約 374,238 件
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/167.html
——嘘をつくのが下手な者は全てを嘘で塗り固めようとする 嘘をつくのが上手い者は嘘の中に真実を織り込む—— 天海陸が人としての最後の良心を涙と共に流し去ろうとしていた、まさにその時 「 ば く は つ する ーーー!」 叫び声と共に若い男が厨房から転がり出てきた。 男は陸達には目もくれず、更に「火事だー!逃げろー!」と喚きながらNPCの死体の間を入口へと走っていく。 厨房からは乾いた破裂音が響き、ほんの一瞬呆然としていた4人は弾かれたように我に帰る。 まず動いたのはライダーだった。 「逃げよう!」 レストランから脱出してやや離れた場所から様子を伺う。 男の叫び声が響いてから15分ほど経ち、不審に思うには充分すぎる時間が流れた。 「爆発…しなくない?」 重い空気の中で口を開いたのはこなただったが、その疑問は正しく4人で共有するものだった。 「爆発どころか炎も煙も上がらないな…誤報だったのか?」 「でもさっきの人の慌てようは凄かったよね。音もしていたし」 更に突っ込んだ疑問を呈するライダーと応えるこなたの横でセイバーは考えていた。 この突発事態にどう対処するべきかを。 そして、彼は嘘を織り上げる。 「してやられたかもしれないな」 ぽつりと呟いた、そんな風に聞こえるように口火をきる。 「どういうことだセイバー」 「さっきの破裂音、軽すぎたように思えてきてね」 「まあ確かに、爆発というよりは単に何か破裂したような音だったな」 「厨房から音がしたから咄嗟にガス爆発かと思ったけど、ハッタリだったかもしれない」 「ハッタリだと?」 陸はセイバーの真意にはまだ気付いていないながらも上手く話を繋いでくれている。 (これならイケる)そう確信して事実と憶測を紡いでゆく。 「思い出してみれば火事だと騒いだ男も怪しいもんだよ」 「あの男はごくラフな服装だった、従業員の制服やスーツ姿ではなくね。つまり客の1人…それが何故か厨房にいた」 「確かにそうだ。あの時は爆発の危険を重視したから追わなかったが結局爆発は起こらなかった。つまり君はあの男を怪しんでいるんだね?」 「そう、彼いや彼等の目的…いや役割は僕達をあの場から引き離すことだったのかもしれない」 ライダーの反応に手応えを得てより深く切り込んでいく。 「引き離すってどういうことだ?しかも彼等ってことは他にも誰かいたってことか?」 「破裂音だよ。ガス爆発でないとしたら風船か何か、例えば自転車のチューブ辺りを破裂させた奴がいたかもしれない」 「火事だ爆発だと騒いで音まで立ててオレ達をレストランから追いやったってことか…」 「その辺までは間違いないと思ってる。問題は『なぜ』そこまでしたかなんだ」 陸とのやりとりを経、あくまで憶測だと前置いてセイバーは核心たる部分を口にする。 「彼等、いや、彼等を動かしていた奴の目的は遠坂凜の遺体だったのかもしれない」 「遠坂を!?」 「そう、聖杯戦争を知る彼女ならリク、君とは違って何らかの特別な能力を持って可能性はある」 「確かに凜ちゃんは聖杯戦争がどんなものか知っていたみたいだけどさ…」 「敵に襲われた時の対応からも彼女いわば場馴れしているのは分かった。だからその敵が彼女を調べたんじゃないだろうか?」 「実際に火事や爆発を起こさなかったのも調べる時間が欲しかったからだとすれば辻褄は合う」 マスターとしての力量、特殊能力の有無、或いは聖杯戦争そのものについて知りたかったから そう言葉を結ぶと場は沈黙に包まれた。 「あの騒いだ男は敵のマスターかサーヴァントに頼まれたか操られていたんだろうね」 「だとすると凜ちゃんを殺した奴等はNPCを操る能力があるかもしれないのか」 「周りに他にも操られたNPCがいる可能性もあるしな。警戒しながら移動しよう」 今後の方針へと話を向けるサーヴァント達に向かって今まで黙り込んでいたこなたが口を開く。 「あのさ…凜ちゃんの家に行ってみたいんだ…ダメかな?」 「どういうことだい?」 「あたしってさ、聖杯にお願いなんてないけど、強いて言うなら家に帰りたいんだ だから凜ちゃんにも帰りたい家があって会いたい家族や友達がいたんじゃないかなって うまく言えないけどさ、聖杯戦争のことも含めて色々知りたいから、凜ちゃんから教えて貰う代わりにって…やっぱ無理かな」 「俺はいいと思うよ。まあ家探しってことにはなっちゃうけど凜ちゃんに聞く代わりだと思えば、ね。陸くん達はどう?」 よくよく考えた末のものであろう提案を語るこなたと賛同するライダーを横目にセイバーは考える。 (遠坂凜のサーヴァントがマスターの自宅に戻っている可能性があるな…顏を知らないはずとはいえ鉢合わせたら面倒かも) (だけど僕が弱いのはバレているだろうし陸は一般人だと思わせているしここで離脱するのも却って不審かな) そして答える。 「僕も反対はしないけど判断はマスターに任せるよ。ただ敵が既に遠坂凜宅を把握している可能性、 つまり戦闘になることも考えておかないといけないけどね」 「…オレ達も行こう、セイバー。遠坂には悪いが、道具なり日記なり役に立つ物は使わせて貰う」 陸の言葉がこなたに同調したように見せてその実自分達の為の宣言であることを察したセイバーは薄く笑った。 「じゃあ決まりだね。僕とリクも遠坂凜の自宅へ同行するよ」 惜別、悔い、決別、さまざまな感情のこもった一瞥をレストランに向けた4人はやがてゆっくりと歩きだす。 誰かが通報したのか、明けゆく空の下で遠くからパトカーのサイレンが響き始めていた。 ◆ ◆ ◆ 実のところセイバーことイスラ・レヴィノスの推測はほとんどの部分で真実を言い当てている。 『NPCを操って火事と爆発の危険を騒ぎ立て、4人をレストランから引き離す』 『その目的は遠坂凜の遺体』 事実、凜のサーヴァントであるキャスターはNPCを操ってまんまと凜の令呪を右腕ごと手に入れた。 イスラが保身の為についた『やったのは凜を殺した敵』という嘘すら、見殺しという意味では真実となる。 嘘をつくのが上手い者は—— 【深山町・商店街/早朝】 【泉こなた@らき☆すた】 【状態】:左腕に大きな噛みつき傷(治療済)(残令呪使用回数:3) 【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】 【状態】:疲労(小) 【天海陸@ワールドエンブリオ】 [状態]:疲労(小)(残令呪使用回数:3) 【サーヴァント:セイバー(イスラ・レヴィノス)@サモンナイト3】 [状態]:健康、魔力200%
https://w.atwiki.jp/ssfate/pages/1413.html
登場サーヴァント(七つの家で聖杯戦争シリーズ) 第一回(第二次) 周防の大蝦蟇 ★ 静御前 イリヤー・ムーロメツ ハンニバル・バルカ ウールヴヘジン サッフォー ハサン・サッバーハ(獣) 安徳天皇 第二回(第三次) ハドリアヌス(TS) ★ バヤズィト1世 アンナ・イヴァノヴナ 羽柴秀吉(騎) イヴァン4世(狂) デルピュネー ソニー・ビーン 崇徳上皇 バルバトス 第三回(第四次) オルフェウス ★ ジュリアス・シーザー ムーラン(花木蘭) ヒルデブラント クルースニク(A) 高長恭 アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン スキールニル グナエウス・ポンペイウス 李逵 細川忠興 ダユー ドミティアヌス 道場法師 第四回(第五次) 鳥山石燕(佐野豊房) ★ ヴィテゲ スレナス レプロブス パイア(騎) ハイルブロンの怪人 ※赤字はwikiにデータが存在しないサーヴァント ※★は特に出番が多かったサーヴァント(主役鯖など)
https://w.atwiki.jp/fateonsen/pages/197.html
キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 5/19濫造聖杯戦争 【クラス】キャスター 【真名】ドロレス・ヘイズ(「ロリータ」でも可)【小説『ロリータ』より】 【容姿】12歳くらいの可愛らしい女の子 【英雄点】35点(ステ19点・スキル16点):令呪1画消費 【HP】 15/15 【筋力】E:1 1点 【耐久】C:3 3点 【敏捷】A:5 5点 【魔力】A++:7 8点 【幸運】D:2 2点 【スキル1】陣地作成10点 移動フェイズに陣地を作成出来る。 陣地内では魔術攻撃と物理防御と魔術防御と奇襲防御時、補正値5を得る。 また、遠距離攻撃フェイズで受けるダメージを無効にする。 【スキル2】高速神言 5点 魔術攻撃時、補正値5を得る。相手の対魔力を無効にする。 【スキル3】縮地 1点 先手判定時、補正値3を得る 【宝具】『ロリータ、我が命の光』(Lolita, light of my life) 1/1 【ランク・種別】E:対人宝具 【効果】魔術攻撃時、補正値10を得る。 この攻撃でダメージを受けたキャラが男性であった場合、次の先手判定終了まで全ての判定に補正値マイナス3を受ける。 【その他】中立・中庸 人属性 【設定】 日本人女学生「山村佐那子」によって召喚されたサーヴァント。 作家、ウラジーミル・ナボコフによって書かれたアメリカ古典小説『ロリータ』に登場するヒロインであり、現在でも使われる「ロリータ」という言葉の語源となった存在。 今回日本で召喚されたためか、その姿はロリキャラとして有名な某魔法少女マンガの主人公の姿をとっている。 小悪魔かつ性に奔放な性格であったため、他のサーヴァントに色目を使ったり宝具でロリコンにしたりと好き勝手やってたが、最後には戦ったサーヴァントの宝具の作り出した雪の世界に閉じ込められ、原作同様寒冷な環境の中で命尽きることとなった。 聖杯に関してはあまり執着はなく、「たくさんのお菓子とお洋服が欲しい」という他愛のない願いは叶えられなかったものの、この聖杯戦争自体が楽しいイベントであったと述べ、満足した様子で座へと還っていった。
