約 1,857,974 件
https://w.atwiki.jp/kodomoteate/pages/1740.html
子ども手当一問一答より。 Q 子ども手当は在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されるのですか。 児童手当では、過去30年間にわたり、日本人の海外に居住する子どもと同様、在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されておりました。 平成22年度の子ども手当においては、その支給要件を踏襲しましたが、その確認の厳格化を図りました。また、平成23年度以降の子ども手当については、子どもにも日本国内居住要件を課すことを検討します。児童手当制度においては、1981年の「難民の地位に関する条約」の加入に当たり、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の趣旨も踏まえ、他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃しました。それ以来、国籍にかかわらず、親等が日本国内に居住している場合には、その子について監護が行われ、かつ、生計を同じくしているという支給要件に該当するときは、その子が国外に居住していても、支給対象となっています。 平成22年度の子ども手当については、このように1981年以来約30年間にわたり実施してきた児童手当の支給事務の仕組みを踏襲して実施することとしていますが、子どもが国外に居住する場合については、支給要件の確認の厳格化など、地方公共団体と連携を図り、以下のような運用面での強化を図っています。少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。 親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていること。 来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。 これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。 日本国内に居住している翻訳者による日本語の翻訳書の添付を求め、その者の署名、押印及び連絡先の記載を求めること。 なお、国外に居住している子どもに手当が支給されることについては、平成23年度に向けた制度の検討の中で、支給対象となる子どもに日本国内居住要件を課すことを検討します。 因みに、細かい条件を設けずに無条件で支給するのはやっぱり日本だけなの? Q 諸外国の子ども手当においては、その国に居住する外国人の子どもが海外に居住する場合の取扱いはどうなっていますか。 A 例えば、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンについては、親がEEA諸国(欧州経済領域(欧州30カ国))出身者であって、子どもがEEA諸国に居住しているときは、手当が支給されます。加えて、国外での滞在が一時的である場合など、子どもが国外に居住しているときも支給される場合があります。なお、日本人が外国に居住する際には、当該国が定める要件に該当する場合には、手当が支給されます。 -- (名無しさん) 2010-05-30 19 15 12
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/200.html
総括所見:シリア(OPSC・2006年) 第1回(1997年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/SYR/CO/1(2006年10月31日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2006年9月19日に開かれた第1178回会合(CRC/C/SR.1178参照)においてシリア・アラブ共和国の第1回報告書(CRC/C/OPSC/SYR/1)を検討し、2006年9月29日に開かれた第1199回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、代表団との間に持たれた建設的対話も評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年6月6日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.212)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、何らかの抵触および(または)不一致がある場合、シリア・アラブ共和国が加盟している国際条約が国内法に優先する旨の情報を歓迎する。 5.委員会はさらに、締約国が以下の条約に加入したことを称賛する。 (a) 女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(2003年3月28日)。 (b) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約(2004年8月19日)。 (c) すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約(2005年6月2日)。 (d) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(2003年10月17日)。 (e) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関第182号条約(1999年)の批准(2003年5月22日)。 6.委員会はまた、締約国が条約第20条および第21条ならびに選択議定書第3条1項(a)(ii)および同5項に付した留保の撤回を政府が承認し、かつこの決定が最終的公布のために立法議会に提出された旨の、代表団によって提供された情報にも評価の意とともに留意する。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 選択議定書の実施の調整および評価 7.委員会は、選択議定書の実施へのさまざまな省庁および政府機関の関与に関して提供された情報、および、シリア未成年問題委員会に対し、政府機関および非政府機関間の、家族問題に関わるあらゆる活動の調整が委ねられている旨の情報に留意する。委員会はまた、すべての関係機関が、選択議定書に関するそれぞれの権限分野で達成された進展について、シリア家族問題委員会に対して毎年報告しなければならないことにも留意するものである。しかしながら委員会は、実際上、選択議定書が対象とする分野で行なわれている活動の――中央および地方双方のレベルにおける――調整および協力がいまなお不十分であることを、依然として懸念する。 8.委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とする分野における調整を中央および地方双方のレベルで強化するよう、奨励する。委員会はまた、締約国が、選択議定書の実施に関与するさまざまな機関からシリア家族問題委員会が受領した報告書に基づき、選択議定書の実施に関して達成された進展についての簡単な概要を次回の報告書で提供することも、勧告するものである。 普及および研修 9.委員会は、選択議定書の普及のために締約国が行なっている努力およびその規定に関する研修活動を認知するものの、選択議定書で取り上げられている問題に関するアドボカシーおよび社会的動員が依然として不十分であることを懸念する。 10.委員会は、締約国が、シリア社会において、とくに子ども、親その他の養育者ならびに子どもとともにおよび子どものために働いている専門家の間で選択議定書の規定に関する情報を普及することに向けた努力を継続するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、子どもとともにおよび子どものために働いているすべての専門家集団ならびに他のすべての関連の集団を対象として、選択議定書の規定に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを実施するよう、勧告するものである。この目的のため、公衆意識啓発キャンペーンならびに研修資料および研修講座の開発に対して相当の資源を割り当てることが求められる。 データ収集 11.委員会は、新たに定められた「2006年子ども保護行動計画」の枠組みのもと、あらゆる形態の暴力の被害を受けた子どもに関する情報収集のためのデータベースが創設されたことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書で取り上げられている問題、とくに児童買春に関するデータおよび情報が依然として不十分であることを遺憾に思うものである。 12.委員会は、締約国が、締約国における子どもの売買、児童買春および児童ポルノの性質および規模を評価するための具体的調査研究が行なわれ、かつ、とくに年齢別、男女別およびマイノリティ集団別のデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは、政策の実施状況を数値により評価するための必須手段を提供してくれるからである。 予算配分 13.委員会は、「2006年子ども保護行動計画」の実施に関して、子どもの保護のための特別予算の配分が構想されていることに留意する。委員会は、締約国が、選択議定書の実施にとくに関わる締約国のさまざまな活動に対して配分された予算についての情報を次回の報告書で提供するよう、勧告するものである。 2.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止 現行刑事法令 14.委員会は、選択議定書に列挙された犯罪を刑事法で網羅するために締約国が努力していること、および、現在法律の包括的見直しを進めているシリア家族問題委員会のもとに特別部局が設置されたことに、留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 子どもの売買および児童ポルノに関わる犯罪については他の現行規定が網羅しているとされるとはいえ、これらの犯罪を明示的に対象とした具体的規定が定められていないこと (b) 刑法における年齢制限が、選択議定書が対象するすべての犯罪について18歳とされているわけではないように思われること。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの保護に関する法律案を速やかに採択しかつ実施する等の手段により、選択議定書第2条および第3条にしたがってすべての犯罪を明示的に定義しかつ網羅する目的で刑法を改正すること。 (b) 選択議定書で対象とされているそれぞれの犯罪について、子どもの定義のために用いられている年齢制限を18歳と定めること。 (c) 国連国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准することにより、立法上の枠組みを強化すること。 (d) この点について、とくにユニセフの技術的援助を引き続き求めること。 3.刑事手続 裁判権 16.委員会は、締約国が、選択議定書第4条の遵守状況について、および、とくに第4条で予定されているすべての場合において選択議定書が対象とする犯罪についての裁判権を設定しているか否かについて、次回の報告書でより多くの情報を提供するよう勧告する。 犯罪人引渡し 17.委員会は、刑法第35条において、被告人が公開の法廷で犯罪人引渡しに同意するときは、権限のある機関は裁量によって犯罪人引渡しの請求を受け入れまたは拒むことができると定められていることに留意する。 18.委員会は、締約国が、犯罪人引渡しの請求がその都度精査されること、および、請求を認容しまたは却下する決定がもっぱら被告人の同意に基づいて行なわれないことを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、犯罪人引渡しに関する法律が選択議定書第5条(この規定は、必要であれば、そこに列挙された犯罪に関わる犯罪引渡しの法的根拠として用いられるべきである)と一致することを確保するようにも勧告するものである。 4.被害を受けた子どもの権利の保護 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 19.委員会は、特別少年裁判所の設置を含む保護措置が非行少年法に掲げられていることには留意するものの、そこでは基本的に、犯罪の被害を受けた子どもではなく、犯罪について罪を問われかつ(または)有罪判決を受けた子どもが適用対象とされていることを懸念する。委員会はさらに、以下のことを懸念するものである。 (a) 証拠法上、18歳未満の者は、強姦または背徳犯罪が問われている場合を除き、証言能力を認められないこと。 (b) 選択議定書が対象とする行為の被害者、とくに売春のために使用された子どもが、訴追され、かつ――外国人である場合には――追放される可能性があること。 20.委員会は、締約国が、選択議定書に基づくいずれかの犯罪の被害者である子どもがそのこと自体を理由として犯罪者にも処罰の対象にもされないことを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、選択議定書第8条にしたがい、刑事司法手続のあらゆる段階で子どもの被害者および証人を保護するよう勧告するものである。