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物語開始時、創立50周年 元は伝統ある女子高だったが、少子化の影響で共学化。 学食有り。 男女比は女子524:男子28。 作中で言及された主な校則は、校内恋愛禁止、髪染め禁止、買い食い禁止、廊下走るの禁止、ジャージで下校禁止と厳しい。携帯電話持込禁止は解禁。 中庭の木の下で告白すると恋が成就すると言われている。※ただし去年まで女子校。 女子トイレはあるが、男子は教職員のトイレを利用。 生徒会役員は中間考査で20位以内に入ることがノルマ。
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『じゃあな、親友! また同窓会で会おうぜ!』 あれはいつかの公園の事。それから僕らは反対に歩いていった。 僕はすいすいと、キミはきっと気だるげに。 きっとキミの中の僕との想い出は、いつか彼女たちに塗り替えられていくのだろう。 二人歩いた通学路、僕の肘跡が付いたキミの机、語り合った休み時間も、嫌がるキミへの個人補講も。 僕の場所だった自転車の荷台も、二人で見上げた四季の夜空も。 ペンキで上からなぞるように。 でも、僕がここにいた事だけは憶えていて。 それだけ憶えていてくれたなら、きっとペンキの地肌のように、或いは塗り残しのように、残滓だけでも残るだろうから。 また出会えたその時に、キミの記憶を掘り起こせるから。 僕の綺麗な部分が、そっとキミへと呟いた。 『は――はは―――――ばかみたいだわ……はは―――』 呟く度に、いつかの九曜さんが脳裏に浮かぶ。そんな僕を嘲笑う声。 婉曲に婉曲を重ね、本音を覆い隠す僕を彼女が笑う。 彼と涼宮さんが歩いている。彼の勉強を涼宮さんが指導し、彼の自転車に涼宮さんが二人乗りする。 彼の隣に彼女がいる。キミの隣に僕がいない。 モザイクのように僕が消える――― ――止めてくれ! せめて思い出だけでも残してくれ! 手放したのは僕だ。キミ達に割り込もうだなんて言わない、そんな見苦しいことなんて言わなかったでしょ!? 思い出だけでもいいの、だから彼の思い出だけは塗りつぶさないで! せめて、思い出だけでも取らないで! 身勝手な私が誰かに叫ぶ。 私はそんなに綺麗じゃない。 彼が思うほど、私は「佐々木」なんかじゃない。 なのに私は肩肘張って、何を失ったのだろう。なんで泣き叫ばなかったのだろう。 いつも彼を覗き込んでいたくせに、何で一度もまっすぐに見て「好きだ」と言えなかったんだろう。 何回後悔を繰り返せば気が済むんだろう。 『なんだ、美顔効果でもあるのか?』 『いや、どうもキミと話している時はなんだか笑っているような顔に固定されているようでね』 子供みたいな関係だって? それがどうしたんだよ。 昔を懐かしんでるだけだろって? 知らないよ。 ただ「好き」なだけじゃいけないの? いつも彼を覗き込むか、彼の背中に手を乗せていた。 そうだよ、たった一歩だけ彼のパーソナルエリアに踏み込む勇気を持てば、彼の胸の中にだって行けたのに。 あの雨の日に感じた体温を、独り占めにだってできたはずなのに。 『じゃあね、親友』 でも、それをしないのが「僕」なんだ。 そう言い張って、僕はどこまでも意地を張り続けた。 キミと一緒なら意地を張れた。キミと一緒にいる「僕」はいつでも最強だった。だから張り続けられると信じられた。 いや、本当にそうだったのかな。 『二週間ほど前になる、僕は告白された』 『報道された出来事だけが事実かい? 想像力を働かせたまえ』 『世界で唯一、キミだけなのさ』 回想する。そうさ、私は女の子なんだよって、私を理解してください、って何度も僕は叫んでた。 『キミの選択に余計なノイズを与えるのは得策ではなかっただろうしね』 『僕は解りやすい敵役になんかなりたくなかった。安請け合いするほど貧していないつもりなのでね』 『イヤだなあ、まるで告白しているみたいじゃないか』 回想する。なら何で冷笑家ぶってごまかそうとするんだ、お前はいったいどっちなんだ? お前だ、お前だよ、なあ「佐々木」? なあ「私」? なんて中途半端な「私」なんだ。 そんなだから――― 『やあ親友』 『それ、誰?』 涼宮さんが私を指差す。 その隣、キョンが、首を傾げて私に言うんだ。 『すまん、誰だっけ?』 『は――はは―――――ばかみたいだわ……はは―――』 僕はいつでも判じ物。パズルで喋って本音を隠せば、きっと結末はご覧の通りさ。 そんな僕を九曜さんが笑う。まるで壊れたレコードのように笑う。笑う。笑う。だから、その胸を強く…… 「痛いぞ佐々木」 ……キョン? 「…………キョン、ついたてがあったはずだろう? 乙女のパーソナルエリアに勝手に侵入するだなんて感心しないね」 夢? 夜明けは遠い、真っ暗闇の和室。 ついたてで区切って、二組の布団が敷いてある。 そうだここは旅館の一室、僕はキョンと大学合格記念に小旅行に来ていて…………。 「悪かったな」 「まったく。僕はキミを性差を越えた親友と認識していたのだが」 暗闇でも、ばつの悪そうなキョンがはっきりと認識できた。急速に頭が目覚めていく。 なんだろう。ひどく嫌な夢を見ていた気がする。 ダメだ。「佐々木」を再起動しないと。 「それとも何かい? ついに僕はキミの三大欲求の餌食になってしまうのかな?」 「そうだな」 唐突に視界が彼で埋まる。 抱き寄せられたのだ、と理解したのは、彼の胸に顔が埋まってしまってからだった。 むせかえるような彼の匂い、本能を刺激する彼の体温。 そっと、彼の手のひらが頭を撫でる。 「睡眠欲に負けたんだよ。お前が泣いてちゃ俺が眠れん」 ぶっきらぼうに言われて気付いた。 寝ながら泣いてたらしく、みるみる彼の胸にしみが広がる。 「くっくっ。それは悪かったね、我ながら粗相をしてしまったようだ。謝罪するよ」 「要らねえよ」 僕が知ってるぶっきらぼうな声。 「…………泣く位なら少しは頼れ」 「キョン、いつか言ったろう。僕に余計な詮索を入れない、それがキミの好ましいところだとね」 「そうだったな」 我ながら強情だと思う。けれど身体を離すつもりにはなれない。 ここはたまらなく温かいから。そっと頬を摺り寄せて、僕の匂いをこすり付ける。また一つ矛盾を重ねる。 「……でもな。俺も、この二年で新しいことを覚えたつもりだぞ」 「本当かい?」 くっくっ。喉奥から自然と笑いがこぼれる。 「当たり前だ。第一、言い募って勝手に自己完結してセンチメンタルに別れて、察してくれと言わんばかりだったろ」 「キミは鈍重な感性が売りだと思っていたんだがなあ」 「茶化すなよ」 体温が「佐々木」を誤動作させる。 「俺が鈍感だって解ってんだろ、なら理解する時間くらい俺にもくれ」 確かにね、やっぱり僕は自分勝手なんだなと思う。いつも彼に情報をロクに与えず、勝手に自己完結してきたのは僕だから。 その癖いつでも「理解して欲しい」と仮面を被ったまま言ってきた。 僕はいつでも矛盾している。 「俺だって考えなしじゃねえぞ。 別れ際、お前は「俺が、お前の望みを解ってる」って言ったろ。だからお前を選ばないってな。 そうさ、俺はお前がお前でありたい事を解ってる。なら「ホントのお前は、お前じゃない」事だって、俺には解るんだぞ」 「くく、まるで早口言葉だね」 「まったくだ」 本当にぶっきらぼうな声。 いつかも言った。僕は理性的にありたい、と。それは感情的な自分を隠せない事の裏返し。 別れ際に見せてしまったような、センチメンタルな私の本質。 