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ディアボロがこの世界に来てから二日がたちました ルイズを起こし着替えさせて汲んできた水で顔を洗ってあげます。もちろんドッピオがやっています 「男の前で恥ずかしくないんですか?」 やってはいるが毎朝異性の裸を見るのは大半の男性にとっては余り精神的に優しくないものだ 「はぁ?男?あんた使い魔でしょ?偉そうなこと言ってないで早くしなさいよ!!」 「・・・はい」 タオルで顔を拭いてやると朝食を取りに行く 初め食事にまで制限を付けられそうになったが何とか頼み込んだ。労働の後がパン一個なんてふざけています 朝食の後は午前中の授業です ルイズが授業に出ている間に部屋の掃除をします 箒とちりとりを使いささっと済ませてしまいます。ドッピオは案外家事に適正があるんです やり始めるととまらなくなって隅から隅まで掃除をしてしまうことがあります ドッピオはそこそこのところでやめて洗濯に行きます 洗濯も二日ほどたつと慣れてきます。スキルは5ほどでしょうか 洗濯も終え、洗濯物を干すともうお昼です 「ふー・・・お昼ご飯の時間かな?」 太陽が真上にあがってきています。ドッピオはこのお昼ご飯を楽しみにしているのです 「こんにちは、マルトーさん」 「お、いらっしゃい!」 魔法学院アルヴィーズ食堂、コック長マルトーさん ルイズさんに躾と言われてパン一個しか食べさせてもらえなかったとき、賄い料理を食べさせてくれた優しい人だ 「賄いだったらもう少しで出来るからそれまで待っててくれ」 「それじゃ料理を配るのを手伝いますよ」 食堂でウェイターの真似をするのは昨日からだ 賄い料理を貰いっぱなしなのはいけないと言ってここで働かせてもらっている 「クップププ」 「ククク」 ・・・笑い声があるのは使い魔なのにこんなところで何をやっているんだ。みたいなことだろう 「・・・ドッピオさん」 「いいんですよ。シエスタさん」 笑い声をそこそこ無視して料理を配る 「・・・あの」 「はい?」 僕に話しかけたのは茶色のコートを着た女性。下級生がこういう格好をしているんだっけ 「ギーシュさまがどこにいるか分かりませんか?」 「ギーシュ?」 ・・・ああ、脱走したときにルイズさんと一緒に来た金髪の人か、食堂の中をぐるりと見渡すと・・・ 「あ、います。外のほうですね。案内しましょうか?」 「お願いします」 外に行くとギーシュはこの子以外の女性と話していた まだこの子は気づいていない (・・・二股?よくないな・・改めさせたほうがいいかな) 配るために持っていた物のうちの一つ、チーズケーキを持って話しかける 「チーズケーキをお頼みの方」 「は?チーズケーキなんて頼んでないよ・・て君はミス・フランソワーズの使い魔」 「それではこちらの女性と待ち合わせの方は?」 「?!・・モンモランシー、ちょっと待っててくれるかい?」 そういうとギーシュはつれてきた子の肩をつかんで奥の茂みは行った もれ出る話を聞くとギーシュが二股をかけているのが分かって女性のほうが怒っているようだ あ、女性のほうが帰っていった ギーシュが戻ってくる 「モンモランシー、あの子はただの」 「・・・最低」 「うっ」 「・・・下劣」 「ぐっ」 「・・・絶交よ」 「なっ?!最後まで聞いてくれモンモランシー! ほら君の顔に怒りは似合わない」 二股をかけた人の末路って怖いなー 結局、ギーシュは二股をかけているのがばれて二人からふられてしまったようだ 「・・・くっ」 結構、効いたみたいだけど 「・・・・」 僕に怒りが向けられているのが気のせい・・ではないと思う 突如、ギーシュから何かを投げつけられる。手袋だ 「平民風情がこの僕に恥をかかせるとはね」 「いや、それは自分が悪いんじゃ」 「うるさい!君を叩きのめさないと気がすまない。決闘だ!」 「え?」 外の中庭、周りには大勢のギャラリーがいる どこで聞いたのか決闘と聞いて見に来た人たちだと思う 「勝負方法は単純にどちらかが負けを認めるまで、分かったかな」 「・・・つまり二股をかけた自分が悪かったと認めさせればいいんですか」 周囲から笑いが漏れる 「うるさい!君があの子をあの場に連れてこなければ万事上手くいったって言うのに・・!」 「いや、元々待ち合わせていたって聞いたんですけど」 「・・・そういえば・・ええい、あのとき見えていたはずだろう!気を使うのが常識だろう!」 「どんな常識ですか。二股かけていいなんて」 「うるさい!」 ・・何をするつもりだ 「エピタフ」 エピタフを使い未来を察知する 「なっ!」 一歩後方に下がって攻撃を回避する 「言い忘れていたけど僕は貴族だからね。魔法で戦わせて貰うよ」 目の前にいるのは青銅の鎧人形。形は・・・なんだろう? 「・・・魔法・・次、何が来る・・・」 5へ
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「…で、俺はなにをすればいいんだ?」 あぐらをかく使い魔。 生徒たちが好き勝手な方向にクモの子を散らすように逃げ去っていった中、 歩いて少女の使い魔の部屋に到着したワムウと少女。 ワムウは、部屋に向かうまで真昼間であるはずの今、遮蔽物もなしに歩けることを不思議に思った。 しかし、それ以上に不思議に思ったのはッ! (月がッ!月が2つあるッ!…どういうことだ?太陽の光も少し体の調子を下げる程度で十分に動ける… 長い間直射を浴びていればダメージを受けるだろうが…風のプロテクターを使うよりもスタミナは安上がりだな…… だが、油断はできんな…シーザーのやったように、鏡などで太陽の光を集中させれば、十分致命傷になりうる… 天敵である波紋使いが今のところ見当たらん…そのためにも唯一の『天敵』である太陽光…もっとも違う世界であるようだし 太陽とは呼ばないのかもしれないが…太陽光には十分気をつけなければいけないな…) 「さっきも言ったように…使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるはずなんだけど…なにも見えないし聞こえないわね…… 次に使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。たとえば秘薬とかね。あんたどこの田舎に居たかしらないけど亜人なんだから そういうの詳しくないの?」 「そもそもここはどこだ?それすらわかっていない…魔法学校などと言っていたな、ここはスイスではないのか?」 「スイス?そんなところ聞いたことないわ。トリステイン魔法学院くらいは知ってるわよね?」 「そもそも魔法自体俺は知らん。俺の知らない土地で人間は二〇〇〇年の間にそこまで成長していたのか? ……ああ、ここは違う世界だったな、まあ似たようなものだろう。」 一呼吸空く。 「あ、あんた?なに言ってるの?違う世界から来て、しかも二〇〇〇年前から生きてるなんて言わないわよね?」 「正確には二〇〇〇年前から眠っていたというところか。念のために聞いておくがここは『地球』という言葉を知らないよな? もしくは『Tellus』『Earth』…それに似たような言葉でも構わん。」 「チキュウ?それがあんたのいた国?聞いたことないわね。大体二〇〇〇年間寝てて、ご飯とかどうしてたのよ?他にもいろいろ 生きてく上で必要あることあるでしょ?さすがに私でもそんな嘘にひっかからないわよ。」 「石と同化して二〇〇〇年間眠っていた。食料も二〇〇〇年程度いらん…が、こちらに来てなにも食べていないな。 お前ををまず食ってみようか?」 しばしの沈黙。 「きゃああああァアアアアアアーーッ!!」 大声で悲鳴をあげる。 窓を思いっきりあけ逃げようとする少女。 「冗談だ、それほど騒ぐな」 「冗談って、あ、あんた二〇〇〇年眠ってたってのも?」 「それは本当だ。人間を食うこともな」 「きゃああああァアアアアアアーーッ!!」 二度目の悲鳴。先ほどの悲鳴より強いようだ。 「ルイズッ!うるさいわよッ!」 悲鳴を聞きつけたのか、赤髪のグラマーな女性が彼女の部屋に怒鳴り込んでくる。 「ひとりで逃げるのよキュルケ。あんたを逃がすのは私であり……そこのサラマンダーであり、あたしの魔法 爆発… 生きのびるのよ あんたは『希望』!来いッ!ワムウ!」 「あ、あんた、何を言ってるのよ…脳みそがクソになったの?」 「……なにを勘違いしているんだ。お前の使い魔になったといっただろう。起きている間でも二〇〇〇年やそこら人間を食わなくても済む。 他の…人間どもの一般的な食事があればな」 「な、なんだ……じゃあやっぱり私の使い魔で私を食べたりはしないのね」 「うむ。