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C アレルギー反応 小項目 Coombs分類 102E25 補体が関与しないのはどれか。 a 過敏性肺炎 b 気管支喘息 c 自己免疫性溶血性貧血 d 全身性エリテマトーデス e 特発性血小板減少性紫斑病 ○ a × b ○ c ○ d ○ e 正解 b 102G44 23歳の女性。38℃台の発熱を主訴に来院した。1か月前から感冒様症状とともに発熱が持続している。四肢に紫斑を認める。眼瞼結膜に貧血を認める。血液所見:赤血球 175万,Hb 5.6g/dl,網赤血球 5%,白血球 1500,血小板 4万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dl,ハプトグロビン≦10mg/dl(基準 19~170),クレアチニン 0.9mg/dl,AST 30IU/l,ALT 40IU/l,LDH 500IU/l(基準 176~353)。免疫学所見:抗核抗体 360倍(基準 20以下),抗DNA抗体 56IU/ml(基準 10以下),直接Coombs試験陽性,間接Coombs試験陽性,抗血小板抗体陽性,CH50<10IU/l(基準 30~40)。 この貧血のアレルギー反応の型(Gell Coombs分類)はどれか。 a Ⅰ型 b Ⅱ型 c Ⅲ型 d Ⅳ型 e 抗レセプター抗体型〈Ⅴ型〉 × a ○ b × c × d × e 正解 b 101H20 34歳の女性。乾性咳嗽と呼吸困難とを主訴に来院した。2年前から梅雨明けの頃に同様の症状が出現していたが,今回は息苦しさが強くなった。意識は清明。体温 37.5℃。脈拍 84/分,整。血圧 110/72mmHg。赤沈 42mm/1時間。血清生化学所見:総蛋白 7.8g/dl,γ-グロブリン 34.3%,IgG 2480mg/dl(基準 960~1960)。ツベルクリン反応陰性。Trichosporon asahiiに対する沈降反応とリンパ球刺激試験とが陽性である。 Gell Coombs分類でのアレルギー反応型はどれか。2つ選べ。 a Ⅰ型 b Ⅱ型 c Ⅲ型 d Ⅳ型 e Ⅴ型 × a × b ○ c ○ d × e 正解 cd 診断 夏型過敏性肺臓炎 99F16 36歳の女性。発熱と乾性咳嗽とのため来院した。6月末から38℃台の不規則な発熱と咳嗽とが出現し,抗菌薬は効果なく7月末に入院した。入院後特に治療せずに経過を観察したところ症状の改善をみたため退院した。退院後数時間で再び乾性咳嗽,呼吸困難および38℃の発熱が出現し再入院した。意識は清明。体温 38.5℃。呼吸数 28/分。脈拍 112/分,整。血圧 120/80mmHg。チアノーゼなし。心雑音なし。両下肺野にfine crackles〈捻髪音〉を聴取する。血液所見:赤血球 451万,Hb 13.0g/dl,Ht 39%,白血球 8000(好中球 76%,好酸球 4%,単球 5%,リンパ球 15%),血小板 42万。胸部エックス線写真で両下肺野に散布性粒状影を認める。 考えられるアレルギーの型はどれか。 (1) Ⅰ型(アナフィラキシー型) (2) Ⅱ型(細胞毒性型) (3) Ⅲ型(免疫複合体型) (4) Ⅳ型(遅延型) (5) Ⅴ型(抗レセプター抗体型) a (1),(2) b (1),(5) c (2),(3) d (3),(4) e (4),(5) × (1) × (2) ○ (3) ○ (4) × (5) 正解 d 診断 過敏性肺臓炎
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AE ANCA関連血管炎〈顕微鏡的多発動脈炎,アレルギー性肉芽腫性血管炎,Wegener肉芽腫症〉 102I66 32歳の女性。両下肢の筋肉痛としびれ感とを主訴に来院した。2週前から両下肢の症状が出現し,徐々に悪化した。2年前から気管支喘息と診断され治療中である。体温 37.2℃。脈拍 72/分,整。血圧 110/64mmHg。胸部背面で軽度のwheezesを聴取し,下肢の筋力低下と下腿の感覚低下とを認める。血液所見:赤沈 32mm/1時間,白血球 12400(桿状核好中球 2%,分葉核好中球 40%,好酸球 29%,好塩基球 1%,単球 5%,リンパ球 23%),血小板 44万。血液生化学所見:IgE 786IU/ml(基準 250未満),尿素窒素 9.2mg/dl,クレアチニン 0.8mg/dl,AST 22IU/l,ALT 18IU/l,CK 56IU/l(基準 40~200)。CRP 4.2mg/dl。 この疾患で陽性になるのはどれか。 a 抗リン脂質抗体 b 抗糸球体基底膜抗体 c 抗ミトコンドリア抗体 d 抗アセチルコリン受容体抗体 e 抗好中球細胞質抗体〈ANCA〉 × a × b × c × d ○ e 正解 e 診断 アレルギー性肉芽腫性血管炎 101A54 36歳の女性。2週前からの微熱と下肢のしびれ感とを主訴に来院した。1年前から喘鳴を伴う呼吸困難発作が出現し,気管支喘息で近医に通院加療中であった。尿蛋白(-)。血液所見:赤血球 423万,白血球 12300(分葉核好中球 42%,好酸球 34%,好塩基球 2%,単球 4%,リンパ球 18%),血小板 26万。IgE 410IU/ml(基準 50~300)。MPO-ANCA陽性。 診断はどれか。 a Wegener肉芽腫症 b 結節性多発動脈炎 c Goodpasture症候群 d アレルギー性肉芽腫性血管炎 e アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 × a × b × c ○ d × e 正解 d 診断 アレルギー性肉芽腫性血管炎 100B66 Wegener肉芽腫症でみられるのはどれか。 a 鞍鼻 b 低血圧 c 甲状腺腫 d けいれん e サーモンピンク疹 ○ a × b × c × d × e 正解 a 99G52 43歳の男性。発熱と下腿の痛みを伴うしこりとのため来院した。2か月前から夕方に38℃台の発熱,鼻汁および鼻閉が出現し,副鼻腔炎と診断された。1週前から両下腿に有痛性の紅斑が出現した。意識は清明。身長 182cm,体重 71kg。体温 37.8℃。脈拍 88/分,整。血圧 122/88mmHg。眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸はない。リンパ節腫脹はない。心雑音はなく,胸部にラ音を聴取しない。肝・脾を触知しない。両下腿に径1cmの有痛性結節性紅斑を数個認める。尿所見:蛋白 2+,潜血 1+。血液所見:赤血球 423万,Hb 12.1g/dl,Ht 36%,白血球 10800,血小板 39万,血清生化学所見:総蛋白 7.4g/dl,クレアチニン 0.7mg/dl,AST 14単位,ALT 19単位,LDH 129単位(基準 176~353)。免疫学所見:CRP 7.5mg/dl,CH50 60単位(基準 30~40),抗好中球細胞質抗体陽性。胸部エックス線写真で両肺に多発性の結節陰影を認める。 診断はどれか。 a 悪性リンパ腫 b サルコイドーシス c 結節性多発動脈炎 d 半月体形成性腎炎 e Wegener肉芽腫症 × a × b × c × d ○ e 正解 e 診断 Wegener肉芽腫症
