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目覚めたゆかちゃんは、顔を隠すように布団を被ってしまった。 まだ拒絶されてるのかも知れない。 だけど、握った手だけは意地でも離してやらなかった。 「な、んで、、おるん、、、?」 「ごめん、、勝手に入った。。」 布団を剥ごうとしたら、結構な力で阻止される。 「や、だ・・・・」 「もう、、のっちの顔も見たくない?」 「ちが、っ、、」 布団の中でゆかちゃんが震えている。 「だっ、て、、ゆか、、すっぴんだし、、」 「ゆかちゃんのすっぴんなんて何度も見とるって」 あの時、みたいに震えてる。 「汗いっぱいかいた、、、」 「かんけーない」 昨日、わたしを押し倒しながら涙を流した時みたいに。 昨日、全てを拒絶しながら雨の中に消えて行った時みたいに。 「汚いよ、、ゆかは、、汚れてるんよ、、」 きっと、それは、彼女の精一杯の自己制御。 本当の気持ちに素直になれない彼女の自己制御。 「だからっ、、のっちに触れる資格なんて」 「のっちは・・・!」 彼女の言葉を遮って、更に握る手に強く力を込めた。 そのまま、彼女の右手を引き寄せて自分の頬に触れさせた。 頬に触れさせた瞬間、大きくビクついた彼女の右手。 だけど、そのうちに躊躇いながらも、優しく頬を撫でてくれた。 「、、どんなゆかちゃんでも、すき」 ねぇ、ゆかちゃん。 ゆかちゃんが汚れてるっていうのなら、のっちだって一緒に汚れるよ。 「ゆかちゃんが、ゆかちゃんでいるだけでいいんよ」 自分を傷つけるくらいなら、わたしを傷つければいい。 どんなに傷つけられたって、わたしが君を大切にする。 「ゆかちゃんじゃなきゃ、ダメなんよ」 逃げたくなったら、逃げればいい。 君が寂しさを感じたら、いつでも迎えに行ってあげる。 「樫野有香の全部がすき」 笑いたくない時に、笑わなくていい。泣きたい時は泣けばいい。 無邪気に笑う顔も、ぐしゃぐしゃな泣き顔も全部見てたいんだ。 「だから、そんなこと、言わんでよ。。」 だから、どうか、 わたしを君の隣に置いておいて。 君に触れさせて。 君を愛させて。 わたしを愛して。 「ねぇ、ゆかちゃん、、そのままでいいからさ、聞いて?」 わずかに布団から見える黒い髪を撫でて、握った右手の甲に小さくキスを落とした。 「ゆかちゃん、あの写真ね、、、」 君の不安の引き金を引いたあの写真。 「のっち、あの時ゆかちゃんのこと考えてたんよ」 あの人がわたしを撮った唯一の写真。
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一軒の家に辿り着いた。 道路を少しそれた空き地で、塀はない。家に灯りは見られず道の街灯がわずかにその様子を照らし出している。トタン屋根をかぶった板張りの2階建てで、雨戸は全て閉じられ所々板が剥れかけ、幽霊でも住んでいそうな雰囲気だ。玄関は曇りガラスの引き戸のもので、戸の上のひさしに大きな蜘蛛の巣が張られている。暗くてよく見えないが家の周りには自転車の部品やバケツなどのガラクタが無数に散らばっているようだ。隣りに鳥小屋のようなものがあったけど、中に何かいるという気配はない。空気がずんと重たいような気がする。 猫は玄関の前でにゃあと一つ鳴いた。僕は少し怖かったけど、不思議なものを見る気持ちで猫の後ろに突っ立っていた。 何秒かの静寂のあと、引き戸がいきなりガラッと開き、僕の心臓は跳ね上がった。そして中にいたのは同じクラスの藤島だった。僕は新たに驚き、あっ、と小さく声を漏らし、同時に少しほっとした。藤島も意外そうな顔をした。猫は一つ鳴いて僕らを置いたまま家の中に入って行った。 こんばんは、と向こうが言ってきた。こんばんは、と口ごもりながら返した。 「牧野くん、こんな時間にどうしたの?」 と藤島は言った。 「いや、ちょっと」 僕は曖昧に返事をした。 「用事?」 「いや、違うけど、たまたまっていうか」 走って逃げたい気がしたけど、タイミングが上手くつかめない。 2人の間に沈黙が漂った。その内に藤島が口を開いた。 「あのさ、上がっていけば?……よかったら」 緊張がこちらにまで伝わってきて、さっきよりも硬い沈黙が僕らを包む。どうしてそんなことを言うのか分からなかった。僕は何も言わずに走っていってしまおうかと考え始めた。 「ごめん、嫌ならいいの」 と藤島は言った。本当に悪いことを言ってしまったというように聞こえた。 ――嫌じゃないけど、帰らなきゃだから。 そう言い訳しようと考えたけど、すぐに止めた。僕はごめんと言って振り返り、やってきた道へと走り出した。 さっき、酔っ払った父親に説教をされ、塾をすすめられ、それで僕は家出をした。 説教の内容は進路についてだ。「お前はどこの高校に行くつもりなんだ」と聞かれ、「決まってない」と答えたら「早く決めろ。第一お前は何をするのにも遅すぎる」と始まった。 僕は将来のことなんてほとんど何も決めていない。多分高校に行くんだろうなとは思っていたけど、分かるのはそれくらいまでだった。僕はまだ二年生だし、今は夏だ。時間は十分にあると考えていた。それに、もしぎりぎりまで決まらなくても、きっとどうにかなると思っていた。 父親は1時間も説教をした。僕は箸や茶碗や爪楊枝をいじくりながらそれを聞いていた。最後に父親は「塾に行かせよう」と言った。いつか僕の隣りに座っていた母親も「そうね。じゃあ探さなきゃね」なんて言っていた。 説教はそんな風に終わり、そのあと僕は財布を持って家を出た。面倒臭かったのだ。自分自身の将来が。僕はきっとこれから塾に通うことになるか、それとも家で勉強するかして高校に入るだろう。それから大学へ行くか就職するかをまた悩むのかもしれない。きっと今よりもずっと深刻に。そういったぼんやりとした未来が、頑丈な細い縄となり僕をきつく縛り上げているようだった。縄はきりきりと食い込み僕の自由を奪っていった。そして僕はその縄を解く方法を知らなかった。 あるいは、単に塾に行きたくなかったからだし、説教にむかついてもいたからだ。消極的だけど、夏休みに入って学校がないというのも大きな理由のひとつだった。でも、もうどうでもいいやと僕は思った。もう家は出てしまい、少なくとも当分の間は帰らないつもりだ。解放感を味わおう。 しかし僕は30分後には公園のベンチに座ってぼんやりと空を眺めていた。自分がどこへ行きたいのか、どこへ行くべきなのかが分からなかった。どこへでも行けるのに行きたい場所がない。それは何よりもつまらなく不安なことだ。縄が深く食い込むのを感じた。 公園はそんなに大きくないけど、年寄りや若いカップルたちがけっこういて、それぞれ話しをするか夕焼けの終わりを眺めるかしていた。僕と同じくらいの年頃のグループもいて、周りの目を気にせず大声で騒ぎ笑い合っていた。僕はうらやましく思いながら空を見た。 そのとき、にゃあと細く高い鳴き声がした。見ると小さくて真っ白な猫が僕の前にいた。それは箱から出したばかりのガーゼみたいに清潔な白で、オレンジ色の景色の中で浮き上がって見えた。猫は前脚を立てて座り、細長いしっぽで地面をなでながら僕の方を見ていた。子猫特有の円い大きな瞳で、じっと見つめていた。 数秒間観察したあと、猫は立ってくるりと振り返り歩き出してしまった。僕は少し残念な気持ちで見ていた。しかし猫はそのまま立ち去らずに、首だけ振り向きにゃあと鳴いた。そしてまた歩き出す。まるで僕を誘っているようだった。猫が何度かそれを繰り返したあと、僕はその誘いに乗ることにした。誘いを受けるのはうれしかったし、このまま座っているよりはどこかへ向かって歩く方がよっぽど気が楽だった。
