約 108,551 件
https://w.atwiki.jp/demobura/pages/47.html
必殺技解説 ~必殺技~ 薔薇花葬脚 ライダーキック。上空から斜め下に蹴りのモーションで突っ込む。 攻撃判定が強く、突進速度も速い。なお、ガードされてもスキが少ない。 EX版は射撃無敵がある。 翠星連舞脚 三回連続で回し蹴りを繰り出す。三段目以外は追加入力2及び3に派生可能。 発生が早くリーチも長い。初段で止めれば隙は少ない。三段目ヒット後は追撃可能。 派生技に繋ぐことで中・下段の二択を迫れる。攻撃判定発生前にも追加入力を受け付けており、初段を出さずにいきなり二段目を出すことも可能。 EX追加入力2は下段判定のスライディングを繰り出す突進技で、ガードされても有利。 胡蝶乱舞脚 両脚を広げて回転蹴りをしながら飛び上がる。 攻撃判定が大きく、A、B、EXの順に追加入力できる。 通常版には無敵はないが、EX版には出掛かりに無敵判定があるため、対空や割り込みに使える。 ~ブライド必殺技~ バグズショット ベルゼブブが蝿の群れを飛ばす。 弾速は遅いが、蝿は相手を追尾する。 インモラルホールド ベルゼブブが相手の背後にワープし、羽交い絞めする。 捕まえた相手は追撃可能。 ~超必殺技~ スパンキングローゼスシュート 四つん這いになったベルゼブブを蹴り飛ばし、ヒット時はロックして連続攻撃する乱舞技。 空振りすると膨大な隙をさらすので、主に連続技に使う。
https://w.atwiki.jp/kyokotan/pages/126.html
「…………」 「…………」 「――――」 三点リーダを飛ばし続け沈黙する俺たちに対抗しているのか、九曜はダッシュを放出し辺りの空間と同化し始めた。 まさかまさかの登場人物に驚いたってのもあるが、九曜の格好にも戸惑いを隠せないと言うのもある。 彼女――周防九曜は髪の毛と同じ漆黒のローブを身に纏い、同様に黒色のヴェールで頭を覆っている。胸元には宝石で作られたロザ リオ。勿論黒い宝石で作られたもので、燈篭の光を浴びてレインボーのような輝きを見せている。 全身黒ずくめの彼女だが、しかし唯一顔の部分のみ白い肌を露出させている。黒の衣装とは真逆のそれが、彼女の顔立ちをよりくっ きりと現していた。 と、俺がここまで説明する間、誰も喋らず動かず。まるでこの空間のみ時が止まったかのような挙動に駆られる。しかし燈篭の光が 揺らいでいることから実際はそんなこともなく、単に硬直しているだけに過ぎない。それに橘を見ると、何かを言おうとして口をもご もごさせている。九曜は言わずもがなのマネキン状態。 このままでは時間だけが過ぎ、何も解決しない。そう考えた俺は乾いた口を何とか動かした。 「……どうしてここにいる?」 ギギギという効果音が入りそうなくらい不器用に目線を動かした九曜は、 「――――観測する…………ため――――」 何を? 「綺麗な…………瞳を――――」 ザッツオーライ、意味不明過ぎる。もっと分かり易い言葉で喋ってくれ。 すると九曜は幾分考えるような素振りを見せて、 「――――勇者の――来訪を…………待っていた――――」 「ゆ、勇者ってもしかして!」 唇のグリスの補充が終わった橘がようやく言葉を口にする。 「……あなた――――」 俺を指差した。 「やっぱり……うんうん」 右手をあごにかけて何やら考え出した。 「ということは、九曜さん。あなたは魔王打倒の鍵をご存知なのですね!?」 「――さっきの…………言葉――――五行を…………見つける――――」」 五行? そう言えばさっきの不思議な声が、そんなことを言ってたような……っていうかあの声は誰の声だ? 九曜の声じゃなかっ たし、他に誰かがいる気配もないし。 「天の――声――――」 天の声? ああ、電池が切れるとバックアップデータが吹っ飛ぶ恐怖の記憶機器のことか。 「違うに決まってるでしょ。九曜さんが水晶の力を借りて、ご神託を受け取ったのでしょ。言わば神の御声を代弁してくれたのです」 「そう……」 そうかい。「で、その五行とやらは何なんだ?」 「五行は――陰と……陽――――2つの………存在意義から――――生まれた………五大元素――――」 「なるほど、陰陽五行説ですか。陰と陽の力を束ねるには、それと同等の力、すなわち五行の力を持って制する。そう言うことです ね」 どういうことなんだろうな。俺にはさっぱり理解不能だ。 「簡単に説明しましょう。この世界の因果律は古代中国の思想によって成り立っていると考えられます。その理由は、先程九曜さんも 仰った陰と陽の力です。陰と陽と言うのは、簡単に言えば相反するもの同士のこと。光と闇、天と地、寒と暖、男と女……様々な例え がありますが、そう言ったもののことなのです。混沌より生まれしそれは、どちらかが存在することでもう一方も存在する。相反しな がらも一心同体の力なのです。そして五行とは、そこからさらに派生した概念です。陰と陽の力が分極化し、火、木、土、金、水と言 う五つの存在が形成され、これも陰と陽と同じく相互作用しながら世界のバランスを保っているのです。あ、ファンタジーの世界だと 地水火風の四大元素の方が有名だと思いますが、あちらは西洋の思想です。話はそれましたが、つまり五行の力を借りることは、即ち 陰と陽の力と対等になると言うこと。暴走しつつある陰と陽の力を食い止める唯一の手段なのです」 まるで水を得た古泉のようにまくし立てる。二人とも超能力者と言うことだし、この辺の蘊蓄はお手の物なんだろう。俺にとっては ウザイ事この上ないが。 で、その陰と陽の暴走ってのが大魔王の力の源ってところか? 「……あ、はい。そうです。だいたいそんな感じです」 何となく橘の返答が遅れた気がしたが、まあいい。 「だがどうやって五行とやらの力を手に入れるんだ?」 「五行の――精霊に…………授けてもらう――」 ほほう、精霊とはこれまた大きく出たものだ。ははあ、分かったぞ。精霊とやらに会って『我が力を使いこなせるか確かめてやる』 とか言って戦闘を挑まれたり、敵の手に落ちた精霊が襲い掛かって正気に戻した辺りで『我が力を授けるにふさわしい』とか言って受 け取ったりするんだな。 「――――それは…………あなた――次第――――」 九曜が言うには、五行の力はその源である『賢者の石』と呼ばれる宝石(高純度高密度の偏向エネルギー凝集体が規則正しく配列し た結晶構造体だとか何とか説明してくれたが今回はパス)を手にすることでその力を発揮できるらしい。どのような力が発揮するかは 分からないが、世界を創造するパワーの源となった力だ。例え五分の一に減じているとは言え、恐るべきものであることは想像に難く ない。 ただ残念なことに、その『賢者の石』をどうやって授かるかはよくわかってないそうだ。第一精霊とやらに会って実際に手にした人 がいるわけでもない。そりゃそうだよな。世界を崩壊しかねない力を持つものをポンポンと人に渡していたら今頃この世界は塵と芥の 山か、あるいは既に混沌へと帰しているか……そんなところだろう。 だから、ここから先は手探りの状態が続く事になる。面倒くさそうなことこの上ないが、やらなければいつまで経ってもこの世界か ら抜け出せそうにない。先にも行ったが、俺はこの世界で天寿を全うしたいとは思わない。せめて自分の生まれた星で自分の生まれた 時代で生涯を閉じたいものだ。この辺朝比奈さんならよーくわかってくれると思う。 「わかったよ。それじゃさっさとその精霊とやらに会って賢者の石を貰おうぜ。で、どこが一番手っ取り早い?」 九曜はキキッと首を傾げ、 「――そこ」 九曜は意外な方向を指さした。それは、俺たちの会話を暫くうんうんと頷いて聞いていたツインテール。 「まさか、橘が持っているとでも?」 「――――」 数ミクロンには及ばないが、数ナノ単位で頷いたように見えた。 「え? あたしそんなもの持ってないですよ?」と対照的にあたふたとざわめくのは橘京子。あまり裏表の無い奴だから、嘘をついて いるようには見えない。それに嘘をついてこの世界からの脱出方法をひた隠しする理由もこいつにない。 だが、九曜も嘘をつくような人間には見えないわけで。 「九曜、どこに隠し持っているか教えてくれ」 「――――」 俺の言葉に、九曜は沈黙を保ったまま橘京子の目前まで迫った。 「う……」 少々ビビッた様子の橘と、全く怖じけつかない九曜がそれぞれ対面し、そして九曜は指を差した。 ――橘京子の下半身を。 「へ?」 「まさか……そこあると言いたいのか?」 「――――」 再び数ナノ単位で首を動した。 「え? え? どういう事? まさか体の中に埋まっているってことは……いえ、そんなはず無いわ。改造人間になる手術なんて受け てないもの。じゃあ一体どこに……?」 当の本人が解らないのに俺が解るわけ無かろう。こうなったらどこにその賢者の石があるのか、九曜に取って貰う以外に他はない。 「――わかった」 黒尽くめの占い師は両手を上げ、橘京子の肩を掴んだ。橘京子の体がビクンと小さく揺れた。 「く、九曜さん、取り出すのは構わないですけど痛いことはしないでくださいね! あと流血もゴメン被りたいのです!」 「大丈夫――痛くない…………引っかかっているだけ――」 「な、なんだ……九曜さんのことだから体の中に埋まっているソレを無理矢理取り出すかと思いましたよ」 ビビリまくりの橘の顔を見て、 「それは――――あり得ない…………」 何だか悔しそうな顔をする九曜。したかったのだろうか? 屠殺場じゃないぞ、ここは。 「――――ちょっとした……冗談――これからが――本番…………取り出す――――」 長門以上に喜怒哀楽が乏しいこいつが一世一代のギャグを言い放ったのはそれもかなりの事件なのだが、それをも上回る事件は俺の 目の前で勃発した。 「ちょ、九曜さん! 何をするんですか!」 何と九曜は、橘の貫頭衣をやおら捲し上げたのだ。必死になって抵抗する橘だが、九曜の超人類的パワーに圧倒出来るわけもない。 「……どこに手を入れ……ううっ! ……そこ……はぁん!……らめぇ!」 俺の位置からは九曜の豊満な髪の毛に阻まれてよく分からないが、橘が苦痛のに顔を歪めた事だけ分かった。顔中真っ赤である。 そして。 「取れた――」 九曜が取り出したのは、卵くらいの大きさをした、深緑色の宝石。 「これが賢者の石なのか?」 「そう――――『木』の力が…………宿っている――」 先程よりも滑らかに首を動かした。しかし、何でまた橘が……? 「先の戦闘――――その際……先兵が――隠し持っていた……その時に得たもの――――」 「……あ、そう言えば……」肩で息をつき、「先程の戦闘の際……はあはあ……ある一本の触手を……切り落としたら……何かがあた しの中……に……んん……潜り込んだというか……そんな気が……くはぁ…………今の今まですっかり忘れてました……」涙目の橘が 言葉を続けた。中々な大事をすっかり忘れる奴である。 「……いえ、基本草食性ですし……寄生すること……もないですし……単に先端部分が……残ってたのかなーと……思って……」 だとしても普通その場で取り除くだろ。 「だって……直ぐに他の触手が……攻めて……きましたし……第一あんなところに……」 橘の顔はさらに赤くなった。 「しかし、何であの触手が賢者の石を持ってたんだ?」 「精霊――――を――――食べた…………から――」 マジでか!? そんなに凄い奴だったのかあの触手!? 「精霊――――数万年を……生きた――大木…………それが枯死し――――彼の者が――――摂取した……」 ああ、そう言えば生きてない植物を食べるんだったな、あの触手。たまたま摂取した植物が精霊……いや、元精霊で、その時に賢者 の石も一緒に食べてしまったと言う訳か。 しかし、パワーの源たる賢者の石を、そんなに簡単に人様に手渡して良いものだろうか? 「それは……恐らく同じ『木』に属する仲間だったからでしょう」と橘。息を整え終えたのか、いつも通りの口調に戻っていた。 「賢者の石を守護するのは、何も絶対的な力持つ者や、長寿の存在である必要はありません。頻繁に他の者に譲り渡すことでその存在 を眩ませていたのかも知れませんね。今思えば、あたし達を必要に攻撃したのも、あの宝石を守るためだったのかも知れませんね」 さて、どうだろうね。あれはどう見ても橘に踏まれて怒っただけのように見えたが…… 「……もうっ! それより九曜さん、わざわざ取り出してくれて有り難うございます。でもよーく洗ってから持って行ってください ね」 「ん? どうしてだ?」 「だっ! だって……ほら、あまり綺麗とは言えないじゃないですか」 よく見ると、半透明の液体が緑色の宝石にまとわりついているのが分かった。先程の触手が吐きだした粘液だろうか? 「検討……する――」 ところで、橘のどこから出てきたんだ、それは? 「それは――「言わないでください!」」 「わたしも――――あなた達とと……行動を共にする――――」 一頻り話をし終えた後、九曜は突然言い出しやがった。 「行動するって……もしかして仲間になってくれるんですか!?」 「そう…………あなた達だけでは――心許ない…………」 悪かったな。 「それでは――次の目的地に……向かう――――次は……ここから――南の……場所――――港町…………」 「港町……ですか? 確かにここから南に行ったところにそう言った町があるのは確かですが、でもこの村の南には切り立った山がた くさん連なっています。それを迂回してたら何十日とかかっちゃうわ」 「心配……いらない――――」 九曜はおもむろに水晶を手に取った。 「―――羯諦……羯諦――――波羅羯諦………波羅僧羯諦――――sicut et nos…………dimittimus debitoribus……nostris――― ―sed libera――nos a malo…………Amen――――」 呪文のようなお経のような祈りのような……ともかく、小声で何やらブツブツ言った後、水晶がまばゆい光を放った。 「なっ……」 「何……?」 光はほんの数秒で消え去ったが、その光を直視したためか、俺の視界は先程の暗闇と同等なまでに低下した。 「九曜、何をした!?」 「――次の……目的地まで――移動した…………」 何!? 「……あっ……ここは……もしかして!?」 先に視力が回復したのだろうが、橘京子の驚愕の声が響き渡った。俺の視力も徐々に回復しているが、まだ全体を見渡せるほどでも ない。それでも先程の様子とは打って変わり、明るい場所に出没したことだけは分かった。 そして先程と全く異なるのは他にもある。深緑の匂いが消失し、入れ替わるかのように感じたのは潮の香り。波の音とカモメが鳴く 声が聞こえることから、海が近いことは間違いない。 「こっち――――」 手招きをする九曜がぼんやりと見えた。様子のつかめない俺と橘は、取りも直さず九曜の指さす方向へと歩幅を広めた。 「……で、九曜、ここはどこなんだ?」 「――港……町……」 「それは分かってるよ。だが問題なのは何故酒場でまったりしているか、っていうことだ」 俺たちが九曜に連れてこられたのは、港町にある、船着き場にほど近い酒場だった。船を利用する観光客が行き交うと言うより、水 兵だか船乗りが仕事前後に利用する、場末感たっぷりの酒場である。