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テレテックコーポレーションで実際に意識されている営業電話の基本をご紹介します。 基本の電話対応 電話を掛ける 自分にとっては聞きなれた社名でも相手にとっては聞きなれないものであることがほとんど。いきなり名前を言うのではなく 「はい。○○株式会社でございます。」 というように、「はい。」と一拍入れると相手も聞きやすくなります。 名乗る 自分の名前を相手に伝わるように名乗る事は重要です。 「私は○○株式会社△△部、○○と申します。」 「~と申します」は「言う」の謙譲語で、より丁寧な言葉遣いになります。一緒に所属を言うことでどこのだれかが伝わりやすくなります。 お願いする 顧客やお客様に何かお願いする場合は 「○○の件、是非ともご配慮いただけないでしょうか」 「申し訳ございません。○○の件でもう一度ご足労願えないでしょうか」 というように直接的に「お願いします」というのではなく、申し訳ないと思っていることを相手に伝える言葉遣いが適切であるといえましょう。 この時、少し柔らかめの口調を使用するのが良いでしょう。 お礼を言う 商品を購入してもらった、よい対応を受けたなど相手がお客様や顧客などの場合 「お忙しいところ、○○いただきまして、(まことに)ありがとうございました。」 何に関する事で感謝をしているのかを示し、感謝の気持ちを「ありがとう~」の言葉に込めましょう。 締めくくる 営業電話において最も必要なのは締めくくりです。 「大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。」 今までの感謝とこれからにつながる言葉をしっかりと相手に伝え、感じの良い締めくくりにしましょう。対応がよければ次につながる可能性があります。 基本の対応 電話は掛けた方がきる かかってきた電話には3コール以内に出て、4コール目以降に出た場合には「大変お待たせいたしました」という 相手の話を聞く際はメモを取る 電話を切る際は受話器を静かに置くか、指でフックを押してからきる
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ヘラ・ウルズ降臨! 概要 魔炎妃 超地獄級(テクニカル) 魔炎妃 地獄級(テクニカル) コメント ヘラ・ウルズ降臨! 概要 新ゲリラダンジョン「ヘラ・ウルズ降臨!」 (公式リンク) ダンジョンは「地獄級」と「超地獄級」の2種類、テクニカル仕様。 全ての難易度をクリアすると魔法石を1つもらえる。 敵モンスターは全て、HPが50%を切ると属性が変化する。 魔炎妃 超地獄級(テクニカル) 【スタミナ:50 バトル:5】 獲得経験値:15,977(固定)/獲得コイン 98,297(固定) バ ト ル モンスター名 HP 防御 攻撃 タ | ン 使用スキル 備考 スキル名 効果 B1 炎のアイスオーガ 452,250 0 16,440 4 羽交い絞め ランダムで1体を10ターンバインド。 最初の行動で使用。 Lv10 炎のアイスオーガをドロップ HP50%未満で水→火に属性変更 フレイムストライク 24,660ダメージ(HP50%以下で使用) 炎のアーマーオーガ 414,750 1,500 12,840 3 ウォーターバインド 水属性のモンスターを2~4ターンバインド。 HP50%以上の時、最初の行動で使用。 Lv10 炎のアーマーオーガをドロップ HP50%未満で木→火に属性変更 フレイムストライク 19,260ダメージ(HP50%以下で使用) B2 炎聖騎龍・フォーミュラー 1,043,403 0 11,986 1 光の翼 先制攻撃11,986ダメージ。 Lv5 フォーミュラーを稀にドロップ HP50%未満で光→火に属性変更 スパークエッジ 3連続攻撃14,385ダメージ フレイムバースト 23,972ダメージ(HP50%以下で使用) B3 碧炎星・イフリート 49 600,000 - 1 豊穣の守り 先制攻撃999ターン状態異常無効 Lv5 サラマンダーをドロップ HP50%未満で火→木に属性変更 マグマブレス 2連続攻撃合計10,958ダメージ(通常攻撃無し) ウォーターバインド 水属性モンスターを2~数ターン行動不能にする(HP50%以下で使用) ゴッドガイアブレス 2連続攻撃合計16,483ダメージ(HP50%以下で使用) B4 戦女神・ダークミネルヴァ 940,069 13,875 - 1 クイックボム 先制攻撃10,596ダメージ 宝箱(77,777)をドロップ HP50%未満で火→闇に属性変更 フレイムスラッシュ 2連続攻撃合計10,570ダメージ 超・ダークバインド 闇属性モンスターを10ターン行動不能にする(HP50%以下で使用) 無数の闇弾が出現 何もしない(HP50%以下で使用) バラージボム 4連続攻撃(計12,684ダメージ) 5連続攻撃(計15,855ダメージ) 6連続攻撃(計19,026ダメージ) (連続攻撃回数はランダム) B5 覚醒ヘラ・ウルズ 2,365,764 670 20,153 1 神々の守り 先制攻撃999ターン状態異常無効 Lv5 ヘラ・ウルズを確定ドロップ HP50%未満で火→闇に属性変更 永劫の乾き 水属性モンスターを10ターン行動不能にする フレイムピラー 3連続攻撃合計27,207ダメージ ハイキック 34,260ダメージ 魔力を開放した 何も起こらない (HP25%以下で1回のみ使用) (以降グラビトンボムを毎回使用) グラビトンボム 120,918ダメージ ※HPは、グラビティ系を使用しての推測値です。 魔炎妃 地獄級(テクニカル) 【スタミナ:50 バトル:5】 獲得経験値:9,771(固定)/獲得コインの目安 ~112,664(固定) バ ト ル モンスター名 HP 防御 攻撃 タ | ン 使用スキル 備考 スキル名 効果 B1 炎のアイスオーガ 306,525 0 11,143 4 羽交い絞め ランダムで1体を10ターンバインド (属性変化前に初回使用) Lv7 炎のアイスオーガをドロップ HP50%未満で水→火に属性変更 フレイムストライク 16,715ダメージ(属性変化後) 炎のアーマーオーガ 281,108 1,050 8,703 3 ウォーターバインド 水属性のモンスターを2~4ターンバインド (属性変化前に初回使用) Lv7 炎のアーマーオーガをドロップ HP50%未満で木→火に属性変更 フレイムストライク 13,055ダメージ(属性変化後) B2 炎聖騎龍・フォーミュラー 559,264 0 6,425 1 光の翼 先制攻撃6,425ダメージ Lv3 フォーミュラーを稀にドロップ HP50%未満で光→火に属性変更 スパークエッジ 3連続攻撃合計7,710ダメージ フレイムバースト 12,850ダメージ(HP50%以下で使用) B3 碧炎星・イフリート 44 600,000 - 1 豊穣の守り 999ターン状態異常無効(初回行動時使用) Lv3 サラマンダーをドロップ HP50%未満で火→木に属性変更 マグマブレス 2連続攻撃合計5,874ダメージ(属性変化前使用) ウォーターバインド 水属性モンスターを数ターン行動不能にする (属性変化したターンで1回のみ使用) ゴッドガイアブレス 2連続攻撃合計8,812ダメージ(属性変化後使用) B4 戦女神・ダークミネルヴァ 508,377 8,325 - 1 クイックボム 先制攻撃5,665ダメージ 宝箱(50,000)をドロップ HP50%未満で火→闇に属性変更 フレイムスラッシュ 2連続攻撃合計5,666ダメージ(属性変化前) ダークバインド 闇属性モンスターを数ターン行動不能にする (属性変化したターンで1回のみ使用) 無数の闇弾が出現 何もしない (属性変化後1回のみ使用) (次回以降バラージボムを毎回使用) バラージボム 4連続攻撃(計6,800ダメージ) 5連続攻撃(計8,500ダメージ) 6連続攻撃(計10,200ダメージ) (連続攻撃回数はランダム) B5 覚醒ヘラ・ウルズ 1,268,049 402 10,802 1 神々の守り 999ターン状態異常無効(初回行動時使用) Lv3 ヘラ・ウルズ/宝箱(50,000)をドロップ HP50%未満で火→闇に属性変更 永劫の乾き 水属性モンスターを10ターン行動不能にする (水属性メンバーがいてHP50~100%であれば、2ターン目に1回のみ使用) フレイムピラー 連続攻撃合計14,583ダメージ (HP50~100%の時、高確率(5回中4回)で使用) ハイキック 18,363ダメージ (HP50%未満の時、高確率(5回中4回)で使用) 魔力を開放した 何もしない (HP15~35?%以下で1回のみ使用) (次回以降グラビトンボムを毎回使用) グラビトンボム 64,812ダメージ ※HPは、グラビティ系を使用しての推測値です。
