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君が好きだ 雨がざぁざぁと降っていた。 僕はそれを教室の窓から憂鬱な眼差しで眺めている。 ――傘がない。 今朝は寝坊をして天気予報がチェック出来ていなかった。 朝、家を出るときには晴れていたから、まさか夕方になって急激に天気が悪くなるだなんて思ってもみなかった。 そうして大降りの雨を見ながら溜め息をついていると、後ろで教室のドアの開く音がした。 「どうして、まだ残っているの」 「あぁ、君か」 振り向けばそこにはクラスメートの鈴木がいた。 少し大人しいけれども明るくてとても良い奴だ。 僕はあまりクラスメートのことに興味など持ったりしない、所謂『変わった奴』だ。 そんな僕が何故彼の印象だけは覚えているかといえば、単純な話、彼に好意を持っているからだ。 他のただ馬鹿騒ぎをしているだけの奴らと違って、彼は明るいのに控えめで空気の読めるお人よしだ。 だから僕がクラスでわざと孤立していようが孤立してさせられていようが、構わず僕に話しかけてきては他のクラスメートとの仲を取り持ってくれたりする。 最初は煩わしくて仕方のなかったその行為が、いつの間にか温かくてどうしようもなくなっていた。 そしてそんな彼だから、クラスでもとても人気者で、一緒に下校する仲間には事欠かない。 だから今日もきっと彼はとっくに帰ってしまっているのだろうと、そう思っていた。 「どうしたんだい?今日はいつもみたいに早く帰らないんだね」 「君が此処にいるのが見えたから、それで」 「それで?」 僕が首を傾げて言葉の続きを促すと、何故だか彼は少し焦ったような顔をして視線を僕の斜め上に向ける。 「それで、気になったから」 「そう」 彼はそう短く応えて、少し考えるように間を置き、また口を開ける。 「じゃぁさ、僕の傘に入って帰らない?一緒に」 少し照れながらそんな提案をしてきた彼に、思わず僕は顔を赤くする。 「何を馬鹿なことを言っているんだい?男同士でそんな、そんな」 破廉恥な。 僕はそう言って顔を俯けた。 きっと今僕の顔はとてつもなく真っ赤に染め上げられているだろう。 あぁ、こんな反応をしてしまっては彼に不審に思われてしまうじゃぁないか! 彼への想いは学生生活のほろ苦い思い出として将来一人で笑い飛ばすために、胸の内に秘めておこうと思っていたのに。 よりにもよって彼の目の前でこんな馬鹿な反応をしてしまうだなんて。 彼に気付かれなくとも、気持ち悪がられたらどうしよう。 そんな考えが頭の中をぐるぐると廻っていて、いつの間にか目の前に彼が接近して来ていることにさえ気付かないでいた。 「ねぇ、そんなにかわいい反応をしないでよ」 え?と思った時にはもう遅く、反射的に上げられた顔を彼は両手で固定して、僕の唇には何か温かくて柔らかいものが当てられていた。 視界いっぱいには彼の顔。 頭が混乱してもうわけがわからなくなって、それでもさっきより顔が赤くなっていることだけはわかった。 「そんなに固まらないでよ。またキスしたくなる」 キス。 その単語で漸く頭が何をされたのかを理解しはじめた。 つまり僕は彼に接吻をされたのだ。 そして理解した瞬間に僕の身体の力はふっと抜けてしまい、僕は床に盛大な尻餅をついた。 「初めてだった?ごめんね」 「な、なな、なに、なんで」 「好きだから」 すき?すきってなんだっけ。すき、すき。好き? ……好き!? 誰が、誰を!? まさか、そんな、彼が、僕を? ありえるわけがない。 だって彼はクラス一の人気者で、それに比べて僕はクラス一の変わり者で。 そんな彼が、こんな僕を、好きになるなんて、そんなはずは。 「好きだよ。君が好き」 あぁ、そんなまさか。 これは夢じゃないのか? そう思って僕は思い切り自分の頬を抓った。 痛い。夢じゃない。 夢、じゃ、ない。 そう思った瞬間、僕の両目から涙がこぼれ落ちた。 彼の前で泣いてしまうのが恥ずかしくて必死に涙を拭おうとするけど、次々と涙は溢れ出して止まらなかった。 涙で滲んだ視界の向こうで、彼が苦笑したのがわかった。 「ねぇ、返事は今すぐもらえるのかな?」 彼が手を差し出しながらそう問いかける。 僕は彼の手に自分の手を重ねながら嗚咽で途切れ途切れになりながらも、必死で彼に想いを伝える。 「ぼく、も、きみが、す、き。きみが、すきだ。」 彼は笑顔で僕を立たせ、そのまま抱き寄せキスをする。 僕は彼の背中に腕を回して、彼に身を任せていた。 「相合い傘、する?」 「……破廉恥」 ぼそりと呟いた僕の言葉に、彼はまた苦笑した。 雨はいつの間にか小雨になっていた。 君が好きだ
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かがみ「ブルルル…寒っ…布団…ふt…ん?…!?」 こなた「…かがみん…いきなり蹴けんないでよ…ムニャムニャ…」 かがみ「こなた!?何で私の布団で寝てるんだ!?」 こなた「私って…ここはあたしの部屋だよ…ムニャムニャ」 かがみ「はぁ!?…って、ホントだ…こなたの部屋だ…え?何で?」 こなた「かがみが来たんじゃん…夜中に…」 かがみ「何言ってるんだ?記憶に…あれ?」 こなた「喧嘩したんでしょ?…びっくりしたよ…もぅ…」 かがみ「そう言えば…」 こなた「…かがみん…お目覚めのちゅうは?」 かがみ「はぁ!?」 こなた「昨日あんなにしてくれたじゃん…あれは、ネタ?告白までして…」 かがみ「ちょ!私何も…」 こなた「傷付く嘘は嫌いだよ?かがみん」 かがみ「…そう…だったわね。私、家を飛び出してきたんだった」 こなた「どうする?白紙に戻す?かがみん」 かがみ「…こなたは…どっちがいい?」 こなた「なかった事に…って言うのは正直、辛い。かな」 かがみ「こなたは、私の事…」 こなた「昨日も言ったじゃん」 かがみ「ごめん、私、どうしよう…」 こなた「せりゃ!」 かがみ「うわっ!?…いきなり押し倒すな!」 こなた「責任取ってもらうよ?かがみん」 かがみ「!?(キス!?)」 こなた「むちゅ~……なんてね。どうするかは、かがみが決めればいいよ。 あたしはどっちでも良い。一時の気の迷いかも知れ」 かがみ「そんなわけないじゃない。散々人をもてあそんで、今更…」 こなた「じゃあ、って、うぉ!…形勢逆転だね、かがみ…」 かがみ「するわよ、キス…」 こなた「ま、まって、これは、その…」 かがみ「そういうキスよ、するわよ?」 これは「…うん…んむ…」 かがみ「…ぷはぁ…」 こなた「…ぇぐ…ぅぇぐ…」 かがみ「ちょ、こなた?な、泣かないでよ?嫌だったの?…ごめんね、こなた」 こなた「ぇぐ…うぇぐ…ばかがみ…かがみのばか!ばか!ばか!」 かがみ「こなた、ごめん、ごめんね?こなた」 こなた「あ、謝んないでよ…ばかがみん…ぇぐ…」 かがみ「じゃあ…なんんん!?」 こなた「…仕返し!」 かがみ「…やるじゃない…こなた」 こなた「人前で泣くの、久しぶり。えへ」 かがみ「もぅ、誘ってんのか?」 こなた「えへへへ。続きは帰ってからだね。朝ごはん作るから、待ってて」 かがみ「悪いわね。あ、私も手伝」 こなた「のんのん。これはあたしのお仕事です。すぐにできるからさ。ね」 かがみ「うん」 かがみ「…キス、しちゃったんだ。こなたとそういう関係… みんなには何て説明しよう、隠すべきなのかな、やっぱり… それとも…女の子同士だもんね…変に思うわよ…絶対…」 こなた「お嬢様、お食事の用意ができましてございます」 かがみ「あ、うん。ありがとう、こなた……って、何だ、この相合い傘の描かれた目玉焼きは」 こなた「2人の新たな門出を祝して、と言うこなたシェフの粋な計らいだよ、かがみん。さ、食べて食べて」 かがみ「うん…いただきます。あれ?美味しい…普通の目玉焼きよね?」 こなた「隠し味に愛情を使っております♪」 かがみ「さすが私の」 こなた「かがみは『あたしの嫁』だよ?」 お食事中 かがみ「御馳走様。美味しかったわ」 こなた「いえいえ、あ、お皿とかそのままで良いよ?洗っちゃうから」 かがみ「何言ってるのよ、これは嫁の仕事よ」 こなた「ぬぉ!?すっかり新妻が板についてきましたな」 かがみ「うるさい!あ、おじさんはどうする?起こした方が…」 こなた「ああ、多分徹夜だろうからそのままにしておいて」 かがみ「うん。そうするわ」 こなた部屋 こなた「そろそろ時間だね」 かがみ「うん」 こなた「そっちは大丈夫なの?家族の人とか」 かがみ「つかさが色々手をうってくれたみたいで、多分大丈夫」 こなた「そっか(ホントに大丈夫なのか…)」 かがみ「出る前にさ…もう1回…」 こなた「かがみんは甘えんぼさんだな♪良いよ。しよ」 かがみ「…うん」 こなた「……学校つくまでさ、手つないでいかない?」 かがみ「え!?いきなり!?」 こなた「それでさ、学校着いたらかがみをお姫様だっこするの」 かがみ「それは却下だ」 こなた「じゃあ、手は?」 かがみ「それくらいなら、まぁ…」 こなた「やふ~♪じゃさ、早速いこ!」 かがみ「ちょ、ひっぱるな!」 こなたは学校つくなり、マジでお姫様だっことやらをしやがった。 私、色んな意味で涙目。まったく、こなため、可愛いヤツだ。 2人の関係は言わずもがな周知の事実だった様で、今更?と言った具合いだった。 まあ、こっちにしてみれば、遂に、だったんだけど。そんなこんなで目覚めてしまった私達なのでした。(終)
