約 374,337 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/348.html
510 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/04(水) 04 20 24 「これからS市に向かい情報収集を行います」 バゼットが立ち上がった。 「何かあれば連絡を入れます、連絡先は……」 「ええっと、この家の電話にお願いします、番号は……」 「了解した、では」 足音と、玄関の開き、閉まる音が聞こえた。 「……さて、まだ日も高い、我々はどうするね?」 S市に到着して、まず向かったのは書店だった。 地図を確認し、地形を頭に叩き込む。 港と駅の位置は分かっているが、この市が戦場となるならば詳しい地形は必要となる。 特に戦場候補として選ばれうる人通りの少ない場所は直接現地にて確認するのがセオリーだ。 続いて港へと向かう。 数日前にシベリアトラを輸送した密輸船だ。 「船長」 「おぅ、バゼットの姉ちゃんか、どうした?」 「ここ数週間この港に搬入された品目、特に『人間』について表裏問わず調べていただきたい」 どこかの組織に所属しているならばともかく、どこぞの魔術師ならば密輸されて来るはずだと彼女は考えた。 そしてそれは己が調べるよりも蛇の道は蛇、彼らに任せるのは最適だろう。 「調べる……? そりゃ別に構わないが……」 「勿論報酬は先日の密輸とは別口で支払いましょう、但し急いでお願いします」 「ああわかった、日本円かユーロでな、米ドルは駄目だぜ?」 「ええ、分かっています」 用件は済んだ、あとは市内を調べるだけだ。 まず交通の要衝である駅前の探索を行う。 さすがに人通りは多く、戦いの痕跡もごく僅かしか残っていない。 言い換えれば夜はこの場所も戦場となったということだ。 駅前から少し離れた場所に廃ビルを見つけ、屋上へ向かう。 探索のルーンを描くと、高らかに魔術反応を示した。 「残留魔力……なるほど、恐らくアーチャータイプの遠距離攻撃……ここからならば駅まで障害物はない……」 手摺りから駅を注意深く観察する。 「しかし、ここにも魔力が残っているということは……駅前からこの屋上に向かって攻撃を?」 だとしても、手摺りなどに破壊の跡や修復の痕跡は見られない。 「すると……召還、か?」 その考えはすぐに立ち消える。 冬木という優れた霊地が近くにある以上召還するとすればそちらだろう。 「なんにせよ、ルーンだけでの探索は難しいか……だとすれば次に探索するべきは……」 既に日は傾き始めている。 出来るとしてもあと一つか二つといったところだろう。 「ふむ、ならば……」 俺を孕んでくれ:別荘地帯を調べる 貴様が生まれる気か:杜王町商店街を調べる だが良かろう:ぶどうヶ丘高校・中学近辺を調べる ドリルハリケーン!:霊園・教会付近を調べる
https://w.atwiki.jp/ankasekai/pages/423.html
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ マーガリンの繁栄により全世界の文化と技術は衰退 バターを始めとした他の調味料は歴史の闇へと封印されてしまった そして世界はマーガリンを至高とするディストピアと化してしまった―― ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ,ィ i i i i 、 ,ィ i i i iヽ ノ i i i i i i ゝ ソ i i i i iノ └ュ i i i i i¬、 ] i i i i i∟ / i i i i i i i i i i>..____ _ / i i i i i i i i iヽ / i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i> j i i i i i i i i i i i i i i`、 } i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i厂 ノ i i i i i i i i i i i i i i i i 〕 ノ i i i i i i i i i i i i i i i i i i / ヽ i i i i i i i i i i i i i i厂 _ 「 i i i i i i i i i i i i i i i iΓ´ __了 i i i i i i i i i「 〔 i i} { i i i i i i i i i i i i i iヾ i 〉 . / i i i i i i i i i i i i<_ヽ _,ィ i i i it、 _Ⅹ i i i i i i i il\ i i i \ Ⅸ i i i i i i i i i i i i i i i i i\ r' i i i i i i i i i | ,.r/ | i i i i i i i L \ i i i} | i i i > i ir=ニ_ i i i i | ノ i i i i i i i i i i | r 、 ,.r/ 「 i i i i|、 i i i{ ー′ . 八 i i イ ヽ i i i{ `=′ ‘⌒ i i i i i i iト! ノ i i、 ,.r/ ヽ i i { ヽ i i 、 } i i | } i i { ,..、 r/{ i i i i in i L / i i i i i ヽ ,.r/ ‘; i | ‘ i i i, ... `;i | } i i | ,! i L__, ,f i、 r/ ヽ i i ハ i i j `ヽ i i i i i〈 r/ { i | ‘ i i i', _‐==ニ=┴-=` i i|_{ i i i i / ノ i i ( r/ { i | 〈 i } .] i ハ i (`’ ' } i! ヽ i|  ̄ ̄`¨¨`二ニヽ. __ヽィ i { ' | i | | i| 「 i/ ヽ i _,==―――――-'┴=' ̄ ̄ ̄`ニニニニ= 丁TヽL._ ___」 i∟l i∟== __j i{__} レ=≦ ̄ `~´ ̄  ̄` ̄ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ――しかしまだ他の調味料を捨てず立ち上がるモノも居た そして今回の聖杯戦争を作り上げた御三家もまたその一部である 彼等は魔術に基づいた聖杯の力を持って世界を正そうとしていた―― ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 物語へのリンク ◆第一部 ttp //yaruoshelter.com/test/read.cgi/yaruo001/1516191630/3325-6074 ◆まとめ一話 http //yaruok.blog.fc2.com/blog-entry-10126.html ストーリー かつてこの世界には多彩な調味料が存在した ソレは様々な人間が長い年月をかけて生み出した英知の結晶である 人々はその多彩な調味料で様々な料理を作り星の数ほどの素晴らしい食文化を築いていた――そう、あの時までは… 世界中の調味料を駆逐し、マーガリンを中心に考えられマーガリンに合う料理のみが作られるようになった世界 そんな世界に立ち向かうべく、聖杯を作り上げた御三家主催による聖杯戦争 勝利の聖杯は誰の手に、そして調味料の運命は… 登場人物 <セイバー陣営> ジェリド・メサ・・・セイバーのサーヴァント 峰津院都・・・セイバーのマスター <ランサー陣営> テッカマンランス・・・ランサーのサーヴァント 鷺沢文香・・・ランサーのマスター <アーチャー陣営> 呉キリカ・・・アーチャーのサーヴァント レッド・・・アーチャーのマスター <ライダー陣営> シグナム・・・ライダーのサーヴァント ヴォルフラム・・・ライダーのマスター <キャスター陣営> ミスト・レックス・・・キャスターのサーヴァント ギルベルト・ハーヴェス・・・キャスターのマスター <アサシン陣営> 三沢大地・・・アサシンのサーヴァント 蝉・・・アサシンのマスター <バーサーカー陣営> ヤムチャ・・・バーサーカーのサーヴァント ワユ・・・バーサーカーのマスター その他人物 + ... シオニー・レジス・・・アヴェンジャーのサーヴァント 五条勝・・・アヴェンジャーのマスター 雪音クリス・・・テッカマンランスの娘とそっくりな子供 恋するドラゴン・・・ライダーの宝具で召喚した竜 アレクサンド・アンデルセン・・・監督役 マーリン・・・覇界マーガリン三連星 ガンヴォルト・・・覇界マーガリン三連星 ハス太・・・覇界マーガリン三連星 ファヴニル・ダインスレイフ・・・ルーラーのサーヴァント やる夫・・・ルーラーのマスター 概要 今回の物語は、過去にアバターを務めたが、 それ以降、他の物語に登場してなかったキャラ達7名を、 サーヴァントとして召喚した聖杯戦争である。 (特定の主人公はいない群像劇)
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/549.html
698 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/07(火) 03 08 18 断末魔の一瞬! 士郎の精神に潜む爆発力がとてつもない冒険を産んだ! 普通の人間はおいつめられ危険を感じればそこから逃げようとばかり考える だが士郎は違った! 逆に! その危険に飛び込んだ! 『なに士郎? 大河君がおもちゃの鉄砲を持って行ってはなさない? 士郎 それは無理矢理引き離そうとするからだよ 逆に考えるんだ 『あげちゃってもいいさ』と考えるんだ』 一歩を踏み出しながらスポンジを拾い上げ、目標の背後に回る。 「ん……ふ」 突然触れられたというその感覚で遠坂の膝が落ちる。 「か、体中が……敏感に、なって……る」 氷室も瞬時に膝を落とす。 その機会は決して逃してはいけない、二人をノックダウンするチャンスはここしかない。 逃げようとすれば逆転されることは間違いないと確信している、ならばここで倒しきるのみ――! 感覚が伝播している。 スポンジ越しの柔肌の感触を感じ取る。 そしてその感覚は倍加して触れた者に伝わっている。 更に己の背中にフィードバックする感覚は、紛れもない快楽だ。 だがその快楽に溺れてはいけない、今は、ただ背中を洗っているだけなんだから。 だがそれでも意識が薄れていく。 「ん……」 氷室からくたりと力が抜け、倒れ込む。 倒れ込もうとする身体を支え、壁に支える。 「士郎……なにかこれ……ん……」 遠坂の声は弱々しく、反して息が荒い。 思考がぼやけていく。 身体の感触を楽しんでいる。 「シロウ……わたしも……」 イリヤが身体を擦りつけてくる。 息は乱れ、まるで質の悪い風邪にあてられたかのようだ。 何かが異常だ。 だがその異常の正体が分からない。 そうだ、あの決意すらも、何かに、操られていたかのようで…… 床に倒れ込む。 意識が薄れて行く。 力が抜けて動けない。 何かに食べられている。 身体から血液が抜けていく。 そんな中で―― 「ふふふ……シロウ、ごちそうさまでした」 紫色の影が見えた。 「……あれ?」 何をしていたのだろうか。 確か、話の流れで、遠坂達と風呂にはいることになって…… 「う」 床に三人が倒れている。 「お湯を温めすぎたか?」 そのせいで湯気でのぼせて気絶してしまったのだろうか? 今は逆に身体が冷えてしまっている。 冷静に、指先で湯船の温度を確認する。 「……ん、今は丁度良いかな」 倒れている三人の意識を確認する。 皆似たような状況だったが、どうにか意識はあるようだ。 「みんな、床は冷える、湯船に入ろう」 「ん、シロウ、入れて――」 イリヤの身体を抱きかかえて湯船に漬ける。 続いて氷室、遠坂を後ろから抱きかかえて湯船に入れる。 入れてしまいさえすれば、身体を制御する程度のことはどうにか出来るようだ。 「しかし……」 弱ったことに入るスペースがない。 しかし身体は本格的に冷えている。 シャワーでは暖まらない、湯船という形は必要だ。 ならば―― アレクセイ・パジトノフ:テトリスのように湯船の真ん中に入る レッドオクトーバー:イリヤを抱きかかえて一緒に入る レッド・スコルピオン:どうにか熱いシャワーで誤魔化す
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/174.html
339 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/10(日) 03 50 00 ……もう少し、もう少しだけ一緒にいよう。 そんな事を考え、襖を閉め、冷茶を茶碗に注いだ。 ——ここはね、僕の修行場なんだ。 ふと、切嗣のそんな言葉を思い出した。 ひたすらに広い屋敷の、二畳しかない、電灯もない部屋。 考えてみれば、切嗣が死んだ時、藤ねえが籠もった部屋だったな、ここって。 それ以来、かな、そう言う場所だと意識したのは。 掃除の時にまとめてやってしまおうと考える位で、ここがどういう場所なのかを考えた事はなかった。 なんとなく感慨に耽ってしまう。 と、襖を叩く音が聞こえた。 「ん、誰?」 「あ、私です」 「桜? どうしたんだ?」 襖を開ける。 「あ、いえ、お風呂全員出ましたので先輩もどうかな、と」 「わかった、もう少ししたら行くよ、あ、あのシベリアトラどうなった?」 「ええ、さっきライダーとキャスターさんが縁側に繋ぎました、寝ちゃったみたいです、ライダーの話だと寂しそうだったと」 「ん、そっか、じゃ適当に風呂は入るよ」 「はい、わかりました、まだみんな居間に居るので何かあったら呼んでくださいね」 「わかった」 それじゃ失礼します、と。 襖は閉められ、居間への足音が続いた。 閉め切った部屋、枕元の士郎、布団で眠る藤ねえ、ただそれだけで表せる畳の部屋。 「切嗣さん……」 藤ねえの呟きが聞こえる。 暗かったがよく見れば分かる、藤ねえが泣いていた。 場所がそうさせるのか、それとも藤ねえの心の奥がそうさせるのか。 「親父……藤ねえはまだ泣いているよ」 ——うん、そうだね、でも僕はもう居ないから、士郎が慰めてあげると良い、お嫁さんに貰ってあげるとか良いかもね そんな事を言いそうだと考えた。 「それは良くない事だよ、桜が居るんだ」 ——うん、それじゃ難しいね、じゃあ男の甲斐性を見せつけるとかどうだろう? 幸いこの家には女の子も一杯居るようだからね 「ははは……ハーレム建築かい? 親父も冗談を言うようになったな」 ——そう、それが女の子を一番泣かせない選択肢だよ、もしかしたら激怒されるかもしれないけど 「泣かせないって意味ではある意味でそれも正義の味方、か」 立ち上がる。 「ありがとな、親父」 部屋から出る時、そんな事を口にした。 ——でもね、今もきっと—— 最後の言葉は、よく分からなかった。 ——さあ、みんなの為にも、やるべき事を片付けなければ いつの間にか、全身に力が漲っていた。 藤:まずキャスターの出自の確認だ ね:まずライダーの傷の事を確認するべきだ え:まず遠坂と、今日戦ったサーヴァント、そして赤い男について話をするべきだ の:まず桜の調子を確認しよう、全身の状態が変化しているんだからな 夢:まずルヴィアの精神状態を確認しよう、今なら彼女は引き返せる
