約 16,865 件
https://w.atwiki.jp/suproy3/pages/30.html
無題 「目覚めよ、選ばれし強者達よ……」 重々しい声が響く。 まどろみの内にあった意識に突き刺さる、巌のような声。 男――複数の瞳を飾る仮面の男、ユーゼス・ゴッツォはその声により覚醒した。 そして、驚愕する。 なんだ、この状況は―― 「我が名はヴィンデル――ヴィンデル・マウザー。 地球連邦軍特別任務実行部隊シャドウミラーの隊長を務めている男だ」 軍服に長髪、壮年の男は溢れる覇気を身に纏い、ユーゼスの動揺を切り捨てるかのように続ける。 暗闇に目が慣れてきた。 どうやらここはどこか大きなホールのような場所。そして、ユーゼスの周囲には同じように気絶し倒れ伏す者達がいた。 ぽつぽつと目覚める彼ら彼女ら。 少年もいれば少女もいる。かと思えば軍人らしき青年、堂々たる体躯の男、果ては明らかに人間でないものまで様々だ。 そしてその誰もがユーゼスと同じ思考に行き着いているだろう――あいつは誰だ、自分は何故こんなところにいる? 「諸君の中にはまだ状況を理解できておらぬ者も多いだろう。 だが、私は諸君と語らうためにこの場を開いたのではない。 私が望むことはただ一つ。――戦え! 最後の一人になるまで!」 疑問に答えるようにヴィンデルは朗々と宣言する。 どよめきが漏れる。だが男は気にした風もなく。 「意を尽くし、力を振るい、策謀を巡らし、信義を踏み躙り、ただただ己の全てを賭けて戦うがいい! 最後の一人となった暁には望むもの全てを与えよう」 同じ場に存在しているだけで、圧迫される程に強烈な覇気。 己のしていることに一片の疑いもない狂信者の瞳。 ギラギラと燃えるその眼光に射竦められたか、息を呑む音が聞こえる。 そんな中、事態に戸惑ってはいても恐れてはいない、そんな者も何人かいる。 かく言うユーゼスもその一人。 そして、少しでも情報を引き出し、またこの後予想される状況に備え少しでも自らの優位性を引き上げるために。 「二、三、言いたいことがある」 誰よりも先に、ユーゼスはその存在を主張した。 ヴィンデルが顔を向ける。油断も慢心もない、軍人の鏡といった男の目だ。 「――質問を許可しよう、ユーゼス・ゴッツォ。述べたまえ」 名を知られている。 銀河にその名をとどろかすバルマー帝国、その重鎮たるこのユーゼスの名を。 いよいよ以て尋常ならざる事態――ユーゼスはそれを強く認識し、屈辱を押し殺し問いかける。 「まず、こう言わせてもらおう――ふざけるな。 どうやって我らを拉致したのか知らぬが、貴様の戯言に突き合っているほど私は暇ではない。 即刻解放していただきたい」 「却下だ。帰還したいと言うなら戦い、生き残るがいい。闘争に見合う褒賞は用意している」 「戦え――と言われて素直に従う者がいると思うのか? 見たところ雑多な人種を集めたようだが、私と同じ志の者は少なくあるまい」 ユーゼスの言葉通り、大半の者がヴィンデルに反抗的な視線を向けている。 それを平然と受け止め、ヴィンデルはしかし一切の怯みを見せることなく、自らの首筋を指でトントンと叩いた。 (何のつもり……ッ!?) 思わず自らもその所作を真似たユーゼスは絶句した。 冷たい鉄の感触が首を覆っている。これは、首輪だ。 ユーゼスのみならず皆が一斉に首輪に気づく。俄かにホールは騒がしくなった。 満足げにその光景を眺め、ひとしきり言葉を吐いて騒ぐ彼らを睥睨するヴィンデル。 「その首輪は我らシャドウミラーの技術の粋を集めた特別製でな」 すっと指先を掲げるヴィンデル。 その指が示す先は――他でもない、ユーゼス・ゴッツォだ。 指が踊り、弾かれる。