約 16,865 件
https://w.atwiki.jp/sinapusu2002/pages/177.html
ツイッターの140文字で最大限想像力を引き出す狂歌を作って見る一人遊び。 寂しい人じゃないよ。 うそです寂しい人です。 黒い雨が降り続く。 窓の外を眺めれば昼だというのに外は粘つくインクのような風景。 石造りの街は雲の影に覆われ。 建物の表面を雨の被膜が覆っている。 雨は細かく一粒一粒は見えない。 こんな日は外に注意しないといけない。 私は窓を見ながらそう考える。 ここではそれがルールだ。 いつからそうなのか誰もしらない ただこのルールを守ることは大事だ。 私の父からうけついでいだ意思。 ブラックドックの大小の群れが外を通り過ぎる。 黒い影が具現化したような。 足音にすら暗い響きがある。 実際影が具現化している。 私はそう考える。 彼らに見つからないように今日の食事を得ないといけない。 私は雨除けのフードをかぶるとドアを慎重にあけた。 小路から小路へ手慣れたといえば手慣れた道を歩きながら子供のころの唄を思い出す。 金の円盤、銀の円盤。 金の針が回れば運命がまわる。 金の円盤、銀の円盤。 銀の針が回れば貴方の時が動き出す。 金の円盤、銀の円盤。 失われた時を取り戻す。 夕焼け照らす小路に落ちた時のピースを拾い集めて。 赤銅の円盤、鉄の円盤。 赤銅貴方の時を止める。 鉄の円盤には気をつけろ。 貴方の時を錆びさせる。 子供のころの幸せな思い出。 夕焼けの中、路地で遊んだ日々。 その時うたった子供が好む意味のない歌。 影の支配する今の町では路地という路地から消えた歌。 私の円盤は正確な生存の道を指し示しているだろうか? 昔の思い出がよみがえる石畳の道を歩き続ける。 小道の途中でドラム缶の炎を囲んでいる一団に出会った。 彼らが言うにはこの炎は街の中心にある教会の聖者様の祝福を受けているから影の者たちが近づくと雲散霧消するそうだ。 私は火に当たって少し話をする。 隣の通りで小麦を販売している店があったはずだ。 今もあるのか聞いてみる。 廃業したらしい。 この街からは人が減っている。 魔の出ない天気のいい日に街から逃げ出す物。 雨の日の、夜の闇夜に食われたものの話。 誰が生き残っているのか消息を尋ねる。 ふと顔を上げて街路を見る。 建物を構成する石の隙間から影が気化したガソリンのような揺らめきなをみせながら立ち上っていた。 私は暖を取っている人たちに警告を発する。 「あそこブラックドックが実体化しはじめている、早く逃げて」 その声を聴いて帽子を深くかぶると踵をかえして男たちは逃げ出す。 私は懐に抱えた剣を取り出した。 戦いはすぐに終わった。 集団となれば人があがらうことができないブラックドックだが一匹二匹なら剣で対抗できる。 ブラックドックの死骸は重い影となって蒸発し地面を這うように広がっていく。 時間がたてば地面に帰りまた地の中で集まり形を構成して別の魔物として形を現すだろう。 私は足に絡みつく重たい影の蒸気のなかを一歩一歩進めていった。 雨が止んだ。 夕焼けの強烈な日差しが石造りの街路を照らす。 その2 鉄の軋みと重厚なエンジン音が青空に響く。 キャタピラのわだちが大地に穿たれていく。 大平原では戦車戦が展開されていた。 我我は戦線を維持。 今日の戦果は今のところ敵の戦車13. 悪くない戦果だ。 敵も味方も果てしなく鉄量を投入している。 諸君、後方にいる諸君。 諸君らの力が前線では、
https://w.atwiki.jp/opedmiroor/pages/2760.html
覇悪怒組の通う竹早小学校5年3組は、二学期の終業式を迎えていた。 落合先生が訓示を述べる。 落合先生「諸君! 明日からは、冬休みだ。1月10日の三学期の始業式まで2週間、勉強するもよし、遊ぶもよし! どっちにしろ、しっかりとやることだ。寒いからと言って、こたつでぬくぬくしているような奴はろくなもんじゃないぞ! 寒い時こそほど、よく体を動かし、頭脳を鋭く研ぎ澄まさせろ? 冷たい北風の中に身を置くと、体がさーっと緊張して、遙かなるものに挑戦しようという気持ちがぐーっと強くなるんだな。冬こそ諸君、体の芯を明々と燃やし、夢をともせ!」 ススム「いいぞ先生、その調子!」 落合先生「先生は、梅の花が好きだ」 ヤスコ「私も好きです」 落合「梅の花はいいものな…… 梅の木は、寒い冬の中で、冷た~い雨や雪に打たれながらも、じーっとつぼみをため、やがて来る春を待ち続けるんだ。先生がすごいな~と思うのは、梅の木は春が来ることを信じて疑わないことだ! 必ず春が来ると信じているからこそ、どんなに辛い冬の寒さにも耐えられるんだ。途中でヤケクソになって、つぼみを放り投げたりは決してしないということだ。春が来ると、待ちかねたように、木いっぱいに可憐な花を咲かせるんだ! 素晴らしいじゃないか! 諸君、先生は諸君に、梅の木になってもらいたいと思っているんだ」 タケオ「梅の木に?」 落合先生「そうだ、梅の木だ! 春は必ず来ると信じて、どんなに辛いことにも耐えられる精神を、諸君に持ってほしいということだ。諸君、先生は冬休みの間に、諸君が一段とたくましくなることを心から祈っている」 ヒロシ「なんだよ先生、まるで別れの挨拶みたいなこと言うじゃないか」 落合先生「そんなことはないぞ? 先生は1月10日に、一段とたくましくなった諸君の姿を見たいと思っているんだ。それまで、しばらくのさらばだ」 チャイムが鳴る。 「バサラ、バサラ」とつぶやき、手を振りながら教室を去る落合先生。 ヒロシ「落合先生!」 ヒロシが急に立ち上がる。 サトル「ヒロシ、どうしたんだよ」 ヒロシ「あ…… うん、なんでもないよ」 我に帰ったように着席するヒロシ。 いざ、魔天郎王国へ 覇悪怒組はいつも通り5人で下校中。 だが、ヒロシの表情は相変わらず優れない。 サトル「ヒロシ、さっきっからおかしいぞ」 ヒロシ「うん、変な気分なんだ。俺な、落合先生には、もう二度と会えないんじゃないかって…… そんな気になっちまったんだ」 ススム「バ、バカ言え!」 タケオ「そうだよ。そんなことあるわけないんじゃないか?」 ヤスコ「考えすぎよ、そんなの」 ヒロシ「そうだよな。俺の考えすぎだよな」 ヒロシが気持ちを切り替えて4人に向き直る。 ヒロシ「どうだ、みんな! 順子先生を誘ってさ、これからみんなで落合先生のアパートに押しかけないか? みんなで料理を作ってさ、一緒に飯を食おうぜ」 さっそく5人は分かれて食材を買い集め始めた。 ヒロシは精肉店、タケオはパン屋、ヤスコは順子先生を連れてスーパーへ。ススムとサトルは自宅(*1)のあまりものを持ってきた。 6人が落合先生の住んでいるアパートの玄関先に集合する。 サトル「順子先生! 来てくれたんですね!」 順子先生「そりゃあ来るわよ! 落合先生は普段ろくなものを食べてないから、栄養バッチリつけさせてあげなくっちゃ」 ススム「もう花嫁気分!」 順子先生「ススム君ったら、おませなんだから」 ススム「照れてやんの!」 順子先生をはやし立てながら落合先生の部屋まで向かう5人。 が── 旅にでますのでしばらく留守にします 落合 ドアの前には張り紙が。 ススム「せっかくみんなで来たのにさぁ」 サトル「みんなで上がって、料理作って食べちゃおうか?」 ヤスコ「鍵がないわよ」 順子先生「鍵なら…… 私が預かってるけど」 順子先生が部屋の鍵を取り出す。 ススム「あっ、……通い妻!」 またもはやし立てるススム、サトル、タケオ。 ヒロシとヤスコもニヤニヤ笑っている。 順子先生「そんなんじゃないのよ! まさかの時のために預かってほしいと頼まれたのよ」 それを聞いたヒロシの表情が変わる。 ヒロシ「順子先生、その鍵、貸して下さい」 ヒロシが前に進み出た。 順子先生「ヒロシ君? どうするつもりなの?」 ヒロシ「落合先生が魔天郎かどうか、調べたいんです」 ヤスコ「ダメよ、ヒロシ君!」 ヒロシ「だけど絶好のチャンスじゃないか!」 