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前ページ次ページ異世界BASARA ルイズ達を乗せた軍艦、「イーグル号」は、浮遊大陸アルビオンのジグザグした海岸線を、雲に隠れるように航海していた。 3時間ばかり進んでいくと、大陸から突き出た岬が目に止まった。 岬の突端には高い城がそびえている。 「ウェールズ殿、あの城が?」 「ああ、あれがニューカッスルの城だよ」 「ふ、ふむ……少しは立派な城を持っておる。まぁわしの小田原には適わんがの!」 氏政がニューカッスルの城を見て悔しそうに言い放った。 イーグル号はさらに雲の中を進んで行く。 大陸の下に入ると、辺りは打って変わって真っ暗になり、視界が悪くなった。 しかし、水兵達はまったく動じる事なく、船を進めて行った。 その働きを見て幸村は感心した声を上げる。 「見事な航海術にござるな」 「まるで空賊だがね」 ウェールズは自嘲気味に応えた。 しばらく航行していると、頭上に大きな穴が開いている部分に出た。 イーグル号は正確な動作で穴の真下に停止し、少しずつ上昇していった。 暗い穴の中をイーグル号は進んで行く。と、頭上に明かりが見えた。 眩い光に、幸村と氏政は目を細める。たまらず氏政が口を開いた。 「な、何じゃこれは?目がしぱしぱするわい!」 「発光性のコケが生えているんだ。諸君、もう港に着いたよ」 ウェールズがそう言いながら歩いて行く。 しばらくして目が慣れた2人が辺りを見回してみると、そこは巨大な鍾乳洞の中であった。 ウェールズはルイズ達を促し、タラップを降りていった。 「篭城中で歓迎が出来なくてすまないね。私の部屋はこっちだ」 城の一番高い天守の一角にあるウェールズの居室は、王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。 「何じゃこの粗末な部屋は……」 「ちょ!!!ウジマサ!!!!!」 とんでもなく失礼な言葉を発した氏政の口を、ギーシュは慌てて押さえた。 しかし、ウェールズは別段気にした様子もなく椅子に腰掛けると、机の引き出しから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。 首からネックレスを外し、その先についていた鍵で小箱を開ける。 蓋の内側には、アンリエッタの肖像が描かれていた。 「宝箱でね」 ルイズたちがその箱を覗き込んでいるのに気づいたウェールズが、はにかんで言った。 小箱の中には一通の手紙が入っていた。 ウェールズはそれを取り出し、愛しそうに口づけた後、開いて読み始めた。 (のう若造、あれはやっぱりあれかの?恋文ではないか?) (ウジマサ、頼むから……頼むからちょっと黙っていてくれ!!) ギーシュと氏政を余所に、ウェールズは手紙をまた綺麗に畳んだ。どうやら読み終わったようだ。 「これが姫から頂いた手紙だ。君の言う通り、確かに返却したぞ」 ウェールズが差し出した手紙を、ルイズは深々と頭を下げながら受け取った。 「あ、あの……陛下、よろしいでしょうか?」 と、横で氏政の口を押さえていたギーシュが遠慮がちにウェールズへ話し掛けた。 「先程耳にしたのですが、明日反乱軍の総攻撃があるというのは本当ですか?」 「その通りだ、明日の正午、ニューカッスルに総攻撃を仕掛けると書状を送ってきた」 「……その、勝ち目はないのですか?」 その問いに、ウェールズはあっさりと答えた。 「ないよ。我が軍は300、敵軍は5万の軍勢だ。万に1つの可能性もないだろう」 そう言ったウェールズの声には、一片の悲愴さもなかった。 ルイズは俯いた。だが意を決したように顔を上げると、ウェールズの顔を見た。 「殿下、恐れながら申し上げたい事がございます。この、ただいまお預かりした手紙は……」 ルイズはそこまで言って口篭もるが、ウェールズは察したのか、微笑みながら言った。 「君の思った通り、それは恋文だよ。僕とアンリエッタは確かに恋仲にあった。アンリエッタが手紙で知らせてきたように、この恋文がゲルマニアの皇室に渡っては拙い事になる。」 やっぱり、とルイズは小さな声で言った。 ウェールズの言うように、もしこの恋文が貴族派の連中に渡ればゲルマニアとの同盟は破棄されるだろう。 そうなれば、トリステインは一国で奴等に立ち向かわなければいけなくなる。 だがしかし……アンリエッタ姫はそれでもウェールズ様を…… 「殿下!どうかトリステインに……トリステインに亡命を!」 ルイズは激しい口調でウェールズに頼み込んだ。 しかし、ウェールズは首を振るう。 「それはできない。アンリエッタはそんな事を望んではいない筈だ」 「殿下!!」 「もうよいルイズ殿」 詰め寄るルイズを、幸村は制した。 「ウェールズ殿、その決死の覚悟……この幸村、深く感じ入った」 幸村は真っ直ぐとウェールズを見据える。 「しかしながら、負ける気で戦に望むでない。常に必勝の意気で戦うのだ」 「……ありがとう」 ウェールズは幸村のその言葉を聞き、礼を言った。 それから机の上に置かれた時計を見る。 「そろそろパーティの時間だ。君達は我等が王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してくれ」 出撃の前夜に開かれたパーティはとても華やかであった。 貴族達は着飾り、テーブルには様々な料理が並べられていた。 「いや!さっきのあれは素晴らしかったね!」 「ふん」 パーティに参加していたギーシュはワイングラスを片手に、氏政に話し掛けていた。 既に酔っているのか、ギーシュは上機嫌であった。対して氏政は面白くなさそうに料理を口に運んでいる。 ギーシュが話しているのは先程あったアルビオンの王、ジェームズ1世の演説であった。 この老いたる王は明日に行われる戦いで彼等が傷つき、倒れるのを見たくないと言い、この城から逃げるように言ったのだ。 しかし、貴族達は誰一人とその言葉に従わず、全員が戦う事を望んだのである。 「あれこそ正に王の鏡だよ!よし、僕もここで名誉ある戦死……いや、でも死んだらもうモンモランシーとは会えないしな……」 ううむ、とギーシュは唸り、どうしようかと氏政の方を見て尋ねようとした。 「あれ?」 しかし、さっきまで隣にいた筈の氏政がいない。しばらく辺りを見回すと……いた。 なんとジェームズ1世の玉座の前に立っている。 ギーシュは、さっきまでの酔いが冷めていくのを感じた。そして 「ジェームズとやら!わしはお主が気に食わん!!」 その一言で、ギーシュの酔いが一気に吹き飛んだ。 「……聞かせてくれぬか?朕は何か失礼な事をしたのだろうか?」 氏政の無礼な言葉にもジェームズ1世は怒りを表に出さず、静かに尋ねた。 「わしだってなぁ……わしだってなぁ!お主と同じぐらい国と兵を大切にしているんじゃ!それなのにわしの兵ときたら……」 氏政は拳を強く握り締めた後、きっ!ジェームズ1世を睨みつけた。 「何故じゃ!何故お主はそんなに慕われるんじゃ!気に食わんっ!!」 「うわあぁぁぁ!ももも申し訳ありません!このウジマサはそのちょっと頭がおかしくて、痴呆なんです!どうかお許しを!」 と、そこへ血相を変えたギーシュが飛び込んできた。 氏政はそのままギーシュに羽交い絞めにされ、言葉を喋れなくなる。 「……ウジマサであったな、もう1つ尋ねてよいか?」 再びジェームズ1世が口を開く。 「今、自分が兵に慕われていないと言ったようだが…では、その兵達はそちの元を離れていったか?」 「……いや、給料が低いと文句は言うが……誰も去ってはおらんわい」 「それは、兵がそちの事を慕っているからだろう」 氏政は驚いたように目を見開き、ジェームズ1世を見る。 当のジェームズ1世はさっきまでとは違い、にっこりと笑顔を浮かべていた。 「大丈夫。そちは充分、兵から信頼されているよ」 ジェームズ1世は氏政にそう言った。 氏政はギーシュに羽交い絞めにされたまま、ただ彼を見ていた。 前ページ次ページ異世界BASARA