瞬間、ユーゼスの首輪からピッ、ピッと電子音が響きだした。 「な……なんだこれは! 貴様、何のつもりだ!」 「百聞は一見に如かず――良く見ているがいい。これが貴様らを煉獄へとつなぐ鎖だ!」 段々と、音の感覚が速く短くなっていく。 無機質な電子音は聞く者の心に否応なく不安を掻き立てる。イメージするところは皆同じだろう。 すなわち―― 「ま……待て! この私の頭脳をこんなところで失って――」 ポン。 軽い音を立て、首輪は弾けた。 上にあった仮面とその中身全てを塵と化して。 一拍遅れてびしゃっと水音。地と肉片が地に落着した音。 悲鳴。そして怒号。 たった今この瞬間、一人の人間の命が奪われた。 その元凶を等しく皆抱えている、それ故に。パニックは瞬く間に伝染した。 「これが争いを拒む者、または愚者に与えられる裁きだ。生き残らねば、他者を全て淘汰しなければ解放されることはない。 理解したか? 貴様らはもはや命を喰らわねば生きること叶わぬ者――煉獄の修羅であるとッ!」 誰も、口を開かない。 この男が本気だと――殺し合い、冗談ではなく殺し合いをさせられるのだと、誰の胸にもこれ以上ないほどに強く刻まれた。 従わなければ死。あまりにも克明なリアルがそこにあった。 「では、詳細なルールの説明をする。 まず諸君らにはある程度の食料と水、地図と名簿を配布する。これは全員平等だ。 そして殺し合いと言ったが、我々が望んでいるのは生身の戦いではない。 諸君らはいずれも腕に覚えがある歴戦の古強兵と認識している――機動兵器を駆る、一流のパイロット達だと。 だからこそ、我々は諸君らにランダムに一機の機動兵器を進呈する。それを使って最後の一人を目指してもらいたい」 沈黙を破るようにヴィンデルの言葉は続く。 「ああ、未知の兵器を操縦できるのか、という疑問はもっともだ。しかしそれは誰にとっても等価のリスク――許容していただきたい。 諸君らのセンスならばすぐに順応できるだろうと私は信じている。 この後我々が用意した舞台に散ってもらう訳だが、そこではおよそ8時間ごとに死亡者の発表をする。 またこのとき立ち入り禁止区域も合わせて発表する。以降その区域に立ち入ればその瞬間に首輪を爆破する。 もちろん移動の時間を考慮し放送後すぐに指定すると言う訳ではないが、一所に留まり争いを避けようとする腑抜けに用はないのでな」 何人かが立ち上がり叫ぼうとするが、隣にいた者に制止され、あるいは恐れからか口を開きはするものの喉を震わせるまでには至らず。 「そして、この放送ごとに一機の追加機体を会場のどこかにランダムで設置する。 場所も告知するので、機体を損傷した者、あるいは更なる力を求める者は急ぎそこに向かうがいい。 まあ……目的を同じくする者との接触は避けられんかもしれんがな」 そんな中――じっと様子を窺っていた一人の男が立ち上がった。 「大まかな規則は以上だ。後は諸君らが戦場にて実際に体験すれば――」 「待ていッ!」 鋭く放たれた叫び。 割りこまれたヴィンデルは眉根を寄せ、声の方向を睨む。 「己が欲望のままに何も知らぬ無知なる者を利用し踏み付ける者…… 自らの利益のためだけに独善的な都合を他者に押し付ける者…… 人、それを……『邪悪』と言う!」 恐れなく、ただ烈火のごとき怒りと共に放たれる声。 それはこの場で死を突き付けられ怯えに呑まれた者の心に一筋の光明を差し込んだ。 「……一応聞いておいてやる。何者だ」 「クロノス族族長、キライ・ストールの遺子、ロム・ストール!」 「フッ……この状況で大した気勢だ。 だがロム・ストールよ。貴様、先の爆発を見ていなかったのか? 