https://w.atwiki.jp/animefate/pages/25.html
● ● ● ――俺は、運命って言葉が嫌いだ。 ● ● ● その日は朝から冷え込みが激しく、道行く人々がみな揃って厚いコートを着込んでいたことを覚えている。 木枯らしが吹きすさび、枯葉が舞い上がりくるくると回りながら俺の肩先を飛んでいく。空は淀み、灰色の雲が天上を覆っている。 誰も彼もすれ違う誰かのことなど気にも掛けることなく、ましてやその心中など想像だにせず歩いている。 そんな雑踏の中、俺は独りで考え事をしながら妹の入院する病院へと歩を進めていた。 俺、高倉冠葉の妹である高倉陽毬は、とある病をその身に抱えている。 現代医学では到底手に負えないと宣言された難病を患いながら、高倉陽毬は笑みを絶やさず暮らしていた。 俺、冠葉と。弟、晶馬と。妹、陽毬と。高倉家の三兄妹は、日常を穏やかに暮らしていた――そのはずだった。 しかしその日常は、三人で遊びに行った水族館で陽毬が倒れたあの日を境に一変してしまった。 目を閉じれば今でも思い出せる。 栗色の髪をばらばらと地面に広げ、力なく倒れた陽毬の姿が瞼の裏にありありと映し出される。 元々色白だった陽毬の肌から生気が抜け、顔は蒼白に染まっていた。 救急車に運ばれる間ずっと握っていた手からだんだんと温もりが消えていき、 代わりに胸の奥から恐怖が沸き上がってきたあのときのことを、俺は一生忘れないだろう。 心電図に映された命の鼓動が、段々と細く、少なくなっていく。 波形が、やがて直線に変わったとき――陽毬は、死んだ。 ああ――ここまでならば、とんだお涙頂戴劇だ。世界にごまんと存在する悲劇の一つに過ぎない。 この物語がその特異性を持つのは、ここからだった。 愛する妹を失った二人の兄が、悲しみの涙を流したそのとき、世界は三人の兄妹に、一つの奇跡をもたらした。 『生存戦略』が、発動したのだ。 死の淵の向こう側から生還した陽毬は、ペンギンの帽子をかぶり、誰ともしれない人格をその身に宿し、俺たちにこう告げた。 ――きっと何者にもなれないお前たちに告げる。ピングドラムを手に入れるのだ。 陽毬の身体を乗っ取ったペンギン帽は、ピングドラムというアイテムを欲していた。 ピングドラムがあれば――陽毬の命は救われる。逆にピングドラムを手に入れることが出来なければ、陽毬の命は再び尽きる。 俺と晶馬に選択の余地などなかった。ピングドラムを手に入れる――それはあのときより、俺たちの中で何よりも優先すべき目的となったのだ。 しかし未だに俺たちは、ピングドラムを手に入れていない。 ● 「あ、冠ちゃん!」 「ああ、陽毬。元気そうだな」 「いっぱい寝て、いっぱい食べてるもの。冠ちゃんのほうこそ大丈夫? なんだか顔色が良くないよ。 あ、もしかして……! また晶ちゃんと喧嘩したの!? もう、兄弟いつも仲良くってあれだけ口酸っぱくして言ってるのにー!」 「喧嘩なんてしてないって。ちょっと用事が立て込んでただけだ」 それならいいんだけど、と陽毬はベッドの上で頬を膨らませる。 陽毬が再び倒れ、この病院に入院したのは二日前のことだ。 ペンギン帽は言う。 時間が、もうない――この娘の生命は燃え尽きようとしている。 お前から頂いた命の火も、あと残り僅かしか残っていない。 もうお前の命を分け与えることはできない――あれは、言うなれば初恋のようなもの。初めてのキスのようなもの。 一度過ぎた過去は取り戻そうとしても取り返せず、たとえ取り返せたところでそれはよく似た、しかしまったく別のものにしかならない。 陽毬と他愛のない世間話をしながら一緒にテレビを眺めた後、俺は病室を出て陽毬の担当医のいる診療室へと向かった。 薄暗い診療室に足を踏み入れると、結ばれた桃色の髪が真っ先に目に入る。 俺の入室に気付くと部屋の主は椅子ごと俺の方へと向き直り、その美しい顔に微笑みを浮かべた。 「やぁ、ごきげんよう高倉冠葉くん。相変わらず君のその視線、シビれるねぇ」 「前置きはいい。――約束の金だ」 渡瀬眞悧――二日前から陽毬の担当医になったこの男だけが、今の俺の希望だった。 俺は懐から取り出した札束の入った紙袋を、無造作に机の上に置いた。 陽毬の命を繋ぐ、赤いアンプル――眞悧に渡した金はその代金だった。 どこから手に入れているのか想像もつかないが、この男の提供する薬は、確かに陽毬の命を繋いでくれる。 眞悧の要求する金額は薬の代金としては法外なものだったが、金の工面などどうとでもしてやる。 陽毬の命を救う術が手に入るというのならば、他には何もいらないのだから。 「シビれるねぇ……よくこれだけの金を、この短期間で――」 「……薬は!」 「でも――これだと少し、薬の代金には足りないなぁ」 眞悧は顔色ひとつ変えず、俺が渡した金を机の上に置き直した。 「そんな……この前は、この額で……!」 「相場は生き物だからねぇ。昨日と今日。今と――今。この一瞬でさえ相場は変わり、命の額は揺れ動く。 助かるはずだった運命が、残酷に仕分けされることだってある――だよねぇ?」 でも、と反意を込め、眞悧は言葉を続けた。 「君は、林檎が欲しいかい?」 「……? 何の話だ」 「ただのたとえ話だよ。妹さんの命を救う方法を、僕は知っている。この金は薬の代金には届かないが――林檎を得るには、値するかな」 「あるのか……陽毬を救う方法が!」 「あるのさ、妹さんを救う方法がね。聞きたいかい? ……だよねぇ」 眞悧の口から語られた内容は、冠葉の想像を超える非常識なものだった。 曰く、この街にはあらゆる願望を叶える万能の宝物が存在するという。 その名は――聖杯。 キリストの最後の晩餐に使われたとも、ゴルゴダの丘で滴る血を受けたとも云われる、伝説の聖遺物だ。 古来より人の世に紛れその知識を蓄え研鑽してきた魔術師たちが聖杯を賭けた争いを行う聖杯戦争――眞悧が言う林檎とは、その聖杯戦争に参加するチケット。 聖杯戦争に参加する者はマスターと呼ばれ、聖杯戦争時に限り召喚できる使い魔、サーヴァントを繰り最後の一騎になるまで戦い続けるという。 勿論、その過程で命を落とす者も少なくない――いや、殆どの者が命を落とすことになるだろう。 しかし最後の一組となったマスターとサーヴァントは、万物の願望機である聖杯の恩恵を受け、あらゆる望みを叶えることが出来ると。 あらゆる望みを叶えることが出来ると聞いたその瞬間、俺の心は固まった。 「俺は、いったいどうすればその聖杯戦争ってヤツに参加できる?」 「……シビれるねぇ」 左手を、と眞悧に促され、言葉の通り手を伸ばす。 眞悧の両手が俺の左手を包む。冷たくも、温かくもない。ただ肌触りだけは非常に良い。 まるで人間離れしているな、この先生は――と、そんなことを考えた瞬間のことだった。 鈍い痛みと熱が左手に走り――驚きに、思わず眞悧の手を払いのける。 しかし眞悧は手を払われたことなど意にも介さない様子で、 「――終わったよ。これで君は、今日から聖杯戦争を戦うマスターとなったわけだ」 あまりの呆気なさに軽く呆然としたが、マスターとしての証は、既に俺の左手に現れていた。 眞悧が言うにはこの三画の紋様は令呪という魔力の結晶らしい。 そしてこれは、そのままマスターの生命線にもなるという。 サーヴァントは人間の域を遥かに超えた高域の存在である。 マスターがサーヴァントを使役できるのは、令呪による強制的な支配があるからだ。 故に、その三画の令呪全てを費やしてもなお聖杯を得ることが出来なかったならば、 その者はマスターとしての資格を失い、サーヴァントに殺されることもありえる――らしい。 「サーヴァント? 心配しなくてもいいさ。令呪を得たならば――じきに召喚するときが来る」 さぁ、僕に出来るのはここまでだ。君の健闘を祈るよ、高倉冠葉くん―― ● その日の深夜、俺は家からこっそりと抜け出し、陽毬のいる病院の屋上を訪れていた。 予感があった。俺がサーヴァントとやらと契約するのは、いまこのときなのだろうと。 この場所を選んだのは、今のこの決意を決して忘れないためだ。 俺は陽毬のために――聖杯を必ず手にする。愛する妹をこの手で守ってみせる。 だから陽毬を一番近くに感じられるこの場所で、俺はお前を呼ぼう。 「――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。 誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」 突如、世界の有様が変わる。其処に大きな歪みが生まれ、形を成そうとするのが、魔術とやらに疎い俺でさえ感じられる。 嵐のように吹き荒れる魔力がサーヴァントの肉体に変わっていく様を、俺は瞬きもせずに見つめていた。 今このとき、俺の運命は世界を乗り換え、そして輪り始めたのだろう。 「問おう。お前が私のマスターか?」 魔力光が収束し、人の姿を取ったとき、そこにいたのは全身を紅に染めた一人の男。 このときの俺はまだ知らなかった。 この男が吸血鬼の真祖であり、誰よりも闘争を求めており、俺の日々は血の匂いなしには過ごせないものになってしまったことを。 このときの俺はまだ、陽毬を救うという使命感と、言葉にならない高揚に酔いしれていただけだった。 ● ――生存戦略、しましょうか! ●
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/23.html