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登録日:2011/04/18(月) 14 22 38 更新日:2020/06/21 Sun 12 43 04 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 おっぱい さそり座の女 カマトト キンジの嫁 ネタキャラ ヒロイン マゾ ヤンテレ ヤンデレ 大和撫子 巨乳 巫女 幼なじみ 日本刀 星伽白雪 武偵 武装巫女 清楚 生徒会長 緋弾のアリア 誕生日=婚約記念日 ←旗日だよぉ…… 超偵 超能力者 遠山白雪 高橋美佳子 黒パンツ 黒髪ロング 既成事実!既成事実!既成事実ぅ! up.aniota.info(リンク切れ) 星伽 白雪(ほとぎ しらゆき) 所属 東京武偵高校 専門科目 超能力捜査研究科(SSR) 学年 2年 ランク A 誕生日 11月14日 CV 高橋美佳子 緋弾のアリアの登場人物(ヒロイン)の一人。 Ⅱ巻、Ⅹ巻の表紙担当。 品行方正、成績優秀、スタイルはグラビアアイドル並み。 炊事洗濯も完璧で、奥ゆかしい日本古来の大和撫子をそのまま出してきたような女の子である。 武偵高では生徒会長を務め、他に園芸部、手芸部、女子バレー部の部長を兼務している。 …っていうか、一人で属性を何個保有してるんだ。 主人公の遠山キンジは幼なじみで、「キンちゃん」と呼んで慕っている。 彼のお嫁さんになったり、彼との子供がたくさんいる様子を日常的に妄想するほど彼のことが大好き。 食事などの世話を焼きにキンジの部屋を訪れる様子は、もはや通い妻である。 と、ここまで見るとよくある設定ではあるが、特筆すべき彼女の特徴は… 武装巫女と性格 彼女は二千年以上続く武装巫女の一族で、星伽神社の長女(実義合わせて7人姉妹)である。 武偵としては、鬼道術(超能力の一種)を使い、剣術も出来る。超能力を使う事から超偵と呼ばれる。 その活躍たるや、イー・ウーのジャンヌやパドラと互角にやれるだけあって、本当に強い子である。 性格については、巻が進むにつれて(ヤンデレ的な意味で)酷くなる一方。 更に、最近はキンジを取られないようにするため、既成事実の達成を目論んでいる節がある。 尚、キンジはヤンデレ化した彼女を「黒雪」と名づけている。 以下各巻の活躍 [II巻]白雪メインの巻。冒頭からアリアとバトルを繰り広げるなど早くも全開。 その後は、アリアとキンジが白雪の護衛にあたる事になるのだが、アリアに対しては辛辣な態度を取り、キンジに対してはヤンデレ気味にもなっていた。 だが、デュランダル(ジャンヌ)に対して3人で共闘するなかで、アリアに対する態度も若干柔らかくなった。尚、この戦いの最中キンジに唇を奪われた。 [III巻]キンジと理子が相合い傘をしている所に乱入。本気で理子の首を斬りかかるなど、やっぱりやることがハンパない白雪さん。 その際、理子にスカートをめくられて、黒い下着をつけてる事が発覚した。これを契機に、黒雪が覚醒。既成事実の達成を目論むも、キンジに逃げられ失敗におわる。 [IV・V巻]ジャンヌから貸して貰った聖剣(デュランダル)で、イ・ウーのパトラと対決。 その後は、入院したキンジを見舞うなどの良キャラっぷりだが、キンジの携帯からアリアのアドレスが消えていたりと、やっぱり黒雪さんはただ者ではなかった。 あとは妹の粉雪が来たり、サッカーしたり。 [VI・VII巻]修学旅行Iからの帰りにトレインジャックに襲われた際には、乗客の護衛につく。新幹線の連結部分を日本刀で斬るなど、高い剣術の腕も見せていた。 [X・XI巻]ジーフォースに襲われ、イロカネアヤメを奪われるわ、入院するわ、キンジの部屋から私物もろとも叩き出されるわと散々な目に遭う。 しかし、誕生日にキンジから教会で薔薇の花束を渡されながら「遠山白雪になってくれ」と頼まれる。 その後、ジャンヌたちとの共闘によりかなめを決闘の末に撃破。雪辱を果たす。 [AA] 佐々木志乃の戦姉として登場。彼女を戦妹とする試験に際して、「想い人」を手に入れるための様々な入知恵を施し、その様子は妹を震撼させた。 尚、白雪と言う名は伏せ名で、諱は緋巫女(ひみこ)という。その名の通り、扱う技の属性も炎系。 携帯武器 日本刀「イロカネアヤメ(色金殺女)」 鎖鎌 M60機関銃 白雪「追記・修正はキンちゃんのみでお願いします!」 キンジ「誰も出来んわ!」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ヤンデレ選手権があったらたぶん優勝だな -- 名無しさん (2014-03-24 00 44 53) ネタキャラ扱いで済んでる分ヤンデレとしてマシな方 -- 名無しさん (2014-03-24 00 49 02) 確かに…まぁマシンガンぶっぱなしたり剣ふりましたりかーなーり危ないけどな -- 名無しさん (2014-03-24 01 03 35) ヒロイン戦記だとストーリー上では普通に優等生。戦闘やフリートークになると黒化するw -- 名無しさん (2014-05-23 16 28 30) 名前 コメント
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101 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 50 51.08 ID KvC4mIRl0 ファーーーwwwwwww ちくしょう! ツタヤで映画借りてきて船漕ぎ出した彼女を 後ろから抱きかかえつつ観たいよう! クライマックス周辺で起きた彼女に今までのあらすじ聞かれて なにコイツめんどくせぇとか思いたいよぅ! でも解説しちゃう! 102 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 51 23.07 ID KvC4mIRl0 「あのねぇ、んふふふww ちょっと耳かして」 「は? いや、言えよ」 「内緒話だから」 「なんなんだもう……」 小さなささやき声。 彼女の、耳朶を擽る甘えた声で。 たった一言、 「だいすき」 体を離して、数秒黙って。「――知ってるよ、んな事」 言いたい。 104 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 52 21.00 ID KvC4mIRl0 「おいお前酔ってるだろ」 「酔ってないもん」 「いいや酔ってるね」 「酔ってないってば!」 「俺は酔ってるぜ」 「え?」 「……お前にな」 「えっ……」 みたいな茶番を演じたい。 決め台詞付近で小田和正とかバックに掛ける。 105 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 52 38.47 ID 6Rl8+ZoL0 何だろう、怖くてレスできない 106 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 53 35.52 ID BnyevzSRO ただただ悲しい 109 忍法帖【Lv=27,xxxPT】 投稿日:2011/07/30(土) 14 55 10.94 ID qoO8hWwx0 なんか、胸の辺りが締め付けられる 死にたい 107 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 54 24.00 ID KvC4mIRl0 「昔はお姉ちゃーんとか言って、ずっと私の後ろついてきたくせに」 って親戚で集まった酒の席でからかわれたい。 都会に働きに出てしまった、従姉妹のお姉ちゃん。 「いやいやいや、俺もう社会人ですからね、もーおっきくなりましたからね」 「たとえば?」 「例えばって、え、えー……ち 「うっわ、ちょっと叔父さん、息子さんにセクハラされたー」 相変わらず頭が上がらないんだよな。 108 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 54 45.66 ID KvC4mIRl0 酔いつぶれた従姉妹のお姉ちゃんを布団へ運ぶとき、 ぽつりと「頼もしくなったね――」と声が。 110 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 55 16.63 ID KvC4mIRl0 「……ねえ、下駄箱見た?」 「はあ? 何のことだよ」 「あれ、まだ見てないの?」 「だからなんなんだよ」 「いいから! 早く見てみて!」 「ちっ、うっせなあ……(ガチャッ) あっ」 (タタタッ) 「お、おい! ちょっと待てよ!」 みたいな。青春の日々を。 111 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 55 36.15 ID KvC4mIRl0 スーパーの前のポールに繋がれてる犬に近づいていって 「おーww飼い主さん待ってるの? えらいねー、えらいねーww きみ、毎日ちゃんと散歩させてもらってる? あ、そうだ、お手。お手っ」 とか人格変ったんじゃねぇのと思う位デレデレになる女の子には、 俺の視線に気づいて、赤面して静かに佇まいなおしてほしい。 112 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 56 49.97 ID KvC4mIRl0 裏通りに小さな店構えてパイプとか咥えながら 猫を膝に乗っけて新聞紙とか読んで、 ふらりと立ち寄った客に 「お前さん……ふむ、待ってな」 って言って店の奥にひっこんで曰くありげな品を 「普段は出さない物なんだが……」 といいつつ売りつける選ばれし者ごっこしたい。 113 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 57 30.05 ID KvC4mIRl0 「裏情報その1。私は嘘つきです」 「はあ」 「チョコレート渡すのに心臓破裂しそうな位緊張してるとか、 昨日から渡す予行練習してたとか、そういうのは絶対に無いから安心してね」 「……嘘つきは泥棒の始まりっていうぜ?」 「なんのことやらー」 みたいなやりとりしたい。 まあ、泥棒されたのは俺の心ですがね。 115 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 58 11.52 ID KvC4mIRl0 「…………これって間接キスだよね」 ってポツリと呟かれて盛大にジュース噴き出してみたい。 116 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 58 39.63 ID KvC4mIRl0 「君を絶対に幸せにするなんて事は言えないけど、 今までしてきたことを、これから先、ずっとしてやれるって言える。 だから、僕と、結婚して下さい」 彼女は少し涙ぐんでから、たおやかに笑って言う。 「それって、世界一幸せってことだよ」 そんぐらいの幸せをあげたい。花束みたいに、毎日贈りたい。 119 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 00 48.97 ID KvC4mIRl0 放課後、部活終わり。 自分の教室に忘れ物したことに気付いて、 ヤベーそろそろ下校時間、と息せき切って4階まで走る。 引き戸を開けると、飛び込んでくるのは西向きの窓から降り注ぐ夕陽。 誰もいない教室。 ふと思い立って、彼女の席に座って、目を瞑ってみる。 放課後の残響が体を包み込んで、 ふっと意識が沈み込んだその時、再び開く扉。 そこには、同じように肩で息をしている―― そういうアレ。 