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作詞:黒澤まどか 作曲:黒澤まどか 歌:結月ゆかり 翻译:Hasuki 掛在身上的耳機露出了插孔 總之現在 好想讓世界破裂啊 時不時傳來的風聲 讓眼皮不禁閉上陷入黑暗 誰也無法打擾的 只屬於我的地盤 雖然並不是不能變強 聽我說啊 聽我說啊 還要走到哪去? 寂寞什麽的 就算是張開嘴也說不出吧 那是因為 那是因為 我覺得這樣太可憐了 羞於出口 被討厭了嗎? 不啊我只是喜歡一個人呆著 那是因為 那是因為 不裝作那樣的話 我就會徹底壞掉了 啊啊 「不要碰我」一言不發的鳳仙花 不要打碎我的殼 就算是種子也不要留下 就算大家都看起來很開心 我還是獨自在蚊帳外 從最開始那裡 就跟我格格不入呢 一直在忍著不融入任何地方 一個人孤零零的呆著的話 很帥吧? 來做同伴吧 就算是張開嘴也說不出吧 那是因為 那是因為 我的自尊不允許我這樣啊 我沒有羡慕 不想羡慕啊 那就乾脆 那就乾脆 不要朋友了 請給我不屈的心吧 啊啊 連廁所都要一起去 吵死了啊 吵死了啊 斜視著追了上去 寂寞什麽的 就算是張開嘴也說不出吧 那是因為 那是因為 我覺得這樣太可憐了 等於輸了 被討厭了嗎? 不啊我只是喜歡一個人呆著 那是因為 那是因為 不裝作那樣的話 我就會徹底壞掉了 啊啊 翻譯:kyroslee (取用翻譯前請注意首頁的翻譯使用禮節, 並不要拿掉譯者的名字) 鳳仙花 戴在頭上的耳機接頭仍然沒有接駁着任何東西 總之現在 只想與人世隔絕 時而伴隨風聲 閉上眼瞼沉浸於黑暗之中 不會被任何人打擾 只屬於我的領域 「我並非不能逞強的」 那樣告訴自己 那樣告訴自己 要如此走到哪裏去呢? 很寂寞之類的說話 怎可能說得出口啊 因為 因為 被人認為很可憐 很可恥啊 被討厭了吧? 不是啊只是因為我喜歡獨處 因為 因為 不那樣假裝的話 我早就崩潰了啊 「別碰我」 沉默的鳳仙花 明明不打破外殼 就無法留下種子 即使大家看起來十分快樂 但我就只得被排除在外 若然從一開始就能 待在那地方的話那就不同了吧 比起無法融入任何場所而慌惶失措 光明正大地一人獨處更瀟灑吧? 來當朋友吧之類的說話 怎可能說得出口啊 因為 因為 我的自尊心絕不允許 羡慕之類的 我沒這樣想 亦不願這樣想 乾脆 乾脆 朋友什麼的我都不要了 請給予我一顆不屈的內心 啊啊 明明就連廁所都不敢自己一個去 不斷詛罵 不斷詛罵 但側目的雙眼卻始終緊隨不捨 很寂寞之類的說話 怎可能說得出口啊 因為 因為 被人認為很可憐 那就輸了啊 被討厭了吧? 不是啊只是因為我喜歡獨處 因為 因為 不那樣假裝的話 我早就崩潰了啊 註:鳳仙花的花語就是「別碰我」(私に触れないで) 希臘神話中相傳在一諸神的宴會上,作為禮物的十個金蘋果在宴會結束後被發現少了一個,於是負責打點的女神就被懷疑,並被逐出宮外 女神死後為表清白,便化身成鳳仙花,只要一被觸碰外殼便會裂開,彈出果實,讓人看清自己的一切,以表自身並無犯錯。 2014.02.12 修改一處 「我是絕對不會說出口的」→「怎可能說得出口啊」
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I 血便〈下血〉,粘血便 小項目 鮮血便,黒色便 102B51,102B52,102B53 次の文を読み,51~53の問いに答えよ。 65歳の男性。血便を主訴に来院した。 現病歴: 2か月前から排便異常と便の細小化とが持続し,1週前から下血(鮮紅色)が出現している。 既往歴: 特記すべきことはない。 現症: 身長 168cm,体重 61kg。体温 37.2℃。脈拍 72/分,整。血圧 120/62mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。 検査所見: 血液所見:赤血球 310万,Hb 9.1g/dl,Ht 27%,白血球 9200,血小板 21万,血液生化学所見:総蛋白 6.2g/dl,アルブミン 3.3g/dl,AST 25IU/l,ALT 25IU/l。免疫学所見:CRP 2.8mg/dl,CEA 7.6ng/ml(基準 5以下)。注腸造影写真を別に示す。 51 診断に有用なのはどれか。2つ選べ。 a 小腸造影 b 腹部造影CT c 腹腔動脈造影 d 大腸内視鏡検査 e 腹部エックス線単純撮影 × a ○ b × c ○ d × e 正解 bd 52 下血の原因はどれか。 a 痔瘻 b 直腸癌 c Crohn病 d 大腸憩室炎 e 潰瘍性大腸炎 × a ○ b × c × d × e 正解 b 53 治療として適切なのはどれか。 a 手術 b 抗菌薬投与 c 免疫抑制薬投与 d 内視鏡的粘膜切除術 e 副腎皮質ステロイド薬投与 ○ a × b × c × d × e 正解 a 100H37(試行問題) 65歳の男性。夜半急激な下腹部痛が出現し,その後鮮紅色の下血があり救急車で搬入された。便秘の既往がある。脈拍 92/分,整。血圧 110/70mmHg。顔面蒼白。便は鮮紅色。血液所見:赤血球 360万,Hb 10.0g/dl,白血球 9000,血小板 15万。血清生化学所見:総蛋白 7.2g/dl,アルブミン 3.5g/dl,総ビリルビン 1.0mg/dl,AST 15単位,ALT 30単位。S状結腸部の大腸内視鏡写真を別に示す。 この疾患で正しいのはどれか。 a 注腸造影検査でapple-core signがみられる。 b 左側結腸に発生しやすい。 c 副腎皮質ステロイド薬の適応である。 d 再発しやすい。 e 予後は極めて不良である。 × a ○ b × c × d × e 正解 b 診断 虚血性大腸炎 100I28(試行問題) 13歳の男子。血便と発熱とを主訴に来院した。3か月前から1日5回程度の下痢が続いていた。1週前から血便となり昨日から発熱した。体重は最近1か月で3kg減少した。身長 152cm,体重 36kg。体温 38.8℃。脈拍 120/分,整。便細菌検査は常在菌のみ検出,便クロストリジウム抗原は陰性。血液所見:赤血球 350万,Hb 9.5g/dl,白血球 11500,血小板 45万。血清生化学所見:総蛋白 6.5g/dl,アルブミン 3.5g/dl,尿素窒素 28mg/dl,クレアチニン 0.4mg/dl,CRP 8.5mg/dl,注腸造影写真を別に示す。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (100I28a.jpg) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (100I28b.jpg) 大腸内視鏡所見で予想されるのはどれか。 a 偽膜形成 b 縦走潰瘍 c 敷石状外観 d 打ち抜き状潰瘍 e 血管透見像消失 × a × b × c × d ○ e 正解 e 診断 潰瘍性大腸炎
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N 再生不良性貧血 99G32 10歳の女児。顔色蒼白と息切れとを主訴に来院した。4か月前から徐々に顔色が蒼白になり,動作時に息切れがある。成長発達は正常。体温 37.0℃。呼吸数 30/分。脈拍 92/分,整。皮膚蒼白。前胸部と下肢とに点状出血を認める。胸骨左縁で2/6度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常である。腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 215万,Hb 6.5g/dl,Ht 19%,白血球 2100(好中球 30%),血小板 2.6万。血清生化学所見:総蛋白 6.1g/dl,アルブミン 3.2mg/dl。クレアチニン 0.6mg/dl,尿酸 3.2mg/dl,AST 19単位,ALT 14単位,LDH 265単位(基準 176~353)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。 考えられるのはどれか。 a 再生不良性貧血 b 急性骨髄性白血病 c EBウイルス感染症 d パルボウイルス感染症 e 特発性血小板減少性紫斑病 ○ a × b × c × d × e 正解 a 診断 再生不良性貧血 99I16,99I17,99I18 次の文を読み,16~18の問いに答えよ。 28歳の男性。全身倦怠態と歯肉出血とのため来院した。 現病歴: 2週前から全身倦怠感を自覚していたが,3日前から起床時に歯肉に血がにじんでいるのに気付いた。 既往歴: 特記すべきことはない。 現症: 意識は清明。体温 37.2℃。脈拍 98/分,整。血圧 106/62mmHg。前胸部と下腿とに点状出血を認める。眼瞼結膜は蒼白。リンパ節腫脹はない。第3肋間胸骨左縁に2/6度の収縮期雑音を認める。肺野にラ音を聴取しない。腹部は平坦で,肝・脾を触知しない。神経学的に異常を認めない。 検査所見: 尿所見:蛋白 1+,糖(-),潜血 2+。便潜血反応陰性。血液所見:赤血球 205万,Hb 6.6 g/dl,Ht 20%,網赤血球 10‰,白血球 2500(桿状核好中球 1%,分葉核好中球 26%,好酸球 2%,好塩基球 1%,単球 9%,リンパ球 61%),血小板 2.1万,出血時間 12分(基準 7以下),プロトロンビン時間 98%(基準 80~120),APTT 31秒(基準対照 32.2)。血清生化学所見:総蛋白 7.0g/dl,アルブミン 4.5g/dl,ハプトグロピン 45mg/dl(基準 19~170),尿素窒素 18mg/dl,クレアチニン 1.1mg/dl,尿酸 4.6 mg/dl,総コレステロール 135mg/dl,総ビリルビン 0.8mg/dl,AST 35単位,ALT 30単位,LDH 350 単位(基準 176~353),Na 140mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 100 mEq/l,CRP 0.8mg/dl。 I16 この患者の貧血の発生機序はどれか。 a 失血 b 赤血球寿命短縮 c 赤血球産生低下 d 赤血球の分布異常 e エリスロポエチン低下 × a × b ○ c × d × e 正解 c I17 この患者の出血傾向の原因はどれか。 a 血小板減少 b 血管壁の異常 c 内因系凝固障害 d 外因系凝固障害 e 血小板機能異常 ○ a × b × c × d × e 正解 a I18 この患者に投与する血液製剤で適切なのはどれか。2つ選べ。 a 濃厚血小板 b 洗浄赤血球 c 赤血球濃厚液 d 新鮮凍結血漿 e 血漿分画製剤 ○ a × b ○ c × d × e 正解 ac 診断 再生不良性貧血