アサシンこと仮完結ルートにはあらゆる偶然が味方する。 例えばそれは自害を命じたマスターの令呪の暴発を産み、例えば誰の目にとまることもなく移動できる。 その“偶然”と精神汚染が今、アサシンの認識を歪ませていた。 すなわち書き手聖杯戦争は全14組による争いであるという思い込みだ。 この殺し合いはゴフェルの木片exe.により偶発的に集められた殺しあいであり上限など定まっていない。 一体何人による殺し合いなのか分からないのだ。 7組かもしれない。70組かもしれない。或いは100組を超えるかもしれない。 しかしその真相を知った時、アサシンの精神はこの現実に耐えれるだろうか。 一刻も早くラノロワの完結を求める彼女が。先の見えぬ殺し合いに巻き込まれているなどという現実に耐えきれるだろうか。 耐えられまい。 既に精神を壊した身なれど、彼女はラノロワを完結させるというその一念のみで、亡霊ではなく英霊として踏みとどまっていた。 それがいつ終わるとも知れぬロワに巻き込まれたとすれば、自らの不注意と何者かの理不尽で夢を奪われたと知れば。 きっと彼女は亡霊となり、幻想と成り果てて、この世から駆逐され、元の世界にも帰れずに彷徨うだけの存在となるだろう。 なればこそ無知は救いだ。 何も見ず、聞かず、見ようともせず無明の闇を往き続けることだけが彼女の願いを、約束を成し遂げられる唯一の決意の実行の仕方なのだから……。 【アサシン(仮完結ルート)@ラノベ・ロワイアル】 [状態]精神汚染 [装備]宝具一式 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:参加者全員を殺し、ラノロワを完結させに現実世界へ戻る。“とにかくスピード優先”。 [備考] ※基本方針と相反する現実から目をそらすため、“偶然”聖杯のルールの一部を受け取り逃し、13組殺せば帰れると無意識に自分自身を騙しています。 005:ダウン・ヒル(堕ち行く道) 投下順に読む 007:地獄型書き手動物園 005:ダウン・ヒル(堕ち行く道) 仮完結ルート 026:エンジェル・ハウリングalteration 怪物領域 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/223.html
「あらら、やっぱり嵌められたか」 目の前に写る、人知を超えた奇跡の存在。 一生を生きる内、この神秘的な光景を目に焼き付けることの出来る人間など、何人居ようか……。 しかし、アカギの目はセイバーを見ながらも、頭はこの場に呼ばれるまでの事を思い返していた。 始まりはあの男、悪徳警官安岡……アカギの対局場を用意するなど、通称セッティングパパと呼ばれる男……! 『アカギ、お前に渡したいものがある』 現実世界での最後の記憶…それは、安岡から渡された妙な木片を受け取った時のこと。 瞬間、場面は反転…。聖杯戦争という名の新たなゲームに、アカギは参戦を余儀なくされた……。 本戦に進むまでの予選をアカギは突破、今まさに…サーヴァントの召喚…契約を行おうとしている……!! 「―――サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した」 「ククク…なるほど、これがサーヴァント……!」 「問おう。貴方が、私のマスターか」 そしてアカギ、引き当てる…! 最も優れし最優のサーヴァント、セイバーを……!! 触媒無しの、何が来るか分からないリスキーな召喚。しかしアカギこれを難なくクリア……。 「ああ…俺がマスターらしい……」 月光の如く、煌く金髪…宝石のような碧眼…透き通るような白い肌…圧倒的外国人……! セイバー、真名をアルトリア・ペンドラゴン……かの騎士王アーサー。サーヴァントとして不足なし……。 アカギ、肯定……! 自らをマスターと告げる。マスターの証、右手に浮いた三つの令呪を掲げ……! 「では、マスターご指示を」 「ククク…あんた、聖杯が欲しいのか?」 「っ!? 何を……?」 アカギ、セイバーをスルー…。口にしたのは、初歩的な質問……。 「私が、聖杯に望む願いが知りたいのですか?」 「違うな…。そんなことは、どうだって良いんだ。ようは、あんたは聖杯が欲しいのか、それが知りたい……!」 「無論です。私は…聖杯が欲しい……!!」 当然、答えはYES…。セイバーの掲げる願いに聖杯は必須……。 あまりにも、する意味のない問答…セイバーにアカギへの疑念沸く。 「なるほど、ならもう少し頭を使った方が良い……」 「それは、どういう意味……!?」 「聖杯戦争…これを馬鹿正直に勝ち抜いたとして…どうして奴らが大人しく、聖杯をこちらに渡すと思う……? 騙されるなよ……。あんた、もう二度目だろ」 「なっ!?」 セイバー、見抜かれる……!! 二度目の参戦…一度目の敗退……。アカギ、見通していた……!! 「分かっていたのですか……。私が、以前にも聖杯戦争に呼ばれたことを……?」 「見れば分かる…。一目瞭然……! あんたは最初、俺がマスターだと知った後、指示を煽いだ。 もし初参戦なら、もう少し様子を窺っても良い…。 英霊といえど元は人間。例え聖杯から知識を与えられようが、見たことがないものに参加すれば、それこそ教科書に載るような時代の人間が現代に来るんだ。僅かながら、そこには物事を観察する時間が生まれる。 だが、あんたにはそれはなかった。寧ろその逆…! 掛かる手間を全て省き、戦いの準備を済ませようとする……。手馴れていた」 セイバー、驚愕……。アカギの洞察力、恐るべし頭の切れ……! 「見事です。流石だ…。時代が時代なら、貴方は良い軍師になれる。 故に聞きたい。貴方は、この戦いで聖杯は得られないと…?」 「単純に考えて、奴らのメリットが薄い。 なるほど、願いを賭けた殺し合い。盛り上がることは必然…! しかし、運営が得るであろう見返りと、俺達が得る見返り……! どちらに価値があると思う……? 当然…後者……!」 「つまり、この運営は…」 「ああ…恐らくは、俺達が殺しあうことで現れるであろう聖杯……。こいつが出来た瞬間、用済みってことも…ありうるってことだ」 まあ、あくまで仮説の一つだが。とアカギは付け加えながらもその説得力は重い…。 主に裏切られたばかりのセイバーが、疑いを持つには十分過ぎた。 「仮にだとするなら…私は……」 「ククク…セイバー、落ち込む事もないだろ?」 「なんですって……」 「奪えばいい。奴らが俺達を切り捨てるのなら、その瞬間逆に俺らが奴らを刺す。 簡単な話じゃないか」 「え…?」 アカギが提案した意外な解決策。 それは強奪……! 「で、でも…運営は主催は……私を従える令呪を……!」 「つくずく的が外れてるな、セイバー。 どうせ後には退けないのなら、とことん進んでしまえばいい。 結局、切り捨てられるなら……反旗を返して死ぬか、無抵抗で死ぬか」 言われて思い出す。セイバーの願い使命を……! 過去を変えたい。王の選定をやり直す……。その願いの為ならば……!! 「私は…勝ちたい……! 勝たなきゃ嘘だ…。そして国を……!!」 セイバー決意……! 泥を啜ろうとも、地を這おうとも必ず勝つ……! 「マスター…私は聖杯が欲しい……! 何としても!! マスター! 契約を!!」 「良いだろう。契約だ」 セイバーとアカギ、契約完了…! 晴れてマスターとサーヴァントとして聖杯戦争…参戦……!! 「マスター改めて指示を―――」 「その前に……。やっぱり、こいつは要らないな」 「え?」 アカギ、令呪の刻まれた右腕をかざす。 「―――令呪を三角重ねて命じる。セイバー、好きに行動しろ」 それは、マスターとして有り得ぬ愚考……!! 令呪の…実質的破棄……! 「な、馬鹿な……」 セイバー、解放! 実質、ほぼ何の制約も無く。彼女はサーヴァントの力を存分に振るえる。 それこそ、マスターを組み伏せ、限界の錨がわりにする事も可能! 「あ、貴方は…自分が何をしたか、理解しているのですか……!!」 「ククク…俺は元々、聖杯戦争なんて茶番に興味は無い……! 俺からすれば、こんなのはまだ予選の内……。ここに居る連中、全員倒したところでそれは偽りの勝利……! 真の勝利は…その先にある……!!」 理解不能。最早異次元、発想からして先ず違う。 「この聖杯戦争…自身の意思で参加したものが何人居ると思う? 自ら望まぬどころか、そもそも戦いすら何も想定していない弱者など倒しても、それは勝利じゃない。 ハイエナ…三流、いや五流もいいとこ……!」 「つまり、貴方は……主催者達と戦うと?」 「ああ、狂気の沙汰程、面白い!」 理屈は理解した。 しかし、まだ不可解……! 何故、令呪を破棄する必要があったのか。 「その為には、与えられた主従、偽りの結束なんて要らない。 ククク…なるほど、お前は当たりだったみたいだ」 セイバーは我に返る。 今、試されたのだ自分は、アカギに……! 自らのサーヴァントたるか。主催者と戦う僕、足り得るかを……! 令呪という束縛をなくした今、セイバーという存在を図る為に、その身を、命を張って試したのだ。 「行くか。セイバー、聖杯を取るんだろ?」 もしも、セイバーがアカギを裏切っていたら、アカギはどうしていたのか。 何か策はあったのか、手立てはあったのか。 いや違う。何も無かった筈だ……。 尋常ではない。異常だ。狂ってる。 この男は、人の思考をしていない。人ならざるサーヴァントを以ってしても測り得ぬ、もっと別の何かだと。 (私は……とんでもないマスターを持ってしまったのか) 今ここに。 後に、正史であれば「神域の男」といわれた男の聖杯戦争が幕を開ける……! 【CLASS】セイバー 【真名】アルトリア@Fate/stay night 【パラメーター】 筋力B 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運A 宝具C 【属性】 秩序・善 【クラススキル】 対魔力:A A以下の魔術は無効化。事実上、現代の魔術で彼女を傷つけることは不可能。 騎乗:B 大抵の動物を乗りこなしてしまう技能。幻想種(魔獣・聖獣)を乗りこなすことはできない。 【保有スキル】 直感:A 戦闘時、未来予知に近い形で危険を察知する能力。 魔力放出:A 身体や武器に魔力を纏わせて強化して戦う技能。 カリスマ:B 戦闘における統率・士気を司る天性の能力。一国の王としては充分すぎるカリスマ。 【宝具】 『風王結界(インビジブル・エア)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大補足:1個 『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』 ランクA++ 種別大軍宝具 レンジ1~99 最大補足1000人 【weapon】 なし 【人物背景】 ブリテンの伝説的君主・アーサー王その人。 第四次終了後から参戦。 まだ腹ペコ王には目覚めていない。 【サーヴァントとしての願い】 王の選定をやり直す 【基本戦術、方針、運用法】 一先ずマスターの方針に従う。 【マスター】 赤木しげる@アカギ ~闇に降り立った天才~ 【参加方法】 木片をセッティングパパから貰った。 【マスターとしての願い】 主催を倒す。 【weapon】 無し。 【能力・技能】 麻雀・その他ギャンブルの天才。才気・精神性・運量、その全てが常軌を逸しており「悪魔」と比喩される。 後に「神域の男」「鬼神」「百年に一人の天才」「転ばずの赤木」といわれ、数えきれないほどの伝説をもつほどである。 【人物背景】 独自の死生観を持ち、自らを半死人と評す程に生への欲求を感じられず、死への恐怖を感じない自分を異常者。 【方針】 自ら、進んで参加した者、強者との戦いに興味はあるが、聖杯戦争自体に興味は無い。