少なくともお前はとりあえずしばらくの間は食わないし、食う価値も今のところはなさそうだ」 「やっぱ逃げてええええキュルケェえええええッ!」 もう既に赤髪の女は居なかった。 * * * 「先ほどの女はなんだ?そういえばお前の名前も聞いていなかったが。ルイズというのはわかったがな」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、由緒正しきヴァリエール家の三女よ」 「さっきの女、キュルケとやらは?」 「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。忌々しきツェルプストー家の尻軽女よ。 ああ、憎たらしい!あんな女逃がそうとなんかしなきゃよかったわ。とっくのとうにいなくなってるしね……」 顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。 「ツェルプストー家になにか因縁でもあるのか?」 「数え切れないほどあるわよ!キュルケのひいひいひいひいおじいさんのツェプルストーはわたしのひいひいひいおじいさんの恋人を 奪ったのよ!今から二百年前に!それから、わたしのひいひいおじいさんは……」 「人間どものつまらん話など聞く必要はない。それより飯だ。まさか使い魔にはないとは言わないよな?」 先ほどの『食料は人間』という話を思い出す。 顔が青ざめていき、高ぶっていた心は一気に冷めていった。 彼女の口の動力機関はぴたっと止まった。 「え、ええ。食堂はこっちよ。」 (数段ランク落ちたものを食べさせて威厳を見せつけようと思っていたのに、こんなんじゃそんなものあげるにあげられないじゃないッ! はあ、私なにを呼び出しちゃったのかしら……い、いえ!ポジティブに考えるのよ!『ゼロ』だってバカにしてた奴らを追い払うくらいの…) 「どうした、行くんじゃないのか?」 ワムウに声をかけられ、思考は中断する。 「ひゃっ、……は、はい。」 寮の出口へ2人は歩き出した。 * * * 「うーむ、なんじゃあの使い魔は。あんなパワーを持った亜人みたことないぞい……多少鈍っているとはいえ、コルベール君、君が 本気を出して放ったファイヤーボールを片手で止めるとは……」 老人がいすの上で唸る。 「しかも、現状を一瞬で理解したことから、私たち以上といっても過言ではない判断力を持っているといっていいでしょう…… 特に……戦闘の際の判断力は、私が見てきた軍人たちの中から探してもあれほどの人間は居ませんでした。」 髪の薄い男性も唸る。 「で、君が調べたあのルーンは間違いないのかね?」 「はい、私も何度も確かめましたが間違いないでしょう。喜ぶべきなのか困るべきなのか……」 「やれやれ、よりにもよって伝説の使い魔ガンダールヴとはな…」 老人はため息をつく。 「やれやれ、ミス・ヴァリエールもやっかいな者を呼び出したようじゃわい…」 外からノック音が聞こえる。 息を切らした様子の緑色の髪の女性が入ってくる。 「ミス・ロングビル、そんなに慌てていてどうしたんじゃ?そんなんだから婚期を逃すんじゃよ」 「婚期は関係ありません!そんなことより、ヴェストリの広場で決闘がおきて大騒ぎになっています! 止めに入った教師たちも、生徒たちに邪魔されて、止めるに止められないようです」 「なんじゃ、そんなことか暇を持て余した貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」 「一人はギーシュ・ド・グラモン」 「あのグラモンのところのバカ息子か。オヤジも色の道では剛の者じゃったが、息子も輪をかけて女好きじゃ。 おおかた女の子のとりあいじゃろう。相手は誰じゃ?」 「そ、それが……ミス・ヴァリエールの使い魔です…」 老人は二回目のため息をついた。 「やれやれ、今日は厄日かのう……」 * * * 数十分前の食堂。 ややにぎわっており、生徒たちであふれている。給仕たちや料理人たちもいそがしそうである。 そこに入っていったルイズとワムウ。 教室での騒ぎを知らない者の一部は好奇の目を向け、知っている者はそそくさと立ち去る、ルイズが座る席から離れる、気づかない振りをするなど 多種多様だが、多くは友人たちとの会話や食事を続けている。 ルイズ達が席について少し経つと料理が二人の前に運ばれてくる。 運んできたメイドは、ワムウの顔に少しおびえたのか、目の前に立った瞬間怯んだものの、何事もなかったかのように仕事を再開した。 「なあ、ギーシュ、お前、今誰とつきあってるんだよ!」 「誰が恋人なんだギーシュ!」 気障な少年が数人の友人に囲まれて話をしていた。 「つきあう?僕にそのような特定の女性は居ないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね。」 今日も絶好調、気障なセリフが全快だッ! 友人の一人がギーシュのポケットの中のふくらみに気が付く。 「なあギーシュ、お前のポケットに入ってるものはなんだ?見せてみろよ」 「や、こ、これはだめだって!」 「いいじゃねえか。見られて困るものじゃないだろ?困るならなにか教えろよ」 「そ、それは……」 友人たちに迫られて後ずさりする。 ギーシュには幸運が二つあった! 友人が迫るスピードが遅かったために彼の影を踏むときにギリギリまで彼から遠くに居たこと! そして! 幸いにも回し蹴りが下半身に行ったこと! そのどちらの幸運がなかったとしても彼の人生は老化して首の骨を折られる以上の悲しい死因だったであろう。しかし彼はその大きな幸運より 目先の不運を恨んだのだった。 「うわらばッ!」 容器が割れる甲高い音と、彼の断末魔に似た声がする。 「な、なにしてるのよワムウ!」 「すまんな、坊主。俺は影に入られるのが嫌いでな。反射的に攻撃してしまった。まあ生きているようだし次からは気をつけるんだな。」 「お、おいギーシュ、大丈夫か?」 「なにか割れた音がしたけど……あれは!」 「モンモンラシーの香水の入った小壜じゃないか!割れてるけど」 「そうか、ギーシュはモンモンラシーとつきあってたんだな!」 「ああああああ!モンモンラシーからのプレゼントがあああッ!」 その嘆きを無視し食堂を出ようとするワムウに少年、ギーシュは叫び声を突きつける。 「お前!貴族になにをしたかわかっているのかッ!そして、お前が割ったのは僕の最愛の人モンモンラシーからのプレゼント! 謝罪ではすまないぞ!」 「ふむ、ではなにをすればいいんだね?」 ワムウが振り向きギーシュを見据える。 「決闘!それがグラモン家の流儀ィイイイイッ!ヴェストリの広場に来やがれッ!」 /|_________ _ / | | ̄| | | \ TO BE CONTINUED .. | |_| |_| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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「あんた名前は?」 「ヴィネガー・ドッピオです」 「それじゃあんたのことはドッピオって呼ぶから…」 魔法学院の一室の椅子に座る青年、もといドッピオは目の前のベッドに座る少女の質問に答えていた 広場でボスと話をしていると突然手を捕まれて城のような建物の中の彼女の自室らしき場所に連れ込まれたのだ そしてドッピオは質問責めにあっていた 話を聞いているうちにわかったことはここはイタリアじゃなく魔法使いがいる国 少女はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 通称ルイズ そしてここ魔法学校 魔法生物の使い魔呼んだんだけどあんた誰? って話らしい しまいには「呼んじゃった以上仕方ないから平民のあんたのご主人様になってあげるから感謝しなさい!!」 ときた。…のだが彼やもう一人の彼的には (言っていることがわからない。イカれてるのか?この状況で?) (ボス・・・僕、ストレスで挫けてしまいそうです ) と当然の反応である(一人は未来に不安しているが) キング・クリムゾンの腕を発現させルイズの反応を見たがどうやら見えていないらしい つまり新手の敵スタンド使いではないらしいのだが魔法使いがいるなんて考えられなかった 常識的に考えて もちろん自分が特殊であることもキスのせいで頭から吹っ飛んでいる されているのはボスだが彼にされたのも事実、彼はとっても純愛系なのだ 「貴女の話はわかりました ここが魔法の国、貴女の魔法で僕が来た、使い魔の儀式ってのでキスした それで帰れたりするんでしょうか?」 