120 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 01 21.83 ID KvC4mIRl0 「あの……落ちましたよ?」 とか後ろから声をかけられて振り帰ったら、 髪を耳に掛けながら柔らかく微笑み、俺の携帯を差し出してくる女性。 しどろもどろになりつつ受け取り、 『はい、落ちました。恋へ、ね』 とか臭いだけのモノローグ入れたい。 122 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 02 04.75 ID KvC4mIRl0 移動教室の机に適当な呟き(「ねむい」とか「教科書忘れた」とか) 書いて消すの忘れてたら、次の授業の時、その横に何だか丸っこい字で 「私も」とか「←ばーかw」とか返信があった。 そこからはじまる恋とかあこがれちゃう。 124 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 02 37.05 ID KvC4mIRl0 数学の授業中机に腕枕作って寝てるところを先生に当てられたい。 びっくりして勢い良く立ち上がる俺。 問題がわからない。そもそもページがどこかもわからない。 あたふたしてる所に、 「64ページの問3だよ」 っていう、ささやき声よりも小さい声での助け舟が欲しい。 たぶん意識し出しちゃう。それだけで。 125 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 03 44.80 ID KvC4mIRl0 友達以上恋人未満の状態で、 いつごろご結婚ですか~? とか、悪友に冷やかされたい。 俺は内心嬉しいんだけど、それでも体面とかあるから 「お前、彼女に迷惑だろ」 「うん、迷惑だね」 同調されて、俺が言い出したのに打ちのめされちゃう。 でも彼女は、 「さっさと決めて貰わなくちゃ、予定とかあるでしょ?」 と付言する。沸騰する教室。 117 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 14 59 43.21 ID XK7kyOY1O この 1はヤバい 127 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 03 59.95 ID aIVVZ6WN0 自慢じゃないけど、ここ3~4年家族以外の女の人とまともな会話してない ていうかろくに友達もいない 上野公園のハトの方が俺より友達いる 180 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 23 42.09 ID ynTEh+pU0 127 最後の一行ワロタwww 129 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 04 05.08 ID KvC4mIRl0 「一回キスされるのと十回好きって言われるの、どっちがいい?」 「…………」 「ね、どっち?」 「……一回キスして十回好きって言ってほしい」 「うわー、欲張りなんだー」 とかいたずらっぽく笑い返して、あとはそのように! ねぇ! 130 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 04 58.52 ID KvC4mIRl0 デートの最中、自分が車道側を歩こうと (あくまでさりげなく)寄るんだけど、ことごとく失敗。 いつの間にか必死になってたら、車道側の彼女が忍び笑いを漏らしている。 「……気付いてないとでも?」 「ぬるぽ」 ガッ、の変わりに絡められる腕。 この人のことを守ろうと決める日。 132 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 05 42.86 ID KvC4mIRl0 「ねえ、好きって言ってよ」 「やだ」 「いいじゃん。言ってよー」 「やだね」 「言って言って!」 「やーだー」 「なんで? わたしのこと好きじゃないの!?」 「好きに決まってるだろ」 「じゃあなんで!?」 「好きなんて言葉だけじゃ足りる訳ないからな」 「えっ……」 的なそういうアレ。 133 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 06 03.63 ID KvC4mIRl0 どうして自分じゃだめなんだろう、というよりは、 どうしてあの人じゃないとだめなんだろう、 と考えるような恋の方が、幸せだと思うんですよね。 前者に偏りがちになるのは、 恋の主軸がどうしようもなく自分にあるからなんでしょうね。 それでもいいから、と思うのは、贅沢なんでしょうか。 137 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 06 30.74 ID LWmA03480 最初から見てたけど、なんだろう、 レスしようと思っても言葉が出てこない 140 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 07 22.06 ID jq2Kg6yL0 初々しいスレだ 141 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 08 23.67 ID Jcw4EjqCO なんか…尊敬するわ 142 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 08 48.01 ID KvC4mIRl0 彼女が料理中とかに左手の薬指を怪我して 「お前ホント救えないドジだよなぁ」 とか呆れて笑いながら絆創膏貼りたい。 食べ終ったあと、その絆創膏を黙って見ながら彼女はニヤニヤしてる。 「なに、どうしたの気持ち悪い」 「いやぁ……だって、ねぇ?」 「……その内ちゃんとしたの贈ってやっから」 婚約指輪みたいでしょ? 144 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 09 10.46 ID KvC4mIRl0 「よくわからないんですけど好きなんです」っていう理由で告白されたい。 162 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 14 00.81 ID dphWL0HI0 144のお陰で成仏しそうになった 146 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 10 04.49 ID m85HPS7WO 何この良スレ 145 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 09 55.52 ID KvC4mIRl0 友達以上恋人未満の子と夏祭り行きたい。 遠くにクラスメートの姿を見つけて、自然に沈黙がおりてきて。 繋いだ手を。パッと。離すんだ。 手のひらにこもった熱が逃げていくのを残念だな、 と思いつつ彼女を盗み見たら、目が逢って。 ああ、今一緒の気持ちだよって。その視線が。瞳の奥の光が俺に言うのよ。 147 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 10 32.09 ID KvC4mIRl0 「ただいま」って部屋の奥に声を投げたら 「おかえりなさい」って帰ってくる。 日を重ねる事に馴染むようになって来た、 出迎えてくれる彼女のエプロン姿に、 一人目もそろそろかなぁ、なんて一人で思いたい。 疲れなんて玄関の外に野ざらしでいいさ。燃えるゴミの日に出すからさ。 151 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 10 48.96 ID KvC4mIRl0 酔わせて押し倒す作戦のはずが 意外にもお酒が強く(事前学習の大切さを思い知る)、 挙句自分がぶっ倒れて逆に介抱されたり。 「……回りくどいことせずに、男らしくガーっときたらどーなの」 酩酊の中で幻聴を聞く。 幻聴だよ幻聴にきまってる、こんな都合の良すぎる話があるか! とか、アルコール以外の理由で思考をぐるぐるにしたい。 153 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 11 11.79 ID KvC4mIRl0 しがない学芸員だった俺が、ある日突然世界大統領!? 労働大臣を名乗る謎の美少女高校生まで現れて、 俺の人生どうなっちまうんだ!? ってシュミレートしながら毎晩寝てるけどいつか叶うかなぁ。 154 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 11 20.79 ID ddSuxghv0 いまから男だけの花火大会行くんだから、 そういうのやめて。胸が痛くなる。 166 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 15 15.89 ID KvC4mIRl0 154 高く高く、夜陰を切り裂くように打ちあがっていく火の導線。 空に光が瞬いて、耳に心地よい重低音が炸裂するたびに地上の人ごみが沸く。 俺ははぐれないように彼女の手をぎゅっと握って、 昂揚する気持ちを声に変えて叫ぶんだ。 「たーーまやーーーー」 「うわ、お腹から声でたねー」 「ほらお嬢さん、ご一緒に」 「「たーーまやーーー!」」 ベタな「きれー」「君の方が綺麗だよ」よりも、こんな感じのやりとりをしたい。 一緒に童心に帰りたい。手をぎゅって握って。 163 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 14 52.76 ID FWW0aO8f0 1の才能に嫉妬 175 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 20 24.13 ID 77+OPPPdO このスレはヤバい 155 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 11 34.84 ID KvC4mIRl0 雨降り、相合い傘。 相手の肩の方が、自分の肩よりも濡れていることに気づいた日、 梅雨と恋の始まりの匂いを感じることができるだろう。 171 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 18 09.54 ID KvC4mIRl0 晩飯時。