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終章-第一幕- 新たなる因子 第三十章-第五幕- 終章-第二幕- イグジスター戦争を生き抜いた者達は、それぞれの生活に戻る。 勿論勇者軍や魔神軍の者達も例外ではないはずなのだが、 ほんのごくわずかな例外として、アンリ姫、アイゼンカグラ、 そしてイノとレオナが一堂に会していたりするのであった。 ここはダイギン共和国のとある総合病院である。 数多い戦いの中、運良くまったく損壊せずに残っていた施設であり、 傷病者の多くがここに運ばれていた。ノーラなども 一時的にここで治療任務に従事しているが、 アンリ姫とアイゼンカグラは、イノとレオナの 血液検査の結果を見て唸っていたりする。 周囲には勇者軍研究部の人員もちらほら見られており、 事はなかなか重大なようであった。 「で、何が分かったッスか? アンリ姫」 「うむ、これがいわゆるエナの父親と同じ 『純血者』の遺伝子構造なのじゃ」 ぺたり、とDNAの拡大写真を貼る。 それは文字通りエナの父親のものだったりするのだが、 まあそれはどうでもよい事である。 純血者とはアルファ=ストレンジャーの遺伝子を内包しない 純『地球』型の人類である。混血していないと言えば理解は早い。 「で、これがわらわ達のようにアルファ=ストレンジャーの 因子を内包した人類のDNA構造なのじゃ」 ぺたり、と先程とは違うDNA写真を貼る。 これはアンリ姫そのものの遺伝子だったりする。 「以後、これをα因子内包遺伝子と呼ぶのじゃ」 つらつらと解説する。 「で?」 イノはあくまで冷静だ。 「で、最後にこれがそち達二人の因子じゃな」 ぺたりぺたり、と二枚のDNA写真を貼る。 これまた、大きく違う形をしており、大別出来そうな感じだ。 「これを以後、D因子内包遺伝子と呼ぶ。 つまり、そち達魔神軍のメインメンバーは皆、 今の人類とはまったく違った人間になったのじゃ」 「ほえー」 実感が湧かないのか、形だけは驚いてみるレオナ。 一応魔神王から説明があっただけに、心の準備も何もないものだ。 「じゃが、心配は要らぬ。魔神王が先に語ったように 人類としての機能には何の影響も無いようなのじゃ。 それどころか、α因子を持つ人間との交配も可能じゃぞ」 と、あっけらかんと笑う。 「……それは純血者、α因子、D因子、そして両方を内包する ハイブリッド・ヒューマンが産まれ、育って、広がる可能性が 示唆される、という事でいいのかしら?」 「そうなる可能性は高いと思われます」 イノの質問にはアイゼンカグラが答える。 「あなた達魔神軍が勇者軍と同じ規律をもって動くと前提し、 カウンターとして機能し続けることを前提に存続していくなら、 ほぼ確実にそうなる、という方が正しいかもしれません。 つまりあなた達六人の存在は、惑星アース人類の未来を変えます。 その覚悟が無いなら、跡継ぎを作るのも、 魔神軍の存続もやめるべきかと」 アイゼンカグラがそこまで言うと、 イノはすっくと椅子から立ち上がる。 「くだらない」 「わっ、ちょっとイノちゃん、待つッスよ」 さっさと退室しようとするイノを慌てて追うレオナ。 「くだらない、とは?」 アイゼンカグラがわざと険悪な感じで問う。 「勇者軍のカウンターとして機能する事なんて、 行動の結果に過ぎない。私は私として、 私の思うままに生き抜くだけ。 それを妨害するなら勇者軍との共闘も敵対も辞さない。 覚悟とか、責任とか、私には考えてやらなきゃならない事情は無い。 ただ、この地を踏みしめる者として、私はもう行く」 そう言うと、イノはドアを開けて去ろうとしたが、 一応一回だけ振り返って、アンリ姫に向けて言う。 「一応調べてくれたことには礼を言う。 けれど、それが原因で私の道を阻むなら、叩き潰すから」 「ちょっとイノちゃん! ご、ごめんッスよ、アンリ姫! それじゃ!」 それだけ言って、イノはさっさと退室していった。 レオナも慌てて後を追う。 「やれやれ、育てた親が悪いのか、随分と頑固な事ですね」 育ての親がアレ(エッセ=ギーゼン)なのを知っていて わざとそれを言い、肩をすくめるアイゼンカグラ。 やはりというか、毒舌は相変わらずだった。 「メゴ、それを言ってはウチの隊長にも失礼なのじゃ。 親が親なら子も子とはまさしくウチの隊長の事じゃぞ?」 「まったくですとも」 言ってカルテや写真を資料としてしまいこむアイゼンカグラ。 もちろん病院側にもコピーなどを渡しているので、 今後の研究もしくは治療にある程度は役立ってくれるだろう。 α因子、D因子が存在することそのものは問題ではない。 それらが交配しようとしてハイブリッド・ヒューマンとなるか、 遺伝子的に相殺し合って消滅するかは やってみなくては分からないのだ。 恐らく大丈夫だとは思うが、すぐに結果が出ないだけに 惑星アース人類、いやイノ達にとって頭の痛い問題のはずだった。 病室で黄昏れていた二人だったが、 その静寂は三十秒ともたなかった。 ぼばん!! 「はわ!?」 いきなり室内で巻き起こる爆炎。 椅子から転がり落ちるアンリ姫を まったく無表情と無言で支えるアイゼンカグラ。 「姫様、大丈夫ですか?」 と言いつつ、視線は爆炎の方からまったく逸らしていない。 そして炎が消えると、そこには何故か一部ボロボロの ホムラ=クロカゲが立っていたりする。 「何じゃ、クロカゲではないか。一体どうしたのじゃ?」 「……すまぬ……治療……頼む……」 見てみると服のあちこちがボロボロだ。 自慢(?)の鬼瓦のような仮面だけは死守したようだが、 ビリビリに破けてノースリーブのようになっているし、 足は足で着衣が破れてショートパンツみたいになってしまい、 ニンジャとしてはいささか格好の悪い事になってしまった。 更によく見れば腕には打撲、足首を捻挫しているようである。 「クロカゲさん、あなたほどの使い手がこんな無様に負傷とは、 一体どこでそんな敵と戦ってきたのですか?」 アイゼンカグラがまた毒を吐いた。さらりと『無様』と言われ、 若干だが、納得しかねるような様子で、 普段はかなり無口なクロカゲが、珍しく弁解する。 「我……この戦争……最終任務……受諾……!」 「最終任務? もうイグジスターはおらぬぞ?」 アンリ姫が露骨に訝る。 「ビラ配り……!」 「ビラ配り?」 ぽかーんとした顔で二人とも呆ける。 「……何のじゃ?」 「我、勝利と戦争終結、知らせる号外、配った……! 地下シェルターを開けたり……天空都市にも配った……!」 「あ、そういう事か。しかし紙で配布とはアナログじゃのう」 半ば任務内容に呆れ果てるアンリ姫。 「我……足、速い……口で説明するより、 目で見せた方……速い…… カイト……ウォルフ王子……二人で決めた……!!」 「なるほど」 状況をいちいちメモりながらアイゼンカグラが応対する。 「で、それがその怪我とどう繋がるのじゃ?」 「我……有名になり過ぎた…… この格好、目立たない、思った…… この格好、ビラ配り、目立つ…… すぐ、世界中で噂、なった……!」 どことなくしょんぼりしているようにも見えるクロカゲ。 「あ、これですね」 端末をいじってそれらしい情報を引き出すアイゼンカグラ。 そこには『戦勝のビラを配る鬼瓦の怪人現る!』だとか、 『シェルターを勝手にこじ開ける謎のニンジャ推参!』だとか、 酷い物は『焔の忍者黒影、来年八月全国ロードショー決定!』とか ほとんど三流ゴシップみたいなものまであったりした。 よほど見た目と行動のインパクト及び ギャップが凄かったのだろう。 「我……悲しい……我、静かに暮らしたい……!」 「クロカゲは可哀想なのじゃ」 よしよしと頭を撫でられるクロカゲは、 どことなく愛嬌があって見えた。 「で、人に見つかってもみくちゃにされてそうなった、と」 「そうだ……!」 「では、治療しますので、とりあえず足と腕出して下さい」 「…………」 何も言わなくなったクロカゲはどこか子犬のようにも見えた。 それがおかしくて、アンリ姫は内心で笑ってしまうのだった。 そう、復興は少しずつだが始まっているのだ。 そんな勇者軍や魔神軍の意思とは関係の無いところで。 <終章-第二幕- へ続く>