昼間だというのに酒の匂いがやたらと鼻についた。 「ここに、次の賢者の石の手がかりがあるんですか?」 「そう…………それと、もう一つ重要な事が――ある…………」 重要な事? 「――もう一人の……仲間を――見つけ出す……事――――」 もう一人の仲間!? 「どうやって見つけるんですか?」 「これが…………存在を――教えてくれる……」 九曜は右手に持った木の杖を掲げた。杖の先端には水晶が当てはめられていた。九曜のいた部屋に置いてあった水晶を、丁度小さく したようなもので、こちらも不思議な光に包まれている。 「先程の――水晶を…………小型化――凝縮した――――」 便利な技を使う奴だ。「それで、その仲間とやらはここに現れるってのか?」 俺の言葉に九曜はキキキッと腕を上げ、杖の先端で扉の方を差した。 「あそこから――来る…………もうじき――――」 その扉は、この酒場の入り口であり、言うまでもなく俺たちが入ってきた扉でもある。 「それまで待ってろ、てことか」 「そう」 「どのくらいかかるんだ?」 「直ぐに……来る――――」 そうか、それじゃ少し待つことにしようか。 「いいえ、あたし探してきます! だって少しでも早く見つけた方が良いですもの! 行ってきます!」 俺の言うことを完全無視した橘京子は、脇見もせず扉の向こうに走り出す。 「……いいのか、九曜? あのまま行かせても?」 「…………構わ――――ない…………無駄骨を――折るのは……彼女――――」 「そうだな、わざわざ付き合う必要もないか」 などと橘京子を除く俺たちが待ったりモードに入ろうとした瞬間、事件は起こった。 入り口まで駆け足で走る橘京子は扉を開こうとした瞬間、それよりも早く開く扉の気配を察知した。 「……!」 寸でのところでドアの開閉による攻撃を喰らわずやり過ごした。さすがは組織の一員。 しかし、である。 「きゃん! いったーい!」 咄嗟の回避にも拘わらず、何かに接触した橘は勢いに押されてその場に尻餅をついてしまった。 「ってーだろーが! どこに目をつけてやんだこの野郎!!」 図太い声が響き渡った。 「ん? よく見たら女じゃねーか」 続いて甲高く細い声が聞こえる。 「くひっ……しかも中々の上玉……ひゃひゃひゃ」 さらに聞こえるダミ声。 橘はその場に座り込んだまま、焦燥感を露わにした表情で彼らを見ていた。 「よう、姉ちゃん。人様にぶつかっておいてお詫びの一つも名無しか?」 「いえ、その……ご、ごめんなさい……」 「ごめんなさいだぁ? まさかそれで謝ったつもりか? へっ、ガキじゃあるまいし」 「ふへへへ……それ相応の責任を取って貰おう、かなっと」 続々と扉から入ってくる男三人。 最初に入ってきた野太い声の主は禿頭姿のゴリマッチョ。元は白色なのだろうが、長いこと着続けているのだろう、灰色くくすんだ タンクトップと同じ色のクオーターパンツを着ている。甲高い声はひょろ長く長髪ストレートヘア。襟を立てたシャツと、ジーンズに 似た素材のパンツに手を入れにひひひと笑ってやがる。そして最後に入ってきたダミ声は、チビデブバンダナ姿。縞々のTシャツと短 パン、そして丸いサングラスが似合っていない。 三者三様の格好だが、この三人には共通点があった。それは、いわゆる「ごろつき」だと言うことだ。 「あ……あの……あの……それ相応の責任って……」 よせばいいのに聞き返す橘。泣きそうな顔を見て三人は 「なに、晩酌の相手でもしてくれればそれでいいさ」 「そ、それくらいなら……」 「おお、してくれるのか。それはありがたい」 「分かってるとは思うが、酒を注いでハイ終わりじゃないからな。酒に溺れて野獣と化した俺たちのモノの処理も含めて、だぜ」 「ひっ……! そ、そんな……」 「おいおい、連れないこと言うなよ。自分から了承したんだ。今更イヤだとは言わせないぜ? 所謂和○ってやつだ」 「ぐひひ……久しぶりの女だっぜ……溜まりまくってるから俺は三発はいけるぜ」 「なら俺は五発だ」 「おいおい、サカリの時期はまだ早いぜお前ら」 『ぐはははははっ!』 低俗な笑い声が辺りにこだました。その笑い声に橘の顔が蒼白になっていくのが分かった。流石に何をされるのか分かったのだろう いくら強気に振る舞っても、いくら弓矢の扱いが上手くても、大の男三人に羽交い締めにされれば元も子もない。その絶望感からだろ う、橘はへたりこんで身動き一つ取らなくなってしまった。 ちっ、これだからお嬢様ってのは……いや、別に橘がお嬢様って訳ではないが、気分的にな。 それはともかく、いくら場末の酒屋とは言え、こいつらの非道さに誰も口を出さないのも気になる。船着き場の近くと言うこともあ り、カタギの人間も少なからずいるはずなのだが……あいつらか、あるいはあいつらの親玉が余程力を持っているのか? だが、俺たちにはそんなことは関係ない。ここで橘があいつらの良いようにされるのは面白くない。人数的に不利だし、如何ほどの 力を持つかは知らないが、こっちは九曜もいるし、魔法も使える。何とか対等の立場に持って行けるはずだ。 よし、と気合いを入れて席を立った瞬間、九曜もまた同時に立ち上がった。 「――大丈夫……あなたは…………見ていて――」 そう言い残すと、九曜はからくり人形並みにぎこちなく橘とごろつき三人の前までゆっくりと移動した。 「ん? 何だお前?」 「お、ねーちゃんも俺たちのパーティに参加してくれるってか?」 「ふへへへ……それいい! 乱交だ! 乱交パーチーだ!」 「――――」 ごろつき共のヤジに怯えることもなく(というか何とも思ってないのだろうが)、九曜は橘の方に赴き、今だ座り込んでいる彼女を 何とか立たせ、そして担いで俺がいるテーブルまで移動し始めた。 「……おい。どこに行く? まさか逃げる気じゃないだろうな?」 そんな言葉でビビる九曜じゃない。 「待てよ!」 だから言うだけ無駄だって。 「くひゃ! まちやがれぇ!!」 ついにチビデブサングラスが九曜の肩に手をかけた。 瞬間。 「…………っ!!!」 九曜が手にした気の杖が、サングラス野郎の後頭部にクリティカルヒット。声すら出さずごろつきの一人はその場に倒れ込んだ。 『なっ……』 あまりの事に驚愕の声を上げる残りのごろつき二人。 「――――ここに……」 その二人を尻目に、パニック寸前の橘をゆっくりと椅子に座らせた。 「……あたし……危ない目に……九曜さんも……危ない……」 「大丈夫――――」 九曜は手のひらをそっと橘の顔に置いた。すると橘はまるで操られているかのようにスッと目を閉じ、そして眠りに陥った。パニッ クになりつつある橘の気を鎮めるための配慮だろうか。 「くー……くー……」 寝息を立てる橘を確認した後、九曜は再びごろつき達と向き合った。 「野郎!」「テメエッ!!」 二人は腰に差していたダガーを取り出し、九曜に向かって斬りかかる! 禿頭は上段から、長身は中段よりやや下から、それぞれク ロスさせるかのようにダガーを振るった。 「――!!」 九曜は寸でのところでかわしたものの、その風圧のため右袖が切り落とされ、ローブの左足部分にが綺麗なスリットが入った。 「なかなかやるじゃねえか、お前」 「普通の奴ならあの一撃で全身ズタズタのボロボロになるだがな、ヒヒヒヒ!」 こいつら……ただのごろつきと思ってたが、そこそこ腕があるようだ。なるほど、この界隈ででかい顔をしているだけある。 「だが……今度はどうかな?」 長身の方が懐からさらにダガーを取り出し、それを投げつける! 九曜は難無くかわし、隙だらけになった長身に攻撃を加え……ない? 「ほう、今のもかわしたか!」 九曜に向かって投げたはずのダガーは、再び長身の手の中に収まっていた。三本目のダガーを取り出したから、ではない。長身が投 げたダガーを禿頭が受け取り、間髪入れず投げ返したからだ。 「ほら、ほら、ほら!」 「それ、それ、それ!」 一人が投げつけたダガーはそのままもう一方の元まで届き、すぐさま投げ返す。二人でやるお手玉状態だ。九曜は差し迫るダガーを 何とか交わしているものの、これでは攻撃も出来ない。 「そうら、もう一本追加だ!」 合計三本となったダガーの攻撃はさらに凄まじさを増す。そしてその影響が九曜にも現れ始めた。 即ち、ローブが少しずつ切り裂かれているのだ。 「へいへい! ねーちゃん! ストリップとは色っぽいねえ!!」 「言っとくが、真っ裸になっても謝るまで止めねえからな!」 くっ、このままでは九曜が不利だ。そろそろ俺も加勢に…… 「――大丈夫……と――言ったはず…………」 必死でよける九曜の胸元にダガーが掠めた。 「大丈夫って言ってもな! お前その状態で反撃すらできてないじゃないか!」 「ちょっとした……ウォーミング――――アップ……これから――――反撃する」 右手にした杖を手にし……うおっ!? 『何っ!?』 チン、チンと金属音が床に響いた。 九曜は手にした杖をバトン宜しく回転させ、ダガーの猛追を振り払ったのだ。あまりのことに攻撃することも忘れたごろつきの一方 に九曜が迫る! 「ぐふっ!」 杖の先端をみぞおちにめり込ませ、そのまま数回突く。たまらず長身はその場に膝を突いた。 「ぐ……やるな……だが……この杖を封じれば…………攻撃……でき……まい……」 長身は最後の力で杖を奪い、そのまま覆い伏せるかのように倒れ込んだ。 「よくもっ! 俺の相棒を!!」 間髪置かず禿頭が九曜の元に攻め込む。いつの間に用意したのか、両手に携えたダガーが九曜に襲いかかる! しかし、この後俺はとんでもないモノを目の当たりにした。 「死ねえぇぇ!!」 頭に血が上ったのか、なりふり構わず突っ込む禿頭。 「――――」 対する九曜はその場でじっと……いや。その場から足を一歩引き、両手を軽く上げ、ファイティングポーズを取る。 そして獲物が間合いに入る瞬間跳躍した!? 「なっ……!」 禿頭の呆気にとられた顔が、遠く離れたこの位置からでも確認できた。 飛ばれたことで間合いが狂った禿頭は思わずダガーを振るうが当たるはずもない。それどころかスキができる。 勿論見逃す九曜ではなかった。体を捻り、右足を伸ばし、回し蹴りを横っ腹に決める。これだけでも致命傷だろうが、凄いのはここ からだ。なんと九曜はその反動を利用してもう一回転。左足が禿頭の同じ場所を貫いた。 「ぐへぇ……」 もろカウンターで入った。あの衝撃では下手をしたら骨の一本や二本は折れたかもしれない。 ドサッと重いものが倒れ込む音と、トスッと軽い音がほぼ同時に響き渡った。 その軽い音を立てた方――九曜はゆっくりとその場に立ちあがり、そして俺の方を見る。 スリットから生える白い足が目に焼き付く。それくらい華麗な空中二段回し蹴りだった。 すげえ、その格好からして魔法使いか僧侶系がと思ったのに、見事なまでの格闘タイプかよ。 「これくらいは――――当然…………魔法も――使える――」 九曜はシャランという音を立てながら杖を振るった。瞬間、ボロボロに破けたローブが再生し、まるで新品のような輝きを取り戻し た。……あ、でもスリットは直さないのな。 「こっちの――方が…………動きやすい――――」 あ、そう。 だがさすがは宇宙人。万能キャラはこの世界でも有効ってわけだ。 「そうでも……ない――」 いや、謙遜はいいぜ。ちったあ俺も橘も見習った方がいいな……そういえば橘はどうした? まだ惚けているのか? 何とはなしに橘を座らせた椅子に目をやると……あれ? いないぞ。どこに行った? 「あそこ……」 九曜が指さした方向を見れば、橘を抱きかかえられ、連れ去られようとしていた。 連れ去ろうとしているのは、一番始めに失神したチビデブ野郎。 「こらぁ! 何してやがる!」 俺たちが気づいた瞬間、ものすごい速さで逃げるチビデブ。俺も懸命に走るが、奴との距離を保つので精一杯だった。混乱した場内 と、入り乱れたテーブルと椅子で思うように動けないためだ。 こうなったら魔法で……って、こんな場所で火の魔法使った日にゃ大火事だ! 水も木も土も辺りに迷惑をかけそうだし、金に至っ ては何を唱えて良いか分からんし……ええい! 俺が何とか呪文の詠唱を考えているスキに、チビデブは入り口付近まで到達。その場から逃げようとしていた。くそ、焦れば焦るほ ど呪文を唱える意識が飛んでしまう。どうすればいいんだ!? 「ひゃーはっはっは! この娘だけは俺が預かっていくぜ! 悔しかったら追いかけて来な!」 完全に勝利を確信したチビデブがドアを開けようとした瞬間、 「ぐふっ!」 開いたドアの一撃を食らってその場に倒れ込んだ。 「ぐっ……誰だっ!!」 「お前如きに名乗るような安っぽい名前は持ちあわせておらん」 ドアの前に立っていた人物……声からして男だ……は、ゆっくりと酒場の中へと入ってきた。 背丈は俺より少し高く、短くも長くもない髪を軽く真ん中分けにしている。古泉とはまた違ったファンがつきそうな整った顔立ち。 ここまでなら酒屋に似つかわしくない好青年で済むのだが、実はそう思えない理由が二つほどあった。 まずはその格好。水色の半着と灰色の袴、そして藍色の羽織を着込んで高下駄を履くという、和を前面に押し出したその格好はここ がファンタジーの世界だと言っても全く異質な物にさえ感じた。 そしてもう一つ。それは彼の瞳……全てのものに不平不満を言いたげなあの目が、奴のメリットを全面的に押し殺していた。 ああ、もちろん見知った顔だ。 「こんなところで遭うことになるとはな……正直虫が好かん。だがこれも既定事項の内だ。甘んじて受け入れてやる」 愚痴を零すその声は、この時ばかりはありがたく感じた。 「藤原……お前もこちらに飛ばされてきたのか……」 ふん、と鼻を鳴らしたその男は、 「識別信号で呼ばれるは気に喰わんが、だからといって偽世の礎を確乎不抜とせしめん輩もまた大罪。いいか。忠義によってお前達を 助けてやる」 シャキン、と腰に差してある片刃の長剣を抜いた。あの風体からして、恐らく日本刀の一種だろう。 「失せろ。さもなくば死ぬぞ」 「う…………」 件を突きつけられ、チビデブはすごすごと後ずさりし、その場から立ち去る……と思いきや。 「……へっ、できるものならやってみやがれ!」 中々挑戦的な態度を取りやがった。正面には藤原、後方には俺と九曜が控え、逃げることも反撃することもままならない。頼りのお 仲間は、九曜がさっきふん縛って身動きできなくしている。 この期に及んで自分の優位性を疑わないとは……ついに頭のネジが切れたか? 「うるさいっ! ならこれでどうだ!?」 そうほざいた後、小走りであるポイントまでたどり着き、そして。 「あいたたた……あれ……? あたしどうしたのかしら? 確か暴漢に襲われて……うわ!」 最悪なタイミングで起き上がる。くそ野郎。橘を羽交い締めにしやがって……人質のつもりか? 「た、助けてぇ! は、早くぅ!! いやぁ! 死にたくないぃぃぃー!!!」 普通こういう場では、『あたしの事はどうでもいいから逃げて!』と言うのがセオリーなんだが……全く以て空気の読めない奴であ る……ま、そんな冗談はさておき。 チビデブは橘を盾にしつつ、「俺が遠くに逃げるまで、こいつは人質だ! いいな!」と血気盛んにまくし立てる。攻撃することは 容易いが、あれでは橘にまで危害を加えてしまう。