この目的のため、締約国は、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(経済社会理事会決議2005/20)を指針とするよう求められる。締約国は、とくに以下の措置をとるべきである。 (a) 被害者である子どもの個人的利益に影響がある手続において、当該子どもの意見、ニーズおよび関心事が提示されかつ考慮されることを可能にすること。 (b) 子どもを司法手続中の困難から保護するための、子どもに配慮した手続(子ども向けに設計された事情聴取室および子どもに配慮した事情聴取法を含む)を用いること。 (c) 事情聴取、陳述および審問の回数を少なくする目的で、子どもの被害者および証人から証言を得るための特別手続――子どもの供述の録画および録音など――を設けること。 21.社会問題労働省が、被害を受けた子どもとともに働く人々を対象とした研修講座を組織していることには留意しながらも、委員会は、被害を受けた子どもの治療、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための医療専門家および(または)専門センターが全般的に不足していることを懸念する。 22.委員会は、締約国が、選択議定書第9条3項にしたがい、被害を受けたすべての子どもがあらゆる適当な援助(全面的な社会的再統合ならびに身体的および心理的回復を含む)を受けることを確保するよう、勧告する。この目的のため、締約国は引き続き、選択議定書で禁じられた犯罪の被害者とともに働く者を対象とした適当な研修(とくに法律および心理学に関する研修)を確保するための措置をとるべきである。 23.委員会は、とくに同国の一部地域で一時婚の慣行が行なわれており、12歳という低年齢の女子までが金銭と引き換えに婚姻のために差し出されていることを報告する情報があることについて懸念を覚える。委員会はさらに、このような女子が短期間で夫から遺棄された場合、法律上の婚姻にともなって取得した権利を剥奪され、スティグマの対象となり、かつ、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合の措置にほとんどアクセスできないことを懸念するものである。 24.委員会は、締約国が、子ども、家族およびコミュニティの間で女子の権利、および、一時婚が女子の身体的および精神的健康ならびに全般的ウェルビーイングに与える可能性がある悪影響についての意識を高める等の手段によって、このような形態の婚姻の問題に対応するよう勧告する。締約国はまた、この慣行の被害者に対し、必要な身体的および心理的回復ならびに社会的再統合〔のための援助〕も提供するべきである。 5.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 25.委員会は、あらゆる形態の搾取の主要な原因のひとつである貧困と闘うための措置として、失業対策公共委員会および統合的農村開発基金がそれぞれ2002年および2001年に設置されたことを歓迎する。委員会はまた、シリア・テレビが子どもに対する暴力についての特別番組を放送したことも歓迎するものである。しかしながら委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの根絶を促進するのはその助長要因に対応するホリスティックなアプローチをとることであると考え、以下のことを懸念する。 (a) ホームレスおよびストリートチルドレンの問題に取り組むための統合的な計画または戦略が定められていないこと、および、路上にいる子どもが相当数にのぼることは子どもの売買、児童買春および児童ポルノの潜在的可能性を示すものであること。 (b) 一部地域においておよび特定の民族的マイノリティ(とくにクルド人)にとって、出生登録がいまなお問題となっていること。 (c) 学校中退との闘いがいまのところ功を奏していないこと。 26.委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられた犯罪を防止するための適切な措置(立法上、司法上および行政上の措置を含む)、政策およびプログラムを実施する努力を強化するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 搾取される危険性がとくに高いホームレスおよびストリートチルドレンの問題に対応するための包括的な国家的行動計画を策定しかつ実施すること。 (b) 社会問題省によって2007年に設置される予定のヘルプラインが、3ケタの番号で、フリーダイヤルで、かつ24時間利用可能とされることを確保すること。子どものためのこの全国的ヘルプラインは、遠隔地においてサービスを提供することも可能とされるべきである。 (c) 親の法的地位に関わらず、締約国の管轄内にあるすべての子どもの登録を保障するための努力を強化すること。 (d) 学校中退率を削減するための努力を増強すること。 (e) すべてのメディアに対し、選択議定書で取り上げられている問題についていっそうの情報を普及するよう奨励すること。 6.国際的な援助および協力 防止および法執行 27.委員会は、締約国が、人身取引との闘いにおいて国際移住機関と緊密に協働していることに留意するとともに、この目的のために省庁間の国家特別委員会が臨時に設置され、かつ同委員会のもとで包括的な人身取引対策法の起草が進められていること(当該法案はまもなく人民議会に提出される見込みである)を歓迎する。しかしながら委員会は、イラク人女子が性的搾取目的の人身取引によってシリア・アラブ共和国に連れてこられる事案がある旨を報告する情報について懸念を覚えるものである。 28.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノを目的とする越境人身取引の規模および性質についてさらなる調査研究を実施するとともに、選択議定書上の犯罪をともなう行為を防止し、摘発し、捜査し、ならびにこれらの行為の責任者を訴追しおよび処罰するための、地域間および二国間の司法共助および捜査共助を強化するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、この点に関するより詳細な情報を次回の報告書で提供するよう、奨励するものである。 29.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施を向上させる目的で、ユニセフおよび国連難民高等弁務官事務所などの国連専門機関ならびにECPATインターナショナルおよび国際児童虐待・ネグレクト防止会議〔協会〕(IPSCAN)などの国際的非政府組織との協力を継続するよう、奨励する。 7.フォローアップおよび普及 フォローアップ 30.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会、人民議会および地方人民評議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 31.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびにこの勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 8.次回報告書 32.第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合定期報告書(提出期限・2009年2月13日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年6月25日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/248.html
総括所見:バチカン(OPSC・2014年) 第1回(1995年)/第2回(2014年)OPAC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/VAT/CO/1(2014年2月25日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年1月16日に開かれた第1853回(CRC/C/SR.1853参照)において法王聖座(Holy See)の第1回報告書(CRC/C/OPSC/VAT/1)を検討し、2014年1月31日に開かれた第1875回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、法王聖座による第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/VAT/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。しかしながら委員会は、報告書が6年遅れで提出されたこと、および、法王聖座が、その法的権威のもとで活動する個人および機関による選択議定書の実施に関連した質問に回答しなかったことを、遺憾に思うものである。委員会は、法王聖座の多部門型代表団との対話を歓迎する。 3.司教および宗教施設の主要な高位者がローマ法王の代理人または代表として行動するわけではないことは十分に承知しながらも、委員会は、カトリック修道会に所属する者が、カノン法典第331条および第590条にしたがい、法王に対する忠誠に拘束されていることに留意する。したがって委員会は、法王聖座に対し、選択議定書を批准するにあたり、法王聖座は、選択議定書を、バチカン市国の領域内のみならず、カトリック教会の最高権機関として、その至高の権威のもとにある個人および施設を通じて世界中で実施することを誓約したことを想起するよう、求めるものである。 4.委員会は、法王聖座に対し、この総括所見は、いずれもやはり2014年1月31日に採択された、子どもの権利条約に基づいて法王聖座が提出した第2回定期報告書についての総括所見(CRC/C/VAT/CO/2)および武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(CRC/OPAC/VAT/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 5.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野で法王聖座がとった、以下のものを含む措置を歓迎する。 (a) 刑事事案におけるバチカン市国司法当局の管轄権に関するローマ法王の自発教令(2013年7月11日)。 (b) 「刑事上の問題に関する補完的規範-第2編:子どもに対する犯罪」を掲げた、2013年7月11日のバチカン市国法第8号。 (c) 刑法および刑事訴訟法の改正を掲げた、2013年7月11日のバチカン市国法第9号。 (d) 子どものための安全な環境プログラムの発展に関する新たな取り組みを提案し、かつ世界中の虐待被害者のパストラルケアのための努力を向上させることを目的として、未成年者保護司牧委員会を創設したこと(2013年12月5日)。 (e) バチカン市国が当事国である国際的取り決めの実施を監督するための特別部局をバチカン市国政庁内に設置したこと(2013年8月10日)。 6.委員会はまた、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の批准(2012年1月25日)にも評価の意図ともに留意する。 III.データ 7.委員会は、委員会が要請した、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの事案であって報告対象期間中に法王聖座が扱ったものおよび教理省が2001年以降扱ってきたものについてのデータが法王聖座から提供されなかったことを懸念する。委員会はまた、法王聖座が、選択議定書で対象とされている犯罪に関連したすべての事案を記録し、付託しかつフォローアップすることならびに選択議定書の実施における進展を分析しかつ評価することを目的とした包括的なデータ収集システムを設置していないことも、懸念するものである。 8.委員会は、法王聖座が、選択議定書が対象とするすべての分野でデータの収集および分析ならびに事件の影響の監視および評価を行なうための、包括的かつ体系的な機構を発展させかつ実施するよう勧告する。データは、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段の注意を払いながら、とくに性別、年齢、国民的および民族的出身、地理的所在、先住民族としての地位ならびに社会経済的地位ごとに細分化されるべきであり、かつ、これらの事件について行なわれたフォローアップに関する情報も含まれるべきである。そのようなデータ収集システムが設置され、かつ犯罪実行地国との情報共有のために効果的に活用されるようになるまでの間、委員会は、法王聖座に対し、法王聖座および教理省が2001年以降収集してきた、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの事件に関するすべての情報が、適切なフォローアップを目的として、権限のある国内司法機関に全面的にかつ直ちに開示されることを確保するよう促す。 IV.一般的実施措置 子どもの権利条約の一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 9.委員会は、法王聖座が、聖職者が関与した児童ポルノ事件に対応するにあたり、自己の意見を表明しかつ正当に重視される子どもの権利を確保せず、かつ、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利よりも教会の信用の維持を優先させてきたことを懸念する。