もしGERの能力が切れた(ジョルノに何かあった)のなら元の世界に戻ってもう一度再建したほうがいい と考えたドッピオの考えは 「無理よ… サモンサーバントであんたを呼び出したのは私 だけど元の場所に帰す魔法なんて知らないし聞いたこともないわ」 この主人にスパっと切り捨てられたのだ 「そうですか・・・僕はどうなるんでしょう」 「元々人間なんて使い魔になられたって困るのよ とりあえず掃除や洗濯をしてもらうわ」 「・・・分かりました」 ドッピオはこれでも譲ったつもりだった だが次の一言で温厚なドッピオは怒ってしまうのだった 「それにしても最初と今とではまったく別人よ なんだかよくわかんない変な平民かと思えば今は礼儀正しい人になってるし 「どこから襲ってくるんだ」とか「俺のそばに近寄るな」とか、最初は精神障害と思ったけど今はそんなことないし あんた、なんなの?」 「・・・変?」 最初、もちろんそれはディアボロ自身のことだ。ドッピオ自体も分かっている いや、それが悪かった。彼は自分が変な扱いをされるぐらいならまだ怒らない だが、ルイズは罵倒してはいけない人を罵倒した 人にはいくつか言われたり、やられたりすると許せない個人個人の地雷と言うものがある (この人・・・ボスを侮辱した・・・!) ドッピオは怒ってしまったのです 「何でボスを貴女なんかに侮辱されないといけないんですか!! 自分で呼び出しておいて無責任な魔法使い様で… 付き合ってられません。僕は帰ります!!」 そしてそのまま出ていった 罵倒した本人は 「・・・ボス?」 聞きなれない人物の事を半濁していた 建物を出ると見渡す限り地平線 どんな田舎に来てしまったのだろう この怪しい魔法使いどもの敷地をでていこうと正門らしき場所に向かいドッピオは歩を進める 「・・・それにしてもここは地球のどこなんだろう」 周りの景色を見渡しながら首を傾げる 木々や草花を見る限りどうも地元で見たことないものばかりである 「これはまさか異世界…」 頭を回転させるが何者かの言葉によって遮られた 「トゥルルルルルル!」 何者かの言葉はドッピオ自身の言葉だ 「電話だ!・・・えっとどこに・・・」 そこにある木の枝を拾い耳と口にあてる 「もしもし」 (ドッピオ、このまま抜け出すつもりか?) 「あ・・・はい」 (ならばあては?) 「・・・ありません」 (・・・私も侮辱されたのは腹が立つが今はそのようなことで怒るな 我々には今はあの少女しか・・・ルイズしかあてが無いのだから) 「すいません・・・ボス」 (いいのだ、私の可愛いドッピオ。私のために怒ったのだろう?) ドッピオはボスが少し変わったのに気がついていた GERによって地獄を味わい、ディアボロが他人の痛みをわかってあげられるようになったことを 「・・・ボス」 (なんだ?ドッピオ) 「・・いえ、やっぱりなんでもありません」 ドッピオはこう思ってしまった。今のボスなら野望という大きな幸せではなく日々の小さな幸せで生きていけるのではないかと そんな日々をドッピオは欲しいと思ってしまったのだ (このままこの世界でボスと一緒に・・・) そんなことを考えていたドッピオの思考は 「やあ、そんなところで何をしているのかな?」 突如の声で切られてしまったのだ 「・・・あ、ルイズさん・・・」 「ハアハア・・・急に抜け出してどこに行くつもりなのかしら?」 息を切らしながら最初に声をかけた人の後ろからルイズがやってきた 「・・・すいません、ルイズさん。急に怒り出してしまって」 ドッピオはディアボロを侮辱されたのをまだ良く思っていないが急に怒り出したのは悪いと思いまず謝った 「・・・あれから少し考えたんだけど」 ルイズが口を開く。ドッピオはそれが何かと思って顔を上げると 「あんた、やっぱり精神障害でしょ」 そんなことを言われた 「・・・え?」 「そうとしか考えられないのよ。部屋でボスとか言ってたでしょ? 最初と今と違うならあんた二重人格とかそういうのよ」 「えっと・・それは・・その」 ドッピオは少々迷っていた。このまま自分のことを正直に言うべきかそれとも嘘を言うべきか どうするか迷っていたとき 「まあまあ、そこら辺にしておいたほうがいいのではないかな?ミス・フランソワーズ」 一緒に来た金髪の人に遮られたのだ 3へ
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ルイズが他の生徒たちを怒鳴りつけていると、教師らしい中年男性がため息をつきながら近寄ってきた。 「オホンッ!ミス・ヴァリエール・・・速やかに契約を。 時間が・・・あまりないのでね。」 「・・・ハイ、ミスタ・コルベール。そこの餓鬼、後で覚えてなさい。 それにしても貴方、ずいぶんおとなしいわね。声もあげないなんて。ま、いいわ。 ・・・我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え・・・我の使い魔となせっ!!!」 ズキュウウーンンッ!!!! スーパーフライ、アヌビス神、チープトリック・・・いずれも主を必要とし、求めていた! その能力ゆえに主を殺したものもあったが、いずれも主を求めていたのだ! 確かに例外も存在する!主の死を発動の条件とするものも存在する! しかしこのキラークイーン、断じてそのような性質のスタンドではない! ならばっ!主を失ったキラークイーンが、 この少女を新たな主とすることは極々自然なことではないだろうか!? ルイズの口付けがキラークイーンに新たな運命を与えた! 「ッ!!?」悠然と少女を見下ろしていた彼が突然震えた。 彼の左手にルーンが刻み込まれているのだ。 そう、シアーハートアタックと呼ばれていた、追尾戦車の部分に・・・。 「これはッ!?キラー・・・クイーン・・・? こいつの名前が、力が・・・言葉ではなくっ!心で理解できるっ!! そして・・・この能力!魔法ではない力!スゴイッ!スゴイけど・・・微妙にムカつくわ・・・。 これじゃあまるで私が爆破しかできないみたいじゃない・・・。」 強化能力・・・シアーハートアタック 自動追尾型爆弾戦車。基本性能、原作通り。 ルーン発動時、ちょっとガンジョーになる。 しかしもともとガンジョーなため、とくに意味はない。 ルイズ・・・どうして爆破なのよお~!!と心の中で叫んだ。 To Be Continued → 1話< 目次
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/807.html
食堂にルイズが着いたのを1人の生徒が気がついた 「あ、『平民』を召喚したゼロのルイズじゃないか」 すると・・・ 「本当だ、平民を召喚するなんて流石だな!」 「そこに痺れないし憧れないぃ!」 次々とルイズを侮辱する言葉が飛んできた 「な・・・・な、こ、こいつはただの召使いよ!」 「へー 召使いって名前の平民なのか」 「なな・・・なんで知ってるの!?」 散々侮辱され流石に酷いんじゃ・・・と思ったが 昨日の自分の受けた扱いを思い出しその考えを取り消した また、今回の原因は今朝赤髪に話したせいだと思ったが嫌な予感がしたので黙っている事にした そんな事を考えながらルイズの席を引いて座らせ、自分も座ろうとすると ルイズは無言で床を指差した。そこに皿が一枚と焦げたパンが置いてある 「これは何ですか?」 「あのね、ホントは使い魔は、外。あんたはわたしの特別な計らいで、床」 エンポリオはその一言で全てを理解し・・・・今度こそ心が折れそうになった そして、そのルイズ様から頂いた素晴らしい食事を食べ終え外へ行こうとすると 香水が転がってきた けれど無視して行こうとした・・・・が (な、なんだ? ここで香水を拾わなければいけない気がする・・・・) そして香水を拾い転がってきた方向を見ると 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰と付き合ってるんだよ!」 金色の巻き髪にフリルのついたシャツを着た、キザで見るからにマンモーニなメイジがいた。 薔薇をシャツのポケットに挿している。どうやら友人らしき人物と話をしているようだった。 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 「会話中にすみませんがこれ、落としましたよ」 すると周囲に居た友人らしき人の1人が 「おや? それはもしや、モンモランシーの作っている香水じゃないか?」 「ああ、この特徴的な色合いは間違いないな。