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237 座薬 ◆lQS9gmV2XM sage 03/11/09 03 59 ID FJ78ajb8 ―――女子寮の隣の隣の棟の屋上 桜子は赤く、円は黄色く、美砂は青く、のどかは白く、タロットカードが発光する。 ラクロス棒を武器に変え、桜子は「キャハハハハハハハ――」と笑い、それを振り回している。 「私たちはどーする? 何を武器にしよっか」 困った顔でお互いの顔を見る円と美砂に、桜子がリボンとバトンを手渡した。 「まきちゃんから没収したブツだけどー、まー、とりあえずこれでいいんじゃない?」 円がリボンを、美砂がバトンを手に取った。 タロットが光る。 魔法の光が新体操の道具を、凶悪な武器に変質させる。 のどかは何も持っていない。 ただ、カードを胸ポケットに入れて、そこに立つ。 黒い魔女のローブを風に靡かせ、木乃香は微笑み、王のように四人を従える。 「まあハルナちゃんはともかく、みんなの一番の目的は、せっちゃ…桜咲刹那さんの捕獲やえ―――」 人の気持ちを優しくさせる、穏やかな笑みで、 「どんな獲物がいても、桜咲さんを優先してな。好きに壊していいよ。もう、何もかもぐしゃぐしゃに、 めちゃくちゃに、死なない程度になら好きに壊してええ。ただし、吸血鬼にはしたらあかん―――」 無邪気な、虫も殺さないような笑みで、 「その前提でみんなにお仕事や―――ウチを犯したまきちゃんと裕奈ちゃんが逃げてるらしい」 優しい口調で穏やかに、ゆっくりと命令を下した。 「ウチの頼もしい護衛たちにお願いやえ――――――二人を、壊してでもウチの下へ連れて来い」 四人の護衛が首肯し、他の吸血鬼と人形を引き連れて、 疑問もなく、ただ命令のままに、獲物に向けて動き出す。 ―――女子寮・廊下 向かい合うのは、同じ存在を守ろうとする敵同士。 一方は学園の制服を着て日本刀を構えた、髪を結うた少女、桜咲刹那。 一方は集団で、魔女のコスプレをした釘宮円と柿崎美砂と、吸血鬼と生き人形。 数時間前まで、同じ教室で授業を受けていた級友同士でもある。 刹那が愛刀を抜いて床を蹴り、 吸血鬼の兵隊一人が、迎え撃うように飛び出す。 衝突までわずか一秒。刹那の刀の軌跡が、吸血鬼を宙に舞い上げた。 「―――お嬢様の場所を教えろ。そうすれば、今は気絶だけで済ませてやる」 どさりと倒れた吸血鬼を無視して刹那は刀を構え直し、円と美砂を睨む。 「なかなかやるねー。でも、これからだよ」 パチン、と美砂が指を鳴らすと、名も知らない吸血鬼と人形が、刹那の前に展開する。 「神鳴流をなめるな―――うぐっ!?」 いきなり背中の肩甲骨辺りを蹴られた。不意打ちに意識が一瞬途切れ、何も聞こえなくなる。吸血鬼 は常人より怪力である。その攻撃の直撃を受け、刹那の軽い身体が勢いよく床に叩き付けられる。 (これしきのことで! しかし背後には誰もいなかったはずだが―――) 「うっ!」 リボンの先端が、刹那の右足首に巻き付いた。 「そこらのザコ吸血鬼といっしょにしないでよねぇ―――」 円の纏うローブから大量のリボンが溢れ出し、円を中心に増殖していく。 「私たちは木乃香の『従者』にして『護衛』。魔法のチカラを与えられ、特化した吸血鬼―――」 床で、おぞましいリボンの海がラーメンの麺のように絡み合いながら、円を守るように蠢いている。 「お前たちが護衛? 洒落だとしても笑えんなっ!」 右足のリボンを切断しようと刹那が刀を振り下ろすが、リボンは全く切れない。 「このタロットで触手化したモノは簡単に切れないよ。そしてこの触手は、吊るせる程度に力も強い」 リボンが刹那の右足を持ち上げ上昇し、スカートが捲れて白い下着が見えた。 「変に強いヤツは、とりあえず足からぶっ壊すのが―――――――――定石かな?」 刹那の顔に焦りが浮かぶ。リボンが切れない。天井が迫り、そして激突した。 バキバキバキッ、と音を立てて天井が破れる。 「うあああああああっ――――――!」 天井の材料が脚に食い込み、皮膚が裂け、右足首を連続して衝撃が襲う。右足を傷つけながら、それ でもリボンは右足首を上へと持ち上げ、刹那を逆さに吊るし上げる。 太ももと天井の境界から、じわじわと赤い血が滲み始める。 刀を持った腕に、鈍い衝撃が走る。まるで見えない何者かに攻撃されたような衝撃だった。 刀が刹那の手から滑り落ち、床に突き刺さる。呆然とする刹那に、バトンを持った美砂が迫る。 そのバトンからは青い光が迸る。危険を感じた刹那が懐から呪符を取り出し、簡素な結界を作る。 ほぼ同時に美砂が、刹那の胸にバトンを叩き込む。 結界とバトンが拮抗し火花を散らす。 「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――っ!」 バトンの魔力が勝り、結界が破られる。反動で呪符と制服の胸部が焼失する。露になった胸にバトン が叩き込まれ、青光りする電流が刹那の全身に乳房から流れ込んだ。 「……ぐ……うぅ……」 リボンが動き、刹那が天井から抜けて床に激突する。血で塗れた右足を庇いながら刹那は刀を取ろう とするが、リボンに引きずり回され、側壁や手摺に叩き付けられる。 「あっ!」 足首からリボンの先端が離れ、上昇して刹那の股間を切り裂いた。 リボンの先端に染みた赤黒い血液を、円は恍惚の笑みで舐めた。 「うふふ、刹那ちゃんの血だ―――むぐむぐ。美味しいぃ……」 「うああああああああああぁ―――っ!」 刹那が股間を手で押さえて床を転がる。白い下着がみるみる赤く染まり、スカートにも染みができて いる。リボンに割れ目を斬られた。刹那は敏感な部分を襲った痛みに顔を歪める。 美砂がいつの間にか横に立っていた。 「さっきより電気キツめだけど、死なないよね? 頑丈そうだし―――」 バチン! と乾いた音を残して、バトンに撃たれた刹那は軽々と宙を舞った。 床に何度も激突し、ごろごろと転がりながら、刹那は三十メートルぐらいでやっと止まった。 「う、ぐ……あ……………うあ……………あ、あ―――」 ほこりっぽい床にキスをしながら、刹那は一瞬失った意識を取り戻す。 感覚と痛みがゆっくりと甦る。 敵が近づいてくる。残存呪符の枚数、敵の数、身体のダメージ。どれをとっても刹那に敗色は濃い。 しかし、逃げるわけにはいかない。 刹那はよろめきながら、向かってくる吸血鬼の前に立つ。ボロボロになった制服からは胸が露出し、 白い肌は戦闘で痣と傷だらけになり、スカートは半分ズレ落ちて上履は行方不明である。右足首はダメ ージが酷く、股間から太ももにかけては血塗れになり、股間が痛い。 傷ついて弱り、刀も失った少女剣士に、下っ端の吸血鬼と人形が一斉に襲いかかった。 「私は……はあ、はあ、こんなところで、ごほっ、ま、負けられない―――っ!」 刹那は体術の心得もある。自身を奮い立たせ、拳を作って敵の集団に挑む。 (私は、お嬢様のためにずっと修行してきたんだ―――剣が無くても、こんな連中………うぐっ!) 絶望的にスピードが出ない。攻撃が避けれない。 吸血鬼に殴られよろめいた刹那を、別の吸血鬼が羽交い締めにする。鍛えられているとはいえ中学生 の少女、身体は細く華奢である。その胸や腹に吸血鬼たちは、好き勝手に突きや蹴りを叩き込む。 (こ、こんな連中に………負けない………わたしは、このか、お嬢様を………守る………) 吸血鬼の一人が猫のように刹那の身体を引っ掻き、赤い飛沫と制服の残骸が舞い上がる。 腹を蹴られて呼吸が止まり、内臓が軋む。 (私……は、このか、おじょ……うさま………まも、る……た、めに……) 「ひぎぃ! ああっ! ごほっ! あぐっ! ぐぁっ!」 吸血鬼が刹那の傷ついた股間を何度も蹴り上げる。スカートが血塗れになり、つま先立ちで震える刹 那の身体が蹴り上げられる度にガクガクと揺れた。耐えきれず涙を流すと、面白がられて殴られる。 拘束を解くと、刹那はそのままその場に崩れ落ちた。 人形が刹那の脚を開けると、赤く汚れた下着が見えた。人形の指が下着の上から割れ目を撫ぜる。 「痛っ……汚らわしい、触るな……」 右手を動かすと、甲を踏み付けられる。左手を動かすと、左の肘の辺りを踏み付けられる。 「うぐぅあぁ、あぐっ、ぐぅ………っ!」 痣だらけの乳房を汚物のように踏み躙られる。腹にも吸血鬼の脚が沈み込む。 「うぅ、うぐぅぅ……」 顔を踏まれる。頬や唇、鼻を汚れた靴で踏み躙られる。 両手・両足・胸・腹・頭を踏まれ動けない刹那の下着とスカートを、人形がビリビリと引き裂いた。 「や、やめろ………貴様等! 本気で斬られたいのかっ! や、やめっ……」 周囲に薄く毛が生えた刹那の性器を人形の指が広げると、血のソースがかかった肉が顔を見せ、吸血 鬼の何人かがごくりと唾を飲み込んだ。人形が馬鹿みたいに太いペニスを聳えさせ、刹那の股間にゆっ くりと合わせていく。そして鉄のように硬い巨根が、そのまま刹那の中に埋め込まれた。 「くはっ……ああ、あ、はぐぅあぁぁ……ぬ、抜け! 早く抜けぇぇ―――っ!」 傷ついた性器を限界まで押し広げ、結合部から新しい血が流れ落ちる。最初は順調に刹那に挿入され ていたが、ペニスにかなりの余裕を残して途中で入らなくなってしまう。 「ふぅぅ、ふぅぅ、ふぅぅ、う、動かす、な……うあっ、あ、ああ……い、痛い……」 「ケケケケケ―――本番ハコレカラダゾ」 人形はペニスを刹那の中に、力を込めて押し込んでいく。刹那の身体が小刻みに震え、目から涙が零 れ落ちているが、それでも歯を食いしばって耐えている。 「ケケケケケケ―――、オイ、サッキマデノイセイハドーシタ? ウン?」 「うぐっ、あっ、あ、あ、あっ、あっ、あっ、ああんっ、あっ、ああっ、あっ」 子宮口まで無理矢理に肉棒をねじ込み、人形は腰を激しく刹那に打ちつけ始めた。肉棒が出入りする 度に刹那の身体が揺れるが、踏み付けられているのでそれ以上は動けない。膣の中で肉棒が暴れ、子宮 にゴツゴツと先が当たり、刹那が堪らず声を漏らした。 「ひぃぃ、ひぃぃ、ひあっ、あっあっあっあっあっ、あぁ……」 愛液が分泌され運動がスムーズになった。肉棒の動きが速くなり、刹那を休む暇なく突き上げる。し かし消耗の激しい刹那に対して、人形には射精する気配はない。 「オイオイ、シッカリシロヨ。俺様ダケジャナインダゼ?」 「はあぁ、はあぁ、正々堂々、勝負しろ………へし折って、握り潰してやる………あぐぅっ!」 「ヤッテミロヨ、バカヤロウ!」 