委員会は、そのような対応をとった法王聖座が、選択議定書上の犯罪の防止および被害を受けた子どもの犯罪通報能力を阻害し、したがって加害者の不処罰および被害を受けた子どものさらなるトラウマを助長してきたことを懸念するものである。 10.委員会は、法王聖座が選択議定書第8条第1項(b)および(c)ならびに第3項に基づく義務を想起するよう求めるとともに、法王聖座が、売買、買春およびポルノの被害者である子どもの意見表明権および自己の最善の利益を第一次的に考慮される権利が保護されかつ尊重されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 立法 11.選択議定書上の犯罪を処罰するバチカン市国法第8号および第9号の採択は歓迎しながらも、委員会は、これらの法律の適用がバチカン市国の領域に限定されており、かつ、法王聖座の至高の権威のもとで活動するすべての個人および機関にこれらの法律が適用されるわけではないことを懸念する。委員会はまた、選択議定書に違反するカノン法の規定(とくにこれらの犯罪を法的に犯罪として定義することに関わるもの)およびこれらの犯罪に対応するための手続をいまなお改正せずに適用し続けていることも懸念するものである。 12.委員会は、法王聖座に対し、カノン法を含むすべての規範および規則を選択議定書に一致させ、かつ、バチカン市国ならびに法王聖座の至高の権威のもとで活動する個人および機関に対して同一の法律が適用されることを確保するよう、促す。委員会はまた、法王聖座に対し、選択議定書と矛盾するすべてのカノン法の規定、とくに1962年の「勧誘の罪」(Crimen Sollicitationis)および2011年の「秘跡の神聖性の保護」(Sacramentorum Sanctitatis Tutela)を遅滞なく改正することも促すものである。 調整および評価 13.委員会は、法王聖座が、選択議定書を実施するための活動の監視および評価について指導力を発揮し、かつ効果的な全般的監督を行なう調整期間を設けていないことを懸念する。 14.委員会は、法王聖座が、選択議定書の実施のための活動を監視しかつ評価する能力を備えた調整期間を創設するよう勧告する。 普及および意識啓発 15.カトリックの専門機関により子どもの権利および選択議定書に関する資料が刊行されかつ教育者に配布されていることは歓迎しながらも、委員会は、選択議定書に関する子ども、その家族および公衆一般の意識を高め、かつ、とくに子どもに対して身の守り方および犯罪の通報の方法を知らせるための同様の措置が法王聖座によってとられていないことを懸念する。 16.委員会は、法王聖座が、その道徳的権威を全面的に活用し、子ども、その家族およびコミュニティを含む公衆一般に選択議定書を広く知らせることに対して包括的なアプローチをとるとともに、そのために、市民社会組織、メディア、民間セクター、コミュニティおよび子どもたち自身と緊密に協力しながら、選択議定書で取り上げられているあらゆる問題についての意識啓発プログラム(キャンペーンを含む)を発展させるよう、勧告する。法王聖座はまた、選択議定書を地元の言語に翻訳し、かつ子どもにやさしい形式で普及することを含めて、世界中で法王聖座の権威のもとに活動している個人および機関(カトリック学校を含む)がこの点に関して積極的な役割を果たすことも確保するべきである。 研修 17.委員会は、子どもが虐待および搾取の危険にさらされる状況を発見しかつそれに対応するための訓練をカトリック学校の教員に対して行なうためにケニアで開発された「カトリック司牧意識啓発プログラム」など、国レベルでカトリック機関が開発したプログラムに、積極的に留意する。しかしながら委員会は、法王聖座が、その権威のもとで活動するすべての個人および機関を対象とした同様のプログラムの開発および普及を行なっておらず、かつ、聖職者によって行なわれた未成年者の性的虐待事件に対応するための指針を策定するにあたって司教協議会を援助する目的で、もっぱら2011年の回勅を参照するよう求め続けていることを、懸念するものである。当該回勅は、子どもを保護し、かつ、これらの犯罪に対処する方法についての適切な指針を個人および機関に対して示すうえで有効性を欠くことが明らかになっている。 18.委員会は、法王聖座に対し、選択議定書上の犯罪の防止、発見および適切な取扱いについての適切な指針および研修資料を、その権威のもとで活動するすべての個人および機関に提供するよう促す。法王聖座は、カトリック系の学校および施設の教職員がそのような研修を受けることを確保するとともに、そのような研修を実施するために必要な資源を使途指定方式により用意するべきである。 資源配分 19.委員会は、法王聖座が、選択議定書上の犯罪を防止し、子どもを保護し、かつ、その権威のもとにある個人が行なった犯罪の被害を受けた子どもに対してその身体的および心理的回復ならびに社会的統合のための支援を提供することを目的としたプログラムの開発および実施に、何らの資源配分も行なっていないことを懸念する。委員会はまた、法王聖座が、国際的に選択議定書を促進することを目的とした活動のための具体的資源配分を行なっていないことも懸念するものである。 20.委員会は、法王聖座が、選択議定書が対象とする犯罪の防止ならびに被害を受けた子どもの保護およびリハビリテーションを目的としたプログラムの開発および実施に十分な人的資源、技術的資源および財源を配分することに対して、高い優先順位を付与するよう勧告する。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条(第1項~2項)) 選択議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 21.委員会は、被害を受けやすい状況に置かれた子どもを支援するためにカトリック系の修道会および団体が世界中で発展させてきたさまざまな取り組み、および、選択議定書上の犯罪を助長する諸要因に対処するために法王聖座が世界中で道徳的指導力を発揮してきたことを示す複数の証拠を歓迎する。しかしながら委員会は、法王聖座が、その権威のもとにある個人に対しては同様のアプローチをとっておらず、かつ、司祭および修道女が選択議定書で対象とされている犯罪を行なうことを防止するために時宜を得た、かつ適切な措置をとってきていないことを懸念するものである。委員会は、児童ポルノを制作し、所持しかつ配布していながら、そのことを承知のうえで子どもと接触する立場に置かれていた司祭の事案について、とりわけ懸念する。 22.委員会は、法王聖座に対し、児童ポルノおよび選択議定書上のその他の犯罪への関与が疑われているすべての司祭が直ちに聖職から解任されることを確保するとともに、子どもが選択議定書上の犯罪の被害者となることを効果的に防止するための規則、指針および機構を遅滞なく採択するよう、促す。委員会は、法王聖座に対し、2013年12月に創設された未成年者保護司牧委員会が、法王聖座の権威のもとにある個人が関与した児童ポルノ事件について法王聖座が適用する方針および実践の包括的評価を実施することを確保するとともに、当該評価の結果が公にされ、かつすべての者、とくに被害者がこれにアクセスできることを確保するよう、促すものである。 子どもの売買および養子縁組 23.委員会は、スペインの産科病棟で数千人の赤ん坊が母親から引き離され、かつ、医師、司祭および修道女のネットワークによって、親としてより適切だとみなされた子どものいないカップルに売られていたことが2011年に発覚したことに、深い懸念を表明する。委員会はまた、マグダレン洗濯所に収容されていた女子および女性から赤ん坊が組織的に引き離されていたアイルランドのように、他国でも同様の慣行が行なわれていたことを懸念するものである。 24.委員会は、法王聖座に対し、その権威のもとに活動する個人および機関であって、母親から赤ん坊を取り上げ、かつ報酬または他の何らかの見返りと引き換えに子どものいないカップル、個人または機関に譲渡する行為を組織し、これに参加しまたはこれを援助した個人および機関が責任を問われることを確保するよう、促す。委員会は、法王聖座に対し、被害者が自己の生物学的血縁関係についての情報にアクセスできることを容易にする目的で、これらの犯罪に関与した機関および個人が収集したすべての情報が全面的に開示されることを確保するよう、促すものである。 25.委員会は、カトリック系の多くの機関および団体が国際養子縁組に関与しているにもかかわらず、法王聖座が、カトリック系の期間が不法な養子縁組に従事しないことを確保するために必要な措置をとっていないことを懸念する。 26.選択議定書第5条に照らし、委員会は、法王聖座に対し、その権威のもとにあり、かつ子どもの養子縁組に関与しているすべての個人および機関が適用可能な国際法文書にしたがって行動することを確保するための適切な法律上および行政上の措置を、優先的課題としてとるよう促す。委員会は、法王聖座が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准を検討するよう勧告するものである。 VI.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条(第2項および3項)、第5条、第6条および第7条) 現行刑事法令 27.「刑事上の問題に関する補完的規範-第2編:子どもに対する犯罪」を掲げたバチカン市国法第8号ならびに刑法および刑事訴訟法の改正を掲げたバチカン市国法第9号が2013年7月に採択されたことは歓迎しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 法第8号および第9号がバチカン市国にしか適用されず、法王聖座の権威のもとにある個人および機関が行なった犯罪(これらの犯罪は引き続きカノン法の規定に服する)については取り上げていないこと。 (b) 聖職者によって行なわれた未成年者の性的虐待事件に対応するための指針を策定するにあたって司教協議会を援助することを目的とする2011年の回勅が、選択議定書上の犯罪への対応について国内刑事手続よりもカノン法上の手続を優先させていること。 28.委員会は、法王聖座に対し、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 法王聖座の権威のもとに活動するすべての個人および機関に対しても、法第8号および第9号の適用範囲を拡大すること。 (b) 選択議定書上の犯罪の疑いがあるすべての案件を、たとえ国内法でそのような犯罪の通報が義務とされていない場合でも、直ちに国内法執行機関に付託するための明確な規則を採択すること。 訴追および不処罰 29.委員会は、児童ポルノに関連する行為を行なった聖職者の圧倒的多数ならびにそのような犯罪を隠蔽した者が不処罰の利益を享受していることを深く懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。 (a) 被害者に沈黙の義務を課すことによって加害者が司法による裁きを免れることを可能にし、児童ポルノ関連の事件を国内法執行機関に通報することを妨げ、かつ行なわれた犯罪の重大性にふさわしくない処罰を言い渡してきたカノン法の規定および手続が、いまなお有効でありかつ適用されていること。 (b) 法王聖座が、多くの機会に、法執行機関との協力、ならびに、検察官および国内調査委員会によって要請された情報の開示を拒否してきたこと。 (c) 法王聖座が、いくつかの国(とくにイタリア)と、一部領域におけるバチカン官吏(選択議定書上の犯罪について罪を問われている司祭および聖職者を含む)の免訴を保障する条約を締結していること。 30.委員会は、法王聖座に対し、選択議定書上の犯罪を行なった者の不処罰を奨励する環境を生み出してきたすべてのカノン法の規定を遅滞なく廃止するよう促す。法王聖座はまた、内部指針を改正し、国内法執行機関との透明かつ効果的な協力も確保するべきである。委員会はさらに、法王聖座に対し、各国と締結した条約のうち、子どもの性的虐待の加害者が処罰されないことを助長する部分を無効にするよう促す。 犯罪人引渡し 31.委員会は、法王聖座が、起訴を目的とする犯罪人引渡しを求めることはない一方、ラテラノ条約第22条にしたがい、双方可罰性原則に基づいてイタリア当局に犯罪人の引渡しを行なっていることに留意する。委員会は、法王聖座が、2014年1月、児童ポルノの容疑を含む犯罪容疑について取り調べるためある大司教をバチカンからポーランドに引き渡すよう求めたポーランドの検察官の請求を拒否したことを、とりわけ懸念するものである。 32.委員会は、法王聖座に対し、選択議定書第3条第1項上のすべての犯罪が引渡しの対象の犯罪とされ、かつ、犯罪人引渡しおよび(または)国外で行なわれた犯罪の訴追に関する双方可罰性要件が廃止されることを確保するよう、促す。委員会はまた、法王聖座に対し、必要なときは選択議定書第5条にしたがって選択議定書を犯罪人引渡しのための法的根拠として用い、かつ、国外で子どもの性的虐待について告発されているいかなる聖職者についても引渡しを続けることも促すものである。 VII.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条および第9条(第3項および4項)) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 33.