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子どもの権利委員会・一般的討議勧告:HIV/AIDSが存在する世界で暮らす子ども 一般的討議勧告一覧 関連:HIV/AIDSと子どもの権利についての一般的意見3号(2003年) (第19会期、1998年) 原文:英語(PDF) 日本語訳:平野裕二 243.討議グループの勧告およびその後さまざまな問題について行なわれた全体討議に基づき、以下の勧告が委員会によってまとめられた。 (a) 各国、国際連合システムの諸プログラムおよび諸機関ならびにNGOは、HIV/AIDSに対する子どもの権利中心アプローチをとるよう奨励されるべきである。各国は、HIV/AIDSに関する国家的政策およびプログラムに子どもの権利を編入するとともに、子どもの権利の監視および調整のための国家的機構に、国家的なHIV/AIDSプログラム実施体制を含めるよう求められる。 (b) 各国は、HIV/AIDSと人権に関する国際指針を採用しかつ普及するとともに、国レベルにおける当該指針の実施を確保するべきである。国際連合システムの諸プログラムおよび機関ならびにNGOは、当該指針の普及および実施に貢献するよう求められる。 (c) HIV/AIDSに関する戦略、プログラムおよび政策の立案および実施に全面的かつ主体的に参加する子どもの権利が全面的に認められるべきである。子どもが参加でき、かつ自分たち自身の取組みに対して支援を受けられるような、支援的かつ力を発揮できるような環境を提供することが求められる。とくに、すでに実証されているピアエデュケーション戦略の有効性を認識し、かつ、このような戦略がHIV/AIDSの汎流行の影響の緩和に貢献しうることを考慮するべきである。HIV/AIDS政策の中心的目標は、自分自身を守れるように子どものエンパワーメントを図るところに置くことが求められる。 (d) 子どもが有する基本的権利としての情報へのアクセス権が、HIV/AIDS予防戦略の中心的要素として位置づけられるべきである。各国は、HIV/AIDS関連の情報(任意の検査を含む)にアクセスする子どもの権利を保障するために現行法を見直し、または新法を制定するよう求められる。 (e) 子どもを対象とした広報キャンペーンは、対象者集団の多様性を考慮に入れたうえで、しかるべき形で組み立てることが求められる。HIV/AIDSに関する情報は、社会的、文化的および経済的文脈に適合したものとされるべきであり、かつ、年齢にふさわしい媒体および普及経路を通じて提供されるべきである。対象集団の選択にあたっては、差別を経験している子どもまたは特別な保護を必要とする子どもの特別なニーズに注意を払うことが求められる。広報戦略は、態度の変革につながる有効性の観点から評価されるべきである。子どもの権利条約およびHIV/AIDS問題に関する情報(ライフスキルを教えることも含む)が学校カリキュラムに編入されるべきであり、一方、学校制度を通じて接触することのできない子どもに対してこのような情報を普及するためのさまざまな戦略を立案することが求められる。 (f) 各国ならびに国際連合システムの諸プログラムおよび諸機関が収集するHIV/AIDS関連のデータは、条約上の子どもの定義(18歳未満の者)を反映していることが求められる。HIV/AIDSに関するデータは、年齢およびジェンダーによって細分化されるべきであり、かつ困難な状況下で暮らしている子どもおよび特別な保護を必要とする子どもの状況を反映しているべきである。このような情報を、さまざまな集団の子どものニーズに対応することを目的としたプログラムおよび政策の立案にあたって参考とすることが求められる。 (g) 模範的実践に関する情報の収集および普及が、とくに肯定的成果をもたらしているHIV/AIDSへのコミュニティ基盤型アプローチに関して、いっそう進められるべきである。 (h) 母子感染ならびにとくに母乳育児のリスクおよび代替的手段について、いっそうの調査研究が実施されるべきである。 (i) HIV/AIDSに関する意識啓発を目的とした情報においては、その影響を受けている人々へのスティグマの強化につながりうる、HIV/AIDSの劇的な描き方をしないようにすることが求められる。 (j) 各国は、子どもの権利条約第2条を全面的に実施すること、とくにHIVに現に感染していることまたは感染しているとみなされることを理由とする差別を明示的に禁止し、かつ義務的検査を禁止することを目的として、現行法の見直しまたは新法の制定を進めるべきである。 (k) 女子が、ジェンダーを理由とする差別のためにHIV/AIDSとの関連でどのようにいっそうリスクの高い状況に置かれているかに対して、緊急の注意が向けられるべきである。サービス、情報およびHIV/AIDS関連プログラムへの参加へのアクセスについては女子がとくに取り組みの対象とされるべきであり、他方、特定のコミュニティを対象とする戦略を立案する際には、それぞれの状況で支配的なジェンダーに基づく役割について注意深く検討することが求められる。各国はまた、子どもの相続権および土地保有権を子どものジェンダーにかかわりなく保障する目的で、現行法の見直しまたは新法の制定を進めるべきである。 (l) HIV/AIDSへの対処を目的とする予防およびケアのための戦略においては、施設(社会福祉施設か拘禁施設かは問わない)で暮らしている子ども、路上で生活しまたは働いている子ども、性的その他の態様の搾取の被害を受けている子ども、性的その他の形態の虐待およびネグレクトの被害を受けている子ども、武力紛争に関与させられている子ども等をを含む、特別な保護を必要とする子どもに焦点が当てられるべきである。各国は、とくに、性的搾取および性的虐待から子どもを保護することならびに被害者のリハビリテーションおよび加害者の訴追を確保することを目的として、現行法の見直しまたは新法の制定を進めるよう求められる。同性愛の男子および女子は、HIV/AIDSとの関連ではとくに被害を受けやすい集団のひとつである一方で深刻な差別に直面することも多いことから、性的指向を理由とする差別に対しても特段の注意が向けられるべきである。 (m) HIV/AIDSに関するケアの定義は広くかつ包摂的に定められるべきであり、医学的治療のみならず、心理的配慮および社会的再統合の機会ならびに保護および支援(法的性質のものを含む)の提供も網羅したものでるべきである。 (n) 若者にやさしい保健サービスの提供を妨げる要因を特定し、かつ取り除くことが求められる。各国は、保健カウンセリング、ケアおよび福祉給付へのアクセスに関する最低年齢を規制する目的で、現行法の見直しまたは新法の制定を進めるべきである。思春期の子どものリプロダクティブヘルスに関する包括的政策は、情報およびサービス(性感染症または10代の妊娠の予防を目的とするものを含む)にアクセスする子どもの権利を基礎として立案することが求められる。 (o) 各国は、HIV/AIDSに関わるプライバシーおよび秘密保持についての子どもの権利(メディアが、HIV/AIDSに関する情報の普及に貢献しつつ、これらの権利を尊重するようにする必要性を含む)を具体的に認める目的で、現行法の見直しまたは新法の制定を進めるべきである。 (p) 各国、国際連合システムの諸プログラムおよび諸機関ならびにNGOは、人権に取り組む組織、子ども中心の組織およびAIDSに焦点を当てた組織が結集してHIV/AIDSに対応する方策をともに検討し、かつ子どもの権利委員会への報告において協働することを可能にする、新たなパートナーシップの可能性を模索するべきである。 更新履歴:ページ作成(2017年2月17日)。
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子どもの権利員会:総括所見:日本(子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書) 第1回(1998年)/第2回(2004年)/第3回(2010年)/第4-5回(2019年)OPAC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/JPN/CO/1 配布:一般 2010年6月11日 原文:英語(PDFファイル) 【日本語仮訳:子どもの権利条約NGOレポート連絡会議】】(注:リンクは訳者による補足である。また、原文では勧告部分が太字になっているが、ここではパラグラフ番号のみを太字とした。) 子どもの権利委員会 第54会期 2010年5月25日~6月11日 子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書第12条第1項に基づいて締約国が提出した報告書の検討 総括所見:日本 1.委員会は、2010年5月28日に開かれた第1513回会合(CRC/C/SR.1513参照)において日本の第1回報告書(CRC/C/OPSC/JPN/1)を検討し、2010年6月11日に開かれた第1541回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPSC/JPN/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、部門を横断した代表団との建設的対話に謝意を表する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2010年6月11日に採択された、条約に基づく締約国の第3回定期報告書についての総括所見(CRC/C/ JPN/CO/3)および武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPAC/JPN/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、以下の点に評価の意とともに留意する。 (a)インターネット上の出会い系サイトを通じた子どもの性的搾取と闘うため、2003年6月に出会い系サイト規制法が制定されたこと。 (b)人身取引被害者が退去強制の対象とされないことを確保するため、2005年6月に出入国管理及び難民認定法が改正されたこと。 (c)「人身取引対策行動計画2009」が策定されたこと。 (d)国連児童基金が推進する「旅行および観光における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」(2005年)に旅行・観光業界の代表が署名したこと。 II.データ データ収集 5.選択議定書違反を構成する行為に関連した検挙件数についての締約国の情報は認知しながらも、委員会は、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーの発生状況を被害児の人数の観点から明らかにしたデータ(年齢、性別、民族的集団および所在ごとに細分化されたもの)が存在しないこと、および、選択議定書が対象としている特定の分野に関する調査研究が行なわれていないことを懸念する。 6.委員会は、締約国が、議定書が対象とする犯罪に関する調査研究を実施し、かつこれらの犯罪を登録する中央データベースを設けるとともに、このようなデータが体系的に収集され、かつとくに被害者の年齢、性別、民族的集団および所在ごとに細分化されることを確保するよう勧告する。このようなデータは政策の実施状況を測定するために必要不可欠な手段だからである。また、罪種別に細分化された、訴追および有罪判決の件数に関するデータも収集されるべきである。 III.実施に関する一般的措置 立法 7.委員会は、この分野における現行法の多さにも関わらず、国内法と選択議定書の規定との調和が限定されたままであり、かつ子どもの売買が具体的罪名に含まれていないことを懸念する。 8.委員会は、締約国が、国内法を選択議定書と調和させるプロセスを引き続き進め、かつ完了させるよう勧告する。 9.委員会は、締約国に対し、議定書に掲げられた子どもの売買に関する規定を十分に実施するためには、立法において子どもの売買(この概念は人身取引に似てはいるものの同一ではない)に関わる義務が充足されていなければならないことを想起するよう求める。 国家的行動計画 10.2001年に「児童の商業的性的搾取に対する国内行動計画」が採択されたことおよび「人身取引対策行動計画」(2009年)が存在することには留意しながらも、委員会は、2つの行動計画の関係、その効果、および、これらの行動計画において選択議定書のすべての分野が対象とされているか否かに関する情報が存在しないことに留意する。 11.(a)委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (i)選択議定書のあらゆる規定を考慮しながら、これらの行動計画の実施の調和を図り、かつすべての子どもの包括的保護を確保する目的で、これらの行動計画を見直し、かつ必要な場合には改訂すること。 (ii)子どもおよび市民社会を含む関係当事者と協議しながらこれらの行動計画を実施すること。 (iii)これらの行動計画を広く普及し、かつその実施状況を監視すること。 (b)これとの関連で、締約国は、それぞれ1996年、2001年および2008年にストックホルム、横浜およびリオデジャネイロで開催された第1回、第2回および第3回子どもの〔商業的〕性的搾取に反対する世界会議で採択された、宣言および行動アジェンダならびにグローバル・コミットメントを考慮に入れるよう促される。 調整および評価 12.委員会は、選択議定書の実施および関連の活動の調整を担当する機構が存在しないことに懸念を表明する。 13.委員会は、締約国が、選択議定書の効果的実施および国と地方の公的機関間の調整の強化を確保するための十分な財源および人的資源を備えた調整機関を設置するよう勧告する。 普及および研修 14.委員会は、選択議定書の規定に関する意識啓発活動が不十分であることに、懸念とともに留意する。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)選択議定書の規定が、とくに学校カリキュラムおよびキャンペーンを含む長期的な意識啓発プログラムを通じ、とくに子ども、その家族およびコミュニティを対象として広く普及されることを確保すること。 (b)議定書第9条第2項にしたがい、議定書に掲げられた犯罪の有害な影響および被害者が利用可能な救済手段についての意識を、研修および教育キャンペーンを通じ、子どもを含む公衆の間で促進すること。 (c)選択議定書に関連する諸問題についての意識啓発活動および研修活動を支援するため、市民社会組織およびメディアとの協力を発展させること。 16.委員会は、法執行機関および矯正機関を除き、選択議定書に関する専門家の研修が不十分であることを懸念する。 17.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どもとともに活動するあらゆる専門家集団を対象とした、選択議定書の規定に関する体系的なかつジェンダーに配慮した教育および研修を強化するよう勧告する。 資源配分 18.委員会は、締約国報告書に、とくに犯罪捜査、法的援助ならびに被害者のための身体的および心理的回復措置との関係で、選択議定書を実施するための資源の配分に関する情報が記載されていないことを懸念する。 19.委員会は、締約国に対し、調整、防止、促進、保護、ケア、捜査および選択議定書が対象とする行為の抑止のため、関連の公的機関および市民社会組織に対する十分な予算配分を確保するよう奨励する。そのための手段には、議定書の規定に関わるプログラムの実施、とくに犯罪捜査、法的援助ならびに被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に使途を指定した上で人的資源および財源を配分することも含まれる。 独立の監視 20.委員会は、国レベルで選択議定書の実施を監視する独立機構が存在しないことに懸念を表明する。これとの関連で、委員会は、5つの自治体で子どもオンブズパーソンが任命されているという締約国の情報に留意するものである。しかしながら委員会は、これらのオンブズパーソンの権限および職務、その独立性および効果的活動を確保するために利用可能な財源その他の資源、ならびに、2002年の人権擁護法案に基づいて設置予定の人権委員会との関係のあり方の構想に関する情報が存在しないことを遺憾に思う。 21.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)早期に人権擁護法案を通過させ、かつ国内機関の地位に関するパリ原則(国連総会決議48/134)にしたがった国家人権委員会を設置できるようにするとともに、同委員会に対し、条約の実施を監視し、苦情を受け付けてそのフォローアップを行ない、かつ子どもの権利の組織的侵害を調査する権限を与えること。 (b)次回の報告書において、子どもオンブズパーソンに与えられた権限、職務および資源についての情報を提供すること。 (c)独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を考慮すること。 22.5つの自治体で子どもオンブズパーソンが任命されているという締約国の情報に評価の意とともに留意しながらも、委員会は、選択議定書の実施を監視する国の機構が存在しないこと、および、それ以外の自治体ではオンブズパーソンが活動していないことを懸念する。 23.委員会は、締約国が、選択議定書の実施を監視するための国レベルの機構が国内機関の地位に関するパリ原則(国連総会決議48/134)にしたがって設置されること、および、現在オンブズパーソン事務所が活動していない自治体においてオンブズパーソンが任命されることを確保するよう勧告する。 市民社会 24.委員会は、選択議定書の実施に関わるあらゆる分野で、締約国による市民社会との協力および連携の水準が低いことを遺憾に思う。 25.委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするあらゆる事柄について市民社会との連携を強化するよう奨励する。そのための手段には、選択議定書違反の被害を受けた子どもに十分なサービスを提供しようとしている非政府組織を支援すること、および、政策およびサービスの発展および監視における非政府組織の役割を促進することなどが含まれる。 IV.子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーの防止(第9条第1項および第2項) 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 26.委員会は、子どもポルノグラフィーおよび子ども買春と闘うために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、これらの犯罪が蔓延していることに鑑み、防止措置が依然として不十分であることを懸念するものである。さらに委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪をともなう組織犯罪と闘うためにとられた措置についての詳しい情報が存在しないことに留意する。 27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう奨励する。 (a)近隣諸国との連携および2国間協定等も通じ、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーを防止するための努力を強化すること。 (b)これらの犯罪を、とくに国境を越えて遂行することを容易にしている技術的進歩を考慮に入れながら、組織犯罪と闘うための行動計画の採択を検討すること。 (c)国連・国際組織犯罪防止条約(2000年)の批准を検討すること。 28.子どもポルノグラフィーの所持が必然的に子どもの性的搾取の帰結であることに鑑み、委員会は、児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第2項において児童ポルノを「特定少数の者に提供する目的で」所持することが犯罪化されているとはいえ、子どもポルノグラフィーの所持が依然として合法であることに懸念を表明する。 29.委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(c)にしたがって子どもポルノグラフィーの所持を犯罪に含めるために法律を改正するよう、強く促す。 V.子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーならびに関連する事項の禁止(第3条、第4条第2項および第3項、第5条、第6条および第7条) 現行刑事法令 30.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪が、選択議定書第2条および第3条にしたがって締約国の刑事法で全面的に網羅されていないこと、および、とくに子どもの売買の定義が定められていないことを懸念する。 31.委員会は、締約国が、刑法を改正して選択議定書第2条および第3条と全面的に一致するようにするとともに、刑法が実際に執行されること、および、不処罰を防止するために加害者を裁判にかけることを確保するよう勧告する。とくに、締約国は以下の行為を犯罪化するべきである。 (a)性的搾取、営利目的の子どもの臓器移植もしくは強制労働に子どもを従事させることを目的として、いかなる手段によるかは問わず、子どもを提供し、引き渡しまたは受け取ること、または、養子縁組に関する適用可能な国際法文書に違反し、仲介者として不適切な形で子どもの養子縁組への同意を引き出すことによる、子どもの売買。 (b)子ども買春の目的で子どもを提供し、入手し、周旋しまたは供給すること。 (c)子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売しまたは所持すること。 (d)これらのいずれかの行為の未遂および共謀またはこれらのいずれかの行為への参加。 (e)これらのいずれかの行為を広告する資料の製造および配布。 32.委員会は、出会い系サイト規制法の目的は子ども買春を容易にする出会い系サイトの利用を根絶するところにあるとはいえ、他のタイプのウェブサイトが法律で同様の規制対象とされていないことを懸念する。 33.委員会は、締約国が、あらゆるインターネット・サイトを通じた子ども買春の勧誘を禁止する目的で、出会い系サイト規制法を改正するよう勧告する。 34.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪のさまざまな要素に対応するための措置を歓迎しながらも、子ども買春の被害者が犯罪者として扱われる可能性があることを懸念する。 35.委員会は、締約国が、法律を適切な形で改正することにより、選択議定書違反の被害者であるすべての子どもが犯罪者ではなく被害者として扱われることを確保するよう勧告する。 公訴時効 36.委員会は、刑事訴訟法において、選択議定書が対象とする犯罪の一部が短い時効期間の対象とされていることに、懸念とともに留意する。これらの犯罪の性質および被害者が申告をためらうことに鑑み、委員会は、刑事訴訟法で定められた時効期間のために不処罰が生じる可能性があることを懸念する。 37.委員会は、締約国に対し、選択議定書に基づき犯罪を構成する行為についてすべての加害者が責任を問われることを確保する目的で、この〔時効に関わる〕規定の削除を検討し、またはこれに代えて時効期間の延長を検討するよう促す。