ヒロシが順子先生の手から鍵を奪い、鍵穴に入れる。 順子先生「ヒロシ君!」 ヒロシは順子先生を無視してドアを開けた。 落合先生の部屋の中は整然としている。 ヒロシ「みんな、落合先生が魔天郎なら、何か証拠があるはずだ。みんなで手分けして探してくれ」 ススム、サトル、タケオ「おう!」 流し場の食器棚やトイレの中に至るまで、部屋中をくまなく漁る覇悪怒組。 順子先生はそれを不安げに見つめている。 ススムが押し入れを開けると、落合先生の洗濯物が雪崩のように落ちてきた。 ススム「うわー、きったねぇ! 落合先生、全然洗濯してないじゃん。順子先生、あんたの責任!」 サトル「そうだよ!」 ふざけて洗濯物を投げつけるススム。 しかし順子先生は先ほどのように反撃せず、ただ泣きそうな顔でうつむいている。 ススム「あれ……? 怒んないの? なんだよ順子先生、何も泣くことないじゃないか。俺、ほんの冗談のつもりでさ……」 順子先生「違うの…… 落合先生が魔天郎だったらどうしようかと思って」 サトル「その時は失恋だね、先生」 順子先生が再びうつむく。 ススム「サトル、意地の悪いこと言うなよ」 タケオ「そうだよ。順子先生、落合先生はシロだから安心しなよ」 サトル「魔天郎だったらどうすんだよ?」 タケオ「そしたら俺…… 悲しくて泣いちゃうよ……」 ヤスコ「私だって、きっと泣いちゃうと思う」 気まずい空気が漂う。 ヒロシ「……やめだ、やめだ! なんだよみんな、俺だって、落合先生はどこまで行っても落合先生でいてほしいんだ。なんだよ、俺一人悪者みたいじゃないか」 そう言うのもつかの間、ススムが押入れの奥に何かを発見。 ススム「おいヒロシ、パソコンがあるぞ!」 ヒロシ「えっ!?」 ふすまを開いて覗き込む一同。 確かにパソコン(NECのPC-9801)が置かれている。 ヒロシ「パソコンだ。落合先生にパソコンだなんて変だよな?」 サトル「使えんのか?」 言うまでもないが、1987年当時のパソコンはかなり高価なもの。落合先生の安月給で買えるはずはない。 ヒロシ「出そうぜ」 サトル、タケオ「おう!」 ヒロシたちがパソコンを引っ張り出す。 サトル「ヒロシ、ここまで来たら引き下がれないぜ」 ヒロシ「ああ。ススム、電源!」 ススムがコンセントを挿し、ヒロシが電源を入れる。 ヒロシ「毒を食らわば皿までだ」 操作を開始して数分後、パソコンの画面に魔天郎の絵が映し出された。 ヒロシ「これは、俺がパソコンで作った魔天郎だ(*2)」 ヤスコ「落合先生、ヒロシ君のパソコンから魔天郎のイメージを盗んだのかしら」 順子先生「だったら…… 落合先生が……!?」 ヒロシ「こんなもの、決定的な証拠になんないよ」 ヒロシが操作を続行。 今度は洋館の写真が映し出される。 ススム「なんだ?」 サトル「魔天郎のアジトかもしれないな」 タケオ「決めつけるなよ」 ヤスコ「場所はどこなの?」 ヒロシが再び操作。 洋館の地図が映し出される。 ヒロシ「高見町の郊外だ! ほら、高見台団地のずーっと向こうのほうだ」 ヤスコ「ヒロシ君……」 ヒロシ「ここに行ってみよう! ここに行けば、落合先生が魔天郎かどうか、わかるはずだ!」 順子先生「ヒロシ君、私も一緒に行くわ」 了承するヒロシの表情は険しい。 翌朝、ヒロシの家── ヒロシの母「あなた!! あなた、起きて!! ヒロシが……」 ヒロシの父「うるさいなぁ、朝早くからガラガラ怒鳴るもんじゃありません! ヒロシがどうしたの?」 ヒロシの父がパジャマ姿で居間に来る。 ヒロシの母「こ、こ、これ!」 ヒロシの母が机を指さす。机の上に書置きが置かれている。 書置きを手に取り、読み上げるヒロシの父。 父さん母さん 僕たち覇悪怒組は魔天郎との最後の勝負にでかけます順子先生も一緒です 男がこうと決心してやることです 父さん母さんは何があっても心配しないで下さい洋(ヒロシ) 読み終えたヒロシの父が卒倒する。 覇悪怒組と順子先生は自転車で洋館へ。 洋館から少し離れた自然公園に隠れ、ジオラスコープ(双眼鏡)で様子を探る。 そして洋館に突入しようとした時──ヒロシが人の気配に振り向いた! そこにいたのは魔天郎の手下──ではなく、覇悪怒組のライバル・内山重夫率いるパチンコ組。 これまでにも3度ほどやりあった宿敵だ。 ヒロシ「パチンコ組だ……」 身構える覇悪怒組。 内山「ヒロシ、何か面白いことをやろうとしてるようだな。俺たちも仲間に入れろ!」 ヒロシ「内山…… 悪いけど今日は、お前たちの相手をしてる暇はないんだ」 内山「なんだと?」 内山の舎弟の一人がパチンコを構えて威嚇する。 ヒロシ「内山、俺たちは今から魔天郎に最後の勝負を挑もうと思ってるんだ。負ければ、死ぬかもしれない。だけど…… 俺たちは大好きな落合先生のために、戦わなければならないんだ」 内山「落合先生のために? どういうことだ!?」 ヒロシ「理(わ)由(け)は、今話せない。分かってくれ、内山……」 静寂── 内山「分かった。行けよ、ヒロシ」 ヒロシ「……内山、元気でな」 覇悪怒組と順子先生は、身を低くして洋館へ向かった。 もはや何も言わず、それを見送るパチンコ組。 内山「奴ら、命がけだぜ」 洋館の中では、魔天郎が何かの図面をにらみながらパソコンを操作している。 「MTR計画設計図」──そう題された図面には、巨大な塔の絵が描かれていた。 ふいに警報が鳴る。 監視カメラの映像を呼び出す魔天郎。テレビ画面に覇悪怒組と順子先生の姿が映される。 魔天郎が計器類を素早く操作していく。 忍者好きのススムが窓の一つに鉤縄をかけ、それを伝って洋館の中に侵入。 縄梯子を下ろし、残る5人もススムに続いて侵入を果たす。 その様子をパチンコ組が陰から覗いている。 内山が、侵入成功を見届けて満足げにうなずいた。 覇悪怒組と順子先生は、魔天郎のマークが書かれた大扉の前に来た。 ヒロシ「やっぱり魔天郎のアジトだったんだ……」 サトル「ということは…… 落合先生は魔天郎だったってことだ」 順子先生が顔を曇らせる。 ヒロシ「入るぞ」 ドアに手をかけるヒロシをヤスコが止める。 ヤスコ「待って、中に入ったら突然空中に投げ出されるかも知れないわ」 タケオ「前にもそんなことあったよな」 落合先生と覇悪怒組が出会ってまだ間もない頃、魔天郎は、空中浮遊の実演と称して覇悪怒組を無重力室に閉じ込めたことがある。 その記憶を思い返す覇悪怒組。 ススム「だけどあの時は楽しかったよなぁ」 ヒロシ「今度もあの時と同じっていう具合にはいかないさ。みんな、気をつけろ」 ヒロシが一同を代表してドアを開ける。 ドアの先は下り階段になっていて、そこを下りていくと薄暗い倉庫のような空間があった。 覇悪怒組と順子先生の前に、怒り仮面が立ちはだかる。 ススム「怒り仮面だ!!」 引き返す一同。その行く手をふさぐように、天井から妖怪・千年婆ぁ~が現れる。 タケオ「千年婆ぁ~だ!!」 千年婆ぁ~「遊んでおくれ、遊んでおくれ~」 さらに逃げ、奥の小部屋に退避する一同。 棚の上に、大勢の人間のデスマスクが置かれている。 サトル「す、水道橋博士だ……」 ヤスコ「魔術師テンオーよ! でも、何か変よ……?」 デスマスクを調べる一同。 それはいずれも変装用の小道具であった。 ヒロシ「これは、変装道具だ。魔天郎はこれを使って、いろんな人間に変装していたんだ」 かつらや覆面を着けてふざけあう覇悪怒組。 気を取り直して、一同はさらに先へ進む。 また、魔天郎のマークが書かれた大扉の前に来た。 ヒロシ「ここが魔天郎の部屋かもしれないぞ」 ヒロシが意を決してドアを開ける。 扉の中は防音室のような作りになっていて、壁の一つには丸い窓のようなもの、もう一つには真っ赤な半球体が付いていた。 順子先生「変な部屋ね、何に使うのかしら」 ヒロシ「魔天郎はきっと、この部屋を使って異次元空間を自由自在に行き来してるんだ」 タケオ「宇宙人かもしれないな。きっとそうだよ!」 ススム「だったら…… 落合先生も宇宙人ということになる……」 順子先生「ススム君! 