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自治体職員有志の会 佐賀オフ会 日 時: 平成18年2月24日(金)14 00~17:45 場 所: iスクエアビル(佐賀市民活動センター) ○開会: 有志の会事務局 ○講演:責任ある民主主義と行政経営改革参謀の育成 中西 一 佐賀大学経済学部地域政策大講座助教授 ○講演:古川康佐賀県知事 ○古川知事による参加者グループワーク オフ会案内文 ○開会: 有志の会事務局 ・身のあるフラットな議論ができることを期待している。 ・佐賀県、佐賀県域には親近感を持っている。自治体として空港を核にしたまちづくりをしたいと思っている。 ・この有志の会は平成15年の3月にできて、ML等で意見交換をしているが、メール上でのやりとりだけでは自然消滅したり、身内的な議論になってしまうの で、熱い志を持った自治体のトップの方と意見交換したいということで15年6月に高浜市長を名古屋市に招き、第1回のオフ会を開催した。 ・普段はヒエラルキーの中で仕事をしている中で、フラットな議論が必要であると感じた。 ・全国の集まった仲間から元気をもらい、3年間で第9回を数えるようになった。 ・昨年も西宮市でシンポジウムを開催したが、今年も8月19日に福岡市天神地区のホールで第3回のシンポジウムを開催したいと考えている。シンポジウムで は木佐九州大学教授、小西関西学院大学教授、古川佐賀県知事、齋藤山形県知事、臼杵市長、柳井市長など素晴らしい方々のお話が聞けるので、ぜひ今からスケ ジュールを空けて置いていただきたい。 ・先ほどのお話の中で予算編成や合併でご苦労されているというお話があったが、現在私も外からお金をいただいて報告書を作る仕事をしており、深夜1時まで 仕事をしていたのにも関わらず、今朝は女子のスケートを見た。金メダルが決まった瞬間の荒川選手の表情がすばらしかった。この表情を見ていて思ったのは自 治体職員もああいう表情ができるような仕事ができればと感じた。これまでは組織の一員として、歯車的に働くことを職員は強いられてきたが、これからは、自 分で働き方を決めて自分の専門の道をずっと歩いていき、自信を持つことでどんどん成果を上げ、今日の荒川選手のような表情ができるような自治体にできれば と思っている。そのために自治体職員有志の会が少しでも貢献できれば。 ・最後に、8月のシンポジウムの前哨戦的なところがあるが、普段の立場はあると思うが、今日は一個人としてフラットに積極的な意見交換を行って頂きたい。 ・少しでもいいネタを拾っていただいて今後の仕事やキャリアデザインに活かして頂きたい。 ○講演概要:責任ある民主主義と行政経営改革参謀の育成 中西 一 佐賀大学経済学部地域政策大講座助教授 ・佐賀県の良さは、議論になると本音ベースの中身の濃い議論になる。保守的な体質ではあるが、「言うときは言う」というところがあり、議論すると相当激しいやりとりになるが、私はその中で得るものがたくさんある。 ・古川知事が呼びかけたこともあるのか、今日はたくさん来ていらっしゃるが、私の基本的な考え方としてバランスを取る、というのがあり、話しやすくなるようにやらせていただきたいと思っている。 ・行政経営改革を進めなければならないという事が私の立場だが、竹槍でB29に突っ込もうとする人も少なくない様に感じる。 ・私の役割はストラテジストの育成であると考えており、学問はバックアップする立場であり、どの様に改革戦略を立てるのかということが主たる関心 ・今日の行政経営の課題 ・行政経営改革は簡単ではない。実態に関しては皆さんがご存じではないか ・やや財政学的・公共選択的な考え方が頭にあるのか、行政を知れば知るほど人間は利己的であり、人間の能力が付いていっていないということが率直な意見。 様々なツールを導入しているが、いったいどういうスキルが求められているか、どういう能力が求められているかという事を私たちは知らない。にもかかわら ず、新しい制度を入れたら自動的に変わると考えている。このギャップが非常に大きい。 ・様々な環境に文句を言いたいことはたくさんあるが、文句を言う前に足元のスキルを高めなければならない。 ・そのためには改革戦略を構想し、下支えできる人材の系統的育成が必要である。 ・現場主義+複眼視+システム思考 ・なぜ日本の組織はこれほどローテーションをしているのに自分の部署以外の部署に対する理解が低いのかに驚く。複数の視点から見ることが出来ない。複数の部署がどの様な因果関係にあるのかというシステミ的な発想に根本的に欠けていると感じる。 ・現場に根ざすことは結構だが、次にやるべきことがある。現場の方とは違う付加価値を提供できるとしたらそういう事も大切である。 ・今日は、95、96年以降の地方自治体の行政経営改革を回顧して、何ができて何ができなかったのか。地方自治、地方分権のために行政経営改革はどうあるべきか。日本型組織の中でいかに改革を継承・継続していったらよいのか。という事について話したい。 ・地方分権下の行政経営 ・フランスで最近移民を中心に暴動が起きた。私が留学時にフィールドワークをしていたときにちょうどパリ郊外のイスラム教徒が多く住んでいるところで勤めていた。そこで感じたことから話題提供したい。 ・私の行政経営との接点 ・元々自分は地方行政の頭があったが、そこから経済系になり現在は財政学者、これは片方のわらじであり、もう一方は行政経営系の研究者である。フランスにおける行政経営は管理会計の影響を受けているので、そういった発想で物事を考えている。 ・セーヌ・サン・ドニ県枠配 平均賃金計算監査の経験 ・枠配分予算とは部門に財源を配分することであるが、一般会計ベースで配分されることが多く、自分たちの調達の努力で増やせる収入を増やせる工夫をしてくださいということ。 ・間接部門の経費を直接部門に割り振ることによって、コスト削減のインセンティブを持つような仕組みを入れ込んでいる。つまりある部署が占有しているオ フィスを放棄する代わりに追加的な予算を受け取ることが可能となる。逆にどうしてもスペースが必要であれば、その分の予算を削減するという、経費削減もメ カニズムを仕組んでいる。 ・私とりわけ人件費の部分の計算、この自治体では平均賃金×ポスト数で雇ってよい人数を計算していた。 ・人事が分権化されているという前提にすると、平均賃金で割り付けるということは、実際に賃金より割高な職員と割安な職員がいるということになる。 ・私の仕事は、平均賃金の金額をベースに枠配の配当額を計算することだったが、多すぎるということで計算する監査の仕事をしていた。 ・問題は賃金の過剰な見積もりにあるのではなく、ポストの数の方が実際のニーズよりも過剰だった。 ・ポストが実際に必要な数よりも多いということは、保険をかける意味と水増しして予算をもらっているということ。 ・平均賃金の計算は財務会計系の財政企画部門が計算し、ポスト数の計算は人事部門で行っていた。しかしこの両者の関係がうまくいっていない。 ・ここで非常に痛感したことは、枠配分の有効性は基本的に認めるが、部門間連携の問題が深刻だということ。その後 日 本でいろいろな話を聞かせて頂い ても、他の部門との関係についての注意がはらわれていない。それぞれの部署の利害だけを言っていて自分の部署以外のことを勉強していない。 ・ベストプラクティス批判(米) ・オズボーン=ゲーブラーの行政革命(incentive-government)という本が90年代の世界のNPMブームの一つの火付け役になったとよ く言われている。この著作とベストプラクティスの思想が結びつけられることが多いが、ベストプラクティスとされるものは本当にベストなのか?英語の本でも 書かれているようにベストだという証拠はほとんど提示されていない。 ・行政経営は質的に非常に複雑なシステムなので、一部だけを取り上げて評価することは簡単だが、それは本当にベストプラクティスなのか。 ・仮にそれがベストプラクティスであったとして、例えば多くの方が福岡から志木市の視察にいったが、環境が全く違う。 意識の高い市民が住んでいて労働組合がない。その状況は佐賀や福岡とは全く風土が違う。そこで成功したものを移し替えたからといってうまく機能するはずが ない。何故なら新しい経営ツール・経営改革が機能したとして、経営環境と密接な因果関係を理解していなければ、その経験を移し替えた際に機能するはずがな い。 ・バラバラなものを見て、全体としての仕組みを分析する「リバース・エンジニアリング」の能力が必要。決まった理論ではなく、現実を見て論理的に読み解く力を身につけないと物事をより良く模倣することすらできない。 ・組織構造を探る聞き取りと突き合わせ ・視察に行って担当部署に話を聞くこともあると思うが、担当部署に話を聞くだけで終わる事が多い。 ・商品の質を作る側(スタッフ部門)からだけ聞いて判断するだけではなく、それを現場の方がどう受け止めているのかを聞かなければ話にならない。他方で、 スタッフ部門でも色々な部門の関係があり、一つのところから話を聞くとその立場から話しをする。様々な部門から話を聞き、全体としてどうなっているかを考 える必要がある。 ・複数のスタッフ部門と現場、管理職層と一般職層の話を聞かないと経営改革がどこまで機能しているのか分からない。 ・結論として、多くの自治体では無理がある。自分達の自治体としての力量を理解していない。いわばボディビルでいえば、15kgしかあげられない人が 100kgのウェイトを上げるようなもの。目的は100kgを1回上げることではなく筋力を付ける事であるはず。15kgの後は20kg、20kgの後は 25kgという事が必要。人間の能力は若干の無理はできるが、大きく無理をしてしまったら全く効果がない。この様な状況が非常に多いように感じる。今まで 何ができていたのかは質的なものであって分析しかねるが、そこがないと次の一手が判断できない。これは個人においても組織においても同じ。「見立て」をふ まえた上で次の一手を考える。 ・世の中で議論される自治体経営 ・行政評価:三重県をきっかけに、財政危機を背景としてNPMブームが始まった。 ・その後、職員の行動を変えるということで意識改革の取組(TQM)が様々行われた。 ・次に組織の分権化という話がおきる。TQMと組織の分権化は全く論理的に違うことなのだが一緒くたにされている。 ・最近は、目標管理を中心に勤務評定の充実が、少なくとも形式的にが図られている。 ・最近は総務部門主導では経営改革に限界があるとして首長主導論が強まっている。 ・上山・伊関による三重県行政評価と業務改善の軌跡 ・現場発から業務改善運動が総務部門に取り組まれ、率先実行の現場の動き→システムへの取組 ・他方で、古川俊一は英語論文で静岡・三重の分権化による組織が機能し始めたと述べている。 ・自治体経営の実態 ・経営の実態は自治体の規模に応じて2つに分かれている。組織の規模の大きい自治体では枠配分予算と目標管理制度・勤務評定制度とのリンクが中心になり、行政評価は形骸化している。行政評価は元々透明性を高める話だったが、目標管理は内部のタテの論理。 ・規模の小さい自治体では、都市部で行政評価が下火だという事情が伝わっていない。機能しているところでは、行政評価の機能は予算査定以上の ものではない。予算査定が政策志向で行われることは可能であったが、それが実行されてこなかった。それを別の部署が主導で進んだ。なぜできなかったのか。 一言でいうと能力が追いついていなかったとしか考えられない。能力の問題、制度の問題ではない。有り体に言うと議論ができない。多くの部門でスタッフ部門 が力不足。現場に論破されるようなことでは論外。争いを好まない人は総務部門から消えて欲しい。 ・意識改革(TQMや日本的経営品質)の取組はセレモニーで終わっている。これは日本企業もそうである可能性がある。 ・最近、日本的品質管理の問題が、民間分野の専門家においても問題にされ始めている。なぜこれほど品質の欠陥が増えているのか。ものの作り方 がグローバル化しているので一カ所では管理できない。 もう一つはコンピュータのバグをチェックしきれないために今までの手法が通用しなくなっている。 ・そもそもインセンティブがない中で様々な改善運動にどこまで取り組めるのかを冷静に見積もる時期に来ている。 ・枠配分予算が適する環境:事業部制経営(マネジメント・コントロール) ・規模の大きな組織において企画・経営管理部門が全てを見る事は不可能であるので、権限委譲は必要である。 ・利害関係者から一定の距離がないとスクラップアンドビルドはなかなか難しい。都道府県レベルでは出来るが、市町村レベルでは厳しいと感じる。 ・小さな規模の組織で、財政部門が弱すぎるときにいっそのこと枠で配分してしまうということがある。その場合には部門のトップの能力が問われ、外部の利害関係者とつるみやすいという危険がある。 ・もちろん緊急避難的な枠配分もある。 ・久留米市の事例 ・ゴム産業の企業が多い。 ・平成11年度から枠配分予算、勤務評定をリンクした目標管理を導入したが、ほとんど評判にも登らないし、当たり前のようにやっている。これから考えた時に人口20万人、30万人くらいの規模の自治体でこの手のパターンが増えてきているのではないか。 ・行政評価は意図的に形だけのものであり、外部の利害関係者に対して一定のアピールをするためだけのものである。 ・行政の経済学vs.行政の経営学:佐賀市vs.佐賀県? ・行政経営の研究者には2パターンある。経済学的な考え方と経営学的な考え方。経済学的な立場だと基本的に行政職員を信用しない、監査・監視などのシステムでコントロールする。 ・私は右側の立場に立つ傾向にあるが、どちらが正しいかは分からない。 ・権限を移譲した人が意図的に悪さをした時には、監視を強化した方がいいのではという話になる。 ・事業評価・一件査定が適する環境:行政評価=財務管理の一部 ・組織が小さいので上から評価しても実態が分かる場合。管理部門が力を持っていて、査定能力を十分有している場合。これを私は「体は小さくて頭は大きい組織」と呼んでいる。実際には「体は小さく頭も小さい組織」も存在する。 ・部課長から横やりが入るような体質の組織ならば適さない。 ・このやり方には基金を貯めておく必要がある。査定によって予算を削減していく場合、急激な財政的ショックに対応できないはずであるので、必ずバッパ-をもっておく必要がある。基金があればシステムに対処できる。 ・武雄市企画課の例 ・行政評価は企画部門が権限拡大のために取り組む例が多い。なぜなら財政課と違って現場を言いくるめられるような能力や権限を持っていないので干される例が多い。 ・武雄市で導入できたのは、企画課が事業計画書の査定ということで全部の事業をカバーし切れていた。これを行政評価の形に変えようとしていただけ。 ・行政評価であろうと予算査定であろうと、それをより良くしていくのは人間の能力。その蓄積がないと制度だけでは機能しない。 ・枠配分予算で浸透すべき査定能力(佐賀県庁財政課査定マニュアル) ・予算の分権化のためのマニュアルを作っている。要するに説明責任を問いているだけである。 ・マニュアルを使って予算査定することと行政評価のシートを使って事業の評価をすることとどれだけ違うか。やっていることは変わらない。やっている事の本質は人間の能力に埋め込まれているものであり、評価表の上にあるものではなく、形の上での違いでしかない。 ・評価表の背後にある論理的思考 ・ロジック・モデルを形だけやっても意味がない。 ・結局はアウトカムが大事。アウトカムとは「社会がどうなるべきかという最終的な目的」の事であるが、そこをどうやって実現するかという論理的因果関係が大事。杓子定規にロジック・モデルを当てはめても無駄。 ・私の出身地の加古川市のホームページではロジック・モデルを使っているが官僚主義化することは分かり切ってい る。 ・求められる能力はマークシートを解く様な能力ではなく、小論文の様な能力と数学の証明問題を解くような能力が必要。 ・どの様な場合であっても政策は結果をコントロールするためにあるので、コントロールするために複雑な現実を読んで重要な要因を見抜き、論理的な関係を構築する能力がないと査定も行政評価もできない。 ・「初めに財源ありき」 ・行政の財政の本質は不確実性の管理。低めに見積もり年度末に向けてお金を残しておく必要がある。そのために、使えるお金の総枠が決まってくる。その事を財政以外の人が理解しておく必要がある。 ・財務管理の本質は「入を見て出を考える」事である。 ・地方交付税交付額の推移 ・90年代に国税は増えていないのに交付税は50~100%近く増やしている。 ・日本の債務残高のGDP比は170%、多くの国を見てみるとこの割合は60%から70%である。最近では財政健全化が進められているが急にはできないので、3~4年後には200%に到達する。 ・200%に達したときに日本で何の対策取られないとは考えられない。またこの数字は国・地方を合わせた数字であることを頭に置いておかなければならない。 ・枠配・評価は機能しているか? ・論理的思考能力が不可欠。 ・枠配を入れようとしても小さい自治体では財政課の能力が追いついていない。 ・管理職の資質と人事評価もできていない。 ・意識改革路線の限界→ミニ・アウトカム(業務改善)・センターへ ・組織全体を興奮に巻き起こしているような例は聞いたことが無い。 ・自治体職員は規則さえ守っていれば自由。考え方を変えることは難しいし、変えるべきなのかも分からない。 ・その状況に日本的経営の古いモデルを入れようとしている気がする。 ・議論自体に価値がある事に納得できる人が減ってきているのではないか。 ・欧米の場合は管理職が蝶番の役割を果たし、仕事をきちっと分けている。モチベーションの源泉は参加ではなく自由の度合いにある。日本の職場では考えられ ないが、欧米の職場では大部屋主義ではなく、2・3人の小部屋主義であり、壁にその人の好きな絵などを自由にデザインしたりする事ができる。 ・日本の職場はその人らしさを発揮する可能性を奪っている。