「あぐっ、あ、あ、あ、ひ、卑怯者が、ぐ、ぅあ、あ、あ、あ、ああっ、ああっ―――」 人形の運動が不規則になった。浅く突いたり、深く突いたりを繰り返す。射精がようやく近づいてき て、人形は急に運動を激しくした。その巨大な棒で存分に膣を掻き回し、息も絶え絶えの刹那を嬲る。 「あぐっ、ああ、あ………あ…………………あ………あかん、ぼうが……………」 半分失神していた刹那は、弱々しく呻き声を上げる。 どぴゅるるる、どぷ、びゅる、びゅる――― 膣の中で肉棒が震え、大量の精液を吐き出した。生殖器に十分過ぎるほど精液が注がれていく。 (わたしは、なにをしている…………たたかえ………たたかわないと………このちゃ………) 戦いに敗れ、殴られ、蹴られ、踏まれ、陵辱され、泣いて、汚され、そして、それでも、 (………これが……………私の……限界………………なわけが、ない!) 刹那の顔は、剣士のまま、変わらない。 …………………………………………………… ―――別室 「みんな、これまでありがとう。ちうはもう、ここには来れないかも」 モニターに映し出されたホームページ。 そのページの主はそれだけ書いて、椅子に深く座っていた。 救助要請をネットから送ったが、現時点で反応はない。 刹那が助けてくれた。 その刹那が嬲られボロボロになっていく様子を、千雨はドアの隙間からずっと見ていた。 向こうに吹っ飛ばされた後でも、音だけは聞こえてくる。 次は自分だろう、と千雨は考えていた。 窓は六階の高さ、廊下は吸血鬼だらけ。しかも千雨は吸血鬼に既に発見されている。 「………………………………」 終った。 頬を涙が伝う。 千雨は静かに、孤独に、自分の人生を考えていた。 変人ばかりのクラスメイト、だが、友達を少しぐらい作っておいても良かったかもしれない。 そんなに千雨の背後に、天井から一つの影が降りた。 ―――廊下 刹那が陵辱されている時、円たちは残された刹那の刀を抜いて眺めていた。 「うーむ、なかなかのワザモノだよこれはっ! 300万円ぐらいかな」 「嘘つけよコラ」 「くすくすくす―――次は私に貸してください―――」 刹那が犯されているのを身ながら、吸血鬼たちは談笑する。 そこに見えるのは二人、しかし声は三人だった。 「むっ!?」 ――――――バシッ! 円のリボンが反応してムチのように動き、飛来した手裏剣を撃墜した。 「―――!?」 「近衛木乃香の『従者』とか意味が分からぬが、お主ら、不快を通り越して目障りでござるな」 そこに立っているのは長身の、黒装束を纏った少女だった。 「楓ちゃん!? どうしてあんたがここにいるのよぉぉぉ―――っ!」 リボンが蠢き、円を中心に渦を巻いて、出現した敵を威嚇する。 「変な邪魔が入ったね。遊び足らないけれど桜咲さんはとっとと木乃香のところに運んじゃおー。 飛び道具は相性が悪いし、円、楓ちゃんは任せたよ」 美砂が後退し、犯されている刹那の方に歩いていく。 リボンがまるで生きているように、円の周囲で吹き荒れる。 「ハルナちゃんの幻覚の『世界』は負けたのか。でも、私はそうはいかない」 床を裂き、側壁を削り、鉄製の手摺を切断しながら、じりじりと楓に接近する。 しかし暴れているのはリボンの真ん中の部分で、先端は別行動をしている。 吹き抜けの方に垂れ落ち、そしてそのまま、横から楓に近づいていく。 狙いは、楓の足。 「な、何っ!」 吹き抜けから足を襲ってきたリボンを、知っていたように楓は軽やかに避けた。 楓が何かを円に投げる。円に届く前にリボンがそれを真っ二つにする。 台所にあるコショウだった。 「ぶひぇふげほえほ―――!?」 コショウに包まれた円に向けて楓が跳ぶ。サーカスの綱渡りのように暴れるリボンの上に飛び乗り、 そのままリボンの上部を駆ける。円に近づくにつれリボンの密度が増す。身体の所々が斬られる。忍装 束が裂かれ血も飛ぶ。しかし止まらない。リボンの中心に向けて、ただ走る。 「セコい真似してくねるねぇぇぇ―――っ!」 コショウを振り払った円が刹那の刀を握り締めて楓を探す。しかし、いない。 「どこに行ったあああぐぎゃっ―――」 真上から落下した楓が、苦無の一撃を円に叩き込む。円の手から刀が離れ、楓が掴む。 「ま、円!? うぶぁっ!?」 刀を手に持ち、刹那を囲む吸血鬼たちに煙幕弾を使い、刹那のみを攫い、楓は走る。 そして吸血鬼の集団の中を駆け抜け、血を落としながらようやく楓は止まり、 同時に煙幕の向こうで、円が崩れ落ちた。 「動けるでござるか?」 「…………ああ、感謝する」 刀を手に取り、刹那は楓に呟く。 「あの、リボン、よく破れたな―――足を狙ってきただろう?」 「千雨に聞いたでござるよ。彼女はお主がやられているところを、ずっと見ていた」 「そうか」 刹那の疑問に、楓が答える。まるで情報を交換する兵士のような、そっけないやりとりだった。 よろめきながら刹那が立ち上がる。 煙幕の向こうから、怒り狂った美砂と吸血鬼、生き人形が走ってくる。 「その身体で動けるでござるか?」 「動かなくても向こうから来る。リボンが無いなら敵も接近戦しかない」 「怪我が酷いが」 「少し待て。客が来た。おい、お前、ボカボカ蹴ってくれたお礼だ」 刹那が誰もいない空間を、刀で切る。 「あ……な、なんで……………わかった、です、か――― ―― ― 」 誰もいない空間から、真っ二つになった隠者のタロットカードが舞い落ちる。 透明になり、戦場に隠れて刹那を妨害していた存在 魔女姿のローブを纏った宮崎のどかが空間から現れ、そのまま崩れ落ちる。 「気付かなかったでござるな。いや、驚いた」 「存在を意識して気配を読めば、貴女もきっと気付くよ」 ぽたぽたと血と精液を落としながら、刹那は呟く。 「すまないが、私一人にやらせてくれ。これは護衛同士、大切な存在の争奪戦でもある」 「さっきボコられてたではござらんか」 血を流しながら楓が笑う。 「気にするな。刀があれば、刀を持てる限り戦えるさ」 「…………………………はぁ、屍は拾ってやるでござるよ。―――神鳴流の剣士」 「感謝する。―――甲賀の忍」 飛びかかってきた吸血鬼を、殴るように刀で叩き落す。 次の吸血鬼を横に切り払い、人形を斬って急所を踏み潰す。 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――っ!」 血をぼたぼた落としながら、敵を倒して刹那が進む。 その先に、木乃香がいる事を感じながら。 「うげ……刀があるとこんなに強いのかよ……」 青白く発光するバトンを構え、美砂が吐き捨てる。 「お前たちに、例え壊れても、このちゃんを守る覚悟があるか―――」 壊れる―――自分を物のように、刹那は言う。 ボロボロの身体で、美砂に迫る。 「護衛だと? 笑わせるな貴様らぁぁぁぁぁぁ―――っ!」 鬼のような刹那の形相に、美砂が怯み、 バトンの上半分が、切り飛ばされ、 刀に打たれ、美砂の身体が宙を舞った。 戦況を見守っていた千雨が恐る恐る出ていくと、血塗れの楓と刹那が床にへたり込んでいる。 円も、美砂も、のどかも、他の吸血鬼も倒れて動かない。 刹那の戦う様子を楓に教えてよかった。千雨は助かった。感謝の言葉を二人に言いたい。 「では、これから拙者は他の棟を偵察してくるでござるか―――バカリーダーの動きも気になる」 「私は呪符を揃えて、木乃香お嬢様を探す。一応、連絡方法を決めておこう」 「…………」 やっぱりこいつらは普通じゃない。敵も普通じゃない。何て言うか、もう…… 「お前ら何考えてやがるんだぁぁぁぁっ! 違うだろ! 最初に考える事はそうじゃないだろぉぉっ! まったくよぉ! いつからここは戦場になったんだよっ! 訳分からねえ戦いばっかしてんじゃねーよ! どっから涌いてきやがった吸血鬼どもっ! 普通に手裏剣投げるなっ! 普通に日本刀で戦うなっ! コスプレするなっ! 人形動くなっ! リボンの使い方はそうじゃねぇっ! バトンに電気を流すなっ! 透明になってんじゃねーよゴラァァァァァァ―――!」 ストレスが爆発したように、千雨は泣きながらキレた。 「まずは怪我の治療だろぉぉぉっ! それぐらい私にさせろぉぉぉぉぉぉ―――っ!」 「は、はい」 「わ、分かったでござる」 吸血鬼たちを制圧した二人が、その迫力に思わず返事した。 「それと、まさかこいつら、死んだのか?」 倒れている吸血鬼たちを見て、冷静になった千雨が言う。 「いや、気絶させただけだ。神鳴流は人を倒す剣ではなく、魔から人を救うためにある」 刹那は少し黙って、呟いた。 「木乃香お嬢様……私は、必ず貴女を魔からお救いいたします―――」 楓と、千雨に担がれた刹那が、千雨の部屋に入っていく。 美砂と円の身体からカードが舞い上がる。 そして、戦いの結果を主人に伝えるべく、ひらひらと飛んでいった。 ―――女子寮の隣の棟・入り口周辺 チャチャゼロと夕映は、妙に気があった。 夕映がまき絵と裕奈の代わりにリーダーになれたのも、チャチャゼロの力が大きい。 「モウ少ダ……シッカリシロヨ……近衛木乃香ハ多分、コノ棟ニイル」 「あ……あう……」 真っ黒に焦げたチャチャゼロが、ふらふらしながらお姫様抱っこで夕映を運んでいる。 楓の痺れ薬を飲んだ夕映は、ほとんど自力では動けない。 