「俺に考えさせたくないなら、もっと完璧に立ち去って見せろよ。中学時代にそうだったみたいにな」 頭上から聞こえる、僕が大好きなぶっきらぼうな声。 「そしたら俺だって安心するさ。またいつでも同じように会えるさってな」 僕の頭を撫でる大きな手。 「でもあれじゃ心配になっちまうだろ。お前を疑っちまうだろ」 彼の手からこぼれて、伝わってくる温かい雫。 「だから、もうセンチメンタルな別れなんて勘弁しろよ」 胸から伝わってくる早鐘のような鼓動。 「俺をそんなに考えなしだと思わんでくれ」 想われるという堪らない幸福。 「……そうやって、考えてくれたからここに居てくれるのかい?」 「……考えるのが人間の能力だって、言ったのはお前だろ」 そうだったね。考え、伝える、それが人間の能力。 言った癖に、使い切れなかった僕の能力。 「だから言っとくぞ。俺はお前に笑顔以外でいて欲しくない」 「了解したよ。最優先事項としておこう。だから」 「だから、何だ佐々木」 「……秘密だよ」 「そうかい」 今言うのはきっと卑怯だからね。 「ところでキョン」 「なんだ」 「あー、そう、僕の腹部付近に触れている熱いものというか、キミの器官についてなのだが……」 その一言にキョンはばね仕掛けのように立ち上がる。耳が暗闇でも真っ赤に見えたのは気のせいかな? 喉奥で笑っていると、向こう側に戻りながらキョンが言った。 「忘れろ」 「くく、さてどうしようか」 「……つうかな、佐々木、やっぱ部屋は分けるべきだったんじゃねえか」 言われて気付いた。すっかり寝乱れた浴衣は、確かに少々刺激的だったかもしれないね、と。 ついたての向うでそっぽを向く彼に、さらりと言い返してやる。 「くっくっく、酷いな。僕は一人で泣き寝入っているべきだったというのかい?」 「そうは言わねえよ。けどな」 「添い寝してくれとまでは言わないよ」 「そりゃ言うなよ」 「けど傍には居てくれないかな」 ほんの少し込めた真剣味に、視線が返ってくる。 「だってそうだろ? 今度は僕がキミを押し倒したくなるかもしれないからね」 ついたての向うでキョンが盛大に噴出すのが聞こえた。
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「――― 好きだから」 「好きだから」「この状況に陥れた」 「好きだから」「檻に入れた」 「好きだから」「首輪をかけた」 「好きだから」「逃がさない」 「好きだから」「容赦しない」 「好きだから」「あんたが欲しい」 「好きだから」「絶望に染まりきったあんたの姿が見たい」 「好きだから」「武器を持たせた」 「好きだから」「怒りを持たせた」 「好きだから」「あんたの前にばかり現れた」 「好きだから」「嘘をついた」 「好きだから」「あんたをこちら側につかせたかった」 「好きだから」「死にたかった」 「……好き、だから」「殺されたかった」 ―――「好きだから」「愛してよ」 「好き……だから……」「愛してよ……苗木、誠」 「………………………」「好きだから、愛してるから」 「ボクが、好き、ならば、ボクを、愛してるなら」 「………………………」 「――――― 生きることに、希望を持ってよ」 「それだけは、出来ない」 「好きだから」 「それがいい」 「嫌いじゃないのか」「嫌いだよ」 「他の言弾は」 「いらないよ」 「やっぱり」 「…………?」 「好きだから?」 「それは違うよ」 「好きだから」 「論破して」 ―――――。 「苗木君」 「霧切さん」 「泣いてるの?」「そうみたい」 「どうして?」 「わからない」 「……………」 「どうして、だろ」 「……………」 「……………」 「泣きなさい」 「濡れちゃうよ」 「良いのよ」 「……………」 「あなたは、頑張った」 「……………」 「自分を、誇りに思いなさい」 ―――――。 「好きだから」「さよならは言わない」 「好きならば」「また会える」 「返事は」 「また会った時に」 「待ってるよ」「待てるのかい?」 「辛くても」 「……………」 「あんたの為なら」 「ありがとう」 「それじゃあ」 「……またね」
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アニメ『生徒会役員共』が全部わかるラジオ、略して全ラ! パーソナリティ 桜才学園の生徒たち 配信リスト 回 配信日 タイトル パーソナリティ #1 2010年7月14日 2011年10月5日(再) 生徒会役員共 全員集合!! 日笠陽子(天草シノ役) 佐藤聡美(七条アリア役) 矢作紗友里(萩村スズ役) 浅沼晋太郎(津田タカトシ役) #2 2010年7月21日 2011年10月5日(再) 時にみんなはSかMか? 日笠陽子 佐藤聡美 矢作紗友里 #3 2010年7月28日 2011年10月12日(再) 見事なつるっつる具合だ… 浅沼晋太郎 矢作紗友里 下田麻美(津田コトミ役) #4 2010年8月4日 2011年10月12日(再) 思春期男子必聴!? “カップ”の測り方教えます!! #5 2010年8月11日 2011年10月19日(再) 私、ハァハァできないでしょ? 浅沼晋太郎 田村睦心(出島サヤカ役) #6 2010年8月18日 2011年10月19日(再) いや、確かに「全ラ」だけど……服は着て来い 浅沼晋太郎 利根健太朗(3話に出てきた外国人役) #7 2010年8月25日 2011年10月26日(再) ぜんぜん大きくならないわ 日笠陽子 矢作紗友里 白石稔(柳本ケンジ役) #8 2010年9月1日 2011年10月26日(再) 全ラ○…流行るかもしれん #9 2010年9月8日 2011年11月2日(再) ジャマイカ 日笠陽子 浅沼晋太郎 田村睦心 利根健太朗(先生役) #10 2010年9月15日 2011年11月2日(再) 副会長は知った!メイドのアブノーマルな…(笑) #11 2010年9月22日 2011年11月9日(再) 自○もおぼえたほうがいい? 佐藤聡美 矢作紗友里 #12 2010年9月29日 2011年11月9日(再) 一般的にはセクハラです #特別編1 2010年10月6日 俺らなりの露出プレイ……だったのか? 日笠陽子 白石稔 #13 2010年10月13日 2011年11月16日(再) なるほど! じゃあ□リ■ンじゃないな俺! 浅沼晋太郎 新井里美(畑ランコ役) #14 2010年10月20日 2011年11月16日(再) 私もパンを揉みしだかなきゃ! #15 2010年10月27日 2011年11月24日(再) ツッコミ不在なだけだ! 新井里美 小林ゆう(横島ナルコ役) #16 2010年11月2日 2011年11月24日(再) いつまで続くのエ■しりとり!? #17 2010年11月10日 2011年11月30日(再) とりあずお花畑行ってみようか(笑) 矢作紗友里 佐藤聡美 #18 2010年11月17日 2011年11月30日(再) いやらしー 矢作紗友里 佐藤聡美 日笠陽子 #19 2010年11月24日 それは白石さんの●●の○○…(涙) 浅沼晋太郎 白石稔 #20 2010年12月1日 …だから私(のアカウント)は6●でいい #21 2010年12月8日 攻めで来られたら受けになるしかないだろー! 浅沼晋太郎 田村睦心 #22 2010年12月15日 僕の妹がこんなに●●…(以下自主規制) #23 2010年12月22日 ハンターさんからの●●● 浅沼晋太郎 日笠陽子 佐藤聡美 #24 2010年12月29日 「全ラ!」一同乙!!