本当に大事なことは与えられた範囲の中で自分の想像を自由に発揮してよいとの仕事のデザインの仕方であるはず。そうすれば結果が出てくる。目的が勘違いされているのではないか。 ・人材育成型HRMへの注文 ・最近経営システムといえるのは目標管理。 ・三重県の率先実行の取組は看板に偽りありで、勤務評定に結びついた目標管理。 ・民間企業でも部門の業績評価と個人の評価は別であるはずであり、個人の評価で回しているのは異常。 ・そもそも目標管理とは、その人の自分らしさを活かした形でキャリアや目標を設定していくものであったはずで、カウンセリング機能がない現状は元々の考え方とは違う。 ・人事部門自体が上司からではなく本人から話を聞いてノウハウを蓄積していかなければならないが、本人に直接アクセスできないような仕組みになっているところが多い。 ・パフォーマンスのおそれ ・政治家主導の改革、ということがいわれているが、形だけとなることが非常に多い。 ・前の佐賀市長への評価も色々あるが、行政改革の成果を上げる事が優先し、中身を後回しにしたものであった形だけのものであったのではないか。 ・非常に遠くにアピールするような感じで、地元にとっては中身が空洞化しがち。要するに、評判が立つことが目的であり、政策の効果が現れるのは4年よりも 長い期間がかかるし目に見えない。そうするとアピールが優先して中身が置いてきぼりになる。そういう政治家は利用はできても当てにはできない。 ・最小限に押さえる必要があると思っている。 ・課題となる能力:財務・人事・戦略 ・組織全体を見渡してどういう改革戦略を練ったらいいのかという素質、資質を身につけていって欲しい。 ・コントローラーの役割 ・本社と部門におけるコントローラー ・分権化しても部門長の下にあるスタッフ部門のスタッフが育っていないので、経営者マネジャーの参謀役の人材を育てていかないと行けない。 ・「インプリメンテーション」経営改革の原価企画 ・政治家だけでなく、行革担当となった職員も担当になると急いで導入をしようとする。 ・プロジェクトに取り掛かったら3年で挙げないと行けない。時間が経てば立つほど抵抗勢力は様々な手を考えてくる。 取りかかるまでは、出来る限りありとあらゆるリスクを考慮に入れて取りかからないとリスクは大きくなる。 ・政治家だけでなく改革リーダーが組織の中でどういう役割を果たすべきかを考えなければならない。 ・責任ある民主主義と「諫言」 ・ビビる人はその場にいる資格がない。そういう人がいると困る。 ・猟官制・官僚制・NPM ・分限処分は慎重に考えるべき。今の日本はまだその状況には無い。これについては議論していかなければならない。 ・田舎の自治体では政治的に悪用されるおそれがある。 ・解雇されないからこそ上に対してはっきりとものが言える。その状況があるからこそ、最悪の事態を招かない様にコントロールされている。 ・そこに政治と行政とのバランスがある。 ・部門間連携の展望と課題 ・組織の中で鍵を握るためには自分の部門だけを知っているだけではいけない。 ・静岡県の場合は、人事部門の影響が大きいが、人の部署のこともよく勉強している。そういうところが影響力を持ち得るし、全体をとりまとめることができる。 ・改革参謀達をプロテクトせよ! ・組織や政治の不確実性から、行政経営改革が中断することはよくある。 ・行政経営改革に関わる同業組合的なものを構想すべき時ではないか。色々な経験をした人が人事異動でその経験が切れてしまう。この分野は経験(失敗を含む)、記憶などの蓄積が非常に重要。 ・欧米では、雑誌を見れば一目瞭然だが半分は求人広告。他の自治体間で異動する。 ・ふくおか公共政策市民ゼミナール ・この場所でも佐賀公共政策市民ゼミナールを開いているが福岡でも開催する。 ・パネルディスカッションの形式を取ると、ケースを使った議論に近い効果が出る。 ・最後に ・外部の人間として行政改革の人材がどうやったら育っていくのか、ということを具体的に考えていきたい。 ○講演概要:古川康佐賀県知事 皆さんこんにちは。 ここの場所は非常に思い出がある。私が3年半前に長崎県総務部長を辞めて、佐賀県知事選挙に出馬しようとしていた時に、中学校の同級生が数十人を集めて、 「佐賀県をどうするのか聞く会」という会をやってもらった場所である。公務員の身分ではなかったし、「私は知事選挙に出ますので是非1票下さい」という様 な露骨な運動はしていないのでぎりぎりセーフだろう。ここでウケなければならないと思い、漫談みたいな話ばかりしていたら、終わった後に「あいつで大丈夫 か」と心配された。 今日の課題図書は「県庁の星」である。実はこの映画ロケの招致を佐賀県で行おうと思っていたが、残念ながら岡山と香川で終わっていた。「何故佐賀県に話が 来なかったのか」聞いたところ、佐賀県のフィルムコミッションが昨年8月出来たばかりで、その数日前に照会が行われ、当時佐賀県は該当なしとなっていたら しい。もし実現していれば存分に佐賀県庁を使ってもらって良かったと思っている。 私は19年6ヶ月県庁及び国の役人をやってきた。辞める時になって感じたことは「やはり自分は役人だな」という事だった。19年6ヶ月で辞めると年金が貰 えない。たまたま当選したからよいが、当選しなかったら基礎的年金だけでこれから学齢期を迎える3人の子供を抱えるのは正直きついと思った。あと1期くら い待った方がよいかもしれないと思い、前知事に「もう1期どうですか」と言おうかとも考えたが、仮に4年足しても25年まであと2年足りない。では2期と すれば「86歳までやって下さい」となり無理だなと思い、では出るかとなった。まあ、冗談だけど。 自分では計算高い人生は嫌だと心の中で思っていても、いざ自分がそういう立場に置かれると意外にもそう考えてしまった事に驚いた。 私と皆さんとの間は共通点も多いと思うが決定的に違う事が一点ある。それは公務員を辞めた事だ。いざ辞めるとなると19年間お世話になった自治省を辞める わけで感慨もあり、きっと官房長あたりから労いの言葉と辞令をもらうのかと思っていた。しかし会計課に電話すると極めて事務的で、「来てもらわなくてもよ い」と辞令が郵送されてきた。誰も感傷的に受け止めてくれない。永年勤続で退職される方は恵まれていると思った。 辞めて初めて気づいたが無年金状態になった。当然国民年金に移行しなければならなかったが、退職金約960万円もすぐに選挙費用に消えてしまい無収入で あった。退職後任意継続すれば1ヶ月当り数万円、3ヶ月で十数万円となり1月は暮らせる金額だった。誰も3ヶ月病気しないだろうと家庭内で議論になった が、我々は年金加入を推進してきた立場でもあり未加入は選挙の際に問題となってもいけないと思って、加入しない訳にはいかないと話し、結局任意継続加入し た。 選挙の途中で子供が腸炎になり加入していて良かったと実感した。これまでは組織に任せていれば良かったが、全て自分でやらなくてはならず、いかに自分がありがたい立場にいたのかを痛感した。 もう1つは名刺に肩書きが入らず名前のみの記載になったという事だ。皆さんは「市役所はつまらない、県庁は馬鹿だ」と言っているが、言っている事の8割5 分くらいは右側に書いてある重さで何とか聞いてもらえている。それが無くなり、無職かつ無肩書きは非常に厳しい扱いを受けた。名前のみの名刺で役場回りを 行い、「選挙に出ることにしました」と言うと公選法に抵触する可能性もあったので、「今度知事選の関係でお世話になります、古川です」と言うと、印刷業者 と間違われた。だいたい役場は1階に市民課があり、2階に企画課、総務課、助役室、町長室があるので2階に上った。しかしガードが固くてなかなか会わせて くれなかった。肩書きがあった時代に大事にして頂いた事とそれがなくなった時の世の中の冷たさを両方経験した。だからこそ、政治家になった人は、選挙を 戦ったという奇妙なシンパシーは党派を超えても大きいのではないかと思う。 そのような経験をして今3年目を迎えている。私は19年間公務員をやってきたが、公務員という職業が非常に好きだ。私の3女の夢は公務員になること。なぜ かと聞けば「お父さんが公務員だったから」と言う。私はゆりかごの時代から「いかに公務員が素晴らしいか」を説いていたのでこうなったのだと思う。皆さん も是非言う事を聞いてくれそうなお子さんがいる場合には是非勧めて欲しい。 なぜ私が公務員を好きなのか。国、県庁、市役所は違うが、もう少し前の時代に県庁を辞めるくらいの生活だったら本当に幸せだっただろうなと思う。ある程度 保障があり、それなりに頑張れば出世でき、地域に帰ればそれなりに尊敬され、親戚に見守られ一生を終える、そういう温かみのある人生はいいなと思った。皆 さんが一緒に働いているトップは、県庁や市役所が好きな人と嫌いな人とに分かれると思う。何人かの知事に仕えてそう思った。私は圧倒的に前者。だっていろ いろな初めての、しかも人様のお役に立てる経験をさせてもらったのだから。 たとえば今の救急車は昔に比べると背が高くなりいろいろな資機材を載せるようになった。これによりかなりの救命措置を救命救急士が行えるようになった。し かしこれは当然になったわけではない。昭和61年4月に消防法第2条9項が改正され、救急の役割に応急の手当てができるようになった。それまで救急はほと んど法的根拠がなく医療行為を行っていた。何故法的根拠無く行っていたのかと言えば、行わなければ死んでしまうので死ぬよりましだという事で、状態悪化を 緩和する事は緊急避難的に違法性阻却性事由があるとして行っていた。命を掛けて行う行為に法的根拠がないというのはおかしいという事で改正することになっ た。 当時も規制緩和の流れがあり消防法も改正する事となり、上から「ついでに改正するものはないか」と聞かれ、当時の救急救助室の補佐が「本当はこんな事が出 来ればいいですが」と書いた数件の内の一件がこれだった。思いつきみたいに始めたが、調べれば調べるほど正しい事だと分かった。救急隊員は損害賠償請求で 訴えられたら負けてしまう状況でやっていた。これは何とかしなければならないとして本格的に取り組む事になった。 今国の法律・制度改正を行う場合は審議会を作り、2、3年審議した上で答申をもらい改正を行うのが普通。しかしこの消防法の改正を行った時は審議会も何も 無かった。基本が思いつきであったので、1月4日の御用始めの飲み会の中で上司からの「何かないか」、「こんなのはどうでしょう」との会話が基で4月には 条文になった。これは我が国の立法史上稀なケースであった。警察も救急業務を行っていると主張していたので「消防の専管事項ではない」と警察庁が大反対し た。調べてみると年間4、5人の怪我人をパトカーで搬送していた。以前は消防も警察業務の一部であったという意識があるためか違和感があったのかもしれな い。 私は本当は救急の担当課ではなく隣の課にいたが、人が足らないという事で3ヶ月間ほとんど家に帰らずにこの仕事を行った。そして法律が通り、現在の救命救 急の制度になっている。今もその当時のメンバーで集まることがあり、この制度改正により何人が助かったのか話すことがあるが、年間50人程度助かってい る。10年間では約500人になる。制度改正がなかったらこの様な措置は出来ず助からない人も多くいた。我々は役人だから人の命を助けることが出来た制度 改正に命をかけた事で人の命を救う事が出来た、なんといい仕事だったのだろうと本当に気持ちが良かった。こんな仕事がやりたいという思いが私の人生の基に なっている。 皆さんにも大なり小なりこういう経験を沢山して欲しい。こういう事を感じられ る事は本当に素敵な事だと思う。パブリックな部分で貢献できるのは人間社会にしかない事ではないかと思っている。そういう可能性を持った場所に皆さんがいるという事を感じて欲しい。 その後御巣鷹山に日航機が墜落した時にも手助けで現場に行った事がある。防衛庁は夜中ヘリで捜索すると言っていたにも関わらず、現地に地図が無く、サーチ ライト付きのヘリが無いのでやらないと言い出した。東京消防庁にはサーチライト付きのヘリがあったのだが。では「最近の戦争は夜やらないのか」と聞いたら 「戦争だったらやるが、いるかいないか分からない人命救助はやらない」と言った事が非常に印象的であった。本当は消防庁を行かせたくなかったのではないか とも思う。 良い経験で言えば、日本で初めてのPKOに日本代表としてアフリカのアンゴラに行った。アンゴラでは選挙のために行ったが、開票所が狙われるという理由で 帰国命令が出て帰ってきた。日本の総合商社はそこでもTシャツを売っておりさすがだと思った。彼らがいよいよ危険だとして逃げようとした時、アンゴラには 日本大使館が無かった。ジンバブエに合ったが危険で行く事が出来なかった。当時は邦人救出のための自衛隊機、政府専用機を派遣できる法律が無かったため、 日頃から気脈を通じていたイギリス空軍機で離脱した。Tシャツを売る経済力はあるが、日本人の安全を守るという最低の国家の義務を果たしていない。パス ポートに「関係の諸官に要請する」と記載しているにも関わらず自分達の職責は果たせていない。邦人救出をしっかり出来ないと日本人が安心して世界中で働く ことが出来ない。 「世紀の愚策」と言われた地域振興券の制度も私が作った。不満があれば私が全て受けたいと思っている。 このようにいろいろな仕事をさせてもらって、「公務員とはこんな仕事をさせてもらえるのか」と思い、現場はそれぞれ違うが「いろいろな経験ができるよ」と言いたい。 ○グループ討議 【テーマ】 1私のスモールサクセス 佐賀県庁では「私のスモールサクセス」を共有する運動を行っている。 例えばある用地担当の職員が、なかなか話を聞いてもらえなかった非常に厳しい地権者がいたが、通勤ルートを変えその人の家の前を通り、見かけた時に挨拶をしていたら、声を掛けてもらえるようになり、いつしか土地を売ってもらえた。 自分が今やっている事、やっていた事、スモールサクセスであると思った事について自己紹介を兼ねて話し合って欲しい。 その中で共通の事を見つけ発表して欲しい。 《平の会》 観光のイベントの申込書には4人の名前が書けた。おばあちゃんから「孫や家族と参加したい」との電話があり、4人では足りないと感じ、8人書けるように2 枚申込書を送った。数日後6人分の申込書が届き、良かったなと感じた。気持ちに余裕を持てる事がスモールサクセスにつながるのではないか。 《はがくれ》 総合窓口を設置し総合案内の職員を配置した。しかし業務を知らない職員では案内にならないという事で、職員による職員のために、住民票の書き方や所得税に ついてなどの勉強会を実施した。しかし来たのは若手職員だけではなく、部長や課長も参加された。この様なやり方で行えば多くの職員に参加してもらえる。 若手職員はなかなか上に意見が通らない状況があったので、若手職員と市長が直接話をする機会を設けた。 「市民のために何が足らないか」について住民の目線に立って物事を考えれば、おのずと職員は動くのではないか。 《銘酒天山》 他の人が取り組んでいない事に対しポジティブに取り組む、様々な困難にぶつかっても頑張る、自分だけではなく周りの人に喜んで欲しいという思い、これら3つの視点が必要。 《むつごろう》 遊び心、余裕を楽しむ心。 メールで公文書添付し送付する際の本文に絵文字を使ってみた。 公民館で夜遅くまで仕事をした3年間がサクセスであった。 《グループ犬》 3時間ぶっ通しでブルームジャズセッションをやろうとの話で盛り上がり、地元のFM、まちづくりの3バカと言われる「ヨソモノ、ワカモノ、バカモノ」を巻 き込み、最終的に長崎街道でのイベントを成功させることが出来た。アイデアを思いついても個人の力のみでは出来ない。組織等の壁を越え、周りを巻き込む大 きな渦巻きを作っていくためには、誰もが楽しむ気持ちが必要である。その気持ちがあれば協力を得る事ができる。これが行政に求められている地域を巻き込ん だまちづくりの原型ではないか。 《有明》 根底にあるのは「現状を何とかしたい」という思いと、住民の視点を大事にする事ではないか。 《カテキン》 50万でも予算があればとの事から「子供の夢を叶えたい」との思いであるプロジェクトを実施した。一度も勝った事がない中学生のバレーボールチームのために有名なバレーボール選手を招き特訓を行った結果、近隣の強いチームに勝つことが出来た。 ちょっとした改善であっても、それを行う事が大きな結果にまとまっていく。 《ノーネーム》 7つの区において4年間をかけ窓口での取扱いを変えた。 窓口に情報コーナーを作ったり、庁内に情報発信を行っている。 営繕関係の業務で、周辺自治体とともに使いやすいソフトを導入。 様々なネットワークを活かし、庁内外の人材を紹介して出前講座を実施した。HACCPを導入した。 「住民を向き良くしたい」との思いがスモールサクセスにつながってきのではないか。 【古川知事】 意外に多かったのは、「楽しもう」とする遊び心だったのではないかと思う。今回参加しているこのメンバーで県庁や市役所を創るとしたらどんな感じになるだろうか。もしかすると全く進まないか、もしくはすごく効率的になるか、どうだろうか。しかし創ってみたいとも思う。 今回の発表を通じて「愉楽」という言葉を思い出した。 2.私のとってのP.188は? 参加された方はいろいろなスモールサクセスを積み重ねていると思うが、最初からそうであったのではないと思う。 県庁の星では、主人公であるエリート公務員が知らないスーパーに研修と称して派遣されたが、本人は企画等の仕事を希望しており、スーパーへの派遣研修に対 して全くやる気がない。その気持ちの象徴がP.22であり、これがこの話のポイントでもある。「アパートの近くのラーメン屋の客が自分のアパートの入り口 をふさいでしまっており、これを見るたびに気持ちもふさいでしまう」。 その後主人公はいろいろな経験を重ね、運命のP.188に繋がっていく。「何気なく周囲の店を見回して息を呑んだ。もしかしたらシャッターが目立つこの商 店街で生き残っているのは凄い店なのかもしれない。行列の出来る店はいつも決まっていた。