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きみのとなり【登録タグ き キコリノ 時雨ナオ 曲】 作詞:キコリノ 作曲:キコリノ 編曲:キコリノ 唄:時雨ナオ 曲紹介 時雨ナオ2周年おめでとうございます! 歌詞 穏やかに歌うぼくら ゆるい坂道駆け下りてく ずっとこのままでいられたらいいな ずっとだいすきな君の話 『みつけた。』 すみっこしゃがんでる僕を 覗き込んで君が笑う 『きみがしたいこと、しようよ』 差し出された手 ためらいなく重ねた 手を引いた君と笑う 「きみがしたいことが、したい」 君が作って僕がうたって 外が雨でも楽しいから 窓を開けて大きめの傘で 君のすぐ隣歩いていきたい 穏やかに歌うぼくら ゆるい坂道駆け下りてく ずっとこのままでいられたらいいな ゆっくりと過ぎてく時の話 またあした。いつも 手を振って別れた そのあとの寂しさ纏う 長い時間がこわいよ またあした。いつも 君が来るのを待つよ いつかきっと忘れられて またひとりになる日がくる 君が作って僕が歌って でもそれだけじゃ物足りないから 傘をください浅葱色の傘を きみを迎えに行く理由をください 楽しげに注ぐ雨玉 君をみつけて駆け出してく ずっとこのままではいられなくても しばらくは止まない雨の話 鮮やかに彩る日々 君の隣で歌う雨の日 「ずっと隣にいられるといいな」 いつもより素直な僕の話 コメント 名前 コメント
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第十八章-第一幕- 絶望、怨嗟、そして恐慌 第十七章-第三幕- 第十八章-第二幕- ロバートやイノ達幹部が反逆し、しかも勇者軍主力部隊が 押し迫っている中、エッセ教皇は珍しく焦っていた。 しかも外にはあれほどソルが警戒していたイグジスター達が わんさと迫り、既に別の入り口から中に入り始めているという。 これで焦らないのなら、肝が据わっているか、よほどの馬鹿かだ。 「ちいッ……予備養分として取っておいた人間達を処刑し、 ただちに埋めて魔神王様の復活を急がせる他、手が無いか。 もうすぐ復活するとなまじの情けをかけてやったのが失敗だった。 ターレットの予測した時間はもう間もなくだが、 今はイグジスターや勇者軍の撃退も急がねばならぬ!」 信者の一人を呼びつけるエッセ教皇。 「予備養分用に備えていた『贄の間』の者達を今すぐ絶命させなさい。 一人残らず養分とし、更に魔神王様の復活を急がせます!」 「はっ!」 信者が総員に指令を出すためにコントロールルームへと向かう。 更なる絶望と怨嗟が吹き荒れようとしていた。 「ふはは……魔神王様さえ予定通り復活して下されば、 イグジスターも、勇者軍さえも恐れるところではない。 誰がどう足掻こうが、最後に笑うのはこの私だ!」 いくらか冷静さを取り戻し、しかし確実に病んだ心で エッセ=ギーゼンは残虐な笑みを浮かべる。 そして遂にロバートが入らなかった『贄の間』では 既に多くの血が流れており、 今また新たな血が捧げられようとしていた。 「はーなーせー! 出しやがれクソ野郎共がー!」 「エカテリーナぁー! 俺はまだ死んでねぇぞー! 必ず帰るー!」 好き勝手にぎゃーぎゃー喚き立てる哀れな生贄達は、 完全に拘束され、今にも斬り殺されそうだ。 中には諦観から死んだような目をしている者もいる。 「悪いが生贄になってもらう。恨むなよ?」 「恨むに決まってるだろうがこのクソ野郎共! ふざけんな!!」 一際元気な生贄の男を信者が蹴る。 「ごっふ!」 「悪い事ぁ言わねぇ、死ぬ時ぐらいは静かにしとくもんだ」 「だ……れが手前ェ等の言う事なんざ聞いてやるか! 死ぬその瞬間まで俺は足掻きつくしてやる!! 支配者気取りのクズ共め、俺は決して屈しねぇぞオラ!」 「そうだそうだー! 生贄なら勝手に自分でなってろボケー!」 「貴様等に幸福な未来が許されていいわけねぇ、呪われろ、カスが!」 更に息巻いて猛抗議を繰り返す生贄に腹を立てる信者達。 「そうかい! ならせいぜい足掻いて死ねい!」 剣を振り上げる信者達。一気に全員が斬られようとした。 ボゴガン! すると、凄まじい音を立てて 『贄の間』のドアが木っ端微塵に砕けた。 黒煙の中から現れたのはイノ、ロバート。 そしてソル、ゲイリー、サキ、ターレットの面々である。 「教皇の事だからこれぐらいはやりかねんと思ったが、やはりか」 「一応足を運んでおいて良かったぜ」 ソルがむしろ納得したように頷く。サキも同調する。 「やい、俺の魔神王復活予測時間はあと一日を切っていたんだ。 だってのになんでわざわざそんな事する必要があるんだよ!」 「こうやって直に見るとひでぇもんだな……許せねぇ!」 ターレットとゲイリーが面と向かって信者達を非難する。 「ふん、裏切り者の幹部と幹部候補生が何を今更! 魔神王様の復活を急ぎ、イグジスターとやらを蹴散らすまで! 貴様等は指を咥えてそこで見ていればいい! 背信者共め!」 信者の一人が怒鳴り返すが、ロバートはもう聞いていない。 一人をすぐさま刺殺し、返す剣で二人を一刀両断にする。 その剣閃たるや、イノと戦った時とは別人のようだった。 そして彼は、叫ぶ。勇者軍主力部隊やエナがもし聞いていたなら、 それだけで感涙してしまいそうなほどの絶妙のタイミングで。 「怨念怨嗟をその身に纏い! 正義とのたまう悪鬼の者を! 命の摂理をその身に纏い! 悪を背負って俺等が討つ!! 豪放反逆ストレンジャー! 俺の逆鱗に触れた奴ぁ許しゃしねぇ!!」 いつものなびきマントがあれば最高に決まっていたのだが、 軽めの格好でスタイリッシュに決めるのも悪くは無い。 そうも思いながら、ロバートはその怒りを剣に込めた。 「格好いい……私もやりたい」 ぼそりと呟くイノを、じろりと睨むサキ。 「何? お前ああいうのやりたいのか?」 「い、今はいいの。またいつかね!」 指摘され、珍しく慌ててロバートの援護に出るイノ。 「……やれやれ」 ぼやきながらもそれに続く他四名。 「増援だ、増援を呼べーッ! 敵だーッがはッ!!」 コントロールルームに通信を送る信者。 「しまった、増援を阻止できなかったか……!」 ゲイリーが弭槍の矢で通信を行った信者を射抜く。 「全員薙ぎ倒すのみだ、めげるな、ゲイリー!」 「おうよ、ソル!」 二人のコンビネーションでかなりの数が薙ぎ散らされていく。 「拘束を解除しろ、ターレット!」 「護衛は任せるぜ、サキ!!」 腕を斬り、斬られた間柄だが、今は絶妙のコンビネーションで、 かなりの数がいる生贄の拘束を解除して回る。 百人以上いるので、さりげにかなりの大仕事だ。 彼等の役割は、この場において非常に大きい。 「たた、助けてくれるのか!?」 「俺も立場は似たようなモンでな、安心しなよ!」 一人一人に声をかけて、民間人を救出していくターレット。 その手際は流石に見事と言う他無かった。 イノとロバートはアタッカーとして、信者達を残らず叩き斬る。 