https://w.atwiki.jp/fateonsen/pages/46.html
キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 16/12/04版 【名前】葛葉 明希 【職業】魔術師 【容姿】学ランを来た少女 【願い事】聖杯戦争を穏便に終わらせる 【バッドエンド】省略 【グッドエンド】無事聖杯戦争が終わる 【令呪】 3 / 3 【HP】 5 / 5 【筋力】E:1 【耐久】E:1 【敏捷】E:1 【魔力】E:1 【幸運】E:1 【スキル】使い魔:任意のタイミングで真名看破を行える。 【その他】政府直轄の霊的国防組織の少女。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/638.html
リブート ◆HOMU.DM5Ns …… ……………… …………………………………… では、聖杯戦争を始めます 所詮、人間など誰であろうと『魔王』に成りうる存在だ “あぁ、そうさ。人類は負けない。最後には必ず勝つ。―――だが、いつまでこれを繰り返すのだ?” 感じられなくてもいいの、ただ忘れないで。人類はまだ希望が無くなった訳じゃないことを……。 ――――生きろ。 もしかしてそこのキミ、おれをサーヴァントとして呼んじゃったマスターなの? いいだろう、人間……いや我が主(マスター)――――闘争を始めよう マ、マスター……揉むだけならば、そんなァッ! にゅう、乳頭は! そんな、な、なんで服の上から的確に!? もし、この聖杯にも穢れがあったならば……その時は…… ――――Amen 待たせたわね全国の子ブタ! 復活ライブの始まりよ! ———願いは、自分自身のためだけにしろ。 我が槍は殿下の栄光を闢き、我が盾は殿下の栄光を覆う」 小娘め……俺は歳取って出直して来いと言ったんだがな……ガキになって来るとは面白れぇじゃねぇか 真っ平御免だ。俺の心も魂も命も俺だけのものだ だが、これだけは言っておく。俺を真に支配しようとだけは考えるな……! 聖杯を精液と愛液でいっぱいにするためかな! 私はキャスター。――――そして、未来のあなた自身 その力があれば、全ては統一される お辞儀をするのだ 余が重んじるのは絶対なる力のみ。聖杯はまさしく余が手に入れるに相応しい力の塊なのだ ドーモ、アサシンです さあ祭りだ、祭りだ、祭りだワショ――――イwwwwwwww …………やってみよう ……朧 少々趣向は違うようだが、やはり君は私と同じ『殺人者』のようだね。 ・・・・■■、■■■■ ■■■■――――!!」 ……そうだ、次の聖杯戦争でもコンビ組もう! 優勝してFateの次回作に出れますようにって聖杯とキノコちゃんにお願いすればいいよな! 始点記録(レコード)、保存。 【空想電―― せめて名前を教えて欲しい。僕の名前を、僕が何というカタチをしていたかを。そしてできることなら呼んで欲しい。でも、無理だろうな。 な、貴様、狂戦士の分際で───ガッ!? …………と……ちゃ…… ――xxxxさん ……また、学校に……ま、ど…… 行くぜ───バーサーカー。数分と持たねぇ身体だが、その命、幾らか貰っていくぜ ――悔しい ヌウウウウアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!! ひとりぼっちでいい。でも死ぬのはいや。だっておかしいから。でもしぬのはこわい。ねえそうでしょ―― ………… 見なよ、やっぱりこの世界なんて―――― イイイイイイヤアァァァーーーーッッ! ―――― ……はは さよならだ、"伯爵" ――約束なんか、するもんじゃねえな。 …………ああ…………良い夢、だった………… ―――Amen 最終記録(レコード)、保存。 システムの正常再動を確認。 おまたせしました。 リブートします。 ◆◆◆◆ ―――空に月が浮かんでいる。 何も不思議な光景ではない。 日が沈み空が暗色に包まれる夜になれば、雲が覆いにならなければ、誰もが毎日目にするものだろう。 物珍しい欠け方もしていない。いつも通りに見える月。 そう、月に変わりはない。 たとえ、異星文明の残した地球の観測装置ムーンセルが置かれた神のキャンバス台という真実があったとしても。月は変わらず其処にある。 あるとすればそれは、見上げる側の心境と、彼らが立つ位置の変化だろう。 それは方舟。 宇宙にすれば一時の、しかし地球からすれば遠大な軌道で周回する星を泳ぐ船舶。 月のムーンセルと交信し、地球全てを記録している膨大な演算能力を用いた舟、アークセル。 古き神代の頃より存在し、今も役目の為稼働している『古代遺物(アーティファクト)』。聖書の一説に乗るノアの方舟の再来だった。 その内部たる霊子世界に招いた数十名の人間(マスター)。 そしてその『つがい』となる、歴史に名を刻んだ英霊(サーヴァント)。 時間の前後を問わず、世界の壁も関係なく、編纂も剪定の区別もなく。 ありとあらゆる境界を超えた組み合わせが集い、覇を競い、月に至る階段に足をかける権利を得る。 事象改変の域にまで至った演算装置は万能の願望器に等しい。 おしなべて願望器を求める争いはこう呼ばれる習わしがある。 ――――――聖杯戦争。 御子の血を受けた杯。世紀を跨いで追い求められる、奇跡を叶える器の争奪戦と。 そして現在。 アークセル内で再現された聖杯戦争の舞台『冬木市』の一角に建てられたキリスト教会。 礼拝堂には一人の少女が立っている。銀色の長髪を下ろした修道服の少女は目の前の虚空に手を出して指を滑らせて『業務』をこなしている。 聖杯戦争の運営役に選ばれた上級AI、カレン・オルテンシアは自らの役割にとりかかっていた。 サーヴァントの戦闘を人目につくのを禁じるルールを敷いてる以上、自然と戦いは夜に頻発する。 地上の聖杯戦争での監督役の代理として、NPCの魂の改竄による街の沈静化を図る。それがカレンに与えられた役割の一つでもある。 今後も街の裏で続いていく戦いは激化の一途を辿る。隠蔽対策の頻度は時を追うごとに増していくだろう。 優勝者である最後の一組が決まったその時、果たしてNPCの住民達はどうなっているのか。そもそも街は原型を保てているのか。 そこに思考を向ける事はなく、カレンは業務を粛々と進行させていく。 じき夜が空ける。 箱庭内の聖杯戦争が本格的に開始して丸一日が経った。 深夜と黎明にかけて繰り広げられた乱戦も波が引き、落ち着きを見せ始めている。 サーヴァント戦は夜が本番といっても、マスターには予選時代に定められていた役割(ロール)がある。学生であったり社会人であったりと部類は様々だ。 規則性を破り他のマスターに怪しまれる危険を無くそうと思えば、この時分に積極的な行動は控え休息に入る。 少しでも情報を得ようとサーヴァント単独に行動させたり、夜勤が常である等時間に囚われる必要性のない職であれば話は別だが、接触の機会は目に見えて減るだろう。 よって今はカレンの仕事も穏やかなものだ。NPCに大規模な混乱が見られない以上忙しなく働く必要はない。 「聖杯戦争には、常にイレギュラーがつきものだといわれています」 白く細い指が、虚空に浮かぶウインドウを踊る。 オルガンの鍵盤を鳴らすようにして、軽やかに、厳かに。 「この、月を望む聖杯戦争をはじめとした、世界に複数行われている聖杯戦争。 その始点、全ての聖杯戦争の原型とされるのが、この冬木の地で生まれた聖杯戦争。 ですが、その冬木でさえ完全な形で儀式が完遂され聖杯―――願望器が優勝者の願いを叶えたという記録は、アークセルには存在していません」 そこには多くの画面が映っていた。 NPC達のものではない。より細かで、価値の高い、膨大な密度のデータが行き交っている。 「はじめは召喚した英霊を制御できず、儀式ですらない殺し合いで無為に終わった。 次回はルールが整備され戦争の体が成っても、徒に時間ばかりが過ぎ去った。 三度目は、始まって真っ先に手に入れる器が壊れ全てがご破算。 四度目は比較的まっとうに続いた形であったけれど、前回で生んだ歪みが全ての前提を覆した。 そして五度目は、それまでの負債が回って完全に破綻した」 言葉を紡ぎながら、作業を滞らせる事なく。聞かせる聴衆も子羊もいない、伽藍とした講堂には音色だけが反響する。 「魔術師ではないマスター。規格外のサーヴァント。 英霊の座からの来訪者を使い魔と定義付ける事により起こる様々な弊害。 