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『シ○○ッ○』 現在希望ヶ峰学園は冬休み中 クラスメートのほとんどは実家に帰ったり仕事だったりして現在学園にはいない 僕は実家に帰る前に部屋の掃除をしていた そして終わったころ外の空気を吸いたくなり屋上へと向かった ドアを開けると流れ込む冷たい冬の空気に身を震わせる 「寒くなってきたなぁ」 はぁ、と吐いた息は白くなり空へと消えていく ポケットに手を突っ込み目的のものを取り出す それを箱から出す 「うーん……手袋つけたままだとやっぱり剥がれないか」 仕方なく右手の手袋を外し封を破る 焼け爛れた右手が露わになるが気にせずそのまま箱の中身を取り出し口に咥える 希望ヶ峰学園の校章が描かれた黒い手袋をはめ直した 「……」 咥えたそれの味をかみ締める 久しぶりに見かけたこれを思わず衝動買いしてしまったけどこれは正解だったかな? 「苗木君……!?」 「霧切さん?」 声に気づき僕が振り返ると信じられないものを見たような霧切さん つかつかと歩み寄り僕の咥えていたそれを奪い取る 「霧切さん!?」 「苗木君!あなたがこんな物を吸うなんて……」 「えっ?」 吸う? ……僕は吸ってなんかしないんだけど? 「こんなもの吸ってたら体を悪くするわよ!それ以前に未成年じゃない!!」 「……もしかして霧切さん勘違いしてない?」 霧切さんの発言から僕はある事に気づいた 確かにこれはよくあれに似ている 昔、妹にも勘違いされ一度僕はまったく悪くないのに怒られた記憶があるし…… 「勘違いですって……言い訳は見苦しいわよ」 「いやいや言い訳じゃなくてさ……ああもういいや」 手っ取り早くポケットから残りを取り出し一本取り出す それを文句を言われる前に霧切さんの口に無理やり咥えさせる 「ちょっと苗木くっむぐ!?」 「はい霧切さんも一本あげるよ」 「そういう事じゃ……えっ甘い?」 咥えさせられたそれを手に取りまじまじと霧切さんは見る 繋ぎ目を見つけ外装を器用に剥がす 「……チョコレート?」 「うん、タバコっぽいやつ。たまたま見かけて懐かしくて買っちゃったんだ」 そう。 僕が咥えていたのはタバコに似せた包装紙に包まれたチョコレートだ 誰もがやったであろう冬に買って白い息を吐いてタバコを吸ってるようにするというアレ ちょっとした気分転換になればいいかなぁ、と思ってそれをやりにきたのだが…… 「……」 「……」 霧切さんはチョコを片手に固まっている 気まずいのと霧切さんの機嫌取りのために彼女の持ってるそれを奪う 「霧切さん、ポッキーゲームってあるよね?」 「……」 それを口に咥えると霧切さんと向かい合う 「霧切ふぁん、ここまふぇいえふぁふぁかふよね?」 「……」 何も言わず霧切さんは反対側を咥えてくれた
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東雲 優子 アセット 西城真里亞 鳴上寺 勇 津久田 稲子 紅月 魅亜 月隠 白夜 封獣 無有 巌美 霞 苗木 誠 白澤 取柄
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復興支援と治安維持活動への理解と参加を呼びかけよう! こ、こわくないよ!武器持ってるけど殴ったりたたいたりするもんじゃないから! I=Dも・・!<怖くないキャンペーンを展開します ●企画1:理解と参加を呼びかけるパンフレットの作成 るしにゃん王国にて行われる復興活動 芥辺境藩国にてテラ系外の共和国軍の介入を防ぐ治安維持部隊 彼らの見た目や気迫は確かに怖いと感じるかもしれません。 よその国から、というのがまた拍車をかけてもいるでしょう。 しかし、本質は心だと思います。 作業に当たる人々の心を伝えましょう。 参考資料:EV105作戦会議の模様 (非常に情報量が多いので携帯の方は見づらいかもしれません・・) ■復興支援や治安維持活動への理解と参加を呼びかけるパンフレットの、 文面とイラストを募集いたします。 ■設定国民の皆様へのボランティアの参加も呼びかけてみたいと思います。 ■これらのパンフレットを貴国内で(設定上)普及させていただければ幸いです。 すべてのイラストの募集先 携帯用画像BBS 画像投稿用お絵かきBBS 文章の投稿はこちらの掲示板におねがいします。 ●企画2:森の羽募金 苗木を買ってください、 被災した土地の復興と、被災した人や動物たちを助けに行きます。 これは、各国の設定国民のみなさまへの活動です。 募金で苗木を買い、 ダイガーという避け藩国にいる若草色の避け鳥の羽(衣服にも使用しているそうです) を、代わりにプレゼントします。 いい案がありましたら、この下のコメントにてご助力お願い申し上げます。 名前 コメント
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「苗木、またなんかしたの?」 「…いや…」 心当たりはない。 けれど、また知らないうちに彼女を不快にさせてしまったんだろう。 思えば僕はいつもそうだ。 恩を受けることはあっても、仇で返すばかり。 見た目や言動にも男らしさはなく、優しい言葉一つ欠けたこともない。 怒られても、仕方がないと思う。 むしろ今まで、どうして僕に付き合ってくれていたんだろう。 「すっごい睨んでたし、舌打ちも…あ」 朝日奈さんがまた、廊下の向こうを見る。つられて僕もそっちをみて、 「あ」 忘れていた地獄のことを、すっかり思い出したんだ。 転がっていた。 葉隠君と、桑田君だ。 本当に転がしたかのように、地面に投げ出されている。 体のラインに沿って白線を引けば、そのままサスペンスに出てくる被害者として出演できそうだった。 人災だと、すぐに分かった。 その向こうで、鬼の形相で髪をセットしている大和田君を見つけてしまったんだから。 ぴくり、と、葉隠君の手が動いた。 どうやらまだ意識があったようだ。 「う…」 彼の顔がゆっくりと持ちあがり、そして僕を捉えると、 まるで最後の力を振り絞る様にして、 「に、逃げろぉ…苗木っち…!!」 そう叫んだ。 と同時に、グリン、と大和田君の顔がこちらを向く。 葉隠君の馬鹿… それじゃ僕も共犯だとバラしているようなもの…いや、むしろ道連れを狙ったのか? とにかくそう叫ぶと、葉隠君はいかにも気絶しましたというように、再び地面に倒れ伏した。 が、 「……ぅおふっ!?」 僕の姿を捉えた大和田君がずんずんこちらに向かって歩いてきて、通路のど真ん中にいた葉隠君は、 蟻が象に踏みつぶされるように、何の気なしに大和田君に踏みつぶされて、びくんびくんと地面をのた打ち回った。 「ぐぉお…」 ああ、当事者じゃなければ、最高に面白い絵なんだけどな、と、僕は震えながら思った。 「よぉお…朝日奈に、苗木じゃねえか…」 ピキピキと額に青筋を浮かべて、大和田君が詰め寄ってくる。 「あ、大和田。もう測定終わったの?…何その髪型、ペンギンみたいになってるよ」 笑いもせずに、天然の朝日奈さんが地雷を踏み抜いた。 ビキ、と、嫌な音が響く。 幸いながら、大和田君はどれほど激昂しても、女性に手をあげるような人じゃない。 しかしそれは、裏を返せば、その分の鬱憤が他の男に振りまかれるというわけで。 現在その対象となるだろう男は、目の前にいる一人しかいない。 「おい苗木…」 「はい…」 「お前確か、俺が起きた時に目の前にいたよなぁ…」 「えっ、と…そうだっけ?」 殺気に押されて、口元が緩む。 可笑しいわけじゃなくて、頬がひきつってしまうのだ。 「ってことは俺のこの髪形も気づいてたってことだよなぁ…」 「や、僕は…」 「ちょっと、大和田!」 と、そこで救済。 恐いもの知らずの朝日奈さんが、僕と大和田君の間に割って入る。 「苗木は今、すっごい大変な問題に直面してんの!」 「あ?」 「あんまちょっかい出さないでよね!」 これは、 ナイスフォローだ。 たぶん意図して言ったわけじゃないんだろうけれど。 すかさず僕も、頭の中で言い訳を組み立てる。 「う、うん、ちょっと悩んでて…大和田君の髪型にも、気が付けなかったんだ…ゴメン」 大和田君は品定めするように、僕をぎろりと睨む。 額の青筋は消えている。 どうやら危機は脱せそうだ。 「チッ…なんだ、そうかよ。まあいいわ、どうせ主犯はあいつらだろ」 「う、うん…」 「ったく、兄弟が教えてくれなかったら、あのまま体育館まで突っ込む所だったぜ…」 ガシガシと頭を掻いて、大和田君は洗面台の前に戻っていく。 大和田君は、喧嘩が強い。 それは単に、力が強いとか、反射神経が良いとか、それだけの問題じゃないと思う。 場馴れしていること。度胸があること。逃げないこと。 その全ての理由が、男らしさを体現している。 「あの、大和田君」 ポマードを塗りなおしている彼に、僕は思いきって声をかけた。 「…相談が、あるんだ」 ―――――――――――――――――― 「…はい、終わりです。服を着て、教室に戻ってください」 …体重も身長も順調に伸びているくせに、少しも胸囲が変わらないのはもしかして何かの異常だろうか。 下着を身につけて、私はさっきの舞園さんと同じように、自分の診察表を睨みつける。 82。 小さくはない、けっして小さくはない、と、暗示のように自分に言い聞かせ、ごそごそと部屋の隅で制服に着替えていると、 意外な人物に、声をかけられた。 「おっす」 「…江ノ島さん」 格差。 その単語が、私の頭を埋め尽くす。 服の上からでも分かるけれど、下着姿になるとそれはいっそう際立つ。 彼女の下着姿はとても健康的で、そのくせどこかに官能な色がある。 ふくよかな胸。拳大のたわわに実った果実を思わせ、光を反射させてその張りを訴えてくる。 女性らしさを伝える、丸みを帯びた腰。それでいて無駄な肉はほとんどない。 ウエストはさすがに私の方が細かったけれど、それでも見事な腹筋がくびれを作り上げていた。 腕を組んだ彼女の手に、診察表の結果が見て取れた。 89。 格差。 「…何の用かしら」 私は噛みつくように尋ねた。 何を言われたわけでもないのに、なぜか負けた気がして、悔しくて。 「ん?いや、なんか舞園がね」 さも興味なさそうに、江ノ島さんが返した。 「霧切が悩んでいるみたいだから、相談に乗ってやってくれって」 「舞園さんが…?」 いつの間に… 保健室の中に、彼女を姿を探してみるけれど、見つからない。 「あんたは相談に乗ってやらないのかって聞いたんだけど、『恋敵ですから』って言って教室戻っちゃった」 まったく、あの人は。 どうして私の周りには、こうもお節介焼きが多いのだろうか。 「…で?」 くるくると、ツインテールを弄ぶ。 その仕種もとても女性的で、なんかずるい、と私は思ってしまう。 「あんたは何悩んでんの?」 確かに彼女に戦略を教われば、彼との関係ももう少しわかりやすいものになるだろうか。 「ま、『超高校級のギャル』に相談してくる時点で、なんとなく予想はつくけど」 まあ、おそらくその予想の通りだろう。 せっかく相談に乗ってくれるというのに、今更隠し立てしても意味はないだろう。 「男の子の…」 「ああ、苗木ね」 「…」 思わず身構える。 私はまだ、苗木君の名前を出してはいないのに。 江ノ島さんは、さも当然のことを口にしたかのように平然としていた。 私の仕種が、それほどまで分かりやすかったのだろうか。 「その、世間一般の男の子が…」 「だから、苗木でしょ?」 首をかしげる。どうしても認めないといけないのだろうか。 しかし彼女を相手に、争っても負けしか残らないような気がする。 「…まあ、いいわ。それで」 私は諦めて、懸念の一つを口にした。 「その、胸…とか」 「胸?」 「…大きい方がいいのかしら」 江ノ島さんは、小声で んー、と呟いて、 私の胸元に目線を移した。 「~~っ…」 気恥かしくて、思わず胸を手で隠す。 私はもう制服に着替え終えているのに、彼女は下着姿のまま。 それなのに私の方が恥ずかしがっているのは、どうも変な構図だ。 「別に、小さいわけでもなくね?」 「大きいわけでもないわ。それに、あなたに言われても嫌味にしか聞こえない」 「人と比べてもなぁ…何?苗木が、大きい方が好きだって言ったわけ?」 「別に、そうじゃないけれど…」 「あ、やっぱ苗木なんじゃん」 「…ありがとう江ノ島さんとても参考になったわさようなら」 「わー、待った待った!ちょっとした冗談だってば!」 まったく、この人は。 どうして私の周りには、こうも揚げ足とりが多いのだろうか。 「で、でもさ、言ったわけじゃないんでしょ?っつーかあいつはそんなこと言わないでしょ」 「口には出さなくても、心の中では思っているかもしれないでしょう」 「じゃあ、聞いてみればいいじゃん」 それが、懸念だった。 彼は、相変わらず約束を守ってはくれない。 私が半ば一方的に取り付けた約束だけど、それでも約束は約束だ。 言いたいことは何でも言う、と、そう誓ったのに。 たぶん私が正面から尋ねても、彼は正面から答えてはくれない。 私を傷つけないために、平気でウソをつく。 バレバレのウソを。 「胸が大きい人が好きなのかって、聞いて解決。じゃないの?」 「そんなことを聞いて回ったら痴女よ」 「でも、あんたが気にしているのって、そういうことだよ」 「…」 「実際胸なんてさー、エッチするときにしか使わないでしょ。あ、これは冗談とかじゃなくて。 例えばあんたが超巨乳になったとして、それからいきなり苗木がベタベタしてきたとしてもさ、嬉しくないでしょ? だってそれは、あんたの内面とかそういうのを見て、好きになったわけじゃないじゃん。胸だけで判断されてんじゃん。 いちいち大きくなきゃダメだとか言ってるやつってさ、要はそういうことしか頭にないんだよね。 苗木はそういう奴なの?エッチなことしか頭にないわけ?そういう男を、あんたは好きになったの?」 「…いいえ」 「じゃ、気にすることなくない?」 下着姿のままなのに、彼女の言葉にはどうしてか説得力が宿った。 というか、説得というよりも、上手く丸めこまれた気がする。 どうしても、否定しなきゃいけない気持ちにさせられた。 苗木君はエッチなことばかり考えている男だと、いつも言っているのは私の方なのに。 人に同じことを言われると、気分が悪かった。 「相談は終わり?…って顔じゃないね。なんかまだ、抱えてるんでしょ」 「あなたに話せば話すほど、厄介になっていく気がするのだけど」 「ま、話すだけ話してみなよ。あたしのアドバイスを真に受けるかどうかは、聞いてから判断しても遅くはないでしょ」 ―――――――――――――――――― 「で?なんなんだ、相談ってのは」 購買での戦利品の一つであるハンバーガーを僕の手からむしり取り、大和田君が尋ねた。 別に強奪されたわけじゃなくて、相談に乗ってもらう代わりに僕が昼飯代を持つと提案しただけだ。 今日は身体測定があるため、授業は午前で終わり。 ほとんどの生徒は食堂に直行するため、少しでも遅れると席が無くなってしまう。それで、購買だ。 ハンバーガーを頬張る大和田君の隣に腰をかけ、僕もサンドイッチの包装に手を伸ばした。 「…大したことじゃ、ないんだけど」 「…つーかよ」 ドス、と、頭の後ろを殴られる。 「ぐぇ」 「水臭えんだよ、お前はよ。前の中退云々の騒ぎの時もそうだったけどよ。 