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ゆっくりにお家宣言をされた場合大抵潰すか駆除するかして生かして返す奴なんてまずいない 極まれに生かして開放されることもあるが大抵瀕死の常態かもしくはそれに限りなく近い状態だ いずれにせよ一度お家宣言をしてしまった以上生きて出て来れるゆっくりなんてまずいない しかしだ お家宣言をするゆっくりも話し合えば分かってくれるのではないのだろうか? 最悪いくら馬鹿でも自分の犯した罪程度なら理解してくれるのではないか? 上手くいけばその一匹が他のゆっくりに またそのゆっくりが他の一匹にと伝えていくことによって被害を多少なりとも軽減させることが出来るかもしれない どうせ会社も休みなんだし家もそれといって物があるわけではない How hard can it be? 用意はこうだ ゆっくりが暴れても問題ない程度に部屋を片付ける そして机の上に饅頭(加工所製)をおいて窓を少し開けておく 後は勝手に入ってくれると言った寸法だ ね?簡単でしょ? れいむの場合 「ゆわぁ~しゅごくおおきいよ・・・」 「ゆへっ!にんげんごときがこんないえにすむなんてもったいないよ!れいむさまがすんであげるのぜ」 「ゆわ~ん、おかあしゃんかっこいい~」 数は・・・ 親一匹に子ゆっくりが二匹、シングルマザーって奴か 後額にも茎がなってるな・・・しかも全部れいむ種・・・ 一匹ずつ主に顔がキモイ 「「「ゆ!ここをれいむたちのおうちにするよ!ゆっくりしていってね!」」」 おう、早速お家宣言ですか 容赦ないですね 「おい!そこのじじい、れいみゅをゆっきゅりしゃしぇりょ~!」 「どれいはさっさとあまあまをもってきてね!たくさんでいいよ!」 「「「みゆっくりなのにかしこくってごめんねっ!」」」 今度は奴隷宣言か 驚くなかれ 実ゆっくりの分際でしゃべりおった 今世紀最低級の驚きだ 「おいどれい!きいてるのk(グチャ)・・・」 「おきゃーs(ぐちゃ)・・・」 「ゆわぁぁ、いもうt(ムニュ)ぺにょ~ん・・・」 ハッ あまりにも可愛いので潰してしまった てへっ うっかりうっかり でいぶ一家の場合 という夢を見たのさ あぁなんとも生々しい夢だった 正夢にならないようにがんばろう 「ゆっ!こんなところにおうちがあるよ!」 「おかーしゃんすごーい!」 「しゅぎょくゆっくりできそうなおうちだにぇ!」 「れいみゅうれちーちーでちゃった!」 「「「「ここをれいむのおうちにするよ!ゆっくりしていってね!」」」」 おぉ来た来た カップラーメンが出来るよりも速く来た 一体なんでお家を見つける能力に長けてるんだこいつら 普通一日中開けてて入ってくるのは1匹か2匹程度のはずだろう・・・ まぁおかげで実験はスムーズに進んでくれているのだが 「ゆ?おじさんなんでこのうちにいるの?ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!じゃましないでていってね!」 オウ毒舌アルネ れいむチャン怖いアルヨ デモ早速説得シテミルネ 「すまんがれいむ、ここはお兄さんのお家なんだよ」 「なにいってるの?れいむが先にみつけたんだかられいむのおうちだよ!」 でたゆっくり理論 先に見つけたら自分のもの 後から見つけても誰もいなければ自分のもの 俺のものは俺のものお前のものも俺のもの方式だ ガキ大将もビックリしちゃうね! 「うーん、じゃあれいむ。もし仮に君の家にゲスが入り込んできてお家宣言をしたとしよう。君ならどうするかね?」 「ゆっくりしないでおいだすよ!」 「でもゲスは先に見つけたから自分の物だって言ってるよ。君ならどうする?」 「ゲスはせいっさいするよ!」 「そうか、じゃあ僕の家にゆっくり出来ない奴が入ってきたとする。もし僕がれいむならどうする?」 「おいだすにきまってるでしょ?」 「そうだね。じゃあ今僕の家に君が入ってきて僕のうちでおうち宣言をした。それについてどう思うかな?」 「れいむはなにをやってもゆるされるえらべれたゆっくりなんだよ!そんなこともしらないの?」 いかん話が通用しない 自分中心に地球は回ってます主義の人間か金持ちの息子しか言わなそうな事を堂々と吐きやがった しかしここまで丁寧に自分がやったことを説明してやってるのに理解できないなんて・・・ そもそもコイツ日本語分かってらっしゃいます? きゃんゆーすぴーくじゃぱにーず? アナタニホンゴリカイデキマスカ? もう駄目だ潰そう いや待て 今回の目的はあくまでも潰さず説得して生かして帰ることなんだ そう生かして 生かして返すんだ 「と言う訳で今から君達に針を刺していきます。自分が何をしたのかわかるまでゆっくり刺されていってね」 「そんなことしたらゆっくりできないでしょぉぉぉ?」 「非ゆっくり症防止の薬は打っておくし傷口はオレンジジュースと小麦粉でふさいでやる。それならいいだろ?」 「いいわけないでしょぉぉぉぉ」 「うるさい」 「ゆぴぃ!?」 中枢餡にあたらないようになるべく浅めに刺していく 既に頭がウニみたいでおもしろい 「どうだね。自分が何をしたか分かったかね?」 「ゆっくりりかいしました・・・」 「何をゆっくり理解したのかね?」 「ここはおにいさんのおうちでぶ・・・・でいぶはそれをおにいさんがらうばいまじだ・・・」 「なんで反省することがある?お前は家を見つけてゆっくりしていただけじゃないか」 「ゆ!そうだよ!ゆっくりできないじじいがいきなりはいってきてうばったんだよ!いしゃりょうはらってね!あまあまでいいよ!」 「分かってないじゃないか」 「ゆぴぃ!?」 ねえ誰か 彼女に自分の行いを理解させるということは可能なのかな 可能なら是非私の目の前でそれを実行させて欲しい もし出来たらノーベル賞をやろう 「じじいh「あー、手が滑った」ゆぺぇ・・・」 「もっとゆっくりしたかった・・・」 おう、滑って中枢餡を貫通させちゃった てへっ でもまだ子供が残ってるから大丈夫だよね! おやー?部屋の隅っこでおもらしですか? 不法侵入の上に部屋まで汚していくなんて悪いゆっくりですね おしおk・・・いや、あくまで説得することだ 逆にここまでゆっくりできなくされたら私の言うことも素直に聞くだろう 「なら君たt・・・」 「ゆっくりしんでね!」 「おかーしゃんをころしたゲスはゆっくりしね!」 「ばーきゃばーきゃ」 前言撤回 ウザさが当社比120%以上増量中です しかし絶対説得してみせる! 死んだれいむのためにもおちびちゃんを立派に教育してあげるよ! 「と言う訳で針を刺します」 「「「どぼちてそんなこというのぉぉぉ!」 「安心しろ。非ゆっくり症予防(以下省略」 「「「ゆぎゃぁぁぁぁゆっくりできないぃぃ・・・」」」 大丈夫!針で刺したから正夢にはなってないよ! え?おちびちゃん? 今は僕のお腹の中さ!ゆっくり消化されていってね! ちょっとかしこいまりさの場合 「ゆっ!まりささまにふさわしいうちをはっけんしたのぜ!ここをまりささまのおうちにするのぜ!ゆっくりしていってね!」 今度はまりさちゃんですよ 自分は勝ち組だみたいなバブルの時の青年のような顔ですね 今からバブルを崩壊させt・・・いやいや、あくまで説得だ こんなところで株を大暴落させたらいけない 「まりさ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!なんなのぜ?ここはまりささまのゆっくりぷれいすなのぜ?」 「あのだね」 「かってにはいってくるにんげんさんはゆっくりしてないでさっさとでていってね!」 「ちょ」 「いや、いまならまりささまのどれいにしてあげるのぜ!ありがたくおもうのぜ!」 いかん話が一方的過ぎる 太平洋戦争の日本V.S.アメリカ並の攻撃だ いや口論だから口撃か? 仕方がないが帽子をうばって・・・ 「ゆ~ん、まりさのぼうしゆっくりかえしてね!」 「じゃあ俺の話を聞くか?」 「そ、それは・・・」 「じゃあ破るぞ」 「ゆあぁぁぁああ、そ、それだけは」 「話を聞くか?」 「ゆっくちききます・・・」 「話が終わるまで帽子は返さないからな」 「ゆがーん」 面白い奴だが素直だ え?れいむの時もこうすればよかったんじゃないかって? え~だってリボン汚かったしぃ・・・ え?忘れてたんじゃないかって? けけk、決して忘れてなんかなかったさ! ほほほh、本当に汚かっただけだって! と、とにかく話しに戻らなくてはな 「さ、さてまりさ君」 「声が裏返ってるのぜ」 「うるさい、帽子破るぞ」 「ゆわぁぁああ、やめてぇぇえ」 「分かればよろし。さてまりさ君今君は何故ここにいるんだい?」 「れ、れみりゃにうちをこわされたのぜ・・・」 「ふ~ん」 「なんなのぜそのかおは」 「最強のまりさ君がねぇ」 「し、しかたないのぜ!いくらさいっきょうでもまけるときはまけるのぜ!」 「最強ってのは最も強いって書くんだ。最も強いやつが負けるなんてねぇ」 「うるさいうるさい、うるさいのぜー!」 「まぁ良い。ところでまりさ君、さっきも言ったがここは僕の家なんだ。出て行ってもらえるかな?」 「ま、まりさがさきにみつけたのぜ」 「ふ~ん・・・」 「な、なんなのぜ・・・」 可愛い・・・ ちょっとほっぺ赤くして・・・ あ、いやきっと気のせいだ 決してこのツンデレ感にハァハァしてる訳じゃない とにかく本題に移るか 人間のお家だということを分からせてやらなくてはな 「ところでまりさ君」 「なんなのぜ」 「君は僕はゆっくりしてると思うかい?」 「ゆ・・・それは・・・」 「夏でも涼しく冬でも暖かい家に住み、毎日ご飯を食べてふかふかの布団で寝る」 「ゆぐ・・・」 「それに体だって綺麗に出来るしやりたいことも出来る」 「ゅ・・・」 「一方君はどうだい?見たところ全然ゆっくり出来て無い様に思えるけど」 「う、うるさいのぜ。にんげんがゆっくりできることをひとりじめしてるのぜ!」 「そう思うかい?」 「とーぜんだよ!」 「ゆっくりはみんなで平等に分けるべきかい?」 「とうぜんにきまってるでしょ?ばかなの?しぬの?」 「帽子破るぞ」 「ゆわぁぁぁああ、ごめんなさぁぁぁああい!」 「確かに君のいうことにも一理ある。ゆっくりはみんなが求めることだし平等に分け与えるべきだ」 「ゆ!そうだよ!」 「でも平等に分け与えると働いている人でも働いてない人でも結局同じになってしまう」 「・・・ゆ?」 「ちょっと難しかったか。じゃあもしここにまりさとれいむの夫婦がいたとしよう」 「ゆん」 「まりさは朝から晩まで狩りをしています」 「がんばりやさんなのぜ」 「ところがでいぶは朝から晩まで寝たり食べたりしかしません」 「さいあくのつまだよ」 「でもまりさが帰ってきて早々でいぶは「餌は平等に分けるべきだよ!」と言い出したんだ。どう思う?」 「ゆ!それだとまりさがかわいそうなのぜ!」 「そうだな。人間とゆっくりの場合も同じだ」 「ゆ!?」 「ゆっくりはゆっくりするとゆっくりできるよな?」 「そうなのぜ」 「でも人間がゆっくりしないでみんな仕事・・・いや、狩りをしている」 「にんげんにもすこしゆっくりをわけてあげたいのぜ」 「じゃあさっきの話を思い出してね。狩りから帰ってきた人間にゆっくりは「ゆっくりを平等に分けるべきだよ!」と言い出した。どう思う?」 「ゆ!?」 「つまり君達はでいぶと一緒なんだ」 「でいぶなんかじゃないぃぃぃ!」 「あぁそんなことは知っている。物のたとえだ」 「ゆぅ・・・」 「僕達はがんばって狩りをしているからゆっくりできる。がんばったからこのゆっくりぷれいすも手に入れられた」 「ゆ・・・」 「ところが君達はどうだ?僕達のようにがんばって狩りをしているか?」 「ゆ!まりさたちだってごはんさんを・・・」 「でも人間はそれの何十、何百倍もゆっくりを我慢して狩りをしているんだ。それに比べたら君達の狩りなんてたいしたこと無い」 「ゆわ、ゆわわ・・・」 「つまり君達はでいぶなんだ」 「ゆ、ゆわわわわぁぁぁぁ・・・ま、まりさがでいぶででいぶがゆっくりでゆっくりがまりs・・・ゆぎゃぁあああ」 完全に精神崩壊した 流石にうるさいのでオレンジジュースをかけて意識をこちらに引き戻してあげた 「わかったかい?」 「ゆっくりりかいしたよ・・・」 「帽子は返す。家は人間ががんばって狩りをして得たものだと群れのみんなに伝えてやってくれ」 「ゆっくりりかいしたよ・・・まりさはゆっくりうわさをひろげるのぜ・・・」 「あぁがんばってくれ」 「わかったよ。それじゃあじゃましてわるかったよ・・・」 「じゃあな」 「じゃあね・・・」 彼はずりずりと私のうちを出て行った どこまで理解してくれたかは不安だが一応説得に成功した さて、彼はどこまでがんばってくれるのかな おまけ:ゲスぱちゅりーの場合 数日後また奴等は現れた 「むきゃきゃきゃ!いだいなるぱちぇはうわさなんかにだまされないわ。このいえをぱちゅりーにけんっじょうしn・・・」 「I love ぱちゅりー!」 「むきゃぁあ、まむまむさんにそれいれないでぇぇええ」 「Oh Yes!」 「むぎゃああああああ・・・」 何かその悲鳴が響いてからこの町内のゆっくりによる被害件数が減った きっとまりさ君のおかげだね!うん! おまけ:ぱちゅりーその後 「ぱ、ぱちゅりーどうしたの!!?そのすがたは!?」 「おさ、だいじょうぶ?」 「むきゅ・・・みんなきいてちょうだい。にんげんさんのおうちにはいるときょうせいてきにすっきりさせられるわ。レイパーよりおそろしいのよ」 「ゆわあぁぁああ、ゆっくりできないぃぃぃ」×たくさん 「みんなゆっくりしたかったらおうちをうばうのはやめたほうがいいわ・・・」 「ゆっくりりかいしました!!!」×たくさん さて何作目になるのやら 余談ですがゲスぱちゅりーの話は途中まで真剣に書いてあきらめました 後半がまったくもってまりさと同じになってしまったためです と言うわけで急遽HENTAIネタに持っていきました 本当はありす編なども書きたかったんですけど盆で石川に帰省するので中途半端なところで切りました この時期に台風の真下に突っ込むバカな真似はやめましょう 生きて帰ってこれたらまた何か書きたいと思います・・・