その人気は何によるのだろう。コンビニの前を通り過ぎアパートに 向かった。いつもの様にアパートの入り口はラーメン店の行列にふさがれていた。最後尾に並んだ」。 主人公はこれまで邪魔だとしか思わなかったラーメン店に、人気の秘密は何であるのかと思い、その秘訣を探るため最後尾に並んだ。 この話の中であなたの作ってくるアイデアには「人がいない」とよく言われていたが、この188ページを境に人が変わっていった。 自分自身の公務員になってからの仕事を振り返って、自分の考え方が変わった転機はなかったか。それを話して欲しい。 今日いらした皆さんは、自分の意志でここに来ているが誰でもできることで はない。 3.仲間を増やそう 公務員になる人は非常にポテンシャルは高いと思っているが、育て方がうまくないのではないかと思う。 今の仕事をやるだけならあんな難しい試験をやる必要はないのでないか。す べて簡単じゃない競争試験で通っている。しかし中途採用が出来るようになって「高校の頃は、同級生のあいつにはかなわないと思っていたが、20年経って中 途で県庁に入ってみると、あいつはくすんで見える。県庁は罪な事をしてませんか。」と時々言われる事がある。これについては問題意識を持っている。 良いものを持っているなら出して欲しいし伸ばして欲しい。今は昔と違って やろうと思えばできるようになってきている。 【1】私のとっての転機は 【2】皆さんのような仲間を増やすにはどうしたらよいか 【3】上記2つの事についての提言をまとめてほしい。 この3点を話し合って報告かつ提言をしてください。 《銘酒天山》 転機ときっかけとなったのは人との出会い。 1出会いは人を変える。 2本音で聞きあい、語り合い。 3逆境はチャンスと捉え、けっして諦めない。 以上3点を古川知事を含め全ての方に提言します。 《はがくれ》 転機は「一皮むけた瞬間」。具体的には企業誘致や阪神大震災の時の対応などが話しに出た。 仲間を増やそうについては、全国の問題意識を持っている職員が勇気を持って行動する。 提言は「人事評価」。人は誰でも誉められたい、認められたいと思っている。是非減点主義を加点主義に変えたい。もう一つは「人事交流」。リボルビング・ドアを開放し、活発な人事交流を行ないたい。 提案としては「スモールサクセス」を「スモールウィン」に変えたい。やはり職員が「ビックピクチャー」を描き、「スモールウィン」を実現していかなかればならないと思う。 《むつごろう》 転機は「選挙」。いろいろな仕事を行なっていくなかで、内と外であまり大 差はないのではないかと思う。他には「自分から学ぼうとする姿勢」などが でた。そこで古川知事に提言したい。 1組織外の仲間の感性や声を大事にする 2インフォーマルな取り組み 3選挙で私たちにとって使いやすい上司を選ぶ 《カテキン》 1非理法権天(楠木正成の言葉) 理屈は思いつきに勝つ、法律は思いつきに勝つ、権力は法律に勝つ、しか し住民の声は全てに勝つ。 2制度ではなく自分自身に壁がある。 3民間企業ではマインドの研修が多いが自治体では少ない。人とのつながりを持つことで仲間を増やすことになる。 以上3点を全国の公務員に伝えたい。 《ノーネーム》 転機は人との出会いや交流。これは人事異動や人事交流によって発生する。 注意を払っていないと、組織の中だけの考え方や価値観に捉われてしまう。 仲間を増やそうについては、今まで出来なかった事に対し、一歩を踏み出 す勇気を持つ事でできるのではないか。 以上を今日ここに来ることができなかった人に贈ります。 《グループ犬》 転機は、 1現場のベテランの方に若い者には負けられないと言われた 2よその部署の先輩に電話でものを頼んでしかられた。 3財政の査定で町長の前で自分の意見を言って通った。 仲間を増やそうは 1全国の研修に参加して視野が広がった。 2自腹で休みを取って勉強会に参加しようとして結局止めて後悔した 提言 タテ:世代間のプロ意識の伝承 ヨコ:役所以外の人と自分の顔で会う。 タテヨコの関係は、顔と顔を合わせるコミュニケーションによって行なう。 提言先は上司ではなく、公務員以外を含めてお聞きの方一人一人に。 《平の会》 SNSなどを使って志が同じである仲間を増やす。 提言 1自分の中で考え、同じ過ちを起こさない。 2どんなときにモチベーションが上がるかと考えると、認められるためには 相手を認めることではないかと思う。 3適材適所の人事配置 先の2つは皆さんに、3つ目はトップの皆さんに。 《有明》 転機は2点 1介護保険等の仕事 2CSO、市民活動をやりましょう。 すべての行政職員に。 【古川知事】 人と交流することが共通点ではないか。 外の人たちと接触することで自分を見つめよう。 佐賀県ではCSO活動をしましょう、という運動をしている。 『下流社会』という本があるが、何が上流で何が下流か、いわゆる上流の人が幸せを感じるのは人と一緒に成功を共有したとき、芸術で心をふるわせた、というケースが大きい。そういう経験をした人の子供に伝わった。 一方で下流という人の特長は、一人でいるときが幸せ、という答えが多か った。 人と一緒に何かをやることに喜びを感じる人は、我が国や地域にとって非 常に必要ではないかと感じた。 最後にグループ毎にそれぞれ自己紹介を行なってください。今日参加して いなければ会う事がなかったかもしれない。是非同じグループのメンバーの 名前だけでも覚えて帰ってください。 貴重な2時間をご一緒して頂きありがとうございました。 ○最後に(有志の会) 公務員を叩いて世の中が良くなるならばいいが、我々が元気になることでより良い政策を打ち出せるようにして、脱お役所仕事の取組の火種をつなげていきたい。 ぜひ福岡では400人を目標にしたい。   ○オフ会開催案内文 「自治体職員有志の会」佐賀オフ会のご案内 「モノ言わぬ公務員」から「良いことを言い実行する公務員」 への脱皮を目指す全国の自治体職員 VS. 古川 康 佐賀県知事 (佐賀大学経済学部 中西一氏講演含) 自治体及び自治体職員を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。自治体職員も住民から支持されることはもとより、さらに「なりたい自治体」「やりたい仕事」「なりたい自治体職員」を自らキャリアデザインすることが必要な時代となりました。この共通した課題を考えていくために全国の自治体職員有志が集まり、「自治体職員有志の会」が設立され、「自治体首長を招いたオフ会・シンポジウム開催」「メーリングリストによる意見交換」などを通じて、課題整理と改革提言活動、日常の業務の改革・改善を行っています。 このように、意見交換をさらに発展させ、自治体職員のキャリアデザインを可能とする制度改革などへの提言につなげていくため、オープンな意見交換の場として自治体首長、学識者等を招いて、シンポジウムやオフ会を開催していますが、平成15年6月にスタートしたオフ会は、今回の佐賀で9回目。これまで、森高浜市長(愛知県)、白井尼崎市長(兵庫県)、後藤臼杵市長(大分県)、穂坂志木市長(埼玉県)、逢坂ニセコ町長(北海道)、浅野宮城県知事、橋本高知県知事、清原三鷹市長(東京都)を講師にお迎えしています。 日 時:2006年2月24日(金)13:45受付開始 14:00―15:20 中西 一 佐賀大学経済学部助教授 「市民社会の風通しを良くする試み」 15:30-16:00 古川 康 佐賀県知事 「佐賀ナウ」 16:00-17:30 意見交換(質疑応答) 18:00― 懇親会(別会場) 参加者:自治体職員有志の会・佐賀県&佐賀県内市町職員 約50名 会 場 : 佐賀市民活動センター[iスクエアビル]5階大会議室 (佐賀市駅前中央1丁目8-32) ○問い合わせ先 有志の会: 秋吉 誠(***-*****-*****) 【山路栄一(****-*****-*****)大島博文(****-*****-*****)】  
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自治体職員を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。変化の時代に危機感ばかり持っていても前に進みません。個人個人が主体的に、自らがどのようなキャリアを形成したいかを認識し、自らがデザインして、「やりたい仕事」「なりたい公務員」を実現することをお互いに考えていきましょう。 その生き方を実現する、人事・組織・給与・研修・勤務体系についても考えて、積極的に提言を行っていきましょう。「モノ言わぬ公務員」から「良いことを言い実行する公務員」に脱皮しましょう。 現在この自治体職員有志の会は、YAHOO e-GROUP のメーリングリスト機能を利用し議論を行うほか、多様な場を設けて活動しています。御参加頂ける方はYAHOO e-GROUPには登録が必要となります。詳しくは入会手続をご覧ください。 ただいま、ここは応援運用中。有志の会のオフィシャルページは⇒こちら
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2 基調講演/後 房雄(名古屋大学教授) 自治体の再生は可能か -マニフェスト、行政評価、NPO 今日のタイトルの後半は行政職員像ですが、私の話は前半の自治体改革を中心に、自治体の再生は可能かというテーマで進めていきたいと思います。副題は、当初の戦略経営というのをあえて少々変えて、もうひとつマニフェストをいれたほうがいいのかなと思い、自治体改革の手段としてのマニフェスト、行政評価、そしてNPOというこの3つの視点で話をします。 私の専門は、政治学、行政学だが、現実政治へのかかわりは、90年代初頭の政治改革、小選挙区制の導入からだ。小選挙区制での総選挙はこれまで3回あったが、小選挙区制は、当初、導入過程での議論が十分なされなかったために、制度の意義がなかなか理解されなかった。昨年11月総選挙でマニフェストという道具を得て、ようやく有権者の政権選択の機会を保障するという本来の趣旨が理解されるようになってきた。 小選挙区制についての解説の中でも、ほとんどのマスコミは、小選挙区の導入で、選挙区が小さくなることから、人柄で選ぶべきだというような俗説を振りまいていた。人柄のいい議員が500人集まったとして、いったい何をするのか全くわからない、白紙委任になってしまう。 そうではなく、マニフェストを掲げている複数の政党のうちのどれに4年間の政権を委ねるかを、小選挙区のどの政党の候補を選ぶかを通して選択する、政権選択が制度の趣旨だ。そして、その政権の実績は、マニフェストに照らして4年後に検証される。 制度の趣旨と実態がずれるということはよくあることだが、制度の導入を経て10年でようやく当初の意図した方向に向かうようになった。当初から政権選択という議論をしてきた者として感慨深い。 こうした展開になった起点は、昨年1月ごろだったか、四日市のシンポジウムで北川前三重県知事から出された、ローカルマニフェストの提唱だった。それが、春の一斉地方選挙の首長選挙で広まり、11月のマニフェスト総選挙につながった。もともと首長選挙は、定数1の小選挙区制ともいえ、もっともわかりやすい政権選択の制度だったが、それが実質化しはじめている。 社会活動としては、もう一つ、市民フォーラム21・NPOセンターの代表理事を97年の設立以来務めている。 98年にできたNPO法に基づくNPO法人は、現在までに2万近くになっている。それぞれ1万数千の社団法人、財団法人、社会福祉法人などよりも、数としては多くなった。 しかし、組織や財政基盤などをみると、自治体改革の本当のパートナーとしてはまだ不十分な存在だ。これからが本番。 このため、NPOセンターとしても、NPOの普及啓発に加えて、最低限、有給職員を雇用できるような事業型NPOの育成をNPO支援の中軸にすえている。自治体の事業を受託することも重視している。 市民フォーラム自体は昨年の決算で言うと7200万の収入で、常勤職員7名、パート10名程度の組織になっている。介護NPOの世界以外では、この規模の事業型のNPOは、あまりない。事業型NPOのモデルを実例として見せることもNPOセンターの役目として重要だと思っている。 要するに、零細企業の経営者のようなことを、ここ数年やっている。NPOの体験であるとともに、自治体改革を経営、公共経営、NPMの発想から見ていくうえでも非常にいい経験だったと思っている。 NPOと自治体の関係で言えば、新日鉄の立地する東海市という財政的に豊かな市の、第五次の総合計画を市民フォーラムとして受託して作成過程に深くかかわった経験が大きい。 青森県の政策マーケティングに習い、市町村レベルでまちづくり指標を作成する試みを行った。この東海市での経験は、行政評価を使った戦略経営を目指すものである。 以上のような経験を前提にしながら、マニフェスト、行政評価、NPOという3つの関連する話題を中心に話していきたい。最初に資料の紹介をしたい。 本日のゲストでもある穂坂志木市市長の話、東海市のまちづくり指標など、内容の詳しくは既存の書籍等を御覧いただきたい。 98年に始まったイギリスの政府とNPOとの間のコンパクト(協約)を元にして、愛知県で策定した愛知県とNPOとが共同署名した「あいち協働ルールブック2004」を配布させてもらった。愛知県は、全職員に配布したそうである。 まず、自治体改革の中で、マニフェスト、戦略経営、NPOがなぜ有力なツールなのか?「自治体のマネジメントは生徒会に毛の生えたようなものだ」という穂坂市長の発言は我意を得たりと思った。いろいろな改革をしている穂坂市長の原点にある発想だと思う。要するに税金を集めて、市民のためになることをやっているということなのに、何のために作ったのか良くわからない組織になっている。新しいことが非常にやりにくい。穂坂市長がのこのような発想が改革のためには不可欠だ。 ただ、首長がひとりで乗り込んでもなかなか改革はできるものではない。雰囲気や風土は、なかなか変えられない。 しかし、市長は4年間の政権の付託を受けた存在で、4年間は任せるべき。だめならば次の選挙で落選させればよいのだから、まわりからしばられて制約を受けてやりたいこともできないというのはおかしい。 首長の指導力を強化する有力なツールが小選挙区制でありマニフェストだ。小選挙区制は爆弾のような制度である。使いこなせれば、かなりの破壊力がある。しかし、それが理解されてこなかった。人柄で選ぶ選挙だと言われたりしてきた。 カナダでは、政権交代が起きたときに、与党が一回の選挙で2議席にまでになってしまった例がある。一回一回がご破算となる。前回、2議席でも、きちんと候補を立てれば、次に一回で政権が取れる可能性もある。 これまでの日本の選挙では、事前に自民党政権だということが決まっていて、有権者は政権選択権を事実上奪われていた。そこでしかたなく、身近な交通事故の処理や就職斡旋を頼める「先生」を身近に確保するために使ったりしていたわけだ。 しかし、有権者として、何10兆もの予算について議会に白紙委任を与えていいのか。 ローカルマニフェストというのは、北川さんが自分では掲げずに、他の知事が掲げたという経緯がある。北川さんは、2回選挙に出たが、マニフェストは出していない。 その代わりに、岩手の増田さんなどが、マニフェストを掲げた。 三重県から始まった行政評価システムは、マニフェストと結びついてはじめて完成するものなので、三重の事例は画竜点睛を欠くともいえる。 マニフェスト運動は21世紀臨調がかなり意図的に仕掛けたもので、11月の選挙はうまい具合にマニフェスト選挙になった。マニフェスト選挙を経て、ようやく次に政権交代という段階になった。 選挙で何を選ぶのか?いい人を選ぶのは、白紙委任にしかならない。 政党を選ぶというのは比例代表制で、これは政党への包括委任となる制度。小選挙区制は政権選択であり、マニフェストは政権が4年間に何をするのか事前に示すもの。物を買うときに、ブラックボックスなのは福袋くらいのもの、事前に品質を確かめるように、政権の中身を検証可能なようにして示してもらう必要がある。 決定的なのは、政権選択。有権者からすれば、その政権に何をさせるかがポイント。政権選択権こそが民主主義の核心だが、戦後の日本では民主主義の制度はできていたが、民主主義の核心である政権を選べたことがなかった。自民党以外の選択肢がなかった。 現在、民主主義をさらに民主化することが必要となっている。つまり、政権交代の機能しない民主主義から「政権交代のある民主主義」への転換だ。 ようやく今回の総選挙は、政権選択ができるということを示したもので、有権者が考えて投票する必要が出てくる。 自治体の首長は行政の代表者で、中立であるべきだとみられてきたが、実は政治家だ。選挙で選ばれた政治家は党派的であって当然で、政治家は中立ではない。思いっきり、党派的だ。行政職員は当然中立が求められる。 その党派的であるべき首長が中立的な行政組織のなかに埋もれてしまう事が多く、有権者がコントロールできなくなっている。政権選択選挙を可能にすることで有権者が首長をコントロールできるようになる。 また、このプロセスを経た首長であるからこそ、行政や議会に対して指導力を発揮できる。有権者にマニフェストを理解してもらったうえで信任をもらい、多数の有権者に縛ってもらえばもらうほど、行政組織に対して強い指導力を発揮することができる。マニフェストを実行するための指導に誰も抵抗する正当性はないからだ。 有権者にとっても、首長にとっても、マニフェストは、一番の武器になる。 さらにマニフェストは、行政評価の最大の基準にもなる。日本では行政評価といえば事務事業評価と一致してしまっている。これは三重県の功罪双方あるが、むしろ真似したほうが悪いのかもしれない。三重県は、職員の意識改革のために事務事業評価から始めただけで、その後政策推進システムにまで展開させている。 まねしてはじめたところは、事務事業評価を止めようとしている自治体も出てきている。これは、やる手間の割に価値がないからだ。 