そういうの悩んでんだったら早く言え馬鹿。転がすぞ」 「うん…ゴメン」 「…チッ」 よく今日は舌打ちされるな、なんて思いつつ。 僕はその中退の騒ぎに、思いを馳せた。 あの時も霧切さんが傍にいてくれなかったら、たぶん僕は学校を去っていただろう。 「あの、さ」 「おう」 「…気になってる人がいるんだ」 ブッフー!! すごい音がした。 まるで水風船を割ったような飛沫が、その辺に降り注ぐ。 見ると、口元をコーヒー牛乳まみれにした大和田君がむせ返っていた。 「ど、どうしたの?」 「ばッ…ゴホッゴホッ!!おま、気になってる野郎って…俺ぁそういう趣味は、ゲフッ!!」 顔を真っ青にした大和田君が、早口でまくし立てている。 どうやら盛大な勘違いをされているみたいだ。 「いや、霧切さんのことなんだけど…」 「あ?…ああ、だよな」 「…」 「や、わりぃな…最近俺がそっちの気があんじゃねえかって、コソコソ噂してる野郎がいるからよ…」 俺ぁキャーキャーしてる女が苦手なだけだっての、と言いながら、大和田君は口元のコーヒー牛乳を拭う。 噂の震源は桑田君と葉隠君だということは、黙っておいた方がいいのだろう。 というか。 普通に、何の気なしに口にしてしまった。 認めてしまった。 霧切さんのことが気になっているって。 思うのと、実際に言葉にするのとは結構違う。 当たり前のように口から出てきたけれど、やっぱり恥ずかしくて、顔が少し熱い。 僕が彼女のことを、…、あの、うん。 「…あ、他の人には…」 「言わねえよ。約束する」 よかった。 まあ、口の堅い彼に相談すると決めた時点で、あまりその心配はしていなかったけれど。 万が一にも噂が広がってしまえば、彼女に迷惑がかかるかもしれない。 「大和田君も一部は知っているかもしれないけれど…僕は彼女に、何度も助けてもらってるんだ。 それで、その…僕も彼女のことを助けたり…彼女にとっての特別な存在になりたいと思ってる。 それなのに、僕は恩を返すどころか、彼女に迷惑をかけてばかりで… だから…だから、もっと、彼女に頼ってもらえるような、彼女を支えられるような男になりたくて…」 「特別、ねえ」 意味ありげに、大和田君は呟いた。 その真意を尋ねようとしたけれど、その前に大和田君が僕に尋ねる。 「っつーか、なんだって俺に相談すんだ?それこそさっき、朝日奈にでも話せばよかっただろうが。 結局俺はそれを聞いて、何を言えばいいんだ?どうしてほしいんだよ」 「大和田君は、男らしいから…」 彼からなら、学べると思ったんだ。 頼られる男になるには、誰かを支えられる男になるには、どうすればいいか。 大和田君は、一瞬だけ眉をひそめる。 「…男らしくなんかねえよ」 「え?」 何かを呟いていたけれど、よく聞こえない。 「そもそも、俺のどこを見て男らしいと思ったんだよ、お前は」 そこで僕は、今朝の件を説明した。 大和田君と霧切さんが、廊下でぶつかった時のことだ。 ぶつかったのが僕だったら。 彼女を支えることは出来なかった。転んでしまう彼女を庇うことも出来ないだろう。 それどころか、僕の方が貧弱にも弾き飛ばされてしまうかもしれない。 「…あのな」 僕が一拍置くと、大和田君はガシガシと気まずそうに頭を掻いた。 「ガタイのでかさだの、腕の太さだの…そういうのが男らしいと思ってんなら、それは勘違いしてるぜ」 そうだろうか。 大和田君の丸太のような腕や、身体の大きさは、立派な男の証だと思う。 少なくとも、僕の貧弱な体には、男らしさなんて欠片も宿っていないけれど。 「あー…じゃ、例えばだ」 大和田君は子どもに言って聞かせるような、そんな穏やかな笑みを見せる。 「いいか、例えばだぞ。今朝みたいに、俺が霧切にぶつかって、あいつが転びそうになって… それに見向きもせずに俺がさっさと体育館に行っちまったら。お前はそんな俺を見て、男らしいと思うか?」 「あ」 言われてみれば。 「男の風上にも置けねえ、と思うだろ?そういうことだよ。体の大きさなんて関係ねえ。何をして、何をしないかだ。 まあ、俺には真の男らしさなんてわかんねえし、そういうのって人によって捉え方もそれぞれだろ。 好きな女なら、大切に守ってやりゃあいい。そのために体を鍛えるってんなら、それもありだと思うけどな」 「うん…」 少し沈黙。 大和田君は、照れを隠すように、また頭をガシガシと掻いている。 彼に相談して、正解だったと思う。 自分一人じゃ、そんな解答は思いつけなかったから。 言われてみれば。 体の大きさや力の強さなんて、手段の一つでしかない。 僕がそういうものに憧れを抱いていることには代わりないけれど。 でも、目的は彼女を守ること。なにもそれは、腕っぷしの強さとかに限った話じゃない。 僕みたいな弱い奴が霧切さんを守るだなんて、おこがましいかもしれない。 けれど、大切にしたい気持ちは本当だ。 彼女にとっての特別な存在になりたい。それはつまり、そういうことだ。 彼女の隣を歩くのに、相応しい男になること。 全てはそれからだ。 思いを伝えるにしても、友人として彼女を見守るにしても。 ―――――――――――――――――― 私が指摘したところで、ようやく江ノ島さんは下着姿から服を身に付けた。 時計を見れば、もう昼過ぎ。 彼女を誘って食堂に向かう。 この時間ならピークは過ぎているので、空いている席もいくつか見受けられた。 「それで、恋愛処女は他に何を悩んでんの?」 カレーとライスをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせながら、ニヤニヤと彼女が笑っている。 たちの悪い笑みだ。つい最近も、どこかでその笑みを見た気がする。 「…その呼び名、止めてもらえないかしら」 「事実じゃん」 「破廉恥よ」 「さっきまで胸がどうのと話していたのに、今更それはないわ」 彼女との口論は平行線だ。私とは考え方が180度違う。 恋愛や男女関係に対してフランクな彼女。 探偵として男社会で生きてきた私。 当然、多少意見が食い違うことだってあるだろう。 それでも、第三者の意見は重要だ。 少し溜息を大げさに吐いて、私も少し遅めの昼食に手を伸ばす。 「…気になっている男の子がいて、」 「苗木ね」 「…あなたは…どうしてそこまで私と苗木君をくっつけたがるのかしら」 「いや、傍から見てたらそうとしか見えないんだけど…違うの?」 違、わないけれど。 認めてしまうのも癪なので、私は特に反応を返さずに話を進める。 「でも…彼との距離が、わからなくて」 私と彼は、なんなのか。 どういう関係と呼べるのか。 探偵と助手、そういう括りもある。 ただのクラスメイト、それ以上であると信じたい。 友達、とは少し違うような気がする。 恋人、…… 「少し前までは、とても近くにいると思っていた。けれど、それは私がそう思ってただけで…」 「それも聞いてみりゃいいじゃん」 「…そんな単純な関係じゃないのよ」 「ふーん。めんどくさい付き合い方してるね」 「そうかしら」 「あたしだったら、男は二択だけどね。付き合えるレベルか、そうじゃないか」 もしかして、苗木君が胸に顔を突っ込んだ時に特に怒ったりしなかったのは、 彼女にとって苗木君が、そのレベルに達していない、眼中にない存在だったからだろうか。 「それに…私が彼をどう思うか、というだけの問題じゃない」 「向こうが霧切のことをどう思っているか、ってこと?」 そう、問題はそこだ。 おそらく、彼にとっての私は、あまり大きな存在じゃない。 少なくとも、彼がこの学校を中退することを考えた時に、それを留まらせる要因にはならなかった。 なれなかった、と言った方が正しいか。 それが、その事実が、彼に何かをしようとするたびに、心の中でつっかえ棒となってしまう。 色んな事を、思いとどまってしまう。 最近では、彼を遊びに誘うのをためらってしまうくらいだ。 一体私は彼にとっての何で、どんな権利があって誘おうとしているのか、と。 遊びに誘うのなんて、友達でも、クラスメイトでも、何の気なしに行えるはずなのに。 きっと誘えば、苗木君は気持ちいいくらいの笑顔で応じてくれるはずなのに。 何度セクハラされても、何度暴力に訴えても。 その間にある境界線を、まだ一度も越えることは出来ていない。 重症なんだ。 だから困って、相談している。 「それだって、聞いてみればいいでしょうが」 カレーライスを食べ終わった江ノ島さんが、暇を持て余すようにくるくると、髪の毛をいじっている。 私も同様にくるくると、パスタをフォークに巻きつける。 「もし拒まれたら…私が彼にとって取るに足らない存在だったら…そう思うと」 「あのねえ…」 溜め息を隠すこともせず吐いて、江ノ島さんは私を見据えた。 「言っておくけど、苗木って結構女子の中じゃ人気高いから」 ドクン。 また、嫌な跳ね方。 心臓が、彼の中退の話を聞いた時のように。 「積極的にアピールしてかないと、いつ他の女子に取られてもおかしくないんだからね」 「…それなら、」 それなら、しょうがない。 彼がその女子を選んだということだ。私が口を出すことじゃない。 私は選ばれなかった。それだけだ。 江ノ島さんが、みるみる不機嫌になっていくのを目の端で捉えながら。 私は、目の前のスパゲティの皿に視線を落としていた。 いつかの彼が、机に視線を落としていたように。 顔をあげる気にもなれなかった。 彼の隣に、私の知らない女子がいる。 彼はとても楽しそうで、とても幸せそうで。 二人で向かい合って微笑み、肩を抱き、唇を寄せ、身体を抱きしめ、そして―― 想像しただけで、顔が熱くなる。 別に、その先を想像して恥ずかしくなったわけじゃない。 これでも高校生だし、彼のセクハラで鍛えられたから、多少の免疫はある。想像なんて、いくらでも出来る。 ただ彼が、自分以外の女子と、そういう行為に及んでいる。そう考えただけで。 「霧切」 「え?」 呼ばれてふと、顔をあげた。 顔をあげるのは億劫だったが、なにか彼女の声にただならぬ色が宿っていたので。 「…先に、謝っとく。今から、気分悪くさせるようなこと言うから」 眉をしかめ、コツコツと爪で机を叩いている。 イラついているのが、見て取れた。 たぶん、それくらい今の私は見ていて腹立たしい存在なんだろう。 「なんでそんなビビってんの?」 「…」 「向こうがあんたのことをどうも思っていなかったら、それでお終いなわけ? 『なんとも思っていませんでした、ハイ残念』で、あいつのこと諦められるの? そこからこっちを振り向かせようとする努力はしないの?気になってるとか言ってたけど、その程度?」 早口でまくし立てられ、反論する隙も余裕も失う。 その程度なんかじゃない。 私たち…いや、私にとって、彼という『平凡』が、どれだけ大切な存在か。 諦められるはずがない。 でも、それでも、 その気持ちが彼に迷惑をかけるくらいなら、私は―― 「なんつーかさぁ、草食系ってゆーの?あんたら二人見てると、すっごいもどかしい。イライラする」 報われない恋愛小説を呼んでいる気分だ、と、彼女は付け加えた。 「告白は受験じゃないの。断られて、そこで終わりじゃないんだよ。ったく、これだから恋愛処女と恋愛童貞は…」 責めているわけじゃないんだろう。 言葉を吐き出すことで少しずつ冷静になっていったのか、苛立ちを失速させるように口籠る。 彼女には、悪いけれど。 いつか、私が思いを忍ばせることに耐えきれなくなる日が来たとして。 彼への思いを伝えずにはいられなくなってしまったとして。 断られたら、そこで終わらせようと思う。 彼は引きずってしまうだろうから。 断ったことに、負い目を感じてしまうだろうから。 そこにつけこんで食い下がった結果付き合えたとしても、嬉しくはない。 彼に無理をさせて、私だけが満足するなんてありえないから。 引きずる思いや負い目を、少しでも軽くさせるために。 断られたら、何もかも終わらせなければならない。 けれど、彼女に相談したこと自体は、本当に良かった。 具体的な覚悟を決めることができたから。 いつか。 思いを伝えよう。 そして散るんだ、潔く。 「…まあ、スタンスの問題は、強制するもんじゃないからね。一応今のは、あたしがどう思ってるかっていうことだから。 問題はアプローチでしょ。まだ距離だかなんだかが不安だっていうんなら、もう少し近づいてみれば?」 「近づく…?」 「そうすれば向こうだって、あんたのことを意識し始めるだろうし、告白も上手くいくかもしんないでしょ。 下の名前を呼んでみるとか、何気なく体に触れてみるとか。付き合うって、そういう所からだよ」 ―――――――――――――――――― 植物園を後にして、僕達は寮へと向かう。 大和田君に相談出来たのは、男らしさがなんたるか。 つまり、そこまでだ。 「…悪いけど、女との付き合い方はわかんねえな」 「そっか…」 彼も、女性とあまり上手く行った経験はないみたいで。 喧嘩無敗(本人談)の大和田君も、女性関係は連敗中。 それに、一般の女性との恋愛経験を聞いても、それが参考になるかは分からない。 彼女は少しだけ、特殊だから。 まともな恋愛経験のない男子が二人、植物園で黙り合っている姿は、かなり虚しかった。 それもあって、僕達は早々に階段を下りていく。 「どうすんだ、これから」 「どう、って?」 「霧切とだよ」 「う…ん、どうしようか、な」 曖昧に返すと、大和田君がぎろりと睨んでくる。 慌てて僕は付け加えた。 「なんていうかさ、今のままでもいいっていう気持ちもあるんだよね…下手にいじって壊したくない」 「ああ…」 「もちろん、特別な存在ではありたいんだ。だけど…」 欲に任せて突っ込んでしまえば、関係を壊してしまいそうで怖い。 ゆっくりと、一歩ずつ、進んで行きたい。 大和田君と話せてよかった。 自分の気持ちを整理することができたから。 僕は霧切さんにとって、特別な存在になりたい。 けれど、そのために今の関係を壊したくはない。 僕には腕っぷしも身長も、何もないけれど。 もっと身近な事から、僕に出来ることから、『超高校級の探偵』である彼女の力になっていきたい。 その好意が彼女に届くまで、きっと気の遠くなるような時間がかかってしまうだろう。 でも、それでいい。 むしろ、気づかれないままでもいい。 だってこれは、僕から彼女への恩返しなんだから。 恩返しに見返りを求めては意味がない。 だから、僕の独善でいいんだ。 「…っていっても、今はむしろ彼女が僕の力になってくれているんだけどね」 ハハ、と苦笑い。 彼女だけじゃない。 クラスメイトみんながそうだ。 「っと、そういやもうそんな時間か」 大和田君は慌てたそぶりも見せずにケータイの時計に目をやる。 学校が終わった後の、僕の『勉強会』の時間が迫っていた。 『超高校級』のクラスメイトから、各方面の知識や技術を学ばせてもらうためのものだ。 僕の学園生活が少しでも有意義になる様に、と、霧切さんがみんなに声をかけてくれたのが始まり。 ホント、彼女には感謝してもしきれない。 「…あ」 そういえば。 「どうした?」 「今日の担当…霧切さんだ」 正確には、霧切さんと石丸君と十神君と。 語学に始まり、学校で習う授業から、教養と呼べる範囲で語学や経済学を見てもらっている。 たぶん大学でやるような勉強だ。それも、本場でそれを学んできた人間から教わるので、これほどありがたい講義はない。 けれど、どうしよう。 正直、こんな話をした後で彼女と顔を合わせるのは、気まずいというかなんというか。 「ま、男見せてこいや」 「そ、そんな…まだ早いよ」 「別に告れって言ってるわけじゃねえぞ。ただ、少しでも霧切に気ぃ使ってやれっつってんだよ」 「…?」 「いつも恩を受けてばかりだから、たまには恩返ししたいって、さっき自分で言ってたんだろが。 何気ない誉め言葉を掛けるでも、プレゼントの一つや二つ贈ってみるでも、今から出来るだろ」 続く
