入学式緊張の中 初めて出来た俺等マブダチ 色々バカして回った サツにもお世話になった事もあった でもそれでも見捨てなかった 俺のカーチャン ホント色々ごめんね どうしてだろう 涙が出ちゃう 全てが今日で 終わってしまう どうかしてた 俺はバカだった せめて親孝行ぐらいさせて しょおもない事で 俺キレて アンタと喧嘩して 家飛びでて 日数足りなくなり俺留年 やめてやる!学校も辞めどうしようも無い俺なんかを 夜中必死に探してくれたね アンタバカだよ でもありがとう そんな気持ちを伝える事もできなく アンタは逝っちまった 「ごめんね」そして「ありがとう」 何でだろう 素直になれない 目の前にいなければ 言えるのに くやしくて 自分が嫌になる 後悔してる俺が また嫌で 苦しいよ こんな思いは したくない でも忘れられなくて ごめんね そしてありがとう・・・
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3320.html
※このお話は『渋皮やさしく剥いたなら』の後日談です※ 女心と秋の空、とはよく言ったもので。妙に暑いなと思ってたら急に肌寒くなったり、はたまたジメジメとした小雨が長く続いたりもする、そんな季節の頃。 要するに秋の半ばだな。空を覆うように広がるいわし雲の下を、俺はハルヒ宅に向かって自転車を走らせていた。別に呼び付けられた訳でもなけりゃ、大した用事でもない。単なる気まぐれと言うか、たまにはちょっとしたプレゼントでもあいつにくれてやろうかと思ってね。お、見えてきた。 ハルヒの部屋の窓の端で、白いレースのカーテンが揺れている。日曜の昼下がりだし、もしかしたら家族で出掛けてるかも、なんて可能性も考えていたが、どうやら都合よく部屋に居るみたいだな。よしよし。 路傍に自転車を停めた俺は、そよ風にふわふわ揺れるカーテンを見上げながら、ピッと携帯のコールボタンを押した。 「あによ、キョン。何か用?」 「…だから、一体どうすれば『もしもし』と言えるようになるんだお前は」 呆れました全開の語調で、はーっと溜息を吐く。すると電話の向こうのあいつも負けず劣らず、ふざけんじゃないわよ全開の舌鋒で反論を叩きつけてきた。 「どこにそんな必要があんのよ。誰が掛けてきたのか着信音で最初から分かってんのに、いちいち丁寧な挨拶なんて使ってられるもんですか」 「ほーう、団長様は一団員のために、わざわざ着信音を設定してくださっておられましたか。それはそれはありがたい事で」 「な、なに言ってんのよ! だいたい何、その気色悪い喋り方!? あんた絶対あたしを馬鹿にしてるでしょ!」 「あースマン、俺が悪かったからそう大声を上げるな。お互い、ご近所さんに変な目で見られたかないだろ?」 「なによ! あたしがどんな目で見られようとあんたには関係な………。って、お互い? ちょ、ちょっと待ちなさいよ。あんた、まさか!?」 電話越しの声が上ずったと思ったら、バッと見慣れたカチューシャ頭が窓の向こうから飛び出した。目と目が合ったので軽く片手を上げてやると、ハルヒは逆上したように、かーっと顔一面を紅潮させる。 「アポ無しで悪いが、昨日また田舎から届け物があったんでな。こうしておすそ分けに来てやったんだが、いま出て来れるか?」 「~~~っ! もう、あんたって奴は!」 で、俺は今こいつと対面してる訳だが。何故に自分の部屋から玄関先へ出てくるまでに10分ほども時間が掛かるのかね。そういえば今日はスウェットパンツとかの部屋着じゃなく、ちゃんとスカートに、淡い黄色のセーターなんぞ着込んでいるんだな。 「ちょうど出掛けようかなって考えてた所だったの! あと少しタイミングが悪かったら、あんた思いっきり無駄足だったんだからね、あたしに感謝なさい!」 「人から差し入れを貰うのに、えらく居丈高だな」 「うっさいわね! 恩着せがましい事言ってないで、渡すならさっさと渡しなさいよ!」 