約 1,857,927 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/110.html
総括所見:フランス(OPAC・2007年) 第1回(1994年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2009年)/第5回(2016年)OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/FRA/CO/1(2007年10月5日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2007年9月26日に開かれた第1270回会合においてフランスの第1回報告書(CRC/C/OPAC/FRA/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の包括的な第1回報告書が提出されたことを歓迎するものの、当該報告書に海外県および海外領土についての情報が記載されていないことを遺憾に思う。委員会はさらに、事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/FRA/Q/1/Add.1)を歓迎するともに、部門横断型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2004年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.240)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、武力紛争における子どもの問題に対応するために締約国が行なっている積極的な国際的関与を歓迎する。 (a) 子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表に対して提供している技術的援助。 (b) 議定書の実施に関与している非政府組織への財政支援。 (c) 武力紛争における子どもに関する安全保障理事会作業部会の設置(2005年11月)以来の、議長国としての締約国の積極的関与。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 立法 5.委員会は、選択議定書第1条にしたがって18歳未満のすべての子どもが敵対行為に参加しないことを確保するため、国防省が国防法典改正のための覚書に署名したことに、評価の意図ともに留意する。 6.軍隊または武装集団への子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関わる選択議定書の規定の違反が締約国の法律で明示的に犯罪とされることを確保すること。 (b) これらの犯罪が、締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によって、またはこれらの者に対して行なわれた場合の、当該犯罪についての域外裁判権を設定すること。 (c) 軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定および精神にしたがうことを確保すること。 7.委員会は、志願兵の入隊に関する最低年齢(17歳)はその法定代理人の同意があって初めて有効であることに留意する。委員会はまた、法的には17歳から入隊させることが可能であるにも関わらず、現在のところいかなる未成年者も外人部隊の隊員となっていないことにも留意するものである。 8.委員会は、締約国に対し、選択議定書の精神を全面的に遵守し、かつ子どもに対して全面的保護を提供する目的で、軍隊および外人部隊への入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げるよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、軍学校に入学した16歳以上18歳未満の子どもおよび外人部隊の子どもについて、軍人としての地位とは異なる特別な地位を法律で定めることも奨励するものである。 武器輸出 9.委員会は、締約国がEU「武器輸出に関する行動規範」の原則を採択したことを歓迎するものの、これらの原則では、子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている可能性がある国を最終目的地とする武器の販売を除外する基準について具体的に触れられていないことに留意する。これとの関連で、委員会はまた、子どもが徴募されまたは敵対行為で使用されうる国への武器の販売を禁じる具体的罪名が締約国の法律には存在しない旨の、代表団から提供された情報にも留意するものである。 10.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地である場合における武器の販売の具体的禁止規定の導入を検討するよう、勧告する。 議定書の普及および研修 11.委員会は、選択議定書で対象とされている問題に関する情報の普及および研修について、締約国報告書および事前質問事項に対する文書回答でほとんど情報が提供されていないことを遺憾に思う。 12.委員会は、選択議定書第6条2項に照らし、締約国が、議定書の原則および規定が一般公衆および国の職員に対して広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、子ども(徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもの庇護希望者、難民および移民)とともに働くすべての関連の専門家集団、とくに教員、医療専門家、ソーシャルワーカー、警察官、弁護士および裁判官を対象とした、議定書の規定に関する体系的な意識啓発、教育および研修のプログラムを発展させることも、勧告するものである。締約国は、次回の報告書でこの点に関する情報を提供するよう慫慂される。 13.委員会は、締約国が、軍学校を含むすべての学校ですべての子どもを対象とする人権教育およびとくに平和教育を提供し、かつ、これらのテーマを子どもの教育に含める目的で教員の研修を行なう努力を強化するよう、勧告する。 2.国際的な援助および協力 財政援助その他の援助 14.委員会は、「子どもを戦争から解放する」ためのパリ閣僚級会議(2007年2月5日および6日)の開催など、武力紛争における子どもの保護に関する締約国のさまざまな取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、このような努力において選択議定書またはこの点に関する委員会の活動が十分に考慮されていないことを遺憾に思うものである。 15.委員会は、締約国が、防止活動ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に引き続き貢献するよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、武力紛争における子どもに関する安全保障理事会作業部会の議長国として、国連システム内の調整の強化を奨励するよう、勧告するものである。委員会は、締約国に対し、作業部会の議長国としての立場で、選択議定書に関わる国連の取り組みの相乗効果および調整を促進し、かつ委員会との調整を強化するよう、慫慂する。 16.委員会は、国連平和維持活動に対する締約国の積極的貢献には評価の意とともに留意しながらも、締約国に対し、自国の要員が武力紛争に関与する子どもの権利を全面的に認識すること、ならびに、分遣隊が、これらの権利が侵害されないことおよび加害者が裁判にかけられることを確保する責任について認識することを確保するよう、慫慂する。 3.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置 身体的および心理的回復のための援助 17.締約国が子どもの庇護希望者および移民の目的地国のひとつであり、かつそのなかには武力紛争の影響を受けている国からやってきた子どももいる可能性があることに留意しつつ、委員会は、文書回答で提供されている締約国の情報に、フランスに入国した子どもの難民、庇護希望者または移民であって国外で武力紛争に関与した可能性のある子どもについての具体的データがまったく含まれていないことを遺憾に思う。これとの関連で、委員会は、フランスにやってきた保護者のいない庇護希望者、難民および移民である子どものうち国外で敵対行為に関与した者を特定するためにとられた措置ならびにこれらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に関する措置についての情報が存在しないことも、遺憾に思うものである。 18.委員会は、フランスに到着した子どもの庇護希望者、難民および移民であって国外において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもに対し、締約国が、とくに以下の措置をとることにより、保護を提供するよう勧告する。 (a) フランスに入国する子どもの難民、庇護希望者および移民についてのデータを体系的に収集するとともに、徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもを可能なかぎり早い段階で特定すること。 (b) これらの子どもの状況を注意深く評価するとともに、選択議定書第6条3項にしたがい、これらの子どもに、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、文化的配慮および子どもに対する配慮がありかつ学際的な援助を直ちに提供すること。 (c) 子どもが受け入れ国から退去させられなければならない場合に子どもの最善の利益が考慮されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)に留意するよう勧告する。 (d) この点に関してとられた措置についての情報を次回の報告書に記載すること。 4.フォローアップおよび普及 19.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国民議会および上院ならびに地域圏および県(海外県および海外領土を含む)の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 20.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般およびとくに子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 5.次回報告書 21.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の報告書に記載するよう要請する。当該報告書には、フランスの海外県および海外領土における議定書の実施に関する情報が記載されるべきである。 更新履歴:ページ作成(2011年11月1日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/71.html
総括所見:中国(第2回・2005年、香港・マカオ特別行政区を含む) 第1回(1996年)/第3回・第4回(2013年)英領香港(当時、1996年) OPSC(2005年)/OPAC(2013年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/CHN/CO/2(2005年11月24日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2005年9月19日および20日に開かれた第1062回~第1065回会合(CRC/C/SR.1062-1065参照)において、2003年6月27日に提出された中国の第2回定期報告書(CRC/C/83/Add.9, Parts I and II)を検討し、2005年9月30日に開かれた第1080回会合(CRC/C/SR.1080)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、3部構成により本土ならびに香港・マカオ両特別行政区(SAR)を網羅した、包括的かつ豊富な情報を記載した締約国の定期報告書、および、委員会の事前質問事項(CRC/C/Q/CHN/2 and Parts I and II)に対する詳細な文書回答が提出されたことを歓迎する。これにより、締約国における子どもの状況についての理解をより明確なものにすることができた。委員会はさらに、代表団が、本土ならびに香港・マカオ両特別行政区の代表によって構成された、大規模かつハイレベルな部門横断型のものであったことに、評価の意とともに留意するものである。 B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、主要なミレニアム開発目標のいくつかに予定よりもはやく到達することを可能にした貧困削減における目覚ましい達成に、評価の意とともに留意する。 4.委員会は、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の批准(2001年)を歓迎する。 5.委員会は、締約国が、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約(第33号)を2005年9月16日に批准したことを歓迎する。 C.主要な懸念事項および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/11/Add.7および連合王国属領としての香港についてはCRC/C/11/Add.9)の検討を受けて行なわれたさまざまな懸念の表明および勧告(CRC/C/15/Add.56および香港についてはCRC/C/15/Add.63参照)への対応が立法措置および政策を通じて行なわれてきたことに、評価の意とともに留意する。しかしながら、委員会が表明した懸念および行なった勧告の一部については十分な対応が行なわれていない。たとえば以下のとおりである。 (a) 本土について、委員会は、国内人権機関の設置(CRC/C/15/Add.56、パラ26)および差別の禁止(同、パラ34および35)をめぐる勧告に関してほとんど進展がなかったことを懸念する。 (b) 香港SARについて、委員会は、調整および評価に関する委員会の前回の勧告(CRC/C/15/Add.63、パラ20)は実際的ではないと考えられた旨の締約国の説明に留意する。にもかかわらず、委員会は、国内法および国内政策においては条約の実施に対するホリスティックかつ包括的なアプローチがとられなければならず、そのためには子どもの問題が優先されなければならないこと、このような政策は積極的に調整されなければならないこと、および、政策決定が子どもに及ぼす潜在的影響について評価が行なわれなければならないことを見解として維持するものである。 7.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するために、あらゆる努力を行なうよう促す。 留保および宣言 8.委員会は、香港SARに適用される、第22条に対する締約国の留保が撤回されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、第6条に関する留保が維持されておりかつ締約国全域に適用されること、ならびに、香港・マカオ両SARについて第32条および第37条(c)に関する留保が引き続き効力を有することを、遺憾に思うものである。 9.委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての地域について条約に対するすべての留保を見直し、かつ撤回するよう勧告する。 立法 10.中国本土で法改正に関する相当の進展が見られたことは歓迎しながらも、委員会は、子どもに適用されるすべての法律が条約に全面的に一致しているわけではないことを懸念する。 11.委員会は、締約国が、本土に関して、法律が条約の原則および規定に全面的に一致することを確保するための見直しを引き続き行なうよう勧告する。この総括所見のパラ33、40、45、48、53、82、93および94、ならびに、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づく第1回報告書についての委員会の総括所見(CRC/OPSA/CO/2)のパラ11および13で強調されているとおりである。 調整および国家的行動計画 12.委員会は、第2次国家的行動計画である「中国児童発達計画」(2001~2010年)が本土について策定されたことに評価の意とともに留意し、かつ、子どもの権利を監視しおよび実施するために国、地域および省のレベルで設置される委員会および作業部会の数が増えていることに留意する。しかしながら委員会は、調整が断片的であること、「計画」が本土のすべての地域および地方で統一的に実施されているわけではないこと、および、地方および地域のレベルにおける実施の調整が時として不十分であることを懸念するものである。 13.前掲パラ6(b)のとおり、委員会は、条約を実施するための包括的行動計画が香港SARに存在しないこと、ならびに、現行のプログラムおよび政策の調整がどちらかといえば縦割りでありかつ断片的であることを懸念する。委員会は、包括的行動計画について議論が行なわれている最中であるという、マカオSAR代表から提供された情報に留意するものである。 14.委員会は、あらゆる地域および省における統一的実施を確保するため、本土において、締約国が、「中国児童発達計画」(2001~2010年)の実施に取り組んでいるあらゆるレベルの機関間の調整をさらに強化するよう勧告する。 15.委員会は、締約国が、香港SARに関する行動計画を策定しおよび実施することにより、香港SARにおいて条約の実施に関する活動の調整を改善するべきであるという従前の勧告をあらためて繰り返す。委員会は、締約国が、マカオSARにおいてこの点に関わる議論を迅速に進めるとともに、マカオSARに関する包括的行動計画を策定しかつ実施するよう勧告するものである。 独立の監視 16.委員会は、本土のさまざまな省庁が公衆からの苦情を受理することができる旨の情報に留意するものの、条約の実施を監視する明確な権限を与えられた独立の国内人権機関が存在しないことを懸念する。委員会は同様に、本土ならびに香港・マカオ両SARにおいて、子どもの権利に関する具体的権限を与えられた独立の国内人権機関が存在しないことを遺憾に思うものである。 17.委員会は、締約国が、1993年12月20日の国連総会決議48/134の付属文書である人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)にしたがい、本土ならびに香港・マカオ両SARにおいて、国、地域および地方のレベルで子どもの権利を監視しかつ条約を実施する明確な権限を与えられた国内人権機関を設置するよう勧告する。委員会は、独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)に対して締約国の注意を促しつつ、このような機関に対しては、個々の子どもも含む公衆からの苦情を受理し、調査しかつ対応する権限が認められ、かつ十分な財源、人的資源および物的資源が提供されるべきであることに留意するものである。香港SARについては、既存のオンブズマン事務所内に専門部署を設けてこのような機関とすることもできる。 資源配分 18.委員会は、近年、義務教育、母子保健ケア、社会的救済および人身取引対策プログラムに配分される予算資源が本土で相当に増額されていることについて締約国を賞賛するものの、教育のような一部のきわめて重要な分野が引き続き資金不足に陥っていることを依然として懸念する。委員会は、より貧しい地域の開発に相当の資源が配分されていることに留意しながらも、もっとも脆弱な立場におかれた集団に十分に的を絞る形でこれらの資源が活用されていないことを、依然として懸念するものである。 19.委員会は、香港SARにおいて貧困削減に十分な資源が配分されていないこと、および、所得格差が住民の間で拡大しつつあることを懸念する。委員会は、1997年アジア金融危機の経済的苦境の結果押して縮小された社会福祉体制が、経済がその勢いを取り戻したのにともなって再調整されていないことを懸念するものである。 20.委員会は、本土において、締約国が、子どものための主要分野(とくに保健および教育)に配分される予算額が政府歳入の増加と軌を一にすることを確保するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、配分される予算がもっとも脆弱な立場におかれた集団のために効果的に用いられ、かつ、とくに農村部と都市部間および東部諸省と西部諸省間の地域的格差の縮小につながることを確保するための十分な監視システムを発展させるよう、勧告するものである。 21.委員会は、香港SARにおいて、予算配分の焦点が所得格差の縮小(社会的セーフティネットのための資金を増額させることによるものも含む)に当てられるべきことを勧告する。委員会はまた、配分される予算がもっとも脆弱な立場に置かれた住民の利益となることを確保するため、十分な監視システムが設置されるべきことも勧告するものである。 データ収集 22.委員会は、締約国のあらゆる場所で統計データの収集を改善するための締約国が行なっている努力を歓迎し、かつ、代表団から提供された、細分化されたデータを収集するための新たな機構がまもなく本土で設置される旨の情報に評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、本土において、条約が対象とするあらゆる分野についての信頼できかつ包括的な統計データに公衆が限られた形でしかアクセスできないことを、依然として懸念するものである。 23.委員会は、締約国が、条約が対象とするあらゆる分野についての信頼できかつ包括的な統計データを収集する努力をさらに強化するとともに、このようなデータが、締約国のあらゆる場所で、時宜を得た形でかつ体系的に、公衆に対して利用可能とされることを確保するよう勧告する。委員会はさらに、統計データが子どものための適切な政策およびプログラムの策定、実施および監視のために活用されることを確保するため、締約国が、本土および両SARについて、子どもに関する統計の中央データバンクを発展させる可能性を模索するよう勧告するものである。 条約の普及 24.委員会は、条約が締約国で用いられている主要な少数民族言語に翻訳されたことに留意する。しかしながら委員会は、香港SARおよび本土において、子どもとともにおよび子どものために働く専門家ならびに子どもおよび親自身が、条約について限られた意識および理解しか有していないことを懸念するものである。 25.委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての地域で以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約をすべての言語で、かつ子どもにやさしい資料および学校カリキュラムも活用しながら普及するための努力をさらに強化すること。 (b) 条約に関する親および子どもの意識を高めるためのプログラムを拡大すること。 (c) 子どもとともにおよび子どものために働く専門家集団を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を行なう努力を強化すること。 市民社会との協力 26.委員会は、非政府組織が中国本土においてますます活発になりつつある旨の情報に留意するものの、非政府組織が活動を展開できる余地およびその活動の範囲が依然としてきわめて限られていることを懸念する。 27.委員会は、中国本土において、締約国が、とくに、非政府組織が条約の実施に自由にかつ積極的に参加すること(報告書の作成への参加ならびに委員会の総括所見および勧告の実施への参加も含まれる)を確保することにより、非政府組織、とくに子どもの権利の促進および保護のために活動している組織による活動の独立性および拡大を促進しかつ奨励するよう勧告する。 2.一般原則 生命に対する権利 28.委員会は、中国本土において選択的中絶および嬰児殺を禁止するためにとられた法的措置に、満足感とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、現行家族計画政策および社会的態度の悪影響として、選択的中絶および嬰児殺ならびに子ども(とくに女子および障害のある子ども)の遺棄が続いていることを依然として懸念するものである。 29.委員会は、締約国に対し、領域内のすべての子どもの生命、生存および発達に対する権利を保障するための努力を継続しかつ強化するよう、促す。委員会は、締約国が、選択的中絶および嬰児殺を禁じた現行法の実施を強化するとともに、家族計画政策から生ずるいかなる悪影響(子どもの遺棄および不登録ならびに出生時の不均衡な男女比を含む)をも解消するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。 差別の禁止 30.差別に関する委員会の前回の懸念に対応するために締約国が行なった努力には留意しながらも、委員会は、本土において一部の集団(女子、HIV/AIDSに感染しまたはその影響を受けている子ども、障害のある子ども、チベット族・ウイグル族・回族のような民族的および宗教的マイノリティの子どもならびに国内移住民の子どもなど)に対する差別が行なわれていることを依然として懸念する。 31.委員会は、香港SARで子どもの難民、庇護希望者および資格外移民に対する差別が根強く残っており、かつ、人種または性的指向に基づく差別を具体的に禁ずる法律が存在しないことを懸念する。委員会は、マカオSARにおける条約第2条の実際的実施について利用可能な情報が存在しないことを遺憾に思うものである。 32.委員会は、本土において、締約国が、以下の措置をとることにより、女子、HIV/AIDSに感染しまたはその影響を受けている子ども、障害のある子ども、チベット族・ウイグル族・回族の子どもならびにその他の民族的および宗教的マイノリティに属している子ども、国内移住民の子どもならびにその他の脆弱な立場に置かれた集団に対する差別を解消するための努力を強化するよう、勧告する。 (a) これらの子どもが基礎的サービス(保健、教育その他の社会サービスを含む)に平等にアクセスでき、かつ、これらの子どもが利用するサービスに対して十分な財源および人的資源が配分されることを確保すること。 (b) 格差を特定しかつ解消する目的で、地方当局によるプログラムおよびサービスの監視を強化すること。 33.委員会は、香港SARにおいて、締約国が、人種または性的指向に基づく差別を禁ずる法案を起草しかつ採択する努力を迅速に進めるよう勧告する。委員会は、マカオSARにおける第2条の実際的実施についての具体的情報を、次回的報告書に記載するよう要請するものである。 34.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち、子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 35.委員会は、子どもに関わるすべての行動において子どもの最善の利益の原則がどのように第一次的考慮事項として活用されているかに関して締約国から提供された情報が、その管轄下にあるすべての地域について限られていたことを懸念する。 36.委員会は、締約国に対し、第3条がどのように実施されているか、および、子どもに関わるすべての行動において子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることをどのように確保しているかに関するより詳細な情報を、次回定期報告書に記載するよう促す。 子どもの意見の尊重 37.委員会は、中国本土において、子どもが裁判所に苦情を申し立て、または親の同意を得ることなく裁判所による直接の協議の対象となることができないこと(子どもが16歳以上であって自ら生計を立てている場合を除く)に、懸念とともに留意する。委員会は、学校において生徒がどのように代表され、かつその意見がどのように考慮されているかに関して限られた量の情報しか提供されなかったことを遺憾に思うものである。 38.委員会は、子ども評議会作業委員会など、子どもを代表する団体を支援するために締約国が香港SARで行なっている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、子どもに影響を与えるすべての政策およびプログラムについて子どもの意見が制度的に求められているわけではないことを、依然として懸念するものである。委員会は、マカオSARにおいて、子どもの意見があらゆる場面でどのように考慮されているかについての情報が存在しないことを遺憾に思う。 39.条約第12条に照らし、委員会は、締約国が、子どもが自己に影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明し、かつ政策立案、行政手続、学校および家庭においてその意見を正当に重視される権利を認められることを確保するための努力を、本土ならびに香港・マカオ両SARにおいて強化するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、次回定期報告書で、その管轄下にあるすべての地域についてこの問題に関するより詳細な情報を提供するよう奨励するものである。 40.さらに委員会は、子どもが自己に影響を与えるいかなる司法上および行政上の手続においても聴聞される機会を与えられ、かつ子どもの年齢および成熟度にしたがってその意見が正当に重視されることを確保する目的で、締約国が、本土において、子どもに影響を与える法律を見直すよう勧告する。 41.委員会は、締約国が、香港SARにおいて、現在進められている教育改革のような自己に影響を与える政策またはプログラムの策定に子ども団体が積極的に参加することを制度的に確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、政治的プロセスにおいて子どもたちの意見を代弁する常設機関の設置を検討するよう奨励するものである。 3.市民的権利および自由 出生登録 42.委員会は、子どもの出生登録が行なわれないことに関する委員会の前回の懸念に対応するために締約国が行なった相当の努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、現行家族計画政策のせいもあり、中国本土においてすべての子どもが出生後ただちに系統的に登録されているわけではなく、かつ、その影響が女子、障害のある子どもおよび一部の農村地帯で生まれた子どもに不相応な形で生じていることを、引き続き懸念するものである。 43.委員会は、すべての子ども、とくに女子および障害のある子どもが出生後ただちに登録されることを確保し、かつ、登録されなかった年長の子どもが登録を受けられるようにするための柔軟な措置を、とくに農村部を重視しながら中国本土全域で提供するための努力を、締約国が引き続き強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、このような取り組みを強化する目的で戸口登記管理制度の改正を検討するよう提案するものである。 宗教の自由 44.中国本土の少数民族に対して宗教の自由を保障する民族区域自治法が2001年に採択〔改正〕されたことには留意しながらも、委員会は、子ども、とくにチベット系仏教徒、ウイグル族および回族の子どもが自己の宗教の学習および実践を制限されており、かつ宗教的活動への参加を理由として拘禁された事例も存在するという報告に懸念を覚える。委員会はまた、自己の宗教、とくに法輪功を実践する家族が、嫌がらせ、脅迫その他の敵対的行為(労働を通しての再教育を含む)の対象とされているという報告に懸念を覚えるものである。委員会は、ゲンドゥン・チューキ・ニマに関して提供された情報に留意するものの、この情報を独立の専門家に確認させることがまだ可能になっていないことを、依然として懸念する。 45.委員会は、締約国が、民族区域自治法の全面的実施を確保するためあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。とくに、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 限られた数の公認宗教と結びつけられたものではない宗教の自由を18歳未満の者に対して明示的に保障し、かつ、この点に関わる権利の行使にあたって子どもの発達しつつある能力と一致する方法で子どもを指導する親の権利および義務を尊重する法律を制定すること。 (b) いかなる年齢の子どもについても、子どもがチベットの宗教上の祝祭に参加することまたは宗教教育を受けることを禁じた地方当局の命令を廃止すること。 (c) いかなる年齢の子どもについても、子どもがモスクに通うことまたは宗教教育を受けることを禁じた地方当局の命令を本土全域で廃止すること。 (d) 子どもが宗教または無神論の授業に参加するかどうかを選択できることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (e) ゲンドゥン・チューキ・ニマおよびその両親のプライバシーを尊重しつつ、独立の専門家がゲンドゥン・チューキ・ニマと面会しかつその安寧を確認することを認めること。 体罰 46.委員会は、中国本土で、学校における体罰を禁じた現行規則の実施が不均等であることを懸念する。委員会はまた、家庭における体罰が禁じられておらず、かつ社会的に容認され続けていることも懸念するものである。 47.委員会は、香港・マカオ両SARで、家庭における体罰が法律で禁じられておらず、かつ家庭で実践され続けていることを懸念する。 48.委員会は、締約国に対し、その管轄下にあるすべての地域で以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校、施設その他のあらゆる場面(刑事施設を含む)における体罰を法律で明示的に禁止すること。 (b) 体罰についての公衆の態度を変革するため、体罰に代わる非暴力的な形態のしつけおよび規律に関する公衆教育および意識啓発のキャンペーンを、子どもの関与を得ながら拡大すること。 4.家庭環境および代替的養護 家庭環境を奪われた子ども 49.委員会は、締約国が本土について行なった努力、とくに「子どものための社会福祉施設に関する基準」の採択(2001年)を歓迎する。しかしながら委員会は、本土において相当数の子どもが遺棄されていることおよび多数の子どもが施設で暮らしていることを、依然として懸念するものである。委員会は、そのような施設における子どもの入退所件数についての正確な統計データが存在しないことを遺憾に思う。 50.委員会は、本土から香港・マカオ両SARへの入域について設けられている人数割当、および、両SARに居住する権についての規制により、子どもが親から分離されることが助長され、かつ家族再統合が妨げられていることを深く懸念する。 51.委員会は、本土において、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 里親養護および国内養子縁組のような成功しているモデルを本土全域で移植しかつ拡大することにより、家庭を奪われた子どもの代替的養護を向上させる努力を継続すること。 (b) 危険な状況にある家族および子どもを早期発見し、かつソーシャルワーカーが直接介入して家族を援助できるようにすることも含む、子どもの遺棄を防止するための効果的戦略を策定すること。 (c) 子どもが施設に送致されるときは、小規模集団に統合され、かつ家庭的環境のなかで個別にケアされることを確保すること。 (d) 効果的な監視機構(第25条にしたがって行なわれる各措置の定期的再審査および子どもがアクセスしやすい苦情申立て機構を含む)を設置し、かつ、すべての施設、プログラムおよびサービスが適正な訓練および認証を受けた職員を有することを確保することにより、あらゆる形態の代替的養護が条約に一致する質の基準を満たすことを確保すること。 (e) 代替的養護の対象とされた子どものすべての死亡が適正に記録されおよび調査され、ならびに必要なときは適切なフォローアップ措置がとられることを確保すること。 養子縁組 52.前掲パラ5のとおり、委員会は、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約(第33号)が批准されたことに評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、本土における国際養子縁組件数および国際養子縁組の斡旋機関数に関して入手可能な情報が不十分であることを遺憾に思うものである。委員会はさらに、出生証明書を持たない子どもが養子縁組手続全体を通じてアイデンティティに対する権利を維持する旨の明示的保障が存在しないことを懸念する。 53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 1993年ハーグ条約の適用を、可能なかぎり早期に香港・マカオ両SARにも拡大すること。 (b) 1993年ハーグ条約の法的規定が本土ならびに香港・マカオ両SARの国内法に統合されることを確保すること。 (c) とくに子どもの人身取引の可能性ならびに養親が支払う手数料および寄付の使用との関連で、国際養子縁組斡旋機関の監視をさらに強化すること。 (d) 出生証明書を持たないすべての子どもが養子縁組手続全体を通じてアイデンティティに対する権利を保障されることを確保するため、立法上および行政上の措置をとること。 (e) 親のケアを受けていない子どもともに働く政府職員その他の専門家に対し、養子縁組(とくに国際養子縁組)は代替的養子縁組の選択肢としては例外的なものであり、かつ、そのような決定を行なう際には差別の禁止および子どもの最善の利益の原則が考慮されなければならない旨を通知すること。 虐待およびネグレクト、不当な取扱い、暴力 54.委員会は、中国本土における子どもの虐待、ネグレクトおよび不当な取扱いに関して入手可能な情報が限られていること、および、暴力と闘いかつ被害者を援助するために利用可能なプログラムの数が限られていることを、懸念する。 55.香港SARでソーシャルワーカーを増員するために行なわれた努力には留意しながらも、委員会は、暴力の被害を受けた子どもを援助するための政策およびプログラムが十分に効果的でないことを懸念する。 56.委員会は、医師、教員およびソーシャルワーカーのような子どもとともに働く職員に対して通報義務要件を課し、かつ子どもがアクセスしおよび利用することのできる具体的ヘルプラインを開設すること等も通じて、虐待、ネグレクト、暴力および不当な取扱いと闘う努力を締約国のすべての場所で強化するよう勧告する。 57.本土に関して、委員会は、締約国が、家庭、学校および施設で子どもに対して行なわれるさまざまな形態の暴力についてのさらなる調査研究を実施するとともに、その知見を以下の目的で活用するよう勧告する。 (a) あらゆる形態の暴力から子どもを保護することに関する現行法を強化すること。 (b) さまざまな形態の暴力に対処する子どもの意識およびスキルを高めることを目的とした、学校を基盤とする教育プログラム等も通じて、暴力を防止しかつこれと闘うための戦略および介入策を発展させること。 (c) 暴力の被害を受けたすべての子どもがケアおよび回復に関わる適切な援助を受けられることを確保するためのプログラムを発展させること。 58.香港SARに関して、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 性的虐待の形態をより明示的な形で定義するとともに、子どもとともにおよび子どものために働く専門家を対象とした、あらゆる形態の発見、処理および防止に関する教育および研修を増加させること。 (b) 虐待、ネグレクトおよび不当な取扱いの個別事案の調整およびフォローアップを強化するとともに、いずれかの形態の虐待の被害を受けたすべての者およびその家族が社会サービスおよび社会援助にアクセスできることを確保すること。 (c) 加害者とされる者が家族の一員であるかないかを理由とする差別なしに調査が処理されることを確保すること。 59.子どもに対する暴力の問題に関する事務総長の詳細な研究および政府に対する関連のアンケートとの関係で、委員会は、締約国の文書回答、および、東アジア・太平洋地域協議(タイ、2005年6月14日~16日)への中国本土および香港SARの代表の参加を、評価の意とともに認知する。委員会はさらに、2005年5月16日~17日に北京で全国レベルの協議が開催されたことを評価するものである。委員会は、すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および精神的暴力から保護されることを確保し、ならびに、このような暴力および虐待を防止しおよびこれに対応するための、具体的なかつ適当なときは期限を定めた行動に弾みをつける目的で、締約国が、市民社会と連携しながら、この地域協議の成果を行動のためのツールとして活用するよう勧告する。 5.基礎保健および福祉 障害のある子ども 60.本土について、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 障害のある子どもに関する、細分化された具体的なデータが存在しないこと。 (b) 障害の定義が狭いこと。 (c) 障害のある子どもの人数が都市部と農村部で相当に異なること。 (d) 一人っ子政策の例外として、障害のある子どもがいる家族は第2子を設けることが認められていること。このことは、障害のある子どもに対する事実上の差別を助長するものである。 61.委員会は、締約国が、自国の管轄内にいる障害のある子どもを対象として条約のすべての原則および規定の実施を確保するため、障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議の日に委員会が採択した勧告(CRC/C/69参照)を考慮に入れるよう、勧告する。委員会はさらに、本土において、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 性別、年齢、農村部・都市部の別、生活形態および障害の種別によって細分化された、障害のある子どもに関する正確なデータが利用可能となることを確保するため、データ収集システムを強化すること。 (b) 国際的に受け入れられた基準に忠実な定義を定めること。 (c) 障害のある子どもに対する事実上の差別、とくにこのような子どもの遺棄を解消するためにあらゆる必要な措置をとること。 健康および保健サービス 62.保健ケア指標の顕著な改善には留意しながらも、委員会は、乳幼児の死亡、栄養その他の子どもの保健指標に関わって、本土において農村部と都市部の間、東部諸省と西部諸省の間ならびに漢人と少数民族との間に格差が存在することについての前回の懸念をあらためて繰り返す。委員会はまた、締約国全域で栄養不良が根強く残っており、子どもの肥満が発生してきており、かつ母乳育児政策が不十分であることも懸念するものである。 63.委員会は、締約国が、自国の管轄内にあるすべての子ども(登録されていない子どもも含む)が母子保健サービスに普遍的にアクセスできるようにするため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、子どもの栄養不良および肥満の問題に十分に対応するための政策およびプログラムを発展させるとともに、締約国のすべての場所で「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施(中国版・母乳代替品の販売促進に関する基準を含む)を強化することおよび香港SARで赤ちゃんにやさしい病院を推進することにより、母乳育児を促進するよう促すものである。 思春期の健康 64.委員会は、中国本土およびマカオSARにおいて利用可能な思春期保健サービスに関する情報が存在せず、かつ、香港SARにおける10代の妊娠および中絶の件数が多いことを懸念する。 65.委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての地域において、子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮に入れながら思春期の健康および適切な思春期保健サービスの提供に細心の注意を払うとともに、学校で性教育およびリプロダクティブヘルス教育を提供することも含めて思春期の健康を促進し、かつ学校保健サービス(若者に配慮した、秘密が守られるカウンセリングおよびケアを含む)を導入するための努力を強化するよう、勧告する。 精神保健 66.委員会は、若者の自殺の多発に対処するために締約国が香港SARでとった措置を評価する。委員会は、本土およびマカオSARで子どもが利用可能な精神保健サービスならびにタバコ、アルコールおよび薬物の濫用に関するデータおよび情報が存在しないことを依然として懸念するものである。 67.委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての地域において、思春期の子どものための予防的および治療的精神保健サービスを拡大するとともに、とりわけ思春期の子どもをとくに対象として立案された健康行動上の選択およびライフスキルに関するキャンペーンを発展させることにより、思春期の子どもの喫煙、アルコール消費および薬物濫用を減らすためのプログラムを開発するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、香港SARにおいて、若者の自殺を防止するための努力を引き続き強化するよう勧告するものである。 HIV/AIDS 68.委員会は、本土における、HIV/AIDSに感染した子どもおよびその影響を受けている子どもを対象とした政策およびプログラムの発展を歓迎する。それでも委員会は、これらの政策およびプログラムの実施が不十分であることを懸念するものである。 69.委員会は、締約国が、以下の措置をとることにより、HIV/AIDSに感染した子どもおよびその影響を受けている子どもを対象として本土で設けられている政策およびプログラムの実施を強化するよう、勧告する。 (a) これらのプログラムに配分される財源を増やすこと。 (b) 地方当局が、条約の最善の利益の原則(第3条)に一致する形でプログラムおよび政策を実施するための十分な訓練を受けかつその用意を整えることを確保する目的で、地方当局との協力を強化すること。 (c) この疾病に関する意識を高め、かつ、この総括所見のパラ32で述べられているようにHIV/AIDSに感染した子どもに対する差別を解消するための、公的情報キャンペーンを強化すること。 70.HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号(2003年)およびHIV/AIDSと人権に関する国際指針に照らし、委員会は、締約国が、本土および両SARの双方においてHIV/AIDSの蔓延を予防するための努力を強化するとともに、思春期の子ども、とくに脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもの間でHIV/AIDSに関する意識啓発を引き続き行なうよう、勧告する。 生活水準 71.委員会は、中国本土で印象的な経済的達成が見られたこと、および、近年、貧困下で暮らす人々のための資源配分が増やされていること(不利な立場におかれた子どもに対する奨学金の供与を通じてのものも含む)について、締約国を賞賛する。しかしながら委員会は、とくに一部の地域および特定の人口集団(移民または「流動」人口など)との関連における貧困、ならびに格差の拡大が、依然として深刻な問題であることを懸念するものである。 72.同様に、委員会は、香港SARにおける経済的達成にも関わらず、失業者、移民およびひとり親家庭のような脆弱な立場に置かれた層で子どもの貧困が存在すること、および、貧困線が定められていないために貧困と闘うための適切な政策の立案が阻害されていることを、依然として懸念する。 73.委員会は、締約国が、本土において、均衡のとれた経済的発展(この文書のパラ20で述べられている予算配分の調整、および子どもの貧困に関するデータベースの整備によるものも含む)を達成するための努力を引き続き強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、不利な立場におかれた子ども(「流動」人口および中国西部の貧困地域にすむ人々のような脆弱な立場に置かれた住民の子どもを含む)のための奨学金のような手当を拡大するよう促すものである。 74.委員会は、締約国が、香港SARで貧困線を定めるとともに、脆弱な立場に置かれたすべての住民(新たな移民を含む)を対象として社会福祉手当へのアクセスを拡大しながら所得格差の拡大に対処する、子どもの貧困と闘うための適切な政策を策定するよう勧告する。 6.教育、余暇および文化的活動 教育(職業訓練および職業指導を含む) 75.中国本土で締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、教育へのアクセスおよび教育の利用可能性に関して依然として格差があり、女子、学習障害のある子ども、少数民族の子ども、農村部および西部諸州に住む子どもならびに移民の子どもに悪影響が生じていることを懸念する。委員会はまた、義務教育について諸費用の徴収が行なわれていること、生徒数と教員数の比が高いこと、初級・高級中学における中退率が高いこと、および、本土全域で教育の質が低いことを具体的に懸念するものである。 76.香港SARについて、委員会は、中等学校における中退率、学校制度の競争的性質および学校におけるいじめについて懸念を覚える。委員会は、マカオSARにおけるこれらの問題について利用可能とされた情報の量が限られていることを遺憾に思うものである。 77.委員会は、締約国が、中国本土において以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 初等教育が真に無償であることを確保するため、初等教育についてのすべての諸費用その他の「隠れた」費用の徴収を解消すること。 (b) 教育法が命じるとおり、GDP増にあわせて教育への資源配分を増加させるとともに、すべての子ども、とくに女子、学習障害のある子どもならびに少数民族の子どもおよび移民の子どもが9年間の義務教育を修了し、かつ乳幼児期教育発達プログラムに平等にアクセスできることを確保するために、これらの資源を重点的に用いること。 (c) とくに貧困または移住を理由として学校を中退した子どもが義務教育を修了し、かつ非公式な経路を通じて適切な資格認定を得られるように柔軟な学習制度の発展を促進するとともに、技術および職業に関する適切な教育訓練の利用可能性およびアクセス可能性も確保すること。 (d) 初等中等段階のすべての教授用資料および教材が少数民族言語でも入手でき、かつ文化的配慮のある内容であることを確保すること。 (e) 教員研修および教員数と生徒数の比の改善等も通じて教育の質を向上させるための努力をさらに強化すること。 (f) とくに、子どもの主体的学習能力を促進し、かつ遊びおよび余暇に対する子どもの権利にも焦点を当てたカリキュラムの開発を通じて、「全面発達」政策の実施を強化すること。 (g) この点に関して、とくにユニセフおよび関連の国内機関の技術的援助を求めること。 78.委員会は、締約国が、香港SARにおいて以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 中等教育における中退率に対処するためのプログラムを発展させること。 (b) 生徒自身の参加も得ながら、学校における暴力に対処するための現行プログラムをさらに強化すること。 (c) 教育制度の競争性の低減に努め、かつ主体的学習能力ならびに遊びおよび余暇に対する子どもの権利を促進するような方法で、教育の質を高めること。 79.マカオSARについて、委員会は、締約国に対し、無償の義務教育を12年間に延長する計画を迅速に実施するよう奨励する。委員会は、次回定期報告書に、教育の質に関する情報および学校における暴力を減少させるためのプログラムに関する情報を記載するよう要請するものである。 7.特別な保護措置 子どもの難民および移民 80.委員会は、約30万人のインドシナ難民が中国本土に永住できるようにするために締約国が行なってきた努力に留意する。しかしながら委員会は、これらの元難民の子どもが中国で出生した場合に中国の市民権を与えられないことを懸念する。委員会はさらに、朝鮮民主主義人民共和国から中国本土に入国した子どもが一律に経済的移民と見なされ、帰還後に子どもに回復不能な被害が生じるおそれがないかを検討されることなく朝鮮民主主義人民共和国に送還されることを懸念するものである。 81.香港SARについて、委員会は、子どもの難民および資格外移民である子どもが教育へのアクセスを保障されていないことに留意する。 82.委員会は、締約国が、本土および両SARのいずれにおいても、憲法および条約で保障されているすべての人権をその管轄内にあるすべての子ども(難民、庇護希望者および他の資格外移民を含む)に拡大して適用するよう勧告する。とくに、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 国内法を改正し、中国本土において、元インドシナ難民の子どもが中国で出生した場合に中国の市民権を取得できるようにすること。 (b) 保護者のいない未成年者に関する委員会の一般的意見6号(2005年)にしたがい、保護者のいないいかなる子ども(朝鮮民主主義人民共和から来た子どもを含む)も、たとえば出入国管理法違反を理由とする比例性を欠いた処罰により子どもに回復不能な被害が生じる真のおそれがあると考える相当の理由があるときは、国に送還されないことを確保すること。 (c) 法令改正により、香港SARにいる子どもの難民、庇護希望者または資格外移民全員が不当に遅延することなく通学できることを確保すること。 経済的搾取 83.委員会は、ILO第138号条約および第182号条約がそれぞれ1998年と2002年に批准されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、児童労働が広く行なわれていることを示す報告がある一方で、本土における児童労働についての具体的データが存在しないことを懸念するものである。委員会はまた、有害な労働を定義し、かつそのような労働における搾取から子どもを保護する法律および具体的な行政規則がないことも懸念する。委員会はさらに、労働を通しての再教育が広く行なわれていることを懸念するものである。 84.委員会は、締約国が、とくに以下の措置をとることにより、ILO第138号条約および第182号条約の実施をさらに強化するよう勧告する。 (a) 児童労働に関する具体的かつ細分化されたデータを収集するとともに、当該データを活用し、働く子どもと協力しながら、あらゆる形態の児童労働を防止しかつ撤廃するための効果的措置を発展させること。 (b) 影響を受けている子どもと協議しながら、18歳未満のいかなる者も従事すべきではない有害な労働および危険な労働の形態についての詳細な規則を策定すること。 (c) 労働を通しての再教育の結果、子どもがILO第138号条約および第182号条約の原則および規定に違反して働くことにつながらないことを確保すること。 ストリートチルドレン 85.中国本土における締約国の努力には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、相当数の子どもが路上で生活しかつ働いていることを懸念する。 86.委員会は、本土において、締約国が、とくに以下の措置をとることによりストリートチルドレン関連の努力を強化するよう勧告する。 (a) 路上で生活しかつ働く子どもの状況についてさらなる調査研究を実施するとともに、このような調査研究を活用して、ストリートチルドレンの人数を減らしかつこのような子どもに適切な援助を提供するための適切なプログラムおよび政策を発展させること。 (b) これらの子どもが家族に成功裡に再統合できるようにするための、家庭およびコミュニティを基盤とする介入策を優先的に実施すること。 (c) ストリートチルドレンおよびその家族にサービスを提供している地方当局に対し、より多くの資源を提供すること。 性的搾取および人身取引 87.中国本土およびマカオSARについて、委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書が提出されたことに評価の意とともに留意し、かつ、締約国に対し、同報告書に関する総括所見(CRC/C/OPSA/CO/2)に掲げられた関連の勧告を参照するよう促す。委員会は、選択議定書の適用がまだ香港SARに拡大されていないことを遺憾に思うものである。ポルノグラフィーからの子どもの保護を強化することを目的とした刑事犯罪条例改正を歓迎しながらも、委員会は、香港SARにおける児童買春についてのいかなるデータも存在せず、かつ報告された事例もないことを懸念する。 88.性的搾取その他の搾取を目的とする子どもの人身取引を防止しかつこれと闘うため、委員会は、締約国が香港SARにおいて以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 性的搾取および人身取引の早期防止システムをさらに発展させかつ増進させること。 (b) 人身取引の事案を発見しおよび捜査し、人身取引問題に関する理解を向上させ、ならびに加害者が訴追されることを確保するための努力をさらに強化すること。 (c) 子どもの性的搾取および人身取引(子どもがそのような搾取のおそれにさらされる根本的原因および要因を含む)を防止しかつこれと闘うための包括的政策を策定しかつ採択すること。 (d) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントにしたがい、性的搾取および(または)人身取引の対象とされた子どもに対して援助および再統合のための十分なプログラムを提供すること。 (e) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。 少年司法の運営 89.委員会は、締約国が、中国本土において、18歳未満のときに犯罪を行なった者に対する死刑を廃止したことを歓迎する。しかしながら委員会は、終身刑は引き続き18歳未満の者に対して科されうることを、たとえ適用されることが多くないとはいえ、懸念するものである。未成年者保護法のような少年司法関連の法律を改革しようとする努力には留意しながらも、委員会は、現行の法令および行政手続において、法律に触れた子どもをあらゆる段階で保護するための公的機関および司法機関の詳細な義務が十分に定められていないことを、依然として懸念する。 90.香港SARにおいて締約国が刑事責任に関する最低年齢を引き上げたことには留意しながらも、委員会は、10歳という年齢が低すぎることを依然として懸念する。委員会はさらに、16~18歳の子どもが法律に触れた際に一貫して特別な保護を与えられているわけではないことを、懸念するものである。 91.委員会は、法律に触れた子どもを対象とする修復的司法が行なわれていないというマカオSAR代表の懸念を共有するとともに、少年司法制度改革の計画について同代表から提供された情報を歓迎する。 92.少年司法に関する一般的討議の日に委員会が採択した勧告(CRC/C/46、パラ203~238)に照らし、委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての地域で、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針のような、この分野における他の関連の国際基準が全面的に実施されることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、すべての法域において、少年司法の運営に責任を負う者を対象として関連の国際基準に関する研修を行なうよう勧告するものである。 93.中国本土について、委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 18歳未満のときに犯罪を行なった者について終身刑を廃止すること。 (b) 法律を改正し、自由を奪われたすべての子ども(労働教養所に収容された場合を含む)が、弁護人その他の者による適切な援助に速やかにアクセスし、かつ、その自由の剥奪の合法性を、裁判所または他の権限ある独立のかつ公平な機関において時機を失することなく争う権利を有することを確保すること。 (c) 自由の剥奪が常に最後の手段として用いられることを確保するとともに、調停、保護観察、社会奉仕活動または刑の執行猶予のような代替的刑の可能性を強化しかつ拡大すること。 (d) 18歳未満の者の全面的発達を支えるため、刑を言い渡された者および釈放された者の双方が教育の機会(職業訓練およびライフスキルの訓練を含む)ならびに回復および社会的再統合のためのサービスを提供されることを確保すること。 (e) とくにOHCHR、国連薬物犯罪事務所(UNODC)およびユニセフに対し、技術的協力および援助を求めること。 94.香港SARについて、委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を国際的に容認可能な水準まで引き上げること。 (b) 18歳未満のときに犯罪を行なった者について終身刑を廃止すること。 (c) 法律に触れた18歳未満のすべての子どもが一貫して特別な保護を与えられること、および、その事件の審理が、専門の少年裁判所で、適切な訓練を受けた判事によって行なわれることを確保すること。 (d) 自由の剥奪が常に最後の手段として用いられることを確保するとともに、調停、保護観察、社会奉仕活動または刑の執行猶予のような代替的刑の可能性を強化しかつ拡大すること。 95.マカオSARについて、委員会は、締約国が、少年司法制度改革の計画を迅速に進めるとともに、当該改革に以下のことが含まれることを確保するよう、勧告する。 (a) 自由の剥奪が常に最後の手段として用いられることを確保し、かつ、調停、保護観察、社会奉仕活動または刑の執行猶予のような代替的刑の可能性を拡大するための措置。 (b) 家族集団会議のような修復的司法の可能性。 (c) 罪を犯した少年の社会的再統合を、子どもの健康、自尊心および尊厳を育くむ環境のなかで援助するためのサービスの拡大。 8.子どもの権利条約の選択議定書 96.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の適用を香港SARに拡大するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、2001年3月15日に署名した武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書を批准し、かつその適用を香港・マカオ両SARに拡大するよう勧告するものである。 9.フォローアップおよび普及 フォローアップ 97.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を本土の国務院および全国人民代表大会、香港SARの行政会議および立法会ならびにマカオSARの行政会議および立法会の構成員ならびに適用可能なときは関連する省および地方の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 98.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 10.次回報告書 99.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、時宜を得たやり方で定期的な報告を行なううえで困難を経験している締約国があることを認識する。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第4回報告書の提出期限である2009年3月31日までに、単一の統合報告書として第3回および第4回定期報告書を提出するよう慫慂する。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年9月13日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/226.html