正義のためなどというつもりはない。命の大事さを問いながら 目の前の命を叩き斬る罪悪感、裏切った罪悪感もゼロではない。 だが、彼等は誰もが生命の根源のために戦っていた。 すなわち『生きていたい』という衝動が全てである。 そのために、そのためだけに戦っているのだ。 それは誰よりも人間らしく、生物らしい姿であり、 血まみれであるにも関わらず、怖気をふるうほどの美しさだった。 「ようし、これで最後の一人だ!」 ターレットの手により、最後の民間人が救出された。 「おお、やってくれたか、助かるぞ、ターレット!」 「やだな、誉めてくれんなよ、照れちまうぜ」 「お前等、そんな事やってる場合か、新手が来たぞ!」 ソルの賞賛に素直に照れるターレットを叱り飛ばすゲイリー。 通路からは更なる信者達が数百人規模でやってくる。 どこにこんなにいっぱいいたのか、と全員が驚く。 ソルを筆頭とする幹部達でも これほどの規模の教団だとは思っていなかった。 組織の実態を知っている者がほとんどいないという点では 確かに脅威の組織であると言って良かった。 「ひぃぃ、やっぱり駄目なのかよぉ!」 民間人達の一人が恐怖に震え出す。 「安心して、私達が必ず守る! 見てたでしょ!?」 イノの激励に落ち着きを取り戻す民間人達。 「おい、あれを見ろ!」 サキが突然、信者達が来るのとは反対側の通路を指差す。 そこからイグジスター達が大挙してやってきたのだ。 「俺の知ってる入り口からやってきたのか!?」 驚くロバートに、イノは冷静に答える。 「入り口は一箇所だけとは限らない。いくつか非常路もあるもの」 「たくよ、余計なモン作りやがって!」 愚痴を言いながら、様子を見ていると、 イグジスターは数の多いだけの信者の方へ 一斉に向かい、丸呑みにしていく。 「あああああああああッ!?」 「お助けぇぇぇぇぇぇ!」 「食われ、食われる! ぎゃああああ!!」 「ひぎぃぃぃ!! 魔神王様ぁぁぁ!!」 哀れ、信者達はイグジスターの贄となる。 信じる魔神王の贄ならまだしも、忌み嫌うべき 化け物の擬態と養分に成り下がったのだ。 その苦痛と無念たるや、想像を絶すると言える。 だがそれを斟酌するだけの余裕はロバート達には無かった。 「よし、武器庫へ再避難だ、サキ、ゲイリー、誘導と護衛。 残りは殿軍としてイグジスターを警戒しながら退くぞ!」 「ちょっと、信者達は見捨てるの!?」 「奴等は擬態するんだ……見分けの付かない奴を助けて まともに生き残れると思うなよ……こいつらと共に脱出だ! 勇者軍主力部隊が来る予定もある、脱出を急げ!」 軽い恐怖を振り払いつつ、ロバートはイノに向かって叫ぶ。 「……分かったわ。総員、信者達が丸呑みされてる間に さっさと退避するのよ。急いで、見ないでね!」 イノの指示に従い、信者達を見捨てて逃亡するロバート達。 武器で抵抗する者も数多くいたが、 ロバート達が見えなくなる頃には 概ねほとんどが丸呑みされ、擬態しきってしまっていた。 彼我戦力差は推定だが、最低でも1:150だ。 その状況での勝利をただの信者に求めるのは酷だった。 信者とイグジスター、双方の群れに追い立てられ、追い詰められ、 ロバート達は武器庫への後退を余儀なくされつつあった。 <第十八章-第二幕-へ続く>
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第018話:勇者様? 作:◆SonaWF4JWA 「フンッ!」 勇者は武器を振り下ろす、何も無い虚空に向かって。 問いⅠ 俺より優れた者があの中にいるか? 答え NO、俺より優れた奴がいる筈が無い、他の要素が絡むなら兎も角武勇において 俺を越えられる者など歴史上に一度たりとも存在していない。 「ヌォォォォォォォォッ!」 勇者は武器を横に凪ぐ、まるで演武の様に。 問いⅡ:俺のアイテムは当たりか? 答え :NO、こんなピラピラした短い武器が当たりである訳が無い、予備武器としてなら使えるだろうが。 突き、払い、薙ぎ、打ち下ろし、勇者は様々な形で虚空に向かって刃を振るう、 己の武器に慣れる為に。 問いⅢ:問いⅠ、Ⅱを踏まえた上で俺はこのゲームに乗るべきか? やがて二万年前の勇者はピタリと静止する、《語らぬもの》がカイルロッドに送った剣を片手に、 口元に野太い笑みを張り付かせて。 YES 【Aの8/海岸/02:00】 【オフレッサー】 [状態]:平常 [装備]:水晶の剣 [道具]:デイバッグ(支給品一式) [思考]:皆殺し ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第017話 第018話 第019話 第029話 時系列順 第038話 - オフレッサー 第114話
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第二十章-第三幕- 太古龍の決別 第二十章-第二幕- 第二十章-第四幕- 勇者軍総帥エリシャ=ストレンジャーは、 夫ノエル=ラネージュと共にリニアドライバー施設からの シャトルで一気に宇宙へ出るため、出発。 高度三千メートルに達した途端、彼女は力を感じた。 思わず窓を眺め、周囲の景色を見渡してみれば地表に青い光。 「ジルベルトの力ですの、ノエルさん」 「ジルベルトの!? まさかあの剣の二重進化を!? エリシャ……あなたでさえ成し得なかったというのに!」 ノエルも身を乗り出すような形で窓を見る。 確認し、すぐ納得したようであった。 「この戦線においてもっとも激しい戦いになっているはずですの。 私達の子供は……今見た力で、きっと生き残る事が出来ますの」 にっこりと微笑むエリシャであった。 「……それだけ無条件に信じられるというのは素敵だと思います。 私もここは一つ、自分の子を信じてみるとしましょうか」 苦笑しながらではあったが、ノエルも概ね同意したようではあった。 その胸に、確かな勝利への確信を抱きながら―― 勇者軍主力部隊は、メイベルとキョウカ王妃を欠きながらも、 何とか態勢を立て直し、再度追い込むことに成功しつつあった。 しかしマキナの回復用培養液がある限りは決着は着きそうにない。 「ぬぅぅぅん!」 マキナがまた培養液を振りかけ、傷をすぐに癒す。 「あの液はどれだけあるというのだ!?」 エイリアが驚愕する。レイリアのナノ・マシンによる 治療速度も大概のものだが、レイリアのそれと違って 培養液は基本的に有限のはずだ。その事を言っているのである。 「お前達の破壊力が一部を除いて思ったより大きくないのでな。 おかげでこちらも培養液を節約させてもらえる!」 また暴れ始めるマキナに、大きく退くエイリア。 しかし、その時―― 「!」 「ジルベルト=ストレンジャー、来たか!!」 ジルベルトが『矛盾』を構えて突っ込んで来た。 どうやらこの武器自体に推進装置まで付いているようだ。 元々はスカーレット・アーマーのものであろう。 今やジルベルトはその身で飛行する事さえ可能となっていた。 「つぇぇぇぇぇいッ!」 マキナがその豪腕を横薙ぎに叩き込もうとする。 ずどがん! だが、ジルベルトは『矛盾』の砲撃をブレーキ代わりに使用し、 横薙ぎの殴打をあっさりやり過ごすと、再度ブーストをかけて 『矛盾』による刺突攻撃を実行。 「ぬぐはっ!」 刃は元々ストレンジャーソードであるだけに凄まじい切れ味だ。 流石に呪鞘カオスリキッドに強化された ライナスの剣ほどではないが、 それでも生身の肉体に叩き込むには充分過ぎる。 「今!」 ゼクウの一声に全員が反応し、全員が最大火力での攻撃に移る。 怯んだマキナへの追い討ちは成功し、大ダメージを与えた。 