神域の魔術師が集まり造り出した聖遺物とはいえ、たった五度の施行で見えた傾向などたかが知れてるというもの。 予測外の事態が出るのも当然のことでしょう。ええ、なら、今回もそういうことなのでしょう」 ―――いや。 果たして聞き届ける者はいた。迷い人ではなく、彼女と職務を同じくする信仰の徒が。 赤い絨毯の身廊に立つ鎧姿の少女。カレンは独り言ではなく、そこにいる人物に向かって言葉を送っていた。 「そして、彼女がそれである。ということかしら、ルーラー?」 ステンドグラスから差し込む月光に眩く照らされる、鎧装束に身を包んだ少女。 夜に溶け込むような銀色のカレンに対して、幻想的な芸術画を思わせる金砂の髪。 どちらも、神の家に置かれるには似合いすぎるぐらいには神聖ではあろうが。 サーヴァント、ルーラー、ジャンヌ・ダルク。 異常の見られた現場に直接赴き判断を下す聖杯戦争の"裁定者"は、事態を収拾し拠点である教会に還ってきていた。 ◆◆◆◆ 『冬木の聖杯戦争』における教会には、ふたつの役割がある。 神秘の隠匿、サーヴァントの戦闘により起きた被害の事後処理。表社会に魔術の存在を知られてはならないという絶対の法。 歪めた情報を報道に流しての隠蔽、暗示による記憶操作、時には被害を受けた公的組織へ補填する等して徹底的に真実を闇のままに封じ込める。 そしてもうひとつは、サーヴァントと令呪を失い、聖杯戦争から敗退したマスターの保護だ。 他にマスターを失いはぐれたサーヴァントが出た場合、聖杯は新たに契約者候補に令呪を再配布する。 だがマスターに適合する資質の都合上、自然と新たに選ばれるマスターは以前にマスターであった人物が選ばれる傾向が高い。 その為、万全を期するなら他のマスターはサーヴァントを失ったマスターであっても殺そうとし、狙われる側も駆け込み寺を必要とする。 その用意として教会内には幾つかの客間が設けられており、その時の名残として、この電脳上の冬木教会にもセーフハウスの機能がつけられていた。 ここは上級AI、裁定者の権限が届く地帯。余剰リソースを与え実在証明の楔を打ち込めば、教会の敷地内にいる限り、サーヴァントを失ったマスターでも消滅を免れられる。 「まさか、本当に使う機会があるだなんて思ってもみなかったけれど」 「ごめんなさい。急に客間の用意を頼んでしまって」 カレンの零したように、本来これは使われる事はないとされていた機能だ。 なのでルーラーから『空いた部屋の準備とリソースを使用させて欲しい』と連絡があった時はどうしたことかと思ったものだ。 「ああ、そこはいいのよ。下働きは慣れていますし。 私というAIの元になった人物も、そういう奉仕に従事していたようですし。 私が言いたいのは―――その理由のほう」 すぅ、と目を細めルーラーを見据える。 睨むというほどではない透明な金の瞳は、なのに見る者に息苦しさを与えるような意を含んでいる。 「マスター・宮内れんげの教会での保護。 中立であるべきルーラーがサーヴァントを失ったマスターを、それも違反行為を犯したサーヴァントのマスターを自ら匿うだなんて、本気かしら?」 南東の森でルーラーが保護して連れてきたれんげは、用意した客間で既に眠っている。 ただの子供の身で深夜の時間まで起きていたのだ。聖杯戦争を自覚していなくても心身の疲労は募っていて当然だ。 ひとまずカレンの承諾を得てから簡易的に身体スキャンを行い、部屋に案内して着替えさせるなりベッドに潜り、ものの数秒で熟睡に入ってしまった。 目が覚めるのは朝方か。子どもは眠るのも起きるのも早いものだ。 「ええ。本気でなければこんな決定は下しはしませんよ」 叱責・諫言ともいえるカレンの言葉にも、ルーラーは紫水晶の瞳を翳らせることなく答えた。 「―――方舟に乗り込む以前にサーヴァントと契約。記憶も失わず、NPCのロールも保有していないマスター、ですか」 道すがらにれんげから今までの簡単な経緯を聞いたジャンヌからの報告に、カレンも怪訝な表情をする。 それだけ、このマスターが異常極まるケースであるのを物語っている。 「契約が消失した後になっても自己崩壊の兆しは皆無。霊子を保っているだけならば前例のケースがあるけれどそもそも対象が不明、前者についてはまったくの想定外。 確かに、イレギュラーの塊のような参加者ね」 サーヴァント無きマスターの生存の抜け道。それ自体は存在する。 過去に裁定者二人が直に目撃している、岸波白野を介した、遠坂凛と白野のサーヴァントとの疑似的パス共有だ。 凜自身のランサーを失って新たなサーヴァント・アサシンと契約するまでの僅かな時間ではあったが、肉体が消える兆候は現われなかった。 これは然程の問題もないとして裁定者側も認可していた。では一体れんげと契約を繋いでいるのはどのサーヴァントなのか。 更に問題とするべきはそれ以前の話。 方舟外でサーヴァントが活動して、第三者に『木片』を渡して召喚されたという、異例の事態についてだ。 「カレン。彼女について、分かったことは?」 「上級AIの権限でマスターの情報は取得しています」 浮かび上がるウィンドウに情報が記載される。 身体スキャンで得たれんげの内部データ。そして、カレンが持ち得る聖杯戦争参加者の詳細データだ。 「宮内れんげ。旭丘分校小学1年生。奇特な思考回路を持ち周囲を困惑させる発言をするものの成績は優秀。好物はカレーライスで苦手なものはピーマン。口癖は「にゃんぱすー」」 「……それ以外は?」 「飼っている狸の名前は「具」ですね」 「ほ、本当にそれだけなのですか!?」 実にのんびりとした情報(マトリクス)であった。ルーラーも思わず突っ込んでしまう。 AIに虚偽の申告は許されず、また不可能。彼女らに課せられた基本則はルーラーも理解しているが、それにしてもあまりにもな結果である。 「ないものは出せません。彼女の個人情報はそれで全てです。 それとも細かな思考ルーチンや地上での行動ログも閲覧しますか?退屈なだけの日々なのに、愉快なものを見ている気分になれますよ」 「では、本当に彼女は―――」 虚偽は述べていない。隠された真実はない。それがれんげの全てであるということは。 悪意の扇動者に出会う因果がまったく見つからないというのなら。 「肉体の魔術的特質、魂の因果的資質、いずれにも反応なし。 神秘に触れる環境下にもなく、特殊な過去も経験していない。 意思なく資格なく、唐突に現われた悪魔に謀れ、流されるままにアークセルに乗り込んでしまった迷い子、いえ、密航者とでもいうべきかしら」 密航者。 参加権である木片は持っていても経緯が不条理だ。イレギュラー扱いもやむなしである。 だからそう呼ぶことは、ある意味で間違いではない。 「……資格なき、とは違うでしょう。彼女もまた一人のマスターであったことには変わりありません」 「ええ、そうね。彼女もれっきとしたマスター。それは事実。 そして既にサーヴァントを失った敗退者でもある。本来ならとうに消滅し、魂は在るべき場所へ帰還しているはずの残滓なのに」 自ら戦うと決めたわけでなく、強制的に連れてこられたマスターを知っている。 魔術や異能の素養がなくても、戦おうとするマスターが存在する。 れんげよりも幼い子供のマスターだっていたのだ。 能力や意思に依らず、ここに集ったマスターには誰もが聖杯に触れる資格を持つべきだ。 あの交渉の場で、本多・正純にも語った言葉だ。 「あの子をこのまま消しはしません。見つけた異常を是正しなければ、それこそ運営の綻びの温床となりかねません。 多くの謎が残っている。方舟の中を通れてしまうだけの抜け道が出来ている。それを確かめなくては。そうでしょう?」 「私情で生かすのでなく、聖杯戦争を恙無く運営させる裁定者として宮内れんげは活かすべき、と?」 「マスターとしてより、ただの子供として見ている。そこは否定しません。救えるものならそうしたいとも」 子供だからという贔屓。捨てられない感情はある。さりとて感情に走って差配を誤るほど子供でもない。 伝えたいのは、あの子は罰を受けなくてはならないような事をしたわけじゃない、ということだけで。 「それだけではない―――彼女が関わる啓示でも見えた?」 「……わかりません」 今度は、答えるまでに少しだけ間があった。 「見えた景色がある。夜の街と鈍い光。その中を動く影を追う中で、彼女を見つけた。 けどそこにどんな意味があるか、どう捉えるべきか……今は測りかねています」 降りた啓示をどう受け取るかは当人の解釈による。 同じ光景を見た二者が、様々な差異から違う行動を取ることもあるだろう。 ルーラーはれんげを見たわけではない。ただ夜の街のざわめく様を俯瞰して、そこに潜む歪みの原因を追いに向かった。 しかしその根源たるベルク・カッツェは一足先に退治され、待っていたのはマスターであるれんげだった。 そしてルーラーをれんげの元に導いたのはアンデルセン神父。ランサー・ブラド三世のマスター。同じ神を信じる同士によって。 因果の線はあまりに複雑に絡み合っている。幾重にも積み重なって螺旋に捻れて、どんな結果を招くか見当もつかない。 あの時は保護を優先して手を取ったけれど。今更になって思いを巡らせてしまう。 生きているが死んでなければいけない者。敗残者にして廃棄物。 それが今のれんげの立場だった。存在と無の曖昧な境界線、その上に立っている曖昧な命。 今も現世に繋ぎ止めている、孤城の主と同じように。 力と呼べる一切を持たず、戦う意志すら皆無の幼子。悪辣な英霊に誑かされ巻き込まれた哀れな被害者。その認識で正しいはずだ。 それ以外に、いったいどんな価値を見るというのか。 「それでも、何度やり直すことになっても私はこの手を伸ばしたのでしょう。そこだけは、後悔はありません」 受け入れるリスクや矛盾、全てを承知の上で。 街の誰も記憶していない、何処にも行く事のできない、ひとりぼっちの魂。 世界にとってないに等しい小石を"在る"のだと、ジャンヌは信じて肯定する。 納得に足る理屈は幾つもある。けれど動いた理由はたったひとつで。