ある政令市の事務事業評価の外部委員を私の妻がしている。外部委員に2次評価させるという評価システムだが、これは行政評価といえるのか? 外部評価をもとに予算を削減する梃子としての仕組みとしてはわかるが、外部の人間が15分ほど担当職員からヒアリングして評価ができるだろうか。さらに、事務事業はそれぞれを個別に見ても、よいものかわるいものかは判断しようがない。上位の施策、政策に貢献しているかという基準でしか、評価できないはずだ。ところが、一番上位にあるはずの総合計画はお飾りだから、要するに行政評価の基準自体がなかったわけだ。 三重の場合も、マニフェストがないままに、事務事業評価、政策評価のシステムを作っていった。一応は、総合計画があるが、それが何を根拠につくられたのか良くわからないし、責任も取れない。だから、飾っておくだけの存在になってしまう。 本来はマニフェストがあって、それを実現するために総合計画を首長の当選後に作り変えるのが本来の姿で、だからこそ行政評価の起点になる。マニフェストがどれだけ実現しているかこそが行政評価のポイントでなければおかしい。 最後に東海市のまちづくり指標を紹介したい。 これは、事務事業評価ばかりがはやっているので、もう一つのやり方、ベンチマーク型、社会指標型で作ったもので、市民が「市政の通信簿」を作ろうとしたといえる。 6グループに分かれた数人ずつの市民に、東海市で生活していて感じている生活課題を自由にいくつでも出してもらう。小中学生や20代の青年などのグループも加えて、これらのグループインタビューをすべて録音して100程度の生活課題に抽出した。それらを目指す方向性、理念がおなじようなものでグループ化したら、7つの方向に分かれることがわかった。これらの方向性にキーワードをつけて、7つのキーワード候補が浮かび上がった。 こうした作業のうえで3500人の住民アンケートを行った。まず、7つのキーワード候補から5つが絞られた。さらに、それぞれのキーワードのもとに集まっている20前後の生活課題から5つずつ重要なものを選んで、合計25の重要課題が決まった。それに、生活課題それぞれの5段階評価で高かったものを13補充して、最終的に38の重要生活課題を選んだ。要するに、これらが改善されることが、東海市がより住みよくなるということになる。 そこで、それぞれの生活課題が改善しているかどうかを数字で把握するために、生活課題一つ当たり、2つか3つの指標を付けて99個のまちづくり指標ができた。これを成果指標として市政の成果を市民が毎年点検評価していくことが可能になった。第5次の総合計画は、まちづくり指標を基本にして、それを実現するための戦略計画として作った。総合計画は議会で全員賛成で可決された。住民ニーズにここまで基礎を置くと誰も反対しようがないのだろう。 ただし、社会指標型の指標では、市以外に、県、国、民間団体などのようなほかの主体や、景気などの外部要因の影響が大きい。それだけに市行政が多様な主体のなかで責任を果たしていくという姿勢になっていく。市民参加や協働の必要性もわかりやすい。 以上の作業はコンサルに委託したのでなく、普通の市民でやってしまった。その方が使い勝手もよいし、親しみもわく。市長がそうした評価の俎上に乗る決断をしたことが決定的に重要だった。 このプロセスを通して協働ということが見えてくる。様々な主体にそれぞれの役割分担値がある。目標達成には、みんながどう協力するかということが自然に必要になる。 NPO向けに、このまちづくり指標に即した形で企画を出してもらうという助成金制度も作った。まちづくり指標を申請にからめることで、NPOにもなるべくなら住民ニーズに応じた活動をしてもらうことを狙っている。 行政職員は地方自治体の間の異動がないので、その組織に根ざすという植物のような存在である。なかなか改革の先頭に立つ首長には出会えないという悩みがあると思う。 一つの方向としては、首長の政治的任命職が拡大すればチャンスが出てくるのではないか。本来、大統領制なのに首長が一人で行政に乗り込むというのは現実的ではない。このような首長を支える自前のスタッフが不可欠だ。こうしたことも含め、今後制度も変わっていくだろうから、日々の皆さんの研鑽が活きる可能性も出てくるのではないか。 「3 事例発表」に続く
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財政が逼迫している自治体から比較的余裕のある自治体が滞納者の債権を買い取り、回収を代行。未回収の場合でも、労役などで補えるシステムを導入します。
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4 パネルディスカッション 「テーマ:自治体改革の戦略と新たな自治体職員像」 ○コーディネーター: 石原 俊彦 関西学院大学産業研究所教授 ○パネリスト(順不同): 穂坂邦夫(埼玉県志木市長) 森貞述(愛知県高浜市長) 白井文(兵庫県尼崎市長) 後藤國利(大分県臼杵市長) 戸崎将宏(千葉県職員) 藤井理香(長崎県国見町職員) ・石原先生:前半は自治体改革の戦略、後段は新たな自治体職員像についてパネルを進めていく。 後教授の講演や3人の抱負を聴いてがんばらなければと思っていたが、4市長は既に盛り上がっているので、大丈夫だろう。 進め方は、まず自治体改革の方向性の新たな戦略について整理する、続いて、激しい環境変化、いい意味で競争関係のある中で、自治体職員はどうするのか、前段の議論とも関連させながら進めていきたい。 私は役所のシステム改革を重視する立場、後先生のようにNPOや市民との協働を重視する立場など戦略の相違があるなかで、自治体職員、NPO、トップ、外部など、今までの経験を共有したい。ただ、住民がハッピーな自治体という到達点は一緒であるが、手法は違う。その意思決定の壁に直面しているのが現場の実情であろう。 ここからこの後の自治体職員のミッション、方向性を探りたい。 まず10分ずつ4市長から取り組みの話を頂く。並び方は、単純に東から西という順番でお願いしたい。 ・穂坂市長: もともと県庁職員、市町村職員、議員、市長として活躍している。 いままでは適当にやればお金が入ってきてやっていればよかった。 都市間競争が激化して、この5年間が正念場になるだろうと思っている。国家構造、行政構造も転換を迫られる。 2006年からは人口減少、消費税1%で2兆円。 大改革が迫られる。ぬるま湯もだいぶ冷えてきた。 4点だけ申し上げたい。 都道府県のあり方も曲がり角にきている。これから道州制の問題もある。広域機能を持つ都道府県が何をすべきか? 補助金から税源へ。都道府県と市町村関係のあり方が課題になってくる。税源委譲は地方6団体の要請もあったが、前途は困難だか進むことを願っている。いまは市町村の重要性が高まっている。 国の職員は知識の切り売りをしているだけで、取り立ててキャリアだからといって優秀だとは限らない。一方で、市町村の職員が一番難しいのは確か。一番大事だと思っている。 そして、地域力の結集が国力である。これはパキスタンのような軍事政権でも共通。 2つめは、自治体という非営利独占的なサービス供給主体の構造も転換が必要であるということ。そこで第二の市役所である市民委員会をつくった。住民も一緒に考える。 民間と違うのは、特殊意見や少数意見の尊重の姿勢が必要なところだが、システムを変えていこうと思っている。 3つ目は、自治体に個性があってよいということだ。今までは護送船団方式、金太郎飴だった。限られた財政では、あれもこれもできない。都市と農村、西と東、寒冷地とそうでないところいろいろある。 地方自治に関する特殊な経歴だけは負けない。行ったりきたりで33年、贖罪の意味もかねて頑張らないといけないと思う。 4つ目としては、そうは言っても首長は一人、役所を変えるのはある時期までは首長であるが、トップダウンには限度がある。改革の原動力は職員、新しい職員、組織をどうかみんなで造っていてほしい。 ・森市長: まず全国各地からきていただいて歓迎申し上げる。 志木市長の話、いつも私が言っていることと同じことが言われているようだ。従来のようにあれもこれもではなく、財政難のなか選択と集中が必要。 政策とは、実際の条例・予算を通して執行してその適否を首長が選挙で問われる、という姿勢で取り組んでいる。 競争に勝ち抜くには、トップダウンで一定のところまで追及するとともに、職員の力をどう引き上げるかが競争上重要、そうでなければ、住民が誇りを持つまち(裏返せば職員がやりがいを持てるまち)を造りだすことはできない。 職員の力、住民の力、住民力があれば、行政の自治体の職員の力が総合力になって、大きなまちづくりができるのではないかとおもう。究極的には、地域の力は住民力である。 協働の機会を数多く持つことが現実にできている。そして、ここにもカリスマ職員がいる。カリスマ性をもったリーダーシップをもつプロフェッショナルが求められ、活躍するようになれば、大きな力を持って来ると思う。 この今日の会場は難儀をしている再開発事業の一区画だが、商業施設ではなく将来を見据えて、専門学校を誘致した。計画を変えること、あえて変化を恐れずに挑戦した結果だ。こうしたチャレンジによる無限の可能性があるし、自信を持って取り組むべきだ。 今日はせっかくの機会なので、まちの歴史・伝統を知って頂いて、明日からそれぞれの地域でプロフェッショナル、カリスマ職員として羽ばたいて頂ければ、まちも発展することができるのではないか? ・白井市長: 今日を楽しみにしていたが、他の有名な3市長に比べてまだ実績はないもので、プレッシャーを感じている。食事ものどを通らないと思いながらも一緒に来た職員よりも早く昼食を食べ終えた(笑)。 尼崎市は財政難で、財政再建が大命題である。 自分の就任時には、すでに行政内部にNPMの発想があった。個人的には「行政経営」という言葉にひっかかる。効率一辺倒の経営に疑問はあるが、今は「尼崎市を経営してゆく」という視点で取り組んでいる。実際にいろいろなシステムを導入しているが、なかなか苦戦中。悩み相談も兼ねて、以下、個別にお話したい。 まず、「事務事業評価制度」は、平成13年12月に決算とは別に導入した。事務量が多い割に活用されておらず、管理職のなかでも評価は分かれている。 「ネットモニター制度」は比較的うまくいっている制度である。サイレントマジョリティの市民層(特に20代~30代)からの応募を得た。オフ会も開催し、顔の見える関係になった。調査項目の選定から市民にやらせてほしいとの申し出を受け、嬉しく思った。 「YAAるぞ運動(全庁的改革改善運動)は成功事例。初年度である昨年度は、113チーム、計1915人の参加があった。強制ではなかったこと、事務局の盛り上げ上手、ノリが良い組織文化などが成功の秘訣か。市としての自信に繋がる成功体験となった。 「施策評価委員会」は、石原先生が座長を務めてくださっている。評価委員会で最低評価(D)の施策がうまく行っている場合もあれば、評価がAの施策でも議会で修正否決になったものもあり、なかなか難しい。 「パブリックコメント制度」は、導入初年度には19件中9件が「意見なし」だった。市民への情報提供の仕方が今後の課題である。 「即決・プロポーズ大作戦」は、「YAAるぞ運動」同様、福岡市の制度を模倣して始めたが、会議で決めたことでも実践できていないことがある。 「枠配分予算」も、原局の理解が得られにくく、苦戦中である もっとも、これら全ては手段に過ぎない。手段と目的を取り違えないよう目標達成に向かって今後も努力したい。 ・石原: (尼崎市の改革には直接携わっているだけに)この10分は長かった。(笑) 今日は司会だから反論の機会はないので・・。 ・後藤市長:人口3.5万人、合併を進めている。市長はもう2期やっているが、合併を目前にして今後どうするか悩んでいるところである。 資料で用意してきたことと今までの首長の発言には共通することがある。 パブリックサーバントとリーダーシップという題で話したい。 まず、NPMへの違和感がある。パブリックサービスの向上のためにバランスシートを石原先生などのご指導で作り始めた。国は最初はBSなどいらないと言っていたが、東京都の石原知事が誕生したとたん変わってしまった。制度を変えていくことはできるものなのだ。バランスシートはパブリックサービスの成長のためのもの。なのに、いつのまにか評価システム一辺倒になっている。いつのまにか一人歩きをはじめ、数値一辺倒の財政的側面ばかりを見据えるものになった。パブリックサーバントとしての高貴な精神はどこに行ったのか?パブリックマネジメントなのかパブリックサービスをやっているのか基本を問い直すべきだ。管理と奉仕のリーダーシップが求められる。ここで重要になってくるのは、選択と集中、判断と責任である。 ・石原: これからの進め方 戦略について、キーワード、本音をもとに、自治体職員の立場から2人から質問などを。 ・藤井: 効率的ではないところが行政なので、難しい、本来の仕事とはなにか聴きたい。女性の市長さんは当たり前ではないとおもうので、何か感じたことはなにか? ・石原: 効率的でないところを効率的にするのが行政の役割、そのなかで官と民との役割分担になってくるもの、様々な提供手法がある。何をするか何をやるかコメントを。 ・穂坂: 行政の役割は、基礎的自治体においては、一つは、コミュニティの醸成である。もう一つは、一般行政をいかに効率的にしていくか。効率が悪いことではなく、特殊性、少数意見の尊重、社会的弱者の救済は一般行政と区分するもの。業務目的の特性であって ずっといままで同じことをやっているのか?議会に透明性を高めても市民にわからなくては意味がない。みんなで考える時代になったのでは? ・森: 今後の課題として介護保険と支援費の問題がある。「財源」の論点から入れば支援費は大きな境目を迎えているが、「地域福祉」の論点から入れば、いかにして地域社会のなかで高齢者、障害者、子供たちを支えられるかと言う問題であり、「財源」とか「効率」とか言う以前の問題である。 住民の一番身近な生活にスタンスをおいて、住民の方に示す方向を分かっていただき、住民自信で舵をきっていただく。愚直にこれを追求するほかはないと思っている。 ・白井: 民間でできることは民間でやる。行政は縮小の方向にある。ただ、やらなければならないことは常に変化しており、行政も変化し続けなければと感じている。女性市長としては、最初は「女性だから」「若いから」大丈夫かと言われることもあったが、今はあまり聞かなくなった。「女だから」と言われないように心掛けている。 ・後藤: 市民のお役に立つ仕事をする。ニーズがあることをやる。間違ってはならないのは必要なこととわがままの見極め。議会では、多様な要求が出てくる場合がある。命がけで守らなければならない。ともすれば、行政は責任を回避するため、他所でやっているとかマニュアルや先例に従おうとするが、「最も必要なことは何か」を考えることが行政の仕事と思う。 ・石原: ここまでをまとめると「選択」へシフトするということ。選択責任として「誰がする」という問題がある。主権者、パートナーである市民と調整をどうするのかと言う問題。難しい問題だが4人の市長からそれぞれお答えいただいた。 後半は、職員の立場として戸崎さんから問題提起していただきたいと思います。 ・戸崎: 職員に一番発揮してほしい力とは? 市長の想いを職員と共有するための手段は何か?を聞かせていただきたい。 ・後藤: どうしても管理型、権力形に陥りやすい。どのように脱却していくかが最大の課題。権力を超えた威厳を身につけ、住民との信頼関係を築きながら仕事をしてほしい。 ・白井: 何か新しい提案をすると、できない理由ばかり挙げ、できる理由を述べてくれない。また、話をしていても表情のない人が多く、何を考えているのかが分かりにくい。市民との関係でも同じだと思う。もっと熱意とやる気と本気を示してほしい。 信頼関係を築くために、職員との対話研修を積極的に行っている。また、職員の私的な会合やノミニケーションも大切にしており、悩みも素直にぶつけている。メルマガやメールを活用したりして、次第にコミュニケーションも取り易くなった。 ・森: 市民の皆さんのほうが変化に敏感である。変化に対応する力を示してほしい。職員が後向きになればいくらいいことであっても住民に理解してもらえない。首長が考えていることを職員に伝えるため、折に触れて現場に出て行く。 奥の院にいる首長は職員から御しやすい。首長が前に出てくると現場が分からないと言えなくなる。現場に出る事によって住民の考え方や変化を敏感に感じることができる。選択する能力をつけることは、職員にとっても大きな財産になる。 ・穂坂: 職員に求めることは柔軟性と創造性。専門性はあって当たり前。志木市では行政に執行権のあることでも条例化しようとする。一例を挙げると子育て憲章があるが、これは「どのように子育てするか」であって条例化に馴染まない。条例化しようとすると議会への説明も必要となるが、その必要があるのか柔軟性をもって考えてほしい。 透明性の議論についても、理解が得られやすいための道筋がある。専門性で硬直化してしまうのでなく、臨機応変にやって、住民が求めるものを目指してほしい。 職員との情報共有のため、ウィークリー講座を2時間かけてやっているが質問が出ない。もう一回すると質問が出るのかもしれないが・・・。私はノミニケーションはしない。全職員と飲むわけはいかないし、飲みに行けなかった人は寂しく思う。 ・石原: 首長から見た自治体職員像を聞かせてもらった。ここからはフロアの皆さんから自治体職員のキャリアデザインや、お役所仕事を脱却していくにはどうしたらよいか?など質問をいただきたい。 ・竹内(泉大津市): 地方自治体の政策評価と国の政策評価が違うという話があるが、中央省庁との違いについて教えてほしい。 ・穂坂: 国と都道府県、都道府県と市町村、全く違うものと考えるべき。はっきり分類したうえで、何処をどのように変えて行くか考えることが重要。 ・井上(長崎県): 白井市長さんから「熱意を見せてほしい」との話があったが、「なるべくしてなった」という面もある。