後先を考えず無謀な戦いに挑むほど貴様は愚かな男ではあるまい」 「シャドウミラー隊長、ヴィンデル・マウザーよ。俺は己が許せん……。 事態を把握するが先決と行動せず、貴様の暴挙をただ見ているしかなかった己を!」 歩み出てきたのは一人の男。 形は人。だがヘルメットのようなものを被り、全身に装甲をまとい足音は金属音。 震えるほどに握り締められた拳が示すのは、激甚なる憤怒。 「ユーゼスという男を俺は知らん。だが、彼にも彼の人生があり、貴様らは身勝手にもその人生に終止符を打った。 理不尽なる暴力にて、罪無き命を奪ったのだ! 畜生にも劣るその行い――俺は断じて許さん!」 ヴィンデルの前に立つロムという男。 突き付けた拳から炎のように立ち上る覇気。 「だからこそ……聞け! この俺、天空宙心拳継承者、ロム・ストールが! 貴様らシャドウミラーの行いを、この下らん殺し合いを否定する! 誰も殺させはせん――貴様ら吐き気を催す『邪悪』に、正義の鉄槌を下すッ!」 拳を引き戻し、深く身を沈めるロム。 瞬間、流星のごとき蹴りがヴィンデルの頭部へと放たれ―― 「――――ッ!?」 消えた。 忽然と、ヴィンデルの前から――誰をもの視界から。 仮面の男のように首輪を爆発させられたのではない。そう、まさしく消えたのだ。 ヴィンデルが彼方へと目をやり、苛立ったように呟く。 「余計な事をしてくれる。かの宇宙に名高い天空宙心拳をこの身に刻む好機だったものを」 「――そう言うな。お前を失ったら俺達シャドウミラーは瓦解する」 応えるように、影からゆらりと歩み出てきた男。 ヴィンデルと同じデザインの軍服をまとい。皮肉気な目を煌めかせ楽しげに笑い、見つめる視線を跳ね返す。 「俺の名はアクセル――アクセル・アルマー。ヴィンデルと同じシャドウミラーに属する者だ。 ああ、さっきのロムってやつなら心配ない。殺しちゃいない……一足先に会場へと行ってもらっただけだ。 大事な参加者だ、費用以上に減らす真似はしない。さあ……名残り惜しいが、説明はここまでだ」 アクセルという男が腕を広げ、次いでオーケストラの指揮者のように掲げる。 そして―― 「バトル・ロワイアル――争覇の宴を、始めよう」 振り下ろされた手が弧を描いた刹那、固唾を呑んで事態の推移を見守っていた者全ての姿が消えうせた。 残ったのは、ヴィンデルとアクセルただ二人だけ。 「……始まったな」 「ああ。もう後戻りはできん……」 先ほどと違い神妙な顔を見せるヴィンデル。 アクセルもまた、先ほどの陽気さを潜ませ応じる。 「我らが望む永遠の闘争に溢れた世界、その雛型。 命と命がぶつかり合う狭間で人が足掻き、何を手に入れるのか――見せてもらおうではないか」 踵を返す男、二人。 やがて照明も消え、静寂が場を満たし――全てが闇へと消え去った。 【ユーゼス・ゴッツォ 死亡】 【残り 70人】 【バトルロワイアル 開始】 NEXT 投下順 001 決意 時系列順 016 わりと忙しい艦長のバトルロワイアル 登場キャラ NEXT ユーゼス・ゴッツォ ロム・ストール 032 意志
https://w.atwiki.jp/syousuha/pages/14.html