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蘆田 は? 何で劇なの? 山田 「何で」という発想は危険な思想だ。 そこに理由を求めてはいけない。 理由や前提・背景、それらは回答への一つの道を示すが、 同時に他の可能性を否定する。 情報が出揃うことで、思考が進むのではない。 情報が出揃うことで、思考が狭められるのだ。 もっとも自由に思索できる条件は、情報がないことだ。 先入観念のないことだ。 あらゆる可能性が、そしてあらゆる希望が、そこに内在する。 「なぜ劇か?」という時点で思考が止まっている。 理由という入力を得ることで、「劇」に内在する希望が消えるのだ。 そこにはすでに自発的な判断はない。 理由という情報に基づいた壁によって、一つの道が見えるだけだ。 消去法の思考でしかない。 内向的な力でなく、外圧的な力での押し着せの思想が垣間見える。 そうなれば、個の性格が損なわれる。 それは、すでに解き放たれる思想ではなく、単なる選択でしかない。 プログラミング化されたアルゴリズムの結果でしかなくなる。 考えよ! そして、個を取り戻すのだ! 無限の選択肢を怖れてはいけない。 答えがでないと思ってはいけない。 答えに理由など求めてはいけない。 感じたものが答えなのだ。 思索した結果が答えなのだ。 限定された条件による正解など必要無い。 自由な思索の際にでた、根拠すら危うい結論の中にこそ、答えがある。 そして、そこに可能性という希望が内在される。 個の性が七色の色彩を放つのだ。 さあ、飛び立とう。 レッテル・先入観念という鉄鎖を断ち切り、 荒れ狂う無限の可能性の潮流をほとばしらせるのだ。 ただ一つの真実は、己の心の中にある。 はっきりと分かっているのは、こんなことをこんな時間に書いている オレが馬鹿だということだけだ。 もしかしたら、オレのおつむは相当まずいのではないかと感じる。 そんな春の日の出来事・・・ ちゅうか、御願いだから行こう。 ね、ね。 ぷりーじゅ。 7期の歴史
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#blognavi タイトル:戦闘詳報4 谷口説得部隊 戦闘開始前1 作成日時:2006/03/05 08 35 URL:http //blog.tendice.jp/200603/article_28.html 登場人物:工藤百華(+谷口説得プレイヤー班)/工藤百華、谷口竜馬 日時:不明 場所:本部 ダイジェスト:プレイヤーたちが谷口の部屋に入ると、そこには壁の大穴と工藤しかいなかった。彼はもう石田のもとへ行った、それより戦闘の準備をと告げる工藤。/一方30分前。いろいろあったけど、どんどん女性化が進んでも、工藤は二人を大の親友だと思っていた。だから、谷口に石田の容態が急変したことを伝え、ここは任せてくださいと明るくいって、包みを渡した。 カテゴリ [SS] - trackback- 2006年03月17日 07 28 47 #blognavi
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第五十四話 説得して仲間にした! 投稿者:兄貴 投稿日:09/01/28-20 26 No.3818 「それじゃあ皆、コイツも今日から俺達の仲間になった奴だ」 シモンが皆の前でそう告げると、一人の屈強なガタイをした男が現れた。 金髪のオールバックに黒いサングラス。ハリウッド映画に出てきそうな男。そして背中にはグレン団のマークを貼り付けている。 そしてその人物は人ではなかった。 だが全員その人物に見覚えがあった。 それどころか昨晩死闘を繰り広げたばかりの者である。 あまりにも意外な人物にメンバー達はボケッとしてしまった。しかしそんな呆然とするメンバー達の中、現れた男は無機質な機械声で自己紹介を始めた。 「田中エンキデス。ミナサンヨロシクオネガイシマス」 「「「「田中さんだーーー!?」」」」 現れた人物はなんと昨晩教会を襲撃したロボット、田中さんの一体だった。 「どういうことっすか、リーダー!?」 「そうですよ、何故昨日戦った田中さんが?」 騒ぎ出したメンバーを代表して豪徳寺と山下がシモンに尋ねると、シモンは笑いながら答えた。 「昨日一体だけ無事な奴が居てな、説得して仲間にした!」 「「「「はあッ!?」」」」 昨晩の戦いでほとんどの田中さんは倒したと思っていた。 しかし一体だけほぼ無傷で倒れているのを発見した。 シモンたちに機械の専門知識は無いが、その一体は壊れて動けないというよりも、細かいシステムが戦いの衝撃に巻き込まれてストップしてしまったように見えた。おそらくシャークティの技の影響だろう。 そしてその一体を見てヨーコがあることに気付いた。 シモンはこの世界で進化した螺旋族の力を用いてグレンラガンの技だけでなく、ラガンの特殊能力でもあった螺旋界認識転移システム、即ちワープの力をコアドリル無しで使用したのである。 つまりやろうと思えば、ラガンの目玉と呼ぶべき能力も使えるのではないかということである。 ラガンインパクト。 この世界ではシモンインパクトと呼んでいた。 この世界では相手を倒すための必殺技として使用していた。しかし元の世界でのラガンインパクトの使い方は、接続したメカの傷を完全に修復し、自分の支配下に置いてしまうという能力である。 その結果、 「昨晩ハ申シ訳アリマセンデシタ。今日カラグレン団トシテ気合ヲ入レテガンバリマス」 新たな仲間が誕生したのである。 田中さんのシステムを回復させ、シモンの螺旋力を使い田中さんは、田中エンキと名付けられ、新たに生まれ変わったのである。 他の田中さんにも試したのだが、損傷が激しかった上にドリルとの接続を放すと傷が元に戻ってしまうため、生き返ったのは一体だけだった。 そしてその一体こそが、この田中エンキなのである。 「「「「・・・・・・・・・」」」」 まだメンバー達は呆然としている。それはある意味当然の反応であった。 今日戦う相手の仲間だった上に、ロボットである。それにシモンの説明も実に中途半端である。 もしこれがネギたちだったなら、螺旋力やラガンインパクトなどについて事細かい説明を求められたかもしれない。 だが、彼らは違った。さすがに最初は驚きこそしたが、彼らは既に細かいことを気にしないグレン団に染まっているのである。 静寂はすぐに歓声へと変わった。 「おうよ! 細けえことは気にすんな!!」 「よろしくな、エンキっち!!」 「新たな仲間、歓迎しよう!!」 「「「「そうだ、脱げビーム万歳だ!!!」」」」 男達は拳と大声を上げて新た仲間を皆盛大に歓迎した。 わだかまりも何もそこには存在しなかった。 あまりにも簡単に受け入れられてしまう現状に、ヨーコたちは笑うしかなかった。 「いいわね~、これが男の友情かしら?」 「そうですね。昨日の敵は今日の友・・・・ですね」 騒ぎの中心から少し離れた場所でヨーコたちはこの光景を眺めていた。 「ふふ・・・それにしても田中エンキね~」 「はい、確か・・・ヴィラルと言う獣人のガンメンでしたね」 「ええ、そうよ。宇宙一打たれ強い奴よ」 目覚めた田中さんに他と見分けがつくように、シモンは新たな名前を与えた。それは何度も自分達の前に壁となって現れた男のガンメンの名前だった。 敵だった者が新たな仲間になる。そして田中さんのビーム。シモンはそれを見てヴィラルを思い出した。 大グレン団だけでなく、自分達を何度も苦しめたあのガンメンに敬意を表して、シモンはこの世界にその名を残そうと思い、この名前を与えたのである。 ヨーコにもその気持ちが理解できて、思わず苦笑してしまった。 「おい、・・・・シモンの能力といい、その獣人もガンメンも私は知らんのだが・・・・」 苦笑するヨーコたちの傍らでエヴァは少し拗ねたような口ぶりで言う。どうやら未だにシモンについて知らないことがあるのが相当不満なようである。 ヨーコが知っているのは仕方がないことである。 しかし一緒に暮らしているとはいえ、自分の知らないことをシャークティたちは当然のように知っているのが相当苛立っているようだ。 そんな頬を膨らませるエヴァに対してヨーコとシャークティは少し意地悪な表情を浮かべた。 「あら、意外と知らないのね、シモンのこと」 「そうですね、私や美空もココネも随分前から知っていましたけど」 「むっ!? キサマら~~、私の許可無く色々知りおって~~~」 ヤキモチを妬いてギャ―ギャー騒ぐエヴァをからかいながら、ヨーコたちは、すでに仲間達に囲まれて祝福されているエンキを暖かい眼差しで見守った。 そして自分と同じようにエンキを見守っているシモンに向かって目で合図を送った。 (よかったわね、きっとヴィラルも喜ぶんじゃない?) ヴィラルのエンキがどうなったかは知らない。 すでに政府に廃棄されているかもしれない。それは新政府が樹立してから何度もゲリラ活動してきた兵器なのだから仕方の無いことかもしれない。 しかし自分達が地上に出る前からヴィラルはエンキと共に地上を駆け巡っていたはずである。 敵ではあったが、せめてその名前だけでも残そうというシモンのヴィラルへの想いをヨーコも理解できた。 ヨーコの視線に気付き、シモンも苦笑しながら笑みを返した。 「・・・・おい・・・・」 しかし今のこのチビッコには目で会話し合う二人のそんな些細な仕草も嫉妬の対象でしかなかった。 「キ・・・キサマら・・・何イチャついてる」 「えっ? ・・・(あらら、エヴァったらヤキモチ妬いてるのね)」 当然イチャついてるわけではない。だがある意味この世界でもっともシモンを理解している女として、ヨーコはエヴァにとっては間違いなく宿敵でもあり、僅かな行動も警戒対象だった。 当然ヨーコにその気は無い。だが自分より実例年齢は遥かに上のくせに、普通の女の子のように可愛らしく睨むエヴァを少しからかいたくなり、ヨーコは少し大げさにため息をつきながら前髪を掻き揚げた。 「しょうがないじゃない。だって私・・・・・」 「・・・・・なんだ?」 「シモンに告白されてるんだし♪」 「――うっ!?」 人差し指を唇に当てて大人の余裕の笑みを浮かべながらヨーコ告げた。その言葉に言葉を詰まらせたエヴァだが直ぐに立ち直ってヨーコに掴みかかった。 「きき・・・キサマはフッたんだろうが!! それにアイツは私の物だ! 今更キサマにやらんぞ!!」 「あら、私・・・・フッたかしら?」 「・・・えっ?」 大会でのシモンの告白。 『ヨーコ・・・知ってた?・・俺・・・ヨーコが好きだったんだよ・・・・』 に対してヨーコの答えは。 『私にKO勝ちしていたら、考えてあげてもよかったんだけどな~~』 フッていると言えるが、明確な答えは出してないとも言えた。 もっともシモンもヨーコもそういうつもりでお互い口にした言葉ではなかったのだが、エヴァはそのシーンを思い出し、ワナワナと震えだした。 「うおぉぉーーい!! ふふ・・・ふざけるなー!? あれはフッたのと同じことだ! それよりも本気じゃないだろうな!? 本気だったら許さんぞ!」 「でもね~、今生きてる男の中で私にとって一番いい男はシモンだしね~」 「うう~~、ダメだぞ! ダメだからな! (まずい!? やはり一番の強敵は木乃香や刹那でもシャークティでもない、この巨乳女だ!!)」 ヨーコの冗談を真に受けて涙目になりながらエヴァはヨーコの胸を睨みつけた。その様子はとても推定年齢600歳には見えない小娘の姿だった。 エンキの歓迎やエヴァの嫉妬が場に広がり、そこはとてもじゃないが今から喧嘩をしにいくような風景には見えなかった。 笑いの声が響き渡り、実にほのぼのとした光景だった。 だが、時間は確実に迫っていた。 「リーダー!!」 突如声が聞こえた。 息を切らせながら此方に向かって走ってくる者がいる。 「達也、ポチ、偵察ご苦労だったな。それで、何か変化あったか?」 戦いの前の最後の確認として学園に様子を見に行かせた二人が息を切らせて帰ってきた。その手には一枚のチラシとなにやら魔法使いの杖のようなものを手に持っていた。 「ああ、なんかでかいイベントをやるみたいだぜ」 達也はそう言って手に持っていたチラシをシモンに渡した。 ヨーコたちも気になってシモンの肩越しからその紙を覗き込むと、中には意外な事が書かれていた。 「注目注目ー!」 「最終日学祭全体イベントのお知らせだよー!」 大勢の人が行き交う世界樹広場にて、ネギと同じ魔法使いの様な仮装をした裕奈やまき絵たちが広告を配っている。 「あれ? 何で今更、学祭全体イベントの宣伝なんか・・・」 「去年の鬼ごっこが凄過ぎたんで今年はかくれんぼでいくとか言ってなかったっけ?」 「どうぞ」 「お、こりゃどうも」 興味を示した生徒達が広告を受け取って目を通す。するとそこには大人バージョンで魔法使いの姿をしたネギやローブを羽織ったクウネルのような人物が描かれており、火星軍団vs学園防衛魔法騎士団というタイトルがデカデカと書かれていた。 「―――以上のようにリニューアルした最終日イベント! 皆様の御参加をお待ちしておりますわ!」 同じく仮装してローブと杖を持った委員長が言うと、まき絵らが実演を見せることになった。 「こちらが騎士団に入団すると支給される装備の数々! 他にも色んな種類があるからねー♪ 尚、このローブは安全装置も兼ねてるから参加する人は必ず着用するよーに!」 ローブを着たまき絵が前に出て、裕奈が説明する。 「そして、これが武器。魔法使いの杖!」 そう言って取り出したのはとても可愛らしい小さな杖。しかし実はこれは見る人が見れば分る、本物の魔法の杖である。 しかし何も知らないまき絵たちはノリノリで観衆の前で実演を始めた。 「可愛いとバカにするなかれ!! 一言呪文を発すればこの通り・・・」 「敵を撃てーーーっ(ヤクレートゥル)!!」 まき絵が呪文を唱えて杖を振ると、パシュッと光が弾けた。 「この光に人体への影響はありません!! 更にバズーカタイプなど、様々な武器を用意! 自由に選べます♪」 本物の魔法だとは微塵も疑わず、むしろ凝った仕掛けと充実した内容に、ほとんどの生徒達が関心を抱き、次々と支給される武器に群がり始めた。 続々と集まる参加者達をネギたちは離れた場所で眺めていた。 「これで2500のロボットには対抗できるってわけだな、しかし兄貴も大胆な作戦を思いつくぜ。まさかイベントに催して生徒達に協力させるとはな・・・」 カモが感心したような口ぶりでネギを見上げた。するといつの間にかこの場に加わっていた朝倉と同時にイヤラシイ顔つきに変わっていった。 「うん、確かに悪くない作戦だね。でもこの作戦、超りんが一般人に危害を加えないことが大前提だよね?」 「超が本気で堅気に手を出すようなコトがありゃすぐ引かせるさ。その場合、奴はそこまでの女だってこったな。逆にそんな小悪党ならば与し易し、と学園長や魔法先生は考えてるだろうぜ」 「・・・この作戦、立案したのはネギ君だよね。ネギ君もそう考えてたと?」 そう朝倉が尋ねると、カモはニヤリと笑みを浮かべ、大笑いした。 「それよそれ!! いやー、俺っちも、まさか兄貴の口からこんな作戦が出て来るとは思わなくってよー!」 「ネギ君、一皮剥けちゃったかなーっ。他人様の迷惑まで勘定に入れて動けるよーになれば、リーダーの素質充分だよねぇ!」 