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/548.html
637 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/06(月) 03 56 59 無言のまま、背中越しにイリヤの前を洗う事にする。 脇の下や首筋など、汗のたまりやすそうな部分を十分的に洗うことを中心に、全身を洗うことにする。 「ひゃうっ!? シ、シロウ?」 ……この辺りが限界ラインである。 遠坂や氷室の、なんというか肌や筋肉まで感じ取ってしまったら多分理性が限度を超える。 今でさえ臨界寸前、メルトダウンが目前に迫っている。 イリヤは妹であると己を誤魔化してしまえば、ギリギリで臨界は超えない。 三枝さんの時は危ないところだったが、理性を総動員してなんとかなった。 だが理性は擦り切れ、しかも一度『安心』してしまっている為、限界は既に突破している。 そして今は『妹である』と思い込む冷却剤があるからこそなんとかなっているのだ。 ここで遠坂や氷室の体を洗おう物ならば……LOCA 冷却材喪失事故 は免れない。 その結果がどうなるのかは想像の外。 恐らく考え得る限りの最悪の事態。 その地平を遙かに超える事象が発生するだろう。 イリヤだけで、イリヤ 妹 だけでなんとかしなければ…… 「ほほぅ……」 「へぇ……」 二人が矢鱈と冷静な目をしている。 その顔は、まとめて頭を冷却してくれた。 だが一体何をそんなに…… 「あ」 分かった。 理解した。 そして納得した。 抱き寄せたイリヤの息が荒い。 「んん……シロウ……ダメだよぉ……乳首とか、いじっちゃ……」 イリヤが、聞いたこともない艶っぽい声をしている。 振り返った顔は赤く、目は蕩けるように焦点が合っていない。 湯煙や汗でわかりにくいが、その口元からは涎すら垂れている。 えーっと、これは……いわゆる。 自分の体のコントロールが出来なくなるほど『昂まって』いるッ! 「すっ! すまん!」 その認識と同時に手を離す。 全速で後ろに下がる。 壁に当たって頭をぶつける。 少し痛いが気にする事などできはしない。 今気付いたがスポンジは床に落ちて転がっていた。 直接!? ま、まさか、今の今まで直接触れていたのか? 手の泡を見る。 先程まで触れていましたというような、人肌の温もりを感じる。 ……どうしよう、イリヤ相手でも理性が危険だ。 とはいえ、こういう状況になればここから先の、これ以上の危険な状況の回避は…… 「……盛ってきた」 できてないようです。 た、立ち上がった! 二人が勢いよく浴槽から立ち上がったァー! そしてそのまま不思議な軽やかさと共にゆらりと向かってくるゥー! 危険だ、襲われる。 『逃げろ』と、 本能が警告した。 座ったままの姿勢! 膝だけであんな跳躍を!:脱出だ! 全力で脱出だ! こいつはやばいッ!:「ふっふっふ……たっぷりと洗って貰おうではないか、たっぷりとな」動き出す前に捕獲された。 逆に考えるんだ:主導権を握って脱出のチャンスを待つッ! その為に敢えて突入する! この野郎を食うのはおれだぜーッ:「先輩、何を――!」「シロウ、何を――!」風呂場に桜とライダーが乱入してきた。 PLUCK(勇気をッ!):「しーろーうー!」虎が! 虎が真剣を持って風呂場に突撃を!
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/343.html
717 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/17(日) 03 34 46 靴の爪先が巻き込まれ、体勢が崩れた、その瞬間。 敵が笑ったのが見えた。 ふと、『ああ、敵は勝ち誇っているんだな』と理解した。 『相手が勝ち誇った時、すでにそいつは敗北している』とは、彼の父の言葉だ。 「グレート……ベストポジションだぜ」 体勢が崩れたまま、敵を指さした。 指さした手には崩れた瞬間拾い上げた弾丸。 既に発射され、変形していようと、弾き飛ばすには問題ない。 勝ち誇っている時、その思考は自ずと読める。 そう、こういう性格の男が勝ち誇っている状態になれば、悪足掻きにしか思えぬ反撃は、回避せず、弾き飛ばすことは容易に予想できた。 故に。 「なおす」 敗北する。 悪足掻きにしか思えぬ弾いた弾丸は杖で叩き落とす。 口元には笑み。 「ほぉーら、こいつでトドメだ!」 そんなことを口にした瞬間。 彼の背後に何かが突き立てられた。 「がっ……」 突き立てられたのは剣。 壁に命中し、転がった剣。 それが『元に戻ろうと』内臓に命中していた。 そして、剣はそのまま仗助の手元に戻っていく、体を引き連れたまま。 崩れた体勢は既に立ち直りかけていた。 立ち上がる力、それを過剰に足に与え、コンクリートの大地を蹴り上げ。 「ドラァッ!」 その力を利用したアッパーが顎に炸裂した。 「……グッ……ズッ……ウウウウゥ」 倒れた状態から立ち上がろうとする。 仰向けで倒れたことで剣はより深く突き刺さっているようだった。 恐らく片方は破れたであろう肺に空気を全力で注ぎ込む。 痺れる指先で杖を握り、地面に突き立てる。 「おいおい、無茶しねーで寝ときなよ、この街から立ち去るって言ってくれりゃトドメさしたりはしねーからよ」 「ランサアアアアァァァァ!」 死力を尽くして、叫ぶ。 そして一陣の風が吹き、男がランサーに抱えられていた。 「残念だが、マスターがこの状態では仕方がないよな?」 飄々と、ランサーがそんなことを口にして、再び風となって去っていった。 立ち去ったことを確認し、仗助は全力で息を吐き出す。 「さて、では帰るかね」 「ちっと……休憩させてくれよ」 「おいおい、そう言っててまた誰ぞ来たらどうするね? 残骸の回収は済んだし、休みたいなら家帰って休みたまえ」 「帰ったらベンキョーあるって考えたら帰る気もなー……」 ぐたりと、地面に寝転がった。 「やれやれ、仕方ない」 そういうと、仗助は肩に抱えられていた。 「我が儘は良くないぞ仗助、家まで抱えていくからベンキョーしたまえ」 「ぬあー、分かった、歩く! 歩くからそういうのは止めてくれ!」 数分前まで命懸けの戦いを繰り広げていたとは思えぬ程軽い声と動きで、彼等は戦場を後にした。 衛宮邸ルート:再び舞台は衛宮邸へ 柳洞寺コース:そして舞台は柳洞寺へ
https://w.atwiki.jp/kirby3ds/pages/170.html
ステージ6-6の一体目に登場するボス「マスクド・デデデ」の攻略方法。 攻略方法・ポイント 編集用コメント欄 攻略方法・ポイント 編集用コメント欄 このページでの議論・情報提供・質問用のコメント欄です。 コメント欄での質問を許可しました。どこで質問すべきか、ページを考えて質問しましょう。 ※雑談は許可していません!! 雑談は掲示板にてお願いします。見つけ次第削除します。 最新10件の親コメントを表示しています。 コメントの返信は、返信したいコメントの○にチェックを入れて投稿してください。無暗な新規投稿はお控え下さい。 ガイドラインも併せてお読みください。 名前 コメントログ?