経歴 1970年7月26日生まれ。現在44歳。1980年代末に反管理教育の活動家として登場し、その後、当時交際していた彼女との痴話喧嘩が原因で1年10ヶ月の懲役刑(本人は「政治犯」としている)を課せられ、獄中で左翼からファシズムへ転向する。 国政選挙への初出馬は2005年11月の霧島市議会議員選挙だが、得票数122票で最下位となり落選、供託金も没収された。その後、2007年に行われた東京都知事選挙に無所属として立候補した際に、その過激な政見放送が話題となり一躍注目を浴びる。選挙への出馬の他、ストリートミュージシャン、バー経営、本の執筆も行っており、反体制右翼マガジン「デルクイ」編集長などを務めるなど、外山の活動は多岐に渡る。2007年には政治結社「我々団」を設立、さらに最も注目すべき右翼・左翼活動家に対しては「外山恒一賞」を創設し、受賞者を外山の独断で選定して一方的に授与する。 政見の特徴 ファシズムを自称するだけあり、政見の内容も国家転覆を推奨するかなり過激なものである。事前に内容を全て暗記(もしくはアドリブ?)しており、放送の際には姿勢を変えず視聴者を向いたまま、瞬き一つせず一気に、一方的に話すのが特徴的である。また、口だけを動かすような喋り方にも関わらず言葉の抑揚や演出をしっかり行っており、その演説スタイルはおおむね評価されている。 この国は最悪だ! 私はそんなものには一切興味が無い! 諸君の中の少数派に呼び掛けている。 スクラップ&スクラップ! 諸君の中の多数派は私の敵だ! 奴ら多数派はやりたい放題(槍vs砲台)だ! その話は長くなるから掲示板のポスターを見てくれ。ポスターは二種類あるからどちらも見逃さないように。 もはや政府転覆しかなぁい! 私が当選したら…奴らはビビる!私もビビる。 外山恒一に悪意の一票を!外山恒一にやけっぱちの一票を!じゃなきゃ投票なんか行くな!どうせ選挙じゃ何も変わらないんだよぉ! ニコニコ動画で視聴できる動画 (自主制作動画)
https://w.atwiki.jp/seisarann918/pages/55.html
『皇覇学園 開校』 ☆開催日時:2012年6月2日 ☆イベント説明 『ようこそ諸君、異能力者の集う学園・皇覇学園へ。』 ということで、学園が開校します。 入学式などは特にありません。 初日からの戦闘?もちろんありですとも! その他質問があるようならリーダーまで。 ゆっくり楽しんでいってね!
https://w.atwiki.jp/battler/pages/4447.html
焼き鳥そうめん撃破150匹目/前編 出落ち挑発看板。 ハンター共の諸君へ やぁ。また懲りずに狩りに来たのかい? こだま、ひかり、のぞみ、つばさ、ひらお、ディエンド、真北、相本、星川が抹殺されてもか?これ以上犠牲者を出したくなければ狐狩りは中止するんだ。 そうめん愛好会一同 -- 看板
https://w.atwiki.jp/ironrow/pages/19.html
「きーんこーんかーんこーん」 「諸君、第一放送だ。そして私はムスカ大佐だ。コレより時間は『午前』区分だ」 「死亡者は、ボルガ博士、テラカス、泉こなた、伊藤誠、衛宮士郎、上条当麻、八坂真尋、 ジョナサン、ジョセフ、空条承太郎、ジョルノ、吉良吉影、 11だ」 「第一放送は以上だ」
https://w.atwiki.jp/anchorlegendscenario/pages/73.html
Xmasを成功させろ!そうだよろこびをみんなに!ナイトメアを打ち破れ DX クリスマスを一人で過ごす男たちの悪夢から具現化されたレネゲイドビーイング。ナイトメアと呼ばれるそれが街で暗躍しているらしい。 このままでは世界が独り身の絶望に支配されてしまう。立ち上がれPC諸君!世界を悦びで包むのだ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/p2ggun/pages/23.html