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そこに、唐突ながらに、彼はそこにいた。 愛しき彼が、意図せずそこに立っていた。 楔音契也。 癖の特にないけれど一本だけ目立つアホ毛を有する漆黒という呼び方似合うその髪。 気だるそうなそのダウナーな瞳は私を虜にする。 中性的な端正な顔つきは文化祭の時榎本さんの提唱により実現と移された女装姿の時にも遺憾なく発揮され、ますますあたしもメロメロである。 柔らかそうな頬肉や体つきは正に至極の一品。 白いブレザーの制服に映えるその姿なりはまさしく芸術といってもいいんでしょう。 その人物に私は駆けよった。 何も考えずに。 何も思わずに。 何も案じずに。 何も念じずに。 何も疑わずに。 何もしないで一心に駆け寄った。 怖かったんだろう、きっと。 拳銃を突きつけられて、もう拳銃が他者に渡ってしまったと知って。 もう――――勝ち目なんてほとんどないと知って。優勝できる可能性なんて、零に等しいと知って。私は……。挫けたのよ。負けたのよ。 何もかもを放棄して、死にたい気分になってくる。 いえ実質もう死んだも同然なんでしょう。 強い力は全てを狂わせるのよ。 過剰な自信は、暴走する。……経験談。 故に私は、もうどうしようもなく。終わっていた。役目を果たしていた。 駆けよる私の足音を聞いてか、ようやく契也は私――いやぼくに気付く。 「ん? ああ榊田じゃない。どうしたの?」 「もう……ダメだよ、契也。拳銃は柳沼さん……あと榎本さんの手に渡っちゃった」 「ああ、そうなんだ」 抱きつこうとするが避けられる。実に酷い。 今気付いたけど彼の手には、鉄パイプが握られている。 まあ別に当然の装備だとは思うけれどね。 「うーん、そうなの」 しれっと、それでもしれっと彼は言葉を返す。 ……? いやまあそりゃまあ柳沼さんと榎本さんと言えば、このクラスの中でも安泰な二人ではあるんだけれど。 樫山さんもまあ乗ってないんでしょうが。……楓之さんに限っては噂が噂だから何とも言えないけれどね。 ともあれ。 彼、契也は人に興味を抱かないのがうん、アイデンティティだったはずだし。 柳沼さんの人となりをそこまで深くは理解していないはずなのに、この馬の耳に念仏状態。……。 いくら気まぐれな子だからと言って。さすがにこの状況でそんなこと言ってる場合じゃないことぐらい、分かるでしょうに。 なんだろう、この変な胸騒ぎ。ざわざわと。ぞくぞくと。 この心臓を叩く、鳴らす、いやな、いやな、感覚は。 なんだろう。なんだろう。なにが―――――――――――。 刹那。 頭が――――揺れた。 「――――え?」 見ると。鉄パイプをぼくにぶつけて、怪しく笑う契也の姿が、そこにはあった。 …………え? …………は? …………――――? ………………… ○ 「うん、楓之さんのときの教訓を活かして僕は今回さっさと片付けることにしましたよー!」 近くには、幼馴染である榊田神菜の死体を見ることもなく、高らかとそんな事を叫んだ。 実に非情である。 よもやこの男、ここまで他人に興味を抱かないとは、常識を身につけていないとは、さすがの榊田にも分かるまい。 否、ピンク色の色眼鏡をしている榊田ゆえにそこまで頭が回ってなかった、とも言い変えられるのかもしれない。 ともあれ。 たった今、榊田神菜という人間は「死んだ」のだ。 「ふむ、しかし銃か。……そうだ! 理科室の薬品でなにか面白そうなのないかな?」 されどそれを気に留めることにもなく。 あっけらかんと、彼は進む。 ただただ、実に感慨も、感動も、そこにはなく、さっぱりとしたものだったことは、言うまでもない。 【榊田神菜:死亡中:もちものなし】 【楔音契也:生存中:鉄パイプ】 【4人】 Back:● 話順 Next:○
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冒険者になりたかった。 この世の全ての魔導を修め、竜殺しを成し遂げ、国中に名を馳せる、そんな冒険者に。 途方もない道程であることなど百も承知だった。けれど、自分の才覚なら成し遂げられるはずだと信じていた。 魔術学園を首席で卒業し、教師からは自分は大成すると太鼓判を押された自分ならきっと。 少し考えればわかる事だ。 魔術学園を優秀な成績で卒業した程度で英雄になれるのなら、この世は毎年英雄が現れているだろう。 だけど、いいやだからこそ。 自分は特別な存在なのだと、無邪気に信じていた。 私にとって初めての冒険、ゴブリン退治を迎えるまでは。 そこで無邪気な幻想に浸っていたすべてのツケを支払わされることとなった。 ゴブリンに腹を抉られ、糞尿で作られた猛毒を臓腑にかき回された時。 私は全ての勘違いを悟ったのだ。 四方世界の神にとって、私は愛すべき駒などではなく、 使い捨てても惜しくない、あれふれた駒の一つでしかなかったことに。 自惚れた勘違いに気づいた時には全てが手遅れで。 猛毒で意識も朧げになっているというのに、嫌になる程鮮明ににじり寄ってくるゴブリンの姿を視界に焼き付けながら私は意識を失った。 それが私の、殺し合いに連れてこられる前の最期の記憶。 そして、この殺し合いに連れてこられて初めて出会ったのもまたゴブリンだった。 きっと、此処でも自分は哀れな犠牲者でしかないのだろう。 刺された傷が治っているのも、体中に巡っていた毒が癒えているのも、 もう一度蹂躙されるためでしかない。諦観と共に、私はそう考えた。 「GOBGOOOBBUUUUU」 ニタニタと、見慣れない街の陰から姿を現して近づいてくるゴブリン達。 その下種な笑みをみれば嫌でも自身の末路を悟らざるを得ない。でも、もう終わる事だ。 私はゴブリン達に折られた、かつて誇りであった杖を握り、首筋に当てる。 蹂躙されるしかないなら、先に死んでやろう。 きっと自身に見ていた頃の私なら蔑んでいただろう選択。 きっと、既に私の心は壊れているのだろう。 その、はずなのに。 「……いきたいよ」 間近に近づいてくるゴブリン達を前に本音が漏れてしまった。 牙も杖もおれている。それなのに、終わりたくはなかった。 だって、自分はまだ何も。 何も成し遂げてはいないのだから。 ゆらりと立ち上がって、下卑た表情が鮮明に見える程の距離に来たゴブリン達を見据える。 これは確実な自殺だ。惨死に向かう旅路だ。 そんな事は分かっている。でも、 ぎゅうと、折れた杖を握りしめる。ゴブリンに刺された腹から溶岩の様に熱い感情が噴出する。 「――――あ、あああああああッ!!」 噴き上がってきた来た熱のままに、私はゴブリンに突進する。 先頭のゴブリンは怯えていた筈の孕み袋が突如息を吹き返したことに困惑し、つんのめる。 虫けらだと侮っていた相手が突如龍に化けたら自分もきっと同じような反応をするだろう。 そんな事を考えんながらも思考はクリアだった。 冷静に冷徹に、私はゴブリンの頭蓋に尖ったほこりの残滓をたたきつけた。 断末魔の響きを上げるゴブリンを蹴り上げ、後続のゴブリン達にぶつける。 その時に、うまくバランスが取れず尻もちをつく。 一匹仕留めた。ここまではあの時と同じ。そして、私の限界。 ゴブリン一匹と等価とは安い命だ。 私は自嘲しながら、これから待ち受ける惨劇から逃れる様に瞼を閉じた。 どこかでサイコロが振るわれる音を聞いたのは、その直後の事だった。 「伏せて!!」 建物の上から、少年の声が響く。 鈴の音の様な響きだったが、勇ましく少年であることは直感的に分かった。 直後、私に飛びかかろうとしていたゴブリン三匹が一射のうちに射抜かれた。 「GOOOOOBBBBBB!!!!」 状況を理解するまでに五匹。理解した後に七匹。次々とゴブリン達が弓矢の餌食になっていく。 状況を理解したゴブリン達も弓矢を放ったり、石を投げるがまるで当たらない。 あっという間に数を減らし、壊乱状態に陥った。 最後に頭目と思しきホブゴブリンの頭蓋が、ゆみやですらない、砲撃で吹き飛ぶ。 僅か二十秒足らずで、私にとっての絶望の象徴であるゴブリン達は残らず躯を晒していた。 いともあっさりと、圧倒的に、決着はついた。 「怪我は…ないみたいですね。よかった…」 未だ尻もちをつく私の前に、弓兵の少年がふわりと降り立つ。 頭上に小さな羊を乗せて、同じく羊の角を頭部に生やした少年。 少女の様に小さく愛らしい外見からは、先程の卓抜した弓の腕は想像できない。 