なんだか上機嫌になってる妻に何かあった? と聞いたら 「今日ね、宅急便受け取ったの」と返される。 「懸賞でも当たった?」 「ううん。あのね、『斎藤』、ってサインしたらね、実感しちゃった。 結婚したんだなぁ、私って」 それだけでそんなに嬉しそうなのかよ、と呆れながらも、ニヤつく口元。 174 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 19 50.75 ID KvC4mIRl0 些細な喧嘩、授業中に紙くずとか消しゴムとか投げつけあいたい。 そして度が過ぎて先生に怒られるのさ。 で、彼女がちぎってた消しゴムにふと視線がいき、 そこには自分と彼女の名前が書かれた相合い傘。 「え……?」 「っ!? み、見た?」 「……」 「わぁぁー! もー! 死ね! 死ねぇ!」 で投げつけられる相合い傘消しゴム。これでいこう。 177 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 21 08.69 ID KvC4mIRl0 誰も許しや報いが欲しくてこんなことをいってるんじゃない。 解っているモテる努力をしない人間はモテることが出来ない。 「君のために頑張らないけど君は俺のこと好きになってね」 なんて恥ずかしげもなく言える人間がモテる道理はない……。 俺は、ただ、ショーケースに並べられた綺麗で素晴らしそうなそれが欲しくて、 だから俺は、俺は俺は俺は俺は俺は俺はあああぁぁぁぁぁぁぁあああ 179 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 21 50.17 ID KvC4mIRl0 地雷原も、全て踏み抜いてしまえば 平原と一緒だと強がりながら生きてきた。 愛だの恋だのを二次元に見つけて、脆弱な己の心を支えてきた。 その結果が今だ。 人生は、出口はおろか入り口の存在すら疑いたくなるようなトンネルだった。 一縷の光を求めて闇へ手を伸ばし歩くことこそ、生きることに他ならない。 飛行機乗っても二次元には行けない。 リニアに乗ってもあの頃には戻れない。 ならば、もう、これから先を、強く生きるしかないじゃないか。 望めるなら、やはり、強く。 強く。 強く。 181 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 24 05.85 ID KvC4mIRl0 以前、ここと似たようなスレを立ててから約一年が立ちました。 皆さんお元気でしょうか。 僕はあいかわらず日々に忙殺されながらも、 なんとか喘ぐ様に生きながらえています。 では最後に。 ぼくの煩悩107つ、子煩悩だけ 手に入らない。 お後がよろしいようで。 ではみなさん、ここまでお付き合いありがとうございました。 また来世で。 185 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 26 01.56 ID TJokQKj1O 乙 183 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 24 37.46 ID q1xyKJeg0 これは良スレ 184 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 25 07.35 ID MxstqjFGO もう休めよ… 188 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 26 46.61 ID m4KGtpan0 GJ 202 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 40 11.54 ID yln7ZO12O 泣いた 191 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 27 46.32 ID 5QnjrP5L0 感動した 193 以下、VIPがお送りします 投稿日:2011/07/30(土) 15 29 24.59 ID WBCriBvh0 笑ったりしながらも5回泣いた 1乙 幸せになれ
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「んじゃあな、柊」 「またね、柊ちゃん」 日下部と峰岸に手を振り私も帰り支度を始める。 しかしすっかり人がいなくなったものだ。そんなに長いこと雑談していたわけでもないのに。 これも受験生の自覚ってやつかな。最上級生に進級してから放課後の教室は寂しくなった。 まぁ私だって早く帰りたかったんだけどね、日下部が離してくれなかったし。 全くあいつの相手するのは疲れるわ。 昼休みもたいてい隣のクラスに行っちゃうからとか言ってたけど、相手してやったらしてやったで怖いだのヒスチックだの言ってくるし。 どことなくこなたっぽいとこもあるけどあいつの場合は単なるバカキャラだからな。なにが楽しくて私に近寄ってくるのかよくわからん。 とりあえず日下部は子供なんだと結論づけてさっさと教室を出る。 先に帰ったかなと思いつつもなんとなく隣のクラスを覗いて見ると青髪の少女が残っていた。 「まだ帰ってなかったんだ」 「あ、かがみ。つかさとみゆきさんは先に帰っちゃった」 「そっか。で、あんたは何してたの?」 「うーんと、黒井先生に呼び出されて……」 「なんで?」 この時期は進路相談とかでたいして珍しい話でもないんだけど。 でもこいつは黒井先生と仲良いからなぁ。ネトゲとかいろいろゲームの話してるし。 って、別になんでもいいわよね。 「ちょっとね」 と、こなたにしては歯切れの悪い物言いだったが深く追求するのはやめておく。 続けてかがみは?と聞かれたので日下部に捕まってたと答えておいた。 時間こそたいして経っていないものの静かになった廊下を並んで歩く。 しかし考えてみると私は一人で帰るなんてあまりなかったかもしれない。 つかさがいるのは普通だけど、よくこなたの寄り道に付き合わされ(好き好んでではない)、途中までとはいえ同じ方面ということで一緒に帰ることが多い。 もっとも何か部活をしてれば違った光景があったかもしれないが、決してこいつと帰ることが不快なものではない(むしろ楽しい)のでこれで良かったと思う。 思えば私の高校生活はいつもこなたと一緒だった。 「雨、降ってるね」 靴を履き替え外へ踏み出すと結構な強さで雨が降っていた。 しょうがない、持ってきた傘でしのぎながら帰るとしよう。 太陽の見えない曇り空と同じく鬱になりそうな心を鼓舞しながら黒色の丈夫な傘を握りしめた。 「どうしたの?」 恨めしそうに前方を見つめるこなた。 その手には鞄しか握られておらず、おそらく傘を忘れてきたのだろう。ったく、予報ぐらい見たらどうだ。 「いやぁ、今日はあいにく傘を持ってきてないんだよね」 「あんたいつも忘れてきてない?」 「うっ。朝降ってなかったらなんとかなる気がしてね。いざとなったら走って帰るし」 「もうちょっと女としての自覚を持ちなさいよ」 「そうは言われても体型的に見て楽しめるもんでもないからねぇ。その点かがみは……」 「セクハラはやめろ」 「へいへい。そんじゃ今日はここで」 「はっ?」 どうやって帰るのよ。まさか濡れて帰るつもりじゃないだろうな? いや、私は傘持ってるから入れてあげないこともないわよ。 困っている人を助けるため、とわけのわからない言い訳を心の中でしながら言うと、こなたは「いいの?」と問うてきた。 「一人傘差して帰るなんて気分悪いじゃない」 だいたいいつものこなたなら相合い傘とか言って無理やり入ってくるんじゃないか、と思ったことを口にした。 すると薄幸の少女のような切ない顔をしていたこなたがイタズラ好きのいつもの猫口に戻る。 「へぇー、かがみは私と相合い傘したかったんだ?」 「そっ、そんなわけないじゃない。なんで私があんたとなんか……」 やや焦りつつもその手には乗らないように返答する。尚も追撃が来ると思ったら、 「まぁどっちだっていいけど。かがみがいいって言うんなら喜んで入れてもらうよ」 と、言って私に身を寄せてきた。 「くっつきすぎよ」 「えー、でも傘なんてそんな大きくないんだし」 「とりあえず傘開かせなさい。場所取りはそのあと」 少しこなたが距離を取ったあと傘を開く。丈夫な大人用のそれは結構な大きさがあると思う。 先に地面に一歩踏み出してこなたを招いた。 「ほら」 傘を持っていないほうの手を体に対して垂直に開く。それを見てこなたは少しきょとんとした。 どうしたのか問おうとする間もなく飛びついてくるこなた。ちょっとよろけそうになったけど衝撃はたいしたものではなかった。 傘から体をはみ出さないよう肩に手を回して身を寄せた。 「なによ?」 またしてもきょとんとした顔をして私を見上げるこなたに問いかける。その頬が少し赤みを帯びてい見えたのは気のせいだろうか。 「かがみがこんな風にしてくるとは思わなかった」 こんな風って何に対して言ってるんだろう。もしかして肩に手をやったことか? 「別に。こうした方が濡れずに済むと思ったから」 「むぅ。かがみはきっとたらしだよ」 ありのままを伝えたら不快な台詞が聞こえた気がする。 考えてみればこうして肩を抱くなんてことしたの初めてかも。身長的にちょうどいいかなって思ったんだけど。 よくよく自分の行動を振り返ってみるとなんだか恥ずかしくなってきて、「……み……かい」とのこなたの呟きを聞くことはできなかった。 ただ今さら気にするのも癪なのでそのまま歩き出す。 ……が、やはり恥ずかしさが勝ってすぐに離してしまった。 降りしきる雨の中を二人は歩く。会話のない二人の間に雨音だけが響いていた。 なんてこなたと私で何があるって言うのよ。だいたい私たちにそんな空気が似合うはずもなく、 「最近は勉強勉強って忙しいよね」 「それは真面目に勉強しているやつが言う台詞だ。あんたはアニメやゲーム三昧でしょうが」 「そうはいっても結構アニメが増えてきて全部チェックするのも大変なんだよ。いい時代だ~」 「うっさい」 と、いつもの会話を繰り広げるのみ。 まぁこういう会話もこなたの楽しそうな身振り手振りが見てて飽きないので嫌いじゃない。 「でもさ、時間の流れには逆らえないわけで」 「当然だろ。それにしてもいくら時間があっても足りないくらいだわ」 「そうだね。今年で最後だし」 一応気にかけてたんだ。受験とかも考えてあと半年くらいしかないのか。 