ふん!とそっぽを向くハルヒに、俺はやれやれと自転車のカゴの中から新聞紙で包んだ大き目のタッパを取り出し、突きつけてやった。 「ほらよ、今回は調理済みだから皮剥きに苦労したりする必要は無いぞ。なにしろ松茸ご飯だからな」 「へっ、松茸って…あの松茸?」 ぱちくりと目を瞬かせるハルヒに、俺は事も無げに頷いてみせた。 「アノもコノもあるか。松茸は松茸だ」 「うそ、あんたの田舎ってそんなのも採れるわけ!?」 「まあな。去年の栗をハルヒが喜んでたって伝えたら、婆ちゃんが張り切っちまったみたいでさ。山から採ってきてくれたそうだ。なんでも今年は豊作だそうだし、ま、遠慮なく喰ってくれ」 「う、うん…。お婆ちゃんのご好意は無下に出来ないものね。あ、ありがたく頂く事にするわ」 何やらゴニョゴニョと言いながら、ハルヒは両手で包みを受け取った。ふむ、さすがのハルヒも松茸には少々畏まるか。 まあ分からんでもない。大げさに言えば、松茸って奴にはある種の魔力があるからな。こいつの場合、単に喰い意地が張っているだけという可能性も無きにしも非ずだが。 「とにかく、確かに渡したぞ。じゃ、また明日」 「あっ、ちょっと待ちなさいよ、キョン! 貰いっ放しなんてあたしの名がすたるし…その、お茶とお菓子くらい出してあげても…」 「いや、今日もおふくろからお使い頼まれてるんでな。明日にでも感想聞かせてくれればそれで十分だ。じゃあな」 やや強引に話を切り上げて、俺はさっさと自転車を漕ぎ出した。なにせ、このままハルヒの前に居たら思わず吹き出しちまいそうで、俺は内心、笑いを堪えるのに必死だったからな。 と、ここでネタばらし。俺が『松茸ご飯』と称してハルヒに渡したタッパの中身、実は真っ赤なニセモノ。本当はエリンギをそれらしい形にカットした物を醤油と松茸風味のお吸い物に漬け込んで色と香りを付け、スライスしたそれを炊き込みご飯に混ぜ込んだ、ニセ松茸ご飯なのだ。 まあ俺はニセ松茸の仕込みをしただけで、調理そのものはおふくろに頼んだんだがな。もちろん本当の目的は内緒のままで。 だいたい、松茸がそう簡単に採れてたまるか。希少価値があるからこそ、国産の松茸ってのはあんなに高いんだよ。うちの田舎は確かに小さな山を有してはいるが、秋に採れるのはせいぜい、あけびやむかごくらいだ。鶴屋さんクラスのブルジョワジーでもなけりゃ、この日本で松茸が採れるような山になんて入れやしないっての。 なに? そもそも、どうしてこんな世界まる見えじみたドッキリを仕掛けてるのかって? よくぞ訊いてくれた。実は昨日、つまり土曜日の出来事なんだがな。例によって不思議探索で集合した喫茶店で、俺は久々にホットな飲み物でも注文しようかと考えてたんだ。 「有希は野菜ジュースね? あとは…キョン、さっさと決めなさいよ。本当にあんたはいっつも優柔不断なんだから」 「なんだハルヒ、その言い草は。俺はこれでも常に沈思黙考してるんだよ。 じゃあ、ブルーマウンテンをお願いします」 俺がウェイトレスさんに告げた銘柄に、意図など無かった。メニューを開いた中で、単に目に付いただけさ。ところがこれに、ハルヒが変に喰いついてきた。 「なーにがブルーマウンテンよ。キョンのくせに格好つけちゃって」 「俺が何を頼もうと、俺の勝手だろ」 「味の分かんない人間に飲まれたんじゃ、コーヒー豆の方が可哀想だってのよ。いいわ、だったらテストしてあげる。こっちのモカってのと利き比べてみなさい」 ウェイトレスさんの前で、ハルヒがメニューの一部をビッと指差す。やれやれ、どうやらこいつのイベント好きの血が、また騒ぎ出したようだ。 「アホか、どうせここの支払いは俺だろうに。何が悲しくて、無駄に2杯もコーヒーを飲まなきゃならんのだ」 「みみっちいわねえ。いいわよ、あたしの分で注文したげるから。 って事でウェイトレスさん、注文変更ね。シナモンティー取り消しでモカを頂戴。