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/668.html
12 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/23(土) 03 54 14 ライダーの釘剣が廊下を舞う。 空間の制約上不可避の一撃、その一撃を、バーサーカーが受け止めていた。 無言で手にしたカラシニコフを乱射する。 「っ!」 三人を抱きかかえ、廊下の陰に隠れる。 「あの程度ではダメージがないようですね」 「心臓近くに突き刺さっているのに?」 「……恐らくそれがあのバーサーカーの特性、即死以外では死なないと言っていましたし」 凛の問いに、ルヴィアが応える。 「それは危険ですね、ともかく、動けぬ三人、士郎、キャスター、タイガの三人をなんとかせねば……」 「……ライダー、時間稼ぎ、頼める?」 桜が問う。 「はい」 それに力強く返答する。 互いに目配せする。 ちょっとした睨み合いにも似た光景。 ただそれだけで各々の役割は決定した。 「ふん、威勢が良いのは初撃のみか、ならば往くぞバーサーカー、確実に息の根を止めろ」 頷いたのか、狂戦士が廊下に前進を始める。 それに呼応するように、ライダーが飛び出す。 玄関や廊下という狭い空間では、ライダーの速度も、バーサーカーの力も、互いに完全に発揮することは出来ない。 だが、それに構わず肉切り包丁を振り回す。 「人の家で好き勝手っ!」 突き刺さったままの釘剣を振るう。 「それはお互い様だな! サーヴァントッ!」 バーサーカーのマスター、モンティーと呼ばれた男は、土足で玄関に上がり込み、その様子を見守っていた。 「……許せませんわ」 その光景を、ルヴィアが吐き捨てるように言う。 「土足で家に上がり込む、その『日本式』を無視するその心根が!」 宝石魔術がバーサーカーに直撃し、蹌踉めく。 その隙に、ライダーが鎖を首に巻き付け、思い切り振り下ろす。 並の人間ならば首が吹き飛び、サーヴァントでも頸骨骨折を免れぬほどの、ライダーにとっても最高のタイミング。 その様を、男が笑殺した。 「無駄だね」 バーサーカーの手が壁に触れる。 その直後に、まるでダメージが無かったかのように立ち上がり、包丁が振るわれる。 「なっ!」 一瞬の油断で、後方に退く彼女の足が切断される。 「言ったろ? 即死以外じゃ死なないってさ!」 心底愉快そうに、廊下で小躍りする。 土が廊下に落ちていくのが見えた。 「くぅ……」 ルヴィアが歯噛みする。 「その礼儀を守らぬ心根のどこが紳士か! 恥を知りなさい! モントゴメリー!」 勝つことも、相手の非礼を正すことも出来ぬ悔しさに、自らの無力さを嘆くように彼女は叫ぶ。 そんな彼女の叫びに応えるように 防:衛宮邸に吹雪が舞った 衛:彼女の耳に声が響いた 戦:屋根の上から遠坂が飛び出した
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/558.html
26 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/18(土) 04 38 40 23 54・霧島家 二人で、空間の歪みに突入し、それと同時。 「SC空間を探知しました。使用者のイデア情報を確認。起動します……」 非現実 キャスターの宝具 が起動した。 歪んだ空間、失せた現実の中、男が立っていた。 男が振り返り、楽しそうに。 「やあ、久しぶりだね、本当に久しぶりだ」 抜刀しながら、笑いながら言った。 それを好機と見たのか、セイバーとバゼットが飛びかかる。 それぞれ心臓と脳を狙う一閃。 だがその一撃は、微笑と共に終わった。 「ああ、言ってなかったかな? この空間は概念を歪める事のみに特化した非現実、だから、早さ堅さは関係ないんだよ」 頭を軽く掻きながら言う。 脳を狙ったバゼットの一撃、硬化のルーンが僅かでも現実を歪めていたのか、頭を軽く掻く。 だが、彼女のルーン魔術をしてその程度。 いかにクラス特性としての対魔力が高かろうと、セイバーに魔術は期待できない。 そう判断したが故に、男はキャスターに視線を戻す。 「さあ、それじゃあ、やろうじゃないか、名城」 その笑顔に。 キャスターが衛宮士郎を庇うように飛び出した。 男の剣――つまり『セイバー』なのだろうという事が理解できる――の柄に取り付けられた宝石が光る。 キャスターの布その留め金となっている宝石が光る。 その二つの光は様々な物を空間に呼び出し続ける。 飛び交うのは、無限の概念だった。 瞬時に爆発し消え去る炎に似たナニカ。 刃もなく切断するナニカ。 十字に舞うナニカ。 それら無数の概念を、衛宮士郎は実感した。 この異常がなんなのか。 実感など出来るはずもないのに、問答無用で『アレ』がなんなのかを実感した。 二度目であるからなのか。 彼女のマスターという実感故か。 あれらは全て現実を侵す真実だ。 法則に則って世界を侵し、非現実を現実に浸食させる宝具。 一見し、ようやく実感した。 「ハッ!」 バゼットの正拳が白い怪物に直撃する。 同時に、白い怪物の動きが停止する。 彼女の手袋には新たなルーン スリサズ が刻み込まれている。 氷の巨人、茨の門、それらの意味する『停止せよ』と言う概念。 それが白い怪物の動きを一時的に停止させる。 「破壊は不可能でも、動きを止めることは可能……セイバー!」 そこに、真上からセイバーの爆撃のような拳――命中と同時に白い怪物が電撃に包まれる――が振り下ろされる。 「なるほど、宝具でなくとも、『現実を歪ませ得る』概念さえ付加すれば……全く無駄という事はなさそうですね」 電撃で焼け焦げ、それでも尚動き出そうとする存在に再び拳を叩き付け、ようやく一体が倒れ、宝石に戻された。 二人は残った白い存在達へ向け飛び込んでいく。 頭のどこかが冷静に判断を下す。 あの二人は途方もなく強い。 それでも、あの二人 セイバーとキャスター の戦いに介入できる代物ではない。 あの二人の周囲に飛び交う概念は、剥き出しの呪いだ。 それは既に概念の付加などというレベルの代物ではない。 飛び交うのはまるで極上の呪いだ。 様々な形をもって綴られる『お前は存在しない』という強固な概念 呪い 。 宝具の加護のない生身の人間など、即座に歪み、削られ、二度と現実には戻れなくなる事を理解できる。 だが、それでも、その戦いを見たままになんて出来ない。 考えろ。 ――ウミダセ 彼女のために何が出来る。 彼女を守り、ヤツを倒す、必要な事、必要な物はただそれだけだ。 強固な概念。 この空間に於いて尚、アイツを、あの剣士を吹き飛ばせるだけの強固な概念。 既にここにない、赤い弓兵の腕と共に咆えた。 「投影、開始――!」 27 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/18(土) 04 42 38 23 55・衛宮邸 将軍を意味するジェネラルはサーヴァントの中でも特異な存在である。 もとよりイレギュラークラスであると言うこともあるが、それだけではない。 その在り方はキャスターに近い。 直接戦闘における能力は基本的にキャスターと共に最弱であり、己の指揮する兵でもって戦列を築き、戦う。 総合戦力は一度に操る兵数が多ければ多いほど強い、だが個々の兵としてみれば少数の方が強力だ。 故にその700体の存在は、正に『ジェネラルの兵』そのものであった。 単体性能をしてサーヴァントを相手に足止めが可能、そして人間に対しては――彼女たち卓越した魔術師に対して尚――圧倒的に強かった 。 そして、その存在の第一目標が『マスターとサーヴァントの分断』であると、遠坂凛は判断した。 戦闘開始から僅か数分の事だが、それは共通の認識となる。 「まず、このままだと……」 ガントの掃射で壁に開いた大穴から侵入しようとする敵兵を牽制する。 だがこの程度ではまるで効果が見えない。 「上!」 ルヴィアの声、それが聞こえたと同時に何も考えずに最も跳びやすい右に全力で跳んだ。 その直後に先程まで立っていた場所に剣が突き刺さる。 あと少し遅ければ脳天に剣が突き刺さっていただろう。 「全身鎧だってのに……随分と軽快ね!」 追撃に移る黒騎士の右腕を、ライダーの釘剣が巻き取る。 「はああっ!」 そのまま桜を狙う別の鎧に叩き付ける。 「サクラ、リン、無事ですか?」 「ええ、大丈夫、でも……話は後!」 倒れ込んだ鎧姿が起き上がる。 「Fixierung,Eilesalve 緊急一斉射撃 !」 「Es befiehlt 命ずる ――Mein Schatten nimmt Sie 影を掴め !」 二人の魔術を同時に受ければ、さすがに鎧も倒れただろう、だが、それは不可能。 既に二人の後方には別の鎧姿。 互いの背後に向け、魔術が放たれる。 その一撃を受け、後方に吹き飛ぶ。 その片方に向け、ライダーが飛びかかり、釘剣を頭に突き刺し、消滅させる。 「対魔術防御はあまりなさそうだけど、私達じゃ倒しきれない……」 桜がそう判断する、ルヴィアも、凛も、その判断は同じ。 「ジェネラルも……兵力を小出しにしかできないようね」 「仕方ないわ、敵の半分も引きつけてればこれ以上は贅沢は言えないわ」 ――なのは、フェイト! そっちはどう!? 「数が多くて……対処仕切れているけど」 バルディッシュの一閃が、ようやく一人の身体を吹き飛ばす一撃を与え、消滅させる。 その一閃の隙、後方から剣が振り下ろされる――! 「援護、救援までは、厳しいです!」 初撃、レイジングハートの魔術砲撃が数体をまとめて吹き飛ばした。 だが、その間に接近された鎧姿を未だ倒すことも振り切ることも出来ない。 「判断、誤ったかしら?」 セイバーとの念話は途切れたままだ。 パスは感じるが、ナニカが向こうでも起こっている事は間違いない。 故に判断は保留。 ここで全力を尽くすのみ――! 想定外の戦力:(霧島家にて)「投影、完了――!」頭痛に苛まれ、それでも、その仕上がりを実感した。 鬼気迫る攻撃:(衛宮邸にて)「負けない――! この家を、守る!」桜の強い声が上がる、それは彼女たちの心を補強する。
https://w.atwiki.jp/ffwm/pages/167.html
黄金の悪魔はどうやって聖杯戦争に参加したのか◆DIOmGZNoiw ランサーは膝をついた。吐き出された血反吐が、眼下を赤く汚す。血まみれの手が、土色の地面に赤い手形をつける。スノーフィールドの北に位置する渓谷へと続く土色の道路は、やる前までは整然と舗装されていたが、今となっては至るところが抉れ、血に汚されている。この場所で敵のサーヴァントとの戦闘に入り、そして、先に折れたのは、ランサーの方だった。 両手を地面について体を支えながら、ランサーは顔を上げた。敵のサーヴァントが、傷ひとつ負わぬまま、悠然と歩を進める。敵は、その体を、淡い月明かりを反射させてきらめく黄金の装甲に包んでいた。街灯ひとつない夜の荒野に、禍々しく輝く赤の瞳が揺らめいている。 元来ランサーが所持しているべき槍の宝具は、ランサーの手元にはない。ランサーの眼前で、本来の持ち主から宝具を奪い取った敵が、片手で槍を大きく回転させ、腋に抱え込んだ。敵は、自らの武器を持たず、ランサーから奪い取った槍で戦っていた。クラスがわからない。 「きさまは、いったい」 「わたしのことはゴルドドライブと呼べ」 「ゴルド、ドライブ」 ゴルドドライブと呼ばれた男は、金の仮面の下で心地よさそうに笑った。 「くく……ふふふ。まあ、試運転としてはこんなところか」 「試運転……だと」 「そうさランサー。貴様は言わば、このわたしの性能をつまびらかにするための研究材料に過ぎん。そういう意味では、今回の目的は概ね果たしたと言えよう。ふっふふ……貴様は、まあ、よぉく戦った方だよ」 頭上から降り注ぐゴルドドライブのあざけりを聞いても、今更ランサーが怒りで頭に血を上らせるということはなかった。いかに笑われようと、いかに侮蔑されようと、ゴルドドライブとの間に開いた戦力差はいかんともしがたい。 眼前の地面に、ランサーの槍の切っ先が突き立てられた。 「せめてもの情けだ。それを使って、わたしに一矢報いてみたまえ」 「き、さま」 振るえる手で槍の柄を握るが、自力で体を起こすだけの体力は最早残っていない。突き立てられた槍を杖代わりに身を起こすが、今度は黄金の装甲で覆われたゴルドドライブの脚が、救い上げるようにランサーの胴を蹴り上げた。胴体がくの字に折れ曲がる。蹴り飛ばされたランサーは、受け身すらまともに取れずその身を地べたに転がされた。 「さっさとしろこのグズがッ!」 低い声で、ゴルドドライブが怒鳴った。最前まで笑っていたことが嘘のようだった。 戦乱の世を生き抜いてきたランサーだが、このような屈辱を味わったことは、生前にはなかった。怒りよりも、自身の情けなさが先に立つ。背後に控える主人を守らねばならない、それは騎士としての使命だ。