そういえば進級して間もないころそんな話もしたわね。最後はやっぱりこなたに茶化されたけど。 「あんたたちはいいわよね、三年間ずっと一緒なんだから」 逆に私はこなたやみゆきと一緒になるどころか、つかさとも一度も同じクラスになれないまま高校卒業だし。 「ん~それはそうなんだけど、私だってかがみと同じクラスになりたかったよ?」 「ほ、ホントに?」 「うん。だからさ、もうすぐ卒業だって思うとね」 あっさりと言いやがった。あのときは別のクラスでないととか言ってたくせに。あれ結構効いたのよ? というかさ、なんかいつものこなたらしさがないし、変な物でも食べたのかしら。 「たまには私だってセンチメンタルな気分になりますよぉ」 むぅーと膨れっ面をするこなた。相変わらず子どもだな、可愛いからいいけど。 「今日黒井先生に言われたんだよ。このままだとやばいって」 こいつなりに危機感があったんだろう。黒井先生の言葉が重くのしかかったらしい。 私的には遅いと言ってやりたいところだけど、ここで追い討ちをかけても悪い方にしか働かないだろうな。 「そう言われてもやっぱり目標がないから勉強なんて身になんないし。かがみはさ、法学系目指してんでしょ」 一応ね。そこそこ勉強ができたからそれに合ったとこって感じだけど。 夢らしい夢なんて……弁護士あたりになれるといいなぁってくらいだし。どうしてもなりたいものなんて、ない。 「つかさもみゆきさんも、みんな目標に向かって進んでるじゃん。私だけなにしてんだろって」 つかさは本当に好きなことだからやると決めたら途中で投げ出したりしないだろう。みゆきはしっかりしてるからそんな中途半端な気持ちで進路は決めないはずだ。 「だからなんだか寂しくなっちゃって。寂しがりやのウサちゃんと言ったらかがみなのにね」 こら。どうしてそこでふざけるかな。 だいたい私はそんなに人恋しく思ったりしないわよ。あまり。 止まない雨に私の声にならない言葉はかき消されていく。 淡々と語るこなたの表情はややうつむき加減で見えなくて、あり得ない話だけど泣いてるんじゃないかと思った。 万が一にもそうだとしたら、私は何をしてやれるだろうか。 「時間がないって言うけどね、まだ半年もあるじゃない」 「そうかな……」 「そうよ。まだ夏休みもある。今日だって明日だって一日中悩んだっていいじゃない。答えを急ぐ必要なんてないわ」 もしかしたら私だってこれから別の道を選ぶかもしれない。 悩み相談してちゃんと出した結論なら残った時間に全力を注げばいい。 「私がいるから。みゆきやつかさも力を貸してくれるわよ」 そう。自分の道を見つけたからって私たちは離ればなれになったりしない。 将来のことはわからないけど、その時がくるまでずっと一緒にいよう、それまでの時間を何よりも輝いたものにしよう。 「夏休みに一回くらいはみんなで思い出作りしたいし、修学旅行とか文化祭だってある」 もしクラスが一緒だったらそれこそ素敵なものになっただろうけど、同じ学校に通うもの同士、思い出なんて作ろうと思えばいくらでもできる。 でもね、そのためには、 「誰かが欠けてしまったらダメなのよ。みんなが笑っていられなきゃ思い出は楽しいものにはならないのよ」 ちょっと語りすぎちゃったかな。私にしては恥ずかしい台詞をよく言えたものだ。 まだ雨は降っている。道行く人は皆傘を差して寂しく歩いている。 たまにはこういうことをしてもいいじゃない。誰かに見られるわけでもないんだから。 「か、かがみぃ……?」 驚きのせいか、弱々しく声を私の名前を呼ぶこなたを左手でしっかりと抱き寄せた。 ほんの数十秒だけど、歩みを止めて抱き合う私たち。 やっぱり泣いてるなんてことなかったけど、こなたは嫌がることなく身を寄せていた。 「もう大丈夫?」 「うん……」 「何かあったらすぐに言いなさいよね。私たちは親友なんだから」 「でも、迷惑じゃないかな」 「今さら何言ってんのよ。だいたい困ってる友達を助けるのに誰が迷惑するって言うの」 「ありがと。かがみは優しいね」 「ば、ばかっ。これくらい当然でしょ」 「ふふ、やっぱりかがみはツンデレだ」 「またあんたは……」 いつの間にか憎たらしい笑みを浮かべて、いつもの調子に戻っていたけど。 それがこなたらしさであり、友達として時を過ごしてきた笑顔であり、私が私としていられた場所だから。 別れ際にもう一度ありがとうの言葉とともに見せた笑顔は、一番見たかったものだから。 この日、雨の中を一緒に歩いたことは大切な思い出として私の心にずっと残っていくことだろう。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-04 22 04 11) ・・・もうすぐ訪れる『卒業』という当然の様に一緒に居る日常生活からの離別。 ちょっぴりせつない2人の気持ちがつたわってくる様でした・・GJ -- kk (2009-06-07 01 31 17) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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悪の組織の幹部×同組織の最下層 「大体いつもさ、作戦が悪いんだよ作戦が」 「はあ…」 「あと一歩って所で秘密兵器が出てくるのなんて分かりきった事だろ? なに、それとも今回は出てこないとでも思ったわけ? まさか出てこないといいな~とか希望的観測で作戦を進めたとかじゃないよな?」 「いや、そんなことは、…ないと思うんだが…」 「思うんっだがってなんだよハッキリしろよ!いつも現場で動くのは 俺たちなんだよ俺たち。それわかってんのか?」 「それは、申し訳ないと思っている」 もう小一時間説教を食らっている。その間正座させられっぱなしの私は しびれが足全体に渡ってすでに感覚はなかった。 おそるおそる手を挙げて提案してみる。 「すまない、次は善処したいと思うので、もうそろそろ、その…」 「お・ま・え・が言うなお・ま・え・が!」 ピシピシとプラスチックのものさしで額を叩かれる。痛い。 戦闘員Dの怒りはまだ収まっていないようだ。 それもそのはず、今日の地球防衛側の反撃はそれはすごいもので、 最下層戦闘員の彼らには恥辱にまみれた、としか言いようがないものであったからだ。 「大体なあ、俺がどんな目にあったと思ってんだ?…お、俺が、あんな…」 変化した声にふと視線を上げると、まっかになった戦闘員Dの顔があった。 おそらく昼間の醜態を思い出しているのだろう。握りしめた手は小刻みに震えている。 その姿は小鳥の様で、全治万能の力を与えられた幹部の私からすると、 哀れみをさそいながらもなぜか背中の辺りがぞくぞくとする。 彼が一体どんな目にあったか? 忘れようにも忘れられない。敵の長官が「こんなこともあろうかと」開発していた 秘密兵器は、巨大な蛸のような生き物で、あと一歩の所で司令塔を制圧できていた はずの我々は、その触手によって全戦闘員の攻撃力を奪われたのだ。 とりわけ中心部に近付いていた戦闘員Dは、からめとられた手足を拘束され、 戦闘服は見るも無惨な布切れとなって地に落ち、全身を弄られ擦り上げられ 肛門に触手を挿入されたあとは強制射精で意識を失うまで喘がされ続けたのだ。 正直に言おう。最後まで見たいために命令を出しませんでした。 しかしそんな事を口に出せる訳もなく、この作戦の指揮官を任されていた私は 作戦失敗の叱責を、なぜか部下の戦闘員Dから受けているわけなんだが… 「敵の本部の職員すべてと、巨大生物が現れたと集まったヤジ馬ども、 そしてつぶさに記録を残そうとするテレビ局!全国放送だ!! そ、そんななか、俺がっ…おれ、おれは…くそっ…!!」 悔しさのあまり俯いてぽろぽろと泣き出してしまった戦闘員Dを、私は後悔の念を 持って見つめていた。そうだ、戦闘員Dにも普通の生活や人生という物がある。 あんな映像が全国に流れてしまったら、どこへ行っても「強制射精の人」 と後ろ指を指され続けるに違いない。最悪「化け物にやられてよがるくらいなら 俺たちだって相手できんだろへへへ」とか言い出す狼藉者にレイプされた挙げ句 裏ビデオを取られて売られ薬付けにされて敵の地球防衛隊とやらの性奴隷に…!! そうなったら私は戦闘員Dの家族になんとお詫びをすればいいのか…!! そうだ、そんな心の傷は上司である私が癒さなくては…!! 「すまないっ……!!」 「えっ…!?」 堪り兼ねた私は、正面に座っていた戦闘員Dを抱きしめた。 いや抱きしめようとした。 が、しびれていた足がからまり、鈍い音と共に戦闘員Dを床に押し倒してしまっていた。 「あっ…だ、大丈夫か!?戦闘員D!戦闘員D…!!」 ゆさゆさと揺さぶるが返事はない。ただのしかばねのようだいやいや違うこういう時は あれだ!まず気道の確保をして…あ、ハイネックのセーターだな… 仕方がない、上は脱がせるとして…ベルトも外して楽にさせてやろう。 緊急時に的確な判断が出来てこそ頼れる上司というものだからな。 次は人工呼吸をして胸のマッサージを…… 「……なにやってんのお前ら」 「総帥……!?いえ、あの、これは…」 「……いやいいんだけどさ、せめてベッドの上でやったらどうなの?」 「はっ…ご助言ありがとうございます。なにかありましたか?」 「いいや大した用じゃねーし。まあ明日休みだからいんだけどさ、ほどほどにね」 「了解いたしました」 翌日、なぜか秘密基地内食堂の黒板に相合い傘で『幹部/戦闘員D』と書かれていた。 冷やかされてまっかになって怒りまくる戦闘員Dの横で 「誤解だ。私は服を脱がせて体中をマッサージしていただけで、 その際不可抗力で勃起したペニスを射精させたが、それだけだ」 と隊員に説明したら、さらに赤く怒った戦闘員Dにみぞおちを殴られた。 なぜ私は戦闘員Dにこんな暴挙に出られても許してしまうのかは謎だが、 仕事に対する意欲も増しているので問題がないと思う事にした。 コインランドリー