だが、これで終わりではない。 「終撃砲!!」 ずどどぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 零距離からの最大出力砲撃。反動で大きく後退するジルベルト。 だがその反動も推進装置によって軽減される。 もっとも爆風で味方も多数吹き飛んでいるのはご愛嬌か。 「がぁぁぁぁぁあああああ!」 絶叫と共にマキナが暴れ、そしてその口には火を纏っていた。 忘れそうではあったが、彼も竜族、ブレスを吐くのだ。 「危ない、ジルベルト君!!」 ソニアの悲鳴が響くが、既にブレスは発射された。 回避はいくら何でも間に合わない。しかし―― がしゃこん! 瞬間、リロードを行う事によって、 中折れ式のフレームが前を向き、シールドが前面に出る。 それにより、寸前で事無きを得るのであった。 まさに紙一重の攻防一体さ加減である。 リロードとガードまで一体化しているのだ。 「……!」 スペックをなんとなく察していたとはいえ、この隙の無さに ジルベルト自身が少なからず驚いていた。 「凄い……あれがアースシールドの防御力……」 「スカーレット・アーマーもよ、ソニア」 ルシアが嗜めてくる。 「最強の矛と盾は両者が相容れない存在であるが故に 『矛盾』なのよ。その両者を くっつけてしまえばいいじゃないみたいな考え方なのね。 ナンセンスだし、お馬鹿だし、子供っぽい発想…… けれど、なんか悔しいのは事実だけど……似合うわ、アレ」 ドルカスも理屈っぽく賞賛する。 「しかしいくらなんでもデカ過ぎないか? あれでは武器の大きさに振り回されてしまうぞ」 サイモンはちょっと苦言を呈するように言う。 「……確かに不自然だ。むしろ隠し玉があるんじゃないか?」 バスクも研究部らしい言い方をしてみる。 一方でマキナの負った痛手は想像を遥かに超えていた。 「ぐぐぐ……!」 何とか起き上がったものの負傷が酷い。 残りの培養液を全て使って回復しきれるかどうか、というところか。 「やむを得んか! どうせそれこそが我が命の意義!」 培養液を頭から全てかぶり、みるみるうちに傷が塞がる。 「……凄まじい戦闘能力。やはり私を殺せるのは 諸君等を置いて他にはいないようだな」 「……何を!?」 ヴァジェスが訝るが、すぐに気付いた。 「まさか、ドラグーン形態を解除する気か!?」 「然り!!」 ビカッ!! 閃光が走り、その後には何やら はいずる蛇のような身体の一部が見えた。 ヴァジェスの巨体をもってしても その程度にしか理解が及ばなかった。 「これは!? 何だ!?」 テディが、ライナスが、イスティーム王が、 そして皆が周囲をわけも分からず見渡す。 「フローベール、上空偵察だ、来い!」 「は、はい!!」 ヴァジェスの指示で両名とも上空へと飛行する。 「!!?」 フローベールは半ばパニックに陥りかけた。 このアルヘイ島全域を覆い尽くすほどの巨体が現れたのだ。 慣れない手つきで情報端末を必死に操作するフローベール。 「フローベール、何か分かったのか!?」 バスクからの呼びかけ。 「お……落ち着いて聞いて、みんな…… あれは、たぶん、マキナよ」 「全長700メートル、重量8000トンクラスだと、馬鹿な! そんな竜族がいてたまるものかよ! どうなってやがる!?」 ヴァジェスも悲鳴のように絶叫する。 「全長700メートル、重量8000トンクラスだと!?」 サイモンも勿論驚く。 「そんな馬鹿な! あたしの持ってる知識の中にも そんなでっかい竜族なんていないはずだもん!!」 実は知的なレイリアまでもが混乱する。 「ふははははははぁ! そうとも、奴こそ我等が ネイチャー・ファンダメンタルの生み出した 遺伝子調整生物にしてエンシェント・ドラゴン、 デウス=エクス=マキナそのものだ!」 「ネイチャー・ジモンか……」 マキナの頭と思しき部位がゆっくりと鎌首をもたげて呟く。 頭だけでも余裕でヴァジェスの全長を超越している。 「そうとも、我輩だ、ラッカード=ジモンだ! 同志よ、よもや忘れたとは言わさんぞぉぉ!」 「今更何をしに出て来たのです、ジモン!」 イスティーム王が非難する。 「決まっておろうが! 我輩と幹部達の力によって マキナを潰し、それによって我が大願は成就されうるのだぁ! ぬわぁーはははははははははぁ!」 すると、未だに戦意の残っていた シーゲル、リンナ、ジーネの三名が ジモンに付き従っていたのであった。 「……ルシェットとキートンがいないようだが?」 「あの二人は戦意を失っていたようでしたからね。 悪いが、この戦いの手柄は譲ってもらわざるを得ないでしょう」 「つまりはあの二人を置いてきた、という事か」 マキナはジーネの言葉の意味をしっかりと吟味し、思案する。 「我々とマキナ、貴様の本来の意思は遺伝子調整技術と それに関わる者達へ警鐘を鳴らし、そしてそれを滅ぼす事だ! そして既に貴様という警鐘は大きく、高らかに鳴り響いた! 後はお前を作り出した我々ネイチャー・ファンダメンタルが 貴様を滅ぼす事により、我々の正義が実証され、 人々は自然と遺伝子調整技術を憎み、 駆逐する事になるであろう!」 姿はボロボロながらも、これだけ見栄を張ってみせるジモン。 確かにその行動原理にだけは一本の筋が通っていた。 「そうやってマキナを道具みたいにして切り捨てる! 貴様等の正義は同志をあっさり 生贄にして実証するものなのか!」 ギースが真っ向からジモン達を非難する。 「黙れ、小僧! 我々が何百年待ってこの計画を 立ち上げてきたのか知りもしないで、軽々しく言うか! さあ、マキナよ、貴様自身の望み通り、 我が手にかかって死んでくれ! そうすれば、貴様自身の望みが命と引き換えに叶うのだ!」 ジモン、並びにシーゲル、リンナ、ジーネが突撃する。 可能な限り、速やかにマキナの首を斬り落とすためだけに。 「ぬん!」 だが、その首を大きく振りかぶり、 マキナは鞭のように叩き込む。 ごがっしゃぁぁぁぁッ! 「ぬぅぅぅおおおおおッ!?」 「ぎゃあああああああッ!!」 ジモンならびに幹部三名は大きく吹き飛ぶ。 「おのぉぉぉれぇぇい、何をする、マキナぁ! 自らの命を持ってこの憎むべき技術を駆逐すると 我輩の目の前で誓ったのは貴様自身ではないかぁ!」 「嘘ではないよ、ジモン。大変君達には感謝している。 だが、それもこれも君達ネイチャー・ファンダメンタル自身が 自らの力で人類史上最強の私設軍である勇者軍に 勝利出来るという前提があって、はじめて成立する誓いだ! 勇者軍に敗れた君達は、もはや門外漢と化しているに等しい! それでも我を殺す気でいるというなら、 いっそ等しく死んでもらうのみ! ルシェットとキートンが君達より賢明だった、それだけの話だ! 自らの浅慮をこそ呪え、ネイチャー・ファンダメンタル! そしてネイチャー・ジモン……否、ラッカード=ジモン!!」 その口に光が宿る。最大級のブレスの準備だ。 「まずい、あれは……全員、射線上から離れろーッ!」 ヴァジェスの指示で、全員が全力で退避する。 もはや救命のためにジモン達を連れ去る余裕は無かった。 「レーザー・ブレス!!」 ずびゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!! 「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 その巨体故に、超大口径ビーム兵器に等しい熱線が、 ジモン達のいる一帯をまとめて薙ぎ払う。 あまりのエネルギーに周囲の海水はたちまち沸騰、蒸発し、 ジモンが連れていた三人の幹部は悲鳴さえあげる間も無く、 そのまま即、死亡してしまっていた。 