彼は私の身体に怪我がないのを確認すると、ほっと胸をなでおろし、そして尋ねてきた。 「召喚に応じ参上しました!弓兵(アーチャー)です! 問いましょう――貴方が僕のマスターですか?」 「……は?」 「えっ」 頭の回転には自信のある方だったが、その時の少年の問いの意図は分からなかった。 自分は当然、目の前の少年の主人になった覚えなどない。 そもそも、まだ駆け出し冒険者である身が間違いなく銀等級以上の弓の腕を持つ彼を従えられるはずもない。 決まずい沈黙が流れる。 助け舟は、意外な事に彼の頭の上からやってきた。 「あー…パリスちゃん?その子、魔術師ではあるけど君のマスターじゃないね。令呪ないし」 「えぇッ!?じゃ、じゃあ僕のマスターは…」 「うん、はぐれサーヴァントじゃないかな。今のパリスちゃんは」 「そんな~」 言葉尻に「今は単独行動で持ってるけど、そのうち消えるね」と流ちょうに付け加える羊。 その言葉にアーチャーは頭を抱えて私の前に座り込む。 話を聞くと、アーチャーはサーヴァントと呼ばれる、使い魔の一種であるらしい。 そして、このままでは現界のための魔力が足りず、消えてしまうのだとか。 「…‥まぁ、その子と契約すればいいんじゃない? ダメなら他の子を探すしかないけど」 「そ。そうか!!流石アポロン様!!」 羊の言葉に抱えていた頭を上げて、つぶらな瞳で見つめてくるアーチャー。 その後、勢いよく頭を垂れて、 「あの…もしよければ僕のマスターになってくださいませんか?」 そう懇願してきた。 私にとっては願ってもない話ではある。 彼が私のサーヴァントとして戦ってくれるなら、私が生き残れる望みは上がるだろう。 けれど、いいのだろうか… ゴブリンにも勝てない私が、彼を従えても、いいのだろうか…? そんな私の思考を読み取ったかのように、アーチャーはとことこと私が倒したゴブリンの亡骸へと近づき。 刺さったままの杖を引き抜くと、服が汚れるのも構わずごしごしと吹いて。 「いいんですよ…僕だって、ヘクトール兄さんに比べれば全然未熟なサーヴァントですから」 だから、一緒に強くなりましょう。 そう言って、彼は私の杖を差し出してきた。 「……」 私は無言のままに杖を差し出す彼の手を握って、そし手改めて問い直した。 「アーチャー…私は、生きたい。生きて、冒険者になりたい。 でも殺し合いには乗りたくない…私が今、生きているのは貴方のお陰だから。 貴方を殺してまで生き残りたいと思わない。私は貴方や、他の人達と生きて帰りたい。 そのために…お願い、力を貸して」 「はい!勿論です。マスター!!」 アーチャーが花が咲くように笑うのと同時に、私の手の甲が熱を帯びる。 サーヴァントとはどんな存在か聞いた時に説明された令呪と呼ばれる魔術。 その紋様が刻まれるのを見た瞬間、何か胸の奥からこみあげてくるものがあった。 諦めなくていいのだと、生きていていいのだと言われた気がして。 ―――もう、自分でいいのかとは尋ねない。を従えるのに相応しい自分になる。そう、決めた。 ■ ――少し聞いてもいいかい?パリスちゃん。 なんですか?アポロン様。 私はさっき確かにあぁ提案したけど、彼女がこの、聖杯戦争ですらない殺し合いに乗ってる可能性はちゃんと考えたの? ……あっ ―――あーもー!やっぱり可愛いなぁパリスちゃんは!! うぅ…でも、考えてたとしても、僕はやっぱり、マスターと契約してたと思うんです。 ほう、その心は? ―――彼女、生きたいって泣いてましたから…ここで涙を拭って上げないとトロイア戦争の原因まで間違いになる様な、そんな気がしたんです。 あの戦いは皆が僕が間違ってたと言っていますし、実際そうだったのかもしれません。 でも…あの時ヘレネ―を助けたいと思った気持ちまで、間違いにしたくなかったんです。 何より、やっぱり女性には笑っていてほしいと思ったんです。 ―――そう、やっぱりパリスちゃんは推せるねぇ。 【女魔法使い@ゴブリンスレイヤー】 [状態] 令呪三画 [道具] 基本支給品、ランダム支給品 [思考・状況] 基本行動方針 アーチャーに相応しいマスターになる。 1 殺し合いから脱出する。 [備考] パリスと契約しました。 【パリス@Fate/Grand Order】 [状態] 女魔法使いと契約 [装備] アポロン様 [道具] 基本支給品、ランダム支給品 [思考・状況] 基本行動方針 殺し合いからマスターを脱出させる。 1 マスターを守る。 [備考] 女魔法使いと契約しました。 このSSが面白かったなら……\ポチッと/ 感想/ 名前 コメント すべてのコメントを見る
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―――を斬る ◆EAUCq9p8Q. ☆ 山田なぎさ 窓辺から聞こえた優しい歌。 日が落ち、月が昇り、まどろみ始めた世界を眠りに誘うような歌。 歌う者など居ないはずなのに、誰かが歌うその歌。 知世と二人、目線をずらし歌の主の姿を探す。目線の先にあるのは、何の変哲もないはずの窓。 だが、木の枠で区切られたガラスの並びは、そこにあるはずのない姿を映していた。 豪奢な白いドレスに身を包んだ少女。綺麗な髪の向こうに咲くのは美しい薔薇。 小さな、抱きしめて持ち運ぶには程よいくらいの小さな体躯。 全てを合わせて語るなら、良家の令嬢が抱く人形、といった印象だ。貧乏暮らしのあたしの家にはミスマッチがすぎる。 そんな可愛らしいお人形が、ガラスに映った二人の少女の鏡像に挟まれてにこやかに微笑んでいた。 ガラスの向こうにいるはずなのに染み込むように部屋を満たす優しい歌。少女の歌。 「御機嫌よう。山田なぎさ様、大道寺知世様」 歌が不意に止まり、当たり前のように名を呼ぶ。 こちらを知っている。居場所も、名前も、誰にも見つからずに連行したはずの知世のことも。 サッと血の気が引いた。 まるでおとぎ話か怪談のような現れ方、絵本から飛び出したような姿、人間ではないならば、サーヴァントしかない。 アサシン不在の今、目の前のサーヴァントが何かをしてもなすすべがない。 令呪に願いを込め、叫ぶ。虎の子の切り札も、切れずに負ければそれまでだ。だったら切るしかない。 「令呪を持って命ずる、今すぐここに戻って来て!」 当たり前のようにガラスから体を出してくる人形。 叫び声と共に部屋を満たす空気のうねり。目には見えない何かが凝縮し、部屋の真ん中で展開される。 人形がガラスから全身を表した瞬間と何かが人の形に見えた瞬間が重なる。 そして、一気に空気が弾ける。 床を踏み駆け出す音。新しく生まれる二つの影。突き飛ばされる衝撃。風切り音。 「私はルーラー。この聖杯戦争の裁定者ですわ」 首筋に当てられた日本刀に顔色一つ変えずに人形はそう口にし。 呼び出されたセーラー服の少女――アサシンは、刀身にガラスから伸びる茨が巻き付いた日本刀を構えたまま人形を睨みつけ。 私と知世は揃って見知らぬ誰か(壮年の男性と同い年くらいの少女だ)に突き飛ばされ庇われていた。 張り詰める緊迫感などどこ吹く風と、ルーラーを名乗った人形は言葉を続ける。 「お迎えにあがりました。大道寺知世様」 ◇◇◇ 「どうなの、実際」 口を開いたのはアサシンだ。 問いかけの先は、きっとあたしで間違いない。 ぐっと目を凝らせば、窓ガラスに映っていた時には見えなかった文字が人形の姿に重なる。 そこには、人形の宣言通り、ルーラーと記されていた。 「そっか。じゃあ一旦信頼するよ」 言いつつも、刀は首筋から離さない。とんだ信頼もあったもんだ。 アサシンは「話があるならどうぞ」と言わんばかりに人形――ルーラーの次の言葉を待つ。 ルーラーの方はアサシンの停戦の言葉を信じたようで、すんなりと茨を引っ込め、先ほどと全く同じ調子で全く同じ言葉を続けた。 「お迎えにあがりました、大道寺知世様」 お迎え。 言葉の意味するところを考える。 ルーラーは聖杯戦争の裁定者、つまりスポーツやゲームでいう審判のようなもの。 対する知世はサーヴァントを失い聖杯戦争の参加者の資格を失った者。 参加資格を失ったなら、当然舞台から降りる必要がある。そのために、知世に会いに来た、ということだろうか。 「知世様は此度の聖杯戦争で争う術を失いました。 役目を終えた演者は舞台の裏に。当然のことです」 こちらの想像をそのままなぞるような台詞をルーラーが口にし、知世に向けて手をのばす。 きらり、と。光源なんて限られてるのに窓ガラスが怪しく輝いた。 そして、ガラスの向こう側の景色が一変する。