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【種別】 道具・霊装 【元ネタ】 ドナーティ彗星。 1858年6月2日にフィレンツェで、イタリアの天文学者ジョバンニ・ドナーティによって発見された。 【初出】 とある魔術の禁書目録SS第三話 【解説】 19世紀半ばに観測された『ドナーティ彗星』、それを観測した当時の『天体観測図(ホロスコープ)』。 歴史的な価値も持つ貴重な一品で、占星術(魔術)的な価値は、まさに「天文学的」と評される。 現存が確認されているのは本編に登場した物一つのみであるため、かなりの稀少品である。 もともとは魔術側であるバードウェイが所有していたが、 黒小人の知識のピースを分散させるために手放した。 その後、転々と人手を渡った挙句学園都市にたどり着いた。 科学側にとっても考古学的な価値が高く、魔術側への返却要請には応じようとしなかったが、 「このままでは戦争の火種になる」と危惧したバードウェイの手によって強奪・回収された。 実は、アラスカルーンの碑文の欠片から『原典』たる石版を再生するための術式に必要なものであり、 黒小人の技術を求めるリチャード=ブレイブはこれの奪取を画策していたが、 ステイルやテオドシア、バードウェイらによって阻まれた。
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当麻「待ってて…、くれよ」 美琴「!」 当麻「俺、戦うのはやめられないけど、お、お前も…」 美琴「……っ!!」 当麻「ぶっ!? ぱ、パンチ!?」 美琴「か、勝手なことばっか言ってんじゃないわ! 戦いはやめられない? 待っててくれ? あーもう、この男は!」 当麻「み、美琴?」 美琴「もうやめた! 私、我慢する女やめた!! あんたが偽善使いだってことぐらい百も承知よ! けど、そのおかげで、『実験』のときも、『天使』のときも、あんたが病院抜け出したときだって… あんたのやりたいことばっか考えて… でも、私、もうやだ…、これ以上あんたのこと好きだとクタクタになる…」 当麻「あ…、おい…」 ステ「おい、上条当麻! もう行くぞ!」 五和「上条さんー!?」 禁書「とうま見つかった!?」 当麻「くっ」 美琴「………っ」 当麻「!?」 美琴「……。ほら、呼んでるわよ。行きなさいよ。…行っちゃえ」 当麻「な、何だよお前、いきなり、なんていうか、それなのに『行っちゃえ』なんてよ…! 意味わかんねぇよ!」 禁書「とーまー!!」 当麻「…っ、クソッ」 一時後 一方「…ふンッ」 当麻「いってぇ!? な、なにしやが…、一方通行…?」 一方「何ぼさっとしてやがンだァ、最弱ゥ? それとも余裕ってやつかァ? まァ、決戦前に準備もシカトして女としけこんでるくらいだしなァ」 当麻「な、な、な、なんでそんなことを!? …まさか!?」 土御「にゃー、背中刺す刃を甘く見ちゃいかんぜよ?」 当麻「土御門おおおお!! てめぇはあああ!!」 土御「まーまー、気にすることないぜい!」 浜面「ったく、いいか、上条。いいかげんガキじゃねーんだから、キスぐらいでぎゃーぎゃー騒ぐなよ。大体お前らどんだけラブコメやってると思ってんだ。お・そ・す・ぎ・だ」 当麻「ぁぅ…」 一方「大体今度は何やって揉めてンだァ?」 当麻「わ、わかんねーんだよ、それが…。俺が、『戦うのはやめられない』から、『帰りを待っててほしい』って言ったら…、嫌われてよ」 浜面「あー、鬱陶しい」 ステ「ふんっ」 当麻「いってぇ!? また!? 今度はてめーかステイル!?」 ステ「勝って戻ってくることだけ考えればいいだろう、上条当麻」 当麻「え?」 ステ「どうせ君にはそれしか脳がないんだからな」 当麻「……」 一方「ふン、勝って戻ることだけ考えろ、か。いいンじゃねェか? なァ、上条」 当麻「…ああ」
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学園都市内にあるとある児童公園にて。 「――成敗」 巫女服を着た黒髪の少女――姫神秋沙が、手に持った魔法のステッキ、もといスタンガン内蔵警棒を勢いよく振り下ろす。 しかし、 「――!?」 凶悪なまでの電流を垂れ流しにしているそれは、カンッ、という軽い音とともに姫神の手からすっぱ抜けて彼方へ飛んでいった。 「…………」 姫神はそれを弾き飛ばした対象を――姫神が攻撃を仕掛け、しかしあっさりと阻まれた対象を見据える。 垣根帝督。 学園都市第二位。 『未元物質』の超能力者が、そこにはいた。 「……。私を。どうするつもりなの?」 武器を失い後ずさる姫神だったが、その背中はすぐに公園に設置された自販機に触れてしまう。 そんな姫神を追い詰めるように垣根が近づき、 ドンッ、 と垣根の左手が姫神が背中を預けている自販機を叩いた。 「……黙れよ」 「…………」 その言葉の通り、姫神は押し黙る。 さらに自販機と、頭のすぐ横に伸びている垣根の左腕によって逃げ場を奪われてしまい、どうすることも出来ない。 垣根は、自身の目線より低く、そして触れられるほどすぐ近くにいる姫神のことを数秒見下ろし―― おもむろに、その胸元に向かって手を伸ばした。 8月9日。 早朝。 「財布持ったか?」 「うん、おっけー」 「水着、ゴーグル、バスタオル、水泳帽」 「ちゃんと入れたよ」 学園都市にあるとあるマンションにて。 垣根帝督と、その妹――垣根姫垣が、屋内プールへ行く姫垣の荷物確認を行っている。 姫垣の方はすぐにでも飛び出したいようだが、垣根が荷物を一つ一つ出し入れさせ、忘れ物がないかを点検しているのだ。 「大体いいか。あとは、替えのした――」 「入れたって、もう……恥ずかしいなぁ」 少し顔を赤らめながら、姫垣が垣根の言葉を遮る。 「……何か向こうで必要になったら、好きに買っていいからな」 取りあえずその言葉で荷物確認は終わりにする垣根。 続いて、 「プールサイドで走るなよ。お前絶対転ぶから」 お兄さんからのプールにおける注意事項の確認である。 