結局それだけで迷いは晴れてしまう。 愚かな女だと自身(ジャンヌ)は思う。それでこそ聖女に相応しいと誰かは喝采する。 啓示の導かれた行動は正しい道筋に辿り着く。それは呪いにも似た宿命を見た者に背負わせる。 たとえその通行料に幼子の犠牲が含まれているとしても。 「そう。ならこれ以上、私から言うことは何もありません。 積極的に肯定はしませんが、あなたの願いが叶うのを祈るぐらいはしてあげます」 カレンはジャンヌのマスターではない。同じ神を信じる徒であり、同じ裁定の任の同士であるが、それぞれが別個の人格だ。諫言はあっても強制の権限は持たない。 時には意見を違えることもあるし、それが相互に変化を及ぼす場合もある。 現にエラーは生まれている、どうあれ対処は必須だ。最大の手がかりを手放すべきではない。れんげを調べることは役割上外せない。 裁定者の枠組みを外れた動きでもなし、保護も正常な対応だろう。 それにあの子がマスターの資格を持つのなら―――試すことは、多い。 「まあ、これを知った外野がまた藪をつついてくるかもしれないけど」 「……重ね重ね迷惑をかけてごめんなさい」 「一度こうと決めたらてこでも動かない、周囲を巻き込むのも構わず爆進―――――ふふ、オルレアンの乙女らしくなってきたわね」 「わかりました、わかりましたから……!生前のことをそんなにつつかないでください……」 すると、通知音と共に、窓に映っていた無数の画面が消えた。 代わりに現れるのは一つの盤面だ。チェスの駒のように整理された名前。 そのうちの幾つかは、赤い壁に覆われるようにして塗り潰されている。 消せぬ死線(デッドライン)。魂の切れ緒。既に敗れた脱落者の情報。 サーヴァントもマスターも、この箱庭で消滅した参加者は全て克明に記録されている。 これらの死の羅列を以て方舟は一対の選別の材料とするのか。それはルーラーには分からない。 ルーラーはそれを見上げた。これは進行の証であり、あるいは罪の形でもある。ただ逸らさずに受け止める。 「いずれにせよ、夜がもうじき終わる。 イレギュラーはあれど状況は順調に進行。脱落者は全体のおよそ三分の一。 この調子なら、四日目を待つまでもなく勝者も決まるでしょう。我々も、あくまで我々の職務を続けていくまで」 願いは飛翔する。遥かな月を目指して大空を駆ける。 誰彼の持ち込んだ願いを運ぶ、二十八対の渡り鳥。 翼は砕け、道半ばで飛ぶ力を失い、固い海原に叩きつけられる未来しか待っていなくても。 「虚ろな揺り籠に微睡むのではなく、夢が届く新天地に至るために、貴方達はここに集ったのだから」 再開の時は此処に。 月を望む巡礼の旅人よ。辿り着く日まで、どうか足を止めないで。 「さあ、聖杯戦争を続けましょう――――――」 【D-5/教会/2日目 未明】 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [令呪]:不明 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、移動キー(教会内の燭台、月海原⇔教会の移動可能)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。 1.キャスター(ヴォルデモート)との会談について話す。必要なら職務の手伝いも。 2.ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。 3.言峰綺礼に掛ける言葉はない……があのキャスター(ヴォルデモート)との接触には複雑な感情 4.れんげの保護はひとまず了承 [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。 ※管理役として、箱舟内のニュースや噂などで流れる情報を操作する権限を持っています。 →操作できるのはあくまで「NPCの意識」だけです。報道規制を誘発させることはできますが、流出してしまった情報を消し去ることや、“なかったこと”にすることはできません。 ※教会には『地上での冬木教会の機能』として敗退マスターを保護するための機能が残されています。本来は使用される想定のない機能です。 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本:聖杯戦争の恙ない進行。 1.??? 2.れんげを教会で保護する。 3.その他タスクも並行してこなしていく。 4.聖杯を知る―――ですか。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 ※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。 ※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。足立へのペナルティは一旦保留という扱いにしています。 ※令呪使用→エリザベート(一画)・デッドプール(一画)・ニンジャスレイヤー(一画)・カッツェ(一画) ※カッツェはアーカードに食われているが厳密には脱落していない扱いです。 サーヴァントとしての反応はアーカードと重複しています。 【宮内れんげ@のんのんびより】 [状態]ルリへの不信感、すいみん中 [令呪]残り1画 [装備]なし [道具]なし [所持金]十円 [思考・状況] 基本:かっちゃん! 1.かっちゃんあっちゃんはっきょくけんが帰ってくるまで待ってるん。 2.るりりん、どうして嘘つくん? 3.はるるんにもあいたい [備考] ※聖杯戦争のシステムを理解していません。 ※昼寝したので今日の夜は少し眠れないかもしれません。 ※ジナコを危険人物と判断しています。 ※アンデルセンはいい人だと思っていますが、同時に薄々ながらアーカードへの敵意を感じ取っています。 ※ルリとアンデルセンはアーカードが吸血鬼であることに嫌悪していると思っています。 ※サーヴァントは脱落しましたが、アーカードがカッツェを取り込んだことにより擬似的なパスが繋がり生存しています アーカードは脱落しましたが、彼は"生きてもいないし死んでもいない"状態に還ったので、かろうじてパスも生きています。 ※教会によって保護されています。教会内にいる限りは消滅の心配はありません。 BACK NEXT 161 狂い咲く人間の証明(前編) 投下順 163 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) 161 狂い咲く人間の証明(前編) 時系列順 163 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 155 絆‐Speckled Band‐ カレン・オルテンシア [[]] 161c 狂い咲く人間の証明(後編) ルーラー(ジャンヌ・ダルク) [[]] 宮内れんげ [[]]
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/296.html
なんで聖杯戦争なんてする必要があるんですか(正論) ◆ ◆ ◆ 冬木市下北沢に建つ一件の豪邸―― 訪れた者が「はえ~すっごい大きい……」と感嘆しそうな広い屋敷の中で 少女……我那覇響は一人で泣いていた。 ソファーの上で体育座りして静かにすすり泣くその姿は、常日頃の元気で楽天的な彼女の姿からは想像できないものだった。 しかし現在の状況――聖杯戦争という悪夢のような儀式に巻き込まれたことを考えると、とても「なんくるないさー」で片付けることはできない。 悪夢――そう、現実に気がついた時から、ここはまさに響にとって悪夢の世界だった。 ここには誰もいない。ペットであるハムスターのハム蔵と、蛇のへび香、シマリスのシマ男、オウムのオウ助と、うさぎのうさ江、ねこのねこ吉、ワニのワニ子、豚のブタ太、犬のいぬ美、モモンガのモモ次郎も 共に夢を追う765プロの仲間たちも、信頼するプロデューサーも、この世界には誰もいない。 替わりにいるのは―― 「お待たせ!アイスティーしかなかったけどいいかな?」 泣いている彼女の元に冷えた紅茶を運んできたクソ汚い男。 これが彼女のこの世界での仲間、「アサシン」のサーヴァントだった。 「……アイスティーなんていらないぞ」 「クゥーン……(仔犬)」 「……悪いけど、一人にしてほしいぞ」 「おう、考えてやるよ(一人にしてやるとは言っていない)」 顔を上げずに応じる響の前で、アサシンの姿が突然変わった。 まるで動画のコマ落しのように、それまで出現していたブサイクハゲステロイダーは 明らかにカタギとは思えない鋭い顔つきの男へと変貌していた。 「お前はこの聖杯戦争でどうすんだよ。あく決めろよ」 「そんなこと言われたって……自分は死にたくないけど、人を殺すなんて絶対嫌だぞ……」 「なんだお前根性無しだな(棒読み)」 再びアサシンの姿が変わる。 極道の姿から、今度はメジャーリーグで活躍する投手を思わせる色の黒い青年へと。 「黙って座って泣いてるだけなの? そんなんじゃ甘いよ(棒読み)」 「あのさぁ、もう他の参加者皆殺しにして終わりでいいんじゃない?(棒読み)」 「じゃあ俺、聖杯もらって帰るから(棒読み)」 言葉と共にアサシンの姿は次々に変わっていく。 色の黒いのから色の白いのへ、そして阪神タイガースの選手に似た男へと、アサシンの姿は目まぐるしく変わる。 こいつと初めて会った時もそうだった。我那覇響は回想する。 この世界での日常が偽りだと気付いた瞬間、令呪の痛みと共にアサシンは出現した。 「皆さんご無沙汰しております。 聖杯戦争専属調教師のタクヤと申します」 これマジ? 思わずそう叫んで逃げ出そうとした響を、突然出現した異様な姿のグラサン男は「つべこべ言わずに来いホイ!」と捕まえた。 「は、放せッ!」 身の危険を感じ、響が思わず本能的に令呪を使おうとしたその時 アサシンの姿が一瞬のうちに変わった。 