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当時のアメルダさん クラーラの正体? 徳庵教授について 徳庵教授と知恵者の時間跳躍に対するスタンス エステル 当時のアメルダさん L:当時のアメルダさん ={ t:アメルダさんは前ポチ王女の教育係=前ポチ王女の失踪と同時期に退職した。=アメルダさんは前ポチ王女を探す旅に出た。 t:アメルダさんは前ポチ王女を探している=アメルダさんは前ポチ王女を助けようと思っている。 } #この情報はかなり古いので、今は変わっています クラーラの正体? L:クラーラの正体?={ t:コールサインはプリンセスポチ={ クラーラは前ポチ王女 白の章で鈴木に介入していた。 クラーラはエース、或いは神聖同盟に所属する人間である クラーラはポチ王女のネットやゲームなどでのハンドルネーム。 } t:佐藤はポチ王女が鈴木ではないと思った=ファンタジアはOVERSであり、ポチ王女から一方通行に佐藤を認識していた。 t:クラーラとポチ王女は同一人物であり鈴木に介入していた=ただし介入は一方的であり実際のポチ王女とはだいぶ違うので佐藤には分からなかった。 t:クラーラはAと知り合い=実はずっと前からOVERSで介入を何度もしていてAとも知り合い。 } #この命題は解かれていないため、不完全です。 徳庵教授について L:徳庵教授について={ t:徳庵教授は一度、悲しい未来を変えるために時間の輪を越えている=人が時と世代を重ねることの意味を、徳庵はしっている t:徳庵教授と連絡がつく=徳庵教授と交渉できる t:グローリー式典仕様は徳庵教授によって改造されている=夜明けの船へ徳庵教授を呼ぶことができる } 徳庵教授と知恵者の時間跳躍に対するスタンス L:徳庵教授と知恵者の時間跳躍に対するスタンス={ t:徳庵教授は協力しない=教授は、時間跳躍に反対である t:二人はこちらの説得に対し、道義・道理・心情的な理由によって応じない。=二人はこちらの説得に対し乙女の涙を持ってすら曲げぬ不屈の道義・道理・心情的な理由によって応じない。 } エステル t:エステルは宇宙船で一生を暮らす民出身である=側面:宇宙での燃料精製についても知識がある。
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Programm5『月下の子守唄』 Op.5-1 婚約 「ねえ、ジーク……あなた、あのお姫様のこと好きでしょう」 翡翠を思わせる瞳が典医の顔を覗き込む。女性を思わせる口調と紅を差した唇の強烈な印象。 「突然何を……?」 「あら、隠したって駄目よ。私にはちゃんと分かるんですからね。ジークは王女様に夢中だって」 フランシスカは勝ち誇ったように悠然と微笑む。 「貴方は何か思い違いをされています。私が姫に懸想など……」 「ふうん、良いのかしら? そんな事言ってると誰かに取られちゃうわよ」 「取られるもなにも……」 ふと典医の脳裏を白い肌が過る。其処には薄紅色の花弁が散り——、それは情事の痕。 慌てて下卑た記憶を打ち消す。 「お姫様、結構人気あるのよね。『姫に忠誠を誓う!』なんて時代錯誤な騎士道精神に目覚めちゃう騎士達なんかも居たりして……でもねぇ、あのお姫様……」 「何です?」 言葉を濁すフランシスカに典医が訝し気な視線を送る。 「いえ、あのお姫様、どこかで何らかの訓練を受けた事があるんだろうなあ……って、思ったのよ」 王子が武術の鍛錬に励んでいる間、付き添いの王女もまたフランシスカに剣術を学んでいる。護身術程度の簡単なものであり、扱う剣も騎士達のものに比べると玩具のようなものだ。王女の暇つぶし、フランシスカは初めそう思っていた。 しかし、剣術に関しては明らかに初心者ではあるが、王女の身のこなしは、貴族の娘とは異なり、何らかの鍛錬を受けていることを臭わせていた。 「本人は意識してないでしょうけどね。身体に刻み込んだ記憶は中々消えないものよ」 「身体に刻み込んだ記憶は中々消えない……ですか」 典医は囈言のように呟く。 身体が覚えている。身体が喪失感を覚えている————。 典医の様子を横目にフランシスカの瞳が細められた。先程までの揶揄する様子は影を潜める。 「ねえ……ジークはどういう思惑でこの王宮に居るのかしら? あの子達に肩入れするのは何故?」 王宮でジークに再会してからずっと心にあった疑問。 何故彼は王宮に居るのか。 典医は困惑気味の笑みを唇に浮かべた。 「特別な意図なんてありませんよ。私は前国王陛下のご遺志に従っているだけで……」 そう、忠実な臣下であるジークは主の命に従うだけ。 「ジーク、もしかして貴方……」 フランシスカの歯切れが悪くなる。ジークがこの国の王宮に存在する理由———ー。 「……恨んでいるの?」 「いいえ、何を恨む事があるでしょう。フラン、貴方はおかしな事を言いますね」 紅い唇の問いは直ちに否定される。 「幾分長く生きてきて、多少退屈になっただけですよ……」 * 『人というものは、実際には経験していない事柄を経験したと思い込むこともございます』 あの日の典医の言葉が王女の胸中で繰り返される。 『特にカイン様は過去の記憶を求めて御出でです。偽りの記憶を真実の記憶と錯覚されることも多分にございましょう』 偽りの記憶。 確かに王子と王女の過去は何度も聞かされただろう。繰り返し、繰り返し……。 軈てそれは———— ———否定はできないわ。でも…… カインの心に残る薔薇色のリボン——秘め事、噤む記憶。 しかし、今のカインが本物のカインであるならば、典医が立場を危うくしてまで偽りのカインを仕立てる必然性は無い。 「分からない……」 思考は円環を描く。王女の唇から漏れる溜息。 長い廊下を進む。北向きの窓から差し込む光は柔らかい。 視線の先に淡い光を纏う姿を捉えた時、王女の心臓は一瞬動きを止めた。 「……あっ」 光の輪郭に浮かぶ楽士の影。 側に駆け寄りたいという衝動にかられる心と拒絶されるのではないかと恐怖に竦む足。 楽士は静かに王女へと足を運ぶ。 王女の心を過るのは果たせなかった楽士との約束。そして、これから待ち受けるであろう未来。 影は実体を持ち王女の目前に立った。 普段と変わらぬ優しい瞳で王女を見つめ、何時もと同じ穏やかな口調で言葉を発する。 「もう心配しなくていいから……」 「え……?」 楽士の思いがけない言葉に王女が戸惑う。 「それは一体どういう……」 バタン———ー。 突然の喧噪が王女の言葉を打ち消す。開いた扉から現れる数名の人影。 「あ、姉上」 弟は姉の姿を認め嬉しそうに声を掛ける。 今日の会合に王女は列席していない。最近のカインは国政の一端を担うまでの目覚ましい成長を見せており、王女の付き添いを要しない機会も増えていた。 それは王女にとって大変喜ばしいことであったが、また一抹の寂しさを齎すものでもある。 ———もうカインに私は必要無いのかもしれない…… 今、カインの横に立っているのは従兄のエドガー、この国では、政というものは男子が行うべきという考え方が定着している。 そのエドガーが向かい合う王女と楽士の姿を捉えると、顔を強張らせ彼等の下へ詰め寄った。 「お前、リオウと言ったな。建国祭での働きは見事であった」 エドガーの値踏みするような目付き。 「恐れ入ります。残念ながら賊は取り逃がしましたが……」 楽士は素直に頭を垂れ、己の不手際を詫びる。結局、ユージーンは彼の手によってあの場から逃れていた。 「取り逃がした……か。フン、楽士でありながら剣の腕も立つようだな。其方、本当に単なる楽士なのか?」 「私は一介の楽士、剣術は単なる真似事にすぎません」 「信用できん」 エドガーは豊かな金髪を掻き揚げ楽士を睨め付ける。 