彼女が調合している香水だ」 「つまりギーシュは、今モンモランシーと付き合っているのか」 そのマンモーニが何か言いかけたとき、近くの席から茶色のマントをつけた少女がギーシュの席にやってきた 「け、ケティ……。違うんだ、これは…」 ケティと呼ばれた少女は弁解をしようとしたギーシュの頬を思いっきりひっぱたいた そして涙を零しながら去っていった するともう一人少女が近づいてきた こちらがモンモランシーだろうか? その少女はマンモーニの前に立つと・・・・スープを顔面に叩き込んだ 「嘘つき! 二度と顔を見せないで!」 そう言うと その少女もまた、去っていった 呆然とその光景を見ていると 「どうしてくれるんだ? 君のせいで二人のレディの名誉に傷がついたんだぞ!」 そのマンモーニが言いがかりとしか思えない発言をしてきた 「え?ぼ、僕が悪いんですか?」 「当たり前だろう! 君が香水を拾うからこんな事になったんだ!」 流石マンモーニ その考え方には尊敬してしまう 「でもマンモーニさn・・あ、えっとギーシュさんが二股をしていたのが行けないんじゃ・・・」 その言葉に周囲から「子供に言われてるよ・・」などと失笑が漏れる プライドが高いのだろうか?怒りで表情を歪めている 「確か君はミス・ヴァリエールの使い魔だったな・・・・ いい機会だ 彼女の変わりに僕が躾けてやる!」 その言葉には流石にカチンと来る そしてエンポリオは・・・・・ モンモランシーと同じように、スープを、叩き込んだ! 少しの静寂の後周囲に爆笑の渦が広がる 「き・・・き、き 貴様 許さん!決闘だ!!! 死ぬまで痛めつけてやる!!」 周りが 子供相手に何を言ってるんだこのマンモーニ っていうかマンモーニって何? という視線にも全く気がつかずギーシュは目を純血させながら激怒していた ~~~~~~~~~~ その頃のルイズ・・・・校舎裏で今日も真面目に魔法の勉強中(マンモーニ事件は知りません
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1715.html
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 享年16歳 嗚呼、美人薄命とはいうけれど恋の一つでもして死にたかった 振り下ろされる巨大な拳を前に、16年間の出来事が走馬灯のように流れていく 恐れ多くも姫殿下の遊び相手として王宮で過ごした日々 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと 小船で泣いている所を婚約者に慰められたこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと ちぃ姉さまの動物に危うくじゃれ殺されそうになったこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと 魔法が使えなくて馬鹿にされたこと ・・・・・。 何だろう、急に悲しくなってきた 私の人生こんなことでいいのだろうか?いいやよくない!! せめて抗ってやる! 屹然と杖を構え、目の前のゴーレムに向けて魔法を放とうとする。しかし 「「きゃっ!?」」 不意に脇腹に衝撃を受け、続いて頬の辺りにボヨヨンと何か暖かく柔らかな感触 「ちょっとヴァリエール、重いから退きなさいよ!」 「う、うるさい!今退くわよっ!!」 どうやらにっくきツェルプトーの胸に溜まった二つの脂肪の塊がクッションになったらしい いっそそのまま潰れてしまえばよかったのに・・・・いや、その前にさっきの衝撃は何だったのだろう? 「ッ、そうだヴァニラ!」 慌てて振り返るが、そこにあったのは今正にドスンという鈍い音共に地面に減り込むゴーレムの拳 「え、嘘!?」 「まさか私たちを庇って・・・・?」 何ということだろう あまりのショックに地面に膝をつき、呆然と拳の着弾地点を見つめる ツェルプトーが横で何か言ってるが分からない 全然いう事を聞かなくても私の使い魔 平民でも、何だか訳のわからない力を持っていた私の使い魔 あの物を削る力でもあの面積は防ぎきれなかっただろう 私があの時直ぐ逃げていればヴァニラは・・・・ 「ヴァリエール! ルイズ!! あれ見てあれッ!!」 うるさいわね、今感傷に浸ってるんだから邪魔しないで・・・・って何? 「ほらあそこ!」 ツェルプトーの示す先を見ればゴーレムの腕を伝い、壁に開いた穴に入っていく人影が一つ 「何あれ・・・・まさか賊!?」 「ていうかあの穴アナタの失敗魔法で出来た皹じゃないの?」 「なッ!?そ、そんなわけないじゃないの!!」 冗談じゃない、でもまさか・・・・・ってそんなことよりヴァニラ! ガオンッ! 突如、独特な音と共にゴーレムの右腕が崩れ落ちる 「え、何事!?」 「ヴァニラ!!」 私とツェルプトーが声を上げるうちにも、次々とゴーレムの体にボコボコと風穴が穿たれていく 「やっちゃいなさいヴァニラ!!」 このままいけばあのゴーレムを倒せる! そう考えついつい逃げるのも忘れて観戦してしまったが、それがいけなかった 「「え?」」 不意にゴーレムがぐらりと傾ぎ、そのまま私たちの上に大量の土砂が覆いかぶさった To Be Continued...
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夜、陽気に賑わう酒場に、一人の男が入ってきた。 マントを着けているが、身なりからすると貴族とは思えない。 幅の広い帽子と、担いでいるこざっぱりとした荷物からすると旅人の様だ。 だが、酒場の喧騒の中その男に注目する者は居なかった。 その男は、大声で歌っている男の側を通り抜け、踊っている者たちを押しのけ、喧嘩をしている連中を避けてやっとカウンターにたどり着いた。 「お隣よろしいかな?」 緑色の髪の女に声を掛け男は席に着いた。 声を掛けられた女は気だるそうに顔を上げた。 「はん?…あんた誰よ?……さっきまで居たボーヤは?」 かなり呑んでいるらしい。ワリと整った顔は酒の為に火照っている。 年齢は二十代後半ぐらいだろか。 「坊やって…こいつの事かい?」 足元を指差す男。 見ると16、7の少年が酔いつぶれて寝ている。 「そうよ…いや、違ったかも………もうどうでもいいわ。マスター!もう一杯!」 「それじゃあ」 足元の少年を跨いで席に着く男。 「僕に奢らせてくれないか?」 「あら~いいの?じゃあ一番高い奴」 「おいおい…まあいいか。僕にも同じのを頼むよ。僕はジャック。君の名前は?」 少しの間、酒が注がれているグラスを見つめてから、女は答えた。 「…マチルダよ」 「マチルダか…ステキな名前だ」 「あら、口説いてるの?」 「そう聞こえるかい?」 グラスを受け取ると、ジャックはマチルダに向き直って言った。 「乾杯しないかい?」 「何によ」 「僕らの出会いに」 「プッ。何よそれ」 「では、アルビオン共和国の戦勝一周年を記念して」 「いいわよ」 「乾杯」 「乾ぱ~い」 神聖アルビオン共和国がトリステインに宣戦布告をしてから2年。 戦争はたった1年で終結してしまった。 当初、トリステインとゲルマニアが同盟を組むというと言う噂もあったのだが、開戦とほぼ同時に反故にされてしまった。 さらにトリステインのカリスマであるアンリエッタ王女が、開戦直後のタルブで戦死してしまったのだ。 突然の悲報に兵士達の士気は落ち、王宮勤めの貴族たちはアルビオンの事よりも、王女をタルブへ行かせたのは誰か?と責任を押し付け合った。 その様な状態では『空の怪物』『羽を持つ悪魔』『灰の塔』等とあざなされるレキシントン号率いる空中艦隊と戦えるはずも無く、トリステインはアッサリと降伏したのだった。 その後、ジャックとマチルダは他愛も無い話をしながら酒を楽しんでいた。 深夜に近づいているというのにあたりの騒音はいっそう酷くなってきている。 「所であんた仕事は何?あ!ちょっと待って当てるから……吟遊詩人?」 「ハッハッハ、何でそう思ったんだい?」 「いや、何か帽子がそう見えたからね。で、本当は何さ?」 「こいつだよ」 そういってジャックはマントをめくって見せた。 「杖…あんた貴族かい」 マチルダの顔が少し険しくなった。 「いやいや、傭兵さ。とっくの昔に没落しててね。貴族制が廃止されたんで少しスカッとしてるよ」 「フフ、あたしもだよ」 「君も…するとやっぱり傭兵でもやってたのかい?」 「まあね。この戦争のおかげでちょいと稼がせてもらったよ」 頬杖をつくマチルダ。 そんなマチルダにジャックが質問した。 「戦争の前は何をやっていたんだい?」 