「お前今令呪を消費しようとしたな?死にたいのか?」 マンガ家のような男の姿は掻き消え、男がいた場所に存在していたのは 半裸に黒マスクの髭の巨漢だった。 巨漢の熊のような巨体と眼光に竦められ、響は令呪の使用を止める。 その間に、男の姿はまた変化していた。 「……うん、この姿ならばマスターに警戒される心配はないでしょう」 次いで出現したのは、甘いマスクの人気男性声優に似た男だった。 状況が理解できず混乱したままの響に、男は甘い声で囁いた。 「ではマスターに御説明いたしましょう。私であり「私達」であるアサシンの能力について――」 「スゲエよ、カンタンだから。もう本当だから、カンタンカンタン」 今のアサシンは神々しいロン毛の男の姿をしている。 そう、この男もゴミクズブサイクハゲステロイダーも極道も野球選手も久保帯人も 全て同一のアサシンという存在なのだ。 アサシンの正体――それは「真夏の夜の淫夢」という概念そのもの。 元はただのホモビデオに過ぎなかった「真夏の夜の淫夢」が、出演していた一人の男から始まる 膨大な量の風評被害によって世界に影響を与えた。それ故に「彼」はサーヴァントとして召喚されたのだった。 「大丈夫だよな?もう殺ろうぜ、もうチャチャっと……。大丈夫だろもう?よしっ、キマリッ!」 「ちょ、ちょっと待て!自分は戦うなんて嫌だぞ!」 「は?(威圧)」 アサシンの姿がまた変わる。 変わり続ける。 「月に来たのに聖杯戦争しねえっておかしいだろお前よぉ!違うかオイ!」 「使えんわほんまつっかえ……やめたらもうマスター?こんなアホらし……」 「そうだよ(便乗)」 「駄目みたいですね(冷静)」 「情けないスタンス聡ずかしくないの?」 「こんな情けない格好……ルーラーが見たら泣きますよ」 「こんなんじゃ聖杯戦争にならないんだよ(棒読み)」 「そうだよ(便乗)」 「やめたくなりますよ~サーヴァント~」 「くっせえなお前……(侮蔑)」 「くさそう」 「くさい(確信)」 「くさい(断言)」 「くっさ」 「ヴォエ!(嘔吐)」 「うるさい!もうやめてくれ!」 耳を塞いでしゃがみ込んだ我那覇くんを見ると、アサシンはクソ汚い淫獣の姿に変わり 「ヴォー…」と鳴くとその姿を消した。 「もう嫌だ……765プロに帰りたいぞ……」 一人になった部屋の中で、我那覇くんは横たわったまま呟いた。 彼女は恐怖していた。 自分が偽りの世界にいることに。 聖杯戦争という殺し合いに巻き込まれたことに。 戦わなければ文字通り生き残れないということに。 そして自分のサーヴァントであるアサシンに。 何より――― ―――そのアサシンに取り込まれ始めている自分自身に。 「貴音……プロデューサー……みんな…… 自分は……もう駄目かもしれないぞ……」 【CLASS】 アサシン 【真名】 真夏の夜の淫夢 【パラメーター】 筋力:E-~A+++ 耐久:E-~A+++ 敏捷:E-~A+++ 魔力:E-~A+++ 幸運:E-~A+++ 宝具:EX 誰の状態で現界するかによってスキルは大きく変動する。 【属性】 混沌・中庸 【クラススキル】 気配遮断:E-~A+ サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 誰が召喚されているかによってランクは変わる。 【保有スキル】 同性愛:A 男の状態であれば男性を、女の状態であれば女性を恋愛対象として認識する。 ただし現界するキャラクターによってはこのスキルを所持していない者もいる。お前ノンケかよぉ!?(失望) 【宝具】 『真夏の夜の淫夢(まなつのよのいんむ)』 ランク:EX 種別:対人宝具(自分自身) レンジ:- 最大補足:- ホモビデオ「真夏の夜の淫夢」に関連する全ての存在(人間以外の生物・無機物も含む)の姿で現界することができる。一度に限界できるのは一名のみ。 その範囲は「淫夢」ほんへだけでなくCOAT、ACCEED、サムソンビデオ等が製作した他のホモビも含み 更には風評被害を受けた有名人一般人アニメ漫画ドラマゲーム映画小説音楽ヴォイスドラマ企画にまで到る。 現界しているキャラクターが行動不能に陥った場合は別のキャラクターとして現界できる。 一度行動不能と化したキャラクターは再現界不可能だが、元よりその数は膨大であり 野獣先輩だけでも無数に存在する(「淫夢四章の田所」「空手部鈴木」「インタビュー先輩」「サイクロップス先輩」「各BB劇場の先輩」「各新説シリーズの先輩」は別個扱い) また現在進行形で現界できる風評被害の範囲は増え続けているために、実質アサシンを殺し尽すことは不可能である。 ただし、行動不能によるキャラクターの交代には魔力が消費されるので、殺されすぎるとマスターが魔力枯渇で死ぬ。 またパラメーターの高いキャラクター、「真夏の夜の淫夢」本編との関連性が遠いキャラクターであるほど現界する時に消費する魔力は大きくなる。 『増え続ける風評被害(元はホモビ)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人 このサーヴァントの現界と共に常に発動し続ける呪い。 アサシンと関わった者はマスター・サーヴァント・NPCの区別なく徐々に風評被害に巻き込まれ、やがては淫夢に取り込まれる。 淫夢に取り込まれたものはアサシンと敵対する意志を失い、やがては自分もアサシンの一部となって消滅する。 侵蝕の度合いはアサシンとの係わり合いの深さ、アサシンと接する時間・距離に比例する。 マスターである我那覇くんがこの宝具に取り込まれて消滅していないのは、彼女が既に風評被害を受けたハゲみたいなもんやからである。 【weapon】 現界する姿によって「ヤクザから奪った拳銃」「竹刀」「睡眠薬」「空手」「鞭」「燭台」「ミニ八卦炉」等と異なる。 【人物背景】 その正体はホモビデオ「真夏の夜の淫夢」とそれが引き起こした風評被害の全てを含む 「真夏の夜の淫夢」という概念そのもの。 その理由なき悪意は際限なく広がり続ける。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯を淫夢で汚染する。 聖杯なんて俺らの玩具でいいんだ上等だろ。 【基本戦術、方針、運用法】 KEN、どうにかしろ(無責任) 【マスター】 我那覇響@アイドルマスターシリーズ 【参加方法】 ペットのハム蔵がゴフェルの木片を拾ってきた。 【マスターとしての願い】 トップアイドルになるのが目標だが、その為に聖杯の力を使うつもりはない。 ましてや人を殺すつもりはない。 【weapon】 明るさと元気と笑顔。 【能力・技能】 運動神経がよくダンスと歌が得意。 また動物が好きで仲良くなれる。 【人物背景】 765プロ所属のアイドル。(元は別事務所にいた) 沖縄出身の16歳で、動物好きな元気娘。小麦色の肌と八重歯が特徴。 【方針】 死にたくない。が、他人も殺したくない。 アサシンに完全に取り込まれることは避けられているが、精神的に侵蝕されている。
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/pages/37.html
橘ありす&エクストラクラス・ホルダー ◆GO82qGZUNE 「信じられませんね。そんなオカルトありえません」 街中の一角にあるファーストフード店。その奥まった席で、橘ありすは開口一番にそう断言した。 そこにいるのはありすと、もう一人。その人物は未だ成人していない少年であり、傍目から見れば二人は兄と妹にも見えるかもしれない。 対面に座る少年は困ったような表情を浮かべ、所在なさげにありすを見ている。どこか頼りないその所作に、ありすは「はぁ」と息をつくと言葉を続けた。 「……その聖杯戦争というのは、魔術師が英雄を呼び出して戦い合う、というものなんですよね」 「うん、そうなるね」 「そこからおかしいんですよ。わたしは魔術師なんてメルヘンの人間じゃありませんし、それになにより」 一呼吸置いて、ありすはその言葉を突きつけた。 「あなたが英雄のような大それた人には見えません」 どやぁと聞こえてきそうなしたり顔でそう言うと、ありすは論破完了とでも言いたげにこちらを見てくる。 確かにありすの言うことは当たっている。少年の格好はモスグリーンの制服ズボンにYシャツという、夏場の高校生そのままの姿だ。線の細い体格は戦いどころか運動系の部活すらやってなさそうなほどで、これで英雄と言われても信じる者はいないと断言できるだろう。 だが、それでも。少年がサーヴァントと呼ばれる超常の存在であることに変わりはない。 「それは僕も同じ意見だし、自分のことを英雄だなんて思っちゃいないけど。でも、君も見たでしょ?」 「うっ、それは……」 少年が言っているのはこの店に来る少し前のことだ。サーヴァントとして現界した少年は突然のことに驚くありすに、霊体化などを披露して自分が普通の人間ではないということを証明している。 ……普通の人間ではないという事実に、少年の気が少し重くなったのは内緒だ。 「だ、だったらあれはトリックか何かだとすれば!」 「それだと君の頭の中に聖杯戦争の記憶が入ってることには説明がつかないと思うけど」 「うぅ……」 言葉に詰まり目線を下げるありすを、なおも少年は困った表情で見つめる。少年としては現状を理解してもらいたいだけで、何もありすを言い負かして論破したいわけではないのだ。 と、ありすは気を取り直したのか、こほんと咳払いしつつ話を進める。 「……では、聖杯戦争というものが本当にあると仮定しましょう」 先ほどまでの軽い動揺はどこへやら、既にありすの表情は真剣そのものだ。少年もまた同様に真剣に耳を傾ける。 「わたしの頭の中の知識が正しいとすれば、ここから出るには聖杯を手に入れるしかない。そして聖杯は全てのマスターとサーヴァントを倒さないと現れない。そうですね?」 「厳密にはマスターは絶対に倒さなきゃいけないわけじゃないよ。