断定しちゃダメよ」 ヒロシ「魔天郎の奴、何を企らんでんのかな? 前に俺が捕まった時、魔天郎の王国を作るって言ってたけど…… 何のことだかさっぱりわかんねーよ」 そこに、魔天郎の高笑いが響き渡る。 丸い窓のようなものに魔天郎の姿が浮かび上がった。 魔天郎「覇悪怒組の諸君! 私は今、私自身の壮大な夢を実現しようとしているんだ。いいか諸君、私は、私の夢の実現を邪魔しようとする者は決して許さない! 君たちは私の良きライバルとして十分私を楽しませてくれた…… だが、それもこれまでだ。君たちには、私の邪魔ができないように、遠い世界に消えてもらうぞ」 ヒロシ「な、何っ!?」 身構える覇悪怒組。 赤い半球体がけたたましい音とともに点滅し、部屋の明かりが消える。 宙に浮かぶ一同。 ヤスコ「空中浮遊装置よ!!」 ヒロシ「魔天郎、俺たちをどうするつもりだ!?」 魔天郎の映像が消え、直後に窓が変形して穴になった。 その中に吸い込まれていく一同──。 その頃、パチンコ組も洋館の中に突入していた。 覇悪怒組と順子先生の悲鳴を聞きつけ、件の部屋に飛び込むパチンコ組。 内山「な、なんだあれは!?」 部屋の中は完全にもぬけの殻。 覇悪怒組も順子先生も、穴の中に引きずり込まれた後だった。 内山「バ、バカな! ブラックホールがこんな所にあるなんて!!」 パチンコ組もまた、穴に飲み込まれていく。 穴の中をただ流されていく一同。 ヒロシの絶叫が異次元空間に響く── ベッドの中で、パジャマ姿のヒロシの母が目を覚ます。 すでに時刻は深夜を過ぎていたのだ。 夫を起こすヒロシの母。 ヒロシの母「ヒロシが真っ暗な穴の中に落ちてく夢を見たのよ」 ヒロシの父「……何だって!?」 ヒロシの母「助けてくれ、って呼んでるの。あなた、どうしよう?」 ヒロシの父「……やはり明日…… 警察に捜索願を出しましょう……」 順子先生とヒロシたち覇悪怒組、そして内山重夫とパチンコ組は、魔天郎によってブラックホールに飲み込まれてしまった。魔天郎の壮大な夢とは何なのか?そして…… 魔天郎の正体は、果たして落合先生なのであろうか……? つづく ※ この続きはおもいっきり探偵団 覇悪怒組の最終回をご覧ください。
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/391.html
『塀についたドア』 彼は、死ぬ前日私に話してくれた。塀についた青いドアのことを。 子供時代、青いドアの向こうで遊んだ日々を。 彼はそれを「異世界への入り口かもしれない。」と言った。 そして、「そこでもう一度ハルヒや長門や佐々木達に会いたい。まだ彼女たちと話すことがあるんだ」とまで 異世界での体験?を彼はそのまま小説にした。 彼の小説は飛ぶように売れてアニメ化までされた。それは諸君もご存知のことだろう。 何故あそこまで売れたのか?それが本当にあった話だったからか? そして、その体験は「驚愕」の元原稿に書かれたもので終わっていたのである。そこで、彼はこの世界に帰ってきたから。 編集には「もっと続けろ」と言われていたが、彼には想像力でその先を続けることはできなかった。らしい。 「僕には、あの世界では高2の途中までの思い出しかないんだ。だから、ハルヒシリーズを書ける文量は初めから決まっていたんだ。」 彼は、ハルヒシリーズの最初でもそれを述べたのである。 今、2ちゃんねるは彼の死でもちきりだ。俗に言う「祭り」というやつか? 警察の調べによると、彼は、夜中、工事現場に入り、 そして足をすべらせて落ちて死んだらしい。 青いドアは実際に存在したのだろうか。 私にはわからない。 彼は仕事上のストレスから来る幻覚と、偶然と不注意の犠牲者だったのだろうか。 それとも、何か超自然的な力によって異世界を旅することができたのだろうか。 たとえそうだとしても、最後には、それが彼を裏切って殺したと諸君は言うかもしれない。 だが、それは本当に彼を裏切ったのだろうか。 我々には、囲いがあり、穴があるとしか見えない。 我々の感覚では、彼は安定した現実世界から、暗黒へ、死へと歩み出したのだ。 だが、彼はそう考えたのだろうか。 (完)
https://w.atwiki.jp/maoyu/pages/18.html
<前1-5へ|次2-2へ> 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」2-1 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 07 28.99 ID Lbanm5QNP ――冬の国、王宮 王子「ああ、けったくそわるい」 執事「はぁ」 王子「むかつくぜ」 執事「諸王国会議でございますか」 王子「……」 執事「聖王都がまたなにか?」 王子「どんぱちやれってさ」 執事「……さようでございますか」 王子「あらかた知ってるんだろう?」 執事「それはまぁ。洒落で諜報部を設置しているわけでもなく」 王子「要するに……」 執事「武勲と」 王子「そうだ」 執事「昨年来、魔族の侵攻は緩やかなままですからな。 このままでは人間の世界を守るという錦の御旗の価値が ゆらぐと、そんなことを考える人もいるのでしょう」 王子「魔族の邪悪さと恐怖、人間の勝利をアピールしないと 支援するための募金もままならない、と。 遠回しにそう通達して来やがった」 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 13 33.14 ID Lbanm5QNP 執事「聖鍵遠征軍の話はでましたか?」 王子「諸王国側からはな。 だが、中央の連中はその気はないさ。 どんなに言いつくろったって、 過去の聖鍵遠征軍は失敗だったんだ。 あれだけの軍隊と物資をつぎ込んで 得られたのは魔界側の都市の一個や二個。 そもそも聖鍵遠征軍のお題目であるところの “魔王城を落として世界に平和をもたらす”事を 中央の連中だって望んじゃいない。 戦争が無くなったらまた内輪もめだ」 執事「……」 王子「しかし、それは俺たちもおなじなんだけどな。 戦争がなければ金が送られてこない。 小遣いをもらって殺し屋をやっている。 国ぐるみで傭兵の真似ごとだ。情けない話だ」 執事「若……」 王子「しかしなぁ。今回ばかりは」 執事「会議はどうなりました?」 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 19 26.51 ID Lbanm5QNP 王子「まだ結論は出ていない」 執事「判りますなぁ…… “魔族をやっつけろ、しかし聖鍵遠征軍を出す余力はない” となりますとな」 王子「諸王国軍の戦力を使って、 手早く、しかも中央大陸に華々しい戦果のニュースを もたらせるような戦争だろう? そんな都合の良い戦争、そこらにほいほい 転がってるもんかよ」 執事「氷の国、白夜の国、鉄の国の皆様はいかがで?」 王子「まぁ、難しい顔はしてたよ。 ああ。白夜の国だけはやる気満々だったな」 執事「あそこは、聖王国の貴族の娘だかを新しい 后に迎えてましたからな。大陸中央とのパイプを 強化して強国の仲間入りを果たしたいと願って いるのでありましょうなぁ」 王子「そういうことなのか」 執事「さようでございます」 王子「会議はまだまだ続くだろうが」 執事「……」 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 24 17.45 ID Lbanm5QNP 王子「おそらく、戦場は極光島だろうな」 執事「で、ございましょうな」 王子「極光島は南氷海にうかぶ、人間世界唯一の魔族の版図だ。 ゲートを超えて魔界へ入らず魔族と一戦を交えるとしたら、 あそこしかないだろう」 執事「ええ」 王子「あの島を魔族にとられたのは確かに痛手だったからな」 執事「まぁ、当時はここまで被害が大きくなるとは 思えませんでした。お父様を責めなさるな。 軍事拠点としての価値はさほどではありませんでしたしな」 王子「ああ。