「いやもー、おっちゃん嬉しくなっちゃってよぉー! 兄貴は甘ちゃんの良い子ちゃんで真面目過ぎなのが心配の種だったんだが……」 「ちょっとアンタたちいい加減にしなさい!! 何、不気味な笑い声出してんのよ?」 「そ・・・そうですよ~、僕はそんな・・・」 今までのネギとはかけ離れた提案にカモたちは笑いが止まらずに朝倉とともに不気味な声を出していた。アスナたちもそれに顔を引きつらせながら突っ込みを入れた。 そして一頻り笑いが収まったカモはもう一つの事を尋ねた。 「それでシモンの旦那はどうするんだ? 超に関しては居場所の予想もついてねえし・・・」 「それも大丈夫だよ。シモンさんが目指すのは超さんの居るところ。シモンさんならきっと相手が何人居ても辿り付くはずだよ。つまり片方を見つければ自然に・・・・」 「両方そこに居るというわけね。簡単でいいわね」 学園祭のイベントの衣装に身を包み、ネギたちは作戦を確認した。 ネギの立てた作戦。それは魔法具を使い、一般人の者達と協力し大量のロボット達へ対抗するという大胆なものである。 五月が事前にタカミチに報告したのが幸いして、ネギたちが学園長室についた頃にはすでに話は他の魔法先生、生徒に知れ渡っていた。 そこでネギは話を聞き、今回の作戦を思いついたのである。 彼を知るものならば、今回の一般人を巻き込む作戦はネギらしくないような気がした。しかしネギの目が非常に頼もしく感じ、さらにこの作戦も実に効果的だと感じ、魔法先生たちは全員ネギの話に乗った。 「はい、そして二人を捕まえて・・・・・」 「捕まえて・・・・?」 アスナたちはゴクリと唾を飲み込み、ネギの言葉を待つ。すると実に爽やかな笑みで・・・・ 「お説教です♪」 それがネギの答えである。 二人の大義も道も関係ない。 多くのものを巻き込み騒ぎを起こした二人に、この学園の教師として叱る。それが教師としての行動であった。 アスナたちもそれで納得したのか、笑顔で頷いた。 元々一部を除いて彼女達も歴史の改変だの魔法による救済など、細かいことは分からないし、考えない者たちである。しかし今のネギの答えは実に単純明快なもののうえに、実に納得できるものであった。 「よっし、それじゃあ次にシモンさんだけど・・・・・」 「アスナ~、ネギく~ん!!」 話を遮るように木乃香が駆け寄ってきた。その隣には刹那も居る。 「木乃香さん、刹那さん、どうでした?」 「ううん、シモンさんも、美空ちゃんたちも教会におらへん」 息を切らせながら木乃香は告げる。 「シャークティ先生たちが学園長の呼び出しを無視したので、もしやと思ったのですが・・・・。超さん同様にシモンさん・・・・いえ、グレン団の方々も既に動き始めているようです」 木乃香と一緒にシモンを探しに教会まで行った木乃香達だが、既にそこはもぬけの殻だった。 刹那の言ったとおり、シャークティと美空、そしてココネは今回の学園長の緊急の呼び出しに応じなかったのである。そのことについて他の魔法先生も何かあったのではないかと心配したが、緊急事態のため、今は見過ごすことにした。 しかし美空はともかく真面目なシャークティが現れないことに、ネギは確信した。それがシャークティたちの答えなのだと。魔法使いや教師としてではない、グレン団の誇りと仲間を彼女達は選んだのだと。 そのため、ある程度予想していたことなので刹那の報告も冷静にネギたちは受け止めることが出来た。 「とにかく、グレン団の方々がどう行動しようとも、当面の目的は我々と同じはずです。彼らも2500対以上のロボットを警戒しているはずです」 「つまりシモンさんたちがどう動いても、私達はロボ共と超に集中すればいいってことか?」 「そうすればきっとシモンさんは自然に現れるから・・・・」 「そこをみんなで取り押さえる。私達は見つけたら連絡をすればいいってわけだ♪」 夕映、千雨、のどか、ハルナ、非戦闘員の彼女達は直接ロボット達と戦うことは出来ないが、シモンと超の両名を探すことなら出来る。それぞれのアーティファクトを手に持ち、自身が出来る最大限のことをしようとした。 「怪我してもウチが治したるえ」 「お嬢様も気をつけて下さい。戦闘と取り押さえる仕事は私達に任せてください」 「ウム、中々難儀でござるが、これくらいやらねば・・・・」 「そう、あのアニキさんに笑われるアル!!」 古の言葉を聞いて皆、ネギの首にぶら下がっているコアドリルを見つめて笑った。 古の言った人物はシモンのことではない。自分達を助けてくれたあの男のことである。そのことを全員理解し頷きあった。 すると一人の女教師が駆け寄ってきた。その手には刹那と同様の剣が握り締められている。 彼女も魔法先生の一人で神鳴流の剣士の葛葉刀子である。 「ネギ先生、一応周囲を軽く見渡したのですが、シスターシャークティも例のシモンという方もいませんでした。」 「そうですか・・・・タカミチもシャークティ先生の携帯は電源が切られてるって言ってたし・・・・」 出来ることならシモンだけでも早めに捕らえておきたかったのが、学園側の意見である。 さすがに戦いが始まれば、自分達も超たちとの戦いに集中しなければならない。その状況で二人を同時に捕まえるのは困難であった。 「逃げ出した・・・というのは・・・」 「「「「「「それは絶対ありません!!」」」」」」」 戦力差も明らかなため、シモンたちが逃げ出したのではと刀子は思ったのだが、その考えは全員に即効で否定されてしまった。 味方ではないが、絶対にシモンたちは逃げ出したりなどしないという確信を秘めた目をネギたちはしていた。 しかしシモンたちが見当たらない。 それが少し不気味に思えた。いつもどこにいても争いの中心となっている男が、今の所音沙汰無しなのである。 そもそもシモンたちにも今回の作戦は予想外だったはずである。シャークティたちが魔法先生たちの作戦会議に参加しなかった以上、まったく予期せぬ事態のはずである。 しかし自分達が取り押さえる前にシモンたちは姿を消した。まるでこちらの作戦が筒抜けになっているように思えてならなかった。 「随分と可愛い家じゃない」 「ほんとだ、やっぱりエヴァも女の子なんだな」 「ふん、・・・・まったくドカドカと人の家に上がり込みおって・・・」 少し不機嫌そうに頬を膨らませるエヴァ。しかし当然であった。 学園から少し離れた場所にあるエヴァの家。先ほどまでネギたちが居た場所である。 しかし今はシモンを始め、50人以上の男達が家の前で屯っているのである。エヴァの家のメルヘンさを完全に損なわせるほどのむさ苦しい場所と化していた。 「しかしネギ先生たちもまさか私達がここに居るとは思っていないでしょう。これで戦いの前にシモンさんを捕らえられるという心配もなくなりましたね」 「一時とはいえ場所を提供してやったんだ。感謝することだな」 エヴァはさも当然のように言う。 「でもまさか他の生徒を巻き込んでの騒動になるとは思わなかったわね。ネギも随分とやるわね」 達也が持ってきた魔法の杖をクルクルと回しながらヨーコが呟いた。 エヴァによれば、この杖は本物の魔法具であり、自動人形やゴーレムと言った非生命型の魔力駆動体を活動停止にする専門の道具である。 細かいことはよく分らないがようするにロボットにはこれ以上ないほどの効果を持っているそうである。 つまりこれを使って2500のロボットに対抗しようというのが学園側の作戦である。 「そうっすね~、それにまさかアニキと超の両方を捕まえようだなんてね~」 「でも、そう簡単にはいかなかったみたいだな。これもココネのお陰だ!」 シモンはココネの頭を撫でながら笑う。ココネも表情こそ変わらないが、実に嬉しそうにしてシモンの腰元に抱きついた。その際エヴァの目つきがピクッと動いたが、ブツブツと自分自身に「あれは兄妹のスキンシップだ・・・」などと言い聞かせていた。 たしかに今回のネギたちの作戦は予想外であった。超どころかシモンまで捕まえようとしていたのである。 当然召集を無視したシャークティたちはその内容を知ることは出来ない・・・はずだった。 「美空同様にココネの力を学園側は知りませんからね・・・。まさか自分達の作戦や現在行なわれている念話が全て筒抜けになっているとは思わないでしょうね」 そう、シモンたちには全て筒抜けだったのである。 シモンたちも先ほどまでは知らなかったが、ココネにはどんな微弱な念話も感知出来るという特技を持っているのである。 携帯電話だと超に妨害されると予測した魔法先生たちは現在学園内で念話を何度も使用している。 しかしその結果、ココネの力によってもう一つの勢力に作戦を気付かれるというミスを犯してしまったのである。 ネギの作戦通りにするなら、共通の敵を持っているとはいえ、できればシモンは戦いが始まる前に捕らえたかった。そうすれば後は超だけに集中できるからである。しかしそれももはや敵わない。まさかシモンたちが学園から少し離れたエヴァの家にいるなど、誰も予想できなかったのである。 そして筒抜けなのは学園側の動きだけではなかった。 「作戦決行時刻間近、ソロソロ第一部隊ガ学園ノ湖カラ出現シマス」 「リーダー、エンキも言ってるぜ。そろそろ田中さんの群れが現れるってよ」 エンキの言葉を聞いて豪徳寺はシモンに告げる。 その言葉を聞いて他の者も、準備を整え始めた。 学園側の動きが筒抜けだが、実は超たちの行動もある程度シモンたちには筒抜けなのである。 それはエンキのお陰である。 仲間になったエンキは自身にインプットされている作戦のデータを全て公表してくれたのである。 これにより作戦決行の時刻、狙いの世界樹、またはその周辺ポイント。さらに学園結界に封じられた巨大兵器の存在などを知ることが出来た。 「周辺ポイントや先発部隊のロボット達は学園側に任せればいい。心配はいらないんだよな?」 本来なら既に全員で世界樹の広場や、出現場所で待機するべきなのだが、学園側はシモンも探しているために、あまり下手に動くことは出来なかった。 しかし学園側の作戦通りなら今自分達が危険を押して出る必要は無いと感じ、シモンたちは今此処にいるのである。 「はい。現在支給されている武器と生徒達のポテンシャル、さらにイベントに便乗して魔法先生たちも力をフルに使うでしょう。エンキさんの情報どおりなら、問題はないです・・・・ただ・・・」 「わかってるわ、エンキの言ってた学園祭限定の特殊弾ってやつね」 「はい、攻撃された者はレベルに関係なく全てが終わった後夜祭まで強制的に時間跳躍させられるという反則技。これは最も警戒しなければならないものです」 シモン、ヨーコ、シャークティたちは最後の話し合いに入った。 他のメンバー達に細かい説明はしない。 当然魔法に関してのことは豪徳寺たちは知らない。この三人が出来るだけ細かく考えて、出来るだけ作戦を簡単に仲間に伝える。それが目的である。 「封じられた巨大兵器。そして茶々丸さんの動かすグレンラガンモドキ。これが出てくれば魔法先生達も苦戦を強いられます」 「ああ、そこで俺の出番だな・・・・」 シモンはニヤっと笑って口を挟んだ。 その言葉にヨーコとシャークティも笑みを浮かべて頷いた。 シモンたちが最後の作戦を立てている中、他のメンバー達も徐々にやる気が顔にみなぎって来た。 「よ~し、もうすぐ俺らの出番ってわけだ!! ヤロウ共、準備はいいか!」 「おう! ってなんで豪徳寺が仕切ってるんだ?」 「そうだそうだ! リーダーはシモンさんだろ!」 「バカヤロウ! リーダーが今作戦会議中だから、ここは副リーダーの俺が・・・・」 「「「「「異議あり!!!!」」」」」 男達は全員口を揃えて、突然の豪徳寺の副リーダー宣言に異議を申し立てた。 「薫ッち、それはないんじゃねえか?」 「そうだよ、やはり副リーダーはこの僕が・・・・」 「山下も待て、やはりここは武道会の本戦に出場した俺が・・・・」 「待ってよ、ポチっち!! それなら私なんて準々決勝まで行ったんだよ? さらにグレン団としては私のほうが先輩!!」 「おおい、いくら美空ちゃんでも譲れないぜ!!」 豪徳寺の発言により戦いを前にして、なんと副リーダーの座を皆で争い出した。その中には美空も含まれている。 あまりにもバカらしい光景にヨーコとシャークティにエヴァはため息をついて眺めていた。 すると黙っていたココネが再び何かを感知してそれを告げる。 「・・・倒した田中さんの数にポイントがついてランキングが作られるミタイ・・・・」 ココネが感知したのは生徒達のやる気を更に盛り上げるために学園側が演出した一つのアイディアだった。 するとこの言葉を聞いて全員の目が光った。 「よっし、じゃあこうしようぜ! 一番ランキングが上だった奴が新生大グレン団の副リーダーだ!!」 「ちょっと、達也。これは遊びじゃ・・・「「「「異議なしだーー!!」」」」・・・」 達也の発言に不謹慎だと口を挟もうとしたヨーコだが、その提案に全員が賛成してしまった。 「それでいこうぜ、たっちゃん!! だが副リーダーの座は俺のもんだ!!」 「何を言う、ここは俺だ!」 「薫っちも、ポチッちも何言ってんのさー!? ここはこの私が・・・」 「私ハドウスレバ・・・・」 「エンキも参加したまえ。グレン団全員に資格ありだ」 「アリガトウゴザイマス、山チャンサン」 いつの間にか旧グレン団のメンバーの意見は無視して、この戦いの目的が副リーダー決定戦のようなものに変わってしまった。 ヨーコたちは呆れてため息をつくが、そんな物の座を本気で手にしようとしている仲間達の姿がうれしくもあった。 「ムッ」 「どうしたエンキ?」 「予定時刻ヨリ少シ早イデスガ、第一部隊ノ出現ヲ感知シマシタ」 「「「「「!?」」」」」 全員の笑いが止まり真剣な顔つきへと変わった。 ついに自分達の戦いの時間がやってきたのである。 シモンが立ち上がり皆の前に立った。そして一人一人の顔を見渡す。その誰もが実にいい表情をしていた。 そして豪徳寺が口を開く。 「そろそろだ、勝とうぜ、リーダー!」 その言葉にシモンだけでなくシャークティやヨーコも含めて全員が頷いた。 その言葉を聞いてシモンはニヤリと笑みを浮かべて、指を天に向かって指した。 「当たり前だ!! 教えてやろうぜ、俺たちが一体誰なのかをな!!」 グレン団のコートを靡かせて背を向けたシモンの後に仲間達は黙って続いた。 向かう場所は戦場。 自分達を超鈴音に証明するために彼らは向かった。 『敵の狙いは学園の象徴『世界樹』。参加者の皆様には6つのグループに分かれ、世界樹前広場、龍宮神社南門等、6箇所の世界樹防衛拠点を選択して頂きます!! 上位ランカーには例年通り、豪華賞金を進呈!! 但し、自分所属の防衛ポイントが敵に占拠された時点でゲームオバー!! 賞金もパーです! グループの仲間と協力しつつ、攻守のバランスの取れたバトルを展開しましょう!! 