すすぼけたような冴えない町並みから、きらきら輝く結晶体の世界へ。 口を開けた『向こう側』に、自然と体がこわばる。飲み込まれたらもう戻ってこられない、深海への入り口のようだった。 「わ、私は、まだ」 差し伸べられた手と、目の前に広がる世界。 刀を構えたアサシン。そしてあたし。 それぞれに視線を動かし、どこにもありはしない寄る辺を求めるように床を見て。 だが、強い意志を貫くために、顔を上げ。 大道寺知世が言葉を返す。 「まだ、やりたいことが!」 「それがなにか?」 だが、吐き出そうとした義憤の息を切るように、ルーラーが茶々を入れる。 「やりたいこと、失いたくないもの、守りたい人。 すべてを手放したのは、戦うことに乗り出さなかった知世様自身ではありませんか」 悪意の刃が胸を突き、知世の言葉が詰まる。 知世の描く『こうならなかった未来』を嘲り笑うように、『せめてこうあってほしい未来』を踏みにじるように、微笑みながら手を差し伸べる。 「貴女にはもう、未来を選ぶ権利はありません。 さあ、眠りましょう。いつかの貴女が選んだ未来に揺られながら」 ぐうの音も出ない。出せない。吐こうとした息は飲み込まれ、嗚咽と変わる。 それでも、過去に置いてきた誰かの背中を汚さないように、嗚咽は噛み殺し、差し伸べられたルーラーの手は取らない。 でも、それは結局わがままで。 ちっぽけな子どもが最後の最後に見せる、意味のない悪あがきで。 どうしようもない現実が、抗いきれない現実が、茨の形をして、窓ガラスの向こうの世界から伸びてきていた。 そんな有様の知世にあたしが抱く気持ちは、哀れみであってはいけない。 あの手があたしに向いていないのは、巡り合わせでしかない。 誰かの襲撃を受けていれば、あるいはあの手はなぎさに向いていたかもしれないし、あの手を見ることもなく死んでいたかもしれない。 あの手が知世に向いているのは、当然の結果だ。 いつか、あたしが海野藻屑に会うためには、あと何人もの人に、あの手を差し伸ばさせなければならない。 心臓を握られるような息苦しさと不快感。選んだ道を踏み外した時に見るであろう最期が、知世に重なる。 勝つとは、こんなにも残酷で。 負けるとは、これほどまでに惨めで。 「どうなさいました、山田なぎさ様」 自分の手が、知らずに動いていた。 ルーラーと知世を遮るように、腕を伸ばしていた。 知世にあたしが抱く気持ちは、哀れみであってはいけない。 それでも、腕を勝手に突き動かしたその衝動は、どうようもないくらいの、情だと思う。 誰かのせいで誰かを失った大道寺知世という少女を哀れに思う、海野藻屑という少女を取り返したいと願う、山田なぎさが持って生まれた、情。 「勝手なことを言わないで、ってことだよ」 自分の腕の震えすら止められないあたしの代わりに、飄々とアサシンが語る。 「勝手? これは」 「確かに、この子は聖杯戦争に負けた。 戦争に負けたマスターはさっさと退場するべきっていうのも、当然の話」 でもさ、と区切るアサシン。 ようやく引いた刀を回しながら、部屋を歩く。 ルーラーに刃を向けた姿勢から、あたしと知世を守るような姿勢へと変わる。 「今のこの子はもうマスターじゃない。私の……私達の手駒。 それを勝手に取り上げるなんて言われたらさ、ちょっと迷惑なんだよね」 「迷惑」 きょとんとした、という表現がよく似合う顔で、オウム返しにアサシンの言葉を口ずさむ。 アサシンの言っていることは真実だ。そもそも、そうやって利用するために誘拐したのだから。 ルーラーは少しの間ぼんやりと立ち尽くし、そしてくすくす笑いながら後ろに一歩下がった。 「かしこまりました。では、大道寺知世様に関して、山田なぎさ様及びアサシン様の手駒であるうちは退場を見送らせていただきます」 「あれ、そんなにあっさり見逃してくれるの?」 「貴女の手元から脱落した人間を奪うというのは、行き過ぎた行為ですものね」 「それは……そうだね、違いないや」 その言葉はアサシンの急所を突いている。 宝具の中身すら見透かしているぞという脅しか、それとも単なる嫌がらせか。 動じず笑い飛ばすあたり、アサシンはこういうくそったれな皮肉を受け慣れているらしい。 それともあるいは、そもそもルーラーを相手にしていないだけ、かもしれない。 ルーラーはくすくす笑って下がり続け、ガラスの中に溶けていく。 「では、大道寺知世様。せめて良い手駒としてのお勤めを。 今度は、選べなかった未来を選べますよう、心の底から祈っています」 きらりと一瞬鏡が光ると、そこにはもうなにもない。 明かりの落ちた死にかけみたいな街が、夜の闇が、広がるばかりだった。 ☆人工精霊 「どう、ファヴ?」 「問題ないぽん。あれはただの死体ぽん」 nのフィールド内でルーラー・雪華綺晶の問いに答える。 今回の接触、本当は大道寺知世の回収が目的だったが、思わぬところで別の成果も挙げられた。 もちろん、魂の消滅に関わる調査案件の一つ、死者行軍八房の性能の見極めだ。 あの瞬間、ファヴもあの場に居たことを雪華綺晶以外誰も知らない。 数々の戦場で闇に紛れ息を殺し敵を斬ってきたアサシンだって、ファヴの存在には気づけない。 世の中には気配だの殺気だの第六感だので存在を知覚するヘンテコ生命体も居るらしいが、そういう人物であってもファヴはそのセンサーの対象外だ。 なにせ生き物ではない。大分類するならば電波とかそのへんだ。 あの緊迫感あふれるやりとりの中で、ちょっと離れたところに置かれた携帯の画面が一度点いたことに気づける者がいるとしたら、それは対人感知センサーとは全く別種のスキル持ちだ。 さておき、一部始終を見て判断したことが二つ。 一つはアサシンの宝具、死者行軍八房について。 八房はすでにマスターの一人、白坂小梅を殺害し宝具の一部へと変えていた。 だが、雪華綺晶は問題なく魂の回収を終えている。 ということは、アサシンに関してはシロと断言できる。あれは魂をどうこうしているのではなく、一回殺して魂を追い出し死体を操っているだけ。 もう一つは大道寺知世の処遇について。 知世はたしかに大切な魂の一つ。だが、彼女の存在がアサシンに渡るというのは少し面白い話だとファヴは思った。 知世を探す木之本桜とセイバーは、自然、再会の瞬間に不意を晒すことになる。 すでに二組の脱落に関わり聖杯に対して強い意志を見せているアサシンが日和ることはないだろう。 どう捌くかは想像がつきない。それでも、きっと誰かがまた命を散らす。 聖杯戦争が進むのはいいことだ。 それが悲劇的であるなら(これはファヴの趣味であるが)なお良い。 だから、放っておくことにした。 せめて聖杯戦争が盛り上がるよう、祈りながら。 「さて、ルーラー。本日最後のお勤めの時間ぽん」 聖杯戦争が始まり、すでに一日目が終わろうとしている。 本日の終わりと、明日の始まり。二つを飾る最後のお勤め。 定時通達が、そろそろ始まる。 【???/nのフィールド/1日目 夜間】 【ルーラー(雪華綺晶)@ローゼンメイデン】 [状態]健康、少し楽しい、食あたり(微)、魔力不調 [道具]たまの手作りケーキ入りバスケット [思考・状況] 基本行動方針:少女たちの魂を集める 0.定時通達を行う。 1.??? 2.桂たまとまたお茶会を。 [備考] ※ファヴにささやかな執着があります。が、ファヴに伝えてないこともかなりあります。 ※たまの手作りケーキには微量ながらたまの魔力がこもっています。悪魔以外が食べれば食べるだけ体に不調が起こります。 【人工精霊(ファヴ)@魔法少女育成計画】 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争を恙なく進行して聖杯戦争終了後も消されず生き延びる。 0.定時通達するぽん 1.他の参加者たちの魂は逃がしちゃ駄目ぽん 2.なんにせよ、さっさと聖杯戦争を終わらせて自由の身になるぽん [備考] ※ルーラー(雪華綺晶)に与えられた人工精霊です。 ※掲示板の管理・クローンヤクザの統制などの電子機器機能方面でのプレシアのバックアップを行っています。 ただし、反乱などができないようにある種のストッパーは課せられています。 ※情報端末を通して人物の位置の特定が可能です。他の機能もあるかもしれません。 ※フェイト・テスタロッサについては『プレシアが執着している』程度しか知りません。 ☆山田なぎさ 「ヒドいカオ」 お菓子を摘むアサシンが、なんともなくそう呟いた。 