「す、すいません……ご主人様のお気に入りである貴方に、こんなことをさせて……」 「何言ッテンダヨ。気にスンナ! 友達ダロ!」 「は、はい」 かつて図書館島で、楓にも同じように、助けてもらったことがあった。 その時に感じた感情はエヴァの魔力で封印されている。 しかし夕映は何か、忘れている感情をチャチャゼロに、少し感じていた。 「アノ忍者女ニ、リベンジシテヤロウゼッ!」 「そうですね……次こそ、勝つです」 「ソノ意気ダッ! 御主人ノ次ニ、夕映ヲ守ッテヤルヨ!」 「……………………………………………ありがとう」 一人と一体はふらふらと、棟の中に入っていく。 ―――女子寮の隣の棟の一室 その部屋は天井が高く、2階分の広さがある。 「あー、夕映ちゃんとゼロだよっ! 木乃香ちゃん!」 桜子と他の吸血鬼が夕映とチャチャゼロを出迎える。 机のピラミッドの頂点に座り、木乃香は水晶玉を見て微笑みながら、夕映を見下ろす。 関西呪術協会のメンバーは、天井裏に潜んでいた。 「見つけたぞ。木乃香お嬢様だ」 黒ずくめの男が静かに言う。彼は呪符使いである。 「んー、なんや、変なのが増えたで」 横の金髪の男が嗤う。彼も呪符使いである。 「問題無いだろう。所詮は素人の集団だよ」 横の赤髪の少女がバカにしたように言う。彼女は神鳴流の護衛である。 「でぇ、どうしましょう? 殺っちゃいます?」 ショートカットの黒い髪の少女が、笑いながら言う。彼女も神鳴流の護衛である。 「今なら、何が起こってもエヴァンジェリンの仕業にできるな―――」 「何や、ええ感じのシチュやなー」 「しばらく何も斬ってないから、腕が鈍って困っていたことろだ」 「え? え? 殺傷オーケイなんですかぁ?」 にやける短髪の少女に、金髪が嗤いながら言う。 「吸血鬼の巣窟からお嬢様をお救いするためや。不可抗力やで」 「それに、学園生徒に死者が多数でれば、学園のダメージもでかいね」 「関東の連中にとってもアイタタタか。そりゃ面白い」 「呪符と薬の実験体に子供が欲しかった。ここで調達するか」 「きゃー。きゃー。人が斬り放題なんて夢見たいですねぇ」 学園の監視。戦いの現場から遠い位置に、強制的に置かれた、四人。 「関西に帰ったら、ヒーローやで、わてら」 「中学生って、斬ったらどんな感じなんでしょうねぇぇ。初めてです。うふふふふふ」 危険な四人が息を潜め、嗤いながら木乃香を見下ろす。 「嫌やわぁ……ゴキブリが四匹も」 水晶玉が、天井裏の四人を上から映し出し、木乃香がそれを、見下ろしていた―――
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骨盤ネジ締めエクササイズ 2009年3月24日 (火) 写真のDVDは「Pelvis Exercise Daily Lesson Program」 私が今、一番気に入っているエクササイズ。 pelvisは骨盤という意味。 このDVDは書店やミュージックショップなどでは販売しておらず、 YUKA-aneのHPで購入可能。 マキノ出版の「骨盤ネジ締めダイエット」という本を買った時の特別付録で基本動作のDVDがついていて、それを見て、もっと詳しく知りたい!と思い初級編全3巻のDVDを注文。 YUKAさんはバリ島在住の45歳。 本のはじめに書かれているメッセージを読むと、やる気になります。 「ダイエットに魔法の方法も王道もなし。 特別な人だけが特別に引き締まるのではなく 体形は、日常生活の体質がつくり出すあなたの生きざま。 出産も加齢も肥満細胞も、体形がくずれる理由にはならないことを 5人の子供を出産し、現在45歳の私がここに証明します。 膣を締めることは、最新の方法でも特別な方法でもなく 自分の体に愛着を持つ誇り高い女性が、昔から自然に行ってきたこと。 いまも将来も、その方法が変わることはないでしょう。 いままでもこれからも変わることのない引き締めの方法。 その本質に気づき、決断し、実行し、手に入れるのは自分自身。 骨盤ネジ締め。 目指すのは、いくつになっても健康で質の高い人生。 毎日フレッシュに生まれ変わる、キラキラ輝く特上の心意気。 無駄な引き締めは1回もありません。 正々堂々と誰の力も借りず、自分だけの尊い努力で 自分自身という最強の敵と共に歩む道は、簡単な道ではありません。 それでも自分を変えられるのは自分自身。 最強の敵も味方も自分自身。 その本質を見極め、直視し、自分はどうありたいか。 毎日は、同じことのくり返しの中で 自力本願と覚悟を決め、本気になるか 他力本願で魔法の方法を捜し求めるか。 ゆるめても引き締めていても、同じ時間が経過します。 どちらの選択も潔く。 清潔で美しく賢い日本女性は私の誇り。 あたな自身が全女性の希望となりますように。 YUKA」 このDVDはバリで撮影されており、南国の清々しい風や香りを感じる、バリ島の美しい風景と素敵な音楽をバックにカッコ良いYUKAさんが踊っています。 エアロビクスのような激しいダンスで汗が吹き出すようなエクササイズではなく、割と静かな動きでじんわり汗がにじむ感じ。 このエクササイズは体型はともかく、女子力が上がります。 いつも女性としての自分を意識するから。 彼や旦那様などパートナーがいる女性は、その効果にパートナーが気付くはず。 いつまでも現役の女性でありたいですものね。 パートナーがいる人もいない人も、年齢や体型に関係なく、このエクササイズは良さそうですよ♪ 普通の日記 かなえキッチン : ごはん日記 2009年03月
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メンヌヴィルは食堂の椅子に座り、テーブルの上に置かれた懐中時計を見つめていた、針はかちり、かちりと動いていく。 宣言してから丁度五分…にやりと笑って立ち上がると、メンヌヴィルは杖を生徒達に向け、口を開いた。 「五分、経ったぞ」 生徒たちは震え上がった、生徒達も先ほどのやりとりを聞いていたのだから、恐ろしさのあまり失禁してしまうものもいた。 五分経っても何の反応もなければ、いや、アンリエッタを呼ぶという返答がなければ、一人ずつ殺されていくのだ。 金属で作られた無骨な杖が、メンヌヴィルの腕に従って左右に振れる。 「俺は、お前達の焼ける臭が楽しみで仕方ないんだ」 ぴたり、と杖が止まる。 その先端は一人の女生徒を指していた。 「恨むなよ」 メンヌヴィルが呟く、と、オスマンが待ったをかけた。 「わしにしなさい」 だが、メンヌヴィルは首を横に振った。 「駄目だ。あんたは交渉のカギとして必要だ。…そうだな、おい、誰がいい? お前らで選ばせてやる」 残酷な問いに、生徒達は唖然とした、皆誰とも目を合わせられない、ただ震えるばかりで何も答えられなかった。 が、そこで一人…シエスタが立ち上がった。 「私を、最初にしてください」 オスマンとモンモランシーだけでなく、生徒達が一様に驚いた。 「いかん!若いモンにそんな真似はさせられん!やるならワシに グワっ 」 オスマンが叫んだ、が、別の傭兵メイジに蹴られてうめき声を上げてしまう。 「ほお、良い度胸だ。俺はお前のように勇気ある若者を尊敬する、そうだな、顔だけは残してやろうか?」 「お気遣いは結構です。ただ…」 「ただ?」 「水を飲ませてください。」 メンヌヴィルはにやりと笑った、それは何かを確信した笑みだった。 「おい、水を持ってきてやれ」 「へい」 部下に命じて水を取りに行かせる、と、メンヌヴィルは自分を犠牲にしようとする少女の体熱に集中した。 この女の熱は乱れていない! 「くくく…」 メンヌヴィルは得体の知れない楽しさを感じ、笑った、この女はまだ諦めていない、杖を取り上げられ手を縛られて尚、まだチャンスをうかがっている。 「頭、水です」 と、間もなく部下が水を持ってきた、メンヌヴィルは硝子製のグラスを受け取ると、シエスタの前に掲げ、見せる。 「死ぬ前に水が欲しいと言うだけあって落ち着いているな、お前のようなヤツは嫌いじゃない……だが水のメイジに水を渡すほど愚かな俺ではない」 そう言うとメンヌヴィルは、グラスを逆さまにして足下に水を零した。 ぴしゃぴしゃと音を立て、床に落ちる水を見て、他の生徒達はメンヌヴィルの残酷さに恐れおののき、震えた…が、シエスタだけが違っていた。 「!」 メンヌヴィルの耳に、奇妙な音が聞こえてきた、それは呼吸の音にも聞こえるが、今までに聞いたことのない程激しくうごめいていた、しかも呼吸に同調して体熱が渦巻いていくのだ。 「フッ!」 波紋によって強化された腹筋、横隔膜、大胸筋、背筋が、肺にため込まれた空気を限界まで圧縮する。 その圧力に押され、シエスタの歯の間から弾丸のように飛び出したのは、波紋で分泌を促進された大量の唾液であった。 パリッ! メンヌヴィルの持っていたグラスが粉砕され、破片が顔面へと飛び散る。 そのうち幾つかが唇と歯の間に挟まり、メンヌヴィルの詠唱が一瞬、遅れた。 同時に、いつの間にか食堂の中に浮いていた紙風船が、パァン!と激しい音を立てて爆発し、強力な閃光を発した。 紙風船は、中に多量の黄燐を仕込まれており、まともにその光を見てしまった女生徒は悲鳴を上げ、メイジ達は顔を押さえた。 