そうだなぁ」 執事「……」 王子「だが、あそこを押さえられたせいで海上運輸と 南氷海の漁業は、大きな打撃を受けたよ」 執事「さようで」 王子「ああ! あのとき親父達に、魔界へ侵攻して 都市の一個二個とるよりも、あの小さな島を守る 勇気と智慧がありゃぁなぁ」 執事「詮方なきことかと」 79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 30 26.67 ID Lbanm5QNP 執事「軍の編成はどうなりますかね」 王子「なにぶん、島だからな。戦船が中心にならざるをえん」 執事「ふむふむ」 王子「戦船200艘、兵員7000といったところかな」 執事「いかがでしょうね」 王子「俺なら、やりたくはないな。 人間の軍の優位点は連係攻撃と機動力、情報伝達、 そして何より、数だ。 海戦では肝心の数の優位性が失われる。 7000人の兵士を殺す必要はない。 船を200隻しずめればいいんだ。 正気の沙汰の話じゃない」 執事「若ならば?」 王子「戦をしないよ。 やるならば、勝ったあとにちょこっと海戦をやって、 軍事的に圧倒したふりだけをするさ。 そもそも勝利をするための方策がない状態で 戦をやるのは馬鹿だけだ。 その上今回の戦、意義も見いだせない。 大陸中央で安全を貪っている聖王国に指示を出されたから しっぽを振って兵を送り込むだって? そんなことで勝てるなら苦労はないさ」 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 34 12.80 ID Lbanm5QNP ――冬越しの村、村はずれの館、中庭 貴族子弟「どうやら決まりらしいな」 軍人子弟「この冬でござるか?」 貴族子弟「ああ、氷の国の王宮に叔父がいるんだが その叔父が知らせてくれた。どうやら大規模な 海戦を行なうようだ」 軍人子弟「そうでござるか! 最近は大戦もなかったでござるからね。 海戦でござるか! となると、 この近くでやるのではござらんか?」 貴族子弟「ああ、もちろんだとも。 叔父もはっきりとは言わなかったが、このあたりにも 動員令がかかるはずだと教えてくれた」 軍人子弟「憎き邪悪な魔族へと聖教会の鉄槌を 下す時が来たでござるね!」 貴族子弟「君も行くのか? 僕は叔父の船に乗せてもらうつもりだ」 軍人子弟「もちろんでござる。 戦こそ武人の誉れでござるよ!」 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 39 09.80 ID Lbanm5QNP 女騎士「整列っ」 貴族子弟「は、はいっ!」 軍人子弟「!!」 ザザザッ 女騎士「浮ついた雰囲気だな」 貴族子弟「師範! お話はお聞きですかっ!?」 軍人子弟「拙者、血がたぎるでござるっ」 女騎士「まぁな。聞いてはいる。極光島だそうだ」 貴族子弟「極光島!」 軍人子弟「人間世界にしみ出した 蛆のごとき魔族の根城でござるな。 この大地に魔族は必要ないでござる」 女騎士「おい、ゴザル」 軍人子弟「はっ!」 ビシッ 女騎士「嘲りも侮蔑も戦場では不要だ。 そんな心の動きは、生き残るための敵の一つと 知った方がよい」 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 44 47.27 ID Lbanm5QNP 女騎士「諸君らに今一度訊ねる」 貴族子弟「……」 女騎士「それは諸君らの父君が、なぜこんな田舎の 学院に諸君らを預けたかと言うことだ」 貴族子弟「それは、もちろん高名な学士様、 女騎士様がいらっしゃるからです」 軍人子弟「戦場で勇名をはせるためでござる」 女騎士「ちがう」 子弟2人「?」 女騎士「諸君らの父君がこの学院に諸君らを預けたのは ――大陸中央の進学校でも、修道会でもなく まさにこの学院に諸君らを預けたのは、諸君らを 一回の雑兵や役人にするためではないぞ」 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 52 34.75 ID Lbanm5QNP 女騎士「諸君らは、ここで――あの腹立たしい胸をした ――学士に経済なる面妖怪奇な理論を学んでいるので あろう? 修道士からは実戦的な医術と農業の基礎を、 そして私は剣や槍、馬術に限らず、こと戦の事に関して 一通り以上を教授したつもりだ」 女騎士「それらは全て、一回の兵卒の身には過ぎたるもの。 それは王の隣に立って戦を治めるための知恵と技だ。 ――忘れるな。諸君らが身につけた、 あるいは身につけようとしている技の価値を」 女騎士「中央の学院や修道会では、より洗練された、 教会の教えに沿った知識を身につけられるだろう。 社交術も華やかなパーティーで身につけられるに 違いない。あるいはそれも有用な技であろうな。 しかし、諸君らの父君はここを選んだ。 なぜなら、この学院に諸君らを預ければ、 少なくとも戦場で血気にはやり愚かしい蛮勇を 振るうことは無かろうと思ったからでもあるし、 ……“敵に勝つ”というよりももっと意義のある 戦を学べると思ったからでもあろう。 あるいは、諸君らの父君が、自分たちには身に つけられなかったと後悔する技が、それなのだ」 貴族子弟「はい」 びしっ 軍人子弟「はっ」 びしっ 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 15 57 19.26 ID Lbanm5QNP 女騎士「ではどうだ? その知恵と誇りは、 この戦争の知らせに子供のように騒げと言っているのか?」 子弟2人「……」 女騎士「目を見開け、耳を澄ませ、この世界の全てを 勝つための知恵としろ。本当にこれでよいのかと疑え。 なぜならば諸君らの肩には、もはや諸君らの命以上の 多数の命と財産がのしかかっているからだ。 魔族が悪? そのようなものは、戦にはない。 勝者と敗者あるのみだ」 子弟2人「……」 女騎士「諸君らが戦に行くのならば、私は止めない。 止める資格もないだろう。 だが、諸君らが死ぬのを許すつもりはない。 諸君らは死ぬにはあまりにも未熟だ。 もし死ぬにしても、その瞬間まで諸君らは 何を間違えたのかも判らず、 きょとんとした表情で死ぬだろう。 そのようなことを許すつもりはない。 ……さぁ、教練を始めるぞ。今日は普段の 3倍は厳しいぞ。覚悟するんだなっ!」 91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 06 44.25 ID Lbanm5QNP ――冬越しの村、村はずれの館 女騎士「なんてねー」 メイド姉「はい?」 女騎士「言っちゃってるんだけどねー」ごろごろ メイド姉「はぁ……」 女騎士「偉そうに云っても、なんですか。 わたしも代役教師だから、なんもいう権利ないよねー」 メイド姉「そうですか? 勇者様より遙かに立派に 努めていらっしゃると思いますよ?」 女騎士「あいつはいい加減すぎるのよ」 メイド姉「ですねぇ」くすっ 女騎士「梨のつぶてもいいところでしょう。 死んだと思ったら一年ぶりに現れてさ。 引っ越してきたら修行の旅に出て一年も帰ってこないとか」 メイド姉「……」 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 11 37.25 ID Lbanm5QNP 女騎士「信頼されてるって思わなきゃやってられない」 メイド姉「でも、そう思ってらっしゃるんでしょう?」 女騎士「それは、まぁねー」 メイド姉「そこが素敵です」 女騎士「……」 コトン メイド姉「はい。甘いですよ?」 女騎士「これは何?」 メイド姉「加鼓亜のお茶ですよ? 元気が出ます」 女騎士「熱っ。でも、甘いわね」 メイド姉「これも当主様の実験植物です」 女騎士「そうなのか?」 メイド姉「ええ。水晶農園が出来てから、 いろいろ実験がはかどるのだとおっしゃってます。 