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470デイバス開放まであと二週間となったある日、僕のパートナーとなるガーディアンズ隊員との初顔合わせの日となりました。 僕は大分なじんだGH-101の姿で、コロニーのガーディアンズ専用区画内を、教官に連れられて移動しています。 きょろきょろしながら移動していた僕が、 「この前の場所と、造りが少し違うんですね…Gコロニー居住区内部も場所によって差があるのかぁ」 そう言った瞬間、 ガスッ! 「いたたた…」 あちこちに気をとられて余所見をしていたせいで、左右に分かれるT字路をまっすぐ進んでしまい、通路の壁に激突してしまいました。 「おいおい、大丈夫か?」 「だ、大丈夫です」 ちょっとふらつきながらも、先を歩く教官の後を追いかけます。 「物珍しい所があるかもしれんが、もうちょっと気をつけて移動しろよ? これからは、ここがおまえの暮らす場所になるんだから」 「は、はい」 「ま、内心不安なのは仕方ないさ。 ――今度こそ、ちゃんとしたパートナーだといいな」 教官はわざわざ足を止め、僕を優しく撫でながらそう言ってくれました。 不安を押し殺すためにきょろきょろしていたのですが、それを教官に気づかれていだようです。 「はい…」 「行くぞ」 再び歩き出す教官を追いかける様について行きながら、僕は小さくため息をつきました。 実は、今までに僕のモニターとして当選した方は既に数名いましたが、その誰からもちゃんとした扱いをされることなく、僕はGRMに出戻っています。 今回で五度目の『初顔合わせ』ですが、上手くいかなければ、また出戻ることになります。 そうなれば、再び調整を受け、新たに選ばれた主人候補に引き合わされるでしょう。 出戻る度に思い知らされます。 僕達パートナー・マシナリーがただの『物』でしかないという事実に。 ………憂鬱になってきましたが、嫌なことを思い返して、自分から落ち込む必要は無いですね。 「そういえば、今度の僕のパートナーって、どんな方ですか?」 気分を変えたかったという意味もありますが、気になっていた事でもあるので、教官に質問してみました。 盛大な間が空いて、教官は大きくため息をつきました。 「女性ニューマンなんだが、素行不良の問題隊員でね。 正直言って、お前のモニターに応募している事そのものが、俺には不思議なんだが…」 足を止め、少し考え込む教官。 素行不良の女性ニューマンって、一体どんなヒトなんだろう? というか、モニター募集に応募したこと自体が不思議って… ま、とにかく、当人に聞いてみれば済むことですね。 「それで、その方の部屋は…」 「ん?ああ、この部屋だ」 すぐ側にあるドアを親指で指し、教官はドアに向き直ります。 「ソル」 「はい?なんでしょうか」 「とりあえず、俺の後ろにいろ。俺が合図するまでは、前に出るな。いいな?」 「は、はぁ…了解です」 一体、どういう事なんでしょうか? 教官は僕を後ろに下げ、つやを抑えたグレーのドアの脇に立ち、ドアの手動開閉のスイッチを押します。 ぷしゅ~ 「はぁっ!」 部屋のドアが開いた瞬間、気合のこもった女性の声と共に、小柄な人影が教官に襲い掛かりました。 教官は軽く半身を捌いて人影を避け、同時に、殴りかかってきた右腕の手首を掴むと、脚払いをかけさせます。 すると、まるで手品のように人影は宙を舞い、軽い音を立てて床に背中から落とされました。 人影は舌打ちしつつ手を振り解いて起き上がろうとしますが、教官はその額に向けて、何時抜いたのか分からないナイトウォーカーを突きつけ、動きを封じます。 「くそっ、殺せ!殺人者ども!殺せってんだ!」 僕は教官の背中側にいるのでその姿がよく見えませんが、通路にひっくり返ったまま叫び声をあげているのは、ちょっと小柄な女性です。 「これで通算38回目の『死亡』だな」 あきれきった様子でため息をつく教官。 まばらな通行人も、またか、といった様子で肩をすくめ、通り過ぎていきます。 「お前もいい加減にするんだな。 今のお前じゃ、誰にも勝てやしないし、誰も守れやしない。 何度、俺に言わせれば気が済むんだ。 それから、今現在もガーディアンズの素行問題隊員トップ10に入りっぱなしなんだから、外での言動くらい取り繕え」 教官は淡々と言いながら、ナイトウォーカーをナノトランサーに収め、両手で彼女を起こします。 「ふん、教官面して…」 「そりゃ、俺はお前の指導教官なんだ、仕方ないだろ? ぶつくさ言ってないで、部屋に入れ。 ―――お前も入って来い」 教官は女性を部屋に押し込みながら、僕を部屋に入るように促します。 僕は促されるままベッドのある部屋まで移動して、やっと彼女をちゃんと見ることが出来ました。 標準よりもやや小柄な女性ニューマンで、赤みの強い茶色の髪、深い青色の大きな瞳が印象的ですが、何よりも、身長に見合わない大きな胸が、真っ先に視界に入ります。 「今日、俺が来た理由はこいつをお前に預ける為だ」 教官が僕を、彼女の前に連れ出します。 「470のモニターに応募しているとは知らなかったが… 今日から、こいつが新しいお前の―――」 ばしっ! 突然聞こえた、肉体同士がぶつかり合う鈍い音。 「――何故、止める。 こいつはもう、あたしの物だろ?どう扱おうが、あたしの勝手じゃない」 浮いてる僕の真横には、彼女のすらりとした脚が伸ばされ、それを手でつかんでいる教官。 一体、何をしてるんでしょうか? 「駄目だ。 モニターに応募した以上、お前はこのPMを470まで育て、レポートを提出する義務があるんだ。 こいつを破壊してみろ、今度は謹慎ぐらいじゃすまないぞ」 そこまで話を聞いて、やっと事態が飲み込めました。 どうやら僕は、彼女にいきなり蹴り飛ばされそうになっていたようです。 それも、僕を壊すことを前提として。 ヒトならば冷や汗をかくところですが、僕の場合はリアクターが不安定になって、へなへなと床に着地してしまいました。 「知らないわ、そんな事。 あたしは、パシリが壊せるなら死んだってかまやしない」 自虐的な笑みを浮かべ、僕をにらみつける彼女。 どこか虚ろでありながらその狂気にも似た眼差しに、僕は及び腰になって、転がって逃げようとしましたが、教官はそんな僕を片手一本で軽々と捕まえます。 そしてボールを扱うように、僕を指先の上でくるくると回して、最後に両手で回転を止めると彼女の正面へ突き出します。 ひぇ~、目が回るぅ…僕はボールじゃないよぉ… 「いいだろう、そこまで言うなら、こいつと戦ってみな。 お前が勝てば、俺はこいつを壊したことに関しては見ない振りをしてやるし、お前の行動をとやかく言わない。 その代わり、こいつが勝てば、お前はこいつをちゃんと育ててレポートを書かなければならないし、今後はこいつを含め、PMを破壊することもしてはいけない」 親指の爪を噛みつつ考え込んでいましたが、 「…わかった。その条件、忘れないで」 と、承諾する彼女。 「一つだけ、ハンデはつけるぞ?こいつはまだ101だからな」 「どんなハンデ?」 「俺の入れ知恵だ」 「いいわ、それなら」 どういう訳か、僕がほったらかしで話がついてしまいました。 「と、言う訳だ。あいつをぶちのめせ」 教官がやっと僕から手を離して、そう言いました。 最初、彼のその台詞は聞き間違ったものだと思い、聴覚センサーを自己診断しましたが、センサーは正常です。 「ええ~っ!今の僕でなんとかなる訳無いじゃないですか! 470の姿だったとしても、勝てるかどうか怪しいのに! 大体、僕の意見なんて何処にも無いじゃないですか!」 嫌がって大声を出した僕に、教官の冷静なつっこみが入ります。 「そうは言っても、不測の事態でも起こらない限り、何らかの評価が出るまでは、お前は帰るに帰れないだろうが」 う、それを言われちゃうと… 僕は諦めがたっぷり詰った溜め息を吐き出しました。 「分かりましたよ、やりますよ、やればいいんでしょ、やれば。 ………どう考えても、勝てそうに無いですけど」 僕は不機嫌さを声にして、教官にぶつけます。 「大丈夫だ、心配するな。いいか…ゴニョゴニョ」 教官は僕に顔を近づけると、やっと聞き取れるくらいの声でアドバイスをしてくれます。 「…、分かったか?タイミングが大事だぞ?」 「はい、何とかやってみます……」 勝負するには手狭なので、僕と彼女は、何も無い展示スペースで立ち会うことになりました。 「勝敗は、膝を突くか、倒れるか、床に落ちた場合だ。 ありえないとは思うが、死んだり破壊された場合もこれに含まれる。 ―――始め」 教官が説明の終わりと同時に出した合図に合わせ、彼女は僕に蹴りを放とうとします。 同時に僕は、彼女の間合いへ飛び込んで、そのまま彼女の頭に思いっきり体当たり! ガン!「ふぎゃ!」 金属が硬い物にぶつかった音と、彼女の奇妙な悲鳴が部屋に響きます。 「~っ、いたたた…今日はこんな事ばっかり」 おでこの硬い所に思いっきりぶつかったせいで、ちょっぴりボディが変形しましたけど、とりあえず後回し。 「く~っ、よくもやっ」 どさっ 膝が砕けたかのように、蹴りのポーズをとったまま背中から倒れる彼女。 「あ、あれ?どうして、あたし、倒れた?」 はぁ~、なんとか上手くいった。 「は~い、そこまでぇ」 気の抜けた教官の合図で、この勝負は終わりました。 「それじゃ、俺は帰る。手続きとか、ちゃんとやっとけよ、二人とも」 僕達にそういうと、振り返りもせずに、教官は部屋を出て行ってしまいました。 「……」 「……」 なんか、妙にしらけた間が空きました。 最初は教官の出て行った入り口を見ていた僕達ですが、自然と互いに目が行き、目が合ってしまいました。 そして、再び妙な間が空きます。 色々話がしたいのに、彼女にどう声をかけたものか… 教官がいなくなったら、こんなに話しづらいなんて思いませんでした。 不意に彼女が立ち上がろうとして、よろめきながらしゃがみこみました。 「急に立っちゃダメですよ、脳震盪起こしてるんですから!」 僕はあわてて彼女を支える位置に移動します。 「脳震盪…そっか、私の蹴るタイミングに合わせてバランスを崩し、脳震盪も利用した訳か。 でも、あたしにそんな隙、」 彼女の独り言なんでしょうが、僕はそれに答えます。 「十分ありましたよ」 「…素手格闘技で有段者のあたしに、隙?」 不満とも取れる困惑の表情で聞き返す彼女に、僕ははっきりと言いました。 「十分、あったんです。 教官が教えてくれたのですが、あなたの動きは非常に鋭く、素早いのですが、何処か心ここにあらずといった感じです。 僕の場合、戦闘はデータでしか知りませんが、今のあなたでは、仲間はおろか自分も死ぬ可能性が高いでしょう」 僕という支えからゆっくりと身体を離し、両目を片手で覆い隠して、くつくつと笑い出す彼女。 「やっぱり、あたしはあの時、死ぬべくして死んだんだ…」 そのまま笑いながら、彼女の頬には涙が流れ落ちて行きます。 「メム…」 今の僕は彼女を主人と呼ぶ事が出来ず、そうに呼びかけました。 「…ゴメン、少しほっといて」 よろめきながら部屋を出て行く彼女を、僕はあせって引き止めようとしましたが、そっと片手で部屋の中に押し込まれてしまいました。 「メム!ちょっ…」 ぷしゅ~、ピピピピ、がちん。 む~、ご丁寧にも鍵までかけていきました。 仕方ない、教官に連絡するしかないですね… 僕はビジフォンで連絡を入れて事の詳細を伝えると、画面の向こうで教官が盛大なため息をつきました。 『しょうがない奴だ… 分かった、ロックは解除してやるから、お前はあいつを追いかけろ。 多分、オロール展望台にいるはずだ』 「え?でも、第3形態までのパシリは、市街地を単独で…」 『そいつは建前だ。いいから、さっさと追いかけろ。 お前、あいつのパートナーになるんだろ?どんな奴なのか、自分で話を聞いて来い』 そこで唐突に通信が切れ、ドアのロックが解除されました。 まったく!自分勝手な彼女もなんですが、教官ってば、彼女のことは僕に丸投げですか!もう! 二人の態度に内心怒りながらも、僕は彼女を探しに出かけます。 教官の態度は腹立たしいですが、後から考えれば至極当然のことでした。 だって、これは僕と彼女の問題だったんですから。 ―――Gコロニー、オロール展望台――― あたしは展望台の壁に寄りかかりながら座って、強化ガラス越しに見えるニューデイズを眺めていた。 「やっぱりパシリのモニターになんて応募するんじゃなかったかな…」 思考が呟きとして漏れ、同時に溜め息がこぼれる。 陰鬱な気分に浸りながら、あたしは展望ドームをただ見上げていた。 不意に気配を感じて、あたしは座ったままながらも身構える。 僅かに間が空いて、 ぷしゅ~ 「まったく、ひどい目にあいました~」 愚痴をこぼしつつ、ふわふわと飛んで展望室に入ってきたのは、なんの変哲も無いGH-101。 すぐに周囲を見回し始めると、あたしに気づいたようだ。 「ここにいたのですか、メム」 そう言いつつ、私の方へ向かってくる。 この声、この言い回し…こいつは、教官があたしの所に連れてきた奴か。 周囲に教官の姿や気配を探してみるが…無い。 しかし、道中にSEED達がいる連絡通路をどうやって突破してきたんだ、こいつは? 「メム?具合でも悪いのですか?」 気づくと、101はあたしのすぐ側まで来て、ぷかぷかと浮かんでいた。 「…別に平気。痛っ…」 さっき、こいつが体当たりしたおでこに突然痛みが走り、反射的に手で押さえた。 「あの、その…ごめんなさい!体当たり、加減できなくて…」 どこかおどおどした様子で謝る101。 「いいよ、謝らなくて。勝負に怪我はつきものだから」 そう言いつつ、しゅんとしたこいつを、あたしは反射的に撫でてやっていた。 それにはっと気づいて、あわてて手を引っ込める。 あたし、パシリは嫌いなはずなのに、どうして… ――ううん、違う。そうじゃない。 本当は、そうに思い込もうとしてただけだって、ちゃんと分かってる。 パシリなんて『嫌い』、『憎むべき対象』、そうに思い込みたかった。 『こいつらに復讐する為にあたしは生きてる』 あたしは『あの時』からずっと、自分にそう言い聞かせ続けてきた。 そうしなければ、自分が自分でいられなかったから。 この手でパシリ達を壊し続ける事でしか、自分を保てなかったから。 こいつを、この101を撫でてやったこの手で… あたしはそんな事を考えながら、101を撫でた自分の手に視線を落とし、そして、ぎょっとした。 手にべっとりと油か何かがついている。 「あんた、どっか壊れてるんじゃない?!」 あわてて101をつかんで全体を見てみると、いくつもの小さな、けれどそこそこ深い傷跡がボディに残っていて、そこからじんわりとオイルみたいなものが滲んでいる。 「え?あははは、大した傷じゃありませんよ。 外装に傷が入って、衝撃緩和用のジェルが滲んでいるだけです。 連絡通路を通り抜けようとして、デルセバンの攻撃が避け切れなくて、少しかすっただけですから。 自己修復機能もありますし、暫くすれば勝手に直ります」 お気楽な調子で説明されて「はいそーですか」で済ませられなかったので、あたしはこいつにモノメイトを使って、傷を治してやった。 「なんでこんな怪我してまで、ここに来たの!」 あたしが思わず大声で怒鳴ると、下を向く101。 「だって、僕はあなたに用があったのに、話も聞かないで部屋からいなくなってしまったから…」 またしゅんとなってしまったこいつに、あたしはそのまま怒鳴りつける。 「あたしは、少しほっといて、って言ったわ! それなのに、どうしてついてきた訳?!」 「…」 つかんだままの私の手からするりと抜け出し、後ずさる101。 「…そうですよね、待ってれば良かったんですよね。 