ルーラーはすでに去っているが、張り詰めた空気はそうそう簡単に緩まない。 知世はこちらを気遣ってかあれこれぽつぽつと喋りながらも、影の指した表情は隠せていない。 あたしも変わらず、踏ん切りのつかない自分への感情と、踏ん切りをつけずに留まった自分への感情を、整理できずに居る。 アサシンくらいだ。あいも変わらずポリポリとお菓子を食べながら軽口を叩けているのは。 「でも、意外だった」 「何が?」 「あんたが、この子のことを手駒にするって言ったの」 「ああ、あれ」 アサシンがどう反応するかはわからなかったが、一緒に夕飯を食べるような仲に甘んじているあたしを見れば反発するものと思っていた。 アサシンはクッキーを口に放り込み、咀嚼する。 そして、知世に聞かれぬように、今度は念話で続ける。 {本当はマスターの代わりに斬ろうかとも考えてたんだけど、考えてるうちに状況が変わったの} (……どういうこと?) {親切な人に教えてもらってさ} アサシンの咀嚼音が響く中で広げられる、アサシンの拾ってきた情報の数々。 この街に居る参加者について。 大道寺知世の知り合いについて。 そしてアサシンが見てきたものについて。 小学校で輝く金色の光。音を操る薔薇のアーチャーと丸鋸を振り回すゾンビのバーサーカーの戦闘。 小学校。遊園地。死人の群れ。どこかの誰かの世界。 耳をふさげない状況で飛び込んでくる、アサシンが人殺しに成功したという知らせ。 覚悟はしていた。あたしと知世の前に現れた二人を見た時に、「そういうこと」だったというのは、心のどこかで気付いていた。 その片割れが、いつかに中学校で見かけた輿水幸子の友人・白坂小梅だったことに気付いたのも、見て見ぬ振りは出来なかった。 でも、目の前にぽんと出された「山田なぎさが関わり知らぬところでの誰かの死」は、思いの外簡単に飲み下せてしまった。 少しずつではあるが、あたしも、戦争に馴染んできているのかもしれない。 感傷を振り切り、説明の中から変わった状況を拾い上げる。 アサシンが知世を手駒として使う理由は、説明の中からはっきりと分かる。 {マスター、あたしは……} そして紡がれる、一つの宣言。 ―――を、斬るよ。 それは、暗殺者が口にする、これから起こす絶対の予告。 続けて語られるのはこれから動き出す暗殺の計画。 様々な情報を元に、様々な命を絡め、様々な戦場を見据え、必殺の瞬間を生み出す理論を二人で構築していく。 計画の中心に据えられる少女は、急に黙った二人の方を向き、お人形みたいに整った顔と生気の抜けた色をして、やや儚げに首を傾げていた。 【D-5/山田なぎさの家/1日目 夜間】 【山田なぎさ@砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない】 [状態]健康 [令呪]残り四画 [装備]携帯電話、通学カバン [道具] [所持金]中学生のお小遣い程度+5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れて、海野藻屑に会う。 0.―――を、斬る? 1.大道寺知世を手駒として使う 2.お人好しな主従と協調するふりをして、隙あらばクロメに襲わせる。 3.ただし油断せず、慎重に。手に負えないことに首を突っ込まないし、強敵ならば上手く利用して消耗させる。 [備考] ※クロメの暗殺計画を聞きました。 ※掲示板を確認しましたが、過度な干渉はしないつもりです。 ※暴力に深層心理レベルで忌避感があることに気づきました。 ※令呪三画を報酬に大道寺知世に協力を約束しました。 【アサシン(クロメ)@アカメが斬る!】 [状態]精神不安定(そろそろ収まる)、不快感(そろそろ収まる) [装備]『死者行軍八房』 [道具]142 sの写真 [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を取る。 0.―――を斬る。 1.知世を使い暗殺を行う。 2.アサシンらしく暗殺といった搦手で攻める。その為にも、骸人形が欲しい。 3.とりあえずおとなしく索敵。使えそうな主従を探す。白坂小梅を利用して……? 4.アーチャー(クラムベリー)は殺したいけど、なにか方法は…… 5.小学校の情報提供者の正体を探り、利用するか、始末するか。 [備考] ※木之本桜&セイバー(沖田総司)、アーチャー(クラムベリー)、江ノ島盾子&ランサー(姫河小雪)、 双葉杏&ランサー(ジバニャン)、高町なのは、蜂屋あい&キャスター(アリス)、大道寺知世、 諸星きらり&バーサーカー(悠久山安慈)、輿水幸子、ルーラー(雪華綺晶)を確認しました。 小学校に居た何者か彼女に姿を見られたことを知りました。142 sの写真で白坂小梅の友人二人の姿を知りました。 ※八房の骸人形のストックは弐(我望光明、白坂小梅)です。 我望光明の『赤い目の男』スキルの応用により精神支配や幻覚を一時的に無効化できます。 ※英霊を躯人形にした際、武器系宝具の再現には幸運値判定が入ります。 幸運値E以下の英霊ならば武器は再現可能、クロメの幸運値を令呪で一時的に上げて相手を殺せばそれ以上でも再現可能です。 判定はあくまで『宝具クラスの武器が再現できるかどうか』であるため、呪文や体質、逸話昇華系宝具ならば幸運判定なしで再現することが可能です。 ※B-3(廃工場地帯)でアーチャー(森の音楽家クラムベリー)の襲撃を受けたという情報を流すと宣言しました。 どの程度流すかはその時のアサシンのテンションです。もしかしたらその場しのぎのはったりかもしれません。 ※アーチャー(クラムベリー)と情報交換しました。どの程度聞いたのかは後続の書き手の方にお任せします。 ※アーチャー(クラムベリー)と敵対しました。彼女が『油断や慢心から一撃を受ける可能性』と『一撃必殺の宝具ならば感嘆に殺せる可能性』を推測しました ※キャスター(アリス)の陣地とオトモダチを確認しました。魔力素養のあるもの・サーヴァントならば遠距離からでも視認が可能です。 また、キャスターの性格にアタリをつけています。 ※C-3マンションの一室(幸子の部屋)に特殊な陣地(?)が展開されていることを知りました。 ※何者かの暗殺計画を立てました。 【大道寺知世@カードキャプターさくら(漫画)】 [状態]健康、心に傷(中)、 手首足首などに縛られた痕(薄くなっている) [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]なし [所持金] たくさん [思考・状況] 基本行動方針: 街の人達を守る 1.『なぎさ』に『死神様』事件について協力してもらう。 [備考] ※死神様について 小学校の生徒を自由に操れる『青い洋服のキャスター』が裏側に居ると知りました。 ※サーヴァントを失ったため、ルーラー雪華綺晶に狙われています。 山田なぎさ&アサシン(クロメ)の支配下に居る限り脱落は免れます。 BACK NEXT 047 夜の向こうで待つ人へ 投下順 049;重なる二つの願いなの 046 願い・想い 時系列順 049 重なる二つの願いなの BACK 登場キャラ NEXT 035 宣戦布告 大道寺知世 057 演者は集う 山田なぎさ 044 アリス・イン・ザ・アビインフェルノ・ジゴク -不死戯の国のアリス- アサシン(クロメ)
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【生徒会役員】一十木音也 No. 544 TOTAL DANCE VOCAL ACT 特技 BAD,GREATを3回PERFECTにする レア度 UR Lv50 4382 1136 1573 1673 サブ特技 フルコンボクリア時+27000スコア 属性 シャイン MAX 5940 1560 2140 2240 メインスキル シャインのACTパフォーマンス60%上昇