これは植樹で持ってきたものですけれどね」 女騎士「あのキラキラした建物でしょ。面白いよね。 あんな建物で、建物全て暖房するとはねー」 メイド姉「暖かい地方の植物も作れるそうで」 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 16 59.91 ID Lbanm5QNP 女騎士「でも、あれを立てるために修道会の 財布は空っぽよ……。 ああ、とんでもないことになってるなぁ」 メイド姉「そうですか?」 女騎士「とんでもないよ。大ピンチだよ」 メイド姉「でも、嬉しそうなお顔ですよ?」 女騎士「……そんなことはない」むっ メイド姉「なら良いですけど」にこっ 女騎士「最近、メイド長に似てきたぞ?」 メイド姉「そうですか?」 女騎士「うん、似てきた」 メイド姉「そんなことないですよ。まだまだです」 女騎士「そうかな、仕草とかそっくりだよ」 メイド姉「何がなにやら、判らないですよ。 文字も読めるようになったし、数学も覚えました。 出来ることは沢山増えました。でも、わたし」 女騎士「?」 メイド姉「人間になれたんでしょうか……」 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 26 08.72 ID Lbanm5QNP ――魔界、開門都市、くすんだ酒場 勇者「へぷしっ!」 酒場の主人「なんだい、兄ちゃん。 汚ねー汁まきちらさないでくれよ」 勇者「はん。こきやぁがれ。 掃除もしてねぇような小汚い酒場じゃねぇか」 酒場の主人「ははは! 違いねぇ」 聖鍵遠征軍兵士「ぎゃはははは!!」 聖鍵遠征軍兵士「酒を持ってこい、この魔族!」 聖鍵遠征軍兵士「早くしろ、殺すぞ、この女っ!」 聖鍵遠征軍兵士「こんな肉が食えるかっ」 勇者「……」 酒場の主人「ああ、まったく大暴れだな、商売あがったりだ」 勇者「そうか? ……マスターだって人間だろう?」 酒場の主人「まぁ、そりゃそうだがよ」 勇者「ふむ」 酒場の主人「酒が飲みたきゃ、 酒を買って外で飲めば良いんだ。 酒場ってのは食い物や雰囲気も含めて売り物だからよ。 あんな騒ぎは、ありがたかぁねぇな」 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 31 51.18 ID Lbanm5QNP 聖鍵遠征軍兵士「早くしろっての!」 魔族娘「きゃっ!!」 聖鍵遠征軍兵士「裸踊りでも見せてくれるのか?」 勇者「……」 酒場の主人「ち、しかたねぇなぁ」 酒場の主人「お客さん。そういう事がしたいなら 一本裏手の宿屋に行ってくれないですかね?」 聖鍵遠征軍兵士「何だと、親父」 聖鍵遠征軍兵士「誰のお陰でここの防衛や暮らしが 成り立っていると思っているんだ!?」 勇者「おい」 魔族娘「は、はいっ。す、すみません。 ぶ、ぶたないでくださいっ」 勇者「そんなことはしないよ」 酒場の主人「いえ、めっそうもない。心得ております。 いつもいつも、緑のお天道様とおなじくらい 感謝しておりますよ」 114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 37 37.87 ID Lbanm5QNP 勇者「いつもあんな感じか?」 魔族娘「は、はい……」 勇者「この街は、まだ相当な数の魔族が残っているのか?」 魔族娘「……そ、そのぅ」 勇者(そりゃ、警戒もされるか……) 勇者「これを見ろ」 すっ 魔族娘「それは、魔王様の紋章。黒の手甲っ」 勇者「どうなんだ? この街の状況は」 魔族娘「それは、はい……魔、魔王様」 勇者「黒騎士と呼んでくれ」 酒場の主人「あー、やれやれ。商売あがったりだ」 勇者「なんとかなったのか?」 酒場の主人「ああ。済まないね、大騒ぎで。おや」 魔族娘 びくっ 115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 44 18.07 ID Lbanm5QNP 酒場の主人「あんたがこの娘をかばってくれたのかい」 勇者「ちょっと話をしていただけさ」 酒場の主人「ふふん」 魔族娘 びくびくっ 勇者「……」 酒場の主人「まぁ、いいさ。 その娘もこんなに怯えちゃ仕事にならないだろう。 おい! 奥で皿洗いでもしているんだな」 勇者「マスターは器量があるな」 酒場の主人「魔族だろうが何だろうが、 同じメシを食ってりゃ使うべき使用人だ。 勝手に壊されちゃたまらんね。 虐めていいことなんか、一つもないよ」 勇者「……」 魔族娘「それじゃ、あの……」 勇者「おい、マスター。この娘、借りても良いか?」 酒場の主人「ほう?」 勇者「酒手ははずむよ。これでどうだ」 とさっ 酒場の主人「ふむ……」 119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 49 34.37 ID Lbanm5QNP 魔族娘 びくっ 酒場の主人「この娘も気に入ってるみたいだね。 あーかまわないよ。どうせ仕事にもならないし、 外に出せばさっきの連中に嫌がらせをされるだろうさ。 無理はさせちゃ困るがね」 勇者「ああ、ちょっと話を聞きたいだけさ」 酒場の主人「ははぁん、話ね。まぁ、いいさ。 この娘の部屋は、裏手の安宿から月極でかりてるんだ。 “お話”ならそっちへいってくんな」 勇者「ああ、好都合だ」 酒場の主人「お客さんの今晩の宿はどうする?」 勇者「部屋か? そのままとって置いてくれ」 酒場の主人「ああ。判った。夕食の時間になったら 適当に切り上げてくれよ。 持っていくなんてごめんだぜ」 勇者「は? ああ。腹が減ったらちゃんと来るよ」 酒場の主人「あはははは。 まぁ、若いうちはメシよりあっちだわなっ! あははは」 122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 16 54 18.95 ID Lbanm5QNP ――魔界、開門都市、下級娼館 ぱたん 勇者「さて、と」 魔族娘 びくぅっ 勇者「あー。なんだ、そうびくびくしないで」 魔族娘「す、すいませんぅ~。ひ、ひどいことはっ」 勇者「しない、しない」 魔族娘「……え、うぅ」 勇者「部屋の対角線に移動されるとさすがにへこむな」 魔族娘「す、すいませんっ。その」 おどおどっ 勇者「あ、いやいいよ。酒飲む?」 魔族娘「いえ……その、飲めなく……いえ、 その、飲み……ま……す……」 勇者「死にそうな顔で云わないでよ。飲まなくていいよ」 魔族娘「は、はい……」 勇者「んじゃ、お茶でももらってくれば良かったな」 魔族娘「あ、あります……」 124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 09 09.93 ID Lbanm5QNP 勇者「えーっと、あらかじめ云っておきますが」 魔族娘「はい」 勇者「痛いことはしませんから安心して」 魔族娘「えっ、そのっ。……う、うぅぅ」 勇者「なぜ泣く」 魔族娘「わ、わた、わた」 勇者「落ち着け」 魔族娘「わたし、その……へ、っ下手で……」 勇者「意味判らん」 魔族娘「じょ、上手……で、できなくて ご、ご、ご。ごめんなさい、ごめんなさい」 勇者「??」 魔族娘「痛がって……ばかり……で……よくな、 良くなくて……ご、ごめんなさ……」 勇者「んー? ……あ! ああっ!!」 134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 14 20.41 ID Lbanm5QNP ――魔界、開門都市、下級娼館 勇者「わたくし大変失礼いたしまして 落ち着いていただけましたでしょうか?」 魔族娘「は、はいぃ……」 勇者「いやほんと。俺のピンチメーターは 火竜王のときの約30倍を記録した」 魔族娘「ごっ、ごめんなさいっ」 勇者「話進まないからごめんなさいは止めよう」 魔族娘「ご、ごめんなさいっ」 勇者「……」 魔族娘「……はぅ」 勇者「で、まぁ、簡単にまとめると……。 