ガンナーサバイバル術 今更、mhp2gをしている諸君。こんにちは 今作のモンハンは全体的にモンスターの攻撃力が高く、ただでさえ防御力が低いガンナーにとっては気を抜いていると、あっという間に1乙してしまう。そこで、少しでも生存率を高めるサバイバル術を伝授しようと思う。 回復アイテム編 回復スキル編 防御力編 耐性編 回避編
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/519.html
ぐらすうぉーず。 ゆらりゆらりと幽鬼のような足取りで、廃墟の中を進んでいくメガネの少女。 その後ろを、新八と氷室は警戒しながら尾行していた。 彼らは先ほど長門の連絡で手に入れたルートで例の熱源の集中しているという廃墟の中にもぐりこみ、メガネの人間の向かう先を確かめるために行動していたのだ。 新八は真剣な様子で、ぽつりと呟く。 「……さっきから思ってたんですけど」 「なんだ志村。なにか気づいたことでも?」 「気づいたっていうか、氷室さんはないんですか? このイヤな感じ」 彼は、この建物に入ってからなんともいえない不気味な感覚を受けている気がしていた。 理解のできない謎の言語の音をずっと聞かされているような、何か大きなものが近くにあってそれから逃げ出したいような、不気味な感覚。 その問いかけに氷室は目を細めて答える。 「わたしもそれは感じている。 原因もわかっているぞ。長門嬢がさっきの連絡で教えてくれた情報によると、ここには莫大な量の存在力が存在するらしい」 「すいません、僕専門用語には明るくないんですけど」 「わたしもそこまで理解しているわけではないがな。 他の世界の言葉に直すと、『色のない魔力』『プラーナ』『可能性の力』『リューン』などが挙げられるか。 学者連中に言わせると量子力学がどーのとか、短期間におけるカオス理論の観測がどーのとか言うらしいが、一言で表すと『選択を肯定する力』というやつだ」 「すいません、全然わかりません」 「わたしもよくわからん。 長門嬢に聞いたらもっとよくわからん単語が出てきたぞ、情報爆発だのなんだの。 要は人間が現実世界に存在するものを認識した時にその存在を肯定する力、だそうだ。 今まで聞いた中で一番わかりやすいたとえで説明すると、『信じる心は力になる』というものかな。いささかロマンティックだがね」 聞いてはみたが、新八にはよくわからない。 しかしそのたとえで行くと、その力はどうも持っている人間の願いをかなえる力っぽい。気がする。 だから彼は確認をとることにした。 「……つまり、ここにあるその存在力っていうのが黒幕のものだとすると、相当ヤバい状況ってことですか?」 「端的に言うとそうなるな。というか、世界がひっくりかえるレベルのものだと思ってくれていいそうだぞ」 「そーゆーことは早く教えといてくださいっ」 「ついてくると言ったのは汝の方だぞ?」 妖艶に微笑んで、氷室。 別に彼女も意図なく隠していたわけではない。 聞かれなかったから答えなかったのも確かだが、この少年に事態の危険性を話せば足が止まるのではないかと見たのだ。 恐怖で足がすくんでしまえば、もう一歩も動けなくなる。彼女としても一緒に言ってくれると言った相手を虜囚にさせたいわけではないのだ。 ゆえに、今まで話そうとしなかったのだが―――氷室にとっては予想外なことに、志村新八という少年は見かけによらず骨があったということだろう。 新八はぶつぶつ言いながらも監視対象から目を離さず、廃墟の中を進んでいく。 氷室はその様子をくすりと笑いながら、彼の後を追った。 やがて幽鬼のような足取りの少女はある部屋のところまでやってくると、はじめてその戸に手をかけて入り、戸を閉めた。 目を見合わせ、一つ頷く。 音を立てないように戸の近くまで走り寄ると、周囲を確認。人影がないことを確かめる。