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Aさんの常識とBさんの常識はノットイコールである。 人それぞれに存在する常識はそれぞれ違う。例えば、Aさんの家では毎朝5時に風呂を沸かす。しかしBさんからすれば朝早すぎる、『非常識』だと感じられる。 逆にAさんからすればその時間に風呂に入らないBさんの家は非常識だ。 さあここで、一つの滑稽な悲劇のお話。 とある少女は百年間の間、惨劇の運命を繰り返し抗い続けた。 腹を裂かれて内臓をぶち撒けて、無惨な死(おわり)を遂げる。 或いは、ガソリンの大爆発で黒焦げのバラバラになって死ぬ(おわる)か。 常人でなくとも発狂してしまうような迷路に迷い続けた少女。 その傍らに居た、少女の心を無意識下に支えてきた仲間たち。 当然彼らの常識では、世界を繰り返すなど考えられもしない。 だが彼らは無意識下に、世界の運命を、行く末を担う存在なのだ。 たった一人が壊れてしまえば、それが全ての崩壊を招く。 その中で、たった一人。 時には狂うが、無限に繰り返される世界の中でも未知数の存在が居る。 彼が狂えばその世界は絶望だ。 彼が輝けばその世界は希望だ。 前原圭一。 とある風土病の狂気を、浄化し得る可能性にさえなる。 早い話が、古手梨花の希望。不確定要素だ。 彼以外にも幾つもそういう沃素はある。ごく僅かな確率で村を訪れる刑事に、最悪の世界の始まりを告げるとある男が村を訪れるか否か。 その中でも、きっと彼は少女の最大の希望だった。 前原圭一。 袋小路の運命を覆す可能性を秘めた少年のバトルロワイアル。 少年の始まりは苦い。 そこから彼は如何にして運命を打開するのか。 さあ、物語を始めましょう? □ 俺は、理解できない。 殺し合いなんてものを主催する連中の気なんて、理解できない。 むしろ、理解するには値しないとさえ思う。 人の命を虫けらのように弄ぶような人間を俺は理解したいとは思わない。 だけれど、それだけなら不謹慎かもしれないけれど。 許せないとは思っても、そこで止まる。そこより先には至らない。 だが、今回は別だ。 あいつは―――楓坂の野郎は、俺の仲間を危険に晒した。 でも。 俺の仲間を弄ぶことだけは、許さねえ。 『あの事件』の後、荒んでいた俺を救ってくれたみんな。 みんなを弄んだ。それだけで俺は明確な敵意を持つことができる。 反逆開始だ。 俺は殺し合いを叩き潰す。完全に、塵も残さずにぶち壊してやる。 44人の参加者。俺はそこまで人間を信じられていない。 間違いなく、殺し合いに乗る奴はいる。 それも少なくない数、中には何の躊躇もないような奴も。 話が通じない人間なんてこの世には居ないだろう、と俺は思う。 でも、話が通じるほどまともな心理の奴は少ないだろう。 「――――――だからどうしたっていうんだ。口先くらいしか俺に取り柄はないだろうが」 口先の魔術師・K。それが俺だ。 たとえ狂人だろうが化物だろうが、口先一つで丸め込んでやるさ。 だけど。俺はその時、思いもしてなかったんだ。 すぐに、バトルロワイアルの恐怖を体感することになるなんて。 あの白い少女と出会って、あまりに奇妙に、俺の物語は始まった。 ■ 俺は、意気込みこそ良かったけど、支給されたテニスラケットを持ってふらふらと歩いているだけだった。護身用にもならないかもしれないけど。 反逆開始なんて言っても、俺一人で主催打倒なんて夢物語だ。 まずは仲間を探して、情報を集めるところから始めなきゃいけない。 殺し合いを、潰すために。 そんな風に、少し危機感が欠けていたのかもしれない。 「…………ん?」 屋敷の廊下の突き当たりに、白い何かが見えた。人型の白い何か。 よく見れば、人影はワンピースを着ていた。銀色の髪を腰あたりまで伸ばしていて、体駆を見る限り俺より一つ下――――なのに、その物腰には恐怖がない。 少し、不気味だった。 そしてその人影が、ポケットに手を突っ込むと、何か取り出した。 それは、遠目に見ても。拳銃にしか見えなかった。 破裂音。俺の頬の横を、熱い何かが凄い速度で通り抜けていった。 直後、俺は全力で駆け出していた。背後から、走ってくる。 「待てっ!待ちなさいっ!」 案外可愛らしい、年相応に幼い声がした。 俺は勢いよく階段を駆け上がる。途中何度か撃ってくるも当たらない。 激しく動きながら、狙いをつけて狙撃をするなんて無理に等しい。 だから、俺はとにかく闇雲に走る。 目指すのは三階。策はある。少なくとも分は悪いが、意表は突ける。 走る。走る。目指すはどこでもいい。 ◆ 詰められた。 逃げた先は書斎。三階。 「………終わりよ。貴方は阿見音様の為に死になさいっ!!」 「悪いな、俺の――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――勝ちだ!!」 フゥーハハー!!と間抜けな笑い声をあげながら、窓から飛んだ。 得体の知れない不気味な感覚が、腹に来る。 しかし落ち着いて、地面に着地。直後、衝撃を逃がすために転がる。 若干の鈍い痛みがしたが、特に問題はないらしい。 上から。女の子も飛んだ。 そして、足から勢いよく着地した。まったく、予想通りに。 そう。だから―――――俺の、勝ちなんだ。 「ぅ……くぅ……!?」 着地のダメージは意外と大きい。三階建てともなれば尚更だ。 衝撃で両足は暫く使えないし、衝撃は体中を駆け巡っている。 銃を取り落として、女の子はふらふらと、倒れないようにしている。 そして、一言だけ。口をぱくぱくと動かした。 に・げ・て・。 逃げて。 パァン!という音がして、女の子の脇腹から血が飛んだ。 校舎の中からの狙撃だと認識した瞬間に、俺は女の子に駆け寄っていた。 出血は大したこと無いが、放っておくには危険すぎる。 「死なせねえ………絶対に、死なせてたまるかよぉっ!!」 俺の叫びが、木霊した。 【深夜/D-1】 【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】 [状態]疲労(中) [所持品]テニスラケット@現実 [思考・行動] 0 殺し合いを叩き潰す。 1 この子を助ける。絶対に死なせない。 2 梨花ちゃんたちを探す。 ※皆殺し編、冒頭からの参加です □ 意識が薄れていく。 私は、誰かに抱えられている。あの、男の子だ。 何故助けてくれたんだろう。 私は、何故こんなに、嬉しいんだろう。 阿見音様以外に、どうしてこんなことを思うんだろう。 私に生きる意味をくれた人。 阿見音様の為に、私は誰でも殺すし、誰でも不幸にする。 なのに。わたしは、どうしてこんなに。 嬉しいんだろう? 【天王寺深雪@オリキャラ】 [状態]意識混濁、脇腹に銃創 [所持品]鷹野の銃@ひぐらしのなく頃に [思考・行動] 0 ……… 【天王寺深雪】 13歳。白鷺教阿見音派の信者で、阿見音に心酔している。 経験は少ないため阿見音には使い捨てとなされているが気付いていない。 昔、親に捨てられたところを阿見音に拾われた。 ■ 「逃げられた」 短く淡白に、だが悔しさを端的に表した言葉で女は呟く。 彼女の名前は久宇舞弥。 冷たい世界に生きる『魔術師殺し』の背中を守ってきた女。 彼女は殺す。 衛宮切嗣の元に変える為に、徹底して殺し尽くす。 迷いも躊躇いも、そんな感情はとうの昔に捨て去った。彼女は機械だ。 切嗣を生かすために、修羅道を往く――――――。 【久宇舞弥@Fate/Zero】 [状態]健康 [所持品]磁力狙撃銃@とある魔術の禁書目録 [思考・行動] 0 優勝して元の世界に帰る。 1 身を隠して狙撃に徹する。 ※四巻、ケイネス殺害後からの参加です
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男二人、虫二匹――――はぐれ虫 気がつくと、どうやってきたのかもわからない、そんな場所に来ていた。 どこにでもあるような住宅街の真ん中にある、ありふれたアスファルトの道路。視界の脇に移る赤い色は、日本人なら誰でも知っているであろう東京タワーだ。 その影からひょっこりと現れた朝焼けとともに、夜明け独特の香りが鼻の奥をくすぐった。とても心地よい感覚に包まれながら、冷静に今の状況を観察する。 見覚えはない……いや、微かに懐かしいような記憶がある。ひどく不安定でうまく頭が回らないけど、確かここは―――― 「俺とお前が、初めて会った場所だな。」 ああ、そうだ。 声のした方に振り返ると、一瞬太陽のような強い光に視界を奪われる。やがて目がそれに慣れてくると、見覚えのある懐かしい姿が見えてきた。 青く輝く二つの複眼に、雄雄しくそびえたつ真っ赤な一本角。またそれに沿うようにして、右手の指を天に向かって掲げる仕草。 自分の知る限り、その姿を持ち、そんな大胆不敵な立ち振る舞いをする奴は広い世界を見回してもたった一人しかいない。 「お前……」 「よう、相変わらず元気そうだな。」 カブトの装甲のなかから現れたのは、やはりあの天の道を往く男だった。 