委員会は、選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもがカトリックの聖職者から受けた犯罪を通報する際に直面する多くの障壁にもかかわらず、法王聖座が、子どもが苦情を申立てるための子どもにやさしい機構を設置することについて、選択議定書第8条第1項に基づく法的要件として必要ではないといまなお考えていることを懸念する。委員会はまた、以下のことを深く懸念するものである。 (a) 選択議定書上の犯罪に対してこれまで適用され、かつ引き続き適用されているカノン法に、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益の保護に関するいかなる規定も掲げられていないこと。 (b) いくつかの国内委員会が留意しているように、多くの事案で、被害を受けた子どもおよびその家族がカトリック教会当局による再被害を受けてきたこと。 34.選択議定書第9条第3項に照らし、委員会は、法王聖座に対し、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにあらゆる必要な措置をとり、かつ、被害を受けた子どもを刑事司法制度を扱うにあたって子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保するよう、促す。委員会は、法王聖座に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 議定書上のすべての犯罪に関わる苦情申立て、救済および是正のための子どもにやさしい機構および手続を、これ以上遅延することなく設置すること。 (b) 法王聖座の権威のもとで活動するすべての個人および機関を対象とした子どもの保護に関する指針を策定するとともに、当該指針に関する研修が実施されることを確保すること。 (c) 国内法執行機関との協力のための機構を設置する等の手段により、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもの早期発見のための機構および手続を設置すること。 (d) 被害を受けた子どもが、選択議定書上の犯罪を告発した際に教会当局による被害をこれ以上受けないことを確保すること。 被害者の回復および再統合 35.法王聖座が、選択議定書の諸締約国に対し、選択議定書が対象とする犯罪の被害を受けた子どもに援助を提供することを示唆しようと努めていること、および、性的搾取の被害を受けた子どもに対してカトリック教会が援助を提供していることには留意しながらも、委員会は、聖職者が行なった犯罪の被害を受けた子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合との関連で援助を提供するための適切な措置が法王聖座によってとられていないことを懸念する。委員会は、以下のことをとりわけ懸念するものである。 (a) カトリックの聖職者が行なった児童ポルノ犯罪事件に対応するために用いられてきたカノン法に、被害者の回復および再統合についてのいかなる規定も掲げられていないこと。 (b) 委員会に対する文書回答で明らかにされているように、法王聖座が、子どもの援助に関して諸締約国と直接協力していないこと。 (c) 選択議定書上の人権侵害の被害を受けた子どもに対する金銭的補償の条件として、被害者およびその家族に秘密保持および沈黙が課されてきたこと。 36.委員会は、法王聖座に対し、選択議定書上のすべての犯罪の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためにあらゆる適切な措置をとり、かつ、これらの措置が子どもの自尊心および尊厳を醸成する環境のなかでとられることを確保するよう、促す。委員会はまた、法王聖座に対し、その権威のもとに活動する個人および機関が行なった犯罪の被害者に、被害者に対して秘密保持の義務を課すことなく補償を行なう義務を履行することも促すものである。この目的のため、法王聖座は、聖職者が行なった選択議定書上の犯罪の被害者のための補償制度を確立するよう求められる。 VIII.国際的な援助および協力(第10条) 多国間、地域間および二国間の取り決め 37.選択議定書第10条第1項に照らし、委員会は、法王聖座に対し、法執行機関との調整を図り、かつ、選択議定書が対象とするすべての犯罪の防止、摘発、捜査ならびに当該犯罪に責任を負う者の訴追および処罰を向上させることにより、近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じた国際協力を強化するよう奨励する。この文脈において、委員会は、法王聖座に対し、選択議定書上の犯罪を、各国と締結しているいかなる免責協定からも除外するよう促すものである。委員会はまた、法王聖座に対し、性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約の批准を検討することも促す。 IX.フォローアップおよび普及 38.委員会は、法王聖座が、とくにこれらの勧告を法王、法王庁、議会、教理省、カトリック教育省、カトリック保健ケア関連施設、家庭評議会、司教協議会ならびに法王星座の権威のもとに活動する個人および機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 39.委員会は、選択議定書ならびにその実施および監視に関する議論の喚起および意識の促進を図る目的で、法王星座が提出した第1回報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等を通じ、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 40.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書第12条第2項にしたがい、委員会は、法王聖座に対し、選択議定書およびこの総括所見に掲げられた勧告の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2014年4月28日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/69.html
総括所見:ベトナム(OPSC・2006年) 第1回(1993年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2012年)OPAC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/VNM/CO/1(2006年10月17日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2006年9月22日に開かれた第1189回会合(CRC/C/SR.1189参照)においてベトナムの第1回報告書(CRC/C/OPSC/VNM/1)を検討し、2006年9月29日に開かれた第1199回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書、文書回答および文書による追加情報の提出を歓迎する。委員会はまた、部門横断型のハイレベルな代表団との建設的な対話についても謝意を表するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年1月31日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.200)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、選択議定書で対象とされている権利を実施しかつその保護を強化するために締約国がとった措置に、評価の意とともに留意する。委員会は、とくに以下の措置を歓迎するものである。 (a) 子どものための国家行動計画(2001~2010年)。 (b) 女性および子どもの人身取引を防止する国家行動計画(2004~2010年)。 (c) 売買春の防止に関する部門横断型プログラム(2006~2010年)。 (d) ストリート・チルドレン、性的虐待を受けた子どもおよび有害かつ危険な条件下で働く子どもの防止および定住に関する全国プログラム(2004~2010年)。 5.さらに、委員会は以下の文書が批准されたことを歓迎する。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2001年12月20日)。 (b) 就業が認められるための最低年齢に関する国際労働機関第138号条約(1973年)ならびに最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約(1999年)(それぞれ2003年12月24日および2000年12月19日)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 普及および研修 6.委員会は、この点に関する締約国の活動にも関わらず、選択議定書が対象とする分野に関して公衆および国の職員の意識啓発を図るための措置が依然として不十分であることに留意する。委員会はまた、選択議定書が対象とする犯罪の被害者とともに活動する職員が、とくに被害を受けた子どもの回復および再統合に関していまなお十分なスキルを有していないことも懸念するものである。 7.委員会は、締約国が、住民、とくに子どもおよび親の間で――学校カリキュラムおよび適当な教材等も用いながら――選択議定書の規定を普及するための措置を引き続き強化するとともに、すべての専門家集団、とくに売買、人身取引、児童買春および児童ポルノの被害を受けた子どもとともにおよびこのような子どものために働く専門家集団を対象として、引き続き適切な研修を実施するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、とくにユニセフに対し、この点に関わる技術的援助を求めるようにも勧告するものである。 データ収集 8.委員会は、この点に関して若干の進展が見られたとはいえ、選択議定書が対象とする問題についてのデータ収集が十分でも体系的でもなく、かつ十分な資源によって支えられていないことを懸念する。さらに委員会は、人身取引の分野では情報が利用可能とされているものの、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの規模および範囲を評価するためにさらなる調査研究が必要であることに留意するものである。 9.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの性質および規模に関する調査研究を行なうとともに、これらの問題に関する年齢別、男女別およびマイノリティ集団別のデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは、政策の実施状況を数値により評価するための必須手段を提供してくれるからである。 2.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止 現行刑事法令 10.委員会は、子どもの商業的性的搾取に関わる犯罪について新たな罪名およびより重い刑罰を導入した1997年および1999年のベトナム刑法改正、ならびに、法律を選択議定書に一致させるためのその他の努力を歓迎する。委員会はまた、2004年の子どもの保護およびケアに関する法律が、2005年青少年法とあいまって、18歳未満のすべての者を対象とするケアおよび保護について定めているという、代表団から提供された情報も歓迎するものである。しかしながら委員会は、刑法の一部規定(児童買春に関わる第254条~第256条を含む)においては16歳未満の者しか子どもとして言及されていないことを懸念する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 選択議定書第2条(c)および第3条1項(c)にしたがって児童ポルノを明示的に定義し、かつ十分に犯罪化する規定が存在しないこと。 (b) 刑法第46条で、犯罪(選択議定書が対象とする犯罪も含む)の実行者は、賠償の申し出を行なってそれが被害を受けた子どもまたはその家族によって受け入れられたときは刑を軽減されることができると定められていること。 11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第3条に列挙されているすべての行為を、これが18歳未満のすべての者に対して行なわれたときには明示的に犯罪とするため、刑法および適当なときは他の法律を改正すること。 (b) 加害者に科しうる制裁と被害者が請求しうる賠償を明確に区別するため、刑法第46条を再検討すること。 (c) とくにユニセフに対し、この点に関わる技術的援助を引き続き求めること。 3.刑事手続 裁判権 12.委員会は、締約国の刑法の第6条2項で、場合により域外裁判権を行使することが認められていることに留意する。しかしながら、この規定が、選択議定書第4条2項および3項に掲げられたすべての具体的状況を対象としているのかどうかは明確でない。 13.委員会は、締約国が、この点に関する具体的情報(選択議定書第4条2項および3項にいう裁判権が行使された事件の件数も含む)を次回報告書で提供するよう勧告する。 犯罪人引渡し 14.委員会は、代表団から提供された、刑事訴訟法第343条が選択議定書第5条の規定にあわせて改正された旨の情報およびこの条に付された留保は不必要となったので撤回されるであろう旨の情報を歓迎する。 15.