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何度目の寸止めだろうか。 もう、「オシオキ」なんて生易しい響きで済ませていいものじゃない。 これは、拷問だ。 「ひや、ひやぁあああっ!!らめ、あぁあああああぁ…」 止められれば止められるほど、イくことへの欲求も、イく直前の快楽も増していく。 けれど、それらは決して解消されずに、フラストレーションのように体に留まるだけ。 ビクン、ビクン、と、処女が初めての絶頂を味わうかのように、体中が痙攣していた。 あそこは、火箸を突っ込まれたかのように熱い。 「なえぎ…くゅん…」 舌をずっとつままれ、こねくり回されているために、まともに喋ることもままならない。 逃げ場のない快感が、体中をはいずりまわる。 お預けに耐えきれず、とうとう私の体は、継続的に震えだした。 もうダメだ。これ以上は、耐えきれない。 「いぁっ、ひっぎ…うやぁあ、らめ…」 一度だけ。一度だけ、素直に認めよう。 この体が淫猥なメスで、心の底から絶頂を願っていることを、今の一度だけ。 彼の指はくすぐるように、私のあそこをなでまわしていて、それでも、それすらも耐えきる余裕はない。 「な、なえぎ、くゅん…!」 「…どうしたの、霧切さん」 尋ねながらも、彼は手を止めない。 指でクリクリと、やさしくクリトリスの周りをなぞっている。 「あ、あぁあ…も、もう、らめらから…がまん、れきないれす…」 ろれつが回らないのは、彼の指のせいか、あそこの疼きのせいか。 「いかへて…いかへて、くら…さいっ!!お、おねがい、ひまふ…」 言った。認めた。 それだけでもう、あふれ出んばかりの絶頂感が、体中を満たしている。 体中が、絶頂を待っている。やっと、この溜めに溜めた、気の狂う快楽を解き放てる。 「そ、そこ、もっと、ぐちゃぐちゃにしへ……あぁあああっ!」 求められてもいない言葉まで口走ってしまう、どうやら口も快楽で腐ってきたようだ。 もう、思考すらも、浸食され―― ダメだ、まともに考えられない。 イきたい、イきたいイきたいイきたい! 彼に自由を奪われた体で、私のことをわかると言っていた彼自身の指で、 もっと、もっと刺激を! 「あ、あぁ、あっあああぁああっあああああ…!」 ぴたり、と、 彼の指が止まった。 「…っ………い、やぁ……」 絶望。 同じことを繰り返されていたから、何が起こったかはすぐに分かった。 限界まで、ダムをもう少しで越えるまで高められた快感の波。 それは、越えることのないまま、留まらされた。 「いやっ…いやっ、いやぁああぁあぁあ…! なんで、なんでぇ…?」 ぬるり、と、彼がようやく私の口から手を離す。 つ、と引いた唾液の線を気にも留めず、私は泣き叫んだ。 「い、イかせてって、ちゃんと言ったのにっ、い…も、もう耐えられ、ないのに…っ! イきたくなったら言えって、い、言ったじゃない…」 「ああ、ごめんごめん…口に指が入ってたせいで、なんて言ってるかわからなくてさ… それに、イきたくなったら言って、とは言ったけれど、イかせてあげるなんて一言も言ってないよ」 「そんな…そんなぁあ…」 一気に、緊張していた体の力が抜けた。 ずるり、と、彼に預けていた体がずり落ち、 その拍子で、捕えられていた片方の腕が、偶然にも自由になる。 「あ…」 「腕、自由になったね」 彼はまるで、性交などしていない時のような調子で話す。 「…」 「さっき、『腕が自由になったら覚えていろ』って僕に言ったよね。自由になったけれど、どうするの?」 「あ…う…」 「反撃するのかな?それとも… エッチな霧切さんは、自分のあそこをひたすらいじりたいのかな?」 ドクン、と、心臓が驚くほど強く脈を打った。 彼の言葉が暗示や天啓のようにまで聞こえる。 自分で、好きなようにイっていいの…? 「腕は自由だよ。僕は霧切さんをイかせないけど、霧切さんがオナニーするなら、それは止めない。 霧切さんがどうしてもイきたければ、自分がそれほどエッチだって認めるのなら、好きにしていいよ」 「あ、あぅ…」 彼の言葉に屈辱を覚えながらも、私は自分の股間に伸びていく手を、止めることができなかった。 「あれ、あそこに…霧切さんの一番エッチな場所に、手が伸びているけど。反撃はしなくていいんだね?」 「うぅ…う゛ぅあぁああ…」 指が、触れる。 「ひ、ぎっ…~~~っ!!」 あまりにも強い感覚に、一瞬それを激痛かと思い違えるほど。 次いで溢れ出す、性感の奔流。 「あぅあぁああ…」 指が中に入り、奥を小突く。声にならない声が、口からだだ漏れる。 鏡には、それはエロチックな少女の姿が映っていた。 好きな男に足と片腕を絡めとられながら、秘部は自由の利く右手の指をいやらしく呑み込んでいる。 これ以上にない、というような至福の表情を浮かべて。 「あぁ…あぁあああぁ…」 いつもなら、反射的に足を閉じ、腰を引いてしまうほどの激しい快感。 けれど、 「大丈夫だよ。足も腰も、僕が押さえつけてるから、霧切さんの体は快感から逃げられない。 反射で止められることもないから、思う存分、自分をなぶっていいんだよ」 「あぁ…はぅう…あんっ、やっ、あぁん!あぅん、ふぁ、はぁぁあ!」 「しょうがないよね。気持ちいいもんね。僕がさんざん焦らすから、我慢できなくなったんだよね。 今だけは素直になっていいんだよ。どんどんエロくなって。僕はそれを見てる」 快楽がどんどん高まる。 もう、誰にも、自分自身にすらも邪魔されない。 そう思うと、奥から奥から液が溢れてくる。 私はいっそう、指の動きを強くした。 「う、あぁ…イく、イくっ…あっ、か、うぁっああぁあぁあっ…ひ、ぎぃ、ぃいいいいいいいい!!!」 ドクン、と 背骨が緩んだのか、とでも思うくらいの脱力感。 一瞬遅れて、電気のような強烈な快楽が、背中から全身に駆け巡った。 溜めに溜めた、何十回分の絶頂が、一同に私を犯す。 その快感に身をすくませることすら、体の自由を奪われた今の私には不可能だった。 「っ…!…っ!!…ぁっ…!」 もう、声すら出ない。 息を吸うことも、吐くことも叶わない。 目の前がバチバチと光り、まともな視界も失せる。 背骨が軋みそうなほどに大きく背中を反らせて、長く激しい絶頂を耐える。 時間にすれば10秒ほどだろうか、いや、もう少し短いかもしれないが、 私には途方もない長さのように思えた。 「つ…はぁあ…あぁ…」 絶頂が終わり、彼の体から解放されると、私はそのまま後ろに倒れ込んだ。 体は、後遺症とでも言うのだろうか、絶頂時の敏感さや疲労をずるずると引きずっており、 特に下半身は、足を少しでも動かそうものなら、それだけでまたイってしまいそうだ。 なんとなくだけど、と、私は鈍った頭で考えていた。 絶対そんなことあり得なそうだけど、もしかしたらこれは、彼流の荒療治かもしれない、と。 好きと言われても信用できない卑屈さ。心のどこかで、愛する人を疑ってしまうという行為。 全て、私が自分を信じていないから、大切にしていないから。 だから、自分で自分をイかせるように、自分に素直になれるように、そう仕向けたのではないか… いや、考えすぎだ。 口の次は脳みそまで、彼がくれる甘すぎる愛情で、腐ってきたのかもしれない。 ふ、と苗木君が、私の頭をなでた。 重い体を少しだけ持ちあげると、彼は優しくほほ笑みながら、そっと頬にキスをする。 子どものように扱われていることが、少し悔しかったけれど、なぜか嬉しくなってしまう。 反論の言葉や、この仕打ちに対する非難の言葉を考えようとして――やめた。 今はいいじゃないか。 あれだけ恥ずかしい思いをしたんだ。 素直に、彼なりの愛し方を受けていたって、バチは当たらない。 絶頂の余韻とも相まって、その幸福感の中で、私は目を閉じた。 『苗木の視点』 やりすぎたとは思っている。 正直、この麗しき彼女を、自分色にぐちゃぐちゃに染めてしまいたい願望はあった。 もちろん、今までそれを必死に抑えてきたし、こんなひどいことをしたのは今回が初めてだ。 自分でも、どうしたのかと思う。 そっと、頭をなでると、霧切さんは悔しそうにしながらも顔を赤くして、 その表情が本当に可愛くて、僕は心底彼女に惚れてしまっているのだ、と実感する。 頭をなで続けると、霧切さんはそのまま目を閉じて、眠ってしまった。 僕は霧切さんが大好きで、彼女も僕を好きだと言ってくれる。それだけなら話は簡単だったけれど、 彼女は僕の「好き」という気持ちを信用できないでいて、僕はそれがどうしても許せなかった。 余っていたからじゃない。なりゆきじゃない。 僕はそんな失礼な気持ちで、霧切さんを好きになったわけじゃない。 そう伝えたかったのに。 …どういうわけかその憤りは、普段から抑え込んでいる僕の異常(…なんだろうか、やっぱり)な性欲と仲良くマッチして、 歯止めがきかずに追いこんでしまったわけだけれど。 目を覚ましたら、まずどうしようか。 やっぱり、謝るのが最初かな。謝るくらいならやるな、と怒られそうだけど。 それから、ゆっくり話そう。 『霧切お目覚め』 夢とも幻覚ともつかない、もやもやとした眠りから覚めると、 彼は私が目を閉じる前と同じ場所で、同じ顔をして、私の頭を優しくなでていた。 「…え、えーと…おはよう」「おはよう…ずっと、そうしていたの?」 「うん、まあ」「よく飽きもしないで…」 「飽きないよ。霧切さんの寝顔、可愛かったし」「っ…」 いつもならここで、「馬鹿」だの罵声を浴びせたり、頭を小突いたりして、素直になれない代わりの照れ隠しに当てるのだけど。 いや、正直今も、彼をどつきまわしたいほど恥ずかしいし、彼もそれを察して、頭を庇っている。 でも… 「苗木君」「はい…」 「今日は…その」「…ぶたないの?」 「ええ…ちょっと、その…」「?」 彼が、あれだけ私にしてくれた。 だから私も、応えよう。 ここで退いたら、女が廃る。必死に、まだ恥ずかしがっている自分に言い聞かせて。 「…今日だけ、今日だけでいいから…明日からは、また普通に戻るから… 苗木君に迷惑や、押しつけがましい好意も、かけないから… その…思いっきり、苗木君に甘えても良いかしら…」 苗木君は、それこそポカン、という擬音がぴったりなほど呆けていて、 おそらく私の顔も、羞恥に耐えきれず、これ以上ないくらい真っ赤になっていることだろう。 「あ、あの、もちろんだよ!今日と言わず、毎日でも…」 一瞬間があって、それから彼はおおいに賛同してくれた。 「毎日は、さすがに無理よ…私にとっては、すごく、恥ずかしいことで… でも、自分の気持ちに嘘をついているのも、そろそろ限界なの… だから、今日だけ。今日だけ、私は自分を許す。そういう条件付きでなら、素直になれそうだから。 それと…本当にいいの…?私、ホントはもっとわがままで、感情的で…」 私の内面の醜いそういう感情を知ったら、やっぱり彼は、私のことを嫌いになってしまうんじゃないだろうか。 そんな疑心が、心を埋め尽くしている。 彼は私を信頼してくれるのに、私は彼を信頼できない。その不誠実さを自覚している。 罪悪感に悶え苦しみながら、 これが私が考えた、自分へと、苗木君へ提示できる、現時点での最大の妥協点。 やっぱり、彼は探偵の…いや、この場合はエスパーとでもいうのか。 私のそんな鬱屈とした感情を、読み取ってくれたようで、 「どれだけ霧切さんが我がままで、感情的だったとしても、それで嫌いになったりは絶対にしないよ」 私の肩にそっと手を乗せて、あの爆弾級の笑顔で、そう言うのだ。 「…見ていなければ、何とでも言えるわ。私がいかに自己中心的で、汚い心の持ち主か…」 「霧切さんがどんな欠点を持っていても、気にしないよ。 だって僕は、それに負けないくらい、霧切さんの良いところを知ってるから。 言ったでしょ?ずっと、見てきたんだから」 「…苗木君、その笑顔」 「え?」 「私があなたの笑顔に弱いって、知っていてわざとやってるんじゃないの?」 「そ、そんなこと…そうなの?」 照れながら困惑する彼が、これ以上にないくらいに愛おしい。 「ほら、見なさい。あなた、私を見てきたから、私のことを分かっているって言うけど、 あなたが知らないことなんて、まだまだたくさんあるんだから」 私はそう言って、勢いよく彼に口づけた。 「…ほ、本当にいいの?さっきまであんなにしてたのに…」「『あんなにしてた』のは、どこの誰だったかしら」 「う…」「正直言うと、まだ足に力が入らないわ。ちょっと腰も痛いし、ココもまだジンジンする」 「ご、ごめんなさい…」「謝るくらいなら、最初からやらなければいいのよ……ま、まぁ、悪くは、その、なかったけれど」 「あ、う…で、でも、それなら尚更止めた方が…僕なら、大丈夫だから」 これ以上ないくらいにギンギンにさせて、どこが大丈夫なのか。 男の子の性欲は分からないけれど、彼のそれは、もう爆発しそうなほどに腫れあがっていた。 「…さっき、甘えさせてくれるって言ったわよね。わがままでもいい、そう言ってくれたのは…」 「う、嘘じゃないけどさ…」 ホントに、この少年ときたら。 「…私は、苗木君のことが大好きで苗木君の笑顔とか真剣な目とか困った表情とかが大好物で 苗木君に触られると全身性感体になるんじゃないかってくらい敏感になる、変態…です。 苗木君が望むことは全部してあげるし、してあげたい。苗木君がいやだというなら絶対にしません」 鏡越しに、自分の顔を見た。真っ赤なんてものじゃない。 正直になれとあなたが言うから、言いました。 ここまで言わせて、恥をかかせるなんてこと、絶対にないわよね? 「…あっ、うぅ…」 「…ほら…幻滅、したでしょ?」 「してないよ!」 「ま、まあとにかく、今日の私は、その、とことん本音で行くわ。 …自分の心情を正直に話すことは慣れていないから…ちょっと変になってしまうこともあるかもしれないけど… さて、聞きます。苗木君、私の中に…入れたい?」 上目遣いで尋ねると、彼も私と負けず劣らず顔を真っ赤にさせた。 「う、うん…霧切さんに、入れたい…です」 「…はい、よろしい」 一度わがままな私を受け入れると言ったからには、 今日は苗木君にも、とことん付き合ってもらおうじゃないか。 私は彼に跨り、ゆっくりと、彼のそれを、私の秘部にあてがう。 「っ…ホントは、これ以上気持ちよくさせられたら、頭がおかしくなりそう…」 「あぅ…き、霧切さん、やっぱり…」 「や、めない、わ…あなたと繋がらずに終わるなんて、絶対あり得ない…」 ゆっくりと腰をおろし、中に彼のものを受け入れる。 ずぷ、ぬぷぷ、と、卑猥な音を立てて、彼が私の中に入っていく。 「あっ…んん!!」 「す、すごい…霧切さんの中、すごく熱い…」 「そ、そういうことは…」 言わないで、と言おうとして、私は思いとどまった。 今日だけは、本音。嘘をつかない。 「…もっと、言って」 「え?」 ああ、頼むから、聞き返さないで。 