もちろんテーブルへ置く時に、どっちがどの銘柄なのか言っちゃダメよ。あたしにだけこっそり教えてよね。 さーてキョン、あんたご自慢の舌はどの程度のモノかしら?」 俺は単に本格的なコーヒーが飲みたかっただけで、舌の自慢などしていないんだが。勝手な事をほざきつつ、ウェイトレスさんにあれこれ指図しながらニマニマと瞳を細めるハルヒの表情が、あんたらにも思い浮かぶだろうか。 その後に運ばれてきたふたつのコーヒーの利き比べがいかなる結果に終わったかも、とりあえずご想像にお任せする。ちなみにハルヒはしてやったりの澄まし顔でモカの残りを豪快に飲み干し、あまつさえ俺のブルマンにまでも手を出した挙句、 「にっがいわねえ、これ。胃を悪くしそうだわ」 などとほざいて、勝手にミルクと砂糖をぶち込んで突き返してきたのだった。泣く泣くそれをすする俺の様相に、朝比奈さんたちも、ウェイトレスのお姉さんまでクスクス笑ってたし。 「ふふ、見事なまでの尻に敷かれっぷりですね」 古泉のくだらない冗談が、さらに俺の神経を逆撫でする。くそ、ハルヒの奴め要らん恥をかかせやがって。コノウラミハラサデオクベキカ! いや、さすがに藤子不二雄A調なまでに憤っている訳じゃないが、俺だってそうそう大人物じゃないからな。胸に復讐の炎が燃え上がったのも当然と言えよう。かくして今日この日、ニセ松茸ご飯作戦は決行されたのだった。 くくく、月曜の朝が楽しみだぜ。「昨日の松茸ご飯、まあまあだったわ」とでもほざいたらハルヒめ、指差して嘲ってやるからな? はーっはっはっはっは! そうして、明くる月曜日。 少年時代のピンポンダッシュの際にも似た背徳的緊張感を内心に秘めつつ、教室に一歩足を踏み入れた俺がちらりと隅の方を見やると、そこには窓の外を向きながらも背中に上機嫌オーラを漂わせたハルヒの姿が! ぷぷっ、見事に引っ掛かってくれたようだぜ。ついついニヤケてしまいそうになるのを懸命に堪え、努めて何でもない風を装いながら俺はハルヒに歩み寄り、声を掛けた。 「よう、ハルヒ。どうだった、昨日の…」 「あ、キョン! ようやく来たわね、待ってたんだから!」 すると、いきなり席から立ち上がったハルヒは、そう言って俺の真正面に向き直ったのだ。なんだ? 松茸ご飯の礼にしては大仰すぎる。まさか、バレたのか!? 思わず背筋に寒い物が走ったが、何の事は無い、ハルヒは全く気付いていない様子で、ばっしばっしと俺の両肩を叩いていた。 「本当に美味しかったわよ、あの松茸ご飯! 味も香りも最高! あんなに松茸がたくさん入った松茸ご飯なんて、久々だったもの。もう親父と奪い合うように夢中で掻っ込んだわ! 家族全員、大満足よ! あんたは届けただけだけど、とにかく近年稀に見る良い働きをしてくれたわね。うん、褒めてつかわす!」 はあ、そりゃどーも。って、人を褒めるのにも大上段からか。こいつらしいといえばこいつらしいんだが、いやはや呆れるのを通り越して、むしろ感心しちまうね。 それにしてもこのハルヒ、ノリノリである。いやまったく、100万Wを軽く超えちまいそうなくらいに満面の笑みだよ。あまりのご機嫌さに、なんだかこっちの方が罪悪感を覚えてきちまうぜ。ほんの軽いイタズラのつもりだったんだが、こりゃ度を過ぎない内に、さっさと本当の事をバラしておくべきだな。 だがしかし、ハルヒのけたたましい大歓声にクラス中の注目がこっちに集まっているようで、今ここで真相を明かすのはタイミング的にまずいか…? などと俺が考えていると。ハルヒの奴は急に、ふっと声のトーンを落とした。 「でね、夕飯の後、親父たちと話したのよ。キョンには立派な田舎と優しいお婆ちゃんがいて、羨ましいなあって。あたしの家は両親とも都会育ちで、田舎の存在そのものが経験無かったからさ。 そしたら、母さんがこう言ったの。あら、だったら良い方法があるじゃない、ってね」 珍しくしんみりした口調で話してたかと思うと、突然ハルヒは俺の頬に左右の手を沿え、強引に顔と顔を向き合わせた。