委員会は、締約国が、選択議定書第5条に付した留保の撤回を迅速に開始しかつ完了させるとともに、必要なときは、選択議定書が対象とするすべての犯罪に関わる犯罪人引渡しの法的根拠として同条を用いるよう勧告する。 4.被害を受けた子どもの権利の保護 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 16.委員会は、児童買春およびセックス・ツーリズムが同国でますます問題となりつつあり、かつベトナムのセックスワーカーの少なくとも10%は子どもであると考えられている旨の情報に、懸念を表明する。 17.委員会は、締約国が、売買春の防止に関する部門横断型プログラム(2006~2010年)を十分に実施することも含む手段により、児童買春と闘うための努力を強化するよう勧告する。さらに、締約国は、とくに旅行業界を対象とする具体的戦略(子どもの権利および子どもを虐待する者に対して用意されている制裁についての具体的メッセージを含む)を策定することにより、セックス・ツーリズム関連の犯罪の増加に緊急に対処するべきである。 18.委員会は、労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)、女性同盟、青年同盟および人口・家族・子ども委員会を含む公的機関が被害者保護のための積極的プログラムを展開していることに留意しながらも、これらの努力の多くは十分な財源を欠いていることを懸念する。さらに、委員会は、ベトナムと中国およびカンボジアとの国境に沿って国境検問所に受入れ施設が設けられたこと、ならびに、人身取引または性的虐待の対象とされた女性および子どものための受入れセンターが設けられたことを歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 回復および再統合のためのサービスの提供範囲が限られており、かつ十分な訓練を受けた専門家が存在しないこと。 (b) 被害を受けた子どもとの再統合の過程で家族を援助するための措置が不十分であること。 (c) 刑法第254条~第256条との関連で、買春の被害を受けた16~18歳の被害者が法律上必ずしも被害者として扱われず、かつ行政上の制裁の対象とされる可能性があること。 (d) 選択議定書が対象とする犯罪的活動に対処する、専門の警察部隊、検察官または裁判官が存在しないこと。 19.委員会は、締約国が、被害を受けた子どもおよびその家族が十分なサービス(適当なときは身体的および心理的回復、社会的再統合ならびに賠償を含む)を利用できるようにするため、予算資源の配分に優先的に取り組むよう勧告する。この目的のため、委員会はとくに、被害を受けた子どもの社会的再統合ならびに身体的および心理的回復に関する活動を行なう者の研修を強化する必要があることを強調するものである(前掲パラ6も参照)。 20.委員会はさらに、選択議定書に基づくいずれかの犯罪の被害者である子どもがそのこと自体を理由として犯罪者にも処罰の対象にもされないこと、および、このような子どもがスティグマを付与されかつ社会的に周縁化されることのないようあらゆる可能な措置がとられることを、締約国が確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、選択議定書が禁ずる慣行の被害を受けた子どもの権利および利益を刑事司法手続のあらゆる段階で保護するための措置を、引き続きとるよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国が、とくに選択議定書第8条、および、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(国連経済社会理事会決議2005/20付属文書)を指針とするよう勧告する。とくに、締約国は以下の措置をとるべきである。 (a) 被害者である子どもの個人的利益に影響がある手続において、当該子どもの意見、ニーズおよび関心事が提示されかつ考慮されることを可能にすること。 (b) 子ども向けに設計された事情聴取室ならびに被害を受けた子どもの陳述の録音および録画を含む、子どもに配慮した手続を用いること。 (c) 審理の開始を遅らせることが子どもの最善の利益にかなう場合を除き、審理が実際的に可能なかぎり早期に開始されることを確保すること。 (d) 選択議定書が対象とする犯罪を捜査する特別班を設置するとともに、警察、検察官、裁判官および関係するその他の専門家を対象として、選択議定書が対象とする分野についての体系的研修を実施すること。 5.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 21.委員会は、貧困、低開発およびあらゆる形態の搾取(子どもの売買、児童買春および児童ポルノを含む)にさらされる危険性との間に直接の関係があることを認め、「飢餓撲滅、貧困削減および雇用創出に関する計画」を歓迎するとともに、社会経済政策およびプログラムの実施において締約国が子どもに注意を向けていることを歓迎する。 22.委員会は、締約国に対し、財政レベルも含めて貧困削減戦略を引き続き十分に重視するよう奨励する。これとの関連で、委員会は、締約国が、とくに農村部および遠隔地において、所得創出プロジェクトも活用しながら、不利なおよび脆弱な立場に置かれた家族の能力を引き続き増進しかつ支援するよう勧告するものである。締約国はまた、選択議定書に掲げられた犯罪を防止することを目的とした社会政策およびプログラムの策定および実施に子どもの関与を得るための措置をとることも求められる。 23.委員会は、人口・家族・子ども委員会(CPFC)が、プラン・ベトナムと協力して、子どもがカウンセリングおよび援助を受けられるフリーダイヤルのチャイルド・ヘルプライン(受付時間は1日14時間)を設置したことを歓迎する。 24.委員会は、チャイルド・ヘルプラインを拡大し、24時間開設できるようにすることを勧告する。委員会はまた、締約国に対し、さらなる防止措置をとるとともに、意識啓発キャンペーンを実施する際、NGOと引き続き連携するよう奨励するものである。 養子縁組目的の売買の防止 25.委員会は、法務省国際養子縁組局の設置および2006年の政令第69号をはじめとする、不法な国際養子縁組を防止しかつ統制するためにとられた措置には留意しながらも、国内外の養子縁組の規律および実施について問題が根強く残っていることを懸念する。委員会はまた、養子縁組分野の法律に法的空白が存在することにより、選択議定書第3条1項(a)(ii)にしたがい、適用可能な国際法文書に違反する子どもの養子縁組の仲介者として行動する者の訴追および処罰が妨げられるであろうことも懸念するものである。 26.委員会は、子どもの養子縁組に関与するすべての者(仲介者を含む)が適用可能な国際法文書にしたがって行動すること、および、とくに国際養子縁組において当該養子縁組が関係者に不当な金銭上の利得をもたらすことがないことを確保するため、締約国が法改正を含むあらゆる適当な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の締約国となる手続を完了させるよう勧告するものである。 6.国際的な援助および協力 法執行 27.委員会は、カンボジアとの二国間協定、人身取引対策協力に関する拡大メコン圏了解覚書(2004年)、女性および子どもの人身取引を防止する地域行動計画をはじめ、とくに人身取引対策の分野で締約国が調印した地域的協定および二国間協定に留意する。しかしながら委員会は、ベトナムが、とくに中国およびカンボジアを目的地国とする、性的搾取目的の人身取引(子どもの人身取引を含む)の供給源であることを懸念するものである。 28.委員会は、締約国が、女性および子どもの人身取引を防止する国家行動計画を十分に実施する等の手段により、性的搾取目的の人身取引と引き続き闘うよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび子どもセックス・ツーリズムをともなう行為を防止し、摘発し、捜査し、当該行為に責任を負う者を訴追しかつ処罰するための国際的な司法共助および刑事共助の活動を、引き続き強化するよう奨励するものである。委員会はまた、締約国が、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2000年)を批准するようにも勧告する。 7.フォローアップおよび普及 フォローアップ 29.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国民議会および人民評議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 30.委員会は、条約〔ママ〕、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 8.次回報告書 31. 第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回報告書(提出期限・2007年9月1日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年9月9日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/220.html
総括所見:スペイン(OPAC・2007年) 第1回(1994年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2010年)OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.28(2007年10月17日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2007年10月1日に開かれた第1276回会合(CRC/C/SR.1276参照)においてスペインの第1回報告書(CRC/C/OPAC/ESP/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書の提出を、提出の遅れは遺憾に思いながらも歓迎する。委員会は、国防省の上級代表を含むハイレベルな多部門型の代表団との建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2002年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.185)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2007年10月5日に採択された総括所見(CRC/C/OPSC/ESP/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、以下のことに評価の意とともに留意する。 (a) 選択議定書の批准時に締約国が行なった、軍隊への志願入隊に関する最低年齢は18歳である旨の宣言。 (b) 国際人権条約は国内法の一部を形成し、かつ国内裁判所による執行が可能である旨の、締約国による確認。 (c) 紛争を経験しているまたは紛争後の状況下にあるいくつかの国における、子ども兵士のリハビリテーションおよび再統合のためのプロジェクトに対する締約国の貢献。 (d) 子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表への委任事項および安全保障理事会決議1539に対する締約国の支持。 (e) 欧州連合総務・対外関係理事会が2003年12月に採択し、かつ2005年に改訂された子どもと武力紛争に関する指針を促進するために締約国が行なっている努力。 5.委員会はさらに、締約国が、選択議定書に関連する国際文書(以下のものを含む)に加入しまたはこれを批准したことを称賛する。 (a) 国際刑事裁判所ローマ規程(2000年10月24日)。 (b) 最悪の形態の児童労働に関するILO条約(1999年)(2001年4月2日)。 (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書(2001年12月5日)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 立法および実施措置 6.委員会は、志願入隊に関する最低年齢制限を18歳に引き上げることに対する締約国の支持を称賛する。委員会は、選択議定書上の犯罪が、締約国の刑法で、国際条約への言及によって間接的に対象とされていることに留意するものの、18歳未満の者の義務的徴募を犯罪化する具体的規定がないことを懸念するものである。 7.軍隊または武装集団への子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関わる選択議定書の規定の違反が締約国の法律で明示的に犯罪とされることを確保すること。 (b) これらの犯罪が、締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によって、またはこれらの者に対して行なわれた場合の、当該犯罪についての域外裁判権を強化すること。 (c) 軍の規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定および精神にしたがうことを確保すること。 普及および研修 8.委員会は、平和維持部隊の参加者を含む軍のすべての要員が、子どもの権利条約および選択議定書の規定を含む人権に関する研修を受けていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、子どもとともに働くすべての専門家集団が十分な研修を受けているわけではないことを懸念するものである。