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A 細菌性食中毒 102I37 ブドウ球菌食中毒について正しいのはどれか。2つ選べ。 a 食品の加熱で予防する。 b 患者には抗菌薬を投与する。 c 予防には使い捨て手袋が用いられる。 d 魚介類が原因食品であることが多い。 e 食中毒またはその疑いと診断した場合,直ちに保健所に届け出る。 × a × b ○ c × d ○ e 正解 ce 101E1,101E2,101E3 次の文を読み,1~3の問いに答えよ。 34歳の男性。急速に強くなった腹痛のため搬入された。 現病歴: 昨日,夕食を午後8時に摂取した。午後11時ころに臍部を中心とした腹痛があり,最初は普通便,続いて水様便が始まり,夜間にも3回排便があった。妻もその頃から下痢を認めていた。今朝は朝食を摂取せず出社した。出社後,腹痛が周期性となり,血液の混じった粘液便を2回認めた。痛みのためうずくまっていたため,同僚が救急隊を要請した。 既往歴: 特記すべきことはない。 生活歴: 飲酒はビール1本を週に1回。喫煙はない。最近1年の海外渡航歴はない。 現症: 意識は清明。顔貌は苦悶様。身長 165cm,体重 64kg。体温 38.3℃。脈拍 96/分,整。血圧 106/80mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。 1 この患者に予想される身体所見はどれか。 a 肋骨脊柱角叩打痛 b 腸雑音亢進 c 筋性防御 d 腹部膨隆 e 反跳痛 × a ○ b × c × d × e 正解 b 2 この患者で有用な検査はどれか。2つ選べ。 a 便培養 b 便虫卵検査 c 便脂肪染色 d 便中ベロ毒素検査 e 便中ロタウイルス抗原検査 ○ a × b × c ○ d × e 正解 ad 3 この患者に対する治療で適切でないのはどれか。 a 麻薬性止痢薬投与 b 静菌性抗菌薬投与 c 解熱薬投与 d 整腸薬投与 e 輸液 ○ a × b × c × d × e 正解 a 診断 細菌性食中毒(毒素型) 100B76 正しいのはどれか。 a サルモネラ食中毒患者は隔離する必要がある。 b 腸炎ビブリオ食中毒の潜伏期間は2,3時間である。 c ボツリヌス食中毒の予防には食前加熱が有効である。 d ブドウ球菌食中毒の治療には抗菌薬が有効である。 e カンピロバクター食中毒の原因食品は魚貝類が多い。 × a × b ○ c × d × e 正解 c 99G59 32歳の男性。嘔吐,腹痛および下痢を主訴に来院した。5月の連休中,1泊旅行した帰途,朝食後3時間で悪心,嘔吐,腹痛および下痢が突然始まった。体温 37.1℃。脈拍 88/分,整。血圧 118/68mmHg。心・肺に異常所見を認めない。腹部は平坦,軟で,圧痛を認める。肝・脾を触知しない。神経学的所見に異常を認めない。尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 550万,Hb 17.0g/dl,白血球 8000,血小板 35万。血清生化学所見:総蛋白 7.0g/dl,クレアチニン 1.0mg/dl,総ビリルビン 0.8mg/dl,AST 38単位,ALT 32単位,γーGTP 40単位(基準 8~50),Na 145mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 102mEq/l,CRP 0.2mg/dl。輸液を行い帰宅させた。2日後に再来院した時点で症状は軽快していた。 原因として最も可能性が高いのはどれか。 a きのこ毒 b 腸炎ビブリオ c 黄色ブドウ球菌 d インフルエンザ e 小型球形ウイルス × a × b ○ c × d × e 正解 c 診断 感染性腸炎(食中毒:黄色ブドウ球菌疑い)
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・神経内科とは? ・神経内科とは特殊な病気を扱う? 外来患者の主訴の頻度の高い20項目のうち7項目は神経内科に関係 内科入院の20%と外来の5%は神経内科が担当 ・神経内科は難しくない! 1)錐体路の経路 2)感覚繊維の経路 3)脳神経とその派出部位 を知っていれば十分 神経疾患の病因別分類 1.血管障害 2.感染症 3.非感染性炎症性疾患 4.脱髄性疾患 5.変性疾患 6.代謝性疾患 7.中毒性疾患 8.内科性疾患に伴う障害 9.腫瘍 10.外傷 11.先天性疾患 12.発作性疾患(てんかん、頭痛など) 神経学的診断法総論 A.意識障害 B.運動系症状 C.感覚系症状 D.脳神経症状 E.高次機能の障害 F.自律神経症状 G.神経学的補助検査法 A.意識障害 意識を維持するシステム→脳幹網様体・上行性網様体賦活系 意識障害の原因となる主な疾患 意識障害の程度の判定→Mayo Clinic分類、JCS 植物状態と脳死 B.運動系症状 運動指令ルート→錐体路 運動麻痺の原因と鑑別 上位運動ニューロン障害→DTR亢進、Babinski(+) 下位運動ニューロン障害→DTR低下~消失、筋萎縮、線維束性攣縮 筋障害→近位筋障害、DTR低下、筋萎縮 不随意運動 舞踏様運動=遠位筋の不規則で落ち着かないすばやい動き バリスム=上下肢を投げ出す アテトーゼ=遠位筋のゆっくりとした動き ジストニア=体幹、近位筋のゆっくりとした動き 運動失調 小脳失調→指鼻試験、手回内回外試験、踵膝試験 脊髄性失調→Romberg(+) 筋緊張 亢進→痙縮or固縮 痙縮・・・上位運動ニューロン障害、折りたたみナイフ様 固縮・・・Parkinson病、歯車様、鉛管様 低下→筋、下位運動ニューロン、小脳の障害 歩行障害 動揺性歩行 鶏状歩行 痙性歩行 Parkinson病様歩行 小脳性失調性歩行 C.感覚系症状 感覚障害 表在感覚:触覚と温痛覚 深部感覚:振動覚と関節位置覚は意識に上る 筋の長さを伝える感覚は意識に上らない 複合感覚:二点識別覚、触覚によってモノを認知する感覚 感覚伝道路 深部感覚と識別的触覚→後索内側毛帯 温痛覚→外側脊髄視床路・前脊髄視床路 脊髄障害 前方障害型:障害レベル以下に温痛覚低下 後方障害型:障害レベル以下に深部感覚と識別的触覚の低下 中心部障害型:障害レベルのみの温痛覚の低下 Brown-Séquard症候群: 同側障害レベルに・・・すべての感覚の低下、下位運動ニューロン性麻痺 障害レベル以下に・・・同側の錐体路症状、深部感覚、識別的触覚の低下 反対側の温痛覚の低下 Wallenberg症候群 D.脳神経症状 Ⅰ Ⅱ 視力障害 うっ血乳頭:Mariotte盲点の拡大 視神経炎:中心暗点 虚血性視神経症 視野障害 視交叉より前:片目の視力低下 視交叉:両耳側半盲 視交叉より後:同名半盲 Ⅲ、Ⅳ、Ⅵ 末梢性: Ⅲ麻痺・・・内転、外転位における上下転、内転位における上転の障害 眼瞼下垂、散瞳、対光反射消失 Ⅳ麻痺・・・内転位における下転の障害 Ⅵ麻痺・・・外転の障害 中枢性: 上丘の障害・・・両眼とも上下に動かない 傍正中網様体症候群・・・両眼が障害側を注視できない 内側縦束(MLF)症候群・・・障害側の眼の内転ができない、健側の眼の外転は可能 Ⅴ 橋に由来 ①顎を動かす ②顔の知覚1,2,3枝 Ⅶ 橋に由来 ①表情筋、アブミ骨筋支配 ②副交感神経として涙腺、顎下腺、舌下腺の支配 ③舌の前2/3の味覚 顔面神経麻痺 末梢性・・・額しわ寄せできない 中枢性・・・額しわ寄せできる どちらにおいても患側の眼は閉じず、鼻唇溝は浅く、口角は下がり、健側へ口は偏位 Ⅷ 橋へ投射 蝸牛神経 前庭神経 E.高次機能の障害 F.自律神経症状 G.神経学的補助検査法