ジモン自身も黒焦げになって、もはや動く事は出来なかった。 「……マキ……ナ……忘れる……なぁ……! すぐ貴様自身も……こうなる……のだぞ……ぉ……!!」 そしてジモンも絶命する。 「真に我が痛みを理解した友、ラッカード=ジモンよ、 安らかに眠れとは言わん。ただ苦しまないで欲しい……」 嘆きの声を漏らすマキナ。 「な、なんて威力なの……!?」 リュミエルもそのあまりの火力に戦慄する。 「親父でもあんなブレスの威力にはならん……! デカいという事がこれほどの脅威になり得るとはな……!」 ヴァジェスさえもそのあまりの破壊力に驚きを隠せない。 「さあ、培養液も既に使い尽くした。長いことロクに 物を食しておらぬせいで、我が力はいつ尽きるとも知れん。 だが勇者軍よ、諸君等が我を倒す事叶わなければ、 我は生物の本能に従って、本来の姿で世界を食い荒らすのみ! そんな事態が君達には看過出来るわけもあるまい!」 むしろ戦いを――自らを殺す事を促しでもするかのように マキナはわざわざ大音声で勇者軍を呼ぶ。 「呼んでるぞ……行くしかないではないか!」 テディが聖杯ライブチャージャーの力を一部開放し、 味方の疲労と傷を癒し、生命力を分け与えていく。 こちらのエナジータンクとも呼ぶべきライブチャージャーも 無限ではない。エネルギーはストックして使うものなのだ。 「進!」 ゼクウが宣言すると同時に、怯まずに突撃をかける。 もちろん戦いはもはや避けられない。ならば迷う余地は無いのだ。 「危険を感じたら深追いは駄目よ! 攻撃は一撃ももらえないわ! 全員、生きて帰らないと承知しないんだからね…… ゼクウに続くわよ……全員、突貫開始よ。いざ、散開!!」 ジルベルトの代理でソニアが号令を勤めた後、 全員がばらばらに散らばる、せめて一箇所に固まる 愚かな行為だけは避けなければ、ジモン達の二の舞だ。 (……振り回しにくい……) 一方でジルベルトは武器の大きさに微妙に困っていたが、 それで迷う時間も与えられず、やむなく彼も突貫する。 戦いはいよいよ激しさを増そうとしていた―― <第二十章-第四幕-へと続く>
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第十一章-第二幕- 虚ろな交渉のテーブル 第十一章-第一幕- 第十一章-第三幕- 新たにキョウカ王妃を加えたジルベルト達勇者軍主力部隊は、 速やかにアイリーン・マフィア方面への移動を済ませ、 もう既にアイリーン・マフィアへと来訪しようとしていた。 「すみません……もう少し引き止めておけば、 遊びに来てたコンラッド君も 今すぐ参戦出来たと思うんですけど……」 と、申し訳なさそうにメイベルが言う。 「構わないわ。でも一応連絡だけは続けてもらってね。 レッド・ワイズマンMk-Ⅱがあるのと無いのとでは 海洋戦力そのものが根本的に変わってくるんだから」 「ウチの構成員の人にやってもらっています……」 ソニアは思ったより人員集めが上手くいかない事に嘆息していた。 そしてアイリーン・マフィア内部。 『お久しぶりですー』 「おう、ジルベルト。相変わらずのようだな」 ジルベルトは礼儀正しく挨拶し、叔父ケヴィンは微笑んだ。 「早速ですけどお父様……あの二人を呼んでいますか?」 と、メイベル。どうやら先に言っていた『友達』を呼んだらしい。 「ああ。俺の権限で呼んでおいた。 そのうち来るから待っておいてくれ。 ソニア、それにルシアもそれでいいな?」 「はい」 「分かりましたっ」 「それと……」 ケヴィン、グスタフ両名、膝を付いて挨拶する。 「キョウカ王妃殿、お久しぶりです、 この度は随分と難儀な目に遭われたようですが……」 「我々アイリーン・マフィアは総力を結集して、 本部奪還の協力に当たらせていただきます」 「そっ、そんなかしこまらないで下さいな…… なんだか恥ずかしくなってまいりましたわ。 私、そんな大層な人間でもありませんから……」 顔を真っ赤にして二人を嗜めるキョウカ。 どうやらキョウカはあまり飾り気の無い人物であるようだった。 「はっ、では軍礼のみで失礼させていただきます。 ところで、主力部隊の主目的をお聞かせ願えますか」 あくまで丁寧なケヴィンに対して、ジルベルトが一歩前に出た。 やはりリーダーなのか、場をまとめようとしているのだろう。 『主目的は戦力の結集なの。敵のメインターゲットは レイリアさん、エイリアさん二人だけみたいだから、 僕達は何としても二人を守る必要があるのー』 と、メールで素早く的確に説明するジルベルト。 「……勇者軍メインメンバーの 引き渡し要求をしてきたということか。 それはまた随分と穏やかじゃないな。応じる姿勢が無ければ、 敵はその他のメンバーにも 手を出してきかねないという事なのだろう」 「だが、ケヴィンよ。その両名を引き渡すなどというのは論外だ。 そもそも引き渡した場合、 生命の保証はまったく出来ないだろうし、 エドウィンの頃から戦い続けた当代最強レベルの人材を失うなど、 勇者軍としては断じて認められる事態ではない」 「おじいの言う通りだ。可能な限り戦力を結集させるぞ。 俺やおじいが直接出向くのは無理だが、ここから通信網を建て直し、 出来るだけ多くのサブメンバーをジルベルト達に合流させよう」 どうやら方針は決まったようである。 だが、彼等が思っているよりもすぐに事態は動き出す。 「敵襲! 敵襲だーッ!」 兵士達の絶叫が周囲にこだまする。 ばばっ! 全員が立ち上がる。対応を協議する必要は無い。 慣れた防衛戦である。直接指揮を執るケヴィン、グスタフを置いて、 一同は速やかに外へと出る。 「わわっ!?」 ルシアは外を見るや否や一歩退いた。凄まじい敵兵の数である。 よほどの資金力をバックにしているのだろう。 規模で言うなら、前戦役のウィルスユーザーズ並か、それ以上だ。 流石にウィルスユーザーズの主力部隊ほどではないが、 敵兵の数は百ではきかないほどだ。 「くっ……人海戦術か……惑星アース国際平和機構も アーム城もそうやって襲われたってのに……ワンパターンね!」 ソニアも呆れているが、事は楽ではない。 すると無造作にキョウカが前に出てきた。 「ちょっ、キョウカさん、危ないですって!」 「まずは交渉です。それに何かあっても、必ずあなた方が 守って下さるのでしょう? 駄目なら退きますわ」 ソニアの制止も聞かず、キョウカはどこから持ってきたのか 拡声器を取り出して交渉へと入った。 「どこのどなた達かは存じ上げませんが、 惑星アース国際平和機構への攻撃を 強行した方達とお見受けしますわ。 是非、ここは話し合いの余地を持つべきと思いますが……」 どうやら敵部隊の隊長と思しき人物がそれを聞いて前に出た。 隊長と言っても末端レベルのようで、敢えて名乗りはしなかったが…… 「惑星アース国際平和機構のカザミネ長官とお見受けする。 その前に、何故貴女が勇者軍の拠点にいるかを問い正したい。 その回答如何によっては問答無用で攻撃を加えさせてもらうぞ」 「どうやら御存知無いようで……私のフルネームは キョウカ=カザミネ=ザン=アーム。アーム王家当主、 イスティーム王が妻であり、 同時に勇者軍情報部少将でもあります」 「……そういう事か。難儀となって身内を頼りおったか。 まあいいだろう。聞くだけ聞いてやろう。言え」 その横着な態度に後方のジルベルト達はかなりムッとしたが、 キョウカは構わずに話を続けた。 「何故、勇者軍のメインメンバー、 レイリア=ルスト及びその妹エイリア=ルストの両名を それほどまでに欲するのかをまずは問いましょう」 「それをそちらが知る必要は無い。