さらに委員会は、平和教育が学校における人権教育の一要素となっていることに満足して留意するものの、選択議定書に関する子ども、親および教員の意識が低いことを懸念する。 9.委員会は、締約国に対し、平和維持部隊要員を含む軍隊の構成員、ならびに、選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもとともにおよびこのような子どものために働くすべての関連の専門家集団またはこのような子どもと接する可能性がある専門家(保健従事者、ソーシャルワーカー、教員、弁護士、裁判官、医療専門家、ならびに、とくに、子どもの庇護希望者、難民および移民のためにおよびこのような子どもとともに働く公的機関など)を対象として、選択議定書に関する研修活動を引き続き実施するよう、奨励する。 10.さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、公衆一般ならびにとくに子どもおよびその親に対し、選択議定書の規定を広く知らせるよう勧告する。 2.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置 社会的再統合措置 11.委員会は、子どもからの庇護申請を処理するために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、スペインへの到着前に徴募されまたは敵対行為で使用された可能性がある子どもの特定が不十分であること、および、このような子どもに関するデータが体系的に収集されていないことを懸念するものである。委員会は、このような子どもを特定することができなければ、ノンルフールマンの原則の違反につながる可能性があることを懸念する。 12.さらに委員会は、徴募されまたは武力紛争で使用された子どもの庇護希望者が、庇護手続について十分に情報を提供されておらず、かつ、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための学際的援助を提供できる特別な専門家に不十分な形でしかアクセスできていないことを、遺憾に思う。委員会は、オンブズマン事務所の重い作業負担により、子どもの最善の利益に悪影響が生じる可能性があることを懸念するものである。 13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) その管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民であって国外で徴募されまたは武力紛争で使用された可能性がある子どもを特定し、かつこのような子どもに関するデータを体系的に収集するための措置をとること。 (b) スペインにいる子どもの難民および庇護希望者であって敵対行為に関与した可能性がある子どもに特段の注意を払うとともに、子どもに対してその身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための十分な学際的援助を提供する目的で専門家を増員すること。 (c) 子どもの庇護希望者を対象としてヘルプラインを含む情報へのアクセスを向上させ、かつ、このような子どもが利用可能な法的助言サービス(オンブズマン事務所におけるものを含む)を強化すること。 (d) すべての自治州における選択議定書の全面的実施を保障すること。 (e) 子どもの送還に関する決定に際し、子どもの最善の利益およびノンルフールマンの原則が第一次的に考慮されることを確保すること。 14.これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)に留意するよう勧告する。 3.国際的な援助および協力 武器輸出 15.委員会は、締約国がEU武器輸出行動規範(1998年)を支持しており、かつ違法な武器貿易を犯罪化したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の法律において、武器の販売を認めないための基準として、武器の最終目的地国で子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている可能性が具体的に挙げられていないことに留意するものである。 16.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国を最終目的地とする武器の販売について、具体的禁止規定を導入することを検討するよう勧告する。 国際協力 17.委員会は、武力紛争の影響を受けた子どもを保護しかつ支援するための多国間および二国間の活動に対する締約国の財政支援を称賛する。 18.委員会は、締約国が、とくに防止活動ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進することにより、武力紛争に関与した子どもの権利に対応するための多国間および二国間の活動に対する財政支援を継続しかつ強化するよう、勧告する。 4.フォローアップおよび普及 19.委員会は、締約国が、前述したすべての関連の専門家集団を対象として、選択議定書の規定に関する、すべての公用語による継続的かつ体系的な教育および研修を引き続き発展させるよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、公衆一般ならびにとくに子どもおよびその親に対し、選択議定書の規定を広く知らせるよう勧告するものである。 訳者注/パラ10との重複(第2文)、公的機関への総括所見の送付等に関する勧告の遺漏は原文ママ。 20.加えて、選択議定書第6条2項にしたがい、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 5.次回報告書 21.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/40.html
欧州評議会・子どもの養子縁組に関する欧州条約(改正)(2008年) 原文英語(平野裕二仮訳) 前文 欧州評議会の加盟国およびこの条約の他の署名国は、 欧州評議会の目的が、加盟国の共通の遺産である理想および原則を保護しかつ実現するために加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 子どもの養子縁組制度が欧州評議会の全加盟国の法に存在するとはいえ、養子縁組を規律すべき原則に関する異なる見解ならびに養子縁組手続および養子縁組の法的効力に関する違いがこれらの国々に依然として残っていることを考慮し、 子どもの権利に関する1989年11月20日の国際連合条約およびとくにその第21条を考慮に入れ、 国際養子縁組に関する子の保護および国際協力に関する1993年5月29日のハーグ条約を考慮に入れ、 「国際養子縁組:子どもの権利の尊重」に関する欧州評議会議員会議の勧告1443(2000)、および、親子関係の確認および法的効力に関わる原則についての欧州評議会白書の内容に留意し、 1967年の子どもの養子縁組に関する欧州条約(ETS No. 58)の規定の中には、時代に適合せず、かつ欧州人権裁判所の判例に反するものもあることを認め、 自己に影響を及ぼす家事手続への子どもの参加が、子どもの権利の行使に関する1996年1月25日の欧州条約(ETS No. 160)および欧州人権裁判所の判例によって改善されてきたことを認め、 この数十年の間にこの分野で生じてきた関連の発展を考慮に入れながら、子どもの養子縁組に関わる新たな共通の原則および実践を受け入れることが、国内法の違いによって引き起こされている困難を軽減し、かつ、同時に、養子とされる子どもの利益を促進するうえで役に立つであろうことを考慮し、 とくに1993年のハーグ条約を効果的に補完する、子どもの養子縁組に関する欧州評議会の新たな国際文書を定める必要があることを確信し、 子どもの最善の利益が至高の考慮事項であることを認め、 次のとおり協定した。 第1章-条約の適用範囲およびその原則の適用 第1条-条約の適用範囲 1.この条約は、養親となろうとする者が養子縁組の申請を行なったときに18歳に達しておらず、現に婚姻しておらずかつ婚姻したことがなく、現に登録パートナーシップ関係になくかつ過去にそのような関係を結んだことがなく、ならびに成年に達していない子どもの養子縁組に適用される。 2.この条約は、子どもと親との恒久的関係を創設する、法律上の養子縁組制度のみを対象とする。 第2条-原則の適用 各締約国は、この条約と自国の法律との一致を確保するために必要と考えられる立法上その他の措置をとり、かつ、欧州評議会事務総長に対し、当該目的のためにとった措置について通告する。 第2章-一般的原則 第3条-養子縁組の有効性 養子縁組は、裁判所または行政機関(以下「権限ある公的機関」)によって認可された場合のみ、有効となる。 第4条-養子縁組の認可 1.権限ある公的機関は、養子縁組が子どもの最善の利益にかなうことを確信する場合にのみ、養子縁組を認可する。 2.権限ある公的機関は、各事案において、安定したおよび調和のとれた家庭を子どもに提供する養子縁組の重要性に特別な注意を払う。 第5条-養子縁組への同意 1.この条の2から5までにしたがうことを条件として、養子縁組は、少なくとも養子縁組に対する次の同意が与えられ、かつ撤回されない場合でなければ、これを認可しない。 a. 母および父の同意、または、同意を与えるべき父および母のいずれも存在しないときは、父母に代わって同意を与える資格を有するいずれかの者もしくは機関の同意。 b. 法律によって十分な理解力を有すると見なされる子どもの同意。子どもは、法律で定められた年齢であって14歳を上回らない年齢に達した時点で、十分な理解力を有すると見なされる。 c. 養親となろうとする者の配偶者または登録パートナーの同意。 2.養子縁組に関する同意が必要とされる者は、必要と考えられるカウンセリングを受け、かつ、その同意の効力、とくに養子縁組の結果として子どもとその出身家族との法的関係が終了するか否かについて、適正に情報を提供されていなければならない。同意は、法律で定められた必要な書式で与えられなければならず、かつ書面により表明または証明されていなければならない。 3.権限ある公的機関は、法律に定められた例外的事由に基づく場合を除き、1に掲げられたいずれかの者または機関の同意を免除し、またはその同意の拒否を退けてはならない。ただし、有効な同意の表明を妨げる障害を有する子どもの同意は、これを免除することができる。 4.父または母が子どもに関して親責任を有しておらず、または少なくとも養子縁組に同意する権利を有していないときは、法律により、当該父または母の同意を得る必要はない旨、定めることができる。 5.子どもの養子縁組に対する母の同意は、子どもの出生後6週間を下回らない範囲で法律が定める期間の経過後、または、当該期間が定められていないときは、母が子どもの出産の影響から十分に回復することを可能にすると権限ある公的機関が考える期間の経過後に与えられた場合にのみ、有効となる。 6.この条約の適用上、「父」および「母」とは、法律にしたがって子どもの親であるものをいう。 第6条-子どもとの協議 第5条第1項および第3項にしたがって子どもの同意が必要とされないときは、子どもと可能なかぎり協議を行ない、かつ、その意見および希望を、その成熟度を顧慮しながら考慮に入れる。当該協議は、明らかに子どもの最善の利益に反するときは、免除することができる。 第7条-養子縁組の条件 1.法律は、次の者による子どもの養子縁組を認める。 a. 性別を異にする2名の者であって、次のいずれかの条件を満たす者。i. 婚姻関係にあること。 ii. 登録パートナーシップの制度が存在するときは、ともに当該関係にあること。 b. 単身者。 2.国は、婚姻関係にありまたはともに登録パートナーシップ関係にある同性カップルを、この条約の適用範囲に自由に含めることができる。国はまた、安定した関係のもとで生活をともにしている異性カップルおよび同性カップルも、この条約の適用範囲に自由に含めることができる。 第8条-その後の養子縁組の可能性 法律は、次の事情の一または複数に該当する場合を除き、いったん養子とされた子どもがその後の機会にふたたび養子縁組の対象とされることを認めてはならない。 a. 子どもが養親の配偶者または登録パートナーによって養子とされるとき。 b. 元の養親が死亡したとき。 c. 養子縁組が無効とされたとき。 d. 元の養子縁組が終了しており、または新たな養子縁組によって終了するとき。 e. その後の養子縁組が重大な根拠によって正当と認められ、かつ法律上元の養子縁組を終了させることができないとき。 第9条-養親の最低年齢 1.子どもの養子縁組は、養親が、この目的のために法律で定められた最低年齢に達していなければ、行なうことができない。当該最低年齢は、18歳以上30歳未満とする。子どもの最善の利益を顧慮し、養親と子どもとの間には適当な年齢差が存しなければならない。当該年齢差は、少なくとも16歳であることが望ましい。 2.ただし、最低年齢または年齢差に関する要件は、次のいずれかの場合には、法律により、子どもの最善の利益のために免除することを認めることができる。 a. 養親が子どもの父または母の配偶者または登録パートナーであるとき。 b. 例外的事情によるとき。 第10条-予備調査 1.権限ある公的機関は、養親、子どもおよび子どもの家族に関して適切な調査が行なわれるまでは、養子縁組を認めてはならない。当該調査の期間中および終了後において、データは、専門家の守秘義務および個人データ保護に関する規則にしたがう場合でなければ、収集し、処理しおよび伝達することができない。 