「分かってるって! ていうかヒメ転ばないよ!」 「いいや転ぶ。お前おっちょこちょいだもん。ほれ、公園でよ……」 「それこの前も聞いた!」 「む……じゃあ、あれだ。雨の日によ。傘さしてはしゃいでたら、足滑らせてすっころんだろ。しかも、そのまま土手を転げ落ちて増水中の川にダイブしたよな」 「そ、そんなこともあったけど、昔の話じゃん……」 途端にしゅんとなる姫垣。 「いや、これは今年の梅雨ん時だから、最近だし。そもそも俺が能力使ってお前のこと川ん中から助け出したんだからよ。水面に浮いてきてくれたから何とかなったが……あん時は本当に肝が冷えたぞ」 「う、うぅ……」 どうやら、かなり危険な事件だったらしく、垣根の声が段々とキツくなり、それに伴って姫垣の目が下を向いていく。 「そのせいで俺までビショビショになっちまったし」 「むぅ……って、あぁ! そうだ! あの後確か、帰ってきてお風呂に入ろうと私が脱衣所で裸になってた時に、てーとにぃ私のこと覗いたんだ!」 突然、右手の人差し指をビシッ、と垣根に突き立てて、姫垣が大声で宣言する。 「んな! お前そんなこと覚えてんじゃねーよ! 大体、あれはお前の服が泥だらけになってて、早く洗わねーと汚れが取れないと思って、脱いだ服回収しようとしただけだ! お前が服脱ぐの遅かったのが悪いんだろ!」 「肌に張り付いて脱ぎにくかったの! ていうかにぃがノックすればいい話じゃん!」 「じゃあお前が鍵閉めろよ!」 まさに兄妹喧嘩のテンプレートみたいな言い合いをする垣根と姫垣。 「どっちみち裸見たことには変わらないじゃん! にぃのエッチ!」 「お前、終わったことを掘り返して……てかエッチって……」 「結局、転がったせいか服も背中のところがすごい破れてて、着れなくなっちゃったし」 「だから、もとはと言えばお前がはしゃぎ回って川に落ちたりするから……」 「だ、だって! あの時は、久しぶりににぃと一緒に帰れたから!」 「なっ……」 「っ………」 お互い固まってしまう垣根と姫垣。 もしこの場に第三者がいたならば、まるで付き合い始めのカップルのようだと評することだろう。 〈呆然。付き合い始めのカップルのようだな〉 (………………………………) そう言えば、この場には第三者がいたのだった。 (うっせーな、テメェにゃ関係ねーだろ) 頭の中に響く、無遠慮な間借り人――アウレオルス=イザードの声に、垣根は心の中で応える。 〈しかし、こんな調子ではいつまで経ってもプレゼントが渡せんぞ?〉 (わ、分かってんだよ! なんなら今すぐにでも……) 〈そう思い始めて一体どれだけ経った? 持ち物確認や諸注意ばかりで、なかなか本題に入ろうとしない驚くべきへたれ野郎はどこの誰か〉 (……こっちの考えが全部そっちに筒抜けってのはやっぱり反則だろ。だぁもう! 分かったよ!) 心中での会話を終えて、垣根は目前の姫垣に向き直る。 「ヒメ」 「へ? な、何?」 突然改まった垣根の態度に戸惑う姫垣。 それに構わず、垣根は背中に隠し持っていた包みを取り出し、姫垣に差し出す。 「昨日、俺の服と一緒に買った。お前の服」 「えっ…………ふぇ…………?」 混乱しながらも姫垣はその包みを受け取り、上目遣いにちらり、と垣根のことを見上げた後、丁寧にそれを開いていく。 その中には―― 「わっ、可愛い……」 昨日垣根がデパートで購入した白いスカートが入っていた。 「こ、これ、てーとにぃが? ヒメに?」 「おお。……な、何か気に入らなかったか?」 恐る恐る聞き返す垣根に対して、姫垣はふるふる、と首を振って答える。 「ううん。逆だよ。にぃはきっと、もっとフリフリのとかデコデコしたのとか選ぶと思ってたけど……これすごい可愛い! にぃセンスいいね!」 瞳を輝かせながらの姫垣の言葉に、 「ア、アタリマエダローガ。ニーチャンハスゲーンダヨ」 垣根は完全な棒読み声で答える。 「わー! ありがとうてーとにぃ! あ、えーと……その、さっきは意地悪なこと言ってごめんね」 ヒートアップした頭が強制的にリセットされたことで冷静になったのか、先ほどまでの自分を反省する姫垣。 「いーよ。俺も大人げなかった。くどくど言い過ぎたな、ごめん」 垣根はそんな妹の頭をぽんぽん、と叩き、優しげに返す。 すると姫垣は、 「てーとにぃ! 大好きっ!」 とスカートを抱えたまま思いっきり垣根の胸にダイビングしてきた。 「ばっ、止めろよ恥ずかしい。ほら、どうせだったら、今日それ着て行ってこいよ」 赤面して、のしかかってくる姫垣を力なく押し返しながら垣根が言うと、姫垣は、うん、と嬉しそうな声で頷いた後、自室へ戻って行く。 おそらくは今履いているジーパンと取り替えに行ったのだろう。 「ったく、しょうがねぇな……」 と呟きつつも、もちろん口元は僅かににやにやとしている垣根帝督である。 〈………………唖然。売り場の店員に感謝することだな〉 (その、俺のメモリーから勝手に情報を引き出せる機能も止めろ) 喜びを阻害する声に心の中で突っ込みを入れていると、すぐに姫垣が戻ってくる。 「ねっ、どう? どう?」 白いスカートをはき、くるりと垣根の前で一回転してみせる姫垣。 「おう、似合う似合う……!?」 満足げに頷いていた垣根の声が止まる。 「……お、お前。それ、下に何はいてやがんだ?」 垣根が震える指で姫垣のはくスカートの下からはみ出しているそれを指摘すると、 「へ? スパッツだけど」 姫垣は指でスカートを恥ずかしげもなくめくって、その下のスパッツを露わにした。 「……脱げ」 「へ? 何を?」 「スパッツだ! スカートの下にそんなもんはいて、恥ずかしいだろうが!」 「な、何で? へ? 逆じゃない? パンツが見えないように……」 「スカートの下からスパッツがはみ出してる方が恥ずかしいわ! いいから脱げ!」 言いながら、垣根は姫垣の足元にダイブしてスパッツを脱がそうとする。 「え、ちょっと引っ張らな……きゃっ! やぁー! てーとにぃのエッチ! 変態!!」 「なっ、だから俺はお前が外で恥ずかしくないように……って痛っ! 