その原因分析と今後の対策を聞かせてほしい。 ・後藤: 「お役所仕事として甘えていた」と言うことにつきる。 禅に「回向顕正」と言う言葉がある。ある人がよいレストランを作ろうとして、調査し、お金も貯めた。材料もそろえ良いシェフを集めた。いざ店を開こうとしたところ、何が一番得意かと聞かれ困ったという話がある。人は、「何をしたいか」を忘れてしまうことが往々にしてある。役所に入ったころの志を思い出してほしい。 ・白井: 今迄どおりやっていた方が楽な組織だから、それが骨身に染みている。上司から評価されることも少なかったのではないか。良いところは褒め、悪い所は注意することが大事。自分を磨こうという気持ちになって来なかったことが問題。 頑張って成功すると、「ああ、頑張ってよかったな」と感じるものだ。自分で自分を褒めてあげたいと思うような体験を積んでほしい。成功は自信につながる。 ・多田(群馬県): 職員採用が法律分野に偏っている。何故、経済やマーケティング等の採用を増やさないのか? 職員採用についてどのような工夫をしているか? ・若林(三重県): これからの県の役割は? これから進むべき道は? また今の県に欠けているものは? ・星乃(大阪市): 「熱意をもって取り組みたい」と思っているが、なかなか伝わらない。新しいことに取り組むにはチャレンジがいるしリスクも伴う。リスクについての考えはどうか? ・松迫(西宮市): 行政評価や事業評価において、原課は無難なものを出しがちである。本音の評価を探り出すのにどういう努力をしているか? ・星野(川崎市): 専門性が高まるなかで雇用のあり方をどう考えるか? プロの職員の採用については? 幹部職員の人事に関する適材適所の要諦は? ・森: 職員採用に関しては、年齢制限枠を拡大して、経験重視の考え方をとっている。民間人を面接に取り入れ、民間人の意見と役所側の意見とを総合して検討している。専門職は保健師などがあるが、社会で豊富な経験を積まれた方をどのように加味していくかによって見えてくるのではないかと考える。また、キャリアアップのための機会は多く与えるが、チャンスをつかむのは本人次第。 県には優秀な人材が集まっているが新しい課題に挑戦しなくなっている。減点主義。力があっても発揮できない。分権の時代のなかで地域社会にフィードバックする活動をしてほしい。 リスクは首長が取ればよい。リスクに対し前向きになり、失敗を恐れない、変化を恐れないという姿勢を示せばトライできるようになる。 ・白井: 市民の視点で評価することが重要。その評価を見て市民がどのように感じるのかを念頭におく必要がある。評価を公表していく事によって意識が変わってくる。 ・石原: 現行制度に対する不満も多かったようだが、結びとして、会員の代表二人に今後のキャリアデザインをどのように考えていくのか、どう思ったのかなどの感想をいただき、それに対するエールなどを4人の市長からいただきたい。 ・藤井: 首長さんが現場をしっかり把握しておられるので、私達もしっかりしなければならない。また、社会に敏感になって努力し続けることが必要だと感じた。 ・戸崎: 都道府県のポテンシャルを生かしていきたいと思う。また、やる気が出せる人事システムを仕事のなかで拡大し、外の市場にも出て行けるよう考えたい。 ・石原: フロアの代表としてお二人から話をお聞きしたが、褒めるのが得意な白井市長から一言づつ励ましのお言葉をいただきたい。 ・白井: 尼崎市は財政再建団体転落回避のために取り組んでいるが、財政再建団体になってもいいじゃないかという職員もいる。精一杯ならないように取り組みましょうと声をかけている。一人では何もできないことを思い知った1年8ヶ月だった。変化を起こすことの大変さは良くわかっているが、変化はいつも一人から始まるものだ。皆様が最初の一人になり、また、仲間を助けてあげて欲しい。評論家の時代は終わった。出来ることから行動に踏み出してほしい。共に頑張りましょう。 ・森: 21世紀の早い時期に住民自治の時代がやってくる。その時、黒子になっていただけるのが皆さん。山路さんからmailをいただき、その誘いに乗った。乗って私は幸せだった。なにより仲間ができた。住民自治にとって皆さんがどれだけ大きな力を発揮するか、期待で一杯である。 ・穂坂: 志木市では特区構想も出した。トップがやる気を示せばよい。やればできる。 昔はそんなこと言っても仕方がない状況だった。出来なくてもあきらめないということが大切。 職員にプロの専門性は必要ない。高校か大学程度の知識を持っていれば十分。後は専門家か学者に任せればよい。 国でなければできないことは国、都道府県でなければならないことは都道府県、後は全部市町村に渡してしまえばよい。そのように考えれば、やるべきことが見えてくる。 今迄は思考停止の状況だった。時代は地方を認めざるを得ない状況になってきている。 ・後藤: 御用聞きができるようになれば自ずから解決する。実践することが重要。小さなことから一歩づつやって行く。皆でやりましょう。 今日この場所に180名が集まった。凄いことだ。こんなに熱心に聴いていただけて大変幸せだ。 ・石原: 有難うございました。以上で終了させていただきます。 今回のシンポジウムのアウトプットがどういうアウトカムに繋がるか、有志の会の皆様で考えていただきたいと思います。
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地方自治体の首長、議員 原発推進派 高橋はるみ(北海道知事) 牧野浩臣 (北海道・泊村村長) 三村申吾 (青森県知事) 石原慎太郎(東京都知事) 川勝平太(静岡県知事)(311後、脱原発に転向か?) 佐藤雄平(福島県知事) 村井嘉浩(宮城県知事) 石原茂雄(静岡県・御前崎市長) 河瀬一治 (福井県・敦賀市長) 湯崎英彦(広島県知事) 古川康 (佐賀県知事) 岸本英雄(佐賀県・玄海町町長) 原発容認派 橋下徹(大阪府知事)(事故後脱原発に転向) 西川一誠(福井県知事)(安全重視ではあるが、脱原発というわけではない) 脱原発派 工藤壽樹(北海道・函館市長) 佐藤栄佐久(前 福島県知事) 桜井勝延(福島県・南相馬市長) 鈴木和夫(福島県・白河市長) 馬場有 (福島県・浪江町長) 保坂展人(東京都・世田谷区長、元社民党衆議院議員) 黒岩祐治(神奈川県知事) 嘉田由紀子(滋賀県知事) 鈴木健一(三重県・伊勢市長) 河村たかし(愛知県・名古屋市長) 吉村美栄子(山形県知事) 橋下徹 (大阪府知事)(事故後脱原発に転向) 平松邦夫(大阪府・大阪市長) 川勝平太(静岡県知事)(311後、脱原発に転向か?) 鈴木康友(静岡県・浜松市長) 仲川元庸(奈良県・奈良市長) 矢田立郎(兵庫県・神戸市長) 稲村和美(兵庫県・尼崎市長) 中川智子(兵庫県・宝塚市長) 酒井隆明(兵庫県・篠山市長) 松井一実(広島県・広島市長) 二井関成(山口県知事) 野辺修光(宮崎県・串間市長) 渋谷俊彦(鹿児島県・出水市長) (曖昧で分類できない人は両方に記載)
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札幌市 江別市 恵庭市 千歳市 北広島市 石狩市 岩見沢市 美唄市
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第3回自治体職員有志の会シンポジウム 日 時:平成18年8月19日(土)13 00~17 15 場 所:福岡市「NTT夢天神ホール」 司 会:栗山 勝典(久留米市) 1.開会挨拶 山路 栄一 2.活動報告 「100年後にも誇りに思える元気な山形県」づくり 齋藤弘山形県知事 (自治体職員有志の会会員) 横浜に改革の火種を! (横浜火種の会のメンバー) なぜ、自主的に活動するのか(ナウ・フォー・フューチャー) 3.基調講演 発表者:木佐 茂男(九州大学大学院法学研究院) 「あなたは変革の担い手となりえるのか? -今、自治体の危機を考える」 4.パネルディスカッション 「地域から日本を変えよう!~自治体職員が住民とともに~」 <自治体職員へのエールをこめて、首長からの自治体職員と行政への発題> <自治体職員の目線で、自治体運営や自治体のあり方について考える~首長への質問> <首長として、職員に対する「思い」> <会場からの質問> 5.閉会挨拶 秋吉 誠 シンポジウムの開催案内(PDFファイル)   ■ 開会あいさつ~開催趣旨,有志の会の活動 自治体職員有志の会発起人&地域世話人の一人 山路 栄一(三重県) 本日、ボランティアで参加いただく、出演者すべての人に感謝申し上げたい。 今年で3回目になる自治体職員有志の会のシンポジウムは、一昨年は愛知県高浜市で、昨年は兵庫県西宮市で、約200人、約300人の参加をいただいた。昨年の挨拶で私は、「来年は東京で400人の参加で開催したい」と申し上げたが、考えてみればこのシンポジウムは人数集めが目的ではない。変革というものは都人はやらず、辺境の地からということもあり、九州、福岡の地で開催させていただくことになった。九州の一大中心都市である福岡を辺境の地というのもはなはだ失礼な話だが、鄙の論理にこだわったとご理解いただきたい。 自治体職員有志の会はいまでこそ、全国47都道府県に500人弱の会員がいる。それなりに知られるようになってきているが、4年前に発足したときは、神戸市役所の職員と私たち他の自治体職員あわせても20~30名だった。そのときの問題意識としては、職員のレベルで担当業務、自治体の枠を超えて、議論する場がないということ。そこで、メーリングリスト、ホームページ、あるいは、志に共感できる首長さんをゲストに年に数回オフ会を開催したり、年に一回オープンに今回のようなンポジウムを開催したりして活動している。自治体を取り巻く状況は厳しいが、「北風と太陽」の話の北風という厳しい現実だけでは、本来変革を嫌う職員の意識を変えることはできない。このつらい改革を乗り越えたら、今より3倍すばらしい未来が待っている。つまりビッグ・ピクチャーを示してこそ、日々のスモール・ウィンを達成できる。 また、私たちが運動続けるうえで、心していることは「大同小異」。これは会の活動に理解のある橋本高知県知事にいただいた言葉。反改革派は、「改革しない」という一点で団結するから君たちは「大同小異」でいかなくてはいけないというアドバイスによる。「脱お役所仕事」、「住民本位の地方自治」、目指す頂は同じでもルートは違ってよい。「排除の論理」はとりたくないと思う。 私たちには夢がある。「お役所仕事」という言葉を死語にすること。あるいは、最も効率的な仕事を意味する言葉に変えること。 このシンポジウムがその夢の第一歩になることを祈念し、期待し、そして何より確信している。 本日は、一日大いに議論し、交流していただきたい。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■ 各地の取り組み~活動報告~ (各20分) ● 「100年後にも誇りに思える元気な山形県」づくり 齋藤 弘(山形県知事 自治体職員有志の会会員) 夏の甲子園での日大山形高校がベスト8となったのと同様に、自治体職員有志の会においても、山形県を最後に(笑い)47都道府県全てが揃い、それぞれが元気な活動をしていると言えると思う。 政治の世界では、現職が負ける現象が相次ぎ、重く受け止めている。住民意識には改革疲れ感が広がっているのではないか。「改革の意義には賛同する、しかしあなたは我々に、具体的に何をしてくれるのか」ということを強く求め始めている、その表れではないか。 そこで、やまがた改革では、子ども夢未来指向で「百年後にも誇りに思える元気なふるさと”やまがた”」を理念に定めた。「肩が凝る」はフランス語にない言葉であるが、あるフランス人が勉強して言葉を覚えた時に肩が凝り始めた。すなわち、理念がないと感覚もないということだからである。そして、今を生きる我々が次又は次の次の世代の担い手にベクトルを向け、何をすべきかを考えるべきと考えた。 この基本的な考え方は、未来指向、ゼロベースからの再構築、協治(ガバナンス)であり、「地域力」、「基盤力」、「経済力」の3つの力の相乗効果によって発展させていきたい。 具体的には、県庁自身の改革、市町村との新しい関係、県民主体性発揮であり、上杉鷹山公の「住民は藩のために何ができるかを考えよう」の精神を活かしていきたいと考えている。 改革の成果は、財政の収支尻に端的に現れる。すなわち、財政の硬直化に対して自由度をアップさせるというのが真の命題であり、いかなる改革をしようと最後は財政的な実績を残すことが大事である。この意味で、長野県の田中知事は明確な実績を残したといえる。 目標の明確化として以下の2つがある。 1 プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡 県債収入=元金償還費であり、財政の持続可能な姿の確保となる。将来へのつけ、過去からのつけを減らすことが子ども未来指向には必要。18年度現在、プライマリーバランスの黒字-利払い費=約6億円で、県政史上初めて県債残高が減る見込みである。 2 財政の中期展望の数値目標化 財源確保のため、例えば遊休資産証券化等により複数年に寄与させることも今後検討している。歳出削減の一方、景気雇用面への配慮も怠れない。3年間で200億円節減し、それを景気雇用面へ振り向けることを公約の一つとしているが、昨年度は30億円、今年度は100億円実施、従って来年度は残り70億円の実施予定である。 手段の明確化として以下の2つがある。 1 全事業の義務・非義務への振り分け 義務は圧縮・効率化、非義務はゼロベースから再構築し、選択と集中の観点から男女共同参画、広域経済など4分野に重点を置いた。 人経費圧縮は36億円であり、職員定数の削減効果が大きい。特殊勤務手当ての中の本来業務に当たる部分も見直した。 2 予算還元システム(予算節減のインセンティブ) 自らの努力によって予算節減した場合に、次年度その2分の1だけ自動的に上乗せできる仕組みである。これにより、少しでも財政規律を確保し、もって自律的経営に繋がることを期待している。 知事のリーダーシップよりも職員自らの発想や積極的な取組み、県民の声が大切である。 したがって私(知事)は責任と目標の明確化として、部局長との間でインナーマニュフェストを結び、年度末に評価することになる。 また、個々の職員が今なぜ忙しいのかを全体の中での位置づけを理解することが極めて重要である。 そのため、1年間の予算編成のサイクルを職員全員に周知徹底させた。例えば、予算編成時期になると、これまでは財政課の締切に合わせただけの対応もあった。が、目標の明確化と責任の考えから、秋口に来年度の基本的方針を議会等を通じて県民に明らかにし、10月ごろから早速各部局長らとの具体的考え方、制度設計などを徹底して議論したうえで予算編成に着手してもらう──こうした流れを重視するため、いわゆる「金額がかさむ」ないしは「社会、政治的にも注目される」といった類の事案を中心に「氷山の一角」を査定する「知事査定」と言われるものは全く意味を持たないこととなった。 一方、改革は知事一人で行うものではない。寧ろ、職員が自らが自律的に手掛けてこそ真の姿の改革である。この点、組織経営自体が「頑張った人は報われる」、従って「自ら改革を推進したい」という組織風土になっていなければならない。この点、人事評価システムの構築は重要だ。「普遍的で自律した組織経営」を目指したい。 そのためにも重要なのが県庁の意識改革。その具体的仕掛け、仕組みとして、「県庁いっしん(一心、一新)運動」、「夢未来提案制度」を実施している。 ところで、最後に我々が共通して考えなければならない点を一つ──これば、本格的人口減少社会を迎える今日、男女共同参画は、イデオロギー面ではなく、経済面、換言すれば今後の豊かさの観点から、極めて重要である、という点。すなわち、山形県の人口は、、向こう30年間で122万人から100万人程度まで減少、つれて労働人口も65万人から50万人前後に減少すると見られている。このため、山形県のGDPは4兆円から3兆円に下がることが予想される。そこで、労働力率での男女差を30年かけて均衡化するよう、すなわち男女共にイキイキと働ける環境を整備することにより、実は県内GDPは反対に6兆円へ上昇すると算段することができる。県民1人1人が能力を発揮することで少子高齢化社会を乗り切ることができると考える。 なお、私は1年半前の県知事選挙で掲げたマニュフェストをこのたび自己評価した。全体としては及第点だが、まだまだ本格的に取組まなければならない点が多い。こうあったらいいという忌憚のないご意見を伺いたい。 ● 横浜に改革の火種を! 横浜火種の会(横浜市職員自主研究グループ) 前田 慶美 1 はじめに~「横浜火種物語」~ 私も有志の会の会員であり、いつもMLでみなさんの活発な意見交換を拝見させていただいている。みなさんにお会いできて、とてもうれしく思っている。 「横浜火種物語」ということで、私たち、横浜火種の会の活動内容を報告させていただく。齋藤知事から山形県の改革のお話しがあったが、これからの話も山形県が生んだ名君、上杉鷹山と深い関わりがある。その齋藤知事のすぐ後に話しをさせていただき、これも縁だなあと感慨深い。 2 横浜火種の会とは? 自分たちを庁内NPOと呼んだりもしているが、横浜市役所の改善活動をすすめていくための自主活動グループである。目 的-横浜市職員の意識改革の火種を具体的な取り組みを通して広めること。会 員-原則として職員。しかし、すでに外部会員も参加いただいている。特別に職員であることのこだわりはない。コンセプト-「おもしろく。だけどまじめに。」 自主活動に無理は禁物。できることを、おもしろく、だけどまじめに、続けていくこと大切。一番大事なのは、楽しいと思う活動。楽しんでもらう活動をすること。 3 火種の会のはじめ どうやって会が産声をあげたか。それは、一通のメールが、82名の職員に送られてきたことから。