「何って…まあ色々さ」 「色々とは?」 「…レストランとか、宿屋で働いてたよ」 「それだけじゃないだろう?」 「…どういうことだい?」 ジャックの顔が険しくなった。 「魔法学院でも、だろ?」 「フン!傭兵にしちゃ礼儀正しいと思ったら…あんた何者だい?」 袖口に隠し持っている杖に手を掛けるマチルダ。 「早まるな」 手で制するジャック。 「ちょっと話を聞きたいだけさ」 「話って?」 杖に手を掛けたまま怪訝そうな顔になるマチルダ。 「あの日の事をだ」 「あの日…」 マチルダの顔に、一瞬怯えが過ぎった。 「そう。あの日だよ」 ジャックはマチルダにグッと顔を寄せた。息が掛かるぐらい近くに。 「…一体何があったんだ?」 「何って…」 喧騒に掻き消されそうな声で呟くマチルダ。 「3年4ヶ月前の春の召喚の儀式の日。トリステイン魔法学院の教師・生徒・使用人全員が死んだ。何故だ?」 「……」 「トリスタニアで検分書を読んだよ。全員即死。殆どの者に外傷は無い。被害者の死んだ場所はわりとバラバラで、厨房で死んでいた者。 洗濯物の山に埋もれていた者。廊下に倒れていた者。木に寄りかかっていた者。生徒全員が居眠りしている様に机に突っ伏して死んでいた教室も在るそうだ。 3人ほど、首の骨が折れていた者があったな。フライ中に落ちた様だが、フライを使ってて落ちるか?普通。落ちたために死んだのではなく、死んだために落ちたんだろうな。 そして二年生だけは全員サモン・サーヴァントを行っていたであろう広場で死亡していた…」 ジャックは溜息を付く様に一旦言葉を切った。 「検分書に因ると、二年生の誰かが悪質な病気を持った生物を呼び出したのだろうとある。確かに病気なら被害者たち殆ど無傷という説明が付くかもしれない。 だが、明らかに何者かから逃げて、狼に怯えた羊のように数人で寄り添って死んでいた者たちも見つかっている。病気の感染者から逃げたのか?違う。感染すると即死するのでこれは違うだろう。 では病気を持った生物から逃げていたのか?それも違う。スクウェアのメイジ達が検査したが生徒と生徒の使い魔以外の痕跡は見られなかった。 …というか、病原体や毒物の痕跡すら全く見られなかったのだよ!そしてそんな大惨事のなか…君だけが生き残った。何故だ!!」 ジャックに両腕をつかまれ、ビクッとするマチルダ。 「あ、あたしは……」 一瞬言葉に詰まる。 「あたしは何にも知らないよ」 ジャックの目が鋭くなった。 「隠してもために成らんぞ…」 「隠してるんじゃあない!本当に何も知らないんだよ!!あの日あたしは…」 マチルダことロングビルは辟易していた。 魔法学院に潜り込んだはいいが、あのスケベじじいが終始セクハラをして来るわ、忌々しい白鼠を使って下着を覗こうとするわ、あまつさえ昨日は着替えを覗かれたのだ。 これも辛抱、宝物庫からお宝を頂くまでの我慢だ!お宝さえ手に入ればこんな所さっさと辞めてやる!!ついでにセクハラの事を上に訴えてやろうか。 そういえば、今日は使い魔召喚の儀式があるんだっけ?使い魔を手に入れてハシャぐあまり、覗きをやろうとする生徒がいるから気を付けろってシュヴルーズが言ってたが、やれやれそんな奴はオールドオスマン一人で十分だよ… 等と考えながら学院長室の前に来たロングビル。 ノックしてから「失礼します」と声を掛ける。 ………………… おかしい。 いつもならスケベじじいが浮かれた声で招き入れるというのに、返事が無い。 「失礼します。入りますよ」 ドアを開けて中に入ると、いつもの席に座っていたオスマンが、ハッとこちらを向いた。 その瞬間、ロングビルは心臓が締め付けられるような嫌な感じを覚えた。 こちらを見たオスマンの顔には、はっきりと恐怖が表れていた。 何?何がどうしたのよ?まさかフーケだとバレた?!いや、そんな筈は無い! もしフーケだとバレたとしても、オスマンが恐怖を抱くだろうか?このあたしに。 ここに勤め始めてから初めて見たオスマンの恐怖。他人の恐怖が、ロングビルに言い知れぬ不安を与えた。 「ど、どうかなさったんですか」 オスマンはロングビルの方と遠見の鏡の方を交互に見た。 「大変な…大変な事が起こったんじゃ!!こ、こんな事が!!」 「オールドオスマン。落ち着いて下さい」 と言ったものの、自分も落ち着けぬロングビル。 「何が起きたのですか?」 「こ、これは!こんな事が!!まさかこんな!これはどういう事なんじゃ!!??」 日ごろからボケた様な事を言うオスマン。 しかし、これは違う。これはボケ老人の戯言ではない! 知能の高い者が理解不能の状況を目の当りにして混乱しているんだッ!!。とロングビルは思った。 オスマンはロングビルと遠見の鏡の方を交互に何度も見ている。 「ああ!何ということじゃ!!これは…そ、そういう事か!何ということじゃぁああ~!!!」 叫ぶと同時にイスから立ち上がり、ロングビルをビシッと指さし指示を出す。 「ミス・ロングビル!!急いでぜんs――」 指示はそこで途切れた。 唐突に。何の前触れも無く。糸が切れた操り人形が倒れるように、オスマンは崩れ落ちた。 「オールドオスマンッ!!」 持っていた書類を投げ出し駆け寄るロングビル。 鼻の前に手をかざすが、呼吸が無い。 首筋に指を当てるが、脈が無い。 死んでいる。 死んでいる、という事には多少慣れていた。 色々危ない橋も渡ってきた。 死を覚悟した事もあった。 目の前で人が死んだことも一度や二度ではない。 もちろん…殺した事もだ。 だが… だが……この『死』は異常過ぎる!! 矢を射られる訳でもなく、氷を射られる訳でもなく、炎に焼かれる訳でもなく、岩に潰される訳でもなく、唐突に『死』が現れた。 どうする?助けを呼ぶか?いや、死んだ原因は何だ?その原因はまだここにあるのか?オールドオスマンをも殺せるような原因が。 このオールドオスマンを殺せる…? 背筋に激しい悪寒が走った。 胃の中から何かがせり上がってくる。 駄目だ、助けを呼んでいる場合ではない!宝物庫なんて知ったこっちゃあない!!逃げるんだ!! 自分の盗賊としての勘がそう叫んでいる。 部屋を駆け出したロングビルは、手近な窓を見つけると、そこから飛んだ。 今まで出したことも無い速度で。 自分の荷物さえも置いて。 三日後。 トリスタニアの宿屋で、学院の人間が全員死んだと聞いたロングビルは、しばらく震えが止まらなかった。 「それだけか?」 ジャックの声は、落胆した声で聞いた。 二人は多少静かな方へ席を移していた。 「そうよ。だから言ったでしょ、何も知らないって…がっかりさせて悪かったね」 「いや」 気を取り直すようにジャックが言った。 「疫病ではないと確信できただけでも進展さ」 「フ。目の前で死なれて、その死体を触ったあたしが死ななかったからね」 と自嘲気味に言ってからグラスを煽るマチルダ。 酔いもスッカリ醒めてしまった。 「では僕はこれで失礼させてもらうよ」 そう言って席を立つジャック。 「協力を感謝する」 歩き出そうとした所をマチルダが引き止めた。 「ねぇ…一つ聞いて言いかい」 「何だね?」 「…あんた何でこの事件を調べてるんだい?」 「何でそんな事を聞く?」 「いや、何か随分がっかりしてたからさ…ちょっとした好奇心だよ」 「………大した事じゃあない。トリステイン魔法学院に許婚が居たんだ。それだけさ」 「そう。悪い事聞いちゃったね」 「いや。では今度こそ失礼する」 そう応えると、ジャックは酒場の喧騒の中へ消えていった。 一人残されたマチルダは、少し悩んでから、次のボトルを開ける事にした。 許婚か……一体どの『教師だったんだろう』…。…シュヴルーズ? 「まさかね」 呟いてから、新しいワインに口を付けた。 魔法学院で一体何が起こったのか?ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは生涯この謎を追い続けた。 家庭を築いて後も、暇を見つけてはトリステイン魔法学院跡地に赴き、時には家族と、時には一人で調査を続けた。 しかし、結局最後まで何も判らぬまま、その生涯を閉じる。 では、何が起きたのか?時は3年4ヶ月前に遡る。 春の召喚の儀式の日。 進級試験に臨んでいたルイズは、同級生が何の問題も無く使い魔を召喚して行った後に、自分が召喚したものが信じられなかった。 「……先生!召喚のやり直しをさせてください!!」 ルイズが叫ぶ。 現れた物は、一人の『おじさん』だった。 何の変哲も無い、普通の、どう見ても平民にしか見えない『おじさん』だった。 青い帽子を被り、パイプを咥え、青緑の上着を着ている、無精ひげを生やした『おじさん』……。 