ただ、引き渡せば良い。 そうすれば当面の間、勇者軍への攻撃は控えよう」 「当面の間? それでは交渉にもなりませんわ。 それに自衛互助組織である勇者軍のメンバーとしても、 両名の引渡しは断固として容認出来ません。 そのような下劣な行為は、身内を売るに等しい行為ですわ」 「話にならんな。やはり問答無用に攻めるべきだった。 だが交渉しようという努力だけは買ってやろう。 俺達が直接あんたに攻撃を加えるのだけは無しにしてやろう。 とっとと後ろにすっこんでいるがいい」 「……平行線ですね……」 交渉が失敗し、すごすごと引き返すキョウカ。 どことなく哀しげな表情だったが、 諦めの色は見せてはいなかった。 「ごめんなさい、ジル君。せめて私なりに 役に立ちたかったのですが…… どうやら相手はかなり強行な姿勢を取っているようです。 レイリアさん、エイリアさん両名確保後の対応は不明ですが、 恐らく人道的な扱いはされないのは明白でしょう……対応を……」 『分かってるの』 ジルベルトの目に緊張が走る。それにつられて メイベル、ソニア、ルシアも 実に多数の相手と戦わねばならなくなった。 キョウカが建物内に入るのを確認すると、敵兵が動き出した。 きっちりと約束は守る辺り、 最低限の倫理だけは持っているらしいが、 それがレイリア、エイリア両名にまで及ぶ保証はどこにもない。 もはや直接戦闘は避けられなかった。 「目標、アイリーン・マフィア内部の捜索だ! たとえ勇者軍だろうと、邪魔者はすべて蹴散らせ! 突貫!」 「末端レベルの雑兵風情が何を偉そうに! 勇者軍メンバーを拉致監禁しようだなんてふざけたこと、 許しておくわけないでしょうに! 背水死守!!」 ルシアの号令で、全員が散開。 四方から包囲していた敵勢力に対し、 四人での真っ向勝負が始まった。 <第十一章-第三幕-へと続く>
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第一話『企業勇者、契約!!』 闇の中、二人の人間の声が響く。 甲高い女性の声と、老人の声……。 老人「して……ついに“あれ”を手に入れたそうだな……」 女「ええ……ラボで只今、解析中ですわ。 ふ、ふふ……素晴らしいですわよ…あれは……」 老人が手の内にある写真へと目を向ける。 赤色に輝く、巨大な鉱石……写真からもその鉱石が異質であることが感じられた。 老人「……『シャイニングトロン』……これぞ、無限エネルギー……!!」 その時だ! 警報が鳴り響く! 老人「……何事だ…」 数名の研究者が老人の前に並び立つ。 研究者「ほ、報告します……!! やつが……『シャイニングトロン』を…」 女「なんですって……!? ……ぐううっ!!」 女に殴られ、地に伏せる研究者。 老人「この始末……しっかりつけてもらうぞ……『ドクター・BB』……」 BB「は、ははっ……!」 深々と頭を下げるBB。 その表情は、憎悪に歪む。 翌日。 都内某所。 ???「なぁ旦那ぁーっ、お給料はまだっすかぁー!!」 ???「だぁーっ……うるせぇ、いま忙しいんだよ!!」 ???「いつもの競馬でしょおー!! 頼むからしっかりしてくだせぇ!!」 都内の小さなビル。 ボロボロのオフィスにロボット特有の機械的な声が、デスクに座る男のパソコンから響き渡る。 疑似人格AIが喋るその言葉は、実に感情豊かだが、今競馬に集中するこの男の耳には邪魔なだけであった。 男――平野研一は本日も全敗。 ぐわぁーっと唸りをあげて、馬券が宙に舞い、ただでさえ汚いデスクに馬券がまた積もる。 さっきまで話していた疑似人格AI――ガンドジムは、その様子をパソコンのカメラから黙って見ているしかなかった。 腹が減ったと、研一は受話器を取り……適当に注文してから気づいた。 一週間前に当てた馬券は既に、そこに散らばった無価値の馬券へと姿を変えて……。 すみません、間違いでしたと一言言い、受話器を降ろす。 ああ、どこかに一発でボロ儲けできる、かるい仕事でもないのか……。 と、その時だった。 ???「た、頼もーっ!!!」 研一「お、いらっしゃ……………あ?」 研一の営業スマイルは固まり、一気にどかした馬券の山は、ひらひらと無情にも床にばらまかれた。 研一が固まるにも無理はない。 期待していた、待望の、久しぶりの、食事代になりえる、仕事の依頼主となりえる来訪者は……。 研一「……。」 ???「…………。」 研一「なんだガキ」 ???「頼もーっ!!!」 研一「空手道場じゃねえぞ、……帰れごるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 研一の怒りはビルを揺るがしたという。 怒声に驚きながらも、依頼人らしい子供は話を続けた。 ???「空手道場なんか行くかボケ!! 僕はあんたのとこの『勇者』を借りにきたんだ!!」 研一「な、んだとぉ?」 勇者ロボ。 それは旧時代の遺産とも言える兵器である。 数十年前まで、世界ではロボット犯罪が多発していた。 が、現在は警察の強化により犯罪数は激減、勇者ロボの必要性はない時代だった。 研一「ふざけんなよガキ、勇者ロボなんざうちじゃもう扱ってねえんだ。今は清掃ロボ、洗濯ロボ、風呂沸かしに子守……エトセトラ、そういうやつのレンタルをやってんの。わかったら帰れガキ」 依頼人を睨みつける研一。 しかし、少年はにやりと笑う。 ???「これを見て、まだそんなことが言えるのかい?」 少年が背後から取り出したるは、ガキが持つにしては巨大なトランクケース。 少年はそれを研一に差し出し、顎で開けろと指示した。 ???「早くしろ」 研一「んだこのガキ………くそっ、えーっと中身はなにが、入っておおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?」 研一の目がギンギンに輝き、見開かれた。 当然だろう。 トランクの中には、ぎっしりとお金が敷き詰められていた。 少年「……『一億』だ! 交渉成立だな!」 研一「やぁらせてくださいっ!! はいっ!!」 契約が成立した。 応接間。 多少は片づけられ、洒落たものも置かれている。 が、何ヶ月も御新規さんをとってないため、使われていなかった。 埃を軽く叩くと、目に見えるほどに舞った。 窓を開け、少年と研一が向かい合うようにソファに座る。 研一はまず、最初に聞きたかったことを尋ねた。 研一「……して、なんで勇者ロボットをご希望なので?」 少年は腕を組み、ソファに深く腰掛けた。 如何にも偉そうである。 ???「自己紹介がまだだったな……僕は、里見つぐむ。代々由緒ある、ロボット生産工場、里見重工の御曹司だ」 里見重工。 正直、研一には聞き覚えのないものであった。 つぐむ「無理もない、今は……あまり繁盛していないからな。叔父と共に、今は小さな工場で部品生産をやっている」 つぐむはトランクの他にもう一つ、正方形のボックスを取り出した。 つぐむがそれを開くと…… 研一「……なんだ、サファイアか? いや、にしては…」 ボックスから取り出されたのは、赤く輝く鉱石だった。 だが、内部には複雑に絡み合う、まるで電子部品のような無数のラインが見える。 煌めくそれはまるで、一つの電子回路だった。 つぐむ「この……『シャイニングトロン』を守ってほしいんだ」 つぐむの話はこうだった。 シャイニングトロン……。 数ヶ月前、いつものように叔父と工場の手伝いをするつぐむの前に、黒服の男が現れた。 内容はわからなかったが、叔父に聞かされた話によれば、叔父の技術的協力の要請であったという。 正直、この工場だけでは生活は苦しい。 