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判示事項の要旨: □ 左篩骨洞から左眼窩内にかけての占拠性病変(粘膜嚢腫)を摘出するための開頭手術の後に患者の両眼に視力障害が現れたことについて,担当医師らに責任がないとされた事例 □ 脳神経外科医師2名,眼科医師2名の合計4名の鑑定人によるカンファレンス方式による鑑定が実施された事例 H17.7.28東京地方裁判所平成15年(ワ)第17326号損害賠償請求事件 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (1) 被告は,原告に対し,1億2784万6477円及びこれに対する平成12年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 (1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 (3) 仮執行免脱宣言 第2 事案の概要 本件は,原告(昭和26年1月8日生まれ,男性)が,被告の開設するA大学医学部附属B病院(以下「被告病院」という。)において,左篩骨洞から左眼窩内に進展した占拠性病変(粘膜嚢腫)を摘出するための開頭手術(以下「本件手術」という。)を受けたところ,本件手術後に両眼に視力障害(以下「本件後遺障害」という。)が現れたことについて,その原因は,被告病院の担当医師らが,本件手術において,翻転した頭皮弁で原告の両眼球を圧迫したことにあるなどと主張して,被告に対し,不法行為(使用者責任)又は診療契約の債務不履行に基づき,逸失利益等の損害賠償を請求する事案である。 1 前提事実-原告の診療経過(証拠を掲げない事実は,当事者間に争いがない。) (1) 原告は,平成11年9月ころ,左眼に痛みや見えにくさを感じたことから,同月24日から同年10月15日までの間,4回にわたって被告病院眼科を受診し,各種検査を受けるなどしたが,その原因は判明しなかった。 (2) その後,原告は,平成12年5月ころ,左眼に曇りを感じたことから,同月2日,被告病院眼科を再び受診し,頭部CT検査を受けた。そして,原告の頭部CT画像は,被告病院脳神経外科のC医師(以下「C医師」という。)によって読影され,原告の左篩骨洞から左眼窩内壁にかけて占拠性病変があり,これが視神経を圧迫しているものと診断された(乙A1・108頁,122頁,A2・17頁,B1)。 そこで,原告は,被告との間で,この占拠性病変の治療についての診療契約を締結し,同月8日に被告病院脳神経外科に入院し,同月17日に本件手術を受けた。 被告病院における原告のその余の診療経過は,別紙「診療経過一覧表」記載のとおりである(当事者の主張の相違する部分を除き,争いがない。)。 (3) なお,原告の視力は,本件手術前の平成12年5月12日には,右眼の矯正視力が1.5,左眼の矯正視力が1.2と測定されていたが,本件手術後の平成16年6月1日には,右眼の裸眼視力が30センチメートル手動弁(眼前30センチメートルの距離にある手の動きを弁別できる程度の視力),左眼の裸眼視力が0.03,左眼の矯正視力が0.06と測定されている(本件後遺障害)。 2 争点 (1) 被告病院の担当医師らが,本件手術の際,翻転した頭皮弁で両眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらず,これを怠ったため,原告に本件後遺障害が生じたか否か (原告の主張) ア 本件後遺障害は,被告病院の担当医師らが,本件手術において,翻転した頭皮弁で原告の両眼球を圧迫しないようにすべき注意義務を負っていたにもかかわらず,これを果たさなかったために生じたものである。 (ア) 本件手術において,被告病院の担当医師らが,原告の頭皮弁を翻転させて開頭を行ったところ,原告の両眼球は翻転された頭皮弁によって圧迫され続け,このため,原告の両眼窩内は虚血状態に陥った。その後,圧迫が解除されると,原告の両眼窩内の軟部組織に腫脹が生じて,眼窩先端部症候群(動眼神経,滑車神経,外転神経,視神経などに障害が生じて,眼球運動障害,視力障害などを示す症候群)が引き起こされ,原告の右眼は,完全な網膜中心動脈閉塞に陥り,左眼は,右眼よりは軽度の網膜中心動脈閉塞に陥った。その結果,原告に本件後遺障害が生じたのである。 (イ) 文献上も,「長時間の圧迫による眼窩内虚血は,圧迫が解除された後に眼窩内軟部組織の腫脹を招き,また眼窩内の血流うっ帯は二次的に海綿静脈洞血栓症等の眼窩draining vein(流出静脈)の血栓形成をきたしうる」のであり,「その結果,眼窩内圧は術後圧迫が解除された後も上昇し,眼窩先端部を通過する神経,動静脈群を絞扼して眼窩先端症候群を呈し,また網脈絡膜の循環障害を生じたものと考え」られる事例が紹介されている(甲B5)。 本件においても,同様の機序により,眼窩先端部症候群,網膜中心動脈閉塞が発生したものというべきである。 イ 被告は,本件後遺障害には,他の原因があった可能性も否定できないと主張するが,本件後遺障害の原因としては,翻転された頭皮弁による両眼球の圧迫による可能性が最も高いというべきである。 (ア) 術前の視力低下について 被告は,本件手術直後において,原告の左眼の視力が改善しなかったという結果から考えると,左篩骨洞から左眼窩内壁の占拠性病変のほかに何らかの疾患があったなどと主張するが,これは原因不明に持ち込むための詭弁といわざるを得ない。 原告の左眼の視力は,本件手術によって改善していたはずであるが,本件手術後に眼窩先端部症候群を発症したり,網膜中心動脈閉塞に陥ったりしたために,視力改善を確認することができなかったに過ぎない。 仮に,本件手術前から,左篩骨洞から左眼窩内壁の占拠性病変のほかに何らかの疾患があったというのであれば,右眼にも症状が現れていて然るべきであるが,原告が本件手術前に視力低下を訴えていたのは,左眼のみである。 (イ) 糖尿病,高血圧について 被告は,原告の糖尿病,高血圧症が網膜中心動脈の血栓症の原因になった可能性があると主張するが,両方の網膜中心動脈に同時に血栓症が起こる可能性は極めて低いというべきであって,原告の糖尿病,高血圧症が本件後遺障害を引き起こしたとは考えられない。 (ウ) 占拠性病変,炎症について 被告は,本件手術の術野の外において,左篩骨洞内の占拠性病変や炎症が拡大した可能性があると主張するが,本件手術において占拠性病変は摘出されているはずであるし,炎症についても抗生物質の投与によって抑えられているはずである。 (被告の主張) 原告の主張は争う。 原告は,本件後遺障害の原因を頭皮弁による両眼球の圧迫にあると主張するが,本件後遺障害の原因は不明であるというほかない。 ア まず,頭皮弁による眼球の圧迫という事実自体がない。 本件手術では,原告は,仰臥位で,下顎部が水平より低くなるように頭部を固定されていたところ,翻転された頭皮弁は,釣針様の器具によって,顔上へ牽引されたが,この釣針様の器具は,弾力性のあるゴムによって術野周囲を覆う清潔覆布に固定されていた。 このような状況下では,翻転された頭皮弁によって,両眼球に対して何らの力も作用しないとまではいえないが,視力障害が生じるほどの力が作用するとは考えられず,したがって,頭皮弁によって両眼球が圧迫されるという事態は生じ得なかったというべきである。 イ また,本件後遺障害には,他の原因があった可能性も否定できない。 (ア) 術前の視力低下について 原告には,従前から左眼の視力低下が繰り返されていたところ,本件手術直後において,左眼の視力が改善しなかったという結果から考えると,左篩骨洞から左眼窩内壁にかけての占拠性病変のほかにも,何らかの疾患(現在においても,眼科的症状の原因がすべて解明されているわけではないため,どのような疾患であるかは特定できない。)があった疑いは否定できない。 (イ) 糖尿病,高血圧について 原告は,糖尿病,高血圧症を患っていたが,これらは網膜中心動脈の血栓症の原因になり得る疾患であり,本件後遺障害が糖尿病,高血圧症によって引き起こされた可能性は否定できない。 (ウ) 占拠性病変,炎症について 本件手術においては,原告の左眼窩内の占拠性病変は摘出できたが,左篩骨洞内の占拠性病変については,全部は摘出できなかった。 また,本件手術においては,原告の左篩骨洞から左眼窩上内側壁の骨が菲薄化して動くようになっていることが確認されたが,これはそのまま残してある。 このような状況下においては,骨を動かすなどした手術操作によって,左篩骨洞内の占拠性病変や炎症が術野の外に拡大した可能性も否定はできない。 