戸の向こうにはたくさんの人間の気配と何者かの声。 新八は深呼吸し、氷室を見る。 彼女もまた新八をみかえし、緊張した面持ちでこくりと頷く。 考えていることは同じ。この先がおそらくは『アタリ』だということだ。 二人して息を殺す。弾けそうな鼓動。戸に触れる。一際高鳴る胸。そろりそろりと覗ける程度の隙間を開き、その先の光景を目に映す。そこには――― 大歓声を上げる民衆。 熱狂的な彼らに囲まれた台座には、50センチほどの像がある。 人と象を足してこねくり回し、オレジャシンメガネエンペラーコンゴトモヨロシクみたいないびつに合体事故が起きた感じの像が、 かけているメガネをビカビカ光らせながら、CV:某大佐みたいな声で熱狂的な民衆に語りかけている。 『諸君、わたしはメガネが好きだ。 諸君、わたしはメガネが好きだ。 諸君、わたしはメガネが大好きだ以下省略。 前置きはここまでにしておこう。 よくぞ集まってくれたわが野望の偉大なる同志、<メガネの使徒>たちよ!!』 その声に応え、爆発するように歓喜にして喚起の声が巻き起こる。 洗脳された人々―――<メガネの使徒>たちは、その広い空間に見えるだけでゆうに千人を超えている。 そんな彼らが一斉に、各々の感情のままに熱狂的に叫ぶのだ。まさに自然災害のような怒号が鳴り響く。 「……氷室さん、僕もう帰っていいですか」 「私も今ひっじょーに帰りたいのだが……なんだろうな、あの光景は」 見ただけでSAN値がおろし金でがりがり削られそうな光景を見て、メガネを拭きながら呟く新八と、頭を押さえる氷室。 なんだあれは、という疑問に答えを出そうとすると脳が拒否反応を起こしそうな光景だ。無理もないだろう。 「場所確認できたんですし、ここから僕らがいなくなったあとに爆弾でも落としてもらえばいいんじゃないですか?」 「ギャグ時空以外から来ている人間は死ぬことになるからその決定は無理だろうな。 誰も死なないならぜひともその方法で抹消してほしいんだが。私の記憶ごと。残念だ。非常に残念だ」 心の底から本気でそう思っているだろう彼女の言葉に心から同意しながら、新八は一つため息をついて思考を正常に戻す。 「僕らもここまで来た以上、一応少しでも多くの情報を掴んでおくべきでしょう。もうちょっと様子を見てみませんか」 「……汝、順応性が高すぎやしないかね」 「異常事態には割と慣れてるんで。主にクラスメイトとか家族とか担任とかのせいで」 「そうか。そうだな、もう少し様子を見よう」 目の前の少年の日常に激しく同情しつつ、再び隙間から様子を伺う氷室。 そんな彼女の心優しい心情など知る由もなく、同じく様子を伺う新八。 彼らのことなど気づく様子もなく、温度差はそのままに目の前の光景は進んでいく。 『時は世紀ま―――ではなく。 同志諸君、時は来た。これまでの雌伏の時を、覆す時が来たのだ! 人間の生み出したる究極の芸術にして至高の機能。おはようからおやすみまでありとあらゆる時間を共に過ごす最高にして至上の宝具! その名をメガネ。人間のありとあらゆる夢と希望を詰め込んだ最強の幻想が再びその権勢を誇る時が来たのだ! 古来、メガネは太陽であった。 視力の弱い人々の生活を照らし、明日への希望を抱かせる最高の人間の友であった! 今はどうだ。世間の愚かしき者共はその恩恵に感謝を忘れ、メガネっ娘の着脱可能ゆえの「一粒で二度おいしい」の心すら忘れる始末。 そう。今メガネは月である。 しかしそれでは終わらせない。終わらせてなどなるものかっ!! 我々メガネを愛する者たちの<メガネ愛>! それをもってすれば、この世界を<学園メガネ世界>に改名することすら可能! 諸君! 