蹴るなよ!」 そうして、共に床に倒れ、過激なスキンシップ――もとい、じゃれ合っている兄妹を第三者視点で眺めながら、 〈……騒然。やれやれ、だ〉 錬金術師・アウレオルス=イザードは、一人溜め息をついた。 前日。 8月8日、夜。 馬場芳郎――正確には彼の操るロボットとの戦いを終え、帰宅の路についていた垣根帝督は、 (んで、テメェはどういう経緯で、ついでにどういうインチキ使って俺の頭ん中にワープしてきたんだ?) アウレオルスの、『言葉にして発声せずとも、思うだけで垣根の意志はアウレオルスに伝わる』という言葉を受けて、脳内で『会話』を行っていた。 〈8月3日。貴様と三沢塾で出会った日。私は貴様の記憶を奪うと同時に、ある仕掛けを貴様の頭に仕込んでおいた〉 (仕掛け?) 〈貴様の脳に、私の今までの――8月3日時点での記憶、記録、人格の全てを植え付けておいた。そして、私が死亡した時、或いはそれに等しいだけの精神的損傷を受けた時に、それらの情報を元に『私』を貴様の脳内に再構成する――『8月3日のアウレオルス=イザードが思考するであろうことを思考する人工知能プログラム』を作成する、という術式を施したのだよ。つまりは、直接アウレオルス=イザードが貴様に憑依した訳ではない。今の私は8月3日のアウレオルス=イザードの複製。アウレオルス=コピーとでも言うべき存在だ〉 「ばっ――」 思わず声を上げそうになり、垣根は慌てて口を噤む。 (馬鹿か? んなこと出来る訳ねーだろ) 〈ふむ。私の『引っ越し』に際して8月3日の記憶は戻っている筈。魔術について再度説明する必要はないと思っていたが?〉 (あぁ、それに関しちゃ文句はねぇよ。AIは科学の分野だし、『アルス=マグナ』とあの三沢塾っつーフィールドがありゃ、そんくらいのビックリくらい起こせそうだ。だがよ、植え付けたってのはどーいうことだ? 確かに人間の脳にゃ140年分の『記憶』を保つだけのキャパはある。それでも、他人の脳味噌を『丸ごと一個』移すにはどう考えても足りねー筈だ) 〈憮然。話を聞いていたか? 私が移したのは、私の記憶、記録、人格のみに過ぎない〉 (あ? それで全部じゃねーのか?) 〈当然。例えば、『この』私には脳以外の器官が存在しない。考えてみろ。貴様の目は四つに増えたか?口は二つに増えたか?〉 (あー……成る程) その言葉だけで、学園都市第二位の頭脳は自身の疑問を解き明かすことに成功した。 (感覚器の一切がないなら、本来それに連なって動いていた脳味噌の各部位も必要ねぇ。そうやってエコエコしていった結果、アウレオルス=コピーの持つ情報量は俺の脳の余ってる部分に収まるだけ小さくなったってことか) 〈明然。聡明なのは良いことだ〉 (ん? だがそうするとテメェには外界を認識することは出来てないってことか? てゆーかならそもそも、どうしてテメェは俺とは意志の疎通ができてるんだ?) 家路をたどりながら、次々に思考を組み上げていく垣根。 〈雑然。一度にいくつも疑問をぶつけてくるな。順を追って話そう。私は今、貴様の記憶野に私用のスペースを設けて間借りさせてもらっている〉 (家賃払え畜生が。……あー、だがよ。人間の脳っつーのは色々分野毎に分かれてて、記憶野だけでお前の記憶、記録、人格をコンプリートするのは……) 〈脳とは所詮神経細胞の接続の連続に過ぎない。少し並びを組み替えれば、他の分野の仕事も賄えよう〉 (……その作業の結果があの頭痛ってことか) 謎のロボットとの戦闘を思い出し、垣根はしかめっ面になる。 〈そして、同時に今私が間借りしている脳のスペースと、その他のスペースとを『仕切り』によって分断した。お互いの意識が混合するのを防ぐための措置だ。しかし、それだけでは私は貴様の頭の片隅で眠っていることだけしか出来ない。そこで、『仕切り』に小さな穴を開け、情報が行き来出来るような『糸』を通したのだ〉 (テメェ、人の脳味噌を好き勝手にリフォームしやがって……その『糸』が、疑問の答えってことか?) 〈判然。『糸』は貴様が五感で得た外界の情報をそのまま受信するためのものである。今の私には感覚器がない故にな、貴様の見、聞き、感じたものを私も同様に受容するようになっている。それとは別に、この『糸』は貴様の考えていること、貴様の今までの記憶と記録もまた受信することが出来る。『貴様の脳』に直結しているのだから、どちらも当然のことであるがな。あぁ、因みに貴様の考えは自動で私に流れてくるのでな。貴様は私に一切の虚偽は吐けぬし……エロいことなどを考えたらすぐにバレるので注意しておくのだな〉 (っ…………) 悪戯っぽい響きを含んだアウレオルスの言葉にイラッとながらも、垣根は『会話』を続ける。 すでに自宅のマンションがすぐそこにまで迫っていた。 (んでもって、その『糸』は受信するだけでなく、テメェの考えもこっちに伝えられる、その結果がこの声ってことか) 〈その通りだ〉 (こっちにはテメェの邪念みてぇのは送られてこねぇんだが……何だ? 『送信』に関してはファイアウォールを張れんのか? セッケーな) 〈当然。だがこれは良心だぞ? 私の思考がいちいち貴様に流出しては貴様も煩わしいだろう。基本的には貴様の思考に対する応答、貴様に伝えるべき事項の伝達、不甲斐ない貴様の思考や行動への突っ込みぐらいしかしないつもりだ〉 (最後のは余計だクソ野郎。……さて、まぁしかし、これで大体のことは理解した) 〈フン、優秀だな。学園都市第二位〉 (わかんねーのはあと一つ……) マンションの入り口の前で、垣根は立ち止まり後ろを振り返る。 無論、そこには誰も立ってはいないが――脳内の『校長室』での垣根の視界は、眼前に直立するアウレオルスの姿をしっかりと捉えている。 (――テメェが一体どういう『目的』で俺の頭ん中に侵入したかってことだ) 〈目的、か。だが貴様はもうそれに思い至っている筈だ。少なくとも、『最終的』なところはな〉 三沢塾の校長室で――正確にはそれを再現した精神世界で、アウレオルスは垣根帝督に告げる。 (……やっぱり、禁書目録関連か。