「胡乱者にはこれ以上、私の婚約者に近づいて欲しくないものだな」 「婚約者?」 「ああ、姫は私と婚約したのだよ」 「なっ……」 楽士の顔に驚きの表情が浮かぶ。それはその場に居た王女にも、カインにも同様の事であった。 「エドガー、何を言うの」 王女の抗議の声を無視し、その肩を抱くと自分の方へと引き寄せる。 「そう……ですか…………おめでとうございます」 楽士はその姿を避けるように視線を逸らした。 「では、私はこれで失礼致します」 「あっ……待ってリオウ」 楽士を追おうとする王女をエドガーが制止する。 「姫、そろそろ自分の立場というものを考えたらどうだ。王女という立場をな」 王女の瞳が怒りに燃え、全身が震えた。 「エドガー、姉上と婚約したというのは本当か!」 今にも掴み掛かりそうな剣幕でカインが噛み付く。その顔もまた怒りで紅潮し、王女と王子が双子の姉弟であることを再認識させる。 「そう向きになることもあるまい。方便というものを知らんのか。あの楽士は素性がはっきりせぬからな。王女の周辺から追い払うのに都合が良かっただけだ。良い牽制になっただろう」 「そんな勝手なことを……あの場に居たのはリオウだけでは無かったのだぞ」 先程までは数名の人物が遠巻きにしていた。耳にした者はエドガーと王女の婚約を真実として触れ回ることだろう。 「別に構わぬだろう。姫との関係は全く嘘という訳ではないからな」 王女の平手がエドガーの頬に飛んだ。 Op.5-2 謀 王女とエドガーの婚約の話は瞬く間に王宮に広まった。 元々噂好きの人種だ。尾鰭が付いて噂は真実とされる。 「エドガー、一体どういう事です。貴方と姫が結婚などと……」 金糸銀糸の豪奢な刺繍のドレスに身を包んだ貴婦人が手にした扇子を強く握りしめた。言葉の端々に苛立が表れ、紅い唇が怒りに歪む。 「噂に偽りは無い。私は姫と結婚する」 金の巻き毛の息子は不遜とも言うべき態度で母親に告げた。母親の扇子を握る手に更に力が籠る。 「そのような戯言、私は許しませんよ。王女とはいえ、あの女の……卑しい育ちの娘と結婚なんて」 「別に母上に許可など貰おうとは思わぬ」 激昂した母親の一言で揺らぐような決意ではないのだ。 「ああ、エドガー、この母を困らせないで頂戴。貴方ならどんな美姫でも思いのままでしょうに……。それに何も王女と結婚などしなくとも、何れこの国の王は……」 宥め賺し息子の意志を翻そうと図るうち、思わず零れた言葉に慌てて口を濁す。 「母上が何と言おうと私の意志は変わるものでは無い。話がそれだけなら失礼する」 息子は聞く耳を持たず、母親を残しその場を後にする。 「お待ちなさい、エドガー!」 残された母親は戦慄く指で握りしめた扇子を長椅子の肘掛けに打ち付けた。繊細な細工が無惨にも砕け散る。 「……許しません、許しませんよ」 貴婦人の背後で帳が不自然に揺れた。しかし、昂った彼女はそれに気付かない。 帳が揺れる———ー 「おや、おや……怖い、怖い」 帳の影に潜む何者かがからかい口調で言葉を掛けた。 「なっ、何者です!」 予期せぬ闖入者に発した声が上擦る。 僅かにテラス窓が開いていた。 漆黒の外套を頭から被った怪し気な人物が帳の影に潜んでいる。その顔は銀色の仮面に覆われ、表情が窺えない。 「しがない殺し屋ですよ。呼び付けた本人がそんなに驚く事じゃ無いと思うけどねぇ」 仮面の下からくぐもった声が自身の素性を告げる。 「大罪を犯そうというお方が随分小心でいらっしゃる」 「く、口の利き方に気を付けなさい」 貴婦人は狼狽を隠し、自分の方が立場が上であると示すため尊大に構えた。 「はいはい、ご依頼主様」 小馬鹿にしたような口調が神経を逆撫でする。 「建国祭での失態を忘れたとは言わせませんよ。全く当てにならないこと」 王子の死を隠蔽させぬ為、公の場での殺害を指示したのだ。しかし———— 「……予想外の邪魔が入ったからな」 仮面の下で僅かに言い淀んだ事に貴婦人は気付かなかった。 「言い訳は見苦しいわ。行動で示して頂戴」 「では、今度こそカイン王子を……」 扇子を握る貴女の手が汗ばむ。砕けた細工の切り口が指先を刺激する。 「いいえ、王子よりもあの娘よ。王女を先に始末なさい」 其処には憤怒の形相の鬼女が居た。 「…………御意」 帳が微かに揺れる。 大きく開かれたテラス窓。 怪人の姿は既に無い。 緊張感から解放され、貴婦人は長椅子に崩れるように身体を沈めた。その顔は疲労の色が濃い。手元へ虚ろな瞳を向けると未だ扇子を強く握りしめていた事に気付き、強張った指を一本ずつゆっくりと引き離してゆく。 「……今度の夜会用に作らせたものだけど……もう使い物にならないわね……」 拉げた扇子が指先から静かに滑り落ちた。 Op.5-3 襲撃 ガシャーン———— 硝子の割れる音が夜の静寂を乱す。 一拍置き、掠れた悲鳴が月明かりの庭を漫ろ歩く男の耳に届いた。 毎夜、無意識に足はその部屋を目指し、窓の下で暫し佇む。あの窓は越える事の許されぬ世界の境目。 その境界の扉が今、硝子の欠片を散乱させ大きく開け放たれている。 女性の——王女の悲鳴に突き動かされ、リオウは自らに科した禁忌を破り、開かれているテラス窓を勢いよく越えた。 月の光を受け、蒼い影が部屋の中へ伸びる。 影は天蓋付きの豪奢な寝台へと達し、その上で揉み合う二つの存在を捕らえる。王女と悪漢。彼は鈍く光る小刀を頭上に振り翳し———— 「ジーン、やめろっ!」 小刀は振り下ろされ、蒼白い羽が飛び散る。 差し込む月光に浮かぶ寝台。漂う数多の羽。 「よう、リオウ。やっぱり来たか……」 襲撃者は右手に小刀を握り締めたままゆっくりと振り向き、薄らと笑みを浮かべた。 月明かりの下、王女の瞳がリオウの姿を捉え大きく見開かれる。その腕には切り裂かれた羽枕。蒼闇に染まった羽が辺りを舞う。 「また邪魔するのか?」 「ああ」 その答えに迷いは無い。 「ふーん、やっぱりお前も裏切るんだな……」 その言葉に寝台の王女の肩が強張る。 リオウの瞳が王女の息災を確認し、安堵の色を浮かべた刹那、僅かな隙が生じた。 「それならっ!」 新たな標的へ向けユージーンが小刀を構え飛び掛かる。リオウは既の所で切っ先を躱した。袖が僅かに裂かれる。 「やっぱ、簡単には仕留められねーか」 ユージーンが再び小刀を構えた。 張り詰めた緊張の中、遠くの喧噪が耳に届く。 無言で対立する二人。 徐々に近づきつつある喧噪。 ユージーンが小刀を突き出す。それを躱すリオウ。 瞬間、ユージーンは駆け出し、リオウの脇を抜けるとテラス窓から外へ飛び出した。 「待て! ジーン!」 続いてリオウがその背中を追う。 ガリッ、ガリッ———ー 振り降ろされる革靴の踵が硝子の欠片を粉々に砕く。 辺りに無秩序に飛び散った硝子の破片が月明かりを蒼く映す。その有様は、影の様に忍び寄る手練の暗殺者の侵入痕とは思えない。 全く以てユージーンの仕事には、似つかわしく無い。 「ジーン……まさか……お前、態と……」 彼はこの襲撃を誰か——友に知らせる為、意図的に大きな音を立て玻璃を砕いたのだろうか。 ———そんな筈は無い。 リオウは頭を振り否定する。 しかし、前を行く悪友の背中が自分を止めてくれと叫んでいるように思えてならなかった。 寝台の上で、独り残された王女は静かに窓の向こう側を見つめていた。 その腕には切り裂かれた枕。 ———待って、置いて行かないで…… 心の中で幼い少女が声を上げる。 扉の向こうから近づく喧噪。 王女は寝台から離れ、夜の闇を映す鏡台に近づくと、その抽き出しを開けた。 * 複数の足音、甲冑の擦れる音、誰かを呼ぶ声———ー 喧噪が近づく。 王女の身を案じ部屋に馳せ参じた人々の眼に飛び込んできたのは、一面に撒き散らされた蒼白い羽と月明かりに煌めく玻璃の欠片。 無惨に破られた窓辺で帳が夜風に揺れている。 「姉……上……」 寝台の中は空だった。 