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条第3項および第4項) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 刑事司法制度上の保護措置 38.委員会は、事情聴取のための別室が用意されていることおよび聴聞を非公開で行なえることを含め、刑事司法手続において子どもの被害者および証人の権利および利益を保護するためにとられている措置を歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書に基づく犯罪の被害者であって刑事手続で証人となる者が、刑事手続および司法手続全体を通じて十分な支援および援助を受けているわけではないことを懸念する。委員会はとくに、子どもが証言を要求される回数を制限するための公式な取り決めが不十分であること、および、口頭での証言に代えて録画による証言を使用することが刑事手続において認められていないことに、懸念を表明する。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)繰り返し証言するよう求められることによって子どもがさらなるトラウマを受けることがないようにするため、この分野の専門家と協議しながら、証人となる被害者の子どもに支援および援助を提供するための手続を緊急に見直すとともに、その目的のため、当該手続において口頭での証言ではなく録画による証言を活用することを検討すること。 (b)選択議定書第8条第1項および「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針」(国連経済社会理事会決議2005/20)にしたがい、18歳未満のすべての子どもを対象として、被害を受けた子どもの権利および利益を保護するための措置を、刑事訴訟法改正等も通じて強化すること。 (c)裁判官、検察官、警察官、および子どもの証人とともに活動するその他の専門家が、刑事手続および司法手続のあらゆる段階における、子どもにやさしい、被害者および証人とのやりとりに関する研修を受けることを確保すること。 回復および再統合 40.委員会は、カウンセリング・サービスの提供など締約国がこの点に関してとってきた措置にも関わらず、選択議定書に基づく犯罪の被害者を対象とした身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置が依然として不十分であることを懸念する。 41.委員会は、選択議定書第9条第3項にしたがい、とくに被害を受けた子どもに分野横断型の援助を提供することにより、かつ、適切な場合には被害者の出身国との連携および2国間協定を通じて身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置を強化するため、締約国が、使途指定による資源配分が行なわれることを確保するよう勧告する。 VII.国際的援助および協力 国際協力 42.委員会は、選択議定書で禁じられた性的その他の形態の搾取から子どもを保護することを目的とした多国間および2国間の活動およびプログラムに対し、締約国が財政的支援(バリ・プロセスへの支援および国際移住機関への財政援助を含む)を行なってきたことを称賛する。しかしながら委員会は、捜査ならびに刑事手続および犯罪人引渡手続との関係で締約国と他の関係諸国との間で結ばれている法的共助(手続のために必要な証拠の入手に関する援助を含む)についての取り決めが十分ではないことを懸念する。 43.委員会は、締約国が、選択議定書の規定に反して搾取された子どもの権利に、とくに防止措置ならびに被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進することによって対応する活動への財政的支援を継続するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、法的共助に関して定められている条約その他の取り決めにしたがい、締約国と他の国々との調整を強化するようにも勧告する。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 44.委員会は、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国会議員その他の関連の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 45.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する意識を喚起する目的で、報告書および締約国が提出した文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、公衆、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を子どもたちに周知させるよう勧告する。 日本政府のコメント 第1回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答は、委員会への提出後直ちに、英語および日本語により、インターネットを通じて公衆に提供された。したがって、日本政府はすでに必要な措置をとっている。 IX.次回報告書 46.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約に基づく第4回・第5回統合報告書(提出期限は2016年5月21日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2010年6月17日)。/パラ45に日本政府のコメントを追加(2011年10月4日)。
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子どもの権利員会:総括所見:日本(武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書) 第1回(1998年)/第2回(2004年)/第3回(2010年)/第4-5回(2019年)OPSC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/JPN/CO/3 配布:一般 2010年6月11日 原文:英語(PDFファイル) 【日本語仮訳:子どもの権利条約NGOレポート連絡会議】(注:リンクは訳者による補足である。また、原文では勧告部分が太字になっているが、ここではパラグラフ番号のみを太字とした。) 子どもの権利委員会 第54会期 2010年5月25日~6月11日 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書第8条に基づいて締約国が提出した報告書の検討 総括所見:日本 1.委員会は、2010年5月28日に開かれた第1513回会合(CRC/C/SR.1513参照)において日本の第1回報告書(CRC/C/OPAC/JPN/1)を検討し、2010年6月11日に開かれた第1541回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPAC/JPN/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、部門を横断した代表団との建設的対話に謝意を表する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2010年6月11日に採択された、条約に基づく締約国の第3回定期報告書についての総括所見(CRC/C/ JPN/CO/3)および子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/C/OPSC/JPN/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.積極的側面 4.委員会は、子どもの権利、とくに武力紛争に関与しまたはその影響を受けている子どもの権利の分野で活動している国際機関に対する、締約国の財政的貢献を歓迎する。 5.委員会は、締約国がそれぞれ以下の文書に加入しまたはこれを批准したことを称賛する。 (a)1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(2004年8月31日)。 (b)1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書II)(2004年8月31日)。 (c)国際刑事裁判所ローマ規程(2007年7月17日)。 II.実施に関する一般的措置 普及および研修 6.人権法および国際人道法の普及をともなう行事が軍隊のために開催されている旨の締約国の情報には留意しながらも、委員会は、締約国が、定期研修の一環としてまたは国際平和維持軍に参加するための準備において、自衛隊を対象として選択議定書の原則および規定に関する研修を行なっていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、徴募されまたは敵対行為において使用された可能性のある子どもとともに活動する専門家のうち一部の職種に属する者が十分な研修を受けていないこと、および、選択議定書に関する公衆一般の意識が低いことも懸念する。 7.委員会は、選択議定書第6条第2項に照らし、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)議定書の原則および規定が一般公衆および国の職員に対して広く周知されることを確保すること。 (b)軍の関係者全員が選択議定書の原則および規定に関する研修を受けることを確保すること。 (c)徴募されまたは敵対行為において使用された可能性のある子どもとともに活動するすべての関連の専門家集団、とくに教職員、医療従事者、ソーシャルワーカー、警察官、弁護士、裁判官およびジャーナリストを対象として、議定書の規定に関する意識啓発、教育および研修のための体系的プログラムを発展させること。 データ 8.委員会は、締約国が、子どもの難民(保護者がいるか否かを問わない)の人数、および、締約国の領域内にいるこのような子どものうち徴募されまたは敵対行為において使用された者の人数に関するデータを収集していないことを遺憾に思う。委員会はまた、自衛隊生徒の応募者の社会経済的背景に関する情報が存在しないことにも留意する。 9.委員会は、締約国に対し、根本的原因を明らかにしかつ防止措置を整える目的で、締約国の領域内にいる子どものうち徴募されまたは敵対行為において使用された者を特定しかつ登録するための中央データシステムを設置するよう促す。委員会はまた、締約国が、そのような慣行の被害を受けた子どもの難民および庇護希望者に関する、年齢、ジェンダーおよび出身国ごとに細分化されたデータが利用可能とされることを確保するようにも勧告する。委員会は、締約国に対し、条約に基づく次回の定期報告書において、自衛隊生徒として採用された者の社会経済的背景に関する情報を提供するよう求める。 日本政府のコメント 委員会は、締約国に対し、条約に基づく次回の定期報告において、自衛隊生徒として採用された者の社会経済的背景に関する情報を提供するよう求めている。しかし、防衛省は2009年4月に自衛隊生徒の採用を廃止しており、要請された情報を提供することはできない。 III.防止 人権教育および平和教育 10.委員会は、平和教育との関連も含め、あらゆる段階のあらゆる学校のカリキュラムで締約国が提供している具体的な人権教育についての詳しい情報が存在しないことに、懸念とともに留意する。 11.委員会は、締約国が、すべての児童生徒を対象とする人権教育およびとくに平和教育の提供を確保するとともに、これらのテーマを子どもの教育に含めることについて教職員を研修するよう勧告する。 IV.禁止および関連の事項 立法 12.委員会は、選択議定書に違反する行為を訴追する目的で児童福祉法、戸籍法および労働基準法のような法律を活用できる場合があるという締約国の情報に留意する。委員会はまた、締約国から提供された、このような行為は刑法上のさまざまな罪名で告発できる旨の情報にも留意する。しかしながら委員会は、軍隊もしくは武装集団への子どもの徴募または敵対行為における子どもの使用を明示的に犯罪化した法律が存在せず、かつ敵対行為への直接参加の定義も存在しないことを、依然として懸念する。 13.子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a)刑法を改正し、選択議定書に違反して子どもを軍隊または武装集団に徴募すること、および敵対行為において子どもを使用することを明示的に犯罪化する規定を含めること。 (b)軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定にしたがうことを確保すること。 裁判権 14.委員会は、締約国の法律に、選択議定書違反の行為に関する締約国の域外裁判権の推定について定めた規定が存在しないことに留意する。 15.委員会は、選択議定書上の犯罪を構成する行為についての域外裁判権を確立するため、締約国が国内法を再検討するよう勧告する。 V.保護、回復および再統合 身体的および心理的回復のための援助 16.委員会は、国外で徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある子ども(子どもの難民および庇護希望者を含む)を特定するためにとられた措置が不十分であること、および、そのような子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置も不十分であることを遺憾に思う。 17.委員会は、締約国が、とくに以下の措置をとることにより、日本にやってきた子どもの庇護希望者および難民のうち国外で徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある者に保護を提供するよう勧告する。 (a)子どもの難民および庇護希望者のうち徴募され、または敵対行為において使用された可能性がある者を、可能なかぎり早期に特定すること。 (b)このような子どもの状況のアセスメントを慎重に行なうとともに、選択議定書第6条第3項にしたがい、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、子どもに配慮した学際的援助を提供すること。 (c)移民担当機関内に特別訓練を受けた職員が配置されることを確保するとともに、子どもの帰還に関わる意思決定プロセスにおいて子どもの最善の利益およびノン・ルフールマンの原則が第一次的に考慮されることを確保すること。これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)、とくにパラ54~60に留意するよう勧告する。 VI.フォローアップおよび普及 18.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を、防衛省をはじめとする関連の政府省庁、国会議員その他の関連の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 19.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する意識を促進する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を、公衆一般およびとくに子どもたちが広く入手できるようにすることを勧告する。 日本政府のコメント 第1回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答は、委員会への提出後直ちに、英語および日本語により、インターネットを通じて公衆に提供された。したがって、日本政府はすでに必要な措置をとっている。 VII.次回報告書 20.第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、条約第44条にしたがい、子どもの権利条約に基づく第4回・第5回統合報告書(提出期限は2016年5月21日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2010年6月17日)。/パラ9および19に日本政府のコメントを追加(2011年10月4日)。
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全国子どものまち一覧 ☆URLはすべて新しいウインドウで開きます。 総合ナンバー 都道府県別ナンバー 都道府県名 都市名 子どものまちの名前 URL 1 1 北海道 札幌市 ミニさっぽろ http //www.mini-sapporo.com 2 2 北海道 函館市 はこだてキッズタウン https //www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014012700146/ 3 北海道 小樽市 4 3 北海道 旭川市 あさひかわキッズタウン https //www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/218/262/263/p004606.html 5 北海道 室蘭市 6 4 北海道 釧路市 くしろキッズタウン https //www.city.kushiro.lg.jp/kyouiku/kyouiku/seishonenikusei/page00015.html 7 5 北海道 帯広市 おびひろキッズタウン2018 https //www.city.obihiro.hokkaido.jp/kodomomiraibu/seishounenka/obihiro-kidstown.html 8 北海道 北見市 9 北海道 夕張市 10 北海道 岩見沢市 11 北海道 網走市 12 6 北海道 留萌市 キッズビジネスタウン http //www.sng.hokkaido-c.ed.jp/?action=cabinet_action_main_download block_id=12 room_id=17 cabinet_id=5 file_id=30 upload_id=64 13 7 北海道 苫小牧市 とまこまいキッズタウン http //www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kyoiku/seishonenikusei/kids_town.html 14 北海道 稚内市 15 北海道 美唄市 16 北海道 芦別市 17 北海道 江別市 18 北海道 赤平市 19 北海道 紋別市 20 北海道 士別市 21 北海道 名寄市 22 北海道 三笠市 23 北海道 根室市 24 北海道 千歳市 25 北海道 滝川市 26 北海道 砂川市 27 北海道 歌志内市 28 北海道 深川市 29 北海道 富良野市 30 北海道 登別市 31 北海道 恵庭市 32 北海道 伊達市 33 北海道 北広島市 34 北海道 石狩市 35 北海道 北斗市 36 北海道 当別町 37 北海道 新篠津村 38 北海道 松前町 39 北海道 福島町 40 北海道 知内町 41 北海道 木古内町 42 北海道 七飯町 43 北海道 鹿部町 44 北海道 森町 45 北海道 八雲町 46 北海道 長万部町 47 北海道 江差町 48 北海道 上ノ国町 49 北海道 厚沢部町 50 北海道 乙部町 51 北海道 奥尻町 52 北海道 今金町 53 北海道 せたな町 54 北海道 島牧村 55 北海道 寿都町 56 北海道 黒松内町 57 北海道 蘭越町 58 北海道 ニセコ町 59 北海道 真狩村 60 北海道 留寿都村 61 北海道 喜茂別町 62 北海道 京極町 63 北海道 倶知安町 64 北海道 共和町 65 北海道 岩内町 66 北海道 泊村 67 北海道 神恵内村 68 北海道 積丹町 69 北海道 古平町 70 北海道 仁木町 71 北海道 余市町 72 北海道 赤井川村 73 北海道 南幌町 74 北海道 奈井江町 75 北海道 上砂川町 76 北海道 由仁町 77 北海道 長沼町 78 北海道 栗山町 79 北海道 月形町 80 北海道 浦臼町 81 北海道 新十津川町 82 北海道 妹背牛町 83 北海道 秩父別町 84 北海道 雨竜町 85 北海道 北竜町 86 北海道 沼田町 87 北海道 鷹栖町 88 北海道 東神楽町 89 北海道 当麻町 90 北海道 比布町 91 北海道 愛別町 92 北海道 上川町 93 北海道 東川町 94 北海道 美瑛町 95 北海道 上富良野町 96 北海道 中富良野町 97 北海道 南富良野町 98 北海道 占冠村 99 北海道 和寒町 100 北海道 剣淵町 101 北海道 下川町 102 北海道 美深町 103 北海道 音威子府村 104 北海道 中川町 105 北海道 幌加内町 106 北海道 増毛町 107 北海道 小平町 108 北海道 苫前町 109 北海道 羽幌町 110 北海道 初山別村 111 北海道 遠別町 112 北海道 天塩町 113 北海道 猿払村 114 北海道 浜頓別町 115 北海道 中頓別町 116 北海道 枝幸町 117 北海道 豊富町 118 北海道 礼文町 119 北海道 利尻町 120 北海道 利尻富士町 121 北海道 幌延町 122 北海道 美幌町 123 北海道 津別町 124 北海道 斜里町 125 北海道 清里町 126 北海道 小清水町 127 北海道 訓子府町 128 北海道 置戸町 129 北海道 佐呂間町 130 北海道 遠軽町 131 北海道 湧別町 132 北海道 滝上町 133 北海道 興部町 134 北海道 西興部村 135 北海道 雄武町 136 北海道 大空町 137 北海道 豊浦町 138 北海道 壮瞥町 139 北海道 白老町 140 北海道 厚真町 141 北海道 洞爺湖町 142 北海道 安平町 143 北海道 むかわ町 144 北海道 日高町 145 北海道 平取町 146 北海道 新冠町 147 北海道 浦河町 148 北海道 様似町 149 北海道 えりも町 150 北海道 新ひだか町 151 北海道 音更町 152 北海道 士幌町 153 北海道 上士幌町 154 北海道 鹿追町 155 北海道 新得町 156 北海道 清水町 157 北海道 芽室町 158 北海道 中札内村 159 北海道 更別村 160 北海道 大樹町 161 北海道 広尾町 162 北海道 幕別町 163 北海道 池田町 164 北海道 豊頃町 165 北海道 本別町 166 北海道 足寄町 167 北海道 陸別町 168 北海道 浦幌町 169 北海道 釧路町 170 北海道 厚岸町 171 北海道 浜中町 172 北海道 標茶町 173 北海道 弟子屈町 174 北海道 鶴居村 175 北海道 白糠町 176 北海道 別海町 177 北海道 中標津町 178 北海道 標津町 179 北海道 羅臼町 ☆番外編☆ 子どものまちは「売り手と買い手に分かれて物品を購入するなど、子どもの市民同士で交流がある」という特徴があります。 ここでは、職業体験に重きを置くものを紹介します。 (つくりかけです。メモ程度に。) せきっずタウン たきかわキッズタウン キッズワーク イオン余市店 ママナビキッズ職業体験 花銀こども商店街 Kids Zoo Town