俺ん中にコピーを作ることが、禁書目録の救済に繋がるってのか?) 〈否。私がここに来たということは、私は既に目的を達している筈である〉 (……?) 〈三沢塾には――私の結界には、一切の魔術攻撃、科学攻撃が通用しない。絶対であり、完全だ。そして、そこへ禁書目録を誘い出す策も何十も考えてあった。故に、私は一切の危険なく、禁書目録に術を施すことが出来たであろう〉 (なら……) 〈問題はその後だ。禁書目録の『首輪』を破壊する、あわよくば彼女の記憶の全てを吸血鬼に移す――それ程の大掛かりで特異な術式を、私は未だかつて行ったことがない。術自体が成功したとしても、何らかの後遺症や不測の事態が発生する可能性がある〉 (――術後の経過を見守るため、か。だがよ、だったらわざわざ俺の頭ん中に飛んでくるまでしなくても……) 垣根の意見にアウレオルスは、やれやれ、と目を閉じ、首を振りながら答える。 〈忘れたか? 私は世界中の魔術協会を敵に回している。三沢塾を出た次の瞬間、私は拘束されあらゆる拷問を受けて知識を吸い出された挙げ句、体のいい錬金術師の標本として扱われるだろう。それでは禁書目録のその後を見守ることなどできまい。かと言って三沢塾の中では術後の経過など見れる筈もない。あの場所では、禁書目録の身体もまた、私の思い通りに歪められてしまうだろうからな。それ故に私は、禁書目録を救済した後すぐ、自発的に貴様のところへやって来た筈だ〉 アウレオルスは、一拍置いてからその切れ長の瞳を開き、垣根を見据えて告げた。 〈――自害して、な〉 (…………っ) 成る程、確かに。 アウレオルスが置かれた環境において――そしてそこから脱する為の策として――それはかなり有効な方法であっただろう。 しかし、それは常人からすればどう考えても狂気の沙汰でしかない。 何かが壊れた人間の選ぶ選択肢に違いない。 そして、 (……テメェ、やっぱすげーな) 垣根帝督もまた、そちら側の人間なのであった。 〈歴然。貴様の感情に直に触れている今なら解る。貴様は真実私の思考に恐怖していない、嫌悪していない。その羨望も尊敬も、本物であって混じり気がない。私が置かれたような状況下では、『自害することが当然であり最善である』ことを心の底から肯定している〉 (…………) 〈貴様を選んだ私の選択は正しかった。或いは貴様の意識を完全に支配するような術式を組み、この身体を私の思うままに動かすことも考えていたが――やはり必要なかったな。貴様は私と同類だ。私を真に理解している〉 (……ったく、その通りだよ) はぁ、と大きく溜め息を吐き、垣根は呟いた。 (俺はテメェのことをすげーって思っちまって、だから協力したいとも思っちまって、そしてテメェに付き合うことで――俺にも何かが見えるんじゃないかって、本気で思っちまってる) 見事にテメェの掌の上だ。 呆れたように、或いは観念したように、垣根が付け加える。 それに満足げに頷くと、アウレオルスは早速第一の目的を告げる。 〈禁書目録より先に、先ずは『吸血殺し』姫神秋沙の様子を確認する。あれとは協力関係にあった。私がきちんとそれを果たしたのかを見に行こう〉 「いってきまーっす!」 「おぉ」 乱闘の末、ついにスパッツを脱ぎ捨てた姫垣が玄関から出て行くのに、垣根は軽く手を振って応える。 玄関の扉が緩やかに閉まり、軽い音を立てるのを聞いてから、垣根はアウレオルスに心の中で声をかける。 (さて。じゃあ、俺たちも行くぞ。テメェの目的を、果たすためにもよ) 〈その前に実験、だったか〉 (あぁ、幻生んとこでな。そっちは居候なんだから、こっちのスケジュールには合わせてもらうぜ) 〈当然〉 (それに、研究所には8月3日の時の資料――つまりは姫神秋沙についての資料もまだ残ってる筈だ。テメェのせいで『保留』になっちまったからな。まぁ、姫神のデータは大体頭の中に残ってるが、ちゃんとした資料で居場所を特定した方が確実だろう) 〈ふむ、これは存外早く済みそうだな〉 「つーかよ……」 外出準備の手を止めて、垣根は声に出してアウレオルスに問う。 「何で先に禁書目録じゃねーんだ? 明らかに優先順位逆だろ」 〈っ、それは…………〉 珍しく、慌てたような思考を飛ばしてくるアウレオルス。 その様子に、垣根はすぐにピンと来てしまった。 (ははーん) 何しろ、垣根とアウレオルスは同類である。 アウレオルスの思考が垣根に直接伝わらなくとも、アウレオルスと自身とを重ね合わせることで、簡単にその思考を読むことが出来る。 (さてはテメェ、禁書目録に会うのが怖いんだろ。本当に自分が禁書目録を解放できたのか、不安なんだろ) 〈むっ、それは………………〉 (図星だな。まぁ、でもそう思うのも分かるぜ) 〈……………………〉 完全に押し黙ってしまったアウレオルス。 しかし、だからこそ垣根はアウレオルスに親近感を覚えた。 「ははっ。アウレオルス、テメェもまだまだ全然人間だな」 脳内の居候に向かって茶化すようにそう告げて、垣根はマンションを後にした。
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19時01分 その後、さんざんな目に遭った。 コスプレ衣装は没収された。描写不可能な形相をした白井に追い掛け回され助けを求めた他の常盤台中学生は敵に周り、上条当麻は『学舎の園』の中を走り回った。休む暇も無く、針や二〇〇〇℃を超す灼熱やカマイタチが襲ってくる。周囲はそんな光景を目のあたりにしながらもいたって驚くそぶりも見せない。つまりこれは上条当麻が起こす『普通の光景』なのだろう。常盤台中学の能力開発の優秀さ感心しつつも敵に回すとこれほど恐ろしいものはないということを上条は実感していた。 もっとも、上条当麻の敵ではないのだけれども。 命からがら逃げ出し、通学路の途中にある人気の無い公園のベンチで少年は項垂れていた。 三時間ほど走り続け、彼女たちを撒いてたどり着いた先がこの公園である。いくら体力のある年頃と言えど足に疲労を感じていた。空はすでに夜。下校時間を過ぎているので人通りは極端に少ない。