魔法を使ったところで巻き添えを食らうだろうし、九曜の格闘術もまた然り。 古風で使い古された手ではあるが、確実な方法だ。 ならば……どうする? 「ここは僕に任せろ」 「何か良い策でもあるのか?」小声で言う俺の言葉を無視し、藤原は二人の前に立ちはだかった。 抜き身の剣を携える藤原に、チビデブは恐怖で仰け反り返っている。 「どどど、どどどうする気だぁぁ……」 「心配いらぬわ。眠って貰うだけだ。永遠に覚めぬ眠りをな……」 カチャリと剣を上段に構えた。 「ひいっ! い、いいのかぁぁ……こいつが、どどど、どおなっても…………いいのかよぉぉぉぉ!!!」 「いやぁぁぁ! 切らないでぇ!」 藤原の脅しに、二人ともパニックを通り越してエクスタシー状態! 「仲良く地獄の夢でも見るが良い」 『いやぁぁぁぁぁ!!!!!』 スチャ、と鞘に剣を収めた藤原は、また下らぬものを斬ってしまったというような、複雑な表情を浮かべてその場に鎮座した。 「…………っっっ、あれ? 何もなってねえ?」 「…………んあ? 本当……?」 二人は自分の体が繋がっていることを確認し、ぷはぁと大きく息を吐き、再びへたり込む。 「刀が名刀である証。どうやって証明するか分かるか?」 『???』 突然の話題に、二人はクエスチョンマークを点灯させた。とてもついて行けそうにないと感じた俺は、二人に代わって藤原の質問に 答えてみた。 「そんなの、切れて丈夫で良くしなって……あと、名匠が作り上げた物だろ」 「違うな」小馬鹿にするように笑った藤原は「切れない刀はなまくらだが、切れるだけの刀も不出来の刀だ。それにいくら名匠が作っ たといっても、主人や刀匠に徒なすものも少なくない。村正の伝説などはその典型だ。それは最早名刀とは呼べない」 今度は脇差しを抜き、逆手に構え、腕を伸ばした。 「名刀かどうかを判断するのにこんな方法がある。小川に刀を刺し、上流から木の葉を流す。この時、『切れろ』と念じれば葉は真っ 二つになり、『切れるな』と念じれば切っ先が触れても切れずそのまま流れていく。つまり所有者と一心同体の動きをすることが名刀 たる証」 ……で、何が言いたいんだ? 「つまり、だ……」ツカツカとへたり込む二人の元まで歩き、手にした脇差しの峰でチビデブの頭をコンッと軽く叩く。 「うひぃ……!」 瞬間、彼の着ていた服が紙吹雪ならぬ布吹雪となって辺り一面に舞っていった。 「いくら強固な鎧で身を包もうとも、いくら人質で身を守ろうとも、この名刀天叢雲の前には無力」 「ひ、ひひぃぃぃぃぃ……」 さらに切っ先を首に向けて、カチャリと鳴らした。今度は峰では無く、刀身。 「もう一度言う。失せろ。さもなくば死ぬぞ」 「う、うわ、うわあああああああ!!!!!」 一糸纏わぬ姿で一目散に駆け出すチビデブ。仲間の事など歯牙にもかけることもなく。 ……ま、悪人の末路などあんなものだな。 ようやく全てが終わり、俺はやれやれと溜息をつき、藤原は脇差しを鞘に収めた。 「大丈夫か?」 「ああ、あの……ありがとう。強いのね」 「……ふん、お前があまりにも不甲斐ないのでな。こんな事ではこれから先が思いやられる」 お、微妙に照れてやがる。横に顔を向けても赤くなってるのが丸わかりだ。さすが元祖ツンデレ。 「……って、これから先ってまさかお前もついてくるのか!?」 「甚だ遺憾だが、これも既定事項だ。お前達の仲間となり、目的を達成しなければならないんだ。言っておくが勘違いするな。こちら はこちらの任務を遂行するだけだ。馴れ合いをする気はさらさら無いからな」 ったく、素直に『宜しく頼むぜ』位言えばこっちも『期待してる』とかいうのに…… 「そうかい、それで結局これからどこに行くんだ?」 俺の問いに、それまで酒場のオブジェと化していた九曜がようやく動いた。 「――――この先……南の――――島――――そこに……賢者の石の…………波動が――感じられる――――」 手にした杖を掲げると、はめ込まれた水晶が蒼く輝いた。色からして『水』の力だろう。 「わかりました。では行きましょ。今回ちょっと情けなかったから、次こそは頑張るのです。人間相手に弓矢を振るうのは気が引ける けど、モンスターなら全く問題ないわ」 だといいけどな。 「何よ。あなたも見たでしょ。あたしがゴブリンをやっつけたの!」 ぷくっとふくれた顔で怒る橘。まあ……見たことは見たが…… 「でしょ? あたしだって役に立つのです。さあ早速行きましょう!」 待て、南の島に渡るには船か何かが必要だろう。まずはそれを用意しないと。 「大丈夫よ。九曜さんの魔法でパーンとあそこまでひとっ飛び!」 「――それ…………無理……」 「え゛?」 「――――魔法障壁が――結界が……張ってある…………」 だそうだ。と言うことはやっぱり船をチャーターするしかないか。 「この町で船を貸してくれそうな人を探すしかないな、まずは」 「そうですか……しゅん」 なぜこんなに悲しいそうな表情をするのだろうかね。 「……うん、できないのなら仕方ありませんね。こうなったらあちこちかけずり回って船をさっさと手配しましょ」 立ち直るのも早い奴ではある。 「ところで橘、さっき藤原に斬られたのに、お前は何もなってないのか?」 ふと思った疑問を投げつけた。藤原が言ったことが本当なのか確かめるためだ。橘は自分の衣服を見渡し、つんつんと触ったり引っ 張ったりして異常が無いことを確かめた後、「んー。そうみたいですね」と言った。 「当たり前だ。僕の腕と天叢雲が、そんな初歩的なミスをするわけがない」 だと良いんだがな。「ところでどこで手に入れたんだ? かなりの一品みたいだが、そんなものがゴロゴロ転がっているとは思えな いし、縦しんば売られていたとしてもバカ高いだろ」 「ならば教えてやろう。これは僕が立ち寄ったある村の小高い丘に深々と突き刺さっていたのだ。村人曰く、これが抜けるのは真の勇 者のみとされており、ならば僕も挑戦してみようじゃないかとやってみたんだ。参加料を払ってな」 さ、参加料……? それって単なる阿漕な商売じゃ…… 「そ、それで抜けたと?」 「ああ」 「因みに村の人、顔が引きつってなかったか……?」 「全くその通りだ。もっと喜んでくれると思っていたのだが、汗を垂らして悲痛な趣を見せていた」 「多分、その刀偽物のような気がする……」 「はっ、そんなわけなかろう」 「なら試してみる。おい橘、こっちに来い」 橘を近くに呼んで俺は剣を抜いた。 「じっとしてろよ」 そして、藤原がそうしたように俺も剣の柄でコツンと軽く小突いてみた。 「へ……? キャアァァァァァァ!!!」 ……果たして俺の予想通り、橘が来ていた貫頭衣は細かく分断され、辺りを綺麗にはためかせた。 「いやぁぁぁ! なんであたしこんな役回りばっかなのよぉぉ!!!」 キャーキャー叫びながら再三にわたって服をボロボロにされた橘を横目で見つつ、 「藤原、お前もちょっとおかしいと思わなかったのか?」 「……ふん、禁則だ」 目が泳いでいるぞ。こら。 ――次回予告―― こうして、五行の力を求め、悪の大魔王を倒す四人の選ばれし者(?)がそろった。 まず一人。剣と、そして何故かは知らないが魔法を駆使する勇者こと、不肖俺。 二人目。魔法のエキスパートながら、実は格闘技の方が得意という異色の占い師、周防九曜。 三人目。妖刀天叢雲(贋作?)を使いこなす異国のサムライ、ポンジー藤原。 最後。弓矢の精度はイマイチ。頭の中はドンヨリ。その分お色気担当で挽回するわ! 橘京子。 果たして、この面子で残りの五行の力を借り、悪の大魔王を倒すことが出来るのだろうか――? 「ちょっと! なんであたしがお色気担当なのよ!」 ……それは作者の趣向だから仕方ない。 「何であんな野郎のためにあたしがボコスカ肌を露出しないといけないのよ!訴えてやるわ!」 それは構わんが、お前が嫌と言ったところで九曜が代わりにやるだけだぞ。あいつなら喜んで任務を全うするだろうし。 そうすると橘京子の出番はさらに無くなるが、それでもいいのか? 「うう……人の弱みにつけ込んで……妄想フェチ変態野郎……」 ……否定はしない。 ということで、橘さんがこれまで通り(?)お色気担当をしてくれるそうですので、安心して続きを掻きたいと思います。 ただ今のままだと可哀相なのでもう少し活躍させます。 次回、『大海原の死闘!』 橘京子の新たなる力が目覚め…………たらいいなぁ。 続けたい。
https://w.atwiki.jp/tekiyakusaikyou/pages/1222.html
【作品名】機動戦士Vガンダム 【ジャンル】漫画 【名前】ドッゴーラ改withクロノクル・アシャー 【属性】大型MA 【大きさ】尻尾まで含めると370m、体部分だけだと40mくらい 【攻撃力】 400mくらいの大きさの戦艦を正面から真っ二つにする大型ビームサーベルを持つ。 軽く殴っただけでV2が100mくらいぶっ飛び、5mくらいの厚さがある装甲を持つ宇宙要塞に叩きつけられてV2と同じくらいの大きさの穴が空く。(宇宙で) バリアーアタック:要は体当たり(自称「星さえも砕く」) 2連ビームキャノン:肩に装備されてるビームキャノン、上記の宇宙要塞に直径50mくらいの穴開ける 【防御力】全身がバリアコーティングしてありV2ガンダムのあらゆる攻撃を弾く 【素早さ】V2ガンダムと同等の速度で動き回れる、動き回るV2を羽交い絞めにできる 【特殊能力】全身がビームそのもの 【長所】異常にしぶとい、ボロボロの状態でもかろうじて動ける 【短所】ボンボンオリジナル 【戦法】ビームキャノンで牽制しつつビームサーベルorバリアーアタック 【備考】ラストの敵 【V2の攻撃力と素早さ】 【攻撃力】20mくらいの小衛星の後ろに隠れたMSを衛星ごと破壊できる威力のビームライフル V字斬乱れ斬り 周りを取り囲んだ10数機のMSを一瞬で全滅させるビームサーベル乱れ斬り 5mくらいの厚さがある装甲を持つ宇宙要塞に100mくらいの大穴を空けるメガビームライフル 【素早さ】クロボンのマザーバンガードに搭載されているミノフスキードライブの完成版装備、 理論上亜光速の速度が出る 一瞬で100mは移動できる相手を捕らえられる奴が5体に分身して見えるくらい早く動ける。 目の前10mくらいにドッゴーラが撃ったビームが迫った状態で上昇して回避 地平線が光った1,2秒後には敵機に接近しビームサーベルで刺せる 858 :格無しさん:2009/07/05(日) 23 39 32 808 【素早さ】亜光速戦闘可能(目の前に出現した準光速ミサイルを足を止めた状態で撃破し、自身も亜光速で移動するイデオン相手に 肉弾戦できるようなロボットが飛び交う戦場で戦闘) イデオンの【大きさ】も書いておかないと、どの程度の距離で亜光速の攻撃に反応できるのかわからない。 844 2連ビームキャノンの速度・射程の補足してくれ。速度はV2の【素早さ】にも関わる。 【素早さ】V2ガンダムと同等の速度で動き回れる、動き回るV2を羽交い絞めにできる ↑と同じ理由でV2ガンダムの【大きさ】。 一瞬で100mは移動できる相手を捕らえられる奴が5体に分身して見えるくらい早く動ける。 「捕らえられる奴」の【大きさ】。 857 全方位ビームの速度。メガゼータの反応にも関わる。 859 :格無しさん:2009/07/06(月) 00 11 49 イデオンの【大きさ】も書いておかないと、どの程度の距離で亜光速の攻撃に反応できるのかわからない。 イデオンは105m V2ガンダムの【大きさ】 15mほど 「捕らえられる奴」の【大きさ】。 15mほど ビームの弾速はどっちも基準の機械ビーム相応で。射程はおおよそ数百mほど。 860 :格無しさん:2009/07/06(月) 00 15 57 ああ、射程は2連ビームキャノンの方ね 149 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/03/26(金) 22 12 59 ID tdqefg9B ドッゴーラ改withクロノクル・アシャー 考察 亜光速の壁から ○神野亜零 モニター越しだろうしビームサーベル勝ち ○黒セイバー 全体的に有利 △うちはイタチ 大きさ的に相手の射程距離外だろう 速いので分け ×神取 地球規模の常時洗脳負け ○前川彰男 雷速(マッハ440)より速い程度の攻撃は回避できる ビームサーベル勝ち ○<釘> 直視しないので喪神現象は効かない ビームサーベル勝ち ×GBH 接近されて精神侵食負け これ以上には先手とられてやられる 位置は GBH=ドッゴーラ改=<釘>か
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/146.html
ある晩のことだ。 「……それで?」 水瀬の膝の上に座った日菜子が、まるでおねだりするように瞳を閉じた。 「……んっ」 そっと重ねられる唇の感触。 肌と肌の触れ合いにすぎないはずなのに、どうしてこうも嬉しいんだろう。 日菜子は、そんな泣きたいほどの幸福感をもたらしてくれる感触に全てを委ねる。 「……それで、ですね?」 唇を離した水瀬が言う。 肌に感じるほど近い水瀬の顔。 その吐息ですら抱きしめたいほど愛おしい。 きゅっ。 水瀬の服を掴む日菜子の手に、無意識に力がこめられる。 「……ルシフェルの事なんですけど」 「ルシフェルの?」 日菜子は、少しだけ心証を悪くした。 ルシフェルは水瀬家の養女、水瀬にとっては姉になる。 それはわかる。 わかった上でも、日菜子の“女”としての何かが、この場で水瀬が他の女の名を口にすることを許そうとしない。 日菜子は、それでも――― (悠理が、“私に”相談に来てくれた) それで納得することにした。 納得出来るだけ、自分は成長した。 日菜子はそう思う。 それがわからない水瀬は、日菜子にとって、意外なことを言った。 「秋篠博雅君―――ご存じでしたよね?」 「……秋篠宮家の三男坊ですね?ルシフェルとはかなりの仲と聞きましたが?」 日菜子は、博雅の堂々とした体躯と、ゴツくて男臭い顔立ちを思い出した。 心根の優しい男というのが、日菜子の博雅から受けた印象だ。 「はい。その……彼を巡って」 「?」 「―――ルシフェルにライバルが出来まして」 「は……い?」 ●一週間ほど前 水瀬邸 「……」 「……」 男臭いゴツイ顔立ちの博雅が無言でこちらを見つめている。 睨んでいる。 その方が正しいほど、じっとりとした視線を浴びる水瀬は眉をひそめた。 「……どうしたの?」 「だから」 「……デートするんでしょ?」 「……そうだ」 ヘンな話だ。 水瀬は首を傾げた。 ルシフェルと博雅がデートする。 それを事前に博雅が話してきたのは、初デートの時位だ。 すでに毎週のようにデートする二人なのに、今回に限って一々、何故僕に言う? 「……まさかと思うけど」 水瀬は、その答えを思いついた。 「ルシフェル以外の女の子が相手―――とか?」 「……そうだ」 「……」 「……」 数十秒、ぽかんとした目で博雅を見た水瀬は、 ―――ちょっと待ってて。 そう言い残して席を立った。 「……お待たせ」 戻ってきたのは数分後。 どんよりとした表情の水瀬の手には、巨大な包丁が握られていた。 「ちょっ!?」 ギラリと光るその刀身から放たれる殺気に、博雅は思わず後ずさってしまった。 