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子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の実施に関するガイドライン 一般的意見一覧 参考:Explanatory Report to the Guidelines regarding the implementation of the Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the sale of children, child prostitution and child pornography(Interagency Working Group, September 2019)〔PDF〕 CRC/C/156 配布:一般(2019年9月10日) 原文:英語(PDF) 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の実施に関するガイドライン [注] [注] 委員会が第81会期(2019年5月13~31日)に採択。 I.はじめにA.子どもの売買および性的搾取に関連する最近の進展 B.さまざまな国際的関係機関からの勧告の増加 II.ガイドラインの目的 III.一般的実施措置A.立法 B.データ収集 C.包括的な政策および戦略 D.調整、監視および評価 E.資源配分 F.普及および意識啓発 G.研修 IV.選択議定書が対象とする犯罪の防止A.一般的措置 B.旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取の防止 C.オンラインの子どもの売買および性的搾取の防止 V.選択議定書が対象とする犯罪の禁止 VI.制裁 VII.裁判権および犯罪人引渡し VIII.被害を受けた子どもの、法的手続における援助および保護に対する権利A.一般的所見 B.カウンセリング、通報および苦情申立ての機構 C.刑事司法手続への参加 IX.被害を受けた子どもの、回復、家族および社会への再統合ならびに補償・賠償に対する権利 X.共助および国際協力 I.はじめに A.子どもの売買および性的搾取に関連する最近の進展 1.子どもの権利条約(1989年採択)ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2000年採択)は、子どもの権利の促進および保障を図り、かつ売買、性的搾取および性的虐待から子どもを保護する、もっとも包括的な国際法文書である。しかしこれらの条約が採択されたのは、情報通信技術(ICT)[1] およびソーシャルメディアの発展および普及の度合いがいまよりもはるかに低く、かつ、子どもに対する性犯罪が、今日ではしばしば存在するデジタル環境との緊密な結びつきを有していない時代であった。条約および選択議定書はデジタル環境においても全面的に関連性を有しておりかつ適用されるものだが、その規定は今日の現実にあわせて解釈しなければならない。 [1] 「ICT」という用語は、ラジオ、テレビ、携帯電話ならびにコンピューターおよびネットワークのハードウェアおよびソフトウェアを含む、あらゆる通信機器またはアプリケーションを包含する。 2.ICTの急速な発展および普及は、人権の前進を加速し、かつ不平等を削減する大きな機会を提供してくれるものである。同時に、この発展は、売買および性的搾取の危険にさらされる子どもの増加にもつながってきた。これは、性犯罪者にとっては、性的目的で子どもとつながって子どもを勧誘し(「グルーミング」)、ネット上で行なわれる子どもの性的虐待をライブのビデオストリーミングで視聴しかつこれに参加し、子どもの性的虐待表現物(「セクスティング」〔訳者注〕により製造された自撮りコンテンツを含む)を頒布し、かつ子どもに対する性的強要を行なう新たな道を開くものである。加えて、このような技術は、犯罪者が相互につながり、かつ暗号化された情報を共有する新たな機会を提供するものであり、また選択議定書で対象とされている犯罪を遂行しまたは容易にするためのダークネットの利用は、法執行に新たな課題を突きつけている。インターネットへのアクセスが前例のないレベルで拡大しつつある世界にあって、子どもが性的に搾取されまたは商品として買われかつ売られる危険性はかつてなく高まりつつある。 訳者注:「子どもが自ら作成した性的コンテンツを携帯電話経由で他の者に送る行為」(後掲パラ42参照)。 3.グローバル化し、かつ可動性が高まりつつある世界にあって、旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取は増大しつつある脅威である。子どもに対して性犯罪を行なう旅行者は、国境を越えて渡航するのであれ自国内で旅行するのであれ、脆弱な状況に置かれた子どもにこれまでよりも容易にアクセスできるようになっており、その際にはしばしばダークネット上にある匿名の橋渡し役のネットワークが利用される。 4.子どもに対する性犯罪のジェンダーの側面は、選択議定書の実施に関わるもうひとつの重要な一面である。被害者の大多数は女児であるとはいえ、最近の調査では、ネット上の子どもの性的虐待表現物で描かれている子どもには相当の割合で男児が含まれていることがわかっている。性的搾取および性的虐待の被害を受けた男児のための支援体制は、いまなおきわめて少ない。 5.委員会は、選択議定書の実施を監視する任務に基づき、子どもの権利に関する国際的および地域的文書で用いられている用語の一部(「児童ポルノ」または「児童買春」など)が徐々に置き換えられつつあることを認識する。このような変化の背景にある理由のひとつは、これらの用語には誤解を招き、かつ子どもがこのような慣行に同意しうることをほのめかすことによって、これらの犯罪の重大性を損ない、または避難の矛先を子どもに向けさせてしまう可能性があることである。このことに照らし、委員会は、締約国およびその他の関係者に対し、子どもの性的搾取および性的虐待の防止ならびにこれらの行為からの保護に対応する立法および政策の策定で用いる用語法についての指針として、「性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する用語法ガイドライン」[2] に注意を払うよう奨励する。 [2] http //luxembourgguidelines.org/english-version 参照。 B.さまざまな国際的関係機関からの勧告の増加 6.委員会は、その総括所見、一般的意見13号(あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利、2011年)、同14号(自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利、2013年)、同16号(企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務、2013年)および同17号(休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利、2013年)などで、ならびに子どもの権利とデジタルメディアに関する2014年の一般的討議の文脈において、デジタルメディアおよびICTが子どもたちの生活に及ぼす相当な影響を考慮してきた。さらに、人権理事会は、2016年、1日をかけて子どもの権利について討議する恒例の会合のテーマとして情報通信技術と子どもの性的搾取を取り上げた。 7.各国は、持続可能な開発目標を通じて、子どもたちに投資する意思および子どもたちが暴力を受けないですむ世界を確保する意思を明らかにした。これらの目標のなかには、女性および女児に対するあらゆる形態の暴力を解消すること(ターゲット5.2)、最悪の形態の児童労働(子ども兵士の徴募および使用を含む)の禁止および解消を確保するための即時的かつ効果的な措置をとるとともに、2025年までにあらゆる形態の児童労働を終わらせること(ターゲット8.7)、ならびに、子どもに対する虐待、搾取、人身取引およびあらゆる形態の暴力ならびに子どもの拷問を終わらせること(ターゲット16.2)などもある。これらのターゲットを網羅する選択議定書の効果的実施は、持続可能な開発目標の達成にも貢献しうるものである。 8.選択議定書の実施に関するこのガイドラインは、関連する関係機関(国家、専門性を有する国内的および国際的非政府組織および政府間期間ならびに国連専門機関を含む)との一連の協議の成果である。 II.ガイドラインの目的 9.このガイドラインの主な目的は次のとおりである。 (a) デジタル環境の発展に照らし、かつ子どもの売買および性的搾取に関する、選択議定書の採択以降の知識および経験の増加に鑑み、選択議定書の実体規定ならびにさまざまな現代的形態の子どもの売買および性的搾取に関する理解の深化を促進すること。 (b) 締約国による、選択議定書のより効果的な実施を可能とすること。 (c) 選択議定書が売買および性的搾取からの子どもの保護(これらの犯罪がICTによって容易になっているか否かを問わない)を増進させる文書であり続けることを確保すること。 10.このガイドラインには、選択議定書上の義務の履行を向上させるために締約国が行なっている取り組みおよび努力を支援しかつ強化するという目的もある。これには、選択議定書に基づいて提出されるべき第1回報告書に関する改訂ガイドライン(CRC/C/OPSC/2、2006年採択)ならびに定期報告書の形式および内容に関する条約別指針(CRC/C/58/Rev.3、2014年採択)に定められた委員会への報告に関連するものも含まれる。 III.一般的実施措置 11.委員会は、選択議定書の規定を実施するためのいかなる措置においても、条約、とくに第2条、第3条、第6条および第12条に掲げられた一般原則ならびに子どものプライバシー権の尊重が全面的に遵守されるべきであることを強調する。条約はまた、子どもが自己の権利について年齢にふさわしいやり方で情報を提供されること、子どもが自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を有すること、および、これらの意見が子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視されることも要求している。 12.締約国は、立法措置および政策措置の立案プロセスおよび実施に子ども参加を含めるための努力を行なうべきである。その際には、子どもたちの意見が差別なく考慮されること、および、子どもたちと協議を行なう大人が、年齢にふさわしく、かつジェンダーに配慮したやり方で協議を進めるために必要な訓練および資源を与えられることを確保することが求められる。 13.委員会は、締約国が、選択議定書を実施するためのいかなる措置においても、その特性、事情および(または)生活状況のために売買および性的搾取の被害をより受けやすい立場に置かれている可能性がある子どもたちのことを具体的に考慮するよう奨励する。このような子どもには、女児、男児、その他のジェンダーまたは性的自認および性的指向の子ども、障害のある子ども、施設にいる子ども、移住者である子ども、路上の状況にある子ども、ならびに、脆弱なまたは周縁化されたその他の状況にある子どもが含まれる。 A.立法 14.委員会は、選択議定書で対象とされている犯罪が処罰されない状況と闘う必要性が切迫していることを強調する。選択議定書を実施するための立法措置においては、第3条に挙げられているすべての行為(これらの行為の未遂を含む)が明示的に網羅されるべきである。性的搾取目的の子どもの売買のみならず、臓器移植を目的とするもの、強制労働に従事させることを目的とするものおよび養子縁組が子どもの売買に相当する状況を禁止することに注意を向けるよう求められる。 15.委員会は、締約国に対し、「子どもの売買」の国際法上の定義は「人身取引」のそれと同一ではないことを想起するよう求める。子どもの売買は何らかの形態の商業的取引を常にともなうが、子どもの人身取引についてはこれは要件とされない(たとえば欺罔、実力または誘拐による子どもの人身取引)。さらに、人身取引には子どもを搾取するという意図された目的が常に存在するが、このような目的は子どもの売買については構成要件とされていない(ただし、それでも売買は搾取的効果を持ちうる)。このような区別は、犯罪の評価、加害者の訴追および被害を受けた子どものために用意されている対応にとって重要である可能性がある。 16.立法措置をとるに際しては、自然人および法人双方の責任が含まれるべきであり(第3条)、選択議定書で対象とされているすべての犯罪について域外裁判権が設定されるべきであり(第4条)、かつ、犯罪人引渡し(第5条)ならびに物品の押収および没収(第7条)に関する明確な条件および規則が定められるべきである。 17.立法を通じて、救済へのアクセスを確保するとともに、性的搾取および性的虐待の事案に対応しかつ被害者を保護するための、子どもおよびジェンダーに配慮し、秘密が守られかつ安全なカウンセリング、通報および苦情申立ての機構が利用できることを保障することは、きわめて重要である。 18.委員会は、締約国に対し、選択議定書上の犯罪を構成する行為で搾取された子どもが国内法によって犯罪者とされず、被害者として扱われることを確保するよう促す。 19.委員会は、締約国が、法的枠組みを定めるにあたって技術的進展を考慮に入れるよう勧告する。このような考慮は、当該枠組みの適用可能性が今後の発展によって減殺されないことを確保し、かつ新たに生ずる懸念(ネット上で行なわれる新たな形態の売買および性的搾取を含む)に関連する抜け穴を回避するために必要となる。この問題の性質が常に変化しつつあることに照らし、締約国は、自国の法律上および政策上の枠組みが急速に変化する現実に適合したものであることを保障するため、立法および政策を定期的に評価し、かつ必要に応じて改定するべきである。 B.データ収集 20.委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされているすべての問題に関するデータの収集、分析、モニタリングおよび影響評価ならびに普及のための包括的かつ体系的な機構を発展させかつ実施するよう、促す。重要な点として、データ収集は関連するあらゆる関係機関(国の統計部局および子どもの保護機関を含む)との間で調整されるべきであり、かつ、国の異なる機関間でデータの食い違いまたは矛盾が生じないよう、データは中央で集約されるべきである。委員会はとくに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) データに対する細分化アプローチをとり、これらの犯罪がさまざまな集団の子どもにどのように影響を及ぼしているかについて取り上げること。最低限、データは性別、年齢および搾取の形態別に細分化されるべきである。 (b) 子どもがデジタルメディアおよびソーシャルメディアにどのようにアクセスし、かつこれらのメディアが子どもの生活にどのように影響を及ぼしているかについてのデータ、ならびに、ICTにアクセスしかつICTを利用する際の子どものレジリエンスに影響を及ぼす要因についてのデータを収集すること。 (c) 報告された事案、起訴、有罪判決および制裁の件数(被害者に提供された救済の件数も含むことが望ましい)に関するデータを収集すること。これらのデータは、犯罪の性質(オンラインおよびオフラインの活動に関わる性質を含む)、加害者および加害者と被害者の関係の種別ならびに子どもの性別および年齢別に細分化されているべきである。 (d) 広域行政圏または地方(たとえば自治体)のレベルでデータが収集されている場合、共通の指標および統一データ収集システムを発展させること。 21.あらゆるデータは、プライバシーに対する子どもの権利を正当に尊重しながら収集されるべきである。 C.包括的な政策および戦略 22.締約国は、選択議定書で対象とされているすべての問題をホリスティックかつ分野横断的なやり方で明示的に含めた、包括的な国家的政策および戦略を策定するべきである。このような政策および戦略は、子どもの権利の実施もしくは暴力からの子どもの保護を目的とするより幅広い国家的行動計画のひとつの要素とすることも、個別の具体的文書とすることもできる。 23.委員会は、締約国に対し、子どもの保護のための政策および戦略の増進において金融機関、銀行、テレコム事業者、インターネット・プロバイダー、スポーツ団体、旅行・観光業界および非政府組織が果たしうる役割ならびに「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重および救済」枠組みの実施」の活用に対し、いっそうの注意を払うよう奨励する。 D.調整、監視および評価 24.締約国は、選択議定書の実施に関連するすべての活動の調整の任を負う国レベルの機構を指定するべきである(いずれかの省もしくは国内人権機関のような既存の機関の一部とすることも、子どもの性的搾取の根絶を目的とする独立の機関とすることもできる)。この調整機関に対しては、選択議定書をとくに実施するという明確な任務と、部門横断的にかつ国、広域行政圏および地方の各レベルで必要な措置をとりかつ調整を行なう十分な権限(事案の付託および被害を受けた子どもに対する効果的支援のための枠組みを確保する権限も含む)を与えることが求められる。 25.締約国は、前掲政策および戦略の実施の監視および評価を定期的にかつ透明なやり方で実施し、かつ、その成果に基づき、必要に応じて政策および戦略を修正するべきである。評価の結果は公表することが求められる。 E.資源配分 26.委員会は、締約国が、このガイドラインで詳しく述べられているような形で選択議定書を実施するための具体的かつ明確な予算配分を確保するとともに、子どもの権利実現のための公共予算編成に関する委員会の一般的意見19号(2016年)に掲げられた指針に留意するよう、勧告する。 27.締約国は、選択議定書の規定の実施を目的とする政策、戦略および機構に配分されるすべての人的資源、技術的資源および財源の水準を保障するべきである。摘発および報告のための機構、刑事捜査、法的援助、補償ならびに選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもの身体的・心理的回復および社会的再統合を担当する機関に対しては、具体的に資源を配分することが求められる。 F.普及および意識啓発 28.選択議定書の趣旨および規定に関する理解を増進するため、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 防止措置に関する教育および意識啓発ならびに選択議定書で対象とされているすべての犯罪の有害な影響(これらの犯罪がICTを通じて容易にされまたは実行される場合を含む)に関する教育および意識啓発のための、長期的なプログラムおよびキャンペーンを発展させかつ実施すること。 (b) 国、広域行政圏および地方のレベルの政府職員、あらゆる関連の専門家集団および子どもと日常的に接する他のあらゆる者ならびに公衆一般(とくに子どもおよびその家族を含む)の間で、選択議定書の規定に関する情報を体系的に普及すること。広報資料は受け手に合わせたものであるべきであり、子どもに対しては年齢にふさわしく、かつ子どもに配慮した情報が提供されるべきである。 (c) すべての者(とくに子どもをケアしている者)の間で、さまざまな形態の子どもの売買、性的搾取および性的虐待、ならびに、これらの行為を発見しかつ被害者を特定する方法、ならびに、既存の通報機構および子どもが被害者であると考える合理的な理由がある場合のその利用方法に関する十分な知識を促進すること。 (d) 教育制度のあらゆる段階の子どもが包括的な性教育を受けることを確保すること。学校に通う子どもに対し、売買、性的搾取および性的虐待の危険性ならびにオフラインおよびオンラインで自分を守る手段について学ぶための適切な資料が提供されるべきである。教育プログラムには、子どもが助けおよび支援を求め、かつ性的虐待かんするサインを安全にかつ秘密が守られるやり方で送る具体的かつ実際的な方法についての情報を常に含めることが求められる。 (e) 正規の学校制度の外にいる子どもを対象とし、かつこれらの子どもに手を差し伸べるための措置をとること。 (f) メディアに対し、被害を受けた子どもおよび証人である子どものプライバシーおよび身元を常に保護しながら、子どもの売買、性的搾取および性的虐待のあらゆる側面に関する適切な情報を適切な用語を使って提供するよう奨励すること。 G.研修 29.あらゆる関連の専門家を対象とする教育および継続的研修ならびに家族および養育者に対する支援の提供は、選択議定書の実施のためのいかなる措置においても不可欠な要素として位置づけられるべきである。締約国は以下の措置をとるよう求められる。 (a) 子どもとともにまたは子どものために働くあらゆる関連の専門家および集団を対象として、選択議定書の規定およびその実施に関する体系的かつ的を絞った分野横断的研修(対象とされている犯罪を特定しかつこれに対処する方法、ならびに、子どもの被害者およびサバイバーをケアする際に子どもおよびジェンダーに配慮したアプローチを促進する方法に関するものを含む)が実施されることを確保すること。 (b) 選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもへの、被害者中心であると同時にサバイバー主導の効果的対応に関する研修を奨励すること。 (c) 子どもおよびその家族の間でオンライン・リテラシーおよびオンラインの安全を拡大しかつ危害への対応を促進する目的で、非政府組織との協力および戦略的パートナーシップを強化し、かつその専門性およびアドボカシーのための資料を活用すること。 (d) 獲得された知識およびスキルが、被害者の特定および選択議定書で対象とされている犯罪からの子どもの保護を効果的に進めるために実行に移されていることを確保する目的で、研修活動の定期的評価を実施すること。 30.専門的研修が必要な特定の集団との関連で、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 子どもを対象とするさまざまな形態の教育(スポーツ活動および文化活動を含む)の仕事をしている教員その他の専門家が、子どもの売買、性的搾取および性的虐待に関する子どもへの教育および子どもとの話を効果的に行なえるようにするための十分な研修を受けることを確保すること。 (b) 保健ケア専門家、ソーシャルワーカーならびに子ども福祉および子どもの保護の専門家を対象として、サインを受けとめかつ報告し、かつ性的搾取または性的虐待の被害者である可能性がある子どもに子どもおよびジェンダーに配慮したやり方で対応するための研修を実施すること。 (c) 選択議定書で対象とされている犯罪(これらの犯罪がICTを通じて容易にされまたは実行される場合を含む)を捜査するすべての警察部署ならびに検察官および司法機関を対象として、被害を受けた子どもを特定しかつこのような子どもに子どもおよびジェンダーに配慮したやり方で対応し、かつICT関連の事件およびデジタル証拠を扱うための研修を実施すること。 IV.選択議定書が対象とする犯罪の防止 A.一般的措置 31.選択議定書の締約国は、選択議定書で対象とされている犯罪を防止するための法律、行政措置ならびに社会政策および社会プログラムを採択しまたは強化し、実施しかつ普及する義務を負う。 32.子どもの売買および性的搾取の防止にあたり、締約国は、これらの問題を助長し、当たり前のように見せまたは固定化している可能性があって具体的な意識啓発措置を必要とする根本的原因に注意を払うべきである。これらの犯罪の重要な側面であって、締約国が的を絞った具体的な努力を行なわれなければならない側面は、性犯罪者および経済的利益を得る者の双方の間に存在する、性的搾取および虐待のために子どもを求める需要にある。