Op.5-4 対立 一羽の鳥が月を映す水面を乱す。逸れた夜烏であろうか。 リオウとユージーンは湖の畔で静かに対峙していた。 「お前が裏切るだろうとは予想していたさ……」 ユージーンは悔しそうに唇を噛んだ。 目前の男が一人の少女の為に命を賭すであろうことは容易に想像できた事。 それは、ずっと昔から決められていた理のように思う。 きっと、彼と彼女が出会った時から———— 「あー、下らねー」 ユージーンは頭を過った運命論を振り払うと、鈍い光を放つ小刀を構え、間合いを詰める。 「裏切り者がどうなるか知っているよな」 その切っ先は友の命を要求していた。 夜闇を映すリオウの瞳は漆黒に染まり、対峙する男の奥底を探らんと静かに見つめている。 「ジーン……お前もこの仕事から足を洗うつもりはないのか? こんな仕事、何時までも続けられる訳が無い……」 ユージーンの小刀を持つ手が僅かにぶれる。 「お前は……姫の甘言に踊らされているんだ」 その口から発せられた言葉に僅かな揺らぎが混じる。 「ジーン、姫が僕たちを裏切って王女に成り済ましていると本気で思っているのか? 姫は嘘偽り無く、本当にこの国の王女だよ。本来居るべき処に帰ってきただけなんだ……だから……」 「知ってるさ。そんなこと」 リオウの言葉を遮り、ユージーンが吐き捨てるように言い放つ。 「王宮に出入りしていて王妃の顔を拝んでない奴はいねーよ。姫が他人の空似だなんて誤摩化せ無いのは一目瞭然だろ。そもそも、アイツは俺たちの下に来た時から良いとこのお嬢様って風情だったもんな。ま、あの頃は流石にこの国の王女とまでは思わんかったけど……」 「それなら、何故姫の命を……」 この国の王女と知っていながら、ユージーンの彼女に対する仕打ちがリオウには理解できない。帰るべき処があることへの嫉妬だろうか。 「そんなの決まっているだろう。裏切り者だから」 「姫は裏切り者じゃない」 「一族を抜けようとしたんだ、裏切り者だろう? 『裏切り者には死を』だ。それに姫を始末するように依頼を受けたしな」 リオウの表情が強張る。 「依頼主は誰だ」 「おっとそれは言えないな。お前一族を裏切るんだろう? 裏切り者に依頼主を明かす馬鹿はいねーよ。昔から姫に激甘な奴だったが、女一人の為に本当に裏切るとはね」 ユージーンの瞳に浮かんだ心を読むには少し闇が深すぎた。 「本当にお前は甘いよな……甘すぎるよ……」 非道な暗殺者の仮面の下を読み取るには月の光は淡すぎた。 「なあ、リオウ。お前、姫を抱いたんだろう? 王女様とやるってどんな感じだ? お前だけが味わうなんて狡いじゃないか。俺にも味見をさせてくれよ」 「ジーン、何てことを!」 本気なのか、それとも冗談か。 ユージーンの腕の中で悶える王女。その姿を脳裏から慌てて追い出す。 「どうせ娼館に売られる予定だったんだ。構わないだろう?」 「何を言ってるんだ姫が娼館なんかに売られる筈が……」 「ホント、お目出度い奴だな。お前という邪魔者が姫の側から居なくなったんだぜ。一族の連中はこれ幸いと姫を娼館に売っぱらうつもりだったのさ」 「なん……」 固く握りしめたリオウの拳が小刻みに震える。 「一族の内部なんて、嫉妬と悪意に満ちているんだぜ。今更、王女の身代金なんて取れねーからな。始めは、姫を一人前の暗殺者に仕立てて親殺しをさせようなんて悪趣味なことを考えたのさ。それも、お前が姫の代わりに王宮に上がっちまったもんだから御破算だ。まあ、でも姫を王宮に送り込んだとしても、直ぐに王女と判明して一族の思い通りになんてならなかっただろうけどな」 そう、リオウが自ら進んで王宮に出仕したのは彼女に親殺しをさせない為、それから王宮に彼女を奪われないようにする為———— ———それでなきゃ、誰が姫の側から離れるものか…… 結局は彼の思惑に反し、彼女は王宮を訪れ——そして、王女となった。 「で、次に考えたのは隣国の貴族に売っぱらっちまうことだった。姫が男子を産めばこの国の正統な王位継承者を名乗れるもんな。邪な貴族連中の垂涎の的だろうよ。でも姫がこの国の王女であるという確たる証が無くて話が流れたらしい……」 ユージーンはリオウの反応を窺うように間を置く。その手に握られた小刀は変わらず獲物を狙っていた。 「そんなこんなで結局、姫を娼館に売っぱらうことにしたのさ。一国の王女ともあろうものが下賤の男どもに身体を与えるんだ。これ以上の屈辱はないだろうってことだな。姫が王女だと知っている奴はその事実ににやつき、嘲るって訳だ。やだねー、下賤のヤッカミってやつはよ。」 守り手を失った少女に用意されていた惨い仕打ち、あり得たかもしれない未来。怒りでリオウの全身が震え、視界が霞む。心の片隅に残っていた一族に対する罪悪感、未練など完全に霧散した。 「でも、姫は娼館に売られなくても王宮で同じ事してんじゃねーの。あの気障な金髪男を誑し込んだみてえだもんな」 「ジーンっ!」 王女を侮辱することは許さない。そんな事は聞きたく無い。リオウの指が隠し持った刃物に伸びる。 「おっ、リオウ、本気でやる気になったか?」 ユージーンが弄んでいた小刀を確りと握り構えた。軽薄な口調に反し、瞳には真摯な光が宿っている。 「ジーン、お前は本当に一族を抜けるつもりはないんだな」 「……ああ、俺はお前とは違うのさ」 僅かな躊躇にリオウはユージーンの偽りを探す。 「リオウ、お前が裏切った事を一族の奴は知らない。まあ、薄々は感づいているだろうがな。今ならまだ一族に戻る事は可能だ。……姫の亡骸を手土産にすれば良い」 「断る」 「ふーん、そっか」 間髪を容れずの返答を聞くとユージーンは手に持った小刀でリオウの喉元を狙った。 「ジーン、依頼人は誰だ。姫の命を狙っている奴は誰なんだ」 リオウは切っ先を紙一重で躱し、ユージーンに問う。その手にはユージーンと同じく刃物が煌めく。 「依頼主を裏切り者に教える訳ねーだろ」 執拗に繰り出される切っ先、その一筋がリオウの頬を掠める。白い頬に描かれた一筋の朱線。 ユージーンに迷いは無かった。本気で裏切り者を仕留めようとしている。 「結局、どちらかが死ななければならないのか……」 睨み合う二人はお互いの隙を探りつつ、間合いを詰める。 刃先が何度も互いの残像に突き立てられ、切り刻む。 力の拮抗した二人の戦いは中々終わりが見えない。 月を反射する刃先。 息が乱れ、汗が滴る。 荒い呼吸音が耳につく。 カァ———— 不意に夜烏が鳴いた。 ユージーンの集中力が僅かに殺がれ、その隙をついてリオウが背後を奪う。首筋に刃を当て勝負の終わりを相手に宣言する。 「ジーン、もう一度問う……本当に考えは変わらないんだな」 躊躇がリオウの勝機を奪った。 「お前は本当に……甘いな」 「うっ……」 刃がリオウの脚を傷つける。浅いが形勢逆転には十分な傷。 「悪いなりオウ。俺は簡単に主を替えられるほど器用じゃないからな」 ユージーンの刃が容赦なく振り下ろされる。 「ぐっ」 月明かりの下、くぐもった苦痛に歪む声が上がる。 「ぁ……」 リオウの肩に広がる黒い染み。ユージーンの腹部に残る熱さ。 そして——、二人の間に存在する影。 ———熱い…… ユージーンの腹部が熱を持つ。 王女が短剣の柄を固く握りしめ、男の胸に顔を埋めていた。短剣の刃は男の身体に深く沈む。 腹部が燃える様に熱い。 「……ぁぁ……」 王女の両の手の隙間から覗く短刀の宝飾が月光に煌めく。 ユージーンは何事が起きたのか理解するするのに暫し時間を要した。 腹部が燃える様に熱い。 腹部に突き立てられた刃、その柄を握る華奢な手。 リオウの危機に飛び込んできた王女。その手に短剣を構え、愛しい者の命を奪わんとする男の胸に身を投じる。 ———ああ、このお姫さんは…… 漸く状況を把握した。 腹部が燃える様に熱い。 それは奇しくも王女が先の建国祭で受けた傷と同じ箇所だった。 腹部が燃える様に熱い。 