さすがに身の危険を感じた博雅が慌てて怒鳴る。 「落ち着けっ!俺はマグロじゃないっ!」 「大丈夫―――クマやイノシシの解体はやったことが」 「誰を解体するつもりかっ!大体、俺はルシフェルと別れるつもりはないっ!」 「―――それ、言い逃れのつもり?」 水瀬は訪中の切れ味を試すように刃先を見つめながら、 「姉をキズモノにされて黙っているつもりは、僕にはないよ?」 「だからっ!」 博雅は、酒の入った杯をあおった。 「―――ふうっ。この前、校外清掃やったの、知っているか?」 「僕、熱出して休んだけどね」 「……福井先生は“水瀬は生理痛がひどくて休む”と言っていたぞ?“あいつやっぱり!”って、かなり騒ぎになったんだが?」 「それで?」 「―――さぼったな?」 「だから、それで?」 「俺はその時、神林の辺りでゴミ捨てで歩き回っていた。そうしたら、中等部の女の子達に助けを求められた。“友達が不良共に囲まれている”とな」 「ふむ」 水瀬は博雅の杯に酒を注ぎながら頷いた。 「それで?」 「不良共2、3人叩きのめしてゴミ箱の中に放り込んでやった。そしたら、助けた相手を見て驚いた。―――お前、高円寺家は知っているな?」 「……」 水瀬はしばらく考えた後、記憶にたどり着いた。 「侯爵家だったね。確かあそこの一人娘が中等部にいた」 「そう。その高円寺家の娘だったんだ」 「成る程?」 水瀬は自分の杯を空けた。 「それで、博雅君。その総領娘に惚れられたわけだ」 「惚れられたかどうかはわからんが……」 博雅は杯をあおった。 「とにかく、それ以来、やれお弁当だなんだのと……」 「そこまで困るとは……そんなにブスだっけ?その娘さん」 「いや?」 博雅は首を横に振った。 「かなりカワイイ娘だ」 「―――ふうん?」 カワイイ。 水瀬は、博雅から初めてそんな言葉を聞いた気がした。 ルシフェルに対する評価は“美しい”とか“綺麗”だ。 水瀬は、博雅からその言葉を勝ち取った女の子に興味を持った。 「どんな子?」 「面倒見はいいし、弁当もうまいし、会話も楽しいし、俺とは趣味も合うし、親同士のつきあいもあるし……」 「それ……新しいオンナが出来たって、自慢しに来たの?」 「だからっ!」 博雅は頭を抱えた。 「俺はどうしたらいいんだ!?彼女の出来が良すぎて、交際を断る口実がないんだっ!」 「二股」 「俺はルシフェルが好きなんだっ!」 博雅は勢い余ったのか、立ち上がって怒鳴った。 「俺にはルシフェルがいればいいっ!それにウソはないっ!しかも、明日は彼女と一緒にデートなんだ!」 「まぁ、落ち着いてよ」 「これがどうやって!?」 「もう一杯どうぞ?」 「……」 無言で座った博雅は、杯を一気にあおると、すがるような視線を水瀬に向けた。 「―――どうにかならんのか?」 ●翌日 葉月駅前ロータリー付近 「……」 「……」 駅前ロータリーの噴水前に立つ博雅を、物陰から睨み付けているのはルシフェルだ。 その横では、彼女にボコボコにされた水瀬が自分相手に治癒魔法の展開に忙しい。 「水瀬君」 ジーパンにジャケットを羽織っただけというラフな格好のルシフェルは、視線を博雅にむけたまま訊ねた。 「狙撃部隊の配置は?」 「ないよ」 「砲撃支援は?」 「言っておくけど、航空支援(ばくげき)も艦砲支援(かんぽう)もないからね」 「単独でやるしかないの?」 「……あのね?一体、誰と何するつもりなの?」 「だから」 「最近、瀬戸さんとキャラ被りつつあるね。ルシフェ」 「私はあそこまで過激じゃない」 「全く……てんで自分を知らないんだから……あっ」 そのとき、博雅の前に現れたのは、髪をポニーテールにまとめた活発そうな印象のある女の子だ。 季節にあわせた暖色系のワンピースがよく似合っている。 「へえ?」 思わず治癒魔法をかける手を止めた。 きびきびとした元気のいい動作。滑舌のいい、よく通る声。女の子らしい愛らしい動作。 そして何より――― ―――私は、この人が好きです。 その小柄な体からは、そんなオーラが放たれている。 本当にカワイイ。 その理由は、間違いなく、彼女が恋をしているからだ。 「これじゃ、博雅君が断れないのも無理はないな」 水瀬は、男としてそう思う。 はにかむような笑顔で答える博雅との初々しい対比は、水瀬のように色恋沙汰に鈍くても、悪くない相手だと思わせる程、似合うのだ。 「うん。元気な妹系ってキャラだね」 「……」 「ああいう子って、一緒にいれば楽しいだろうね」 「……」 「退屈しないっていうか……る、ルシフェ!?」 ブンッ! いつの間に抜いたのか、霊刃がルシフェルの手の中で光っていた。 「や、やめっ!?」 「離してっ!」 「何するつもりなの!」 「一々、聞く必要があるの!?」 水瀬は、ちらりと博雅達を見た。 まだこちらに気づいていない。 「もうっ!」 シュンッ 水瀬の舌打ちだけを残して、水瀬とルシフェルの姿が消えた。 色恋沙汰は人を狂わせる。 それは、わかっている。 実際に間近で経験した、好いた惚れたで身を滅ぼした者の数は、水瀬自身、両手の指ではとても足りない。 その恐ろしさは、水瀬の恋愛感では、その素晴らしさの先に来る。 ただ――― 「離してっ!」 「だからっ!」 いくら何でも、その狂った相手が姉というのは、本気で勘弁してほしいというのが、水瀬の偽りのない本音だ。 「一般人相手に何するつもりなのっ!大人げないっ!」 真っ白に塗られた5メートル四方の部屋の中で暴れるルシフェルを羽交い締めにする水瀬が珍しく姉(ルシフェル)を叱っていた。 一方、叱られた姉は、 「水瀬君に言われたくないっ!」 水瀬をふりほどいて怒鳴った。 「ここどこっ!?」 「監獄の中だよ。僕専用の」 「監獄っ!?」 「別名“テレポートホイホイ”。テレポートは一方通行(ワンウェイ)しか出来ないから、誰かに開けてもらうしかない」 「ならっ!」 「また話は終わってないからぁっ!」 チュドォォォォンッ!! 凄まじい爆発音が室内に響き渡ったのは、その瞬間だった。 「ごちそうさまでした。先輩!」 ファミレスから出た博雅にぺこんと頭を下げると、ポニーテールが慌てて後を追うように大きく揺れる。 その可愛さに、博雅の顔が緩んだ。 「美味しかったかい?」 「はいっ!」 女の子―――名を高円寺舞(こうえんじ・まい)という。 クリッとした丸くて大きな目が感動気味に潤んでいた。 「お友達には聞いていたんですが、あんな大きいパフェは初めてですっ!」 「そうか」 博雅は嬉しげに頷いた。 「家族と一緒だと、こういう店はなかなか―――ね」 舞は頷いた。 「いつもお料理の広告見るたびに、おいしそうだなぁと思ってもお父様やお母様と一緒だと入れなくて……」 「念願がかなったかな?」 「はいっ!」 零れそうな程の笑みと共に、舞は再び頷いた。 「ルシフェのばかぁっ!」 水瀬がついに怒鳴った。 「壁に魔力反射加工がかけられているから危ないって言おうとしたのにぃっ!」 「さっさと言って!」 「いいんですか?」 映画館の中で舞は心配そうな顔になった。 「あの……もっと、大人の映画でも」 「でも、見たいんだろ?」 「……はい」 博雅達の周りは親子連ればかり。 少なくとも、カップルは博雅達だけだ。 タイトルは“大映まんが祭り” とてもデートで見る内容でもない。 ―――選択、間違えた。 ションボリする舞に、博雅は言った。 「さ、始まってしまうよ?」 「えっ?」 「俺達だって、きっと見れば楽しめるだろ?」 「はいっ!」 舞は小走りに博雅の後を追いながら、そっと言った。 「あの―――先輩?」 「ん?」 「―――手を、握ってもいいですか?」 メキッ! 暗い館内にそんな音が響いた。 「ルシフェぇ……」 小声で言ったのは水瀬だ。 「やめなよぉ……子供が泣くからぁ……」 ルシフェの手が握る通路の手すりは、半ば握りつぶされていた。 「お願いだから、警察に通報される前に逃げようよぉ……」 「何……あれ」 ルシフェルは、そんな水瀬の声にまるで頓着していない。 スクリーンを前に、観客達に混じって楽しむ博雅達がいるだけだ。 「ずっと手を握って―――あんなに楽しそうに」 「ううっ……これ、僕も見たかったのにぃ……」 楽しげな笑いの響く中、水瀬に引きずられるように、ルシフェルはその場を離れた。 「―――飲み物、買ってくるから」 水瀬は、ルシフェルをソファーに座らせると、“絶対、その場を動かないでね!”と念を押して席を離れた。 ―――ハァッ 思わず出たため息に、ルシフェル自身が驚いた。 ―――私、何やってるんだろう。 そう思うと、自分自身が情けなくて仕方ない。 博雅君が好き。 それにウソはない。 博雅君も、自分を好きでいてくれる。 それも、信じている。 だけど――― 目をつむると、楽しげにしているあの二人の姿ばかりが浮かんでくる。 ―――博雅君は、私と一緒にいる時、本当に楽しいんだろうか。 そんな、疑問と共に。 「―――はい」 不意にかけられた、そんな声にルシフェルは目を開けた。 「どうぞ?」 目の前で軽く振られる缶ジュース。 それを持つのは――― 「ちょっと、いいですか?」 舞だった。 「それで?」 日菜子が訊ねた。 「どうなったのですか?」 「それが―――」 水瀬は肩をすくめた。 「二人で、妙に楽しそうに話をしてまして」 「博雅様は?」 「途中で寝ていたそうです。実は、途中で彼女が抜け出したの、今でも気づいていないそうで」 「……はぁ」 「とにかく、別れ際に舞ちゃんは言ったそうです」 「……何と?」 日菜子はそっと水瀬の胸の中に顔を埋める。 そっと髪を梳く水瀬の手が心地良い。 「私にあるのは生まれだけです。華族の出自位しか、私はあなたに勝てるものはありません。つまり、女として何一つ勝てていません。けど、私は博雅先輩が好きです。ただ、その想いだけは絶対に負けません―――そう、言ったそうです」 「……」 「……そんな話です」 「……水瀬は」 「はい?」 「そんな女の子は、嫌いですか?」 「……」 「生まれしか誇るものはない。ただ、そんな事しか、自分の優れている所と口にしなければならない―――そんな、女の子は」 「ルシフェルは」 水瀬は言った。 「こう言い返していました―――“私はあなたをライバルとして認める。正々堂々、勝負しましょう”」 「……そうですか」 「―――日菜子?」 クイッ。 水瀬は日菜子のあごにそっと手を向けると、顔を自分に向けさせた。 だが、日菜子は水瀬と視線を合わせることを拒んだ。 「どうしたの?」 「……質問に、答えてもらっていません」 「あの言葉は、勇気だと思います」 水瀬は日菜子の形のいいあごの感触を楽しむように指を軽く動かした。 「何もないと一笑に付されるかもれしない。相手は美貌をたたえられるあのルシフェです。それでも、他に何もないよりマシ。逃げ回らずに正々堂々と言った辺りはたいしたものです」 そっと、水瀬は日菜子の頬に口づけすると、その耳元で囁いた。 「内心、生まれを楯にしたのは、何もないよりむしろ惨めだったんじゃないですか?」 「―――それを、私に言いますか?」 「日菜子だから、わかってもらえるかと思いまして」 「……」 「博雅君、今でも実はちょっと落ち込んでいるんです」 「……今でも?」 日菜子は、その言葉にひっかかった。 「どういうことです?」 「舞ちゃん、実は今度、親の仕事の関係で、京都に転校になりまして」 「……えっ?」 「あのデート、舞ちゃんにとっては、転校前の記念だったんです。デートすること自体が、精一杯の冒険というか、勇気だったんですよ。 それを乗り越えたら、もう恐いものはなかった。 博雅君も、舞ちゃんの転校知ってから、“もっと何か出来たんじゃないか”って、ずっと悩んじゃって」 僕はよくやったと思いますけどね。と、水瀬はそう小さく笑った。 「……」 「日菜子は、どう思います?舞ちゃんのこと」 「とても仲良く出来そうです」 日菜子はそう言って笑った。 「同じスタートラインに立つ戦友みたいです♪」 それは、日菜子の本音だ。 生まれ以外、何もない。 ―――私だって、あの容姿には…… 日菜子は、ライバルと認める女性達を思い出して唇をかみしめた。 「それで?ルシフェルは?」 「それが―――」 水瀬は天を仰ぎ見た。 舞はルシフェルにある意味凄まじい楔を刺して東京を去った。 ―――絶対に、博雅先輩を色仕掛けで奪るようなマネだけはしないで下さいね? 元からマジメで律儀な性格のルシフェルだ。 その申し出に同意して以来――― 「その……欲求不満が溜まっているらしくて」 「……」 欲求不満。 その意味は、さすがに日菜子にもわかる。 わかってしまう。 だから、 「あの……殿下?どうしたらいいと思います?」 そんなこと聞かれても困る。 「知りませんっ!」 日菜子は顔を真っ赤にして怒鳴った。 「そんなところまでシンパシーを感じさせないで下さいっ!」 「え?えっ?」 「わ、私だって!」 日菜子は両手で水瀬の顔に触れると、その唇を重ねた。 「―――んっ」 水瀬が驚いたほど深く、長いキスに、脳天がしびれそうになる。 水瀬から唇を離した日菜子は、泣きそうな顔で言った。 「私だって、いろいろ……そのっ!」 「えっ?」 「えっ!?じゃなくてもうっ!」 日菜子はじれたように言った。 「私だって、今、お尻に何が当たっているか位、わかりますっ!」 「―――っっ!!」 今度は水瀬が赤面する番だった。 たまらず天井を仰ぎ見てしまう。 「……」 「……」 「……反省、しましたか?」 「……はい」 「よろしい♪」 日菜子は言った。 「もう少し……こっち方面は……その……待って下さいね」 「……舞ちゃんの件と、どっちが先ですか?」 「答えは一つです」 日菜子は言った。 「あなたの甲斐性次第です」 「……女の子のじゃなくてですか?」 「……」 日菜子は、じっ。と、自分の好きな相手を見つめた。 どうしてこうも鈍いのか、理由が分からない。 落胆するより呆れるしかない。 「水瀬?」 「はい?」 「今回の件、一番、辛いのは、誰だと思っていますか?」 「……」 うーんっ。と水瀬は唸った後、自分を指さした。 で、殿下っ!? おしおきですっ! 室内に、そんな声が響いた。 ●翌日 明光学園 「成る程?」 放課後、水瀬は美奈子に舞のことを話した。 「好きな人との思い出が欲しかったのね。舞さんは」 「思い出?」 「そう。だって、もう二度と出会うことも出来るかわからない。もう一度、再会しても、その時、好きで居続けているかわからない。なら、今、この瞬間、自分が博雅君を好きだったんだって、後でいつでも思い出せる思い出があってもいいでしょう?」 「……そういうものなの?」 「私も、経験があるから」 美奈子は遠くを見つめるように、窓の外に視線を向けた。 「博雅君、良いコトしたし、ルシフェルさんにもいい刺激になったんじゃない?」 「ふぅん?」 水瀬は、思い出したように手を叩いた。 「それで、ある人にね?」 「うん」 「これを桜井さんに見せて反省させてもらってこいって言われて?」 「反省させて……もらう?」 美奈子は首を傾げた。 「それ、日本語ヘン」 「そう思うけど―――これ」 水瀬は、そう言って、襟元を美奈子に見せた。 それは一種の内出血。 日菜子が水瀬の首筋につけた口づけの跡。 俗に言うキスマークだ。 「……」 ピシッ 凍り付いた空気に、水瀬は、よくわからないけど地雷を踏んだことだけは自覚した。 そして――― ●夜 宮中 「水瀬は?」 「本日は入院です。集中治療室から出られません」 「……少し、やりすぎたかしら?」 日菜子はタマの背中を撫でながら呟いた。 「女心に鈍いからです……天罰ですよね?タマ?」 ニャア。 タマのその泣き声に、日菜子は嬉しそうに頷くだけだった。