叔父はその男達についていった。 数ヶ月後。 工場に行っていた叔父から、突然電話が入った。 焦る叔父の声は、誰かに追われているようだったが、要点はしっかりと聞かされた。 工場地下に眠る、『シャイニングトロン』を死守してほしいこと。 金庫にある一億円で、この会社に頼ること。 翌日、爆発音で目を覚ましたつぐむが見たのは――巨大ロボットに破壊される工場の無残な跡だった。 つぐむ「叔父は、今はどこにいるかは分からない。だけど、確かに叔父が頼ってきたのはここだったんだ。 この一億円円で……頼む!」 唸る研一。 まさかそんな理由があったとは。 と半信半疑で納得しつつ、目に映るは一億円のみ。 早々に契約し、一億円を自分の物にしたい……。 すでに開かれた印鑑のインクは乾きかけである。 研一「うむ、分かった分かった。それじゃ早速契約を」 ???「待ちな、旦那……俺は嫌だぜ」 いざ判をと焦る研一を止める声。 つぐむが声の主に目をやると、ノートパソコンの画面に“03待機”の文字。 疑似人格AIだ。 研一「なに言ってんだゲイザー!! わかってくれ……こっちは商売だ、一億だぞ! こんなチャンスは……誰が逃すか!!」 ゲイザーと呼ばれた疑似人格AIの待機ウィンドウが点滅する。 ゲイザー「俺は自分が認める男としか仕事はしない。青臭いガキは当然ダメだ。何より、立ち向かわないこいつの根性が気に入らん」 つぐむ「……なんだと…!」 つぐむは立ち上がり、ディスプレイを睨みつける。 研一「お、おいゲイザー……あんま口を悪くするな。商売だぜ商売」 ゲイザー「今の話を聞けば、そこのガキは叔父をさらったって連中に立ち向かわないで、逃げ帰ってきたようだ。それで何もしないまま、俺たちの力を借りようとしている。俺はそういう態度の奴が、一番嫌いなんだ」 つぐむ「この……! お前、疑似人格AIだろ! なんだその口の効き方は! プログラムがなってないんじゃないか!?」 ディスプレイの点滅が、グリーンからレッドへと変化する。 一目でわかる、怒りのサインだ。 ゲイザー「金持ち坊ちゃまは、外見は綺麗だが中身は汚いようだな」 つぐむ「なんだとっ!?」 ゲイザー「学のある奴は、そう簡単にかっかしないって、電磁図書で読んだぞ」 つぐむ「き、貴様……!!」 画面とにらめっこするつぐむ。 そして。 つぐむ「ああ分かったよ!! お前なんかと誰が契約するか!! この……ポンコツAI!!」 トランクを頬ずりする研一をぶっ飛ばし、そのまま勢いよくつぐむは出て行った。 研一「お、俺の……一億……」 つぐむ「くそっ、あの馬鹿AI……なんだよ…」 一億円のトランクと、謎の宝石を抱え、行く宛のなくなったつぐむは怒りに打ちふるえていた。 あのAI――ゲイザーの言葉が蘇る。 「俺は自分が認める男としか仕事はしない。青臭いガキは当然ダメだ。何より、立ち向かかわないこいつの根性が気に入らん」 「今の話を聞けば、そこのガキは叔父をさらったって連中に立ち向かわないで、逃げ帰ってきたようだ。それで何もしないまま、俺たちの力を借りようとしている。俺はそういう態度の奴が、一番嫌いなんだ」 立ち向かえる分けないじゃないか。 自分はただの子供だ。 真っ赤に燃え盛る工場に立つ、巨大ロボットのシルエットが目に浮かぶ。 あれは悪魔だ。 徹底した、恐るべき存在。 無理だ、人間が立ち向かえる存在じゃない……。 どんっと、何かにぶつかりつぐむは地面に倒れる。 虚ろな足で市内を歩いていれば、当然人にぶつかる。 起き上がり見上げると、自分より頭一個身長が高い女だった。 女「いった……たた…なにすんのよ!」 つぐむ「……うるさい、ほおっておいてくれ」 そのまま立ち去ろうとするつぐむを、女の友達らしき人物が囲む。 「ちょっとひどいじゃないの!?」 「謝りなさいよっ!!」 「どこに目を付けてんのよ!!」 自分を責める声が、あの疑似人格AIの声とだぶる。 無性に泣きたくなった。 つぐむ「……うるさい、なんだよ!! 僕がなにをしたっていうんだよ!! 助けてほしいから……だから……!!」 泣きじゃくるつぐむを、困惑して見下ろす女達。 その時だった! 「き、きゃあぁぁぁぁぁぁあああっ!!!」 爆発が街を包み、爆風が吹き荒れる! 女「な、なにっ!?」 つぐむ「……! あれは……!!」 ビル群の中、機械関節の唸る音が響き渡る。 ――巨大ロボット! つぐむ「き、昨日の……あいつだ…!」 巨大な鉄の塊。 それを見上げるつぐむ。 昨日の恐怖が蘇る。 「に、逃げろぉおおおぉ!!」 「いやぁぁあ!! 助けてぇぇぇぇえええええ!!」 巨大な腕が、つぐむに降りかかる! 女「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」 つぐむ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 爆炎が街路を燃やす! 地面に突き刺さる巨大な腕! 間一髪でよけたつぐむ。 つぐむ「く、くそっ……くそぉ……!」 逃げようとするつぐむの足が掴まれる。 足元を見ると、さっきぶつかった女が倒れていた。 つぐむ「な、なんだよ!!」 女「あ、足が……歩けない……!」 見ると、女の足は青くなって、痛々しく腫れていた。 女「た、助けて……」 つぐむ「あ、歩けよ自分の足で!」 女「見ればわかるでしょ……無理…!」 ロボットはすぐそこまで迫っている。 つぐむはロボットを見上げる。 つぐむ(何が……なにをしろっていうんだよ…僕に……!) ゲイザーの言葉が、また繰り返される。 つぐむの、ロボットを見る目が変わる。 反逆の、反骨の意志をもった燃える瞳に変わる。 つぐむ「……つ、掴めるか、僕の肩を」 女「……しゃがんでくれたら、助かるかな…」 つぐむ「分かった……」 小さな体で、肩を組むつぐむ。 歩みは遅いが、ゆっくりと確実に逃げようとする。 つぐむ(これは、これならいいんだろ……ポンコツAI! これも立派に立ち向かってるって言えるよな……!) ロボットはすぐそこまで来ていた。 振り上げられた拳の影に包まれるつぐむ。 つぐむ(……くそっ!! これでいいよな……いいんだろ……!!) 拳を睨むつぐむ。 そして、それは振り降ろされた……! 最初に見たのは、青い閃光だった。 唸るエンジンの音に、目を開くつぐむ。 つぐむ「……し、死んでいない…?」 ???「俺のスピードには、あんなとろい拳じゃついてこれん」 つぐむは今、青いスポーツカーの上にいた。 そして、聞き覚えのある声。 つぐむ「お、お前は……!!」 ゲイザー「なかなか面白いものを見せてもらったぞ」 間違いなく、あのAI……ゲイザーだ。 つぐむは始めてみる、ゲイザーの勇者ボディに見惚れた。 美しく輝くブルーボディは、太陽に照り、眩く光る。 つぐむは気絶した女を担ぎ、ゲイザーのボンネットから降りた。 ゲイザー「傷を付けないように降りろよ」 つぐむ「わ、わかってる!」 つぐむが離れたのを確認するとゲイザーは巨大ロボットと向き合う。 ゲイザー「このゴリラ野郎、派手に暴れやがる」 つぐむ「た、戦うのか!?」 ゲイザーのドアが、犬の耳のように答えるように動いた。 ゲイザー「お前の姿、尾行させてもらった」 つぐむ「なっ……この…」 ゲイザー「ガキらしく泣きじゃくるとこは、笑いを堪えるのが大変だったぞ」 怒る拳を握るつぐむに、ゲイザーのエンジンが、二、三度と唸る。 ゲイザー「だが、まあ最低限の合格ラインだ」 つぐむ「えっ……」 ゲイザー「……『女を守る男』。 男としての……最低限のルールを、お前は破らなかった……そういうことだ。 