これでもまだ、本音を出すのは、顔から火が出そうなほど恥ずかしいのだから。 震える体になんとか根性を叩き込み、私は一気に足の力を抜いた。 「ふぅっ…!」「うぁあっ…!」 高さの違う、二つの喘ぎ声。 重力に身をゆだねた私の体は、そのまま沈み込み、最奥まで彼のモノを加えこんだ。 「はぁ、はぁ、っ…」「霧切さん…大丈夫…?」 「…響子」「え?」 「いつか、言ったでしょ…?交わっている間は、下の名前で、ぅ…呼んでって…」 彼の返事も聞かず、私は再び足に力を込める。 ずるり、と、あそこから内臓まで引きずり出されるかのような、激しく、少しだけグロい感覚。 「あ、あぁああぁ…」 いつも彼が動くのを、受動的に待っているだけだけれど、 自分で動けば、これだけ違うのか。 「あ、き、響子…」 「何?…誠君」 「あ、そ、その…すごく、エッチだよ、今の響子の姿」 ゾクリ、と、背筋が震える。 羞恥と快楽で赤く染まった彼の顔。 それらに耐えながら『もっと言って』という私の願いを、必死に叶えてくれた彼の健気さ。 そして、自分自身が彼の眼に、エロチックに映ってしまっているという羞恥。 「あ、はぁ…」 必死に力を込めて引き抜いている途中だったのに、意思とは無関係に彼のモノを締め付けて、 いっそうの快感が背筋をかけあがり、私の足から力が抜ける。 力が抜ければ、重力に逆らえないのが道理で、 「あ、あぁんっ!」 再び私は、腰を落としてしまうのだった。 「う、ぅ…イかせたいのに…今度こそ、っん…誠君を、イかせたいのに… 私が上になれば、好きに動けるはずなのに…なんで足に、力が入らないのかしら…」 「響子…っ」 彼が、私の尻を鷲掴みにする。 「え、え?」 そして、グイ、と引き抜いたかと思うと、 思いっきり膣内に、それを叩きつけた。 「はぁああぅっ!」 ゆるやかで断続的な快感から一転、激しく重い絶頂感が、またたく間に走り抜けた。 「あっ、あっあっ!イって、るの、誠君、イってるからぁっ!!」 「ご、ごめん…あんまり焦らされるから、我慢できなくて…っ!」 パン、パン、と、リズミカルな音を立てて、彼が腰をたたきつけてくる。 一突き一突き、そのたびに私は何度も絶頂に突き上げられる。 体も、快楽に素直になったのか。それとも、彼に文字通り体を許したのか。 子宮を小突かれ、飛んでしまいそうになる意識の断片で、そんなことを考える。 「ごめ、ごめん響、子っ…やめてあげたいんだけど、気持ちよくて…!」 「やめないでいい、やめないで、ぇっ、はぁああ!!私で、あぁぁああっ…わ、私で気持ち良くなって…!」 子宮がキュウ、と閉まる。 一つの絶頂が収まりきる前に、次の絶頂に押し上げられる。 あまりの快楽は頭の許容量を超え、もう思考が焼き切れそうだ。 でも、ダメだ。 もっと、もっと。 この先しばらくは、また彼に甘えられない、捻くれた私に戻るのだろう。 だから、今だけ。今のうち。 未来の分も前借して、精いっぱい彼を感じなくては。 「奥、おくぅっ!あぅううう!奥、弱いっ、から、もっと突いてぇ!」 「はぁ、はぁ、はぁっ…!」 もう、限界に近い。 中に入っている彼のそれが、いっそう大きく膨らみ、一突きが小刻みに、速くなってきている。 私は彼の背に手を回した。 「わ、かってると、思うけど…っ、あぁん、はぁんっ!!」 「うんっ…中に、出すから…!」 快楽の向こう側の、これ以上ない幸福感。 女に生まれてよかったと、心の底から思える瞬間。 彼が、グイ、とそれを中に押し付けて、子宮が思いっきり押し上げられた。 「ふっ…うぁああぁぁああああっ…!」 その絶頂の瞬間に重ねるように、 「響子っ…で、出るっ!!」 ビュクビュクと、その子宮に、熱いそれが注がれて、 「――――~~~~っっ!!!」 声もなく、息も出来ず、目も眩むような絶頂にやられ、 目いっぱいの力で、私は彼に抱きついた。 絶頂が収まると、体中から力も抜け、彼と繋がったまま引き抜くことも出来ず、 私はしばらく、舌を出したままのだらしない蕩け顔で、彼にもたれかかっていた。 「あ…っ…ひ、ぐ……」 苗木君の絶頂感も同じようなものだったらしく、ベッドに倒れ込みはしないものの、 私をこれでもかというくらいキツく抱きしめて、快感に耐えているようだった。 また、抱きしめたまま、苗木君が私の頭をなでる。 どうもその感覚に慣れず、もたれかかったまま、私は彼の耳元に口を寄せる。 ホントは面と向かってピロートークなんていうのも憧れなのだけど、今のこのだらしない蕩け顔はさすがに見せられない。 「人の頭をなでるのが、随分好きなのね」 「あっ、いやだった、かな…」 彼が遠慮がちに尋ねた。 ホントに、さっきまでの強気な彼はどこに行ってしまったのか。 今はもう、いつも見慣れている、気弱で少し頼りないけど、優しさに満ちあふれた少年になってしまっている。 もちろん、こんな彼が大好きなのだけれど、時々はさっきのような強引さも欲しい、と思ってしまうあたり、 やはり彼の前では、私はマゾヒズムに冒されてしまっているのだろうか。 「いや、じゃない…」 「そ、そっか」 いやじゃない、というのに、彼は私の頭から手を離した。 「~~っ、もう…」 私は再び彼の手を握り、むりくり自分の頭に押し付ける。 「えっ、えっと…」「なでて」 「へ?」「…」 やっぱりこの少年は、まだまだ私を知らないのだろう。 今の私の「いやじゃない」は、もっと分かりやすく言えば、 「あなたになら何をされてもいい」だ。 「なでてって言っているの」 自分でもどこから出たのか分からない、少し拗ねたような幼い声で抗議すると、彼は私をあやすように、優しく頭をさすった。 あなたが、私のことを分かっているというのは、やっぱり悔しいけれど、どこか嬉しい。 でも、私はあなたに話していないことが、まだたくさんある。 探偵小説の次に、恋愛小説が好きなこと。 暗闇が苦手だということ。 時々あなたが舞園さんを思い出しているのに気付き、嫉妬すること。 あなたがくれたイン・ビトロ・ローズが、誰にも言っていないけれど、密かに宝物だということ。 探偵という職業柄、知られることは恥ずかしいことだと、そう思ってきた。 知られたら負けだ、そんな世界で生きてきたのだから。 でも、あなたになら、負けていい。 だから、もっと私を知ってください。
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たまには広い湯船にゆっくり浸かろう、そんな風に考えてボクは大浴場へと向かった。 すると大浴場の前の廊下で、珍しい人たちが話し込んでいるのが視界に入り、思わず立ち止まった。 あれは……セレスさんと大神さん? 超高校級のギャンブラーと格闘家……珍しい組み合わせの上に、どこか深刻そうな雰囲気を漂わせている。 不審に思ったボクは二人に近づき、声をかけた。 「やあ、何かあったの?」 セレスさんが驚いたようにびくりと肩を震わせた。 「ああ、苗木君でしたか。驚かさないで下さい」 振り返ったセレスさんは、どうやらお風呂上りだったようだ。まだ少し湿気を含んだ黒髪は艶やかで、上気した頬も色っぽい。 表情は普段は見られないような憂いの色を帯びていて、ボクは場違いにどきりとした。 「苗木君には関係ありませんわ。どうかお気になさらずに」 セレスさんはそう言ってひらひらと手を振った。向こうに行け、ということか。 今日のセレスさんは妙に冷たいな。……でも、女の子同士、聞かれたくない話もあるのかもしれない。 ボクが釈然としないながらも大人しく脱衣所の暖簾をくぐろうとすると、それを大神さんが引きとめた。 「待つのだ、苗木よ」 そしてセレスさんにも声をかける。 「ここは苗木に協力してもらうべきではないか? 少なくとも、我よりは力になれるであろう」 セレスさんは細い顎に手を当て、少し俯いて考え込むような仕草を見せた。数秒の沈黙の後、顔を上げる。 「……そうですわね。……苗木君、相談がありますの。中でお話を聞いて下さい」 ボクはセレスさんに促され、二人で脱衣所に入った。 ボクと二人きりになったセレスさんは、おもむろに口を開く。 「わたくし、先程までこちらのお風呂に入っていたのですが……どうやら、お風呂に入っている間に盗まれたようなのです」 予想外の言葉にボクは驚いて聞き返した。 「盗まれた!? ……何を?」 「……大切な物です。脱いだ服と一緒に脱衣籠の中に入れておいたのですが、お風呂から上がると無くなっていましたの」 盗難事件か。何を盗まれたのかは、はぐらかされたが、よほど大切な物だったのだろう。 いつも微笑を絶やさないセレスさんが辛そうに表情を曇らせている。ボクは犯人に怒りを覚えた。 「苗木君、一緒に犯人を探して頂けませんか。わたくし、悲しくて……」 セレスさんが潤んだ瞳でボクを見つめる。……異論など、ある訳がない。ボクは力強く答えた。 「わかったよ。絶対に盗まれた物を取り返そう!」 犯人を探す前に、まずは事件の流れを知っておく必要がある。 「じゃあ、事件が起きた時のことを、始めから聞かせてくれるかな」 ボクの言葉にセレスさんは頷きを返すと、記憶を辿るように目を伏せた。 「あれは、一時間ほど前だったでしょうか。わたくしが食堂でお茶を飲んでいると朝日奈さんと大神さんが来ましたの。 お風呂がまだなら、これから一緒に大浴場に行かないか、というお誘いでした」 朝日奈さんと大神さんが一緒にいるのはいつものことだ。 きっと朝日奈さんが、セレスさんはいつも一人でいるから、と声をかけたのだろう。 でも、社交的な性格の彼女なら、もっと大勢を誘いそうな気もするな……。 「それで、一緒にお風呂に行ったんだね。他の人は誘わなかったの?」 「たまたま、食堂にはわたくししか居ませんでしたから。ですが、脱衣所に入ると先に腐川さんが居ましたわ」 意外な人物の登場に、ボクは思わず「えっ」と声をあげた。 お風呂嫌いの腐川さんが一人で大浴場に居るなんて……。 戸惑うボクに構わず、セレスさんは説明を続ける。 「腐川さんは、朝日奈さんが話しかけてもいつもの調子でしたが、結局は一緒に浴場に入ることになりました」 「四人で一緒にお風呂に入ったんだ?」 「いいえ。……それが、わたくし達がいざ服を脱ごうとしたところで、葉隠君がやって来たのです。 そのまま何食わぬ顔でお風呂に入ろうとしましたので、当然、すぐに大神さんに叩き出して頂きましたわ」 は、葉隠クン……。 いつもの天然ボケなのか、前回の「男のロマン」で味をしめたのかわからないが、ボクは呆れて物も言えなかった。 「また同じように男子がやってきたのでは、のんびりお風呂に浸かるような気分にはなれません。 そこで、わたくしと腐川さんが先に入浴して、朝日奈さんと大神さんが脱衣所の前の廊下で見張りをすることになりましたの」 「なるほど。二人ずつ、交代でお風呂に入ることにしたんだね」 「ええ。それから、わたくしが体を洗って、ゆっくり湯船に浸かっていると先に腐川さんが浴場を出て行きました。 十分ほど遅れて、わたくしもお風呂を出たのですが、体を拭いて服を着ようとした所で盗難に気がついたのです……」 セレスさんが悔しそうに唇を噛む。 ボクは同情に痛む胸を押さえながら、疑問に思った事を口にした。 「さっき、盗まれた物は脱衣籠に入れてたって言ったよね。ロッカーに鍵はかけなかったの?」 「鍵を持ってお風呂に入るのは面倒でしたし、脱衣所の入り口は朝日奈さんと大神さんが見張ってくれていましたから。 わたくしも腐川さんも、ロッカーの中の籠に服を入れただけで、扉も開けっ放しでしたわ」 荷物そのものは無防備状態だったわけか。 それにしても……脱衣所の入り口は朝日奈さんたちが見張っていて、浴場にはセレスさん自身がいた。 犯人は一体、どうやって脱衣所に侵入してセレスさんの荷物に近づいたんだ……? 「……苗木君、説明を続けてもよろしいですか?」 ボクの思考は、セレスさんによって中断させられた。 推理の前に、とりあえず一通りの話を聞いた方がいいだろう。ボクは頷きを返す。 「盗難に気づいたわたくしは、すぐに周囲を探しましたが見つかりませんでした。 そこで、帰ろうとしていた腐川さんに声をかけ、朝日奈さん、大神さんもお呼びして事情を説明したのです」 さっき、脱衣所の前で大神さんと話していたのは、そういう事だったのか。 ボクが納得していると、脱衣所の入り口に掛けられた暖簾が揺れ、ぬっ、と大神さんが顔を出した。 「苗木よ、何かわかったか?」 「いや、まだ説明を聞いていたところだよ」 折角だからセレスさんだけじゃなく、大神さんからも話を聞いてみようか。 セレスさん一人の説明では記憶違いや思い込みもあるかもしれない。 ボクはセレスさんの説明の続きを、大神さんから聞き取ることにした。 「……我と朝日奈が見張りをしていた間、猫の子一匹たりとも脱衣所には近づいておらぬ。 ゆえに、セレスから盗難の知らせを受けた我らは脱衣所の中を詳しく調べる事にした。 我らが風呂に向かう前から、脱衣所に曲者が潜んでいたのやもしれぬからな」 「でも、誰も隠れてなかったんだね?」 「うむ。脱衣所の中には、そもそも人が身を隠せるような場所は無い。 セレス自身も、盗まれたという品がどこかに移動しておらぬか調べたが、見つからなかったようだ」 ここで再び、セレスさんが説明に加わる。 「それで、大変申し訳ないとは思ったのですが……皆さんの荷物を調べさせていただきましたの。 もっとも、お風呂セットは元々この大浴場に備え付けてありましたから、皆さん手ぶらでした。 ですから、服のポケットの中身を見せて頂くことしか出来なかったのですが」 「一人ずつポケットの中身を出して全員に見せたのだが、朝日奈のポケットには飴玉しか入っておらぬし、 我と腐川の制服の胸ポケットは空だった。いよいよ、お手上げというわけだ」 そう言って大神さんは本当に両手を上げて見せた。 確かに彼女の言う通り、このままではお手上げだ。 ボクは別の人の証言に活路を求めたくなった。 「……朝日奈さんと腐川さんは今、どうしてるの?」 「また何か聞きたいことが出るかもしれませんからと、そのまま食堂で待機して頂いていますわ。 一応は容疑者でもありますし。お二人にも話を聞いてみますか?」 是非もない。ボクたちは朝日奈さんたちに話を聞きに、食堂に向かうことにした。 ボクたちが食堂に入るなり、椅子に腰掛けていた朝日奈さんが声をあげた。 「あれ、苗木じゃん! どうしたの?」 「あまり事を大きくしたくはなかったのですが、わたくし達だけでは真相がわかりそうもありませんから、 苗木君に捜査をお願いしましたの。彼、こう見えて結構頼りになりますもの」 セレスさんがボクに目配せをする。 ボクは彼女から期待を寄せられている事に、身が引き締まる思いがした。 「そうだね。苗木なら何とかしてくれそうな気がするよ。苗木、頼んだよ!」 朝日奈さんはそう言って、元気よく立ち上がった。 一方、少し離れた椅子に座った腐川さんはというと、ボクの方をちらりと見ただけで不機嫌そうに爪を噛んだ。 どこか陰気で落ち着かない彼女の態度には慣れているので、今更何とも思わない。 ボクはまず、事件について朝日奈さんから聞くことにした。 「朝日奈さんは、大神さんと二人で見張りをしていたんだね?」 「うん、そうだよ。また葉隠のやつが戻ってきたらダメだからね」 葉隠クンか……。そういえば、彼には犯行のチャンスは無かったのだろうか。 