見上げるハルヒはえらく楽しそうで、大きな瞳が宇宙を凝縮させたみたいにキラキラ輝いている。この短い時間にこの表情の変わりよう、まさに女心と秋の空だね。 などと、落ち着いている場合じゃない。おいこらハルヒ、お前いったい何を…。 「言ったでしょ、貰いっ放しじゃ涼宮ハルヒの名がすたるって。去年の栗もそうだし、あんたのお婆ちゃんには本当に良くして貰ってるわ。 だからキョン、そのお礼として、あたしはあんたの所にお嫁入りする事に決めたから!」 朝の教室に、うおーっ!?だの、キャー!といった黄色い悲鳴が飛び交う。そんな中、俺は目の前で得意げに胸を張っている団長様を、呆然と見つめていた。 はい? そのお礼に………なんだって? 「だーかーらー、あたしがあんたの嫁になったげるって言ってんの! そうすればあたしには田舎が出来るし、あんたは分不相応なくらいすてきな奥さんを迎えてお家も安泰、お婆ちゃんも安心させられるでしょ? みんな万々歳、うん、こんないい話は無いわね!」 一人で盛り上がっているハルヒのセリフは、俺の耳を右から左へ2、3周していた。 いいや、盛り上がってるのはハルヒだけじゃない。クラスの男子も女子も十重二重に俺たちの周りを取り囲んで、既に異様なほどハイになっている。いつの間にやら俺の隣で腕と腕を絡ませたハルヒには、女子連中からのおめでとうコールが引っ切りなしだし、阪中など感極まって泣き出してしまう始末だ。 向こうの隅じゃ別の意味で男泣きの谷口が、国木田に慰められてるし。これは一体何の祭りだ? 俺とハルヒの電撃婚約祭り? ああ、そうでしたか。 って、納得してる場合かーッ! ととととと、とにかく落ち着けハルヒ、そう、こういう事はその場の思い付きなんかじゃなく、もっと真剣にだな…。 「当たり前でしょ。あんたまさか、冗談であたしが結婚したげるとか口にしたと思ってんの?」 「い、いや…そういう訳じゃないが、しかし…」 「このあたしが嫁に行くって言ってあげたのよ!? 本来はそっちから言うべき事なのに、あんたってば本当にいつまで経っても鈍感で優柔不断なんだから! そうよ、あたしは目一杯譲渡してあげたんだから…だから、ちゃんと幸せにしなさいよね。じゃなかったら許さないんだから…」 憎まれ口の割には耳たぶまで真っ赤にして、こちらを見上げながらすがるようにそう呟くハルヒから、俺はどうしても目を逸らす事が出来なかった。 やれやれ、ハメるつもりがハメられた。いや、ハマっちまったのか? とにかく今は、とても事の真相を話せるような状況じゃなさそうだ。だから俺は仕方なく、そう、本当に仕方なくこの場の雰囲気に流されるまま、両腕にハルヒを強く抱き締めたのさ。教室一杯の祝福の声に包まれながら、な。 ああ、あとこれは別にどうでもいい事なんだが。 次の年の秋から、何故かうちの田舎の山で、急に“ある物”が採れるようになった。はてさて、これは地球温暖化か何かの影響なんだろうかね? 「なーにを独りでゴチャゴチャ言ってんのよ、このバカキョン。せっかくの松茸ご飯が冷めちゃうでしょ? あんたの味覚オンチを是正するために! このあたしが! 愛情たっぷり込めて! 作ったげたんだからね。しっかり味わいつつ、さっさと食べなさい!」 「へいへい」 嘘から出た松茸 おわり
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/3054.html
絶対に負けられない首巻タオル tvasahi_wc_towel_*_1005.swf abe, hasebe, nagatomo, nakamura, nakazawa, okazaki 六本木 テレビ朝日ランド 絶対に負けられないエリア パソコン ファッション その他 男女共通 100アメG http //ameblo.jp/pigg-staff/entry-10540903851.html