尚、参加者以外のゲームエリアへの立ち入りは危険です!!』 新生大グレン団未だ息を潜める中、がイベントの説明放送が流れ、参加者の生徒達が各々の防衛地点へと散って行く。 「準備万端だな」 「既にほとんどの配置が完了しています。五月さんの情報によるとそろそろですね」 和装メイド服に猫耳と尻尾をつけた刹那が生徒達の配置状況を見て言うとカモも同意した。すると刹那同様イベントの催しとしては左腕と両脚に無骨な装甲をした騎士のような格好をしたアスナが顔を出した。 「でも、おかしくない? シモンさんたちまだ来てないわよ?」 「たしかにな。旦那に何人仲間がいるか知らねえが、そろそろ姿を現してもいいはずだ・・・・」 「そうですね、大体これは超さんとシモンさんの喧嘩なんだから、そのシモンさんが姿を見せないなんておかしいよ・・・」 未だ現れないシモンたちにネギたちは少し不安になった。 シモンが逃げ出すとは思えない。しかしシャークティたちが召集に応じなかった以上、学園側の作戦も、五月の情報も知らないはずである。 だから何も知らずに決戦場所に現れるのではないかと予想していたのだが、それは完全に外れた。 もっともココネの力とエンキの存在を知らないネギたちには無理もない話しだった。 「どこにいても直ぐ分かるぐらい騒がしい人がどこにいるのか分からないなんて、・・・なんか不気味ね・・・」 「・・・それだけシモンさんたちも本気なのでは・・・・」 アスナの言葉に刹那たちも妙な不安とある種の期待感に包まれていた。それはネギもそうだった。 「不思議ですね・・・」 「そうね、・・・シモンさんは今回何を見せてくれるんだろ・・・」 毎回驚かされるシモンに、自分達も少しドキドキしてきた。こんな大舞台で、シモンは一体何をしでかすのか、期待せずにはいられなかったのである。 「おっ、どうやら雑談はこれまでみたいだぜ」 カモの言葉にネギたちは夕焼けの湖へ視線を送った。すると湖の中からサングラスをつけた田中さんの大群と、さらにそれだけではなく、巨大な四つの足で昆虫のような動きをする一つ目のロボットが続々と姿を現した。 ネギ、アスナ、刹那、楓、古、のどか、ハルナ、夕映、木乃香、千雨は同時に身構え、ネギが口を開く。 「よし、行きましょう皆さん!!」 全員が同時に頷き、戦えるもの、戦えないものに関わらず、戦場へと向かっていった。 シモンたちはまだ姿を現さない。 超鈴音の居場所も特定できない。 しかし両者の喧嘩に割って入るように学園側が先に動き出した。 タカミチを始め、刀子やガンドルフィーニなどの魔法先生たちも続々と姿を現した。 まずはここに火星軍団と学園側の戦いが始まった。 後書き パソコンがぶっ壊れました・・・・データも開けなくなりました。 ショックで一週間閉じこもっていましたがようやく更新できました。 とりあえずネカフェで一気に数話書き溜めたので、これからは遅れた分更新を早めていきます。 さて、質問にありましたが、合体したはずのコアドリルとカシオペアは一応描写していますがすでに分離しています。 だからネギたちが見た奇跡は実際のところ謎のままにしておきます。 とにかく重要なのは時空地獄囚われようと、全ての者に道は通ずるということです。
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1 名前:どうですか解説の名無しさん [2008/03/10(月) 19 37 57.39 ID cO33eNAV] (移籍は)マイナスあるで 2 名前:どうですか解説の名無しさん [2008/03/10(月) 19 38 43.40 ID dko7qJbw] 小坂「俺みたいになるで」 3 名前:どうですか解説の名無しさん mailto sage [2008/03/10(月) 19 38 48.24 ID 3UI7Vgie] 宮本はセカンドやらせるから大丈夫 4 名前:どうですか解説の名無しさん [2008/03/10(月) 19 39 48.69 ID c5ieVovq] 二岡、ちんこを見せ付ける 5 名前:どうですか解説の名無しさん [2008/03/10(月) 19 53 20.39 ID Q7Fpr3Hr] 宮本「(サードに)切り替えてゆく」
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※独自設定垂れ流し。 ※いろいろな方達の SS、絵よりインスパイアされてます。 ※インスパイアっつーか既に××が通った道だよ!な感じです。 ※使い古し、かつ見たことあるネタのオンパレードでごめん。 ※虐待されないゆっくりが大半です。重ねてごめん。 ※もしかしたらこれって『愛で』なのかもしれない。 ゆっくりを説得することは可能なのか? ゆっくりは基本バカだ。その日暮らしで後先を考えないし、人間の怖さも理解していない。 でもぱちゅりー種やありす種、そして一部のまりさ種は高度な知能 (といってもゆっくり基準で、だが)を持っている。 根気よく説得すればちゃんと理解するのかもしれない。 いつもは畑を狙うゆっくりをきっちり虐殺している俺だが、排除だけでは対処療法だ。 ゆっくりを説得して群に帰ってもらい、それを仲間に伝えてもらえば 被害を減らすことが可能かもしれない。 虐待によりトラウマを植えつけて放す、ということを実践した人はいるらしいが、 結果は芳しくないようだ。 恐怖をあっという間に忘れるゆっくりだけに、群にまで広がらないらしい。 その割には加工所の恐ろしさは理解しているようだ。 どの恐怖なら覚えてくれるのか、基準が全くわからん。 そういうわけで、賢いゆっくりに畑と野菜について教えることをまずは目標にした。 1.賢いぱちゅりーの場合 「むきゅっ!おにいさん、おねがいがあるの!」 3匹のゆっくりぱちゅりーが柵の前に来ていた。早速、計画発動の時がきたのか!? 「おやさいさんをわけてほしいの!」 あれー?なんか違うなぁ…。 「…なんで野菜が欲しいんだ?」 「むきゅう…。むれのみんながすっきりー!をしすぎちゃったの…。」 「ぱちぇたちはむれのみんなにだめっ!ってなんどもおしえたのに…。」 「おいしいくささんやむしさんをみさかいなくたべちゃって、ふゆごもりようの しょくりょうがたらないことがわかったの…。」 まだ初秋だというのに、このぱちゅりー達の群では周辺の食料を狩り尽くしたらしい。 なくなるまで採れば次に生えてくるのは少量だということをこいつらは わかっているようだ。だいぶ賢い。 「ぱちぇたちはむれをでてきたの。」 「なんだ、群を見捨てたのか?」 「むきゅっ!?ち、ちがうわ!ぱちぇたちがむれをでれば、それだけしょくりょうが すくなくてすむでしょ?」 「でも…りゆうのはんぶんは、かりができないからって、おいだされたの…。」 ありゃー、体が弱いと立場も弱いな…。 「でも人間の里は危ないって知らないのか?」 「むきゅう…。わかってるわ。ころされちゃうかもしれない。でも、むれぜんたい がだめになるより、ぱちぇたちだけがぎせいになるほうがいいわ…。」 「それにまだぱちぇたちがしぬってきまったわけじゃないわ。 ぱちぇたちはからだがよわいけど、にんげんさんのいうことをいっぱい りかいできるわ!ぱちぇたちにもなにかいきるすべがあるかもしれないわ。」 うーん、群を思う気持ちがつよいなかなかの良ゆっくりのようだ。 「ちなみに畑はお前達にはゆっくりプレイスなんだっけ?」 「むきゅ!ちがうわ!ぜんぜんちがうわ!はたけさんはにんげんさんがつくってるものよ!」 「おやさいさんもにんげんさんがそだてているのよ!」 「お、良くわかってるじゃないか。」 「むきゅっ!ゆっくりゆうかからおしえてもらったことよ!」 「ゆうかがいうには、おはなさんやおやさいさんはたいせつにそだてられて、 まるでじぶんのこどもみたいだわ、って!」 「そうよ!あかちゃんはとってもゆっくりできるもの!おやさいさんはにんげんさんの あかちゃんよ!」 それはだいぶ豪快な勘違いだが…。ま、大切なものってことは理解しているようだ。 しかし半分追い出されたゆっくりでは、畑の伝道師にはなれない。残念だが今回は 計画発動ならず、か。 それじゃあこのぱちゅりー達には別の役目をやるとしよう。 「じゃあ、俺の畑で働くか?」 「むきゅ?はたらく???」 「ああ。生えてくる雑草や、野菜にたかる虫を食べてくれれば、できた野菜をわけてやろう。 あと雨風をよける場所も用意してやる。」 「むきゅ!!ぱちぇたちはやるわ!」 「にんげんさんのおてつだいをするわ!」 「ただし!」 「むきゅっ?!」 「野菜を勝手に食べたらその場で処刑、もしくは加工所行きだ。いいな?」 剣呑な言葉が出たことで、さすがにおびえが3匹に走っている。 「む、むきゅう…。かこうじょはゆっくりできないわ…。」 「でも、はたらけばおやさいさんがもらえるのよ。せんたくしはないわ…。」 「むきゅ!ゆっくりりかいしたわ!ぱちぇたち、はたらくわ!」 よっしゃ。これで害虫と雑草の駆除の手間が省けるぜ。 あとは少し釘をさしておくか。 「それと、群に帰ってもこのことは言わないこと。」 「どうして?」 「野菜をタダでもらえると勘違いするゆっくりが出るからな。」 思い当たる節があるのか、ぱちゅりー達の顔が曇る。 「むきゅむきゅ…。た、たしかにかんちがいするこもおおいわ…。」 「まりさやれいむたちはすぐかんちがいするから…。」 「すっきりー、しちゃだめなのもりかいしていないこがおおかったわ…。」 だろうなー。これだけ賢いゆっくりが指導しても越冬に失敗しそうなんだから 相当のダメゆっくり達だよな。 「だから、群に帰ったら強制労働で死ぬかと思った、って言うんだ。 命からがら逃げ出してきた。もう畑なんか行きたくない、って。 そうすれば勘違いせずにすむ。」 というか、こういうしかないよな。騙すわけだが。 「「「むきゅっ!ゆっくりりかいしたわ!!」」」 「それじゃ野菜の説明をするよ。」 「ぱちぇたち、がんばるわ!」 「「「ゆっ、ゆっ、おー!!!」」」 どのゆっくりもこれだけ物分りが良ければいいのにな…。 2.中途半端に賢いまりさの場合 ぱちゅりー達が農作業に加わって数日たった。ついに計画発動の時が来た。 「やいじじい!まりささまにおやさいをよこすんだぜ!」 第一声がこれだ。まずは前提条件クリアというところだ。後は賢さを確認するだけ。 このまりさの説得を足がかりに、畑と人間の関係をゆっくりへ広めなければ。 「おいきいているのかだぜじじい!さっさとよこせばいのちだけはたすけて やるんだぜ!」 はいはいテンプレ乙。しっかしこの根拠なしの自信はどこからくるんだ? 農作業中のぱちゅりー達はすでに避難済み。農作業しているのをみられると 他のゆっくりにどんな難癖をつけられるかわからないからな。 「なあまりさ?」 「つべこべいうんじゃないんだぜええ! このはたけさんはまりささまがみつけたゆっくりぷれいすなんだぜ!」 「いや、お前が聞いているのかっていうから…。」 「ぎゃーぎゃーわめくんじゃないんだぜ! さっさとでていけばいのちだけはたすけてやるんだぜ!」 「だからあのな…。」 「ちゃんときいてるのかだぜ!?いまあやまればゆるしてやらないこともないんだぜ!」 聞く耳持たねぇー。仕方ない。 ひょい。まりさの帽子を取った。 こういう話を聞かない奴にはこれがいちばんだ。 「な、なにするんだぜー!!おぼうしをかえすんだぜ!」 まりさのとどかない位置まで帽子を持ち上げると、ぽよんぽよんと必死にジャンプして 取り戻そうとする。 「ゆぐぐ!いまかえせばどれいにしてやるんだぜ!こうえいにおもうんだぜ!」 ぽよんぽよん。 こっちはそんな滑稽なすがたをニヤニヤと見てるだけ。 ぽよんぽよん。 「ゆがああ!いいかげんかえすんだぜええええ!」 ぽよんぽよん。いや、ジャンプだけじゃ取り返せないって。 ニヤニヤ。 ぽよんぽよん、べちゃ。あ、後頭部(?)から落ちた。 「い、いだいよー!おぼうちかえちてね!かえちてね! まりしゃのおぼうちかえちてー!」 なぜか幼児退行をおこした。バレーボールサイズで幼児言葉か。結構かわいい。 「まりさ、話を聞いてくれるなら帽子をかえしてやるぞ?」 「ゆーん、まりしゃちゃんとおはなしきくからー!おぼうちかえちてー!」 ぽとん。帽子をまりさの頭に載せてやる。 「やっとかえしたのかだぜ!まりささまがかんだいなこころをもっていなかったら いまごろじじいはてんごくなんだぜ!」 「話を聞く気になった…。」 「まったくさいきんのにんげんにはこまったものだぜ! まりささまたちゆっくりがやさしくなかったら ぜつめつさせられてもおかしくないんだぜ!」 …これ、また帽子を取ったらどうなるんだろう? ひょい。 「ゆんやー!おぼうちかえちてー!かえちてー!」 ぽとん。 「さっさとかえせばちゃんとゆるしてやるんだぜ!おぼえておくんだぜ! まったく、にんげんごときがまりささまにかとうとか、ゆめはねてるときにみてほしいのぜ!」 ひょい。 「ゆーんゆーん!まりしゃのおぼうちー!ごめんなちゃいー!」 なんか楽しいな。でもこっちにも目的があるからそろそろ言う事を聞かせるか。 「ちゃんと話を聞かないと帽子をやぶるぞ。」 帽子のふちを破るマネをする。 「ききましゅっ!ききましゅからおぼうちやぶらにゃいでー!」 「いいな?次に勝手にしゃべったら破くぞ。」 ぽとん。お、さすがに何も言わなくなった。 それでは賢さ確認開始! 「いいか?畑は勝手に出来上がるものじゃない。人間が作ってやっと畑になるんだ。 わかるか?」 「ちがうんだぜ!はたけさんはもともとあるものなのぜ!それをにんげんが ひとりじめしてるんだぜ!ずるいんだぜ!」 人里近くにあるせいで、人間が占拠しやすい、と思い込んでるらしい。 「じゃあなんで森の中には畑がないんだ?」 「ゆゆっ!?…ゆー、よくわからないんのぜ…。きっと木がたくさんあるからはたけさんが できなかったんだぜ!きっとそうだぜ!」 お、一応理由を考えるだけの頭はあるみたいだ。ぱちゅりーほどではないが、 頭の良さは感じられるな。 「木がなくて開けた場所だって森にはあるだろう?そこにはなんで畑がないんだよ?」 「ゆゆゆっ!?…う、うるさいのぜ!きっとりゆうがあるんだぜ!にんげんにはわからない りゆうなんだぜ!にんげんはばかだからわからないんだぜ!」 いや、お前もわかってないだろ。 「まあいいか。じゃあ次は野菜だな。野菜は人間が育ててるんだぞ?」 「ゆっははは!またもうそうをいってるんだぜ!おやさいさんはかってにはえて くるのぜ!まりさはときどきはたけさんをみにくるからわかっているのぜ! にんげんがおやさいさんをひとりじめにしたあと、かってにまたはえてきた のぜ!ほんとうににんげんはどんよくなのぜ!」 