到底、使い魔にしたい相手でもなければ、コントラクトサーヴァントしたい相手でもない! 「残念ながら、ミス・ヴァリエール。儀式のやり直しは許可できません」 監督をしていた教師のコルベールが言う。 ルイズにとっては無情な言葉だが、コルベール本人も前代未聞の出来事にこれ以上の事を言えないのだ。 「そんな!!でも――」 「すみません」 「!!」 いつの間にか、コルベールとルイズのそばに来た『おじさん』。 「ちょっと質問したいのですが」 「な…なんでしょうか?」 コルベールが答える。顔に少し、緊張の色が見える。 「サンレミの病院は、どちらにいけば良いのでしょうか?」 質問しながら、帽子を取る男。 「サン・レミの…病院ですか?」 「何言ってるのよあんた。それより引っ込んでなさい!今は取り込み中よ!しかも!あんたのせいでね!」 「おや?」とルイズの顔を覗き込む男。 「な、何よ!」 「ちょっと待って。この私の事知ってますよね?そうでしょう?私ですよ」 知ってるんですか?という顔のコルベール。 「知らないわよ!こんなおっさん!見たことなんて無いわ!」 「そうですか…でも、今わたしを見て感動したでしょう?皆さんも」 と周りを見渡す男。え?という顔の生徒達。 確かに、この『おじさん』には何か引きつけられる物がある。何かわからないが。 「…あんた何なの?」 ルイズが聞く。 「わたしは…ヴィンセント」 パイプを咥えなおし、帽子を被る男。 「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。『ゴッホの自画像』です。昨日カミソリで耳を切り落としました………所で病院は、どちらでしょう…?」 こうして、同日中にトリステイン魔法学院は全滅した。
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「うーん……絶対捕まえてやるわ……むにゃ……」 「いい加減起きなさい、ヴァリエール」 うるさいわね、今フーケと戦っている最中よ、だいたい何でこいつが 「フーケはどこよ!他のみんなは?」 「フーケなら、あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ。 セッコは隅で寝てる、タバサは馬を引いてるわ」 気づいた時には、全てが終わっていた。 紆余曲折あって結局セッコが仕留めたらしい。 「わたしも、もう少し強くなれないものかしら」 「強いかどうかはあれだが、役には立ってるぜ。 おめーが見張りしてなかったら、全員ゴーレムに踏み潰されてたろうよ」 デルフリンガーが珍しく私を擁護する。 言ってくれるじゃない剣の癖に。ちょっとだけ嬉しいわ。 「そういえばミス・ロングビルはどこへ?」 「あなたの横に簀巻きにされて転がってるわよ」 「何言ってるのよツェルプストー」 ついに脳まで熱にやられたかしら。 けれど隣をよく見たら納得できた。 「ああ、そういうことだったのね」 学院長室で、オスマン氏は戻った四人を呼び報告を聞いていた。 セッコはよほど疲れていたのか全く目覚める気配がなく、仕方なくルイズの部屋に置いてきたので実質三人ではあったが。 「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな…… 美人だったもので、何の疑いもせず秘書に採用してしまった」 「いったい、どこで採用されたんですか?」 側に控えていたコルベールが尋ねた。 「町の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」 「で?」 「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」 「なんで?」 ほんとに理解できないといった口調でコルベールが尋ねた。 オスマン氏が突然真面目な顔になる。 「おまけに、魔法も使えるというもんでな」 「それって、決定的に怪しいですよね、オールド・オスマン」 「怪しい」 「怪しいわね」 「怪しいってレベルじゃあないわ」 全員の視線が、汚い物を見るような目つきに変わりつつあるのを悟り、オスマン氏は照れたように咳払いし、話題を変えた。 「さてと、君たちはよくぞフーケを捕まえ、[破壊の杖]を取り返してきた」 誇らしげに三人が礼をする。 「フーケは、城の衛士に引き渡した。そして[破壊の杖]は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」 オスマン氏は、一人ずつ頭を撫でた。 「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。 追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」 三人の顔が、ぱあっと輝いた。 「本当ですか?」 キュルケが、驚いた声で言った。 「ほんとじゃ、いいのじゃ、君たちは、そのぐらいのことをしたんじゃから」 その言葉に、ルイズの顔が曇る。 「オールド・オスマン。わたしは……」 オスマン氏が力強く言い返した。 「問題ない」 ルイズの表情が少し戻った。 「さてと、今日の夜は[フリッグの舞踏会]じゃ。 このとおり、[破壊の杖]も戻ってきたし、予定どおり執り行う」 キュルケの顔が更に輝いた。 「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」 「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。 せいぜい、着飾るのじゃぞ」 三人は礼をするとドアに向かった。 タバサは、二人が出て行ったのを確認して立ち止まり、オスマン氏に向き直った。 「何か、私に聞きたいことがあるようじゃな」 タバサは頷いた。そして、無表情なりに表情を険しくする。 オスマン氏は、何か察したのかコルベールに退室を促した。 コルベールが退室したのを確認して、タバサが口を開いた。 「オールド・オスマン」 「何かね」 「セッコのルーン。単体では意味のない破壊の杖」 タバサの脳裏に、嬉々として自分を試し、死地に送り出す上司の姿がちらりと浮かんだ。どこも似たようなものか。 少し考え直しその嫌な発想を振り払う。今回は志願だし。 しかし、もし志願者が私とキュルケだけだとしたら、オスマン氏は果たして許可しただろうか? オスマン氏は、少し深刻な、何か言葉を捜しているような表情になった。 「……オレも聞きてえな、校長先生よォォォ」 地の底から響くような声がし、部屋の隅から、寝ていたはずのセッコが現れた。 手に、不思議な金属の杖のようなものを持って。 オスマン氏の顔が更に険しく真面目になり、そして口を開いた。 「順番にじゃ、ゆっくりとな。それと、分かっているとは思うが他言無用じゃ」 「「……」」 無言で頷く。 「ミス・タバサ」 頷く。 「そのルーン文字については、まだまだ謎が多いのじゃ。じゃから、今は何も言えん。 それで[破壊の杖]じゃが、確かにそれだけでは役に立たん。じゃが、これだけは言わせてくれ。 教師が生徒を信用して、悪いことでもあるのかね?」 これ以上は、話す気がなさそうだ。 「ありがとうございます、オールド・オスマン」 「すまんの、ミス・タバサ」 セッコの話も興味深い。しかしオスマン氏の視線が、“出ていかなきゃ無理にでも退室させる” 凄みを放っていたので、仕方なく礼をして部屋を出る。 フリッグの舞踏会(で出される料理)を想像すると、少し心が安らいだ。 タバサが出て行くのを確認し、ヒゲジジイがこっちに向き直り口を開いた。 「質問に答える前に、それをどうして持ってきたか聞いてもいいかのう?」 「宝物庫に入って探して来た。正しく質問に答えて貰う為によお」 鋭い目でオレを見る。 「そうではない。私が聞きたいのは場所や理由ではなく、手段じゃ」 糞、食えねえヒゲだ。 「フーケと戦ってる間に思い出した、オレは地面や壁に潜れるってな。多分[左手]とは関係ねえ」 「思い出したとな?」 「オレは、自分についての記憶があいまいなんだ。理由は知らねえ」 「なるほどの。じゃが、その力は余り人に見せん方がいいのう」 んなこたあ言われんでも分かる、基本だろうが。 「てめーボスだろう。だから教えた」 ヒゲが妙に嬉しそうだ。 「そうかそうか、では質問を聞こうかのう。できるだけ力になろう」 「校長先生よお~、[破壊の杖]とこの[弾]の使い方を知ってんのかあ?」 「ああ。それがどうかしたかね?」 「オレは多分、ここじゃねえ場所の人間だ。それはオレが昔居た所の武器だ」 ……多分な。 