総括所見:スイス(第1回・2002年) 第2~4回(2015年)OPAC(2006年)/OPSC(2015年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.182(2002年6月13日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2002年5月29日に開かれた第790回および第791回会合(CRC/C/SR.790 and 791参照)においてスイスの第1回報告書(CRC/C/78/Add.3)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)2002年6月7日に開かれた第804回会合において。 A.序 2.委員会は、定められたガイドラインにしたがった締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/SWI/1)に対する文書回答が時宜を得て提出されたことにより、締約国における子どもの状況をより明確に理解できたことにも留意するものである。委員会はまた、締約国代表団との間で持った積極的対話にも留意する。委員会は、条約の実施に直接関与する、高度な資質を有する代表団の出席により、締約国における子どもの権利の状況に関する理解を向上させることができたことを認知するものである。 B.積極的側面 3.委員会は、以下の法律の採択を歓迎する。 (a) 子どもの権利に関する規定(とくに第11条)を掲げた、1999年の新憲法。 (b) 離婚および認知に関する新法(2000年施行)。 (c) 児童ポルノを含むハードコアポルノの所持の禁止を導入した、刑法改正(2002年施行)。 (d) 連邦犯罪被害者援助法の改正(2002年施行)。 (e) 生殖補助医療法(2001年施行)。 4.委員会はまた、条約を裁判所で直接援用することが可能であり、かつ、連邦裁判所が何度か条約の規定および原則を参照してきたことも、歓迎する。 5.委員会は、締約国が子どもの権利に関して市民社会と緊密に協力していることを歓迎する。 C.主要な懸念事項および勧告 1.実施に関する一般的措置 留保 6.委員会は、第5条、第7条、第10条および第37条に締約国が付した留保ならびに第40条に関する4つの留保について懸念を覚えるものの、憲法その他の関連法について最近行なわれた改正および現在進められている改正のおかげで、締約国が、対話の際に提示された暫定的予定にしたがい、ほとんどの留保の撤回を検討している旨の情報を歓迎する。このような情報にも関わらず、委員会は、この撤回プロセスがやや遅々としたペースで進められていることについて、かつ、一部の留保についてはまったく、またはまたは遠い将来にしか撤回されない可能性があることについてはなおいっそう、懸念するままである。 7.1993年のウィーン宣言および行動計画に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 無償の通訳の提供(第40条2項(b)(vi))に関する留保の撤回プロセスを可能なかぎり速やかに進めるとともに、締約国によれば、第5条に付した留保は解釈宣言にすぎず、第5条の意義に影響を及ぼすことを意図したものではないことに鑑み、このプロセスを活用して第5条に付した留保を可能なかぎり早期に撤回すること。 (b) 現在行なわれている帰化法の改正を速やかに進め、この改正の承認後、第7条に付した留保を可能なかぎり早期に撤回すること。 (c) 現在行なわれている外国国民法(旧・外国人の永住および一時的在留に関する連邦法)の改正を速やかに進め、この改正の承認後、家族再統合に関する第10条1項に付した留保を可能なかぎり早期に撤回すること。 (d) 新少年刑事法の承認および制定を速やかに進め、その後、法的援助に関する第40条2項(b)(ii)および自由を奪われた少年の成人からの分離に関する第37条(c)の留保の撤回を可能なかぎり早期に開始すること。 (e) 調査担当および量刑担当の裁判官を同一の少年裁判官に務めさせる可能性に関して付された留保を再検討すること。独立のかつ公平な公的機関または司法機関の要件(第40条2項(b)(iii))は、調査担当および量刑担当の少年裁判官が同一人物であってはならないことを、必ずしも、かつあらゆる状況下において意味するものではないためである。 (f) 現在行なわれている、連邦裁判所の第1審裁判所としての権限を廃止する法改正を速やかに進め、この改革の承認後、第40条第2項(b)(v)に付した留保を可能なかぎり早期に撤回すること。 8.委員会は、締約国に対し、次回の報告書の提出までにすべての留保の撤回を完了させるよう、促す。 立法 9.委員会は、カントン(州および準州)を含む締約国において、子どもに関連する多数の法律の改正が進められていること(未成年者に適用される刑事手続に関する連邦法案、未成年者の刑事上の地位に関する連邦法案および外国国民法など)を認識する。 10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 締約国に存在する格差から生じる可能性のある差別を回避するため、適切な機構を通じ、国およびカントンの法律が条約に一致することを確保すること。 (b) これらの法律および子どもに関わるその他の法律ならびに行政規則について徹底した見直しを行なうとともに、これらの法令が、連邦およびカントンのレベルのいずれにおいても、権利を基盤とし、かつ条約ならびに国際人権に関するその他の文書および基準に一致することを確保すること。 (c) これらの法令の効果的実施のために十分な対応(予算配分を含む)がとられることを確保すること。 (d) これらの法令が順調かつ速やかに公布されることを確保すること。 調整 11.委員会は、連邦参事会が、1997年10月15日付の決議において、条約の実施の調整は連邦内務省が担当し、かつ、カントン間ならびにカントンおよび連邦政府間の調整機構を設ける旨、定めたことに留意する。しかしながら委員会は、締約国における条約の実施を調整するための中央機構が存在しないため、包括的なかつ一貫した子どもの権利政策を達成するのが困難になっていることを、依然として懸念するものである。 12.委員会は、締約国が、連邦レベルで、連邦およびカントンのレベル間でならびにカントン間で条約の実施を調整するための、国レベルの十分な常設機構を設置するよう勧告する。 13.委員会は、連邦内務省が、子どもおよび若者に関わるスイスの政策の諸要素をとりまとめたことに留意するものの、この政策において、条約で認められている子ども(とくに年少の子ども)のすべての権利が取り上げられていないことを、依然として懸念する。 14.委員会は、締約国が、開かれた、協議に基づく参加型のプロセスを通じて、条約を実施するための包括的な国家的行動計画を作成しかつ実施するよう、勧告する。この国家的行動計画は、権利基盤アプローチをとるべきであり、保護および福祉に限定されるべきではない。加えて委員会は、年少の子どもおよび年長の子ども双方に平等な注意が払われるべきことを勧告するものである。最後に委員会は、締約国が、法律、予算および政策の策定に当たって子ども影響評価を活用するよう勧告する。 監視体制 15.委員会は、多くのカントンで行政斡旋官が設置されており、かつ多くのカントンおよび都市で子どもの問題に関する専門の機構が設けられていることに留意する。委員会はまた、連邦国家人権機関の設置を求める多数の議会動議が提出されてきたことにも留意するものである。しかしながら委員会は、条約の実施を監視するための、かつ、カントンおよび連邦のレベルで子どもの個別の苦情を受理しかつこれに対応する権限を与えられた、独立の中央機構が存在しないことを懸念する。 16.委員会は、締約国が、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関するパリ原則(総会決議48/134)にしたがい、条約の実施における進展を監視しかつ評価するための、独立の連邦人権機関を設置するよう勧告する。当該機関は、子どもにとってアクセスしやすく、子どもの権利の侵害に関する苦情を子どもに配慮したやり方で受理しかつ調査する権限を有し、かつ、このような苦情に効果的に対応するようなものであるべきである。 データ収集 17.委員会は、とくに全国調査研究プログラムを通じて、データ収集を向上させるために進められている措置に留意する。しかしながら委員会は、統計――とくに国勢調査――で用いられている年齢層が条約に掲げられた子どもの定義と一致していないこと、および、条約のすべての分野が網羅されているわけではないことを、依然として懸念するものである。 18.委員会は、締約国が、とりわけ脆弱な立場に置かれた子どもおよび現在のデータでまだ網羅されていない分野をとくに重視しながら、条約のすべての分野について、18歳未満のすべての者に関する細分化されたデータを体系的に収集するとともに、進展を評価し、かつ条約実施のための政策を立案する目的で当該データを活用するよう、勧告する。 研修/条約の普及 19.委員会は、締約国が、第1回報告書および総括所見を報告書要旨とあわせて刊行する予定である旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、条約が締約国の第4国語(すなわちロマンシュ語)に翻訳されていないこと、ならびに、普及、意識啓発および研修のための活動が常に体系的なかつ重点対象型のやり方で行なわれているわけではないことを、懸念するものである。 20.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもおよび親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の政府の間で条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラム(脆弱な立場に置かれた集団、とくに子どもの移民および庇護希望者に情報を提供するための取り組みを含む)を強化しかつ継続すること。 (b) 条約をロマンシュ語に翻訳すること。 (c) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば連邦およびカントンの議員、裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教員ならびに保健従事者)を対象とした、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを開発しかつ実施すること。 2.一般原則 差別の禁止 21.憲法で差別が禁じられていること(第8条)は認知しながらも、委員会は、外国人の子どもに対する事実上の差別が行なわれていること、および、子どもの発達に悪影響を及ぼす可能性がある人種的憎悪および外国人排斥の事件が起きていることを、懸念する。委員会はまた、実務およびサービスの提供ならびに子どもによる権利の享受に関してカントン間に存在する格差の一部は差別に相当する可能性があることも、懸念するものである。 22.条約第2条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が、子どもによる権利の享受に関して存在する格差を注意深くかつ定期的に評価するとともに、当該評価を基礎として、差別的格差を防止しかつこれと闘うために必要な措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、外国人の子どもまたはマイノリティに属する子どもに対する事実上の差別を防止しかつ解消するための行政上の措置を強化することも、勧告するものである。 23.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 24.委員会は、子どもの最善の利益の一般原則(第3条)が、締約国の政策およびプログラムの実施において全面的に適用され、かつ正当に統合されているわけではないことを懸念する。 25.委員会は、子どもの最善の利益の一般原則が、あらゆる法律および予算ならびに司法上および行政上の決定、ならびに、子どもに影響を与えるプロジェクト、プログラムおよびサービスに適切な形で統合されることを確保するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 26.子どもがその成熟度にしたがって自己の権利を行使できることを認めた憲法第11条2項および自己の意見を表明する子どもの権利を認めた多数の法律上の規定を歓迎し、かつ、カントンまたは自治体のレベルでさまざまな若者議会が設置されていることには留意しながらも、委員会はなお、条約第12条に定められた一般原則が、締約国の政策およびプログラムの実施において全面的に適用され、かつ正当に統合されているわけではないことを懸念する。 27.委員会は、子どもの意見の尊重の原則の実施を確保するためにさらなる努力が行なわれるべきことを勧告する。これとの関係で、脆弱な立場に置かれた集団にとくに注意を払いながら、家庭、学校、その他の施設および機関ならびに社会におけるすべての子どもの参加権がとりわけ重視されるべきである。この一般原則を、子どもに関わるすべての政策およびプログラムに反映させることも求められる。この原則の実施に関する、公衆一般の意識啓発ならびに専門家の教育および研修が強化されるべきである。 3.市民的権利および自由 自己のアイデンティティを知る権利 28.委員会は、生殖補助医療法第27条にしたがい、子どもがその父の身元について情報提供を受けられるのはその子どもが「正当な利益」を有している場合のみであることに留意するとともに、この点に関する「正当な利益」の意味について懸念を覚える。 29.条約第7条に照らし、委員会は、締約国が、自己の親の身元を知る子どもの権利が尊重されることを可能なかぎり確保するよう、勧告する。 拷問および不当な取扱い 30.委員会は、外国人の子どもに対して法執行官が不当な取扱いを行なう事例があるとの主張があること、および、虐待が蔓延していることを深く懸念する。 31.委員会は、この点について拷問禁止委員会が行なった勧告(A/53/44、パラ94)を支持するとともに、条約第37条に照らし、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 逮捕、尋問および警察留置中の不当な取扱いに関する法執行官に対する苦情を受理するための、子どもに配慮した機構をすべてのカントンに設置すること。 (b) 警察隊を対象として、子どもの人権に関する体系的研修を実施すること。 体罰 32.学校における体罰が禁じられていることには留意しながらも、委員会は、連邦裁判所の判例によれば、体罰は、社会によって一般的に受け入れられている水準を超えないときは身体的暴力とみなされないことを懸念する。加えて委員会は、家庭における体罰が法律で禁じられていないことを懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、家庭、学校および施設における体罰のあらゆる実践を明示的に禁じるとともに、とくに親、子ども、法執行官および司法職員ならびに教員を対象とし、この点に関する子どもの権利を説明し、かつ、子どもの人間の尊厳と一致するやり方による、かつ条約(とくに第19条および第28条2項)にしたがった代替的形態のしつけおよび規律の使用を奨励する、広報キャンペーンを実施するよう勧告する。 4.家庭環境および代替的養護 親が働いている子どものための保育サービス 34.保育施設の増設を目的とする議会の発議は歓迎しながらも、委員会は、締約国から提供された情報(CRC/C/78/Add.3、パラ481)によれば、現在提供されている保育サービスはニーズを満たすには程遠いことに、懸念とともに留意する。 35.条約第18条3項に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 働く親のニーズを満たす目的でより多くの保育サービスを設置するための措置をとること。 (b) 条約の原則および規定に照らし、提供される保育サービスにおいて乳幼児期の発達が促進されることを確保すること。 養子縁組 36.委員会は、養子が自己の生物学的親を知ることを認める民法第268条(c)が施行されたこと、および、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関する1993年5月29日のハーグ条約の批准手続が2003年には完了する見込みであることを歓迎する。しかしながら委員会は、国外で養子とされる子どもが正式な縁組までに2年間待機しなければならず、これが差別および無国籍につながりうることを、依然として懸念するものである。加えて委員会は、十分なフォローアップが行なわれていないために、養親による子どもの不当な取扱いが報告されていることを懸念する。 37.委員会は、国外で養子とされた子どもが、締約国への到着から正式な養子縁組まで時間がかかるために無国籍となりまたは差別されることがないようにするため、締約国が必要な措置をとるよう勧告する。加えて、委員会はさらに、締約国が、不当な取扱いおよび権利侵害を解消する目的で十分なフォローアップの手段をとることにより、これらの子どもの状況を体系的に検証するよう提案するものである。 虐待およびネグレクト/暴力 38.家庭、学校およびスポーツにおける子どもへの暴力に対処するために行なわれている多数の取り組みは歓迎しながらも、委員会は、子どもの虐待および(または)ネグレクトに関する包括的なデータおよび情報が存在しないことを依然として懸念する。 39.条約第19条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) これらの慣行の規模、範囲および性質を評価する目的で、性的虐待(とくに家庭におけるもの)および学校におけるいじめを含む、子ども(とくに脆弱な立場に置かれた集団の子ども)に対する暴力、不当な取扱いおよび虐待についての研究を実施すること。 (b) 子どもの虐待を防止しかつこれと闘うため、子どもたちの関与を得ながら意識啓発キャンペーンを発展させること。 (c) 既存の諸機関の活動を評価するとともに、これらのタイプの事案に関与する専門家を対象とした研修を行なうこと。 (d) 被害を受けた子どもの保護(プライバシー権の保護を含む)の向上を確保する目的で、ドメスティックバイオレンスならびに家庭における子どもの不当な取扱いおよび虐待(性的虐待を含む)の事案を、子どもに配慮した調査および司法手続を通じ、効果的に調査すること。 5.基礎保健および福祉 思春期の健康 40.先進的な保健ケア制度、きわめて低い乳児死亡率およびHIV/AIDS有病率の低下には留意しながらも、委員会は、それでもなお、青少年の自殺件数が多く、かつこの現象を防止するための措置が限定されていること、および、学校外におけるものを含むカウンセリングサービスへの青少年によるアクセスが不十分であることを、懸念する。加えて委員会は、アルコールおよびタバコの使用が――とくに女子の間で――広く蔓延しており、かつ増加していることを懸念するものである。さらに、死亡率が低下していることには留意しながらも、委員会は、交通事故で死亡しまたは負傷する子どもの人数が多いことをなお懸念する。最後に委員会は、国外で女性性器切除が行なわれる事案について懸念を覚えるものである。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) HIV/AIDSの有病率を低下させるための努力を続行するとともに、青少年の自殺を防止するため、情報の収集および分析、意識啓発キャンペーンの開始ならびに特別プログラムおよびカウンセリングサービスの設置を含む、あらゆる必要な措置をとること。 (b) とくにアルコールの消費およびタバコの使用との関係で、思春期の健康政策を促進するための努力を増強すること。 (c) 交通事故の被害を受ける子どもの人数を減少させるための努力を続行すること。 (d) 女性性器切除の慣行に終止符を打つための、関連する層を重点対象とする意識啓発キャンペーンを発展させるとともに、この問題についての包括的研究を実施すること。 障害のある子ども 42.障害を理由とする差別が憲法で禁じられていること(第8条)は歓迎しながらも、委員会は、障害のある子どもに関する統計が欠けており、かつ、これらの子どもを普通教育に統合する統一の実務がさまざまなカントンで行なわれていないことを、依然として懸念する。加えて委員会は、在宅ケアに関するかぎり、障害を持って生まれた子どもと障害児になった子どもとの間に区別があることを懸念するものである。 43.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある子どもに関するデータ収集を強化すること。 (b) 普通教育への障害児の統合に関して全国的に存在する格差についての評価を実施するとともに、差別に相当する可能性もあるこれらの差異を解消するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 障害を持って生まれた子どもと、疾病または自己の結果障害児になった子どもとの間にある事実上の差別を解消するため、在宅ケア支援制度を見直すこと。 健康保険 44.委員会は、社会保障制度の継続的改革に留意するものの、社会保険および保健の費用負担がきわめて高く、低所得家庭に影響が生じている可能性があることを依然として懸念する。 45.委員会は、経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の総括所見(E/C.12/1/Add.30、パラ36)を支持するとともに、締約国が、たとえば保険料の減額によって保健サービスの費用負担を低下させる目的で、健康保険制度の見直しを行なうよう勧告する。 生活水準/社会福祉 46.締約国の経済的豊かさおよび高い生活水準には留意しながらも、委員会は、人口の5.6%が貧困の影響を受けており、かつ、締約国から提供された情報(「子どもおよび若者に関するスイスの政策の諸要素」)によれば、若年家庭、ひとり親家庭および多子家庭がもっとも影響を受けていることを懸念する。加えて委員会は、家族手当または家族給付がカントンによってさまざまであり、かつ受給者が有給の雇用についていることが条件とされていることを、懸念するものである。 47.委員会は、締約国が、条約の原則および規定(とくに第2条、第3条、第6条、第26条および第27条)に照らして貧困を防止するためにあらゆる適切な措置をとり、かつ、資力調査制度を正当に考慮しながら、とくに有給の雇用についていない家族および自営業である家族を対象とした家族手当および家族給付の制度を見直すよう、勧告する。 6.教育 48.委員会は、条約第29条、および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に照らし、教育の目的、とくに人権教育が、締約国のすべてのカントンの学校カリキュラムにどのように反映されているかについての情報が存在しないことを懸念する。 49.委員会は、締約国が、カントン段階のカリキュラムに教育の目的がどのように反映されているかに関する情報を、次回の報告書で提供するよう勧告する。 7.特別な保護措置 子どもの難民および庇護希望者ならびに保護者のいない子ども 50.連邦庇護法制(連邦庇護法および庇護手続に関する政令第1号)が1999年10月1日に施行されたことは歓迎しながらも、委員会は、保護者のいない未成年者を対象として用いられている手続が、常にその最善の利益にかなっているわけではなく、かつ条約の関連規定に全面的に一致しているわけでもないことを、依然として懸念する。加えて、条約第10条に付された留保との関連で、委員会は、家族再統合に対する権利が制限されすぎていることを懸念するものである。 51.委員会は、締約国が、庇護申請手続に関するアプローチを単純化するとともに、当該手続を迅速化し、かつ、子ども、とくに保護者のいない子どもの特別なニーズおよび要求が当該手続で考慮されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。このような措置には、法定代理人の指定、このような子どものセンターへの措置、ならびに、保健ケアおよび教育に対するこのような子どものアクセスが含まれる。加えて委員会は、締約国が、とくに締約国に長期間滞在している難民について、家族再統合のための制度を見直すよう勧告するものである。 性的搾取および性的虐待 52.児童ポルノを含むハードコアポルノの所持を禁止した刑法改正、および、新たなサイバー犯罪対策センターの設置(2003年)は歓迎しながらも、委員会は、締約国における子ども(とくに脆弱な立場に置かれた集団)の性的搾取の規模が知られていないことを依然として懸念する。 53.条約第34条その他の関連条項に照らし、委員会は、締約国が、売買春および児童ポルノ(インターネット上のものを含む)も含む子どもの性的搾取および人身取引の規模を評価する目的で研究を実施するとともに、子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領(1996年)ならびにグローバルコミットメント(2001年)にしたがって、防止ならびに被害を受けた子どもの回復および社会的再統合のための適切な政策およびプログラムを実施するよう、勧告する。 薬物濫用 54.青少年による薬物の使用を防止しかつこれと闘うために締約国が現在とっている政策には留意しながらも、委員会は、青少年の間で不法な薬物の使用および売買が増加していることを懸念する。 55.委員会は、締約国が、意識啓発および防止のための措置(学校における、薬物の危険性に関する意識啓発を含む)を続行するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、とくに子どもおよび青少年向けの防止、治療ならびに回復および社会的再統合のためのサービスに関する児童福祉サービス制度に対し、いっそうの資源を配分するよう勧告するものである。 少年司法の運営 56.委員会は、未成年者の刑事上の地位に関する連邦法案、未成年者に適用される刑事手続に関する連邦法案および連邦司法組織法の改正に関する議論が進められていることを歓迎するものの、刑事責任年齢が低すぎること(7歳)を依然として懸念するとともに、新たに提案されている刑事責任年齢(10歳)もなお低すぎると考える。加えて委員会は、一部のカントンで未決勾留中の法的援助に関する規定が存在しないこと、ならびに、未決勾留中および収監中に子どもが成人から分離されていないことを、懸念するものである。 57.委員会は、締約国が、条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもについての行動に関するウィーン指針を含む、少年司法分野における他の国連基準にしたがって少年司法の法制および制度を改革するため、追加的措置をとるよう勧告する。 58.この改革の一環として、委員会はとくに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を10歳以上に引き上げるとともに、未成年者の刑事上の地位に関する連邦法案をこれにしたがって修正すること。 (b) 未決勾留中のすべての子どもに対する法的援助の提供を制度化すること。 (c) 未決勾留中または拘禁中、子どもを成人から分離すること。 (d) 少年司法制度に関与するすべての専門家を対象とした、関連の国際基準に関する体系的な研修プログラムを導入すること。 (e) 少年司法に関する一般的討議の際に委員会がまとめた討議内容(CRC/C/46、パラ203-238)を考慮すること。 マイノリティ集団に属する子ども 59.委員会は、締約国におけるロマおよびトラベラーズならびにその子どもに関する情報がないこと、および、これらの子どもに関する政策が定められていないことを懸念する。 60.委員会は、締約国が、マイノリティであるロマおよびトラベラーズに属する子どもの状況を評価するためにこれらの子どもに関する研究を実施するとともに、社会的排除および差別を防止し、かつこれらの子どもがその権利を全面的に享受できるようにする(教育および保健ケアへのアクセスを含む)ための政策およびプログラムを発展させるよう、勧告する。 8.条約の選択議定書 61.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書を批准しかつ実施するよう、奨励する。 9.文書の普及 62.最後に委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第1回報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。加えて委員会は、締約国が、作成した締約国報告書の要約版も広く入手可能とするよう勧告するものである。このような文書は、政府および一般公衆(NGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布することが求められる。 更新履歴:ページ作成(2012年12月26日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/133.html
総括所見:ベラルーシ(OPAC・2011年) 第1回(1994年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/BLR/CO/1(2011年4月28日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2011年1月26日に開かれた第1598回会合(CRC/C/SR.1598参照)においてベラルーシの第1回報告書(CRC/C/OPAC/BLR/1)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、選択議定書に基づく締約国の第1回報告書および委員会の事前質問事項(CRC/C/OPAC/BLR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、ハイレベルな代表団との間に持たれた前向きな対話を評価する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、条約に基づく締約国の第3回・第4回定期報告書および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての第1回報告書について採択された総括所見(2011年2月4日、それぞれCRC/C/BLR/CO/3-4およびCRC/C/OPSC/CO/1に掲載)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.積極的側面 4.委員会は、軍への自発的入隊を18歳に達した者に制限する(軍士官学校への入学を除く)旨の、批准時に締約国が行なった制限を歓迎する。 5.委員会はさらに、選択議定書が締約国において法律としての地位を有していることを歓迎する。 III.実施に関する一般的措置 普及および研修 6.委員会は、子どもの状況の改善および子どもの権利の保護のための国家的行動計画(2004~2010年)に、選択議定書の規定を子どもならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家に対して周知するための措置が含まれていることに、積極的側面として留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の規定に関する研修が不十分であるように思われることを懸念するものである。委員会はまた、選択議定書に関する一般公衆の意識が低いことも懸念する。 7.委員会は、締約国が、選択議定書の原則および規定が一般公衆に対しておよびとくに子どもの間で広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、軍の構成員を対象とする、選択議定書の規定に関する具体的研修をともなう人権研修を強化するよう勧告するものである。さらに委員会は、締約国が、子どもとともに活動するすべての関連の専門家集団(検察官、裁判官、法執行官、ソーシャルワーカー、医療従事者、教員およびメディア従事者を含む)を対象として、議定書の規定に関する意識啓発、教育および研修のためのプログラムを発展させるよう、勧告する。 データ 8.委員会は、選択議定書の実施に関わるデータが不十分であることを遺憾に思う。 9.委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関する情報および統計を収集する目的で、かつ、締約国の領域内にいる子どものうち国外で国以外の武装集団により徴募されまたは敵対行為において使用されたすべての者(子どもの難民および庇護希望者を含む)を特定しかつ登録するために、中央データ収集システムを設置するとともに、条約に基づく次回の定期報告書でこの勧告の実施に関する情報を提供するよう、勧告する。 IV.防止 軍学校 10.数が減っていることには留意しながらも、委員会は、子どもを対象とする軍学校の数がいまなお多いこと、および、これらの学校について軍事機構が責任を負っているのが一般的であることを懸念する。委員会はとくに以下のことを懸念するものである。 (a) 国防省に直接報告責任を負い、かつカリキュラムに軍事教育が含まれているミンスク・スボロフ軍学校に、男子が12~13歳で入学していること。 (b) 子どもが17歳から幹部候補生として士官学校に入学でき、したがって当該年齢から軍の構成員と見なされていること。 (c) 普通学校生を対象とする軍事愛国サマーキャンプの活動が軍部隊の敷地で行なわれ、かつ兵器の紹介も行なわれること。 11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもを対象とする軍学校の数を漸進的に削減するとともに、全学校に関する責任を国防省から教育省に移管すること。 (b) ミンスク・スボロフ軍学校に入学できる最低年齢を引き上げ、かつ同校における兵器使用訓練を廃止すること。 (c) 士官学校に在籍する18歳未満のすべての学生を文民と見なし、かつその子どもとしての権利を尊重すること。 (d) 子どものための独立した苦情申立て機構の十分な制度を設置すること。 (e) 子どものを対象とするサマーキャンプから軍事的側面を取り除くとともに、これらのキャンプに関する責任を教育省に委ねること。 平和教育 12.委員会は、学校で子どもの権利に関する特別科目が教えられていること、および、子どもが選択議定書について学習していることを歓迎する。しかしながら委員会は、学校カリキュラムにおける平和教育の授業が不十分であることを懸念するものである。 13.委員会は、締約国が、学校カリキュラムに平和教育を含め、かつ学校で平和および寛容の文化を奨励するための効果的措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、教員の養成教育および研修に人権教育および平和教育を含めることも、奨励するものである。 V.禁止および関連の事項 現行刑事法令 14.委員会は、18歳未満の者を国軍以外の武装集団に徴募することまたは当該武装集団の一員として敵対行為に関与させることを犯罪とした刑法改正(第136条)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の法律で「敵対行為への直接参加」の定義が定められていないことを遺憾に思うものである。 15.委員会は、締約国が、敵対行為への直接参加の定義を刑法で定めるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定にしたがうことを確保するよう、勧告するものである。 裁判権 16.委員会は、締約国のいずれかの国民によってまたはいずれかの国民に対して国外で行なわれた選択議定書上の犯罪について締約国が裁判権を設定できるのは、行なわれた行為がその遂行地である国でも犯罪である場合のみであるという、締約国の立場を遺憾に思う。 17.委員会は、締約国が、その管轄下にある者によってまたはその管轄下にある者に対して国外で行なわれた選択議定書上のすべての犯罪について、当該行為がその遂行地である国でも犯罪とされていることを要件とすることなく裁判権を設定することを検討するよう、勧告する。 VI.保護、回復および再統合 被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 18.委員会は、締約国が、ベラルーシに入る子どもの難民の社会化および適応のためのプロジェクトを実施していることに留意する。しかしながら委員会は、国外で徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある子ども(子どもの難民および庇護希望者を含む)を特定するためにとられた措置に関する情報、および、これらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためにとられた措置に関する情報が存在しないことを、遺憾に思うものである。 19.委員会は、締約国に対し、徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある子どもを特定するための手続を確立するとともに、これらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のために必要な措置をとるよう、奨励する。当該措置には、これらの子どもの状況に関する慎重なアセスメント、これらの子どもが利用可能な法的助言サービスの強化、および、選択議定書にしたがってこれらの子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するための、即時的な、文化的に敏感な、子どもに配慮したかつ学際的な援助の提供が含まれるべきである。 VII.国際的な援助および協力 武器輸出および軍事援助 20.小型武器および軽兵器に関する欧州安全保障協力機構の文書から派生する国際的義務の遵守に関する2002年7月15日の大統領令第383-Z号は歓迎しながらも、委員会は、子どもが武力紛争に関与している可能性がある旨の情報が受領されている国に対する小型武器および軽火器の輸出が法律で禁じられていないことを、遺憾に思う。委員会は、ベラルーシの人権状況に関する元特別報告者の報告書(A/HRC/4/16、パラ47)で明らかにされているように、締約国が国際武器取引に関与しているとされていることに、懸念とともに留意するものである。 21.委員会は、締約国に対し、以下のことを法律に反映させるよう促す。 (a) 子どもが武力紛争に関与している国に対する小型武器および軽兵器の販売および輸出を明示的に禁止すること。 (b) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、銃器ならびにその部品および構成部分ならびに弾薬の不正な製造および取引の防止に関する議定書にしたがい、小型武器および軽兵器の製造および取引を含む不正な行為を犯罪化するとともに、記録の保管および銃器への刻印を義務づけること。 VIII.その他の法規定 22.委員会は、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程への加入を検討するよう勧告する。 IX.フォローアップおよび普及 23.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を、国防省、大統領府、閣僚評議会、国民議会(上院および下院の双方)ならびにすべての関連省庁、国および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 24.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を促進する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を、公衆一般、メディアおよびとくに子どもたちが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 25.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回定期報告書報告書(提出期限2017年10月30日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年12月26日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/260.html
国連・子どもの権利委員会 定期報告書ガイドライン(改訂第3版) CRC 定期報告書ガイドライン(第3版)統計編 第1回報告書ガイドライン 定期報告ガイドライン:初版/改訂第1版 追記(2024年8月9日):委員会は、第95会期(2024年1~2月)に、締約国との対話の新たな進め方(revised dialogue structure)を正式に承認しました。それにともない、新たに〈子どもの権利と環境〉に関するクラスター(分野)が設けられるなど、クラスター数が9から11に増えています。定期報告書ガイドラインそのものはまだ正式に改訂されていませんが、今後、本審査の進行および総括所見の作成は新たなクラスター構成に基づいて行なわれることになります。新たなクラスター構成については筆者のnoteを参照。 子どもの権利委員会 第65会期(2014年1月13-31日) CRC/C/58/Rev.3(2015年3月3日/原文英語) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳PDF〕 子どもの権利に関する条約第44条第1項(b)に基づいて締約国が提出する定期報告書の報告の形式および内容に関する条約別指針 I.序および報告の目的 1.子どもの権利条約第44条に基づき、各締約国は、条約に基づく義務を実施するためにとられた措置に関する報告書を子どもの権利委員会に提出することを約束している。第1回報告書はその締約国について条約が効力を生じたときから2年以内に提出するものとされ、その後、定期報告書を5年ごとに提出するものとされている。この指針は定期報告書に適用されるものである。条約に基づく第1回報告書をまだ提出していない締約国は第1回報告書に関する指針 [1] を参照するよう求められる。 [1] CRC/C/5. 2.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(OPSC)ならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(OPAC)は、各締約国に対し、それぞれ選択議定書の規定を実施するためにとられた措置についての報告を要求している [2]。各選択議定書に基づく第1回報告書は、関連する選択議定書がその締約国について効力を生じたときから2年以内に提出するものとされている。締約国は、OPSCおよびOPACに基づく第1回報告書を起草する際、関連の選択議定書に特化した指針 [3] にしたがうことが求められる。両選択議定書は批准したものの条約を批准していない締約国も、OPSCおよびOPACに基づく第1回報告書を起草する際、それぞれの選択議定書に特化した指針にしたがうべきである。 [2] OPSC第12条およびOPAC第8条参照。 [3] 委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての改訂報告指針(CRC/C/OPSC/2)を2006年9月に、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書についての改訂報告指針(CRC/C/OPAC/2)を2007年9月に、採択した。 3.両選択議定書に基づく第1回報告書を提出した締約国は、条約第44条に基づいて委員会に提出する定期報告書に、両選択議定書の実施に関する最新の情報を記載するものとする。本指針において両選択議定書に言及している節は、両選択議定書に基づく第1回報告書をすでに提出した締約国に向けたものである。 4.条約の締約国であって両選択議定書のいずれかまたは双方をまだ批准していない国は、条約の実施に関する報告については本指針にしたがうものとし、両選択議定書に関連する情報は無視するべきである。 5.子どもの権利条約に特化したものである本指針は、「国際人権条約に基づく報告に関する調和化指針(共通コアドキュメントおよび条約別の文書に関する指針を含む)」(HRI/GEN/2/Rev.6、第1章、最新改訂2009年)にしたがって策定されたものであり、同調和化指針に掲げられた、共通コアドキュメントの作成および提出に関する指針とあわせて適用することが求められる。この2つの指針は、あわせて子どもの権利条約および両選択議定書に基づく報告の基礎となるものである。条約に基づく報告書は2つの文書、すなわち共通コアドキュメントおよび条約別文書(「条約別報告書」という)から構成される。2014年1月31日に採択された本指針は、子どもの権利委員会が2010年10月1日(CRC/C/58/Rev.2)および2005年6月3日(CRC/C/58/Rev.1)に採択した指針に代わるものである。 6.締約国は、調和化指針に掲げられた一般的な指針および要件、とくに報告プロセス(第I節)、報告書の形式(第II節)、報告書の内容(第III節)および国内レベルでの報告プロセス(パラ45)に関する指針および要件を考慮することが求められる。 II.共通コアドキュメント 7.共通コアドキュメントは、調和化指針にしたがって委員会に提出される報告書の不可欠な一部をなすものである。共通コアドキュメントには、報告国についての一般的情報、人権の保護および促進に関する一般的枠組み〔についての情報〕ならびに差別の禁止、平等および効果的救済措置についての情報を記載することが求められる。総会決議68/268(パラ16)にしたがい、共通コアドキュメントは42,400語を超えるべきではない。 8.一般論として、共通コアドキュメントに掲げられた情報は、委員会に提出する条約別報告書で繰り返すべきではない。締約国は、条約別報告書を提出する際、共通コアドキュメントの情報を更新することが求められる。調和化指針パラ27にしたがい、委員会は、共通コアドキュメントに記載された情報が古くなっていると考えるときは共通コアドキュメントの更新を要請する場合がある。 9.委員会は、締約国が共通コアドキュメントを提出していないとき、または共通コアドキュメントの情報が最新のものでないときは、あらゆる関連の情報が条約別報告書に記載されなければならないことを強調する。 III.条約別報告書 A.形式および内容 10.本指針は条約別定期報告書の作成に関するものである。条約別報告書には、報告国における条約の実施および両選択議定書(該当する場合)の実施に関連する情報を記載することが求められる。総会決議68/268(パラ16)にしたがい、条約別報告書は21,200語を超えるべきではなく、かつマイクロソフトWord形式で提出されるべきである。 11.委員会は、条約および両選択議定書(該当する場合)の規定の実施に関して締約国が提供する情報においては、委員会が前回行なった関連の勧告に具体的に言及し、かつ当該勧告について実際にどのような対応がとられたかについての詳細を記載するべきであることを強調する。勧告が実施されてこなかった理由の説明および直面した主要な障壁についての詳細が、当該詳細を克服するために構想されている措置に関する情報とともに、提供されるべきである。 12.条約別報告書には、委員会が採択した関連の一般的意見との関係における条約および両選択議定書(該当する場合)の規定の実施に関する情報、ならびに、法律、法制度、判例、制度的枠組み、政策およびプログラムが、締約国の管轄内にある子どもに、乳幼児期から思春期までのさまざまな年齢層および子どもが有する特別なニーズごとにどのように影響を及ぼしているかに関する、より分析的な性質の情報も記載することが求められる。人権保護のための一般的枠組みについて共通コアドキュメントに記載されている情報は、繰り返すべきではない。 13.締約国は、条約別報告書において共通コアドキュメントに記載された情報を参照するよう求める場合、当該情報が提供されている共通コアドキュメントのパラグラフを正確に示すことが求められる。 14.一般的な統計的情報は共通コアドキュメントに記載されるべきであるが、条約別報告書には、条約および両選択議定書(該当する場合)の実施に関連する具体的なデータおよび統計(年齢、性別その他の関連する基準によって細分化されたもの)を記載することが求められる。締約国は、本指針の付属文書で示されている統計的情報を記載するべきである。統計は、委員会の作業言語(英語、フランス語またはスペイン語)のいずれかで、別添の付属文書として提出することが求められる。資源の制約から、付属文書の翻訳は行なわれない。 15.各国は、委員会の作業言語のいずれかで利用可能とされている場合には、報告書で言及した立法上、司法上、行政上その他の文書の写しを別途提出することもできる。これらの文書は翻訳されず、かつ配布のために複製されることもないが、委員会の参照に供される。 16.条約別報告書においては、締約国の前回の定期報告書が委員会によって審査されたときから現在の報告書が提出されるときまでの期間を対象とすることが求められる。 B.報告書に記載されるべき実質的情報 17.条約別報告書には、委員会が定めた諸権利の「クラスター」(後掲)にしたがって情報を記載することが求められる。締約国は、条約および両選択議定書(該当する場合)の規定が全面的に尊重される状態の達成について見られた進展および直面した課題を明らかにするべきである。とくに、締約国は、委員会の前回の総括所見に掲げられた勧告を実施するためにとった措置について、諸権利の各クラスターとの関連で具体的情報を提供するよう求められる。両選択議定書の規定の実施との関連で求められる情報については具体的に明らかにする [4]。 [4] 条約別報告書で両選択議定書についての情報を提供する締約国は、何を記載すべきかに関する指針として、両選択議定書についての報告指針を参照してもよい。 1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 18.条約別報告書の本節には、条約および選択議定書に関連する具体的な留保および宣言についての情報ならびに当該留保および宣言を限定しまたは撤回するための努力についての情報を記載することが求められる。条約または両選択議定書(該当する場合)のいずれかの条文に関するいかなる留保または宣言についてもその理由が説明されるべきであり、かつそれを維持するか否かが明らかにされるべきである。武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(OPAC)の締約国であって、自国の軍隊への自発的入隊の最低年齢に関する拘束力のある宣言(第3条)において18歳未満の年齢を明らかにした国は、当該最低年齢の引上げが行なわれたか否かを明らかにするよう求められる。 19.本節において、締約国は、条約および両選択議定書(該当する場合)との関係で、次の点に関する最新の関連情報を提供するよう求められる。 (a) 国内法および国内実務を再検討し、かつ条約および両選択議定書に全面的に一致させるためにとられた措置。OPACおよびOPSCの締約国は、各選択議定書について関連する刑法上の規定および適用されるその他の法律の規定の詳細を提供するよう求められる。 (b) 子どものための包括的な国家的戦略およびこれに対応する行動計画が採択されたか、ならびに、当該戦略等がどの程度実施されかつ評価されたか。当該戦略等が全般的な開発戦略および公共政策の一部に(どのように)位置づけられているか。当該戦略等が具体的な部門別戦略および計画と(どのように)関連しているか。連邦政府の場合、子どものための計画が連邦または中央のレベルを超えて(どの程度)適用されているか。 (c) 条約および両選択議定書の実施を調整する全般的責任はどの政府機関が有しているか、および、当該政府機関はどの程度の権限を与えられているか。 (d) 条約および両選択議定書の実施のために配分されている予算は明確に特定されており、かつ、子どものための包括的な国家的戦略およびこれに対応する計画との関連でモニタリングが可能とされているか。 (e) 国際援助および開発援助は、条約、両選択議定書ならびに関連の国家的戦略および計画の実施のためにとくに提供されているか。 (f) 条約および両選択議定書の実施を監視するための独立した国内人権機関は設置されたか、および、当該機関は子どもまたはその代理人による個別の苦情を受理しているか。OPACの締約国は、軍学校および軍隊を監視する権限が当該機関に与えられているか否か、および、軍隊への自発的入隊が18歳未満で認められるか否かについて明らかにするよう求められる。 (g) 条約およびその選択議定書の原則および規定を、広報、研修および学校カリキュラムへの統合を通じておとなおよび子どもに対して同様に広く知らせるためにとられた措置。 (h) 報告書および総括所見を、公衆一般、市民社会、企業団体、労働組合、宗教団体、メディア等が適宜広くできるようにするために行なわれているまたは予定されている取り組み。 (i) 非政府組織ならびに子どもグループおよび若者グループを含む市民社会組織とどのように協力しており、かつ、条約および両選択議定書の実施の計画および監視にこれらの組織がどの程度関与しているか。 20.このクラスターにおいて、締約国は、子どもによる権利の享有に影響を及ぼす可能性のある企業(とくに天然資源利用業、製薬業および農産業)の活動が評価の対象とされているか、ならびに、当該影響を調査し、判断し、是正しかつ規制するための措置がとられているかについての情報を提供するよう求められる。 21.このクラスターにおいて、締約国はまた、委員会の一般的意見のうち、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割についての2号(2002年)、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての5号(2003年)および企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての16号(2013年)も考慮に入れるよう求められる。 2.子どもの定義(第1条) 22.本節において、締約国は、国内法令上の子どもの定義に関わる条約第1条についての、関連の最新情報を提供するよう求められる。成年が18歳未満である場合、締約国は、すべての子どもがどのように18歳に達するまで保護されかつ条約上の利益を享有しているか、明らかにするべきである。締約国は、国内法における女子および男子の最低婚姻年齢を明らかにするよう求められる。 3.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 23.このクラスターにおいて、締約国は次の点に関して関連の情報を提供するよう求められる。 (a) 差別の禁止(第2条) (b) 子どもの最善の利益(第3条) (c) 生命、生存および発達に対する権利(第6条) (d) 子どもの意見の尊重(第12条) 24.差別を防止し(第2条)、かつ不利な状況に置かれた子どもが自己の権利を享有しかつ行使できることを確保するためにとられた特別措置に関して、共通コアドキュメントに記載された情報を補完する情報が提供されるべきである。適切なときは、ジェンダーに基づく差別と闘うための措置、ならびに、障害のある子ども、マイノリティに属する子どもおよび先住民族である子どもによる権利の全面的共有を確保するためにとられた措置についての情報を提供することが求められる。 25.締約国は、効力を有している立法上、司法上、行政上その他の措置、とくに子どもの最善の利益(第3条)および子どもの意見の尊重(第12条)の原則が立法上、行政上および司法上の決定においてどのように扱われ、かつ実施されているかについての情報を提供するよう求められる。 26.生命、生存および発達に対する権利(第6条)に関しては、子どもがこの権利を差別なく享有することを確保するためにとられた措置についての情報が提供されるべきである。締約国は、次の目的のためにとられた措置を明らかにするよう求められる。 (a) 18歳未満の者が行なった犯罪について死刑が科されないことを保障するための措置 (b) 子どもの死亡および超法規的殺害を登録するための措置 (c) 子どもの自殺を防止し、かつ新生児殺を根絶するための措置ならびに子どもの生命、生存および発達に対する権利に影響を及ぼす他の関連の問題に関する措置 27.このクラスターにおいて、締約国は、委員会の一般的意見のうち、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての3号(2013年)、意見を聴かれる子どもの権利についての12号(2009年)および先住民族の子どもとその条約上の権利についての11号を考慮に入れるよう求められる。 4.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 28.このクラスターにおいて、締約国は次の点に関して関連の最新情報を提供するよう求められる。 (a) 名前および国籍(第7条) (b) アイデンティティの保全(第8条) (c) 表現の自由および情報を求め、受けかつ伝える権利(第13条) (d) 思想、良心および宗教の自由(第14条) (e) 結社および平和的集会の自由(第15条) (f) プライバシーの保護および肖像の保護(第16条) (g) 多様な情報源からの情報へのアクセスおよび子どもの福祉に有害な資料からの保護(第17条) 29.適切なときは、子どもの権利の促進および保護との関連でメディアが果たしている特別な役割についての情報を提供することもできる。 5.子どもに対する暴力(第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 30.このクラスターにおいて、締約国は次の点に関して関連の最新情報を提供するよう求められる。 (a) 虐待およびネグレクト(第19条) (b) 女性性器切除ならびに早期婚および強制婚を含む(ただしこれに限られない)あらゆる形態の有害慣行を禁止しかつ解消するための措置(第24条第3項) (c) 性的搾取および性的虐待(第34条) (d) 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰(体罰を含む)を受けない権利(第37条(a)および第28条第2項) (e) 被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を促進するための措置 (f) 子どものためのヘルプラインが利用できるか否か 31.このクラスターにおいて、締約国は、委員会の一般的意見のうち、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての8号(2006年)、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての13号(2011年)、および、有害慣行に関する合同一般的勧告/意見(女性差別撤廃委員会の合同一般的勧告31号/子どもの権利委員会の一般的意見18号、2014年)を考慮に入れるよう求められる。 6.家庭環境および代替的養護(第5条、第9条~11条、第18条第1項および第2項、第20条、第21条、第25条ならびに第27条第4項) 32.このクラスターにおいて、締約国は、次の点に関して、効力を有している主要な立法上、司法上、行政上その他の措置についての関連の最新情報を提供するよう求められる。 (a) 家庭環境、および、子どもの発達しつつある能力に一致したやり方による親の指導(第5条) (b) 両親の共通の責任、両親に対する援助および保育サービスの提供(第18条) (c) 親からの分離(第9条) (d) 家族再統合(第10条) (e) 子どもの扶養料の回復(第27条第4項) (f) 家庭環境を奪われた子ども(第20条) (g) 措置の定期的審査(第25条) (h) (国内および国際)養子縁組(第21条) (i) 不法移送および不返還(第11条) (j) 親が収監された子どもおよび母親とともに刑務所で生活している子どもの保護を確保するための措置 33.このクラスターにおいて、締約国は、乳幼児期における子どもの権利の実施についての委員会の一般的意見7号(2005年)を考慮に入れるとともに、子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)を考慮するよう求められる。 7.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 34.このクラスターにおいて、締約国は、障害のある子どもについて、ならびに、あらゆる種類のサービス、移動手段および制度へのアクセスならびにとくに教育および文化的活動へのアクセスを通じてその尊厳、自立およびコミュニティへの積極的参加を確保するためにとられた措置について、関連の最新情報を提供するよう求められる(第23条)。 35.このクラスターにおいて、締約国は次の点に関して関連の最新情報を提供するよう求められる。 (a) 生存および発達(第6条第2項) (b) 健康および保健サービス(とくにプライマリーヘルスケア)(第24条) (c) もっとも広がっている健康上の課題に対応するための取り組み、子どもの身体的および精神的健康および福祉を促進するための取り組み、ならびに、感染症および非感染性疾患を予防しかつこれに対応するための取り組み (d) 青少年のリプロダクティブヘルスに関わる権利、および、健康的なライフスタイルを促進するための措置 (e) 子どもを有害物質濫用から保護するための措置(第33条) 36.このクラスターにおいて、締約国は次の点に関する情報も提供するよう求められる。 (a) 社会保障ならびに保育サービスおよび保育施設(第26条および第18条第3項) (b) 生活水準について、ならびに、子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達を確保するためならびに貧困および不平等を削減するためにとられた措置(栄養、衣服および住居に関わる物質的援助および支援プログラムを含む)(第27条第1~3項) 37.このクラスターにおいて、締約国は、委員会の一般的意見のうち、HIV/AIDSと子どもの権利についての3号(2003年)、子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達についての4号(2003年)、障害のある子どもの権利についての9号(2006年)および到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(第24条)についての15号(2013年)を考慮に入れるよう求められる。 8.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条) 38.このクラスターにおいて、締約国は、次の点に関連して、子ども(とくに不利な状況および脆弱な状況に置かれた子ども)によるそれぞれの権利の全面的享有を乳幼児期から高等段階ならびに職業教育および職業訓練に至るまで確保するための法律および政策、その実施、質の基準、財源および人的資源ならびにその他の措置に関する、関連の最新情報を提供するよう求められる。 (a) 教育に対する権利(職業上の訓練および指導を含む)(第28条) (b) 教育の目的(第29条)(教育の質にも言及すること (c) 先住民族集団およびマイノリティ集団に属する子どもの文化的権利(第30条) (d) 人権教育および公民教育 (e) 休息、遊び、余暇、レクリエーションならびに文化的活動および芸術的活動(第31条) 39.このクラスターにおいて、締約国は、委員会の一般的意見のうち、教育の目的についての1号(2001年)、乳幼児期における子どもの権利の実施についての7号(2005年)、障害のある子どもの権利についての9号(2006年)ならびに休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利(第31条)についての17号(2013年)を考慮に入れるよう求められる。 9.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38条~40条) 40.このクラスターにおいて、締約国は、次の子どもを保護するためにとられた措置に関する関連情報を提供するよう求められる。 (a) 出身国外にあって難民としての保護を求めている子ども(第22条)、保護者のいない庇護希望者である子ども、国内避難民である子ども、移住者である子どもおよび移住の影響を受けている子ども (b) マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども(第30条) (c) 路上の状況にある子ども (d) 搾取の状況にある子ども(その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置を含む)(i) 児童労働を含む経済的搾取(第32条)(適用される最低年齢に具体的に言及するものとする) (ii) 麻薬および向精神薬の不法な生産および取引における子どもの使用(第33条) (iii) 性的搾取および性的虐待(第34条) (iv) 売買、取引および誘拐(第35条) (v) その他の形態の搾取(第36条) (e) 法に抵触した子ども、犯罪の被害者および証人である子どもならびに少年司法(i) 少年司法の運営(第40条)、別に設けられた特別裁判所の有無および適用される最低刑事責任年齢 (ii) 自由を奪われた子ども、および、子どものいかなる逮捕、拘禁または収監も最後の手段としてかつもっとも短い期間で用いられ、かつ法的その他の援助が速やかに提供されることを確保するための措置(第37条(b)~(d)) (iii) 少年の刑(とくに死刑および終身刑の禁止)(第37条(a))ならびに修復的アプローチに基づく代替的制裁の有無 (iv) 身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条) (v) 条約、両選択議定書(該当する場合)および少年司法分野における他の関連の国際文書(子どもの犯罪被害者及び証人に関わる事項における正義についてのガイドライン(経済社会理事会決議2005/20付属文書)を含む)についての、少年司法制度に関与するすべての専門家(裁判官、検察官、弁護士、法執行官、出入国管理官およびソーシャルワーカーを含む)を対象とする研修活動の発展 (f) 武力紛争下の子ども(第38条)(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を含む) 41.このクラスターにおいて、締約国は、委員会の一般的意見のうち、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての6号(2005年)、少年司法における子どもの権利についての10号(2007年)および先住民族の子どもとその条約上の権利についての11号(2009年)を考慮に入れるよう求められる。 10.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書のフォローアップ 42.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の締約国は、次の点に関する情報を提供するよう求められる。 (a) 選択議定書に基づく委員会の前回の勧告の実施。 (b) 選択議定書の実施に向けてとられた法律上および政策上の措置に関わる重要な進展(第2条および第3条に定義されたすべての行為が締約国の刑法に編入されたか否かおよび当該犯罪についての域外裁判権が行使されたか否かを含む)。 (c) 選択議定書上の犯罪についての法人の責任を確立するためにとられた措置。 (d) 防止措置、および、選択議定書上の犯罪の有害な影響に関する意識の促進。 (e) 選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもの社会的再統合ならびに身体的および心理的回復に対応するためならびにこのような子どもが賠償請求手続にアクセスできることを確保するためにとられた措置。 (f) 選択議定書で禁じられている慣行の被害者および/または証人である子どもを刑事司法手続のあらゆる段階で保護するためにとられた措置。 (g) 選択議定書で対象とされている犯罪の防止、摘発、捜査、訴追および処罰に関わる国際協力を国内機関および関連の地域機関もしくは国際機関ならびに関連の国内的および国際的非政府組織の間で促進するための取り組み。 (h) 選択議定書で対象とされている犯罪の被害者の身体的および心理的回復、社会的再統合ならびに帰還の援助を目的とした国際協力を支援するためにとられた措置、および、国際機関の活動に対する支援。 11.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書のフォローアップ 43.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書の次の点に関する情報を提供するよう求められる。 (a) 選択議定書に基づく委員会の前回の勧告の実施。 (b) 義務的徴募に関する最低年齢。 (c) 自発的入隊に関する最低年齢。 (d) 選択議定書の実施に向けてとられた法律上および政策上の措置に関わる重要な進展、および、これらの犯罪についての裁判権が行使されたか否か(域外的行使を含む)。 (e) 子どもが敵対行為に直接参加したか否か。 (f) 徴募されまたは敵対行為において使用された子どもの身体的および心理的回復に対応するために、とくに技術的協力および資金的援助を通じてとられた措置。 (g) 武力紛争の影響を受けた子どもを特定する目的で庇護希望者および移住者である子どものスクリーニングが実施されているか否か、ならびに、そのように特定された子どもに対して身体的および心理的回復のための十分な援助が提供されているか否か。 (h) 子どもが、徴募されまたは敵対行為において使用された際に行なった戦争犯罪について罪を問われたか否か。 → CRC 定期報告書ガイドライン(第3版)統計編 更新履歴:ページ作成(2015年4月25日)。/冒頭に追記を掲載(2024年8月9日)。