ウ なお,仮に両眼球に対する何らかの圧迫が本件後遺障害の原因であるとしても,本件手術には開頭による占拠性病変の摘出の方法として何ら逸脱した点はなく,本件後遺障害は本件手術の不可避的な合併症であるというほかない。 (2) 損害 (原告の主張) ア 治療費 (ア) 治療費 2万8750円 (イ) 薬代 1万8420円 イ 付添看護費 (ア) 入院付添費(平成12年5月17日から同年9月1日まで) 70万2000円 (日額6500円×108日=70万2000円) (イ) 在宅付添費(平成12年9月2日から平成15年2月25日ま で) 589万5500円 (日額6500円×907日=589万5500円) ウ 入院雑費 16万2000円 (日額1500円×108日=16万2000円) エ 通院交通費 5100円 オ 休業損害 273万8232円 (日額2万5354円×108日=273万8232円) カ 後遺症逸失利益 7113万2271円 (原告は,本件手術時には満49歳であり,年間608万4882円の収入を得ていたところ,本件手術によって労働能力を100パーセント喪失したが,原告が67歳まで稼働した場合の逸失利益は,608万4882円×1.00×11.69=7113万2271円となる。) キ 慰謝料 (ア) 入通院慰謝料 414万0000円 (イ) 後遺症慰謝料 3000万0000円 ク 弁護士費用 1302万4205円 ケ よって,原告は,被告に対し,不法行為(使用者責任)又は診療契約の債務不履行に基づき,1億2784万6477円及びこれに対する本件後遺障害の症状固定日である平成12年9月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める。 (被告の主張) 原告の主張は争う。 第3 判断 1 争点(1)(被告病院の担当医師らが,本件手術の際,翻転した頭皮弁で両眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらず,これを怠ったため,原告に本件後遺障害が生じたか否か)について (1) 認定事実 前記前提事実,証拠(各認定事実の後に掲げる。)及び弁論の全趣旨によれば,被告病院における原告の診療経過に関して,以下の各事実が認められる。 ア 原告は,平成11年9月ころ,左眼に痛みや見えにくさを感じたことから,同月24日から同年10月15日までの間,4回にわたって被告病院眼科を受診し,各種検査を受けるなどしたが,その原因は判明しなかった(前記前提事実)。 なお,原告は,同年10月15日の視力検査では,右眼の裸眼視力が0.3,右眼の矯正視力が1.5,左眼の裸眼視力が0.2,左眼の矯正視力が1.0と測定されていた(乙A1・8頁,9頁)。 イ その後,原告は,平成12年5月ころ,左眼に曇りを感じたことから,同月2日,被告病院眼科を再び受診した(前記前提事実)(以下,年月日について,特に年を示さない場合は,すべて平成12年である。)。 原告は,被告病院眼科において,頭部CT検査を受けるなどしたところ,左篩骨洞嚢胞による鼻性視神経症が疑われたことから,被告病院耳鼻咽喉科へ紹介された(前記前提事実,乙A1・15頁,107頁)。そして,被告病院耳鼻咽喉科では,原告の前頭骨には13歳のころに負った頭部外傷による骨欠損があるため,脳神経外科での診察が必要であると判断され,原告は被告病院脳神経外科へ紹介された(乙A1・108頁,109頁,122頁)。被告病院脳神経外科では,原告の頭部CT画像がC医師によって読影され,原告の左篩骨洞から左眼窩内壁にかけて占拠性病変があり,これが視神経を圧迫しているものと診断された(前記前提事実)。 そこで,原告は,被告との間で,この占拠性病変の治療についての診療契約を締結し,精査加療を目的として被告病院脳神経外科に入院することとした(前記前提事実)。 なお,原告は,同日の視力検査では,右眼の矯正視力が1.5,左眼の裸眼視力が0.1,左眼の矯正視力が0.4と測定された(乙A1・8頁,9頁)。 ウ 原告は,5月8日に被告病院脳神経外科に入院した(前記前提事実)。 被告病院脳神経外科入院時における原告の既往歴としては,13歳のころに負った頭部外傷のほか,4年前からの高血圧症が確認された(乙A2・5頁,7頁)。 エ 5月12日,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼の矯正視力が1.5,左眼の矯正視力が1.2,眼底所見については,黄斑部,視神経乳頭ともに正常,眼球突出度については,右眼が10ミリメートル,左眼が14ミリメートルと診断された(乙A1・12頁,13頁,A2・94頁)。 オ 5月16日,C医師から,原告及び原告の内縁の妻であるDに対して,左眼窩上壁を除去して,左篩骨洞から左眼窩内壁にかけての占拠性病変を剔出し,さらに,欠損している前頭骨を形成する手術(本件手術)を実施することが説明され,原告及びDは,これを承諾した(甲B8,B9,乙A2・20頁,36頁,92頁,証人D,原告本人)。 カ 5月17日,原告に対して,E医師(術者),C医師(第1助手),F医師(第2助手)らの執刀により,本件手術が実施された(前記前提事実,乙A2・83頁,84頁)。 (ア) 本件手術は,原告に対して全身麻酔が施された後,午後2時15分に開始された(乙A2・83頁,84頁,90頁)。 (イ) まず,仰臥位で,下顎部が水平より低くなるように頭部を三点で固定された原告の前頭部の頭皮に,左側頭部から右側頭部にかけて冠状切開が入れられた(乙A2・83頁,84頁,B1,証人C)。そして,原告の頭皮は,切開部から眼窩上縁まで剥離されて,眼窩上縁で薄いガーゼを挟み込むように折り曲げられ,釣針様の器具によって顔上に向けて翻転された(乙A2・83頁,84頁,B1)。この釣針様の器具は,弾力性のあるゴムによって,術野周囲を覆う清潔覆布に固定され,これにより,原告の頭皮弁は,翻転された状態が維持されるようになった(乙A2・83頁,84頁,B1,鑑定人G)。 (ウ) その上で,原告の頭皮の下に現れた前頭骨の骨欠損部位を取り囲むように開頭が施されたところ,占拠性病変によって左眼窩上壁の一部が欠損していることが認められた(乙A2・83頁,84頁)。続いて,左眼窩上壁が剥離摘除され,ナビゲータ(手術用顕微鏡)を用いながら,あらわとなった占拠性病変が摘出された(乙A2・83頁,84頁,A3の2,証人C)。この際,原告の左篩骨洞から左眼窩上内側壁の骨が菲薄化して動くようになっていることが確認されたが,特にこれに対する処置はとられなかった(乙A3の2,B1,証人C)。 (エ) その後,人工骨によって前頭骨の骨欠損部位の形成が行われ,午後6時10分に本件手術は終了した(乙A2・83頁から86頁まで)。 キ 本件手術後,原告から右眼の失明を疑わせる訴えがあったことから,5月18日,被告病院眼科に原告の診察が依頼された(乙A1・16頁,A2・21頁,95頁)。そして,原告は,同日,被告病院眼科において診察を受け,右眼の視力が光覚弁(瞳孔に光を入れた場合に明暗が弁別できる程度の視力)なし,左眼の矯正視力が30センチメートル指数弁(眼前30センチメートルの距離にある手指の数を弁別できる程度の視力)と測定されたほか,右眼の眼球運動について全方向制限,左眼の眼球運動について内転低下気味,右眼の瞳孔について直径4ミリメートル程度での固定,右眼の眼底における全体的な虚血,左眼の眼底における黄斑部,視神経乳頭正常などの診断をされた(乙A1・14頁)。 ク 5月19日午前9時,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼における眼瞼下垂,眼瞼腫脹,眼底でのチェリー・レッド・スポットの発生,左眼における黄斑部から強膜にかけての腫脹の発生などの診断をされた(乙A1・17頁)。 さらに,原告は,同日午後2時20分にも,被告病院眼科において診察を受け,右眼における全眼筋の麻痺,眼瞼部の浮腫,眼球運動不能,散瞳,左眼における眼球運動正常,視神経乳頭正常などの診断をされた(乙A1・17頁)。 ケ 5月20日,原告から摘出された占拠性病変について,炎症性の肉芽のある粘液嚢腫であったとの病理組織検査結果が報告された(乙A2・119頁)。 コ 5月22日,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼の眼瞼下垂が改善するとともに,眼球の若干の外転運動が可能となったことなどが診断された(乙A1・18頁)。 