いや、人間のものを盗むお前らこそ貪欲デスヨ? ま、ゆっくり達は人間の作業をずっと観察してないから理解できないのも無理はない。 人間だって、作業の瞬間々々を見るだけならそうなるだろう。 で、こちらから根本的な疑問を投げてやる。これで賢さが見えるはず。 「野菜が勝手に生えてくるなら、どうして森の中に生えないんだよ?」 「ゆゆゆゆっ!?…は、はたけさんだぜ!きっと、おやさいさんははたけさんに しかはえたがらないんだぜ!」 お、畑にしか生えないとはまあまあ論理的な回答だ。やはり多少は賢いようだ。 「だがさっきも言ったが森の中には開けた場所もあるし、畑に似た場所もあるだろ? 花がいっぱい咲いているところとか。そういうところには野菜が生えても おかしくないだろう?なんで森には生えないんだ?」 「ゆぅぅぅ…???わ、わからないんだぜ…。どうしてもりにはきのこははえても おやさいさんははえないのぜ…?もりはくささんがいっぱいはえるのに、 おやさいさんはみたことないのぜ…???」 考え込んでるな。これはみどころがある。 「よし、じゃあ勝負しようじゃないか。この畑の一角をお前に貸してやる。 野菜が勝手に生えてくるなら、それを食べてずっと生活していけるよな?」 「ゆっ!やっとまりささまにごほうしするきになったのぜ? まあみつぎものをうけとってやらなくも…。」 ひょい。 「ゆわーん!まりしゃのしゅてきなおぼうち!かえちぇぇぇー!」 「話を最後まで聞けよ。」 ぽとん。 「もし野菜がいつまでもはえてこなければ、お前には『野菜はかってに生えてこない』 ってことを群に伝え広めてもらう。どうだ?」 「ゆっははは!かけにもならないんだぜ!まりささまのかちはきまってるのぜ!」 「その言葉、忘れるなよ?」 俺はまりさ用に畑の一角をちょっと狭く囲ってやる。そこには青菜が成長していた。 毎日新鮮なおひたしを食べたくて作っていたものだ。しかし昨日採ったので 残りはほんの少し。 「その青菜はお前が食べていいぞ。」 「とうぜんなのぜ!おやさいさんはみんなでびょうどうにわけるべきなのぜ!」 嘘付け。自分ひとりで盗みに来たくせに。 「一応難癖つけられてもこまるから、隣で野菜を育てて見せるからな。 後で人間がズルをしたとか言われても困るから、 育てるのは俺じゃなくてゆっくりだ。」 「ゆ?ほかのゆっくりがいるのぜ?」 「お~い、ぱちゅりー!」 俺はぱちゅりーを呼ぶ。 「このぱちゅりーは俺の畑をてつd…、じゃなくて強制労働させているゆっくりだ。」 「ゆっはっは!ぱちゅりーはぐずだからにんげんなんかにつかまるのぜ! まったくなさけないゆっくりなのぜ!」 お前だって四方を囲まれて逃げられねーじゃねーか。 「むきゅ…、なあに、おにいさん?」 「まりさに野菜を育てるところを見せてやってくれ。作り方、わかるよな?」 「むきゅっ!おにいさんにみせてもらったまどーしょにかかれてたわ!できるわ!」 魔道書というか、子供用の家庭菜園の手引書なんだが。 ぱちゅりーに青菜の種を渡す。速成の野菜だから3日で食べられるくらいにはなる特別製。 ただし土から栄養をすごく吸い取るから、後でちゃんと肥料を足しておかないとな。 「それじゃぱちゅりー、後は頼むぞ。まりさ、ゆっくりしていってね…!」 まりさへの微笑みは、ちょっと邪悪な感じになってしまった。 3.いろいろ絶望的なれいむ(しんぐるまざー)の場合 「にんげんさぁぁぁん!れいむはかわいそうなんだよぉぉぉー!わかったら おやさいさんとあまあまをたくさんもってきてねぇぇぇー!」 「「きゃわいくっちぇごめんなちゃい!あまあまよこちぇー、じじいぃ!」」 …、潰してぇ。 だいたい子れいむ2匹のせりふはなんなんだよ。前後でぜんぜん脈略ないだろ。 さすがに閉口していると、親れいむはさらにヒートアップ。 「なにみてるのぉぉぉー!?れいむはしんぐるまざーなんだよぉ!かわいそうでしょうぅ! さっさとおやさいさんとあまあまをよこせぇー!」 「「じじいぃ!おきゃあしゃんのいうこちょきけぇ!そりぇとちねぇ!」」 だから子れいむ達のせりふ、どうにかしろよ。 「野菜は人間が育ててるものだ。あげるわけないだろう。」 「そんなこときいてないでしょぉぉぉ!?おやさいさんをひとりじめするにんげんは しんでねぇぇぇぇ!」 「「ちねぇ、じじい!そりぇとあまあまよこちぇー!」」 死ぬのと食べ物の優劣が同一って、餡子脳は怖いな。 「いやだから独り占めとかじゃなくて、俺が育ててるんだから俺のものだろう? 狩りでとってきたら、えさはそいつのもんなのと同じ。」 「なにわけのわからないこといってるのぉぉぉ!?れいむはしんぐるまざー だっていってるでしょぉぉぉ!かわいそうなんだから、おやさいよこせぇぇー!」 「「ごうよくなにんげんはちねぇ!」」 子ゆっくりのくせに強欲とか難しい言葉知ってるな。だが知能は最低レベル のようだ。説得はむりか。しかたない、プランBだ。 「あー、野菜はやれないがお得な情報ならあるぞ。」 「どうでもいいでしょ、そんなことぉぉ!はやくおやさいさんをだしてね! あとここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 「「ゆっくちぷれいちゅだよぉ!はやくちね!」」 …マジウゼぇ。 「あーあ、この情報を群に持ち帰ったらきっと英雄だよなー。 もう働かなくても群のゆっくり達が貢物をもってくるぐらいの凄い情報 なのになー。もったいないなー。」 ついやる気のない口調になってしまったが、親れいむには効果覿面の 言葉だったようだ。 「はやくそのじょうほうをおしえてね!あとおやさいさんをわたしてね!」 「だから野菜はやれねーっつってんだろ。 いいか、野菜は畑でとれる。それはわかるな?」 「しってるよ!れいむはかしこいもん!」 「「れいみゅはかちこいよ!あとちねぇ!」」 どう見ても子れいむは知能破綻だと思うがな。 「お前達ゆっくりは遠くまでいけないから知らないだろうが、森の中には 神秘の畑があるらしいぞ。だれも手をつけてない畑で、野菜がいっぱい 育ってるってうわさだ。あと甘~い果物もいっぱいらしいぞ。」 「ゆゆっ!すごいゆっくりぷれいすだね!でも、れいむはそんなはたけさん、 もりのなかでみたことないよ!」 「だからお前の群からもっと遠い場所にあるらしいんだよ。だから見つけられ なかったんだ。だが群のみんなで手分けして森をさがせば、その畑が 見つけられるかもしれない。」 「ゆっ!それはすごいじょうほうだね!そんなじょうほうをしいれるなんて、 さすがはれいむだよ!」 「「おきゃあさん、しゅごーい!」」 いや、お前らの努力じゃないし。 もう野菜への未練がなくなったのか、それとも新たな畑への皮算用からか、 れいむ達は森へと戻っていく。 「ちゃんと群の長に言うんだぞ~!手分けしないと見つからないからな~!」 俺はれいむ親子を見送った。ふう、口八丁も楽じゃないな。 俺の教えた嘘に群が踊らされれば、扇動した罪で最終的にれいむ親子が リンチを受けるだろう。 これも畑と野菜のことを理解できる知能をもつゆっくりを増やすためだ。 知能弱者のれいむ親子には、その礎となってもらおう。 れいむ親子よ、残り短いゆん生だが、ゆっくりしていってね! 4.その後のまりさ 「むきゅっ!むしさんがいたわ!」 「これはきのうみた『まどうしょ』にあったわ!あぶらむしさんというのよ!」 「ぺろぺろ…。むきゅーっ!あまいわ!」 「あぶらむしさんはあまあまをだしてありさんにようへいになってもらうって、 まどうしょにあったわ!」 「ぺろぺろ…。おいしいわ!」 ぱちゅりーたちは良く働いてくれる。おかげでいろいろ手間が省ける。 「こっちのざっそうさんもおいしいわよ!」 「これはくろーばーさんね!このまえよんだ『たべられるやそう』という こうとうまじゅつしょにあったわ!」 「むきゅっ!おいしくおしごとをして、ごはんさんももらえるなんてしあわせー!だわ!」 ここでぱちゅりー達ははっと気づく。まりさが不思議そうにこちらを見ているのだ。 「む、むきゅー!きょうせいろうどうはつらいわー!(棒読み)」 「も、もうはたらけないわー!(すごく棒読み)」 「お、おにいさんー!ぱちぇたちをころすきー?(不自然極まりない)」 頭は良くても演技はできないぱちゅりー達だった。 「ゆへっ!ばかぱちゅりーたちはそこでのたれじぬのがおにあいだぜ!」 そしてそれにあっさり騙される奴もいた。お里が知れるというものである。 数日後。 「おーい、ぱちゅりー!そろそろおやつにしよう。」 「「「むきゅー!おやつさんはゆっくりできるわ!」」」 畑仕事も一息つき、俺はぱちゅりーを呼ぶ。 今日のおやつはとうもろこしだ。朝ゆでておいたもの。 さすがにぱちゅりー達には1本だと多すぎるので3等分してある。 「「「いただきまーす!しゃくしゃく…、むきゅーっ!?あまあまのとうもろこしさんー!」」」 畑仕事を始めてから、ぱちゅりー達はだいぶ健康になってきた。 もともと、体が弱いというのはゆっくりぱちゅりー種の思い込みが大きい。 体を動かせば内部の餡も流動して、古くなった部分をちゃんと押し出すから 健康になるのだ。害虫や草を食べることそのものはそう重労働ではないが、 畑をあちこち歩いたり、水を口にいれて運んだりすることでちゃんと運動に なる。それと、やはり人間の野菜はゆっくりにとってかなりの栄養価のようだ。 「「「ごちそうさまー。ふー、ゆっくりできるわ!」」」 食べ終わったとうもろこしを、まりさの囲いのなかにぽーんと放る。 俺もガジガジとかじりおわったとうもろこしを放った。 中にいたまりさが投げ入れたとうもろこしにとびかかる。ほんの少しだけ残っていた とうもろこしの実をなんとか食べようと必死にがじがじやっている。 はじめこそ 「ここはまりささまのゆっくりぷれいすだぜ!」 とか 「ぱちゅりーはくずなんだぜ!だめゆっくりだからにんげんなんかにどれいに されるのぜ!」 などといっていたものの、ちょっぴり残っていた青菜を食べ終わった後は 当然ながら野菜は生えてこない。日に日にまりさはやせ衰えていく。 いまでは頬がこけてげっそりしている。それでも生えてくる雑草でなんとか しのいでいるものの、横ではぱちゅりーが青菜を豊かに茂らせているのを 恨めしそうにみている。 すでに目の前で俺とぱちゅりー達が仲良くおいしいご飯をたべていても 何も疑うことはなくなっていた。 「ゆっ…、こ、ここはにんげんがどくをまいたのぜ…。だから…、 おやさいさんがはえてこないのぜ…。」 俺が何度目になるか忘れたが「まりさのやさいはずいぶんゆっくりしてるな?」 といやみを言ってやったところ、こう返してきた。 なるほど。少しは考えているようだ。だが予想済み。 「じゃ、ぱちゅりーの畑と交換してやるよ。ぱちゅりーの畑には、 ほら青菜がこんなに茂ってるだろう?毒は無いよな?」 「ゆっ…ゆっ…、そ、それならいいんだぜぇ…。」 これで勝てる、そう思ってるんだろうな。 俺は青菜をぜんぶひっこぬいてぱちゅりーに渡す。まりさは青菜が自分のもの になると思っていたらしく(どういう思考回路してんだ)、ゆがーん、と でもいいそうな顔をしていた。 まあここで死なれても困るので、畑を交換したあとでクズ野菜をやったが。 「はぐっ、むぐっ、め、めっちゃ…うめっ…。」 勢いよくがっつくまりさ。 「それじゃ今度こそ野菜が生えてこなかったら、俺の言うとおりにするんだぞ? 毒をまいたとか、夜中に野菜を盗んでるだとか、そういう言い訳は聞かない からな。」 「ゆぐっ、わ、わかったんだぜ…。」 野菜をたべてなんとか一息ついたまりさは、そういうとゆぴー、とか 寝言を言いながら眠りだした。 もちろんまりさの願いはかなわなかった。俺やぱちゅりー達の食べ残しを おこぼれとしてもらいながら、生えてくるはずのない野菜を日々待つ。 隣を見ればぱちゅりーが見事に青菜を茂らせている。毒をまかれたと 思った場所には青菜があり、毒が無く茂っていたはずのこちらは 野菜がない。まりさにもやっと理解できた。 野菜は、誰かが育てないと生えてこないんだ。 「ゆぐぅ…、おにいさん…、わかったんだぜ…。おやさいさんはそだてないと てにはいらないんだぜ…。はたけさんはゆっくりぷれいすじゃないんだぜ。 にんげんさんがつくったおやさいさんのぷれいすなのぜ…。」 「やっとわかってくれたか。ほら、これをくえ。」 大量のクズ野菜をいれてやる。 「ゆぅぅ!あ、ありがとうなのぜ…。」 長期(っていっても1週間ちょっとだが)にわたる絶食はだいぶこたえた ようだ。性格もずいぶん素直になっている。 次の日、体力の回復したまりさを囲いから出してやる。 「それじゃ、ちゃんと群のみんなに伝えるんだぞ!」 「ゆっ!わかったんだぜ!まかせるのぜ!」 一応、恩を売るつもりで少しの野菜を持たせてある。性格もなおった ようだし、畑と野菜の伝道師として働いてくれることだろう。 まりさは元気に森へと飛び跳ねていった。 「ねえ、おにいさん…?」 畑仕事をしていたぱちゅりーが心配そうにこっちへきた。 「なんだ、ぱちゅりー?」 「このまえ、れいむにうそをおしえておいかえしたわよね?」 「ああ、それが?」 「むれのみんな、れいむがだましたことでぎしんあんきになって、 まりさのはなしをきかないんじゃ…?」 ………、アレ? 別のぱちゅりーがつづける。 「それに、あのむれはどのみちえっとうにしっぱいするから、おやさいさん のことをつたえてもむだだとおもうわ…。」 …えーと、失敗デスカ…? つーかゆっくりに教えられるって…。 畑のゆー害防止は、まだまだ始まったばかりのようだ。 5.ぱちゅりー達の身の振り方 晩秋にさしかかり、ほとんどの野菜は収穫が終わった。今年は豊作だ。 ぱちゅりー達が手伝ってくれたおかげで、結構楽できたしな。 やはり害虫対策は効果が高い。それと、低い位置から見るから葉の病気なんかも ちゃんと見つけてくれるのがありがたい。 「おーし、これでだいたい農作業はおわりだ。よくやってくれたな、ぱちゅりー。」 「「「むきゅっ!おにいさんのしどうのおかげよっ!」」」 なかなか良い返事だ。 「それじゃ野菜をわけてやるよ。冬篭り、がんばれよ。」 といって野菜を取り分けようとすると、なぜかぱちゅりー達は曇った顔。 もじもじと何かを言いたそうにしている。 「うん?なんだよ?」 「じ、じつは、おにいさんにおねがいがあるの!」 せーのっ、とタイミングを合わせると、 「「「ぱちぇたちを『えいきゅうしゅうしょく』させて!」」」 ぶほっ!! な、ななな何だとぉー!? 「ぱちぇたち、はたらくことのたのしさをしったの。」 「おにいさんのところでおやさいさんのおせわをして、とってもたのしくてゆっくり できたの。」 「だから、これからもおやさいさんをそだてるの、てつだいたいの!」 ああ、意味はわからず言ったのね、『永久就職』。 うおー、マジでビックリしたわー。 ま、まあよく考えてみれば今から戻っても群の仲間に野菜を奪われるとか ロクなことにならないだろうし、俺から見れば良い申し出だよな。 農作業の手間がはぶけるし、こいつらはちゃんと働く。 エサ代もそんなにかからないし。 「…よし、じゃあ来年も働いてもらうか。」 「むきゅーっ!うれしいわ!」 「これできちょうなまどうしょがよみほうだいよ!」 「おにいさん、これからもまどうしょをはりきってかりてきてね!」 …結局それが目的ですか…。 3匹をつれて家に帰る。これから冬の間、ぱちゅりー達は本を読んですごすという。 まあそれならそれでかまわない。簡単な漢字を教え込んで、農業関係の 本をじっくり読んでもらうさ。 冬の間、ほぼ毎日のように図書館に通わされるとは、そのときは考えも しなかったのだが。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道