「葉隠クンは、最初に脱衣所に入ってきたんだってね?」 「葉隠を疑ってるの? うーん……さすがに無理だと思うよ。本当に脱衣所に入って来るなり追い出したから」 朝日奈さんは腕を組み、一人で納得するように頷いた。 セレスさんからも、葉隠クンは「服を脱ごうとした」時に現れたと聞いている。 「脱いだ服と一緒に入れた」品物を盗めたわけがなさそうだ。 さらに朝日奈さんからも順を追って話を聞いたが、新しい事実は出てこない。 ボクは一旦、質問を切り上げて腐川さんに話しかけた。 「腐川さんが、大浴場に来るなんて珍しいね」 腐川さんはびくりと体を震わせて、立ち上がった。 「な、な、何よ! あ、あんたも私を疑ってるわけ!?」 その表情は、恐怖と狼狽に満ちている。だから怪しいという事はない。……いつものことだから。 「い、いや、落ち着いて。事件について聞きたいだけだから」 何とか腐川さんをなだめると、ボクはさっきと同じ質問を繰り返した。 腐川さんはまだ落ち着かない様子だったが、ボソボソと小さな声で答えた。 「びゃ、白夜様に、臭うから、お風呂に入ってこいって言われたのよ……。 わ、私、部屋にお風呂の道具を置いてないし、それで大浴場に来たの……」 腐川さんが珍しくお風呂に入ったのは、十神クンが絡んでいたから。 熱烈に十神クンを信奉する腐川さんらしい理由だ。 一つ疑問が解消してすっきりしたボクを尻目に、腐川さんは一人で話し続ける。 「う、うふふ、白夜様ったら、綺麗になった私をどうするつもりなのかしら。 あんな事や、こんな事も!?うふ、うふふふふ!」 腐川さんは自分の体を抱きしめながら、恍惚とした表情で笑い始めた。 ……いつものように自分の世界に入ってしまったようだ。 恐らく、十神クンは自分について回る腐川さんを遠ざけようとしただけだろう。 まあ、そんな事は今、どうでもいいな……。 ボクは幸せそうな腐川さんを放っておくことにした。 証言を聞き終えて、ボクは頭の中で、事件の関係者たちの情報を整理する。 セレスさんは被害者。入浴中に「大切な物」を盗まれた。 朝日奈さんと大神さんは一瞬たりとも一人になっていない。 腐川さんはセレスさんより先に浴場を出たが、ポケットの中身は空。 葉隠クンは脱衣所に入るなり全員の目の前で追い出された。以降は目撃されず。 わからない。……誰にも、犯行は不可能なのか……? ボクが頭を抱えると、セレスさんが心配そうに覗き込んできた。 「苗木君……。苗木君でも、無理ですの……?」 ボクは思わず、この場にいない女の子を頼りたくなった。ボクなんかより、ずっと頭が切れて行動力がある、あの人を。 だが、頭を振って弱気を追い払う。 セレスさんがボクを信じて頼ってくれたのに、ボク自身の力で解決しなくてどうするんだ。 何か……何か突破口はないだろうか。 ボクは必死で思考を巡らせ、一つ、まだ解決していない疑問に突き当たった。 「……セレスさん、盗まれた『大切な物』って……何?」 「えっ? ……そ、それは……」 ボクの真剣な表情に圧倒されてか、セレスさんは口ごもった。 大神さんも追い討ちをかける。 「確かに、セレスは何を盗まれたのか教えてくれなかったな。それは一体何なのだ?」 全員が口をつぐんでセレスさんの答えを待った。 重苦しい沈黙の後、やがてセレスさんが諦めたように口を開いた。 「……下着ですわ」 し、下着!? 盗まれた物は、セレスさんの下着……。 ボクは驚きのあまり声を出せなかった。 皆の視線が集中し、セレスさんは恥ずかしそうに俯いてしまう。 ……ちょっと待てよ。下着を盗まれたって事は! 今、セレスさんは……! ボクは非常にイケナイ想像をしてしまった。 と、突然、右耳に鋭い痛みが走り、ボクは悲鳴をあげた。 「い、痛い!」 セレスさんがボクの耳をぐいっと引っ張ったのだ。 「あなた今、不埒な事を考えませんでしたか?」 「そ、そんな事ないよ! 絶対!」 ボクは頭をぶんぶん振って、全力で否定した。するしかなかった。 「あなたが来る前に、わたくしは一度、一人で部屋に戻りましたから。余計なことを考えませんように」 セレスさんは頬を染めながら、不機嫌そうにため息をついた。 ボクは少し安心して、思考を推理に傾ける。 セレスさんが何を盗まれたのか、どうしてそれを言いたがらなかったのは、よく分かった。 何としてもこの情報を元にして、犯人を特定しなくては。 ……そして、ボクは思いあたった。犯人たりうる唯一の人物に……。 ボクは食堂に集まった皆の顔を見渡して、自分の推理を話し始めた。 「まず、現場になった脱衣所には葉隠クンがやってきたけど、セレスさんが服を脱ぐ前だったから関係ない」 セレスさんが黙って頷く。 「朝日奈さんと大神さんには、ずっと一人になるチャンスがなかった。そうだね?」 朝日奈さんと大神さんも、揃って頷いた。 「そうなると、犯行が可能だったのは一人しかいない。セレスさんより先にお風呂を出て、 一人で脱衣所にいる時間があった……腐川さんだけだよ」 今度は、全員の視線が腐川さんに集中する。 当の腐川さんは激しく狼狽し、すくみ上がった。 「な、な、な、何で、そうなるのよ!わ、私は知らないわ!」 「さっき言った通りだよ。腐川さん以外には誰も下着を盗めなかった」 「う、うう……。そ、そうだわ、あれはどう説明するのよ? わ、私のポケットには下着なんて入ってないし、 脱衣所のどこにも、盗まれた下着は無かったんでしょ? い、いい加減なこと、言わないでよ……!」 腐川さんの反論に、朝日奈さんが同意する。 「そうだね。私達、下着が盗まれてからはずっと一緒にいるし、どこかに隠したりはできなかったはずだよ」 腐川さんは勝ち誇るような笑みを浮かべたが、ボクはすかさず言い返した。 「隠したりする必要なんてないよ。下着なんだから、身に着ければいい。 腐川さんとセレスさんは体型も近いし、そんなに難しくないよね?」 「う、うぐっ!!」 息を詰まらせるような声と共に、腐川さんは言葉を失った。 大神さんが、ゆっくりとした口調で腐川さんに語りかける。 「腐川よ、潔白だと言うのならセレスに調べてもらうがいい。それではっきりしよう」 「腐川さん、お調べしてもよろしいですか? 抵抗なさるのなら苗木君にも手伝って頂きますが」 セレスさんが静かな……それでいて凍りつくような冷たい声で、腐川さんを追い詰めた。 腐川さんはがっくりと首を折り、ぽつりと言った。 「……ご、ごめんなさい……」 「腐川さん、どうして……?」 ボクの言葉に、腐川さんはうなだれたまま答える。 「わ、私、お風呂を出て、白夜様に会いに行こうと思ったの。そ、そしたら、脱衣籠から色っぽい下着が見えて……。 私、地味な下着しか持ってないし、白夜様に見てもらったら、どんな風になるんだろうって、思って。 い、いけないのはわかってたんだけど、試しに着けてみたのよ……」 「……わたくしがお風呂を出た時には、もう服を着ていましたわね?」 セレスさんが抑揚の欠けた声で問いかけた。 「え、ええ。上から服を着て、鏡の前で、スカートをひらひらさせてみたりして。 しばらく眺めていたら、あんたがお風呂から上がってきちゃって、大騒ぎになって、言い出せなかったの……」 ボクはふと思ったことを口にする。 「えっと……それじゃ、今、腐川さんの下着は……」 「だ、脱衣所よ。わ、私が使ったロッカーの中に置いてあった……はずだけど……」 今までの証言の中で、セレスさんが二度も脱衣所で自分の下着を探した事がわかっている。 その時、残されたままの腐川さんの下着に気がつかなかったのだろうか。 ボクがセレスさんの方を見ると、彼女は思い出したように呟いた。 「……ああ、そう言えばロッカーの中に汚い布きれが落ちていましたわ。 わたくしは自分の下着を探していたので気にも留めませんでしたが、あれが腐川さんの下着だったのですね」 ボクはつい苦笑したが、そういうものかもしれない。 セレスさんの下着と腐川さんの下着は、かなりデザインが違う物のようだし、 突然、自分の下着が盗まれたら男のボクだって余計な物は目に入らなくなりそうだ。 「まったく、早く言っておればよかったものを……」 大神さんが呆れたように言った。腐川さんは身を大きく縮ませる。 「な、何度も言おうと、思ったのよ。で、でも、結局言い出せなくて……。 あ、あの、本当にごめんなさい。……し、下着は返すわ」 セレスさんは憐れむような目で腐川さんを見ると、ふぅっと、大きなため息をついた。 「もう結構ですわ。事情はわかりましたから。その下着は差し上げます。 ……一度他人が身に着けた物なんて、気持ち悪いですもの」 最後の言葉は、腐川さんの耳には入らなかったようだ。彼女は飛び上がって喜んだ。 「ほ、本当!? あ、あんたって、結構いい人なのね! み、見直したわ。 う、うふふ、この下着があれば、白夜様もメロメロだわ! うふ、うふふ、ありがとう!」 セレスさんへのお礼もそこそこに、そのままの勢いで腐川さんは食堂を飛び出して行った。 早速、十神クンの所に向かったのだろう。多分、彼女の思うようにはならないだろうけど……。 セレスさんは朝日奈さんと大神さんに頭を下げると、今回の件を口外しないように頼んでから二人を帰した。 そして食堂を出て行く二人の背中を見送ってから、ボクの手を取って言った。 「苗木君、あなたのおかげで助かりましたわ。あなたを頼って良かったです。どうもありがとう」 改まって言われると何だか照れ臭い。ボクは頬を指で掻いて答えた。 「セレスさんの役に立てて良かったよ」 「あ、あの……。それで一つ言っておきたいことがあるのですが」 セレスさんが上品な仕草で胸に両手を当て、頬を染めながら俯く。 「腐川さんが言っていた下着ですが、いつもそのような下着を身に着けているわけではありませんの。 『大切な物』、というのは嘘ではなくて、あれは特別な物だったのです」 ボクは腐川さんの告白を思い出した。 彼女によれば、「色っぽい下着」……。だいぶ希望的観測が入っているにしても、十神クンがメロメロになるような下着……。 ひょっとすると、いわゆる「勝負下着」というやつだったのだろうか。 ボクはおぼろげに色っぽい下着姿のセレスさんを想像して、顔が熱くなるのを感じた。 「ですから、誤解なさらないで下さいね。……ああ、わたくし、何を言っているのでしょう。……忘れて下さい」 セレスさんは珍しく動揺したそぶりを見せ、ゆるゆると首を横に振る。 そんな彼女の様子を見ていると、胸が高鳴った。ボクは場の空気を変えようと、軽口を叩く。 「うん、忘れるように努力するよ。……前向きに善処します」 セレスさんは一瞬、呆気に取られたように固まったが、すぐに表情を和らげた。 「……なんですか、その言い方は。ナイトのくせに、ご主人様をからかうと許しませんわよ?」 彼女は冗談と本心が混ざったようなことを言って、クスリと笑った。 ……良かった。少しは、機嫌が治ったかな? いつも微笑んでいるほうが、セレスさんらしくていい。 ボクがほっとしていると、セレスさんは少し真剣な表情になって囁くように言った。 「……でも、そうですわね……。あるいは、忘れる必要なんてないのかも……。 あなたには、いずれ見せて差し上げる可能性も……ありますものね」 「ええっ!?」 ボクはどきりとして思わず聞き返した。 セレスさんは白い頬をほのかに赤く染め、にっこりと微笑んだ。 「うふふ、驚きましたか? 冗談。冗談ですわ」 これは嘘なのか、本当なのか……。ボクは激しく心を揺さぶられた。 ボクの動揺をよそに、セレスさんはいつものポーカーフェイスに戻ってしまう。 「それでは、湯冷めするといけませんから、そろそろお部屋に戻りますわ。……ご機嫌よう、苗木君」 うやうやしくお辞儀をすると、彼女は優雅な足取りで食堂を出て行った。 一人残されたボクは、しばらく放心して動けなかったが、やがて我に返った。 ……ボクも部屋に帰ろう。 本当に、しばらくは忘れられそうにない。下着のことも、彼女の言葉も。 ボクは自分の頬を軽く叩いて、いけない想像を追い払うと、食堂を後にして自室へと戻った。
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「…だァから、悪かったってば」 江ノ島さんが素直に謝るのも珍しいな、とも思ったけど。 さすがにこの霧切さんの表情を前にしては、僕でも謝罪を口走るだろう。 完全な、無表情。 それに、ここまで威圧感が宿るものだろうか。 「す、すまなかった霧切君…! 僕は、こんなことしたくはなかったんだが…」 「はぁ!? 何一人助かろうとしてんのよ、あんたが発案者じゃない!」 「な、何を言うんだ江ノ島君! だいたい、君たちが勉強会を休めというから僕は――」 「――どちらでもいいのよ、そんなこと」 その場にいた全員が戦慄するような、抑揚のない機械のような言葉。 「誰が主犯で、誰が計画者かなんて…私たちにとっては、どうでもいいの」 「主犯とか計画とか、そんな事件みたいな、」 「何?」 「……」 ぎろり、と、見開かれた目に睨まれて、江ノ島さんも押し黙る。 「…とにかく、人をこそこそとストーカーのように付け回して…」 それは、霧切さんが言えたことじゃないんじゃ、と、 かつて同じようなことをされた僕は思ったりするのだが、 今の彼女は、どこに触れても逆鱗。 さわらぬ霧切さんに、祟りなし。 彼らのお陰で仲直りは出来たから、僕としては四人に感謝しているんだけど。 霧切さんは、覗き見られたことへの怒りの方が大きいようだ。 今も、四人全員を地べたに座らせて事情聴取である。 「申し開きがあるなら、今のうちに聞かせてもらおうかしら?」 「……しょうがないじゃないですか」 と、黙っていた舞園さんが口を開く。 「だって二人とも、いつまで経っても進展しないでウジウジウジウジ…」 「確かに、あのネガティブさは見ていて腹立ったよねー」 と、江ノ島さんも同調する。 「相談を受けたこっちとしては、上手くいくかどうか心配だったわけよ」 「うむ、計画を申し出た人間としては、それを最後まで見届ける責任というものがだな」 「おう、そうだ。苗木おめぇ、俺に男らしさがどうとか言ってたけどよ」 今度は大和田君と石丸君まで。 「男ならキスするってなっても、自分でリードするくらいの男気は見せろってんだよ」 その話題が出たところで、僕は恥ずかしくて思わず目をそむけた。 やっぱり、キス、だったんだ。 あの時、霧切さんが僕にしようとしたのは。 まつ毛にゴミが付いていた、とか、そういうギャグみたいな勘違いじゃないんだ。 『嫌なら拒みなさい』と言われた時。 僕は、体が固まってしまって。 拒む、なんて発想は最初からなかったけれど。 じゃあどうすればいいんだろう。 彼女に任せてしまっていいのか。 僕の方が引っ張らなければいけないのか。 けれど、そうやって思い出し恥じるのは僕だけのようで、 「――弁明は以上かしら?」 「「「「……」」」」 次の瞬間、氷の女王が凍えるような声を吐いた。 好き好きにしゃべっていた各々の口が、一斉に閉じたまま凍りつく。 霧切さんが、本気で怒っている。 彼女のいわゆる怒髪天を見たことがある僕は、耐性が付いているけれど。 やっぱり、それでも怖い。 いつかのような、感情を爆発させる寸前の激昂じゃない。 感情を極限まで排除した、絶対零度の理詰めの憤懣。 たぶん、探偵としての彼女の姿なんだろう。 