熱い、熱い、熱い———ー 「…………ぁぁ」 王女はまるで唖のように言葉にならない言葉を繰り返す。短剣の柄に絡み付く両手の指は石の彫像のように固まり離す事が出来ない。 王女の指先に、掌に、腕に、全身に残る感触———ー人の身体に刃物が沈み込む感触。 瘧の様に全身が震える。 命を奪う感触———ー ユージーンは王女の両肩を掴むとその身体を引き剥がすように一歩後退した。 王女の指は未だ短剣の柄を確りと握り締めたまま。 男の負傷した体躯が大きく傾ぐ。リオウは目の前の負傷者に咄嗟に手を伸ばした。 「……」 ユージーンの唇が何事か言いたげに震える。リオウは口元に耳を寄せ言葉を拾う。 「……ジ…………ィ……だ」 手負いの男はそれを伝えると彼の身体を支える人物を突き飛ばした。視界をゆっくりと男の上体が倒れ行く。その瞳が微笑んでいるように思えたのは、リオウの願望が見せた幻かもしれない。 腹部から短剣を生やした男。 細い女の指に固く握られている刃先の隠された短剣。 目の前を背中から倒れ行く男。 腹部に突き刺さっていた刃が露となり、鮮血が辺りに散る。血潮が王女の全身を穢す。 その色は月の下では、漆黒とも言える深紅。 王女は刃の柄を握り締め人形の様に立ち竦む。 世界を染める紅い闇の色。 深い紅、深紅、漆黒、闇の色———ー 深紅の闇が王女の石化の呪いを解いた。 「いやああああああっ———ー」 Op.5-5 狂乱 眠りを妨げられた鳥達が塒より飛び立つ。 墨色に塗りつぶされた一群が天を覆い月の淡い光を遮ると、闇が世界の支配者となった。 無数の羽ばたきが闇夜を満たし、罪人を責め立てる。 罪人は固く瞳を閉じ、両耳を塞ぐ。 この森の何処にこれだけの鳥が潜んでいたのだろうか。 リオウは墨色の天を仰ぎ狂騒が収まるのを待った。 間もなく月が完全に姿を現し、蒼白い世界を再構築する。 世界が静穏を取り戻した時、彼等の足下に転がっている筈の屍は無かった。 月明かりに黒い染みが浮かぶ。惨劇の痕、そこから点々と続く滴。それは標として、ある場所へと導く。 草叢に記された黒点の行き着く先は闇に溶け、そこには———— 一瞬、月が翳り、標が闇に消える。 リオウは血痕を辿ろうと踏み出した足を止めた。 友が近づくことを拒絶しているのだと思った。 ———もう終わったんだ…… 視線の先には黒い森が鎮座している。辿るべき標は失われてしまった。 パシャーン———— リオウの耳殻が水音を拾う。水鳥にはあり得ぬ乱れた音。 湖へと踏み入る人影がリオウの心臓を射る。 「姫っ!」 夜風が湖面を渡る。冷たい湖水が王女の柔肌を針のように刺し警告を発するが、それに逆らいより深みへと進む。大腿まで冷水に浸かった王女は突如、濡れて身体に張り付く夜着を労して脱ぎ、乱暴に湖水に浸した。粗雑な動きに水飛沫が上がり、湖面を乱す。水面の波紋は広がり、軈て緩やかな波として湖岸に到達した。 王女の白い裸身が月下に映える。その動きに併せ白い乳房が男を挑発するように揺れる。 「姫……」 リオウの足が王女に近づかんと水面を激しく乱す。早鐘の様に打つ心臓。水を含んだ靴が鉛の様に重い。 王女は血の汚れを洗い流そうと憑かれた様に夜着を何度も何度も湖水に浸ける。そうすることで悪夢が消え去るとでも言う様に。 リオウは呼吸を乱し王女の下に到達するとその身体を強く抱きしめた。傷ついた肩に僅かな痛みが走る。 「リ…オウ……ご、ごめん……な……さぃ」 王女の瞳から玉露が零れ、白い胸を伝い落ちる。 「姫……姫は僕を救ってくれた。姫が謝る事なんて何も無い……」 リオウに強く押し付けられた王女の胸が上下する。視線が其処から外せない。今、腕の中には無防備な王女の裸体がある。 こんな時だというのに……否、こんな時だからこそ、リオウは己の欲求に抗う事ができなかった。 腕の中で王女は小さな子供のようにしゃくり上げる。彼女はその手を血に汚し、彼の傍らに堕ちてきた。勿論、それは一時の錯覚に過ぎないのかもしれないが…… リオウは知らず王女の唇に己の唇を重ねていた。 王女の唇が僅かに開きリオウを受け入れる。互いの舌先が触れ、絡む。 水音———ー 唇から垂れる銀の糸と足下で踊る水飛沫。 リオウの右手が王女の胸の形を淫らに変え、先端の紅い果実を刺激する。左手は王女の身体を伝い降り、辿り着いた中心に指先を埋める。 「んっ……」 重なった唇から漏れる声。王女は逆らわずリオウの為すがままだった。 リオウの唇が熟れた果実を啄み、軽く歯を立てる。しっとりと濡れた指先が花蕊を探り、蕾を爪弾く。溢れ出した蜜が王女の太腿を伝い落ち、湖水と混じり合う。 「ぁ……んっ…………ごめ……なさい……リオウ」 王女の眦から涙が一筋零れた。リオウの耳にはその言葉が届かぬのか王女の身体を貪るり続ける。赤子のように乳房を吸い、指を王女の奥深く埋める。 「はぁっ……ん」 湖面に崩れ落ちる王女の身体をリオウは抱き抱え湖岸へと運んだ。 王女の身体を草の上に仰向けに寝かせ、もどかし気に自身の濡れた着衣を脱ぐ。王女は軽く膝を立て、リオウを誘うように脚を僅かに開いている。その奥には湖水とは異なる濡れた輝き。 漸く体躯に張り付いた邪魔な布を取り去るとリオウは王女の脚を高く上げ、月光の下にその花蕊を晒した。月明かりに輝くその花を暫し鑑賞すると、徐に舌先を埋め蜜を掬い捕る。 「……ああっ……はんっ」 王女の背中に草が擦り付けられる。青臭い草の匂い。柔肌が草葉の床で微細な傷を負うというのに、それに構わず自らより高く腰を掲げ、刺激を求める。 男の口元は花の蜜に濡れ、舌先は卑猥な音を立て続ける。 ぴちゃ、ぴちゃ。 止めどなく溢れる蜜で喉を潤そうとする獣。乾きが癒えることは無い。 女の太腿が小刻みに震え、限界を訴える。 「リ…オウ……はぁ……許…して……んっ」 吐息と共に漏れた言葉が合図であったかのようにリオウは花弁の奥へと侵入して行った。 汗ばんだ身体を重ね、互いの手を確りと握る。 ———僕は今、初めて犯した大罪に心を失った姫を陵辱している…… 繋がりをより強固にする為、リオウが更に王女の奥深く沈む。 「ああっ」 王女の身体が弓なりに撓る。 リオウは欲望の赴くまま激しく突く。何度も何度も…… ———今、僕たちは王女と楽士ではない……僕たちは共犯者だ。 繋がった部分が熱い。 繋いだ掌が熱い———ー 「ご免…なさい……リ…オウ……」 王女の瞳から涙が溢れる。 ———私は何と残酷だったのだろう。 自分の手を汚さず、常にリオウに押し付けてきた。 嫌な事からは目を背け、全てリオウに任せてきた。 そして、今それが自分に返ってくる。 人を殺めた——あの人を殺してしまった。リオウの一番近しい人を奪ってしまった。 「ああっ…ごめ…………はあっ、あああああっ」 月下に王女の嬌声が響く。 ———お願いリオウ、もっと強く貫いて、私を罰して…… Op.5-6 夜明け前 薄い夜着の裾から水滴が落ち、床に溜まりを作る。 間もなく朝を迎えようとする最も闇の深い時刻、幽鬼のような楽士に抱き抱えられ、王女は帰城した。 楽士の腕の中で眠る濡れそぼつ王女。薄布がその身体にぴたりと張り付き、滑らかな大腿部の曲線、柔らかそうな胸の膨らみ、更にはその色付く先端が見て取れる。 それから————、水を含んだ夜着に残された不吉な淡い影、忌まわしい血の染み。 出迎えた者達は王女の帰還に安堵し、そしてその姿に不安の表情を覗かせる。 「姉上、まさか怪我を……」 「おいっ、姫は無事であろうな」 生気を失った顔と夜着に残された血痕が不祥を連想させる。 「ご安心下さい。姫にお怪我はありません」 楽士が即座にそう告げ、声を荒げる王子とその従兄を宥めた。 「そうか、直ぐに部屋を用意して、着替えさせなければ……エミリオ、部屋の用意だ」 濡れた着衣に体温を奪われたのだろう、王女の身体が小刻みに震えている。