「私たちは上杉鷹山の改革を学んだ。鷹山の改革や思いを理解しているメンバーが継続的な活動を行ったら、横浜市役所を変える大きな原動力になるのは間違いないだろう。」そんな思いのこもったメール。それに呼応したのが、現在の「火種の会」の会員である。 横浜火種の会のその「火種」となったのが、「なせば成るツアー」。童門冬二氏の「小説上杉鷹山」を読むことを宿題に、16年12月に1泊2日で実施。83名、バス2台で片道6時間かけて米沢へ。「なせばなる。なせねばならぬ何事も。ならぬは人のなさぬなりけり。」この鷹山の有名な言葉からツアーの名前をもらう。横浜市役所には、改革が必要だという熱い思いをもった実行委メンバーが手作りでつくりあげたツアー。 4 火種の火種~「なせば成るツアー」~ 対象は、横浜市職員全員。目的は、改革の火種を横浜へ持ちかえること。 小説のなかで、鷹山が冷え切った灰のなかに小さな残り火を見つける。火種は、鷹山の改革の理念に共鳴し、協力した部下のことであり、それぞれが持ち場に散っていき、そこで他の者の胸にも火を付けていく。「その火が改革の火を大きく燃え立たせるだろう」と鷹山は考える。それが、改革の火種である。 コンセプトは、「遊ばせません・休ませません」お昼の時間は15分、買物の時間もなし、バスの中でも休みなし。とにかく鷹山について、改革について学ぶ。相当なハードスケジュールを強行した研修旅行だった。参加費は、もちろん参加者の自腹。ツアー実行委員の頑張りで、2万円という手頃な値段で参加できた。 ツアー終了後に行った、アンケート結果。「ツアーに満足しましたか?」‐満足・やや満足が98%、不満が0%。「改革の火種は持ち帰れましたか?」‐回答者の92%が「改革の火種は持ち帰れた」と答えた。自由意見としては、「自分を見直すよい機会となった」「火種を絶やさないよう、できることから継続したい」などといった、今後それぞれの職場での活動が期待できるような、前向きな意見が寄せられた。 横浜市長に中田が就任してから、私たちは「市民のための市政」を目標に、努力と現状の変革が必要とのメッセージを受け取っている。私たち職員は、「変わる」のではなく「変える」のだと。 このツアーに参加して、横浜市には、こんなにも前向きで、熱い思いを持った先輩方が、本当にたくさんいて、皆がそれぞれに頑張っているんだという事実に、大変感動した。そして、勇気をもらった。何より、あの場所に居合わせる事ができたことは、すごい幸せだと感じた。 なせば成るツアーから横浜火種の会結成までの経緯は、地方自治職員研修 平成17年5月号、6月号にも掲載。ぜひ、ご覧頂きたい。 5 火種の会の活動方針 1改革を志す人たちの火種を絶やさないこと 2火種を増やすこと 3火種を持つ人たちの緩やかなネットワークを築くこと。 これを、おもしろくて元気の出る様々な仕掛けを通して実現していこう! 「おもしろく」、だけど「まじめに」、「できること」を「できる範囲で」無理しないこと、人と人との温かい心の交流を大切にする。こんな事を考えながら、活動を行っている。 6 火種の会の活動内容 1意識改革を後押ししてくれるような元気の出る講師を招いての講演会、意見交換会。 2パーティーやツアーなど楽しい、だけど学びのあるイベント。 3他都市の職員グループとの交流。(たくさんの刺激を頂いている。) 4活動ビデオの作製、「火種ニュース」の発行などの広報・普及活動。 5社会を元気にする活動への参加。 7 火種の会の活動報告 1 「ハマリバ収穫祭」での発表・・・横浜市役所の改革事例発表会「ハマリバ収穫祭」で、なせば成るツアーの展示発表を行った。横浜火種の会が、一番最初に行った活動。それから、改革事例に「火種賞」を授与。ちなみに、「火種賞」の副賞は、豪華「米沢牛」。火種とは切っても切れない縁のある、鷹山改革の地にちなんで。 2 米沢市との交流・・・なせば成るツアーにより、米沢市の皆さまと懇意に。昨年6月「さくらんぼツアー」。休日にも関わらず、米沢市役所の皆さまに、市内をご案内いただいた。本当に親切で優しい方ばかり。活動方針である「人と人との温かい心の交流」の一番の事例。 10月1日に開催された「全国まちづくりフォーラム」では、横浜市長中田が米沢を訪れ、改革について講演。火種の会では、フォーラムの出席、その後の懇親会や翌日まで米沢の方と語り合い、それぞれの改革推進を誓う。 3 札幌市との交流・・・なせば成るツアーについて書かれた「地方自治職員研修」がきっかけで、札幌市市役所改革セミナーで、「なせば成るツアー」と「横浜火種の会」について、話をする。 それがご縁で、冬に、火種の会札幌ツアー。有名な札幌市コールセンターの見学、災害時のコールセンター利用についての学習、意見交換会での議論。歌ったり、おいしい物を沢山頂いたり。とても充実したツアーに。 他の自治体の方とお話することは、市役所の中だけにいると中々見えてこない「外から見た横浜市」を知る、最適な機会。新しい視点に出会えたり、他都市について学ぶ事ができるだけでなく、逆に横浜のことをもっと勉強するきっかけにもなる。 4 「有志の会」との出会い・・・縁が縁を呼ぶとは、こういう事。札幌市の池上さんの紹介で、東京で開催された自治職員体有志の会が主催する「中尾英司氏とのオフサイとミーティング」に参加。ここで、三重県の山路さんと知り合えたことが、今回の活動報告の場に招いていただくきっかけとなる。 人と人とのつながりは、素晴らしい。最初の一歩さえ踏み出せば、そこから、更に更に輪が広がっていく。そこで頂いた元気が、次の日からのパワーにつながっている。 5 市民活動への参加・・・横浜火種の会では、市民活動にも参加。その一つが「ネット社会と子どもたち協議会」。平成16年6月の長崎県佐世保市で起きた小学生による同級生殺害事件。インターネット上のトラブルが事件の一因とされたため、当初はネットの問題が大きく取り上げられた。これを契機に、新たな危険から子どもを守る「市民ネット」が誕生。それが、「ネット社会と子どもたち協議会」。今年2月11日にフォーラムを開催。火種の会のメンバーは、スタッフとして参加し、フォーラムを支えた。こうした市民活動への参加により、ネットワークを広げると共に、市民の方から見た市役所・行政の姿を学んでいる。 6 講演会の実施(市役所内部の業務外研修)・・・昨年夏には、「横浜市改革エンジンフル稼働」の著者の一人であり、横浜火種の会のメンバーである横浜市立大学教授の南学先生の講演会を開催。先月には、上杉鷹山の改革は失敗だったという視点から、御茶ノ水大学の中田邦臣先生の講演会を開催。 どちらも、「おもしろく」だけど「まじめに」を忘れない。集まった皆さんと、熱く語り合う中で、いつも元気をもらう。それが、職場へ戻った際に、エネルギーとなり、また頑張ることができる。 「火種の会」の活動の中でも、一番大切にしていきたいと考えている部分である。 8 最後に~火種の会の目指すもの~ ■ 点から線へ、線から面へ・・・人ひとりの火種を結び、大きな力としていくためのシステムづくり。人は人を呼ぶ。その好循環を、どうやって大きな力として市役所改革につなげられるのか、もっともっと考えていかなければ。 ■ 自主的に、自発的に・・・できること・やりたいことに、自ら進んで取り組める仕組みづくり。 企画を作り、仲間を集めて実施する。それをくるくる回していける仕組みを考えていきたい。火種の会での、こうした楽しい企画作りは、非常に学ぶ事の多い経験。積極的に、参加することが、自分を磨き、育ててもらえる。火種の会は、そんなグループでもある。 ■ 知ってもらう 触れてもらう・・・火種の会会員間の情報共有手法確立と、会から外部への積極的な情報発信の仕組みづくり。他都市の方に、「火種の会の野望」を聞かれたとき、個人的な意見として、「横浜市の中だけでなく、みんなに火種を広めること」と答えた。そのためにも、火種の会について、いかに知ってもらうか考えていかなければ。 まだまだ未熟な点ばかりの横浜火種の会。色々な問題にぶつかり、悩みながらも、楽しい活動を目指して、頑張っている。 このシンポジウムをきっかけに、皆さまとますます交流を深め、そして、火種のネットワークが全国にできたら、とても素適だと思う。 ● なぜ、自主的に活動するのか? Now For Future!!(福岡市職員自主研究グループ) 的野 浩一 NFFは、よりよい市民社会の実現に向けて活動、研究している福岡市役所職員の自主研究グループ。地域活動やボランティア活動を行い、市民と一緒に汗を流したり、シンポジウムや講座の開催、市民団体との交流や、これらの活動の情報を発信したりしている。 設立のきっかけは、九州大学大学院生と共同研究をする研修に参加したメンバーが役所の研修だけでは終わらせたくないと、自主的に研究を始めた。このときのテーマは「コミュニティの自律経営」だったので、いまでも、それに関連する分野が主な研究テーマとなっている。 これまで、一市民として、旧来からある地域コミュニティやNPOの中に入り、活動に参加。この写真は、希薄になった地域コミュニティを活性化しようという取組み。親同志のコミュニケーションの形成をも図っている。 市内NPO の運営にも参加している。事業収入と人が限られているなかで、互いに助け合いながら、根気強く続けられている。やはり、現場に入り一緒に汗を流すことで、熱い思いをもった方々が多いことをナマで感じ取れた。そして、これらの経験は各自の職務においても活かすことになる。予算がない、人がいないといっても、市民活動の現場は、比べものにならない。 また、市民と行政職員が語る場合は、決して本音で語る時は多くなかったように思っていた。そこで、市民と行政職員が本音で語る場として、シンポジウム「合体フォーラム.本音でトーク!はっけよいコミュニティ」を開催した。 パネリストに本音を出させて戦わせようと、市民団体側、行政側とも他県からお呼びした。会場は大いに盛り上がった。 活動を通して、行政職員も市民も「協働」について悩んでいると感じた。よくNPO向けの協働講座があり、また行政職員の研修などでも「協働」が取り上げられているが、市民と行政職員が共に「協働」について考える場とはなってないようで、それなら行政職員も市民も対等な立場で、肩を並べながら会する講座を開催してみようということで、「協働講座」を開催した。 また、大学や高等専門学校との交流の他、各地の組織を訪問したり、意見交換している。 市役所内では、私たちの研究の報告会を行っている。私たちが経験したり、調査した市民活動や、行政の事例等の報告をすることが多いが、新人職員を相手にCMやポスターなど広告を元に、チラシ、キャッチコピーを作る、「プレゼン講座」も開いたことがある。企業の広告はその後の売り上げUPという明確な目標があるため、それに学ぼうというもので、ジャパネットたかたのCMや浜崎あゆみポスターなどを題材にして企画した。 また、NFF以外にも、目的を持った活動で汗を流している他の自治体のグループもあり、交流会もした。個人がグループを結成することで視野が広がるのと同じように、グループどうしが交流すれば、また勉強にもなると考えている。 最後に、自主的な活動の効果について。自主研究で成功した企業の例としては、Googleが挙げられる。googleでは、「エンジニアは就業時間の20%を必ず自主研究にあてなければならない」という規則がある。この自主研究から、さまざまサービスを開発し、市場で大ヒットをさせ、成長していった。多くの企業にも「自主研究制度」がある。それは、既存の業務ばかりに携わると、新しい技術や、時代の変化に触れる機会が少なく、結局ライバル企業や消費者からおいて行かれると多くの企業はわかっているからだ。 「就業時間の20%」についてGoogle創業者の一人ラリー・ページはこういっている。 .「『就業時間の20%』で重要なことは、あなたが上司にNOと言えることだ。これは職場のダイナミックで本当の変化だ。誰もあなたに新しい試みをしてはならないとは言えなくなる。決してあなたが気晴らしを得ることを意味しているのではない」 私自身は、社員が、既存の業務に席をおきながら、部分的に、やる気のある業務に堂々と携われるということに意味があると思っている。最後に、自主研究や自主活動をしたときの収穫を3つのキーワードにまとめてみた。 1 視野が広がるということ 2 組織をまとめる力を養うことができる これは、自主的なグループという必ずしも属さなくてもよい組織なので、ちょっとでもまとまらないとすぐに空中分解してしまう。その中でどうやってグループを運営していくかということになる。いろいろと組織運営についての研究がされているが、やはり、人間として、ちょっとしたメンバーの気持ちの変化などに気が付けるかできないかなどということにかかってくると思う。 3 市民との交わり方の意識が変わるということ 業務として、市民活動に飛び込んでも、組織という鎧をきたままの状態。一個人として、丸腰で交わって、市民活動の苦労や現場の課題が見えてくるもの。 ぜひ、みなさんも自主研究に取り組まれて下さい。そして、ぜひ交流しましょう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■ 基調講演 『あなたは変革の担い手となりえるのか? ― 今、自治体の危機を考える』 木佐 茂男教授(九州大学大学院法学研究院) < 講 演 聴 講 録 > 参加者を代表して、宮崎県野尻町の職員である野口健史が、以下のとおり、基調講演の感想をご報告させていただきます。 今回、福岡で開催ということもあり、初めてこの会のシンポジウムに参加することができ、感激する反面、演題にある『あなたは変革の担い手となりえるのか?』という言葉に多少の戸惑いを覚えながらも、これから自治体職員として、どのような心構えで行政経営に臨んでいくべきか、という自分なりのテーマを設定し聴講しました。 会場はほぼ満席でしたが、開催地である福岡市の職員の参加について、講師より挙手を求められたが、僅かな数でした。私も単独で参加しており同僚は誰も来ていませんでした。 講師からは、「そのようなものですよ。」と説明がありましたが、私も同感でした。 市町村合併問題が一段落し、合併したまち、自立を選択したまちと様々な状況があるようで、現在の流れから行けば、行政組織はますますコンパクトになり、代わってコンビニやその他機関が業務を代行していくでしょうと説明がありました。そのことは想像に難くないが、それを代行する機関としてATMなどを例えられたことには、思わずうなずいてしまった。現在でも臨時職員などにより行政事務が支えられているが、今後ますます加速し、コンビニでアルバイトの高校生がその業務を担うとなると、現在の我々の業務の価値そのものが問われる時代もそう遠くないと納得しました。 続いて、外国の事例を紹介されましたが、日頃不勉強な私にとっては、聞くこと全てが、初めての内容でした。 スイスにおいては、公務員制度そのものがなくなり、市民が交代で業務を担当するというシステムが出来上がっているということで、現在の日本の既成概念を根底から覆す内容でした。まさに住民自治の仕組みが熟成しているんだなぁと、感心することしきりでした。 また、ドイツにおいては、公務員制度はあるものの、優秀な職員養成のための学校があり、卒業できないものは職に就けないという、合理的な仕組みがあることや、議会についても若い世代から、選挙や議会運営に取り組むことが実現しているということでした。 最後に本日の演題である、変革の主体になり得るのか?というテーマについてですが、そもそも西洋では歴史的に見ても、幾度かの市民革命を経て現在の国家を形成しており、日本においては、それほどの革命と呼べるものはなく、官と民といわれるように上意下達の構造が連綿と続いてきているのではないでしょうか? そのような中で、市民主導での改革を求めるのは望み難く、また改革とはそのような趣旨のものでもないと思いました。 それでは、官主導で改革を行うのか?という疑問が沸いて来るのですが、そこに民意が存在し得るのか?そんなことを考えているときに思わずひらめいたのが、“協働”の文字でありました。ごく一部の“変わり者”である我々有志のメンバーが、オセロのように周囲に伝播し黒を白に反していく、各地の住民の中にいる“よそ者、若者、馬鹿者”を筆頭に大きなうねりの中に巻き込んで変革を起こしていく時期に来ているのではないかと、強く感じました。 以上、駆け足での感想になりましたが、このような講演にはやはり自ら時間を作り、足を運び自分の五感で感じ取ることが重要であろうと思いますので、これを読まれた皆様には、ぜひ次回の米沢、またその次の会場でお会いできるまでのお楽しみとして置いておきたいと思います。 ■ パネルディスカッション 『地域から日本を変えよう!~自治体職員が住民と共に~』 【コーディネータ】 小西 砂千夫教授(関西学院大学大学院経済学研究科) 【パネリスト】(順不同) 古川 康(佐賀県知事) 河内山 哲朗(柳井市長) 後藤 國利(臼杵市長) 山崎 栄子(大野城市) 乙丸 法道(久留米市) <自治体職員へのエールをこめて、首長からの自治体職員と行政への発題> 【小西 砂千夫教授:コーディネータ】 木佐先生の基調講演では強い問いかけがあった。 日本の自治の仕組みの中で職員として、現場に対する変革に対してどれくらいの心構えでやっていくか、外国の事例を交えて強く皆さんに訴えられた。 自分たちは、いったいどんなふうに何を変えられるかという問いかけを受けてのパネルディスカッションである。 「自分の職場ではこういうことをやろう」といういろんなお土産を、いろんな形で持って帰ってもらうためにパネリストの方から引き出したい。 それでは、3人の首長から自治体職員に向けてのエールを込めてのご発題をいただきたい。 【河内山 哲朗(柳井市長)】 有志の会の山路さんから、メールマガジンを送ってもらっており、勝手に情報だけいただき申し訳ないが感謝している。また、今回、この場に招かれてありがたいと思っている。 