「……あなたたちの、人としての品位を疑うわ」 「ご、ごめんなさい…」 「悪かったってば…」 「すまなかった…!」 「…わりぃ」 「ね、ホラ、霧切さん…みんなも、こうして謝ってくれてるし」 と、特に怒っているわけでもない僕は、彼らの弁護もしてみるが、 「勘違いしないで、謝罪を求めているわけじゃないの。言葉だけなら、なんとでも言えるでしょう」 一度もこちらの方に目をやらず、切り捨てられる。 まったく、容赦ない。 これが『超高校級の探偵』の胆力である。 「……でも、そうね。いつまでも怒っているのも大人げないし」 と、他のみんなを座らせている横で、霧切さんは椅子の上、脚を組みかえる。 「苗木君。どうやって償わせるか、あなたが考えてちょうだい」 「えっ、ぼ、僕!?」 と、予想外の無茶ぶりを受ける。 ホント、僕は別に怒っているわけじゃないんだけどな。 うん、怒っているわけじゃないけど。 「…そうだなぁ」 霧切さんとキス出来なかったのも、やっぱりみんなのせいなわけで。 「うん、決めた」 「あら、早いのね。やっぱり、あなたも相当怒ってるのかしら?」 「そういうわけじゃないけど、さ。ちょっとやりたいことがあったから」 そう伝えて、僕は四人に振り返った。 「――みんなで、海に行こうよ」 今日何度目か、時間が止まった。 僕を見上げる、呆れたような四人分の顔。 いや、僕の隣にいる彼女の分も含めて、五人分か。 「……あなた、私の話を聞いてたかしら? 償ってもらうのに、どうして海に行くの?」 椅子に座ったままの彼女が、ジト目でこちらを見上げてくる。 怒りの矛先が僕にまで向く前に、弁明を。 「みんなで行くんだ。クラスの全員でさ。で、四人にはその準備や計画をしてもらうんだよ」 もうすぐ、夏休みだ。 考えてみれば、クラスで何かイベントをやることは、希望ヶ峰学園ではほとんどない。 運動会や学園祭の真似事のようなことはあったけど、せいぜい授業の一環だ。 ただでさえ、多忙な人材が集う学園。 全員分のスケジュールを合わせるのは、相当難しいことだと思う。 でも、学校って、そういうところじゃないか。 みんなで遊んで、みんなで思い出を残すんだ。 希望ヶ峰学園に入ってよかった、って、卒業してから思い出せるように。 みんなが僕に、そうして勉強会を開いてくれたみたいに。 霧切さんだけにじゃない。 みんなにも、お返しがしたかった。 もちろん、それが僕一人で出来ることじゃないのはわかっている。 手伝ってくれる、人手が必要だ。 だから、この提案。 「……まったく、あなたらしいわね」 呆れかえったような、霧切さんの声。 でも、もう冷たくはない。 「まあ、苗木君がそれでいいと言うのなら…四人には企画・立案をお願いしようかしら」 彼女のその一言を待ち望んでいたかのように、どっ、と空気の緊張が緩む。 「いやぁ、『超高校級の幸運』様様だ!」 「言っとくけど江ノ島さん、移動費とかバーベキュー代も四人持ちだからね」 「……あんた、割としたたかだよね」 「仕方ないですよ、こっちが全面的に悪いんだから。これで手打ちにしてくれるだけ、ありがたいです」 「いいじゃねえか、海! 白い砂浜、青い空!」 「どっちが速く泳げるか勝負だな、兄弟!」 「盛り上がるのは自由だけど…もう夏休みまで、日がないわ。帰ったら早速、全員の日程を聞いて回ってね」 ―――――――――― そうして、私たちは帰路についた。 図書館を出るころには、夕焼けが見事なグラデーションを空に引いていて。 六人で、どんなことがしたい、と、海への思いを馳せながら歩いて。 寮に着くころには、既に日が沈んでしまっていた。 「…ただいま、マコ」 私たちの姿を見ると、マコが勢いよく駆け寄ってくる。 苗木君が受け止めるようにしゃがみ込むと、その腕の中に飛び込んだ。 「うわ、ちょ、くすぐったいって、マコ!」 「ホント、苗木と霧切にはよく懐いてるよね」 「苗木君、僕たちは先に戻っているぞ。みんなの予定を聞いて回るからな」 「あ、うん」 「霧切さんも、行きましょう?」 チラ、と、マコの小屋を覗き見た。 水飲み皿が、もう空になってしまっている。 「マコに水をあげたら、私も戻るわ。今日は暑かったし、喉も乾いているみたいだから」 「そうですか?じゃ、私たちも戻りますね」 楽しそうにじゃれあう二人…訂正、一匹と一人をよそ目に、私は皿を抱えた。 みんなで、海へ。 ホント、苗木君らしい提案だ。 平和に、そして、みんなが納得できる答えを導いた。 けれど、やっぱり。 個人的には、それだけじゃ気持ちがおさまらないわけで。 本当に、勇気を出したんだ。 あの時を逃したら次はいつ、というくらいのタイミングだった。 彼らさえ、現れなければ。 メリ、と、プラスチックの皿が音を立てた。 いつの間にか、力を入れて握りしめていたらしい。 いけない。 物に当たるのはダメだ。 ダメ、だけど…。 はぁあ、と、深いため息が漏れ出た。 きっと今もう一度彼に迫っても、今度は引かれてしまうだろう。 苗木君が自分を意気地無しと評したのは言いすぎだけれど、思い当たる節がないわけじゃない。 そして、私自身も。 もう一度、迫る勇気なんてない。 あの場で雰囲気に押し流されて、ようやく一歩踏みきったのに。 「あ、お帰り」 「ええ…」 水入りの皿を持って帰ると、既にマコは自分の小屋に戻っていた。 ゴロンと横になって、眠そうに目をパチパチさせている。 「…たぶん、僕たちを待って、起きていてくれたんじゃないかな」 「…そう。マコにも、心配かけてしまったわね」 最近目元が、飼い主の誰かさんに似てきた犬を、わしわしと撫でてやる。 気持ち良さそうに目を細めて、小さくウォン、と吠えた。 「んー…楽しみだな、海」 「…そうね」 少しだけ、また仄暗い気持ちが戻ってくる。 「あれ、霧切さん、あまり楽しみじゃなかった?」 「そんなことないわ。あ、ただ…水着は持っていなかったわね」 「……また何か、思い悩んでるんでしょ」 「また、という言い方…引っかかるわね」 「そう言えば」 と、思い出したように呟いて、苗木君が振り向く。 「結局最初は、どうして霧切さん、機嫌が悪かったの?」 ギクリ。 「…もう、その話は良いじゃない」 「ううん、ちゃんと聞いておかないと…また、霧切さんに嫌な思いさせちゃうからさ」 ホント、気が利く男の子だ。 余計なところまで。 まっすぐな瞳が、こちらを見つめてくる。 そんな目をされても… 「…言えない、わ」 「…やっぱり、僕が嫌な思いをさせたんだね」 「いえ、そうじゃなくて…あなたが悪いわけじゃなくて」 言えるわけない。 嫉妬してました、だなんて。 本当に、面倒な女だと思われてしまう。 「そう言うってことは、やっぱり僕が何かしたんだね」 「……」 「ねえ、霧切さん」 ちょ、近、 「お願いだよ。言いたいことは言うって、お互いに約束したでしょ」 「っ…自分はちっとも守らない癖に、よく言うわね…」 「うん、霧切さんとは僕とは違うから、ちゃんと約束を守ってくれるよね?」 ほら、また。 また、この距離だ。 手を伸ばせば、触れる距離。 一歩踏み出せば、届く距離。 何のためらいもなく、彼は今、踏み込んできた。 少しだけ、悔しく思う。 「…あなたは、少しも意に介していないのね」 「え?」 図書館で、私がキスしようとしたことを。 意識の片隅にでもあれば、この距離まで迫ることはないだろう。 また、今の私みたいに、意識してしまうんだから。 「…どうせ私は、江ノ島さんのようにスタイルが良いわけじゃないわ」 もうどうにでもなれ、と、どこかで思ってしまったんだろう。 口に出して、しまった、と思ってからも。 ずっとため込んでいた嫉妬が、汚く零れる。 「朝日奈さんみたいに明るく元気なわけじゃない。舞園さんみたいに清楚な可愛らしさもない」 止めればいいのに。 せっかく昼間は、良い雰囲気になっていたのに。 これで、台無しだ。 「…苗木君も、彼女たちみたいな女の子の方が魅力的だと思うでしょう」 ――――― そう言って、彼女が拗ねるように顔を背けたのが、子どもの仕草のようで。 いつも大人っぽい霧切さんがそんなことをしたのだと思うと、思わず吹き出してしまった。 「なっ…」 「や、ゴメン…霧切さん、可愛くてさ」 僕がそうフォローすると、暗がりでもわかるくらいに、彼女が真っ赤になる。 「馬鹿にして…意地悪ね、あなたは」 そう言って、本当にそっぽを向いてしまった。 「いえ、本当に馬鹿みたい…昼間だって、一人で勝手に舞い上がって…」 そんなことないよ、と、言葉でフォローしそうになって、思い留まる。 言葉では、昼間に散々語り合った。 今はそれよりも、もっと効果的な行動があるはずだ。 大和田君にも、言われたことだし。 男なら、自分がリードして上げるくらいの気概を見せろ、と。 白い肌。銀の髪。 夜が良く似合う人だ、月の光に照らされて。 いきなりしたら、さすがに怒るかな。 怒られても、いいか。 「ねえ、霧切さん」 「……何よ」 「ちょっと、こっち向いて」 「……また、馬鹿にするんでしょう」 「あのさ。僕にとって、すごく都合のいい解釈をするから…だから、えっと」 「……」 「嫌だったら、拒んでね。あ、あと目も閉じてくれると嬉しいかな」 「……優しくしないと、唇を噛みちぎるわよ」 真っ赤になった彼女に、そう脅されて。 瞳の向こうの僕も、真っ赤になったまま、笑う。 そうして、僕たち二人は。 7cmなんて、とても小さな距離だということを、もう一度確かめあった。
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作者が苗木と七海が好きなだけです。 わかる…エッチなの書いてくれないかな、誰か…
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「あーあ、ココに入学してから俺の追っかけの女のコ、すっかり減っちまったなー」 学園での昼休み、桑田クンがそうぼやいたのが、食堂から教室に帰ってきたボクの耳に入った。 声のした方向を見ると、葉隠クンや大和田クン、不二咲クン(そう、『彼女』の正体を知ったときはみんなおどろいたものだ)など、クラスの男子のほとんどがそこに集まっていた。 「仕方ねーべ。『超高校級のほにゃらら』が集まるこの学園じゃ、いくら桑田っちが凄くても多少埋もれちまうのは否定できねーってもんよ」 「桑田君!! 不純異性交遊をほのめかすような発言は、くれぐれも慎みたまえっ!!」 「兄弟、その判定はちょっと厳し過ぎねえかぁ?」 「うーん、僕もそう思うかも……」 「やれやれ……惨事の恋愛脳にはコリゴリですなぁ」 やいのやいの、騒がしいながらも仲の良さそうなその輪の中から、桑田クンがボクに気付いて手を振ってくる。 「おー苗木、お前もこっち来いよ」 「あ、うんっ!」 高校生離れした生徒たちばかりが集まるこの学園でボクなんかが馴染めるのか、最初はとても不安だった。 でも入学してからそれは杞憂になった。確かに一癖も二癖もある人たちばかりだけれど、ほとんどの人は偏見なんか無しにボクを友達としてくれる。 まぁ、十神クンは誰に対しても例外中の例外なんだけど。 「なー苗木、お前って舞園ちゃんとよく話してるけどさ……」 どきり、と心臓が止まった気がした。 「ぶっちゃけ付き合ってんの?! 付き合ってねーの?! ってか俺の付け入るスキは?!」 「直球勝負ですなぁ」 ものすごいテンションで追及してくる桑田クンにたじたじになっていると、葉隠クンが助け舟を出して来た。 「いや、俺の占いによると、苗木っちは霧切っちと付き合っているハズだべ?」 助け舟……だったかな? むしろ状況が悪化するかも? 「まぁ待てよ桑田。いくら苗木が舞園としょっちゅう話してるからって、『超高校級のアイドル』がそうそうオトコなんざ作っていいとは思えね―ぞ?」 大和田クンの発言が、今度こそボクにとっての助け舟となった。葉隠クンの占いは当たり外れが大きいからあまり問題視されなかったのだろう。 「兄弟の言う通りだっ!! 模範生である苗木君が不純異性交遊に耽るなど」 「ぜ、全部が全部、不純異性交遊じゃないと思うけどなぁ……」 またも喧々諤々となりかけたところで、桑田クンが再び訊いてきた。 「あーもう俺は苗木に聞いてんのっ!! 苗木、白状しちまえっ!!」 「……付き合ってはいないよ」 いくらか冷静になって来ていたボクはなんとか答えた。 「中学生の時のことがあるから、そんな風に見えるだけじゃないかな? それに、ボクなんて舞園さんにはとても釣り合わないよ」 痛いほど自覚している本音を吐き出すと、みんな神妙な顔になってしまった。 「お、おう……なんつーかその、すまねー」 湿っぽい空気を振り払おうと、ボクは大きな声を出す。 「でっでも、どの道舞園さんはアイドルなんだから恋人なんて作れないんじゃないかな?!」 「そ、そうだよなっ!! はは、俺としたことが、追っかけの少なさに焦っていきなり高望みしすぎたみたいだぜ」 大笑いしながらバシバシ肩を叩いてくる桑田クンにつられて、張り詰めていた空気が弛緩した。 みんなの笑顔の中で、ボクはひとり、途方も無い罪悪感を感じていた。 舞園さんとは付き合ってはいない。 ウソじゃ、ない。 霧切さんとも付き合ってはいない。 占いもハズレ。 でも実態は人に言えたものじゃない。 「……んん、ほら、この写真だともう少し内股にならないと。あんまり足を開いちゃうのは」 「うっ、ひうぅ、り、ひからがはいりまひぇん……あぅぅ………」 その日の夜、ボクは寮を訪ねてきた舞園さんに、何度もなんども中出しした。 玄関で服や靴すら履かせたまま立位で、机上で宿題のプリントを下敷きにして正常位に組み敷き、トイレでひざ裏を抱えて子供みたいに排泄させながら、 熱いシャワーを浴びつつ彼女を壁に押し付けて、口移ししながら夕食をとるのと同時に対面座位で、彼女のナカに射精し続けた。 舞園さんが気をやった回数は数え切れず、その度にボクは首輪を引いたり揺さぶったりして彼女を覚醒させ、間髪入れずに射精して再び絶頂に押しやった。 彼女はその美声から、放縦に発される喘ぎ声も寮全体に響きかねない。だからボクは猿轡を噛ませたり、キスで口を塞いだりして、彼女の絶叫を抑え込む必要があった。 ある程度イかせ続けるとうわ言のような掠れた喘ぎになるのでそれまで我慢するのだ。 だいたいそれくらいになると彼女の太腿には『正の字』がびっしりと書き込まれるようになってくるので、ボクは腫れ上がった性器同士を更にぶつけて舞園さんの負け分を『オシオキ』として清算してゆく。 こうして一区切りをつけた頃には舞園さんの子宮はボクの白濁で溢れかえり、下腹部を押すと粘土の様な子種がこぽこぽ垂れ流されるまでになっている。 ふやけた膣口はびらんと中の赤肉を覗かせ、彼女が呼吸する度に精子と愛液を漏らしながら、それこそ唇の様に蠢く。 愛らしい顔は汗と涙と白濁と鼻水でぐしゃぐしゃになり、ネコみたいな目はぐるんと白い部分まで剥いていたりする。吐息は心地よい程度に生臭く、びっくりするほど熱い。 キレイだった身体にはあらゆる場所にあらゆる体液がこびりつき、様々な体位を試したせいで血が寄っていくつもの赤い線がはしっている。 ボクが唇で吸い付いたり抓ったりするところも多いので、満身創痍と言ってもよいくらい(それでも翌日にはほとんどの跡が消えているのが、ボクにとって不思議な限りだ)。 