サ 5月23日,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼の視力が光覚弁なし,左眼の裸眼視力が0.04,左眼の矯正視力が0.15と測定されたほか,瞳孔不同,右眼における網膜中心動脈閉塞症,眼瞼下垂の治癒,左眼における眼底所見正常などの診断をされた(乙A1・18頁,19頁)。 シ 5月25日,原告は,被告病院眼科において視力検査を受け,右眼の視力が光覚弁あり,左眼の裸眼視力が0.05,左眼の矯正視力が0.2と測定された(乙A1・20頁,21頁)。 ス 5月26日,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼の視力が眼前手動弁,左眼の裸眼視力が0.08,左眼の矯正視力が0.15と測定されたほか,右眼の眼底におけるチェリー・レッド・スポット,左眼の眼底における視神経乳頭の蒼白の疑いなどが診断された(乙A1・23頁)。 セ 5月30日,原告は,被告病院眼科において診察を受け,右眼の裸眼視力が0.01(矯正不能),左眼の裸眼視力が0.07,左眼の矯正視力が0.2と測定されたほか,右眼の眼球が上下左右に少しずつ動くようになったこと,右眼の眼底における視神経乳頭の蒼白,左眼の眼底における視神経乳頭のやや蒼白,1ミリメートル差の瞳孔不同などが診断された(乙A1・23頁)。 ソ 原告は,被告病院脳神経外科に入院中,継続的に糖尿が認められていたことから,6月8日,内科に紹介され,同月12日には,糖尿病,高脂血症との診断を受けた(乙A1・138頁,A2・26頁,97頁)。 タ 原告は,継続的に被告病院眼科において診察を受け,7月21日には,眼球運動が正常範囲内と診断されるなどし,8月11日には,視力検査によって,右眼の裸眼視力が0.01(矯正不能),左眼の矯正視力が0.15と測定されるなどした後,同年9月1日,被告病院脳神経外科を退院した(乙A1・26頁から37頁まで,乙A2・35頁)。 チ その後も,原告は,平成15年9月5日までの間,継続的に被告病院に通院して,眼科及び脳神経外科において診察を受けた(乙A1・37頁から59頁まで,111頁から120頁まで)。 ツ 平成16年6月1日,原告が,医療法人HのI医師による診察を受けたところ,右眼の裸眼視力が30センチメートル手動弁,左眼の裸眼視力が0.03,左眼の矯正視力が0.06と測定されたほか,右眼の眼底における視神経乳頭の蒼白などが診断された(前記前提事実,甲A3)。 (2) 本件後遺障害の原因について 原告は,被告病院の担当医師らが,本件手術の際に,翻転した頭皮弁で眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらず,これを怠ったため,原告に本件後遺障害が生じたと主張するので,まず,本件後遺障害の原因が翻転された頭皮弁による眼球の圧迫にあるといえるのかどうかを検討する。 ア 本件後遺障害と本件手術との関連性について 本件後遺障害が本件手術に起因するものとは認められない場合には,その余の点を論ずるまでもなく,原告の主張には理由がないことになるので,まず,本件後遺障害が本件手術に起因するものといえるのかどうかを検討する。 原告は,本件手術前の5月12日には,右眼の矯正視力が1.5,左眼の矯正視力が1.2と測定され,また,眼底所見については,黄斑部,視神経乳頭ともに正常と診断されていたところ,本件手術の翌日である5月18日には,右眼の視力は光覚弁すら測定されず,左眼は矯正視力が30センチメートル指数弁と測定され,さらに両眼について眼球運動障害が認められるという状態に陥り,その後も,若干の改善はみられるものの,重篤な視力障害(本件後遺障害)を負い続けている(前記認定事実)のであり,原告の両眼の状態は,明らかに本件手術を境に急激に悪化したものといえる。 このような時間的経過(とりわけ右眼については,本件手術前には特に異常は認められていなかったにもかかわらず,本件手術後には重篤な視力障害や眼球運動障害が生じている。)に照らすと,本件手術と本件後遺障害との間に何らの因果関係も存在しないとは考え難いのであって,本件後遺障害は本件手術に起因するものと推認するのが相当である(鑑定人G,同J,同K)。 イ 本件後遺障害発生の機序について (ア) もっとも,本件後遺障害が本件手術に起因するものであったとしても,本件手術は,原告の左篩骨洞から左眼窩内壁に存在した占拠性病変を摘出するためのものであって,専ら左眼を対象としていたこと(前記認定事実)からすると,本件後遺障害が,右眼と左眼とで異なる機序によって引き起こされた可能性も考えられなくはない(鑑定人J,同L)。 しかし,程度の差こそあれ,右眼,左眼ともに,視力障害や眼球運動障害を生じ(右眼にはより重篤な障害が生じている。),視神経乳頭蒼白等の症状を呈するなど,同様の障害を生じていること(前記認定事実)からすると,本件後遺障害が右眼と左眼とで異なる機序によって引き起こされたと考えるのは,むしろ困難というべきであって,本件後遺障害は,両眼球ともに同一の機序に基づいて引き起こされたものと推認するのが相当である(鑑定人G,同J)。 (イ) そこで,本件後遺障害が両眼ともに同一の機序に基づいて引き起こされたものであることを前提に,本件後遺障害を引き起こし得る機序としてどのようなものが考えられるかを検討する。 a 本件手術後,原告には,右眼,左眼ともに視神経乳頭の蒼白が認められている(右眼はその程度がより強い。)(前記認定事実)ところ,視神経乳頭が蒼白となるのは,視神経が萎縮を起こしていることの現れである(証人C,鑑定人G)ことからすると,本件後遺障害(視力障害)は,直接的には,視神経の萎縮にその原因があるものと思われる(鑑定人G,同J,同L)(なお,視力障害を生じさせる原因としては,一般に,手術手技による視神経の損傷なども考えられる(鑑定人J)が,本件手術においては,手術手技によって視神経が損傷されるなどしたことを窺わせる事情は見当たらない(鑑定人J,同K)。)。 b そして,5月19日には,原告の右眼の眼底所見として,チェリー・レッド・スポットが認められている(前記認定事実)ところ,チェリー・レッド・スポットは,網膜中心動脈の閉塞が生じた場合に,脈絡膜の循環を受ける黄斑部のみが赤色(チェリー・レッド)を示し,網膜中心動脈の灌流領域である網膜が虚血のために浮腫を生じて白色となることによって現れるものである(鑑定人L,同K)ことからすると,本件手術後,原告の右眼には網膜中心動脈の閉塞が生じていたものと認められる(証人C,鑑定人J,同L,同K)。 また,同日,原告の左眼の眼底所見として,黄斑部から強膜にかけての腫脹の発生が認められている(前記認定事実)ところ,これはチェリー・レッド・スポットの出現には至らない程度の網膜中心動脈の閉塞によるものと考えられる(鑑定人L)ことからすると,本件手術後,原告の左眼にも網膜中心動脈の閉塞が生じていたものと推認される(鑑定人G,同J,同L,同K)。 網膜中心動脈が閉塞した場合,血流障害によって視神経が萎縮を起こし得る(証人C,鑑定人L)ことからすると,原告に生じた視神経の萎縮は,網膜中心動脈の閉塞によって引き起こされたものと推認するのが相当である(鑑定人L)。 c もっとも,本件手術直後の原告には,両眼についての眼球運動障害や,右眼についての眼瞼下垂,瞳孔の固定が認められている(前記認定事実)ところ,これらの症状は,動眼神経や滑車神経,外転神経の麻痺によって引き起こされるものである(証人C,鑑定人G,同L,同K)ことからすると,原告については,単に網膜中心動脈の閉塞や,それに伴う視神経の萎縮が生じていたのみならず,動眼神経や滑車神経,外転神経にも障害が生じていたものと考えざるを得ない(鑑定人G,同L,同K)。 d そこで,網膜中心動脈の閉塞のみならず,動眼神経,滑車神経,外転神経の障害をも引き起こし得る機序としてどのようなものが考えられるかを検討すると,動眼神経,滑車神経,外転神経が通過する眼窩先端部に浮腫が生じて,そのためにこれらの神経に障害が生じた可能性が高いといえる(鑑定人G,同J,同L,同K)。 そして,眼窩先端部に浮腫を生じた原因については,上眼静脈あるいはそのさらに奥の海綿静脈洞といった静脈系の灌流障害であった可能性が高いといえる(鑑定人G,同J,同L,同K)(なお,眼窩先端部に浮腫を生じさせる原因としては,一般に,炎症なども考えられないことはない(乙B2,鑑定人L)が,原告については,炎症性の肉芽のある占拠性病変が存在したのは左篩骨洞から左眼窩内壁にかけてであり(前記認定事実),これによる炎症が右眼にまで及んだとは想定し難く(鑑定人L),また,そのようなことを窺わせる証拠もない。)。 