どこの首長も現場をもっているので、そう変わったことをやってきたわけではないが、しかし、柳井市の職員と一緒に仕事をやってきた中で、心がけてきたことが3つある。 1つめは、ベンチャーの精神である。 地方自治体の現場は、あらゆるところで市民とつながりがあるが、意外と現場から発想するのではなくて、今までの中央集権に慣れ親しんだために、市民感覚と違うところで決められたことを仕事としてやってきた感がある。ただ、それが総て悪いわけではないが、より現地・現場で物事を考えるということを心がけている。今合併して1800の市町村があるが、みんなそれぞれの地域によって抱えている問題は違うはずである。その現場で物事を考え、編み出し、新しいことをやろうとする、挑戦する心構え、ベンチャーの精神が首長にも職員にも求められているのではないか。そして、新しいことをはじめよう挑戦しようとした瞬間に、それを邪魔しているものが見えてくる。挑戦しなければ、その課題や邪魔しているものさえ見えてこない。 市長になって14年目になるが、市民から、文句・クレームがあると、どうやったら克服できるか、そういうことを書き留めたノートがもう3冊目になる。時々それを開きながら、常に克服しようということを頭において仕事をしてきた。政府や地方政府もある意味、あまりコロコロ変わることよりも安定性が求められているが、しかしそういうところほどベンチャーの可能性は高い。誰もやってこなかったから新しいことができる。ベンチャーの精神、現場のトラブルを真正面から捉えれば、必ず克服できる。 一例を挙げると、ある親しい人が仕事を休んで住民票をとりにきた。コンビニではないが、どうすれば休んでもらわずに365日、住民票が発行できるかを職員と一緒に考えたがなかなか答えが出ない。そこで、消防署なら24時間365日職員もおり、住民からも身近で受け取りやすい場所であると考え、結果的に消防署で住民票の発行をやっている。やり始める前に、職員が山口県の市町村課(旧地方課)に相談するが、県からは「慎重にやるように」という意見があった。しかし、なんていうことはない。やろうと思えば必ずできる。 ベンチャーの精神があれば、必ずやり遂げることができる。まだまだ克服すべき課題は多いが、そのためには、市長も職員もあきらめない頑固さが必要である。 2つめは、市民自治能力の発揮である。 高度経済成長と共に、自治体の仕事は金がかかるような仕組みになってきた。先進国の中でも、寿司屋に例えれば、松・竹・梅・並の中で全部、松でやってしまっているのは、日本の自治体が最たるもので、工夫次第である部分は梅でも並でもいいものがある。これが行政改革の一つのテーマであると考えている。 もうひとつは、本当は、市民は自治能力をもっており、自らのことは自らでできる力を持っているが、お任せ民主主義と財政が豊かになったお陰で、あんまり努力しなくても、市役所がやってくれるということで進んできてしまったために、市民の自治能力を錆び付かせてしまっているところがある。そういう錆び付いた自治能力を磨いていこう、火を付けていくことで、ずいぶん市の仕事の進め方も変わってくるのではないか。柳井市の場合も例えば、市道整備を市民の手でやってもらっている。提案当初は、市民の方から叱責も頂き、まだ理解されない方もいらっしゃるが、多くの方が理解してくださっている。 資材や機材の借上料は、市税で負担するが、市道整備の労力は市民の方にお願いすることで、市が公共事業で発注するより9.7%くらいのコストで実現でき、今まで、いつも優先順位が低く後回しにされてきた、市民の愚痴の対象、市長から見れば、言い訳の対象だった市道整備が、より安く、早く生活関連道路として整備でき、結果的にかなりの市民のメリットになっている。そういう自治能力に火をつけていくことも現場の中でやるべき努力であると考えている。 3つめは、まちづかいの発想の提唱である。 公共施設(ハコモノ)は、全国的にある程度、整備水準が上がってきている時代である。昔は立派なハコモノを造るというと選挙に勝てたが、今は選挙に落ちる時代である。(笑) これからは市の仕事として、今まで作ってきたハコモノを徹底的に使いこなすノウハウを考える時代に来ているのではないか。具体的には生活習慣病予防や、健康づくりのために、文化ホールをどう活用するかといったことも重要な方策である。まだノウハウとして確立されていないが、今ある公共施設を徹底的に使いこなす、そういう「まちづかいの発想」で挑戦することが大切ではないかと考えている。 【後藤 國利(臼杵市長)】 先ほど木佐先生が「変質者」とおっしゃっていたが、これだけ熱心な、本当になにかをやろうという人がたくさん集まっておられることに心から敬意を表したい。三人いればものが動くという。これだけいればなんでもできるだろうなと思う。 私がまず言いたいこと。「いま頑張らないで、いつ頑張るのか、もっともっと力を出して欲しい」ということ。このエールを送るために今日は来た。改革が今、いろいろなところで行われているが、「戦わない改革」はありえない。戦わないでやさしく改革するということはありえない。 よく行われているのが「お仕事」としての改革。ひとつの方針に基づいて人員削減したり、組織を簡素化したり、「それが改革だ」と思っていたら大間違い。本当の改革は、戦うもの。私は市長なので、議会、時には市民とも戦わなければならないが、さしあたり県、国(総務省)と戦うことをしないと改革はありえない。 今、起きていることは、大変危機的な状況。そのことに気がついている人があまりにも少ない。首長のおそらく80%以上の人は、戦う能力、意思もないし、危機感もない人がほとんど。だが、本当は、我々のまわりはめちゃくちゃに厳しい、危機的な状況にある。 夕張市がこの前「倒産」した。「夕張市はひどいなあ。」「あんなひどいことをしたからああなった」「市民がかわいそう。」「市長50%、職員15%の給料カットでも今後百年たっても回復のめどがたたない。大変だ。」とみんな心配している。これをみなさん、北海道の産炭地のあんなところだからああなったと思っているかもしれないが、夕張市と国の人口、財政規模、負債額を比べると、夕張市は、すべて日本国家の一万分の一のミニチュアモデル。他人事じゃない。国の財政でもこうだ。だから我々も、もっと厳しい状況になっていくことを認識しなければならない。 国の財政よりももっとひどいのは、我々に最も関係があり、「親方」である交付税特別会計。これは財務省と総務省共管の会計だが、痛み方がめちゃくちゃにひどい。どういうことか。夕張市があんなことになった原因は、一時借入金。借金は、返済のめどがたたない架空のお金。それで本年度の予算を補う。今の財政制度では、出納閉鎖期間までに当該年度の予算の調整をすればよいから、その時に翌年度分のお金を借りて当該年度の埋め合わせし、翌年度に付回しをする。それが積もり積もって、夕張市の場合は、普通会計のなかに142億円。そんなことしたら大変だというが、我々の親方である交付税特別会計は、それをずっとやってきている。一年間の入り込み15兆円なのに51兆円(16年度末)一時借入れをしている。とんでもないこと。しかも、借金として表に出てきていない簿外債務である。 簿外債務はそれだけではない。例えば、臼杵市は昨年度、補正予算で、ケーブルテレビを作った。これはわずかなお金が手元にあれば、あとは借金で作っていい、交付税で補填してくれる、ご存知の交付税措置である。これが今までで、どのくらい総額があるのか、だれもわからない。これは措置した総務省が、把握もしていないので発表もしていない。財政統計年報というので拾い出して計算してみると、なんと80兆円。これはどんなことになるのか。交付税総額が年々減って苦しいなかに、過去の事業に対する交付税措置が入っていて、ガンみたいに異常増殖している。これで真水の部分の交付税が減ってくるから、表面上よりはるかに地方自治体は苦しくなっている。 このような苦しい状況のなか、制度改革だと言われている。みなさんに一番注意して欲しいのは、地方制度が悪い、交付税制度が間違っているというわけではないということ。交付税制度は、すごくいい制度と思う。では、何が悪いのか。交付税特別会計がとんでもなく破綻していることが原因。交付税制度の破綻とはちがう。それを本当のガンを手術しないで、制度を変えようとしている。そんなことをしても良くはならず、悪くなるばかり。このことにぜひ気づいて欲しい。 我々は、なにをやらなくてはいけないか。会計制度を変えることだ。今の単年度主義、現金主義は、家庭の家計簿と同じで、へそくりがいくらでもできる。非常にうまみがある、あいまいな制度。政府も変えようとしない。年度末に予算の余りをあれこれ使える予算主義のうまみがなくなるからである。このうまみがある会計を、企業会計、複式簿記に変えないと今の日本は良くならない。 また、それをすると職員の仕事が50%減ると思う。なぜなら、今は、予算を作る、予算を管理するという、外に向かわず、机や、県庁、総務省に向かって仕事をしている。市民を向いての仕事はほとんどないからである。その原因はなぜか。うまみのある予算主義を温存しているため、決定的な悪、不正を防ぐためには、ありとあらゆる名分を講じて予算を作らなくてはいけない、管理しなくてはいけないからだ。それをやってもなおかつ、一時借入金その他の不正が出る。いくら管理しても今の制度のままでは改まらない。 できるだけ早く複式簿記制度に改められるように、臼杵市では、今年度にでも複式簿記のソフトを開発できるようチャレンジしようとしている。ぜひみなさんの協力も得られればありがたい。 【古川 康(佐賀県知事)】 小西先生は少々浮かれた格好をしておられるが、私は「北朝鮮から来たのか?」(爆!)というような格好でこの場に臨んでいるが、これでも真面目にやっている。昔、PKOでカンボジアに行っていたが、10年ぶりにカンボジアを訪れて、前に服を作ってくれた店でそこの息子さんにこの服を作ってもらって、ある人が2ヵ月後にカンボジアに行くということで、頼んで取りに行ってもらって着てきた服である。 PKOで自衛隊の後方支援としてカンボジアに行っていたが、そこで、自衛隊が何をしていたかというと、実際には施設大隊が道路補修をやっていた。しかし、どうも現地の人にとって、この自衛隊の道路工事は不評らしい。そこで、カンボジア語のできる人と一緒に現地へ聞きに行った。やはり不評だった。要するに日本では道路敷は交付税式に言うと、道路は端から端まで舗装しなくてはいけない。そうすると道は暑い。しかし、カンボジアではまだ靴をはいていない人がたくさんいる。人間の足は土の上なら歩ける。最初自衛隊は人がはだしで歩ける部分を考えていなかった。そこで、ある時から人が歩けるスペースを残して舗装することにした。これは、直接現地で声を聞き、現場で判断できるからそんなことが実現できた。これがもしも、財務省がODAに関する基準を設けていたり、国土交通省の「南方等諸国における~~」というような決まりがあると、会計検査があって大変なことになる。(爆) 先日、埼玉のプールで大変痛ましい事故があった。本当に残念でならない。県庁では、翌朝1番に関係課が集まって対策会議がもたれた。これは、私がやれと言い出したことではないことを強調しておきたい。そこで、早速調査に取り掛かったが、発表した後に、ある1つの小学校が、文部科学省の基準を理解しているのか、内容をどうも勘違いしているようで、疑義が出てきた。調査しなおすと間違った答えをしていた学校がたくさん出てきて、そのことを発表した。そうすると、プレスから「県は何してる!」と言われる。 しかし考えてみると、佐賀県は県有財産の管理は徹底できても、市町村におけるものまで全く同じようするには無理がある。それを県にどうこういうのは違うのではないか。まあ、実際、基準が全く無いという点で国の認識は極めて甘かった。 国の基準にしても、プールの衛生基準はあるが、排水口の基準はない。市町村からも問い合わせがあるが、現実に無い。みんな変だと思っている。 記者からの申し入れがあり、申し入れならば本音で話しやすいということもあり、議論していく中で、「基準がない中、すべての施設を全く同じようにするというのは、皆さんが思うほど簡単ではない。」という話をした。そういう話ができたのは、相手が記者であって、会検じゃなかったから。(爆) 「国から通知が来てるじゃないか!」という意見がある、しかし、県の職員はすべての通知を全く同じトーンで処理することに忙殺されているのも事実である。こういう場合、最も必要で大事なことは、自分自身の注意感度を上げなくてはいけないということである。ここに参加している皆さんであれば、きっとこの注意感度を上げたはずである。その上で、改めて国からの通知を読み返してみる。点検をし直してみる。それが現時点で望まれる自分たちのできる最大限のことではないだろうか。そうした議論をしていくと、記者たちも批判はありながらも分かってくれる。また、市町村の人たちが、もしよく理解せずに調査票に記入したのであれば、どういう気持ちで記入したかも知りたいという意見も頂いた。 一つは、こういう事件がある度に思うことは、すべてを全国一律にやれというのであれば、国が直接やるしかない。「国の関与を厳しくしろ。」という意見があるが、私は反対だ。 私はある意味、横暴と考えるが、国の関与を強める方向には賛同できない。こういうことで、国の関与がますます強まる中、それを受け止めていく力、反対に自治を実行していく力が我々自治体には求められているのではないか。 今回、家庭内点数を下げてまで、自費でこういった取り組みに参加している人がたくさんおられるのを見て、正直大変うれしく思っている。 われわれは、ある意味、茨の道かもしれないが、悩みながらも、あるべき方向に向かって、住民満足度の向上と職場における職員の満足度の向上のために一緒に考えていきたい。 <自治体職員の目線で、自治体運営や自治体のあり方について考える~首長への質問> 【小西 砂千夫教授:コーディネータ】 ただいま3人の首長よりご発題があったので、次は二人の自治体職員の方に、フロアに居られる方の目線で、ということになる。今のお話に関係させて、あるいは直接関係しなくてもいいが、自分が自治体の運営や自治体のあり方について考えていることを話していただきたい。 その上で、3人の首長のうちお一人に質問をしていただきたい。 順番は山崎さんから。 【山崎 栄子(大野城市)】 このような機会を頂いたので、少しだけ大野城市のPRを。大野城市は、ここ天神から西鉄電車で約10分ほどの所にあり、面積は約27平方キロメートル、人口約9万3千人を有する、自然が残っていて閑静で住みやすい町。 私からは、普段思っていることや感じていることを中心に、改革の担い手であり、地域の下支えをしている自治体職員像についてお話ししたい。 私は今年の4月に行革関係部署に異動し、その前5年間は人事の部署にいた。その中で、やる気のない職員や心の病気で休む職員を見続けてきた。私はそんな職員に「やる気を出させるにはどうしたらいいのか?」「モチベーションを上げるにはどういう方法があるのか?」といったことを漠然と考えるようになった。 そのような時、2人の尊敬できる方に出会った。その方々が共通して言われていたことは、「傾聴スキル」を身につけなさいということ。人と人のコミュニケーションの基本は、人の話を聞いて、その話しをしている人の思いをきちんと受けとめること。思いが受けとめられたと感じることができれば自己肯定感につながり、また、やる気につながるのではないか。これは職場におけるコミュニケーションや職員のモチベーション維持向上を考えていく上でも重要なことだと思う。 私自身のモチベーションを上げる手段は、チャンスと時間があれば、いろんなところに顔を出すようにしていること。その行動の根本にあるのは、自分自身の視野を広げて、いろんな知識を吸収したいという気持ちが強くあるから。また、巡ってきたチャンスはそこでつかまないと次はない。そういう風なことをやっていると普段出会えないような方との出会いがあり、またその出会いからチャンスが巡ってくるように思う。 会場の方のほとんどは自治体職員だと思いますが、私たち自治体職員の「強み」とは何だと思いますか?私は「現場や住民の思いを反映させた社会のしくみづくり」を、組織の力を借りて、私たち自らの手で行うことができることではないかと考える。 私たち職員は、地域のどこに問題があるか、誰がどんな思いを持っているかということに気づく感性を持つことが必要なのではないか?地域に密着している自治体職員こそ、いろんな人の思いを汲み取れる感性を持ち、常にその感性を磨くことに努力をしなければならない、それが自治体職員の努めであるのではないか。 最後に、私の思う自治体職員としての面白さは、組織や他の方々の力を活かして、自分の実力以上の仕事ができること。このことを勘違いして、傲慢な役所職員に成り下がっている人もいるが、私は、仕事をしていく上で、「大野城市という看板を背負っていなければ、こういう面白い体験はできなかっただろうなぁ」といつも思っている。 私たちは、「いかに住民に喜ばれるか」ということを第一に考えて、仕事をしていきたい、その思いを大事にしていきたい。 それでは古川知事に質問。 私のいる市役所は小さな組織ですが、佐賀県庁では職員数が多く、職員一人一人の顔が見られないと思うが、知事自ら職員の思いを聞く場などお持ちか? 佐賀県ではコンピテンシーモデルを用いて職員の強みを活かした人事制度を構築されているが、知事の思いと職員個人の思いを融合させてベストな行政運営ができるように考えていらっしゃることや実施されていることなどを教えていただきたい。 【古川 康(佐賀県知事)】 知事部局だけで、3500~3600人の職員がいる。当然、全員と話をするのは無理なので、毎月1回4日を定例日に「知事室から」というメールを出している。メインは、職員の意識改革に関連するもので、主にスモールサクセスの紹介等で、お説教型ではない、がんばっていこうと思ってもらえるものを中心にしている。その中で、「案内」ということを本当にわかっているのだろうか、というメールを書いた。つまり、「どうぞこちらです。」