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/983.html
「何だ…?殺し合いをしろだと?今度は一体どこからどうなって俺は死ぬんだ?」 ディアボロがいるのは公園らしき場所であったそしてベンチに座る一人の男を発見した 「やらないか」 (やらないか…だとぉっ!?それは殺るってことか…この状況下そういう意味でしかありえない!今回俺はこいつに殺されるのか…!) そう考えてるうちにベンチに座る男は立ち上がりつなぎのファスナーを下ろしそのご立派と言わざるを得ないゲイボルグを露にしディアボロに近づいてきた ディアボロは逃げようとしたが後から下着一丁のガチムチな男に羽交い絞めにされて動けなくなった (何ィィィっ!!?ふざけるな…俺はそっちの気はない!今までいろいろ殺される経験をしてきたが犯されて殺されるなんてそれだけは嫌だ!!ってそうだ…そろそろ叫ばないとタイミングを逃すっ!) 「俺の側に近寄るなぁぁぁぁ――ッ!!!」 【一日目・正午】 【阿部さん@くそみそテクニック】(マスター) [令呪]やらないか [状態]ディアボロをアッー!して極めて健康 [装備]股下のゲイボルグ [思考]いい男を掘る 【ビリー兄貴@ニコニコ動画】 [宝具]ガチムチレスリング [状態]ディアボロのパンツゲットで極めて健康 [装備]股下のゲイボルグ [思考]ガチムチレスリングを楽しみたい 【ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡確認】
https://w.atwiki.jp/break_joker/pages/5068.html
仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム& ホースオルフェノク【SP ver.】 仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム& ホースオルフェノク【SP ver.】 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 BJNo 5 レア ★★★★★★ 属性 主人公 最大レベル 80 スート ダイヤ ライバル HP 種族 ライダー 剣戟 攻撃 時代 平成 光 チャージ 50 No.2946編集 作品 仮面ライダー555 ユニット MAXレイズ 1000 スキル 必殺 青い炎 200 【連続技】「自分の「ライダー」カードの攻撃力を、このカードの攻撃力の150%分アップする」&「自分の場札にあるカードを、ランダムに1枚消す」を発動 超必 超強化クリムゾンスマッシュ 260 自分のBJナンバー「5」のカードを、場札から全て消す ディーラースキル(リーダー) なし ディーラースキル(ヒット) 相手に直接ダメージを、5000与える(ライド数ごとに1000アップ)(無属性) 奥義 迎撃陣 カウント9 相手が次に発動した必殺技を自動的にキャンセルする BJエフェクト 自分の必殺技ゲージを100%回復する フレーバーテキスト アークオルフェノクの強烈な一撃を受け、青い炎に包まれ始める木場勇治。最後の力を振り絞り、王を羽交い絞めにしてファイズに反撃の機会を与える。 入手方法 備考 コメント コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/mistchronicle_lobi/pages/370.html
第九章第九章「序幕」 9-1死の砂漠入口「砂漠の入口」 9-2ゴーレム出没地「傷だらけの信徒」 9-3サボテン群生地「呆れ返り」 9-5亡者の交差点「指摘」 9-6亡者の間道「目覚めし者」 9-7亡者の道「奇妙な感情」 9-8亡者の転生「傀儡」 9-9サドラク郊外「排除」 9-10サドラク城入口「魔法戦」 第九章「終幕」 第九章 第九章「序幕」 転移門を開いてアリン達を砂漠へ送った後、以前に訪れたことのある場所へやって来たーー チョコ キュ〜?(シフォン様、どうしてまたここに来たの〜?) シフォン 魔人と戦った時、アイツらの使ってた魔法系統って、この世界のと違ってたのよね…森の心にかかってた魔法もその系統だったから、森の心を見つけた場所を調べてみようと思って チョコ キュ、キュ〜(そっかあ、魔人達の動きも探れるかもね〜) シフォン そういうこと今度は待ち伏せをされないように、こっちから奇襲をかけられるようにしたいのよ チョコ キュ〜 草木が生い茂っていた場所は、今や跡形もなくなり、砂に埋もれている…そこでシフォンが感知魔法を唱えると… シフォン どういうこと!? チョコ キュ〜? シフォン この辺りは…守護者の息吹で満ちてる…この地の守護者といえば…砂嵐の蠍王アシラね… チョコ キュ〜…(チョコは何も感知できないな〜) シフォン そうね、感知魔法には反応するけど、何というか、生命反応は感じられない…?ワタシもこういうのは初めて… シフォン 守護者の影響で、魔人の捜索も難しいみたい…先にアリン達を探して、守護者があっちの砂漠にいないことを教えてあげよっか チョコがアリンの匂いを追跡し、シフォン達はアリンに合流しに行くーー 9-1死の砂漠入口「砂漠の入口」 発生している砂嵐の影響で、シフォン達は空を飛んで移動することを諦め、防衛結界を張りながら歩いて進んで行ったーー チョコ キュ、キュ〜(砂嵐って怖いね〜、アリン様達、大丈夫かなあ) シフォン まあ、どっかに避難くらいはできてるんじゃない? シフォン ヴァンパイアがさすがに砂嵐では死にはしないでしょせいぜいミイラになるくらいで、今と大して変わらないんじゃない? チョコ キュ!キュ〜(シフォン様、誰かいるみたいだよ〜) シフォン とりあえず行ってみよっか 9-2ゴーレム出没地「傷だらけの信徒」 砂嵐の中を彷徨う聖光教団の部隊を発見する…人数から察するに、どうやら本隊とはぐれた様子ーー シフォン フン、アリンじゃなかったか…こんな砂嵐の中にいるバカはアイツくらいかと思ったけど ディノ なんでまたヴァンパイアが!?ペペッ…砂が口に入った… シフォン なに?また例によってアリンと会ったことがある奴? ディノ あのヴァンパイアの仲間か!?会いたかったら自分で探すのだ!ああっ、砂が目に入った…イテテテテ シフォン なにコイツ、ドジッ娘ってやつ?…違うかま、勝手に頑張って砂嵐から生き延びてちょうだい ディノ 待て!そんな簡単には行かせないんだからね! シフォン なに?やる気? ディノ もぷ……ペペッ…もぴろん! 9-3サボテン群生地「呆れ返り」 チョコ キュ〜、キュ〜(こんな砂嵐の中で戦おうとするなんて、変な人たちだね〜) シフォン ホント、何考えてんのかしら…理解できないわ シフォン それに、この砂嵐にしたって、魔人達が何かしら関わってる気がするのよね ロッド そこのヴァンパイア!…ペペッ…と、止まれ!…ポポッ… シフォン 何なのよコイツらは……砂が口に入るなら、無理に叫ぶのやめたら? ロッド こんなで状態であろうとも…ププッ…自分の担当する防衛ラインは…パパッ…守らなければならない!…ピピッ… シフォン パピパピ言いながらカッコつけないでよだったら何でアリンは捕まえてないの? ロッド 一時は捕まえたが……ブゥ〜ッ…砂嵐が来て…逃げたのだ…ポフゥ〜… シフォン もしかして、隠れる場所が見つけられなくて、ワタシ達に八つ当たり? ロッド あばばばば シフォン なに?図星だった?残念、相手が悪かったわね シフォン この程度でワタシに喧嘩売るなんて身の程知らずだね ロッド クッ…フェアじゃないぞ…砂嵐の影響さえなければ…ペペッ…魔法なんて怖くないのに…プスッ… シフォン ほう、魔法なんて?聞き捨てならないわねぇ ロッド 本当だぞ…聖光の使徒は…ウポ…嘘はつかないのだ… シフォン もっと痛い目に合わせないといけないかな? ロッド ほら…魔法をもう一発…ペペッ…撃って来いよ シフォン やってやろうじゃないその自信がどっから湧いて来るのか知りたいわ シフォンは強力な魔法の詠唱を始める…ロッドは盾を前に構えるーー ロッド みよ!魔法反ぴゃっ!…ペペッ…しまった…ちゃんと言えないと発動しないのに!ちょ、ちょっと待って!もう一回! シフォン 付き合いきれないわよ!ほら、喰らいなさい!! ロッド アベベベベベベベベ ロッドは悲痛な叫びをあげながら、砂の上を転げ回って体についた火を消しているーー シフォン 今度からは、マスクでも着用しといたら? シフォンはあきれ返りながら、その場を立ち去って行ったーー 9-5亡者の交差点「指摘」 シフォン 砂嵐…ますます酷くなってるわね…このままだと視界もなくなるかも… シフォン達は防衛結界を張っているが、砂で視界が遮られることを心配しているーー チョコ キュ〜?キュ〜(避難する場所を探す〜?アリン様達もそこにいるかも知れないし) シフォン そうね、近くに建物なんてないみたいだから、地下に何かないか探ってみよっか シフォンは日傘を砂に刺して、感知魔法を発動するーー シフォン あったあった!よし、行こ!チョコ チョコ キュ〜 ジェンダ やっと見つけた!私の部下を、悲惨な目に合わせてくれたみたいだな シフォン達が振り向くと、聖騎士の女性が寄ってくる…その聖騎士の体には砂は一切かからず、何かに護られている様子ーー シフォン ほ〜、砂嵐の影響を受けないのね…聖人級?珍しい人間に出会っったわね ジェンダ 物知りなヴァンパイアねそう、私は生まれながらにして聖光の加護を受けてる人類を脅かす邪悪なる者を滅するのが私の使命!聖光の裁きを受けよ! シフォン ハハッ、邪悪なる者って…初対面の少女に対して、めちゃくちゃ言うわね シフォンに敗北し、呆然とする聖騎士ジェンダーー ジェンダ まさか…聖光に勝る…魔物がいる…? シフォンはそのまま立ち去ろうと思っていたが、ふと足を止めて尋ねるーー シフォン ちょっと聞きたいんだけど、なんで魔物を消滅させるのが自分の使命だと思うの? ジェンダ 何…? シフォン アンタの考えを聞かせてよ ジェンダ 聖光が存在する意義は、悪に対抗するため私は生まれつき聖光の加護を受けているのだから… シフォン なら、人類に邪悪と断じられた魔物達の…存在する意義って何?何のために生まれて来たの? ジェンダ それは…考えたことがなかった…けど、放っておけば罪のない人々が命を失う! シフォン でも逆に魔族から見たら、アンタは罪のない者を殺す虐殺者よね? ジェンダ 違う…私は… シフォン 何が違うの?アンタ達の…正義と称する軍隊と、魔族のやること、どう違うの? ジェンダ 違う!私たちは人類を守るために… シフォン 教団の仲間すら守れてないじゃないこんなところで油売ってないで仲間を砂嵐から避難させなくていいの?アンタは聖光に護られてても、他の人は違うんでしょ? ジェンダ う……………… シフォン 聖光の加護と言ったって、大げさなものじゃなくて、それは結局、能力の一つに過ぎないって事じゃないの?その力を使って自分の好きなようにやってるだけでしょ シフォン 正義とは何の関係もないのよ! ジェンダ 違う…違う…そうじゃ…そうじゃない… シフォン 素直に認めたら?力さえあれば好き放題できる、そんな風に生きていたいんでしょ? ジェンダ ま、惑わされないぞ……!私を…聖光から遠ざける企みだろう… シフォン まあ、どう取ってくれても構わないわよワタシはただ、正義という甘い言葉を笠に着て、私欲を満たす人間が気に食わないだけ ジェンダは沈黙する……これまでの自分の行いを振り返り、シフォンの言う通り私欲を満たす為でなかったか、自問自答するーー 9-6亡者の間道「目覚めし者」 レイラ もうやめなさい!…ペペッ…ジェンダ様へのこれ以上の暴言…許さないわよ! シフォン ふーん、ワタシをどうやって止めるつもり? レイラ すぐに教えてやるわよ…コホッ… ジェンダ レイラ!もういい、私たちだけでは勝ち目はない… レイラ そんな…ジェンダ様らしくないです…コホッ ジェンダ 彼女の話も…一理ある気もする…魔物に対して私たちは執拗すぎたのかも知れない… シフォン ふーん、それなりに考える頭は持ってるのね ジェンダ それで… ジェンダはシフォンの前に立ち、目を真っ直ぐに見て言ったーー ジェンダ 君にお願いしたい聖光教団の部隊を、安全な場所へ導いて欲しい レイラ ジェンダ様…何故…魔物に強力を求めるなど…コホッ シフォン それはずいぶん虫のいい話じゃない? ジェンダ その通りだ…けど…今は皆を助けるには、君の助けを借りるしかない シフォン アタシにとっては難しいことじゃないけど、そもそも助ける理由がないわね ジェンダ それもその通りだ…けど…お願いします!これが終わったら、何でも君の言う事を聞こう…人類に害の及ばない事であれば…何でもする! レイラ コホッコホッ…駄目です…ジェンダ様… ジェンダ レイラ、もう決めたんだ…これ以上何も言うな シフォン そんな約束しちゃっていいわけ?もしワタシが死ねと言ったらどうするの? ジェンダ 聖光の名にかけて誓う…たとえ命の代償であったとしても、必ず約束は守る! シフォンはジェンダの真直ぐな眼差しを受け、少し驚いて目を逸らしたーー シフォン ……わかったわよ自分で言い出したんだから、後で文句言わないでよね? 9-7亡者の道「奇妙な感情」 シフォンが魔法で探知した地下洞窟へ導かれ、聖光教団は砂嵐から脱出することができた… ジェンダ 助けてくれてありがとう…君がいなければ…多くの兵士が命を失ってたかも知れない シフォン …………………… シフォンは困ったような顔で黙って考え事をしている…無反応のシフォンに向かってジェンだが言うーー ジェンダ さあ、何をすればいい!?私はもう覚悟はできている! シフォン う〜ん、まだ思いつかない……後で思いついたら、言いに来るわ 立ち去ろうとするシフォンを慌てて呼び止めるーー ジェンダ ま、待って!情けなど無用だ! シフォン いいから、決定権はワタシにあるのアンタは大人しく待ってればいいのよ ジェンダ ……了解した シフォン じゃあね!もうついて来ないでよ!ワタシ達は、敵同士なんだから… その場を立ち去った後、チョコはシフォンに尋ねるーー チョコ キュ、キュ〜?(シフォン様、どうして困った顔してるの〜?) シフォン 他人のために自分の命を捨てるなんて…ワタシにはよくわからない…死んだら何もなくなるのよ?