王子はその身体を受け取ろうと手を差し伸べるが、楽士はやんわりと拒絶の態を見せた。 「王女は僕が部屋までお連れしましょう」 楽士の歩みと共に水を吸った革靴が奇妙な音を立て、濡れた足跡を残す。肩の傷が痛むのか偶に蒼白い顔を顰めるが、王女の身体を抱いた腕を緩めることは無かった。 不意に楽士の肩に誰かが手を置き、傷口の傍に置かれた指先にじわじわと力を込める。 「正に疲労困憊といったところだな。肩の傷も痛むのであろう? 無理せず姫を渡したらどうだ」 苦痛に歪む楽士の顔を眺めながら、エドガーは王女の身柄を要求する。 王女を奪おうと伸ばされた無骨な手から逃れ、楽士は王女の身体を抱く腕に力を込めた。 二人の視線が絡み合う。 楽士の腕の中で震える王女。 そして、重い沈黙。 「二人とも何をしている。姉上に風邪を引かせる気か!」 王子が焦れた声を上げ、二人を制した。 エドガーが先に緊張を解く。 「フン、上衣の一枚も掛けてやらんとは気のきかぬ奴だ」 彼は楽士を睨め付けたまま王女の身体にそっと上衣を掛けた。 楽士は薄暗い廊下を進む。水を含んだ足音。 王女の髪に絡んだ一葉が濡れた床に落ち、エドガーがそれを踏み躙る。 「全く楽士風情が……」 Op.5-7 白い闇 張り出した枝が薄汚れた布を奪い、鮮やかな赤毛を夜風に晒す。前髪が垂れ、汗の浮かんだ額に張り付くが、男はそれを払おうとはしない。 暗い森の中、盲であるかのように覚束無い足取りで草薮を進む。 「はぁ……はぁ、はぁ……っ」 苦痛に歪む顔と滴る汗、耳障りな荒い呼吸、それから——掌で押さえた腹部から滲む深紅。手負いの獣が死に場所を求め彷徨う。 縺れる足。 白い靄が視界を奪う。 ———あれは……白い……し…ろ…… 倒れ込んだ身体が白い花弁を散らす。白い花びら、ひらひらと舞う。 いいえ、あれは真っ白い——蝶々。白い蝶々、ひらひらと舞う。 白いちょうちょう、ひらひら。 しろいちょうちょう、ひらひら、ひらひら、ひらひら———— * 白い蝶の先導で丘に駆け上がると視界が一気に開けた。 空はどこまでも青く、海原はどこまでも碧い。空と海が溶け合い一面の蒼が広がる。 純白の羽を思わせる絹雲が青天を漂い、凪いだ海面には船が残す白い澪、空と海の間で白い海鳥が楽しげに歌う。 海を渡る風が未だ幼さの残る少年の頬を撫で、乱雑に切られた赤い髪を揺らした。 振り向くと、白い野の花で飾られた丘を息を切らし上ってくる仲間の姿がある。 人形のように端正な顔立ちをした二人の子供。 その手が確りと繋がれていることに気づくと、少年は顔を顰めた。 「何だよ、アイツら……」 晴れやかな気持ちが一瞬にして曇る。 いつの間にか空に広がった白い雲。 先程まで先頭を競っていた黒髪の少年は、遅れ勝ちであった少女の手を取り、まるで一対の存在であるかのように寄り添っている。 ———ナンダヨ、ナンダヨ。 胸の中で何かが蠢く。 強く握られた二人の手。息せき切り、近づいてくる仲の良い二人。 雲に覆われた白い空、足下に広がる白い花。 胸の中の何かがざわめく。 「遅えよ、リオウ。姫みたいなグズなんて放っとけよ」 二人に放たれるのは毒を含んだ言葉。 「ジーン……」 彼は彼女と繋いだ手に力を込め、それから少年へ哀れみに似た表情を向ける。 辺りを覆う白い靄。 ———ナンダヨ、ナンダヨ、ナンダヨ…… 漸く息を整えた少女の唇が静かに開く。 「……ジーンは、私が嫌いなの?」 視界を奪う白い霧。 「ああ、嫌いだよ」 目の前の哀しそうな顔————真っ白な世界。 ———姫なんて嫌いだ…… 姫なんて何もできないくせに…… (俺に微笑んで) 姫なんて足手まといのくせに…… (俺と手をつないで) 姫なんて……姫なんて…… (俺の側にいて) ………… …………リオウが…………悪い…… 「お前が姫の騎士になっちまったから、俺は道化になるしかなかったんだ!」 白い蝶々、ひらひら。 瞼が酷く重い。視界が白く滲む。 白い、白い世界———— そこを確りと手を繋ぎ、駆けて行く二人の子供。 ———お前達、俺をおいて行くなよ…… 世界は白で蝕まれて行く。白い闇が男の意識を優しく包み込んで行く。 しろいちょうちょう、ひらひら、ひらひら———— 誰かが男の頬にそっと触れる。 ひらひら、ひらひら———— 『ねえ、ジーン……眠っちゃったの?』 Fortsetzung folgt
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「ギュ、ギュラモン?もしかしグラモンですか?あの、グラモン元帥の?」 沈黙を破ったのは王女だった。さすがに沈黙に耐え切れなくなったのだろう。 頬を引きつらせながらギーシュに聞く。 「ひゃ、ひゃい!むしゅこでございましゅ。姫殿下」 当然声を掛けられギーシュは驚いた様子だったが力強く声を返し一礼する。 ギーシュは顔を赤く染めている。私が殴ったことや歯が折れたことは後回しに決めたようだ。 しかしあれだな。基はいいが鼻血と折れた歯じゃ格好がつかないな。唇も腫れてきてるし。 「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」 「任務の一員にきゅわえてくだしゃるなりゃ、きょれはもう、望外のすぃあわせにぎょざいます」 ギーシュの言葉に王女は微笑む。聞き取りづらくても大体わかるからな。 「ありがとう。お父さまも立派で勇敢な貴族ですが、あなたのその血を受け継いでいるようですね。ではお願いしますわ。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」 「ふぃめ殿下がぼくのにゃ前を呼んでくだしゃった!ふぃめ殿下が!トリしゅテインの可憐にゃ花、びゃらの微笑みの君がきょのぼくに微笑んでくだしゃった!」 ギーシュは喚きたてるのと後ろに仰け反り気絶してしまった。こいつここまで王女に心酔してたのか? ギーシュだけでなく他にもこういった奴が多く居るなら王女のカリスマは凄いな。 とりあえずこの場に居る全員がギーシュを無視する。 「では、明日の朝、アルビオンに向かって出発するといたします」 ルイズが王女に宣言する。 「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及びます」 「了解しました。以前、姉たちとアルビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」 「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、あなたがたの目的を知ったら、ありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょう」 もうなにも思うまい。もしこの王女に何か言える立場にあっても何も解決しそうにない。 要するにバカなんだ。王女もルイズもギーシュも…… バカは死なないと治らないからな。 王女は突然机に座り羊皮紙と羽ペン(ルイズの物だ)を使いなにやら書き始める。 王女は書いたものを見ると悲しげに首を振る。もう王女を見る目が凝り固まっているのか何から何までうそ臭く見える。 第一印象でここまで人を見る目っていうのは変わるものなのかね? 「姫さま?どうなさいました?」 王女の表情を見て怪訝に思ったのか、ルイズが声をかける。 「な、なんでもありません」 王女は顔を赤らめると、頷きさらに何かを書き足し、なにか呟く。 生憎この位置では何を言っているのかは聞き取れなかった。興味なんてないがね。 王女は羊皮紙を巻くと杖を振る。すると巻かれた羊皮紙に封蝋がされる。羊皮紙は手紙のようだ。 王女がルイズに手紙を渡す。 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」 そう言うと王女は右手の薬指にしていた指輪を引き抜くと、ルイズに渡す。 「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が心配なら、売り払って旅の資金にあててください」 ルイズは指輪を受け取ると深々と頭を下げた。 「この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなたがたを守りますように」 ガキに未来を任せるなよ……