携帯で時刻を確認すると十九時を過ぎている。 この状況を端的に表すとこの一言に尽きるだろう。 「…不幸だー」 不幸な少年は真っ暗な空を見上げて呟いた。夜空に輝く流れ星(実際は廃棄処分された人工衛星のデブリ)に心奪われながら、先ほど自販機で購入した缶ジュースに口をつけた。 「ぶわっ!?不味っ!」 口に広がる不快な味覚に上条は思わず吐き出した。口元を袖で拭いながら缶シュースの銘柄を見る。 「ゴホッゴホッ…んー、何々…抹茶味のサイダー!?て何だこりゃあ!?しかもホットだし!缶コーヒーを買ったはずなのに、また入れ間違いかよ!」 さらには缶の種類、サイズ、デザインの色合いも似ており、薄暗い公園で確認できなかったのも無理は無い。 ようやく訪れた静かなひと時を堪能したかった上条だが、ジュース一本でその雰囲気はものの見事に崩れ去ってしまった。カクテルバーで粗茶を飲むようなものである。 「うう、不幸すぎますー」 「不幸不幸と言っておるとまた味あわせてやるぞ?上条」 後ろからふいに声をかけられた。 振り返ろうとすると頬に暖かいものが押し付けられた。缶ジュースである。 「おしるこは嫌いか貴様?私は気に入っているのだがな」 見覚えがある。『今』の上条当麻にとってはつい最近会ったばかりだ。 「バードウェイ!?何でここに!?」 「……ふむ。私がここにいることがそんなに不思議か?」 先日帰ったばかりだろ!とは言えなかった。ここは一年後の未来。あの時から会っていないとすれば、一年ぶりの再会といえる。 しかし、上条は妙な親近感を覚えた。 高級感ある紺色のコートに白のプリーツブラウス。デザインの良い薔薇の刺繍が入った黒のストレッチベロアパンツを履いていて大人びた印象を受ける。 だが、その容姿はまるで変わっていなかった。可愛らしい容姿にひそむ鋭い目つきが。 「ひ、久しぶりだなー。突然の再開に少し驚いているだけだよ」 「ああ、それだ。それだよ。その『ヒサシブリ』という日本語を忘れてしまってな。貴様にどう話しかけようか思考を巡らせていたところだ」 「…また何かあったのか?」 外見は十二歳前後の少女とはいえ、『明け色の陽射し』のボスとして君臨する魔術師である。 この学園都市に観光目的で来日していないのは明白だ。さらに彼女ほどの実力と地位を持つ者が入ってくる事自体、ただ事ではない。 バードウェイは上条の変化を察したらしく、ニヤァ、と口を大きく引きつらせながら言った。 「なあに、大それた用事ではない。確かにここに来た目的は仕事の為だが、貴様に頼らずとも安易に完遂できるモノだ。私が貴様を訪ねたのはkotatsuをもう一度堪能しくなっただけだ。ウチにもあれを取り寄せたのだがな。アンティークが並ぶリビングでは案外つまらなくて、鬱憤晴らしに部屋ごと吹き飛ばしてしまった」 そう言って軽く舌を出すバードウェイのイタズラ心満点の笑顔に、上条当麻はギョッとした。片目を閉じながら、いつの間にか右手に持っている杖をクルクルまわしている。何かの拍子で術式が発動するかもしれない。 「そ、そうですか。今はまだコタツは出していないんでー、サヨナッ!?」 ガシイッ!襟首をつかまれた。かなり強い力で。 「貴様、どこに行く気だ?」 悪意たっぷりの笑顔を浮かべながらバードウェイは言う。 「い、いやー、カミジョーさんはただ家に帰ろうとしただけですよ?インデックスが腹を空かせてるかもしれないから、早く家に帰って夕飯の準備をしなくちゃならないのでェッ!?!」 足のつま先を踏まれた。かなり強い力で。 「それは奇遇だな。私もまだ夕食が済んでいないんだよ」 「…つまり」 「そこまで言ってもまだ分からぬか。やはり貴様は私の下僕にしてやったほうがいいな」 「…つまりつまり」 「喰わせろ」 ハイ、ワカリマシタ。 「お帰りなさいとうま(当麻)」 そこに二人のエプロン姿の美少女がいた。 上条当麻がとった行動は一つ。カバンをズリ落とした。それはもうドコかの漫画みたいに。 19時23分 バードウェイと共に見慣れない自分のアパートに戻ってきた。第七学区にある高級住宅地で十四階建の高級マンション。セキュリティの優秀性は知らないが、仄かに彩られる和風庭園を一望できる玄関があるだけでもその高級感は理解できるだろう。管理人のお姉さんも気立てがいい人で上条とバードウェイを見るなり「あららー?当麻ちゃんったらー『また』?」などと話しかけてきた。その直後にバードウェイが上条の足を踏みつけた。学生寮であれば男女揃って部屋に入ろうとしようものなら即刻先生たちに捕まり両親に知らせがいく。 しかし、上条は気にすることは無いだろうと思った。 管理人はアルコールの匂いをプンプンと発し、目の焦点が合っていないほど泥酔していた。 監視カメラを見過ごすあたりが上条らしいが、少年はそんなことを考えながらエレベーターに乗り最上階へと昇った。財布にあった二枚の黒色のカードキーを見る。一枚は玄関口を開けるカードキー。二枚目は「一四〇二号」と書かれたカードキー。上条の家である。 そして彼は見た。 エプロン姿の銀髪碧眼少女と茶髪茶眼少女が笑顔で上条を出迎えるのを。 上条の後ろに立っていたバードウェイを見るなり二人の笑顔が凍り付いたのは言うまでもないだろう。 そして今に至る。 四人用にしては比較的大きいテーブルに男一人と女三人が座り夕食を取っていた。 ハヤシライスがメインディッシュでサラダにチーズフォンデュ。加えてインデックスには蒲焼の缶詰が二パックある。 「ちょっとアンタ、食べすぎ」 「これくらい普通だよ。ね?とうま」 「あ、ああ、今日は少ない方じゃないかな」 「え!?」 「禁書目録よ。それは太るぞ」 「太らないもん!」 そんなやり取りをしながら夕食は進んでいた。上条の箸もすすんでいた。ハヤシライスもチーズフォンデュも舌をうならせる絶品だからだ。上条は三杯目に突入し、インデックスに至ってはルーを5回もつぎ足している。ハヤシライスはインデックス。チーズフォンデュとサラダは美琴が作ったらしい。しかもこのチーズ。