https://w.atwiki.jp/happy4/pages/25.html
子どもにサッカー教えているけれど 調子がいいときと悪いときの差が激しい すっごく調子がいいと思っていると 急に不調になってたり、厳しく言えば泣く 厳しく言わなきゃそれでよし!と思う 本当に難しい どうしたら自分というのもを出せて 毎回頑張れるのだろうか? 泣きながらやっている子を見ていると 心が張り裂けそうだし、胸が痛くなる とりあえず泣かずに頑張ってくれー! キミは未来のなでしこだぞー!! 今度姪っ子が結婚するらしいんだけど ブライダルエステ しようか悩んでるみたい お金かかるもんねー 意外としっかりものだから ちゃんと考えてるんだろうな プロアクティブとか使ってにきびで 悩んでた時代が懐かしいな(*^^*) あのときはろくに口もきいてもらえなかったw ちょっぴり寂しい思いをあるけど 幸せになって欲しい(≧∇≦) 一時は結婚なんて出来ないだろうと 思っていたけれど、ほんと落ち着いてよかったぁ~ 結婚式何着ていこうかな? いくら包むか悩むな~ たくさん包んであげたいけど、ちと厳しい>< 大体5万なのかな?(´・ω・`) でもほんと楽しみだな♪ 絶対に泣いちゃいそうだウッ(´;ω;`) ブワッ
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/223.html
競争主義的教育等に関する国連・子どもの権利委員会の勧告 関連:日本に対する国連・子どもの権利委員会の勧告(教育一般関連) 韓国 第1回(1996年) 16.委員会は、教育制度において、条約第29条に反映されている教育の目的が充分考慮されていないことを懸念する。教育制度が高度に競争主義的な性格を有していることは、子どもの能力および才能を最大限可能なまで発達させること、および、子どもが自由な社会において責任ある生活を送れるようにすることを阻害する危険がある。 29.委員会は、同国に対し、条約第29条に掲げられた教育の目的を全面的に反映させることを目的として、教育政策を再検討するよう奨励する。 第2回(2003年) 52.……最後に、委員会は、教育制度の高度に競争主義的な性質によって、子どもが最大限可能なまで発達することが阻害されるおそれがあるという懸念をあらためて繰り返す。 53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 学校に提供される物質的資源を増加させ、かつ授業の質を向上させることにより、私立学校に比べて低い公立学校の質を高めること。 (b) 初等前教育および中等教育の費用負担を軽減しかつ撤廃するための、期限を定めた戦略を策定すること。 (c) 女子の就学を促進し、かつ根強く残るジェンダーの固定観念に対応することにより、すべての者が能力に基づいて高等教育にアクセスできることを確保するための効果的措置をとること。 (d) 競争を軽減し、かつ条約第29条第1項ならびに教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた教育の目的を反映させるため、教育政策を見直すこと。 第3回・第4回(2011年) 62.生徒のストレスを軽減するために締約国が行なっている努力、および、子どもが遊び、かつレクリエーション活動および文化的活動を行なえることを確保するためのプログラムの採用にも関わらず、委員会は、締約国の教育制度において、深刻なほど競争的な状況がいまなお蔓延していることを懸念する。委員会はまた、課外で行なわれる民間の追加的指導を子どもが広く受けている結果、子どもが深刻かつ不相応なストレスを受けており、かつその身体的および精神的健康に悪影響が生じていることも懸念するものである。さらに委員会は、このような民間の指導の金銭的負担のためにすでに存在する社会経済的非対称性が悪化していること、および、これによって余暇および文化的活動に対する子どもの権利の十分な充足が阻害されていることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、とくに外国系の子どもに対するいじめの深刻さおよび頻度が増しており、かつ、そのようないじめの実行に携帯電話およびインターネットが利用されていることも懸念するものである。 63.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 第29条、および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)を正当に考慮しながら、現行教育制度および関連の試験についての評価を行なうこと。 (b) 民間の課外教育に対する幅広い依存の根本的原因およびその結果として生ずる高等教育へのアクセスの不平等に対応する目的で、公教育制度を強化するための努力を倍加すること。 (c) 条約第31条にしたがい、十分な余暇、文化的活動およびレクリエーション活動を享受する子どもの権利を確保すること。 (d) 学校へのアクセスの平等の達成に関わる具体的成果についての情報を体系的に収集し、かつ締約国の次回定期報告書に当該情報を記載すること。 (e) 外国系の子どもにとくに注意を払いながら、いじめと闘うためにとられる措置を強化するとともに、いじめを削減するための取り組みへの子どもの参加を確保すること。このような措置においては、教室または校庭の外で行なわれる新たな形態のいじめおよびいやがらせ(携帯電話によるものおよびバーチャルな会合場所におけるものを含む)への対応も行なわれるべきである。 香港 第1回(1996年、英領) 31.委員会は、学校におけるプレッシャーと思春期の子どもの健康問題との関連の可能性を、報告に関する議論の中でこれらの問題に関して表明された懸念を踏まえて調査するよう提案する。委員会はまた、若者の自殺の理由および子どもの自殺を防止するための事業の効果もさらなる研究に値するのではないかとも提案する。 32.委員会は、子どもの権利に関する条約についての教育も含めた人権教育を、すべての学校のコア・カリキュラム課目として導入するよう勧告する。委員会は、そのためには学校の時間割においてこの課目に充分な時間を割り当てる必要があることに、留意する。委員会はまた、子どもに生活の手段を備えさせ、かつ子どもの意思決定および人権の視点に立った分析的思考能力を奨励する上でこのような取組みがどの程度効果的だったかを判断するため、人権に関する意識啓発および人権教育についての評価を将来行なうようにも提案したい。委員会はまた、条約第12条の精神を踏まえ、懲戒措置およびカリキュラムの発展に関する議論への参加も含めて、学校における子どもの参加により高い優先順位を与えるよう勧告したい。条約第31条がより全面的に実施されるようにするための方法および手段についても、さらなる研究の価値があるように思える。 第2回(2005年、中国特別自治区) 76.香港SARについて、委員会は、中等学校における中退率、学校制度の競争的性質および学校におけるいじめについて懸念を覚える。…… 78.委員会は、締約国が、香港SARにおいて以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 中等教育における中退率に対処するためのプログラムを発展させること。 (b) 生徒自身の参加も得ながら、学校における暴力に対処するための現行プログラムをさらに強化すること。 (c) 教育制度の競争性の低減に努め、かつ主体的学習能力ならびに遊びおよび余暇に対する子どもの権利を促進するような方法で、教育の質を高めること。 第3回・第4回(2013年、中国 77.中国領香港について、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 学校におけるいじめおよび学校制度の競争的な性質により、子どもの間で不安または抑うつが生じており、かつ遊びおよび休息に対する子どもの権利が侵害されていること。((b)(c)略) 78.委員会は、中国領香港が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 学校におけるいじめに生徒自身の参加も得ながら対処するための措置、および、教育制度の競争性を低減させ、かつ主体的な学習能力の促進ならびに遊びおよび余暇に対する子どもの権利の促進を図るための措置(教員の研修、学校におけるソーシャルワーカーおよび心理学者の増員ならびに親および保護者の感受性強化等の手段によるものを含む)をとること。((b)~(d)略) シンガポール 第1回(2003年) 42.……委員会はまた、教育制度の高度に競争主義的な性質によって子どもが最大限可能なまで発達することが阻害されるおそれがあることも、懸念する。最後に、委員会は、学童保育所が提供するサービスの質の監視について懸念を覚えるものである。 43.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 義務教育法の適用を拡大し、締約国内のすべての子ども(定住者以外の者も含む)を対象に含めるとともに、すべての子どもの通学を確保するため同法の実施を監視すること。 (b) 締約国のすべての子どもが無償の初等教育にアクセスできることを確保し、かつ、低所得層の家族が就学前教育にアクセスできることを確保すること。 (c) 学校関連のストレスおよび学校制度の競争主義を軽減するための効果的措置をとるとともに、学校における文化的生活および芸術ならびに遊びおよびレクリエーション活動を促進すること等も通じ、子どもの人格、才能および能力が最大限可能なまで発達することを促進するための努力を強化すること。 (d) 学童保育所および始業前および放課後にケアを提供するその他の機関の質が包括的に監視されることを確保するための措置をとること。 (e) カリキュラムの一環として人権教育を含めること。 第2回・第3回(2011年) 58.委員会は、締約国の学校制度によって達成されている、学業面における高度な優秀性を認識しかつ称賛する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 前回の総括所見の勧告(パラ43)にも関わらず、締約国の管轄内にあるすべての子ども(とくに市民でない者)が義務教育法の対象とされ、かつ無償の初等学校にアクセスできているわけではないこと。 (b) 教育制度の高度に競争主義的な性質によって過度なストレスが生じ、かつ子どもが最大限可能なまで発達することが阻害される可能性があること。 (c) マイノリティ、とくにマレー系の生徒が教育指標面で立ち遅れていること。 (d) 学校カリキュラムに人権教育を含めるために十分な努力が行なわれてこなかったこと。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 義務教育法の適用を拡大し、締約国の管轄内にあるすべての子ども(市民でない者も含む)を対象に含めるとともに、この目的のため、条約第28条に付した留保を見直すこと。 (b) すべての子どもが無償の初等教育にアクセスできることを確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 学校関連のストレスおよび学校制度の高度な競争主義を軽減するために学校制度を見直すとともに、学校における文化的生活および芸術ならびに遊びおよびレクリエーション活動を促進すること等も通じ、子どもの人格、才能および能力が最大限可能なまで発達することを促進するための努力をさらに強化すること。 (d) たとえば、すでに存在する遅れを取り戻すための特別かつ一時的な積極的差別是正措置プログラムを通じ、学業面での発達についてマイノリティ(とくにマレー系)の生徒を支援するための努力を強化しかつ加速すること。 (e) 教育の目的に関する一般的意見1号(2001年)を考慮しながら、あらゆる教育段階の公式カリキュラムに人権教育を含めるための努力を強化し、かつ子どもの教育における人権の促進について教員の研修を行なうこと。 タイ 第2回(2006年) 64.委員会は、部分的には教授法の質が貧弱であることおよび資格のある教員が足りないことにより、教育の全般的質が低いことを懸念する。委員会は、とくに子どもがより高い学習段階に進むにつれて高まる、教育制度の高度に競争主義的な性質によって、子どもにさらなる負担が課されており、かつ子どもが可能な最大限度まで発達することが損なわれている可能性があることに、懸念とともに留意するものである。これとの関連で、委員会は、一部の子どもが放課後に塾に通っていることにより、休息、余暇、遊び、文化的活動およびレクリエーション活動の可能性が制限されており、かつ追加的費用が生じていることに、留意する。さらに、委員会は、多くの学校でスポーツおよびレクリエーションの機会が不十分であることに留意するものである。委員会はまた、人権および子どもの権利に関する教育学習活動が教員の裁量に委ねられており、すべての学校で義務的とされていないことも懸念する。 65.委員会は、締約国が、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(CRC/GC/2001/1)を考慮に入れながら、以下の目的のためにあらゆる措置をとるよう勧告する。 (a) 教員養成および資格のある教員(とくに女性ならびにマイノリティおよび先住民族集団の出身者)の採用拡大等も通じ、教育の質を向上させるための努力をさらに強化すること。 (b) 教育制度の競争性の緩和に努め、かつ主体的学習能力を促進するような方法で教育の質を増進させるとともに、学校における文化的生活、芸術、遊びおよびレクリエーション活動の促進等も通じ、子どもの人格、才能および能力を可能な最大限度まで発達させることを促進するための努力を強化すること。 (c) カリキュラムの一部としてスポーツおよびレクリエーション活動を提供すること。 (d) 子どもの権利に関する教育も含む人権教育の授業が、あらゆる教育段階の、公立および私立双方の学校で義務的とされることを確保すること。 ウクライナ 第3回・第4回(2011年) 68.第9学年段階で人権教育が義務的とされていることには積極的対応として留意しながらも、委員会は、人権の尊重および促進ならびに異文化間の理解および寛容が締約国における教育の基本的原則としてとくに挙げられていないことを懸念する。委員会はさらに、学習上の困難、学校倦怠感、同じ学校の生徒との関係における心理的不安感および教員から拒絶されているという感覚を有する子どもが多数にのぼることにかんがみ、現行の教育制度が子どもの学習スキル、自尊感情および自信を十分に発達させていないことを懸念するものである。 69.委員会は、締約国に対し、人権教育のための世界プログラムで勧告されているように人権教育に関する国家的行動計画を策定するよう、促す。これとの関連で、委員会は、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国がユネスコ、ユニセフおよびOHCHRの援助を求めるよう勧告する。 シリア 第2回(2003年) 46.委員会は、基礎教育の質向上を目的とした「グローバル教育イニシアティブ」が採択されたこと、および、カリキュラム改革に向けて若干の努力が行なわれてきたことに留意する。にもかかわらず、委員会は、報告書で提示された教育の目的には条約第29条に掲げられた目的が十分に反映されていないこと、および、とくに以下のことを依然として懸念するものである。 (a) 公教育制度が、分析的スキルの発達よりも暗記学習を引き続き重視しており、かつ子ども中心のものとはなっていないこと。 (b) 人権、寛容ならびに両性間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等を発展させることおよびこれらを尊重することが明示的にカリキュラムの一部とされていないこと。 47.委員会は、締約国が、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮しながら、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 批判的思考および問題解決スキルの発達の重要性を強調する、カリキュラムおよび教授法の改革プロセスを――子どもの全面的参加を得ながら――進めること。 (b) 教育において、子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまで発達させることが指向されるようにすること。 (c) とくに人権、寛容ならびに両性間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等を発展させることおよびこれらを尊重することとの関連で、学校カリキュラムに人権教育(子どもの権利を含む)を含めること。これとの関連で宗教的指導者の動員が図られなければならない。 (d) とくにユニセフおよびユネスコの援助を求めること。 更新履歴:ページ作成(2012年12月4日)。/香港の第3回・第4回を追加(2014年9月10日)。
https://w.atwiki.jp/kodomoteate/pages/56.html
子ども手当について質問! 厚生労働省の答えがコレです。 問:日本に住民票があれば、国外の外国籍の子供にも支給されるのか? 答:支給される。 問:母国に100人の養子を持つ人物に支給する年額は幾らか? 答:22年度は1560万円。23年度以降は3120万円。 問:1000人の孤児と養子縁組をしている孤児院経営者が、 日本に住所を持った場合は 彼等全員に子供手当が支給されるのか? 答:法的には年間1億5600万円、23年度以降は3億1200万円、支給される。 問:該当する在外子弟が激増した場合、如何なる対処をするのか? 答:現状では考えていない。 問:如何なる「歯止め」も無いのか? 答:法的には無い。 ただし施設の場合の例外等、運用面での検討、 及び実態調査の厳格化などが考えられる。 問:家族関係の証明は? 答:市町村レベルで行う「養育の実態調査」による。 →実態調査は市町村に丸投げ 問:国家の経済が破綻しても、なおこれを行うのか? 答:今後の検討課題。23年度の本格実施時に詳細を決定する。 ちなみに、両親が海外で働く家庭の子どもには、子ども手当は支給されません。 また、子ども手当は「扶養控除廃止」を前提としていることを忘れないで下さい。 つまり、今後増税されることは確実です。 果たして、現状のこの法案は子供達にとってプラスになるでしょうか? この手当が「日本の少子化対策」になると思いますか? マスコミは増税のことは言いません。ですから世の母親達も増税に気づかないと思います。子供達に大きなツケを残す愚法案は母親として反対です。 -- (おかーさん) 2010-03-26 00 48 15 上記には書いてないが、 -- (ぱぴょーきん) 2010-03-29 21 36 32 上記には書いてないが、一番必要だと思われる日本の孤児院の子供に子供手当が入らない。完全に国民保護の目的からかい離している。 -- (ぱぴょーきん) 2010-03-29 21 39 39 日本人を増やしたいのか、日本在住の外国人を増やしたいのか分からない。機能しても増税で少子化対策になるとは思えない。 -- (名無しさん) 2010-03-29 22 15 16 与党である4年の内に日本を潰して中国に吸収させるのが目的の政党でしょう。投票した人が責任を取っ手欲しい。 -- (名無しさん) 2010-03-31 04 21 03 これは子供手当てという名目の国賊行為!必死の思いで働いた大切なお金を奪い、それを税金を納めない、貢献する余地の無い連中に与えてどうする?賛成した奴は死ね! -- (山田太郎) 2010-03-31 04 49 01 外国人の子供への支給は、お金のばら撒きにもなるし、そのお金で日本のライバルを育成することになる。結果として子供たちには借金と弱くなった日本が残る。 -- (千葉のポメおじさん) 2010-04-02 22 16 02 周知しろ周知 -- (名無しさん) 2010-04-02 23 29 15 民主党のサイト行くと、「国民の生活が第一です」とか書いてあるんだよな。意味分からん。氏ね、とも言いたくなるよ… -- (名無しさん) 2010-04-03 00 53 50 民主党は「(中国)国民の生活が第一です。」です。もう以前から分かっている事・・・。 -- (名無しさん) 2010-04-03 01 00 39 頼む、怒んないから、ね?もう一度子ども手当てについて考え直して? -- (日本国民) 2010-04-03 03 56 38 これ、税金だろ?で、政治家の公金横領は止まらないし、責任取らないくせに。なんでてめえらをもちあげてやらないといけないわけ? -- (名無しさん) 2010-04-03 07 13 41 マジでどうにかして欲しい、「働いたら負け」なんて言いたくない -- (名無し) 2010-04-03 09 29 03 さすが、脱税してる総理に汚職幹事長の政党はやることが段違いですね。 -- (名無しさん) 2010-04-03 19 19 17 もう嫌じゃ。中国の日本省になるの?参議院選挙までに国民(ジジババ)が目を覚ます事を祈る! -- (名無しさん) 2010-04-03 22 24 20 本当働いて納税するのが馬鹿らしくなる -- (名無しさん) 2010-04-04 01 17 32 今年高校卒業の子供を持つ親御さんあたりはもっと声をあげていいのでは。その子が就職浪人したら扶養控除がないかがガッツリ税金ですよ? -- (名無しさん) 2010-04-04 04 06 10 ↑すんません、大学進学前提でした。22歳までは控除されるんですよね。4年後就職活動、どうなってるんでしょうね。 -- (名無しさん) 2010-04-04 04 07 54 政府は22年で5兆と見込んでいるが、22年の外国人登録が200万人で半数の100万人が5人の子ありと申請した場合500万人で1.5兆円。来年度以降は3兆円。しかし4人分で60万以上。国立大学の授業料分ですね。私立だと前期分かな。 -- (名無しさん) 2010-04-04 09 01 02 ↑訂正です外国人登録数は22年ではなく20年です すみません。 -- (名無しさん) 2010-04-04 09 01 56 政府の5兆円は日本人と外国人の分の総額のようです。総務省統計局16年データ 我が国のこどもの数15歳未満は1781万人 http //www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topics08.htm -- (名無しさん) 2010-04-04 09 09 09 我が国のこどもの数↑16年のデータ 20年は15歳未満人口)は1725万人、27年連続の減少http //www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi290.htm -- (名無しさん) 2010-04-04 09 35 59 真面目に働いている日本人が苦しむのは間違ってる。絶対このまま通すなんて許したくない。 -- (名無しさん) 2010-04-04 21 38 34 今の子どもが大きくなった頃には日本は借金まみれですか。これでは少子化対策どころか、恐ろしくて子ども産む気にもなれませんね。 -- (名無しさん) 2010-04-05 14 50 39 こうなって欲しいとかじゃなくて、実際行動も起こそうぜ。こうなった責任は国民にもある。 -- (名無しさん) 2010-04-05 20 17 39 麻生のバラ撒きより酷い政策だ -- (名無しさん) 2010-04-05 21 13 29 こども手当支給の変わりに、いままでの児童手当が無くなる家庭があります。実質手当がマイナス5000円になってしまう。そのような事実があることも公にされていませんね。 -- (中禅寺) 2010-04-06 00 29 21 すみません質問です。今外国人への支給が問題になっているのですが、前の児童手当では外国人に対しての制限はあったのですか。 -- (名無しさん) 2010-04-06 23 53 24 麻生総理が行ったのは給付金だ!乞食手当ではない! -- (名無しさん) 2010-04-07 12 57 24 前の児童手当では外国人に対しての制限はあったのですか -- (名無しさん) 2010-04-08 18 19 08 ↑の答えですが、制限は無かったと考えられます。これは各自治体に確認しないとはっきりわかりませんが1981(昭和56)年に「難民の地位に関する条約等の加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律」が成立し、 なぜか難民だけでなく外国人すべてが対象になってしまったようです。この解釈については今のところ本スレでも答えが出て無いようです。 -- (名無しさん) 2010-04-09 14 52 59 児童手当で調べてみてください。児童手当は支給額が違います。また、所得制限もあります。そのためにこれまで悪用されなかった、表ざたになることはなかったと考えられます。 -- (名無しさん) 2010-04-09 15 15 36 子ども手当一問一答より。 Q 子ども手当は在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されるのですか。 児童手当では、過去30年間にわたり、日本人の海外に居住する子どもと同様、在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されておりました。 平成22年度の子ども手当においては、その支給要件を踏襲しましたが、その確認の厳格化を図りました。また、平成23年度以降の子ども手当については、子どもにも日本国内居住要件を課すことを検討します。児童手当制度においては、1981年の「難民の地位に関する条約」の加入に当たり、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の趣旨も踏まえ、他の国内関係法と同様、国籍要件を撤廃しました。それ以来、国籍にかかわらず、親等が日本国内に居住している場合には、その子について監護が行われ、かつ、生計を同じくしているという支給要件に該当するときは、その子が国外に居住していても、支給対象となっています。 平成22年度の子ども手当については、このように1981年以来約30年間にわたり実施してきた児童手当の支給事務の仕組みを踏襲して実施することとしていますが、子どもが国外に居住する場合については、支給要件の確認の厳格化など、地方公共団体と連携を図り、以下のような運用面での強化を図っています。少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。 親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていること。 来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。 これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。 日本国内に居住している翻訳者による日本語の翻訳書の添付を求め、その者の署名、押印及び連絡先の記載を求めること。 なお、国外に居住している子どもに手当が支給されることについては、平成23年度に向けた制度の検討の中で、支給対象となる子どもに日本国内居住要件を課すことを検討します。 因みに、細かい条件を設けずに無条件で支給するのはやっぱり日本だけなの? Q 諸外国の子ども手当においては、その国に居住する外国人の子どもが海外に居住する場合の取扱いはどうなっていますか。 A 例えば、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンについては、親がEEA諸国(欧州経済領域(欧州30カ国))出身者であって、子どもがEEA諸国に居住しているときは、手当が支給されます。加えて、国外での滞在が一時的である場合など、子どもが国外に居住しているときも支給される場合があります。なお、日本人が外国に居住する際には、当該国が定める要件に該当する場合には、手当が支給されます。 -- (名無しさん) 2010-05-30 19 15 12 「在日特権を許さない市民の会」はこの問題にぜひがんばって取り組んで欲しい。 -- (774) 2010-06-17 09 38 46 ねえ、これは子供手当の反対なの?それとも単なる外人嫌い?外国籍児童はあくまでも1%を切る微量ですよ、仮に彼らの支給が停止したとしても、大した差額は出ませんよ。 -- (名無し) 2011-01-11 01 19 38 申し訳ないけど、嘆願書には協力できません。>外国人への支給金額の問題 ~海外への「私たちの」税金の流出 あのねー、日本で居住、労働すれば外国人も納税してるんですけど?基本的なこと勉強してから意見してください。納税もせず、税金搾取する生活保護母子家庭に手当上げる方がよほど不当だわ。 -- (名無し) 2011-01-11 01 23 14 「日本人の税金が外国籍の子のために使われる」とか誤解を生じる表現はやめてね。だからー、外国人も納税してるの!!! -- (名無し) 2011-01-11 01 36 18 日系人の悲惨な状態見てみな?「外国籍には上げるな」なんてよくそんなこと言えるな。嘆願書?誰がそんなもの書くか! -- (名無し) 2011-01-11 03 37 15 私は養護施設で9年8ヶ月過ごしました。小遣いは夏祭りに1000円正月に1500円でした。小学生時はその半額です。学校帰りにジュースを買う友達が羨ましく、人気だった60円のコロッケすら買ったことはありませんでした。僕たちは無知でした。紛れもない日本人ですが、親の急死、実家の火事等が原因で施設生活を余儀なくされました。当時私は5歳でした。風呂は週2回、TVは日1時間。これが日本人として生まれ、今なお私のいた施設で暮らす子供達の現状です。さて、日本国民の方に質問です『子ども手当て』とは何ぞや? -- (2072年) 2012-08-17 17 22 01 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/283.html