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その壱へ その参へ その四へ [やよいお喧嘩と懺悔] 大喧嘩してしまったやよいと伊織。きっかけはほんの些細な事だった。 小鳥さんにそれぞれの言い分を聞いてもらったら、本当はお互い謝りたいけど、 きっかけが掴めなくて…と不器用な二人。 「じゃあ謝ってもらいましょう」 となにやら妙案が浮かんだ様子でPと打ち合わせ。 小鳥さんに連れて来られた場所は音響スタジオ。 「ここは懺悔室なのよ」 と指差す大きな鏡の上になにやら金の色紙で作られた十字架。 「迷える子羊よ、座りなさい」 と、作り声だか確かにPの声がスピーカーから流れる。 言われるままに鏡の前の椅子に座ると小鳥さんは出ていってしまった。 暫くは躊躇していたが、やがて意を決して伊織は懺悔する。 本当は自分が悪かった。すぐに謝りたかったのにやよいがあんなに怒りを現わにするなんて思わなかった…。 誰よりもやよいを大切にしていたつもりだったのに…傷つけるつもりなんてなかったのに…。 つまらない意地張った自分が情けない…。 「…ごめんなさぃ…」 と頬を涙がつたいながらも、やっと伊織は言うことができた。 「神は汝の罪を許すでしょう、さぁこちらに来なさい」 との声に鏡の横のドアが開く。 怖ず怖ずと入って見れば、暗い部屋にPがいた。 目が慣れてくるとそこはミキサー室だった。鏡と思ったのはガラスで音響室がまる見え。 こちらの部屋を暗くする事で音響室からはマジックミラーみたいになっていたのだ。 「さぁここに座って」 と、言われるままに椅子に座るとなぜか温かい。 Pが座っていたのかしらと思う間もなく誰かが小鳥に連れられて入ってきた。 「やよい?!」 小鳥さんはやよいを椅子に座らせるとそのまま出ていってしまった。よく見るとやよいは泣いている。 「…!」 すぐさま駆け寄ろうと椅子を立とうとするのをPが止めた 「なにを…!」 「今度はやよいの番なんだ、黙って聞きなさい」 とPは窘める。 今まで聞いた事のないPの重い声にそれ以上逆らえなくなる伊織はやよいを見るしかなかった。 よくよく見ればやよいはなぜか嬉しそうに泣いていた。 そしてやよいの懺悔が始まる。 「神さま…」 「私は伊織ちゃんが大好きです。いつもお姉ちゃんみたいに私の面倒を見てくれて、 いつも傍にいて支えてくれて、いつも…でもそんな伊織ちゃんを私は傷つけてしまいました… 本当の事言われてカチンと来てつい言い返してつまんない意地張って… 後から後から心の中が黒くてモヤモヤして悲しくて苦しくて、こんな思いをしたくないのに、 何故だか謝れなくて、もうどうしたらいいかわからなくなって…」 うっうっと鳴咽を漏らしながらやよいはまっすぐと、 こちらからは見えない筈の伊織を見つめていた。 「でも伊織ちゃんも同じ思いをしてたのがさっきわかったんです…」 と、泣きながらもにっこり笑う。 そこで伊織は、はっと気が付いた 。この椅子の温もりと嬉しそうに泣く理由を理解した。 「やよい…」 「ごめんなさい…私の我が儘でこんなに伊織ちゃんを傷つけてたなんて… 苦しめてたなんて…意地なんて張らなきゃよかった…ごめんなさい…ごめんなさい…」 伊織は口を両手で塞ぎながらやよいが謝る度に涙が零れそうになるのを必死に堪えていた。 「…お願いします、伊織ちゃんと…仲直りさせてください…ナム〜」 と小さな手を合わせるやよい。 「………仏様もお許しになりますよ、ほら」 と ドアが開くとそこにはもう限界にまでに涙目の伊織がいた。 その姿見た途端、もう顔じゅうくしゃくしゃにして、やよいは泣き出すが早いか、 駆け寄って大粒の涙をぼろぼろ流しながら、その小さな胸にしっかり抱きしめる伊織。 「い゛お゛り゛ぢゃ゛ーん゛うぁあぁあん」 「…やよい!馬鹿!うぅあぁあ…」 と、二人して抱き合ってわんわん泣いている様を見て 「青春だなぁ」 とにっこり笑う小鳥さんと ウンウンとうなづき、二人を見守るPを想像した俺キモいですよっこらせっくす。 [歯科検診] 歯の検診日にやよいは虫歯が見つかり、すぐに治療をするハメに。 本来ならPが付いていなければならないのだが、検診を嫌がって逃げた亜美真美を捕まえに行かねばならなかった。 消毒薬の臭い漂う診察室。椅子に座らされたやよいの隣にいる伊織。 「伊織ちゃ〜ん…」 と、いつもの元気はどこへやら。怯えた目のやよいに、 「ちゃんとここにいるわよ」 と横で「(なんで私が…)」と、ちょっと虚勢を張る伊織。 差し出す手を握ってやると目で少し笑うやよい。覚悟を決めて、 「はい、高槻さんあ〜ん」 「あ〜〜」 ドリルが甲高い音を立てる度にギュッと握る手を優しく握り返す。その度に確認するかの様にチラッと横目で見るやよい。 すると伊織も怖いのか顔を背けながらもチラチラとやよいを見てた。 何だか可笑しくて、でも頼りがいがあって嬉しくて、このままでいたいけど早く終わらないかなと もうごっちゃになるのがまた可笑しくて…。 「はい、終わりました、うがいしてー」 との歯医者の言葉に、やっと手が離すことができた伊織。ふぅと溜め息一つ、つくも 「では次は水瀬さんの番ですね」 に「え゛?!」と驚く。 どうやらPが歯石のケアも頼んでいたらしい。 「(あのP、余計なことを〜〜)」 と、憤るもやよいの前で逃げ出す訳にもいかず、 今度はやよいに手を握ってもらい、ちょっと怯えながら治療を受けている伊織であった。 のを想像したあいにくの天気だが俺キモいね。 [歯科検診2] 765プロの歯科検診の日、アイドル達は検診を皆受けるのだが、例によって逃げ出す亜美と真美。 「すまない、やよいに付いててくれ」 と、伊織にやよいを任せるとPは双子を追う。 しかし追うも捜すもなかなか捕まらない。双子のコンビネーションに翻弄されてしまうP。 「んっふっふ〜亜美達をつかまえよ→たって、そ→はイカの金ぴかだよ→あれ?きんぴらだっけ?」 「イカのきんぴらって律っちゃん好きそ→だねっ」 「ほほう、酒の肴には良さそーね」 「え゛?!」 双子が振り返ると、ニヤリと笑う眼鏡魔人。 首根っこを、がしりと捕まえられじたばたしてるところでやっとPが追い付いた。 「すまん律子、助かったよ」 「まったくもう、常に先の先を読めと言ってるでしょう!」 「うぅ…すいません…さぁ観念しろよこの悪戯っ子ども」 「兄(C)〜律っちゃ〜ん、見逃してよ〜」 「ヤダヤダヤ→ダ→ぎゃわわ〜ん」 と、泣き出す二人。 「うわっこんなとこで泣くなよ…これじゃ俺達誘拐魔みたいじゃないか」 「「わ〜〜〜ん」」 「困ったなあ…」 「「わ〜〜〜ん」」 「…!そうだ、そういう時は…」 と、何やら耳打ちする律子。 「…!成る程、あ〜二人とも、ちゃと検診受けたら」 「「わ〜〜〜ん」」 「3丁目角の『モンデンキート』でチョコパフェ奢るから…」 「「本当?!」」 そして帰り道、夕日の中ではしゃぎながら仲良く手を繋いで行く双子。 その後を手を繋いで上機嫌のやよいと少し照れ顔の伊織、遅れてPと律子。 「〜〜〜やよいと伊織にまで奢るハメになるとわ…」 「まぁ当然の結果よねぇ」 「……頼む律子、これ経費で」 「落ちませんよ」 「ぐっ…!」 「…ま、言い出しっぺの責任もありますし」 と、そっと畳んだ万札をPに渡す律子。 「…!すまん律子、恩にきる!」 「トイチでいいですから」 「ぐっ…解りました…」 と、世間の厳しさをしるP。 「兄(C)〜早く早く〜」 と亜美を筆頭にこっちを振り返るアイドル達に夕日を受けて光る歯が妙に眩しいPであった。 のを想像した俺キモいですぶーぶーぶー。 [やよいおエロ風、風はあくまで風] 「やっ…あ…あぁん」 「もう伊織ちゃんじっとして」 「だって…あぅ…ん…」 「そんなに気持ちいい?」 「そっ…んな……ぅん…き…気持ち…良いわ…」 「もう伊織ちゃん…ぐちゅぐちゅだよ?」 「やぁ!…だってお風呂のくぅっ…後だもん…ひぃ!」 「ほぅら伊織ちゃん、こんなにおっきぃよ…」 「やだぁ!そんなの…見せないでよぅ…」 「後はこれでぇ…」 「えっ?何?そっそれは…ぃやあぁあぁ!掻き回さないでぇえぇ!!」 「ふぅっ、はいこっちオシマイっと」 「はぁあぁあ〜やっと終わった…」 「うふふ、伊織ちゃんって耳敏感なんだね」 「もぅ、アンタが最後に、こよりで掻き回すからびっくりしたわよ」 「じゃあ次反対ね」 「えぇえ〜」 とやよいに耳そーじしてもらう伊織であった。 とちょっとエロ風なの想像した俺キモいの あふぅ。 [相合い傘] 「きゃっ」 「あ、ツバメさんだ」 後ろから伊織の頭をかすめる様に飛んでいく燕を見ながら商店街を行くやよいと伊織。 小鳥さんに買い出しを頼まれ、伊織は 「なんで私まで」 とブツブツとやや不満げ。 「ごめんねー伊織ちゃんつきあわせちゃって」 「もーいーわよ、あんたと一緒なら、その、嫌じゃないし…」 と、ちょい照れ顔。 「でもぉ…さっきツバメさんがあんなに低く飛んでたからぁ…」 「?なによ?」 「雨降ってくるかもっ、いそご!伊織ちゃん」 言われて見れば確かにどんより空。 「本当ね…」 と振り返れば、既に走りだしてるやよい。 「ちょっと!まちなさいよっ!」 「あーとうとう降りだしちゃったね」 「どうしよう…アイツに電話して向かえに来させようかしら」 などと雨宿りしながら話していたら、 「伊織ーっ、やよいーっ」 と、二人を呼ぶ声。 見ると春香が傘を2本持って駆けてきた。 「はぁっはぁっ…よかったぁ…本降りになる前に間に合って」 「うっうー!ありがとうございます春香さん」 「えへへっ、Pさんが『今、手が離せないから』って頼まれちゃってダッシュで来ちゃった」 「あんたにしてはよくやるじゃない…でもあんたの分の傘は?」 「へっ?あっ…!あーっっ!!うぅ…自分の忘れてたぁ…」 「…ドジねー春香は」 「大丈夫ですよ、春香さん」 「えっ?」 かくして伊織とやよいは相合い傘。春香も荷物を持って二人に続く。 「ほ、ほらっもっとくっつかないと濡れるじゃない」 「えへへー私は楽しいよ?」 はしゃぐやよいはピッタリくっつく。それを後ろからニコニコしながら見ている春香。 暑苦しいけど、まんざらじゃないこの状況で春香のドジにちょっとだけ感謝する伊織であった。 のを想像した俺キモっ! [お菓子作り] 「ねー伊織ちゃん、今度のお休みの日…伊織ちゃんちでお菓子作りしてい?」 「え゛?!…ま、まぁ私も色々忙しいけど、どーしてもと言うなr」 「うぅ…やっぱり駄目ェ…?」 「だ、駄目なんて言ってないわよ!絶対来なさい!いいわねっ!」 「えー?!いいの?!やったぁ!!ありがとう伊織ちゃん!!」 「ちょっ…!いちいち仔犬みたいに抱き着かない!」 「えへへーありがとう伊織ちゃん、みんなー伊織ちゃんOっKだってー!」 「ヘッ?」 「さ→すがいおりんふとっぱら→」 「わ→いお菓子お菓子→楽しみ→」 「じゃあお言葉に甘えますか」 「お菓子作りって女の子らしいよな…よしっ!」 「お抹茶いれたら美味しそうかも…」 「私はお菓子作りなんて…」 「あらあら〜楽しそう〜」 「よーし、今度こそはこけない様にしないとっ!」 「めんどくさいから見てるだけにしとくね」 「なっななな…これはいったいどおゆう…」 「えへへー、この間、春香さんに教わったキナコクッキー、みんなに話したらぜひ食べたいっていうから じゃあ、皆で作っちゃおうってっ事になって… …そしたらなんだかいつの間にか伊織ちゃんちでみんなでやろうって事になっちゃって ……伊織ちゃん?どうしたの?伊織ちゃん?」 既に話しがとんでもないとこまで行っちゃってる事態に立ちくらみをしつつ、 自分とこの厨房が2週間は再起不能になりそうな予感に悪寒がする伊織であった。 と想像した俺キモいです〜Pさ〜んうふふふふ。 その壱へ その参へ その四へ