一口食べただけでも分かるが、そこらのスーパーで売っているようなチーズは使っていない。おそらくそれに加えて美琴の腕もあるのだろう。とても美味しい。 「どうどう?とうま。美味しいでしょ、私が作ったハヤシライス!」 「ああ、美味え。インデックスが作ったとは思えないくらい…」 「ふっふ~ん。そうでしょそうでしょ。とうま、おかわりいる?」 「ああ、頼む」 得意げに話すインデックスは上機嫌で上条の食器を手に取った。 ご飯をつぎにキッチンに向かうインデックスを薄目で見ていると御坂美琴から脇腹を横から肘で小突かれた。 割と強い力で。 「いてっ、どうした?」 「…何か言うことはないの?」 インデックスとは反対に不機嫌そうな御坂美琴。 流石の上条も察することが出来た。自分の料理の評価が聞きたいのだ。 「ああ、美味いぜ。これ、チーズと牛乳の割合と加熱加減が難しいんだよな。いや、これはワインか。チーズも良いもん使ってるし、今度レクチャーしてくれよ。俺も作りてぇ。こんな美味いやつは初めてだからな」 上条の絶賛の言葉を聞いて面食らう美琴。それから少し間をおいてワザとらしく、コホンと咳をはいて、 「…フ、フン。いくら褒めたってもうお替わりは無いわよ」 「そうか。そりゃ残念だ」 なっ、と口を噤んだ美琴は顔を赤めると腕を組んでプイッと顔を背けた。 何だコイツ?と上条は美琴の挙動不審に首をかしげた。まあ、美琴がおかしいのいつものことだと考えてその疑問を放棄する。 「このチーズ、グリュイエール・アルバージュとみた」 「っ!!貴女、結構通ね…」 「もしかして一〇〇グラム八〇〇円もするあの!?」 「ああ、スイス産の安物だ」 美琴の予想以上の料理に対する入れ込みとバードウェイとの金銭感覚の違いに唖然とする上条はギギギ、と首を回して美琴の顔を見た。 赤い顔をしたまま美琴は上条の方をチラチラ見て、何かに気づいたような表情をした。 「あ、口についてるわよ」 美琴はナプキンで優しく上条の口を拭った。彼女の思わぬ行動にドキッとする上条だったが、そういう彼女の顔にも人に言えないものがある。 「…お前もついてるじゃねーか」 上条は仕返しのつもりで美琴の口元に付いている米粒を取った。 ごく自然に、それを口に含んだ。 そして気づく。 「「あ」」 事実を確認するや否や二人はみるみる顔が赤くなり、すごい勢いで顔をそらした。 恥ずかしすぎる!二人は心情まで一致した。 しかし、そんなやりとりは向かい側からは丸見えだ。 「何だそのツンデレ娘は?貴様の下僕か?」 ガチャン!とテーブルに頭をぶつける美琴。食器に直撃しなかったのは幸いだ。 そう言うバードウェイは退屈そうな顔をしていた。 「ななななな何言ってるのよアンタは!」 「図星か」 「ンなワケないでしょ!私は当麻のこ、恋人なの!」 「なら愛人の間違いだ。上条の正妻は禁書目録だろう?」 「「はぁ!?」」 ハモる上条と美琴。 「同棲しているではないか」 「ど、同棲!?」 『居候』の間違いだと上条は言いたかったが、若い男女が一緒に暮らしていること自体そのように受け取られていても不思議では無い。むしろ居候という方が異常だ。だがそんな事はお構いなしに口論はますますヒートアップしていく。 「インデックスはそっち側にとって危険なものなんでしょ?当麻はお人よしだから匿ってるだけよ!」 「何を言っている。禁書目録はイギリス清教の人間だ。上条は『枷』としての役割はあるが、安全性としては教会にいるほうがずっと高い。実際は禁書目録の意思が反映されているだけで、ここにいなければならないという適切な理由はない。そうだろう?」 少し驚いたようにインデックスは肩を震わせた。手元にあったハヤシライスを落としそうになる。上条はそれをキャッチした。 「…そうなの?アンタ」 「う、うん。それはそうだけど…で、でも私はここにいたいもん!」 「なっ!前にアンタの居候の理由を聞いた時は半信半疑で仕方無いことだと思ったけど、ここにいる理由はそれだけ!?」 「短髪には関係ないじゃん!」 「大アリよ!私は当麻の恋人なのよ!他所の女が恋人の家に住んでるなんてそんなの認められるかぁ!」 「心は私のものだ、などという勘違いは愛人にはよくあることだ」 ピタリ、と美琴の動きが止まる。 「…バードウェイ、だったけ?よっぽど死にたいらしいわね。アンタ」 「貴様こそ誰に向かって口を聞いてるつもりだ」 頭からピリピリと静電気を放つ美琴に平然と答えるバードウェイ。何故か口ごもるインデックス。 非常にまずい。 今、ここにいる御恩方を紹介しよう。 一〇万三〇〇〇冊の魔道書を保有する禁書目録―Index-Librorum-Prohibitorum。 魔術結社『明け色の陽射し』の首領であり他の魔術師を圧倒する強大な魔術師、バードウェイ。 学園都市「超能力者(レベル5)」の第一位。『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ御坂美琴。 学園都市最強の「絶対能力者(レベル6)」第一位。世界の英雄。上条当麻。 一見、女性関係のもつれによる口喧嘩だが、実際は国際問題に発展しかねない火ぶたがお茶の間のテーブルの上で切って落とされようとしている。原因は上条の女性関係という些細なものだが、古代文明の戦争なども案外似たようなものが発端なのかもしれない―――――――― などと現実逃避している上条当麻だった。 「インデックス。アンタ、覚悟しなさい」 「それはこっちのセリフだ、愛人。貴様こそ立場をわきまえてモノを言ったらどうだ」 「アンタは関係無いでしょ。部外者は黙ってなさい」 「禁書目録には借りがあるのでな。貴様が彼女に危害を加えようとするなら容赦はせんぞ。愛人」 「っ!愛人愛人って違うっつってんでしょ!」 ビリビリバチィ!と御坂美琴の頭から高電圧が放たれた。同時に電子レンジと液晶テレビから黒い煙が出る。 上条当麻以外は席を立ってお互いにらみ合っている。明るいムードから一転、いつの間にか一発触発の緊急事態に陥っていた。 どうしよう、と上条は考えていた。 