僕、部屋に帰ります」 しょんぼりとした雰囲気を漂わせながら、連絡通路に向かって移動し始める101に、あたしはなんだか無性に腹が立ってきた。 「待ちなさい!あんたはあたしに話があってここまで来てるのに、あんたが肝心な話を何も言わないで部屋に帰るなら、あたしはあんたをGRMに熨し付けて返すからね!」 「メム…」 「それ位の我は通しなさい!」 ビシッ!と指を突きつけ、あたしは言い切る。 すると、躊躇いながらも、101は戻ってきた。 「――それで、あたしに話って?」 ずばりと切り出すと、101はちょっと躊躇ってから、 「僕に、名前をつけてください」 と、言い出した。 「名前?」 思わず聞き返してしまったが、普通は最初に型番以外の名前なんてついていないのを思い出した。 「慣例的にそうなっていますし、それをしないと僕があなたのパートナーとして登録されないんです。 少なからず、今日中にしておかないと、僕、『また』GRMに戻ることになるんです」 「…『また』?またって、どういう事?」 一瞬、聞き間違えたかと思ったが、そうではないみたい。 俯き加減に視線を落とし、ぽつぽつと話し出した101。 「…実は、メムは五人目の当選者なんです。 今までの四人は、いろいろな事情から、当選していたにもかかわらず僕のパートナーになれなかったんです。 不正行為や不正二重登録、当選者の義務の不履行、そしてある一人は僕を売りさばこうとしました。 そして、その誰もが、僕に名前をつけてくれませんでした」 表情アイコンで顔に影が落ちた101の声は、何処か不安と悲しみに彩られていた。 それは、ちいさな玉っころの、大きな苦悩。 「そうだったの…」 自然と胸に熱いものがこみ上げてきたあたしは、そっと101の丸いボディをつかみ、ゆっくりと抱きしめた。 「あんたも辛い思いをして来たんだ」 「…え?あ、あ、あ、あ、あの、ちょっと、メム!」 突然、101がわたわたと動くので、あたしはちょっといぶかしんだ。 「何?苦しい?抱きしめるの、ちょっと強かった?」 「いえ、そ、その、胸が…」 101の頬に当たる部分に、ピンクの楕円形のアイコンが出ている所を見ると、どうやら照れてるのか、恥ずかしがってる様子。 「ぼ、僕、元々男性格の性格設定で固定されてるから、その、ちょっと、あなたの胸に押し付けられるの、恥ずかしいんです!」 「…ぷ、あはははははははは」 あたしは思わず笑い出した。 パシリがこんな事言うなんて、思っても見なかったから。 今時、小学生でも言わないような台詞に、あたしは笑いが止まらなくなった。 そして、この101を、自分の胸にぎゅっと押し付ける。 「や、止めてください!」 「止めない!あんたはあたしのパートナーなんでしょ?これから先、こんな事なら何度もやられるのに、今から恥ずかしがってどうするの?!」 あたしは笑いながら、ふと、もぞもぞ動く101に目を向けると、赤みがかった金髪の少年のイメージがダブって見えた。 まるで、太陽のようなその髪の色に、名前がひらめいた。 「決めた、あんたの名前はソル!古い言葉で『太陽』って意味がある言葉よ」 「え?!」 「あんたを見てたら、不意にそんなイメージがダブったの」 急に動くのを止め、何かにあっけにとらえた様子の101。 「何?不満なの?」 あたしが意地悪くそう言うと、101は慌てふためいた。 「ち、ちがいます、そうじゃないんです! それ、僕の開発時の識別名称と全く同じなんです! 開発コードGH-XY1、型式GH-470-X1、製造ロットPMLA01S.O.L.-X1、識別名称ソル! 僕は、そうに呼ばれていたんです!」 101が叫ぶように言い放った。 今度はあたしがあっけにとられ、101を開放した。 「偶然にしては出来すぎです!僕の識別名称をご存知だったんじゃないんですか?!」 「そ、そんなこと、ない、よ… だって、ほんとに、ぱっと、思いついたんだから… ほ、本当だからね!」 あたしはあまりの偶然にびっくりして、言葉が途切れ途切れになりながらも必死に弁明すると、本当に偶然なんだと、101も納得した様子。 「…僕は、僕は来るべくしてあなたの所に来たのかも知れない。 ―――名称登録完了、僕の名前はソルです。 ご主人様、初めまして。そして、これからよろしくお願いします」 「――よろしく、ソル。 あたしの名前は、カエデ。カエデ・タチバナ。 あたしを呼ぶ時はマスターか、カエデ、って呼んでくれると嬉しいな」 「はい、マスター」 ソルの返事は、何故かとてもうれしそうに感じられた。 それを聞いたあたしは、心の中に凝り固まった重苦しい何かが溶け、消え去っていくのを感じた。 「マスター、どうかしたのですか?」 突然、不思議そうな声色で私に問いかけるソル。 「ん?どうして?」 「さっきまでは暗い表情だったのに、今はとてもうれしそうな顔をしているから…」 あたしは知らず知らずのうちに、微笑んでいたらしい。 「そうね、嬉しいんだと思う。 今まで悩んでいた事が嘘みたいに消えちゃったから。 ―――あんたのお陰だよ?」 「え?、僕の、ですか?」 「そう、あんたのおかげ」 「…どんな事を悩んでいたんですか?」 一瞬、『あの日の出来事』が脳裏をよぎる。 でも、もう大丈夫。自分を誤魔化さずに受けとめられる。 あたしはソルを優しく撫で、微笑んでみせる。 「後で話してあげる。 ――さ、部屋に帰ってお祝いしよう!今日はあたしに家族が増えた記念日なんだから!」 あたしはソルをひっ捕まえて、連絡通路へ駆け込んでいった。 「あたし、明日から頑張るからねー!あんたも頑張るのよー!」 「ちょ、離して下さい、マスター!僕は一人でも…」 ぷしゅ~ 通路と展望室を遮る扉が閉まるのと同時に、誰もいないはずの展望室に小さないため息が響く。 「やれやれ…(ピポッ)父様、ソルくんは無事に登録されました」 父様に連絡を入れると、ほっとした感じの声が返ってきました。 『そうか、ご苦労さん。 二人とも、早く帰ってこい。今日はもう店じまいだ』 「はい、分かりました(ビュゥン)」 私は父様との通信を切り、押し殺した気配を開放して、フォトンミラージュの迷彩を解除しました。 「やっと、ちゃんとした主人にめぐり合えたようね、ソルくん」 「そうね」 私の隣ではガーネッタが、肩の荷が下りてせいせいしたという感じで、帰り支度を始めていました。 「ねぇ、ガーネッタ」 「何?」 「カエデの村の事、憶えてる?」 「…うん」 ガーネッタの手が止まり、苦悶の表情を抑えているのか、眉間に小さくしわがよっていた。 「あたし達がもう少し早ければ、あんな事には…」 「でも、間に合わなかった」 私達はあの時の事を思い返し、押し黙ってしまいました。 「――――もう、過ぎた事よ。過去は変えられない…」 沈黙を破って吐き出すように言い、言葉尻を濁すガーネッタ。 「そうね… ―――私達、彼女に話せる時が来るのかしら。私達が、彼女の故郷を殺処分したという事実を。その真相を…」 私はふと、ナノトランサーから汚れた一組のイヤリングを取り出し、それをじっと見つめます。 本当は眩い銀色の光を放つはずのそれは、赤黒いもので染め上げられていました。 「すべての運命は星霊のお導き。 語る必要があるなら、いずれその機会はやってくる。それが必然なら。 ―――帰りましょう、今日の私達の役目は終わったのだから」 私達は、ドームの強化ガラス越しに輝くニューデイズをじっと見つめ、それから立ち去りました。 あの惑星で同じ過ちが繰り返されない事を願いながら。 ―――おわり―――