しかし、そんな風にズタボロになっても、最後にベッドの上でボクが抱き締めると舞園さんも無意識のまま抱き返し足を腰に絡ませ、舌を突き出してくれる。 ボクは堪らない愛おしさを覚えながら舌を絡ませ、子宮口に密着させた亀頭からびゅくびゅくと射精し、貪欲な彼女の胎内に更なる子種を落とす。 そして今、ボクは彼女の写真を撮っている。 ただの写真じゃない。 最近発売された舞園さんの写真集のポーズにそって、ボクだけの『限定版』を作っている。 『限定版』の舞園さんは、ポーズは同じだけど、紅潮した表情はだらしなく、首輪と手錠以外は何も身に着けず、体中至る所に愛液や精液を付着させている。 日本中のどこにだって、こんなに贅沢な撮影会はそうそうないだろう。 今、舞園さんにお願いしている姿勢は、両腕で膝を抱えて座る、いわゆる体育座りだ。 でも意識の朦朧とした舞園さんは、普段は完璧であろうポーズや目線も定まらず、正面から撮影するとがに股もいいところだった。 さらに先程までボクの一物を咥え込んでいた股間には今、電動こけしが二本、深々と突き立てられている。 その振動にあわせてリズミカルに喘ぎ声が漏れ、こけしと膣口の隙間からはボクの中出しした精液と舞園さんの愛液がシェイクされてブクブクと泡立っていた。 半開きになった口からはねとねとのよだれが垂れ、汗や白濁で汚れ、卑猥なことこの上ない。 その上でボクが笑顔を要求するものだから、脱力した表情筋を動かし無理して笑おうとするその画は、まるでレイプ魔が和姦を捏造している時の構図にそっくりだった。 ――今更な、あまりにも今更な恐怖が襲ってくる。 ボクは実は、正真正銘のレイプ犯なのではないか? 舞園さんがボクを許容しているなんてのはまやかしで、怯えた舞園さんがボクにこれ以上の危害を加えられないよう従っているだけではないのか? その想像に、昂ぶっていたボクの身体が一瞬で冷える。 心理学の講義で習った『ストックホルム症候群』とかいうのが、この舞園さんに起きているのではないか? 「どうひたん、でしゅか、なえぎ、くん……? んくぅ……!! はやくぅ、つきのしゃしんを撮ってぇ、またぁ、おちん、ちん、ハメハメひれふらふぁいよ、ふぁんっ」 スパークじみた絶望的な光景に襲われているボクに、舞園さんがもたれ掛かるようにしてすり寄ってくる。手錠の音がボクの神経を削る。 「ね、ねぇ、舞園さん」 「んっくぅ……はぁい」 蕩けた顔を近付けてくる彼女にボクは訊く。 「キス……して、くれないかな。ボクに」 一瞬きょとん、とした彼女は、脱力しながらもとても嬉しそうに唇を寄せてくれた。 「もちろんで、はぁんっむ、ちゅ、んちゅぅぅ、ひゃぁ……なえひふんふぁ、あまへんぼうひゃんですねぇ、んむちゅ、はぁぁ……」 彼女に拒まれていないことに内心歓喜しながら、濡れた唇を堪能する。 よく考えれば、これでボクの不安が払しょくされるわけでは全くないのだけれど――だからこそ――ボクは考えないことにする。 ボクが不安になるのは、あまりにもうまくいきすぎているからだ。 だってそうだろう。とても可愛くて才能に恵まれ性格も申し分のない女の子が、取り立てて人に誇れる長所の無いボクなんかを好いてくれ、全てを受け入れてくれるなんて。 こんな状況、「他の人より前向き」なんて程度のプラス思考じゃ、到底、信じられるはずもないし。 「……んちゅ、もう、にゃえきくんがなにをかんひゃへてひるか、ああむ、わかひまふよ? ほんとに、なえぎくんの赤ちゃん、にんひんしちゃったら、にゃえぎくんも信じてくへふんれしょうか……ちゅ、ちゅっ」 「んん……ごめんね、舞園さん……うっ……」 「ふふふっ……なえぎくん、らぁいすき、です」 「ちゅ、ちゅっ……苗木君。とうとう、霧切さんからアプローチされたみたいですね」 全ての写真を撮り終え、二人でもう一度シャワーを浴び(さんざんエッチしたにもかかわらず、そこでもボクは我慢できずに、彼女を前から後ろから犯してしまった)ベッドで寄り添っていると、舞園さんが言ってくる。 「え……そうだけど、どうしてわかったの?」 「エスパーですから、と言いたいところですが、それは半分ですね……ちゅ」 舞園さんは手錠こそ外していたものの、依然として首輪は身に着けたままだった。それを片方の手で撫で、もう片方の手でボクを抱き寄せ、キスを繰り返しながら続ける。 ――ちなみにエッチの時は一方的に責めたてているけれど、ただいちゃいちゃするだけの時、ボクは彼女の長い手足に包み込まれてしまう側になる。嬉しいような悲しいような…… 「今日の苗木君、いつもより激しくて、その……イジワルでした。まるで、『オシオキ』出来る女のコの数が増えたのを喜んでいるみたいに」 「そ、そんなこと……あっ」 ボクの言い訳を呑み込むように舞園さんは唇を啄み、舌を絡ませてくる。にちゃにちゃと水っぽい音が、ボクの狭い部屋に充満する。 「ふふふ……だって、霧切さんをけしかけたのは私ですから」 「ええっ?!」 驚きの余り、舞園さんの柔らかい唇から離れて声を上げてしまう。 「苗木君、落ち着いてください……ぁんっ」 すると舞園さんはボクの頭を再び抱き締め、胸元へと誘った。勃起した桜色の乳首をボクの口に含ませつつ、喘ぎ喘ぎ説明をしてくる。 「はぁ、はぁ……ん、霧切さんとお話したのはおとといだったからぁ、はやく決断してくれたみたいですね。んふぁ、やっぱり霧切さん自身も……苗木君がガマンしてるって気付いていたみたいですし、あんっ!!」 舞園さんの乳頭を甘噛みした瞬間、彼女の身体がびくんと震えた。 「もう、苗木君ったら赤ちゃんみたいなんですから……苗木君は私のご主人様なのに、ひゃぁ!!」 『可愛がられている』ような状況がちょっとだけ悔しくて、乳首を強めにかじり、上目づかいで舞園さんを見る。 「あぁ……ごめんなさい苗木君……んっ!! それで、霧切さんはなんて言っていたんですかぁ……? んっ」 「ええと、『尾行に失敗して拘束された探偵が尋問に耐える』シチュエーションの練習に付き合ってほしいって」 「むぅ……まだまだ素直じゃないですね、霧切さんも。あぁ……でも私の真似をしたのかも。それで」 舞園さんが蕩けた瞳のまま、ボクに問い掛けてくる。 「なえぎくんは、どうしたいですか?」 「――――っ」 ボクは胸から唇を離し、言葉に詰まる。 どうしたいか――そんなのは決まっている。でもそれを口に出すことが、どうしても憚られる。いくら目の前の舞園さんが認めてくれていたとしても。 「――苗木君は、正直ですよね」 「えっ?」 優しく爛れた表情のまま呟かれた台詞に、不意を突かれる。 「霧切さんもしょっちゅう言っていました。苗木君はバカ正直だって――それはそれは嬉しそうに」 なんだか面映ゆくなるボクを見つめながら彼女は続ける。 「でも苗木君は、自分の欲望にも正直になっていいんですよ――ガマンは、良くないです」 そうして舞園さんは枕元に置いていた手錠を、再びボクに手渡し、自分の両手を差し出してくる。 ボクは手錠を受け取った手をしばらくの間震わせ――ゆっくりと、彼女の手を閉ざした。 自由を奪う鎖の音を聞いて、舞園さんは嬉しそうに笑った。 「苗木君は私のことを好いてくれている。でも霧切さんのことも好き。そして、私たちは苗木君が望むのなら、そのフタマタの好意を喜んで受け入れる――」 舞園さんが毛布を払い、横座りになって裸身を見せつけてくる。 「もっと言うと……苗木君は、好きな女のコにイジワルしたくなっちゃうんですよね」 ボクの痕跡がいくつもいくつも刻まれている身体を、ボクに見せつけてくる。 「霧切さんに手錠を掛けたくないですか? 霧切さんを、首輪で繋ぎ留めたくないですか? 気高くて綺麗な彼女をペットのようにしてしまいたくないですか?」 「霧切さんを焦らしたくないですか? はやくイかせてって泣いてお願いする彼女を見たくないですか?」 「霧切さんを失神させたくないですか? もうイかせないでって泣いてお願いする彼女を見たくないですか?」 「霧切さんにびゅくびゅくって膣内射精したくないですか?」 「ナカに射精してって言われたくないですか?」 「ナカに射精さないでって言われたくないですか?」 「それを、無視したくありませんか?」 その一言一言を想像するだけで、ボクは散々射精した筈の自分の一物が、また痛いほどに硬くなるのを実感した。 「私と霧切さん、二人の顔を並べてご奉仕させたくないですか?」 「二人の舌を同時に絡ませたくないですか?」 「二人のおっぱいを交互に揉みたくないですか?」 「二人のクリトリスを一緒に弄びたくないですか?」 「二人のおまんこを順番にハメハメしたくないですか?」 「二人の子宮を時間差でいっぱいにしたくないですか?」 屈服しきった二人の女の子が白濁塗れの股間を見せつけてくる情景。 それを脳裏に浮かべたところで、舞園さんはボクに止めを刺す。 「――苗木君がそうしたいなら、そうすればいいんです。私をえっちな奴隷にしたように、霧切さんもえっちな奴隷にすればいいんです」 この前の生物学の講義でも言ってましたよね――と舞園さんは切り出す。 「生物界では、メスが本来的に強いって。だからこそ弱いオスは、欲しいメスを力ずくで自分のモノにするしかないんだって……それは人間も同じ」 ボクは決して、舞園さんや霧切さんを傷付けたいわけじゃない。 でも、エッチの時、言葉や態度で好きな女の子にイジワルしたくなってしまう自分に気付いたのもまた事実だ。 ボクよりも人間的社会的に価値を認められているであろう女の子が、ボクだけにみっともない痴態を曝け出してくれているということ。 本当に。 本当にいいのだろうか。 この醜い欲望を、さらけ出しても許されるのなら、ボクは――。 翌日の放課後、ボクは霧切さんを連れて寮へ帰った。 ちなみに霧切さんは朝から放課後まで視線すら合わせてくれなかったが、帰りのホームルームが終わった途端ボクの席までやってきたという次第だ。 多分クラスのみんなからは、『いつもの捜査手伝い』と思われたのだろう。 ――そんなボクは今、彼女の身体を念入りに拘束していた。 霧切さんを椅子に座らせ、両腕を背もたれの後ろで交差させ手錠を掛ける。 胸の下あたりから縄を何重にも巻いて、背もたれに縛り付ける。 最後に股を少し開かせ、両足を椅子の脚にそれぞれ括る。 ――だいたい、こんなものだろう。 舞園さんとエッチするときに彼女を縛ることが何度かあったため(ボク自身の名誉のために言えば、舞園さんの身体に何かつけたり『オモチャ』を使うのは全部彼女からの提案だ)、作業はおおよそ滞りなく行えた。 縛り方にもいろいろあるみたいだけれど、習得するには一朝一夕じゃとても無理そうだったので、ボクがやるのは単なるぐるぐる巻きだ。でもそれだって、束縛感はかなりのものだろう。 霧切さんは無表情・無反応を貫こうとしていたが、弛んでいた縄を一気に締める時に小さく喘いだりするその吐息や声が、限りなく色っぽかった。 全ての作業が終わった時、ボクは言いようのない感慨に満たされた。 差し込む西日や雑誌の載ったテーブル、遠くから聞こえるカラスの鳴き声といった日常の風景に、ボクの意のままになるしかない女の子がいるという、非日常。 この時ボクは、すでに一物をガチガチにさせているほど興奮していたにもかかわらず、普段では考えられない程の集中力を実感していた。 たとえば、いつもなら何を考えているか分からない霧切さんの無表情の奥に、少しの不安と期待とを、感じ取ることが出来た。 「準備はいいのかしら、苗木君」 放課後からずっと黙っていた霧切さんが、ようやく口を開いた。 この『訓練』のルールは簡単だ。 霧切さんは彼女の『秘密』を書いた封筒を持っている。二時間の尋問で霧切さんを降参させ、封筒を開ける許可を得たらボクの勝ち。 ちなみに封筒を使う理由は「言葉だけで『参った』というのは相手を油断させるときによくあること」だかららしい。そのため、『重大な機密を漏らす』という『行為』が必要なのだと、霧切さんは言った。 「『尾行に失敗して拘束された探偵が尋問に耐える』ことの訓練――私には必要ないと言い切ることは簡単だけれども、念のために、付き合ってもらうわね」 いちいちを確認するように言う、霧切さん。 ――今のボクにはそれが強がりだと分かる。『案ずるより産むがやすし』になればよいと自分に言い聞かせている彼女の秘めた怯えが、まるでエスパーのように察知できる。 敢えて、無言でいることにした。ただ、自由の利かない霧切さんをじっと見つめることにした。 そうやってプレッシャーを与えてみると、無表情だった霧切さんが眉を顰める。 いかにも『沈黙に耐えかねて』といった風だった。 「……ちょっと、苗木君。黙ってないで何か言ったらどう?」 脈絡のない強気は弱気の裏返し。 いつだったか霧切さんはボクにそう教えてくれた。『ハッタリ』というやつだ。要するに今の彼女は、それすら自覚できていない程に混乱しているんだと思う。 そこまで予測すると、ボクのなかでサディスティックな欲望がむくむくと鎌首をもたげてくる。 ――いままでダンマリだったのに、不安になった途端、ボクに何かしゃべってほしくなるんだね―― ボクはそのことに嫌悪を抱いたりしない。むしろ愛おしくなる。 いつも超然と振る舞っている霧切さんが、ボクなんかが少し揺さぶってみただけで簡単に心を乱していることに。 「ねぇ、苗木君」 霧切さんの眦が一瞬不安げに垂れ下がったのをボクは見逃さなかった。 ――舞園さんと立てた手順を展開する―― 「それじゃ始めるね」 唐突に『訓練』の開始を告げると、彼女の身体が緊縛の中で震えたのを察した。 ボクはまず、霧切さんの輪郭を撫でる。 『不愉快』に見えるよう威嚇してくる霧切さんに構わずボクは言った。 「ボクさ、霧切さんに頼られたことがうれしくて、いろいろ勉強してみたんだ」 まずはこちらの無邪気さを強調してみると、霧切さんが刹那申し訳なさそうにしたのがわかった。こうすることで、霧切さんの心の内に付け入るスキを作り出せる。 次に睫毛が触れ合うほど顔を近づける。大きく見開かれていた目がキュウっと閉じられ――霧切さんがキスを期待しているときの表情になったことを確認する。 ここで最初のイジワル。 お願いされるまで、キスはしない。 「――それで、わかったのはさ」 顔を離し、言葉を続ける。キスされなかった霧切さんが悲しそうに目を開けたのを横目で見つつ、スカートをめくった。 「――っ?!」 縮こまる彼女へ言う。 「スパイとか探偵とかくのいちとか――敵に捕まった斥候って、ほとんど『そこでおしまい』みたいなんだ」 霧切さんは大人っぽい黒レースの下着を身に着けていた。 布地は指を除いた掌より小さいくらい、両サイドは紐で結ぶタイプのもので、正直、今まで見てきた霧切さんの下着の中では一番エッチなものだ。 今日の為に、わざわざこの下着を選んできてくれたのだろうか。 ぷにぷにとクロッチの部分を押すと、咳に誤魔化そうとした彼女の喘ぎが頭上で漂った。 股間への刺激を継続したまま、ボクは至近距離から彼女の瞳を射抜く。 「それが女性ならなおさら。ぐちゃぐちゃにレイプされて、拷問されて、死んだ方がマシっていう絶望に浸らされて――」 ボクは、自分の言葉が彼女を縛る『鎖』になっていくことを実感した。 「ボクは……霧切さんのことが好きなんだ」 唐突に打ち明ける。 氷水を浴びたような顔をしていた霧切さんの目が、普段の倍くらいに見開かれる。 