事の発端はバードウェイの下僕発言でありそこからインデックスの居候の理由に矛先が向き美琴が上条の彼女であってインデックスの居候を快く思わないからでありバードウェイの愛人発言が美琴の神経を逆なでして今にも食ってかかりそうな勢いになってインデックスをかばうようにバードウェイが立ちはだかっており何でこんなことになったかというと上条当麻が御坂美琴という彼女がいながら年頃の美少女ことインデックスを家に置いているからであり、 結局、事の発端は「上条当麻」に帰結するのだ。 しかし、ここで上条が謝ったとしてもインデックスか御坂美琴の意見を聞くかで大きく事態が変わってしまう。しかし、上条はこの食事を楽しみたかった。だから何気なく呟いたのだ。 「お前ら、いいかげんにしろよ」 「っ!!!」 上条の言葉に三人の表情が凍り付いた。 あれ? と首をかしげる上条。 三人は渋々と席に着きながら、 「…そうね、ちょっとどうかしてたわ私」 「…フン、まあこれはお主の問題だ。客人の私が口を出すのはおこがましいな」 「…私はここにいたいもん」 皆、恐縮している。 一番恐縮しているのは上条当麻本人だ。 (あれー!?何で皆さんそんなにビビってんのー!?『うるさい!っていうかそもそもアンタが悪いんでしょうがあああ!』的展開を予想していたんですが!?) 「ごめんさない。インデックスがここにいる理由、前にも話し合ったもんね」 「気にしてないよ、美琴ちゃん。とうまの彼女なんだから、私のこと気にしないほうがどうかしてるもん」 「…中々、複雑な恋愛事情だな」 「……………………………………………………………この空気は一体何なんでせうか?」 「そ、そういえば、当麻。当麻は何で私の作った料理が分かったの?」 いきなりの話題転換。この暗い雰囲気を打破するために美琴があわてて上条に話題を振った。バードウェイもインデックスも苦笑している。 しかし、この期待を見事に裏切ってくれるのも他ならぬ上条当麻だ。 「んー…美琴の味がしたから、かな」 皆、絶句した。 硬直から五秒後。最初に口を開いたのはインデックスだ。 「とうま、それは一体どういう意味かな?」 「えっ!!!?い、いやそのっ!別に深いイミなんて無くってですね!?言葉のアヤというかなんというか!」 「そんなに挙動不審なのはどうしてなの!?ちゃんと説明してほしいかも!!」 怖い。向かい側の席でインデックスがとても怒ってらっしゃる。整った顔立ちをしているので余計に迫力があった。美琴は、というと上条の隣で耳まで赤くしてうつむいている。 バードウェイに目を見やると、これまた退屈そうに頬づえをついていた。 「禁書目録よ。言わずもながら分かるだろう?」 「!!!な、何を!?」 「…つまり、そういうことだ。なあ?御坂美琴嬢?」 「う、うん」 小さな声で、顔を真っ赤にした美琴はコクリと頷いた。 …短い人生だったな。 「とうまあああああ!いつ、どこで短髪に手を出したのおおおおおおっ!今日という今日はとうま殺す!カミコロス!私の腹の中で溶けちゃえええええええ!」 「では私がチョコ味にしてやろう」 「そんな魔術があんの!?っていうか皆で食事の続きをしましょうよ!結局こういうオチになるわけ!?やっぱ不幸ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」 「ちょっとー!!私の当麻に何すんのよー!!!」
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【種別】 機械 【元ネタ】 ギリシア神話に登場する、アルテミスに愛されアルテミスに殺されたオリオン。 神話によると、後に星座になった。 Wikipedia-オーリーオーン 【初出】 劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟 【解説】 オービット・ポータル社が保有していたスペースプレーン。 ロケットやシャトルのような打ち上げ設備のいらない、地球と宇宙を行き来できる旅客機である。 開業記念試験飛行時の機長はディダロス=セクウェンツィア。 この試験飛行の際、記念品としてオリオン座が描かれた青いブレスレットが乗客に配られた。 本来、打ち上げ施設なしで地球と宇宙を往復するには、 高度によって変化する大気層の性質やそこでの速度、空力効果の無い大気圏外、 それぞれに合わせた推進装置が必要とされるが、 学園都市の進んだ技術によって必要な装置を集約し、 実用レベルに至るまでの技術開発に成功した。 本編の三年前にオービット・ポータル社による開業記念試験飛行が行われたが、 スペースデブリと接触してエンジンブロックに損傷。 第二三学区に不時着するという大事故を起こした。 この事故はオリオン号事件として記録されている他、 乗員乗客88名が全員生還したということから『88の奇蹟』の名でも伝わっている。
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【種別】 怪生物 【初出】 鎌池和馬スレッド37「とある魔術の禁書目録」 670 :イラストに騙された名無しさん :2006/04/30(日) 21 08 54 ID Eq+t2AYR アニェーゼたんには特別に。 鼠の肉にゴキブリとネメクジをグチャグチャに混ぜた物を進呈。 懐かしの味って奴だね。 672 :イラストに騙された名無しさん :2006/04/30(日) 21 10 25 ID WpXCyB9N このスレはネメクジが何であるかを推測するスレになりました 【解説】 ナメクジをネメクジと打ち間違えた際に発生した怪生物。 ネズミとナメクジの合いの子と言う設定でお楽しみください。 超機動少女カナミンに雑魚敵として登場し、カナミンの服を溶かしたりする大きいお友達の憧れの生物らしい。 一時期はネメクジのフィギュアが作り出されようとしたらしい。 食べられるらしい。 味は世界三大珍味の一つに加えられて、世界四大珍味と数えられる程らしい。 某テーマパークの鼠にそっくりな顔をしてる奴や。 某任天堂ゲームの電気鼠にそっくりな顔をしてる奴も居るらしい。 学園都市の都市伝説では常盤台中学の給食に入ってる事があると言われている。 小萌先生は、謎組織にこれを飲まされたため、見た目は子供、頭脳は大人らしい。 ネメクジとは一体何なのか謎は深まるばかりである。