2.当該調査は、各事案で適切な限度において、可能なかぎりかつとくに次の事項に関して行なう。 a. 養親の人格、健康および社会環境、その居宅および世帯の詳細ならびに子ども養育する養親の能力。 b. 養親が当該子どもの養子縁組を希望する理由。 c. 配偶者または登録パートナーの一方のみが子どもの養子縁組の申請を行なうときは、他方が当該申請に参加しない理由。 d. 子どもと養親の相性および子どもが当該養親のケアを受けていた期間。 e. 子どもの人格、健康および社会環境、ならびに、法律によって課されたいかなる制限にもしたがうことを条件として、その背景および民事上の身分。 f. 養親および子どもの民族的、宗教的および文化的背景。 3.当該調査は、法律または権限ある公的機関によってこの目的のために承認された者または機関に委託する。当該調査は、実際上可能なかぎり、訓練または経験の結果としてこの分野における適格性を認められたソーシャルワーカーが行なう。 4.この条の規定は、当該調査の及ぶ範囲にあるか否かに関わらず、有益となる可能性があると考えるいずれかの情報または証拠を入手する、権限ある公的機関の権能または義務に影響を及ぼすものではない。 5.養子縁組の適否、養親の適格性、関係者の状況および動機ならびに子どもの措置の適切性に関する調査は、子どもが養子縁組を目的として養親となろうとする者に託置される前に行なう。 第11条-養子縁組の効力 1.子どもは、養子縁組と同時に、養親の家族の完全な構成員となり、かつ、養親およびその家族との関係で、親子関係が法的に確立された養親の子として同一の権利および義務を有する。養親は、子どもに対して親責任を有する。養子縁組により、子どもとその父、母および出身家族との間の法律上の関係は終了する。 2.1の規定に関わらず、養親の配偶者またはパートナー(登録の有無を問わない)は、養子が自己の子であるときは、当該養子との関係でその権利および義務を引き続き有する。ただし、法律に別段の定めがあるときは、このかぎりでない。 3.子どもとその出身家族との法律上の関係の終了について、締約国は、子どもの姓および婚姻または登録パートナーシップの締結の障害事由に関する例外を定めることができる。 4.締約国は、この条の1から3までに定められたものよりも限定された効力を有する、他の形態の養子縁組について定めることができる。 第12条-養子の国籍 1.締約国は、自国の国民が養子とした子どもによる国籍の取得の便宜を図る。 2.養子縁組の結果生じうる国籍の喪失は、他の国籍の保持または取得を条件とする。 第13条-制限の禁止 1.同一の養親が養子とすることができる子どもの人数は、法律によって制限してはならない。 2.子を有する者または有することができる者が、これを理由として法律により養子縁組を禁じられてはならない。 第14条-養子縁組の取消しおよび無効 1.養子縁組は、権限ある公的機関の決定によらなければ、取り消しまたは無効とすることができない。子どもの最善の利益が常に至高の考慮事項となる。 2.養子縁組は、法律により認められた重大な事由がある場合にのみ、子どもが成年に達する前に取り消すことができる。 3.養子縁組を無効とすることの申請は、法律が定める期間内に行なわなければならない。 第15条-他の締約国からの情報の要請 この条約の第4条および第10条にしたがって行なわれる調査が他の締約国の領域に現に居住しておりまたは居住していた者に関するものである場合、締約国は、情報の要請が行なわれたときは、要請された情報が提供されることを確保するため迅速な努力を行なう。各国は、情報の要請先となる一の国内当局を指定する。 第16条-親子関係確認手続 推定上の生物学的父または母によって提起された父子関係確認手続または存在する場合には母子関係手続が係属中であるときは、養子縁組手続は、適当なときは当該親子関係確認手続の結果が出るまで停止する。権限ある公的機関は、当該親子関係確認手続において迅速に行動する。 第17条-不当な利得の禁止 何人も、子どもの養子縁組に関する活動から不当な金銭的その他の利得を得てはならない。 第18条-より好ましい条件 締約国は、養子にとってより好ましい規定を採用する選択の自由を維持する。 第19条-試験観察期間 締約国は、養子縁組を認める前に、養子縁組が認められた場合の将来の養親子関係について権限ある公的機関が合理的評価を行なうことが十分な期間、子どもが養親に託置されることを要件とすることができる。その際には、子どもの最善の利益が至高の考慮事項となる。 第20条-カウンセリングおよび養子縁組後のサービス 公的機関は、養親になろうとする者、養親および養子に対して援助および助言を提供する養子縁組カウンセリング・サービスおよび養子縁組後のサービスの促進および適正な運用を確保する。 第21条-訓練 締約国は、養子縁組に対応するソーシャルワーカーが、養子縁組の社会的および法的側面について適切な訓練を受けることを確保する。 第22条-情報へのアクセスおよび情報の開示 1.養親の身元を子どもの出身家族に開示することなく養子縁組を行なえるようにするための措置がとられる。 2.養子縁組手続が非公開で行なわれることを要件としまたは認めるための措置がとられる。 3.養子は、自己の出自に関して権限ある公的機関が有する情報にアクセスすることができる。養子の実親がその身元を開示されない権利を有しているときは、権限ある公的機関は、状況ならびに子どもおよびその実親それぞれの権利を顧慮し、法律の認める限度において、実親の当該権利を無効とし、かつ身元の特定につながる情報を開示するか否かを決定する。成年に達していない養子に対しては、適切な指導が与えられる。 4.養親および養子は、養子の生年月日および出生地を証明する公的記録の抜粋を掲載し、ただし養子縁組の事実またはその実親の身元は明示的に明らかにしない書類を取得することができる。締約国は、この規定を、この条約の第11条第4項に掲げられた他の形態の養子縁組に適用しないことを選択することができる。 5.自己の身元および出自を知る権利を顧慮し、養子縁組に関する関連の情報は、養子縁組の成立後少なくとも50年間収集しおよび保存する。 6.公的記録を保存しかついずれかの場合にその内容を複製する際には、正当な利益を有しない者が、ある者が養子であるか否かの事実、およびその実親の身元が開示されるときは当該情報を知ることのできないような方法で行なう。 第3章-最終条項 第23条-この条約の効果 1.この条約は、1967年4月24日に署名のために開放された子どもの養子縁組に関する欧州条約の締約国について、当該条約に代わる。 2.この条約の締約国と、1967年条約の締約国であってこの条約を批准していない国との間では、1967年条約第14条が引き続き適用される。 第24条-署名、批准および発効 1.この条約は、欧州評議会加盟国およびその作成に参加した非加盟国による署名のために開放しておく。 2.この条約は、批准、加入または承認されなければならない。批准書、加入書または承認書は、欧州評議会事務総長に寄託する。 3.この条約は、3か国の署名国がこの条の2の規定にしたがって条約に拘束されることへの同意を表明した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 4.1に掲げられたいずれかの国が、その後、条約に拘束されることへの同意を表明したときは、条約は、当該国について、その批准書、加入書または承認書が寄託された日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 第25条-加入 1.この条約の発効後、欧州評議会閣僚委員会は、締約国との協議を行なった後、欧州評議会の非加盟国であって条約の作成に参加しなかったいかなる国に対しても、欧州評議会規程第20条dに定められた過半数による決定をもって、かつ閣僚評議会に出席する資格を有する締約国の代表の全会一致の投票をもって、この条約に加入するよう慫慂することができる。 2.条約は、加入したいかなる国についても、欧州評議会事務総長に加入書が寄託された日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 第26条-領域的適用 1.いずれの国も、署名時または批准書、受託書、承認書もしくは加入書の寄託時に、この条約が適用される単一のまたは複数の領域を特定することができる。 2.いずれの国も、その後のいかなる時点においても、欧州評議会事務総長に宛てた宣言によって、当該宣言で特定され、かつ国際的関係について自国が責任を負っているまたは自国が代わって保証を行なうことが認められている他のいずれの領域に対しても、この条約を新たに適用することができる。当該領域については、条約は、事務総長が当該宣言を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 3.1および2の規定に基づいて行なわれたいずれの宣言も、当該宣言で特定されたいずれの領域についても、欧州評議会事務総長に宛てた通告によって撤回することができる。撤回は、事務総長が当該通告を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 第27条-留保 1.この条約のいかなる規定についても、第5条第1項b、第7条第1項aのiiならびにbおよび第22条第3項の規定に関する例外を除き、いかなる留保も付すことができない。 2.1にしたがっていずれかの国が付す留保は、署名時または批准書、受託書、承認書もしくは加入書の寄託時にその内容を明らかにするものとする。 3.いずれの国も、欧州評議会事務総長に宛てた宣言によって、1にしたがって付した留保の全部または一部を撤回することができる。当該宣言は、その受領の日から効力を生ずる。 第28条-権限ある機関の通告 各締約国は、欧州評議会事務総長に対し、第15条に基づく要請の送付先である公的機関の名称および住所を通告する。 第29条-廃棄 1.いかなる締約国も、欧州評議会事務総長に宛てた通告を行なうことによって、いつでもこの条約を廃棄することができる。 2.当該廃棄は、事務総長が通告を受領した日の後3か月が経過した月の1日に効力を生ずる。 第30条-通告 欧州評議会事務総長は、欧州評議会加盟国、この条約の作成に参加した非加盟国、すべての締約国およびこの条約への加入を慫慂されたすべての国に対し、次の事項を通告する。 a. すべての署名。 b. すべての批准書、受託書、承認書または加入書の寄託。 c. 第24条にしたがってこの条約が効力を生ずるすべての日付。 d. 第2条の規定にしたがって受領したすべての通告。 e. 第7条第2項ならびに第26条第2項および第3項の規定にしたがって受領したすべての宣言。 f. 第27条の規定にしたがって付されたすべての留保および行なわれた留保の撤回。 g. 第28条の規定にしたがって受領したすべての通告。 h. 第29条の規定にしたがって受領したすべての通告および廃棄が効力を生ずる日付。 i. この条約に関わる他のいずれかの行為、通告または連絡。 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。 2008年11月27日、ストラスブールにおいて、ひとしく正文である英語およびフランス語により本書1通を作成した。本書は、欧州評議会に寄託する。欧州評議会事務総長は、欧州評議会の各加盟国、この条約の作成に参加した非加盟国およびこの条約に加入するよう慫慂されたすべての国に対し、その認証謄本を送付する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月12日)。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/87.html
(1)子どもの健康状態並びに発育及び発達状態の把握 (2)健康増進 (3)疾病等への対応
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/102.html