「と、突然何を……」 霧切さんの言葉を遮って繰り返す。 「ボクは霧切さんが好き。大好きなんだ」 ぎゅっとだきしめると、霧切さんはまるで自分が拘束されていることを忘れたように両肩を捩らせた。 「それなのに――霧切さんはさ、ボクじゃない誰かに捕まって、そいつのモノになる『訓練』を、ボクにさせたいって思うの?」 とても悲しそうに――実際、想像しただけで吐き気がする――述懐すれば、 「そ、そんな訳じゃないわ。私は、私だって苗木君のことが」 ひどく狼狽した彼女の声。 股布への刺激は止め、続きを促す。 「ボクのことが?」 そこで霧切さんは自分のスキに気付いたらしい。首をひねってボクの問いから耳を引き剥がした。 「な……なんでも、ないわ……」 「……ふぅん、そっか」 ボクは出来るだけ素っ気なくそう言い、彼女の傍から離れる。 エッチで感極まった時は、その先を言ってくれるんだけど――今はまあいいや。 「あ……」 あらゆる暴力に無力な彼女を見下す。 「ところで霧切さん、『訓練』っていうのはどこまでやるべきかな――いや、『どこまでやっていいのかな』」 「ど……どこまでって」 最後の一節を強調して言うと、彼女は明らかに戸惑った様子を見せた。 「まさか、考えてこなかったの?」 ボクは――本当はこんなマネしたくないのだけれど――少しウンザリした風に溜息を吐いた。 「いや、この『訓練』を持ち掛けてきたのは霧切さんだよね? 実際に捕まった時に秘密を守るための、大切なものでしょ?」 可能な限り不自然じゃないよう、苛立っている風に見せる。 「だったら、ボクだって出来るだけ真剣に取り組まなくちゃいけない。せっかく霧切さんが頼ってきてくれたんだから、って思ってたんだけど」 「…………」 霧切さんは表情をニュートラルに戻そうとしているようだったけど、そこには怯みが見え隠れしていた。 「取り返しのつかないケガをさせるようなことは当然出来ないよね。だったら、さっきも言ったみたいに、ボクの方法はエッチなものばかりになるけど、そういう意味で聞いたんだ」 エッチな、という単語で彼女は二回瞬きした。 「ボクは『どこまでやっていいのかな』――霧切さんに、エッチなことを」 ――そんなこと、霧切さんが考えてきているハズがないということは最初から分かっていた。 舞園さんにそそのかされて『訓練』なんてことを言い出したのだから、たぶんボクに任せておけばいいって風に思ったんだろう。 こと霧切さんは、エッチな知識には疎いというか、奥手みたいだから。 たっぷり三十秒ほど経っただろうか。 視線を皮膚に這わせていると、霧切さんが僅かに声を震わせつつ、それでも気丈に答えた。 「苗木君の好きにすればいいわ。条件を付け過ぎれば、それこそ訓練の意味がなくなってしまうもの」 ――虚勢だとわかっていると、こんなに可愛らしいものはない。 「そう……じゃ、好きにさせてもらうね、霧切さん」 ボクは彼女の背後にまわり、『尋問』を開始する。 ボクは手始めに霧切さんのネクタイを取り去り、シャツのジッパーを下げる。胴は縄で縛っているため完全に脱がせることは出来ないけれど、黒のブラジャーに包まれた胸までは十分曝け出せる。 控えめな霧切さんのおっぱいは縄で少しだけ縊り出されていた。 ブラジャーの隙間に手を入れ、乳首を探ってみる。 「……んっ」 ぴくりと彼女が反応したけれど、ボクは構わずにもう片方の手も、もう片方の乳房にあてがった。 「あれ……ねぇ、霧切さん」 ボクはわざとらしく尋ねる。 「なんでもう、両方の乳首が硬くなっちゃってるのかな」 彼女から返事は無い。無理矢理抑え付けているため異様に低く長くなった呼吸音が、部屋で空しく漂った。 既に甘硬くなっていた霧切さんの乳首を、かなり強めに捩じってみる。 「……んくっ……ぁ」 ほんの少しだけ口が開き、喉の奥から呻きが漏れた。 次にボクは、ブラジャーはそのまま、掌全体でおっぱいを揉みしだいてみる。もちろん、こちらもかなり強めに。 霧切さんの胸は芯のある果実という感じで、外側は柔らかいけれど内側の肉はまだ硬い。 「……んふっ、ぅ…………んっあっ」 繰り返し、背中側に引き寄せては押し戻すように弄っていると、段々と呼吸が荒くなってくるのがわかる。ブラジャーの布地が擦れてジンジンしているのかもしれない。 そこでボクは、彼女の耳朶に口を押し付けるようにして囁きかける。 「ねえ霧切さん、気付いてるよね……正面の鏡にさ」 「くっ……!!」 必死で目を逸らそうとしていた彼女の頭を掴み、前を向かせる。 ――そう、最初のセッティングの時点で、椅子の前に大きな姿見を置いておいたのだ。こうしてボクが背後から胸を揉んだりすれば、霧切さんはいいように犯されている自分を直視することになるのだ。 「ほら、ちゃんと自分を客観視しないと。動揺を気取られないように、ね」 れろりっ!! 「やあぁ?!」 髪を掻き分けうなじを舌でなぞり上げると、霧切さんは素っ頓狂な声を上げた。胸への愛撫に集中しすぎて、他の部位への配慮がおろそかになっていたのだろう。 そのままボクは、霧切さんの耳の穴にも舌を突き込む。 「ひゃっ……んんぅ、く、んぁ……あっ」 快感のせいか羞恥のせいかはわからないけど、喘ぎ声の頻度が格段に上がる。胸を揉んでいる掌に汗の感覚が感じられるようになり、乳頭が更に大きくなった。 「霧切さん、もうちょっと真面目にやってくれないかな。感じてるってバレバレだよ?」 ボクは興奮を抑えつつ、出来るだけ冷淡な声で言ってみる。 「んぅ……わかっている、わ、ぁん!! ん……うぅっ……!」 彼女の内に秘めているプライドが気丈な台詞を吐かせているみたいだけれど、その実、霧切さんは早くも窮地に立たされた風だった。 もはや呼吸の荒さは隠すこともできず、甲高いさえずりだって二度や三度のことではなくなってきた。ほっぺたや首筋を舌でなぞれば、ゾクゾクするような長い喘ぎを聞かせてくれる。 ボクの唾液と、霧切さん自身が垂らしたよだれや汗で顔がびしょびしょになったところでボクは冷酷に告げる。 「この調子じゃ、『犯人』にこう思われちゃうよ? 『なんてチョロイ探偵だろう』ってさ」 彼女のプライドを踏みにじるような発言。 それに対する怒りが少しだけ理性を取り戻させたのか、鏡に映る彼女の目に静かな炎が宿るのがわかった。 でも―― ぎゅっぎゅううぅっ!! 「うぐっうっ!! んぅあああああぁ!!」 人差し指と中指の腹で乳頭を挟み、思い切り捩じり上げる。乳首を押し潰されるのと引き伸ばされる痛みが重なって、相当堪えるものだ。 「そして、『強がっている女のコをメチャクチャにしてやりたい』ってね」 案の定、絶叫した霧切さんの瞳には涙が滲んで、さっき見せた闘志は跡形もなく消し飛んでいた。 ボクは霧切さんのおとがいを後ろから掴み、だらしなく開いていた口内に指を突っ込んだ。蠢いていた舌をにちゃにちゃ弄びながらボクは再び囁く。 「ねえ霧切さん。『まさかここまではやらないだろう』なんて思ってなかった?」 霧切さんの身体が硬直する。眼は両方とも、精いっぱいボクのいる背後の方を向こうとしていて、溜まっていた涙をひとすじふたすじ零しながら震えている。 「確かに霧切さんは『超高校級の探偵』だよ。でも捕まったことがないから、拷問の本当の怖さなんか知らないよね。もちろんボクだって知らないけどさ」 そのまま口の中を掻き回していると、彼女の目がとろんと弛緩し出したのがわかった。いつまでも背後に目を向けるのは疲れるし、口の中の性感帯を刺激しているのが効いたのだろう。 胸を弄り続けていた方の手を、そろそろと霧切さんの下半身に持って行く。 「好きにしろって言ったのは霧切さんだからね」 パッとスカートをめくり上げると、むわっとした熱気がボクの手の甲に触れた。 「んむあぁ?!」 霧切さんはとろんとした目を少しだけ大きくするが、ボクは構わずに彼女の股倉を鷲掴みにした。 「あっ、なえぎくっんちゅあん、や、らめんんんぁ!!」 「すっごい湿ってるね、霧切さんの下着」 露骨な口調で言い放ち、ボクは掌でクリトリスを圧迫し、クレバスに沿って指を前後させる。 「あ、あんむ、んあ、あ、あああ、あぁ、ちゅううぅ、あ、あんっ!!」 彼女の下着にはどんどん粘っこいシミが広がり、そこから垂れ流される愛液はボクの洋服の袖までを汚し始めた。 「上も下もぐちゃぐちゃだね。霧切さん」 ボクがそう言っても、霧切さんはまともな反論すら出来ない。ただ喘いで、感じているだけだ。 「そろそろお隣さんに迷惑になりそうだから、ちょっと静かになってもらうね」 ボクは愛液塗れで用途を為さなくなったなった下着をむしり取り、 ずぼっ!! 「?!」 丸めたソレを、よがり続ける彼女の口に埋め込んだ。 「よかったね、面積のちいさな、いやらしい下着をはいててさ……霧切さんの口でも、十分に咥えられたね」 赤面して暴れようとする霧切さんに構わず、ボクは改めて彼女の股間に刺激を与えだす。 口の中を泳がせていた方の手は、屹立した乳首の開発に取り掛からせる。 「ん~!! んんっ?! んっ!! んっ!! んんむぅ!!」 乳首の方は真っ赤に充血するまでしごき上げ、膣口の方は彼女の弱点を責めたてる仕事に掛かる。 経験上、霧切さんは膣の浅瀬を小刻み責められるのがけっこう堪えるみたいだった。そこなら指だけでも十分な刺激を与えることができるだろう。 そう、霧切さんの感じやすい場所は、これまでの交わりでいくつも発見していた。 でも霧切さんは、お互いの存在を了承しあうようにゆっくりと抱き合うのが好きみたいだったから、それらの性感帯を積極的に刺激しに行くことはほとんどしなかったのだ。 「んむっ、ぐふっ?! ん、ん、んっ。んむぅ~っ!! んぐっ!!」 性急に膣口をこねくり回すと、こちらの予想通りべとべとした愛液がダムの決壊の様に溢れてくる。 にちゃにちゃと指に愛液を馴染ませ、より激しく彼女の内壁を抉ってゆく。恥垢ひとつなかった性器が、メスの匂いと淫液で爛れてゆく。 痛みと快感を交互に与え、パブロフの犬の回路を作るように、痛覚と快楽を一致させてゆく。するとだんだん、痛みを与えた時にも愛液の迸りを誘えるようになってくる。 「んっんっんっ!! んぐむ~っ、んっ!! んんっ!! んっ――」 もうそろそろ達するか、という呼吸になってきたところで、ボクは両手の動きを止めた。 「んっ、んふぁっ、あんみゅ、んにゅ――んっ、んん?」 蕩けた目。でも、疑問と悲しみをいっぱいに湛えた目で霧切さんが見上げてくる。そう、どうしてイかせてくれなかったのかと縋っている目。 「ふふ、カンタンにはイかせてあげないよ。だってこれは『尋問』だからね――それとも封筒の中身、教えてくれる?」 獣欲を抑え付けながら優しく問い掛けると、彼女の喉を生唾が下っていったのがわかった。そして、ふるふると首を横に振る。 「――そっか。まだ我慢できるんだね。でも、見てごらんよ霧切さん」 ボクと霧切さんは正面の鏡を見る。 「霧切さんはもし実際に捕まったら、エッチなことをされ続けちゃうよ。こんなに可愛くて、こんなにいやらしく反応するんだから」 着衣を半端に脱がされ、でも女のコの大事な部分は全部晒され、口に咥えさせられた下着は愛液とよだれが滴るほどに濡れ、拘束された体を真っ赤にして震えている探偵少女。 「これから霧切さんはずっと、降参するまで、イキたくてもイカせてあげない。全部寸止め。泣いたって喚いたってダメ」 少しだけ落ち着いてきた股間に再び触れ、じゅぷじゅぷの愛液を掻き混ぜる。彼女の愛欲を再点火する。 「ん……んんっ!!」 「そして降参したらしたで、今度はずっとイキっぱなしにしてあげる。当然だよ。クールな霧切さんが下品になっていくの、ボク、すごく興奮するから」 うっかりボクの内心が入ってしまったけど、それを呟いた瞬間、霧切さんの性器がボクの指を一際強く締め付けたのがわかった。 「ゴムなしでハメて、子宮の入り口をコンコンして、狭いおまんこを何回も掘り返して、濃い精液を中出ししてあげる。一回で妊娠しちゃうようなのを、何回でも膣内にびゅーびゅーってしてあげる」 ボクがそう言うと、彼女がゾクゾクと震えたのが分かった。まるで後ろ昏い欲望の成就を、目の前にちらつかされたかのように。 さて、という風にボクはポケットからデジタルカメラを取り出し、浅い喘ぎを繰り返す彼女の鼻先に突き付ける。 「じゃあまずさ、記念撮影しとこうか」 それを見た瞬間、霧切さんは飛びあがって驚き、じたばたと暴れ出した。椅子が揺れ、拘束されたままでそれ以上隠しようのない顔を必死でボクから背ける。 でも、ボクの狙いは『ひとまず』顔写真ではなかった。 レンズを、椅子の脚に括られて閉じることの出来ない股間に向ける。 そしてシャッターを押した瞬間、光を受けた霧切さんはビクンと跳ねた。 パチリ! 「んんっ?!」 「はい、これが霧切さんの、使用前のおまんこだね」 撮影したばかりの画像を見せながら耳元でそう言うと、彼女は涙目で睨み付けてくる。太腿を閉じようと必死にもなっていたが、きつく縛られた足を閉じることはかなわなかった。 ボクは内心ドキドキしながら、ポケットからもうひとつの道具を取り出し何気ない風に続ける。 「じゃあちょっと、これで霧切さんのおまんこをお手入れしてあげるね」 それを見た彼女は、尻尾を抓られた子犬みたいに呻いた。 「ん、んんっ~!! んっ、んふ、んんっ」 「霧切さん、暴れないでね――危ないからさ」 可能な限り凄みをきかせて(ボクの迫力なんてたかが知れているけれど)、流し場から持ってきたハンドソープを掌で泡立てる。 白い泡になったそれを霧切さんの濡れそぼった、慎ましやかな陰毛に十分に擦り付け、鈍い光を放つ刃を宛がう。 そう、ある物とは、カミソリである。 ボクは霧切さんのおまんこを、子供みたいな無毛にしようとしているのだ。 「はい、暴れないでね霧切さん」 「ん、んくっ?! んんん、んぅ、んく、ひぐっ………」 冷たい刃先をクリトリスに近付けて脅す。霧切さんは観念したように大人しくなったが、不安げになんども目を瞬かせている。 さすがに罪悪感が生まれて来たけれど、ボクは自分を奮い立たせてカミソリを動かした。 ショリ、ショリ、ショリ―― 霧切さんの恥ずかしさを煽るため手入れなんて言ったが、正直、霧切さんの陰部はいつだって綺麗に手入れされている。 なので薄く揃えられたヘアーの上を武骨なカミソリが数度往復すれば、股間はほとんどつるつるになってしまった。 それでも剃毛する前に比べると、脚部に繋がる骨の具合や股間付近のおしりの肉までバッチリと見えるようになった。 さらにボクは、カミソリの横でクリトリスがぴくぴく反応しているのと、股からハンドソープを掻き分けて流れ出ている愛液の存在に気付く。 「霧切さん、エッチなおつゆが出てるけど」 「……うぐぅっ、ううう」 彼女は何も言えなかったが、溢れる汁は確かに泡を押し流してボクに興奮を主張していた。 「霧切さんは、股間の手入れを他人にされてよろこんじゃう、ヘンタイさんなんだね」 泡をティッシュでふきとると、それまで茂みの中にあったぷっくりした股肉と縦スジが完全に露わになっていた。 ボクは無言でシャッターを切り、それも霧切さんの眼前に持って行く。瞳を濡らしていた彼女はそれを一瞥すると、諦めたように眦を下げた。 「降参したらこの赤ちゃんみたいになったおまんこにいっぱいハメてあげるね……それじゃ、『尋問』を再開しようかな」