でも、優勝を目指すならどこかで倒す必要が出てくるのは確かだね」 「はい、分かってます。そして倒すということは……殺す、ことになる……んですよね」 ありすはそこで言いよどむ。 マスターを殺す。それはつまり人殺しだ。幼い少女であるありすにとっては些か以上に堪えるものだろう。 「わたしは、人を殺したくありません。そうまでして叶えたい願いは持ってません」 「……」 「でも死にたくもありません。殺されたくないです。わたしは、どうしたらいいんでしょうか」 言葉を切る。ありすは唇を噛み、スカートの裾を掴んで項垂れている。 殺人。それは現代日本においては禁忌のようなものだ。する側でも、される側でも、それは全く変わらない。 だがそれはあくまで普通の世界での話だ。こと聖杯戦争においては他者を殺すことだけが唯一の常道であり、ここから脱落するのは聖杯を手にする以外では死ぬ他にない。 そして眼前の少年はサーヴァントだ。サーヴァントとは願いのために聖杯を欲する。そのために現れるのだと頭の中の知識にある。ならば戦いそのものを否定するありすは彼にとっては邪魔なだけで、何を言われるのか、何をされるのか分かったものではない。 しかし…… 「うん、良かった。安心したよ」 「…………は?」 少年の返答は、些か以上に予想外であった。 「え、あ、その、つまりわたしは聖杯を取るつもりはないって、そう言ったんですけど……」 「大丈夫、分かってる。死にたくないし殺したくないって気持ちは当然だし、人として普通だと思うよ。うん、君は何も間違ってない」 「……わたしが言うのもなんですけど、あなたはそれでいいんですか? サーヴァントは願いを叶えたいから喚ばれると記憶してるんですが」 その言葉に、少年はうーんと難しそうな顔を作る。纏う雰囲気は朴訥で、やはり英雄にはさっぱり見えない。 どこにでもいそうな風貌の、線の細い少年。少年は優しげな笑みを浮かべると、ありすに返答した。 「確かに願いがないと言ったら嘘になるけど、でも君と同じ考えだよ。殺したくないし、殺されたくない。まあ僕は一度死んでるから殺されたくないってほうの気持ちはそんなでもないけど」 それにね、と少年は付け加える。 「この聖杯戦争自体が、もしかしたら僕の知ってる《怪奇現象》だって可能性もあるんだ。もしそうだとすればなんでも願いの叶う聖杯なんて存在しない。 今はなんとも言えないけど、そういう推測もできる」 聖杯自体が、ない? 「それは、一体どういう……?」 「僕は生前、とある《怪奇現象》を解決する立場にいたんだ。その《怪奇現象》は人の持つ悪夢やトラウマを現実のものにしてしまう。そしてそれは、特に大きなものの場合は《童話》の形を取ることがあるんだ。 アーサー王物語にパルジファルに荒地、聖杯伝説は童話でこそないけど十分に物語としての特性を持ってる。僕の知る《怪奇現象》が今回は聖杯伝説をモチーフにしている可能性だってあり得るんじゃないかって僕は考えてるんだ」 少年の語ることの全てを、ありすは理解できたわけではない。ありすは同年代の中では頭の回るほうではあるが、しかし少々情報量が多く飲み込みきれない部分があることは確かなのだ。 しかし分かることがある。聖杯戦争それ自体への懐疑と、少年がそれに対抗する者であるということ。 「仮にこの聖杯戦争がその《怪奇現象》だったら、あなたはそれを解決するんですか?」 「そうだね。もしそうなら、僕は全力でこの《怪奇現象》を止める。今はもう《予言》も《女王》もないけど、それが僕の役目だから」 そう語る少年の目は真剣そのものだ。先ほどまでの頼りなさは感じられず、彼が真に《怪奇現象》に立ち向かってきたのだと否が応にも理解させられる。 「僕は剣も弓も槍も使えないし、魔術師でもない。でも、それでも僕がこの戦争に呼ばれた理由は分かる。 まず僕がしなくちゃいけないのはこの聖杯戦争を《理解》することだって、そう思う。それに聖杯を調べてるうちに安全に脱出できる方法も見つかるかもしれないしね」 僕の考えはこんな感じだけど、君はどう? そう尋ねられて、ありすは迷いなく頷く。 殺す必要のない選択、それは少女にとっては福音のようなものだから。 「……ええ、はい。私もその方針に異論はありません。これからよろしくお願いしますね、【ホルダー】さん」 「うん、こちらこそよろしく、マスター」 両者は手を取り合い、少女はぎこちなく、少年は屈託なく笑う。 それはやはり年相応の少女であったし、年相応の少年の姿でもあった。 【クラス】 ホルダー 【真名】 白野蒼衣@断章のグリム 【ステータス】 筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A++ 幸運D 宝具EX 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 断章:A 精神に根ざす神の悪夢の欠片であり、ホルダー自身のトラウマと混ざり合ったもの。光景のみならず現象をも伴ったフラッシュバックとして具現する。 断章とは言わばアラヤの悪意とそれに伴う膨大な魔力そのものであり、ホルダーの魔力ステータスの高さはこれに由来する。 ホルダーの精神の大部分は神の悪夢の欠片によって占有されているため、他の要素がホルダーの精神に入り込むことができない。 同ランクの対魔力を内包し、またあらゆる精神干渉を9割シャットダウンする。 精神異常:A++ 精神を病んでいる。 "普通"という概念に固執し、それ故に異常な状況であっても平静を保っていられる。精神的なスーパーアーマー能力。 【保有スキル】 人間観察:B 人々を観察し、理解する技術。 他者の持つ悪夢を理解し、それに共感する類稀なる感受性・受容性を持つ。 受容体質:C 他者のあるがままを受け入れる。被虐体質とは似て非なるスキル。 第一印象において他者の信用を得やすい。しかしそれは逆に言えば舐められることにも近く、強い敵意や戦意を持つ者と相対した場合は優先的に狙われやすくなる。 直感:D つねに自身にとって有利な展開を”感じ取る”能力。 ホルダーのそれは戦闘よりも非戦闘時における危機察知、及び他者の精神性をうかがい知るためのものとなっている。 気配詐称:A ホルダー及びそのマスターの気配をNPCのものに偽装する。 ただし同ランク以上の気配察知や隠蔽無効化スキルには見破られる。また、そうでなくとも他マスターやサーヴァントにホルダーの半径5メートル以内に近づかれた場合は普通にばれる。 ホルダーのマスターはホルダーから1メートル離れた場合このスキルの効果の対象外となる。 ホルダーの持つ自身の普遍性に対する絶対の自負が形になったスキル。 【宝具】 『目醒めのアリス(フラグメント・オブ・ワンダーランド)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- ホルダーの精神に根ざす神の悪夢の欠片。抱えた悪夢の内容は「自分が見捨ててしまった人間が破滅する」。 他人が抱えた悪夢(トラウマに代表される精神的弱点)を理解・共有し、それを拒絶することで悪夢を保持者へと還す。 悪夢を還された者はその悪夢を維持することができず、異形化して最終的には消滅する。あらゆるスキルと宝具による軽減・無効化を受け付けず、復活等も決してできない。まさしく必殺の宝具。 しかし発動するためには相手の抱える悪夢を理解する必要があり、思想・性質といったかなり深い部分までをも知らなければならない。伝聞だけでそれらの条件を果たすことはまず不可能と言っていい。 また、仮にこの悪夢の欠片がホルダーの精神から溢れてしまった場合、泡禍と呼ばれる大災害を引き起こすだろう。 【Weapon】 なし 【人物背景】 自他共に認める"普通"の少年。常に目立たないことを信条とし、平凡というものを愛している。 幼少の頃、幼馴染が異形と化した泡禍に巻き込まれ「断章保持者」となっていたが、本人は高校生になるまでその記憶を無くしていた。その泡禍のトラウマから他人、特に精神を病んだ少女を見捨てることができないという強迫観念に囚われている。 再び巻き込まれた泡禍を通じて断章に目覚めた後は断章保持者として様々な泡禍の解決に奔走していったが、蒼衣の断章によって死ぬことを望む神狩屋の暴走によって全てが崩壊してしまう。 事件そのものは解決するも、後に残ったのは大量の死と不安定になったホルダーの断章のみ。ホルダーはいずれロッジを作ると宣言し、それを受けた仲間とも言うべき少女も了解する。 その後は特に語ることはないだろう。そう遠くない未来において、彼は均衡を崩した自身の断章に呑まれ最期を迎えている。 聖杯戦争においては全盛期、つまり断章が安定していた高校1年生の状態で現界している。 【サーヴァントとしての願い】 泡禍を根絶する、失われた日常を取り戻す、別れた人たちとの再会。 大小に関わらず願いはいくつも持っているが、それを聖杯に託すつもりはない。というか聖杯のことを根本的に信用していない。 【マスター】 橘ありす@アイドルマスターシンデレラガールズ 【マスターとしての願い】 ないわけではないが、人を殺して聖杯に願うほど大それたものではない。 【weapon】 ごく普通の携帯型タブレット。 【能力・技能】 同年代と比べて勉強はできるほう。アイドルなので身体能力はそれなりに高いか。 特技:論破(自称) 【人物背景】 12歳の小学6年生。自身の日本人らしくない名前にコンプレックスを抱いておりそのせいか無愛想だが、実のところは年相応の感性を持った少女。 大人びているというよりは背伸びしたがる子であり、時折冷めたことを言うことはあるが音楽には力があると信じるなど熱い一面もある。 そのコンプレックスにより知識で壁を作り自分を覆ってしまっているが、作中で自分らしさを考えていくうちに徐々に周りと打ち解けている。 【方針】 まず聖杯そのものについて調べる。その結果がどうあろうと誰かを殺すつもりはない。家に帰りたい。