需要と闘うための努力においては、オンラインかオフラインかにかかわらず、さまざまな形態の搾取および虐待への対応がとられるべきである。 33.委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けるおそれがある子ども(とくに脆弱な状況に置かれている子ども)を特定し、支援しかつモニタリングし、かつ、防止プログラムおよび被害を受ける可能性がある子供の保護を強化するために、必要なあらゆる措置をとるよう勧告する。この目的のため、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 選択議定書で対象とされている犯罪を防止するための効果的なかつ的を絞った立法上、政策上および行政上の措置を発展させかつ採択する目的で、これらの犯罪の性質、規模、根本的原因および子どもへの影響を分析しかつ評価するための研究を実施すること。 (b) 脆弱な状況に置かれた家族の経済的エンパワーメントを可能とするため、社会的保護および金銭的支援(所得創出活動を含む)を提供すること。 (c) あらゆる有害慣行を防止しかつ終わらせるとともに、児童婚など、子どもの売買、性的搾取または性的虐待に相当する可能性のある慣行に特別な注意を払うこと。有害慣行の防止においては、男児および女児に影響を及ぼす異なる慣行への対処が十分にとられることを確保するため、ジェンダーの視点が要求される。 (d) 選択議定書で対象とされている犯罪の防止およびこれらの犯罪との闘いにおいて、民間セクターの関連の主体が積極的役割を果たすことを確保すること。 34.子どもの売買、性的搾取および性的虐待の防止における重要な一般的措置のひとつとして、締約国は、子どもと直接接触する仕事に就こうとするすべての者のスクリーニングを要求するべきである。 B.旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取の防止 35.調査研究により、子どもは、計画的虐待を実行するために国境を越える渡航型犯罪者から性的搾取および性的虐待を受けるおそれがある一方、自国内で出張または観光のために旅行する犯罪者、および、旅行前には性犯罪の実行を計画していなかった可能性がある「機会便乗型」犯罪者の被害者となるおそれも同様にあることがわかっている。違法な養子縁組も、旅行および観光を装ってまたは口実として実行される場合がある。 36.旅行および観光という特定の文脈においてこのような犯罪を防止するため、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取の有害な影響に対する注意を促すため、旅行・観光業界を対象とする意識啓発およびアドボカシーを行なうこと。そのための手段として、とくに、世界観光機関の世界観光倫理憲章を広く普及しかつ同憲章への署名を奨励し、かつ、「旅行および観光における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」を促進すること。 (b) 旅行・観光セクターのステークホルダーとの連携を強化するとともに、当該業界が、たとえば旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取を防止するための具体的な企業方針および企業戦略を採択しかつ執行することを通じて、責任をとることを確保すること。宿泊業者、旅行代理店、ツアーオペレーター、運輸会社、航空会社、バーおよびレストランのような旅行・観光関係者は、不注意によるものであるか否かを問わずしばしばこのような犯罪の実行の仲介者となってしまうのであり、子どもの性的搾取の防止およびこのような性的搾取との闘いにおいて積極的役割を果たすべきである。 (c) 旅行および観光の文脈における子どもの売買および性的搾取と闘うための、テクノロジーを基盤とする解決策(犯罪者およびその仲介者のビジネスモデルを阻害するための、関連の犯罪に対する支払いのブロッキングおよび支払い追跡のための新たな手法など)の発展をリードしうるICT企業と提携すること。 (d) 国境を越えた情報交換および有罪判決を受けた犯罪者への渡航制限などを通じ、子どもに対する性犯罪で有罪判決を受けた者が他国で再犯することの防止のための措置を検討すること。 C.オンラインの子どもの売買および性的搾取の防止 37.締約国は、自国の実施措置を通じ、オンラインの子どもの売買、性的搾取および性的虐待を防止しかつこれらに対処するべきである。子どもの売買、性的搾取および性的虐待のあらゆる表れ方(これらの犯罪がICTを通じて容易にされまたは実行される場合を含む)が十分に網羅されていることを確保するため、国家的な法律上および政策上の枠組みを評価することが求められる。 38.これらの犯罪に関する理解を深めるためにオンラインに特化した分析、調査研究および監視が行なわれるべきであり、またオンライン犯罪への対応は関連の業界および組織と密接に連携しながら発展させられるべきである。 39.子どもの売買、性的搾取および性的虐待の事件に関する意識、知識および通報を増進させるための公的教育プログラムにはオンラインに特化した側面が含まれるべきであり、また法執行官、弁護士、検察機関および司法機関の専門家を対象とする専門研修には、オンラインの問題のみならず、被害者特定技法および救済活動を容易にしてくれるオンライン・ツールも扱う具体的構成要素が含まれるべきである。 40.締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 親、教員およびその他の養育者に情報および支援を提供し、かつこれらの人々と連携することにより、親、教員およびその他の養育者が、子どもがICTにアクセスしかつICTを利用する際に支援、助言および保護を提供し、かつオンラインでの安全・対処戦略をとる能力構築を援助できるようにすること。 (b) 遭遇する可能性があるリスクを回避し、このようなリスクに対して十分に反応し、かつ必要に応じてオンラインの通報ツールを利用することに関して子どもを援助することによって、自分自身(および仲間)をよりよい形で保護する子どもの能力を増進させるため、オンラインでの行動および安全に関する必修教育が学校で行なわれることを確保すること。 (c) 子どものデータがどのように収集・保存・活用され、かつ他者とどのように共有されている可能性があるかに関する情報および保護のための戦略(個人情報を保護する方法および時宜を得た効果的な警告のための機構を利用する方法を含む)に関する情報を、意味のある、かつ子どもおよびジェンダーに配慮したやり方で提供すること。 (d) 搾取的行動およびこのような行動を通報しかつやめさせる方法についての子どもたち自身のアイデアおよび知識を共有するよう、子どもたちの奨励、関与の推進およびエンパワーメントを図るとともに、防止および保護のための戦略において子どもたちの提案を考慮すること。 (e) 十分かつ効果的なサービス機関および専門機関が整備され、かつ、オンラインでの疑わしい行動または子どもの性的搾取もしくは虐待の事件に関する通報が子どもまたは大人からあった場合には常に迅速な対応をとれることを確保すること。 41.画像およびビデオのような子どもの性的虐待表現物がオンラインでいつまでも流布される可能性があることを考慮し、委員会は、このような表現物の継続的流布が、被害を受けた子どもに対する危害を固定化させることに加え、子どもを性的対象と捉える見方を助長し、かつ、子どもに性的関心を有する者たちの間で、他にもたくさんの人間が同じ関心を共有しているのだからこれは「当たり前」のことだという考え方を強めてしまうおそれがあることに対し、締約国の注意を強く喚起する。そこで委員会は、締約国に対し、インターネット・サービス・プロバイダが、その防止措置の一環として、このようなコンテンツを可能なかぎり早く統制下に置き、ブロックしかつ削除することを確保するよう、促すものである。 42.委員会は、子どもが自ら作成した性的コンテンツを携帯電話経由で他の者に送る「セクスティング」に対応する必要があることに、締約国の注意を喚起する。セクスティングは若者同士のプレッシャーの産物であることが多いように思われ、ティーンエイジャーは、ある程度まで、セクスティングは「当たり前」であるとますます考えるようになっている。このような行為そのものは、それ自体で常に違法または不法となるわけではないものの、そこには多くの危険性がともなう。子どもの性的画像には、子ども本人の意思を超えてまたは意思に反してオンラインまたはオフラインで容易に拡散される可能性、削除がきわめて困難となる可能性ならびにいじめの文脈および性的強要の目的で利用される可能性があり、これは子どもに対して深刻なかつトラウマ性の影響(自殺を含む)を及ぼしかねない。この複雑な問題に対しては慎重な注意を向けることが必要であり、委員会は、締約国に対し、子どもを保護する明確な法的枠組みを確立するとともに、防止のための努力を通じ、他人および自分自身の画像を拡散することの重大性について子どもが教育されかつ認識することを確保するよう、奨励する。 V.選択議定書が対象とする犯罪の禁止 43.選択議定書第3条の実施のためには、選択議定書に含まれるすべての犯罪を禁じた実体刑法の採択が必要である。委員会は、第3条の遵守が、各締約国がこれに関連して自国の法体系および法的実践の詳細を考慮しなければならない事項であることを認識する。 44.第3条は、締約国が、最低限、自国の刑法で全面的に対象とされることを確保しなければならない行為および活動を列挙している(これらの犯罪が、国内でもしくは国境を越えてまたは個人的にもしくは組織的に実行されるものかを問わない)。委員会は、締約国に対し、子どもに対する性犯罪を実行するために新たに誕生した手段および方法が用いられた場合でも十分な対応がとれることを確保するための新たな規定を刑法に導入するよう、奨励するものである。 45.委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条(2)にしたがい、このようないずれかの行為の未遂および共犯またはこのようないずれかの行為への参加も刑法の対象とされるべきであることを、想起するよう求める。 46.子どもの売買は、選択議定書において、子どもがいずれかの者または集団により報酬または他の何らかの対償のために他の者に譲渡されるあらゆる行為または取引と定義されている(第2条(a))。これには子どもを他の場所に移動させる行為がともなう場合もあるが、これは必要条件ではない。「報酬または他の何らかの対償」は子どもの売買の中核的要素であり、取引の一環として金銭の支払いが行なわれるのが通例である。報酬の受け取り手については具体的に定められていないものの、子どもを譲渡する者または集団である可能性がもっとも高いことになろう。ただし、子どもの売買にからんでその他の理由または見返りが存在する場合もありうる(親による債務の支払い、子どもに教育もしくは職業訓練を受けさせるという相手方の約束、またはその他の種類のよりよい未来の提示など)。 47.第3条(1)(a)(i)に基づき、子どもの売買との関連で行なわれる行為または活動であって犯罪化されなければならないものには、以下の目的で行なわれる提供、移送または収受が含まれる。 (a) 子どもの性的搾取。委員会は、この法的規定はあらゆる形態の性的搾取および性的虐待(これらの行為がICTを通じて容易にされる場合を含む)を網羅するものであるという見解に立つ。 (b) 利得を目的とする子どもの臓器の譲渡。このような譲渡の目的が「利得」であることを明示することが重要である。子どもの臓器の合法的な譲渡には、利得を目的としない費用がともなう場合もありうる。 (c) 強制労働に子どもを従事させること。 48.委員会は、子どもを提供しまたは収受する行為にはICTの利用を通じて行なうものも含まれることを強調する。 49.子どもの売買および取引は重複する場合もありうるが、その国際法上の定義は異なる。委員会は、選択議定書にしたがい、締約国には上記のすべての目的で行なわれる子どもの売買を明示的に犯罪化する義務があることを強調するものである。 50.第3条(1)(a)(ii)に基づき、養子縁組に関する適用可能な国際法文書に違反する子どもの養子縁組への同意を仲介者として不適切な形で引き出す行為は、子どもの売買として犯罪化されなければならない。このような活動の禁止を目的とする規定は、次に掲げる、この要件の2つの中心的要素を反映したものであるべきである。 (a) 「養子縁組への同意を……不適切な形で引き出すこと」という文言は、具体的には、子どもの養子縁組への同意を不誠実または不適当なやり方で得ることを意味する。第2条(a)に基づく子どもの売買の定義に照らし、報酬または他の何らかの対償を通じてこのような同意を得ることも、「同意を……不適切な形で引き出すこと」のひとつの形態である。 (b) 「適用可能な国際法文書に違反する」という文言に関して、委員会は、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)第21条の遵守を要件とするよう勧告する。 51.委員会は、子どもの売買は児童婚を背景として行なわれる場合もあることに、締約国の注意を喚起する。委員会は、締約国が、いかなる形態の子どもの売買も回避するため、規制を含むあらゆる措置をとるよう勧告するものである。 52.同様の懸念は、やはり子どもの売買を助長する可能性がある代理出産との関連でも存在する。委員会は、この慣行が行なわれている締約国に対し、代理出産契約に基づく子どもの売買を回避するため、規制を含むあらゆる措置をとるよう奨励するものである。 53.選択議定書は、買売春において子どもを搾取する犯罪を「児童買春」として対象としており、これを報酬または他の何らかの対償のために性的活動において子どもを使用することと定義している(第2条(b))が、このような性的活動がどのようなものかについては明らかにしていない。委員会は、このような性的活動には、最低限、かつ実際に行なわれるものであるかまたはそのように装うものであるかにかかわらず、子どもを関与させるあらゆる形態の性交および意図的な性的接触(すべての関係者の性別を問わない)ならびに子どもの性器または陰部を扇情的に露出させるあらゆる行為が含まれるべきである。 54.選択議定書における「児童買春」の定義は、子どもが報酬または他の何らかの対償のために行なわれる性的活動に同意できること、または子どもが常に報酬または他の何らかの対償の受け取り手であることを示唆するものとして理解されてはならない。現実には、子どもは、法律的に妥当するいかなる形でも、自分自身の性的搾取に同意することはできない。さらに、このような報酬または他の何らかの対償はいずれかの第三者に支払われまたは与えられる場合もあるのであり、子どもが何かを直接受け取ることはない場合もしばしばあるほか、「対償」が食料または居住場所のような基本的生存ニーズの形で提供されることもある。 55.有力な見方によれば、「児童買春」という用語は、子どもに実際に起こることを正確にとらえきれておらず、これが正当な形態のセックスワークを含意するものと解釈される可能性または子どもへの責任転嫁を助長する可能性があるものである。委員会は、締約国に対し、「児童買春」という用語の使用を可能なかぎり避け、これに代えて「買売春における子どもの性的搾取」という用語を用いるよう、奨励する。委員会は加えて、締約国が、「売春する子ども」や「子どものセックスワーカー」のような用語を使わず、これに代えて「買春される子ども」または「買売春において搾取される子ども」を用いるよう、強く勧告するものである。 56.締約国は、買売春におけるいかなる形態の子どもの性的搾取(ICTの利用を通じて行なわれるものを含む)も、法律で禁止するべきである。選択議定書第3条(1)(b)は、買売春の目的で子どもを提供し、取得し、斡旋しまたは提供する行為の犯罪化を要求している。このような行為は、報酬または他の何らかの対償のために行なわれる場合には、買売春における子どもの性的搾取に該当する。委員会は、報酬または他の何らかの対償を約束することも、当該報酬または対償が実際には支払われずまたは与えられなかった場合であっても、犯罪を構成するのに十分であると考えるべきであることを強調するものである。 57.インターネットは、とくにウェブサイトまたは携帯アプリを通じて子どもが買売春の広告対象とされる場合に、国際的保護の枠組みにとっての新たな課題を提起する。委員会は、締約国に対し、買売春の目的で子どもを提供し、取得し、斡旋しまたは提供することの禁止にはICTの利用を通じて行なわれるこれらの行為も含まれることを、自国の刑事法制度において明確にするよう促す。 58.買売春における子どもの性的搾取には、商品化された「関係」も含まれる。これは、現金、物品または利益との引換えに性的行為が行なわれるものであり、経済的生存もしくは機会、学業成績または社会的地位と結びついていることが多い。しばしば「取引としてのセックス」という不適当な名称で呼ばれるこのような「関係」に18歳未満の子どもが関与させられている場合、その子どもは、報酬または他の何らかの形態の対償をともなう商業的なまたは商品化された性的活動に従事することに対して子どもは法的同意を与えられないことをもって、搾取の被害者ととらえられるべきである。子どもがこのような形態のセックスに同意したという、犯罪を行なった者からなされる可能性のあるいかなる主張も、法的には妥当性を有しない。 59.旅行および観光における子どもの性的搾取――「児童セックスツーリズム」という不適当な名称で呼ばれることが多い――も選択議定書で対象とされている犯罪に含まれるのであり、締約国は、このような慣行をなくすための措置をとるよう要求される。犯罪を行なう者は、外国人の旅行者である場合もあれば国内の旅行者である場合もあり、また旅行者である場合もあれば長期滞在客である場合もある。 60.子どもの性的虐待表現物は、選択議定書第2条において「児童ポルノ」として対象とされており、実際のまたはそのように装ったあからさまな性的活動に従事する子どもをいかなる手段によるかは問わず描いたあらゆる表現、または主として性的目的で子どもの性的部位を描いたあらゆる表現と定義されている(第2条(c))。委員会は、締約国が、最近の発展にのっとり、「児童ポルノ」という用語を可能なかぎり避け、「ポルノ的パフォーマンスおよび表現物における子どもの使用」、「子どもの性的虐待表現物」および「子どもの性的搾取表現物」のような他の用語を用いるよう、勧告する。 61.「いかなる手段によるかは問わず」という条件は、オンラインおよびオフライン双方のさまざまなメディアで幅広い表現物が利用可能となっていることを反映するものである。このような表現物がオンラインで流布されることはますます増えており、締約国は、自国の刑法の関連規定であらゆる形態の表現物が対象とされること(選択議定書第3条(1)(c)に列挙されたいずれかの行為がオンラインで実行される場合を含む)を確保するべきである。 62.「そのように装ったあからさまな性的活動」という文言には、性的にあからさまな行為に従事しているように見える子どもを描きまたはその他の方法で表現した、オンラインまたはオフラインのあらゆる表現物が含まれる。さらに、「主として性的目的で子どもの性的部位を描いたあらゆる表現」もこの犯罪の定義に該当する。ある表現が主として性的目的を意図したものまたは主として性的目的で利用されるものか否かを確定することが困難である可能性のある場合、委員会は、当該表現が使用される文脈を検討することが必要であると考えるものである。 63.委員会は、実在しない子どもまたは子どものように見える者が性的にあからさまな行為に参加している様子を描いたオンラインおよびオフラインの表現物(描画およびバーチャル表現を含む)が大量に存在すること、ならびに、そのような表現物が尊厳および保護に対する子どもたちの権利に深刻な影響を及ぼしうることを、深く懸念する。委員会は、締約国に対し、子どもの性的虐待表現物(児童ポルノ)に関する法律上の規定に、実在しない子どもまたは子どものように見える者の表現を含めること(とくにそのような表現が子どもを性的に搾取する過程の一環として使用される場合)を奨励するものである。 64.委員会は、締約国に対し、ポルノ的パフォーマンスに参加するよう子どもを勧誘しもしくは子どもに強要する行為またはそのようなパフォーマンスに子どもを参加させる行為、このような目的から利益を得る行為もしくはこのような目的でその他の方法により子どもを搾取する行為、および、子どもが参加しているポルノ的パフォーマンスに事実を知りながら出席する行為を犯罪化するよう奨励する。 65.選択議定書第3条(1)(c)は、締約国に対し、「児童ポルノ」を製造し、配布し、頒布し、輸入し、輸出し、提供し、販売しまたは性的搾取目的で所持する行為の犯罪化を義務づけている。委員会は、締約国が、このような表現物の単純所持を、禁止規定に例外を認める可能性(職業上の必要性――これは法律で明確に定義されるべきである――によりこのような表現物の所持が正当化される場合など)を適正に考慮しつつ、犯罪化するよう強く勧告する。 66.選択議定書第9条(5)にしたがい、締約国は、議定書に掲げられた犯罪を宣伝する表現物の製造および所持を犯罪化するべきである。たとえば、いかなる方法であれ子どもの性的搾取を促進するオンラインまたはオフラインの媒体を挿みこむあらゆる行為(広告またはコマーシャルなど)が犯罪化されなければならない。 67.もっぱら自分自身のために、あるいはボーイフレンドもしくはガールフレンドまたは(しばしば「セクスティング」を通じて)より幅広い同世代の集団とシェアするために、自分の性的部位の表現などの性的画像を製造する子どもが増えている。選択議定書が「児童ポルノ」としているもの(これは犯罪を構成する)と、子どもが自分自身を表現した自撮りによる性的なコンテンツまたは表現物を製造する行為は、区別されなければならない。委員会は、このような表現物が自撮りで製造されたものであることにより、子どもが被害者として扱われるのではなく責任を有するとみなされるおそれが高まりうることを懸念するとともに、子どもは自分自身の画像を製造したことについて刑事責任を問われるべきではないことを強調する。このような画像が、子ども本人の意思に反し、強要、恐喝またはその他の形態の不当な圧力の結果として製造されたときは、子どもにそのようなコンテンツを製造させた者が裁判にかけられるべきである。その後、このような画像が子どもの性的虐待表現物として配布され、頒布され、輸入され、輸出され、提供されまたは販売されたときは、これらの行為について責任を有する者の刑事責任も問われるべきである。 68.性的目的での子どもの勧誘を指す用語として「グルーミング」がしばしば用いられる。これは、オンラインまたはオフラインでの性的接触を容易にする目的で、直接またはICTの使用を通じて子どもとの関係を確立するプロセスを指すものである。グルーミングすなわち性的目的での子どもの勧誘は、選択議定書では明示的に対象とされていないものの子どもの性的搾取の一形態であり、選択議定書で対象とされている犯罪を構成する場合がありうる。たとえば、子どものグルーミングには子どもの性的虐待表現物(「児童ポルノ」)の製造および配布がともなうことが多い。 69.子どもに対する性的強要(「セクストーション」と呼ばれることもある)とは、子どもが、その子どもを描いた性的表現物をたとえばソーシャルメディアでシェアするという脅しのもと、性的交渉、金銭その他の利益を与えることに無理やり合意させられる行為態様である。