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ボクと彼女の研修日誌 ノベル 1,980円(税込)716MB 大人の扉を開く恋、始まります。 研修医とナースとの病院ラブストーリー。 手軽に美少女ゲームが楽しめる「プレカノ」シリーズ。 ヒロインと二人きりの特別な空間、愛くるしい彼女との特別なひとときをお楽しみください! 夢だった医者になるための第一歩。 研修医として病院に赴任したその日、主人公はナースとなった幼馴染と数年ぶりに再会する。 病院では先輩になる彼女に細かいことを教わりつつ、忙しい研修の日々を過ごす主人公。 そんなある日、主人公は彼女をかばって階段から転落してしまう。 右腕と左足を骨折し、研修を一時中断して入院生活を余儀なくされてしまうはめに。 入院したのはその彼女がいる病棟。 骨折してベッドに横たわる主人公を見て、彼女は責任を感じたように落ち込んだ様子を見せる。 そんな彼女を励ますため、主人公は提案をすることにした。 「空いているときだけで良いから、俺の面倒を見てくれると嬉しい──」 「やるっ!」 かくして、ナースの職分を超えて主人公の世話をし始める彼女──赤木澪。 研修医であるボクと彼女の織りなす、病院ラブストーリー。 メーカー エンターグラム 配信日 2019年8月29日 対応ハード Nintendo Switch セーブデータお預かり対応 対応コントローラー Nintendo Switch Proコントローラー タッチスクリーン プレイモード TVモード, テーブルモード, 携帯モード プレイ人数× 1 対応言語 日本語 レーティング CERO D セクシャル 2019年10月3日 23 59 まで割引価格でお買い求めいただけます。 ボクと彼女の研修日誌終わった となりに彼女のいる幸せよりエロ濃度かなり高かくて良かったわw -- 名無しさん (2020-06-28 15 00 26) 名前 コメント
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05月 2012年 KLEIN 792 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/02(水) 09 28 14.21 ID O8zCHhHD0 霧島 伊澄@ととの 体験版したけど、なんじゃこりゃ・・・ 性格破綻しすぎ 伊澄が買い物に行きたいと思ったから主人公を誘うって流れならわかるのだが 伊澄は主人公に対して買い物の約束を破ったと罵るところから始まる。 主人公が約束していないと宣言しても、私が思ったから約束は成り立つと 本気で思っているジャイアニズム あまつさえ、約束を破った罰(冤罪)をなすりつけてくる始末 絵はいいのになぁ・・・とりあえず小学校から友達の皐月はよさげだ 793 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 00 01 00.34 ID tK9oXWM70 非常に同感 キャラ紹介に「性別を超えた親友」と書かれてるのがとても信じられない あれでキャラ紹介にあった性格だと思ってるのならライターの頭の中を疑いたくなるレベル 俺はキャラ紹介見た時点では少し期待してたが、万年地雷メーカーKLEINの名前を 見た途端期待は雲散霧消した 794 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 00 37 34.55 ID +H7EmqTW0 リレイブの所かよw そりゃ駄目だわ 795 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 00 46 23.25 ID Sd/wGUjh0 ちょっとキャラ紹介見てきた 「周囲公認のただの友人」 「普段の行動は強引だが、自分の感情に素直なだけで一切の悪気はない」 前者はヒロインとして魅せる気あるの?と疑問符が湧き 後者はなんか地雷原臭抜群な感じ 796 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 02 00 31.91 ID 3fjz9Q950 体験版やろうかと思ったが、わざわざ悪評のものやることはないかと思い直してダウンロードやめた。 他人が悪評つけたからといって自分もそうなるとは限らないんだが……このスレの場合は信頼性高いしなぁw 797 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 02 06 13.63 ID 121EGWGU0 性別を越えた親友とか言われると、莉都を思い出すな 出来は雲泥の差なんだろうけど、心惹かれるフレーズだ 798 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 02 29 44.63 ID Ydr4ZsvG0 悪気はないで許されるなら世の大半の犯罪者は許されるよね 799 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 04 06 44.25 ID 3fjz9Q950 実際、減刑はされるけどな。 800 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 08 38 34.08 ID 2C8ZwDw50 実際、紹介見たとき思い出したのが莉都だったな 雲泥の差というか今回のやつがダメダメ過ぎるだけな気も 「性別を超えた親友」以前に、そもそも友人関係にあるように見えるのかと目を疑いたくなる 801 :名無したちの午後 [sage] :2012/05/03(木) 09 00 18.72 ID HIP2OWuz0 伊澄は言動行動がひどすぎた 簡単にいえば精神年齢が10歳以下の悪ガキレベルだ ※説得とか話し合いが通じないと言う意味で
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「けど、ゆかちゃん、、、きっと、のっちのこと待っとるよ」 あ〜ちゃんの言葉が胸に突き刺さる。 「そんな簡単に諦められる関係なん?」 そんなの、、出来るわけなんてないよ。 出来るわけないよ。 今更、彼女を失えるわけがない。 時々見せるひどく幼い顔も。 眠くなると一段と甘くなる声も。 本当はすごく泣き虫な彼女を。 過去のものになんて出来るわけがない。 「その程度の覚悟しかないん?」 覚悟、ならしてる、って思ってた。 ゆかちゃんを守りたい、って。 ゆかちゃんのためなら、何でもできるって思ってたよ。。 完璧主義だけど不安定。 クールだけど負けず嫌いで意地っ張り。 たくさんの矛盾を抱えている彼女。 そうだ。 いつだって、その矛盾の間に彼女はいた。 「失ってからじゃ、遅いんよ?」 世話焼きなのは、誰よりも空気を読んでいつも周りを気にしてるから。 独り言が多いのは、自分の存在や価値を認めて欲しいから。 不安は伝染すると言う。 だとしたら、先に不安を抱いたのはどっち? どうして、泣いてた君を抱き留めてあげられなかったんだろう。 どうして、飛び出して行く君をちゃんと捕まえてあげられなかったんだろう。 迷ってたのは、 躊躇ってたのは、 怖がってたのは、 わたしだ。 「ゆかちゃんが好き?」 目頭がじわじわ熱くなるのを感じながら、何度も大きく頷いた。 涙を零すにはまだ早いのに、あ〜ちゃんが優しく頭を撫でるものだから、こらえきれなかった涙がボロボロと頬を伝っていく。 「もう、ほんまに手のかかる子じゃねぇ」 ふわりと、花の香りがしたと思ったら、あ〜ちゃんの腕に抱きしめられていた。 ゆかちゃんとは違った温もりと柔らかさ。 あやすように頭をポンポンを軽く叩くリズムが心地いい。 「あ〜ちゃ、、ぁりがと、、、」 搾り出した声はひどく掠れていた。 「ふふふ。こうしとると、のっち、、犬みたいじゃ」 「ふぇ・・・・ちょw犬ってw」 突然の例えに思わず顔を上げると、あ〜ちゃんのしたり顔。 「やっと、笑った」 ああ、やっぱり、この人には適わないな。 なんて、いつも通りの無条件降伏。 「はよ、行ってあげんさい」 お得意のどや顔のまま、肩を叩いてくれた。 真っ直ぐな彼女の瞳を見つめながら、唇を噛み締めて、一度だけ大きく頷く。 走り出した。 忙しく人が行き来する通路を走り抜ける。 ねぇ、ゆかちゃん。 今更のっちがゆかちゃんにしてあげられることなんて、一つだってあるのかな? のっち、アホだから、考えてもよう分からんのよ。 考えても分からんから、教えてよ。 アホなりにさ、ちゃんと気持ち伝えるから。 スタジオを出てすぐタクシーを拾う。 もたもた乗り込む時間すら惜しい。 ねぇ、ゆかちゃん。 まだ間に合いますか? まだ君の心にわたしの居場所はありますか? 「どちらまで?」 告げた行き先はもちろん、、