紙風船を着火させたのはキュルケの〝発火〟であった、キュルケは人間より敏感なフレイムの耳を使ってタイミングを計っていた、またこの紙風船を食堂の中に飛ばしたのはタバサである。 そこに、キュルケ、タバサ、そしてマスケット銃を構えた銃士が飛び込んだ。 銃士達は素早く傭兵メイジ達に銃を向ける、が、すでに二人のメイジが立ち直っていた。 タバサの得意とするウィンディ・アイシクルやジャベリンは使えない、攻撃はキュルケに任せて、タバサは風の障壁を展開し突入部隊を援護しようとした。 が、その瞬間キュルケ達に向けて炎の玉が何発も飛んできた、 「ぐ…」 タバサは高速で詠唱を続け風をコントロールする、しかし火の玉はそれを嘲笑うかのように隙間へと入り込み、爆発した。 「ぐあっ!?」 成功する!そう思って油断していたのだろう、キュルケに次いで突入した銃士達も次々とその火の玉を食らい、マスケット銃の火薬が暴発してしまう。 タバサが張った風の障壁で余裕ができていたのか、暴発に巻き込まれ指を千切れさせる前に、マスケット銃を手放したが、飛び散った火の強さは今までに経験したことのない激しさだった。 腕や脇腹に強い衝撃を受け、火傷を負い、銃士たちは地面をのたうち回った。 キュルケはそれに立ち向かおうと、火の玉を飛ばしたメイジに反撃を試みたが、横からのエア・ハンマーの一撃で宙を舞った。 「!」 タバサは風の障壁が破られたことに驚いたが、すぐさまキュルケの体をカバーする。 だが、その隙に、決定的な二者択一の選択を迫られることになってしまった。 シエスタが床に倒れていたのだ。 シエスタに向かって放たれた火炎は、琥珀色の芯を持つ高温のモノ、あれを喰らえばどんな水のメイジでも再生不可能なほどに焼き尽くされてしまう。 銃士達に襲いかかる火の玉や風の刃を防ぐだけでも、二人分の働きをしているのに、その上、シエスタを守るなど不可能に近い。 だが、やらねばならない。 母の笑顔を見せてくれたシエスタに報いたい! 「…ウインデ!」 タバサは咄嗟に『烈風カリン』の戦い方を真似した、彼女は巨大な風を初歩の呪文で作らり続けることで『エア・ハンマー』や『ウインドブレイク』や『フライ』すら兼ねる戦い方をしていた。 タバサは自分の体をカバーする風の障壁を薄め、その分をシエスタに向けたのだった。 ドンッ、と音を立てて、シエスタを襲わんとしていた炎が爆発する…しかし距離は離れている、シエスタに害はない。 その間にも銃士達は立ち直って、銃から剣へと武器を持ち替え、メイジ達に立ち向かっていた。 (もう少し…!) そう思ったところで、幾つかの火の玉が、タバサめがけて飛んでくるのが見えた、いやタバサだけでなくシエスタにも、キュルケにも向かっている。 地面に倒れたとき、衝撃が頭にも登ったのか、キュルケは足に力が入っていない、彼女らしからぬ緩慢な動きは、恰好の的となっていた。 キュルケを守り、銃士達を守り、シエスタを守り、自分を守る…四つの目的を同時にこなすのは不可能であった。 タバサは素早く左手でマントを絡め取った、ボタンがはじけ飛び、左腕にマントが巻き付く。 強力な固定化のかけられたマントが、火の玉相手にどれだけ保つか解らないが、無いよりは”まし”だ。 左腕を犠牲にするつもりで、火の玉に手を向けた、その、瞬間。 ぶわりと巻き起こった別の炎によって、火の玉がかき消された。 見ると、自分を守った炎は『ファイヤ・ウオール』かと思えたが、地面から壁のように立ち昇っているのでは無かった。 蛇がとぐろを巻くかのように、綱状の炎が螺旋を描き、盾を成していたのだ。 キュルケは震えた。 親友を危機に晒してしまった罪悪感と、初めての”殺し合い”と、目の前に浮かぶ巨大な炎の蛇におののき、震えていた。 その炎を操るメイジが、キュルケの後ろから、隣へ、そして前に出る。 その足取りは雄牛の如く悠々としていた。 いつもは鶏のようにそそくさとしている変人、火の魔法を争いに使いたくないと宣う臆病者……コルベールが、触れれば切れる剃刀のような気配を漂わせて、皆を守ったのだ。 「わたしの教え子から、離れろ」 コルベールの声で何か気づいたのか、立ちこめる白煙の中でメンヌヴィルが顔を上げた。口の中に入ったガラス片を地面にはき出しつつ、声の主が持つ”体温”に集中する。 「がっ、ブッ! がは!はぁ……お前は、お前は!お前は!」 白煙が晴れていくと、メンヌヴィルは歓喜に顔をゆがめて、狂人のようにわめいた。 「捜し求めた温度ではないか!お前は、コルベール!そうだ!懐かしい隊長殿の声ではないか!」 コルベールの表情は変わらず、厳しい目でメンヌヴィルを睨み続ける。 「オレだ! ああ、忘れたか? メンヌヴィルだよ隊長どの! 久しぶりだ!」 メンヌヴィルは両手を広げ、口から血を垂らしながら、歓喜の表情で叫んでいた。 隊長殿!と聞いて、コルベールが眉をひそめる、その顔が、冷たくて暗い何かで覆われていく気がした。 「貴様……」 「何年ぶりだ隊長殿!そうだ、二十年だ!はははは!長かったぞ!」 キュルケやタバサだけでなく、床に座り込んだままの生徒達までも、この二人が何の話をしているのか解らなかった。 生徒達に、どういうことだ?と動揺が走った。 「まさか、貴様、今は教師を? ははは!貴様が教師とはな!何を教えるんだ、焼き方か?兵士も女も子供も皆焼き尽くす術を教えているというのか!ははは教師だとさ炎蛇と呼ばれた隊長殿が!はははははッ!」 気が狂ったようにメンヌヴィルが笑う、だがその間、メンヌヴィルは杖をブレさせていない。 それだけではなく、討ち漏らした傭兵が二名ほど残っており、それぞれが生徒を一人ずつ抱えて盾にしている。 コルベールも、銃士も、タバサもキュルケも動くことが出来なかった。 ひとしきり笑った後、メンヌヴィルが語り出した。 「そうだ…そうだな。きみたちにも説明してやろう。この男はな”炎蛇”と呼ばれた炎の使い手だ。特殊な任務を行う隊の隊長を務めていてな…くくくッ! 女だろうが、子供だろうが、燃やし尽くした男だ」 キュルケが、アニエスがコルベールを見つめた。 「そしてオレから両の目を……。光を奪った男だ!」 その言葉にキュルケがハッとする。 メンヌヴィルの恐ろしさは炎の扱いだけではなかった、光で目を潰し、その上白煙の立ちこめる食堂内で正確に火の玉を飛ばす、人間離れした感知能力こそが恐ろしいのだ。 「あなた…目が」 キュルケが呟く、と、メンヌヴィルは血の混じったツバを吐き捨て、自分の目に指を伸ばした。 瞼に指を突っ込むと、くるりと円を描き…眼球が外れた、それは義眼だった。 「オレはまぶただけでなく目を焼かれていてな。光がわからんのだよ……蛇は、温度で獲物を見つけるそうだ。皮肉だと思わないか、隊長殿」 コルベールは答えない、メンヌヴィルの動きに注視している。 にやりと、メンヌヴィルが笑う。 「炎を使い続けるうち、俺は温度を敏感に感じ取れるようになった、距離、位置、どんな高い温度でも、低い温度でも数値を正確に当てられる。温度で人の見分けさえつくのさ」 火のメイジは熱に敏感だというのが通説である、キュルケ自身も波紋の力を借りることで周囲の熱を感知できる、だがこの男は、蛇のような執念で目に代わる光を得たのだ。 キュルケはぞわっと、髪の毛が逆立つ恐怖を覚えた。 「お前、恐いな? 恐がってるな?」 その熱を完治したのか、メンヌヴィルが笑う。 「感情が乱れると、温度も乱れる……。なまじ目が見えるヤツには解るまい……」 メンヌヴィルはすぅぅぅぅ…と、鼻で息を吸い込んだ。 「嗅ぎたい…お前の焼ける香りが、嗅ぎたい」 キュルケは、生まれて初めて感じる、純粋な恐怖に震えた。 「やだ……」と、普段のキュルケからは想像も出来ない、少女のようなおびえた呟きを漏らさせた。 「猟奇的な脅しは逆効果だと教えなかったか」 コルベールがキュルケとメンヌヴィルの間に入り、そう言い放つ。 「猟奇的なんて、隊長殿の口から聞くとはな。俺は自分が猟奇的だと自覚している分隊長より真人間だと思っていたよ」 「それも、そうだな」 コルベールが笑った。 恐ろしい気配を、コルベールが発散している。 それは『味方を燃やし尽くす』とまで言われた軍家ツェルプストー生まれのキュルケですら感じたことのない、恐るべき火の気配であった。 「おっと、妙な気を起こすな…教え子が大事なんだろう?二人の教え子を人質に取っているのだからな、教え子が死んでも良いのか?」 そう言って、メンヌヴィルが杖で人質の方を指す。 メンヌヴィルの背後に回ったメイジ二名が、それぞれ一人ずつ生徒を羽交い締めにし、盾にしている。 「人質を犠牲に”する”、と教えた覚えはない。既に犠牲に”している”はずだ。でなければそんなハッタリなどしない」 コルベールの言うとおりであった。 傭兵メイジ三人が、二人の人質を取って壁際まで後退しているこの状態では、その二人の人質が彼らの命綱である。 既に銃士達が床に座り込んだ生徒達を誘導し始めている、タバサも精神力が残り少ないが戦える。 問題は、床に倒れている数名の生徒達であった。 丁度、コルベール達とメンヌヴィル達の間に、シエスタを含む約五名の生徒が倒れているのだ。 