「本当かね?」 多分な。 「それのことを知ってんだよな?なら、オレの記憶や居た場所についての手がかりも、何か教えてもらえるんじゃねーかと思って」 ヒゲがため息をついた。 「残念だが今は無理じゃ。それを私にくれたのは、私の命の恩人じゃ。 使い方を教えてくれたのもな。だから直接は知らんのじゃよ」 当てが外れたかなあ。 「そいつはどうなったんだ?」 「死んでしまった。今から、30年も昔の話じゃ」 畜生、結局振り出しか。 「うう……」 「すまんのう。だが、これなら知っておるよ」 ヒゲが俺の左手を掴んだ。 そう知りたいわけではないが、一つずつでも疑問が解決するのは気分がいい。 「ガンダールヴの印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」 「伝説ぅ?」 伝説だから光るのかあ。確かにモグラやシルフィードの印は光ってなかった。 「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる[武器]を使いこなしたそうじゃ。[破壊の杖]について細かく分かったのも、そのおかげじゃろう」 推測かよ。 「うー、むぅ……」 「どうしてそうなったかは分からん」 ヒゲがきっぱりと言いやがった。知ってるつって形だけじゃねえか。 結局、オレは一体何なんだ。 「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私はおぬしの味方じゃ、ガンダールヴよ」 ヒゲはそう言うと、オレの手を強く握った。 「よくぞ、恩人の杖を取り戻してくれた。改めて礼を言うぞ」 どいつもこいつも、何であれが杖に見えるんだあ? 「わかった」 「おぬしがどういう理屈で、ここに現れたのか、どうして記憶が抜け落ちているのか、私なりに調べるつもりじゃ。でも……」 「でも?」 「何も分からんでも、恨まんでくれよ。記憶を消す魔法や壊す薬はあっても、取り戻すものは現状存在しとらんしのう」 「……」 「なあに。ここだって住めば都じゃ。嫁さんだってさがしてやる。 あと、今日は[フリッグの舞踏会]がある。まあパーティじゃな。飯もうまいぞ」 それはいい。早速食いに行こう。ルイズに怒られる気はするが、正当な報酬だ。 ヒゲの目が再び鋭くなる。 「それとな、そいつを、[弾]をちゃんと元に戻しといてくれよ。こっそりとな」 このヒゲに逆らうのはやべえ、ルイズの次ぐらいに。本能が告げてやがる。 「……わかった」 食堂の上の階が、大きなホールになっている。舞踏会はそこで行われていた。 テーブルにつき、目の前の料理を貪る。 あれ……?甘くねえのにうめえ。 何故だろう、味覚が少し回復している。 何かがオレに起こっているんだろうか? 「お前、さっきから食いすぎじゃねえのか」 背中からデルフリンガーが話しかけてきた。 「あいつに比べたら普通だぜえ」 斜め向かいに視線を向けてやった。 黒いパーティドレスを着込んだタバサが、それにも拘らずオレと変わらない勢いで料理を平らげている。化け物か。 「おでれーた……」 その時、ホールの扉に控えている呼び出しの衛士が、ルイズの到着を告げる声が聞こえた。 「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~~り~~~!」 随分と遅かったなあ、何やってたんだあ。まあ飯の方が大事だ。 テーブルに向き直り、食事を再開する。 少しすると、白いパーティドレスを着たルイズが声をかけてきた。 「楽しんでるみたいね」 いきなりだったのでちょっと料理がむせる。 「うおっ、おっ」 えーと、あれはどういう表現だったっけなー。 「胡麻にも衣装、じゃなくて……猫にも衣装、……は違う……うぐぐ……独楽にも衣装でもなくて、巫女の衣装……」 「何意味わかんないこと言ってるのよセッコ」 「ハハハ、[馬子にも衣装]だな、ちげえねえ相棒」 デルフリンガーが聞いてもないのに助け舟を出しやがった。知ってんだよお、ちょっと忘れてただけだあ。 「失礼ね」 「ヴぇ」 デルフリンガーが殴られる。正確に思い出せなくてよかったぜ。 「あんたもよ、セッコ」 「……いてえ」 全く、この体のどこにそんな力がありやがるんだ。 「ま、今回は許してあげるわ、セッコ、わたしと踊りなさい」 こいつ何言ってやがるんだ? 「オレはこの料理があればそれでいいんだがなあ」 「いいから」 「何でだよお、踊る相手なんていっぱいいるんじゃねえのかよ」 「あのね、ありがとう」 「はあ?」 わけがわからねえ。 「その……フーケのゴーレムに潰されそうになったとき。 助けてくれたんじゃないの?キュルケから聞いたわよ」 「それが仕事だってルイズオメーが言ったんじゃねえか」 「いいから。踊りなさい、命令よ!」 なるほど、ルイズなりの礼のつもりなのかあ。まあ腹ごなしに付き合ってみるか。 本当は飴の方が嬉しいんだけどな。 「わかった。……だがよお、オレは踊りなんてわからねえ」 「わたしに合わせてくれればすぐ慣れるわよ、あなたなら」 「わかった」 ……たまには悪くねーなあ。 そんな様子をテーブルに立てかけられたまま眺めていたデルフリンガーが呟いた。 「おでれーた!」 二つの月がホールに月明かりを送り、ロウソクと絡んで幻想的な雰囲気をつくりあげている。 「相棒!てーしたもんだ!」 踊る相棒とその主人を見つめながら、デルフリンガーはおでれーた!と繰り返した。 「主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ!」 料理を胃に流し込みつつ、一部始終を見ていたタバサは思った。 使い魔的教育が一段落したら、シルフィードにダンスを教えてやろう。と。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
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教室の一角。マントを羽織った少年少女達の間に、大男が倒れていた。 気を失っているようだが、それでもその雰囲気にはなにか語るべくないものがあった。 「へ、へいみん?」 「そもそも人間?」 「ゴーレムとかじゃない・・・よな?」 「ざわ……ざわ……」 筋肉質であり、マントや宝石などの小奇麗なものはつけていないことから、貴族ではないことはわかる。 しかし、彼の頭には角。彼の両肩にも角。人間ではないのか、人間、あるいは亜人だとしても平和的な人間でない可能性が 非常に高そうだとメガネの少女は冷静に分析した。 「ゼロのルイズ!なにを呼び出したんだ!」 「何度も失敗して、成功したと思ったらこれかよ!」 「まともに使える魔法はないのか!」 教室から少女に向けて野次が飛ぶ。 桃色の髪の少女が叫ぶ。 「こ、コルベール先生、やっぱりこの大男とも『契約』しなければいけませんか?」 「ミス・ヴァリエール、例外はありませんよ。」 少女は少し唸った後、諦めたように気絶しているであろう大男に近づく。 「き、貴族にこんなことされるなんて……普通は一生ないんだからね!」と気絶している大男に話し掛ける。 そして、彼の顔に顔を近づけ、唇をあわせた。 左手の甲が光る。 「ROOOOAHHHHHHH!!」 それとほぼ同時に大男が叫び声と同時に目を覚ました。 (な、なんだこの痛みはァーーッ!このような痛みは……例えるなら、そう『波紋』ッ! それに…なぜ俺はこんなところにいるッ!?) 叫び声をあげた大男の迫力から、本能的に命の危険を感じて逃げるようにして 教室の出口へ向かうものが現れる。 「女ァーーッ!俺になにをしたーーッ!」 少女はその叫び声に怯み、数歩下がりつつ答えた。その前にさりげなく髪の薄い男性が立つ。 「つ、使い魔のルーンを刻んでいるのよ。すぐ終わるから、あ、安心しなさいよ…」 左手の甲の光が収まり、痛みが治まった大男は状況を確かめようとする。 (俺は、『エイジャの赤石』を賭けて、ピッツベルリナ山神殿遺跡で、古代ローマの戦車戦を行い… ジョセフと戦った末……奴に敗れて死んだはず…… しかし、無い筈の両腕!両足!胴体!全て元通りだ……どうなっているんだ?俺は死んだのではないのか? 死んだことに悔いはない。一人のジョセフを戦士に成長させ、その戦士に全力を持って戦い、 敗れて死んだということは誇りでもあるし、名誉でもある。 が、しかし……生きている……死ぬ前の走馬灯という奴でもなさそうだ……) 彼は少女に向き直って強く問い詰める。 「女、ここはどこだ……俺に何をした。」 「さ、さっき言った通りよ。