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【種別】 部隊名 【初版】 劇場版 とある魔術の禁書目録 -エンデュミオンの奇蹟- 【CV】 クロウ4 村田太志 クロウ7 島﨑信長 【解説】 学園都市に数ある私設治安維持部隊のひとつ。 シャットアウラ=セクウェンツィアがリーダーを務め、 彼女の能力を最大限に発揮するために組織されている。 「秩序の維持」を第一義とするシャットアウラの意思が浸透し、統制されたチームである。 コールサインはシャットアウラが「クロウリーダー」、部隊員は「クロウ○(数字)」。 作中では最低でも「クロウ7」までは存在することが確認できる。 隊員達は正確に治安を守るシャットアウラに惚れ込んで入隊した者達であるため、後にレディリー=タングルロードの元から離反した際も、シャットアウラと共に行動した。 光学迷彩を搭載した海生生物のような特殊機動兵器を駆使し、任務を実行する。 また、機動兵器・個人装備ともに、 シャットアウラの『希土拡張』を最大限に発揮する為の装備が施されている。 オービット・ポータル社長のレディリーから、 鳴護アリサを保護する依頼を受けて行動を開始。 アリサを狙い襲撃してきたステイル=マグヌスを初めとするイギリス清教組と交戦した。 シャットアウラがレディリーを追うためにエンデュミオンに向かう際も支援を行った。
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【種別】 魔術 【元ネタ】 北欧神話。 Wikipedia - ナグルファル 【初出】 とある魔術の禁書目録SS 第5話 【解説】 北欧神話において、死者の爪を素材とし、『神々の敵対者』が乗るという船ナグルファルの伝承に基づいた魔術。 巨大な船とそこに乗る罪人、そして死者の爪という魔術的記号を用いることで船の制御を奪う。 海洋牢獄に収容されていた魔術師達が船を乗っ取るために使用した。 なお、『死者の爪』を用いる関係上、発動に際して少なくとも一人以上の死者が発生している。 また、伝承におけるナグルファルに潜行機能は無いため、海面に浮かんで航行する。 この術式は喜望峰の解析を狙うブリュンヒルド=エイクトベルが、 『必要悪の教会(ネセサリウス)』の意識を逸らすために囚人達に授けた物である。 神裂を始めとする精鋭達がナグルファル事件の解決に向かう隙を狙い、 エーラソーンから得た知識により、喜望峰のシステムの解析に成功している。 【補足】 元ネタとなった巨大船ナグルファルは『ヴァルトラウテさんの婚活事情』にも登場。 『とある魔術のヘヴィーな座敷童が簡単な殺人妃の婚活事情』でも、ヘルがインデックスらに見せた求人情報の中に 「死者の爪を集める」というものが確認できる。
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【種別】 船名 【初出】 とある魔術の禁書目録SSマーク=スペース編 【解説】 イギリス所属の世界最大の海洋資源調査船。 500m級のタンカー3隻ほどを並べ、上に巨大な鉄板を敷いたような外見。 鉄板は複数で構成されていて意図的な「隙間」を設けてあり、 傍目から見ると超巨大な釣り堀のように見える。 鉄板の上には30基以上のクレーンや採掘用資材のほか、端には小型潜水艦をぶら下げたウインチ、 ヘリポートには海賊対策のための攻撃ヘリも搭載されている。 世界最大と銘打っているが、 実際には学園都市に対する意地の面が強い。 わざわざ税金のかからないパナマとかではなくイギリス船籍で登録しているのも、 「学園都市よりすごいことをやっているんだ」という箔をつけたいだけ(パトリシア談)。 実際の採掘能力では学園都市製には遠く及ばない。 パトリシアはゲスト研究員として招かれ乗船していた。 北海の油田を探索、開発するために派遣されていたが、 採掘チームに魔術結社宵闇の出口の息がかかっている嫌疑が浮上し、 科学サイド・魔術サイド双方から問題視される。 そして双方の協議の結果、船を船員ごと沈めることで計画を頓挫させることを決定。 これを知ったバードウェイは、パトリシアを船から脱出させるためにマークを派遣した。
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【種別】 魔術・状態 【初出】 とある魔術の禁書目録 頂点決戦 【解説】 イベント『救出作戦!エンデュミオンの檻』にて登場した魔術。およびその魔術にかかった状態の者を指す。 振り仮名の如く誰かを操る魔術のようで、魔術・科学問わず多くの人間を操った。 魔術の核があると思わしき表現があり、一人に対して一つの魔術核が必要。 緩和玉というウサミミが作った玉で一定時間沈静化できるものの、根本をつぶさない限り意味はない。 エンデュミオン完成前のとある日、レディリー=タングルロードが発動させる。 ウサミミの研究所近くを封鎖して学園都市の生徒達や外部の魔術師を戦わせていた。 封鎖区域内にいたシャットアウラ=セクウェンツィアが操っていたらしく、レディリーから何らかの制御装置をもたらされていた。 事態に気づいた上条やインデックスの二人、および合流したプレイヤーやウサミミと交戦。 シャットアウラやレディリーを倒すことで順に一人ずつ解放された。 操られていた人物は把握できるだけでも、 妹達、土御門、白井、オルソラ、姫神、 海原(エツァリ?)、結標、オリアナという面子。 またこの事件の時にはマリーベート、ジェーン、メアリエの三人がステイルの指示で動いていた。 最終的には四人の活躍により操敵になっていた全員が解放された。