総括所見:ニュージーランド(OPSC・2016年) 第1回(1997年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)/第5回(2016年)OPAC(2003年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/NZL/CO/1(2016年10月25日)/第73会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2016年9月16日に開かれた第2140回会合(CRC/C/SR.2140参照)においてニュージーランドの第1回報告書(CRC/C/OPSC/NZL/1)を検討し、2016年9月30日に開かれた第2160回会合(CRC/C/SR.2160参照)において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/NZL/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつ多部門から構成された締約国代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第5回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/NZL/CO/5、2016年9月30日採択)および武力紛争への子どもの関与に関する締約国の第1回報告書に関する総括所見(CRC/C/OPAC/CO/2003/NZL、2003年10月3日採択)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野で締約国がとった、以下の法律の採択を含むさまざまな措置を歓迎する。 (a) 国内人身取引および勧誘の諸側面の犯罪化を目的とした2015年の犯罪改正法、ならびに、性的搾取、身体部位の摘出および強制労働での使役のための子どもの取引の犯罪化を目的とした2005年の同改正法。 (b) 子どもの労働力全体で一貫した安全確認を行なうために何をするべきかを明確に定めた、被害を受けやすい立場に置かれた子ども法(2014年)。 (c) 被害者の権利改正法、保護観察改正法および量刑改正法(いずれも2014年)ならびに子ども、若者およびその家族改正法(2016年)。 (d) 1955年養子縁組法に第27条(A)~(D)を挿入し、かつ、子どもの養子縁組に関する同意を不適切なやり方で引き出すことを犯罪とした、養子縁組改正法(2011年)。 5.委員会はさらに、「子ども行動計画」が2012年に採択されたことを歓迎する。これは、『被害を受けやすい状況に置かれた子ども白書』に対応し、かつ、保健部門、教育部門および社会サービス部門の専門家を一堂に会させて、被害を受けやすい状況に置かれた子どもを特定し、支援しかつ保護するための単一の対応計画を策定する「子どもチーム」を地方に設置するものである。 III.データ データ収集 6.委員会は、「被害を受けやすい状況に置かれた子どものための公的サービス改善に向けた承認情報共有協定」および「被害を受けやすい状況に置かれた子ども情報システム」の確立を通じ、虐待またはネグレクトを受けるおそれがある子どもの特定を向上させるためにデータ収集を改善しようとして締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書で対象とされている分野(とくに子どもの売買および児童買春)に関する細分化されたデータを収集する包括的システムが存在しないため、選択議定書上のこれらの犯罪の監視および評価を行なう締約国の能力が限定されていることに、懸念を表明するものである。委員会はさらに、適正な捜査が行なわれた事件数、および、訴追され、かつ犯罪の重大性に相応する制裁を科された加害者の人数に関する情報がないことを懸念する。 7.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とするすべての分野(子どもの売買および児童買春を含む)についてデータ収集、分析、監視および影響評価を行なう包括的な、調整のとれた、かつ効果的な機構を発展させかつ実施するための努力を引き続き行なうよう、勧告する。データは、選択議定書上の犯罪の被害を受けるおそれがある子どもに特段の注意を払いながら、とくに性別、年齢、国民的および民族的出身、地域ならびに社会経済的地位別に細分化されるべきである。犯罪の性質によって細分化された、訴追件数および制裁件数についてのデータ収集も求められる。 IV.一般的実施措置 立法 8.委員会は、性的搾取、身体部位の摘出および強制労働での使役のための子どもの取引を禁じる犯罪改正法(2005年)、映画、ビデオおよび出版物等級審査改正法(2005年)および買売春改正法(2003年)の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、国内法が、選択議定書で対象とされているすべての犯罪を全面的に編入しているわけではなく、かつ、とくに定義および用語法との関連で第2条および第3条との調和が図られていないことを懸念するものである。 9.委員会は、締約国に対し、国内法を選択議定書に調和させるための努力を継続するよう促す。とくに委員会は、締約国が、選択議定書第2条および第3条に基づく義務にしたがい、子どもの売買、児童買春および児童ポルノのあらゆる事案(これらのいずれかの行為の未遂および共犯を含む)を定義しかつ禁止するよう勧告するものである。 包括的な政策および戦略 10.委員会は、「子ども行動計画」、「人身取引防止のための国家行動計画」および「子どもの商業的性的搾取に対する国家行動計画」の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書で対象とされているすべての問題を包摂した、子どもに関する包括的な政策および行動計画が依然として採択されていないことを懸念するものである。 11.条約に基づく総括所見(CRC/C/NZL/CO/5、パラ7)を参照しながら、委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされているすべての問題に対応する包括的政策およびそれに対応する国家的行動計画を採択するとともに、その実施のために十分な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう勧告する。その際、締約国は、1996年、2001年および2008年にそれぞれストックホルム、横浜(日本)およびリオデジャネイロ(ブラジル)で開催された第1回、第2回および第3回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントを考慮に入れながら、選択議定書のすべての規定の実施に注意を払うべきである。 委員会はまた、締約国に対し、このような政策および戦略の定期的評価が実施されることも確保するよう奨励する。 調整および評価 12.委員会は、条約およびその選択議定書の実施に関する調整機構として社会部門関連次官級委員会が設置されたこと、および、同委員会が子どもの権利条約モニタリンググループと連携していることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、同委員会の人的資源、技術的資源および財源、ならびに、選択議定書の実施に関連するすべての活動を調整する同委員会の権限に関する情報が不十分であることを懸念するものである。 13.条約に基づく総括所見(CRC/C/NZL/CO/5、パラ8)を参照しながら、委員会は、締約国が、社会部門関連次官級委員会に対し、その効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源、ならびに、さまざまな部門を横断して、かつ国、地方および地域のレベルで条約およびその選択議定書の実施に関連する活動を調整するための十分な権限が与えられることを確保するよう、勧告する。 監視 14.委員会は、国家人権委員会が、選択議定書に関連する人権侵害(とくに子どもの性的搾取)に対応する明示的権限を有していないこと、および、子どもコミッショナーが意識啓発および促進を行なうべきとされているのは条約だけであって選択議定書は対象とされていないことを懸念する。 15.委員会は、締約国が、子どもコミッショナーに対して選択議定書の実施を促進しかつ監視する明示的な任務が与えられ、かつそのための十分な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するよう勧告する。締約国はまた、国家人権委員会が、選択議定書で対象とされている犯罪について子どもから申し立てられた苦情を受理し、調査しかつこれに対処できることも確保するべきである。 普及および意識啓発 16.委員会は、人身取引ならびに子どもの性的虐待および性暴力に関する知識および意識を高めるために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/NZL/Q/5/Add.1、パラ12)のなかで認めているように、選択議定書に関する意識を高めるためのプログラムを実施しておらず、そのために一般公衆、子ども、その家族およびコミュニティならびに子どもとともにおよび(または)子どものために働く専門家集団の間における、選択議定書に関する理解および意識の水準の低さが助長されていることを懸念するものである。 17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 関連の政府機関、市民社会組織、メディア、民間セクター、コミュニティおよび子どもたちと緊密に協力しながら、選択議定書で対象とされているすべての問題およびそのような慣行への対策として国内法で定められている保護措置に関する意識啓発プログラムを発展させること。 (b) 選択議定書の規定を、子ども(子どもにやさしい方法による)、その家族およびコミュニティを含む公衆一般ならびに子どもとともにおよび(または)子どものために働く専門家集団に対して体系的に周知すること。 研修 18.委員会は、現場スタッフ、難民、保護、保健および安全に関わる問題の担当官ならびに労働査察官を対象として、人身取引被害者の発見および調査実務に関して実施されている、また被害を受けた子どもとともに働く司法職員を対象として実施されているさまざまな研修プログラムに、肯定的対応として留意するものである。しかしながら委員会は、子どもとともにおよび(または)子どものために働く専門家(とくに裁判官、検察官、法執行官、教育専門家および保健専門家ならびにソーシャルワーカー)を対象として十な研修を実施する努力が体系的ではなく、かつ、選択議定書で対象とされているすべての分野が含まれているわけではないことを懸念するものである。 19.委員会は、締約国が、研修活動を拡大しかつ強化するとともに、このような活動が体系的かつ学際的であること、選択議定書で対象とされているすべての分野を含んでいることならびに子どもとともにおよび子どものために働くすべての関連の専門家(とくにあらゆるレベルの裁判官、検察官、ソーシャルワーカー、法執行官および出入国管理官)を対象として実施されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、議定書に関して実施されるすべての研修プログラムに関して、その効果および妥当性を増進させる目的で体系的評価が行なわれることを確保するようにも勧告するものである。 資源配分 20.委員会は、締約国が、選択議定書の実施のためにとくに配分される予算についての十分な情報を提供していないことを懸念する。 21.委員会は、締約国が、国、地方および地域のレベルにおける選択議定書の効果的実施のために十分なかつ対象を明確化した資源を配分するよう勧告する。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条(1)および(2)) 議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 22.委員会は、「子ども行動計画」において、被害を受けやすい状況に置かれた子どもに影響を与える諸要因の累積効果が取り上げられていることに、評価の意とともに留意する。委員会は、選択議定書で対象とされている犯罪の被害者となるおそれがある、被害を受けやすい状況に置かれた集団の子ども(とくに、ドメスティックバイオレンスの被害者である子ども、適切な監督を受けない状態でインターネットを利用している子ども、子どもの難民および庇護希望者ならびに非正規な移民状況にある子ども)の特定およびモニタリングに焦点を当てた、教育および意識啓発のための措置およびプログラムを歓迎するものである。しかしながら委員会は、選択議定書上の特定の犯罪に関する防止措置が依然として不十分であることを遺憾に思う。さらに委員会は、選択議定書上の犯罪の根底にある根本的原因(貧困など)への対応が十分でないことを懸念するものである。 23.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) リスクのある状況に置かれた子どもを特定し、かつ問題の規模を評価する目的で、子どもの性的搾取(とくに児童買春および児童ポルノ)の性質および根本的原因に関する調査研究を実施すること。 (b) 対象を明確化した防止措置(とくにインターネット上の搾取に対するもの)を実施するとともに、選択議定書で対象とされているすべての分野における意識啓発キャンペーンの実施に関して国際的な政府間機関および非政府組織と協力すること。 (c) 選択議定書で定義されているあらゆる形態の搾取の防止のために適切な形で財源を配分することなども通じて、社会的および経済的開発プログラムならびに貧困削減戦略の実施にさらに注意を向けること。 児童セックスツーリズム 24.委員会は、子どもの搾取に焦点を当てた東南アジア法執行能力構築プロジェクトにニュージーランド警察が関与していること、および、締約国の国民または外国人在留者が他国で犯した児童セックスツーリズム事件の通知のための機構が設置されたことなど、児童セックスツーリズムを防止するために締約国がとった措置を歓迎する。しかしながら委員会は、効果的な規制の枠組みが存在せず、かつ、国外における児童セックスツーリズムの防止およびこれとの闘いを効果的に進めるためにとられた措置が不十分であることを懸念するものである。 25.委員会は、締約国に対し、児童セックスツーリズムの有害な影響に関する観光業界へのアドボカシーキャンペーンを実施し、旅行代理店および観光業者の間で世界観光機関の世界観光倫理規範を広く普及し、かつ、これらの企業に対し、「旅行・観光業における性的搾取から子どもを保護するための行動規範」への署名を奨励するよう、勧告する。 特定の手段を対象とするプログラム 26.委員会は、選択議定書で対象とされている多くの分野について、インターネット上の安全に焦点を当てながら児童生徒の意識啓発および防止授業を行なうためにニュージーランド警察と事故補償公社が開発したさまざまなプログラムに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、これらのプログラムが、子どもの性的搾取の防止を盛りこんだものにはなっておらず、かつ、しばしば地方レベルで行なわれていてすべての学校で実施されていないことを懸念するものである。 27.委員会は、締約国が、ニュージーランドのすべての学校およびすべての地方を網羅することを目的として、子どもの性的搾取に関する意識啓発およびその防止のためのキャンペーンを実施するよう勧告する。 VI.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条(2)および(3)ならびに第5条~7条) 現行刑事法令 28.犯罪改正法(2015年)において国内人身取引および搾取目的の人身取引が犯罪化されたことには留意しながらも、委員会は、国内法で、選択議定書で対象とされている子どもの売買の文脈で行なわれるすべての行為が明示的に定義されかつ犯罪化されているわけではないことを懸念する。 29.委員会は、締約国が、選択議定書第2条および第3条にしたがい、子どもの売買の文脈で行なわれるすべての犯罪を明示的に定義しかつ犯罪化するよう勧告する。 30.委員会は、権力の濫用もしくは脆弱な立場の悪用または他人を支配下に置く者の同意を得る目的で行なう金銭もしくは利益の授受の手段を用いて行なわれる人身取引への誘導が、いまなお、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(パレルモ議定書)で要求されているとおりに犯罪化されていないことを懸念する。委員会はまた、犯罪改正法(2015年)で、一または複数の威迫行為または欺罔行為が行なわれたことの要件が子どもの人身取引の状況においても例外とされておらず、これらの行為の存在が量刑の決定における加重要因のひとつとして定められているにすぎないことも懸念するものである。 31.委員会は、権力の濫用もしくは脆弱な立場の悪用または他人を支配下に置く者の同意を得る目的で行なう金銭もしくは利益の授受の手段を用いて人身取引に誘導する行為を犯罪化し、かつ、たとえ威迫、欺罔またはその他の権力の濫用が手段として用いられない場合でも子どもの人身取引は犯罪とする目的で犯罪改正法(2015年)を改正する等の手段により、締約国が、パレルモ議定書の遵守を確保するための努力を引き続き行なうよう勧告する。 32.買売春改正法(2003年)で18歳未満の者を買売春のために用いることが禁止されていることには留意しながらも、委員会は、選択議定書第2条(b)にのっとった児童買春の定義が定められていないことを懸念する。委員会はまた、選択議定書第3条第1項(b)に掲げられた行為の一部が買売春改正法(2003年)に適正に反映されておらず、かつ、児童買春の未遂または共犯が明示的に犯罪化されていないことも懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、買売春改正法(2003年)を見直して選択議定書第2条および第3条と全面的に一致させるとともに、選択議定書第3条第2項にのっとり、児童買春の未遂または共犯を明示的に犯罪化するよう勧告する。 34.委員会は、映画、ビデオおよび出版物等級審査改正法(2005年)が、域外裁判権との関係においてしか児童ポルノを定義していないことを懸念する。さらに、児童ポルノの製造、売買または所持の重罰化を目的とした不快な出版物およびわいせつ法案が作成されていることには留意しながらも、委員会は、児童ポルノに関わる行為の未遂または共犯が明示的に犯罪化されていないことを懸念するものである。 35.委員会は、締約国が、映画、ビデオおよび出版物等級審査改正法(2005年)を見直すことにより、児童ポルノの定義の適用範囲を同法全体に適用し、かつ、選択議定書第3条第2項にのっとって児童ポルノに関わる行為の未遂または共犯を明示的に犯罪化するよう勧告する。 36.委員会は、勧誘の諸側面を犯罪化した犯罪改正法(2015年)で、ポルノ的文書にさらされることから保護されるのが16歳未満の子どもだけであることを懸念する。 37.委員会は、締約国が、犯罪改正法(2015年)によって、ポルノ的文書にさらされることから18歳未満のすべての子どもが全面的に保護されることを確保するよう勧告する。 法人の責任 38.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関連した作為または不作為についての法人(企業を含む)の責任を限定された形でしか問えないことに、懸念とともに留意する。とくに委員会は、性犯罪であるかその他の犯罪であるかを問わず、法律上の文言または犯罪の性質により、企業に対して主犯としての責任を負わせることができない場合がありうることを懸念するものである。 39.委員会は、選択議定書第3条第4項に一致する形で、選択議定書に関連するすべての犯罪について企業を含むすべての法人の責任を問えることを確保するため、締約国が法律を改正するよう勧告する。 域外裁判権 40.委員会は、締約国が、被害者がニュージーランド国民である場合には犯罪法第7A条に基づく域外裁判権を有しないことを懸念する。 41.委員会は、締約国が、国内法において、選択議定書で対象とされているすべての犯罪について、そのような犯罪が締約国の市民に対して行なわれた場合であっても域外裁判権を設定しかつ行使できることを確保するために、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 犯罪人引渡し 42.委員会は、犯罪人引渡しについて、双方可罰性要件が満たされており、かつ被請求国および請求国の双方で刑罰が12月以上の収監とされている犯罪であることが条件とされていることに留意する。 43.委員会は、締約国が、選択議定書上の犯罪についての犯罪人引渡しの制限(とくに双方可罰性要件および国内法上の最低刑罰要件)を廃止するとともに、犯罪人引渡し条約が締結されていない場合の犯罪人引渡しの法的根拠として選択議定書を用いることを検討するよう、勧告する。 VII.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条(3)および(4)) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 44.委員会は、子ども、若者およびその家族法(1989年)の2016年改正において、危害、不当な取扱いもしくは虐待を受けておりもしくは深刻な剥奪状況にある子どもおよび若者またはその可能性がある子どもおよび若者のケアおよび保護についての規定が置かれるようになったことに留意する。しかしながら委員会は、刑事手続における被害者の権利および役割の増進ならびに犯罪被害者に対する政府機関の対応の改善を目的とした被害者の権利改正法(2014年)において、選択議定書第8条で要求されている、被害を受けた子どもの特別な保護が定められていないことを懸念するものである。委員会はまた、犯罪が地方裁判所または高等裁判所で処理される場合に、犯罪の被害を受けた子どものための被害者アドバイザーが、裁判所に対して控訴が提起された後にしか任命されないことも懸念する。 45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 被害を受けた子どもの脆弱性を認識し、かつ、その被害者および(または)証人としての特別なニーズに対応する手続を用意すること。 (b) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの早期発見および特定のための機構および手続を確立すること。 (c) 被害を受けた子どもが、申立てを行なった日から被害者支援サービスを利用できることを確保するため、被害者の権利改正法(2014年)を見直すこと。 刑事司法制度における保護措置 46.委員会は、証拠法(2006年)および「子ども保護対応要綱」の採択、若年証人を対象とする法廷教育の提供、ならびに、子どもの被害者および(または)証人とともに働く者を対象とした司法省による指針の作成をはじめ、刑事手続全体を通じて子どもの被害者および(または)証人の法的保護および秘密保持を保障するために締約国がとった措置に、肯定的対応として留意する。にもかかわらず、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 検察官が、いまなお、子どもの被害者の証言方法について裁判所に指示を求めることを要求されていること。 (b) 子どもの被害者および(または)証人とともに働く者が現行の法律および手続を遵守することを確保するための、監視および説明責任の確保を目的とした適切な機構が設けられていないこと。 47.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 犯罪の被害を受けたまたは犯罪の証人であるすべての子どもに対して選択議定書で要求されている保護が提供されることを、十分な法律上の規定および規則を通じて確保すること。 (b) 子どもの被害者および(または)証人が、閉鎖回路テレビまたは事情聴取中の証言のビデオ録画などの代替的方法を通じて証言でき、かつ、反証がなければ証言を真実とみなすという法律上の推定に基づいて証言を行なう際に支援者にアクセスできるようにするため、証拠改正法案を速やかに成立させること。 (c) 法的手続を進める際の子どもの安全確保および専門的支援の提供の要件が適正に満たされることを保障するため、「子ども保護対応要綱」の効果的実施を確保すること。 (d) 裁判官、検察官、警察、ソーシャルワーカー、医療スタッフならびに子どもの被害者および証人とともに働くその他の専門家が、刑事手続および司法手続のすべての段階における子どもにやさしい接し方に関する研修を受けることを確保すること。締約国は、この点に関して、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針(経済社会理事会決議2005/20付属文書)を指針とするべきである。 (e) 子どもの被害者および(または)証人が、刑事手続における自己の権利および役割ならびに当該手続の時期および進捗について告知されることを確保すること。 (f) 子どもの被害者および(または)証人が、とくに自己の利益に影響がある場合に、刑事司法手続の際に自己の懸念、意見およびニーズを表明できること、ならびに、これらの子どもに対して適切な支援および援助がしかるべく与えられることを確保すること。 (g) 刑事司法手続全体を通じて子どもの身元およびプライバシー権が保護されることを確保すること。 (h) 子どもの被害者および(または)証人とともに働く者が現行の立法上および手続的措置を遵守することを確保するための、監視および説明責任の確保を目的とした適切な機構を設置すること。 被害者の回復および再統合 48.委員会は、犯罪およびトラウマの影響を受けている子ども(性的搾取の被害者を含む)が、締約国の領域全体で、24時間提供されている無償の被害者支援サービスの援助にアクセスできることに、評価の意とともに留意する。委員会はさらに、ニュージーランド事故補償公社が、性的虐待または性暴力の結果として精神的外傷を受けた可能性のある子どもおよび若者に対する支援、カウンセリングおよびその他の処遇、ならびに、一定の条件が満たされる場合の医療ケア、リハビリテーションサービスおよび金銭給付の資金を拠出していることに、留意するものである。しかしながら委員会は以下のことを懸念する。 (a) 選択議定書上のすべての犯罪の被害者の回復および再統合のための措置が依然として不十分であること。 (b) 性的搾取の被害を受けた子どもが、事故補償公社のサービス(これは通常、性的虐待または性暴力の被害者のための選択肢として広報されるのみである)の受給資格について知らされていないこと。 (c) 事故補償公社が救済の付与の可否について決定できるよう、被害を受けた子どもが、同公社の登録カウンセラーを最高で4回訪問しなければならないこと。 (d) 被害を受けた子どもが加害者または事故補償公社に対して補償を求めるための十分な手続が設けられていないこと。 49.委員会は、締約国に対し、選択議定書上のすべての犯罪の被害者に対する適切な援助(被害者の全面的な社会的再統合ならびに身体的および心理的回復のための援助を含む)を確保するための措置をさらに強化するよう促す。委員会はとくに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもに短期的、中期的および長期的支援を提供するためのプログラムを発展させかつ実施するとともに、十分な人的資源、技術的資源および財源の配分を確保すること。 (b) 被害を受けたすべての子ども(性的搾取の被害者を含む)に対し、事故補償公社のサービスにアクセスする権利についての適正な告知が行なわれることを確保すること。 (c) 事故補償公社の登録カウンセラーへの義務的訪問の回数を減らし、または身体検査の要件をなくす等の手段により、同公社に対してリハビリテーションの援助を求める子どもが負うトラウマを最小限に抑えるためにあらゆる必要な措置をとること。 (d) 選択議定書第9条第4項にしたがい、被害を受けたすべての子ども(締約国の国民または在留者でない子どもを含む)が、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを保障するとともに、被害者が加害者から賠償を得られない場合のために被害者補償基金の設置を検討すること。 VIII.国際的な援助および協力(第10条) 多国間、二国間および地域間の取り決め 50.選択議定書第10条1項に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするすべての犯罪について防止、摘発、捜査ならびに当該犯罪に責任を負う者の訴追および処罰を向上させる目的で、とくに近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じ、引き続き国際協力を強化する(当該取り決めの実施を調整するための手続および機構を強化することによるものも含む)よう、奨励する。 IX.フォローアップおよび普及 フォローアップ 51.委員会は、締約国が、とくにこの総括所見に掲げられた勧告を関連政府省庁、議会ならびに国および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 52.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等も通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 53.選択議定書第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2017年2月3日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/112.html