総括所見:モンゴル(OPAC・2010年) 第1回(1996年)/第2回(2005年)/第3回・第4回(2010年)OPSC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/MNG/CO/1(2010年3月3日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2010年1月12日および13日に開かれた第1458回および第1460回会合(CRC/C/SR.1458およびCRC/C/SR.1460参照)においてモンゴルの第1回報告書(CRC/C/OPAC/MNG/1)を検討し、2010年1月29日に開かれた第1501回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および委員会の事前質問事項(CRC/C/OPAC/MNG/Q/1 and Add.1)に応じて提供された回答の提出を歓迎する。委員会はまた、ハイレベルな代表団との間に持たれた対話も評価するものである。しかしながら委員会は、締約国の報告書が簡潔であり、かつ議定書に基づく報告に関する改訂ガイドラインにしたがっていなかったこと、および、代表団に司法省および国防省の職員が含まれていなかったことを遺憾に思う。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2010年1月29日の、締約国の第3回・第4回統合定期報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/MNG/CO/3-4)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 積極的側面 4.委員会は、18歳未満の者は義務的徴募の対象にされないと定めたモンゴル法の規定(モンゴル市民の軍事的義務および軍人の法的地位に関する法律第9条2項)を歓迎する。 5.委員会はまた、締約国が以下の条約を批准したことも歓迎する。 (a) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2003年)。 (b) 最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関するILO第182号条約(2001年9月)。 (c) 国際刑事裁判所ローマ規程(2002年)。 I.実施に関する一般的措置 普及および意識啓発 6.委員会は、選択議定書をモンゴル語に翻訳し、かつこれを子ども団体および軍隊の被雇用者に普及することに関して締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の原則および規定に関する公衆一般の意識が依然として低いことを懸念するものである。 7.委員会は、選択議定書第6条2項に照らし、締約国が、選択議定書の原則および規定を公衆一般ならびにとくに子どもおよびその親に対して広く周知するための努力を強化するよう、勧告する。 研修 8.委員会は、モンゴルの平和維持要員を対象として、子どもの権利条約およびその両選択議定書を含む国際人権基準および国際人道基準に関する研修活動が行なわれている旨の情報を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、モンゴル国軍の構成員、司法の運営に関して働いている者を含む専門職および法執行官が選択議定書の規定に関する体系的研修を受けていないことを懸念するものである。 9.委員会は、締約国に対し、軍隊構成員を対象として人権研修活動(選択議定書の規定に関するものを含む)を行なう努力を強化するよう奨励する。委員会はまた、締約国が、子どもとともに活動する関連の専門家集団(検察官、弁護士、裁判官、法執行官、ソーシャルワーカー、医療専門家、教員、メディア専門家ならびに州および地方の官吏を含む)を対象とした、選択議定書の規定に関する研修活動を引き続き発展させるようにも勧告するものである。 II.防止 軍事学校 10.委員会は、国防大学軍楽科ならびに特別国境警備連隊および同部隊の生徒から出される可能性がある苦情に対処するための独立機構が存在しないことを懸念する。 11.委員会は、軍事学校に通う子どもが、苦情申立ておよび調査のための独立機構に十分にアクセスできるようにすることを勧告する。 平和教育 12.委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムに人権教育およびとりわけ平和教育を導入することにより、寛容、平和および理解の環境をつくり出すために行なっているプログラムおよび活動を強化するよう勧告する。 III.禁止および関連の事項 刑事法令 13.委員会は、刑法において議定書の規定が部分的に実施されており、軍隊への子どもの徴募が禁じられていることには留意しながらも、敵対行為への子どもの関与を禁ずる具体的な法規定がないことを依然として懸念する。 14.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関する選択議定書の規定の違反が、締約国の法律において明示的に犯罪とされることを確保すること。 (b) 軍の規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定および精神にしたがうことを確保すること。 IV.国際的な援助および協力 国際協力 15.委員会は、国連平和維持活動に対する締約国の積極的貢献を評価する。 16.委員会は、締約国が、自国の要員が武力紛争に関与する子どもの権利を全面的に認識し、かつ分遣隊がその責任および説明責任について認識することを引き続き確保するよう、勧告する。 V.フォローアップおよび普及 フォローアップ 17.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を最高人民会議(議会)の構成員、国防省および適用可能なときは地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 18.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 VI.次回報告書 19.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第5回定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年10月14日)。
https://w.atwiki.jp/porepole3/pages/109.html
■子どもの日について 本日は子どもの日です。 藩国と帝國の未来を担う子ども達が健やかに育ち、幸福となることを願いましょう。 またそれに伴い、子どもを守り育てる家庭に対しても深く感謝し、敬いましょう。 それに伴い、政府から国内の子どもおよびご家庭に対してお祝いとして、祝菓子を配布したいと思います。 この菓子に関しては“甘露祭”優勝者であるジョン・スミス氏に考案していただきます。 また、子どもの日の期間中、白亜宮および天球市・第0番区にて騎士専用機“Antares”を一般公開します。 これは、この騎士専用機を駆る騎士の様な、素晴しい人物になって欲しいという願いを込めてのことです。 なお、藩王より国民の皆様に向けてのメッセージがあります。 ★藩王よりのメッセージ 国民の皆様、セタ・ロスティフンケ・フシミです。 本日、子どもの日は明日未来を担う子どもたちが健やかに、そして幸せに育てるように願を掛ける日であります。 子ども、明日を担う存在である彼ら彼女らは掛け替えの無い宝です。 どうか、今日は各々のご家庭でお子様を祝ってあげてください。 また、近所に子どもがいる地域でも同様に訳隔てなく子どもを慈しみ、今日の善き日を過ごして下さい。 これは、藩王として、またこの国を愛う一人の人間としてのお願いです。 そして、この声を聞いている“ともだち”のみんなも、君たちを大事にしてくれる家族と近所のみんなにお礼を言ってくださいね。 では、皆様、どうか善き日をお過ごしください。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/85.html
総括所見:インドネシア(予備的所見・1993年) 第1回(1994年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.7(1993年10月18日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1993年9月22日および23日に開かれた第79回、第80回および第81回会合(CRC/C/SR.79-81)において、インドネシアの第1回報告書(CRC/C/3/Add.10)の検討を開始した。今会期中、条約の実施に関して文書および口頭により出された多くの質問に対する十分な説明を得る十分な時間がなかったことにかんがみ、委員会は、同報告書の検討を今後の会期において継続することを決定し、以下の予備的所見を採択した(注)。 1993年10月8日に開かれた第103回会合において。 A.序 2.委員会は、インドネシアが条約を早期に批准し、かつ条約第44条にもとづきその第1回報告書を時宜を得た形で提出したことに反映されているように、締約国が子どもの権利の促進および保護に決意を示していることを歓迎する。しかしながら、委員会は、第1回報告書およびその検討の結果として行なわれた対話から得られた情報にもとづき、現行法は条約の実施を確保するのに十分ではないと感ずるものである。 B.積極的な側面 3.委員会は、インドネシアが子どもの権利の実施を向上させるための措置に関する委員会の助言および援助を重視していることに満足感とともに留意し、かつ、子どもの状況を増進させるための政策およびプログラムを見直しかつ発展させる目的で、締約国が委員会および他の国際連合機関との協力に決意を有していることを歓迎する。 4.委員会は、締約国が、条約にもとづく義務および1992年8月の「北京コンセンサス」に反映された義務に照らして国内法を見直すことに前向きな姿勢を表明したことに留意する。委員会はまた、締約国が、条約に付した留保の撤回を検討する方向でその見直しを行なう決意を示したことも歓迎するものである。 5.委員会はまた、とくに開発戦略の文脈において子どもの問題により高い優先順位を与えるためにとられた措置にも留意する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 6.委員会は、締約国における条約の迅速な実施を阻害する困難、とりわけ、360の民族グループの存在、住民がインドネシア列島全域に散在していること、および、締約国一般およびとくにインドネシア住民の一部の層がいまなお直面している経済的問題に、留意する。 D.主要な懸念事項 7.委員会は、締約国が条約に付した留保の範囲を深く懸念する。委員会は、これらの留保の広範かつ不明確な性格は、条約の趣旨および目的との両立性に関して深刻な懸念を生じさせると感ずるものである。 8.条約に掲げられた子どもの権利は憲法と矛盾するものではないという代表団の発言には留意しながらも、委員会は、国内法において、外国人も含むすべての子どもが条約で保障された権利による保護を受けることが確保されていないように思えることを懸念する。 9.委員会はまた、条約第14条に掲げられた権利が、効力停止は不可能であるにも関わらず全面的に保護されていないことも懸念する。 10.子どもが婚姻できる年齢に関する国内法が条約第2条に反映された差別の禁止規定と両立しない可能性があることも、委員会の懸念するところである。 11.委員会は、条約の原則および規定を子どもに広く知らせるための努力が不十分であることに、懸念を表明する。 12.委員会はまた、子どもの権利の促進および保護への非政府組織、とくに人権団体の参加が行なわれていないこと、および、直接子どもとともに働いている職員に対して子どもの権利に関する訓練を提供するための努力が行なわれていないことも懸念する。 13.委員会は、条約の一般原則、とくに第2条、第3条および第12条の実施に対して向けられている注意が不十分であることを懸念する。委員会は、これらの原則の実施は財源に左右されるものではないことを強調したい。 14.委員会は、社会部門、とくにプライマリーヘルスケアおよび初等教育に対して割り当てられる予算の比率が少ないことを懸念する。これとの関連で、委員会は、経済的、社会的および文化的権利は入手可能な資源を最大限に用いることにより実施されるべきであると強調した条約第4条の規定を尊重する必要があることに、締約国の注意を促すものである。委員会は、そのような行動は締約国がいかなる経済モデルをとっていようとも必要であることを強調する。 15.委員会は、宗教の自由に関連する条約第14条の実施に関して懸念を表明する。委員会は、公的認可を一部の宗教に限定することは差別的慣行を生じさせる可能性があるということを強調することが重要であると考えるものである。 16.委員会は、特別な保護措置に関して要請されている情報が文書によって提供されなかったことを遺憾に思い、かつ、少年司法の運営の制度が条約第37条、第39条および第40条ならびに少年司法に関する他の国際連合基準と両立していないことに懸念を表明する。 17.委員会は、ディリのサンタクルスでデモをしていた子どもに治安部隊が過度の実力を行使したことに関する委員会の1991年11月の緊急通報に対し、インドネシア政府から回答がないことに懸念を表明する。これとの関連で、委員会は、このような侵害が二度と起こらないようにするため、条約第37条および第40条にしたがって設けられた保障に関して委員会が情報を要請していることに、インドネシア政府の注意を促すものである。委員会はまた、条約第39条にしたがって、深刻な人権侵害の被害者のリハビリテーションのために策定された戦略および提供されている便益に関する情報も要請する。 18.委員会はまた、児童労働の状況、および生き残るために路上で働きまたは生活することを余儀なくされている(しばしば「ストリートチルドレン」として知られている)子どもの状況に関する情報が提供されていないことも懸念する。 E.さらなる行動 19.委員会は、インドネシア政府に対し、条約の規定との一致を確保するために子ども関連の法律の見直しを行なうよう奨励し、かつ、これとの関連で、国際連合人権センターの助言サービスおよび技術的援助プログラムによって展開されてきた活動に注意を促す。前者との関連で、委員会は、代表団が、委員会の委員が締約国を訪問するよう招待したことを歓迎するものである。委員会は、この文書の7~18項に掲げられている、代表団との対話の過程で提起された懸念に関する書面による情報を要請する。委員会はまた、委員会がインドネシアの第1回報告書に関する総括所見を1994年9月/10月までに作成することができるよう、この書面による情報が1993年12月31日までに事務局に送付されるようにも要請するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年9月28日)。