あんな人間がいるなんて…) チョコ キュ〜(チョコもわからない〜) シフォン アリンならわかるのかな…アイツはヴァンパイアらしくなくて、逆に人間に似てるような気がする… 突然、洞窟の奥から大きな振動が伝わって来るーー シフォン この洞窟に何かいるみたいね…見に行かないと 洞窟の中に建てられた、古びた神殿が目に入る…そこには戦いのあった形跡が残っているーー シフォン ……運がいいわね偶然だけど、魔人の痕跡を見つけられるなんて… 突然、何者かが襲い掛かって来る…その人間達は意志を失った目をしているーー シフォン 魔人ってホント、人を操るのが好きなのね悪趣味だわ シフォンは敵を撃退した後、魔力感知を行うーー シフォン 操られてからまだそれほど時間はたってない…今度こそ逃さないわよ チョコ キュ!キュ〜(シフォン様!アリン様の匂いも感じるよ〜) シフォン あ、ホント?探す手間が省けたわね、行こ! 9-8亡者の転生「傀儡」 突然、暗闇から長槍が飛んできてシフォンを襲う…間一髪でかわすシフォンーー シャデリ 魔人様の命令…侵入者は排除せよ… チョコ キュ〜! シフォン フン…不意打ちが失敗して残念だったわね 魔人に操られた男は、再び長槍を構えるーー シフォン まだやる気?さっさと諦めなさいよ! 9-9サドラク郊外「排除」 洞窟の奥へ向かう途中、魔人に操られた者達が次々と襲い掛かって来る…シフォンは殺さないように撃退を続けていたが、次第にイライラが募っていくーー シフォン あ〜もう!きりが無いわね…魔人を逃したくないのに シフォン達の目の前に結界が出現し、先へ進むことができなくなるーー シフォン 結界!?誰の仕業よ!? シフォンが結界に向かって魔法攻撃を放つが、結界はビクともせずに攻撃を反射したーー シフォン む…これほど強力な結界を張るには、近くで術者が詠唱を継続する必要があるはず…チョコ!術者を探すよ! チョコ キュ〜! チョコが匂いを追跡し、術者を見つけ出した…術者の足元には魔法陣が展開されているーー シフォン コイツが魔人の支配術を拡散してるみたいね…あの魔法陣を消せば、他の操られてる人間も解放できるはず マルビス 脅威が迫っている…防御せよ…… チョコ キュ〜、キュ〜!(チョコが周りの人を引き付けるから、シフォン様はあの敵に専念して〜!) チョコは高周波の声を発しながら周りの人間を引き連れて飛んで行ったーー シフォン チョコ、ありがと!こっちは任せて! 司祭を倒し、魔法陣を解除することに成功する…操られていた人々は気を失い、地面に倒れていくーー シフォン 機械のように、決まった命令を実行させてたみたいね…操っていた魔人はもうここにはいない…?まさかすでに目的を達してる…? マルビス き…君は…魔族!?なぜ…助けてくれたのですか? 司祭は倒れた体をゆっくりと起こし、シフォンに尋ねるーー シフォン ワタシは魔人の敵って事だけ言っておくわ時間が無いから、知ってる事を話して! マルビス わ…わかりました… マルビス ここは、古の正義の神を信奉する神殿…また、守護者様の住処でもあります…我々はひっそりとここで暮らしていて、その存在を知るのは砂漠の民でもごく一部でした… マルビス ですが…少し前に一人の人間がやって来て、正義の神殿の試練を受けたいと言いました…試練は古より伝わる伝統で、挑戦者を拒むことはできません… シフォン 待って!それは長髪の剣士? マルビス はい、知ってるのですか?あの剣士は…試練を突破し、守護者様の住処へ…守護者様は倒されて、砂と化してしまった…… シフォン 砂に………!!なるほど…外で吹き荒れてる砂嵐は、守護者そのものだったのね マルビス その後のことは…思い出そうとすると…頭が…何も思い出せない… シフォン その剣士は一人で来てたの?誰か連れていなかった? マルビス いいえ、ひとりで来ていました シフォン 魔人と剣士は仲間ではない…剣士は守護者を倒す…魔人の目的は…? マルビス ハッ!!守護者様が神器を守っていたのです!神器を奪いにやって来たのでは!? シフォン …そういう事か!神器の場所を早く教えて! 司祭の示した、『神の冠』の置かれている場所へ大急ぎで向かうーー 9-10サドラク城入口「魔法戦」 シフォンが神の冠のある場所に近付くと、奥からアリンと何者かが離している声が聞こえてくるーー シフォン アリンの声…話している相手は…魔神ね シフォンは移動しながら手に火炎弾を発現させ、奇襲をかける用意をするーー アシンドラ レオニアの言ってたヴァンパイアの妹の方だったら、もう少しは楽しませてくれるのかねえ? シフォンは石室に飛び込み、魔人の声のする方へすぐさま火炎弾を放ったーー シフォン ワタシを呼んだ? アシンドラ ほう…なかなかの火炎を扱うじゃないかけど簡単には喰らわないよ? アシンドラは瞬時に魔法壁を展開して防御していた…シフォンは少し驚いたが、表情には出さないーー シフォン ちょっと探りを入れてみた程度のものよ?これくらいでやられてたら拍子抜けしちゃうわ アシンドラ ハハッ…小生意気なガキだねえようやく面白くなってきたじゃないか シフォンがアリン方へ目をやると、普段の喧しい態度と違って沈んだ表情をしているが、とりあえず無事であることを確認し、魔人の方に向き直ったーー シフォン フン…ワタシがガキならアンタはおばさんでしょ?ねえ、魔人のおばさん? アシンドラ ハハッ…面白い、実に面白い…その減らず口からでる悲鳴を聞いてみたいもんだねえ! シフォン やれるもんならやってみなさいよワタシはおばさんの悲鳴なんか聞きたくもないけどねまあ、我慢してあげるわよ 強大な魔法の応酬が始まるーー シフォンとアシンドラは空中で戦いを繰り広げるが、すぐには勝負はつかない様子…シフォンが下の祭壇に目をやると…そこにはもう神の冠はなかったーー シフォン 神器…アンタが盗ったの? アシンドラ 違うねえ、私が持ってたなら、神器の力を使って既にお前を殺してるさ シフォン 間に合わなかったか…… アシンドラ ハハッ…どっちにしろ一緒さ!お前らは全員ここで死ぬんだからね! アシンドラとの戦闘は続いている…シフォンの見立てでは、魔法の威力は同等、しかし魔力の総量は魔人の方が多い…シフォンは長期戦になれば分が悪いと考えるーー アシンドラ このままだとジリ貧になっていくんじゃないかい?だが逃さないよ! シフォン 誰が逃げるって? シフォンは強化魔法を使って、自身の身体能力を向上させたーー アシンドラ 魔道士が格闘でもするつもりかい?これだから最近の若い奴は… アシンドラが重力魔法を唱える…シフォンの体が急激に重くなり、動きが鈍るーー アシンドラ 魔法での戦いを放棄したのはお前だからね悪く思わないでくれよ? シフォン ……この程度の重力……まだ動けるわよ アシンドラ 動けるから何だい?魔法を避けるだけの余裕はあるのかい? シフォンは真っ直ぐに足に向けて飛んでいく…結界を張り、魔法攻撃に耐えていたが、結界の耐久が限界に達しようとしているーー アシンドラ ハハッ!死ぬがいい! シフォンの結界がついに破壊されるが、まだアシンドラとは距離がある…無防備な状態のシフォンへ、アシンドラが魔法を放つーー アシンドラ もう終わりだよ!喰らえ!交雷滅! アシンドラの杖先から交錯する雷光が放たれ、シフォンに直撃するーー アシンドラ ハハッ!どうだ!私の方が強い! シフォンは歯を食いしばり、なおも突進を続けるーー アシンドラ そんな状態でまだやるつもりかい?とどめをさしてやるよ! シフォン これで…終わりよ…闇影!!! シフォンの体が影に変わり、一瞬で魔人の背後に現れるーー アシンドラ 何を…!?だからって… シフォン 黙……れ…… アシンドラを後ろから羽交い締めにして、首筋に牙を刺し込むーー 第九章「終幕」 地を吸われた魔人は力を失い落下していく…シフォンは吸血により傷がみるみる回復していったーー シフォン 魔人達の中には強い奴もいるのね…ひとりですべての魔人の相手をするのは厳しいかも… シフォン それにしても、さっきの作戦が成功してよかったわ…失敗してたら…… シフォン ま、いっか、とにかく勝ったんだしさて、またアリンの命を助けてあげられたし、今度こそ感謝の言葉を聞けるのかしら? シフォンは期待を胸にアリンのもとへ降り立ったが、その反応はシフォンの想像とは違っていたーー
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2187.html
ウサギのナミダ ACT 1-36 ◆ ゲームセンターに歓声が轟いた。 ハイスピードバニーの勝利。 その勝利にギャラリーの誰もが沸いている。 人間も神姫も、ティアの勝利を賞賛する。 美緒と仲間たちも、抱き合って喜んだ。 三強さえも、その勝利にガッツポーズを取っている。 筐体からフィールドの表示が消え、次のプレイを待機する頃になっても、歓声がやむことはなかった。 ■ 暗闇に、真横に一筋の光が射す。 それは太さを増し、やがて闇は光に取って代わる。 眩しい。 瞳が光量の調節を終えると、今いる場所を認識する。 ゲームセンターの筐体の上。 アクセスポッドが開いたところ。 まわりにたくさんの人がいる、みたい。 大きな歓声が聞こえてくるから、そう思った。 周囲の風景はぼやけていて、よくわからなかった。 「……泣いて……いるのか? ティア……」 「……はい」 わたしはまた泣いてしまっていた。 涙がぽろぽろとこぼれるけれど。 わたしはしずくが溢れるままにしていた。 「……泣くな……」 「いいんです……もう、これで……自分のために泣くのは……最後だから……」 わたしの胸に、様々な想いが去来する。 わたしのことを、許してくれた仲間たちとのこと。 電脳空間を飛び越して、聞こえてきたマスターの声。 わたしの名を呼んでくれた仲間たち。 今ここにいることの、幸せを噛みしめる。 たくさんの嬉しさと、いくばくかの寂寥が、わたしの心を包んでいる。 流れ出る涙は止めようもない。 でも、いやな涙じゃない。 いまのわたしの幸せと希望と、かつての友への別れに流す涙だったから。 「だめだ……泣くな……」 でもなぜか、マスターはわたしが泣くことを許してくれない。 不可解な気持ちがして、わたしは訊いた。 「なぜ、ですか? 泣いちゃ、だめなんですか?」 「お前が……泣いてたら……」 マスターの声が大きく震えた。 「俺が、泣けないだろ……っ」 わたしは思わず振り向いた。 びっくりした。 マスターが……あのマスターが、大粒の涙を流して、口を手で押さえながら、泣いてる。 筐体の上に置かれた左手は、強く握られていて、指の隙間から血がにじんでいる。 わたしの涙なんて、どこかに行ってしまった。 とても心配になった。 わたしは、マスターの手にそっと触れる。 「ど、どうしたんですか。どこか苦しいですか。大丈夫ですか」 わたしは何をしゃべっているんだろう。 こんな時に、どうしたらいいかなんて、さっぱりわからない。 気が動転している。 マスターは、指の隙間から押し出すように声を出して、言った。 「……心配した……もう、帰って、来ないかと……思った…… 不安でっ……押しつぶされるかと…… お前……帰ってきて……驚いてっ……俺の神姫だって……嬉しくて…… 気持ちが……もうっ……ぐちゃぐちゃで……わけわかんね……」 マスターも自分の気持ちがわからないのなら、わたしにも分かるわけなかった。 でも、わたしのこと、心配してくれたのは、わかった。 だからわたしは、マスターの握り拳にもたれかかって。 「わたしは、ここにいます。ここにいますよ?」 「……うん」 「ずっと、一緒ですから。もうどこかに行ったりしませんから。」 「……うん」 「だから、もう泣かないで下さい」 マスターはそれでも泣きやむ様子はなくて。 だけど、わたしのために泣いてくれることを少し嬉しく思ったりした。 ◆ 人には、その時どきにおいて、役割があると思う。 その時の菜々子は痛切にそう感じていた。 隣で、感極まって泣き出してしまった遠野を、どんなにか慰めたかっただろう。 でも、彼女はその役目をティアに任せた。 それが適任だとも思ったが、理由はもう一つある。 筐体の向こうにいる最低男を見張らなくてはならなかったのだ。 勝負に負けたからといって、井山がティアを諦めるとは思えなかった。 懸命に戦った二人のために、菜々子が出来ることをする。 あの夜の誓いは今も続いていた。 はたして、井山は肉付きのいい巨体を揺らして、立ち上がった。 「こ、こんなの、インチキだっ!」 歓声に消されそうになりながらも、井山の声はなんとかギャラリーに届いた。 菜々子は、絶対零度の視線で、井山を射る。 「なにがインチキだっていうの」 菜々子の口をつく言葉は、ブリザードのように厳しい。 聞いた者が凍死しそうに冷ややかな声に、歓声も徐々になりを潜める。 井山はそれでも口答えした。 「だ、だってそうだろ! 傷が治るのに、いつまでだって戦えるのに、クロコダイルが負けるなんてありえないんだ! ジャッジがおかしいか、インチキしたに決まってるじゃないかっ!」 「いいえ。何もおかしくないし、ジャッジも正確よ。 バトルロンドの勝敗は、残りのヒットポイントで決まる訳じゃない。 その神姫が行動不能とジャッジAIが判断すれば、そこで勝敗は決定する」 つまりはノックアウトである。 どんなに装備が健在でも、神姫の弱点であるCSCが破壊されたと判断されれば、勝敗はそこで決する。 井山の言い方で、クロコダイルは不死身のように思っていたが、「ダメージが回復する」以上の効果を持っているわけではない。 だから、ティアの『ライトニング・アクセル』が直撃した時点で、ジャッジAIはクロコダイルを行動不可と判断し、ティアの勝利を宣言したのだ。 観客は、菜々子の言葉に納得したようにざわめいた。 だが、井山はさらに言い募る。 「そ、それだけじゃないぞ! アケミちゃんの装備はレギュレーション違反じゃないか! あんなの、イリーガルも同然だ!」 「ウィルス撒いたり、チートプログラムを使ったりしておいて、相手の神姫をイリーガル扱い? 呆れるわね」 観客からブーイングが上がる。 井山は頭に血を上らせ、顔を真っ赤にして怒鳴った。 「うるさい、うるさいっ!! だ、だいたい、クロコダイルがいけないんだ! こいつがっ……弱いから!!」 アクセスポッドに手を突っ込むと、自分の醜悪な神姫を引きずり出す。 いけない。 菜々子は直感的に思い、井山の方へ飛び出した。 井山がクロコダイルを握った手を振り上げ、そのまま彼女を思いきり床に叩きつけた。 そして、井山はクロコダイルを踏みつけようと足を振り上げる。 菜々子はそこに滑り込んだ。 クロコダイルをかばうように、地面に伏せる。 次の瞬間、井山の足が肩口に落ちてきた。 「あぐっ……!」 井山の体重の乗った蹴りが直撃し、思わず声を上げる。 肩が激しく痛む。 こんな風に神姫を踏みつけるつもりだったのか。 菜々子は戦慄する。 自分が割って入らなかったら、クロコダイルはみんなの前で、粉々に踏みつぶされていただろう。 信じられない。 自分の神姫を、躊躇なく踏みつぶそうとするなんて。 「あんた……っ!」 菜々子が顔を上げ、井山を睨みつけた。 その時、大きな影が視界を遮った。 次の瞬間、井山の丸い顔に拳が食い込んで、その巨体は数メートルも吹っ飛んだ。 大城だった。 彼が井山の顔面に渾身のストレートをぶち込んだのだ。 「このクズ野郎……いい加減にしやがれ……!」 その声に、ギャラリーの多くが震え上がった。 