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パパラッチ:英国王女(Paparazzo - The Highness) パパラッチ:英国王女(Paparazzo - The Highness)概要 ミッション攻略 ゴールドメダル取得条件 動画 概要 「パパラッチ:代役」のミッション完了後、マップに緑色の円が二か所表示され、東側の円内に入るとこのミッションがスタートする。北側の円内に入ると「パパラッチ:堕落」がスタートする。 イギリス王女がハッパを購入する決定的瞬間をカメラに収める。 ミッション攻略 ビバリーの知り合いに会い、話を聞く。 建物裏はガードマンの警備が厳重なため、建物左側にある青いゴミ箱から屋根に上る。 屋根に登ったらスマホのカメラを起動。屋根から落ちなければ上から堂々と撮影してもバレない。 王女が取引相手としばし雑談。その後ガードマンと取引相手の男が受け渡しをするので、その瞬間を携帯のカメラ(Snapmatic)で撮影。 撮影した写真をビバリーに送信し、ミッション完了。王女側の車はランドストーカー。売り手はバッカニア。 取引が終わると解散するが、車に乗る前に銃撃戦にすれば全滅も可。車も手に入る。王女だけは倒すと失敗する。 ゴールドメダル取得条件 サイレントスナッパー気づかれないように王女の写真を撮れ 屋上から撮れば確実。撮った後は念のため屋上中央に隠れる。 ロイヤルドラッグクスリを買う瞬間に王女の写真を撮れ 同上。タイミングを見計らって撮る。 動画 前「パパラッチ:堕落」へ 次「パパラッチ:リアリティー」へ
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人類の役職一覧 ※空き→現在枠が空いている役職 ※不明→埋まっているのか空いているのかが不明な役職 王・女王(限定役職) 王子・王女(限定役職)王子・王女のキャラクター 側近(限定役職)側近のキャラクター 王族護衛王族護衛のキャラクター 貴族貴族のキャラクター 王族騎士団 国軍 冒険者 市民 関連項目 王・女王(限定役職) 王・女王のページへ 王子・王女(限定役職) 王族であり、王・女王と家族関係にある人物。 直接の血縁関係がある必要はなく、むしろ無いキャラしかいない。 王子・王女のキャラクター 西洋王子A:フーリ 西洋王子B:エルトベーレ 西洋王女A:不明 西洋王女B:セタリア 東洋王子A:不明 東洋王子B:朱華 東洋王女A:李 繚蘭 東洋王女B:不明 側近(限定役職) 部下の中でも特に王・女王に近い立場で仕事を行う人物。 執政に関わっているかなど、具体的に何をしているかは不明。 側近のキャラクター 西洋ファデラ・エボルブルス クロム・アルベルト(シエル・クロムハーツ) 他3名不明 東洋煉 シャルナカ 他3名不明 王族護衛 要人の中でも王族クラスの高位者を護衛する人物。 王族騎士団とは別の枠組みに入っており特別な扱いを受けている。 王族護衛のキャラクター ここにキャラを追加してください。 貴族 国政に関わっていはいないが特権階級に属する人物。 現実の貴族と同じく特有の称号や爵位などがあるのかは不明。 貴族のキャラクター ここにキャラを追加してください。 ハイデッカー 王族騎士団 王族騎士団のページへ 国軍 国軍のページへ 冒険者 冒険者のページへ 市民 市民のページへ 関連項目 世界観/西洋人類領 世界観/東洋人類領 魔族/役職(魔族)
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名前:フレイヤ・アマテラソル 種族:ウルガモス 性別:女 年齢:14歳 誕生日:3月2日 星座:魚座 血液型:O 身長:165㎝ 体重:54㎏ 出身:デルソーレ共和国 職業:陽光一族王女、陽光の巫女 所属:ルナクロスソル 好き:太陽の光、彼岸花 嫌い:暗い所 趣味:占陽術で人を占う事、太陽を見ながらの瞑想 特技:占陽術、念動力 武器:サン・ペンデュラム 持ち技:こちらを参照(執筆中) Pixiv:http //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium illust_id=28587567 人物: 昆虫人型ウルガモス「陽光の一族」の王女。 陽光の力を操る巫女でもある。 王女特有の気品さと礼儀正しさを持ち合せ、貴族口調で話し実年齢とは思えない。 性格は基本的に温厚で冷静。 王女としての身分、ギルドメンバーからはとても気を遣われているが本人は気にしていない。 皆が呆れるはずのガーネラス姉妹の様な大食いやイタズラを微笑ましく思ったり、誰も受けない様な寒いギャグで笑ったりとズレたと所もある。 来歴: 陽光の一族第3232代目王女として誕生。 幼少時代から王族の勉強や巫女としての修業をしながら1日を殆ど王宮の中で暮らしていた箱入り娘だった。 7歳の頃に正式な陽光姫の銘を母親から継承し、証としてアンクレットを授かる。 12歳の頃陽光妃を継承する者は試練を受けると言う王族の掟に挑戦する為、数人の家来と共に故郷を出発した。 武器 【サン・ペンデュラムウィップ】 菱形に加工した小さな瑪瑙の魔石を装飾した指輪型のペンデュラム。 リングの中の空洞には「念糸(ねんし)」と言う念動力で出来た糸状の物体が収納されており、どこまでも伸びるし切れてもすぐ修復され繋ぎ直る。 チェーンは鞭の様に叩いたり敵を拘束したりする事が出来る。 装備品 【陽光姫のアンクレット】 ソル・カーネリアンと言う宝石を装飾した金のアンクレット。 呪いを退ける力があり、王女に災いが降り掛からぬ様、初代の陽光の王女が身に着けていた。 王位昇格儀式の時、陽光の一族の王族の女性が王女から王妃に昇格する際に、 次期王女となる自らの娘に王女の証と譲り受ける事が初代から代々受け継がれている。 フレイヤも前代の王女であった母上から譲り受け、左足に身に着けている。
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セタ・ロスティフンケ・フシミさん 戻る タイトル 登場ACE・ゲスト 王女邂逅 ぽち王女(旧) 王女再会 シロ宰相、ぽち王女(新) 1)07/10/30 ぽち王女(新)、シロ宰相 2)07/11/20 ぽち王女(新)、シロ宰相 3)08/01/29 ぽち王女(新) 4)08/02/06 シロ宰相 5)08/04/03 帝国第二王女(クロ・エプイスペン・フシミ) 皇帝登場 伏見登壇 クロ・エプイスペン・フシミ、帝國皇帝ハルバート 皇帝の昼休み クロ・エプイスペン・フシミ、帝國皇帝 7)08/08/18 クロ・エプイスペン・フシミ決戦号(DAIAN) 8)08/09/30 クロ・エプイスペン・フシミ秋津隼人、本郷義明、蒼龍号(DAIAN) 天球市にて/一枚の絵のように クロ・エプイスペン・フシミ 王犬狂想詩 クロ・エプイスペン・フシミヌル(旧伏見藩国王犬様)コガネマル(旧奇眼藩国王犬様)ヌル・ツー(王犬様) 美術館の休日 クロ・エプイスペン・フシミ、美術館館長 天球市にて/藩王夫妻の装い クロ・エプイスペン・フシミ たわいない時間 クロ・エプイスペン・フシミ 忘れえぬ誕生日 クロ・エプイスペン・フシミ、ポチ王女 職人と指輪、乙女心 クロ・エプイスペン・フシミ、指輪職人 王と王妃と騎士と クロ・エプイスペン・フシミユイカ・キングダム タイトル 登場ACE・ゲスト アシタスナオ主催によるアルカランド紀行(前半) 携帯版(その1) 高原アララ水着ふみこミュンヒハウゼン堀口ゆかり アシタスナオ主催によるアルカランド紀行(後半) 携帯版(その2) 携帯版(その3) タイトル 登場ACE・ゲスト 蒼穹の敵 携帯可 蒼穹号 蒼穹会合 DAIAN(蒼穹号) 精霊介入 TAGAMI、DAIAN(蒼穹号) タイトル 登場ACE・ゲスト 技術懇親会・ウォードレス編 その1 携帯可 善行忠孝、青森恭平、浅田遥ロバート・A・タカハシ谷口竜馬 技術懇親会・ウォードレス編 その2 携帯可 星鋼京へ 生活ゲームページへ