と言うと、先に立って自分が歩くべきであり、お客様の後ろを歩いたり、「どうぞ」と言ったきり何もしてくれないことが多い、というようなことを書いた。程なく10人ほどから返事があり、「そうだ」という意見や「もうやってます」という意見、「自分も不思議に思っていた。」という意見をもらった。確かに接遇の研修はやっているが、役所の研修は全く役に立たない、場合によれば研修所の中でしか通用しない、そういう研修成果を職場で実践しにくい、研修で習ったことを職場でやると馬鹿かといわれる雰囲気がある。(爆) そういうやりとりを職員とさせてもらいながら日々色々なことを感じている。 もう一つは、自治体の現場には、2つの現場があって、今そこで何かが起こっている、県民的現場と、職員が実際に働いている現場、特に本庁よりも現場、佐賀県では現地機関と呼んでいるが、そこで職員がどういう環境で仕事をしているか、この4年間で、66~67あるすべての現地機関を廻って話を聞くようにしてきた。そこではもちろん、叱られたり、理解できないと言われたり、色々な話があるが、すばらしい話をいっぱい聞かせてもらっている。 ある保健福祉事務所を訪ねたとき、昼休み消灯している。それもお客様の相談に乗るところ、通られるところを消している。理由は経費節減のためだという、これはおかしい、間違っているんじゃないか。経費節減というのであれば、蛍光灯を省エネタイプにするとか、ESCO事業といってトータルで電気料金を下げる方法とか色んな方策があるはずで、民間ではお客様が通られるところを消灯しているというのはまず考えられない。 こういうことも実際に、現地・現場に足を運んだから感じられたことである。 また、佐賀県は、福岡県のように大きな面積の県ではないので、トップと直接現場で働いている人たちとの距離は短いと感じている。そういう強みを今後、もっと発揮していけると考えている。 【乙丸 法道(久留米市)】 私からは「住民と共に」という部分について自分の体験等を踏まえてお話をさせていただく。 私は今年で入庁10年目になり実際の仕事以外に住民の方々と接するために様々な活動に参加している。その一つにアドベンチャーキャンプ(青少年野外活動リーダー養成事業での取り組み)があり、年に一度一泊二日のキャンプを実施している。今年で18回目を迎え、当初は自治体主導だったのが、今では中心メンバー二十歳前後の高校生、大学生、社会人のボランティアスタッフで構成。 最近地域コミュニティが崩壊していると言われている。これに対し地域コミュニティの再構築の動きが見られるが、既存のコミュニティの再構築は非常に難しいと感じる。しかし地域が活性化しなければ日本の活性化もできないだろうとも思う。従来の地域コミュニティの良さは、考え方が違っても豊富なコミュニケーション機会により、目指すべき将来像への方向性が一致しており、これによって地域の活性化が図られていたことだろう。 アドベンチャーキャンプの成果は若い世代でいろんな話ができたこと。キャンプの卒業生が地域活動のリーダーとして育っていけば、新たなコミュニティのモデルになるだろうと思っている。しかし、実際の地域活動では年配者、有識者が中心に進められており、新たに出てきたこのような組織が地域を担う人材として受け入れられるかが不安。何かやろうとしたとき、どんなにすばらしいことでも少人数では実現することは難しい。しかし今後共感し合える仲間を作ることで、今の取り組みが今後に成果を上げることができると非常に期待している。誰もが住みやすい活気にあふれた町にしたいとみんな思っている。ここに参加された方々一人一人が将来について夢を持って、その夢の実現に向けて何かに取り組んでいただければと思う。 私の体験等をとおして先ほどの疑問も踏まえたところで河内山市長にお尋ねしたい。 今の私たちの組織は、できたばかりで地域として受け入れられているか、根ざしているのかということに不安。 市長当選当時34歳の若い行政のトップとして、地域の中で軋轢があったかと思うが、世代間を超えた融合に向けてどう行動されたのか、考えられたのかお伺いしたい。 【河内山 哲朗(柳井市長)】 コミュニティの崩壊といわれるが、ある意味、力を合わせる必要が無い、なくても大丈夫という地域がある。反対に、コミュニティが今も生き続けているところがある。阪神大震災の後、神戸市が行ったアンケートで、意外にも、「隣近所と仲良くする」という意見が非常に多かった。災害や天災などがそれを教えてくれたのではないか。 34歳で市長になった当時、職員がまず私に気を使ったようである。また、お互いに気を使ったのが議会である。それまでの市長は議会と阿吽の呼吸でやっていたが、私は何度説明を聞いてもそれは違うだろうということで、まずコミュニケーションが取れない。 それでも世の中、年齢差を気にするのは、1年~2年、どんどん新しい問題が出てくる。 お金のない中でどうやって予算を組んでいくのか、介護保険制度をどうしていくか等々、どんどん新しい問題が出てくる。自治体の仕事は何かし終わったらそれで終わりではない。年齢差は関係ない。 自治体組織の仕事は、コミュニティが機能するためには、コミュニティが抱えている問題は何なのかをはっきりさせれば必ず波は超えられる。コミュニティは困っていることがあると、コミュニティは機能し始める。要は「当事者意識」が薄れている。「自分のところは大丈夫か?」という当事者意識があれば、問題発生可能性箇所の発見は役所がやるよりも早い。いつも話しているのは、逆三角形の人口ピラミッドで考えると、市民みんなに当事者意識を持ってもらわないといけない。媚を売るのではなく、女性にもしっかり社会を支えてもらわないといけないし、高齢者も隠居の時代ではない。若者にも一肌脱いでもらわないといけない。そうなると自分は当事者でないと思っている方にも当事者としての意識を持ってもらわないといけない。要するに、人口ピラミッドで考えた場合でも一人称で地域をどうするか、お互いに考えなければならない時代に来ているのである。市民一人一人が当事者意識を持てば、役所が走り回るよりも、よっぽど早くできることがある。 <首長として、職員に対する「思い」> 【小西 砂千夫教授:コーディネータ】 首長として、職員に対する「思い」をひとつだけ聞かせてほしい。職員との関係をどういうふうに持とうとしているか。自分が首長になって職員がどう変化したか。期待する職員のタイプなど。 【河内山 哲朗(柳井市長)】 職員は、実行力はあるが説明力が無い。 「調べます。」と言ってから、時間がかかり、結局「昔からやっています。」という返答。 何故、そうなのか、それをするのかが欠けている。 物事をしようとするとき、オリジナリティと制度がぶつかることを恐れる。 市民から褒められたことの情報は遅れてもいい。トラブル・叱られたことは、市長の耳にいち早く入れてほしい。「市民の声聞き取り票」というものを作ったが、市長から順番に決裁するようになっている。悪いことは早く伝えてほしい。緩急軽重を判断してほしい。 【後藤 國利(臼杵市長)】 市長になって10年になる。10年前に立候補したときの公約は、ただひとつだけ。「市役所を変えます」だった。当時は、情けない市役所と思っていたが、今は、さまざまのことを一緒にやってきて、職員を誇りに思っている。よそと同じではない、よそがやっていないことをやろうとすることにファイトを燃やす職員が増えたからである。 いろいろな成果があるが、バランスシートの作成も臼杵市が初めてだった。入札制度で、6、7年前から予定価格、最低価格の公表をやっている。新しいことをやる職員が増えている。そういう体質に変わってきているということを心強く思っている。 だが、10年もたつと垢が付いてくる。私自身、年もあり動きも鈍る。ホームページのようにいつも更新をしておかないと古びてしまう。絶えず新しいことには、チャレンジしなければいけないと新たな思いを持っている。財政の問題を新しいチャレンジ目標として掲げている。 せっかくなので、先ほどの続きを。交付税措置は「債権」と思う。でも、国は「債権」と言わず、「制度」の産物と言う。自治体は、債務負担行為を起こさせられるが、相手(国)は起こさない。いくら交渉しても債務負担を起こさない。そこで、「債権存在確認行為」というものを全自治体に呼びかけて、どれだけ債権を持っているのかを算出し公表したい。本当のことを知ること、知らされることが改革への危機感を生む。危機感を生まないようにしていることが良くない。これをやるために職員はまた大変だと思うが、複式簿記を財政課のような既存の組織形態ではなく、やる気のある職員のプロジェクトでやりたい。それができる組織に変わってきている。ありがたいと思っている。しかし、日々新た。日々変わっていく。どこまで変わっても際限はない。私がいなくなってもそうあって欲しい。 毎週水曜に「水曜サロン」とうものを開いている。5時45分から7時まで。市長と新人、中堅など、やる気が有る人が集まって、いろいろな話をする。30人から50人集まる。楽しいなと思っている。 【古川 康(佐賀県知事)】 まず第1に説明力を身につけてほしい。OUTPUTではなく、OUTCOMEが大切。 自分が話したことが、相手に届いただろうか、本当に相手が理解したかどうかを考えて説明する力をつけてほしい。 自分が知事になって、書いてあるものを読んで説明するということはしていない。 相手に理解される言葉で、自分で説明する力をまず身につけるようにしてほしい。 <会場からの質問> 【古川 康(佐賀県知事)】 (質問)ポスター貼権・ネーミングライツなどの利用による収入増とセールスの仕方は? (回答) ウイーンに行った人からの発案で、¥1000レンタカーを始めた。佐賀空港を使えば、1日¥1000でレンタカーを使える。ウイーン市内のように何百万人も観光客がいる訳ではないが、これも佐賀空港を使ってもらう一つの取り組み。発端はウイーン! 公用車や公共スペースにポスターを貼ることも歳入を上げる一つの努力の表れであり、所管は、出納局・会計課の仕事になる。とにかく歳入をあげるための努力をしようという意気込みの一つである。 色んなところを廻って、ポスターやネーミングライツをお願いするが、最後は、トップセールスしかないと思う。 【河内山 哲朗(柳井市長)】 (質問)職員であっても地域に出て行く必要があるのでは? (回答) 人によって、得手・不得手があり、無理強いしてはいけないと思っている。ただ、地域の中で何かをやることで、地域の課題解決につながることには是非、参加してほしい。 そういう地域のことに参加しないと、なかなか地域の問題点が分からないし、地域にも溶け込めないといってきている。職員が地域活動と無縁ではいけないと言っている。 【後藤 國利(臼杵市長)】 (質問)財政の厳しさについて、庁内の職員にさえ伝わっていないと感じる。議員にはなおさら伝わっていないだろう。そこで、首長として、議会との付き合い方、正確な情報を伝えるためのスタンスの取り方について、考えを聞きたい。 (回答) 臼杵市の職員については、事務事業評価などで、全職員に共通した認識が以前よりずっとできていると感じる。しかし、議会とは難しい。そこで、毎議会ごとに政策討論会といって、記録をとらずにかなりあからさまに討論する試みを始めている。26人の議員を2つにわけて、財政の問題も話し合う。 また、毎年4月に課長からレポートを提出させているが、今年の課題は、「国が破綻したら、あなたはどうするか」ということだった。そういう話はすぐ議会にも広まるので、議員も、国も市も財政が厳しいということを考えてくれるようになっていると思う。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■ 閉会あいさつ 自治体職員有志の会 福岡シンポ世話人 秋吉 誠(福岡市) 最初は150名ぐらいかなと思っていたら、みるみる増えて200名を超える人に来ていただいき、長時間、ご清聴いただいた。 台風を心配しつつ、昨日、滋賀県と沖縄県の人と6人でプレ懇親会をやった。その間、台風で大丈夫かという問い合わせがあったのは、たったひとり。やって当たり前。そしてやった。また、その居酒屋にいたのも、ぼくらだけ。それだけここにいる人は、「アホ」が集まっているということ。(爆笑) 私は、首長さんとダイレクトにメールのやり取りをして原稿を集めさせていただいたが、自分の市長だったらそんなことできない。非常にありがたいこと。実は、この資料も人吉市で印刷したもの。こちらから送った原稿を編集した。こんなふうにメールを使いながら準備をしていったが、これがものすごく楽しかった。自分の仕事ではなかなかこんなふうにうまくいかない。だがこのメンバーだと、みな「それやるよ。」という感じでポンポンいく。やり手がない面倒な役割である記録も、私がやる、やると言って、調整が大変なくらい。 私は、記録は逆に短くていいと言っている。ここにいない人に、そんなにサービスする必要はない。その分みなさんに「ここにいる感じ」を受けていただきたいと思う。 なぜ、こんなカバンを(首から)提げているのか、気になるだろうから説明しておかなければ(爆笑)。この中にみなさんの会費が入っている。「動く金庫」が今日の私の仕事で、これしか仕事がない(笑)。仕事で何百億も扱ったが、それは紙の上。これは現ナマで、重たい。これはみなさんが身銭を切ってくれたお金である。身銭を切った知識の吸収は、公的な出張とかと格段の差がある。これはとてもすばらしいことと思う。 資料46ページを見ていただくと、日頃、我々自治体有志の会がメーリングリストでやりとりしていることを抜粋して載せている。これは「人事評価」についてまとめている。これは少し美しくなりすぎだが、日頃はバンバン投げて、わけがわからなくなっているものもある。日常、こういったものをやっていて、さまざまな「思い」を集めている。 残念ながら今日はマスコミが来ていない。でも問い合わせはあった。そのなかで、一昨年、昨年との違いは何かと問われ、「変わりません」と答えた。それは困るとマスコミ。でも、当たり前のことを当たり前にやるのは実は大変であるという話をした。このようにマスコミの中では、自治体職員のこの会ような動きというのは、当たり前になっている。しかし、みなさんの周りでは、まだまだ「変わり者」である。問題意識を持って動かれているのは素晴らしいが、時々きつくなる。なんで私だけと思われるかもしれない。そんな時、この有志の会のメーリングリストは、結構元気を与えてくれる。 考えるに、有志の会は、多様な意見を入れながら、自分は必要な人間だと思える「パワーステーション」である。言い換えると元気のお裾分け。意見を交わしながら「明日もやるか」と思えれば、すばらしいことだ思っている。そういうもののひとつとして有志の会が活動できればありがたい。 たくさん質問もあったと思うが、この後の交流会でもまた議論してもらいたい。 みなさん、本当にありがとうございました。 《了》
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新聞論評 新聞論評 2010 新聞論評 20100503 this Page 2010年5月3日 締 切 新聞論評 学籍番号 200814029 氏名 薦田祐介 1.新聞情報 見出し 自治体にクラウド推奨 新聞名 日本経済新聞 朝刊 発行日 2010年5月3日 面数 3面 2.要約 総務省は全国の自治体に業務システムの集約や共同利用を促し、関連経費の大幅な削減を進める。クラウド化で投資を抑えながら業務を効率化し、全国規模でシステム経費の3割削減を目指す。(87文字) 3.論評 企業や自治体にとってIT関連、情報技術関連のインフラ整備というのは大きな経費の一つであり、よりよい技術を求めればきりがなく、どこで頭打ちにするのかということは非常に重要な課題である。この問題の解決策として最近注目されているのがクラウドである。インターネット経由で情報システム機能を利用するため、サーバーをはじめとした大型設備が不要になるため、更新や保守費用などが削減できる。さらにはインターネット上に自分だけのHDDを無料で作り、データを保存できたりとこれからの社会においてクラウドの需要は強まることは間違いないだろう。 クラウドの欠点としてはサーバーがダウンしたときにどうするかということ、データの守秘性というものがあげられる。サーバーがダウンしたときには情報を引き出すことができなくなる。普通データを分散化させることでそのリスクを回避するが、大規模的な災害などに見舞われたときにクラウドが機能しなくなり混乱を来すということがあるかもしれない。また、クラウド特徴であるデータの共有によるデータの守秘性ということも問題になるだろう。(463文字) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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公告に特徴のある自治体 一見、無味乾燥な行旅公告ですが 人間のやることですから、役所にも個性があります <北海道> 北海道檜山郡江差町・・・・M字型に禿げ上がっている 〃 釧路市・・・・獣により食され <東北> 宮城県大崎市・・・・日赤長岡倉庫に安置 福島県会津若松市・・・・所持品ごと埋葬 <関東> 東京都板橋区・・・・適当。生ゴミを出す感覚 〃 豊島区・・・・しっかりと処理 〃 大田区・・・・出し渋りがある。 〃 新宿区・・・・その場で発行 〃 江東区・・・・ゆっくりして逝ってね 千葉県市川市・・・・「人が寝ているが、死んでいるかもしれない。」 神奈川県川崎市・・・・投げやり・いい加減 〃 横浜市・・・・まとめ出し <甲信越> 山梨県富士河口湖町・・・・異常に件数が多い(大半は青木ヶ原樹海での発見) <北陸> <東海> 愛知県岡崎市・・・・遺体発見プロセスが推理小説っぽい 〃 半田市・・・・死体描写が異常に詳細 <近畿> 大阪市東住吉区・・・・脳挫滅 兵庫県神戸市北区・・・・とりあえず火葬 奈良県桜井市・・・・とりあえず火葬 <中国> <四国> <九州・沖縄>