この行為態様はグルーミングおよびセクスティングと結びついていることが多く、委員会は、加害者からのより過激な、暴力的な、嗜虐的なかつ品位を傷つける要求が増加しているために子どもたちが過酷なリスクにさらされていることを懸念する。 70.委員会は、子どもが性的活動を目撃させられることもあることに留意するとともに、締約国に対し、性的目的で子どもに性的虐待または性的活動を目撃させる意図的行為を、たとえ子どもがそのような行為への参加を強いられなくとも、犯罪化するよう奨励する。 71.性犯罪と闘うための立法上その他の措置においては、罪を犯した大人と子どもが明示的に区別されるべきであり、後者の更生可能性をとくに重視することが求められる。性犯罪の定義および禁止について考える際には、子どもおよび青少年を、その特別な地位ゆえに、刑事司法制度に引きこまないようにすることが重要である。子どもは常に特別制度において対応されるべきであり、そこでは、適切な場合にはダイバージョンによって子どもを治療サービスに付託すること、および、前科の記録または登録簿への登載を回避することが求められる。 72.委員会は、18歳未満の子どもはいかなる形態であれ自分自身の売買、性的搾取または性的虐待にけっして同意できないこと、および、締約国は、18歳未満のいかなる子どもに対して実行されたものであっても、選択議定書で対象とされているすべての犯罪を犯罪化しなければならないことを強調する。搾取的または虐待的な性的行為に対して子どもが同意したという推定は、いかなるものも無効とされるべきである。 73.締約国は、同年代の青少年が行なった同意に基づく性的活動を犯罪化するべきではない。 VI.制裁 74.委員会は、選択議定書第7条に基づき、締約国が、選択議定書に基づく犯罪を実行しまたはその便宜を図るために用いられたあらゆる物品および当該犯罪から生じた収益の押収および没収に対応するための措置をとり、かつ、当該犯罪を実行するために用いられた施設の閉鎖を目的とした措置をとる義務を負っていることを想起する。この点に関する国際協力も保障されるべきであり、またこのような押収または没収を求める他の締約国からのいかなる請求も実行されるべきである。 75.選択議定書で対象とされている犯罪を実行しまたは容易にするためのICTの利用が増えていることに鑑み、締約国は、このような犯罪を実行するために利用されるさまざまな電子的手段(ハードウェアおよびソフトウェアの双方を含む)に緊密な注意を払わなければならない。委員会は、これらの、このような犯罪を実行する新たな方法に対して選択議定書第7条を適用する必要があることを強調するものである。このような新たな方法では、伝統的用語法にいう物理的施設ではないチャットルーム、オンライン・フォーラムその他のオンライン空間のような、オンラインの「施設」が用いられる場合もある。 76.選択議定書で対象とされている犯罪の捜査中に証拠を収集する方法、当該証拠を保存する方法、場所および期間ならびに当該証拠へのアクセス権を持つ者について、明確な規則および手続が定められるべきである。委員会はまた、締約国に対し、証拠、とくに子どもの性的虐待表現物(これが流布されることは、もともとの犯罪が実行された後も、長期にわたり被害者が再被害を受け続けることにつながりうる)の廃棄に関する明確な規則を定めることも勧告するものである。 77.子どもの売買および性的搾取は子どもの権利を深刻に侵害するものであり、被害を受けた子どもに長期にわたる悪影響を及ぼす。委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条にしたがい、選択議定書で対象とされているすべての犯罪を、自国の刑法に基づき、その重大な性質を考慮した適当な刑罰によって処罰できるようにするよう、促すものである。 78.犯罪の共謀、犯罪への参加および犯罪の未遂は区別されるべきである。選択議定書で対象とされている犯罪の実行におけるこれらの異なる役割は、それぞれ国内刑法で犯罪化することが求められる。 79.締約国は、選択議定書で対象とされている犯罪の実行、未遂、共謀または当該犯罪への参加について、刑事法、民事法または行政法に基づいて法人の責任を問えることを確保しなければならない。締約国は、自社のサーバーで提供されている子どもの性的虐待表現物をブロックしかつ削除するICT企業の責任、そのようないずれかの犯罪のための支払いを意図した金銭取引を阻止しかつ拒否する金融機関の責任、子どもを保護するための措置をとるスポーツ産業および娯楽産業の責任、ならびに、子どもの性的搾取の便宜を図らないようにする旅行・観光セクター(オンライン旅行代理店および予約サイトを含む)の責任を、法律で定めるべきである。 VII.裁判権および犯罪人引渡し 80.前掲第V節で取り上げたように、締約国は最低限、選択議定書第3条(1)に掲げられているすべての犯罪について、当該犯罪が自国の領域においてまたは自国に登録された船舶もしくは航空機において行なわれた場合(当該船舶または航空機の所在を問わない)の刑事裁判権を設定しなければならない。このような裁判権により、国は、加害者とされる者または被害者が自国の国民であるか否かにかかわらず、これらのすべての犯罪を捜査しかつ訴追することが可能になる。必要なときは、国は加害者とされる者の国際逮捕状を発布できる。委員会は、締約国に対し、この義務を遵守するための法律の整備を確保するよう促すものである。 81.委員会は、締約国に対し、被害を受けた子どもを発見しかつ救出する警察の捜査能力を拡大し、かつ、法執行機関が身分秘匿捜査の訓練を受けかつこのような捜査を実行できるようにするよう促す。このような捜査は、子どもの性的虐待表現物の製造および配布のような犯罪を捜査するうえできわめて重要である。委員会はまた、締約国に対し、この点に関する国際協力を強化するとともに、子どもに対する犯罪に対処するために国際刑事警察機構(インターポール)が開発してきた専門的スキルおよびリソースを活用するよう、奨励する。 82.選択議定書第4条(2)にしたがい、各締約国はまた、犯罪を行なったとされる者が自国の国民もしくは自国の領域に常居所を有する者である場合または被害者が自国の国民である場合にも、選択議定書で対象とされている犯罪であって自国の領域外で実行されたものについての裁判権(域外裁判権)を設定するべきである。国は、域外裁判権に基づき、上記の基準が満たされているときは犯罪を行なったとされる者の捜査および訴追を開始することができる。このような対応をとるために、犯罪を行なったとされる者が当該国の領域にいる必要はない。犯罪者の捜査および訴追について第一次的責任を負うのは犯罪実行地である国だが、犯罪を行なったとされる者の国籍国または常居所国も捜査および訴追の権限(犯罪を行なったとされる者の国際逮捕状の発布も含まれる場合がある)を有する。 83.域外裁判権に関する法律について、委員会は、締約国に対し、被害を受けた子どもが国民ではないものの自国の領域に常居所を有している場合の事件も含めるよう奨励する。 84.締約国は、双方可罰性要件を撤廃し、選択議定書で対象とされている犯罪であって他の国で実行されたものについて、たとえ関連の犯罪が当該国では犯罪化されていない場合でも域外裁判権を行使できるようにするべきである。双方可罰性の原則は、不処罰を可能とする空白を法律につくり出すものであり、適用されるべきではない。 85.域外裁判権は、子どもの売買または性的搾取を構成する犯罪を行なった者が他国に渡航する可能性が高い場合(臓器取引もしくは違法な国際養子縁組のための売買または旅行および観光における性的搾取の場合など)に、とりわけ重要となる。搾取は、犯罪を行なった者が犯罪発生国を離れるまで発覚しない場合があるため、締約国が犯罪者を訴追できることを確保することが不可欠である。 86.委員会は、締約国に対し、最低限、犯罪を行なったとされる者が自国の領域内におり、かつ当該犯罪が自国の国民によって行なわれたという理由でその者を他の締約国に引き渡さない場合には、選択議定書で対象とされている犯罪であって国外で実行されたものについて裁判権を設定しなければならないこと(第4条(3))を想起するよう求める。委員会は、締約国に対し、この義務を遵守するために必要なあらゆる法改正を行なうよう促すものである。国境に抜け道が多数存在し、犯罪を行なった者が異なる国々で容易に移動しかつ行き来できる状況においては、不処罰と闘うため、地域的な法執行および司法協力が不可欠となる。 87.委員会は、子どもに対する性犯罪を実行する目的でのICTの利用が増えていること、および、領域性にとっての新たな課題が生じていることを懸念する。犯罪を行なう者は、たとえば、ある国にいながら、子どもが他国で性的虐待を受けている様子をライブストリーミングで視聴し、注文を出すことさえできる。いまなお広く存在する、「実際の」行為がなければ処罰されないというこのような状況に効果的に終止符を打ち、かつICTを利用して犯罪を実行した犯罪者が訴追されることを確保するため、委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされているすべての犯罪について普遍的裁判権を設定すること、すなわち、犯罪を行なったとされる者または被害者の国籍または常居所国にかかわらずこのような犯罪を捜査しかつ訴追できるようにすることを奨励するものである。さらに、委員会は、選択議定書で対象とされている犯罪の多くはICTの利用を通じて実行しまたは容易にすることも可能であり、これらの犯罪がこのような形で行なわれた場合にも裁判権の対象とされなければならないことを想起する。 88.委員会は、第5条に基づき、選択議定書で対象とされている犯罪についての犯罪人引渡しに関して次のような規則が定められていることを想起したい。 (a) 選択議定書は、そこで定められている犯罪について締約国間で犯罪人引渡しを行なうための十分な法的根拠を提供している。したがって、これらの犯罪に関するかぎり、かつ第5条(2)にしたがって、締約国は、引渡しの請求に応じることができるようにするために他の締約国と犯罪人引渡し条約を締結する必要はない。 (b) 条約の存在を犯罪人引渡しの条件としていない締約国は、第5条(3)にしたがい、相互間でこのような犯罪を引渡し犯罪とみなすべきである。 (c) このような犯罪は、第5条(4)にしたがい、かつ締約国間における犯罪人引渡しの実行上、その発生地のみならず、第4条にしたがって裁判権を設定することを求められている国の領域においても行なわれたものとして取り扱われるべきである。加えて、締約国は、犯罪を行なったとされる者が自国民であるという理由で引渡しを行なわない場合、第5条(5)に基づき、引渡しか訴追かの義務にのっとって当該国民を訴追するための措置をとるよう求められる。 89.委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされているいずれかの犯罪の未遂ならびに共犯および当該犯罪への参加に対しても犯罪人引渡しを適用するよう奨励する。 VIII.被害を受けた子どもの、法的手続における援助および保護に対する権利 A.一般的所見 90.委員会は、刑事司法制度を子どもにとってよりアクセシブルかつ好意的なものとするうえで締約国が達成してきた相当の進展を認識するとともに、子どもが刑事司法制度を利用できるようにエンパワーメントを図る効果的な方法を見出すことの重要性を強調する。このことは、いまなお刑事司法制度に関わりまたは刑事手続に参加することが稀である、選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもにとって、とりわけ妥当するものである。 91.委員会は、締約国およびその他の関係者に対し、法的手続において援助および保護を受ける子どもの権利を確保する際の指針として、「子どもの犯罪被害者及び証人に関わる事項における正義についてのガイドライン」を活用するよう奨励する。 92.委員会は、締約国に対し、子どもの行為能力にかかわらず、被害を受けた子どもが情報を提供される権利および年齢にふさわしくかつジェンダーに配慮した方法で意見を聴かれる権利を確保するよう促す。被害を受けた子どもおよびその親、保護者または法定代理人に対しては、加害者とされる者に対する刑事告訴について十分な情報に基づく決定を行なうのに役立つよう、必要なすべての情報がこれらの者の理解できる言語で提供されるべきである。このような情報には、これらの者の権利、刑事手続におけるその役割ならびに参加のリスクおよび利点に関する情報が含まれる。これらの者が法的手続に参加することになった場合、定期的に最新状況を伝え、遅延に関する説明を行ない、主要な決定について協議し、かつ審判または公判の前に十分な準備ができるようにするべきである。 93.委員会は、締約国に対し、条約第3条および自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)にしたがい、犯罪を行なったとされる者の刑事訴追における第一次的考慮事項として子どもの最善の利益を採用するよう促す。この文脈においては子どもの回復およびウェルビーイングが正当に考慮されるべきであり、被害者に対し、刑事手続に関与するようになる前に必要な支援を受けるための一定の期間を認めることがまず必要になるかもしれない。この点は、犯罪を行なったとされる者」が子どもの家族構成員である場合および子どもをいずれかのまたは複数の家族構成員から分離しなければならない場合には、いっそう重要となりうる。このような事案では、きょうだいに対する適正な考慮も必要である。 94.被害を受けた子どもの証言への依存を軽減するため、委員会は、締約国に対し、犯行現場の証拠物(デジタル証拠を含む)および法廷へのそのような証拠の提出ならびに証拠規則(子どもの性的虐待事件における遮蔽法など)を全面的かつ効果的に活用するよう、強く奨励する。同様の趣旨で、委員会は、締約国に対し、被害者による告訴がなくとも検察機関が捜査を開始できるようにするよう促すものである。 B.カウンセリング、通報および苦情申立ての機構 95.選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもは、自分に対して行なわれたことを通報する可能性がとりわけ低く、または犯罪が行なわれてから何年も経てからでなければ通報しない場合もある。このように何があったかを明らかにしにくいことの背景には、恐怖感、恥辱感または罪悪感などのさまざまな理由が存在し、これは加害者が自分の知り合いであるためであることも多い。このことに照らし、委員会は、締約国が、このような犯罪については時効を設けないよう勧告する。時効が定められている場合、委員会は、締約国に対し、犯罪の特有の性質にあわせて時効を修正し、かつ被害者が18歳に達するまで時効の期間が開始しないことを確保するよう、促すものである。 96.委員会は、締約国に対し、自分の言うことが信用され、かつ安心して話せると子どもが感じられる環境づくりに資する援助および保護の枠組みを用意するよう促す。とくに、締約国は次のことをするべきである。 (a) 被害を受けた子どもによる虐待の事実の開示を促進するため、広く利用可能で、容易にアクセスでき、子どもおよびジェンダーに配慮した、かつ秘密が守られる、子どもを対象とする心理社会的カウンセリングおよび通報のための機構を設置すること。このような機構は法律で規制されるべきであり、かつ、子どものケアおよび保護に責任を負う主体、機関および施設について明確に定められるべきである。このような機構には、子どもが通報するための回路(オンラインおよび電話によるヘルプラインその他の窓口など)ならびに子どもの保護制度、法執行制度および司法制度を含めることが求められる。このような機構は、子どもが、自分がもっとも安心だと感じられる方法で(たとえ匿名であっても)助けを求め、かつ性的虐待を受けた場合には通報できるようなものであるとともに、性的にあからさまな自撮りコンテンツに関しても助言または助けを求められるようなものであるべきである。 (b) バーナフス(Barnahus「子どもの家」)または子どもにやさしくかつ多職種の専門家が関わる同様のワンストップセンターのような、子どものケアおよび保護のための介入(治療サービスおよび医療サービスの提供によるものを含む)を行なうさまざまな主体が結集するモデルを活用し、被害を受けた子どもおよび目撃者である子どものためのサービスを、1か所の安全な場所に一元化すること。このような場所は、被害を受けた子どもおよび目撃者である子どもが、安全な環境で、子どもおよびジェンダーに配慮した、専門的かつ効果的な、これらの子どもの最善の利益を常に保全する対応を享受できることを確保するための、多職種の専門家による機関横断的連携の機会を提供するものである。 (c) 人権保障に責任を負う国家的機関(国家人権機関またはオンブズパーソンなど)に対し、子どもからの苦情申立てを子どもおよびジェンダーに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応するとともに、被害者のプライバシーおよび保護を確保し、かつ被害を受けた子どものための活動の監視、フォローアップおよび検証を行なう具体的権限を付与すること。 (d) 上述したすべてのサービスへのアクセスは犯罪に関連するいずれかの手続に子どもが参加するか否かにかかわらず保障されることを、法律により疑問の余地なく明確にすること。 C.刑事司法手続への参加 97.委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされている犯罪の被害を受けた子どもに刑事司法手続のあらゆる段階で適切な支援および法律相談を提供しかつその権利および利益を保護する義務、ならびに、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保する義務を想起するよう求める。このような義務には次のものが含まれる。 (a) 法的手続および捜査手続が子どもおよびジェンダーに配慮したものであることを確保するとともに、関係職員が個々の子どもの具体的ニーズに合わせてこれらの手続を修正できるようにすること。証拠価値を高め、かつ子どもの二次被害を回避するため、子どもにやさしい環境において、エビデンスに基づく標準手続にしたがって司法面接が実施されるべきである。犯罪を行なったとされる者との対峙および複数回の面接は避けることが求められる。委員会は、子どもの証言が適正手続の条件のもとで法廷外において聴取し、かつ法廷で証拠として認容されるようにすることを勧告する。警察官、裁判官、検察官および弁護士は、子どもの権利および子どもにやさしい司法措置に関する訓練を受けているべきである。 (b) 捜査および公判手続において被害を受けた子どものプライバシーを保護するとともに、被害を受けた子どもを脅迫および報復から適切かつ十分に保護されることを保障するための法律上および実務上の措置を確保すること。 (c) 刑事司法手続の間、被害を受けたすべての子どもに対し、無償の法的援助(子どもの代理人として、国内法制度に応じ、弁護士もしくは訴訟後見人または他の資格のある代弁者を任命することを含む)および十分な訓練を受けた専門家(児童精神科医、心理学者およびソーシャルワーカーなど)による精神保健上の支援を提供すること。 (d) 可能なときは、公判中、被害を受けた子どもが出廷することなく聴聞されることを可能にするために適切な通信技術を活用すること。このことは、子どもに対して国外で実行された選択議定書上の犯罪に関わる司法手続において、他国にいる被害者の証言を聴聞できるようにするために必要不可欠となる。このような技術的手段が利用可能でない場合または公判の際に子どもがその場にいることがどうしても必要な場合、締約国は、たとえば子どもと被告人を交互に出廷させるなどの対応により、子どもが加害者とされる者と対峙しないことを確保するべきである。 (e) 加害者とされる者が親、家族構成員、他の子どもまたは主たる養育者であるときは、必要に応じて特別な予防的措置をとること。このような措置においては、子どもの告白が、子ども自身の状況および犯罪に関与していない他の家族構成員の状況の悪化ならびに子どもが経験したトラウマの悪化につながるべきではないことが、慎重に考慮されるべきである。委員会は、締約国に対し、被害を受けた子どもではなく加害者とされる者を分離することを検討するよう奨励する。分離は、子どもによって、処罰として経験される可能性があるためである。 98.委員会は、子どもにやさしい司法の中核的原則のひとつが手続の迅速性であることを再確認する。選択議定書で対象とされている犯罪の通報後の対応は、遅れるべきではない。子どもの売買、性的搾取および性的虐待に関する事件は、優先的進捗管理、連続審理その他の手法を通じて迅速に進められるべきであり、遅延は、子どもの意見および最善の利益を考慮した後でなければ認められるべきではない。 99.委員会は、締約国に対し、上述した援助および保護のための措置を、刑事手続、民事手続および行政手続に関与する子どもの被害者および証人に対しても適宜適用するよう、強く奨励する。 IX.被害を受けた子どもの、回復、家族および社会への再統合ならびに補償・賠償に対する権利 100.委員会は、締約国に対し、被害を受けた子どもに救済を提供すること、これらの子どもが自己の受けた危害について補償・賠償を得られるようにすることならびにこれらの子どもの回復および再統合を可能にすることは犯罪を行なった者を処罰するのと同じぐらい重要であり、選択議定書第9条(3)および(4)に基づく義務であることを想起するよう求める。委員会は、この目的のため、締約国が次の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 被害者の医療ケア、社会的再統合ならびに身体的および心理的回復のための関連サービスに、当該サービスを必要とするすべての子どもが全国的に無償でアクセスできること、ならびに、当該サービスを提供する者が公認の訓練を受けかつ必要な専門性を有していることを確保すること。 (b) 締約国の領域内にいる外国人の被害者も対象として、緊密にモニタリングされる公判後の再統合サービスを含む包括的な連続的ケアおよび支援を発展させること。 (c) 被害を受けた子ども1人ひとりについてどのような形態の補償・賠償が望ましいか、その子どもの具体的状況、個人的見解および人生展望に応じて注意深く検討すること。加えて、または金銭的補償に代わる手段として、被害者に長期的に利益を与えうる、教育および(または)所得創出活動のための金銭的その他の支援という形態で補償を行なうこともできる。 101.オンラインで行なわれた性的搾取および虐待を発見したとしても、必ずしも犯罪を行なった者および被害を受けた子どもが特定可能な形で明らかになるとは限らない。締約国は、共助および国際協力ならびにインターポール等も通じて被害者の特定を強化し、かつその救出および帰還の指針を示すための明確な措置をとるべきである。締約国はまた、犯罪を行なった者を特定するためにも、画像分析システムを含む同様の手段を活用することが求められる。 102.選択議定書で対象とされている犯罪を実行しまたは容易にするためにICTが利用された事件では、多くの場合、子どもの性的虐待表現物という形で永久に記録が残る。委員会は、このことが子どもの回復および再統合に継続的影響を及ぼしうることについて深く懸念するものである。締約国は、このような状況に関する意識を高めるとともに、必要に応じて長期的な社会サービスおよび心理サービスを提供するための十分な措置をとるよう求められる。 103.子どもの性的虐待を描写した表現物がオンラインで存在し続けかつ流布され続けることには、子どもに対するスティグマを悪化させ、かつ子どもおよびその家族が感じる可能性のある恥辱感を高めることにより、家庭およびコミュニティへの再統合をより困難にするおそれもある。