総括所見:フランス(第3~4回・2009年) 第1回(1994年)/第2回(2004年)/第5回(2016年)OPAC(2007年)/OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/FRA/CO/4 and CRC/C/FRA/CO/4/Corr.1(2009年6月11日) 原文:英語(平野裕二仮訳) ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2009年5月26日に開かれた第1401回および第1402回会合(CRC/C/SR.1401-1402参照)においてフランスの第3回・第4回定期報告書(CRC/C/FRA/4)を検討し、2009年6月12日に開かれた第1425回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第3回・第4回定期報告書、および委員会の事前質問事項(CRC/FRA/Q/4/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、締約国が海外県および海外領土についての情報を提供したことにも留意するものの、この情報が付属文書として提出され、かつ定期報告書の形式および内容に関する一般指針にしたがっていないことを遺憾に思うものである。委員会は、ハイレベルでかつ複数の部門から構成された代表団の出席および同代表団が行なった開かれたかつ積極的な対話により、締約国における子どもの状況についての理解を向上させることができたことを評価する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する両選択議定書についての締約国の第1回報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/OPSC/FRA/CO/1およびCRC/C/OPAC/FRA/CO/1に収載)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 4.委員会は、以下のもののような、条約の実施に関連する積極的進展に評価の意とともに留意する。 (a) 別居の手続の簡素化および迅速化を図ること、とくに期間を短縮しかつ子どもがこれらの手続にさらされる状態を低減させることを目的とした、離婚の改革に関する2004年5月26日の法律第2004-439号。 (b) 2004年12月30日の法律第2004-1486号に基づく、差別との闘いおよび平等促進のための高等機関(Haute Autorite de Lutte contre les Discriminations et pour l'Egalite、HALDE)の設置。 (c) 障害のある人の権利および機会の平等ならびにインクルージョンおよび参加に関する2005年2月11日の法律第2005-102号。 (d) 養子縁組の改革に関する2005年7月4日の法律第2005-744号。 (e) 嫡出子および私生児としての出生の概念を廃止する、親子関係決定の改革に関する2005年7月4日のオルドナンス第2005-759号。 (f) ドメスティック・バイオレンスおよび子どもに対する暴力の防止および処罰を強化し、かつ女子の法定最低婚姻年齢を18歳に引き上げる、2006年4月4日の法律第2006-399号。 (g) 出生の地位に関わらず子ども同士を平等にする、相続および贈与に関する2006年6月23日の法律第2006-728号。 (h) 住居に対する執行可能な権利を創設する2007年3月5日の法律第2007-290号。 (i) 成人の法的保護に関する2007年3月5日の法律第2007-308号。 (j) 以下のことを目的とする、子ども保護の改革に関する2007年3月5日の法律第2007-293号。(i) 意見を聴かれる子どもの権利を強化すること。 (ii) 子どもの家族の構成員、医療サービスおよび社会サービスならびに議員による子どもオンブズパーソン(Defenseure des enfants)制度の利用を可能にすること。 (iii) 県に子ども保護担当窓口を創設すること。 (k) 16~26歳の若者を対象とする一貫した政策の策定を担当する、青年高等弁務官の設置(2009年1月16日)。 5.委員会はさらに、フランスが以下の国際条約に加盟したことを歓迎する。 (a) 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2008年9月23日)。 (b) 死刑の廃止を目的とする、市民的および政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書(2007年10月2日)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項) 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国の第2回定期報告書の検討時に委員会が表明した懸念および行なった勧告の一部、とくに条約に対する留保および宣言、権利の主体としての子ども観の編入、刑事責任に関する最低年齢、出生登録、家族再統合、国際養子縁組、体罰、保護者のいない未成年者および少年司法に関するもの(CRC/C/15/Add.240)への対応が不十分であることを、遺憾に思う。 7.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうち部分的にしか、十分にまたはまったく実施されていないものに対応するためにあらゆる努力を行なうとともに、この総括所見に掲げられた勧告について次回の定期報告書で十分なフォローアップを行なうよう、促す。委員会はまた、締約国に対し、権利の主体としての子ども観をすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに編入することも促すものである。 留保および宣言 8.委員会は、条約第30条に関わる留保ならびに条約第6条および第40条に関わる2つの宣言を撤回するべきであるという委員会の前回の勧告について、締約国が引き続き国内法上の事情を主張していることを遺憾に思う。 9.委員会は、マイノリティ集団に属する子どもについての立場を再検討し、かつ条約第30条に付した留保ならびに条約第6条および第40条に関する両方の留保の撤回を検討するべきであるという、締約国に対する勧告をあらためて繰り返す。 立法 10.条約の直接適用可能性に関する破棄院(Cour de Cassation)の判例が国務院(Conseil d'Etat)の判例にあわせて変更されたことは歓迎しながらも、委員会は、このような直接効力を有すると認められている規定の数が限定されていることを懸念する。 11.委員会は、締約国が、条約全体が締約国全域で直接適用可能とされること、ならびに、あらゆる段階の行政上および司法上の手続において、条約のすべての規定を個人が法的根拠として援用することおよび裁判官が適用できることを確保するための措置を引き続きとるよう、勧告する。 調整 12.委員会は、家族に関する省庁間特別委員会がこれまでの家族省から労働・社会関係・家族・都市問題省に移管されたこと、子ども保護の実施の窓口としての各県の県議会議長の権限が強化されたこと、および、16~26歳の若者を対象とする青年高等弁務が設置されたことなど、子ども保護に関する行動の調整に関していくつかの改革が行なわれたことに留意する。しかしながら委員会は、国レベルと県レベル(海外領土および海外県も含む)との間で調整が行なわれていないことを依然として懸念するものである。委員会はさらに、子どもの権利を担当する議会委員会が設置されていないことも懸念する。 13.委員会は、条約および2つの選択議定書の実施に関して格差または差別が生じるいかなる可能性も減少させかつ解消する目的で、国レベルと県レベル(海外領土および海外県も含む)との間で条約および2つの選択議定書の実施を全般的に調整するための機関を設置すること、ならびに、この調整機関のために十分な人的資源および財源を配分することおよび明確な権限を定めることを締約国に対して促した前回の勧告(CRC/C/15/Add.240、パラ9)を、あらためて繰り返す。委員会はさらに、両方のレベル〔国および県〕の議会に子どもの権利についての委員会を設置することも勧告するものである。 国家的戦略および行動計画 14.委員会は、条約の枠組みに基づきかつ政府の最上級レベルで支持された、子どものための包括的な国家的戦略およびその実施のための関連の国家的行動計画が定められていないことに懸念を表明する。委員会はさらに、このことにより、年次計画の策定の際ならびに政府による全般的計画および予算編成において子どもの権利が考慮されない結果が生じている可能性があることを懸念するものである。 15.委員会は、締約国に対し、子どもに関する包括的な国家的戦略を策定することを目的として、政治的諸勢力、専門家、市民社会および子どもとの広範な対話を行なうよう奨励する。この戦略においては、すべての子どもに対する普遍的な権利の平等な保障、および、もっとも脆弱な立場に置かれた子ども(とくに海外県および海外領土に住んでいる子ども)のための特別な保護措置の双方が対象とされるべきである。この行動計画においては、子どもに関する国連総会特別会期(2002年5月)で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」およびその中間レビュー(2007年)を考慮することが求められる。委員会はまた、達成された進展を定期的に評価し、かつ存在する可能性がある欠点を明らかにする目的で、締約国が、行動計画の全面的実施のための十分な予算配分ならびにフォローアップおよび評価の機構を確保することも勧告するものである。 独立の監視 16.委員会は、2つの機関、すなわち子どもオンブズパーソン(Defenseure des enfants)および国家人権諮問委員会(Commission Nationale Consultative des Droits de l'Homme、CNCDH)が、子どもの権利の実施の監視において重要な役割を果たしていることを歓迎する。委員会は、条約の実施に関して子どもオンブズパーソンが行なっている広範な活動(個別の苦情申立て機構を含む)および子どもの権利に関わる法律についてCNCDHが果たしている助言の役割をに留意するものである。しかしながら委員会は、これらの独立した監視機関が法案に関する恒常的協議の対象とされていないことを遺憾に思う。 17.委員会は、締約国が、条約の全面的実施のために独立した監視機関が果たす補完的役割の促進を確保するとともに、とくに個別の苦情申立て機構との関連で子どもオンブズパーソンの役割を増強させることに関してさらなる進展を達成し、かつ、当該機関に対し、その任務を効果的に遂行するのに十分な財源および人的資源を提供するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、法案に関して両機関と恒常的に協議するよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割についての委員会の一般的意見2号(2002年)に対して締約国の注意を喚起する。 資源配分 18.委員会は、近年、教育の分野等で子どもに関する支出が増加していることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、このような増加では、貧困を根絶し、かつとくに住居に対する権利および学校における医療サービスに関連する不平等に対処するためには不十分であることを懸念するものである。一貫した予算分析および子どもの権利影響評価が行なわれていないため、国全体でどの程度の支出が子どもに配分されており、かつ子どもに影響を及ぼす政策および法律の効果的実施にこれがどの程度役立っているのかを明らかにすることが困難になっている。さらに、委員会は、さまざまな県(海外県および海外領土を含む)における資源配分の格差について国家人権諮問委員会が表明した懸念を共有するものである。 19.委員会は、締約国が、条約第4条にしたがい、管轄区域全域(海外県および海外領土を含む)における貧困の根絶および不平等の削減にとくに焦点を当てながら、利用可能な資源を子どもの権利の実施のために最大限に配分するよう勧告する。このような取り組みにおいて、締約国は、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」をテーマとして行なわれた2007年9月21日の一般的討議後に委員会が行なった勧告を考慮するべきである。委員会はさらに、予算配分額が政策上の発展および法律の実施のために十分かどうかを評価するため、締約国が、子どもの権利の視点からの予算追跡を導入し、かつ子どもの権利影響評価を定期的に実施するよう勧告する。 データ収集 20.委員会は、危険な状況にある子どもについての情報を収集する中央データ収集・監視センター、すなわち危機にさらされる子ども時代に関する国家監視機関(Observatoire National de l'Enfance en Danger、ONED)が設置されたことに留意する。しかしながら委員会は、さまざまな部門からデータを収集するプロセス、ならびに、データ提供機関間で調和が図られたデータを評価しかつ記録する統一的手法の有無について、依然として懸念を覚えるものである。委員会はさらに、収集された情報にデータの提供機関および処理機関がアクセスできる条件、とくに個人データの使用に関する包括的な政策の欠如について懸念を覚える。 21.委員会は、子どもの権利の実現に関して達成された進展を評価するための基盤として、ならびに、子どもおよびその家族のための総合的かつ包括的な政策を立案する一助とし、かつ条約および2つの選択議定書の促進および実施を容易にする目的で、条約および2つの選択議定書が対象とするすべての分野に関して細分化されたデータを収集しかつ分析するための、統一的かつ全国的なシステムを設置するよう勧告する。委員会はさらに、締約項に対し、情報の悪用を防止するため、データベースには個人の特定が不可能な個人情報のみを入力し、かつ収集されたデータの活用を法律で規制するよう、勧告するものである。 条約の普及、研修および意識啓発 22.委員会は、子どもともにまたは子どものために働く専門家を対象として、危険な状況にある子どもにとくに焦点を当てながら、条約の原則および規定に関する義務的研修を実施するために締約国が最近行なった努力を歓迎する。委員会はまた、学校カリキュラムに人権を含む公民教育単元が含まれていることにも留意するものである。にもかかわらず、委員会は、条約に関する子どもおよびおとなの知識水準が低いことを懸念する。 23.委員会は、条約および2つの選択議定書のすべての規定が、締約国全域で、おとなによっても子どもによっても同様に広く知られかつ理解されることを確保するための努力を、締約国がさらに強化するよう勧告する。 市民社会との協力 24.政府と市民社会(非政府組織を含む)との関係を確立するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、報告書の作成および条約の実施に関わる非政府組織との協力が依然として不十分であることを懸念する。 25.委員会は、締約国が、子どもの権利の促進および実施(政策および協力プロジェクトの策定への参加を含む)ならびに委員会の総括所見のフォローアップおよび次回の定期報告書の作成における、市民社会(NGOおよび子ども団体を含む)との積極的かつ体系的な協力を強化するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、地方レベルで市民社会を支援し、かつその独立性を尊重するよう奨励するものである。 国際協力 26.委員会は、国際協力および二国間協力の分野で締約国が行なっている貢献および子どもの権利関連のさまざまな活動に、評価の意とともに留意する。 27.委員会は、締約国に対し、とくに国内総生産(GDP)の0.7%を国際開発援助に充てるという国連の目標を達成するための努力を行なうことにより、国際協力の分野における活動を引き続き強化するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、条約および2つの選択議定書の締約国である他の国々との二国間協力において、当該国について委員会が採択した総括所見および勧告を正当に考慮するよう奨励するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、「子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する一般的討議(2007年)後に委員会が行なった勧告を考慮するよう慫慂する。 2.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 28.委員会は、法律第2004-1486号に基づく、差別との闘いおよび平等促進のための高等機関(Haute Autorite de Lutte contre les Discriminations et pour l'Egalite、HALDE)の設置を歓迎する。これは、国民的出身、障害、健康、年齢、ジェンダー、家族および婚姻に関わる地位、労働組合活動、性的指向、宗教的信条、身体的外見、姓ならびに遺伝的特徴を理由とする差別の問題を是正するために、個人の苦情を受理しかつ職権で行動する権限を有する機関である。委員会はまた、嫡出子および私生児としての出生の概念を廃止するオルドナンス第2005-759号、および、相続および贈与に関して子どもの出生の地位に関わらず平等化を図る法律第2006-728号の採択を通じ、出生の事情に関わらず子ども同士の平等を確立するために締約国が行なった努力にも、評価の意とともに留意する。委員会はまた、フランス国籍を有しない子どもおよび「大家族」の親を対象とする金銭給付についての差別が廃止されたこと、および、破棄院が、フランスに子どもとともに合法的に在留している外国人家族は子ども手当の全面的受給資格を有すると決定したことにも、留意するものである(ただし、委員会は当該決定が実施されていないことを遺憾に思う)。委員会はさらに、締約国が、海外領土のマヨット島において、相続の問題に関して性別または嫡出性を理由とする子ども間の差別を禁じたことを評価する。 29.委員会は、締約国に対し、差別との闘いおよび平等促進におけるHALDEの役割をさらに支援するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、フランス国籍を有しない家族が子ども手当を受給する権利についての破棄院の決定を実施することも促すものである。 30.人種主義、反ユダヤ主義および外国人嫌悪に対抗するための活動が学校カリキュラムに含まれていることは歓迎しながらも、委員会は、とくに海外県および海外領土に住んでいる子ども、子どもの庇護希望者および難民、ならびに、ロマ、トラベラー("gens du voyage")および宗教的マイノリティのようなマイノリティ集団に属する子どもとの関係で、かつとりわけ経済的および社会的権利の分野で差別が根強く残っており、社会の進歩、正義および差別の禁止が阻害されていることに懸念を表明する。委員会はさらに、移民申請者のDNA検査および退去強制の割当数について定めた、出入国管理、統合および庇護に関する新法が、移住者の子どもに対する差別の雰囲気の喚起を助長するおそれがあることに、懸念を表明するものである。 31.委員会は、締約国に対し、経済的および社会的権利の分野における、かつ人種、出自、皮膚の色、名前、民族的もしくは社会的出身、名前〔重複は原文ママ〕またはその他の事由を理由とする差別からの全面的保護を確保するよう、促す。委員会は、締約国に対し、地域的格差を解消するための努力を引き続き行なうとともに、外国人の子どもおよびマイノリティ集団に属する子どもに対する根強い差別を防止しおよびこれと闘い、ならびに社会の進歩、正義および平等の雰囲気をつくり出すための措置をとるよう、促すものである。委員会はさらに、締約国に対し、社会のあらゆる部門における子どもに対する差別の事案について効果的対処が行なわれることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 32.委員会はまた、一部の集団の子ども、とくに、ロマの子どもおよび障害児、マイノリティに属する子どもならびに郊外(banlieues)に住む子どものような脆弱な立場におかれた子どもおよび貧困下で暮らしている子どもに対し、メディアおよび学校等においてスティグマが付与されていることも懸念する。このことは、これらの子ども、とくに青少年に対する不寛容の一般的雰囲気および公衆の否定的態度につながるとともに、しばしば、これらの子どもの権利がさらに侵害される根本的原因になるおそれがある。委員会はさらに、子ども、とくに青少年に対し、警察が全般的に否定的態度をとっていることを懸念するものである。 33.委員会は、締約国が、メディアおよび学校も含む社会において子ども(とくに青少年)が不寛容の対象とされ、かつ不適切な性格付けを行なわれることに対処し、かつ、警察が子どもおよび青少年に対して前向きかつ建設的な態度をとることを促進するための措置をとるよう、勧告する。 34.委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号を考慮に入れながらフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての情報が、報告書に記載されていないことに留意する。委員会は、前述の具体的情報を、2009年のダーバン・レビュー会議をフォローアップするためにとられた措置に関する具体的情報とともに、次回の定期報告書で提供するよう要請するものである。 子どもの最善の利益 35.委員会は、破棄院(Cour de Cassation)が2005年に国務院(Conseil d'Etat)の判例にあわせて判例変更を行ない、条約第3条1項の直接適用可能性を認めたことに留意する。委員会はまた、子どものケアおよび子どもの保護、離婚、相続ならびに贈与に関する法律に子どもの最善の利益の原則が統合されたことにも留意するものである。しかしながら委員会は、政府による一部の行動および決定が子どもの最善の利益に及ぼす影響の評価が不足しており、かつ、実務においてこの原則の適用のあり方に関する理解に根強い食い違いがあることを、依然として懸念する。さらに、この原則が立法機関によって実行に移されることは、自治体、地域圏および国のいずれのレベルでも、ほとんどない。 36.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの最善の利益の原則が、条約第3条にしたがい、政府のすべての行動およびあらゆる法規定に関する決定において、かつ、司法上および行政上の決定ならびに子どもに影響を与えるプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて十分に指針とされることを確保するため、とくに具体的な手続規則を通じてあらゆる適当な措置をとること。 (b) この原則の適用に関する格差が最小限に留まることを確保すること。 (c) 何が「最善の利益」であるかについての締約国自身の理解――ひいては締約国の指針の内容――をさらに増進させる目的で、子どもの最善の利益が政府による行動および決定ならびに市民社会による行動および決定に及ぼしている影響を評価するとともに、意思決定に携わるすべての者(裁判官、公務員、立法機関等)を対象とする研修を行なうこと。 生命、生存および発達に対する権利 37.拘禁所における子どもの自殺を防止するための新たなアセスメント手段を作成したワーキンググループの設置は歓迎しながらも、委員会は、2008年に拘禁下における子どもの死亡が複数生じたこと、および、これらの子どもの間で自傷行動が多く蔓延していることを、深刻に懸念する。 38.委員会は、締約国が、防止措置の有効性を再検討すること等も含め、生命に対する子どもの権利を保護するために利用可能なあらゆる資源を活用するよう勧告する。締約国はまた、養護中または拘禁中のいずれであるかに関わらず、子どもが関わるいかなる不慮の死亡または重傷についても体系的な、独立したかつ公の検証を導入し、かつ、防止措置を増進させるためにその結果を活用するべきである。 子どもの意見の尊重 39.委員会は、親の権威、相続、後見および養子縁組に関するあらゆる手続において意見を聴かれる子どもの権利を認めた、2007年3月5日の法律第2007-293号の修正を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、この権利の行使の条件として子ども自身の要請を挙げていることにより、実際上の差別および不一致が生じる可能性があるという懸念をあらためて表明するものである。さらに、委員会は、子ども議会の存在を歓迎するものの、子ども議会の勧告が考慮されることはほとんどないことを遺憾に思う。 40.委員会は、条約第12条にしたがい、かつ、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議(2006年)後に委員会が採択した勧告を考慮に入れながら、締約国が、意味のある子ども参加(メディアへの参加も含む)の機会を増加させる目的で、子どもに関わるあらゆる手続において意見を聴かれる権利が、親、教員、校長、行政、裁判所、子どもたち自身および社会一般に対して広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、子どもに直接の影響を及ぼす法改正が行なわれるあらゆる場合に子ども議会の意見および勧告を正当に重視するとともに、このような機関を県および自治体のレベルで創設する取り組みを奨励するよう、促すものである。 4.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条および第37条(a)) (訳者注)3が欠落しているのは原文ママ。 出生登録 〈海外県および海外領土における出生登録〉 41.委員会は、すべての出生が登録されなければならないことを定め、かつ民事的地位審査委員会(Commission de revision de l'etat civil)による手続の強化を奨励する、マヨット島に関する2006年7月24日の法律第2006-911号の制定に留意する。委員会はさらに、仏領ギアナのマロニ川およびオヤポク川沿いに住んでいる子どものアクセス可能性に関して制約があることを認知するものである。 42.委員会は、締約国の領域におけるすべての子どもの出生登録を確保するための努力を継続するよう、勧告する。委員会はさらに、仏領ギアナにおけるすべての子どもの出生登録を確保するための努力を強化するよう締約国に対して促した前回の勧告を、あらためて繰り返すものである。 〈国内における出生登録〉 43.委員会は、自己の出自に対する子どものアクセスを促進することに関してとられた措置、とくに親子関係決定の改革に関するオルドナンス第2005-759号の採択、および、個人の出自へのアクセスに関する国家評議会(Conseil National pour l’acces aux origines personnelles、CNAOP)が果たしている新たな役割について締約国から提供された情報に留意する。にもかかわらず、委員会は、新たな照会に関する待機期間が長いことに懸念を表明するものである。委員会はまた、母親が、希望する場合には自己の身元を秘匿し、かつ自己の出自を知る子どもの権利に反対することができることにより、子どもがその権利の一部を奪われていることも、依然として懸念する。 44.委員会は、条約第7条に掲げられているとおり、かつ差別の禁止(第2条)および子どもの最善の利益(第3条)の原則に照らし、自己の生物学上の両親およびきょうだいを知る子どもの権利を全面的に執行するためあらゆる適当な措置をとるべきである旨の、締約国に対する前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はさらに、締約国に対し、新たな照会が時宜を得たやり方で扱われることを確保するよう勧告するものである。 思想、良心および宗教の自由 45.委員会は、締約国が、「公立の初等学校および中等学校において、生徒が自己の信仰する宗教を直截に明らかにする標章または服装」を着用することを禁じた2004年3月15日の法律第2004-228号の影響を緩和するための措置(国の公教育制度における調停官の設置を含む)に留意する。にもかかわらず、委員会は、このような禁止は教育に対するいかなる女子の権利の否定にも、締約国の社会のあらゆる側面への女子のインクルージョンの否定にもつながるべきではないという女性差別撤廃委員会の総括所見(CEDAW/C/FRA/CO/6、パラ20)、および、ライシテという公共の文化を尊重するためにこのような一般的な宗教的標章の着用を禁ずる必要はないように思われると指摘する、自由権規約委員会が採択した総括所見(CCPR/C/FRA/CO/4、パラ23)を支持するものである。 46.委員会は、思想、良心および宗教の自由に対する子どもの権利(自己の宗教を公の場および私的な場において表明する権利を含む)についての条約第14条の保障が擁護され、かつ、思想、良心または宗教を理由とする差別を回避するために特段の注意が払われるべきであることを勧告する。 結社および平和的集会の自由 47.委員会は、子どもにとってとくに苦痛である高周波超音波発生装置、ならびにフラッシュボール発射装置およびテイザー銃が、子どもに対するその使用について治安部隊に十分な訓令が与えられないまま用いられていることにより、子どもの結社の自由が制限されていることを懸念する。 48.委員会はさらに、年少の子どもが結社の自由に関して差別されており、かつ、団体の代表職および会計職への子どもの選任が禁じられていることに、懸念を表明するものである。 49.委員会は、締約国が、高周波超音波発生装置およびフラッシュボール発射装置その他の有害な機器の使用を再検討し、または禁止するよう勧告する。これらの機器は、結社および集会の自由に対する子どもの権利を侵害する可能性があるためである(これらの権利を享受できることは子どもの発達にとって必要不可欠であり、条約第15条に掲げられた、非常に限定された制約以外は課すことができない)。委員会はさらに、すべての年齢の子どもを対象として、結社の自由に関する規則の調和を図るための措置をとるよう勧告する。 プライバシーの保護 50.委員会は、子どもの個人データが長期間にわたって収集、保存および使用されるデータベースの増加に、懸念とともに留意する。このことは、プライバシーに対する子どもおよびその家族の権利への干渉となる可能性がある。「第一次生徒データベース」(Base eleves 1er degre)に関して、委員会は、締約国が、当初含まれていた要配慮データをこのデータベースから削除したことに、評価の意とともに留意する。しかしながら、教育制度にとってのその有用性および目的が明確に定められていないことに鑑み、委員会は、このデータベースが他の目的(非行や非正規移民である子どもの摘発など)に使用されるおそれがあること、および、他の行政データベースとの相互接続を防止するための法的保護措置が不十分であることを、懸念するものである。委員会はさらに、親が、子どもの登録について反対できず、しばしば登録の通知も受けず、かつ子どもの就学をためらう可能性があることを懸念する。 51.自由権規約委員会が行なった勧告(CCPR/C/FRA/CO/4)を想起しながら、委員会は、締約国に対し、配慮を要する個人データの収集、保存および使用が条約第16条に基づく義務と一致する形で行なわれることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。締約国は、とくに以下のことを確保するべきである。 (a) コンピューター、データバンクその他の装置における個人情報の収集および保有が、公的機関によるか私人または民間機関によるかに関わらず法律によって規制され、かつその目的が明確に定められること。 (b) 当該情報が、その受領、処理および使用を法律で認められていない者の手に渡ることがないようにするための効果的措置がとられること。 (c) 自国の管轄下にある子どもおよび親に対し、自己に関するデータにアクセスする権利、および、情報が誤っており、またはその意思に反して収集され、もしくはコンピュータ化、記録および自由に関する法律第78-17号の規定に反して処理された場合に当該情報の訂正または消去を求める権利が認められること。 適切な情報へのアクセス 52.委員会は、締約国で、インターネットの利用を親が管理できるソフトウェア、および、インターネットの利用のリスクに関する意識啓発キャンペーン(携帯電話におけるものも含む)が導入されたことに留意する。しかしながら委員会は、暴力的かつ(または)ポルノ的な内容をともなう文書、電子媒体および視聴覚媒体(ビデオゲームを含む)へのアクセスが可能であることを懸念するものである。 53.委員会は、締約国に対し、有害な情報へのアクセス(電子媒体および視聴覚媒体を通じてこれらの情報にさらされることも含む)から子どもを保護するための措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、子どもにとって有害なビデオゲームおよびネットゲームを含む文書、電子媒体および視聴覚媒体へのアクセス可能性を管理するため、効果的措置がとられるべきことを勧告するものである。 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰 54.委員会は、2007年10月30日に自由剥奪施設総監(Controleur general des lieux de privation de liberte)が設置されたことに留意するとともに、締約国が、子どもの拘禁環境に関する情報を報告書に記載したことを歓迎する。しかしながら委員会は、公務員が拘禁施設で子どもに対する不当な取扱いを行なっているという訴えがあることを懸念し、かつ、この問題に関する情報が締約国報告書に見当たらないことを遺憾に思うものである。委員会はさらに、法執行官(とくに警察官)が子どもに対して過度な有形力の行使を行なった事案の報告数が多いこと、および、訴追および有罪判決に至った事案の数が少ないことに、懸念を表明する。 55.委員会は、締約国が、拘禁されたすべての子どもの処遇に関する効果的な監視システムを確立し、かつ、拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の訴えが迅速かつ適正に捜査されることならびに加害者が訴追されおよび処罰されることを確保するよう、勧告する。締約国はさらに、子どもの人権に関する法執行官の意識を高め、かつそのための研修を強化するべきである。 子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ 56.子どもに対する暴力に関する国連事務総長研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ヨーロッパ・中央アジア地域協議(2005年7月5~7日、リュブリャナ)の成果および勧告を考慮しながら、子どもに対する暴力に関する国連研究の独立専門家報告書に掲げられた勧告を実施するためにあらゆる必要な措置をとること。