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彼女の秘密と彼女の力と◆UcWYlNNFZY 「はぁ……はぁ……頑張ろう伊波さん」 「う、うん……新庄さん」 深い深い森の中、長い黒髪の少女と短い茶髪の少女が懸命に坂道を走っていた。 二人の名は新庄運切と井波まひる。 彼女達はカズマから逃がしてくれたメカポッポの為に休む間も無く唯走っている、ひたすらに。 自分達を信じてくれた唯の機械、でも優しい心持つメカポッポの為に。 そして、メカポッポを信じきる為に、彼の信頼を裏切らない為にも。 二人は何度途中で助けに行こうと思ったか。 でもそれは信頼を裏切る事。 だから、二人をそれを選ばず体力の続く限り走っていた。 (私は……) そんな中、まひるは走りながら一人沈んでいた。 自分の手を引いて走っている新庄の背を見つめながら。 思うのは自身の事。 (私……何が出来るんだろ……) 無力、そう思ってしまって。 この殺し合いにはカズマみたいな不思議な力を持つ様な人達が沢山居る。 そんな中でまひるは何も力を持っていない。 いや、男の子を問答無用で全力で殴るという癖があるが些細なものだ、きっと。 兎も角、まひるはそんな不思議な力を持つ人達が居る中で自身の無力さをかみ締めていた。 (でも……諦めない。だけど……私は生き残る為に何をすればいいんだろう……) それでも、まひるは諦めない。 生きる事を、日常に帰る事を。 それが、最初に出会った中年の小父さんとの約束なのだから。 絶対にまひるは歩みを止めない、とめるわけにはいかない。 だけど自身が生きる為にはこの殺し合いでまひるは何をすればいいか。 幾ら自身に問うも答えは返ってこない。 当然だ。 まひるは普通……ちょっと変だけどそれでも普通の女の子なのだから。 普通に学校に言って。 普通にバイトをして。 普通に恋をして。 普通に男をぶん殴って……普通? ……兎も角そんな代わり映えのしない何時もの日々を送っていたまひる。 そんな彼女が突然に非日常の殺し合いで何かの役割を見つけようとしても……簡単にできる事ではない。 いきなり、自身の役割を見つけろといわれても無理なものだ。 そんな事も露知らずまひるは自身の役割を未だに探し続けていた。 見つかるわけもなく心のモヤモヤは波のように広がっていくだけ。 考えれば考えるほど見つからない。 (あ~~~も~~~~~!!) まひるはクシャクシャと空いている左手で短めの髪を掻く。 有体に言えば焦っていた。 いつまでも見つからない答えに。 あせる必要性など無いのに唯焦っていた。 メカポッポが体を張って頑張ってくれたのに。 何も見つからない自分が恥ずかしくて。 悔しかった。 それだけを考えていたせいかも知れない。 「あっ!?……きゃあ!?」 周りが見えておらず足元にあった大きな木の根にまひるが気付かなかったのかは。 そのまままひるは気づかず木の根に足を取られ前のめりになってしまう。 そして前に居るのは新庄。 「新庄さ……きゃあ!?」 「え?……きゃああ!?」 まひるが注意する間も無く新庄を巻き込んでしまった。 そして新庄達が走っていたのは坂道である。 しかもかなり急な下り道。 つまり 「「きゃああああああああああああ!?」」 そのまま二人は一緒になって転がり下っていく。 それもかなりの速さで。 二人はなす術も無く転がっていき止るのを唯待っていた。 そしてゆっくりと減速していき平らの道で二人は止まった。 しかし未だに二人は目が回って思考が定まらない。 「し、新庄さーん……御免なさーい……」 「ふぇぇ……な、何があったのー?」 新庄は痛む頭を摩ろうと手を動かそうとするが動かない。 何事かと目を明けた先ににあったのは青と白の縞々。 新庄が混乱し始めた時、 「新庄さーん……私、新庄さんの下になってる……」 股間から聞こえてくるまひるの声。 よく考えると体に当たる感触がとても柔らかい。 どうやら転がっている間に何時の間にか新庄がまひるを覆い被さる状態になってしまったらしいのだ。 新庄が上でまひるが下。 そして、体勢は新庄の足の方向にまひるの顔と手があり、またまひるの足の方向に新庄の顔と手が。 ……何だかとてもいやらしい体形になっているようだ。 新庄がそう思いこの縞々の謎に思いつく。 (つまりこれは……縞パ……) そう思い当たり新庄は閉口する。 何だかとっても気まずい。 すごーく気まずい。 そう新庄は思い焦る。 焦る。 とりあえず新庄が今すべき事。 「とりあえず……体を……ど、どけるね……」 「う、うん」 体をどける。 この体勢は凄く不味い。 そう思い起き上がろうとするも 「あれ……なんか体が絡まって……?……あれれ?」 何か足や手がまひるの体が絡まっている様で上手くいかない。 「ひゃぅ!? 新庄さん……そこは……あぅ」 「え!?……あ、御免!?」 「あっ……ひゃ」 「えぇえぇえ?!……なんで嬌声?!」 新庄が体を動かす度に何故か嬌声を上げるまひるに焦りが増していく。 何としても早く退けようそう考えるだけで頭が一杯になっていた新庄はある事に気付かなかった。 ほんの数時間前まで神経をすり減らすまで考えていた事。 それを今、何故か広がっている桃色空間を何とかする事だけに思考をめぐらせたが故に。 その瞬間まで新庄は気づかなかった。 そう 「ど、どうしよう…………あっ」 性別が入れ替わる瞬間を。 女の子から男の子の体に変ることを。 忘れていたのだ。 体が霧のようなものに包まれてそして変わる。 (ああっ!?……ど、ど、どうしよう!?!?) 男の子に。 あっという間に新庄は男に代わってしまった。 その瞬間、まひるは何をしていたかというと。 (な、なんでこんなことに……ひゃん……) 唯、何か不思議な感覚にビックリし目を瞑っていた。 局部には何か新庄の息が吹きかかってくるし。 新庄の豊満の胸が体に当たってくるし。 新庄の手は何処か敏感な所に当たってくるしでまひるはただ驚いていた。 なんか顔が真っ赤になっていた時。 まひるの体にあたる新庄の体の感触が変わり始めていた。 羨ましいぐらいの豊満の胸の感触は無く。 そして顔の近くにあった新庄の局部からなんとも言い表しがたい感触が。 「………………………………え?」 まひるは思わず声を出してしまう。 何か存在してはいけない何かが新庄についている。 女の子には無いもの。 まひるは見たこともないが……何となく解ってしまった。 それは男の子に分類される者が持っているもの。 でもまひるは新庄が女の子だとさっきまで思っていた。 羨ましいぐらいの胸と先ほどまでこの感触は無かったのだから。 なのに唐突にこの男の子っぽいものを感じた。 まひるは考えて……そして思いついた言葉を言う。 何も無い本心から、思ったことを。 「えっと、新庄さんって」 「……う、うん」 なんともいえない静かな時間が流れて。 そして。 「………………………………………………両性類?」 