委員会は、締約国が、子どもが関わる有害な表現物へのアクセスおよびそのシェアが続くことを防止するため、このような表現物をブロックしかつ削除するための迅速かつ効果的な手続を用意するよう勧告する。このような手続は、法執行機関および通報用ホットラインならびに民間セクター(とくにインターネット・サービス・プロバイダおよびソーシャルネットワーク)と連携しながら設けられるべきである。 104.締約国は、法的援助の提供または国が運営する補償制度の設置等を通じ、被害者が、その経済的状況にかかわらず、法的措置を通じて補償・賠償を請求できるようにするとともに、被害者が、当該犯罪に関与していたことを理由に補償・賠償を受ける資格がないとみなされないことを確保するべきである。このような法的手続が民事訴訟に基づくものである場合、当該手続に、刑事手続について述べたものと同一の子どもおよびジェンダーに配慮した措置を適宜統合することが求められる。 105.補償・賠償の問題は、子どもの売買、性的搾取および性的虐待がICTの利用を通じて実行されまたは容易にされた事件において、とりわけ複雑なものとなる。子どもは、カメラの前で性的虐待を受けるときだけではなく、他者がその虐待の画像その他の表現にオンラインでアクセスするたびに深刻な危害を受けるのである。子どもの性的虐待表現物で描写された被害者に対する賠償が制定法により要求されている国でさえ、裁判所にとって、各視聴者が子どもに支払うべき賠償額を算定するのは困難であることが明らかになっている。 106.有罪判決を受けた加害者から被害者が賠償を受けられる可能性を高めるため、締約国は、手続の早い段階で被告人の資産の特定および差押えをできるようにするとともに、被害者が没収財産から支払いを受けられるようにする目的でマネーロンダリング法を改正するよう、奨励される。補償・賠償措置は国際基準に則って執行されるべきである。 107.委員会は、締約国に対し、犯罪を行なった者の捜査および訴追が、正義を手にする被害者のリハビリテーションの手段としても機能し、かつ抑止を通じて他の同様の犯罪の防止にもつながる可能性があることを想起するよう求める。この文脈において、委員会は、締約国に対し、選択議定書で対象とされている犯罪に対する責任の履行を確保することおよび不処罰と闘うことに関する政治的意思を示し、かつ積極的に行動するよう奨励するものである。 X.共助および国際協力 108.委員会は、締約国に対し、自国が、選択議定書第6条(1)に基づき、議定書で対象とされている犯罪に関わって進められる捜査または刑事手続もしくは犯罪人引渡し手続との関連で、相互に最大限の援助(これらの手続のために必要であり、かつ自国が提供することのできる証拠の取得に関する援助を含む)を与えなければならないとされていることを想起するよう求める。具体的には、締約国は、犯罪捜査に役立つ可能性がある情報を共有するとともに、自国の領域における捜査を容易にすることに対して可能なあらゆる方法で貢献するべきである。 109.選択議定書第10条の規定にしたがい、締約国は、よい幅広く、選択議定書で対象とされている犯罪の防止、発見、捜査ならびに当該行為に責任を負う者の訴追および処罰のために協力しなければならないとされている。このような協力では、とくに、発見および通報のための効果的制度、情報共有ならびに犯罪の証拠(電子証拠を含む)の時宜を得た保全および送達が対象とされるべきである。協力においては、回復、再統合および帰還に関する被害者への援助も適宜対象とすることが求められる。 110.委員会は、締約国に対し、選択議定書ならびに性的搾取および性的虐待からの子どもの保護を目的とするその他の法的文書の規定を国際的援助の増進を通じて実施するにあたり相互に援助(社会的および経済的開発、貧困根絶プログラムならびに教育の完全普及のための支援を含む)を行なうための適切な措置をとるよう奨励する。 111.委員会は、締約国に対し、国家機関、法執行機関、司法当局その他の関係機関が関与する二国間および多国間の協定を締結するよう、強く奨励する。犯罪を行なった者の特定、捜査および裁判所における訴追ならびに被害者の特定を可能とするための技術的ツールを開発する目的で、民間セクターおよび専門の非政府組織とのパートナーシップも確立されるべきである。 112.締約国は、国境を越えて実行された犯罪の証拠への権限保有者によるアクセスの便宜を図ることによって、いっそうの協力を通じ、子どもの売買、子どもの性的搾取および性的虐待(オンラインおよびオフラインのどちらで行なわれたものも含む)の実効的捜査および訴追を妨げる障壁を取り除くべきである。 113.委員会は、締約国に対し、売買および性的搾取から子どもを保護するための国内的および国際的連合体を支援し、かつ、犯罪ネットワークおよび加害者の捜査および訴追における効果的協力を確保するよう奨励する。 更新履歴:ページ作成(2019年2月4日)。
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子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針 採択日:2010年11月17日 原文英語(日本語訳:平野裕二) 前文 閣僚委員会は、 欧州評議会の目的が、とくに法律上の問題に関する共通の規則の採択を促進することによって加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 子どもの権利を保護しかつ促進する、拘束力を有する既存の国際基準および欧州の基準(とくに以下のものを含む)の効果的実施を確保する必要があることを考慮し、 難民の地位に関する1951年の国際連合条約 市民的および政治的権利に関する1966年の国際規約 経済的、社会的および文化的権利に関する1966年の国際規約 子どもの権利に関する1989年の国際連合条約 障害のある人の権利に関する2006年の国際連合条約 人権および基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS NO.5)(以下「ECHR」) 子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No. 160) 改正欧州社会憲章(1996年、ETS No. 163) 子どもに関わる面接交渉に関する欧州評議会条約(2003年ETS No. 192) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2007年CETS No. 201) 子どもの養子縁組に関する欧州条約(改正)(2008年、CETS No. 202) ECHRで保障されているとおり、かつ欧州人権裁判所の判例にしたがって、司法および公正な裁判に対し――そのすべての構成要素(とくに情報を知らされる権利、意見を聴かれる権利、弁護人選任権および代理人選任権を含む)に関して――アクセスするすべての者の権利は、民主的社会において必要なものであり、かつ子どもにも平等に適用される(ただし、その際には自己の意見を形成する子どもの能力が考慮される)ことを考慮し、 関連する欧州人権裁判所の判例、欧州評議会諸機関の決定、報告書その他の文書(拷問および非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の防止に関する欧州委員会(CPT)の勧告を含む)、ならびに、欧州評議会人権コミッショナーの声明および見解ならびに欧州評議会議員会議の種々の勧告を想起し、 閣僚委員会が子どもの権利の分野で加盟国に対して行なった種々の勧告(庇護希望者の収容措置に関する勧告Rec(2003)5、少年非行に対する新たな対処法および少年司法の役割に関する勧告Rec(2003)20、入所施設で暮らす子どもの権利に関する勧告Rec(2005)5、欧州刑務所規則に関する勧告Rec(2006)2、制裁または措置の対象とされた少年犯罪者のための欧州規則に関する勧告CM/Rec(2008)11、および、子どもを暴力から保護するための統合的国家戦略についての政策指針に関する勧告CM/Rec(2009)10を含む)に留意し、 第28回欧州法務大臣会議で採択された、子どもにやさしい司法に関する決議第2号(ランサローテ、2007年10月)を想起し、 以下のもののような、国際連合による子どもの権利の保障の重要性を考慮し、 少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(「北京規則」、1985年) 自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則(「ハバナ規則」、1990年) 少年非行の防止に関する国際連合指針(「リャド・ガイドライン」、1990年) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国際連合指針(経済社会理事会決議2005/20、2005年)〔Word〕 「国際連合事務総長指針覚書:子どものための司法に対する国際連合のアプローチ」(2008年) 子どものための代替的養護の適切な利用および条件に関する国際連合指針(2009年)〔PDF〕 人権の保護および促進のための国内機関の地位および職務に関する原則(「パリ原則」) 加盟国がより高い基準またはより望ましい措置を導入しまたは適用することを妨げることなく、子どもの権利に関する既存の拘束的規範の効果的実施を保障する必要があることを想起し、 欧州評議会プログラム「子どもたちのためにおよび子どもたちとともに築くヨーロッパ」を参照し、 子どもにやさしい司法の実施に向けて加盟国で達成された進展を認知し、 にもかかわらず、司法制度に子どもにとっての障壁が存在していること(とくに、司法にアクセスする権利が存在せず、部分的でありまたは条件付であること、手続が多様かつ複雑であること、種々の事由に基づく差別の可能性があることなど)に留意し、 子どもが関与するまたは子どもに影響を与える手続において、子どもが司法制度による二次被害を受ける可能性を防止する必要があることを想起し、 現存する欠陥および問題点について調査し、かつ子どもにやさしい司法の原則および実務を導入しうる分野を特定するよう、加盟国に対して慫慂し、 欧州評議会加盟国全域で協議の対象とされた子どもたちの意見および見解を認知し、 この指針が、法律上および実務上存在する欠点の実際的是正策を明らかにすることに対する貢献を目的としていることに留意し、 加盟国が子どもの具体的な権利、利益およびニーズにあわせて司法制度および司法外制度のあり方を修正するための実践的ツールとして以下の指針を採択するとともに、加盟国に対し、司法における子どもの権利に責任を負いまたはその他の形で関係しているすべての公的機関の間でこの指針が広く普及されることを確保するよう、慫慂する。 I.適用範囲および目的 1.この指針では、司法手続およびそのような手続に代わる措置における子どもの立場および役割ならびに意見、権利およびニーズの問題について取り扱う。 2.この指針は、いかなる理由に基づいてであるかおよびいかなる立場においてであるかを問わず、子どもが、刑事法、民事法または行政法の実施に関与するあらゆる権限ある機関および部局と何らかの方法で接触するあらゆる場合に適用されるべきである。 3.この指針の目的は、そのようないかなる手続においても、子どものすべての権利、とくに情報に対する権利、代理人選任権、参加権および保護に対する権利が、子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら全面的に尊重されることを確保することである。子どもの権利を尊重することにより、他の関係当事者の権利が脅かされるべきではない。 II.定義 子どもにやさしい司法に関するこの指針(以下「本指針」)の適用上、次の用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「親」とは、国内法にしたがって親責任を有する一または複数の者をいう。親が存在しないか、またはすでに親責任を有していないときは、後見人、または指定された法定代理人をいうこともある。 c.「子どもにやさしい司法」とは、以下に列挙した諸原則に留意し、かつ子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら、すべての子どもの権利の尊重および効果的実施を到達可能な最高水準で保障する司法制度をいう。「子どもにやさしい司法」とは、とくに、アクセスしやすく、年齢にふさわしく、迅速であり、怠惰に陥ることがなく、子どものニーズおよび権利に適合しおよび焦点化され、ならびに、子どもの権利(適正手続に対する権利、手続に参加しかつ手続を理解する権利、私生活および家族生活を尊重される権利ならびに不可侵性および尊厳に対する権利を含む)を尊重する司法のことである。 III.基本原則 1.本指針は、前文で言及されている諸文書および欧州人権裁判所の判例に掲げられた既存の諸原則を基礎とし、それらを発展させたものである。 2.当該諸原則の発展については、以下の節においてさらに詳しく述べられる。これらの諸原則は、本指針のすべての章に適用されるべきである。 A.参加 1.自己の権利について知らされ、司法にアクセスするための適切な方法を与えられ、ならびに自己が関与するまたは自己に影響を与える手続において相談されおよび意見を聴かれるすべての子どもの権利が、尊重されるべきである。これには、このような参加を意味のあるものとする目的で、子どもの成熟度および子どもが有している可能性のある意思疎通上の困難に留意しながら、子どもの意見を正当に重視することも含まれる。 2.子どもは完全な権利保有者として見なされおよび取り扱われるべきであり、ならびに、自分自身の意見を形成する能力および事案の事情を考慮に入れた方法で自己のすべての権利を行使する資格が認められるべきである。 B.子どもの最善の利益 1.加盟国は、自己が関与するまたは自己に影響を与えるすべての案件において自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が効果的に実施されることを保障するべきである。 2.当事者である子どもまたは影響を受ける子どもの最善の利益を評価するに際しては、以下のことが守られるべきである。 a. 子どもの意見および見解が正当に重視されること。 b. 子どもが有する他のすべての権利(尊厳、自由および平等な取扱いに対する権利など)が常に尊重されること。 c. 関係するすべての利益(子どもの心理的および身体的ウェルビーイングならびに法的、社会的および経済的利益を含む)が正当に考慮されるよう、関連のすべての公的機関によって包括的アプローチがとられること。 3.同一の手続または事案に関与するすべての子どもの最善の利益は、相反する可能性がある子ども同士の利益を調和させる目的で、個別に評価されおよび衡量されるべきである。 4.終局決定を行なう最終的権限および責任を司法機関が有しているときは、加国は、必要に応じ、子どもが関与する手続においてその最善の利益を評価するための学際的アプローチを確立する目的で協調のとれた努力を行なうべきである。 C.尊厳 1.子どもは、その個人的状況、ウェルビーイングおよび具体的ニーズに対して特段の注意を払われ、かつその身体的および心理的不可侵性を全面的に尊重されながら、いかなる手続または事案においても、その全体を通じ、配慮、繊細さ、公正さおよび敬意をもって取り扱われるべきである。このような取扱いは、子どもが司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入のいずれの対象にされたかを問わず、かついずれかの手続または事案においてどのような法律上の地位および立場にあるかに関わらず、子どもに対して行なわれるべきである。 2.子どもは、拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の対象とされてはならない。 D.差別からの保護 1.子どもの権利は、性、人種、皮膚の色もしくは民族的背景、年齢、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、社会経済的背景、親の地位、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、性自認またはその他の地位のようないかなる事由に基づく差別もなく、保障されなければならない。 2.移住者である子ども、子どもの難民および庇護希望者、保護者にともなわれずに入国した子ども、障害のある子ども、ホームレスの子どもおよびストリートチルドレン、ロマの子どもならびに入所施設の子どもなど、より脆弱な立場に置かれた子どもに対しては、特別な保護および援助を与える必要がある可能性もある。 E.法の支配 1.法の支配の原則は、成人に適用されるのと同様に子どもに対しても全面的に適用されるべきである。 2.罪刑法定主義および比例性の原則、無罪推定、公正な裁判に対する権利、法律上の助言を得る権利、裁判所にアクセスする権利ならびに上訴権のような適正手続の諸要素は、成人に対して保障されるのと同様に子どもに対しても保障されるべきであり、子どもの最善の利益の名目で最小限に抑えられまたは否定されるべきではない。このことは、すべての司法的および非司法的手続ならびに行政手続に適用される。 3.子どもは、適切な、独立した、かつ効果的な苦情申立て手続にアクセスする権利を認められるべきである。 IV.司法手続の前、最中および後における子どもにやさしい司法 A.子どもにやさしい司法の一般的要素 1.情報および助言 1.子どもおよびその親は、司法制度または他の権限ある公的機関(警察、出入国管理部局、教育部局、社会部局または保健ケア部局など)に最初に関与することになった時点から、かつ当該プロセス全体を通じて、とくに以下のことに関する情報を速やかにかつ十分に知らされるべきである。 a. その権利(とくに、子どもが関与しているまたは関与する可能性のある司法的または非司法的手続との関連で有している具体的権利)、および、その権利が侵害された場合に利用可能な救済手段(司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入を利用する機会も含む)。これには、手続が継続する期間の見込み、不服申立て手続にアクセスする可能性および独立の苦情申立て機構に関する情報が含まれる場合もある。 b. 関連する制度および手続。これに関する情報提供の際は、子どもが置かれる特定の立場および子どもが果たす可能性のある役割ならびに種々の手続的段階を考慮に入れるものとする。 c. 司法的または非司法的手続に参加する際に子どもを支援するために設けられている機構。 d. 定められた法廷内手続および法廷外手続の妥当性および考えられる結果。 e. 適用可能なときは、子どもおよびその親の苦情申立てについて行なわれた告発またはフォローアップ。 f. 子どもが当事者であるときは、裁判手続その他の関連の出来事(聴聞など)の期日および場所。 g. 手続または介入の一般的進行状況および結果。 h. 保護措置の利用可能性。 i. 子どもに影響を与える決定の再審査を行なうために設けられている機構。 j. 司法手続、代替的な民事上の手続その他の手続を通じ、犯罪者または国から賠償を得るために設けられている機会。 k. 諸サービス(保健サービス、審理サービス、社会サービス、通訳および翻訳サービスその他)または支援を提供できる機関の利用可能性、および、(適用可能なときは緊急の金銭的支援を得て)当該サービスにアクセスする手段。 l 子どもが他国の住民である場合にその最善の利益を可能なかぎり保護するために特別な取決めが存在するときは、当該取決め。 2.子どもに対する情報および助言の提供は、その年齢および成熟度に適合した方法、子どもが理解できる言語ならびにジェンダーおよび文化に配慮した言葉遣いで提供されるべきである。 3.原則として、子どもおよび親または法定代理人の双方に対して直接情報が提供されるべきである。親に対する情報の提供は、当該情報を子どもに伝達することの代替的手段とされるべきではない。 4.関連の法的情報を掲載した子どもにやさしい資料が利用可能とされかつ広く配布されるべきであり、また子どもを対象とする特別な情報サービス(専門のウェブサイトおよびヘルプラインなど)が設けられるべきである。 5.子どもに対する告発の情報は、告発が行なわれた後、速やかにかつ直接に与えられなければならない。この情報は、子どもおよび親の双方に対し、告発の正確な内容および告発によって生じる可能性のある結果が理解できるような方法で提供されるべきである。 2.私生活および家族生活の保護 6.司法的または非司法的手続およびその他の介入に関与しているまたは関与した子どものプライバシーおよび個人データは、国内法にしたがって保護されるべきである。このことは、子どもの身元を明らかにしうるまたは間接的にその開示につながりうるいかなる情報または個人データも、とくにメディアにおいて利用可能とされまたは公表されてはならないことを一般的に含意する。このような情報または個人データには、画像、子どもまたは子どもの家族に関する詳細な描写、氏名または住所、録音および録画等が含まれる。 7.加盟国は、立法措置またはメディアによる自主規制の監視を通じ、6に掲げられたプライバシー権がメディアによって侵害されることを防止するべきである。 8.加盟国は、とくに子どもが関与する手続において、子どもの個人データおよび要配慮データを記載したあらゆる記録または文書へのアクセスの制限について定めるべきである。子どもの最善の利益を考慮しつつ、個人データおよび要配慮データの転送が必要となるときは、加盟国は、関連のデータ保護法制にしたがってこのような転送の規制を行なうべきである。 9.司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において子どもが聴聞されまたは証言を行なうときは常に、これを非公開で行なうことが望ましい。原則として、直接の当事者のみがその場に出席するべきである。ただし、当該出席によって子どもの証言が妨げられないことを条件とする。 10.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、子どもに危害が生じるおそれのある場合を除き、秘密保持に関する厳格な規則を遵守するべきである。 3.安全(特別防止措置) 11.子どもは、すべての司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において、脅迫、報復および二次被害を含む危害から保護されるべきである。 12.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、必要なときは、子どもとともに働くための適格性を確保する目的で、国内法にしたがい、かつ司法の独立を妨げることなく、定期的な適性資格審査の対象とされるべきである。 13.加害者であると疑われる者が親、家族構成員または主たる養育者であるときは、子どもに対して特別な警戒措置が適用されるべきである。 4.専門家の研修 14.子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家は、さまざまな年齢層の子どもの権利およびニーズならびに子どもにあわせて修正された手続についての、必要な学際的研修を受けるべきである。 15.