すなわち,静脈系の灌流に障害が生じると,動脈から流れてきた血液が静脈側に流れていくことができなくなり,眼窩内に浮腫が生じる(鑑定人J,同L,同K)が,この浮腫が,動眼神経,滑車神経,外転神経を圧迫したり,これらの神経に対する血流を障害したりすると,これらの神経にも障害が生じ得ることになると考えられるし(鑑定人J,同L,同K),また,この浮腫が網膜中心動脈を圧迫したり,あるいは静脈系の灌流障害に伴って血流が停滞したりすれば,網膜中心動脈の閉塞も生じ得ることになると考えられる(鑑定人G,同J,同L,同K)のである。 したがって,本件後遺障害は,上眼静脈あるいは海綿静脈洞といった静脈系の灌流障害によって引き起こされた可能性が高いと考えるのが相当といえる(鑑定人G,同J,同L,同K)。 e そうすると,眼球を圧迫することによって静脈系に灌流障害が生じうるのかどうかが問題となるので,これについて検討すると,静脈の血流がせき止められるだけの圧力が眼球に加えられれば,静脈系の灌流障害は生じ得るものと考えられる(鑑定人J)から,眼球への圧迫によって原告の静脈系に灌流障害が生じることも,可能性としては否定できないというべきである(鑑定人J)。 ただ,原告には,糖尿病や高血圧といった疾患が認められていた(前記認定事実)ところ,糖尿病や高血圧を合併している場合には,様々な循環障害を生じ得ると考えられ(鑑定人L,同K),また,全身麻酔における開頭手術の予後にも悪影響が生じ得ると考えられる(鑑定人G,同J)から,糖尿病や高血圧といった疾患が原告の静脈系の灌流障害を引き起こす原因となった可能性についても,これを否定することは難しいというべきである(鑑定人G,同L,同K)。 (ウ) よって,本件後遺障害を引き起こし得る機序として,眼球の圧迫による可能性を否定することはできないが,他方,糖尿病や高血圧といった疾患による可能性もまた否定することはできないというべきである。 ウ 原告に対する眼球圧迫の有無について 上記のとおり,本件後遺障害を引き起こし得る機序として,眼球の圧迫による可能性を否定することができないところ,実際に,本件手術において,翻転された頭皮弁によって,原告の静脈系に灌流障害を生じさせるだけの眼球圧迫がされたと認められるかどうかを検討する。 (ア) 本件手術において,原告の頭皮は,切開部から眼窩上縁まで剥離されて,釣針様の器具によって顔上に向けて翻転されていたところ,この釣針様の器具は,弾力性のあるゴムによって,術野周囲を覆う清潔覆布に固定され(前記認定事実),さらに,この清潔覆布は,手術台の上方(仰臥している原告の胸部の真上辺り)に設置された棒状の器具にかけられていた(乙A2・83頁,84頁,鑑定人G,同J)。 このことからすると,原告の頭皮弁は,手術台の上方に設置された棒状の器具に向けてかけられていた清潔覆布に沿って牽引されていたものと認められ(鑑定人G,同J),原告の頭皮弁が眼球の上に覆い被さるようなことはなかったものと考えるのが相当である(鑑定人G)。 (イ) もっとも,原告の頭皮弁が,上記棒状の器具に向けて上方にかけられていた清潔覆布に沿って牽引されていたとしても,頭皮が厚かったり,あるいは,清潔覆布が二重に折り返される部分が眼球に当たるなどしていた場合には,ある程度の圧迫が眼球に及ぶことも考えられなくはない(乙B2,鑑定人J)。 しかし,例えば,上眼静脈の血流をせき止めるには,20mmHgから30mmHg程度の圧力が必要と考えられる(鑑定人J)ところ,760mmHgと1.0332kgf/cm2 が等値である(鑑定人J)ことからすると,1mmHgと1.3595gf/cm2 が等値となる(ちなみに,水銀の比重は13.5947g/cm3 となる。)から,20mmHgから30mmHg程度の圧力は,27.190gf/cm2 から40.785gf/cm2 と等値となり,仮に眼窩前面の面積を5cm四方と見積もったとしても(圧力は単位面積当たりに働く力であるから,上眼静脈をせき止めるのに必要な圧力の値に眼窩前面の面積の値を乗じることによって,上眼静脈をせき止めるのに必要な力の値を算出できるが,本件では,眼窩前面の面積を明示する証拠が存在しないので,これが5cm四方であると仮定した場合の試算を示すにとどめる。),679.75gfから1019.6gf程度の力を加えないと上眼静脈をせき止めることができないと考えられるのであって,頭皮が厚かったり,あるいは,清潔覆布が二重に折り返される部分が眼球に当たるなどしていた場合であっても,これだけの力 が眼球に及ぶ事態は,極めてまれなことと思われる。 (ウ) また,本件手術における頭皮の切開の仕方が不適切であったために翻転された頭皮弁によって眼球が圧迫された可能性の有無も問題となる(乙B2)が,頭皮弁による眼球の圧迫の有無,程度は,主として頭皮弁の牽引の角度や力によって左右される(証人G)ことからすると,本件手術における頭皮の切開の仕方が眼球の圧迫に何らかの影響を与えたと認めることはできない(証人G,同J)。 (エ) 加えて,眼球が強く圧迫される場合,通常であれば,徐脈が現れる(鑑定人J)ところ,原告には,本件手術中に特に徐脈は認められておらず(鑑定人J),その他,本件手術中に,原告の静脈系に灌流障害を生じさせるだけの眼球圧迫がされたことを窺わせる事情は見当たらない(鑑定人G,同L,同K)。 (オ) よって,本件手術において,翻転された頭皮弁によって,原告の静脈系に灌流障害を生じさせるだけの眼球圧迫がされた可能性は,否定はできないものの,極めて低いといわざるを得ない。 エ 小括 以上によれば,本件後遺障害を引き起こし得る機序として,眼球の圧迫による可能性を否定することはできず,また,本件手術において,翻転された頭皮弁によって,原告の静脈系に灌流障害を生じさせるだけの眼球圧迫がされた可能性も否定することはできないが,いずれについても可能性の域を出るものではなく(しかも,その可能性は極めて低い。),本件後遺障害の原因が翻転された頭皮弁による眼球の圧迫にあると認めることは困難というべきである。 (3) 被告病院の担当医師らの注意義務違反の有無について したがって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がないが,仮に本件後遺障害が翻転された頭皮弁による眼球圧迫によって引き起こされたとしても,被告病院の担当医師らが翻転した頭皮弁で眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらずこれを怠ったといえるかどうかについては争いがあるので,この点についても判断を示すこととする。 ア 本件手術のような仰臥位での開頭手術においては,眼窩周囲に器具等が当たらないように,頭部が三点で固定される(鑑定人G)ところ,本件手術においても,原告の頭部は三点で固定されていた(前記認定事実)。 イ そして,仰臥位での開頭手術の最中に眼球への圧迫の有無,程度を確認するには,眼球を触診するほかない(鑑定人G,同J,同K)ところ,そもそも仰臥位での開頭手術において眼球の圧迫によって視力障害が引き起こされる事態は極めてまれである(鑑定人G,同J)上,翻転された頭皮弁の裏側に手を挿入すること自体が困難であり(鑑定人J),術者が触診をした場合には感染症を引き起こすおそれがあるし(鑑定人G,同J,同K),また,麻酔医が触診をしたとしても眼球の圧迫の有無,程度を診断できるとは限らない(鑑定人K)ことなどから,眼球の触診をしてまで眼球への圧迫の有無や程度を確認することはされていないのが通常である(鑑定人G,同J)と認められる。 ウ なお,文献「頭蓋内動脈瘤手術後の,突発性の片目失明」(甲B3)によれば,開頭手術において,眼球を保護するためのアイシールドと呼ばれる器具の使用が推奨されているようにも思われるが,同文献は韓国における症例報告であり,わが国においては,一般的にアイシールドと呼ばれる器具は用いられていないようであり(鑑定人G,同J,同L,同K),また,アイシールドが眼瞼の壊死などの障害を引き起こす可能性もないとはいえない(鑑定人J)ことからすると,本件手術において,アイシールドと呼ばれる器具を用いる必要があったとは認められない。 エ 以上によれば,本件手術では,翻転された頭皮弁による眼球の圧迫を防止するための処置として,原告の頭部を三点で固定すること以上に何らかの方策が要求されていたとはいえず,頭皮弁の翻転の手技自体について特に不適切な点があったと認めるに足りる証拠もないことからすれば,仮に本件後遺障害が翻転された頭皮弁による眼球圧迫によって引き起こされたのだとしても,被告病院の担当医師らに,翻転した頭皮弁で眼球を圧迫しないように注意すべきであったにもかかわらずこれを怠った過失があったとは認められない。 2 結論 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第30部 裁判長裁判官 佐 藤 陽 一 裁判官 角 田 ゆ み 裁判官 川 嶋 知 正