壁際にはオールド・オスマンも倒れている…蹴られたところが悪かったのか、荒い呼吸をして。 コルベールは必死で頭を働かせた。 一気に攻めるべきか?いや、床に倒れている生徒達を盾に使われる可能性もある。 しかし相手も時間をかけられないはず… そこでコルベールは、ちらり、とオスマンを見た。 オスマンは、笑っていた。 コルベールが無造作に杖を突き出す。 杖の先端から、コルベールの貧相な体に似合わぬ、巨大な炎の蛇が躍り出た。 蛇は一直線に向かって右側の人質に襲いかかる。 「甘いぞ隊長殿!」 メンヌヴィルが杖を振り、炎を巻き込む渦を作り出して、炎蛇を遮った。 と、その瞬間、メンヌヴィルが右側からの異様な気配を感じ取った。 コルベール達から見て左側、メンヌヴィルから見て右側には、いつの間にか手かせを外し、床に五指を突き立てているオスマンの姿があった。 「がッ!?」 オスマンに近い傭兵メイジが、突然ビン!と背中を伸ばし、両腕を広げた。 自由になった人質の体を、すかさずタバサが『念力』でオスマンの方へと動かしていく。 「ちいっ!」 メンヌヴィルが炎の弾を飛ばすが、それらはコルベールに遮られ、人質に届かない。 そうこうしているうちに、オスマンが人質となっていた生徒を抱き寄せ、老体とは思えぬ健脚で銃士達の側へと駆け逃げた。 「いやー、まったく年寄りはもうちょっといたわって欲しいわい」 「軽口を叩いている場合ではありませんぞ」 「それも、そうじゃの…さてメンヌヴィル君。もう一人の人質を解放してくれぬかね?今なら無罪放免といこう」 無罪放免、とオスマンが言ったので、アニエスが驚き叫んだ。 「バカな!これだけのことをしでかして、今更無罪放免だとッ!」 オスマンの提案に皆も驚いている、だがメンヌヴィルは尊敬するような態度を見せた。 「…貴様がここまで危険だとは思わなかった、さっきの、おかしな魔法といい…… それに、無罪放免とは恐れ入る、こっちもそれじゃ困るからな」 コルベールが、じりじりと間合いを詰めていく。 その間にタバサはシエスタを引き寄せ、抱き起こしていた。 シエスタの左半身は打ち身の痕があり、所々紫色に変色していた、おそらく『エア・ハンマー』を喰らったのだろう。 「…タバサ、さん」 「喋らないで、すぐ後ろに連れて行く」 タバサはレビテーションでシエスタを浮かせると、杖を構え、警戒しながら本塔の外へと引きずっていった。 「ツェルプストー、君も下がりなさい」 「は、はい…」 コルベールの声で、ようやく自分が座ったままだと気づいたのか、キュルケはびくりと体を震わせて返事をした。 「さあメンヌヴィル、降参しろ。人質を放すのなら、深追いするつもりはない」 コルベールがそう言い放つと、メンヌヴィルは自分の顔を押さえた。 「くくく……」 メンヌヴィルが、笑い出した。 「くはははははは!」 杖を振りかざし、コルベールに向ける、それを受けコルベールも呪文の詠唱を始めるが、メンヌヴィルは予想外の行動に出た。 「ベルナール!ウーシュ!遊んでやれ!」 メンヌヴィルの叫びと共に、剣で腹を刺し貫かれたメイジが二人、起きあがったのだ。 「なにい!?」 オスマンが驚愕の声を上げた。 アニエスは、弾を込め直したフリントロック式の銃でメイジを撃ったが、まったくひるむ様子もない。 「そんな馬鹿な!」 床に落ちていた、別の剣を拾い上げて斬りつける。 だが、メイジの肩に剣が食い込んだ所で止まってしまった。 にやり、とメイジが笑う。 「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース」 刹那、ゾンビメイジを、氷の刃が貫いた。 衝撃で敵の体が吹き飛ばされ、余裕が生まれる、アニエスはその隙に距離を取って体勢を立て直した。 「なんだ、なんだこいつは!」 アニエスが叫ぶ。 「…食屍鬼?でも、何か違う」 いつの間にかアニエスの脇に立っていたタバサが、そう呟いた。 『アイス・ジャベリン』氷の刃を飛ばしたのも彼女である。 タバサは過去に吸血鬼と戦ったことがあり、不死身に近い生命力を得た食屍鬼が厄介なモノだと知っている。 だが、どう猛な獣を思わせる食屍鬼と違い、このメイジは極めて冷静に己の異様さを見せつけている。 「ふはははは!ゾンビの相手をしているがいいさ、ギース!ジョヴァンニ!先に行け!俺は隊長殿に用がある!」 メンヌヴィルはそう叫ぶと、周囲に火の玉を飛ばした。 火の玉に守られながら、部下のメイジ二名はロフト状になった教師用の食堂席に飛び上がり、そのまま窓を突き破って外へと飛び出していった。 「待て!」 コルベールが制止しようとするが、それも間に合わない、人質を追いかけたいが、この場にいるゾンビを残して先に行くわけには… 「行くんじゃ!こいつらは何とかする!」 オスマンの言葉で、コルベールは吹っ切れた。フライを詠唱してメンヌヴィルの後を追った。 ◆◆◆◆◆◆ 「そこだ! 隊長!」 本塔を飛び出したコルベールは、人質を抱えたメイジの後を追おうと、狙いを定めた。 だが、メンヌヴィルに遮られてしまう。 夜の暗闇でも、体温で闇を見通すメンヌヴィルには昼間と同じことなのだ。 コルベールは茂みに隠れ、次に塔の影に隠れた。だがそれでもメンヌヴィルの火の玉から逃れることは出来ない。 コルベールは逃げ場を遮られていくうちに、広場の真ん中へとおびき出される形になった、中庭には芝生しか無い…身を隠せそうな場所など皆無であった。 「最高の舞台を用意してやったよ、隊長どの。もう逃げられない。身を隠せる場所もない。観念するんだな」 コルベールは、ゆっくりと、大きく息を吸い込んだ。 そして、どこかに潜んでいるメンヌヴィルに向かって、こう言った、 「なあメンヌヴィルくん。お願いがある」 「なんだ? 苦しまずに焼いてほしいのか? なぁに…あんたは昔馴染みだ。お望みどおりの場所から時間をかけて焼いてやるよ」 だがコルベールは、メンヌヴィルの挑発的な声など意に介さず、落ち着き払った態度で言い返した。 「降参してほしい。わたしはもう、魔法で人を殺さぬと決めたのだ」 「おいおい、ボケたか? オレには貴様が丸見えだ。お前は何も見えんだろう?貴様のどこに勝ち目があるってんだ」 「それでも曲げてお願い申し上げる。このとおりだ」 コルベールは膝をつき、頭を下げた。 どこからか、軽蔑しきった風の、メンヌヴィルの声が響いた。 「オレは……貴様のような腑抜けを、二十年以上も追ってきたのか……、貴様のような、能なしを!許せぬ!」 メンヌヴィルが呪文を唱え始める。 「私が、これほどお願いしてもダメかね」コルベールがそう続ける。 「しつこいヤツだな」 吐き捨てるような言葉が、メンヌヴィルからの返事だった。 コルベールは哀しそうに首を振った、そして、身を伏せたまま、杖を空に向けた。 すると、ピンポン球程度の、小さな火球が打ちあがった、その高さはおよそ3メイル。 「なんだ? 照明のつもりか?」 と、呆れたようにメンヌヴィルが呟いた瞬間、小さな炎の弾が爆発的にふくれあがった。 これがコルベールの魔法、『爆炎』であった。 『錬金』で空気中の水蒸気を気化した燃料油に変える、空気と撹絆した状態にするため、広範囲かつムラのある状態で練金をする。 それはひとたび点火されれば、周囲の酸素を燃やし尽くして巨大な火球を作り上げ、一定の範囲にいる生き物を窒息死させてしまうのだった。 詠唱を終えてから口を押さえていたコルベールは、周囲に酸素が戻るまでの間、ほんの数秒間我慢すればよいだけであった。 だが、呪文を詠唱するために口をひらいていたメンヌヴィルは、肺の中から酸素を奪い取られた。 「ガぁ……!…カハ……!」 ショックで横隔膜が痙攣し、喉と腹を押さえてのたうち回るメンヌヴィル。 それを見て、コルベールが呟いた。 「蛇になりきれなかったな。副長」 「ガッ! ァグッ」 苦悶の表情を浮かべたメンヌヴィルだったが、まだ杖を手に取ろうとしていた。 コルベールは極めて冷静に、呪文を詠唱しようともがくメンヌヴィルの口元目がけて、『練金』と『着火』を詠唱した。 「……詠唱の時は口元を隠せと、教えただろう」 肺胞から舌までを黒こげにしたメンヌヴィルを見下ろして、コルベールは、悲しそうに呟いた。 To Be Continued→ 前半へ戻る← 70前半< 目次 >71