子どもと直接接する専門家は、あらゆる年齢および発達段階の子どもならびにとくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもとの意思疎通についての訓練も受けているべきである。 5.学際的アプローチ 16.私生活および家族生活に対する子どもの権利を全面的に尊重しつつ、子どもについて包括的に理解し、かつその法的、心理的、社会的、情緒的、身体的および認知的状況についてのアセスメントを可能とする目的で、種々の専門家間の緊密な協力が奨励されるべきである。 17.決定を行なう専門家に対して必要な支援を提供し、特定の事案において子どもの利益を最善の形で実現できるようにする目的で、子どもが関与しまたは子どもに影響を与える手続または介入において子どもとともにまたは子どものために働く専門家(弁護士、心理学者、医師、警察官、出入国管理官、ソーシャルワーカーおよび調停官など)を対象とした共通アセスメント枠組みが確立されるべきである。 18.学際的アプローチを実施する際には、秘密保持に関する職業上の規則が尊重されるべきである。 6.自由の剥奪 19.子どもの自由の剥奪は、いかなる形態であれ、最後の手段とされ、かつもっとも短い適当な期間で用いられるべきである。 20.自由の剥奪が行なわれるときは、子どもは原則として成人とは別に収容されるべきである。子どもが成人とともに拘禁される場合、これは例外的な理由により、かつ子どもの最善の利益を唯一の根拠として行なわれるべきである。あらゆる状況において、子どもはそのニーズに適した施設に拘禁されるべきである。 21.自由を奪われた子どもの脆弱性、家族の絆の重要性および社会への再統合を促進することの重要性にかんがみ、権限ある公的機関は、国際文書および欧州の文書に定められた子どもの尊重を確保し、かつその充足を積極的に支援するべきである。他の諸権利に加え、子どもに対してはとくに以下の権利が認められるべきである。 a. 司法の利益および子どもの利益に照らして制限が必要とされる場合を除いて、面会および通信を通じ、親、家族および友人と定期的かつ有意味な接触を維持する権利。この権利の制限が懲罰として用いられることがあってはならない。 b. 適切な教育、職業指導および職業訓練ならびに医療ケアを受け、かつ、思想、良心および宗教の自由ならびに余暇(体育およびスポーツを含む)へのアクセスを享受する権利。 c. 子どもの情緒的および身体的ニーズ、その家族関係、住居、就学および就労の可能性ならびに社会経済的地位について十全な注意を払いつつ、子どもが自己のコミュニティに復帰するための準備を前もって整えられるようにするためのプログラムにアクセスする権利。 22.保護者にともなわれずに入国した未成年者(庇護希望者を含む)および入国前に養育者から分離された子どもの自由の剥奪が、在留資格がないことのみをきっかけまたは根拠として行なわれることはあってはならない。 B.司法手続の前における子どもにやさしい司法 23.刑事責任に関する最低年齢はあまりに低くあるべきではなく、かつ法律によって定められるべきである。 24.調停、(司法制度からの)ダイバージョンおよび裁判外紛争解決手続のような司法手続に代わる手段は、これが子どもの最善の利益にかなう可能性があるときは常に奨励されるべきである。このような代替的手段を予備的に活用することが、司法に対する子どものアクセスを妨げる理由として用いられるべきではない。 25.子どもは、裁判手続または裁判所外の代替的手段のいずれかを利用する機会について余すところなく情報を提供されかつ相談されるべきである。このような情報の提供に際しては、それぞれを選択した場合に考えられる結果についても説明が行なわれるべきである。裁判手続に代わる手段が存在するときは常に、法律上その他の十分な情報に基づき、裁判手続と当該代替手段のいずれを利用するかが選択できるようにされるべきである。子どもに対しては、提案されている代替手段の妥当性および望ましさについて判断するに際し、法的助言その他の援助を得る機会が与えられるべきである。このような決定を行なうにあたっては、子どもの意見が考慮されるべきである。 26.裁判手続に代わる手段においては、同等の水準の法的保護措置が保障されるべきである。この指針および子どもの権利についての関連のあらゆる法的文書に掲げられた子どもの権利の尊重は、裁判所内外のいずれの手続においても同等に保障されるべきである。 C.子どもと警察 27.警察は、すべての子どもの人格権および尊厳を尊重するとともに、その脆弱性を顧慮する(すなわち、子どもの年齢および成熟度、ならびに、身体障害もしくは精神障害がありまたは意思疎通の困難を有している可能性がある子どもの特別なニーズを考慮する)べきである。 28.子どもが警察に逮捕されたときは常に、子どもに対し、その年齢および理解力の水準にふさわしい方法および言葉遣いで、拘束の理由が知らされるべきである。子どもに対しては弁護士のアクセスが提供されるべきであり、かつ、その親または子どもが信頼する者に連絡する機会が与えられるべきである。 29.例外的事情がある場合を除き、親は、子どもが警察署にいることを連絡され、子どもが拘束された理由の詳細を知らされ、かつ警察署に来るよう求められるべきである。 30.拘束された子どもは、弁護士または子どものいずれかの親もしくは親が立ち会えないときは子どもが信頼する他の者の立ち会いがなければ、犯罪行為について尋問され、または犯罪行為への関与に関する調書を作成しもしくはこれに署名するよう求められるべきではない。親または子どもが信頼する他の者については、当該犯罪行為への関与が疑われるときまたは司法妨害に相当する行為を行なうときは、立ち会いを認めないことができる。 31.警察は、可能なかぎり、留置中のいかなる子どもも成人とともに拘禁されないことを確保するべきである。 32.公的機関は、警察に留置されている子どもが、安全であり、かつそのニーズにふさわしい環境で収容されることを確保するべきである。 33.これが検察官の権限とされている加盟国においては、検察官は、捜査手続全体を通じて子どもにやさしいアプローチが用いられることを確保するべきである。 D.司法手続の最中における子どもにやさしい司法 1.裁判所および司法手続へのアクセス 34.子どもは、権利の保有者として、自己の権利を効果的に行使し、または自己の権利侵害について行動するための救済措置を利用できるべきである。国内法は、適当なときは、自己の権利についておよび自己の権利を守るための救済措置の利用について十分に理解している子どもが十分な法的助言に基づいて裁判所にアクセスできることを容易にするべきである。 35.手続の費用または弁護人の不存在など、裁判所へのアクセスを妨げるいかなる障壁も取り除かれるべきである。 36.子どもに対して行なわれた一部の特定犯罪または民事法もしくは家族法の一部の側面に関わる事件については、裁判所へのアクセスは、必要なときは子どもが成年に達してから一定期間が経過するまで認められるべきである。加盟国は自国の時効を見直すよう奨励される。 2.弁護人および代理人 37.子どもと親その他の当事者との間に利益相反があるまたはその可能性がある手続においては、子どもに対し、自らの名義で自分自身の弁護人および代理人を選任する権利が認められるべきである。 38.子どもは、成人と同一の条件またはより寛大な条件で無償の法律扶助にアクセスできるべきである。 39.子どもの代理人を務める弁護士は、子どもの権利および関連の問題について訓練を受けかつ精通し、継続的かつ徹底的な研修を受け、かつ子どもの理解力の水準にあわせて子どもと意思疎通する能力を有しているべきである。 40.子どもは独自の権利および完全な地位を有する依頼人と見なされるべきであり、子どもの代理人を務める弁護士はその子どもの意見を提出するべきである。 41.弁護士は、子どもに対し、子どもの意見および(または)見解によってもたらされる可能性がある結果についてあらゆる必要な情報および説明を提供するべきである。 42.親子間に利益相反がある事件においては、権限ある公的機関は、子どもの意見および利益を代弁する訴訟後見人または他の独立の代理人を任命するべきである。 43.とくに親、家族構成員または養育者が犯罪の被疑者である手続においては、十分な代理および親とは独立の代理人を選任する権利が保障されるべきである。 3.意見を聴かれる権利および意見表明権 44.裁判官は、自己に影響を与えるあらゆる事案において意見を聴かれ、または、少なくとも、当該事案について十分な理解力を有していると見なされるときには意見を聴かれる子どもの権利を尊重するべきである。この目的のために用いられる手段は、子どもの理解力の水準および意思疎通を図りかつ事案の事情を考慮する子どもの能力に適合したものであるべきである。子どもは、意見を聴かれたいと希望する事案に関して相談の対象とされるべきである。 45.子どもの意見および見解は、その年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるべきである。 46.意見を聴かれる権利は子どもの権利であって、子どもに課される義務ではない。 47.子どもは、年齢のみを理由として意見を聴かれることから排除されるべきではない。裁判官は、子どもが自己に影響を与える事件で意見を述べたいと申し出たときは常に、意見を聴かないことが子どもの最善の利益にかなう場合を除いて意見を聴くことを拒否せず、当該事件においてその子どもに影響を与える事柄についての意見および見解に耳を傾けるべきである。 48.子どもに対しては、意見を聴かれる権利を効果的に活用する方法についてのあらゆる必要な情報が提供されるべきである。ただし、意見を聴かれかつその意見を考慮される権利が必ずしも最終的決定を左右しない場合もあることが、子どもに対して説明されるべきである。 49.子どもに影響を与える判決および裁判所の決定、とくに子どもの意見および見解のとおりにならなかった決定においては、子どもが理解できる言葉でしかるべき理由が付されかつ説明が行なわれるべきである。 4.不当な遅延の回避 50.子どもが関与するあらゆる手続において、法の支配を尊重しながら迅速な対応を行ないかつ子どもの最善の利益を保護するため、緊急性の原則が適用されるべきである。 51.家事事件(たとえば親子関係、監護権、親による奪取)においては、裁判所は、家族関係に悪影響が生じるいかなるおそれも回避するために格別の注意を払うべきである。 52.必要なときは、司法機関は、仮の決定または予備的判決を言い渡し、一定期間監視した後に再審査する可能性を検討するべきである。 53.司法機関は、法律にしたがい、決定の即時執行が子どもの最善の利益にかなう事件においてそのような決定を行なうことができるべきである。 5.手続のあり方、子どもにやさしい環境および子どもにやさしい言葉遣い 54.子どもは、あらゆる手続において、その年齢、特別なニーズ、成熟度および理解力の水準を尊重しながら、かつ子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難に留意しながら取り扱われるべきである。子どもが関与する事件は、恐怖心を覚えさせることのない、子どもに配慮した環境で扱われるべきである。 55.子どもは、手続の開始前に、裁判所その他の施設の配置ならびに関係職員の役割および身分についてよく知る機会を与えられるべきである。 56.子どもの年齢および理解力の水準にふさわしい言葉が用いられるべきである。 57.司法的および非司法的手続においてならびにその他の介入の際に子どもが意見を聴かれまたは事情聴取されるときは、裁判官その他の専門家は敬意および繊細さをもって子どもとやりとりするべきである。 58.子どもは、親、または適当なときは子どもが選んだおとなにつきそってもらうことを認められるべきである。ただし、理由を付された決定により、当該人物について別段の判断が行なわれたときはこのかぎりでない。 59.録画もしくは録音または非公開の審理前聴聞のような事情聴取手法が活用され、かつ証拠能力を認められるべきである。 60.子どもは、可能なかぎり、その福祉にとって有害となる可能性のある画像または情報から保護されるべきである。有害となる可能性がある画像または情報を子どもに開示するか否か決定する際には、裁判官は、心理学者およびソーシャルワーカーのような他の専門家の助言を求めるべきである。 61.子どもが関与する審判期日は、子どものペースおよび注意持続時間にあわせて定められるべきである。定期的な休憩が予定されるべきであり、また審判の時間が長すぎてはならない。子どもがその認知能力を最大限に活用して参加することを促進し、かつ子どもの情緒的安定を支えるため、中断および混乱は最低限に抑えられるべきである。 62.適当かつ可能なかぎり、子どものための、子どもにやさしい環境を備えた事情聴取および待機のための部屋が手配されるべきである。 63.法律に抵触した子どものため、可能なかぎり、専門の裁判所(または法廷)、手続および制度が設けられるべきである。これには、警察、司法機関、裁判制度および検察機関内に専門の部局を設置することも含まれる場合がある。 6.子どもの証言/陳述 64.子どもの事情聴取および子どもからの陳述の取得は、可能なかぎり、訓練を受けた専門家によって行なわれるべきである。子どもの年齢、成熟度および理解力の水準ならびに子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難を顧慮しながら、子どもが、もっとも望ましい環境およびもっとも適切な条件下で証言を行なえるようにするため、あらゆる努力が行なわれるべきである。 65.被害者または証人である子どもによる視聴覚手段を用いた陳述は、当該陳述の内容について争う相手方の権利を尊重しつつ、奨励されるべきである。 66.複数回の事情聴取が必要なときは、子どもの最善の利益に照らしてアプローチの一貫性を確保するため、同一人物によって行なわれることが望ましい。 67.事情聴取の回数は可能なかぎり限定されるべきであり、かつ、その長さは子どもの年齢および注意持続時間に適合したものであるべきである。 68.被害者または証人である子どもと、加害者であると申し立てられている者との直接の接触、対面またはやりとりは、被害者である子どもが求める場合を除き、可能なかぎり回避されるべきである。 69.子どもは、刑事事件において、加害者であると申し立てられている者と相対することなく証言する機会を与えられるべきである。 70.証言に関する規則が緩和されていること(宣誓または他の同様の宣言が要求されないことなど)または子どもにやさしい他の手続的措置が設けられていることのみをもって、子どもの証言の価値が減殺されるべきではない。 71.子どもの証言の有効性を補強するため、子どものさまざまな発達段階を考慮した事情聴取標準手続が立案されかつ実施されるべきである。当該標準手続においては、誘導尋問を回避することによって信頼性が高められるべきである。 72.裁判官は、子どもの最善の利益および福祉にかんがみ、子どもが証言しないことを認めることができるべきである。 73.子どもの陳述および証言が、当該子どもの年齢のみを理由として無効であるまたは信頼性に欠けると推定されることがあってはならない。 74.被害者および証人である子どもの陳述を、特別に設計された子どもにやさしい施設および子どもにやさしい環境において録取する可能性が検討されるべきである。 E.司法手続の後における子どもにやさしい司法 75.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人は、子どもに対し、言い渡された決定または判決について子どもの理解力の水準にあわせた言葉で伝達しかつ説明するとともに、上訴または独立した苦情申立て機構への申立てなど、とりうる措置に関する必要な情報を提供するべきである。 76.国の機関は、子どもが関係するおよび子どもに影響を与える司法決定/判決が遅滞なく執行されることを促進するため、あらゆる必要な措置をとるべきである。 77.決定が執行されないときは、子どもに対し、可能であればその弁護士、訴訟後見人または法定代理人を通じて、非司法的機構または司法へのアクセスのいずれかを通じて利用可能な救済措置についての情報が提供されるべきである。 78.強制による判決の実施は、子どもが関与する家事事件では最後の手段とされるべきである。 79.争いの激しい手続における判決後は、子どもおよびその家族に対し、専門機関による指導および支援が、理想的には無償で提供されるべきである。 80.ネグレクト、暴力、虐待またはその他の犯罪の被害者に対しては、特別な保健ケアならびに適切な社会的および治療的介入のためのプログラムまたは措置が、理想的には無償で提供されるべきであるとともに、子どもおよびその養育者に対し、当該サービスが利用できることについて速やかにかつ十分に情報が提供されるべきである。 81.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人に対しては、子どもが被害者である刑事手続の際にまたはその後に損害賠償請求を行なうためにあらゆる必要な措置をとる権限が認められるべきである。適当なときは、当該費用を国が負担し、かつ加害者から回収することも考えられる。 82.法律に抵触した子どもを対象とする措置および制裁は常に、比例性の原則、子どもの年齢、身体的および精神的福祉ならびに発達および事案の事情に留意した、行なわれた行為に対する建設的かつ個別化された対応であるべきである。教育、職業訓練、就労、更生および再統合に対する権利が保障されるべきである。 83.社会への再統合を促進する目的で、かつ国内法にしたがい、子どもの犯罪記録は、子どもが成年に達するのと同時に司法制度外では開示されないこととされるべきである。重大な犯罪の場合には、当該情報の開示に関する例外は、とくに公の安全を理由としてまたは子どもに関わる職業への就労が関連する場合に、認められる場合がある。 V.その他の子どもにやさしい行動の促進 加盟国は、以下の措置をとるよう奨励される。 a. 子どもにやさしい司法のあらゆる側面(子どもに配慮した面接技法ならびにそのような技法に関する情報の普及および研修を含む)についての調査研究を促進すること。 b. 子どもにやさしい司法の分野における実践交流および協力の推進を国際的に図ること。 c. 関連の法律文書を子どもにやさしく解説した資料を刊行し、かつ可能なかぎり広く普及すること。 d. 可能であれば弁護士会、福祉機関、(子ども)オンブズマン、非政府組織(NGO)等と連携した子どもの権利に関する広報事務所を設置し、または維持しかつ必要なときは強化すること。 e. 裁判所および苦情申立て機構への子どもによるアクセスを促進するとともに、裁判所および独立した苦情申立て機構への子どもによる効果的アクセスを国内的にも国際的にも支援するうえでNGOおよびその他の独立機関(子どもオンブズマンなど)が果たしている役割をさらに認めかつ促進すること。 f. 子どものための専門裁判官・弁護士制度の確立を検討するとともに、子どもおよびその家族のために法的措置および社会的措置の双方をとることができる裁判所をさらに発展させること。 g. 国内的救済措置が存在しない場合または尽くされた場合に正義および権利保護を追求できるようにすることを目的とした、人権および子どもの権利の保護のための国際的なおよび欧州レベルの機構を発展させ、かつ、子どもおよび子どものために行動する他の者による当該機構の利用を促進すること。 h. 子どもの権利を含む人権を、学校カリキュラムにおける、および、子どもとともに働く専門家を対象とした、義務的学習要素とすること。 i. 子どもの権利に関する親の意識啓発のための制度を発展させかつ支援すること。 j. 子どもが鑑定目的の面接および検診を受け、包括的なアセスメントの対象とされ、かつ、適当な専門家によるあらゆる関連の治療サービスを受けられる、子どもの被害者および証人を対象とした、子どもにやさしい、複数の機関による学際的センターを設置すること。 k. 無償のオンライン相談、ヘルプラインおよび地域コミュニティサービスのような、専門的でかつアクセスしやすい支援・情報サービスを設置すること。 l とくに子どもが関与するまたは子どもに影響を与えるすべての種別の手続において子どもの最善の利益を評価する際に子どもの権利を十分に保障しかつ実施する目的で、司法制度において子どもに接しながら働くすべての関連の専門家が適当な支援および研修ならびに実践的指導を受けることを確保すること。 VI.監視および評価 加盟国はまた、以下の措置をとることも奨励される。 a. この指針の実施のために必要な改革を確保するため、国内の法律、政策および実務のあり方を見直すこと。 b. 子どもの権利に関わる関連の欧州評議会諸条約を、未批准であれば迅速に批准すること。 c. 子どもにやさしい司法現場における活動方法を定期的に再検討しかつ評価すること。 d. この指針の実施を促進しかつ監視する目的で、自国の司法制度および行政制度にしたがい、適当な枠組み(一または複数の独立機構を含む)を維持しまたは確立すること。 e. 市民社会(とくに市民社会組織)、および、子どもの権利の促進および保護を目的とする諸機関が監視プロセスに全面的に参加することを確保すること。 更新履歴:ページ作成(2012年2月27日)。
https://w.atwiki.jp/datugenn/pages/356.html
http //kodomofukushima.net/?page_id=237 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 子どもたちを放射能から守る 第1回短期保養プログラム 「こひつじキャンプin山中湖」 福島県の方々を対象に、短期保養キャンプを実施します。雄大な富士山を望む山中湖センターで、のんびりしませんか? 冬の間、山中湖ではイルミネーションが灯されます。幻想的なイルミネーションときれいな星空が、きっと心を温めてくれるでしょう。