今こそメガネへの愛を持ってすべてのメガネ愛好家たちを仲間に引き入れ、その後にこの世界をメガネ色に染め上げる計画、すなわち ―――<プロジェクト:グラスワールド>への道を開く真の使徒への道を歩むのだ! さぁ私、この<メガネ邪神>の元に集いし使徒よ。 悠久にて深遠なる<メガネ王国(グラスキングダム)>建設のため、その世界でメガネ邪神からメガネ邪神帝王へと昇りつめる私のため!! すべてのメガネキャラを我が陣営に引きずりこむのだ!!』 メガネ、メガネ、メガネ、と謎のコールが始まりかけたその時。 「そんな世界になってたまるかァァァァっ!?」 「帝王なのにキングダムってなんだァァァァっ!?」 ……ガマンし切れなかった部屋の外の二人が同時に違うツッコみを入れた。 いや、他にもツッコミどころは満載なんだが正直ツッコミきれなかったのだ。そんなわけでツッコミきれる方は頑張ってツッコんでいただきたい。 閑話休題。 空気中のチリすら止まったような、一瞬の静寂。 無数の瞳が、部屋の外の二人を射抜く。 冷や汗が止まらない自分の状態を自覚しつつ、新八は気圧されながら一言。 「氷室さん、視線で穴が空きそうです」 「あー……うん。そうだな。アレだ。私も少し冷静さを欠いていたな。うん」 「ど、どうしましょう?」 「うむ。こういう時は―――三十六計っ!!」 氷室も新八も声も目線も合わせることなくきびすを返して全力ダッシュ。 これは逃走ではない、戦力的撤退である、とその背中が如実に語っている気がしなくもない。 足音を隠すこともない全力の疾走に、しかし部屋の中の誰も動こうとしない。 いくつもの目は二人が廃墟の中に消えると、彼らの盟主たるメガネ邪神へと目線を移した。 瞳にハイライトのない一人のメガネの使徒が、うやうやしく胸に手を当ててメガネ邪神像へと膝を折る。 「メガネ邪神様。ネズミが紛れ込んでいたようです、いかがいたしましょう」 『ネズミなどと言うな、アレも我が同志たるべき者たちだ……今はまだ志を同じくしないようだがな』 それを同志とは言わない。 閑話休題。 ともかく、メガネ邪神は続ける。 『最初はHP0.5という卵をぶつけられただけで死ぬ程度の力しかなかった私だが、諸君ら同志が増える度に増した信仰心により莫大な力を得た。 後は機を待とうと思っていたのだが……こうなってしまってはな』 「では」 『うむ。 ―――是非もない』 なぜか本能寺っぽい台詞を吐き、メガネ邪神は宣言する。 『諸君! これより我々は戦闘態勢へと移行する! 第一目標は全世界! これより我々は―――未来を侵略するための戦いを始める! 第一種戦闘配備、私も出るぞ! さぁ征くぞ。 世界を変えるための大戦だ、皆存分にその力を奮うがいい―――!』 勝鬨の雄たけびがその建物を揺らし、ゴゴゴゴゴ、と秘密基地っぽい地響きを上げながら廃墟がその形を変えていく。 何人かのメガネ集団のメガネがキラリと光を放つが、それに気づく者はいない。 ここに―――最も馬鹿馬鹿しいながらスケールの大きな世界の危機が、始まった。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/alicelove/pages/19.html