それほどにドスの利いた、殺気に満ちた声だった。 さすがの井山も、床に這いつくばったまま、恐怖に目を見開いている。 「テメェは……神姫オーナーの資格すらねぇ! 出て行け……二度と遠野とティアの前に……俺たちの前に姿を現すな……!」 地獄の底から響いてくるような声だった。 かつて名うてのヤンキーだったという噂は本当らしい。声に百戦錬磨の迫力がある。 それでも井山は身体を起こし、大城を睨んだ。 「え、えらそうに……だ、だいたい、アケミちゃんはボクが風俗の店から助け出したんだ! もともとボクの神姫なんだ! それを盗んだ奴の仲間のくせに……低脳なヤンキーが、キミにも痛い目見せてやるぞ!」 「ほう、どんな目を見せてくれるのかね?」 「え?」 その声は大城とはまったく違う方向から聞こえてきた。 菜々子は声の方を向く。 大城も声の方、井山の背後を見た。 そこには三人の男が立っている。 一人はスーツを着た男性。 あとの二人は……警察の制服を着ていた。 スーツ姿の男は、内ポケットから革の手帳を出し、開いた。 「警察庁MMS公安だ。続きは署で聞かせてもらおうか」 「け、けいさつ……」 井山はその太った体躯に似合わず、俊敏な動きで立ち上がり、駆け出そうとした。 しかし、二人の警官が、それより早く井山を捕らえ、羽交い締めにする。 「井山淳一、MMS保護法違反、窃盗、不正アクセス防止法違反、サイバーテロ容疑、ついでにストーカー防止法違反の容疑で逮捕する」 「くそっ! はなせ、はなせっ! ボ、ボクは何も悪くないっ!」 「大人しくしろ。お前の容疑にはすべて証拠があがってる。雑誌社の連中も、神姫風俗通いの仲間も、みんな自供したぞ。 それから、まだ余罪があるようだからな。きっちり絞ってやる」 警官の一人が、ついに井山に手錠をかけた。 それでも井山は暴れていたが、訓練された警察官にかなうはずもない。 井山は早々にゲームセンターから引っ立てられていった。 あっという間の出来事に、その場にいた誰もが言葉を失った。 残った私服の刑事は、ゆっくりと警察手帳をしまう。 そして、カウンターの方を向くと敬礼した。 「ご協力、ありがとうございました」 「いえいえ、ご苦労様でした」 そう返答したのは、あの童顔の店長だった。 刑事に敬礼を返しにこやかに笑う。 刑事はあっけに取られている観客たちを一瞥すると、菜々子の方に近づいてくる。 そして、菜々子の前でしゃがみ込むと、そこに落ちていた神姫……クロコダイルを拾い上げた。 「これは押収させてもらうよ。大事な証拠なんでね」 菜々子は何も言わず、カクカクと頷いていた。 刑事は、そのままきびすを返すと、ゲームセンターの自動ドアをくぐって去った。 菜々子、大城を含むギャラリー全員が、店長を見る。 店長は、右手に電話の受話器を持ち、左手で親指を立てた。 その童顔ににっか、と笑顔を浮かべる。 店長、グッジョブ。 その場にいた全員が、親指を立てるサインを返して頷いた。 □ 俺がその顛末を聞いたのは、ずっと後になってからだった。 その時は自分のことでいっぱいいっぱいで、気が付いたときには井山の姿が消えていた。 感情が溢れて押さえきれなかった俺の心も、ようやく感情の流出が収まってきていた。 相当みっともない顔をしていたと思う。 顔を拭おうと、ズボンのポケットからハンカチを出した。 握ったハンカチが血塗れになっていた。 「な、んだ、これ……?」 両手の拳を強く握りすぎたせいか、爪が食い込んで、そこから血が出ていたのだ。 さっき気が付いたが放置していた。 よく見れば、腕組みしていたシャツの袖も血に染まっているし、筐体の上にも点々と血痕が残っている。 とりあえず、手のひらの傷口を保護しないと。 俺はとりあえず涙だけハンカチで拭くと、それをどうやって両手に巻き付けようかと思案した。 絶対に無理だということに気が付く前に、俺の右肩に細い手が置かれた。 久住さんだ。 「ほら、遠野くん。手を出して」 優しい彼女の声に従う。 すると彼女は、きれいに畳まれたハンカチを取り出して、それを俺の右手に躊躇なく巻き付けた。 俺は一瞬動揺する。 白いハンカチに紅が滲む。 「ごめん……ハンカチ……」 「いいの、気にしないで」 久住さんはいつも優しい。 俺のハンカチを手に取ると、左手に巻いてくれた。 「俺……いつも君に、みっともないところばっかり、見せてる気がする」 「いいじゃない……かっこいいところばっかりじゃ、近寄りがたいもの」 「え?」 最後の方がよく聞き取れなかったのだが。 すると、久住さんはあわてて、 「な、なんでもないっ」 頬を赤くして、手を振った。 ……いつだったか、同じような彼女を見た気がする。 彼女の肩にいたミスティが、くすくすと笑っていた。 「遠野……」 真面目な顔をして、大城が呼んだ。 「どうする? 今日はやめておくか?」 それは大城の気遣い。 俺は周りを見わたした。 いまだに、俺の座る筐体をギャラリーが取り巻いている。 他の筐体でバトルするものもいない。 声を出す者もおらず、じっと俺たちを見守っている。 皆待っているのだ。 ティアと虎実の一戦を。 俺は目尻に残った涙を拭う。 手を降ろしたときには、もう心は決まっていた。 「ティア、行けるか?」 「マスターが戦いたいというのなら、いつでも」 ティアの返答に、俺は頷いた。 そして大城を真っ直ぐに見る。 「大城、虎実、待たせたな。……約束を果たそう」 「よっしゃぁ!!」 ギャラリーが沸いた。 大城が筐体の向こう側へと歩いていく。 その肩から、虎実が振り向いた。 真面目な顔をして、こくりと頷いた。 ◆ ついにこの時が来た。 虎実は長い間、この対戦が実現するのを望んでいた。 自分の納得のいく戦闘スタイルを身につけて、ティアに挑戦する。 それは、自らに課した枷。 エアバイクを乗り回すスタイルで、ティアと対戦するに足る実力を身につけようと努力した。 その結果、ランキングバトル一位という実績を得たのだ。 それがティアの対戦相手としてふさわしい実力なのかはわからない。 だが、すべてを彼女にぶつけてみたい。自分の技と実力を見てもらいたい。自分という存在を認めてもらいたい。 初めて憧れ、目標とした神姫の全力を、身を持って感じたい。 それができれば、勝敗なんてどうでも良かった。 そして試合の後に言いたいことがある。 長く言う機会を逸していた言葉。 すべてを出し切った試合の後なら、言える気がする。 友達になって欲しい、と。 ■ その約束は、マスターから聞かされていた。 嫌われているとばかり思っていた彼女からの、意外な言葉。そして約束。 もう一度、わたしとバトルがしたい、と虎実さんは言ったという。 マスターをバトルロンドに引き留めたのは、その約束だった。 わたしは虎実さんに感謝している。 もしマスターがわたしのために、と思って、バトルロンドをやめていたら、きっと後悔したと思う。バトルがしたいと思うマスターを見て、わたしは心を痛めたかも知れない。そう、アクアさんのように。 そんな虎実さんとの対戦は、全力でぶつかりたいと思う。 ずっと待っていてくれた虎実さんに、今のわたしを見てもらいたいと思う。 本当にマスターの神姫になったわたしを。 そして、試合の後、言わなくちゃ。 ありがとう、と。 そして、友達になれたら、いいと思う。 ◆ 沸き上がる歓声。 その盛り上がりは、このバトルロンドコーナー開設以来のことかも知れない。 対戦する神姫は、二人ともものすごく有名というわけではない。 だが、このゲームセンターを根城にしている神姫プレイヤーにとっては、どちらも強い印象の残る武装神姫であった。 かたや、かの全国チャンピオンとなったアーンヴァルを相手に好勝負を繰り広げた、オリジナルの兎型。 先ほどは、卑怯卑劣な神姫を正々堂々打ち破った。 その対戦相手は、あの三強を破って、いまやランキング一位に君臨するティグリース・タイプ。彼女のバイク技は特徴的で、本人の知らないところで多くのファンを獲得していた。 そんな二人の対戦である。 ゲーセンの常連にしてみれば、どんな有名神姫のバトルよりも、感慨深いカードだった。 ティアと虎実を呼ぶ声、声。 バトルの準備が終わり、もうすぐ始まろうとしている。 ミスティは菜々子の肩から叫んだ。 「二人とも、がんばれー!」 菜々子は不思議そうに彼女を見る。 「あら? ティアの応援じゃなくていいの?」 「勝敗なんて、関係ないバトルだもの。どっちが勝ったっていいのよ」 「なるほど……そうよね」 菜々子も笑顔になり、頷いた。 ミスティは思っている。 まったく、二人ともめんどくさいわね。友達になりたいなら、さっさとそう言えばいいじゃない。わたしみたいに。 まったく、不器用なんだから。 □ 俺はいつものように、アクセスポッドにティアを送り込む。 今日二度目だが、先ほどとは違い、妙にすがすがしい気分だ。 アクセスポッドの縁に手をかけて、ティアが俺を見た。 気遣わしげな表情。心配してるのか。 俺は微笑して、ティアに言った。 「最初から全力で行くぞ」 「はい!」 はきはきとしたティアの声に、もう影は感じられない。 虎実の約束に応えるのに、今ほどふさわしい状態はないだろう。 今のティアなら、間違いなく最高のパフォーマンスを発揮できる。 準備を終え、筐体の向こうに立つ相手を見る。 そこには、友がいた。 大城は不適に笑い、言う。 「……お前とバトルするのは二回目だ。前の対戦、覚えてっか?」 「よく覚えてる」 「あのときの俺たちとは違うぜ?」 「わかってる。……まさか俺たちがあのときと同じと思ってはいないだろう?」 「アホか。今までさんざん側でバトル見てきたんだ。ティアの進化はイヤと言うほど分かってらあ」 「ならば結構」 「今日は勝たせてもらう。手加減はしねーぞ?」 「当然だ。楽しいバトルにしよう」 「……楽しい?」 「そうさ」 これから、ティアと虎実は何度も手合わせできる。何度も勝つだろうし、何度も負けるだろう。 だが、それでいい。 命を賭けた一発勝負のバトルじゃなければ、戦いに意味がないなんて、思わない。 日々の対戦を楽しく、真剣にプレイすることこそ、俺の求めるバトルロンドだ。 そんな日々の積み重ねのその先に、俺の望むものがあるのだと思っている。 大城は、にかっと笑った。 「そうだな、楽しくやろうぜ」 「ああ。今日も、そしてこれからも」 「行くぜ、遠野! 俺たちの実力見せてやる!」 「よし、バトルスタートだ!」 俺たちは同時にスタートボタンを押す。 大型ディスプレイに対戦カードが表示される。 『ティア vs 虎実』 ギャラリーの歓声が、ひときわ高くなる。 ティアと虎実の名前を口々に叫んでいる。 ゲームセンターから追い出されたあの日が嘘のように遠く感じられる。 周りには信じられる仲間がいて。 思いを寄せる人は、俺の側にいて。 友達だと自惚れさせてほしい男は、俺の向かいに立ち。 そして、俺のただ一人の神姫は、いま約束の地を、全速力で駆け抜けている。 (ウサギのナミダ おわり) トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/haputea/pages/144.html
マリナ「刹那、昨日のお寺の夜は楽しかったわね」 刹那「ボタボタ。ああ。またいこうね。」 サジ「こっちなんかなんかい死のうと思ったことか…でも二人が幸せならいいよ。」 眼鏡「くっ…カミーユめ…」 ドタドタドタ スパァーーーーン!!! リボンズ「ハァハァ…で、どうだったんだい??刹那君。はあはあ。ボタボタ」 マリナ「あ、鼻血が。フキフキ」 お刹那家TVタイム マリナ「うっうっ、うわ~ん、シクシクシク」 刹那「世界は、世界は歪んでいる!(号泣)」 眼鏡「あの人達と動物になんの罪があるというのだ!ワナワナワナ」 ポニテ「僕、僕寄付してくるよ、グシグシ」 匙「平和なのに!戦争してないのに!おかしいよ!」 お刹那家ドキュメンタリー「多摩川 河川敷の物語」視聴 眼鏡「世界の歪みに武力介入してくる!」 刹、ポニテ、匙「「「まて!それは止めろガンダム持ち出してどうする気だ?」」」 眼鏡、刹那の羽交い締め 眼鏡「何かなさずにいられるかーっ!」ジタバタ マリナ「シクシクシク、ワーーー」 リボンズ「ウッウッグスシクシクシク」 リジェネ「グスン」 リボンズ「涙無しには見られないよ」 リジェネ「これだから人間というものは!」 リボンズ「ちょっと行ってくる」 リジェネ「何を、ちょ夜中だよ?」 リボンズ「ふふふふ」 翌日 リジェネ「世界恐慌持ち直し!?雇用情勢改善… アルミ資材末端価格の値上げリボンズ、なにを…」 眼鏡「下がっていてください、おじさん、にゃんこにわんこ達 GN圧縮粒子バーストモード!」 ブシドー「あの様な所行、人として決して許されるべきではない!」 マリナ、刹那、眼、ポ、匙「「「「ブシドーさん!」」」」 ミウミウ、ミャウミャウ、ク~ン、ワンワンブシドー両手一杯の仔猫子犬 ブシドー「捨てられていたこの子達を放っておけなかった。 なんとかならないだろうか?」 マリナ「そうねえ、昼は屋上のブシドー村なら皆元気に育つんじゃないかしら」 眼鏡「夜はまかせてくれ、こぬこ達ともふもふで寝られる」 ポニテ「僕も嫌いじゃないからねえ、犬の調教はまかせてよ」 匙「戦いがないなら動物も幸せじゃないとね」ナデナデ 刹那「いい話だけど、餌代俺だよな…」 マリナ「刹那、この子達がどうなってもいいの!?」 子供達「わ~い、仔猫に小犬だ!」キャッキャッ 刹那「(俺はガンダムだ、破壊ではなく、変わる!)」握りこぶし クイクイ 刹那「ん?」 セツニャ「世話なら任せるニャ!」 マリリス「食べられちゃいそう……」 ハムドー「可愛いなぁ、子猫!」 ティエラビット「子猫程度なら何とかなる……」 アレルヤ「ソーマ」 ソーマ「えっ?」 アレルヤ「ソーマ」 ソーマ「な、何だ…?」 アレルヤ「呼んでみただけ」 ソーマ「用も無いのに呼ぶなっ!///」 ソーマ「はっ!……夢か……びっくりした…… くっ、たかが夢でもあんな奴に一瞬ときめいてしまうなんて!!」ダッ アレルヤ「あれ、どこ行くの?」 ソーマ「ちょっとマンションの階段を10往復してくる」 アレルヤ「気を付けてねー、ソーマ・ピーリス」 ソーマ「言われなくても分かっている(期待してない…もしかしたら ソーマと呼ばれるかも?なんて全然期待してなかったからな!!)」 アレルヤ「え?名前?ソーマピーリス・パーファシィでしょ?」 ソーマ「なんてな……いや、いくら何でもないな……タタタタタ」 刹那「カタカタ……」 マリナ「何を見ているの?」 刹那「んん~Vedaちゃんねる」 マリナ「何それ?」 刹那「色々な情報や妄想が繰り広げられる巨大な掲示板だよ」 マリナ「へぇ…凄いわねぇ」 刹那「で、その中のリンクでこれを見てたんだよ」 (ここのURL) マリナ「なぁに、これ?」 刹那「スレッド…まぁ、一つの話題の中のネタをまとめたものだよ。まとめWikiって言うんだ」 マリナ「刹那って物知りさんなのね。ナデナデ」 刹那「エヘヘ……でね、このネタが……」 マリナ「ふんふん……面白いね……泣けるわ……グスン」 刹那「……と、色々あるんだけど…どうも俺達に凄く似てるんだ…」 マリナ「単なる偶然じゃないかしら?