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雨と傘と猫 「なにしてるんだか」呆れて、不機嫌になる。本日は金曜日。大学の研究を根性で一段落まで落ち着けた御坂美琴は、真夜中に外出していた。駅までの道中、どしゃ降りの雨が傘を叩く。ゲコ太傘のおかげで上半身は濡れていないが、膝からしたはぐちょぐちょである。雨天に外出したいと思うほど、彼女は自分を詩人とは思っていないのだが。「ねえ!! そんなところでなにしてんのー?」彼女は視線の先、交差点の向こうに座る、目的の人物に声をかけた。ヤツは道端のしげみに傘をさしたまましゃがみこんでいた。声は届いていないらしく、返事はない。コウモリ傘で顔もほとんど隠れている。だが、あれはアイツに違いない。ため息を吐き、信号が変わったので近づこうとした瞬間、なにかを察したのか、ようやくこっちに気づいたアイツは手を振ってきた。(まったく、こっちの気も知らないで)週末は、海外で働いているヤツと過ごせる短い幸せな一時である。今日もご馳走を用意して、ウキウキと待っていたのだ。しかし、到着予定時刻から2時間が過ぎ、荒れ模様の天気に我慢できなくなり外に出た。てっきり何かの不幸で傘を手にできなかったのだと、もしくは誰かを助けているのだと思っていたのだが。「悪いな、携帯の電池が切れててさ」下から見上げる愛しの彼、上条当麻は傘も装備し、周りに不幸中の美女もいない。なんでまっすぐ帰ってこなかったのか。「あっ!!」すぐに原因を見つけた。「フー……フシャー!!」黒猫である。上条の傘のなかで威嚇している。恐らく電磁波のせいだ、と気づくより前に、しょぼーん、となる前に、「よっと」と言いながら、彼が右手で美琴の手を掴む。上条の傘は放置され、持ち主は立ち上がって、彼女と相合い傘になる。美琴さん、電磁波消えるし彼氏と近いしで大歓喜。どーよ!! 気が利くうえにやさしい彼氏!!うらやましいでしょ、いいでしょ!!と、思うが、上条の前では絶対言えない美琴さん。キャラじゃないのである。あと、なんかこう、あれらしい。 「美琴?」「ふにゃっ!!…………な、なによ?」「いや、せっかく触れてるんですから、じっくり見てはいかが?」すすめられて一緒にしゃがむ。実は上条との距離が近く、ドキドキが止まらないのだが、上条には絶対に言えない。キャラじゃないのである。「あ、2匹いたんだ」黒猫の後ろには、茶毛の猫がいた。黒猫が、庇うように前に出る。「後ろのやつが妊娠してるみたいでさ」「じゃ、この子は旦那さんだ」「オレが帰る頃は雨降りだしたばかりだったんだけど」「この子たちがいたんだ」「そうなんだよ。旦那くんが右往左往しててさ、ほっとけなかった」てことは、コイツは2時間も座り込んでいたことになる。彼女をほっといてなにしてるんだ。(相変わらず、呆れるほどのお人好しね)美琴はため息を吐くが、顔に浮かぶのは笑みである。「じゃ、どっかで猫缶と、タオルでも買ってきますか」「そうすっか」傘を放置して立ちあがり、歩き始める上条と美琴。後ろからでは緑の傘が邪魔でよく見えないが、自然と2人の腕がからまったようだった。「あの2匹幸せそうだったわね」「あぁ」ボケーっとなにか考えながら歩く上条。美琴はどうしたのか尋ねながら、下から覗き込んだ。ここでようやく上条の意識は戻る。後方からは傘で見えないが、上条の顔が美琴に急接近したのがわかった。傘の向こうから、美琴の戸惑う声が聞こえる。「な、なに? どうしたの? 死ぬの?」「なんで死なんとならんのじゃい」「なんか、表情がいつもと違うから」「惚れ直した?」「馬鹿いってないで」「あー泣きそう…………なぁ、美琴」少し、言葉に間があった。ゆっくりと、一言も聞き逃すまいと美琴が近づく。「数年後の今頃、ウェディングドレス着るか?」「へ?」「ジューンブライドっていうんだろ?」「え? 本気?」「正式な申し込みはまた今度な」「…………ふーん」「なんだよ?」いつの間上条の腕に美琴が抱きついていた。「しょうがない、そこまでいうならやさしい美琴さんも待ってあげませう」「おーい、オレの真似すんなー。著作権侵害だー」「きっとすんごく格好いいプロポーズなんだろーなー」「や、やめて、ハードルあげないで!!」「だーめ」「オニか!!」「違うの」一瞬立ち止まる美琴に、上条も合わせて立ち止まる。後ろからでは傘で見えないが、美琴の顔が上条に急接近したのがわかった。傘の向こうから、美琴が噛み締めるように紡ぐ言葉が聞こえた。「どんなプロポーズだって、きっといま想像できないほど幸せを感じるんだから」数年後、とあるチャペルにて、とある夫婦の門出が祝われた。眺めるは、2匹の野良猫とそのこどもたち。黒い雄猫に、茶毛の雌猫はぴったりと寄り添うのだった。
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楽園マナー教室Ⅱ’ 仕事柄、主に深夜しか傭兵業に勤しむことのできないアナタに捧げます。 全兵装編 ~清く正しくカオスを満喫するために~ 1.とにかくコア凸をしない 当然のことながら「コアが割れる=ゲーム終了」となります ちょっとまって!キミがコアを蹂躙してるあいだに 他の14人くらいは別の意味で遊び、楽しんでいます。 チャット中、いきなり回線落ちしたときの切なさを思い浮かべてください。 「オレハ マダ アソビタイ」 2.先制攻撃をしかけない 楽園では遠くからの攻撃は相手に不快感を与えます。 特に、まず相手を探し 1.小ジャンプでご挨拶 2.ロックオンして屈伸(ろくしん)でご挨拶 などの「深夜満喫したいアピール」以前にバリバリされたら 部屋を変えたくなってしまいます。 時には相手から先制攻撃を食らう事もあるでしょう。 ...スルーしてください。次は向こうも分かってくれます。 特に壁際でしゃがんでる数体を見かけたらご注意を。 3.できるだけCPU兵を排除する CPU兵は空気の読めない子です。 決闘やチャットの邪魔にならない様に、速やかに大破させてあげましょう。 4.再会相手にはご挨拶を 「マタアエタネ」 このチャットを見るとテンションはうなぎ登りに。 以前遊んでくれた相手と遭遇したら、まずはコレを。 強襲兵装編 ~なんでもこなす勇者~ 一騎打ちから弾痕チャットまでまさに万能。 特にヴォルペ系統のチャットの見やすさは他の追随を許さない。 普段フル修羅や阿修羅のアナタ、ちょっとカスタマイズに寄ってから入場してみては? 筆者的には頭41腕HGⅢでチャットのやりやすさがA+(硬筆初段程度)となります。 弾切れ自爆用に副武器2個は残しておきましょう。 重量超過?何それ? マジでコア凸だけは勘弁な!約束だぞ!! ~一騎打ちがやりたくてしょうがない人へ~ 1.まずは見晴らしの良い地形に移動 2.抜刀してしゃがみ、じっと待つ 3.遠くから打たれてもめげない。 4.相手の強襲が来たら屈伸。 これで相手も同じ体勢になってくれるはず。 事前に味方の支援に「同行して」とお誘いを掛けるのも好ましいです。 ついでにその支援が田楽持ちならなおヨシです。 重火力兵装編 ~正直どうだろう、トルネコ?ブライ?~ 筆者は普段、重メインのBルーパーなのですが 楽園ではあんまりやれることがないです。 どの武器のカテゴリも「相手に直接被害を与えてしまう」からねぇ... そこで提案だが、「サワードで自爆」して一発芸というのはどうだろうか? 目指すは貢献-99ポイトン!田楽箱持った支援と一緒なら君も自爆王になれるぞ!! 榴弾自爆でもいいが、他の人を巻き込みかねないのでやめたほうがいいと思われる。 支援兵装編 ~その優しさはカオスを救う、フローラ様~ 個人的には1番楽園にフィットする兵装。 弾薬切れのお供に、一騎打ちの看護に、GRFにEUSTに大忙し! リムペ持ちの支援が5機もいれば、BR1機くらい隠せるんじゃね? 一騎打ちの現場を見かけたら、少し離れて待機しましょう。 愛し合う2人の間にリムペ→起爆で決闘開始の合図もいいでしょう。 勝者に近づき、そっと賞品の田楽BOXを渡してあげてください。 もちろん味方機が勝ったら「素晴らしい働きです」も忘れずに。 決闘看護の注意点 基本的に武士道精神を持ち合わせた2人の強者(もののふ)たち。 お互いの体力にハンデは不要です。 回復させすぎない微調整も腕の見せ所です。 狙撃兵装編 ~シールド大活躍、真のサポート要員~ 狙撃使いならほぼ1択の迷彩をあえて手放しましょう。 普段みんなFFしたりNGだしたりしていますが 本当は狙撃に憧れてるだけなんです。 「狙撃に乗りたいけど上手く扱えないから...」 また、光学迷彩を使用中の機体を見て幽霊だと思われる可能性があります。 幽霊騒ぎが広がって人が来なくなることも有り得るので、やめておきましょう。 え?少年少女を驚かせて楽しみたい? 楽しそうだな。よし自分もてつd(大破) そこでシールドの出番です。 4人集まって囲んであげるもよし。 6人分のシールドでコアをガン守りするもよし。 見晴らしの良い場所に設置して他兵装の狙撃ごっこの演出するもよし。 レーダーの上でくるくる回るシールドには何とも言い難い可愛らしさがあります。 是非!倉庫で眠っているシールドを片手に出撃しましょう。 おまけ:ベース前など「ACまたは全速で前進する状況」に等間隔でマインもかっこいいです。 爆炎が後から追いかけてくる状況、惚れてしまいます。 他兵装が狙撃のこの行為を見たら100M程下がって待機しましょう。 弾痕チャット用例集 中には漢字で書く強者もいますが書きやすさからいえばカタカナでしょう。 バカ&アホ 今時ないでしょ、って感じな基本中の基本。 それでも振り向くとみんな喜んでます。 書いた本人が1番バk... ケツ 書き終えたら横でエリア移動。 分かってくれる人の行動はこの後1択。 「(俺のケツに)一斉攻撃だ!!」 ケツメドが激しく光るッ! 相合い傘 大勢見ているときにはオススメできない(我先にと皆突っ込んでくる)が少数ならおK しゃがんで、見つめ合ったら相手は既にアナタの恋人。 この時お互いにプレゼント交換(リムペ引っ付け合い)もよく目撃されます。 「同行しよう」で逃避行もいいでしょう。 ガチの人たち、ごめんなさい...なんて言わねーよ!