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作者:扇 タイトル:蛇神と少女の幻想曲~ “どうしても、あなたに伝えたいことがあります。放課後、屋上まで一人で来てください。待っています” 生まれて初めての経験に修慈は心臓の高鳴りを押さえ切れなかった。 靴箱を開けてみると中に置かれていたのは簡素な茶封筒。中身は一枚の便箋であり、綺麗な字で綴られた内容を読む限り俗に言う恋文ではなかろうか。 「うっわ、黒澄って・・・いずもの友達だったはず。あの馬鹿たれと違って好みだし・・・来たよ!俺にも春が来たよ!」 絶対に悪戯ではないと言い切れないが、曖昧な記憶ながらもこんな事に加担するタイプではなかったはず。 仮に何かの罠だとしても、千載一遇のチャンスを見過ごしては男が廃るというものだ。 むしろ騙されてもそれはそれで美味しい。話のネタが一つストックされるのも悪くない。 「告白の後は当然一緒に帰ってデートっ!彼女の居る生活って素晴らしいぜ!」 盛大な勘違いをしてしまった事に気がつかない少年は、宝石のように煌く未来を夢見てガッツポーズを決めるのだった。 <蛇神と少女の幻想曲~第五話~ 説得は笑顔のグーで> -放課後、屋上- 「あー、ごほん、久しぶりだな、黒澄さん。待たせたか?」 「いえ、私も今来たところですから」 「と、ところで話とやらだけど・・・正直、嬉しさ半分、困惑半分って感じ。なんせこんな経験初めてでさ、先輩なのにどっしり構えられそうに無い」 「あ、そうなんですか。てっきり経験豊富だと思ったのでびっくりです」 「け、経験豊富?異性と向き合うことすら少ない俺をどれだけ過大評価!?」 「うーん・・・ちゃんと手紙を読んでくれましたか?」 何処か会話が噛み合っていない。そう考えた修慈は改めて眼前の少女を凝視した。 服装は場所が場所だけに制服。後ろ手に鞄を持ち、頬をやや朱に染めて真剣な目でこちらを見ている。 周囲にも特別おかしい点も見受けられず、誰かが潜んでいる気配も無い。 これでドッキリの線は消えた。おそらく、微妙に反応が変なのは緊張しているからなのだろう。 ここは一つ年上として余裕を見せ、既にMAX予想の好感度をさらに上げてやろうではないか。 「恋心を振り絞った簡潔な文章、何度も読んださ。勿論OK、君の想いは確かに受け取ったっ!」 「こ、恋心?確かにわくわく感はありますけど・・・」 いよいよもって話が理解できない、そんな様子の硯梨は首をかしげて言葉を切る。 そして僅かな間を空けて頷きを一つ。 「先輩、私の申し出を受けてくれるのでしたら人目のつかない所に行きませんか?OKを貰えると信じていましたので、場所の確保は万全です」 いきなりそう来るか。色々と踏むべきステップを飛び越えて、いつかは辿り着きたいゴールがスタートラインとは冗談がきつい。 なまじ身持ちが硬そうに思っていただけに、修慈の頭はこの時点で壊れかけていた。 「まじかっ!?」 「はい、自転車で十分にいける範囲です。昨日のうちに邪魔が入らないよう十重二十重の結界敷設を友人にお願いしてありますから、思う存分楽しめると思いますよ」 「へ、へへっ、とんだサプライズ・・・・今すぐ行こうぜ!」 「はーい」 途中から危険な単語が交じり合っていることに舞い上がった男は気がつかない。 硯莉の目が恋する其れではなく、遠足を前にした子供の眼差しだと言うことすらも。 -街外れ、工場跡地- 「・・・あれ?楽しいことをするにしては場所が悪いような。どちらかっつーと、不良が抗争やらタイマンやらで使う雰囲気じゃね?」 「勿論です。ここなら気兼ねせずに撃てますし・・・あ、でも遮蔽物を利用すれば近接型の先輩の方が有利といえば有利!私って不利な条件であればあるほど燃えます。加減は無用ですよ?」 見たことも無い形状の高そうな杖を取り出し組み立て、見覚えのあるカートリッジを次々に手込めするその姿。 向けられた杖の先端には闘志を乗せ、目に宿るは純粋なる好奇心。 紛れも無く魔を扱う者の姿だ。罷り間違っても恋する乙女ではない。 「なにぃ!?何ソレ!俺のスィートライフは?大事な話ってそれかよ!?」 「大正解♪」 「つーか、何で俺!?」 「私を調べようとしてましたよね。迂闊でした・・・ちょっとお灸を据えただけで問題視されるなんて予想外です」 「・・・・はっ、ひょっとしてアレを引き起こしたのは君かっ!いきなり口封じに来るとは恐れ入るぜ。でも、それだけでこんな回りくどい真似をしたんじゃないだろ?」 「ご明察。でも、本当の理由・・・聞きたいですか?」 「ガラスのマイハートを砕いたからには当然だよ!返せっ!俺の純情を!」 「勝手に誤解したのは先輩じゃないですか!」 「あんな文章を受け取ったら、男なら九分九厘同じ反応するわっ!」 「・・・そうなのかな?」 『ライブラリー検索終了、敵性対象の発言は妥当と判断します。悪いのはマスターであり、この色情魔の言い分にも一理あるでしょう』 「今の言い方って割と慰めになってなくね!?むしろ傷口に塩を塗りこむ所業じゃね!?つーか、喋ってるのって杖かよ!」 『黙れ非モテ族。己の身分もわきまえず、マスターをゲットしようなど百年早いと判断します。マスターのパートナはこの世に私だけで充分。失せろ害虫、それが嫌ならこれよりマスターにフルボッコされてしまえ』 「口悪っ!しかもさりげに独占欲強いな!」 いよいよわけが判らない。 斬新な切り口の果たし状に呼び出されてみれば、何故だか罵倒され続ける謎の苦行。 そろそろ泣きたいと言うか帰りたい。 悪いのは自分なのかと自問自答するが、どう捻っても冤罪だ。 「先輩もぼちぼちやる気を出してくれたようですし・・・始めますか」 『敷設結界へのアクセス正常。複合概念展開』 つくづく人の話を聞かないコンビはツッコミに邁進する修二をよそに動き出す。 過剰としか形容できない認識阻害や人払いの概念を活性化させると、次の瞬間には弾装に押し込んだばかりの魔力カートリッジをロード。 未だ心構えの済んでいない獲物が反応するよりも早く、開始合図と一の矢を放っていた。 「まてまてまてーっ!軽い漫才で油断させつつ不意打ちって汚くないかっ!?」 「先輩がどう受け止めようと、私はここに来た時点でゴングが鳴っていたと思います」 『砂糖に蜂蜜をかけた以上に甘ちゃんと判断します。常在戦場、これぞ常識』 「間違っちゃいないが・・・確かに間違っちゃいないが・・・・」 「なら、そろそろ本気を出してくださいね。じゃないと――――――――」 「と?」 「死にます」 その一言が本当のスタートだった。 瞬時に生み出されるは雷の力を内包した輝く球体。硯の前面に幾つも発生したそれは、初動の時点で最大加速を与えられた必殺の一手に他ならない。 初手は挨拶代わりだったのか狙いも甘く、その場の足裁きだけで難なくやり過ごした修二もこれには戦慄するより他になかった。 「俺は女だからって加減できないからな!」 少女の発した何気ない言葉は対魔師としての己を呼び覚ますに値する明確な敵意だ。 頭のスイッチを切り替え、目の前の相手を完全なる敵だと認識するもやや遅い。 この時点で回避行動に移る為の貴重な数瞬は失われている。 ならば、と選んだ手段は体に染み付いた練磨の成果。習慣で持ち歩いていた竹刀袋から愛刀を引き抜き、鞘から抜く間も惜しいと雷弾を切り払う。 『反応速度より敵性対象の戦闘力を計測。想定範疇のスペックと判断します』 「じゃあ予定通り、距離を制するところから始めようか」 体の運動係数を引き上げ、修二が刀を振り終えるよりも速く後ろへと跳躍。 しかし万が一の反撃に備えて目だけは決して逸らさない。代償として背後の視認を怠る失態を犯しているに見えるが、実際はそうではなかった。 『全周探査式“アルゴスの百目”常駐。視覚情報と同調開始』 一見誘い込んだように見えても、実は硯梨とてこの場所がどうなっているか判らない。 温いといわれればそれまでだが、目的はあくまでも腕試し。条件が五分での上で勝ちを拾わねば意味が無いのだから仕方が無いだろう。 しかし無策で挑みかかるほど甘くも無い。事前調査の代わりに知覚強化の術式を用意してあるのだ。 杖に備わった機械式のセンサーと魔術による視界補正を併せ、自分を中心とした180度の視界を確保。 常に全てを認識していては消耗が激しい為、必要に応じた視覚情報の拡張術式を少女は起動する。 「緊急事以外は百目を維持。リソースの配分は月に一任するからね」 『了解』 まるで背中に目がついているかのように錆びたドラム缶の上に危うげなく降り立つと、足を止めた獲物に追撃を開始。 心構えの差から得たアドバンテージを最大限に生かすべく連続で術式を構築する。 先ず発現するのは鏑谷代わりに放った光弾の本気版だ。 処理を極力軽くして連射性を高めた単純な術式だが、初期に付与していた誘導や遠隔操作の追加概念を切り捨てた結果、弾速と威力へと十分なリソースを割り当てる事に成功している。 やはり通常弾はばら撒いてこそ華。この辺りの考え方はSTG好きの血だろうか。 「ガチだ!混じり気無しのガチだよこの子!」 一度に放たれる弾数が両の指で数え切れる範疇とはいえ、連続した射撃を正面突破することは難しいというか無理だった。 過去に相対した異形には石礫を投じる河童や粘液の塊を吐き出してくる蛙もいることにはいたが、無邪気な悪魔はそれらを遥かに凌駕する。 初手を鞘付で受けたのは偶然の産物だが、実に運が良かった。 少女の矢は雷撃。それも半ばプラズマ弾に近い”魔法”よりも”現実の物理法則”的な意味で危険度の高い攻撃である。 故に対魔の力が付与されていようと主力武器の鋼は通電してしまう。 つまり修慈に残された防御手段は回避の一択しかない訳で、実に不利な相手なのだ。 「遮蔽物が無けりゃヤバかっ・・・・おおう!?」 転がり込むように逃げた先、工場のひさしの下で呼気を整えようとした瞬間だった。 産毛が逆立つような悪寒が走り、止まっては危険だと第六感が訴えていた。 こうなれば剣士は迷わない。荒い息のまま遮蔽物の多い右側へとサイドステップを踏む。 するとコンクリ作りの壁もなんのその、今の今までいた空間を閃光が貫いていた。 「せんぱーい、まさか終わってませんよねー?」 聞こえてくるのは殺意の欠片も感じられないお気楽な声だ。 反射的に“遊び感覚だなぁ、おい!”とツッコミそうになるが、声を出しては位置情報を教えてやるようなもの。ぐっと堪え、気配を潜めて移動を開始する。 「これだから素人は・・・一発殴ってお仕置きしちゃる!」 殺す発言をされようと、自分にとって人間は敵ではない。人を護るのが退魔師の本懐。それが顔見知りであれば尚更だ。 苦労はするだろうが一つ峰打ちで片づけ、お灸を据えようと決意する修慈だった。 しかし、この考えが甘い。甘すぎた。 『熱源センサー、対象を補足出来ずにロスト。二度も予測から逃れるとは生意気な。敷地内全てへの焦土作戦に切り替えては如何かと判断します』 「課題の一つに消費魔力の上限設定を設けてるんだよ?出来なくもないけど、残段数は五発。討ち漏らしちゃったら目も当てられないからダメ」 『了解、このまま優位を維持しつつ砲撃戦を続行しましょう。しかし誤りが一つ』 「?」 『常駐術式の維持コストを忘れています。つまり、残り四発でしょう』 神無が不足分を補う為に中身を空にした薬莢が足場に落下し、小さな音を立てる。 楽しくて、本当に楽しくて、ついつい計算に甘さが混じってしまったようだ。 『ちなみにマスター、現在登録されている術式は全て加減が出来ません。敵の回避能力により命中ゼロですが、本当に当ててしまっても?』 「気は進まないけど、他流試合で命を落とすなんて日常茶飯事だってお母さんが言ってた。それに、いずもの幼馴染みの命も故意に奪うつもりはないんだよ?でもね、加減をして私が逆の運命を辿っちゃったら本末転倒。只でさえこっちは新米とロールアウト仕立ての不利コンビだって忘れてない?」 『・・・素敵に無敵な英才教育を受けているようで何よりです。マスターを前科持ちにしないよう、私が威力&概念定義を制御しましょう』 「どうして口調が緊迫した感じに!?」 『お気にせずに』 「ひょっとして武者震い?」 『お気にせずに』 「心なしか棒読み?」 『お気にせずに。それよりも移動物体補足。後退を続けるのも手ですが、距離を詰められる前に一斉射が無難と判断します』 「今、絶対話を逸らしたよね!?露骨に探査式を放ってまで話を脇に除けたよね!?」 『対象の加速を感知。些細なことは忘れて現実を見るべきと判断します』 「あーもう・・・手早く先輩を蹴散らして問いつめるから忘れちゃ駄目だよ!」 獲物を目視せず、汎用砲術“天弓”を起動。これは大まかな位置を補足しているからこそ出来る芸当だ。 当たれば幸い、当たらずとも足を止める戦術は古来より受け継がれた定石。距離を削られることがそのまま窮地に直結する硯梨が選んで当然か。 稲光が一度空へと舞い上がり、直後に雨となって大地へと降り注ぐ。 乱数を織り込んだ天弓は抵抗もさせぬまま修慈を貫いたはずだった。 殺してはいかんだろと、月の独断で殺る気満々の主に無断で殺傷力を弱めたにしても、生身で雷弾を受ければ只では済むまい。 こうも楽勝では対人戦闘の訓練には成らなかった、と蓄えた余剰魔力を排出しようとした時である。 『二発命中を確認。お疲れ様ですマス――――』 しかし、定石は有効であるが故に周知されていた。 素人の硯梨が知ることを、仮にも実戦経験を持つ修慈が気づかない訳がないと言うことを失念していた神無である。 センサーが捕らえたのは逆手に刀を握り、ダメージなど無いとばかりに疾駆する剣士の姿。 神無のAIは現実を理解出来ないと混乱し、どこに間違いがあったのかと内部チェックを開始する。