だというのに、現状はそれすらもままならない。 首を捻って、ちらと後方へ視線を送る。此度の聖杯戦争において、ランサーのマスターに選ばれた少女が、大きくぱっちりとした可愛らしい瞳を赤く充血させて、逃げずにランサーの戦いを見守っている。 早く逃げて欲しい。そう思うと同時に、少女の顔を見た時、ランサーは胸のうちを熱い感情に焦がされるのを感じた。最前まで敵との戦力差による絶望に満たされていた心に、守らねばならないという、熱い感情が再燃した。 もう一度、槍を地面に突き立てた。傷付いた体を無理矢理起こして、ランサーは構えを取った。過度な傷は、とうに感覚を一周させている。もはや痛みという痛みは感じない。その代わり、ただただ体が重い。だが、それだけだ。重いだけならば、まだまだ戦える。ランサーは自分にそう言い聞かせた。 「マス、ター……お逃げ、ください。あなたが逃げるだけの時間は、わたしが、稼ぎます」 「おォいおい、そんな体で、まだ自らの主人を護り抜くため戦おうというのか? まったく、これだから力量の差を理解できんバカは始末におえんのだ」 「なんとでも、言え……わたしは、主を守る騎士。この身を盾としてでも、主は……主だけは、護り抜く」 体が急に軽くなった。傷の痛みも、重さも感じなくなった。体の内側、四肢の末端まで、一斉に励起した魔力が行き届く。ランサーは察した。マスターが、令呪を使ったのだ。それも、一画どころではない、この分ならば、二画か、或いは三画一気に使われた可能性すらある。 「マスター」 愚かな判断だと、ランサーは思う。ここで令呪を残して離脱さえしてくれれば、あわよくばマスターを失ったはぐれサーヴァントと再契約するという選択肢もあったのに、おそらくあの少女は、その選択肢を思い浮かべてなお、ランサーのために令呪を使うという判断に至ったのだ。それだけ信頼されているということだ。騎士としての使命感よりも、嬉しい、という感情が上回った。応えないわけにはいかなかった。 「これが最後の勝負だ、ゴルドドライブとやら」 まなじりを決して、ランサーはゴルドドライブへと槍の切っ先を向ける。 宝具を解放し、槍へと魔力を循環させる。神秘の輝きを纏った槍が、大気を震わせる。膨大な魔力が槍に集中し、溢れ出した光輝がオーラとなってゆらめく。槍を振りかぶった。 「ああ、望むところだとも。わたしもこれを試してみたかった」 嘲りを含んだ半笑いの受け答えに次いで、ゴルドドライブが、己のベルトに備えられたキーを捻った。車のエンジン音を連想させる駆動音が鳴り響く。黄金の胸部装甲に袈裟懸けに装着されていた巨大な円環が、煌々と輝く金の波動を放出した。 「なっ……に」 宝具の発動条件を満たし、あとは投擲するのみという状態だったランサーの宝具が、敵の放った光に触れると同時、槍という存在そのものが掻き消された。最も慣れ親しんだ武器が、データ情報にまで分解され、ゴルドドライブの手元へと移動する。飽和状態の魔力を内包した槍が、ゴルドドライブの手に握られる形で、再構築された。 「ふ、ぁ、は、は、あっはっ、はっはぁ! 見ろランサぁああ、わたしはこのネットワーク世界の神にも等しい力を手に入れたぞ!」 「ば、か……な」 奪い取った槍を、ゴルドドライブは大きく振りかぶった。徒手空拳のランサーに、対抗する手段はない。敗北を悟ったランサーは、最後にちらと後方を振り返った。少女は、その大きな瞳から涙を零して、ランサーを見つめていた。 ――逃げて。 口元をそう動かして、最後のメッセージをマスターへと送る。ここでランサーが敗れることは必定だが、今ならばまだ、マスターだけでも逃げおおせる可能性は十分にある。マスターさえ生きていてくれるなら、騎士の役目は果たしたも同然だ。 ランサーは、迫り来る死を覚悟し、目を閉じた。だけれども、覚悟した瞬間が訪れることはなかった。瞳を閉じたランサーの脇を、膨大な魔力が擦過してゆく。その熱に焦がされて、ランサーは思わず瞳を開けた。ランサーが見たのは、膨大な魔力の輝きを迸らせた槍の一撃が、ランサーの脇を通過して、視界を通りすぎていく瞬間だった。 一瞬遅れて、魔力の輝き迸る槍の切っ先が、少女の上半身を消し飛ばした。断末魔の声すらあげることなく、少女の半分になった体は、はじめ膝から地面について、最後にはどさりとその場に倒れ付した。 「え」 今自分が見ているものが、理解できなかった。ランサーが命を懸けてでも守ろうと誓った少女は、その腰から上を消滅させている。傷口が此方に向けられている。瞬間的に迸った魔力の熱量によって、傷口は焼かれていた。一拍おいて、内側から内蔵が溢れだした。血液が、あとからあとからじわじわと流れでてゆく。 そこには、あの可愛らしい少女の面影は、もうなかった。透き通るようなブロンドの髪も、大きな青の瞳も、少しそばかすのある愛嬌のある顔も。少女を思い出させるものはすべて消し飛んでしまった。遺されたのは、腰から下の下半身だけだった。やがて、筋肉の支えを失った少女の股下から、透明の液体が溢れ出した。 ランサーの大切な人は、今や身体を半分失って、無残な姿で、血と、尿とにまみれている。あの少女は、もう、この世にはいない。遅ればせながら、ランサーはそれを理解してしまった。 「あ、ああ……そんな……嘘だ、なぜ……どう、して」 「あっは、ふふ、ンふふぁあは、ふはっ……ランサぁああ、心配するな。ただ、おまえのマスターが死んだだけじゃないか……、あぁ――」 あぁ、と。 心底から感動したとでも言わんばかりの恍惚とした声音で、ゴルドドライブは感に堪えぬ声を漏らした。事態に満足して、悦に入っていることが傍目にもわかる。やがて、ゴルドドライブのうっとりとした声が、笑い声へと変わった。 「――あぁあ、あァーっはっはっはっはっはぁ! あーっはっはっはっはッ! ふぅは、ふぅぁあはぁははは、ふひぁ、ふっ、ふふっ……ふひゃ、はァーーッはっはっはっはっへぇあっ、は、あへぁあはははははははァッ!!」 耳を聾する哄笑が、夜の荒野にこだまする。 なにがそんなにおかしいのか、なにがそんなに面白いのか、ランサーには、微塵も理解できない。ただ、難き仇敵は、その黄金の装甲で月光を一身に受け止めるように、大胆に両腕を広げて、狂ったように笑っている。 はじめはゴルドドライブの心理が心底から理解できない、と思っていた。だけれども、すぐにそんなことはどうでもいいと思えて来た。敵のサーヴァントがなにを考えているのかとか、どうしてランサーではなく、戦う力も持たぬ少女を殺したのかとか、そんなことはもう、どうでもいいのだ。