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シリウス・フィーナ 「難病に苦しんでおられる、隣国の姫で絶世の美女とまで呼ばれてる。ジャック兄さんとは婚約する筈だったんだけど――その容態では、后には向かないと医者に……」 マリックは、私たちにそう教えてくれた。 「そっか……そのために……」 ジャックと一緒にいた少年は、少し寂しそうに答えた。まるで、そんなことを聞かされてもいなかったかのように。 「……お前こそ、折角美人なカトリーヌ王女を娶るんだから、大事にしてやれよ。……怖いかもしれねぇけど。あれでも大切な、マリアンヌの妹だ」 ジャックはマリックにそう伝える。マリックを見つめるその目は真剣そのものだった。 マリックは何も答えない。 地面ばかりを見つめている。 ……と、その時。上空からバラバラバラ……と大きな音がした。上を見上げると、どうやらヘリコプターのようだ。 「……やーーっと見つけたわよ!マリック!このわたくしから逃げようなんて、良い度胸ね?」 女性の人の声が大きく上空から聞こえた。その女性は遠目で見ても高級感のある目立つようなドレスで身をまとっている。 「げえっ……カトリーヌ!」 マリックは、ひどく驚いて彼女の名前を呼んだ。カトリーヌ……ということは、カトリーヌ王女……? 「そう!わたくしの名前はカトリーヌ・シャルル・マルラン!マルラン公国第5代目王女よ!」 叫ぶ事にもはや疲れたのか、メガホンで私たちにそう告げる。 「「そ、そしてまた長……」」 私とルーラはマリックの時と同じような反応をする。 カトリーヌ王女は、メガホンを使うのも煩わしいようでヘリコプターのはしごから降りてくる。 しかし、そんな長くてボリュームのあるドレスでちゃんと降りれるのか不安になった。 そして、案の定 「あっ!」 ……カトリーヌ王女は、はしごから足を踏み外した。 「危ないっ!」 私たちが動くよりも先にマリックの身体が動いた。 マリックがカトリーヌ王女の身体を受け止める。 カトリーヌ王女は、マリックの勇士により一命をとりとめた。 「……一度はわたくしから逃げたのに……どういうおつもりなの?」 カトリーヌ王女は、マリックに抱きしめられて少し顔を赤らめながらそう言った。 「……逃げたのは、君のせいじゃないよカトリーヌ……僕の弱さのせいさ」 マリックは、カトリーヌ王女の前では今までの様子とは違う表情を見せた。 「謝るよ……そして、君たちにもごめん。僕はどこか、カトリーヌにはないルーラちゃんの純粋さに甘えていたようだ。 騙すようなことをして、本当にごめん」 マリックは弱々しく、そう謝る。 少しルーラを弄んだっていう事実は納得できないけど……こうやって、カトリーヌ王女と仲直りできたならそれ以上は何も言わないことにした。 「私はまだ、恋愛なんてわからないけど……カトリーヌ王女は、純粋だよ」 今まで黙ってマリックとカトリーヌ王女の様子を傍観していたルーラがそう言った。 「だって、こんなに遠くの国の街にまでたった一人で来るんだもん。よっぽど、あなたに会いたかったんだよ。それを純粋なんかじゃないって言うのは失礼だよ……?」 ルーラは、いつもバカなことをやっているいつものルーラとは違う……真剣に、そして自分の言葉でマリックと向き合い、考えた言葉を言った。 マリックは、ルーラから受け取った言葉の意味を少しだけ考えて 「……そうだよね。カトリーヌは……何だかんだいって、僕の大事なお姫様……」 マリックはそう自分に言い聞かせるように私たちにそう告げた。 「……ルーラちゃん。僕のものにはならなくたってもいい……でも友達なら、なってもいいかな?まだ間に合うかな……?」 「おまえ……!女の子にあんなことしといてまだっ」 青緑の長髪の少年がマリックの発言に食いつき、今にもまた飛びかかりそうだ。 そんな少年を、私は止めた。 「こら。……ここはあんたの出る幕じゃないわよ。……これは、ルーラの決めることなの」 私がそう少年を静止すると、少しだけ不機嫌そうな顔をしてから引き下がった。 「……もっちろん!……ねえ、結婚式には呼んでよね!」 ルーラは、いつも私に見せるような満面の笑みでマリックのその発言を受け止めた。 「……ありがとう、感謝するよ。君たちのことは忘れないよ、絶対!……この痛みも」 マリックは、私たちとルーラに笑顔を返すようにそう言った。 そして、カトリーヌ王女がマリックの発言に続くように 「……わたくしのマリックが、ご迷惑おかけしました。是非結婚式典には来てくださいね。 招待状は……そうね、今日会った事実を証明するためにも皆様で写真でも撮りましょうか」 と言った。 そして私たちは、海とヘリコプターを背景に、最後列にジャックと青緑髪の少年。 カトリーヌ王女と、マリックが最前列真ん中に。私とルーラは最前列の王女たちの隣。 その位置で写真に収められた。 写真を撮ったあと、王女とマリックの二人はアルフレド王国、マルラン公国へとそれぞれ帰っていった。 【NEXT】予感と胸騒ぎ4 【BACK】予感と胸騒ぎ2
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森の奥に流れる川 ジ:… その辺の岩に腰をかけ、静かに流れる川を見つめるジャング。 ウ:おゥ。やっと見つけたぜェ。 ウミナギはジャングを追ってきていた。 ジ:…何だ?一人にしてくれって言ったはずだ。 ウ:お前らの関係ってさ、なんつか…不思議なんだよなァ。 ジ:お前ら?誰とのことだ? ウ:ネクリアだ。仲間っていうには…ちょっと奇妙だ。 ジ:どう奇妙なんだ? ウ:細かくはわかんねェよ。でも、仲間じゃないみたいだ。どちらかと言うと…敵対してる。 ジ:…敵対…か。 ウ:ま、俺の勘違いかもしれねェけどな。 ジ:…いや、あながち間違いではない。 ウ:あァ?そうなのかァ? ジ:俺は…ネクリアを信頼していないのかもしれない。 回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ネクリアは城を離れ、カフェで優雅にコーヒーを飲んでいた。 ネ:(特に何もないし、そろそろこの国から出ようかしらね~。) ドガーーーン ネ:え? 突然爆発音と地響きが襲った。 ネ:(今の音…城!?) ネクリアが城を見ると、城の上部から黒煙が上がっていた。 住人:おいおい…王女は大丈夫なのか!? ネ:(たしかに…あれは危なそうね。ちょっと行ってみようかしら。) ネクリアは城の中へと入り、再び王女の部屋へ向かった。 ネ:(え!?) 爆発は王女の部屋で起こっており、扉も粉々になっていた。 ネ:これは…どうなってるの!? ジ:リッパー様!リッパー様ぁぁぁ!! 部屋の中で、傷だらけのジャングが血塗れの王女を抱きかかえていた。。 