だが、全てのシュミレーション結果が叩き出すのは行動不能の勝利のみ。 あり得ない、敵の能力値を見誤ったとでも?この世界最高のスペックを誇る己が? 『マスター、至急後退を!今なら辛うじて優位なポジションを維持可能!』 「あ、やっぱり小技で倒しきれるほど甘くはないんだね」 『落ち着いていないで運動系数の改変を!連続使用による負荷はこの際無視して欲しいと判断します!』 「いくら相棒でも、さすがにこの短期間じゃ私と言う人となりを理解できないと」 『式術の呼び出しを確認。これは・・・・まさか!?』 「下がるより、全霊を込めた一発で向かい合うっ!」 『マスターの性格を考慮し忘れました!腹を括り、展開シークエンス代行が最前手と判断。収束・増幅魔法陣展開まで5秒!』 「再構築に一番難儀した魔法・・・無駄な手間暇じゃなかったはず!」 『問題点のオールクリアを確認。発動まで残り8秒を切りました。カウント開始します』 「当たれば勝ち、外れたら負け。お祭りの射的でスナイパーと呼ばれた私は外さないよっ!」 藪に蛇を見つけて捕まえに行くのが硯梨なら、石橋を叩いて渡るのが神無だ。 常に最悪の事態に備え、工場と廃ビルの間に布陣させたのはサポート役の仕事。既に一度敵戦力を見誤っているので断言は出来ないが、有効射程と火力はこちらが上なのは確かだ。 少なくとも硯梨が仕掛けたような壁抜きを修慈が敢行できる可能性は皆無だろう。 『こちらの砲撃特性は限りなく異端。予測できるものならしてみろと判断します』 犯したミスはけして軽くはないが、まだ取り戻すことは可能だ。何せ今は失態を恥じるより、最高のサポートを見せるべく集中する必要がある。 が、ここで素直に従わないのが意志持つ杖の真骨頂だ。 硯梨の手により展開された魔法陣が大気中の微弱な電子を掻き集める様を俯瞰しつつ、保険の仕込みにかかっていた。 「今の私が持ちうる最強の火力、これも耐えるなら負けを認めますよ先輩!」 一枚一枚が別の効力を備えた光る円陣が次々と生まれ、発動までのカウントダウンは最早ゼロ。防御も、回避も、一切合切を捨て去った捨て身に近い雷光が生まれ出でようとしていた。 すると応と叫ばれる同意の意。修慈とて勝利条件が判りやすくなる事にメリットはあれど、デメリットは存在しない。 色々とおかしな娘だが、自分で宣言したからには素直に敗北を受け入れるはず。幼馴染みから聞いた話と、己の知る情報を重ね合わせても妙な悪あがきはしないと断言しても良い。 ならば、互いに取るべき行動はたった一つ。 「耐えるだけじゃねぇよ、喉元に刃を押し当ててやるさ!」 景気よく啖呵を切った修慈だが、内心は冷や汗だらだらだ。 なにせ戦術が稚拙な点を除けば硯梨がスペックを全て上回っている。中でも恐ろしいのは火力。まともに貰えばどうなるのやら、考えたくもない。 今のところは唯一の取り柄である小細工で騙し斬れているが、万が一見破られるとその時点で詰みが見えてしまう。 嬉しい誤算は魔女の射撃が正確すぎる事だ。だからこそ総合的な能力では中の下でしかない修慈でも硯梨の雷弾を防ぎきれているのだから。 「怖いぜ・・・いや、マジ・・・・」 進む先の正面は目映い光が収束していく魔女の縄張り。大気が帯電し、一歩近づく毎に産毛が逆立つ恐怖はなかなか味わえるものではない。 だが止まるつもりはない。殺さずに止める、これを成すには今しかないのだから。 そしてそれは硯梨も同じ。 この攻撃でカートリッジは空。腰にリロード用のマガジンは納めているが、これに手を付けてしまうとルール違反だ。おそらく何処かで様子を眺めている月に笑われてしまう。 故に両者の思惑は合致する。 短期決戦、一発勝負。決着の瞬間だ。 『殲滅砲術“雷神槍”起動』 「死なないことを祈ってます、先輩っ!」 未完成でも鬼を穿ち川の水を蒸発させた雷神槍。術としての欠陥を克服し、完成度を増した光の槍がたった一人の人間めがけて放たれる。 最早、神無も加減の二文字は捨て去った。天弓が効果を現さなかったのは威力不足に違いない。 おそらく強固な障壁でも展開しているのだろうが、今度ばかりは例え結界であろうとも打ち抜いてみせる。 死ぬなら死んでしまえ。掠っただけでも致命傷、直撃ならば全身蒸発も免れない鬼札を切ってやる。 そんな危険思想を抱いた神無だったが、またしても予測は裏切られることになる。 直径約2Mの烈光が避わす暇も無く修慈を薙いだ。これは間違いない。各種センサーの観測と、主人の表情が和らいだことからも断言できる。 『そんな馬鹿な!?当たり判定が無いとでも!?』 「手応えがない!」 ここで神無の中で一つの仮説が浮かび上がる。 『マスター、周囲を薙ぎ払ってください!』 「考えることは同じだね。きっとあの先輩はフェイク!本物は近くにいるっ!」 一般的な砲術は威力が高い代わりに、発動中は射線軸を僅かにずらすのが関の山だ。しかし、神無を握る硯梨の手はいとも簡単に常識を覆す。 「ワインダーモード!」 『維持可能時間は8秒。お急ぎを』 細腕に力を込め、手首の返しで光の本流をいとも簡単に制御。 それはもう打ち貫く射撃ではない。硯梨の身長を超える円筒上の刃持つ光の剣である。 ワインダー、それは硯梨の愛する往年の名作で常識とも言えるテクニックだった。 時機を動かす事で“発射中のレーザーごと移動する”定番の戦術なのだが、二次元を飛び出し三次元の世界で自在に操ることが出来ればどうなるか? 答えは実に簡単だ。元より“高出力の砲撃を振り回す”のだから、破壊の嵐が吹き荒れてしまう事は容易に想像できるだろう。 「待てぇぇっ!幾らなんでも被害を考えすぎだろ!こんな真似を続ければ逮捕だぞ逮捕!」 「誰も近づかない結界があるから大丈夫!」 「そう言う問題じゃねぇよ!」 大気をプラズマ化させながら工場を廃墟に変える硯梨の大雑把な滅多切りは、しかし修慈の軽口を止めることが出来ない。 九分九厘間違いなく目に映る剣士の姿は虚像、如何なる方法を用いてもダメージは通らないと主従は理解した。 本体の位置を掴めていない新米魔術師に出来るのは、範囲攻撃での炙り出ししか手が残されていないのだが―――― 『残り二秒。せめて粉塵が落ち着けばセンサー類も回復すると判断しますが・・・』 「ちょっとだけピンチ・・・かな?」 『警告、残存魔力が規定値を下回りました。機能低下発生。一刻も早くカートリッジ補給を。このままでは座して敗北を待つだけと判断します!』 「そ、そうは言っても悠長に補充をさせてくれ――――」 己を縛るルールを破るにしても、カートリッジを込める余裕がない。 雷神槍が効果を発揮している今だけが何をするにせよ最後のチャンスだ。長期戦を見越して隙を見せてでも魔力補充を行うか、それとも二秒という僅かな残り時間を活かすべきか。 これまで即決即断だった少女は、初めての躊躇をしてしまう。 これが知能レベルの低い異形相手ならば何も問題にはならなかっただろう。 が、今回の相手は違った。 「やっと隙を見せたな。だが、峰打ちだから安心しな」 突如発生する気配。どんな手段を使ったのか常に監視を怠らなかった神無の探査をくぐり抜け、近場に潜伏していたらしい修慈が一足他に非我の距離をゼロへと縮めてくる。 まさに教科書通りの完全な不意打ちだ。これには高速詠唱を武器とする硯梨でも間に合わない。 『最悪のシナリオです。ですが、万が一の保険を準備してこそ一流の魔導具と判断します』 「負け惜しみは止めろ、100%終わりだっつーの!」 『三下風情が吠えるな。保留魔力解放、詠唱済み圧縮術式展開』 絶対の自信を持った刃の一降りは虚しく空を切る。 と、同時に修慈を威圧するのは勝負を諦めない意志に満ち溢れた少女の目だった。 「運動系数改変・・・常駐を切っていたのに、この事態を予測して準備してくれたんだ」 『剣士と相まみえるから以上、近接戦の可能性を考慮して当然と判断します。マスター、天弓一発分の魔力も用意していますので逆王手を――――』 まさかの状況に刀使いの体が崩れている。 まだ普通に斬りかかっていれば違っただろうに、峰を返すなどという不慣れな真似をするから自滅するのだ。 些細でも体が記憶しない要素が混ざれば重心はぶれる。それを知らない相手でも無かろうに。 対して軍師たるサポート役に甘い考えは既に無い。主人に求めるのは必殺の一撃。 今度こそゲームセット。どんな手品を使われたのか未だに理解できないが、やっと終わりだと胸をなで下ろす神無だった。 しかし杖は主人の行動予測に関しての目論見が甘かったと後悔する事になる。 『マ、マスター!?私たちはガンナーですよ!?』 「せんぱぁぁぁい、これでトドメですよっ!」 用意したシナリオを無視した何の捻りもない打ち下ろし。 頑丈と聞いている神無を大きく振りかぶり、硯梨は鈍器による殴打を試みていた。 狙うは体の中心。最も避けにくいベストチョイスだ。 しかし―――― 「・・・・お、隙だらけ。ご馳走様!」 修慈は体を捻ることにより鋼の杖を体に触れさせることなく通過させ、前につんのめった硯梨に親指を立てる。 それだけ余裕とのアピールなのだろうが、される側としては何とも苛々させられる。 特に苦心したお膳立てをひっくり返された神無は特に顕著で、創造主より機が熟していないと封印された機能を無理矢理にでも起動させようかと真剣に悩むほどに。 だが、そこは自我を持とうとも道具の本質を忘れない賢い子である。 けして我を忘れず、逆に良い機会と自己完結。後学の為、駄目な使い手には高い授業料を支払って貰おうと考えた。 『・・・アルゴリズムで解けない物があると理解できただけ収穫と判断します。耐物障壁及び、全常駐術式の停止プロセスを開始』 『・・・神無?』 『マスター、私は思いました』 『何を?』 『戦いとは机上で行う物にあらず。やはり五体で感じなければ意味がないと』 『うん、そうだね。でも今は戦いの最中だよ。かなり窮地だけどまだ終わって――――』 『終わりました。機械が言う言葉ではありませんが、現時点で敗北が確定しています。九分九厘ではなく、十分、100%詰みです。乱数発生余地のない決定事項と判断します』 『そ、そうなんだ。でもまだ防御に残魔力を注ぎ込めば一撃くらいなら――――』 『魔力は既に些細な術式すら展開不能な残容量。僅かな欠片も天弓用に加工してしまった為、今更他の式に転用できるわけが無いのですが何か文句でもマイマスター?』 『ご、ごめん。でも決着は手応えが無いと――――』 『その駄目な考えを払拭して頂きます。予測では昏倒、もしくは呼吸障害が発生する程度に加減されたダメージです。人はこのような場合、昔からこう言うそうですよ?』 『?』 『馬鹿は死ななきゃ直らない。二度と妙な真似を起こさないよう直撃を食らう必要があると判断します。根性です、マイロード』 『か、神無が・・・私を・・見捨てた!?』 『グッドラック』 この間、僅か二秒。念話による最後通告は、いよいよもって万策が尽きた駄目押しだった。 まさかの事態に心をぐっさり刺され、さらに追撃の刃が無防備な脇腹へと吸い込まれていく。 骨が軋み、肉が押し潰される感覚。いくら加減をしようと、防御の術も身を守る防具も持たない少女の肉体を容易に破壊するのが鉄の塊たる刀だ。 『試算を破壊力が上回りました。私のシュミレーションもまだまだ甘いと判断します』 運動エネルギーを元にして、刀の質量から攻撃力読んだ神無。 しかし技術を加味しなっかたと言うよりは“出来なかった”が故に目算が甘い。 とは言っても大幅に上回る訳でもなく、驚くほどでも無いレベルなのもまた事実だ。 負けを認めるなど許し難いが、敗北から学ぶ事もまた必要だろう。 次がある相手ならば再び相まみえた時に借りを返せばいい。この相手はそういった分類の敵なのだから。 『マスターの学友の知人、投降してやります。武器を引――――』 神無があくまでも上から目線でそう告げようとした瞬間だった。 崩れ落ちるかに思えた硯梨が倒れない。四肢を震わせ、呼吸も荒く、それでも目が生きている。 「っておおい!まだやる気じゃねぇか!」 修慈には元より不本意な一戦だ。 開始時に宣言したとおり、少女を痛めつければつけるほど罪悪感は高まるばかり。 大人しく話を聞くのならば、これ以上高望みをするつもりはなかった。 が、それが甘さとも言える。 神無の言葉に力を抜き硯梨を気遣おうとすら考えた少年は、弛緩させた体に再び活を入れようとするも遅い。 倒れ込むように低い姿勢から伸びる魔女の手、その照準のような動きに対応が間に合わない。 「騙し討ちかよっ!?」 『そんな汚い真似をするつもりはありません。大丈夫、いかにマスターでも魔力がスッカラカンでは何も出来るはずがありません』 そうは言うものの、この不安は何だろう。 主人の体をモニタリングする神無には打つ手がない、打ちようがないと断言するに足りる根拠がある。 せいぜいが強化されていない素の筋力による打撃が関の山、そんなことをしても悪あがきにすら届かない無様な負け惜しみだろうに。 『マスター、誇りを持った行動を。何をするか解りませんが、英断が必要と判断します』 返事はなく、代わりに返ってくるのは怪物的な速度で構築されていく術式の片鱗だ。 基本的な設計は音波の炸裂のようだが、ベースは同じでも何かが違う。 予想される完成型から察するに、構文の長さは三倍以上。最早何が起きるか予測できない代物である。 しかし神無は逆に考えてしまう。 術式を組み上げるのは問題ないだろう。極限状態だからなのか、通常時の二倍以上の処理を発揮するのもまた自由。だが、如何せん魔力が足りない。 必要となるであろう魔力は安く見積もってカートリッジ二発半。いくら強力な術式を完成させようと、燃料がなければガラクタも同然だ。 車がガソリンを必要とするように術者には魔力が必要不可欠。無い物はない、この点に絞れば太鼓判を押せる神無が首を傾げてしまうのも必然だ。 「術式事前チェック・・キャンセル、全エラーを無・・視。最後の・・本当に最後の抵抗・・・勝負ですよ・・・先輩」 空気圧縮術“音波の炸裂”、電子制御術“雷神槍”一部並列複合起動。 音波の炸裂の応用によりほんの少し無理をすれば掴めそうな修慈と自分の間、その僅かな隙間の気体をゼロに概念定義して擬似的な真空を作り出す。 これで準備は整った。いかに効率よく限られた力を扱うか、只それだけを追い求めて行き着いた一つの答えを少女は発現させる。 再現する現象は真空放電。空気という天然の絶縁体に阻まれ、本来の力を発揮できない電気の力を100%に近い形で扱えるようにする殺しの技だ。 「一点・・・突破、神罰再現術式・・・“雷王振”」 タンクが空の硯梨。しかし魔術は形を成していく。 一体どこから不足分を補っているのか一頻り悩む神無だが、ここに至ってついに気がついた。 答えは簡単だった。理屈は簡単だが、代わりにデタラメな力を必要とする手段が一つだけ残されていたではないか。 