「………………………………漢字はそれっぽいけど意味は全然違うよ…………」 余りにも素直なまひるの感想。 新庄は大きな溜め息をつきながらそれを否定する。 両方の性別を持っていることは確かなのだが『両性類』とは流石に言われたくなかった。 心の、心の底から。 しかも、もともとの両生類の意味と全然違うのだから。 しかし、つまりそれは…… 「じゃあ………………………………………………男の子?」 新庄が男の子であることの証明でもあり。 それに新庄はごまかすことが出来ずにいた。 何故なら新庄の局部のアレがまひるの顔に当たっていたのだから。 「………………………………………………う、うん…………今は…………そう」 肯定。 続くのは妙な間。 静かに時は流れて。 聞こえるのは葉っぱが擦れる音だけ。 そして 「きゃあああ!!」 まひるの悲鳴。 上に乗っていた新庄を凄まじい力で突き飛ばす。 沸き上がる嫌悪感から。 新庄はなす術も無くまひるの上から跳ね飛ばされた。 新庄はそして 「……え、えーと…………………………………………やっぱり……………………殴るんですか?」 その時一迅の風が吹いて。 「ええ、御免なさいっ! やっぱり殴るわ!!」 ストレート一閃。 「ひゃん!?」 綺麗に新庄の顎にヒットして。 「はぅ!?」 続いてアッパー。 「あぅ!?」 ジャブ。 最後に 「いやーーーーーー!! 男ーーーーーーー!!!!!」 「うぐぅ!?」 右ストレートが顔面に。 その鮮烈で強烈な一撃を食らった新庄は 「御免ね……伊波さん……ボク……隠していて」 静かに地に伏せた。 予想以上の威力に驚きながら。 言わなかったことに後悔しながら。 やすらかに倒れたのだった。 その様子にまひるは我に返り 「あ……私……そんなつもりじゃ……御免……御免なさい!」 ジワッと涙を溜めて居た堪れなくなり走り去り近くの茂みに身を隠した。 殴ってしまった後悔に苛まれながら。 新庄はそれを見送ることしかできずその背を見ていただけ。 動こうにもダメージ大きく中々立ち上がることが出来ない。 その時、女の子を泣かすなど新庄君も中々悪いとあの声が。 (いや……それ今ボクにかける言葉……?) 何故か聞こえてきた佐山の声に突っ込みを入れつつ思う。 隠していた事。 もし、もっと早く話しておけばまひるを悲しませることは無かったんだろうかと。。 苦しませることが無かったんだろうか。 そう、自問するも答えは一向に返ってこない。 間違ったのだろうかと新庄は一人後悔し。 そして。 静かに。 静かに。 目を閉じた。 【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確認】 「…………いや、死んでないから」 あ、生きてた。 【新庄・運切@終わりのクロニクル 生存確認】 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「私……何やってるんだろう……」 まひるは深い茂みの中、体育座りしながら落ち込んでいた。 原因は新庄を殴ってしまったこと。 何故、新庄が男になったかは解らない。 でも、何も言わず殴ってしまった。 癖とはいっても何発も。 しかも何も言わず逃げ出してしまった。 もっとしっかり謝らないといけないのに。 (あぁ……もう……私……駄目駄目だ……) 生き残ろうと何が出来るかを考え始めた途端この騒ぎだ。 結局、自分は何もできはしない。 そう思いまひるはどんどん自己嫌悪に陥っていく。 頭をポカポカと叩きどんどん落ち込んでいく。 負の連鎖が広がりどんどん哀しくなっていく。 思うのは (小鳥遊君……あいたい) 想っている人の事。 唯、会いたかった。 会って何もする訳ではないけど会えばきっと落ち着く。 そう思って。 哀しみだけが広がることは無いと思って。 唯、そう想い続けていた。 そんな時 「伊波さん!」 茂みの向こう側から新庄の声が。 殴られたダメージから回復し急いでまひるの元にやってきたのだ。 このまま何も知らないままなんて新庄は絶対いやだったから。 「あの……ボクの話聞いてもらえる?……隠していてそんな事言う立場じゃないけど……」 「うん、聞くよ」 新庄の問いに即答するまひる。 まひるもこのままなんて絶対嫌だったから。 だから茂み越しに話を聞く準備をした。 「えっと信じてもらえないかもだけど……ボクは性別が入れ替わるんだ」 「……え?」 「午前5時半から6時までに男に、また午後5時半から6時まで女に代わる……そんな性質なんだ」 「……そうなんだ……」 「でも精神、人格は『ボク』固有のもの。変わるのは体だけ。精神自身の性別は……答えられないけど」 「そう……」 新庄が体の秘密を明かす。 真実を教える度にまひるの応答の声が弱くなっていく。 当然かもしれない。 そんな事いっても急に信じられる訳ないから。 元々男の子でしたと想われるのが関の山だ。 ある意味常識外れた事、まひるが信じられるわけが無い。 そう結論付けて、でもそれでもこれだけは言いたかった。 「これが隠してた秘密……隠してて御免ね。信じてもらえる訳無いけど……御免ね」 唯、秘密を隠していた事。 これだけは謝りたかった。 その時だった。 「信じるよ、私」 信じるという力強い言葉が返ってきたのは。 それがまひるが下した結論。 凛とした意志の篭った言葉。 「凄い不思議な感じだけど……でも私は新庄さんがいったことを信じる」 「伊波さん……」 「触っちゃったしね……し、新庄さんのあ、あれ」 「う、うん……」 直接感じただけはではない。 まひるは見つけ、決めたのだ。 「ううん……新庄さんの秘密だけじゃない……私はどんな時でも信じる」 『信じる』という事を。 どんな時でも信じ、信頼をする事。 それがまひるがこの殺し合いの場所で出来る事。 何の力も持たないまひるが出来る役割。 仲間を信じる事。 希望を信じる事。 未来を信じる事。 最後まで絶対に諦めずに信じ抜く事。 それを助けって貰った中年の小父さん、メカポッポから教えてもらったたった一つのこと。 でもそれはとても大きく大切なもの。 それがまひるの持つ力。 それをまひるは貫こう。 そう、思ったから。 だから、まひるはあきらめない。 最後まで。 「信じるから……新庄さんの事」 「伊波さん……ありがとう」 「ううん……こっちこそ殴って御免ね」 「ううん……仲直りしよっか」 「うん、そうしよう。新庄さん……これからもよろしく」 「うん、伊波さん……こちらこそよろしく」 そして笑い始める。 もう二人は大丈夫。 そう感じながら。 「あ、でも伊波さん男性恐怖症は……」 「そんなに近づかなきゃ大丈夫。新庄さん男の子に見えないし……多分」 「多分……!?」 「う、うん。大丈夫だよ。大丈夫」 あははーと乾いた笑いを出しながらまひるは思案し始める。 そこまで近づかなきゃ大丈夫だと思っているが不安が頭をよぎっている。 何か無いかとデイバックをあけた時、それをまひるは見つけた。 「こ、これは……!?」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 日がもう高い所まで昇り朝を告げている中、二人は手を繋いで歩いていた。 「……伊波さん。いつもこのように小鳥遊君と歩いていたんだ?」 「……ええ」 いや、新庄のが握っているのは機械の手。 別名マジックハンド。 通販で3980円である。 今ならキャンペーンでもう一本ついてきます。 (なんで都合よく入ってるのだろう……) まひるは溜め息をつきながらマジックハンドの先っぽを握っている。 いいじゃないですか、凶暴な伊波さんの為に主催者が用意したんですよと聞こえてきた小鳥遊の声を無視して。 兎も角、今あるお陰で新庄と無事歩けている。 これも小鳥遊君のお陰だろうかまひるは笑うも。 