この都市を仕切っているのは、聖鍵遠征軍、駐留部隊だと。 やつらは市街地中央の宿舎から、この街すべてを 管理……というか、まぁ、乱暴狼藉していると」 魔族娘「はい……」 勇者「どのくらいの数なんだ?」 魔族娘「……沢山。……ご、ごめんなさいっ」 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 25 00.34 ID Lbanm5QNP 勇者「街の外の部隊は?」 魔族娘「……外、ですか?」 勇者「周辺の警戒とか、防備とか」 魔族娘「沢山です。……四つ、軍団があります」 勇者「ふむ」 魔族娘「交代で街に帰ってきます。街に帰ってくると 暴れて、怖くて……ひどいこと、沢山します」 勇者(ふむ……つまり、街の外部。 おそらく来る途中に見た四方の砦だな。 そこに魔族の奪還軍を防ぐ軍勢を駐留させて 中央のこの開門都市には治安維持軍を置いてるんだな。 まぁ、当然の配置か。 この都市だけにそこまでの人数は駐留させられないしな。 メインの戦力は当然外側か。 街に残った魔族はほぼ奴隷状態らしいから、 警察力程度の戦力で足りるんだろうな。 ――その治安維持軍の軍規は堕落しきってるみたいだけど。 砦の戦力が一つ当たり2000、 都市内部の治安維持部隊で1000ってところ。 そのほかに、交代要員や休暇中の兵士1000が都市内部に いるって云う程度かな) 140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 30 21.52 ID Lbanm5QNP 勇者「うーん」 魔族娘 おどおど 勇者「街の中にいる部隊と、そのー。外から帰ってくる 兵隊は、なにがちがうんだ? 何か違いがあるのか?」 魔族娘「そのー、えっと、それは、違くて……」 勇者「ゆっくりでいいぞ」 魔族娘「ミブン? 街に残っている軍団は、 ミブンが高いそうです。 ……王様の親戚や、子供達なんだと、思います」 勇者(貴族が中心なのか……。 街の中の安全なところで魔族相手にやりたい放題かよ) 魔族娘「宿舎にお金や……お酒……をあつめて 毎晩、騒ぎを……魔族も、沢山捕らえられているそうです」 勇者(相当に悪い状況だな……。 その気になれば、ゆるみきった貴族のバカ息子なんか 1000だろうが2000だろうが消し炭に出来るけれど そうなったら周辺砦の1万近い軍勢が暴走するだろう。 仮に人間の軍すべてを倒したとすれば、 今度は魔族による民間人間に対する虐殺だ。 人間全てを守るなんて到底出来ないぞ……) 145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 34 09.41 ID Lbanm5QNP 勇者「この街には、えーっと、さっきの酒場の 親父みたいに、軍ではない人間も沢山いるんだろう?」 魔族娘 こくり 勇者「だよなー。相当多いのか?」 魔族娘「……多いです。酒場も、肉屋も、服も、 野菜も、全部、人間のお店……魔族は、人間の 半分くらいしかいないはずです」 勇者「魔族は奴隷なんだろう?」 魔族娘「ドレイ……わかりません……。 でも、ひどい痛いことされて、仕事や、 やりたくないこと…… させられ……て……ます……」 勇者「そか」 魔族娘「負けたから……」 勇者「……」 魔族娘「魔族が負けたから、負けたのは、悪だから」 149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 39 37.43 ID Lbanm5QNP 勇者「魔族は、地獄だな」 魔族娘「……仕方ないです。負けたから」 勇者「これが……」 魔族娘「……」 勇者「これが勇者が勝ち取った戦果なのか……。 俺たちが地竜王や妖将姫と戦って手に入れた 魔族の拠点、開門都市はこうなる予定だったのかよっ。 っていうか、人間が勝ったら魔界は全部こうなるのかよ。 魔族が勝ったら、人間界は全部こうなってっ!」 魔族娘 ビクッ! 勇者「ちがっ。その、すいません」 魔族娘「は、はいっ」おどおど 勇者「……」 魔族娘「で、でも」 勇者「?」 魔族娘「東の砦の人は、あんまり乱暴……しないって。 その代わり、街にもあまりきませんけど……。 魔族なら、逃げたら東に向かえって…… いわれてます……」 152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 17 48 16.93 ID Lbanm5QNP 勇者「んー」 魔族娘「く、黒騎士様?」 勇者「ん?」 魔族娘「お役に立てず、その……」 勇者「ああ、ないない。そんなことない。 役に立った。情報が手に入ってありがたい」 魔族娘「はっ、はい。その……」 勇者「それにしても……。それだけじゃ……。 いや、魔王なら金流れを追えって云うか……。 情報が足りないな……。調査? 街中でもうちょっと……」 魔族娘「そ、そのぅ……。粗末な物なのですが、 く、く、黒騎士様さえ……よ、よろしければ」 そぉっ 勇者「脚 を ひ ら く なっ !!」 魔族娘「ひぃっ。す、す、すいませんっ!」 勇者「うわぁ、何で俺こんな事になっちゃってるんだよぅ!?」 157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 00 18.70 ID Lbanm5QNP ――湾岸都市の商会、会議室 青年商人「ふぅーむ」 中年商人「どうだ? 性能的には精度があがったと 銅の国の技術者も自慢していたがよ」 青年商人「いや、すばらしい。――生産の方はどうです?」 中年商人「何とか目処が立ったよ。三つの工房が 協力してくれたからな。月産10個にはなる」 青年商人「ふむふむ。悪くはありませんね」 中年商人「苦労したよ。連中新しい技術に興味津々なのに、 プライドだけは高くてね、まったく」 青年商人「もう一声」 中年商人「はぁ?」 青年商人「もう一声、作れませんかね。月産15」 中年商人「本気か?」 青年商人「ええ」 中年商人「そりゃまたどうして」 とさっ 青年商人「南部諸王国からの報告書です」 160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 06 00.68 ID Lbanm5QNP 中年商人「これは……。戦か」 青年商人「そのようですね。極光島を奪い返すと」 中年商人「聖王都か?」 青年商人「聖王都と、今回は教会ですね」 中年商人「……」 青年商人「教会の方も何かと物いりなんですかね。 魔族との戦いがないと、教会の求心力が 低下してしまうとのことなんでしょうね……」 中年商人「金も集まらない、と」 青年商人「教皇選挙とのからみもあるでしょう」 中年商人「海戦かぁ。まぁ、商売の種にはなるがな」 青年商人「それはもちろん」 中年商人「それで羅針盤の増産か?」 青年商人「それもありますし、戦船の増産もはじめました。 錫の国の造船ドックは押さえてあります」 中年商人「どう転ぶかね」 162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 20 59.28 ID Lbanm5QNP 青年商人「まぁ勝てば嬉しいですよ」 ばさりっ 中年商人「海図か」 青年商人「極光島が確保できれば、西回りの交易路が 開通できる。陸路に比べてかなり割安な輸送です」 中年商人「ああ、そうなるな」 青年商人「いま、南部諸王国の生産力はあがりつつある」 中年商人「お前の縄張りだな」 青年商人「ええ」こくり 「この流れを壊したくない」 中年商人「ふむ」 青年商人「それに、さる筋から南氷海の鰊(ニシン)を 注文されています。相当な量の」 中年商人「どれくらいだ? いまでも鰊はあるだろう?」 青年商人「少なくともその5倍」 中年商人「鰊で宮殿でも建てるつもりか!?」 