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【こっそりピクニックに行こう】 夢を見た。 今にして思えばそれは夢だった。 唯先輩は布団の中で楽しかったよ今日は、日曜日はこうじゃなくちゃって言った。 ※ ※ ※ 唯「よっ。あずにゃんっ」 梓「今日は日曜日ですよ」 唯「ピクニックに行こうっ」 梓「いきなりなんですか」 唯「聞いてた?」 梓「ピクニック」 唯「ピクニックっ」 梓「嫌ですよ。雨宿り中ですし」 唯「だって、ほら今日はピクニック日和だよ」 わたしは窓ガラスの方を見た。 世界はぼんやりとしか見えなくて。 でも、それはいつものことだったけど。 梓「ひぃああ……どこがピクニック日和なんですか。日曜日は寝ていたいんです」 唯「そんなに真っ暗な部屋の布団の中にいるとあずにゃん、もぐらになっちゃうよっ」 梓「もぐら?」 唯「もぐらだよ」 梓「いいですよもぐらでもなんでも」 唯「ねえー。いこうよーーあずにゃんいこうよーー」 梓「大きな声出さないでください。眠いので」 唯「もう、お弁当だって作ってきちゃったんだよっ」 梓「憂が」 唯「わたしがだよっ」 梓「へえ」 唯先輩はわざとらしく四角いバスケットを掲げた。 梓「あ、そういえば、わたし、朝ごはんまだでした」 唯「はい」 梓「どうも」 わたしの手にはスニッカーズ。 それをもぐもぐ。 唯「お昼じゃないとあーげないよっ」 梓「むう……」 唯「それにね、こっそりならへいきだよ」 梓「なにがですか」 唯「ここで雨宿りしてることにして、こっそりピクニックに行くんだよっ。そうすれば誰にも文句言われないよ」 梓「文句言ってるのはわたしなんですけどね」 唯「じゃああずにゃんにも秘密にしよう」 梓「わっ……ちょっとなんですか」 唯「えへへー。見えないね」 梓「外してくださいよ」 頭になんか巻かれた。 視界が黒色でいっぱいになった。 唯「こっちだよこっちー」 わたしは素直に声のする方に歩いていく。 ふらふら……ふら。 梓「いじわるしないでくださいよー」 ふらふら……ふらふら……。 梓「あっ」 つまづいた。 そして、予想通りのなんだか柔らかいやつ。。 ぽすっ。 収まった。 唯「おおっ。あずにゃんから抱きついてきたー」 梓「ず、ずるいですっ。事故ですよ」 唯「えへへー」 唯先輩はわたしの頭をなでた。 こどもみたいに扱わないでくださいって、頬を膨らませて怒る。 目隠しが外された。 唯先輩の顔がすぐそばにあった。 梓「はあ……なんでこんなことに」 唯「あずにゃんが猫だったときは猫耳つけたけど、今はもぐらだからね。あず……もぐらってなんて鳴くんだろ?」 梓「しりませんよ」 唯「あずきーとか」 梓「は?」 唯「もぐら、きーきー泣くかなあって」 梓「おいしそうですね」 唯「小豆?」 梓「みるきー」 唯「なめたい」 梓「ダメですけどね」 迫ってきた唯先輩を押しのける。 梓「唯先輩は獣大好きですね。変態ですか」 唯「えー大好きなのはあずの部分だよ。とにかくもぐらになりたくなかったらピクニックに行こうっ」 梓「……そこまで言うならいいですよ。もぐらがどうとかは関係ないですけど」 唯「やったあっ」 外に出ると唯先輩の乗ってきたボートがあった。 小さなボートだからわたしたち二人が乗ると揺れて、一度深く沈んだ。 わたしが傘を忘れたことに気づくと、相合傘をしていけばいいよって唯先輩が笑った。 持つくらいしますよって唯先輩の傘をひったくる。 カラフルの傘。 わたしが右のオールで唯先輩は左の。 進まなかったんだ。 唯先輩はさぼってた。 水の中に沈んだ『桜が丘センターパーク』の看板。 他にも憲法がどうとか、なんとかクリニックとか、工事予定地の看板、…………。 水の中で溶けて見えた。 わたしだけがオールを漕ぐから、ボートはくるくる回る。 くるくる、くるくる……くる……くるくるくるくる。 梓「ちゃんと漕いでくださいよっ」 唯「がんばってるあずにゃんを見るのが好きなんだよ。がんばって進まないあずにゃんを見るの」 梓「最低です」 唯先輩のほっぺたをつねって、やっとボートは動き始めた。 なんだ唯先輩のほっぺをつねるのが船の原動力なんだって気がついてずっとそうしていたら、唯先輩は怒ったふりをした。 それで原動力はわたしの体温に変わった。 梓「ピクニックでどこに行くんですか」 唯「ピクニックと行ったら山だよ山」 梓「山?」 唯「あの山に行こうと思うんだ」 唯先輩の指さした方には山、2つの小さな山が並んでた。 ここからそう遠くもないなとわたしは思った。 唯「おっぱい山って言うんだって聞いたことない?」 梓「ないですよ」 唯「あれ、2つ並んでるのがおっぱいみたいだからそう言うんだってね」 梓「へえ」 少し後で目的地にたどり着いた。 小さな山で、雨は3分1くらいまで溜まっていた。 そこからは階段を登っていく。 梓「転ばないように気をつけてくださいよ」 唯「わかってる。わかってるー……わっ」 言ったそばから唯先輩は足を滑らした。 同じ傘を2人で持ってたから、わたしも尻餅をついた。 ぱしゃんっ。 水が跳ねて、ちょっと濡れた。 唯「えへへ……すべった」 梓「……はあ」 そんなふうにして山のてっぺんについた。 そこには木がたった1本生えていた。 中がうつろになった大きな木。 唯「ほら、ここで雨を避けられるよ」 梓「へえ、こんなとこよく知ってましたね」 唯「えへへ。前にね、クラスの子から聞いたんだ。で、ずっとあずにゃんと行きたいと思ってたんだよ」 梓「そうですか」 唯「ね、お昼にしよ」 わたしたちはうつろの中に身を滑りこませた。 ポケモンのビニールシートをしいて、その上にわたしたちは座った。 唯先輩がバスケットに巻かれたビニール袋をはがす。 唯「興味しんしん?」 梓「べつに」 唯「どうぞ、粗品ですが」 梓「それ、違いません?」 バスケットの中身はサンドイッチだった。 唯先輩から1つ受け取る。 四角いと三角の間みたいな形をしていた。 梓「変な形ですね」 唯「ちょーっと、失敗しちゃったんだ。でも味は保証するよっ」 梓「では、いただたきます」 サンドイッチを口に挟んだ。 ちょっとだけ湿気っていた。 梓「もぐもぐ……む」 唯「どう?」 梓「おいしいです。意外と」 唯「でしょでしょー自信作ですからっ。どれ、わたしも……おいしいっ」 梓「自分で言っちゃいますか」 唯「だってさ、こういうところで食べるといつもよりずっとおいしく感じるよ」 梓「まあ、でも、サンドイッチ美味しく作れないなんてことはないですよ」 唯「あずにゃんは素直じゃない」 梓「そういうわけじゃ……うっ」 唯「どしたの?」 梓「いや、これなんですか?」 唯「なんだと思う?」 梓「ピーナッツ、チョコレート、キャラメル」 唯「スニッカーズサンドイッチでしたーっ」 梓「……できるじゃないですか」 唯「え?」 梓「おいしくないサンドイッチ」 唯「あずにゃん、ひどいっ」 梓「まあ他のはおいしいですから」 唯「むむ……貸して」 梓「はい」 唯「ぱくりっ…………ん、ホントだ……絶対おいしいと思ったのになあ」 梓「ま、無理がありましたよ」 唯「むー」 梓「それより何か飲むものありませんか? 口の中がベタついて」 唯「はい」 梓「ごくごく……ん、なんで炭酸なんですか」 唯「雨の日はペップシコーラ♪って」 梓「それって毎日じゃないですか」 唯「雨の日はあっずにゃんと一緒にー♪」 唯先輩は目の前に広がった雨の海に向かって歌い続けていた。 その声と雨のリズムに包まれて、わたしは……。 気がつくと、夕暮れだった。 まだ眠気が残っていた 隣を見ると唯先輩も寝ていてわたしが体を動かすと、むにゃむにゃとかなんか言って、起きた。 梓「寝ちゃいましたね」 唯「そうだねー」 梓「唯先輩はいつまで起きてたんですか」 唯「ついさっきまでだよ」 梓「すいません……寝ちゃって」 唯「いいんだよ。あずにゃんの寝顔もよかったよ」 梓「む……」 ほっぺたが濡れていた。 わたしは唯先輩をにらんだ。 唯「それは、雨だよ」 梓「なにも言ってないのによくわかりますね」 テレパシーだっすごいねって唯先輩はわざとらしく笑った。 梓「ばあか」 唯先輩のほっぺたを思い切りつねった。 オレンジ色になった。 夕日に照らされて、きらきら輝くあの巨大な水溜りと同じ色。 唯「か、かえろ」 梓「逃げるんですか」 唯「もう、遅いから、しかたないんだよ」 わたしたちはシートとかバスケットとかその他のゴミとかいろんなものを片付けた。 外に出るとうつろの中はまた空っぽに戻った。 唯「ちょっとさびしいね」 梓「ですね」 唯「さよならはいつもさびしい」 冗談混じりにわたしにバイバイって手を振る。 わたしはそんなに変な顔をしたんだろうか、唯先輩は小さく笑った。 拾った木の枝で唯先輩が地面に何か書いた。 唯「でもさ、こうすればいなくならないよ」 それは相合い傘だった。 中心線の左側には平沢唯、右にはあずにゃん。 そんなふうに記してあった。 唯「わたしたちがここから帰ってもわたしたちはここにいるから空っぽじゃないよ」 梓「こんなに雨が降ってるんですよそんなのすぐ消えちゃいますよ」 事実、上から流れる雨水で絵は崩れはじめていた。 唯「消えないよ」 梓「なんでですか」 唯「だって傘だもんっ」 梓「へ? 傘だから雨に負けないとかですか」 唯「違うよ、2人は仲良しだからね」 地面に開いた相合い傘をもう一度見る。 流れる雨水の勢いは強くなっていた。 それなのにまだちゃんと文字が読めた。 にじんでいるのに、消えないんだ。 唯「じゃあ、今度は帰ろっか」 梓「そうですね」 唯「でもこっそりだよ。わたしたちはホントはここにいるんだから」 梓「行きもこっそり来たくせに」 唯「こっそり来たからこっそり帰るんだよ」 あたりまえだよそんなのー。 唯先輩が言った。 帰り際わたしはずっとあの落書きの方を眺めていた。 残してきたわたしと唯先輩を。 あまりにもそれに気をとられすぎてて、唯先輩に三回も抱きつきを許したほどだった。 消えてないといいなって思った。 そんなのはあり得ないって知ってるけど。 今もあの小さな山のてっぺんで唯先輩とわたしの二人が笑っているのが見える気がした。 ただ、雨のせいでぼんやりとしか見えないのだけれど。 だから、それはまるで夢の中の景色のようで、ずっと後でわたしは今日の景色をありもしなかった思い出として眺めるような気がした。 昔見た夢を突然思い出すみたいに。 もしかしたら、今まで出会った嘘も本当はあったことなのかもしれないな。 唯先輩がときどき話すくだらない冗談とか、昨日見たえっちな夢とか。 こっそりしたから自分でさえも忘れてしまってるだけで。 唯先輩が発明したこっそりの魔法はきっとあらゆることを現実にしてしまえるだろう。 だけど、それはいつだって雨降りの景色のようにぼんやりとしているのだ。 ※ ※ ※ わたしは布団の中でまだ唯先輩のことを考えている。 時刻は2時で雨が降っていた。 だって、ほら、やっぱり、今日は、ピクニック、向いてないじゃあないですか。 ひとり、呟いた。 隣に唯先輩はいなかったけど、なんか欠けてる感じがした。 ベットはたった一度唯先輩と寝ただけなのに、まるで唯先輩をものにしたかのよう。 それがなんだって言うわけ。 もしかして、わたしの方に原因があるとか。 最近見る悪夢(ってとりあえず言っておこう)にはいつも唯先輩が出てきた。 それに、唯先輩は夢じゃないとこでわたしにお話を聞かせてくれた。 それは唯先輩の空想したユートピアの話でたいていわたしは唯先輩の横でなんだか眠そうにしている。 雨のやまないユートピアなんて、暗くてじめじめしていやですよって、眠くないわたしは言った。 いつかあずにゃんは絶対雨が好きになるよって唯先輩が笑った。 3