魔力はある。己の血液が他のいかなる水分とも違う自分自身であるように、一度その身で取り込み加工した魔力もまた自らの一部だ。 例え術式へと二次加工を行おうとも、微細な残骸になろうとも、本質が変化するわけではない。 発動地点が遠方の天弓は無理だろう。しかし、この場所から放ち続けていた直射型の雷神槍は魔力の残滓を撒き散らしながら発動していたのだ。 ならば、魔力を粒子単位で制御できる主ならば漂う欠片を再利用する事も可能に違いない。 『つくづく規格外のマスターですね。でも、私にも意地があります』 神無には主人の為を思って作り上げた枷がある。 明確な殺意を持って相対する全存在、異物混じりの人外、そしてメインとなるであろう異形以外の命を可能な限り守るという使命が。 これより発現する力は回避不能、文字通りの光速術。 擬似的に生み出していた“都合の良い雷撃”ではない、古来より神の力の代名詞として伝わる“神殺し”の属性を内包した裁きの力だ。 一度は加減を捨て去った神無でも、根本ではどうにか生き残るとの楽観があった。が、幾ら難でもこれは確殺確定の予測しか立てられそうにない。 道徳を持たない月に生み出され間違った教育で育った硯梨をマスターと定められた神無は、反面教師と言うべきか根っこの部分が常識人である。 仮にこの少年を殺しても、死体は蛇が一呑みで証拠抹消&お褒めの言葉のコンボが待っているに違いない。 だが、そんな未来は認めてなるものか。さして悪意の無い少年の命を守り、生涯を共に過ごす未来ある少女の手を汚させない使命があるのだ。 そこで神無は迷わず行動する。それが例え主命に背く行為であっても。 術式詠唱補佐起動。詠唱補助を逆利用した妨害を開始。 発動経路は形成済みなので手を加えることは不可能。ならば、とさすがに手間取っている高圧電流の生成プロセスに介入を始めた。 純粋な電気に“無害”、“拡散”概念を組み込み人体への影響を可能な限り抑え、同時に周囲に漂う魔力回収にも一手間をかけることにする。 『吸引魔力の強制排出プロセス追加。そこのへたれ、私が邪魔をしている今がチャンスです。死にたくなければ脳を揺らして意識を刈り取りなさい』 「え、俺につくのかよ!忠義心とやらはいずこへ!?」 『諫言も忠義の形。間違った行為に対してイエスマンは主の為にならないと判断します』 「そ、そうか。じゃあ遠慮無く・・・・って、なんかバチバチ危険な光がーっ!?」 『破壊力の八割を殺してあるので安心しやがりなさい下っ端。互いに一発ずつ殴り合う西部劇的締めくくりと思って頑張れと判断します』 「他人事だと思って適当だなチクショウッ!」 目には見えない道を光が走り抜ける。しかしそれは大半の力を奪われた唯の輝きだ。 直撃を受けるが市販のスタンガン程度の痺れ程度しか感じず、戦闘能力に陰りは無い。若干感覚のない腕を何とか制御して、狙い違わず少女の顎を掠めるように刀を走らせた。 『これで貸し一つです。私の中に優先事項Aで保存しておきます』 「ランク付けがよく解らんけど、扱いでかっ!利子が怖っ!」 『利率はトイチが妥当と判断します。実にリーズナブルかと』 「はっはっは、返済までにどれほどの貸しになるのか解んねぇよ!」 『それはそれとして』 「めっちゃ大事な話じゃ!?」 集中のし過ぎで神無と修慈の会話が聞こえていなかった硯梨。当然のように受けた一撃を認識出来ておらず、膝から崩れ落ちるのも一瞬だった。 そしてそんな主人の横でやはり無造作に転がる裏切り者は言う。 『あなたはマスターに下心があると判断します。妙な真似をした場合、警察無線をハッキングして冤罪祭りを開催予定です。さぁ、ご存分に描写できないことを』 「・・・・ちょっと飲み物買ってくるわ。戻る前に起きたらちゃんと話を聞かせろと伝えてくれ。後、お前さんが俺のことをどう思っているのかよーく解った」 『ああ、汚れを落とす為に私用のミネラルウォーターもお忘れ無く。水道水は嫌です』 「・・・・はぁ、さいですか」 何だかんだと無傷の修慈は財布の中身を見つつ、トボトボとその場を後にするのだった。 歩きながら重くのし掛かるのは勝たせて貰ったと言う敗北感。最後の最後まで硯梨の覚悟が修慈の経験を上回った事実がじわじわと響いてくる。 「この差は何だ?俺だって化け物なら結構な数を倒して来た。明らかな経験不足を埋めたものは何処から・・・・?」 修慈は考えもしなかったことだが“殺す覚悟”を持った存在と“倒す”までしか考えていない差がもろに出た結果ともいえる。 例えるなら威嚇しかできない自衛隊と、引き金を簡単に引ける素人。躊躇は死に繋がり、結果としての勝者は鍛錬の差を無視して招くものだ。 しかし、修慈は何も悪くない。 現代社会、それも日本の高校生で硯梨と同じような精神を持つ者は限りなくゼロ。まさしく魔女と言う言葉が相応しい少女が異常なのだから。 「その辺含めて聞いてみるしかねーなぁ」 とりあえず、どんな形であれ戦いは終わった。 今は悩むことを止め、この後に控える尋問タイムをどうにかせねば。 口の立つ杖に何を言われるやら、まだまだ苦労は絶えないとため息を吐く修慈だった。 一覧に戻る
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#blognavi タイトル:戦闘詳報3 <谷口説得戦> 戦死0 ただし今のところ 作成日時:2006/03/05 02 41 URL:http //blog.tendice.jp/200603/article_24.html 登場人物:谷口説得プレイヤー班/谷口竜馬、工藤百華 日時:不明 場所:本部 ダイジェスト:外の激戦をよそに、谷口をどう説得したものかと頭を悩ましていたプレイヤーたちは、彼の部屋のドアをあけて驚いた。/その一時間ほど前、襲撃された工藤を抱いて谷口は本部へと向かっていた。谷口は工藤が男だと知っている。工藤は、明日からは一緒にいろ、お前ぐらいは守らせてくれと告げた谷口に心を惹かれる。話しながら、谷口の言葉の中に石田の影を見て、工藤、ちょっと嫉妬? 谷口は一生懸命目をそらした。 カテゴリ [SS] - trackback- 2006年03月17日 07 25 26 #blognavi
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896 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 08 51 23.84 ID WA0GW+E+0 [1/2] 空気読まずに報告 システム自体の世界観にないオリ敵と戦うって概要のキャンペーン 世界八箇所に突然現れた強大な敵軍勢と、唯一戦える能力を持ったPCが戦うって事にしてたんだ ぶっちゃけロックマンが元の考えにあるんだけどシナリオをどの敵から倒しに行っても良いとしていた 各地方の移動時間は考慮しないが一つシナリオをクリアするごとに敵は支配エリアを拡大しボスは強くなるとして、PCのレベルアップに対応してくる そういう説明をしたら一人のPLがぶすっとしている 理由を聞いたら、一つ救ってもその影で必ず犠牲が出るようにしているのが気に食わない これでは自分達がどこを見捨てて見ごろしにするかの順番を付けてるのと同じ PCに「どこを滅ぼすか」を決めさせているようなもの 全部PCが救える訳じゃなく被害を抑えられないのは間違ってる どうしてこんなクソシナリオにした 名もなきNPCだからって見ごろしにしないといけないキャンペーンなんてまっぴらだ 誰かを犠牲にしなきゃなりたたないキャンペーンなんてやる意味がない こう、とうとうと語られ、さらには参加者をシナリオ開始日までに説得され、この企画はPL数を確保できずに潰えた これは、このスレでもたまにある鬱シナリオ扱いなんだろうか 俺としては暗い雰囲気にするつもりは微塵も無かったんだが説明だとそう感じるんだろうか 判定を誰か頼む 897 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 18 58.93 ID oDHSH8Xs0 [1/2] 敵に支配されたらそこの住民が全滅シナリオだったらやりすぎ言われるかもしれないなぁ。 でもだからといってキャンペそのものを潰しにくるのが正しいやり方とも思えないな。 キャンペならなおさら話し合いで軌道修正できるかもしれんのに。 そもそも支配されて搾取されるぐらいならよくあるシチュエーションだろ。 それすらイヤだってのはもうフィクションを楽しむ資格すらない。 898 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 20 01.38 ID W5ZKRTYL0 [1/2] 困は居なくて報告者とPLの好みが違った感じ 個人的には攻略順を選べるってのが引っ掛かってPL寄りの感想になるかな 899 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 27 54.84 ID WW0GtASQ0 [1/3] まず、ここは困判定スレじゃない 報告者が困かどうかはしらん しかし、文句言ったPLはやりもしないのに勝手にクソだと決めつけた そこまでなら個人の感想だが更に他PLに工作して企画ブレイクするのは困だと思う 但し、以下が一つでも当てはまる場合は除く ・実は本当に鬱シナリオ ・実は順番次第ではバットエンド ・PCに勝たせる気が1ミリもない ・「シナリオを越える解決策があれば採用する」と言いながら実現可能な内容でも難癖付けて叩き潰す気満々 ・「鬱シナリオかどうかは本人の感性の問題であり、GMには責任はない」等の言い訳を用意している 900 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 35 10.41 ID WW0GtASQ0 [2/3] 更に以下もアウト ・一箇所クリアする毎に他箇所の占領シーンを残虐内容ありでねっとりと吟遊する予定 ・後ろの方のクリア後に「なんでもっと早く来てくれなかった!」等のPCを叩くNPCを用意している 901 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 35 30.34 ID YzrM+NPr0 そもそも「強大な敵軍勢」が現れて対抗する必要がでている時点で世界=NPCに被害が出ているんだが さらに言えば支配エリアの拡大だって別に住民皆殺しの必要とかないし 単純に敵兵力が増員されたとか、兵器が完成したとか、町が要塞化したとかいくらでも理由がつく 896が鬱シナリオで嫌われるっていうのなら、世の中の戦闘アリシナリオはことごとく鬱だな それこそスーパーマリオだって鬱シナリオだ 902 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 36 38.81 ID ps8HxKuf0 [1/2] 極端なまでに取捨選択嫌うタイプだろうけどその後の行動見てると こいつ自身は単発やらしたらPCに手出しができないシナリオ開始時点で被害あるとか吟遊だくらいは言ってくれるそうなんだよな 正直面倒臭い生き方というかまさにゲスパー全開な生き方で本人は楽しいんだろうけど とっとと離れるのがいい相手だわな 904 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 40 47.44 ID Lw0n+X7+0 乙。 マスターシーンでNPCがうわーもうだめだーするだけで吟遊鬱シナリオ言い出しそうな御仁だね 905 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 51 05.40 ID Ia8/4jL/O 乙 セッション自体潰しにかかった時点で必要十分に困だそいつ シナリオ普通におもしろそうな展開だと思うけどな ただ、一定数そういった趣向の人はいると思うから、 ・最初のボスだけはPCの地元で確定。撃破後、どこに向かうかはPLにゆだねる ・ボスが後半なればなるほど強くなるのは当然だから、わざわざ理由付けをしない ・世界の大半はすでに敵に押されている くらいにしてれば、無駄なセカイノスクイ病患者を発狂させずに遊べたと思うが、せいぜい微調整の範囲の話で だからといって報告者の手際が悪かったわけでもない 907 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 57 58.76 ID XBW2C3Uw0 [1/2] 乙 どこから見てもスーパーマンで危機一髪を救いにご期待通りに現れる 完全無欠のヒーローになれないと気がすまない奴か 主義主張は勝手だが、他参加者に根回しまでして潰すのはアウトだわ 908 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 09 58 08.90 ID A/HKbG850 合わないと思うなら1人でサッサと抜ければいいものを、なぜ他人を巻き込む。としか思えない。 916 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/01/09(金) 10 30 27.11 ID MLD+dcV30 [1/2] 896乙 やりもしないでキャンペーン潰した時点で困だな、 理由も「支配エリアを拡大」を「NPC虐殺」に勝手にすり替えてる時点で 元々キャンペーンやりたくなかったから理由でっちあげた風に思える。 そもそも、やりたくないシナリオだったならば自分が抜ければいいだけで 他参加者を巻き込んで抜けていい道理はないな。嫌なら見るなって事で。 スレ404
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#blognavi タイトル:戦闘詳報4 谷口説得部隊 戦闘開始前2 作成日時:2006/03/05 11 24 URL:http //blog.tendice.jp/200603/article_30.html 登場人物:谷口竜馬、工藤百華(+工藤ファンクラブ総勢18名) 日時:不明 場所:本部 ダイジェスト:工藤は谷口を、涙を流しながら見送った。無人のエースキラー(戦闘力:通常RBの100倍)×2、ヤガミを追って戦場に出現。本部・病院を通るルートを取り移動開始。戦闘始まる。工藤、隊長自室で谷口の脱ぎ捨てたコートを着て執務室に出ると、ファンクラブと遭遇。10分後、本部でも戦闘が始まった。 カテゴリ [SS] - trackback- 2006年03月17日 07 34 07 #blognavi