青年商人「鰊を麦に変える魔法だそうで」 165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 31 12.73 ID Lbanm5QNP 中年商人「ああ、さる筋ってのはあれか、お前の姫君か」 青年商人「僕の星ですからね」 中年商人「お前が恋をするとはね。 金貨と添い遂げるかと思ってたが」 青年商人「同床異夢なんて言葉もありますが 彼女とだったら異なるベッドでも同じ夢を見られる」 中年商人「惚気か、敵わんな」 青年商人「しかし一方負けると、これは相当……」 中年商人「まずいか?」 青年商人「負ければ新しい戦艦の受注が増えるとか 武器の追加発注が来るなんて云ううまみはありますがね」 中年商人「それもこれも、中央の。 云ってしまえば教会の意向次第だろう? 魔族がいる限り戦争をやめるわけにも 行かないが、南部諸王国では政権交代が相次ぐと。 そういうわけだな」 青年商人「どうなるかは判りませんがね」 中年商人「全ては、戦争次第か」 170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 38 23.50 ID Lbanm5QNP ――白夜の国、軍艦ドック 兵士達「……すごい数だな」 兵士達「しぃっ……」 兵士達「はじまるぞ」 ザッザッザッ! 白夜王「諸君! 歴戦の勇士たる諸君! 人間世界の守護の盾たる諸君っ! 時は来た!! 愚かなる魔族がこの母なる大地、 光あふれる我が世界にその汚らしい手を伸ばしてから およそ15年!! 我らが必死の防衛戦、我らが正義の戦は 一進一退を繰り返し、ついには我らが光の領土 極光島を失うに至った。 われらが魔族の重要拠点、開門都市を制圧した時 差し違えるようにして失ってしまった、 大いなる失点であった」 王子「そりゃなにか? 俺の親父に喧嘩うってんのか、 ああん!? このパーマ頭」 執事「若、若っ、聞こえてしまいます」 176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 45 03.68 ID Lbanm5QNP 白夜王「しかし時は来た! 聞け、勇士諸君よ! 君たちの眼前にあるのは、世界から結集した 軍艦である。その数200! 勇猛なる諸君が 乗り込めば200の軍艦は、そのまま魔族の心臓に 突き立てられた200の剣となろう! 南氷海、極光島は魔族の精鋭、 南氷将軍を僭称する盗人によって占拠されている。 魔族の戦闘能力は確かに脅威である。 大型魔族は様々な能力を持つだろう。 しかし、数ではこちらが圧倒している。 諸君らがその勇気を我に預ければ勝利は絶対である」 王子「おいおい、まじか? このおっさん 船に乗せたら数なんて意味ねぇぞ」 白夜王「さあ、乗り込もう! 船出の時間だ。 太陽は我らが勝利のために輝いている。 魔族から極光島を取り返した暁には、 大いなる恩賞が約束されるだろうっ。 もっともはやく極光島にたどり着いた船には、 船全員で金貨2000枚が支払われる。 勇士諸君、その力を人間世界のために振るうのだっ!」 178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 18 54 45.74 ID Lbanm5QNP ――魔界、開門都市、略奪された神殿 カランッ 勇者「ここは、一層ひどいな……」 魔族娘「はい……。ここは、神殿です」 勇者「悪いな、案内頼んじゃって」 魔族娘「いえ、あの。沢山お金もらったから……。 マスターは……その嬉しそうでした。あの……わたしも」 勇者「そうだ。魔族には神様、沢山いるんだろう?」 魔族娘「……ううう、そうです」 ザッザッ 勇者「そうか。人間には精霊様が1人だけだ。 沢山いるといいよなー」 魔族娘「そうですか?」 勇者「神様に怒られた時、他の神様が匿ってくれるだろう?」 魔族娘「そう……かもしれません」 勇者「ふむふむ……。瓦礫が、すごいな……」 魔族娘「黒騎士さま……は、なんで……」 勇者「?」 181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 00 35.73 ID Lbanm5QNP 魔族娘「なんで、人間なのに……魔王様の騎士ですか?」 勇者「あー。本当は騎士でも何でもないって云うか、 説明が難しいんだけど……。 つまり、なんというか魔王の物なんだ。俺は」 魔族娘「魔王様の?」 勇者「そう」 こくん 魔族娘「持ち物ですか」 勇者「そうそう」 魔族娘「じゃぁ、魔王様に……負けた……のですね」 勇者「へ?」 魔族娘「ちがう、ですか? ……ご、ごめんなさい。 魔族は……魔族では、勝ったものが、負けたものを ……その、自由に……します……から。 ま、間違えました……か?」おどおど 勇者「あ、ああ。そういうことか」 魔族娘「負けた……ですか」 199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 10 18.13 ID Lbanm5QNP 勇者「いや、それは違うな。 ……いや、結果的にはそうなのか? でも違うような……」 魔族娘「?」 勇者「ちょっと難しい関係なんだ」 魔族娘「そう、ですか……」 勇者「この像は?」 魔族娘「片目の神様、です……。竜族の……神様。 その他にも、沢山信じてます。……魔界では 強い神様……です」 勇者「へぇ、どんな神様なの?」 魔族娘「賢くて、強い……槍を持った…… 魔王様みたいな……神様だそうです」 びくびく 勇者「どうしたの?」 魔族娘「私みたいな下級魔族は……入っちゃダメなんです」 勇者「あはははっ。こんな廃墟で何を今更」 204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 17 04.38 ID Lbanm5QNP 魔族娘「こっちの二つは……」 勇者「砕かれちゃってぼろぼろだなぁ」 魔族娘「カラスの像です……。 多分、昔はそうだった、はず…… こっちは『記憶』、右が『思惟』……です」 勇者「そう言う名前なのかな? 物知りだなぁ」 魔族娘「神様の……お手伝いで……あちこちに、 おしらせを……する、係で……賢いです。 カラスは、良い子……です」 勇者「あははは。そっか。使いっぱに伝令させるか。 そりゃぁ、確かに魔王によく似てる」 魔族娘「?」 傷病魔族「死ね……死ね、人間は死ねっ」 勇者「……?」 魔族娘「あ……あの……あっちへ、いきましょう」 勇者「あの声は?」 206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 22 44.86 ID Lbanm5QNP 魔族娘「あのぅ、こういった廃墟には、 戦で不具になった……その、魔族の人が…… 棲み着くんです。ご、ごめんなさいっ……。 か、隠す訳じゃ……無いんですけど……」 勇者「うん」 魔族娘「あの、人間の黒騎士様は……その い、いやな……気分かなと……。 あっちへ、いきま……せんか?」 傷病魔族「死ねっ! 我らが神都を奪った 放漫なる人間め! 悪魔の侵略者! 何千回でも呪われろ、我らが生活を! 我らが平和を! 襲い、奪い、侵した貴様らには腐った沼の蛆だけが ふさわしい! 死ねっ! 死んで償えっ! 三千年にわたって呪われるがいいっ!!」 勇者「いや……」 魔族娘「でも」 勇者「いいんだ」 208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 33 09.61 ID Lbanm5QNP 傷病魔族「あはははは! 死ね死ね死ねっ!! 貴様らに二度と安息など無い! 奪われた死者の魂が 安らぐことなど無いと知れ、永劫が消滅するまで 人間世界など常闇に包まれるがいいっ!!」 魔族娘「……」 勇者「……」 ざっざっざ…… 魔族娘「あの、ご、ごめんなさい。あ、れは」 勇者「……」 魔族娘「あんなひと、ばかりじゃ。