もう、なにもかも、どうでもいいのだ。 あの優しい少女のことを思うと、胸に宿っていたあたたかな感情が一挙に沸騰して溢れ出し、激しい熱を持った感情が、ランサーのあらゆる思考を押しつぶしていった。理性が、意識が、押し寄せる感情の洪水に抗う術を持たず、水面下へと沈潜してゆく。代わりに浮き上がってきたのは、あれだけ侮蔑されてもついぞ抱かなかった、汲めども尽きぬ激しい怒りだった。 「おぉぉぉぉおぉあああああああッ、貴様ッ、貴様だけはァァーーーッ!」 「ははははは、怒ったかランサー! いいぞ、わたしはもう目的を果たした! 最後の仕上げだ、貴様にはこの場で消えてもらおう!」 怒りの熱に焦がされ駆け出したランサーを、ゴルドドライブの腕から放たれた黄金に輝く光弾が迎え撃つ。もはや、回避をしようという考えはなかった。腕を胴を、片口を、光弾に穿たれ、纏っていた鎧が弾けてなお、ランサーは止まらなかった。瞬く間にゴルドドライブとの距離を詰めたランサーは、再度手元に具現化させた槍でもって、その首を薙ぎ払わんと横一線に振りぬくが、ゴルドドライブは最小限の動きで身を屈めて回避した。飛び込んだ勢いも止まらぬうちに、ゴルドドライブの拳がランサーの顔面へと二連続で叩き込まれた。一瞬怯んだランサーの胴に、強烈な前蹴りが叩き込まれた。血反吐を吐いて、ランサーの体は後方へと吹っ飛んでいった。 「ふぁっはっはっはっははははァ……これで終わりにしてやるぞ、ランサぁぁあぁぁ」 ゴルドドライブが、ベルトのエンジンキーを再度捻った。車の走行音にも似た駆動音を響かせて、敵の脚が黄金の光を放つ。仮面の大部分を締める赤の複眼が禍々しく発光する。足元から溢れ出る輝きに照らされて、黄金の装甲が煌めいているように見えた。 飛び上がったゴルドドライブの脚が、ランサーの胴体へと突き刺さった。それが本当に、最期の瞬間だった。 霊基ごと蹴り砕かれたランサーの体が、金の粒子となって消滅してゆく。ランサーは最期に、かすれるような小さな声で、短い時をともに過ごしてくれたマスターの名を呟いた。その声すらも、ゴルドドライブのエンジン音にかき消された。 ◆ ランサーの霊基が完全に消滅したのを見届けたゴルドドライブは、無残にも下半身のみの姿と化した少女の亡骸に、その赤い複眼を向ける。一応、聖杯戦争のルール上、サーヴァント同士の争いの痕跡は秘匿しておくに越したことはない。遺体は消しておいた方がよいのだろうとは思うが、今はどうにも気が向かなかった。初陣で自らの性能を危なげなく確かめたことで、ゴルドドライブは既に満足している。内から込み上げる多幸感が、煩わしい作業を拒否していた。 結局、ゴルドドライブは少女の遺体をその場に放置したまま、この場を立ち去ることにした。遺体が放置されていたからといって、それが直接サーヴァント戦によるものだという証拠にはならない。必要でないなら、面倒な作業をすすんでやる気は起きなかった。そういう不要な作業は、明日にでも適当な者がやっておけばよい。少なくとも、世界すら支配する器を持った男がする仕事ではない。 「フン、まったく、マスターなど所詮はただの駒に過ぎんというのに……不要なものを守ろうとするから不要な作業が増えるのだ。この世にはそれがわからんバカどもが多過ぎる」 ゴルドドライブに、あのランサーに追従していたような煩わしいマスターはいない。 正確には、いた。今はいない。名も知らぬ参加者が、この聖杯戦争における本来の記憶を取り戻して、ゴルドドライブの――蛮野天十郎の人格を宿したベルトを召喚したのは、昨日の話だ。キャスターのクラスをもって、ベルトの身体に自身の意識を内包した状態で限界した蛮野は、言葉巧みにマスターを誘導し、自らを装着させた。あとは、ゴルドドライブへの変身を遂げると同時に、蛮野の人格がマスターだった者の人格データを上書きすることで、蛮野は自らの身体と、マスターの権利の両方を手に入れた。 ゴルドドライブの金の手甲には、赤の令呪が浮かんでいる。令呪の使用権も、他者に委ねる必要はない。ゴルドドライブが、自分の意思で、自分のためだけに令呪を使うのだ。もしも令呪が尽きたなら、適当に他のマスターの身体を乗っ取って、この身体を捨てればよい。魔力が枯渇した場合も、同様に身体を乗り換えればよい。ゴルドドライブにとって、マスターなどその程度の存在でしかなかった。 宝具も武器も必要ない。必要なものは、持っているものから奪い取る。クリムの発明を奪い取って自らのものにしたように、持っているものから、なにもかも奪ってしまえばいい。それだけで、聖杯はゴルドドライブのものとなることは必定であると思われた。 「ふふ……ふふふふふぁはははははっ、月のムーンセルといえども所詮はデータ世界ッ! この世界においてわたしは神にも等しい力を手に入れたッ!」 蛮野天十郎は、ネットワーク世界の神だ。それがデータである限り、なんであろうと蛮野天十郎の思うままに操作することができる。これが月の電脳世界における戦争であるからこそ、ゴルドドライブは無敵なのだ。その特性を理解しているからこそ、ゴルドドライブは嗤う。 「もはや誰にもわたしは止められない! 世界がわたしの足元に跪くその日までッ!」 夜の荒野に、ゴルドドライブは吠えた。広大なスノーフィールドを覆う星空に、ゴルドドライブの高らかな哄笑が吸い込まれていった。 【出展】仮面ライダードライブ 【CLASS】キャスター 【真名】ゴルドドライブ=蛮野天十郎 【属性】混沌・悪 【ステータス】 筋力A 耐久B+ 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具A (※変身後のステータス) 【クラス別スキル】 陣地作成 C 魔術師として自らに有利な陣地な陣地、小規模な「工房」を作成可能。 最低限の資材さえあれば、そこが何処であろうと研究所として扱うことができる。 道具作成 A 機械生命体『ロイミュード』ほか、様々な兵器を開発した才能。 資材さえ揃えばあらゆる兵器・道具を開発できる。ただし、新規の『ロイミュード』を作成することはできない。 【保有スキル】 単独行動 EX マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。 彼の場合、ベルトさえ無事ならばいつまでも現界していられる。 変身:A 自身を装着した対象の人格データを、自らの人格データで上書きし、邪悪なる戦士、ゴルドドライブへと変身させる。 