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欧州評議会議員会議勧告1864(2009):自己に影響を与える決定への子どもの参加の促進 関連の閣僚委員会勧告:家庭生活および社会生活における子どもの参加(1998年)/18歳未満の子ども・若者の参加(2012年) 自己に影響を与える決定への子どもの参加の促進 起草者:議員会議 採択:2009年3月13日 (原文:英語) 1.議員会議は、個人の生活および個人が暮らしているコミュニティに影響を与える決定に参加するプロセスはその国の民主主義を構築しかつ評価する手段のひとつであると考える。参加は市民の基本的権利であり、そして子どもたちは市民である。 2.参加に対する子どもたちの権利は、国連・子どもの権利条約(第12条)で、また子どもの権利の行使に関する欧州条約(ETS No. 160)のようないくつかの欧州評議会文書で、承認されている。議員会議は、子どもたちとともに暮らす者および働く者ならびに子どもたちに影響を与える決定を行なう者全員に対し、全加盟国が批准済みの国連条約第12条に掲げられた二重の要件に注意を払うよう、緊急に求める必要があると考える。 3.当該第12条に基づき、子どもに影響を与える決定が行なわれるときは常に、その子どもの年齢、ジェンダー、宗教、社会的地位または状況がどのようなものであれ、子どもの意見、望みおよび気持ちが確認されなければならない。第12条は、障害のある子どもを含むすべての子どもにとって、また前掲条約に掲げられたすべての権利の実施において妥当する一般的原則を定めたものである。 4.子どもに影響を与える決定が行なわれるときは常に、その子どもの意見、望みおよび気持ちが、その年齢および成熟度を適正に顧慮しながら正当に考慮されなければならない。年齢と成熟はあわせて考慮されなければならず、またこれらの2つの要素は子どもの知的能力にのみ関係するものではない。子どもが気持ちを表明する方法、子どもの人格の発達、子どもの発達しつつある能力ならびにさまざまな感情および可能性に立ち向かう子どもの能力も、同じぐらい重要である。 5.議員会議は、意思決定に携わるすべての者に対し、ごく低年齢の子どもを含む子どもの意見、望みおよび気持ちを真剣に考慮するよう呼びかける。意思決定に子どもがどの程度影響力を及ぼすかは、その年齢および成熟によって左右されることになろう。参加は常に関連性を有する任意のものであるべきであり、かつ参加のための便宜が図られるべきである。大人には、子どもたちをリスクにさらさず、または子どもが負うことのできない責任を担わせて過度な負担をかけない義務がある。子どもたちは、自分たち自身の生活、ニーズおよび関心事について特有の知識を有している。議員会議は、子どもたちに直接影響を与えるいかなる決定においても、子どもたちの参加が主要な要素のひとつとされるべきであると確信する。 6.議員会議は、参加に関わって、大人が子どもたちに耳を傾けることだけではなく、大人が子どもたちから表明された考えおよび意見を考慮し、かつそれらの意見に基づいて行動することの確保についても議論されるようになっていることに留意する。今日強調されるのは、子どもたちは効果的行動の能力を有していると考えられるという事実である。子どもたちのあらゆる発言または行動が子どもたちにとって前向きな変化につながることを確保する必要がある。 7.したがって、子どもたちは、すべての分野で、とくに家庭生活、保健ケア、養子縁組に関わる問題および手続、教育、コミュニティ生活、司法へのアクセスならびに司法運営に関して、耳を傾けられかつ参加を認められなければならない。子どもたちが、司法手続および行政手続において、敬意、信頼および相互理解の雰囲気のなかで自由にその意見を表明できるようにするため、追加的な努力が必要とされる。子どもたちによる意味のある参加を推進する際には、子どもたちをいかなる形でも危険にさらさないようにするために、また子どもたちに危害を与えること、圧力をかけること、強制することまたは子どもたちを操作することを回避するために、特別な注意が払われるべきである。子どもたちは、その年齢および状況にふさわしい、子どもにやさしい情報にアクセスできるべきである。 8.議員会議は、閣僚委員会に対し、加盟国政府に次のことを促すよう慫慂する。 8.1 子どもたちの意見がどの程度真剣に留意されかつ受けとめられているか評価する目的で、自国のすべての意思決定プロセスにおける子どもたちについての立法、政策および実務を検討すること。このような検討にあたっては、子どもの意見および経験が中心に位置づけられるべきである。たとえば養子縁組または保健ケアの分野で、子どもの同意を得なければ公的機関が行動できない場合には、最低年齢制限を定めることの影響について検討し、かつ、子どもの最善の利益を考慮して必要な場合には是正することが求められる。 8.2 自己に影響を与える決定への子どもたちの参加を強化するために各加盟国がとる行動を掲げた国家的戦略を策定すること。障害のある子ども、機械や権利を十分に享受できていない子ども、ごく低年齢の子ども、刑事施設その他の危険な環境にいる子どもならびに未成年の移住者または庇護希望者の特有のニーズも考慮されるべきであり、またすべての子どもの参加権が差別なく促進されかつ保障されるべきである。 8.3 子どもの最善の利益および子どもの発達しつつある能力を考慮しながら、自国の憲法および人権その他の関連部門(教育、司法運営および移住を含む)に関する国内法などにおける保護も含め、子どもたちの参加権に関する法的保護を可能なかぎり最大限に提供すること。子どもの意見表明権および参加権は、関連性を有し、任意に行使でき、かつ適切な修正および便宜の対象とされるべきである。一般的に、子どもが意見を表明する資格に関して最低年齢が設けられるべきではない。子どもたちに対しては、子どもの権利およびその保護に関する論点ならびに利用可能なさまざまなサービスにアクセスする方法についての子どもにやさしい情報も、地域の言語で提供されるべきである。 8.4 これらの子どもの権利を実施するとともに、自国のすべての公的機関および公的サービスがすべての生活分野においてこれらの権利を実施することも確保すること。特定の領域または職業について免除が認められるべきではない。子どもおよび若者は、既存のサービスの質およびこれらのサービスをすべての子どもにとってよりアクセスしやすいものにする方法についても、協議の対象とされるべきである。 9.議員会議は、閣僚委員会に対し、子どもおよび親を対象とする次のような公衆教育プログラムの開始を加盟国政府に慫慂するよう促す。 9.1 意見を自由に表明する子どもたちの権利について知らせること。 9.2 気持ち、意見、大望および権利を持った人間としての子ども像を提示すること。 9.3 子どもにやさしい資料およびサービスの開発を含むこと。 10.議員会議は、閣僚委員会に対し、加盟国政府に次のことを求めるよう慫慂する。 10.1 民法ならびに親の権利、義務および責任に関する法律において、子どもの人間の尊厳、気持ちおよび意見の尊重が強調され、かつ、子どもの意見をその能力の発達に照らして正当に顧慮する義務が含まれることを確保すること。 10.2 意思決定プロセスに携わるすべての者(とくに裁判官、検察官、弁護士、教育者および医療スタッフ)が子どもの権利および参加に関する研修を利用できるようにするとともに、子どもとともに働く専門家の、さまざまな年齢層の子どもと協議しかつ働く能力の開発を図ること。 11.議員会議は、家庭内を含むさまざまな文脈において法律で容認された暴力が存在し続けていることにより、個人および社会的集団としての子どもが傷つけられており、かつ、子ども参加にコミットするのであれば人間としての子どもたちを貶める法律の解消が必要であると考える。議員会議は、欧州評議会のプログラム「子どもたちのために、子どもたちとともに構築するヨーロッパ」の枠内で開始された、子どもの体罰解消のための汎欧州的取り組みを支持するものである。したがって議員会議は、閣僚委員会に対し、たとえ家庭内におけるものであっても子どもの体罰および品位を傷つける取扱いを明示的に禁止し、かつ、子どもたちがその潜在的可能性にしたがって参加しかつ発達することを妨げるその他の形態の虐待および搾取にも対処することをすべての加盟国の政府に要求するよう、強く促す。 12.議員会議は、閣僚委員会に対し、政治的生活への若者の参加を奨励するため、投票権に課されている年齢関連の制限の再考を加盟国政府に奨励するよう慫慂する。 13.議員会議は、閣僚委員会に対し、加盟国政府に次のことを促すよう慫慂する。 13.1 子どもたちの権利の促進および保護を確保する責任ならびに子どもたちから寄せられる個別の苦情および申請に対処する権限を委ねられた独立の子どもオンブズパーソン事務所を国レベルで(または地方レベルでも)――各国の法体系を尊重しながら――設置すること。 13.2 遺棄された子どもおよび(または)障害のある子どもであって施設に措置されている子どもたちも、施設による子どもたちの権利の保障を定期的に監視する、これらの子どもの権利擁護を担当する独立機関(オンブズパーソンまたは少なくとも特別裁判官)にアクセスできることを確保すること。 14.議員会議は、自己に影響を与えるすべての手続に子どもが参加することは現代的かつ公正な司法制度の重要な要素である旨の欧州司法大臣会議(ランサローテ、2007年10月)の発議および結論を支持し、閣僚委員会に対し、その権限ある機関を通じて子どもにやさしい司法に関する欧州指針を作成するよう慫慂する。〔訳者注/2010年に採択された子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針参照〕 15.議員会議は、「子どもたちのために、子どもたちとともに構築するヨーロッパ」の枠内で達成された進展を歓迎し、閣僚委員会に対し、加盟国および欧州評議会において、子ども参加の促進を目的として進められている現行プロジェクトを支援しかつ発展させる(欧州評議会文書に関する子どもにやさしい情報の制作を含む)よう慫慂する。 16.最後に、議員会議は、閣僚委員会に対し、加盟国政府に次のことを求めるよう慫慂する。 16.1 子どもおよび青少年が運営する団体の発展および適正な機能遂行に、子どもたちの自主的活動を妨げるいかなる障壁も存在しないことを確保しながら、投資すること。 16.2 全加盟国における国連・子どもの権利条約の継続的モニタリングならびに関連の欧州評議会条約および子どもの権利の実現のために加盟国が表明しているその他のコミットメントの実施の継続的モニタリングに、これらの団体の関与を得ること。 更新履歴:ページ作成(2022年1月17日)。
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今年も子どもの日がやってまいりました。 子どもの日は、星鋼京、そして帝國の未来を担う子ども達が健やかに成長する事を祈願する為に設けられた日です。 それは、同時に子どもたちを守り育てる家庭に対して感謝と敬意を払うものでもあります。 子どもたちと子どもたちを守り育てる家庭は、帝國の礎であり、この日を通じてそれを守る大切さを改めて思う日として頂ければ、この上もありません。 この日を祝し、星鋼京政府より国内の子どもが居られるご家庭に対し、祝菓子を配布致します。 期間中はI=D編隊によるセレモニーや近衛兵によるパレード、介添人による職業体験、職人街での作成体験等楽しい企画も用意しております。 また、今年の近衛兵のパレードは王犬さまと元王犬さまの御三匹が馬車で先頭に立たれます。 ご家族にて足をお運びになられて、子どもたちの健やかなる成長を祈念して頂ければ、これに勝る喜びはありません。 なお今月は子どもの日にちなんで、藩王ご夫妻が1ヶ月かけられて各学校や孤児院をご訪問されるご予定です。 1.祝菓子の配布 星鋼京国内にて、未成年の子供がいる各家庭に祝菓子を配布する。 2.期間中の催事 子どもの日期間中、以下の催事を行う。 天球市・第0番区にて、RTR一般公開。 I=D編隊によるセレモニー。 王犬ヌル・ツーさま、元王犬のコガネマルさま、ヌルさまの馬車によるパレード。 近衛兵によるパレード。 ティアクライスの衛士・介添人による職業体験会。 天球市・第8番区にて、ティーカップやティースプーンなどの作成体験会。 3.期間中の警備 第0番区は特別警戒態勢で挑むこと。 特に第0番隊は増員も視野にいれておく。 王犬さまパレードの際は、第0番隊が直衛の警備に当たること。 文責 双海 環 確認 星鋼京藩王 セタ・ロスティフンケ・フシミ 子爵 また、本件に関して藩王よりのメッセージがあります。 ◆藩王のメッセージ 国民の皆様、セタ・ロスティフンケ・フシミです。 本日5月5日は子どもの日です。 世の全ての子は、多くの国にとって、掛け替えの無い宝であると、私は信じています。 そこに犬も猫も無く、ただ平等に愛し、慈しむ事ができたならば、どれほど素敵なことでしょうか。 私は、その理想――夢が、実現する日が来るよう、この国と共に歩いて行きたいと思います。 その為にも、この国の大人の方々。 ご家庭のみならず近隣周辺の子がいれば本日は常よりも尚、言葉を掛け、触れあい――つまり、愛を注いであげてください。 いずれ大人になった時、今日の良き日が思い出になる……そんな素敵な日になるよう、国民の大人の皆様もご協力をお願いします。 そして、この国と、帝國、そして共和国も含めた世の全ての子たちへ。 君たちが今日という日の主役です。 存分に思い出として残る日にしてください。 いつか、貴方たちが大人になった日のために。 星鋼京藩王 セタ・ロスティフンケ・フシミ 子爵 /*/ ◆金庫番向情報 質疑掲示板根拠URL:独自判断による消費 42:食料-1万t 42:資金-1億わんわん
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国連・子どもの権利委員会の勧告:条約広報措置・人権教育関連(日本) 関連:国連・子どもの権利委員会の勧告:教育一般関連(日本) 第1回総括所見(1998年) (条約広報措置) 11.この点における締約国の努力は認めながらも、委員会は、条約の原則および規定、ならびにとくに子どもは権利の全面的主体であるという考え方を条約が重視していることに関する幅広い意識を、社会のあらゆる層において子どもにも大人にも同様に普及しかつ促進するためにとられた措置が不充分であることを懸念する。委員会はまた、条約がいかなるマイノリティの言語でも入手可能とされていないこと、および関連の専門家グループに対して子どもの権利に関する研修を行なうためにとられた措置が不充分であることも、懸念する。 33.委員会は、条約の規定が子どもおよび大人の双方によって広く知られかつ理解されることを確保するために、締約国がさらなる努力を行なうよう勧告する。あらゆる専門家グループを対象として、子どもの権利に関する体系的な研修および再研修のプログラムが組織されるべきである。このような専門家グループには、警察および治安部隊の構成員ならびにその他の法執行官、司法職員、弁護士、裁判官、教育のあらゆる段階における教師および学校管理者、ソーシャルワーカー、中央または地方の行政職員、子どもをケアする施設の職員、ならびに心理学者を含む保健従事者および医療従事者が含まれる。委員会は、権利の全面的主体としての子どもの地位を強化するため、条約をすべての教育機関のカリキュラムに盛りこむよう勧告する。委員会はさらに、条約全文をマイノリティの言語で入手可能にし、かつ必要な場合にはマイノリティの言語に翻訳するよう勧告する。 (教育) 23.委員会は、条約第29条に従い、人権教育を体系的に学校カリキュラムに導入するために締約国がとった措置が不充分であることを、懸念する。 44.委員会は、締約国に対し、条約第29条に従って、人権教育を体系的に学校カリキュラムに含めるために適切な措置をとるよう勧告する。 (文書の普及) 49.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第1回報告書および文書回答を広く一般公衆が入手できるようにし、かつ、報告書を関連の議事要録および委員会がここに採択した総括所見とともに刊行するよう勧告する。そのような幅広い普及は、政府、議会および関係の非政府組織を含めた一般公衆の間で、条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するようなものであるべきである。 第2回総括所見(2004年) 広報および研修 20.委員会は、裁判官、教職員、警察官、矯正施設職員、保護観察官および出入国管理官を対象として締約国が実施している研修活動を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもおよび公衆一般、ならびに子どもとともにおよび子どものために働いている多くの専門家が条約およびそこに体現された権利基盤型アプローチについて充分に理解していないことを、依然として懸念するものである。 21.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 公衆一般および子どもを対象として、条約、およびとくに子どもが権利の主体であるということに関する意識啓発キャンペーンを強化すること。 (b) 子どもとともにおよび子どものために働いているすべての者、とくに教職員、裁判官、弁護士、議員、法執行官、公務員、自治体職員、子どもを対象とした施設および拘禁場所で働く職員、心理学者を含む保健従事者、ならびにソーシャルワーカーを対象として、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修をひきつづき実施すること。 (c) 意識啓発キャンペーン、研修および教育プログラムが態度の変革、行動および子どもの取扱いに与えた影響を評価すること。 (d) 人権教育、およびとくに子どもの権利教育を学校カリキュラムに含めること。 子どもの意見の尊重 27.子どもの意見の尊重を向上させようとする締約国の努力には留意しながらも、委員会は、子どもに対する社会の伝統的態度により、家庭、学校、その他の施設および社会一般における子どもの意見の尊重が制限されていることを依然として懸念する。 28.}委員会は、条約第12条にしたがい、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、裁判所および行政機関、施設および学校ならびに政策立案において、子どもに影響を及ぼすあらゆる事柄に関して子どもの意見の尊重を促進しかつ子どもの参加の便宜を図ること。また、子どもがこの権利を知ることを確保すること。 (b) 子どもに影響を及ぼすあらゆる事柄に関して意見を考慮されかつ参加する子どもの権利について、とくに親、教育者、政府の行政職員、司法関係者および社会一般に対し、教育的情報を提供すること。 (c)(略) (d)(略) 文書の普及 57.委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)のあいだで、条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 第3回総括所見(2010年) 広報、研修および意識啓発 23.委員会は、子どもとともにおよび子どものために活動している専門家ならびに一般公衆の間で条約に関する意識を促進するために締約国が行なってきた努力には留意するものの、これらの努力が十分ではないこと、または条約の原則および規定を普及するための計画が実行に移されていないことを依然として懸念する。とりわけ、子どもおよびその親に対して情報をより効果的に普及することが緊急に必要である。委員会はまた、子どものためにおよび子どもとともに活動している専門家の研修が不十分であることも懸念する。 24.委員会は、締約国に対し、子どもおよび親の間で条約に関する情報の普及を拡大するよう奨励する。委員会は、締約国に対し、子どものためにおよび子どもとともに活動しているすべての者(教職員、裁判官、弁護士、法執行官、メディア従事者、公務員およびあらゆるレベルの政府職員を含む)を対象とした、子どもの権利を含む人権に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させるよう促す。 総括所見の普及 89.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する意識を促進する目的で、第3回定期報告書、締約国が提出した文書回答およびこの総括所見を、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループ、専門家グループおよび子どもたちが、インターネット等も通じ、日本の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 武力紛争選択議定書・第1回総括所見(2010年) 普及および研修 6.人権法および国際人道法の普及をともなう行事が軍隊のために開催されている旨の締約国の情報には留意しながらも、委員会は、締約国が、定期研修の一環としてまたは国際平和維持軍に参加するための準備において、自衛隊を対象として選択議定書の原則および規定に関する研修を行なっていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、徴募されまたは敵対行為において使用された可能性のある子どもとともに活動する専門家のうち一部の職種に属する者が十分な研修を受けていないこと、および、選択議定書に関する公衆一般の意識が低いことも懸念する。 7.委員会は、選択議定書第6条第2項に照らし、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)議定書の原則および規定が一般公衆および国の職員に対して広く周知されることを確保すること。 (b)軍の関係者全員が選択議定書の原則および規定に関する研修を受けることを確保すること。 (c)徴募されまたは敵対行為において使用された可能性のある子どもとともに活動するすべての関連の専門家集団、とくに教職員、医療従事者、ソーシャルワーカー、警察官、弁護士、裁判官およびジャーナリストを対象として、議定書の規定に関する意識啓発、教育および研修のための体系的プログラムを発展させること。 人権教育および平和教育 10.委員会は、平和教育との関連も含め、あらゆる段階のあらゆる学校のカリキュラムで締約国が提供している具体的な人権教育についての詳しい情報が存在しないことに、懸念とともに留意する。 11.委員会は、締約国が、すべての児童生徒を対象とする人権教育およびとくに平和教育の提供を確保するとともに、これらのテーマを子どもの教育に含めることについて教職員を研修するよう勧告する。 フォローアップおよび普及 18.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を、防衛省をはじめとする関連の政府省庁、国会議員その他の関連の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 19.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する意識を促進する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を、公衆一般およびとくに子どもたちが広く入手できるようにすることを勧告する。 性的搾取議定書・第1回総括所見(2010年) 普及および研修 14.委員会は、選択議定書の規定に関する意識啓発活動が不十分であることに、懸念とともに留意する。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a)選択議定書の規定が、とくに学校カリキュラムおよびキャンペーンを含む長期的な意識啓発プログラムを通じ、とくに子ども、その家族およびコミュニティを対象として広く普及されることを確保すること。 (b)議定書第9条第2項にしたがい、議定書に掲げられた犯罪の有害な影響および被害者が利用可能な救済手段についての意識を、研修および教育キャンペーンを通じ、子どもを含む公衆の間で促進すること。 (c)選択議定書に関連する諸問題についての意識啓発活動および研修活動を支援するため、市民社会組織およびメディアとの協力を発展させること。 16.委員会は、法執行機関および矯正機関を除き、選択議定書に関する専門家の研修が不十分であることを懸念する。 17.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どもとともに活動するあらゆる専門家集団を対象とした、選択議定書の規定に関する体系的なかつジェンダーに配慮した教育および研修を強化するよう勧告する。 総括所見の普及 45.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する意識を喚起する目的で、報告書および締約国が提出した文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、公衆、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を子どもたちに周知させるよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2014年1月17日)。