ネ:あんた…何があったの!? ジ:お前…さっきの… ネ:早く手当てしないと! ネクリアが王女に触ろうとすると ジ:触るなぁぁぁぁ!!! バシッ ジャングはネクリアの手を払った。 ネ:何するのよ! ジ:リッパー様に触れていいのは俺だけだ…誰も触れさせない…リッパー様は俺だけのものだ… ネ:そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?早く手当てしないと…手遅れになるのよ!? ジ:触れさせない…俺だけのものだ…誰にも… ネ:あーもう!どきな! ドンッ ネクリアはジャングを突き飛ばした。 ネ:(これはひどい出血…早く医者に見せないと本当にやばいわね…)あんた、医者連れてきなさい! ネクリアが呼びかけても、ジャングは反応しなかった。 ネ:ちょっとあんた!聞いてんの!? ジ:俺のリッパー様に…手を出すなぁぁぁぁ!! ジャングはネクリアに斬りかかった。 ネ:ぃたっ!あんたねぇ!だからそんなことを言ってる場合じゃ… ジ:俺の…リッパー様…俺の… ネ:(まともに話せる状態じゃなさそうね…)悪いけど…『月の光線!』 ビィィィーン ネクリアの放った光線は一直線にジャングに伸びていった。 ネ:(これで眠ってて…) スッ ジャングは前かがみになって光線を回避し、そのまま突っ込んできた。 ネ:ちょっ!? ジ:リッパー様に…手を触れるなぁぁ!!『ナイフ微塵斬り!』 ジャングは連続で斬りかかってきた。 ネ:『土の城壁!』 ネクリアは土の壁を作り、ジャングのナイフを防いだ。 ジ:この壁…邪魔なんだよぉぉぉぉ!! ジャングは力を増し、壁を砕いた。 ネ:(まずい!…斬られる!) ジャングは裏手にナイフを持ち、手を大きく上にあげた。 ジ:その手を離せぇぇぇ!! ネ:(くっ!) ネクリアは目を瞑った。 ザクッ ネ:痛……くない? ネクリアがゆっくり目を開くと、王女がネクリアを覆うように盾になっていた。 ジ:リッパー…さま…? ジャングのナイフは王女の背に刺さっていた。 王女:おやめなさ…い… ジ:あ…あぁ… かしゃん 王女に刺さったナイフは地面に落ちた。 王女:怪我は…ない? ネ:え?ええ…それより、早く医者に… 王女:いいわ… ネ:でも! 王女:ジャン…グ… ジ:リッパー様!! ジャングは王女を支えた。 ジ:申し訳ありません…リッパー様… 王女:あなたが…責を負う必要はありません…これは…運命… ネ:ねぇ、何があったの?一体誰が… 王女:わかりません…でも、私の行いをよく思わない者も…いたのでしょう… ジ:そんなことありません!リッパー様のすることに間違いなど… 王女:私もそう信じてここまで来ました。でも… ネ:…犯人を探すわ。探して見せる。 王女:その必要はありません… ネ:でも、このままじゃ… 王女:言ったでしょう…これは運命…定められた道。変えることはできない… ネ:運命なんて自分で切り開くものよ!定められてる道なんかじゃない! 王女:ふふ…最後に…あなたのような人に出会えて…よかった… ジ:リッパー様…リッパー様ぁぁぁ… 王女:ジャング…今まで、ありがとう…あなたもまた新しい人に仕えて…そう、たとえば…この人のような、素敵な…人に… 王女は、そこで息絶えた。 ジ:リッパー様ぁぁぁぁぁぁ!!! それから数日後 町はずれの倉庫 人:ま、待ってくれ!殺さないで… ネ:殺さないで?よくそんなことが言えたわね。 ジ:リッパー様を死に陥れたお前は…ここで果てろ。 人:ひ… ネクリアとジャングは爆発を起こした犯人を探し出し、跡形もなく消し去った。 倉庫の外 ネ:あんた、この先どうするの? ジ:…わからない。リッパー様を失った俺には、何も残っていない。 ネ:そう…。だったら、あんたさ…私と一緒に来ない? ジ:…何? ネ:何も残ってないなら、私と何か残るものを創りましょう? ジ:お前とだと…?断る。俺はリッパー様にしか仕えない。 ネ:別に仕える必要はないわ。仲間になりましょう?私ね、あんたのこと、気に入ったのよ。 ジ:仲間…? ネ:ええ、あなたも一緒に来てくれると思うんだけど?世界征服の旅。 ジ:世界征服?くだらないな。そんなもの出来るはずがない。 ネ:出来るはずがない。でも、誰かがやらなきゃいけないのよ。この世から…犯罪者を消すの。 ジ:犯罪者を…消す… ネ:あんたも悔しいでしょ?あんな奴らの所為で…王女のような素敵な命が失われていくの。私は、それを黙って見ていられない。あんたは? ジ:……俺もだ。犯罪者どもが蔓延るこの世界を…変えたい。 ネ:それなら決まりよ。…一緒に来なさい、ジャング! ジ:…一つだけ覚えておけ。 ネ:何よ? ジ:俺は、決してリッパー様以外の奴に忠誠は誓わない。 ネ:構わないわ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ハ:なるほどな~。せやからジャングはんは手下になるんを嫌がったんやな。 ネ:すっかり忘れてたわ。悪い事言ったわね… ガサッ ジャングとウミナギが帰ってきた。 ネ:あら、おかえり。 ジ:ああ。 その場はしばらく沈黙だった。 ジ:ネクリア。 その沈黙を破ったのは、ジャングだった。 ネ:ん、ん? ジ:いつか…お前をもっと信頼して、この身を完全に任せられるようになったら……側近にくらいはなってやるよ。 ネ:ジャング……。わかったわ。待ってるわよ。 ジ:…そろそろ出発するか。 ネ:そうね。 ネクリアたちは、静かに歩きだした。 続く 前の話 次の話 2011年2月28日作成
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イベント/ボス 時間 名称 LV制限 回数 出現場所 24時間開放 夢霊王女 15~25 無限 オネイロスの池 全ch? 14 00、19 00ポップ 森の蛮王 24~34 無限 アトラス山脈 1ch 14 00、19 00ポップ 峡谷の竜王 31~41 無限 デバイ峡谷 1ch 14 00、19 00ポップ 氷雪女王 40~50 無限 氷鏡城2 1ch 14 00、19 00ポップ 万噛花 55~60 無限 アビスの深淵 1ch 全chで出現? ▼コメント 1ch以外でもボス見たぞ - 名無しさん 2011-08-05 03 28 45 1ch 以外でもbossを見ました 出現条件はわかりません - 名無しさん 2011-08-05 15 23 18 さっき2chで夢霊王女始末しました。Lvは20。(私はLv25) - 名無しさん 2011-08-07 19 47 36 追記:場所は表の通りオネイロスの池で X103 Y75 にボンヤリと突っ立ってました。場所固定かどうかは不明です。 - 名無しさん 2011-08-07 19 51 16 夢霊王女は倒されて30分後に湧きかな - 名無しさん 2011-08-17 23 49 19 夢霊王女のみ全ch。他は1ch限定 - 名無しさん 2011-08-18 15 42 54 検証した結果、夢霊王女の湧き時間は35分 - 名無しさん 2011-08-23 15 43 11 夢霊王女って30分~35分くらいで湧き時間変動ある気がする - 名無しさん 2011-08-23 16 17 34 出現場所はわからないから根気よく待つしかないんですね? - 名無しさん 2011-08-26 20 43 33 さっき2chで夢霊王女始末 x100y70辺りにPOP - 名無しさん 2011-10-04 04 42 45 別wikiでも見ましたが、夢霊王女は2ch以外での目撃情報が無いので恐らく2ch限定かと - 麻兎 2012-08-26 04 17 24 夢霊王女沸き場所がx100y70付近が多いため、x100y70付近で待機していれば良いと思います - 追記 2012-08-26 04 19 56 名前 [PR]