ゴルドドライブへの変身後は、基本的には元の人格は消失するが、対魔力を持つものや、強靭な精神力を持つもの、強力な神秘の加護を受けているものには効力が薄く、仮に身体を乗っ取ったとしても、完全な支配下にはおけない。 超重加速:B ゴルドドライブは超進化態と等しい存在である。 ロイミュードが発生させる重加速現象の影響を受けず、その他の時間干渉能力に対しても同様の耐性を持ち、時間干渉空間の中でもある程度自由に活動できる。 ただし、低速化の度合いによって耐性効果は落ちるため、超重加速を越える低速化現象(時間停止など)の空間内では、それなりに動きも鈍る。 ネットワーク世界の神:A 蛮野天十郎は長年データの世界に潜み続けた。 対象のデータ・プログラムを任意に書き換えることができる。具体的には、ダメージを負った人間を一度データ情報にまで分解し、傷を負っているという情報、或いはバッドステータスに纏わる情報を削除して、健全な状態で再構築する。 また、対象が機械であれば、支配権を奪って操るだけでなく、任意の改造、または悪性プログラムの埋め込みなど、あらゆる面での操作を行うことができる。 【宝具】 『黄金の簒奪劇(ゴルドコンバージョン)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1~10 戦闘した仮面ライダーたちの武器や道具を分解し、自らの武器として再構築したという逸話を、ムーンセルによって再現された電脳世界専用宝具。 ベルトのイグニッションキーをひねることで、タイヤから特殊な波動を放ち、この波動に触れた武器・宝具をデータ情報レベルにまで分解し、自らのものとして再構築することで奪い取る。また、再構築時には、分解時の情報を参照するため、宝具の発動シークエンスに入っている状態で発動すれば、そのまま奪い取って自らの宝具として使用することも可能である。 ただし、この宝具は科学によって編み出された宝具である。神秘を伴う宝具を奪った場合、その神秘まで完全再現することはできず、本来得られる筈だった加護や威力は大きく低下する。 【Weapon】 『バンノドライバー』 クリム・スタインベルトが開発したドライブドライバーのデータを盗むことで開発したゴルドドライブへの変身ベルト。このベルトに宿った蛮野天十郎の意思が、キャスターとしてのサーヴァント本体。つまり、実質的にベルトが本体である。 ベルト単体でも光弾や触手で攻撃することができるほか、自らのスキルで機械を操作して攻撃に転用することも可能。劇中では、身体を持たぬベルト状態で複数体のロイミュードを撃破せしめている。 ただし、ゴルドドライブの本体がこのベルトである以上、ベルトが破壊されればその時点で蛮野天十郎の意識は消滅する。 【SKILL】 『重加速』 ロイミュードが持つ基本能力。自身を中心に重加速領域を形成する。 重加速の効果範囲内では、時間の流れが変わったかのように身体を動かすことが困難になる。ゴルドドライブは当然ながらこの影響を受けない。 『超重加速』 拳を地面に打ち付けることで、ゴルドドライブを中心に黄金のオーラを発生させる。効果範囲内では、通常のロイミュードが発生させる重加速よりも更に強力な重加速空間が展開され、タイプフォーミュラ並の超加速能力を持ったもの以外は活動できなくなる。 また、原作では、発動時に周囲の器物が宙に浮き上がり、跡形も無く吹き飛んで消滅するような描写も成されている。 【人物背景】 機械生命体『ロイミュード』を生み出した天才科学者でありながら、グローバルフリーズに始まるすべてのロイミュード事件の元凶たる黒幕。 蛮野天十郎本人はロイミュードの反乱の際に死亡したとされていたが、実際には自らの人格をプログラムとしてコンピュータの中で生き続けていた。 非常に利己的で、家族ですら自分の駒としてしか見ていない。自分の思い通りにならないものはなんであろうと気に食わず、生前、蛮野への出資を断った実業家への鬱憤晴らしのため、自らの生み出したロイミュードに実業家の姿をコピーさせ、拷問にかけるなどといった陰湿さを秘めている。 さらに、自分以外のすべての人間を完全に見下しており、世界は自分のものだとまで言い切っている。その一方で前述の実業家やクリムが蛮野を見限ろうとした際には情けなく追いすがるなど、傲慢で身勝手ながら、その実矮小な人物であったことが伺える。 最終的な目的は、全人類をロイミュード同様にデータ化して自分が統制者として管理し、世界を自分の支配下に置くこと。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯を獲り、今度こそ野望を成就させる。 【基本戦術、方針、運用法】 ゴルドドライブには、マスターが存在しない。その代わり、本来マスターが行使できるあらゆる権利を、自身が有していることが強みである。 マスター不在でもベルトが存在する限り限界し続けていられる特性を活かして、都合が悪くなったマスターからは早々に手を切り、他のNPC、またはマスター・サーヴァントの身体を奪い取ってゴルドドライブの姿を保ち続ける。 同様に、宝具とよべる武器も持たないが、それは対戦相手から奪い取ればいいだけである。敵の宝具を封じ、自らの武器と変える点は非常に悪質と言えよう。 たとえ戦闘が不利な状況に転んでも、離脱さえしてしまえば、自らの肉体となる参加者の傷を、自らのスキルで治療することができるため、非常にしぶといサーヴァントである。倒すには、チェイサーマッハがやったように一気に押し切って身体とベルトを分離し、離脱される前にベルトを破壊するという戦法が有効。 ただし、ベルト本体がそのまま弱点であることは、蛮野とて理解している。理解しているからこそ、ゴルドドライブ、またはバンノドライバーも、自らのベルトは必死に守ることだろう。 【出店】―― 【マスター】不明 【参加方法】不明 【人物背景】 不明。名もなきマスターだが、蛮野天十郎を召喚してしまったことが運の尽き。 今や自らの意識を蛮野天十郎によって上書きされ、ゴルドドライブの生体パーツとして利用されるのみである。 【能力・技能】 不明。ただし、常時変身状態であるため、実質的にはゴルドドライブの能力がそのままマスターの能力ともいえる。 【マスターとしての願い】 不明 【令呪】 左手の甲に三画。 【方針】 必要な物は奪い取る。 利用できるものは利用する。