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【作品名】SLAM DUNK 【ジャンル】バスケ漫画 【名前】流川楓with自転車 【属性】バスケット選手 【大きさ】187cm 【攻撃力】 自転車並み 本人の実力は不良4人(うち一人は並みの不良より強い)に勝利する。4人とも失神させた。 桜木と互角にケンカできる。不良の腕を全力でつかむと、腕が折れると叫ぶほどの握力。 【防御力】 不良にモップの角で頭を二発殴られ、ボディブローを二発くらってもまだまだ戦闘続行可能(血は結構出ていた)。 その後尻に一発蹴りをくらっても大丈夫。 桜木と延々と殴り合える防御力。 【素早さ】 自転車並み 本人はダンクが出来る跳躍力。並みのバスケ部員より速い。 桜木と互角にケンカ出来る反応。不良のパンチを軽くつかめる。 【長所】不良履歴は無いのにケンカが強い。やたらとモテル。 【短所】授業中は常に寝てる。 <参考テンプレ> 【名前】桜木花道 【属性】バスケットマン(高校生) 【大きさ】身長189.2cm 【攻撃力】中学時代でも不良高校生4人と戦って勝利。柔道部三人に頭突きで勝利。 体育教師三人に全身を羽交い絞めにされても一振りで全員振り払えるパワー。 モップを素手でへし折れる。 高校柔道全国大会レベルも認める強さを持つ。かなりケンカが強い。 【防御力】不良にモップの角で顔を叩かれたが戦闘続行可能。 その後かなりケンカの強い不良に殴られ、蹴られ、頭から体育館のドアに叩きつけられたが まだまだ余裕なくらいタフ。 バスケの試合では他のバスケ部員がへとへとの中、一人だけ試合が始まった状態と変わらないほど活発な動きが出来るくらいの体力。 【素早さ】ダンクができろほどの脚力。並みのバスケ部員より速い。 かなりケンカの強い不良のパンチを素手ではじいて全部回避可能。 高校柔道全国大会レベルの選手がつかみかかろうとした瞬間逆に肩車して投げれるくらいの反応。 【長所】やたらとケンカが強い。 【短所】51人にふられた vol.2 419 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2011/10/25(火) 14 24 09.16 ID MTLyW6Rx 流川楓with自転車考察 ○日高良司 身体能力的に普通に勝てる △工藤新一 倒せないが倒されもない ×桜木花道 自転車を破壊され負け 近しいスペックの桜木花道以上はあがれないだろう 桜木花道>工藤新一=流川楓with自転車>日高良司
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その日はなんだか頭がボーっとしたままで授業も手に付かなかった。 毎度居眠りしている俺が起きているのは不自然だったかな? 案の定、次の日登校したら見抜かれちまったぜ。 HR前に男と俺氏とその周りの女子が集まり、詰問されるのだ。 ミルナ、安心しろ。 俺は何も言わないぜ。 だから、こういうときまで不安そうな眼で見つめないでくれ、バレバレだ。 結局昼休みまでにクラス全員にバレた。 男に羽交い絞めにされ、俺氏には腕拉ぎ十字固めを食らう。てめえら覚えてろ。 女子どもまで何やってんだ、ああこらヒーちゃん、チョークスリーパーはやめて。 無いとは言えあててんのよ状態だから…あ、口に出てた? 悪かったからヒーちゃん緩めてくれ、はいはい巨乳巨乳!! あんまり絡まれるもんでミルナが心配して駆け寄ってきちまった、もうどうにでもなれ。 ミルナ「==(´゚Д゚)ノ」 友「あ…」 ミルナ「。・゜(´゚Д゚`)゜・。」 男「いや…」 俺「あー…」 ヒー「…」 ミルナ「。・゜(´゚Д゚`)゜・。」 皆「「「ごめんなさい」」」 こうして周りも認める仲になったわけだが、いざ何をしていいものか。 そもそも彼女ほしーほしー、男このやろテメエとは毎日ほざいてたものの… いざできると何をすべきかさっぱりだ。 ここは女扱いに長けるヤツに聞くしかあるまい。 男「テキトーに、普通どおり付き合えばいいと思うぞ」 うん、至極まっとうな意見だ。だが何かせずにはいられんのさ。 俺「プレゼントだ!エクレアをどっさりとな。むろん、俺にくれ」 うん、中・後略していいかな? タケル「…機嫌がいいとき、くっつく…なんてどうだ?」 うん、お前の立場って改めて考えるとムカつくわ。 大門「カレーをごちそうしてあげるべきでごわす」 うん、ごちそうはいいかもな。お前すげえカレー臭いからちょっと離れろ。 超悪「フヒヒヒヒヒ!手ブレ補正!手ブレ補正!」 うん、混ざってる混ざってる。とりあえずどっか行け。 美オッサン「………」 無言で、ただ肩に手を置いてガッツポーズ。 そんな行動も、美オッサンならではの祝福なんです。 友「…で。結局何するかわかんなかったんだよな~…オヤジ、ライスおかわり」 定「ボウズ。……愛、ってのはな、一人で悩むもんじゃねえ」 友「…」 定「…二人で、悩んで…育てるもんさ」 友「……オヤジぃ。ライス…大盛りで」 定「あいよ」 友「…ありがとう」 定「…バーロイ////」
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【作品名】機動戦士ガンダムZZ 【ジャンル】漫画 【名前】ハマーン・カーン with キュベレイMk-Ⅱ 【属性】アクシズ軍トップの女性+人型ロボット 【大きさ】18m程 【攻撃力】 ハンドビームガン:両手に装備されてるビームガン。ZZの装甲を貫く威力。 (同型機に乗ったプルの描写より) 射程数百mほどか。 ファンネル:無線で動かすことができる小型ビーム砲。ZZの肩を打ち抜く威力。 (同型機に乗ったプルの描写より) 背部に130以上収納されており、自由に操って四方八方から打ち込める。 ビームの射程はハンドビームガンと同じくらいか。 すべてのファンネルで一点集中して撃つとZZを貫いて後ろの 18m級の大きさ相応のロボットも貫いた。 ビームサーベル:キュベレイの接近戦用の武器。二本ある。 作中何かを切り裂いたシーンはないが、 グレネードランチャーくらいなら無傷の40m級の大型ロボットを斬り裂く ZZのハイパービームサーベルと互角にツバぜりあう 【防御力】 大きさ相応のロボット並み。 しばらく大気圏突入に耐えられる。(突破は無理) 【素早さ】 四方八方から撃たれるファンネルによる小型ビームの雨に反応し回避する事が可能で、 回避しながらビーム砲で反撃に転じたりできるZZと互角に格闘戦し、 一瞬でZZの後ろに回って羽交い絞めにしたりできる。 移動速度大きさ相応 【長所】沢山あるファンネル。 【短所】アニメと違って出番少なすぎ。ジュドーともほとんど話してない。最後はほぼ自爆 【備考】最後の敵 【ZZの防御力】 5・60m爆発に近距離で巻き込まれても大丈夫な装甲を持つZガンダムを 一撃で半壊させるサイコガンダムのパンチで 吹っ飛ばされても全然大丈夫な頑丈さ。 同様にZの装甲を貫くクインマンサの小型ビームより口径の大きいクインマンサのビーム (ZZの胴くらいの太さのビーム)で特にダメージなし。 しばらく大気圏突入時の熱にも耐えられる。(ただし突破は無理らしい) 64スレ目 104 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2009/06/20(土) 11 33 26 ハマーン ○>ケルビム・イスキューロン>トレーズ>ヒュドラ>ベガ :速度的に有利。攻撃力高いのでファンネルとビームガン勝ち ×ターンX:硬いし距離取られたら追いつけない負け ×>ヤッサバ:亜空間サッポウでビーム反射負け ターンX(ガンダム無双2)>ハマーン>ケルビム・イスキューロン
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小ネタ 御坂美琴最後の日 本日、御坂美琴という一人の女性がこの世から消える。レベル5の第三位として数々の戦いを生き抜いてきた彼女を以ってしても、それはどうする事も出来なかったのだ―――その瞬間を、白井はただ呆然と見つめていた。涙なのとっくに枯れ果て、もはや生きる気力さえ失ってしまった。「貴方の…せいですわよ! 貴方が…貴方のせいでお姉様はっ!」「………」憎しみという感情を上条にぶつける白井。彼女だって分かっている。本当は上条が悪い訳ではないという事に。そしてそんな事をしても、御坂美琴は帰って来ないという事にも。だが何かに当たらなければ、自分が壊れてしまうような気がしたのだ。上条もそれが分かっているからこそ、拳をギュッと握りながら白井に向かって。「…すまない」と呟いた。「すまない…ですって…? 今更…今更謝った所でお姉様はっ!!!」「も゛う止めま゛じょうよ白゛井ざん!」そう言って白井を羽交い絞めにして止めたのは、初春だった。初春は嗚咽を漏らしながら、それでも白井をなだめる。「もう、どうじようも゛……えっぐ、な゛い、じゃないでずが! 上条ざんを責めだ所゛で…御坂さんが喜ぶとでも゛思っでる゛んでずが!!?」「っ! ですが…ですがわたくしは!」「そうだよ白井さん」すると今度は佐天が割って入ってくる。佐天は一瞬だけ上条に一瞥すると、すぐに白井と初春に向き直った。「いい加減…諦めてくださいよ白井さん。御坂さんだって、最後は笑ってたじゃないですか。 だから…あたし達も笑って送りましょうよ。だって今日から…… 『御坂さん』じゃなくて『上条さん』になるんですから」ここは市役所。そして上条の目の前には一枚の婚姻届。上条は印鑑を握ったままの拳をギュッとしながら一言。「いや、ホントにすまない。でも美琴も合意だから」「うぉあああああ!!! 聞きたくありませんのー! そんな事聞きたくありませんのー!!!」「えぐっえぐ…本当゛におめでどうござい゛ま゛ず~~~!!!」「初春、そろそろ泣き止みなよ…」「当麻~! もう婚姻届に捺印押した~? ……あっ! 当麻じゃなくて、『アナタ』になるんだっけ~♡」本日、御坂美琴という一人の女性がこの世から消え、上条美琴として生まれ変わるのであった。