あんたを私が『サモン・サーヴァント』で召還して使い魔の契約をしたの。 つまりあんたは私の使い魔。わかった?平民だからわからない?」 「『サモン・サーヴァント』だと?確か人間どもの言葉で『召使』だったか……俺に召使をやれと?」 「だからさっきから使い魔だって言ってるでしょ。主人である私の望むものを見つけてきたり、守ったりするのよ。 使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるはずなんだけど……まだ契約して時間が短いからかしら、 なにも見えないし聞こえないけど……そうそう、もちろん主人である私には絶対服従ね。」 「先ほど召還などといったか……よくわからんが何か普通の人間どもとは違う能力を持っているようだな? 死の淵に居た俺を五体満足までに回復させるのだからたいしたものだ。場所もどうやらピッツベルリナ山神殿遺跡でもなさそうだ……」 「あ、あんた?魔法も知らないの?どこのド田舎のド平民よ!?ピッツベルリナ山なんて聞いたことないわよ! だいたいあんた、人の話聞いてないでしょ!あんたは私の使い魔になるの!わかってるの?」 少女はルーンを結べたこともあって面食らいつつも少し強気に出ていた。 が、使い魔に素直になる気を微塵も感じられないためにただでさえ常日頃バカにされている少女は 焦り、いらついていた。 が、やはり大男の返答は少女の望むものではなかった。 「体のいい召使い兼ボディーガードなどをなぜ俺がしなければならない?俺が従うのは強者だけだ。断る。」 「は、はぁ?あんた、人の話わかってるの?大体強者って……平民だか亜人だかしらないけど、 仮にもここは魔法学校。これだけの貴族に囲まれて勝てると思ってるの?」 「そう思うなら……試してみるか?力づくでここを出ても構わなんしな。」 大男はなめ回すようにクラス見る。その迫力に短く声をあげるもの、後ろに倒れるものなどがいたが、各自同じようなものであった。 「……が、この部屋には俺の相手をできるような者はいないようだな……そこの男は見込みがありそうだが、生憎リングがないものでな。さ、どけ」 「だ、誰がどくっていうのよ!私がどくのは道にマリコルヌが落ちてるときだけよ!」 少女は数歩後ろに飛びのき、杖を向ける。 「ミス・ヴァリエール!貴女は下がっていなさい!」 男が叫び大男に杖を向ける。ぶつぶつと何事か唱えた後に杖の先から炎の玉が大男へ向かう! しかし彼は、片手だけで、その巨大な炎の玉を払いのけた。 まるで、ハエを払うかのように。 普通の相手であればかわすのも難しいタイミング、威力も普通の相手であれば手で払いのけることなど選択肢にすら 入らなかったであろう威力。まさに絶妙な攻撃であった。 惜しむらくは、放った相手が普通の相手ではなかったことだ。 「ここの人間どもは波紋の一族とは違う……なにか不思議な能力を持っているようだな……魔法学校などといっていたが… これらを『魔法』と呼んでいるのか?だが、威力も工夫も足りなかったな。貴様でこの程度ならば……たかが知れるな」 彼は致命傷どころか火傷すらしていない。 怯む様子もなく、彼は起き上がった。そして、光、前の世界であれば忌むべきものであった光の差す 窓の方向へ走り出し、その方向にいた先ほど攻撃してきた杖を持った男に蹴りを放とうとするッ! 起き上がった勢いによる攻撃と脱出を同時に行う。彼の戦闘のセンスは失われていなかった。 1対1ならば確実に仕留めていただろう。1対多でも彼の神経が研ぎ澄まされた、彼が言えば激昂するであろうが 油断していない状況であればその蹴りは入っていたであろう。しかし、彼はその男以外を敵としてみなしていなかった。 伏兵は男の後ろの少女だった。 少女が叫ぶ。 「コルベール先生……下がるなんてできません……敵に……敵に背中を向けないやつを貴族と呼ぶんです! 『ファイアー・ボール』!」 先ほどの少女が大男に杖を向け、なにかを飛ばす。 大男は先ほどと同じタイプの攻撃であると断定し、同じ対処を試みた。 片手をなにかが飛んでくる方向に出し少女を見据える。 「馬鹿の一つ覚えかッ!MOOOOOO!!」 片手でそれを払いのけようとした…が!それが腕に着弾した途端!爆発をおこしたッ! 彼女の唯一の『得意技』である爆発が大男を包む! 轟音が部屋を包む。教卓の上の備品が少々吹っ飛ぶ。教卓も吹っ飛ぶ。しかし、それでも大男は立っている…はずだった。 その大男の類まれなる身体能力をもってすれば、この程度の規模の爆発では驚きすらしなかっただろう。 しかし、大男は立てなかったッ!爆発による煙が舞っている中、彼はひざまずいていた。 その爆発は『普通』の爆発ではなかった。 (か、体が痺れるッ!う、動けんぞッ!幸い体は無事のようだが……これはまるで『波紋』ではないかッ……MOOOOOO……! しかし、この少女…波紋戦士には見えん……シーザーのシャボン玉のような攻撃のように攻撃してきたなにかに波紋を含めているなら、 俺の体の神経は破壊されるはずッ!しかし、動けないだけでそれはない……さらに、無意識下の波紋戦士でもしているはずの 波紋の呼吸をしていない。そして、なによりもッ!戦いについて場数を踏んでいる雰囲気、こういった命の危険に大して無防備すぎる…… つまり、この程度の能力を持った人間はこのあたりにはいくらでもいるということか? ということは、俺に適うだけの戦士がまだどこかにいるのではないだろうか? 我が柱の男たちの敵は波紋戦士たちだけだと思っていたが……少し…興味がでてきた…この魔法とやらに) 強者と戦いこそ全てである大男は心境の変化とともに立ち上がった。 そして、煙がはれたのち、少女は立ち上がった大男に話し掛けた。 「これで貴族と平民の格の違いがわかったでしょう!おとなしく使い魔になりなさい!」 「……いいだろう……少しの間、その使い魔とやらになってやろう……」 「少しの間って…ま、今のところはまあいいってことにしておいてあげる。 じゃあ、使い魔には名前が必要ね。あんた、名前ある?」 風の戦士が、二度目の二〇〇〇年ぶりの目覚めを果たした。 「俺の名はワムウ。風の戦士ワムウだ。」 風と虚無と使い魔 召還潮流
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煙の晴れた中庭を前にしてルイズは天に向かって祈りをささげた (我等が始祖にして偉大なるブリミル、私何か悪いことを致しましたでしょうか? 今まで生きてきた中で嘘をついたことはあります、隠し事をしたこともあります ですが魔法が使えぬゼロという嘲笑に耐え、懸命に努力してきたつもりです たしかに神聖で美しく強い使い魔というのは高望みし過ぎたかもしれません、自分でもそう思います でもこれはあんまりじゃないでしょうか) 何度かの失敗の後でやっと呼び出すことに成功した自分の使い魔に視線を移す 髪の色は自分と同じピンク‐でも斑模様、服装はほぼ半裸‐三十過ぎがする格好ではない 平民という時点で問題外、外見でも不合格を宣告するには十分、駄目押しなのはその態度だ 私を、可憐でひ弱な百合の花の様な貴族の美少女を見て、怯えているとはどういうことだ 平民が突然こんな所に来れば混乱するのは無理も無いが、これはありえない 結論:これは使えない 「ミスタ・コルベール、もう一度召喚の儀式をやらせて下さい」 「ミス・ヴァリエール、それはダメだ」 あっさりと却下される 人事だと思って…、薄いの髪の毛だけではないらしい 神聖な儀式だの、伝統だの、ルールは絶対だの、再召喚が行えるのは使い魔が死んだ時だけだの、 どうでもいいことをまくし立てた挙句の果てに、時間が押しているからさっさと契約を済ませろと来た まあ確かに何時までもこうしている訳にはいかない、極めて不本意ではあるが契約を行うことにする 決してU字禿の言葉に押された訳ではない 口の中で呪文を唱えた後、怯える男に口付けをした 唇が離れた後、左手を抱えて男はのた打ち回りながら倒れた 私の唇に触れたのだから感激して涙するのが筋だろうに失礼な奴だ 刻まれたルーンを興味深そうに見ていたU字禿や私を馬鹿にしていた同輩が室内に戻ってなお、男は倒れたままだった その様を見て一人残ったルイズは声を上げる 「ほら、いつまでも寝てないでさっさと起きなさいよ」 反応がない いぶかしみながら、爪先でつついてみる ピクリとも動かない 「えっ!」 口に手をかざしてみる 息がない 「あれっ!?」 首に手を当ててみる 脈がない 「これって、つまり」 ■今回のディアボロの死因 ×ルイズにキスされたショックで死亡 ○ルーンを刻まれたショックで死亡