その……ないです」 勇者「やっぱりさ。違うよ。違ったわ。さっきのさ」 魔族娘「?」 勇者「俺は魔王の持ち物だけど、 負けたから持ち物にされたわけじゃない。 勝ったら全てを得る、勝ったら正義。何をしてもいい。 負けたから持ち物になる。負けたら何をされても仕方ない。 そういうのじゃない。 そういうのじゃない事実が俺なんだ。 俺は……『丘の向こうへ続く道』だ」 211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 49 03.35 ID Lbanm5QNP ――冬越しの村、村はずれの館 メイド姉「今月分の賃借対照表です」 魔王「うむ」 メイド姉「現金流量が増大しながら不安定です」 魔王「しかたない。新規事業を連続開拓している状態だからな」 メイド姉「損益計算書上は問題ありませんが」 魔王「この世界は金融能力が低いからな。 ヘッジにも限界があるという訳か」 メイド姉「ヘッジ? ……とはなんでしょう」 魔王「危機に対する保険、だな。経理上の」 メイド姉「はい……。うーん、困りますね」 魔王「『同盟』内部には銀行に似た信用貸し付けの 機構があると聞いたな。銀行という概念もどうにか 広める必要があるのだろうが……」 メイド姉「手が足りませんか?」 魔王「そうだな」 213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 19 52 48.53 ID Lbanm5QNP ぱさり メイド姉「これは?」 魔王「おお、それか。火箭だ」 メイド姉「火箭……?」 魔王「ああ、単純な機構の火矢の一種だ。 燃えながら飛んでいって、当たると炎が広がる。 これはナフサを用いたもので、広範囲に対する 攻撃に効果が見込めるな」 メイド姉「……なふさ?」 魔王「難しかったか? まぁ、武器だ」 メイド姉「……」 魔王「どうした?」 メイド姉「やっぱり、武器も作るんですよね」 魔王「……ああ。備えないのは愚か者だ」 215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20 00 06.42 ID Lbanm5QNP メイド姉「当主様」 魔王「なんだ?」 メイド姉「その……」 魔王「?」 メイド姉「戦争って、何なのでしょう? なぜおきるのですか? なぜ終わらないのですか?」 魔王「それは随分、難しい問いだな」 メイド姉「すみません」 魔王「なぜだろうなぁ」 メイド姉「……当主様にも判らないのですか!?」 魔王「判らないよ。私をなんだと思っていたんだ?」 メイド姉「この世で判らないことがない方かと」 魔王「私には判らないことばかりだよ」 メイド姉「……」 218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/06(日) 20 03 06.73 ID Lbanm5QNP 魔王「戦争は争いの大規模な形の一つだ」 メイド姉「……」 魔王「争いというのは、摩擦だな。 異なる二つが接触した時に生じる軋轢と反発 作用と反作用のある部分が争いなんだ」 メイド姉「難しいです」 魔王「村に2人の子供がいて、出会う。 あの子は僕ではない。僕はあの子ではない。 2人は別の存在だ。別の存在が出会う。 そこで起こることの一部分が、争いなんだ」 メイド姉「でもっ! 出会ったからって、 争いになる訳じゃありません。 出会って素敵なことだってあるじゃないですか。 助け合ったり、挨拶をしたり、友達になったり遊んだり」 魔王「そうだな。だから、争いは、 そう言う素敵なことの一部分なんだ。 本質的には同じ物なんだよ」 ページトップへ <前1-5へ|次2-2へ>
https://w.atwiki.jp/holyland3/pages/35.html
ストーリー 「 2015年 世界格闘大会を開催する。 なお、今大会は特別ルールとして、世界全土に戦場を設けた。 世界中から厳選された、優れた格闘家諸君の参加を楽しみにしている。 以上・・・『U』 」 …………こうして僕は、世界格闘大会への参戦を決意した。 「俺より強い奴に 会いに行く」
https://w.atwiki.jp/dx3rd_idnotes/pages/70.html
どうでもいいが、彼女が積極的でない以上、君らに未来はないぞ、草食系男子諸君 -- (風矢) 2010-03-23 23 23 48 ええ、そりゃそうでしょうね。なべて世に事はなく、学園生活は今日も平和というものですw -- (s/t) 2010-03-24 00 10 22
https://w.atwiki.jp/tsukurobo/pages/169.html
イチローだって最初はバットすらもてなかった! エジソンだって最初は抵抗の使い方だって知らなかったんだ!! ロボット作ってみたいけど何したらいいの!?というロボット作製初心者の諸君。 安心したまえ!! このサークルにはそんな諸君の力になろうというプログラムが存在する あれはそう・・・2010年秋私がまだ代表でないころのこと・・・ ロボット製作に励んでいた私は突然電流が走ったようにあることをひらめいた 「そうだ!新入生を効率よく勧誘するにh(ry ということで、以下にプログラム内容を書いていこうと思う。 1回:口開けた君、明日走れ!! 2回:目がぁ!!目がぁぁぁぁぁぁ!! 3回:ギャルのパンティーをおくれー!!! 4回:真・電池 5回:ポチッとな 6回:5V安定です。 7回:0なのに1・・・だと? 8回:えくぼ 9回:無安定魔琉地場意部零他 10回:FBIとツンデレ 11回:ぇっち橋/// 12回:パターン黒、ラインです! 最終回:ライントレーサーに挑戦! 題名には後悔していない。 こんなんでちゃんと最終回にちゃんとライントレース出来るのだろうか笑" それでも内容は一応まじめに考えてあるから安心してくれ! 日程は不定期だ!基本は水曜と金曜に私(主に代表)がいるときに行う 水曜と金曜は同じ内容にする(出席率が高ければ変更あり) 大体1日に2回分ぐらいを目標に進める つまり、何もわからなくても(最短)6週間でライントレーサが一人で作れるようになっちゃうのだ!!!!!(ドヤっ 日程が合えばリピート放送だってしちゃうぞ☆ ○用意するもの ロボットに対する興味 gdgdになっちゃっても怒らない寛大な心 ノート、筆記用具(なくてもおk) 1000円程度(最終的にライントレーサを自分のものにしたい方のみ) 高校受験程度の電気回路に対する知識(キーワード:電流、電圧、オームの法則、分圧) プログラミングのほうは検討中!!
https://w.atwiki.jp/c21sitaraba/
C21アンケート 当サイトは、新生天使軍諸君に行うアンケート調査である。 気が向いたらCSに送りつけるかもしれないので不正のないように! 02/07 放置気味になってしまったので一部隔離 08/20 「好きなロボ1」「2」を「オススメ課金ロボ」「オススメ非課金ロボ」に変更 07/09 おすすめバルチャー追加
https://w.atwiki.jp/chaken_archives/pages/68.html
第1話 「危機!!子供宇宙ステーション」 より 「魔王様、初回なんですから初っ端からセリフを噛まないで下さい!」(3度目) まあ、魔王様の中の人=星くんの中の人、なので滑舌が悪くても仕方ないだろう。(3度目) →諸君、今から命令をすりゅ 皆様、お許し下さい!
https://w.atwiki.jp/sitsugen/
トンネルを抜けると、そこは湿原だった 危地街諸君に警告!神聖に早くなってしまうように。湿原wikiは水曜日、悪法に抗議する 湿原wikiは東部標準時1月18日0時から24時間、英語版サイトを停止する予定 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。