「伊波さんと小鳥遊君って面白くて不思議な関係だね」 「……ええ」 ガクッと落ち込む。 恋愛関係に発展することは有るのだろうかとまひるは思うも答えは返ってこない。 はぁと溜め息をついた瞬間、 「あっ!?」 木の根にまた足が取られてしまい目の前の新庄にぶつかる。 ちなみに新庄は今男の子である。 つまり 「きゃーーーーーー!?!?」 「あぐぅ!?」 綺麗に決まったストレート。 まひるの恋も男嫌いを治すのも。 殺し合いの場ではあっても。 未だ 前途多難であった。 【A-2/北西部/早朝(放送直前)】 【新庄・運切@終りのクロニクル】 [状態]:健康 、顔面打撲 [装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL 、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム [道具]:支給品一式 予備弾丸36発分 [思考・状況 ] 1:メカポッポの到着を待つ。 2:小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。 3:まひると行動する。 4:佐山と合流しここから脱出する 5:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。 6:人殺しはしない。 ※まひるを信用しています。 ※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません ※新庄の肉体は5:30~6:00の間にランダムのタイミングで変化します。 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。 ※本当に引き金を引けたかどうかは不明です ※カズマを危険人物だと認識しています ※何処へ行くかは次の方にお任せします。 ※まひるに秘密を話しました 【伊波まひる@WORKING!!】 [状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷 [装備]:学校の制服 [道具]:支給品一式、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS マジックハンド×2 @WORKING!! [思考・状況] 1:メカポッポの到着を待つ。 2:新庄と行動する。 3:諦めない。常に信じ抜く。 4:佐山、小鳥遊と合流する。 ※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りました ※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。 ※運命のスプーンのことは知りません。 ※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。 ※メカポッポ :参加者のある程度詳細な情報を持っています。 ※何処へ行くかは次の方にお任せします。 支給品紹介 マジックハンド @WORKING!! 小鳥遊がまひるに触れるように通販で買ったマジックハンド。 3980円。 一度まひるに破壊されるも買いなおした。 その時キャンペーンでもう一本ついてきた代物である。 時系列順で読む Back 吉良吉影は挫けない Next 炸裂―エクスプロード― 投下順で読む Back 吉良吉影は挫けない Next 炸裂―エクスプロード― Believe 新庄・運切 合言葉はラブアンドピース(前編) Believe 伊波まひる 合言葉はラブアンドピース(前編)
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『僕と彼女の記念塔』 第一章~再開~ 朝餉さんがニックネームを佐織に変えました。 黒川にゃん太 ▶ ちょっと五目やってくるw 佐織 ▶ こん^^ ೡルナೡ ▶ 猫!沙織ちゃんきたよw ೡルナೡ ▶ 【こんばんわ】(*´∀`)ノシ 佐織 ▶ にゃん太? 黒川にゃん太 ▶ ん?w 猫コ ▶ wwwwwwwwww 黒川にゃん太 ▶ なんだよ朝餉w 佐織 ▶ 久し振り^^ 佐織 ▶ 佐織だよw 猫コ ▶ かわいいw 黒川にゃん太 ▶ 佐織じゃねーw 佐織 ▶ 元気してた? 黒川にゃん太 ▶ ハァ佐織w 佐織 ▶ なぁに? 黒川にゃん太 ▶ あん時マジなぁw 黒川にゃん太 ▶ おめーかよw 佐織 ▶ あん時?? 猫コ ▶ wwwwwwwwwwwwwww 黒川にゃん太 ▶ 佐織は朝餉だよw 佐織 ▶ 違うよ~><。 黒川にゃん太 ▶ 違わないでしょw 猫コ ▶ 小技が光るwさすが朝餉w ೡルナೡ ▶ 沙織ちゃんいぢめないでよw 佐織 ▶ 佐織は佐織だよ? 黒川にゃん太 ▶ 佐織ちゃんじゃないでしょw 黒川にゃん太 ▶ いじめてないんだよルナw ೡルナೡ ▶ わかった! ೡルナೡ ▶ 照れてるのねww 黒川にゃん太 ▶ 優しく教える君は朝餉だよw 黒川にゃん太 ▶ 佐織ちゃんもうだまされないんだよw 猫コ ▶ wwwwwwwwwwwwwwwwやば。笑いが 佐織 ▶ どうしてそういうこというの・・・? 猫コ ▶ にゃんた・・ 下種 佐織 ▶ 最初は優しかったのに・・・ 黒川にゃん太 ▶ 今も優しいよw 佐織 ▶ この流れで行くと佐織がい〇ゅっぽくなる件 猫コ ▶ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 猫コ ▶ やばすwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 猫コ ▶ まじだwwwww ೡルナೡ ▶ wwwwwwww 黒川にゃん太 ▶ いじゅw 黒川にゃん太 ▶ もういいよあの子はw 佐織 ▶ にゃん太 黒川にゃん太 ▶ 結局あーきゅん狙いっしょw 猫コ ▶ いぢゅちゃはデリケートゃからw扱いが難しいw 黒川にゃん太 ▶ ん?
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今まで一人歩いてた道を君とふたりで歩く。 自然を装って繋いだ手。 本当は君に触れるたびにドキドキしてるんだよ? 「うわぁ〜満開!!めっちゃキレー!」 ドキドキを悟られないように、わざと繋いだ手をぶんぶん振ってみる。 柔らかく微笑んでくれた彼女が眩しくて、桜並木に視線を戻してしまった。 春は好き、だなぁ。 自分で買わなくったって、お店や街に溢れるカラフルな色の服を見ればワクワクするし。 春の穏やかな陽気に眠気を誘われて、転寝するのも気持ちいい。 ふと斜め下を見下すと、遠くを見つめる彼女の瞳。 何か考え込んでいる時の、真剣な眼差し。 彼女が考え事に没頭する時の、感情の消えた顔。 だけど、その無機質な美しさに目が奪われる。 「ゆ〜かちゃん」 彼女がどこか遠くに行ってしまいそうで、咄嗟に呼んだ名前。 少し声が裏返ってしまった。 「今度、お花見しようよ?パーティーなんて大袈裟なものじゃなくて、カフェでコーヒーでも買って、ぶらぶらお散歩しながら、さ」 「いいねwお花見散歩♪」 繋いだままの手がギュッと握られた。 だけど、少し笑顔がぎこちないよ、ゆかちゃん? ねぇ、ゆかちゃん。 何を迷ってるの? 何を躊躇ってるの? 何を怖がってるの? 想いを告げた。 キスをした。 一緒のベッドで手を繋いで眠りについた。 だけど、 まだお互いの熱を知らない、わたしたち。 「ね、、ゆかちゃん、、、今日、、」 もっと深く君に触れられたら、もっと君を知れる? 「泊まっていかない?」 指先の温度が上昇する。 小さく頷いてくれたゆかちゃん。 だけど、その表情は読み取れない。 ねぇ、ゆかちゃん。 君の不安をわたしに教えてよ。