このページは管理人ベジータ(※)が今までにやらかした恥ずかしい体験を語ったものです 舞空術 みなさんは舞空術をご存知だろうか? ドラゴンボールに出てくる空を自由自在に飛ぶ術のことである。 筆者は少年の頃、それに憧れて人の目を盗んでは夜な夜な一人密かに練習をしたものだ。 誰もいない部屋で身体中に力を入れる。 しかしいくら力んでも一向に身体が浮く気配はない。 おかしいこんなはずはない。 アニメの中ではゴ*ウはおろか地球人のクリ*ンまでもが舞空術を使えるのだ。 こんな基本の技を俺が使えないはずはない。 悩んだ末に数少ない友人に打ち明けてみた。 筆者「舞空術が使えなくて困ってるんだよね」 友人「そんなこと言ってるからクラスの中で浮いてんだよ」 筆者は悟った。自分は舞空術を会得していたことに。 少年はすでに浮いていた。 …そう社会的に。 かめはめ波 またドラゴンボールネタでいこうと思う。諸君らも少年の頃はかめはめ波の練習をしたことがあろう。 溜めのポーズをとり身体中を力ませ手の間に気を送り、一気に力を解き放つ。 「かめはめ波ぁぁぁぁぁぁ!」 筆者は何度この練習をしたことであろうか。ベジータなのにかめはめ波なの?というつまらんツッコミは遠慮して頂きたい。 ここまで読んだ賢明な読者諸君はこう思ったであろう。「どうせ打てなかったんでしょ(笑)」 残念ながらはずれだ。偉大なる吾輩はかめはめ波を打つことができたのだ。ふははははは いつものように人目を盗んで一人部屋でかめはめ波の練習をしていた。しかし今回は何かが違った。 まず手のひらが熱かった。一瞬だがちりちりと焦げるような感じがした。そして…壁が崩れていた。 「さすが俺様だ」 筆者はそう思った。しかし、それ以来二度とは打てなかった。 筆者は激しく後悔した。人生でたった一度きりのかめはめ波をなぜ一人で部屋の中で使ったのか。 読者諸君には地球のピンチを救うためにかめはめ波を使って欲しい。ベジータからのお願いだ。 飯を食わせろ 筆者は高学歴ニートである。旧帝大博士卒である。しかしニートである。なんか文句あるか。 筆者の就活していた時期はちょうどリーマンショックとタイミングが重なり、いい就職先が見つからなかった。 面接でベジータキャラを出してしまったり、大企業じゃないと俺のプライドが許さんという見栄のせいもあったと思うが、悪いのはリーマンに違いない。うんきっとそうだ。 そういう感じで大学を出てから働く気もなくぷらぷら遊んでいたわけだが、偉大なるベジータは預金がじりじり減っていることに気が付いていなかった。 いつも通っているコンビニATMで預金を引き出そうとしたら出来なかった。おかしいと思って預金残高を見てみると834円しかなかった(千円未満は引き出せないのです)。 それでも全く動じない偉大なベジータは「ふん。働けばいいんだろう?」という感じで派遣会社に登録しに行った。しかし仕事は三日後だ。それまで金がない。ご飯どうしよ。 さすがにベジータも焦った。誇り高きサイヤ人の王族であるベジータは知り合いに金の工面を頼むということが出来なかった。ふん。俺様一人の力でなんとかなるさ。 ベジータは住んでいるアパートの近くの全く知らない他人の家に入って行った。そしてこう言った。 ベジータ「**大学の博士のベジータ様だ。金がないから飯を食わせろ」 家の主人「何だお前は。警察呼ぶぞ」 ベジータ「ごめんなさい。お金が無くて困ってるんです。何か食わせて下さい。お願いします。ぺこ」 こうしてベジータは家の主人にいじられながらご飯を食べさせていただいた。くそう俺に金さえあれば… 黒田ぁぁぁぁ貴様ぁぁぁぁぁぁ
https://w.atwiki.jp/bjkurobutasaba/pages/918.html
スリを犯した泥棒や、時にはドラゴンからも街を守るなんてことはない衛兵。 守るのは自宅だけ!他は炎上しようが壊滅しようがしったことか! 口が悪いが手クせも悪く国庫を狙っているとの噂。 なにげにGTKの幹部で序列6位 昔は諸君らのような冒険者だったのだが、膝に矢を受けてしまったらしい。 名前 コメント