とくに、委員会は、締約国が以下の勧告に特段の注意を払うよう勧告する。(i) 子どもに対するあらゆる暴力を禁止すること。 (ii) 非暴力的な価値観および意識啓発を促進すること。 (iii) 回復および社会的再統合のためのサービスを提供すること。 (iv) 国レベルの体系的なデータ収集および調査研究を発展させ、かつ実施すること。 (b) すべての子どもがあらゆる形態の身体的、性的および心理的暴力から保護されることを確保し、かつ、このような暴力および虐待を防止しかつこれに対応するための具体的な(かつ適切な場合には期限を定めた)行動に弾みをつける目的で、市民社会と連携しながら、かつとくに子どもの参加を得ながら、これらの勧告を行動のためのツールとして活用すること。 (c) 次回の定期報告書において、締約国による同研究の勧告の実施に関わる情報を提供すること。 (d) 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表と協力し、かつ同代表を支援すること。 体罰 57.フランス刑法であらゆる形態の体罰が禁じられているという締約国の主張には留意しながらも、委員会は、とくに家庭における体罰および学校における体罰が、とりわけ海外県および海外領土で依然として広範に行なわれており、かつ、子どもに対する体罰を明示的に禁ずる具体的規定がいまなお見当たらないという懸念をあらためて表明する。 58.前回の勧告を繰り返しながら、かつ委員会の一般的意見8号(2006年)にしたがい、委員会は、締約国が、あらゆる場面(家庭、学校、施設その他の子どもの養育現場を含む)における体罰を明示的に禁止し、この点に関する意識啓発を図り、かつ、条約第28条2項にしたがい、暴力を用いない教育の価値を促進するよう、勧告する。このような取り組みに関して、委員会はさらに、締約国が、自国も支持の署名を行なった、あらゆる形態の体罰の全面的禁止を達成することを目的とした欧州評議会のキャンペーンをフォローアップするよう、勧告するものである。 5.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条) 家庭環境 59.委員会は、多くの家族、およびとくに貧困、十分な住居の欠如または別離によって危機的状況下にある家族が、子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を受けていないことを懸念する。 60.委員会は、締約国が、とくに貧困、十分な住居の欠如または別離によって危機的状況下にある家族を対象として、親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与えるための努力を強化するよう、勧告する。 家庭環境を奪われた子ども 61.委員会は、裁判所が命ずる個別的措置(分離を含む)の数について懸念を表明する。委員会はさらに、子どもがその家族との接触および面会の機会を持てていないこと、家族の居宅と施設養護が行なわれる場所の距離が離れていること、ならびに、代替的養護の決定の際に子どもの意見および最善の利益が十分に考慮されていないことに、懸念を表明するものである。 62.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親の低所得の結果として子どもが代替的養護に措置されないようにすること。 (b) すべての措置において子どもの意見を考慮するとともに、子どもがアクセスしやすい苦情申立て機構を子どもが全国で利用できるようにすること。 (c) 面接交渉手続の開始を促進するとともに、親およびきょうだいから分離されたすべての子ども(長期の入所型養護を受けている子どもを含む)を対象として定期的接触を維持すること。 (d) 親のケアを受けていない子どもに対し、その最善の利益を積極的に擁護する代理人が任命されることを確保すること。 (e) 親のケアを受けていない子どもに関する一般的討議(2005年9月16日)で出された委員会の勧告を考慮すること。 養子縁組 63.委員会は、養子縁組の分野における法改正、および省庁間養子縁組委員会の設置(2009年1月30日)に留意する。しかしながら委員会は、国際養子縁組の過半数が、もっぱら、国際養子縁組についての子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約を批准していない出身国との間で行なわれていること(3分の2)、および、認証機関を通じてではなく個人的経路を通じて行なわれる国際養子縁組の割合が高いことについての懸念を想起するものである。委員会はまた、国際養子縁組が大使館および領事館によって促進されていること(これらの機関とともに活動するボランティアの使用を含む)により、認証機関の活動が阻害される可能性があることも懸念する。委員会はさらに、仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおいて、2歳未満の子どもの国内養子縁組について権限のある公的機関による許可が行なわれていないことを、依然として懸念するものである。 64.前回の勧告をあらためて繰り返し、かつ条約第21条その他の関連規定に照らし、委員会は、締約国が以下のことを確保するよう勧告する。 (a) 国際養子縁組の事案への対応が、条約および国際養子縁組についての子の保護および協力に関する1999年のハーグ条約の原則および規定に全面的にしたがって、認証機関によって行なわれること。 (b) 条約の基準および1993年ハーグ条約の基準に準じた二国間協定が、当該ハーグ条約を批准していない国との間で締結されること。 (c) 仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおける国内養子縁組について、権限のある公的機関による許可が義務とされること。 65.委員会はまた、社会サービス機関が家族による遺棄の宣言を獲得することを条件として、親によるネグレクトの状況下で子どもの国内養子縁組を可能にする、締約国の新養子縁組法案にも懸念を表明する。委員会は、この法案が成立すれば、これらの子ども(とくに低所得家庭および貧困下で暮らしている家庭の子ども)が家庭環境から完全に分離されるおそれが生じる可能性があることを、とりわけ懸念するものである。 66.委員会は、この養子縁組法案において、家族から分離されない子どもの権利(第9条)および条約の4つの一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条)が真剣に考慮されるべきことを勧告する。さらに、同法案は条約第21条の規定を全面的に遵守するべきである。 虐待およびネグレクト 67.ONEDの設置および子ども保護に関する2007年3月5日の法律第2007-293号の採択に代表される進展は歓迎しながらも、委員会は、児童虐待およびネグレクトの件数が増えていること、子どもが自宅から失踪する事件数が多いこと、ならびに、子ども保護に関する法律が実施されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもが司法にアクセスできていないことを懸念するものである。 68.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子ども保護法の実施のために必要な予算資源を配分するとともに、とくに、諸措置が国レベルで(海外県および海外領土も含む)調整されることを確保すること。 (b) 第19条で考慮の対象とされている暴力、性的虐待、ネグレクト、不当な取扱いまたは搾取(家庭、施設養護その他の養護におけるものも含む)の事案数および規模を監視するための機構を設置すること。 (c) 虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもによる司法へのアクセスを強化すること。 (d) 子どもとともに働く専門家(教員、ソーシャルワーカー、医療専門家、警察官および司法関係者を含む)が、子どもに対するドメスティック・バイオレンス、虐待およびネグレクトが疑われる事案について通報しおよび適切な行動(保護措置を含む)をとる自己の義務に関する研修を受けることを確保すること。 (e) 新子ども保護法に関する意識啓発キャンペーンのためにメディアを活用するとともに、全般的措置として、子どもおよび女性、とくに女子および脆弱な立場に置かれた集団の子どもに対するあらゆる形態の暴力を拒絶する雰囲気をつくり出すこと。 6.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項)) 障害のある子ども 69.委員会は、条約第23条にしたがい、教育および就学に対する障害のある子どもの平等な権利を掲げた、2005年2月11日の法律第2005-102号の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、実際には週に数時間しか学校に出席しない障害児が多いことを懸念するものである。専門の援助者(auxiliaires de vie〔学校生活補助員〕)の配置数が追加されたことは歓迎しながらも、委員会は、契約上の取決めが不安定であることおよび研修の機会が不十分であることに懸念を表明する。委員会はさらに、とくに重複障害のある子どものための専門的ケアに関してならびに余暇および文化的活動へのアクセスに関して若干の欠陥があり、かつマヨット島およびウォリス・フツナ諸島で体制が整備されていないことにより、前述の法律の実施が阻害されていることに留意するものである。 70.障害のある人の権利に関する条約および障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 教育へのアクセスを保障した法律ならびに障害のある子どものためのプログラムおよび専門的援助が効果的に実施されることを確保し、かつ、条約に基づく障害児の権利の全面的享受を締約国全域(海外県および海外領土を含む)で確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 早期発見・介入プログラムを発展させること。 (c) (準)医療従事者および関連要員、教員ならびにソーシャルワーカーなど、障害のある子どもとともに働く専門的職員に対して研修を行ないかつ安定した立場を保障すること。 (d) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンに関する、ジェンダーについて適切に配慮された包括的な国家的戦略を策定すること。 (e) 障害のある子どもの社会へのインクルージョンを奨励し、かつ差別および施設措置を防止するような、障害児の権利および特別なニーズに関する意識啓発キャンペーンを行なうこと。 健康および保健サービス 71.委員会は、県レベルで子どもおよび母親のための保健ケア・サービスを強化し、かつ6歳、9歳、12歳および15歳の子どもの健康診断を義務づけることによって保健サービスへのアクセスの不平等に対処しようとする締約国の努力には留意しながらも、さまざまな地域圏間および不利な立場に置かれた背景を有する子ども間の不平等が依然として問題であることを懸念する。委員会はさらに、とくに義務的健診を実行するうえで資格のある医療従事者が不足しておりかつ資源の配分が不十分であることに、懸念を表明するものである。 72.委員会はまた、栄養不良、結核、HIV/AIDSのような重大な健康問題への対応に関して仏領ギアナの子ども保健ケアに欠陥があること、および、マヨット島において社会保障制度とのつながりがない子どもが保健ケアにアクセスできないことにも、懸念を表明する。 73.委員会は、保健サービスへのアクセスに関する不平等について、すべての県および地域圏全体で調整のとれたアプローチを通じた対応が行なわれるべきこと、および、締約国が医療従事者の不足を是正することを勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、海外県および海外領土における子ども保健ケアの欠陥を根絶するよう促すものである。 母乳育児 74.委員会は、母乳育児の促進および支援に関して締約国で近年達成された進展は評価しながらも、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施が引き続き不十分であること、および、母乳代替品の攻撃的宣伝が依然として一般的に行なわれていることを懸念する。 75.委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ保育者研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。 思春期の健康 76.委員会は、青少年センターなど、青少年の精神保健のためのプログラムおよびサービス発展させようとする締約国の努力にも関わらず、青少年のウェルビーイングの水準が低いこと(摂食障害および依存症、性感染症(STD)のリスクに対する曝露ならびに自殺および自殺未遂のような問題を含む)を懸念する。委員会はさらに、締約国(海外県および海外領土を含む)で青少年による有害物質の濫用が発生していることを懸念するものである。 77.委員会は、締約国が、以下のような措置をとることも含め、青少年の精神保健および青少年による有害物質濫用の問題への対処を締約国全域で継続するよう、勧告する。 (a) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスがすべての法域(海外県および海外領土を含む)の青少年にとってアクセスしやすくかつ配慮されたものであることを確保しながら、強化すること。 (b) 焦点の明確な防止措置を提供するため、これらの問題の根本的原因を研究すること。 (c) 有毒物質に関する正確かつ客観的な情報を子どもに提供するとともに、その使用をやめまたは依存から脱しようとしている子どもに支援を提供すること。 生活水準 78.委員会は、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという政府の決意、および、国家家族手当基金(Caisse nationale des allocations familiales)に対する追加資源の配分を歓迎する。しかしながら委員会は、貧困下で暮らしている子どもが多いこと、および、移民の背景を有する子どもが貧困下で暮らしている割合の方が相当に高いことを、依然として懸念するものである。委員会はさらに、マイノリティ問題に関する独立専門家が同国主要都市の郊外(banlieues)にある最貧困地区を訪問した際に明らかにした、差別および排除が原因でこれらの郊外に明らかに貧困が集中している旨の所見(A/HRC/7/23/Add.2、パラ42)を想起する。標準以下の住宅の現象に対応するために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、執行可能な新たな居住権(droit opposable au logement)の実施が遅れていること、およびその実施のための予算配分が不十分であることに、懸念を表明するものである。 79.条約第27条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 目標達成のための測定可能な指標を確立することも含め、2020年までに子どもの貧困に終止符を打つという目標を達成するための法律を採択し、かつ十分に実施すること。 (b) この法律およびフォローアップの措置においては、支援をもっとも必要としている子どもおよびその家族(移民の背景を有する子どもも含む)を優先させること。 (c) 十分な予算資源を配分する等の手段により、執行可能な居住権(droit opposable au logement)の速やかな実施を確保すること。 7.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 80.委員会は、条約に掲げられた目標を保障するために締約国が教育分野で行なっている多大な努力に、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 学校中退率および留年率が高いこと、ならびに、2006年3月31日の新法で、子どもが学校に出席しないことについて親(経済的困窮に直面している親も含む)が処罰の対象とされていること。 (b) 経済的に困窮している親とともに生活している子どもの学校における成績に関して、相当の不平等が根強く残っていること。一部集団の子ども、とくに障害のある子ども、トラベラーの子ども、ロマの子ども、子どもの庇護希望者、さまざまな理由(疾病、家族の扶養義務など)で中退した子どもおよび学校に通っていない子どもならびに10代の母親は、普通学校または代替的教育施設のいずれにおいてであれ、就学し、または教育を継続しもしくは再開するうえで問題に遭遇している。 (c) 労働市場に参入するための教育上および職業上の支援が不十分であることにより、若者の失業が増加していること。 81.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの社会的背景が学校における成績に及ぼす影響を軽減するための努力を継続しかつ強化すること。 (b) 親を処罰することなく、中退率および留年率を下降させるための努力を強化すること。 (c) 修了資格を得ることなく学校を離れた子どものための職業教育および職業訓練を拡大することにより、これらの子どもが、就労の機会を増進させるための能力およびスキルを獲得できるようにすること。 (d) 不利な立場にあり、周縁化されており、かつ学校から離れているあらゆる集団の子どもに対して〔権利の〕全面的享受を確保する、真にインクルーシブな教育に対するすべての子どもの権利を確保する目的で、相当の追加的資源を投入すること。 (e) 懲戒措置としての退学または停学を最後の手段としてのみ用いるようにし、停退学の件数を減少させ、かつ、学校との紛争を抱えた子どもを援助するため学校にソーシャルワーカーおよび教育心理学者を配置すること。 休息、余暇、レクリエーションならびに文化的および芸術的活動 82.委員会は、文化または芸術に関わる課題活動を行なっている子どもが、報告によればわずかしかいないことに着目する。委員会はまた、近年生じている遊び場の着実な減少により、子どもが公共のオープンスペースで集まらざるを得ない状況に押しやられる効果が生じるおそれがあることを懸念するものである。 このような行動は、集合住宅の廊下で行なわれた場合には、国内治安に関する2003年3月18日の法律にしたがって処罰される可能性がある。 83.委員会は、締約国が、子どもが休息し余暇を持つ権利、子どもの年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション活動を行なう権利ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を保障するための努力を強化するよう勧告する。締約国は、障害のある子どもを含む子どもに対し、遊ぶ権利および余暇活動に対する権利を行使するための十分かつアクセスしやすい遊び場空間を提供することに、特段の注意を払うべきである。 8.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第37条(b)~(d)および第38~40条) 子どもの庇護希望者および難民ならびに保護者のいない子ども 84.保護者のいない子どもに関するワーキンググループが設置されたことは歓迎しながらも、委員会は、フランスの空港の待機区域に措置された保護者のいない子どもが直面している状況について深い懸念を覚える。さらに、委員会は、措置決定に対する異議申立てができないこと、特別管理人の選任に関する法的要件が系統的に適用されていないこと、および、搾取の被害をとりわけ受けやすいこれらの子どもが利用可能な心理的援助が存在しないことを懸念するものである。委員会はまた、子どもがしばしば、その条件についての適正な評価を行なわれることなく、搾取の危険に直面する国に送還されていることにも懸念を表明する。 85.委員会はまた、保護者のいない未成年者が制度的に社会サービス、教育および語学学校の諸制度の対象とされておらず、かつ、締約国の領域に受け入れられた保護者のいない子どもに対して明確な法的地位が与えられていないことにも、懸念を表明する。 86.出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号を考慮しながら、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 待機区域への措置決定に対して異議を申し立てられるようにするため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 国内法で求められているとおり、特別管理人を系統的に選任すること。 (c) 保護者のいない子どもが十分な心理的援助にアクセスしかつこれを利用できることを確保するとともに、とくに待機区域へのアクセスを厳格に監視することを通じ、待機区域の子どもが搾取から〔保護されることを〕確保すること。 (d) 子どもの最善の利益を正当に考慮し、国際的保護を必要とする子どもおよびふたたび人身取引の対象とされるおそれがある子どもが、このような危険が存在する国に送還されないことを確保すること。 87.委員会はさらに、人の年齢を決定するために骨検査を用いることについて生命科学および健康の倫理に関する国家諮問委員会が否定的評価を行なっているにも関わらず、締約国が引き続きこの手法を用いていることを懸念する。 88.委員会は、前回の勧告をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、現在用いられている骨検査による決定法よりも正確であることが証明されている最近の年齢決定法を導入するよう、促す。 89.委員会は、認定難民の家族再統合手続にかかる期間に問題があることを締約国が認めていることには留意するものの、当該手続に関する包括的情報がないこと、当該手続の期間が長いこと、および、子どもが家族再統合に対する権利をフランス到着時に主張できる可能性が限られていることに対する懸念を、あらためて表明する。委員会はさらに、親の退去強制を理由とする家族の分離の報告があること、および、出入国管理、統合および庇護に関する2007年11月21日の法律第2007-1631号で、認定難民に対し、家族再統合に関するいっそう厳しい基準(DNA検査および言語能力を含む)が課されたことに、懸念を表明するものである。 90.委員会はまた、国際法および条約で承認されているカファラの制度が締約国では家族再統合の文脈において適用されていないこと、および、子どもがカファラ上の親と暮らすためにフランスに入国するのを妨げたフランス地方当局の決定は私生活および家族生活に対する権利の侵害であると判断した2004年3月24日の国務院(Conseil d'Etat)判決が実施されていないことも、懸念する。 91.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 認定難民の家族再統合手続にかかる期間を相当に短縮するための努力を引き続き行なうこと。 (b) 親子関係を確定する手段としてのDNA検査の実施によって家族再統合に新たな障壁が生じないこと、および、このような手法を使用する際には、十分な情報に基づく申請者の事前の同意が常に条件とされることを確保するため、あらゆる適当な措置をとること。 (c) 家族再統合の文脈においてカファラの制度を承認し、かつ2004年3月24日の国務院(Conseil d'Etat)判決を実施すること。 性的搾取、売買、取引および誘拐 92.委員会は、性的搾取その他の搾取を目的として人身取引された子どもの出身国の一部と協力協定が取り決められたことに留意する。しかしながら委員会は、人身取引を含む搾取の対象とされる子ども、および、窃盗、物乞いおよび売買春の目的でフランスに入国しまたはフランスを通過する子どもが多いことに、懸念を表明するものである。 93.委員会は、締約国が、性的搾取その他の搾取を目的とする子どもの人身取引と闘うためにさらなる措置をとるよう、勧告する。委員会はさらに、これらの問題と闘うための十分な措置を決定する目的で、締約国が、子どもの性的搾取および売買(海外県および海外領土におけるものも含む)の規模に関するデータを収集するための努力を強化するよう、勧告するものである。 少年司法の運営 94.委員会は、非行の防止に関する包括的な国家政策が存在しないことならびに少年司法制度に財源および人的資源が配分されていないことを懸念する。委員会は、とくに、成人および少年の累犯との闘いを強化し、かつ子どもを成人として審理できるようにする2007年8月10日の法律第2007-1198号との関連で、教育的措置よりも抑圧的措置を優先させる傾向にある、この分野における立法および実務についての懸念をあらためて表明するものである。委員会は、暴力的および(または)性的性質の重罪を行なった容疑がある16~18歳の少年犯罪者の事件について以下のような取扱いが行なわれていることを、とりわけ懸念する。 (a) 〔未成年者に関する〕刑罰減軽の原則(principe de l'attenuation de la peine pour mineurs)を、十分な理由を付した裁判官の決定により、初犯者についても退けることができること。 (b) 16~18歳の再犯者については当該原則が適用されず、具体的理由を付した裁判官の決定によらなければ当該原則の適用を回復させることができないこと。 (c) 累犯事件について、最低期間以上の収監刑が義務的に適用されること。 95.委員会は、とくに、成人拘禁施設の子ども収容区画に代えることを目的とした13~16歳の子ども向けの閉鎖型監督センター(centres educatifs fermes)および未成年者向けの行刑施設(etablissements penitentiaires pour mineurs)の数が相当に増えたこととの関連で、若干の積極的変化が見られることに着目する。しかしながら委員会は、自由の剥奪件数が多いこと、および、成人拘禁施設に子ども収容区画が存在し続けていることに懸念を表明するものである。 96.委員会はさらに、組織犯罪およびテロの容疑をかけられている16~18歳の子どもを、手続的保障を全面的に遵守することなく96時間まで警察の留置(garde a vue)下に置くことを認めた、2004年3月9日の法律第2004-204号改正について懸念を表明する。 97.委員会は、締約国に対し、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保するよう、促す。とくに委員会は、締約国に対し、少年司法の運営に関する委員会の一般的意見10号(2007年)を考慮しながら、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 子どもが刑事司法制度と接触することにつながる社会的条件の解消の一助とする目的で、家族およびコミュニティの役割を支援することのような防止措置を強化するとともに、スティグマを回避するためにあらゆる可能な措置をとること。 (b) 刑事司法制度に対する財源、人的資源その他の資源の十分な配分を増加させかつ確保すること。 (c) 警察における留置(garde a vue)および未決勾留を含む拘禁は、最後の手段として、かつ可能なかぎり短い期間で用いること。 (d) 拘禁が行なわれるときは、法律および国際基準を遵守して行なわれることを確保すること。 (e) 16~18歳の子どもについて、16歳未満の子どもと異なる取扱いを行なわないようにすること。 (f) ダイバージョン、調停、保護観察、カウンセリングおよび地域奉仕活動のような、自由の剥奪に代わる再統合措置の活用を拡大するとともに、この点に関する家族およびコミュニティの役割を強化すること。 (g) 法律に触れた18歳未満の者が無償の法的援助および独立した効果的な苦情申立て機構にアクセスできることを確保すること。 (h) 刑事司法制度に関わって働いているすべての専門家を対象とする、関連の国際基準に関する研修プログラムを改善すること。 98.委員会はまた、締約国が刑事責任に関する最低年齢を定めていないことを依然として懸念する。 99.委員会は、締約国が、条約第40条3項(a)およびとくに子どもオンブズパーソンが行なった勧告にしたがって、13歳を下回らず、かつ子どもの分別能力を要件とする、刑事責任に関する最低年齢を定めるよう勧告する。 犯罪の証人および被害者の保護 100.委員会はまた、締約国が、十分な法律上の規定および規則を通じ、犯罪の被害を受けたおよび(または)犯罪の証人であるすべての子ども(たとえば、虐待、ドメスティック・バイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもならびにこのような犯罪の証人)が条約で求められている保護を提供されることを確保し、かつ、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(2005年7月22日の経済社会理事会決議2005/20付属文書)を全面的に考慮するようにも、勧告する。 マイノリティおよび先住民族に属する子ども 101.委員会は、締約国報告書の付属文書IIに掲げられた、文化的、宗教的および言語的多様性を促進するために締約国がとった措置に、評価の意とともに留意する。委員会はまた、条約第30条に付した留保についての締約国の立場にも留意するとともに、法律の前における平等では、事実上の差別に直面している可能性があるマイノリティ集団ならびに海外県および海外領土の先住民族による平等な権利の享受を確保するためには不十分であるおそれがある旨の懸念を、あらためて表明するものである。委員会はさらに、マイノリティ集団に属する子ども、とくにトラベラーおよびロマの子どもに伝えられる文化的知識の正当性が確認されていないこと、および、とくに経済的、社会的および文化的権利(十分な住居および生活水準、教育ならびに健康に対する権利を含む)との関連でこれらの子どもが差別に直面していることに、懸念を表明する。 102.委員会は、マイノリティ集団ならびに海外県および海外領土の先住民族が権利の平等な享受を享受し、かつ、子どもが自己の集団の文化的知識の正当性を差別なく確認できることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、マイノリティ集団に属する子どもに対する、とくに経済的および社会的権利に関するあらゆる差別を撤廃するための措置をとるよう、勧告するものである。 9.国際人権文書の批准 103.委員会は、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(2008年9月23日)および拷問等禁止条約の選択議定書(2008年11月11日)が批准されたことを歓迎する。 104.委員会は、締約国が、障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書ならびにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准のための手続をとるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書を批准するよう、促すものである。 10.フォローアップおよび普及 フォローアップ 105.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を議会ならびに中央政府および地方分権政府の関連省庁に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 106.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第3回・第4回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループおよび子どもが関連の言語で広く入手できるようにすることを勧告する。 11.次回報告書 107.委員会は、締約国に対し、第5回定期報告書を2012年9月までに提出するよう慫慂する。この報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。 108.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された「国際人権条約に基づく報告についての統一指針(共通コア・ドキュメントおよび条約別文書についての指針を含む)」(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2011年11月1日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。