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A 全身性エリテマトーデス〈SLE〉 102I30 小児の全身性エリテマトーデス〈SLE〉の活動性を示すのはどれか。 a リンパ節腫脹 b 腹水貯留 c 血尿 d 白血球減少 e CRP高値 × a × b × c ○ d × e 正解 d 101A53 29歳の女性。2日前からの39℃台の発熱と右下腿の腫脹・疼痛とを主訴に来院した。以前から光線過敏症があった。数週前から微熱を認め,顔面に紅斑が出現している。身長 164cm,体重 57kg。血圧 112/76mmHg。貧血と黄疸とを認めない。両頸部にリンパ節腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。右下肢全体に腫脹,発赤および把握痛を認める。両膝関節と両手関節とに腫脹と圧痛とがある。右大腿動脈と足背動脈とは良く触れる。尿所見:蛋白 1+,糖(-),潜血 1+。血液所見:赤沈 77mm/1時間,Hb 10.2g/dl,白血球 3200,血小板 7.1万,APTT 56.4秒(基準対照 32.2)。血清生化学所見:総蛋白 6.5g/dl,ALT 23IU/l,AST 23IU/l,LDH 206IU/l(基準 176~353)。免疫学所見:CRP 1.0mg/dl,抗核抗体 1280倍(基準 20以下),抗DNA抗体 62IU/ml(基準 7以下),CH50 12.5U/ml(基準 30~40),ループス抗凝固因子陽性。 治療として適切なのはどれか。 a 抗菌薬投与 b 血小板輸血 c 血管拡張薬投与 d 副腎皮質ステロイド薬投与 e 非ステロイド性抗炎症薬投与 × a × b × c ○ d × e 正解 d 診断 全身性エリテマトーデス(SLE) 100A36 22歳の女性。発熱と顔面の紅斑とを主訴に来院した。昨年の冬に両手にRaynaud現象が出現し,時々関節痛があった。1週前,友人と海に行き日焼けをした後の皮膚に水疱を伴う皮疹が出現した。意識は清明。体温 38.6℃。脈拍 92/分,整。血圧 110/60mmHg。顔面に蝶形紅斑を認める。頸部リンパ節腫脹を認める。胸部に異常はない。手と手指との関節に腫脹と圧痛とを認める。血液所見:赤沈 48mm/1時間,赤血球 306万,Hb 10.2g/dl,白血球 2600。血清生化学所見:AST 25単位,ALT 30単位。CRP 2.0mg/dl。 この疾患でみられるのはどれか。 a 補体価上昇 b 血小板増多 c 好酸球増多 d 血清IgG低値 e 抗DNA抗体陽性 × a × b × c × d ○ e 正解 e 診断 全身性エリテマトーデス 99A52 23歳の女性。多関節痛のため来院した。昨年の冬からRaynaud現象が出現した。妊娠中に手指の関節の腫脹と疼痛とが現れ,血圧の上昇と蛋白尿とを認めた。37週で出産し,新生児は健常である。出産後多関節痛は増悪し,全身倦怠感を伴った。意識は清明。身長 159cm,体重 45kg。体温 36.5℃。脈拍 72/分,整。血圧 126/86mmHg。眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸を認めない。頸部リンパ節腫脹を認める。心雑音なく,胸部にラ音を聴取しない。腹部に圧痛はなく,肝を触知しない。両手指の近位指節間関節と中手指節関節に対称的に腫脹と圧痛とを認める。尿所見:蛋白 3+,糖(-),潜血 1+。血液所見:赤血球 358万,Hb 10.1g/dl,白血球 3500,血小板 9万。血清生化学所見:総蛋白 6.8g/dl,アルブミン 3.4g/dl,クレアチニン 0.5mg/dl,AST 19単位,ALT 18単位,LDH 205単位(基準 176~353)。免疫学所見:抗核抗体 640倍(基準 20以下),CH50 20単位(基準 30~40)。胸部エックス線写真に異常を認めない。 診断はどれか。 a 全身性エリテマトーデス b 強皮症 c 関節リウマチ d 寒冷凝集素症 e Sjogren症候群 ○ a × b × c × d × e 正解 a 診断 全身性エリテマトーデス
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A 糖尿病 102I59 45歳の男性。会社の健康診断で始めて尿糖陽性を指摘され来院した。身長 175cm,体重 90kg。血圧 144/86mmHg。尿所見:蛋白(-),糖 2+。血液生化学所見:随時血糖 280mg/dl,HbA1c 7.5%(基準 4.3~5.8)総コレステロール 230mg/dl。トリグリセライド 165mg/dl。 まず行うのはどれか。2つ選べ。 a 運動療法 b 食事療法 c インスリン投与 d 高脂血症治療薬投与 e 経口血糖降下薬投与 ○ a ○ b × c × d × e 正解 ab 診断 2型糖尿病 101A51 62歳の男性。2か月前からの下肢のむくみと視力低下とを主訴に来院した。45歳ころから健康診断で尿糖陽性と高血糖とを指摘されていたが放置していた。55歳ころには高血糖とともに尿蛋白と高血圧とを指摘されたが自覚症状がないため受診しなかった。身長 170cm,体重 82kg。血圧 188/94mmHg。貧血と黄疸とを認めない。眼底には点状・しみ状出血と綿花様白斑とが多数認められ,一部に新生血管も認められる。胸部と腹部とに異常を認めない。尿蛋白 3+。血清生化学所見:空腹時血糖 164mg/dl,HbA1c 8.5%(基準 4.3~5.8),総蛋白 5.8g/dl,尿素窒素 30mg/dl,クレアチニン 2.1mg/dl,総コレステロール 280mg/dl,トリグリセライド 128mg/dl。1日摂取エネルギー量を指導し,インスリン治療を開始した。 ほかに必要なのはどれか。2つ選べ。 a 減塩 b 運動療法 c 高蛋白食 d 降圧薬投与 e 抗凝固薬投与 ○ a × b 禁忌 × c ○ d × e 禁忌 正解 ad 診断 2型糖尿病合併重症高血圧,糖尿病網膜症(増殖網膜症),糖尿病性腎症(腎不全期),ネフローゼ症候群 99E64 経口糖尿病薬と主な作用の組合せで誤っているのはどれか。 a スルホニルウレア薬―――――インスリン分泌促進 b ピグアナイド薬―――――――肝の糖産生抑制 c α-グルコシダーゼ阻害薬――糖質吸収抑制 d チアゾリジン薬―――――――インスリン抵抗性改善 e フェニルアラニン誘導体―――インスリン作用増強 ○ a ○ b ○ c ○ d × e 正解 e 99A50 53歳の女性。1週前からの目のかすみを主訴に来院した。20年前に健康診断で糖尿病を指摘され,15年前から経口血糖降下薬で治療されている。1年前から全身倦怠感があり,1か月前から階段昇降時に息切れがある。意識は清明。身長 158cm,体重 52kg。脈拍 88/分,整。血圧 162/102mmHg。眼瞼結膜は蒼白であるが,眼球結膜に黄染は認めない。下腿に浮腫を認める。尿所見:蛋白 2+,糖 1+,ケトン体(-),潜血(-)。血液所見:赤血球 240万,Hb 8.0g/dl,Ht 25%,白血球 7200,血小板 18万。血清生化学所見:空腹時血糖 220mg/dl,HbA1c 8.5%(基準 4.3~5.8),総蛋白 5.8g/dl,アルブミン 2.5g/dl,尿素窒素 52mg/dl,クレアチニン 5.6mg/dl,総コレステロール 280mg/dl,トリグリセライド 230mg/dl,AST 32単位,ALT 24単位,アルカリホスファターゼ 420単位(基準 260以下),アミラーゼ 220単位(基準 37~160),Na 138mEq/l,K 4.9mEq/l,Cl 105 mEq/l,Ca 7.5mg/dl,P 7.2mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.32,PaO2 80Torr,PaCO2 24Torr,HCO3- 14mEq/l。 治療方針で正しいのはどれか。 a 摂取エネルギー制限の徹底 b 摂取蛋白質の増量 c 腎生検による診断の確定 d インスリン治療への切り替え e 免疫抑制薬の追加 × a × b × c ○ d × e 正解 d 診断 糖尿病性腎症,慢性腎不全