ほら、自分に似た人が三人はいるって言うじゃない」 刹那「そうだよね……偶然だよね、うん」 マリナ「ね、ね、他にないの?」 刹那の頭に胸を乗せ、画面に食いつくマリナ。 刹那「うん、最近の常駐スレはね……」 リボンズ「……ふぅ、まとめの更新終了…」 リジェネ「お疲れ様」 リボンズ「ありがとう。しかし…彼らはネタの宝庫だね、フフフ」 リジェネ「全くだね」 夜…ポンデ獅子の悪夢で眠れない日々が続いていた刹那…。 だが、最近は眠れるようになってきた…。 何故なら…。 ポンデ獅子「なんで…」 刹那「zzzzzzz」 ポンデ獅子「なんで…!」 刹那「zzz…むにゃむにゃ…マリリ~ン…」 ポンデ獅子「寝てる時間に歌が聞こえるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」 マリナと子供達の歌『Tomorrow』が毎晩リピートで流れ続けてる為、 性欲の化身であるポンデ獅子は、力が出なくなっていた…。 リボンズ「これも刹マリの一つの形だね」 リジェネ「睡眠を妨げない歌声だから子守唄としても使えるほどのね」 …クスンクスン…スンクスン… マリナ(誰か、泣いてるの?) マリナは辺りを窺うが、誰も泣いてなどいない。皆静かに眠っている。 マリナ(…私の空耳かしら?) クスンスン…グシュ…スンスン… 空耳などではない。マリナは起きあがると、住人の寝顔を一人一人覗き込んだ。 マリナ(ビリーでも、匙君でもない。ティエリアもブシドーも違う…刹那でもないわ…) マリナは身震いした。有り得ない。しかし、確かに誰かが泣いているのだ。 マリナはベッドに逃げ込むと、愛する刹那の背中に強く、強くしがみついた。 クスンクスン…クスン…ススン… 泣き声が、近づいてくるように感じた。マリナはもはや恐怖で気が狂いそうだった。 何故刹那は起きてくれないのか。何故誰も、この不気味な音に気づかないのか。 マリナ「…刹那…刹那…ッ…!」 力の限り刹那の背を叩く。どうして刹那は目覚めてくれないの? クスン…クスン…スン……… 泣き声が、止んだ。そしてふいに強烈な臭気が辺りを包む。…血の臭いだ。 力の限り叫んだ。自分にこんな大声が出せるのかと思った。 「どうしたんだい?」 恐る恐る眼を開けると、床下から黄緑色の頭が覗いていた。 「花粉症は嫌だね。ティッシュが手放せないよ」 刹那は、気絶していた。 マリナ「花粉は辛いわね……はい」 リボンズ「ちーん」 お刹那さんはいっきに減点かな マリナ「………」 刹那「あ、あの…マリリン?」 マリリン「………刹那なんてもう知らない!ぷーーっ」 刹那「お、俺が何をしたんだぁぁぁあああ!?」 リボンズ「いらっしゃい」 リジェネ「待っていたよ」 サジ「あの、何で呼ばれたんですか?」 ビリー「しかも僕達二人だけなんて…」 リボンズ「君達に来てもらったのは今後についてだよ。 ずばり聞くけど、君達は彼女ができたらどういうカップルになりたい?」 サジビリ「はい?」 リジェネ「刹マリはほのぼのカップル、アレソマはオトメンとツンデレ娘 ライアニュは天然彼女に振り回される無惨男子、リヒクリはバカップル とまぁ、こんな風に色んな属性のカップルがいるわけさ」 リボンズ「それでだ。君達がカップルになった暁には 刹マリ、アレソマ、ライアニュ、リヒクリと被らない属性の カップルになってもらいたいのだよ、カプ厨としては」 サジ「それなら僕とルイスは純愛で行きます」 リボンズ「いいねぇ、純愛」 リジェネ「王道だよね、純愛」 リボンズ「しかも敵対関係で悲恋要素もあるからね、純愛」 リジェネ「切なくてキュンとくるよ、純愛」 ビリー「僕は大人の恋愛かな」 サジ「ぷっwww大人の恋愛とかwww」 ビリー「酷いよ!本気なのに笑うなんて酷い!!」 リジェネ「僕達は応援しているよ。頑張ってね。 おかしいなんて思ってないよ。うん、全然思ってない」 リボンズ「と言うか、君は本気で大人の恋愛をやらないとヤバイから。 死ぬ気で頑張って大人の恋愛を僕達に見せてくれ」 ビリー「がってん承知!」 ビリー「大人の恋愛って言ったらコレだよね」つ渡辺淳一の本 リボンズ、リジェネ「……………」ヒソヒソヒソ 《◎◎》可哀相な人を見る目 ビリー「なんだい、何がいけなかったんだーい!?」 沙慈「ビリーにはトライアングラーというこのスレ特有のネタがあるじゃない」 ビリー「嬉しいけど、あまり穏やかじゃないねぇ」 沙慈「nice boat.」 ビリー「おおお、穏やかじゃないね!」 数あるネタスレで一番幸せな喪神なのは間違いない。アニューも一番可愛いし、匙も報われるかも?だしね。 最近はよく死ぬ 鬱展開のに全くブレないし… ライル「俺の扱いについて」 つある時はロッリコン つ又ある時はアニューはリヴァイヴにヤンデレていて喪男。 匙「まだ幸せだろ?ん?天然で優しいなんて最高だろ、ボケが」 このスレのルイスはイノベーターに惚れ込んでいるから匙くんは… い、いや最近操られ気味ってことが発覚したじゃないか! きっとボンズリ様が匙ルイを盛り上げるため、悲恋にしようと仕組んだんだ! リボンズ「何だって?………ヒリング、調子に乗っているようだね…」 ヒリング「やっぱアンルイよねぇ」 リヴァイヴ「最近カワイソスな扱いだしね」 アレルヤ「マリー、繕いもの終わったよ」 ソーマ「む、そうか。御苦労」 アレルヤ「あ、今はソーマ・ピーリスなんだ」 ソーマ(……その態度の変わりようはなんだ!) アレルヤ「いやぁ、繕いものとか料理って楽しいよねぇ。 最近はマリナさんと一緒に勉強してるんだけど」 ソーマ「……ホントに女々しい奴だな……し、しかし……たまには私がやってもいいぞ?」 アレルヤ「うーん……いいや。マリーって微妙に手先不器用だったし」 ソーマ「ガーーーーーーーン!」 ソーマ「……マリナ姉様。私に裁縫を教えてください!」 マリナ「ど、どうしたのソーマちゃん?そんな鬼気迫る表情で……」 ソーマ「お願いします!どうか武士の情けと思って!」 ブシドー「む、呼んだか?」 マリナ「呼んでません」 ブシドー「そうか。ではイクぞ少年、トランザm」 マリナ「グ ラ ハ ム さ ん ?」 ブシドー「などとするわけないではないかハハハ!」 刹那「こやつめハハハ!」 マリナ「こほん。……それで、急にどうしたの?」 ソーマ「いえ別に。決して不器用と言われたのがショックとか、 マリーに出来ない事を私がやれば私の株アップとかは考えてはいません!」 マリナ「……………………」 喪神「でも、彼氏が自分より料理や編物が上手かったら嫌なんじゃないかな?」 アレルヤ「そうかな?でもマリ…ソーマ・ピーリスはそんな事気にしないよ。ね?」 ソーマ「え?あ、あぁ…うん……」 ライルが電車に乗りました ライル(あ~ぁ、混んでんなぁ~髪が乱れちまうぜ。…ん?あの髪の色はアニュー!?) ズイズイと人混みを押し退けて進むライル ライル「よぅアニュー、奇遇だな。今日はどうs…げぇ!孔明!?」 リヴァイヴ「…誰が孔明だ。しかし、まさか僕とアニューを間違えるとは」 ライル「…か、髪の色が…同じだからよ…」 リヴァイヴ「アニューも男を見る目がない。困ったものだ」 ライル「俺とアニューの愛は本物だ。絶対に別れたりしねぇ!」 リヴァイヴ「…まぁいい。リボンズの邪ポートの件は僕がなんとかしましょう」 ライル「……ありがとうございますお兄さん!あ、俺ここで降りるんで。じゃ!」 ~秋葉原~秋葉原~ リヴァイヴ(…しまった…乗り過ごした…) リボンズ「…リヴァイヴ、君はまたしても僕に刃向かうのかい?」 リヴァイヴ「フフッ、何をバカな。この僕自らが邪ポートに徹するということですよ」 リボンズ「期待してもいいのかな?」 リヴァイヴ「勿論。アニューをお嫁になんかいかせやしないよ。…ククク…」 リジェネ「…シスコン?」 リボンズ「シスコンに違いないね」 ライル「アニュー」 アニュー「なぁに?」 ライル「愛してるぜ」 アニュー「……………」←金目発動中 ライル「アニュー!どうしたアニュー!」 アニュー「…え?あ、ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてて」 ヒリング「リヴァイヴって意外と意地悪よね」 リヴァイヴ「何か言ったか?」 ヒリング「別に~」 デヴァイン「私達にとってもアニューは可愛い妹だ」 ブリング「だから、簡単に遣る訳にはいかんな」 リヴァイヴ「だってリボンズと同じ顔だし」 リボンズ「…僕より君の方がかわいいと言いたいわけかい?」 リヴァイヴ「ヒリングって妹というより弟ってかんj…」 ばちこーん!!!! ヒリング「てめえ!今度言ったら許さないかんね!!」 刹那「あ~仕事面倒臭い。帰りたい(よ~し、今日も仕事頑張るぞ)」 幼あにゅ「りう゛ぁいう゛~待ってよ~」 幼りう゛ぁ「こっちだよ~あにゅー!早くおいで~」 幼あにゅ「待ってよ~…わぁ!ドサッ!」 幼りう゛ぁ「だ、大丈夫かい?あにゅー?」 幼あにゅ「うぅ~痛いよ~痛いよ~」 幼りう゛ぁ「よし、お兄ちゃんがおんぶしてあげよう。よしょ」 幼あにゅ「えへへ…ありがとうお兄ちゃん…」 リヴァイヴ「……なんだ、夢か…」 マリナ「刹那、先に先にイかないでーっ!」 刹那「ん?」 マリナ「刹那、鏡を見て、鏡」 刹那「あ、金目」直す マリナ「刹那、私を置いてどこかへいっちゃダメよ」 刹那「うん、わかってる」 マリナ「刹那、どこかへ行くなら私も一緒よ」ギュッ 刹那「(ガンダムだ)」 ブシドー「私もな」 眼鏡「僕もだ」 ポニテ「僕もだよ、穏やかじゃないねえ」 匙「連れてけよ、刹那」 リボンズ「僕もつれってってもらうよ、人の革新の彼方へ」 リジェネ「僕もね」 セツニャ「ウニャ!」 マリリス「コクコク」 ハムドー「断固!行く!」 ティエラビット「コクコク……」 子供達「お出かけなら連れてってーっ!」わーv ミウミウ、ニャー、ワンワン!クークー、ブモー 刹那「随分増えたな…」 ライル「なぁアニュー、今夜は外食にするか。美味いパスタの店があるんだ」 アニュー「いいわね。嬉しいわライル」 ライル(よし、今夜こそキメるぜ!) リヴァイヴ「僕もご一緒しようかな。ちょうどパスタが食べたくてね」 ブリング「パスタか、楽しみだ」 ディヴァイン「ミートソース派とクリームソース派の対立があり得るな」 ヒリング「あたしはシーフード派なんだからね」 ライル「………」 ヒリング「おっさん、ピザも注文してもいいっしょ?」 リヴァイヴ「僕はイカ墨パスタとシーフードピザ」 ディヴァイン「私はエレガントパスタを」 ブリング「私はこだわりミートソースを」 ヒリング「ん~と、あたしはね~イカとブロッコリーのパスタとイカ墨ピザ。あとクリームソーダ」 ライル「…ハハ…もう給料の三分の一が消えた…アハハ…」 アニュー「あの、私も半分払うから。ね?」 リヴァイヴ「いやはや、美味しかったねぇ。ライル君、これからも妹を頼むよ」 イノベズ「「「アハハハハ!」」」 ライル「……という訳なんだよ。なあ、俺…泣いてもいいよな?」 アレルヤ「はは…ドンマイ録音(最近ウチに来るたびにコレだもんなぁ…) でもいいなあ~ウチはマリーに財布の紐握られてるし…」 ソーマ「当たり前だ!お前のセンスはいちいち最悪だからな!」 ライル「(そういえばたまに変な服着てたなコイツ……」 アレルヤ「……あんまりだよ…マリー(´・ω・`)」 アレルヤはマリーが好きであってソーマのことは何とも思ってないのか? アレルヤ「当たり前じゃないか。ソーマ・ピーリスも僕にとってマリーそのものなんだから…」 ソーマ「……べ、別に私は意地悪でE-57の給与を預かっているのではないぞ…! あまり無駄遣いをして欲しくないだけだ。 ////……決して将来の為にとか、そういう訳では無いからな…!!」 ポニテ「ふぅ…いいなぁ。僕もツンデレな彼女が欲しい…」 匙「ねぇ?殴っていいかなこいつ?」 リボンズ「まあまあ…ポニテ君。良ければ王留美を紹介しようか? スタイルも君好みだろうし、きっとツンデレの素養はあるよ」 リジェネ「…押し付けない、押し付けない(それに向こうが絶対嫌がるしねw」 ポニテ「ああいうのはタイプじゃないねぇ…」 リボンズ「………(少しこの男にも現実を分からせる必要があるね…」 モコ「…えっと…か、勘違いしないで下さい! 私、ポニテさんのこと、なんとも思ってないんですから!」 ポニテ「…グハッ!!」 クジョウ「ちょっと優しくしただけで勘違いするのよね。フン!せっ様の足下にも及ばないわ」 ポニテ「ひぎぃ!!…ピクピク…ピクピク…」 ブシドー「カタギリ、何を寝ている?行くぞ」 ポニテ「僕なんて……あ?うん、忘れてた。行こうか」 ライル「お?仮面のダンナとポニ次郎さんが出かけたぜ」 アニュー「………だって」 模型子「師匠と……?ま、まさか……禁断の関係では…きゃっ(はぁと」 アニュー「(腐と妄想の素質ありかしら?」 模型子「……って、冗談を言ってる場合じゃありませんっ。見張らないと!」 ブシドー「やはり…ケルディムが……」 ポニテ「狙撃用モデルライフルとか良いんじゃない?」 ガラッ 模型子「何の事なんでしょうか……あ!私達の模型店に入っていきましたよ!」 アニュー「ケルディム?狙撃?模型店……まさか……」 ガラッ ブシドー「……無念。デュナメスしかないとはな……」 ポニテ「最近危ないから、って売ってもくれなかったよ……まぁ、ジムスナイパーで我慢しようかな」 ブシドー「うむ。プレゼントは心だからな!」 ポニテ「ま。近所だからねぇ」 アニュー「……やっぱり…」 模型子「何がやっぱりですか?」 アニュー「明日、ライルの誕生日なのよ。それで…あの二人はプレゼントを…ありがとう…グスグス」 模型子「先輩……やっぱりポニテさんは友達思いですっ!」 ポニテ「それに…恩を売っとけば、いつか返してくれるだろうからねぇ」 ブシドー「……いつか天罰が下るぞ?」 マリナ「皆~ご飯ですよ~。」 刹那「おぉっ!今夜はマリリンのカレーか。美味そうだ。」 ブシドー「…むぅ。辛味汁かけ飯か。ハイカラだな。」 眼鏡「僕はカレーには少々煩い。頂きます。」 匙「へぇ~ちょっと意外だね。」 ポニテ「他に誰か、カレーにチーズを乗せる人はいるかい?……いないのかい。」 眼鏡「…おかわり。」つ 刹那・ブシドー「「…!?」」 マリナ「あら、珍しい。沢山食べてねティエリア。あなたは痩せすぎてるくらいなんだから」 眼鏡「……うん。」 刹那「(ま、負けてたまるかッ!)…ゴホッゴホッ!」 ポニテ「ひぃっ!ばっちぃ!」 マリナ「大丈夫、刹那?もっとゆっくり食べないと駄目よ?」 ブシドー(…もう少し甘くしてもらいたいぞ。マリナ…。)
https://w.atwiki.jp/kizumon/pages/668.html
胴締め 属性 射程 種類 貫通 威力 対象 AP 無 近 物理 - 55 敵単 3(3) 詳細 マヒ(大)化 期間 2 付与 38% 使用部位:絞め技 ※APの()内は同属性時の消費量 LvUP情報 命中率+5.00% マヒ付与率+5.00% 肥料 生産肥料数 10 入手場所 所持するモンスター カーリヤ 真・カーリヤ 銭塘君 羅刹天 ヨルムンガンド 備考 Last Update 2018-01-22 14 54 31 (Mon)