以前見たのとまったく変わらないその微笑に、思わず安堵した。何せ、もう二度と会えないと思っていたのだから。 「天道……風間が見たのって、やっぱりお前だったんだな!」 風間の名を聞いた瞬間、天道の顔色が曇る。まるで、何か言いにくい事を隠しているかのように。 そういえば、その風間はどこにいるのだろうか。辺りに自分と天道以外の人影はない……いや、そもそも自分はなぜここにいる? 先ほど、殺し合いにのった風間を止めるために協力すると誓ったはずだ。こんなところに来た覚えはないし、呼ばれた覚えもない。 今自分が置かれている状況の、何もかもが不可解すぎる。首筋に感じる冷たい金属の感覚が、頭の中の気だるさを一瞬で吹き飛ばした。 「……!」 まさかと思い振り返った先には、誰もいなかった。 「天道! オイ天道どこだ!!」 届かないとわかっていながらも、叫んだ。夢なら夢で、言いたいことを言わせてくれ、こっちはあいつに言いたいことが山ほどあるんだ。 散々偉そうにしておきながら、一人で勝手に死にやがって。絶対追いつくって行ったのに、一人で勝手に手の届かないところへ行きやがって。 太陽の輝きが色濃くなり、何も見えなくなっていく。手足の感覚や意識が薄れていく中、ひどく優しげな声が耳に届いた。 「加賀美――――生きろ、そして、ひよりを頼んだぞ。」 ◆ 「……あ……れ、俺……」 「起きたか? いつ襲われるのかわからないというのによく寝られるものだな。」 加賀美が目を開けると、風間――――風見がほのかに湯気の香るコーヒーを差し出していた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。 そのコーヒーを受け取りながら、夢の内容を思い出そうと考える……が、殆ど思い出せない。子供の頃ならよく思い出せたものだが、今となってはそれも難しい。 ……ただ、何かとても大切な事を託された、気がする。 「あれ、お前コーヒーなんて入れられたっけ?」 「……それくらい、私にも出来る。」 そうか、と返事をしつつコーヒーを啜る。程よい苦味が残った眠気を覚まし、周りの状況に感づく程度の余裕を与えてくれた。 研究室の中がほんのり赤く染まっているのだ。その光を辿っていくと、窓辺から真っ赤な夕日が差し込んでいる。 「風間、今何時だ?」 「五時を回った辺りだ。お前が寝ている間、特に変わったことはなかった。」 「……そうか、ありがとな。」 突然礼を言われ、風見は訝しげな表情をした。その表情を読み取ったのか、加賀美がコーヒーを飲み干して立ち上がる。 「今五時ってことはさ、四時間近くお前はここで見張っててくれたんだろ?」 「ああ。」 「その間、お前は俺を置いてどこかに行ったり、最悪殺す事だって出来たわけだ。違うか?」 違わない、と風見は心の中で呟く。しかし、それをしなかったのは単なる彼の気まぐれに過ぎない。 加賀美に寝ていた間の放送を伝えなかったのも、伝えればまず間違いなくそこに向かうと思ったからだ。それも、無理やりにでも自分を連れて行こうとするだろう。 ただ、それを断るのは酷く面倒だと思った、それだけのことだ。しかし、加賀美はそれを変な方向へと勘違いしていく。 「でも俺はこうやって生きてる……つまりさ、少しは俺のこと信じてくれたって事だろ。だから、ありがとう。」 加賀美の一切裏のない純粋なその言葉に、風見はコーヒーを飲み干し、カップを置く音でだけ答えた。 ◆ 物陰から、二人の様子を見つめる小さな赤い影。主を失ったカブトゼクターだ。 加賀美の様子を伺いに飛んできたのだが、特に手を貸す必要はなかったようだ。ただ、あの男がドレイクの資格者であると勘違いしているようだが。 低く頷き、立ち去ろうと旋回すると、そこに二つの影が割り込む。ガタックゼクターとホッパーゼクターだ。 友と出会えた喜びか、ガタックゼクターの無機質の瞳は何も移さない。ホッパーゼクターはというと、特に何も反応を見せていない。 二つのゼクターを見比べた後、ふとカブトゼクターが天井を見上げる。 ――――? それに釣られてガタックゼクターも見上げた、その瞬間。 ――――!! その一瞬の隙を突いて、カブトゼクターが二機の間を掻い潜り、研究所の外へと飛びぬけていった。 完全に不意を付かれたガタックゼクターは、ホッパーを置いて全速でそのあとを追いかける。無論、加賀美と風間に気づかれないようにだ。 扉を抜けた所で、カブトゼクターがこちらに突進してくる光景が見えた。紙一重で避けるが、当てる気がなかったのはガタックゼクターにも理解できる。 ――――ついて来るな。 言葉を発せないゼクターだからこその感情表現。戦いの神の名を冠するガタックゼクターでさえも、怯まずにはいられないほどの気迫が込められていた。 一瞬の戸惑いの後、ガタックの顎が震える。承諾の合図を見届けたカブトゼクターは、どこへともなく飛び去っていった。 当面の目標は、天の道の後継者を探すか……主を失い、一人はぐれ虫は夜を往く。 【1日目 夕方】 【現在地:B-7 研究所ロビー】 【加賀美新@仮面ライダーカブト】 [時間軸] 34話終了後辺り [状態] 痛みはほぼ回復。脇腹に刺し傷、頭部に打撲、肩に裂傷、背中に複数の打撲、右足にダメージ 強い怒りと悲しみ。新たな決意。 [装備] ガタックゼクター、ライダーベルト(ガタック) [道具] 基本支給品一式 ラウズカード(ダイヤQ、クラブ6、ハート6)不明支給品(確認済み)2個。 放置されていたデイパック(基本支給品×2、ラウズアブゾーバー、V3ホッパー、首輪(一文字)) [思考・状況] 基本行動方針:桜井侑斗を始めとする協力者と合流する。 1:風間(風見)に同行する。風間(風見)と危険人物以外との戦闘は阻止する。 2:危険人物である澤田と真魚、バダー(名前は知りません)を倒す。 3:風間(風見)といずれは戦うことへの迷い。出来れば戦いたくない。 [備考] ※デネブが森林内で勝手に集めた食材がデイパックに入っています。新鮮です。 ※首輪の制限について知りました。 ※友好的であろう人物と要注意人物について、以下の見解と対策を立てています 味方:桜井侑斗(優先的に合流) 友好的:風間大介、影山瞬、モモタロス、ハナ(可能な限り速やかに合流) 要注意:牙王、澤田、真魚、バダー(警戒) ※風間大介(実際には風見志郎)が戦いに乗っていることを知りました。 ※放置されていたデイパックの中身は確認していません。 【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】 【時間軸 】THE NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後 【状態】 疲労回復、全身打撲、中。両腕、腹部にダメージ中。 【装備】 ハリケーン 、ホッパーゼクター+ゼクトバックルB、デンガッシャー 【道具】 基本支給品×2セット、ピンクの腕時計、ラウズカード(ハートJ、クラブJ)、FOX-7+起爆装置(残り3) 【思考・状況】 基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。 1:研究室に設置したFOX-7を、最大の被害を与えることのできるタイミングで利用。 2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。 3:葦原涼が死んでいなかったことに驚きと僅かな安堵。 4:いずれあの男(加賀美)と決着を付ける。 【備考】 ※モモタロスの死を受け止め、何か複雑な心境です。 ※ホッパーゼクターを扱えます。 ※FOX-7は基本的に、起爆装置を使った時にのみ爆発します。爆発の規模は使った量に比例します。 起爆装置は全携帯が内蔵している専用アプリに起爆装置のコードを打ち込んで操作するもの。 スイッチ式と時限式の両方の使い方ができます。 ※加賀美のデイパックが二つになっていることにまだ気付いていません。 ※研究所の研究室に、FOX-7が一つ仕掛けられています。 ※カブトゼクターがこれからどこへ行くかは後続の書き手さんに任せます。 107 香川教授の事件簿 投下順 109 Traffics(前編) 106 龍哭(前編) 時系列順 111 憎悪の声は歓喜する(前編) 090 肯定/否定――my answer 加賀美新 112 闇は――動き出す―― 090 肯定/否定――my answer 風見志郎 112 闇は――動き出す――