雇い主に死なれちゃ困る」 つぐむ「ゲイザー………雇い主って…!」 驚きに目を見開くつぐむ。 ゲイザーのシフトが、上がる。 タイヤが焼け、青い車体が巨大ロボットに飛びかかる! ゲイザー「見せてやる……この姿になるのは、何年ぶりだろうな……!」 瓦礫に乗り、車体が宙に舞った! 太陽の逆光にさらされながら、ゲイザーは吠える! ゲイザー『チェエエエエエエエェェェンジッ!! バトリィィィィィィィィィィィイドッ!!』 みるみるうちに変形するスポーツカー! それはもはや車の形をしてはいない! 太陽を背に、風を巻き上げ! 奴は現れた! ゲイザー『疾風勇者ッ……ゲイィッ……ザァァァァァァァァァァァ!!!』 蒼き勇者が、瓦礫の街に立った! 散らばる馬券。 それをちりとりで掃く研一のパソコンが、アラームを鳴らす。 研一「んだよったく……こちとら忙し……」 警告のメッセージに研一は凍り付いた。 ガンドジム「あ、兄貴が……変形した…!」 研一「ば、馬鹿なっ……あいつ……」 研一の脳裏に浮かぶのは……。 研一はノートパソコンを手に、会社を抜け出る。 研一「あの野郎……勝手にやりやがってぇぇ!!」 研一は自家用車に乗り込むと、ゲイザーのいる現場へと走り出した。 つぐむ「あ、あれが……勇者ロボ……!」 勇者ロボ。 その雄々しき姿に、つぐむはただ呆然とした。 ゲイザー「このクソゴリラ……くらえぇっ!!」 ゲイザーの二丁拳銃が火を吹く! しかし、巨大ロボットの鋼の装甲はびくともしない! ゲイザー「ちっ……うおぉっ!!」 ゲイザーは、果敢にも自分より巨大なボディに格闘戦を仕掛ける! 素早い動きでかわし、一発また一発と攻撃を当てるが…… つぐむ「き、効いてない……!?」 ゲイザー「てめぇ……! うっぐああああああぁぁ!!!」 巨大ロボットの拳がゲイザーを捉え、ビルに叩き込まれる! なんとか起き上がるゲイザーに、第二撃が迫る! 研一「んのやろっ……ゲイザァァァ!! てめぇ何やってんだぁぁぁぁ!!」 車の窓から叫ぶ研一に、ゲイザーは余裕のある声で答える。 ゲイザー「おう旦那、参ったぞ……あれを使うしかないようだぜ」 研一「なにいぃぃぃぃぃぃ!? う、うおおっ?!!」 研一の車が派手に瓦礫にぶつかり停止する。 と、第二撃がゲイザーに叩き込まれるのは同時だった。 つぐむ「げ、ゲイザァァァっ!!」 研一「あぁぁんなくそっ…! 本当にいいのかよゲイザァァァ!!」 巨大ロボットの拳を抑え立つゲイザーが答える。 ゲイザー「ああ、雇い主様にアピールタイムってやつだ……やってくれ!」 研一「んのやろぉぉっ……知らねえぞ俺は!!」 研一がノートパソコンのアイコンをクリックすると、掌紋センサーが浮かぶ。 拳をかざす研一! 研一「いくぜゲイザー……久しぶりの………ボォォォォォォォナスだぁぁぁぁぁあ!!!」 その時! 彼方から飛んでくる3つの光! つぐむ「な、なにっ……!?」 ゲイザー「うおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!」 ドリルジェッター! バトルウルフ! シャインフェニックス! 三つのメカが、ゲイザーへと組み込まれていく!! 研一(ゲイザー……いいんだな、これで!) 研一の口元が歪む。 ゲイザーが……唸る! ゲイザー『……怒涛勇者……!!』 剣を構えた、赤き巨人! ゲイザー『シャイィィィィィィンゲイザァァァァァァァァァァ!!!』 シャインゲイザー! 翼が羽ばたき、地を蹴る! 剣に、エネルギーがほとばしる! ゲイザー「疾風……!! 三段斬りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 光が走る! 三つにさばかれる巨人ロボット! 爆発! つぐむ「あれが、勇者……」 夕日に照らされ、深紅に燃える勇者。 動き出した敵。 シャイニングトロンとは、いったい何か。 勇者企業、その戦いが始まった。 勇者企業シャインゲイザー・SSに戻る next
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勇者クレアシオン フォイフォイ『千年前勇者クレアシオンが己の身体を犠牲にし、魔王ルキメデスを次元の狭間に封印した』(15話) プロフィール 名前 勇者クレアシオン(ユウシャクレアシオン) 性別 男? 種族 人間 年齢 ? 人気投票 圏外 登場回数 初登場 1話37コマ目 初登場 1話 登場回 1話、23話、24話、26話、28話、29話、30話 名称のみ 1話、15話、23話、24話 データ 千年前魔王ルキメデスを封印した勇者。 その封印方法はかなり複雑で、封印魔法と永眠魔法を組み合わせ更に次元の狭間という、自分と魔王の血族しか来れない特殊な場所に封印した。 そんな偉大な功績を遺した勇者であるが、その素性や経歴は現代にはあまり残っていないらしく、登場キャラクターの大半が名前だけを知っているだけのようである。 (現代でクレアシオンの顔を知っている存在は、3代目魔王ルキメデスとディツェンバー(1の目)のみの様子) 話が進むにつれ、勇者が魔王をどうやって封印したのかが明らかになっていく。 詳しくはクレアシオン(ネタバレ注意)のページを参照。 その他 JSQ版にも登場しているが安定の後ろ姿。WEB版同様に正体が『彼』なのか不明。
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Ver. 2.3EX1 カードNo. 2-3-146 種類 インターセプト レアリティ R 名称 お前のものは俺のもの 属性 無 CP 0 アビリティ あなたのユニットが戦闘に勝利した時、対戦相手のトリガーゾーンにあるカードをランダムで1枚作成し、あなたのトリガーゾーンにセットする。そのカードを破壊する。 戦闘勝利で相手のトリガーを1枚破壊し、それを自分のトリガーゾーンに刺すカード。 条件は戦闘勝利時と少しクセがあるが単純にトリガーゾーンを1枚割れ、その中身を確認できるのは大きい。 無色カードや自分のデッキの色のインターセプト、軽減ユニットなどが来るとラッキーと言ったところか。 扱いにくいカードだった場合に備えて、換金所などで処理できる用意もしておきたい。 フレーバーテキスト 俺のものは俺のもの。お前のものも俺のもの。お前のそれもいただくとするか。 トリガーボイス ウホ!足らねえゾ!
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天乃が死神の力を使って勇者になった状態 ■概要 回避・機動力特化型 神樹、勇者、バーテックスなどの様々な力に対して有効な【死を与える】能力を持っており 動かない足の代用として、九尾に跨っての移動を行うため機動力や回避力に関しては【混在勇者】に近い強さを誇る その分、比較的攻撃力が低いほか、使用できる攻撃技が非常に少ない そのため、日常・非日常編にて精神的にダメージを負っていると、気力不足で殆どの行動が出来なくなるほか 火力不足で倒しきれない可能性もある(基本的に無い) ■満開 全てを飲み込む【死を振りまく】能力を全域に発動 勇者やバーテックスなど、自分以外の能力を全て無効化するため、使用後は基本的に天乃のみ行動 効果は似ているが、混在勇者による満開とは系統が別物 継続時間:3ターン 使用直後:バーテックスに500 勇者に100ダメージ 継続効果①:バーテックス・勇者の行動不能 継続効果②:バーテックスに100 勇者に50ダメージ 継続効果③:能力の飛躍的な上昇 身体負荷:身体能力の障害、体内バランスの崩壊による体調不良